衆議院

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第10号 平成17年2月10日(木曜日)

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平成十七年二月十日(木曜日)

    午前十時三十一分開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    尾身 幸次君

      大島 理森君    河村 建夫君

      北川 知克君    北村 直人君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      玉沢徳一郎君    中馬 弘毅君

      津島 雄二君    寺田  稔君

      西川 京子君    根本  匠君

      萩野 浩基君    福田 康夫君

      村井  仁君    森田  一君

      太田 昭宏君    佐藤 茂樹君

      坂口  力君    田端 正広君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (防災担当)       村田 吉隆君

   国務大臣

   (構造改革特区・地域再生担当)          村上誠一郎君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     北川 知克君

  二田 孝治君     寺田  稔君

  坂口  力君     太田 昭宏君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     小泉 龍司君

  寺田  稔君     二田 孝治君

  太田 昭宏君     坂口  力君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 ただいま、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

甘利委員長 速記を起こしてください。

 理事をして御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官柴田高博君、消防庁次長東尾正君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自民党の寺田でございます。きょうは予算委員会初登板でございます。

 きょうは、財政の問題を中心に、地域再生の問題、また雇用の問題等々骨太の議論を展開してまいりたいというふうに思っております。どうかひとつよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 三十分の時間をいただいているわけでございますが、まず初めに、谷垣大臣にお伺いをいたします。

 来年度予算、十七年度予算でございますが、私は、非常に意義深い予算だというふうに思います。四年ぶりの公債発行額の減額もさることながら、プライマリーバランス、財政の基礎的収支の大幅な改善も実現を見ているわけでございますが、財務大臣からごらんになって、財政構造改革の進展という観点から、来年度予算を一体どういうふうに評価されるか、お伺いをしたいと思います。

谷垣国務大臣 もう委員は御案内のことでございますが、我が国の財政の現状は極めて厳しいものがございまして、ストックで言いますと、平成十七年度末の公債残高が五百三十八兆円程度に達する、国際的に見ても極めて厳しい状況に置かれている、何とか財政の持続可能性というものをきちっとつくり上げていかなきゃいけないということだと思います。

 そこで、平成十七年度の予算をつくりますときにまず一つ念頭にありましたのは、どうしても、高齢化でございますから、ほっておきますと社会保障関係が自然増という圧力がございます。ことしも、ほっておきますと、一・三兆ほど自然増があるということでございました。他方、景気が少し戻ってきておりますので、税収等はある程度去年より見込まれるところもあった。

 そういう中で、公債発行はあくまで抑え込んでいこう、こういうことでやらしていただきまして、相当、自然増に対しての対応等もいろいろやったわけでございますが、その結果として、委員がさっきおっしゃいましたように、一般歳出としては三年ぶりに前年度よりも抑える、それから、四年ぶりに公債発行額を縮減していく方向になって、この数年間の傾向を反転するきっかけになった、できたのではないか。それに加えて、プライマリーバランスも三兆強ほど改善することができまして、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランス回復と言っておりますが、それに向けての一里塚というようなことが言えるのではないか、こういうふうに思っております。

寺田(稔)委員 ただいま財務大臣から、非常に大きな財政構造改革への一里塚であるというふうな御認識が示されました。私もそのとおりだと思っております。非常に大きな意義のある予算である。しかも超低金利が今続いておりますが、長期金利で大体一・二から一・三の間で推移しておりますけれども、これは裏返せば、今の金利水準は国民の財政構造改革に対する期待のあらわれである、そういうふうなことが言えるわけでありまして、まさに、ゼロ金利政策も継続している今をおいてほか、財政構造改革を強力に推進する好機はないというふうに思っております。

 そこで、やはり個別によく中身を見る必要があるわけでございまして、予算というのは、これはもう大臣御承知のように、各主計官、主査、また係の人間が、睡眠時間を削減しまして、本当に日夜心血を注いでつくるわけでございます。したがって、そういう合理化努力、スリム化努力はやはりきちっと見て、外に言える、PRできるものはPRしていく、そのことが国民の財政への信頼の回復、そしてまた財政当局に対する将来の信頼へとつながると思うわけでございます。

 そういった意味で、ちょっと個別の中身を見てまいりたいというふうに思います。

 まず最初に、来年度予算、やはりこの三位一体の改革、非常に大きな要素でございます。これは、税源移譲を伴う約一・一兆円の補助金減を実現したということになっていますけれども、まず、この税源移譲分一・一兆円、これは丸々この補助金額としても落ちているのかどうか。これは確認的質問でございます。

 と申しますのも、個別の補助金の費目を見ますと、組みかえがあったり土台の修正があったりして、なかなか単純に前年度比で見ますと落ちている姿になっていないものもあります。大くくり化もございます。そういった意味で、これがきちっと落ちている、そしてまた、税源移譲に結びつくもの以外では一体どういうふうなスリム化の努力を行ったのか、御説明いただければと思います。

谷垣国務大臣 三位一体の改革につきましては、地方六団体がまとめた改革案を基本的なたたき台として、それを真摯に受けとめまして、地方とも協議を重ねた上で改革の全体像を取りまとめたわけでございますが、その成果は、十七年度予算案にきちっと反映をさせたつもりでおります。

 まず、補助金改革につきましては、十七年度予算への具体的な対応としましては、一つは、委員が今おっしゃった、税源移譲に結びつく補助金改革というのがございました。それからもう一つは、地方の裁量度を高めて自主性を大幅に拡大していこう、交付金化の改革というように申しておりますが、それが二番目としてございます。それから三番目として、やはり国、地方を通じて行政のスリム化が必要だ、納税者の視点に立ったときにそういうことをきちっとやらなきゃいかぬ、三番目にこういうものがございまして、この三つで合計一兆七千六百八十一億円の改革を実施したところでございます。

 このうち、先ほど委員がおっしゃった税源移譲に結びつく改革につきましては、合計で一兆一千二百三十九億円。その大きなものは、義務教育費の国庫負担金四千二百五十億、これは暫定的なものでございますが、それが一つ。それから、国民健康保険の国庫負担五千四百四十九億円。それに加えまして、養護老人ホーム等の保護費負担金五百六十七億円。こういったものなどで、先ほど申し上げたような一兆一千二百三十九億円という姿になっているわけですが、これを国の一般歳出から削減して、そして税源移譲予定特例交付金、それから所得譲与税というような形で地方への財源措置を行っております。

 それから、スリム化の改革につきましては、公共事業関係の補助金の削減、これは二千五百十五億円でございましたけれども、これを中心に合計で三千十一億円の削減を行っておりまして、これを会計ごとの出口ベースで見ますと、一般会計では千七百七十億円、それから特別会計では千二百四十一億円という形になっております。

 それから、補助金等の削減という観点から申しますと、概算要求基準の閣議了解で、国庫補助金、地方財政法の十六条の補助金でありますが、そのうち公共投資関係費、それから裁量的経費に区分されるものについて、マイナス五%の削減を目指すという方針を掲げておりまして、これについては九・五%、千五百六十五億円の削減を実施するという内容でこの予算をまとめているところであります。

寺田(稔)委員 今財務大臣がお示しになったスリム化の努力の一般会計ベースの千七百七十億、あるいはまた地財法十六条補助金、奨励的補助金の五パーを目標にしたけれども九・五を達成した、ここらはなかなか一般国民にもまだ十分PRされておらなかったですね。ぜひ、そういうふうなスリム化努力を大いに国民にもPRされることが、非常にこれからも改革を進めていく上で重要なことであるというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、社会保障関係費なんですが、今大臣も言われましたように、三位一体改革分、これは非常に大きいわけです。特に国保の地方回し、これは必ずしも地方から見るとウエルカムでない要素もあったわけですが、約五千四百億達成できました。また、介護施設におきますホテルコスト、あるいは食費の見直しといったようなことも非常にこれは大きくきいてまいります。平年度ベースでは一千億程度の削減になろうかと思いますが、そこらのところは非常に国民もよく知っております、それ以外に一体どういうふうな歳出合理化努力を行ったのか、ぜひPRも込めて御教示いただければと思います。

谷垣国務大臣 社会保障については、先ほど申しましたように、少子高齢化が進んでいく、どうしても増加圧力があるわけで、なかんずく経済の伸びを大きく上回って給付と負担が増大していくということが見込まれるわけでありますので、これでは持続可能性がない。制度の合理化あるいは効率化というのに取り組む必要がある、こういう考えでことしの予算にも臨んだわけですが、介護保険制度改革、それから国民健康保険制度の改革といった構造改革に取り組みましたとともに、社会経済情勢の変化に対応して国民の安心を確保しよう、こういうことから、歳出全体の効率化を図りながら、健康フロンティア戦略であるとかあるいは若年者の雇用対策、それから次世代の育成支援、こういったことに対応しようということでやりました。

 歳出の合理化について具体的に申し上げますと、まず先ほどおっしゃった介護についてですが、これについては施設における食費あるいはホテルコストと言われておりますものの利用者負担、これについて在宅と施設の間でかなり今まで違いがございましたので、この両方のサービスの間でのバランスを確保しよう。それから、年金給付と今までダブっていたところがありましたけれども、そういうものを排除しようという観点から適正化を行ったわけであります。

 それから、医療につきましては、これまでの医療保険制度改革の流れを踏まえまして、医療費の適正化であるとかあるいは保険運営の広域化、そういう観点から、これも三位一体の改革とリンクしてくるわけですけれども、国民健康保険制度において都道府県の役割、権限を強化していこうということをやりまして、それにあわせて都道府県にも負担をお願いするというような仕組みを導入して、将来に向かっての持続性という観点を強化したつもりでございます。

 それから、生活保護については、十六年度から三年間で老齢加算について廃止しようという流れの中で、ことしも二年目、平成十七年度におきましても二年度目の適正化を行いました。それから、受給者の自立、就労ということに関して、今までそこがなかなかできていないじゃないか、だから生活保護をしてもなかなか卒業ができないじゃないかという議論がございました。そこで、そういったことに対応しまして、自立支援プログラムというのを地方自治体ごとにつくっていただいて、これに基づいて被保護者ごとに支援をやっていこうというようなこともことしは入れさせていただいたところであります。

 それから、年金事務費については、むだ遣いが多いという指摘を昨年の国会でも大変いただいたところでございましたので、内容を精査しまして、事務局の借料とかあるいは公用車の更新費用であるとか職員の研修費、それから職員の宿舎関係費、こういったものを圧縮していく、それから通知書、納付書の合理化、こういった業務方法の改善を行ってもらうというような厳しい見直しをやりました。

 こういうように、社会保障については、高齢化に伴ってやむを得ざる増加というものは当然あるわけでありますけれども、各般の見直しを行いまして、効率化、重点化に取り組んだということであります。

寺田(稔)委員 まさに今おっしゃるとおりでして、後年度負担額推計を見ましても、社会保障関係費が毎年一兆円ふえていくわけです。それを今回約五千八百億の増に抑制したというのは非常な努力だと思いますので、ぜひそこら辺も大いにPRをしていただきたい。

 また、ちょっと時間の関係で詳細な質問をするのは割愛いたしますけれども、防衛関係費についても、あるいは公共事業関係費についても、あるいはまた文教関係費等についても、それぞれやはり血のにじむような合理化努力がなされていると思います。特に防衛関係費、今回一%減と、全体の見直しの中で、正面装備の抑制を図る中で、新たな脅威に対応するという意味で非常にめり張りがついております。しかも、削減が実現している。公共についても三・六%減と、シーリングを上回る、さらに深掘りする仕上がりになっております。また、文教につきまして、これは三位一体の部分が非常に大きいわけですけれども、それ以外も、予算執行調査の反映でありますとか、いろいろな意味でこの合理化努力はなされていると思いますので、ぜひそこらも大いに、細かい話とはいえ、国民は非常によく見ておりますので、PRをしていただければと思います。

 あともう一点、今回避けて通れないのがニュー・パブリック・マネジメント、NPMの取り組みとしてなされました政策群というのがあるわけです。これは、横割り連携で各省間連携をとることによって重点化措置として行っていく。重点化措置ですから、予算額がふえていくこと自体、これは是認をされると思いますが、そうした中で府省間の重複の排除というのが非常に大きな要素としてあるわけですね。ここらの府省間の重複の排除については一体どういうふうな成果があるのか、お示しをいただければと思います。

谷垣国務大臣 政策群とかのモデル事業というようなことで、ニュー・パブリック・マネジメントと言われる手法を取り入れて予算の質を高めていこうということも引き続きことしは努めております。

 それで、政策群については、十七年度予算で、数においては、十六年度は十だったんですが、十八にふやしまして、金額においては四千三百四十三億円増額したところであります。それで、政策群に係る要求、要望は二兆六千六億円でございましたけれども、担当の主計官を置いて府省横断的な調整を行いまして、結局、その概算決定額は二兆二千百五十五億円ということになりました。

 その中に、委員がおっしゃった、省庁間の重複を排するとか、連携を重視して効率化を図ってくるということがあったわけですが、具体例を申しますと、科学技術駆動型の地域経済発展というものがございます。これは、経済産業省と文部科学省がそれぞれいわゆるクラスター事業というような形でやっておられるわけですが、その両方のクラスターの窓口であるとか、それから説明会といった情報提供の一本化といった連携強化を行うというようなことをやっていただいております。

 今後とも、歳出改革を推進する観点から、こういう政策群をより推し進めていきまして、重複やむだを排除していくということをやらせていただきたいと思っております。

 余り言うと長くなりますので、差し当たってこのぐらいで。

寺田(稔)委員 政策群というのは、まさに制度改革、規制改革を行うことによって、最小の財政資源でもって最大限の効果を上げるNPMの一つの柱の仕組みでございます。

 私が出向しておりました自治体でも横割り連携というのをやっていまして、府省間のまさに横割り連携による削減分として、その数字を公表いたしております。やはりそういうふうな努力を示すことは、非常に国民にとっても縦割りの弊を脱しているなというのがわかるわけですね。ぜひ今後は、要求額から仕上がりの差額のみならず、府省間重複排除分としてお示しをいただければ、これはまた一つ大きな前進になろうかと思います。よろしくお願いします。

 きょう実は、各大臣お忙しい中、お呼びをいたしております。時間も迫っておりますので、先に地域再生の問題につきまして質問をさせていただこうかと思います。

 お手元に、これは私が、私の地元であります広島五区でございますけれども、芸南地域で、この地域をターゲットにして地域再生プランというのを昨年発表させていただきました。詳細な説明は割愛いたしますけれども、大きく言って四つの柱から成り立っております。

 一番目の柱は、この芸南地域において一万人の新規雇用を創出していく。具体的な政策手段は個別に出ておりますが、一万人の新規雇用の創出。これは国の五百三十万人の雇用創出計画とも平仄の合う形で策定をいたしております。

 二番目が、効率的、重点的な社会資本整備の推進ということでございます。さまざまな手法を組み合わせて、民間資金も活用しながら整備をしていく手法を取り入れております。

 三番目が、物づくり支援など各種産業支援。この芸南地域、昔から造船業、機械工業等々を中心に物づくり、第二次産業が非常に栄えたところでございます。現在も栄えております。また、すばらしい世界に誇る技術シーズがある。これらを開花させることによって活性化を図っていく。まさに物づくりというのを柱に据えているわけでございます。

 四番目が、規制緩和と行政事務のアウトソーシング。

 これらの四つの柱を立てて現在取り組んでおりまして、例えば、この一の一万人の新規雇用についても、昨年の四月以来、既に千六百名強の新規雇用の創出を実現いたしておりますし、各分野においてそれぞれ着実に実行していきたい。まさにそういう意味で、ことしは地域再生を本格的に行うべき年であるというふうに思うわけでございます。

 また、これは私のいろいろな地元の方々の御意見も反映をしております。ミニ集会でありますとか座談会、各種意見交換会で示された意見も取り込んでつくったものでございますので、一つの御参考に供していただければと思いますけれども、これをごらんになって、私の地域再生に対するプランの評価を各担当大臣の方よりお伺いしたいと思うわけですけれども、まず谷垣財務大臣、ぜひ評価をお願いいたします。

谷垣国務大臣 委員が、地域再生プラン、こういうお地元でおつくりになりまして御努力をされていることを高く評価させていただきたいと思いますが、できるだけ財政負担を少なくしながら地域再生の効果を上げていくためにはどうしたらいいかということが、私の立場からすると申し上げざるを得ないわけですが、その点、いろいろ御工夫をいただいている中身ではないかなと思っております。

 それで、若年雇用者をターゲットにした雇用施策の展開で新規雇用の創出を目指すであるとか、あるいは規制緩和、行政事務のアウトソーシングの推進というようなことは、国の構造改革政策にも大いに参考になる点ではないかと思います。それから、PFIを利用したり、先ほど申しましたような財政支出というものをできるだけ切り詰めながら効果を上げていこうという手法も、大いにまた私ども推し進めていかなければならないなと思っているわけでございます。

 それで、長い間の低迷を日本経済は脱して、ようやく底がたいものになってきたとはいえ、地域によって格差があることは紛れもない事実でございますから、この地域格差は、景気循環的なものというよりも、それぞれの地域のまたそれぞれの構造問題というものに起因するところも私は大きいんだと思うんですね。それぞれの地域でそれぞれの構造問題に取り組んでいただくということが今後の方向として極めて大事ではないかと思いますので、こういう地域再生プランをさらに推し進めていただくということを私は心から歓迎したいと思います。

寺田(稔)委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ万般の御支援のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、麻生大臣、お願いいたします。

麻生国務大臣 ただいま御指摘のありました中で私どものところで直接関係するのはこの四番のところなんだと思いますけれども、地域再生プランというところの中でやはり一番効果というのがありましたのは、いわゆるパブリックセクター、公の施設に参入できる民間業者を、指定管理者制度というのを導入することで、これを実にあちこち利用させていただいて、既存の施設の管理等々、まあ運営するに当たってリニューアル債を出してさしあげても結構ですよとか、いろいろなことをさせていただいたんですが、結果としてどういうことになっているかといいますと、全国で千五百五十施設が既に導入をされております。都道府県で十三施設、指定都市で三百八十、市区町村で一千百五十七施設が既にやらせていただいておりますが、指定管理者に新たになられた団体総数、八百四十一団体が指定になっております。

 有名なところでは、小倉城の中に北九州市というのは市役所があるんですが、小倉城、小倉城の庭園、またその周りにあります水環境館、一切の掃除、水質等々の管理は井筒屋デパートがやるということになったのが一番具体的な例で非常に効果があったと言われておるものであります。

寺田(稔)委員 わかりました。ぜひよろしくまた御支援のほどをお願い申し上げます。

 続きまして、中川経済産業大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 この芸南地域再生プラン、非常に興味深く拝見いたしました。

 特に、経済産業省としては、一のところの若年雇用者、それから物づくり、それから三番目の物づくり、大きな項目に立てていただいておりますけれども、これはまさに非常に、我が省としても、オール・ジャパンとして取り組んでいくと同時に、地域の特性あるいはまた伝統、自然条件、そして最後は人、技術力ということが物づくりになっていくわけでございます。

 そういう意味で、寺田委員の御地元は、伝統産業としては筆とか仏壇とか、こういうような長い歴史を持つ高度な伝統技術がありますし、また先端的な製鉄業もございますし、またIT関連の新しい産業も誘致していくということでございますから、人、技術、いわゆる産学官の連携、それからまた資金的な面も含めて、地域の総力をネットワークで、足し算が掛け算になるようにやっていけるように、経済産業省としても全力を挙げてやっていきたいと思います。

 簡単に事例を申し上げますと、ことしからものづくり日本大賞というものを内閣総理大臣のもとで表彰を、顕彰をさせていただきます。これは、この道五十年、六十年の立派な方だけではなくて、十代、二十代でもその道のナンバーワンという人を国民に広く知ってもらおうとか、あるいは人材投資減税を財務省にお認めいただいたとかいうことで、最終的には人づくりを、ぜひ寺田議員の御地元でも大いにいろいろな制度を活用して頑張っていただきたいと思います。

寺田(稔)委員 ありがとうございます。物づくり支援、人づくり支援を中心に、ぜひとも万般の御支援をお願いいたします。

 続きまして、北側国土交通大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 私も拝見させていただきました。

 国土交通省の所管の関連では、特に社会資本整備で、交通インフラの整備を重点的に置いて行うという御指摘がございました。また、観光振興の点についてもお触れになっております。

 私、ちなみに近々呉市の方に参る予定がございまして、海上保安大学校の卒業式がございまして行かせていただきますので、ぜひ現地を見せていただきたいと思っております。

 国交省といたしましても、今観光振興に御承知のとおり力を入れておりまして、また地域再生の、全国のあちこちで非常に重要なツールにもなっております。十七年度予算案でも観光ルネサンス事業というのを新規に創設させていただきたいと思っておりまして、民間の方々の地域観光振興の取り組みをしっかり支援させていただきたいと思っておるところでございます。

 現場を見せていただいて、また御相談させていただきたいと思います。

寺田(稔)委員 ありがとうございました。ぜひとも現場をごらんになって、私も御案内をさせていただきますので、ぜひその実態をごらんいただきたいと思います。

 最後に、また全体を総括する意味で、地域再生担当の大臣でもあられます村上大臣より御評価いただきたいと思います。

村上国務大臣 寺田委員のこの芸南地域再生プランを見せていただきまして、本当に感服しました。本当にすばらしい案だなと思います。と申しますのも、御承知のように財政事情が厳しい中、今までのような、従来の手法ではなかなか難しい。そういうときに、このように、それぞれの地域の特性と申しますか、力を引き出すようなものを自分たちの頭で考えてくるということが重要じゃないかと思います。

 そういうことで、私の場合は、これプラス特区制度を絡めながらやっていきたいというふうに考えております。

 そういう中で、特にこの寺田委員の芸南の地域再生プランは、まさに地域の特性を生かして経済の活性化や雇用の創出を図ろうとする総合的な戦略で、特に、具体的に言いますと、地元の竹原市から観光振興などを目指した特区及び地域再生計画の申請も行われて、本当に知恵と工夫のまさにアイデア合戦を創出なさっているな、そういうふうに考えています。

 そういうことで、我々も、今国会に提出しています地域再生法案が成立した暁には、特区とこの地域再生法案を絡めて御利用していただければ、一層効果的に経済の活性化や雇用の機会の創出が図れるんじゃないかなと。

 最後に、PRしろというので、地域再生法の三本柱を簡単に説明させていただきます。

 特に、この地域再生法の一つ目の柱は補助金の一括計上で、戦後初めてであります。御承知のように、下水、それから集落排水、浄化槽、それぞれ国交省、農水省、環境省でありましたけれども、それを一括計上する、それで、今まで市町村長が使い勝手が悪かったものを使い勝手をよくするということでございます。

 それから二番目は税制でありまして、課税の特例措置であります。地域再生に役立つ企業に対して投資等を行い、なかなかその収益性が低い場合は投資しにくいんですが、そういう場合に、地域再生の観点からも有意義な事業に民間の資金が集めやすいように特例を設けます。

 最後に三番目は、補助金等の適正化法の特例を設けて、補助金で整備した施設を当初の補助目的以外に転用する際に手続を簡素化し、迅速化し、既存の施設の有効活用を進めること。その三本柱も使っていただければ、地域活性化をなおさら推進できると思います。よろしくお願いします。

寺田(稔)委員 村上大臣、ありがとうございます。

 特に地域再生法の枠組み、非常に重要でございますので、ぜひ私の地元からも計画を申請させていただこうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、最後に言われました補助金の転用、これは私のプランの中にも一項目を立てておりますので、この補助金返還義務の問題ですね、これは財政当局との協議も調ったということでございますので、ぜひそういったことについてもやっていきたいと思います。

 各大臣の御発言を励みに、これから一生懸命地域再生に取り組んでいきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げまして、私の質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて寺田君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昭宏君。

太田委員 きょうは質問時間をいただきまして大変感謝しておりますが、こんな大事な質問時間をいただいて感謝する人と、きょう、民主党を初め野党は来ていない。私は、非常に、大臣が多く、省庁にまたがる問題が多い中で、一般質疑というのは非常に大事な機会だと思っておりまして、理由がよくわかりませんが、野党が出席していない。しかも、総理には出てこい、出てこい、こう言っておいて、自分たちは出てこない。総理御自身もきのうそういうことを言っておりましたけれども、私は、大変遺憾なことだというふうに思っております。

 大事な問題の一つは、ことし、来年でしょうか、防衛、防災、防犯というこの項目が境目がなくなってきていて、国家の危機管理というのをどうするか。今までは、平和ぼけなんという言葉がありますが、そういう言葉だけでない、その辺の危機管理と安心、安全な社会というものを本格的にどうするか。むしろ壊れてきているし、そういうことをどういうふうに立て直すか、またつくっていくかということが極めて大事な、ことし、来年の我々国会議員の責務ではないかというふうに思っております。

 我が党の同僚議員の田端委員が先般防犯ということについて質問をされましたので、私は防災、特に地震ということに絞って、全体的な地震のイメージということをぜひとも国民の方にも知っていただきたいし、私も知りたいということで、きょうはたくさん質問をしますが、簡潔にお答えをいただければというふうに思っております。

 十一月十七日に、中央防災会議が首都圏の地震という十八のパターンを出しました。そしてその中で、十二月十五日にはその被害想定というのを出したわけでありますけれども、一番大変なというのは、例えば死者ということからいきますと、新宿区直下に大体マグニチュード七前後、震度が六強ということになって、夕方六時、そして風が十五メーター吹いているということでは一万二千人の死者が出るというようなデータが出ております。さらに、今月末か来月には、経済的なことも含めて被害想定を出すということで、この機会に、政府として総力を挙げてそうしたことの対応措置をとっていただきたいと思います。

 まず第一に、マグニチュード七、震度六強、これがこの三十年で、首都圏におきましては確率が八〇%。八〇%ということは、この十年間で三〇%。三割ということはもう野球では大変なことで、そういうぐらいの確率ということは、これは本格的にいつ来るだろうというような話ではない。

 そうしますと、初動体制というのが十年前の阪神大震災では問題になったわけですが、私、この間、都庁へ行ってきました。九階に防災のセンターがあって、そして一番上に三つのカメラがあって、震度五以上ということになると一斉に東京消防庁を初めとするヘリコプターが飛ぶというようなことで、カメラが回って全部映像が、私見てまいりましたけれども、そうした体制がとられる。

 政府として、まずこの初動体制、何分の間にどういう体制になって、近隣にいた職員を初めとしてどういうふうに集中して、どんな手が打たれ、ヘリがどういうふうに飛び、そして自衛隊出動というのがどうなるかということが、最初の一分、三分、三十分そして一時間、この間の体制が非常に大事だと思いますが、その辺の初動体制というのがここまで今練り上げられているということについて御説明を願いたいと思います。

村田国務大臣 太田委員の御質問にお答えいたしたいと思いますが、現在、委員も冒頭おっしゃいましたように、中央防災会議の首都直下地震専門部会におきまして、昨年末までに被害想定というものを出しましたので、来年度中にはそうした対策を含めたところの首都直下地震の大綱をまとめていきたいというふうに考えておりますが、現状で、今の状況で初動体制についてどうかという御質問でございますので、お答えを申し上げたいと思います。

 常時、二十四時間体制で宿直員がいまして、まず情報の初動に備えるという体制が一つございます。それから、首都圏では震度五強の地震、全国では六になっておりますが、首都圏では五強の地震が発生した場合には緊急参集チームが官邸の危機管理センターに参集するという形になっておりまして、激甚な地震というふうに予想される場合には、緊急災害対策本部を総理の、本部長のもとに設置するという構えになっているわけであります。

 具体的な初動体制につきましては、これまで政府の図上訓練などを通じまして明らかになった災害緊急対策活動に係る課題を中心に、関係省庁がこれまで検討してきた結果がございます。これは、自衛隊の災害派遣計画約七万人、約二万人の警察広域緊急援助隊の派遣計画、それから約千二百隊、一個隊が五名程度でございますが、緊急消防援助隊の派遣についての計画、運用方針というものが今策定されているわけでございます。そのほかに、関係地方公共団体と調整をいたしまして、これらの部隊の派遣先における活動拠点、これを四百六十五カ所、候補地が決定されているところでございます。

 それから、まずは自衛隊の派遣計画というものがございまして、これはどういう目的かというと、医師とか患者とか消防、警察の部隊の輸送に関しまして、捜索救助活動とか医療提供活動を速めなきゃいけない、緊急にやらなきゃいけない、そういう体制を図る。つまり、ヘリコプター等の運航計画というものを調整しなきゃいけない、そういう計画が一つございます。

 それから道路の計画がございまして、緊急輸送ルート、これをどうやって図っていくか、そういう緊急時の輸送ルートの計画が定まっております。

 それから、あと医療関係については、広域の医療搬送体制についての整備というものがあるわけでございます。

 さらに、そういうこれまでに定めたいろいろな計画の上に、中央防災会議でこれから運用のための大綱を定めていくという作業が残っているということでございます。

太田委員 官邸のそこのところに、例えば村田大臣は、出張じゃない限り、通常のときには何分で駆けつけられ、対策本部は何分ぐらいで立ち上がり、ヘリコプターは何機まず飛ぶということについて簡潔に答えてください。

村田国務大臣 私は常時地元に帰っておりませんので、発災すれば、もちろん、三十分以内にという形になっておりますが、いつでも危機管理センターに私が行くことができるようになっております。

 それから、今回の中越地震の例でも、緊急参集チームは発災後数分間で立ち上げているわけでございます。

 それから、自衛隊、警察あるいは消防庁から情報収集のためのヘリコプターが飛び立っておりますが、これも大体三十分以内に飛び立って、上空からの映像、写真をセンターに送ってくるという体制になっているわけでございます。

太田委員 東京都とその危機管理センターとの連携とかいうのはどういうふうになっているんですか。私は、どこが主軸で動くのかなという感じがすごくするわけですが。

村田国務大臣 もちろん、首都直下の大変大きな地震になった場合には、当然のこととして緊急災害対策本部というものが設置されますので、官邸に損傷がなければ、官邸のセンターが中心になって都との連絡も図っていくということになろうかと思います。

太田委員 インフラの整備について聞きます。

 四つのライフラインというものがあるということを指摘する人が多いわけですが、一つはエネルギー供給システム、電力、ガス、石油。そして二番目には上下水道などの水処理システム。三つ目には道路、鉄道、空港、港湾などの交通システム。そして四番目には電話、無線、各種マスメディアなどの情報通信システム。これらのインフラそしてライフラインというものが堅固に、震度六強、マグニチュード七というときに耐えられるものとしてあるかどうかということが一つ大事なポイントだというふうに思いまして、ライフラインの整備ということに早急に取り組んでいただかなくちゃならぬ、こういうふうに思います。

 その一つは、例えば、弱点は地下にある配管ということであろうというふうに思います。管路の耐震化というのは大事で、共同溝の整備ということで、この間も私、霞が関の下で今工事中、大変すばらしい、画期的なものをつくっていただいているわけですが、そうした共同溝の整備。

 そして、これらライフラインの整備ということについて、すべて聞いては時間がかかりますので共同溝を中心にして、ライフラインの整備というのがどうなっているかという現状と対応についてお答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 ライフラインが、そうした大きな地震があったときにも機能する、また、早期に復旧できるというふうに平時から準備をしておくことが極めて重要なことであると思っております。

 おっしゃったように、今、共同溝というものを全国に整備を進めさせていただいております。全国では平成十六年末で五百二十三キロメートル、東京都では約百二十キロメートルの共同溝が現在整備をされているところでございます。そこには、今委員の方からございました、ライフライン、通信、電力、上下水道、ガス等々、そうしたライフラインがすべて一つの共同溝の中に入っているということでございまして、この共同溝というのは極めて耐震性があるということでございます。ちなみに、阪神の震災の際も共同溝につきましては大きな被害を免れまして、電気、電話等は早期に復旧ができたわけでございます。

 そういう意味で、こうした実績もあるわけでございまして、こうした共同溝の整備、着実に進めさせていただきたいと思っているところでございます。

 委員が先般ごらんになられました日比谷共同溝、これは、虎ノ門から日比谷までの間を今工事しているわけでございますが、これが近々完成するわけでございます。これが完成しますと、東京の中の信頼性のある安全なライフラインネットワークがほぼ完成をするわけでございまして、これによりまして都内のライフラインの安全度が格段に向上するというふうに考えておりますので、しっかりと進めさせていただきたいと思っております。

太田委員 私の学生時代に、私は耐震工学を専攻したわけですが、その兄弟子に当たりますのが今神戸大の教授をやっておりまして、ライフラインの整備ということもあるけれども、もう一遍、救命ライフラインという角度で物を見てくれと。救命ライフライン。

 共同溝というのが設置されてきているけれども、共同溝から病院なら病院に行く。病院というところは、電力がストップするということになると、集中治療室にかかっている人の命が絶たれる、透析をした人は水がないと命が絶たれる。

 あるいはまた、木造市街地において、阪神大震災でありましたが、消火栓というものがずたずたになって機能しなかったから、木造密集市街地というあたりでは消火栓が地震のときに機能するように、救命のライフラインとしての上下水道。

 そして救助要請ということ。今度は通信ということにおいても、やはりそうしたときに、普通の携帯電話というのではない、そして、普通の人が救命ということで、どこに、何の手段で行ったらいいかという、救命、最初の一日かけての救命という角度でのライフラインということを、普通のライフラインとは違って救命ライフラインとして設置する必要がある。そういう角度を持てと。

 サンフランシスコやバンクーバーでは、例えば消火栓の水道システムというのをつくっているということがありまして、私は、そうした救命ライフラインという角度で、十年間で三割、三十年間で八割というような危機が迫っている、そして東海地震、東南海地震、南海地震ということを合わせると相当のことになる。そういうときに、この物の考え方でライフラインを整備する、もう一つは救命ライフラインという角度を持つべきだと思いますが、その辺についての考え方をぜひとも政府の中に導入してもらいたい、こう思います。

村田国務大臣 全体的なライフラインの防災に対する水準を上げていくという動きのほかに、特に、今御指摘のような、病院等の生命に直結するようなライフラインを救命ライフラインと位置づけて、それに対しての対策を強化する、そういう意見があるということを太田委員からも御指摘を受けまして、これはこれからの話として、そうした考え方を中央防災会議等でも検討してもらうということをしたいというふうに考えております。

 要は、個別には、貯水槽をつくったり、あるいは自家発電をつくったりなんかしているわけですけれども、その上に、どういう施設に対して、一段とレベルを上げたそういう救命ライフラインというような思想を入れて、防災の水準、そういうものを上げていくかという思想は大変重要だと考えておりますので、私も、中央防災会議の専門会議等でも発言してまいりたいというふうに考えております。

太田委員 北側大臣、地震が起きました、どうしても、阪神大震災だと高速道路がこうなったというあのイメージがすごくわく。さあ、首都高というのは相当傷んでいるような感じもするが、首都高それから中央高速、東名、こういうものは、私も現場を見ていますからわかるんですが、相当強くして、今回の新潟中越地震ぐらいの地震が来ても大丈夫だというところへ持ってきたというわけですが、本当に大丈夫かなということをきょうは、大丈夫か大丈夫じゃないかということだけで結構ですから、どうも大丈夫じゃないような気がしてならないんですが、どうでしょうか。

北側国務大臣 今お話がございましたように、平成七年の阪神・淡路大震災を契機といたしまして、道路橋の耐震基準の見直しをさせていただきました。新しい耐震基準をつくらせていただきまして、高速道路や国道などの重要な橋梁に対しましては、例えば、中規模の地震に対しては損傷を生じさせない、また、阪神・淡路大震災クラスの地震、関東大震災クラスの地震、そうした大きな地震があったような場合には、地震による損傷が限定的なものにとどまって、地震後においても橋梁としての機能を応急復旧程度で速やかに回復できる、こういう要件のもとで新しい基準を設計させていただいて、耐震設計のレベルが大きく上がっております。

 こうした基準のもとで、昭和五十五年以前の設計基準で設計しました橋梁に対しましては新しい基準の考え方で耐震補強を進めておりまして、首都高につきましては一〇〇%補強済みでございます。また、東名高速道路につきましても一〇〇%補強済みでございます。高速自動車道全体では現在約九割でございますが、これも耐震補強が早期に完了するように努めてまいりたいと思っているところでございます。

 さらに、昭和五十五年以降のものはどうなんだというのがあるんですが、今回の新潟県中越地震におきましても、昭和五十五年以降の橋梁につきましては橋としての致命的な損傷は受けておらなかったという報告を受けております。これらの五十五年以降の橋梁につきましても、耐震補強の進め方、今後しっかりと検討していきたいというふうに思っております。

太田委員 木造等、今度は建物を聞きますが、建築物については、五十六年の新耐震以降のものについては、木造は倒壊するというのが一一%。ところが、五十五年以前のものの木造は倒壊するのが七一%。そして、非木造、コンクリートということについて言うと、倒れるのが、昔の基準、五十六年の基準の前は一五%、それ以降が三%ということが中央防災会議でデータが出ています。

 私は、ここのところの、一人一人自分の家を想定して、五十六年以前以後ということで私も話をしたりすると、では、都市公団のというのは、今都市機構、四十年代後半に出て、たくさん私たちの地域にもあるわけですが、これは大丈夫かという話がまず出てくる。国がある程度責任を持った都市公団、四十年代というのはかなり、公共のものは五十六年以前が多いわけですよ。これについてはどういう耐震改修をしたりというような措置をとっているのか。

 そしてもう一つ、耐震基準自体を五十六年耐震基準改正よりも強化した方がいいという意見があるわけですが、この二点、いかがでしょうか。

北側国務大臣 公団住宅につきましては、今御質問にございましたように、昭和四十年の後半に建てられたものが大変多いわけでございます。

 それで、こうした昭和五十六年の新耐震基準以前に建設されました中高層住棟のうち、九八%に当たる一万三千百棟につきまして耐震診断が実施済みでございます。このうち、一万二千五百棟につきましては耐震改修の必要はないというふうに判断されまして、必要と判断されました六百棟のうち五百棟については、今年度末までに改修を完了する見込みでございます。

 では、残りはどうするんだ、残りの耐震診断、耐震改修はどうするんだということでございますが、これは大半が、ほかの施設がついている、合築だとか、そういう賃貸住宅でございまして、費用負担とか改修方法につきまして、施設所有者等との調整に今時間を要しているところでございますが、早急に調整を進めて、耐震診断、耐震改修を実施してまいりたいと思っております。

太田委員 地震が起きた、自分の建物が壊れた、あるいは逃げなくちゃならない。避難所はどこか。一番の基軸は小中学校というのが今の体系の基本になっていると思いますが、村田大臣、そうですね。

 そうしますと、小学校、中学校の耐震ということが極めて大事になるんですが、耐震というものについて、小学校の体育館は耐震工事をした、教室はしていない。それぞれ別に進んでいるわけですが、これは谷垣大臣にもよく聞いてもらいたいんですが、これを急がなければ、子供たちというだけではなくて、避難所自体が確保されないということになります。これが進んでいないんですよ。現状は一体どこまで行っているのか。

 そして、谷垣大臣によく聞いてもらいたいというのは、この共同溝といい学校の耐震化といい、これは予算がつきますから、これについてはちゃんとやりますよということをきょうは明言していただきたいと思いますが、その辺、まず現状について文部大臣。

中山国務大臣 それではお答えいたします。

 平成十六年四月に実施しました公立学校施設の耐震改修状況の調査結果によりますと、まず耐震診断につきましては、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建てられた建物が対象となるわけですけれども、校舎では、全国で四八・五%、東京都は八五・〇%。体育館では、全国三四・一%、東京都が六八・四%。トータルしますと、全国四五・二%、東京都が八一・〇%となっております。

 一方、耐震性が確保されているという建物は、校舎では、全国四七・八%、東京都で六〇・八%。体育館では、全国五二・八%、東京都が六〇・四%。トータルしますと、全国で四九・一%、東京都が六〇・七%となっているところでございます。

太田委員 大臣、これは予算を本当につけてもらいたいと思いますが、どうですか。

谷垣国務大臣 今委員御指摘のように、学校の建物というのは、大規模災害が起こったときの地域の拠点ともなる性格を持っているわけですので、やはりその整備をきちっとやっていくということは大事なことだと思っております。

 こういう観点から、小中学校の、文教施設整備関連予算というのは全体で大変厳しい総額の抑制を図っておりますけれども、耐震化関連経費については極力予算額の確保に努めておりまして、平成十七年度予算でも対前年度プラスという形でやらせていただいておりますが、今後とも、関係省庁とよく相談をして、きちっと対応してまいりたいと思います。

太田委員 民主党が出てきていないのは僕は残念なんですが、公共事業とかいうことについて、これは悪玉であるぞみたいなことを言っているんですが、共同溝であるとか、こういうことについては本当に真剣にやらないと、これは人命を損なった場合には何ともならないということを、きょうはテレビで見ている人も中にはいるかもしれないから、民主党の人はよく聞いてもらいたいと思う。

 それで、最後に、もう時間がなくなってしまいましたが、せっかく総務大臣に来ていただいているんですが、総務省消防庁が昨年行った、都道府県の防災力調査が行われていて、全国の庁舎や避難所の耐震化の進みぐあいや被害情報の収集体制ということについて、八百の質問項目から成るチェックリストをつくったというのがあるわけです。自己評価したわけですね。

 ところが、防災施策の評価の見直しとか、防災監査が余り行われていないとか、もう少し練り上げ方を速くするとか、あるいは、課長クラスではなくて副知事とか、もう少ししかるべき、省庁を横断してきちっとやれるということが非常に大事だ、そういう体制をという要望があるわけですが、これについてはぜひとも指揮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたとおりでして、昨年の六月に、今言われた手法を用いまして四十七都道府県というのをさせていただいたところなんですが、これは一回やってそれでいいなんというものではないと思いますので、毎年やるというのがまず大前提だと思っております。

 そこで、いろいろ図面を、円グラフみたいなものをつくって、おたくはどうです、こうですというのをきちんとわかるように、例えば、これはいいけれどもこれは低いとかいうのを円グラフで全部出るようにつくり上げたものがあるんですが、そういったようなものをつくってわかりやすく、おたくは、これはいいですけれどもここがだめですというようなところは全部わかりやすくした上に、定期的な総点検をやるということにして、今年度中、というのは、平成十七年度中には、市町村においても同じようにこういった形のものを、体制を図っていきたいということできちんと対応させていく。

 と同時に、今言われましたように、これはやはり頭に立つ人がその意識を持たないと、頭に立った知事とか首長とか、そういうのが意識を持たないとだめなのであって、よく見ていますと、昔からよく言われる静岡県というのは、どう考えても、これは、知事以下、東南海地震だ、何とか地震だといろいろ言われます。まあ昔から言われているところでもあるんだと思いますが、静岡県やらの対応というものを見ていますと、やはり他県に比べてここは防災関係というのはえらく進んでいるような印象を私も受けますので、やはり一番上に立つ人の意識というものは極めて重要なところだと思っておりますので、その点につきましては、御指摘のとおり、今後とも指導してまいりたいと思っております。

太田委員 もっといっぱい聞きたいこともあるんですが、終わります。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて太田君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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