衆議院

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第15号 平成17年2月18日(金曜日)

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平成十七年二月十八日(金曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 佐々木秀典君

   理事 島   聡君 理事 田中 慶秋君

   理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    大島 理森君

      奥野 信亮君    川上 義博君

      河村 建夫君    北村 直人君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      佐藤  勉君    谷川 弥一君

      玉沢徳一郎君    中馬 弘毅君

      津島 雄二君    西川 京子君

      西村 明宏君    根本  匠君

      萩生田光一君    萩野 浩基君

      早川 忠孝君    福田 康夫君

      二田 孝治君    保坂  武君

      宮下 一郎君    村井  仁君

      森田  一君    石田 勝之君

      岩國 哲人君    生方 幸夫君

      大島  敦君    大谷 信盛君

      城井  崇君    小泉 俊明君

      篠原  孝君    津川 祥吾君

      辻   惠君    中井  洽君

      中津川博郷君    中塚 一宏君

      中山 義活君    永田 寿康君

      長妻  昭君    原口 一博君

      樋高  剛君    古本伸一郎君

      本多 平直君    村越 祐民君

      米澤  隆君    佐藤 茂樹君

      坂口  力君    田端 正広君

      福島  豊君    古屋 範子君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (行政改革担当)     村上誠一郎君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   法務副大臣        滝   実君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   農林水産大臣政務官    大口 善徳君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   環境大臣政務官      能勢 和子君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  磯部 文雄君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (警察庁長官)      漆間  巌君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長)        近藤 誠一君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)           佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            坂田 東一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  田中 慶司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     松永 和夫君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     萩生田光一君

  小泉 龍司君     谷川 弥一君

  津島 雄二君     川上 義博君

  福田 康夫君     宮下 一郎君

  森田  一君     佐藤  勉君

  生方 幸夫君     大谷 信盛君

  吉良 州司君     中山 義活君

  辻   惠君     本多 平直君

  長妻  昭君     村越 祐民君

  原口 一博君     城井  崇君

  坂口  力君     福島  豊君

  田端 正広君     古屋 範子君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     保坂  武君

  佐藤  勉君     森田  一君

  谷川 弥一君     早川 忠孝君

  萩生田光一君     西村 明宏君

  宮下 一郎君     福田 康夫君

  大谷 信盛君     生方 幸夫君

  城井  崇君     原口 一博君

  中山 義活君     大島  敦君

  本多 平直君     辻   惠君

  村越 祐民君     古本伸一郎君

  福島  豊君     坂口  力君

  古屋 範子君     田端 正広君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  西村 明宏君     奥野 信亮君

  早川 忠孝君     小泉 龍司君

  保坂  武君     津島 雄二君

  大島  敦君     吉良 州司君

  古本伸一郎君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     尾身 幸次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官磯部文雄君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、警察庁長官漆間巌君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、総務省行政管理局長藤井昭夫君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、法務省入国管理局長三浦正晴君、外務省大臣官房広報文化交流部長近藤誠一君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、外務省経済局長石川薫君、文部科学省研究開発局長坂田東一君、厚生労働省健康局長田中慶司君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。本日は、私が当選以来取り組んでおります高齢者虐待防止対策について厚生労働大臣にお尋ねをしてまいります。

 昨年七月に厚生労働省が発表いたしました二〇〇三年の日本の平均寿命、女性が八十五・三三、男性が七十八・三六、それぞれ過去最高を記録いたしました。まさに日本が世界に冠たる長寿国の一つであると言うことができます。これは、我が国がこれまで医療の充実、医学の進歩、また生活水準の向上など、各種施策を充実してきたたまものであると言うことができます。

 反面、このように高齢化が世界有数のスピードで進む我が国において、最近、介護が必要な高齢者を放置したり、また家庭内、施設内におきまして暴力を振るったりなど、虐待の問題が深刻化しております。そこで、この高齢者虐待という深刻なテーマについて、順次お尋ねをしてまいります。

 高齢者への虐待は表面化しづらく、これまで、家庭内、また施設内の問題として見過ごされてきており、児童虐待に比べ法整備の対策も大変おくれていると言うことができます。

 つい先日も、石川県内におきまして、八十四歳の女性がそこにいる職員により殺害をされるという大変ショッキングな事件が起きました。

 ある報道機関の調査によりますと、二〇〇二年七月から一年間に警察が公表した事件だけでも、介護者による殺人、また傷害致死などによる死者、四十六名に上っております。厚生労働省が初の全国調査を行い、昨年四月にまとめられました調査結果では、その中で……(発言する者あり)

甘利委員長 質問中ですので、静粛にお願いします。

古屋(範)委員 虐待のあったケースの中で、命に及ぶケースというのがその約一割であるということがわかっております。それがエスカレートした場合には、心中、また殺人に至るというケースもございます。

 また、平均寿命、女性が長いということから、虐待を受けるのはやはり女性という比率が高いわけでございます。虐待に気がついた在宅介護の専門員も、その九割が対応は難しいと感じております。

 御承知のように、二〇一五年、高齢化率が二六%、国民の四人に一人が六十五歳以上と予想される高齢社会におきまして、虐待をどう防ぐか、これは大変重要なテーマである、それは他人事ではなく、私たち一人一人にとっての将来に直結した問題であると考えております。尾辻厚生労働大臣に、この虐待についてどのようなお考えをお持ちか、御所見をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 今お話しいただきましたように、急速に高齢化が進んでおります我が国でございますから、高齢者が尊厳を持って暮らすことができる社会の実現は最も重要な課題の一つでございます。こうした観点から、この高齢者虐待問題への対応は極めて重要な問題だと認識をいたしております。

 これも今お触れいただきましたけれども、厚生労働省におきまして、昨年、家庭内における高齢者虐待に関する調査を行いました。その調査結果を見ますと、虐待を受けている高齢者の約八割に認知症の症状が見られる。この認知症というのは、今まで痴呆と言ってまいりました言葉を認知症という言葉に変えました。その認知症の症状が見られる方が八割、こういうことであります。そしてまた、虐待者の約六割は主たる介護者として介護を行っていた者であり、また、そのうちの六割には介護協力者が全くいないということでございます。

 このことからもわかるんですけれども、発生要因として見ますと、高齢者本人と虐待を行っている家族等との人間関係、それから虐待者の介護疲れといったようなことが多いという回答になっております。一言で言いますと、大変難しい側面があるということが改めて明らかになりました。

 そこで、今お話しのように、高齢者虐待の防止をどうするかということでありますが、大きく二つあると考えておりまして、家族に対する相談支援体制の構築等ということが一つ、そして、そういうことを含めて、関係機関が協力して、介護サービスのみならず高齢者の生活全体を支援していく、そうした仕組みづくりが必要である、この二つが大事なことだと考えております。

古屋(範)委員 今御答弁にありましたように、まさに、家族への支援、またサービス全体の活用、こういったものが確かに必要であると考えております。

 この高齢者虐待におきましては、加害者と被害者という立て分けというものも難しく、まさに両者が被害者であるということが言えるかと思います。高齢者におきましても、また児童に対しても、この虐待の定義というものは大変難しいと言われております。

 私は、この五種類に類型が分けられるのではないかというふうに考えておりますけれども、高齢者の身体に外傷を生じ、または生ずるおそれがある暴行、また高齢者の養護の懈怠、ネグレクト、放置をするということ、それから心理的に著しい外傷を与える行為、そして性的な嫌がらせ、そして経済的な侵害、この五つが考えられると思います。

 アメリカにおきましては、セルフネグレクトというような、本人が全く生きる意欲を失ってしまう、そういう者を放置してしまうというものも定義に入れていると思いますが、なかなか難しい点もあると思っております。また、身体拘束、そして向精神薬の投与など、どこまでを虐待とするか、非常に難しい点がございます。

 この虐待の定義について、西副大臣に御所見をお伺いいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 ただいま古屋委員から五類型について概略お話がございました。何をもって高齢者虐待ととらえるかについてはなかなか難しい課題がございますが、私ども、昨年、家庭内における高齢者虐待に関する調査を行いましたが、その際には、高齢者虐待問題に取り組んできた有識者の皆さん、さらには現場で高齢者の介護に携わってこられた関係者の皆さんに御論議をいただきました結果、先ほど古屋委員からも概略お話がございましたように、一つ目には身体的な虐待、それから二つ目には心理的な虐待、三つ目には性的虐待、さらに、特にこの残りは高齢者虐待に特異な問題だと思いますが、本人の合意なしに財産、金銭等を使用するというようなことに関するいわば経済的な虐待、さらには五つ目には、介護や世話を放棄したり放任してしまう、こんなことになります高齢者虐待、この五つの類型をもとに調査をさせていただいたということでございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 先日、我が党がお招きをいたしました横須賀市の中央健康福祉センター草柳所長、また角田主査からお話を聞く機会がございました。

 私は比例区選出でございますが、横須賀市に今住んでおります。この横須賀市におきまして、二〇〇一年から、高齢者虐待防止のために、地域の高齢者の介護に携わる関係者によるネットワーク事業を既に開始しております。市内四カ所にある健康福祉センターを虐待相談の窓口と位置づけまして、虐待相談の記録を集約、また内容の分析、状況把握など、先駆的な取り組みを行っております。二〇〇三年には、石川県金沢市とともに国から高齢者虐待防止のためのモデル事業に指定をされまして、昨年四月には高齢者虐待防止センターを設立し、そこから一月までの間に、実数として百一件、相談が寄せられております。この横須賀市におきましては、独自のマニュアルを作成しまして、このようなものでございますが、大変詳細かつ的確な内容でつくられております。

 この高齢者虐待防止センターは、保健所、社会福祉協議会、長寿社会課、医療機関、在宅介護支援センター、民生委員、老人福祉施設、介護保険サービス提供事業者、また警察、ケアマネジャーなど、地域の関係機関がそれぞれの役割を生かして、協力連携をとりながら支援していくネットワークであります。こうした中で、虐待のサインを見逃さないというようなきめ細やかな事業を行っております。

 しかしながら、この高齢者虐待に対する専門のチームがあるのは、全国の市区町村の中でわずか三%にも満たない七十一の自治体しかないわけであります。厚生労働省が二〇〇五年予算案におきまして、高齢者虐待防止ネットワーク運営事業として三億二千六百万円を計上しております。私はこの新規事業に大変賛成をしているわけでございますが、この取り組みが全国の市区町村に展開できるよう、この予算の増額をお願いしたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

尾辻国務大臣 高齢者虐待防止に対しましては、まず早期発見を図るということが大事だと思いますし、その上で、必要に応じて適切な介護サービス等の利用につなげなきゃいけませんし、さらに、状況によっては法的、専門的な介入も行っていく、そうしたさまざまなことが必要になってきます。

 このために、一つには、民生委員や自治会などの地域的なつながり、それから二つ目には、ケアマネジャーや介護サービス事業者などのサービス提供者、それに加えて、弁護士や行政などの専門機関といった、今お話しのように、地域の関係者すべてが参加したネットワークづくりを進めていく、これは極めて重要なことだと思っております。

 そこで、今お触れいただきましたように、平成十七年度予算案においては、地域の総合相談、支援の窓口である在宅介護支援センターを中心に、早期発見・見守りネットワーク、それから保健医療福祉サービス介入ネットワーク、関係専門機関介入支援ネットワーク、この三つのネットワークを構築して運用していく事業を創設することといたしております。

 そこで、今、横須賀のお話もございました。このことについても申し上げますと、そうした先駆的なところがあります。その先駆的なところに対する支援もやらなきゃいけませんし、今度はそれが全国に広がっていくということも必要なことでございますから、この両面で、私どももそれぞれの応援をしながらやっていきたい、こういうふうに思っております。

古屋(範)委員 ぜひともこの推進をお願いしたいと思っております。

 そして、今国会におきます介護保険制度の改革の中で、地域包括支援センターの創設ということがうたわれております。この地域包括支援センターを高齢者虐待防止の拠点としてぜひ機能させていただきたいと考えておりますが、この点について西副大臣にお伺いいたします。

西副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁がございましたが、高齢者の虐待防止のためには、まず第一に、早期に発見をしていくということ、続いて、必要に応じて適切なサービスを提供していく、それから、さらにその上に、状況に応じて法的にも専門的にも行政並びに関係者が支えていく、この三つの段階が必要であろう、こう思っております。

 委員御指摘のように、今回の介護保険法の改正法案に盛り込んでおります地域包括支援センターは、まず介護予防のマネジメントを行う、そのほかに、地域の高齢者の身体、生活の状況に応じて実態の把握を行っていただいて、さらには高齢者や家族からの相談を受けて必要なサービスにつなげていく、それで、その中で、虐待のケースを抱えているケアマネジャーに対しても必要な助言を行う体制もつくらせていただくことになっております。

 そんな意味で、今後、高齢者虐待の防止の側面においても、各地域で中心的な役割を果たしていけるものだというふうに期待を持っているところでございます。

古屋(範)委員 ぜひ、この地域包括支援センター、この機能をしっかり果たしていけるよう、よろしくお願いを申し上げます。

 高齢者虐待につきまして、直接防止するための法律は現在ございません。高齢者虐待問題に機能できる制度として、介護保険法また老人福祉法の措置制度、また成年後見制度が一応用意されておりますが、使い勝手がよいとは思われません。また、高齢者虐待を専門に扱う行政機関もなく、虐待防止のための啓発や介護関係者への人権教育、また研修なども、残念ながらほとんど行われていない現状でございます。

 日本はこれまで、児童虐待防止法また配偶者間暴力防止法、DV法、家庭内で行われている暴力行為に対する法的な対応をとってまいりました。そして、最後に残されたのが高齢者虐待の問題であります。

 高齢者虐待の背景には、限界を超える介護へのストレス、また複雑な家庭内の人間関係なども含まれ、虐待を自覚していない家族も多い、また、そうした家族への支援、こういうものが必要であると考えております。虐待防止への、早期発見、また具体的な取り組みが急務であると考えております。

 公明党におきましては、昨年、高齢者虐待防止対策ワーキングチームを立ち上げまして、日本高齢者虐待防止学会の田中理事長を初め、多々良先生、また高崎先生など専門家の方々をお呼びし、その強力な御支援のもと、今まで十数回にわたる勉強を行ってまいりまして、視察、またヒアリングも行ってまいりました。その中で、私は、高齢者虐待の問題は私たち政治家が責任を持って取り組むべき最重要な課題であると考えております。これも、与党としまして、自民党の先生方の御協力もいただきながら法制化を進めたいと考えております。

 尾辻大臣に、この法整備の重要性についてお伺いいたします。

尾辻国務大臣 今お話しのように、与党においてもさまざまな検討がされております。そうしたことを踏まえまして十分に連携をさせていただいて、私どもも鋭意取り組んでまいりたいと考えます。

古屋(範)委員 虐待というものは連鎖があると言われております。やはり、児童虐待から、成人になって、親になって児童虐待を行う、またDV、それが高齢者虐待に発展をしていくと言われております。児童虐待防止につきまして、最後にお伺いしたいと思います。

 昨年十一月、児童福祉法改正の折、児童福祉司の配置人員につきまして、児童福祉法施行令の配置基準、現在十万人から十三万人に一人という基準、これによりまして、都道府県によってかなりの格差があるということがわかっております。まず、これをぜひ六万人に一人と改正すべきと要望をいたしました。これは児童虐待防止にとって大変重要な観点であると考えております。

 ぜひとも、四月の改正児童福祉法施行に合わせて、この施行令改正を実現していただきたいと思いますが、この点、いかがでございましょうか。

尾辻国務大臣 かねて委員にも御指摘いただいておりますので、そのように四月一日に合わせて政令の改正を実施できるよう、現在、関係省庁と相談しつつ作業を進めておるところでございます。

古屋(範)委員 前向きな御答弁、大変にありがとうございます。

 今後とも高齢者の人権擁護をさらに推進していただくよう強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて古屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島豊君。

福島委員 おはようございます。大臣、大変御苦労さまでございます。

 本日は、厚生労働省から出されました障害者自立支援法案についてお尋ねをしたいと思っております。

 昨年、厚生労働省が提示をいたしました改革のグランドデザインに基づいてこの法案は起草されたわけであります。障害の種別を超えて統一的な給付のあり方を示す。そしてまた、精神障害者の福祉サービスというものは、身体そしてまた知的障害に比べますと、後から取り組まれたということで格差がある、こういうものを変えていく。さらには、支援費制度がスタートしました後に、これにかかわる経費が裁量的経費であるということから、その不足に悩んできたわけでありますけれども、これも義務的経費としてきちっと位置づけてサービスの拡大に対応しよう。そういう観点からいいますと、大変すばらしい法案である、そしてまた画期的な法案であると言うことができると思います。当事者団体の方もこうした点は大変高く評価をしている。

 しかしながら、一方では、この法案の中で示された考え方として、利用者の負担、これは従来の応能負担というものを変えて応益負担というものを導入するんだ、それは、障害者の福祉サービスのみならず、現在、公費で負担をしていただいております、例えば精神医療の通院公費の制度でありますとか、そういった医療の分野も含んでそういう負担を求める、こういう考え方が示されているわけであります。

 精神障害者の方々は、高齢者の方々と違う点があります。高齢者の要介護状態となった方というのは、若いときには働いて、そして所得を得て資産形成をしている、そういうバックグラウンドがあるわけであります。一方で、障害者の方々は、障害者の雇用の推進ということに国も取り組んできましたけれども、現実問題は大変厳しいということは実態でありますし、そしてまたその稼得能力も極めて限られている、資産形成も思うようにいかない。この高齢者の要介護者と障害者の方々を同列に扱うということは、なかなか私は難しいのだろうというふうに思います。

 昨年来、障害者の当事者団体の方々、多くの方から御意見をちょうだいいたしました。十七年度の予算編成に当たりましては、大臣に対して、公明党として、低所得者対策の拡充でありますとか、そしてまた経過措置の導入でありますとか十分に配慮していただきたいということも要請をさせていただきました。そして法案が提出をされまして、国会での審議に当たって、こうした点についてさらに私は十分に議論され、その議論の結果が反映されるべきであるというふうに思うわけであります。

 本日は、限られた時間でありますので、まず一つ、この利用者負担の問題についてお尋ねをいたしたいと思っております。

 先ほど申しましたように、障害者の方々の所得ということをよく踏まえていただきたい。実際にどれだけ働けるのかということも踏まえていただきたいということであります。この利用者負担、応益負担ということになっておりますけれども、一方ではその上限を定めて、そしてその上限は応能という考え方が示されているというわけであります。

 しかしながら、この上限を定めるに当たりまして取り入れられている考え方は、世帯の所得という考え方が入れられている。本人の所得によって応能負担ということがあるわけでありますけれども、上限そのものは世帯の考え方が導入されている。これは、扶養義務、この問題をまた逆行させる、昔に戻してしまうことになるのではないか。扶養義務の問題については、障害者の当事者団体が長年本当に情熱を傾けて取り組んできて、改善をしてきたという歴史があります。この新しい障害者自立支援法、これによってその歴史が逆行してしまう、逆転してしまう、そういうことがあってはならないんだと思います。

 この点について、厚生労働大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 障害者の負担についての御指摘でございました。まず、そのことについてお答え申し上げます。

 もう申し上げるまでもなく、十分御案内でございますけれども、一昨年に支援費制度を施行いたしました。以来、この事業が非常に全国で大きくなりまして、サービスが増大をいたしております。

 そうした中で、全体でこの制度を支え合わなきゃいけないということで、障害者の方々にも負担をお願いしようということで今回お願いをいたすものでございますが、これまた先生お話しいただきましたように、応益負担だけというふうには考えておりませんで、従来の応能負担という考え方は十分に私どももその中に入れて考えるつもりでございます。

 したがいまして、障害者の家計に与える影響を考慮して、これまたお話しいただきましたように、負担上限額、これは無理のないところで設定したいと思いますし、特にグループホームの利用の皆さん方が大変になるんじゃないかというお話も強くございますので、これは個別の減免措置を導入いたします。そうした極めてきめ細かな配慮の措置を講ずることにいたしております。またいろいろと御意見をちょうだいしたい、こう思います。

 それからもう一つ、世帯をどうするんだというお話がございました。

 これは、介護保険制度などと同様に、生計を一にする世帯全体の負担能力を判定するという提案をしていますが、これはこのことに限らず、福祉全体といいますか社会保障全体の整合性をとる中で、いろいろな御議論の中でのことでございます。そうした中で、この今申し上げたようなことを御提案申し上げてはおりますけれども、しかし、とはいえということで申し上げますと、障害者の自立という観点から、本人の所得のみを中心とした負担上限の設定をすべきだという御要望、これは皆さんから強くあることはよく承知をいたしておりますし、今先生のお話もそういうお話でございました。このことは、私どもは十分踏まえていきたいと思っております。

 ただ、一方から、いろいろな御意見もございまして、これも申し上げることもないかと思いますが、民法上の生活保持義務が課せられている配偶者について、親や兄弟と同一に取り扱うのがいいか、要するに配偶者と親兄弟をどうするかというような話もありますし、また税制面で、扶養控除なんかを受けておられるという、そんな話とどう整合させるかというようないろいろな御意見がありますので、これからの御意見をちょうだいしながらこのことも結論を出していきたい、こういうふうに思っております。

福島委員 大臣にはさまざまに御工夫をいただいているということで感謝申し上げたいと思っておりますし、そして、この扶養義務の問題でありますけれども、諸制度間の関係、そしてまた民法の問題ですとか、さまざまな背景はあります。しかし、実質的にこの扶養義務の問題について施策が後退する、歴史を逆行する、こういうことがないようにぜひ知恵を絞っていただきたい、そのように思っております。

 この制度改革に当たっては幾つも論点があります。きょうは限られた時間でありますが、あと一点だけお聞きをしたいと思っております。

 今回の改革の中で、障害者の就労支援、これが体系としても大きく見直しをされるということになっております。その中で、障害者の当事者の方から御指摘があるのは、例えば福祉工場、これは雇用関係になるわけでありますけれども、福祉工場で働いた場合にも利用料というものが、自己負担というものが求められる、これはどうなんだろうかと。働いて、そしてまたそこで決して高くはない所得を得るわけであります。そこに利用料の負担を求めるというのはどういうことなんだろう、逆に働くなということなのか、こういう厳しい御指摘もあるわけであります。

 これは制度の中の公平性といいますか、そしてまた統一性、こういう考え方も当然あるわけでありますけれども、十分な配慮がなされるべきだ、そのように思いますが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

尾辻国務大臣 手短にお答えした方がいいと思いますので、もう結論の部分だけを申し上げますけれども、事業者の負担により利用料を減免することができる仕組みを検討したいと考えております。

福島委員 ありがとうございました。

 まだ一分残っております。せっかくでありますから、もう一問質問させていただきまして、自立支援給付についての支給決定手続の話であります。

 これも支援費制度でも、重度の障害者の方、そのサービスの保障というものをどうするんだということが大変問題になりました。脊髄損傷による全身麻痺など重度の障害者の場合、施設から地域に移行して生活するためには、二十四時間の介護などのような手厚いサービスが必要であります。今回、この新しい制度では障害給付審査会というものが設けられ、そこでチェックを受けるということになるわけであります。これについて、こうした重度の方々に対してのサービスが制約を受けることになるのではないか、こういう懸念があるわけであります。

 この点について、そうではないということについて、大臣の御見解を手短によろしくお願いいたします。

尾辻国務大臣 支給決定の客観化だとか透明化を図る必要があるということで、かねて御指摘でございますから審査会を設置することにいたしましたが、御懸念のようなことはないようにちゃんといたします。

福島委員 どうもありがとうございました。

甘利委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩國哲人君。

岩國委員 岩國哲人でございます。民主党・無所属クラブを代表して質問させていただきます。

 まず最初に、政治と金をめぐる疑惑の問題について。

 毎日のように、残念なことですけれども、政治についていい話が新聞に出てこない。橋本元総理大臣をめぐるこの疑惑が毎日のように報道されている。そして、あげくの果ては、野党、我々民主党までも一緒になって国会はほおかむりしているのかと、けさの新聞の社説に痛烈な批判が出ておりました。大変残念なことなんです。これは、たとえ自民党といえども、一人一人の皆さんの胸の中には、こういう社説を読まされるのはたまらないという思いでここへ臨んでいらっしゃると私は思います。

 こうした、元総理大臣、総理をされたようなお方が、一億円という大金が右のポケットに入ったのか左のポケットに入ったのか、大体それぐらいの金額になると、どちらのポケットに入ったかぐらいの記憶は私はあると思います。右か左か、左か右か、この辺をまずはっきりさせていただくためにも、私は、この予算委員会へおいでいただいて、しっかりと我々仲間に説明していただいて、そして天下国家、国民の皆さんに真実を明らかにしていただくこと、これがもう避けられないのではないかと私は思います。

 この点について、そして政治と金をめぐる、この所管をしておられる麻生総務大臣に、国会議員の一人として、また政治と金の透明性を高める仕事を所管しておられる大臣としての所感をお願いいたします。

麻生国務大臣 総理の答弁にもよくあるとおりなんだと思いますが、これは、基本的にはこの種の疑惑を持たれないように心がけることはもちろんのこと、疑惑を受けた場合は、きちんと自分でその潔白なり内容を証明される義務なり、御自分なりの努力が必要なんだと思っております。

岩國委員 総務大臣として、政治資金の収支、そういったものの報告、そして適正な管理、それぞれの国会議員に、良心を持って、法律に基づいて提出させるという仕事を担当しておられるのは、内閣の中で、麻生大臣、あなたではありませんか。それが、一人一人の良心に従えば結構です。では、良心に従えば内容はでたらめでもいいということなんですか。そうではないでしょう。今こそ、所管される大臣として、一声叫びを上げるべきときじゃありませんか。

 私が求めているのは、何も難しい話じゃないんです。橋本元総理の右のポケットに入ったか左のポケットに入ったか、私はそれだけで結構です。右に入ったか左に入ったか、その一言ですべてが明らかになるはずです。その一言さえも言えないのかどうか。国会議員の良心として、再度御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 これは岩國先生よく御存じのところなんだと存じますが、総務省というのは、この法律を所管しているところでありまして、形式審査権しかない。個別審査権はない、法律上そういうことになっておりますので、これは警察とか検察とか、そういった分野の話になりますので、これは、政治資金規正法を所管しております役所として形式審査権しかないという点だけはよく御記憶をいただきたいと存じます。

岩國委員 私は、この予算委員会で大臣に、そこの席に座っておられる皆さんに、役人としての答弁を期待しているわけじゃないんですよ。あなたは役人ですか、何級の公務員なんですか。大臣として、政治家として、自民党の幹部のお一人として、私は国民の皆さんにかわって御意見を伺っているんです。単に、書類を受け取って、ちゃんと日にちが書いてあるか、金額は足し算すれば合っているか、それではまるで郵便局と同じじゃありませんか、あなたのお好きな郵便局と。郵便局と政治家は違うんだということをはっきりさせてください。

麻生国務大臣 与えられております権限以上の権限を発揮しろということを要求されているおつもりはないんだと存じますので、常識の範疇で答えればよろしいんだと存じますが、重ねて申し上げます。

 私どもにはその種の権限がないのを、その権限を行使するということを必要とされるようなことを言われても、なかなか、政治家としても、個人としても、役人としても答弁は難しいと存じます。

岩國委員 大臣であっても国会議員であっても、お役人と同じ程度のレベルの答弁しかいただけないということを大変残念に思います。要するに、権限がないということを隠れみのにして、それ以上の、人間としての声をお出しにならない。何のために我々はここに座っているのか、非常に残念に思います。

 次に、一月二十八日、総理がそこに座っていらっしゃるときに、私は、例の取引所の上場違反、上場要件を満たしていないのに取引されていた西武鉄道の株式、それをめぐるいろいろな問題について質問し、同時に、こういう違反を計画的、しかも長期にわたって行っていた確信犯としてのこういう会社から政治献金がなされておる。その政治献金の原資は、当然のことながら上場できない株式を上場することによって得た金が、例えば一番大きな政党である自民党の政治資金団体にどれだけ入っておるのか。

 これは同じように、お役人ではなくて、大臣として、国会議員として、自民党の一員としてお調べになっていると思います。これは事前通告してありますから、その数字を明らかにしていただきたいと思いますけれども、過去十年間に、西武鉄道あるいは西武建設あるいはコクド、こういった明らかにこの企業のグループであることがはっきりしている会社からだけで、十年間にどれだけの献金がなされておりますか、お答えください。

麻生国務大臣 平成六年から平成十五年までの収支報告書及びそれにかかわる官報の告示にも既に記載されておりますので、これを確認したところの数字であります。

 株式会社コクドから百二十万円、西武建設株式会社から二千二百七十二万六千二百円、西武鉄道から七千二百四万円、以上であります。

岩國委員 今足し算をざっとしますと、過去十年間に約一億ということですね。一億円のお金、これは検察の手によっていずれ明らかになるでしょうけれども、その期間ずっと、違反していた、違法な株式が取引され、それによってその企業が得た利益の中から献金されていたとするならば、その政党は、どの政党であろうとこれは返金すべきではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。麻生大臣にお願いします。

麻生国務大臣 これはちょっと私の所管外の話なんだと思いますが、御指名でございますので。

 それは受け取られた政党で検討されなきゃいかぬところなので、私個人として、大臣としてここへ呼ばれているんだと思いますので、大臣としてその党に対してこうしろああしろと言う立場には言われないんだと思います。(岩國委員「いや、一政治家として答えてください」と呼ぶ)一政治家としてこんなところに呼ばれるはずはありませんので、大臣として呼ばれているんだと存じます。

岩國委員 いや、一大臣としてここに座っておられても、今まで再三、一政治家としての意見をお述べになった例をたくさん私はここで聞いております。ここで、大臣でありながら政治家としての意見を言ったといって非難された大臣が今までありますか。ありませんよ。むしろ称賛されたでしょう。

 要するに、大臣であるということさえも言いわけにして、政治家としての意見をおっしゃらない。これは自民党の幹部の方は、そこに座っていらっしゃる方は皆さん幹部だと思いますけれども、恐らく同じ気持ちで、もらった金は返したくない、たとえそれが違法な会社からであっても、違法な団体であろうと何であろうと一切返したくない、そういうお気持ちであるということを確認させていただき、次の質問に移らせていただきます。

 次に、郵政民営化の問題、その前に、この西武鉄道の取引について、伊藤金融大臣にお伺いします。

 先般もお伺いいたしましたけれども、西武鉄道以外にもこうした違反をしている企業があるのではないか、上場企業の中に。これは調査は完了しましたか。まず最初に、この西武鉄道からの電話が入ったのは何月何日で、それから何日たって新聞の公表にこぎつけたのか、その日数。その公表された日数から今日に至るまで既に何日たっているのか。その二つをお答えください。

伊藤国務大臣 まず、お尋ねの後半のところでございますけれども、私どもに西武鉄道から御連絡がございましたのは、過日委員会でも御答弁させていただいておりますように、十月一日でございます。その中で、新聞報道で一番早いものが、たしか十月十四日ではなかったかなと思います。今日までの日数を計算いたしますと、大体百四十日ということになります。

 そして、前段の方の御質問でございますが、西武鉄道のような不適切な事例というものを一日も早く是正をしなければいけない、この点については、もう委員から繰り返し御指摘をいただいたところでございます。私どもといたしましても、ディスクロージャー制度に対する信頼性というものを確保していくために、昨年の十一月、十二月に対応策というものを公表させていただき、その中で、すべての開示企業に対して有価証券報告書等の自主点検をしていただきたい、こういう要請をさせていただいたところでございます。そして、清算手続に入っている以外のすべての開示企業から、訂正報告書もしくは訂正の必要のない旨の回答が提出をされたところでございます、これも既に公表させていただいておりますけれども。

 今後、訂正報告書の内容を分析して、そして有価証券報告書等の記載ルールの明確化を図るとともに、全開示企業に文書を送付いたしまして開示上の留意点について周知徹底を図るなど、ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた取り組みを推進していきたいと考えております。

岩國委員 まず、調査の対象になったのは、すべてのとおっしゃいましたけれども、具体的な社数でおっしゃってください。そして、その社数の中で、さらに再調査が必要というふうに絞り込んでおられる、その段階で再調査の対象となっているのはどれぐらいなのか。とても再調査まで行ってはおりません、まだ第一次審査ぐらいですということなのか。

 そして、既にもう百四十日もたっております。百四十日も経過したということは、百四十日間、昨日もきょうもそしてあすも、取引所で無辜な大衆が悪い株式ということも知らないでその値段で取引をしている。そういう全く責任を持たされるはずのない投資家が、なぜそういうふうな黒白をはっきりさせてもらえないのか。違反株式と知りながら、あるいは知らないで、きょうも取引が行われているということは、そういうあるべきでない株価できょうも買っている人があるということでしょう。

 これは、例えはよくないかもしれませんけれども、狂牛病と同じなんです。狂牛病が発生したというときに、なぜほかのところを徹底的に検査しないんですか。検査しないで、きょうも牛肉を食べている人がいる。検査されないで、きょうもその値段を払って株式を買っている人がいる。株式をそういう値段できょうも取引させていいんですか。百四十日というのは余りにも長過ぎますよ、検査対象として。

 狂牛病の問題が起きたときに百四十日も放置したらどういうことになりますか。資本主義の国においては、狂牛病と同じぐらいに恐ろしいのは信用を失うことなんです、釈迦に説法ですけれども。取引所という、信用だけで成り立っている取引の場所が汚染されている。その中に狂牛病が一頭だけでなくて何頭も紛れ込んで、それでブルマーケットと呼ばれている。おかしいじゃありませんか。もっとこの日数を短くすること、そして、検査対象、検査終了日を明らかにすることぐらいできませんか。

 うがった見方かもしれませんけれども、国会が終わってから発表しよう、そういうことではだめだと思いますよ。今までこの予算委員会でいつも、銀行が、金融事件が問題になったとき、検査しております、調査しております、時間がかかります。時間がかかるのは、国会の閉会日を待って待ってそして発表された、あの銀行、あの銀行、記憶に新しいでしょう。国会が終わると途端にあの銀行が破綻したり、あの銀行がばたんとなったり、こんなことの繰り返しじゃないですか。国会開会中にきちんと報告すべきだと私は思いますよ。どのように検査が行われ、そしてどのように検査が終了し、潔白宣言を一日も早く出すこと。

 これは、狂牛病と同じ、あるいはそれ以上の真剣さで取り組まなければ、資本主義の中枢が侵されているということなんです。資本主義の脳の中枢神経が侵されようとしているときに、なぜ百四十日もかけているんですか。金融庁そして証券取引等監視委員会の人たちは、一生懸命仕事をやっているんですか。百四十日で終わらなかったら、あと一日やればいい、あと二日やればいい、百四十日、あとは二百日でも三百日でもかければいい、その程度の感覚では私はおかしいと思うんです。

 中川大臣にお伺いします。

 所管しておられる会社の中で、この汚染の疑いのある会社はどれぐらいあるんですか。そういうものについて調査されましたか。所管している会社がこういう重大な取引所の上場要件を満たさないのに満たしているかのごとく取引され、そうやって資金を調達しているような会社が何社ぐらいあるんですか。その調査は手をつけられましたか、手をつけていないんですか。いつ終了しますか。

中川国務大臣 経済産業省はいろいろな企業、産業を所管しております。

 企業は、言うまでもなく法令遵守、あるいは最近では社会的責任というものがますます厳しく問われ、それに従って行動するのは当然のことでございますが、今岩國委員御指摘のいわゆる有価証券報告書の虚偽記載等の上場(じょうば)基準問題につきましては、これは金融庁の所管でございますので、これについて特にそういう観点から調査をしたということはございません。

岩國委員 あれはジョウバとは言わないで、一般には上場(じょうじょう)と言うんですね。ジョウバというのは馬の話で、私は今牛の話をしておりますから。しかし、所管しておられる企業の数は何社ありますか。上場会社の数ぐらいは御存じではありませんか。

 そして、大臣の官庁の中では、自分たちが所管し監督する責任を持っている会社の中に、行儀が悪いでは済まない、明らかに違反し、きょうもほおかむりのままで取引所で株式が上場されている、そういう会社があるということであれば、大臣も当然気になられるでしょう、気になるはずですよ。ならば、経産省の中できちっとそういうプロジェクトチームをつくって、せめて自分のところの庭先だけはきれいにしておこうという意識を持って調査しておられますか。それとも、残念ながらそういうことはやっておられないんですか。お答えください。

中川国務大臣 上場という言葉、岩國先生から教えていただきました。

 たしか、東証一部上場している会社は千七百何社、これはうろ覚えでございますが、それ以外にも上場している会社は多数ございますし、それ以外にも全国に六百万とも言われる事業所がございます。

 全部が全部直接的な所管かどうかということは別にいたしまして、経済産業行政を担当しておる私どもといたしましては、万が一そういうことがあれば、当然強い関心を持って対応し、先ほど申し上げましたコンプライアンスあるいはCSR等の観点から関与をしていくのは当然でございますが、そもそも証券等監視委員会のような権限もございませんので、我々の与えられた観点、そしてまた広い意味の経済産業行政という観点から、当然強い関心を持って、この問題も含めて我々の仕事をしていかなければいけないというのは、御指摘のとおりだと思っております。

岩國委員 こうした仕事、屋上屋を重ねるというのは決していいことではありませんけれども、それぞれ所管される大臣は自分の庭先ぐらいは、そういう行政指導あるいはその他の、売り上げとかそういった製品のことだけではなくて、企業の源泉となる資金がどういう形で調達されているのか、汚れたお金が自分の所管する企業に流れ込んでいるとすれば、私はそれは当然問題にすべきだと思うんです。

 それでは、国土交通大臣にもお伺いします。

 公明正大な公明党を代表して入閣していらっしゃる北側国土交通大臣、それでは、国土交通の担当する、所管する企業の中で何社調査されましたか。

北側国務大臣 まず、西武鉄道の件につきましては、我が国土交通省の所管する企業でございます。当時、上場していた企業、また鉄道事業という、公益事業者である鉄道事業者、そういう西武鉄道が、今おっしゃったような、投資家また株主、さらに強いて言えば証券市場の信頼を失わせる、そうした事件を起こしたこと自体は大変遺憾であるというふうに思っております。

 その後、西武鉄道の方からは国土交通省としてヒアリングはさせていただいておるところでございます。しかしながら、国土交通省が鉄道事業者に対して有している権限といいますのは、その目的といいますのは、これは、西武鉄道の場合でいいますと、安全なんですね、交通の安全を確保していく、さらには公共交通事業者として健全な経営を維持していただく、そういうところに目的があるわけでございまして、直接そうした証券市場にかかわることにつきましては当局があるわけでございます。その当局の調査を私どもとしては今見守っておるという状況でございます。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

岩國委員 大臣が今おっしゃいました、健全な経営をやっているかどうか、健全な経営の根幹、基本は、うそを言わないことでしょう。そうじゃありませんか。健全な経営を指導し、健全な経営に重点を置いてとおっしゃるのであれば、こういうことは一番最初に調べなきゃならない。金融庁がもたもたと百四十日もかかっているんだったら、国土交通省関係のものは既に潔白宣言をいたしました、ほかの省庁に先駆けて、西武鉄道、東京急行、こういった国土交通所管のところが一番きれいでございますということを、各省庁競い合って潔白宣言をやったらどうですか。それを伊藤大臣任せにして、百四十日たとうと、二百日たとうと、月がかわればカレンダーをめくるだけの話、そんなことではおかしいじゃありませんか。もっと真剣に私は取り組むべきだと思います。

 伊藤大臣、伊藤大臣の所管の会社数は幾らあって、そこはすべて潔白と言えますか。いまだに潔白とは言えないんですか。どうぞお答えください。

伊藤国務大臣 私からは全体のこともお答えをした方がいいというふうに思います。

 これは既に公表させていただいて、新聞報道でも報じられているところでございますけれども、先ほどお話をさせていただいた自主点検の要請をさせていただいて、訂正の必要がない旨の回答をした会社が三千九百四十九社でございます。そして、訂正報告書を提出した会社が五百八十九社でございます。したがって、清算手続に入っている以外のすべての開示企業から回答が寄せられた状況になっております。

 訂正報告書を提出した会社、これはみずから訂正報告書を提出して公表をしているところでございますし、先ほど来、市場の信頼をしっかり回復していくために金融庁としてやるべきことはしっかりやっていかなければいけませんし、そして、一番重要なことは、やはり開示企業が、今お話がございましたように、正確に有価証券報告書を作成し、それを公表していくことが非常に重要なことであります。

 また、取引所を初めとした関係機関がしっかりみずからの使命に基づいて対応していくことも非常に重要だ。これは重ねて委員からも指摘をされているところでございますので、そうした使命に基づいて、私どもとしても対応策を発表させていただいておりますので、その一つ一つを強力にこれからも進めていきたいというふうに思っております。

岩國委員 そうした調査が終了するめどぐらいは、私ははっきりさせるべきじゃないかと思うんです。めどもなしに、あと百日かかるのか二百日かかるのか、そんなたらたらした話では私はおかしいと思います。今、市場原理という声が聞こえましたけれども、まさに市場原理を尊重するなら、市場経済を重視する政権であるならば、これこそが私は市場じゃないかと思うんです。これを外して何が市場と言えるんですか。もっと真剣に仕事に取り組んでいただくことを要望しておきます。

 同時に、今のゼロ金利政策によって支えられた株価、ゼロ金利政策によって支えられた国債の値段、これは必ず暴落します、ゼロ金利政策から脱却するときに。問題は、いつ、どれだけの下げを株式が、国債が示すかということです。国の経済規模をはるかに超える、国家予算の十倍にもなろうという借金を抱えた国において、こうした債券市場、株式市場、そろって暴落するということは世界の歴史になかったことです。世界の歴史になかった大きな津波がいずれ日本を襲うことははっきりしているんです。問題は、いつ、どれだけの大きな下げが来るかということ。

 そういう点では、財務省にも金融庁にも、そういう危機管理チームというのは既につくられているんですか。津波が来る、大雨が降る、そういうことに対しては防災意識というのは非常に高まって、それは当然そうあるべきですけれども、資本主義の国にとってもう一つの大きな津波は、この価格の暴落ということです。株式市場は必ず暴落します。

 八七年十月、私はウォール街の中におりました。国会議員の方たちが視察に来られて、私がメリルリンチの中の五階のトレーディングルームへ御案内しているときに、コンピューターが五百ドルの下げを示しておる。私は信じられなくて、このコンピューターは壊れているんじゃないかと。壊れておりません。その部屋は、顧客との取引というものはすべてコンピューターでやっておりましたから、声を出さない、全く無言の、無声の取引所。その全く無言の取引所において、静かに五百ドルの大暴落。不気味な感じでした。

 必ずそのような津波は日本にも押し寄せてきます。問題は、いつやってくるか、どれだけ下げるのか。そのための危機管理体制はきちんとできているのか。危機管理チームというのが財務省の中にあるのか、金融庁にあるのか。谷垣大臣、危機管理チームというのはちゃんとできているんですか。

谷垣国務大臣 危機管理チームという名前のものはございませんけれども、委員の今の御指摘、私どもの関係でいえば主として国債管理ということになりますけれども、この国債管理については理財局という組織が、いろいろ研究も重ねながら、日々研究をし、そして日々対応をいたしております。

岩國委員 そのときに各国がどういう体制をとったか。今度は、大きな国債を抱えた国がそういう津波に襲われるというのはかつてないことなんです。イギリスにもアメリカにも起きたことのないことがこの日本に初めて起きようとしている。私は、もっと危機感を持って、そういう資本主義における津波に対する対策というのをしっかりととるべきだと思います。

 恐らく、選択肢は一つか二つに限られてきます。私が国会にいる間に、私が国会を去る前に、そういう危機管理チームの皆さんにそういうお話も、私の限られた経験もいつかお話ししたいと思っています。しかし、そういう専門官、専門チームというのを早急に立ち上げる。いずれやってくることがわかっているのに、そういう名前さえもない、組織さえもない、それでどうやってこの大きな津波に立ち向かうことができるんでしょうか。

 先ほど狂牛病に例えました。狂牛病は、牛肉を食べた人だけが不幸にして被害者となります。しかし、資本主義の仕組みの中では、株式を持たない人にも株価の大暴落は押し寄せてきます。国債を持たない人にもその被害は及びます。そういう深刻な問題だということを、危機意識を持って取り組んでいただきたいということを申し上げまして、次に、郵政の民営化について関係大臣にお伺いいたします。

 麻生大臣、総務省は郵便局を担当していらっしゃいますけれども、世界最大の郵便の国アメリカは民営化をいつやるんですか、お答えください。

麻生国務大臣 アメリカの郵便局を民営化するという話は、聞いたことはありません。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

岩國委員 皆さんがよくお手本にされるアメリカ。そのアメリカが、世界最大の郵便の国でありながら民営化しないのは、なぜなんですか。民営化しないには理由があるでしょう。あれだけ議論の好きなアメリカが、あれだけ民間を大切にするアメリカが民営化しないのにはどういう理由があるんですか。

 二年前の七月三十一日の大統領への報告書の中にその理由がはっきりと書いてあるでしょう、なぜ郵便事業は民営化すべきでないのかということが。それは、小泉総理にも報告されたんですか。所管される総務大臣のお立場として、なぜ世界最大の郵便国家アメリカが、何度も何度も議論しながら、二度までも廃案になり、そして三度目、ついに民営化すべきでないという結論を出しています。なぜなのか、御説明ください。

麻生国務大臣 読ませていただいた方がよろしいと思いますので。

 報告書の概要として、USPS、ユナイテッドステーツ・ポストオフィスの略だと思いますが、USPSが取り扱う郵便物は年間二千億通、世界の郵便物の四割に当たり、その民営化は郵便サービス及び民間市場を混乱させるおそれ、また、単一の民間企業がユニバーサルサービスを提供することはまず不可能、むしろ、USPSを公的な機関として維持し、業務内容の再検討、組織の見直しにより、効率性と将来への適応性を向上させることが望ましい戦略であるというのが報告書の概要であります。

岩國委員 当然その内容、そしてその背景、その真意というものは、詳しく、郵便局の大好きな小泉総理には御説明されたんでしょうね。されたんですか、されなかったんですか。けさ初めてその報告書を目にされたんですか。閣議の中でこれは議論されたんですか。所管大臣として小泉総理と激しい議論をそれについてされたことはあるんですか。小泉総理は、あれだけ親しいとおっしゃるブッシュ大統領と、この郵政の民営化をめぐって議論されたことは一度でもあるんですか。

 むしろ今、民営化推進室の人たちは、郵便事業の国営化の視察のためにアメリカへ行くべきじゃありませんか。ヨーロッパの例ばかりが持ち込まれますけれども、それだけ明確にあの文字の国、議論の国、民主主義の国ではっきりと結論がそこまで出ているのに、しかも議会の中で一遍も討論されたことがない、議論されたことがない。法案として二度までアメリカの議会に提出されているでしょう、郵政改革案は。

 その推移を一番よく御承知の麻生大臣が、小泉総理に、アメリカはあの道を行くけれども、あれは間違っているんだ、日本の方が正しいんだという進言をされたんですか。アメリカが、あれだけ大きな郵便の国が、いろいろな意味で我が国が参考にすべきところが多いアメリカが、民営化をやるべきでないと言っておるじゃないですか。私は、郵便事業は国営で、公営でやるべき、それが正しいと思います。

 万国郵便連合のUPU、その理念としてうたっているのは何ですか。だれもがひとしく、ユニバーサルサービスで全国に住む国民一人一人が同じような郵便サービスを受けること、これが万国郵便連合の理念です。日本もその一員です。手ごろな料金で、身近な郵便局で、多様なサービスを得られること、これが我が国が加盟している万国郵便連合の理念ではありませんか。

 とするならば、日本の今のシステムほど世界で一番いいものはないということなんです。世界で一番欠陥の少ない、効率のいいハイブリッド車を、わざわざ排気ガスの多い仕様の車に今から取りかえようというんですか。所管される大臣としてどう考えておられるのか、責任のある答弁をしてください。

麻生国務大臣 今の御意見のところで、まず、アメリカに行ったことがあるかという御質問でしたけれども、あれはたしかポッターという男だったと思いますが、郵便庁長官、マイケル・ポッターとか何とかポッターといいましたな、二時間ぐらいこの人とは話をして、いろいろやったことはございますので、勉強しに行ったらどうかと言われる御質問に対しては、勉強させていただく機会をちょうだいしました。それだけは御報告をさせておいていただきます。その上でドイツにも伺いました。

 今の話のところで、郵便事業の中で、郵便を配達する事業と簡易保険と郵便貯金事業と、三事業というものを日本の場合はやっております。その三事業の中で郵便貯金に非常に大きな公的資金が、簡易保険を含めまして三百三、四十兆のものにまで膨れ上がっておるという状態は、すべての個人金融資産というものでいきますとその四分の一が集中するという形になっておるのはいかがなものか。別に郵便局がしゃにむに四分の一集めようと思ったわけじゃないのであって、結果として集まっただけと言われればそれまでのことかもしれませんが、そういった形になっておる背景を踏まえて、そういった金が公的な機関に偏っているのはいかがなものかというのは、私はそれなりにわかるところだと思っております。

 そういったようなものは、もっと広く民営化という形になれば、より多く民間の方に流れやすい。今の状況は、流れにくく、主に公的なものに入りますので、そういった形を広めて、薄く、民間の方にも流れるようにしやすくすべきではないかというのは、私は、それはそれで正しいと思っております。

 したがって、民営化ということが今いろいろ出されておるところであって、そこの中にもちろん簡易保険を含めてそういった話が出ておりますが、傍ら、サービスという面でいきますと、いわゆる山間また離島等においての行政サービス、郵便配達または恩給、年金の支給等々に関しては、金融サービスもあわせて必要なのではないかという御意見がありますし、もちろん都市部の中においても高齢化が進んでおります関係がありますので、都市部の中とはいえ、町の、中心市街地のみに金融機関が集中しているという状況になりますと、そこまで歩いて行かねばならぬという高齢者の方々にとりましては、やはり郵便局のサービス、金融のサービスという部分に関しましては大きな意義があるという御意見も都市部の政治家の方々からされる。

 そういった話は一様に皆総理との話の上でもいろいろ出されたというのははっきりいたしておりますが、その上での民営化というお話だ、私はそのように理解をいたしております。

岩國委員 郵便局へ持っていったお金は民のお金であって、郵便局の窓口を越えれば別にそれは公的資金になるわけじゃないんです。あくまでも、持っている人のお金が個人であれば、たとえそれが郵便局の中に置かれていても、それは公的資金ではなくて民の資金なんです。郵便局、郵政省の皆さんが、預かったお金は自分のお金だとただ勘違い、思い違いをしてこられたから、これが公的資金と今大臣がおっしゃったように使われているだけの話で、民のお金は民で使う方法は幾らでもあると思います。

 逆に、民営化すれば、民間銀行と看板をかけかえれば、民間への貸し出しがどんどんふえているのかどうか。今まで郵便局へ入ったお金が公的資金に回っておったのが、看板をかけ直したら、民の方に、民間の資金に流れていくんでしょうか。中川大臣、郵便局のこの膨大なお金が、民営化が実現したら中小企業、民間企業にとうとうたる流れとなって向かってくるかどうか、その実感、予感はお持ちですか。お答えください。

中川国務大臣 産業、民間企業あるいはまた特に地場の中小企業にどういうニーズに合うような資金が来るかというのは、それは出し手側がどういう形で商品を設計するかによって判断されるべきものだというふうに考えております。

岩國委員 こうした民間企業の中小企業への貸し出しというのは、これだけの、いわゆるじゃぶじゃぶという表現をされたり、ゼロ金利あるいは超緩和、いろいろな表現をされながら、中小企業への貸し出しというのは伸びていないでしょう、民間銀行で。

 むしろ、強制するのであれば、民間銀行に強制することはできません、強制するのであれば、公的な金融機関だからこそ国策に沿った指導というのができるものじゃないでしょうか。民間銀行に一々国会が、金融庁が貸し出し先まで口出しをする、これは本当はあってはならないことなんです。そんなことをしなければならないような政策がだめだということなんです。今の麻生大臣の御説明を聞きますと、裏返して考えるならば、民営化しても、民間に流れが向かっていくというふうに我々はとても納得できないんです。

 それでは、竹中大臣にお伺いいたします。

 こうした民営化の一つのメリットは、小泉総理は、民営の郵便会社から、郵便銀行から税金が入ってくるんだ、それを大変楽しみにしていらっしゃいます。谷垣大臣も心待ちにしていらっしゃるでしょう、税金がふえるということは。

 では、本当にふえるかどうか。仮に郵便会社が税金をもっとたくさん納められるだけの利益を上げるような事態を考えるならば、そのときに、中川大臣の担当の佐川や日本通運やヤマト運輸は、そこの利益は当然、同じか、それ以上に減るでしょう。それ以上に減るという意味は、同じパイの取り合いだけではなくて、競争によって、値下げ競争が行われれば、ヤマトの利益は少なくなる。クロネコも佐川もみんな値下げ競争に追い込まれることによって、今まで五十億、百億と税金を納めておった会社がゼロになる。ゼロどころか、ひょっとしたら赤字になるかもしらぬ。そして、郵便会社もまた同じような競争に追い込まれて、そして利益を出すどころの話ではない。

 今、利益を出すであろうという計算は甘過ぎると思うのは、ヤマトや佐川が利益を出している、その利益と同じぐらいのものは自分も御相伴にあずかれるだろうというだけの話です。しかし、そこへ三人目の男、四人目の男が座った途端に、それはもうごちそうではなくなってしまって、みんなが赤字会社に、全部が赤字三兄弟、四兄弟になってしまったのでは、谷垣大臣のところに入るべきものが、ふえるどころか、同じどころか、減るだけの話じゃないですか。この点についてわかりやすく説明してください。

竹中国務大臣 まず、大変市場のメカニズムについてお詳しい岩國委員でございますから、かなりいろいろなことをお考えの上で今の御質問をしてくださっているわけでございますけれども、基本的に、私たちは民営化することによって市場の健全な競争を促したい。健全な競争を通じて、これはまさに民間の創意工夫で新たなサービスが生まれて、それによって国民の利便性が高まる、これが言うまでもなく民営化の最大の我々が目指すところでございます。

 しかし、一方で、それが経済的に、財政的にどういう効果をもたらすのかということに関しても、我々は当然のことながら期待がございます。それに関して言うならば、これは、競争というのは決してゼロサムゲームではないということに私はこの説明は尽きるのだと思います。健全な競争を通じて、今までにはない新しいアイデアが出てくる。どの部門でも、これまで競争を通じて、パイの取り合いをするのではなくて、より大きな競争を通じて、競争があるからこそ新しいサービスが生み出され、市場が拡大されてきました。

 それと郵政全体について、それがまさに経済を活性化するわけでございますから、郵政という一つの事業体においても、市場の中で競争することによってこれまで以上の生産性向上、効率化が進むでございましょうから、コスト削減等々を通じて、まさにJRがそうであったように、利益を出す体質がさらに強化をされて、税金を払える体質がふえていくであろう。

 そのような市場のダイナミズムといいますか、これはもうまさに岩國委員よく御存じのことでありましょうけれども、それを通してプラスサムの、結果的に経済を活性化する、利便性を高めるメカニズムが働いていくというふうに考えるわけでございます。

岩國委員 まだまだ郵政民営化については私は議論したいことはたくさんあります。利便性を高める、利便性を高めるとおっしゃいますけれども、一般国民の素朴な感情は今以上の利便性をそれほど私は求めていないと思います。今の利便性で十分満足している人もおると思います。それ以上に、もっともっと別の問題があるんです。例えば国民の関心事から見てもこれが低いということは、満足度を物語っているんじゃないでしょうか。

 ちょうど病院で並んでいる。順番を待っている。重病患者から一番、二番、三番。七番札を持っている人を呼び出して手術台の上に乗せて、健康体なのに無理やり、あなた、きょうは一人、だれか手術の対象になってもらわなきゃいかぬ、私は改革という手術をどうしてもきょうじゅうにやらなきゃいけないから。七番目の札を持って後ろすざりしている人を一番先頭に持ってきて、一番目の人は怒っているじゃないですか、二番目の人も。あの病院に行ったら後ろの方から呼び出しがかかる、そんな病院だったらだれがまじめに並びますか。

 七番は七番でいいんです。一番目、二番目のもっと大事な問題をやるべきであって、何も七番目の、しかも思い違いで病気じゃないかと思って来ている人を無理やり手術台に乗せて、今、町のお医者さんでも、無理やり手術するお医者さんを避けるためにセカンドオピニオン、これは皆さんも御存じだと思いますけれども、セカンドオピニオンを求めて手術をする。今度はセカンドオピニオンも求めないで無理やり手術台に乗せて、もうきょうじゅうに手術をしなきゃ、あなたは大変なことになる。

 十年後には郵便量も減って、そしてあなたの会社は倒産だ、そういう恐怖に似たようなことを言って、アメリカだって郵便量は減るんです。郵便量が減るアメリカが民営化もやっていないのに、日本という病院では、七番目の人を呼び出して、いきなり手術台に乗せて、健康体で効率のいいハイブリッドカーを、わざわざ腎臓を取り出して、肝臓を取り出して、いい肝臓やいい腎臓ならともかく、悪い方に取りかえてまで。これは確かに世界の歴史に例のない奇跡と言える改革、手術でしょう。こういうことを我々がやるのは私は恥ずかしいと思います、はっきり言って。

 次に、小池環境大臣にお伺いいたします。

 温暖化防止、そうした画期的な第一歩を踏み出しましたけれども、これはわずか第一歩にすぎない。一番大切なことは国民に対する環境教育だと私は思うんですね。こういった環境教育が十分に学校の場でなされておるかどうか。産業界だけの呼びかけ、そういうことではなくて、また、小池大臣のように国会の中でもやたらに片仮名ばかりを乱発されて、やれEだとかUだとかAだとか、聞いている国民がさっぱりわからないような言葉ではなくて、子供やお年寄りにわかるような言葉でこれから環境教育を進めなければならないと私は思うんです。

 先般の樋高委員と小池大臣とのやりとり、あの中でどんどん出てくる英語の言葉、ビューティフルぐらいはわかりますけれども、やれリッチだ、やれヘルシーだ、それからHERB構想、何とかかんとか、これのわかる国会議員が私はほとんどおらなかったんじゃないかと思うんですよ。国会議員でさえもわからないような話が……(発言する者あり)Hはわかるという話はありますけれども、国会議員でさえわからないような言葉が乱発されなきゃ、またそれを使わなきゃいけないというのは、私は国民になかなか浸透しないと思います。

 小学生、中学生にもっと環境教育、外国に比べて日本は、例えば文化や伝統、自然を大切にするという認識を持たれておるフランスと比べて、日本の学校教育で環境教育というのは十分徹底されていますか。二番目に、それは京都会議以前と京都会議以降ではかなり教科書の中にそれが色濃く反映されてきているかどうか。この二点をお答えください。

小池国務大臣 おっしゃるように、環境教育というのは一番これからの、京都議定書発効後もさることながら、全体の日本の意識そのものも変えていくという意味で大変重要な柱であるというふうに思っております。実際に、これは大人もそうですし、子供さんもそうである。特に環境教育、これから学校の場で進めていこうということで、議員立法で法律もつくっていただきました。そして、みずから進んで環境保全に取り組む人を育てるということ、これは大変重要なことであると思っております。

 環境省の方では、小中学生の地域における環境学習を支援するこどもエコクラブ事業などをもう実施……(発言する者あり)エコ、環境クラブ、クラブもだめですか。漢字で書いたらだめですか。いずれにいたしましても、こどもエコクラブ事業ということを既に実施をいたしておりまして、そしてまた学校における環境教育の推進についても、これは文部科学省と連携をさせていただいて取り組んでいるところでございます。

 それから、教科書の方はどうだという御質問もあったかと思うんですけれども、小中学校の教科書については、文科省の学習指導要領に基づいて出版社などが作成をしているわけでございますが、実際の学校の現場で使用されております環境教育指導資料の作成に協力などをして、副読本として使用してもらえるように、こども環境白書なども全国の小中学校に配付をしているところでございます。

 現実には、学校の現場における環境教育、いろいろな形で進めているところでございますし、また、むしろ、学校で教わった環境教育を子供さんがうちに戻ってお母さんに教えるというような場面もあるわけでございます。そういった意味で、これからも環境教育については力をしっかり入れてまいりたい、このように考えております。

 HERB構想については、これは新しい構想ですから、これからしっかりと訴えてまいりたいと思っております。

岩國委員 大臣はいろいろな国際会議に出席されますけれども、アメリカの政府に対して、京都議定書への参加をどのような形で働きかけましたか。あるいは、小泉総理みずから働きかけた形跡はありますか。お答えください。

小池国務大臣 国際会議でのバイの会談は何度もさせていただいております。二国間の交渉は、これはもう会議があるたびにさせていただいております。それについては、京都議定書にアメリカが戻って批准をされるということを日本側から、私の方からも強く呼びかけをいたしておりますし、また小泉総理の方も、首脳会談において京都議定書のことについても何度もお触れになっている、このように聞いております。

岩國委員 それでは、文部科学大臣にお伺いいたします。

 教科書会社に対して何らかの働きかけはしておられますか。こうしたいろいろな、小学校一年生、かつては「サイタ サイタ サクラガサイタ」、その辺から、日本で生まれた国民としての喜び、そして自然の大切さ、花の美しさ、そこから小学校一年生の第一日というのは始まったんです。

 今の小学校の教科書、環境大臣、ごらんになったことありますか、文科大臣も。こうした一年生の教科書、私は以前、本会議場でもこのことは指摘しました。今の本には、桜も出てこない、竹も出てこない。竹下元総理大臣はそのとき欠席でしたけれども、桜内さんはちゃんと議場に出席しておられました。桜も出てこない、竹も出てこない。今出てくるのは動物の話ばかりです。動物と自動車と汽車の話。京都以前も京都以後も、日本の子供たちはそうした緑の大切さ、森林の大切さというものを、小学校一年生の第一日目の、一番記憶にいつまでも残るようなこの国語の教科書に、植物、草木、そういう森林の大切さ、それに対する親しみを訴えたページがほとんどないじゃないですか。

 私は、こういうことから環境教育を始めるべきだと思いますけれども、大臣、お答えください。

中山国務大臣 小学校一年生の教科書でも、桜とか松とか竹とか、取り上げられているんですね。生活や国語、図画工作の教科書におきまして桜とか松とか竹が取り上げられておりまして、例えば桜につきましては生活科の教科書において桜の絵とともに桜の語句が示されておりまして、竹については国語の教科書に竹をめぐる読み物が掲載されているということで、今御指摘がありました桜、松、竹、一年生の教科書に既に出てきているわけでございます。

 なお、民間の印刷会社に文科省から何か言ったことがあるかという御指摘でございましたが、御承知のように、教科書というのは民間の創意工夫で作成されるものでございまして、学習指導要領の範囲内でどのような事項を取り上げ、それをどのように記述するかということについては、これは発行者そして執筆者の判断にゆだねられておりまして、文部科学省が検定において学習指導要領に記載されていない事項について教科書に取り上げるように求めることは、これはできないことは御理解いただきたいと思います。

岩國委員 私は、学校教育の中に、環境の大切さをもっと訴えるべきだと思います。そして、あらゆる教科書の中で一番なじみが深い、そして一生忘れないのは国語の教科書ではないかと私は思います。その国語の教科書の中の、今、大臣はあそこに桜、あそこに竹、あそこに松とおっしゃいましたけれども、これを一遍ごらんになってみてください。私は質問に先立ってちゃんと自分で目を通しました。大臣は自分で目を通してさっきの答弁をされたか、私は大変疑わしいと思います。

 戦争中でさえも、これはきょうは時間がありませんけれども、谷垣大臣に御質問しようと思ったのは、国債を販売するときに、当時の政府は、すばらしいキャッチフレーズ、子供たちにもわかるように、「胸に愛国、手に国債」、すばらしいキャッチフレーズです。今、愛国、愛国と訴えておられる自民党の皆さんも、そして国を愛することは大切なこと、すばらしいこと、「胸に愛国、手に国債」、これほどわかりやすいキャッチフレーズはないんですね。いかに小さな子供たちの頭の中に入れていくということが大事なことか。そういう小さなころに、とてもごろもいいし、わかりやすいし、国を愛する、だから国債を買っていくんだと。私は、今でも十分に通用する言葉ではないかと思いますから、谷垣大臣に御紹介申し上げておきます。

 次に、農水大臣にお伺いいたします。

 農水省にかけている予算、配付いたしましたこの資料をごらんください。これは、三十年間の農業関係予算と農業所得者からの申告納税額、どれだけのお金をかけてどれだけの税金をいただいたか。この比率を見ますと、見てください、一%以下なんですね、〇・〇〇四とか。これは一年、二年の話じゃないんです。三十年間、これだけのコスト。

 農業にはもちろんいろいろな意味の大切さはあります。私も農業を愛し、農業をやってきました。「「農」と言える日本」という論文を書いたこともあります。「「農」と言える日本」、私はそれをこれからも掲げていくべきだとは思いますけれども、ただ、予算の上での取り扱い方が、余りにも税金が少なく、かけるお金が高い。ハイコスト・ローリターンというよりもハイコスト・ノーリターンみたいな感じですね、これは。三十年間これが続いているんです。三十年間も続くということは、これはもう一つの構造ですよ。

 それに比べて、今度は中川大臣の方は、中小企業に対してどれだけのお金をかけたか、中小企業の人たちからどれだけ税金を受け取ったか。これは余りにも少ないお金で余りにも多くの税金を取り立てておられる。もらった税金に対するお返しが余りにも中小企業には少ない。

 そして、農業部門においては、これは生産性が低いというか収益性が低いというか、いろいろな原因があることは私もよく承知の上で、しかしながら、これはもう今の農業予算はまるで社会保障費のような感じじゃありませんか。農水省の予算は厚生労働省に所管を移すべきではありませんか。三十年間も、収益性は全くない、失礼な言い方になってはいけませんけれども、これは日本の産業社会におけるまるで生活保護扱いみたいになっている。それが私は悔しいし、残念なんです。もっと発想を変えなければ、三十年やったことをまた来年も再来年も同じことを続けるんじゃなくて、三十年続いたということは、もうこれは立派な構造、その構造を変えることこそ構造改革というんじゃないでしょうか。

 私は中川大臣を責めているわけではありません。金のかけ方が少なくて取り立てが厳しい、これが中川大臣がやっていらっしゃること。余りにも少ないお金をかけて、余りにも大きい税金を取っておられます。それに日本の中小企業は耐えに耐えて、見てください、かけられたお金の二十倍、三十倍のお返しをしておるじゃありませんか。私は、そういう部門に対してもっと温かい配慮が必要ではないかと思います。

 逆に、農業関係予算は、かけたお金に関して、余りにも税収が少な過ぎる。これはどういうふうに変えていけばいいのか。去年と同じような農業予算の組み方ではだめだと思います。お考えがあれば聞かせてください。

島村国務大臣 国の予算は、御承知のように、税収を確保するための投資という役割のみを果たしているわけではございません。もう釈迦に説法ですからくどい話はいたしませんが、何といっても、農家一戸当たり一・五ヘクタールと、自給率などとはまさにまだ比較できないくらい大変に劣悪な条件の中での日本の農業でありますし、しかも、農地の四二%は中山間地域。通常、いわゆる欧米の常識からいえば、農地とはとても言えないようなところを農地として開拓して今日の日本の農地が成り立ち、しかも、それぞれの地域に定着をすることで人口が確保され、しかも多面的機能を発揮していただいている。こういういわば日本の特殊性というものを無視してできないと思います。

 そういう意味では、中小企業の予算とただ農業の予算について、御指摘も前にありましたけれども、これはやはり単純に比較することにはおのずから無理があるんだろう、私はそう思います。

 したがいまして、なるほどノーリターンである、投資の割には何も得るものがないとおっしゃいますけれども、逆に、我々の目に見えないところで、まさに自然が保護され、そして同時に清浄な空気や水資源の涵養ができている等々、多面的機能を取り上げれば、いかに農業に負うている面が大きいか。この辺はあなたには御説明が要らないことだ、こう思います。

岩國委員 そうした農業の持つ非常に多様な価値というものは、温暖化防止、それからこうした京都議定方式からさらに見直しされるべきだと思います。

 特に、各県別の山林面積。山は土曜日も日曜日も休まないでCO2削減に努めています。県庁の職員は給料をもらって土曜日日曜日休んでいますけれども、山は黙々と一年三百六十五日働いている。私は山に給料を払うべきだと思います。そういうわかりやすい発想で農水予算というものを組み直していかなければ、国民のこれ以上の理解は得られないと私は思います。そうした新しい発想をぜひやっていただきたい。

 そして、私は、日本の狭い国土は、海があるから五倍になって、さらに五倍になった日本を、たくさんの島があるから、それがさらに二倍になって、日本の経済領域が十倍になっている。海の大切さ、島の大切さを私は訴えてきました。島村大臣はいい名前を持っていらっしゃいます。そういう日本の海水、水産振興のために島を活用する、そして農業振興のためには村を大切にする。残念ながら、市町村合併で、あの県あの県でどんどん村が減っていって、村のない「ノー村」地帯が広がっているんです。農村という言葉はこれからなくなっていくんです。そうでしょう。島村大臣の名前の村もなくなります。これからはシママチかシマチョウさんかということになってしまう。

 村という名前が日本の言葉からなくなっていく。私は村を残すべきだと思うんです。村を残すためには農業をしっかりさせる、農業がしっかりしているから村が残る。村には必ず郵便局がある、小学校がある、お寺がある、この三点セットがあれば、フランスでもイギリスでも、全部村が残っているんです。そういう村を残す、そして島を残す。そのためにはお金だけ使っておってはだめだという結果が出ています。使うのはお金ではなくて頭、しっかりとお仕事をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて岩國君の質疑は終了いたしました。

 次に、古本伸一郎君。

古本委員 御質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げながら、私からは、この「平成十七年度予算のポイント」という財務省からちょうだいをしておる紙に沿って、関係大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、この聖域なき歳出改革という項目の中で、三位一体や、あるいは、三位一体の中では御案内のとおり税財源の地方への移譲や補助金の問題等々が語られているわけでありますが、この聖域なき改革を進めていく。そして、その中には、公共事業の三・六%削減という、総額キャップをかける具体的な数値目標も盛り込まれながら入っている。そして、予算配分の重点化でめり張りをつける。これらの流れを受けて、最後に、予算の効率化努力ということで、この項目が入っているわけであります。

 この一連の流れを聞くと、なるほどなというふうに思うわけでありますが、特におやと思った部分について、せっかくの予算委員会でありますので、質問をさせていただきたいと思うんです。

 純減による政府全体のスリム化を図っていくという定員縮減の項目でありますが、これは、六百二十四名、非現業と書いておりますが、事前のいろいろ御説明いただいた数字を申し上げますと、ベースになっているのが、いわゆる一般行政職の三十三万人。三十三万人の母数に対して六百二十四名の縮減、純減になった、こういう流れで書いているわけであります。

 そこでお伺いをいたしたいんですが、定員を削減していくという定削計画、これは御案内のとおりであります。この定削計画をして、その後に増員の要望、シーリング段階で予算がついてくる、結果、差し引きの純減が六百二十四名、こういう流れになるんですが、定削計画でせっかくはぎ取ってきたのに、必要なところに配分をするから、結果として純減が六百二十四になる、こういうことだと思うんです。

 この方法を変えるために、この流れを続ける限りは少なくとも行政の人件費的コストは下がらないと思うんですが、どうやれば、この流れですよ、いいですか、もう一度数字を整理しますけれども、昭和四十三年から定削計画ということをやってこられて、当時八十九万人余いた行政一般職の方が、今、実に三十三万人にまで下がってきている。この数字を見るとすごいことだと思うんですが、この昭和四十三年当時八十九万九千人いた一般行政職の方が、平成十六年度末で三十三万二千人、実に五十万人余削減になっている。

 これは、ポストの削減ですか、それとも、生首と業界用語でいうんだと思いますが、生首の削減ですか、どちらでしょうか。まず、この点についてお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今の御質問は、五十万人弱減った分に関してはどうやって減らしたかという話だと思います。

 組合から来られたので、業界用語が通じるという前提で、片仮名じゃありませんので大丈夫だと思いますが、生首をとったという形は基本的にはないんです。主に、その形としては、独立行政法人とかそういったような形で民営化していったという部分が非常に多いんだと、私の方ではそのように理解しております。例えば、大学などというのが国立大学法人になって公務員ではなくなったというのが一番顕著な例、最近の顕著な例だと記憶しております。

古本委員 今大臣からありましたように、大どころは、独法化やあるいは郵政の公社化やそういうところで数字が外数になった、したがって、生首は減っていない。

 では、ここで質問ですが、この昭和四十三年当時から、生首ベースでどれだけ減っているんでしょうか。

麻生国務大臣 ちょっと今、生首の数字の実数を持っておりませんので、実数計数という形をちょっと提示できないんですが、基本的には、今のような形で、早期奨励退職等々を含めまして、そういった形のも含めたらどうなのかとかいう数字になりますと、正確を期す必要があろうと思いますので、今ここで実数を持っているわけではございません。

古本委員 これは委員の皆さんにも御理解をいただきたくてあえて質問をしたんですが、実に、昭和四十三年から生首ベースで減っている数字は、これは事前にお伺いしましたが、二千四百九人です。生首という言葉は少し言いにくいんですが、でもこれは御省の担当が使っておられる言葉ですから、そのまま使わせていただいておりますので。

 これは、母数八十九万人に対して純減二千四百ということは、〇・二%ですね。したがって、これは当然、公務員の皆さんの身分保障やらいろいろなことがある中で、世間一般で言われる人員削減のスピードとこれがどうかという議論はいたしませんが、冷厳な事実として数字はこれがあるということですね、まず。

 その上で、少し議論を進めたいんですが、平成十六年の十二月二十四日の閣議決定で、この定削計画というのは年次で、ずっと累次でやってこられていると思いますが、新たな平成十七年度の定削計画で、また一〇%削減をすると書いておられます。この一〇%削減というのは、生首ベースですか、それともポストの削減ですか。

麻生国務大臣 基本的には、国家公務員とか地方公務員含めまして、生首というのを前提に考えていることは通常ないんです。基本的には、役職を例えば減らしていった、最近でいえば食糧庁とか農林統計とかいったものが今減っておりますので、そういった意味では、いわゆる生首ベースの話ではないと御理解いただいた方がいいと存じます。

古本委員 では、もう少し具体的にお伺いしますが、総理は、例の三位一体の関連で、せんだっての我が党の寺田議員の質問にこう答えておられます。三位一体と行政のスリム化の関係について質問したことに対する総理の答弁は、三位一体の改革に当たり、組織の業務、あり方を見直す、行政の機構、定員のさらなる減量、効率化を推進すると。

 したがって、明確に答弁されたと思うんですが、改めて伺います。三位一体の目的は何なんでしょうか。その何なのかというポイントは広範にわたりますので、行政の効率化という目的は入っていますでしょうか。これは国です、国の行政の効率化という目的は入っているでしょうか。

麻生国務大臣 三位一体は、基本的には、地方の体質改善、体力向上ということが主眼でありまして、そういった意味では、国の方でどうかと言われれば、古本さん、単純計算をさせていただければ、仮に三兆円の補助金の削減ということになるのであれば、三兆円の補助金を査定していた人間は不必要になるではないかということを言わせたいというお気持ちですか。質問の意味がちょっとよくわからぬので、そういうことを、主計局は三兆円分人を減らせということを言わせたいという御質問なんでしょうか。ちょっと質問の意味がよくわからないんですが。

 基本的には、行政のスリム化という点をいきますと、地方では、簡単に言えば、今私どものところで二市八町というところを合併ということになって、これが一市になりますと、少なくとも、九人の町長、九人の助役、九人の収入役が浮くことになるんですから、それだけで二十七人浮くわけですから、正直に申し上げてそれは大きなことですよ、給与計算してみても。

 それから、それだけ大きなものになりますと集中しますので、多分そこでは、コンピューターとかいわゆるICTという技術を使いますと給与計算、組合だからおわかりと思いますけれども、出張費、そういったようなことの計算は、大阪府とあとは県では静岡県がやったと思いますが、その種の計算はすべて外に外部委託した、はやり言葉でアウトソーシングしたということになります。議員にわかりやすく外部委託と言った方が今のは通じやすいのかもしれませんけれども、外部委託をして三十八億円の経費節減をやっております。

 では、この分の余った人はどこへ行ったかといったら、これは現業部門やらいろんなところ、必要なところがいっぱいありますので、そちらに振り向けて充てたというような形で、いろいろ行政サービスにこたえるように努力をしておられるという事例が幾つかあろうと思いますけれども、国全体としての体力というのであれば、同じく国もそういった形で、コンピューターやら何やらの、いわゆる通常バックオフィスと言われる裏側のところの部分はきちんとそういった形で対応し、その分を前に出してきたということだと存じます。

古本委員 今議論をしています来年度一般歳出四十七兆のうち、人件費は幾らでしょうか、財務大臣。

谷垣国務大臣 平成十七年度人件費は七兆八千八百三十億です。

古本委員 今のは間違っていまして、三十三万人の行政職に対する人件費は二・五兆だと思いまして、答弁、訂正があればお願いします。

甘利委員長 精査してください。

谷垣国務大臣 私の申し上げたのは間違っておりませんで、国家公務員の支払いベースは四兆六千五百七十一億です。そのほかに三兆二千二百五十九億、人件費がございます。その中には、私どもの議員歳費であるとか秘書、そういうものも入っているのが七兆でございます。

古本委員 私は、冒頭申し上げているとおり、議論のベースにしたいのは、総理が言われている一〇%削減という定削の問題です。定削の対象になっているのは三十三万人じゃないですか。この三十三万人の人件費は二兆五千億と事前に聞いています。

谷垣国務大臣 今おっしゃった二兆五千百六十六億、これは、国家公務員にかかる人件費、それに退職手当、国共済負担金等を加えたものがおっしゃった額でございます。

古本委員 この二兆五千億のうち、先ほどの純減六百二十四名を、これは事前に計算しましたが、これに相当するコスト、単純割りですよ、単純割りしますと約四十億ぐらいです。したがって、率でいくと〇・二%です、割れば。

 申し上げたいのは、実は、先ほどの聖域なき歳出改革ですか、財務省の予算ポイントの中に入っていますが、これを本当に進めていくのは、こういう定員の削減の問題ももちろん大きいでしょう。それから、純減で、いわゆる生首を、自然減もしながらいろんな工夫をしながら下げていく。これは世の中、一般の民間が今一生懸命やっていることですから、これもあるかもしれません。公務員の基本権を守られながら、あるかもしれません。

 そういう中で、実は、昭和四十三年から、八十九万人いた当時の一般行政職が、途中独法化や郵政公社化ではぎ取られたとして、今残っているこの三十三万人ベースで比較したときに、純減ベースで減ったのは二千名ちょっとと申し上げましたね。この二千名ちょっとというのは、二千四百名ですか、これは、確かに減っているコストという意味ではそういう純減にはなっていますが、余りインパクトはないんですね。

 少し議論を進めたいんですが、どうやって日本の高コスト構造を変えていくかというと、私は、例えば国交省が取り組まれておられます公共事業費の三・六%マイナス、全体でキャップをかけると。これは、ユニットプライスを初めとして新たなコストとの闘いを始められたという意味で、称賛に値すると思うんですね、まだまだ手ぬるいですが。今までなかった発想ですよ。

 そういう意味で、財務大臣、政府のコストはどうやって計算をするかというと、これこそ釈迦に説法になりますが、人員数がいて、その人が単位労働コストがあって、アワーレートでもいいでしょう、何かそういう単位労働コストがあって、それに対して仕事量があって初めて総額が出ますね。わかっていただけますか。

 この議論を進めるためには、この仕事量を何とかして見直していかないことには、単位コストをいじったってしようがないんですね。もっと言えば、この六百二十四名の純減、生首ベースという、聖域なき改革の流れの中で効率化努力ということで書いておられますが、もっともっと大物はほかにあると思うんですよ。

 そういう意味では、この公共事業費の三・六%削減なんてことが、各省庁に対してもっと具体的に数値目標でおもしをかけることはできないんですか、財務大臣。

谷垣国務大臣 公共事業を各省庁別にということですか。

 私どもは、いわゆる投資的経費が幾ら、義務的経費が幾らというような形で削減目標をかけて、各省庁にやって予算をつくっているわけですけれども、省庁別にということになりますと、一つ難しいことがありますのは、今我々の取り組んでおります課題の一つが、省庁別の縦割りを乗り越えてできるだけ機動的にやろうと。

 ある意味で、役所の経費はいろいろありますから、今おっしゃった三・六兆だって、公共事業予算を持っているところはみんな三%がかかってきているわけです。それぞれ、役所ごとに皆、そこの持っている公共の経費は三%のキャップがかかって、マイナスがかかっている。そういう意味では省庁別なんです、省庁別になっております。ただ、全体で省庁ごとにやりますと、今言ったような省庁ごとの仕事の再編みたいのをどうやってくるかという問題があると思います。

 その辺は、私どももほかの役所に嫌われながら、経費を削減というのは私どものにしきの御旗でございますから、どうしたらもっとよりよくできるかという工夫はしたいと思いますが、一つの問題点はそこです。

古本委員 嫌われながらと言われましたが、本当に嫌われていますか。

 これはもっと言えば、各省庁ごとに仕事量なりをきっちり査定できる人がいないと、その仕事がむだかどうかわからないじゃないですか。原単位は変えられませんよ。アワーレートというのは公務員何とか法で決まっているんですから、これは変えられませんよ。仕事量を見直さないでどうやって査定を入れるんですか。

 という意味からいくと、御省の主計にそれぞれのラインがありますね、省庁別におられますが、各省庁の業務にまさに精通されていますか。そういう意味で、この「聖域なき歳出改革」の中の「効率化努力」の最後の方に、「政策評価」というのが入っていますね。何となくこれがいい感じするんですが、これは何をやっておられるんですか、この政策評価というのは。もっと言うと、この政策評価をやっておられるチームがまさに各省庁ごとのGメンとなってしっかりやっていますかね。

 その辺、財務大臣、これは総務大臣ですか、お願いします。

谷垣国務大臣 これは毎年テーマを選びまして、ちょっと今突然のお尋ねでしたので何テーマをことし設けたかをはっきり数字では申し上げられませんが、テーマごとに決めまして、予算を組む前に、現場に入ってチームで調べてきているという作業を繰り返しております。

古本委員 もう一度整理しますよ。

 国のコストは、それぞれのポストが今、麻生大臣がポストと言われましたので、三十三万種類職種があるわけですよ、ポストが。これは人員じゃないです。実数じゃなくて三十三万種類の、霞や出先も含めれば、いすと机があるわけですよ。

 この三十三万分の仕事を四十七兆円の一般歳出で割り戻すと、一つの机当たり一億四千万円です。単純割りですよ。この一億四千万円をみんな持っているんですよ。ここにいらっしゃる皆さんも含めて、みんな持っている。この一億四千万円に、一人頭の、人件費削減じゃないんですよ、仕事量という意味でキャップをかけていかないと、全体が下がらないんじゃないですかという原単位の議論をしているんです。そのことについて財務大臣、そういうアプローチをしていった方がいいということを提案しているのです。

谷垣国務大臣 メーカー御出身の方の議論としては極めてよくわかります。

 私どものやっております発想は余り違わないと思うんですが、私どものやっておりますのは、それぞれ、さっき申しましたように義務的経費であるかあるいは投資的経費であるかに分けて、それで、それはこれだけ削減してくれ、こういう形で、それは結局仕事量の圧縮にもなってくると思いますが、そういう手法でやっているわけです。

古本委員 これは、公務員の皆さんのいろいろな働き方改革や行革で何か人員削減されたようですが、議論がバックギアへ入ったようでありますが、等々いろいろやっておられるのは承知しています。しかし、個々の職員の皆さんがそうなんだという思いにならないと原価と闘えませんよ。

 例えばの例で言えば、中部空港はあれだけ下がりましたと言っていますけれども、そう簡単なことじゃありませんよね。これはやはりターゲットプライス、目標で下げようという思いがあったから下がったんだと思うんですね。

 そういう意味で、私は一つ看過できないことがあったんですが、きょう厚労大臣にも来ていただいていますが、せんだってこの委員会で原口委員が質問、社会保険庁の改革のくだりで、総理の答弁の中でこういうくだりがありました。

 社保庁改革をしなきゃいけないという質問に対する総理の答弁ですが、今まで、私はこれはひどいなと思われるような、社保庁と自治労の協議会、確認事項が何と九十七件もあると。要は、端末を導入したときのキーパンチングについての取り決めの労働協約がある。こういう協約は、これもどうかと思いますよ、実際、健全な社会保険庁の仕事ができるかしら、考えなきゃいけませんねと答弁されました。

 しかし、この答弁をされた予算委員会の二月三日時点では、この問題の協約は存在していません。もう既に破棄されていました。その意味において、厚労大臣、これは総理の虚偽答弁じゃないんですか。お答えください。

尾辻国務大臣 御指摘いただきました職員団体との確認事項でございますけれども、これは社会保険庁改革の推進の妨げになるのではないかという御懸念が各方面から示されまして、大変これは御批判を浴びたところでございます。そして同時に、これは、今お話しになりましたように……(古本委員「虚偽かどうか、イエスかノーかだけです。虚偽ですか、どうですか」と呼ぶ)この確認事項が破棄されておることだけは事実でございます。

 総理の御答弁の趣旨は、過去にこのような確認事項があったことについて、その見解を述べられたもの、その見解を述べられたものと確認をいたしております。

古本委員 これは後刻理事会で、議事録削除も含めて、委員長、協議、お諮りをいただきたいと思います。

甘利委員長 理事会で協議します。

古本委員 これは中小企業の皆さんでも零細の皆さんでもみんなそうですが、親方が部下を信じなくてどうやって行政改革できるんですか。最大の親方は総理ですよ。まさに個々の社保庁の職員の皆さんには罪はないんですよ。一人一人には罪はない。かつてそういうことがあったのも事実かもしれない。しかし、社保庁改革をしていこうというやさきにこういうことを取り上げて、しかも事実誤認で発言された。これではなかなかマインドは上がりませんねということを申し上げているんですね。ですから、そういう意味では厚労大臣はぜひ認めるべきだと思うんです。

 最後に、何でこんなことをきょうテーマに取り上げたかといいますと、自民党、御党の、きょう各大臣いらっしゃいますが、改革宣言ということで、せんだっての総選挙のときのマニフェストだと思いますが、この中に、行政のむだを省き簡素で効率的な政府を目指します、二年以内に小さな政府に向けて突き進む、こう書いてある。しかも、公的部門のリストラを進めると書いてあるんですね。リストラとかけて何と解きますか、財務大臣。

谷垣国務大臣 私は、文学者じゃありませんので、リストラとかけて何と解くと言われても、何をお問いかけなのか。

古本委員 これは、世間で言うリストラクチャリングというのは、人、物、金、セットでやることです。したがって、定削計画で平成十七年度また一〇%削減、これは定員の問題ですね、定員削減をする。でも生首の問題はなかなか難しいという議論だし、実はマイナスインパクトとしては大した割合じゃないということをきょう御説明しました。財政をスリムにするという意味じゃ大したインパクトじゃないということは説明しました。

 一方、人、物、金の物、金でいきますと、やはりそこのポスト、仕事量を減らしていく、一方で本当に必要なところは配分をつけていくということが、これがまさに本物のリストラじゃないんですか。

 もう一言だけ。世間では、リストラをしている企業でないと金は貸してくれません。リストラをしていない省庁に配分しているんですか、大臣は。そういう意味で聞いているんですよ。

谷垣国務大臣 先ほどちょっと私、十分御説明しなかったかもしれませんが、予算、先ほど、経費によって三%削減とかいろいろシーリングをしいて、そこで査定に入るわけですけれども、査定というのは基本的に、不必要な仕事を削れと。仕事量に着目してやっているのが査定でございます。ですから、総額を抑制しよう、そしてそれぞれの仕事を削減していこうと。あとは人員の問題になると思いますが、ここはやはり身分保障やなんかのいろいろな問題があり、私どもとしては、総人件費もできるだけ抑制していきたいと思っておりますが、ここは一方、いわゆる人事院勧告等の問題がある、こういうことだろうと思います。

古本委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ。

 実はきょうは事務総長も多分来ていただいていると思うんですが、せんだって、衆議院の院内の、ハウスの職員の方々の中で国会議員より給料が多いという方がいるんじゃないかという一部報道がありましたが、ああいうことに惑わされてはいけないと思うんですよ。単位労働コストで見たら、事務総長は激務ですよ。あるいは、その何とか員さんも大変やっておられる。原価と闘って本当に下げていくという意味でいくならば、その人の仕事を見なきゃいけない。それに見合った仕事をしているのならいいと思うんですよ。

 全国の国と地方を合わせた四百万人近い公務員の皆さんの総額人件費は多分四十兆です。総額ですね。だから一人頭平均一千万プレーヤーですよ。これを私、下げろと言っているんじゃないんです。一千万に見合った仕事をするべきなんです。そのために査定能力を財務省、御省が上げていかないと、それが無理だというのなら各省にGメンを組むしかこれはないんですよ。わからない、わからない。(発言する者あり)ああ、結構ですよ。

 そういう意味でいくと、もうこれを本当に最後にしますが、どうやっても本当に日本のこのコスト構造を変えていくという意味でいくならば、私は、せんだっての本会議場で我が党の議員が、総理の在任期間に百四十兆の新たな借金をしたわけですが、このことについてどうかという問いに対して、ひつぎに入ってから歴史が答えるとたしか言われたと思いますが、その女房役といいますか片棒を担いでいる財務大臣として、未来に何を残したんですか。そのことだけ聞いて終わりたいです。

谷垣国務大臣 百四十兆の国債がふえたということですね。これはいろいろな要素がございますけれども、平成七、八年ごろからの危機的な金融恐慌、金融秩序の大混乱、それを破局に至るのを防いだという効果はあったと思います。

古本委員 終わります。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて古本君の質疑は終了いたしました。

 次に、中井洽君。

中井委員 久しぶりに予算委員会で質問をさせていただきます。

 私は今、去年民主党内につくられました警察不正経理疑惑調査・警察改革推進本部という本部の本部長をいたしております。去年の三月につくられて、現在も活動をいたしております。

 きょうは、そういう我が党の調査を中心に、今、日本の各地でいろいろなことが指摘されておる、残念な警察の不正経理についてただしていきたい、このように思います。

 最初に、私どもは、昨年十二月の十六日、本部として、村田国家公安委員長あるいは警察庁の長官に中間取りまとめ的な意味で申し入れをいたしました。村田国家公安委員長には五項目、警察庁長官には四項目にわたって我が党としての思いを申し入れたわけであります。

 実はもう少し早く村田さんにと思ったんですが、災害等でお忙しい時期ということで、年末にいたしました。あれから二月たちます。我が党の申し入れに対してどういう対応をとられたのか、あるいは、野党だからほったらかされておるのか、それらを含めてお答えをいただきます。

村田国務大臣 昨年の暮れに、中井委員初め民主党の皆さん方から、私どもに対して、御指摘の件につきましての申し入れをちょうだいいたしました。

 もとより、警察行政は国民の信頼がなければやっていけないということでございますので、皆さん方の申し入れに対して、私ども、大変重く受けとめておるわけでございますが、かねてより国家公安委員会といたしましても、平成十六年度に、昨年ですが、十六年の冒頭に国家公安委員会規則を改めまして、その中で、今全国で、予算執行につきまして調査を行っているということでございます。

 ほぼ一年間たちますので、できるだけ早いうちに取りまとめができて、私どもの報告が警察庁から上がってくる、こういうふうに考えておりますが、まずは、まことに残念ながら、全国でいろいろな問題が出てきておりますので、そうしたことにつきまして徹底的に調査するということでございまして、国家公安委員会としても、警察庁にそうしたことを指示しているわけでございます。

 その上で、例えば北海道あるいは福岡県警におきましては、処分をする、損害額の返還をする、あるいは再発防止策を徹底するというような措置をとっているということの報告を私ども国家公安委員会としては受けているところでございますが、なお、これまで警察の現場におきまして、幹部から末端の警察官の一人一人に至るまで、予算執行を適正にやらなければいけないという認識が欠けているところがございましたので、改めて、予算執行を適正に行わなければいけないということについて、警察庁を通じましてその指示をしたところでございます。

漆間政府参考人 昨年の十二月の十六日だったと思いますが、中井委員初め何人かの方から、四項目にわたって申し入れを受けました。

 私は警察庁長官に昨年の八月に就任いたした折に、治安と信頼の回復というのを基本課題として掲げております。そういう意味で、その場でもお話しいたしましたけれども、予算の不適正執行というのが判明した場合については、正すべきものはきちっと正す、返還すべきものがあれば返還する、それから処分すべきもの、これは必ずしも行政処分に限らず、刑事処分も含めてでございますが、処分すべきものがあればきちっと処分するということで、警察における予算の適正執行については、不適正執行が見つかったときには厳正にともかく対応するということが私の責任であるというふうに考えて、民主党側の申し入れを踏まえながら、その方針で現在進めているところでございます。

中井委員 長官にお尋ねをいたします。

 今、国民が政治に望む大きな要望の一つは、治安の安定、回復であります。連日、凶悪な、あるいは、私どもが小さいころには考えられなかったような事件が報じられております。

 一方、犯罪検挙率というのがどんどん減っている。世界一優秀な警察と言われたのが、犯罪検挙率という数字だけで見れば実に悲惨な状態にある、こう聞いておりますが、ここ数年間の犯罪検挙率というものはどういう数字になっていますか。

漆間政府参考人 刑法犯の検挙率の件でございますが、平成に入って、平成六年には四三・〇%というものが、だんだん下がってまいりまして、平成十三年には二〇%を切ったということでございます。平成十四年以降は上昇に転じておりまして、昨年は二六・一%というところまで、ともかく、まだ低いとはいえ一応上がってきている。

 ただ、私どもは、検挙率というのは、まさに検挙件数を刑法犯の認知件数で割るということでありますから、検挙率を上げるという意味でいくと、やはり犯罪の総量を減らさなきゃいかぬ、認知の件数を何とか減らしていかなきゃならぬということで街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策というのを、今、平成十五年からずっと続けておりますけれども、平成十五年から十六年、二年連続で認知の方も減ってまいりました。昨年は二百五十六万件まで落ちてまいりました。

 そういうこともあって検挙率というのが上がっていますが、もう一つ大事なのは、検挙件数をふやしていくということについて、次々と犯罪が発生するものですから、なかなか余罪の発掘ができない。余罪を発掘するためには、引き当たり捜査とかいろいろなことをやっていかなきゃいかぬのですが、これをやる余裕なしに次の犯罪に対応しなきゃならない。

 こういうようなこともございますので、この辺のところを含めてどういうふうに対応すべきか、ともかく一生懸命考えていきたいと思いますし、検挙率の向上もそうですが、やはり余罪を持った被疑者をいかに多く検挙するか、これが我々に課された大きな課題だと思っています。

中井委員 長官からかなり正直にお答えをいただいたと思っています。

 検挙率あるいは犯罪の多種多様性等についての難しさ等を含めて、またいろいろな機会に我が党の同僚議員が議論をしていくんだと思いますが、一つだけ申し上げておきたいのは、例えば、小学校や中学校の子供さんが自転車をとられたといって届けたって、そんなものは全然受け付けない。こういうことを含めて犯罪数を減らしていけば検挙率が上がるということで、現場ではかなり取捨選択が行われておる、このことは僕は憂うべき事態だと思っています。国民の間には、まだ検挙率がここまで下がっているというのはしみ通っていません。

 警察官に対する信頼というものは、世界でもまれなぐらい分厚い国であります。しかし、現実に警察や交番での対応は、検挙率を上げるためにかなり犯罪数を減らすという形で行われている事件処理がある、こういうふうに承知いたしております。十分御注意いただきますよう、この機会に申し上げておきます。

 こういう検挙率の状況の中で、各党、あるいは総理を含めて各政治家みんな、治安の維持、犯罪防止、こういったことを言っております。これに対して、予算的にここ数年間どういう傾向にあるのか、あるいは警察庁の増員、地方の警察官の増員、これらについて、どういう傾向、どういう対策をとっておられるのか、一度確かめておきます。

谷垣国務大臣 今警察庁長官からお話がありましたような厳しい犯罪情勢でございますので、私どもも、予算をつくる上で、治安機能の充実強化を図っていくということは、安心、安全という上で極めて大事な政治課題だと思っております。

 そこで、警察庁の各種施策を初め治安関係施策については、ここ数年、予算面で重点的な取り扱いを行っておりまして、平成十七年度警察庁の予算総額は二千五百七十四億七千万でございますが、これは、各種経費が聖域なく大幅に減額される中で、〇・二%減とはなっておりますが、前年とほぼ同額を維持いたしました。

 それから、こういう予算面での重点的な取り扱いは最近の基本的な傾向なんですが、一方、厳しい財政事情ですので、引き続き、既定経費の見直しや重点的な経費配分にも取り組まなきゃならないと思っております。

 地方警察官の増員の動向については総務大臣にお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、平成十七年度予算においては三千五百人の増員を図ることとしておりまして、これは、平成十四年度四千五百人、平成十五年度四千人、平成十六年度三千百五十人とやってまいりまして、そういう過去に増員された地方警察官が、訓練期間を終えて、そろそろ本格的に現場に配置され始めておりますので、これが効果が出てくるのではないかと期待しているというところでございます。

麻生国務大臣 人員につきましては、警察官一人当たりが持っている県民数でいきますと、全国平均で五百二十人。三重県の場合は、犯罪が少ないか多いかは別にして、六百五十人ということになっております。ちなみに、昔は一番悪かったのが埼玉県だったんですが、ここは犯罪発生率も一番で、七百、ちょっと正確な数字ではありませんけれども、あったと思っております。

 これを過去三年間にわたりまして一、二万人の増員ということでやらせていただいて、少し解消したとは思いますけれども、まだ絶対量が足りておりませんので、向こう三年間、さらにあと一万人はふやしたいという方向で、中期計画としてはそのような方向で事を進めております。

谷垣国務大臣 警察庁の増員は、平成十七年度は二百人、平成十六年度は六十七人でございますが、二百人といたしました。

中井委員 そういう人員の増加や予算の状況、私どもも異論があるわけではありません。

 しかし、そういう予算の状態の中で犯罪捜査にとって一番必要なということで、機動的に使える経費として捜査費というのが国費から出されております。また、地方の警察官が県を越えて出張したとき等の出張旅費というのも国費分担というところはかなり多くあります。これらの予算額はここ五、六年減り続けている傾向にあると思いますが、谷垣財務大臣、間違いありませんか。また、減っているとしたら、なぜですか。

谷垣国務大臣 犯罪の捜査活動に関する経費は、国費による捜査費、それから各都道府県が出している捜査報償費、二種類あるわけですが、御指摘のように、これらについては最近予算額が減少しております。

 それで、国費である捜査費について申し上げますと、まず、警察庁による概算要求額自体が減額されているということが一つございますけれども、それに加えて、最近の犯罪情勢、確かにふえているんですが、一方、国政選挙やサミットといった大規模警備事案があるかないかといったようなこと、それから、これまでの執行実績の推移というようなことを勘案した結果、現在のような、予算額が減っているという傾向になっております。

中井委員 警察庁長官、予算要求で捜査費あるいは旅費等を減額し続けている理由、減額して要求している理由、これをお聞かせください。

漆間政府参考人 お答えいたします。

 谷垣財務大臣からのお話にもありましたように、確かに捜査費の関係について予算要求額もだんだん減っておりますし、認容額も減っています。現実に執行額を見ておりましても、執行額も減ってきている。これは一体どういう理由かということでいろいろ調べてはおるんですが、たくさん理由があるんだろうと思います。

 一つは、やはり今、情報をとるに当たって、必ずしも固定の協力者から情報をとらなきゃならないというような状況にない場合もあります。インターネットだとか、あるいはいろいろなところでいろいろな情報が出てまいりますから、情報入手の仕方についても今大分変わってきているということが、まずこれは大きく言えるだろうと思います。

 それからもう一つは、やはり、これは我々としても非常に困ったことではありますけれども、基本的に今、警察はどうも捜査費で悪いことをやっているんじゃないかということになりますと、協力者の方も、それだったらば、わざわざ協力して金をもらう、そんなことはもう考える必要はないということも現実にあるということは聞いております。したがって、その捜査協力者の方から、もう協力者としての報償費あるいは捜査費を受け取る必要はないというようなケースもあるというふうに聞いております。

 それから、捜査諸雑費というのを平成十三年度から入れております。これについて、これはできる限り捜査員が自分のポケットマネーでいろいろな捜査をすることのないようにということでやっております。こういう捜査諸雑費の方を今非常に運用を強化するという方向で一線も進んでいますから、そういうようないろいろな要素がかみ合って、全体として執行率が落ちているというふうに思っています。

 ただ、私どもとしては、やはりこれは正常な姿ではないと思っておりますので、ぜひとも執行率を上げて、場合によっては本当に捜査協力者から情報をとらなきゃならないのであればきちっとその面に捜査費を使うべきだということで、そういう観点に立って我々は一線を指導してまいりたいと思っています。

中井委員 警察に対するいろいろな監査あるいは会計検査院の検査、私ども国会での論議あるいは県議会での議論、これらすべての中を通じて一番とられてはならないことは、今の長官の言われた言葉であります。何かというと捜査上、何かというと、私どもがうかがい知れないところがノーと言っている、こういう言い方で物事をすべて拒否していくやり方でございます。

 例えばただいまの捜査費の件でも、私どもは捜査費がだめだと一度も言っていません。それは当然必要でしょう。また、場合によっては領収書のもらえないのもあるでしょう。しかし、全部にせものの可能性があるでしょう。内部告発はほとんどそのことを指摘しているでしょう。しかも、全警察で組織的に行われているでしょう。一線の捜査員に全然お金が回っていないじゃないですか。こういうことを申し上げるたびに、いやいや、それは明かせません。そしてここへ至って、協力者がみんな逃げている、こうおっしゃる。

 まだこれからやってまいりますが、私どもは、この一年間、七つの警察へ調査に行かせていただきました。それぞれの県警本部長に、それをお受け取りになった協力者が、一人でも、ないしょでもいいから僕らのところへ御連絡してくれと。私も、いろいろなコネで、ありとあらゆるところへ聞きました、警察官からお金、協力費をもろうたことあるかと。中井さん、警察をごちそうしたことはあるけれども、一回ももろうたことはないと。何をとぼけたことを。全部そう言うの。

 今、宮城県の知事が、捜査報償費、県が予算配分すべき金額を減額してまで宮城県警と、まあ私どもからいえばトラブルを起こしているのは、知事が、公開情報に基づいてオンブズマンから情報公開をしろと言われているから、ちゃんと情報公開するから、だれか一人捜査員に会わせてくれと。捜査員ですよ、協力者じゃない。それも拒否しておる。こういう状況で一切やみにしておる。ここに問題がある。

 そして、どうして減額しておるんだと言ったら、時代に合わないと。何を言っておるんですか。とんでもない言い抜けだ。ここのところに、私は、警察の皆さん、特に幹部の皆さんの公金の使い方に対する非常にいびつな姿勢を見ます。

 会計検査院は、たびたび、我が党を含めて国会でも指摘をされて、去年、おととし、警察に対して、特別に重点的に検査をした、こう聞いております。どういう状況でおやりになって、特にこの捜査費や旅費についてどういう対応をなすったのか、聞かせてください。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 十五年の末以降、一部の都道府県警察におきまして、捜査費及び旅費の不適正な経理処理に関する告発などがありました。それに対して警察当局による内部調査が行われて、その結果、不適正な経理が行われていたとの報告がなされ、そして昨年末まで、当該都道府県警察において調査が行われておりました。

 そのような状況を受けまして、昨年、会計検査院といたしましては、捜査費の検査に当たる調査官を増員するなどいたしまして、重点的に検査を行ったものでございます。

 具体的に申し上げますと、捜査費等について検査をする調査官の投入勢力を増強した結果、検査人日数は合計で二百五十人日、前年に比べますと四五%の増加ということで対応をいたしました。

 それから、具体的な検査の内容でございますけれども、多角的な観点から検査をいたしました。

 まず警察庁につきまして、捜査費等の予算額及び決算額の全体的な状況を把握いたしました。そして都道府県警察におきましては、十三の都道府県警察の十四、十五両年度の会計経理について検査を実施しております。関係の部局は、この十三の都道府県で、七十二の所属といいますか、七十二カ所に実地検査を行いました。

 そして、個々の捜査費の支払いにつきましては、その会計手続や支払い内容の証明が適正に行われているかどうかということに着眼して検査を行い、また、旅費のうち活動旅費については国庫支弁になっておりますので、この検査を行いましたが、これは、支給の対象となる旅行が実際に行われているかということなどに着眼して検査を実施しております。

 この検査の過程におきまして、個々の捜査費の支払いが適正になされたかどうかを確認するために、捜査費を執行する捜査員等に対しまして、九十八名の関係者から聞き取りを行いました。そしてさらに、捜査費を執行するために使用されたとする店舗でありますとか施設などにつきましても、その所在の確認というようなことを六十七カ所について行いました。この数は、以前行っておりました実地検査で実施した数よりも大幅に増加しているものでございます。

 捜査費につきましては、またさらに、このような検査のほかに、十三都道府県警察から抽出した十四カ所におきましては、十一年度以降五カ年度分を対象にして、その捜査費の使用内容を、手元保管されている領収書等の証拠書類をもとに分析を行っております。また活動旅費につきましても、八都道府県警察の十四、十五両年度を対象にして執行状況等を検討いたしました。さらに、十の都道府県警察では、十五年度でありますけれども、毎月の使用額、これに変化があるかないかというような観点からも検査をいたしました。

 このように多角的な検査をした結果、昨年十一月に内閣に提出し、そして、臨時国会に提出されました十五年度決算検査報告の中に「特定検査対象に関する検査状況」として掲記をしているところでございます。

 その検査報告の締めくくりといたしまして本院の所見を記述しているわけでありますけれども、要約して申し上げますと、捜査費の経理については、不適正な会計経理が行われていたことは極めて遺憾であり、その事態の重大さにかんがみ、厳正な対処が望まれる。このような事態が再度発生しないよう関係者の再認識を促すとともに、効果的な再発防止策が具体的に講じられることが肝要である。特に、北海道警察北見方面本部の虚偽の領収書による説明等は、会計検査が有効に機能し得ないことになる極めて憂慮すべき事態であり、都道府県警察等においてはその重大性を十分に認識し、警察庁においては、説明責任を果たし得る健全な体制であるかを内部監査などにより点検する必要がある。本院としては引き続き捜査費等に関する検査を実施し、警察当局において調査中の事案についても、その調査結果の報告を踏まえた上でその内容を検証していくこととするとしておりまして、今年におきましても、警察捜査費の検査について厳正に検査を実施していくつもりでございます。

中井委員 人数をふやし、項目をかなり重点的に検査されたという御努力は認めます。その中で幾つか聞きますから、きちっきちっと答えてください。いいですか。

 捜査費、お使いになった署員から聞いた、こういうことでありますが、そのときには県警本部の、あるいはその署の会計課長なり会計責任者が立ち会っていたんじゃないですか。一対一でお聞きになっていますか。これが一つ。

 それから、先ほど私が少し声を荒らげましたけれども、協力者のだれかに、百何十人お目にかかったと言っていらっしゃるが、その百何十人が、支払った先のだれかに会って確かめられたのですか。これが二つ。

 それから、六十七カ所、店があるかないか確かめた、こういうお答えがございました。これ、去年北海道で、領収書が出てきたけれどもその店はなかったという事件があったから確かめに行かれたんでしょうが、それはそれで結構ですが、そのお店へ行って、現実に、この領収書、間違いないですかとお確かめになったか。これが三つ目。

 それから、十カ所の県警をおやりになったと言うが、相変わらず、一月前から警察庁へ連絡して、どこどこの県警本部へ入りますと連絡をしてから行かれたのか。これが四つ目。

 五つ目は、県警本部へ行かれて、どこの署へ行くか、どこの部署へ行くか、向こうのお勧めメニューに従って行ったのか、自分たちでメニューをつくって行かれたのか。これが五つ目。

 皆さんが余りたくさん言うなと言うから、これぐらいでまず終えます。端的に答えてください。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 県警におきます捜査員からの聞き取りにつきましては、一対一でやっておるということでございます。

 二つ目の、協力者に当たったかどうか。これにつきましては実績はございません。先ほど申し上げましたように、捜査員等に対する聞き取り、そういう店舗の確認などを積極的にやりました。そういうことでございます。

 それから、店舗は、実際にそのお店に行くということはやっておりません。これからの課題であろうと思います。

 五番目の、県警のそれぞれの所属の警察署へ行くときにどのようにそれを選定しているか。これは、検査員がここへ行くということを自主的に……(中井委員「県警本部への通知」と呼ぶ)はい、それが四番目です。

 県警への通知につきましては、約三十日ぐらい前にやっております。

 そして五番目の、県警に行きましたときにどこの警察署に行くかは、こちらが決めておりますということです。

中井委員 ことし行かれた中で、昨年、私どもの党が警察庁に対して、平成十年以降の会計書類を残すように内閣委員会で要求して、当時の小野国家公安委員長が約束をして各県警へ指示がなされました。しかし、どうも、紛失したり、わざとなくしておるらしいというので、再度の指令も出した上で調べましたところ、片っ端から紛失しておるのであります。間違えました。引っ越しのときのどさくさでどこかへ行ってしまいましたと。

 あなたらがことし行かれた中の、十一年からのを調べたということでありますが、これらの警察の中に、十一年度から書類を紛失した部署やらがいっぱいあります。行かれた警察で、会計書類を紛失した署へ行ったり、課へ行ったところは幾つありますか。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 私どもが調査をして報告に記述しました所属部署につきましては、十一年度からの書類はすべて残っておりました。

中井委員 それじゃ、こういう疑惑のときに、警察庁に対する、あるいは都道府県警察の国費分に対する唯一のチェック機関である会計検査院は、僕は役割を果たしたと言えないと思います。どうして一カ月前に通告するんですか。会計検査院は、全役所、全税金の行き先、検査なさるときに、一カ月前に全部御親切に御通知なさるんですか。

 そして、もう一つ言いますが、大臣がおられるからちょうど頭の中へ入れておいてもらえばいいが、行った先で、どこかの警察へ行くということになったら、そこへ行くのに警察の車で移動するんですよ。検査する方が検査される方の交通手段を利用して行くとは、これは供応じゃないですか。こんな甘い姿勢。さっき、自分たちで署を選びました、部署を選びましたと言うが、会計書類を紛失したところをよけて通るというのはどういう名人芸なんですか、会計検査院。

 これはやはり、本部長がいなきゃならないとか会計責任者がいなきゃならないということを理由に、一月前から全部準備させるんだ。領収書は、私に言わせたら全部にせもの。旅費に関しては、旅費は半分ぐらいかな。捜査費は全部にせものだ。だから、だれ一人協力者に会えない、会わせない。そういう状況だと私どもがたびたび御指摘申し上げても、相変わらず、警察は何も悪いことをやっていないという前提の御調査をなさる。それで会計検査院として役割をお果たしになっているとお思いですか。

森下会計検査院長 お答えいたします。

 私どもは、与えられた権限を十分活用し、それを振るって検査に当たっていると考えております。いろいろ至らぬところはあろうかと思いますが、それは改めていきたいというふうに考えます。

中井委員 会計検査院の性格というのを承知いたしております。しかし、国民の信頼を取り戻すという意味では、これは会計検査院がおやりになる以外にないんですから、ぜひ熟慮をされて、やり方等御工夫いただき、成果を上げられるように要望いたしておきます。

 今の質疑の中で、一つ村田さんにお尋ねいたします。

 愛媛県含めて各地の監査委員が、県の監査委員が、警察の予算執行に関して監査に入っておられる。その中で、例えば愛媛も、これだけ内部告発が出たり事件が起こっておるのに、この所属員、領収書を書いた人にお金を渡したという署員に会う場合には全部会計が立ち会っている。所属の警察の職員が、一人で監査委員の人たちに、自分が金を支払ったという状況をしゃべっていない、こういう状況にあります。しかし、会計検査院に対しては、変わって、一人一人で会っているというお話が今ございました。

 どうぞ、国家公安委員長として全国の公安委員会に連絡をおとりいただいて、監査はそういう形でできるように、会計担当者が立ち会わないように、こういう形で指示されるように全国に要望していただきたいと思いますが、いかがですか。

村田国務大臣 監査委員の監査の実が上がりますように、警察としても協力すべきところはしっかりと協力しなければいけないというふうに考えておりますが、捜査上の秘密等の問題等、一定の制限があることもまた委員には御理解を賜りたいというふうに思っております。

中井委員 あえて警察の関係を質問すると、必ずそうやって半分お返しが来るような答弁をする。もっと素直に答弁しなよ。

 これは、両大臣、皆さん、僕らが警察にありとあらゆる資料を請求したら、みんな真っ黒。これは旅費ですよ、旅費。何だった、捜査上の秘密。だけれども、僕が今言いましたのは監査委員会じゃないか。監査委員会は守秘義務があるでしょう、監察の中身に関して。公安委員会だってみんな守秘義務を持っているから。

 そこへ、隠したり、その調査に上司が立ち会って圧力をかけたりするということ自体おかしいでしょうと言っているの。それを、一般の人が警察に何か資料要求してそれが漏れたらだめだみたいな言い方をするというのは、公安委員長として見識がない。

 もう一度答弁をやり直してください。

村田国務大臣 今御答弁申し上げたとおりでございますけれども、できるだけ協力できるものは協力しなければいけないと私ども考えているわけであります。

 しかし、一定の捜査上の制限といいますか秘密の遵守ということも、今監査委員にも守秘義務があるではないかという御指摘もございましたけれども、とはいえ、より近しい関係者が万が一協力者であるケースもあるわけでございますので、そういう意味で、状況によってはそうしたものについてはお教えできないということがあろうかというふうに思います。

中井委員 過般、我が党の党内の調査班に対して、警察庁は、各県の公安委員会の御要望によるならばいろいろな書類は見せます、こういうことを言われました。各県警本部でいいますと、今のお話のとおり、公安委員の身近な人の情報が入っている可能性がある、今は、検査委員の方々の身近な情報が入っていることがあるから見せられない、そんなことばかり言って、黒塗りの書類やにせ領収書で公金を私的流用している。私的流用していないなんという話は全く違う。

 これはまた別の機会にやりますが、そんなことはだめだ。五年間で会計書類を全部破棄する、そして、ふだん、人に出すときは真っ黒だ。監査の人も公安委員会も見ない。外交機密だって二、三十年たったら情報公開されるんだ。警察の書類だけは永久にやみからやみ、こういうやり方は今の時代に違うだろうと僕は申し上げているわけであります。

 もっと公安委員長として、警察全体のお金の使い方を正して、前線の警察官が喜んで仕事できる、こういう警察をつくり上げることが一番大事なことですから、そこのところを考えて答弁しなきゃだめだと僕は思います。

 それでは、愛媛の問題に移ります。

 この間、長官は、我が党の議員の発言に対して、愛媛のいわゆる内部告発者異動、報復人事ではない、いじめでもない、公益情報通報者保護法の精神に反してもいない、こういうお答えを二度にわたってやられました。間違いありませんか。

村田国務大臣 先刻御答弁申し上げたとおりでございます。

中井委員 このいわゆる内部告発をした仙波敏郎巡査部長は何というポストへ異動になったんですか。

村田国務大臣 改めて正確に申し上げますと配置がえでございますけれども、地域課の通信指令室でございます。

中井委員 その下の肩書。肩書を言ってくださいよ。

村田国務大臣 企画係の主任でございます。

中井委員 地域課通信指令室企画主任ですね。

 このポストはいつつくられたんですか。公安委員長、どうぞ。

村田国務大臣 一月二十七日と聞いております。

中井委員 異動の内示があったのはいつですか。

村田国務大臣 内示がございましたのは、一月の二十四日でございます。

中井委員 内示が二十四日、異動の命令が二十六日、そしてポストができたのは明くる日と、こんなばかなことがありますか。何なんですか、これは。

 それでは、村田さん、聞きますが、この企画主任という仕事は何ですか。村田さん、答えてよ。

村田国務大臣 仕事は通信関係でございまして、一一〇番の、要するに、電話を受けて、それに基づきましてパトカーに指示したり、そういうたぐいのポストでございます。

中井委員 仕事は松山城を眺めることなんですね。五人ずつおって、五人の職員が配置されて、当人はぽつっと一人だけのところにおって、窓の外、松山城を見ておるだけ。これをいじめというんですね。こういう措置をしておいて、何も……(発言する者あり)城が見えてもいいとおっしゃった議員、これは伊藤公介君だけれども、ちょっと見識を疑うな、君、幾ら友達でも。だめだよ、そんなことを言っちゃ。

 公益情報通信者保護法というのは、こういうことをやらないために、守るためにつくった。あなたは、何も外れていないと、きのう、おとといか何か、当委員会で答えていた。情報が公益情報かどうか、それはこれからでしょう。しかし、現職警察官で内部情報をしたというのは、これは初めてですよ。僕らもびっくりしました。よくやったなと思います。これを報復人事でやる。そして、それを公安委員長が、普通の異動ですとぬけぬけと国会で答える。これでは、警察を監督する公安委員会として役割を果たしていない。警察から上がってきた資料をあなたは読まれておるだけだ。

 言いますが、ピストルを取り上げた。記者会見をした、帰ってきたらもうピストルがなかった。聞きますが、愛媛県警、二千七百人ぐらいいらっしゃるんですか。二千七百人で、ピストルを持っていない人はだれで、何人ですか。

村田国務大臣 松山城を眺めるだけだというお話でしたけれども、しかしながら、私ども、報告……(中井委員「そんな弁解せずに、調べりゃいいじゃないか」と呼ぶ)いやいや、報告を受けているところでは……(中井委員「報告が間違っていると言っているんだよ」と呼ぶ)

甘利委員長 そのまま答弁を続けてください。

村田国務大臣 いや、間違っているかどうか、とにかく報告を受けているわけでございますが、それを、報告で聞きますと、四月から、警察署が再編によりまして減っていく、こういう中で、本人にはそうした配置がえに伴ういろいろな事務をやってもらう、そういうことにしたわけです。

 その事情はどうかといいますと、要するに記者会見が特にそのスタートになった、こういうわけではなく、しかも、それが不利益処分に該当するということでもございませんで、同じ課内の中の配置がえである、こういうことでございます。

 それから、仕事の内容としては、先ほど申しましたように、大変暇な仕事ではありませんでして、いろいろな、これからの配置がえに備えまして大変な事務があるということでございます。

 なお、ピストルを所持していない警察官につきましては、六名ということだそうでございます。

中井委員 ピストルを所持していない警察官は仙波君だけだという話もあります。それは、みんなは保管所に置いてあるんですから、県警本部長以下。

 それから、仕事を本当にしているのかということを含めて、村田さん、あなたの役割は、この告発した中身が本当かどうかというのを調べることがあなたの役割。

 あなたは何だ。警察は悪いことをしていない、告発した人はおかしい男だと、私にあるパーティーの席上で言った言葉まで僕は覚えておる。(発言する者あり)それはあえて言わないけれども。国家公安委員会として、もう少し考えた方がいい。あなたが警察全体を掌握し、指揮命令するんですから、組織上。これはぜひ再調査をいただきたい。

 特に、去年ですか、あなたらの改正の中で、例えば、愛媛県の公安委員会は特別検察官を任命することができる、公安委員の中から。そういう人を早く任命して、そして仙波君の聞き取りをやる、このことが大事だと僕は思います。

 一番心配していますのは、彼は、平成七年まで、それぞれ異動した署において、全部、にせ領収書を書けと言われたが断り続けた、こういったことを内部告発しました。今、ここを中心におやりになっていると思いますが、もう平成七年ですと書類もありません。関係者も、やめたり亡くなっている方もおられるでしょう。県警は二十三人の体制で調査をされているようですが、初めからもうこうやって、組織の裏切り者、変わり者扱いして、本当の調査をおやりになるかどうか、大変疑わしいと私は思っています。

 県の特別検査が今行われています。これは知事命令。だけれども、これは十三年度分。そして、この検査の委員の方々は、仙波巡査に会ったけれども、平成十三年のことだけ尋ねて、あとは聞いていない。

 問題は、私どもが主張しているように、この捜査費、県費で行われる捜査報償費、これはほとんどにせだ、にせ領収書を片っ端からある程度以上の階級の方が書いてやってきた、このことを証明した、これが一つであります。それから、旅費等その他含めて、つい今の今まで税金を私する会計処理が行われてきた、このことを証言しております。

 私は、警察が憎かったり、何だからと言っているわけじゃありません。本当に警察が国民に信頼されて、犯罪に真っ正面から立ち向かう、治安維持のために頑張ってくれる、これほど大事な組織はないと思っています。

 しかし、だれもがチェックできないシステムの中で、いつの間にかこういう残念な状況が出てきている。私どもは、幾らも幾らも、いろいろな方にお目にかかって、承認してくれ、しゃべってくれと言いました。だけれども、残念ながら、みんな警察一家、組織を裏切れません、今勤めている職場がなくなりますとおっしゃって、私ども、個々の話に終始しています。マスコミ関係者も、匿名の情報者には会って報道していますが、名前を出してというところにいきません。今回初めて名前を出して現職警官が内部告発した。これをきちっと受けとめて、私は、警察の会計処理のあり方、これを正すべきだ、洗うべきだ、こう考えています。

 国家公安委員長が、警察庁の言うとおりに信じてやらずに、私どもの言うことにも耳を傾けられて、国民の信託を得た指示を出される、あるいは処理をされるように重ねて要望いたします。

 それからもう一つ、愛媛県について言いますと、例えば、知事は、こういう事件にかんがみて、平成十年までの会計書類を残す、こういうことを県警に依頼いたしました。私どもが県警本部長にこのことを尋ねましたら、考慮中だと言うのです、考慮中。どうしてだと言ったら、理由がわからぬ、こう言うんです。

 都道府県警察にあって、宮城県でも愛媛県でも、知事の言うことを聞かなくて済むというシステムになっている。災害のときどうするんだ。災害のときですら、知事は県警本部長に対して命令権はない。都道府県警察だといいながら、国家警察のシステムの中にある。うまくできているといえばできているけれども、今、このシステムが悪用されている。だから、愛媛も宮城も、知事は捜査報償費の予算計上を削り飛ばして対抗しておる、こういう状況にあります。

 このことについて、麻生さん、あなたは地方自治担当だ。だけれども、警察に対して何か指揮命令、あるいは物を言える状況にあるのか。こういう状態の日本の警察状況についてどう思うか、聞かせていただきます。

甘利委員長 時間が過ぎております。簡潔な答弁をお願いします。

麻生国務大臣 御存じのように、都道府県知事は、政治的な関係の立場でもありますので、警察に対して直接指揮命令権を有しているわけではありません。それのかわりに、所轄いたします公安委員会というものを通して指揮命令を出すという形になっております。

 今、災害のときにおいてというお話がありましたけれども、現実、御存じのように、災害のときに直接命令権を有しているわけではありませんけれども、そのときは、基本的には都道府県と……(中井委員「要請する」と呼ぶ)要請をするという形になって、一体的に動いているものと思っております。

 ちょっと延びて恐縮ですけれども、現実問題として、今いろいろなところで、警視以上になりますと国家警察になり、警部以下は御存じのように地方警察ということになりますので、そういった二重構造という形になってきておる。そのゆがみがいろいろ出てきているのだという感じがいたしてはおりますが、これを今すぐどうしろこうしろということを考えているわけではありません。

甘利委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中山義活君。

中山(義)委員 質問の初めは外務大臣だったんですが、何か公務でしばらくおくれるということでございますので、その腹いせではないですが、アメリカ大好きな竹中大臣にまず質問をしたい、このように思うわけでございます。

 私ども、日米構造協議とか、または年次改革要望書を見ますと、読んでいると不思議なことに気がつくんですね。読んで一年ぐらいたつと、日本の法律化している。こういうようなことを見ていると、どうもアメリカの言われるままに日本の国の経済が進んでいる、または、いろいろな規制だとか法律であるとか、または規制緩和であるとか、これもアメリカの要望に沿って日本がやっているというような感じがするんです。

 そこで、ライブドアの堀江さんのことが一番今大きくマスコミでとらえられていますが、このように資本が急にある会社へぼんと入ってきて三五%の株を取った、だからこの会社はというような今回のいろいろな件ですが、この辺はどうなんですか。竹中さんの考えている、いよいよ資本の自由な世界が来て、しかも市場がこのように民間の主導で動いていくことはいいことだ、こう思っているかどうか、ちょっと聞かせてください。

竹中国務大臣 中山委員から、まず冒頭にアメリカ大好きという御指摘ございましたけれども、決してそういうことではございません。

 今、たまたまライブドアの株式買い取りの例が出ましたけれども、私は、自由に経済取引をするということはやはり重要なことだと思います。私たちの社会の重要な基礎だと思います。ただし、もちろん、そのためにはルールが必要なわけで、今回の件について私は詳細は承知いたしませんけれども、ルールを無視してとか、ルールのすき間を縫ってとか、そういうことであってはいけないのだと思います。

 私は、自由が大切であるからこそ、すべての方の自由を保障するためにやはり適切なルールが必要だというふうに当然のことながら思いますし、恐らく、中山委員御自身が御指摘になる点は、まさにそういうことなのではないかと思っております。

 御指摘のライブドアの件について、詳細をもちろん私は承知いたしませんけれども、自由を確保しながら、しかし適切なルールのもとでこれを拡大していくということが何よりも重要ではないかと思っております。

中山(義)委員 日本の自由主義経済というのは、ある意味ではアメリカを典型にしてそれをまねていくというような、戦後そういう過程があったと思うんですね。しかし、今は自主独立、自分たちの考えで進んでいく、これは当たり前の話だというふうに思うんですね。

 ところが、最近の週刊誌だとかいろいろな経済関係の読み物を見てみますと、ハゲタカファンドと言われるところに出資をしているのは、日本のメガバンクや日本の機関投資家だというんですね。要するに、運用がまずいから。つまり、どうも今回の堀江さんの件を見ていても、どこが金を出しているのかいろいろ調べてみますと、外資がそこにあったり、または日本のいろいろな金融機関がうまく運用できないためにこういうところへ集中して起きているんだろう、こんなふうにも考えるんです。

 竹中さん、よくウィンブルドン現象というのがありますね。ハゲタカファンドがどんどん日本に入ってくるというようなことは、実数では余り見えないんですね。同僚の小泉議員がこの間質問したら、外資が入ってくることは大変いいことだ、このように総理は言っているわけです。しかしながら、皆さん、よく考えてみると、日本でも同じようなウィンブルドン現象が起きるかもしれない。

 今回の件を見ていると、テレビなんか見ていても、堀江さんがやったことはすごいことだ、ほかの会社でも上場している以上はこういうことがあるんですよ、もしかしたらおたくの会社だってこういうこと来ますよ、こういうようなことをやっていましたが、実際問題として、日本の今の制度の中で、いろいろ政府としては、MアンドA、つまり合併だとか、こういうことについていい環境を整えようというふうにしていると思うんですけれども、このまま進むと、イギリスみたくウィンブルドン現象が起きるのではないか、こう思うんですけれども、その辺の歯どめとか、または一つの考え方とか理念とか、この辺はどうでしょうか。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、いわゆるウィンブルドンのテニス大会のように、イギリスでやっているけれども、気がついてみるとプレーヤーはほとんど外国の人である、まさにイギリスの場合に、ビッグバンを契機として、シティーでそのようなことが起こったのではないかという御指摘があるというのは、私も十分に承知をしております。

 重要なのは、これは先ほども申し上げましたように、できるだけ自由にやっていただくということと同時に、しかし、それぞれが健全な主体として、自助自立の仕組みの中でしっかりとやっていただくということなんだと思います。やはり、日本の技術、日本の資本そして日本の経営が、結果としてその自由の中でしっかりと勝ち残っていくという状況をぜひつくりたいというふうに思っておりますし、そうした一つのセーフティーネットとしては、特定の、通信等々の分野に関しては外資を規制するという仕組みも、これはOECD等々できっちりと議論はされているわけでございます。

 私たちとしては、自由な市場の中で活力を出しながら、しかし、結果として、それぞれの主体が自助自立の精神のもとで自信と誇りに満ちた社会を実現していく、そういう形をぜひとも実現したいと思っております。

中山(義)委員 きょうはNHKは入っていませんけれども、ここで質問することやなんかも、テレビを通してやると影響力がすごく大きいですね。今回の場合なんかも、いわゆる日本の公器であるマスコミ、特にテレビ、こういうことをねらったとすると大変恐ろしさを感じるわけですよ。

 もし本当に、そういう手だてがなくて自由に入ってくるとすると、日本のマスコミであるとか、または重要な基幹エネルギーであるとか、例えば、こんなことを言ってはいけないかもしれませんが、何とか電力とか、JRどことか、こういうことがあり得るというふうに考えられますか。そこまでMアンドAというか、環境をしっかり整えていくというような発言を総理がしていますけれども、どこまで考えているのか、どこに歯どめを持っているのか、それを聞かせてください。

竹中国務大臣 これは、明確な予測なり見通しを立てるということは、市場の中でありますから大変難しいわけでございますけれども、私の個人的な見方としては、日本には大変強い資本の力がまずありますし、そして技術力、労働力もあります。それを支える一つの企業体としてのまとまりの強さというようなものもあろうかと思います。

 私は、先生が御指摘のようなことが急激に起こるというようなことは、その意味では考えておりませんで、自由の中で、先ほど言いましたように、自助と自立の精神のもとでさらに果敢な競争を挑んでいただいて、自信と誇りに満ちた競争社会が実現されていくものと思っております。

中山(義)委員 私は、アメリカの資本が来るのも、非常に政府が協力しているように見えるんですね。どういう企業かわからない企業に入ってくるなら、これは確かにその人の自己責任で、または会社の自己責任でやるでしょうけれども、例えば、産業再生機構で悪いところを全部取り除く、身ぎれいにした後にもしそういう外資が入ってくるとなると、これは政府が全部悪いところは取って、この会社ならもう大丈夫ですよ、こういうふうにしてから外資を入れている、これは明らかだと思うんですが、その辺はどうですか。

 何だか知らないけれども、外資のために産業再生機構で悪いところを取って、お金を入れる、そうすればその企業は絶対安全なんですよ。私ども、こんな安心確実なことをなぜ国がやるのか、この辺をちょっと問題視したいんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 産業再生の担当大臣、村上大臣がちょっとここにおられませんので、私が政府を代表してお答えすることは難しいわけでございますけれども、今委員が御指摘のような、そういう極端なケースが別に起こっているわけではないというふうに思っております。産業再生機構は、まさに市場から評価されたプロフェッショナルが集まっておられて、その上で、産業の再生、企業の再生の観点から大変しっかりとした独立の御判断をしておられるというふうに思います。

 先ほども申し上げましたように、元来、日本の経済、むしろ日本は資本の輸出国でありまして、大変強い資本力を持っているわけでございますので、そういう極端なことは決して起こらないと思っておりますし、ぜひ自助自立のもとで健全な競争メカニズムが働いていくように、政府としてもしっかりと見ていきたいと思います。

中山(義)委員 しかし本当に、外国の資本が入ってくるということは、我々、商売としてそういう資本が自由に、または経済の世界ではわかりますが、愛国心の強い私なんかは、アメリカの外資がばんばん入ってきて自由奔放にやられては、やはり何となくおもしろくないという気持ちがするんです。

 例えばウィンブルドン現象、イギリスでシャラポワがテニスをやっていて、これはロシアの人ですよ。だけれども、そういうスタープレーヤーは全部外国だから、しかも、ウィンブルドンというイギリスでテニスをやっている。日本でいえば、大相撲だって全部強い方はモンゴルの方ばかりですよ。だけれども、やはり大相撲の中でも日本人の強いのが出ればそれはいいわけでしょう。

 だから、プレーヤーの中で日本の会社がしっかりやっていくために指針を出して、単純に外国の資本にやられちゃうようなことじゃ私はまずいと思うんです。むしろ総理の、外国資本が入ってくることはいいことだ、ハゲタカファンドにもどんどん、国内でも、融資も結構、何しても結構、こういう感じでは心配がある、こういうことを私は言っているわけでございますので、よろしくお願いします。

 しかも、大企業しかなかなかそういううまい恩恵にあずかれないような制度の中でそういうことをやっているわけでございまして、私は、さっきの産業再生機構のことについては、これからも同じようなことが起こるというふうに思っているんですね。全部身ぎれいにしてから外国に売っちゃう、これは大変問題があるんです。

 木村剛さんの銀行がちょっとおかしくなったというのは、ある意味では、中小企業というのは大変苦しい状況でお金を借りますね。そのときに、その会社が本当に倒れる寸前なのかどうかというのは貸す方が判断すればいいんですが、ただ貸せばそのまま倒産しちゃうということもあるんですよ。本来は、身ぎれいにしてもらってお金を貸せばそのファンドはすごく生きるわけですね。だから産業再生機構じゃなくて、中小企業支援協議会というのを私はつくったんだと思うんですね。だから、一回身ぎれいにすることが大事なんです。

 伊藤金融大臣にちょっとお聞きするんですが、今同じような中小企業の問題でとんでもないことが起きているのは、メガバンクが融資を何かしているのは、全部消費者金融なんですよ。それで、ある銀行へ行ってお金を借りようと思ったならば、あなたのはずっと手形で転がしていくから、五百万、私のところの消費者金融を紹介しますといって消費者金融を紹介したんですよ。それで、その五百万を返済してくれ、こう言うんですね。

 銀行というのは預金者を保護する立場ですね。預金者の預金を原資にお金を貸しているわけですね。一方、消費者金融というのはノンバンクなわけですよ。これが同じところで同じようなことをやって、これは銀行法だとか何かこういうような法律に触れていないんですか。自分のところで金を出さないで、消費者金融を紹介するというんですよ、メガバンクが。こんなことが現実にあるんですよ。

伊藤国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 大手行において、幅広い顧客の貸し出しのニーズに対応していくために、消費者金融の子会社を設立したり、あるいは消費者金融事業者と連携をしていく、こうした動きが見られているところでございますし、また、顧客の意向を確認の上、提携している消費者金融事業者を紹介することはあり得ることと思われます。

 ただし、その際、大変重要なことは、借り手との取引を行う上で十分適切な説明を行う態勢というものがとれているかどうか、このことが非常に重要であると私どもは認識をしているところでございまして、こうした観点から、私どもの監督指針におきましても、これまでの取引関係や、あるいは顧客の知識、経験及び財産の状況に応じ、可能な範囲で謝絶の理由等について説明する態勢が整備されているかを示しているところでございます。

 もとより金融機関自身、健全な取引先に対して円滑な資金供給が行われていくということは極めて重要でありますし、金融庁としても引き続き適切に対応していきたいと考えております。

中山(義)委員 今の答弁はあれですか。メガバンクと提携しているそういう消費者金融が一緒に組んで、おれのところでは貸せないけれども、それは小口だから、例えばプロミスならプロミスさんで貸してもらってくれ、うちの方であっせんすると。それで借りて、自分のところの金を返済させる。これはやはりおかしいんじゃありませんか。金利が全然違うんですよ。もしこんなことを金融庁が許しているとなると、これは大変なことだと思いますよ。

 中小企業は、そこで借りなければつぶれちゃうというような状況の人もうんといるわけだし、または、何とかして借りたいという弱い立場なんですよ。だから、うちが紹介してやるからそこで借りなさい、ほかに借りるところがなかったらそこへ行ってしまいますよ。金利は二%、三%から一気に一五%ぐらいに上がるんですよ。これは金融庁、許しているんですか、どうなんですか。こんなことをしていいんですかね、現実に。

 我々だって、随分メガバンクにはこの国会の中でも多くのお金を補助してきたわけです、いろいろな形で。貸すときもあったし、株で入れた場合もあるし、いろいろなことがある。これで最後には庶民が痛い目に遭う。これでいいんですかね。金融庁、もう一回答弁してください。

伊藤国務大臣 委員御承知のとおり、私自身も資金繰りの苦しさというものを経験しておりますし、委員も中小企業政策に真剣に取り組んでこられて、今の実態を踏まえながら御質問されているというふうに思っております。

 御指摘は、銀行が強い立場で優越的な地位というものを乱用して、そして、無理やりそうした今御指摘のようなことをしているとするならば、これは問題だというふうに思います。しかし、一方で、利用者の側が多様なニーズがあって、それに的確にこたえていく、そのときに十分な説明をしているということであればこの契約は成立することになるんではないかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、非常に重要なことは、やはり説明責任というものをしっかり果たしていくための態勢が整っているかどうか、そして、もとより金融機関でありますから、みずから資金ニーズに対してこたえていけるような、金融機関としての本来の資金仲介機能というものを果たしていくことがとても重要なことだというふうに思っております。

 大手行についての御指摘がございましたが、今、大手行においてもさまざまなビジネスモデルを展開しておりまして、その中においても、スピード審査、そして無担保、第三者保証なしの新しい商品というものを開発して、それを投入いたしております。四大メガバンクについては、平成十五年度は約一兆五千億円の融資実績があるというふうに私ども承知をいたしておりますので、こうした本来の資金仲介機能を果たしていくためにも、私どもとしても適切な対応をしていきたいというふうに思っております。

中山(義)委員 リレーションバンクといって、本来であれば、地元に信用金庫や信用組合があるんですよ。だけれども、こういうことを大銀行がやって、小口だから若干金利は高いけれども紹介するよ、こういうことをやったら信用金庫や信用組合はもたないんじゃないですか。金融庁というのは、小さな信用金庫、信用組合も地域の経済をどうやって育てていくか、それと一緒になって発展していくものだと思うんですよ。それを、メガバンクがそこにプロミスや武富士を入れていろいろやってきた。これはおかしくありませんかね、やっていることが。

 私は、実はこの間、総理の地元の横須賀へ行ってきたんですよ。恐らく、総理がいらっしゃるところだから、経済もしっかりやっているんだろうと思ったら大変なありさまですよ。私は、もともと議員としてあちこち歩きますから、一番いいところを選んでドブ板商店街というところへ行ったんですよ。

 そこの会長が何を言っているかといったら、地域の経済がもうここまで来ちゃったら、本当に通りの会費すら払えないというような状況なんです、それから、この間、台風があって、ちょっとお金を借りようと思ったら、信用組合や信用金庫さんは、ペイオフが近くなって、本当に金縛りに遭ったような状態でお金が出ない、こう言っているんですよ。そこで、自分がいつもつき合っていた都市銀に行ったら、自分のところで決裁できないから本店に行ってくれ、こうやって逃げられた。最後には、そこの消費者金融を紹介するから、それで仕事をしてくれ、こういうような状況なんです。これは神奈川県ですよ。もしあれだったら、ドブ板商店街の会長が言っていることですから、ちゃんとどこの銀行でどこの消費者金融、はっきり言えますよ。

 だから、こういうことはいいんですか。では、何のために金融庁が信用金庫さんや信用組合を指導してきたんですか。そういう動きが全くなかったら地域の経済はもちませんよ。金融庁はどう考えているんですか。答弁してください。

伊藤国務大臣 私どもも、中小企業金融というものが極めて重要だ、こうした認識を持っております。だからこそ、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの諸施策というものを展開して、中小企業の再生と地域経済の活性化を図りながら、同時に不良債権問題を解決していく、こうしたことを目指してきたわけであります。

 こうした取り組みを中小や地域の金融機関が展開することによって、全体としては、不良債権比率というものも、主要行に比べてはまだ高いですけれども低下をしてまいりましたし、自己資本比率も上昇してまいりました。そして、この取り組みをさらに拡充し、深化をしながら進めていくことが極めて重要なことではないかというふうに思います。

 委員が御指摘されているように、また中川大臣からも御答弁があろうかと思いますが、特に商店街が大変厳しい状況にあるということは私自身も承知をいたしております。その中でも、中小企業は本当に一生懸命努力をして、みずからの経営を立て直すためにさまざまな努力をしているわけでありますから、そうした実態というものを踏まえて、そして地域の金融機関がリスク管理をしっかりやりながら多様なニーズにこたえていくことは非常に重要なことでありますし、そのためにも、地域密着型金融の機能というものを強化していくための取り組みを一層積極的に進めていかなければいけないというふうに思っております。

中山(義)委員 駅前へ行っても、一番いいところにネオンサインがついているのはみんな消費者金融なんですよ。テレビ番組でも、いいところを買っているのはみんな消費者金融でしょう。

 そうすると、私どもが一番心配しているのは、今まで地域と信用金庫のお互いの協力でしっかりやってきたはずなんですよ。何だか知らないけれども、一番もうかっているのは、やはりいい番組を買っているところで、いいところに宣伝を出しているところ、ここがもうかっている裏づけだというふうに思うんですね。

 では、そこにお金を出しているのはだれかといえば、メガバンクだと。どれだけ我々が大銀行に、つぶれたら大変だ、とにかくとんでもない金融の大きな問題が起きるからつぶしちゃいけないんだ、つぶすことが一番いけないんだということで、我々いろいろな意味でやってきたわけで、出るぞ、出るぞといって出ないお化けみたいにずっとおどかされてきたんだ。それで一生懸命やってきたら、お金は最後は消費者金融に出して、ちっとも中小企業に回ってこない。

 さっき岩國さんも言っていたとおりなんですね。お金は日銀でどんどん刷っているか何かしているんでしょう。だぶついているんだけれども、下に出てこないというのは何が原因なのか、ここは一つ考えてもらわないと。金融緩和をしてもお金を使わない、どこに原因があるのですか。これがわからないで、いつまでも金融緩和だ何だといったって、何の結果も出ないじゃないですか。

 何がその一番の方法なのか。ここは中川大臣にも、中小企業問題としてどうしても答弁していただきたいと思います。

伊藤国務大臣 まず、私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、今の御質問について、やはり一番重要なことは、金融機関としての資金仲介機能という本来の役割をしっかり果たしていくことだろうというふうに思っております。

 経済活動に必要な資金を安定的に供給していくことが金融機関に求められているわけでありますし、また、中山議員が中小地域金融機関の理想像、それは私どもも共有しているところであります。

 それはどういうことかといえば、やはり地域に密着をして、そして長い取引関係の中で得られる貴重な情報というもの、これは定量的なものではありません。定性的な、経営者のやる気でありますとか、あるいはその会社の技術力でありますとか販売力、こうしたものを評価して、そしてそれをしっかり融資に生かしていけるようなビジネスモデルというものを確立していく、リレーションシップバンキングの本来の機能を果たしていくことができれば、私は、中小企業のさまざまなニーズにこたえていくことができるんだというふうに思っております。

 そのための諸施策を今地道に各中小地域金融機関は取り組んでおりますので、こうした取り組みをさらに進めていくために、私どもとしてもさらなる努力をしていきたいというふうに思っております。

中川国務大臣 今中山委員から、商店街等を初めとする中小企業、地場商店に対する金融といいましょうか、広い意味の資金的な支援という観点からの御質問でございます。

 まず、融資に関しましては、今までは、有担保、特に中小企業に対しては、個人保証というものがある意味では無限責任ということで非常におもしになっていたわけでありますけれども、そういうものからまず脱却をしていこうということで、委員もよく御承知の政府系金融機関を初め、民間もやっておりますけれども、有担保あるいは保証に頼らないような一定限度での融資。

 これは、貸す方は、今伊藤大臣からもお話がありましたけれども、やはり地場の金融機関の皆さんが地元のことは個別事情をわかっておりますし、これからは、単に担保さえとっていれば貸し倒れでも心配ないよという金融機関の姿勢というものは変えていかなければ、金融機関自身も生き残っていかないんだろうと思います。そういう意味で、貸し手側の目ききというものも大事になってまいります。

 それから、担保といっても、例えば売り掛け債権であるとか在庫資産であるとかといったものも大いに活用する。さらには、政府系金融機関の一部等でも無担保、無保証とかいうものもございます。それから、証券化といった、単なる融資ではなくて、多少のリスクも負うけれども、しかし自由な投資というものもどんどん、既に中小公庫の保証というものを前提にした融資もございますし、今国会でも有限責任組合に関する整備もぜひまた御審議をしていただいて拡充していきたい。

 多種多様な、その地域に合った、あるいはまたその事業に合った形の、特に中小零細、個人商店向けの支援、金融といいましょうか、資金面での広い意味のさまざまな支援措置というものをさらに充実することによって、委員御指摘のような大事な地場の経済に大いに貢献していきたいというふうに考えております。

中山(義)委員 今までの政策についてはわかりますけれども、実際それが本当に中小企業に浸透してそのとおりになっているかということがやはりすごく問題だと思うんですよ。

 公取の委員長もいらっしゃるので、今の中小企業に対する金融というのは、今有限責任と言いましたが、まだまだ連帯保証をとったり担保をとったりいろいろやっているんですよ。現実に、約定書をお互いに交換していないというケースも随分あるんです。

 実は我々も法律案を出しました。それは、お金を貸すときに、連帯保証とはどういうものか、その当時は、包括根保証とはどういうものか明確に説明をする、貸したときの返済とかそういうものについても、相手の能力に合わせて返済の計画をつくっていくとか、いろいろな法律案を出したんですよ。

 その中で、包括根保証については四月一日から変わった方向でいっていただけるので大変ありがたいんですが、ただ、連帯保証なんかについてはまだまだ、なかなかうまく解消されていない。それは、優越的な地位を持つ銀行が中小企業に対していろいろ圧力を加えて、結果的には判こを押させたりまたは署名をさせている。これは不公正な取引になると思うんですが、委員長、どうでしょうか。独禁法から見たら不公正な取引ですよね。

竹島政府特別補佐人 個別のケースを具体的に調べませんと何とも申し上げかねますが、例えば、次に申し上げるようなケースであれば、独占禁止法上の問題、優越的地位の乱用ということで問題になり得る。

 将来の融資の継続をしないというようなことを示唆することによりまして約定とは違った条件をのませる、かつ、借り手はその金融機関に対して相当依存している、ほかに行って借りようと思っても借りられないというような場合には、おっしゃるように独禁法上の問題が出てきて、優越的地位の乱用という具体的なケースになるのではないか。それから、過剰な担保という問題も同じように起き得ます。今申し上げたような両者の関係で、過剰な担保が要求される。

 連帯保証については、これは別で、当事者同士でお決めいただく話で、独占禁止法上云々申し上げる話ではないと思いますが、そのように考えておりまして、従来からガイドラインを示しておるところでございます。

中山(義)委員 伊藤大臣、今お話あったとおりなんですよ。やはり、銀行が優越的な地位を利用して、かなり中小企業者に無限の責任を押しつけていることは事実なんです。どういう指導をされているかわかりませんが、もし今のようなことがあったら、金融庁は指導できるんですか。私は、金融庁はなかなかそういう指導をしていないんではないか、こう思うんですね。

 いろいろな事例を私たち知っていますよ、現実に。今、個々の事例にというのがありましたけれども、そんなの、うんとありますよ。だったら金出さないよ、判こを押せというようなすごい態度できますから。銀行はそうですよ。だから、実際にそういうものが持ち込まれたならば、今度はそういうことがあったら持ち込みますけれども、持ち込まれたら必ずそれにちゃんと対応して、それはある意味では独禁法違反だ、優越的な地位を利用して中小企業をおどかして判を押させているんだと。

 例えば、この中にいらっしゃる先生方でも、連帯保証の恐ろしさをすべて言える人はいないと思うんですよ。連帯保証というのは本当に、あれを見ていると過酷ですわ。そういう面では、連帯保証させること自身が人格を無視したようなことだと私は思うんですね。

 そういう面で、大臣、もう一度、もしこれが優越的な地位を乱用して独禁法に触れるようなことがあればちゃんと注意をしてくれますか。その銀行に何か警告してくれますか。

伊藤国務大臣 私も連帯保証をしたことがございます。また、当委員会でも、連帯保証についてさまざまな議論がございました。

 今委員御指摘の点については、優越的な地位の乱用と誤認されるような説明を防止する態勢が整備されているかどうかという点にかかわろうかと思いますが、これはまさに、先ほど御説明をさせていただいた私どもの監督指針の中にも、その着眼点として明示をさせていただいております。したがって、そうした説明態勢に問題があれば、私どもとしては、法令に基づいて適正に対処してまいりたいというふうに思います。

中山(義)委員 ですから、約定書というのがあって、その約定書の中に、もう既に優越的な地位を利用して、相当強力なことを言っているわけですよ。金利は勝手に上げますよと書いてあるんですよ、そこには。法律によらず金利は勝手に上げますと書いてあるんです。担保はふやしますよと書いてある。保証人はさらにふやしますとも書いてある。そういう約定書があるんですよ、現実に。これはやはり厳重にやってもらわなきゃ困るんです。

 これから竹島委員長にいろいろ要求するんですが、そのときも、罰則のない法律を幾らつくって、警告しただけじゃだめだと言っているんですよ。ちゃんと課徴金を取るとか、私らはこれから、委員長にお願いをしようと思っているんですが、銀行にだって罰則をかけなかったら、いつまでたってもいじめられるのは中小企業、しかも無限責任。連帯保証といったら無限責任でしょう、そう思いませんか。連帯保証というのは、例えば借りた本人がいなくなっちゃっても、全部責任を負うんですから、第二債務者ですから。

 だから、そういう面では、私どもは、こういうことは絶対になくしてもらわなきゃいけないんですが、しかも、それを強力に、約定書というもの、だから私たちは法律案で出して、絶対に契約書というのは、いわゆる民事の関係のあの契約書と同じように、しっかり守ってもらうものをお互いに取り交わす、こういうことを言ってきたわけです。ところが、それが実際には行われていない、こういうことが現実なので、それを指摘いたしておきます。

 それから、中川大臣には、今いろいろな話がありましたけれども、こうやっています、ああやっていますとは言ったけれども、現実にお金が流れていないことがあるわけですね。

 中小企業再生支援協議会というところで、銀行さんとの間に入って、五年で返済するところを十年にしよう、例えば百万ずつ返済していたとしてそれが月々五十万になったら、あと五十万は銀行から借りているのと同じような計算になるわけですよ。返済期間を延ばすということはすごく大切なことなんですね。

 ですから、安定化資金やなんかについても、過去にやったものについても返済期間を延ばすと。お金を返さないわけじゃないんですからね。返済期間を延ばすというようなことを、政策の中では一銭も金がかからないんですよ。どうですか、いいアイデアでしょう。返済期間を延ばしてくれと言っているんですよ。これは一銭も金がかからない、予算もかからない。これは経済産業省でぜひできませんかね。

 私は、国家の予算が厳しいのはわかっています。それで、なかなか資金繰りが苦しい。しかも、何かいい方法がないかといろいろ考えたんですよ、私たちも。だけれども、一番いいのは、返済期間を延ばすということが僕は一番大切だというふうに思うんですよ。そうすれば、まずは大変火の車の、だって、とりあえず一回とまってゆっくり考えることができるんですよ。その辺はどうですか、経済産業省。

中川国務大臣 こういう今まだ非常に微妙な経済情勢の中で、まず中小企業の皆さんに頑張っていただく、頑張っていただいて成果を出していただく、これはもう中山先生と私と共通の認識だと思います。頑張れない部分についてどうするかということも別の議論としてあるわけですが、頑張っている方に対してのいろいろな手法があると思います。先ほどにつけ加えまして、いろいろな知恵をみんなで結集してやるということも大きなポイントだと思います。

 今の、融資の約束の返済期間を延ばすということ、実は私、農業関係の仕事をずっとやっているときに、農家に対する制度融資、これがどうしても厳しい農業情勢のときに、返せないので、返済期間を延ばすということを随分やったことがございます。それは、もちろん将来への展望があるという前提で、期間を、例えば十年だったものを二十年に延ばすということは、私もいろいろな経験をいたしましたけれども、もちろん成功する場合もあるわけでありますし、それからもう一つは、総返済額がトータルとしてふえるわけですね。金利の問題もありますけれども、総返済額がふえる。それから、延ばした結果、よくなっていく、立ち直っていくという前提があればというか見通しが立てば、それも一つの方法だろうと思います。

中山(義)委員 何か、安定化資金のときには僕はそれなりにすごい効果はあったと思うんですよ。だから、国家に予算があればもう三十兆円、こう思うところですが、今、とにかく歳出は抑えようという中で考えられることは、やはり返済期間を延ばすこと、これしかないと思うんですね。

 ですから、私は、思い切ったことがやはり、中小企業に何かメッセージを送ってくださいよ。何だか知らないけれども、頑張れ頑張れとは言っているけれども、何のメッセージもないし、どっちかというと小泉さんは、これから景気をよくしようというような、予算を使っても景気をよくしよう、そういうメッセージは一切国民には伝わっきていないんですよ。だから、むしろそういうメッセージの中で、本当に中小企業が元気になるような、そういう方法論を何か具体的にぶち上げてもらいたい。

 安定化資金というのは予算上もう無理なんですね、大臣。無理なんでしょう。だったら、今まで借りている人に対して何か、国としてお金がかからないでやるのは返済期間を延ばす、このくらいのことは一つ中小企業対策として考えてくれませんかね。

中川国務大臣 中山委員も私も、ただ単にずるずる延ばせばいいということではないという前提での御質問だと思いますので、今もちょっと真剣に考えていたんですけれども、保証制度については、既に借りているものを改めて条件変更して延ばして保証をつけるという資金繰り円滑化借りかえ保証制度というのがありますが、融資そのものを延ばすということは、先ほども申し上げたように、それによって、もちろん一〇〇%という確率ではないとは思いますけれども、頑張れる。今が一番厳しいんだ、あるいは、よく言われるデスバレーみたいなときをたまたま乗り越えるためにということであれば、先生の御提案なり御趣旨というのは私も十分理解できるというふうに考えております。

中山(義)委員 十分理解できるというような御答弁だったんですが、ぜひそれはやってもらいたいと思うんです。

 財務大臣だって、お金がかからないんですから、どうですか、全然予算は使わなくて、少しでも返済期間を延ばそうというんだったら、一つのこれはアイデアでしょう。お金がかからないで何か中小企業対策ということが私は大切だというふうに思うんですよ、視点として。財務大臣もこれは御賛同、いや、答弁いいですよ、うなずいてくださいよ。(谷垣国務大臣「いやいや、ちょっと簡単にはうなずけない」と呼ぶ)

 それで、中川大臣、こういう借りた金で返すなという本があるんですよ。借りた金を返すなじゃないですよ、借りた金で返すな。なぜこんなことを言うかというと、例えば、銀行が返せ返せと言う、それを消費者金融で高い金利で借りる、それで銀行に返済する、余り銀行が強い態度で来るから。それが多重債務者の始まりなんですよ。借りて払う、また高い金利で、今度はもうトイチで借りなきゃいけないとか、返済に追われることがだんだん多重債務になるんですよ。ですから、実際に、予算がかからないで実行できる中小企業対策、絶対、返済期間を延ばすということをぜひ検討してください。検討してください、ぜひ。約束してください。

中川国務大臣 消費者金融のお金を使ってということになりますと、先ほど中山委員も御指摘になったように、消費者金融のお金の大宗は金融機関からのお金も随分入ってきていますから、当然、金融機関から借りるよりも消費者金融から借りた方がコストは高いということになるわけでありまして、それでも、先ほどの公取委員長とのやりとりではございませんけれども、個々の例によっては云々ということもあるわけでございます。

 延ばすこと自体、コストがかかるかかからないかというのは、例えば、貸す方も、特に公的部分のお金にしても民間にしても、その分の資金繰りというのはまたやり直さなければいけないということもありますので、余りぐだぐだ言っていると怒られるかもしれませんけれども、いろいろな条件を検討させていただいて、これが本当に民間金融機関にとって効率的なものになるかどうかということは、また今後、中山委員のいろいろな御指導をいただきながら、少なくとも検討してみたいと思います。

中山(義)委員 大臣、今まで長い間一緒に、私たちは族議員じゃありませんけれども、中小企業族議員と言われたって私は甘んじて受けますし、うれしいことだと思いますよ。そうやって、中小企業だって、何といったって九九・七%が中小企業で、そこで働く人が七〇%いるんですから、これを立て直さない限り日本の経済は変わりませんよ。

 そういう面では、私は、かなり積極的な答弁をいただいた、そして、返済期間を延ばす、それについてはもう大体七〇%から八〇%は約束をした、このようにとらえておるわけでございます。そうやってひとつ……(発言する者あり)いや、前向きにやりましょうよ。本当にこの国を救おうというのは、何も何党だとかなんとかじゃないんですよ。中小企業は本当に困っているんですよ。

 私は、さっき言った総理の地元へ行ってみましたけれども、総理の地元も、ちょっとあるところに大きなショッピングセンターができた。近くの中里商店街というところがあるんですが、そこは、私もアンケートをとりに行きました。私はおじいちゃんの代から小泉さんをずっと応援しているんだ、だから言っておいてくださいよ、こんなに不景気にしちゃってどうするんだ、何とか景気よくしてくださいと。あなたは何党ですかと聞かれたから、民主党。偉い、頑張ってやってくれ、こういうふうに言われました。我々もしっかりいろいろな方からいろいろな意見をいただいて、実際に大臣や小泉さんにそれを伝えなきゃいけないと思うんですね。

 一つ、地域に大きなショッピングセンターができると、本当に地元は弱いんですよ。大店法というものが緩和されてきましたね、ずっと。この大店法については、やはり少し考えなきゃいけない時期に来ていますよ、間違いなく。私は、中小企業のためなら体を張ってやりますから、腕ずくでも何でも、何としても大店法は変えなきゃいかぬ。今のままでは、みんな商店街はつぶれちゃいますよ。

 ドン・キホーテさんなんか立派に経済をやっているんでしょうけれども、ただ、二百億ぐらいの売り上げが五年間で二千億円の売り上げになった。この商品の値段なんかにも、先ほどの独禁法に触れるような商品の値引きだとか、安くさせている方法があるんです。これはどういう方法だと思いますか。リベートというものですよ。半期では利益は出ていないんですよ。半期では利益は出ていないんだ。最後に利益が出る。というのは、最後にリベートが入ってくるからなんですね。それと、ヘルパーだとかなんとかを要求していく。中小企業では絶対できないことを大企業がやるわけですよ。そして同じ土俵で勝負しろといったって、絶対に無理なんです。そこを我々は指摘をしたいんです。

 公取の委員長、今みたいな、優越的な地位を利用して商品の値段を下げさせる、またはヘルパーをつけさせるとか、それから商品を必ず、買ったものを平気でまた返品するとか、いろいろなことをやっているんですね、大きなところは。決して中小企業はできないことなんですから。こういうことについて、実は、ウォルマートという会社は、ヨーロッパへ行って牛乳とチーズの安売りで制裁金を食らったんですよ、課徴金といいますか。

 この今回の独禁法の中で、優越的な地位を利用したいわゆる不公正な取引について、今まで、警告はします、注意はしました、こういうふうに言われるんです。私たちがそれを指摘すると、いや、もう十分注意していますよと。注意したって直らない、これは法律として意味があるんですか。どういう意味でやっているのかわからない。だから、ここは課徴金をかける、制裁を加える、これをやらない限り、絶対にこの不公正な取引はいつまでも続いてしまうと思うんですが、委員長、どうですか。

竹島政府特別補佐人 確かに、厳しい経済情勢のもとで、いわゆる大規模小売業者、昔のようにスーパーとか百貨店だけじゃございません、ディスカウンターとかホームセンターとかいろいろございますが、それと納入業者の間の関係が大変厳しいものになって、今御指摘のような、我々からいうと立派に独占禁止法違反行為だというケースが多々見られます。したがって、私どもは、本年度においてもかなりの数の件数を正式に取り上げまして、排除措置を命じております。

 今、それに関連して、委員から、課徴金の対象にしなければこれはなかなか終わらぬではないかというお話がございました。確かに、それは議論の大事なポイントだと思っています。

 去年の臨時国会にお願い申し上げて継続審査になっている独禁法の改正法案でございますが、その作成過程においても、優越的地位の乱用でありますとか不当廉売について課徴金をかけるということについて検討したわけでございますが、残念ながら、構成要件というものをどうやって明確化できるのか、課徴金とする場合に、では幾ら取ればいいのか、その算定根拠をどうするかというようなことについていろいろ詰めなきゃならぬということで、見送らざるを得ないことになりました。

 これにつきましては、この継続審査になっております独占禁止法改正法案をぜひ一日も早く成立させていただきまして、その附則に掲げられておる、二年間のうちにそれ以外の課徴金のそもそものあり方だとか審判制度のあり方を検討することになっておりますが、それとあわせまして、優越的地位の乱用等の不公正な取引方法に対する課徴金を課すという問題について検討させていただきたい、こういうふうに思っております。

中山(義)委員 これは、もうはっきり今積極的な、目を見ればわかりますが、委員長、二年後は絶対課徴金を取る、そういう今の意思をしっかりあらわしたということでいいんですね。今言ったのは、そういう言い方でしたね。

竹島政府特別補佐人 これは、今の改正法案を成立させていただきましたら、内閣府にきちんとした検討の場を設けることになっております。二年間かけて、今申し上げた論点も含めて検討するということになっております。

 大変強い御意見があることは十分に前から承知しておりますので、そこでしっかりと議論していただく。それに基づいて法律改正ということになれば、国会に法律をお出しするというわけでございますので、それは国会の御判断ということになるわけでございます。

中山(義)委員 いや、今約束したということですね。あとはこっちが通せばいい、そういう話ですか。間違いないですね。

 それでは、よくわかりました。今の問題というのは、法律案の中にまだ課徴金というのは入っていないんですよ。要するに、法律の中で、罰則のない法律というのは、実際、なかなか効力を発揮しないというのが現実なわけですよ。そこで、私たちは、今言ったように、必ず罰則をかけてくれということを言っているわけでございまして、当然、ほかの公共事業や何かには課徴金をかけるわけですから、そういう面では、今の不当廉売でも必ずかかるというふうに考えていいわけですね。私たちはそういうふうに頭に入れましたし、約束したと思っていますから、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それからもう一つ、大店法の問題で、大きな店舗ができると商店街がおかしくなる、これは今までずっと言われ尽くしたことなんですが、五年前ぐらいに変えました。恐らく、ここにいる自民党の先生方も、あの大店法はちょっと変えなきゃまずいぞ、こう思っている方は多いと思うんですよ。だから、中小企業が同じように伍して、力でやっていくんだったらば、やはり大店法について、大臣もこの辺で少し考え方を示していただいて、今の中小企業を見るのに、本当に、アメリカの言うとおり、ああやってでかいのを持ってきて、自由競争で、弱肉強食でいいのかどうか、その辺の考え方を示してください。

中川国務大臣 平成十年から十二年にかけて、いわゆるまちづくり三法という法律で、あれはそもそもは規制緩和とかそういう流れではありますけれども、中心市街地、商店街を活性化させようという趣旨でやったわけでありますが、中山委員御指摘のように、全国どこへ行っても、商店街、駅前を含めてシャッター通りになっているということで、これは本当にどこへ行ってもそういう強い陳情を御地元の方からいただくわけであります。

 もちろん、モータリゼーションでありますとか少子高齢社会とかいろいろありますけれども、やはり、町の中心に人が集まるということのために、私は、商店街御自身ももっともっと知恵を絞り、いろいろな方の御意見のもと力を合わせてやっていただいて、我々がこの国会あるいはまた行政の場から全国一律に何十万もある商店街にこうしろと言ったって、そう簡単にうまくいくとは思いませんから、ぜひ御地元の力を大いに発揮していただきたいということが前提ではありますけれども、今のまちづくり三法については、私は見直しも含めて検討すべきだと思っております。

中山(義)委員 それでは、見直しをするというようなお話ですが、まちづくり三法も含めて大店法の問題を議論するということですね。

 私たちは、いつも大きな店舗と中小企業と見るんですが、大企業と中小企業というのは、競争して地元の知恵を出せとは言うけれども、例えば郊外型のものなんかはもうどうしようもないんですよ。それから、家電なんか見ていますと、本当に、三割、四割当たり前でしょう。うっかりすれば問屋さんから買うより安いんですから。こういうルートがある以上は、絶対に小売屋は勝てません。家電なんかどうやったって勝てない、今のままじゃ。

 これはやはり、さっき言った、優越的な地位を利用する、そういうところに課徴金をかけてもらうとか、いろいろなことをやってもらわない限り同じ土俵で相撲がとれない。これははっきり申し上げます。

 ですから、よく経済産業省の方も考えてもらいたいのは、いつも、地元も知恵を絞って、知恵を絞ってと言うんですよ。だったら、商店街に、先ほど言ったように、返済期間は倍に延ばす、こういうようなことをやはり言ってくれないと、知恵というよりも新しい発想で、何か新しいアイデアを出してくれなきゃ無理だ、このように思うわけでございます。

 あと時間が五分しかなくなりましたのですが、産業大臣、ちょっと今度、「もんじゅ」がいよいよということになりましたけれども、新聞によりますと、失われた十年と書いてあるわけですね。

 今までずっと、電力の中で、エネルギーというものを持続的に、また安定的に、そしてCO2を出さないということであると、端的に、普通に考えれば原子力発電ということになるわけですが、その原子力発電が何%ぐらいが適当なのか、または補う面で、天然ガスを使えばこのくらいCO2がなくなるとか、または、今、石油の問題もありますけれども、アジアで経済が爆発してくると、もっともっと石油の需要が多くなってくる、こういうことに関して、五年とか十年とか二十年とかそういうスパンで経済産業省が一つの方針を出すべきじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

中川国務大臣 日本は、もとよりいわゆる化石系の燃料をほとんど海外に依存しておりますので、そういう意味で、多種多様なエネルギー、もちろんこれは安全でコスト的にもペイするもので、そして国民的な理解もいただいてということでありますけれども、そういう意味で、昔の石炭、あるいはまた石油、天然ガス、これも限りのあるエネルギーでございますから、いわゆる新エネ、太陽光とか風力とか燃料電池、いろいろございますが、と同時に、中山委員御指摘のように、やはり「もんじゅ」も含めた原子力エネルギーというものは、安全と国民の御理解という大前提のもとでは、いろいろとメリットがある基幹エネルギーでございますので、今後とも、この原子力エネルギーというものを、先ほど申し上げた前提を置いてやっていくことが重要であるというふうに考えております。

 そこで、政府といたしましても、二〇三〇年を見据えたエネルギー供給構造というものの一つの目標を立てておりますが、原子力につきましては、これは一次エネルギーの中の構成比でありますけれども、原子力が、一九九〇年は一〇%、二〇〇〇年は一三%でしたが、二〇三〇年時点では一八%までやっていく。これは、石油、LPG等が相対的に減っていくであろうということが前提であります。

 ちなみに、発電に関しましても、原子力につきましては、二〇〇〇年で三四%であるものを二〇三〇年には四七%というふうに見通してやっていきたいと思っております。

中山(義)委員 原子力に関しましては、トイレなきマンションと言われてから久しいのですが、本当にどんどんプルトニウムができちゃう。しかし、その処分をどういうふうにしていくかという問題は、ずっと長く言われていたわけですね。その際に、「もんじゅ」がどういう関係、どういう位置にあるのか、ほとんどの国民の方がよくわからないと思うんですね。

 原子力という問題も、昔は、鉄腕アトムや何かがすごく飛び回っていて、原子力の世界というのは大変すばらしい世界だ、こういうふうに思っていて、多くの方がそういう学問をしたと思うんですね。しかし、原子力のすばらしさであるとかそういうものは、放射能ということから、または日本に原爆が落ちたということもあってだんだん忌み嫌われるようになってきて、何か原子力というのが、どっちかといえば学問的にもおくれてきたような気がするんです。

 私たちは、本当に、原子力が何%ぐらい今の日本のエネルギーの中で必要なのか、天然ガスがどのくらい必要なのか、石炭というものが今いろいろな意味で、中国や何かがどんどん経済が発展すれば、どういう形になっているのか、この辺は国民にはわかっていないと思うんですね。

 これから「もんじゅ」というものをもう一度何かしよう、一生懸命動かして働かせようと思うのであれば、原子力の重要性とかそういうものを、もっと経済産業省でまとめたものを出さなきゃいけないんじゃないかと思うんですよ。

 恐らく文科省でも、学校の生徒がぜひ原子力のことを勉強したい、原子力をやれば世界のCO2が減るんだ、京都議定書が守れるんだ、こういうような大きな希望を持って、それに対応できるようになれば、自分で、大学に入ったときはどうしても原子力をやる、こういう気持ちになると思うんですよ。しかし、今はそんなことにならないでしょう。何となく原子力が、失われた十年とか、記事を見ていても。

 その辺で、もうちょっと遠大な、理想的な、夢のある、十年から二十年、三十年ぐらい、長い目と短いところとしっかりしたものを出してもらいたいと思うんですが、再度、意欲を示してください。

中川国務大臣 短期的にはここ数年、去年の美浜三号の事故等を含めまして、原子力に関するいろいろな大小のトラブル、そして去年の美浜では五人の方が亡くなるというような、二次系ではございますけれども、原子力施設内でそういう事故があった。

 どちらかというと、我々としてはその後始末に奔走し、御地元の皆さんあるいは関係者の皆さん、原子力エネルギーを推進していただいております皆さん方に大変御迷惑をおかけし、私も、青森、新潟、福井等々に何回もお邪魔をして話し合いをし、また御理解をいただくべく努力をしなければいけなかったわけでありますが、これはこれとしてきちっとやっていかなければいけない。美浜の問題も、三月中には最終報告もきちっと出した上で、改めて判断をしていかなければならないと思います。

 それで御理解をいただいて、安全性をきちっと確保した上で、中山委員御指摘のように、安全性と御理解というものを前提にして、非常にクリーンで安価なエネルギーであり、それからサイクルとして長期間にわたって利用ができるというメリットもあるわけでございますので、何もエネルギーの大宗を原子力関係に依存するということではございませんで、冒頭申し上げたように、いろいろなポートフォリオの中の重要な基幹部分として、今後、中長期的な大事なエネルギー源として、何度も言いますが、安全と関係者の御理解というものを前提に推し進めていきたいというふうに考えております。

中山(義)委員 文科大臣もいるので、本当に原子力というものについて、先ほども、早くから学問をしない限りはなかなか興味がわかないわけですね。日本にとって基幹的なエネルギーとして相当大きな問題ですので、これから子供たちにも、昔我々が抱いたような原子力に対する思いといいますか、将来これがないとCO2がどんどん出て地球の環境が破壊されるんだとか、または「もんじゅ」というのはどういうものなのか、日本が先進諸国として一番原子力が進んでいるとか、いろいろそういう面でも教育機関もしっかり先導役を果たしていただきたい、このように思います。

 それから外務大臣、済みません、質問する予定だったんですけれども。

 僕が言った意見は、何でもかんでも日米構造協議で、それから年次改革要望書で、アメリカの言いなりになっているのではないかと。この間、我が同僚議員から質問があったときに、最近は全然内政干渉なんというのは日本人は思っていないというようなことを言いましたけれども、我々は内政干渉しているというふうに思っているんですよ。余りにもアメリカが日本に手を突っ込んで、自由経済、市場経済、何でもかんでも自由にする。

 だから、ライブドアの問題じゃないですけれども、お金があれば何でもなるというような感じも見えないわけじゃないんですよ。会社というのは、大体、その会社が生まれてから会社に愛着を持って一生懸命やっている人たちもいるわけですよ。ですから、ああいうような合併じゃなくて、お互いに経営者で話し合って、しっかりお互いに認知し合ってから合併するならわかりますけれども、ああやって入ってきて株でぱんとやって持っていっちゃうというのはひょっとしたらアメリカ的なのかな、こう思ったので、我々は、大臣の言った、内政干渉なんかじゃない、地元の人は、または一般の人も絶対そういうことは思わないと言ったけれども、思っている人もいるという指摘をして、私の質問を終わります。

甘利委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。

 次に、大谷信盛君。

大谷委員 民主党・無所属クラブの大谷信盛でございます。外交の課題について御質問をさせていただきます。

 特にテーマは、ソフトパワー、パブリックディプロマシーと言われるような概念の中で、どのような取り組みをしているのか。二つ目が、今、少し私にとっては唐突に感じておりますが、東アジア共同体というような言葉が今回総理の所信表明演説でも使われましたが、いかがなもので、何を国益として何をどうやって守ろうとしているのかということ。そして三つ目が、FTA、EPAの課題の中で、今二つ目のメキシコとの条約が終わって、三つ目はフィリピンとのFTA、EPAになるのかなというふうに思っておりますが、進捗状況というより、どのような戦略、どのような中長期ビジョンを描いて今取り組みをされているのか、各省庁との連携はうまいこといっているのか、そのような観点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 今さら私からソフトパワーの概念を云々かんぬん言う気はございませんが、大臣にお聞きしますが、今、外務省の中でどのような重要度でもってソフトパワーの拡大、特に科学技術や文化芸術それから理念、哲学というような分野が挙げられると思いますけれども、特に文化を戦略的に発信していくというような観点から、どのような取り組みをされているのか、全般的なものからまず教えていただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 大谷委員にお答え申し上げます。

 ソフトパワーという言葉自身は、ジョセフ・ナイ教授が使われたということですっかり有名になった言葉かと思います。日本の外務省用語でいいますと文化交流というようなことで、外務省設置法を見ましても四つの柱がある。安全保障、対外経済関係、経済協力そして文化交流、この四本柱の一つが文化交流、法律上の位置づけはそういうことになっているわけでございます。

 そういうことはさておきましても、やはり今これだけグローバル化が進み、また情報化社会がどんどん進むという中にあって、昔は外交というともう単純に国対国、政府対政府という非常にシンプルな姿であった、今は政府対市民あるいは市民対市民というような交流というものがどんどんふえている、これはもう極めて自然の流れであろうと思います。

 そういう中にあって、日本というものの理解を深める、日本のすばらしさを知ってもらう、日本の国の持つ広い意味のソフトパワーというものを諸外国に伝えることによりまして、やはり日本というのはいい国だ、信頼できる国だ、こういう国と一緒にいろいろ仕事をしてみたいという日本のトータルのイメージを向上させていくということは、私は、これからますます今まで以上に非常に重要な外交の課題になってくるだろう、こう思っております。

 そういう意味で、私ども、この後御指摘をいただくんでしょうが、十分であるかどうか、いろいろ反省もしておりますけれども、今後大いに力を入れていかなければならない分野である、こういう位置づけで取り組み始めている、取り組んでいるところでございます。

大谷委員 四つのこれからの日本外交の柱の中の一本であるということの答弁でございましたが、そんな中、では、中長期的に日本のファンをふやしていって一般的外交目的を達成しやすくするとともに、特定の外交目的を達成しやすくしていくという相互関係にあるんだというふうに思いますが、どんな手段を用いて、どんな目的を果たそうとしているのか。

 例えば、イギリスやフランス、ドイツなんかを見てみますと、フランスなんかは、多様な文化を保障せよというような言葉を使って、自国のフランス語というものが世界に普及するような方法をとっている。また、ドイツなんかは、留学生を多くふやすことによってドイツ語というものを十分これからも国際語として使っていける、そんな意図を持って目的を設定し、最適な手段、すなわちは目標を達成するにおいて非常に効果的な手段を選び抜いた上で実行している、そんな戦略性を感じるんですが、我が国においてはいかがなものなんでしょうか、町村外務大臣。

町村国務大臣 どういうソフトパワーが日本にあるんだろうか、これはみずから言わなきゃいけないんですが、たまたま今ジョセフ・ナイ教授の話をしてしまったものですから、彼の分析によりますと、アメリカに次ぐソフトパワーの保持者は欧州と日本である、やはりアメリカが一番だ、こう言っているんですね。

 日本の場合はというと、アジアの中で圧倒的なソフトパワーを有する。特許の数世界一、RアンドDの対GDP比第三位、航空機による旅行第三位、書籍、音楽販売第二位、インターネット第二位、ハイテク輸出第二位、開発援助額第一位、最近はちょっとこれが二位になっていますが、長寿が一位。経済困難にもかかわらず文化の魅力で世界に名をはせている、大江健三郎、村上春樹、黒澤明、禅などの精神文化と。外国の方から見ると、そういうあたりが日本のいわば文化的な力ということになっているんだろうと思います。

 これは私は別に否定すべくもないし、どうも日本の文化というと伝統文化に目が行きます。これはこれでもちろんあるんですが、昨今は、ちょっと出ておりましたアニメであるとかポップアートでありますとか、あるいはバレエといったような舞台芸術、それぞれで世界に冠たるアーティストがあらわれているというようなことなんだろうと思います。そういう意味では、なかなかこの分野に絞ってということにはなっていないのかなと思います。したがって、幅広くやっていこうと。

 それからもう一つは、文化そのものに対する政府と民間の役割分担の違いというんでしょうか、それがやはり国によって大分違いがある。ヨーロッパはかなり国を挙げて文化を振興する。丸抱えというと言い過ぎですが、非常に国が文化の面でお金を出す。これは対外発信のみならず、国内的にもそうだと思います。逆にアメリカは、文化の面のいろいろな支出というものは余り官が口を出すべき分野ではない、基本的にそれは民が全部やるべきだ、どちらかというと、よりコマーシャライズされた形での文化というものにある。日本はいわばその中間にあるのかな、こういう感じがしております。

 したがって、私どもは、そういう中にあって、全部丸抱えというわけでもない、全部民間に任せるわけでもない、やはりそのベストミックスというものを考えながらやっていくというのが物の考え方かなと思います。

 先ほどお話の出たイギリスあるいはフランス、特に私も、十年ほど前、議員になってしばらくしてからですが、フランスのアリアンスフランセーズという本部に、実はパリで行ったことがあるんです。百年以上の歴史を持つ、一八八〇年代にできて、それはやはりフランスの文化、なかんずくフランスの言語を世界じゅうに広めようという目的を持って、物すごく数多く、ほぼすべての国に、アリアンスフランセーズの支部といいましょうか、現地化している法人もあるんでしょうが、そういうものでやっていく。これは明らかに、フランスのパワーの源は文化にあるということを明確に意識して、もう百年以上前からそういう活動をしている。

 大変なものだと思って私は感心をした記憶がありますが、なかなか日本の場合は、そういう意味で、どこのということを特定するのは難しいんですが、いろいろな分野で日本のよさというものを知ってもらおう、そういう活動を今やっているということかなと思います。

大谷委員 何を目的にというのには明確なお答えをいただけなかったんですけれども、ですからほかに例を出しますと、イギリスだとこんな言い方をしているんですよね。伝統と革新の両面を持った信頼できる国が英国なんだ、この一文をしっかりと諸外国の市民の皆さんに理解してもらうために努力をするというような、ちゃんと明文化された戦略というのがあるんですよ。

 ですので、そういうものがあるのかないのか、戦略があるのかないのかというのを一つお答えいただきたいのと、私の尊敬いたしますジョセフ・ナイ先生の文言が出てまいりましたので、一つだけ言わせていただいて、これも質問させていただきたいんですけれども、ジョセフ・ナイ先生はたしかこう結んでいるはずなんですよ。日本にはソフトパワーがある、しかしながら、そのソフトパワーを外交力として使っていくためには、アジア、特に中国等との歴史問題認識というものをしっかりとクリアして、信頼熟成をしていかなかったら、発揮できないよと言っているんですけれども、この信頼熟成、歴史問題認識も含めて、戦略に絡んでどう考えているのか、お答えいただけたらというふうに思います。

町村国務大臣 今言われました戦略があるのかないのか、十分練り上げられた戦略を持って今やっているというほど私は正直言って自信があるわけではございません。もっともっと練り上げ、検証をし、しっかり組み立てていかなければならないテーマであろうな、こう思っております。

 そんなこともあって、今、これは去年の十一月でしたでしょうか、総理のもとに一つの懇談会をつくりまして、そこでそうした国際文化交流のあり方についての、急にこの戦略が素早く直ちにできるとも思いません、そういう方々の、有識者の方々の御議論もいただきながら、その辺を練り上げていこうと。ただ、文化外交の目標というものは、先ほど委員もちょっと言われましたように、日本が諸外国の国民からより関心を持たれ理解をされ、そして信頼をされ尊敬されることによって、日本にとってよりよい外交環境をつくっていくということであろうか、こう思っております。

 先ほど、ジョセフ・ナイ教授の日本のソフトパワーの限界ということで、確かに戦争の総括ができていないことという指摘があるのを私も資料で見ております。そのほかに、高齢化が急速に進んでいること、あるいは移民の制限があるということ、日本語というものがやはり難しくて、これがどうしても壁になってしまう、あるいは英語が余り上手でないといったようなことなどもあって、これらが日本のソフトパワー発揮の限界になっているなという御指摘がございます。

 戦争の総括ができているのかいないのか。日中韓でいまだにこうした議論があるということはよく承知の上での先生のお尋ねだろうと思います。私は、日本の中で、少なくとも法律的には戦争の総括というのはできていると思うのでありますが、それが諸外国、なかんずく、やはり戦争の被害を受けた国々との間で十分な理解に達するような総括ができているのか、これはなかなか難しいところがあろうかと思います。

 ただ、この歴史認識を、では国際的に、特に外国との間で統一したものが持てるのだろうか、率直に言って、これはなかなか難しいことがあろうかと思うんです。一つの事象を見ても、国内でも歴史の事象について共通の理解を得るということが難しいのは、洋の東西を問わずでございますから、これはなかなか容易ではないなと思います。ただ、現実にそれが日本のソフトパワーの限界になっている、その一つの要因であるということは、これはもう否定すべくもない事実だろう、私もそう思っております。

大谷委員 十分な説明なく我が国の総理が特定の神社に参拝に行くとかというようなことが、きっと説明がちゃんとできればまた変わってくるというふうに思うんですけれども、そんなふだんの政治の活動の中でしっかりと説明をしていくことがまず大事なのかなというふうに思っています。

 それで、戦略の話に戻りますけれども、これは日本の国際交流基金、ジャパンファウンデーションから出ているんですけれども「イギリスにおけるパブリックディプロマシー」、すなわちイギリスがどうやってソフトパワーを高めているかというのを見ますと、戦略という概念が西欧諸国には強いのかもしれませんけれども、しっかり出ているんですよね。

 ブリティッシュカウンシル、日本でいうところのジャパンファウンデーションに該当するような団体だというふうに思いますけれども、はっきり二〇〇五年の戦略とあって、若年層を中心にしていきますよ、イギリスが好意的な印象を受けるために、特に専門職や大学院の方々、将来的には政策意思決定過程の意思決定者になるような予備軍の方々をねらって、イギリスのいいイメージを発信していきますよ、そこぐらいまで書いてあるわけですよね。ぜひともそういう戦略性を持った行政というか政策をつくり、施行していただきたいというふうに思っております。

 四つの柱の一つがソフトパワー、これから文化を中心とする日本の魅力発展だという話がありましたけれども、一体予算というのはどれぐらい使っているのかというので見てみますと、来年度、全部で、広報文化交流部全体で二百八十四億円なんですよ。うち、ジャパンファウンデーション、イギリスでいうところのブリティッシュカウンシルみたいな役割を果たしているところに百三十七億円行く。四八%、半分ぐらいがその交流基金に行くということになっているんですね。

 さて、これが適当か、多いか少ないかという問題なんですけれども、その議論を論じる前に、大臣、このソフトパワー、特に文化交流外交をつかさどる外務省の中の広報文化交流部というのがいつできたか御存じですか。

町村国務大臣 外務省改革の一環で、昨年の八月に組織がえをしたところでございます。

大谷委員 結構驚きませんか。四つの柱の一つだと言っていて、去年の八月にやっとできたというのが私の印象でございます。

 では、今まで何もやっていなかったのかといったら、やっていないことはないというふうに思います。ただ、言いたいことは、大事だ大事だと言っておきながら、なかなかその組織や人材を上手に活用するだとかということができていないんじゃないのかなという印象を強く受けます。多分、このソフトパワーにかかわるところだけではなくして、ほかの部署でもそうじゃないかなというふうに思っています。大臣におかれましては、これからしっかりと人材を求められる部署をつくって活用していく、そんな臨機応変な改革もぜひともしていただきたいというふうに思っております。

 それで、予算に入るんですけれども、この二百八十四億円、多いか少ないか。ほかのヨーロッパ先進国を調べて、のぞいてみますと、大体半分から三分の一なんですよ、日本が。イギリスですと大体七百十三億円。それから、フランスですと千二百億円ぐらい、これはちょっとかぶっているところもありますけれども。それから、ドイツですと大体六百五十四億円。まさに日本の二倍、三倍弱というお金をこの広報文化交流ということに使っているわけなんですよね。

 それで、ここで僕は驚いたんですけれども、イギリス、フランス、ドイツ、みんな、過去、去年、おととしと見ますと、どんどん予算が上がっているわけなんですよ。例えばイギリスですと、去年が大体八百七十七億円ぐらいあったんですね。これがどんと下がったり上がったりしているのは、ブリティッシュカウンシルの分担金等々という問題があるんですけれども、大体ブリティッシュカウンシルで年間三%ぐらいイギリスでは上がっている。

 我が国の場合は、今見てみますと、去年が三百三億円、二〇〇一年が三百三十四億円なんですよ。すなわち、四つの柱の一つだ、大事だと言いながら、予算的に見ると下がってきているんですよ。確かに、財政改革の中、それなりに予算を削っていかなきゃいけないんでしょうけれども、四つの柱の一つだと言っていて、これが減っているようじゃ、まさに言っていることとやっていることが全然違うんじゃないですかという指摘ができると思うんですけれども、その辺をどのようにお受けとめいただいているんでしょうか。

町村国務大臣 先ほど、昨年八月に発足したのは広報文化交流部でございますが、それ以前は文化交流部という形でずっとやっておりましたので、新たに文化交流を昨年の八月から始めたというわけではございませんので、それは念のために申し上げておきます。

 予算の面、確かにこれは、後ろに座っておられる谷垣大臣を前にして、はっきり申し上げれば、それは日本の財政にもうちょっとゆとりがあれば、文化に理解の深い谷垣大臣が、さらに寛大なるお気持ちでこの国際文化交流予算をきっとふやしていただけたんだろう、こう思いますが、今の、現下の日本の置かれた状況の中では、私ども、これで最大限のものなんだろうと思っております。

 それは、多々ますます弁ずという思いは非常に強うございますし、特にこの国際交流基金、非常に重要な活動をやっております。昔、小さくともきらりと光るという表現をされた議員もいらっしゃいましたが、国際交流基金、私は、小さくともきらりと光る、非常に意味のある活動をやっている。本当にもっと予算を、ブリティッシュカウンシルであるとかアリアンスフランセーズといったもののようにふやしていきたいという思いはやまやまあるわけでございますが、日本全体の財政のこともやはり少しは考えないといけないということでこういう姿になっております。

 今後、限られた予算ではございますが、できる限りこれをふやしていくような努力をしていきたいなと思っているところであります。

大谷委員 谷垣財務大臣、量の問題じゃなくて質の問題ですから、これから求められるところに多く負担をしていくという、効率的というのか、質を高めるような予算配分を外務省がしていくならば、ぜひともしっかりとそのとおりだなと精査していただけたらというふうに思いますし、そんな四つの柱なんですから、これはぜひともこれからふやしていかないといけないというふうに僕は思っていますので、そこのところをこれから、来年、再来年、国会議員をさせていただいている限り、しっかりと検証していきたいというふうに思っています。

 それともう一つ、今回この調べ物をさせていただいて驚いたのは、とにかくアジアが日本をどう思っているのか、対日意識、認知度、好感度というのは、当然ながら、これからソフトパワー、パブリックディプロマシーをやっていく上で必要な数値、座標となりますよね。ですから、過去五年、十年、過去二十年のアジア、国でいうならば、タイ、マレーシア、ベトナム、カンボジアは当時、十年前には多分世論調査なんかできなかったでしょうから、その東南アジアの重立った国々の対日意識の流れを調べたいので資料をいただけますかと言ったら、なかったんですよ。毎年定期的に調べているのはアメリカだけで、アジアの国々を定期的に調べている世論調査というのはなかったんですよ。私は、四つの柱だとかアジアはこれから大事だとか言っておきながら、やっていることとお金の使い方が全然違うじゃないかというふうに驚きました。

 今、直近のものでいうならば、平成十四年十一月に外務省海外広報課が出したASEAN諸国における対日世論調査というのがあります。これを見ると、本当におもしろい数値がいっぱい載っています。しかしながら、世論調査というのは、御存じのとおりスナップ写真なんですよね。そのときは右に向いていたけれども、次の瞬間には左に向いて進んでいったかもしれないんですよ。やはりこれは定期的にやらないと、どういう動向で日本への意識が持たれているか、動いているかというのはわからないわけなんです。

 これを見ますと、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、どの国に親しみを感じますかといったら、国によっては日本に五人に三人ぐらいは関心を持っているけれども、同じ東南アジアの隣接する国で日本には一五%ぐらいの人しか関心を持っていない国もあるわけなんですよ。また、日本の技術に関心がありますかといったら、ある国は五%ぐらい、ある国は六割ぐらい持っている。だけれども、日本の芸術文化に関心がありますかといったら、どこの東南アジアの国も、この調査によると、四人に一人は間違いなく関心を持っていると出ているわけなんですよ。

 では、その芸術文化とは何なのか。能なのか、歌舞伎なのか、それともポップカルチャーに代表されるようなポケモンのアニメのことを言っているのか、映画のことを言っているのかといったらわからないんです。そういうのを詳しく調べていってこそ、戦略性のあるパブリックディプロマシーというのは展開できると思うんですよ。

 それで、来年、この対日意識調査に幾ら予算がついていると思われますか。二千七百万円、たったの二千七百万円しかついていないんですよ。今までなかったので、これからは毎年やっていきたいという思いが担当者の方にはきっとあるんだというふうには思いますけれども、二千七百万円ですよ。選挙区の世論調査をして大体幾らになるかというような観点からいっても、これは、字を読める人読めない人というのがアジアにはまだ多くおられますから、字を読める人だけを見つけて世論調査をする。街角を歩いてどこでも世論調査をするというわけにはいかなかったりするわけですね。教養の層に分けて世論調査をしたりしますから、同じサンプル五百、八百とるとしても、コストがかかります。調べに行く人を育てなければなりません。二千七百万円で何ができるんですか。

 これは、まだ予算は三月終わりまで議論できるんですから、思い切り増すなりなんなりちょっと考えた方がいいんじゃないですか。これはまさに、四つの柱の一つだ、アジア外交が大事だと言っておきながら、言っていることとやっていることが全然違う典型的な例だというふうに思いますけれども、いかがお感じでございましょうか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、世論調査によりまして、その相手国の国民の関心がどこにあるか、日本をどう見ているかということを探ることは非常に重要だと思っております。したがいまして、従来アメリカは毎年やってまいりましたが、それ以外の地域につきましても、できるだけ定期的に、定点観測という意味で定期的に調査をしていくべく、今準備をしております。

 コストにつきましては、途上国は比較的安いコストでできますので、現在の予算の中で、これまで以上の効率のよい調査をすることによって相手国の状況を知ることは可能であると考えております。

大谷委員 谷垣大臣に質問をしてよろしいんでしょうか。

 これは今、この議論の経過を見ておいていただいて、二千七百万円で対日意識調査は細かく分析できるような金額じゃないと僕は感じているんですけれども、谷垣大臣はどのようにお感じになられますか。

谷垣国務大臣 私、今のこの予算が具体的にどういうふうに査定をしてでき上がってきたのか、事前に御通告をいただければ私なりに勉強してまいりましたが、ちょっと今申し上げにくいです。

 ただ、できるだけ予算の質を高めていく。ことしこういう予算をつくりました、そしてその実効性あるいは効率性、どれだけ効果があったとかということももう一回レビューしながら、これは当然外務省にもやっていただかなきゃなりません、また来年どうしていくか。そういう質を高める努力は私どももいたしたいと思っております。

大谷委員 ここまできたらやはり、町村外務大臣、コメントをこの問題についていただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 個々の予算の項目をとれば、それは一つ一つ、十分であるか不十分であるか、必ず議論があろうかと思います。

 私どもとしては、この二千七百万をいかに有効に使うか、先ほど部長が答弁をいたしましたが、そういう観点で、限られた予算をできるだけ有効に活用し、かつ、委員おっしゃったように、確かに定点観測という意識といいましょうか、そういうとらえ方というのは非常に重要だ、こう思いますので、そういう今いただいた御示唆も大いに踏まえながら有効に活用していきたい、かように考えております。

大谷委員 フォーカスグループという世論調査の方法がございますけれども、例えば僕が今やりたいのは、十人ぐらいの中国の十代の男の子と女の子、それも所得の層、十代で学歴云々はないでしょうけれども、いろいろな人が集まって二、三時間話をしてもらって、それで日本に対してどんな意識を持っているかというようなことをやっていく。そんな分析とかがあってこそ、初めてしっかりとした戦略ができるのだというふうに思っています。

 二千七百万円を上手に使うのは当たり前のことでありまして、このパブリックディプロマシーという、ソフトパワーを拡大するという戦略に沿って、必要な調査であるならばどんどんやらなかったら、外務大臣のリーダーシップがないということになりますよ。人材は幾らでもいるんですよ。その人たちをしっかり活用し、それを国会に見せて、さらに議論をして深めていくという橋渡し役をするのが外務大臣の仕事だというふうに思いますので、しっかりとリーダーシップを果たしていただきたいと思います。丸投げ外務大臣と言われるようなことだけはないようにお願いしたいというふうに思っております。

 それで、次に、文化庁に御質問をさせていただきたいと思います。

 文化庁がそれなりに伝統芸能を中心として日本の文化をしっかり守り育てていくという役割を果たしているんですけれども、その中でソフトパワーの拡大というような意識、概念はお持ちなのでしょうか。そんな質問からまずさせていただきます。

中山国務大臣 お答えをいたします。

 ソフトパワー、日本人の生活様式から始まりまして、文化、芸術、あるいは精神のありようまで含めて、日本人のソフトパワー、これを高めていくということは、二十一世紀の国際社会において極めて重要なことであるというふうに考えているわけでございます。

 そのことが国際社会におきます日本の存在というものを大きくするということもありますし、相互の交流によってまた世界の中で日本人が、あるいは日本が、日本に対する理解がうんと深まっていくという意味で大変大事なことでありまして、文化庁といたしましても一生懸命力を入れているところでございます。

大谷委員 ソフトパワーのつくような事業が何かありますかと調べてみますと、平成十七年度の予算の中に、「日本文化の魅力」発見・発信プランというのがついているんですね。これは何かというと、我が国の魅力ある文化を海外に発信し、相手国を引きつける能力、ソフトパワーをさらに強化するため、アニメ、漫画という大衆文化を通じたワークショップ、人材育成をやっていきたいという内容の事業なんですけれども、予算が二千万円なんですよ。

 これを、多い少ないは今言いませんけれども、この事業の目的が何で、どういう人をターゲットにして、どういう結果を得るためにこれが出てきたのか。要するに、このプランが出てきた背景というか戦略性というか、企画のねらいというようなものをぜひ教えてほしいと思っています。

中山国務大臣 今御指摘がありましたように、平成十七年度から新たに、ソフトパワーを強化するために、アニメ、漫画等のメディア芸術分野で諸外国の芸術家等とのワークショップやコンテンツの共同制作などを支援する事業を計上しているところでございます。

 まさに、日本のこれから世界に発信すべきものは何かというふうなことを考えた場合に、今非常に世界的にも評判でありますけれども、アニメとか漫画とか、そういったものを含めて日本のよさというものを世界に発信していこう、そういう観点から、金額は少ないといえば少ないかもしれませんが、最初はそういうものだろうと思うわけでございまして、効果的に使いながら、本当に、日本を売り込んでいくという先兵として、私は役割を期待しているところでございます。

大谷委員 多い少ないじゃなくて始まりだという答弁だったので、しっかりと、千里の道も一歩からというふうに言いますから、しっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、視点を変えて質問させていただきたいんですけれども、文化庁さんの事業の中で、ソフトパワーという関連の中、何か外務省さんとこうやって連携というか、一緒に、あわせ持って事業に取り組んでいくというようなことがあったのか、これから、来年起こりそうなのか、そんな発想があるのかというようなことをぜひ教えてほしいと思います。

中山国務大臣 国際的な文化交流というのは、国のレベルあるいは地方公共団体、民間等さまざまなレベルで連携しながらやっているわけでございまして、外務省を初め関係省庁とも、それぞれの政策目的を踏まえながら、情報を共有しながら、連携協力して総合的に国際文化交流に係る施策を進めていくことが必要であると考えております。

 従来から、国際文化交流を実施するに当たりましては、例えば国際交流年における文化交流事業の共催や関係事業の連携実施、平成十七年は日韓友情年及び日EU市民交流年でもあるわけでございます。あるいは、これは国際交流基金が中心でございますけれども、海外公演等を行います文化芸術団体に対する連携支援とか、さらに在外公館の協力や専門的な助言を受けた国際交流事業の実施、これは国際文化フォーラム等でございますが、こういった国際文化交流の実施に当たりましては、外務省との連携を強めながらやっているところでございます。

町村国務大臣 実は数年前、私、文部大臣をやっておりました。そして、そのとき日本語の普及というものを、先ほどアリアンスフランセーズの話もありましたが、これを何とかやりたいものだと思って文化庁を考えたんですが、その後、私、外務政務次官を仰せつかりまして、文化交流部と文化庁と一緒に会議をやるようになり、どういうテキスト、教科書ですね、テキストをつくったらいいか、どういう教え方をしたらいいか、どういう場所で実際に講習をやったらどうかということで共同プロジェクトを始めて、今、それらが実際動いております。

 文部省でいいますとたしか国語研究所だったと思いますし、こちらでいうと今国際交流基金、一緒になって、それぞれ手分けをしながらですが、トータルとして、日本全体で日本語を普及できるようにということで、数年前からかなり密接な連携を保ちながらやっている。

 あるいは、外国の言語を日本に持ってくるということで、例えばJETプログラムというのが御承知のとおりあります。これなども、これは日本語の普及ではなくて、外国語の日本における普及という意味で、これも両省協力しながらやっているというようなことで、不十分かもしれませんが、結構意識してそこは一緒にやっているつもりであります。

大谷委員 なるほど、リーダーの個人的な経歴やネットワークを通じての連携というのがあるのだなというのはわかりました。しかしながら、組織立って、機関立ったような連携というものが必要だというふうに思っております、これは後でまた議論させていただこうとは思っておりますけれども。

 文化庁の施策の中でもう一つだけ聞きたいんですけれども、これは、海外に日本の伝統文化それから大衆文化を含めて発信していくというだけではなく、パブリックディプロマシーというのは、ジョージ・ケナンさんが九七年、フォーリン・アフェアーズの論文でも言っているように、外交官なき外交みたいな時代になってきたからこそパブリックディプロマシーみたいなことが言われているわけでありまして、これからたくさん海外に行くのが多いわけですよね。たくさんの外国人が日本にこれから、留学だの、旅行だの、そしてお仕事だというようなことで入ってくるわけですよね。そのとき、プロのアーティストだ、芸術家だという人に会うんじゃなくて、一日本人が、どれだけ文化力をその個人が身につけているかということが問われるんじゃないかなというふうに思っているんです。

 僕なんかが留学させてもらったときは、ちょっとだけ日本舞踊をかじったので、留学生ばかりのお祭りが学校であったら、着物を着て日本舞踊をやるわけですよ。そうすると、非常に喜んでいただいて、友達がふえる。何か自分でも日本を代表したかなみたいな気持ちになるわけなんですよ。そんな文化力を個人個人が身につけていくような施策をやっていかなければいけないというふうに思うんですが、それが文化庁なのか文部省なのか、そこはわからないところなんですけれども、そんな役割を文部大臣として果たしていくような気があるでしょうか。

 私、こんなことを聞いたんですよ。ある能のお家元さん、もちろんプロの方ですよ、文化庁さんに、もっと伝統芸能、本物の芸術、伝統というものに親しんでいただくために、人口の小さいところ、すなわちは歌舞伎だの能ができるような劇場のないところで簡単に劇場をつくって、能の一部の部分だけでも見せていただけるようなことをしてみたいなという提案をしに行ったら、ああ、それは国の仕事じゃありませんからと言われたらしいんですよ。まさに文化力を高めるという意識が足りないんじゃないのかなと思ってびっくりしたんですけれども、そんなエピソードも含めて、どんな意識があるか、ぜひともお示しくださいませ。

中山国務大臣 まさにおっしゃるように、トップレベルの文化人だけではなくて、私ども普通の国民が、やはり、芸術文化あるいは芸能も含めて、そういったものをたしなむことによりまして、全体として日本人のそういう文化力を高める、これはやはりすごいパワーになると思うんですね。

 そういう意味で、一般大衆に至るまでのいろいろな支援も実はしているわけでございまして、この間も私のところに中村吉右衛門さんが来られまして、歌舞伎について、東京でやっているんだけれども、ぜひ大阪の方でもやりたいので、その予算を何とかなりませんか、こういう話がありましたものですから、承りました、ぜひそっちの方も御支援するように考えましょう、実はこういうふうにお話ししたんですけれども、ああいった本当に一流の方が、そういう地方にまで行かれて一般の方々に、本当に一部でもいいけれども、そういった鑑賞の機会を提供するというふうなことはとても大事なことだろう、こう思うわけでございます。

 もちろん、今でも全国に五カ所、国立劇場が設置されているわけでございまして、そういったところも活用しなければいけませんが、やはり地域の細かなところまで出ていって何かできるような、そういったことについても、これは文部科学省、文化庁あわせて支援していきたい、このように考えております。

大谷委員 ぜひとも一人一人の文化力が高まるように工夫をしていただきたいというふうに思いますし、これまたずっと年々検証させていただきたいというふうに思います。

 ちょっと問題が移りまして、東アジア共同体という構想について質問をさせていただきたいというふうに思います。もちろん外務大臣でございます。

 二〇〇二年のころ、小泉総理は、東アジア拡大コミュニティー構想とかといって、拡大という文字が入っていたんです。それで、最近はその真ん中ぐらいで、東アジア・コミュニティー。今、東アジア共同体。いや、コミュニティーを日本語に直したら共同体だから、何も言っていることは一緒だよといいますけれども、この拡大がとれちゃったというのは一体何なのかなというふうに思っています。

 それで、東アジア共同体というと、ここにいるみんながそうだと思うんですけれども、ああ、ヨーロッパのEUのようなものをつくろうとしているのかとか、いや、ただ経済面において、人、金、物ぐらいの部分で自由に行き来できる、障壁を少なくしたような地域のことを言っているのか、もしくは、アメリカやヨーロッパというのを排他的にする経済地域主義のことを言っているのか、非常にまだ説明が足りていないというような気がするんですけれども、どんなイメージを持って、何をしようとしているのか、そのときの国益が一体何なのか。

 本年十二月にはマレーシアで東アジア・サミットというのが開かれますけれども、そこで何なりの提言というものを多分この構想に対してすると思うんですけれども、一体どんなもので何をしようとしているのか、御定義いただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 お答えいたします。

 小泉総理の発言がございましたけれども、二〇〇二年の一月にいわゆるシンガポール・スピーチというものを行いまして、ともに歩みともに進むコミュニティーの構築を目指すということから、拡大しつつある東アジア地域協力を通じてこうしたものを進めていこうということであって、東アジア拡大コミュニティーという、単語的には余り使っていないように思います。

 そして、それから一年余を経て二〇〇三年十二月には、日・ASEAN東京宣言の中には東アジア・コミュニティー、東アジア共同体という言葉を使っております。

 ここで意図しているところの違いは、私は率直に言って、総理自身の頭の中にはそう違いはない、こう思っております。共同体というと、まさにECあるいはEUということがどうしても対比をされて議論されるわけであります。これから何年たつか、何十年たつか、それはいずれの日にかそういう姿になるかもしれない。しかし、今そこまでの、一挙に、理想の姿を描いて、あるいは到達すべき姿を描いて、それに向けてという形にはまだなっておりません。それぞれの国がそれぞれのイメージを持っているというのが率直に言って今の姿だろう、こう思っております。

 したがいまして、特に東アジア地域、もう委員御承知のとおり、民族も非常に数が多い、宗教も違う、経済発展段階も違う。国によって、十億を超える民のいる中国から、それこそ数百万という小さな国もある。あるいは国のイデオロギーも、やはり、中国共産党あるいは北朝鮮、労働党ですか、まさに共産主義というようなところから、いろいろあります。したがって、それらを現在のEUの姿のようなものに一遍に持っていくということは、それは望んでも不可能なことだろうと思います。

 ただ、現在、それでは何のためにこういうことを言っているのかといえば、やはりこの地域が繁栄している、発展をしている、そしてより一層相互の結びつきを強めていこうという意味で、現在のところは経済の分野にかなり重点を置いて、経済連携協定でありますとか、あるいは金融面でのつながりでありますとか、そういうことを中心に今やっております。

 もちろん、それを超える、国境を越える問題もアジアの中で、例えばマラッカ海峡の例の海賊の問題というようなことがあったり、あるいは麻薬の問題があったりする。こういうことはこの地域の大きな課題としても取り上げておりますが、主として経済問題、これらをどんどん深めていくことによって、だんだんいろいろなイメージが具体化してくるんだろう、こう思います。

 したがって、ことしの十二月、委員お触れになりました東アジア・サミット、十二月にマレーシアで開かれる予定でございますが、まだ参加する国はどこなのかということが実は確定をしておらないわけであります。一応だれしもが思うのは、ASEAN十カ国プラス日中韓三カ国の十三カ国、これがコアのメンバーであろう、中心メンバーであるということについての異論はないわけでありますが、それにさらにインドを加えたらどうか、オーストラリア、ニュージーランドはどうするのか、あるいはアメリカはというような議論がいろいろ、正直言ってございます。したがって、この辺が、まだこれから議論をしていく。

 あるいは、それならば、ASEANプラス3という今までの枠組みと今度の東アジア・サミットと、仮に国の数が同じだとすると、では機能は何が変わってくるんだろうか。この辺は正直言って、実は各国でこれも詰まっていないテーマでございまして、五月に京都でASEMの外相会談というのをやります。私がその会議の主宰をやることになっている、議長をやることになっておりますけれども、そこでもう少し頭の整理をだんだんやっていこうというのが現在の東アジア・サミットの現状であるということでございまして、なかなか、委員の明敏なる頭脳で、きちんとしたすばらしい絵が描かれて、それに向かって着々毎年進んでいくという形には、まだ現状、国際的なコンセンサスができていないというのが現在の姿でございます。

大谷委員 各国が違う東アジア共同体のイメージを持っているからこそ、日本は日本の国益をしっかり守るためのイニシアチブ、リーダーシップという言葉が正しいかどうかはわかりませんけれども、戦略性というかそういうような分析思考、視点というものを持って臨んでいくべきだというふうに指摘をさせていただきます。

 これに関連して、FTA、EPAに問題を移らせていただきたいというふうに思いますが、アメリカとのFTAを結ぶべきだというような有識者の発言等々を最近耳にするんですが、大臣はどのようにこれを考えておられるのですか。全体のFTA、EPAの戦略というものもかんがみて、どういう位置づけ、どういうイメージを持たれているのか、コメントをいただけたらと思います。

町村国務大臣 FTA、EPAにつきましては、実は、当初、かなり事実関係が先行してしまったのかなという感じがありました。そこで少し、関係省庁、日本政府全体で頭の整理をしようではないかということで、昨年の秋から冬にかけて大分議論をいたしました。昨年の十二月二十一日に経済連携促進関係閣僚会議というものを開きまして、これは前からあったんですが、それを開いて、その場で、今後の経済連携協定の推進についての基本方針というものを定めたわけでございます。

 多分、委員にもこれはお目通しをいただいているかと思いますけれども、基本的には、WTOを補完するものとして位置づけようではないか、そして日本の対外関係の発展や日本の経済的利益の確保に寄与する、あわせて、日本及び相手国の構造改革にも寄与するものであろうということ、そして特に、当面は東アジアを中心にやっていこうではないかということで、シンガポール、メキシコと終えて、何でメキシコが入ったのかという御批判はあるのかもしれませんが、現実が先行していたということも一つはあります。そして、現在、フィリピン、韓国、タイ、マレーシアと交渉しているというのがその姿でありますし、この春からはASEAN全体とのあれもやっていこう。それは、先ほど申し上げました、経済を中心とする東アジア共同体ということをかなり色濃く意識しながらこれを取り組んでいく。

 では、そういう位置づけの中で、アメリカはどうなのかという今お尋ねでございました。率直に言って、これはなかなか、いろいろな議論があり得まして、日本とアメリカが結ぶ、日本と例えばEUが結ぶ、EUと仮にアメリカが結ぶ、今いずれもないわけでありますが、そうなってくると、主要な世界の経済の七割、八割のものがそこでカバーされてきたときに、では、今やっているWTOというものが一体どういうことになるんだろうかなというような議論があります。

 さっき申し上げましたように、やはりWTOというのは、世界全体の国々を包含する、それも一つのルールでそれをやっていこうというWTOというものがベースにあっていい、私はこう思っておりますから、そこで日米あるいは日・EUというものまでいってしまうと、ちょっとWTOとの関係が、どうも頭の整理がうまくできないなということもあります。

 現実に、日本とアメリカ、このEPAあるいはFTAというものがあるとないとにかかわらず、これだけの経済関係が既にでき上がってきておりますから、あえてそれを今つくらなければ非常に何か日本が困るとか、日本の経済活動に影響が出るということでも必ずしもないのではないかということで、今、日米間でそれを真剣に議論しているということはございません。

大谷委員 わかりました。

 時間がなくなってきたので、矢継ぎ早にFTAに関する問題点を指摘させていただいて、各大臣からお答えいただきたいというふうに思っています。

 FTA、EPAを進めていくにおいて、戦略的視点、そして国内改革も伴うようなEPA、FTAと今町村大臣おっしゃいましたけれども、まさに改革を伴いますから、それなりに調整する機能のあるようなものが内閣に、官房に必要なのかなというふうに思っています。

 一つ質問しますと、オーストラリアとのFTAというのは一体どうなっているのかというのも、これは町村外務大臣、教えていただきたいんですけれども、私、非常に懸念しておりますのは、多分、今言った東アジアということでいえば、これはアジアでもあるわけなんですよ。なおかつ、日本の石炭輸入の六割ぐらいがオーストラリアから来ているわけですよね。

 今、御存じのとおり、中国がエネルギー需要が非常に大きくなってきまして、どんどんオーストラリアにも石炭を買いに行っているわけなんですよ。日本は、十年、長期契約でオーストラリアと石炭買いますよとやっていますけれども、値段は毎年上がったり下がったりするわけですよね。

 これは、中国とオーストラリアのFTA、日本とオーストラリアのFTAがおくれたり云々するようなことになりますと、今売り手市場であるこの石炭という産物は、多分どんどん、中国の方が高く買ってくれるんだからということで値段が上がっていったりする可能性があるわけなんですよ。まさに、日本のエネルギー政策において、コスト高、そしてアクセスが細っていくというようなことが発生してくるのがFTAでもEPAでもある。日本だけのEPAじゃないですよ。各国がEPAのバイの関係を結んでいく、その複雑なラインの中で、エネルギーにさえも日本に支障を来してしまうようなことがある。

 だから、外務省だけじゃなくて、大きな視点で戦略、シミュレーションをしていくような機関が必要じゃないかなというふうに思っています。そんな観点から、オーストラリアをどうするのか。

 それからもう一つは、このFTAの中で、人の移動というのが大切になってきますが、フィリピンでは、看護師さんというものになります。これは一体、法務省がこれからの人の出入りというものをどう考えているのかという指針を法務大臣に教えてほしいんですけれども、言われたからちょろちょろ入れるのか、いや、日本はアジアの中の一員としてしっかりとオープンにしていきますよ、ただ、だれでもかれでも来るというわけじゃなくて、専門職の方々とか技術職の方々というような方には幾らでも来ていただきますよという姿勢なのか、どっちなのかというのをはっきりと見せていただきたいということ。

 例えば、そうなってくると、どんな資格でも結構ですが、厚生労働関係の資格、看護師さんであったりとかするような、医者もそうですよね、相互的に、向こうとこっちの共通した資格制度みたいなものをつくっていったらいいじゃないかというふうに思うんですけれども、これは外務省がやるのか、厚生労働省がやるのか、一体どこがやるのかというと、全く、両方でもないし、事務方の方に聞きますと、うちじゃない、うちじゃないと僕は答えをされたんですよね。まさに、どっちがそれに責任を持ってやるのかというのが明確じゃないんですよ。こういう問題がいっぱいFTAを進めていく上において出てくるんですから、何か大きなこういう部署をつくらなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 オーストラリアのことを町村大臣に、それから人の移動について法務大臣に、最後に官房長官にそんな大きなものをつくっていく必要があるのかないのかということを、続けて御答弁いただけたらというふうに思いますが、よろしいでしょうか、委員長。

町村国務大臣 オーストラリアについてのお尋ねでございますが、原材料の確保というのは、先ほど申し上げました基本方針の中でも、一つの大きなきっかけといいましょうか、要素として当然考えるべきことということで位置づけております。中国とオーストラリアのFTAは、この四月から交渉を始めるということで、現状はございません。ございませんけれども、どんどん買い付けようということで値段が現実に上がっているという実態も委員御指摘のとおりでございます。

 では、日本とオーストラリアのFTA、どうするのかというお尋ねでございました。

 二〇〇三年の七月に、オーストラリアのハワード首相が日本に来られまして、その際合意した日豪貿易経済枠組みというのがございまして、そのもとで共同研究をやっております。ただ、これはFTA締結を前提にしたものではなくて、どういうようなことを今後やっていったらいいのかということで勉強しております。そろそろ、その辺の勉強結果もまとまってまいりますので、今後それを踏まえた上で、それじゃ、FTAを今後進めていくのかどうなのか、それを前提にした調査研究をお互いにもう一度やるのかどうか、今後、精力的に研究、勉強をしていきたいと考えております。

南野国務大臣 先生にお答えいたします。

 法務省といたしましては、我が国社会の安全と秩序、それを維持しつつ、外国人の円滑な受け入れを図っていくのが国の内外から要請されているというふうに認識いたしております。外国人の方々の受け入れは、我が国の経済社会の活性化、または一層の国際化にも資するものであるということは、あれとして持っております。

 さらに、FTAのことをお話がございましたが、FTA交渉におきます各国からの人の移動、その分野におけるかかる要望に対しましては、我が国の経済社会の活性化、一層の国際化を図るという観点もありますが、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れということを積極的に推進していくという基本的方針を持っております。それにのっとり、現在、各国との交渉を行っております。

 この点につきましては、不法就労防止などの観点も踏まえまして、よりよい受け入れ制度となるように関係省と緊密に連携しながら各国とのFTA交渉を推進していきたいと思っております。

 以上です。

細田国務大臣 余り知られていないんですが、小泉総理は、ほとんど郵政の問題と同じぐらいFTAには熱心であります。それは……(発言する者あり)いや、まさにそうでございます。いや、熱心でございます。私は、たまたまバリ島へお供したときに、メキシコの大臣が見えていて、最後の段階で、豚肉だ、オレンジだ、いろいろなことがもめたときに、とにかくまとめろ、とにかくこのFTAというのは今後のために必要なことであるということで、私は、インドネシアから専ら本国へいろいろな指示を伝えた覚えがあります。

 そこで、今おっしゃった、ほかの各国、今、いろいろな国、地域においてFTAが必要な状態、EPAが必要な状態が起こっておりますし、それは我が国のためにもなる、おっしゃったとおりであります。そこで、私ども、総理大臣がトップなんですが、普通は私が司会役をして、経済連携促進関係閣僚会議を頻繁に今開いておりまして、各国ごとにどういう必要性があるか、先ほどおっしゃった各省と非常に関係しますので、労働問題があったり、その他社会問題とかいろいろありますので、どういう連携関係が必要なのかということを詰めて、そして、かつ優先度はどうか、それから、両国の体制も、仕切っておるぐらいのときにはまだ進みませんので、いよいよ両方からプロポーザルが出てくるような国はどこか、我が国として戦略的に次にどこに取り組むべきかということを、今官邸に集まって、関係大臣が寄って常に詰めるような体制をとっております。

 そこには、内閣総理大臣、代理は私ですが、総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農水大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣、特命の金融担当大臣等々が入って協議する体制、そして、国ごとの細かい詰めにおいてはその中で必要な大臣が集まって協議するという、おっしゃったような、内閣を挙げての体制をとっておるところでございます。

大谷委員 わかりました。

 ぜひとも、ネットワーク、連絡協議会みたいなアドホックなものじゃなくて、永久的にずっと機関として残っていくような調整機関というものをしっかりとつくっていく必要性があるんだというふうに思っています。

 一言だけ言わせてもらいますけれども、平成十四年十一月二十八日、対外関係タスクフォース、小泉総理のもとにできた有識者による二十一世紀日本外交の基本戦略というような提案書があるんですけれども、これは本当によくできているんですよね。「政治は長期的戦略に基づいて外交のあり方を把握するビジョンを欠いてきた。」という、政治や行政の日本の戦後の外交の反省分析もしてあるんですけれども、その中で、やはり官邸の中に何らかの、有識者を中心とするのか、各省庁から来た権威のある機関をつくるなりして、これからの複雑な外交を推し進めていく上での、国内改革も伴うこれからの政治の中で、しっかりとした機関をつくっていく必要があるというふうに私は考えています。

 アメリカでは、毎年、大統領府が議会に対して国家安全保障戦略というペーパーをしっかりと出して、そのペーパーを見て議会で議論をしていく。我々の外交白書にあるようなものではなくて、もっと戦略的に、それは、目的があって、そのための最適な選択肢が述べられていて、その上で再評価があるというような、流れに沿ったものが出てきます。こんなものをしっかりとつくっていくことが、ビジョンを欠いてきた日本の外交というものをしっかりとリーダーシップあるものに変えていく、国益を守るものに変えていくんだというふうに思っています。

 農林水産大臣に質問する時間がなくなってしまいましたが、スイスとのFTAというような話があることを新聞で見ましたが、まさに戦略的視点があって、東アジアとさっきからさんざん町村外務大臣がおっしゃっているので、そのことをかんがみたら、何で唐突にスイスとのFTAが出てくるのというような議論をしたかったんですけれども、これを精査するためにも、各省庁が自分たちの思惑だけでやっているとは思いませんけれども、どうもそのように見えてしようがない。それを精査、調整するためにも、やはり何らかの、しっかりとした官邸による機関が要るのではないか。それがつくれるかつくれないかによって、戦略ある日本外交に変わるかどうかの節目になるのではないかというふうに思っております。外務委員として、これからもしっかりと委員会の中で議論させていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて大谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島敦です。

 きょうは、昨年成立いたしました年金関連法から御質問をさせていただきます。

 昨年の年金法の改正案、特に私たちこれを審議する過程で私が感じたのは、やはり政治家に対する信頼だと思うんです。今、国民の皆さんは政治家に対する信頼が非常に落ちていまして、政治が決めたことに対してその信頼感がまずないことが年金に対する不信につながってきていると私は考えております。

 したがいまして、年金の議論、来週の月曜日は当予算委員会で年金の集中審議が行われます。やはりこれからの年金の議論を進めるに当たって、まずは、先日の小泉首相の施政方針演説、続きまして我が党の岡田代表から首相に質問をさせていただきました点につきまして、細かいんですけれども、議論を始めるに当たり御質問をさせてください。

 まず、尾辻大臣の、昨年の年金改革法に対してのその思いあるいはその位置づけについて、率直な御感想を伺えれば幸いです。

尾辻国務大臣 昨年の年金法改正についてでございますけれども、もしこの改正をしなければということを話をさせていただきますと、去年の状態で毎年五兆円近くの赤字が生じておりました。年金財政に赤字が生じていた。しかも、これが年々拡大をするという状況にございました。ちょっと数字を申し上げますと、もしそのままおいておきますと、国民年金の積立金は十三年後、二〇一七年に、また厚生年金の積立金は十七年後、二〇二一年に枯渇してしまうという極めて危機的な状況にございました。

 したがいまして、これを何とかしなきゃいけないということで、申し上げるまでもありませんけれども、保険料率の引き上げ、国庫負担の引き上げ、マクロ経済スライドの導入、積立金の活用、この四つの柱を組み合わせて給付と負担の均衡を図ることにしたわけでございます。したがいまして、私は、年金を持続可能なものにするための不可欠な改正であったというふうに考えております。

 ただ、今委員もおっしゃったように、委員は政治家に対するということでおっしゃいましたけれども、年金というのは国民の信頼がなければどうしようもない。そこのところが、今私どもがどうするかという一番大きな問題に率直に言って直面しておるというふうには思っております。

大島(敦)委員 昨年の年金の審議につきまして、私は厚生労働委員会でずっと携わらせていただきました。その中で、一緒に審議をされている与党の皆さん、自民党さんあるいは公明党さんの議員の皆さんを見ておりますと、本当に納得してこの年金法案を出してきたのかなという疑いというんですか、本当に自信あるのかなという疑いを私は持ったわけなんです。

 それは、二つのこだわりがあったのかなと。一つには、当時の年金のキャッチコピーとして、百年もつという、安心ですよということと、もう一つは、昨年の通常国会の最中に通さなければいけないという皆さんの、与党側の一つのコンセンサス、この二つというのが非常に重視されたのかなと思っているんです。

 ですから、尾辻大臣、今の、去年成立した年金改革法は、これは自信を持って今後九十五年から百年もつものなのかどうか、その自信のほどをちょっと伺わせてほしいんです。

尾辻国務大臣 去年、私は党の厚生労働部会長でございました。したがいまして、随分長い間かけて党の中の議論をしました。その議論の中で法改正をまとめ上げていったわけでございますけれども、今度、私どもはそうした中で大きな改革をしたと思っております。その大きな改革の一つが有限均衡方式にしたということでございますので、この有限均衡方式は、もう御案内のとおりでありまして、九十五年間の財政計算をいたしております。

 したがって、私どもは、九十五年の財政計算でしておりますので、その間もつべく持続可能なものにした、こういうふうに考えております。

大島(敦)委員 その持続可能の意味なんです。この持続可能の意味は、要は机上の計算で持続可能なものなのか。あるいは、社会は変わっていますから、いろいろな変動要素があるわけなんです。それを含めると、五年先あるいは十年先、ひょっとしたら再来年かもしれない、見直す必要があるかどうかという、そこのところを伺いたいんですけれども。

尾辻国務大臣 この法改正に当たりましても、今までは財政計算、再計算と言ってまいりましたけれども、今後ともそうしたものは続けるということは言っておりますから、五年ごとの計算のやり直しということは絶えず続けていきますとまず言っております。

 それから、これも申し上げるまでもないわけでございますが、附則の中で、特にパートタイマーの皆さんの厚生年金加入をどうするかといったようなことも、これは見直しの対象にして、五年後に検討の結果で場合によっては見直すというようなことも述べておるわけでございますから、基本的には、やはり五年ごとに計算はし直すということにはしてございます。

大島(敦)委員 今伺いますと、今までの年金は、今大臣御指摘のとおり、五年ごとに財政を再計算して、その都度年金の法案をつくってきたかと思います。

 御承知のとおり、この予算委員会でも、あるいは厚生労働委員会でも、恐らく来週の月曜日にも指摘があると思うんですけれども、今の労働環境は変わってきているわけです。例えば、よく言われる一号被保険者、自営業と言われている人たち、今の一号被保険者の中で自営業の人の割合は四分の一しかいないわけです。あるいは被用者、サラリーマンの二号被保険者、これも、働いている人全体の半分ぐらいしか被保険者がいないわけなんです。ですから、年金のその制度というのが今根底から揺らいでいるのかなと考えております。

 そうすると、今大臣がおっしゃられたことというのは、昨年改正された年金関連法案も、五年先にはもう一度財政再計算をしてみて見直す必要がある法案だという理解でよろしいでしょうか。

尾辻国務大臣 今申し上げておりますのは、基本的な仕組みを変えようということは、五年ごとに仕組みを変えようということは言っておりません。

 先ほどおっしゃったように、まあ私も申し上げたことですが、今までは五年ごとに財政再計算をした、そして保険料率もその都度改めて定めてきた。しかし、そういうことを繰り返していると、国民の皆さんのまさに信頼が得られない、将来どうなるんだという不安もあるから、今後もこういう形で上げさせていただきますという保険料率の上げ方もお示しをした、こういうことでございますから、五年ごとに、去年の法律改正で言っておりますことは、法律を基本的に見直そうと言っておることはいたしておりません。

 ただ、附則にも書いてありますように、私どものこれは本当に気持ちで、要するに、五〇%は割らないように、現役時代の皆さんの収入から、標準のところで、平均的なところで五〇%は割らないように給付をさせていただこうということを言っておりますけれども、ただ、そういうことが、ある時点で次の五年間でどうなるかなというような計算をしてみて、もしそれがどうもうまくいきそうにないとかいう場合には計算を見直そうということは言っておりますが、繰り返し申し上げますと、基本的に法律のものをいじろうというものを言っておるものではないというふうに申し上げます。

    〔委員長退席、茂木委員長代理着席〕

大島(敦)委員 今の尾辻大臣の御答弁ですと、私が昨年の厚生労働委員会あるいは本会議で受けた印象は、今回の法律を通せばもう大丈夫なんだという皆さんの強い意思があったわけなんです、与党側の。今回の年金法案というのは自信があるんだから、しっかり自信を持って通したと私は理解しているんです。ですから、議論というのも当時の状況としては余り進むことなく通常国会中に通った法案なわけなんですよ。

 ですから、今の御答弁ですと、さりながらも、社会情勢の変化によりまして年金の法案というのはコンクリートしていない、要は固まっていなくて、ある程度柔軟に対応していくことも考えられるよと。今尾辻大臣が言った、昨年の年金改革法案の中でどうしてもいじれない点というのは、例えばどんな点なのでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほど四本の柱を申し上げました。一つが保険料率を上げるということ、一つが国庫負担を上げるということ、もう一つがマクロ経済スライドを入れるということ、それから積立金の活用、これを有限均衡方式で九十五年で積立金を使わせていただこう、この四つの柱だと申し上げましたけれども、やはりこれは去年の法律改正の一番柱の部分、骨格の部分でありますから、基本的にはこれはいじれない部分だというふうに思っております。

大島(敦)委員 そうしますと、今尾辻大臣が指摘された四つの柱の部分は動かせないけれども、ほかの変数の部分というのは動かすことを、五年ごとかもしれない、再計算してみて考えてみる、そういう理解でよろしいでしょうか。

尾辻国務大臣 附則にも書いてありますように、それはあり得べしというふうに考えております。

大島(敦)委員 続きまして、首相の答弁の中なんですけれども、昨年の年金の改正法案の中で、幾つか我が党としても主張しているところがあるわけなんです。その中で、大臣にちょっと伺いたいんですけれども、まず、保険料率があるわけなんですよ。

 保険料率が、多分、昨年の年金改革関連法案の中で一八・三%というのがまずあったわけなんですけれども、今の議論としては一五%という議論が聞こえてくるんですけれども、政府としては、一八・三%でいくのか、あるいは一五%までにとどめておくのか。そこのところも、今弾力的に考えているのか、やはり一五%ぐらいが適当だと思っているのか。そこのところをちょっと伺わせてください。

尾辻国務大臣 ただいまの件につきましては、総理がこのように御答弁を申し上げております。年金保険料率が一五%になる前によい結論を見出したいという考えもできますが、この年金保険料負担の問題については、年金の給付水準をどうするか、また、社会保障制度全体としての負担と給付をどう考えるかという問題もあります、こういう答弁でありますから、私もその答弁の中で申し上げることになります。

 ただ、年金をお預かりするといいますか担当しております大臣としてこれまた極めて率直に申し上げさせていただきますと、一八・三%を引き下げると、これはその他に、では、もう給付をうんと下げるということにするのかとか、いろいろな問題が出てきますから、どこかで下げるということは大変難しい問題を含むというふうに思いますということだけは申し上げておきたいと思います。

大島(敦)委員 確認したいんですけれども、今の御発言ですと、給付を下げること、要は、一八・三%を一五%という議論があって、今お約束している給付を下げることについては避けたい、避けたいというのかな、給付を下げないでおきたいと理解していいのかどうかを、ちょっともう一度御答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 附則でも書いてありますように、やはり五〇%を何とか守りたいというふうに考えておりますから、それをまさに守りたいということでございまして、そこのところのために一八・三%の話も今率直に申し上げたところでございます。要するに、給付を守りたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 そうしますと、五〇%という給付があるとすれば、一八・三%前提での五〇%という給付だと理解しています。そうすると、そこを埋めるのはどういう手だてがあるのか。我が党としては、我が岡田代表は消費税ということをやはり念頭に置くべきだということを発言しているんですけれども、その点については、どうお考えでしょうか。

尾辻国務大臣 まず整理して申し上げたいと思いますけれども、本則で保険料率を書いております。そして、給付の五〇%を何とか守りたいというのは附則の方に書いております。したがいまして、本則と附則、よりどっちが重いかというのは、ちょっと変な言い方かもしれませんけれども、やはり本則の方がまずあるというふうに思っておりますから、保険料率というのをまず軸に考える。そして、それで給付というふうに考えるわけでありますから、さっきから言っておられるように、いろいろな前提条件を入れて計算をしておる話でありますから、もしそこが狂ってくるといったような場合には、今お話しのように、国庫負担をどうするのかというような議論が当然出てくると思います。

 それから、積立金の取り崩しをどうするかという議論も当然出てくると思います。そうしたもので給付を守ろうとすれば埋めざるを得ない、もしそこで埋めなければ給付を下げなきゃいけない、こういう話になるわけでございますので、そういうことになりますということをまずは申し上げたいと存じます。

大島(敦)委員 私もなかなかよく理解できないところがありまして、今回の岡田代表の質問に対する首相の答弁を読んでも、なかなかこれはよくできた文章でございまして、大体、見直しは必要と考えております、これはいいんですけれども、承知しておりますとか理解できますとか必要だと思いますとか、言質というんですか、相手方に約束の部分が、一応用語としては入っているんですけれども、約束の部分が感じられないんです。

 ですから、そこの部分というのは、これからの年金の議論を深めるためにも、本当に今のところで、消費税のところですと、消費税の活用ということも当然検討の対象となるものと考えておりますが、消費税を年金のみに充てるのか、他の社会保障の財源との関係でどうするのかという議論も必要だと思いますとしか書いていないわけですよ。

 消費税について、今後、年金の議論を進める中で、前提として消費税を考えて議論を進めていくのか、あるいは、まだわからないんだよ、そう思うんだけれども、どうするんですかというところでとまっているのか、そこについて確認をしたいんです。

谷垣国務大臣 今まで御議論がありましたように、少子高齢化の中で年金を初めとする社会保障制度を持続可能なものにしていくためにはどうしたらいいか、そのための財源負担をどうしていくかというのは、私は非常に大事な議論だと思っております。

 それで、先ほどまさに総理の御答弁は引かれたとおりなんですが、私どもとしては、当然これから財源の議論になりますときに、年金をにらむだけではなくて、医療とか介護とかそういう社会保障体系全体を見渡して、そうしてそのための公平で幅広く負担を、共通に国民が負担していただくためにはどうしたらいいかという議論が不可欠だろうというふうに思っております。

 したがいまして、そういう議論をしていきますと、これは政府・与党の税制大綱にも書いてあるところなんですが、平成十七年度、十八年度においては、今までの全体の国家予算を膨張させないようにしながら、行政サービスのあるべき水準は何かということをいろいろ考えながらということは、当然、社会保障はどうあるべきかということを含むわけですが、そのための負担をどうするかを消費税も含めて検討するということになっております。

 私は、ここから先は私の個人的意見でございますが、そういうふうに年金、社会保障の、公平に負担していくという議論をしていけば、必ず消費税というものをどうするかという議論にならざるを得ないだろうというふうに考えております。ただ、消費税というのは非常に税の中でも根幹となる基幹的な税制の一つでございますから、総理は言質を与えていないというふうにおっしゃいますけれども、こういう根幹的な税制を税制全体の中で一体どう位置づけたらいいのかということは、これは幅広く真剣に議論しなければいけないわけでございまして、要するに、社会保障の議論とあわせながらこれから一両年、真剣に議論をしていかなきゃいけないと思っております。

大島(敦)委員 今谷垣大臣がおっしゃったのは、与党の税制の中でのお話だと思うんです。これは与党の税制のお話なので、社会保障の議論というのは、与野党ともに議論するのが本来の筋だと思うんです。

 これはドイツでも、シュレーダー首相が政権をとったときに、一たん前の与党の年金案を葬って、その後また同じような仕組みをつくったという経緯も聞いたことがございます。年金については、政争の具にするという、いわば社会保障を政局のテーマにするということは、これは僕は政治家として好ましくないなと考えているんです。

 今のドイツがどうなっているかというと、例えば日本ですと、一年間に払う年金の額の三倍ぐらい今積み立てがあるわけですよ。ドイツですと一カ月の積み立ての二〇%しかないんです。自転車操業的に年金を支給している。新しく年金を、受給者はこの間までは、記憶によりますと去年の四月からだったかな、月初にもらったのを月末に移していたりするわけですよ。そこまで追い詰められるわけです、この年金の制度というのは。まだ日本は、先ほど大臣がおっしゃったとおり、前の年金の法案をそのまま継続したとしても二〇一七年とか二〇二一年までもつわけですから、ドイツほどには悪くなっていないなと思うんです、自分は。

 ですから、今ここで時間があるうちに、しっかりとした社会保障の枠組みを、これは僕は審議会、まあ政治ですとよく審議会にゆだねてやるということなんですけれども、そうじゃないんです、これは。全体的に議論していかないと結論が出ないんです。これは国会議員の中でも、年金に非常に詳しい方もいるし、私のように疎いか、余り詳しくない議員もいます。でも、これは国会議員全員が議論しないと結論が出ない問題なんです、社会保障の議論は。

 ですから、そこのところで、今回我が岡田代表が質問しておりまして、まずは、今国会において、年金制度の抜本改革について集中的に議論する意欲がおありなんでしょうかと小泉首相に問うておりまして、それが来週の月曜日の当委員会における年金の集中審議だと、ちょっと僕は残念だったなと思うんです。

 これは、やはり首相がこの場で国民に対して、去年通した年金法案について、今尾辻大臣がおっしゃられたように、素直な言葉を発することによって動いていくわけですよ。ですから、その点についてもう一度尾辻大臣の、ちょっと御所見、御感想を伺わせてください。

尾辻国務大臣 よく私たち、スウェーデン方式に学ぼうとかと言います。私は今、こう思っているんです。スウェーデン方式に学ぶべき最大のものは、いろいろな違う意見を実に丹念にみんなで長い時間かけてまとめ上げてきた、スウェーデン方式に学ぶとすれば一番学ぶべき点はそこだ、私はこういうふうに思っております。そう申し上げることで私の思いというのは御理解いただければと存じます。

大島(敦)委員 具体的には、これは今後の議論になるかもしれない、今後与野党間の協議がどうなるかも行方はまだわからないと思うんです。ただ、今後の議論の中で、例えば年金について議論するためには、年金数理のところがあるじゃないですか。数字のところ、年金の数理のところ。やはり客観的事実がどうなるかというのを知ることが必要だと思うんです。政治でいえば現状認識だし、ビジネスの用語だとマーケティングというものです、市場調査というところ。要は、現状がどうなっているかという数字をまず皆さんに公開することから始まるかなと思うんです。

 それは例えば、その議論に当たり、年金数理局を厚生労働省から分離して、公正取引委員会とか会計検査院のような中立、独立的な機関にして、年金の数字については、国会議員もあるいは学者の方も、要は、そのデータをいただいていろいろとシミュレーションできる、国民的な議論を同じ数字で議論するということが私は必要だと思うんですけれども、そういうお考えというのはございますでしょうか。

尾辻国務大臣 私も、そのことはそのとおりだと思っております。議論をするときの数字をブラックボックスの中に入れてというのはよろしくない、こういうふうに考えております。

大島(敦)委員 これは役所の方も私の質問を聞いているかと思うんですけれども、今回の社会保険庁に関しても、余り守ろう守ろうとするとなくなってしまうんですよ。守ろう守ろうとすると自分の役所がなくなるんです。だから、しっかりとそこのところは、自分で独立するとか分離するとかいう思いがない限りにおいては、これは要らないよと言われてしまうんです。そのことについて、厚生労働省を指揮監督する尾辻大臣としていかがな御所見でしょうか。

尾辻国務大臣 社会保険庁が今日までやってきたこと、いろいろの不祥事もございました。そうしたことを含めて、私どもはこれまでのことをしっかり反省しなきゃいかぬというふうに思っております。したがいまして、今後厚生労働省をしっかりそういう意味で指導していきたい、こういうふうに思います。

大島(敦)委員 今の年金の数理のところの、数理局の話なんですけれども、これは突然で申しわけないんですよ、質問としては。

 だけれども、尾辻大臣として、やはり今後、今が多分ラストチャンスかもしれないんです。昨年の年金の関連法案、あれだけ国民の関心を呼んだというのは、これまでの五年ごとの財政再計算による年金の改正法案の中で、あれほど国民の関心を呼んだ事件、国会というのはなかったと思うんです。それが、いまだに年金については、どうしよう、心配だ、あるいはちゃんとしたことをやってくれという国民の期待があるわけですから、そうすると、繰り返しになりますけれども、数理局、数字については中立的な機関を設けて、だれでも議論できるような土壌をまず整える方針というのが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 数理の部門を外に出すのがいいのかどうかということは、今突然のお尋ねでもございますし、また私も、正直に言いまして今まで考えたことがございませんので、今直ちにお答えを申し上げることはできませんけれども、ただ、数字を出すというそのことは必要なことだというふうに考えております。

    〔茂木委員長代理退席、委員長着席〕

大島(敦)委員 では、数字については、これは皆さん役所の方が出さないのは、数字というのはひとり歩きをするんです。自分もずっと企業におりましたから、なかなか数字は出したくなかったわけですよ。一たん数字を出すと変えられなくなるんです、数字というのは。ただ、データベースのところというのはうそ偽りないものですから、それについては、要は公開をしてやっていくということが必要だと思う。

 先ほど谷垣大臣がおっしゃっていた税制改革の部分ですよね、与党でやっているということ。与党もいつまで与党であるかはわからないわけですよ、ここのところは。

谷垣国務大臣 先ほど与党の中の税の議論だとおっしゃいましたけれども、必ずしも与党、私がちょっと誤解を招く言い方をしたかもしれませんが、閣議決定をしておりますいわゆる骨太の方針二〇〇四の中にも、平成十七年度、平成十八年度で行政サービスのレベルをきちっと見定めて、それはもちろんスリム化ということも含めて見定めて、どういう対策をとるか考えると。これは消費税という言葉は使っておりませんが、そういうようなことを視野に入れながら対応するということでありますから、政府の議論としてもそういうふうにしていかなければならないわけでございます。

 それで、そのときは、先ほどの御議論がありましたように、結局は最後国会の中で御議論をいただかなければならないわけですから、与野党間の協議というものがやはり背景にあることが望ましいと私も思っております。

大島(敦)委員 この年金の議論は、一つには世代間の議論でもあると思うんです。私たちの議員の中、若い二十代の議員もおりますし、私たちの党ですと三十代、四十代が非常に多い。恐らく尾辻大臣が所属している政党は若干それよりも十歳ぐらい上の政党だと思いますので、この議論というのは世代を背負った議論でもあるわけなんです。

 先日、厚生労働省の少子化の担当者の方とお話ししましたら、非常に生活感のある方が政策をつくっていらっしゃいますから、ひょっとしたら当たる政策が出てくるかもしれないなと期待したんですけれども。

 ですから、この議論というのはしっかりとした議論を、ただその前には、私たちも若干不信感を持っているわけですよ。去年の年金議論の中で二つのこだわり、百年もつという一つのキャッチコピーを守ることと通常国会中に通すということ、そのこだわりを皆さんが持たれて強引に突っ走ってきましたから、すべてが飛んでしまって、それに対して私たちは非常に不信感を持っているところがあるわけなんです。

 ですから、その不信感についてこだわりがあるのは、先ほどの、今我が代表が言っている一つの点、繰り返しになりますけれども、集中審議する意欲があるのかどうかというこの議論と、もう一つは、抜本的な改革を本当にやるつもりがあるのかどうかというところなんですよ。先ほどの尾辻大臣は四つのことだけは外せないということなんですけれども、そこはやはり外せないということなんでしょうか。

尾辻国務大臣 先ほども、持続可能性といってもその定義はいろいろあるというふうにもおっしゃったんですけれども、一般的に言っておる持続可能性ということでいうと、この四つの柱というのは一番大事なことだというふうには思っております。思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、年金というのは国民の皆さんの信頼がなければどうしようもないものでありますから、そのためには、私はいつも言っておりますが、どんなにでも謙虚にならなきゃいけないというふうに思っておるところでございます。

大島(敦)委員 もう一つが、これは多分谷垣大臣のところの御担当かと思うんですけれども、納税者番号制度ということを我が党は訴えているわけなんです。

 納税者番号制度といってもいろいろな定義がありまして、今政府が御検討をずっとされているのは、多分、資産に対する納税者番号、株とかだと思うんですけれども、納税者番号制度を導入することについて、例えば年金制度ということ、今我が党が言っているのは、国民年金も含めて一緒にしようじゃないかという一元化を言っているわけなんです。そのときにおいての納税者番号制度のあり方について、違和感を感じるのか、あるいはできそうかなというのか。

 この間の小泉首相の答弁をもう一回読みますと、自営業者の公平な保険料徴収のための正確な所得把握や、事業主負担をどうするのか、納税者番号制度などの諸条件をどうするのかといった問題について検討してから、検討してからということになっていまして、これは、納税者番号制度がその前提となって自営業者の方たちの一元化を進めていくのか、自営業者の人たちの、国民年金の被用者年金との一元化があって、納税者番号制度を要は近づけていくのか、どちらが先なのかということをちょっと伺いたいんです。

谷垣国務大臣 納税者番号制度自体も、いろいろ検討すべきこと、プライバシーの保護とかいろいろな問題がございます。

 それで、委員のおっしゃっておられることは、恐らく、公的年金を一元化していくと、やはり所得の把握、捕捉というものがそれぞれの職業によって違うと、一元化をするといってもうまく機能しない、そういう観点から、納税者番号を使えば、そこの所得の把握がきちっとできて、いわば公平な年金制度がつくれるんじゃないかという観点でおっしゃっているんだと思うんです。それで、もしそういうことだとすると、私は、確かに納税者番号が役立つところもあると思いますけれども、納税者番号についてやや過大な期待もあるのではないかなと思っているわけです。

 それはなぜかと申しますと、納税者番号制度、さっき定義はたくさんあるというふうにおっしゃいましたけれども、要するに、正確な納税、その前提としての正確な所得を把握するために、番号を活用して、納税者から提出される申告書と、それから取引の相手方から提出される情報、資料を突き合わせて、その番号をもとに何番の人はこうだということで、両方からきちっと正確に把握しようという仕組みだと思うんですね。

 ところが、個人事業者の売り上げ、例えば、その辺のお店の、八百屋さんとか個人がやっておられる、そこに御家庭の主婦が買いにいらした。そのときに、本当に御家庭の主婦から、自分が日々買った総菜みたいなもの、野菜みたいなものを税務署に、番号をつけて把握していくために資料を出してもらうことが期待できるかというと、それは恐らく難しいだろうと思います。諸外国においても、そこまで徹底した制度をつくれているところは私はないんだろうと思いますから、そういう意味では、所得を把握する手段としても一定の限界があるということは私はあると思っております。

大島(敦)委員 やはり一元化の議論の一番の私たちのこだわりというのは、国民年金も含めての一元化なんです。被用者年金については、例えば国家公務員の方あるいは地方公務員の方の年金については、一応、閣議決定で一元化するという方向が見えております。多分、厚生年金との一元化についてもこだわりはないと思うんです。多分、それは進めていくと思います。

 その中で、国民年金の扱いについて、国民年金も含めた一元化の議論を考えて、前提として議論を進めていくときに、では国民年金の方の、自営業の方の所得の捕捉をどうするかという議論が出てくるわけですよ。ですから、国民年金も含めた一元化を進めていくおつもりがあるかどうかを尾辻大臣からお願いしたいんですけれども。

尾辻国務大臣 これも総理の答弁を引用させていただきますけれども、年金制度の一元化については、まず厚生年金と共済年金の一元化を進めるべきですが、さらに国民年金を含めたと、こういうふうになって答弁いたしております。したがいまして、私どもは、まず厚生年金と共済年金、サラリーマンの被用者保険の一元化というところから始めるべきだというふうには考えております。

大島(敦)委員 ここはまだ大臣もなかなか述べられないところなのかなと僕はお察しを申し上げまして、やはり官房長官がいつもスポークスマンとして、小泉総理の要は代弁者として発言されておりますので、ここの解釈を、小泉首相はこの一元化について、国民年金も含める一元化だよと言っているのか、これはまだまだ議論の余地がある、検討課題のうちの一つなんだと言っているのか、そこのところをちょっと御答弁をお願いします。

細田国務大臣 私は、小泉総理は非常に含蓄のある対応をずっとしてこられたと思うんですね。それは、厚生大臣を何度もされて、いかにこの国民年金、自営業者の方の年金問題を他の被用者の年金と一律に扱うことが大変な作業であるかということは、だれよりもよく御存じなわけです。

 しかし、野党、特に民主党さんを中心に、これは一元化すべきである、抜本改革というのは一元化であるというときに、むしろ、ああいう改革志向の方ですから、ああ、それはいいことをおっしゃいましたねと。これは、例えば、公務員、共済の方も厚生年金の方もあるいはミックスすると、もっとシフトをしなければ全体として計算が成り立たないかもしれない。そのことが難しいから国民年金については一元化論が難しくて、そもそも創設したりするときにも大きな問題があったわけですね。大論争があった、サラリーマンとか組合とかの方々とも。しかし、そういう御提案をなさるんですね、それは結構ですねと、まず受けて立たれる議論をされました。

 そして、現に政府側としても、それは大事な問題であると。もちろん乗り越えるべき問題点はたくさんあるけれども、小泉総理は、やはり内心は、本来は年金は同じように、すべての国民が等しくなければならないけれども、あらゆるしがらみでそれができていない、公務員のサイドの今までの積み上げ、サラリーマンのサイドの積み上げ、いろいろな、経済界、なかなか難しいぞと。そして税の問題も絡むということは十分承知の上で、それではこの有識者、社会保障制度の在り方に関する懇談会もやって、石先生とか、笹森さんとか、潮谷知事とか、杉田社長さんとか、西室さんを入れて、座長を宮島先生で大いに検討しましょうと。

 そのうちに国会も、私は大島先生の今のお話に非常に感銘を受けておりますが、冷静に、年金というのは魔法じゃありませんから、とにかく計算をした結果がそのまま出てくるわけですから、魔法じゃございませんので、冷静にお互いに議論をして、超党派といいますか議論をして、そして結論を出さなきゃいけない。しかし、議論が白熱するものですから、いろいろな事件が起こりますけれども。そういう気持ちは非常に強いです、小泉総理も。

 それから、我々も、今のこの社会保障制度のあり方懇談会は、すべての議論はありということでやっていますから、笹森会長からは納税者番号制のことも提示がありますし、今後の消費税のあり方その他を含めた、負担のあり方もすべて議論をされておりますが、そこでもう一味欲しいのは、国会側も、今徐々に冷静になってお互い考えていこうという機運が盛り上がり始めておりますが、ぜひ与野党ともに議論をできる場をつくっていただきたいな。それが相またないと、いつまでも泥仕合のような、ここが悪いぞとかそういうことになる。(発言する者あり)いや、どっちが悪いと言っているんじゃないんです。ただ、そういう不幸な議論をやっても国民のためには幸せじゃない、こういうことですから、非常にオープンマインドであります。

 それで、私、ちょっと会見の時間もございますので、これで失礼いたします。

大島(敦)委員 今の官房長官の御指摘の中で、有識者の意見を聞くというのがありました。これは政治が決めるテーマなんです、政治が決めるテーマ。確かに有識者の意見も聞かなければいけない。しかしながら、この場で私たちが決めるテーマだと私は考えているんです。有識者が国民年金との一元化、あるいは有識者が、それは使用者側もあるし、労働者側もあるし、有識者がという発言を官房長官はたびたびされましたけれども、政治家としてどう考えるかというのが僕は原点だと思うんです。

 皆さん、この場にいる人は選挙区を背負って出ていらっしゃるんでしょう。国民のことをよくわかっているのが私たちなわけですよ。有識者もわかっているかもしれないけれども、本当に皆さん、どぶ板をやりながらよくわかっているわけだ。ノックした向こう側に介護の人がいるとか、そういうことを知っているのは私たちだから、私たちが議論しないと進まないんですよ、これは。

 ですから、そこのところは逃げない、逃げるというわけじゃない。逃げないという表現はよくないな、そこのところは、国民年金について、要は、それも含めて一元化をするつもりがあるかどうか。ちょっと明確にもう一度、尾辻大臣、御答弁いただけるとありがたいんですけれども。

尾辻国務大臣 これは、私どもも繰り返し申し上げておりますように、最終的には年金全部の一元化だ、こういうふうに思っております。

大島(敦)委員 一応、年金の議論はまた来週の月曜日からこの場で一日ございますので。それで、小泉首相は残念ながら出ていらっしゃいませんので、やはり小泉首相からしっかりとした答弁を、私たち、多分同僚の議員も期待しておりますので、ぜひ今後とも年金の議論は進めていきたいと思います。

 最後に、年金の議論の中で一番必要なのは、私は、学校を卒業してからそのままサラリーマンになったものですから、おかげさまで厚生年金はサラリーマンの期間中はずっと納めていたわけなんです。

 今は、フリーターの方が多いわけですよ。私の周りの二十代、三十代を見ても、正社員の方は少ないわけです。一たん正社員を離れてしまうと、やはり短時間労働とかフリーターとか、あるいはアルバイトで生活している人が非常に多いわけなんです。社会保険制度について余りよく知らないわけです。私の知り合いの工務店さんの奥さんは、私に対して、息子にこう言っているんですと。社会保険、ですから年金とかあるいは健康保険を納めるようになって一人前だぞという教育をずっとしてきたそうなんです。そういうことが今欠けているんじゃないですかと。

 文部大臣に伺いたいんですけれども、中学の三年とか高校の三年を卒業する前に、社会保険を納めるのが義務だということをしっかりと教えるのが必要なのかなと。私の地元でも、今ようやく社会保険労務士さんが中学校で年金について教えているようなことも取り組み始めたわけなんです。その点について、年金制度を安定させるためにはそこからやはり必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中山国務大臣 児童生徒が年金などの社会保障制度の意義あるいは仕組みを理解して、福祉のあり方を在学中から考えるというのは、これは非常に重要なことであろう、こういうふうに考えておりまして、中学校の社会科で、年金を初め社会保障制度の基本的な内容を理解させるとともに、少子高齢化社会など現代社会の特色を踏まえながら、これからの福祉社会の目指すべき方向について考えさせることにしております。さらに、高等学校の公民科でも、社会保障など現代社会の問題について考察させることにしております。

 また、総合的な学習の時間におきまして、学校の実態等に応じまして、社会保障を含め、さまざまな課題について体験的、問題解決的な学習を展開しているわけでございまして、生徒が年金など社会保障制度について実感を持って理解するためには、やはりおっしゃいましたように、外部の方を呼んで話を聞いたり、あるいはみずから調査するというようなことが、そういう体験的なことを工夫することが大事だろう。

 こういうことで、外部人材の登用とか、これは社会保険庁の方に来ていただいたり、あるいは社会保険労務士の方に来ていただくとか、あるいはいろいろなパンフレットをつくったりしまして、実践的な、実践例の収集とか普及によりまして、年金を初め社会保障全体について理解をさせるように今努めておるところでございます。

大島(敦)委員 私も、先ほど申し上げましたように、運よくサラリーマン、正社員になったものですから、多分、自然と厚生年金を納めていたと思うんです。二十代、三十代の人は、自分もそうでしたけれども、青春が永遠に続いていると思いがちなものですから、年金制度について、中山大臣、しっかりと学校教育の中で、特に複雑ですから、外部の方を呼んでやっていただくことをお願い申し上げます。

 続きまして、中川大臣に伺いたいんですけれども、おととい京都議定書が発効されました。去年ロシアが批准したときに、困ったなと私思ったんです。なぜ困ったかというと、京都議定書を日本は守れないのではないのかなと直観したんです。守れないとなると、我が国から、お金で他国から排出量を買わなければいけないので、私たちの血税が諸外国に渡ってしまうのかなと感じたわけなんです。

 アメリカはもともと、もう出ちゃいました。ヨーロッパも、EUですとオーバーしているんですけれども、東欧十カ国、拡大EUになるとプラマイがゼロになって、域内からはお金は出ないわけなんです。今伺っていると、諸外国から排出量を買わなければいけない国は日本とカナダだったと聞いております。

 大臣、要は、具体的に、例えばCO2、二酸化炭素が一トン千円だとして、守れなかったら毎年毎年どのくらいの排出量を我が国は諸外国から買わなければいけないのか、ちょっとその数字を教えてください。

中川国務大臣 九〇年ベースにしてマイナス六%という京都議定書の日本の約束でありますが、今大島委員おっしゃるとおりで、CO2一トン千円という計算でございますが、御承知のとおり今は六%マイナスどころか、ほぼ八%プラスということになっておりますので、どういう計算にしたらいいんでしょう。守るためにはということで……(大島(敦)委員「現時点で守れなかったらどのぐらい買わなければいけないか」と呼ぶ)現時点でこれを計算いたしますと、我々はまず大前提として、守るためにこれからも経済界も産業界も最大の努力をするという前提でやっているわけでありますが、仮に現時点のまま外国からトン当たり千円で買うことによって目標を達成する、こういう御趣旨でございますね。

 そうすると、二〇〇二年の数字が出ておりますけれども、基準比一三・六%増となっておりますので、マイナス六にするためには、年間一億七千万トンの超過ということになりますので、毎年一千七百億円かかるという仮の数字でございます。

大島(敦)委員 排出権取引の金額というのは市場によって振れるわけですから、今五ドルから六ドル、将来的には千円ぐらいになるかもしれないと言われているので、その数字は減るかもしれないし、ふえるかもしれないという前提はあると思います。ただ、金額として見ると結構なボリュームの金額を、守らなければ払わなければいけないということもあるわけなんです。政府側としては、これを多分ミニマイズして、二百億円ぐらいかなという目算も立てられているとは思うんですけれども。

 それで、尾辻大臣に伺いたいんですけれども、これは全体として取り組まなくちゃいけない問題だと思うんです。文部科学大臣もいらっしゃいますので、やはり学校もありますし、病院もあります。要は、今のホテルとか熱を多く使うところの経営は、どうやってその熱源を絞っていくかということが経営のテーマになっているわけなんです。そうすると、尾辻大臣のところでも、あるいは文部科学大臣のところでも、そこのところをしっかりこれからやっていくべきだと思うんですけれども、御所見を伺わせてください。

尾辻国務大臣 これはもう御指摘のとおりでございまして、政府が率先して行動を起こす必要があります。政府全体でやらなきゃいけない。ところが、病院という今お話がございましたけれども、病院の方は、救急医療がございまして二十四時間体制で頑張らなきゃいけない、その中でどうするかという難しい問題がございます。

 したがいまして、私どもとしては、民間の省エネルギー対策の活動を活用しながら、救急医療などの機能を損なうことなく省エネルギーを推進している例もないわけではございませんので、そういったような情報提供を皆さんにしながら、病院における省エネルギー対策の普及は努力をしてまいりたいと考えております。

中山国務大臣 文部科学省関係につきましても、学校とか病院とかさまざまあるものですから、抑制についての指導をしているところでございまして、特に大学病院については、医療上の必要もございまして冷暖房、給湯などのエネルギー使用が非常に多いものですから、これは、省エネ法上のエネルギー管理指定工場として、エネルギー使用の合理化を図るように指導をしているところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて大島君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 原子力関係の予算で大体年間五千億円、それから宇宙開発の関係の予算で四千億円と、大体九千億円から一兆円近いところですが、特にこの十年の間を見ても大きく伸びております。ただ、ここで日本の科学技術の発展ということを考えたときに、当面の利益にすぐにはつながらなくても、長期を見通して基礎研究を進めていくという上では、経常研究費とか人当研究費と言われるものをきちんと伸ばしながらやっていかなきゃいけないということと同時に、ITERと「もんじゅ」については、科学技術に名をかりた大型公共事業と言われている面があります。こういったところをきょうは見ていきたいと思います。

 まずITERについてですが、サンディエゴのITER工学設計の時代から既に十年たっておりますが、ITERに関して、私は二〇〇一年以来でも五回質問してきました。国会答弁でもう明らかにしてきたことですが、プラズマ物理など基礎研究が非常に重要な課題であり、大型施設にするということでやってきたんです。しかし、建設費をITERについては五〇%削減しようということでコンパクトITERにしたために、今度は当初実験目標が後退して、実用化への道からはさらに遠くなってきているという問題があります。

 より根本的な問題として、炉材料の問題というのが、非常に行き詰まっている深刻な問題です。

 動力炉実現ということで考えれば、ITERに、動力炉につながっていく設備を考えてみたとき、今の軽水炉のコストに比べて大体七倍から八倍高い。だから、軽水炉並みのコストに近づけないと、なかなか動力炉としてはやっていけないわけですが、こういった問題が明らかになってきました。

 そこで大臣に最初に伺いますが、ITERが技術的にもコスト的にも動力炉につながるという展望を今持っていらっしゃるかどうかを伺います。

中山国務大臣 きょうのここの議論でも、エネルギー問題の重要性についてはいろいろな方々から御指摘いただいたわけでございますけれども、このITER計画というのは、御承知のように、核融合実験炉の建設実験を通じまして、核融合反応によるエネルギーを発生することに関して科学的、工学的な実現可能性を実証するものでございまして、核融合発電の実現に向け、不可欠かつ重要なステップであると認識しております。

 また、このようなITER計画の重要性は国際的にも共有されておりまして、だからこそ、日本のみならず、米国、欧州、ロシア、韓国、中国の六極の国際協力によって推進されているものと認識いたしております。

吉井委員 私が伺いました、ITERが技術的、コスト的に動力炉につながっていく展望があるのかということについては、要するにお答えができなくて、一般的な話なんですね。

 九六年の夏にアメリカへ行ったときに、DOEの研究局長などとお会いしたときに、ITERについては消極的ないし技術的可能性に疑問を持っているという印象を受けました。その後、アメリカはITERから脱退したんですね。最近また一応戻ってはおりますが。

 九九年四月五日に、宇宙物理学者の、例えば名古屋大学の池内了教授は、ITERでプラズマ制御に成功する保証はないということ、それから、エネルギー問題解決という美名に隠れた巨大公共事業の継続ではないかという指摘をしておられます。プラズマの自己崩壊が起こらないようにする制御というのは難しいというのが、他の物理学者の皆さんの間からも指摘は多いんです。

 二〇〇一年に、私、小柴昌俊先生から御連絡いただいて、東大の素粒子研の方へお訪ねしてお会いしたとき、小柴先生からも御意見を伺っております。それは二〇〇一年の一月十八日に新聞等でも先生が明らかにしておられますが、ITERの炉壁の放射線損傷の問題は深刻だということの御指摘と、ITER型ではない別な核融合反応を検討することなども提起しておられます。

 私は核融合そのものは研究に賛成なんですけれども、やはりそうしたことをきちんと踏まえて臨むことが大事だと思うんですが、大臣は、こういうことがあるということは事務方の方からお聞きになっておられるでしょうか。

中山国務大臣 アメリカがITER計画から一時脱退していたということ、あるいはまた、国内におきましてもITER計画に慎重な考え方を持っていらっしゃる方がおられるということも承知しております。しかし、我が国としましては、ITER計画を積極的に推進していくという政策決定、これは平成十四年の五月三十一日、閣議了解があったわけでございまして、こういうときにも、このような状況というのは十分認識した上で閣議了解されたもの、このように考えております。

 私自身は、はっきり申し上げてその辺は全く素人でございますけれども、そういう専門家の方々がしっかりと検討されて行われたわけでございますから、その意義とかITER実現に向けた取り組みについては、社会の一層の理解あるいは支持を得られるように引き続き努力していくことが大事か、このように考えております。

吉井委員 実は最近も、雑誌でもITERと公共事業というタイトルで批判論文が出ておりますが、前の町村さんが文部大臣のときも、ITER誘致について、地域おこし的観点が少し走り過ぎているなと感じているという答弁をされたことがあります。

 エネルギー政策として考える場合には、ITER誘致が科学技術に名をかりた地域おこし的公共事業にならないために、今大事なことは、六ケ所かカダラッシュかという政治的誘致合戦から離れて、このITERが将来の動力炉に技術的にもコスト的にも可能なものなのかどうか、核融合研究の原点に立ち返って検討をするということが大事だと思うんですが、大臣、これはどうですか。

中山国務大臣 実は私も、雪の中を六ケ所村まで行きまして、誘致の候補地を見てきたわけでございますけれども、御承知のように、ITER計画への我が国のかかわり方につきましては、原子力委員会の核融合会議における科学技術的な側面からの検討が平成十三年三月になされました。また、原子力委員会ITER計画懇談会における、さまざまな分野の専門家による社会的、経済的側面を含めた広範な検討が平成八年から平成十三年まで行われております。そしてまた、総合科学技術会議におきます、ITER計画に対して慎重な考え方を持つ研究者等からのヒアリングをも含めた科学技術政策上の観点からの論議も平成十三年から十四年にかけて行われるなど、幅広い議論が行われているわけでございます。

 このような議論等を踏まえまして、平成十四年五月に、ITER計画が国家的に重要な研究開発であり、国内誘致を視野に入れ政府間協議に臨むことということで閣議了解されたわけでございます。

 町村大臣の発言もちょっと見せていただきましたけれども、「非常に重要な、また、でき得れば、それは進めることが可能であれば進めるに足るだけの魅力ある重要なプロジェクトだとも思います」、こういうふうにも言っておりますので、そういった方向で進んでいるというふうに理解いたしております。

吉井委員 プラズマ制御の困難性とか炉材料の問題とか、これはまず困難だという問題、これを別にしても、なぜITERが高くつくのかという技術的な課題があるんです。

 これについて国会でも私は指摘しましたが、主に三つあるんですね。

 もともとITERで、一億度水準のプラズマの閉じ込めと、高速中性子からの熱の取り出しという原理的な面からして、超高真空容器とかブランケット、多数の大型コイル、冷却系とその配管、管理、維持、作業用のポートとか加熱装置とか、それ用の窓だとか、巨大な組み合わせになるんです。

 だから、これは一つは、その結果として、重量が大きくて、形状が複雑で、熱膨張したり熱収縮したり、電磁力に耐える構造にすることなどから、相互に剛構造とせざるを得ない。したがって、重量は軽水炉の十倍以上になってくるという問題があるんです。

 二つ目に、システムが複雑に絡み合いますから、相互に独立性がないために設計が複雑になり、設計、製作、据えつけ、保守などの費用が随分高くなるんです。

 三つ目には、プラントを構成するシステムの種類が、軽水炉に比べて約二倍も多いんです。

 ですから、磁場をつくる超電導コイルとそれを冷却する液体ヘリウム循環系とか、ヘリウム液化システムとか、高周波コイルとコイルの電源系、計測制御系とかプラズマ制御系とか超高真空ポンプ、さらに、それを冷やすクライオスタットなどの冷却系、システムを収容して中性子を外部に逃がさないという遮へい能力を持つ建屋とか、こうなってきますから、これらは火力や通常の原発にはないものなんです。

 そこで、そういうことをきちんと踏まえた上で、これでITERというのが展望のあるもの、やっていけるものというお考えなのかどうか。だから私は、このITERが動力炉として展望があるんですかということを聞いているんです。大臣、この点はどうなんですか。

中山国務大臣 先ほど答弁しましたように、そういったさまざまな議論を踏まえた上で閣議了解して、国策として進めていこう、また、六カ国で国際協力プロジェクトとしてやっていこうということでございまして、今いろいろ技術的なことを言われましたけれども、ちょっと私もその辺はよくわかりませんが、高温のプラズマをコントロールする技術というのは、我が国では日本原子力研究所のJT60等を活用して研究が進められている。また、JT60では、既に五億二千万度のプラズマを実現するとともに、一億度を超える高温のプラズマを十秒程度安定的に維持するなどの成果も出しておる。

 それから、ITER計画では、世界で初めて核融合反応を起こしている、すなわち、燃焼している一億度を超える高温のプラズマを十分程度コントロールすることを一つの目標としておりますが、これまでの研究成果にかんがみれば、その達成は十分可能であると見込まれているところでございます。

 さらに、核融合発電の実用化に向けましては、高温のプラズマを定常的、例えば一年程度コントロールする技術が必要であり、さらなる研究開発が進められている、このように伺っております。

吉井委員 ですから、目標を挙げられているのはよくわかっているんですよ。

 問題は、その目標を達成するに必要なプラズマ制御の技術とか炉材料の問題とか、それから、実際にこれを動力炉にしていくときには、コストがちゃんと軽水炉に見合うものになっていくのかという展望を持たなきゃいけないんですね。やみくもに目標だけ掲げて走ることがいいのかどうかということが今問題になっているところなんです。

 ITERの研究推進については、本来、工学設計を終えた段階で、建設に移ることのできる炉材料が開発済みかどうかとか、将来の実用炉の開発につながる現実的に意味のあるものになり得るかどうかとか、コスト計算が適切かどうかとか、日本誘致した場合の財政負担がどうなるのかといったことをすべて国会に提出して、各分野の専門家などの参考意見も聞きながら、国会としてもやはり深い検討がなされるべきものであって、むつ小川原開発巨大プロジェクトの破綻の後始末に、六ケ所の再処理工場建設と運転とかITER誘致というのは、これはエネルギー政策でも科学技術政策でもないわけで、政策破綻の後始末のために、科学技術に名をかりた大型公共事業を引っ張ってこようというのは、この発想からは転換するべきだ、このことを指摘して、「もんじゅ」の問題に移りたいと思います。

 高速増殖炉は、これは二つの技術的問題を抱えています。一つは、核燃料として放射性毒性の強いプルトニウムを使うことです。二つ目は、水などとの反応性の強いナトリウムを冷却材に使うということです。

 さらに、「もんじゅ」は、再処理工場を建設してプルトニウムの分離抽出を必要としますが、ところが、「もんじゅ」でも再処理工場でも、混合酸化物燃料をつくるためのウラン転換工場でも事故が次々と起こってきて、このプルトニウム循環方式の原発政策そのものが、技術的にも、動力炉としての安全性や採算性の面からも、今行き詰まりを来しています。

 そこで大臣に伺っていきますが、推進するか中止するかという立場、これはいろいろあるでしょうが、立場は別にして、高速増殖炉「もんじゅ」はこうした問題を抱えているという認識を持っておられるかどうか、これを伺います。

中山国務大臣 私も、先般「もんじゅ」を視察してまいりました。その中で、ナトリウムにつきましては、隣接する研修施設におきましてその物理化学的性質について説明を受けますとともに、実際にナトリウムが高温で空気等と触れて燃焼する状況を現実に確認したところでございます。したがいまして、ナトリウムは注意して取り扱うべきだな、そういう物質であるということを理解しております。

 またプルトニウムにつきましても、ウランと比べまして放射能が高いなどの性質があることから、より注意して取り扱わなきゃいかぬということも理解しておるところでございます。

 「もんじゅ」につきましては、このようなナトリウムとかあるいはプルトニウムの特徴に留意した上で、これらを利用することによる高速増殖炉のメリットにも着目して開発を進めているところでございますけれども、あそこでも私も申し上げたのですけれども、何よりも安全確保を第一にして研究開発を進める必要がある、このように認識しているところでございます。

吉井委員 まず、プルトニウムというのは放射性毒性の強いものです。これを技術的に扱うというのはそんな簡単な話じゃないんです。

 ナトリウムについても、もともと「もんじゅ」で事故をやったときに、ナトリウムは完成された技術だと思っているというのが動燃の技術幹部のお話でした。しかし、そう思っていて事故をやっているんです。ですから、あなたに説明されたような簡単な話じゃないということをまず踏まえて見ていかなきゃいけないと思います。

 既に高裁判決の指摘した高温ラプチャー型破損の問題、ナトリウム・コンクリート反応による爆発の問題とか炉心崩壊の問題について、これは国会でも質疑をしてまいりましたが、これら判決で示されているのに、最高裁判決の前に「もんじゅ」の再開を強行するということは、これは裁判手続を無視した全く無謀なやり方で、最高裁判決で高裁判決と同じ立場を示されたときには、進めていったことがすべて覆ってくるということになりますから、判決前の強行というのはやめるべきであるということを申し上げておきたいと思います。

 ここで政府参考人に伺っておきますが、高速増殖炉「もんじゅ」関連の事業費、これは一体幾ら今まで使ってきたのかということで、「もんじゅ」の建設費と運転管理費、それから、「もんじゅ」に進んでいく前の「常陽」の関連事業費と、それからナトリウム技術関連、そして再処理工場とMOXの製造が必要になってまいりますが、これは新型転換炉「ふげん」の分を別にして、「もんじゅ」関連の事業費としてこれまで使ってきたのは一兆九千二百十五億円になるかと思うんですが、この点、確認しておきたいと思います。

坂田政府参考人 お尋ねの「もんじゅ」関連の経費でございますけれども、昭和五十五年から平成十七年度の原案まで、二十六年間の予算のベースでは、全体としては、まず八千二百三十七億円でございます。内訳としては、建設費が五千八百八十六億円でございますけれども、そのうち民間拠出が千三百八十二億円ございますので、政府支出分は四千五百四億円でございます。それから「もんじゅ」のこれまでの運転維持費の関係でございますけれども、これは二千三百五十一億円でございます。

 それから、関連する経費、これも予算ベースでございますけれども、まず、高速実験炉「常陽」の関連でございますけれども、過去三十八年間で千六百十九億円でございます。ナトリウムの関連経費が、過去三十六年間で千九百四十四億円でございます。再処理の関連経費が、過去三十六年間で七千四百十五億円でございますけれども、うち事業収入が六千三百七十二億円ございますので、政府の支出といたしましては千四十四億円。すべてをトータルいたしますと、先生が冒頭におっしゃいました一兆九千二百十五億円ではございますけれども、うち政府の支出は一兆一千四百六十一億円でございます。

吉井委員 「もんじゅ」関係で幾らお金を使ったかということなんです。これは一兆九千二百十五億円、予算として使ってきているんです。新たに「もんじゅ」の改造費が百七十九億円、再開後の運転管理費が百五十億円から百八十億円、年間かかって、十年運転ということで大体二千億円というふうに皆さんの方から伺っております。そうすると、最初から合わせると「もんじゅ」開発には二兆二千億円という非常に大きな開発投資を行ってきておりますが、これで、今、高速増殖炉はめどがついているんですか。

中山国務大臣 「もんじゅ」を初めとした高速増殖炉の研究開発につきましては、その実用化を目指して着実に取り組んでいるところでございます。

 実用化に向けた次のステップとなります実証炉建設やその後の実用化計画につきましては、現在、原子力委員会における次期長期計画の検討の中でも議論されているところでございますが、「もんじゅ」の運転再開後の成果や、その他、高速増殖炉の実用化に向けた研究開発の成果等を評価しながら具体化されることが期待されているところでございます。

吉井委員 原子力長期計画では、九四年には、二〇三〇年ごろまでに実用化が可能となる技術体系としていましたね。今、実験炉、原型炉、実証炉、商業炉の中で原型炉の段階ですが、では、実証炉から商業炉にかけての見通し、これはどういう見通しを持っているんですか。

坂田政府参考人 今大臣もお答えになったところでございますが、私どもといたしましては、まず「もんじゅ」、これは近く改造工事に入りますけれども、改造工事をしっかりやりまして、その後、運転に入ります。そして運転を約十年程度、約十年程度の間に、「もんじゅ」の所期の目的、これは二つございますけれども、一つは発電プラントとしての性能を実証するということ、もう一つは、先ほど先生がおっしゃいました、ナトリウムの取り扱い技術をしっかりマスターするということ、こういう所期の目的を運転開始後十年程度をめどにしっかりなし遂げたい、このように思っております。

 そして、現在、並行的に進めておりますが、サイクル機構とそれから電力あるいはメーカーとの間で高速増殖炉の実用化調査研究というのを並行してやっております。それらの成果を、「もんじゅ」の成果とあわせましてしっかりとした実用化展望のための評価を行い、その上で、実証炉の具体的な計画、さらには実用化に向けた開発計画の具体的な道筋、そういったものの検討を進めていきたい、このように考えているところでございます。

吉井委員 ですから、現在は、実証炉についてもそれから商業炉についてもめどを持っていないということなんですよ。もともと、以前は挙げていた「技術体系の確立」ということも、これは長計目標から取り下げざるを得ないというところへ来ている。そのことを、実験の中でやっていきたい、やっていきたいの話ばかりで進んでいくというのはとんでもない話だということを言わなければなりません。

 放射性毒性の強いプルトニウムを扱うという困難性の問題とあわせまして、商業炉の発電コストから、これは、一回使い切りの直接処分の軽水炉に比べて、再処理によるプルサーマル利用のコストの方が二倍も高くて採算が合わないという問題などありますが、昨年八月に出しました質問主意書に対する答弁書でも、八〇年代初めから九つの調査報告で、再処理の方が直接処分より原発による電力コストがそれぞれ二、三倍高いということを認めた上で、これら資料を参考に検討して再処理―リサイクル路線を進める、開発努力を積み重ねるとしてきました。

 プルサーマルにしても高速増殖炉にしても、再処理することによるコストが高くなり、「もんじゅ」から先の実証炉、商業炉へ進む展望というのは、これは技術面の問題とともに、コストの面からも出てこないというのが、大臣、これが現状じゃないですか。

中山国務大臣 やはり新しいエネルギーを開発していくというのは相当の金がかかるなということは、これはもう認めざるを得ないと思いますけれども、だからといって、ちゅうちょしたり、やめるわけにはいかぬわけでございます。

 昨年に、原子力委員会におきまして核燃料サイクル政策推進という基本路線も確認されておるわけでございまして、文部科学省といたしましては、「もんじゅ」を高速増殖炉の研究開発の中核として積極的に推進していくことを表明しているところでございます。

吉井委員 「もんじゅ」を中核とするんですが、これは技術的な面、つまり、ナトリウム、プルトニウムを使うという面からもコスト面からも、今、展望が出てこないというところへ来ているということをきちっと見なきゃいけないと思います。

 プルトニウム循環のかなめとなるのが六ケ所再処理工場ですが、これは運転前から次々とトラブルが起こっています。

 使用済み核燃料貯蔵プールの水漏れも大きい問題でしたが、配管のテフロンパッキングが濃硝酸で腐食して、核燃料を溶解した液が漏えいするとか、ガラス固化体貯蔵建屋の冷却性能不足などについては、これは国自身が設置工事変更認可を出しているわけですから、国の方もミスを犯していた。

 採算性の見通しもなく、プルトニウム循環システムも完成していない中で、この循環をとめるということが課題になっているときにこれをやると、試験前から事故続きの再処理工場のウランテストに入ってしまうと廃炉にしたときの解体処理コストが高くなってしまって、しかも、放射性廃棄物処理の厄介な問題を抱え込むということになります。

 ですから、経産大臣、再処理工場、これはやめるべきだ、プルトニウムを循環させるということはやめるべきだということをこれはきっちり決断するべきときだと思いますが、大臣にこの点を一言伺っておきます。

中川国務大臣 核燃料サイクルのシステムというものは、いろいろな専門家の議論、あるいはまた、折に触れて国民の皆様にも、また御地元にもとりわけお話をし、御理解をいただきながら、これは国の基本的なエネルギー政策として推し進めていくべきものと考えております。

 吉井委員御指摘のように、いろいろとトラブルあるいは事故等も発生しておりますけれども、そのたびに、原因の究明、再発防止に全力を挙げ、そして、そのたびに御地元におわびしながら、改めて御理解をいただきながら進めさせていただいておりますので、基本的に、このウラン再処理あるいはまた核燃サイクルの推進については、先ほど申し上げた安全性と国民の御理解、とりわけ御地元の御理解を前提にして進めさせていただきたいというふうに考えております。

吉井委員 私は、プルトニウムを循環して使用するやり方というのは、今技術的に確立していないだけじゃなしに、これは安全の面その他からしても、もうこのやり方からは撤退をするというところへ政策的に切りかえていくべきだということを言わなきゃならぬと思います。

 私は、原子核の方の研究室が同じだった人が「もんじゅ」の幹部になっていて、福井県の方から、政界、官界にコネがあるだろうからということで頼まれて、北陸新幹線誘致に国会や官庁へ足しげく陳情に回っているのでお会いして、それをマスコミの方に紹介したら、取材に行かれて、最近の新聞紙上でも、新幹線人質に地元了解とか報道されました。

 ITERの誘致合戦のときにも、科学技術に名をかりた公共事業という物理学者の批判がありましたが、やはり「もんじゅ」の開発再開ということについて、これは大臣、町おこし的公共事業と引きかえに「もんじゅ」開発というのは、日本の科学技術のあり方としてもエネルギー政策のあり方としても、正常な姿ではないと思うんですね。とりわけ文部科学大臣の場合には、科学技術の分野を担当する大臣として、このやり方はやはり正常でないと思うんですが、あなたはどう考えられますか。

中川国務大臣 文科大臣に御指名でございましたが、町おこしと、それから、例えば福井あるいは青森県については、御地元の御理解のもとでそれぞれ事業を進めさせていただいておりますが、単に燃料施設あるいは現段階での実験施設だけではなくて、それを利用して、関連産業あるいはまたいろいろな、いわゆる町にとってプラスになるようなものに利用したいという御希望があれば、我々、最大限それに対して御協力をしていくということは、決してこれは、私は間違った方向ではないと思っております。

 その中に、特に福井の場合には新幹線という地元の大変強い要望があることも重々承知しておりまして、それらを含めまして、個別案件は別にいたしまして、一般論として、地元の御要望にこたえて、その地域が発展をしていき、そしてまたエネルギーの供給基地、エネルギーの研究センターとして発展をしていくということは、我々にとって、国として大いにそれに対してできる限りの御支援をしていくということは、私は当然のことだというふうに考えております。

吉井委員 プルトニウムとかナトリウムの危険な問題があって科学技術を進めていこうというときに、それを町おこしの取引条件でもって進めるというのは、これは科学技術のあり方としては全くゆがんだやり方です。こんなことはやるべきじゃありません。

 先ほどITERのことを挙げましたが、国際共同研究ということでいくならば、これはノーベル賞級の成果を次々続けて上げております施設、ニュートリノを打ち出す東海の新しい施設で百五十六億円、スーパーカミオカンデで大体百四億円ほどですが、これに新しい観測施設を考えても二百億円とか、そういう単位なんですね。だから、そういうところへこそ、本来、研究というものを、国際研究を考えるならばやるべきであって、将来の展望もないものにITERを誘致すれば、周辺施設費など含めて大体一兆円から日本は負担をしなければならないでしょうし、そういう方向にゆがんでいくべきではないと思います。

 それで、エネルギー政策として見るならば、今、再生可能エネルギーの研究開発、これは、九一年以降ずっと毎年出してもらっている再生可能エネルギーの研究費が、平均して年百四十億円ぐらいです。これまで「もんじゅ」に使ってきた約二兆円、これでいけば百三十年分なんですね。そういう分野にこそ研究開発に力を入れるならば、これは京都議定書の発効に伴う目標を達成していく上でも、プルトニウムなどに頼らなくてもやっていける新しいエネルギー政策に転換することができます。

 今やるべきことは、技術的にも困難であり、そして、動力炉につながるコスト面からもめどが立たないというITERだとか、あるいは「もんじゅ」に傾斜するのではなく、しかもそのやり方が、町おこし的なやり方ではなしに、本来の研究に立ち戻った姿に取り戻していくべきである、そういう方向にこそ日本の科学技術政策を転換するべきである。このことを申し上げまして、時間が終了しましたというので、終わるようにいたします。

甘利委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、二十五分というお時間をちょうだいいたしましたので、少し突っ込んだ、あるいは積み残したと思われる論議を行わせていただきます。また、委員長初め各委員の皆さん、また御出席の各大臣も、本当に金曜の夕刻の遅い時間まで、御苦労さまです。

 私は、今皆さんのこれだけの御労苦と時間、そして一方で国民が求めるもの、すなわち橋本元総理の参考人招致あるいは証人喚問など、この政治と金という問題もぜひ、これだけの労苦を重ねておる予算委員会ですから、理事の皆さんがしっかりとお話しくださいまして、実現していただきたいと思います。冒頭、このことをまず委員長にお願い申し上げます。そして、質問に移らせていただきます。

 きょう、午前中から各委員の論議を承っておりまして、質問通告をしてございませんが、私なりに二、三確認をさせていただきたいことがございますので、よろしくお願いします。

 一点目は、まず、公明党の福島委員の御質疑に関係がございますが、障害者の自立支援法についてでございます。これは、昨年の秋に厚生労働省でいわゆるグランドデザインというものが提案されて、そしてこの二月、閣議決定で法案が提出されるということでございます。

 ところが、皆さんも御承知だったかどうか、一昨日、一方で京都議定書の発効というたくさんの人のお集まりがあったその同じ日に、五百人以上の障害のある方たちがこの国会に詰めかけておられました。冷たい雨の中ですし、手袋をしていらしてもお手までぬれて、障害のある方にとっては命がけの陳情だったように思います。

 まず、陳情内容はいろいろございますが、非常にシンプルで、そして即刻実現できることが一つございます。何かというと、この十月のグランドデザインが発表されて、この二月で法案提出が行われるまで障害者御本人の声が一度も聞かれていないということが、非常に深刻な問題として障害者団体から言われております。(発言する者あり)

 そこで、そんなことないというお声がありましたが、もしそうであれば、少なくとも、尾辻大臣は、所信表明の中でも自立というキーワードが政策の根幹だとおっしゃいましたが、自立ということを考えるのに、御本人の希望なり思いなり歴史なりを聞かないといい法律にはならないと思いますので、厚生労働省の責任あるお立場として尾辻大臣御自身が御面会いただくこと、あるいは、省庁の受け皿の機関がきっちりとしたヒアリングを行うことを、冒頭、一つ確認したいと思います。お願いします。

尾辻国務大臣 私も可能な限り団体の皆さんにはお会いしてまいりました。そして、御意見もお聞きをいたしてまいったつもりでございます。それから、担当のところもまた私以上にそれぞれの皆さん方、団体の皆さん方とも御意見をお聞きしながらこの作業は進めてきたと理解をいたしております。

阿部委員 私のお尋ねは、そうやってきたことで、しかし、相手方が一回も面会をされていないというふうに受け取っている実態がございます。確かに、日比谷公会堂での論議もございました。しかし、この間、この障害者自立支援法という法体系をとるという段に至ってのヒアリングは一切ございません。秋にグランドデザインが出たときでございます。その点はさらに実務サイドともよくよく大臣として検討していただきまして、結局、御本人たちが本当にいいと思わない法律は生かされようがないわけですから、重ねてお願い申し上げます。

 二点目は、年金の論議でございます。これは先ほど大島委員が非常に綿密に論議を展開してくださって、今一番必要なことは、国民の代表であるところの国会議員が国会という枠で事を論議することであって、有識者会議あるいは審議会という形式以上に求められるものが国会内の論議であろうと思います。

 私は一点大臣に確認したいのですが、いわゆる有識者会議あるいは審議会の中には、個別に労働団体の利害の代表あるいは経営団体の利害の代表という、いわば自分たちがおのおのその利害を代表した方たちがおいでです。しかし、本来、先ほど大臣がおっしゃったスウェーデンでの論議は、そうした実際の利害関係者を除いて、政党間の論議でございました。もちろん、これを決めるのは国会ですが、この大事な年金問題を考えるに当たって、枠組みは、まず利害団体を外に置いて、政党間で、それこそ、財務大臣もおられますが、税制や財務全体の面から見て、あるいは社会保障の未来像としてきっちりと私は国民にこたえる論議をすべきだと思います。

 尾辻大臣がお引きになったスウェーデンの例を私はそのように理解しておりますが、この理解でよろしいかどうか、お願いいたします。

尾辻国務大臣 私もそのように理解をいたしております。

阿部委員 そうした論議を前提といたしまして、来週月曜日、集中審議が行われる段取りが決められております。そこに至るまでの間に、私はぜひ閣僚間の皆さんに共通認識として確認していただきたいことがございますが、いわゆる国民年金の一号被保険者問題です。

 どなたの閣僚も、先ほどの細田官房長官もおっしゃいましたが、国民年金の一号者イコール自営業者と常におっしゃいます。しかし、私が昨年の年金論議のときに何度も何度もデータでお示ししたのは、既に国民年金の加入者のうち、自営業者は四割を切っておるという実情です。この国民年金の論議をする際に、各閣僚がこの実態をきっちり把握していただかないと、年金論議の実のある論議になってこないと私は思います。

 小泉首相もいつもおっしゃいます、国民年金一号被保険者など、自営業者などのと。自営業者が頭にある限り、現在、国民年金はフリーターや本当に自分で厚生年金を受けられない方たちの大きな受け皿になっております。せめて私は、現状認識、閣僚間で実態認識を共有していただきたいと思いますが、尾辻大臣、いかがでしょう。

尾辻国務大臣 お話しのとおりに、一号被保険者の中に、多くの方がいわば厚生年金を抜けてという表現がいいのかどうかわかりませんが、厚生年金から移ってきておられる方が非常に多いということを私どもも現状として認識いたしております。

 一号被保険者の皆さんが非常に多様化しておられる。かつては確かに自営業者というふうに言いかえてもよかったんですが、今日、一号被保険者の皆さんの多様化というのは極めて顕著であるというふうに理解した上で、そういう認識で今後の年金は考えていきたいというふうには思っております。

阿部委員 自営業者という形でくくられますと、いわゆる所得把握の問題にまた直結していって、おっしゃったような多様化した国民年金の現状がきっちり把握されませんので、私は、毎回の御答弁、各大臣、伺いながら、やはりそこはきちんと認識していただいた上で国会の論議を進めたいと思います。

 引き続いて、政治と金の問題に移らせていただきます。これは予告してございますので。

 政治と金、法廷において、滝川元会計責任者が、確かに橋本元総理には報告したという御発言があったようですが、この会計責任者というのは、政治団体であれ、政党であれ、極めて重要なポジションを占める方です。私が本日伺いたいのは、この部分は例えば参考人とか証人喚問にゆだねますので、それ以外の部分でお伺いいたします。

 厚生労働省におきまして、私がお願いいたしました公益法人とそれにかかわる政治団体の関係をいろいろ御調査くださいました。さきの委員会でも少し取り上げさせていただいて、私が皆さんのお手元に、きょう、同じ資料ですが、改めて配らせていただいているのは、医師会、歯科医師会、看護協会、このうちの歯科医師会の歯科医師政治連盟が今回の献金一億円問題の当事者ですが、そうした関連する医療界の公益法人につきまして、その公益法人の例えば事務所が政治団体の事務所と同じであるか、使っている封筒が同じであるか、電話が同じであるかなどを厚生労働省にあってはお調べいただいて、私がお配りしたような資料が出ております。

 私がきょうお伺いしたいのは、先回は、この中で代表者が同じ方はどのくらいおありですかということを聞きたかったけれども、一つだけ、日本医師会は代表者が同じですねという確認をさせていただきました。実は、厚生労働省がお調べになった千三百五十九法人の中に、いまだに代表者が同一の事例が二百十九法人ございます。全体の一六・一%に上っております。この間の尾辻大臣の御答弁も、坂口前厚生労働大臣の御答弁も、やはり同じ方が代表者で、片っ方は公益法人、寄附も補助金も出ます、こっちは政治団体、これはいかにも混乱を招きがちなのでよろしくないというふうに御答弁でありましたから、私はこれへの是正措置をお願いしたい。

 もう一つ、会計責任者も、きっちりと全法人お調べいただきたいのです。千三百五十九法人のうち、今回の厚生労働省調査では、会計責任者がだれかということは調査されておりません。ちなみに、私の身近では、代表者も会計責任者も同じ団体がございます。しかし、それは、一たん事あった場合、あるいは事がなくても不明朗会計の根源になりますし、公的な性格を帯びた医療が国民の信頼をこれから取り戻していくためにも非常に重要な一歩と思いますので、二点にわたり、尾辻大臣に御答弁をお願いいたします。

尾辻国務大臣 お話しいただきました各都道府県別の組織というのは、これはまさに各都道府県が所管をいたしておるといいますか、指導監督する立場にございますので、今お示しいただきました平成十六年四月の調査でも、私どもは各都道府県に対して調査を行った上で、公益法人のファクス、封筒等を用いて会員に対して政治団体の会費納入を依頼していた事例や、その他、ふさわしくない事例について調査をし、不適切な事例があった場合には当該公益法人に対して改善指導を行うように依頼をしたところでございます。

 今お話ございましたので、都道府県に対して改めて、そうした会計責任者の話も含めて、調査を依頼するかどうか、もう一度私どもなりに検討させていただいて、お答えしたいと思います。

阿部委員 ぜひ、お金を扱う部門の透明性ということを預かる会計責任者の問題は、私は現実に非常に大きいと思いますので、今尾辻大臣が即答おできにならなければ、前向きに御答弁を願いたいと思います。

 せっかく麻生大臣にもおいでいただいていますので、関連して伺わせていただきますが、このような公益法人の会計責任者と、そしてそれに関連いたします政治団体というところの会計責任者が同じであるということは、一般論で結構です、望ましいと思われるか、あるいは何らかの是正措置が必要と思われるか、お考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 別々の方が望ましいのははっきりしておりますので、何らかの措置をということをお聞きでしたら、それは御存じのように、形式審査権という、何回も申し上げておりますので。

阿部委員 では、今の麻生大臣の御答弁をよろしく尾辻大臣にあっても生かしていただきまして、私は何度も申しますが、今、国家予算の一番大きな歳出が社会保障関係、医療、介護でございます。二十兆を超す時代になって、この部分が信頼されないと、例えば、やみ献金をしちゃったとか、わけわからないことに使ったとかなると、本当に国民に対しての、これは政治が一番揺らぐ根幹になると思いますので、今麻生大臣の御答弁にもあったとおり、よろしく御検討、そして善後策を講じていただきたいと思います。

 引き続いて、この間、三位一体改革並びに各地方自治体で町村合併が進んでおります。このことに関連して、とても気になっておりますことがありますので、一つ伺わせていただきます。

 御承知のように、ことしは豪雪でございます。被災した新潟は、地震の前には雨、そして地震、そして今は雪。実は私は、先週、私的な用で新潟に行ってまいりましたが、ことしの雪は十九年ぶりか二十年ぶりで、地震に遭った家もつぶれちゃう、それから道の雪の排除もなかなかままならないという実態を見てまいりました。

 例えば、皆さんもよく御承知の山古志村が、今度、小千谷市と合併いたします。豪雪対策は、その市町村の市役所の所在地の雪の量で、豪雪に対しての交付税交付金の額が決まってまいります。山古志村が一つの単位であったとき、雪深い。そして、小千谷になれば多少は雪は違う。今、新潟は大規模に、例えば上越市は十四の市町村が一緒になり、中には埋もれちゃうような雪のところとございますが、上越市の市役所は御承知のように平地にございます。

 このことへの目配りが、果たして現状の施策で十分であるか。私は、時間の関係で、大変恐縮ですが、既にどうなっていますかというお答えを実務サイドから伺ったところ、市町村の所在地、市役所の所在地でやるが、一つの市の単位に一キロメッシュをつくって、その平均値をとるというお答えでした。

 ところが、雪深いところは、ぼこん、ぼこん、ぼこんとございまして、必ずしも全市の面積の半分が雪深地域になるわけではございません。町村合併になれば雪深いところが埋没してまいります。必ず生存基盤が揺るぎます。

 私は、きょう、これを問題指摘させていただいて、麻生大臣にお考えと、今後の対策、指導をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 先生、これはまことにごもっともな御指摘なんですが、山古志村は小千谷じゃなくて……(阿部委員「ごめんなさい、長岡市でしたね」と呼ぶ)別のところですから。(発言する者あり)やじは控えてください。

甘利委員長 質問者に答えてください。

麻生国務大臣 今、上越の例を引かれたんですが、おっしゃるとおり、法律によりますと、積雪度でいけば、上越は等級数で二ということになるんですが、その他のところは三とか、いろいろありますので、市役所の所在地をもって充てるということに法律的にはなっておりますから、基本的には二になる。そうすると、ほかの三のところはどうするんだ、簡単に言えばそういうことだと思います。これは、先ほども言われましたが、おっしゃるとおり一平方キロメートルで切っていくやり方をいたしまして、上越市の場合におきましては、市役所のあれでいきますと二になるんですけれども、その他のところの積雪が明らかに多いことははっきりしておりますので、その他のところの面積に合わせて三ということになるというお答えだけはまず最初に申し上げます。

 その上で、今、そういっても、同じ三のところでも、この谷のところだけは深くて、そこに四軒家があって、ほかのそうじゃないところはどうなんだという御指摘なんだと思いますので、これはまことに、雪というのは基本的にそういったことはよく起こることになっておりますので、これはぜひ、そういったところは、それをきちんと法律に書くわけには、全部例を引いていくと法律文にはなりませんものですから、それは言っていただきました場合は必ず対応をさせていただきます。そういったことはきちんといたしますので、御心配なく。

阿部委員 ありがとうございます。また、私の間違いも指摘していただいてありがとうございます。

 引き続いて、遺骨収集、最後になりますが、これをお願いいたします。

 坂口前厚生労働大臣のお兄様もインパールで亡くなられ、また尾辻大臣のお父様も戦死をされました。我が国は、実は戦後六十年をことし迎えておりますが、二百四十万の海外戦没者のうち未帰還の御遺骨が百十万と報告されていることは尾辻大臣もよく御存じで、また今回の所信表明の中で、厚生労働行政の中に遺骨収集を明確に位置づけるというお話でした。

 私は、本来であれば、遺骨収集のための立法というのをきっちりと国会が国会の意思として示すくらいのことが必要になっている。なぜ、まだ百十万人も帰ってこないのか。もちろん海に沈んだ遺骨もおありでしょうが、私は、日本の国の命令で戦地に行き戦死された方々の御遺骨に、日本の国がなすべきことをしていないと思います。

 その中で、いわゆる横田めぐみさんの問題で、この間、私どもの国は新たに、焼いた骨からもDNA鑑定ができるという、我が国のDNA鑑定の技術の向上を一つ獲得いたしました。もちろん、この横田さんの結果は、北朝鮮の不誠実な対応を初めとして、私は、非常に問題が多いし、この我が国が獲得した技術をきっちりと北朝鮮にも示して、否やを言わせない対応を求めるべきである、これは思っております。

 そして同時に、この報道を耳にした多くの戦没者の御遺族が、ああ、焼いてある骨でもDNA鑑定もできるようになったんだと一つ希望を見たのも事実でございます。

 実は、DNA鑑定というのは、ベトナム戦争に行かれた兵士たちを、平成十年ごろアメリカが、あのベトナムの戦場で散った方たちの骨を集め、DNA鑑定が可能であるというふうに表明したところから我が国でも始まりました。本日の質問、また中途半端になって恐縮ですが、現在アメリカは、朝鮮戦争のときの御遺骨を、今年度も北朝鮮に五億円を渡して収集し鑑定にかけるという方針を出しました。アメリカと北朝鮮は、今一番対立している、そのようにとらえられている国です。しかし、その中にあっても、かつての戦死者を何としてでもお国にお迎えしようという、そこは強い意思だと私は思います。

 大臣に伺います。

 我が国の予算案を見ますと、遺骨収集作業その他、慰霊碑も含めてたかだか五億円、全部でです。アメリカが北朝鮮に渡した五億円は、遺骨収集のために丸ごと投げた五億円です。我が国は、収集して、慰霊碑を建てて、人が行って、全部で五億円です。私は、亡くなられた方々に本当に私どもの社会が報いていない証左と思いますが、この点について、私は、よいことはアメリカに学ぶべきだと思います。また、獲得した技術は、きっちりと私どもが国民に還元すべきだと思います。

 余りにも少ない予算配分ではないか、このことを大臣に、まあ、これは大臣がやったわけじゃなくて谷垣財務大臣かもしれません、よろしくお願いします。もっと声を上げていただきたい。死者は声は上げられないのですから、よろしく御答弁をお願いします。

尾辻国務大臣 お話しいただきましたように、私の父も戦死しておりますので、そうした戦没者の遺骨収集について先生が大変関心をお寄せいただき、また、きょうみたいな御質問までいただいておりますことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 遺族の一人として率直な思いを言わせていただきますと、戦後六十年たってまだ遺骨収集をやっているということ自体が大変悲しいことだと思っております。こうしたことは一日も早くきっちり済まさなきゃいかぬというふうに思っております。

阿部委員 今の御発言を受けて、財務大臣にもよろしく御配慮のほどお願いいたします。終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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