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第18号 平成17年2月24日(木曜日)

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平成十七年二月二十四日(木曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会(皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管並びに他の分科会の所管以外の事項)

   主査 松岡 利勝君

      大島 理森君    西川 京子君

      石田 勝之君    岩國 哲人君

      佐藤 茂樹君

 第二分科会(総務省所管)

   主査 伊藤 公介君

      伊吹 文明君    二田 孝治君

      生方 幸夫君    吉良 州司君

      田中 慶秋君

 第三分科会(法務省、外務省及び財務省所管)

   主査 植竹 繁雄君

      河村 建夫君    村井  仁君

      小泉 俊明君    篠原  孝君

      田端 正広君

 第四分科会(文部科学省所管)

   主査 渡海紀三朗君

      萩野 浩基君    福田 康夫君

      佐々木秀典君    津川 祥吾君

      中井  洽君

 第五分科会(厚生労働省所管)

   主査 後藤田正純君

      金子 一義君    津島 雄二君

      根本  匠君    辻   惠君

      中津川博郷君    照屋 寛徳君

 第六分科会(農林水産省及び環境省所管)

   主査 小泉 龍司君

      北村 直人君    玉沢徳一郎君

      中塚 一宏君    永田 寿康君

      坂口  力君

 第七分科会(経済産業省所管)

   主査 茂木 敏充君

      甘利  明君    石原 伸晃君

      尾身 幸次君    島   聡君

      長妻  昭君    米澤  隆君

 第八分科会(国土交通省所管)

   主査 石井 啓一君

      中馬 弘毅君    森田  一君

      原口 一博君    樋高  剛君

      佐々木憲昭君

平成十七年二月二十四日(木曜日)

    午後一時三十七分開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 松岡 利勝君 理事 茂木 敏充君

   理事 佐々木秀典君 理事 島   聡君

   理事 田中 慶秋君 理事 石井 啓一君

      伊吹 文明君    石原 伸晃君

      植竹 繁雄君    尾身 幸次君

      大島 理森君    河村 建夫君

      城内  実君    北村 直人君

      小泉 龍司君    後藤田正純君

      坂本 哲志君    菅  義偉君

      鈴木 淳司君    竹本 直一君

      中馬 弘毅君    津島 雄二君

      寺田  稔君    中山 泰秀君

      西川 京子君    根本  匠君

      萩野 浩基君    原田 令嗣君

      福田 康夫君    二田 孝治君

      保坂  武君    三ッ矢憲生君

      村井  仁君    森田  一君

      阿久津幸彦君    石田 勝之君

      生方 幸夫君    梶原 康弘君

      吉良 州司君    小泉 俊明君

      小林 憲司君    小林千代美君

      武正 公一君    津川 祥吾君

      辻   惠君    中井  洽君

      中津川博郷君    中塚 一宏君

      永田 寿康君    長妻  昭君

      原口 一博君    樋高  剛君

      米澤  隆君    佐藤 茂樹君

      坂口  力君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    佐々木憲昭君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         南野知惠子君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   農林水産大臣       島村 宜伸君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 村田 吉隆君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (産業再生機構担当)   村上誠一郎君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   総務副大臣        今井  宏君

   法務副大臣        滝   実君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   法務大臣政務官      富田 茂之君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   政府参考人

   (内閣府産業再生機構担当室長)          藤岡 文七君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   小津 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          倉吉  敬君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  永田 俊一君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     城内  実君

  河村 建夫君     竹本 直一君

  小泉 龍司君     三ッ矢憲生君

  玉沢徳一郎君     中山 泰秀君

  津島 雄二君     西銘恒三郎君

  西川 京子君     宇野  治君

  根本  匠君     菅  義偉君

  福田 康夫君     谷川 弥一君

  岩國 哲人君     加藤 尚彦君

  吉良 州司君     武正 公一君

  辻   惠君     小林千代美君

  樋高  剛君     梶原 康弘君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

  照屋 寛徳君     横光 克彦君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     西川 京子君

  城内  実君     鈴木 淳司君

  菅  義偉君     根本  匠君

  竹本 直一君     河村 建夫君

  谷川 弥一君     保坂  武君

  中山 泰秀君     玉沢徳一郎君

  西銘恒三郎君     寺田  稔君

  三ッ矢憲生君     小泉 龍司君

  加藤 尚彦君     阿久津幸彦君

  梶原 康弘君     樋高  剛君

  小林千代美君     辻   惠君

  武正 公一君     吉良 州司君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

  横光 克彦君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     尾身 幸次君

  寺田  稔君     坂本 哲志君

  保坂  武君     原田 令嗣君

  阿久津幸彦君     小林 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     津島 雄二君

  原田 令嗣君     福田 康夫君

  小林 憲司君     岩國 哲人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府産業再生機構担当室長藤岡文七君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、総務省情報通信政策局長堀江正弘君、法務省大臣官房長小津博司君、法務省大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省民事局長寺田逸郎君、外務省北米局長河相周夫君、社会保険庁長官村瀬清司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。

 やや時間が不規則になりましたが、今から質問をさせていただきます。

 まず社会保険庁の不祥事の件でございますが、この委員会でもたびたび取り上げられております。本当に私もけしからぬというふうに思っておりますが、まだ取り上げられていない問題に、社保庁の支給ミスというのがございました。

 年金はお年寄りの方にとっては唯一の収入源であるし、これが払われたり払われなかったりというようなことがあれば、本当に大変な問題でございます。支給ミスがあっていいはずはないのでありますが、ミスがあったというふうに報じられております。一体どれぐらいの件数があったのか、まずそこからお伺いしたいと思います。

村瀬政府参考人 ただいまの先生の御質問にお答えを申し上げます。

 その前に、まず年金の給付誤りにつきまして、御迷惑をおかけしました皆様方に対して深くおわび申し上げたいと思います。

 これまで判明しております支給ミスでございますけれども、過払い関係につきましては、事象案件で十件、対象者数の総数が二万五千三百人、過払い総額が三十四億五千万でございます。一方、未払いにつきましては、事象で七件、それから対象総数が四万一千百人、未払い総額が二百五十億三千万でございます。このほか、事象は確定しておりませんけれども、過払い、未払いの特定ができない方々が五千三百人ほどおみえでございます。また、対象者数を絞り込めていない事象、現在作業中でございますけれども、これは七事象ございます。

 以上でございます。

生方委員 皆さんお聞きになったと思いますが、実に七万一千件ですよ。七万一千七百四十三件、これは過払い、未払い。銀行で過払い、未払いというのが仮に一件でも起きたら、これはとんでもない話になりますよ。七件とか七十件というのなら、まだまだこれは若干事務的なミスがあったというのでわかったとしても、七万一千件というのは、これは異常な数ですよ。

 金額にしてみれば、三十四億と二百五十億を足した額が過払い、未払いになっているということで、お年寄りの方たちにとってみれば、月に十万もらったり、もっと少ない方ももっと多い方もいらっしゃるでしょうけれども、年金だけが頼りで生きているという方に未払いなんということが起きたら、一体どうなるんですか。

 大体何年からこの過払い、未払いというのは始まったんですか。

村瀬政府参考人 十五年から十六年にかけてでございまして、十六年につきましては、十二月十七日にすべてのシステムの洗いがえをいたしまして特定させていただいたということでございます。

生方委員 十五年から始まったということで、それ以前にはあったんですか。それから、なぜ十五年からこういうことが起こったのか。その両方をお答えください。

村瀬政府参考人 先ほど申し上げましたシステムの改定の関係で起きておりまして、年金給付システムのレベルアップということで、平成八年から十一年度にかけまして、百二十三億円をかけましてシステム改定したわけでございますけれども、その中でミスが顕在化してきたということでございます。

生方委員 システムのレベルアップを行って、十五年からそれがレベルアップしたということですね。

村瀬政府参考人 失礼いたしました。修正をして、ちょっとお答えさせていただきます。

 先ほどお話し申し上げましたシステムの改定につきましては、平成八年から十二年にかけましてシステム改定をいたしまして、それで修正しておりまして、それまでにわかった部分で、先ほどお答え申し上げた部分でございます。(発言する者あり)いや、わかった上ででございます。トータルでございます。

生方委員 村瀬さん、いいですか、整理をしてちゃんと答えてください。

 さっき言ったように、七万一千七百四十三件、未払い、過払いが発生したわけですね。これが何年から発生をしたのか。ちょっと、聞いていなきゃわからないでしょう。だめだよ、そこで言っていちゃ。ちゃんと質問通告しているんだから、そっちで話したんじゃわからないんだから。

 だから、平成八年からシステムアップを始めたんですね。どういう内容のシステムアップを始めて、それがいつから動いて、いつからこの過払い、未払いが発生をしたのか、それを時系列的に言ってください。

村瀬政府参考人 それでは、再度お答えを申し上げます。

 年金給付システムのレベルアップが平成八年から十一年度までございまして、その関係で給付誤りがありましたのが、平成十五年七月十七日に公表させていただいているのが六千二百四十九人。それから、平成十二年の法律改正によりまして、平成十三年から十五年度にかけましてシステム改定をいたしまして、これが十六年八月に公表が三十八人。これは過払い部分で今お話し申し上げています。

 それから、先ほど申し上げました平成八年から十一年度のシステム改定で三千四百名、これは八月六日公表分でございます。それから、平成十年の法律改正、平成六年の法律改正におきましてシステム開発をしておりまして、その関係で、平成十六年の十月に四千九百三十八人、これが過払いの部分でございます。

 それからもう一点、平成十六年の十二月に公表させていただきましたのは、これも年金給付システムのレベルアップの平成八年から平成十一年度の開発で千人。未払いがそのときに二千四百人。それから、平成十二年度のシステム改定におきまして、これは過払いが四千名、あと、未払いが二百名、こういう形で出ております。

生方委員 ちょっと質問の趣旨がわかっていないと思うんだけれども、整理をして言うと、要するに、八六年から基礎年金の振りかえ加算制度ができて、九一年からそれが実施されたということでしょう。九一年に実施するためにシステム開発を行ったんですね。

 そこまで、イエスかノーかで答えてください。

村瀬政府参考人 おっしゃるように、制度改定に合わせましてシステム開発をしておりまして、先ほどお話し申し上げました年金給付システムのレベルアップは、それを踏まえた上で、平成八年から平成十一年度までにシステム開発をしております。

生方委員 システムのレベルアップというのは、それは行うことはあるでしょう。そのシステムを改定したときは、デモをやったり、いろいろなことをやるし、各地方事務所にもそういう連絡をして、当然試験をやりますね。試験をやって、なおかつ七万一千件も起こるというのは、一体どういうことなんですか。

 前、みずほが統合されたとき、新しいシステムができて、あのときも多少の混乱がありました、一日、二日。あのときだって大騒ぎになったんですよ。今度の場合は、新しいシステム開発をして、これは加入者がたくさんいるわけですから、こういうことがあっちゃいけないというのはおわかりになっていると思うので、その前に十分な調査を当然したはずでしょう。

 後で聞きますけれども、大変な額の開発費をかけているわけですから、開発費用の中には、当然、実際に運用したときにこういうミスが出ないようにするためのデモも含まれているはずでしょう。何で、そんなことをやっていながら、では、言い方を変えますけれども、どういうデモンストレーションをやったんですか。試験をどうやってやったんですか。

村瀬政府参考人 システム開発してテストをやっております。テストをやっていて、先ほど申し上げましたように、結果として、わからなくてミスが起こった。したがって、平成十六年度、その部分を全面的に見直すということで現在やった結果、御報告申し上げましたように、ミスの顕在がこれくらいあるということで御報告させていただいたわけでございます。

生方委員 けさ社保庁からいただいた資料がございますので、長官から言うと何かわかりづらくなっちゃうでしょうから私の方から言ってみますと、厚生年金保険等の給付誤りについてということで御連絡をいただきました。

 それで、年金給付システム変更の際のプログラムミスにより、老齢厚生年金の受給権者の一部について、支給を停止すべき加給年金を支給していたため、過払いが発生した、これが六千二百四十九人、総額が二十四億一千万となっているんですよね。開発名が年金給付システムのレベルアップ、経費が百二十三億円もかかっているんですよ。百二十三億円もかけて、何で六千二百四十九人も停止すべき加給年金を支給していたというようなことが起きるんですか、総額二十四億一千万円も。百二十三億もかけて二十四億も過払いが生じるなんて、こんなばかなシステムがどこにあるんですか。

 これが一件だけじゃないんですよ。これは一件だけじゃなくて、二番目のものも、未払い、過払い、三十八人、十一人で、これは平成十二年法律改正に伴う総報酬制の導入ということで、これもシステム開発費が三十五億円かかっているんですよ。三十五億円かけてこういうことが起こっている。

 その次には、加給年金額の過払いの概要ということで、調査対象者三千四百人、うち二千八十七人は既に過払い確定というので、これも開発名は年金給付システムのレベルアップ、百二十三億円かかっている。

 そのほかに、これは読み上げていけば切りがないんですけれども、ずっとありまして、トータル、総開発費が二百八十億円もかかっているんですよ。二百八十億円もかかっていて、七万一千七百四十三件も過払い、未払いが生じ、実際はまだこれ以上にあるんですよね、数字が。まだ今点検中ですから、幾ら出るかわからない。こんなばかな話がどうしてあるんですか。ほとんど信じられないですよ、これは。

 これだけのお金を使って、膨大な人数で膨大な期間をかけてやって、かつこういうことが起こるというのは、一体何が原因なんですか。

村瀬政府参考人 システムの開発につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、開発をすれば必ずテストして、テスト環境を踏まえた上でそのシステムが適正かどうかという形で運用するわけでございますけれども、それが十分できていなかった結果が今みたいな形で起こったというふうに認識しております。

 したがいまして、システムの問題につきましては徹底的に調べるということで、調査委員会も設けた上で昨年度から実施しております。

生方委員 これはどこがシステム開発をして、入札はどういう形で行われたんですか。

村瀬政府参考人 給付システムに関しましては、開発は日立製作所で、随意契約でやっております。

生方委員 これだけのミスが発覚をしたわけですから、当然、日立さんとはもう契約はやめているんでしょうね。

村瀬政府参考人 現在も日立製作所でやっていただいております。

生方委員 では、日立製作所にどんなふうな要求をして、これだけのことを起こしたわけですから、先ほど言ったみたいに二百五十億も開発費をかけているということは、こちらから払っているわけですから、それでこれだけのミスが生じているんですから、日立製作所に対して損害賠償請求するとか何かはやっているんですか。

村瀬政府参考人 システムの関係の賠償関係でございますけれども、本件に対しまして、給付ミスによりまして実額的には一億四千七百万ほどの実額損害が出ております。

 その中で、プログラムミスと事務ミスと両方ございまして、プログラムミスに係る部分につきましては日立の方へ請求しておりまして、平成十五年度で五千万を徴収しております。

生方委員 これは徴収したんじゃないんでしょう。システム開発費から差し引いただけなんでしょう。違うでしょう。

村瀬政府参考人 五千万を御負担いただいたということでございます。

生方委員 システム開発費から払うべきお金を五千万引いたというだけの話でしょう。五千万円現金が戻ってきたんですか。

村瀬政府参考人 五千万、相殺でやっております。

生方委員 先ほど申し上げましたように、長官、二百五十億円払っているんですよ、システム開発費として。当然払っているわけでしょう。それでこれだけのミスが起きて、七万件にも上るミスを起こして多くの方に迷惑をかけて、たった五千万円だけ返せばそれで済むんですか。そういう話なんですか。

村瀬政府参考人 先ほど申し上げました一億四千七百万という数字は、平成十五年度、システムのミスによりまして起こった事務コストでございます。その事務コストのうち、五千万分を差し引きさせていただいた、こういう形でございます。

生方委員 これは、システム開発に膨大なお金と時間がかかるのは私もよくわかりますよ。これだけ、二百五十億円もらって、加給者三千万人ですか、三千万人以上いるわけですから、その方たちに対する給付をきちんとしなければいけない。大変なことでしょう。大変なことであるけれども、現実に七万件も過払い、未払いが生じて、かつ、今調査中なんでしょう。これから先、まだ何件出るかわからないわけでしょう。実際、今いただいている方だって、それが過払いである可能性もあるし、未払い部分があるのかもしれないというような事態を引き起こしているんですよ。

 それでまだそのままその開発業者にシステム開発を依頼するというのは、普通の一般常識から考えたらおかしいですよ。普通でいえば、当然、まずとりあえず契約をやめて、点検、システム全部を見直すということを行うということと、七万一千七百四十三人の方に迷惑をかけたことについてシステム開発側からもきちんと損害賠償をさせなきゃいかぬ。

 五千万なんという額で済むはずがないじゃないですか。何で五千万、もしあなたが自分のところで、自分の身内がこれだけの迷惑がかかったら、たった五千万で済むと思うんですか。五千万で済ませるということがおかしいんじゃないですか。

 これから先、日立に対してきちんとした請求をする考えがありますか。

村瀬政府参考人 まず第一点、先ほど、三千万の方々に年金給付をさせていただいているというお話がありましたけれども、システムをとめますと年金給付自体がとまりますので、現行システムをしっかり使った上で給付はまずやらざるを得ないというふうに思っております。

 一方、このシステムの中身で間違いはどこかということで、先ほど申し上げましたように、平成十六年十二月までの間に徹底的にシステムの中身を見直せということで、先ほど申し上げました数字が現段階で把握できた。今まではそれを把握できなかったわけでございまして、それをやったわけでございます。したがって、その部分を次にはどうするかということになれば、当然、システム修正をした上で、給付自体をしっかりできるようにするということになろうかと思います。

 したがいまして、システムのプログラム開発ミスは、当然、日立側の負担で直していただいておりますし、それから、こちら側がプログラムの指示ミスをやった部分は、どちらかといいますと、日立側の責任ではなくて、社保庁側の責任になるわけでございます。したがって、その部分につきましては、しかるべきところについてはきちっとやっておりますし、先ほど申し上げました……(発言する者あり)

甘利委員長 質問者にのみ答えてください。

村瀬政府参考人 はい。

 したがいまして、今申し上げましたように、給付につきましては……(発言する者あり)これからしっかりやりたいと思います。

生方委員 途中でキレちゃだめじゃないのよ。きちんと答えなさい、きちんと。私の質問に答えなきゃだめでしょう。やじに向かってそんなこと言ってもしようがないじゃないのよ。

 指示ミスがあったと今言いましたね。社保庁側の指示ミスがあったということであれば、どういう指示ミスがあったんですか。(発言する者あり)

甘利委員長 静かに聞いてあげてください。

村瀬政府参考人 まず、先ほどの中で、ミスに対しましての処分の関係をお話ししたいと思いますが……(生方委員「いや、どんな指示ミスがあったんですか、一個一個答えて」と呼ぶ)申しわけございません。今、手元にすべて持ち合わせておりませんので、別途お答えさせていただくということでだめでございましょうか。

生方委員 きのうもおとといも、私、社会保険庁を呼んで話を聞いているんですよ。ちゃんと詳しく資料もいただいているんですからね。それを、今あなたは自分で言ったんだから、指示ミスがあったので日立側の全部の責任ではないと。社保庁側の指示ミスもあったから日立が間違えてもしようがないんじゃないかというような、日立を弁護したんですよ。だから、どういう指示ミスがあったんですかと聞いているんですよ。

村瀬政府参考人 年金制度自体が変わった場合に、当然、御存じのように、それをプログラムにするわけでございまして、プログラムに落とす前に要件定義等のことを社保庁側でやるわけでございまして、その部分についての指示にミスがあったということでございます。

 したがいまして、どの案件かということについては、申しわけございませんが、今手元にありませんので、別途御報告を申し上げたいというふうに思います。

生方委員 それはいろいろな法律的な難しいことがあるでしょうけれども、社保庁はプロでしょう。プロの方がそんな指示ミスするはずがないじゃないですか。指示ミスするということがあること自体がおかしいじゃないですか、そんなもの。

 では、指示ミスがどうして起こったのかという調査はいたしましたか。

村瀬政府参考人 別途御報告ということでだめでございましょうか。先ほど申し上げましたように、中身を一件ごとに全部調べた上で御報告申し上げたいと思います。

生方委員 あなたは民間から来た方だというので私は聞いておるんですけれども、社保庁のミスというのはさんざんこの委員会でも取り上げられているんですよ。私は、もうおとといから長官においでいただくということを言ってあって、どうしてこんなミスが起きたんですか、七万件もということは信じられないじゃないですか、一体どうして起きたんですかということを何度も聞いてきているんですよ。それで、今言っていた、日立でやったと。それを、長官が言ったのは、日立が間違えるのも当然だ、我々が指示をミスしたんだからという、それは、普通、世間一般じゃ通らないですよ。

 社会保険庁は、それは全部保険のプロが、年金のプロがいるわけですから、その方たちが指示をミスするということは考えられないわけでしょう、普通であったら。指示をミスするというのであれば、では、だれがどういうふうに指示をミスして、それがどうしてプログラムミスにつながったのかというのをきちんと調査しなきゃしようがないでしょう。

 あなた、これは生身の人間ですよ。お年寄りの方たち七万人が、過払いならまあいいかもしれないですけれども、過払いされた人も、ここの新聞に出ていますけれども、後で払うんですよ。後で、十万円しかもらっていないから、過払いが百万円あったらそれを返していかなきゃいけないんですよ。それで、もらっていなかった人でいってみれば、毎月来ると思ったお金が来なかったんですよ。それが七万人いたということですよ。

 その責任の重大さを考えれば、当然、こういうのが起こったときに、まず事実関係を調べるということが一番大事でしょう。何でこんなことが起こったのかということを調査するのは当たり前の話でしょう。今、指示ミスというふうに言ったんなら、では、だれが、どういう場面で、どういう指示のミスをしたのかということがきちんとわからなきゃ、また同じことが起こるでしょう。

 私は質問通告しているわけですから、もうきちんと質問通告しているんだから。少なくとも長官が、今、部下からいろいろ聞いているわけでしょう、何でこんなことが起こったのか。これはプログラムミスだけじゃなくて事務ミスもあるわけですから、どうして起こったのかということで、あなたが知っている範囲で、何で指示ミスが起こったのか、どういう指示ミスがあったのか、わかっている範囲で教えてください。

村瀬政府参考人 先ほど申し上げましたように、そこにつきましては再度しっかり調査をした上で御報告申し上げるということでいかがでございましょうか。

生方委員 それは、もう本当に社保庁の体質を私はあらわしていると思いますよ。三日前から私は言っているんですから、あなたたちの部下がいかに怠慢かということですよ。私は、きょうは支給ミスについて質問しますということで、おととい通告して、おとといにレクを受けて、きのう、もうきちんと質問についての通告をしているわけですよ。どうしてこういうことが起こったんですか。一般常識じゃ考えられないから言っているんですよ。

 しかも、私はみずほのときにも言いましたけれども、これは多大の方に迷惑がかかっているんですよ。あなたは迷惑をかけたという認識はありますか。死活問題なんですよ、これは。迷惑をかけたという認識があるかどうかだけ、では、お答えください。

村瀬政府参考人 私は、御迷惑をかけた方々に対しては深くおわびを申し上げたい。反省をしております。

生方委員 これは、プログラムミスと、それからあと事務処理ミスというふうにありますね。事務処理ミスというのはどういうミスですか。

村瀬政府参考人 事務の問題につきましても、先ほど申し上げましたように、届け出等が被保険者の方から来た場合にそれが十分反映されていない、そういうような事務ミスでございまして、何が最大の原因かということについては、先ほど申し上げましたように、再度調査してはっきり出させていただくということにしていただきたいと思います。

生方委員 これは通告もして、七万件もあるんですよ。七万件あって、その中でプログラムミスと事務処理ミスというのがありますと。だから、その事務処理ミスというのは一体どういうミスなんですかという報告ぐらい受けているでしょう、七万件あったんですから。あなたは長官なんですから、こういう事件を再度起こさせないためには原因を徹底的に追及するというのは当たり前の話でしょう。一歩の一歩ですから。

 きちんと、あなたが聞いている範囲で、どういう事務処理ミスがあったんですか。だって七万件もあったんですよ。そのうちの事務処理ミスが何件あって、どういうものであったのかという内容ぐらい知っているのは当たり前でしょう。

村瀬政府参考人 では、今私のわかっている範囲でお話し申し上げますと、一つは、例えば遺族厚生年金を含む三つ以上の年金の受給権を有する方が、併給調整において事務処理誤りがあったという件が一つございます。

 それからもう一点、旧公共企業体の職員共済組合の組合員期間中の業務上の障害について、障害給付をしないというにもかかわらず事務処理誤りで過払いした、こういう案件もございます。

 それから、旧三共済または旧農林共済の組合員期間を有する方に対しましては、退職共済年金の計算の基礎とされております期間を、事務処理誤りによって老齢年金にも算入し支給したため過払いが生じた、このような問題があります。

生方委員 年金は非常に難しいんですよ。いろいろな年金に二重に入ったり三重に入ったりしている方もいらっしゃるし、何年からもらうという方もいて、多分受給している方も、自分の年金が今どうなっているのかわからないはずなんですよ。それを一番わかっているのは社保庁なんですよ。その社保庁の職員もわからないということになったら、年金制度そのものが本当にきちんと運営されているのかどうかという根本的な疑問につながるでしょう。

 七万件も起こっていて、まだこの先何件起こるか、何件発生しているかわからないというんでしょう。今の長官の話を聞いていれば、事務処理ミスというのがわかるかわからないかをわからない人もいるわけでしょう、複雑で。わからない人がいるというふうになったら、実際にミスがあったのかどうかというのがわからないでミスが起こって、そのまま放置されているということだってあり得るということですよ、今の話を聞いていたら。

 きちんと、プロなんですからね。社保庁の方が一番プロなんですから、受給している方は、ああ、こうなんだろうなというふうにそれを信用して受けているわけですから。今のお答えを聞いていたら信用できないですよ。どういう事務処理ミスが起きたのかも長官が把握していないんなら、長官、わざわざ民間から来る理由が何にもないじゃないですか。社保庁の体質がおかしいからあなたは民間から呼ばれたわけでしょう。どういうふうに改革をするのかという多分ビジョンがあったはずでしょう。

 あなた、行って、実際に社保庁の職員の仕事ぶりを見て、どう感じているんですか。

村瀬政府参考人 七月に私が初めて民間から来ましたときに、まず一番初め、支給ミスの誤りからスタートをしたわけでございます。

 したがいまして、それを受けて何を部下に言ったかといいますと、現在の誤りについて、何が原因であるかということで総点検をしろということで、この十二月に御公表させていただいたのは、それに基づくものでございます。

 一方、事務ミスの問題につきましては、マニュアルがございまして、マニュアルどおり仕事をやる形になっておりますけれども、残念ながら、三百十二の事務所でやっておりますと、必ずしもすべてマニュアルどおり完璧になっているかどうかわからないということで、これを何とかしなきゃいかぬというのは二つあると思っております。

 一つは、事務処理マニュアルを徹底すると同時に、職員のレベルアップをやはり図っていかないと無理だろうというのが一点。それから二点目が、システムで基本的にいろいろなミスをサポートする仕組みをつくらないといかぬだろうということで、システムのバージョンアップというものをあわせてやらないとできない。また、システムのバージョンアップは、イコール、それにあわせて効率化もやれる部分になってくるのではなかろうかというふうに思っております。

生方委員 七月に来て、十二月まで点検をやったわけでしょう、長官。それで事務処理ミスとかプログラムミスが見つかってきたということであれば、どういうミスが幾つあって、それはだれがどういう指示をしていて、どこがどう間違えたのか、そのチェックをだれが行うのかということをきちんとやっていかなければいかぬわけでしょう。そこまでやったんですか。

村瀬政府参考人 まずシステムにつきましては、日立製作所と一緒になりましてシステム改定を、ミス用の部分については全部チェックしたということでございます。

 それからマニュアル関係につきましては、社会保険庁の各事務所に徹底しておりますけれども、その部分のチェック機能というのは、申しわけないんですが、まだ一〇〇%完璧にできているとは思っておりません。したがって、この部分につきまして徹底的にやりたいということで、先般、二月八日に局長会議を開きまして、その部分についても話をしたところでございます。

生方委員 社保庁の問題というのはこれだけじゃないわけですよ。いろいろな問題が起きているわけでしょう。監修料を取ってみたり、いろいろなことをやっているわけですよ。その中でこういうことが出てきているんでしょう。そのために、あなたは多分民間から、社保庁の体質を変えるべく頑張ってくれということで呼ばれたわけでしょう。今の話を聞いていたら、それじゃ全然だめじゃないですか。ただ周りの人の話を聞いているだけじゃないですか。これではどうにもならないですよ。

 では、これから先、今これは七万件ありますね。見通しとして、これ以外にあと何万件ぐらいありそうなんですか。

村瀬政府参考人 先ほど、十二月に発表させていただいたときに、現段階でわかるということで、まだわからない部分について七事項あるというふうにお話し申し上げました。これにつきましては、三月までに徹底的に洗い出すということで、今、作業中でございます。

生方委員 尾辻大臣、今のやりとりを聞いていたと思うんですけれども、社保庁の問題というのはいっぱい指摘されているわけですよ。その中のこれもまた氷山の一角で、支給ミスなんですよ。

 さっきも言いましたように、七十件とかだって多いですよね、ミスがあるということは。ミスがないというのが前提ですからね、銀行とか金融機関というのは。ないというのが前提の中に七万件もあって、二百八十億も過払い、未払いがあるというのは、もうそもそも全くおかしいんですよ。おかしい体質を何とか改めようとして、恐らく民間から長官を呼んだわけでしょう。

 今の答弁ぶりを見ていただければわかると思いますけれども、長官の周りに官僚がくっついて、ああしゃべれ、こうしゃべれと言っているだけじゃ、これでは操り人形じゃないですか。自分で何か指導性を発揮しているというふうにはとても思えないんですよ。これでは社会保険庁の体質は変わらないと思いますけれども、いかがですか。

尾辻国務大臣 長官は長官なりに一生懸命やっていただいておるということは、私も、そばで仕事をしておられますから感じます。しかし、何しろ長い間のいろいろなことがたまっておる話でもあると思います。

 そこで、簡単にその体質が直らない、また、必死で調査をしていただいておると思いますけれども、その調査も、今お答えしておるような、まだ非常に中途半端な結果しか御報告できない。私も申しわけないと思いますし、今後ともこの問題は、社保庁をどうするかという、今、もう抜本的にやり直すしかないと私も思っておりますけれども、それはそれとして、ただ、今のまま、今のままといいますか、今の姿もちゃんと変えておかなきゃいけませんから、やれることはやらなきゃいけませんから、必死で努力をしたい、こういうふうに考えます。

生方委員 これは調査が途中だということで処分も出ていないんだというふうに思うんですけれども、もう既に七万件も発生をしていて、七万人の国民に御迷惑をおかけしているんですから。調査が終わるのは、長官の話を聞いていたら三月末までに一応のめどは出るだろうということですけれども、恐らく三月末でもまだ出てくると思うんですよ。ずるずるやっていたんじゃけじめがつかないので、どこかの時点で、これはきちんとだれかが責任をとって、しかるべき処置をとらなきゃいけないと私は思いますよ。

 これは、大臣、いつ、だれが、どういう責任をとるというふうにするように御指示なさるつもりですか。

尾辻国務大臣 しっかり、まず調査の結果が出まして実態が明らかになったところで責任の所在は明確にしたいと考えております。

生方委員 これはまた機会がどうせなければいけないというふうに思いますので、どういう事務ミスがあったのか、どういう指示間違いがあったのかということを再度聞きますから、それまでにきちんと調べていただいて、それは指示を間違えればプログラムミスもあるでしょうけれども、聞いた方の、受注した方の日立だってこれは素人じゃないわけですから、その指示が正しいか正しくないかのチェックができる人間が受けなければシステム開発なんかできないじゃないですか。二百八十億も国民のお金を使っているんですよ。そうしたら、向こうだってそれなりの責任を負わなきゃいかぬし、発注している側だって、どうも社保庁は、年金基金が自分たちのお金だというふうに勘違いしているんじゃないですか。

 国民の皆さん方からお預かりしている大事なお金なんですから、そういう認識がないからみんな自分たちで勝手にやっちゃうというふうになるので、これはぜひともきちんとした調査をもっとして、やはりこれは随契で日立が契約しているからおかしなことになるのであって、これに再度新しいバージョンアップをまた日立にやらせるなんということじゃ、とても私たちは納得いくとは思いませんよ。きちんと競争入札をしてやらなければだめだということを申し上げて、次の問題に移りたいというふうに思います。

 今度、年金基金の運用についてお伺いしたいんですが、年金住宅融資というのがございますね。これは福祉還元の名目で住宅融資を貸し付けてきたという件でございますが、これまでに幾らぐらい貸し付けを行ってきたんですか。

尾辻国務大臣 今お話しの被保険者向け住宅融資債権の貸付額の累計は、約二十五兆八千億円、約四百三万件であります。まず総体でよろしゅうございましょうか。

生方委員 これは住宅の融資でございますから、住宅を建てる方はいろいろなところから借金をしているわけでございまして、中には焦げついた部分もあるというふうに思います。今まで貸し付けた十八兆一千三百五十五億円ですか、このうち、焦げついたのは幾らぐらいあるんですか、回収不能になったものは幾らぐらいあるんですか。

尾辻国務大臣 回収の数字は調べてすぐお答えをいたしますが、まず焦げつきの方から、焦げつきの数字は手元にございますので、申し上げます。

 回収不能により、平成十五年度末までに償却、ここで言う償却といいますのは、貸し倒れとして損金処理をした、こういう意味でございますが、償却を行った額の累計額は、この融資の仕組みが二つに大きく分かれておりますので、といいますのは、厚生年金保険の被保険者向けと国民年金被保険者向けと、この制度が大きく二つに分かれておりますので二つに分けてお答えいたします。

 転貸融資を含む被保険者住宅融資債権全体については三億円でございます。ですから、三億円というのが全体の焦げつき、今、二つに分けてと申し上げましたが、まず総額で申し上げます。そのうちの転貸民法法人及び事業主を通じた融資のみについては、約三千万円でございます。

生方委員 私もきのう聞いてびっくりしたんですけれども、十八兆円貸し付けていて焦げつきが三億円、考えられますか。考えられないですよね。

 これは私もちょっと調べてみたんですけれども、大臣、平成十三年度末で延滞金を調査している部分があるんですよ。平成十三年で六カ月未満の延滞があった件数は三万三百四十八件、それで延滞残高が二千百二十三億三千四百万。これだけ延滞があるんですよ。六カ月以上の延滞は一万三千六百二十九件、一千五十八億三千三百万円。これだけ延滞が発生をしていながら回収不能が三億円というのが、そのからくりが私にはどうしてもよくわからないんですけれども、何でそういう数字が、三億円になるんですか、延滞がこれだけ発生していながら。

尾辻国務大臣 この年金住宅融資債権につきましては、保証機関または保証人による融資債務の保証及び物件の担保を付することによって保全いたしております。その大宗を占めます被保険者向け融資については、さらにまた、取扱金融機関による保証も求めております。したがいまして、保証を幾重にも求めておる。それから、住宅でありますから、そもそもその住宅が担保物件になるというようなことがありまして、結局、焦げつきがそういう額で済んでおる、こういうことになります。

生方委員 これは住宅ローン保証保険契約というのを結んでいて、あとは銀行は銀行で結んでいるということですね。

 そうすると、その保険料というのは幾ら払っているんですか、全体で。

尾辻国務大臣 まず厚生年金保険被保険者向けの融資の仕組みでいいますと、年金資金運用基金から、公益法人、転貸民法法人という言い方もしますが、ここにまず融資をします。そこから厚生年金保険の被保険者へと融資いたします。その間に、まず最初の年金資金運用基金から公益法人に行く途中に金融機関の保証を求めております。それから今度は、その公益法人から厚生年金保険被保険者のところに融資するその途中ではローン保証会社に保証を求めております。

 このローン保証会社へは被保険者が融資を受ける際に保証料を払っているという形で、ローン保証会社は保証料をもらって全体の保証をしている、こういうことであります。

 それから金融機関への方は、私の今手元にある資料では割合だけしかわからないんですが、金融機関に払う保証料のうちの二〇%を年金資金運用基金から出し、八〇%を公益法人側から出させておる、こういう仕組みでやっております。

生方委員 そうしますと、その二〇%の中で毀損している部分は幾らぐらいあるんですか。

 だから、銀行に保証金を払っているわけですね。ローンが払えなくなった場合はそれを取り崩されるわけですよね、当然。取り崩されるんじゃないんですか。

尾辻国務大臣 今までには、ここの部分で毀損したものはございません。

生方委員 あともう一つ、住宅ローン保証会社そのものの経営が悪化し、代位弁済が滞るようになった件というのも当然ございますよね。それはどれぐらいあるんですか。

尾辻国務大臣 ここでの、今申し上げた保証会社での焦げつきといいますか、そこに損が出ているか、そこの部分でのお話でございますけれども、もう一度申し上げますと、特に今先生御指摘の話は、平成十三年に焦げつきという報道がなされたりいたしましたから、そういうことを御指摘でのお話だろうと思いますのでお答えいたしますと、平成十五年度までに償却を行った額は、機関保証がなく、保証人の保証のみが付されたごく一部の融資債権が返済不能になった、この分だけでございまして、これは、先ほど申し上げましたように、貸しますときに、保証会社に保証させる分と、それから、連帯保証人を求めて、連帯保証人に保証を求めているというごく一部の例があるんですが、その部分しか最終的な焦げつき部分というのは発生していないものですから、今そこのところを申し上げておるところでございます。

生方委員 今大臣がおっしゃったように、平成十三年度における不足額というのは累計で三十六億七千四百四十二万円というようになっていますよね。この額が平成十五年の末では幾らに変わったんですか。

尾辻国務大臣 今その正確な数字はございませんので後ほど御報告をさせていただきますけれども、改めて、八百九十億と報道されたところの件についてお答えを申し上げます。

 転貸民法法人から融資を受けた被保険者の債務の保証を行う会社の一つでございます株式会社年金福祉信用保証が、平成十二年に、厳しい経済情勢の影響により経営が悪化いたしまして、保証履行が困難となる事態が発生をいたしました。これが新聞報道されたわけでございます。そのときに報道された数字が八百九十億という数字でございますが、これは、当時同社に保証履行が求められている額が幾らであるかというのを計算したら八百九十億であったということでありまして、これが決して焦げついたという話ではありません。その会社に履行を求められる分が幾らあるかなと計算したら八百九十億であったということであります。

 これが、ではどうなったかということでありますけれども、この件につきましては、年金資金運用基金から融資を受けた転貸民法法人の債務保証を行う民間金融機関が、もう一つ前の方の、金融機関の保証があると申し上げましたので、そこの部分が年金福祉信用保証にかわって弁済を行うことなどにより問題が解決されまして、結局、年金資金運用基金の融資債権について損失が生じたものではない、こういうことでございます。

生方委員 結局、ではトータルでいうと、この住宅融資について発生した損害は、年金基金の取り崩しは三億円しかないということで、それ以外は一切ないということでよろしいんですか。

尾辻国務大臣 十五年度末で申し上げるとそういうことでございます。

生方委員 これは〇五年一月に新規受け付けを終了したということでございますが、これはどこがその業務を今後引き継ぐということになるんですか。

尾辻国務大臣 昨年成立をいたしました年金積立金管理運用独立行政法人法によりまして、年金資金運用基金が解散した後は、申し上げました年金積立金管理運用独立行政法人法による独法が、年金積立金の管理運用業務のみを行うこととされました。したがいまして、ここは年金積立金の管理運用業務のみを行います。

 しかし一方、お話しのように、貸し付けたものがまだ残っておりますから、この回収業務をどこがするかということになりまして、その回収業務の方は、福祉施設や医療施設に対する融資をして回収するという業務を今行っております独立行政法人福祉医療機構において引き継ぐ、こういうことにしたところでございます。

生方委員 福祉医療機構が引き継ぐというのが私には余り納得がいかないんですが、その問題はその問題としておいておくとして、年金の積立金は、今、年金資金運用基金というところでやっておりますよね。これが二〇〇八年からは独法に変わるということになっておりますが、この独法の運用については、これは年金資金運用基金の方から何人の方がいらっしゃるということになっているんですか。

尾辻国務大臣 その人数につきましては、まだ決まっておりません。

生方委員 ここでも何度も引用されたことですが、もともとの年金制度そのものをつくり上げた花沢さんという方が回顧録の中で言っていることの中に、厚生省が年金の積立金というのを持つことによって日銀よりも大きな力を持つというようなことを発言なさっておりますが、積立金がこれからもまたどんどんふえていくんですよね。それで最終的には、二〇五〇年には、これは積立金ですから額が細部まで明らかになるわけじゃないですけれども、三百七十兆円にも達するというふうに言われているわけですね。

 片方で郵貯の民営化を行うということで、郵便貯金と簡保の総額というものが大体三百五十兆円である。三百五十兆円は官から民へという形で民間に移しましょうというふうに言っておきながら、もう片方で、新しい厚生労働省の財布として年金基金をつくって、二〇五〇年までまた三百七十兆円もお金を積み上げていくというふうにしたら、官から民へお金なんか流れないじゃないですか、また民から官へ行っちゃうじゃないですか。全く同じ額ですよ、三百五十兆と三百七十兆。

 これは竹中さんにも聞きたいんですけれども、せっかく片方で郵政の民営化をやって、官が集め過ぎちゃう、郵貯のお金と簡保のお金三百五十兆も集めちゃっているからおかしいんだ、だからこれを民間に返そうということで片方でやっておきながら、今百七十兆ある積立金をどんどんこれから先も積み立てていって、二〇五〇年までに三百七十兆にしようというんですよ。また、これは同じように、厚生労働省の管轄で独法がそれを運用するということになれば、やはり政府の意思によってそのお金を動かすことができるようになっちゃうじゃないですか。全く矛盾した考え方になるんじゃないですか。片方で民営化しておきながら、片方で新たな官の巨大なお財布をつくろうとしている。どうですか、竹中さん。

尾辻国務大臣 先にまず私からお答えを申し上げます。

 今のお話のような御指摘を受けないようにということで、まず、新しくつくります独法でありますけれども、新法人の長には資金運用の専門家を登用するというふうに考えております。したがいまして、天下りとかなんとかということは一切考えていないということをまず申し上げたわけであります。

 それから、新法人に、学識経験者から成る運用委員会を置き、資産構成割合を含む運用方針の検討や運用状況の監視を行うという仕組みにしております。

 したがいまして、新法人の専門性を徹底することにいたしておりますということをまず私からお答え申し上げます。

竹中国務大臣 年金につきましては、今厚労大臣から御答弁ありましたように、尾辻大臣が所管しておられますけれども、その運用におきましては、当局において、市場において安全かつ効率的に運用しているというふうに承知をしております。

 民間でできることは民間でというのが基本的な趣旨でございまして、郵政民営化はそういう観点から考えているわけでございますけれども、年金におきましても、その公的な性格等々、そこは尾辻大臣のもとで、トータルな設計のもと、かつ、できるだけ、今お話がありましたように、民間の経営ノウハウ等々を入れてしかるべく対応しておられるということだと承知しております。

生方委員 いや、私が聞いたのは、竹中さん、片方で郵政を民営化して、官に集まり過ぎるお金を民間に戻そうということをやっていながら、もう片方で厚生労働省に新しいお財布をつくって、またそこへ三百七十兆円のお金を集めたのでは一緒じゃないですかということを言いたいんですよ。

 民間にお金を流そうということでやっているわけでしょう、もともと郵政の民営化というのは。それをやったと同時に、今度は新しいお財布をつくって、またそこへ三百七十兆円ためようというのでは、全然政府として一貫性がないじゃないですか。そこを言っているんですよ。

竹中国務大臣 年金の問題については、これは厚労大臣にお答えいただくしかないわけでございますけれども、基本的には、今厚労大臣から御答弁がありましたように、年金の資金の運用についてもその中でしっかりと民のノウハウ等々が生かされるような形で制度設計を考えておられる。基本的には、民間でできることは民間でやる、貯蓄から投資へという流れのもとで全体の設計を行っていくということが重要であると思っております。

生方委員 本当におかしいんですよ。竹中さんだっておかしいということはわかるでしょう。

 片方であれだけの力を入れて、郵貯、簡保を民間に移そう、民営化というふうに言っていて、それは、官にお金が集まり過ぎちゃって民間でお金が自由に使えないからということでやっておきながら、もう片方で、今百七十兆しかないのを、これからどんどん積み上げていって三百七十兆まで国が集めようというんでしょう。国が集めたお金は、それはだれが運用するにしたって、一番最終的な責任は厚生労働大臣が担うんですから、国が担うんですよ。やっていることに矛盾があるんじゃないですかと言っているんですよ。矛盾はあるでしょう。どうですか。

竹中国務大臣 それは、公的な年金というものをどのように位置づけるか、そういう本質的な問題であろうかと思います。その過程で、金額については、御指摘のように、これからまさに高齢化に向かっていくわけで、年金が積み上がっていくわけでございますけれども、全体の公的な年金の制度設計をどのようにするかということに関しては、尾辻大臣のもとでしっかりと制度設計をなさっているというふうに承知しております。

生方委員 これは、基本的に官から民へお金を流すということであれば、積立金そのものを考え直さなきゃいかぬと私は思いますよ。積立金を積み立てるとしたら、積み立ての不足というのがかなり出てくるということなんですから、基本的には、負担者と受給者が同じになるような形のやり方にするしかないんですよ。

 そういう抜本的な改革をやるというのであれば全部抜本的な改革をやればいいのに、郵政の方では民営化しながら、片方では新しいお財布をつくろうというようなことをやったのではとても国民は納得できないのではないかということだけを御指摘いたしまして、質問を終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて生方君の質疑は終了いたしました。

 次に、小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。

 通告に従い、まず、ちまたを今一番騒がせておりますライブドアの問題について質問をさせていただきたいと思います。

 昨晩、ニッポン放送がフジテレビに新株予約権を発行する、それに対し、ライブドアは差しとめを裁判所に提起をした。争いの場が法廷に移ってきたわけであります。この問題を考える大前提として、一体、そもそもどうしてこういう問題が出てきたのかということをまず確認して質問に移りたいと思います。

 二月四日の予算委員会におきまして、私は小泉総理大臣に対し、小泉内閣の外資への日本たたき売りと言えるような実態について質問をさせていただきました。資料の一をお配りしてありますので、ごらんいただければと思います。

 前も示しましたが、これは東証一部上場の企業を外国人がどれぐらいの割合保有しているかという比率であります。右の欄は、一位が約八〇%外資が持ち、六十位でも三五%を外資が保有しているという実態であります。

 次の二ページをごらんください。これも、外国人がどのぐらい日本の株式を買っているか、また、ほかの人たちも売り買いをどのぐらいしているかというものでありますが、平成十五年、十六年の二年間だけで、実は十六兆円も外国人が日本の株式を買っているわけであります。

 次のページをごらんください。三ページ目の資料は、平成元年から平成十六年、トータルでそれでは一体だれが幾ら買っているかという数字であります。この外国人の欄、一番下の合計の金額を見ていただきますと、平成元年から平成十六年までで、何と四十二兆三千億円、外国人が買っています。そして、そのうち、小泉内閣になって三年九カ月間で、何と半分の約二十兆円が小泉内閣になってから外国人が株式を取得しているわけであります。

 それでは、この株式を買っている外国人のお金が一体、元手が一体どこから来ているのかというお話であります。

 資料四を見ていただきますと、これは為替介入の記録であります。平成十五年一月から十六年の三月までの十五カ月間で、ここに数字が書いてありますが、三十五兆二千五百六十五億円のドル買い介入をしているわけであります。

 では、次のページを見てください。この結果、積み上がった外貨準備高によりまして、これはアメリカの国債をどの国が幾ら持っているかという図でありますが、二〇〇三年、二〇〇四年で、この二年間で何と三千三百六十八億ドル、日本円で約三十五兆円のアメリカ国債を日本は買ったわけであります。この結果、アメリカは大統領選挙の前に、低金利、株高、好景気になって、その余剰資金が日本の株式に向かったというのがこのデータでおわかりになると思います。

 結局、日本の株を買っている原資は、もとをただせば日本のお金なんですね。

 しかも、この日本のたたき売りと相前後いたしまして、小泉政権成立当初、マイナス成長だったんですね。にもかかわらず、不良債権の処理を強制したんですよ。その結果、ますます株と土地が暴落しました。そして、銀行の持ち株解消を行い、大量に株が放出され、株価も下落に拍車がかかるとともに、企業の買収も容易になる。さらに、時価会計の導入によって、ますます企業業績は悪化しました。

 その結果、御案内のように、総理が就任してから二年後の二〇〇三年四月二十八日に、何と七千六百七円、就任当時一万四千円あった株価が約半額におっこったわけであります。その結果、先ほど見ていただいたように、この二年間で十六兆買ったわけですので、外資がばか安値で日本の企業株式を買ったんですね。その結果が、一ページ目の日本の一部上場企業、第一位から六十位、外国人がどのくらい株を持っているかという、八割から三五%。実は、第百位でも三〇%外資が株を持つようになったんですよ。

 二月の四日の予算委員会におきまして、私は、日本企業の実質的所有権が外国人に移ったことに対して小泉総理に聞きました。この結果、どう思いますかと。総理の答えは、日本は、先進国に比べて、外資が投資する額にしても率にしても極めて低い、外資警戒論から、むしろ外資歓迎論を持つべきじゃないか、意識の転換が必要だ。まるでバナナのたたき売りみたいなことを総理大臣が言っているわけですよ。その政策の結果が一番端的にあらわれているのが、実は、今冒頭に申し上げました、世間をにぎわせています、ライブドアとリーマンによるニッポン放送の買収劇なんですね。

 そこで、ライブドアの問題に移りますが、二月八日の朝の時間外取引、午前八時二十二分から九時までのわずか三十八分間に、ニッポン放送の株を九百七十二万株、五百八十八億円で買い集め、筆頭株主になりました。

 ここで使われた時間外取引、立ち会い外取引とも言われますが、これは大量の株が売買されますと株が乱高下することから、この制度を利用して、企業間の持ち株解消に利用されてきたものでありますが、伊藤大臣、時間外取引がこういう敵対的な企業買収に使われるというのは、そもそも時間外取引を認めた趣旨に反するのではないかと私は思うんですが、いかがですか、大臣。

七条副大臣 これにつきまして、私の方からお答えさせていただきますけれども、今、先生御承知のとおりに、二月の八日、ライブドアの件でございますけれども、立ち会い外取引制度は、多様化する投資家の取引ニーズへの対応や、円滑な取引執行の観点から、平成九年度から導入をされております。そして、会社支配を目的とするようなことに利用されるということは、導入をした想定の中には入っておりません。

 しかしながら、一方で、取引所の立ち会い外取引を利用して企業買収をしてはならないというような規定がなされているものでもないわけでございまして、一般論からいいますと、制度の趣旨に沿った取引がなされることが望ましい、こういうふうに考えているところでございます。

小泉(俊)委員 本来、企業買収を行う場合、証取法の二十七条の二ですよね。市場外で上場企業の三分の一を超える株式を取得する場合には、買い付け価格や株数を明示する株式公開買い付け制度というのがありますね、TOBなんですが。これはそもそも取引の透明性を高めて投資家を保護するための制度なわけでありますが、今回の時間外取引というのは、東証が市場内取引としているため、株式公開買い付け規制の対象外なんですね。

 確かに、形式的には法律に反しませんが、これは明らかにこの株式公開買い付け制度を定めた証取法の脱法行為に当たると私は思うんですが、これは法改正とともに、何らかの拡張解釈によって規制をすべきだと私は思うんですが、伊藤大臣、いかがですか。

七条副大臣 この点についても私の方からお答えさせていただこうと思うわけでありますが、今、先生お話がありましたように、公開買い付け規制の適用外である、これは確かにそういうことが言えるのではないかと思いますが、現行法上、基本的には、違法と評価されるかどうかということになりますと、違法と評価はされないのではないか。

 しかしながら、立ち会い外取引は、その使い方によっては相対取引等と類似をした形態になり得ることが考えられることもありまして、公開買い付け規制の対象とするべきかどうか、これは私どもがこれから大いに検討していかなければならない。

 特に、私考えますときに、野球の場合、特に江川問題があったことがありますけれども、これとよく似たケースと言えるのではないか。こういうふうに、江川投手がまた出てくるようなことがないように、金融庁としては、具体的にこれから法制を含めて考えなければならないことが出てくるのではないかと考えております。

小泉(俊)委員 いわゆる契約自由の原則、私的自治の原則を逸脱した権利の乱用と言ってもいいぐらいのものだと私は思います。私は、これは何らかの対策をきちっととるべきことを、副大臣ではなく大臣に明確に指摘しておきたいと思います。

 あと、昨晩、企業防衛のために、ニッポン放送がフジテレビに新株予約権を与えることを決めました。これについて、大臣の所見をお聞かせいただけますか。

伊藤国務大臣 ニッポン放送が昨日、有価証券届出書を関東財務局に提出したことは承知をいたしております。

 委員お尋ねの新株の予約権の発行の問題、これはすぐれて商法の問題でありますので、金融庁の所管でございませんのでコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

小泉(俊)委員 本当は投資家保護という意味も含めて大臣所管しているわけですから、全くその答えじゃなくて、私は金融担当大臣としての答えを求めているんですよ。商法に関しては法務大臣に聞きますから、もう一度答えてください。

伊藤国務大臣 個別の事柄でございますので答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 先ほどもお話をさせていただきましたように、委員御指摘の点はすぐれて商法の問題でございますので、これは金融庁の所管外の問題でございますから、そうした意味からも答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほど委員から御質問がございました立ち会い外取引の問題、これは副大臣も答弁をされたように、TOB規制というのは本来、市場の透明性でありますとか、あるいは公正な取引を確保するために設けられた制度であります。一方で、立ち会い取引についても、先ほど委員から御説明がございましたが、市場のある種の役割を果たしてきたところがございます。

 そうした点を総合的に勘案をしながら、投資家保護の観点から、こうした立ち会い外取引というものをTOB規制の対象とするか否かについて十分に検討していきたいというふうに思っております。

小泉(俊)委員 大臣、自分の見識で、私たち全員政治家で、議院内閣制で、国会議員でそこに座っているわけですから、やはりきちっと自分の見識で明確に答えていただきたいと思います。

 次に、麻生総務大臣にお聞きいたしますが、電波法には、外資が直接放送局の株式の二〇%以上を取得した場合には放送局の免許を取り消すという規定がありますね。今回のライブドアは、ニッポン放送の筆頭株主になったわけでありますが、総額八百億円にも上る転換社債型新株引受権つき社債を発行して、すべて米国系のリーマン・ブラザーズ証券に割り当てることになっています。もし、リーマンが転換権を行使しますと、ライブドアの大株主になるわけですね。これは免許制度をとる電波法の規制のやはり脱法行為となって、私はこれを認めると全く規制の意味がなくなってしまうと思うんですが、大臣、この点についていかがですか。

麻生国務大臣 電波法の第五条の話なんだと思いますけれども、基本的には、電波法の第五条というものは、御存じのように、これは直接規制のことが書いてあって、間接規制は、まあ昭和二十五年に想像してつくった人はおらぬということでしょうな、多分そういうことなんだと思うんですね。できたときに、そんなニッポン放送なんというものは買う人もいませんでしたし、それで多分、放送としてはそういうのはつくっていなかったんだと思うんです。

 今、結構時代が変わってきておりますので、今言われたように、外資というものはふえているところで、かなりの多くの会社が実は一九・九九%まで外資、残りは名義書きかえ拒否という形になっている部分というのは結構ありますので、そういった意味で、そっちの会社へ丸々変えられた場合は二〇%を明確に超えるということになった場合、今言われたような形になろうと存じます。

小泉(俊)委員 私は、この電波法のやはり潜脱、脱法行為だと思うんですね。それで、場合によっては、法人格否認の法理というのもありますので、要するにダミーとして日本法人を使っているだけなんですよ、ですから、そういう場合においては、私は電波法の、今回の問題に対しても適用の余地があると思うんですが、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 これは個別の企業の話ですから、企業の経営方針とか企業の個別の話ですので、今一般的にしか答えられませんので、今の、この場合はどうかと言われると、ちょっとお答えのしようがないんだと存じます。

小泉(俊)委員 大臣、アメリカ、オーストラリア、フランス、また韓国などにおきましては、先ほどお話ししました間接的な保有に関しても規制があるわけですね。外資が大株主になって日本法人が放送局の株式を取得するような場合にも、私は法的規制が当然必要になってくると思うわけでありますが、大臣の御所見はいかがですか。

麻生国務大臣 私どもの知っている範囲で間接規制のあれが全然ないのは日本とイギリスだけかな。あとは、今言われましたように、オーストラリア、フランス、韓国、アメリカ、皆そういった間接規制のあれがあります。

 この点に関しましては、私どもも、従来想定されていなかったことは確かなんだと思いますけれども、今こういった形になってきております。銀行から金借りられなくて、資金調達手段というのは、直接投資とかいろいろな形、表現がありますけれども、融資も直接に自分たちで調達するという手段が、御存じのように昔と比べてえらく多様化していますので、そういった時代になってくると、ちょっと今まで想定されていなかった事態が起きてきていることは確かだと思います。

 電波というのは、有限な資源を公平に使っていただくためにとか、いろいろな目的できちんと分けてある、法律がつくってありますので、そういったものを考えますと、今後のことを考えたら、やはりある程度これは諸外国の例等々も考えて、ちょっとこの点は検討してみるようにと既に事務方には指示はしてあります。

 いろいろこの種のことは、今までなかったのをやりますのは、ある程度時間を要してきちんとやらぬと、何となく外資というのをみんな嫌だと言っているようにとられても本来の趣旨とは違うことになろうと存じますので、きちんとした対応をさせていただきたいと存じます。

小泉(俊)委員 諸外国の状況を見ると、これは昭和二十五年にできた法律ですので、私は十分予想できたと思うんですよ。こういうものは極力事前に時間をかけてやっておけば、慌てて今やることないんですよ。

 これは、どうしてそういう法的整備が昭和二十五年から何もされなかったんでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 やはり試験の前にならないと勉強しないというのと似たような心理だったんだ、多分基本的にはそうなんだと思うんですね。

 今まではこんなことなかったものですから、何となく想定の外だったんだと思いますので、時間外取引の話にしても、もともとは、先ほど七条副大臣が答えられたとおりなんだと思いますけれども、何となく今までなかったのがいきなり来たというような感じで、こういうのが似たようなのがほかにもあれば、それなりの対応をしてきたんだと思いますけれどもというのが、一番本音のところじゃそうだと思っております。

小泉(俊)委員 これは余りにも後手後手過ぎるんですね。一夜漬けは大抵試験勉強落ちるんですよ。ですから、他の省庁や民間としっかり勉強して、やはり事前にこういうのに対処できるように、私は猛省を促したいと思います。

 また、大臣、先ほどの伊藤大臣にも質問しましたが、昨晩の、企業防衛のためにニッポン放送がフジテレビに新株予約権を与えるということを決めたわけでありますが、この点について、電波法を管轄している大臣としては、御所見はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 第三者割り当ての話というのは、これは法律的には別に何ということはない話なんですけれども、何となく、個別の企業の話ですから、ちょっとこれはどうかと言われても、きのうについてのコメントを求められても、私どもとしてはお答えしようがないんですが、第三者割り当てというのは普通いろいろなところでよく行われている話ではありますから、別に何ということはないんだと思います。

 ただ、常識的に言えば、今までの株主がある程度の不利益をこうむる、株価が下がったりする不利益をこうむるということは考えておかないかぬということも一点。いろいろ考えておかないかぬ問題、いろいろあるんですけれども。

 ただ、双方折り合いがつかないままで敵対行為でやられた場合は、フジサンケイグループに残った方が会社にメリットがあるという判断をされたということをなされた場合は、それなりの理由は出てくるんだと思いますが、いずれにいたしましても、個別のあれについては、どちらかと言われれば、今申し上げられるところが精いっぱいです。

小泉(俊)委員 次に、商法上の対応策ということで法務大臣にお伺いいたします。

 今回ニッポン放送が使ったのは、一昨年の商法改正で採用された制度なんですね。これは一般論としてお聞きいたしますが、企業防衛のために新株予約権を与えるということを決めたことについては、法務大臣、御所見いかがですか。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 一般論といたしましては、株式会社は、特定の第三者に特に有利な条件で発売する、そういうものでない限り、取締役会の決定によって新株予約権を発行することができるというふうに思っておりますが、もっとも、新株式予約権の発行の目的が専ら現経営陣の支配権維持のためである場合等には、著しく不公正な方法による発行といたして、これが違法となる場合があると考えられます。

小泉(俊)委員 あと、法務大臣、外資によるいろいろ企業買収に対して、アメリカとか諸外国はみんな法制を持っているわけですよ。そこで、現行商法上の規定、またこれから予定されています商法改正によって、どのような対応策というのがとり得るんでしょうか。法務大臣、いかがですか。

滝副大臣 私の方から制度的なものにつきましてお答えをさせていただきたいと存じます。

 現行の商法でも、先生御指摘のように、新株付与権が企業買収の対抗要件として使われるということはあるわけでございますし、それに加えて、例えば黄金株、拒否権を伴う特殊な株というものも現行で認められているわけでございますけれども、現在法務省で商法改正として検討している中には、例えば、新株の予約権につきましては、買収者についてはそれを適用しないような法制をアメリカに倣って入れようとか、あるいは、拒否権つきの株式につきましても、一部の株主につきましては譲渡制限を認めるとか、そういうような、今のような対抗要件として使える条文をさらに対抗要件として強化するような方向で検討をさせていただいているような状況でございます。

小泉(俊)委員 資料の二をもう一度見ていただきたいと思います。

 これはいろいろな、実は、今回の事案の本当の原因は一体どこにあるのかということでありますが、やはり最大の原因は、この資料二を見ていただくとわかるんですが、個人の欄を見てください、黒三角は全部売りなんですけれども、全部元年から売っているでしょう。また、事業法人を見ていただくと、これも全部売っているんですよ。生損保もほとんど売りです。また、金融機関も平成九年からはほとんど売りでありますし、その他の金融機関もほとんど売りなんですよ。買っているのは外国人だけなんですよね。こうやって、個人や機関投資家やさまざまな金融機関が市場から逃避しちゃっているんですよ。このために、日本の企業の株価というのが外国の株価に比べて極めて割安になっちゃっているんですね。そのために、外国人の株式の保有比率というのは相対的に高くなってしまっているんですね。

 実は、こういう事態を引き起こしたのは、私は小泉総理に大きな原因があると思います。特に、金融機関全体で、今、国債の保有が約五百兆を超えたんですね。国が市場のお金を全部国債に吸い上げちゃっているんですよ。そのために実体経済や株式市場に資金が回らなくなっちゃっている。ですから、こういった事態が起こっている本当の原因というのは、私はそこに今回の事件の本質があるんだと思っています。

 これはやはり、資本市場がどのぐらいの力があるかというのがその国の国力の大きなメルクマールだと私は思っています。中長期的に見た場合、今国債に全部流れているお金を、証券市場に資金を大きくシフトさせていく。資本市場を振興させていかなければ、私は、いつまでたっても、こういう小手先の改革では今回みたいな事件はどんどん起きてくると思っているわけですね。

 そこで、御質問いたします。

 証券市場、資本市場の振興や活性化について一体どのように考えているんでしょうか。また、具体的にどのような対策を考えているのか。

 私は毎回、財務金融委員会、予算委員会で主張させていただいておりますが、株式配当に対する課税をゼロにする、譲渡益課税をゼロにする、そしてまた株式の相続税の評価額を下げる、いわば、個人のたんすや銀行や郵貯に眠っているお金を起こしてこれを動かすということですよ。あと、高齢化したお金を若返らせるということがやはり私は必要だと思うんですが、この点につきまして、竹中大臣、谷垣大臣そして日銀総裁にお伺いいたします。

竹中国務大臣 委員御指摘のとおり、株主構造が大きく変化しているというのはそのとおりでございまして、とりわけ日本においては、この間、いわゆる企業同士の株式の持ち合いの解消というのが非常に大きな要因であったというふうにも思っております。その中で、資本市場の活性化、とりわけ株式市場の活性化が経済活性化のキーであるという委員の御指摘は、我々もまことにそのとおりであるというふうに思っております。

 そのためには、これをやれば必ずうまくいくということではなくて、幾つかのことを組み合わせてしっかりやらなければいけないということで、いわゆる骨太の方針、基本方針等々でもそのことを繰り返しいろいろ議論しているわけでございます。

 一つには、最終的な資金の取り手として、御指摘のように、財政赤字を反映して国債という形、政府の取り手が非常に大きくなっておりますから、それをきっちりと軟着陸させるということが重要だと思います。一方で、運用者の方の行動、姿勢も変えていただかなければいけない。姿勢という点では、投資教育ということも重要でありましょうし、そういうこともやっておりますが、何といっても、基本的には運用者のインセンティブを高める、そのためにはさまざまな税制等々が入ってくるというのはそのとおりであろうかと思っております。

 税制について、ここ数年いろいろ議論して改革もしておりますから、それについては財務大臣からもお話があろうかと思いますし、広くは、金融担当大臣のもとで、貯蓄から投資への流れについての包括的なプランも御検討いただいております。内閣全体として、そのような方向をぜひ実現していきたいと思います。

谷垣国務大臣 小泉委員の年来の問題意識を今開陳されたものと。今までも何度か議論させていただきました。

 私の方も、バブル崩壊後の資金の流れといいますか金の流れについてちょっと私なりに概観させていただきますと、企業部門というのは本来資金の受け手であるはずなんですが、この間、景気も低迷していた、それからバランスシートを調整しなきゃならないという圧力も背景にあったということで、資金需要が減退しちゃっている。そして、逆に、現在では企業部門が資金の出し手になっているというような逆転した現象が起きております。

 それから、政府は、今まで累次の経済対策があった、それから減税とか景気低迷によって税収減がいろいろあったというようなことがございまして、御承知のような、財政赤字が拡大している現状でございます。したがいまして、現在では、最大の資金不足主体というような形になっているわけですね。その結果、国債への投資等による政府への資金の流れが民間部門への資金の流れに対して非常に大きくなってきているというのは、私は、今の日本の資金の流れの特徴であり問題点であるというふうに、ここは全く委員と問題意識が同じでございます。

 こういう中で、小泉内閣になってからいかぬのだということでございますけれども、小泉内閣は、経済活動の主体を、要するに、民間でできるものは民間でというのは、こういう金の流れを変えていかなきゃならないという問題意識を持っているわけです。それで民間需要主導の持続的な経済成長につなげていかなきゃならぬ、そのために構造改革もやらなきゃならないということだろうと思います。ですから、資金の面でも民への流れを加速させる。

 それから、先ほどおっしゃったこともそのことだと思いますが、家計の金融資産が民間の成長部門に円滑に流れていくように、金融・証券税制の見直し、ここはいろいろ委員とも議論させていただきまして、一致しないところもありますが、そういうことをやってきましたし、私は大切なことだと思います。

 それからもう一つは、政府が資金の主要な取り手であるというような状況を長く続けると、これは民への円滑な資金の流れを阻害してしまって、成長への足かせになる。ですから、公的部門のスリム化もやらなきゃならないということだろうと私は思うんですね。

 したがって、政府の規模の抑制ということは引き続きやっていかなきゃならないだろう。そのために、歳出歳入両面からバランスのとれた財政構造改革をやっていく必要がある。したがって、こういう形で大量に国債を抱えている中で、国債管理政策というものは適切にやらなきゃなりませんが、大きく言えば、そういう問題意識の中で解決していく必要があるということだろうと思います。

 そこで、税制ですが、これも前回お答えしたことだと記憶しておりますが、貯蓄から投資へということで、上場株式の譲渡益や配当に対する課税については、源泉徴収のみで納税が完了する仕組み、こういうのを導入しまして、預貯金並みの手軽さでやれるようにしようとか、それから、それは平成十五年以降の五年間は一〇%の優遇税率ということをやってきたわけで、こういうのをまず十分活用していただきたい。

 それで、委員の御主張は、前回も、譲渡益、配当をゼロにせよという御主張がございまして、これは私どもも全体の中で検討しなきゃいけないとは思いますが、ただ、これは税制の空洞化を一層助長する。今、空洞化ということは一つの問題でございますが、空洞化するという問題点がある。それから、金融商品間の中立性とかほかの所得に対する税負担とのバランスといったような問題があって、検討を、なかなかこれは慎重に考えなきゃならぬところも多いのではないかというふうに思います。

 それからもう一つ、相続税の問題にお触れになったわけですね。要するに、株式に係る相続税の評価額を下げろということですね。これは、株式に限って相続税の評価額を低くしていくということになりますと、なかなか難しいんじゃないかと思うんですね。

 そもそも、相続税というのは、相続により取得したものを平等に時価で置きかえて課税する。市場対策のために例外を設けるというのは少し問題があるのではないかというふうに思いますし、それから、相続税が課税されますのは被相続人の五%程度でございますから、幅広い国民の株式市場への参加という点では、ちょっと迂遠なところがあるかなというふうに思いますが、今後とも、全体の相続税制、どうあるべきかというようなことで、いろいろまた議論をさせていただきたいと思っております。

福井参考人 私からは簡単にお答え申し上げますが、金融緩和政策の効果はかなり浸透してまいりまして、銀行の貸し出し態度はかなり積極化している、それからCPとか社債の発行環境もかなり良好になっている、株式市場の雰囲気もかなりよくなってきているということでありますけれども、しかし、まだ道半ばと申しますか、議員のおっしゃるとおりでございまして、企業は借入金圧縮のスタンスをまだ維持している。資金需要は十分に回復していないということでありまして、銀行の国債保有の増加、各経済主体が安全資産を引き続き強く選好する、この傾向が残っているというふうに思います。

 これに適切に対応していくには、二つの筋道があり、一つの筋道は、資金需要の本格的な回復を促す、そして家計部門の金融資産の選択の幅を広げていくということであります。

 この点につきましては、まず資金需要の本格的な回復のためには、先行きの経済の成長見通しがさらに十分高まっていく、そして中長期的な企業価値の向上を目指した企業の設備投資とか雇用の増加といったような形でのコミットメントが強まっていくということが不可欠だというふうに思っています。日本銀行としては、金融緩和政策を堅持いたしまして、緩和的な企業金融の環境をしっかり維持して、民間部門の前向きの活動を支えていきたい。

 それから、家計部門につきましては、間もなくペイオフの完全解禁、家計部門のリスク感覚は相当変わってくると思います。日本銀行も、広報活動でこれを支援していきたいというふうに思っています。

 もう一つの筋道は、資金が市場でより流れやすくする、議員のお言葉をかりれば、資本市場をもっとしっかりしたものにしていくということだと思います。つまり、信用リスクフリーの国債市場だけではなくて、信用リスクのより高い株式市場を含む広範囲な市場をきちんと機能するように用意していく、さまざまなリスク商品、さまざまなリスク度合いというかリスクの態様に見合った商品の取引が行われる市場をすき間なく、我々はシームレスにと言っていますが、用意していくということが一番大事だというふうに思っています。

 我々、微力でありますけれども、二〇〇三年七月から資産担保証券の買い入れ措置を実施しておりまして、現在も続けておりますが、これらが呼び水効果となって、市場のすき間を埋めていくというふうな効果をさらに強く出していきたいと思っております。

小泉(俊)委員 今、二人の大臣、日銀総裁からお答えいただいたんですが、十七日の予算委員会で、私は、マクロ経済で小泉内閣の結果をいろいろな指標から検討しました。

 実は、小泉内閣になってから国債の発行が二百六兆円という、実は歴代総理で一番発行しているわけですよ。小渕総理が世界一の借金王と言いましたが、実は小泉さんこそ世界一の借金王なんです、今。もうすぐ四年ですよ、四月の二十六日で。全く数字がよくなっていません。これは税収で見てもそうだ、国債の発行で見てもそうだ、債務残高のGDP比でもそうだ。また、ミクロで見てみれば、自殺、倒産、生活保護者の増大。ほとんど私は効果が出ていないと思うんですよ。

 やはり、私は、原則わかるけれども各論反対じゃなくて、もっと思い切ってやらなければ、絶対に今の国債に流れているお金というのは資本市場に来ないんですよ。そんなこと言っていないで、できないのであれば、やはり政権交代しかないと思いますね、私は。それをはっきりと申し上げておきたいと思いますよ。

 次に、整理回収機構の問題について、時間が足らなくなってまいりましたので、移ります。

 資料の六をごらんください。これは、RCCが発行しているパンフレットのあるページであります。これは、RCCの回収指針について書いてあります。

 左の上のあたりに、RCCは、「人間の尊厳の確保」を回収の指針としますと書いてありますね。そしてまた、下には、シェークスピアの「ヴェニスの商人」を引いて、「RCCの債権回収において「契約の拘束性」の追求に急なあまり、いやしくも、「人間の尊厳」を損なうことがあってはならないのです。」と、すごくいいことを書いてあるんですよ。

 しかし、では実態はどうかといいますと、いみじくもここに「ヴェニスの商人」と書いてくれているように、実は、RCCの実態は「ヴェニスの商人」以下なんですよ、これ。

 具体的に言いますと、一昨年、RCC本社で焼身自殺を図ろうとした事件が起きたり、これは私の何人もの知り合いの社長が、RCCに債権が譲渡されて、実はその取り立ての余りの厳しさにがんになって死んだ方、今もがんで入院をして危篤の方とか、何人もいますよ。

 また、私の地元、茨城県の町村議会の議長をやっていた方が、やはりRCCの取り立てに遭って体を壊して入院したんですが、入院する前に、小泉君、余りにもひど過ぎる、退院したら話を聞いてくれ、委員会で質問してくれと言っていたら、そのまま退院できずに死んじゃいました。その話を聞くことができなかったわけですね。

 また、この前私のところに来た方の御兄弟は、ビル管理をしていたわけですね。借りていた金融機関が倒産して、債権がRCCに移りました。そうしましたところ、ビルの家賃を全部差し押さえられてしまって、生活費にも事欠き、栄養失調同然になって、実は死んじゃったんですね。このような実態なんですよ。

 今、国民に何と言われているかというと、一番日本で恐れられている恐怖の機関がRCCなんですよ。こういう実態について、預金保険機構の理事長とか伊藤大臣、実態をどう思っているんですか。

永田参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の方から御指摘のありました件でございますが、私ども、整理回収機構と預保グループとして活動をしておりますけれども、その立場から見まして、私どもとしましては、ただいまのお話ではございますけれども、次のように考えておるわけでございます。(小泉(俊)委員「端的に答えてください。時間がない」と呼ぶ)済みません。はい。

 RCCは、御案内のとおり、旧住専会社や破綻した金融機関等から債権を譲り受けてやっておりますので……(小泉(俊)委員「実態の把握について聞いているんだ。聞いたことに答えなさい」と呼ぶ)その実態につきましてでございますが……(小泉(俊)委員「実態を把握しているのかと聞いているんだ。余計なことはいいよ。時間がない」と呼ぶ)はい。

 私ども、そういう立場でございますので、RCCに対しては常に苦情とかそういうものに関しまして報告を求め、また我々に来ました苦情等につきましても実態を把握するように指示しておりますし、苦情処理の体制も整備して、今後とも、このようなことのないような形にしっかりした適正な処理をしていきたいというふうに思っております。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 私も国会議員として三分の二を、中井委員お見えでございますけれども委員長のときに商工委員会、そして経済産業委員会に所属をさせていただいて、RCCをめぐるさまざまな議論があったことは承知をいたしております。

 今、金融庁におきましても、RCCは銀行法上の銀行でありますので、RCCの債権の回収に当たっては、手続の各段階において、顧客の求めに応じて、その合理的、客観的理由について説明責任を的確に果たすようRCCに求めているところでございます。また、RCCの回収業務に関して金融庁に寄せられた情報に関しましては、必要に応じて日々の検査監督に活用しているところでございまして、RCCの業務の健全性、適切性を確保するために、私どもとしても適切な監督を行っていきたいというふうに考えております。

小泉(俊)委員 日銀総裁、どうもありがとうございました。御退席くださいませ。

 たとえ債権を持っていても、度を越すと、これは刑法上恐喝、脅迫になるのは常識なんですよ。債権を持っていても、人権侵害をしてはいけないんですよ。これは常識ですよ。

 しかも、RCCは、国の税金が投入をされている預保の一〇〇%子会社でしょう。実質的には、銀行といっても、国の機関なんですよ。その証拠に、RCCが回収した資金は、平成十五年度で千二百六十億円も納付金として預保に入っているんですよ。そして、国の一般財源に入るわけでしょう。まるで、RCCが国民の命を削りながら搾り取ったお金を、最終的に国がピンはねするというとんでもない構図になっているわけですよ。ですから、人権侵害になるような回収方法は絶対に許さないということを、伊藤大臣、しっかり管理監督を明確にお願いしておきますよ。

 二月十六日の予算委員会におきまして、我が党の中津川議員の質問により、主たる債務者の担保物件などの資産整理が終わった無剰余・無担保債権が何とわずか千円でRCCに買い取られ、この千円で買い取った債権からRCCは何と総額百十二億円、一債務者当たり六百十四万円も回収されているということが明らかになりました。何と、RCCが買い取った買い取り額の、一債権千円で買って、平均六千百四十倍もの回収をしていることになるんですね。無担保債権ですよ、一番価値のない債権からこれだけ取り立てているんですからね。これはいかに苛烈な取り立てをしているかというのがうかがえると思います。そして、その上前を国の機関である預保がピンはねしているわけですよ。

 このような異常な取り立てが行われる最大の原因は何かといいますと、実は、銀行からRCCに売られた金額が債務者に幾らかわからないんですよ。私は、債務者が問い合わせた場合には、銀行がRCCに売却した金額を債務者に開示すべきだと思うんですが、伊藤大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 委員からの御要請でございますけれども、個別債権の譲渡金額については、個別取引先の内容にかかわる事項でございますので、これを明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

小泉(俊)委員 ということは、伊藤大臣、さっき一番冒頭答えましたが、今のRCCの現状を放置するということをあなたは言っているんだよ。だから、大臣、その席にいて、しっかり自分の見識で答えなさいよ。そう言って答える中、みんな死んでいるんだ、あなたのせいで。これが強きを助け弱きをくじくという小泉内閣の実態なんですよ。だから私は、大臣がそう答えるのであれば、やはりこれは政権交代しない限り、RCCのこんな悪逆非道から国民を守ることができないわけでしょう、これが実態だということを明確に国民の皆様にここを通じて私は指摘しておきたいと思います。

 次に、預保の理事長にお伺いしますが、主たる債務者と連帯保証人のそれぞれについて、売り掛け債権を差し押さえた件数とその額、また、主たる債務者と連帯保証人それぞれの給与を差し押さえた件数とその額についてお答えいただけますか。

永田参考人 お答えいたします。

 ただいまの御質問でございますけれども、十五年度の実績を確認しましたところ、主債務者の売り掛け債権を差し押さえました件数は三件、請求債権額は四億一千五百万円、また、連帯保証人の給与を差し押さえました件数は十五件、請求債権額は十一億九千万円ということでございます。

小泉(俊)委員 十五年だけでしょう、それは。過去十年ぐらいにわたって、後でデータを理事会に提出していただきたいと思うんです。

 売り掛け債権の差し押さえというのは、民間の銀行はやらないんですよ。実は、売り掛け債権を差し押さえられたら、企業経営をやっている人はわかるが、すぐ倒産なんです。これは企業をつぶすということを意味しているんですよ、この数は。また、連帯保証人の給与の差し押さえというのも、民間の銀行はほとんどやらないんですよ。これを使って千円の債権で連帯保証人に、給与を差し押さえるでしょう、だから慌てて一千万とか六百万で連帯保証人が無価値の債権で和解しているわけでしょう。だから、こういうやり方というのは、伊藤大臣、やり過ぎじゃないんですか、監督者として。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 これは一般論としてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、仮にRCCにおいて、顧客への説明態勢でありますとか、あるいは相談・苦情処理機能、こういった内部管理態勢について疑義がある場合につきましては、私どもとして、必要に応じて二十四条の報告を求めて、その内容を検証し、さらに業務運営の適切性あるいは健全性に問題があると認められた場合には、法令に基づいて厳正に対処することになります。

小泉(俊)委員 大臣、法律で認められているからといって、どんな手段をとってもいいというわけじゃないんですよ。これは、大臣、しっかりと監督権限者として預保並びにRCCを監督していただくことを明確に指摘しておきますよ。

 最近、不良債権が減ってきたということを小泉総理も竹中さんもよく言っていますね。データ的にも確かに減ってきているんですよ。私は、RCCの使命が終わってきたんだと思うんですね。これは解散させる時期が近づいてきたんだと私は思いますよ。そして、特に、健全行からの債権の買い取りはもうやめるべきだと思うんですよ。健全行はRCCがなくてももう大丈夫なんですよ、今までさんざん守ってきたんですから、銀行を。そして、どうするかといいますと、銀行に緩やかな償却を認めて、連帯債務者、連帯保証人に譲渡額で債権を買い取らせればいいんですよ。大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思いますが、銀行が、どのような先に対してどのような金額で不良債権の売却を行うかについては、基本的には各行の経営判断にゆだねられる事項でございますので、私どもとして特定の売却方法を促す立場にないことは御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、もう一点、五十三条買い取りについてのお話がございました。

 私どもとしても、不良債権をめぐる状況や、あるいは官民の役割分担、また金融界全体からも、この五十三条買い取りを延長してほしいと強い要望が示されている状況ではございませんので、こうしたことを考えますと、現状として、金融庁として延長法案を提出するような状況にあるとは考えておりません。

小泉(俊)委員 銀行は貸倒引当金を積んでいるわけですから、今言ったやり方でも十分やっていけるんですね。ですから、今の御答弁をぜひとも進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、住宅ローンへの金利変動の影響の回避について、お伺いさせていただきます。

 資料の十ををごらんいただけますでしょうか。

 金利変動リスクを抱える住宅ローンの世帯数、これは毎度申し上げておりますが、約九百万世帯いるわけですね。将来の金利上昇によって膨大な住宅ローン破産が生まれる危険性があることを前々回の二月四日の予算委員会においても質問をさせていただいたわけであります。

 そして、私が、変動金利の住宅ローンの利用者にアメリカ並みの金利上昇のリスクを説明する法的義務を銀行に課すべきだとただしたのに対し、伊藤大臣は、日本でも住宅ローンの金利変動リスクを利用者に説明する態勢が整っており、全銀協でも説明を行う旨の申し合わせが行われているという答弁がありました。

 資料の八を見ていただけますでしょうか。この資料の八が、実は全銀協とアメリカの比較であります。これは、時間がありませんので、後でよく見ていただきたいんですが、全く違うんですね。

 私は、独自の法制化はできなくても、現在検討されている投資サービス法の説明責任の中に金利変動住宅ローンを加えて、変動金利で借りる利用者には十分アメリカ並みの説明をするようにすべきだと思うんですが、伊藤大臣、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 委員からは、前回もこの点についてはお尋ねがございました。そして、アメリカとの比較をされながら、説明責任の態勢整備の重要性について御指摘をいただいたところでございます。

 私も、この両方の対比表もよく見てみました。そして、委員が御紹介のありました全銀協の申し合わせ、この中でも、顧客が選択したローン商品の適用金利が将来上昇した場合の返済額の目安を提示することを目的とした、貸出時における適用金利とは異なる金利での返済額の試算結果を説明することとされておりますので、こうしたことを十分説明していくことが重要だというふうに思います。

 過日の委員会におきましても、銀行法においても適正な説明態勢というものを整備している、そのことを義務づけているというお話もさせていただきましたし、また、私どもの監督指針においてもそうした説明態勢というものがしっかりとられているかどうか、それを検証していく留意点の中にしっかり明示をしているというお話もさせていただいたところでございます。

 こうした現行法令というものを厳格かつ的確に運用して、そして、金融機関がこうした説明態勢に対する取り組みというものをしっかりやっているかどうか、そのことを見極めていきたいというふうに考えております。

小泉(俊)委員 変動金利の住宅ローンを抱えている方たちは、上昇した場合の恐ろしさというのは余り明確に認識していないんですよ、大臣、実は。

 黄色い冊子をお配りしています。私の知り合いのプランナーがつくっているこの九ページ、これは日経の記事でありますが、かつて、御案内のように、住宅金融公庫がスーパーゆとり返済と頭金ゼロをやったんですよ。ここの記事、後で見ていただきたいんですが、スーパーゆとり返済では、毎月の返済額が五年過ぎると二倍近くにはね上がるため、六年目から延滞が続出したんです。実は、私は、このときの住宅ローン破産を目の当たりに、物すごい数が出たのを現実に見ていますので、この恐ろしさがだれよりもわかります。今度は、ここの新聞にも書いてありますように、実は民間の金融機関が同じ失敗をしようとしているわけですね。

 資料の七をごらんいただけますでしょうか。これは短期固定金利ローンですね。変動金利で三十五年、三千万借りますと、今キャンペーンで民間だと一%で借りられるんですよ。そうすると、月々八万四千六百八十五円の返済なんですが、仮に金利が四%にキャンペーン明けでなったとすると、月々の返済が八万四千円台から十二万八千五百五十一円になるんですね。一・五倍になります。では、仮に住宅ローンが九%になったらどうなるかといいますと、何と毎月二十二万一千百九十八円、二・六倍になっちゃうんですよ。

 資料の十一と十二を見ていただけますか。これは前もお示ししましたが、住宅ローンというのは長期なために、二十年平均で一体幾らになるかというと、平均四・五%です。次のページも、これは金利変動ですが、どうしてもやはり四・五ぐらいなんですね、真ん中をとってみますと。ですから、さっき出した金利の上昇というのは起こり得ることです。

 特に、竹中大臣とこの前質問させていただきましたが、内閣府がつくりました、改革がうまくいった場合の、どうなるかという場合ですよ。五年後の平成二十一年には、うまくいっても長期金利が三・四%になると竹中さんは出しているわけですよ。ということは、住宅ローンは確実に四%になるわけですね。

 先ほど、伊藤大臣には、これから借りる方のお話をしたんです。それでは、既に変動金利で借りている九百万世帯の人たちがローン破産しないようにするためにはどうしたらいいかということで、国土交通大臣にお尋ねいたします。

 金利上昇によるローン破産から救うために、住宅金融公庫が支援しています長期固定の証券化ローン、この対象に、金利が上昇してくるときに借りかえローンも追加するのが、実はこの膨大な住宅ローン破産を防ぐ一番の方法だと私は思っているんですが、大臣、いかがですか。

北側国務大臣 住宅金融公庫の今行っております証券化支援事業でございますが、平成十五年十月から始めました。最近急激に伸びておりまして、この二月十六日段階で一万一千九百三十八戸というふうに、最近急激に伸びてきておるところでございます。

 この制度を、今の御質問は、変動金利型の民間住宅ローンからの借りかえに適用すべきではないのかという御趣旨でございます。これはぜひ研究させていただきたいと思っております。

 問題点が幾つかございまして、この制度自体は、国民が新たに住宅を取得するもので、借りかえの場合はないため、住宅の建設、購入の支援によって国民の居住水準を向上させようというのがこの住宅政策の目的でございまして、それとの整合性を図る必要がございます。

 もう一点、なかなか難しいのが、担保価値をどう評価するかという問題がございます。最初の建設、購入の時点ですと、建設費とか売買価格、これがありますから、これを担保額として融資額を設定するわけでございますが、借りかえローンに係る場合は、別途正確に担保価値をどう評価するか、その辺の課題がございます。しかし、大事な問題でございますので、しっかり勉強させていただきたいと思います。

小泉(俊)委員 財務大臣、国交省が枠をつくっても、予算立てがないとこれは実現できないんですね。実は財投機関債の発行の枠を少しふやしてくれれば可能なんですね。財務大臣、ぜひとも、この膨大な住宅ローン破産を未然に防止するために、前向きに御検討いただけますことを答弁いただいて質問を終わりますが、最後にどうぞ。

谷垣国務大臣 公庫の証券化ローンについては予算的な措置もしているわけですが、今御指摘の問題は、今国土交通大臣がおっしゃったように、やはり幾つか検討しなければならない課題がありますので、私たちも研究課題とさせていただきたいと思います。

小泉(俊)委員 質問を終わります。

甘利委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 各大臣に御質問をさせていただきますが、官房長官が四十五分から記者会見ということで、また後でお戻りいただくというお約束でございますので、ちょっと順番を変えまして、日韓条約の交渉文書の公開について、これは官房長官も、一月十八日、日本も公開検討と、韓国が公開をされたことでございますので、記者会見でこのことに触れられておりますが、このことだけお答えをいただいて、また記者会見でお戻りをいただければと思うんです。

 日韓国交正常化交渉、これは韓国側が文書を公開したんですね。この点について、よろしくお願いいたします。

細田国務大臣 先月の十七日に韓国政府が、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定に関連する文書を公開した、そのことが韓国内等で大きな問題にもなっておるということを承知しております。

 この文書の公開は、韓国政府がその保有する公文書をみずからの責任で公開したということでございます。それらの文書の内容にかかわることについて我が方政府が見解を述べることは差し控えたいと思いますが、我が国の文書公開等はまた我が国のルールに従ってやってまいりたいと思いますし、また、請求ということもございますので、そういう対応を考えていきたいと思います。

武正委員 ちょっとお答えがあれなので、もう一問だけ、今の件ですけれども。

 外務省の基準では、これまで、この日韓国交正常化についての文書については、国の安全、相手国との信頼関係、交渉上の利益、個人の利益が損なわれる場合という理由で非公開にしていたんですよ。でも、ここで韓国側が公開してきたので、私は、日本側も公開していいんじゃないかというふうに思っておりますし、非常にあいまいなこの四つの基準そのものが、やはり日本の外交文書の公開ということで非常に透明性を欠く条件になっているのではないか。私は、この見直しも必要だと思っているんですが、もう韓国側も公開しているわけですから、日本側として公開してやぶさかではないと思うんですが、再度御答弁をお願いいたします。

細田国務大臣 私も、直接の担当は外務省でございますが、一般論として政府の文書公開全体について申せば、いろいろな、特に隣国とかいろいろな外交交渉の中で、現時点にも影響するような問題というのは確かにあると思います、最近の日韓間でもいろいろなことが起こったように。そういった中で、先方がみずから公開をした、では、それに対応する部分は、日本側はなぜ秘密にしなければならないのか、こういうバランス論もあると思います。外務省においても、こういう問題を、韓国側の公開の内容も精査していただきまして、それでまた政府としての対応も考えていくべきではないかと思っております。

武正委員 また後でお戻りをいただきますようお願いいたします。それでは、どうぞ記者会見の方に行ってください。

 それでは、質問通告に従いまして、まず米軍ヘリ墜落事故について、外務大臣、2プラス2でこの米軍ヘリ墜落事故の真相究明、再発防止について話題として取り上げたのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

町村国務大臣 お答えを申し上げます。

 今般の2プラス2におきまして、日米地位協定の運用改善が重要であるということを確認したところでございますが、この関連で米軍ヘリ墜落事故の問題を取り上げたところでございます。

 具体的には、私から、昨年八月の普天間飛行場近くでのヘリ墜落事故というものが大変大きなインパクトがあった、そのような中で、地位協定の運用の改善による目に見える成果を上げていくことが重要であるという旨を述べたところであります。またさらに、この関連で、例えばヘリ事故を受けた事故現場での協力に関する協議というものを今行っているところでありますが、これについてできるだけ早く成果を出すなど、進展を積み重ねることが必要であるという発言をしております。

武正委員 地位協定の改定については申し入れをしていないということでよろしいでしょうか。

町村国務大臣 国内には地位協定改定を求める声があるということは、私から指摘をしてあります。

武正委員 求めたことはないということでよろしいですか、指摘をしたことと求めたことはないということは違うと思うんですが。

町村国務大臣 委員御承知のとおり、私どもは、今地位協定の改定を求める考えは政府にはございません。運用の改善によって、よりよいものにしていこうということが私どもの考え方であります。

武正委員 お手元の方にきょうは理事あるいは委員長の御承認をいただきまして資料を配付させていただいておりますが、昨年の八月十三日のこの米軍ヘリ墜落事故後、民主党岡田克也代表名で当時の川口外務大臣に要請書を出しております。一項目から八項目ということでありますが、その趣旨は、やはり徹底した原因究明、そして再発防止を図る、そしてまた日米合同委員会の事故分科委員会等の議事録の公開など、これを求めていると同時に、民主党がかねてから地位協定の改定を民主党として求めてきた経緯がありますので、そのことを書かせていただいたわけでございます。

 そこで、三枚目、四枚目をおめくりいただきますと、このほど、二月の十七日、事故分科委員会の報告書が日米合同委員会で承認をされております。その九枚ある和訳のうちの一枚目と、これは六枚目ですか、それをちょっと今回抜粋してお手元の方に資料として用意をさせていただきました。

 この三ページ目の方、これは事故報告書、事故分科委員会が勧告も含めて日米合同委員会へ二月十七日に提出をし、承認をされたものでありますが、これのちょうど真ん中辺の段に「一 事故分科委員会の実施」ということで、ちょっと読みますと、「3 別個に、米海兵隊は、防衛庁及び国土交通省の日本側技術専門家に、残骸視察の機会を五回提供した。これらの視察には、技術的分析のためノースカロライナ州チェリー・ポイントにある海軍航空補給廠の施設に送られ、日本側の要請により普天間飛行場に戻された部品も含まれていた。」こういう記載がまずございます。

 それから、もう一ページめくりますと、これは四ページ目でございますが、「11 措置」のdということで、「責任のある者に対し、懲戒及び行政処分がとられた。」ということなんですね。責任のある者に対して懲戒処分及び行政処分がとられた、だれにどんな処分がとられたかもここには記載がないわけでございます。

 冒頭のチェリーポイントに機体が送られたというのは、私の知り得る限り国会での答弁で一度も触れられていない、そして、十二月二十七日の防衛施設庁のプレスリリースで初めて明かされたのではないかと思っておりますが、これはその次の質問にさせていただきます。

 まず、本来であれば官房長官に伺いたかったんですが、二月十七日に記者会見で、昨年の十二月、警察から捜査協力の一環として米側に要請をしたけれどもまだ返事が来ない、いずれあるものと思うということで官房長官が記者会見で述べているわけなんですけれども、警察として、きょうは国家公安委員長お見えでございますが、私も昨年、事故後、三日後、夕方沖縄国際大学に入りました。機体を午前中から米軍が特に尾翼の長い部分を運び出した後、それこそロープが張られ、そして米軍がその周りを警備している。

 夕方行きましたので、その米軍の兵士に対して、米軍の関係者でしょうか、あるいは交代要員か、それこそピザの差し入れなんかをしているような、そんな夕刻でありましたけれども、私のそのときの印象は、日本の私立大学に機体が落下して、そして、一切警察がそこに近づけない、あるいは現場検証ができない、あるいは共同での検証ができない。米軍基地ならいざ知らず、民間の私立大学に落下をして、そして、警察がそこで検分とか検証とかあるいは共同検証とか、昭和五十二年、横浜でやったようなことができない。一体ここは日本なのか、一体日本の主権は守られているのか、こういったことを大変疑問に思いました。

 これがその後の、事故分科委員会ではありませんが、現場における特別委員会の設置につながっていったと聞いておるんですが、私はそのときには、第一次裁判権などさまざまな問題があるな、やはり地位協定の改定だなというふうに思ったわけなんです。

 警察がすぐ、その三名の搭乗員の名前、そして事情聴取の申し入れ等、三項目の要請を再三再四してきたんですけれども、返事がない、あるいは断られる、こういったことがずっと続いてきて、ようやく十二月に外務省を通じての依頼となったわけですが、この間の警察としての取り組み、そしてまた、今警察としてこの事件について、名前もわからない、事情聴取もできない、こういった今の状況をどのように考えておられるか、認識をされているか、お答えをいただけますでしょうか。

村田国務大臣 米側から事故分科委員会に対して報告書が提供されたわけでございますが、その報告書の内容の中には捜査に資すると思われる内容も含まれている、こういうことでございまして、私どもとしては、その事故報告書をもとに、こうしたものを参考にして引き続き捜査を推進していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

 先生も、我々警察庁からの要請の中でも幾つかの点、例えば搭乗員の氏名等については照会に対して回答がないではないか、こういうことでございますが、引き続き外務省と連携しながら調整を行っているところでございまして、引き続き米側に対して協力を求めていく、こういう姿勢には変わらないと思っております。

武正委員 この事故報告書を見ますと、まず日米合同委員会で承認をされているんですけれども、外務大臣、四ページ目を見ますと、持ち回りで承認をしているんですね、事故分科委員会のこの最終報告書、五ページ目ですか。このような大事な事故分科委員会の最終報告書を持ち回りで承認する。ちょっと私、このことを聞いて、目を疑ったんですけれども、このことは外務大臣としてはどうお考えでしょうか。

町村国務大臣 どういう事情があって持ち回りになったか、会議が開かれなかったか、私もその事情を詳細には承知をしておりませんが、事故分科委員会から合同委員会に提出され、できるだけ早くこれを公表するということが必要であるという判断で持ち回りになったのではなかろうかと私は推測をいたします。

武正委員 この米軍ヘリの墜落事故について、これでよしとしてしまうことが果たしてどうかということでございます。もちろん現場の特別委員会は、内容についてはまだわかりません、公開がされておりませんので。現場の統制について、いろいろとこれからまた勧告が出てくるんでしょう。ただ、何といっても、メーンはこの事故分科委員会ですよ。

 さっき警察、国家公安委員長は、これでよしとしているというお話でしたけれども、これで本当に捜査が進展するんですか。事情聴取もできませんよね。航空危険運転で立件をしたいということですが、搭乗員の名前もわからない。昭和五十二年のファントムのときは事情聴取の調書ももらったわけですが、今回はそれももらえない。官房長官は、まあ返事が来るだろう、こういう希望的観測を述べていますが、国家公安委員長は本当に、この最終報告で十分だというふうに先ほど御答弁ありましたが、もう一度その点、これでよろしいんですか。再度御答弁をお願いいたします。

    〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕

村田国務大臣 引き続き外務省と協力して米側に、必要な資料、私ども要請のことについて明らかにしていただくように要請をしていく、こういうふうに考えているわけでございます。

武正委員 お手元の資料の七ページ目をごらんいただきたいと思うんですが、これは昨年の九月上旬、私が、この事故機の乗組員三名の氏名、年齢、階級、所属、これはちょうど八月の十八日、民主党の調査団で現場の在沖米軍の准将に質問をいたしましたら、これは外務省を通じてやってくれということだったものですから、外務省を通じて米軍の方に照会をしましたら、このような形で地位協定室から文書が返ってまいりました。一番上、乗組員三人の氏名、年齢、階級、所属については、プライバシー法、プライバシーアクトによって公表できない、こういったことで返事が来ているわけなんですね、外務省から。

 今、国家公安委員長は外務省さんと協力しながらと言いましたが、その外務省さんはこういうふうに返事をしてきております。期待できないんじゃないでしょうか。外務大臣、外務省はこういうふうに答えています。今、警察は外務省に期待をしているという御返事でございましたが、この乗組員三人の氏名、そしてまた事情聴取等、この三項目、これは外務省として、米側から協力を得られる、このように考えておりますか。外務大臣、いかがでしょうか。

町村国務大臣 この文書の性格が、北米局の方から先生あてへの回答ということで、これは米側に問い合わせた結果をお伝えしたということであります。したがいまして、これは事実をお伝えしただけであって、これでいいとか悪いとか外務省が判断をしているわけではございません。

 外務省といたしましても、警察当局と今後とも引き続き緊密に連携をとりながら、アメリカ側と調整をしてまいりまして、警察当局が捜査協力を得られるように引き続き努力をしていきたいと考えております。

武正委員 ですから、プライバシー法で公表ができないということを外務省として是とするのか、いや、そうじゃない、やはりこれは警察からも要請があるし、日本として主権の問題にもかかわることなので、ぜひその捜査に協力をしてほしい、真相解明に協力をしてほしい、こういった立場で外務省として臨むのかどうかということです。

町村国務大臣 申し上げたのは、アメリカがこういう返事をしてきたということでありまして、外務省としては、今申し上げたように、警察当局と協力をしながら引き続き今後とも米側にそれを求めていくということであります。

武正委員 再度お聞きをいたしますが、このプライバシーアクトで公表できないということについて、それを認めるのかどうか、そうじゃないよというふうに思うのかどうか。この点はいかがですか。認識を伺っているんです。

町村国務大臣 認める認めないにかかわらず、私どもは求めていくということでありまして、認めたからもう何もしないというわけでもありません。認めたからどうこうということではなくて、彼らはそう言っているという事実は事実として、事実は事実として認識はしなきゃならないと思いますが、私どもとしては、警察当局が必要である、こう言っておられるわけですから、一緒になって米側に求めていくという考え方であります。

武正委員 そもそもこれは、十二月にようやく外務省が米側に言ったというのはどういうことなんでしょうか。

 これは八月十三日の事故ですよね。警察がそういう要請を現場の海兵隊の方にしているんですけれども、外務省としては、当初の九月三日のこの返事で、これは無理だよということを認識していたのではないですか。だから、ずっと、外務省としてのアクションは十二月になってしまったのではないんですか。でも十二月で、もうこの最終報告が出てしまっていますよね。今から、ではこれを要請するとかどうのこうの言ったって、事故分科委員会の最終報告を持ち回りで承認しているじゃないですか。

 当初から外務省は、アメリカのプライバシーアクトで公表できない、ああ、そうですねということで、もう認識がそのときに固まっていたんじゃないですか。いかがですか。

町村国務大臣 その間のやりとりについて、私、率直に言ってつまびらかにはいたしておりませんが、その間、アメリカ側と事務的ないろいろな折衝をしていた結果ではないか、こう思っております。

武正委員 私は、この間のやりとりが、このプライバシーアクトをもとに公表できない、あるいは事情聴取等についても応じられないという、これを諾としてしまったのではないかということで、大変問題だというふうに思っております。

 そもそも、国内法と条約、これはどちらが優先するかということでいいますと、日米地位協定では、捜査の協力とかあるいは米側の国内法の尊重義務とか、こういったものが条約としての日米地位協定に盛り込まれているわけです。国内法であるプライバシーアクトがそれに優先するというのはそもそもおかしなことであって、条約が国内法を規定する、これが日本を初め国際的な常識であるわけなんですね。ですから、私は、これはやはり、このプライバシーアクトを理由にそれで引っ込んでしまうというのは問題である、日米地位協定を盾に、条約としてのこのことを盾に交渉をしていくべきだというふうに考えております。

 さて、次の質問に移らせていただきますが、この事故報告書に初めて、アメリカのチェリーポイントに機体を移送したということが出てきたのを見て、私は大変びっくりしたんです。私の知り得るところ、国会での答弁もなければ、初めてプレスリリースで十二月二十七日、アメリカに機体を移したということが明らかになったと思いますが、このことについて、これは防衛庁長官でよろしいでしょうか、事故分科委員会を所掌しておりますし、この点の事実確認をお答えいただきたいと思います。

    〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕

大野国務大臣 事実関係だけを申し上げたいと思います。

 まず、アメリカ軍としましては、事故調査を適切に行うために事故機の残骸を分析することが必要である、そういう意味で、分析能力のある米国内の施設に残骸、パイロンをぜひとも送るということで、十月五日の事故分科委員会で報告があった由でございます。

 他方、日本といたしましても、やはりアメリカからの説明を客観的に確認する必要がある、こういう意味で、アメリカに送られた部品を確認する、十月七日及び十一日の現地視察結果からそういう認識をした、こういうことで、日本側からはその残骸の返還を求めております。それで、米側がこれに応じたことから、日本側の専門家が残骸の視察を実施いたしております。

 以上が事実でございます。

武正委員 私が求めたのは、国会での答弁は、そうした、米国に機体を運んだということをされた事実があるのかどうか、それから、今、事故分科委員会の十月五日の報告と言いましたが、初めてそれを公表したのは十二月二十七日のプレスリリースではありませんかと、この事実を確認したかったんですが、この点はいかがでしょうか、防衛庁長官。

大野国務大臣 まず、国会で報告したということはない、私の記憶ではないと思います。

 それから、初めて公表されたというのは、私、つまびらかに存じておりませんけれども、残骸が普天間基地に到着したのが十二月下旬ではなかったか、こう思いますので、そのときに公表されたのではないか。もし間違いがあれば後ほど訂正させていただきますけれども、私の手元の資料ではそういうふうになっております。

 ただし、防衛施設庁といたしましては、いろいろなことがあるたびにその事実をピンナップで公表しているということも御認識いただきたいと思います。

武正委員 国会答弁でもない、そしてまた十二月の二十七日に初めて公表したと。

 米側の報告書も、事故報告書、分厚い、大部なもの、これは防衛施設庁が和訳もしていただきました。そして、これをもとに委員会審査もいたしました。でも、ここにはチェリーポイントに機体を戻したということも書いてありません。あるいは、チェリーポイントで機体を検証していることも書いてありません。防衛施設庁さんがつくられた和訳にも書いていないんですけれども、これはなぜこうした十二月の末まで公表を控えてきたんでしょうか。十一月一日の外務委員会での質疑でも、当時の海老原参考人でしょうか、答弁を控えているというのもございますが、まず防衛庁長官、どうしてこれをずっと公表を控えてきたんでしょうか。防衛庁長官の方にお願いいたします。

大野国務大臣 今直ちに、どのような事情があってということを私説明できませんけれども、ただ、先ほど十二月下旬と申し上げましたが、それは十二月十日付で防衛施設庁が公表しております。そこで、十二月下旬と言ったのは、十二月十日に訂正させていただきます。

 その公表文では「今次会合では、ノースカロライナ州チェリーポイント海軍航空補給廠に運ばれた本件事故機の残骸の一部を日本の米軍基地に戻し、日本側専門家が視察を行い、追加的な説明を受けることに合意した。」こういう文でございます。

武正委員 外務大臣、外務大臣も、事故機を米国で調べる、このことは知っておられたと思うんですが、いつお聞きになりましたか。あるいは、いつ送られたということか、その事実をまず御確認させていただきたいと思います。この事故機の残骸が米国に送られたことをいつ知ったのか、あるいはいつ送られたのか、その事実確認をお願いしたいと思います。

町村国務大臣 事故分科委員会としても、みずから機体の残骸を確認する必要があるという判断があり、日本側から残骸の送還を求めたところ、今防衛庁長官がお話しのようなことで普天間飛行場の方に送還をされてきた、その視察に基づいて今回の報告書が作成をされた、こういう流れであるというふうに理解をいたしております。

武正委員 外務大臣はわからないですから、防衛庁長官、もう一度お答えいただいていいですか。いつこの機体はアメリカに送ったのか、外務大臣はお答えいただけなかったので。

大野国務大臣 十月の分科会で初めてわかった由でございます。ただし、いつそれが米国に送られたか、このことについてはつまびらかでない由でございます。

武正委員 時間がちょっとあったのですが、外務大臣もいつ機体がチェリーポイントに送られたか御存じでないのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 詳しくは承知しておりません。

武正委員 十二月十日に公表して、十月五日に事故分科委員会で送られたことは認めたということは、十月五日前に送られていたということでしょうか、防衛庁長官。

大野国務大臣 十月五日前に送られたということでございます。

武正委員 昭和五十二年、横浜でファントム機が墜落したときに、エンジンがすぐアメリカの基地にやはり持っていかれてしまったんですよ。きょう、国土交通大臣もお見えで、後で事故調の話を聞きますが、航空機事故の原因究明、再発防止というのはまず現場保存なんですね。現場でどのように機体が、部品が落下をして、どのように散らばっているか、それをまず保全するというのがイロハのイなんですよ。

 米軍のファントム事件のときには、あのときはすぐ共同検証したからまだ今回よりいいんですよ、警察は米軍と一緒に共同検証をまだ今回よりもできましたから。でも残念ながら、今回は全然、ファントム機事件のときのようにできなかったわけです、警察は。もっとできなかったわけです。おまけに、ファントム機墜落事件のときに、エンジンがアメリカに持っていかれてしまったので大騒ぎになって、早く戻してくれ、そしてそれを検証させてくれということで、厚木基地に戻して検証した経緯があるわけですよ。そういう轍があって、今回もまた、沖縄国際大学から八月十六日、私が現場に着いた夕方の午前中にあのテールの長いところ、あれを運び出していってしまったわけですよ、原因究明、再発防止の現場保全をする前に。

 ですから、この機体が、防衛庁長官も外務大臣も知らない間に、今も知らないのにアメリカに持っていかれた。私たちがこれだけ、民主党としても原因究明、再発防止、しかも情報公開、これを求めてきたわけですよ、民主党として三度も現地に行って。何でこの機体がアメリカに行ってしまったことの発表が事故から四カ月後であり、両大臣がわからない、いつ送られたかわからない。

 そして、持ち回りの事故報告書、警察庁はこれで捜査に役立つと言いますが、さっき言いました名前と事情聴取、要請、それから検証嘱託、これは後で法務大臣にやりますが、この検証嘱託というのは私も問題だと思いますよ、このやり方。法改正が必要だと思いますよ、実川副大臣もそのように前向きな答弁を前にされておりますが。

 本当は官房長官がいればちょっと聞きたいですけれども、外務大臣、いつ送られたかも知らない、それで、この事故報告書、持ち回りで承認いたしました。これでいいんですか。ファントム機事件のことがあって、そしてああしたことがないようにというのに、機体がいつの間にか、わからないうちに、いつかもわからないでアメリカに送られてしまう。これでいいんでしょうか。外務大臣、いかがですか。

町村国務大臣 残骸の一部がいつ送られたか、それは率直に、私のところには報告はございませんでしたが、それは多分事務当局は知っていたんだろうとは思っております。

 いずれにしても、私どもは、今回の事故分科委員会が、専門家が集まって専門的、技術的見地から検討した結果、今回の事故の事故原因は客観的に確認ができたもの、こう考えておりますし、また、既にとられている再発防止策に加えて、今回決められた整備手順を徹底していくとか、あるいは普天間飛行場の飛行ルートを日米で再検討することなど、追加的な安全対策が盛り込まれている今回の勧告を今後確実に履行するということが再発防止のために重要であろう、こう考えております。

 なお、これは危険の減少、除去であって、本質的な解決策というのは今行っております普天間から辺野古への移設である、こうは思っておりますが、当面の事故対策としては、今回の報告書は私はこれでよろしいのではないかと受けとめております。

武正委員 客観的に確認したというのは航空機事故の調査では現場の保全で、機体を一方的にアメリカに戻して、そこで調査しました、そして、これでこういう原因です、機体が戻ってきてそれを見ました、これで大丈夫です、本当にこれで客観的に確認できたんですか。とても客観的に確認できたとは思えないんです。

 それから、本質的な問題解決は普天間から辺野古へ移せばいいと言いましたけれども、これがもし航空機自体の根本的な問題だったらどうなんですか。単に整備不良で、十六時間連続の勤務をやって、そしてクイック・リグとフル・リグを間違えた、それが本当の原因究明、再発防止につながっているんですか。ちゃんとした調査が、検証が行われて初めて原因究明になって再発防止になるでしょう。警察からの氏名も事情聴取も検証嘱託の結果も返ってこないのに、何で今これで原因究明できた、客観的に確認できたというふうに言えるんですか。

 外務大臣、再度お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 これは、専門家による技術的なやりとり、そして事故機の直接確認が行われたというようなことで、この事故原因が客観的に確認できた、私どもはそう判断をしております。

武正委員 私は、この事故報告書で客観的に原因究明、そしてまた再発防止できたという外務大臣のこの答弁は到底納得できません。

 まして、警察、国家公安委員長、これでいい、調査にも役立っている、この九ページの報告書でいい、さっきの答弁、本当にこれでいいんですか、このやりとりを聞いて。プライバシーアクト、これでもう去年の九月から外務省はアメリカに働きかけしていないんですよ。国内法よりも国際協定である日米協定が劣ると外務省は認定しているんですよ。警察、これでいいんですか。

村田国務大臣 委員が警察はいいと言っているとおっしゃっておりましたが、そうではなくて、我々としては、今度の報告書は捜査には役立つものがございますけれども、しかしながら、引き続き、捜査に必要な要請があるので、外務省と連携して米側に要請していく、こういうことを申し上げたわけでございます。

武正委員 だから、外務省に要請していくと言ったけれども、今外務大臣はこれでもう客観的に確認できたと、原因究明、再発防止。原因はこれでもうわかった、これでいいんですというふうに外務大臣は言っているんですよ。今、警察が協力して外務省に要請していくと言ったって、外務大臣、これでいいと言っているじゃないですか。

 もう外務省は、だから原因究明、再発防止の警察の要請、本気でやろうなんて思っていないですよ、これでいいと言っているんだから。違いますか。

村田国務大臣 私どもは、捜査に一定の役立つ報告書である、参考になるということを申しておりますが、引き続き、捜査上の必要性がありますので、外務省と連携しながら米側に要請をしていくということでございます。

武正委員 だから、外務省と連携といったって、外務省、外務大臣はこれでもういいと言っているんですよ。客観的に確認できた、本質的な解決は普天間を辺野古に移すことだと言っているんですよ。原因究明、再発防止はこれでできた、持ち回りの合同委員会で承認して、これでいいと外務省は言っているんですよ。

 警察、これでいいんですか。要請したってだめですよ。これじゃ、外務省、やってくれませんよ、これでいいと言っているんだから。どうですか、国家公安委員長。

村田国務大臣 今お答えしたように、外務省と連携しながら要請していくわけでございますが、しかしながら、今回の事故分科委員会の報告書でございますけれども、これは、その趣旨といいますか目的というのが、事故についての調査、あるいは日米合同委員会に対する報告、再発防止のための勧告等を行うためにそもそも事故分科委員会が開催されたものでございまして、私どもとしては、そうした目的のために開かれている事故調査委員会がつくられたその報告書というのは、捜査に一定の参考にはなります。しかし、委員会自体は、捜査の目的、犯罪捜査のための目的で設けられている委員会ではございません。

武正委員 事故分科委員会が犯罪捜査のために設けられている委員会ではありませんということですね。でも、さっき、これで捜査に役立ちます、今、参考になりますと言いましたよね。そうしたら、では、どうやって犯罪捜査ということで警察として役割を果たしていくんですか。

 これは日米間の協定があって、そして特別法があって、検証嘱託とかいろいろなやり方を介しながら、米軍のことなので、通常の日本での捜査に比べて大変複雑な、いろいろなバリアがあるわけですよ。そこを何とか警察が頑張ってかいくぐって、この真相究明に警察として寄与してほしい、果たしてほしい、こういうことで我々は国家公安委員長に言っているんですよ。

 先ほどから外務省に要請する、要請すると言っているけれども、外務省がこれでいいと言っているんですよ。では、どうやって真相究明に迫るんですか。検証嘱託の返事、来ないんですよ。いかがですか。

村田国務大臣 ちょっと話を整理いたしますと、事故調査委員会というものは犯罪捜査のために開かれているものではない。その委員会がつくられた報告書というのはそういう性格のものでありまして、しかし、警察にとりましては犯罪捜査上一定の参考にはなりますというお答えを申し上げました。

 しかしながら、一方において、我々はかねてより、沖縄県警本部から米軍に対していろいろな意味で資料の提出等をお願いして、それが昨年になりまして、警察庁が外務省を通じて米側に直接お願いする、そういう段になっているわけでございまして、我々は検証嘱託も含めまして米側に引き続き要請をしていく、こういう形になるわけでございますが、その際、外交ルートを通じて外務省に要請して、アメリカに必要な資料を出していただくようにお願いをしている、こういうことでございます。

武正委員 だから、その外務省が、もうこれでいいと言っているわけですよ。外務大臣。

町村国務大臣 委員、おわかりの上でのお尋ねなんだろうと思いますけれども、事故調査委員会というのは、今国家公安委員長がお答えになったとおり、これは捜査のための調査委員会ではないということであります。あくまでも技術的、専門的な観点から、那辺に事故の原因があったのか、それに対応して、どういう技術的な解決策が今後あるだろうかということについて今回の勧告が出てきたということでありまして、技術的な調査と犯罪の捜査というのは別のものであります。

 犯罪の捜査につきまして、今後必要な情報提供をアメリカに警察庁と一緒になって求めていくということは先ほど私申し上げたわけでありまして、そこには、捜査とそれから調査にはおのずと違いがあるということを先ほど来から何度も申し上げているわけであります。

武正委員 捜査と調査は違う、それはよくわかっております。ただ、この事故分科委員会で結論を出しちゃっているんですよ、その原因究明、そして再発防止の。原因究明については、アメリカの事故報告書、これを認めているわけですよ。整備士の整備不良である、それはこれこれこういう理由である、しかも米軍が懲戒処分と行政処分をしましたと。それも、これで、事故報告書で、そうですね、この人たちが悪かったんですね、名前はわかりませんけれども、表に出せませんけれどもと。これを日米合同委員会、これで承認しているわけですよ。これは、日米合同委員会で承認して、それで警察がさらに捜査できるんですかね。これでもう結論が出ちゃっているんですよ。

町村国務大臣 何度も申し上げるようでありますが、それは、一定の答えが出ている部分はあるわけですが、しかし、日本の警察、捜査当局が、どういう犯罪を構成し、どういう犯罪が実際に起きたのかということについて日本側の警察が独自に捜査をし、そして結論を求めていくということは、アメリカ側がどういう措置をとったかとはかかわりなく、それはやれることであるということであります。

武正委員 八月から四カ月間、アメリカの沖縄海兵隊に沖縄県警が名前と事情聴取と検証嘱託を求めても返事が来なかったんですよ、警察がやって。それで外務省からお願いをしているんじゃないですか。警察に捜査は自分でできますよと言って、警察ができないから外務省にお願いをしているのに、その外務省は、この原因究明、再発防止、これでもういいということの結論を事故分科委員会としては出しているんでしょう。

 調査と捜査は違うと言ったって、原因究明はこれですと。現場の、米軍の懲戒処分、行政処分も認めているわけですよ。捜査が何ができますか、日本の法律で、地位協定で。大変警察の捜査が制限をされているんですよ。南野法務大臣もお見えですが、第一次裁判権の問題もありますよ。裁判権が競合している。いろいろな地位協定や合意議事録もありますよ。でも、今回のように捜査は排除されたんですよ。

 そうした中で、捜査ができるんだ、できるんだ、やってもらいますと言ったって、アメリカとの窓口はやはり外務省じゃないですか。その外務省が、地位協定よりも国内法であるプライバシーアクトの方が優先するという認識で、そしてこの事故報告書はこれでいいというふうに言っていたら、捜査なんかできませんよ。官房長官がお見えですので、また後でちょっとお話を聞きます。

 国土交通大臣、お待たせいたしました。

 これは日本の事故調が、私は、国家行政組織法の三条委員会にすべきだということでずっと言っております。現状は八条。鉄道事故も含めて前よりも強化をされておりますが、まだまだの感がございます。それはアメリカのNTSBの例をまつまでもなく、やはり原因究明、再発防止に、警察の捜査と調査は違うんだと、先ほど来国家公安委員長も外務大臣も言っている。まさにそのとおりですよ。

 そういう意味では、警察の捜査と同じレベルで原因究明、再発防止できるこうした事故調というのは大事なのでありますが、残念ながら、米軍は日本の事故調の対象外になっておりますけれども、自衛隊、民間機の部分に関しては対象になっております。私は、米軍もこの事故調の対象に加えていくべきではないのかなと。

 やはり米軍あるいは米国からすると、外務大臣がいろいろ要請をすると言っていても、結局、米国からすると、日本の捜査、犯人捜しにはいささか抵抗がある。こういったところがなかなか情報提供、そして、本当は法務大臣にお聞きしたかったんですが、実川法務副大臣が前向きな御答弁をいただいたような刑事特別法の十三条の改正、検証嘱託なんかまどろっこしいことはやはり書かない方がいいですよ。あればそれで、それに頼って検証嘱託をやったら、結局は何も返ってこないじゃないですか、答えが。

 国土交通大臣、お待たせをいたしました。事故調の対象に米軍を加えるということについて、捜査ですとなかなか米軍の協力が得られないんですよ。原因究明である、そして再発防止であると。先ほど外務大臣は専門家と言われましたが、本当に専門家ですか、みんな。みんな関係各省庁の専門家ですよ。やはり民間に、第三者の、そして独立性の高い専門家、そして、この事故調、私は三条委員会に格上げすべしというふうに思いますが、国土交通大臣、米軍を対象に加えることについて御所見を伺います。

北側国務大臣 もう委員は恐らくすべて御承知の上で御質問されているわけでございますが、我が国の領域で発生しました民間航空機に係る航空事故については、航空・鉄道事故調査委員会で調査を行うということになっておるところでございます。米軍機のみに係る航空事故については、日米地位協定に基づきまして在日米軍が調査するということになっているところでございます。

 ちなみに、先ほど自衛隊機についてのお話がございましたが、自衛隊機のみに係る航空事故につきましても、これは航空・鉄道事故調査委員会の調査対象にはなっておりませんので、御理解のほどをお願いいたします。

武正委員 議事録をチェックしていただければわかるんですが、私は民間機と自衛隊機の事故というふうに言っております。

北側国務大臣 そういう意味では、米軍機のみのです。米軍機のみの航空事故については、日米地位協定で在日米軍が調査するということになっているわけでございまして、仮にこれに米軍機以外の航空機がかかわっているならば、これは我が国の航空・鉄道事故調査委員会の調査の権限でございます。

 そういう意味で、自衛隊の航空機事故と米軍機の航空機事故と全く同じ扱いでございます。

武正委員 そんなこと聞いていないのです。先ほど来、捜査と調査ということで警察も外務大臣も言っておられたので、私は、やはりここで調査ということで事故調が頑張っていただいたらどうでしょうか、そういう前向きな御提案でございます。

 さて、官房長官、官房長官も二月十七日の記者会見で、乗組員の聴取要請、警察当局が捜査協力の一環として昨年十二月に米側に要請している、まだ返事はないが、いずれあるものだと思う、こう述べておられるんですけれども、先ほど来、この事故調査報告書では、もう原因究明ができました、再発防止もできました、これを日米合同委員会で承認しましたと。警察から三つ要請していますが、返事もありません。アメリカのプライバシーアクトなどで、外務大臣、要請はすると言っていますけれども、警察がこれを捜査しようといったって、もう原因究明も再発防止も、それから米軍での懲戒処分、行政処分も終わっているんですよ。それも承認しちゃったんですよ、日米合同委員会で。これは、官房長官が言っているように、いずれあるものだと思う、返事はあるといったって、何もできませんよという返事が来たってしようがないですよね。官房長官、いかがでしょうか。

 今のこの日米合同委員会、地位協定の改定ではなくて、改善ということで本当に対応できるんでしょうか。私は改定が必要だと。今回の第一次裁判権ほか、そしてまた捜査協力、日本の国内法の尊重などなどが、やはり今回の米軍ヘリ墜落事故では守られていない。そのことに対して、実際に機体もアメリカに送ってしまった、防衛庁長官も外務大臣もいつ機体がアメリカに送られたかもわからない、そういう答弁が先ほどあったんですよ。本当にこんなことでさっき官房長官が言われたようなことができるんでしょうか。返事が返ってくるんでしょうか。官房長官としての御所見を伺います。

細田国務大臣 ちょっと記者会見の関係で中座をしましたので、平仄が合うかどうかわかりませんが、まず、機体の調査等については、私が聞いたところでは、アメリカに確かに原因究明のプロがいないということで、軍の関係で機体が向こうに行った、その前に残りの部分についてはいろいろ調査を機体についてもした、それから、返せと言って、アメリカ、米軍が日本に機体を戻してきて、それは実地検分もした、ただ、必要な部品の中で足りない部分があったので、それを請求して、それがまた戻ってきて、それをもう一度検分した。確かにピンが抜けて、それが機体の一部に当たって、その事故の原因であったということは、自衛隊あるいは国土交通省のプロは一応確認したと。しかし、これは最初の調査の問題である。それで今進んでいると思うんです。

 そして、今度は、おっしゃるような警察、捜査当局による航空危険行為の処罰法等の捜査、これが必要な状態はまだ依然として残っております。これについては、事実関係はかなり確認を専門家がしておりますが、しっかりとした捜査、例えば個別の事情聴取をしたいとか、それから必要な証拠を出せとか、そういう問題については交渉中でございますので、この点については今後とも十分に働きかけを行っていきたい、こう思っております。

武正委員 時間が来てしまいました。財務大臣には特に外国為替についてお聞きをしたかったのでございますが、ちょっとその時間がございません。

 ただ、財務大臣も、たしかテレビで、アジア外交を重視というような御発言もされております。私は、今回の、ちょうど2プラス2からお二人帰ってこられているわけでありますが、本当に今日米同盟にとって大変な転換点の時期を迎えているだけに、この普天間での米軍ヘリの墜落事故に対する対応、事故から半年、機体をアメリカに移した日もわからない、事故調査報告書、持ち回りの日米合同委員会で承認、でも、アメリカに対する三つの捜査要請、返事もなし。こういったことで、日米間のイコールパートナーとしての安全保障や外交、これから本当に担っていこうということであれば、ここのところからまず変えなければ、私は、到底国民の理解、まして沖縄の方の理解は得られないというふうに思うんですよ。地位協定の改定、これはもう絶対必要であることを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻惠君。

辻委員 民主党の辻惠でございます。

 この国会で非常に国民が注視している問題、政治と金の問題であります。

 確かに、外交、内政、多くの問題について課題が山積している、国会に問われている職責というのは非常に大きいものがある。しかし問題は、個々の政策、基本政策も含めてですが、それがどういうふうに形成されるのかというその根本が揺らいでいるというところが問題なわけであります。

 昨年、年金国会で、国民の七〇%以上の方が反対していたにもかかわらず強行採決される、ろくな審議も議論もなしに強行採決される。また、十二月四日には、イラクのサマワへの自衛隊派遣の一年延長が閣議決定、しかしこれは、新聞によれば六二%の方々が反対している。

 どうして、国民の多数が反対をしている、意見を言っているにもかかわらず、それが国会の論議に反映しないのか、おかしいじゃないか。このことが本当に政治不信を生み出しているものだと思います。

 その秘密は何なのか。それが今回の日歯連問題で明らかになっているのではないでしょうか。業界団体から、例えば二〇〇一年に日歯連から国民政治協会を通して自民党に四億四千万の政治献金がなされている。それは、全部だれそれに渡してくれという指名献金なのであります。そして、そのちょうど同じ二〇〇一年に、歯医者さんのかかりつけ初診料の請求要件が緩和される。それによって翌年度の売り上げが二百八十億円上がったという、まさに四億、五億の金で二百八十億の利益を買う、こんな政策の決定のされ方が今の日本の議会で行われている、このことが問題なんですよ。

 だからこそ、国民の本当にいろいろな要請、要求、声が届かない。しっかりとした議論がなされない。業界団体の金の力で政策が決定される。また、大きな集票能力を持っている圧力団体のその力で政策が決定されていく。本当に透明性のある、しっかりとした、中期的、長期的な日本の未来を考えた議論が国会でなされているのか、その結果として具体的な政策が運営されているのか、そこが問われているんですよ。

 まさにその問題については、先日の金と政治の集中審議のときに、そんな審議は必要がないと言った議員がいて、そしてそれを、拍手をする自民党議員がかなり多数いた。本当にとんでもない事態であります。

 過去の例を見ても、ロッキード事件やリクルート、そして佐川、中曽根元総理や竹下元総理、そして金丸信さんも証人喚問に応じているじゃないですか。自民党は、証人喚問をして国民のいろいろな疑問にこたえるということが政党政治の原則だということで選択してきたじゃないですか。なぜ小泉政権だけがそれをやらないのか。

 自民党は、野党のときに、細川政権のお金の問題について追及した、証人喚問を要求した。自分の都合の悪いときにはそれを、要求にこたえようとしない。これはなぜなのか。今までは、確かに、竹下さんのときも中曽根さんのときも、自民党の中には政権を担っている派閥と対抗する勢力があって、その勢力が、これはまずいよということを意見を言っていた。それだけ自民党に懐の深さと強靱さがあった。今、それがなくなっているから、だから小泉政権がどんなにおかしいと思っても、それに反対を言う、そういう気骨のある人は自民党の中で、政治家としてだれ一人として出てこないじゃないですか。こんなおかしなことがまかり通っていてはならない。本当に、だからこそ、今の時点で証人喚問を本当にしっかり実現しなければいけないと思います。

 内閣の官房副長官の杉浦副長官、内閣としての政治姿勢として、この点についてどうお考えになりますか、お答えください。

杉浦内閣官房副長官 議院の証人喚問の問題については、お答えする立場にございません。

辻委員 結局、自民党の人たち一人一人、本当に真剣にこの問題をとらえているのかどうなのか疑問なんですね。かつ、今杉浦さんおっしゃったけれども、内閣を構成するその一員じゃないですか。だから、内閣の姿勢としてどうなのかということを私は問うているわけですよ。時の政府が国民の支持を得られるように努力するのは当然、責務でありますよ。だから、国民の多く、九割を超える人々がこの問題に関心を持っていて、真相は何なのか、何が問題なのか、何で今の日本の議会政治がきちっと運営されないのか、このことについて本当に注視しているんですよ。このことにこたえる言葉を持たない内閣、その内閣の構成員というのは何なんでしょうか。

 もう一度、杉浦さん、これはあなたの政治家としての見識の問われる問題であると私は思います。きちっと答えてください。

杉浦内閣官房副長官 この問題については、総理が既に予算委員会で何回も御答弁なさっておられますが、私の立場からはそれにつけ加えるものはございません。国会においてお決めになられることだと承知しております。

辻委員 杉浦さんはこの問題について、では、何も感じないんですか。国民のまなざしをあなたは肌で受けとめる、そういう感性を持っていないんですか。どうなんですか、その点は。

杉浦内閣官房副長官 内閣官房副長官の立場として、お答え申し上げることは差し控えたいと存じます。

辻委員 では、今本当に国民の九割以上が真相究明を求めている、しっかりした議論をしてほしいという声を上げていることについて、内閣の中でこれは検討しないんですか。そういう検討の議論の経過について、あなたは参画していないんですか、どうなんですか。そこの討議、検討の状況についてお聞かせください。

杉浦内閣官房副長官 これは院において御検討いただくべきことだと思います。

辻委員 では、内閣でこれは議論していないんですか。閣議で一回もこれは議論に上っていないんですか。国民がこれだけ大きな疑問を持っている声について、対処する、どうするのかということを検討すらしていないということなんですか。どうなんですか、その点は。

杉浦内閣官房副長官 総理もお答えになっておりますし、私も先ほど来お答えしておるとおりでございます。これは院においてお計らいいただくべきことだと存じております。

辻委員 全く、本当に無責任な内閣である、小泉政権の馬脚をあらわしていると思いますね。国民の声に真剣に耳を傾けようとしない、その声にどうこたえようということをしない。本当に一刻も早くこれは退陣しないと大変なことになる、このように私は強く思います。

 私は、総理がこの場にいない、だから結局ほかの閣僚の方に聞いても、恐らく、それは総理の答えるべきことだとだれも答えないんですね。そういう意味で、非常に今の小泉政権、無責任な政権であり、そこを構成する一人一人、きちっと本当に見識を持って政治家として活動されているかどうか疑わしいと思うんですが、麻生大臣、この点いかがですか。次期の候補として一言お願いします。

麻生国務大臣 突然の御指名ですが、もう一回言ってください。質問の内容を聞いていませんでしたので、もう一回言っていただけますか。

辻委員 この政治と金の問題というのは、日本の政治を、政策をいろいろ決定していくに当たって、本当にそれがしっかりした議論に基づいて決定されているかどうかというその根幹を揺るがす、不信感を助長する例だと思うんですね、金の力で政策が動いているんじゃないかという。だからこそ、国民の九〇%以上の方がこの真相究明を求めているんですよ。だからこれは、総理一人が答えればいい問題じゃなくて、その時の政府が内閣としてどういうふうに対応していくのかというのは、やはり内部で議論をしっかりされているはずなんですよ。ですから、その議論の経過と、その中で御自身がどういう意見をお述べになったのか、そのことについてお聞かせいただきたい、こういう質問であります。

麻生国務大臣 今、御質問の趣旨はわかりましたが、多分皆さん同じことを答えるであろうと御自分で予想しておられましたように、そのとおりの答えしかしようがないので、特にサービスする義務もないと思いますが。

 基本的に、これは党の一政策研究会の話としていろいろ騒ぎになったところが一番の問題点で、そのために日歯からどうのこうのという関連性は、直接私らのところはあずかり知らぬところでもありまして、内閣としてと言われてもなかなか答えようがないんじゃないかなと、今、私の立場としてはそんな感じがいたします。

辻委員 サービスで答えるとか、そういう問題じゃないんですよ。それは本当に見識を欠いた答弁ですよ。しかも、麻生大臣の認識の程度が図らずも明らかになりましたね。一派の問題じゃないんですよ、これは。一党一派の問題じゃないんですよ。もっと全体的な、深刻な問題なんです。

 なぜなのかということについて、これはきちっともう一度事実を指摘させていただきたいというふうに思います。

 これは、日本歯科医師政治連盟が政治献金を、橋本派に確かにやみ献金一億を出したと。これにとどまっていませんよ。二〇〇一年については、二十何名の方に合計四億四千万。しかもそれは、国民政治協会に、これはだれそれ議員に渡してくれというふうに指定して、指名して、そしてそれが自民党を、これは迂回と私は思いますけれども、介して個々の議員のところまで届けられているわけですよ。

 その中で、厚労族の族議員と言われる人たちにかなりの金額が回っている、NAISと言われる人たちの名前が挙がったりしている。その中で、厚労族の議員の一人だと思われる佐藤勉さん、これは厚労族の、当時政務官だったわけですよ。この政務官に五百万の金が渡って、その政務官は何をやったのか。

 これは資料の一で挙げておりますけれども、二〇〇一年の十一月一日に、歯科医療に関する勉強会への出席を厚生労働省歯科担当者らに依頼した。十一月三十日には、やはり担当者を呼びつけて、歯科医師が診療請求の要件について、これを使いづらいと言っておるから何とかならないかと、緩和を要請している。これは、あえて「要請」と書いておりますが、いろいろな報道によれば、これはごり押ししているんですよ。要求して、ごり押ししていますよ。

 二〇〇一年の十二月には、ある勉強会で、都内のホテルに呼んで、やはり同じような要求をしているわけであります。これは新聞報道に出ております。(発言する者あり)しかも、供述をしたというふうに出ております。反論があるんだったら、別途それは反論してください、議論はこちらは望むところですから。

 そういうような、金の力で、要するに国の政策を変えるということは、国の政策が変わるということがもうこれは問題じゃないですか。これは一党一派の問題じゃないんです。これは、自民党だけが悪いとかいいとかいう問題じゃなくて、民主党も含めて、今後政権をとった場合に、民主党だってその点で問われるわけです、問い返される。同じような問題なんですよ。

 だから、国民の皆さんに対して議会としてどういうふうにすべきなのか。クリーンに政治と金の問題を明らかにすることを通して、本当に議論が成立するような、その中で本当に真剣な議論を闘わせ、日本の未来を決定していくような、そういう議会をつくっていくことが必要なんだ。そういう意味で、これは全員の問題ですよ。今の政治家全員の問題だし、そういう意味で、国民の九割がこれについて強い関心を示している。だから、サービスで答えるとか、そういう何か、それは橋本派だけの問題でしょう、そんな問題じゃないんです。そういう認識をしていること自身が問題なんです。

 だから、自民党の皆さん、これは、政治と金の集中審議について、そんなものはしなくてもいいみたいなことで拍手をしておられた。見識を疑いますよ。従来のロッキード事件や佐川事件やリクルート事件のときに、自民党の中だって、批判する勢力が出て、やはりこれは証人喚問で立場を明らかにしなきゃまずいだろうというような意見が出てきたじゃないですか。何できょう、今のこの小泉政権の中で出ないんです。何であなた方はそういうことを一言も吐けないんですか、伊吹さん。だから、伊吹さんは、これは自民党内でのワン・オブ・ゼムですよ。皆さんそうですよ。ちゃんと真剣に考えてください。反論があったら、いつでも一対一で話をしましょう。(発言する者あり)答えられない。だからこそ……

甘利委員長 委員同士でやりとりをしない。

辻委員 そういう問題をしっかりとした、証人喚問なり、場を設けて、やはりこれは議論すべきだろうと思いますよ。

 今、私は、麻生さんの認識は、一党一派の問題ではないよ、もっと全体の問題であり、日本の二十一世紀の未来をかけた問題だろうということを問題提起しているんですよ。この点について、麻生さん、認識を改めてもう一度御回答ください、御答弁ください。

麻生国務大臣 予定外の質問なので、ちょっと正直お答えのしようがないんですが、木で鼻をくくったような返事じゃぐあいが悪いから、だから、先ほど丁寧にお答えを申し上げたということだと存じます。

辻委員 さきの答弁よりもっとこれはがくっと失望する答弁ですね。本当に、まともに議論で切り合ってくださいよ。それは、総理大臣がまともな答弁をしていないから、この方に一番責任があると私は思いますよ。だけれども、内閣の構成員の一人一人がやはりこれは同じ責務を負っているじゃないですか。(発言する者あり)こういうような、本当に事態を理解しない、本質と枝葉の付随の問題を混同するような伊吹さんのような人が自民党の中にいるということが問題なんですよ。本当に見識を疑います。

 この問題について、今週の日曜日ですか、二月二十日の読売新聞の朝刊の二面に、編集委員の橋本五郎さんが、私もこれは読みましたけれども、石破茂さんの「国防」という本を取り上げて、小泉首相にこういうふうに言及したということを紹介しているんですよ。こんなことでいいんだろうかといって紹介しているんですね。石破さんは、こんなことでいいんだと言っているわけではなくて、内輪話として書いているんだけれども、それを読んで橋本五郎編集委員は、こんなことでいいんだろうか、こういうふうに読売新聞の二面で言っているんです。

 どう言っているか。これは、まず石破さんの言っている内容です。

 「小泉総理は財務、厚生、郵政の専門家でした。そこでいかにして防衛に関して適切なご発言を賜るかというのは、結構しんどい問題でした。総理は紙が三枚以上になると一枚も読んでくれない、というもっぱらの話でしたから、なんとか二枚以内にして字も少なくしなくてはいけない。しかしその分量でご理解をいただくのは、かなり難しい話です」と。

 これは、政治と金の問題もきっとそうですよ。ほかの問題もきっとそうです。郵政民営化以外は全部そうですよ、これ。郵政民営化も全部丸投げじゃないですか。

 それで、「そんな中で、防衛長官が自衛隊の最高司令官である首相に、防衛問題を理解してもらうために苦労している、ということはどういうことか。考え込まずにいられない。」

 みんな考え込みますよ、これ。読売新聞の橋本五郎編集委員だけではないですよ。これは、読んだ国民の皆さんはみんな考え込んでいますよ。

 一方で、同じ朝刊で、書評欄でこの「国防」という問題を取り上げて、この橋本さんが礼賛されている。これは非常に、要するに包容力、懐の浅い、行け行けどんどんの、問題のある内容だというふうに私は思っておりますけれども、これを称賛している橋本五郎さん自身が、小泉さんのこういうやり方について非常に疑問に思っておられるわけですよ。まさに一事が万事じゃないですか。

 先ほどから伺っているように、内閣の中でしっかりした議論がなされたという痕跡がうかがわれない。そこの構成員一人一人が、閣僚一人一人が、何か自分とは関係ないような問題を言っているじゃないですか。それで、自民党の中では全く的外れなやじをする人もいれば、本当にこの問題を真剣に考えれば、あなたたちは民主党と一緒になって、証人喚問を一緒に要求しようじゃないですか。何でやらないんですか。国民に対して本当に、問われているということを本当に強く強く認識していただきたいというふうに思います。

 その上で、橋本派の繰越金の問題があります。これは資料の五であります。

 これは「自民党旧橋本派の繰越金などの推移」ということで、一九九二年から二〇〇三年まで、繰越金がこうなってきたということの推移なんですね。これは先日、一億円については訂正されているから変わっているんですけれども、要するに、繰越金がこういう形で推移している。

 ところが、この金額について、昨年十一月三十日の政倫審の場では、橋本元首相は、金額はそのとおりは残っていないということを聞いていたというふうに言っているんですよ。そしてまた、村岡裁判の公判廷で滝川さんは、これは本当に存在しなかったということ、そしてまた軍資金に使ったということも語っているわけです。

 こういう中で、この繰越金の記載ということが本当に疑わしいということなんですが、実態を反映していない、こういうことについて、旧橋本派は、昨年の七月十四日に二〇〇一年から三年分の修正をしました。収入が漏れていたというふうに、収入が少なかったということで訂正したんですが、これは自己申告をすればそれで何ら問題なく、事足れりなんですか。これは手続上どうなんでしょうか。

久保政府参考人 政治団体におきまして、新たに事実が判明したとか、前回報告があったことについてそれが過ちであったということで事実が判明した場合には、私どもといたしましては、国民に正しい収支の状況を公開するということが私どもの責務だと思っておりますので、訂正についてはそれを受理するということにしております。

辻委員 政治資金規正法の三十一条では、形式的審査権があるというふうに書いてあって、この監督上の措置をとることができるということについても、形式上の不備、食い違いがあった、計算間違いがあるとかいうような場合を想定して監督上の措置ができるというふうにとどまっているんですね。ですから、要するに訂正をすれば、それが数字上、申請された書類の中で矛盾しない限り、それはそのまま受けるというのが現在の政治資金規正法の原則なわけですね。それはそのとおりですね。

 そうすると、また訂正があったんだ、後からまた思いついたというような場合に、やはりそれは、記憶が違っていたんだからというのでまた訂正すれば、それはそのとおり認められるということで、何ら問題がない、法律上は何ら問題ない、こういうことなんですか。

久保政府参考人 収支報告書の記載につきましては、事実に即して行われるべきものだと私ども考えておりまして、政治団体において収支報告書の内容が事実に反することが判明して訂正の申し出があった場合におきましては、私ども、訂正を受け取る、認める取り扱いとしております。

辻委員 だから、それはもう申告に従ってそれを受け取るということだけなんだ、形式的審査権はそういうことなんだというふうにおっしゃっているんだけれども、過去に、国政に議席を持っている党や議員の政治団体で、二回、同じ年の数字を訂正した例というのはあるんですか、ないんですか、お答えください。

久保政府参考人 ただいま具体の資料を持ち合わせておりませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。

辻委員 では、それは調査して御報告いただけますか。

久保政府参考人 調査をしてみます。(辻委員「いや、して、御報告いただけるかどうか」と呼ぶ)わかりました。御報告いたします。

辻委員 形式的審査権のみだから、本当に、それが事実はこうだったんですというふうにくるくるくるくる変わっても、それはそのまま受けざるを得ないわけじゃないですか。では、それが真実性を担保しているんだという、そういう制度的な担保は、どういう形で今の法律では図られているんですか。

久保政府参考人 政治資金規正法におきましては、収支報告書に記載すべき事項の記載をしなかった者、または虚偽の記入をした者につきましては、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金に処する旨の定めがございます。

辻委員 政治資金規正法十二条で報告の提出が義務づけられていて、二十五条で虚偽の記載は処罰されるということになっている、このことを指摘されたんだろうというふうに思いますけれども、そうすると、例えば、ある政治団体と政治団体の間で、AとBというふうにいいますけれども、Aの政治団体は、Bから例えば一千万もらったということで、一千万の収入があったというふうに政治収支報告書で申告していた。それで、BはAという団体に五百万しか渡していないということで政治収支報告書に申告していたという事例は、一般的には考えられると思うんですね。

 そうすると、お金を出した方ともらった方の数字が食い違うわけですよ。だから、事実が、どっちかが正しいのか、両方とも間違っているのかというような、両方正しいということはあり得ないんですね。一千万もらったと言っている、五百万しか渡していないと言っているわけだから。

 こういう場合について、これは形式的審査権が及ぶんですか、及ばないんですか。

久保政府参考人 私ども、形式的審査権でやっているということでございますので、突合を整合性を持って行うということになりますと、事務所に立ち入りをしたりとかあるいは会計帳簿を検査するといったような、言うならば実質審査権といいますか、そういうのが必要だろうと思います。私どもは形式審査権でございますので、突合を整合性を持ってやるということはやっておりません。

辻委員 突合しなくて、要するに実質的審査権を発動しなくても、一千万もらったというのと五百万渡したという、同じ当事者間で金の動きが報告をされていて数字が違うというのは、どちらかが間違っている可能性があるわけじゃないですか。こういう場合に、それは同じ総務省にその収支報告書が上がっているとすれば、わざわざ手続上突合をするということはないにしても、第三者の申告なり上申なりということでそういう相矛盾する事実関係が生じたというような場合には、これは一方を虚偽記載罪だということで刑事告発するということは考えられなくはないと思うんですが、その点はどうですか。

久保政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、委員御指摘の点は実質審査権にかかわることだろうと考えておりまして、私ども、告発ということにつきましては困難であると考えております。

辻委員 結局、政治と金の問題が問題になっている。どういう事実関係でそういう実態があるのかということを、これは事実を解明していくことがやはり最低限、まず第一に重要なことだと思うんですね。その中で、より政治と金をクリーンなものとするそういう制度的な工夫ということをやっていくべきだろう。

 民主党は、迂回献金の禁止や、政党も含めた政治団体間の献金について上限をそれぞれ設けるということを提案しているわけであります。

 私は、やはり政治活動の自由が一方でちゃんと保障されなければならないから、他方で、要するに政治活動の自由への検察庁なりが権限を強めて容喙をしていくということについて、やはりこれは注意しなければいけないというふうに考えます。だから、さっき言ったような、相矛盾するような場合に、これは第三者機関をつくって、そこで調査をする、呼び出しをする、事情聴取をする、そういうことによって説明をさせるというような、例えばそういう制度を考えるということは一つの考え方なんだと思うんですが、これはいかがですか。

久保政府参考人 私ども、現行の政治資金規正法を運用する立場でございまして、現行の政治資金規正法は、もう委員御承知のように、三十一条で、形式上の不備があった場合、あるいは書類等の記載が不十分であったというときに、説明を求めたり訂正を求めるといった権限が与えられているのみでございます。

辻委員 政治資金規正法の一条は、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治団体の届け出、政治資金の授受の規正等、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする、こういうふうにうたっています。二条では、政治資金が国民の浄財であることにかんがみて、その収支の状況を明らかにすることを旨とすると。

 ところが、現実にこれに全く背反するような事態が、ほころび始めている。日歯連問題でほころび始めている。そのほころびを本当に白日のもとにさらして、どういうふうに建設的に今後やっていこうかという議論を何で自民党はやらないんでしょうか。

 そういう意味で、本当に証人喚問の必要性ということについて、本当に一人一人の、みずからのやはり政治生命をかけて、前向きにきちっと見識を持って対応していただきたいということを、この点においても私は思います。

 そこで、次に杉浦さんにお伺いしますけれども、今まで何回か質疑をさせていただいて、とりわけ前回、杉浦さん、私は数字が違うんじゃないかというふうに申し上げたのに、いや、数字は一緒なんだというふうにおっしゃったと思うんだけれども、もう一度確認します。

 資料の六。これは、清和政策研究会から五百万、二百万と最初されていたのを削除したんですね。自由民主党から一千万、これを五百万に変えたわけでしょう。そして、三百万入った。二〇〇〇年を取り上げれば、杉浦さんの収支報告書については八百万ということになったわけですか。いかがですか、これは。

杉浦内閣官房副長官 お答えいたします。

 今まで何度も御説明申し上げてきたところですが、最終的には、自由民主党本部から党活動資金としてちょうだいしたのは八百万円ということに相なります。党本部からですね。

辻委員 そういうふうに訂正をされたというのはわかりますけれども、そうすると、自由民主党の方は千百万払っていると言っているんですよ。これは数字が食い違っているんじゃないんですか。これは一致しているというお答えですか。

杉浦内閣官房副長官 ほかの委員の方もございますので、もう一度、事実に即して順に御説明申し上げたいと思います。

 委員の御質問は、自民党の収支報告書の記載と私の後援会の収支報告書の記載がそごがあるような御質問でございますが、何らそごはございません。

 順を追って御説明いたしますと、この資料六の「杉浦正健後援会 収支報告書の記載」、左側をごらんいただきたいと思いますが、この清和政策研究会からの寄附とされておりました五百万円、これは六月ですが、それから十二月の二百万円、また、自民党本部からの寄附とされておりました六月の一千万円、十二月の三百万円、これらについては受領をいたしております。

 ただ、この党からちょうだいしたとされる一千万円のうち、五百万円はそのときの選挙の公認料でございました。公認料でございましたので、これは選挙運動費用収支報告書に記載すべきもので記載されておりますので、その五百万円は削除したわけで、この資金管理団体の収支報告からは削除いたしたわけでございます。

 それからまた、この清和政策研究会からの寄附とされております五百万円と二百万円、合計七百万円は、繰り返して御説明しましたとおり、清和政策研究会から受領いたした党の政策活動費を、私の説明不足と事務局の勘違いから、清和政策研究会からの寄附と届け出たものでございますので、後援会の収支報告書を訂正、削除いたしました。

 したがって、残っておりますのは、自民党本部からとされております六月の五百万円と、訂正後ですね、十二月の三百万円でございますが、これらは、党から政策活動費として直接受け取りまして、資金管理団体へ特定寄附したものでございますので、記載の誤りを訂正いたしました。

 この八百万円、五百万円と三百万円につきましては、右側の自由民主党からの交付金のうち、下二つ、五百万円、六月二日付、三百万円、十二月十二日付と照応しております。

 最後に、党本部の収支報告書に記載されております五月十八日の三百万円につきましては、資金管理団体に入れておりませんが、政策活動費の趣旨に従って使わせていただいております。

 以上が詳細でございます。

 したがいまして、そごするところは全くないというふうに御理解いただきたいと思います。

辻委員 資料九―一を見ますと、九―一の二枚目、三枚目、四枚目、これについてそれぞれ杉浦さんがもらったという数字が出ているわけです。それを、先ほどの資料六の右側の数字であると。

 左側の数字について、これは要するに、一千万と三百万、つまり、五百万と五百万と三百万はもらっているわけじゃないですか。自由民主党本部からは一千万をもらって、そのうち五百万は公認料、五百万は政策活動費としてもらって書いたと。十二月十三日の三百万は、これは政策活動費としてもらって、これを記載していると。

 そうすると、あなたは今、自由民主党からの一千万のうちの五百万と十二月十三日の三百万の八百万であって、自由民主党からの五月十八日の三百万は政策活動費にしたんだから載せなかったんだ、だから合っているんだというふうに言っているけれども、自由民主党から一千万は一方で受け取っているわけですよ。だから、いずれにせよ、これは数字が違うじゃないですか。数字が違うということは認めなさいよ。

杉浦内閣官房副長官 では、もう一回御説明してもよろしいんですけれども、全く合っていると思いますけれども、どこが違うんでしょうか、私の説明で。

辻委員 繰越金の問題について伺いますけれども、資料八―一について、これは具体的にはどこをどのように訂正したんですか。

杉浦内閣官房副長官 訂正後の収支報告書につきましては、総務省でどなたでも閲覧が可能でございます。また、写しについては、情報公開請求の手続で入手可能と承知しておるところでございますので、その手続をお踏みいただければありがたいと思います。

辻委員 これは杉浦さん、やはり、では自分の立場から弁明をするという姿勢をお持ちになるのであれば、コピーをこの委員会に提出してくださいよ。いかがですか。

杉浦内閣官房副長官 理事会からの御要請があれば提出いたします。

辻委員 一回目の訂正で五百万と二百万を減額した。七百万、これは何に使ったんですか。

杉浦内閣官房副長官 党からちょうだいした政策活動費でございますので、党勢拡大等、趣旨に従いまして使わせていただきました。

辻委員 これは、政策活動費として使ったということでも、どこにも記載がないんですよ。だから、本当に何に使ったのか。後からこれは事実が勘違いだったというふうに訂正しても、全くこれは証明され得ないことなんですよ。非常にこれは奇異だというふうに思います。

 なぜ、突然、一月の二十六日に至ってこれを訂正したんでしょうか。

杉浦内閣官房副長官 この点も、永田議員初め、何回も御説明申し上げたとおりでございますが、まず、第一回は、清和政策研究会の政治資金収支報告書に関する疑惑の報道がございました。そういうことから、念のため調べてみました結果、清和政策研究会から受領した党の政策活動費が、清和政策研究会からの寄附と勘違いして届け出たことが判明いたしましたので、これを訂正したわけでございます。

 その直後、補正予算の審議をする予算委員会で、永田議員からさまざまな御質問がございまして、その御指摘を受けまして、さらに全体にわたって再度調査した結果、判明したものを訂正したのが二回目でございます。

辻委員 これはやはり経過をしっかりと押さえておきたいと思うんですね。やはり日歯連問題ということが問題になって、NAISと呼ばれる人たちや佐藤勉さんにお金が渡っているということで問題になって、これは迂回献金なのかどうなのか、それが請託の対価として支払われたものなのかどうなのかということが問題になってきたわけです。そして、巨額のお金が政策活動費ということで、自民党や、そこから流れていく。その後はたどることができない。非常に不透明な形になっている。そういうことがやはり国民の間で注視の問題になってきた。そして同時に、やみ献金の一億円が渡されたという事態が明らかになった。

 したがって、結局、政策活動費ということがどういうふうに使われていったのかということが問題になってきたんですよ。そのときに小泉首相は、うちは氷代、もち代を、森派は出していないということを言ったがために、氷代、もち代と見られるような、清和政策研究会からもらったということを唯一正直に書き記していた杉浦さんが、やはりそういう意味では急遽事実を変えろということで要請されて、非常に政治的に突然に変えたというのは、これは事実関係を素直に見れば明らかなんですよ。

 何でこういうことになるのかということについて、若干資料を挙げて説明させていただきたいというふうに思いますけれども、資料七―一をごらんいただければ、資料七―一の二枚目、政治団体からの寄附というのは一億二千四百三十万である。三枚目、支出の部で、寄附・交付金として一億五千九百万を支出している。四枚目以降にその一億五千九百万をだれに支出しているのかというのを、二百万をだれということで、非常にきちっと細かく、橋本派、平成研究会は書いているわけですよ。七―一の最後のページですが、一億五千九百万をそれぞれの議員の方々に配ったという事実が出ているんですよ。これは、自民党の主要な派閥はみんなこういうことをやっているわけです。

 ところが、十―一ですが、清和政策研究会、これは三枚目の政治活動費の(5)寄附・交付金、四千九百二万というふうになっていますけれども、四千九百二万を、普通は二百万とか三百万とか、五万円以上に配ったらそれを記載しなければいけない。ところが、清和政策研究会は一人も議員の名前は書かないで、その他の支出ということで四千九百二万。つまり、五万円以下の支出、四千九百二万を五万円以下に割ってだれかに渡したということで、だれに渡したということを全部ブラインドにしているんですね。

 これは、十―二についても同じことが言えます。十―二の三枚目、四千四百万でありますが、これは四枚目を見れば、やはり政治活動費の内訳で、支出の目的というところで、だれに渡したというのはなくて、五万円以下に四千四百万を渡したということで、こういう政治資金収支報告書は、先ほど私が読み上げたように、まさに収入の授受の状況を明らかにして、それは、言われたように閲覧ができるわけですから、国民の前にそれを提供して国民の判断を仰ぐ。どういう形で政策活動費が使われているのかということを、やはりそれは自派の議員さんにこういう形で配っているんだなということで、その検証を受けるということが重要なわけですよ。それを全くないがしろにしているのがこの清和政策研究会なんですよ。

 これは本当に、まさに意図的に今の政治資金規正法を潜脱する目的、そういう意味では非常に悪質な内容のものだと思いますよ。これに合わせようということで協力をしたのが杉浦さんじゃないですか。

 全く国民をないがしろにしておりますよ。こういう事態を放置していいのか。自民党のほかの派閥の方、本当に見識を疑います。本当にこの問題についてどう考えているのか。

 私は、これはやはり重要な問題である。こういう疑問点、疑惑が多々あるからこそ、まず、今問題になっている日歯連の政治献金の疑わしさ、一億円がやみ献金として流されていた、これは一億円には限らない可能性が非常にあるわけですね。ですから、だからこそ証人喚問を、出した側と、少なくとも受けたという側を証人喚問するということは、これはもう国会の義務ですよ。過去のどの金をめぐる疑惑を見ても、やはり証人喚問でけじめをつけています。そこでしかるべき弁明をちゃんとするということが、やはり国民に対する政党人としての責任のとり方だと思います。

 この点について、委員長も、本当に真剣に、理事の方に任せるというんではなくて、やはりリーダーシップをとるということが甘利委員長にも問われていると思いますよ。その点、本当にしっかりと受けとめて、必ずこの国会の中で実現するようにおはかりいただきたい、このことを強く申し上げておきます。

 それで、あと十分ですので、この問題については別途、視点を変えて議論、質疑をさらにさせていただきたいというふうに思っております。

 きょうは、あと十分でありますが、企業再生なり不良債権の処理の問題について伺ってまいりたいというふうに思います。

 RCCの問題については、中津川委員、そして小泉委員、それぞれのお立場で質疑をいただいて、かなり本当にはっきりしてきたというふうに思います。これは、弁護士でもあった中坊公平さんが、当初RCCの社長について、血も涙もある回収をやるんだ、ベニスの商人のようなああいうようなことはしないんだ、要するに、設立の趣旨にはそういうふうに掲げているけれども、しかし実質は違うじゃないかと。中坊さん自身、回収額を、成果を上げるために詐欺行為を働いたということで、これは地検の問題になって、結局RCCもやめたし、弁護士も結局みずから抹消したということが言われております。

 私は、昨年の十一月十九日の法務委員会の場で、岐阜県の東海信用組合をめぐるRCCの、ある意味では契約の拘束力ということを盾にした、非常に血も涙もない保証人に対する回収行為について質疑を行いました。

 このことについてさらに別の機会に伺っていきたいというふうに思いますけれども、このRCCの回収行動ということについて、非常に常軌を逸した事態があるんだ。例えば自殺者が何人出ているのかとか、そういうような事実関係について、金融庁なり預保はどういう事実調査をやって、今どういう事実関係を掌握しておられるんでしょうか。その点について、まずお答えいただきたいと思います。

永田参考人 お答え申し上げます。

 RCCにおきます債権回収の基本的な考え方は、個々の契約並びに法令にのっとった厳正な回収を通じて国民負担の最小化を図るということでございますけれども、実際の回収に当たりましては、個々の債務者の実情等を十分に把握し、適切な対応に努めていると承知しておりまして、今お尋ねの不祥事等の件につきましては、例えば、預金保険機構なりにそういう案件が苦情として上がってくるとか、あるいはRCCそのもので現場から情報を適切に上部に伝えるような施策をとるとか、そういう形で把握に努めておるところでございます。

辻委員 預保として、RCCに業務を委託しているんだというふうに思いますから、業務委託契約に基づいて指導助言をするべき立場にあると思うんですよね。だから、逸脱した回収行為があれば指導助言をすべきだし、その前提として、どういう請求行動、回収行動がなされているのかというのを具体的に掌握しなければいけないと思いますけれども、今まで指導助言した例というのは、具体的に何件あって、どういう例なんですか。あるのかないのか、その点、お答えください。

永田参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、私ども、この時点で、具体的な件数とか今おっしゃられたことをつまびらかにはちょっと今できませんけれども、具体的には、いろいろな問題、個々に応じまして、私ども指導助言ということをしているつもりでございます。

辻委員 やはり指導助言を本当にやる気があるのかどうなのかが問われていると思うので、今までの指導助言をした具体例をちゃんと報告してください。いいですか、報告できますね。お約束ください。

永田参考人 ちょっとお時間をいただきまして、整理をいたしてみたいと思います。その上、実態につきまして御報告をさせていただきます。

辻委員 ちょっと時間が詰まってきましたから、最後に、産業再生機構の問題について伺います。

 これは私、前回の質疑でも申し上げましたように、例えば、UFJの不良債権の割合を三%台に抑えるためにということで、金融庁が非常に強硬にいろいろ指導方針を出して、ことしの三月までUFJに非常に圧力をかけていった。その結果、大京とか国際興業とかダイエーとかミサワとかについて、軒並み処理をされていった。その中で、ダイエー、ミサワについては、産業再生機構に移管をするということになっているわけです。

 しかし、その経過については、例えばダイエーの高木社長は非常に嫌ったということが報告されています。これは資料の、これは週刊朝日の記事ですが、前回も出しましたが、そういう報告がある。これに限らない。一方で、日経新聞の編集に当たる「ダイエー落城」というのは、高木さんに対する批判的な面も含めて書かれている。

 ですから、私は、一概にすべてを是か非かというふうに言うつもりはないんですけれども、少なくとも、ダイエーにしてもミサワにしても、自主再建ではなくて、非常に、グローバルスタンダードの中で、効率よい回収ということで事業再生にそぐわないようなことが行われているんではないか、それを外資がタイアップしてやっているんじゃないかというふうに疑いを持っている国民は数多くいると思うんですよ。

 そういう意味で、具体的に、このダイエーなりミサワについて、三月の下旬を一つのめどとして、どういうスポンサーに手を挙げてもらうのかというのは煮詰まっているというふうに思うんですけれども、例えばダイエーについては、ダイエーサイドで入札を求めていた、そこで手を挙げようと言っていたスポンサー候補者は、産業再生機構が今度スポンサー公募するんだから、我々は手を挙げても排除されるだろう、こういうふうに言っているという報道があるんですよ。こういうことは杞憂なのか、そういうことはやはり当たっているのか、この点はどうなんでしょう。

村上国務大臣 まず、お答え申し上げますと、全く当たっておりません。

 委員も非常に聡明なローヤーでおわかりのように、裁判において事実の認定、ファクトが何であるかが重要なように、私は、企業の再生の一番重要なことは資産査定だと思っています。特に、御承知のように、資産査定というのは思ったより時間と経費がかかるものです。その点におきまして、産業再生機構は、委員御承知のように、会社更生法や民事再生法のとき以上に非常に入念にやっております。

 そういう中で、その査定をもとにした上に、それぞれの具体的な再生計画をやって、そして七項目にわたるいろいろなチェックをしながら比較考量で決めておりますので、残念ながら、その御批判は当たらない、そのように考えております。

辻委員 最後に、ミサワに関連して、トヨタが六年前からミサワホームを欲しがっていたと。奥田さんが二度にわたって、これは産業再生機構入りが望ましいんだということを言ったということで新聞報道されたりしているんですよ。それで、三月末までに買い取りの申込期間が設定されたりしていると思うんですけれども、トヨタだけ、特待席で既に指定席が与えられているというような、そういう報道も一部でなされているわけであります。

 こういう、一社のみが優先されるということは、本当にこれは公平、公正性に欠けるというふうに思いますけれども、これは疑念のないように公平公正にやるのか、透明性を確保するためにどういう措置をとろうとしているのか、その全体についてお答えいただきたい。そしてまた、具体的に予算委員会に報告をいただきたい。この点、いかがでしょうか。

村上国務大臣 それについても、疑いは当たっていないと思っています。

 と申しますのも、御承知のように、ミサワをスポンサーとして引き受ける場合には、やはりそれ相応の自信がないとできないわけで、そのリスクをとるかとらないかというのは、各企業の度量で決まると思います。その中で、そのリスクをとる者があらわれるか、来ないか、それによって決まると思います。そういう面で、今の時点においては、そのリスクをとるというのがトヨタしかいないということだと私は考えています。

辻委員 いや、これはもう時間がなくなりましたから、最後の言葉は聞き捨てならないですよ。全然、だからそれは、競争入札なり、そういう公平公正なシステムでトヨタを扱うということを言っていないじゃないですか。この点は本当に問題であります。

 これは、なお事実の究明を求めていきたい。きょうは時間がありませんから、継続して事実の究明を求めていきたいということを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

村上国務大臣 あくまで公平公正に、独立不覊でやるというのが産業再生機構でありまして、まさに行政やそういう政治の影響を受けないでやるというのが産業再生機構の本旨でありますから、私は、公平にやるようにきちっとウオッチングしていくつもりであります。

辻委員 トヨタしかないというふうに結論を先に言ったその根拠も何ら説明されていないんですよ。やはりこれは疑念にこたえるべきだと思います。結論先にありき、非常に疑惑がさらに深まった、このことを申し上げておきたいと思います。

甘利委員長 これにて辻君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林千代美君。

小林(千)委員 民主党の小林千代美です。

 質問に先立ちまして、私からも一言申し上げさせていただきたいと思います。

 やはりこの問題、一億円のやみ献金事件、多くの国民が真相究明の解決を願っています。

 実は私の地元事務所に、今、大学一年生が議員インターンシップで秘書体験に訪れてくれています。その彼女に、議員のイメージってどうというふうに聞いてみたんです。そうしますと、一番最初は、議員というものを身近に接する前は、議員というものはいつも悪いことばかりしている、財布の中には札びらがたくさん入っていて、札びらをいつもびらびら切っている、そういうイメージを持っていた、こんなふうに言っているんですよ。

 私は彼女を責めることはできないと思いますよ。今の新聞を見てみたらそうじゃないですか。多くの国民が政治家に対して落胆している、あるいは信用を失っている。皆さん方みんな、各選挙区で何万あるいは十何万という票をいただいて当選してきているわけなんです。多くの人たちがそれだけ名前を書いているにもかかわらず、政治家に対して信頼と不信を持っている、それが現在の状況だと思います。私は、彼女だけを責めることはできないと思うんですよ。

 ですから、多くの国民に政治家の信頼を取り戻すために、やはり今国会で必ず証人喚問、これをやって、国民に理解していただける、真相究明を行う、これを私からも強く最初に申し上げさせていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いをいたします。

 それで質問に入らせていただきます。

 司法制度改革、これが今行われているわけでございますけれども、それにかかわる法曹の養成についてお伺いをいたします。

 今、五十年に一度あるいは百年に一度と言われております司法制度改革が行われている最中です。ここ数年、この司法制度改革にのっとりまして、多くの法律がつくられてまいりました。例えば裁判員制度もそうです。司法ネットもそうです。

 今まで、三権の中で、司法、立法、行政の中で、司法が一番国民から縁遠い存在だというふうに言われていた。できれば裁判のお世話にはなりたくないですとか弁護士にはお世話になりたくないですとか、そういったことが言われておりました。

 しかしながら、これから、国際化する社会にどういうふうに法のもとで対応していくか、あるいは、複雑化する社会をどういうふうに公平公正に判断していくか、これが司法に求められるところでもありますし、一番市民にとって縁遠いと言われていた司法サービス、これは社会インフラの一つでもあると思っております。

 これをあまねく国民にサービスを提供するというのが司法制度の大きな目的の一つだと私は思いますし、これからの五十年あるいは百年後の日本、この司法を担っていく法曹の人材をどのようにこれからつくり上げていくか、これは大変重要な問題でもあると思っております。そのために法科大学院というものがつくられたわけでございます。

 最初に、まず法務大臣にお伺いをいたします。

 今までの司法あるいは法曹教育、これをどういうふうに考えていらっしゃるか。あるいは、その反省の上に立って、今回の司法制度改革をどういうふうにつくり上げたのか。これからの法曹養成制度の本旨というものをどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

南野国務大臣 お答え申し上げます。

 理念についてということであろうと思っております。

 司法制度改革審議会におきましては、二十一世紀の司法を支えるにふさわしい、質量ともに豊かな法曹を養成することが重要であると考えた一方、現行の司法試験制度については、受験者の受験技術優先の傾向が顕著となってきたことや、質を維持しつつ大幅な合格者増を図ることには大きな困難を伴うなどの問題点があるために、現行の司法試験制度において質量ともに豊かな法曹を養成する、そのことには限界があると認識されたと承知しております。

 そこで、今般の司法制度改革におきましては、これらの司法を担うにふさわしい質の法曹を確保するため、司法試験という、点のみによる選抜ではなく、法科大学院における教育、司法試験、司法修習、それを連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備することが不可欠であると考え、その中核をなすものとして、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナルスクールである法科大学院を設けるものとしたと理解しております。

小林(千)委員 その理念のもとでつくられた法科大学院というものが、今まさに壊れかかっているわけでございます。ひいては、これからの日本の法曹を支えるべき司法制度改革、これが本当に実りあるものになるのかどうなのか左右されている問題が今起きているわけです。御存じのように、司法試験の合格者問題でございます。

 当時、この法科大学院制度が国会で議論されていたのは、平成十四年、二〇〇二年の秋なんです。そのときにはまだ合格者数云々というのは、この司法制度改革審議会の意見書、ここに述べてあるものしかあらわれておりませんでした。その後、実際に大学院生が発生したのは、大学院が受け入れたのは、平成十六年、二〇〇四年の四月に一期生が大学院、ロースクールに入学をしたわけでございます。

 この法科大学院の理念につきまして次に文部科学大臣にお伺いをしたいわけなんですけれども、司法制度改革審議会の意見書の中でも法科大学院の特に学生の資質というものについて書かれておりまして、学生については「多様性の拡大を図るため、法学部以外の学部の出身者や社会人等を一定割合以上入学させるべきである。」というふうに書かれております。

 つまり、多様な人生経験を積んだ人、法学部卒業生だけでなくて、ほかの学部の卒業生というものも、そういった経験が必要だということで、受け入れる義務があるわけなんですね。実際に多くの社会人の方が入学をしております。平成十六年度の入学者数のうちの約半数の四九%は、社会人経験者が仕事をやめて法科大学院、ロースクールに入ったという現実がございます。

 当時、この司法制度改革審議会の意見書は、ちゃんと大学院で勉強すれば七、八割の人が法曹になれるというふうに、解釈は後でやりますよ、というふうに書いてあるわけなんですよ。しかしながら、今実際に、入学者数問題、言われているのは、今の学生に対して二、三割しか合格できないのではないかということが大変問題になっているわけなんです。

 入学した学生にとってみたら、今のこの就職難の折にわざわざ会社をやめて大学院に入り直した、なのに二、三割しか合格できない。当時は七、八割というふうに書いてあったのに、学生にしてみたら、国にだまされた、詐欺に遭ったというのが本音なのではないかと思います。そういうことをしていたら、社会人は、危ない橋、渡れなくなりますよ。わざわざ会社をやめて大学院に入り直そう、こういったことができなくなってしまいます。

 文部科学大臣、多様な人材が求められているのがこの法科大学院です。しかし、今のような状況ではその責務というものが果たせなくなっているのではないでしょうか。いかがですか。

中山国務大臣 まさに法曹の改革ということで法科大学院ができたわけでございまして、多様な人材、多様な分野からこれから大学に入ってもらいたい。これは本当にいいことだと思いますし、その方々がまさに実践的な研修を積みまして、法理論と実務といいますか、両方兼ね備えたすばらしい法曹がたくさん誕生してほしい、そういう趣旨でできたんだろうと思うわけでございます。

 ただ、入れば全部法曹になれるというのもこれは非常に甘いわけでございまして、私は、むしろ、大学なんかは、たくさん入ってもいいけれども出るのは厳しい、入るは易しい出るのは厳しい、そういう方向に大学院教育は持っていくべきだと思うので、そういう意味ではその先取りみたいな形で、こういうふうなことになっても、それはもう本人の決断、決意の問題だろう、こう思うわけでございます。

 人数につきましては、これは司法試験委員会というところで決めることになっていますが、私のところにも、そういった法曹大学院の関係者とかいろいろな方々から、陳情といいますか、そういう懸念も上がってきていますので、そういったことにつきましては、また法務省の方には話をしているところでございます。

小林(千)委員 私も、何でもかんでも七、八割合格させろというふうに言っているわけではございません。ここに書いてある中には、法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度、例えば約七、八割の者が司法試験に合格できるよう充実した教育を行うべきである、このように書いてあるわけでございます。

 しかし、今の入学者が全部が全部卒業できるわけではないだろう、全員が全員司法試験を受けるわけではないだろう。だから、合格率は、今の入学者数を分母にするのではないから高まるんだろうという論も言っている方がおりますけれども、しかしながら、これは私は教育の本質ではないと思います。

 大学あるいは専門職大学院の目的として、入学してきた者を一定程度の水準まで育て上げる、これは高等教育の目的の一つではないかと思います。あらかじめ、全員は卒業できない、こういうふうに限定されているのは、当然それは教育の本質ではないと思います。

 これからの日本の高等教育、特に、すぐれた若い人材が社会の中でどういうふうに活躍をしていただくのか、そのために行われる高等教育、特に専門職大学院の教育のあり方、これでいいんでしょうか、大臣。

中山国務大臣 御指摘のように、大学あるいは大学院におきましては、その趣旨に基づいて充実した教育を行うべきであるというのは、これはもう当然のことでございまして、その目標として、これぐらいの数はそういった試験に受かるようにしなきゃいかぬとか、そういうことはあると思うんですけれども、だからといって、そこの卒業生が全部、あるいは何割が、初めから決まってそういった試験に受かるんだというのもちょっとどうかなと思うわけでございます。

 私ども文部科学省としては、先ほど申し上げましたけれども、そういう実践的な教育を行うことによりまして、厳格な成績評価と修了認定を行うというのが私どもの務めであろう、このように考えておるところでございます。

小林(千)委員 その実践的な教育というのができない状況に陥ってしまっているんです。

 二、三割の合格率ということになりますと、もちろん、すべての入ってきた入学者の学生全員がきちんと教育を受けて、勉強して卒業していただければいい、それは私も思います。しかしながら、それでもなおかつ二、三割の合格者というふうになると、実践的な教育というのはできないんですよ。司法試験対策勉強しかできなくなる。お受験しなきゃいけないんですよ。

 今、法科大学院が、それぞれ大学院、ロースクールが、独自で、さまざまなカリキュラムを持って実践的な教育というものに取り組んでおります。例えば、うちの学校は金融関係の法律に力を入れているですとか、あるいは、これからのグローバル化に対して国際的な場で活躍できる法曹を養成するために海外との連携に力を入れているですとか。

 しかしながら、こういった実践的な発展的カリキュラムというのは司法試験の受験の項目の中にないわけなんですよね。合格率二、三割ということになってしまうと、どうしても受験技術ばかり追い求めがちになってしまう。学校の先生もそうでしょう。うちの大学の合格率は何割だということで学生から評価を受けてしまう。学生にしたって、当然受かりたいわけですから、先生、受かる勉強を教えてください、こうなってしまうのは当然の理ではないかなというふうに思います。

 今の状態では、先ほど大臣のおっしゃっていただけましたような実践的な教育というものは不可能になるわけでございます。本来求めている法科大学院の道からはそれてしまう。これをどのように大臣はお考えでしょうか。

中山国務大臣 なかなか難しい問題であるということはわかりますが、それは、実践的な力をどのように評価するか、司法試験の中において、まさに実際の世の中をよく知っていて、本当にすばらしい法曹人になるだろう、そういった人をどのように採用していくかという、これは試験の問題だろうと思うわけでございます。

 御承知のように、一方では、大学の設置というのも規制緩和になっていまして、はっきり申し上げて、文部科学大臣になったときに、こんなに法科大学院大学というのは多いのかとびっくりしたわけでございますが、これはとめるわけにもいかぬわけでございまして、そこから卒業してくる方々をいかに選択するといいますか選抜するかということの試験のあり方を考えてもらいたいな、私はそういうふうに思うわけでございます。

小林(千)委員 確かに、多くのロースクールというものがこの二年間で誕生をしつつあるわけなんです。もちろん、その中で正当な競争による生き残りというものは行われていかなくてはならないでしょう。

 しかし、何をもって競争するかということが大切なんです。お受験勉強をさせて競争させるのか、それとも、本当にこれからの将来の法曹に対して必要な質と量をここの法科大学院の中で行えるような競争をしていくのか、これが問われているところだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中山国務大臣 ですから、何度も申し上げますけれども、これからのまさに大学の行方を占うような問題だろう、こう思うわけでございます。大学全体といたしましても、もう全入の時代になって、本当に、大学間の競争といいますか、生存をかけた厳しい競争が始まると私は思うわけでございます。

 そういう意味では、この法曹大学院大学というのも、それに先駆けて、厳しい競争はある、これは当然のことだと思うわけでございまして、その中でいかにして優秀な法曹人を選んでいくかということは、これは試験の問題でございまして、司法試験委員会の方でいろいろ御検討いただいて、本当に、理論だけじゃなくて、実践力といいますか、世の中のこともよくわかったすばらしい法曹人を多数採用してもらう、そういったことにしてもらいたい、文部科学大臣としてはそのように答えるしかございません。

小林(千)委員 今のロースクールの理念、法曹教育の理念というものが、今までの受験対策の、点ではなくて、教育というものに力点が置かれるようになった。ぜひとも、このロースクールの理念というものが失われることのないように強くお願いを申し上げたいと思います。

 次に、司法試験の合格者数なんですけれども、さっき文部科学大臣がおっしゃったんですけれども、人数については司法試験委員会の中で決める。法務大臣、本当にそうですか。

南野国務大臣 先生おっしゃるとおり、司法試験委員会でございます。

小林(千)委員 司法試験委員会が合格者数を決める、その法的根拠はどこにあるんでしょうか。

小津政府参考人 まず前提といたしまして、それぞれの年の具体的な合格者数は、当然のことながら、その年に行われる試験の結果に基づいて合格者が決定されて、それによって合格者数が決まるわけでございます。

 その意味では、その合格者の決定方法は司法試験法の第八条に規定がございまして、「司法試験の合格者は、司法試験考査委員の合議による判定に基づき、司法試験委員会が決定する。」ということでございます。

 加えまして、委員の御指摘は、現在、司法試験委員会におきまして、平成十八年及び平成十九年に実施される新旧の司法試験の合格者数のあり方について検討しているわけでございまして、そのことについての、そういうことをする法的な根拠は何かという御趣旨も含まれているかと思いますのでそれについて申し上げますと、先ほど申し上げましたように、司法試験法の第八条は、そもそも司法試験の合格者を司法試験委員会が決定するという条文があるわけでございますが、さらに十二条におきまして、司法試験委員会は次に掲げる事務をつかさどるということで一号から四号までございまして、その一号に「司法試験を行うこと。」ということが所掌事務になっております。

 さらに、ちょっと細かくなりますけれども、新司法試験につきましてはまだ実際に行われていないわけでありますけれども、この新司法試験を行うための準備的な行為につきましては、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律の附則の第六条の三項によりまして、それに関する法律の施行の日の前においても行うことができるということになっておりますので、それらの規定を根拠にいたしまして、ただいま申し上げましたような、司法試験合格者数についての概括的な考え方についての検討が今なされている、こういうふうに考えているところでございます。

小林(千)委員 その司法試験法なんですけれども、おっしゃっていただきました第十二条の第二項「委員会は、次に掲げる」というところを読んでいただいたわけなんですけれども、これは「事務をつかさどる。」というふうに書いてあるんです。人数を決めるというのは、つまり、これは実施事務なんですよ。

 第十二条二項の第一号「司法試験を行うこと。」の中で、数年先の、平成十九年度までの合格者数のあり方を決める権限はここにあるんでしょうか。

小津政府参考人 先ほど申し上げましたような検討をしている趣旨は、一つには、全く新しい司法試験制度が始まる、そして、五年間は新司法試験と旧試験が併存するという状態になるわけでございます。

 そこで、受験生の方々からいたしましても、それぞれの合格者数について基本的にどういうような考え方になっているのかということを知って、適切な進路の選択をする必要がある。また部内的には、それがどのような考え方によるかによりまして、いろいろな試験準備も行わなければいけない。それらのことが、平成十八年、平成十九年の司法試験を円滑に行うために必要である。こういう考え方から検討していると承知しておりまして、その意味で、私が申し上げました第十二条の二項の一号、さらには第八条の、司法試験の合格者は司法試験委員会が決定する、そういう根拠条文に基づいて検討していると考えているところでございます。

小林(千)委員 この十二条二項一号の要件に行われる司法試験委員会というのは非公開なんですよ。議事録も作成されておりません。全く密室の中でこれからの司法試験の合格者数というものが議論をされているというのが現状です。開かれた議論というものは何も行われていない。

 百年に一度の司法制度改革、これを成功させるかいかんがここで決まってしまうんですよ。果たしてそれでいいんでしょうか。これからの日本の百年後の司法をどういうふうにしていくか、これは政治的判断ですよ。政策的判断です。そのように、最初に理念のところで法務大臣に伺いました。それが、こんな密室の中で、公開されていなければ議事録もない、だれが何を言ったかも全くわかられていない。そんなことでこれからの将来が決まってしまう。これで、法務大臣、よろしいんでしょうか。

南野国務大臣 司法試験委員会においてしっかりと検討させていただいております。議事の要旨をごらんいただければと思います。

小林(千)委員 その司法試験委員会が密室の中で行われている。そんなことで、これからの五十年、百年の日本の司法が、今行われている司法制度改革がいいのか。それを伺っているんです。

 開かれたところで、国民にオープンにして当然議論をされる問題ではないんですか。大臣、いかがでしょうか。

南野国務大臣 御質問は、密室で行われているとお話がございましたが、議事の要旨は公開させていただいておりますので、オープンになっております。

小林(千)委員 要旨というものは、だれが何を発言されたかは顕名になっておりません。議事録もありません。それが、非公開、密室だというふうに私は申し上げているんです。広く国民にオープンされて議論をするべきものじゃないんですか。

 官邸の中にはこの推進室も立ち上がっているでしょう。司法制度改革の本部長は小泉総理ですよ。副本部長は大臣ですよ。それでいいんでしょうか。

南野国務大臣 お答えいたします。

 先生がおっしゃっている顕名という話でございますが、それでなくても、どんな議論が行われたかということはおわかりになると思います。それをごらんになれば。

小林(千)委員 わからないから聞いているんですよ。私の手元にもありますよ、議事要旨というのが。これはわからないですよ。ただの概略だけですもの。

 残念ながら時間が来てしまいましたけれども、私も法務委員ですから、大臣、これから法務委員会の中でこれは議論を続けましょうよ。それをぜひ約束してください。お願いします。答えてください。

南野国務大臣 適切な御質問をいただけるならば、粛々として検討させていただきます。

甘利委員長 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 先日、ワシントンで開かれました2プラス2の問題についてお伺いいたします。

 会談に先立つ十四日の予算委員会で、政府が目に見える負担の軽減という場合に、普天間飛行場の辺野古への移設をどうするということなのか、このような質問をいたしました。共同発表によりますと、沖縄を含む地元の負担の軽減をすると述べる一方で、SACOの着実な実施が在日米軍の安定的なプレゼンスにとって重要である、このようにしております。

 そこで、まず外務大臣に伺いますが、今回の共同発表にあるSACOの着実な実施、これには普天間飛行場の辺野古移設は含まれるのですか、含まれないのですか。

町村国務大臣 数多いSACOの内容、土地の返還を初めといたしまして、訓練、運用方法の調整、騒音軽減イニシアチブの実施、地位協定の運用改善、これらすべてSACOの内容でございますから、この内容に含まれていることがすべてSACO最終報告である、かように私は認識をしております。

赤嶺委員 そうしますと、きょうの夕刊各紙、既に外務大臣ごらんになっていると思いますけれども、アメリカ政府、辺野古見直し、県内代替施設が条件でありますが、アメリカ政府の側のそういうことが報道されております。

 また、報道の中には、政権与党である自民党の額賀自民党安全保障調査会長がやはり、ローレス国防副次官と会談をして、移設合意から九年たって実現のめどが立っていない、その理由を政府が検証し、現実的な対応をとるべきではないかと述べ、ローレス副次官は、我々もフラストレーションを若干感じている、適切な移設先を確認しなければいけない、このような報道が、アメリカ政府の側からが辺野古見直し、そして額賀さんのそういう発言が一斉に報道されておりますが、これについては、政府はどんな認識を持っておられますか。

町村国務大臣 私どもは、先般2プラス2の会議をやりまして、先日来から先生にはいろいろな委員会で御返事を申し上げておりますけれども、辺野古という名前あるいは普天間というのは、事故のヘリコプターという意味では触れましたが、移設絡みの話では一切固有名詞は出していないということでございます。

赤嶺委員 外務大臣、2プラス2の会合が終わった後の記者会見で、ワシントンでの記者会見ですが、再編協議の結果、日米特別行動委員会、SACO合意との接点が生じる可能性がある、このように述べておられます。

 これは、私に対しても各委員会で繰り返し述べておられる点でもありますけれども、具体的にどういうことですか。

町村国務大臣 接点が出てくる可能性はあろうかと思いますが、2プラス2の場で具体の地名、場所を挙げて話し合ったことはございません。

赤嶺委員 その接点というのは、辺野古移設も含まれているんですか。

町村国務大臣 特定の地名について触れるのは、現段階では私は控えるべきであると考えておりますし、日米間でそういう話をしたことはございません。

赤嶺委員 接点があると一方で言いながら、SACO合意の着実な実施ということを共同発表に書き込んでいく。何でそんなものを織り込んだんでしょうか。今後接点が出てくるかもしれない、そういう中で、SACO合意の着実な実施、どうしてそんな書き方をするんですか。

町村国務大臣 論理的可能性を私は記者会見で申し上げたまでであります。

赤嶺委員 論理的可能性というのはさっぱり私には理解ができません。つまり、政府の態度が全くはっきりしていない。政府はどういう姿勢で辺野古の問題の解決に当たろうとしているか、これが全くはっきりしていないということだけはよくわかりました。

 それで、ちょっと2プラス2にかかわって、今度は横須賀のキティーホークの後継空母の問題について聞きます。

 外務大臣とラムズフェルド国防長官との間で話があったようですけれども、具体的にどういうやりとりがあったのか、それから、どういう場でそれぞれどういう発言があったのか、具体的に説明してください。

町村国務大臣 十七日、したがって日本を出発する日、あれは前日でしたか、十七日の日に、沢田横須賀市長が大臣室にお見えになりました。そこで、キティーホークの後継空母については通常型の空母を配備する可能性を見出すようアメリカ側に求めたい、そのことを働きかけてもらいたいというお話がございました。その折、信書をお預かりしたわけでございます。それを十九日、ワシントンで、たしか朝食会の直後であったと思いますけれども、時間は非常に短うございましたが、その手紙をラムズフェルド国防長官にお渡しいたしました。沢田横須賀市長からの信書ですということを申し上げたところ、ラムズフェルド長官も、よく横須賀の話は自分も聞いているという返事がございました。

 いずれにしても、これはアメリカ議会での発言でしょうか、イングランド海軍長官の発言を見ましても、空母キティーホークの後継については米政府において何ら決定されていないという状況にあるというふうに私どもは理解をいたしております。

赤嶺委員 私は、沖縄にとって辺野古の問題が重大問題であると同様に、横須賀にとって原子力空母の母港にされるということについては、本当に安全上の問題でも、それから核の問題でも、原子炉が人口密集地域に置かれるというような問題でも、大変な問題だと思うんですよ。ですから、横須賀の市議会も決議が上がりました。神奈川県全体がこの問題に注目をしております。

 そういう注目している大事な問題なんですが、それを短い時間に朝食会後に伝えたということなんですけれども、日本政府は、原子力空母の母港化の問題について、一体どういう立場をとっておられるんですか。

町村国務大臣 現状、まだ両国政府間でこの話について具体の話をする段階には至っていない、こう私どもは理解をいたしておりますし、沢田市長から大変熱心なお話もございました。そうした市議会での動き等々も私どもも踏まえて、今後どのように対応していくか考えなければならない問題だと、地元の御意向というのは私どもなりによく理解をしているつもりであります。

赤嶺委員 地元の意向を理解しておられるのでしたら、きちんと空母の母港化反対だ、地元もそれを願っているということを伝えるべきではありませんでしたか。

町村国務大臣 これは常に、沖縄の問題でも同じことを申し上げておりますが、米軍の持つ抑止力、これはやはり大切なことでありまして、その抑止力があるからこそ日本は安全が保たれ、平和が保たれ、そして日本のこの経済的な発展を今日までもたらすことができてきたという意味で、確かに負担になる部分はありますけれども、しかし同時に、日本国全体としてはそのおかげで今日まで経済活動に専念することができてきて今日の日本が築かれてきたという、日米安保あるいは基地の持つメリットとでもいいましょうか、そういう面もあるということを私どもは認識しなければいけないのではないだろうか、こう思っております。

 いずれにしても、地元の皆さん方の御意見を踏まえ、それと同時に、抑止力を維持するという両方の観点から今後この問題について考えていくべきであろう、かように思います。

赤嶺委員 地元の不安、横須賀にとどまらず、神奈川県知事も含めて、神奈川県ぐるみが原子力空母の母港化の問題について不安を抱いているときに、その不安を代表してまさにアメリカと交渉するのが日本の外交であるべきだと思いますよ。

 そのときに、いや、アメリカの抑止力も考慮に入れなきゃいけないんだと言っていたら、そのために、朝食会の後の短い時間で横須賀市長のあれを伝達するだけ、これでは外交じゃないですよ。日本の国民として、日本の国民の不安にこたえて、そして安全、安心な暮らしを守る、そういう外交でなければならないのに、沖縄の問題と同じように、何をしているのかわからない。結局、ふたをあけてみたらアメリカの言うとおりになっていた、そういう危惧を持たざるを得ません。

 それで、次の質問に移りますけれども、今回合意した共通の戦略目標の重大な問題の一つとして、台湾海峡に初めて触れた問題があります。これは、これまでの台湾海峡をめぐる政府の方針に何か変更があったということですか。

町村国務大臣 対中政策に一切の変更はございません。

赤嶺委員 変更がないとおっしゃいますが、九六年の日米安保共同宣言、それからその後のガイドライン、こういうガイドラインの中では台湾海峡の問題については一切触れていないわけですね。今回、わざわざ中国の国内問題である台湾問題に触れた。これはなぜですか。

町村国務大臣 日米の間で共通の認識に達したものですから、これを共通の戦略目標として載せたわけであります。

赤嶺委員 日米の間で触れてこなかったものをなぜ触れたか。安保共同宣言でも触れなかった、ガイドラインでも触れなかった。それを何で触れたか、このように聞いているわけですよ。

町村国務大臣 これは、我が国の例えば新しい防衛大綱をごらんになってもおわかりのとおりでございまして、台湾海峡の情勢について触れるところがあるわけであります。

 しかも、よくごらんをいただきたいのは、私どもは、中国がこれからより一層大きな役割を国際社会の中において演ずるようになる、より建設的な役割を果たしてもらいたい、中国とよりよい関係を保っていきたいということで、私どもはそういう基本的なポジションで中国と今後ともやっていこう、こういうことであり、かつ、台湾の問題については平和的な話し合いで答えを出してもらいたいということを述べておるわけでありますから、委員がどういう観点からこれを問題にしているのか、私にはどうもよく理解ができないところなんです。

赤嶺委員 私が質問しているのは、過去の日米の安全保障の共同文書に一切触れていなかった台湾海峡の問題が、なぜ、表現の中身もさることながら、そういうことに触れる文書になったのかということですよ。

 それで、実際に、そういう文書に触れたために、例えば中国の側からは、今回の日米合意について中国外務省の報道局長が、中国の国家主権と領土保全、国家の安全にかかわる台湾問題を含んでおり、断固反対するだとか、米日軍事同盟は二国間の範囲を超えるべきではないとかと言って強く非難しているじゃありませんか。

 しかも、外務省のホームページを見ますと、中国と日本の関係について、最も重要な二国間関係の一つとして中国との関係を重視する、このように言っているじゃないですか。アジア共同体も展望しながら緊密な連携協力をしていく、そういうのが政府の立場のはずであります。

 わざわざ中国の国内問題である台湾問題について日米の共通戦略目標として明記し、そしてそれによって中国を刺激する。こういうのは、協力関係をつくっていくという政府の立場にも反することではありませんか。

町村国務大臣 それは先生のお立場ではそういう議論になるのかもしれません。私ども、中国に対してきちんとこの件について説明をし、それに対して私どもは中国の理解も得ている、こう思います。

 確かに、一部のマスコミが先走って、台湾の問題を日米で共同対処するといったような誤った報道が出されたものですから、それについて中国が大変気にしたということはあると思いますが、現実、出された文書をごらんになれば、何ら私どもは、中国に対して敵視をしたりなんかしているわけでもありません。それどころか、先ほど申し上げた、日本が中国を重要なパートナーだということを、これまでも申してきたし、今もそうでありますし、これからもそうでありましょうし、その基本姿勢に何ら変わりがないということは先ほど申し上げたとおりでございます。

 そういう意味で、私どもは、あそこに取り上げたことに何ら問題はないというふうに考えております。

赤嶺委員 私の立場から台湾海峡の問題を入れたことを問題にしたのではなくて、あなた方の立場から、中国とは今後も友好的なパートナーシップだと。しかも、東アジアの共同体づくりでも一緒にやっていかなきゃいけない相手、拉致問題でも重要な役割を果たしているその中国が、今度の2プラス2の声明を見て、これは中国に対する内政干渉じゃないかというような発言をする。

 結局、地域の平和と安定どころか、地域に新たな脅威を持ち込むような会談結果になっているということを強く指摘いたしまして、質問を終わります。

甘利委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 まず最初に麻生総務大臣にお尋ねしたかったんですが、きょうは出席できないということでございますので、中川大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 いわゆるNHKの問題ですが、きょうは、NHKがどうのとか朝日新聞がどうのとか、あるいは圧力があったのかどうかとか報道の自由とか、そういうことをお尋ねしたいわけではございません。朝日新聞の報道の記事に対して事実確認をして、そしてまた大臣の対応をお聞きしたいと思っております。

 まず、時系列的にちょっと説明をしてお尋ねしたいと思うんですが、いわゆる事の発端といいますか、これは一月十二日に朝日新聞が報道したことから始まったわけでございますが、この報道の見出しは、「NHK「慰安婦」番組改変 中川昭・安倍氏「内容偏り」」という見出しで報道されました。

 中川大臣に関する件では、「中川氏は朝日新聞社の取材に対し、NHK幹部と面談したことを認めた上で「疑似裁判をやるのは勝手だが、それを公共放送がやるのは放送法上公正ではなく、当然のことを言った」」と。あるいは「「やめてしまえ」という言葉も「NHK側があれこれ直すと説明し、それでもやるというから「だめだ」と言った。まあそういう(放送中止の)意味だ」」ということが記事になっております。

 この記事に対し、翌十三日の新聞には中川氏がコメントを出されております。「当方は公正中立の立場で放送すべきであることを指摘したものであり、政治的圧力をかけて中止を強制したものではない」とコメントを発表されているんですが、この時点では、いわゆる最初に載ったいろいろな文言について、あるいは「NHK幹部と面談したことを認めた上で」云々という記事に対しては否定はされておりません。政治的な圧力をかけて中止を強制したものではないということは言われておりますが、その事細かいことには否定はされておりません、十三日には。これでよろしいんですね。

中川国務大臣 まず、時系列ということでございますので、二〇〇〇年の十二月に女性戦犯法廷なるものが行われまして、一月に入りましていろいろなところからNHKで放送されるという情報が入ってまいりまして、ということで放送されたわけでございますけれども、話は飛びますが、ことしの一月の十日に朝日新聞の本田という社会部の記者さんから、私出張中でございましたので電話で、こういう裁判というか、裁判のようなもの、それから放送されたことについて記憶がありますかということでございましたので、いかんせん四年前のことでございましたから、詳細については記憶は定かではございませんけれども、これが放送をされたこと、それから、NHKの関係者の方が毎年事業計画、予算説明に来られますので、そのときにお会いをして、予算の話等々とあわせて、放送法に基づいて公正公平にやっていただきたいということをその場でお話しした記憶はございますというふうに申し上げました。

 ただ、それが、私は十日にその取材を受けて、十一日からヨーロッパに出張したものですから、十二日にその朝日の報道が出て、圧力は決してかけておりませんということを何回も取材のときに申し上げたんですけれども、そういう報道になり、東京に指示をして徹底的に調べたところが、事務所の資料それから議員面会票等々を調べた結果、二〇〇一年の二月二日にNHKの方が三人来られまして、その中には松尾さんという方はいらっしゃいませんでした。それから、先ほど申し上げたように、向こうから説明を申し上げたいということでございます。

 とりあえずの途中経過は以上でございます。

横光委員 十二日に最初の報道があった。そして、十三日には政治的圧力はかけていないというコメントをされたけれども、十二日の報道の細かいことには否定はされておりません。

 そして、十四日これが一変して、変わっておるんですね。つまり、パリでの記者会見、今のお話にございました、そこでNHKが説明に来たのは放送三日後の二月二日である、放送前に電話を含めNHK関係者と番組についてやりとりした事実はない、事実ではない報道で政治家として誹謗中傷され、名誉を傷つけられたので、訂正などの対応がない場合は断固たる措置をとると語った、このようにパリの記者会見で語ったと報じられております。いわゆる十三日の対応から十四日は一変しているわけです。

 そして、翌十五日の報道では、朝日新聞に訂正を求める考えを明らかにして、応じなかった場合はあらゆる手段を考えていると述べ、法的措置をも辞さない姿勢を改めて示されております。そして、放送前にNHK幹部と面会したことについては、四年前のことを聞かれた記憶があいまいなまま答えたと、今さっきのように述べておられます。

 そして、十八日に今度は朝日新聞が、一月十二日に報道する前の、今言われました一月十日に取材した内容をいわゆる「中川昭一氏との一問一答」という見出しで事細かく報道をしたわけでございます。非常にこれは生々しい内容でございます。

 これを受けて中川大臣は、一月二十日、会見をして、この場をかりて記事の訂正と謝罪を求めていくと述べております。つまり、十八日に載った一問一答の記事に対して、報道は事実無根として、二十一日に朝日の箱島信一社長とNHK番組制作局の長井暁チーフプロデューサーあてに、謝罪と訂正を求める通告書を送ったとあるわけでございます。

 朝日新聞社はこの通告書に対し回答書を送ったわけです。その内容は、「十二日付朝刊の記事は、中川氏自身と関係者から取材した結果を正確に報じたものであり、「事実無根の中傷記事」との批判は当たらない、」こう回答されているわけです、二十九日。

 それから一カ月になろうとしているわけですが、大臣は通告書を出した、そして回答書どまりになっておる。通告書は、事実無根である、回答書は、正確な報道によってやったと、真っ向対立したままの状態でございます。しかし、あの記事は事実無根と大臣おっしゃっておりますし、そのことは変わりないと思います。

 であるならば、あの記事が事実無根と言うのであるならば、すさまじい捏造記事を私はつくられたと思っております。まさに真っ白いところから、ありもしないことを一言一句つくられたようなものです、全くこれが事実無根と大臣はおっしゃっているわけですから。そういった意味では、すさまじい捏造記事を朝日はつくったわけでございます。つまり、ありもしないことを書かれたということは、人権侵害にも値するし、あるいは、言われておりますように、非常に誹謗中傷に当たる名誉毀損になるわけでございます。

 どこから見ても私は、この記事が事実無根であるなら、すさまじいことを朝日はやった。この中に書かれていることはすさまじいことが書いてある。「放送直前の一月二十九日に、NHKの野島、松尾両氏に会われたわけですね?」「会った、会った。議員会館でね」「何と言われたのですか。」「番組が偏向していると言った。それでも「放送する」と言うから、おかしいんじゃないかと言ったんだ。」「放送中止を求めたのですか。」「まあそりゃそうだ」とか云々と、物すごいことを書かれている。これは大臣は事実無根だとおっしゃる。そして通告書を送った。相手は回答書を送って、これは正しい報道だと言っている。

 であるならば、ここまで名誉を毀損され、誹謗中傷されたのであるならば、真実を解明するためには、もう大臣、断固たる措置、あるいは法的措置も辞さないと何回も言ってこられたわけですから、当然告訴されるんですね。

中川国務大臣 まず、取材と記事との間に決定的に大きな違いがあるのは、私は圧力はかけておりませんということは、電話ではございましたけれども何回も申し上げました。それから、記憶が、ビデオを見ましたか、放送を見ましたか、見ませんでしたかということに対しても……(横光委員「告訴をされるかどうかということを聞いている」と呼ぶ)そういうようなことも含めて事実無根で、なお記事がいっぱい出ました。

 そこで、あらゆる手段をとらなければいけないということを公の場で申し上げました。顧問弁護士の先生とも御相談をし、それから、これは一中川、ほかにも被害をこうむっている議員の方、あるいはほかにもいらっしゃるわけでありますので、これは一議員と一マスコミの関係というには捨てがたい問題であるというふうに党の方で判断をしていただいておりますので、現段階では党全体としてこの問題に取り組んでいただいておりますので、党の方での作業に今お任せしておりますが、冒頭申し上げたことについて、私が変更をしたとか、そういうふうには考えておりません。御理解いただきたいと思います。

横光委員 余計なお世話かもしれませんが、これだけ中川さんのことを個人的に誹謗中傷されて、ありもしないことを書かれたということが事実無根であるというのならば、これは党の問題というより、先生御自身の問題でございますので、最後の法的措置ということを言われたんですから、当然告訴をされるものと思います。でなければ、最終回答でございます朝日の「十二日付朝刊の記事は、中川氏自身と関係者から取材した結果を正確に報じたものであり、「事実無根の中傷記事」との批判は当たらない、」という最終の回答が生きることになってしまいます。言うなれば、この記事をこのままだと認めることになってしまいますので、そういった意味では、この事実解明のためには、党とかの問題ではなく、個人として中傷されたわけですから、当然告訴をされるものと思っております。

 終わります。

甘利委員長 これにて横光君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 この際、御報告いたします。

 去る二十二日の分科会設置の際、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任をいただいておりましたが、分科員の配置につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりといたします。

    ―――――――――――――

  第一分科員

      大島 理森君    西川 京子君

      石田 勝之君    岩國 哲人君

      佐藤 茂樹君

  第二分科員

      伊吹 文明君    二田 孝治君

      生方 幸夫君    吉良 州司君

      田中 慶秋君

  第三分科員

      河村 建夫君    村井  仁君

      小泉 俊明君    篠原  孝君

      田端 正広君

  第四分科員

      萩野 浩基君    福田 康夫君

      佐々木秀典君    津川 祥吾君

      中井  洽君

  第五分科員

      金子 一義君    津島 雄二君

      根本  匠君    辻   惠君

      中津川博郷君    照屋 寛徳君

  第六分科員

      北村 直人君    玉沢徳一郎君

      中塚 一宏君    永田 寿康君

      坂口  力君

  第七分科員

      甘利  明君    石原 伸晃君

      尾身 幸次君    島   聡君

      長妻  昭君    米澤  隆君

  第八分科員

      中馬 弘毅君    森田  一君

      原口 一博君    樋高  剛君

      佐々木憲昭君

    ―――――――――――――

甘利委員長 また、各分科会の主査は次のとおり指名いたします。

        第一分科会主査 松岡 利勝君

        第二分科会主査 伊藤 公介君

        第三分科会主査 植竹 繁雄君

        第四分科会主査 渡海紀三朗君

        第五分科会主査 後藤田正純君

        第六分科会主査 小泉 龍司君

        第七分科会主査 茂木 敏充君

        第八分科会主査 石井 啓一君

以上であります。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十分散会


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