衆議院

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第3号 平成18年1月27日(金曜日)

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平成十八年一月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金子 一義君 理事 田中 和徳君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 森  英介君

   理事 細川 律夫君 理事 松野 頼久君

   理事 上田  勇君

      阿部 俊子君    井上 喜一君

      伊吹 文明君    臼井日出男君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      奥野 信亮君    亀井 善之君

      河井 克行君    河村 建夫君

      斉藤斗志二君    実川 幸夫君

      園田 博之君    高市 早苗君

      津島 雄二君    渡海紀三朗君

      中根 一幸君    丹羽 秀樹君

      西銘恒三郎君    根本  匠君

      野田  毅君    二田 孝治君

      三原 朝彦君    山本 公一君

      山本 幸三君    山本 有二君

      石関 貴史君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      加藤 公一君    北神 圭朗君

      笹木 竜三君    原口 一博君

      伴野  豊君    馬淵 澄夫君

      坂口  力君    桝屋 敬悟君

      佐々木憲昭君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

      徳田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣         小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   財務副大臣        竹本 直一君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   環境副大臣        江田 康幸君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (内閣官房皇室典範改正準備室長)         柴田 雅人君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋  進君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  竹花  豊君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    小貫 芳信君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十七日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     丹羽 秀樹君

  津島 雄二君     西銘恒三郎君

  中山 成彬君     中根 一幸君

  町村 信孝君     阿部 俊子君

  古川 元久君     石関 貴史君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     町村 信孝君

  中根 一幸君     中山 成彬君

  丹羽 秀樹君     臼井日出男君

  西銘恒三郎君     津島 雄二君

  石関 貴史君     古川 元久君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 一言申し上げますが、質問者は必ず委員長の指名を受けてから発言をいただくように、また、不規則発言につきましては品位を持ってやってもらいたい、以上でございます。(発言する者あり)もちろんでございます。

     ――――◇―――――

大島委員長 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)、平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房皇室典範改正準備室長柴田雅人君、内閣府政策統括官高橋進君、内閣府政策統括官榊正剛君、警察庁生活安全局長竹花豊君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、総務省大臣官房総括審議官荒木慶司君、法務省矯正局長小貫芳信君、外務省北米局長河相周夫君、厚生労働省労働基準局長青木豊君、厚生労働省職業安定局長鈴木直和君、農林水産省消費・安全局長中川坦君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、気象庁長官長坂昂一君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗さん。

高市委員 おはようございます。自由民主党の高市早苗でございます。

 まず冒頭に、ライブドアに関することで、安倍官房長官また与謝野大臣にお伺いをいたします。

 昨年の夏、ライブドアの前社長であります堀江容疑者を自民党で公認するもしくは推薦するというようなことが検討されたやに聞いておりますが、その当時、当時幹事長代理であられました安倍さんが強硬に反対されたというふうに聞いております。

 当時から、堀江容疑者またはライブドアグループに証券取引法違反容疑といった可能性があるというような情報を持っておられたんでしょうか。官房長官にお願いします。

安倍国務大臣 当時は、そのような情報は全く知りませんでした。

高市委員 それでは、恐らく、堀江氏の政治姿勢ですとか政策的価値観が安倍官房長官と合わないといったような理由での御反対だったのかと拝察するわけですけれども、与謝野大臣のところでは、今回の不祥事を受けまして、例えば各界で言われている再発防止策として、証券取引等監視委員会、ここの機能を強化するというようなことも言われておるんですけれども、役所の方に伺いますと、今でも十分な調査機能そしてまた告発機能を持っているということでございました。

 昨年夏の時点で、この証券取引等監視委員会の方に、このライブドア問題、容疑があるかもしれないというような情報が入っており、調査はされておりましたでしょうか。

与謝野国務大臣 捜査が進んでいる最中でございますので具体的な話は申し上げられませんけれども、監視委員会は、もう既に一般的な問題としてライブドアの株等の取引については着目をしておりまして、必要な基礎的な資料というのはもう数年前からちゃんと収集していたと。これは事実でございます。これは、監視委員会である以上、あらゆる株の取引、その中で、集めておかなければならない資料というのは集めるというのは、その役目でございます。

 ライブドアについても、特に嫌疑を持たなくても必要な資料はきちんと集めていたと。その意味では十分役割を果たしていたと思いますし、本件に関しましても、監視委員会が役割を果たしていないという報道がありますけれども、これも具体的なことはお話しできませんけれども、後でわかっていただけると思いますけれども、捜査に関しましては、監視委員会の役割というのは、皆様方が想像する以上大きなものがあると思っております。

 高市議員御指摘のように、制度あるいは権限その他につきましてはアメリカのSEC並みでございますけれども、まだ歴史はSECに比べて浅いという面もありますし、また、三千人を超すSECに比べまして日本の場合はその十分の一程度でございますから、そういう意味では、今後、証券市場を監視していくためにこれが十分な人員かどうかということは、国会でも御論議をいただきたい、そのように思っております。

高市委員 当時の自民党にとりまして、恐らく、金融行政当局も、明らかに黒であるというような形での動きでは今のお話ではなかったようでございますし、また、マスコミも野党も含めて、違法性の可能性ということについては気がついていなかった段階で、幹事長室で特に実務に取り組んでおられた幹事長代理も御存じなかった、こういったことで、もしかしたら証券取引法違反容疑があるかもしれないということを推察するということについては、非常に私は困難だったんだろうと思います。

 また、これは、どこの政党でも恐らく同じようなことなんでしょう。民主党さんでも、昨年九月十一日の衆議院選挙投票以降、麻薬所持等の問題もあり、三人の公認候補の方が残念ながら逮捕という形に至っておられますので、どちらの政党にしましても、予見不可能なこと、これは残念ながらあるんだろうと思います。

 ただ、政党として公認をしたり推薦をしたり、そしてまた役員が……(発言する者あり)役員がこういった形で応援をする、公認でも推薦でもないという方を応援するということによりましてその候補者を有権者に対してオーソライズしてしまったということについては、率直に責任を認めなければいけない、こういったことだろうと思います。

 これからも同様の事態というのは起こり得ることではございますけれども、今あえて品のないことを言ってしまったかもしれませんが、ただ、お互いにこういった予見不可能だったことに関して、結果責任はあるにしても、泥仕合という形で政争の具にしていく、それで時間を消費するということではなく、あくまでも前向きに与野党力を合わせて再発防止策を検討していければうれしいな、このように考えております。

 与謝野大臣にもう一つ伺います。

 そもそも証券取引法というのは、真実を知らされないことによる損害ですとか不公正取引による損害から投資家を守るといった趣旨の法律だと思うんですが、残念ながら堀江氏に関しましては、企業を買収するときには、株主利益を最大化するんだということを公言しながら、結果的には、今回の事件によりまして株主に大損害を与えてしまった。この責任は大きいと思います。

 そしてまた、株式の分割ですとか立ち会い外取引、こういった制度に関しましても、本来は投資家の便宜を図る趣旨の制度だった。ところが、堀江氏は、この制度が想定しない使い方で株価をゆがめて利益を得た。要は、日本経済新聞の社説では「制度と市場の濫用」という表現をされておりましたけれども、こういった法の抜け穴ですとか制度の不備を突くことでお金をもうけてヒーロー扱いされるというような方が出てきてしまったことで、今後、残念ながら、私たち立法府でも、常に最悪の事態を想定しながら厳密な法整備をしなければならないといった空気になってしまった、このように感じます。

 しかし、一方で、投資家の利便性が損なわれたり、それから、市場の流動性というのを著しく損ねてしまうような過剰な規制ですとか、それから、大幅な公務員増員を伴うような管理体制強化というのは、小泉改革の方向性に反するばかりではなく、日本経済にも大きなダメージを与えてしまうんじゃないかな、このように感じます。

 これから再発防止策を検討されていく中で、与謝野大臣はどのような哲学と物差しというものを持ってこの防止策を検討されるんでしょうか。

与謝野国務大臣 まず、東証、東京証券取引所をどう認識するかということですけれども、これは日本経済の不可欠なインフラであって、市場としての健全性が保たれる、これはもう我が国経済の将来にとって極めて重要なことは、高市議員御承知のとおりだと私は思います。

 その意味では、日本の経済だけではなく、世界の投資家もまた日本市場に参加しているわけですから、日本経済、世界の経済にとって重要なインフラだという認識、また、この東京市場というもので形成される株価というものが、公正さ、透明性を持っているということを担保する必要がある。

 そういう意味では、必要な法整備はこれから行ってまいりますけれども、また、この国会でいわゆる投資サービス法というものを出しますけれども、今は金融商品がいろいろ発達している中で、自由な経済というものを阻害しないように、自由な投資活動を阻害しないようにという観点もまた必要であるという高市議員の御指摘は、まさにそのとおりでございます。しかし、一方では、悪質な勧誘等から投資家をきちんと守る、そういう面もまた強化しなければならないと思っております。

 証券監視委員会がその役割を果たしていないとか、あるいはその権限が十分でないとかという議論は、先ほど申し上げましたように、この一連のライブドア事件の経過を私も金融行政という観点から必要最小限のことは報告を受けておりますが、監視委員会の権限、あるいは今度とりました一連の行動は、御報告ができませんけれども、検察庁にまさるとも劣らない、それだけの使命は達成できていると思っております。

    〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕

高市委員 私は基本的に、証券取引手法というものについて新たな規制を課すよりは、まずは現行の法令を徹底的に遵守していただく、そして法執行をきちっと行っていただくというようなことで、具体的には、まず罰則規定について強化するということが現実的なのかなと思います。

 例えば偽計取引でしたら、日本では、刑事上は五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、もしくはその併科というようなことになっておりますが、アメリカの場合は、二十年以下の懲役もしくは五百万ドル、五億円を超えますね、五百万ドル以下の罰金というようなことで、法人になりましたら二千五百万ドルですか、二十五億円を超える、こういった非常に大きな罰則が科されておりますけれども、早急にこの罰則強化ということを検討される御用意はありますか。

与謝野国務大臣 刑罰というのは、日本の場合は、自然犯の場合、あるいは行政法規を破った犯罪という二種類に分けて考えますと、今は五年ですけれども、懲役十年というような刑罰がかかっている犯罪というのは自然犯が非常に多くて、行政法規を破った場合の最高刑というのは五年ぐらいが相場になっております。

 したがいまして、刑罰を上げるというときには、他の犯罪との刑の均衡ということを十分考えながらやらなければならないんですが、一方では、犯罪を抑止するという意味での刑期を延ばすということもまた考えなければならない。自民党の小委員会の報告書を読みますと、刑罰を上げろという報告が出ておりますので、これは、法務省とよく検討して、他の罪種との均衡も考えながら判断をしていかなければならない問題だと思っております。

    〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕

高市委員 与謝野大臣、ありがとうございます。私から大臣への質問は以上でございます。

 次に、皇室典範の話をしてみたいと思うんですけれども、安倍官房長官にお願いいたします。

 二日ほど前でしたか、内閣府の方から、今国会に提出されるかもしれない皇室典範一部改正のための法律案の概要、本当に骨子だけなんですけれども、御説明いただきました。それによりますと、現在は「皇統に属する男系の男子」ということで限定されております皇位継承につきまして、女性天皇を容認、それから女系天皇容認、長子優先といったことに加えまして、皇族女子は婚姻後も皇室にとどまるといった内容のものでございました。

 これは、そういうことになりますと皇室予算の変更も伴うわけですけれども、まだ詳細がわかりませんので、きょうは、安倍官房長官の基本的な皇室観のようなものを簡単に伺いたいと思っております。

 私自身は女性天皇には反対はいたしませんけれども、もしこれから議論の時間をゆっくりとれるのであれば、女系天皇それから長子優先という項目については、もう少し慎重に検討もしていただきたいし、党内でも議論を深めたいな、こう希望しているものでございます。

 とても恐れ多い例えなんでございますが、仮に愛子様が天皇に即位されたら、この場合、男系の女性天皇ということになられます。そして、愛子様が仮に山本さんという皇族以外の方と結婚をされまして、第一子に女子の、仮にですが、友子様という方が誕生されたといたします。そして、その友子様が天皇に即位されたら、ここで初めて女系の女性天皇ということになられるわけでございます。この友子天皇陛下の男系の祖先というのは山本家になります。女系の祖先というのは小和田家ということになりまして、今回の法改正によりまして、二代目で天皇陛下直系の祖先は女系も男系も両方民間人になるという可能性がございます。

 また、いろいろ外で発表されている論文ですけれども、男親から男の子供、つまり男系男子に限って正確に受け継がれてきた初代天皇のY染色体というものはそこで途絶をしている、こういう状況になるんですね。

 私は、男系の血統が百二十五代続いた万世一系という皇室の伝統、この伝統も恐らく天皇の権威というものの前提であったんだろうと、こう感じているんですけれども、官房長官は、この皇位が古代より百二十五代にわたって一貫して男系で継承され続けてきたことの持つ意味、それから、皇室典範一条が男系男子による皇位継承を定めている理由、これは何だったとお考えでしょうか。

安倍国務大臣 まず初めに、現行憲法での定めと現行の皇室典範での決まりについて御説明をさせていただきます。

 憲法においては、憲法第二条に規定する世襲は、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承するということと解され、男系、女系、両方がこの憲法においては含まれるわけであります。

 一方、皇室典範第一条が皇位継承資格を男系男子に限定していることについては、現行の皇室典範制定時の議論を見てみますと、また、特に国会での議論を見てみますと、過去の事例を見る限り男系により皇位継承が行われてきており、それが国民の意思に沿うと考えられること、そして、女性天皇を可能にした場合には、皇位継承順位など慎重な検討を要する困難な問題があり、なお研究を要すること、そしてもう一点は、男性の皇位継承資格者が十分に存在していること、大体この三つが当時の国会での論点でございました。

 そして一方、今委員から、百二十五代男系で継承されている、その重みについてどう考えるかという御指摘がございました。

 これまでの男系継承の意義についてはさまざまな考え方があります。これは、学問的な知見や個人の歴史観、国家観にかかわるものでございまして、私も官房長官として政府を代表する立場でございますので、特定の立場に立つことは差し控えさせていただきたい、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、政府としては、男系継承が古来例外なく維持されてきたことを認識し、その事の重みを受けとめつつ、皇位継承制度のあり方を検討すべきものである、このように考えております。

高市委員 この法改正の根っこ、根っこといいますかたたき台になりましたのは、昨年十一月下旬に有識者会議の報告書が提出された、この内容に沿ってということなんだろうと思います。ただ、まだ多くの国会議員はこの報告書自体を入手しておられないんじゃないかと思います。私も最近ちょうだいいたしまして拝読いたしました。それから、まだ国民の皆様の理解も進んでいない状況だと思います。

 また、その女系天皇というものが即位される可能性というのは、現在の皇太子殿下が男系男子の天皇として即位されて、現在四歳の愛子様が男系女子の天皇になられた後、さらに数十年先に即位されるかもしれない天皇陛下のことであると思いますので、私は、この女系の問題、また長子優先ということに関しましても、まだ十分に検討の時間はあるんじゃないかと感じるんですけれども、なぜ、今国会に急いで提出されようとしているんでしょうか。

安倍国務大臣 皇位継承につきましては、国家の基本にかかわる事項であります。天皇が内閣の助言と承認のもとに内閣総理大臣や最高裁長官の任命、国会の召集など重要な役割を担う以上、どのような事態が生じても安定的に皇位が継承されていく制度でなければならない、このように考えています。その意味で、皇太子殿下の次の世代に皇位継承資格者が不在であるという不安定な状態は早期に解消される必要がある、このように政府として考えているわけであります。

 女性皇族が婚姻により皇族を離れる現行制度のままでは今後皇室の規模が急速に縮小することが予想されることや、将来の皇位継承者にはそれにふさわしい御養育を行う、いわゆる帝王学でございますが、を行う必要があることも考えれば、皇位継承制度の改正は緊急の課題であるというふうに考えております。

 このような認識に立って、議員各位及び国民の皆様の理解を賜りながら、今国会に法案を提出していく考えでございます。

高市委員 ありがとうございました。

 きょうはまだ法律案そのものが提出されていない状況ですので、官房長官の基本的なお考え方、政府を代表してのお考え方を拝聴するという趣旨ではございますが、ただ、まだ現在、四十代の皇位継承者、それもお一方ではございません、おられる中で、どうでしょう、今国会で非常に重要な問題が山積している中で慌ててこれを提出される必要があるのか。とても大切な、私たち日本人にとって祖先が守り続けてきた非常に大切な伝統、これをどう変えるか、また、守るべき伝統は何で、変えるべき伝統は何なのか、こういう議論も深めたいと思いますので、できましたら今国会ではない方がありがたいな、十分な時間、議論の機会をいただきたい、このように希望をいたしております。

 官房長官への質問は以上でございます。ありがとうございました。

 続けて防衛庁長官にお願いをいたします。

 先般、マスコミでも報道されておりましたけれども、三菱電機株式会社が平成五年から七年の間に防衛庁から受託した将来SAMの研究試作の報告書の中にある図表情報、これが下請の株式会社三菱総研からさらに下請に出されて、朝鮮総連傘下のソフトウエア会社に流れた、こういった情報がございました。

 今回、予算書でも、弾道弾ミサイルへの対応費用の計上という項目がございました。弾道弾への対応ということになると、このSAM、要は地対空ミサイルということになるんじゃないかと思うんですけれども、今回流出が明らかになりました平成五年から七年当時、この地対空ミサイル関連の資料は、日本の防衛戦略上、外に出たら、特に北朝鮮側に流れた場合にダメージの大きいものだったんでしょうか、どうでしょうか。それから、現段階では日本の国防に与えるダメージというのはどの程度なんでしょうか。

額賀国務大臣 高市議員にお答えをいたします。

 今おっしゃられましたように、将来SAM、地対空ミサイルの試作研究の内容が、事もあろうに在日本朝鮮人科学技術協会の企業に流出したということでございますから、これはもう大変な事態でございまして、私も、事実関係の究明をしていかなければならないというふうに思っております。

 今、高市議員の御指摘の影響についてでございますけれども、この試作研究については、さまざまな前提条件に基づいていろいろな勉強、研究をするわけでございますけれども、実際に中距離地対空ミサイルを生産する場合は、これはさまざまな技術をまぜ合わせるというか混合する、あるいは、これまでの経験則あるいは運用の実績等々を踏まえながらつくっていくことでございますから、実態的には影響がないというふうに見て結構であります。それは心配しなくてもいいと思っております。

 今後、やはりこういうことが再発がないように、万全を期してまいりたいというふうに思っております。

高市委員 平成十三年の自衛隊法改正で、防衛庁の契約業者も防衛機密漏えいによって懲役五年以下の刑罰の対象となるということで、この情報流出当時にはなかった新たな法規制も加わっておりますけれども、この法整備だけで同様の問題が発生することが防げるのかどうか、これはちょっと疑問だなと感じております。

 また、下請契約も含めて、今後、防衛庁の情報管理体制というのは大丈夫なんでしょうか。

額賀国務大臣 今の防衛庁・自衛隊のこういう秘情報についての扱い方は、これは、一般公務員と同じ庁秘として秘密事項がランクされること、それから、防衛の運用とか技術情報については、特別に防衛秘密として、重大案件としてランクをして、そして十三年、御指摘のように罰則を重くしたわけでございます。

 日常の運用的には、そういうマル秘情報の扱いにつきましては、防衛庁が持っているものをその受託企業が第三者に流出、流出というか、流す場合は防衛庁の承認を得る、あるいはまたその当該企業がさらに下請等に出すようなことはあってはならない、そういう形での防衛秘密の保全体制をつくっているということでございます。

 一般の公務員の場合は、秘密情報を流出した場合は懲役一年でありますけれども、防衛庁の場合は、懲役五年の罰則をもってこういうことがないようにしているわけでございます。

高市委員 ぜひとも、しっかり情報管理体制を整えていただきたいと大臣にお願いを申し上げます。

 今回の事件のソフトウエア会社は、在日本朝鮮人科学技術協会の幹部が経営している会社でございます。この協会の元幹部が、過去に北朝鮮やイランへの精密機器不正輸出、これに関与したということで、平成十四年に警視庁が摘発したといった事件もございました。この協会本体のスパイ行為そのものを立証するということは困難でしょうし、真実もわかりませんが、ただ、ちまたには、北朝鮮のために技術情報を収集している、そう目されている団体でもあるかと思いますので、ぜひとも、このような団体の活動、これもしっかり注視して、日本にとって、私たち国民の命を守るために大切な情報の管理をお願いしたいと思います。

 きょうは国土庁長官にも朝早くからお出ましいただきましたのに、済みません、質問時間がなくなりましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて高市さんの質疑は終了いたしました。

 次に、阿部俊子さん。

阿部(俊)委員 自由民主党の阿部俊子でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 平成十七年度補正予算、社会保険国庫負担金に関連いたしまして、特に、小泉改革の重要な公約である年金問題に関して質問をさせていただきます。

 まず、現在議論が進められている被用者年金の一元化の問題について、厚生労働大臣にお伺いいたします。

 会社員の加入する厚生年金と公務員の加入する共済年金の一元化に関しまして、昨年四月の政府の閣議決定に基づくものであって、厚生年金と共済年金の一元化を図ることは、官と民の公平性の確保、さらには公的年金に関する国民の安心と信頼を高める上で不可欠なことであるというふうに考えます。

 そこで、今後、被用者年金の一元化に向けて、具体的に、どれぐらいの期間でどのように保険料率を調整していくのかなど、厚生労働大臣としての現時点でのお考えをお伺いしたいと思います。

川崎国務大臣 一昨年、年金法の改正の中でさまざまな御議論をいただきました。その中で、共済年金と厚生年金の一元化問題というのも議論になり、一方で、私は実は昨年議運委員長をやっておったわけですけれども、国会議員の互助年金制度、どうするんだと。私は、正直申し上げて、縮減をしながら最終的には厚生年金と統合かな、こういう案を書きましたけれども、小泉総理から、それを廃止せい、民主党としっかり廃止の方向で決めろ、こういう議論になりました。そういう意味では、特殊なものはもうやめておこうと、いろいろな議論はありましたけれども。

 そういう意味では、厚生年金と共済年金、掛金額、月数、掛けていって、もらうものに差異があるとなれば、国民から見た場合に公平性という面で問題があるということで、これを一元化しなきゃならぬ。このスタンスで、今、総務省、財務省それから文科省、四つの省庁で調整をしながら、内閣が先頭に立ちながらやらせていただいている。四月の末をめどに基本的な考え方をまとめるということでやっておりますので、どのぐらいかけながらどうやっていくんだということについては、今申し上げる段階にはないと思っております。

阿部(俊)委員 続きまして、改革の続行内閣の竹中総務大臣にお伺いいたします。

 両年金の一元化に当たりまして、昨年十二月の被用者年金制度の一元化に対する関係省庁連絡会議で論点整理がされました。今後議論を深めていくことになっていくというふうに感じます。

 しかしながら、特に、現在優遇されている共済年金加入者からの反発、既に年金受給が始まっている公務員退職者の年金額の問題など、共済側は厚生年金との一元化に消極的な姿勢でありまして、被用者年金の一元化の改革にはさまざまな抵抗があるものと聞いております。

 改革続行内閣としての竹中総務大臣が積極的な姿勢でこの年金一元化という問題に、改革に取り組まれると期待するものでございますが、共済年金の一元化に対して、具体的にどのように保険料率を調整するかという意気込みを、四月末までに調整するとは聞いておりますが、ぜひお聞かせください。

竹中国務大臣 総務大臣としての意気込みを示せという御指摘でございます。

 言うまでもありませんが、年金の一元化、被用者年金の一元化につきましては、まず制度が安定的であるということ、そして公平であるということ、これは何より大事だと思います。そうすることによって、公的年金制度に対する国民の皆さんの安心と信頼、これが初めて確保されるということだと思います。

 委員、今何度も御指摘くださいましたように、政府・与党の協議会、これは一月十六日ですけれども、政府・与党が一体的かつ効率的に取り組むということを確認しております。もちろん、私もその合意の主体の一人でございます。総務省というのは地方公務員の共済年金制度を所管するという立場にございます。四月末を目途に、被用者年金一元化の基本方針を閣議決定するという決意でございます。各省庁と連携をとって、ここはしっかりと対応していくつもりでございます。

阿部(俊)委員 続きまして、竹中総務大臣に再度お尋ねいたします。

 保険料率は、厚生年金は二〇一七年まで十年かけて段階的に毎年〇・三五四%ずつ上げて、最終的に一八・三%になるということが出ておりますが、同じ段階引き上げ率を機械的に行った場合には、国共済、地共済は二十年かかります。私学共済に関しましては三十年で同水準になるということがあります。これでは、改革としては余りにも長い時間がかかるのではないかと感じます。

 保険料率の平準化に関しまして、どのぐらいの期間が改革続行として年金一元化のタイムスパンであるかということを、現段階のお考えをぜひお聞かせください。

竹中国務大臣 タイムスパンについてのお尋ね、具体的なお尋ねでございますけれども、要するに、現状をちょっと整理させていただきますと、昨年十二月の関係省庁の連絡会議における論点整理が行われているわけですけれども、保険料率の統一について、二つの大きく論点が指摘されていると思います。まず、一、二階部分の保険料率をちゃんと統一するんだということ、そして、加入者とか事業主の負担増がありますから、そういった点を考慮して段階的に統一していくんだ、これが論点でございます。

 今、それでどのぐらいのタイムスパンかというお尋ねでありますが、まさに今そのことを各省庁汗を流して議論しているところですので、申しわけございませんが、きょうの時点で、私は、このぐらいということを申し上げられる段階ではございません。

 ただ、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、これは閣議決定するということの申し合わせをしているわけでございますので、そこはしっかりと誠意を持って議論してまいりたいと思っております。

阿部(俊)委員 タイムスパンが今お答えになれないということはわかりました。

 引き続きまして総務大臣にお尋ねしますが、二十年というのはタイムスパンとして長いか短いかという見解を個人的にお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 まさに今、組織と組織で、いろいろな立場の方がいらっしゃいます、そのいろいろな立場の方のことを考えながら調整しているわけでございますので、私としては、長いか短いかということを、大変申しわけありませんが、きょうの時点で申し上げるというわけにはなかなかいかないと思っております。

 ただ、いずれにしましても、できるだけ早く調整するにこしたことはないと思います。しかし、そのときの皆さんの負担とか、そういうことはしっかりと考えていかなければいけないわけですので、そこの調整は、繰り返しになりますが、誠意を持って対応して、しっかりと議論をいたします。

阿部(俊)委員 できるだけ改革という名にふさわしいタイムスパンでお願いしたいと思うわけでございますが、谷垣財務大臣にお伺いいたします。

 年金の一元化に関しまして、給付と負担の公平性が非常に重要であるというふうに考えますが、財政単位の一元化、さらには費用負担の平準化を図ることということに関しまして、具体的に、大臣として、現段階のお考えをお聞かせください。

谷垣国務大臣 私どもも、公的年金を統一していく、これは国民の公的年金に対する信頼を維持していく上で極めて大事だと思っておりますので、先ほどから御議論がありますように、四月末に閣議決定できるように財務省としても全力を挙げて取り組みたいと思っております。

 今おっしゃった点について、今議論の最中ですので、まだ十分明確なことを私も申し上げにくいんですが、保険料率については、やはり一、二階部分を統一していく必要がある、これは昨年の論点整理で決められております。それから、加入者や事業主の負担増を考慮して段階的に保険料率を統一していくといった論点が指摘されておりますので、それに即してやっていきたいと考えております。

阿部(俊)委員 続きまして、共済年金の追加費用についてお尋ねしたいというふうに思います。谷垣財務大臣、竹中総務大臣にお伺いいたします。

 国共済、地共済という現行制度が創設される以前の公務員恩給制度の恩給期間を有する方々について、昭和三十四年以降、国または地方公共団体が追加費用として、国民の納めた税金によって当該恩給期間分の給付費の負担を行っています。

 共済年金と厚生年金に官民格差を生じさせている最大の原因は、昭和三十年代に過去の恩給制度を引き継いで以降、制度外の税金として国共済、地共済に毎年二兆円近く投入され続けている、この追加費用にあります。

 昨今、国会議員互助年金に公的資金が七割も投入されていると国民の批判を浴び、特権的な議員年金の見直しが議論となりましたが、実際には、国共済では七四・五%、地共済では七八・二%と、国会議員互助年金よりはるかに高い公費が投入されております。

 被用者年金を一元化する際には、まず、この追加費用を整理していく必要があります。共済年金の積立金額は四十六・五兆円ありますので、追加費用の整理は、そのまま給付に影響するとは限りません。恩給時代の受給に関して、約五十年後にはいわゆる自然消滅すると言われておりますが、この年間二兆円近くの追加費用に関しまして、具体的な廃止時期、さらには方法について、それぞれの大臣の見解をお伺いいたします。

谷垣国務大臣 追加費用につきましては、恩給から共済年金に切りかわった際に、法律で追加費用を入れるというふうに決められて今までやってまいりました。

 それで、今までの論点整理では、追加費用の分は、いわゆる既裁定の方の年金額といいますか給付額をどうするかということとつながってまいりますので、既裁定の方ということになりますと、一つの問題点は、えらい大きなだんびらを抜きますと、憲法二十九条との関係をどうするかというような問題。それからもう一つは、先ほどの御指摘の中にもあると思いますが、民間の方々との比較、公平性といったものをどう考えるかというようなことをきちっと整理して詰めていかなければならないと考えております。

竹中国務大臣 今の財務大臣の御答弁で、ある意味で問題点の整理は尽きているというふうに思うのでございますが、いずれにしても、この追加費用の問題は、今回の一元化の議論の中で非常に大きなウエートを占める重要な議論になってくると私も認識しております。

 従来の恩給制度から社会保険方式による共済年金制度に切りかえられる際に、その額について、法律に基づいて地方公共団体が負担していくこととされているということ。それに対しては、与党の十八年度の予算編成大綱においては、抜本的見直しを行い、できるだけ早く廃止するための道筋を検討するというふうにされている。委員も御指摘のように、金額も大きいものですから、いろいろな提言があるということも承知をしております。

 一方で、連絡会議での論点整理においては、恩給等とのバランスに留意することが必要、既裁定者の給付の減額は、今財務大臣がおっしゃいましたように、憲法上の財産権の問題を生ずるおそれがある等々の整理がなされているところでございますので、ここはやはり大きな問題でありますから、正面から受けとめまして、しっかりと議論を深めていきたいと思っております。

阿部(俊)委員 竹中総務大臣に再度お伺いいたします。

 今お答えになった内容は、五十年の自然消滅を待たずに、具体的な方法論、すなわち追加費用を廃止するということ。それは、そのまま財産権に及ぼさない方法論も私はあるというふうに考えておりますが、それに関しまして、自然消滅を待たないかということをお聞かせください。

竹中国務大臣 今いろいろな形で知恵を絞っておりますので、問題に特定して、自然消滅を待つか待たないかということに関しましても、私の立場ではっきりと今の時点で申し上げることはできませんが、私もいろいろな知恵はあるのだろうなというふうに思っております。そのことをぜひ幅広く議論していきたいと思っています。

阿部(俊)委員 ぜひとも、国民の納得のできる公平性のある年金制度の確立のために、この問題の議論を加速させていただきたいと思います。

 次に、社会保障制度に関しまして、厚生労働大臣にお伺いいたします。

 特に、社会保障制度としての国民年金と生活保護の関係に関しまして、我が国では、すべての現役世代が国民年金に加入し、受給開始年齢になれば基礎年金の給付を受けることになっています。

 国民年金では、通算で四十年加入した場合、満額が支給され、現行では年間七十九万四千五百円、一カ月当たり六万六千二百八円となっています。ただし、実際には加入期間が四十年間に満たない方がほとんどで、受給者の平均月額は五万五千円程度と言われています。つまり、満額でも生活保護の受給者の基準額を下回る金額しか支給されていないこととなり、それが、社会保障制度、すなわち年金の制度のいわゆる信頼を失い、保険料の収納率を低下させる要因の一つであるというふうにも言われております。国民年金の給付水準に関しては、老後の基礎的な費用とされておりますが、その給付額の根拠は明確ではありません。

 一方、生活保護は、憲法二十五条に定める健康で文化的な最低限度の生活を保障するために、最後のセーフティーネットとして設けられている制度でもあります。受給者が資産を活用したり最大限働いたとしても、生活費が国の定めた基準額に達しない場合、足りない分だけ支給されます。年金受給者の場合、給付されるのが、いわゆる基準額と年金の差額の部分であります。貯蓄などの資産があるかどうか、扶養義務のある子供がいるかどうかについての調査も厳格には行われております。

 基準額は、住む場所、どういう家庭構成であるのか、年齢によって違っていますが、東京都区部に住むひとり暮らしの六十五歳の場合、月額生活保護八万八百二十円でございます。基礎年金の満額より一万四千六百円高い水準でございます。さらに、住宅の補助に関しましては、単身で五万三千五百円、医療自己負担なしということになっております。

 それぞれは、そもそも目的の異なる制度であるものの、社会保障としての格差を生じている現状がございます。国民の年金制度に対する信頼を回復するためにも、この問題について厚生労働大臣はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

赤松副大臣 阿部委員にお答えいたします。

 今るる御指摘なさった、国民年金と生活保護費の問題につきまして御心配の点、おっしゃるとおりだろうとは思います。ただ、結論的に申しますと、必ずしも一概に比較することはできないということが言えようかと思います。

 基礎年金額は、単身の生活扶助基準と比べますと、級地によりまして生活扶助基準が高いケースがあります。年金制度は、みずから老後に備えることを基本としつつ、現役時代に保険料を拠出し合うことによって、みずからの備えとあわせて老後生活を下支えするものである、そういう性格を持つわけです。一方、生活保護は、特別な事情によって、先ほど委員も御指摘ありましたけれども、生活基盤や資産を全く持っていない人であっても、医療給付を含めて最低限度の生活を保障する、そういうものであります。支給額の設定の考え方が異なっている、こういうことが言えようかと思います。

 また、今も指摘ありましたが、実際に支給される額につきましては、基礎年金は本人の収入や資産にかかわりなく全額支給されるのに対して、生活保護は、本人の収入、資産や、親族等による扶養の可能性などを常に厳格に調査する、そして、これらを活用した上で、基準額に不足する差額のみが支給されるものである、こういうことから、一概に両者を比較できないという側面がある、こんなふうに思います。

 ただ、言うまでもなく、若いうちに保険料を支払わず、その結果、老後になって生活保護を受給しているようなケースというのは、まじめに保険料を納めている方々にとって、先ほども御指摘されましたように、不公平感を抱かせるなど、年金制度の根本について信頼を失わせる、そういうことにかかわる問題でもありますので、今後とも保険料の収納という部分についてしっかりと強化する対策を進めてまいりたい、こんなふうに思っております。

 以上でございます。

阿部(俊)委員 先ほどの、社会保障制度全般に関して簡単に比較できないということは承知しておりますが、しっかりと見直しをされた形で、不公平感が出ない、さらには、年金制度が信頼できるものであるという形で統一をぜひお願いしたいというふうに思います。

 最後に、短時間労働の厚生年金制度に関しまして、厚生労働大臣にお伺いいたします。

 厚生年金の加入基準は、一九八〇年、パートの急増を受けて設けられました。正社員の所定労働時間は多くの会社で週四十時間とされておりまして、三十時間働くと加入する義務が生じますが、重要な基準でありますのに、法律や法省令で定まっているわけではございません。

 現在、当時の厚生省の課長名で都道府県あてに文書で出されて、その後ずっと慣例として扱われているというふうに聞いております。おおむね四分の三の労働時間というあいまいな文言のほか、さらには、就労の形態、個々の具体的事例に関して判断すべきという規定もございまして、社会保険事務所が裁量で判断する余地が大きいものというのが事情でございまして、社会保険事務所と企業の間でトラブルが、加入させる、させないの問題で起きているというふうに聞いております。

 また、四分の三未満のうち、会社員や公務員に扶養される配偶者に関しましては、一定所得未満でございますと第三号被保険者ということで、自分で個別に保険料を納めなくても老後に基礎年金がもらえるという問題もございまして、いわゆる男女共同参画の観点、さらには子育てのときの就業体系の問題、こういうことと絡みまして非常にあいまいになっている。さらには、労働時間を抑えた方が得ということが全般的に起きてしまうことになりますと、これはニート、フリーターの増加の一因だという指摘もございます。この点に関しまして、厚生労働大臣、お答えいただけたらと思います。

川崎国務大臣 今、社会保険庁改革を進めております。

 まず、払わなければならない、入らなければならない人がどれだけ年金に入っていただくか。例えば学生ですと、免除というものもありながら、出していない人たちもいる。また、企業によっては、当然これは企業の責任の中においてパート労働者をきちっと年金に入れなきゃならない、そういう人たちがきちっと実行していない部分もある。

 それから、今御指摘いただいたように、四分の三という時間、およそ三十時間という区切りの中で年金制度ができ上がっておりますけれども、この問題について、もう少し下げるか、こういう議論、これは労使ともの意見がございます。

 そういうものを調整しながら、これから、今言われましたように議論しながら、より多くの人が年金に加盟していくという制度につくり上げていかなきゃならないし、冒頭申し上げましたように、免除を受けられる方には的確に、あなたは免除を受けられるんですよ、きちっとした申告を行ってください、こういうことをやっていこうと考えております。

阿部(俊)委員 ぜひとも国民の信頼が回復できるような年金制度の確立をお願いしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、いただきました時間を使いまして、現在大きな問題になっておりますライブドアの問題、そしてBSEの問題、耐震偽装の問題、そして、今般提出されております補正予算の問題等々について議論させていただければというふうに思っています。

 きのうの予算委員会での審議も受けまして議論を進めさせていただきたいというふうに思いますが、質問通告の順番をちょっと変えさせていただきたいと思います。きのうの議論を踏まえて、事実確認を、考え方の整理をきっちり端的に行っておいた方がよいというふうに思われることがございますものですから、まずBSEの問題、この問題を、御意見を確認していきたいと思います。

 米国及びカナダからの牛肉の輸入プログラム、これに関する輸入の再禁止という問題に関しましては、国民の皆さん、本当に心を悩ませています。十二月十二日に輸入が解禁されて、十六日には日本に米国産の牛も入ってきている。そして、今までに千五百トンの牛肉が日本に入ってきていて、さらにその半分は既に市場に流通している。今回、輸入プログラムに反する部位の牛肉があったわけですけれども、それが自分たちの口に入っていないのかということを非常に皆さん懸念されている、そういうところもあろうかと思います。

 そういうところで、資料をお配りしておりますけれども、資料の後ろ二枚目、これは去年の十二月、食品安全委員会が、米国及びカナダからの牛肉の輸入に関して、一定条件下において、リスクは日本のものと差異は小さいという結論を出したときの文書でございます。最後、二枚紙がございます、八ページ目と九ページ目。そして八ページ目のところ、「五 結論」というところに、中ほどにありますけれども、今申し上げました、全頭からのSRM、特定危険部位の除去、そして二十カ月齢以下の牛肉、この条件を満たす場合においては、そのリスクの差異は少ないということを判断しているわけですけれども、きのうも我が党の松本剛明議員からの質問にもありましたように、ここに、下の方に「結論への付帯事項」というものがつけられています。

 一枚めくっていただきますと、九ページですけれども、A、B、C、Dと下線を引っ張って書いています。ここに、先ほど申し上げた結論に至った、その段階での懸念といいますか、食品安全委員会として意見をつけておきたいということが書かれているわけでございます。

 何が書かれているかというと、端的に申し上げると、リスクは小さい、差は小さいというふうにこの委員会としては申し上げるけれども、これは、特定危険部位の除去、そして二十カ月齢以下の牛しか輸入しないといういわゆる輸入プログラム、この輸入プログラムがきちんと履行される、この前提で評価していますと。この前提がないとリスクが小さいというこの評価も成り立ちませんということを明確に懸念事項として書いている、それがA、Cのあたりです。

 また、Bのところではもっと丁寧に、SRM除去については、米国及びカナダにおける屠畜場での監視の実態が不明であって、リスク管理機関による安全担保についてもその実効性に疑問が残る、特に脊髄片の牛肉等への混入は等々と書かれているわけです。明確に疑問がここで指摘されている。

 さて、ここでお伺いします。

 八日にこの答申を受けて、十二月十二日には輸入を解禁されている。この十二日に解禁するという結論を出されるに当たって、事前に農水省の方では、アメリカで特定部位の除去そして二十カ月齢以下の牛しか輸入されてこないという仕組みが完全に機能するという確認作業をなされたのか、なされていないのか。なされたとすると、どういうことをなさっていたのか、いつなさっていたのか。その点について、端的に御説明をお願いします。

宮腰副大臣 米国産牛肉に適用されます日本向け輸出プログラムは、輸出国である米国政府が責任を持ってその遵守を確保すべきものであるというふうに考えております。

 政府といたしましては、米国でのBSEが確認されて以降、約二年にわたりまして米国との技術会合や米国の屠畜場の現地調査などを重ねてきておりまして、その中で、米国の食肉処理体制についても調査をしてきております。その結果、米国政府により定められた輸出プログラムにつきましては、他国への輸出プログラムの実施状況や罰則の適用などによりましてその実効性が確保されるというふうに判断したものであります。

 なお、我が国の査察につきましては、このプログラムが確実に機能していることを念のため確認するためのものでありまして、そういう形で確認をして判断をしたものであります。

大串委員 今お答えの中で、二年間にわたるアメリカ政府との協議、調査、その中で、他国への輸出の状況等々を踏まえて確認したというふうにおっしゃいました。

 しかし、今回の日本に対する輸出の条件、これは、特定危険部位の除去、そして二十カ月齢以下の牛しか輸入しないという日本固有の、特定のものでございます。そして、先ほど申しましたように、食品安全委員会においては十二月八日の段階で、このプログラムが遵守されるかどうか、これがかぎであって、その遵守の一部分である屠畜場の監視の実態は不明だ、かつ安全担保の実効性にも疑問が残るということを書かれているわけです。

 今おっしゃった二年間にわたる米国との協議、あるいは農水省における確認の中で大丈夫だと判断したというふうにおっしゃっているように聞こえますけれども、もしそうであれば、なぜ食品安全委員会はこういうふうに書くんでしょうか。こういうふうに書かれているということであれば、農水省と食品安全委員会との間での情報交換にそごがあったか、あるいは農水省による調査が食品安全委員会の調査とは違ったものなのか、こういうふうなこととなります。

 どうしても、農水省の方から自分たちは確認していたということと、この食品安全委員会の方で十二月八日の段階で疑問が残ると言っていたことは論理的に整合しないんです。この論理の矛盾をどういうふうに説明されるのか、そこを端的に御説明ください。

宮腰副大臣 食品安全委員会の結論におきましては、全頭からのSRMの除去、二十カ月齢以下の牛に限るという条件が遵守されるものと仮定した上で、そのリスクの差は非常に小さいと考えられるという評価をいたしております。

 この評価に基づいて、我々といたしまして、輸入再開の条件としてこの二つの条件、あるいはその他細かいものはピッシングの禁止などいろいろありますけれども、この条件を提示いたしまして、アメリカ側から、この日本からの条件を受け入れるという書面での返答が参りまして、それを踏まえて十二月十二日に輸入の再開を決定いたしたところであります。

 また、その後、十三日には、査察チームを直ちに派遣いたしまして十一の施設を査察してまいったわけでありますけれども、その際に、日本向け輸出プログラムに適合した体制の整備がしっかりとされているかという確認、あるいは現場においてルールどおりに実施されているかの確認。この中には、月齢確認が適切に行われているかどうか、あるいはSRMの除去が適切に実施されているか、あるいは日本向けの牛肉が処理から出荷までほかの牛肉ときちんと識別されているかどうか、これらのことについて査察をしてまいったわけであります。

 食品安全委員会の答申に基づいて、管理機関としてのとるべきことにつきましてはしっかりとやっているということだと考えております。

大串委員 では、一つお尋ねします。

 先ほど、二つの条件、SRMの除去そして二十カ月齢以下の輸入ということに関して、遵守するというレターが届いたということが言われていました。それはいつですか。

大島委員長 中川局長。(発言する者あり)

中川政府参考人 委員長の指名でございますので、事実関係ですから、事実関係だけをお答えさせていただきたいと思います。

 アメリカから輸入されます際の具体的な条件は……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

中川政府参考人 日米間で取り決められました衛生条件というものに規定をされております。これは、再開を決定いたしました昨年の十二月十二日の日付でもって日米間で合意をされているものでございます。

大串委員 今、発言がありました。先ほどから申していますように、食品安全委員会のこの答申の中には、このプログラムが実行されるという前提で、リスクは少ないと。そして、明確にこのBというところに、よく読んでください、これはだれが読んでも、アメリカ及びカナダにおける管理の実効性には疑問が残ると書いているんです。

 そして、その二行下を読んでいただくと、SRM除去に関しては、米国、カナダの牛に由来する牛肉等のリスクが日本のものと同等かは不明であると明らかに書かれています。不明であると明らかに書かれている。

 今おっしゃいました。アメリカから十二月十二日付の書簡で、やりますというレターが届いた。これだけ食品安全委員会で不明である、疑問であると書かれているにもかかわらず、一片の書面をもってして大丈夫だなというふうに判断されたその根拠について、端的に御答弁いただきたいと思います。

大島委員長 中川局長、局長の政府参考人を私もちょっとチェックするのを忘れましたが、次の質問者に対する政府参考人になっているようであります。したがって、そこは答弁の対象になりませんので、ちょっと退席をしていただいて。

 宮腰副大臣。

宮腰副大臣 SRMの除去につきましては、先ほど申し上げましたように、日本側といたしましても、輸入再開の重要な条件の一つとしてアメリカ側に遵守を求めて、その上で受け入れるということで輸入の再開を決定したものであります。このSRMの除去、輸入再開条件、これについてはアメリカ側が遵守をするということが基本でありまして、遵守しなかったアメリカ、これに一義的に責任があるというふうに考えております。

大串委員 質問にお答えいただきたいと思います。

 もう一度質問を繰り返します。アメリカでの管理の実効性に疑問が残る、あるいはアメリカのリスクが日本におけるものと同等かどうかは不明であるというふうに十二月八日の段階で書かれているにもかかわらず、十二月十二日の段階でアメリカが、やりますと書面をもって言った、そのことのみをもってああ大丈夫だなというふうに判断されたんだと思いますけれども、書面のみをもってああ大丈夫だなと判断されたその根拠を教えてください、そういう質問です。

宮腰副大臣 食品安全委員会の結論は、先ほど申し上げましたように、全頭からのSRM除去、二十カ月齢以下の牛に限るということが遵守されれば、これはリスクの差は非常に小さい、これが結論であります。

 附帯事項に書かれておりますことにつきましては、当然のこととして、日本政府からもアメリカにこの輸入再開条件の重要な部分であるということをしっかり伝えておりまして、日米で結びました家畜衛生条件の中にも、輸出プログラムのすべての要件が充足されていること、この中で、輸出国政府はモニタリングや定期的な査察を実施し、輸出プログラムの遵守を確認することというふうになっておりまして、先ほど申し上げましたように、日本側から輸入条件を提示いたして、それを受け入れると言ったアメリカ側が、家畜衛生条件を含めて遵守をするというのが第一義的な責任であるというふうに考えております。

大串委員 今のお答えを聞いていると、すなわち、十二月十二日の判断までの段階で、この食品安全委員会の答申、Bのところに疑問が残る、不明であると書かれていることを受けて、何か日本政府で能動的にアメリカでの管理が大丈夫であるということを確認するということはせず、アメリカの方から遵守しますという約束があったこと、そのことのみをもってして、それでは再開しましょうというふうにした。すなわち、日本からは能動的な確認作業は行わなかったという理解でよろしいか、端的にお答えください。

宮腰副大臣 先ほど申し上げましたとおり、米国でのBSEが確認されて以降約二年にわたって、米国との技術会合や米国の屠畜場の現地調査等を重ねてきている、そういう中で米国の食肉処理体制についても調査をしてきている。そういうことを踏まえて、輸入再開条件の中に食品安全委員会から指摘があったSRMの除去、これはしっかりと遵守をしていただきたいということを申し上げているわけであります。同時に、先ほど申し上げた家畜衛生条件の中でも、しっかりと完全にアメリカに遵守を求めているということであります。

大串委員 いや、私は質問に答えていただきたいわけです。

 私の質問は、二年間どうやったとかそういうふうなことを聞いているわけではなくて、十二月八日の段階で疑問が残るというふうに書かれていることに対して、十二月十二日に何がしかの結論を出されたわけです。では、その疑問が残ると書かれたことに対して、日本から能動的に疑問を払拭するような活動をされていたのか、されていなかったのかということを問うているわけです。その点だけで結構です、そのほかのことは要りませんから、その点だけお答えください。

宮腰副大臣 先ほどから申し上げているとおりでありまして、しっかりとアメリカがその条件を守るということが大前提であります。

 それから、食品安全委員会の報告の中で、一番最後の方でありますが、「考えられるシステムとして、日本向け輸出牛肉等を処理加工する施設の認定制度及びそれら施設への行政による定期的な立入調査等を含む管理システムが有効なものとして考えられる。」こういうことでありますので、我々といたしましても、査察を行って、そのシステムが有効に働いているのか、それを検証しているという状況であります。

大串委員 日本語を理解していただいていないのか、よくわかりませんけれども、私は、十二月十二日前の段階で、アメリカでの管理が行われるかどうかを日本から能動的に確認したことはあるんですかという、それだけの質問なんです。その答えが、確認していませんという答えなら、それはそれでいい、いいということはないですけれども、そこだけ確認させてくださいと言っているんです。

 ぜひ、委員長、そこのところの答弁を。

大島委員長 副大臣、能動的にやったかどうかという、その能動的ということもあなたがわからなければ聞いてもいいと思うのですが、その点にお答えしなさい。

宮腰副大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、何をもって能動的というふうに言うのかどうか、これは見解の分かれるところでありますけれども、二年間の過去の調査あるいはこの食品安全委員会の答申に基づいて査察を実施してきている、あるいは家畜衛生条件を日米両国で取り決める際に、この衛生条件をしっかり守るということについて働きかけをしているわけであります。

大島委員長 大串君、能動的という意味を、あなたが副大臣に、私の言っている能動的というのはこういうことです、そういうことがあったかないかというふうにお聞き及んだ方が答えやすいと思います。

大串委員 委員長からの非常にありがたい御指摘がございましたので、では、こういうふうに質問させていただきます。

 書簡なり口頭なり会議の場なりで、アメリカからしっかりやりますということを言っていただく、言ってもらう、それ以外の方法で確認したことはありますか。それの答えはイエスかノーかでできようかと思います。(発言する者あり)

大島委員長 静かにしてください。

宮腰副大臣 十二月八日以降という限定で働きかけをしたかどうかということでありますが、これにつきましては、条件を提示して、この条件を受け入れるのであれば輸入再開を認めるといった手続と申しますか、アメリカとの交渉の中で、条件遵守ということを強く提示して、それを受け入れるということになったわけでありますから、そういう形でやっているということであります。

大串委員 すなわち、今のお話を聞いていると、アメリカ側から条件を受け入れるという答えを受け取る以外の確認作業は行っていらっしゃらないという理解でよろしいか、そこの点だけお答えください。

宮腰副大臣 確認をとったということでありますし、米国大使館のバーマン公使を呼んで、しっかりとこのことについて伝えたという意味では、能動的であるというふうに思っております。

大串委員 すなわち、呼んだという能動的な行為はあったということですね。

 しかも、今回問題になっているのはどういう問題かというふうに、事実確認はされていると思いますけれども、アメリカの機関が日本に固有の規制の内容を知らなかった、あるいは米国の検査官自身が日本固有の条件を知らなかった。この二つは、別に日本への輸出が開始しないでも、その前でも十分確認できることなんです。

 すなわち、日本との間ではこういう条件になっているということをしっかりアメリカの機関及びアメリカの検査官に周知徹底させるということは、十二月十二日の前にも十分に周知徹底させることができる。すなわち、それに関して日本政府としては、そういう周知徹底さえも、やっているのかどうかということを日本政府から、どうやっているのかということを確認することはできたはずなんですね。そこのところをやっているのかどうかという質問だったわけです。それについて今お答えされたのは、いやいや、アメリカの大使館の人間を呼んで聞いた、やると言った、よって、わかりましたと言った、そういうことかというふうに思います。

 これは、国民の皆さんからすると大変重要な問題なんです。食品安全委員会の議論の中でも、いろいろな議論があった。我々も食品安全委員会の方からも意見を聞いて、二十カ月齢以下の牛をきちんと見分けるというのは今のアメリカの制度の中ではなかなか難しい、不可能だというふうに我々におっしゃっていらした方もいた。食品安全委員会の中でもいろいろな議論があって、座長をやめられた方もいらっしゃったですね。そういうふうないろいろな議論があった中での答えなんです。

 だから、ここに、非常に苦しい答えとして、疑問が残るとか不明だとか、こういうのが十二月八日の段階であったんです。国民の目から見ると、では、どう確認したんだというふうなことを問うのは当然だと思うんですね。そこを、アメリカを呼んで聞いただけ、アメリカがやると言ったから、わかりましたと言った、そういうことだというふうに理解をいたしました。

 もっと言うと、査察についても、四十カ所ある日本に輸出する機関を十一カ所しか査察していないとか、非常に不備なところもありますけれども、そういうところも非常に問題だったというふうに言わざるを得ないと思います。こういうところから、非常にずさんなやり方であったということは否めないというふうに思います。この辺はまたしっかり追及していきたいと思いますけれども、時間が来ておりますので次に移りますけれども、お答えを明確にいただかなかったというふうに理解しています。

 次に、補正予算のことについてちょっと聞かせていただきますけれども、財務大臣、補正予算を行う、追加の予算をつけられる、この要件についてお答えください。

谷垣国務大臣 補正予算については財政法第二十九条に規定がございまして、そこに、法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補う場合、それから、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合等に補正予算の編成を認めている、こういうことでございます。

大串委員 そうであれば、今回の補正予算の中に本当に緊要という言葉に合うものばかりが入っているのかという点について疑問がございまして、その点について議論させていただければと思います。

 NTT―B事業償還時補助金というものがございます。これは、NTT―B事業として国債整理基金特会から引き出したお金、これを公共事業的な予算に使って、それが償還されるそのときに補助金を与えてあげる。その補助金の手当て、十八年度分、十九年度分、二十年度分、これを今のうちに前倒しして手当てしておこうということだと思いますけれども、十八年度分、十九年度分、二十年度分、額も決まっている。それを今緊要だとして手当てしなければならない理由、これがどこにあるか、これをお聞かせください。

谷垣国務大臣 この決定をした背景、事情をまず申し上げますと、借換債の発行増加等がございまして、平成十八年度から二十年度にかけては大量の国債発行が必要であると今まで見込まれていたわけであります。国債の安定消化といった観点から、国債発行の抑制が極めて緊要な課題であったということだろうと思います。

 こういう前提の中で、平成十七年度当初予算、これをつくりましたときには想定していなかった税収増があったわけであります。それで、それをどう使うか、どうするかということを考えまして、十八年度以降予定されておりました、今おっしゃったNTTの無利子貸し付け償還時補助、これを前倒しして措置をいたしますと補助に係る国債発行を抑制することができる。それで十八年度以降の国債全体の安定消化等に資することができる。

 あわせまして、今回の措置は、無利子貸し付けに一時活用してきたNTT株式売却収入、これは、本来帰属しているのは国債整理基金特別会計でありますから、これをできるだけ早く繰り戻して国債の償還に充てるものでありまして、十八年度の借換債の発行増加を含めまして、国債残高の累増に対応して将来の国民負担を軽減していく、こういう点からも適切なものと考えているわけであります。

 それと同時に、NTT無利子貸し付け事業、それから産業投資特別会計社会資本整備勘定、これを廃止せよということを財政制度審議会で御提言いただいておりますので、今回の繰り上げ償還によりましてNTT―Bタイプ、これを、貸し付け事業を終える、終了、前倒しすることができた、特会改革にも寄与するものではないかと考えてこうしたわけであります。

大串委員 今、重要な指摘を聞かせていただきました。二つ理由があると思います。一つは十八年、十九年、二十年の国債発行額を抑える、これが一つ。もう一つは、産投特会の特別会計の改革に資する、この二点だと思いますけれども、まず一点目、国債発行額の抑制に資する。

 大臣、御案内のように、我々民主党は、この七千六百十億円の財源を使って本補正予算、子供たちの安全、学校の耐震化です。何千という子供たちの学校が耐震基準を満たしているかどうか、非常に疑問。我々の子供が行っている学校です。我々が避難する学校です。これが非常に危ない状況になっている。これに対して、耐震化の手当てをしましょう、その方がよっぽど急務じゃないですかという補正予算を我々出しています。それに対して……(発言する者あり)それを提案しています。提案している。

 そして、政府は、今おっしゃった国債の発行を抑えるということをより緊要だとされた。国債の発行を抑えるというのはどういうことか。小泉総理が十八年度予算においては三十兆以下の国債発行額に抑えるということを考えられた、そして二十九兆九千七百三十億円の国債発行額、つまり二百七十億という極めてスリムなマージンを持って、余裕を持ってその公約を達成されたとして、例えば予算のポイントなんかでも、今回の予算のポイントは国債発行額が三十兆円を下回ったんだ、これを宣伝されている。

 すなわち、子供の安全と国債発行額の抑制、三十兆円を下回るという御自分の公約を守るということをてんびんにかけられると、間接的にではありますけれども、このうち国債発行額三十兆円を下回るという自分の公約を守る方をより重くとられた、子供の安全よりも。そういうことにならないか。

 補正予算は緊要性のあるものをつくる、そういうふうになっています。何が緊要かというのを逐一判断しなきゃならない。その緊要性という観点からすると、我々は、子供の安全の方がよっぽど緊要だと思われる。財政改革は重要だけれども、子供の安全の方がよっぽど大切だと思われる。

 この辺に関して、財務大臣の所見をいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 先ほどNTT―Bの事業償還時補助を前倒ししたという必要性は申し上げたわけでありますが、委員が今おっしゃったように、民主党としてこの金額を子供の対策等に充てようという御提案があることは、私も承知しております。

 それで、私どもも、子供の安全性を確保するということが決して必要がないとか緊急性がないと考えているわけではございません。しかし、きのうの御質疑の中でもあったと存じますが、私どもも、昨年の暮れでしたか、十二月二十日に、登下校時の児童の安全確保というものを打ち出しまして、それには六つのポイントを入れております。その全部を引用はいたしませんが、それについては、十七年度予算の中で、当初予算の中でその対応が十分できる、それをできるだけ有効に連携して使っていこう、それから必要なものは十八年度当初予算に盛り込もう、こういうことでやってまいりまして、要するに、補正でなければ対応できないというものではなかったというふうに思っております。

大串委員 補正でなければ対応できないということではないというふうなお話がありましたけれども、子供の学校の耐震強度の上昇、これは補正予算で、補正予算というか予算をつけないと進まないものなんです。きのうも答弁ありましたけれども、今政府の中で計画されている予算を前提に学校の耐震化が進む度合い、これは非常に遅い、それを今緊急にやる必要がないんですかという価値判断です。価値判断で、子供の学校の耐震強度を図るのか、それとも、三十兆円の国債発行額を下回るという総理御自身の公約、よりどちらを重視するのかということなんです。

 我々は、どう考えても子供の安心の方を重視するべきだというふうに思います。何か御所見があれば。

谷垣国務大臣 民主党の御提案も私ども十分精査させていただきたいと思っておりますけれども、ちょうどこのNTTの前倒しに当たる部分をそっくり充てようというわけですよね。

 それで、私どもは、今の例えば校舎の建てかえにしましても、これは三月までに消化しなければならないわけですね、補正ですから。そうしますと、実際の執行可能性というものもあるんじゃないかと思います。要するに、今から学校でやりますと、恐らく三月までといいますと、春休みを最大限使ってやっていく、それがどれだけできるかといったような観点等々も含めて、私どもは当初予算とそれから十八年度の予算で十分対応できるというふうに判断したわけでございます。

大串委員 執行可能性は十分に補正予算を検討するときには検討しなきゃならないことだと思いますけれども、私が申し上げたいのは、補正予算の中ではいろいろなこういうふうな数字の取り扱いが実際できるということなんです。補正予算は緊要性というふうに言われていますけれども、緊要性というのは極めて広くとられる傾向があるんじゃないかと私は思っています。

 ほかにも、今の予算の中を……(谷垣国務大臣「ちょっと訂正があります、済みません」と呼ぶ)どうぞ。

大島委員長 大臣、もう一回質問するんでしょうから、そのときに訂正しなさい。

 では、続けてください。

大串委員 この緊要性というものが非常に幅広く解釈される可能性があるんじゃないかということを非常に危惧しているわけです。

 例えば、この資料にも配りましたけれども、資料の一枚目、二枚目、一枚目は行刑施設等整備費、二枚目は合併市町村補助金というのがあります。特にこの行刑施設等整備費の方がより顕著なんですけれども、本予算で百億台のお金しかついてなくて、補正予算の方で数百億のお金が年々ついている。これは、受刑者が最近トレンドとして非常にふえてきていることを踏まえて、本予算では各省の予算というのは大胆に小さくしたり大きくすることが難しいから、今のシーリングという技術的な枠内では。やりにくいから補正予算でうまく透かしてとっているという、これが現状なんです。

 予算作業をされるときに、大臣御存じないかもしれないけれども、補正予算をつくるというときにどうするかというと、各担当から各省に対して、補正予算の玉を上げてきてください、三日ぐらいで上げてきてもらうわけですよ。何かたくさん出てくるわけです。それで、各担当は、一般会計につける、通常予算で措置するものを何かこれで前倒しで、透かして、透かしと言うんですけれども透かして、補正予算で取り込めればいいなという考えもするわけです。そうして補正予算と通常予算の操作ができる余地があるわけです。

 そういうことをもってして、この三十兆円を下回る国債発行額の達成をしたんだ、こういうふうにイの一番に喧伝されるけれども、たった二百七十億の差なんです。このぐらいは、この三兆円という補正の枠内を使うと、透かして幾らでもできることなんです。最近粉飾という言葉があって、これは決算に使います、粉飾決算というんです、予算に粉飾という言葉はないんでしょうけれども、こういうふうに非常につくられたところがあるということを大臣にも御認識いただきたいというふうに思います。

 この点、大臣、何か御所見があったらいただきたいと思います。

大島委員長 大臣、訂正の部分も含めて御答弁を。

谷垣国務大臣 まず、訂正を申し上げます。

 先ほど、耐震性の方についても、年初予算、十七年度の当初予算とそれから十八年度で賄えると申しましたが、耐震の方は私のちょっと今言い間違いでございまして、補正の中にも執行可能性を考えて入れております。

 それで、今の点は、確かに緊要性という判断にはいろいろあったり、予算を組むときの技術的な問題は、今大串さん、きっとそういうふうにしておられたんでしょうから、よく御存じのとおりだと思います。

 ただ、私は、やはり三十兆、できるだけ国債発行額を抑制していくという観点は必要でございますから、余り、今おっしゃった粉飾というようなことではなくて、いろいろな手だてを講じて、とにかく国債発行額を抑制して、子供たちや孫たちへのツケを先送りしないように努力していくというのは、私どもが果たすべき当然の役割だと思っております。

大串委員 そういうふうな価値判断をされた、つまり、借金というツケを回さないということと、子供たちの学校の耐震性を上げるということの両方をてんびんにかけられて、そっちをとられたということなんだろうというふうに思います。

 そして、次の問題に移らせていただきますけれども、ライブドアの問題に移らせていただきたいというふうに思います。

 今回のライブドアの問題、社会的に非常に大きなインパクトを与えていると思います。今回のライブドアの問題が明らかとなったことを通じて、小泉改革というものが結果的に国民にどういうふうな影響を与えているのか、これははかり知れないんだというふうに私は思います。よく言われているように、稼ぐが勝ちとか、金で買えないものはないというふうに申し述べた人間が、公認候補ではないにしても、自民党の方々が応援に行かれていた、これがどういうふうなインパクトを持つか、そこが非常に私は懸念されるわけでございます。

 先ほど、前の委員の議論の中でも、結果責任というのがあります、両党ともなかなかわからないところがあるから結果責任というものがあるんだという話がありました。

 ところが、総理は、このライブドア問題が発覚した直後の記者会見でどうおっしゃっているか。採用した人間が、その後不祥事があったからといって、その採用がおかしかったと言われるのかという発言をされている。私は非常に驚きました。

 普通の民間企業であれば、あるいは政府の中の公務所であっても、例えば今回、この問題を担当している警察やあるいは証券等取引委員会でもいいですけれども、こういう非常に公務の公正性がしっかり担保されるところで、もし採用した人間が不祥事を起こしたときに、その採用した人間が後から、いや私が採用したんだけれども、不祥事を起こしたからといって私の責任じゃありませんというふうに言うことはあり得ないと思います。これが総理の発言として伝わってきている、これが日本国民に与えるインパクトというのは非常に大きいんだと思っています。

 総理がいないからそこは質問できませんけれども、いずれにしても、こういうふうに勝つものが勝つんだ、勝つものがいいんだというこの風潮を呼び起こしたんじゃないかと思われるような中で、今、景気回復が進んでいると言われていますけれども、他方、貧富の格差が広がっているんじゃないかというふうに言われている。

 そして、この貧富の格差の問題について、経済財政担当大臣にお聞きしたい。現在、この小泉改革の光と影、その影の部分ではないか、あるいは貧富の格差が広がってきているんじゃないかということに関して、大臣の御所見を伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 自由民主党、政府、今は公明党と連立でございますけれども、やはり所得再分配ということについては、この戦後六十年の歴史の中で、常に意を用いてきたと私は思っております。これは、所得税制においてもしかりでございますし、また福祉制度を通じての分配についてもそうですし、また相続税制度というものについてもそうであって、格差は存在するにせよ、社会的な公正さを維持するということについては、政治は常に気をつけてきたと私は思っております。

 格差が拡大しているという御議論、これは、ジニ係数を見ますと、若干上がっているということは事実でございますが、小泉政権のもとでの改革とその問題とは実は直接関係はないというふうに私は思っておりまして、むしろ経済の動向、特に、大変不振をきわめた日本の経済が、雇用あるいは雇用形態を通じて格差拡大をもたらしたというふうに私は解釈をしております。

 しかしながら、経済も明るさが見え出しましたし、雇用形態を通じて、例えば非正規雇用などという雇用形態が少しずつ解消されているということは、今御指摘の問題を解消させる方向に働くと私は考えております。

大串委員 十九日の月例経済閣僚報告のときの資料、内閣府の資料ですけれども、資料を今お配りしましたけれども、四ページ目の「経済的格差の動向」というところで、ここに書かれています。上から二段目のところ、タイトルの下のところに、所得格差は緩やかな拡大を示しているけれども、これは主に高齢化と世帯規模の縮小の影響によるんだと。その下に書かれている、現在の所得格差が広がっているのは見かけなんだ、見かけだ、そういうふうに言われている。高齢者層がふえているから見かけ上なんだと。

 ところが、国民生活の実感からすると、見かけとはとても言えないような実態があるんだと思うんです。

 OECDの調査によると、六十五歳以上の五人に一人は、高齢者は貧困です。七十五歳以上の四人に一人は貧困。そういう状況で、高齢者がふえているから見かけ上の格差なんだというふうに言われることに対して国民が何と思うかということだけ私は指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

大島委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。よろしくお願いいたします。

 これまでの我が党の質疑並びに先ほどの大串さんの質疑に関連をいたしまして、テンポよくお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 まず、BSEの問題に関しまして、副大臣にお尋ねをいたします。

 このBSEの問題、素朴な国民感情は、ほら見たことか、やっぱりなということだと思いますよ。副大臣、いろいろきのうきょう議論されています。この責任は日本政府にありますか、アメリカ政府にありますか。端的にお答えください。

宮腰副大臣 今回の事案の責任についてということでありますが、輸出プログラムの遵守を求めている我々ではなくて、遵守をすべきアメリカ側がこの責任を負うべきものというふうに考えております。

小川(淳)委員 きのうも、質疑の中でも、小泉総理は同様のことをおっしゃっておられますね。アメリカ側の関係者等にルール違反という責任がある。

 その後の対応ですが、ゼーリック国務副長官、ジョハンズ農務長官と中川大臣との電話のやりとり、抗議を含めてなされたと思っておりますが、その点、間違いございませんか。

宮腰副大臣 私も電話会談のときに同席をいたしておりまして、しっかりと抗議、怒りという言葉も使って、農務長官に中川大臣の意思をしっかり伝えておいでになったということだと思います。

小川(淳)委員 しっかりやっていただきたいと思いますね、農水省さんには、本当に。

 これは、農林省では農林省で大臣中心に徹底的にやっていただかなきゃいけません。しかし、この問題は、御存じのとおり、昨年十一月の日米首脳会談、これを一つの時間的な軸にして大きく事が動いてきた、そう見られてもしようがない、私はそう思っております。

 日米首脳会談の概要を外務省が公表していますね。幾つかのテーマが話し合われたことが記載されています。一つ目、イラク、アフガンを含めた日米関係、二つ目、中国との関係、三つ目、北朝鮮との関係、四つ目、BSE問題。

 私は、この問題は、ひとり農林大臣、農水省のみにとどまる問題ではないと思っています。安倍官房長官、その点の御認識、これは官邸マターだ、官邸主導の、官邸が責任を負う事項だという私の認識は誤っていますか。

安倍国務大臣 この問題につきましても、当然、官邸において対応しなければならない問題である、こう考えております。

 そこで、私も、二十一日に二橋副長官に指示をいたしまして、そして関係の局長の会議で対策を検討させたわけであります。二十三日におきましては、中川農水大臣と関係省庁を官邸に呼びまして、中川農林大臣と米側とのやりとりについて聴取を行い、対策を協議し、そしてそこの場において、各業者について、もう既に出回っているものについて自主的に検査するよう促すように指示をしたところでございます。

 また、ゼーリック長官に対しては、中川農林大臣と同様に、アメリカ側が遵守義務を怠ったことは極めて遺憾であり、原因をしっかりと究明し、そしてその再発防止策についてあわせて日本に報告をしてもらいたい、それまでは全面的に輸入をストップするという旨、先方に申し渡したところであります。

小川(淳)委員 これも、安倍官房長官を中心に官邸でしっかりやっていただきたいと思います。

 私が官邸と申し上げているのは、当然これは、小泉総理とブッシュ大統領との首脳同士の人間関係に基づいて、政治判断のもと、日本政府での検討が進められた。これに対しては、既に議論になっておりますとおり、食品安全委員会、政府内にもさまざまな懸念がある中での決断だった。長官、簡潔にお答えくださいね。小泉総理はこの件を怒っておられますか。

安倍国務大臣 昨日の予算委員会において、総理が答弁しておられます。そもそも、輸入再開においては、食品安全委員会の科学的見地からの決定でございますが、その前提は、しっかりと米国が輸出するに際しての義務を遵守する、しかしこの義務が遵守されていなかったことは極めて遺憾であるということを言っておられました。そのときの小泉総理の答弁ぶりを見ていただければ小泉総理のお気持ちがわかるのではないか、このように思います。

小川(淳)委員 小泉総理は、この問題のある牛肉の輸入が発覚した後、ブッシュ大統領とは直接のやりとりをしておられますか。直接抗議しておられますか、あるいは逆に、ブッシュ大統領から小泉総理におわびの電話の一本でもございましたか。

安倍国務大臣 本件につきましては、小泉総理から、二十三日午後、来日中のゼーリック国務副長官に対し、日本国民は食の安全については極めて敏感である旨を述べながら、再発防止に向けてしっかりとした対応を求めたところでありまして、この小泉総理の申し入れは、当然ブッシュ大統領にも報告されているものというふうに考えています。

小川(淳)委員 これは、本当に私は怒っていますよ。日本国民は怒っていると思いますよ、なめられているんじゃないか、ふざけるなと。

 しかも、この問題は、小泉総理とブッシュ大統領との恐らく個人的な信頼関係があるんでしょう、首脳中心で、首脳主導で、官邸主導で進めてきた話題。しかも、これをこんな簡単な形で裏切られた。これに対して怒るなら、憤るなら、ブッシュ大統領に直接小泉総理は抗議すべきじゃないですか。ブッシュ大統領は、おわびの電話一本、日本国民への敬意を込めて、反省を込めて寄せてくるべきではありませんか。それに対して、抗議、日本国政府としての意思、改めて表明するお気持ちはございませんか。

安倍国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、中川農林水産大臣からも、そして私からも、また総理からも、先方に対して、私はゼーリック副長官に申し上げたわけでありますが、先方は、率直におわびをし、早急に原因を究明し、日本に対して報告をする、こう言っているわけでありまして、我々は、すべて全面的にストップをするという措置をとっております。これで十分である、私はこのように思います。

小川(淳)委員 とにかく、日本国民の誇りがしっかりと維持できるように政府として対応していただきたい。厳しいことも強いこともしっかり言っていただきたい、首脳同士で。強くお願いをしておきます。

 さて、これはアメリカに責任があるというお話でした。被害者は日本国民ですよ。政府を信頼して、アメリカ政府を信頼して、アメリカ牛肉をもう一回食べようと思った日本国民が被害者です。

 しかし、直接の被害者がこの件に関してはいますね。既に輸入された千五百トンのうち、半分は流通にかけられたと言われています。副大臣、この点、間違いありませんか。

宮腰副大臣 約千五百トンの牛肉が国内に今到着をしている、しかし、そのうちのほぼ半分の七百三十トンが手続を終えて市場に流通しているということでありますが、その先については、今、どういうふうになっているのか、厚生労働省の方で自主的な調査を求めているという状況であります。

小川(淳)委員 当然ですよ。これはしっかり調査して、私の地元にも、早速輸入して、消費者の口にまで届けようとしたスーパーがありました。急いで店頭から引き揚げた。これは、賞味期限内に処分できなければ廃棄せざるを得ないと思いますよ。

 七百五十トンという牛肉が経済的にどれだけの損失なのか、わかりません。知りません。しかし、たとえそれが千円でも二千円でも、これは責任を持って日本政府が買い取るべきじゃありませんか、おわびを兼ねて。日本政府に責任がないなら、今回の件がアメリカ政府の責任なら、アメリカ政府に買い取らせるべきではありませんか。厚生大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 今農林水産省の副大臣からお話がありましたように、地方自治体を通じながら自主的な調査をお願いいたしております。基本的には、全ロット、サンプル調査をしておりますので、危険部位が混入したと私どもは考えておりません。しかし、念のために、今、自主的な調査をお願いしている。二月上旬に大体中間的な報告をまとめられるだろうと思っております。

 一方で、アメリカの対応については、まさに今、アメリカが考えられているところでありますから、アメリカの一つの結論というものを得ながら私どもも議論をしていくことになるだろう、こう思っております。

小川(淳)委員 二月までにまとめていただきたい。アメリカの結論を待つんじゃありませんよ、これは。日本政府として、これは日本の国内の事業者に、こんな被害に遭って、牛肉、たとえ一円分でも二円分でも、廃棄処分しなければならない責任は一切ありませんよ。アメリカ政府の決断を待つんじゃなくて、日本政府として、アメリカ政府に買い取れ、謝罪を兼ねて買い取れとしっかり意思表示をしていただきたい、意思表明をしていただきたい。厚生大臣、いかがですか。厚生労働大臣にお聞きしています。

川崎国務大臣 今申し上げましたように、アメリカが重大な約束違反を行った、さあ、そこで、すべてを全面ストップですよ。その中で、今、アメリカがさまざまな検証を行われているという中でございますので、その議論を経ながら私どももいろいろな議論をしていくことになるだろう、こう思っております。

小川(淳)委員 とにかく、私たちの誇りが侵されないようにしっかり筋道立てていただきたい、お願いしますよ。

 そして、今回のこの失態、農林省では一体どなたが責任を負われるんですか。副大臣、どうぞ。

宮腰副大臣 御案内のとおり、今回の事案につきましては、日米間で合意したルールが遵守されなかったことによって生じたものであります。責任はアメリカ側にあるというふうに思っておりまして、現在、米国に対して、徹底した原因究明と再発防止をしっかりと求めているところであります。

小川(淳)委員 アメリカが悪いですよ、確かに。しっかりやってもらわぬとだめですよ、こんなものは。でも、日本政府はだれもこれは責任をとらない。私、これは国民感情として、素朴な国民感情として納得できないと思いますよ。

 副大臣、あなたはBSE対策本部本部長でおられますね。責任は、副大臣として、本部長として、あるいは個人として、いろいろ感じておられると思います。これは何でもいいですよ、訓告処分でもいい、減給でもいい、停止でもいい、しっかり処分をして、けじめをつけていただきたい。きちんと折り目をつけてくださいよ、この失態に対して。副大臣、いかがですか。

宮腰副大臣 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、今回、ルール違反を犯したアメリカ側に責任がある。農林水産省としては、厚生労働省と協力をして検疫をしっかりやって、その結果、今回の事案が発覚をしたということでありまして、日本政府としてしっかり引き続いて取り組んでいきたいというふうに考えております。

小川(淳)委員 頼みますよ、本当に。

 三つ申し上げました。米国へのしっかりした抗議、そして被害を受けた事業者に対するおわび、謝罪と補償、そして責任者、担当者のかなえの軽重をしっかり日本国民に対して示すような処分、これ三つ、しっかり検討して対応していただきたいと思います。

 次に、耐震偽装に関してお尋ねをいたします。

 これも、素朴な国民感情、素朴な国民感情と申し上げますが、私はそれを代弁したくてここへやってきているんです。そして、これに関して申し上げますよ、北側大臣。これに関する国民感情は、ああ、だまされた、気の毒だ、何とかしてあげてください、そういう声が一つ。もう一方は、自己責任だろう、よく見て買わない方が悪い、彼ら自身にやらせたらいい、そういう声が一つ。これはどっちも、まさに理のある主張です。

 そこで、大臣、これはきちんと腹を固めていただかなければならないわけですが、きのうも御答弁をお聞きしていて、紆余曲折、あっち行ったりこっち行ったりしている。事業者の責任だとおっしゃれば、純然たる民民の話でもない、あっち行ったりこっち行ったりしている。

 端的にお伺いします。

 今回の支援をなさる根拠は、悪かった、ごめんなさい、政府として何とかします、ごめんなさい、支援しますということなのか。いや、政府は悪くないんだ、危ない建物をほっておいたら周辺の方もそこにお住まいの方も心配だ、公益性の観点、あくまで公益性の観点から支援なさるのか。いずれですか、端的にお答えください。

北側国務大臣 今回の支援措置は、国が法律上の責任があることを前提として支援措置をつくったものではありません。今おっしゃったように、緊急性また公益性という観点から支援措置をつくらせていただきました。

小川(淳)委員 はっきりしていただいて、ありがとうございました。

 とにかく、ごめんなさいとか、賠償とか、申しわけないとかいうことじゃないということですね。あくまで公益性なんだ、建物がほっておいたら危険じゃないか、そこに住んでいる人、周りの人が迷惑をこうむるじゃないかということですね、と了解しました。

 さて、そこで、今回耐震偽装の被害になった物件は全部で九十六件と言われています。その中で、支援の対象としたい、しようとしておられるのはわずかに十件。

 対象とならないものを申し上げます。

 分譲されたマンションのうち、耐震基準が半分以上のもの。御存じない方もおられると思いますね、今回支援の対象にしようとしているのは、分譲マンション、その人が買って住んでいるマンションのうち、必要とされる耐震基準の半分に満たないものの十件に限って支援しようとしておられるわけです。そうすると、残り四十四件、全部で分譲マンションは五十四件あります、四十四件は対象にならない。耐震基準が半分以上あるからです。そして、四十件、耐震基準が強いか弱いかにかかわらず、買って人に貸すマンションだから、投資、賃貸用のマンションだから、対象にならない。もう一つ、六十件、ホテルだから対象にならない。

 今、大臣、公益性の観点、緊急性の観点から支援したいとおっしゃった。であるならば、今申し上げた物件のうち、耐震基準を半分以上満たしているもの、これは対象としない方針に一貫性がありますよ、一貫性がある。

 しかし、建物が危ないからほっておけないんだ、公益性の観点だとおっしゃる以上、たとえホテルであろうと、そこにはお客さんが泊まるんだ。たとえ投資、賃貸用のマンションであろうと、それは人に貸される可能性があるんだ。仮に使用を停止しようと、倒壊して御近所に迷惑をかける可能性があるんだ。この耐震基準が半分に満たないホテルの十一件、投資、賃貸用のマンション八件、対象とすべきではありませんか。

北側国務大臣 まず、ホテルや賃貸マンションにつきまして、これはきのうも答弁をさせていただいているわけでございますけれども、ホテルや賃貸マンションの場合は、その所有者の方々は事業主でございます。そこから収益を上げるためにホテルやマンションをつくられた、そういう事業主でございます。その事業主の方が、建築主としてみずから施工者を選び、そして設計事務所選びをされているわけですね。ですから、まずは事業者として、みずからの責任で対処をしっかりしていただくことが基本であるというふうに我々は考えておるわけでございます。

 一方、先ほど〇・五、半分、半分とおっしゃいましたが、もう少し正確に言いますと、保有水平耐力の指数値が〇・五未満の危険な分譲マンション。こちらの方については、一つは、居住者の方々は、こうした危険なマンションができたことに関して、偽装がされたことについて、そういったことには全くの責任はございません。みずからが施工者や設計事務所を選んでいるわけじゃないわけですね。それは売り主である建築主が選んでいるわけです。そこから買っているわけです。ですから、買い主であるところのこの危険な分譲マンションにお住まいの方々については、こういう危険なマンションができたことについては全く責任がないわけでございます。

 次に、それらの方々は、それぞれ住居としてそこにお住まいなわけですね。住居というのは、これはもう生活のそれぞれの本拠でございます。そういう住居の、住まいとしてそこにいらっしゃる、この住宅の安全性を早く確保していくというのは、これは極めて公益性もあるし、また緊急性もあると思うんですね。

 さらに、分譲マンションの問題の難しい問題は、例えば取り壊すにしても、取り壊しをするかどうか、退去するかどうか、そしてその後建てかえをするのかどうか。

 分譲マンションの居住者の方々、それぞれ共有持ち分で持っていらっしゃいますよね。そうすると、合意形成をしないといけません。この合意形成に大変な時間がかかります。時間がかかっている間にどんどん時が過ぎてしまって、そういう危険な状態が放置をされてしまう、そういう状態が続くわけです。やはりこれを早く、急いでいただくためにも、公的な支援スキームというのをつくって、そうした解体、建てかえまでが円滑に進むようにすることは、これはやはり公益性、緊急性が私どもはあるというふうに考えているところでございます。

 そういうことで、まず危険な分譲マンションについて、これは最優先でそこにお住まいの方々の居住の安全と、そして居住の安定を確保していく必要がある、また、近隣の住民の方々の不安を取り除いていく必要がある。そのように私ども考えて、最優先にこのような支援対策をつくらせていただいたところでございます。

 ちなみに、今委員のおっしゃった、耐震度が〇・五未満のホテルや賃貸マンション、今十八棟ございますけれども、そのうち除却を開始または予定をしているものが七棟ございます。建てかえを検討したものが一棟ございます。また、改修を決定または検討中のものが十棟、今あるわけでございます。

 私どもも、こういうものに対して全く無関心であるわけじゃありません、当然関心を持っております。関心を持って対応をしなければならないわけでございますが、これらのものについては、例えば、これは分譲マンションと違いますのは、一棟のホテルでございます。ホテルでございますし、また、賃貸マンション、もう既に賃貸マンションの方は全員退去されていらっしゃるわけでございますが、これは、例えば改修という方法も場合によっては考えられるんですね。そういうことについても、しっかり相談体制は、専門家による相談体制はとらせていただきたいというふうに考えております。

小川(淳)委員 事業者だから収益性もあるし、自己責任の度合いも高い、これはもうそのとおりですよ。だから、やはりそういう違いがあることは理解できますよ。

 でも、公益性と言った以上、本質は変わらないですから、しっかり追跡して、本当に被害に遭われる方あるいは周辺におられる方、御迷惑がかからないように、しっかりと追跡をしていただきたいと思いますし、住宅という意味でいえば、きのうも質疑の中で指摘がありました、日本国内の建物の四分の一は耐震基準を満たしていないと言われているわけです。一千万戸を超えるとも言われているわけです。これらについても、今回の措置と格差、不公平のないように考えていく必要があると思いますよ、公益性という観点であれば。

 でも、私が本当は申し上げたいのは、やはり国として本当は責任を感じるべきだと思いますよ。しっかり、この今ある地域住宅交付金という制度を使いますということじゃなくて、本当に、今回の事態を重く見て、根っこから制度をつくり直してやるべきだと思いますよ。その点、御指摘だけさせていただきます。

 そして、最近話題になっております格差社会、こちらについてちょっとお伺いをしたいと思いますが、私ども民主党も、小泉改革の光と影という角度からお尋ねを代表質問以来させていただいております。公明党の神崎代表も大変いい御質問をされておられます。自民党の青木参議院議員も大変いい角度から質問をしておられます。昨日の公明党、上田委員もそうでした。格差に関して、一言で言えば心配しているわけですね。

 この点に関して、小泉総理は、格差拡大は確認できない、そうおっしゃいました。これは、総理に何度聞いても同じでしょうから、少し相手方をかえて、谷垣財務大臣にお尋ねをしたいんですが、日本社会の格差の拡大は確認できない、大臣も同じ認識ですか。

谷垣国務大臣 きのう総理がお答えになった背景には、先ほど大串さんも指摘されたと思いますが、内閣府の月例経済報告で出された分析というものが背景にあると思うんですね。私も、基本的には、あの分析を聞きまして、ああそういうことかなと思っているわけです。

 ただ、やはり、マクロの統計上の数値と、それからミクロに見ていった場合のいろいろな問題点、それから、もし格差社会があってそこで痛みが生じているんじゃないか。あるいは、今おっしゃったおそれが、そういう感覚があるとすれば、それがどこに由来するものなのかというのは、私たちは注意深く見ていかなければならないと思っております。

 その一つの例は、きのう総理が言われたことですが、ニートとかフリーターというものが結局将来の格差というものを固定していくものにならないかということで、そこに力を入れなきゃいけないということを我々も取り組んでいるわけですね。結局、自由な競争の中で、ある程度格差が生じてくるということはあり得るわけですけれども、それが固定化されていくというのは、自由な社会にとっては望ましくない。

 ですから、私どもはやはりそういう感覚で、基本的には総理の認識と私ども共有でございますけれども、今行われている議論にもよく耳を傾けていきたいと思っております。

小川(淳)委員 財務大臣、基本的に同じとおっしゃったわけですが、大臣は財政演説の中で、この構造改革の先にある社会は弱肉強食の社会ではないんだ、家族や地域社会のきずなの中で支え合っていく、活力と信頼に満ちた社会なんだとおっしゃったわけなんですね。

 私は大臣に期待したいんですよ。大臣からは、小泉さんとはまた違った雰囲気を感じるわけですね。ひとみの奥に温かさとか人情味とか人間味とか感じるわけですよ。大臣、今心配しているわけですよ、日本国は。

 申し上げますよ。この国では、毎年三万二千人が自殺しています。もちろん全部が経済苦じゃない。私がお預かりしたこの四十八分の質問時間内に三人の方がみずから命を絶たれます、この間にですよ。その現実の迫力と向き合いながら、以下、お答えいただきたいんですが、谷垣大臣、今おっしゃった内閣府の調査について、私は、閣僚でおられる皆さんがうのみにしていいものかどうか、ただしたい。

 資料をお配りさせていただいていると思いますが、一月十九日ですよ、内閣府が我が国の格差拡大は確認されないと月例報告で準備をしたのは一月十九日。さっき大串委員が指摘したとおりの資料が閣議に提出されたはずですね。

 これをごらんいただきたいんですが、このいわゆるジニ係数、小泉さんは聞きなれないと言った、本会議の場で。お得意の御愛きょうだと思いますが、おどける場面じゃありませんよ、あれは。ジニ係数、九九年までで切れているんですよ。格差拡大、小泉内閣になって以降ですよ、これ見てわかるわけないじゃないですか、九九年で切れているんですから。

 唯一あるのは、唯二か、二つありますね。一番下の家計調査。これはサンプル数が毎月八千世帯、本当に小さなサンプルをとっている調査ですよ。その上に四角で伸びているグラフがある。これは全国消費実態調査、二〇〇四年。これは六万世帯とっている。いいですか、八千世帯の調査では下がっている、確かに。六万世帯とったきっちりした調査では上がっている。その他では九九年で切れている。

 もう一つ、不動産、金融資産に関してもジニ係数の比較資料を出している。これも九九年で切れているんですよ。

 これ見て、閣僚がそろいもそろって、格差の拡大は確認できない、小泉内閣になって以降。そんな話はおかしいでしょう。

 もう少し論拠、いろいろありますよ。ここに書いてある。緩やかな拡大、確かに認めていますね。これは、主に高齢化と世帯規模の縮小の影響によるんだと書いてある。

 これは、どなたが理解されていますか。世帯当たりの人員は確かに下がっていますよ、核家族がふえて。世帯当たりの人数が減ったら、なぜジニ係数は、所得の格差分布は拡大するんですか。与謝野大臣、お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 核家族化の進行ですとか、それから単身世帯の増加によって所得の少ない世帯が増加すれば、マクロで見た格差を拡大させると一般的に言われております。

小川(淳)委員 こんなものは論証のしようがないんだ。

 いいですか、世帯の単位が小さくなるということは、確かに一世帯当たりの所得は小さくなりますよ。だけれども、これはあくまで格差分布の話なんだ。小さい所得の世帯がふえたって、所得の大きな世帯も小さくなるんですよ。これは、世帯の人数が小さくなるからといって格差の分布が広がるなんという論証には全くならない。

 もう一つ、高齢者世帯の割合が上がっているからジニ係数が上がっているという話がある。これは本当ですか。確かに高齢者世帯はジニ係数は高いでしょう、それは所得の高い人もいれば低い人もいる。

 与謝野大臣。これを見て納得する前に、せめて年代階層別に、じゃ、本当に、働き盛りの三十代、ニートやパートが広がっていると言われている二十代、リストラにおびえている五十代、年代ごとにジニ係数が上がっているかどうか確認されましたか、与謝野大臣。

与謝野国務大臣 各省が出しておりますすべての統計を駆使してつくったものでございまして、その限り、大変誠実につくった資料でございます。

小川(淳)委員 御存じないようだから申し上げますよ。

 全国消費実態調査による年代別のジニ係数格差。三十代未満、平成十一年〇・二二〇、平成十六年〇・二三七に拡大。三十歳代、平成十一年〇・二二〇、平成十六年〇・二二三に拡大。四十代変わらず。五十代、平成十一年〇・二七七から十六年〇・二八四に拡大。六十代変わらず。七十代低下。

 以上のように、大臣、閣僚の皆さん、お願いですよ、お願いしますよ。これだけ世の中に不安が高まっているときに、もっとよく聞いてくださいよ。疑ってかかってください。本当にそうなのかどうか、御自身でよく考えてくださいよ。調べてください。国民生活の感情とかをもっと想像して、共感して、その立場に立ってくださいよ。お願いしますよ。こんな薄っぺらい調査で、格差の拡大は確認できないなんと言い切るというのは、本当に浅はかですよ。お願いします。

 そして、もう一つ申し上げますよ。もう時間ないですね。

 それで、とにかく申し上げたいのは、事はそう単純じゃないんですよね。日本では、いいですか、生活保護世帯、ふえましたね。貯蓄のある世帯は減った。年金保険料は引き上げられた。給付は引き下げられた。医療費の負担も三割に上がった。減税はことしから廃止されます。障害者の生活にも一律の費用負担が課せられたのですよ。

 一方、会社は一円の元手からつくれるようになりました。戦後、財閥を解体したときに禁止した持ち株会社制度は復活した。規制緩和で六本木や汐留には見上げるような高層ビルがそびえ立ちました。これが今の時代の、ある一面を切り取ったらこういうことなんですよ。そういう中でライブドア事件が起きたわけですよ。みんなショックを受けたんだ、日本国民は。

 竹中大臣、お伺いしたいんですが、このライブドア事件、堀江社長が逮捕された問題、これは彼の個人的な問題ですか、あるいはライブドアという会社単体の問題ですか、それとも、ある種の世の中の風潮、時流、これを象徴する典型的な事例ととらえねばなりませんか。大臣。

竹中国務大臣 ライブドアの今回の件、大変私も衝撃を受けております。それについて、どのようにその背景を理解しているのかという委員のお尋ねでございますが、そもそも、今回の個別の事案、詳細に私は知る立場にはありませんので、その意味では、捜査の進捗をよく見て、その要因というものをしっかりと見きわめたいと思います。

 委員言われましたように、個人の問題もあるんだと思います。会社の問題、ガバナンスの問題もあるんだと思います。社会の風潮もあるのかもしれません。そして、そうした問題を生み出した制度そのものに問題があったのかなかったのか、そういうことも検証しなければいけないと思います。

 いずれにしましても、今、捜査当局が捜査をしていることでありますので、私も大変注視をしております。

小川(淳)委員 私がお尋ねしているのは、これはやはり閣僚の皆さんはもう異論はないと思いますよ。やはり世の中の時流、社会の風潮の典型例として何らかの警鐘を鳴らしている、そう受けとめるアンテナが必要だと思いますよ。今統治を任されている日本国の内閣の閣僚としてですよ。お願いしますよ、これは。

 それで、きのう金子委員が御質問されたんですね、小泉総理に。こういう社会現象、何か社会観あるいは基本的な理念みたいなものがあってしかるべきではないのか。これに対する小泉総理の答弁です。その時々の時代、新しい時代に向かってチャレンジをしていくんだ。しかし、何か規範というか、その時々ありますけれどもね、やはり、人の道、これを踏み外さないようにしっかりとやらないとね。小泉総理、語られましたよ。

 竹中大臣、よく話題になっていますね。堀江さんという方は、人の心はお金で買えると御自身の著書の中で銘打った方です。これはもちろん、本ですから過激な書き方をするんでしょう。「稼ぐが勝ち」という本です。稼がなくても勝てる、稼ぐ以外にも勝ち方のある、そんな社会を目指したいと思っていますよ、私たちは。

 これ、堀江さん、本の中で言っていますよ。金を持っているやつが偉い、これは当たり前の話です。誤解を恐れずに言えばと言ってくれているのがまだほっとしますが、人の心はお金で買えるんです。成功して大金を手に入れた瞬間に、到底口説けないだろうなと思っていたねえちゃんを口説くことができる。金を持つだけで、自分の精神的な考え方も高みに上がる。人間はお金を見ると豹変します。豹変する瞬間がおもしろいのです。人を動かすのはお金なんです。「こだわらない・悩まない・即決する」なんという章もありますよ。どこかの総理大臣も、恐れず、ひるまず、とらわれずですか、そういうシンプルなくだり、非常によく似ています。

 こうした価値観、これは竹中大臣、今、小泉総理がきのう答弁されたくだりを御紹介しました、これは人の道に外れることですか。どうですか、竹中大臣。御所感をお聞かせください。

竹中国務大臣 今、堀江さんが出版しておられる本の中の言葉がありますが、例えば、人の心は金で買えるかというふうに聞かれましたら、私は、それは買えないと思います。その意味で、委員もおっしゃいましたけれども、これは読み物として書いていますから、おもしろおかしく誇張しているような面があると思いますが、そこはやはりなかなか賛成できるものではないと思います。

 人の道。昨日総理は、チャップリンの言葉を改めて引用して、夢と勇気とサムマネー、そういう言葉を引用しておられたと思います。おっしゃりたいことは、私は非常に集約されているというふうに思うんです。その意味では、人の道というのは、常にこれは考えていかなければいけませんし、特に政治家としてまず考え、一人の人間として、家庭人としてまず考え、そのことをまたその国の政治の中に振り返って生かしていく、そのような努力は常に我々に求められていると思っております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 とにかく、あの事件は私たち、ショックでした。閣僚の皆さんもショックだったと思います。しかし、その事件に対して、それとこれは別問題だとか、あるいは候補者として擁立したこと、これも別問題だとか、こういうことをすっぱりお答えになることの軽さ、これがやはり日本国民から見ると不幸ですよ。しっかりとこれ、感じ取っていただいて、重みのある発言をしていただきたい。

 きょう、朝の審議の中で、伊吹委員が品位ある不規則発言の中で、自民党も民主党も結果責任を負うんだと物すごくいいことをおっしゃった。私、そのとおりだと思いますよ。つまり、政治家とは、あらゆることに対して、直接間接を問わず結果責任を負っていく覚悟が求められるんですよ。そして、事が一たん起きたときには、それをすっと受け入れる潔さが求められる。これを国民に対して範として示さなければならない。これこそが政治家の、ましてや閣僚の規範だと思います。精神規範だと思いますよ。お願いしますよ、これはしっかりやっていただきたい。

 そして、最後に小泉改革。いろいろな数字が躍っていますよね。三位一体、何%、何年以内。それから、政府系金融機関の統合だとか特会の見直し、公務員制度改革。もう、何年、何%、何割、数字が躍っていますよ、たくさんの。

 私は、この数字に関して少し総理の所信表明のときにあらっと思ったんですね。総理は高らかとこうおっしゃった。世界一安全な国日本の復活は、今後も内閣の最重要課題だ。一昨年四月に二千カ所あった空き交番は、一年間で七百カ所解消しました。来年、十九年春までの三年間に空き交番をゼロにしますとおっしゃった。

 防犯ボランティア団体は一万四千にふえた、三千から一万四千にふえた。これは喜ぶべきことですか。八十万人が自主的にパトロールを行っています。これ、いいですよ。評価するのはいい。いいけれども、竹中大臣に言ってもしようがないんですけれども、その奥に、やはりそうしてしまった世上に対して責任意識、規範意識を感じた上で発言してもらわないといけない。

 そして、この交番の数、一年間で交番七百カ所を解消したとおっしゃっている。私はぴんときたんですよね。地元で、私が住んでいる町で、ある方に言われた。今、これだけ子供の事件がふえて、これだけ不安な時代になっているのに、私たちの町の交番がなくなるんだというわけですよ。空き交番七百カ所解消するというのは、方法は二つあるんです。一つは、警察官を配置することが一つなんです。もう一つは、交番そのものを閉鎖してしまうことが一つなんですよ。

 国家公安委員長、お尋ねを申し上げます。平成十五年から昨年までの二年間で、日本全国の交番数は幾つ減っていますか。それだけお答えください。

沓掛国務大臣 平成十六年四月と平成十七年四月の差ですが、空き交番数は、平成十六年四月、千九百二十五カ所、十七年四月では千二百二十二カ所でございます。交番数は、平成十六年四月が六千五百九、平成十七年四月が六千四百五十五でございまして、これを平成十九年春までに空き交番数をゼロにするという方向で今一生懸命やっているところでございます。

小川(淳)委員 ちょっと整理して申し上げますね。平成十五年から昨年までの二年間で交番数は百一軒減っているんです、日本全国で。いいですか。それで、来年春までの二年間にもう百五十五軒交番を減らすと言っているんです、警察庁の計画では。駐在所は、私がいただいた資料で、ピークは平成八年でした。平成八年から昨年までの十年間で、駐在所は九百五十八軒減っているんです。

 それは、いろいろ事情はあるでしょう。お金もないはず。財政再建も急務ですよ。だけれども、単純なことじゃないですよね、やはり交番を減らすというのは。しかも、それを所信表明で、七百軒減らしました、二千解消しますと高らかに言うようなことじゃない。

 私は、これから、この予算委員会の審議の中で、政府機関、金融機関の統合、特会、三位一体、公務員制度改革、そこで数字がたくさん躍っている。この数字が一体どんな意味を持つのか、そこにどんな政府の思想が流れているのか、哲学があるのか、影の側面にも配慮しているのか、そういうことをしっかりと監視をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうはアスベストの問題について質問したいと思います。

 アスベストについての今度の政府の法律案というのは大変不十分なものであります。そこで、幾つかまず伺いたいんですが、労災認定では五つの疾病を挙げているのに、ところが、中皮腫と肺がんだけで、すき間なく対策をとるというのであれば、現実に、良性石綿胸水、石綿肺、びまん性胸膜肥厚で通院している人とか、そういう人たちには治療の補償、それから、それで亡くなった人には同じように弔慰金を支給していく、これは当然の話だと思うんです。

 何か、この制度からこの二疾病以外の方を締め出さなければいけない理由というものがあるのかどうか、まず、このことを大臣に伺っておきます。

大島委員長 小池大臣、できるだけ速やかに。

 ちょっとお待ちください、質問者。

小池国務大臣 失礼いたしました。

 このたびの法案につきまして、中皮腫、肺がんを対象としている理由の方をお答えすることによって先生の御質問にお答えできることが可能かと思いますが、かつて、広範な分野で大量に石綿を使用してきたことが原因でも……。ごめんなさい。

 中皮腫の患者数は徐々に増加してきておりまして、今後しばらくは増加するものと予想されておりますけれども、このような中皮腫など……。ごめんなさい、ちょっと待ってください。失礼いたしました。

 中皮腫と肺がん以外のことでございますけれども、これにつきましては、専門家の先生方でただいま御議論いただいているところでございます。石綿肺、びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水などについてそれぞれ御検討をいただいているところでございますが、必要に応じて、将来これらを指定疾病とすることはあり得るものと考えております。

吉井委員 大臣の今のお話は、これまでの大臣の答弁にも、それからレクチャーでもよく聞いているんですが、要するに、この制度から、ほかの、労災認定ではさらに三つの疾病があるのに、何でそれを締め出すのかという簡単なお話を聞かせていただいているんです。

小池国務大臣 締め出す理由ではございませんが、今回の救済策に盛り込む理由を現在調査しているところでございます。

吉井委員 調査も何も、例えば、私、この間、一九七六年に曙ブレーキのところを担当された、労働基準監督署長を務められた方からもお話を伺いましたけれども、そういう調査をずっとされて、現場の方から労働基準局長に報告が出たというのは幾つも例があるわけですよ。

 その中には、これは何も労災だけじゃなくて、ちゃんと調査しているんですね。調査をされたら、例えば、工場周辺八百メーター以内の一般住民の中でも死亡者が出て、肺がん以外の方も出ているということです。これは、国としてはそういう報告をたくさんつかんでいらっしゃるわけですから、締め出す理由というのは全くないわけです。

 ニチアスでも曙でもその他でも、医師の解剖結果で、石綿肺で死亡されているという方もたくさんおられるわけで、ですから、例えば石綿によって石綿肺になっても住民であれば相手にしないとか、これは全く理由が成り立たないわけです。

小池国務大臣 今御指摘の石綿肺でございますけれども、古くからよく知られました典型的な職業病であるわけでございます。

 これについては、特別加入制度も含めました労災制度がまず整備されていること、それから、これまで職業性の暴露での発症しか知られていないということ、それから、暴露から多くは十年以降に発症するもので、中皮腫や肺がんが大体四十年かかるところですけれども、原因と思われる暴露が比較的特定されやすいといったような経過を経まして、これは基本的には労災対象ということになろうかと思います。

吉井委員 そんな話はよくわかっているんですよ。

 労災で何しろ五つちゃんと認定するものがあるんですが、そのうちの肺がんと中皮腫だけで、それ以外のものについては、実際に私が挙げた中には、肺がん以外のもので労災の方で、今、私、石綿肺を言いましたからちょっと誤解されたかもしれないけれども、周辺の住民の中でも出ているということについて報告も上がっているわけだから、何でこれを排除するのか、その理由がないじゃないのかと。

 まず、新しい法律をつくるわけですから、きっちりそれは労災認定で挙げている五つの疾病を挙げて、そのほかにも当然出てくるものはあり得るわけですし、それから、かつてのものの中にも、これは中皮腫というふうにはなっていないものですが、後からいろいろ調べたら中皮腫ということであったかもしれないけれどもというもので、別な病名でお亡くなりになった方もいらっしゃるわけです。だから、これはきちんと、新しいものが出てきたらそれは政令で定めるものということにすればいいわけですけれども、まずは、労災認定で挙げているんですから、五つの疾病をきちんと入れる。当たり前な話じゃありませんか。

小池国務大臣 まず、今回新法の対象とさせていただいたもの、そして、逆に石綿肺について、御指摘のほかの疾患につきまして対象としていないということでございますけれども、現時点では給付の対象とはしておりませんけれども、今後、医学的な知見、そしてデータの集積を図る、これを続けてまいっているわけでございますし、また、職業性暴露以外の暴露によります御指摘の疾患の発症状況などを踏まえながら、必要に応じて、将来これらを指定疾病とすることはあり得るということは先ほどお答えしたとおりでございます。

吉井委員 私は、将来の話じゃなくて、せっかくつくろうとするのであれば、最初から、労災認定で挙げている五つの疾病についてはきちんと入れて、そうしてこそ、すき間なくという言葉の意味が生まれてくると思うんです。すき間をつくったんじゃ、すき間なくということにはならない。当たり前の話だと思います。

 公害健康被害補償法や労災保険法による補償と比べて、同じアスベストの被害でありながら、工場の敷地を一歩外へ出ると、それだけで人の命の重みに差別が生まれてくる。これもおかしな話で、こういう差別をしなければならない理由が何かあるのか、次に伺っておきます。

小池国務大臣 昨日も予算委員会の方でお答えさせていただきましたけれども、いわゆる労災の制度設計と、そして今回の新法によります救済の設計とは、制度設計そのものから違ってくることだと思います。しかし、中皮腫などの特殊性にかんがみまして、できるだけ早く救済していく、その体制を整えるべく、このたびの新法の提出とさせていただきました。

吉井委員 制度設計の違いによって被害者が生まれるわけじゃないんです。被害者がいるんだから、差別をつくらない、それは当たり前の話なんですね。

 私は、結局、今の言葉にあったように、これは救済という言葉なんですね。しかし、本来、国自身が国策として、戦前は軍需工場を下請として陸軍省、海軍省がアスベスト製品をつくらせてきたという、これは、国が政策的にアスベスト産業を進めてきたという点では、国自身に大きな責任がある話なんです。そして、対策をきちっととらなかったということでも、これは行政の側に不作為の責任というものが求められる話なんですから、本来、救済という言葉ではなくて、補償という言葉で考えていくべきものであります。

 この問題でいよいよ本格的に入っていこうかと思ったら、何しろ十分なんで、質問時間が来たということで、残念ながら厚労大臣等への質問はできませんが、これは次回に回して質問したいと思います。

 終わります。

大島委員長 それでは次回に。

 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、昨日に引き続きまして、ただいま吉井委員もお取り上げのアスベスト問題で、冒頭二問、小池環境大臣と厚生労働大臣の川崎新大臣にお願いいたします。

 小池大臣が、昨日、私の質問に対してお答えになった、今度の新立法による救済措置の中での通院費の問題で、小池大臣は、月十万の療養費の中に通院費も入っているんだという答弁でした。時間がなかったので反論できませんでしたが、私は逆に、それでは大臣は、現在この法律の対象になる人たちの生活状況をしかとごらんになったのか、御存じなのか、この立法に当たってどんな調査をなさったのか、極めて不安に思い、こんなまま立法ができてはとても本来的な救済にすらならない。本来的な、労災並みの措置にも及ばず、救済にもならないと思いましたので、きょう、皆さんに資料配付をさせていただきます。

 冒頭、大きな二枚のA3のコピーがございますが、これは、この間、アスベストの被害が、昨年の六月、尼崎で患者さんたち三人が立ち上がって以降、患者と家族の会というものが活発に活動されるようになってなさったアンケート調査の結果でございます。ソーシャルワーカーの方とか、あるいは疫学方面に、統計方面に詳しい方の御助力を得ての分析ですが、冒頭、一枚目には患者さんからのお返事が、実は四十四通あったもののうち整理ができたのが四十一通、約一カ月をかけての聞き取り調査あるいは御自身の記入でございます。

 これをよく見ていただきますと、この中にはわずかに労災認定されたものもございますが、ここで「環境曝露」となっておりますのは、主には尼崎の事例でございます。「不明」というのは、不明なもの、どこが原因かわからないというのもございます。

 これを見ていただきますと、「環境曝露」という方の死亡時の年齢あるいは現在生きておられる方の年齢は、四十一歳、五十四歳、四十八歳、五十四歳、極めてお若い。すなわち、環境暴露であれば、昨日も申しましたように、子供のころ遊んでいて患者さんになっちゃった事例です。

 こうしたお若い方が四十代、五十代でアスベストの被害になり、二枚目、繰っていただきます、一体どれくらいの減収、収入の減が起こっておるのかというのが左から二番目の欄に書いてございます。十万円から五万円という方もございますが、もとの収入等々もございますので、お人によっては五十万、四十万、三十万。そして、おまけにでございます、ここからがきょうの質問です。実は、お子さんを抱えた方が非常に多くおられます。

 恐縮ですが、先ほどの二枚目の右の端には通院費の集計がございまして、お人によっては十六万かかってございます。大臣がきのう、十万円で、その中に含まれていると言ったときに、このような事例もあるんだ、生きるために、通院するためにかかったお金くらい出してしかるべきでないかと、私は最終的に、本当に怒りを持って申し上げましたが、それ以外にも、子供さんがおられる。

 これは一枚目に戻っていただきますと、年齢が、きのう御紹介した五十四歳の八番目の方にもおられますが、もっとお若い方々の中で、例えば二十二番目の方には十二歳から十九歳のお子さんがおられます。あるいは十六番目の方にも十二歳から十九歳のお子さんがおられます。学校、学業の途中です。もし労災保険であれば、こうしたお子さんがおられるときに、おのおの支援の費用が出てまいります。小学生では一万二千円、大学生であれば三万六千円内外だと思います。

 今回の立法では、こうやって環境暴露によって工場の壁一つ隔てたところで暴露して、子供がいても、収入は減り、子供たちの修学すら不可能になります。なぜ大臣は、立法に先立って、こうした患者さんたちのなさった調査のようなものをきっちりしなかったのか、一点。

 もう一つは、今からでもまだできることとして、せめて次世代の子供たちのために修学費を労災保険並びにすることの英断をしていただきたいが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 私も実際に尼崎の方に参りまして、御家族の方々との話し合いの機会などを持たせていただきました。近所に住んでおられた方も、近所というのは私の近所に住んでおられた方も含まれておりました。

 一方で、この制度をすき間なく早急につくっていくという中にありまして、やはりコンセプト、考え方というのは極めて重要であると思いますが、この制度は、そもそも民事上の賠償責任に基づく補償制度ではございません。社会保障的な考え方に基づいて見舞金的性格の給付を行うという救済制度でございまして、労災補償制度、公健法のように、被害者のすべての損害を補てんするということを目的とした制度ではございません。

 そこで、御質問でございますけれども、その意味から、遺族の修学手当の支給はしないということになっているものでございます。

阿部(知)委員 答弁漏れがございますが、なぜ調査をなさらなかったのですかと私は聞きました。制度があって人があるわけではないのです。実態があって、現実に生きていく人々がいて、そのことをどうするかが私は政治の役割だと思います。

 そして、今の大臣の答弁には、実はその背景には、政府の責任の認識の甘さがあると思います。これは一貫して私がこの間質疑してまいりましたが、引き続いて、きょうは具体的に、一九八六年のILOの条約における我が国の態度について、特に厚生労働大臣に伺います。

 一九八六年の石綿に関する条約を我が国が締結いたしましたのは、十九年後の昨年の十月でございました。当時、ILOで話題となっておりましたときに、我が国は、その国際社会が進めようとする条約に、住民の条項を排除する、削除する提案をいたしました。逆に、今までは立法不作為と申しましたが、明らかな作為、わかっていて、住民条項は、既に一九七〇年代からさまざまに指摘されておりました。

 時間がなくて済みません。川崎大臣、私は、この一九八六年のILOの締結における我が国の政府の対応を特に問題といたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 今の御指摘は、石綿による環境の汚染を防止するための適当な措置をとるという文章の削除を求めた、これがけしからぬ、こういうお話だろうと思います。

 ただ、ILOの総会での議論、この条約の基本が、作業の過程における労働者の石綿暴露の防止、これがまず基本にかかわりますので、こうした趣旨にのっとるならば、ここは少し修正した方がいいんじゃないですかという御提案を申し上げた。

 結論としては、御承知のとおり、討議の結果、作業場から発散される石綿粉じんが一般の環境を汚染することを防止するために適当な措置をとるという、環境汚染防止という趣旨が明確になった上で私ども賛成をしたということでございますから、手続論として議論があったということは確かでございますけれども、どうぞ御理解を賜りたいと思います。

大島委員長 阿部君、時間です。

阿部(知)委員 我が国の締結は十九年後ですから、今の御答弁も当たらないと思います。

 終わらせていただきます。

大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 本日は、大雪災害、災害派遣について質問をさせていただきます。

 この冬は大変記録的な大雪となっておりまして、被害に遭われました方々には心よりお見舞い申し上げます。

 気象庁長官にお尋ねいたします。

 今般、北陸信越地方で発生いたしました大雪でございますが、既に十八地点で記録を更新するほどの大変な積雪となっております。このような大雪をもたらした原因というのは何でしょうか。御説明をいただきたいと思います。

長坂政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、北陸信越地方を初め日本各地での今冬の記録的な大雪は、北半球中緯度をめぐっております上空の偏西風が十二月以降大きく蛇行する経路を続けており、これに伴いまして、北極域からの強い寒気が我が国付近に繰り返し繰り返し南下してきている、これが直接的な要因でございます。

 以上でございます。

糸川委員 それでは、まだこの後、雪害というのが起きるというふうに想像してよろしいんでしょうか。その辺もお答えいただきたいと思います。

大島委員長 長坂気象庁長官、正確に。

長坂政府参考人 この後、二月に入りましても、今申し上げました北極地方からの寒気の南下というのは続くというふうに考えておりますし、本来、季節的にも最も雪の多いところでございますので、引き続き、それなりの対応等必要と考えております。

糸川委員 では、正確な予想というものをしていただけるように望みます。

 次に、国土交通大臣にお尋ねいたします。

 この雪害に関しまして、今回、雪崩被害というのが全国で三十三件起きております。北陸信越地域では二十一件発生しておりまして、ただ、道路をいち早く通行どめにすることなどを踏まえまして、人的な被害というものは起きていない。この辺は評価をしたいというふうに思っております。

 ただ、この雪崩の被害で、今の国土交通省の対応というのがどうなのか。また、今後、より雪害に強い道路を整備する必要があるというふうに私は考えるんですけれども、その辺は、大臣、どのようにお考えか、また、決意をお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 道路は、その地域住民にとりましては、まさしくライフラインそのものでございます。道路の防災対策というのはしっかりやっていかないといけない。

 今委員のおっしゃったように、ことしは例年にない、既に三十三件、道路についての雪崩災害が起こっております。今、各道路管理者に対しまして、専門家を活用した点検チームを編成するなど、重点的な点検、それから雪庇処理作業等を行っているところでございます。また、必要と認めたときは速やかに事前通行規制の措置をとるということもさせていただいたところでございます。

 さらには、根本的には、これは今できないんですが、雪のシーズンが終わってからでないとできませんけれども、危険なところの雪崩防止さくだとか、スノーシェッド、屋根をつくる、そうした整備など、こうした対策をしっかり推進してまいりたいと考えております。

糸川委員 今回雪崩が発生した地域というのはわかるわけですから、ぜひそこの早期の対応をお願いしたいと思います。やはり地域の住民からすれば、道路が閉鎖されるとかなり不安が募ると思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、沓掛防災大臣にお尋ねいたします。

 今回の大雪により家屋の倒壊等で被害に遭った者に対して、他の自然災害被害者と同様に、被災者再建支援策という支援法の適用というものはあるんでしょうか。

沓掛国務大臣 被災者生活再建支援制度は、自然現象により生じた災害被害を対象としておりますので、豪雪による被害も、当然その対象として含まれます。

 しかしながら、一応採択要件というのがいろいろございまして、具体的には、一市町村において十世帯以上の住宅が全壊した場合等、住宅被害が一定程度に達した場合に適用することになっております。

 今回の豪雪によりまして、全国で全壊した家屋は約十戸でございますので、また、一つの県でも一番多かったのは広島県の二件でございますので、適用要件を満たす市町村はないのでございますが、今後とも、関係地方公共団体と連携を図りつつ、採択が可能な場合には速やかに対応したいというふうに考えております。

糸川委員 ぜひ政府の厚い援助をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、防衛庁長官にお尋ねいたします。

 自衛隊の災害派遣についてなんですが、今現在は都道府県知事の要請によって自衛隊の災害派遣というのが行われていると思うんですけれども、これは法改正を行って市町村レベルの対応で要請ができるようにできれば、もっと早い、早期の対応ができるんじゃないかなというふうに思っております。県知事だけではなくて、市町村から声があればすぐに自衛隊が行かれる、お年寄りなんかが今回非常に被害に遭われているわけですから、お年寄りの雪かきのお手伝いをするとか雪おろしができるというようなことができればいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺について、防衛庁の見解をお尋ねしたいんです。

額賀国務大臣 糸川委員を初め、日本海側、記録的な積雪で大変な被害で、心からお見舞いを申し上げます。

 自衛隊は、これまでに、約四千人、九百数十両の車両を派遣して、除雪作業とか物資の輸送等をやらせていただいております。地域の皆さん方の御要望に、これからも情報収集したりして、期待にこたえていきたいというふうに思っております。

 今の委員指摘の点でございますけれども、自衛隊の場合は、要請出動それから自主派遣というのがあります。自衛隊法八十三条に基づいて、知事さんの要請に基づいて派遣をするということになっておりますが、知事さんの場合は、大局的に、県内どういう災害状況であるのか、あるいはまた被害の程度がどういうふうになっているのか、そういうことを全般に見渡せるので余り混乱が起こらないのではないかということが一つの判断の基準になっております。

 私も、新潟の豪雪だとか災害現場に行きました。そして、政調会長のときに各市町村長さんから直接電話をもらって、ぜひ我が村我が町に来てくれ、そういうものが殺到するんです。だから、市町村長さんたちは、みずからの地域を優先してもらいたいという気持ちはよくわかるんだけれども、やはり、どこが一番大事なのか、早く行かなければならないのか、そういうことの判断も大事なわけですね。だから、そこのところは、原則的には今のままでいいのではないか。

 ただ、知事さんたちが混乱をして、あるいは被害の状況によって連絡が不十分な場合は、市町村長さんたちが連絡をして、防衛庁・自衛隊も自主的に判断して出ていくということもあり得るわけでありますから、そこはむしろ、運用をよくして地域の住民の皆さん方の期待にこたえるというのが適切ではないかと思っております。

糸川委員 昨日までに百十四名の方が亡くなられておるわけですね。このうち、六十五歳以上の方が五十八名亡くなられています。

 ですから、国民の安全、安心を確保するという上で、例えば自衛隊に自然災害の災害派遣専門の部隊を設置していただくとか、何かそういう前向きな、自衛隊の必要性を浸透していただけるような御検討をぜひいただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る三十日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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