衆議院

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第11号 平成17年2月14日(月曜日)

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平成十七年二月十四日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 佐々木秀典君

   理事 島   聡君 理事 田中 慶秋君

   理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      川上 義博君    河村 建夫君

      北村 直人君    後藤田正純君

      坂本 哲志君    竹本 直一君

      玉沢徳一郎君    中馬 弘毅君

      西川 京子君    根本  匠君

      葉梨 康弘君    萩野 浩基君

      早川 忠孝君    原田 令嗣君

      保坂  武君    宮下 一郎君

      村井  仁君    森田  一君

      井上 和雄君    石田 勝之君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      吉良 州司君    小宮山泰子君

      篠原  孝君    津川 祥吾君

      辻   惠君    中川 正春君

      中津川博郷君    中塚 一宏君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      原口 一博君    樋高  剛君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      笠  浩史君    遠藤 乙彦君

      佐藤 茂樹君    坂口  力君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      佐々木憲昭君    横光 克彦君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        谷川 秀善君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         知念 良博君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    大泉 隆史君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  植竹 繁雄君     葉梨 康弘君

  河村 建夫君     川上 義博君

  小泉 龍司君     保坂  武君

  津島 雄二君     坂本 哲志君

  福田 康夫君     宮下 一郎君

  二田 孝治君     竹本 直一君

  小泉 俊明君     馬淵 澄夫君

  辻   惠君     中川 正春君

  中井  洽君     井上 和雄君

  中塚 一宏君     前原 誠司君

  米澤  隆君     小宮山泰子君

  坂口  力君     遠藤 乙彦君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

  照屋 寛徳君     横光 克彦君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     河村 建夫君

  坂本 哲志君     津島 雄二君

  竹本 直一君     二田 孝治君

  葉梨 康弘君     植竹 繁雄君

  保坂  武君     早川 忠孝君

  宮下 一郎君     福田 康夫君

  井上 和雄君     笠  浩史君

  小宮山泰子君     米澤  隆君

  中川 正春君     辻   惠君

  馬淵 澄夫君     小泉 俊明君

  前原 誠司君     中塚 一宏君

  遠藤 乙彦君     坂口  力君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

  横光 克彦君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     原田 令嗣君

  笠  浩史君     中井  洽君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 令嗣君     小泉 龍司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長知念良博君、公安調査庁長官大泉隆史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 本日は、外交・経済についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。茂木敏充君。

茂木委員 本日は、先週の案件もありまして、急遽設定をされた外交・経済に関する集中の審議であります。こういった形で与野党がそろって真摯に国政の問題を議論する大変貴重な機会だと思っております。

 そこで、北朝鮮そしてイラク問題を中心にしまして、小泉総理、町村外務大臣に質問させていただきたいと思います。

 まず、北朝鮮問題であります。

 先週の木曜日、午後三時に、北朝鮮の外務省のスポークスマンが唐突な声明を発表いたしました。極めて非建設的、遺憾な声明であった、このように私は考えております。声明のポイントは、御案内のとおり二点ございまして、まず、北朝鮮が自衛のための核兵器を製造したと初めて公の場で表明したこと、それから二点目に、六者協議への参加を無期限で中断すると一方的に表明したことであります。

 さらに、米国の第二期のブッシュ政権について、北朝鮮敵視政策に固執していると改めて批判をし、そして日本についても、拉致問題が解決済み、遺骨問題は捏造、日本が日朝平壌宣言を白紙に戻したなど、事実とは全く異なる極めて不当な批判を行い、日本の六者協議への参加を認めるのは困難との一方的な立場を主張しております。

 小泉政権の北朝鮮政策の基本姿勢、私なりに理解すれば三点あると思っております。

 まず第一点は、戦後日本外交の残された懸案であります日朝国交正常化の早期実現の問題。そして二番目に、二度にわたる総理の訪朝初め、誠意ある交渉を通じた包括的問題の解決。そして、ヨーロッパでは既に冷戦構造が終わっております。東アジアにおける二十一世紀の新たな安全保障環境の構築とそのための六者協議の推進。こういう三点が私は基本である、こんなふうに考えております。

 そして、日本や六者協議の参加国が、北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題の包括的解決にまさに真摯に取り組んでいるこの時期、今回の北朝鮮外務省スポークスマンの声明は、日本を初めとする関係国の外交努力や国際社会の期待に逆行する極めて遺憾な対応であると、国権の最高機関、この国会の場におきまして、まず厳しく非難、強く抗議をさせていただきたいと思います。同時に、時代おくれの瀬戸際外交、さらに、北朝鮮のおどしは、我が国にも国際社会にも全く通用しない、そのことを明言させていただきたい、そのように考えております。

 そこで、まず、この北朝鮮問題に歴代の総理の中でもだれよりも情熱を傾け真摯に取り組んでこられた小泉総理が今回の北朝鮮の声明をどう受けとめられたか、御所見を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 詳細につきましては後ほど外務大臣からも答弁あると思いますが、私は、今茂木議員が言われたような主要な指摘、そのとおりだと思っております。

 まず、今回の北朝鮮側の声明については、これは問題がある。北朝鮮にとって決して利益にはならない。日本としては、日朝平壌宣言というのは両国の正常化に向けて重要な政治文書でありますし、将来、北朝鮮と日本との間に正常な関係を結ぶということが両国にとって利益になることである。同時に、この正常化を実現するためには、拉致の問題、核の問題、ミサイル等の問題、これを総合的、包括的に解決することが前提である。

 そして、なおかつ、この北朝鮮との問題は、日本と北朝鮮との二国間だけの問題ではありません。お隣の韓国はもちろん、アメリカ、中国、ロシア、いわゆる北朝鮮との隣国である関係諸国との問題を考えますと、北朝鮮にとっても、北朝鮮を含めた六カ国協議という場は、将来の発展のためにも良好な関係をこの五カ国と結んでいくということは極めて重要であり、北朝鮮にとって最も利益になるのではないかという観点から、私は、それぞれの関係の、米朝二国間、あるいは韓国との関係、中国との関係、ロシアとの関係を含めたそれぞれの国との関係と同時に、六カ国協議の場を重視していくことが北朝鮮にとっても利益になる、そういう観点から交渉を進めてきているわけであります。

 しかし、今回、北朝鮮の新たに発出されました声明というものに対しましては、その表現された文章だけをとってみれば問題であるというのは事実であります。しかし、同時に、過去の北朝鮮側の正式な発表ぶりとそこに秘められた真意というものもやはりよく考えて判断していく必要があるということを考えますと、今後とも、この問題につきましては、早く北朝鮮側が六カ国協議の場に出てきて、国際社会の一員に加わることが最も北朝鮮にとって利益になるという働きかけを、今後も中断することなく、日本政府としては働きかけていく必要があるというふうに考えております。

茂木委員 北朝鮮はこれまでも、核抑止力、こういった表現で核保有の可能性を何度も示唆してきましたが、公の声明として核の製造に言及したのは今回が初めてであります。もちろん、瀬戸際外交、これを多用しまして、交渉の過程で緊張を高める発言を行う、これは北の常套手段でありまして、北朝鮮の言動一つ一つに動じることなく、まさに今の総理の答弁のごとく、冷静かつ毅然たる対応をとることが今最も重要だ、そんなふうに私も考えております。

 そこで、まず事実、状況の確認でありますが、日本もこれまでも関係国と緊密な情報交換を続けて、北の核開発については情報の把握をしっかりと進めている、このように考えております。また、先ほど総理の答弁の中にもございましたが、今回の声明の全文を注意深く読んでみますと、行間からは、どうにか米朝の二国間協議を実現したい、こういう意図も読み取れるわけであります。

 そこで、今回の北朝鮮の発言の意図、そして実際の北朝鮮の核開発、保有の状況につきましてどう分析をされているか。もちろん、ここは外交そして安保の秘密会ではありませんので答弁の限界もあるかと思いますが、町村外務大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。

町村国務大臣 先ほど総理から包括的な御答弁があったことでございます。

 若干これを補足することを含めて今の御質問にお答えをしたいと思っておりますけれども、一言で言いますと、この核の保有宣言という声明でありますが、日本政府としてはまことに遺憾な声明である、こう思っております。

 なぜならば、先ほど総理が言われたように、六者会合を通じて核問題を平和的に解決するというのが関係国すべての基本姿勢でありますし、また、そのために外交努力を傾注しているさなかであるわけでありまして、まことにそういう意味で遺憾であると言わざるを得ないわけでありまして、これは、日本が位置している北東アジアの安全にとって直接的な脅威であるだけではなくて、国際社会が今全体でこうした核の拡散、国際的な不拡散の努力をしている、それに対する深刻なる挑戦である。そういう意味からもまことに容認できない、こう思っているわけであります。

 では、本当に核を持っているのかどうなのかという、今、委員からのお尋ねでありました。

 今まで累次の、いろいろ北朝鮮の発言があります。あるいは、アメリカのCIA長官の発言等々があるわけでありますが、そうしたことを総合的に勘案しますと、北朝鮮が兵器化し得るプルトニウムというものを相当量持っている、そして核兵器を保有している可能性は確かにあるんだろうと思います。しかし、その現状について、これであるという確定的な判断をしている国はありませんし、日本もまた同様でございます。

 しかし、いずれにしても、先ほど申し上げましたようなこうした発言というものは国際社会に対するまさに挑戦でございまして、今後、こういったことを平和的な手段を通じて解決していくということを強く求めていきたい、そのために関係諸国とも緊密なる連携を続けていこう、かように考えております。

 多分、きょうかあしたぐらいに韓国の外務大臣がアメリカにおいてライス長官との話し合いを行うはずであります。先ほどの理事会でも、この週末、私と大野防衛庁長官がワシントンに行って、いわゆる2プラス2に出席をすることを予算委員会のお許しを得たと聞いたところでございますけれども、ライス長官とまた一対一で話し合う機会もあろうかと思いますので、この北朝鮮の問題を当然しっかり取り上げていきたい、また中国の外務大臣とも近々電話等で連絡をとり合いたい、こう思ったりもしております。

 さまざまなルート、大使館ルートもございます。しっかりと関係国と足並みをそろえながら、この問題に冷静に、しかし毅然と対処していきたいと考えております。

茂木委員 国際社会との協調、それから六者協議のお話が出たわけでありますが、今回の声明の中で、六者協議については無期限でその参加を中断すると一方的に声明している北朝鮮でありますが、これは明らかに誤った判断である、私もそのように今考えております。私も外務副大臣時代、この六者協議には立ち上げの段階からかかわってまいりましたが、六者協議は北朝鮮の核問題を平和的に解決する現実的かつ有効な枠組みでありまして、総理もおっしゃったように、六者協議の中断は北朝鮮にとっても何らプラスの方向に向かわない非生産的かつ全く誤った方向の対応である、このように考えております。

 そこで、今回の対応につきまして、外務大臣の方から一部既に答弁もございましたけれども、特にこういう時期こそ関係国との緊密な連携が必要でありまして、確かにアメリカとのバイの会談もあるわけでありますけれども、まずは日米韓、この三カ国の協議、これも私は早急に行うべきだ、こんなふうに考えております。

 同時に、北朝鮮に大きな影響力を持っております中国、中国は近く共産党の幹部をピョンヤンに派遣する、こういう予定も聞いております。また、今、日本には六者協議の議長を務めた王毅次官が大使として赴任もしているわけであります。ぜひ中国との協議も早急に行っていただきたい、このように考えておりますが、改めて外務大臣にお伺いいたします。

町村国務大臣 今茂木委員御指摘のように、今、中国、韓国等は春節というんでしょうか、旧お正月の期間のようでございますが、来週ぐらいにこの休みが明ける、そんなことで、時期はまだ定かじゃないようでございますが、来週早々にも中国共産党中連部の部長が北朝鮮を訪問するという話を聞いております。それを見ながら、今お話のあった中国を含め、実務者といいましょうか、例の六者協議の代表者会議というのがあるわけであります。私どもはアジア大洋州局長がその任に当たっておりますが、そうしたレベルでの会合を開いてはどうかという話を、先般、私、韓国の外務大臣と電話で話をした折、そんな提案もしたところであります。またさらに、必要あらば、今度は閣僚レベルの会合もしかるべきタイミングで開く必要もあるんだろう。

 韓国、アメリカ、そして日本、この三者、伝統的に足並みをそろえてやってまいりました。そして、今お話しのように、やはり中国の影響力というものが、歴史的にも、あるいは経済的にも、あるいは地理的にも大変深い関係がある。したがって、中国のより大きな影響力の発揮というものも当然期待をするわけでありまして、さまざまなレベル、さまざまな組み合わせで今後会合を重ねていって、できるだけ早い無条件の北朝鮮の参加を求めたい。

 なお、国際会議レベルでいいますと、三月の二十八日から三日間ほどIAEAの理事会が開かれるという予定も立っておりまして、この場においても関係国としっかりとした話し合いをしていく必要があるんだろう、かように考えております。

茂木委員 三月の二十八日のIAEAの理事会のことに関しまして、私も昨年IAEAの総会に出ておりまして、いろいろな議論、また提言もこの後させていただきたい、こんなふうに思っております。

 この六者協議につきましては、北朝鮮以外の五カ国は意見が完全にまとまっているわけです。中国もそうでありますし、ロシアにしても、早急に復帰すべきだと。まさにまとまっていることでありますから、早急に関係国の間の明確なメッセージを北朝鮮に送る、このことが私は極めて重要だ、こんなふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、拉致問題に関連してお尋ねをしたい、こんなふうに思っております。

 これまでも拉致問題に対します北朝鮮の対応は極めて不誠実でありましたが、今回の声明で北朝鮮は、この拉致問題につきまして、既に解決した拉致問題にかこつけてにせ遺骨問題まで捏造などと、極めて不当な言及を行っております。この問題で説明責任があるのは日本ではありません。だれの目から見ても明らかに北朝鮮の側であります。

 その一方で、私は、日本の国内でこの問題に関しまして、政府についてもっと厳しい毅然たる対応をとるべき、こういう声が起こる一つの要因として、外務省がこれまで北朝鮮への抗議、そしてまた働きかけ、さまざま行ってきていると思いますが、それがなかなか国民に十分説明されていない、国民に届いていない、これも一つの要因になっているのではないかな、こんなふうに感じております。

 そこで、町村外務大臣に、このにせ遺骨問題の発覚以来、先週の木曜にもいわゆる備忘録に対しましてしっかりした抗議をされた、このようにも聞いておりますけれども、どんな形で一連の抗議なり働きかけをしてきたのか、このことを改めて国民の皆さんにもう一度説明していただきたい、こう思います。

 また、拉致問題に関連しましては、期限を区切って経済制裁をすべき、このような声が高まっております。そして、今回の声明を受けまして、自民党だけではなくて、国民世論全体としてそういった声が一層高まっている、このように私は認識をいたしております。

 そこで、今回の北朝鮮の極めて不当な声明を受けて、政府として経済制裁について現時点でどのように考えていらっしゃるのか。もちろん、経済制裁といいましてもさまざまなレベルのものが考えられるわけでありまして、それらも含めて、現時点での考え方をお聞かせいただければと思います。

町村国務大臣 一つ、先ほどIAEA、三月と私言ったが、間違えました。失礼しました。二月の二十八日から三月の二日でございますので、ちょっと訂正をさせていただきます。

 拉致の問題についての北朝鮮の対応でございます。昨年、三回実務者レベルの会合をやり、さらには局長級の会合を十一月にやり、そして、いろいろな、遺骨と称するもの、さらには幾つかの証拠物件を持ち帰り、それを分析していたわけでございますが、十二月の下旬に、それに対して、その遺骨が横田めぐみさんのものではないというDNAの鑑定結果、これは日本の最も権威ある機関でやったもの、これはまさに横田めぐみさんのものではないという鑑定結果がはっきり出た。

 その他の証拠の物についても、八名が亡くなった、二名が入国をしていないという説明を立証するにはほど遠いものばかりであったということであったものですから、日本国政府から先方政府、現実には、中国にあります日本大使館から、同じく北京にあります北朝鮮大使館に、その文書とともに、鑑定結果を含めて先方に渡し、そして、こうした不誠実な対応が続くのであれば私どもとしては厳しい対応をとることになるということを、先方に明確に文書をもって伝えたところであります。

 これに対して、先月になって、北朝鮮からいわゆる備忘録と称する、日本の主張というのはすべて捏造であり、あるいは悪らつなデマであり等々、いつものパターンの反論が返ってまいりましたので、改めて、警察庁等とも相談をした形で我が方からの回答を行ったところでございます。

 私どもとしては、基本的に、対話と圧力という基本的な考え方に立ちまして、北朝鮮に対して誠意ある対応を求める、そして、関係する国々にもこの問題を常に提起をして、およそ人道的観点からいっても、あるいは国の主権が侵されたという意味でもまことに許しがたいこういう行為が現実にあったし、いまだにその問題が解決していないということを諸外国にもPRをし、国際社会に対して協力を求めてきているところでございます。

 そういう中で、全体のこれまでの北朝鮮外交は、先ほど委員がまさに言われたように、拉致の問題一つをとりましても、まず五名の方々が帰国をされた、さらにその家族も帰国が実現をしたという成果は私はあったと率直に思っておりますが、さらに安否不明の被害者の方々について、依然として先方の対応というものが極めて不誠実であり、およそ納得的なものではないということでございますから、私どもとしては、まず生存される方々を一刻も早く帰しなさい、さらに真相究明のための必要な、真実を明らかにする手段で説明を求めるということで、今、先方に対して対応を求めております。これはもちろん、いろいろなルートでの接触というものがあるわけでございまして、そうした形で今私どもはやっております。

 そして、委員御指摘のように、制裁ということが大変強く御意見として出されてきているのも私もよく承知をしております。昨年一年間でも、国会の発議という形で制裁の法案まで通していただいた。

 したがって、私どもは、この厳しい対応の中に当然経済制裁、あるいはいろいろなレベルの制裁というのがあると思いますが、そういったものも含まれるという考え方に立って、今私どもはさらに先方の誠実な対応を求めるということでやっているわけでございますが、いつまでもただじっと黙って誠実な対応を求めるとだけ言っているわけにもまいらない、かように思っておりまして、今後さらに先方の出方を見ながら、最も効果的なタイミング及び方法について、今後とも具体的な対応というものを政府部内では検討している。しかし、今直ちにこの時点で制裁を発動するという状況にはいまだ至っていない、かように判断をしているところでございます。

茂木委員 北朝鮮の備忘録を見ましても、余りにもずさん、それから誠意を欠いた回答だ、そんなふうに私は思っております。

 この拉致問題、恐らく二、三年前、例えば海外に行って、アブダクション、拉致という言葉を使っても、何のことですかという方が多かったんですが、それは、国内でも家族会の皆さんの働きかけ、そしてさまざまな外交努力によりまして、今、海外の主要な人にアブダクションの話をしますと、きちんと理解をしていただける段階にまで来ております。そういった、国内世論だけではなくて国際世論というのも整いつつある。さらに、きょうこの時点で経済制裁について世論調査をとったら、恐らく、私は、国民の八割、九割の皆さんが、経済制裁を実施すべき、こういう回答をされるんじゃないかなと思います。そういった世論もしっかり受けとめて対応していただきたい、このように考えております。

 先ほど、総理の方から対話と圧力の問題について御発言もございましたが、私は、外務副大臣時代、外務省内で、この対話と圧力、こういう対処方針を最初に提起させていただいた一人でありまして、この基本方針の中で導入した圧力というものの考え方でありますが、もちろん経済制裁、これも大変有効な圧力の手段でありますが、まさに北が圧力と感じる手だてをタイムリーかつ毅然たる対応でとっていく、このことが極めて重要だ、こういうふうに考えております。

 この観点からいたしますと、北の核問題を国連安保理に提起することは今極めて有効な圧力である、このように私は考えております。日本は、ことしからまた安保理のメンバーになったわけであります。そして、北朝鮮が一方的に中断をしました六者協議への復帰、先ほど申し上げましたように、中国やロシアも強く呼びかけている、こういう問題でございます。

 また、北朝鮮は、これまでもNPT、そしてIAEAの保障措置協定に違反をしてきておりまして、さらに今回の声明でまさに核兵器の製造を宣言している。宣言している以上、北朝鮮の核問題の安保理への提起は極めて妥当であり、早急に検討、準備に入るべきだ、私はこのように考えておりますが、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 今委員がお話しのとおり、アメリカもまたその他の関係国も、日本もまた同様でありますが、六者協議の再開、これに無条件に北が応ずるべきである、こういうポジションでありますし、また北朝鮮自身も、あの声明をよく読んでみると、六者会合のプロセス自体を否定しているわけではないというふうに読めるわけでございます。

 したがいまして、私どもは、今なすべきことは、関係国と協力をしながらこの六者協議の再開に向けて最大限に努力をすることであろうということで、今直ちに六者協議から国連安保理へと移る段階には現状はないだろう、こう思っております。

 しかし、そうした今後行われるであろうさまざまな外交努力にもかかわらず、北朝鮮が何ら対応を示さない、あるいは状況がさらに悪化をするというような状況があろうかと思います。そうなった段階で、この安保理への付託というものも選択肢の一つとして関係国で検討されることはあるんだろうと思いますが、しかし、現状では、今まだ直ちに安保理に持っていくという状況にはないのではなかろうか、かように受けとめております。

茂木委員 私も、何もこの六者協議を飛ばしてすぐに安保理に付託、こういう話を申し上げているわけではなくて、六者協議が重要である、そしてそれが実現しなければ必ず安保理に行きますよ、こういうメッセージが必要であり、それについては中国もロシアもこの六者協議が重要で戻ってきなさいと北朝鮮に呼びかけている、こういう事実を重く受けとめてほしい、こんなふうに考えているところであります。

 さて、北朝鮮は今回の声明で、日朝平壌宣言に関しまして、日朝平壌宣言を白紙に戻し、国交正常化をしないという日本といかにして一堂に会して会談を行えるであろうか、こんなふうにしているわけでありますが、核問題にしましても拉致問題につきましても、日朝平壌宣言に違反しているのは明らかに北朝鮮であります。その一方で、解釈でありますが、改めて今回の声明でも日朝平壌宣言に北が言及していること自体、最低限この宣言の重みについては北朝鮮も認識をしている、このようにも考えられるわけであります。

 さまざまな問題がある、さまざまな困難がある、そういうことを十分認識した上で、まさに政治決断で、日本の総理として初めて北朝鮮を二度にわたって訪問し、一回目は直接日朝平壌宣言を交わされた小泉総理として、今回の北朝鮮の対応をどうとらえていらっしゃるのか。また、今後、北朝鮮の対応をしっかりと改めさせ、そして日朝平壌宣言をしっかりと履行させ、国交正常化交渉を進展させていくためにどのように取り組んでいかれるのか。改めて、総理の強い決意と明確な答弁をお願いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日朝平壌宣言というものを私と金正日氏の間で署名し、これを将来の日朝国交正常化につなげる重要文書であるという認識を持っていることについては、私は、今でも有効であると思っております。

 しかし、最近の北朝鮮側の言動を見ていますと、この日朝平壌宣言の精神に反している面が見られるということも、問題があると思っております。要は、この日朝平壌宣言の精神というものをいかに現実に実施していくかということについては、やはり粘り強く、忍耐強く、お互い誠意を持って対処していこうという努力が必要ではないか。

 今、確かに、北朝鮮側の発言につきましては、我々としては納得できない面が多いわけでありますが、かといって、日本側との正常化を望んでいないかというと、そうでもない。六カ国協議、無期限中断すると表面的には言っておりますけれども、果たして、中断して北朝鮮にとってどんな利益があるのかということを考えると、何ら利益がない。そういうことを考えますと、先ほど申し上げましたように、公式的に発言している面と、やはり交渉の扉はあけておきたいという真意もよく見ておかなきゃならない。

 そういう観点から、引き続き我々としては、六者協議に応じるような働きかけ、そして将来、日朝国交正常化というのは、両国だけでなく朝鮮半島全体にとって、平和的、実現していくことが世界の安定のためにも重要ではないかという努力を今後も続けていかなくてはならないと思っております。

茂木委員 今回の北朝鮮の声明、冒頭申し上げましたように、極めて遺憾な声明であります。そういった中で、北朝鮮をいかに正しい方向に引き戻すか。六者協議を含め、さまざまなツールを日本としても持っているわけであります。また、関係国も持っております。そういったことを矢継ぎ早にきちんと実行していく、このことが、まさに今、日本外交の真価が問われる、こういう状況ではないかなと思いますし、そして、それをピョンヤンに対して明確なメッセージで送っていく、こういうことが重要だ、私はこんなふうに考えております。

 ところで、総理、キューバ・ミサイル危機を題材にした「13デイズ」という映画をごらんになられたことはございますか。見た。私も何回か見ましたが、ハイライトシーン、これは、一九六二年、今から四十三年前になるわけでありますが、十月の二十二日に、アメリカのケネディ大統領がテレビ演説で、キューバに対する海上封鎖を表明する、ここのところがハイライトシーンになってくるわけであります。

 この決定に至りますさまざまな過程につきましては、ケネディ大統領の弟、ロバート・ケネディ氏が「サーティーンデイズ」という小説の中で細かく書いているわけでありますが、さまざまな選択肢の中でとられたこの海上封鎖、実は、西ベルリンに対する封鎖、これに飛び火することを考えまして、ブロッケードということではなくて、実際にはクアランティーン、隔離、こういう言葉を使ったわけでありますが、この海上封鎖、具体的な行動であると同時に、これはアメリカが、キューバに絶対に戦略的な核の基地をつくらせない、こういうクレムリンに対する明確なメッセージであった、このように私は考えております。

 実際には、この海上封鎖から一週間後、十月の二十八日に、当時のフルシチョフがケネディに対しまして、キューバの攻撃的な兵器の撤収を行う、こういう回答を寄せまして、世界をまさに核戦争の瀬戸際まで追い込んだこのキューバ・ミサイル危機が一段落をするわけであります。

 私は、計算された毅然たる行動、そして対応、これはまさに外交上の明確なメッセージなんだ、こんなふうに考えております。ぜひ日本政府がピョンヤンに対して明確なメッセージを送る、このことを改めて強く要望させていただきたい、こんなふうに考えております。

 時間の関係で、引き続きイラクの問題についてお尋ねをしたい、こんなふうに思っております。

 私は一昨年、外務副大臣時代に、二度にわたってイラクのバグダッドを訪問いたしました。最初は、一昨年の三月、イラク戦争直前に小泉総理の特使としてバグダッドを訪問しまして、イラクが国連の査察を全面的に受け入れることが戦争を回避する上で非常に重要なんだ、こういう交渉役を任されて参りました。当時のフセイン政権のタリク・アジズ副首相と、二時間にわたる大変激しい議論、交渉を展開したわけであります。

 交渉の過程では、アラビア語、日本語、そして途中には英語も入り乱れる、お互いに話し合う、こういう激しい交渉の中でその通訳をやってくれたのが亡くなった井ノ上書記官でありまして、こっちがしゃべっているときに相手は割り込んでくる、そういう状況が何度もあったわけでありますけれども、あの童顔に似合わず、絶対に自分の仕事、通訳の仕事はやめない、大変立派な姿勢で通訳に取り組んでくれました。本当に有能なアラビストだった、そんなふうに私は井ノ上書記官について今でも考えております。

 また、私が五月、戦争の直後、バグダッドを訪問したとき、会談、そして現地での視察、これのアレンジをしてくれたのが亡くなった奥大使でありました。

 私と、当時のORHA、CPAの長官でありましたブレマー長官の会談は朝行ったわけでありますが、その直前に奥大使が、茂木副大臣、一つだけぜひ聞いてほしいと。イラクの復興にだれよりも情熱を傾けていた奥大使が私に言った言葉を非常に今でも鮮明に覚えております。それは、CPAとしてエグジットストラテジー、つまり出口戦略というものをどう考えるのか、このことをぜひ聞いてほしい、これが奥大使の言葉でありました。会談では、ブレマー長官は赴任直後、実際には長官としての初仕事が私との面談、こういうことで、なかなか出口戦略について明確な回答はその時点ではなかったわけであります。

 あれから二十カ月がたちました。イラクでは今でも、残念ながら治安の状況が改善しない、こういうことが続いております。政治プロセスでいいますと、選挙が実施されたり、この後の憲法の起草、そしてまた国民議会ができる、一定の進展、こういうものはあるわけでありますが、しかし、いまだ出口戦略というものが明確に見えていない。これがイラク復興の最大の問題点ではないかな、こんなふうに私は考えているところであります。

 そこでまず、政治プロセス、こういう視点から今回のイラクの国民議会の選挙の評価についてお伺いをしたい、こんなふうに考えております。

 イラクは、人口が二千七百万人、そして国内の二十歳以上の有権者が千四百万人、プラス在外で百万人。この千五百万人のうち大体千三百万人が有権者登録をいたしまして、八百万人が投票した、こんなふうに言われているわけであります。投票率でいいますと六一%。

 日本の国政選挙より投票率が高いということでありまして、昨年七月の参議院ですけれども、選挙の投票率が日本では五六・五七%、一昨年の衆議院選挙でいいますと小選挙区の投票率が五九・八六%、いずれも六割に達していない。それから、去年あれだけ注目を集めたアメリカの大統領選挙、これも投票率は五八・九%、こういう段階であります。

 イラクの近隣諸国、最近の選挙を見てみますと、アフガニスタン、日本も支援しまして、二〇〇四年、昨年の十月九日、大統領選挙が行われました。このとき非常に高くて、七一%の投票率ということでありました。また、イランでも去年の二月に国政選挙が行われておりますが、この全国の投票率は五〇・五七%、こういうことでありまして、先進国それから近隣諸国と見ても、今回の投票率そのもの自体は決して低くなかったんじゃないかな。在外に限ると、この百万人のうち九三・六%が投票した。実に驚異的な数字じゃないかな、こんなふうに私は考えております。

 その一方で、今回の選挙に当たりましては、テロリストの妨害、こういうこともございました。また、スンニ派の一部が選挙に参加しない等々の問題点も残ったわけであります。

 そこで、今まさにこの時間に最終結果が出るか出ないか、こういうタイミングであるかと思いますが、今回のイラクの国民議会の選挙の結果、どう評価しているのか、外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

町村国務大臣 国民議会の選挙、これからのイラクの動向を左右する大変重要な第一歩を踏み出した、こう思っております。この実現に向けて努力をした暫定政府の皆さんはもとよりでありますが、ある意味では危険な状況をも顧みず、非常に数多くの方々が列をなして投票に行った。そのイラク国民の民主化への情熱、独立した国家への情熱というものを私どもは高く評価したいし、これに協力した国連を初めとする関係国、関係機関の努力というものもやはり正当に評価されるべきであろうと思います。

 結果でございますが、二月の十三日ですから昨日ですか、ちょっと時差の関係がはっきりいたしませんが、イラクの独立選挙管理委員会の暫定結果というものが発表になったところでございます。これによりますと、投票率は約五八%ということでございまして、六割にはちょっと欠けたような感じがいたしております。

 そのうち、統一イラク連合、これはシーア派のアヤトラ、シスターニ師の承認を受けているという最大のグループ、これが大体四八%程度ということで、五割近い、あるいは五割前後の票をとったということ。第二位がクルド同盟、これが二六%前後ということ。三位がイラク・リストという、これはやはりシーア派で、アラウィ首相に近い人たちが一四%程度。それからイラク人党、これはヤーウェル大統領の、これはスンニ派でございますが、二%前後といったような結果が出たようでございまして、ある意味では予想どおり、大変なシーア派の圧勝の姿。クルド人の方も、二割の人口の中から二六%という大変高い率になったというのは、やはり投票率が高かったのかな。そのような結果が出ているようでございます。

 いずれにいたしましても、大変重要な第一歩を踏み出した。今後の政治プロセス、しっかりと進んでいくように、先ほど委員お話しのとおり、憲法制定、あるいはそれを承認する投票、またその憲法に基づく国民議会の選挙ということで、あと二回大きな国民投票があるわけでございまして、それぞれ大変なことだろうと思っておりますが、国際社会一致してそうしたイラク人による国づくりをしっかりと支えていきたい、かように考えております。

茂木委員 かつて、アポロの船長でありましたアームストロング船長は、月に到達するときに、一人の人間にとっては一歩だけれども人類については大きな一歩だと。私は、中東の平和と安定にとって、このイラクの国民議会の選挙はまさに大きな確かな第一歩であった、こんなふうに考えております。

 日本は、これまでイラクの支援に関しましては、自衛隊の派遣そしてODAの活用によります人道復興支援、これを車の両輪としてしっかりと展開をし、また日米同盟そして国際社会との協調、このバランスをとれた形の両立を目指した支援を進めてきたわけであります。今回、民主的な選挙がイラクで歴史上恐らく初めてということでいいんだと思います、行われたということは、確かな成果が上がっている、このことは間違いないんだと思います。

 そこで、これからどうしていくかということでありますけれども、私は、今後のイラクの安定と復興のためのキーワードは三つある、こんなふうに考えております。まず第一に、政治的には、国民の幅広い代表ということであります。また二つ目に、社会的には、みずからの手による治安の回復ということ。そして三つ目に、経済的には、目に見える生活の改善。これが三つのポイントである、こんなふうに考えております。

 そこで、まず、国民の幅広い代表という観点から今後の新政権樹立に向けての動きについてお聞きをしたい、こんなふうに思います。

 今後のプロセスとしましては、今回の選挙で選ばれた二百七十五名で構成されます国民議会が大統領と二人の副大統領を選ぶ、そしてこの三者が首相を指名しまして、その首相の推薦によりまして閣僚が指名をされる、こういうプロセスになっていくんだと思います。

 そして、先ほど選挙の結果につきまして外務大臣の方からございましたけれども、イラクはシーア派が約六割、そしてスンニ派が二割、そしてクルド人が一七%、さらにはたくさんの少数民族もいるわけであります。

 今後、イラクの政権の安定、さらに憲法の起草以降のプロセスをしっかり進めていくためには、各宗派の代表さらには民族の代表がバランスよく政権の中に入ってくる、このことが極めて重要なのではないかな、こんなふうに私は考えているわけでありまして、ぜひその点についての外務大臣の見解を伺いたいとともに、もちろん内政干渉という形になっては困るわけでありますけれども、国際社会として、こういったバランスのとれた政権をつくっていくためにどのような働きかけが可能なのか、このことにつきましてもあわせて御意見を伺えればと思います。

町村国務大臣 まず、国際的な働きかけの方から申し上げますと、昨年十一月にエジプトのシャルムエルシェイクという場所で、イラクはもとよりでございますが、周辺国及びG8の各国ということで関係国が集まりまして、国際社会で協力して、まず選挙を成功させようという会議を開きました。

 私も機会を得ましてそこに参加したわけでございますが、確かに、その中でも、選挙はちょっと延期した方がとかいういろいろな声が内々あったことは事実でありますが、しかし、予定どおり実行して今回のような成果をおさめた。このプロセスをもう一度どこかでやろうという内々の話が今始まっておりまして、そんなに遠くないうちに、そうした国際社会からの働きかけというものが出てくると思います。

 それから、もう一つ大きいのは、だんだん重要性を増してくるのが、やはり何といっても国連でございます。国連のアナン事務総長も、今後のイラクの政治プロセス、治安の状況を見ながらということはあるかもしれませんが、次第に国連の方々のプレゼンスをふやしていくというような形で、国連が今まで以上に、より大きな役割を果たしていくということが必要なんだろう、こう思っております。

 それから、今委員が言われた三つの点、本当にそれぞれ重要な今後のイラクの国家としての命運を担う三つの大きなポイントを指摘いただきました。そのとおりだろうと思います。

 その第一の、バランスのとれた代表ということであります。

 議会は議会として、一応選挙結果があるわけでありますが、それはそれとしてと言っちゃいけませんけれども、その機能をさせるものとして、同時に、例えば大統領と首相と議会の議長、これをどんなバランスで主要なグループに配分するかとか、あるいはそこに至る以前に、もう既に大統領あるいは首相が努力をし始めているようでございますが、いろいろなグループ、いろいろな宗派の代表との水面下あるいは水面上の話し合いも既に行われていると私ども承知をいたしております。

 そういう意味で、各派のバランスはとれた形で今後の憲法制定作業が行われ、そしてまた次なる投票が行われるというふうにさせる、そういう方向に進んでいくのが非常に重要だ、こう思います。

 そして、そのことが先ほど言われた治安の回復のいわば大きな土壌をつくるという意味で非常に重要なんでありましょう。そういう形が必要だということは、いろいろなまた国際的な構成員からもイラク政府に発言が届いております。私どもの在バグダッドの大使からも先方政府に対するそうした意図も内々伝える等の外交努力もやっているところでございますが、今後とも、今、委員が言われたような幅広い代表が今後のイラクの統治機構の中にしっかりと組み込まれていくように努力をしていただきたいと心から願っているところであります。

茂木委員 二つ目のポイントの治安の問題でありますけれども、イラクの治安情勢につきましては、一昨年の八月の治安情勢の悪化以来、残念ながら一進一退、こういう状況が続いているわけであります。もちろん、イラクの治安の回復には、政治が安定することを含め、さまざまな課題というのがあるわけでありますが、私は、大きな方向として、治安ということでいいますと、やはり今のアメリカであったりとか多国籍軍による治安対策から、だんだんイラク人みずからの手による治安改善、こちらの方向に移行していく、このことが重要なんだ、こんなふうに考えております。

 このためにも、恐らく今、十三万六千人と言われますイラクの警察の能力の向上、このことが極めて重要でありまして、またイラクは、イラク警察、装備の状況、これが不十分でありまして、私は、副大臣当時から、車両、そしてまた通信、そして電気、具体的に申し上げると、パトカー、トランシーバー、小型のジェネレーター、これの日本からの供与がイラクの警察能力を向上させる上でも極めて重要だ、こんなふうに主張してまいりました。

 また、人材の育成、トレーニング、こういうことも重要でありまして、外務省としても、今そういった機材の提供であったりとか人材の育成にもしっかり取り組まれているということでありまして、私は、そのスピードを加速していただきたい、こんなふうに考えております。時間の関係で要望だけさせていただきたい、こんなふうに思うわけであります。

 そこで、最後に、イラクの復興問題について総理の方にお伺いをしたい、こんなふうに考えております。

 私は、一昨年、イラクを訪問したときに、イラクには日本の遺産というものがたくさんある、こういうふうに感じました。日本の遺産、つまり日本の経済協力であったりとか、日本企業がつくった病院、発電所、変電所、通信施設、これが至るところに見られるわけであります。

 実際に私も、奥大使の案内で、十三の病院、大きな病院を日本がつくっておりますが、その中の一つ、イラクのバグダッドの北部にありますカーズミーヤ記念病院、そちらを視察してまいりました。中に入ると、日本庭園があったりとか、機材もほとんど日本製、こういう状況であります。まさに私は、この日本の遺産を復興する、このことがイラクの復興にもつながっていくのではないかな、こんなふうに感じているところであります。

 同時に、今後、イラクの問題を考えると、教育の問題が極めて重要になってくるのではないかな。日本の場合、今、アフガニスタンでも、バック・ツー・スクール・プログラム、これをユニセフとともに実行しまして、大変高い評価も得ております。こういった経験もイラクで十分生かせるのじゃないかな、こんなふうに私は考えます。さらに申し上げると、これも地域を限定して、例えばサマワ周辺であったりとか、そういう地域で復興のモデルをつくっていく、成功例をつくっていく、それを全国に広げていく、こんなことも極めて重要なんではないかなと考えております。

 そういったイラクにおける遺産を復興していくんだ、さらには教育であったりとか、日本が得意な分野でしっかり支援をしていく。このことは、私がバグダッドを離れるときも奥大使に、しっかりやるからね、こういうことで約束をしてきた分野でありますので、ぜひ進めていただきたい。

 これまでの議論をお聞きになられて、総理の御所見、またイラクの日本の遺産を再生する、これについてどうお考えか、承りたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今のお話を伺っておりまして、日本の過去のイラクとの関係、遺産という言葉にも触れられましたけれども、この友好的関係、日本の支援がイラクの発展に役立っているということは、考えてみれば、大変大事な財産だとも思っております。

 今回のイラク戦争後の自衛隊の諸君の献身的な活動によって、サマワの住民とは友好関係をうまく維持しながら、日本の支援が評価されているわけでありますが、これも、現在の自衛隊諸君だけの活動ではなくて、過去の日本の協力、そして日本企業のイラク支援あるいはイラク経済に対する現実の事業が評価されている。日本人ならやってくれるんだ、そういう過去における日本との良好な関係も大きく寄与しているんではないかと私は感じております。

 茂木委員が触れられました病院の件にしましても、これは過去、十三の病院を日本が協力して建設した、そして多くのイラクの市民が日本の医療施設で病気の治療を受け、その医療水準の高さを評価し、現在、そのような病院に対しましても、日本はエジプトと協力して医療支援活動をイラクに対して行っております。

 アメリカとイギリスとは違った日本の協力があるのではないか、また、アメリカにはできない、イギリスにはできない、そして日本ならできることもあるのではないか、そして、国際社会と協力しながらできることもあるのではないか。いずれにおきましても、イラクの国民から評価されるような支援活動をこれからも継続して、早くイラクにイラク人による安定した民主的な政権ができるように、これからも日米同盟と国際協調の重要性をよく認識しながら日本は当たってまいりたいと思います。

茂木委員 一昨年、私はイラクに滞在中、どういうことがあるかわからない、こういう思いでイラクに行ってまいりましたが、実はその期間だけ日記をつけておりました。イラクを離れる五月十四日の日記にはこう書かれております。

 AM八時、小学校再訪。

  ユニセフの現地事務所に日本の支援で購入したスクールキッズ(ノート、鉛筆、クレヨン、スケール等、学習用品の詰め合わせ)が届いたというので、バグダッドを立つ前にデ・ロイ所長らと一昨日の小学校二校を訪れ、子供たちにプレゼントしてくることになった。

  学校で一人一人の子供にノートを手配りすると、子供たちが、シュクラン・ジャジーラン、本当にありがとうと言ってくれた。しっかり頑張ってほしい。本当にイラクを復興するのは日本でもORHAでも国連でもなく、次世代を担う君たちなのだから。

  小学校を後に一路アンマンへと向かう。同じ砂漠の光景が何時間も続く。スコールが降った跡がある。このわずかな雨が砂漠の自然を眠りから揺り起こし、あすには砂漠一面に驚くほどの生命力で小さな草花が咲き乱れるかもしれない。あくまで主役は砂漠の自然と生命力。日本の支援も新しいイラクへの雨になれば。

こう結んであります。

 イラクは、国際社会のしっかりした支援があれば必ず復興する、そういった力強い潜在力を持った国だと私は確信をいたしております。そしてまた、総理の方からもありましたように、日本には確かな貢献ができる分野というのがある、こんなふうに考えております。イラク支援についてはさまざまな意見がある、このことも承知しておりますが、次世代を担うイラクの子供たちのためにも、しっかりした支援を継続していただくことを要請したい、このように考えております。

 北朝鮮問題そしてイラク問題について質問させていただきましたが、北朝鮮問題にしてもイラク問題にしても、国民がここまで外交を注視している、こういう時期はかつて日本ではなかったんではないかな、こんなふうに私は考えております。私は、不祥事に揺れる外務省に副大臣として乗り込んでいったときに、外務省の職員に、国民がこんなに注目をしている、期待している政策を担える、これはやりがいがあるじゃないか、こういうことを常に繰り返してまいりました。国民の期待にどうこたえていくか、こういうことが問われております。

 まさに、外交にしても、内政にしても、信なくば立たず、こういうことであると考えております。国民の信頼にしっかりこたえる、そういった力強い外交を展開していただくことを心より切に要望しまして、私の質問、一分残して、終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて茂木君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤乙彦君。

    〔委員長退席、松岡委員長代理着席〕

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 私も、きょうは経済、外交集中ということで、特に北朝鮮、中国等の関係を中心に質問させていただきたいと思います。北朝鮮につきましては、今の茂木委員の質問で大部分カバーされております。重複を避けて質問していきたいと思っております。

 小泉政権の外交面の成果、これを今考えてみると、私は二つの大きな成果があると思っております。一つは、日米関係。ブッシュ大統領との個人的な関係を通して今までにない日米関係を強化された、これは大変大きな功績であろうかと思っておりまして、今後の日本外交の展開にとって重要なアセットであると思っております。もう一つは、北朝鮮の拉致問題に風穴をあけたということでありまして、今までの政権ができなかったことを総理の決断と行動で見事にこの風穴をあけた。五人の方が帰ってこられ、また家族の方も帰ってこられた、これは大変大きな成果であるかと思っております。

 では、これからの課題は何か、特に外交面での課題は何かといろいろ私なりに考えたんですが、それは一言で言って対アジア戦略的外交の構築ということだろうと私は思っておりまして、総理にぜひとも次の課題に向けてひとつさらなる指導力の発揮をお願いしたいというのが、きょうの私の質問の基本テーマでございます。

 北朝鮮につきましては既に茂木委員の質問で大部分カバーされておりますが、この二月十日の文書、私も見まして、まことに遺憾で非建設的な文書であると憤慨をいたすとともに、よく読んでみると、北朝鮮にしてはかなり抑制されたトーンだなという感じも受けたわけであります。

 六カ国協議そのものを壊すとは言っていない、無期限中断ということでありますし、また核兵器を、今後本格的に核武装するとは書いていない、核兵器庫をふやすと書いてある。また、一番最後には、対話と協調による朝鮮半島の非核化については基本的に変わらないということも宣言をしております。北朝鮮一流の激しいレトリックはいつものとおりでございますけれども、全体のトーンを見ると、むしろ抑制されたトーンだなということに逆に注目をした次第でございまして、むしろ、これを私なりに見ると、六カ国協議に戻るに当たって、ぜひ条件を整備してくださいよ、ぜひ戻りたい、そういった催促のようにも聞こえるわけでありまして、ぜひ、そこら辺は慎重に分析の上、対応を進めていただきたい。

 特に、日本政府として、今回の声明に対して冷静に、そしてまた六カ国協議再開に向けて関係国と十分協調の上対処する、まことにこれは正しい方策であると思いまして、私も全面的に賛成をするものでございます。その上で、今後、もう少し長い目でこの北朝鮮問題を見てみますと、私は、北朝鮮にとっても二つのシナリオの間で揺れ動いている、思い悩んでいるというふうに思っております。

 一つは、軍事的な冒険主義に突っ走っていく。今後、核実験を行い、さらに本格的な核武装の道に進んでいくという道であります。しかし、これは大変大きなリスクを伴う。将来的には国際社会からの制裁、あるいは軍事制裁の可能性もあるわけでありまして、北朝鮮にとってはこれは非常に大きなリスクを伴う。当然、日本にも大きな被害が及ぶ可能性があるわけであります。

 もう一つのシナリオは、いわばリビア型の解決といいますか、昨年、リビアは、大量破壊兵器の放棄を約束して、その見返りに、国家としての安全保障、また国際社会からの協力支援の取りつけを行ったわけでありまして、このリビア型の解決というシナリオがある。

 多分、今の北朝鮮は、やはりこのリビア型の解決に向けて何とかしたい、できれば、よりよい条件でこのリビア型解決を求めたいということが今回の文書にもあらわれていると思いまして、そういった意味では、今回の文書の内容は、戦略的なものというよりも交渉戦術上のものだろうというふうに私は判断をしております。多分政府側も同じような認識を持っておられるかと思いますけれども、ぜひ、冷静に、かつしっかりと六カ国協議の開催に向けて御努力をお願いしたいと思っております。

 その上で、この六カ国協議の開催に向けて、やはり何といっても米朝直接対話ということが、これは一つの要素ではないかと思っております。北朝鮮としても、今までブッシュ政権が非常に厳しく北朝鮮を見てきたわけでありますけれども、もう少し対話の道を強化していくということが必要ではないかと思っておりまして、その上では、米朝の直接対話、これを五カ国がきちっと協調をとる前提のもとでやることは、これは非常にプラスの効果があるだろうと思っております。

 また、もう一つは、中国が近く高官を北朝鮮に派遣するということでありまして、最も影響力を持つ中国、また、現に今、王毅大使が日本におられるわけでありますから、極めていい配置になっておりますので、ぜひとも、中国を通しても、六カ国協議に向けての参加に、強力に説得を日本からも働きかけていただきたいと思っているわけであります。

 そういった中で、この北朝鮮の問題は、やはり抑止と対話のバランス、あるいはまた対話と圧力ということをしっかりと進めていけば、必ずこれはいい方向に解決できると私は確信をいたしておりまして、ぜひその面で総理の御尽力をお願いしたいと思っております。

 そこで、先ほどの、一つつけ加える点で、安保理の付託の問題や制裁の問題は既に御回答がありましたので、もう一つ、抑止を強化していく面で、ミサイル防衛のことを一言お聞きしたいと思っております。

 やはり今回の北朝鮮の声明で注目すべきは、公式に初めて核兵器の保有を認めたということであります。これは大変重大なものであると思っておりまして、いよいよ我が国としても近隣国の核の脅威というものに直面せざるを得ない、そういった問題に直面をしてきているわけでありまして、そういった意味では、万が一を考えて、国民を守るための措置は、これはしっかりとつくらなければならない。

 そういった意味で、今進めているミサイル防衛、これを、専守防衛の枠組みのもとで、またシビリアンコントロールをしっかりと確立をした上でしっかりと進めるということはぜひともやらなければならないと思っておりますけれども、この点につきまして防衛庁長官にお聞きいたします。

    〔松岡委員長代理退席、委員長着席〕

大野国務大臣 北朝鮮問題が、我が国にとりまして、あるいは地域にとりまして、いわば安全保障における重大な不安定要因である、これはもう同じ思いでありますし、それから国際的な拡散防止の努力に対するいわば深刻な問題である、こういうことをまず申し上げたいと思います。

 BMD体制につきましては、御存じのとおり、十五年の十二月十九日の閣議決定で、これをやっていこう、こういうことを決定しております。また、昨年暮れにつくり上げました新しい防衛大綱の中でも、先生御存じのとおり、BMDシステムの整備を含む必要な体制を確立することにより、実効的に対応していこう、こういう記述がございます。予算的には、既に十六年、そして十七年にもお願いをすることになっておりますが、一千億強ずつ、ミサイル防衛のために予算措置を講ずる、こういうことでございます。

 問題としましては、いわば、迅速に対応しなきゃいけない、そこにやはりシビリアンコントロールという理念を盛り込んでいかなきゃいけない、こういうところにあろうかと思います。その点は、ただいま法案を準備中でございまして、いずれお願いしなきゃいけないと思っておりますけれども、この点、まだ十分議論していかなきゃいけないと思っております。

 それから、BMD体制というのは、いわば純粋に防衛的なものである、それからもう一つは他に代替手段がない、これが大変大事なことでありまして、そういう意味で、専守防衛を旨とする我が国の防衛政策に相ふさわしいもの、これは確認をさせていただきたいと思っております。

 その上で、先ほど申し上げましたように、やはり安全を守っていく、国民の皆様に安心と安全をお届けしなきゃいけない、これが一番大事なことでございます。新しいいろいろな脅威、新しい脅威のもと、新しい安全保障という環境の中で、BMD体制、これは引き続いて重視して取り組んでまいりたい、このように思っております。

遠藤(乙)委員 続いて、六カ国協議に復帰をさせるために、やはりもう少し対話の側面を強化していく必要があるのではないかと私は思っております。その一つは、米朝直接対話、これは六カ国協議の枠組みと並行してあってもいいのではないかと私は思っておりまして、やはり対話のチャネルはいろいろあっていいし、より積極的に本音を話し合っていくためにはいろいろなルートがあっていいかと思っております。

 この点につきまして、これは外務大臣に次にお聞きしたいと思うんですが、米朝対話を促す、あるいはそれを促進することについてどうお考えか、御意見をお聞きしたいと思います。

町村国務大臣 米朝で、かつてやっていたわけですね。特に民主党政権の時代でありました。それの行き詰まりといいましょうか、結果、当初の期待、合意に反した姿になってしまったという中から、六カ国という枠組みが出てまいりました。それは、ある意味では自然の流れかと思います。なぜならば、米朝はもちろん当事者であるかもしれませんけれども、より直接的な当事者は、韓国であり、中国であり、また日本だ、国境を接しているロシアだということになろうかと思います。そういう意味で、今、六者協議という枠組みがあります。

 私どもとしては、この六者協議の枠組みの中で、その中で同時並行して、米朝だって今までも話し合いをしてきたわけでありますから、そのことは何ら私ども妨げにはならない。ただ、もう六者をやめて米朝だけにまた戻してしまうということは、やはり今の状況ではそれは適切ではないんだろう、こう思っております。

 したがいまして、米朝間のより密接なる対話があるということは、六者協議のプロセスの中で大いにそれはおやりになったらいいし、日本としてもそのためにできる限りの、これは再開された後そういう雰囲気づくり、環境づくりに努力をすることは当然あっていいんだろう、かように思っております。

遠藤(乙)委員 私も、六カ国協議とは別にということで申し上げたのではなくて、六カ国協議の枠組みの中と同時並行して、米朝もより対話をやった方がこれは前に進むだろうと思っておりまして、全く同じ立場であると理解をしております。

 そういった中で、中国の役割も大変重要でございまして、この朝鮮半島の安全保障を考える場合において、アメリカとともに中国の存在、極めて重要でありまして、中国を抜きにしてまたこれは語ることはできないわけであります。そういった意味では、今後とも中国との対話、協力はぜひとも必要であるというのが一つの点であります。

 さらに、対中関係の重要性ということを考えますと、今、日本の活性化、今後長期的に考えますと、やはり中国というものを抜きにしてはこれは考えられないだろうと私は思っております。

 昨今の景気回復も、これは大部分が中国の経済の好調によるものというのが共通の認識であるかと思いますし、また、貿易にしても、二〇〇四年におきまして、日中間の貿易総額は約二十二兆円、日米間が二十兆円ということでありまして、日中間がついにトップになったわけでありまして、むしろこの傾向はますます拡大するだろうと思っております。また、さまざまな日本の従来の重厚長大産業と言われる不況業種が、中国の特需によって一気に息を吹き返しているのも事実でございます。

 また、今総理が先頭に進めておられるビジット・ジャパン・キャンペーンも、二〇一〇年までに一千万人という目標を立てておりますけれども、これも多分中国の観光客が大宗を占めるだろうと私は思っております。今、実は中国は、経済は八%程度の成長ですけれども、海外への観光旅行は三〇%以上伸びているというのが現状でございまして、二〇〇四年には海外に出た観光客は二千万人、二〇二〇年には、これは世界観光機構の予測によりますと、多分一億三千万人を超すであろうという予測になっておりまして、そのちょっとでも日本に来てくれれば、これは大変な活性化につながる。現に、今、日本の各地域は、特に中国や東アジアの観光客の誘致を通じて、大変これを力を入れ始めております。

 私も、先週は、そういった中国からの修学旅行生の出迎えや、あるいはまた観光客が来たときの歓迎のあいさつ等行ってまいりましたが、これは今、草の根交流の面から見ても、大変すばらしい成果が上がっております。修学旅行生なんかも、今回初めてホームステイを組み込んだわけなんですけれども、これが非常に成功しまして、成田を立つとき、本当に、中国の中学生たちがもう涙を流して別れを惜しんでいたということでございまして、これは日中交流にとっても非常に大きな効果が長期的には考えられると思っております。

 そういったことで、これからの日本の将来の活性化のためにも、また日本がこれから世界の中でさらに活躍をしていくためにも、特に対アジア戦略外交、特に日中関係を改善していくことは、これは極めて重大だということは総理も御認識だと思っております。

 ただ、残念ながら、昨今、四年間にわたって日中双方の首脳同士が往来できないという状況が、これは言うまでもなく靖国問題に端を発してそういった状況になっているわけでありますけれども、やはりこれを打開して、ぜひ、日中間で協力をし、アジア全体で協力をして、日本の国益を伸長していく、そういう環境をつくるのが今後の大きな課題ではないかと思っているところであります。

 そんな中で、総理も、今、東アジア共同体ということを言われ始めております。先般の施政方針演説でも、開かれた東アジア共同体の構築に向けて努力するというふうにおっしゃっておりますけれども、そういった長期の今後の展望を踏まえた上で、どのようにこの東アジア共同体の構築を進めていくのか、総理の所見を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日本は、アジア重視、これはもう私の就任以来、そのような方針を表明しているわけでありますし、現実にアジア重視外交を展開してきております。

 中国との関係におきましても、私は就任以来、中国の目覚ましい発展というのは日本にとって脅威ではない、むしろ歓迎すべきことだ、今後、日本と中国の関係はますます重要になってくるということは、昨年の十一月のチリでの胡錦濤国家主席との会談におきましても、そしてASEANプラス3の場での温家宝首相との会談でも一致しているわけです。

 私は、今後とも日中関係はますます相互依存関係が深まっていくし、今回の北朝鮮をめぐる六者協議におきましても、中国の働きかけというのは非常に大きな影響があったと思います。

 経済の面を考えましても、これからアメリカと中国並んで、日本の経済の発展にとってもこの関係は極めて重要なものだと思っております。東アジア共同体、これはもう、ASEAN諸国とは日本は今までも一番良好な関係を築いてきて、ASEAN諸国も日本の今までの協力に対して高い評価を下しております。

 そして、今までASEANプラス3という形でASEANと日本、中国、韓国、この三カ国の会合を行ってまいりましたけれども、東アジア・サミットをやろうということで、ことしはASEANプラス3、日中韓じゃなくて、これを一緒にして初めて行おうという会議、既に決定されております。その場合に、それでは、ASEANプラス3とことし行われる東アジア・サミットと、メンバーは同じなのにどういう違いがあるのかという問題が起こってきておりますので、それは今後、ことし五月だと思いますが、日本で行われる外相会議がありますから、その外相会議の場で、東アジア・サミットと日中韓プラスASEANとの関係をよく整理していこうという話になっております。

 今後とも、東アジア全体との関係は決してそのブロックだけにとどまるのではない、仮に東アジア共同体が将来形成されたとしても、より多くの国に開かれた共同体にしていこうということを展望しながら、私はアジア外交重視の姿勢で臨んでいきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 総理の東アジア重視という姿勢を聞き、大変心強く思うわけでありますけれども、その上で、私、一つ参考にすべき歴史的なこと、それは、第二次大戦後のドイツとフランスの関係、これは非常に参考になると思っております。

 といいますのは、かつてドイツとフランスは、非常に双方でナショナリズムが盛んに燃え上がって、ずっと戦争をやってきました。過去五百年間の間に二十七回戦火があったというふうにたしか言われております。特に近世においては大変な悲惨な戦争があったわけでありまして、その反省に立って、第二次大戦後、独仏両国は敵対関係を乗り越えてこれを和解し、今やEUの統合の核になったわけであります。

 これは、特に一九六二年、当時、アデナウアー・ドイツ首相がフランスを訪問しドゴール大統領と会談して、ここから始まったと言われておりまして、その後、二つのことを特に力を入れた。一つは歴史対話です。もう一つは大規模な青少年交流です。この二つが大変、その後のEU発展に向けての流れをつくったと言われております。

 歴史の問題は、これは日本もドイツも似たような状況にありますけれども、ドイツも、単に法的な面でそういった決着をしただけではなくて、心情の面で、特に被害者と加害者という関係においてぜひともこれは乗り越えなくちゃいけないということで、ドイツの方からイニシアチブをとって、積極的に歴史対話、いろいろな教科書の問題も含めて、相互に、お互いにそれを修正し合って、お互いの敵意をかき立てないような、より公正な、より交流を進めるような、そういった教科書に向けて編集をし合ったということであります。

 また、青少年交流は六〇年代半ばから始められまして、今日、約四十年間、今でも続いておりますけれども、約六百万人がこのプログラムに参加したと言われておりまして、修学旅行や勤労青年のホームステイや、さまざまなタイプのプログラムに毎年平均して十五万人ぐらいが参加をしている。その人たちが今成長して指導的立場になって、そのときに培った友情といいますか相互理解が、今、独仏関係がEUの中核となっていく大きな背景になったと言われておりまして、ぜひとも、こういったことを参考に、これからの日中関係の改善、さらには東アジア全体の発展に向けて、ひとつ総理もリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。

 また、もう一つ歴史に関していえば、一九八五年に、当時の大統領であったワイツゼッカー大統領が、連邦議会で、荒れ野の四十年という大変有名な演説を行いました。これによってさらに和解を呼びかけ、歴史問題に対するドイツの立場を表明し、和解を呼びかけている。これが大変な反響を呼んで、一気にドイツに対する見方は変わり、さらにドイツの地位が向上し、ドイツの尊敬を集めたというわけでありまして、そういう歴史問題はやはり避けて通れない。

 四つに組んで、お互いに、相互理解できるように努力をしようということはぜひとも必要なことであります。特に、周辺国が理解できる論理で、周辺国に納得性のある論理で日本の立場をしっかりと訴えるということはぜひとも大事であるかと思っております。

 総理が、二度と戦争を起こさせない、そういった意味でいることはよくわかっておりますけれども、そのことをどう周辺国に、国際社会にわかる論理で、わかる表現力でこれを訴えるかということも大事なテーマであります。ちょうどことし、戦後六十周年という節目に当たりますし、そういった中で、総理としてもそういう一つのやり方をするのも、これは一案かと思っております。

 そんな意味で、まず総理に対しまして、今後の対アジア外交、そういった独仏関係にどう学んでいくかということにつきまして、総理の御見解をお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 独仏関係のみならず、ヨーロッパの歴史を見ますと、敵味方、もうしょっちゅうです。イギリスとフランスにしても、イギリスとドイツにしても、ドイツとフランスにしても、あるいはイタリア等においても、過去何度か血みどろの戦いを繰り広げてきた。しかし、過去のそういう不幸な時期を乗り越えて、現在、EUというお互いの共同体をつくり上げて、友好関係をそれぞれが発展させてきている。

 過去ばかり取り上げて未来の発展をおろそかにするというのは、これは好ましいことではない。日本としても、関係各国と未来に向かって新しい友好関係を築こうということで努力しているわけであります。お互いの立場を尊重しながら、イギリスもドイツもフランスも友好関係を発展させてきているわけであります。日米関係しかりであります。そういうことを考えますと、過去の反省はしつつも、その反省を未来の友好関係に生かす努力がいかなる国とも必要ではないかと思っております。

遠藤(乙)委員 そういった未来志向の関係ということに関連して、大規模な青少年交流、これは極めて重大な要素であると思っております。特に、学生間の修学旅行あるいはまたホームステイ等、あるいはまたそれぞれの学校でアジア言語を教えたり、アジアの言葉、アジアとの交流をクラブ活動でやったり、こういったことは非常に重要な将来に向けての投資であると思っております。こういった面につきまして、文部科学大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

中山国務大臣 遠藤委員御指摘のように、文化交流、これはやはり基礎だろうと思うんですけれども、特に韓国、中国というのは、経済関係だけじゃなくて歴史的にも文化的にも非常に深いつながりがあるわけですから、ぜひこれは進めていきたいし、特に青少年のレベルについても進めていくべきだ、こう考えているわけでございます。

 具体的な数字を申し上げますと、留学生ですけれども、今中国からは七万人以上の留学生が我が国で学んでおりまして、韓国からの留学生も一万五千人を超えております。また逆に、中国、韓国への留学生派遣は合わせて一万五千人以上の規模になっているわけでございまして、高校のレベルでも、中国、韓国などへの修学旅行の実施だけではなく、姉妹校提携とか、あるいは高校生留学なども実施されて、アジア地域との青少年交流は年々深化しているところでございます。

 そのほか、高等学校における中国語、韓国語等の外国語教育の推進とか、あるいは国際的視野を持った教員の育成を目的とします各地域の中核的な教員の海外への派遣、さらにユネスコへの拠出を通じまして、高校生、大学生や教員等の相互交流プログラムの実施、国際文化交流の推進などを通じて、アジア地域との交流、理解に努めているところでございます。

 先般の、あの北朝鮮とのサッカーの試合でもわかりますように、スポーツ交流というのは市民レベルでの相互理解に極めて有効であると思うわけでございますが、実は二月に、私の地元の南郷村というところで百済祭りというのがございまして、これは百済の王様が戦に敗れて日本に逃れてきたときに、宮崎の村民がそれをかくまったといいますか、その後ずっとその遺徳をしのんで、もう千三百年以上お祭りをしているんですけれども、ことし、そこに韓国の小学生たちが修学旅行に来ていまして、ああ、こういうことも行われているんだな、こう思いました。

 また、言いますと、今宮崎は韓国からたくさんのゴルファーが来ていただいておりまして、万を超えるんじゃないかと思うんですけれども、こういうのを通じまして市民レベルの交流が非常に深まっている、本当にすばらしいことだと思うわけでございまして、こういった雰囲気といいますか、機運をもっともっと盛り上げていけば、お互いの国の理解も進んでいくんじゃないかな、こう思っているところでございます。

遠藤(乙)委員 ぜひ文部科学大臣にもそういった面で全力を挙げて、ひとつ交流を進めていただければと思っております。

 続いて、国土交通大臣にお伺いいたしますが、先ほど申し上げましたが、このビジット・ジャパン・キャンペーン、大変すばらしい企画だと私は思っておりまして、これは総理の大変なヒットだと私は思っております。現に、私自身も地元でそういったプロジェクトを推進して、もう成果が上がりつつありまして、地元でも大変な期待感を持っているところでございます。

 昨年も私、ちょうど二月の十三日でしたね、一年前ですけれども、総理に御質問をして、中国向けのビザの対象地域の拡大を申し上げて、直ちに手を打っていただきまして、大変ありがとうございました。

 ただ、あのときは、当時、北京、上海それから広東省だけだったのを、さらに天津プラス四省に拡大していただいたんですが、いまだに全土ではありません。他方、EUは既に中国全土に対して観光ビザの発給を進めておりまして、やはりこれは限定する理由は余りないんだと思うんですね。ぜひとも、このビジット・ジャパン・キャンペーンを進める以上、また当面、愛知万博のときに暫定的にはこれは拡大すると聞いておりますけれども、ぜひ恒久的に中国全土にも拡大をしていただきたい、これは強く要望したいと思っております。

 これにつきまして、国土交通大臣、お願いします。

北側国務大臣 今政府を挙げまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。昨年は一年間で六百十四万人、外国人のお客様がいらっしゃいました。ことしは何としても、愛知万博もございますので七百万人、ぜひ目指したいというふうに思っております。

 今委員御指摘のように、中国の皆様につきましても、三月の二十五日から愛知万博が始まります、半年間続くわけでございますが、この半年間にビザ発給を全土に拡大しましょうということで、先般、私、中国に行ったときにそうした提案もさせていただいたところでございます。今、日中間で事務的に調整をしておるところでございます。

 ビザの発給の規制改革につきましては、これは中国に限らず、将来的にはやはり拡大していく方向で、緩和していく方向でぜひ進めさせていただきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 以上で質問を終わりますが、中国観光客は大変大きな可能性があるということをぜひ申し上げておきたいと思っております。これが、単に地域の活性化につながるのみならず、草の根交流を通じて日中間の相互理解に大きく貢献するのは間違いありませんので、そういったところから、将来の日中関係の発展に大変重要な施策でありますので、総理もぜひ強力にこのビジット・ジャパン・キャンペーンの促進をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 民主党を代表いたしまして、質問通告をしております内容につきまして、順次、主に総理にお答えをいただきたいということをまずもってお願いしたいと思います。

 前段、我々、予算委員会をしばらくボイコットしておりましたが、橋本元総理のこの予算委員会での証人喚問というものを取り下げたわけではございませんし、それをこれからも力強く、粘り強く求め続けていくということを改めてここに申し上げたいと思います。

 政治とお金の関係というものをただすことこそが、国民に対して、こういった外交問題を議論する上でも私は信頼のベースになると思っておりまして、そこが明らかにならないのに、この問題をしっかりと議論しないで避け続けるという与党、特に自民党の姿勢を改めて私は批判しておきたいと思います。このことについては理事会でさらに協議をされると思いますので、与党の皆さん方も、真摯に国民の声を受けとめて、橋本元総理の招致に努力をしていただきたい、まずそれを申し上げておきたいと思います。

 それでは、質問させていただきます。

 まず、北朝鮮問題についてでございますが、二月十日の北朝鮮の外務省が発表した声明、これをどのようにとらえるかということについて、少し総理と議論をさせていただきたいと思っております。

 まず、私の感想から申し上げますならば、過激な言葉は並んでおりますけれども、言ってみれば、アメリカに対する強いラブレター、恋焦がれた思いが書いてあるというふうに私は考えております。今まで同僚議員が二人質問をされましたけれども、基本的には、やはりとにかくアメリカと直接で議論をしたい、そしてその真意は何だということをいえば、体制保証をしてほしい、もうその一言に私は尽きているんではないかというふうに思っております。

 その中で、さまざまな変数がございます。それが認められなければ六者協議には乗ってこない、無期限にそれは乗らないということを言ってきている。無期限に中断をすると言ってきている。もう一つきょう議論しておきたいことは、北の体制というものについてどのように考えながら、北が行っている瀬戸際外交ゲームというものを時間軸も入れて考えていくのかということ。この三つが私は大変重要なポイントではないかというふうに思っております。

 したがいまして、この米朝直接交渉というものの可能性、それから時間稼ぎというカードの問題、それから北朝鮮そのものの体制の脆弱性、いかがなものなのかというこの三つの変数というものを議論の筋立てとして、私はこれから質問させていただきたいと思います。

 今、私が、北朝鮮はアメリカに恋焦がれて熱いラブコールを送っている、二人で会いたいと言っているのに会ってくれない、何で会ってくれないんだ、そして、何とか会って体制保証をしてほしい、これが私は真意だと、まあ、むいたらもうすべての真意はここにあると私は思っておりますが、総理、この北朝鮮の外務省の声明をどのようにとらえておられるか、まずその点からお聞かせをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 鋭い前原議員の御指摘だと思っております。

 私も、最初に北朝鮮を訪問しまして金正日氏と会ったときも、核の問題が出ますと、これはもうアメリカとの問題なんだ、日本とは関係ないという話をしましたから、これはとんでもない、核の問題はアメリカだけの問題じゃない、日本にとっても重大な関心を持ち、我々影響があるんだ、アメリカ、二国間の関係ではないということを私も金正日氏に伝えました。

 その後、事あるたびに、核の問題はアメリカと話さなければならないということを北朝鮮側は主張しておりますが、アメリカ側はこの二国間協議に応じない。日本を北朝鮮側は最初外そうとした。しかしながら、アメリカ、韓国、中国、ロシア等六カ国協議の場が設けられて、日本も参加して今は六カ国協議の場が設けられている。

 そういう場にあって、確かに、北朝鮮側はアメリカとの会談でみずからの体制の安全を確認したいということは、私は言えるとも思います。しかしながら、アメリカはもとより平和的解決を望んでいるということをはっきり、私とブッシュ大統領の会談でも、ブッシュ大統領も表明しております。これについていろいろ推測する人はいますが、アメリカも、イラクに対する対応と北朝鮮に対する、違うんだということを、ブッシュ大統領とは私は幾たびかの会談で確認しておりますし、だからこそ、外交的、平和的解決をするためにも六者協議の場が重要だ、それを北朝鮮側が重視して、活用するようにお互い働きかけていこうということで今でも一致しているわけです。

 そういう中で、二国間協議なんですけれども、これは外交交渉です。六カ国協議といいますか六者協議の場でもアメリカと北朝鮮側は交渉できるんです、六者協議の場を利用して。そのほか、外交交渉によっては表に出ない交渉もあります。そういう面において、いろいろなルートを通じて私は交渉があってもいいんじゃないかと思っておりますが、一番大事なことは、六者協議の場ができているわけですから、その場でまず北朝鮮と、日本も含めた関係五カ国、よく協議していく。そういう中で、どういう場で北側とアメリカ側の交渉があるかということは、私は、別に否定するものでもないし、そういう交渉が秘密裏に行われても何らおかしくない。

 日本側としては、北朝鮮と日本の関係のみならず、核の廃棄の問題については、アメリカも中国も韓国もロシアも大きな関心を持っているわけですから、この核の廃棄の問題と安全保証の問題は、北朝鮮側から見て、アメリカとの関係を重視していますが、むしろ六者協議の場でその問題をしっかりさせた方が北朝鮮側にとっても大きな利益があるんじゃないかと思っております。

前原委員 外交ルートですから、いろいろな見えないところでの取引は私もあっていいというふうに思います。

 私が次に伺いたかったことを若干申されたので、改めてお伺いをしたいと思うんですけれども、米朝の直接協議をどのように考えていくのかということは、私は一つの大きな議論の対象になっていいと思っております。

 現にアメリカの大統領選挙でも、民主党のケリー候補は、直接やるんだと、直接やらないブッシュ候補を批判しておりました。武部幹事長は選挙のときに、直接交渉なんてとんでもない、ケリーが勝ったら大変だということをおっしゃっておりまして、そのときに総理とここで議論させていただいたときに、別にとんでもないことではないということは総理はその場でおっしゃいました。

 私は、その直接交渉が是か非かという問題については幾つかのポイントがあると思うんですね。

 一つは、日本が入っていないじゃないかという議論があります。でも、私はこれは実は主要な議論ではないと思っているんです。北朝鮮の核の問題を解決するに当たって、本当にそれを解決できるのであれば、日本が入っているかどうかということは、私は死活的に重要な問題では、核の問題ですよ、核の問題では、ないというふうに思っています。

 二つ目は、ある程度日本が絡んでおいた方がいい、あるいは絡むべきだという一つの理由は、奉加帳だけ後で回されたらたまらないということですね。つまりは、米朝間で合意ができ上がって、そして、こういう話になりましたのであとの国の皆さんよろしく、こういうことに、もちろんそれは、米朝二カ国で協議をしても、結局はアメリカは日本やあるいは韓国、また中国やロシア、ほかの国とも相談をするでしょう、全く相談せずに奉加帳だけ回してくるということは私はないというふうに思っております。

 しかし、私は、結論としては、今総理のおっしゃるように、六カ国協議というものをしっかりやって、その中で二カ国協議があってもいいという線は、結論として崩すべきじゃないというふうに思っております。

 私のそのポイントを申し上げると、後で質問をいたしますけれども、今後の長いゲームを考えた場合に、いかに中国とロシアに当事者として絡んでもらうかということの重要性は極めて大だと思うからであります。

 国連安保理に付託をする、しないという議論があります。後でまたこれは議論したいというふうに思いますけれども、これ、仮に送ったって、プロセスを経なければ、中国とロシアは常任理事国で拒否権を持っていますね。そうすると、ではいきなり北朝鮮に国連として何かやろうというときには、厳しい措置については反対をするケースがある。そうなると、結局この北朝鮮問題は動かなくなるということに私はなると思うからであります。

 そういう意味においては、私は、先ほど総理がおっしゃったように、結論としては、米朝二カ国協議というものは、六者協議をやってもらって、その場でやってもらうのは結構だと。裏でやるのはそれは我々がとやかく言うことはできませんけれども、やはりその原則は、私は、今後のプロセスを考えた場合も、しっかり日本は持っておかなくてはいけないんじゃないかというふうに思うんです。

 つまりは、大統領選挙でケリーさんがおっしゃったような、直接やるんだということじゃなくて、やはり六者協議をしっかりやる中で、その中で二カ国協議をやってもいいよということを、私は先ほど一つの理由を申し上げましたけれども、そういう理由も含めて、堅持した方が日本の外交にプラスになるというふうに思いますが、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 こういう委員会での一問一答形式というのはわかりやすいやりとりができるということで、今の前原議員の話は、私は、国民一般が聞いていてもわかりやすい話だと思っております。

 私も先ほど触れましたけれども、六者協議の場を重視すべきだということから、あえて、米朝間の二国間関係は否定しないという表現を使いました。そういうことを申し上げたのは、外交交渉においては、日本があずかり知らないところでひそかに行われている交渉もあるし、日本が知っていてもその関係国との立場を考えれば言えないこともあります。

 そういうことから、今のお話も含めて、前原議員のお話は極めて示唆に富んでいると私は思っておりますし、特に中国、ロシア、これは安保理の常任理事国でありますし、将来のことを考えますれば、北朝鮮にとって今までの友好国が中国とロシアである、アメリカは北朝鮮にとって敵対国である。そういうことを考えれば、アメリカも中国、ロシアとの関係は重視しております。私は、その重視している姿勢というのはブッシュ大統領との会談でも端々にうかがえます。そういう中にあって、日本としてはこの六者協議の場を重視して、なおかつ、どういうような交渉が行われようとも日本とは緊密に連絡をとるということでも一致しております。

 そういう点を含めて、今前原議員の指摘された面も含めて、北朝鮮にとっても六者協議の場を活用することが最も利益になるということをアメリカも日本も韓国も中国もロシアも働きかけていきたいということでは、今の時点においても私は共通の認識があると思います。そういう点も含めて、今後、忍耐強く、現在の表面的な北朝鮮側の発表というものと真意というものもよく見きわめて交渉していかなければならないと思っております。

前原委員 その前提で総理に、今後のみずから動かれての外交というものをどう動かしていくかという主体的なお気持ちをぜひお聞かせいただきたいと思うわけでありますが、六者会議を構成しているメンバー、北朝鮮は除いて考えた場合に、やはりアメリカ、そして韓国、そして議長国である中国、この三カ国。もちろんロシアを除外するわけじゃありません、ロシアも入れても結構です。しかし、特にこのアメリカ、韓国、中国との連携というものは、私は極めて重要なものになっていくんだろうというふうに思います。

 アメリカとの連携をとるということは、これは今までの方向性の中で確認がとれることでありましょうし、また、今申し上げたように、六者協議の場で二カ国協議というものはやったらいいのではないかというメッセージを伝えることも、私は重要なことなんだろうと思います。それと同時に、韓国と中国が北朝鮮に対して支援を行っていることが、ある意味で北朝鮮の強気の発言の裏づけになっているのも間違いないと私は思っております。

 したがって、六者協議のもう一度再構成、あるいは協議が行われるための総理みずからのそういった国々への働きかけを今後どのようにしようと考えておられるのか、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日本としては、いつも日本の立場というものを関係国に伝えております。また、関係国が日本とは違った対応をとる場合においても、そういう対応というものに対して、日本としてはその対応に対しての真意とか今後の連絡、協力については、いつもそれぞれのレベルにおいて連携をとりながら協議を進めております。

 日本としては、これから、常に申し上げていますように、六者協議の場を重視していく。そして、北朝鮮との問題につきましては、外交的、平和的解決、これしかない。この方針で日本は臨んでいくんだということを、アメリカのみならず、韓国にも中国にもロシアにも申し上げているわけであります。

 そういう観点から、拉致の問題は、これはこの六者の会議の場においては日本が主体的に対処しなきゃならない問題でありますが、これまでの日本側の働きかけによって、この問題も重要であるという認識を関係国も持ってきております。これはG8サミットの場でもそうであります。当初は、何で北朝鮮が日本人を拉致するのかというのはわからないという声がG8の場でも行われましたけども、最近は、なるほど重要な問題であるという認識に私はなってきたと思っております。声明でも、そういう会議の場でも盛り込まれておりますし。

 そういうことから、私は、日本としてこれからできることをどのようにやっていくかというのは、その関係国間、二国間、多国間、両面を通じて、今までの基本方針を相手国側からよく理解されるように進めると同時に、日本独自の今までの過去の経過の、交渉の経過がありますから、それを踏まえて、この問題を解決に導くための努力をしていかなきゃならないと思っております。

前原委員 今までの小泉外交の評価というのは、将来の歴史家にゆだねなければいけないんだと思いますが、一つの特徴としては、国交のない国に二度も総理みずからが行かれたということ、これは評価が私は分かれていると思いますけれども、そういうみずから動かれての現状打破というのが一つの小泉外交のスタイルではないのかという気がするんですね。

 よくも悪くも、靖国参拝の問題で、日中間の首脳の交流ができていない。それは、今総理がおっしゃったように、国際会議等で会われて意見交換されているかもしれません。あるいは日常の外交ルートを通じての意見交換はされているかもしれない。しかし、北の問題が本当に大事な問題で、みずから動いて、これはどうしても解決しなきゃいけない問題だというのであれば、特に私は、首脳間の交流が途絶えている中国との首脳同士の交流というものはイの一番に考えられるべきではないか。それが先般から、我が党の同僚議員が靖国問題に対して質問して、適切に対処しますということを繰り返されている、真意はそこにあるんじゃないかというふうに私は思っております。

 ということは、逆に、今までそういったものがなされていないことを逆手にとって、みずからが議長国である中国に働きかける、そして六者協議をもう一度動かすようなイニシアチブをとるということは私は大事なことなのではないかと思いますが、総理、もう一度お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私の靖国の参拝の問題とこれからの中国との関係の話だと思いますが、これはいろいろ意見がありまして、先日も、民主党の中津川議員ですか、民主党の中でも、もう靖国参拝やめろという議員と、いや、八月十五日にむしろ行くべきだ、参拝するべきだという議論があるぐらい、いろいろ意見がありますが、私は、一つの問題があるからお互いの国が、ほかの分野でこれが支障になるということは、多々あるのは承知しております。しかし、意見の違いがある問題であって、それが両国全体の立場を考えると、お互いそこは外交ですから、私は冷静に両国が考える余地があるのではないかと。

 まして、恐らく前原議員は、中国との関係を考えるともう靖国参拝やめろという意見だと思いますけれども、私は中国との関係は重視しておりますし、今までも、先ほどのビジット・ジャパン・キャンペーンにしても、あるいは、中国の発展は脅威ではない、日中友好を考えていこうと、胡錦濤主席と温家宝首相との間におきましても、未来志向でこれからいろいろな分野で協力していこうという認識を共有しておりますので、私は、むしろ自分は日中友好論者だと思っております。

 そういう観点から、日中関係もますます相互依存関係が深まっていきますし、日中関係をおろそかにする気持ちは全くありませんし、そういうことで、日中関係の相互の理解が進むようにこれからも努力していきたいと思っております。

前原委員 いや、私の質問は、この北朝鮮の問題を打開するためにみずから行動を起こされる、その具体例として訪中をされるとか、そういうおつもりはないのかということを申し上げているんです。もう一言だけで結構です。靖国の問題をどうのこうの聞いているわけじゃありません。

小泉内閣総理大臣 私は過去二回訪朝しておりますので、今の時点で訪朝ということは、現時点で考えて……(発言する者あり)ああ、訪中ですか、私は訪朝と聞いたものですから。

 訪中も、機会があれば私は行くのにやぶさかではございません。

前原委員 長くても来年の九月までですね、総理としての任期は。先ほど申し上げたとおり、評価というのは後の人がやってくれる、そして、今一生懸命やられたら私はいいと思うんです。

 その観点に立った場合、やはり今までの、こう言うと失礼になるのか褒めているのかよくわからないんですが、予想もつかないような行動をとられて、みずからが現状突破された部分というのもあるわけですから、そういう意味でのこの北朝鮮問題に対するイニシアチブを期待したいということを私は申し上げたまででございます。

 さて、次の質問に行きたいと思いますが……(発言する者あり)いや、外交の問題はこれは与野党関係ありませんから。国益にかかわる問題は、私は堂々と、いいことをやられたら拍手をもってお送りするようなものだと思っていますから、そんな敵対する話じゃありませんから。ほかの民主党の議員も同じです。

 この北朝鮮の問題で、先ほど三つの話をいたしました。米朝直接交渉、体制保証の問題と、もう一つは、二つ目は時間稼ぎによってどういう変化が生じるのかという問題。これは、私は二つの面を心配しております。一つは、時間が稼げることによってそれだけ核開発が進んでいって、そして核をより持つということに拍車がかかるのではないかということの時間稼ぎの心配でございます。これが一つの大きな問題。もう一つの時間稼ぎの問題は、北の核あるいは関連技術を含めて、ほかに拡散をしていくのではないかという問題。これは時間がかかると厄介だなという問題は、この大きく二つあるのではないかというふうに私は思っております。

 この前半の、初めの方の、いわゆる核開発が進んでいくということについて、先ほど茂木委員の質問に対して町村外務大臣は、兵器化し得るプルトニウムを持っている、こういう答弁をされました。しかし、核兵器としてどれぐらい持っているかということはどの国も明確にわかっていない、それが答弁なんだというふうに思いますけれども。

 もう一つ問題視をされていたのは、濃縮ウランの問題であったと思います。この濃縮ウランについては、例えば、近々発売されるフォーリン・アフェアーズに、昔の米朝枠組み合意の交渉役をやってこられたガルーチさんとともにミッチェル・リースという前の国務省の政策企画局長が、パキスタンのカーン博士の証言として挙げておりますのは、ウランの遠心分離機の模型と設計図はもう北は既に入手している、そしてまた二〇〇〇年には、つまり今から五年ほど前でありますけれども、数千台の遠心分離機を調達する決定をした、こういうことが言われておりまして、時間がたつにつれてプルトニウムの、燃料棒の処理、抽出のみならず、この濃縮ウランの問題も極めて深刻になっていくのではないかという心配をしております。

 その意味で、先般、NSCの高官が日本に来られて、リビアへの北朝鮮の加工ウランの輸出というものについて情報を提供されたということでございますが、今の政府として、どれぐらい濃縮ウランについての北朝鮮の問題性を把握しておられるのか、あるいはその拡散、流出について把握をされているのか、その点、明らかにしていただきたいと思います。

町村国務大臣 事柄が事柄だけに、これはなかなか、どこまでお話しできるのかという問題は確かにあります。そこは、前原委員、おわかりの上での御質問だと思います。

 そうした、北朝鮮がリビアに加工したウランを輸出したとか、これはニューヨーク・タイムズにもつい最近出ていたりというようなこともございます。私どもとして、率直に言って、十分なインテリジェンスを持っているわけではございませんから、そういう能力が十分あるわけじゃございませんので、独自の、自前の情報がどこまで日本にあるかといえば、それはまことに限られたものでしかない。しかし、アメリカなり、その他関係国との情報交換、これは常にやっているわけでございまして、意見交換もやっております。

 ただ、ではどこまでどうという話は、これはちょっと、事柄の性質上、今明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

前原委員 もちろん、外交面での機密性というものもある問題だというふうに思っておりますけれども、その点はかなり、カーン博士のやみのルート、主にアメリカからの情報提供ということになると思いますけれども、これは、そうだということかどうかで、外務大臣、答えは結構でございますけれども、納得し得るような、しかしある程度確証を持てるような情報を、この濃縮ウランについても、あるいは拡散の問題についても日本は把握しているのかどうなのか。中身までこの場で明らかにしてくれということは申し上げません。把握しているかどうか、そしてそれについて外務大臣としてはかなりの情報を日本は持っているということを納得しておられるのかどうか、その点について御答弁をいただきたいと思います。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、かなり密接な情報交換はやっております。しかし、これで、ではどこまで北朝鮮の核の兵器化というところが進んでいるかということについて断定的な結論をまだ持つという状況には至っていない、しかし、かなりの深い情報交換だけはお互いによくやっているということを述べるにとどまることをお許しいただきたいと思います。

前原委員 総理、嫌な質問かもしれません、総理にとっては。この日朝平壌宣言の評価というものをやはりこの場で伺っておかなくてはいけません。

 前回、予算委員会で私、この質問をさせていただきまして、総理は初めて、一部履行されていない部分があるが、この日朝平壌宣言というものが履行されるように努力をしていきたい、こういう発言をされました。それは覚えておられると思います。

 今回の核製造宣言ですかね、それから保有宣言というもの、これをあわせて考える、また、この北朝鮮外務省の声明全文を読んでおりますと、核拡散防止条約から断固として脱退したしということで、みずから、核関連の条約の遵守というものの中に含まれているNPTからは、断固としてまで形容詞がついておりますね、脱退した、こういうことになっているわけでありますと、これはどうしても、日朝平壌宣言の四番、そこだけ読ませていただきますが、双方は朝鮮半島の核問題の包括的な解決のために、該当するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は核及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題と関連し、関係国間の対話を促進し問題解決を図る必要性を確認した、こういうことでございます。

 そして、この北朝鮮外務省の声明文の中には、日本側が遺骨の問題をでっち上げてということの中で、朝日平壌宣言を日本側が白紙化し、こういう文言もあるわけでございますが、前回、守られていないところがあるということをおっしゃいましたけれども、この日朝平壌宣言の極めて大きな中心の部分というのは、これは核問題のお互いの合意であったはずでありますけれども、NPTから完全に脱退したと言っているし、核を製造した、保有しているということを言っているということは、完全に核に関するものについては北朝鮮は破っている。

 この日朝平壌宣言は、私は基本的にもう成り立っていないというふうに思いますが、総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 御指摘のように、日朝平壌宣言の問題については、北朝鮮側の言動というのは極めて問題があると思っております。かといって、この日朝平壌宣言を破棄したということも言っていない。ここがまた極めて複雑なところであると思うんです。

 この日朝平壌宣言は、将来の正常化、日本と北朝鮮の正常化を含めて、核を完全に廃棄させるということの意味においても私は重要な文書だと思っておりますし、この精神に今の北朝鮮側の対応は違反しているというか、尊重しているとは思えないからこそ、これを思い出してほしい、この文書を。意義を十分考えてほしい。そのために、将来の問題解決に向けての有効なてこである、そういう文書として受けとめていく必要があるんじゃないか。

 現に、表面で言っていることといいますと、北朝鮮側も、自由と民主主義を守るためにみずから核兵器を持っていると。北朝鮮側は、今の体制を自由と民主主義だと思っているんですね。

 そういう点がありますので、これは、お互いの立場からいうと、それぞれ問題があるというのは事実であります。(前原委員「それぞれ」と呼ぶ)それぞれね、お互いの立場から考えると、お互いの立場というのは、自分たちの解釈とは違うなという点はあると思っております。

 しかしながら、私は、この日朝平壌宣言というのは、将来の日朝関係の正常化、そして核を廃棄することが北朝鮮にとって最大の利益であるということに向けての重要な政治文書であると今でも受けとめております。

前原委員 最後おっしゃった点は、私も、この日朝平壌宣言はもはや成り立っていない、あるいは、空文化している、意味がないんだというつもりはありません。これに向けて努力を行うことの政治的な一つの宣言文であるということは、私は認識をしております。

 ただ、現状認識として私が総理に伺いたいのは、四の特に核の問題については、完全に北朝鮮はこの合意文書、精神に違反しているということをしっかりやはり政府として認めた上で、それをどういう形で回復させるかということに努力を払うべきだというふうに思いますので、そういう意味で、北朝鮮はこの日朝平壌宣言に違反をしている、核の問題のみならず拉致の問題にも違反をしている、そのことをまず総理がきっちりとしたメッセージとして北朝鮮に言われることから、これを政治文書化として、将来の目標として到達することに意義が出てくるんじゃないでしょうか。答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 確かに、この日朝平壌宣言の精神に違反している面があるというのは大きな問題である。だからこそ、この日朝平壌宣言を今後とも遵守していく、誠実に履行していくことが両国の関係にとってプラスである、わけても、北朝鮮にとって核兵器を保有することは何らの利益にもならないということを、これからもこの日朝平壌宣言に照らして北朝鮮側に働きかけていかなければならないと思っております。

前原委員 ちょっと細かいことなんですが、先ほどの答弁の中で、それぞれ問題があると。もし北朝鮮が総理の答弁を読んで、やはり日本も自分が問題あると思っているなどというふうにとられたら困りますので、問題があるのは北朝鮮だけであって、日本には問題はない。先ほどそれぞれとおっしゃったのは、日本も問題があるという意味ではないんだということを、後で精査したらよくわかる話だと思いますけれども、少し気になったものですから、細かい話ですけれども、少しその点だけ訂正を議事録でしておいていただければというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 それぞれの問題があるというのは、外交交渉の場で一般的に私は言った問題なんです。両国関係の交渉というのは、それぞれ立場が違います。自分たちの思っていることと相手側の思っていることは違う、そういう問題で、それぞれの問題があるという言葉を使ったわけでございます。

前原委員 北朝鮮の問題、最後の質問に移らせていただきたいと思いますが、衆議院の外務委員会の与野党の特に筆頭理事さんが中心となって、北朝鮮から亡命をして今ソウルにおられますファン・ジャンヨプ氏という元朝鮮労働党の書記、この方を日本にお連れをしたいということで相当努力をされまして、そして外務委員会でもそれをしっかりとした決議にして、そして院としてもファン・ジャンヨプさんを日本にお連れをして、ずっとそばにいた方ですから極めて興味深い話が聞けるのではないか、こういう思いを持っておりました。

 結果としては、韓国政府からさまざまな条件がつけられまして、しかし、さまざまな条件をクリアすれば日本にファン・ジャンヨプ氏が来られることについて反対をするものではないというのが、今のところ韓国政府の見解になっております。

 韓国政府が一番気にしているのは、やはり身柄の安全確保の問題、ファン・ジャンヨプ氏の身柄の安全確保の問題でございまして、この生き証人とも言える、今の北の体制のさまざまな問題点、核の問題あるいは拉致の問題を含めて、さまざまな裏側、あるいは金正日軍事委員長の生の声をもう嫌というほど聞いているこの人を呼んできて、そしてしっかりと話を聞くということは、私は、日本の外交を行う上で極めてプラスになると思っております。

 もし、そういう来ていただくということを院なりあるいは政治家の有志、一たんは外務委員会の与野党の筆頭間あるいは衆議院としてお招きをするということが決まったわけでありまして、それが今はだめになっているわけでありますが、そういうお呼びをするということが決まった段階においては、総理としてあるいは政府として、治安面、安全確保面でしっかりと、総理にお答えをいただきたいと思います、万全を期すということをお約束していただければと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この点については、外務委員会での審議の概要は私も伺っております。韓国政府とも連携をとっていかなきゃならない問題でありますので、国会としての要請に対しましては、協力していく考えでございます。

前原委員 ぜひ協力をしていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、二期目のブッシュ政権の外交政策について、これも総理に基本的にお答えをいただければというふうに思っております。

 ライス国務長官の議会での証言、それから第二期ブッシュ政権が始まるときのブッシュ大統領の受諾演説、それから一般教書の演説、この三つを見ておりまして、一番際立ってとげとげしかったのは、一つは、ライス国務長官が圧制の拠点ということで六カ国を具体的に名指しをされたということと、それから、ブッシュ大統領の演説あるいは一般教書の演説も含めて、その六カ国の中の一つでありますけれども、イランに対する記述が極めて群を抜いていたということであります。

 六カ国というのは、ミャンマー、ベラルーシ、イラン、それから北朝鮮、それからキューバ、ザンビアでしたですかね、アフリカは。(小泉内閣総理大臣「ジンバブエ」と呼ぶ)ジンバブエですか。この六カ国だったと思いますが、逆に言えば、なぜ六カ国だけなのか。ほかにも名指しをされてもよさそうな国があるのに、この六カ国だけが名指しされて、また、先ほど総理と議論をさせていただきましたけれども、北朝鮮も、やはりこの名指しをされたことに対して極めて過剰反応をしているのは間違いないことであります。

 この六カ国を圧制の拠点としてライス国務長官が議会証言で述べたことについて、総理はどうお考えなのか、その点について御答弁いただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 結論から申し上げますと、私もなぜこの六カ国を挙げたんだろうという感じはしているわけです。

 私は、今まで北朝鮮、イラン、ジンバブエにはみずから訪問したこともありますし、キューバのカストロ首相とも会談したこともあるし、ミャンマーの首脳とも会談したことがある。行ったこともないし会ったこともないのは、ベラルーシだけなんです。

 なぜ挙げたかということでありますが、それぞれ、我々の観念からいうと民主主義、我々と同程度の民主主義と考えるような選挙は行われているかどうか問題である国が多いということでありますが、日本としては、これはイランとも友好関係がありますし、キューバとも友好関係がありますし、ミャンマーともあるし、ジンバブエとも関係あるんですよ。ベラルーシとも正常な関係を維持しておりますので、ここでないのは北朝鮮だけでありますので、これはやはりアメリカとはちょっと違うなと。

 今後、こういう問題についても、アメリカとの対応については、日本は日本独自の対応があるんだということをよく説明しておかなければならないなと思っております。

前原委員 特に、大統領の受諾演説のときに、リバティーとフリーダムという言葉を合わせて四十二回おっしゃって、そして、自由と民主主義を世界に広める伝道師の役割をアメリカが果たしていくんだ、こういう非常に肩に力の入った演説が行われたと私は認識しておりますが、私は、今総理がそういうおつもりでおっしゃったのかどうかわかりませんが、それぞれの国にはそれぞれの発展段階があって、そして、大きな原則というのは内政不干渉。それぞれの国の体制などについては、もちろんジェノサイドとかあった場合においては国連でそれは決議をして、そして非難をしたり、あるいはそれを原状回復するための国際協力が行われるのは当たり前のことでありますけれども、ただ、原則というのは、やはりそれぞれの国が自立をする、内政については不干渉であるということが私は大原則でなければいけないと思います。

 六カ国だけ名指しをしたということと、そしてまたみずからが自由と民主主義の価値を広めるための伝道師の役割をしていくんだということについては、私は、それはアメリカとして少し行き過ぎと言いますが、度を越えた部分がありはしないか。また、それがさらなるあつれき、摩擦、あるいは紛争というものを起こしはしないか、そういう心配を私はしておりますが、総理はどうそれをとらえておられたか、御答弁をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 世界に自由と民主主義を広げていこうという、この遠大な理想といいますか目標はいいと思います。しかし、それぞれの国にはそれぞれの制度がありますし、民主主義一つとっても、すべてアメリカ式の民主主義かというと違う。選挙制度も違うんです。

 そういうことを考えて、私は、自由と民主主義、いわゆるフリーダムとリバティーの理想はよくわかります。これを、世界がそういう自由と民主主義の国であれば戦争の被害は防げるんじゃないか、戦争が起こる可能性は極めて低くなるんではないかという、その遠大なる理想はわかりますが、実際の現実の関係国との対応、現実の外交を考えると、それはよくその国の事情を考えて、相手の立場を尊重して友好関係を築いていく、物事があれば平和的解決を導いていくような努力が必要ではないかなと思っております。

前原委員 ブッシュさんとの関係というものを大事にされるのであれば、そういった助言、アドバイスをされることも私は大変重要だろうと思います。独善的にならないように、独善的になり過ぎるとそれがまさに原理主義となってしまうと私は思っておりますので、ぜひそれは首脳会談あるいはさまざまなルートでお伝えをいただきたいと思います。

 その中で一番大きく私が懸念をしておりますのは、イランの問題であります。

 このイランの問題というのは、アメリカは極めて先鋭化しているような気がしてなりません。先般、軍部のある幹部が、イランに対する攻撃のオプションというものは準備をしていて、それについては日々更新をしているということで、イラン攻撃というものを、もちろんそれをまだ決断したわけではないという前提条件はついておりましたけれども、イランの攻撃計画がもう既にあって、日々それを更新している、こういうことが言われております。まさに、イギリスやドイツ、フランスなどがイランの核開発について仲裁に入って、平和裏に解決されるような努力が行われている中でこういった発言をするというのは、私は極めてアメリカは大きな問題だと思っておりますし、言ってみれば異常だとすら私は思うわけでございます。

 そこで、総理にお伺いしたいのは、この武力行使、軍事作戦行動計画を持っていること自体どうお考えなのかということと、そして、今の雰囲気でいえば、明示的な国連決議がとてもイランに対して行われるということが私はないような気がいたしますが、仮定の話になって、それについてお答えになれないとおっしゃるかもしれませんが、仮にそういった前提でイランに対しての攻撃が行われた場合に、日本として賛同し得るのかどうなのか、そのことについて総理にお伺いをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 このイランの問題につきましては、先日もアメリカ中央軍副司令官は、イランに対して軍事作戦計画のレベルが高まっているかという質問に対して、そのような事実はないと述べたと承知しております。また、ライス国務長官も、イランに対する武力行使は考えていない、イランの核問題の外交的手段による解決を求めていると述べていると承知しています。

 先日、私もイランのハラジ外務大臣と、日本に訪問されて会談したんですけれども、そのときにもお話ししました。今イギリスとドイツとフランスがイランの核問題に懸念を有しておるし、この問題については、国際社会の疑念を払拭するように英独仏が積極的に働きかけていくと。そのような英独仏の働きかけに対して、合意ができるように積極的に努力してもらいたい、強い期待を表明しておきました。

 この問題についても、日本はイランとの友好関係を持っておりますので、イランにとりましても、国際社会で信頼をかち得ることがイランの発展にとって必要不可欠であるという観点から、核問題につきましては、十分国際社会の要請にこたえるようにという考えを日本としてはイランに強く申し入れておりますので、そのような合意が得られるよう強く期待しておりますし、これからもそのような対応をイランに対して日本政府として求めていきたいと思っております。

前原委員 二年ほど前だったと思いますけれども、この場で総理と、他国を攻撃していいという国際法上認められた要件は二つある、その二つは何だという問いかけで、明確に二つお答えになりました。一つは自衛権の行使、もう一つは明示的な国連決議があった場合、この二つに限られる、武力行使を行うことは。

 イランの場合にも、この二つの場合のみがイランへの攻撃として許されるし、また、それ以外でイランへの攻撃が行われたときは、日本としては到底賛成できないということの基本的なスタンスに変わりはないのかどうなのか。その点について明確に御答弁をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日本政府としては、イランとの関係は、国際社会の合意を得られるような平和的な外交的解決がなされるようにこれからも努力していきたい。最悪の事態というものを今考えてああだこうだということよりも、そのような対応が必要ではないかと思っております。

前原委員 それは先ほど答弁されたとおりなんですが、自衛権、それから国連決議、明示的なもの、それ以外では武力攻撃をすべきでないという日本のスタンスには変わりがないのかどうなのかということをお伺いしているわけです。

小泉内閣総理大臣 日本としては、あくまでも、平和的、外交的解決を導き出すように日本政府として働きかけていかなきゃならないと思っております。

前原委員 同じ質問になりますが、イランのことを前提とせずに、一般論としてお答えいただきたいと思います。

 これはイラクのいわゆる国連決議一四四一の議論のときに、当時は川口外務大臣でいらっしゃいましたけれども、総理とも何度かこの議論をさせていただきました。自衛権の行使も認められる要件がなければいけない、そしてまた国連決議も、明示的なその武力行使を認めるものがなければいけない、それ以外は、日本は、武力攻撃は行わないし、またその武力攻撃には賛成をしないという立場は変わりがないのかどうなのか、その点を聞いているんです。

小泉内閣総理大臣 日本としても、その国の自衛権、そして国連決議に沿った形でのものでなければならないということは、今までもはっきり申し上げております。

前原委員 最後に、大野長官に質問をしたいと思いますが、スーダンのPKOの話が出てきております。

 このスーダンのPKOについては、私は、若干懸念を持っております。どういうことかといいますと、一つは、立場は違いますけれども、インド洋での活動、そしてイラクでの活動、そしてスマトラ沖大地震の後の津波の復興支援、アチェでの活動。自衛隊、かなり国際貢献活動を今一生懸命にやっておられます。その意味で、さらにプラスをして、スーダンというかなり遠いところですね。しかも、話を聞いておりますと、上陸してからかなり奥地に入っていかなくてはいけない。そしてまた、整地をされた、舗装された滑走路があるかどうかということも極めてクエスチョンマークがついている。また、治安も極めて不安定。

 いろいろな活動をしている、そしてまた、行うとしたら初めてのPKFになる可能性がある、そういったものに果たして本当に今自衛隊を派遣するという結論を出すことが妥当なのかどうなのか。防衛庁長官として、つまりは自衛隊を動かす、自衛隊の隊員の命を守る立場として、どのようにこのスーダンのPKOをお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。

大野国務大臣 まず、防衛大綱にも記述されておりますけれども、自衛隊の役割というのは、領域内の防衛のみならず、国際安全保障環境をよくしていこう。これはもちろん、武力行使とか、武力行使と一体化になるというのではなくて、人道復興支援のような形で、国際貢献というか国際安全保障環境をよくしていく、これは大変大事なことであるということは防衛大綱にもうたわれているとおりでございます。

 そういう一般論で言いますと、やはり国際的な業務については前向きに考えていこう、このことは私は認識いたしておりますし、しかし同時に、このスーダンの問題についてあるところで問われて発言しておりますけれども、同時に私が申し上げたのは、やはり、先ほど申し上げました、憲法九条のコロラリーである武力行使、武力行使と一体となる、これは絶対だめ。それから、PKO五原則というのがありますね、そしてまた日本の自衛隊としてふさわしい行動であるのかどうか、こういうことはきちっと考えていかなきゃいけない。

 それから、先生今ちょっとお触れになりましたけれども、たしか宮沢内閣のときだと思いますが、政府として考えなきゃいけないのは、やはり国内の支持を受けるものであり、そしてまた国際社会からも評価されるものでなきゃいけない、こういうことも議論していかなきゃいけない、私はこのように思っています。

 現状は、先生御存じのとおり、国連決議がまだ採択されておりませんし、国内でもそういう議論はやっておりません。しかしながら、もしそういう議論が出てきたら、PKFの場合はやはり国会の承認も得なきゃいけない問題である、こういうことは国内で十分支持を受けなきゃいけないというような話にもつながっていこうか、このように認識いたしております。

前原委員 官房長官、逢沢副大臣が、スーダンのPKOに日本が絡まないという選択肢はあり得ない、こう明言をされておりましたけれども、それは政府の考え方として認識をしてよろしいんですか。

細田国務大臣 スーダンのPKOに関しては、国連安保理の決議がまだ採択されておりませんし、当然、現時点では具体的な検討に入っているわけではありません。今後、安保理決議の採択を待って、かつ、現地の治安情勢、環境、停戦合意の有無等さまざまな点を検討いたしまして、いかなる協力ができるか慎重に判断をしていきたいと思っております。

前原委員 大野長官、自衛隊法三条の本来任務、主目的のところに国際貢献を入れるという議論があって、この国会にも出されるかどうかということでありましたが、与党内で調整がつかない、こういう話でございました。

 私は少し、それは自衛隊法の改正だけで議論する話じゃないと思います。つまりは、国の構えとして、本当に自衛隊をそれだけ国際貢献、今でも、さっき申し上げたように三つの、ゴラン高原を入れると四つですね、四つの活動に出していて、なおかつ出していくということになれば、これは自衛隊を今までとは違う目的で使うんだということを国民に明らかにして、それを、税金といいますか、歳出面でもバックアップするという国民のコンセンサスを得るためには、私は、自衛隊法の改正というよりは、やはり憲法の議論の中でこの国際貢献の条項をどのように入れていくのかということがなければ、余り拙速に、うがった見方かもしれませんけれども、国連改革というものがある中でアフリカというものに飛びつかなきゃいけないと、うがって見られるようなことがあってはいけないし、それで失敗をしたら今までの自衛隊の積み重ねてきたものはどうなるのかといったことも、私は慎重に考えてやっていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

甘利委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。

 前原委員に引き続いて、私も北朝鮮の問題を中心に議論を進めていきたいというふうに思っております。

 先ほどの議論にありましたように、今回のいわゆるスポークスマンによる、何と申し上げたらいいか、瀬戸際外交詰まれりというんですか、余りにも稚拙な表現で訴えてきている今回の問題でありますが、それに対する解釈が出ました。先ほどのお話のように、アメリカと二国間協議をしたい、あるいは、瀬戸際外交を詰めることによって、ハードルを高くすることによって自国に有利な交渉を進めていきたい、いろいろそういう面での指摘はあったわけでありますが、もう一つ、まだ議論をされていない視点というのがあるんだと思うんです。

 それは、北朝鮮内部で最近さまざまな情報が出てきてまいりまして、金正日体制、あるいは金正日という指導者が今どういう状況にあるのか、位置にあるのか。いわゆる権力闘争の中でどういう状況にあるのかということ。

 それを踏まえたときに、もう一つ、新しい敵をつくる、これまでの対立関係というのをさらに大きなものにしていくことによって国内の権力闘争に対してブラフをかけていく、そういう一面が今ここにあるんじゃないかという指摘ももう一方であるんですね。

 それだけに、北朝鮮の体制をどのように認識するかということによっても、これからの日本の外交、六者協議の進め方あるいはアメリカの戦略そのものも違ってくるということであろうかと思うんです。

 総理には最後のところでこれは答えていただいたらいいんですが、その前に、日本として今この体制をどうとらえているかというのを改めて確認していきたいというふうに思っております。

 これは、さっき外務大臣みずからも表現があったように、日本のいわゆるインテリジェンスというか情報収集能力というのは非常に限られていて、直接情報じゃなくて間接情報でそれぞれ総合しながら判断をしているという、頼りない、本当に、聞いていたら、それでいいのか、そういう憤りも含めた答弁が出たわけでありますが、外務大臣、そうした意味で、改めて外務省、今のさまざまな情報、もっと具体的に言うと、いわゆる二〇〇二年から導入された経済の市場化というのがあるのですが、これで非常に社会が不安定化してきているということがある。これを具体的にどうつかんでおられるかという話。

 それから後継者問題で、それに絡んだことだろうというふうに推測はされるんですが、金正日の妹婿の、いわゆる政権ナンバーツーの張成沢、これは労働党組織指導部第一副部長なんですが、彼を中心とする人脈が、この一派が粛清されたということ。これは二〇〇四年の十一月に起きておるわけでありますが、こういうこと。

 それからもう一方で、中国が中朝国境地帯へ向いて陸軍部隊を六万人増派してあそこへ集結しているという事実ですね。

 さらに、脱北者からさまざまに聞こえてくる、北朝鮮の中での反体制運動の萌芽といいますか、さまざまな活動そして事件。あるいは、これはうわさの域なのかどうなのか、私もはっきりしないんですが、ヨーロッパで金正男が暗殺の憂き目に遭ったというか、もう少しで暗殺されるところだったというふうな情報であるとか、そういうことが錯綜しています。

 外務省、これを外務省としては、どういう情報のもとにどう整理しているか、まずそこからお尋ねをしたいというふうに思います。

町村国務大臣 先ほど、情報のあり方についてまず中川委員から御指摘がありました。私は、日本の情報の体制が不十分であるという認識で、これを強化すべきであるという意見でありまして、率直に言って、日本の例えばこの国会の中でも、そういうものを強化しようなんて言おうものなら、まず大臣の首が飛ぶような議論が今までずっと行われてきた。そういった事実を踏まえた上で今委員の御批判があるとすれば、それは甘んじて受けなければならない、こう思っております。

 委員の御理解、民主党の御理解あるいは国会の御理解も得て、私はこれからの日本の情報体制をもっとしっかりとしたものに仕上げていくいろいろな努力をしたいと思っておりますので、ぜひ御協力を賜れれば幸いでございます。

 その上に立っての今お尋ねでございます。

 一つは経済改革。二〇〇二年七月に一連の経済改革措置というものを彼らは導入し、賃金、物価、交換比率を変えるとか、インセンティブ制度の導入でありますとか配給制度の段階的廃止、あるいは総合市場というものを二〇〇三年からつくるといったような一連の、彼らなりの経済改革と言っているものをやっているわけでございます。

 これがどこまでうまくいっているのかいっていないのか。まだ一年、二年のことでございますから、なかなか断定的に申し上げることは難しいところがございますけれども、彼らなりの努力を私どもは今見守る立場にしかないのかな、こう思っております。決して、それらがスムーズにうまくいっているという情報に接しているわけではございません。

 それから、金正日氏の立場、権力構造、どういうものなのか。これも、いろいろな報道が断片的にあります。やれ肖像画が外されたの、あるいは敬称をつけたの、とったの、あるいはまたつけた、いろいろな報道がありますけれども、現時点で、その体制に今異変が生じているということを確認する、そういう情報には接していないところでございます。

 また、今御指摘の張成沢朝鮮労働党組織指導部第一副部長、この方は金正日国防委員長の義弟といういわば腹心の部下。この方の動静が途絶えているということでありますが、二〇〇三年の七月六日、金正日国防委員長が国内の現地指導に行って動向が報じられたそれ以降、実際、動静報道がないということから、今のような粛清説等々が流れているわけでございまして、どうも更迭されたのではないかという情報には私どもも接しているところでございます。

 それから、中国陸軍が六万人国境の方に結集して、これが脱北者対策ではないかというような報道もあったようでございます。これは中国外交部が昨年、これについては、中朝国境地域にある通信設備の建設に当たっているんだという説明を記者会見でしているということでありまして、これについても今各種の情報収集に取り組んでいる、そういう段階でございます。

 したがって、総じて申し上げますと、体制異変説がいろいろあるわけでございます。それはどこまで今の彼らの体制が万全であるか、これまた断定的に申し上げることは難しいのでありますけれども、崩壊する兆候が見られるかというと、それは現状見ることはできないのでありますが、いずれにしても十分注視をしていかなければいけない、かように考えております。

中川(正)委員 ある意味では随分他人事のような表現で今説明があったわけでありますが、ここのところの受け取り方によっては、これからの北朝鮮に対する外交基本、これは後ほど総理にお尋ねをしていくところでありますが、にかかわってくる。それだけに、それぞれの情報の評価というのを外務省として主体的にやっていくということぐらい、あるいは、これに対して我々はこう思っているんだということぐらいは、さまざまな役割分担をして公開していくべきであろうというふうに思っています。

 例えばアメリカあたり、ハドソン研究所のホロウィッツ研究員、この人はネオコンの最たるところだとよく言われているんですが、こういう人たちから、例えば、金正日政権を継続するために中国が負担する政治的なコストがもう既に高いものになってきているので、中国は既に金正日に取ってかわるべき将軍の人選を決めているのではないかということ、そして、もうそろそろ、来年あるいは再来年、ここ二、三年のところで軍によるクーデターが起きて、中の体制が変わっていく可能性がある、こんなことを具体的に指摘したりしております。

 改めて、もう一つ違った役所で確かめてみたいんですが、公安調査庁が、これは朝鮮総連に絡んでのことであろうかと思うんですが、北朝鮮の内部の状況についても公安調査庁なりに見解を持っていますね。結論でいいんです、この体制についてどういう評価をしていますか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮における金正日体制がどういう状況にあるのかというふうなことについてさまざまな御意見があるところでございますけれども、私どもといたしましては、概略的に申し上げれば、現在、北朝鮮国内におきまして、先生御指摘の経済改革措置等に基づきます物価高騰による生活難など、種々の問題が生じているものと見ております。しかし、現時点では、支配体制は全般的に依然強力であり、それらの問題が体制崩壊の可能性を示すものであるとまでは言えないと考えておるところでございます。

 当庁としては、北朝鮮の国内体制の動向につき、今後とも、最大の関心を払って情報の収集、分析に努めたいと考えております。

中川(正)委員 この認識について次に総理にお尋ねをしたいんですが、これまでの議論というのは、体制を、北朝鮮、特に金正日氏自身が、アメリカに対して、保証をしてほしい、そのことが前提の二国間交渉だ、こういうことでありました。

 ところがもう一方で、現状として、権力闘争の中で金正日氏自身が権力の座から今の時点で既にもう浮き上がっているんじゃないか、こういう見方があり、あるいは将来の後継の中で非常に混乱をしてくる可能性がある。あるいは軍部との関係の中で、今、その調整がし切れずに、金正日氏自身の指導力というのが非常に限定されたものになってきた、こういう見方がある。

 こういうことに対して、実は、中国、韓国と、それからアメリカというのは、これは対照的に見方が違うんだというふうに思うんです。そこに今の六者協議の難しさがある。それは、韓国、中国というのは、今の体制でステータスクオ、このまましばらく続いていってもらいたいというのが基本的にある。ところがアメリカというのは、それは武力ということでなくても、今の体制が変わって新しい体制になっていく、それがアメリカにとって望ましいものであるとすれば、それはすぐに変わっていいんだという前提で事を進めているということ。この二つに挟まった日本があるんですね、このはざまに日本がある。

 ここのところを六者協議で基本的に調整しないと、今さまざまに起きてきている問題で中国をどのように説得していくのだ。あるいは、韓国の太陽政策で、韓国は日本にとって、我々も韓国の国会議員とさまざまな議論を重ねているわけでありますが、韓国の人たちは、国会議員は、特に今の政権党の国会議員は日本に対してどんなメッセージを出してくるかといったら、拉致にこだわっていないで、日本も経済協力をやって、国交正常化をやって、どんどんそうした意味での北朝鮮の中の経済状況を高めていくことによってこれからの道筋というのをつけていってはどうですか、こういうメッセージですね。

 それから、中国にとってもそうだ。中国にとってもやはりステータスクオ。今の政権がすぐ壊れるということに対して、韓国ももたないし、ちょうど東ドイツが崩れていって西ドイツにその負担がかかったということを見ていると、どうも韓国がもたないまま朝鮮半島が大混乱に陥って、その中でどういう始末をつけるのだということになると、そのビジョンが出てこないだけに、中国としてもステータスクオだ、こういうことになっているわけです。

 そこで改めてお尋ねをしたいんですが、日本としてはどちらのスタンスで、今、事に当たろうとしているのか。ここのところが基本だというふうに思うんです。総理の見解を聞かせていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日本としては、現在の金正日政権が継続するという前提で今交渉を続けております。

 この問題につきましては、アメリカの中では、金正日政権の存続は望ましくない、体制を変えた方がいいという声が一部にあるということは承知しておりますが、それでは、金正日政権が崩壊した後、どういう政権ができるかという見通しは全然立っていないんです。今の金正日政権が崩壊したと仮に想定するならば、果たして、より安定した政権ができるかというのはだれも想像できない。

 さらに、中国側にしても韓国側にしても、今の金正日政権の存続を前提に交渉しております。六者協議の、ロシアが入って、アメリカも、現在の金正日政権を交渉相手として日本側と連携をとっております。

 政権が崩壊するかどうかという見通しは実に難しいんです。過去の例をとってもそうです。アメリカの関係者に聞いても、イランのパーレビ国王があのように早く崩壊するとは予想できなかったと今でも言っていますね。ルーマニアのチャウシェスク政権もそうです。これは、内部から崩壊する場合と、イラクのように外部から崩壊する場合と、それぞれ国によって違います。

 今の状況におきまして、私は、北朝鮮の内部に異変があるのではないかという情報が錯綜しておるのは承知しておりますが、これが崩壊するということを前提にして日本は今の交渉に当たっているわけではございません。

中川(正)委員 そのことを前提にして交渉するという問いかけをしたのではなくて、日本としてステータスクオを、ということは、今の政権を北朝鮮ができ得る限り維持していく方向、それを助けていく、これは中国と韓国の方向性です。これを助けていく、政権を維持するということについて支援していくということははっきりしているんです。そういうスタンスでいくのか、それとも、そうしたことではなくて、もしこれが崩れていくということであればそれでもいいんだというスタンスでいくのか、どちらなのかということを聞いたんです。もう一度お願いします。

小泉内閣総理大臣 先ほども答弁しましたように、今の政権が維持されていくという前提で交渉をしております。

中川(正)委員 そのことについて答えが出なかったということだと思うんですね。

 これは、そこが日本としてはっきりしないから、どうしても前に踏み出した交渉ができないんだというふうに思うんです。それを、私は、そろそろ日本として、基本的なスタンスとして表に出していく時期だ、その中で六者協議を一つの方向へ向いて誘導していくというその意思をはっきりさせていくということ、これが今、日本の役割として求められているんだということ、このことを指摘しておきたいというふうに思います。

 次に、先ほど話が出ました六者協議のボイコットそれから核兵器の保有そして拡大宣言についての問題でありますが、これは先ほどさまざまに議論が出ましたので、どういうふうに解釈をしていくかということについては、用意したんですが、そこを省いていきたいというふうに思います。

 ここでは、このことによってこれからの拉致問題についての交渉がどうなるのか、まずここから聞いていきたいというふうに思います。

町村国務大臣 拉致問題について今次の声明で触れているわけでございますけれども、これは北朝鮮が最近言っていることの繰り返し、捏造である等々のことであります。したがいまして、私は、北朝鮮が自分の対応を棚に上げて日本の対応がどうだこうだと言うのはまことにおかしな逆立ちした議論であって、受け入れることはもとよりできないわけでございます。

 したがって、こうした声明の中に拉致のことに触れているその一つ一つに私どもとしてはとらわれることはなく、これまでどおりの、先ほど総理がおっしゃったような基本的な姿勢のもとで、引き続き先方に誠実な対応を求めていく。いつまでも不誠実な対応であれば、それについては厳しい対応をとらざるを得ない。どういう対応をしていくかということについては、そのタイミング、方法等については、今慎重にいろいろ考えているという状況でございます。

中川(正)委員 制裁措置の問題について、この間の私たちが上程したいわゆる経済制裁の法律あるいは特定船舶を制限していく法律、これ以外にも段階的にやれることはやろうじゃないかということが、与党の内部でも、あるいは我々のサイドでも検討をしているわけでありますが、最終的に、これは本当にその効力を持っていこうということになると、やはり中国、韓国、この連携がどこまでとれるかということだと思うんですね。

 経済的に見てみると、中国と北朝鮮の間では、貿易価額にして、毎年、二〇〇四年度では四〇%伸びて十億ドル、この十億ドルというのがさらに大きく広がっていくであろうということですね。こういう流れがあったり、あるいは韓国と北朝鮮では特に五十万トン以上の食糧支援を行っておりまして、冒頭申し上げたように、とにかく今の北朝鮮の体制を維持していくということについて最大限のコミットをもう既にこれはしているわけですね。

 そういう状況が片方あって、今、日本はそれと全く違った形で制裁を考えていこう、こういうことにあるわけでありますが、ここのところをどのように韓国、中国に対して話しかけていくのか。我々の土俵に上がってほしいという話に持ち上げていくのか。これはもう既にやっていることなのか、それとも、これから考えていく上で何をカードにしながら彼らと連携がとれる、そういう見込みがあるのか、そのところを聞いていきたいというふうに思います。

町村国務大臣 拉致に関する制裁問題につきましては、先ほどお話ししたとおり、関係国といろいろな形で既に話し合いをしているところでございます。拉致問題がいかに不当なものであるか、それについて日本国民がいかに憤りを覚えておるか、国会でもこうした法案が通り、厳しい対応が求められている、そういった状況も十分説明をしております。

 特に韓国につきましては、昨年の十二月に指宿で日韓首脳会談、そして同時に外相会談もやりました。例えば、その折に韓国側は、もちろん、拉致という日朝の問題で日本がいかなる措置をとってもそれは理解いたしますということをかなり断定的に言っておられました。ただ、願わくば、六者協議がそう遠くないうちに開かれるだろうから、その辺はよく考慮していただけるとありがたいが、しかし、日本が北朝鮮に対してとる措置については、それは十分理解いたします、こういう言い方をしておりました。

 中国に関しては、それよりはもう少し慎重なトーンが確かに強かったかなというニュアンスの差はあるところでございます。

 まだ私どもも正式に制裁をすると決めたわけではございませんから、また、もし仮にそういう事態になったときはそれとしてきちんと話をしなきゃいけないと思いますけれども、現状、彼らの反応、受けとめ方といいましょうか感触は、今申し上げたようなところかなと思っております。

中川(正)委員 実は今、我々の中で、民主党の中で、人権侵害に対する救済法案というのをまとめてきております。自民党の中でもその議論があるんですね。

 これは、一つは制裁的な法案だ、特に、アメリカで人権法ができた経緯、あるいはその中での議論があったものですからそんなふうに受けとめられる面が強いんですけれども、日本でこの人権救済法を考える場合には、制裁という局面よりも、それ以上に人権という切り口でこの拉致の問題、それから、韓国にも拉致問題はあるんですね、これは四百八十人の拉致被害者が韓国にはいます。先般、そのうちの三人が脱北をして韓国に帰ってきているということで、その三人をこの国会の委員会に招聘しまして証言をしていただいたことがありましたけれども、そういうこと。あるいは、それぞれの離散家族の問題等々共通した問題がある。

 それにもかかわらず、日本だけが今二国間協議をやっているわけでありまして、そこのところを、この拉致問題をもう一つ大きな流れにしていこうということであるとすれば、韓国そして特に中国の理解も経た中での連携した取り上げ方、具体的には、六カ国協議の議題としてこうしたものがちゃんと位置づけられるというところまで持ち上げていくという努力、これが基本的には必要なんだろうというふうに思うんです。これはもう、国連の中での議論はもちろんのことでありますが。

 そういう意味でも、実はこの人権救済法の目的というのは、そうした切り口で一度この拉致の問題というのを法律の中で整理してみようということ、これが一つ目標としてあります。

 それ以外には、特定失踪者や行方不明者の調査と救済というのを国に義務づける。これは、今のところは民間で、それこそ四苦八苦の思いをしながら取り組んできてここまで国民の世論を盛り上げてきたということなのでありますが、ここでやはり国が前に出てこれを調査していくということ、そのための組織をつくるということ。

 それから、意図としては、先ほどの、周辺国との連携をしていくということですが、もう一つ、脱北者の救済があります。

 この脱北者の保護については、中身はほとんどが在日コリアンで、一九六〇年代をピークに九万五千人の皆さんが帰還運動で北朝鮮に渡っています。この人たちがさらに向こうで差別をされて、特に食糧配給が滞った一九九六年から八年、半分ぐらいがこれで餓死している。一番その差別の最下端にあって、そうした意味での餓死者がそれぐらい出た。今でも苦しんでいる。そういう人たちが脱北をしてきて日本の大使館あるいは総領事館に逃げ込んでくる。そういうことでありますから、この人たちを対象にした保護がメーンなんです。

 あとは、もちろん、今在外公館が取り組んでいるように、人道的に、それ以外の人たちが駆け込んだときも、それが本国へ向いて送還をされれば、そこに強制収容所があって、拷問があって、殺されている人たちも出ている。それがはっきりしている限り、これはやはり日本に関係のない第三者であっても難民としてそれに準じた扱いをしていこう、そういう配慮の中で韓国に送っているということ、これはもう現実にあるわけですね。

 それから、今、法律の後ろ盾にないということでありますので、その辺も含めた形の難民の保護ということをしていこうというのがこの法律の趣旨なのでありますが、これは同じような内容を自民党の中でも協議をしていただいておるということを聞いていますが、それについて、総理、改めて総理の御意見をいただきたいんですが、この法案についての政府としての見解を聞かせてください。

町村国務大臣 私の方が不勉強なのかもしれませんが、まだ議員提案として国会に出されたというふうに聞いておりません。それは自民党も多分同様なんだろう、こう思いますので、まだ法案が出される前の段階で政府の方からあれこれ申し上げるのは大変僣越にわたるので、それは差し控えますけれども。

 今お話しのような、在日朝鮮人を含めて外国の方が日本の在外公館に庇護を求めてきているケース、今、中国の大使館にもかなりの数、実はいるわけでございますが、人道上の観点も踏まえながら、その個々の事実、実は本当にその方が脱北者なのかどうなのかわからないというようなことで、結構認定に時間がかかっているような実態もございます。そうした具体の状況をよく検討した上できちんと対応してきたつもりでございますし、これからもまた人道的な観点から対応していきたい、かように考えております。

中川(正)委員 これは、中国の理解をしっかり得ていかなければならないということが前提になっているんだろうと思うんです。

 今も中国との間では、外交上の暗黙のうちの申し合わせというか、そういうことの中で、先ほどお話の出ました日本大使館にいる十五人の脱北者の人たちも、恐らく第三国へ向いて出してもらうための理解というのを得ていくということだろうというふうに思うんですね。そのことを含めて、政府としても中国に、正式にこの問題について一緒に話し合っていこうと。

 中国自身も、中国の中での人権侵害もあるし、それを非常に非難する勢力もありますが、しかし、中国自身もそれについては問題として見ているし、強制的に北朝鮮に送り返すということだけでは問題の解決にならないな、あるいは海外からの批判、非難に対してこたえ切っていけないという問題意識があるわけですね。

 だから、それだけに、この問題について同じように解決の道を探っていこう、そういう提案が日本のサイドからあるということ、これが非常に大事なところだろうと思うんです。外務大臣、どうですか。

町村国務大臣 現実問題、なかなか個々の状況を見ると難しいこともございますが、この問題に適切に対処するため、また、特に脱北者とみなされる方々の人権問題ということを中心に据えながらこれまでも中国政府とよく話し合ってきておりますし、これからもそういうふうに心がけていきたいと思っております。

中川(正)委員 さらにもう一つ見解を聞いていきたいと思うんです。

 こうした取り組みの中で、私たち、議員として、モンゴルであるとかタイあるいはヨーロッパの人たち、それから韓国はもちろんですが、何回か集まっておりまして、こうしたことに対して連携した対応をしていく、そのことによって、北朝鮮に対してもそのことの外交的なカードとして使っていく一つのきっかけにしていこうということをやってきました。

 その中で、実はモンゴルの議員から提案が出ていまして、モンゴル、あるいはロシアもそうですが、北朝鮮とは国交があるんですね。それだけに、例えば北朝鮮の人たちが、もう既にロシアは特にそうなんですが、外国人労働者としてそういう国々に出かけていって働いているんです。そういう人たちに対して、モンゴルの方から提案があったのは、例えばソバ、ソバがあの気候には合っているそうなんですが、ソバの栽培をするための農場を設定して、そこへ向いて北朝鮮の人たちを外国人労働者として、特に中国の中に潜伏している難民の人たちを中心に、そこへ向いて正式に外国人労働者として集める。そこでつくった農作物を例えば日本が輸入するという形で連携をとりながら、その中で、外の世界がどういうものなのか、あるいはさまざまな情報というのがその集団に対して、ちょうど難民キャンプがそうであるように、伝わっていって、内部からの民主化ということにつながっていくような設定が北朝鮮を刺激せずにできるんじゃないかというようなこと、そんな提案も出てきております。

 こうした外交努力というのは、ただ政府間が面と向かって今回の核の問題のようにやっていくということだけではなくて、あらゆるチャネルの中で多重に北朝鮮に対する全体の囲みをつくっていきながらあの政権の体質を変えていくという努力、これがもう一つの、日本としての日本らしい外交でもあるわけです。

 ところが、今そういう部分の議論というのは全く影を潜めてしまって、国と国とが対峙するような形だけで収れんをされている。そこに日本外交の限界が見てとれるというふうに私は思っているんです。

 そうした意味で、さっきのようなモンゴルからの提案、総理、どのように受けとめられますか。

町村国務大臣 不勉強かもしれませんが、そういうモンゴルからの御提案というのを、まだ私ども、伺ったことがないわけでございます。

 民間の方々がいろいろなお知恵を出して、まさにNGOというような形でいろいろな脱北者支援ということをなさる。それはそれとして、私はいろいろな努力があることは承知をしておりますし、それはそれでまた意味のあることをいろいろ皆さんがなさっているということは結構なことだ、こう思っておりますが、ただ、今のモンゴルのソバ農園という話は、ちょっと申しわけないんですが、よく聞いたことがございません。

 いずれにしても、さっき申し上げましたように、一応外務省としては、在外公館にそういうお話があった場合にはきちんと対応していこうということについては先ほど申し上げたとおりでございます。

小泉内閣総理大臣 私もまだモンゴルからそういう提案があったということは伺っていないんですが、ソバの話、これはミャンマーで麻薬栽培が問題になって、麻薬はいかぬというのはわかるんだけれども、麻薬栽培をしないと生活の糧を得ることができないということで、麻薬栽培をやめた後に、ケシの栽培なんですけれども、ここにソバを栽培して生活を立てていこうという考えで、ソバ栽培等で日本が協力したとか、しているという例はあるんですが、この問題については、やはりそれぞれの国の事情がありますから、その国の体制をどういうふうに持っていくかということについては、内政干渉という問題も絡んで非常に難しい問題もあると思います。今の時点で、どうやれ、ああやれということについてまだ確固とした考えがあるわけではございません。

中川(正)委員 外交の主体といいますか、これは多重であればあるほど、そのカードというのはさまざまに活用ができるんですよね。そういう意味では、日本の場合は今のところ余りにもそうした材料が、武力を使わない、武力によって外交活動をしない、そういう前提がある割にはつくられていないということだと思うんです。

 そうした意味で、こうしたNGOを中心にした、あるいは議員を中心にした活動がさらに活発に広がっていって、そういう民間の流れの中で時代が変わっていくということ。これは、ある意味ではヨーロッパで東ドイツの崩壊の中でなし得たことでありますが、そういうようなことがないと、国と国あるいは武力と武力をもって相手をいさめていくというような形をなかなか脱し切れないんだということ、このことを指摘しておきたいというふうに思います。

 最後に、将来にわたってでありますが、先ほど体制崩壊の話をしましたが、いつの時点かにはこの朝鮮半島というのは統一をしていくということ、これが最終的にはアジアを安定させていくための、周辺国、アメリカ、ヨーロッパも含めた国々も悲願だろうというふうに思うんです。

 ところが、先ほど申し上げたように、これに対するビジョンというのが本当にあるのか、いわゆる周辺国で、共通した統一朝鮮半島についての姿があるのかというと、そこが問題なんです。それぞれが同床異夢で六カ国協議をやっていますけれども、違った意味合いの統一というのを見ているんじゃないか。

 例えば、アメリカは朝鮮半島が韓国化されていくという前提で見ているかもしれない。

 あるいは中国は、逆に、事が起きたときに、私がさっき、中国の陸軍が国境地帯に六万人結集していることについてどう思うかということを聞いたのは、脱北者ということじゃないんです。これは、事がいざ起こったときに、ということは、体制が崩壊して、朝鮮半島、北朝鮮が混乱をしたときに、それに乗り込んでいって武力でもってそこを鎮圧していきながら占領統治していくというパターン、これを想定しているんじゃないかということを前提にして尋ねたわけなんです。

 そういうふうなことで、今、枠組みがないんですよね。ないということはどういうことかといったら、結局は多国間の安全保障構想みたいなものがこのアジアに存在しない。そのかわりに、アメリカとの一国同士の安全保障、バイラテラルな安全保障でそれぞれつながっていて、それがそれぞれの思惑の中でしか描けていないということがあるために、例えば中国にとっては、この今回のトランスフォーメーションも、それはどうも北朝鮮ということを表面では言っているけれども、その奥には、潜在的な中国に対する敵視政策じゃないかというような受けとめ方をしてくるわけです。

 そういう状況を踏まえて改めて私は総理に聞いていきたいんですけれども、この統一ということについて、どんな枠組みの中で、どういう朝鮮半島がアジアにとって最終的な位置づけになるのか、そのビジョン、総理なりのビジョンがどういうことになっているのか、聞いていきたいというふうに思います。

小泉内閣総理大臣 将来を展望すれば、それは朝鮮半島、北朝鮮も韓国も民主的な安定した政権ができることが望ましい、統一が望ましいということは言えると思います。

 しかしながら、東ドイツと西ドイツに分かれたころもよく言われたことなんですね。ヨーロッパ諸国も、東ドイツと西ドイツの統一は望んでいないということが盛んに言われました。表面的には統一のドイツは悲願だと。しかし、ドイツが強大になることを望まないから、本音のところではヨーロッパ諸国は望んでいないんじゃないかということが盛んに言われました。しかし、現実には、東ドイツと西ドイツが一緒になるどころか、EUが一緒になるんですから、これはもう、当時から考えれば、今は、東ドイツと西ドイツの統一を望んでいないなんという議論は何だったのかということになっている。

 似たような議論でありますが、北朝鮮と韓国が一緒になると強大な朝鮮半島ができるのではないか、だから本来は望まない国もあるんじゃないかというのが一部で言われております。しかし、私は、将来の展望を見れば、同じ民族ですから、統一朝鮮半島、北朝鮮も韓国も、一緒になった国として繁栄したいという気持ちは両国にもあると思っております。

 またそれが、我々が考えて望ましいという、公正な選挙による民主的な政権のもとにそういう統一朝鮮半島の政権ができれば望ましいと思っておりますが、現時点において、生活水準は東ドイツと西ドイツの比ではない。北朝鮮と韓国との今の経済水準は、今のままで一緒になったらば、これは果たして韓国にとって望ましいことかどうかというと、必ずしも多くが、今すぐ一緒になるということについては疑問を呈する方が非常に多い。

 むしろ、北朝鮮が国際社会に復帰して、核も廃棄して、そしてみずからの経済発展を考えてもらって、より生活水準が韓国と近いような水準になったときに、お互い話し合いの上で、安定した民主的な政権で統一するということが私は望ましいのではないかなと思っております。

 今の時点において、私はどうだこうだと予想する能力はありませんけれども、望ましい姿といえば、朝鮮半島が安定した民主的な政権のもとで平和的にそういう状況になる。そして、中国もロシアも日本もアメリカも、そういう国と友好的な関係を維持して、お互い共存共栄の関係に発展するような体制ができればなと思っております。

中川(正)委員 それは万人だれしもが望む、あるいはそれを目標に地域をつくっていこうということ、これはもう、さっきの総理の答弁は、だれも文句を言わないところです。

 しかし、それに至るプロセスと、どうしたらそういうふうな形の平和が来るかという、そこのところを聞いているわけです。

 今、六カ国協議の当面の問題は核を廃絶させるということだろうと思うんですが、しかし、そのもう一つ向こうは、ちょうど中国が私たちに今言ってきている戦略協議ですね。この戦略協議の意味するところというのは、アジアでいえば、あるいは日本との関係でいえば、朝鮮半島の行く末も含めて、どういう形で安全保障構想というか、いわば北東アジア安全保障機構みたいな、NATOのアジア版というんですか、そういうものをつくり上げていくかというプロセスを、どの舞台で、どういうタイミングで話し合っていけばいいのかということ、ここに今焦点が来ているんだろうというふうに思うんです。

 私も先般中国に行きまして、そこのところの彼らの思いというのを聞いたんですが、それは、さっき申し上げたとおり、このままでいくとどうも日米の基軸だけでそれが動いていく。日米の基軸の安全保障の前提というのは、やはりどこまでいっても、中国というのを、潜在的な脅威だ、潜在的な敵国だというふうなことを前提にした流れにしかなっていかないじゃないか。だとすれば、こここそ日本がやはり果たすべき役割であって、何とか日本とうまくやっていきたいという思いのある中国の高官、この人たちから出てくる言葉というのは、だからこそ我々と対話をしながら、中国もアメリカも入った形の新しい戦略構想というのを協議していく場をつくれないかということ、この模索が今あるんですね。

 だから、そういう意味では、この六カ国協議の中の枠組み、これは北朝鮮を除いてという話になりますが、これを有効にいかに使えるか、それを新しい戦略協議の場にしていくかということが一つのポイントだと思うんです。日本はやはりそのイニシアチブというのがとれる国なんだろうと思うんですが、それについて、総理、改めて、総理なりのビジョンと、それへ向いて突っ込んでいく、そういう気持ちを表明していただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今のお話にありました六者協議、これが極めてこれからの将来を考えると重要な対話の場だと私は考えているんです。だからこそ、六者協議の場で北朝鮮側がこの話し合いに乗ってきて、核の廃棄に取り組んでもらいたい。そうすることによって自国の安全保証も確保される。

 そして、この安全保証を考えますと、六者協議の場というのは、まさにアメリカ、中国、ロシア、日本、韓国、入っているわけですから、これにまず北朝鮮が乗ってきて、話し合いの場に乗ってきて国際社会の責任ある一員になろうという姿を示すことが、私は、朝鮮半島全体にとって、北朝鮮にとっても一番利益になるということを何回も金正日氏にも言っているわけです。そして、関係各国もそれに合意をしている。

 私は、今回の六者協議の場は、単に北朝鮮が核を廃棄しなさいという場だけじゃない。将来のこの六カ国の協議の場というのは、お互い、朝鮮半島の平和にとって重要な対話の場であるという位置づけをしているわけであります。これは北朝鮮側にとっても、これからまず六者協議の場を通じて、みずからが国際社会の責任ある一員になるということを示す一番いい場だと思います。そういう点をよく北朝鮮側に理解させるような働きかけを、日本側としても、日本政府としてもやっていきたいと考えております。

中川(正)委員 総理の争点は北朝鮮に向いて移されましたけれども、私が今言っていたのは中国との関係なんです。中国との関係を、しっかり戦略協議の中に乗っていくというそのイニシアチブを日本がアメリカも引っ張り込んでつくっていくということをしなければいけませんね、こういうことを申し上げたわけなんです。

 時間が来てしまいました。改めて申し上げますが、それにもかかわらず、総理はいまだに靖国にこだわって、これはある意味ではアメリカの言いなりになっているじゃないか、アメリカの一州に日本は堕していくのか、こういうようなことを言われて、それの反動で中国に対して大見えを切っているというふうなことであるのかもしれない、そんなふうにも受け取れるんですが、そういうところにこだわり続けているときじゃない。

 国立墓地あるいは新たな慰霊、こういう手段というのは、さまざまに総理のリーダーシップの中でとれるはずなんですよ。それを、今、大事な時期、日本が、このアジアで繰り広げられる、リーダーシップのとれる、そうした安全保障の大事な構築の時期にこうした足踏みをしているということ、これは経済で大きなプロジェクトが飛んでいるということ以上に、そこのところが日本外交の一番問題のあるところだということ、このことを指摘して、私の質問を終わります。

 以上です。

甘利委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、最初に北朝鮮の問題について伺います。

 十日に北朝鮮の外務省が声明を出したわけですが、声明の中で北朝鮮は、核兵器の保有の理由について、米国の圧殺政策に対抗するものであり、力には力で対応する先軍政治の立場に立ったものだとしています。極めて重大だと考えます。総理は、核兵器を放棄した方が北朝鮮の利益になることをこれからも働きかけていかなければならないと述べておられますけれども、今回の北朝鮮外務省の声明についてどのように対応されるか、お願いします。

小泉内閣総理大臣 北朝鮮側の今回の声明をよく読んでみますと、非常に強硬な部分が表に出ておりますが、やはり交渉の扉はあけておこう、そして将来の非核化を目指すという方針は示しているんですね、平和的解決。だから、この表面的な強硬部分だけを注視してこれに反応するというよりも、全体をよく考えて、北朝鮮側ができるだけ早くこの六者協議に応じてくるような働きかけが必要じゃないか。六者協議に、無期限、中断するということは、逆に考えれば、いつでも乗ってこれるんですよ。そういう、やはり表面的な表現と、そこに隠された真意というものをよく判断していく必要があるのではないか。我々としては、あくまでも平和的解決を北朝鮮側も望んでいるというふうに見た方がいいと思っております。

赤嶺委員 今総理は六者協議について述べられましたけれども、私も、六者協議というのは、北東アジアの平和と安定にかかわっているすべての国が参加をして、対話と交渉を通じて平和的な解決を図っていく、核問題も拉致問題もその中で解決していくという点でも、それから将来、先ほど総理もおっしゃられておりましたが、北東アジアの平和の枠組みをつくっていくという点でも非常に大事なものであり、その交渉の継続を総理が求めていくということについては賛成であります。

 同時に、私たちは、核問題については、今度の核問題、核兵器開発計画を改めて北朝鮮が明らかにしたというのは、これはやはり北朝鮮自身の平和と安全にも逆行するものだというぐあいに考えています。力には力ではなくて、周辺諸国とのまともな外交関係を築くことこそ北朝鮮の平和と安全を確保する道だ、このように考えています。

 さらに、私たちは、核兵器独占体制であるNPT体制を批判してきましたが、それは核兵器完全廃絶という立場からのものであって、新たな核兵器保有国の出現は絶対に認められない、どんな理由があっても容認できるものではない。したがって、北朝鮮が核兵器の完全廃棄を実現する立場からも、また平和への諸国民の願いにこたえるためにも、北朝鮮が核兵器開発計画を放棄することを改めて強く求めていくものです。

 それで、六者協議についても伺おうと思っていたんですが、先ほど答弁しておりますので、六者協議の継続については私たちもそういう立場だということを申し上げておきたいと思います。

 それで、普天間基地、米軍再編協議、そして負担の軽減などの問題について、総理に聞いていきたいと思います。

 総理は、昨年の九月の日米首脳会談を前にして、在日米軍基地の目に見える負担の軽減を求める方針を固めて、首脳会談後の記者会見では、沖縄の米軍の負担をいかに軽減するかは私の内閣にとっても重大な最大の課題だ、このように述べられました。

 総理、在日米軍の目に見える負担の軽減ということですが、これは何をやるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 在日米軍基地の負担、特に沖縄県におきましては米軍基地の負担というのは大変重く大きなものがある、これをいかに軽減していくかということと、日本における抑止力をいかに維持していくかという両面から考えていかなきゃならないということで、この点について、日本としてもやはり、沖縄の米軍基地負担を考える場合にはかなり具体的な地域も含めた提案を考えなければいけない。

 そういうことを考えますと、交渉の段階で具体的な地域なり地名が出ますと、これは、ほとんどの地域では、沖縄の米軍基地の負担を減らすのには賛成だけれども、それでは、その負担の分を沖縄以外の地域で、ここに持ってきていいということについて賛成の地域はほとんどないと言ってもいいのが現実だと思います。

 これはやはり日本全体として総合的に考えていかなきゃならない問題だということで、日本政府としては、米軍の世界全体における再編問題が今アメリカでも真剣に検討されております。世界全体を考えてみれば、日米安保条約、在日の米軍基地も含んでまいります。当然、お隣の韓国の問題でもそういう事態が起こってきております。

 だからこそ、そういう世界全体の米軍基地の再編を考える場合には、日本も十分関心を持って、日本の在日米軍の基地の負担の軽減と、そして安保条約による抑止力というものを総合的に考えて、沖縄の基地の負担をいかに削減するかということを私は考えていきたいということで、現在、そういう点については外務大臣も含めて真剣に協議をしている最中でありますので、どこの地域とかどこだとかいう点については、今の段階で私が名指しで具体的に挙げるということは差し控えさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 私は、沖縄県民の目に見える負担の軽減についてどういうことをやるかというのを伺ったんです。私は、沖縄の基地を本土のどこかに移せなどということは言っておりませんし、そういう立場をとるものではありません。

 ただ、明らかに、沖縄の中で目に見える負担の軽減という場合には、去年の八月に沖縄国際大学に墜落したヘリ墜落の事故の問題の焦点になっている普天間基地の返還については、これは今度の目に見える負担の軽減の中で具体的に取り上げていくんでしょうか。それは答えられるんじゃないですか。

町村国務大臣 この週末、2プラス2をワシントンで行う予定にいたしております。その中で、まず基本的な考え方の整理をしよう、その後、より具体的に米軍あるいは自衛隊がどういう使命、役割を果たすのか、それを踏まえた上で個々の基地のあり方、どうしていったらいいのかという順を追って議論をしようということであります。したがって、その最終段階で具体の話になったときに、それはありとあらゆることを考えてまいりますから、今特定の基地名を挙げられましたが、それは取り上げるとか取り上げないとか言うつもりは今はございません。

 もちろん、SACOのプロセスというのがあるわけでありまして、SACOはSACOで粛々と進めていく。普天間は今SACOの対象ということで位置づけられております。では、そのSACOの話と再編成の話が全くどこの接点もないかというと、それはそうでもないかもしれない。ただ、今その具体の話を、絶対接点があるとかないとかということを断定的に申し上げるのは、やや時期尚早かと思っております。

 ただ、一定の案が両国政府でまとまり、そしてこれは地元の御理解も得なきゃなりませんので、当然、沖縄の皆さん方、あるいは山口県あるいは神奈川県等々幾つかのところと、これは東京都を含めて影響してくるところがございますから、そういう自治体と御相談をすることは当然のプロセスであろう、こう思っております。

赤嶺委員 矛盾したことを今おっしゃっているんですよね。普天間基地は、どこかで米軍再編協議の中で接点が、SACO合意とのかかわりがあるんだろうけれども、SACO合意に基づいて粛々と進めていきますと言う。これじゃ全く、県民にとって普天間基地の撤去というのは譲れない、負担の軽減というならば絶対に譲れない要求、課題ですよ。それを、一方でSACOのまま進めますと言っている。こういうことは、これまでの総理の答弁もそうですが、私はちょっと受け入れがたいというぐあいに思います。

 普天間基地の辺野古移設、これを進めることは、県民から見れば、目に見える負担の軽減と言うけれども、普天間は辺野古への移設ですよといえば、全く負担の軽減というのが見えてこないわけです。こないどころか、辺野古移設まで、この間防衛庁に私が聞きましたら、十二年半かかると言っていました。現在の普天間基地の危険がそのまま放置されるのかという問題があります。

 それから、海上基地の建設は自然破壊につながります。よく総理は沖縄の経済振興と言いますが、沖縄の経済振興は豊かな環境です。それに基づく観光産業です。そこを失うような環境破壊をやろうというのがこの海上基地の建設であります。この間、沖縄タイムスが辺野古建設について世論調査をやりましたら、八一%が反対です。琉球新報がやったら九割以上が反対です。もう辺野古移設では県民の合意が得られないんですよ。

 そういう意味では、県民の合意がとれないという点では、やはり辺野古移設は、SACO合意に基づく、そういう取り組みは取り組みとして前に決めたけれども、今度の協議の中では、そこも含めてちゃんとやっていく、目に見える負担の軽減をやっていくということをおっしゃるべきじゃないかと思いますが、これは総理、いかがですか。

町村国務大臣 沖縄を初めとする基地所在地の皆さん方の負担の軽減及び抑止力の維持、これが今回の私どもの米軍再編成に関しての議論の大きな原則である、こう思っております。

 SACOの問題、いろいろな御意見があることはよく承知をいたしております。しかし、これとても政府が一方的に決めたものではございません。沖縄の皆さん方と累次の議論を経た上でこうした合意に達しているということは、委員が一番よく御承知のとおりでございます。その上で、しかしなおかつ、ああしたヘリコプターの事件等々もあったというようなことを踏まえながら、私どもとしてはいろいろな可能性を考えていると申し上げたわけであります。

 しかし、現実に今、普天間の持っている機能というものが沖縄の抑止力の維持にとって大変大きな役割を持っている。したがって、それをなくす場合には代替のものが要る、これもまた一つの抑止力維持という観点から見た場合の議論であろうことは間違いがないと思います。

 しかし、それでは、今沖縄の皆さん方、多くの方々が反対しているというお声もあることとなかなか一致しませんねという問題もあります。したがって、私どもは、今幅広くその辺を議論しようということでありますが、しかし、SACOの合意は合意として非常に重要なものであるということだけは、私ども、あえてこの際ですから申し上げさせていただきます。

赤嶺委員 それじゃ、この間、2プラス2もあります、そういう中でSACOの合意についても議論をしていくという理解でいいわけですね。簡単に答えてください。

町村国務大臣 いろいろな可能性を含めて議論はしてまいります。

赤嶺委員 さっき地元も受け入れたというお話がありましたが、SACO合意に基づく海上基地建設というのは、例えば名護市の住民投票でも全然多数じゃないんですよ。反対が多数であります。基地をつくるかどうかで世論調査、住民投票をやって、つくれということが多数になったことはただの一度もありません。このことは強く申し上げておきます。

 それから、去年、まさにSACOの作業にかかわった当時の国防次官のキャンベル氏も、沖縄に来て講演して、もうこれは別の選択肢を考えるべきだと。ラムズフェルド国防長官も沖縄に来て、もうSACOの計画は死んでいる、こういうようなお話がありました。

 私は、皆さんの姿勢で本当に納得がいかないのは、SACOの合意というのは、そもそもの始まりというのは、橋本・クリントン会談があり、橋本・モンデール会談がありました九六年です。そして、橋本・モンデール会談の後にSACOが合意をされ、その後に安保共同宣言が九六年に出されました。安保共同宣言が出された後に、防衛計画大綱がつくられました。今、八年かかって、あれから八年過ぎています。今度の日米の再編協議の中では、共通の戦略目標ということで、新たな安全保障の枠組みあるいは共同声明を考えておられます。九六年の安保共同宣言からの一つの今日における状況です。それから、日米の役割分担も考えておられる。同時に、防衛計画大綱も新しいものにつくりかえた。

 そういう中で、何で普天間基地を、抑止力という、普天間基地だけは絶対に固執するんだ、維持するんだ、そういう固執のやり方をやるんですか。当然、全体の流れの中で、普天間基地は、あるいは辺野古の基地建設も、皆さんの抑止力という考え方から外して検討すべきではありませんか。そうしないと、私は、新しい戦略の枠組みのもとで、新しい戦略の枠組みも、これは大変な問題を抱えていると思います。その枠組みのもとでも、沖縄の辺野古の基地は引き続きつくっていくということになれば、沖縄は引き続き基地の島になってしまう、こういう結果になるじゃないですか。何の目に見える負担の軽減ということにもならないじゃないですか。

 まずSACOの見直しを、SACOをきちんと今の段階に照らして、辺野古の基地建設を中止する、こういうことをやらないと、目に見える負担の軽減にはならないということだと思います。その点で、最後に総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 辺野古の問題につきましても、よく地元の自治体と協議しながら進めていかなきゃならない問題だと思っております。

赤嶺委員 終わります。

甘利委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問いたします。

 先日の北朝鮮の声明に対して、先ほど茂木議員から、瀬戸際外交、それも時代おくれの瀬戸際外交という言葉がございました。私もそのように思っております。その瀬戸際外交に輪をかけて、今回は、あの声明は、いわゆるおどしのカードを切ってきた、そこまで言ってもいいんじゃないか、それほど一方的な、しかし衝撃的な声明だと私は思っております。

 ですから、先ほどからの質疑の中でありますように、事の真意がどこにあるか、こういうことを見きわめるためにも、過剰にこの声明に反応するよりも、むしろ今は冷静に対応していくべきだということは、これは私も異論はございません。しかし、問題は、核、そして拉致問題にも言及しておりますし、このことによってこの二つの問題がさらに解決が遠のくのではないかという危惧もいたしておるわけでございます。

 とりわけ核問題は、私たちの国、唯一の被爆国でございますし、これはもういかなる理由があれ、人類が共存することのできない、核兵器を開発して保有することは断じて容認することはできないわけでございます。私たち、北東アジア非核地帯構想という政策を掲げておりまして、それだけに、今回の声明が北東アジア地域の緊張を激化させる重大な事態になりかねないんじゃないかと非常に心配をしているわけでございます。

 しかし、先ほど総理もお話ございましたように、北朝鮮も、やはり六カ国協議、ここは唯一のよりどころとしている、そういった感もあるわけでございます。現に、この声明の最後は、先ほどお話ございましたように、あくまでも対話の解決が原則である、朝鮮半島非核地帯が最終目標であるということをつけ加えております。北朝鮮も、いわゆる国際社会に入ってくるため、あるいはみずからの国の経済支援を得るためにも、ここがよりどころだと思うわけですね。つまり、北朝鮮にとってはよりどころである、そして我々残る五カ国にとってはここがすがるところである、こう思うわけです。ですから、この六カ国協議に何とかして改めて参加してもらうためには、私は、残りの五カ国が協調して、この最後の条項にすがっていくしかない、このように思うわけでございます。

 ですから、日本とアメリカと韓国と、それぞれの国が動いても、これはもうだめだろう。要するに、残りの五カ国がこの問題に対して協議する場を早急につくる、そのためには我が国がイニシアチブをとる、この必要性があると思いますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 六者協議再開に向けて、これから関係国とも協調しながら最大限の努力をしていく必要がある、当然のことでございます。今までもその努力をやってきたつもりでございますが、今回こういう形の声明が出て、私どもは、大変遺憾ではございますが、引き続きアメリカあるいは中国、韓国等々と、既に連絡はとり合っておりますが、一段と調整努力をして、彼らのためにもならないんだよということを、まあ、わかっていた上でこういった声明を出しているんだろうとは思いますけれども、そこのところをよく認識させた上で、無条件かつ速やかな六者協議再開に、彼らがそのテーブルに着くように働きかけをしてまいりたいと思います。

横光委員 今までやってきたというのではなく、今回の声明を受けて新たに、それぞれの国が対応するのではなくて五カ国が一堂に会して、そして五カ国のまず共通認識は、六者協議にもう一回入ってくるということが最大の共通認識でございますので、そこのところをまず一点に絞って、五カ国が協議の場をつくる、早急につくる、これがやはり必要だということを私は訴えているわけでございます。

 このことは、下手をすると北朝鮮に対してちょっと追い込むような印象を与えかねませんが、あくまでも、先ほど言いましたように、六者協議に入ってほしい、そういった思いでの五カ国協議の場をつくるべきだということを、日本が先頭に立って今やるべきであるということを申し上げているわけでございます。その点、もう一回お聞かせください、その意思があるかどうか。

町村国務大臣 今いろいろな可能性を追求しております。今、委員が言われたことも含めて、しっかりと対応してまいります。

横光委員 この声明の中には拉致の問題も含まれております。十一月の日朝実務者協議では、本当にずさんで不誠実な対応でございました。特に、横田めぐみさんの遺骨がDNA鑑定の結果別人のものと判明したわけでございますが、被害者の家族の皆様方の怒りや失望、これは当然でございますし、また、国民感情としても絶対に許しがたいことでございます。

 その後、備忘録あるいは反論のファクスの送付という状況で、つまり拉致の問題は非常にある意味では膠着状態に陥っていた。もっと言えば、壁に突き当たっているような状況であった。そのときに今回の声明の発表でしょう。ここには何と書かれているか。つまり、拉致問題でにせの遺骨問題まで捏造し、日朝平壌宣言を白紙化、国交正常化をしないという日本と、どうして一堂に会して会談をできようかなどと言っておるんですね。こういったことを言われてまで、なお我が国の拉致問題に対する対応は対話と圧力なんでしょうか。総理、お聞かせください。

小泉内閣総理大臣 その声明を今読まれましたけれども、どうして一堂に会して会談ができようかというように発表しているわけでありますが、やはり六者協議というのは、これは北朝鮮側にとっても私は大事な対話の場だと思っております。また、みずからの安全保証を考える場合も、アメリカとの問題が一番重要だと言っておりますけれども、実際は、中国、ロシアも含めた、韓国、日本も含めた六者の協議の場、これでお互い友好的な関係を維持していこうという合意ができれば、これは北朝鮮の安全確保についても一番いいんです。

 そういうことを考えれば、今、額面どおりにその発表をとって反応するよりも、その背景にある真意というものもよく考えながら、できるだけ早く六者協議に北朝鮮側が乗ってくるような働きかけがこれからも必要だと思っております。

横光委員 もちろん対話は重要でございます。しかし、これまでの経緯を見てみますと、果たして十分な対話の状況があったかどうかということを考えなければなりません。これまでの対応を見ますと、極めて非常識な対応であり、誠意のかけらも感じられないわけでしょう。要するに、そういった中でなお対話を重視していくのかということなんですね。拉致の問題ですよ、私が今お聞きしているのは。

 今度、いよいよ外国船へのPI保険加入義務づけについて、油濁損害賠償保障法がこの三月一日から施行されますね。これは、もちろんPI保険等に未加入の外国船が入港が禁止されるわけでございますが、一国を想定して、特定の国を想定してつくられた法律ではないと私は思っております。すべての国に対して、座礁やあるいはオイル漏れのときに対応するために、こういった保険に加入してくださいよというわけでございますので。それでも、私は、ある意味では、制裁とまでいかなくても、一つの圧力だと思うんですね。

 要するに、なぜかというと、北朝鮮の船がこういった保険に入っていない船が多いわけですから、そういったものが寄航できなくなる。そういったことからすると、私は、こういった状況を踏まえて、三月一日の施行を踏まえて、しばらくこういった状況をしっかり見据えた上で、もはや対話だけで事を進める拉致の問題ではないだろうということを、次の考えもやはり備えておかなければならないだろうということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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