衆議院

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第9号 平成17年2月9日(水曜日)

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平成十七年二月九日(水曜日)

    午前十一時十四分開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    大島 理森君

      加藤 勝信君    川上 義博君

      北村 直人君    小泉 龍司君

      後藤田正純君    谷  公一君

      谷川 弥一君    玉沢徳一郎君

      中馬 弘毅君    津島 雄二君

      中西 一善君    西川 京子君

      西村 康稔君    西銘恒三郎君

      根本  匠君    萩生田光一君

      萩野 浩基君    馳   浩君

      早川 忠孝君    原田 令嗣君

      二田 孝治君    村井  仁君

      森田  一君    佐藤 茂樹君

      田端 正広君    古屋 範子君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (防災担当)       村田 吉隆君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   内閣府副大臣       七条  明君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮家 邦彦君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  矢部  哲君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     西村 康稔君

  大島 理森君     西銘恒三郎君

  河村 建夫君     川上 義博君

  小泉 龍司君     中西 一善君

  津島 雄二君     原田 令嗣君

  西川 京子君     谷  公一君

  萩野 浩基君     加藤 勝信君

  福田 康夫君     早川 忠孝君

  坂口  力君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     馳   浩君

  川上 義博君     河村 建夫君

  谷  公一君     西川 京子君

  中西 一善君     小泉 龍司君

  西村 康稔君     萩生田光一君

  西銘恒三郎君     大島 理森君

  早川 忠孝君     谷川 弥一君

  原田 令嗣君     津島 雄二君

  古屋 範子君     坂口  力君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 弥一君     福田 康夫君

  萩生田光一君     尾身 幸次君

  馳   浩君     萩野 浩基君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 ただいま、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

甘利委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四分開議

甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

甘利委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、総務省郵政行政局長清水英雄君、外務省大臣官房参事官宮家邦彦君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、外務省北米局長河相周夫君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、水産庁長官田原文夫君、国土交通省海事局長矢部哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 実は、民主党を初め、私の質問のときにいないというのは、これが、おととしの秋初めて当選して以来、三回目でございます。初めて本会議に登壇させていただきましたのが昨年の四月十六日でございましたが、気合いを入れて登壇したのはよかったんですが、年金法案で審議拒否ということで、左半分がほとんど空という状況でございました。それから三日後、武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会で小泉総理に初めて質問をさせていただいたわけでございますが、またもや年金法案で、きょうと同じ、右半分がほとんどいないという状況でございました。

 二度あることは三度あると申しますけれども、こんなことでいいんだろうかと、私も長年サラリーマンをしておりましたが、こういうことで多額の税金を使って国民にきちんと説明ができるのかという思いであります。何か国会は、野党天国といいますか、余りにも審議ということに、真摯に参加といいますか、そういうあれがどうかな、いわゆるこういう体質というのを変えていただきたいということをまず申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それで、たとえ野党、民主党、社民党がいなくても、与党でもきちんとした質問をしているという意味を示したいということもございまして、以下、地方自治にかかわる問題、防災行政にかかわる問題、外交の問題、三点についてお尋ねをしたいと思います。

 まず最初に、大阪市の職員のいわゆる厚遇問題といいますか、大変手厚い手当とか、いわゆるやみ給与と言われる問題について、総務大臣にお尋ねしたいと思います。

 最近の新聞が、実は私も長年兵庫県庁におりましたので、大変地方公務員に対し、地方公務員というよりもむしろ大阪市の職員に、新聞の見出しは大変激しい見出しになっております。例えば「公務員というより寄生虫やないか」とか、「市役所は大阪市から出て行け」とか、「大阪役人天国 労使蜜月が生んだ常識外れの措置」とか、「まるで官製詐欺」とか、「大阪市役所 税金も食い倒れか?」と、いわばさんざんであります。

 確かに、いろいろな実例を見ますと、余りにもひどい実例が多々報道されているところでございます。例えば、最近十一年間に、公費三百億余りを投じて条例にないやみ退職金、年金、一人当たり約三百八十万円を二万人に支給しているとか、それから市の職員に二十二年間で掛金百億円を公費で負担しているとか、あるいは、本来は危険な業務などに出る特殊勤務手当、月平均約一万四千円を業務内容に関係なく水道局の係長以下の全員に支給しているとか、あるいは全庁的な空残業も発覚する、こういうぐあいであります。

 実は、昨年、総務省は、年末でございましたが、特殊勤務手当の実態を取りまとめ、その調査結果を公表しております。しかし、総務省がいろいろ調査をして公表したとしても、今回の大阪の例に見られるごとく、なかなか、自治体の自助努力だけでは本当にうまくいくのかな、もっと今まで以上に総務省の方でも強いリーダーシップというのか、指導というのが必要なのではないかというふうに思います。例えば、今全国の自治体で年一回、給与の状況などを公表しているわけでございますけれども、その公表をもっと詳細にして、例えばすべての手当の趣旨と支給実績を公表するとか、あるいは職員一人当たり年間どれぐらい支出しているのか、そういったことも明らかにするというようなことも私は必要なのではないかというふうに思います。

 総務省の方では、先ほどお話しさせていただきましたように、特殊勤務手当の状況についても公表はしているんですけれども、今後その強力なフォローアップということも必要かと思いますが、まず大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 地方公務員の給与にお尋ねがあっておりますが、昨年の五月、総務省をして都道府県並びに政令指定都市に対して実態調査の依頼をいたしております。報告を受けましたのが七月、それを精査いたしまして公表いたしましたのが、今、谷先生おっしゃるとおり、昨年の十二月に、これを総合的な点検をさせていただいた上で通知をいたしております。

 内容につきましては、今おっしゃるとおりに、これはいろいろな問題が多々出てきておりまして、調理師手当などというものが調理師につくなどというのは、これはおかしいんじゃないか。本来調理をするために採用された者に調理師手当などというものは、これはどう考えてもおかしいし、水道事務所の職員は水道メーターの検針をするのが職務なんですが、検針手当などというのは、これはどう考えたってというような幾つもの指摘をさせていただいた上で公表をいたしております。

 公表をいたしました結果、いろいろな意味で論議が沸き起こっておりますのは御存じのとおりで、今激しく出てきておりますのが、多分大阪市がその最たる例なんだと思いますが、私どもといたしましては、こういったことを公表させていただいた結果、世論を喚起することができたんだと思っております。

 このほかにも、今退職金の話が出ておりましたけれども、この市は退職金も不必要に高いのではないかということを申し上げた結果、国家公務員よりはるかに高いなどというのはおかしいということを申し上げた結果、その退職金は減ったんですけれども、こちらに別に、互助年金の部分の利益の方からこっちに回してというのが今言われた数字なんだと思っておりますが、そういった形で、これはいろいろな形で問題が出てきたことは確かだと思っております。

 先生は地方公務員をやっておられましたので御存じのところなんですが、地方公共団体に奉職しておられる地方公務員の福利厚生事業費につきましては、これは、福利厚生という名のもとに地方公共団体がそれぞれ自主的にしておられるという形になっておりますので、地方自治との関係もありまして、一方的にこちらがこれはどうとかと言うのはいかがなものかというのが率直なところではあります。しかし、今回、どう考えても、ちょっとこれは普通ではないのではないかという御質問が、過日の本会議でも公明党草川代議士の方から出ておりまして、歩いて通勤する人には徒歩手当などというのが出ているのが愛知県下にあるというのを、愛知県の例として本会議で発言をしておられます。

 いずれにいたしましても、こういったものは、地域住民の方々が払っておられる税金の中から賄われておるわけですので、そういった意味では、地域住民の十分な理解が得られるか、またそれを、予算を審議しておられるはずですので、その予算を審議しておられる地方選出の議員の方々、市会議員、県会議員、いろいろいらっしゃると思いますが、そういった方々が代表としてチェックをしておられるはずでもありますので、そういった方々の御参考に資するというところから始めないと、いきなりこちらからというのはいかがなものかという感じはいたしております。

 いずれにいたしましても、こういった例は、きちんとした上でやっていきませんと、地方自治の信頼にかかわる大事なところだと思っております。

谷委員 確かに、今大臣の答弁がございましたように、地方自治との関係もあろうかと思います。ただ、大阪の場合は、新聞報道によれば、一月二十四日から大阪国税局が調査に入った、一斉に税務調査に入ったという、考えてみればとても恥ずべき行為だと思うんです。余りにもひどい、それで、これはやみ給与じゃないかということで、さすがに国税局が調査に入った。

 こういう実態を見るにつけ、地方自治はもちろん尊重しなければなりませんが、やはりもう少し積極的に、何らかの、情報開示も含めた総務省の取り組みがぜひ欲しいところでございますが、再度大臣の御答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりの事態になっております。御存じのように、一つの市がありますと、ほかに通常三千と言われます市町村、約三千弱のところも皆同じじゃないかというようなことを言われると、これはほかの地方団体にとりましては甚だ迷惑のきわみだと存じます。

 事実、今、昔は大阪市を含めましてラスパイレス指数がやたら高かったんですが、昨年の十二月末で、この種の調査を始めて以来初めて、ラスパイレス指数は一〇〇を切っております。九七・幾つ、低いところで七四・九、そういったところまで出てきております。

 国家公務員に準ずるものより著しく低くなるほど努力しておられる市、町というのもあるのであって、そういった努力をしておられる方々と、全く努力どころか、さらに放漫な形になっておられるところとの差によって、まじめに努力をしておられるところが甚だしく不利益をこうむるというようなことは、市町村を経営する地方自治という立場に立ちますと、一つの市の例によって他の市も同じようなものだと思われるのは、これは何となく公平さというか、どう考えたって割のいい話ではありませんので、きちんとした形で、これは今、市が目下努力をしておられる真っ最中だと思いますけれども、今後、この市の努力がさらにきちんとしたものになるかどうかは、さらにきちんと見守ってフォローしていきたいと思っております。

谷委員 今、大臣の御答弁の中にもあったんですけれども、こういう大阪市に見られるような例が、地方分権、国から地方へと言っても、やはり地方にそういう税源、財源を移したとしても、何するかわからないというような声も強くなって、結果的に地方分権を阻害する大きなことになりはしないかという意味で大変憂慮しているわけであります。

 今回のそういう報道の中で、鳥取県の片山知事が、公務員の給与や処遇は納税者の理解と納得を得られるものでないといけない、労使がつるんで隠れていい目を見ることが許される時代ではない、行政に必要なのは、透明性の徹底と説明責任、日常的なチェックだというふうにコメントしておりましたが、私も全くそのとおりだと思います。

 もう一度、地方分権を進める総務大臣としての立場から、今後の取り組みといいますか、御決意をお聞かせ願えればというふうに思います。

麻生国務大臣 鳥取県知事のお話でありましたけれども、仮にも、公的な税金をもとにして、いろいろ預かっておりますお金をもとにして、その県なりその市の市民、県民の行政等々を賄うという責任を負っておりますのは市長であり、また市議会であろうと存じます。

 いずれにいたしましても、こういったことがきちんとなされませんと、明治四年この方、廃藩置県以来、中央集権でやってまいりました日本という国が、少なくとも平成十二年度、地方分権一括法以来、地方分権、地域主権という方向に大きくかじをとり、昨年からいわゆる三位一体などなど、いろいろ税源、財源の裏づけをし、いろいろな形で、今その方向に大きくかじを切って、今、国の形というものがそういった形に、地域主権の形にやっている真っ最中でもあります。その中にあって、一部の市町村のおかげでこの流れにさお差されるというのは、これは非常に大きな問題であろうと思いますので、私どもとして、今言われましたように、説明責任並びに透明性の確保というものは、これはきちんと税金を払っておられます県民、市民、町村民に対しての説明がきちんとできる透明性というものは第一と考えて、今後とも任務の遂行をさせていきたいと思っております。

谷委員 次に、総務大臣に郵便局についてお尋ねをしたいと思います。竹中大臣ではなくて、大変広い視野を持った総務大臣にぜひ見解をお尋ねしたいというふうに思います。

 実は、正月に私は、大阪の梅田で、ある学会で、郵政民営化のシンポジウムで民営化慎重論者として出たわけでございます。東大の伊藤教授などが民営化推進論者の立場で、やや議論もすれ違いに終わったところがあるんですが、私がそのシンポジウムでも主張させていただいたのは、郵便局というのは、マクロの金融政策だけではなくて、地域の、そこに住んでおられる人々の目線で考えなければならない。

 そういう目線で考えると、特に地方においては、郵便局のネットワークの維持ということも必要だし、郵便だけではなくて、貯金、簡保も含めたいわゆる三事業一体を維持することは地域の住民の方の生活インフラを確保することでもあるし、それからまた、地元の市町村長などがどう評価しているかということは、この前、郵便局ファンの会、元明大総長の岡野先生がたしか会長だったと思いますが、その会のアンケートの調査でも明らかだと思うんですけれども、その点についての総務大臣の所見といいますか、お考えをお聞かせ願えればというふうに思います。

麻生国務大臣 今、地域のネットワークというお話が出ましたけれども、これは社会的インフラとしては大きなものだと存じます。

 いろいろ宅配便等々、確かに発達しておりますのも確かですが、過日、中越地震の避難所というのを視察に行ったときに、たまたまアナウンスがあって、今から到着しております郵便を配達しますからと。避難所がごった返している中にどうやって郵便配達をするのかなと思って、ちょっと興味がありましたものですから、その後の予定をちょっと延ばしてもらってじっと見ていたんですけれども、郵便配達の人が二人入ってきて、顔を見ながら、ああ谷さん、どうしている、はい、実家から何とかですよと、顔を見ながら全部届けるんですよね。どこの村のだれだれさんがどの避難所に行っているかというのを顔で判断できるというのは、これは物すごく大きなインフラ、信用力だと、率直にそれを見ていてそう思いました。

 ちなみに、東京へ帰って、その市に対して、ほかのいわゆる配達会社はどうやって配達するのかなと思って、聞いてみたんですが、配達は受け付けない。片っ方は受け付けない、片っ方は受け取っておいてきちんと顔を見ながら配れるというのは、これは、郵便局は人のうちの冷蔵庫の中まで何が入っているかよく知っていますよと言われた昔の話を思い出して、大したものだと、率直にそのときはそう思いました。そういった意味では、インフラとしてはすごいです。私もそれはそう思います。

 したがって、今回、民営化ということの方向に行きましたときに、今、現状で二万四千七百十五かな、二万四千の郵便局というのが特定郵便局を含めてあるんですが、これを民営化というときは、当然のこととして、効率とか営利とかいう考え方が入ってきます。合理化されるのは民営化された以上は当然のことだと存じますが、問題は、同じように民営化をした例としてよく引かれますドイツの例を引きますと、約二万九千ありました郵便局というものが一万二千六百八十三まで下がったというのが、たしかあそこの国の実態。これは十二年か十三年間でそれだけ減っております。現実、これ以上減らすことは禁止という法律を後からつくるという形になりましたので、私は、あれは余り成功した例だと思っていないんです。

 いずれにいたしましても、そういう住民福祉の面とか利用者の利便というものを考えてみた場合に、また社会的安心、安全という意味のインフラ、さらに言えば、町村合併が進んでまいりますので、私、就任いたしましたときに、町村の数は三千百八十三だったと思いますが、一月末で二千三百三十三まで減っております。そういった意味で、約八百少々の町が減少して市なり町なりになったということなんですが、そういうところになりますと、そこに住んでいる過疎の地域におきましては、その地域において最も頼りになるいわゆる公的機関とすると、多分郵便局という確率は極めて高くなるだろうと思っております。

 したがって、そういった郵便局におきまして、例えば住民登録とか印鑑証明とかその他いろいろ公的なものは、御存じのように、いわゆる行政手続オンライン化法という法律が通っておりますおかげで、すべてそういうことはきちんとできるようなことになっております。この四月から正式に全部スタートいたしますから、そういうサービスも郵便局で受けられる。市役所が仮になくなった、町役場がなくなった、村役場がなくなっても、郵便局に行けば同じサービスが受けられるというのは、きちんとした行政の中核となり得るものだと思っております。

 これは、いずれも利便という面からいきますと、安心、安全を含めて住民に与える影響は極めて大きいものだと思っておりますので、このネットワークのシステムというものは、これはいろいろ、利益だけでいきますと、山間、離島等々におきましては経営上成り立たないからやめられるかということになりますと、これは営利を目的とするだけでいきますとなかなか難しいところだろうと思います。

 官と民の間にやはり公、パブリックセクターという観点から立ちますと、この公という部分を考えますと、何らかの形で、そういったところに住んでいただいている方々、自分で好きで住んでいるんじゃないかと言われるかもしれませんが、私どもからいいますと、同じ東京内でも、町田みたいにごみごみ込んでいるところじゃなくて、青ケ島、いかがでしょう、青ケ島。ごみごみというのは、ちょっと伊藤さんの顔を見たもので、済みません。

 青ケ島というところは、城ケ島の南七十五キロぐらい行ったところにあるんですが、たしか島民二百一人だと記憶しています。日本で一番小さな行政体だと思いますが、ここに二百一人住んでもらっているおかげで竹島みたいな話にならないというのはやはり非常に大きなことなのであって、これは国全体として、住んでもらっているおかげという表現が言い過ぎかもしれませんが、非常に大事な観点なのであって、頭割りだけですべてというのと少し違うのではないかという観点も、この際改めて、私ども行政をやらせていただく立場に立ちますと、そういったことも考えてやっていかねばいかぬということでありますので、民営化されるに当たりましては、そういったことも十分に配慮した上で、いかにこれをきちんとした形にしていくかという観点は忘れてはならぬ大事なところだと思っております。

谷委員 ありがとうございます。

 時間もあれでございますので、復興行政についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 今、新潟で復旧復興に向けて全力で取り組んでいるわけでございます。私も十年前の阪神・淡路大震災に遭遇して、兵庫県の防災局長なども務めさせていただいたわけですが、その経験からいって、とりあえずの復旧についてはいろいろな法制度があるわけですが、その後の、どのように復興するかということが、今きちんとした制度といいますか、仕組みといいますか、スキームといいますか、そういうものが現在は何もない。いわば、その時々で自治体が知恵を絞り、国の支援も得ながらその都度詰めていくというようなことではないかと思います。

 少なくとも法律的には、復興ということがきちんと位置づけられているということにはまだなっていないというふうに思うわけでございますが、今後は、やはりこれだけ自然災害が頻発している我が国の現状を見るにつけ、災害対策基本法と同じような、やはり復興ということをきちんと位置づけて、自治体が中心になってビジョンなり計画を立てて、それを国が支援する、そして、今回の新潟、十年前の阪神・淡路と同じように、例えば復興基金などというのも制度化する、ちょうど過疎債、辺地債とかそういうことと同じように。そういうことが必要だと思いますけれども、担当大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

村田国務大臣 今委員が御指摘のように、やはり地域が、被災地が復旧復興していく過程でもって、一つは、被災者あるいは地域住民の意向を聞いて、それでその自治体が主体となって復旧復興プランというものをつくっていく、こういうことでございます。

 具体的に、新潟でも、震災復興ビジョンというものを新潟県が今つくろうとしておりまして、そうした自治体が自主的につくったものに対して、国がどうやって支援をしていくか、特に財政面で。そういう形になっていることはなっているわけで、それが、基本的にどこでも通用するような、そういう基本的な制度、一般的な制度があるかといったら、そうではなくて、その都度その都度、大きな震災あるいは災害のときにそういうプランをつくっていく、そういう形にはなっているわけです。

 しかしながら、今回の中越地震におきましても、まず救援活動をやる、それから復旧のために激甚災の指定を早期にやっていく、その中で財政支援をしていく。だから、先ごろの成立させていただいた補正予算でも一兆三千六百億円の予算が組まれている、こういうことですね。その中で、三千億円が新潟向けの復旧のための財源になっているということでございます。それに加えて、今委員も御指摘になった、三千億円規模の復興基金というものをつくって、その利子を復旧復興活動に使っていく、起債の許可と、あるいは利子を交付税として補っていく、そういう制度になっているわけでございます。

 一般化するのがいいかどうかあれでございますが、防災担当の部局としては、地元が大きな復興のプランをつくるときに、防災の、復旧復興を手助けする部局としてはどこまで担当したらいいのか、あとは、例えば国土交通省がまちづくりとかそういう観点からどこでどうやってかみ合っていくのか、そこの切れ目がなかなか難しいところだなと思いながら拝聴しておりました。

谷委員 残念ですが、もう時間が参りましたので、あと、普天間と北朝鮮の問題について触れたかったんですが、北朝鮮の問題はこの後川上先生がされるということで譲りまして、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、川上義博君。

川上委員 川上でございます。

 野党が欠席しておりますので、大変けしからぬ態度でありまして、私は与党内野党として厳しくやろうと思っていますから、どうぞよろしくお願いをいたします。

 官房長官が会見があるということで、最初に官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。

 官房長官の選挙区の隣の境港市は、ベニズワイガニの加工基地でありまして、輸入していますから、原料基地でもあります。もともと、北朝鮮との関係でいえば、十数年前にみずから、竹島の問題があって、原料がなかなか入らないということでありましたので、北朝鮮に行きまして、操業の方法とか、いわばとり方を教えて、それを今持ってきているんですね。したがって、北朝鮮政府とは全く境港は関係がないということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。

 そこで、最近、自主規制というか、資源管理をやろうという動きが農水省であります。自主的にことしも操業を一カ月ストップして、国内産のカニを一〇%以上削減しようという計画があるわけですね。一〇%以上削減しようという計画とともに、御案内の油賠法というのが三月に施行されるわけなんです。それが施行されますと、未加入の船が入港できなくなる。そうすれば、国外の原料が入ってこないということになります。国内の自主規制と国外のものが入ってこないとなると、その基地は大変な打撃をこうむるわけでございます。

 そこで、先ほど申し上げました、そもそもこの資源の問題は竹島の問題にあるというふうに私は思っています。日本の外交が御案内のようなことでありまして、日韓の暫定水域をつくってしまったというふうなことが背景にあるわけです。したがって、その被害をこうむっているのは水産業者であるんですね。生産者であったり加工業である。

 したがって、今後、この問題は、官房長官、内閣府の全体として、周辺の国々とどのような外交を行っていくのか、どのように国としての姿勢を示すのかというのが極めて重要な課題になってきます。ますます重要になってくると思います。そしてまた、こういった法律が施行されたり、もっと言えば、経済制裁が発動されたりしますと、国内で影響を受ける、そういった弱い立場の人たちの視点というのも配慮しなければいけないというふうに思うわけです。

 したがって、長官としては、これらのことにどのようにお考えで、どのように取り組まれるのか、まずお伺いをしたいと思います。

細田国務大臣 川上議員の鳥取第二区と私の選挙区の島根第一区は隣接しておりまして、まさに隠岐島ですとかあるいは島根半島での水産業が、境港に水産物を揚げてそこで関西地区等に出荷をするという、極めて密接な地域であるわけでございまして、かつ、その中でも最も付加価値の大きいズワイガニ等の問題は、おっしゃるとおりでございます。

 このたび、昨年四月に改正されました油濁損害賠償保障法が施行されることによりまして、これは全世界のすべての船に適用されるということで、大きな影響が予想されるわけでございます。

 私は、この法律自体は、北朝鮮のチルソン号が茨城県の日立港に入港して座礁する、オーナーが逃げて、茨城県がこれの撤去に大変な苦労をされた、そして国もお金を出して、合計六億円の負担をしたという、そのことに反省をいたしまして、しっかりと保険を掛けてもらわなければいけないということですから、一般論としては、これはいたし方のないことで、北朝鮮自身をどうこうということではない法律でございますが、こういった法律にすべての国が対応しておりますので、特にズワイガニ等で付加価値の多い水産物を輸入している人たちは、いわゆるそういう保険も、CIF契約で契約すれば保険料込みの輸入価格というものも設定し得るわけでございますので、しかるべき新しい法律に対応するような体制で対応していただきたいな、こう思っているわけでございます。

 それから、制裁自体の問題は、まさに衆参両院ともに、決議をされたり、制裁の法案を通されたりして、挙げて大きな批判が出されていて、今政府は対話と圧力ということで先方と十分交渉していこうという段階でございます。

 そういった中での御心配も、日本側の一部業界には確かに影響のあることでございまして、これは今後ともどのように考えていくか、後で水産庁とか国土交通省とか関係の省庁の答弁もあると思いますけれども、これが大きな問題の一つである。特に地域的に見れば大きな問題であるということは承知しておりますが、国会の議論が、また極めて今の拉致問題に関連して大きな法改正と政府に対する要望ということで出ていることもあわせて考慮しなければならないということでございますので、その点の御理解もいただきたいと思っております。

川上委員 官房長官、最後に一つ。

 先ほど、影響もあるんで考えなければいけないという話でありましたが、実は、五日の会見で、油賠法の北への影響は物すごく多いと。私もそう思います、多いんだと、高いと。

 ところが、日本の影響はどうなんだということを、実際、日本の影響はどのぐらいのことをお考えになるのかということをお伺いしたいんですが、貿易から見れば、北朝鮮は非常に高いんですけれども、日本から見れば大変小さいごみみたいなものだろうと思うんです。ところが、地域経済から見れば、ごみじゃなくて、これが物すごく大きなものなんですよ。

 例えば、境港の人口が三万五千人あるとすれば、雇用が三千人もあるんですね。これがもう大変なことになる。だから、これから地域の経済対策を考えないといけないと思うんですけれども、そのあたりはどのようにお考えですか。

細田国務大臣 まず、この保険料を払う、保険に加入するということによってどのぐらいの影響を及ぼすかということでございますが、百トン当たり四十万円ほどの保険料だそうでございます。境港あたりに入る水産関係の船というのは大体このぐらいの規模だそうでございますから、そういった保険料を負担して、そしてそれが輸入価格に転嫁する、カニのような付加価値の高いものについてはそういうことで対応できるのではないかと思います。

 また、政府の措置が一律でございますので、簡単に対応を一律にするということはなかなか難しいかとは思いますが、地域経済に大きな影響がある可能性もありますので、これは関係の省庁ともよく連絡をとってまいりたいと思っております。

川上委員 長官、ありがとうございました。

 次に、国交大臣にお伺いしますが、先ほど申し上げました油賠法、三月に施行されます。施行されるために、実施に向けての今準備を多分されていると思うんですが、その状況はどうなっていますか。

 例えば、大臣の一般船舶保障契約証明書、これを出さなきゃいけないです。現在のこの申請状況の件数とか既に発行した件数、それと同時に、相手国の船籍、国籍、これはどうなっていますかということをお伺いします。

北側国務大臣 お答え申し上げます。

 ただいま、一般船舶保障契約証明書の交付申請についてどうなっておるのかというお問いでございます。

 この交付申請につきましては、昨年の十二月の一日から開始をいたしまして、二月の七日時点で全国で二百十件の申請がなされております。そして、証明書の交付は、二月七日時点で二十七件交付をされておりまして、国籍の内訳は、韓国籍が二十六件、パナマ籍が一件でございます。

川上委員 北朝鮮籍はゼロということなんですね、今の時点で。(北側国務大臣「はい」と呼ぶ)わかりました。

 今回、油賠法が導入されたんですけれども、これは、基本的には保険への加入の義務づけにあります。ところが、保険以外の保障契約を国内でも認められる方向、例えば中間法人というものを立ち上げてそのようなものをやろうという方向にあるようですが、私は絶対これは立ち上げなければいけないと思っています。このことの具体的な状況と大臣の決意をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 まず、先ほどのお尋ねでございますが、北朝鮮籍の船舶に係る申請は、二月七日時点で七件ございます。七件の申請がございますが、まだ交付をしている件数はないという状況でございます。

 それで、今お尋ねの保険以外の保障契約の問題でございます。これは、そもそも法律の中に、損害をてん補する保険契約またはその賠償の義務の履行及び費用の支払いを担保する契約というふうに、保険契約だけではなくて、今申し上げましたような保障契約についても認めているところでございまして、この保障契約をどういう形にするかということを、どういう手続でどういう内容のものにするか、これを今論議しているところでございます。

 いずれにいたしましても、この保険以外の契約につきまして、国内の保証法人が賠償を的確に行う保障契約を予定しておりまして、契約の相手方として認めるために必要な政令改正作業に現在取り組んでいるところでございます。法律の施行日に合わせて、この制度は発足をさせたいというふうに思っているところでございます。

 先ほど来お話ございますように、例えば、これは北海道のある市の話でございますけれども、北海道のある市でも、魚介類の輸入、加工をロシア船に依存しております。そして、この魚介類の輸入、加工が非常にその地域産業にとって大きな産業になっておるというところに当たりまして、ロシア船が例えば保険加入が困難と見込まれるような場合に、規制実施後の影響が当然心配されるわけでございまして、例えば、地元関係事業者が保証事業を行う法人を設立して、その法人が入港するロシア船と保障契約を締結し賠償義務の履行を担保する制度、こういうものを検討している地域があるわけでございます。

 いずれにいたしましても、この法律が施行されるまでに間に合うようにこの制度を発足させるべく、今準備をしているところでございます。

川上委員 ありがとうございました。

 農水大臣にお伺いしますが、先ほど官房長官に私が申し上げましたとおり、ベニガニの資源回復のための計画を今樹立しています。これが樹立されますと、境港のカニの今の国内産のシェアが、全部入ってくるうちの国内産は四二%ちょっとなんです。これがまた一〇%以上の自主規制になりますと、国内産はカニの三割台に落ち込むわけなんですね。そうすれば加工業に大変甚大な影響を及ぼすわけでありまして、生産者は、国が三分の一、県が三分の一で補償が入るわけです。肝心な加工業が全くお金も補償もないわけなんですね。

 昔、秋田のハタハタが、資源回復のために一斉に五年間禁止して、その後にふえて、最後どうしたかといいましたら、たくさんとれたけれども、加工屋さんがいなくなって、料理屋さんも全部廃業して、売り先がなくなって、したがってハタハタの価格がどんと落ちて大変困っているような、回復はしたけれどもお金にならない、加工もいないというふうなことになるわけです。

 したがって、農林水産行政としては、生産者だけではなくて、加工も含めて全体が水産なんだということで、ぜひ水産行政の中に加工も入れるべきではないかなというふうに思うわけです。

 したがって、こういう事態と油賠法は余り関係ないんですけれども、仮に油賠法が施行された場合、外のものもなくなってくる。したがって、加工業は大変なことになりますので、当然、異業種への転換資金、それから廃業の補償とか、そういったことをぜひ農水省としては創設をしていただきたいというふうに思うわけなんですね。

 ことしは無理だとしても、例えば来年、今、様子眺めていますから、将来の展望として、廃業補償まで含めて、そういったことも考えるんだというふうなことをぜひお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

島村国務大臣 あなたの選挙区鳥取県が筆頭でございますが、鳥取、島根、兵庫の順でベニズワイガニの扱い高が高いわけでございますけれども、御高承のとおり、昭和五十年代の後半、この当時をピークとして、例えば昭和五十九年には五万四千トン台を記録したベニズワイガニが、今年々減少の傾向にありまして、平成十年当時で二万六千トン台、これが何と平成十四年には一万五千トン台に落ち込むという大変な激減でございます。

 そういうことごとを含めまして、資源が絶滅してしまったのでは加工も何もありませんので、まず、この資源の確保ということが私たちにとってはとりあえず課せられた大事な使命であります。そういうことから、農林水産省としましては、関係者の意見をよく伺った上で、四月をめどに休漁などを内容とする資源回復計画を策定することとしておるわけであります。

 ただ、休漁といっても、一切合財やめてもらうということではありません。それは、あくまで水産加工業者からもよく意見を聞いた上で、これらの意見を踏まえて、いわば漁業者を何グループかに分けまして、これを順次いわば休漁していただくことで水産加工業への安定的な原料供給ということを考えているわけであります。

 その場合に、当然、いかに自然減とはいっても大変な打撃を受けるわけでありますから、この人たちにまたどういう形で頑張っていただくか、補償その他についてはこれからよく検討をした上で方針を打ち出すということで、今その段階にあることだけを申し上げておきます。

川上委員 外務大臣にちょっとお伺いしますが、実は今、油賠法で、北朝鮮籍の運搬船はいろいろなところに入っている、境港以外でも入っているんですが、貿易量も、日本が多分トップだったんだろうと思うんですけれども、最近は、日本は第三位、北朝鮮はどんどん日本との関係は薄くなっていくんですね。

 したがって、北朝鮮のものはどこに行くかといいましたら、韓国に、中国に今どっと流れているんですよ。渤海湾というか黄海というかわかりませんが、平壌沖のアサリなんかもそうなんですが、すぐ隣に大連があったり青島があったりして、そちらに流れていっているんですよ。殻を取ったものも全部、そちらからみんな今福岡とか長崎とかに入っているんですよ。

 韓国もみんな、一次加工も全部して、北朝鮮の保税特区で、特区で北朝鮮のものはどんどん入れて、そこから今度は日本に入れようとしているんですよ。したがって、直接入れている者がばかを見て、結局は迂回して全部日本に入ってくるようなシステムがこれから構築されようとしているんですね。

 そういう状況にありまして、私は、経済制裁は、やるとなったら反対するわけじゃありません。これは国益の問題とかありますから、まあ賛成しますが、北朝鮮との外交目的というのは、経済制裁することではないはずなんです。拉致と核の問題が解決して、国交正常化を実現して、日本の、我が国の安全保障を確保するということが目的なんでしょう。

 したがって、今経済制裁をするというのは、こういう目的に合致する手段であるということであれば、手段が目的化してはだめだと私は思うんですね。したがって、この経済制裁が目的を困難化させるのではないかなという危惧も私には一部あるわけなんです。

 そのあたりのことを外務大臣はどのようにお考えなのかということと同時に、一国の経済制裁が果たして本当に大変な有効性を担保するのかどうか。あるいは、本当の有効であれば、中国とか韓国とかアメリカとかロシアと一体となって、そういった共同でやるという外交努力、これをしなければいけないと思うんですが、あわせてお伺いをしたいと思います。

町村国務大臣 委員、今御指摘のあったように、制裁というのが盛んに今議論をされているわけでございます。それぞれの党でそれぞれの議論がある、また、国民レベルでも、家族の会の方々はもとよりでございますが、いろいろな議論があります。

 しかし、いずれの場合も、それはもう自明のこととは思いますが、制裁が目的であるとは私はだれも考えていないと思います。それが自己目的ではない。それはあくまでも、今委員が言われたような最終的には国交の正常化でありますとか、あるいは核、ミサイルの撤去といったような大きな目的を達成するための手段としての位置づけであろう、私もそう理解をいたしております。

 日本政府、まだ制裁をどうするのか、慎重な議論をしているところでございまして、対話と圧力という方針、先ほど細田官房長官お話ししたとおりでございまして、あり得べき一つの方法かもしれない。しかし、今は主として対話という方法でいろいろやっております。

 仮に、もしそういうような一定の強い措置をとるということになった場合に、委員御指摘のように、関係国との関係はどうかということは、当然これは考えなければならないことであります。

 たまたま別件もございまして、昨日、私は、韓国の外務大臣とも電話で話をいたしました。六者協議の問題が主でございましたが、日本としては、当然のことですが、北朝鮮の六者協議を考える際に、この拉致の問題というのも大きな関係があるんだという話をいたしました。例えば、そういう際に、韓国の外交通商部の長官は、拉致について日本が一定の措置を仮にとるとした場合に、それは日本政府の判断が最優先されるのは当然だ、しかし、願わくば事前の御相談なりよく協議をしてくださいねというお話があります。それは、基本的にアメリカもそういうスタンスであることは確認をしております。

 したがって、もしも制裁の有効性ということを考えた場合に、それは、関係国の了解、関係国とよく協議をするというようなことが求められるであろうということは当然かな、こう思っております。

 ただ、誤解がないように言っておきますが、今既に制裁を決めているわけでもございませんし、今、先方から出された備忘録なるものについて的確なる反論をしながら、さまざまなルートでの交渉をしている最中であることは、現状、御承知のとおりであります。

川上委員 関係大臣はもう御退席されて結構、あと、金融大臣に御質問をいたします。

 毎年、不良債権の処理は終わった、不良債権の処理は終わった、五年とか六年前からおっしゃっておるんですね。三年前はたしか、ダイエーの問題は今再建計画どおり進んでいると思うと発言されているんですね。これは竹中大臣です。ところが、このダイエーの問題は、今産業再生機構の処理になっておるんですね。

 最近のこの予算委員会の質疑を聞いていますと、ここに来て不良債権問題はほぼ片づいたという発言があります。そうであれば、今の金融検査マニュアルはもう不必要ではないかと思うんです、不良債権処理が片づいているということであれば。ないしは、多少まだ必要とあれば、新しいガイドライン、あるいは緩やかな、強制的ではない新しい基準のガイドライン、これをつくる必要があると思うんですよ、片づいたとすれば。そのあたり、どのようにお考えですか。

伊藤国務大臣 委員御承知のとおり、不良債権問題というのは、日本の経済を再生していくに当たって最大の関門と言われ、あるいは足かせと言われてきた問題であります。

 十四年三月期には、この不良債権の比率が八・四%ぐらいございました。これを半減して国内外の金融システムに対する信頼というものを取り戻していきたいということで、金融再生プログラムを策定し、そして諸施策を実施して、各金融機関の方々もさまざまな努力をしていただいて、平成十六年の九月期にはこの不良債権比率が四・七%まで低下をしてきたところでございます。

 私ども金融庁といたしましては、まだこれは通過点でございまして、金融再生プログラムが目標といたしておりますのは、ことしの平成十七年の三月期におおむね四%台に不良債権比率を低下させて、そして国内外の金融システムに対する信頼というものを確固たるものにしていこうということで今努力を続けているところでございます。したがって、この金融再生プログラムの諸施策を、改革の手綱を緩めることなく実施をして、間違いなく達成をしていきたいというふうに思っております。

 委員からは、不良債権問題が正常化してきているのだから、金融検査マニュアルそのものの改定というものも考えたらどうかという御質問でございました。

 金融検査マニュアルは、監督当局において、検査監督の一層の充実を図り、そして国際的視点を踏まえて、かつ預金者の理解が得られるような金融行政を確立するために整備したものでございますので、不良債権処理のみを目的に策定されたものではございません。

 また、金融検査マニュアルの策定に当たっては、当局による指導型から金融機関による自己管理型への転換をさらに促進をしていく、そうした観点から配意されているところがございます。このため、各金融機関においては、自己責任原則のもとで、この検査マニュアル等を踏まえた創意工夫を十分に生かして、それぞれの規模でありますとか特性に応じたより詳細なマニュアルを自主的に作成して、そして金融機関の業務の健全性と適切性の確保に努めることが期待をされているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、金融庁といたしましては、金融機関の実態を的確に把握をして、そしてマニュアルの適用が機械的、画一的にならないような検査の実施に努めていきたいと考えているところでございます。

川上委員 時間が来ましたので、これは私、もう一回別な委員会でやりたいと思いますが、実際はそうじゃないんですよ。実際の現場というのはもっと管理しているんですよ。自主的に銀行に任せているというようなものじゃないですから、そのあたりのことを次の委員会でやりたいと思っています。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて川上君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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