衆議院

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第8号 平成17年2月8日(火曜日)

会議録本文へ
平成十七年二月八日(火曜日)

    午前十時五分開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 佐々木秀典君

   理事 島   聡君 理事 田中 慶秋君

   理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    江藤  拓君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      川上 義博君    河村 建夫君

      城内  実君    北村 直人君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      佐藤  錬君    柴山 昌彦君

      竹本 直一君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 恭一君

      津島 雄二君    西川 京子君

      根本  匠君    萩野 浩基君

      馳   浩君    二田 孝治君

      御法川信英君    宮路 和明君

      村井  仁君    森田  一君

      石田 勝之君    泉  健太君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      小泉 俊明君    篠原  孝君

      神風 英男君    田村 謙治君

      津川 祥吾君    辻   惠君

      中井  洽君    中川  治君

      中津川博郷君    中塚 一宏君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      原口 一博君    樋高  剛君

      松木 謙公君    米澤  隆君

      佐藤 茂樹君    田端 正広君

      山名 靖英君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   総務副大臣        今井  宏君

   法務副大臣        滝   実君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   総務大臣政務官      松本  純君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     川上 義博君

  小泉 龍司君     宮路 和明君

  津島 雄二君     津島 恭一君

  西川 京子君     馳   浩君

  根本  匠君     御法川信英君

  萩野 浩基君     城内  実君

  福田 康夫君     佐藤  錬君

  村井  仁君     江藤  拓君

  吉良 州司君     松木 謙公君

  小泉 俊明君     泉  健太君

  中井  洽君     中川  治君

  原口 一博君     神風 英男君

  坂口  力君     山名 靖英君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     村井  仁君

  川上 義博君     竹本 直一君

  城内  実君     萩野 浩基君

  佐藤  錬君     柴山 昌彦君

  津島 恭一君     津島 雄二君

  馳   浩君     西川 京子君

  御法川信英君     根本  匠君

  宮路 和明君     小泉 龍司君

  泉  健太君     小泉 俊明君

  神風 英男君     田村 謙治君

  中川  治君     中井  洽君

  松木 謙公君     吉良 州司君

  山名 靖英君     坂口  力君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  柴山 昌彦君     福田 康夫君

  竹本 直一君     河村 建夫君

  田村 謙治君     原口 一博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長岡田薫君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、総務省自治税務局長板倉敏和君、法務省刑事局長大林宏君、文部科学省初等中等教育局長銭谷眞美君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 本日は、政治資金等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 予算委員会の集中審議です。国政課題、数々ある中で、なぜ今、政治資金の問題を集中審議で冒頭にしなければいけないのか、もっとほかにやることがあるんじゃないのかと私は思っておりますが、質問時間をいただきましたのでさせていただきます。

 まず最初に、我が党の松岡委員が、現在民主党の代表代行を務めている藤井裕久議員が自由党幹事長のとき、平成十四年に限っても、国民の税金である政党助成金より十五億二千万円の金が組織活動費として藤井議員個人に支出されていたと指摘しました。

 ところが、その後、民主党は、政治資金収支報告書に基づく松岡委員の質問の大半を議事録から削除しろと要求し、国会での質問権を否定するようなことを主張しております。国民の税金である政党助成金が藤井議員個人に支出され、そこから先どう使われたか今もって不明であり、それをただすこと、それを聞くことがなぜ制約を受けなければならないのでしょうか。

 それ以外にも、実は平成十三年、このパネルにありますように、二億二千百四十四万九千八百八十二円が国民の税金である政党助成金から支出されており、いかに政党助成金の扱いがずさんであるかがわかります。

 さらに、我が党の同僚議員である松島みどり議員が二月四日の予算委員会で、寄附金、パーティー券の項目に記載されている、日本歯科医師連盟が民主党に寄附したという政治資金収支報告書に基づく質問をいたしました。

 報道によると、当日の川端幹事長の会見では、民主党はその金を受け取っていないと否定しております。であるならば、日本歯科医師連盟が民主党に寄附したという総務省への収支報告書は間違いであるということを、民主党が日本歯科医師連盟に訂正を求めるべきではないでしょうか。

 そこで、この松岡議員、松島議員が指摘をした政治資金収支報告書に書いてある事柄について、再度、政府に質問を三ついたします。

 一つ、平成十四年分の政党交付金使途等報告書において、自由党本部から藤井幹事長に対する組織活動費の支出は幾らか。二つ、平成十一年分の民主党の収支報告書に日本医師連盟からの政治資金パーティーの対価に係る収入の記載はあるか。三つ、その同じ収支報告書に日本歯科医師連盟からの寄附または政治資金パーティーの対価に係る収入の記載はあるか。

 お願いいたします。

久保政府参考人 自由党の平成十四年分の使途等報告書の記載について確認したところ、藤井裕久に対し十五億二千九十万円を支出した旨の記載がございます。

 また、民主党の平成十一年分の収支報告書の要旨に係る官報告示を確認したところ、日本医師連盟から、政治資金パーティーの対価に係る収入として百万円の収入があった旨の記載がございます。

 また、日本歯科医師連盟から、寄附または政治資金パーティーの対価に係る収入があった旨の記載はございません。

馳委員 政治資金収支報告書に基づいて質問をしているのでありますから、その質問を封じるようなことはなされないように、とりわけ甘利委員長にもお願いを申し上げておきます。

 さて、民主党に関しまして、政治資金の問題についての資料をたくさん精査をさせていただきました。本来なら、私は、冒頭に申し上げましたように、総理、この時期は、例えば、私は思いますが、昨年の三党合意に基づく社会保障制度に関する抜本改革、こういったことをこそ国民の前で集中審議で議論すべきではないかというふうに思っております。こういう時期に政治資金の問題を、NHKの中継も入っております、こんな中でやることがよいのか悪いのか。私は余りよろしくないと思っておりますが、民主党からいろいろと言われておりますので、売られたけんかは私も買いたいと思います。

 我々も、幾つもある中で、きょうは、幾つかの政治資金収支報告書に基づく質問をさせていただきたいと思っております。

 ここで確認しておきたいのは、民主党の政治資金団体である国民改革協議会とは何ぞやということでございます。

 民主党の政治資金団体であるという届け出がなされているようですが、その所在地は、千代田区永田町一の十一の一、三宅坂ビルとなっております。この住所は民主党の所在地と同一であります。三宅坂ビルには国民改革協議会の看板さえかけられていないと聞いておりますが、どうでしょうか。

 また、国民改革協議会の収支報告書を見ると、平成十三年の収支報告書では、人件費、光熱水費及び事務所費の記載がございません。同じく平成十四年には、人件費四百八十万円の記載があり、光熱水費の記載がございません。平成十五年には、人件費の支払いがなくなり、備品・消耗品費のみ、十二万七千七百八十五円のみ記載されております。多額のお金のやりとりをしている政治団体が、実態は、平成十三年―十五年は人件費もそして電気さえも使わないところで運営されているということになります。

 だとすると、国民改革協議会は、民主党とは表裏一体の、民主党の党内の機関と同じであると言わざるを得ない。実態上は、いわゆるペーパー政治資金団体と言わざるを得ません。ペーパードライバーというのは私も聞いたことがありますが、ペーパー政治資金団体、実体のないような団体を使っているということが私は指摘をできるというふうに思います。

 さて、次に、永田寿康議員にかかわる政治資金の流れについてお尋ねをいたします。

 永田寿康を支援する会というのが福岡県福岡市にあります。これは、明らかに永田議員の後援会の一つだと思います。その会が、平成十四年十二月二十四日に、東京都江戸川区にあるジャパン・クリエートという政治団体に一千五百万円を寄附しております。

 そのジャパン・クリエートという政治団体が、二日後の同年十二月二十六日、同じ東京都中央区にある東創会、一千五百万円を寄附しています。そこは、現在、解散して存在しない団体です。

 そして、同日十二月二十六日、東創会から、千葉県八千代市にある千明会に一千二百万円を寄附しています。この団体も、現在、解散して存在しない団体です。

 その千明会が、同日の十二月二十六日、永田寿康議員が支部長を務める民主党千葉県第二区総支部に一千万円を寄附しております。

 わずか二日間のうちに、一千五百万円から一千万円が四つの政治団体、支部を通じて移動しております。

 日ごろ、政治献金及びいわゆる迂回献金について厳しく総理に対しても質問されている永田議員が、わずか二日間のうちに、自分の後援会から自分が支部長を務める千葉の選挙区支部に寄附をしていることになります。

 つまり、今御説明いたしましたが、十二月二十四日から二十六日に、五つの団体、支部が登場し、永田議員関係のお金が流れています。そのうち四つは、十二月二十六日の一日です。わずか一日のうちに四つも政治団体、支部が登場し、資金の移動がなされている。それも、千五百万円から最後には一千万円になっている。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。与野党とも静粛にしてください。

馳委員 福岡から千葉の距離がどれだけ遠いとはいえ、今の時代に二日間もかかるのでしょうか。一千五百万円のうち、一千万円とはいえ、なぜ、自分の関係する団体なのに、後援会から支部にストレートに入金しないのでしょうか。なぜ、二日間の間に幾つもの政治団体を経由しなければいけないのでしょうか。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください。

馳委員 十二月二十六日のわずか一日の間に、東創会、千明会、そして千葉県第二区総支部へとお金を転々と移動させなければならないのでしょうか。これは、何らかの意図があったと思わざるを得ません。一千五百万円から一千万円と、消えた五百万円はどこに行ったのでしょうか。これは脱法行為なのでしょうか。こういったことが許されるのでしょうか。

 選挙部長、これについて、これは脱法行為なのかどうなのか、選挙部長にお尋ねをいたします。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に、静粛に。傍聴席からの発言は禁じられております。静粛にしてください。

久保政府参考人 個別の事案につきましては、具体の事実関係を承知する立場にございませんので、御理解を賜りたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきましては、政治団体の会計責任者は、収支報告書に当該政治団体のすべての収入、支出について所要の事項を記載するものとされております。また、政治団体間の寄附につきましては特段の制限はございません。

馳委員 一般社会ではこのことをマネーロンダリングというふうな言い方をします。

 さて、我が党は、昨年来のいわゆる政治資金の問題に関しまして、厳しい内容の内規を党改革実行本部で取りまとめて公表したところでございます。党改革本部で決めたことでございまして、日ごろ自民党の先生方も、こういう政治資金にかかわる問題は秘書の皆さんにお任せしていることが多いと思いますが、きょう改めて、党改革本部で決めた内規を私がここで説明いたしますので、先生方もよく改めて覚えておいて、秘書の皆さんにもお伝えして、また、民主党の皆さんは、残念ながらこういう民主党としての内規をつくっているかどうかわかりませんが、どうぞ自由民主党の内規を御参考にいただいて、よりよい政治資金の扱い方を望むものでございます。

 まず申し上げます。このパネル、これは、政治資金の透明化に関する改革として四点、大筋を申し上げます。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください。静粛に。

馳委員 一、全国会議員の資金管理団体の収支報告をホームページで公開をする。今、ホームページで公開するのは準備中でございます、総理。二つ目、資金管理団体の残高証明と監査意見書を党本部に提出をさせる。三つ目、政治献金を受けるときは銀行振り込みとする。これはことしからやることになっております。四つ目、いわゆるもち代、氷代は廃止をする。これは正式には政策活動費と申しておりますが、昨年から廃止をすることにいたしております。

 テレビをごらんの自民党関係者の皆さんや、また自民党の国会議員の皆さんにも、改めてお伝えいたしますが、党の改革本部で……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に、静粛にしてください。

馳委員 こういった内容を決めておりますので……(発言する者あり)

甘利委員長 与野党、静粛にしてください。

馳委員 ぜひとも、皆さんもそして秘書さんにも、この方針でやっていただくことをお願いしたいと思います。

 また同時に、民主党の皆さんにも申し上げておきますが、やはり各党においてこういった内規をまとめて、政治資金に関する問題を……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください。静粛に。

馳委員 正々堂々と法律に基づいて、透明性の中で使われることを私は申し上げたいと思っております。

 総理、我が党はこうやって政治資金の取り扱いについて内規を取りまとめてやっておりますが、総裁として御意見を賜りたいと思います。

小泉内閣総理大臣 我が党としては、これまで、政治と政治資金の……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください、答弁中です。

小泉内閣総理大臣 問題について、どのような対応をしているかということで、国会等の議論を踏まえて、改善策を講じてきたところであります。

 昨年秋、十一月一日、各議員、選挙区支部長などに対して……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に、静粛にしてください。

小泉内閣総理大臣 政治資金の透明化に関する改革を決定し、その決定事項の遵守を徹底したところであります。

 その内容として……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

小泉内閣総理大臣 今、馳議員が言われたように、自民党に所属するすべての国会議員の資金管理団体の収支報告をホームページで一括して公表すること、党本部、支部及び国会議員の資金管理団体の収支報告に際しては、銀行等の残高証明書を添付し、監査意見書を添付すること、政治資金を受け取るときは銀行振り込みとすることなどであります。

 今後とも、政治資金の適正な処理をし、政治に対する国民の信頼を得られるよう努力してまいりたいと思います。

馳委員 政治資金に関しましては、透明化の中ですることが当たり前のことでございます。これは自民党だけではなく、すべての政党においてやるべきでございます。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください。傍聴席からは特に静粛に。

馳委員 さて、先日松岡議員が指摘しましたように、現在の民主党の代表代行である藤井元自由党議員に政党助成金を、合わせて十七億円もの大金を個人に支払った。しかも、そのお金がそれ以降どう使われているかわからないということは、断じて許されないと思っております。

 我が党は、国民の税金である政党助成金については極めて厳格な内規を設け、適切な運用に努めております。すなわち、我が党の政党助成金に関する使い道を決めた、これも内規をこういうふうに取り決めております。民主党の皆さんもよければ参考にいただきたいと思いますけれども、改めて申し上げますが、七項目について……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください。

馳委員 七項目について、我が党は政党助成金の使い道について、このようにしましょうという内規を決めているんですよ。改めてそれを申し上げますから、皆さんもぜひ参考になさってください。(拍手、発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください、静粛に。

馳委員 また、テレビを通じてごらんの国民の皆さんにも……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に、静粛に。傍聴席、静粛に。

馳委員 自由民主党が我が党として決めて実行しようとしていることを御理解いただきたいと思っておりますので、七項目を報告させていただきます。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。発言中です。静粛にしてください。

馳委員 一つ、寄附、交付金に類するような支出を禁ずる。二つ、料飲、飲食に関する支出を禁止する。三つ、財産形成となる支出を禁止する。四つ、特定の個人に対する支出、ちなみに職員の人件費は除く。五つ、敷金、保証金のように将来返還が見込まれる支出。六つ、切手、収入印紙のように換金可能なものに対する支出。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

馳委員 七つ、領収書を入手し得ないものに対する支出。以上、七項目、政党助成金に関して内規を決めているんですよ。

 民主党の皆さんのやじがうるさいので……(発言する者あり)

甘利委員長 傍聴席、静粛に。

馳委員 皆さん聞こえないかもしれませんから、もう一度言いますよ。

 政党助成金に関して、自民党として内規を決めておりますから、これは秘書任せにばかりしないで、我々議員も確認をしておかなければいけない問題です。

 一つ、寄附や交付金に類する支出、禁止する。二つ、料飲、飲食に関する支出。三つ、財産形成となる支出。四つ、特定の個人に対する支出。五つ、敷金、保証金のように将来返還が見込まれる支出。六つ、切手、収入印紙のように換金可能なものに対する支出。七つ、領収書を入手し得ないものに対する支出。

 以上、七項目の内規をしっかり定めておりますので、ほかの党にこういった内規があるかどうか私はわかりませんが、公党として正式に改革本部で決めておりますので、この実行をされますように、督励をされますように、私は改めてこの予算委員会の場で国民の前で申し上げておきたいと思っております。これを実行するための総裁としての決意を、小泉総理にお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 ただいま馳議員が御指摘のとおり、自民党では、国民の税金を原資とする政党助成金については、その運用に当たって極めて厳格な内規を設けて適切な運用に努力しているところであります。政党助成金と政治献金とごちゃまぜにしているようなことはありません。

 どなたか、先日私の質問に対しても、政党助成金と……(発言する者あり)

甘利委員長 傍聴席、静粛にしてください。

小泉内閣総理大臣 普通の政治献金とごちゃまぜみたいなことを言われましたけれども、自民党はそんなことはしておりません。

 したがって、自民党が計上している政策活動費には、政党助成金を充てるようなことは一切しておりません。政党助成金の使途については、それが国民の税金によって賄われていることにかんがみ、通常の政治資金以上に厳格な運用が必要だと考えております。

馳委員 自由民主党も昨年十一月に政治資金規正法改正案を提出いたしております。

 私の所感を最後に申し上げて終わりたいと思っておりますが、政治資金に関する問題、政倫審であったり政治倫理や選挙に関する特別委員会であったり、やる委員会は、土俵はいっぱいあるんですよ、リングはいっぱいあるんですよ。予算委員会の集中審議で、NHKのテレビまで入れてやるべき問題として、いつまで引っ張ればいいんですか。私は激しい怒りを禁じ得ません。ぜひとも、政治資金規正法改正案は倫選特でやりましょうよ。問題があれば政倫審でやればいいんです。予算委員会では……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

馳委員 我が国の内外の課題に関して、もっと重要な案件をどんどんやればいいんですよ。

 さらに申し上げれば、総理、私は、参議院議員五年間務めて、衆議院議員も五年間務めておりますが、参議院のときは、委員会における質問は議員割り当てをして、会派ごとにドント方式で、最終的には、共産党や社民党の皆さんに対して、時間が少な過ぎるから、自民党が少し時間を配慮してあげているんですよ。

 ところが、衆議院に来たら、いきなり、委員会質問はどかんと民主党、野党の方にたくさん上げちゃっている。委員長、我々自由民主党の議員は、国会議員の数からいえば多いじゃないですか。我々だって質問をする時間を与えられるのが公平公正なやり方じゃないですか。

 私は、改めて委員長に申し上げますし、理事会ではもんでほしいと思いますけれども、我々議員に与えられた質問時間をしっかり確約した上で質問させていただきたい。

 総理も国会対策の仕事を長らくやっていらっしゃるからわかると思いますけれども、理事会でどういうふうな中身があるか国民の人は知らないんですよ。けれども、国会議員として与えられた質問時間をしっかりと使わせていただきたいと思っておりますよ。

 政治資金の問題についても年金の問題についても外交の問題についても中小企業の問題についてもそうですよ。我々自由民主党が与えられた議席の中で正々堂々と質問させていただければいいんですよ。何できょう私たち自民党が一時間で、民主党が二時間もしなきゃいけないんですか。こんなことは国民の皆さん、知らないんですよ。理事会で決めていることでしょう、理事会で議論してくださいよ、委員長。

甘利委員長 馳委員に……

馳委員 総理、理事会でやればいいんですよ。総理、最後にそのことを聞いて、私は終わりますよ。

甘利委員長 ちょっと待ってください。(発言する者あり)静粛に、静粛に、静粛にしてください。静粛にしてください、静粛に。

 まず馳委員に申し上げますが、時間の割り振りについては与野党の理事会の協議のもとに行っております。

 小泉内閣総理大臣。(発言する者あり)静粛に。答弁をいたします、静粛に。

小泉内閣総理大臣 静かにしてください、静かに。

 委員の質問時間等については、理事会等、与野党でよく協議をしていただきたいと思います。それと、質疑においては、質問をしたりみずからの意見を述べたりするというのは委員の自由ですから、割り当てられた時間の中で自由に意見を述べてこれは結構だと思います。

馳委員 私が先ほど申し上げましたように、理事会で議論をしていただければ結構です。

 私の質問を終わり、宮路議員に関連質問をしていただきます。

甘利委員長 この際、宮路和明君から関連質疑の申し出があります。馳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮路和明君。(発言する者あり)

 静粛にしてください。静粛にしてください。

宮路委員 私は、先般のこの委員会で同僚の西野議員が質問をいたしました山梨県の教組、そしてその教組の皆さんが中心となってつくっている政治団体であります県政連、それから参議院の民主党の幹事長をしております輿石東さんの後援会、東明会、この三つが、三位一体といいますか、トライアングルになって、まことにすさまじい、筆舌に尽くしがたい政治、選挙活動をやっているということであったわけでありますが、実はきのう、今日の我が国の教育の現状を憂える教育者五人の方が、この県政連が集めた巨額の、一億にも上る政治資金を政治資金規正法による収支報告に全く載せていないということを理由として、東京地検、そして山梨県警に告発をいたしたわけであります。

 その五人の中の一人は小林正先生とおっしゃるのでありますが、前、日教組の神奈川県の委員長をしておられて、そして、その後社会党の参議院議員もされた。そして、輿石東議員とも大変じっこんの間柄である、こういうぐあいに承知をいたしております。

 そこで、警察当局、それから検察当局……(発言する者あり)

甘利委員長 傍聴席は静粛に。

宮路委員 この告発を受けて、どういうような方針でこれに臨むのか……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

宮路委員 そこをひとつまずお聞かせいただきたいと思います。

岡田政府参考人 今後の捜査方針についてお尋ねでございますが、個別事案にかかわる事項でございますので、答弁は控えたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げますれば、告発を受理した場合、法と証拠に基づき所要の捜査を遂げた上、書類及び証拠物を検察官に送付するということになると思います。

大林政府参考人 お尋ねにつきましては、昨日、東京地方検察庁に対して政治資金規正法違反による告発状が提出されたものと承知しております。

 今後、検察当局においては、法と証拠にのっとり適正に対応するものと思っております。

宮路委員 この問題につきましては、我が党も公明党と一緒になって、現地まで足も運んで相当の調査を進めてきておるわけでありますが、この問題は、我々が調査をすれば調査をするほど、その底が深い、またすそ野も非常に広い、そして歴史的にも非常に長いものがあるわけであります。

 今ここにパネルをちょっと持ってきておりますが、これは一九九八年、前々回の参議院選挙のときでありますけれども、そこで先ほどの県政連という政治団体が、会長、鈴木さんという名前でありますけれども、これが檄を会員各位ということで飛ばしておるわけであります。

 何と言っているかといいますと、第十八回参議院選挙が公示され、既に十二日が過ぎ、残された日々は五日と最終盤に入っている、この戦いに勝利し、二十一世紀の教育を切り開くことができるかどうか、輿石東氏を教育の代表、民主の代表として絶対に国会に送らなければならない。「各校とも」、これは各学校ですね。「各校とも八日より「職場会議」を毎日開催し、最終盤の取り組みの徹底を行い、県政連に結集する全組合員が、最後の一分一秒まで一丸となって行動することを強力に要請する。」こういう檄を飛ばして選挙運動を日教組がやっている、山梨教組がやっている、こういうことであります。

 したがって、今回の告発は、この問題にメスを入れる第一歩、入り口の入り口であるわけでありまして、捜査を進展させれば進展させるほど、いろいろな問題が浮き彫りになってくる。

 例えば、校長や教頭が、部下である教職員に対して政治資金のカンパあるいは後援会の入会を指示する、要請する、そういったようなことをやっている。また、教職員が、自分の担任の子供たちの名簿を用いて父兄に投票を依頼する、そういった歴然とした地位利用をやって、公職選挙法で禁じられている行為をやっている。こういうことも必ずや露呈してくる、こう我々は思っておるわけであります。

 またさらに、学校の電話、ファクスを組織的に、大々的に使ってこうした資金集めやあるいは投票の依頼行為をやっている、こういうことでありますから、これは、民事上の損害賠償が学校側に発生するのみならず、刑事上も、こういう公物を無断で、違法に使っているわけでありますから、窃盗罪にも該当するんじゃないか、こういうようにも思っております。また、巨額のお金がどこに行ったか、使い道がさっぱりわからない。まさに不透明そのものでありますから、これは税法上の問題だって起こってくるかもしれない。

 そういうことでありますから、いろいろな分野にこの問題は波及していきますので、どうか、検察そして警察、ひとつ徹底した捜査をやっていただいて、この実態を解明し、厳正な措置を講じてもらうように強く求めておきたいと思います。

 次に、文部科学省の方にお尋ねしたいと思いますが、この問題については、先ほど来……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

宮路委員 申し上げているように、我々も具体的に調査項目を山梨県の教育委員会に、我が党としても、具体的な調査項目を子細に示して調査を依頼してあります。また、文部省も再三にわたってそうした調査をやるように求めているわけでありますけれども、それが全くそうした調査をやっていない。

 我々が承知した限りでは、各ブロックごとに置かれている県の教育事務所の所長、あるいはそのブロックごとの校長会や教頭会の会長を通じて、口頭で、電話によって事情聴取をしているといったような、まことにずさんきわまりない調査であるわけであります。

 したがって、この間、県の教育委員会が、教育の政治的中立性を疑わせる行為があったとして……(発言する者あり)

甘利委員長 質問中です。静粛にしてください。

宮路委員 一部の校長、教頭、そして組合幹部、計十九人に対して……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

宮路委員 訓告処分と厳重注意処分をやったわけですけれども、その氏名すら公表していない。

 こういう状況を見ておりますと、まず結論というのがあって、この問題を糊塗するためにずさんな調査をやって、その結果、本来市町村の教育委員会がやるべきような処分を県の教育委員会がやっている。県の教育委員会みずからは懲戒処分を任命権に基づいてやらなければならないのに、その懲戒処分はやらないで、市町村の教育委員会がやれる服務監督上の処分、これしかやっていないということでありまして、まことにお粗末な法律の解釈、運用を、重大な過失かあるいは故意に曲げてこういうような処分をやっている、こういうことなのであります。

 こういう状況に対して、文部科学大臣、どのようなお考えなのか……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にしてください、静粛に。

宮路委員 ひとつそこのところをお聞かせいただきたい、こう思います。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

宮路委員 委員長、文部科学大臣にお願いします。

中山国務大臣 宮路議員にお答えしたいと思いますけれども……(発言する者あり)

甘利委員長 答弁中です。静粛に。

中山国務大臣 ちょっとうるさくて何を聞かれたかわからないので、申しわけないんですけれども、聞き取れたところで、範囲内で答弁させていただきたいと思います。

 文部科学省といたしましては、山梨県の教職員組合の政治活動に関する報道があった当初から、再三にわたりまして、山梨県の教育委員会に対しまして、事実関係をしっかり把握して、そして必要な措置をとるように再三厳しく指導してきたところでございますが、そういう御質問があったと思いますけれども、昨年十二月に文書訓告等となった一部の校長、教頭に係る事項についてのみ明らかにするにとどまっておりまして、事実関係の全体の把握が十分でないと考えておるわけでございます。

 また、御指摘があったと思いますけれども、今回県教委が一部の教頭、校長に対して行った文書訓告等の措置は、これは任命権に基づく懲戒処分ではなく服務監督上の措置でございまして、公立小中学校の教職員につきましては、任命権は都道府県にありますけれども、その身分は市町村の職員であり、服務の監督は市町村が行うこととされております。

 したがいまして、これらの措置は服務監督権を持つ市町村の教育委員会が行うべき問題でございまして、これをそういう権限のない県の教育委員会が行ったということは手続的にも問題がある、このように考えておりまして、文部科学省といたしましては、県教委に対しまして、速やかに事実関係の全容を明らかにするとともに、改めてきちんとした手続の上で厳正な措置をとるようにということで、措置をお願いしているところでございます。

宮路委員 まことにずさんな調査しかやっていない。そして、その処分も法律の運用、解釈をわざとねじ曲げたような、そういう処分しかやっていないということでありまして、こういう状況を見ておりますと、これは県の教育委員会自体が……(発言する者あり)

甘利委員長 発言中です。傍聴席からの発言は禁じられています。

宮路委員 県教組あるいは県政連それから輿石東参議院議員の後援会、この三者と教育委員会もぐるになってこの問題を糊塗しようとしている、そういうふうにしか思われないわけであります。

 ですから、大臣、ぜひともこれは徹底した調査をやっていただいて、全容を解明すると同時に、先ほどの処分も、これは誤った処分でありますから、この処分のやり直しも含めて、現在の体制を抜本的に刷新するというような、そういう強い決意を持ってこの問題にはひとつ臨んでいっていただきたい。中山文部科学大臣にこのことを強くお願いしておきたいと思います。

中山国務大臣 学校の先生というのは子供たちと直接接触しているわけでございまして、その与える影響は極めて大きいものがあります。ですから政治的な中立性が求められているわけでございまして、私は、ぜひ先生方に対しては、その職務の重要性にかんがみまして、その点はしっかりやっていただきたい、こう思いますし、また、県の教育委員会も、間違った措置をやっているわけですから、本来に戻りまして、しっかりとした調査を行い、厳正な措置をとられるように希望しておきたいと思います。

宮路委員 こういう日教組による選挙、政治活動は、何も山梨県に限られないんです。

 前回の参議院選挙におきましても、皆様の手元に日教組の教育新聞を資料としてお配りさせていただいておりますが、これは抜粋でありますけれども、その二面を見ていただきますと、二面の右側の下の方でありますが、3という項目でありますが、「日教組の諸要求を実現する政治闘争を強化するとりくみ」、こういうふうに書いてありまして、七月に行われる参議院選挙には、比例区那谷屋正義、選挙区の輿石東等を初めとする日政連の、これは日教組の政治連盟でありますが、全員当選に向け組織の総力を……(発言する者あり)民主党と一体となって、民主党のこういう候補者の当選を目指して政治活動、選挙活動をやっているということであります。

 そして、総理、これは、総理の御地元の神奈川県の日教組も実は那谷屋正義議員の選挙のために……(発言する者あり)民主党の那谷屋、これから言うのはみんな民主党でありますから、そういうぐあいに御理解いただけばいいのでありますが、那谷屋候補の当選を目指して物すごい選挙運動をやったということで、それでこの県教組の委員長と川崎市の交通労組、川崎市の交通局の皆さんで結成している交通労組の委員長と二人が買収と被買収で逮捕されまして、そして、後から裁判になって、去年の十一月三十日でありますが、二人に対して懲役一年六カ月と執行猶予五年、これが確定をしておるわけであります。

 その様子を伝える新聞を見てみますと、これはそのときの状況を伝える新聞でありますが、参議院選挙をめぐり、労組委員長らの間に行き交う現金、民意を問う参議院選挙の裏で、汚れた金が乱れ飛んでいた実態が明らかになった。こういうことを、民主党の那谷屋議員の当選を目指して、労働組合が、日教組その他の公労協、やっているということが如実に示されておるわけであります。

 ところが、問題は、ここからが問題なのでありますが、この場合は買収、被買収ということで、二人とも刑罰に処せられることになったわけでありますけれども、地方公務員、学校の先生の政治活動については、原則的に刑罰の対象になっていない、こういうことであります。

 国家公務員の場合は、皆さん御承知のように、政治行為については厳しい規制がありまして、国家公務員法百十条によって刑罰の対象になる、こう書いてあるわけでありますが、地方公務員については、政治行為の制限はなされているけれども罰則は適用がないということであります。そして、学校の先生についても……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

宮路委員 この地方公務員が原則として適用されておりますから、やや厳しくなっているけれども、それでも罰則は適用されていない、こういうことでありますので、まことにもってここにギャップがあるわけであります。

 そこで、文部科学大臣それから総務大臣にお聞きしたいのでありますが、地方分権でだんだんと地方の権限も膨らんでくる、大きくなってくる。そして、国と地方は今や対等の関係になっているにもかかわらず、国家公務員だけは政治行為に対して罰則で臨み、地方公務員の方はこういうような野方図な状態になっている。これはまことにもっておかしいと思うんです。そこのところをぜひ改正すべきだと思うんですけれども、文部科学大臣、そして選挙全体についての地方公務員の監督の立場にある総務大臣に、この点、御見解をお聞きしたいと思います。

中山国務大臣 御指摘のように、公立学校の教員につきましては、これは教育公務員特例法によりまして、政治的行為の制限は国家公務員の例によるものとされていますけれども、罰則については国家公務員法の適用がないとされているわけでございまして、これは、従来、地方公務員である教育公務員の政治的行為の制限につきましては、他の地方公務員と同様地方公務員法によるものとされておりましたけれども、その制限の範囲を国家公務員と同様にするため、昭和二十九年に教育公務員特例法が改正されたものでございました。

 その際、罰則につきましては、教育界で起こったことはできるだけ教育行政によってこれを是正すべきであり、外部の力によって矯正してはいかぬ、好ましくないという理由から、それ以前と同様、刑罰規定を適用せず、懲戒処分のみにとどめることとされたわけでございます。

 こうした経緯を踏まえますと、罰則を適用する改正については、地方公務員制度全体の動向も踏まえ、慎重に考える必要があると思いますし、また、これは昭和二十九年に国会審議で、参議院の審議の段階で修正されて現行のようになったものでございまして、御指摘の改正につきましては、国会の御審議を十分踏まえた上で慎重に検討することが必要である、このように考えているところでございます。

麻生国務大臣 今御指摘のありました地方公務員法、これにつきましては、御存じかと思いますが、できましたのは昭和二十五年、国家公務員法は昭和二十二年、いずれも占領下のときにこの法律はでき上がっております。したがって、いろいろ事情はあったんだとは思いますけれども、政治的行為の制限は、法律で定める行為だけではなくて、各条例で定める行為も対象とするということになっておりまして、これらを含めて一律に法律だけで罰則を科すのは困難ではないかとの議論があったと、当時の議事録を見ますとそういうことになっております。

 政治的行為の制限というのは基本的人権にかかわる大きな問題でもありますので、現時点において見直すということにはいろいろ御意見が出るところだとは思いますが、いずれにしても、大事なところは、きちんと服務規律があるんだから、その服務規律どおりやってもらわないかぬというのは当然でしょう。それが当たり前の話なのであって、それを徹底していかねばならぬということであります。

 最後に申し上げておきますが、地方公務員……(発言する者あり)やかましいな。地方公務員法の話については、懲戒処分というものにつきましてはあるんですよ。罰則規定はないけれども懲戒処分はありますから、地方公務員は。地方公務員につきましても罰則がないというお話ではありません。懲戒処分という規定があるという点だけは御確認をしておきたいと存じます。

宮路委員 もうこれで終わりますが、最後に、徹底した、法改正も含めて、こうした民主党と地方公務員、公労協と一体となった政治活動、選挙活動をひとつきちっと取り締まるように、規制できるように取り組んでいっていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

甘利委員長 これにて馳君、宮路君の質疑は終了いたしました。

 次に、山名靖英君。

山名委員 公明党の山名靖英でございます。

 この予算委員会集中審議、政治と金が中心のテーマでもあろうかと思いますが、私は、もう少し冷静に、角度を変えた、提言を含めて、総理並びに関係大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 政治と金の問題につきましては、この大変不祥事ともいうべき事態がいつまで続くんだ、もういいかげんにしてもらいたいというのは、やはり国民皆さんの思いではないかと思います。かつて、金をめぐり、また秘書給与をめぐり、また選挙違反をめぐって多くの我々の同僚がこの国会から去っていったことは、国民、有権者、支持者の皆さんの期待を裏切るものであって、極めて残念な事態と言わざるを得ません。したがいまして、この問題については、これからも引き続きしっかりと論議をしていかなきゃなりませんけれども、やはり泥仕合にしてはならない。まじめに論議をしつつ、改革すべきところは的確に改革をしていく、こういった真摯な取り組みが大事であります。

 我々政治家は、やはりどの世界よりもクリーンが求められている。それは、国民の幸せのために法律をつくり、そして国民をリードしていく重責があるがゆえに、厳しい自己淘汰がまた求められるわけでありまして、そういった意味でも、私は、今後とも我々としてもしっかりとこの問題について取り組んでいきたい、このように決意をしております。

 政治資金規正法というのは、規制という制ではなくて、正すという正であります。当然、入りと出というこの二極を明確にしていく、国民の前にガラス張りにしていく、これが本来政治資金規正法の立法の趣旨であるはずでありまして、そういった意味では、入りを、そして出を、クリーンに透明性を持って公明正大にやっていく、こういう改革のための総理としてのリーダーシップが私はやはり必要ではないかと思います。

 総理は、もう少しで総理就任最長不倒距離と言われておりまして、今日まで多くの改革に手を尽くされてまいりました。そして、郵政民営化がその改革の本丸、このようにおっしゃっておりますが、それも大事でしょうけれども、やはりこの小泉内閣の期間に、政治への信頼が取り戻せた、国民の政治への信頼が大きく向上した、こう言われる改革、そのためのリーダーシップをぜひとっていただきたい、このように総理にお願い申し上げますが、まず総理からの御決意、御所見を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 各種選挙法を初め政治資金規正法が改正されまして、国民の政治を見る目も厳しくなり、さきの選挙におきましても、その法律を守らず、議員辞職に追い込まれた議員も何人か出ております。それだけ、選挙法におきましても、政治資金規正法におきましても、厳しく改正されたんだと思っております。

 不断の改革が必要でありますし、現在の議論を聞いていましても、果たして公務員は、政治活動なり選挙活動を厳しく制限されているにもかかわらず、かなり公然と、政治闘争と称して政治活動、選挙運動をしているのじゃないかという疑問も投げかけられております。公務員は国民全体の公僕でありまして、一方の政党に偏るということは行政がゆがめられるということから、こういう点についても今後より一層議論が必要だと思います。

 また、政治資金規正法におきましても、政党活動の自由をいかに保障するか、そして政治資金規正法が、どのように国民のもとに明らかにされるかという点につきましても、よく議論を、各党各会派、その政党活動、それぞれ違います、政党によって方法が違います、個人によって方法が違います。そういう点におきましても、政争の具にしないで、率直に、民主主義の発展のために何が必要か、どの程度の政治活動の自由が許されるのか、どういう点を規制しなきゃならないかということをもう少し両面から考えていただきたい。野党は与党の批判ばかり、与党は野党の批判ばかり、そういうことでなくて、お互い政治活動はどうあるべきかという観点から冷静に議論を進めていただきたいと私は思っております。

山名委員 昨年の臨時国会で政治資金規正法改正案が出されましたが、残念ながら継続となりました。この入りと出の透明性、それを確保するための一歩前進の法案だと思っておりますが、この予算が成立した暁には、委員会の最優先テーマとして、この政治資金規正法、倫選特になろうかと思いますが、ぜひ成立を図らなければならないと思っておりますので、与野党こぞってこれは取り組みをしたいと思います。

 そこで、私は、今回の改正もさることながら、さらに今後ともこの問題について明確にしていかなきゃならないテーマの一つに、いわゆる公共事業受注業者からの献金問題、これはやはりこの際きちっと是正をすべきではないか。業者と企業と政治家あるいは政党との癒着、政策を金で買うとか、こういうことを言われておりますが、少なくとも、金額の多寡ではなくて癒着というところに問題が残るわけであって、やはり公共事業入札等の絡む、こういったことにもなりかねない。これは国民の思いからいっても疑念の残るところでありまして、私は、この際、こういったことも論議をすべき問題ではないかというふうに思っております。

 とともに、私は、議会制民主主義の政治への参加の対価として政治資金あるいは寄附、献金ですね、これを否定するものではありませんけれども、先ほど申しましたように、その対価を受ける以上、献金を受ける以上、寄附を受ける以上は、その使途をやはり明確にしなきゃならない。この入りと出を、さらに国民の信頼をかち取るための方策としては、やはりここで政党も、あるいは政治団体も我々政治家も、いわゆる外部監査制度、これを取り入れて、きちっとした形のものにしていかなければならないだろう。

 先ほど自民党の馳先生から内規の話が出ました。自民党としても極めて厳しい内規を設けながら今後律していこうということでありますが、ある意味では、内規が設けられれば法制定も当然可能なわけでありまして、こういったことも含めながら、襟を正して政治家自身がこれから歩んでいく、そのための方途として、公共事業受注業者からの政治献金、あるいは外部監査制度、こういった導入を図ってはどうかというふうに思っておりますけれども、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この点について何度か議論が行われましたけれども、結局、公共事業の範囲の限定が難しいと。公共事業はたくさんあります。そういう中の公共事業の範囲が難しいという理由から、広く一般に、同一企業等から同一の政党支部に対する年間の寄附額に上限を設けようという内容になったんですね。これによって、結果として、特定の公共事業受注企業等と特定の政党支部との癒着を防止することができると考えた。しかし、この点についての野党の改正案は、その後成立していないんです。

 政治資金については、広く薄く公正に政治資金を得ることを可能とするルールづくりをする必要がありますので、この基本的な考え方に従いまして、今後、各党各会派間で十分に議論を深めていただきたいと思っております。

山名委員 ある意味での上限を設け、そして公共事業といっても相当の範囲があることは事実でありますから、しかしながら、これは論議の上で乗り越えられるテーマだと私は思っておりまして、お話にありますように、これは超党派でしっかりこれからまた論議をしていかなきゃならないと思っております。

 次に、ちょっと角度を変えまして、最近、IT時代を我が国も迎えまして、インターネット等、極めて国民の間に浸透をいたしておりまして、国民のおよそ五千万以上がもう既にインターネットを活用している、こういう実態でもございます。当然、インターネットを使った選挙活動、こういったものを視野に入れて実現を検討すべき、こういう段階ではないかというふうにも思っております。

 アメリカの大統領選挙あるいは議員選挙、韓国の大統領選挙におきましてもネットが解禁されておりまして、広く国民に情報を通知し、そして政策、その人柄等をPRする上で極めて有効な媒体、手段として用いられているわけであります。韓国の盧武鉉大統領はインターネットで勝った、このように言われるほど大いに活用されている。

 確かに、このインターネットの活用による選挙運動につきましては、ある意味で、ITそのものがそうでありますが、光の部分と影の部分が存在することは事実であります。やはり影といえば、成り済ましやいわゆる架空の名義をもってやったり、あるいはドメインに係る問題等々、影の部分も確かにありますけれども、それはやはりまた乗り越えられる問題ではないかというふうに思っております。

 そういった意味で、もう既に、平成十四年の八月に、総務省でIT時代の選挙運動に関する研究会、こういったものが設置されまして、報告書が出されているわけですね。その報告書を見ましても、IT時代のインターネットによる選挙運動、これは、候補者情報を時間的、場所的な制限、制約を受けることなくその情報が得られる、こういうメリット、積極的な政治参加を期待される、特に若年層、若者は政治離れというのがありますけれども、積極的な政治参加が期待できるわけであります。それから、有権者と候補者、政党が直接対話することができますし、そういった意味での政治への参加意欲を高めることができるわけであります。また、インターネットを使った選挙運動というのは、ポスターやビラの印刷、頒布のための人件費ということを抑えるわけでありまして、金のかからない、こういう選挙等が実現をできる等々のメリットもあるわけでございます。

 そういった意味で、この報告書は、インターネットの現在の普及率をかんがみて、新たな選挙運動手段としてインターネットを活用する、このことを、このメリットはいろいろな影の部分のデメリットを大きく超えるものであって、導入への妨げにはならないというふうな結論を見ているわけであります。

 インターネットを導入した、選挙運動への活用について、この報告書を受け今日までいろいろな論議もあったところでありますが、総務省としてどのようにこれを受けとめ、そして今後の推進についてどのように検討を進められているのか、総務大臣よりお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、茂木委員長代理着席〕

麻生国務大臣 今、山名先生の御指摘のありましたとおりに、IT時代におけます選挙運動のあり方というのに関しては、研究会を設置ということを確かにいたしております。

 結論を得ましたのは、平成十四年八月に研究会としての報告書を取りまとめておりまして、その内容につきましても御存じのところかと思いますが、例えばホームページぐらいは解禁してもいいのではないかとか、いろいろその中に指摘をさせていただいておるところではありますけれども、さらには法制的な観点から、いわゆる影の部分等々がございますので、そういったところを考えますと、これは法制的にきちんとしたことを検討しておく必要があるのではないか等々、いろいろ御意見が出されているところであります。

 いずれにいたしましても、総務省としては、インターネット等々を用いました選挙運動というのを公職選挙法というものの中に位置づけるか否かということにつきましては、これは選挙の土俵の枠が決まる話だと思います。そういった意味では、これはいわば土俵づくりの話だと思いますので、総務省がひとりで決められる話でもありませんので、これは各党各会派でいろいろ御論議をしていただかないかぬところだと思います。インターネットの全然わからぬ方もいっぱいいらっしゃいますので、そういった意味ではなかなか難しいところだとは思っております。

山名委員 総務省がこの報告書を受けて、具体的には我々で議論をするんでしょうけれども、しっかりそういうことを見据えた準備をぜひ進めていただきたい。いつでも取りかかれるような、要するに影の部分を是正する、そういう研究をさらに進めていくという準備をぜひ進めていただきたいと思います。

 次に、ちょっと視点を変えまして質問をしたいと思いますが、御承知のように、国民の意思が政治に反映するための権利、国民の皆さんの意思が政治に反映される、そういう権利や制度、これがいかに確保されているかということが民主政治を問う上で極めて大きな要因ではないかというように私は思っております。しかし、国民の政治に対する意思や権利、こういったものが果たして我が国においてどこまで成熟しているかといいますと、なかなか厳しいものが一方であるようにも思います。しかし、最近は、インターネット等の問題もありますけれども、やはり国民の皆さんの意識はすごく高まっているわけであります。

 ところが、我が国では今まで選挙運動あるいは政治活動については、いわゆるべからず選挙といいますか、これをしたらいかぬ、これはだめ、これは規制、こういうことで余りにも規制が、べからずが多過ぎるんじゃないか。そういう中で選挙そのものが、一方で買収だとか供与だとか何だ、そういったものばかりが前面に出まして、我が国の選挙は非常に暗い、何か重い、こういったものがどうしても今露出している、こういう気がするわけであります。そういった意味では、アメリカや韓国や世界の選挙を見ますと、もうにぎやかに楽しく、わいわいやっている。しかし、それで買収がばっとふえているか、そんなことはないわけであります。

 その中で、私が言いたいことは、こういうべからず、これは例えば戸別訪問の禁止あるいは文書図画の頒布の制限、事前運動等の禁止の問題等々、選挙運動に係る表現の自由というこの問題にかかわって、特にきょうは戸別訪問の問題について取り上げたいと思います。

 この戸別訪問の禁止については、従来から議論されておりますけれども、なぜ戸別訪問だめだと。この大きな反対論の最たるものは、これは買収など不正の温床になるというわけです、戸別訪問は買収等不正の温床になる。二つ目には情実、これが絡んだ選挙になる。三つ目には無用な競争を激化させる、だから戸別訪問は認めるべきじゃない。あるいは四番目には迷惑だと。どんどん戸別訪問で来られたら、とてもじゃないけれども、食事もろくにできない、寝られない、こういう迷惑論等々、こういう弊害が一方で指摘をされているわけであります。私は、果たしてそうかなという気はするわけであります。今日まで戸別訪問による買収の実態なんというのは明らかにされていないわけでありまして、これはまた別の意味で取り締まればいいわけであります。

 この戸別訪問について世界各国の実態はどうなのか、ちょっと調べてみまして、パネルにしました。お手元に資料を配付しておりますけれども、これを見ていただければわかりますように、少なくとも英米独仏、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、ここにおきましては戸別訪問は全部規制はないのです。特にイギリスについては、その中で戸別訪問員の有給雇用の禁止ということは条件づけはしておりますけれども、少なくともイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス等々、先進国と言われる国は全部戸別訪問は自由化となっているわけであります。

 したがって、いつまでも戸別訪問を、迷惑論とか買収問題とか、こういったことで葬り去っていく、こういう時代ではない。少なくとも、一対一で候補者やあるいは運動員の皆さんが有権者の皆さんと対話をしながら、さらに政策論議をし、質を高めていく。これは、日本のこれからの議会制民主主義の向上にも大きく寄与することであって、そういった意味でも、ここで一定の自由化を目指して取り組むべきではないかと思っている次第でございます。

 今まで、この戸別訪問についての禁止の経緯も調べてみますと、いろいろと出たり入ったりしているようであります。

 大正十四年、衆議院議員選挙の選挙法の改正で戸別訪問は禁止をされました。

 ところが、昭和二十五年、公職選挙法制定法におきまして一部緩和をされているんですね。全面禁止を緩和しまして、候補者が親族、知己、その他密接な間柄にある者を訪問する場合の例外規定が置かれて、禁止の一部が緩和をされたということであります。

 そして、昭和二十七年には、公職選挙法改正で、これがまた全面禁止と後戻りをしてしまいました。これは特定法、この二十五年に定めた例外規定があいまいだというところで、取り締まり不能ということもあり全面禁止になったようであります。

 そして、平成五年には、公職選挙法改正法が政府案として出されました。これは全面自由化を求めるものでございます。ただし、午前八時から午後八時までの間すべての選挙において自由化する、こういうことでもございました。

 それが、今度は平成六年の一月二十八日、細川総理と河野総裁との間の与野党合意によりまして、戸別訪問については禁止をするということになりまして、また現在に至っているわけでございます。

 そういうふうに、変遷はあるものの、先ほど申しましたように、この戸別訪問の自由化につきましては、有権者、選ぶ側から見てもやはりより一層わかりやすいし、こういったものは、当然、いろいろなさっき言いましたような弊害論も一方にはありますけれども、一つ一つクリアできるのじゃないかと私は思っております。

 買収は、もう国民は許しませんよ。かつてのような、一票を金で買うなんて、そういう意識はありません。それと、迷惑といいますけれども、例えば、その発生の危険性や可能性というのは、これは抽象論なんですね。いわば迷惑が危惧される、こういうことであって、具体的な弊害の論拠にはなり得ないというふうに私は思っております。迷惑ならば当然票が入らぬわけですから、そういう迷惑な戸別訪問はできない、こうなるわけであって、当然自主規制も働く。

 かつて、東京都の中野区で教育委員会準公選制における選挙運動が行われました。要するに、準公選制ですから戸別訪問もできる。これを中野区でやったところ、大成功というか、すごく投票率も上がり、そして今で言う心配事など何も報告はされていないということでもございます。

 そういう観点から、この戸別訪問自由化についてやはり検討を進めるべきではないか、このように思っておりますが、総理の御見解をお願いしたいと思います。(発言する者あり)総理、聞いていないですか。

    〔茂木委員長代理退席、委員長着席〕

小泉内閣総理大臣 今、ちょっと地震ではないかなと感じていたんですが、ちゃんと質問は聞いております。

 戸別訪問は、私も前から、戸別訪問をやるというのは、選挙に立候補しようと思えば、また応援する人の立場から立ってみれば、できるだけ多くの人に支援を依頼するんだから自然な行為ではないかなと思って、当選以来、かなり議論を重ねてまいりました。しかしながら、実際議論を重ねていますと、今、山名議員が言われたように、買収の温床になるんじゃないかとか、あるいはうるさい、しつこい人たちが何日も入れかわり立ちかわりうちに来られるというのは迷惑だという議論があって、なかなかまとまらないんですね。賛否両論あるのは承知しています。

 最近は、戸別訪問に行って人の応援を頼むのに何も持っていかないというのは失礼じゃないかという気分はなくなってきましたね。非常に、金を取っちゃいけない、物をもらってはいけないという趣旨も徹底して、御理解を得てきていると思います。

 また、本来、戸別訪問というのは候補者がやるべきだ、あるいは候補者の親族が来ないと応援する気にならないとかいう方もいますけれども、実際は、出たい人よりも出したい人、本人が回るよりも応援している人が回るのは普通の姿じゃないか、それまで禁止するのはどういうことか、いろいろな議論があります。しかし私は、皆さんも選挙の基本は何かというと足だといいます、選挙の関係者の人にとっては。足とは何か、足で回ることですよ。足で各家を回りましょう、応援し、回りましょうということでありますから、そういうことからしてみれば、応援したい人が、当選させたいと思う人たちが自分の知り合いを回って応援を頼むというのは、私は自然な選挙活動ではないかなと思います。

 しかし、いろいろ弊害面もありますから、そういう弊害面を除くためにはどういう意識改革が必要か、制度面が必要か、よくもう少し、こういう新しい時代になって、選挙制度も変わりました、議論して、私は方向性としては認めてもいいのではないかなと思っているんですが、より慎重論もありますから、よく議論をしていただきたいと思います。

山名委員 では、時間が参りましたので、これで質問を終わらせます。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて山名君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木秀典君。

佐々木(秀)委員 質問の最初に当たりまして、本日のこの審議の最初の質問者、自民党の馳委員の質問の仕方について、私は一応抗議を申しておきたいと思います。

 と申しますのも、彼は、泥仕合にならないようにとか、もっと政策論議が必要だということを言いながら、結局は議員個人の攻撃に終始している。

 しかも、許しがたいと思われることは、実はこれが、我が党の永田議員の問題についての質問でありますけれども、永田議員はきょうの午後、この問題について質問を予定されております。非常に限られた時間の中で質問の準備をしているわけですけれども、あらかじめこうしたことについて触れられるということは全く通告されておりませんでした。資料についても、けさになって初めてこういうものを使いたいということを言われたわけですけれども、言われた本人としては、やはり言われた以上、誤解を解かなければならないということで、それに弁明をするとなれば、その分だけ質問の時間が制約されることになります。これは意図的に、質問に対する妨害ととられかねない、私はそうだろうと思います。

 こういうやり方については、今後お互いに自粛をしなければならないと思いますので、委員長からも十分に御注意をいただきたいと思います。

 さて、昨年来、この政治と金をめぐる問題につきましては、小泉総理御自身の周辺の問題だとか、さまざまな事例を取り上げてまいりましたけれども、その中で特に象徴的な事例が、私は二つだと思います。

 その一つは、平成十三年の七月の二日に、歯医者さんの政治連盟、日本歯科医師連盟から、一億円の小切手が自民党平成研究会の代表、橋本元総理に渡された。この政治団体は、政治資金規正法上、五万円以上の寄附については収支報告書に寄附者、金額、入金日を記載しなければならない、こうなっているわけですね。ところが、翌十四年の三月作成、届け出された平成研の収支報告書にはこの一億円についての記載が全くなされなかった、いわゆるやみ献金のようになっていたということであります。

 このことが昨年発覚をいたしまして、平成研の側では、会計責任者であった滝川俊行氏と、それから、同人にこの献金の事実について収支報告書に書かなくてもいいと不記載を指示したということで、村岡兼造元官房長官、前代議士が政治資金規正法違反、共謀として起訴されているわけです。滝川氏は自分の犯行を認めて、一日だけで裁判は終わって有罪の判決が出され、それに控訴しなかったものですから、既に結審、確定しておりますけれども、一方の村岡氏は、全くこういうことは知らない、関係していない、全面的に否認して無罪を主張して、その裁判が進行中であります。このいわゆる平成研の一億円の日歯からのやみ献金事件であります。

 もう一つは、きょうもお見えですけれども、杉浦官房副長官の資金管理団体の平成十三年から十五年までの収支報告書の収入について、当初は、所属派閥であります自民党の清和政策研究会、これはいわゆる森派ですね、総理大臣が代表をなすったこともあるわけですけれども、この会からの寄附で、三年間で六回、計千五百万円の寄附があったと記されていたわけですね。ところが、この本予算委員会での審議が始まってから、一月の二十六日付で、この報告書の収入は派閥からではなくて自民党からのものであったということで、授受の日付、金の性格、金額なども大幅に変更されて訂正されております。さらに、当委員会でその不自然さが追及されるに及んで、今度は一月の三十一日にもう一度訂正に及んでおられるわけであります。

 前者については、一億円の小切手が、さる料亭で当時の日歯連の会長臼田氏から橋本元総理大臣に渡された、これははっきりしている。ところが、この席に同席しなかった、いなかった村岡氏だけが起訴され、橋本元総理、これは一億円の小切手を受け取っているわけですが、その橋本元総理と、そこに同席した青木幹雄参議院議員、それから野中広務前代議士、野中氏はこの当時は平成研の事務総長を務めておられたわけですが、この三人は、一応検察でも調べたけれども、不起訴という処分にいたしました。

 このことが大変不自然だ、検察当局のこの処分というのは不公正ではないかということがかねて指摘されていたのですが、本年一月の十九日に東京第二検察審査会が、この三人の不起訴処分は不当だと、東京地方検察庁に対して三人の再捜査を求めるということになったことは御承知のとおりであります。

 私たちも、この件の真相解明のために、今名前を挙げた人たち六人を当委員会に証人として喚問する必要があると考えて、これを既に要求しているわけでありますが、これに対して自民党は、当委員会の最近の審議の中で、こうしたことに対する巻き返しを図ろうということなのか、およそ問題にもならないような事例をあげつらっては、我が党の誹謗だとか中傷にこれ努めている。きょうの馳氏の質疑、あるいは宮路氏の質疑についてもそうなわけであります。

 そして、小泉総理も残念ながらこれに便乗するかのような発言をしばしばなさっている。例えば、二月三日での当委員会における答弁、あるいは同日のテレビインタビュー、これは私も実際に見ましたけれども、この中で、民主党の方が金については問題が多いねなんということを言っている。それからまた、民主党も一議員に十億円も支出しているんですねなんということを言っている。これは明らかに事実と違うじゃないですか。こういう事実に反する発言をしておられるということは、私は非常に問題が多いと思うんですよ。

 そういうことからして、この機会に、ぜひこの事実に違っている発言については取り消しておかれ、そして、訂正と同時に、私は、やはり国民の皆さんに誤解を与えたんですから謝罪をしていただきたいと思うんですが、どうですか。

小泉内閣総理大臣 私は、いろいろ批判されておりますけれども、私に対して批判は遠慮なく皆さん申されますが、私が民主党に対して言ったことに対してはすごくお怒りになりますが、私は、自民党だけでなくても、民主党も政治と金についてはかなり問題があるんじゃないですかと言っているんです。

 例えば、民主党と自由党が合併する直前、二日前の平成十五年九月二十六日、民主党は自由党に対して二億九千五百四十万円を寄附していたと聞いております。これは報告されているんですからね。わずか二日後に解散する自由党に対して民主党が三億円近い資金を寄附した理由は一体どういうものか、私は、極めて不透明ではないかという指摘があるから御披露したんです。

 そしてまた、政党助成法によると、政党の解散時に政党助成金の残高がある場合は国に返還しなければならないんですが、自由党は解散した当日の平成十五年九月二十六日に、政党助成金などから政治資金団体に合計十三億円を超える寄附をしているとされている。これは返還逃れではないかという指摘もあるんです。

 そういうことを指摘しているのであって、民主党に合流した自由党は、平成十四年七月と十二月に、当時自由党幹事長だった藤井裕久議員、現在民主党代表代行です、その藤井裕久民主党代表代行個人に対して、約九億七千万円と約五億四千万円、合計十五億を超える組織活動費を支給したと聞いております。しかも、その組織活動費は、国民の税金から支払われた政党助成金が原資になっていると言われております。

 これは、支援者の自発的な寄附を原資とする自民党の政策活動費とは全く性格が異なっているんですね。(佐々木(秀)委員「委員長、ちょっとここでとめてくださいよ」と呼ぶ)ですから、私は、佐々木委員が私が言ったことを削除しろと言うから、私は削除する必要がないと思って今お話ししているんです。

 ですから、国民の税金が原資の政党助成金の使途については、具体的な内容を国民に対して明らかにすべきではないかという指摘もあります。

 そして、私に対する質問も、明らかにすべき必要な事項は記載しています。記載する必要がないものは記載しない。そういうことでありますから、私は、今言った問題についてそのとおりを報告しているわけであって、その他の民主党の議員の収支報告を見ると、私の収支報告書についても、何ら問題がないのに問題があるかのような、疑問があるかのような質問をされるのは遺憾と私は申し上げているわけでございます。

佐々木(秀)委員 問題をすりかえないでくださいよ。あなたが事例に出した藤井議員に対するというのは、これは自由党の問題ですよ。

 あなたの二月の三日の答弁はこうなっているんですよ。だから、民主党だって一人の議員に何億円という活動費を提供しているじゃないですか、十億円なんというのは私よりはるかに大きいじゃないですかと。民主党ですか。違うじゃないですか。明らかに事実と違うじゃないですか、ここは。何を言っているんですか。これは生方さんの質問に対する答えですけれども、これを、同じようなことを何回も繰り返している。そして、さっきのインタビュー、テレビのインタビューでは、明らかに民主党の方が問題が多いということを言っているんですよ。その具体的な根拠というのが今の程度だとすると、これは明らかに事実と違いますからね。これははっきり抗議しておきますよ。

 あなたのことだから、素直に、間違えました、ごめんなさいと言わないんだろうから、これからもやっていきますけれども、いずれにしても、こういう事実に基づかないことについて我が党の中傷誹謗をするというようなことは許されない。これからもやっていきますからね。

 次に、この前からの懸案事項ですけれども、この金の問題についてのもう一つの問題は、やはり杉浦官房副長官の問題だろうと思いますね。

 杉浦副官房長官の二度にわたる収支報告書の訂正について、二月三日のこの委員会の審議で、私はその理由と内容の説明を求めたわけです。ところが、その際の副官房長官の説明によっても、これにかかわる疑問と不信は全く解消されていないんですね。本日は、午後からもまた同僚議員も質問しますから、深めてもらうことになりますけれども、私は、前回の質問との関連の事項に限ってちょっとお尋ねをしておきたいと思います。

 まず、官房副長官は、当初の収支報告書、提出されたものでは、入ってきたお金が所属会派である清和政策研究会からあなたの資金管理団体への寄附があった、これが平成十二年から十四年までは六回にわたって合計千五百万円あった、こう記載されていたんですね。ところが、一月二十六日、これを訂正して、これらの寄附は派閥からではなかった、党からのだったということで、全面的にこれを削除していますね。

 この間、領収書のこともお聞きしたんですけれども、あなたは、党からの受け取った金については領収書を出していると。これは、いまだに出されていません。これは出しているから取り寄せて出すということなんだけれども、きょうまでにまだ出されていない。しかし、これは私がたまたまそのコピーを入手しましたから、この間あなたに確かめて、サインも八枚については皆あなたのものだということがわかった。ただ、日付が全く書いていないのもあるわけですね。

 そういうこともあるんですけれども、あなたも弁護士だから、領収書というものがいかに金員の受領のときには必要かということはもう言うまでもないんだけれども、そうだとすると、仮に間違っていたとしても、前に出していた収支報告書の中で清和会から受け取ったとしていた金については、清和会に領収書は出していたのかどうか、これをもう一回はっきりしてください。この辺、まずここから聞きましょうかね。

杉浦内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 私の政治資金収支報告書に誤った記載がございまして、二度にわたって修正したということは、これはもうあってはならないことでございまして、まことに申しわけなく思うと同時に、反省をしておるところでございます。

 清和研の関係でございますが、その後調査をした結果、清和研の方へ領収書は出していない、領収書はないということでございますし、記憶を正確にたどってまいりましても、領収書を書いたという明確な記憶がございません。ということでございます。

佐々木(秀)委員 総務省にお尋ねしますけれども、こうして杉浦副官房長官は二回にわたって収支報告書を訂正されているんですけれども、訂正されると、訂正された前に出している報告書、これはどうなりますか、扱いとしては。

 それから、この訂正のやり方ですけれども、これは何年度分について一度にやっているんですけれども、本当は、収支報告というのは年度ごとに出ているわけでしょう。この訂正の仕方もどうなっているんですか、実際には。これをお答えください。

久保政府参考人 総務省におきましては、政治団体が既に提出した収支報告書の訂正を行う場合には、収支報告書の原本の該当部分に会計責任者の印を押印した上で、見え消し修正によって訂正することといたしておりまして、訂正前のものを廃棄するといったような取り扱いとはしておりません。

佐々木(秀)委員 というお答えですと、訂正されたものも残っているわけですね。これは、情報公開法に基づいては、私どもとしても閲覧することはできるわけですね。うなずいておられますから、そうだろうと思います。

 そうだとすると、やはりここで官房副長官のお話は矛盾してくるわけで、後から、自民党から出たものについては、この間も見せましたけれども、領収書がある。いずれは正式なものが官房副長官から、取り寄せて出てくるんだろうと思うんですけれども、その以前の報告書については、清和会からの受領として記載をされていたのは私は間違いないと思うんだね。それは残っているわけでしょう。だから、その整合性がどうしたってここでは出てこない、合わない。

 それから、この間、これも私は質問して、まだ答弁ではっきりしなかったんだけれども、例の繰越金、これが一千万円違っちゃって、それもそういう記載を直したでしょう。その一千万円、一体どこへ行っちゃったんですか。十三年と十五年と五百万ずつ、これがあったはずだ、繰越金。繰越金一千万、どさんとこれは削られちゃった、どこへ行っちゃったんですか、どういう処理をしているんですか。

杉浦内閣官房副長官 なぜそういう間違い、勘違いあるいは誤解によってそういう間違いが生じたかという経緯については、前回、先生に詳細お答えしたとおりでございます。(発言する者あり)

 それでは、繰り返しになるかもしれませんが、申し上げますが……(佐々木(秀)委員「簡単に言ってください」と呼ぶ)はい。第一回の訂正でございますが、これは、新聞報道等で、清和政策研究会のいわゆるもち代とか氷代とか言われ、問題になったという報道を知りまして、念のために私の政治資金収支報告書を調べましたところ、私は清和研から党活動費としてちょうだいしたと認識してちょうだいしておるわけですが、それが誤って、清和研からの寄附と記載されていることが判明いたしました、三年分、おっしゃった金額でございます。

 これは、私が清和研から党の活動費を受け取って、事務方に渡すときにきちっと説明したつもりなんですが、十分説明していなかったということもあるでしょう、事務方が勘違いいたしまして、清和研からの寄附と記載した明白な誤りでございますから、訂正をさせていただきました。それが一月二十六日の分でございます。

 二度目の訂正は、その後の予算委員会でこの件が質問をされまして、清和研の分についてはお答えしたんですが、通告がなかったそのほかの、党からの寄附とかそういうことが問題になりまして、私、そこまで間違っているとは思っていなかったものですから、十分調べていなかったんですけれども、その場で、後ほど調べた上で申し上げますがということでございますが、あいまいな記憶とかそういうことで混乱した答弁を申し上げた……(佐々木(秀)委員「繰越金、繰越金」と呼ぶ)

 これは、さきの一千万円は、恐らく公認料としていただいたものを削除した五百万だと思いますが、そうじゃございませんか。それで、これについては、そのときの選挙の選挙運動費を収支報告書に、いただいた五百万は記載してあるわけなんですが、それを同時に二重記載で、これは単純なミスでございますが、政治資金収支報告書の収入の部にも記載したということでございます。ですから、これは間違いだ、明らかな間違いだということで削除をしたわけでございます。その分だけ、繰越残高が実態に即して変わったということでございます。

佐々木(秀)委員 今の説明を聞いて、皆さん、わかりますか。わからないんだよね。

 それで、何しろ何年分にわたる収支報告書が各年ごとに出されていたのに、それを同じ日にばさっと一遍に直すなんということがそんな簡単にできるものか。この間も領収書をお見せしましたけれども、日付がないんですよ。いつつくられたものか、これはわからない。後からつくったものかもしれないです。

 そこで、杉浦さんに対してはまた後刻、同僚議員がお尋ねをしますけれども、私は、自民党さん、さっき小泉さんが、総理大臣が、藤井さんの金の問題などについて、授受の問題についていろいろ言われたけれども、多額のということを言われたけれども、しかし、あなたも認めているように、自民党から、総裁であるあなたや、あるいは幹事長である方、あるいは各会派の代表などに対して、個人の名で莫大なお金が出ている。ただし、それについては、何に使ったかなどということは一々言わなくてもいいんだということをあなたは言っているわけですけれども、それにしても、これは相当なものだと思うんですよ。

 例えば、小泉総理は、就任直後の平成十三年七月に、党本部から一億円を個人として受領した、これは御自身で認めておられますね。それから山崎拓さん、幹事長だったわけですけれども、平成十三年から平成十五年までの三年間に、百十七回にわたって合計十九億五千八百四十万円、これを党から受け取っているわけですね。これは党の方からはずっと報告されているわけですよ、一覧になっていますけれどもね。

 ところが、これについて、一応領収書が出ているんだけれども、この領収書なるものがまことにずさんで、この間も杉浦さんに私は言いましたけれども、領収書というのは本当は、大事なのは、金銭の授受なんですから、金員の授受なんですから、まず金額がしっかり書かれなければならない。本当だったら、ただし書きがあって、これはどういう金かということが書かれなければいけない。それから、いつ授受があったかということで日付覧があるわけですね。そして、受け取った者がだれかという、これは署名捺印しなければならない。それから、だれから受け取ったか、名あてが出ていなければならない。

 ところが、山崎さんのこの領収書は、私が見たところによると、まず日付は全然ないんですね。それから、ただし書きも全くない。それからサインについても、ちょっと見ていただきますが、同じ人の手だとは思われないような違いがあるんですよ、一枚目と二枚目。似ていると言う人が、強弁する人がいるかもしれないけれども、私は明らかに違うと思います、この筆勢、筆跡から。それから向かって左の方、これは代理受領している、代理人がだれかということは名前が出ていないんですが。いずれにしても、非常にずさんなやり方ですね、手続的には。

 こういうことは現に行われているんですか、総裁としての小泉さん、小泉総理。こういうようなやり方で今でも行われているんですか、自民党では。

小泉内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、自民党は、党勢拡大等のため、総裁や幹事長などに政策活動費を支出しておりまして、これらの役職者は政治資金規正法の趣旨にのっとって適切に使用し、報告しているところであります。野党の中にも何億円という活動費を受けておられる方がおりますが、その方は、その方が個人で使ったのではなく、活動費として使っておられると思います。ですから、すべきは記載し、必要でないものは記載する必要がないから、野党もそういう方向になっているわけでしょう。

 また、筆跡の問題を話されましたけれども、今の山崎元幹事長に対しては、党勢拡大のための必要経費として支出しておりまして、支出の際にはその都度正規の領収書を受け取ってきたところであります。しかし、日付が記載されていない領収書については、総務省より領収書には日付などを入れるようにとの指摘を受け、既に訂正手続をしたと聞いております。

佐々木(秀)委員 つまり、領収書に日付が入っていないということは、これはその日に実際にそういうことがあったかどうかということの証明にならないということなんですよ。幾らでも、後から日付を入れることによって、別な流用の仕方も出てくるんですよ。そういうところでもやはり疑念がわいてくるんですよ。

 あなたは、政党からの政策活動費などについては一々使途を明らかにしなくてもいいんだということを言われる。この間、また、同僚議員の質問に対しては、日本の国民の例えば四十歳ぐらいの平均的なサラリーマンが、月々の小遣いが三万円ぐらいしかない、そういう中で、あなたが政策活動費などについて、どう使ったって、一晩に何十万というような飲み食いしたって構わないということを言っておられる。その辺の金銭感覚についての鋭い指摘があったわけですけれども、やはりそういうような金銭感覚では政治資金の出入りの問題にしたってきちんとならないと思うんですよ、私たちは。

 だから、先ほど公明党の委員からもお話があったけれども、やはりここでお互いに、私は、だれが悪い、かれが悪いというだけではない、この議論をしているのは。やがては国民の前に政治の信頼を取り戻す、そして政治と金についてもきちっと、出入りをはっきりするということにしなければならない。

 そして、あなたはないないと言われているけれども、迂回献金の問題にしても、自民党の中で実際に迂回献金あるいは指名献金ということが行われたということは、実際にそうしたことに、経理にかかわった人たちが言っているじゃないですか。例えば、元宿さんという自民党のこの経理を担当した人、あるいは今議員じゃないけれども、かつて自民党の総務局長も務めた鈴木宗男さんなんかが、自分の体験として言っているじゃないですか。それからまた、先ほど名前を出した滝川俊行氏は、この間の一月二十三日の村岡さんの裁判の中で証人として証言して、裏金づくりだとかあるいは迂回献金ということがあったということを述べているんですよ。

 だから私たちは、そういう関係者にここへ来てもらって、そういうことがあったのかなかったのかをまずただす。そして、あなたも言われるように、しかし迂回献金というのは好ましいことでないと言っておられるわけだから、そうだとすれば、これをきっちりするような法制度を確立する必要があるだろう。

 さっき、自民党の方では厳しい内規をつくってと言ったけれども、そんなことは、私たち民主党が去年の秋につくって提案した政治資金規正法の改正案の中でもう全部織り込み済みですよ。そしてその中では、迂回献金の禁止をきちんと決めようということを言っているわけですよ。だったら、これについて賛成し、一緒になってその方向で進むということをリードされたらどうなんですか。小泉総理大臣に最後に。

小泉内閣総理大臣 先ほどまた、私が言っていないことを言ったというふうな指摘をされましたけれども、政治資金の使い方について、先日の質問者が、一晩に二百万円もどうかという話でありますが、あれは、十一日間に二百万円を飲食費に使っている、サラリーマンは三、四万の小遣いだ、どうかという、そういう質問があったんです。

 一晩に二百万じゃなくて、十一日間に二百万円を使っているけれども、そんな飲食代に使っていいのかということでありますから、私は、たまには、政党の組織活動費としても、議員同士でも、あるいは支援団体でも、十一日間で二百万円の弁当代なり食費代なりというのは、一つの潤滑油として組織活動に必要な点もあるんじゃないですかと。サラリーマンの小遣いの問題、これも重要であります、しかし、政治活動を考えますと、いろいろな活動があってこれはお金がかかります、それと同列に扱うのはいかがなものでしょうかということを話したんです。

 また、これから、政治の活動費につきましても、どの点を記載すべきか、また政党の活動の自由ということを考えますと、どの分野においては記載する必要がないかという点については、与野党率直に議論をしていただきまして、改善すべきは改善していただければいいと思っております。

佐々木(秀)委員 どうもお答えを聞いていても、依然として総理の感覚が国民一般の感覚とは相当ずれがあるなということを感じざるを得ません。これからもひとつしっかりと議論していくということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

甘利委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、政治資金等について集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。

 この際、永田寿康君から関連質疑の申し出があります。佐々木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。永田寿康君。

永田委員 民主党・無所属クラブの永田寿康でございます。

 冒頭、まず抗議を一つ申し上げたいと思います。

 午前中の自民党の議員の質問の中で、答弁席に座ることを許されていない、私、永田寿康、そして民主党の同僚議員、城島議員について指摘がなされました。質問とは呼べない、指摘というべきものでありました。

 こうした政治と金の問題を集中審議する予算委員会、ここは本当に、お互い、政治家のお金の使い方の問題点を真摯に議論しなければならないところなのに、議論をする上で、答弁者が答弁する席に座ることができない、指摘をされる側が反論する機会を与えられないままに一方的な論調で問題を指摘されたことはまことに遺憾だと思っております。

 加えて、みずからの足元を省みることなく、自分たちの政治資金の使い方についての説明を一方的に拒否しておきながら、相手のことをあげつらって、そして泥仕合に持ち込もうとするこうしたやり方は、まさに自民党の末期的な状況を示した悲鳴のような声であるというふうに私は受けとめておりますけれども、このようなやり方が極めて不当であるというふうに申し上げたいとともに、城島議員と私の指摘を受けた事情につきまして簡単にコメントしたいと思いますので、ひとつお聞きいただきたいと思います。

 城島議員の問題は、かつて食品を代表する業界団体、食品業界の方々が民主党の政治団体等に献金をしたのとほぼ同じタイミングで民主党から城島議員が多額の献金を受けている、まあ多額といっても金額は決まっているわけですが、献金を受けている。これは、食品業界からの献金を事実上迂回させて城島議員に渡すための工夫ではなかったか、このような指摘でありました。

 しかし、これは全く指摘が当たらないのでありまして、実は、当時問題になっていたのは、城島議員は、選挙区の調整のために、ある選挙区から違う選挙区に自分の選挙基盤を移してくれ、そういう党の要請を受けておりました。当然、選挙区を変えるということになれば、これは事務所も移転しなければならない、そして各種の印刷物を変更しなければならない、第何区と書いてあるわけですから。そういうことに莫大な費用がかかるわけですね。党の事情で選挙区を移動するのであれば、これはその分は党が負担するのがよいだろうということで補償の意味合いで渡されたお金でありまして、食品業界からの献金とは全く関係がないわけであります。

 そういう意味で、このような、あたかも関連があるかのような姿勢で、答弁者を席に座らせることもなく指摘させたという自民党のやり方は、まことに不当であると思っております。

 加えて、私の問題につきましても、永田寿康を支援する会という政治団体がございます。この政治団体から、四つの政治団体を経て、最終的に一千万円のお金が、私が代表を務める民主党千葉県第二区総支部に渡ったという点が迂回献金ではないか、このような指摘をされました。

 しかし、まず第一に申し上げたいのは、この永田寿康を支援する会という政治団体は福岡にその本拠地がございまして、これは私の父親を中心とする、私と大変仲のいい方々が任意に私の応援をさせてほしいと言い出して立ち上げた政治団体であります。そして、この政治団体は、当然、私の方から被推薦人の指定をしておりますから、あの政治団体が私を応援するものであることは間違いございません。

 そして、当然、そうするからには、そこに対して寄附などが行われたときには所得控除などのメリットが受けられるということを私の保証のもとに行わせているものではございますけれども、実は、そこの政治資金の使い方については極めて自律性が高うございまして、私の要請によってお金を動かそうと思ってもなかなかできないというのが現状であります。彼らの判断で彼らの政治活動をしているというのが本質でありまして、そこからほかの政治団体にお金が渡ったとしても、私がうかがい知ることはできない事情であります。

 もちろん、最終的には一千万円のお金が千葉県第二区総支部に平成十四年十二月に移っておりますので、その部分に対しての説明責任は当然あるものと思います。それについては問われればお答えをいたしますけれども、しかしながら、その間に挟まれた政治団体の行動については私は一切関知することができないので、それは私としては……(発言する者あり)

甘利委員長 静粛にお願いします。

永田委員 調べる立場にもないし、説明することもできないというのが実態であります。ぜひその辺の事情を御理解いただきたいと思っております。(発言する者あり)

甘利委員長 静粛に。

永田委員 それでは、本題の杉浦官房副長官の問題について質問をしていきたいと思います。

 杉浦官房副長官、大分、前に質問したあたりから、政治資金収支報告書を訂正なさるなど、さまざまな動きがありました。今テレビを初めてごらんになる方にもわかるように簡単に説明しますので、記憶を掘り返していただきたいと思います。

 まず、杉浦官房副長官が行った政治資金収支報告書の訂正、みずからの後援会の収支報告書の訂正の第一番目は、平成十二年から十五年までに行われた清和会から杉浦正健後援会への寄附と計上されていたもの総額一千五百万円、これを自民党からのものに切りかえた。正確に申しますと、自民党から受け取ったものをあたかも清和会から受け取ったものと錯誤していたので、これを全額削除したという。加えて、それに伴う繰越金の減額修正も行われています。

 一枚目のパネルをお願いします。このパネルには十二年のものは書いてありませんが、十二年に七百万円の同じような清和会からの寄附が訂正前にはあったので、これも削除しているという意味で、七百万円、四百万円、四百万円と、一千五百万円が削除されたわけであります。

 加えて、平成十二年六月の公認料、これはこのパネルには書いてありませんけれども、五百万円ずつ政党から受け取っていたのを政治団体が受け取ったと勘違いしていた、これは選挙資金に繰り入れるべきもので、別会計に計上してあるので削除したということで一千万円の削除をし、一千五百万円と合わせて二千五百万円の繰越金を削除するという訂正をなさっています。

 官房副長官、まず冒頭、一つ、私から、これは個人としての抗議を申し上げたいと思います。

 私が指摘をした問題点につきまして、前回の予算委員会、テレビが入っている予算委員会です、問題点について答弁ができなかった。そしてその答弁を、改めて調査して回答する、文書で回答をすると言っておきながら、回答する前に、みずから指摘を受けた部分の政治資金収支報告書を訂正するというのは、私にとっては誠実な姿勢とは思えません。どうしてそのような心理状況に陥ったのか。すなわち、ちゃんと釈明する前に事実を変更してしまうという驚くべき暴挙に出られたのか、ぜひ、官房副長官の心の中の動きを誠実に語っていただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 私の政治資金収支報告書に誤った記載が行われまして、勘違いとか誤解に基づくものでございますが、二度にわたって修正したということでございますが、これはもとよりあってはならないことでございまして、まことに申しわけなく思うと同時に、反省をしている次第でございます。

 先生の御指摘、事実関係はそれで間違っておりませんが、順序を追って少し説明させていただきますと、まず、予算委員会が始まる前に、私がメンバーでございます清和政策研究会の政治資金収支報告について疑惑があるという報道がなされましたので、念のために私の収支報告書をチェックしてみましたところ、御指摘のような、三年間にわたって清和政策研究会からの寄附がなされているということがわかったわけでございます。

 これは、私が清和研から受領する際に、これは党の活動資金だというふうに承ってちょうだいしてきたものでございますが、事務方に渡す際に十分説明しなかったことが原因だと思いますが、事務方が、清和研からいただいてきたものと勘違いいたしまして、清和研からの寄附というふうに記載したものでございます。党の活動費として、経由は清和会経由でございますが、ちょうだいしたものでございますので、明らかに間違った記載であります。ということで、第一回の訂正をさせていただいた次第でございます。

 第二回の訂正でございますが、これは、私が訂正した後、この予算委員会で永田議員から御質問がございました。先生からの質疑通知は清和研についてのみでございましたので、その余の部分については十分準備をしないで質疑に臨んだわけでありますが、清和研のことについて御説明申し上げた後、その余の部分について御質疑がございました。

 私は、あの記録をごらんいただければわかりますけれども、十分調査した上で御回答申し上げますと申し上げながら、先生の御質問にいろいろとお答えを申し上げたわけでございます。自分の勘違いやら、あるいは記憶違いやら、あいまいな記憶やらで、いささか迷走した答弁になって御迷惑をおかけしたことはおわび申し上げますけれども、さまざまな御指摘がございました。それを受けまして、清和研記載以外の先生御指摘のさまざまな記載について改めて点検いたしましたところ、第二回目に訂正したとおり、これは一月三十一日、第一回目は一月二十六日でございますが、さらに間違っておるということが判明したわけでございます。

 第一回については申し上げたとおりなんですが、第二回に訂正した分をかいつまんで申し上げますと、平成十二年分の収支報告に党からの寄附として記載されている一千万円と三百万円につきましては、先生の御質疑に対して、あいまいな記憶と思い込みで、一千万円は党からの寄附で、ちょっと内容は忘れましたが、貸し付けが一部あるというような御答弁を申し上げたと思うんですが、調べてみましたところ、六月にちょうだいした一千万円は、五百万円の政策活動費と五百万円の公認料であったということがはっきりいたしました。

 このうち、五百万円の公認料につきましては、その年に行われた選挙の選挙運動費用の収支報告書に記載してございます。そして同時に、これはあってはならぬことなんですが、私の収支報告書、政治資金団体の収支報告書の収入の部にも計上されておったわけであります。いわば二重記載でございまして、明らかに間違っておるところでございます。この五百万円は、したがって、削除と修正させていただいた次第でございます。

 残りの五百万円は、党からの寄附となっていたものを、私が活動費としてちょうだいしたものを政治資金団体に寄附した、特定寄附と言われているものですが、それに修正させていただいたわけでございます。

 もう一つの三百万円もそうでございますので、訂正をした次第でございます。

 平成十五年分の収支報告との関係では、まず、四月の私個人の六百万円の寄附につきまして、先生からいろいろ御指摘があって、文書通信費を寄附したような趣旨になっておりましたが、精査いたしましたところ、これは、私個人の口座から、つまり私個人のお金を六百万円資金管理団体に寄附しているということがはっきりいたしました。

 残り三件、平成十五年ですが、残り三件の特定寄附は、党からの政策活動費でございます。ただし、このうち一千万円は、五百万円の政策活動費と五百万円の公認料でございました。公認料については、十二年分と同じ理由で、つまり、その年の選挙の選挙運動費を収支報告書に五百万円記載されると同時に、政治資金収支報告にも記載された、二重記載というミスでございますので、これは削除させていただいて訂正させていただいた次第でございます。

 そういう全体を通じまして、党の政策活動費を党本部からの寄附と記載しているもの、十四年度、十五年度は特定寄附として記載されておりますが、その前の方は、党本部からの寄附と記載されておったものは記載方法の間違いでございますので、資金管理団体への特定寄附といたしまして、一月三十一日に訂正させていただいたものでございます。

 いずれにいたしましても、私の政治資金管理団体の収支につきまして、誤解ですとか勘違いといったことが理由で間違った記載がなされたということは事実でございます。

 また、委員会において、これは通告されている質問じゃないから後ほど調べてお答えすると申し上げながらも、あいまいな記憶ですとか思い込み等で迷走した発言をいたしまして、委員各位初め皆様に誤解を与えたということにつきましては、まことに申しわけない、こう思っておる次第でございます。

永田委員 質問したこと以上のことにお答えいただいて、大変誠実な方だなと思いましたが、しかし、その誠実さにも問題が出ています。

 つまり、前回の質問では、同僚議員も繰り返していますけれども、私から、官房副長官、こう申し上げました。これはもう非常に重要な答弁なので、このあたりの、官房副長官にお伺いしていること、間違いがあったら重大な責任をとっていただきたいと私はちょっと申し上げたい、ぜひ官房副長官の職をかけて答弁していただくということを確認したいんですけれども、よろしいですか。職をかけて答弁しているということを確認したいと申し上げたら、官房副長官は、いつも誠意を持って御答弁申し上げております、職をかけて答弁しておりますとおっしゃられた。その後、間違いがありました、ごめんなさい、あやふやな記憶でした、ごめんなさい、通告がなかったから答弁が間違っていました、ごめんなさい。これが果たして誠意ある態度と言えるでしょうか。

 私は総理にも申し上げたい。本会議場で岡田代表が質問したことに対しても、私もいつも誠意を持って答弁しておりますというふうにおっしゃられますけれども、正直申し上げて、各評論家あるいは新聞紙面など見ても、総理の答弁が、それをおっしゃるほど誠意あるものだというふうに評論しているところはほとんどない。誠意という言葉の値打ちが下がるので、ぜひ今後はこういう言葉は使わないでいただきたいというふうに思っておるわけです。

 ところで、誠意ある答弁をされた官房副長官、また職をかけて答弁していただきたいんですけれども、今のパネルをもう一度持ち上げてください。私から指摘をした部分につきまして、つまり、清和政策研究会から杉浦後援会に対して渡ったとされるお金。

 これは、右側に訂正前の官房副長官の数字が載っています。これが自民党からのものだったというふうに官房副長官はおっしゃったんですが、では、自民党からのものだったと仮に考えたとして、自民党側の出金の記録はどうなんだろうということを調べてみると、左側に書いてあるわけですね。これを見てみると、日付も金額も合わないわけですよ。唯一合っていると思われるのは、平成十四年十二月十一日、真ん中ほどにあります、この日付だけは正確にぴったり合っています。しかし、金額は合わないんです。一体、この差額の二百万円はどこに消えてしまったのか、誠意ある答弁を職をかけてお願いします。

杉浦内閣官房副長官 お答えを申し上げます。

 この左側に記載されている「自由民主党側の記録」とある部分の八項目でございますが、これは、自民党から私に政治活動費としてちょうだいしたものでございます。

 私の方の報告書とも合っておりますが、一番上の十三年分の四百万円、四百万円は、私の報告書では自民党からの寄附となっておりましたのを、特定寄附と訂正させていただいております。

 その後の二つ、平成十四年分につきましては、当初から特定寄附と記載させていただいております。

 平成十五年分でございますが、六月二十日の三百二十万円については、これは党からの活動費でございまして、収支報告書に記載いたしておりません。特定寄附いたしておりません。あとの四百万円、五百万円、三百万円は、当初の段階から特定寄附として記載させていただいております。そごしている点はないと思います。

 右側の平成十三年分の二百万円、二百万円、十四年分の二百万円、二百万円は、いずれも清和研からの寄附と記載されているものでございまして、明らかに間違っておりましたので、これは党の活動費として、清和研を経由して党からちょうだいしたものだということで削除させていただいた次第でございます。

永田委員 ちょっとよくわからないんですけれども、今の、本当に全然わからなくて。

 こういうことですか。自民党から預かったお金を、まず杉浦議員本人がお預かりして、そのうちの一部を特定寄附として後援会に寄附し、一部は手元に置いて使った、こういうことなんですか。

杉浦内閣官房副長官 基本的にはおっしゃるとおりでございます。

 党からの活動費は、その趣旨、目的に従って使わせていただいているものでございまして、政治資金団体に入れなくてもいいものでございます。ただし、入れてもいいというふうに相なっております。入れる場合は、党からいただいた活動費を特定寄附として政治資金団体に入れてもいいということになっておりますのでその分は入れさせていただいた。入れさせていただいていない場合もあるということでございます。

永田委員 それは、個人で使う場合と特定寄附にして政治団体に入れる場合、どういう違い、つまり考え方に違いがあるんだと思うんですけれども、どういう考え方に従って区別されて処理されるのか、教えてください。

杉浦内閣官房副長官 特別な基準があるわけじゃございませんが、総合的に判断をして、これは入れよう、これは入れないで使わせていただこうということにしておるわけでございます。

永田委員 いや、しかし、それは何らか考え方がないと。つまり、政策活動費というものも一応法律などに根拠を持って処理されるお金ですし、特定寄附も政治資金規正法の中に特別な規定を設けてわざわざ扱わせているものなんですね。だから、その法律などの趣旨に従って考え方をちゃんと定めて、特定寄附にするのかしないのかを判断する必要があると思います。

 加えて、ほかの自民党の議員さんも、皆さん自民党本部からの政策活動費というものを支給されていて、それを個人個人でみんな使っているんだ、自民党本部の政策を実現するために使っているんだというふうに、一応、党総裁からも説明を受けているんですけれども、しかし、こういうふうに特定寄附にするケースというのは、僕は今までほとんど見たことがないんですね。なぜこういうことをする必要があるのかということを、考え方がそれはあるでしょう、ほかの人にはほとんど見られないお金の動かし方なので、何らか理由があるんだと思うんですよ。ぜひ教えていただきたいんですけれども。

杉浦内閣官房副長官 ほかの方のことは存じませんですけれども、私が党からちょうだいした党の政策活動費の趣旨に従って、私の判断で趣旨に従って使わせていただいておるわけでございます。

永田委員 逆にまずいことになるんですよ。というのは、一応、杉浦正健後援会という政治団体は、これは独立した政治団体でありまして、自民党とは別個の存在であります。ですから、自民党が政策活動を行うために支出された政策活動費を特定寄附に回すということは、趣旨が曲がってしまうわけですよ。自民党としては自民党の政策を実現してほしいと思っているのに、その一部を後援会に寄附したら、これは流用みたいな話になっちゃうわけですね。

 なぜそのようなことが許されているのか。自民党との話し合いを多分されていると思うんですけれども、どういう考え方に従ってそういうことが許されているのか、教えてください。

杉浦内閣官房副長官 党活動であろうと後援会の活動でございましょうと、これは一体になってやっておるわけでございます。党からちょうだいした党の政策活動費をその趣旨に従って使わせていただいておる。それで、法的に、政治資金団体に寄附するのも特定寄附で許されておるわけですから、私のもちろん判断で寄附して、もちろん政治団体としても党の拡張活動の一環を担っていただいておるわけですから、何ら不思議じゃないと思います。

永田委員 わかるようなわからないような答弁ですけれども。

 冒頭、抗議の部分で時間をとってしまったので、もっと本題のところに移りたいので、ちょっとこれは差しかけにして、次に移りたいと思います。

 総務大臣にまずお伺いしたいんですけれども、政治団体が保有する固定資産、これについて、固定資産税というのはどういうふうに扱われるのか。もちろん市町村によって固定資産税は違うので一概には言えないかもしれませんが、例えば、政治団体が保有するものだからこれは減免措置があるとか、そういうことというのはあり得るのか。一般的な考え方をまず教えてください。

麻生国務大臣 知っていて聞いておられるんだと思いますけれども、非課税の特例措置はないんじゃないですか。

永田委員 もう一つ、政治団体が建物を保有する場合、政治団体というのは法人格なき社団であるために、法人格がないために、みずから資産を保有するというのは制限があると思いますけれども、それを御存じの範囲で教えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 今のも多分同じだと思いますけれども、政治団体は人格のない社団ということになりますので、今の建物についても、登記をしようと思っても、多分、政治団体としてはできないで、その人の、代表者名とか、そういった形で登記されている、私の記憶ではそうです。ただ、ちょっとプロに聞かれた方が正しいんだと思いますけれども。

永田委員 杉浦官房副長官、お手元の資料の杉浦正健後援会の平成十四年度の政治資金収支報告書の一部、「建物」というのが右上に書いてある欄をごらんください。

 杉浦正健後援会は二つの建物を所有しています。岡崎市東本郷町にある、恐らく取得金額だと思いますね、一千百九十一万七千四百九円の建物、年月日が平成五年七月二十八日となっているのは、恐らく取得した年月日ではないかと思っておりますが、二百十五・五平方メートル。もう一つ、西尾市の、これはちょっと地名が読めないんですが、ここで五百三十五万六千円相当の建物、平成九年三月二十八日、面積百九十八平方メートルと書いてございますが、この二つについて、どういうものか、官房副長官の説明を求めたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 いずれも私の後援会の事務所としてつくっておるものでございます。ちょっと上等のプレハブでございますが。

 西尾市のは寄住(よりずみ)町と申します。

永田委員 ただ、杉浦さんのホームページを拝見いたしますと、そこに公開されている地元の事務所というのは二カ所ありまして、これは住所を見ますと、この東本郷町高畑というところではないところ、つまり、正確に申しますと、西尾市寄住町の方はちゃんと事務所として公開されているんですが、もう一つの方は恐らく伝馬通のあたりで、そちらに事務所があって、この岡崎市東本郷町の住所は事務所ではない、事務所とは言われていないというふうにホームページでも公開されているんですが、この辺の事情はどういうことなんでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 岡崎市には事務所が二つございまして、伝馬町の方は借家でございます。こちらは、プレハブではございますけれども自前のもので、両方において活動をいたしております。

永田委員 どういう活動の仕方をしているのか。つまり、政治団体と、あと総支部というのも多分活動なさっているんだと思うんですね。それはすみ分けはされていますか。この事務所は総支部が使うとか、この事務所は政治団体が使うとか、そういうことというのはされていますか。

杉浦内閣官房副長官 お答えいたします。

 そういったすみ分けはいたしておりません。

永田委員 しかし、政治団体が建物を持っているわけですから、政治団体がこの二つの建物を使っているのは間違いないと思いますし、今のお話ですと総支部もこの二つの建物を使っているし、伝馬通の事務所も政治団体が使うことがある、こういうような話だと思います。

 ところで、建物を持っているからには、その下には地面があるはずです。この二つの建物の下にある地面は一体だれの所有になっていますか。

杉浦内閣官房副長官 御通告を受けておりませんので調べてまいっておりませんが、恐らく借地だったと思います。借りておるんだと思います。

永田委員 つまり、議員本人の持ち物でもなければ、政治団体は当然これは資産としては計上していないし、総支部のものでもない。個人か法人かはわかりませんが、第三の方からお借りしている、こういうことでよろしいですか。

杉浦内閣官房副長官 調べてからお話しします。

 少なくとも私の持ち物ではございません、土地は。

永田委員 とりあえず手に入ったのがこの東本郷町の登記、土地の登記であります。個人、ここでは名前は公にしませんけれども、個人の方の所有になっています。

 いかほど地代を、つまり借地料ですね、いかほどお支払いになっていますか、この二カ所について。

杉浦内閣官房副長官 今の時点では存じ上げておりません。

永田委員 建物の下にある地面なんですけれども、東本郷町の方は少なくとも二百三十平米ほどの面積が、二百三十八・〇一平方メートルという登記になっています。それで、このあたりの土地の借地料というんですか、これを、相場を調べるのは非常に難しいんですけれども、大体月に十万円ぐらいは借地料が発生してもおかしくないのかなというふうに思いました。

 それは、人によって言う数字が違うので、なかなか十万円という数字を確定するのは難しいんですけれども、ほかにも、もう一つの方、寄住町の方も、それ相応の土地を借りるための借地料が発生するんじゃないかなというふうに思っています。

 それで、これらの借地料は当然払われていると考えてよろしいんですよね。

杉浦内閣官房副長官 具体的に御通告を受けておりませんでしたが、お支払いしていると思いますが、詳細は承知しておりません。

永田委員 まあ一般論からいえば、普通の社会生活を営んでいる中で、自分の政治団体が保有している建物がそこにあるというのであれば、その下にある地面に対しては、賃料というか借地料を払うのが当然だと思うんですけれども、それは普通だったら当然ですよね。いかがですか。

 つまり、払うべきものだなというふうに、払うべきものですよねというふうに念押しをしているんですけれども、いかがですか。

杉浦内閣官房副長官 お求めとあれば、調べてから御回答するようにいたします。

永田委員 もう一つ、当然、建物があれば固定資産税がかかるのであって、それは総務大臣からも答弁されたとおりでありますけれども、これは、やはりこの政治団体が固定資産税を払っていると考えていいんですか。

杉浦内閣官房副長官 税法に従って適正に処置されているというふうに聞いております。

永田委員 それはつまり、法令に従ってということは、税金が発生していれば当然払っているだろう、こういう報告を受けているということですね。

杉浦内閣官房副長官 そのとおりでございます。

永田委員 この二つの建物は、かなり大きな、取得金額で一千百九十一万円と五百三十五万円ということになりますと、当然固定資産税も発生するし、その前段階として登記が必要になると思いますけれども、登記はしていますか。(発言する者あり)建物についての登記です。

杉浦内閣官房副長官 登記がどうなっているか、承知しておりません。

永田委員 副長官は、副長官という職務と、それから国会議員という身分と、もう一つ、大きな、国家試験を受けた上で持っている資格があると思いますが、それは何ですか。

杉浦内閣官房副長官 事前に御通告があれば登記の有無は調査いたしましたが……(永田委員「弁護士ですよね」と呼ぶ)資格は有しております。

永田委員 弁護士だというお答えを期待しておったわけですが。

 一方で、総務大臣、仮に固定資産税が発生する、あるいは地代が発生すると、政治資金収支報告書上は、通常はどういう分類でこれは記載されるべきものでしょうか。

麻生国務大臣 そこまで詳細に知りませんので、選挙部長がよろしいと思います。

久保政府参考人 政治資金規正法上は、一般的には事務所費に計上されるものと承知しております。

永田委員 お手元にありますもう一枚の政治資金収支報告書のコピーをごらんいただきたいんですけれども、これは、平成十四年の杉浦正健後援会の政治資金収支報告書の支出の欄であります。

 一番に経常経費とありまして、それから(1)人件費、(2)光熱水費、(3)備品・消耗品費、(4)事務所費と。この事務所費のところに固定資産税や地代が入るべきだろうというふうに選挙部長は答弁されました。金額としては四十三万八千三百六十四円。一年間で、この二つの建物から発生する固定資産税とその下にある地面の地代、賃料を入れると四十三万八千円になってしまうという、まあ一月に三万円強、四万円にもならないような金額だというふうに言われています。

 僕は、これは非常におかしなことだと思います。ざっと計算すると、粗い計算をすると、固定資産税だけで年間大体十数万、まあ十万円以上、十五万ぐらい発生してもおかしくないなと思っています。加えて地代も、合わせて四百平方メートルを超える土地であります。それをわずか、固定資産税を引いて二十数万円で借りているということになると、これは、事実上ただ同然の賃料ということになります。

 なぜこのような不思議なことが起こるのか、事務所費の使い方を説明してください、その内訳を説明してくださいというふうに通告はしてあるので、地代が含まれているか固定資産税が含まれているか、当然御存じの上で答弁席に立っておられると思いますけれども、詳しく御説明ください。

杉浦内閣官房副長官 お答えします。

 お尋ねの事務所費につきましては、法律に従って適正に私の政治資金管理団体の収支報告に記載しているところでございます。

永田委員 副長官、適正にとおっしゃいましたけれども、適正かどうかは副長官が判断することじゃないんですね。説明を受けた方が、我々が適正かどうかというのを感じるわけであって、多くの方が適正だと感じればそれは社会的にも適正なことだというふうに思われるわけであって、それは、御答弁される方がみずから適正だ適正だと言い張るものでもないんですよ。だから、どういうふうに計上しているから、どういうふうに会計処理しているから自分は適正だと思う、皆さんどうですかというふうに説明をされるのが僕はいいんだと思うんですね。

 いかがでしょう、固定資産税とか地代とかというのはお支払いになっておられるのかどうか、そこも含めて適正だとおっしゃっておられるのかどうか、ぜひ改めて御説明をお願いします。

杉浦内閣官房副長官 適正に記載させているところでございます。

永田委員 だから、適正にというのは自分で言うことじゃないんですよ。総理もそれをぜひお願いしたいんですけれども、聞いた側が適正だと思うかどうかが問題なんであって、そんな答弁を繰り返しているようでは、私としても、これ以上質問を続ける意義がどこまであるのか微妙な問題なんですけれども。

 これはちゃんと報告されますか。加えて、伝馬通の恐らくメーンの岡崎事務所の方も、これも賃料が発生しているんだと思うんですけれども、これについてもどれぐらいの金額になるのかというのは私どもも概算はしていますけれども、この二つの事務所に比べればはるかに大きな金額が賃料として発生するような場所にあるわけです。それも含めると、なおのことこの事務所費というのが過少に見えてくるんですね。

 なぜこんなに小さな地代や固定資産税で借りることができるのか、なぜこんなに安く借りられるのかという事情は教えていただけますか。

杉浦内閣官房副長官 御疑念に思っておられるのは何を御疑念に思っておられるかわかりませんが、政治資金規正法に従って我々は活動しておりますし、記載もそれに従って記載しているわけでございまして、事務所費の内訳を細かく報告することは求められておりません。

永田委員 いや、別に報告することを求めているんじゃなくて、単に説明してくださいと言っているだけなんですよ。

 だから、事務所費の内訳をここで、どうも地代から見て余りにも安過ぎるんじゃないかという指摘をされているので、何でそんなに安く借りられるのかということを御質問しているだけで、ぜひこれは正確に調べて御報告いただきたいと思います。理事会と委員会にお願いします。

 それから、総理にお伺いしたいと思います。

 先日、私の質問に対して、例の迂回献金調査の話がありました。武部幹事長に対して平成十六年十一月九日付で報告書が上がっている、調査をしている。この調査報告書を私も拝見させていただきました。主な論点は二点でありました。

 つまり、自民党の中で迂回献金が行われているんじゃないか、日本歯科医師連盟などから自民党に対してお金が渡って、それが日本歯科医師連盟の意思を通じて別の議員に、特定の議員に渡っているんじゃないか、そういう疑惑でありました。

 この報告書の論旨は主に二つでありました。一つは、国民政治協会、つまり自民党の政治団体、ここがお金を受け取るときには、金融機関口座への入金が確認されない限り領収書を発行しないという一点。もう一つは、今度は入ってきたお金を支出する際に、つまりほかの議員に渡すときなどに、内規や慣行などに照らして、個別の政策立案調査の必要経費、あるいは党勢拡大のために必要なお金を出しているんだ。だから、もともとの寄附者の意思を酌み取って特定の議員へ寄附をしていることはないというふうに書いてありました。

 しかし、この二点、よく読んでみると、自民党の言い分を書いてあるだけなんですね。調査というのは、指摘された事実関係について、実際に関係者の話を聞いたり、証拠の書類を調べたり、そういうことをして初めて調査というのは成り立つのであって、我々が指摘をしている事項、すなわち、例えば元宿氏が迂回献金があったと供述している。この元宿さんという人は自民党の経理の仕事をしている人ですね。それから、昨年八月十七日に私が日本歯科医師連盟の現会長の大久保さんに会ってお話をしたときに、迂回献金は実は自民党を通じてやっていたという証言を私が事実とっているということ。それから、鈴木宗男さんが、指定献金は、迂回献金と呼ぶかどうかは別問題として、常態化していたというお話をされている。

 こうした一個一個の個別のことについて反証をしてくださいというふうにお願いしましたが、その反証作業について、ぜひ、今できる範囲で説明してください。

小泉内閣総理大臣 先日の質問でも、調査をしろ、その報告を提出するということで提出したわけであります。

 私の指示を受けまして、幹事長のもとで、自民党のスタッフ数名と会計、法律の専門家により構成される調査チームにより、平成十六年十月十九日から平成十六年十一月九日までの間で、関係者からの聞き取り調査や、自民党や国民政治協会の当時の内部資料の確認、金融機関への実際の入金状況の確認などにより、国会や報道等で指摘されている事項等について調査を行ったと聞いております。そして、その調査の報告書に、どうなっているかということで、私は、先日、その報告書を提出しますということで提出してきているわけであります。

 そして、今御指摘の疑問に対しまして、指摘を受けた問題も含めて、必要に応じて事実の調査、確認を行ってまいりました。その結果、我が党が政治資金規正法に違反するいわゆる迂回献金を行った事実はないことが明らかになった。

 それはどういうことかというと、国政協、国民政治協会でありますが、国政協に対する寄附はすべて金融機関取引となっており、金融機関口座への入金が確認されない限り、国政協は領収書を発行しません。日歯連から国政協に対する寄附について、偽装の領収書を国政協が発行したかのような一部報道がありましたが、指摘された平成十三年分の各寄附については、日歯連から国政協の銀行口座に入金されていることを銀行の普通預金入出金取引明細表で確認しました。

 また、平成十一年分の寄附については、同年中の日歯連からの寄附については、すべて銀行口座に入金されていることを確認しました。また、国政協に入金された寄附金は、国政協内部での稟議決裁等、必要な手続を経た上で党本部に寄附されますと、報告書を提出しているわけであります。

 この提出書がおかしいおかしいと言われても、いろいろな指摘に対して、自民党としては、その指摘に基づいてしかるべき調査をして今のような報告を出しているのであって、これをおかしいおかしいと言われても、何でもおかしいおかしいと言いますけれども、立場が違って、疑問がないのに、あるあると言われて、これはどうでしょうか。

 記載すべき必要な事項は記載している。そして、記載すべき必要のないものは記載していない。記載していないのはおかしいと。これはもう、政治活動は、言ってもいいことと言わなくてもいいことと両方あるんですよ。言わない、記載する必要のないことまでおかしいおかしいと言われたら、みんなおかしいと言われたら、しようがない、これは。

 それだったらば、今の政治資金規正法でどこまで記載する必要があるのか、どこを記載する必要はないかということは、もう一回よく協議していただいていいですよ、各政党間で。これを一々、与党、野党、立場が違う、自由民主党と民主党のどういう政治活動をやるかということになって、地域によっても違う、個人によっても違う。そして、言う必要がない活動も各政党には認められている、候補者にも認められている。それを、公表していないから、公表していない分はあなた何をやっているんだという。聞かれても言う必要のないことを、言わないからおかしいおかしいと言われたら、これはそこまで政治的な干渉をしていいんですか、本当に。

 私は、そういう点も含めて、では、これから、おかしい点は、どういう点は必要な事項だから記載しなさい、どういう点はもう説明する必要もないし記載する必要がないかというのは、これから問題点があればよく率直に議論してください。余りこの委員会で、あなたのところおかしい、あなたおかしいと暴露合戦みたいなことを、政争の具みたいにしない方がいいんじゃないですか。

永田委員 最後になります。もう質問じゃないです。最後に一言だけ。

 本当にそうなんですよ。政治資金のあり方、経理処理の仕方については非常に国民から疑念を持たれていて、何とか改めなければならないのは、だれでもみんな同じ気持ちを共有していると思うんです。

 そこで、しかし、必要になるのは、昨今問題とされていることについて、日本歯科医師連盟の問題もそうです。橋本派、森派の問題もそう。旧自由党もひょっとしたらそうかもしれない。そういうものについて関係者が国会で証言することが何より欠かせません。そうじゃなければ問題点が明らかにならないからです。ですから、証人喚問の実現を、絶対に必要だということを申し上げて、ぜひ党総裁としてこの動きに協力をしていただきたいと思います。

 私の質問を終わります。

甘利委員長 この際、辻惠君から関連質疑の申し出があります。佐々木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 本日、政治と金の問題について集中審議が行われている。何でこの集中審議が行われなければいけないのかという意味を全体でやはり確認しなければいけない。

 午前中の自民党議員の発言では、集中審議、必要ないと。政治と金の問題は今、国民の九割の皆さんが関心を強く持っている。先日の検察審査会の議決の決定について、橋本元首相や野中、青木両氏について、不起訴処分にしたのはおかしいじゃないかという声が満ち満ちているわけであります。こういう中で政治不信がますます大きくなっている。この問題について、やはり国会の責任、議会の責任としてこれははっきりしなきゃいけない、そういう意味でこの集中審議の場があるんではないでしょうか。

 自民党議員は、合併をした自由党の政党の交付金に関する問題を持ち出しています。しかし、政党助成金、そして政治資金規正法、どの問題に限っても、関連しても、これは抵触する問題ではないんですよ。また、日歯連から二百万円をもらっているというふうに言っている。しかし、二〇〇一年だけで自民党は日歯連から四億四千万もらっているじゃないですか。四年間で二十億ももらっているんですよ。民主党の千倍ももらっている。(発言する者あり)泥仕合ではありません。

 なぜ二十億のお金を出すのか。それはそれだけの理由があるんですよ。見返りがあるから出しているわけです。まさに、二〇〇一年から二年にかけて、かかりつけ歯科医の初診料が二百八十億円、売り上げが上がっている。そのための請求要件を緩和するために、まさに日歯連は、みずからの親密な議員と呼ばれる人たちに対してせっせと政治献金を行ったわけであります。しかもそれは、だれにということで指定しているわけであります。これが問題なんですよ。巨額の政治献金を出せる政治団体、業界団体の意向に従って政治が動かされてはならない。政策がそれで左右されてはならない。

 先日、小泉首相は、この問題について、組合も企業も、それぞれ利害を持って要請行動をするんだから同じではないかというふうにおっしゃった。もちろん、政治というのは、いろいろな階級、階層の人たち、世代の人たち、地域の人たち、いろいろな違いの人たちが利害をお互い寄せ合って、対立する利害も含めて調整するのが政治なんですよ。その中で、よりよい政治を行っていく、よりよい政策を行っていく、そのために透明性のあるしっかりした議論がなされなければいけない。ここがなされないのが、この日歯連問題じゃないですか。

 ですから、この日歯連問題はまさに氷山の一角であり、政治と金の問題をはっきりさせなければ、今の政党政治に対する国民の皆さんの不信感は払拭されないんですよ。そういう意味で、解明する必要性が絶対にある。午前中の自民党議員は、これはないと言った。しかも、それに拍手をする自民党議員がたくさんいた。まさにそれは、自民党議員の問題意識の希薄さの現状をあらわしていると思います。

 私は、二月三日のこの予算委員会の場で小泉首相に、どういう問題が今あると、本当に重要な問題はどういう問題なのかということを問いかけました。一つは、橋本派のやみ献金問題について検察審査会が不起訴処分は不当だという決定を下したことについて、これは小泉首相はどう考えるのかということを問いただしました。またもう一つは、佐藤勉議員が五百万をもらった、指定献金をもらった。その見返りに、かかりつけ初診料の請求要件を緩和するというために、厚生労働省の政務官という地位を利用して、担当者を呼んで要件を緩和しろと何回も言った。こういう問題について、何が問題なのか、何が重要な問題と認識しているのか、このことを小泉首相に問いました。小泉首相、答えない。

 議論は、まず、どういう事実が現にあって、そのことを共通にお互い認識しなければ物事は始まらない。その次に、それをどう分析し、どう認識するのかということ。重要だと考えるのか取るに足らないものだと考えるのか、ここが重要なんです。その結果、どうすべきなのかという次の方針が出てくる。つまり、三段階にあって、小泉首相は二番目の、自分がどう考えて、重要な問題と考えるのか取るに足らない問題と考えるのか、この問題についてのみずからの意見を言わない。ここが基本的に問題なんです。

 そこで、きょう改めて伺います。

 東京第二検察審査会は、橋本首相ら三名についての不起訴については不当だ、このように言った。そして、まさに議決通知書の中で、会計責任者である滝川が有罪の判決を受けているのに、その会の代表者が嫌疑不十分では、国民には通用しないし、納得できない。政治資金規正法が制定されたが、その理由を忘れてはならない。内閣総理大臣がその法律に違反している疑いがあれば、司法の一翼である検察官は、憶することなくもっと掘り下げて広く捜査すべきだ、このように言っている。重要な問題だと言っているんですよ。

 重要な問題だと考えるのか考えないのか、その点はいかがですか。

小泉内閣総理大臣 先日も、私の意見を述べたつもりです。これは、あくまでも刑事訴訟手続の一環として検察が行った処分でありまして、私は、今裁判中の問題でありますから、検察当局において、検察審査会の決定を踏まえて必要な対応を行うものと承知しております。

 そして、先ほど自民党の議員が政治と金の問題、議論する必要がないと言ったんじゃないんです。彼は、政治倫理審査会とか、予算委員会でなくてもほかの場があるじゃないか、そういうところで議論していいのではないか、予算委員会においてはほかの議論もあるんじゃないですかということを言ったと私は聞いております。

 また、佐藤議員のことを言われましたけれども、これは、自民党の調査においても報道されている件について調査いたしましたが、法律に違反するいわゆる迂回献金はなかったという調査結果を得ております。また、本件について、東京地検の捜査でも、法律に違反する行為はなかったものということを言っているということでありますので、そうなのではないかと私は思っております。

辻委員 東京地検は、これは報道によれば、内部で対立があって、これは請託収賄で起訴できるかできないか、できるという意見も結構強くあった、こういうふうに報道されております。問題があることは明らかであります。その点を、具体的に事実を言及しないで、一般論でそういうふうに問題をあいまい化するという態度はやめていただきたい、こういうふうに思います。

 そこで伺いますけれども、では、この検察審査会の議決の内容について、重たい問題である、重く受けとめるべき問題であるというふうに総理は考えておられるんですか。そういうふうに受け取らなくていいんだ、検察庁の問題なんだ、自分の問題ではないんだと、これはそうじゃないでしょう、国会の問題なんですよ。司法を、不起訴にするかどうかという問題と、国会として事実を解明して、政治と金の問題について政治不信を本当に解明するのかどうかという問題とは、別の問題なんですよ。そういう姿勢をとるとすれば、この問題は取るに足らない問題ではないんです。重たい問題なんですよ。このことについて、ちゃんと自分の意見をおっしゃってください。

小泉内閣総理大臣 ですから、検察審査会としては一つの判断を下したわけです。それについて検察が、どう対応するかと、これを検察当局が判断するべきだというのは私の意見なんです。

 そして、先ほど佐藤議員に対する質問で、現在、佐藤議員に対する不起訴処分については、民主党の議員、あなたから、辻議員から検察審査会へ不服の申し立てがなされていると聞いております。辻さんはそれは不服なんでしょう、だからそれを申し立てているというのを聞いていますよ。それに対してどう判断するかという問題があるということは知っていますけれども、私は、検察当局は、中にどういう議論があったか知りませんが、これは不起訴であるという判断を下したということを承知しております。辻さんが不満であるということは、今訴えているということも、不服の申し立てがなされているということも聞いております。

辻委員 結局、問題をはぐらかしているんですよ。政治家の責任として、これは司法にゆだねる問題とは別の問題として、政治と金の問題を国政の場でどういうふうに検討するかというときに、一億円のやみ献金を許していいんですか。許していいんですか。こういうことが陸続と続いていいんですか。族議員にお金が渡って、指定献金という形でそれが政策に反映していく、しかも巨額の献金が使われて政策にそういうふうに反映していく、これをそのまま許していいんですか。透明性のある議論の中で議論をするというのが政治じゃないですか。そういう意味で、これは、司法の問題とは相対的な別な問題として重要な問題なんですよ。

 したがって、司法判断の中で、現に、例えば橋本派のやみ献金問題については村岡さん一人が起訴されているけれども、これについては滝川さんも、これは村岡さん一人の問題かどうかどうも疑わしい、そういう証言をし始めているわけであります。現に、いろんな供述が出ている。しかも、お金を出した側の臼田さんや内田さんの供述証拠は、明らかにこれは三人の場で渡してその趣旨を伝えている、このように言っているわけですよ。

 そういうことが本当に事実だとすれば、元首相がそういうことを平気で行って責任をとらないということが許されていいはずがないじゃありませんか。この問題を何で自民党は解明しようとしないのか。政治の場でしっかりとこれは事実を解明すべきですよ。証人喚問を求めます。

 この点について、いろいろな書類が検察庁に出ております。現に捜査中のものもあれば、また公判が続いているものもある。しかし、この問題については、予算委員会としてこの問題が重要な問題だということであるとすれば、これは資料請求していただきたい。予算委員会の責任で資料請求していただきたい。国会法百四条に基づいて資料請求を求めます。

甘利委員長 理事を通じて申し出てください。

辻委員 各関係当事者の相矛盾する供述証拠が出ているんですよ。しかもこれは、東京地検特捜部は途中で政治的に大きく方針を変えたというふうに巷間喧伝されている事実があるんです。

 そういう意味で、やはり各関係当事者がどういうことを言っているのかというのは、まず資料を取り寄せて、検討して、そして証人喚問をこの国政の場で実現するということが不可欠であると思います。これは、どうしても予算委員会としてやっていただきたい、このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 結局、迂回献金の問題について、午前中も議論になっていますが、十一月九日に、これは理事会の方に、武部幹事長に調査を申し立て、その調査の結果が来たということで言っておられる。それについて、迂回献金の事実はなかったというふうにおっしゃっている。しかし、先ほど永田議員の件とか、いろんなことでおっしゃっているけれども、私どもは、AさんからCさんに渡るに当たって、Bさんを通してCに行くというのは、一般論として、これは違法な問題ではないんですよ、政治資金規正法上も。

 問題は、Aさんが、Cさんにこれは渡したい、しかし直接渡すと支障が生じる、だから、迂回というのは広辞苑で調べたら遠回りするということになっていますよ。だから、Cさんに対して、まずBさんに渡して遠回りしてCさんに渡す、そしてCさんに直接渡したというこのAさんの意向が隠れるようにする、これが迂回献金なんですよ。

 この問題について、現に元宿さんは、これは自民党の事務局長であり経理部長であった元宿さんは迂回献金があった、こういうふうに言っています。この点、総理はどうですか。

小泉内閣総理大臣 それは、先ほどの報告にもありますように、自由民主党の調査で、そういう報道は一部にあったということは承知しておりますが、自民党の調査によって、そういうことはないと聞いております。

辻委員 昨年十二月十七日付の朝日新聞によれば……(発言する者あり)読売新聞を引用しましょうか、読売新聞もありますよ。産経新聞もありますよ。とりあえず今資料として皆さんのお手元に出しているのは朝日新聞です。

 これによれば、元宿仁さんは、国民政治協会を使って迂回献金が行われたことを認める供述をしていたことが関係者の話でわかった……(発言する者あり)だからこそ、だからこそ供述調書を取り寄せるんですよ。筆頭理事、それは取り寄せることに賛成だという意見ですよ、今のは。日歯連から議員名を指定した献金を受け取り、国民政治協会と党を経由してその議員に渡していたというふうにあります。

 これは、資料の四番、二〇〇一年の政治献金は全部で、数えただけで四億四千万、日歯連から国民政治協会に行っております。それは、受け取り先を指定した指定献金が行っているんですよ。

 これは、資料の四番で、この右の上に、七五九、七六〇、七六一、七六二、こういうふうに書いてあります。これが、要するに三千万を、この二〇〇一年の十一月二十日には、一千万、一千万、五百万、五百万という四つに分けて茶封筒に入れて、それを元宿さんに渡したと。そうすると、元宿さんは、それはそのまま四人にそれぞれ渡すのはまずいから、一たん自分が封筒をあけて三千万にして、それを国民政治協会に送金をする、日歯連の名前で送金をする、そして、その日歯連が自民党を経て四人のところに行くという、まさに一連の、最初にお金を出すと考えた人の意図が消されることなく伝わって、その指定した人に渡っているんですよ。

 こういう事実が自民党の中でもあるということ自体は認められるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 先ほどから答弁いたしておりますように、報道であるからあたかもそれが事実のように決めつけて、思い込みで言われるのはいかがなものでしょうか。

 私も、一度も言ったことがないのにあたかも言われたような報道は何度もあります。いわゆる虚偽報道、伝聞で。しかし、それは私はもうあきらめていますけれども。虚偽報道、抗議したって抗議し切れないし。まあ、せめて新聞の報道におきましては正確を期してもらいたいし、本当のことを言っても書いてくれないのは仕方ありませんけれども、言っていないことまで、うその報道はしないでくれと今記者さんにお願いしているんですよ。

 それはともかく、今のような新聞報道におきましても、自由民主党として調べた、調査した結果、そういういわゆる迂回献金はないという報告を受けております。

辻委員 報告を受けているというふうにおっしゃっているけれども、では、この二〇〇一年十一月二十日の問題は、もう昨年から民主党は自民党に対してもいろいろな形で質問をしているんですよ。迂回献金という、これは、指定献金という場合の具体例として具体的に言っているんですよ。

 だから、これについて、では具体的に調査されたんですか、その報告は受けているんですか、どちらですか。

小泉内閣総理大臣 国会で指摘される点、報道で言われる点、そういう点を調査した結果、ないという報告を受けております。

辻委員 疑惑とされるような問題が幾つか現に具体的に指摘されているんです。その真偽は、どこかで、司法判断で判断されるべき問題もあれば、議会の場で判断される問題もあるんですよ。それは判断の仕方の問題がある。しかし、少なくとも、そういう疑惑が存在をして、問題提起をされているんですよ。だから、それについて、問題を、きちっとそれは調査をしたのか。

 例えば、武部報告書に言われる、武部さんの調査の中で、そういう国民に問題提起をされている疑惑のあるいろいろな問題について、具体的に調査をしたのかどうなのか。この点はやはりきちっと答える責任があるんじゃないですか、自民党総裁として。その点、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 先ほど答弁いたしましたように、この委員会で言われている点、指摘された点、報道で言われている点、そういう点を含めて、実際に知っている立場にいる人に聞き取り調査等を含めた調査をして、いわゆる迂回献金はないという報告を受けているということを私は何回も答弁しておりますし、また報告書も提出しております。

辻委員 では、具体的に伺いますよ。迂回という定義について伺いますよ。

 この十一月九日の武部報告書によれば、結局、その最初の資金の提供者が国民政治協会に入った、国民政治協会から自民党に入る、そして、そこからだれかに行くということがあったとしても、それぞれは独立に判断しているんだと。国民政治協会は国民政治協会で独立に判断している、自民党もまた自民党でそれは独立に判断しているんだ、だから、それはつながりがないんだ、したがって、これは迂回献金ではないんだ、こういうふうに言っているんですよね。

 だとすると、当初の拠出者の意図がしっかりと伝わって、それがそのまま生かされるような形で献金が、流れがあったとすれば、これは迂回ですよね。これはそういうふうに定義していいんでしょう。まさに、これは国語の問題ですよ。迂回献金でしょう、これは。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 定義としてはそうなんでしょうけれども、しかし資金というのは、自民党の場合は一団体の資金じゃありませんから。幾つもの団体から資金の提供を受けて、いただいております。

 そういう際に、活動資金として特定の一つの団体から、自民党として一つの団体が提供しているというのが迂回献金であるというならば、そういうものはない。それぞれ総合的に、自由民主党としては、国民から提供された資金を有効に党勢拡大の資金として使っているということであります。

辻委員 これは、結局、国語的な問題として迂回献金ということを定義すれば、当初の拠出者の意向が、間に幾つかが入ったとしても、当初の目的どおり、その指定する人のところに届いたということがあれば、それは迂回してその人に献金をした、こういう事実なんですね。そういうことなんです。

 これは前回の質疑でもお示ししましたけれども、自民党東京都第八区選挙区支部の、石原さんのところの一例でありますけれども、二〇〇〇年から二〇〇二年にわたって、まさに四年間にわたって、これはわずか八日間から二十日間に、当初、石原さんあてというふうに指定されたお金が、間に財団国民政治協会や自民党を介して、結局本人のところに届いているんですよ。これは、国語的にいえば迂回献金にまさに該当する、当初の意図どおりだとすればですね。だから、そこはあとは証明の問題であり、事実関係の問題なんですよ。そこを究明する必要があるんではないですかと申し上げているんです。

 まず、そういう国語の問題として、迂回献金というのはそういう問題なんだという理解は、それでいいんでしょう。

小泉内閣総理大臣 個別、その案件、私は当事者でありませんからよくわかりません。しかし、一つの団体が一つの資金を扱っているということは考えられますけれども、自由民主党としては、一つの団体の資金だけを扱っているわけではございません。幾つもの団体からの資金の提供を受けております。そういう中で、どのように資金の提供をするか、それは党が判断することであります。

辻委員 これは問題点がはっきりしてきたと思うんですよね。結局、間に幾つかの何が介在しようが、当初の拠出者の意図どおりに、目的とする人のところに要するにお金が渡るかどうか、それを迂回と呼ぶか迂回と呼ばないかはともかくとして、そういうような金の流れで政治が影響されるということが問題なんだ。それがこの集中審議をやる目的なんだ。それについてどう網をかぶせるのか、どういうふうにそれを改善していくのか、それが問題なんだということが明らかになったと思いますよ。総理、それはそれでいいでしょう。

小泉内閣総理大臣 そういう議論について、よく各党で議論していただきたい。だから、そう言っているんです。私は、今のような議論、政治資金をいかに国民から提供を受けるか、それをいかに有効に使うかというのは、よく各党で議論をしていただきたい。

辻委員 だから、言葉として迂回と言うか迂回と言わないかはともかくとして、業界団体やいろいろな団体がだれそれ議員に渡してくれというふうに指定して渡すお金が、直接渡される場合もあれば第三者を一回介する場合もあるかもしれない、二回介する場合もあるかもしれない。しかしそれが、結局のところは最初に指定した人に渡れば、これはやはり、迂回献金というかどうかはともかく、そういう事実が今横行しているわけですよ。

 それの結果、政治の運営がゆがめられることがあってはならない。それは、すべてがゆがめられているわけではないですよ。だけれども、それで明らかに疑念が生じるような問題については、まさに政治が本当に国民の立場でしっかり議論をされているということがわかるためには、問題のある事案についてはやはり究明するというのは、これは当然の責務でしょう。これは総理大臣としての責務じゃないですか。そのことについてお認めいただけるというふうに思いますよ。

 だから、その上で、ではどうするのか。参考人招致でとりあえずやってみるのか、証人喚問をやるのか、だれをやるのか、だれからやるのかということは具体的に詰めていけばいいんですけれども、基本的にそういう方向でやるということについて、総理は当然賛同されますよね。約束してください。

小泉内閣総理大臣 いわゆる迂回献金はあってはならないということを何回も言っております。しかし、各党におきましても一団体の資金だけを受けているわけではありません。各政党、これは自民党も民主党も一つの団体からしか資金の提供を受けているわけではございません。たくさんの団体から政党活動に対しての資金提供を受けている。そういう中にあって、どのようにその活動を使うかというのは政党によって違います。額も違うし提供の仕方も違う。

 そういうことがあるから、迂回献金はあってはならないということはお互い共通の認識だと思いますけれども、それでは、どういう形で資金提供を受けるか、どういう点を資金提供を各議員に政党活動として提供するか、どの程度の額がいいのか、どの点は記載事項として必要なものか、あるいは記載する必要がないか、そういう点も含めて、私は、よく与野党で協議をしてくださいと。

 改善すべき点がないとは私は言っていませんよ。今の法律においてやるべきことと、そして、今の法律でやらない点であって書く必要のないこと、記載する必要のないこと、そのままでいいのか、あるいはどういう点を記載する必要があるかという点については、率直に私はこれから議論をしていただきたいということを言っているんです。

辻委員 だから、指定した巨額のお金が流れて、それが受け取られる、そして、それが政策に変な形で反映しているのではないかという疑念が抱かれた場合には、これは率直に、国会でそれは事実を究明しなきゃいけない。これは先ほど私が申し上げて、総理もそれは賛同されたわけですよ。だから、それはその次に、今回、この橋本派の問題についてどうしていくのかということが次に問題になるわけです。

 この点について改めて、資料を東京地検から取り寄せることを含めて、具体的な事実の解明を含めた行動を予算委員会としてとられるように、強く改めて申し入れをしておきたいと思います。

 この問題については、前回の百六十一回の臨時国会で、与党と民主党がそれぞれ法案を出しております。これは政治資金規正法改正案の問題でありますが、与党と民主党案において共通になっている、これは内容は違うんですけれども、政治団体間の寄附の制限、寄附の銀行振り込み等の義務づけ、これは与党も言っている。

 しかし、先ほど午前中に、自民党の内規がいつ決定されたのかよくわかりませんけれども、インターネットによる報告書の問題とかいろいろな問題について、民主党はさらに踏み込んだ政治資金規正法の改正案を出していたわけであります。とりわけ、迂回献金の禁止ということについて、やはり今の真相を究明するためにはそういう法改正が必要なんだということを言ってきました。

 その点を表にまとめましたけれども、政治団体間の寄附の制限については、自民党は結局、政党と政治資金団体については聖域化しているんですよ。ここについては上限を設けない。民主党は、そのことについては年間一億円以内という上限を設けております。その他の政治団体間だけを規制してお茶を濁している、これでは、本格的に今の政治をよくしようとする立場に自民党は立っていないということじゃないですか。

 これは迂回献金についての説明図でありますけれども、政党や政治資金団体やそのほかの第三者を通じて、最初の個人なり団体なりの寄附者の意図が結局特定の人に、そこまで届くということ、このことが弊害を生じる可能性がある、だからこれをやはりしっかり議論していこう、こういう問題なのであります。

 ですから、この政治と金の問題の集中審議は、もちろん政治資金規正法の改正ということについて反映させていかなければいけないし、そのためには、具体的に、今問題とされている橋本派のやみ献金問題について、やはり真相を究明する。何でこういう事態が生じるのか、それを改善するためにはどういう方策があるのか、何を努力しなければいけないのか、それを議論しなければいけないじゃないですか。

 そういう意味で、本当に証人喚問を実現させる、これは国民の要望ですよ。強い強い要望です。このことについて、総理、もう一度お答えください。

小泉内閣総理大臣 これは、現行の政治資金規正法でも、私はどういう事情で橋本元総理が日歯連から一億円の献金を受けたか知りません。しかし、あのときでも、現行の規正法でも届け出ればよかったわけでしょう。届けないということは、私は本人じゃないからわかりません。そういうことで今裁判中だと聞いております。だから、現行の政治資金規正法を守っていれば何でもなかった。

 そして、この政治資金規正法で、では何が不備かというのは、今、与野党で法案を出して議論をしているということじゃないですか。(辻委員「自分の考えを言わなきゃだめだ」と呼ぶ)それを、私は、個別のことは一々わかりませんから、よく、政治活動として、お互いは与野党の立場があるけれども、国民から信頼を得られるような形で協議を進めて、いい成案を得てくださいと言っているんです。

 政治活動、規正、規正というのは、正しく、制限するということよりも正しく報告しなさい。政治家に対してある程度信頼しないと、各党そうです、その幹部に一億円なり、まあ民主党の場合は十五億円か知りませんけれども、二億円なり三億円なりか知りませんけれども、それは各党は、政治資金が、その各党に対して信頼しているからこそ、政治活動に対して、どの分野に正しい報告をするか、それ以上は記載する必要ないかということでありますから、仮に個人個人にどの程度の報告記載の義務を与えるかというのと、信頼して必要としない事項を設けるかというのは、これはよく議論していただきたい。

 自民党のことばかり非難しますけれども、各党は、ある程度、何千万、何億という資金を与えて、それ以上の報告義務はないということで報告してないんじゃないですか。それを報告してないからおかしいというのを、自民党ばかり言っているけれども、野党もやっているじゃないですか。自分のことを棚に上げて。それはみんな政治資金規正法に認められていることなんです。

 だから、認められていることは認められているように報告はされている。報告はないからおかしい、おかしいと言ったら、疑惑がないのに疑惑があるかのようにやっていたら、これは政争争いになっちゃう、政争の具になっちゃう。そういうことをやめて、お互い胸襟を開いて、政治活動どうあるべきかと。お金を規制するのも必要だし、お金を自由に提供を受けることも大事、お金を国民に政策の広報のために、党勢の拡大のために使うことも必要なんです。バランスのとれた議論が私は必要だと言っているんです。

辻委員 結局、検察審査会の決定を重く受けとめるかどうかということについては、一言も自分の意見を言わない。そして、今の橋本派の献金、一億円のやみ献金問題について、これが本当に重要な問題である、これが放置されてはいけないかどうかということは一言も言わない。

 結局、ある事実があって、それについてどういうふうに受けとめるのかという議論をしなきゃいけないんですよ。そこで自分の意見を言わなきゃいけない。その結果、結論が変わってくること、それは立場が違うし、意見が違うことがあってもいい。しかし、この真ん中の議論をしなきゃだめなんですよ。それをことごとくネグレクトしているのが小泉政権、小泉首相ですよ、あなたですよ。まさにこれは迂回答弁と言ってもおかしくないぐらいのものですよ。

 私は、「忘れられない国会論戦」とか「国会審議から防衛論を読み解く」とか、今までの先人の、本当にしっかりした議論を勉強しようとして、本を読んで勉強しています。まさに国会の論議がそういうような煮詰まっていくような論議にならないのは、小泉さんの、あなたのそういう答弁の仕方が問題なんですよ。

 次に、杉浦官房副長官について、時間の関係で伺いますけれども。

 これは、まず一回目の訂正、二回目の訂正、そして、これは一月二十七日の記者会見から、永田議員、長妻議員、そして二月一日の報告書、二月七日、昨日の長妻議員、これは自民党からの寄附の性質について、考え方はくるっと変わっている。領収書についても二転三転している、はっきりしない。そして、杉浦後援会への寄附についても、これは職を賭してというふうに言っていたにもかかわらず、何日後ですか、変わっております。

 職を賭してというのは、この一月二十八日の議論のときに、どういう事実について職を賭して語ったんですか。そのことについてまずはっきり答えてください。

杉浦内閣官房副長官 私の政治資金収支報告書に誤った記載がございまして、二度にわたって修正いたしました。勘違いとか誤解とかあって修正したわけでございますが、これはもうあってはならないことでございまして、まことに申しわけないと思いますし、また同時に反省しているところでございます。

 御指摘の点につきましては、まず……(辻委員「違いますよ、職を賭してというのはどの点なのか答えてくださいよ。そんな時間稼ぎはやめてください。どの点に職を賭したんですか」と呼ぶ)

 お答えを申し上げております。

 第一回に清和研の経由で来た党活動費について訂正いたしました。それが一月二十六日でございます。その後、一月二十八日と思いますが、永田議員から、清和研の訂正について御説明を申し上げました。その際に永田議員から、これは通告外だったんですけれども、この清和研以外の寄附について質問があったわけでございます。

 その際に、通告外のことでございますからよく調べて答弁しますということでよかったと今は反省しておりますが、後ほど調査した上でと申し上げながら、通告外の事項につきまして、誤った記憶でございますとか勘違いで、いわば迷走した答弁をしたということでございまして、大変申しわけなく思っておる次第でございます。

甘利委員長 時間がありませんから、簡潔に。

辻委員 端的に答えてほしいんだけれども、職を賭して答えたのに、その後、本当にくるくる変わっているんですよ。

 きょうの発言は職を賭しているんですか。では、きょう発言していることについて、後日違うことが生じたり訂正になったら、これは本当に辞表を出すんですね。どうなんですか。その点、はっきりさせてくださいよ。職を賭して答えてください。

甘利委員長 時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。

杉浦内閣官房副長官 いつも誠実にお答え申し上げております。

 過ちを改むるにはばかることはない、間違ったわけでございますから、訂正して誠実におわびを申し上げておる次第でございます。

辻委員 立法調査費を千七百万出しているということは、これは制限をオーバーしているんじゃないですか。この点はいかがなんですか。最後に質問します。答えてください。

甘利委員長 時間が来ております。ごく簡潔にお願いします。

杉浦内閣官房副長官 平成十二年の選挙における選挙運動費用につきましては、選挙運動費用収支報告書に記載のとおりでございまして、その金額は法定選挙費に達しておりません。何ら問題はないと考えております。

甘利委員長 これにて佐々木君、永田君、辻君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 日本歯科医師連盟から自民党最大派閥の旧橋本派の会長でありました橋本龍太郎元総理への一億円裏金事件は、国民に大きな衝撃を与えました。会計責任者であった滝川氏に対する判決文、その判決文を見ますと、このように書いております。

 このような犯行が、与党所属の、つまり自民党所属の国会議員多数が加入する政治団体の収支報告書に関して行われたということで、その政治資金の流れについて国民に多大の疑惑を抱かせた、このように書いているわけです。

 こう書いているだけではなくて、重要なのは、受け取った人が自民党の元総裁、元総理大臣、その場にいたとされる野中広務氏は自民党の元幹事長、青木幹雄氏は自民党の現在の参議院会長を務めておられます。日本の政治に大変大きな影響を及ぼし得る自民党の中心的な存在でございます。

 小泉総理にお聞きしますけれども、この事件は国民に多大の疑惑を抱かせた極めて重大な事件でありますが、そういう認識はおありかどうか、まずお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 不自然な、不透明な事件であるという認識はございます。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

佐々木(憲)委員 問題は、この一億円ものお金をどのような目的で渡したのか。日歯連の臼田、内田両被告人に対する冒頭陳述を見ますと、こういうところがございます。

 被告人臼田は、平成十三年五月ころ、今後、日歯連盟から歯科医療政策の陳情などをするためには、自由民主党最大派閥である平成研の幹部との関係を修復しておく必要があると考え、会食が持たれることになったと。被告人臼田は、平成研の幹部との関係修復のため、この際、多額の寄附をしておこうと考え、平成研に対する寄附の金額を一億円と決め、その準備を被告人内田に指示し、被告人内田は、平成十三年七月二日、金額一億円の預金小切手を準備した、このように書いているわけです。

 総理に伺いますけれども、自民党の有力派閥橋本派、元総理、幹事長、参議院幹事長、官房長官、こういう自民党政権の中枢にあった政治家のかかわった事件でございます。どういう意図で、どういう目的でこの一億円というものが流れたのか、これはきちんと調査するというのがやはり総理・総裁の、当然、責任ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、その団体、その政治家によってそれぞれ違います。個人として、どういう団体から、どのくらいの資金を提供するか、全部違いますから。これは自民党の問題といいますか、個人の問題でありますので、私はその事情は知りませんし、資金を提供した意図もよくわかりません。

佐々木(憲)委員 今の答弁は大変他人事といいますか、自民党のまさに中枢にいた人たち、総理あるいは総裁を務めた方、幹事長、こういう方々がかかわった事件です。それを、これは個人の問題だ、私は全然やる気がないというんじゃ、これは自浄能力が問われるわけですよ。

 私は、一億円というものが、これが効果があったのか、実はここに日歯連盟だより第六号というのを、コピーを持ってきております。ここに何が書かれているか。

 平成十五年三月末、自民党の野中広務衆議院議員と青木幹雄参議院議員、それに古賀誠衆議院議員を招き、さきの日歯代議員会と日歯連評議会において双方の会長に再選された臼田貞夫会長を囲んでの座談会を開催した。この座談会の中身が問題なんです、中身が。

 野中氏はこう言っているんです。「今後も青木先生、古賀先生ともども、ご一緒にいろいろと協力させてもらいたいと思います。」つまり、一億円を受け取ったその後の座談会であります。青木氏はこう言っているんですね。「いま野中先生が言われたことに尽きる」「ぜひ、職域代表を参議院に送っていただけるよう、皆さんにお願いいたします。」古賀氏はこう言っているんです。「ぜひ、日本歯科医師連盟から立派な参議院議員候補者をお決めいただきまして、われわれの同志として職域を代表して国政で活躍してほしい。」これに対して日歯連の副理事長はこう言っているんです。「今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。」さらに、古賀氏はこういうことを言っているんですね。「かかりつけ初診に関しては平成十二年度からの実施でしたね。」臼田氏は、「厚生労働省も二〜三十年前はやらなかったことを、いまになって局長通知を出してくれて前進いたしました。」これに対して古賀氏は、「野中先生と青木先生に大いにバックアップしていただきまして。」というふうに述べているんです。

 これは、まさにこの一億円事件、この直後に行われた座談会、それまでは非常に冷たい関係であったけれども、しかし関係修復によってお互い親密な関係になった、それで、こういう座談会を開いて、このようなことが話されているわけであります。

 こうなりますと、総理は先ほど、自浄能力をどうも発揮されるような立場ではない、そういう答弁がありました。そこで私は、国会がこういう問題についてしっかりと議論をする、真相を究明するということが大事だと思うわけです。

 そこで、委員長にお願いをしたい。

 真相を究明し、政治的道義的責任を明らかにするために、一億円を受け取った本人である橋本元総理、現場にいたとされている野中広務、青木幹雄、それに、証人喚問に応じてもよいと言っている村岡兼造元官房長官、処理について相談を受けたとされる元宿事務局長、さらに平成研の会計責任者の滝川氏、そして渡した側である日歯連の臼田前会長、内田前会計責任者、以上七人を証人として喚問するように要求いたします。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

甘利委員長 理事会で協議いたします。

佐々木(憲)委員 今度の事件は、公益法人とその政治団体のあり方について、根本的な問題を私は提起していると思います。

 総務大臣にお聞きします。

 国から補助金などを受け取っている会社、団体、その中には公益法人もありますけれども、公益法人というのは、政治資金、政治献金、これはできませんね。その理由について説明をしていただきたいと思います。

麻生国務大臣 その規定の制定の趣旨いかんということなんだと存じますけれども、これは政治資金規正法第二十二条三の第一におきまして、国から直接補助金などの交付の決定を受けた会社その他の法人は、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされている、この法律のことだと思いますが、この規定は、国から補助金等の交付を受ける会社その他の法人との政治資金のいわゆる授受、受け渡しというものは、補助金の決定などをめぐり不明瞭な関係を生じさせる危険性があるということにかんがみて、このような会社その他の法人が行う政治活動の寄附については規制をしようとするものであったというのがこの法律が立法された趣旨、背景だと承知しております。

佐々木(憲)委員 今紹介していただきましたように、国民の税金を補助金などの形で受け取っているそういう法人、公益法人、この場合は日本歯科医師会、日歯でありますけれども、それは、政治献金をするとなりますと不明朗な関係が出てくる、したがいまして、そういうことをやってはならないという規定になっているわけです。

 しかし、問題は、この公益法人が政治団体をつくる、例えば日本歯科医師連盟、こういう政治団体をつくりますと、そこを通じて自由に献金ができる、こういう形になっているわけです。これは非常におかしいと思うんですね。

 私、ここにパネルを持ってきましたけれども、例えば、公益法人が政治団体日本歯科医師連盟というものをつくります。これがこの五年間で、調べてみますと、二十五億円、自民党の政治資金団体、国民政治協会に流れているわけです。これが全体の収入の一〇%、一割を占めている。最大の業界献金団体になっているわけです。これが自民党の、政治献金として自民党に流れている。私は、この関係というのは大変重大だと思うんです。

 といいますのは、これはまさに、公益法人が政治団体をつくりますと脱法的な仕掛けができ上がる、政治団体と公益法人を一体化して、その会員の会費を一本化して集めていく、こういうやり方がこの間、問題になったわけです。

 私は、昨年二月の予算委員会でこの問題を取り上げました。代表者も同じ、住所も同じ、電話も同じ、こういうやり方はまるきり一体じゃないかと。そこで、厚生労働大臣に私は、二つのこういう団体は峻別すべきだ、区分けすべきだ、こういうことで質問をいたしました。そうしますと、厚生労働大臣は、当然そうすべきだと。

 当然これは、三年前からこういう問題はずっと問題になっているんですから、言われる前にやるべきなんですが、昨年調査をし、具体的な指導もされたということなんですが、成果は上がったんでしょうか。調査結果、簡潔に述べていただきたい。

尾辻国務大臣 お話しのように、公益法人の活動と政治活動に関する寄附を行う団体の活動とは峻別をしなければなりません。

 そうした観点から、昨年の四月でございますけれども、各都道府県に対して、医師会、歯科医師会、看護協会について、公益法人と政治団体の活動が一体であるかのような誤解を与える事例の有無について、あるかなしかについて調査を行った上で、不適切な事例があった場合には当該公益法人に対して改善指導を行うように依頼をいたしました。都道府県に対して調査をしてくれ、それで不適切な場合があったらちゃんと改善するようにということを言いました。

 数字を申し上げますか。(佐々木(憲)委員「はい」と呼ぶ)そこで、千三百五十九法人を対象として行いました。不適切な例を挙げたんですけれども、それに当たるか当たらないかということでございますが、そのことでいいますと、公益法人と政治団体の会費の振り込み先を公益法人名義の同一の銀行口座としていた事例、それから、公益法人のファクス、封筒等を用いて会員に対して政治団体の会費納入を依頼していた事例、これが該当事例が一番多いものでございまして、それぞれに九十九法人、八十四法人という答えでございます。

佐々木(憲)委員 それ以外にもさまざまな問題がありまして、私は、厚労省から資料をいただきました。時間の関係でそれをまとめて言いますと、三百七十五法人に問題があった。是正したのは三分の一にも達していないんですよ、三一・七%しか是正されていない。

 しかも、今資料をお配りしておりますけれども、本当にこれは、いまだに代表、住所が一緒、振り込み口座も一緒という、しかも領収書まで一緒だ、こういう問題があるというのが二十道府県ありました。そのうち改善済みというのは五つしかないんです、五つ。

 例えば、福島県の場合を見ていただきますと、公益法人と政治団体の会費の振り込み先を公益法人名義の同一の銀行口座としていた事例、あるいは、領収書、政治団体の会費をあわせて記載していた、あるいは、公益法人の事務所が政党、これはつまり自民党ですね、入党申込書の送付先となっていた。これに対して指導はどうか。指導がなかった。つまり指導していないんです、これに対して。是正もされていないんです。

 あるいは、宮城などは、これも今言ったような事例が挙がっておりまして、是正をするようにという指導があったけれども、いまだに是正されていない。

 こういう形で、これはもうほとんど、問題にされていながら何らの是正も行われていないというのが実態なんですよ。二つが文字どおり表裏一体、分けようがない、こういう関係になっているのではないか。

 私は、昨年末、日本歯科医師会の会長さんに会いました、実際に。この会長さんは前の日歯連の副会長をやっていました。聞いたんですね。日歯の会長さんは、歯科医師会が政治活動をやる必要があるんだ、こう言っていました。それで、政治活動は公益法人でもできるんですよ、何で団体をつくるんですか、別団体をと聞いたんです。そうしましたら、いや、公益法人だから献金ができないので、それで日歯連という政治団体をつくったんだと。ですから、政治団体をつくるという意味は、まさに政治献金をするためのものなんです。

 ですから、そこに一番の問題があるわけでありまして、やはりここの調査を、私は、ただ峻別という問題だけではなくて、その根本にある政治をお金で動かすという仕掛け、こういうものを公益法人がつくるということが非常に問題がある、そういう認識はおありかどうか、この点、お聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 私どもの立場で申し上げられますことは、今の例でいいますと、歯科医師会は監督すべき立場でございます。ただ、政治連盟になりますと、これは私どもの手を離れる立場でございますので、私どもが何か直接言えるものではないということでございます。

 そこで、峻別をしなきゃいけない、こういうふうにかねて言っておるところであります。

佐々木(憲)委員 総理にお聞きします。

 私は、三年前の予算委員会で、国民の税金を使って仕事をする会社、団体からの献金については規制すべきではないか、これは公益法人ではなくて公共事業受注企業の問題に関連をして質問しました。これに対して総理は、そういう点も含めて検討したい、こういうふうにおっしゃいました。つまり、国民の税金で仕事をする、公共事業であろうが、あるいは公益法人であろうが、そういう団体からの献金はもらわない、こういう姿勢を鮮明にすべきだというふうに思っております。

 総理のこの点での決意、最後にお聞きをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この問題についても前に答弁いたしましたけれども、規制の対象となる企業等の範囲の限定が難しい面があります。ですから、同一企業等から同一の政党支部に対する年間の寄附額に上限を設ける内容となっております。この点について野党の案とは若干違うということも承知しておりますので、今後、公共事業等の範囲の限定をどうするか、上限額はどうするか、そういう点につきましても、各党で十分私は協議をしていただきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 企業・団体献金は禁止するということに踏み出すべきだということを最後に申し上げまして、終わります。

甘利委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、NHKの放送も入りまして、国民環視の中で政治と金の問題が、午前中二時間、午後二時間審議されております。私に残された時間、あと九分三十秒くらいだと思いますが、まず総理に冒頭伺います。

 きょうの論議の中で総理も繰り返しおっしゃっていましたが、これで果たして国民にとってこの政治と金という問題が何か見えてきたのか、それとも、相変わらず政治家の中だけでお互いが批判し合っているというような形に終わってしまっているのではないか。総理の発言を先ほど来承りますと、そのようにもおっしゃっているように思います。

 私は、国民が求めるまず第一、九割の国民が、橋本元総理の証人喚問、みんな言うことが違ってやぶの中状態だ。やはり、国民が知りたい、まずここの不明朗な状態から明らかにしてほしいと思っていることと、本日のこの審議と両方兼ね合わせて、国民にこたえる政治家の、特に責任者である総理としてどうお考えか、一点目、伺います。

小泉内閣総理大臣 この証人喚問の問題については、今与野党が真剣に協議しているということを伺っております。これはもう何人も質問に立たれまして同じような質問をされておりますので、私も同じような答弁しかないんですけれども、これは、与党の議員も野党の議員もそれぞれ理事会等で毎日のように議論されていると思いますので、そこに、私としては、皆さんの議論をよく今後見守っていきたいと思っております。

阿部委員 やはり今、国民が政治を信頼するために絶対に必要な一項目めは、橋本元総理の証人喚問でございます。与野党が一生懸命論議している。そして、求めている国民の九割の声がある。であるならば、やはり総理はみずから決断すべきである。このことを私は、もう問いかけても同じですから、一点目に指摘させていただきます。

 引き続いて、いわゆる橋本元総理に渡りました一億円、日本歯科医師政治連盟から渡りました。総理はいつも、団体からの献金はおのおのその団体がしかるべく処理しておるというふうにおっしゃいますが、実は団体というものは、それを構成する個人を抜きにしてはございません。

 私が本日取り上げたいのは、果たして日本歯科医師政治連盟を構成する個々人は、どのような思想、信条の自由が保障されていたか。簡単に言えば、歯科医師さんの中で、自分は日本歯科医師政治連盟に入りたくないのに、歯科医師会の入会のときに同時に手続される。あるいは、この橋本総理の一連の事件の後、脱会を申し出た方が、日本歯科医師会の方から脱会が認められない。日本歯科医師会と日本歯科医師政治連盟は一体的に脱会と入会をせよというふうに主張されておりました、日本歯科医師会の主張です。

 尾辻大臣、御存じでしょうか。

尾辻国務大臣 具体的な事例については承知をいたしておりません。

阿部委員 やはり、公益法人である日本歯科医師会、これは日本医師会も後ほど問題にしますが、それを管轄する厚生労働省として、きっちり知っておいてほしいと思います。

 実は、二〇〇三年の十月に大津判決というのがございまして、日本歯科医師会を脱会したいという歯科医師が、この判決によってやっと脱会することができました。日本歯科医師政治連盟には入りたくない、だったら歯科医師会も抜けなさい、こういう論調がずっと続いておりました。個人がきっちりと思想、信条の自由を守れないような形で団体がつくられ、献金がされ、自民党に入党、こういう形になっております。

 ここで尾辻大臣に、しっかりとこの事例はお調べいただきまして、もう判決も出ておりますし、日本歯科医師会の方もこれを認めましたので、厚生労働省としても、預かる省庁ですから、自覚していただきたいと思います。

 そして、私がさきの厚生労働委員会で尾辻大臣にお尋ね申し上げましたが、先ほどの佐々木委員も御指摘ですが、政治連盟と、例えば日本医師会と日本医師政治連盟の代表者が同じであることは望ましくないと尾辻大臣が御答弁なさいました。

 では、現在、日本医師会の代表者と日本医師政治連盟の代表者はかわりましたでしょうか。

尾辻国務大臣 日本医師会について申し上げますと、代表者と政治連盟の代表者は同一人物でございます。

 それから、歯科医師会については、日本歯科医師会と日本医師連盟、政治団体の代表者は別になっております。

阿部委員 この日本医師会と日本医師政治連盟の代表者が同じであることについては、尾辻大臣も、前坂口厚生労働大臣も二〇〇三年六月十三日の衆議院厚生労働委員会で、望ましくないという御発言でございます。もう一年半を経過しております。先ほど佐々木委員の御指摘のように、幾ら改善勧告しても改善されないのであれば、当然、その公益法人を管理する厚生労働省の管理監督の問題に帰してまいります。

 私も実は日本医師会に加入しております。しかし、それが、政治連盟をつくって、ある政党に政治献金するという形に納得し得ませんので、この代表者が同じで、同じところに事務所を置いて、封筒が同じで、電話が同じで、もしかして会計責任者も同じでというような構造は早急に是正していただきたいが、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 そういう団体について、公益法人と政治団体、誤解を受けないような形で運営される方が私は望ましいと思っております。

阿部委員 KSD事件が、私がこの国会に当選させていただいて早々にありました。このときも、KSDという公益法人と、そこから自民党への入党、幽霊党員の問題、ずっと同じ構造が、政治連盟と公益法人の中で続いております。

 これはやはり総理自身がきちんとリーダーシップをとって、国民にわかる形で公益性のある法人の運営を、そして、まして、言わせていただければ、日本医師会あるいは日本歯科医師会は全部、診療報酬という国民の保険料と税金を投入した中で成り立っている、極めて公益性の高い法人でございます。

 このことがきっちりと、私は、システムとしても、代表者を別にする、会計責任者を別にする、きちんとした会計監査をする、そのことがやはり入り口の、ずっと出口論議でございました。どこにお金が渡った、これも一方で重要です。しかし、金がどうやって集められているか、このことがすごく重要と思いますので、最後に総理の、私が今問いかけました点について、さらに踏み込んだ答弁をお願いします。ここは総理の決断なくしてないことです。ずっと続いています。

小泉内閣総理大臣 今お話しの公益法人も含めて、それから労働組合も、国家公務員、地方公務員、選挙活動、政治活動を厳しく制限されています。同じ人物が政治活動、選挙運動をやっている例が労働組合においても多い。今の公益法人も含めて、これは今後とも、与党、野党、あるべき政治活動についてよく協議をしていただきたいと思っております。

阿部委員 あっちもこっちも悪いからといって、そこで論議を終わらせてしまっては改革になりません。総理のリーダーシップを期待して、終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


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