衆議院

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第3号 平成17年10月3日(月曜日)

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平成十七年十月三日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 甘利  明君

   理事 伊藤 公介君 理事 金子 一義君

   理事 渡海紀三朗君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 山口 泰明君

   理事 細川 律夫君 理事 松野 頼久君

   理事 石井 啓一君

      あかま二郎君    阿部 俊子君

      赤池 誠章君    新井 悦二君

      井澤 京子君    井上 喜一君

      井脇ノブ子君    伊藤信太郎君

      伊吹 文明君    石原 宏高君

      上野賢一郎君    臼井日出男君

      小川 友一君    小里 泰弘君

      小野 次郎君    尾身 幸次君

      大島 理森君    大塚 高司君

      大塚  拓君    岡部 英明君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      鍵田忠兵衛君    上川 陽子君

      亀井 善之君    亀岡 偉民君

      河村 建夫君    木原 誠二君

      木原  稔君    小杉  隆君

      近藤三津枝君    坂本 剛二君

      篠田 陽介君    鈴木 恒夫君

      薗浦健太郎君    園田 博之君

      田中 和徳君    玉沢徳一郎君

      津島 雄二君    土屋 正忠君

      寺田  稔君  とかしきなおみ君

      土井 真樹君    根本  匠君

      萩原 誠司君    林   潤君

      深谷 隆司君    船田  元君

      馬渡 龍治君    松本 洋平君

      矢野 隆司君    山本 幸三君

      山本  拓君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      加藤 公一君    北神 圭朗君

      笹木 竜三君    園田 康博君

      原口 一博君    伴野  豊君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      坂口  力君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    佐々木憲昭君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

      徳田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (青少年育成及び少子化対策担当)         南野知惠子君

   外務大臣         町村 信孝君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       中山 成彬君

   厚生労働大臣       尾辻 秀久君

   農林水産大臣       岩永 峯一君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)     村上誠一郎君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   環境副大臣        高野 博師君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  幹雄君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     石原 宏高君

  臼井日出男君     小里 泰弘君

  尾身 幸次君     新井 悦二君

  大島 理森君     大塚  拓君

  奥野 信亮君     鍵田忠兵衛君

  亀井 善之君     萩原 誠司君

  河村 建夫君     阿部 俊子君

  坂本 剛二君     上川 陽子君

  園田 博之君     土井 真樹君

  田中 和徳君     松本 洋平君

  高市 早苗君     山本  拓君

  玉沢徳一郎君     近藤三津枝君

  中馬 弘毅君     鈴木 恒夫君

  津島 雄二君     あかま二郎君

  根本  匠君   とかしきなおみ君

  深谷 隆司君     井澤 京子君

  二田 孝治君     寺田  稔君

  船田  元君     上野賢一郎君

  山本 幸三君     小野 次郎君

  馬淵 澄夫君     園田 康博君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     井脇ノブ子君

  阿部 俊子君     河村 建夫君

  新井 悦二君     大塚 高司君

  井澤 京子君     深谷 隆司君

  石原 宏高君     木原 誠二君

  上野賢一郎君     馬渡 龍治君

  小里 泰弘君     木原  稔君

  小野 次郎君     山本 幸三君

  大塚  拓君     大島 理森君

  鍵田忠兵衛君     奥野 信亮君

  上川 陽子君     岡部 英明君

  近藤三津枝君     玉沢徳一郎君

  鈴木 恒夫君     土屋 正忠君

  寺田  稔君     林   潤君

とかしきなおみ君     根本  匠君

  土井 真樹君     園田 博之君

  萩原 誠司君     小川 友一君

  松本 洋平君     矢野 隆司君

  山本  拓君     赤池 誠章君

  園田 康博君     馬淵 澄夫君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     亀岡 偉民君

  井脇ノブ子君     篠田 陽介君

  小川 友一君     亀井 善之君

  大塚 高司君     尾身 幸次君

  岡部 英明君     坂本 剛二君

  木原 誠二君     石原 伸晃君

  木原  稔君     臼井日出男君

  土屋 正忠君     薗浦健太郎君

  林   潤君     二田 孝治君

  馬渡 龍治君     船田  元君

  矢野 隆司君     田中 和徳君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     高市 早苗君

  篠田 陽介君     津島 雄二君

  薗浦健太郎君     中馬 弘毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

甘利委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、内閣府政策統括官東良信君、内閣府政策統括官林幹雄君、防衛庁防衛局長大古和雄君、外務省北米局長河相周夫君、社会保険庁長官村瀬清司君、国土交通省大臣官房総合観光政策審議官柴田耕介君、国土交通省鉄道局長梅田春実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 久しぶりに質問に立ちますので大変緊張しておりますけれども、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。特に、福井日銀総裁とお話しできることを大変うれしく思っております。ぜひいろいろ、非常に重要な時期でありますので、御見解を聞かせていただきたい、勉強させていただきたいと思っておるところでございます。

 まず、景気の現状認識について、日銀総裁と、政府を代表して竹中大臣に、それぞれお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

福井参考人 僣越でございますが、最初にお答えを申し上げたいと思います。

 景気の現状判断及び見通しということでございますが、日本の景気は、私どもの認識によりますと、踊り場を脱却して回復を続けている。大変地味な回復でございます、派手さはございませんけれども、持続可能性を十分感じさせる状況で回復をしているということでございます。

 それを引っ張っている需要要因としては、輸出も一つの要因でございますが、事前の私どもの想定よりも内需が少し強目に推移している、つまり、設備投資とか個人消費が事前の予想よりは少し強く推移しているという形で、バランスのとれた、しかし地味な回復を続けているという判断でございます。

 きょう、けさ、最近の短観を発表いたしました。前回の短観と比べてそんなに目立った変化はございませんが、前回の短観よりも原油価格の上昇というものをかなり強く織り込んだ、それを前提として企業が判断された短観でございますが、オイル価格の上昇というものを吸収しながら収益の好調が続く、設備投資も堅調だ、雇用に対する態度も依然として企業としては前向きに取り組む、こんなふうな短観でございまして、短観そのものも、前回比、表面的な数字は余り大きな変化はございませんが、石油価格の上昇を強く織り込んでなおかつこの状況ということは、やはり持続可能性の強い景気回復というふうに判断いたしております。

 したがいまして、この先につきましても、海外経済の拡大が続くもとで、輸出の伸びは次第に強まっていく。そのほか、国内の民間需要も、高水準の企業収益、雇用者所得のこれは緩やかな増加ということを背景として、引き続き回復していくという可能性が高いというふうに思っております。

 あくまで緩やかな、しかし息の長い回復、今目指すべき方向に沿って経済は動いている、そういうふうに判断いたしております。

竹中国務大臣 政府の景気に対する現状認識でございますが、基本的には、今、日銀総裁がお話しされたことと変わらないと思っております。我々の正式の表現は、「景気は、企業部門と家計部門がともに改善し、緩やかに回復している。」というふうにしているところでございます。

 この背景、委員御承知のように、少し長い間の踊り場的局面があったわけでございますけれども、その踊り場的状況の主要因でありました輸出が持ち直してきた。そして、生産につきましても、これは情報化関連分野の在庫調整がほぼ一巡したこと、そうした背景があると認識をしております。こうした中で、今、雇用情勢の改善が続きまして、これに合わせて個人消費も緩やかに増加をしているという形で、企業部門に比べておくれていた家計部門の改善にも進捗が見られるという状況であろうかと思っております。

 もちろん、不確定な要因というのはたくさんございます。特に、我々としてはやはり原油の価格の動向に十分な注意をしていかなければいけないと思っておりますし、マクロ経済的には今申し上げたような状況でございますけれども、地域間の格差、部門別の格差、中小企業の格差の問題等いろいろな問題を抱えておりますので、そうした点に十分に配慮しながら、引き続きマクロ経済の動向を注視していきたいというふうに思っております。

山本(幸)委員 日銀も政府も、景気は踊り場を脱して順調に回復している、持続性がある、そういう認識のようでありますけれども、私どもの地元の感じからいうと、今竹中大臣が申されましたけれども、まだそんな感覚は全然ないんですね。依然としてシャッター通りはふえているし、倒産の危機に瀕している中小企業はたくさんあって、あるいは何とか融資を頼めないかというような話ばかりでありまして、ちょっと実感が違うなという感じもしております。

 ちょっと、日銀総裁、気になったんですけれども、短観で、私きょうの短観は見ていないんですけれども、原油価格も織り込んで、平気だというような認識のようでありますが、これはリスク要因として原油価格についてはそんなに心配していないんですか。

福井参考人 先ほど景気の現状、そして見通しについて申し上げました。これについてリスク要因がないというわけではございません。最大のリスク要因は、原油価格の上昇、これが高どまりが続きそうだということが最大のリスク要因だというふうに思います。

 日本経済につきましては、以前でございますと、金融システム面の不安等々内在的に強いリスク要因を抱えておりましたけれども、現在におきましてはそうした要因はかなり薄れて、世界経済全体と共通の最大のリスク要因、原油価格の上昇が最大の要因ということでございます。企業は、コスト高圧力、これはその他のコスト高圧力とともにこれを懸命に吸収努力をしていて、今回の短観は、その企業努力の苦しい結果が反映されている。私どもは、楽々原油価格の上昇を企業がのみ込んでいるというふうには思っておりません。

 そして、今後さらに企業がこの吸収努力をどこまで続け得るか、さらには、原油価格の上昇につきましては、海外経済への影響、その変化を通じて間接的に日本経済に及んでくるリスク要因も少なからず大きいものがあるんじゃないかというふうに、これは懸念を持って今後観察していきたいというところでございます。

山本(幸)委員 その海外経済への影響なんですけれども、アメリカは大丈夫だというようなことを言っておったんですが、ハリケーンの影響もありまして、最近はちょっと心配だという感じに変わってきているように私は思うんですね。つまり、精製能力が破壊されたりいたしまして原油供給能力が落ちている、その結果、原油価格、そういう石油製品の価格上昇で、少しインフレ的な状況になってきている。

 私もことしの五月にアメリカに行ったんですが、二年ぶりに行ったんですけれども、二年の間にあらゆるものが値上げしていまして、これはちょっと危険なのじゃないかなという感覚を持ったんですね。特にガソリン価格は非常に値上がりしておりました。したがって、アメリカは大丈夫かいな、もうちょっとするとスタグフレーションのおそれがあるんじゃないかというような感覚を持って戻ってきたんですけれども、どうもその懸念が生じつつあるんじゃないか。

 そうすると、アメリカ経済も、今度はインフレ的な要因の中で、これを抑えるためにFRBは金利を上昇し続けなければならない、あるいはそれを加速せざるを得ないかもしれない。そうすると、住宅金利に影響いたしまして、今住宅バブルで、その資産効果で個人消費が非常に高まっているということが崩れるんじゃないかという懸念を私は非常に持っているんですけれども、そういうこと。

 それから、原油価格が上がって中国あるいは東南アジアの国々は結構平気だな、どうしてだろうと思っておりましたら、結局、東南アジアの国々はこれまでの原油価格の上昇というのは財政負担で吸収していたんですね。国がその分を肩がわりするという形で吸収していた。ところが、どうもそれももたなくなった。インドネシアはもう既に石油製品を二倍ぐらいに上げざるを得ない状況になってきた。中国も、どうも財政負担で吸収しているようでありますけれども、これもそろそろ限界じゃないかなという感じを持ち出しているんです。

 そうすると、中国、東南アジア、ここの経済が、やはり原油価格がこれだけ上がってくると、少し、もたない、金利を上げざるを得ない、あるいは金融引き締めをやらざるを得ない。アメリカもそういう形で金利の上昇と物価が上がるという形のスタグフレーション化しかねない。そういう懸念がかなり強いというように私は感じた。

 振り返ってみますと、二〇〇〇年八月に日本銀行がゼロ金利を解除いたしましたけれども、あのとき私どもはそんなばかなことを何でやるんだといって声明まで出して反対したんですけれども、押し切られて、やっちゃって、結局大失敗だったわけですね。そのときもちょうど原油価格が上がり始めておりまして、原油価格が大変大きなリスク要因じゃないかという指摘をしたんですが、無視されました。ちょっと似たような状況に今なりつつあるんじゃないか。

 さすがに福井総裁は前任者と違ってそういうことはやっておりませんけれども、しかし、これはむしろ、その二〇〇〇年のときよりももっと大きなリスク要因になるんじゃないかなという気がして、これから日本経済の回復の主要な要因であった輸出、これがおかしくなるおそれはないのか。内需で設備投資、個人消費が回復しているということでありますけれども、これはまたちょっと後でお伺いしますけれども、その点について、海外経済への原油価格が与える影響についてのリスク要因と、将来的な、ことしの暮れから来年の初めにかけての日本経済に与える影響については、本当に持続的に回復ということで今言っていていいんですか。

福井参考人 世界経済にとりましても、原油価格の高騰、そして高どまりが続くというふうなことは、当面最大のリスク要因というふうに世界各国の政策当局者によって強く認識されているところでございます。先般、谷垣財務大臣とともにG7の会合に出てまいりましたけれども、その認識は改めて強く確認されたというところでございます。

 原油価格の高騰が及ぼす経済への影響というのはさまざまなルートがございますので、余り単線的にこれをとらえ過ぎることは危険でございますが、一つ、現在、我々と申しますか、世界の政策当局者の共通の認識は、七〇年代のオイルショックのときと違って、今回の場合は、目先の原油の供給制限ということではなくて、世界経済が順調に拡大し、したがって原油に対する需要圧力が強まってきている、どちらかというと需要サイドからのきっかけというのがより強い石油価格の高騰、こういうふうに認識されております。

 この場合には、目先、突如として原油の供給制限が出てきたという場合との最大の違いは、供給制限が、目先、急に迫ってきた場合には、短期的に世界経済の潜在成長能力が落ちるということでありますので、強い引き締めが必要になる。つまり、景気に対して強いブレーキをかける。そこがおくれるとインフレが走る、そうなるとさらに強い引き締めが要る。これは、七〇年代、日本でも二回の石油ショックで経験してきたことでございます。

 需要要因が先行した今回の石油価格の上昇、これは他の、原油だけではなくて、鉄鉱石その他素原材料を含め、並行して商品市況が上がっているということからも示されておるとおり、やはり、世界の総需要、そして資源の使い方がいかに効率的かという経済政策の本来の姿に引き戻しながらきちんと判断し、政策対応ができるということだと思います。

 もちろん無限に時間的余裕があるわけではありませんけれども、ある程度時間をかけて正確に判断し、経済全体として、そして個々の企業ベースにブレークダウンしてコスト上昇圧力をいかに吸収し得るか。そして、経済全体としてインフレ期待というものが芽生えてくるかどうか、ここをきちんと判断しながら政策判断をしていく。いわばオーソドックスな経済政策の運営を、より目を研ぎ澄まして、あるいは神経を研ぎ澄ましてやっていく、こういうことではないかというふうに思います。

 現在、強い懸念を持たれている割には世界経済が比較的順調に推移している。また、強い懸念が持たれている割には世界的にインフレ期待が高まっていない、長期金利も低位に安定している。これに安んじてはいけませんけれども、そうした状況でございますので、基本的な判断に過ちなきよう、引き続き慎重にこれをウオッチしていく時間的余裕があるということだと思います。

 ただし、米国のカトリーナあるいはリタですか、ハリケーンが来て、米国の湾岸地域の製油設備にダメージを与えるというふうなことがございます。こうしたことは、目先、油の供給制約が強くないとは申しましたけれども、ハリケーンの要因が供給制約要因を手前に引き寄せる要因というのがどれぐらいあるか、この面についても十分慎重な判断が必要だ。したがいまして、長期的には、原油及び精製の段階に至る製造能力というものが長期的な世界経済の需要見通しにフィットして安定的に続くように、これが一つ重要な課題でございます。

 そして、需要の面からいきますと、先ほどおっしゃいましたように、エマージング諸国が大きく油の市場に参入してきておりますので、先進国と同様に、油の使い方の効率性向上、そして省エネ努力ということが強められていくことが非常に大事だ、こういうふうな認識が確立し始めているというふうに思います。

山本(幸)委員 最初のところで言われた、七〇年代、供給能力が足らないときに金融引き締め政策をどんどんやらなきゃいけないというのは、ちょっとロジックがよくわからないところがあるんですが、それは余り言っているとほかに行けませんので、また改めて考えたいと思いますが、そういう意味では、これはよほど慎重に考えておかないと、私は、今回の原油価格の高騰というのはこれからアメリカ経済、中国経済、東南アジア経済に相当大きな影響を与えてくるんじゃないかという感じがしていますので、ぜひ慎重に見ていただきたいと思います。

 少し話を進めますが、リスク要因は、ではそれだけなのかというと、私はどうも日本経済についてはほかにも少しあって、これは個人消費にも影響してくるんじゃないかと思っているところがあるんですね。

 それは、御承知のように、社会保障の関係で負担がどんどん上がっているんですね。この十月一日から介護保険の自己負担が上がります。年金の保険料については昨年から上がってきております。順次上がっていく。それから、これから医療制度改革、議論していますけれども、当然負担増の話になるでしょう。そして、また後に触れたいと思いますけれども、来年は定率減税の話もある。この社会保障分野での負担増というのは、かなり国民の間では大きな影響を与えるんじゃないかという気がしているんですね。

 私も、この土日に戻って、そしていろいろな、障害者の方とかあるいは施設、特養の方とかのいろいろな陳情を受けましたけれども、やはりかなり悲鳴を上げている状況ですね。こういう方たち、基本的にはやはり所得の低い層の方が多いわけですけれども、そういう方々にこうした負担増の影響がかなり出てくるんじゃないか。この点はよく考えておかないと、かつて財政再建、橋本政権のときに負担増をやって、そして景気回復の芽がつぶれたと言われているんです。そこまで大きな話にはなっていないかもしれませんけれども、この点はリスク要因として当然考えておく必要があるんじゃないかという気がしているんですが、これは竹中大臣、福井総裁、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 経済全体を安定して発展、成長させるために家計の役割が極めて重要であるということは、これはもう疑いのないところでございます。その家計に対する負担の一つとして社会保障の問題等々がさまざまな問題であるというその問題意識は、我々も大変強く持っております。

 しからば、現実の負担、それと財政との関係をどのようにコントロールしていったらよいかという極めて難しい問題が生じるわけでございますけれども、我々経済財政を担当する部局のやはり最大の責任というのは、財政の健全化と、景気と言っても結構ですけれども、経済の安定的な推移というのを両立させることであるというふうに思っております。

 そうした観点から、ここ数年来、社会保障関係の負担増、税金の問題も含めてでございますけれども、そういった公的な形での負担、そして家計の安定的な所得の成長をどのように両立させるかという議論を、かなり神経を使って行ってきているつもりでございます。一方で、広い意味での財政の健全化は行っていかなければいけませんので、ある程度の負担は仕方ないという面は当然ございます。

 現状では、そうした点も踏まえまして、私自身、昨年も与党の税調等々にも参加をさせていただいて、そういう議論をさせていただく機会もございましたけれども、そういう点については神経を使って注意深く見ているつもりでございます。今、ぎりぎりのところで、負担を少ししていただきながら、しかし景気の腰折れをしないような運営をしているつもりでございます。

 ただ、今後の問題として、これは非常に大きな問題が出てまいります。そうした意味でも、社会保障全体の負担をどのように、今後、抑制できるところは抑制する、負担すべきところは負担する、そのような形での運営ができるかということは、これは少し中長期の話として別途議論もしているところでございますので、短期の努力、中長期の努力、両方重ねていかなければいけないと思っております。

福井参考人 私からも簡単にお答えをさせていただきますと、これはまさに、政策運営上の長期的な目標とそれから短期的な景気回復という目標とのバランスをいかにとっていくか、そのバランスが崩れた場合に、御指摘のとおり短期の景気回復についてリスク要因となりかねない、こういう性格の問題だというふうに思います。

 個人の所得は、今回の景気回復過程でようやく増加の端緒をつかみ始めた、こういう段階でございます。これからも持続可能性のある景気回復を続けていけば、個人所得もじわじわと増加していくだろうと思いますけれども、この中で消費者マインドが崩れないように、長期の時間軸の政策内容というものをいかにうまく入れていくかという課題だと思います。

 私どもは、個人部門に対して、財政規律が長期的に確立されていくんだという意味からの政府に対する信認、もう一つは、そういう個々の政策、財政面からの政策内容について、十分国民の理解が得られるということで、改めてこの面からも信認が得られるということであれば、個人にとって、あるいは消費者にとって、マインドの動向に悪い影響を与えないで済む範囲内というものは十分あり得るというふうに思っております。

山本(幸)委員 経済全体を見ているとなかなかわからないところがあると思うんですけれども、例えば、きのう私が陳情を受けた人は障害者ですけれども、一級の障害者ですから年金が八万五、六千円、それで、通所授産施設で働いて七千円とか八千円ぐらいですよ。それで一人で生活している。そういう人が、個人所得が順調に回復しているといったって、そんな人のところには行かないですよね。だから、ここはやはり高給取りの感覚で考えてもらっては困るんです。

 だから、それはこういう負担増というのを、おっしゃったように長期的に財政健全化の観点からやらざるを得ないところは当然あります。ありますけれども、それは経済全体が順調に回復するという前提条件をしっかりした上でやらないと、本当に弱い者いじめになっちゃうんですね。

 だから、日本銀行、そして政府の責任、特に、経済が回復しかけている、それは私も認めます。しかし、これは非常に貴重な時期ですから、しっかりこれを伸ばして本当の、本物の回復にしないと、同時に長期的な観点から負担増ということをやっているときに、これは弱い者いじめになるということをぜひ考えておいていただかなきゃいけないし、それがふえれば明らかにリスク要因になるわけですね。

 そこのところが、そういう感覚のずれがあらわれているのがマネーサプライじゃないかと思うんですね。景気が回復している、回復していると言っているんですが、マネーサプライは全然伸びていない。私はマネーサプライが伸びないで本物の景気回復などないという立場をとっているんですけれども、なぜマネーサプライが伸びないのか、日銀総裁。

福井参考人 マネーサプライは、九〇年代以降今日まで非常に長い期間をとってみますと、その間の景気停滞ぶりに比較いたしますと、結構高い伸びが続いてきているということは事実でございます。ただ、その長い期間をもう少し短く区切ってみますと、マネーサプライの伸びと景気の動きとの対応関係が非常に乱れてきている、つまり不安定化してきている。

 これは日本独特の現象ではございませんで、先進国押しなべて、九〇年代以降、特に九〇年代後半以降、景気とマネーサプライとの直接の連関関係は非常に不安定になってきている。これについての理解はまだ完璧にはでき上がっておりませんけれども、やはりグローバル化の進展のもとで先進国それぞれにかなり厳しい構造変革を迫られていて、実際に経済構造が変革する中で、マネーサプライと景気との関係が、従来の経済モデルの中で確立していた関係が今乱れている。これが一時的であるかどうかは今後の展開を見なければわからないという状況だと思います。

 最近の日本のマネーサプライの伸び率は前年比で大体一%台後半、景気がじわじわではありますが回復を続けているもとで、少し伸び率が低いという印象が伴っていることは御指摘のとおりでございます。しかし、この点につきましても、日本の構造改革がかなり進展しつつある中ということで考えてみますと、かなりこのマネーサプライの低い伸び率というのは説明可能だというふうに思っています。

 三つばかり申し上げますと、一つは、企業がかつての高成長のときのように借金をして積極的に投資をするという時代ではなくて、むしろ、高収益、豊富なキャッシュフローを背景に設備投資を行う。そして、外部からの資金調達については極力借り入れを返済する、財務の健全化を図る、格付の向上を図りながら次のステップに行く。こういうふうに企業行動が基本的に変わってきた、構造改革の一つの大きな側面でございます。

 もう一つは、金融システムをめぐる不安感が大きく後退する中で、家計や企業が金融資産の選択の幅を広げるようになってきているということであります。御承知のとおり、銀行の窓口にいらっしゃいましても、単純に預金の拡張を目指しているという雰囲気は、もうかつてのようにございません。投資信託の窓口販売など、金融機関の窓口においてすら預金以外の商品の提供を通じて顧客のニーズにきめ細かくこたえようという経営戦略を展開しているわけでございます。こうしたもとで、M2プラスCDの対象であります銀行預金から、投資信託や個人向け国債といった金融資産へのシフトが目立って生じているということもマネーサプライの伸びを鈍化させている要因でございます。

 三つ目は、これも構造改革でございますけれども、企業収益の増加などを背景に税収が堅調に推移する一方で、支出の面では財政再建に向けた取り組みが進められているということで、財政要因もマネーサプライの伸び率、寄与度を縮小させるという方向に作用しています。

 日本の経済はこうした構造改革の進展とともに着実に景気回復する、裏腹の関係で前進しておりますので、こうした観点から見ますと、現在のマネーサプライの動きは、日本経済が持続的な成長に向けて回復を続けていくということと両立し得る整合的なものだというふうに考えております。

山本(幸)委員 私は全く整合的だという見解は理解できないですね。景気とGDPとマネーサプライの関係でマーシャルのkというのがありますが、デフレのときと普通のときとは全く違う見方をしなければおかしいと思います。

 それから、企業が構造改革で借金返済に一生懸命、それはそうでしょう。しかし、それはデフレ期待がまだ全く払拭されていないからそういう行動をとるので、やはり一番の問題は、デフレ期待を少なくともマイルドなインフレ期待に変えることができていない。だから企業はそういう行動をとるし、それを構造改革という、構造改革と言えば何でも説明できちゃうという話がありますけれども、そういうふうに説明するというのはちょっとおかしいなという気がいたします。

 それから、金融資産が非常に多様になった、それはそうでしょう。しかし、広義流動性で見ても最近は下がっているんですよ。だから、これは明らかに、実体経済でいいと言っているけれども、本物のところ、国民の肌で感じるところではそうなっていない。私は、根本的な理由は、まさにデフレ期待が払拭されていない、少なくともマイルドな一、二%ぐらいの、本来望ましいようなインフレ期待になっていないというところに原因があると思っているんですが、この点について、竹中大臣、どうですか。

竹中国務大臣 私どもも、実体経済が比較的よい方向に向かっている、これは、ことし前半のGDPの成長率だけ見ますと、日本はG7の中で最も高い部類に入る、日本の潜在成長力を上回る実物経済の成長が見られている。そういう中で、やはりデフレ問題だけが実は解消されていないということを厳しく受けとめております。

 そのためには、デフレがなぜ解消されないか。これもいろいろな要因はありますけれども、今申し上げたような実物経済要因といいますか、需要要因では少なくともないだろう。供給要因というのはあると思います。例えば、中国から安いものが入ってくる、ITの分野で技術進歩が高い。そういうものは、供給側の要因として物価を押し下げる要因はありますけれども、これは決して日本のみならず世界じゅうの要因でありますから、そうすると、残る貨幣的な要因、マネーサプライがやはりふえていないということがデフレの深刻な要因であるという受けとめ方をしております。

 このマネーサプライがやはり結果としてふえなければいけない。前年比一%の増加でデフレが解消されるとはやはりどうしても考えられないわけでございまして、マネーサプライがふえるような状況をぜひともつくっていかなければいけないというふうに思っております。マネーサプライが伸びない要因はそれなりに当然あるわけでございますけれども、それだから仕方がないというふうに言ってしまうと、デフレが起きて、デフレが続いても仕方がないということを意味してしまいますので、そこはやはり政府、日銀協力して、マネーサプライが結果的にふえるような状況をぜひともつくらなければいけないというふうに思っております。

山本(幸)委員 私も全くそのとおりだと思うんですが、では、どうしてデフレ期待が払拭できないかという話をちょっとしたいと思います。

 日本銀行は量的金融緩和というのを続けていて、これは結構なことだと私は思っておりました。これも、ゼロ金利解除の失敗に懲りてそういうことになったんですけれども、去年の一月までは大変すばらしいパフォーマンスだったと私は思っているんですが、そこでとめちゃったんですね。そこまでの伸ばしたものが今ごろきいてきて、いろいろな実体経済にいい影響を与えているんじゃないかと思っているんですが、私が心配しているのは、去年の一月以降打ちどめにしちゃったので、そっちの影響がこれから出てくる。それと、原油価格それから社会保障の負担等が絡むとちょっと心配じゃないかという懸念を持っているわけですね、杞憂に終わればいいですけれども。

 そこで、一番日本銀行にやってもらいたいのは、デフレ期待を早く明らかに払拭してもらいたい。そうしないと、どんなに金を出しても効果が薄い。これはもう経済理論からも、過去の昭和恐慌の歴史から、あるいはアメリカの大恐慌の歴史から見ても、金だけ出したらいいというものじゃない。そうじゃなくて、期待感ががらっと変わって、いや、将来的にはもうデフレじゃないんだ、将来的には少なくともマイルドなインフレになるんだというようにがらっと期待感が変わったときに、すべてがうまくいき出すんですよね。私はそう思っているんです。

 そこで、ちょっと気になるのは、ずっと日本銀行は、量的金融緩和の条件で、消費者物価上昇率が対前年比でゼロ%以上に安定的に推移した場合に解除するということを目標として掲げているわけですね。

 これは一見、そうかなという感じを一般の方は持つかもしれませんが、消費者物価指数というのは、その統計作成上限界がありまして、つまり、一つのバスケットをつくってそれを比較するわけですから、その間に経済や消費者の好みは動いてしまいますから、より安くていいものに動いているはずなんですね。それを昔のバスケットで統計をとると、必ず実態よりは上に振れるんですよ。あるいはパソコンでも、同じ値段でも中身はよくなっているわけで、そういう点からしても、このバスケットのつくり方と消費者の行動、中身から見ると、CPIだけを見ていると必ず上振れしている、上昇バイアスがかかっているわけですね。

 つまり、どういうことかというと、ゼロ%というのは、本来のものからいったら、まだマイナスなんですよ。これは実証研究が日本の場合余りないんですけれども、日本銀行の白塚さんという人がただ一人やっていますけれども、当然、日本銀行の中でそういう研究はやっているはずなんです。

 経済学者や専門家の世界での常識は、少なくとも一%以上じゃないとだめだ、CPIで一%以上にならないと本当のところはマイナスなんだというのが世の中の常識、経済学者の常識なんですけれども、それを無視して、ゼロ%以上になればいいじゃないかということでずっとやっているんですが、私は、これは危険だ、それを言っている限りいつまでたっても本来の、物価がプラスになる領域に達しない、それは余分な時間がかかってしまうというふうに思うんです。この点について、福井総裁、いかがですか。

福井参考人 かねてより幾たびかお答え申し上げてきておりますけれども、消費者物価指数の前年比変化率がゼロ%になれば日本経済が本当に最終的に我々が目指すべき望ましい、均衡のとれた経済になるとか、CPIゼロ%が我々にとって本当に望ましい物価水準であるとかいうふうに考えていないということをたびたび申し上げました。

 そういう状態に持っていくための一つの通過点、重要な通過点がCPIがゼロ%というところであり、量的緩和政策という、世界にも日本にもかつてとられたことのない異例な金融政策というものをいつまでやるんだということは、最低限そこまでやっていけば、我々はその後も安全に経済を運転していけますと。急にそこから引き締めるというふうなことを一度も申し上げたことはないわけでして、それからも日本経済に対しては、金融政策の面からは十分弾力的に、そして持続的な成長が可能になるような、そして物価の安定が最終的にうまく実現できるような経済に持っていきたい。その一つの大きな通過点がCPIゼロ%ということで、異常な政策をいつまでも続けろというふうな御意見には我々は断固くみすることはできないということでございます。

 それから、消費者物価指数についてバイアスがあるという委員の御指摘、そのとおりでございます。これはどんなに統計を完璧につくりましても、どこの国でも多少バイアスがある。そのことは私どもも十分認識しております。以前からも、日本銀行の中でも、このバイアスがどれぐらいあるかというふうなことの試算は専門家がいろいろやっておりますが、最近時点でもその作業をさらに繰り返しております。

 政府の方におかれまして、消費者物価指数の計測方法は日々改善を続けておられまして、大変ありがたいことだと思っておりますけれども、特にヘドニック法の採用等の以降は、かつて計測しましたような大きなバイアスはだんだん小さくなってきている、このことも委員は御承知だろうというふうに思っております。

山本(幸)委員 バイアスがあるということは認められているわけですね。そうすると、では、日本銀行は何を目標にしてやっているのかというところがわからない。ゼロ%というのは単なる通過点ですよ、それでいいというふうに思っているんじゃないんですよということなんですけれども、では、何がいいと思っているんだ、これが非常に重要な話になるんですね。

 日銀法二条で、日本銀行は物価の安定を通して経済の発展を図るという目的が書かれているわけでありますけれども、日本銀行の人に、では、物価の安定というのは何なんだ、定義してくれと何回聞いても定義してくれないんですね。インフレでもデフレでもない状況を物価の安定というんだと日本銀行のホームページは説明していますが、これは説明じゃないですよね。つまり、そこで一番かなめなところで逃げている。目標がしっかりしていないから、いろいろやっているといって、うまくいけば自分たちの成果になるけれども、失敗したら責任逃れができるという形になっているんですね。

 これは私は余り好ましいことではないというふうに思っていまして、ゼロ%以上というのが、そこが通過点だったら、少なくともバイアスがあるということはわかっているんだから、そこははっきりしてもらった方がいい。

 私は、そういう意味で、まず、日本銀行の政策の目的とそれから政策の透明性あるいは説明責任というのを果たすためには、安定物価目標政策、インフレターゲティング政策と言われますけれども、インフレというと調整インフレみたいな印象になるので余り使いたくないんですけれども、少なくとも、そんなことは言わない、インフレにしないようにするためがインフレターゲティングですからね。例えば、一%から三%かというような範囲をもって、上限も決めれば下限も決める。しかも、それは硬直的なものでなくて、中期的にそういう目標にするんだったら当然その間にはフレキシブルな、裁量的な政策がとれる。しかしその目標だけはっきり示してくれればあとは何をやろうと自由ですよという方が、政府と日本銀行との間の関係では非常に健全じゃないかと思うんです。

 その意味で、そろそろこの目標について、ゼロ%以上は通過点だ、バイアスがあるということを認められたわけですから、しかも景気も上向きつつある。では、どうせ量的緩和政策はいつかは解除しなきゃいけないことになる。そのときに、不安感を持たせないように、しかもまだデフレ期待が完全に払拭されていない。こういうものを全部解決するためには、安定物価目標というのはこれですと、一%から二%でも三%でもいいですけれども、まあ三%以内、一から三ぐらいの間でいきますよということをはっきり言った方が、私は、不確実性もなくなるし、日本銀行もしっかりとそのことを示すことになると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

福井参考人 まず最初に、日本銀行は今後とも金融政策の透明性を高めるために最大の努力をしていく、これはお約束できると思います。消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上になって、仮に今の量的緩和政策の枠組みを修正するという段階に入りましても、その後も、いかなるフレームワークを提示すれば期待の安定化を図ることができるか、金融政策の透明性を向上していくことができるかということについては十分工夫を加えていきたいというふうに思います。

 インフレーションターゲティングというふうに具体的におっしゃいました。

 インフレーションターゲティングというのは、金融政策の透明性を高めるための一つの枠組み、道具立てであるというふうには認識しております。しかし、実際にその枠組みが金融政策の透明性向上にどの程度資するかということは、海外諸国の例を見ましても、それぞれその中央銀行を取り巻く経済環境いかんということによってかなり異なっているのが実情でございます。したがいまして、経済環境いかんを無視してインフレターゲティングがオールマイティーという考え方は私どもはとっておりません。今後、状況の推移の中で、とり得るあらゆる可能性の中で最適なものをとっていきたい。

 諸外国において現にインフレーションターゲティングをとっている国を見ましても、その物価目標はあくまで中長期的なものであって、金融政策が短期的に無理やりその物価水準を実現するために無理な政策をするというふうな道具としては使われていない。目標を非常に透明にするとともに、その過程は金融政策が極力機動的に動き得るようにという条件も兼ね備えながら運営しているということが実情でございます。インフレーションターゲティングについては、その点についての御理解も十分国民一般の方々から得られておく必要があるというふうに思っております。

 重ねて申し上げますけれども、今後とも日本銀行としては、あらゆる手段を検討して金融政策運営の透明性向上に努力していきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

山本(幸)委員 透明性を向上させると言って、結局はっきりわかるものは何にも示さないわけですから、困ったことなんですね。

 それから、インフレーションターゲティングで、短期的なもので無理やりやるなんて、そんなことはだれも言っていませんよ。須田さんが最近やった講演でそんなことを言っているようなことを言っていますが、だれもそんなことは言っていない。枠組みとして、フレームワークとして提示しているわけで、当然、中長期的に考えて、その時点では反対の政策をやることだってあり得ることは、我々はみんな言っているわけです。

 そういう意味では、依然として日本銀行は、物価の安定とは何なのかというのがよくわからない。わからないで透明性を高めます、高めますと言っていて、結局最もはっきりしたインフレーションターゲティングという政策さえとろうとしない。これはどうも、やはり責任逃ればかり考えているんじゃないかという気がしてならないんですね。

 インフレーションターゲティングの政策については、竹中大臣、どういうふうにお考えですか。

竹中国務大臣 インフレターゲティングに関しましては、ことしの四月に経済財政諮問会議に報告されました日本二十一世紀ビジョン、これは日本の各分野を代表する六十人の専門家が集まった報告書でございますけれども、それにおきまして、望ましい物価上昇率を安定的に維持するため、物価安定数値目標、いわゆるインフレターゲティングによる金融政策の枠組みの導入を検討するということが実は提言されておりまして、福井日銀総裁からも、諮問会議におきまして、これは将来の金融政策運営上の一つの選択肢として十分これから検討しなければならないという趣旨のお話をいただいているというふうに認識をしております。

 日銀がどういう枠組みをとるべきかということに関しては、我々は、政府の立場から、むしろ日銀の独立性という問題があろうから、具体的にこうしてくれということは申し上げないようにこれまでも努めてまいりました。

 一方で、しかし、これはある中央銀行の総裁と話したときの言葉でありますが、中央銀行の独立性というのは、独立性をかち取るためにいろいろな努力をやはり各中央銀行はしてきた。その独立性をかち取るための一つの重要な要素は、説明責任を十分に果たすことである。その説明責任を十分に果たすという観点から、いわゆるインフレターゲティングをとっているという中央銀行もたくさんあるというのも事実であろうかと思います。

 最終的には、繰り返し言いますが、これは独立して日本銀行にお決めいただく問題であろうかと思いますが、実物経済が潜在成長力を上回る成長をしている中でデフレが続いているというような状況も踏まえまして、政府として努力するところは努力をぜひいたしたいと思いますし、日本銀行におかれてもそのような努力をしていただけるものというふうに思っております。

山本(幸)委員 インフレターゲティングについてはまたゆっくりやりたいと思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたい。特に、景気は今回復しつつあるというんだけれども、リスク要因もあって、やはり一番のデフレ問題、デフレ脱却というのをはっきりさせないと本物にならない、そういう状況でありますから、ここは本気でやはり政府、日銀、しっかり考えていただいて、一番いいのはこの枠組み、インフレターゲティングの枠組みだと私は思っていますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、次の問題に移ります。

 定率減税廃止の話ですけれども、これはこれから税制改正の作業が始まるわけですが、一つだけ確認しておきたいんです。定率減税を廃止したとしても、その財源は基礎年金の部分のために使うというように税調等できちっと決まっているはずでありますけれども、その点、財務大臣、よろしいですね。

谷垣国務大臣 久しぶりに山本委員の議論を聞かせていただきまして、大変勉強させていただきました。

 今、定率減税の問題ですが、平成十七年度半分廃止をいたしまして、その使途につきましては、基礎年金の国庫負担については、先般の年金制度改革において、平成十七年度及び平成十八年度において、我が国の経済社会の動向を踏まえながら、所要の税制上の措置を講じた上で、別に法律に定めるところにより、国庫負担の割合を適切な水準に引き上げるとされているのは御承知のとおりですが、平成十七年度税制改正分におきましては、初年度増収分は千八百五十億円ございますが、その一部千百一億円を基礎年金負担に入れよう、こういうことでことしの予算はつくられております。

 来年度につきましてどうするかということは、まだ、来年度というか十八年度、残りの分についてはこれからどうしていくかという問題が税についてもございますし、その増収分をどういうふうに使っていくかということについては、その中で議論をさせていただきたいと思っております。

山本(幸)委員 基礎年金の国庫負担の財源というのは極めて重要な話で、税調で議論しているときには、当然この定率減税の部分はそれに充てるという認識で議論したわけですから、これから税制改正でやると思いますが、必ずそういう方向にしなきゃいかぬなと思っておりますので、ぜひ念頭に置いておいていただきたいと思います。

 それから、年金一元化の問題についてお伺いしたいと思いますが、私は、年金一元化ができればこれは一番いいなと思っているのですね、スウェーデンの例なんか勉強いたしまして。しかし、そう簡単にいかない。一番難しい問題は何ですか、厚生労働大臣。

尾辻国務大臣 どういう一元化をするかによってまた今の御質問のお答えも変わってまいりますけれども、仮に、自営業者もサラリーマンと共通の所得比例年金に一元化するとした場合についての大きな問題点についてお答え申し上げたいと思います。

 大きくは二点あると思いまして、一点がまず、自営業者の所得をどういうふうに捕捉するか、これが大きな問題点、一点だと思います。それから、現行の仕組みの中でいいますと、サラリーマンの場合は事業主負担が半分入っておりますけれども、今度は、自営業者の皆さんがそうなった場合に、保険料負担をどうするのか。サラリーマンの場合は事業主が半分払っておる、そことの兼ね合いをどうするのか。これが二点目の大きな問題であろうというふうに考えております。

山本(幸)委員 その最大の問題は所得の捕捉ですね。

 そこで、私ども、先ほども申し上げたように、社会保障で負担を増加させるということで負担増をお願いしているわけですけれども、そのときに、やはり所得の問題が必ず出てきまして、所得の低い人に対してはそれなりに手当てをしなきゃいかぬという議論が出てくる。しかし、そういう議論のときに、では、所得は低いけれども財産をたくさん持っている人はどうするのかという話も必ず出てきまして、これから年金の問題で、一元化に対しては絶対所得の捕捉が必要になる。そのほかの介護にしろ医療にしろ、所得の問題というのが、あるいは資産の問題というのがどうしても出てくると、これを捕捉するようなことができていなければ、年金一元化なんというのは遠い話になっちゃうので、私は、この際、納税者番号制度を真剣に考えるべきじゃないか。

 私は、民主党も反対しないと聞いていますけれども、与党が三分の二で民主党の皆さん方も賛成するんだったら、すぐできるんじゃないかと思うんですが、財務大臣、すぐ取りかかるおつもりはありませんか。

谷垣国務大臣 納税者番号制度については、いろいろな意味で、私は税の合理化という上に大きく役立つ制度でないかと思っているわけであります。しかし他方、年金一元化の議論に関連して、この納税者番号制度について過大な期待があることも事実でございまして、これを導入していった場合にすべてがきれいに捕捉でき、きれいに整理ができるというような議論もあって、それはやや過大な期待ではないかと思います。

 ただ、今後、先ほど申しましたように全体の税制度を合理化していく上では大きな意味がある制度だと思いますので、私どももきちっと議論をしていきたい、このように思っております。

山本(幸)委員 これは、議論も今まで相当やっていますから、もう余り時間をかける必要はない、やはり本気でこの際やるべきだと思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 それから最後に、医療制度改革の議論がこれから始まるんですけれども、この医療制度改革の中で、この前の与謝野政調会長との質疑でも出ていましたけれども、いわゆる総枠管理というような話が出ている。それに対して、項目の積み上げでいくんだというような話も出ていますが、総枠管理制度というものについて、どういうふうに厚生労働大臣は考えていらっしゃるのか。問題点等があれば、お聞かせいただきたい。

尾辻国務大臣 総枠管理制度というのは、経済財政諮問会議あたりが言っておられることでありますけれども、何がしかの経済指標に合わせて総枠で医療費をきっちり抑えるということの考え方であります。

 それに対して、私どもは、一つずつ、抑制はしなきゃなりませんから、抑制策を積み上げていって、その答えが一定の抑制につながれば一番好ましいと思っておりますということを言い、この十月中旬にもそうした私どもの試みの案は出させていただきたいというふうに考えておるところでございます。

山本(幸)委員 総枠管理制度は、どこが問題だというようなことはございますか。

尾辻国務大臣 過去の数字で見ますと、医療費は毎年三ないし四%伸びておるという事実もございます。ただ、これをそのまま放置できないので、抑制しなきゃならないというふうには考えておりますが、そうした、現実に医療費が三ないし四%伸びていくということと、それから総枠として頭から管理するという方法との兼ね合いがうまくいくかどうかということを、私どもはある面懸念をいたしておるわけでございます。

山本(幸)委員 総枠管理制度という、機械的にやることがこの社会保障の問題については適当でないと私は思っているんですけれども、そういうことを含めて、これから、医療制度改革、いろいろ細かいことをちょっと聞きたかったんですけれども、申しわけありません、時間がなくなりましたので、ぜひしっかり、できるだけのこともちゃんとやらなきゃいけないと思いますので、大いに頑張っていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

渡海委員長代理 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、上川陽子君。

上川委員 自由民主党の上川陽子でございます。

 きょうは、予算委員会ということで、私にとりましては初めての予算委員会での質問ということでございます。今回の総選挙を通じまして国民の皆さんが示しました改革への期待にどうこたえていくのか、幾つかの基本的なテーマにつきまして、日ごろ私が考えていることに、各大臣どのように基本的なお考えをお持ちなのか、お伺いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 今回の総選挙で有権者の皆さんは、命がけの姿勢で郵政改革を推進してきた小泉総理に対し大きな支持を与え、また、年金を初めとする社会保障制度の改革や財政改革、少子化対策など、さらに続く改革に対し大きな期待を明確に示したというふうに思っております。

 小泉改革イコール郵政民営化イコール新しい自民党イコール党公認候補という非常にわかりやすい図式が有権者に浸透し、政権与党である自民党が大勝したと思っております。長年の年功序列の自民党に新しい動きがあったことも有権者の好感を集めたというふうに思っておりまして、とりわけ、若い多くの候補者が起用されたことや、またそして何よりも大変うれしいことは、女性の多くの候補者の登用があったこと、自民党みずからの改革の意思と姿を象徴するものと受け取られているのではないかというふうにも思っております。

 総選挙後、地元に帰りますと、有権者の皆さんから、改革を進めていく姿勢を厳しく見詰めていくよというような声をかけていただくわけでございまして、皆さんの期待が大きいだけに、真摯に改革を進め、そして目に見える成果を上げていくということが政権与党の大きな責任であるというふうに思って、これは肝に銘じていかなければいけないというふうに思っております。

 そこで、まず谷垣財務大臣にお伺いしたいと存じますけれども、今申し上げたように、今般の選挙を通じまして、国民の皆さんが改革への期待を非常に明確に示されたということでございますので、財務大臣として、そのお気持ちというか、どういうふうにお感じになられていたのか、まず総括的なお話をお伺いし、そして、今回予算編成という大事な時期でございますので、過去二回の予算編成をなさってきたということがございますけれども、今回の総選挙の結果を受けての平成十八年度予算に対しての取り組みの姿勢につきましても、御所見をお伺いしたいと存じます。

谷垣国務大臣 今、上川委員もおっしゃいましたように、この選挙戦を通じて、有権者の皆さんの改革に対する非常に強い期待というのを私自身も感じたわけでございます。

 改革、いろいろな方面にわたりますけれども、郵政民営化というのは一つの象徴でございまして、その背後に、私は、財政をしっかり立て直してもらいたいという御意見が強かったというふうに感じております。これは私の職責でございますから、子供たちや孫たちの世代にツケを先送りしないような体質を早くつくっていくということに全力を傾けて当たりたい、この選挙を終えまして決意を新たにしたところでございます。

 二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支のバランスをとるという目標を掲げておりますが、骨太の方針二〇〇五におきましても、ことし六月に閣議決定された分ですが、今後一年ぐらいをめどとして、その改革の道筋をはっきりさせていく、工程表を明らかにしていくということになっておりまして、平成十八年度予算はそのための土台固めの予算ということにしなければいけない、こういうふうに思っております。

 具体的に申しますと、医療制度改革であるとか三位一体改革であるとか、あるいは公務員制度改革といったものがことし、十八年度、どうしても取り組まなければならない大きな課題でありますけれども、それにとどまらず、聖域なき歳出構造改革ということを実現しなければいけないと思っておりまして、そういうことを通じて、公債発行額を極力抑制していく、こういうことで臨みたいと思っているわけでございます。

上川委員 ただいまの財務大臣の、郵政民営化は改革の象徴である、その先の構造改革という中で、とりわけ財政改革への重い責任ということをおっしゃられたというふうに思いますけれども、今、最終的に公債発行額をできるだけ抑制していきたい、こういうお話がございましたが、具体的にどういう形で平成十八年度の予算に盛り込んでいかれるおつもりであるのか、もう少し具体的にお伺いいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 まず、最後のところでちょっと申しましたけれども、歳出の大きな項目は、一番が社会保障でございます。それから、その次が国債費ということになっております。三番目が、交付税、国と地方の関係であります。もちろん、聖域なきということでありまして、すべてにわたってやらなければなりませんけれども、大きなところに手がつかないようじゃ、これはなかなか進まないわけでございますから。

 特にことしは、社会保障制度改革の中で医療制度というものをどうしていくかということが大きな課題でございまして、医療給付というのは国民経済の伸びを超えて伸びているという構造になっておりますから、これが持続可能なようにしていかなきゃいけない。ことしも社会保障全体では八千億の自然増というものが見込まれる、それを何とか身の丈に合ったものにしていきたいということが第一でございます。

 それから、国債費の方は、国債費だけ圧縮するというわけにはこれはまいりませんで、全体の体質をよくしていかなければ国債費の圧縮というのはできません。そこで、これは全体をやりながらやるということでございますが、いわゆる交付税改革といいますか、三位一体ということでやっております。幾つかまだハードルもございますけれども、何とかこの秋、集中的に議論をして、この三位一体というものもきちっと道筋をつけてまいりたい。そういうことを通じて極力公債発行額を圧縮していくということの道筋をつけたいと思っております。

上川委員 今、歳出の削減ということで、社会保障制度を含めまして、大変大きな項目を三つほど御指摘になられましたけれども、今ふと、小泉政権が誕生したときに、公債の発行額を三十兆という形で抑制して、大きな目標を設定したときのことを思い出し、そして、その後、税収がなかなか、減収していくという状況の中で、公債費が三十兆を少し上回るという中でこの間来たというふうに思うんですけれども、今のように、総量規制という形で公債の発行枠を、三十兆という数字はともかくとして、しっかりとその枠を決めていくということについてのお考えにつきましては、どのように今感じていらっしゃるのでしょうか。

谷垣国務大臣 公債発行額がどのぐらいになるかということは、一方で税収の伸びがどのぐらいになるかということもございます。

 それから、私の立場としますと、できるだけ発行を抑制したい、孫悟空の頭に輪がはまっておりますようにぎゅうぎゅう締めたいという気持ちが一方であるわけでございますが、予算編成の中で、具体的な政策議論もしながらやっていかなきゃなりません。余りぎりぎりやりますと、実際、これからのいろいろな動向を見ながら政策議論をする余地というものもほとんど縛ってしまうということにもなりかねませんので、その辺を見ながら、どのあたりが目標か、落ちつきどころか、今いろいろ腹の中で策を練っているところでございます。

 よろしくお願い申し上げます。

上川委員 ぜひとも、ぎりぎりと絞りながらも、しかし全体のバランスということを考えながら、この平成十八年度につきましても取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、竹中大臣の方と村上大臣にお伺いしたいと存じますけれども、改革の意思決定の仕組みということでございます。

 五年前に省庁再編が行われまして、政治主導の国家運営の象徴として、内閣府や内閣官房への権限の集中ということが行われました。またさらに、小泉政権のもとで、改革の司令塔として経済財政諮問会議が本格稼働を開始し、規制改革・民間開放推進会議等とも相まって、総理主導により改革を牽引していくという姿が定着してきた感がございます。

 この結果、ややもすれば与党よりも政府主導による、政高党低という見方もあるわけでございますが、そうした政府と与党との関係について、緊張関係も含めまして、それぞれの会議の担当大臣として、現在どのように評価をしていらっしゃるのか、また今後どうあるべきとお考えであるのか、それぞれお聞かせいただきたいと存じます。

竹中国務大臣 経済財政諮問会議についてでございますけれども、これは二〇〇一年の行革の中で、総理のリーダーシップを支える知恵の場として、関係閣僚や民間議員等の現場感覚や経済に対する専門的な洞察力を活用しながら具体的な建議を行う、そのような中で、骨太の方針を取りまとめるなど、また「改革と展望」というような形で経済財政の運営を示すなど、日本の経済財政政策のかじ取りを担う、そういう役割を担っているということかと思います。

 諮問会議の役割というのは、基本的には、先ほどからも少し議論になりましたが、マクロ経済政策と財政政策を整合的、一体的に見ようというのが一つの大きな目的であると思います。それともう一つ、骨太の方針に象徴されますが、まず政策の基本的な方針をオープンな形で議論して、それに基づいてしっかりと予算をつけていく。政策は何らかの形で予算、お金の裏づけを必要としますので、そういう政策のプロセスをオープンにしていくというのが二つ目の大きな目標ではなかったかというふうに考えております。

 これは新しい仕組みでございますから、我々にとってもまた与党においても、当初はいろいろな戸惑い等々もあったわけでございますけれども、五回のこういう骨太方針の作成等々を通しまして、次第にでありますけれども、いろいろな形で、オープンな議論をよりするというような形が定着しつつあるというふうに考えております。

 そのような意味では、あくまでもやはりオープンな政策プロセスというのが重要なポイントであると思いますので、ようやくそういうプロセスが成熟してきた中で、今後とも、さらに開かれた議論を活発に行いながら、構造改革の加速、拡大に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 これは、毎年毎年、やはり相互にお話し合いをして、新たなイノベーションといいますか、新たな仕組み、工夫が必要であるというふうに思っております。今後ともそういう工夫をぜひ続けたいと思っております。

村上国務大臣 上川委員にお答えします。

 規制改革や行政改革は、構造改革の重要な柱として、政府等においては精力的に取り組んできておりまして、今まで規制改革については、小泉政権成立後の四年間で約二千項目を超える改革が既に実現しております。

 そういう中で、私が率直に今感じていますのは、一年間やらせてもらって、規制改革等については残念ながら応援団が非常に少ないということも事実であったと思います。そういう中で、これらの成果は、規制改革・民間開放推進会議また財政諮問会議の委員の皆さん方の大変な御努力というか御尽力があったというふうに率直に評価していいんじゃないかな、私はそのように考えております。

 また、こうした推進会議における活発な御審議を尊重しつつ、政府としては、責任ある決定を行うべく、昨年、規制改革・民間開放推進本部を設置して、総理及び各省大臣のリーダーシップのもと、規制改革を推進する体制を充実させているところであります。そして、こうした枠組みのもとで、必要に応じて小泉総理の指示のもとでいただきながら、私どもも関係閣僚と鋭意折衝を行ってきました。

 例えば、去年は、御高承のように、長年の懸案であった混合診療の解禁について、がん患者や先進医療の取り組みの東大病院や阪大病院の先生たちの切実な要望にこたえる仕組みを構築させていただきました。

 また二番目に、お役所仕事を改革し小さな政府を目指すという意味で、市場化テストについて、社会保険庁関係、ハローワーク、刑務所関連業務を対象とするモデル事業を開始することになりまして、私としては大きな一歩を踏み出したんじゃないかという気がしております。

 さらに、今まで検討が難しかった中医協の抜本的改革についても議論を開始して、現在、改革の実行に向けた取り組みが進められているというふうに考えております。

 御高承のように、郵政の後には、財政、経済、教育の構造改革がずっと続いているわけでありまして、今後とも、そういう規制改革・民間開放推進会議、経済財政諮問会議等における民間の有識者の皆さん方による活発な御審議と、それから総理のリーダーシップのもとで政府としての精力的な取り組み、これらを車の両輪として、さらに与党や国会の皆さん方の御理解をいただいて規制改革や民間開放を強力に推進していきたい、そういうふうに考えております。

 以上であります。

上川委員 大変貴重な御指摘ありがとうございました。御評価ありがとうございます。

 実はここに、平成十三年の十二月二十七日に竹中大臣が、総理が就任されて八カ月の段階での「「経済財政諮問会議」の成果とこれからの経済財政政策」ということでメモをまとめていらっしゃいまして、三ページあるんですけれども、読ませていただきました。

 ちょっと印象なんですけれども、この時期のイメージは、経済と財政、この国の経済をどうしていくか、当時は大変な経済の低調な状態にありましたし、そこから脱却をいかにするかということについての大きな課題がありましたので、そうした傾向が強いというふうにも思いますけれども、非常に経済の分野に特化したような形でのコメントというかまとめが書かれております。

 最近の状況の中で感じることは、やはり経済、もちろんいろいろな分野にかかわる、最終的には総括をするべきことではありますが、先ほど尾辻大臣が社会保障の総枠制の話についてのコメントを少しされておりましたけれども、社会保障とかいろいろな分野の構造改革の総取りまとめのような形での位置づけが非常に強くなっていて、その分だけ経済的な視点からの主張というのが非常に前面に出がちであるというような印象も感じるわけでございます。

 今、ちょっと後ほどお伺いしようかと思っておりましたけれども、総枠規制も含めまして、経済財政諮問会議の指摘としてはそうなっているけれども厚生労働省としてはこうだというような、そういう考え方について、若干、これから大きく議論していく、大きな議論が出てくるというような予感のする御指摘がこの場でもございました。

 財政諮問会議のこれからの役割、今後の姿を考えたときに、全体のそうした隅々までの分野における改革を方針として出しながら、それを財政の面でもあるいはさまざまな分野の制度改革の面でも、そこを中心としたリーダーシップで進めていくというような方向がこれからさらに加速をしていくものなのか。それとも、経済財政諮問会議では比較的財政と経済中心で、そしてその他の分野については専門専門の中でやっていく、一点集中ではなくてバランスをとってやっていくような仕組みにしていくべきなのか。

 この辺については、私もちょっと見えない部分もあってこれからよく考えなきゃいけないわけでありますが、どのようにイメージされていらっしゃるのか。もう一段の御意見をお伺いしたいと存じます。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 経済財政諮問会議の運営を担当する役割を私自身は担っているわけでございまして、日々ある意味で悩んでいることについて委員は御質問をしてくださったというふうに思っております。先ほどから、例えば社会保障とかそういった問題について、純粋経済、純粋マクロ経済から少し外れたといいますか、そこよりさらに広い問題を最近はよく議論しているねという御指摘は、実はそのとおりであろうかと思います。

 なぜそうなっているかといいますと、財政の健全化を考える場合に、やはり社会保障と、それと国と地方の関係等々が非常に重要である。そうすると、国と地方になりますとやはり三位一体であり、実はその中に教育の、義務教育の補助金等々が入ってくるという形で、経済から考えると実はそういうところに行く。社会保障の医療費をどのように今後ある程度身の丈に合ったものにしていくかという議論も、同様の問題を抱えているわけでございます。

 決して我々は、すべて諮問会議でできるなどとは全く思っておりませんで、これは三位一体の関係で教育について、やはり教育については私たちではできないんだ、だから中教審でしっかりやっていただきたいということで、今文部科学大臣にもお願いしているところでありますし、社会保障については、諮問会議は諮問会議で議論をさせていただきますけれども、別途、官房長官が主宰する懇談会のようなものがあって、その意味では、諮問会議で問題提起をさせていただきますけれども、やはり議論としてはまた非常に多様な議論の仕方をしていただかなきゃいけないということは強く認識をしております。

 一方で、実は経済財政諮問会議というのは議長が総理大臣でございます。その他の審議会等々については、その座長、議長というのは別にいらっしゃるわけでありますけれども、総理が直接やはり議長をしておられる諮問会議でありますので、その意味では、経済財政政策全体のことについての議論は、やはり当然これはしていくということになるのかなと思っております。

 しかし同時に、繰り返し言いますが、教育しかり、社会保障しかり、諮問会議の中で完結できるような話ではとてもございませんで、そこは総理、官房長官とよく御相談をしながら、場合によっては必要な懇談、協議の場を設けていただいたり、各省庁でしっかりとお願いして、総理の前で、諮問会議で議論していただいたり、適宜適切にやはり議論をしていかなければ、これはとても我々としても運営できないというふうに思っております。幅広く御意見を伺いながら、よい議論ができるように運営していきたいと思っております。

上川委員 これから改革の本当に大切な項目が並ぶわけでありますので、一点の集中の中ですべてが解決するというようなイメージを国民の皆さんが持つということについては、私はやはり抑制的であるべきというふうに考えておりますので、それぞれの場所場所の中で、つかさの中での議論に十分に緊張関係を持って、なおかつ協力をしながら、国民の皆さんにとってはしっかりとわかりやすい形で示していく全体像ということが大事ではないかというふうに考えております。よろしくお願いをいたします。

 ちょっと何か時間が、追加で申しわけございませんけれども、社会保障の観点のことについてお伺いしたいというふうに存じます。

 先ほど年金の一元化のお話がございまして、総理の所信表明演説でも、厚生年金と共済年金の一元化の議論を、今回の官民格差の是正から着手するということを明確に主張なさいましたので、これから秋口にかけて十分な議論を進めていくというふうに思っております。

 私は、年金の問題を少し考えさせていただく中で、国民皆年金の制度というのはすばらしい制度であるというふうに思っておりますし、同時に、これを持続していくということについては、最大の命題だというふうに思っております。

 しかし、余りに国民皆年金がうまくいったせいなのかどうかはわかりませんけれども、本来、共助の仕組みというのは世代間の相互扶助ということでございまして、その前提としてやはり自助ということ、そしていざというときには、モラルハザードを起こさない限りで公助という形の、やはり自助と共助と公助というこの三つがバランスをしっかりとっていって、そしてその中で共助が、しっかりと皆年金制度が維持されていく、このことが大事ではないかというふうに常々考えているわけであります。

 しかし、高齢者の生活費に占めるその公的年金の比率を見てみますと、もう約七割にも達しているという状況でありまして、この後もいろいろ改革を進める中でも、恐らく、今もう既に権利を得ている方たちにとりましても、またこれから若い世代がこの皆年金の仕組みを維持していくということにつきましても、なかなか難しい問題があるということでございます。

 私は、考え方の基本に立ち返って考えますと、やはり、もう一度申し上げますけれども、貯蓄や個人年金などの自助と、そして公的年金などの共助と、そして生活保護などの公助の三つのバランスを前提にして高齢者の生活を支えていくという制度を目指しながら、皆保険の仕組みも努力して積み上げられてきたものというふうに思っておりますが、こうした現行制度の今の時点の姿を考えたときに、今のような基本的な考え方でこの先にも取り組んでいくということについては大臣はどのように考えていらっしゃるのか。それから、年金のウエートが七割を占めているということについての現行の状況についても、評価、現状の見方ということで御意見をお伺いしたいと存じます。

尾辻国務大臣 今るるお話しいただきましたけれども、我が国の社会保障のあり方を考える上では、御指摘のとおりに、自助、共助、公助のこの三つの適切な組み合わせが必要である、重要であるというふうに考えております。

 この社会保障制度を振り返ってみますと、生活に困窮した人に対する公的扶助、すなわち公助の仕組みがまず整備をされました。そしてその後、社会経済の発展の中で、年金でありますとか医療保険などの社会保険制度、すなわち共助の仕組みが整備されてまいりましたけれども、現在ではこの社会保険が我が国の社会保険制度の中核となっておる。高齢者の皆さんについてのお話もございましたけれども、現状は全くそのとおりだというふうに認識をいたしております。

 この公的年金制度が成熟化する一方で、子から親への私的な仕送りなどが減少いたしました結果、御指摘のように、現在の高齢者の生活の中で共助の仕組みである年金の重要性が高まってきております。その一方で、高齢期において、公助である生活保護を受給している人の割合は二%程度にとどまっております。したがいまして、この年金の仕組みが、そして、国民皆年金というふうにおっしゃいましたが、この仕組みができてから、お年寄りの保護率、生活保護の保護率というのはどんどん落ちてきまして、今申し上げたような数字であります。したがって、今そういう状況になっております。

 このように、社会保険としての公的年金制度が大きく発展し、老後の生活を下支えしてきたことが生活に困窮することを事前に予防し、大多数の国民の自立した生活を可能にしているものと考えております。

上川委員 最近、若者のニートの問題ということで問題になっておりますけれども、若い方たちが、働くということについての意欲とか、あるいは生きるということについての前向きな姿勢というものがなかなか、私なども考えても、お話をさせていただいても、違うなというふうな思いをするわけでございまして、こういう世代が皆年金の仕組みの中にしっかりと入っていく、また、四十年後、二十歳から四十年間掛け続け、また六十五歳から受給されるということでありますけれども、その時点になったときに、本当にその理想というか基本的な考え方が維持できるかどうかということについては、さらに突っ込んで議論していかなければいけないというふうに思っております。

 いずれにしても、やはり自助、働いて、ためて、そして自分たちの老後もしっかりと自分たちで立っていく、そしてやはり共助の中で相互の支え合いを世代間でもし、そしてなおかつ、いざというときにはしっかりとセーフティーネットとしての公助がある、こういうことの基本的な理解ということについては相当しっかりとやっていかなければいけないというふうに思っておりますので、尾辻大臣におかれましては、ぜひともそうした点も踏まえてお取り組みをいただきたいというふうに存じております。

 時間があと十分ということなので、ちょっと少子の問題に移らせていただきたいと存じます。

 ことしは戦後六十年ということでございまして、自民党も結党五十年、記念の年を迎えております。

 私ども、自民党の中の女性局では、ことしは結党五十年の節目の年ということもございまして、少子の問題に取り組む子どもHAPPYプロジェクトということで一年間の行事を立ち上げまして、そして今、組織を挙げて取り組ませていただいているところでございます。七千七百十一名の、十代から三十代あるいは四十代の若干、初期でありますけれども、皆さんの御回答を得ながら、結婚、出産、そして子育てに関する全国アンケートを実施させていただきまして、大変いい回答を得られたわけでございまして、六月にその公表もさせていただいたところでございます。

 その中には、予想外に、やはり子供は人生にとって宝である、豊かにするものであるということについて、前向きな意見を表明されてきましたし、また、子育て中のお母さんやお父さんの中には、自分の手で子供を育てたい、あるいは子供と一緒に過ごす時間を大切にしたいというような思いを強く出されてまいりました。

 しかし、もう一人子供を産んでねというような質問に対しましては、やはり経済的な問題や、あるいは子育てには心身の疲れがあるとか、仕事の両立の面で困難である、あるいは配偶者の育児への非協力があってなかなか産めない、そうしたライフステージごとにそれぞれの意見が出されている、悩みがあるということも明らかにされたところでございます。

 こうした意見も踏まえまして、女性局では、特に中小企業を対象にした育児休業制度の取得を促進していくための前向きな手だてを講じていただきたい、また、仕事と子育てあるいは生活の、ワークライフ及び子育てのバランスをとる運動をしっかりと進めていってほしい、あるいは、子供が生まれた年には所得税や住民税は無料にしてほしい、あるいは、小学校へ上がるまでの医療費につきましても無料にしてほしいというような、大胆な政策の提言を全国挙げてさせていただいているところでございます。

 今回、骨太の方針でも少子の問題につきましては大きな項目の一つに挙げているところでございますので、そうした現状を踏まえて、平成十八年度の予算の中に具体的に、国民の皆さんが前向きに子供を大切にする社会、あるいは子供を産んで、みんなでその成長をはぐくみながら、そして私たちの日本の国をつくっていく社会、こういうことにみんなで協力していただくためにも、相当思い切った施策をしていくべきだというふうに考えております。予算の概要を少し見せていただきますと、そうした気持ちが前面に出ている姿にはなっていないということでございまして、その点でも骨太の方針とは何なのかなというような思いもしているところでございます。

 この点につきまして、尾辻厚生労働大臣それから少子化担当の南野大臣に、それぞれお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

尾辻国務大臣 ただいまお話のございました子どもHAPPYプロジェクトの提言は、私も拝見をしたところでございます。

 お話ございましたように、若い世代の方々を対象とする大規模なアンケート調査も行っていただきましたし、そのアンケート結果から浮かび上がりましたところの、子供と過ごす時間を大切にしたいという切実な願いでありますとか子供の安全や治安に対する不安などをもとに、具体的な政策要望として取りまとめられておりまして、私といたしましても、女性局の先生方のこのような御尽力を大変心強く感じておるところでございます。

 そして、今大胆なとおっしゃいましたが、本当に、見せていただきますと、極めて大胆な御提言をいただいておりまして、私どももぜひ取り上げて、頑張ってまいりたいと思っておりますけれども、今、来年度概算要求で要求しておりますところの中に先生方のその大胆な御提言が具体的に入っておりませんことはそのとおりでございますので、今後また、私ども頑張っていきたいと思いますし、御指導をよろしくお願い申し上げたいと存じます。

南野国務大臣 自民党の女性局としてのこのようなHAPPYプロジェクト、これは、御活躍を含めて、本当に先生に敬意を表したいと思っております。

 先生が御提言されているその予算を本当にテーブルにのせられるように、今我々必死に努力しているところでございます。

 先生からのお話がございました六月公表のアンケート、全国で八千人がこれに応募をされている大規模なアンケートであったかなというふうに思います。子育ての経験は人生を豊かにするというプラス思考、また、子供の成長、ライフステージに応じて子供に支援する多様なニーズが存在する、必要である、このようなさまざまなことが明らかになって、大変に参考になっております。

 さらに、我々政府といたしましては、各省庁一体となりまして、昨年策定しました少子化社会対策大綱及び子ども・子育て応援プラン、これを着実に実施させていただいております。最近では、小泉内閣のメールマガジンでも少子化対策の特集を組みまして、同じくアンケートを行い、一万八千名近くの国民の声を伺う、そのような取り組みも進めております。

 児童虐待ゼロに向けましても、新生児家庭訪問のモデル事業など、これを着実に進めてきております。

 今後は、閣僚、有識者等が連携しまして、トップ会談などもございます、取り組む体制を整備し、今後の少子化対策のあり方について検討を進めることとしております。先生が御提言せられました、また進めてこられましたHAPPYプロジェクトの御提言など参考にしながら、少子化対策を一層強力に進めていきたいと考えております。

 先生のこの御提言の中にありますベビーボーナスの創設、また子供医療の無料化、こういった具体的なことが盛り込まれておりますので、大いに参考にさせていただきたい、予算についてはしっかり頑張っていこうというふうに思っております。

 ありがとうございました。

上川委員 全国の皆さんが注目をしているということでございますので、ぜひとも期待が落胆にならないように、前向きな御検討をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 時間がございませんけれども、最後の質問でございます。

 私は、当選の一期目のときに、IPUの女性会議の副議長ということで、途上国を訪問する機会がたくさんございました。その中で、ハイチの方にもユニセフで谷垣大臣と同行させていただいたことがございますが、貧しい国の中で、貧富の差がありながら、大変な厳しい環境の中で子供としても生きている。そして同時に、女性や子供は人身取引等の被害に、大変多くの悲しい状況に置かれているということ。どの国でもそうした現状を見ますが、しかし、その中で、子だくさんの家族連れの姿が町にあふれているということを見ますと、今の日本の社会にはなくなっている現象であるということで、大きな寂しさを感じるものでございます。

 やはり子供が笑顔で、元気な声を出して、地域社会の中で伸び伸びと生きていくような日本の社会をもう一度つくっていきたいなというのが私の夢でございますが、谷垣大臣は、家族のきずな、地域社会のきずな、あるいは国民と国との間のきずな、こういうものを信頼の中でつくり出していくということが、これからの社会づくりの中で非常に大事であるというような御指摘をされていらっしゃるというふうに承っております。私も、そのとおりである、とりわけ最近はそういう感じを強くしているところでございます。

 これから国民の皆様に構造改革その他、協力をいただかなければいけない。大変厳しい状況の中で、しかし、やはり夢を持って協力をしていただく気持ちをぐっと引き出していくためには、そうしたきずなをしっかりとつくっていく姿勢を政治の中でも示していくべきではないかというふうに感じておりまして、これから社会構造改革の推進、とりわけ財務という形の中で進めるわけでございますので、その思いというかあるいは基本的なそうした考え方につきまして、最後にお伺いさせていただきたいと存じます。

谷垣国務大臣 上川さんと御一緒に、ここに座っておられる方では南野大臣とも御一緒に、子供たちの状況、あるいはそういう中でエイズがどういうことになっているのかというようなことを勉強しにハイチへ参りましたことを今でもよく記憶しているところでございます。今、上川さんもおっしゃったように、大変厳しい状況でございました。市民生活も本当に破壊されているような状況の中で、やはり家族のきずなを求めて一生懸命頑張っておられる人たちの姿も拝見したわけであります。

 今、日本は、どなたもおっしゃいますが、一方で少子高齢化、これは人口減というところまでいっているわけですが、それとグローバル化というような中で、何とかそこで日本がやっていけるような形をつくらなきゃいけないということで、いわゆる構造改革、改革なくして成長なしということを言っているわけですが、私自身も、これだけ人口が減っていくという中で国際的な競争で生き残りをしていくということになると、生産性を高めていく、効率をよくしていく、こういうことが一方でなければ、とてもできないだろうというふうに思っております。

 しかし他方、改革の目的が効率性だけということではなかなかうまくいかないんじゃないかなということで、今、上川委員が指摘されましたように、家族のきずなや地域社会のきずなや国と国民のきずなというものがやはりなきゃいけない。これは伝統的に我が国の政治が大事にしなきゃならないと考えてきたものだと思いますが、やはりこういうことをもう一回取り上げて、さっき申し上げた競争の中で生き延びていく活力をつくる上でも、お互いに信頼があるじゃないかというふうに持っていかなければいけないんじゃないかなと考えております。

 私の仕事は、財政をどうしていくかということが仕事でございますが、先ほど、自助、公助、共助ということをおっしゃっておられました。私どもも、財政を立て直すに当たって、どこまでが自分でやるべきことか、どこまで国に求めるべきことか、その負担をどうすべきか、こういうことは国と国民の信頼のきずなという意味からも大きく議論を喚起してやっていかなければいけない、こう思っておりまして、またいろいろお教えを賜りたいと思っております。

上川委員 時間が参りました。ぜひとも、新しい社会の形をつくっていく原動力の中にそうした面をしっかりと据えた議論をこれからもやっていただきたいし、また、一緒にそれに向けて頑張らせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

甘利委員長 これにて上川君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 私は、本日は、郵政民営化後の構造改革のテーマのうち、政策金融改革、それから公務員、特に定員、人件費の改革等につきまして、二十分という持ち時間でございますので、その時間内でしっかりとやらせていただきたいと思います。

 まず、政策金融改革でございますが、骨太方針の中で、本年秋に「政策金融のあるべき姿の実現に関する基本方針を取りまとめる。」というふうにされておりますけれども、この基本方針にはどういう内容が盛り込まれるのか。また、その基本方針をもとにして、全体的なスケジュールとしては平成二十年度以降に新体制に移行する、その法案の提出時期のめどがどのくらいなのか。まず、竹中大臣に伺いたいと思います。

竹中国務大臣 二点でございます。

 まず、政策金融のあるべき姿の実現に関する基本方針にどういう内容を盛り込むかということでございますが、実はこれからその内容は詰めるところでございますので、現状で明確なことを申し上げるというのは困難なわけでございますが、平成十四年十二月に政策金融についてというのを既にまとめております。その中では、改革後には、量的にも質的にも民業補完に政策金融は徹しなければいけない、量的にも質的にも民業補完に徹する、そういう姿を鮮明にしていくということがやはり何といっても重要であろうかと思います。

 そして、その結果、直接貸付残高を、諸外国に比べて日本は非常に今大きいわけでありますので、対GDP比で半減するというようなことを目標に掲げて、そのあるべき姿を描いていく、そういう内容になろうかというふうに思っております。

 その後の法案のことでございますけれども、これも、この基本方針をもとにして平成二十年度以降に新体制に移行するということが既に決められておりますので、それに向けて、どういうスケジュールになるか、その点につきまして、今の内容との関連も含めて今後詰めていきたいというふうに思っているところでございます。

石井(啓)委員 今大臣がおっしゃった平成十四年十二月の経済財政諮問会議の取りまとめの中には、政策金融のあるべき姿として四つ挙げられていますね。

 まず一つは、対象分野を厳選していく。二つ目には、規模を縮小していく。この中に、将来的にGDP比半減ということが書かれています。それから、組織の見直しをする。四つ目に、金融手法の見直しをしていく。

 この四つについてはそれぞれ具体的な方針が盛り込まれる、こういう理解でよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 四点御紹介いただきまして、ありがとうございます。その四点について議論を深めて、基本的な方向を示さなければいけないというふうに思っております。

 とりわけ、その手法の話が今まで必ずしも議論されておりません。我々の通常のイメージというのは、政策金融というのは、どこかで資金調達をして、審査をして、貸し付けをして、そして債権を保全する、そういうふうなワンセットの直接貸し付けをイメージしがちなわけでございますけれども、諸外国の政策金融は必ずしもそうではないわけで、いろいろな機能があります。そうした機能についても議論を深めることが今回大変大切であるというふうに認識しております。

石井(啓)委員 私ども公明党の党内でも、この春に政策金融に関するプロジェクトチームをもう既に設置しておりまして、六月から七月にかけまして、各機関、関係者を相手にヒアリングを実施させていただきました。

 私どもがやったからやれというふうに言うわけではありませんけれども、今後、経済財政諮問会議で検討していただくに当たっては、やはりきちんと実態を把握していただくということが重要かと思いますので、今後の審議に当たって、政策金融機関の関係者、民間金融機関の関係者、またユーザー、こういったところから実態のヒアリングをしっかりやっていただきたいというふうに思います。竹中大臣の答弁を求めます。

竹中国務大臣 時間的な制約がある中でも、今御指摘のありました、関係者の意見を聞くというプロセスはぜひとも丁寧にやる必要があるというふうに思っております。

 言うまでもなく、今委員御指摘になったように、政策金融機関の直接的な関係者、ユーザー、そして民間の金融機関等々、ぜひしっかりと、どのような形でやるかというのは工夫が必要かと思いますが、丁寧にいろいろな意見を聞きながら、十一月を目途にぜひ取りまとめたいと思っております。

石井(啓)委員 今回の選挙で、私も自分の地元でございます茨城県内を相当回りましたけれども、まだまだ、地域の中小企業の方、経営が苦しいという声が非常に多うございます。いまだに景気対策を求めるという声が非常に多うございまして、全体的に景気は踊り場を脱したことは統計上出ておりますけれども、かなりばらつきがある。業種やあるいは地域によってのばらつきがある。そういう地域の中小企業の皆さんは資金繰りもまだ苦しい、こういう実態がございます。

 また、今後、この政策金融の議論を進めていくに当たって、新たな組織でやるとしまして、今までやっていた分野をやらなくなってしまうということによってユーザーが困るという事態はぜひ避けていただきたい。特に、中小企業や零細企業の方に対する政策金融が、新体制に移行後にそういったものが実施されない、あるいはしっかりと取り組んでいただけないということになって、野球で例えればぽてんヒットみたいな状況が生まれる、すき間が生じるというようなことはぜひ避けていただきたいと思っておりまして、円滑かつ効率的な中小企業金融の確保ということはぜひお考えをいただきたいと思っております。

 竹中大臣に御答弁いただきたいと思いますし、実際に政府系金融機関を所掌されている谷垣大臣、それから中川大臣からも御答弁いただきたいと思います。

竹中国務大臣 政策金融機関の改革を、実は、民間の金融機関がある程度正常化するまで待とうということで、平成十四年に一種の猶予の期間を置いたわけでございます。そうしたことにも象徴されていますように、我々としても、中小企業を中心とする現実の企業部門に金融の滞りがあってはならないという非常に強い問題意識を持っておりますので、その点はぜひ今の御指摘を十分踏まえてやっていきたいと思います。

 対象分野を厳選するというふうに申し上げましたが、厳選するに当たって、諸外国の例を見ましても、やはり中小企業に対しては相当な配慮が現実問題として多くの国でなされておりますので、そういうことは引き続きその厳選の中でも行われなければならないというふうに思っておりますし、また、移行の期間におきましてそういった不都合が生じないようなきめ細かな配慮も必要であるというふうに思っております。

谷垣国務大臣 政策金融機関には、今、石井委員がおっしゃいましたように、中小企業のセーフティーネットというような役割だけではありませんで、恐らく、新しい事業をどう育成していくかとか、あるいは国際協力の中で果たすべき役割はないのかとか、いろいろな議論があるんだと思います。

 民業補完というのが大前提でありますけれども、そういう前提のもとで、政策金融として果たすべき機能は何なのか、それから、撤退すべき機能は何なのか、これをきちっと仕分けして議論しなきゃならないと思います。

 それに当たっては、先ほど委員もおっしゃっておられましたけれども、関係者、特に中小零細企業のユーザーの意見も十分聞きながら対話をしていくということが必要ではないかと思っておりますが、いずれにせよ、構造改革を推し進めていく上で極めて大事なテーマでございますので、これから精力的に議論をしていきたいと思っております。

中川国務大臣 金融は、もとより民間ができることは民間でというのが大原則だと思いますけれども、しかし、特に中小企業あるいはまた地域の企業については、体力的な面でも弱いわけでございますし、また、例えば創業支援であるとか、担保が十分ではないけれども経営が将来見込めるでありますとか、そういうものに対して、民でできない部分について政府系金融機関が、御指摘のように迅速かつ円滑にやっていくということが役割ではないかと思っております。

 具体的には、例の貸し渋り対策でありますとか昨年の中越地震、あるいは今回の石油値上がり問題に対しまして、セーフティーネット貸し付けのような迅速かつ円滑に対応できるという政府系金融機関の役割を、今後とも機能を発揮していきたいというふうに考えております。

石井(啓)委員 先週の金曜日、自民党の与謝野政調会長もこのテーマで質問されておりましたが、私どもも、この政策金融の改革に当たっては、各政策金融機関、政府系金融機関の機能をやはりきちんと議論する。本来きちんと残すべき政策金融の機能というのはいかにあるべきか、その上で、その機能を効率的に果たすべき組織のあり方というのはどうなのか、こういう議論の手順で私どももしっかりと検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

 続きまして、公務員の定員、人件費の方でございますけれども、国家公務員の定員合理化計画、これがあす閣議決定の予定というふうに承知しております。十七年度から二十一年度の五カ年間に十六年度末定員の一〇%の削減をする、こういうことで非常に精力的に取り組んでいただいているというふうに思っております。

 一方で、骨太の方針の中で、この定員合理化計画というのは削減する方で、増員の方は毎年度の増員要求で査定するということでありますけれども、その削減と増員とのネットでございます純減の方です。

 定員の純減についても、骨太方針の中では、定削計画期間中の純減目標を策定する、こういうふうにされておりますけれども、これは、いつ、どういう目標設定がされるのか。経済財政諮問会議は五年間で五%の純減という目標も議論されているようでありますけれども、この点について、竹中大臣それから総務大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 石井委員御指摘のように、ことしの骨太方針において、公務員の総人件費改革について、国、地方ともに定員の純減目標などの明確な目標を掲げて強力に取り組むということを明記しております。そうした骨太での決定を受けまして、先日の経済財政諮問会議においても、国家公務員の定員を五年で五%以上純減する、そういった思い切った目標を設定すべきであるとの提案が、これは民間議員からなされているところでございます。

 総人件費の改革につきましては、方向としては、大胆で明確な目標を明示することが必要であるというふうに考えております。純減目標につきましても、その現実的な可能性、フィージビリティーのようなことも幅広く今後議論しまして、十一月を目途に策定する基本方針に向けまして、諮問会議において議論していきたいというふうに考えているところでございます。

麻生国務大臣 純減というのに対しまして、御指摘のありましたように、ふやす方がどれくらいふえるのかというのがわからぬと純減という目標は立てられないということになろうと存じます。

 まず、そのためには、大幅な仕事の整理をさせていただかないといけないんだと存じます。例えば、職業紹介は民間でいいとか、刑務所の看守はイギリスみたいにPFIでやるとか、今公務員でやらなければならないということになっているものを民間でやっていいという職種を決めていただきませんと、その分の減る分、また逆に、警察官、入国管理、植物検査官、麻薬取締官等々はいずれも純増要求のすさまじく多いところでもありますので、そこらのところ等をきちんとめりと張りとをつけるためには、どの部分はやらなくていいということを決めてやらぬと、一律五%とかいうのは、よく役所のやる手口ですけれども、これは結果としてはろくな結果を生んでおらぬというのは、これまでのあれでもう答えははっきりしています。

 どれを減らすべきかということをきちんと決めるのは、政治の責任で決めた上でないと事は現実的にはいかないのではないかと思っておりますので、そこらのところの議論をきっちりさせていただいた上で、ことしいっぱいぐらいにつくり上げないかぬと思っております。

石井(啓)委員 今、麻生大臣がおっしゃったことは私も非常に同感でございまして、定員あるいは人件費の削減目標だけが先行して何か議論されているような印象を受けまして、これは私はちょっとどうなのかなという感じがするんです。九月二十七日の経済財政諮問会議でも、国家公務員の総人件費について、GDP比だと思いますけれども、十年以内に半減を目指すというような目標が出されたということでございますけれども、これはどういう根拠でこういう目標が出ているのかな。

 私は、公務員の定員とか人件費というのは、やはり業務量とのバランスを見なければいけないと思うんですね。業務量がそのままで定員を大幅に少なくしていくということになりますと、これは行政のサービスが大幅に低下するということになりかねませんので、そことのバランスをどういうふうに見るのかということがやはり必要でありまして、ばらばらにこれは検討するのではなくて、物の考え方としては、業務をきちんと徹底的に見直しをしていく。

 麻生大臣おっしゃるように、プラスの部分もありますね。出入国管理ですとか、あるいは、最近は事前規制から事後規制になっていますから、事後規制をやる検査とか監督の組織なんかは非常に人員が必要になっています、典型的なのが金融庁だと思いますけれども。そういう行政需要がプラスになっていく分野も確実にありますし、一方で、補助金の改革ですとか規制の改革ですとか、あるいは市場化テストで公務員の仕事を民間に移していく、こういう分野もあると思います。

 そういうプラスマイナスで国としての仕事がどういうふうになっていくのか、その見合いで定員とか人件費がどうなっていくかという、全体のバランスを見ながら検討しなければいけないのではないかというふうに思います。この点、最後の質問になると思いますが、竹中大臣それから村上大臣から御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 仕事の中身を見直さなければいけないというのは、これはもう当然のお話だと思いますし、公明党が主張しておられる業務の仕分けというのは私も大賛成で、これはぜひやらなきゃいけないと思っております。

 ただ、一点ぜひ申し上げたいと思うんですが、数値の目標というのは、私はやはり必要であろうかと思います。総論賛成各論反対に必ずなる中で、ある程度のめどを立てた上での、これは全く現実不可能であると問題なわけですけれども、目標を立てた上で、目標を立てるからこそ業務を思い切って見直そうというような力も働いてくるわけでございますので、その意味で、ある程度の大胆な目標設定というのは、私は改革を実現する上では必ず必要であるというふうに思っております。その実現可能性については、ぜひしっかりと議論をしたいと思います。

 民間議員が人件費の半減というふうに提言しましたのは、これは郵政民営化で公務員の数が約三割減るわけでございます。毎年、五年で五%純減をもし達成できれば十年で一〇%減る。そうすると、あと一割程度何らかの努力をすればGDP比で十年で半減というのは実は視野に入ってくるわけでございますので、最終的にそれが可能かどうかということはしっかりと議論させていただきますが、決してとんでもないことを言っているわけではないというふうに私は理解をしております。

 業務の仕分け、それはしっかりとぜひ行いたいと思っております。

村上国務大臣 石井委員にお答えします。

 今議論が始まっているさなかでございます。私自身は、公務員総人件費の改革は、歳出改革を進めて財政を立て直して小さな効率的な政府を目指す、すなわち、小さな政府のために重要な課題であります。ただ、私は、やはり経済財政諮問会議は、実効性のある明確かつ具体的なメッセージを示していく必要があるんじゃないか、そういうふうに考えております。

 御指摘の国家公務員の人件費を十年以内に名目GDP比で半減させるとの提案についても、民間議員より一例として問題提起されたものであり、さらに議論を重ねていくものというふうに受けとめております。

 経済財政諮問会議は、今後、この基本方針の策定に向けて議論を深めてまいることになっておりまして、私どももこの議論に積極的に参加してまいりたいと考えています。

 ただ、石井委員も公務員御出身でおわかりのように、忙しい部署には人員配置を分厚くしなきゃいけないし、また、成果を上げた人たちには評価してあげる。やはりめり張りをつけた考えも必要じゃないのかなという気がします。

 特に、伊吹先生や井上先生や、おじ、おやじの世代は使命感だとか社会的評価で頑張ろうという人もいると思いますが、きょうび、私の二、三十年後輩の大学の後輩と話すと、やはり外資や、弁護士に圧倒的になる。私は、石井先生のような有能な人材を霞が関や永田町に集めるということは重要な課題だと考えています。

 それから、公務員の定員、総人件費の削減については、政府の規模を大胆に縮減するとの観点に立って、国、地方を通じて、給与体系の見直しに、定員の純減目標の設定を行い、削減を実行していくことが必要であることは重要であります。このために、聖域を設けることなく、事務事業の徹底的な見直しを行い、官業のスリム化を進めていくことが重要だと考えています。

 今後、経済財政諮問会議においては、総人件費改革のための基本指針の策定に向けた議論が進められることになっております。公務員の定員、総人件費の削減の具体的方策についてもしっかり検討されるように、私どもも議論に参加したいと思います。

 ただ、御高承のように、やはり国、例えば外交、国防、警察、教育、地方自治体をどうするか、そしてまた民間がどのような仕事を割り振りするか、今委員が言われるように、市場化テストも含めて、そろそろある程度の哲学を考えていく必要があるんじゃないかと思います。

 そういうことも含めて、今後、極めて厳しい財政事情のもと、簡素で効率的な政府の実現のため構造改革を断行することが不可欠と考えておりますので、全力で取り組んでまいりたいと思いますので、御指導、御鞭撻、よろしくお願いします。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

甘利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 限られた時間でございますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、谷垣財務大臣に、財政の役割についてちょっとお伺いしたいと思います。

 今、財政の健全化、再建ということが、ある種、これからの大きな政策、最重要政策テーマとも言われているんですが、私もかつて旧大蔵省に勤務した者として、財務省はどうしても、財政さえ健全化され、とにかく借金さえ返せばそれでいいという、財政再建そのものが自己目的化する、そういう傾向があると思うんですが、財政を健全化するというのは、やはりそれなりの意味がなければ。あくまでも、私は、財政の健全化というものは、目的があって、その手段として財政を健全化するということであると思います。

 将来の世代にツケを回さないということはもちろん大きな目的でありますし、同時に、財政の今までの支出のあり方、今まではどちらかといいますと、高速道路に象徴されるような、道路に象徴されるような、コンクリートに投資する。これから、私ども民主党は、さきの総選挙でも、コンクリートから人へと大きく予算の配分を変えていく。

 今、ちょうど少子高齢化時代、しかも人口が減少する時代になりまして、ますます、一人一人の能力をいかに高めて、そして、より付加価値の高い、そういう生産活動とかを一人一人がやっていけるかということが非常に大きな問題になってくるわけであります。そしてまた、高齢者の皆さんも多くなる。

 そういう中では、年金、医療や介護、また能力開発という意味での教育、こういった幅広い意味で、私は社会保障を中心とした社会的セーフティーネットだというふうに言っていいと思いますけれども、そういうものを構築して人を支えていく、そして育てていく、そして勇気づける、そういうようなところに政府そして財政がきちんとした役割を果たせる、そのための財政健全化が必要ではないかというふうに思っておりますが、今の日本社会が直面している、新しい人口減少社会、そして超高齢化というところにおけるこれからの財政の役割について、財務大臣、どのように基本的認識を持っておられるか、お教えいただけますでしょうか。

谷垣国務大臣 古川さんにお答えすると何か口頭試問を受けているような気もするわけなのですが、財政の果たしている役割、まさに釈迦に説法ですが、時代時代によって随分違ってくるのだろうと思うんですね。国の仕事で、資源配分をどうしていくか、あるいは所得再分配をどうしていくか、いろいろな課題があると思います。

 戦後すぐのときは、今おっしゃった社会保障につきましても、生活保護であるとか、そういうようなところが中心となっていた時代もある。それから、国民皆年金というようなもの、あるいは国民皆保険というものをつくらなきゃいけないというのが課題だった時代もございます。それから、介護を入れようというような、高齢化に伴ってそういうような動きになってきて、いろいろな動きをしながらやってきたわけですが、現在では政策経費の中の四割以上を社会保障経費が占めるようになっている。しかも、四割以上を占めるだけではなくて、毎年一兆近い増嵩が予想されるような状況になってきて、これをどう身の丈に合ったものにしていくかというのが大きな課題になってきたのではないかというふうに思っております。

 それと同時に、今公共事業のこともおっしゃいました。近代国家をつくる、その基礎をどうしていくかという意味で公共事業が大きな役割を占めた時代が確実にございましたけれども、相当でき上がってきた中で、やはり重点化というものを考えていかなければならないのだろうというふうに思います。

 それで、最後ちょっとおっしゃいましたが、非常に高齢化社会になってきている、人口減もしている。そういう中でグローバル化も進んできている。やはり効率ということも考えなければならないのだろうというふうに思います。どういうふうに生産性を上げていくかというようなことも念頭に置いて、効率のよい資源配分も考えなければいけないと思っておりますが、委員がおっしゃるように、かつてとは財政の目指すべきものも時代時代に応じて変わってきている。社会保障の役割というものをまさにどうしていくかというのは、国民的な議論をしながら、持続可能なものにしていくということが大事ではないかと思っております。

古川(元)委員 大臣の話を聞くと余りはっきりしないような気がするんですが、私は、これだけ大きく時代が変化していく中では、むしろ今まで以上に社会保障の役割というものは大きくなってくるんじゃないか。

 しかも、今までは、家庭だとかあるいは会社がある種政府のかわりに社会保障を担ってきた部分があるんですが、国際競争とかそういうことで、もう企業もそういう余裕もなくなってきた。また、家族も、核家族化あるいは単身世帯もふえてきて、そういう中で家族で支えるということも難しくなってきた。そういう部分でいえば、ますます社会保障の部分、あるいは人をもっと能力開発するという教育の部分とか、こういう部分はこれから政府の果たすべき役割としてもっと大きくなってくるんじゃないか。

 その辺を財政の中心的な役割という形で明確にして、そのために財政も健全化していくということでないと、ただとにかく庭先だけ掃き清めようとすると、それはゆがみが生じて、むしろ一人一人の個々人が萎縮してしまって、新しいことにチャレンジできないような社会になってしまっては、結果的に経済の活力も失われることになると思いますから、私どもは、これからもコンクリートから人へということで、大幅に財政の役割そのものをそうした、人に投資するんだ、人を勇気づけるんだ、そういう視点から、予算の配分についてもチェックをしていきたいというふうに申し上げたいと思います。

 そこで、次に、厚生労働大臣に、そういう中で大事になってくる社会保障制度の相互の関係についてお伺いをしたいと思っております。

 特に、高齢者に対する年金、医療、介護の関係でありますけれども、我々民主党は、従来より、まずは年金制度をしっかりしたものにしようということを主張してまいりました。

 これは、高齢者の医療やあるいは介護、では、どれくらい高齢者の皆さん方に自己負担をしていただけるのかということを考える上でも、どれくらい老後に所得保障がなされるのか、そのことがはっきりしていないと、一体どれくらい負担を求められるかわからない。だからこそ、我々はまず、年金制度をしっかりしたものにして、これくらいの所得は高齢者の皆さん方にちゃんと確実に確保できるんだ、そういうことを明確にした上で、そのもとで医療やあるいは介護、どこまでの負担をお願いできるのか、そういうことを考えていくのが筋じゃないかというふうに考えておりますけれども、厚生労働省としての考え方はいかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今お述べになったお考えというのは、社会保障の中でまず年金を中心に据えて、そうすると、老後の保障がこれだけあるから、それから介護にこのぐらい回せるねとかというようなことで考えていこうというお考えだろうというふうに思います。

 それも一つのお考えだろうとは思いますけれども、今私どもは、社会保障全体を一体的にとらえておりまして、そのためにも社会保障の一体的な見直しということも言っております。社会保障全体のバランスということで私どもは考えていきたいというふうに今いたしておるところでございます。

古川(元)委員 バランスといっても、そのバランスがよくわからないんですよ。ちょっときょうは、これは総論の部分でございますので、また機会を見ていろいろと議論させていただきたいと思いますが、年金の話についてお伺いしたいと思います。

 我々は、さきの総選挙でも、年金制度の本当の抜本改革をしようと、国民年金も含めた一元化というものを主張してまいりました。そして、そうした年金制度の改革をするに当たりましては、まず隗より始めよと、我々議員の議員年金を、年金一元化に先立って、その制度設計をする議員が、我々自身が襟を正すんだということで、議員年金の廃止を主張して、ようやく与党の方もそれを検討されるということになったようでございますけれども。

 その上で、やはり次にやらなきゃいけないことは、この年金保険料をむだ遣い、流用してきた社会保険庁に対する怒り、そして国民の皆さん方の不信感、これをどういう形で解消するか。制度設計をするにしても、また年金の保険料をわけのわからないことに使われるのであれば、どんな制度にしたって国民は保険料を払う気にならないわけでありまして、そういう意味では、社会保険庁の改革というものを、これをどうするかということできちんとやって、その上で年金制度そのものを抜本的に見直す。それが私どもの考えておりました年金の抜本改革に向けて、まずは議員年金を廃止して、社会保険庁の改革を行って、そして年金制度一元化だというふうに主張していたわけであります。

 我々は、社会保険庁の改革は、これは臭いものはもとから絶たないといけない。道路公団も廃止ということを我々は言いましたけれども、社会保険庁も、あそこまでひどいむだ遣い、流用、あるいは情報の漏えいというものが行われているような組織は、これはもう廃止をして、そして国税庁を再編した新たに歳入庁というものをつくって、そこで税金と一緒に年金の保険料は徴収して、年金の保険料は年金給付以外には使われないような形にしたらいい、そういうふうに我々は提案をいたしました。

 政府の方は、どうもそういう形ではなくて、また新たな公的な組織というものを考えておられるようでありますけれども、それを受けて、今、厚労省の中で社会保険新組織の実現に向けた有識者会議というものが設定されて、そこで議論が行われている。ちょっと議事録を見せていただきました。そうすると、どうも何か、年金の保険料を集めるのを、電気料金を徴収するのと同じような発想で議論がされているような気がするんですね。

 例えば、電気料金、何か中にいらっしゃる委員の方の発言で、三月になるとどこかへ引っ越して、四月になると徴収率が落ちる。だから、今度はまた徴収増強月間みたいなのをつくって、それでまた徴収するんだというような話で、そんな議論もあって、年金の保険料の徴収、八割まで上げようということで頑張ろうとしているわけなんですが、どうも電気料金とかの徴収と同じような発想であるような気がするんです。

 これは、電気というサービスに対する対価として料金を払うというものですね。しかし、公的年金の保険料というのは、ちょっと法的な性格が違うんじゃないだろうか。年金の保険料を払わない場合には将来の保険給付が受けられない、そういう意味での対価性はあるのかもしれませんが、これは法律で支払わなきゃいけないということを義務づけられているという意味では、税と同じような法律的な位置づけにあるというふうに思うんですけれども、その点はどうなっていますか。

尾辻国務大臣 今最後におっしゃったことは、もう仰せのとおりだと思っております。民間の電気料金と、年金の保険料を徴収する、そのことはおのずと性格の違いがあるという意味でおっしゃったんだと思いますし、そのとおりだと思います。

 今仰せのことは、これまたお話しのとおりに、社会保険庁をどうするかということで有識者会議で御議論をいただいております。その中で、いろいろな方の御議論をいただきたいと思いまして、民間の方に基本的に入っていただいて、民間の発想でこれを見直していただこうというところもあるものですから、そうした委員の皆さん方の性格上といいますか、おっしゃることが今仰せのような発言にもなっておるところはあることもまた事実でございます。そうしたいろいろな皆さんの御意見をお伺いしながら社会保険庁を抜本的に変えていきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 そうしたら、我々が言うように税金と一緒に徴収したっていいんじゃないですか。これはだめですか。財務大臣、どうですか。

谷垣国務大臣 先ほどのように、今、厚生労働大臣のもとで有識者会議が行われておりますので、私どもそれを見守っておりますが、統合することによっての効率化というのはあるかもしれません。

 しかし、他方、年金の保険料と税では随分機能が違うことがございますし、後の管理の仕方も随分違うと思うのですね。私は、そのあたりをよく議論を整理してきちっとして結論を出さないと、簡単なことでやると失敗すると思っております。

古川(元)委員 余りその辺のメリット、デメリットの議論というのはなされた形跡がないんですね、今まで。我々はずっと一貫して歳入庁というものを主張しております。そういう意味では、法的な性格は基本的に変わらないということであれば、税務署を国税庁から離して歳入庁にして、いわば国民の財布からお金が出ていくのは、それは役所からすれば税金だとか年金保険料というふうに違うかもしれませんが、国民の立場からすればお金が出ていくという意味では同じなんですから、しかも、それが政府に入っていくという意味では同じなんですから、それを一緒に徴収してやること。

 また、強制徴収もやろうとしているわけなんですから、それであれば、税金だって強制徴収しているわけですから同じ組織でやった方が効率的。そこのところはやはりコストパフォーマンスをきちんと比較するという議論が行われるべきじゃないかということを申し上げて、ぜひそこを議論していただきたいと思います。

 もうちょっと、今、社会保険庁の中でやられております緊急対応プログラムの話をお伺いしたいと思うんです。

 村瀬長官が民間から入っていただいて、民間的手法で徴収率の引き上げやあるいはサービスの向上に努めて、国民の信頼の回復に努めておられるわけなんですけれども、民間だと当然、こういうことをやった場合にどれくらいコストパフォーマンスがあるかということをきちんとチェックした上でやるわけであります。私、いろいろと頑張っているところは見えるんですけれども、国民サービスの向上とかいろいろなことをやっているのはわかるんですが、本当にこれはコストに合ったパフォーマンスが上がっているのかな。

 その有識者会議の中で、こんな説明もあるんですね。厚生年金、健康保険の未適用事業所の適用促進について、約五億四千万円の費用を用いて、十六年度においては約三十一億円余りの保険料収納を実現したというような発言があるんですけれども、三十一億円集めるのに五億四千万円も費用を使っている。これは普通、民間で考えたらちょっとかかり過ぎていませんか、コストパフォーマンス。これは国民サービスの向上というので、とにかく電話の応答率が悪い、二割ぐらいで、それを五割に上げるために電話相談ブースを大幅拡充するとか、これは物も入れるし人も入れるわけですね。かなりそういう意味ではコストを長期的にかけるような、そういう投資をしようとしているわけですよ、やっているわけですよ。

 また、平成二十年度からはポイント制導入というので、どれくらいの将来給付になるかポイントで少しわかりやすくなるようにしようということは去年の法律改正で入っているわけなんですけれども、それに先立って、被保険者期間の中間点において、被保険者に対して自身の年金加入状況を確認、通知できるように、そういうことも検討されているようなんですね。

 その議論の中を見てみますと、ではどういう相談が多いのか。そうすると、窓口での年金相談の場合ということでありますけれども、被保険者記録の照会が三分の一、年金見込み額の問い合わせが三分の一。要は、自分がどれくらい払ったか、そして将来どれくらい年金がもらえるか、大体問い合わせの三分の二がそういうことだということです。

 これを我々、選挙中に、こういう年金通帳、今の年金手帳というのは中を見てもどれくらい自分が保険料を払ったのか、そして将来どれくらい年金給付がもらえるのかも全然わからない。それにかわって、我々は、年金通帳、自分がこれまで、預金通帳みたいに、どれだけ保険料を払ったということが毎年毎年ちゃんと通知されてわかるように、これだけの保険料だとそれに見合った将来の年金給付がこれくらいですよということを毎年毎年わかるような、そういうものを導入しましょうということを選挙中に提案をして、国民の皆さん方に訴えました。非常に、これは有権者の皆さん方、それはいいねと。

 とにかく今わからない、年金手帳を見たって何にもわからないわけですよ。一体どれだけ入っていたのか、今までどれだけ年金の保険料を納めたかわからないわけですね。まして、将来どれだけもらえるかわからない。それであれば、こういう通帳を設ける、こういうことを直ちにやった方がよほどコストパフォーマンスはいいんじゃないかと思うんです。

 人を入れて何だかんだやる、将来、どうせポイント制を二十年度にはやるということであれば、本当にこれは、電話相談員をふやすとかブースを広げるとかそういうことをやるよりも、この今の年金手帳のあり方を、我々が提案したように、年金通帳のような形で毎年毎年、もう来年から皆さん方に、今まで納めた保険料額はこれだけです、これだけだと将来これくらいもらえますよというのを通知できるような仕組みにした方がよほどコストパフォーマンスがいいと思うんですけれども、どうですか、長官。

村瀬政府参考人 先般の新組織実現会議の際に公表させていただきましたのは、国民の皆さんからの相談件数に対しまして的確に対応するために、今現在できなかった部分についてを早急に構築して対応するということで、その一つの例といたしまして、年金電話相談のネットワーク化というものを御提案させていただきました。

 今後、我々の仕事といたしましては、今議員おっしゃいましたように、基本的には、年金の加入記録をしっかり被保険者の皆さん方に御報告すること、それからあと、年金の見込み額についてもある一定以上の年齢の方には的確に御報告することだろうと思っておりまして、それに対する具体的な対応を現在進めているところでございます。その最大のポイントは何かといいますと、団塊の世代が六十歳をお迎えになられまして年金裁定をされるところに向かって、逐次一点ごとに対応していくという準備を進めております。

 最終年度としましては、先ほどございましたように、昨年度の年金法改正で平成二十年にはポイント制の導入というのが決められておりまして、それまでのスケジュールの中で的確にやっていきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 長官は民間から来たんだから、官僚が書いたのをそのまま読むというのはやめてもらえませんか。もう少しコストパフォーマンス、民間から来ているんだったら、当然、本当にそういうことをやることがコストパフォーマンスとして合っているのか。小さな政府を目指そうと言っているんですよ。電話ブースを拡大してそこに人を雇ったら、これは公務員をふやすことになるわけじゃないですか。

 もっと考えて、二十年からどうせポイント制をやるということを言っているわけでしょう。それを前倒しして、しかももう少し幅広い形で、わかりやすいような形で、年金通帳のような形、我々が提案しているようなもの、そういうことを考える方が、やはりそういうコストパフォーマンスをきちんと考えた上でやらないと、とにかく何でもやっていますと言うことさえ、コストを考えないでやる、それこそがお役所仕事ということですよ。

 そういう意味では、これは大臣、どうですか。もう一回、本当にこういう形で、何でもとにかく拡大する、人もふやします、電話ブースもふやして、皆さんの相談に、電話相談応答率二割を五割にふやしますというよりも、もっと根本的なこと、相談の中身の三分の二が自分の年金状況に対する質問だというんだったら、それに対応できるような仕組みを、しかもコストの安いもの、将来的にそんなにコストがふえないような、人をふやさなくて済むようなことを考えるべきじゃないですか。いかがですか。

尾辻国務大臣 まず申し上げたいことは、冒頭先生もおっしゃいましたように、社会保険庁に対する大変強い御批判がございます。そうした中で、サービスが悪い、きっちりした情報を皆さんにお伝えしていないということがございましたので、今、とにかくサービスをよくしようということで全力を挙げておるということがございます。

 では、それをどうやってやるかということでありまして、その中で、今コストの話が出ておりますけれども、それはもうおっしゃるとおりでありまして、金をかけてそういうことをやればいいなどとは一切思っておりません。やれることを金をかけずにやりたい、とりあえずやれることをやりたいと思っているわけであります。

 それで、最後はポイント制にしたいわけでありますが、それが、本当にできるだけ急いで、今二十年ということを言っておりますけれども、その辺がぎりぎりなものですから、それまでの間をできるだけのことをやろうということで今考えておるのが、申し上げているようなことだというふうに御理解いただきたいと存じます。

古川(元)委員 なぜできないんだ、できない理由をちゃんと説明してもらわないと、本当に比較しているとは思えないんですよ。我々もちゃんとこうやって提案しているわけですよ。別にただおかしいと言っているわけじゃなくて、こういうことをやってみたらどうだと。では、そういうことにどれくらいコストがかかるのか、そういうことを計算してみて、それで、こういうことだからこうだと言うのならわかりますけれども、余りそうした検討をしている気配がないんですよ。

 今の大臣の話、とにかくやれることをやろうと。しかし、このお金はどこから出ているんですか。年金の保険料から出ているわけでしょう。そうしたら、年金の保険料を納めている人たちの気持ちになったら、本当にこれが最低限のコストで、そして自分たちの年金制度に対する信頼を回復できるようなものなのか、やはりそこのところはきちんと、これだけ批判を受けたわけでありますから、いろいろ検討した結果これが一番コストパフォーマンスがいい、そういうことになったからこうだということを示さないと、これはとても国民の皆さんの理解は得られないということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。

 年金の一元化のお話。

 最近、与党の皆さんは、一元化というと厚生年金と共済年金の統合と、二十年前から言っていたことを今また繰り返していて、何かそれがすごく抜本改革かのように言っておられるわけでありますけれども、我々は従来から、国民年金の改革なくして年金の抜本改革はないと。我々が国民年金を含めた一元化を強く主張しているのは、今の公的年金制度の最大の問題は国民年金にあると。

 国民年金について、午前中の議論を聞いていても、尾辻大臣は自営業者の話をされるわけなんですけれども、そもそも、国民年金を自営業者等の年金というふうに政府がいつまでも言い張るのは、これは事実誤認ではないか。今や国民年金は、自営業者等の年金じゃなくて、無職やパートや派遣社員の、そういう人たちの年金になっているという事実があるんですよ。これは、政府の方で調べた中で、今の国民年金の加入者の中の割合を調べると、自営業者というのは一七・八%で、家族従事者が一〇・一%、常用雇用が一〇・六%、臨時・パートが二一%、無職が三四・七%。無職が一番多いんですよ。

 何でいつまでも国民年金は自営業者等の年金と言うんですか。普通、一番多いのを先頭に出したら、国民年金というのは無職等の年金と言うのが本来の言い方じゃないですか。それは、最初は自営業者の人が中心だったかもしれない。しかし、今や実態は変わっちゃっているわけなんです。しかもこれは、低年齢層になればなるほど臨時・パートや無職の割合がふえているんですよ。

 そういう意味では、もはや国民年金は、自営業者の人たちの割合は少なくなって、無職や臨時・パート、そういう非正規雇用の人たちの年金になっている、そういう認識をきちんと政府は持つべきだと思いますが、いかがですか。

尾辻国務大臣 近年の雇用構造、就業形態の変化によりまして、短時間労働者などの非正規労働者が増加しておりますので、国民年金加入者、一号被保険者ということでありますけれども、中でこうした人たちの割合が高まっていることは御指摘のとおりでございます。

 けさ、問題点をというふうに言われましたので、あのような問題の整理をさせていただきましたけれども、今度は今の御指摘の面からの問題点というふうに申し上げますと、短時間労働者は、厚生年金被保険者と同じように給与所得者でありまして、自営業者のような老後の生活基盤がない場合が多うございます。非常に収入が少なくて、そして、自営業者だと仕事を自分で持っているわけですからそれなりのまた老後の生活の仕方もあるでしょうけれども、逆に、今御指摘のような人たちというのは老後の生活が極めて不安定になりかねない状況にあるということは、私どもも当然認識をいたすわけでございます。

 短時間労働者を中心に雇用しておる企業と正社員を中心に雇用している企業との間で、社会保険料の負担が公平になっていないというようなことも当然出てくるわけでございます。

 このために、短時間労働者に厚生年金の適用を拡大していくということが私どもは必要だと考えておりますので、昨年の年金の見直しの際にも、そのことを申し上げ、議論もしていただきました。ただ、いろいろな御議論がございまして、引き続き総合的に検討を進めてまいるということになっておりますので、そうした御議論もまた私ども注視しながら、今後の問題点として年金を見直していきたいというふうに考えておるところでございます。

古川(元)委員 僕が聞いたことと全然違う話じゃないですか。政府は、年金制度、最初は、自分の将来のためのある意味で積み立てだと言っていたのが、いつの間にか世代間の助け合いと、状況が変わったらその制度の性質を変えちゃうわけです、説明も。定率減税だってそうですよ。最初は恒久的減税だと言いながら、いつの間にか異例の措置になって。

 そうやって変えるのに、何でこの国民年金だけは、今や中身を見れば、自営業者が中心の年金ではなくなって、無職やパートや臨時雇いの人たちの年金になっているのに、そういう年金だと言わないんですか。いつまでも最初できたときの言い方で、自営業者を中心とする年金だと言うんですか。都合のいいところだけ変えて、都合の悪いことはいつまでたっても状況認識を変えない。これでは、国民の皆さん方は、年金制度を信頼しようといったって信頼できないと思うんですよ。

 我々はこれからも、この年金の話は、国民が信頼するような年金制度でなければ、どんなに役所の側で、そして政府の側でこれで抜本改革ですと言っても、国民感情が受け入れないような制度であれば、到底それは抜本改革ではないということを強く申し上げたいと思います。

 残りの時間で、大臣も一生懸命取り組んでおられるがんの対策についてちょっとお伺いしたいと思います。

 今や、国民の二人に一人ががんにかかって、三人に一人はがんで亡くなる時代になっている。年間、新たにがんが判明する人は六十万人を超えておりますし、そしてまた、がんで亡くなられる方も三十万人を超えている。これは一日当たりに直すと、毎日毎日新たにがんだということが判明する人が千六百人以上いて、毎日毎日八百人以上の人が亡くなっているんですよ、単純に割って計算すると。

 そういう意味では、がん対策というのは、患者の立場に立てば本当に一刻の猶予もない。命がかかっているんですね。政治の最大の責任は国民の生命を守る、命を守るということであれば、このがん対策というのは本当に一日も早く、我々、党派にかかわらず取り組んでいかなきゃいけない、そして救える命を一人でも救う、それをやらなきゃいけないと思うんです。

 そういう意味で、政府もようやく少し重い腰を上げてがん対策推進本部をつくられた。そのことは評価しますけれども、ただ、がん対策推進本部に、厚労省、厚労大臣がトップですけれども、文部科学省が入っていないんですね。これは何で入れていないんですか。

尾辻国務大臣 がん対策に力を入れなきゃいけないということは、全く私どももそう思っておりまして、そうしなきゃならないというふうに考えております。

 そこで、政府全体のがん対策でありますけれども、第三次対がん十カ年総合戦略というものを政府全体としてはつくっておりまして、それは、厚生労働大臣と文部科学大臣が共同して策定もし、両省が協力してその実現に向けて取り組んでおるということで、政府全体としてはそのようにいたしております。

 今お触れいただきましたがん対策推進本部でございますけれども、これは、患者さん方の強い御要望もございまして、その政府全体で取り組んでおる中で、では厚生労働省がさらにそれを推進して取り組むために、厚生労働省の中にがん対策本部をつくったらどうかというお話でございましたので、私もそれはそうだと思いましたので、私を本部長にする対策推進本部をつくったわけでございまして、申し上げておりますのは、それは厚生労働省の中につくりましたのでそういうことになっておるということを申し上げたところでございます。

古川(元)委員 役所の性格として、そういう役所の中につくるとほかの役所となかなか連携がうまくいかないんですね。それは隣に座っている中山大臣もおわかりだと思いますが。特に、これは医療の問題ともかかわるわけですけれども、日本の医療改革をやろうと思ったら、まさに文部科学省と厚労省に医師の養成と大学病院の話、また医局の話、この辺も医療改革をやるときの大きなネックになってくると私は考えておりますけれども、そういう意味からもきちんとした連携がされないと、特にこのがんに対して有効な、包括的な措置を打つというのは極めて難しいと思うんですね。

 そういう意味では、役所の中でそうやって縦割りに分かれてしまうと、連携をとるというのは相当考えないと、政府全体でというのは、大体、それは大臣よくおわかりのように、政府全体でやるものというのは幾つもあるわけですよ。がんだけじゃないわけですね。しかし、がん、先ほども申し上げたように、これは命にかかわる話なんですから、そういうことからしたら、機動的に、やはりちゃんと連携のとれるような体制というものがこの推進本部の中でも盛られるべきではないかというふうに思いますけれども、中山大臣、どうですか。

中山国務大臣 今、厚生労働大臣が説明されましたけれども、厚生労働省の設置しておりますがん対策推進本部、これは、省内のがん対策全般について部局横断的に連携しよう、こういうふうな組織だと聞いております。

 私どもは、今厚労大臣が話をされましたように、第三次対がん十カ年総合戦略の中で、特に文部科学省としてはがんの研究ということを積極的に推進しよう、こう考えておりまして、その点で、厚生労働省とは第三次対がん研究推進会議というのを合同で設置いたしておりまして、両省でがん研究の連携を図っているということでございます。

古川(元)委員 大臣、がん研究を中心にと言うんですけれども、研究も、とにかく患者を救わなかったら、救えない研究では意味がないんですよ。患者の皆さんは、本当に、いつ自分の命がなくなるかわからない、そういう状況の中に置かれているんですよ。

 そういう意味では、今のお話を聞くと、それは役所の立場で物を見ていて、もっと、やはり患者の視点に立ったら、きちんとそこのところが、何のための研究をするのか、その研究成果が、本当に今がん患者さんたちが求めているような研究がちゃんとやられているのか、そういうフィードバック体制も含めて、全体としての体制がとられなきゃいけない。そういう意味では、もう一回、政府の中の連携のあり方を含めて、見直していただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、がん登録についてお伺いしたいんですが、与党の健康フロンティア戦略には、平成十七年度から平成二十六年度までの十年間の目標として、がんの五年生存率を二〇%改善するというふうにあるんですけれども、これは何をベースにしてこの二〇%というのを計算するのか。

 そもそもこれは、均てん化の委員会の報告でも触れられておりますけれども、日本の場合には、がん登録が進んでなくて、実際に、国民がどういうがんにかかって、どういうふうな状況で治療とか受けているのか、そういうデータが極めて少ないわけです。ですから、がん患者の正確な数も把握できていない状況で、一体、これは何を基準に二〇%改善するというふうに言っているのか。

 しかも、また、がん登録を推進するというふうに言っているんですけれども、ではどういう形でこれを具体的に、本当のがん対策をやろうと思ったら、これはアメリカでも、まずはデータ、まずは状況がどうなのかという現状把握をするということをまず最初に手をつけたわけであります。

 そういう意味でいえば、日本の場合も、がん登録をきちんと義務づけるところは義務づけたりして、また、がん登録の基準となるフォーマットの作成も早くして、これはだれがつくるのかわかりませんが、ぜひそこも教えていただきたいですけれども、きちんと統一フォーマットをつくって、そして、それでちゃんとがん登録を進めるということをまず第一にやらなきゃいけないと思っているんですけれども、これはどういう状況になっていますか。

尾辻国務大臣 まず、先ほどの、私どもと文部科学省との連携のお話もございましたけれども、これは、申し上げましたように、政府全体としては、第三次対がん十カ年総合戦略というのをつくって進めておるところでございますから、改めて、両省緊密に連携しながら取り組んでまいりますということを申し上げておきたいと存じます。

 そこで、がん登録の話でございます。

 このがん登録につきましては、標準登録様式に基づくがん登録の推進の重要性が今指摘をされておるところでございます。したがって、そのがん登録の標準登録様式について、厚生労働科学研究において項目の検討がなされまして、既に公開をされております。今後は、この標準登録様式の普及を促進することが重要であるというふうに考えておるところでございます。

 今、各地にございます拠点病院の中でこの登録を進めてもらおうということで努力をいたしておるところでございます。今後、こうしたがん登録を進めながら、今お話しのような、がん患者の皆さんに対するがん対策の推進ということで進めていきたいというふうに思っております。

 ただ、一つ申し上げますと、やはり、がん登録というと、個人情報との微妙な関係もあるものですから、その辺のところは慎重に進めざるを得ないという面があることだけは御理解をいただきたいと存じます。

古川(元)委員 でも、普及を推進するというのは、具体的にどういう、何かこの中でも、インセンティブを与えたりとかそういうことも書いてありますでしょう、この均てん化委員会の報告書には。

 ただ普及を推進すると。役所で推進するというのは何もやらないことをよく意味したりするわけでありますけれども、ちゃんと具体的に、推進するならどういう形で推進するのか、説明していただけますか。

尾辻国務大臣 今手元に資料がございませんので記憶で申し上げますけれども、拠点病院の数が百三十五だったと思います。そのうちの七十から八十ぐらいは、既にがん登録の作業を進めているというふうに記憶いたしております。要するに、百三十五の拠点病院の中で今がん登録を始めておるということでございますので、これをさらに進めていくというのが今考えておるところでございます。

古川(元)委員 これはやはり、大臣、義務づけするとかそういうところまでやっていかないと、早くそういう客観的な現状認識の情報を集めないと、データを集めないと、次の対策を打てませんよ。ぜひそこは、がん登録、もっと急いで、そしてきちんとした体制ができるように、体制をとっていただくことをお願いしたいと思います。

 次に、がん専門医の育成についてちょっとお伺いいたしたいと思います。

 幾ら抗がん剤などの薬剤が進んでも、また医療機器などが進歩しましても、それらを正しく適切に使える、あるいはまた、機材で撮った写真などを見て適切にデータを判断できるようなそういう人材が必要であります。そのためには、腫瘍内科医とか放射線医などの専門家の養成が急務だ、がん対策をやるためには。とにかく人を育成するには、これは一日二日で、機械であればすぐにでも導入できても、人はそんな一日二日で育成できないわけでありますから、私はここが急務だと思います。

 特にこの辺については、こういった人材育成の具体的なプログラム、この部分は、厚生労働省はもちろん、また文部科学省も大きな責任を負っていると思いますけれども、こうした専門家の育成についての考え方、そしてこれからどう進めていくかについて、厚労大臣と文部科学大臣の方から御答弁いただけますか。

尾辻国務大臣 私ども、がん医療水準の均てん化ということをこのところ盛んに言っているわけでありますけれども、その均てん化を図ります上で一番重要なことの一つが、今御指摘いただきましたがん専門医、それからまたコメディカルスタッフも含めてでありますが、専門医療スタッフの人材育成は極めて重要であり、喫緊の課題だというふうに考えております。

 そこで、がんの専門医療に従事する医師等の資質の向上を図るために、これら専門医療スタッフを対象とした研修の拡充に努めているところでございまして、今後もがんの専門医療スタッフの確保に努めてまいりたい、総力を挙げてまいりたいと考えております。

中山国務大臣 全国どこでも最適ながん医療、治療が受けられるようにするためには、今厚労大臣も話しましたように、がん専門医の育成を進めることが極めて重要な課題であるということは認識しておるわけでございます。

 このがん医療水準の均てん化につきましては、第三次対がん十カ年総合戦略に基づきまして、平成十六年の九月に厚生労働省にがん医療水準均てん化の推進に関する検討会が設けられましたけれども、この検討会の開催に当たりましては、文部科学省としても検討に参加しておりますし、また厚生労働省の方に医学教育関係者を委員に推薦いたしたところでございます。

 この検討会の審査の結果、特に不足が指摘されております化学療法あるいは放射線療法の専門医の育成のために、大学の医学教育において化学療法や放射線療法についての基本的な知識教育が行われるように、そんな提言がなされたところでございます。

 また、各大学におきましては、医学生が卒業までに学んでおくべき必須の学習内容を整理いたしまして、がんにつきましても、学習の到達目標を定めた医学教育モデル・コア・カリキュラムを踏まえたカリキュラムの改革を進めているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、各大学におけるカリキュラム改革、あるいは化学療法また放射線療法に関する教育の充実について、引き続き厚生労働省と連携を図りながら各大学の取り組みを支援していきたい、このように考えております。

    〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕

古川(元)委員 これは、両大臣とも、今みたいな答弁を患者さんが聞いたら絶望的になりますよ。本当に、さっきから言っているように命がかかっているんですから、人材育成のために、育成を図っていくというだけじゃなくて、もっと具体的に数値目標ぐらい立てて、きちんとここまでに何人養成していくとか、ここの大学にこれだけのものをつくっていくとか、そこまで具体的なプログラムを出さなかったら、頑張ります、養成に努めていくということでは、これはいつまでたったって専門医なんてふえませんよ。アメリカに比べたら十分の一以下なんですから。そういうことを、これは本当に考えてもらわないと、本当に患者さんたちは救われませんよ。

 また、このがん専門医でもう一つお伺いしますが、がん専門医の認定をめぐって二つの学会が対立していますね。がん治療専門医を主張する日本癌治療学会と、臨床腫瘍専門医を主張する日本臨床腫瘍学会、これは話がついたんですか。どうですか、大臣。

尾辻国務大臣 話がついたのかという御質問は、恐らくその二つ、大きく言うと内科と外科医の先生方がそれぞれに学会の中でやろうとしておられるという話を一体化するということで、そういう方向で進んでおるのかというお尋ねだろうと思いますけれども、今のところでは、やはりそれぞれの学会で進めていくというふうにお聞きをいたしております。

古川(元)委員 政府、それでいいんですか。もっと政府が、がん対策ということであれば、患者の視点に立っていたら、これは医者のメンツで考えるという話じゃないですよ。政府がちゃんとリードして、こういう医者を今きちんと育てていくんだということで、ちゃんとこれは指導して、そして一日も早く、そんな対立しているような場合じゃないんですから、これはやはりもうちょっと政府として何かやるべきじゃないですか。いかがですか。

尾辻国務大臣 その件につきましては、関連学会におきましても、共同の認定制度等を含めて検討していくというふうにお聞きをいたしておりますので、ぜひその方向で進めていただきたいと思っておりますし、また、私どももその方向で努力をしたいというふうに考えております。

古川(元)委員 これも、いつまでにやれというふうにちゃんと言わなかったら、結局いつまでたっても何か平行線とか。繰り返しになりますけれども、患者さんたちの命がかかっているんですよ。学会の人たちのメンツじゃないんですよ、これは。本当に患者の視点に立って厚労省も動くというんだったら、今、日本の現状をもって、では専門医を何年までにはこういう形で、その後はこうするとか、やはりそういうガイドラインぐらい出すのが本来のあり方だと思いますよ。それを今もって、そういう方向で頑張ってもらいたいみたいな、そんな何か第三者的な言い方をしていたんじゃ、これは本当に患者さんたち救われないですよ。本当にしっかりしてください。

 次に、時間が限られますから質問を進めたいと思いますけれども、がん医療情報の提供推進につきまして、ちょっとお伺いしたいと思います。

 これは、大臣も出られたあの第一回がん患者大集会、本当に主催者の皆さん方の想定以上の人たちが集まって、いかにがんで悩んでいる国民の皆さんが多いか、そういうことを改めて大臣も実感されたと思います。

 ここの中で、がん情報センターの創設を求めるアピールが採択されて、そして、それを受けたと言っていいんでしょうけれども、厚生労働省の来年度の概算要求でも、がん情報提供ネットワーク構築推進のために、地域がん診療拠点病院において相談支援センターを設置するとか、国立がんセンターへのがん対策情報センターの設置というものを要求しておられるというふうに聞いておりますけれども、ここではどのような情報をどうやって患者に提供するんですか。

 患者さんたちが知りたいのは、がん治療、地域格差がある、あるいは病院格差があると言われています。それぞれの病院や医者ごとに治療方法や治療成績の違いというものがあるというふうに指摘されていますけれども、そういう治療実績の公表などもここで行われるんですか。どうですか。

尾辻国務大臣 これは、がんセンターの中にセンターを置こうということでございまして、今、来年度の概算要求の中でも、人員を含めて予算要求をいたしておるところでございます。

 どういうセンターになるんだというふうにお尋ねになりますと、言葉でいいますと、総合的ながん医療情報の収集及び分析を行い、医療従事者や国民、患者に対し広くがん対策に関する正確な情報の提供を図るということにいたすつもりでございます。

古川(元)委員 伴野委員がちょっと時間を私の方にくれるというので、引き続き質問したいと思いますけれども、それでは具体的な中身は全然わかりません。もう少し患者さんたちは知りたいわけですよ。

 では、実際に設置されたときにどういう情報がどのような形で提供されるのか、そういう内容を、中身を決めていく、そういう議論は今行われているのか、あるいはこれから行われるのか。また、情報提供の内容とか運営のあり方とか決めるときに、患者さんたちもそこの中に入れてそれを決めていくのか、そこはどうなっているんですか。

尾辻国務大臣 センターと患者さんをどうつなぐかというようなことがまずございます。したがって、今考えていますのは、先ほど来申し上げております拠点病院を使ってさらにというふうに考えておるところでございます。そうしたネットワークのつくり方とか、あるいは、どういうことをお知らせするのがいいのかといったようなことを今検討いたしておるところでございます。

 それから、そうした検討の中で必ず患者の皆さんのお声というのは入れなきゃいけないと思っていますし、今私どもが、これは何もがんに限らずでありますけれども、がんについても患者の皆さんの立場でということを言っておるわけでございまして、これはそのとおりにいたすつもりでございます。

古川(元)委員 では、これは大臣、こういう形で決まりましたというふうに患者の皆さんに突然知らされるんじゃなくて、内容を決める前に、そしてどういう形で運営するか、そういうことが決まる前に、きちんと患者の皆さん方も含めてそういう内容を決めていく、そういう作業をこれからやられるというふうに認識してよろしいですか。

尾辻国務大臣 私が申し上げるとも思いますけれども、率直に言わせていただきまして、今患者の皆さんと私どもとの風通しというのは随分よくなってきているというふうに思います。したがいまして、絶えず意見交換をさせていただいておりますので、そういう意見交換の中でよりよいものをつくり上げていきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 最後に、患者の皆さんが極めて身近な問題として率直に感じておられる未承認抗がん剤と保険適用外薬の話についてちょっとお伺いしたいと思います。

 未承認薬使用検討委員会を設置されて、治験の仕組みを利用して緊急避難的に混合診療を認めて未承認抗がん剤が使える仕組みがつくられましたけれども、実際にこの仕組みで患者が必要な治療を受けた実例というのはあるんですか。

尾辻国務大臣 私、理解いたしておるところで申し上げるんですが、例えば、がん患者の、癌と共に生きる会の会長でございました佐藤会長がおられました。あの方なども、途中で治験と承認との間の谷間になっておるような薬の問題もございまして、そのことについてのお話もございましたから、そうしたものは私ども早速にやらせていただいたというふうに考えております。そういうことでは、佐藤会長などもそうした新しい制度といいますか、やり方を御利用いただいたんだというふうに思っておるところでございます。

 これまで患者団体等からの御要望がありました抗がん剤につきましては、未承認薬使用問題検討会議というものを設置しておりますので、その中でそれぞれに取り上げて検討していただいて、必要性が高いという結論をいただいたものについては、今治験の実施につないでおるわけでございます。今後ともこうした努力は当然のこととして続けてまいります。

古川(元)委員 今大臣、治験の話もおっしゃっていただきましたけれども、実際には、治験は、製薬会社がやらないという場合には医師主導でやらなきゃいけないんですけれども、なかなか進んでいないのが実態です。がんだけじゃなくてほかの新薬でもそうなんですが。

 やはり治験をもっと促進するような、何かそういう仕組みは考えないといけないと思います。これはぜひ、がんの問題にかかわらず、非常に有効な新薬であるにもかかわらず、それが使えなくて命を失ったりあるいは症状がひどくなったりしている患者さん、がんの患者さん以外にもリューマチだとかたくさんいらっしゃいますから、治験のやり方をもう少し根本的に見直すということをぜひお願いしたいと思います。

 最後に、保険適用外薬の問題について、あるがんには保険適用されているけれども他のがんには保険が使えない、そういう薬の話でありますけれども、前に抗がん剤併用療法検討会で一部の薬については保険適用が促進されましたけれども、この検討会は終了してしまいましたね。そうなりますと、今後ともこういう薬というのは構造的に生まれてくることは明らかでありまして、しかし、検討会がないと新たに生まれてくる保険適用外薬を保険適用できない、こういう問題にどう対処するつもりなのか、そのことをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

尾辻国務大臣 今御指摘になりましたのは抗がん剤併用療法検討会のことだろうと思いますが、これは平成十六年一月に設置したものでございまして、これまで関係学会等から要望のあったものの中で、今もいろいろお話ございましたけれども、国内及び海外で有用性が確認されている延べ三十の抗がん剤に関する報告書を取りまとめまして、本年二月に同検討会を終了したところでございます。したがって、懸案になっていたものを一挙に、処理という言葉がいいのかどうかわかりませんが、処理をしたということでございます。

 とりあえず済んだというふうに思っておりますけれども、今先生の御指摘は、今後どうするんだというようなこともあろうかと思いますけれども、今申し上げましたように、国内外で有用性が確認されているものについては新たな臨床試験を不要とするなど、抗がん剤の適用外使用に係る承認が迅速に行われるように今後とも対処してまいるつもりでございます。

古川(元)委員 とにかく、大臣、これは命がかかっているんですから、繰り返しになりますけれども、本当に必死になって、一日も早く、救える命が救えるような、そういう体制をつくっていただくようにお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

山口(泰)委員長代理 これにて古川君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、予算委員会でお時間をいただきまして、各大臣の皆さん方に政府の姿勢をたださせていただきたいと思っております。

 やはりテレビの政治における影響力というのは、今さら申し上げるまでもなく、まざまざと今回の選挙でも見せつけられたわけでございますが、金曜日に予算委員会がございました。ですから、この週末、地元へ帰りますと、やはり予算委員会でのやりとりについて有権者の方々初め国民の皆さん方が非常に御関心があって、御意見を私もたくさんいただきました。きょうは、そういった国民の皆さん方から私どもの方へいただいた御意見をもとに幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず初めにでございますけれども、金曜日のときに、私どもの政調会長の松本委員が総理に、大阪高裁で出ました靖国参拝の判決の内容について、どういう御所見かとお尋ねをさせていただきました。これについて総理は、私は、今の判決の内容はまだ承知しておりませんが、私の靖国参拝が憲法違反であるとは思っておりませんという回答をされました。これに対して、少なくとも私の地元では、かなりの方が、本当に総理としての発言でこれでいいのかという御意見を賜りました。

 正直申し上げまして、私も松本委員と同じように身内に戦没遺族がおりますし、地元に帰りましても、さまざまな慰霊祭に出席させていただきます。知覧で飛び立った若き兵士の思いに涙することもございますし、もっと正直に申しますと、私も、個人的にはプライベートの時間を使って靖国に参拝をします。

 しかしながら、一国の司法制度の中で、高裁というところで判決が出たものに対して、判決の内容もお読みにならず、総理の言葉として、憲法違反であるとは思っていないという言葉が法治国家として本当にいいのか、少々耳を疑いました。総理のお言葉にはいろいろ驚かされることが多いんですが、今回は本当に驚かされました。

 もしこういうことが本当に、百歩譲って個人的な思いであるとしたら、やはりのみ込んで、司法の判断は真摯に受けとめたいというような言葉を言われるのが私は総理のお立場ではないかと思うんです。これに対して、官房長官、急遽お越しいただいて恐縮でございましたけれども、なかなか総理のお気持ちを代弁されることは難しいかと思いますが、お願いしたいのは、総理に、本当にこの言葉でいいのかという確認と、ぜひ政府見解を出していただけないか。いかがでしょうか。

細田国務大臣 先週金曜日の大阪高裁における判決でございますが、まずこれは、総理の靖国参拝が精神的苦痛をもたらしたということで、損害賠償請求でございます。原告は、台湾国籍の方や日本の国籍の方も含めまして、百八十八人おられたわけでございます。

 これに対する主文の判決としては、この参拝は法的に保護された権利、利益の侵害はないということで、これは国の勝訴であるということでございます。

 しかしながら、この判決のいわば理由の中で、大阪高裁では、これは憲法に抵触するのではないかということを述べているわけでございますが、このことは大変遺憾でございまして、総理が私的参拝であるということを明確にしておりますので、私人の立場で行ったものであるということから、憲法違反と考えていないということでございます。

 そもそも、戦後、吉田茂首相を初めといたしまして、岸、池田、佐藤、田中、三木、福田、大平、鈴木善幸、中曽根、歴代総理大臣は都合五十七回参拝しておられまして、その五十七回目に公式参拝をされたわけでございます。そして、そのすべてにおきまして、昇殿をされた方、されない方等はございます。それから、玉ぐし料は払っていないのでございますが、献花料を払っている方はかなりおられます。そして、二礼二拍手一礼というような宗教的な参拝ではなく、一礼を深々とされるということで対応しておられるわけでございますが、それらの前例に倣いながら私的参拝を小泉総理もされたということで、このことは憲法に抵触しているとは考えていない、これが政府の公式見解でございます。

伴野委員 これ以上私も参拝の是非をきょうするつもりはないんですが、判決の中身を見ますと、総理がそれだけ私的とおっしゃっても、公用車をお使いになる、あるいは、いわゆる秘書官をお連れになるというその点で公的な行動であると認められたわけでございます。

 そういった判決に対して総理はどういう御所見かという、参拝の是非を言っているわけではなくて、司法判断がそういうことが出たよということに対してどうだということでございますので、その点の政府見解をお願いいたします。

細田国務大臣 実は、先週は二つの高裁判決が出まして、九月の二十九日には東京高裁で判決が出されております。

 その中では、これも主文ではなく傍論ではございますが、平成十三年八月の総理の参拝について、判事が理由を添えまして、あえて八月十五日を外して参拝していること、参拝について公的な決定に基づいて行われたものでないこと、公用車、SPの問題についても警護上の問題で対応したということと理解できるということ、直ちに公的な行為とする根拠とはならないということから、職務を行うに当たりというふうには言えないという判断をされ、同じ週に、東京高裁と大阪高裁が全く相異なる判断をされたということでございます。

 私どもは、総理の私的参拝においては東京高裁の判決が妥当だと思いますが、この問題は上告して争うことができない、つまり、主文でございませんので、残念ながらこちらで反論を言うことはできないことでございますが、政府としては先ほど来申し上げているような見解でございます。

伴野委員 しつこくて恐縮ですが、一つだけ。

 要は、政府としてもこの大阪高裁の判決は認められないというか、司法が下された判決に対しても不服があるということでよろしいですか。その確認だけ。

細田国務大臣 判決の主文ではなく、傍論とはいえこのような判断を添えられたということについては、私どもとしてはそのような論はとらないということでございます。あえて、司法の判断でもございますから、それ以上のことは申し上げません。

伴野委員 なかなか地元へ帰って子供に説明しにくいですね。これはちょっと一回ゆっくりやりたいと思いますので、きょうはこれぐらいにさせていただきたいと思いますけれども、我が国は法治国家であります。人治国家ではございません。司法の判断が出たときには、やはりまず真摯に受けとめるというのが筋ではないかなと思います。

 次に行かせていただきたいと思います。官房長官、よろしかったらどうぞ。

 次に関心が高かったのは定率減税のやりとりだったですね。サラリーマン減税という言葉がどうのというようなこともあったり、それから、恒久減税云々というのは多分後ほど松野委員が引き取ってやってくださるとは思いますけれども、私は、きょうは財務大臣に一点だけ確認をしてきてくれと仲間たちから言われたのが、一言、景気の状況がこのままであれば、現状維持であれば、二〇〇七年には定率減税は全廃でよろしいですね。イエスかノーか。

谷垣国務大臣 これからの議論で、まだ決めておりませんので、イエス、ノーでは答えにくい御質問でございます。(発言する者あり)

 ただ、景気の状況は私は順調に回復してきていると思っておりますので、十分、全廃をするという議論ができる状況にあると考えております。

伴野委員 谷垣大臣は余りすりかえとか何かがお上手じゃないと信じておりますので、その額面どおりにとらせていただきたいと思いますが、先ほどやじでも、選挙じゃないからイエス、ノーじゃないと言われました。でも、小泉内閣はイエス、ノーがお好きかなと思いましたので、そういう聞き方をさせていただいたんですけれども。

 だから結局は、サラリーマンの方はそのうち税金がふえるという解釈でいいんじゃないかなと私は思っているんですけれども、まあ、マニフェストにどう書いたとか、いろいろあるんだと思うんですけれども、少なくとも私の周りの勤労者の方々、いわゆる源泉徴収でサラリーから引かれている方々は、今の谷垣大臣のお言葉を素直に解釈すれば、そのうち我々サラリーマンは増税の憂き目に遭うんだな、そんなふうに思われると思いますし、最終的には、有権者の方がそのマニフェストと現実を見比べられて御判断いただくのだと思いますが、有権者の方はやはり政府と与党は一体だと思っていらっしゃいますので、多くの方々は、やられたと思うんじゃないかな、そんなふうに思うわけでございますけれども、次へ行かせていただきます。

 その次に御関心が高かったのは、やはりお母さん方の中で、これは新聞の報道のあり方もあったんでしょうけれども、百四十四校ないしは百四十二校の公立校、アスベスト飛散のおそれ、これをごらんになったお母様は本当に、私の子供は大丈夫か、あるいは私が通っていた学校では大丈夫かというようなことになったんだと思うんですね。ですからそういう御意見がたくさん出ていたんだと思いますが、私は、正直言って、これは公害だと思います。

 それで、事学校関係に限って言えば、六十二年に一度調査をやっていらっしゃるんですね。つまり、二十年近く前に一度やられて、そこで食いとめていれば二十年間の飛散はなかったかもしれないと思うと、その中で将来発症した人がいるとすれば、これはやはり取り返しのつかないことになるし、これが小さなお子さんだったらもっと親御さんは悲しまれると思うんです。

 御案内のように、中皮腫というのは、大変失礼な言い方をすれば、なかなか今の時点では完治できない、医学的にもまだそこまでいっていないということでございます。それが子供のときに知らず知らずのうちに、しかも、親や学校から、学校へ通っていらっしゃいと言われながら行ったところでその病気の原因を拾ってきちゃったということになると、それはつらいことでありますし、しかも、六十二年というときに一度きちっと調査をしていればひょっとしたら食いとめられたかもしれないと思ったら、もっと悔しいということでございます。

 あえて、そういった行政や、あるいは私も、政治家も例外ではないと思っておりますし、ある面、こういった諸外国で警鐘が鳴らされていたことに対して、薬害も初め、我が国はその危機管理が非常に弱い部分があるということも私自身も認めます。ですから、魔女狩り的なことを好んでやるつもりはありませんが、しかしながら、今後のために検証は必要だと思いますし、第三者機関での検証がなおさらだと思うんですね。

 まず、中山文科大臣にお聞きしたいと思いますが、アメリカでも一九七〇年代にさまざまな問題が発覚し、対応をされております。そして我が国も、先ほど来申し上げていますように、いわゆるアスベストパニックということで、六十二年に調査をして、残念ながらその追跡調査が不十分であったということもお認めになっていらっしゃる。さらにここでまた、新聞報道によれば、百四十四ないし百四十二の公立校で飛散のおそれ。しかも、それが各教育委員会任せ。追跡調査を行わず、対策の終了の認識が甘かったというようなこともお認めになっていらっしゃる。

 ここは、ぜひ、御自身のお子さんとまでは言いませんが、お孫さんが行っているんだと思っていただいて、財務大臣もいらっしゃるんですから、そういったお金、私も一緒になって、そんなお金はつけてくださいと申し上げたいと思います。先ほど来、古川議員も言っておりましたように、命にかかわることです。ましてや子供の命、将来頑張ってもらわなきゃいけない命にかかわることですが、今、その御感想と、これからどんな対策を打っていらっしゃるか、ぜひお聞かせください。

    〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

中山国務大臣 今御指摘がありましたように、昭和六十二年、学校施設等におきますアスベスト使用が社会問題になった当時、対応方策等について早急に検討するため、当時の知見に基づき、毒性が特に強いとされた三種類の吹きつけアスベストについて公立学校施設における吹きつけアスベストの使用実態調査を実施いたしまして、その結果を踏まえて、アスベストの除去等のための補助制度等を設けてきたわけでございます。

 その後、規制強化等をされたことも含めまして、規制担当省庁からの通知とかあるいは技術指針に基づきまして、地方自治団体の学校の設置者に対し、通知し指導するとともに、研修会を行ったり、あるいはアスベスト対策の必要性等について周知徹底を図ってきたところでございます。

 その結果、この補助制度の申請件数は減少傾向にありまして、地方自治体におきましては、補助制度を活用して、あるいは単独でアスベスト対策の取り組みが逐次進められてきた、このように考えてきたところでございました。

 しかし、今ほどお話がありましたように、今回また調査してみますと、まだ全国で百四十四校、これはまだ調査の途中でございますが、それだけの学校がアスベストが飛散しておるというふうな状況等が明らかになったわけでございます。

 ですから、私ども、そのときそのときは一生懸命やってきたと思いますけれども、結果としてこういったことが明らかになったということは、やはりフォローアップなどの面でさらに努力すべき点があったのではないかということを考えておりまして、その辺は重く受けとめなきゃならない、こう考えております。

 引き続きしっかりとした調査を行いまして、そしてさらに、この対策工事に係ります追加財政支援策について今検討を進めているところでございます。関係省庁と十分に連携を図りまして、きめ細やかな支援、指導を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

伴野委員 大臣も御案内だと思いますが、アスベストは静かな時限爆弾とも言われます。だれが仕掛けたかとまでは言いませんが、仕掛けちゃった大人がいることも事実なんですね。ですから、この手の話は、やはり個別管理と情報公開を徹底してやらないとだめなんだと思うんですよ。また、担当者がかわったら私知らないじゃ、これは絶対に困ります。三十年、四十年かかる話ですから。

 ですから、大臣、どうでしょう。これは通告しておりませんけれども、パニックになることを助長はしませんが、校名発表ぐらいはした方がいいんじゃないでしょうか。これはいかがですか。

中山国務大臣 今回の調査におきましては、教育委員会を通じてやっているものですから、各学校、どことどこ、そういうような学校名までは私どもまだ把握していないわけでございますから、それを公表するということについては今時点でできないということを御理解いただきたいと思います。

伴野委員 私は、もうこれも真摯に公開して、先ほど申し上げたようにパニックを助長することは好みませんが、それをごらんになって、いや、ちょっと調子が悪いといって早目に診てもらうということが後々その人の命を救うことにもなる可能性が高いわけですから、ぜひぜひ勇気を持って校名発表に臨んでいただきたい、そんなふうに思います。

 時間が来ておりますので、次は国交省関係、大臣、お聞きしたいと思います。文科大臣、どうぞ、結構でございます。

 国交省関係もいろいろあると思います。調査の結果も見せていただきました。気になるのが二つあります、正直申し上げて。一つは、図面チェックでまずやられたというのは、僕は非常にこれは危険だと思います。現場チェックをぜひ一緒になってやっていただきたい。施工と図面が違うということは、この世界、間々あります。

 それから二つ目、建築法で、特に高層建築をつくるようになって随分耐火のお話が、基準が変わってきました。そのときに、建築基準法の中で、いわゆる吹きつけのアスベストをした鉄骨を使いなさいという法律をつくっているんですね。だから、それはそのときは耐火のためにとやったんですが、大変これは言いにくいことですが、場合によっては、アスベストの飛散の助長を法律が促してしまったというふうにもとりかねない。

 そういう点を御認識の上で、国交省さんの関係でも幾つか、例えば公営住宅なんかでまだ対策ができていないものとかあるいは不特定多数の方が行ったり来たりするところでの飛散の可能性、さらには民間建物、これはなかなか所有者の関係で難しいんですが、私は、もうこの際、金がかかってもいいからインセンティブをつけて、除去する指導をぜひやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 先日、民間建築物それから公共住宅、そして国の機関の建築物における吹きつけアスベストの使用実態等につきまして、調査結果を中間報告させていただきました。その数については、もう委員御承知でございますので繰り返して述べませんが、未対策であるものにつきましては、これは関係各省また地方公共団体等ともよく連携しまして、早急にその対策を進めていきたいというふうに思っておるところでございますし、また、国交省といたしましても、飛散防止のための措置状況を今後ともしっかりフォローアップさせていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、アスベスト対策というのはスピード感を持つことが必要でございますので、しっかり対応してまいりたいと考えております。

伴野委員 ぜひ現地調査とあわせて、調査の方が目視をして、全部これも個別管理していただいて、情報公開をぜひお願いしたいと思います。それが未然に被害を防ぐことにもなろうと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。国土交通大臣も結構でございます。ありがとうございました。

 次に、産業廃棄物となる除去したアスベストです。飛散性のあるものは特別管理産廃として扱われて、飛散性のないものはいわゆる普通の産廃として扱われるということでございますけれども、間々今までも、今回のアスベストに限らず産業廃棄物というのは、きちっと管理をすればきちっと、ある場合は資源になるところまで技術的には頑張っているんですけれども、残念ながら、中間処理施設や処分場でいわゆる不届きな方がいらっしゃる。不適当な処理によって、御案内のように、治山が荒らされることも、残念ながら数多く起こっております。

 ですから、仕組みをつくった後きちっとした管理体制をしていただいて、その後、先ほど申し上げたように個別管理していただいて、情報を国民の皆さん方に前広に公開していただく、これが、第二、第三の事件を生まない一番の方法だと思いますが、その担当大臣の環境大臣、今のこのアスベスト対策、いかがですか。

小池国務大臣 御質問の中で御指摘もございましたように、建築物から除去されました吹きつけアスベストですけれども、廃棄物処理法に基づいて、特別管理産業廃棄物といたしまして、通常の廃棄物よりもより厳しい収集、運搬そして処分などの基準に従って処理が行われているところでございます。集める際のこん包に注意せよ、飛散を防止せよ、そして処分におきます溶解処理、そしてまた耐水性材料での二重こん包などの基準を定めているところでございます。

 この措置を徹底していかなければ意味がございませんので、去る七月二十八日の段階で、都道府県に対して、こういったアスベスト廃棄物の排出事業者そして処理業者に対しての立入検査を強化するように通知いたしたところでございます。このあたり気をつけなければならない。厳しくすればするほど逆にまた簡単に不法投棄に走ってしまわれては困るということで、しっかり目を光らせてまいりたいと考えているということが一点。

 それからまた、いろいろと処理の技術など、これからより促進していかなければならないという観点からも、アスベストの廃棄物のより安全でかつ高度な処理体制の整備をしようと、昨年、循環型社会形成推進交付金というのを創設いたしました。ここを活用した上で、アスベストに対しての高度な処理を進めてまいりたいと考えております。

伴野委員 今大臣もくしくもおっしゃっていらっしゃったように、仕組みをつくっても抜け道を探してやる人もいるというお話もございます。ですから、管理体制もあわせて、なかなかこれも限られた要員の中で現地までということにはならないかもしれませんが、監視体制もぜひしっかりとしていただいて、仕組みをつくったけれども魂が入らないということにならないようにしていただきたいと思います。

 さらに環境大臣にせっかくですからお尋ねしたいのは、今回もいろいろな反省があって、省庁の連携が悪かったとか、あるいは一方で、行政、政治の不作為だという御指摘もないわけではない。環境大臣、諸外国の情報に明るい大臣というふうに伺っておりますが、これだけ一九七〇年から騒がれているのに、何で我が国はこんなことになってしまったんでしょうか。ぜひ、ずばり言っていただけませんか。

小池国務大臣 今回のアスベストの問題もしかりでございますけれども、今回も反省の中に含めさせていただきました、省庁間の連携が希薄であったのではないか。ここまではうちの担当だけれどもここからは違うといって、今回の被害者の方々の中にもそのすき間に入った方々が結構いらっしゃるんですね。それから、そのために労災の対象ではないといったような形。ですから、一言でまず検証の反省点を挙げるとすれば、やはり省庁間の連携が少なかった。

 それともう一つは、予防的アプローチというのがなかなかされないということがある。経済の優先であるとかそういったことから、予防的アプローチよりも、まずは使い勝手がいい、代替製品がないじゃないかといったような形で時間的なロスが生じてきたということは、このアスベストにも限らず幾つかあったのではないか。そういう意味で、今後さらにこの予防的なアプローチということの概念を政策の中に入れていく必要があるのではないかと思っております。

伴野委員 御案内かと思いますが、アスベストという言葉の意味はギリシャ語からきているそうでございまして、永久不滅という語源だそうでございます。そういった永久不滅のものをたくさん使っちゃったことによって人類が永久不滅ではなくなっちゃうという、まさに皮肉なんですね。

 我が国でこういうことが起こるというのは、ある面、私は構造的なものも持っていると思いまして、代替のものがないではなくて、少しやばいと思ったら代替のものを見つけるというこの姿勢が行政も政治も今求められているんじゃないかなと思います。その意味でも、ぜひ、御自身たちで検証していただくのももちろんですが、第三者機関でしっかりと科学的に多角的に徹底検証していただくことを各大臣に望みたいと思います。

 そうした中で、被害に遭われてしまっている人、もう始まっております。これだけ大変なことになっているということで、いわゆるアスベスト新法といいますか石綿新法、認定をどうするのかとか財源をどうするのかとか幾ら給付するのかという、大臣もいろいろお知恵を絞っていらっしゃるんだと思います。それの部分はある程度私も評価したいと思いますし、早くやっていただいて、ぜひ法律をかけていただいて我々と一緒に議論させていただきたいとは思いますが、一つここで気になるのが、全面禁止が来年度中ということですね。

 何でこの場に及んで全面禁止を来年度まで待たなきゃいけない、今にでも全面禁止にすればいい、これは多分素朴な国民の皆さん方の御意見だと思うんですね。このあたり、大臣、いかがですか。

尾辻国務大臣 お話しのとおりに、私どもは、全面禁止に向けて、それを行う必要があるということで努力してまいりました。そしてまた、今回のこともございましたので、前倒しをして平成十八年度中には必ず全面禁止するということを今お約束いたしておるわけでございます。

 ただ、途中で少し先生もお話しになりましたけれども、アスベスト特有の性質を持っておりまして、そのことによって、例えば原子力発電所等のシール材に使われているとか、それから、もう今は使わなくなりましたけれども、平成八年までだったと思いますが、自動車のブレーキに使っていたとか、どうしても代替品がないとまた大変大きな災害を起こすといったような面で使われているところもございますので、そうしたことを見ながら私どもも判断させていただきたいと考えておるところでございます。

 ただ、申し上げましたように、もう何だかんだと言わずに、平成十八年度中には必ず全面禁止にするというふうに考えております。

伴野委員 厚労省の役人の方に最初に聞いたときは手続が云々と最初言われたものですから、そんな話じゃないでしょうと申し上げたんです。

 今大臣はシール材のお話もされました。確かに、代替がきかない部分で致命的になる部分はあります。だから、それは逆に、そういう申請があったものは、きちっと科学的な見地があったものは除くという形にして、私は一刻も早く、そんな、手続がどうのじゃなくて、まず全面禁止にしていただきたい。どうですか、まず全面禁止にできませんか。

尾辻国務大臣 今までの言い方ですと、ポジティブリスト、ネガティブリストという言い方で、これまではネガティブリストを挙げて、これはだめですよ、しかしその他はいいですよというような言い方に、どうしてもその逆でなっておりましたので、今度はもう、今お話しいただきましたように、私が申し上げたのを引用していただいたわけでありますけれども、原子力発電所のシール材みたいなどうしてもというものだけを幾つか挙げて、そしてそれ以外は全面禁止という形にしたいというふうに考えておりまして、これは一日も早くやるつもりであります。

伴野委員 今一日も早くとおっしゃったので、本当にあすにでもやっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ちょっと通告の順番と変えてしまって申しわけないんですが、これも国民の皆さん方の関心の高い順番に質問させていただいているということでお許しいただきたいんですが、次に、政治と金にかかわることから少し質問させていただきたいと思います。

 残念ながら、この手の話はなかなか終わりになりません。残念ですが、私は、本当に実績のある、実力のある政治家の先生方が金でだめになっていくのを、正直言って、もうこれ以上見たくない、忍びないという思いもあります。残念ながら、旧橋本派の使途不明金十五億、先般もこの話題が出ました。そうしているうちに、今回、酒販政治連盟におけるさまざまな使途不明金や架空支出、場合によっては政界やみ献金かというようなことも書かれております。

 このいわゆる母体である全国小売酒販組合中央会というのは国税庁さんの管轄でもございます。ですから、母体の管理というのは財務大臣にもかかわりがあるわけでございまして、まず、酒販政治連盟等々におきますさまざまな調査を、財務大臣、独自調査するお考えはないか。さらには、ないとは思いますが、確認のために、財務大臣は酒販政治連盟から献金はお受けになっていらっしゃらないと思いますが、いかがですか。

谷垣国務大臣 親団体とおっしゃいましたが、全国小売酒販組合中央会は、御指摘のように国税庁の所管の団体でございまして、酒類業組合法に基づいて設立された団体であります。これにつきましては、報道もございましたけれども、平成十六年十二月から実施した検査のときに年金共済事業について業務運営が著しく適正を欠くと認められましたので、ことしの四月に内部調査を行って、必要に応じて返還請求等の措置を行うこと等を勧告いたしまして、中央会では、この勧告を受けて調査を行って、関係者に対する民事上、刑事上の責任を追及することとしておりますので、今、その対応を注視しているところでございます。

 ただ、全国小売酒販政治連盟につきましては、今申し上げた中央会とは別の組織でございまして、私どもが直接所管するというようなことではございませんので、これ以上コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 それから、小売酒販政治連盟からの献金でございますけれども、私の把握している限りで、二〇〇一年以降、平成十三年以降、セミナー券の購入が二回ございます。平成十四年四月それから平成十五年五月にそれぞれ四万円のセミナー券を購入していただきました。

 それから、同連盟の京都支部から自由民主党京都府第五選挙区支部に対する、これは私が支部長をしている支部でございますが、陣中見舞い等が二回ございます。平成十五年十一月それから平成十七年九月にそれぞれ十万円、陣中見舞い、ないしは当選祝いというのをいただいていたところでございますが、いずれも、同連盟をめぐる最近の状況を踏まえて返金したと報告を受けております。

伴野委員 大臣の性格がよく出ていらっしゃいまして、正直にお答えいただきました。それで返金もされたということでございますが、こういう政治団体、先ほど組織が違うとおっしゃって、これは何か、よく聞かされる、政府と与党が違うというのによく似ているんですが、会長さんのお名前も構成員もほとんど一緒の場合が多いんですね。

 ですから、ぜひこのあたり、独自調査もしていただいて、この手の話が二度と起きないように、特に、この今回の酒販政治連盟の当事者の方にお聞きしますと、日歯連のときとは随分違うようでございます。というのは、日歯連の方は比較的裕福なと言うと失礼ですが、ある程度の所得の中から献金をされている。酒販政治連盟に加わっていらっしゃる方は小売のお酒屋さんでして、どんどん稼業が追い詰められている中で、むしり取られていると言うと言い過ぎかもしれませんが、つらい思いでお支払いになっていらっしゃるということもかんがみて、ぜひ一度じっくり調査していただけないかと思います。こういうところからしがらみを切っていただくのが私は本当の構造改革じゃないかと思います。

 続きまして、総務大臣にも同じような質問をさせていただきたいと思いますが、この酒販政治連盟から総務大臣は献金をお受けになっていらっしゃるのかどうかというのと、それから、この質問に対しては与野党間でやってくれとおっしゃるかもしれませんが、もうこれだけ続くわけですから、政治資金規正法をそれこそ全議員あわせて納得する形で、もう迂回献金もないんだ、それから振り込みを全部銀行振り込みにするんだ、さらには、ある程度一定のお金を扱う団体はすべて第三者機関なりあるいは外部監査を受けるんだというようなことをきっちり明記した政治資金規正法をつくるということにぜひ旗を振っていただくようにはいきませんでしょうか。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 最初の御質問の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 最初の方に、全国小売酒販政治連盟から私のところに政治献金を受けたことがあるかという御質問でしたので、調べさせていただきました。平成十四年にセミナー券を五枚、掛け二万円ですから十万円、平成十五年が四枚八万円というセミナー券の参加費用をいただいておりますということが私に関するところであります。

 次の質問につきましては、政治のこの種の話につきましては、もう何回となく聞かれたことがおありになると思いますが、これは各党各会派にとりましては非常に大きな問題でもありまして、百六十一臨時国会におきましても、この話につきましては各党で法案を提出されて審議が何回か行われておりましたが、解散ということに伴ってこれが廃案になったという経緯であります。

 これは、今後各党にとりましては非常に大きな問題でもあろうと思いますので、行政が一方的にこれで決めるなんといった話が議会で通るとはとても思えませんので、各党でよくお話し合いをいただくという以外に方法はないと存じます。

伴野委員 ぜひその改正の先頭に大臣も立っていただければ、そんなことをお願いして、次にもう一つ、これも地元からの御意見をいただいて、そのまま質問させていただきたいと思います。

 総理大臣初め閣僚の選挙応援ということでございますが、私はある程度はいたし方ないとは思うんですけれども、これも限度があるというか、便宜供与の域を超えたら、やはりある程度みずから襟を正していただいた方がいいんじゃないかと思うんです。

 ちょっと卑近な例で申しわけないんですが、私の地元でも、総理が御大将みずから駆けつけられました。中部国際空港というできたばかりの空港があるんですけれども、そこから演説会の会場まで、全部信号を青にして突っ走られました。改革をとめるなというよりも車をとめるなというお話。びっくりしちゃって、自分は違うところで演説会をやっていたものですから、後から聞いたんですけれども、何か本当にテロでも起きたんじゃないかというぐらい、信号信号に警察官がお立ちになっている。

 素朴な質問として、これはみんな税金じゃないんですかということなんですね。では、わかりました、私、選挙が終わってから、首がつながっていたらぜひ調べてみますと申し上げたんですけれども、それで実際調べてみました。

 百歩譲って、警護の場合はこれは警察が御判断されるということで、ただ、全部、改革はとめるなといっても車をとめないようにするということもないんだろうと思うんですが、ちょっとやり過ぎだなということもあるんです。選挙応援のときのSPさんも、それは何かあってはいけないということであるのかもしれませんが、例えば、先ほどの大阪高裁の中で、今回、秘書官さんがついていったとか公用車がついていったということで公的なものと認められるということになるとすると、やはり選挙応援というのは私的な立場でやるべきだと私は思うんですね。

 そういったときに、たまたまきょうは財務大臣をお呼びしているので、たしか財務大臣もお越しいただいていたんじゃないかと思うんです。そのときは、党で交通費なんかはお支払いになったんですよね。秘書官さんなんかはついていらっしゃらなかったと思いますし、ましてや、選挙応援中、公用車なんかはお使いにはなっていないと思うんですが、いかがですか。

谷垣国務大臣 選挙中の閣僚の旅費は、これは我が党本部から払っていただくということになっていると思います。

 それから、選挙中、公用車を使っているということはございません。これは、それぞれの県連なりあるいは応援に行きました先で手配をしていただいた車に乗っている、あるいは自分で手配した場合もあると思いますが、そういう形にいたしております。

 それから、秘書官は、今御指摘の日についていたかどうかは定かに記憶しておりませんが、事務連絡等がありますので、役所の秘書官がついている場合もかなりございました。

伴野委員 やはり秘書官さんは、これは税金なんだと思うんですよ。

 どうですか、委員長、これはちょっと作業的に調べていただくわけにはいきませんか。選挙期間中の総理大臣初め閣僚の皆さん方が交通費をどうお支払いになったとか秘書官さんはどうとか。いかがですか、理事会で取り扱っていただくわけには……。(発言する者あり)委員長、協議していただけませんか。

甘利委員長 場内でやってください、進めながら。(発言する者あり)

 伴野君、質問を続けてください。

伴野委員 では、よろしくお取り計らいの方をお願いいたします。

 では、お待たせしてしまいましたので、財政改革の話をちょっとさせていただいて、時間が来ましたら終わらせていただきたいと思いますが、私はやはり改革の本丸は、財政改革と、最終的に、人口構成の変化による、それに対応したさまざまな仕組みの改革が私は改革の本丸だと思うんですね。

 そうした中で、ずっと谷垣大臣とも、いわゆる長期債務をどうするんだ、プライマリーバランスは二〇一〇年の初頭というお話がございました。長期債務をどうするんだという話をしてこそ私は改革の本丸だと思うんですし、それをプランとしてぼんと出していただくと、ポスト小泉がぽんと近づくんじゃないかと私は思うんですが、この点は、長期債務のこれからのプランニングはいかがですか。どうやって減らしていきますか。

谷垣国務大臣 これは委員とも今まで何度も議論をさせていただいたことがございますけれども、私どもが今とっている方針は、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支を、これは国、地方を通じてでありますが、回復していくという目標のもとに、単年度ごとはできる限り国債発行を抑制するというのが基本的な方針でございます。

 ただ、これに関しましては、もう少し具体的な手だてを明らかにしてほしいという声が多うございます。したがいまして、ことしの六月に閣議決定をされましたいわゆる骨太の方針というものの中に、今後一年間をめどとして、基礎的財政収支を回復していくロードマップといいますか工程を明らかにせよ、こういうふうに書き込んでございまして、私どももそのような考えのもとで問題点を整理していかなきゃならない、これが基本的な今の考え方でございます。

伴野委員 その二〇一〇年初頭ぐらいは、もっと、この年次でやっていくということは言えないものですか。私も家庭でいろいろ、選挙初め借金つくりますと、女房から、いつまでに返すんだ、これは必ず言われます。会社だって、借金をつくるたびに、いつまでに返済するんだと明確にしなきゃ信用が落ちるんですね。だからやはり、今までもこれからも二〇一〇年初頭でずっと、まあ二〇一五年を初頭とは言わないと思いますが、もう定めて、そこへ向かっていったらどうなんですか。それははっきり言えませんか。

谷垣国務大臣 もちろん、私としてはできるだけ早く明確にして進みたいという気持ちはございますが、他方、先ほども、では、ことしの公債発行額はどうだと午前中にも質疑がございました。やはり経済は生き物でございますから、これだけだと厳しい方針を出しますと、いろいろな柔軟性を奪ってしまうということがございます。来年度に関してもそうでございますから、二〇一〇年代初頭というと、まだ若干ございます。余りぎりぎりに締めて身動きができなくなってもいけない。しかし、できるだけ方向性や手だては明らかにしたいというようなことで、今後一年間をめどに、少しこの工程表というものをきちっと考えてみて、また、これを御批判も得ながら議論を進めていきたいと思っているわけであります。

伴野委員 ぜひ目標をはっきりしてやっていただければ、目標年次もはっきりしてやっていただければと思います。

 最後に、竹中経済財政担当大臣、長くお待たせしてしまって何も質問しなくちゃ申しわけないので、今の財務大臣と御意見は一緒ですかという確認と、竹中大臣は、郵政の後、何を最重点、最優先課題としておやりになりますか。それを一言だけお聞かせください。

竹中国務大臣 まず、基礎的財政収支の問題に関しましては、内閣府としては、毎年毎年、最新のデータをもって見通しを示しております。それによりますと、二〇一二年に基礎的財政収支が回復できるというシナリオを提示しておりますが、これはしかし、一二年なのか一三年なのか、その辺はやはり幅を持って考える必要がございますので、重要な点はその工程をしっかりと示すこと、それは骨太方針でお約束しましたように、来年の中ごろまでにはぜひはっきりと、財務大臣ともいろいろ御相談しながらお示しをしたいというふうに思っております。

 郵政は改革の本丸であるというふうに申し上げてまいりましたけれども、その上でのより重要な今後のテーマについては、これは総理御自身が所信表明の中で、政府の規模を大胆に縮減するという表明をしておられます。その象徴が実は郵政でございますけれども、加えまして、公的な資金の出口に当たります政策金融の改革の問題、そして政府の資産と負債、バランスシートそのものを小さくして政府の規模を縮減するという改革、総人件費をしっかりと改革して、その意味で人件費という観点から政府の規模を大胆に縮減する改革、そういった問題について、いずれにしても、基本的な方針を十一月をめどに決めることにしておりますので、郵政をしっかりと改革する、それに加えまして今のような改革を進めていくことが必要であると思っております。

伴野委員 時間がありましたらいろいろ各大臣にもお聞きしたかったところでございますが、時間も参りましたので、ぜひポスト小泉は政策で争っていただきますようお願いして、そのポスト小泉の方に前原代表もぶつけさせていただきたい、そんなふうに思っています。

 どうもありがとうございました。

甘利委員長 これにて伴野君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、財務大臣、先ほど定率減税のお話、多分そういう流れになるんだろうなというふうにおっしゃっていらっしゃいましたが、この定率減税の話は、最初のスタートのときから非常にあいまいな税の目的として導入をされているんです。

 これは、資料に配らせていただきました、まず資料1をごらんください。

 これは、今回の定率減税がスタートしたときからの大体の流れでございますが、当初は、橋本総理が参議院の選挙中に恒久減税と言った、この恒久から恒久的減税に言いかえたとか言いかえないとかいうことでその参議院選挙で敗退をされ、そして、その後を継ぎました小渕総理が、この資料1の二番目なんですけれども、恒久減税を実現をしていきたいと言って、当初、総理大臣記者会見、七月三十一日におっしゃられている。

 その後、閣議決定が行われているんですね。閣議決定では、恒久的な減税を実施するとともに、このときは恒久的な減税なんです。

 そして、今回、谷垣大臣が、ことしの、半減したときですか、二月の財務金融委員会で、このときの減税は景気対策のための臨時異例の措置だったとおっしゃっています。そして、今回、小泉総理が本会議で、定率減税は暫定的な景気対策だったというふうに、この税に対する基本的な考え方がどんどん変わってきているんです。

 私が思いますのは、まず、恒久的なという言葉、これは広辞苑で調べますと、恒久的という言葉はないんです。恒久しか載っていないんですが、未来永劫とか永久という意味なんです。そこに的をくっつけたんで、未来永劫的な、永久的な、こういうイメージを抱かせる言葉なんですが、これが知らないうちに、臨時異例の措置だったといって、何の検証もされないままにこういう形で表現をされていることに対して、これは大臣、どのように思われますでしょうか。

谷垣国務大臣 恒久的減税ということの意味ですが、私は、橋本総理がおっしゃったというお話が今ありまして、その当時のことは必ずしも十分に記憶いたしていないんです。

 ただ、現実に入れるときは小渕内閣でございました。その当時の議論は記憶しておりますが、いろいろな議論が確かにあったわけであります。ただ、最終的にこれを恒久減税と言わずに恒久的減税と表現したのはおっしゃるとおり事実でございまして、これもいろいろな経緯があって、余り重箱の隅をつついても始まりませんので、結局、小渕総理はあのとき国会で答弁をされておりまして、予算委員会の答弁ですが、

 本来税制は、毎年税制改正が行われているように、社会経済情勢に適切に対応するよう不断に見直しを行っていくべきものであり、未来永劫に改正しないということはあり得ないと思っております。

  そこで私としては、恒久減税という用語は、私の述べた趣旨を超えまして未来永劫にというようなこととして受けとめられかねない面もありまして、一年限りでなく期限を定めないで制度改正を行い、その後特に法律改正を行わない限り継続していくという趣旨で恒久的な減税と表現したものでございます。

という御答弁がございますので、私どもはこの答弁によっているわけでございます。

 それで、その当時の小渕総理のお気持ちをそんたくいたしますと、やはり単年度ごとの税制でやりますと、当時は非常に厳しい経済状態でございましたから、ああ、これで税が軽減されたという安心感が国民に行き渡らないだろう、やはりしばらく景気が非常に厳しい状況の間は続けておくよという意味合いを含ませたものではないかというふうに私は当時受けとめたわけでありますが、これは私の内心の受けとめ方でございますから、小渕総理の御真意がどこであったかはわかりませんが、多分、私はそういうことだったろうと推定をしているわけでございます。

 それから、最近では、臨時異例の措置、こういうような表現になっている、あるいは暫定というような言い方でございますが、当時の恒久的減税法というこの第一条の目的も、不良債権問題等を背景とした、法律上の用語で言いますと、著しく停滞した経済活動の回復に資するために、これは小渕さんの言い方でありますが、景気に最大限配慮をして行ったと。

 それから、やはりこれも条文に書いてある言葉でございますが、我が国経済の状況等を見きわめつつ抜本的見直しまでの間の措置であるということが書いてございまして、それで、所得税法本法の改正や租税特別措置法の改正という形ではなくて、いわゆる恒久的減税法という単品の法律で、単品といいますか特別の法律でもって、特別立法の形式をもって導入された。

 そういうことを総合して勘案して、私はあの臨時異例の措置というような表現を申し上げたわけでございます。

松野(頼)委員 ただ、大臣、恒久とか恒久的とか言いながら、五年でもとに戻すというのは、ちょっとそれは余りにもだましなのではないかというふうに私は思うのと、大臣がおっしゃられた今の恒久的減税、これにも資料をつけてありますが、要は、抜本的な見直しを行うまでの間の措置であるということですが、抜本的見直しはされましたか。

谷垣国務大臣 抜本的見直しというのが何か、これもまた議論のあるところでございますが、私ども当面、この平成十八年度、これからやるわけでありますが、いわゆる三位一体の改革の中で税源移譲というものをいたします。これもたびたび申し上げておることでございますが、三兆円、国の所得税から地方住民税へと移譲する税制改革をしたいということで、今いろいろ準備をしております。

 そういたしますと、地方住民税の方はフラット化ということが考えられておりますから、前後で個々の方の税負担を余り変動させないということを考えますと、どうしても所得税体系というのは、もう少し所得再分配機能のあるような、フラット化、地方住民税とあわせて全体が一体となるような形にしていかなきゃならないとなりますと、これは相当根本的に所得税体系にメスを入れなければできないわけでありまして、いや、そうなんです、できないんです。

 ですから、それをやるために、やはりあわせて定率減税、これは景気の見方もございますが、廃止していきたいということで、一挙にやると大変ショックがございますので、ことしの通常国会で半分はやっていただいた、その半分について今後議論をさせていただきたいと申し上げているわけであります。

松野(頼)委員 その抜本的な見直しの話なんですけれども、それは今大臣が国税と地方税のその配分をということだったんですが、抜本的見直しはこの所得税と地方税の部分、要は、それはある意味では三位一体に含まれているような話ではないでしょうか。

 それではなくて、当時の宮沢財務大臣、これは谷垣大臣は政務次官でいらっしゃったんですが、この恒久的減税をもとに戻すときの抜本的な見直しのイメージというのをおっしゃられているんですね。

 これは資料2の4というのをちょっとごらんいただければと思うんですが、要は、恒久減税と申し上げませんのは、いずれの日にか我が国は、やはりもっと本格的な直接税、間接税の体系を築くべきであろうというふうに考えているものでございますと。そしてさらに、その課税最低限にしても実は決して低いとは言えませんし、その他いろいろなことを直間にわたって二十一世紀の早い段階でいたさなければならないと思っております、それを恒久減税と考えていますので、ただいまのものを恒久的と申し上げておるようなことでございますと。

 今大臣がおっしゃられたのと全く違うイメージのことを当時の宮沢財務大臣は、この恒久減税を戻すときには、二十一世紀、根本的な税の体系を考える、その税の体系は、直間比率を見直したり、課税最低限を引き下げたりという、それから恒久減税に持っていくんだということをおっしゃっているんですよ。

 今大臣がおっしゃられたことと、当時のこの恒久減税をお決めになられたときの宮沢財務大臣の発言とは全くイメージが違うと思うんですけれども、いかがでしょうか、その辺は。

谷垣国務大臣 私、確かに当時政務次官をしておりましたが、当時宮沢大臣がどうお考えであったか、私、全部は承知をいたしておりません。

 宮沢大臣は確かに、直間比率の問題であるとかあるいは課税最低限の問題であるとか、その当時いろいろ議論をしておられて、頭の中にそういう問題意識を持っておられたことも間違いないだろうと思いますが、他方、今からしばらくたって二十一世紀初頭のあるべき税制というのは、まだ今では十分に想定できない、イメージができないところがあるということもおっしゃっていたわけでございまして、当時の、今お引きになったような議論だけで宮沢大臣のイメージが全部だったとは私は思っておりません。

 そして、やはりその後、時代の推移の中で、先ほど三位一体に含まれているものではないかというふうにおっしゃいまして、確かに含まれているんですが、やはり地方自治の充実ということを考えた場合に、所得税体系がどうあるべきかというのも、こういうふうに地方分権を進めてまいりますと、当然考えなければならない大きな大事な問題点ではないかと私は考えております。

松野(頼)委員 ただ、財務大臣、それは、ここまでの財務省の流れの中で、直間比率を是正するというのは当然の一つの流れだったはずですよ。ただ、小泉内閣になって、消費税は上げないと言ったものですから、じゃ、しようがない、定率減税をもとに戻すかということで直接税から三兆三千億というものを財源として捻出をしているというのが本音の話なんじゃないですか、それが。

 今までずっと直間比率を直す直すと言ってきて、そして直接税が少し割合が高いからということで今回定率減税を行って、多分、じゃ、そのかわり間接税を上げようという構想がこのころはあったと思うんですよ。これが自然の流れだったんですけれども、小泉内閣がこの四年数カ月、五年近く続いておりまして、その間で財源を確保しなければいけない、消費税は上げられない、さあどうしようというところで始まった議論だと僕は思うんですが、いかがでしょうか、財務大臣、その辺は。

谷垣国務大臣 これは、先ほど申し上げたプライマリーバランスの回復の問題もそうでございますが、やはり経済は生き物でありますから、相当先にまでわたって全部固定して、例えば税の体系にしても、こうこうだと言い切ってしまうのはなかなか難しい面があると思うんです。

 繰り返しになりますが、地方分権を進めたときの税体系のあり方というのも、今後の我が国社会にとっては大きな問題でございます。それから、消費税に関しましても、特に社会保障負担との関係でどういうふうにしていかなければならないか、これから議論をしなきゃならないことは間違いございません。そのときに直間比率というものはまた議論になってくるだろうというふうに思っておりますが、当面、議論の順序として、今の地方分権等々をどう考えるかということを私どもは念頭に置いているわけであります。

松野(頼)委員 今おっしゃった社会保障負担との割合を考えれば、より一層間接税を充実させるべきなんじゃないですか。またこれで直接税の比率を高くするというのは、僕は時代に逆行していると思いますけれども、どうでしょうか。

谷垣国務大臣 これはまだ、間接税といいますか、社会保障負担をどうしていくかという議論が十分進んできてはおりません。ただ、そのときに薄く広く社会保障負担を国民にお願いするという立場から考えますと、消費税というものは恐らく避けて通れない課題になるだろうと思います。

 それで、そこから先はまだ議論が十分進んでおりませんので、私はどこまで申し上げていいかわかりませんが、そのとき恐らく、消費税の逆進性という昔ありました議論がまた議論になってくるかもしれないとは思っております。でも、それをどの程度のものとして整理をしていくかは、まだ議論は未整理でございますので、今の段階で決め打ちで申し上げるようなことは控えたいと思います。

松野(頼)委員 この流れというのは、私は小泉内閣の消費税は上げないという一言に引っ張られた、非常に税体系のいびつな形を今つくり出そうとしているような気がしてなりません。

 あともう一点。当時のやはりこの定率減税をお決めになったときに、宮沢財務大臣はこうおっしゃっているんですよ。この定率減税を戻す、要は、資料3の下の2というのを見てください。これは、日本経済がプラスの成長期に入りましたときにはこの定率減税を廃止、縮減する可能性はあるということを言及されて、ことしの総務委員会の中でも、地方税の分で麻生大臣とこの議論はやらせていただきましたけれども、大体二%くらいの成長がサイクルでいけるなということが確信できた段階でこれは戻さなければいけませんねという状況だということを答弁されているんですね、当時。

 ですから、今二%ありませんでしょう、名目で、サイクルで。それは去年もなかったと思うんですよ。ですから、こういう状況の中で定率減税を戻すというのは、私は景気の足を引っ張るおそれというのが非常にあると思いますが、この二%、サイクルでという、今二%あるかないか、お答えください。

谷垣国務大臣 今は二%は、今というのはどこで申しますかといいますと、平成十七年度の政府見通しは一・六%でございます。それから、ことしの四―六の統計で申しますと、これは年換算でございますが三・三%ということになっているのが今の現在でございます。(松野(頼)委員「サイクルは」と呼ぶ)

 サイクルというと、なかなか、この二%というのは当時宮沢大臣の念頭にあった日本経済の回復してきた姿ということであると思いますが、きょうは、けさほども日銀総裁や、また竹中大臣からも御答弁がありましたように、企業業績の堅調さ、これは設備投資もかなりいいわけですが、そういうものが家計の方にもだんだん移ってきているという大勢ができております。原油価格等のリスク要因がありますからもろ手を挙げて油断をするわけにはもちろんいかないわけでありますが、基本的には堅調に内需の方が強い状況で、民間主導で景気が、余り早くはないと思います、着実に回復してきている情勢ですから、私は、定率減税について議論できる環境になってきているというふうに申し上げているわけであります。

松野(頼)委員 済みません、ちょっと時間もだんだんなくなってきたので駆け足で行きたいと思いますが、その次の資料3の1をごらんください。今の、景気が回復をしたという話ですが、この資料は内閣府の経済社会総合研究所、国民経済計算より抜粋をした数字ですが、これによりますと、国内総生産、GDPは平成十年、この定率減税を決めたとき五百十二兆、今が五百十兆、大体横ばいです。雇用者報酬は二百七十六兆、二百六十七兆でまだ回復していないんですね。

 それで、その下の表を見ていただければありがたいんですが、法人企業の経常利益というのは二十一兆二千億から四十四兆七千億、これは平成十六年。先ほど日銀総裁の答弁もありましたように、ことしはより一層、一八パーぐらい上がっているんですよね、ここから。

 こういうのを考えると、私は増税するべきではないと思うんですが、百歩譲って、千歩譲って万が一増税をするんであれば、個人所得に課税をするんではなく、本来であれば企業収益に課税をする方が筋が通っているんじゃないですか。この数字でいきますと、要は雇用者報酬というのは、定率減税を決めたときからまだそれより下回っているわけです。企業は当時の二倍以上の利益を上げているわけです。当時この定率減税を行ったときに、企業課税と個人所得課税、両方にやりました。企業の最高利益、最高税率の引き下げも行っているわけですけれども、なぜ今回この個人所得に課税を強化するのか、その意味がちょっと私にはわからないんですけれども、なぜ個人所得なのかというところを教えてください。

谷垣国務大臣 雇用者報酬に関しましては、四―六月のQEではプラスに転じたところでありまして、それでまた、実質ベースで見ますと大分いわばデフレも進んでおりますので、導入当時を上回る水準になってきているんじゃないかというふうに考えているわけであります。

 それで、先ほど申しましたように、企業部門、家計部門、緩やかながら改善をしてきておりまして、有効求人倍率も上昇してきている、完全失業率がここ十年来初めて趨勢的に低下したというようなことがありますので、臨時異例と言うと御批判も受けるんですが、そろそろ、その経済状態を見て、それを戻す環境になってきたと申し上げているわけであります。

 それから、法人税につきましては、実は、定率減税を入れましたあの法律で法人税も同時に減税をしておりまして、今の経済状況を考えるとそちらをやるべきではないかという意見があることは私も承知をしておりますが、ただ、これは当時から、やはり全体の世界経済の情勢等を考えますと、これこそまさに恒久か恒久的かということになるわけですが、むしろ法人税に関しては、将来とも、あの当時はたしか六五%ぐらいだったと思いますが、とてもそれでは競争力がつかない、下げるべきだという考え方のもとで整理されたものでございますので、私は、法人税についてはこれからもいろいろ議論をしていかなければならないと思いますが、今は企業が自由に税を払う場所を選べるような時代にもなっておりますので、税収が上がらないような形で法人税をいじってもしようがないなと思う点がございます。

松野(頼)委員 ちょっと腑に落ちない点が多々あるんですけれども、あと十分になりました。

 私たち思いますのは、この今の財政の問題、税制の問題を考えまして、どうやったらこの四十兆程度の……

谷垣国務大臣 今うっかり間違えまして、六五%というのは個人所得課税でございまして、三四・五%が法人税で、それを三〇%に持っていこうと。ちょっと勘違いして申しわけありません。

甘利委員長 今度、指名してからしてください。

松野(頼)委員 四十数兆の税収で一千兆のこの借金をどうやって返すのかという、プライマリーバランスの先ほどの議論がありましたけれども、私が思いますのは、この間も、先日の委員会でも前原代表が議論をしていましたけれども、特別会計を要は一般会計化するという方策以外には私は財源が出てこないと思っているんです。

 それで、資料の5をごらんください、平成十五年度に財政制度審議会が三つの特会に関してその剰余金を指摘しております。まず一つは、農業経営基盤強化措置特別会計。もう一つが電源開発促進対策特別会計、いわゆる電特ですね。もう一つが石特。

 これで、特に一番上の農業経営基盤強化措置特別会計においては、平成十五年度決算ベースでいきますと、歳入の千三百八十三億のうち一千百六十九億が前年度からの剰余金の繰り入れなんです。ですから、これだけの剰余金があるということです。そして、電特に関しましては、六千八百十九億の歳入のうちの三千四十億、半分が剰余金の受け入れ。そして、エネ特に関しては、これは割合は低いですけれども、これに関しても四千九百三十八億。合わせると、九千百九十二億の剰余金というのが発生しているんです。この三つの特会だけでですよ。

 剰余金は一体どうするのかという根拠法は、次のページに書いてありますけれども、それぞれの特会法で、例えば農業経営基盤強化措置特別会計においては、「当該剰余金から政令で定める金額を控除した金額は、予算で定めるところにより、一般会計の歳入に繰り入れることができる。」これは非常に優秀な特会なんですけれども、その前段の、「決算上剰余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。」大体、今、三つの特会法すべてが、剰余金が生じた場合には翌年度の特会にまた戻す、こういう規定があるんですよ。

 ですから、先日、前原議員が、母屋でおかゆをすすって、離れですき焼きを食っていると。すき焼きを食えるこの根拠法というのは、完全に剰余金は次年度にもとの特会に繰り戻す。この農業経営基盤特会だけは非常に優秀で、一部は一般会計に繰り入れる、こういう文言があるんですが。ここを改正しない限り、永久に特会で余った金は特会で使う、こういうサイクルができ上がるわけです。

 本当は、時間があればこれを全部聞いていきたいんですが、ちょっと農林大臣に伺いたいんですけれども、この政令、要は特会法八条の政令は決めているんでしょうか。どうぞ。

岩永国務大臣 決めておりません。

 と申し上げますのは、確かに余剰金は今出ているわけでございますが、平成十九年度から第二の農業改革をやらなきゃならぬ。そういう時点になってまいりますと、この資金というのは大変大きな運用をしますので、私は、そういう意味合いで、これから大きく活用していけるんじゃないか、このように期待をしている資金でございます。

松野(頼)委員 法律事項で、「当該剰余金から政令で定める金額を控除した金額は、」「一般会計の歳入に繰り入れることができる。」と。政令を定めろと書いてあるこの政令がないというのは、どういうことですか、一体。これは一千億円、現金を預金で持っている特会ですよ。貸付金まで入れると二千億。そして、九十数%が剰余金の歳入というこの特会で、一般会計に繰り入れる政令がないというのは一体どういうことなんですか。これは法律違反ですよ。

岩永国務大臣 確かに、今までの実績の中で余剰金が集まったということは言えるわけでございますが、いずれにいたしましても、新たな時代に農業改革をずっと進めていく、そして今後ともそういう観点から資金需要が大変重要になってくるというようなことで、上乗せで、今後検討していく必要がある、資金需要に応じて検討していく必要があろう、このように思いますが、今のところつくられていないということは事実でございます。

松野(頼)委員 これはすごい答弁で、政令は定めていませんというのは、こんなことがあるんでしょうか。これはちょっと驚きなんですけれども。法律でちゃんと「政令で定める」と書いてあるわけですよ。一体、これは行政の怠慢としか言いようがない状態でもあります。

 そして、これは昭和二十一年の自作農特会というところから始まっている。昭和二十一年にできた特会が形を変えて残っているわけです。これはずうっと、昭和六十年に今の特会に名前が変わったんでしょうけれども、少なくとも六十年からは一般会計に繰り入れる政令を定めないままにこの特会を運営してきたということなんですよ。

 それで、今、一千億円の預金があるんですよ、財産。貸付金が一千億円、合わせて約二千億円の資産があって、そしてまた毎年の剰余金の繰り入れが約九〇%以上。こういう特会でありながら、一般会計に繰り入れる政令をつくっていないということを、もう一回答弁してください、これは。

岩永国務大臣 先ほども何度も申し上げておりますように、余剰金をつくらないということでスタートしたものでございますので、その間、その政令ができていないことは事実でございます。

 今後、新たな農業改革を含めて、ひとつこの資金というのをふんだんに活用していきたい、こういうことでございますので、ひとつ今後の成り行きを見ながら検討していきたい、このように思っております。

松野(頼)委員 もう時間がありません。

 財務大臣、今のこの話を聞いてどうでしょうか、欲しいなと思うだろうと思うんですけれども。

谷垣国務大臣 欲しい、欲しくないということでありませんで、剰余金については各特会の決めで、いろいろな決めが行われておりますが、それぞれやはり剰余金をどう使うかという目的がございまして、先ほどお挙げになった電源でもやはり原発を立地していくという目的があるわけでございますし、あるいは石油の備蓄というような問題もそれぞれございます。

 ただ、では、多額の剰余金が常にあるという事態が望ましいかといえば、それはやはり一つ一つ見ていかなきゃならないわけでございまして、私は、やはり特会の特質ごとに一つ一つ見て、必要な改善といいますか改革はしなければいけないと思います。

松野(頼)委員 違う、違う、そうじゃなくて、要は、特会法の中で、剰余金が発生したらば、一般会計に繰り入れる分は政令で定めなければいけないと。その政令さえないということに対して、どんなに余っても絶対に一般会計には繰り入れないぞということを言っているんですよ、政令で定めていないわけですから。こんなばかなことがあるんですかということを聞いているんです。

谷垣国務大臣 これは、法の趣旨をよく理解してやっていただくべきことと思います。

松野(頼)委員 これ、いいんですか、そのまま、政令で定めないまんまで。どうぞ。

谷垣国務大臣 それは、法に書いてあるわけですから、法に書いてあるとおりにしていただくのが、私の立場からすれば、申し上げなきゃいかぬと思います。

松野(頼)委員 農林大臣、では、これは政令で定めて、ある程度の金額は一般会計に入れますね、これから。

岩永国務大臣 決められなかった大きな要因というのは、これは金額を定めなきゃならぬということになっているわけですね。だから、どれだけの余剰金が出るかというのは、そのときには想定できない、なかなか金額が定められない、こういうことでございますので、私は、そういう背景であったろう、このように思います。

 今後については、十九年度から大変大きな農業改革をいたします。そういう状況の中で、この資金が潤沢にひとつ新たな農業改革のために使われるように努力をしていきます。

松野(頼)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、これは一千億円も余った金が預金で銀行に寝ているんですよ、この特会は。それで、使い道がなくて、毎年の繰り越し、前年度の剰余金の繰り越しが九十何%という特会ですよ。ぜひ、これは財務大臣、きちっと整理していただいて、農水大臣も、ちゃんとこれは政令を定めて、今一般会計はおかゆを食っているわけですから、おかゆに少しおかずぐらい提供してもいいんじゃないでしょうか。

 このことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

甘利委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、きょうは、米軍再編で焦点になっている普天間基地の問題について聞いていきたいと思います。

 報道によりますと、先月の十九日にも大野長官はアメリカのローレス国防副次官と会談して、この問題について協議した、このように伝えられております。会談では何を話し合ったのですか。

大野国務大臣 我々は今、米軍再編成の問題につきまして、第二段階の任務、役割、能力等の議論をやっております。

 同時に、やはり再編の問題を解決していかなきゃいけない、こういうことで、最終段階の意見のすり合わせというか意見交換を行いました。その中でさまざまな議論を行った次第でございます。

赤嶺委員 さまざまな議論ではわかりません。

 この間の報道では、普天間基地の代替施設について、米軍のキャンプ・シュワブの陸上案ないしはキャンプ・シュワブの基地に近い浅瀬に移設する案、これが繰り返し取りざたされているわけです。ローレス国防副次官との会談では、日本側が提案したキャンプ・シュワブ陸上案について、アメリカ政府は拒否する、このように述べたとされているわけです。今、こういう問題が協議になっているわけじゃないんですか。

大野国務大臣 普天間の移設問題は、SACO以来の課題でございます。この問題を早く進行していかなきゃいけない、こういう意味で、普天間の移設先の問題につきましてもさまざまな議論を行いました。その議論の中身につきましては、やはり相手方のある話であり、地元の問題もございます。生煮えの段階でここで御説明することは差し控えさせていただきたい。お願いでございます。

赤嶺委員 長官は、前の予算委員会のときにも、SACOの合意に基づいて、そして閣議決定に基づいて今建設が進められようとしている辺野古沖案、これの見直しについては可能性があると。あのときは針の穴ほどの可能性と表現されていたのを覚えておりますが、今、穴がずっと大きくなってきている感じがするわけですね。

 もう既に辺野古沖案にかわる案を日米間でいろいろ案を出し合って協議している、つまりそういうことですね。

大野国務大臣 いろいろなアイデアを交換し合っている段階でございます。一言で言うならば、赤嶺先生のおっしゃるとおりでございます。

赤嶺委員 辺野古沖案にかわるいろいろな案を今日米間で協議しているということをお認めになりました。

 そこで、私は改めて聞きたいんですが、現在の普天間基地を辺野古沖に移すということを決めた経過であります。その経過について伺っていきたいと思うんですが、一九九五年に少女暴行事件が起こりました。一九九六年にSACOの中間報告が出され、その末にSACO合意が行われました。そして、九七年に名護市の住民投票が行われ、キャンプ・シュワブ沖につくる基地をめぐって住民投票が実行されました。九八年に知事選が行われ、そして九九年に閣議決定で現在の辺野古沖に決まってきた経過があるわけです。

 その九七年に、文字どおりキャンプ・シュワブ沖の海上基地をめぐって、これが県民にとっては戦後初めての新たな基地の建設につながるということで、県民を二分する大議論が起こりました。そして、普天間で危険な基地は辺野古に持ってきても危険だというような反対の世論が大きく沸き上がったのであります。

 ところが、そのときに、住民投票のときに政府が出したチラシをきょう持ってまいりました。こういうチラシです。これは、那覇の防衛施設局がつくって、施設局の職員を三百人動員して名護に全戸配布をしました。こういう「くらしと自然を考えて」というパンフレットもつくりました。

 この中に、海上につくるということについてこのように説明しているんですよ。「これは飛行場周辺に住んでいる方々の安全と生活環境の保全を最優先に考えたひとつの結論です。」「普天間飛行場代替ヘリポートは、最寄りの集落から一・五キロメートル」、これはSACO合意のときの案ですが、「一・五キロメートル以上離れた海上部につくられます。このため、ヘリコプターの離発着コースを海上部に設定できることとなり、安全性が格段に向上します。また、環境庁の航空機騒音の基準もクリアしており、騒音問題も発生いたしません。」

 海上につくることによって、騒音問題も発生しない、住民の安全性も確保されるんだ、こういうことを配慮して海上につくるんだというようなチラシを全戸に配布して、説明会等でもいかに海上基地が安全かということをるる説明されたわけですが、そういう立場というのは今日でも変わらないのですか、あるいは変わっているんですか。いかがですか。

大野国務大臣 誤解がないようにもう一度説明をさせていただきますが、辺野古沖に移設する、辺野古移設案というのは除外されたわけではありません。赤嶺先生のお話を聞いていますと、それはなくなったような響きがいたしますが、それは残っています。これはまだ全然残っているわけでありまして、そのほかにも、早く移設していかなければならない、新しい道は何だ、こういうことで今我々は真剣に努力しているわけでございます。

 その大原則というのは、もうたびたび申し上げておりますが、いわば抑止力の維持と地元沖縄の皆様の負担を軽減していく。その負担というのは何だ、それはやはり騒音の問題もあります、それからいろいろな危険性の問題もあります。あらゆる問題をしっかりと胸に、頭の中に置きながら、我々はこの問題に取り組んでいっているわけでございます。

 したがいまして、安全の問題それから騒音の問題、いろいろな問題を含めて沖縄の地元の負担をしっかりと軽減していく、一方において抑止力の維持をやっていく、これをしっかりと守って頑張っておるところでございます。

赤嶺委員 私は、長官の答弁を素直に繰り返しただけです。辺野古沖案もある、しかしそれ以外の案も日米間で協議しておられる、それは長官の答弁です。

 海上基地をつくる際に、当時県民の不安は、普天間基地の危険を辺野古に移すだけじゃないかと言われた。そのときに皆さんは、いやいや、違うんです、海上につくれば安全が確保できるんです、騒音も基準をクリアできるんです、このように言ったわけですよ。この方針は今でも変わりませんね、あるいは変わったんですか、これを聞いているんですよ。

大野国務大臣 ポイントは、いろいろの案の中で海上の案という点に赤嶺先生御指摘なさっていることと思います。いろいろの案の中には、海上の案もあればその他の案もあろうかと思います。

 私どもは、安全、騒音、あらゆる問題をしっかりと考えながら負担の軽減に努めてまいりたい。安全の問題、一番大事な問題でありますから、その点も含めて今真剣に取り組んでいるところでございます。

赤嶺委員 安全と騒音を重要な問題として考える、そういうことになれば、当時は、海上だから安全だ、海上だから騒音の問題は起きないんだ、これを一生懸命皆さん説明したんですよ。今でも騒音や安全を考えるということであれば、そうであれば陸上案は排除されるということで理解してよろしいんですね。

大野国務大臣 今あらゆる観点から、基本的な考え方、負担の軽減、その負担の中には量の問題のみならず質の問題も含まれているわけでございますけれども、抑止力の維持、負担の軽減、そういう面で考えております。そのことを申し上げておきます。

赤嶺委員 いやいや、あなた方が当時とっていた立場、海上だから安全だ、海上だから騒音の問題は起きないんだ、そういう安全と騒音の問題は今日でも重視していますと長官は言われた。言われたなら、陸上案というのはあり得ないんですねということを聞いているんですよ。いかがですか。

大野国務大臣 全く同じ質問でございますので、同じ答弁になりますけれども、海上という問題、陸上という問題、あらゆる問題を含めて負担の軽減、つまり安全、海上だから安全だ、どこだから安全だ、こういうふうに先生は詰めておられるようでございますが、どこであろうとも安全、安心、そして騒音とか負担の軽減とか、こういう問題を第一に考えてやっているわけでございます。海上だからどうのこうの、こういう問題として、もちろん、おっしゃるような話は昔あったと思いますけれども、私どもは、安全とか騒音とか、そういう問題を十分考えてやっておりますことをここで申し上げたいと思います。

赤嶺委員 昔あった話じゃないんですよ。安全とか騒音というのは、今でも普天間基地が直面している危険ですよ。そして、その代替施設が問題になっている。そのときに、当時は海上だから安全だと言ってきた。その基本的な立場を守るかと言えば、お答えにならない。そして、皆さんは報道では陸上案というのを出してきているわけですね。アメリカの方が浅瀬案だと言ってきている。陸上案も浅瀬案も、どちらも今の辺野古沖の海上基地よりも民間地に近いんですよ。住宅地に近いんですよ。

 そうすると、当時言われていた、安全や騒音に配慮すると言ったあなた方の基本的な立場とは全く違う案、民間地に接近してきたものを押しつけようとしている。これは負担の軽減ですか。これは負担の軽減どころじゃないですよ。いかがですか。

甘利委員長 簡潔な答弁でお願いします。

大野国務大臣 この問題は、総合的に考えて解決を図っていかなきゃいけない、いろいろな切り口があると思います。しかし、我々は、我々の気持ちは、申し上げておりますとおり、負担の軽減、抑止力の維持、こういう観点から要するにこの問題を解決していきたい、このように思っております。

赤嶺委員 防衛庁長官が素直にお認めにならないので、きょうは官房長官、外務大臣、そして沖縄担当大臣に答弁をいただきたかったんですが、時間がありません。

 ただ、今出ている陸上案、それから浅瀬案というのは、前回も同じ案が出たんですよ、長官。県内は、今までどこにつくるかというところで挙げられた候補地が十一カ所ですよ。十一カ所挙がるたびに県民の反対運動でつぶれてきたんです。ですから、普天間基地の問題の解決というのは撤去以外にないんですよ。県外に、八割がアメリカに持っていけという世論ですよ。県内に移せというのは四%ですよ。

 私は、普天間基地は即時閉鎖して撤去の作業をすべき、県内移設は絶対に県民に押しつけるべきではない、そういう交渉を、弱腰にならずにアメリカときちんと交渉せよということを強く要求して、質問を終わりたいと思います。

甘利委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂です。尾辻大臣に年金について伺います。

 私は、六年ほど前から、グリーンピアあるいは年金住宅融資などの事業を早くやめるようにというふうに求めていたんですが、この間、これはやめるということで去年なったと思いますが、年金の積立金、国民年金、厚生年金の積立金は十七年度末、十六年度末、それぞれどのくらいの残高になっているんでしょうか。

尾辻国務大臣 十六年度末でお答えを申し上げます。

 平成十六年度末の積立金残額は、厚生年金で百三十七兆六千六百十九億円、国民年金で九兆六千九百九十一億円、合計で百四十七兆三千六百十億円となっております。

保坂(展)委員 平成十七年度末ではいかがですか。この合計は出されていませんか。予告してあったんですが。

尾辻国務大臣 今年度末でございますから、まだ確定されておる数字じゃございませんけれども、予算上で申し上げてよろしゅうございましょうか。(保坂(展)委員「はい」と呼ぶ)

 そうしますと、厚生年金で百三十一兆一千三百一億円、それから国民年金で九兆二千四百五十三億円、合計で百四十兆三千七百五十四億円でございます。これは予算上の数字でございます。

保坂(展)委員 去年の年金関連法案の中で、グリーンピア、年金住宅融資、この事業をやめるということで、グリーンピアは当然閉鎖をするわけで、これはもう収入はないわけですね。財政投融資から借り入れたお金は返さなければいけない。それから、年金住宅融資にしても、これは長期にわたって組まれているローンですから、これもかなりの融資残高が残っていたと思います。

 そこで、去年の法案では、五兆円近い財投への一括償還をやるんだということだったと思いますけれども、今お聞きすると積立金が七兆円ぐらい予算上でも減っておりますけれども、この一括償還というのはなされたんでしょうか。もしなされたとすれば、その内訳をお答えいただきたいと思います。

尾辻国務大臣 ただいまの繰り上げ償還でございますけれども、平成十七年四月一日に行っておりまして、総額で六兆四千百六十一億円繰り上げ償還をいたしております。これは予算額よりも少し大きくなっておりますけれども、これは、十七年度中に約定期日、すなわち約束の日が来る分まで一括して償還いたしておりますので、予算額よりも大きくなっております。

保坂(展)委員 国民の間には、グリーンピアあるいは年金住宅融資の失敗など、年金保険料がどれだけむだ遣いされてしまったのかという不安が年金不信につながっているわけですね。

 六兆円を一括、年金保険料の集積である積立金からいわば財政投融資の方に支払っている。これに対して国民に対する報告なり説明というのは公式にあったんでしょうか、その時点で。一括償還をした時点で、尾辻大臣などが説明をするという場面はあったんでしょうか。

尾辻国務大臣 私どもの理解といたしましては、予算でお願いをいたしておりますから、それで予算の御承認をいただいておりますので、その時点で、こういうことをやるということはお認めをいただいておるということでございましたので、四月一日に、できるだけ早く返した方が、将来、利息分がその分少しでも少なくなるものですから、一日も早くということで執行をいたしたところでございます。

 ただ、そのときに改めて何か発表したかというと、そのことは発表はいたしておりません。

保坂(展)委員 本来であれば、失敗や損失を生んだということに対して、責任はだれにあったのかという議論がしっかりあるべきであったということを指摘したいと思います。

 そして、この百四十兆円になった積立金は、来年ですか、年金積立金管理運用独立行政法人、これが引き継ぐわけですね。国民のほとんどの方がこの独立行政法人の名前も知らない。年金の積立金をしっかり管理し監督するはずのこの独法の名前、非常に覚えにくいんですけれども、これはおかしなことだ。ぜひ国民に周知して、積立金が二度とおかしな使われ方がしないように努力をしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 続いて、竹中大臣に来ていただいています。郵政についてお聞きをしたいと思います。

 今度の再提出された民営化にかかわる法案の中で、やはり郵便貯金・簡易生命保険管理運用独立行政法人法案というものがございます。これが、郵便貯金百五十兆円、それから簡易保険百十兆円、二百六十兆円という大変巨額のお金を管理し、そして郵便貯金銀行、郵便保険会社に委託して運用するということになっていると思うんですが、この独立行政法人に対するガバナンスの問題です。

 これは法案を読むと、総務大臣が任命をするというふうになっています。独立行政法人の通則法で、評価委員会がいて、この評価委員会が、総務大臣が任命した理事長、及び理事も一人ですね。これは、これだけ巨額のお金を預かる独立行政法人、この二百六十兆円という資金量にしてはかなり貧弱ではないかというふうに思うんですが、御見解をお願いします。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 お尋ねの独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構、これは、公社時代に受け入れましたいわゆる旧債務といいますか、政府保証のついた債務を管理するための機構で、独立行政法人というふうにさせていただいているところでございます。これは独立行政法人でございますので、今委員御指摘の独立行政法人通則法に基づいていろいろな仕組みをつくらせていただいております。

 このガバナンスについてでございますけれども、独立行政法人制度というのは、評価委員会によります厳格な事後評価がある。それと、業績悪化をもたらした役員の解任等の仕組みがあるということでございますので、役員人事の適切な運用がそれ自体として可能になっているというふうに考えているところでございます。したがいまして、役員等も国会同意人事とする規定にはなっておりませんけれども、これはまさに独立行政法人通則法の考えに基づいているところでございます。

 ちなみに、今、郵政公社そのもの、三百四十兆資金を運用しているわけでございますけれども、総裁も、その役員は国会同意人事とはなっていないわけでございます。

 我々は、この独立行政法人通則法に基づいて、その枠組みをしっかりと活用して、そのガバナンスをしっかりと確立させたい、それを見ていきたいというふうに思っております。

保坂(展)委員 独立行政法人といっても、二百六十兆円を預かる法人と、小さな独立行政法人も運営は同じなわけですね。

 この巨額の二百六十兆円を預かる独立行政法人は、当初、郵便貯金、簡易保険、ここに全部運用を委託する、自分では自主運用はしないんだというふうに伺っておりますが、これは自主運用の可能性は一〇〇%ないんですか。やらないということになっているんでしょうか。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、この独立行政法人はかなり特殊な使命を負ったものだと認識をしております。

 旧債務というのは、例えば定額貯金を考えていただいたら非常にわかりやすいと思うんですが、期間十年、最長十年でありますので、これは間違いなく十年でゼロになるものでございます。そういうふうな非常に限定的な管理を行う。したがって、その運用についても、これについては特別預金をするということが法律の枠組みの中で定められておりますので、自主運用ということは一切生じない仕組みになっております。

保坂(展)委員 とすると、年金の独立行政法人と違って、運用をする仕組みが自主的にはないと。それならば、この独立行政法人は、一体どんな仕事があるのかというふうに考えてしまうんです。

 まず、収益をみずから生む体質はありませんね。この独立行政法人の給与等は一体どのように準備されるのか。

 そして、ただ、巨額の国民からの預かり資産に対する最終的な責任はこの独立行政法人が負う、理事長が負うというふうに私は理解しているんですが、例えば、郵便貯金会社ですか銀行、こちらの方での運用の仕方が非常にリスキーだ、危ないというときに、この独立行政法人管理機構が、この運用の仕方やめなさいよ、危ないですよといってブレーキをかけるというような仕組みもないように聞いているんです。

 一体、給料の出どころ、そしてこの機能、あいまいじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、かなり特殊な機能を負った機関でございます。具体的には、これは職員といっても極めて少数の職員で機関をスルーする。

 何のためにこれをつくったかといいますと、政府保証のついている債務がある、それを民間機関に渡すということになりますと、これはモラルハザードを生じますので、その旧勘定を分離する、確立するというのが最大の目的でございます。したがって、その運用等についてもしっかりと、特別預金ないしは再保険の契約を結ぶ関係になっておりますので、そうした関係でも、リスクがこの機関に及ぶ、その独立行政法人に及ぶということはないような仕組みにしております。

保坂(展)委員 この独立行政法人にすべて当てはめていくというのは、先ほど尾辻大臣に伺った年金の独立行政法人もそうですけれども、やはり国民から預かった大切な資産である。年金についても、年金積立金管理運用独立行政法人、どう考えても、省略したり愛称が生まれたり略称が生まれたりしにくい。あえて考えれば、年独というぐらいしかないような名前ですよ。

 国民の年金の積立金を国民が覚えられない名前の機関に預けている、これでいいのか、この辺の認識、一言伺って終わります。

甘利委員長 保坂君、もう既に次の質疑……。

 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃です。

 先週金曜に引き続き、質疑をさせていただきます。

 本日は、私は、防災及び観光振興の観点から、新幹線鉄道網のあり方を中心に国土交通大臣にお伺いをしたいと思っております。

 質問に入る前に、まず、交通インフラ整備に対する私の基本的な考えを述べさせていただきます。

 公共事業につきましては、むだを排除した効率的な投資を図ることが重要だというふうに思っております。国民経済と生活の基盤となる良質な社会資本を整備することが国の責務であると考えております。そこで、何が効率的で何が良質かという議論になると思いますが、私は、そこに災害やテロへの対策と経済波及効果の視点が不可欠だと思っております。

 一点目の災害、テロ対策ですが、先月、アメリカにおいてハリケーンの大災害が相次ぎ、政権を揺るがすほどの議論にも発展していることは御承知のとおりでございます。我が国も、災害列島とも形容されるように、本年も地震を初め台風や水害が多発しており、災害から国民の生命、財産、生活を守ることは我が国の政治の大きな責務であると考えます。

 小泉総理は、所信表明でも、先週金曜の本委員会でも、災害に強い国づくりの必要性を述べられております。アメリカではハリケーンから避難する車で道路が大渋滞している映像が多く見られましたが、我が国でも、大都市圏も地方も、道路幅の拡張など避難路の十分な整備ということを今後考えなければならないと思います。

 一昨日、バリ島においても邦人が犠牲となる痛ましい爆破テロ事件が発生しておりますが、災害、テロに対する道路、鉄道、空港、港湾などの安全確保策は万全を期さなければなりません。

 また、二点目の経済波及効果という点は、単に道路や鉄道のみの採算性という狭い観点だけでなく、インフラ整備による地域経済の活性化について広く総合的に評価すべきです。といいますのは、採算性だけを論じれば、地方の道路や鉄道が投資に見合う収益が必ずしも期待できないことは明らかでしょう。しかし、採算が合えば整備をする、採算が合わなければ整備をしないというのであれば、営利企業と同じ理屈でありまして、国民経済と生活の基盤を整備するべき国の責務を果たしているとは言えないと思います。

 例えば、我が国は現在、二〇一〇年までに一千万人の訪日外国人誘致を目指すビジット・ジャパン・キャンペーンを展開中です。我が国は歴史も自然も豊かで、豊富な観光資源に恵まれております。これらを活用することは日本全国の活性化につながると思いますが、こうした観光振興の観点からも、質の高い交通網の整備を抜きには語れないと思っております。

 少し長くなりましたけれども、このような考え方を持ちまして、本日の質疑を進めさせていただきたいと思います。

 では、新幹線鉄道網に関する震災対策についてお伺いいたします。

 世界に誇る安全で快適な高速鉄道網である我が国の新幹線が、国内外の旅行者から今後とも安心して利用してもらえることが大切だと思います。

 昨年秋の新潟中越地震の際に、上越新幹線が脱線したという例がありますけれども、その後、既存の新幹線に関する震災対策というのは、今どのように取り組みがなされておりますでしょうか。

北側国務大臣 昨年の十月二十三日、中越地震がございまして、私も翌朝現地に行かせていただきましたが、今委員のおっしゃったとおり、上越新幹線が脱線する、こういう事故が発生をいたしました。私もその事故現場に行かせていただきましたが、大変な状況でございましたが、幸いにして一人も死傷者が出ない、これは本当に、私は現場に行かせていただいて、運がよかったと言うしか言いようがないというふうに思っております。

 その直後から、JR東日本だけではなくて、東海もそして西日本も、そして九州も入っていただいて、新幹線を運用している各企業に入っていただいて、専門家の方々にも入っていただいて協議会をつくらせていただきました。新幹線脱線対策協議会、本年の三月三十日に中間的な取りまとめをしていただきまして、構造物の耐震対策について今一生懸命進めているところでございます。

 高架橋の補強につきまして、前倒しで進めさせていただきたいと思っておりまして、これは原則的には平成十九年度までに完了させたいというふうに考えておりますし、また、山岳トンネルや中越地震で被災したものと同様の高架橋柱に関する対策につきましては、十月を目途に実施計画を策定しようと今しているところでございます。

 また、列車が仮に脱線した場合にも、線路から大きく逸脱することがないように、そのための対策の研究を行っているところでございまして、その実施計画を十七年度末を目途に策定しようということで今取り組んでいるところでございます。

 いずれにしましても、国土交通省におきましては、新幹線に対する地震対策に今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

糸川委員 運だけでは本当に対策ということにはなりませんので、ぜひ早期の対策をと思っております。

 さて、整備新幹線についてですけれども、むだな公共事業だと批判する声も一部聞かれておりますが、決してそうではないんじゃないかなというふうに私は思っております。

 私は、日本経済と地方活性化の観点から、また観光立国の観点からも、新幹線網の充実はますます重要であるというふうに考えております。

 整備新幹線は、地方活性化の起爆剤として、また経済効率にすぐれ、環境にも優しい交通手段として大変有益なものであり、我が国の経済活力を高める未来志向の地方活性化インフラであるというふうに考えております。

 財源の問題があることはよく承知しておりますけれども、低金利の今であればこそ、集中的な投資によって早期の整備を図るべきだというふうに考えております。

 私は、北陸信越ブロックの選出でございますので、例えば、北陸新幹線が近畿圏まで結ばれて、石川県の小松空港から来日された外国の方が、北陸圏や関西圏を観光されたり、そういう満喫をされまして、関空から帰国されていくというような人の流れが生まれれば、この地域の大きな活性化につながるのではないかなというふうに思っております。地元の期待も非常に大きなものがあるというふうに思っております。また、首都圏と北陸信越地域の往来ももっと活性化するというふうに思っております。

 先ほど震災対策について伺いましたけれども、北陸新幹線については、万が一東海道新幹線が不通になるような事態になった場合、その代替機能を持たせるという位置づけもあるのではないかなというふうに思っております。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、整備新幹線の整備は各線とも必要だというふうに思っておりますけれども、時間の関係もありますので、とりあえず北陸新幹線について、いつまでにどこまでを整備するのか、どのようなお考えがあるか、見通しをお聞かせいただければと思います。

北側国務大臣 整備新幹線につきましては、昨年末に政府・与党の合意をさせていただきまして、今着実に整備を推進しているところでございます。

 今おっしゃっておられます北陸新幹線につきましては、長野―白山総合車両基地間で一体的に平成二十六年度末の完成を目指すこととしておりまして、既に一部のところでは本年六月から工事の着工をしているところでございますし、また福井駅部につきましても、平成二十年度末の完成を目指して、同じく本年六月から工事の着工をしているところでございます。この南越と敦賀の間につきましては、工事実施計画の認可申請を行うというふうにされているところでございます。

 今後とも、政府・与党の申し合わせに基づきまして、北陸新幹線を初め整備新幹線の着実な整備を図らせていただきたいと思っております。

糸川委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

甘利委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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