衆議院

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第4号 平成18年1月30日(月曜日)

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平成十八年一月三十日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金子 一義君 理事 田中 和徳君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 松岡 利勝君

   理事 茂木 敏充君 理事 森  英介君

   理事 細川 律夫君 理事 松野 頼久君

   理事 上田  勇君

      井上 喜一君    井脇ノブ子君

      伊吹 文明君    臼井日出男君

      小川 友一君    小野 次郎君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      河井 克行君    河村 建夫君

      斉藤斗志二君    実川 幸夫君

      園田 博之君    高市 早苗君

      津島 雄二君    渡海紀三朗君

      中山 成彬君    丹羽 秀樹君

      根本  匠君    野田  毅君

      萩生田光一君    二田 孝治君

      町村 信孝君    松本 洋平君

      三原 朝彦君    盛山 正仁君

      山本 公一君    山本 幸三君

      山本 有二君    若宮 健嗣君

      渡部  篤君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      加藤 公一君    川内 博史君

      北神 圭朗君    小宮山泰子君

      笹木 竜三君    高山 智司君

      長浜 博行君    原口 一博君

      伴野  豊君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    坂口  力君

      桝屋 敬悟君    佐々木憲昭君

      高橋千鶴子君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君    徳田  毅君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         竹中 平蔵君

   法務大臣         杉浦 正健君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   法務副大臣        河野 太郎君

   財務副大臣        竹本 直一君

   文部科学副大臣      河本 三郎君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   環境副大臣        江田 康幸君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   法務大臣政務官      三ッ林隆志君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   衆議院庶務部長      山本 直和君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  笠井 俊彦君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            福井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       染  英昭君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           塚本  修君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        奥田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          阿部  健君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       滝澤秀次郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     若宮 健嗣君

  奥野 信亮君     萩生田光一君

  亀井 善之君     盛山 正仁君

  河村 建夫君     松本 洋平君

  三原 朝彦君     渡部  篤君

  山本 公一君     岡部 英明君

  山本 有二君     丹羽 秀樹君

  小川 淳也君     川内 博史君

  笹木 竜三君     小宮山泰子君

  古川 元久君     長浜 博行君

  馬淵 澄夫君     高山 智司君

  佐々木憲昭君     吉井 英勝君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     山本 公一君

  丹羽 秀樹君     山本 有二君

  萩生田光一君     奥野 信亮君

  松本 洋平君     小野 次郎君

  盛山 正仁君     井脇ノブ子君

  若宮 健嗣君     井上 喜一君

  渡部  篤君     三原 朝彦君

  川内 博史君     小川 淳也君

  小宮山泰子君     笹木 竜三君

  高山 智司君     馬淵 澄夫君

  長浜 博行君     古川 元久君

  吉井 英勝君     高橋千鶴子君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     小川 友一君

  小野 次郎君     河村 建夫君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     亀井 善之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)、平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官笠井俊彦君、防衛庁防衛参事官西山正徳君、防衛施設庁業務部長長岡憲宗君、外務省北米局長河相周夫君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君、厚生労働省健康局長中島正治君、厚生労働省医薬食品局長福井和夫君、厚生労働省労働基準局長青木豊君、厚生労働省職業安定局長鈴木直和君、農林水産省大臣官房技術総括審議官染英昭君、経済産業省製造産業局次長塚本修君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長奥田修一君、国土交通省総合政策局長竹歳誠君、国土交通省土地・水資源局長阿部健君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長江藤隆君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君、国土交通省航空局長岩崎貞二君、環境省大臣官房審議官寺田達志君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、環境省総合環境政策局環境保健部長滝澤秀次郎君、環境省水・大気環境局長竹本和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤公一君。

加藤(公)委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。

 今国会、私ども民主党前原代表が安全国会というふうに名前をつけておりまして、きょうの質疑もその観点から、一つはアスベストの問題、そして一つは鳥インフルエンザを含めた感染症対策の問題、この二つのテーマを中心に、閣僚の皆さんから御意見を承ってまいりたいと思っております。

 まず最初に、アスベストの問題についてお話を伺いたいと思いますが、これは先週の予算委員会でも随分といろいろな委員の方から質疑がありましたし、また金曜日には環境委員会でもかなり議論があったと思います、私も拝見をしておりましたが。多少重なる部分はあるかもしれませんが、整理をする観点から、改めて小池環境大臣に伺いたいと思います。

 我が国政府として、アスベスト使用の危険性というのをいつから認識していらっしゃいましたでしょうか。

小池国務大臣 これまでの過去の経緯などを整理したわけでございますけれども、ちなみに、環境庁、環境省の前身である旧環境庁でございますが、昭和四十六年の発足でございます。これまでの流れを振り返ってみますと、国際労働機関、ILOでございますけれども、それからWHO、各専門家会合におきまして石綿のがん原性が指摘された時期というのが、その昭和四十六年環境庁発足直後でございますけれども、昭和四十七年でございます。その四十七年当時から石綿の健康影響に関する情報の収集を進めていたということでございます。

加藤(公)委員 昭和四十七年、一九七二年に、おおむね、アスベストの発がん性、危険性について御認識をされたということでありますが、では、それ以降、政府としてどんな対応をしてこられたのか、これを整理して御説明いただけますでしょうか。

小池国務大臣 旧環境庁におきまして、先ほど昭和四十七年という時点をお示しいたしましたけれども、その後、昭和五十年代以降でございますが、工場周辺や一般環境のモニタリングを行っております。それから、環境濃度レベルの状況などについて専門家によります検討会での評価、検討、さらに、地方公共団体に対しましては排出抑制配慮を文書の方で要請をいたしております。

 工場周辺、一般環境のモニタリングというのは、工場周辺につきましては昭和五十二年から、それから一般環境については五十六年から、環境濃度レベルの状況などについても、前後いたしまして昭和五十三年、五十五年と、数次にわたって行っているところでございます。

 こういった経過を経まして、平成元年に大気汚染防止法を改正いたしまして、工場、事業場に対しましての排出規制の導入ということになります。

 また、平成八年には、この大気汚染防止法を再改正いたしまして、建築物の解体、補修作業を規制対象に加えたということでございます。

 そして、昨年の末でございますけれども、その規制対象となります建築物の規模要件などを撤廃いたします政令改正を行ったというのが時系列でございます。

加藤(公)委員 確かに、今のような御説明を承りますと、もちろん政府が何もしてこなかったということを言うつもりはないのでありますが、残念ながら、結果として、ほかの先進国と比べますと、日本の対策が後手後手になってしまっていた感は否めません。昭和四十七年、一九七二年に、先ほど大臣からもありましたとおりに、ILOで発がん性の危険性というものが指摘をされて以降、先進諸外国では、日本に先駆けて、より厳しい規制を講じてこられたわけであります。

 きょうは、資料を一枚配らせていただいておりますが、二つのグラフをお示ししております。

 これは、国会図書館にお願いをして、先進主要五カ国、アスベストをどれぐらい過去使ってきたかというデータをちょうだいいたしました。それが上のグラフであります。十年単位でしか目盛りを打ってありませんが、今申し上げたように、一九七二年の段階で、どうもアスベストは危険だ、がんになる危険性があるということが明らかになったわけであります。

 そこを境に、上の段のグラフ、右と左を見ていただきますと、確かに、日本だけではありませんが、七二年以降、若干使用量がふえた時期のある国もあれば、あるいは七二年以降、二〇〇〇年に向かってぐんとアスベストそのものの使用量が減っていった国もあります。もちろん、これは規制の問題だけではなくて、産業構造の変化であったり、あるいは経済成長の問題であったり、規制だけが原因だということは一概には言えませんけれども、ただ、結果として、残念ながら、日本はこの七二年以降もアスベストの使用量というのは諸外国に比べますと大きくふえてしまっています。

 これを少し見やすくするために、下の段のグラフというものをつくってみました。これは、その年々のこの五カ国のアスベストの使用量を一〇〇としたときに、それぞれの国のシェアがどれくらいかというものをグラフにしたものであります。

 下の段のグラフの黒い帯で示しているところが我が国でありますから、一九七二年にその危険性が発覚をする直前、一九七〇年を見ますと、二〇%という数字。この数字そのものには別に意味はありません、変化を見るための値でしかありませんが、このグラフ上では約二〇%だったものが、二〇〇〇年段階では、この主要五カ国の中でアスベストを使っているのはほぼ日本だけという状態になってしまっているわけであります。

 さっきも申し上げましたが、これから一概に日本の規制だけがすべて悪かったということを言うつもりはありませんけれども、ただ、結果的に、もっと早く手を打つことができたのではないか。もう大臣も御存じのとおりでありますが、主要五カ国、ほかの国々では、危険性が薄いと言われている白石綿なども含めまして、日本よりもより一層厳しい規制を早い段階で導入されていたわけでありまして、結果的に日本が後手に回ってしまった、対策がおくれてしまったということは否めないんではないかと思います。

 この点について、小池環境大臣、政府の責任をどのようにお考えになりますでしょうか。

小池国務大臣 今、時系列的に禁止もしくは規制ということの各国との比較をなさったことだと思います。

 基本的には、石綿、アスベストの中にも、青、そして白、茶、そういった形で段階的に規制そして禁止という措置がとられていったかと思います。また、業界の自主規制ということで、実質的にはその自主規制に効果があったものというふうに思いますけれども、我が国といたしまして、こういったアスベストの問題につきましての認識、そして科学的な知見を踏まえて必要な措置をとっていったもの、このように考えております。

加藤(公)委員 お立場上そうとしか言えないところもあるのかもしれませんが、ちょっと別の観点から申し上げますと、例えば、日本の場合、このアスベストを建材であったりあるいは建築物の耐火構造に大変多く使用してまいりました。

 例えば、これは建築基準法上の取り扱いでありますけれども、昭和三十九年に告示がされたものでありますが、耐火建築物については鉄骨に耐火構造を施さなきゃいけない、こういうことになっています。種類は四つあるんですが、そのうちの一つの種類として、鉄骨を厚さが四・五センチ以上の吹きつけ石綿で覆ったもの、こういうルールがあるわけですね。つまり、鉄骨で建物を建てるときに、簡単に言えば四センチ五ミリ以上石綿を吹きつけなさい、こういう決まりがあった。

 これは、実は規定から削除されたのが昭和六十二年であります。これは小池大臣に申し上げてもせんないことかもしれませんが、国交省の話かもしれませんが、政府全体として考えれば、一方では、危険ですということがわかって旧環境庁でモニタリングなどをしていらっしゃるさなか、実は、建築基準法上は、これで耐火構造、耐火建築物にしていいんですよというルールは昭和六十二年まであった。

 あるいは、やはり建材、不燃材料として石綿スレートというものが長らく使われてきておりますけれども、実は、労働安全衛生法においてこの建材の製造が禁止をされるまで、平成十六年十月まで不燃材料として石綿スレートというのが認められてきているわけです。平成十六年十月ですから、ついこの間であります。

 その意味においては、環境省、旧環境庁のお立場からすれば、モニタリングもしたし大気汚染防止法も改正したしというお気持ちはあるのかもわかりませんが、あるいは、石綿の吹きつけも原則は禁止したんだよ、こういう御意見もあるかもしれませんが、実際には、政府全体の取り組みとして見ると、やはり諸外国に比べて後手をとっていたということは私は否定できないんではないかと思うわけであります。

 とりわけ石綿の吹きつけ作業は、四十七年に危険性がわかって、すぐ三年後に原則禁止となっています。しかし、これは原則禁止であって、では例外は何かというと、吹きつけるものの中の石綿の含有量を下げればそれでよかったわけであります。現場の職人さんなどにお話を伺いますと、いや、原則禁止と言われても実際には使っていたんだ、こういうお話であります。使う量が減っただけのことであって、実際には使っていた。

 結局のところ、省庁の縦割りの問題なんでしょうか、弊害なんでしょうか、あるいは意思疎通の問題だったのかわかりませんが、政府全体として、アスベストの危険性は極めて高いから、これは何とか代替品にかえていこうとか、あるいは使用、製造を禁止しようとか、輸入を禁止しようとか、そこまでの緊急性を感じていらっしゃらなかったんじゃないか。その意味において私は政府の結果責任が逃れられないというふうに考えて、御質問させていただいているわけであります。

 もう一度、小池環境大臣のこの政府の責任に対するお考え、お聞かせをいただきたいと思います。

小池国務大臣 先ほどの繰り返しになろうかと思いますけれども、そのそれぞれの段階におきまして、必要なデータを集め、そしてそれについての各省庁の所見なども集めた上で、これまでの経過を積み重ねていったものと思います。

 総理もおっしゃっておられますように、反省すべきは反省しという点は、今委員御指摘だと思いますけれども、やはり関係省庁間の連携がうまくいっていなかったのではないか、その点は否めない事実だと私は思っておりますし、また、そういったことを繰り返してはならないということで、人体に係る健康被害をもたらす化学物質などについて、また同じような縦割りではいけないということで、今から予防的なアプローチを進めていこうといった関係の閣僚会合も既に設けられているところでございます。

 これまで、私からすれば、やはり経済優先ということが何よりも優先されてきたということは、これまでの我が国の経済、そして世界全体で、やはりこのアスベストの利便性ということもある中でのその負の部分をどう見るかということが、我が国でも行われてきたというふうに思っておりますけれども、それにつきまして反省すべきところは反省をし、かつ、今回この新法をつくることによりまして、既存の法律によって救われない方々を救済していこうというそのような趣旨は、これまでの反省に立った上での政府としての具体的な、そして現実的な措置である、このように考えているところでございます。

加藤(公)委員 今回の新法も、スピード優先ということでいたし方ないというお気持ちもあるのかもしれませんが、私は、救済のレベルとして決して十分だというふうには考えてはおりません。

 ただ、今、小池大臣がおっしゃったように、省庁ごとの縦割りではなくて、実際に被害が発生をしている以上、あるいはこれが拡大をするリスクがある以上、厚労省も、あるいはほかの省庁も含め、国交省も含め、その縦割りの弊害が二度とあらわれ得ないような形でこのアスベストの問題に対しても対応をしていただきたいし、あるいは、今後の同じような、これは全くまだ我々が認識をしていない問題というのも発生する可能性があるわけでありますから、対応をしていただきたい、これはお願いを申し上げておきたいと思います。

 この問題は、午後にも我が党の長浜先輩も議論をさせていただくと思いますので、責任の問題についてはこの程度にさせていただきますが、少しアスベスト対策の今後のことについて今度はお話を伺いたいと思います。

 実際に今健康被害が発生をしているわけでありますが、とりわけ私が心を痛めますのは、例えば中皮腫などが発症いたしますと、治療方法が確立されていないということであります。これは、患者さんにとっては大変絶望的な気持ちにならざるを得ない状況でありまして、今後ますますその被害者の方がふえる可能性を考えますと、健康被害を救済するための治療方法の開発というのは極めて重要なテーマだろうと思いますが、厚生労働大臣、どのようにこの治療方法を開発していくお考えがあるか、そのお気持ちを伺わせていただきたいと思います。

川崎国務大臣 中皮腫の研究でございますけれども、がんの中でも極めて死亡率の高いがんとなっております。

 したがって、今、厚生労働省の持っておるがんの研究の予算、また労災病院で持っておる、まさに治療をしながらの研究、またあわせて文科省の予算がございますので、そうしたものをあわせながら、昨年度も予算措置をいたしておりますが、今、十八年度予算措置について、研究絡みでございますので、調整をさせていただいているところでございます。

加藤(公)委員 もちろん、細かなことまでここで御答弁いただくというのは難しいとは思うんですが、一つこれは御提案として、今まで、例えば中皮腫一つ取り上げても、実際に、どういう方がその病気になられて、どういう治療をしてどういう結果が出たということは把握をされていらっしゃらないと思うんですが、中皮腫の患者さんの登録制度というものを導入して、それを、もちろんその方御本人に対してもそうでありますが、今後新たに発生する患者さん、被害者の方々の治療にも役立てていく、あるいは治療法の開発にも役立てていくということを検討していただいてもいいんじゃないかと思うんですが、厚生労働大臣、いかがでございますか。

川崎国務大臣 この法律が成立をいたしますと、すぐ、補償、さまざまな救済、また労災におけるさまざまな措置が行われることになります。あわせて健康診断も行われていくことになる。

 したがって、がんの登録制度はありますけれども、今、中皮腫の登録制度をつくったらどうだ、こういう御提案ですか。事実上、中皮腫がアスベストに起因するということでありますので、この一つのスキームが動き出しますと、基本的には、現状どういうふうになっているか等、環境省と私どもで大体把握できることになります。それを、先ほど言いました、労災病院また研究というものにしっかり役立てろ、こういうお話であろうと思います。しっかりそれは受けとめさせていただきたいと思います。

加藤(公)委員 これはぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 実際に、今後日本の社会からアスベストをなくしていくことができたとしても、仮にノンアスベストの社会ができたとしても、潜伏期間が三十年、四十年という病でありますから、かなり長い、先の将来まで被害が発生をする可能性は十分にあり得るわけでありますので、少しでも早く手を打っていただいて、治療方法を開発していただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。

 それでは続いて、今回のこの救済制度の基金の問題について、環境大臣に改めてお話を伺いたいと思います。

 今回の補正予算で三百八十八億円拠出をされて、それだけではなく、来年度以降また地方自治体であったりあるいは事業者の方であったりが費用を拠出されるということになっていますが、その来年度以降の見通し、事業者あるいは地方自治体の方々というのは総額どれぐらいの費用を負担されることになりますでしょうか。

小池国務大臣 今回補正でお願いをしているところは総額で約三百八十八億円でございますが、御質問の、平成十九年度以降、毎年度どれぐらいになるのかということでございますけれども、まず、今回、費用の負担をお願いしております事業主の観点から見ますと、平成十九年度から平成二十二年度にかけては毎年約九十億円の給付費用が必要になるというふうに見込んでおります。そのうち、事業主の方からは、この約九十億円から事務費のうち国が負担する分それから地方公共団体によります拠出分を除きました額の拠出をお願いすることになることと考えております。

 今、御質問はそれでよかったのかな。(加藤(公)委員「はい、そういうことです」と呼ぶ)

 以上です。

大島委員長 大臣、しっかり質問者の質問を聞いてお答えしてください。

加藤(公)委員 委員長からいい御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 今の九十億円の拠出の中で、今大臣もおっしゃいましたけれども、事務費がその中に含まれているかと思いますが、その事務費というのは毎年幾らぐらいを想定していらっしゃいますか。

小池国務大臣 御質問の事務費でございますけれども、事務費につきましては、総額で年間十五億円、毎年度で約十五億円を見積もっております。

 中身につきましては、申請、給付、徴収、広報などの業務に必要な経費ということで、合計いたしまして十五億円となります。

加藤(公)委員 そうなんですね。私もその十五億円、聞きまして随分高いなというのが率直な気持ちなのであります。

 私はお役所勤めをしたことがありませんから、もしかしたらこれが相場だという御意見があるのかもしれませんが、九十億円毎年拠出をしていただく、地方自治体やあるいは事業者の皆さんに出していただく、そのうち十五億円は事務費で消えてしまう。本当にそんなに必要なんだろうかと、ごくごく素直な疑問として実は環境省の官僚の皆さんにお話を伺いました。

 十五億円の中身はどうなっているんだろう。聞きますと、そのうち、いわゆる救済業務の事務費として、申請、給付、収納、広報で六億円、こう教えられました。では、それは人件費なのかなと思ったら、人件費は別で、人件費がまた六億円、別だと。さらに管理諸費というのがあって、これが三億円だと。管理諸費というのは何かと思ったら、事務所の賃借料とか光熱費だ、こういう話です。

 今回のこのスキームだけでそんなに費用が必要なんだろうかと、物すごくシンプルな考えで私は思います。細かなことは余り予算委員会で議論はしたくはなかったんですが、私も長らくビジネスの世界にいたものですから、こうした細かい数字がどうしても目についてしまいます。

 特に、今回、先ほど来の議論のとおり、本当に苦しんでいらっしゃる方がいらっしゃる。だから、とにかくスピードを上げて救済をしなきゃいけない。その思いは、恐らく小池大臣も川崎大臣もお変わりはないと思いますし、閣僚の皆さん一緒だろうと思います。急ぐのは結構であります。しかし、急いだときに十分な手当てができているかというと、これは意見が違うのかもしれませんが、私は決して十分な救済だとはまだ思っていません。そのときに、同じ拠出をするんだったら少しでも事務経費を削って、その分だけでも救済に回していただいた方がよほどいいわけであります。

 では、その事務経費十五億円、毎年何に使うんだろうと思って聞いてみますと、今回のこのスキームを導入することによって事務所を新規に借り上げなきゃいけない、こういう御意見でありました。見積もっているのが二百五十坪。今回のスキームを実現するために、一つの部と四つの課をつくって、職員の方が四十人から五十人ふえます、こういう御意見です。そのために、事務所の新規借り上げ、二百五十坪必要だ、こういう御意見であります。

 しかも、その二百五十坪の事務所、家賃をどれぐらい見積もっているかというと、共益費込みで月六百三十万円見積もっていらっしゃいます。つまり、坪二万五千円の家賃です。そんな家賃を負担して、これだけ苦しんでいらっしゃる方々を救済するんですか。もっと安いところで、もっと効率よくこのスキームを実現すれば、同じ九十億円拠出をしても救済に充てる費用をふやすことができるんじゃないですか。大臣、いかがお考えになりますか、この数字。

小池国務大臣 今、事務費につきまして、毎年度約十五億円の見積もりということで、人件費が六億、救済業務関係が六億、管理諸費が三億ということで、合計十五億円ということでお伝えをいたしましたし、また御質問者の方からもその指摘があったことと思います。

 今回、新法でございまして、そしてまた、スタート時点につきましては、きっちりと広報して国民の皆様方に広く知らしめていかなければならない、まずそういったことが重要になってくる。そして、今後、これからのいろいろな見通しというのは、これからの対象者につきましての専門家によります御検討などを踏まえてくる、まだこれから未知の部分も多々ございますけれども、そういったこと全体をまさに見通して、この約十五億円という形で計上させていただこう、このように考えているところでございます。

 ただ、これによって新たな機関をつくるわけでもございませんし、これまでの既存の機構を活用した上でコストパフォーマンスをよくやっていくということは、これは当然のことだと考えております。

加藤(公)委員 今、大臣がくしくもおっしゃいました。今回のこの枠組みで新たな機構をつくるわけではない、こういうお話でしたが、実は、これは環境省の職員の方も同じことをおっしゃっていました。今までの感覚でいうと、こういう救済措置をやろうと思うと新たに一つ組織をつくっていただろう、しかし、今回はそういうわけにもいかないので、一つの部でやるんだ、既存の独法を使って一つの部をつくることでそれをやるんだ、こういうお話でした。

 私の感覚からいったら、今回の枠組みだけで新たな組織なんてとんでもない話で、それは確かに一つの部ぐらいは必要なのかもしれません。しかし、その一つの部をつくって四つの課をつくって、四十人から五十人の方を増員しなきゃいけない理由というのは、私にはわからない。

 ちょっと調べさせていただいたら、この独法では、一人部長さんがふえますと、一千四百万円近くお給料をもらっていらっしゃる。課長さんが、最高ですと一千三百万円ぐらい今お給料をもらっていらっしゃるそうであります。それ以外に四十人から五十人の方がふえる。別に幾らお給料をもらったっていいんですよ、それに見合う仕事をしていただいているんなら。ただ、本当に苦しんでいらっしゃる方を取り急ぎとにかく救済をしたいという思いでスタートをしよう、だったら、できるだけコストを抑えて少しでも救済にそのお金を回そうと考えるのが、僕は善良な心だと思うんです。

 しかも、さっき申し上げたとおりであります。何で四、五十人ふやすのに二百五十坪も要るんですか、オフィスが。仮に五十人だとして、二百五十坪といったら一人五坪ですよ。そんなオフィスどこにあるんですか。要らないじゃないですか、そんなに。既存の独法を使われるんだったら、会議室が必要だという理屈も成り立たない、受付が必要だという理屈も成り立たない。仮に四十人、五十人の方をふやすとしても、その方々のオフィスの分だけで済むはずであります。それを、どうしてこんな見積もりになってしまうのか。なぜ、二百五十坪も必要で、しかも坪単価が二万五千円もするような高いオフィスに入らなきゃいけないのか。

 僕は細かいことを言いたくないというのは最初に申し上げました。しかし、これを前提に何でもかんでも見積もりをして、さっき小池大臣、いや、当初は広報も必要だとかなんとかおっしゃっていたけれども、初年度の話じゃないんです、これは。毎年毎年十五億円ずつ事務費がかかるという見込みになっているんです、今。この補正予算三百八十八億円の中で、立ち上げのための広報費が必要ですとか、新しい方を採用する経費が必要ですという話じゃないんです、これは。毎年毎年十五億円事務費が必要だということを見込んでいらっしゃる、その見込みが今申し上げたような金額で妥当なのかということを僕は聞いているわけであります。大臣が、いや、さすがにそれはちょっと高過ぎるなと思って手直しをされれば、できる話だと思います。いかがですか。

小池国務大臣 これは全くの新法、新しいスキームでございます。そういったスキームをしっかりと動かしていくことが、これからの救済をするに当たって、国民の皆様方への大いなる安心につながっていくのではないか、このように考えております。

 また、コストパフォーマンスにつきましては、これは、今、公務員改革その他を含めて極めて国民の目は厳しいわけでございますから、そこで冗長な予算などによって無駄な経費を使う、そういう御時世ではないわけでございます。

 また、この四十名というのは、いろいろな担当、専門の方々にお入りいただくことを予定いたして、期待をしているところでございます。中にはメディカルな面の、そういった専門家も必要になってくるということでございまして、事務の部分とそういった専門の部分と取りまぜてさまざまな必要な人材を擁していこう、このような考え方に基づいたものでございまして、それぞれ必要な予算を組ませていただいている、このように理解しております。

加藤(公)委員 大臣が、今回こういう見込みを立てて毎年十五億円事務費がかかるんだろうと一回言ってしまったから、それを正当化するようにもし答弁をされるんだとしたら、それは残念なことであります。

 さっき申し上げたように、四十人要るか五十人要るかは、私はわかりません。もしかしたら十人でできるのかもしれないし、五十人必要かもしれません。そこは私はわからない。だから、実際に本当に必要でした、こういう方々で五十人必要なんですというなら、それはそれで構わないんです。

 ただ、その人件費として六億円が妥当なんですかということと、もう一つ、さっきから申し上げているとおり、仮に五十人ふやしたとしても、なぜ二百五十坪、しかも坪単価二万五千円のオフィスが必要なんですかと。しかも毎年これを使うということを前提にしていらっしゃるというのは、せめてそこぐらい、これはちょっとおかしいから見直してみましょうと一言言っていただいても間違ってはいないと思いますが、もう一度伺います、小池大臣、いかがですか。

小池国務大臣 必要なことを必要な時期に必要な人員でもって適切にこの新法の施行に当たってまいりたいと考えております。

加藤(公)委員 では、ストレートに聞きます。別に私は小池大臣をいじめるために今ここに立っているわけじゃないんですから。いいですか、二百五十坪のオフィス、しかも坪単価二万五千円、もう細かいこと余り言いたくはないんだけれども、それが適切だと思われるのか、その感性だけ伺います。いかがですか。

小池国務大臣 適切だと考えております。

加藤(公)委員 その感性で税金を使われたらたまらないですよ、本当に。そこは反省をしていただかなきゃいけないと思いますよ。さっき大臣、公務員改革も進んでいるさなか、無駄な予算は使いませんとおっしゃっていたけれども、どうしてこれが、それは一〇〇%無駄だとは言いませんよ、私も。ただ、もっとコスト削減できるはずだと考えるのが私は自然だと思います。

 余り言いたくはなかったんですが、このスキームを運営する独法……(発言する者あり)税金の使い方を議論しているときに、つまらないことだというやじが飛ぶこと自体が私はびっくりしますが。この独法の理事長は、元環境事務次官でいらっしゃいますね。ほかにも官僚の方の天下りで理事になっていらっしゃる方がある。僕は、天下りが一〇〇%、何でもかんでも悪だと言うつもりはありませんが、世間の目というのはそういうところに行くわけじゃないですか。ああ、天下りの理事長がいて、その方が年一千九百万円、今報酬を取っていらっしゃる、そこに今回の枠組みがいくんだなと。また、新しい部署ができて人数がふえて、オフィスも随分と高いところに、また広々ととっている。そのコストを少しでも削減して救済に回そうという意思を示してほしいということを私は申し上げたわけであります。

 残念ながら、小池大臣はそういうお気持ちがないようでありますから、これ以上水かけ論をしてもむなしいだけでありますので、時間に限りがありますから次の質問に行きますけれども、その感性だけは私は決して肯定できないということを最後に申し上げておきたいと思います。

 では、引き続いて、このアスベスト対策で健康管理手帳のことを、ちょっと細かくなりますが、川崎大臣にお話を伺いたいと思います。

 今回、この健康管理手帳の交付、新法によって何か変更される点はございますでしょうか。

川崎国務大臣 基本的には変更はございません。労働安全衛生法に基づく健康管理手帳は、石綿を製造し、または取り扱う作業に従事していた労働者について、離職時または離職後にプラーク等一定の所見が認められる場合に、本人の申請に基づき交付されるということでございます。

加藤(公)委員 今大臣おっしゃっていただいた、その従事というところが実は際どいところでありまして、この従事していた労働者というのはどういう方を指されるのか。つまり、企業に雇用されている方だけなのか、それとも一人親方のように、職人さんのようにお仕事をされていた方も含まれるのか、どちらですか。

川崎国務大臣 本会議でも御答弁申し上げたんですけれども、基本的に雇用されている方、一人親方でも特例で入ることはできるということでありました。

加藤(公)委員 雇用されている方がほぼ中心であります。しかし、実際には、例えば職人さんのように一人親方という形でお仕事をされている方でアスベストを暴露されている方、非常に多いわけでありまして、この健康管理手帳の交付の範囲というものを少し広げて考えるということは検討していただくわけにはいかないでしょうか。大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 一人親方問題について、救済ができないかという御質問を本会議でもいただきました。

 しかし、特例を設けて、労災保険に入ることができるという一つの範疇を設けてありますので、それを今度もう少し広げろ、入ってなかった人も入れろということについては、ちょっと今段階ではお答えできないと思います。

加藤(公)委員 法律上でいえばそのとおりだとは思います。

 ただ、私が懸念をしておりますのは、雇用されていた方だけが今回被害に遭われているわけでは決してないわけでありますし、同じようにお仕事をされていても、その働き方の違いによって対応が違うということが被害に遭われた皆さんの救済にとって本当に合理的な道なのかというと、法律論とは別の意味で私には疑問があるものですから、今のお話をさせていただきました。容易なことじゃないかもわかりませんが、ぜひここはお考えをいただきたい、記憶にとどめていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと時間が迫りつつありますので、もう一つの、先ほど申し上げました鳥インフルエンザを含めた感染症の問題についてお話を伺いたいと思います。

 まず、今、鳥インフルエンザがアジアあるいは欧州などで流行しているということが報じられておりますけれども、日本の近隣諸国における鳥インフルエンザの感染、死亡例等、その流行状況について、川崎大臣、どのように把握をしていらっしゃいますか。

川崎国務大臣 まず、基本的に、毒性の高い鳥インフルエンザということで定義をさせていただきたい。すなわち、H5N1というインフルエンザになります。

 カンボジア、中国、インドネシア、タイ、トルコ、ベトナム、六カ国で百五十二の症例がございまして、死亡数は八十三人に至っております。

加藤(公)委員 そうなんですね。実際には物すごい致死率でございまして、これがさらに世界各国に流行が広がること、今大変な不安を呼んでいるわけであります。

 この鳥インフルエンザでありますが、現在、我々が持ち得る治療方法というのはどんなものがあるんでしょうか。大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 もちろん、まず、かからないようにすることが大事であるということから、ふだん、うがいとか手洗いの励行をお願いいたしております。

 そして、今、世界全体で考えていったときに、タミフルというものが一番有効であろう、こういう認識をいたしております。したがって、このタミフルの備蓄を二年間で二千五百万人分、特に国、地方で二千百万人分を備蓄したいということで、この補正予算でもお願いをいたしているところでございます。

加藤(公)委員 その二千五百万人分を目標としていらっしゃるタミフルの備蓄計画でありますが、現在どこまでその備蓄が進んでいらっしゃいますか。

川崎国務大臣 おわかりのとおり、インフルエンザ用としてこのタミフルという薬を、多くの部分を我が国が使っております。その中において、一社しかつくっておりませんから、世界各国からタミフルを求める声が上がっている。その中で、今回の補正予算では百六十二億、七百五十万人分を予算目標として上げさせていただいております。

 したがって、三月中にこの備蓄に向けて動き出すということになります。

加藤(公)委員 もちろん、今の段階でこの鳥インフルエンザが日本で流行しているわけではありませんから、先手を打ってタミフルの備蓄をどんどん進めていただくというのは大変いいことだとは思うんですが、実は、もう一つの不安要因というのは、今現在、さっき大臣おっしゃったように、タミフルが治療に有効だろうと言われておりますが、本当に一〇〇%それが効くのか、場合によってはそのタミフルの効かない新型の鳥インフルエンザというものの発生の懸念、心配というのはないのかということがやはり不安になるところであります。

 実際問題、このタミフルの有効性というものに疑問はないのかどうか、不安はないのかどうか、厚生労働省としてどのようにお考えですか。

川崎国務大臣 先ほど申し上げたように、WHO等、世界的にはタミフルが一番有効であろうと考えております。一方で、ベトナムにおいて一部の患者からタミフルに対する耐性の遺伝子変異が確認されていることも事実でございます。

 したがって、我が国としては、リレンザという薬も同時に備蓄に入ろうということで、三十万人分をこの両年間で考えてまいりたいと思っております。また、ワクチンの問題でございますけれども、要は、今は鳥から人への感染でございますけれども、人から人へとなったときに一つのインフルエンザというものが確定をしてまいります。それに対してどうワクチンをつくり上げるか、その体制、その準備をこの予算でも入らせていただいているということでございます。

加藤(公)委員 時間が迫ってきましたので、きょう、文科大臣にも長らくお待たせをしてしまいましたので、最後に、厚生労働大臣と文部科学大臣にそれぞれに伺いたいと思います。

 今川崎大臣からお話のありましたように、鳥インフルエンザを初めとして新しい型のウイルスあるいは細菌、こうした感染症が発生をしたときに、その治療法を含めた研究というものが極めて重要になろうかと思いますが、今現在、日本国内では、そうした感染症対策の研究というものはいかなる機関でどのレベルで行われているのか。厚労大臣、文科大臣、それぞれから伺いたいと思います。

川崎国務大臣 感染症、細菌、ウイルス等の問題について、これから生物テロというものもあるかもしらぬ、また、さまざまな問題が出てまいると思っておりますので、基本的に管理体制を一元化していかなきゃならぬという中で、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案ということで今国会提出させていただいて、きちっとさせていただきたいと考えております。

小坂国務大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省関係といたしましては、予算といたしまして、新興・再興感染症研究拠点形成プログラムあるいは特別教育研究経費あるいは科学技術振興調整費、このような枠組みの中で、大阪大学、長崎大学、東京大学、北海道大学等のそれぞれの微生物病研究所、これはタイにございますが、こういった海外の施設あるいは国内の施設を利用しながら研究をいたしております。

 また、国立感染症研究所において、野鳥由来ウイルスの生態解明とゲノム解析、こういったような研究を行っておりますが、いずれにいたしましても、この新型鳥インフルエンザを含めた新興・再興感染症に関する研究開発という形で予算を組み、このような研究機関を通じて研究を進めているところでございます。

加藤(公)委員 実は、この感染症研究の件は、それぞれの研究施設の安全性や研究レベルのところを少し議論させていただきたいと思っておったところなんですが、時間が来てしまいました。

 私の地元にも実は感染症研究所がございますし、また、そのうちの一つ、もともとのハンセン病の研究所の施設では、そのレベルを上げようという議論が今あるようでありますが、住民の方が大変不安を感じていらっしゃいます。日本の場合、こうした感染症研究が住宅街のど真ん中でなされているという現実があって、これは諸外国でもそういう国もあるんですが、そのこと自体が不安を呼んで、そしてまた、住民の方に当然のことながら配慮をするがゆえに、本当に十分な研究ができているんだろうかという、両方にとってマイナスがあるんじゃないかという問題意識があります。

 予算委員会はまだ続きますので、後日また改めて、この点を議論させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、補正予算に関する質問を幾つかさせていただきたいと思います。限られた時間でございますので、とんとんとんと幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、質問につきましては、恐れ入りますが、端的に簡単にお答えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 二十六日から始まりまして、冒頭、松本政調会長初め我々のエース三人が発言させていただきまして、そして二十七日には我々の新人のホープ、大串、小川が臨ませていただき、きょうは午前中三人、四十代の議員が、言ってみれば厄年トリオと申しましょうか、臨ませていただいております。二日間の議論を踏まえまして、気になるところを中心にお聞きしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、冒頭でございますけれども、今回、この予算委員会の中で国際会議に、大臣、行かれた方がいらっしゃいます。農水大臣と経産大臣、国会の許可と言うとなんですが、御相談いただいて、委員会の理解を得て行かれたということでございます。もう一人行かれていますが、委員会とは関係ない時間帯で行かれていますのであれなんですが。

 まず、お二人、農水大臣と経産大臣、どういう目的で行かれて、どういう成果があったか、端的にお答えいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

中川国務大臣 おはようございます。

 今御指摘のように、当委員会の格段の御配慮をいただきまして、金曜日から昨日までダボスに行ってまいりました。

 目的は二つございました。一つは、昨年十二月のWTO香港閣僚会合の後の最初のレビューと、今後に向けてどうしていったらいいかということで、いわゆる少数国会合、G6というのに日本は昨年後半から入っておりますけれども、主要国、アメリカ、EU、ブラジル、インド、オーストラリア、日本、そしてラミー事務局長と突っ込んだ話し合いをいたしました。

 そして、二十数カ国の少数国で今後に向けてやっていくということで作業プログラムというペーパーが出てまいりまして、各分野ごとに、いついつまでに何をするべきか、それから、全体でやる場合と、いわゆるプルリと言っておりますけれども特定の少数国でやる場合と、二国間でやる交渉とありますね、それから、閣僚ベースとジュネーブ・ベースと事務ベースでやる必要がありますねということを確認して、ことしじゅうの終了に向けてさらに、時間がございませんので、特に農業は四月末のモダリティー、七月末に全体の方向性を決めるということでございます。

 もう一つは、ダボス会合の二つのセッションに参加をいたしまして、これも主にWTOが中心議題でございましたけれども、パネラーとして議論をしてまいりました。

 以上でございます。

伴野委員 経産大臣、よろしくお願いいたします。共通するところは結構でございます。

二階国務大臣 中川大臣からもお答えのとおり、今回の出張に際しまして、大島委員長初め各理事、委員各位の大変な御理解をいただいて我々が出張させていただいたということにまず感謝を申し上げ、そして、そうした状況での出席だけに、我々は何としてもある一定の成果を上げなくてはならないということで、懸命の努力をいたしてまいりました。

 交渉終結に向けてあらゆる分野で交渉を加速化するということ、そして、議論ばかりに終わるのではなくて、いよいよまとめの段階に入っていかなくてはならない、そういう決意が各国でだんだんとみなぎってまいりました。そして、中川大臣からも今お答えのとおり、私たちは、全体の会議に臨むと同時に、また、バイの会談も盛んに行いました。

 そうした中で、お互いに、このラウンドの終結に向けてそれぞれの国が思い切った一歩を踏み出そうという決意のほどが次第にあらわれてまいりました。できるだけ早い機会に、また少数国で集まったり、あるいは先般のような会議を開催したり、議長、事務局長の間ではそういうことが今検討されておりますが、我が国も積極的にこれらのことに努力をしてまいりたい。

 委員も御承知のとおり、今回のいわゆるWTOの大きなテーマは、開発というところに大きなポイントがあります。そしてまた、開発途上国の皆さんは、人間の顔をしたWTOにしてもらいたい、悲痛な叫びにも似た主張があります。我々はそれを十分受けとめて、先進国としての対応をしっかりやっていかなくてはならない。

 私たちは、これから、低開発国の皆さんのいろいろおつくりになった、一村一品、一国一品のようなものの販売等にも積極的に我が国は協力していく、そして国民の皆さんにも、そうした低開発国に対する支援の気持ちをお互いに共有していただいて御協力願う、こういうことを考えているところでございます。今後、一層の御協力をお願い申し上げるものであります。

伴野委員 簡潔な御報告、両大臣、ありがとうございました。

 個人的には、二泊三日で行かれまして、本当に相当お疲れだったと同情申し上げる次第でございますが、いずれにしましても、国会の最中に行っていただくわけでございますから、やはり結果主義をぜひ求めていただいて、日本の立場を明確にしてきちっと主張していただければ非常にありがたいと思っております。成果がどんどん上がるように、よろしくお願いいたします。

 続きまして、今回の補正予算のお話に入らせていただきたいと思います。時間がないので、幾つかの項目をまとめて質問させていただきたいと思います。

 二十七日の日、私どもの大串議員から指摘がございましたように、透かしというテクニックとかいうのがあるそうでございまして、私もといいますか、今、民主党は、予算の見える化ということで、全党を挙げて数字を一つ一つ洗いざらい見せていただいております。そうすると、やはり世の中が見えてくるんですね。今、これははやりの一つの言葉でございますけれども、見える化すると、どんどんどんどんいろいろな人に見てもらう、そうするとやはり無駄も出てくる、こういうふうに使ってもらった方がよりいいという要望も出てくるということで、予算の見える化ということで全党を挙げてやらせていただいているんです。

 今回、緊急性という名のもとにいろいろやられておりますけれども、正直言いまして、もっとゆっくりやってもいいんじゃないかな、もう少し優先順位を決めてやってもいいんじゃないかなということも幾つかあります。しかしながら、ここは、いろいろな思いで大臣もおやりになっていると思います。

 それから、中身としても、今回、私自身も、一億円単位のものを全部チェックさせてもらいました。要するに、一億円以上のものを全部見せていただいたということでございます。大臣も多分そのようなことを一緒にやっていただいているんじゃないかと思いますが、そういう中で、私は、財務大臣はある程度の裁量権は認められるべきだと思うんですね。役所の方、いろいろな省から上がってきたものに対して、積み上げていくとこういうものになる、だけれども、やはり私の思いとしてはこういうことをやりたい、ああいうことをやりたいというメッセージがあっていいと私は思うんですね。

 今回、緊縮財政というような中でおやりになっているという厳しい面もあるんですが、この十七年度補正予算の中に、小泉総理も、次の方にはパッションも大事だ、ミッション、使命感も大事だ、いろいろおっしゃっています。財務大臣の思いがどこに出ているか、お教えいただけませんでしょうか。

谷垣国務大臣 思いという言葉でおっしゃいましたけれども、今度の補正予算の編成は、このところ、昨年、一昨年ずっとそうでしたが、三年連続で、経済対策は盛り込まないようにしよう、そして真に必要なものに限定して補正予算を組もうということで、これを一番基本方針としたわけであります。

 その結果、災害対策費五千七百三十三億、それから義務的経費の追加三千七百七十四億、これに加えて、先ほど来御議論のございますアスベスト対策が千八百五億、それから新型インフルエンザ三百七十二億、構造計算書偽装問題への対応八十億、こういうのはやはりどうしてもやむを得ない追加財政需要だと思いますので、これらは入れようということで編成したわけです。

 こういう追加財政需要、必要な、やむを得ない追加財政需要については補正を組むということと同時に、十六年度決算純剰余金というのが一兆千九百七十二億ございました。これは国債整理基金特別会計へ繰り入れる。やはり国債というものが膨大になっておりますから、次の世代にツケを先送りしないためにはここに入れていく。そのほか、新規国債発行額は、減額しようと九千二百十億円減額したわけですが、こういうことで、財源を極力財政健全化のために使ったということでございます。

 個々のつけたものに関して余り感想めいたものを申し上げるのは差し控えますが、どれも緊急なものであろうと思っております。

伴野委員 私も、先ほど申し上げましたように、一億円単位でじっくり見せていただいて不勉強なところを改めて認識して、例えば、今、漁業の方が非常に大きなクラゲで大変なことになっているとか、こういうのはやはり見ていかないと自分自身も見落としてしまうというところがあるんですね。ですから、一つ一つ見ていくということが大事で、どこかにさらに思いというものを入れるべきではないかと思うんです。

 それで、初日の松本政調会長が申し上げましたように、我が党は、今回、子供の安全ということに、子の安全ということにぜひ国としてメッセージを出してほしい。確かに、六項目としては、お金を使わないいろいろな活躍、活動をしていらっしゃるとは思いますが、例えば、何千億というんでしょうか、ある程度の大きなお金で、子供を国の力で守るんだというメッセージをぜひ出してほしいというのが我々民主党の思いなんです。

 これは原口議員の御指摘もありましたように、平成十七年で強制わいせつ千五百件ということは、多分、もろもろの心を傷つけられた方々を含めるともっといらっしゃるんじゃないか。平成十六年のデータですと、十三歳未満の被害者というのは、ほかの犯罪も含めて三万七百件もある。つまり、四万とか五万とか、まだ見えてこない方も含めると、それぐらいのお子さんが残念な思いをしていらっしゃる。

 私も実は十歳の娘を持つ身なんですが、たまに自宅へ帰って新聞を読んでおりますと、新聞を読んでいる暇があったら娘を迎えに行ってよというようなことをよく女房に叱られるんですけれども、やはり今、全国の親御さんが、夕方になると本当に不安になっています。

 ですから、先般、総理も、考え方は共有するとおっしゃっていただきました。それから、大島委員長も非常に前向きなお話をしていただいて、きょうのお昼で少しは前向きな御答弁もいただけるんじゃないかと思うんですが。

 これも個人的で申しわけないんですけれども、私は、一千億円でも子供のために組み替えていただければ、私個人としては、本当に、民主党のメンバーに、賛成しようじゃないかと言って回りたいと思うんですね。だから、ぜひそういうことも大胆にやっていただくとポスト小泉の一番手になる可能性も出てくるんじゃないかということも勝手に期待しちゃうわけでございますけれども、どうでしょう。

 ここでお聞きしたいと思います。文科大臣、お越しいただいております。確かに、アスベストは大体今回の緊急対策でやれそうだということもわかりました。トレースの仕方もある程度御準備されているようでございます。しかしながら、残念ですが、公立小学校の耐震補強、これは非常にお寒い状態です。私が調べただけでも、耐震の診断及び対策、あわせてどちらも残念な県が六県あります。あえてここでは申し上げませんが、やはり見る人が見ると、わかってまいります。

 それで、補助金という形にすると、地方は疲弊していますから、三分の一、三分の二を出されたって、その残りをどうするんだという話になっちゃうとなかなかこれも出しにくい。では、今度、一括交付金でやっていいですよといっても、ほかで使わせてもらいますというようなことをやってしまうかもしれない。一〇〇%、これに関して僕はひもつきの補助金でもいいと思っているんですよ。

 このために、小学校の耐震補強のために、子供の命を守ってくれというお金をどんと出してもらいたいと思うんですが、今の御意見、文科大臣、どうですか。

小坂国務大臣 伴野議員の御指摘は、国民の皆さんも同じように、できる限り速やかに耐震化の促進をしてほしい、こういう御意見だと思います。

 そういう意味で、予算というのはたくさんあればあるほどいいというのが正直なところでございますけれども、現在のところ私どもとして措置をさせていただきますのが、補正予算におきまして、特に危険と判断される建物につきまして、実施期間等も勘案の上で二百七十七億円の耐震化予算を計上したところでございます。

 また、御指摘のように、平成十八年度は交付金化を図って、自由裁量のできるような範囲で、地方の自治体の裁量権を高める形で、それぞれの地域に合った耐震補強をしていただきたい、こう考えているわけでございます。これについても、現下の厳しい予算の中でできる限りの措置はしたつもりでございますけれども、御指摘のように、直ちに、すぐに全部が安心していけるかというような意味からすれば十分な予算とはとても言えない、まだまだ年を追うごとに力を入れてやっていかなきゃいけない、そういう認識はございますので、今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。

伴野委員 今、文科大臣も、十分とは言えないというお言葉もありました。多分、現場は大変なんだと思うんですね。

 それから、ケース・バイ・ケースの件もありまして、やはり建物ごとに考えていかなければいけない。それから、そこの長期計画とのレンジもあります。だから、じっくりやらなきゃいけない部分はあるんですが、でも、すぐに手をつけなきゃいけないことも幾つか専門家から見るとあるのも事実です。

 それを踏まえて、財務大臣、いかがでしょうか。一千億でもつけていただけませんか。

谷垣国務大臣 今、文科大臣から御答弁がありましたように、学校の耐震改修の問題については、一千棟の耐震化工事、これは政府案で、特に危険と判断される建物というものについて二百七十七億を計上したわけでございます。

 それから、まだそれだけでは足りない、だから十八年度当初予算でも千百三十七億円を計上しているわけですが、補正というのは三月までに執行しなきゃなりません。一番使えるときは春休みですけれども、そういうこともいろいろ考えて、きちっと消化できる、そういうようなことも念頭に入れて、このような予算、補正を組んだわけでございます。

伴野委員 ぜひ、夏休みもございますので、本予算ぐらいにはきっちりと、二けたオーダーが違うと思います。ぜひぜひ、真剣に子供の命を守っていただければ、そんなふうに思っております。

 さて、今の子供の安全、親御さんたちの心配、不安。今回、いろいろ国民の不安が渦巻いております。その幾つかに対して、ぜひ担当大臣のお言葉で国民の皆さん方の不安を払拭していただきたい、そんな思いで、今回の補正予算絡みで話題になっている五つの項目につきまして、各大臣に質問させていただきたいと思います。

 まず、先ほど来お話しになっていますアスベストの問題、加藤議員の御指摘もありました。やはり、二百五十坪のオフィス、人件費六億というのはちょっときついんじゃないかということも思いますけれども、実際、そういった今の対策をどうするか。また、このあたりじっくりやっていただくことも必要だと思いますけれども、私が質問したいのは、やはり今回のアスベスト問題の反省として、一つ、予防的アプローチが不十分だった、それから関係省庁間の連携が不十分だった。そういった中で、有害化学物質に関する関係省庁連絡会議を設置されるというお話もあるようでございますが、私が一番関心があるのは、第二、第三のアスベストを出しちゃいけない、この思いでぜひ全省を挙げて取り組んでいただけないかな、そういうふうに思うわけでございますが、このことにつきまして、関係大臣、環境大臣、厚労大臣、経産大臣、一言ずつ、どういう思いでやっていかれるか、お答えいただけませんでしょうか。

小池国務大臣 御指摘のように、第二、第三のアスベストを繰り返すというわけにはまいりません。こうした反省、これまでの反省も踏まえながら、今、委員の方からもお話がありましたように、例えば化学物質対策でございますけれども、予防的な取り組みを広く適用すること、それからリスク評価に基づく管理を進めていく、さらにはこういったリスクコミュニケーション、国民の皆様方にしっかりと知らせていくということを今後の施策の基本的な方向としてまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、省庁間の連携をよくしていくということがお互いの情報の共有につながってきて、そして、スピード感、的確な措置がとられるのではないかと思っております。

川崎国務大臣 有害な化学物質をどうやってつかむかということにある意味では尽きるんだろう。したがって、そうした見地に立ちながら、研究機関の分析、関係省庁との連携、化学物質の届け出制度、そのようなものをしっかり構築していかなきゃならぬ。また、あわせて、やはり国際機関、国際社会との連携、これをしっかりやりながらしなければならない。

 一番の問題は、今回の反省の中に、人体に有害あるとの完全な科学的確実性がなくとも、深刻な被害をもたらすおそれがある場合には対策をおくらせてはならない、これは地球サミットのリオ宣言でございますけれども、予防的なアプローチの考え方に立って進めてまいりたいと考えております。

二階国務大臣 御指摘にもありましたが、私は、何といっても政府間の連携に欠けていたという厳しい反省の上に立って、有害物質に対する今後の備えが必要であると考えております。

 経済産業省としましては、有害な化学物質の製造、輸入禁止等を定める化学物質審査規制法に基づき厳格な対応を行っているところでありますが、さらに一層努力してまいりたいと思います。

 また、これも委員からも御指摘がありましたとおり、昨年の十月には、内閣官房に、局長クラスで、人体に影響のある化学物質に関する関係省庁連絡会議が設置されておりますが、経済産業省としましてもこれに積極的に対応してまいりたいと思っております。

 なお、先ほども申し上げましたとおり、我々は、厳しい反省の上に立って、有害な化学物質の管理に万全を期すると同時に、代替製品の開発に努めておりますが、これもできるだけ急いで、完成に向けて努力をしてまいりたい、このように考えております。

伴野委員 いずれにしましても、ぜひいろいろな情報の感度を上げていただいて、事故の場合でも必ずその前には予兆が出ております。ぜひそれを見失わないようにして対策をとっていただき、国民の不安を払拭していただければと思います。

 そしてもう一つ、先ほども話題になりましたが、インフルエンザの対策です。これもやはり、予見可能性といいますか、想定内の話だけでは終わらないと思うんですね。こここそ想像力を発揮していただいて、発生してから最初の二、三週間が勝負だというお話も御指摘がございます。

 そうした中で、今アジア包囲網といいますか、アジアの中で封じ込めておければ本当にいいなというふうに思うんですけれども、農水大臣、後で少しBSEの中で一緒にお触れいただければありがたいと思いますが、今回の補正予算の中は、まだまだやはり想定内の話が多いんじゃないかな。

 先ほどタミフルのお話も出ましたけれども、それから、特にこれから、先ほどアジアで包囲網と申し上げましたが、アジア外交の中でどう位置づけていくか。私は、中国とも、ましてや北朝鮮ともこのことをしっかりと話し合って、情報公開してほしいということを強く言っていく必要もあるんじゃないか。そういうことでなければ、日本だけが頑張ってもなかなか我が国だけではできないという状況にあります。

 攻めの、予見可能性といいますか予防的アプローチをしていただけないか、そういうふうに思うわけでございますが、厚労大臣あるいは外務大臣におきましては、アジア外交と絡めてお話しいただけませんでしょうか。

川崎国務大臣 もう委員御承知のとおり、北京で先日、また、その前に東京でもWHOの会合が開かれました。WHOの一つの警鐘を受けまして、各国が積極的に取り組んでいる。

 しかし、言われるとおり、国際社会全体が一丸となって取り組まなきゃならぬ。そして、例えばある地域に起きたときに、基本的には封じ込めです。あらゆる医療機関が協力し合いながら、その地域にタミフル一つでも集中投下をする、そこで封じ込めるというのが第一の手段であろう。

 それから、起きたときに、今言われるとおり、その国の中で処理しようとすると大変なことになります。そういった意味では、中国で持たれたということも注目すべきであろうし、北朝鮮もWHOに加盟をいたしておりますので、十分情報開示がなされるものと考えております。

麻生国務大臣 御指摘のありましたように、中国を含みますアジアの地域で、いわゆる鳥インフルエンザの感染例というのは多く報告をされております。また、それが人から人へうつるという新型のインフルエンザにつきましては、まだ例が挙げられているわけではありませんけれども、先ほど言われましたように予見される可能性がありますので、それに対応して、一月の十二、十三日、東京で、アジアを含む二十三カ国の人たちが集まって、新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議というのを立ち上げております。これは、昨年、ASEANプラス3でしたか、香港においての会議で小泉総理の方から、この東京会議を開催する件と一・三億ドルの拠出金を出すということで、これを議論させていただくことになりました。

 また、十七、十八日に北京において、同様に、鳥及び新型インフルエンザに関する国際プレッジング会合、いわゆる誓約会議というものを開くことになりまして、私どもの方からは副大臣の塩崎がこれに代表団として参加させていただいておりまして、関係各国、WHO初め国際機関といろいろな形で協議を含めております。

 中国を含めますアジア諸国やら何やらとの対話というものは、これはちょっと、中国でも既に十人感染して七人死亡というのは報告として上がってきておるところでもありますので、この種の連絡はかなり密にやっていく必要があると思って努力をしていかねばならぬと思っております。

伴野委員 どっちがどう言った、ああ言ったというようなことではなくて、ぜひ人類を守るために、この件に関しては、事はウイルスです。本当に、想定外でしたと謝っているうちにみんな亡くなっちゃいますので、ぜひ中国とも腹を割ってこの件に関してはやっていただきたいし、それをやっていくことによって北朝鮮の情報もとれるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、時間がありませんのでとんとん行ってしまって恐縮ですが、想定内、想定外、どこかで、はやったような言葉ですけれども、BSEに関して、想定内のことはやはりきちっと確認をしておくことが行政の最低限の責任であるような気がしてなりません。

 御案内のように、食品安全委員会の十二月八日の答申を受けて、十二月十二日再開決定、十三日に査察団出発、そして十二月十六日に肉が来たということでございます。

 御案内のように、想定内のことは安全管理委員会の結論の附帯事項で随分指摘されておりました。だから、ここの部分を十分確認するということは、我が国の責任もあるのではないかと考えております。

 そうはいっても、起きちゃったことは起きちゃったわけでございまして、今後どういう再発防止と再開に向けてのスケジュール、対策をお考えになっているのか、農水大臣。私は、やはり十分な査察とチェック、管理行政、そして、一気にやるんじゃなくて、ある期間はパイロット開放をして、そこは全品チェックしてオーケーだとなった時点で全部再開というようなことをやっていただけないかと希望的に思うわけですが、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 今御指摘のように、昨年の十二月十二日に再開決定をした後、米国産牛肉が申告ベースで千五百トンほど日本に輸入されているわけでありますけれども、その中で、一月二十日に、特定危険部位つきの、つまり脊柱つきの子牛の肉が成田税関で発見されたわけであります。これは、悪意を通り越した、単純な極めて稚拙なミスであるということは米国政府も認めているところでございます。

 現在、先ほどのダボスでもジョハンズ農務長官ともお会いいたしましたけれども、二度とこういうことを起こさないようにする、それから、今回のこのような本当に信じられないような出来事がなぜ起こったのかと。出荷業者、あるいは、特に検査官が見過ごしてしまったということでありますので、徹底的な原因究明をやって完璧を期してやりたい、時間にはこだわらないということで、強い決意で、農務長官を先頭にして今やっているところでございます。

 日本政府といたしましては、その報告書を待ちまして、それがきちっとした再発防止になっているか、原因究明としてきちっと調査されたかということを徹底的に、農林水産省あるいはまた食品安全委員会の方にも御報告させていただきまして、その上で、今後どういうふうにしていったらいいかということを決めたいと思っております。

 今は、アメリカの、二点申し上げた報告書をただお待ちしている、ボールはアメリカ側にあるというふうに考えております。

伴野委員 不安もありますが期待もしておりますので、ぜひきっちりと、想定内のこと、多少想像力を発揮して想定外のことも予見していただいて対策をしていただければ、そんなふうに思っております。

 では次に、耐震強度偽装事件の方に入らせていただきたいと思います。

 今回、これは地域住宅交付金というのを使っていらっしゃるんですが、大臣、その前に、お疲れさまです、いろいろあってお疲れかと思いますけれども、これを使おうと考えられた役所の方は、僕は、正直言って頭のいい方だと思いますが、でも、徹底的に調べていくと、いろいろ見えてまいります。

 今回の事件、想定内のこととして、やはり技術屋の間では、中層住宅、六十メートル未満のもの、このチェックというのはなかなか難しい。なぜなら、六十メーター以上のビルというのは、専門委員会ができまして、大学の先生の、もう本当に建築屋の粋が集まってやりますから、まず間違うことはないんですね。しかし、中層住宅の六十メーター未満のものというのはそうはいかない、今の仕組みでやらなきゃいけない。これは一つ想定内のことです。

 想定外のこと。今まで、施工不良というのもありましたし、とんでもない鉄筋抜きとかコンクリートの扱いというのはありました。しかし、これは現場でよく行われたことなんですね。図面まで改ざん、しかもここまで大胆に、本当に、ここまでやっちゃうのか、多分技術屋の魂はこの方にはないんだろうと思うぐらいの偽造、これが、言ってみれば、行政から見れば想定外。

 地域住宅交付金というのは想定外のためにあるわけではなくて、本来、あるところの地域が、そこを少しでもよくしたい、そういったときに、どちらかというと地方自治体が主体となって、その地域住民の人が主体となって、そこが主になって事業を起こすための仕組みが、この地域住宅交付金です。

 今回なぜこれが使えたかというと、利害が一致するからです。つまりは、周りの方と、マンションの方も早く立ち退いてつけかえてもらいたい。だから、これはマンションの住民の方の支援策ではないんですね。細かくは後ほど多分松野さんがじっくりやっていただけると思いますが、そういった、かなり無理してこの仕組みをやっていますから、突き詰めていくと、結果的に、今回、まず五十億の十棟、これがヒューザー物件の姉歯さんのものだということになるわけでございますが、これは正直言って、工学的に、科学的にこれに絞れる理由というのは残念ながらできません。確率論でやってもこれを絞ることはできません。

 どういうからくりだとできるか。つまりは、ほったらかしにするような建築主、とんでもない建築主、対応しようとしない建築主の場合にこの仕組みというのは成り立つわけです。だから、財務大臣も堂々と、これは私的財産への支援でないと言い切れるわけですね。そういう仕組みがこの中には全部あります。これはどこかの場でまたじっくりやりたいと思いますけれども、きょうは時間がありませんから、再発防止のお話をぜひこの際大臣に聞いておきたい。

 例えば外国で行われているようなピアチェック、つまりは、それなりの技術力を持った建築士を登録しておいて、ある認定をしなきゃいけないものは、ランダムにそこから、全国で二人、あるときは北海道から、沖縄の人が選ばれてもいいと思います、全然無関係の人がその図面と計算書をチェックする仕組みをつくれないものだろうか。それから、どんなにやっても施工不良なりミスはあります、保険体制を整えるお考えはないのかどうか。そういった、次のステップといいますか、次に同じようなことが起こらない、想定内で終わるようにするためのお考えをぜひお聞かせいただきたい。

北側国務大臣 今回の事件で大量の偽装物件、あの姉歯元建築士が設計した物件で今判明しておりますのは、九十七物件が偽装がなされておりました。偽装がなされたこと自体とんでもない話でございますけれども、それを見抜けなかった、特定行政庁または指定検査機関が見抜けなかったということも極めて遺憾だというふうに考えております。

 なぜ見抜けなかったのか、その実態をしっかり点検させていただきたい。今しているところでございますが、そうした結果も踏まえまして、社会資本整備審議会におきまして、今委員御指摘の点も非常に重要な点だと思います、そういう点も含めまして、構造計算書の審査の徹底をしていくためにどうするのか、例えばダブルチェックが必要ではないのかどうか、一定の要件のもとで。さらには民間機関への指導監督の強化、こうした危険な建築物を設計した者に対する罰則の強化等々、そうしたことを議論していかねばならないと思っております。

 今、社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございますが、二月下旬には中間報告をちょうだいする予定でございます。早急に対応すべきものにつきましては今国会で建築基準法等の改正をお願いしたいと思っておりまして、また、夏ごろまでには最終的な取りまとめをいただき、今後の見直しをしてまいりたいというふうに思っております。

伴野委員 残念ながら、技術屋の魂を売ってしまう人が設計にかかわる世の中になってしまいました。そういった魂を抜かれた人がこの仕組みに入ってきてもレッドカードを出せるような仕組みにぜひこの際整え直していただければ、そんなふうに思っております。

 次へ行かせていただきます。

 同じような話、ライブドアでございます。ライブドア事件。これは想定内か想定外か、この当事者がこういうことをよく言っていたんですけれども、私はかなり想定内のお話だったんじゃないかと思います。

 投資事業組合がその舞台になって、やみからやみへ匿名性の中で行われた事件かもしれません。しかしながら、二〇〇五年六月十日には、株式分割の有効発生日についてのお願いというのも出ておりますし、二〇〇五年三月七日には、東証が、大幅な株式分割の実施に際しお願いということで、いろいろな警告を出しています。多分、与謝野大臣も御存じだと思いますし、竹中大臣は、これは基本の基本として御案内かと思います。

 金融大臣にお聞きしたい。これは再発防止のためにぜひお聞きしたい。

 今回の事件、想定内だったか想定外だったかは別として、投資事業組合、今後どういうふうにしていきますか。

与謝野国務大臣 投資事業組合につきましては、一つは、投資事業組合も経済に対して一定の役割を果たすということは我々理解をしておりますけれども、この国会で出しますいわゆる投資サービス法の中においては、やはり一定の法律上の規定を設ける必要があるのではないか、そのように考えております。

 非常に少人数でプライベートにやるようなファンドまで何かするつもりはありませんけれども、外に向かって、例えば、募集行為を行うようなファンド、社会的な大きな影響を与えるようなファンドについては、金融庁もどういうものが存在するかということも知らなければなりませんし、やはり投資ファンドといえども社会のよき秩序を守って行動していただかなければならないわけでございまして、そういうものが全く法律上の規制の外側にいるということは、多分あり得ないことなんだろうと思っております。

 現在、どういう規定を設けるかは検討中でございます。

伴野委員 先ほどの偽装事件と同じで、これも、魂を金に奪われた経営者が出てくる時代になってしまいました。ぜひぜひ、そういう経営者にレッドカードを突きつけられるような仕組みにしていただければと思います。

 いろいろ国民の不安について払拭していただくべく、大臣にお答えいただきました。そういった国民の不安を払拭する、進んで、何か不安がある、疑義をかけられたら、ぜひそれをみずから積極的に解消していただくということは、やはり皆さん方、そこにいらっしゃる方はオール・ジャパンの代表でございます、ぜひそれを積極的にやっていただければということで、なかなか聞きにくいことをこれからちょっとお聞きいたします。

 まず総務大臣。これは何回も聞かれて恐縮ですけれども、結果的にホリエモンさんを応援してしまいました。この間の御答弁の中で、結果責任として不明を反省すると素直に言っていただきました。やはり大事なことは、ミスったら、だれだってミスするわけですから、なかなか判断を誤ることもあります、ですから、きちっと対応して、開き直らないということが私は大事じゃないのかと思います。

 そういった中で、私は、ホリエモンのような方が活躍するのも、犯罪を起こさなければいいのかなと思っていましたが、それよりも、正直者、誠実者、働き者が幸せ者になる世の中にしていただきたいな、そんなふうになるわけでございます。そういったことを踏まえられて、総務大臣、さっきのライブドアの話も、大臣ぐらいのクラスの方だったら随分想定されていたんじゃないかと思うんですが、その反省に立って、今後いろいろな応援を頼まれると思います、今後の再発防止、いかがですか。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 今の容疑が事実であれば、これは本当に許されざることであり、大変残念であり、遺憾であると思う。そして、そういうことを見抜けなかったみずからの不明については、本当に謙虚に反省をしなければいけないと思います。

 委員のお尋ねは、こういうことが二度と起こらないようにするためにどういうふうに考えているんだということであろうかと思います。

 意図を持って隠そう、何かの物事を隠そうとする人がいる場合に、それを見抜くというのはなかなかしんどいことなんでございますが、しかし、やはりそこを乗り越えていかなければいけないと思います。

 しっかりと情報を集めるということが第一点、そして、時間の許す限りいろいろな方々の意見を聞いてみて、その上で適切な判断をしていくということが必要なんだろうと思っております。そのことは反省をしてみなければならないと思っております。

伴野委員 大臣クラスの方になりますと、いろいろなやっかみや嫉妬や、それから言いがかりもあるでしょう。ですけれども、ぜひ今まで以上にわきを締めていただいて、眼力を持って御判断いただければと。

 それから、また聞きにくいことなんですけれども、恐れ入ります、安倍官房長官。

 先般のお話の中で、官房長官も北側大臣もうそは言っていらっしゃらない。それは何かといいますと、馬淵議員からの質問に対して。しかしながら、馬淵議員が質問したことには残念ながら答えていただいていない。一問目は、記者会見の発言は変わるのかというお話でございました。二つ目は、安晋会の代表幹事のことは御存じですかということに、二つとも残念ながら答えていただけなかった。

 やはりいろいろなお願いというのは、私も政治家ですからこれは本音でお話しします、いろいろあると思います。ついついいろいろな人から頼まれるというようなことはあると思います。それで、議員と秘書は私は一体だと思っていますし、これから、秘書がやりましたということもなかなか言えない。だから自分はどうしているかというと、やはり報告を受けますし、毎日、どうしているんだと。場合によっては自分の思いとは違うこともやっていることもなきにしもあらず。そういったときは必ず、こうしてほしかったんだよ、こうしてくれ、あるいは必ずそれをチェックして、もし結果が違っていればみずから出向いていって解決するということをやらざるを得ないと思うんですね。

 ですから、いま一度お聞かせいただきたいんですが、十一月十七日、政策秘書の飯塚さんは国交省のどなたかに、昨日といいますか一昨日ですか、北側大臣は、局長級の方もしくは住宅局の職員には働きかけはしていないとおっしゃっています。これも正しいんでしょう。だけれども、これは働きかけか働きかけでないか、相手の仕方、とり方によって違いますので。

 ですから、お聞きしたいのは、政策秘書の飯塚さんのそのときのいわゆるビヘービア、行動について御報告を受けられたのか、あるいは受けられたとしたら、まあ、つい電話をかけてしまったのか、いやいや、全然そんなのは突っぱねてかけなかったんだということなのか。ぜひそのあたりをお聞かせいただきたいと思います。

安倍国務大臣 先般の馬淵議員の御質問に対しては、すべて私は答弁をしているというふうに思います。

 今、委員の御質問でございますが、私の秘書は、国交省への働きかけは電話を含めて一切をしていないというふうに私に報告しておりますし、国交省の聞き取り調査によっても、そういう働きかけは一切なかったという調査の報告が出ているわけでございます。

 そこで、そのときの秘書の行動はどうだったかということでございますが、秘書というのはありとあらゆるいろいろな陳情を受けることがございます。人によっては、細い糸を手繰り寄せて何とか自分の思いを伝えたいという人たちもたくさんやってくるわけでありますが、要は、そこで不適切な依頼、申し出についてはしっかりと対応することが大切でありますし、その中で取り上げるべきものはしっかりと取り上げていくという判断が大切でありますが、私の秘書は、そこで国交省に働きかけるべきものではないという判断をしたわけでございまして、適切な判断だった、このように思っています。

 その報告については、確かにその場では報告はなかったわけでありますが、種々たくさんの事柄を預かっている上においては、それもやむを得なかったのかな、こう思っております。

伴野委員 しつこくて恐縮ですが、秘書さんが電話をかけられたかどうかという御報告は受けられましたですか。

大島委員長 時間ですから、簡明に。

安倍国務大臣 こういう御質問には再三お答えしているとおり、電話を含めての働きかけは一切していないということでございます。

伴野委員 電話はされたでしょうか。

安倍国務大臣 再々私がお答えしているとおりでありまして、働きかけをしていないということでありますから、当然、電話を含めた働きかけをしていないということでありまして、私は秘書からそういう報告をしっかりと受けているということであります。

伴野委員 時間が参りましたので、きょうはこれにて終わらせていただきたいと思います。お世話になりました。ありがとうございます。

大島委員長 これにて伴野君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、牛肉の危険部位混入問題と、そしてまた耐震偽装関係の五十億の予算に関して審議をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、農林大臣、ちょうど先週の金曜日の予算委員会の質疑を聞いていまして、ちょっと私は違和感を感じましたのは、今回のこの特定危険部位の混入が、どうも総理、農林大臣ともにアメリカの責任であるということをおっしゃっています。それはアメリカの責任かもしれませんけれども、ただ、この輸入再開を決めた政府が、きちっと責任を持って輸入の再開を決めたわけでありますよね。例えば、デパートに行って、これは不良品がまじって市場に流れたかもしれないというときに、デパートの店員が、じゃ、それはメーカーが悪いんだ、メーカーが悪いんだと言っているのと同じように聞こえるんです。

 今回のこの混入問題、当然、第一義的には間違ったアメリカであり、それを輸出したパッカーでありということでありましょうけれども、行政サイドの責任としては、私はあるのではないかというふうに思います。その辺をきょうは一つずつお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まず、食品安全委員会の最終答申の中で、こういうふうに答申をされています。資料に書いてありますので、資料の1の1をごらんください。「リスク管理機関が判断し施策を実行する場合は、その結果を国民に説明すること、」そして、ここがポイントです。「輸入再開の場合は輸出国に対して輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負うものであることを確認しておきたい。」ということ、これが最終答申に出ているんです。

 ですから、ただアメリカが悪い、アメリカが悪いと言うだけではなくて、やはりリスク管理機関としての責任、これはどうお考えですか。

中川国務大臣 リスク管理機関でございます農林水産省は、国民の食の安全に対して責任を持っております。そういう前提で、一年半の作業をかけて、十二月十二日に米国産牛肉の輸入再開を一定の条件のもとで行ったわけでございます。

 今回の出来事、つまり脊柱という危険部位が入った肉が成田税関で発見された、したがって、全部の米国産牛肉を一たんストップして、原因の徹底究明と再発防止をさせるということでございます。

 そういう意味では、今回の出来事については、これはもうアメリカ側の責任である、これはアメリカも認めているところでございます。トータルとして、食の安全という行政につきましては我々が持っておりますので、したがって、成田の動物検疫所でこれが発見されたということでございます。まさしく、この松野委員からいただいた資料の1の1の線を引いてあるところは、当然の我々の責務でございます。

松野(頼)委員 では、アメリカにこの輸出プログラムを遵守させるために、農水省として何を行いましたか。

中川国務大臣 一年半の間、日米でもう何十回と協議をし、また現地を視察し、資料も要求をして資料をいただき、食品安全委員会で御検討をいただき、正確に申し上げますと、委員御承知のとおり、日米のリスクの差は極めて小さいという答申をいただいたところでございます。

 あとは、再開に当たっては、日本側がやるべき責任、それから米国側がやるべき責任、今回の場合は米国側の責任であったわけでございますけれども、それぞれが政府においてきちっと責任をとることによって、国民が安心して米国産の牛肉をまた食べることができるということでございます。

 それに関しまして、念のために、十二月十二日の再開に当たって、米国が指定した四十カ所の指定機関処理場等々のうちの十一カ所につきまして、念のために、実際にやっているかどうかとか検査官がどういう仕事をやっているかとかいうことを視察に行き、報告書を公表したところでございますし、残りにつきましても、念のためという観点で今後もやっていきたいというふうに考えております。

松野(頼)委員 では、今回の混入をさせた牛肉を輸送したパッカーは、査察をされた四十カ所のうちの十一カ所のパッカーから送られてきた荷なんですか。

中川国務大臣 今回の肉の生産者それから屠畜業者は四十カ所に当然入っているわけでありますけれども、この二事業所はいずれも査察の対象外でございました。調査の対象外でございました。

松野(頼)委員 では、今のお話では、きちっと輸出プログラムを守る責任を輸出管理機関として負うための視察も何にもしていないじゃないですか、このパッカーに対して。その辺、どうなんでしょうか。

中川国務大臣 ですから、十二月十二日の輸出再開決定、これは、日本の決められたルールをアメリカが守りますかということを問い合わせして、守りますということで再開が行われたわけでありますけれども、生産者はもとよりでありますが、我々から見ると、政府の人間、つまりUSDA、アメリカ農務省の検査官が見過ごしてしまったというところが、我々にとっては一番、ショックというかあきれるというか、そのところを一番我々は重視しておりますけれども、いずれにいたしましても、現在ストップしております。そして、向こうは、原因究明、そして再発防止の徹底的な報告書を日本に拙速を避けて出すための作業をしているということでございます。

 ちなみに、この四十カ所、十一カ所見た、残り二十九カ所は見なかったというのは、これは約束ではございませんで、念のために日本の調査団が向こうに行って十一カ所をやった。引き続き残りの部分についてもやっていきたいと思いますが、御承知のとおり、現在、この二施設は指定を外されている状況でございます。

松野(頼)委員 大臣、食品安全委員会は、この輸入再開に当たり幾つかの前提をつけているんですよ、附帯的事項という形で。その前提の一つが、輸出管理機関として、アメリカが輸出プログラムを遵守するような責任を負うことというんです。

 それで、その資料の次のページの1の2をごらんください。特に(1)のところで、特定危険部位の除去について、屠畜場での監視の実態が不明であり、リスク管理機関による安全担保についてもその実効性に疑問が残る、脊髄除去の監視を図る必要があるといって、特にこの特定危険部位の除去の部分に関しては、わざわざこういう文言をつけて答申しているわけですよ。これが輸入再開の前提の文書となってついているわけですから、これに対してリスク管理機関の農林省としては一体何をやったんですかということなんですけれども、ただアメリカ側に、その輸出プログラムを遵守してくださいなというふうにおっしゃったと、それだけでこの責任が果たせると思っていらっしゃいますか。

中川国務大臣 この報告書は、言うまでもなく、日本のシステムとアメリカのシステムが違いますので、全く日本のシステムにやってもらいたいと、当初はそういう立場でいたわけでありますけれども、いろいろと専門家の先生方が、食品安全委員会の先生方が御検討していただいた結果、こういう形で、つまり、特定危険部位の除去、それから二十カ月齢以下の肉等ですね、舌とかほほ肉とかございますけれども、についてはこういう条件でやればリスクの差は極めて小さいというのが結論でございますので、それぞれの部分についてはもちろん、不明であるとかあるいはまた監視の強化を図る必要があるという文言がございまして、農林水産省としても、それらをきちっと重たく受けとめて、このリスク管理行政をやらせていただいているところでございます。

松野(頼)委員 これは実際に、二〇〇五年の八月に米国の農務省は、メディアの情報公開請求を受ける形で、特定危険部位の除去を怠った、及びその規則を遵守しなかった例が、いいですか、二〇〇四年の一月から二〇〇五年の五月までの間に千三十六件という報告がなされて、公表されているんですよ。ですから、特定危険部位の除去が明らかにきちっとされていない例というものがこれだけ報告をされている中で、その中で食品安全委員会も、わざわざここに特定危険部位の除去という文言を入れて、この除去がきちっとされているかどうかを正確に把握して、リスク管理機関としてその担保をとってくださいなということをきちっと答申しているのが、これが輸出再開の前提になっている話なんですね。

 なぜこれを怠ったんですか。ただアメリカに守ってくださいねと言ったということが、この食品安全委員会に対するリスク管理機関であります農林省としての立場で、それでよろしいのかよろしくないのか、お答えください。

中川国務大臣 今、松野委員御指摘のように、昨年八月十二日付で、平成十六年一月から昨年五月までにアメリカの農務省が検査を行いまして、特定危険部位除去の規則が遵守されていない事例が千三十六件確認されたということは、我々、報告を受けたところでございます。

 それぞれその内訳は少しずつ違いますが、いずれにいたしましても、これは違反であることは違反なんですけれども、市場には流れていなかった。全部、市場の手前でこういうことがわかってストップをして、そしてまた、改善措置あるいは公表といったことをアメリカ側はしたというふうに聞いております。

 そして、この資料につきまして食品安全委員会に昨年提出をいたしまして、このことも含めて総合的に、リスク評価機関である食品安全委員会で御審議をいただき、先ほど申し上げたような結論をいただいたわけでございます。

松野(頼)委員 ちょっと御質問に答えていただいていないと思うんですけれども、要は、リスク管理機関の農水省としては、アメリカにきちっとやってくださいねということを伝えるだけでいいということでしょうか。

中川国務大臣 その資料の1の1、1の2は、これは附帯意見の部分でございまして、本体の中で、リスクの差は極めて小さいと。ただし、より安全性を高めるためにはという意味でこういう附帯意見がついているわけであります。

 決して軽視はいたしませんけれども、そういう方向でやるように努力はいたしますが、これが義務である、条件であるということではないということは、ぜひ松野委員、御理解いただきたいと思います。

松野(頼)委員 いや、それはないんじゃないですか。少なくとも国民の命を守る、食の安全を守るという立場のリスク管理機関の答弁として、それは附帯決議だからいいんだという問題ではないんじゃないでしょうか。そこに職員を派遣して、せめて視察をしてチェックをする、そのチェックが終わってから輸入再開を決めるというのが、本来、筋の話なんじゃないですか。違いますか。

 まして四十カ所のうちの、四十カ所しかないんですよ、今のところ輸出プログラムに手を挙げているパッカーは。そこの中で十一カ所。フィードロットに至っては一カ所しか行っていないんですよ。一カ所しか行かずに、査察報告書の中できちっと処理がされているということ。これが、実際に十三日から二十四日に行っている査察団が報告書を上げてきているわけです。この初荷が着いたのは十八日ですよ、十八日。査察官が査察をしている最中に、あれだけ大きな背骨のついた、特定危険部位のついた荷が日本に着いているわけです。一体、この整合性はどのように考えているんですか。

 果たして本当に、これだけ特定危険部位の除去が正確に行われていないという事例が千三十六件も報告をされていながら、そしてまた、その状況の中で、日本に送られてくる荷の中にあれだけ大きな背骨が入っている。また、市場に流れていないとおっしゃっていますけれども、実際にはまだ、自治体に確認をして、どこの市場に流れているか捜してくださいなといって、今、農水省は調査をかけている段階だと聞くじゃないですか、日本の国内の。

 こういう状況の中で、リスク管理機関として、附帯決議だからそれは軽んじるわけではないけれどもそれほど重く受けとめていないという話、これは私はちょっと聞き入れられないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 まず、市場に流れていないと申し上げたのは、アメリカの、その千三十六件が市場に流れていないということが一つでございます。

 それから、十二月十二日以降、御指摘のように、十六日ですか、航空便で初めて肉が来た。つまり、十二日、決定と同時にアメリカは検査官のこの輸出プログラム、EVプログラムに基づいて作業を始めて、四日後には来たということでございます。

 これは、日本がやるべきこと、アメリカがやるべきこと、それぞれがあって、四十のアメリカ政府が指定した機関を全部見なければいけないというわけではございません。極端に言えば、別に一つも見なくても再開ができるわけでございます。しかし、念のためにアメリカとカナダの施設を見に行ったわけで、それについても問題がないということになりましたが、御指摘のように今回の二つの指定施設は、まだ念のため調査に行っていなかったということも事実でございます。

 それから、二十三日に官房長官のところで関係省庁が集まって決定したことの一つといたしまして、これもまた念のために、国内に出回っている米国産牛肉について、特定危険部位が入っていないかどうか自主的に検査をしてもらいたいということを今お願いしているところでございます。

 いずれにしましても、現時点では米国産牛肉がとまっており、向こう側から、こういう極めて悪質を通り越して稚拙なミスがわかったわけでありますから、二度と再発しないような、あるいはまた、原因の徹底的な究明というものの報告を現時点で待っている段階でございますから、どういう形で来るのか、それから十一カ所以外についても、一つずつ、また念のために検査をする必要もあるのではないかというふうに考えております。

松野(頼)委員 どうも大臣、私は、今回の輸入再開に踏み切った時期というのが、想定していたよりも少し早かったのではないかというふうに思うんです。

 といいますのは、まず食品安全委員会の答申が十二月の八日になされました。本来であればそこから査察団を派遣して、それである程度、四十カ所のパッカーなりフィードロットなりという日本向けの施設を調査して、その後に本来は輸入再開を決定する、そういうタイムスケジュールがどこかにあったんじゃないですか。大臣、どうでしょうか。

中川国務大臣 リスク評価をやる食品安全委員会の御審議、これはもう中立的であり、我々全く無関係で、先生方に長期間やっていただいたのがあの報告書でございますけれども、その報告書の中には、指定機関を調査しなさいとかあるいは決定前に調査しなさいとか、すべて調査しなさいとかいうことはないわけでございます。つまり、調査というのは再開の要件にはなっていない、その答申をいただいているわけであります。

 しかし、それにもかかわらず十一カ所を、ある意味では自主的に、念のために農林水産省が調査をした、カナダも行きました。ある意味では抽出的と言われれば抽出的でございますけれども、今後もさらに一つずつ調査をし、もちろん、松野委員の御質問の趣旨というのは、安全な食品を国民に届けろ、そのために農水省しっかりしろという観点だと思います、それについては重く受けとめて、そして報告書を今待っているという状況でございます。

松野(頼)委員 ちょっと大臣、資料の4をごらんください。これは、昨年の十月二十八日に、我が党の川内博史議員が質問主意書を出しています。

 それは、輸入再開以前に、対象工場における具体的な完全遵守の確認方法や、特定危険部位除去率などの科学的キットを用いた調査結果、調査人員、予算、確認頻度などを渡米して確認するべきだと思うが、政府の見解を求めると。

 そして、これは閣議決定をされて出された文章なんですけれども、十一月十八日にこう答えていらっしゃいます。

 厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向けの牛肉にかかわる食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えていると。十一月の段階では、こういうことをきちっと閣議決定して答弁をされているんですよ、輸入再開前に担当官を派遣して現地調査を実施すると。この答弁との整合性はいかがなんですか。

中川国務大臣 この川内議員の質問主意書そして政府の答弁は、今、松野委員から御紹介いただいたとおりでございます。

 これは、日米協議をやっている段階で、既に何カ所も現地を視察しております。平成十六年の一月十三日以降、これは主に大手の食肉メーカーでございますけれども、行っておりますし、そういう意味では、再開前に米国に施設の視察を既に何カ所か、全部ではございませんけれども、何カ所かやっております。

 なお、最後のところで、「お尋ねの抜き打ち検査の実施については、対象が外国にある施設であることから困難と考えている。」ということも書いてあるということも、私の方から御紹介させていただきます。

松野(頼)委員 大臣、違いますよ。これは十一月に出した答弁書ですよ。輸入再開前にきちっと調査団を派遣して、現地を確認してから輸入を再開すると、十一月の段階でこうはっきり言っているんですよ。十二月十二日に輸入再開を決定して、調査団を出しているのは十三日じゃないですか。この答弁書と全く違う行動をとっているんじゃないですか。

中川国務大臣 これは、十一月十八日ですかのこの答弁書で、御指摘のように、「輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、」云々というふうに答弁をさせていただいておりますが、現実には、この十一月十八日以降、輸入再開前に米国に調査に行ったということはございません。

松野(頼)委員 ですから、輸入再開前には行っていないわけですよね、十一月の答弁書から輸入再開までの間には。

 ということは、十一月の段階では、輸入再開前に現地の調査をして安全を確認してから輸入再開を決定するというのが、本来、政府の基本的な方針だったはずですよ。なぜ輸入再開調査団を派遣する前に輸入再開を決定したのですか。

中川国務大臣 安全性そのものは、リスク評価機関、食品安全委員会の御指示のもとできちっとやれば担保されている。ただし、御質問に対して、再開前に調査をしますということにつきまして、結果としてしなかったということは、この答弁書でお答えしたことと事実が違っていたということで、この場でおわびさせていただきたいと思います。

松野(頼)委員 おわびという問題じゃなくて、これは現実問題として、当然、相手国の現状を見て、安全を確認した後に輸入を再開するのが当たり前の話じゃないですか。現実に答弁ではこう答えているわけです。これは閣議決定ですよ、閣議決定。閣議決定を破って輸入再開を決定したのはだれですか。

中川国務大臣 答弁書でお答えしたことと違うことが現実にありました。

 他方、十二月十二日に輸入再開を決定いたしましたのは、農林水産大臣、つまり私でございます。

松野(頼)委員 そうすると、大臣みずから閣議決定をお破りになったということを認められているわけですね。

中川国務大臣 お破りになったかどうか、言葉の問題でございますけれども、閣議決定どおりにしなかったということでございます。

松野(頼)委員 もう一回、最後のところが聞き取れなかったので、もう一回お願いします。

中川国務大臣 閣議決定どおりにしなかったということでございます。

松野(頼)委員 閣議決定に従わなかったと言われても、これはどういう責任があるのかというのはちょっと私はわかりませんけれども、では、なぜ閣議決定に従わなかったんですか。

中川国務大臣 ただいまの事務方の説明では、現実には、EVプログラム、つまり、アメリカの日本に対する輸出条件を決めたプログラムが動き出さないと視察をしても意味がないということでございますけれども、いずれにしましても、この文章と違うことを私が決定をいたしましたので、松野委員もどういう責任かなとおっしゃっておりましたけれども、私も、みずからどういう責任にしたらいいのか、これから考えたいと思います。(発言する者あり)

松野(頼)委員 だから、今のEVプログラムを守った、守らないという話じゃなくて、これは非常に大きな決断なはずなんですよ。なぜ、この決断を現地調査をする前に、また、この閣議決定でこういうことを確認されながら輸入再開を急がれたのか、これは明確な説明をしていただくまでは審議できないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 私も、明確に説明を早急にさせ、責任問題も含めて当委員会に御報告をさせていただきたいと思います。

 審議ができる、できないについては、委員長初め皆様方の御判断だろうと思っております。

松野(頼)委員 ぜひ、ちょっとこの続きの質問ができないので、暫時休憩にしていただきたいということを委員長にお願い申し上げます。

大島委員長 松野君。(発言する者あり)ちょっととめてください。ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

大島委員長 再開してください。

 農水大臣におかれましては、今、松野議員の質問に対して、閣議決定を伴った答弁書と先ほど大臣がお話しされたそのこととは違った判断をされたということ、そして責任があるということをお話しされました。

 そのことについて、いま一度、この経過のところで精査をよくされまして、大臣もけさ着いたばかりでございますので、よくその経過をちゃんと自分でも整理されて、きちっとお答えできるように準備しておいてくださいませ。

 松野委員の残余の質問は午後に切りかえさせていただきます。

 以上で松野君の質疑は、暫時、午後に延期させていただきます。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

大島委員長 速記を起こしてください。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 前回に続いて、アスベスト問題について質問をいたします。

 前回、私が質問したときに環境大臣は、要するに、将来石綿肺などの指定を考えていくということでした。だけれども、現実には、例えば東京で一人親方の方、事業主の方、もともと石綿の分野で働いていた労働者としてやってきた方なんですが、今在宅酸素療法を受けていらっしゃるんですが、それで石綿肺で申請したら、労基署長の方は管理区分四相当として認めているんですよ。認めているんだけれども、事業主の期間の方が長いからということで却下されているんですね。

 だから、小池大臣は将来石綿肺などを指定疾病にするということを言っていたけれども、現にこれでは救われないんですね。ですから、やはりこれは労災認定の五つの疾病があるわけですから、今度法律では二つの疾病なんですけれども、現に治療を受け苦しんでいる人については、直ちに救済をする、補償する、やはりそのことに踏み切らないことには、せっかく法律をつくるのに、これは非常に不十分であるということを言わなきゃならぬと思います。

 それから、熊本の松橋町の麻生石綿工業の周辺住民の間では、一万人の住民健診をやって約一千人の胸膜肥厚斑の人が出ているんですが、その中には、中皮腫の疑いで手術した人もおられます。また、その方の妹さんが松橋から大阪の泉北ニュータウンに移ってこられて、それで、現在在宅酸素療法を受けておられると。

 ですから、きちんと中皮腫ということにならないとこれは治療費も出てこない、こういうことになってくるわけですから、中皮腫に至るまでの間の胸膜肥厚斑など、その治療費の対象外になっている、健康管理の費用も出てこない、こういう問題が現にあるわけですから、なぜ対象外にしてしまうのか。やはり労災認定の方では五つ挙げているんだから、だから二つだけに絞らないで、残りの三つについても、現に対象になっているものについてはやはりきちんと考える、それ以外にさらに石綿由来でいろんな症状等が出てきたときに、そのときには、この間大臣答弁されたように、将来政令の中で考えていく、認定する、それは当然ある話だと思うんですが、なぜこれを除外してしまうのか、改めてきょう、冒頭に伺っておきます。

小池国務大臣 御質問のポイントは二点あろうかと思うんですけれども、なぜこの石綿肺について除外するのかということと、それから一人親方の問題、二つあろうかと思っております。

 まず、石綿肺の問題でございますけれども、古くからよく知られております典型的な職業病として、その職業病でありますじん肺の一つであるということで、まず特別加入制度も含めた労災制度が整備されていることから、また、職業性の暴露での発症しか知られていないというのが現在の知見でございます。

 この石綿肺については、こういった特性などを考え合わせまして、現時点では救済給付の対象といたしておりませんけれども、今、専門家の先生方にお集まりいただきまして、中皮腫、肺がん、そして石綿肺等々、その症状に応じての判断をお願いしているところでございまして、現時点では、中皮腫という判断、医学的なその裏づけがあるならば、そういった中皮腫についての方々はもうすべてこの対象にしていこう、肺がんについては、さまざまな原因が考えられるわけでございますけれども、明らかに石綿が原因だという肺がんの方々については今回の救済の措置の対象にしていこう、こういうふうに順番に今見ているところでございますけれども、石綿肺につきましては、極めて職業性の暴露ということが多いということから、それが明確になるならば労災で救われることになるという考え方でございます。

 ただ、もう一点、二つポイントがあるというふうに私が申し上げましたのも、一人親方は労災に特別加入していないじゃないかということだと思うんですけれども、この労災に特別加入しておられない一人親方につきましても、この今回の制度でございますが、そういった労災の対象にならない方を救うからこそ新法をつくっているわけでございますので、そういった、労災の対象にならずに石綿を原因とする疾病、中皮腫、肺がんで被害をこうむった方々の救済策として出させていただいているわけでございます。

 またもとに戻りますけれども、石綿肺については、現在、専門家の方々に御検討をいただいているところでございます。

吉井委員 労働者期間、労災特別加入期間、合計した期間が、東京で申請されて却下された方の場合、大体十八年ぐらいなんですが、事業主としてやってきた期間が二十二年、つまり、そっちの方が長いからだめだとなっているんですね。ですから、これはやはり、今度せっかく法律をつくろうと思ったら、そういうことは何ら差別的な取り扱いをする理由は全くないわけですから、すべて石綿由来のものについてはきちんと補償をしていく、この立場に立つべきであるということを申し上げておきたいと思います。

 次に、日本のアスベスト産業というのは、見てみますと、やはり国策として、軍需産業として発展してきました。このことは、大阪の泉州地域の場合、郷土史がいっぱい出ておりますが、すべてにそれは書かれておりますが、森永謙二ドクターが書いておられるものの中にも、戦前、石綿製品の最大の顧客は海軍であり、造船所で大量に使われてきたということが記されておりますように、これが現実の姿でした。

 国の下請工場としてやってきた実態は、非常に劣悪な環境下での作業でした。ですから、そのために石綿被害者が発生したわけですが、このことは、大阪泉州地域における石綿被害について、戦前の一九三七年から四〇年にかけて、もう六十八年も前に、当時の国の社会保険院が石綿肺の疫学的臨床的調査研究というのをやっているんですね。一九三八年三月には、「アスベスト工場従業員の衛生学的考察」という論文、四〇年には「アスベスト工場における石綿肺の発生状況に関する調査研究」という冊子を出したりして明らかにしていたわけですが、国は、戦前から、六十八年前から、石綿工場の労働者だけでなくその家族にも被害が発生していることを認識していたわけですが、だから国の方には、私は、石綿の危険から労働者の安全を守る対策をとる行政としての責任があったと思うんですね。

 こういう問題について、検証会議では、この戦前のこうした取り組みや危険の認識の問題、どのように対策をとったのか、検証作業を進めてきたのかどうか、これを伺います。

小池国務大臣 戦前の石綿の活用状況でございますけれども、これにつきましては、データが、当時の資料が残っておりませんことが多いものでございますので、把握はなかなか難しいものと思っております。

 ただ、石綿産業、例えば先ほどから、軍の関係であるとかそれから泉州地域の方で多々使われていたということで、例えば、軍の関係で戦前、戦中期の全国におけます石綿の使用量などがわかっている、これは、旧軍からの石綿製品の発注量であるかどうかも含めますと、詳細については不明ではございますけれども、その当時に使われたということなどは、「国家総動員史 資料編」などから引き出すことができようかと思っております。

 ただ、全体について申し上げますと、先ほど述べましたとおり、当時の資料が残っておりませんで、把握はなかなか難しいものと、このように考えております。

吉井委員 私はやはり、当時の郷土史などでもはっきり出ていますが、あるいは医者の方の調査によっても出ているんですが、真っ白な石綿のほこりが舞い散る中で、一メートル先も見えないぐらいの中で働いていたとか、工場の外へ換気すると田畑のあぜ道が真っ白になるぐらいであったなどということも記されております。ですから、陸軍省、海軍省、鉄道省などが石綿製品を年度別に幾ら納品させたのかとか、やはり手を尽くして実態をまず調査をする。

 それから、女子挺身勤労令によって、例えば曙兵器工業、現在の曙ブレーキですが、女子学生が動員されて、劣悪な環境下で十分な安全対策もなく労働についたということとか、こういったことは曙を調査した国の労働基準監督官の方からも語られております。例えば、一九四四年十月には曙兵器工業羽生製造所に動員学徒と女子挺身隊員を含めて約一千人働いていた。一九四四年、ニチアス鶴見工場には鶴見高等女学校の生徒約三十人とか、随分、学徒動員でも働いて、石綿環境下で多くの人たちが被曝をしてきたという問題がありますから、私はまず、これら勤労動員された方たちが要するにどの工場で何人だったのかとか、その環境はどうであって、どういう被害がその後生まれているのかとか、やはりきちんと調査をしてそして検証することが、国の責任というものを明らかにしていく上で必要だと思うんですが、その前段となる、手を尽くして、まず、こうしたことについては調査をし報告はされますね。

川崎国務大臣 今のお尋ねは、戦前、国家動員法及び女子挺身勤労令に基づき行われていたものと考えられております。

 ただ、現実問題として、省内にそのような資料がないことは事実でございます。果たしてその調査というものが可能かどうかも検討させていただきます。

吉井委員 私はなぜそれを言うかというと、戦前のことなどきちっとつかむという努力、戦後の問題についてもきちんとつかむという努力は、非常にこのアスベスト対策を進める上で、要するに、どこに責任があってどういう対策はおくれていたのかということを明らかにする、それがこれからの立法の中でも生きてくるわけですから、大事なことと考えております。

 戦後、一九五二年から再び泉州地域でも石綿肺研究が始まりました。それから、五六年から五七年にかけては、労働省が石綿肺の診断基準に関する共同研究を発足させ、また、国の医師の方たちもいろいろな調査研究をされました。

 元労働基準監督署長を務めた井上さんという方から話を聞きましたが、七六年に、一九五五年から七七年までの二十三年間の埋葬許可書などによって調査をして、曙ブレーキとその下請のクロス工業に勤めたOB労働者の調査をやって、この労働者はもとより、工場周辺の住民についても被害者が出ていた。これは、労働者で二十二年間に四十五人が肺がん等で亡くなり、そのほか肺がんの疑いの方、石綿肺の疑いの方がおられますが、七六年にはさらに、曙ブレーキから八百メートル以内の住民十一人が被害、労働者の家族四人が死亡、原因は肺がんとか、きちんと現場の労働基準局の方から国に報告を上げていたということが言われておりますが、報告はきちっとつかんでいたのかどうか。

 報告に基づいて、この曙ブレーキと被害の関係について、因果関係等を含めて、あるいは疫学調査を含めてきちんとした対応をしたのかどうか、これを伺います。

川崎国務大臣 今お尋ねの曙ブレーキに関しての報告は、埼玉労働基準局長から昭和五十二年十月及び五十三年五月に、労働省基準局長あて報告されております。

 昭和五十二年、曙ブレーキ工業羽生製造所元社員の方にじん肺患者が発見されたことから、当時の労働基準局を通じて状況報告があったということでございます。その中で、工場周辺の一般住民の中に肺がん等の患者がいるということが記載されております。この被災状況について、労働省レベルで関係省庁に情報提供、これが、いろいろ御指摘いただいておりますように、連携とれていなかったという御批判をいただいております。

 一方、その情報は、監督署から地方自治体に対しては情報提供という形で行っていたことは事実でございます。

吉井委員 要するに、今回のクボタの尼崎の問題にしても、既にかつて、もうこのずっと以前に、調査によって周辺住民の被害も家族の被害も明らかになっていたわけですから……

大島委員長 時間でございますから、切ってください。

吉井委員 はい。

 ですから、そういう点では、そのときそのときにきちんと因果関係を明らかにする、対策をとるなど国としての必要な規制を行うべきであった。この点では、国としての、私は、行政の不作為の問題や、戦前からの、国としてアスベスト産業を振興したその責任というものも今改めてきちんと問いながら立法というものを考えるべきである、このことを申し上げて、質問を終わります。

大島委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、北側大臣に耐震偽装について伺いたいと思います。

 十二月に行われた証人喚問では、姉歯元建築士は、最初の偽装はグランドステージ池上という証言をされたと思います。ところが、グランドステージ池上よりも早く確認申請がなされ、また、その確認もおりた他の物件が、国土交通省が発表されている構造計算書偽造物件の中にもあるというふうに聞いているんですが、これは事実でしょうか。

北側国務大臣 姉歯元建築士が偽装をしたことが判明をしておりますのは、一番最初は、平成十年、一九九八年の物件からでございます。

保坂(展)委員 今の答弁で、つまり池上以前にもあったというふうに答弁を理解するわけですが、こちらの方は木村建設の施工ではなくて、また、元請設計の方も井上建築企画研究所というふうに聞いております。国交省はこれらの関係者から事情を聴取されているんでしょうか、お答えいただきたいと思います、大臣。

北側国務大臣 今御指摘の業者については、まだこれからでございます。

保坂(展)委員 ぜひこれは調べていただきたいと思います。

 十二月の証人喚問の際に木村建設の方から、こういった積算対比表、墨塗りになっておりますけれども、こちらの方が篠塚東京支店長から提出をされたと思います。その際に、姉歯物件が鉄筋量が少ないことはわかりましたけれども、その墨塗りをされた、他のいわば非姉歯物件といいましょうか、こちらの方も鉄筋量の方は少なかったということで、大臣の方も、これは早急に最優先で調査すべしというふうに言われたと聞いております。

 十二月の二十八日に国交省は、これらの物件の半数について、偽装はなかった、こういうふうに発表されたと聞いておりますけれども、私の方で、年明け、その調査についてどうなっているのか、お配りをしているこちらの資料を国交省の方からもらいましたけれども、社名は伏せてA社、B社、C社とありますけれども、あの十二月の時点では、特定行政庁から連絡を受けて、国交省の方で問題なしと発表しているだけで、設計図書の取り寄せなどはまだ行われていなかったと聞きました。そして、一月に入ってから何回もこの件で聞きましたけれども、現在に至っても設計図書全部を取り寄せることはできていないと。特定行政庁が問題なしと発表したものの中には、オーナーの方がみずから調べて、問題なかったというふうに特定行政庁にお知らせをして、それがまた国交省に来るというものも含まれていたようです。

 ぜひ、国土交通省、あるいは国総研というんですかね、こちらの方で設計図書を全部取り寄せて再検証する、これは急ぐべきだと思いますが、いかがですか。

北側国務大臣 今御指摘の、木村建設から提出されました積算対比表、十五物件ございましたが、現在のところ、このうち二物件は、調べましたら姉歯元建築士の物件で、十三件がそれ以外、この十三件のうち、十二件について偽装がないことが確認されております。これは特定行政庁からの報告でございます。

 今委員の御指摘は、念のためにさらに調べてみるべきではないのかということでございます。これにつきましては、今回、十二物件安全性が確認されているんですけれども、この安全性が確認された物件と偽装物件との差異を解明するために、十三物件の所在する特定行政庁に確認申請書等関係書類の提出をお願いしております。これに基づいて、国土技術政策総合研究所等において検討を、なぜ違うのか、その検討をさせていただきたいと考えております。

保坂(展)委員 こちらの設計図書の方はなかなか集まらないということで調査がおくれているようですから、ぜひ早くやっていただきたいと思います。

 先週の末に、東横インというホテルで大変な、いわば前代未聞の偽装工事が行われていたということが明らかになりました。この時代に、車いすの対応ができる施設をつくるという工事はあります。しかし、できた工事をぶっ壊す、そしてまた、身体に障害のある方たちが使いやすい、内装をそのように変えてバリアフリー対応にするという工事は当然行われていますが、そうでき上がったところをまたこれも壊してしまう、私はもう本当にあきれましたけれども、しかも、この委員室で小嶋喚問ということが行われていたそのときにまたぶち壊し工事が行われていた。

 この建築業界、ホテル業界の根はどうなっているのか、こう思いますけれども、北側大臣、どう感じられましたか。

北側国務大臣 委員の今の御指摘、全く同感でございます。ハートビル法とか駐車場法に基づく条例に適合させて一たん建築物を完成させているわけですね。そして、その完了検査を受けた上で、その後に意図的に駐車スペースや身障者用の客室を撤去するというふうなことでございまして、極めて悪質な行為であるというふうに考えております。

 今、横浜市等が立入調査等に入っておりますが、国交省におきましても、二十七日に地方公共団体に対しまして、全国の東横イン系列のホテルについて、駐車場法に基づく条例で整備が義務づけられた駐車場が適正に管理されているかどうか、また、建築基準法やハートビル法に基づき適法な状態が維持されているかどうか、報告、調査や、立入検査等により調査を行って、二月三日までに報告をするように指導をしたところでございまして、早急に実態把握を行いまして、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

保坂(展)委員 こちらのホテルなんですけれども、私も一回だけ泊まったことがありまして、部屋の中には、自分の心と向き合う、内観というんですか、こういう本が置いてあるんですね。女性が支配人で、大変評判もよかった。予約もとりにくかったそうで、しかしその一方で、こういうコスト削減の、いわばやってならないことが何だかわからなくなってしまう。

 この社長の発言が、時速六十キロ制限を六十七、八キロで走っていたようなものじゃないかとか、あるいは、障害者の方の入れる客室についてですが、一般客室は十二平方メートルだが、二十を超える、場所をとってしまう、年に一人か二人しか使わないんだと。これは大変怒っているんですね、障害者の団体の方たちも。我々は人間じゃないというふうに言われているようなものだと。何かあす、国土交通省にも申し入れに行くというふうに聞きました。ぜひ、北側大臣も申し入れを聞いていただきたいと思いますけれども、タクシーの規制緩和の行き過ぎでもう年収もぼろぼろになってしまった、かつて三十万稼いでいた方が十五万しか稼げない、こういうことについても今問題が出てきています。

 北側大臣、耐震偽装問題、今回は建築確認の問題でもないし、完了検査は終わっているわけですね。そこまで裏をかいてこういう問題が出てくるということについて、やはりもう根っこからメスを入れるべきじゃないか。姉歯問題、耐震偽装問題も、広がりがあるならあるで、もっと徹底して調査をするということも含めて決意を伺いたいというふうに思います。

北側国務大臣 この耐震偽装の問題につきましては、ともかくこの実態というものをしっかり総点検をさせていただきまして、この際、建築基準法、建築士法等も含めまして、しっかり見直しをさせていただきたいと考えているところでございます。

保坂(展)委員 もう一つ、こういったホテルで、障害を持つ方たちのそういうせっかくできた施設をこうやって壊す、それに対する自覚がまだどうやら経営の側にないということについても、強く、これは人間として差別をされ、扱われていないという声に対して、大臣、どう思われますか。

北側国務大臣 今、これから本格的な高齢社会が到来するわけですね。障害者の方々はもちろんでございますが、高齢者の方々も含めて、どなたでも、こういう不特定多数の方々が利用される建築物については、どの方々でもできるだけ自由に利用ができるようなそうした建築物をつくっていくというのは、これからの大きな時代の流れでございます。

 実を言いますと、この国会でも、私ども国交省として法律の提案をさせていただこうとしておるわけでございますが、ユニバーサルデザインに基づくまちづくり、またそういった建築物をつくっていくということは、これからの大きな時代の流れでございまして、業界の方々もそのことをしっかりと認識をしていただく必要があるというふうに思っております。

保坂(展)委員 終わります。

大島委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 先週に続きまして、雪害対策についてお伺いしたいと思います。

 今般、北陸信越地方で発生した大雪は、新潟県津南での最大積雪が三百九十七センチと、平年の最大積雪二百七十一センチを百二十六センチ上回った状況となっております。これは、十二月以降、北極域から強い寒気が我が国の方へ繰り返し南下しているということで、これが直接的な要因となったというふうに先週の気象庁長官の発言からもわかるんですが、今後もこのような大雪が降ることは否定できないということでもございました。

 関東地方も今月の二十日から降雪に見舞われまして、二十一日の午前中、成田空港で積雪のため二千百八十メーターのB滑走路を一時的に閉鎖する、誘導路も含めて除雪作業を行って、この間発着予定だった十三便をA滑走路に振りかえた。この成田空港の滑走路の一本が閉鎖されただけで大きな話題になったわけです。また、この影響で多くの人が足どめを食らう、そして旅行に行く人の行程が狂うとか、さまざまな弊害があったわけです。

 この降雪による成田空港の一時閉鎖によってどの程度の影響があったのか、大臣にまずお伺いいたします。

北側国務大臣 一月二十一日の土曜日、成田における降雪というのは、これは成田空港でこれまでほとんど経験したことがないような雪でございまして、十三センチの積雪を記録いたしました。今委員のおっしゃったようなことによりまして、二十一日の土曜日には約一万人の方が空港内での夜明かしを余儀なくされましたし、また、翌日、天候が回復しました二十二日の日曜日におきましても、約三千人の方が空港内での夜明かしを余儀なくされるということでございまして、こういう厳しい気象条件であったとはいうものの、このような混乱に至ったことはまことに遺憾であるというふうに考えております。

糸川委員 では、十三センチの降雪で非常に大きな問題があったということなんですけれども、これはどのくらいの降雪まで対応できるのか、それから、成田空港とか羽田空港がどういうような雪害対策を今現在行っているかということについてお伺いできますでしょうか。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 雪害に伴う対策につきましては、滑走路等の除雪の対策と、航空機の翼につきます雪、氷を取り除く、この両方の対応が必要になっております。

 航空機の除氷、防氷の対策については、これは航空会社が行いますけれども、滑走路等の除雪につきましては、成田空港の場合は成田空港会社、羽田空港等国の管理する空港につきましては私ども国土交通省が行っております。

 成田空港につきましては、除雪車十三両を備えておりまして、一番長い滑走路、A滑走路でございますけれども、これを約九十分間で除雪できるという体制を組んでおります。

 各空港によりまして、降雪の頻度でありますとか降雪による滑走路閉鎖に伴う運航への影響等が異なりますので、全国一律にどの程度まで降雪に対応するかの基準はございませんが、例えば千歳空港、非常に雪が多い空港でございますけれども、この空港では、除雪車八十台等の機材によって五十分間程度で除雪が可能な体制にしておるという状況でございます。

糸川委員 滑走路が一本閉鎖されただけでこれだけ大きな影響を与えたわけでございます。成田だけではなくて、今般、豪雪に見舞われた地域でも多くの空港が閉鎖されているわけです。

 空港が閉鎖されると、地域の住民の生活だけではなくて、地域経済そのものに大きな影響を与えるわけですから、このような事態を回避するためにも、今後、地方の空港、特に整備がまだ遅いところ、特に雪国の空港なんか、大雪にも対応できるように飛行場のあり方を十分考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思うわけですが、大臣の御見解をお伺いします。

北側国務大臣 全くそのとおりであるというふうに考えております。雪国の空港においてはむしろそういうことがよくあるものですから、そういうことを予測して対応をこれまでもやってきておりますけれども、特に、そういうことが余り経験のない成田、実を言いますと、中部国際空港でもこの間こういうことがございまして、雪国の方の対策はもちろんしっかり今後とも進めてまいるとともに、そう雪が降らないようなところも、これからやはり雪が降ることがあるわけでございますので、そういうことに備えてしっかり対応ができるように体制をとらせていただきたいと思っているところでございます。

 今回の件については、空港会社や航空会社に対しまして詳しい事実関係の報告を今求めておりまして、当面の改善策についても提出をするように指示をしているところでございます。国土交通省といたしまして、今後とも、急激な気象変化等について的確に対応できるよう体制をとってまいりたいと考えております。

糸川委員 私の地元は福井でございまして、小松空港をよく利用するんですけれども、今回のこの大雪で、一回行ってしまうと帰れないんじゃないか、かなりそういう不安があったわけです。ですから、私なんかもそうなんですが、ほかの観光客の方なんか特にそういうふうに思われるんじゃないかなと。そうすると、冬に移動するのに飛行機を使わない方がいいんじゃないかとか、いろいろそういう交通手段まで考えなきゃいけないということになりますので、ぜひ、その辺の対応をお願いいたします。

 次に、雪国の町中の積雪対策に目を向けたいんですが、北陸地方などの雪国の中で、下水処理水が道路の消雪用水として利用され、道路の排雪が進むとともに、道路沿いの家から除雪された雪の対策として効果が上がっているというふうな新聞報道が北陸の方ではございまして、これを簡単に御説明しますと、降雪時にマンホールなんかには雪が積もっていないということを見かけられたことがあるかと思うんですが、あれは、下水の方は生活排水なんかがまざっていまして、ちょっと温度が高いわけですね。温度が高いわけですから、そういう温度の高いものを利用して何か消雪をするというようなことをしているそうなんですが、この下水処理水などを活用した積雪対策の現状というのはどのようになっておりますでしょうか。

北側国務大臣 今委員のおっしゃったように、下水処理水というのは、冬場におきましても十度から十五度程度の水温を保っております。この下水処理水を活用して、また、下水道の施設を活用いたしましてさまざまな積雪対策を行っているところがございます。

 全国で十五の市町村におきまして、例えば消雪パイプや流雪溝に下水処理水を流すだとか、また、下水処理場に設けた融雪槽に下水処理水を導入するだとか、そうした消雪や融雪に活用をされているところでございますし、また、道路沿いに整備された排水路に投雪口を設けることなどで住宅の前の積雪の排雪に活用しているようなところだとか、このように、下水処理水また下水道施設を活用した積雪対策が行われております。全国で二十八の市町村において実施をされているところでございまして、今後とも、この下水道処理水の活用等さまざまできることがあると考えられますので、しっかりと市町村と連携をとって進めてまいりたいと考えております。

糸川委員 融雪溝なんかは、私も一回見たんですけれども、かなり穴が深いものですから、その辺の安全対策もしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 道路の消雪用水では、今は地下水を使われているんですけれども、地下水を利用した場合は、地盤沈下とか二次災害が起きるんじゃないかというようなことも最近心配をされているわけです。そのため、安全、安心なまちづくりをするために、雪国では下水処理水を利用する。これを推進していく中で、大臣の取り組みに関するお考えを再度お聞かせください。

北側国務大臣 今申し上げましたように、下水処理水等を活用しまして市街地の除排雪に効果を上げているという報告を受けております。

 少し具体例を申し上げますと、委員長の地元の青森でございますが、下水処理場内の融雪槽で下水処理水により一日につき約一万立米の道路から排雪された雪を解かしている、このような報告も来ているところでございまして、このような、各市町村でさまざまな取り組みがなされておりますので、そういう実態を踏まえまして、下水処理水及び下水道施設を活用した積雪対策に積極的に取り組むように地方公共団体にお願いをしているところでございますし、また、ほかの市町村でうまくいった例というものを、ぜひ情報をほかの市町村にも提供させていただきたいというふうに取り組んでいるところでございます。

 いずれにしましても、この積雪対策というのは重要でございますので、しっかりと取り組みをさせていただきたいと考えております。

糸川委員 融雪装置なんかは非常にコストがかかるものですから、ぜひ、そういうコストに関しましてもいろいろと政府の方から御協力をいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野頼久君。

松野(頼)委員 大臣、午前中の、閣議決定を守らなかったということをおっしゃった、まず理由をお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 午前中の、川内議員に対する質問主意書の答弁でございますけれども、答弁書では、書いてあるとおりで、輸入再開以前に現地調査を実施することを考えておりました。しかし、この後の段階で、日本向け牛肉の輸出プログラムについての最終的な日米の協議の中で、米国が責任を持って施設認定を行い、また、日本側も必要に応じてその認定作業を調査できることが確認できる等、その実効性が担保されるということを判断いたしました。また、輸入解禁以降でなければ、米国側の対日輸出向け施設が輸出プログラムを適正に履行しているかどうか判断ができないということがございます。また、米国産牛肉の輸入に当たりましては、農林水産省動物検疫所及び厚生労働省検疫所において、輸入牛肉の全ロットを、荷物ですね、検査し、すべての部位を確認できるよう、輸入検査の強化を図ることといたしました等の事実が、その答弁書の回答後に事実が判明いたしました。

 また、さらには、閣議決定以降の十二月八日に出された食品安全委員会の最終答申におきましては、査察の実施は輸入再開の前提条件とはされておりません。

 したがいまして、その後のことを総合的に判断して、十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁の趣旨、食の安全をきちっと守るという趣旨につきましては、逸脱していないというふうに考えた次第でございます。

 なお、責任につきましては、先ほど責任という言葉を私も使いましたけれども、この答弁書をお渡しした後、状況が変わった、今申し上げたように変わったということにつきまして、川内議員にあるいはまた院の方にお伝えをしなかったということにつきましては、大変申しわけないことだというふうに思っております。

松野(頼)委員 この質問主意書は閣議決定です。輸入再開は閣議決定ですか。

中川国務大臣 これは私の判断、私どもの、政府の判断でございます。(発言する者あり)閣議決定ではございません。

松野(頼)委員 では、その閣議決定をしたこの答弁と、輸入再開を決めたプロセスと、どっちが重いんですか。

中川国務大臣 それは、閣議決定と政府が決定をするということとの重みというものは、中身がどうかこうかということは別にして、形式的にはもちろん閣議決定が重たいというふうに考えております。

松野(頼)委員 では、その決定をお破りになった責任はだれにあるんでしょうか。もう一度お答えください。

中川国務大臣 答弁書の趣旨は、食の安全がいかに担保されるかという趣旨でお答えをさせていただいておりますので、事前に検査をするということを申し上げましたが、実態上できないということ、あるいはまたアメリカの方でもきちっとやるということ、さっき申し上げたわけでございますけれども、そういうことで状況が変更したということでございますけれども、食の安全を守るという趣旨においては何ら変更がございません。

松野(頼)委員 ちょっと、今のは答えになっていないと思いますけれども。

 では、もう一点伺います。この査察団は、先ほど、輸出プログラムがスタートしてみないとどれぐらい守られるかわからないから、再開を決めた後に視察に行ったというふうにおっしゃいました。それはそのとおりでよろしいんですね。

中川国務大臣 私がさっきから申し上げて、午前中申し上げたのは、念のため再開後に調査に行くということで、十一カ所を既に行き、今後も定期的に米国の指定された施設を念のためにチェックをしに行くということでございまして、食品安全委員会から求められております範囲のものではございません。

松野(頼)委員 違うんですよ。私が聞いているのは、なぜこの輸入再開を決定する前に調査団を送らなかったんですかということを聞いているんです。

中川国務大臣 繰り返しになりますけれども、米国側が、一つは、責任を持って自分たちがやるということ、それに対して、再開後に日本が一緒にその決定のプロセスを確認していただいて結構ですということを米国側から通知がございました。

 それから、実際にスタートをしないと、輸出プログラムに基づいてきちっとやっているかどうかというのはスタートしてみなければわかりませんから、そういう意味で、再開決定後に念には念を入れて施設をチェックするということにしたわけでございます。

松野(頼)委員 これは、全くこの質問主意書の内容と違うことをお答えになっているんですよ。今の答弁では、とても私が午前中求めた理由にはなっておりません。ぜひ明確な答弁をきちっと用意していただいてから答弁をしていただきたい、このように思います。

大島委員長 中川農林水産大臣、しっかりと、ゆっくりと御答弁ください。もう一度。

中川国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、まず、食品安全委員会というリスク評価をする独立した機関から、再開に当たっての条件はこうです、こうです、こうですということが決められております。それは、当然それを誠実に履行していくのがリスク管理の我々の仕事でございます。しかし、その中には、再開前に施設をチェックしなさいという項目はございません。

 それから、実態的にも、先ほど申しましたように、実際にスタートをしないとその決められた輸出プログラムに基づいた作業が行われているかどうかわからないわけでございますから、そういう意味で実態上も、決定そしてまた再開前に施設を見に行っても、ある意味では空振りになってしまうということなので、状況が変更になったわけでございます。

松野(頼)委員 では、端的にお答えください。

 十二日に再開を決定したときに、調査団はもうアメリカに、その次の日からアメリカにいたわけですね。要は、事実上の輸出プログラムがスタートしているわけですけれども、では、調査団はこの十一件のパッカーのうちの何件を、中に入って見たんですか。

中川国務大臣 アメリカとカナダに調査団が行っておりますけれども、アメリカで行った十一件につきましては、全部施設内を調査しております。

松野(頼)委員 いや、私の聞いている話では、一件か二件しかラインの中には入っていないと聞いていますよ。現地で書類審査だけをしたという、ほかのパッカーに関しては。

 ですから、輸出プログラムが決まってからでなければチェックができないというのは、全くそれは答弁になっていないと思います。もう一回答弁してください。

大島委員長 よく確認をして答弁してください。

中川国務大臣 細かいことであれば、場合によっては担当局長からでございますけれども、十一施設全部、中に入って調査をしております。

松野(頼)委員 ただ、ではその施設に入って、何をもってこの特定危険部位が除去されるかということをお決めになったのですか。現に、十六日の荷には特定危険部位が入って、来ているじゃないですか。その整合性はどうなんですか。

中川国務大臣 済みません、十六日に特定……(松野(頼)委員「二十日、二十日。ごめんなさい」と呼ぶ)今月の二十日でございますか。今月二十日については、午前中も申し上げましたが、まだチェックをしていない施設から、農場から、そしてまたチェックをしていない屠畜場に渡って、そして検査官が見過ごしたということでございます。

松野(頼)委員 いずれにしても、日本の中では、閣議決定をした書類の中にはきちっと、厚生労働省及び農林水産省においては、牛肉の輸入再開する前にきちっと担当官を派遣してチェックしてから輸入を再開する、こういうことが書いてあるわけですよ。これを遵守するのは当たり前の姿じゃないですか。どうぞ。

中川国務大臣 その川内議員の御質問の趣旨も、答弁書のお答えした内容も、いかにして再開に当たって安全性を確保するかということであり、食品安全委員会の指定事項ではございませんけれども、事前もやれればやった方がいいということでございましたが、実際には、先ほどから申し上げているとおり、実態上、それを確認するということが再開後でないとできないということがわかりました。したがって、こういうふうに状況を変更したわけでございます。

 ただ、何回も申し上げますけれども、そのことを、質問者である川内議員に状況が変更したということをお伝えしなかったことは、私どものミスでございます。

松野(頼)委員 これは委員長、この閣議決定をしたことを明らかに主任大臣がお破りになっているということを認めているわけですよ。その説明が今の説明では、到底納得できるものではありません。もっと真摯に、一体だれが、どういう理由でこの決定を覆したのかということをしっかりと説明していただきたい。そうでなければ、とても質問ができるものではありません。

大島委員長 中川農林水産大臣。丁寧に御答弁ください。

中川国務大臣 趣旨において、答弁書の内容は変更しておりませんが、文章で書いてあるように、事前に派遣して施設を確認するということが明記されておることは、もちろん承知をしております。ただ、実態上、それができないということがわかりました。したがいまして、それは再開しないとできないわけでありますから、再開前に手続なんかを確認しようにもやっていないわけですから、ですから、状況が変更したということでございまして、それに対してきちっと川内議員に、できない、状況が変わったということについて変更の通知をしなかったことについては、おわびを申し上げます。(発言する者あり)

大島委員長 議員傍聴者に、議員傍聴者の皆さんに、御静粛にお願いします。松野頼久君、もう一度。

松野(頼)委員 委員長、閣議決定をして出した書類が、いや、後からそういう状況じゃなくなったからといって勝手に変えるということを答弁しているんですよ。そんな軽いものなんでしょうか。とても質問は続けられません。

大島委員長 もう一度、農林水産大臣。つまり、経過の説明を丁寧に質問者にしてください。経過の変化を説明してください。どうぞ、農林水産大臣、ゆっくりやってください。

中川国務大臣 十一月十八日にお出しした川内議員への答弁書では、輸入再開以前に現地調査を実施することを考えておりました。

 しかしながら、この後の段階で、日本向け牛肉の輸出プログラムについての最終的な協議の中で、米国が責任を持って施設認定を行い、また日本側も必要に応じてその認定作業を調査できることが確認できる等、その実効性が担保されると判断されたこと、次に、輸入解禁以降でなければ米国側の対日輸出向け施設が輸出プログラムを適正に履行しているかどうか判断できないということ、次に、米国産牛肉の輸入に当たっては、農林水産省動物検疫所及び厚生労働省検疫所において輸入牛肉の全ロットを検査し、すべての部位を確認できるよう輸入検査の強化を図ることとしたこと等の事実が判明いたしました。

 また、さらには、閣議決定以降の十二月八日に出された食品安全委員会の最終答申においては、査察の実施は輸入再開の前提条件とはされておりません。

 したがって、その後のことを総合的に判断して、十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁の趣旨、つまり、食の安全の確保、再開に当たっての安全の確保というものの趣旨につきましては、逸脱していないというふうに考えております。

松野(頼)委員 閣議決定を破った理由は全くお答えになっておりません。

大島委員長 農水大臣、最後、簡明に、簡明に。

中川国務大臣 閣議決定された答弁書の中の文章を変更したというのは、食の安全のために実態を確保するということの観点から、実際にはできないということがわかったからであります。

大島委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして一般的質疑は終了いたします。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決します。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより締めくくり質疑に入ります。(発言する者あり)御静粛にお願いします。御静粛に。御静粛にお願いします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森英介君。

森(英)委員 自由民主党の森英介でございます。

 平成十七年度補正予算の締めくくり質疑に臨みまして、総理並びに関係閣僚の皆様方に質疑をさせていただきたいと存じます。

 このたびの補正予算においては三兆円余の税収増が見込まれています。そして、一兆六千億円余の決算剰余金とこの税収増の大部分が財政健全化のために活用されることとなっております。特に、決算剰余金については、地方分を除いて、全額国債整理基金特別会計に繰り入れられることとなっており、また、新規国債発行額は当初より九千億円余減額されることになります。補正予算で国債発行額が減らされるのは十七年ぶりということでありますので、相当にエポックメーキングな補正予算と言ってもいいかと存じます。

 そして、平成十八年度予算では、厳しい歳出削減努力の結果とはいえ、いよいよ小泉総理の公約ともいうべき、国債発行額を三十兆円以下に抑えるという目標が達成されることとなります。

 そうはいっても、国債残高は膨らむ一方ではないかという御意見もあります。しかし、財政赤字の大きさというのも経済力との見合いでとらえるべきと考えますので、長期債務残高のGDP比が十七年度末に比べて十八年度末には改善される見通しとなっていることは明るい材料であろうと考えます。

 これらのことから、財政健全化及びデフレ脱却という大目標に向けての歩みがどうやら確かになってきたのは間違いないというふうに受けとめているところでございます。

 ここで、少々私事にわたって恐縮でございますけれども、小泉総理は今国会の冒頭の施政方針演説において次のように述べられました。就任以来四年九カ月、改革なくして成長なしという一貫した方針のもとで構造改革に全力で取り組んできたが、改革を具体化しようとすると、成長なくしては改革できないとか、あるいは財政出動なくして景気回復なしという批判が噴出したと述べられました。

 実を申せば、私も、声高に総理を批判したことこそありませんけれども、まさに財政出動なくして景気回復なしと考えていた者の一人でございます。

 と申しますのも、私の選挙区の房総半島は、首都圏に隣接した地域でありながら、おおむね農漁村地帯で、まだまだ社会資本整備のおくれた地域でありまして、公共投資への依存度が甚だ大なる地域でございます。現に、私どもの地域では、今もって景気回復の兆しはほとんど認められていないと言っても過言でありません。このような選挙区の事情からして、どうしても財政出動に期待をかけざるを得なかった事情を御賢察いただきたいと思います。

 しかしながら、事ここに立ち至りまして、小泉構造改革の着実な成果を目の当たりにいたしますと、総体として、小泉総理の御方針と取り組みこそ日本の経済と財政の再建のための最適な道であったと思うに至りまして、ひそかにみずからの不明を反省しているところでございます。

 さて、いささか前置きが長くなりましたが、質問に入ります。

 ことしは近年にない豪雪でございますけれども、政府はどのような雪害対策に取り組んでおられるか、総理御自身からお伺いいたしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 例年になく寒波、大雪の状況で、お亡くなりになった方、また、今なおこの雪害に困難な生活を余儀なくされている方が多いということで、政府としても、こういう状況にどのような救済策また復旧策、さらに、これからさまざまな困難に直面するであろう雪害に苦しんでいる方々に対してどのような対策をしたらいいかということを、昨年から講じておりました。

 新年になりましても、私がトルコを訪問する前にも、なお多くの、これからの寒さ、大雪を考えると、被害が出る、あるいは被害が多くなることも予想されるので、各省、連携を密にしながら、しっかりとした対策をするよう指示しているところであります。

 現在におきましても、まだまだ孤立の村落、集落等に対しまして、雪害対策のみならず、いろいろ物資の供給等、あるいは、その地域の方だけでは雪の状況あるいは家屋の復旧に対して無理ではないか、困難ではないかという状況に対しては、適切に、外部の方々の支援、自衛隊等々の派遣、さまざまな協力をして、少しでもこの被害の救済、あるいは被害を最小限にとどめるよう対策を指示しているところであります。

 今後とも、地域の実情を踏まえ、政府としてもしっかりと、各般の方々の協力を得ながら、この寒波、大雪被害を最小限に食いとめるよう努力していきたいと思っております。

森(英)委員 ありがとうございました。

 大変心配、また不安の中にいる被災者の皆様方、また、これからもさらに降り続ける可能性もありますので、ぜひとも万全の対策そしてケアを講じていただきたいと思います。

 予算面について財務大臣にお伺いいたしますが、これからもさらにこの雪が降り続きますと、予算が不足する可能性があるのではないかということを懸念いたします。そのような状況になりました場合の予備費による対応など、財政措置についてのお考えをお伺いいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 ことしは大変な雪でございますが、まずは既存の制度、それから既定予算、こういうものを十分に活用していただいて迅速に対応していただくということでございますが、今も御心配のように、これから雪が降り続いていくとどうなるかということがございます。ですから、そういうこれからの進行状況等々もよく見ながら、所要額を精査しながら、場合によっては予備費の使用を検討するということもあろうかと思います。国民生活に遺漏のないように、きちっとやりたいと思っております。

森(英)委員 ぜひとも弾力的、適宜適切な対応をお願いいたしたいと思います。

 次に、今原油の高騰が大変問題になっておりますけれども、この問題に触れたいと思いますが、一九九〇年代にはバレル当たりおおむね二十ドル以下で推移していた原油価格が、二〇〇〇年代に入ってからじわじわと上昇してまいりまして、昨年後半にはついに六十ドル、七十ドルといった水準に達しました。この原油の高騰は、産業全体にさまざまな影響を及ぼしつつあると思います。

 例えば、漁業分野では漁船の燃料として使われるA重油、また農業分野では施設園芸のエネルギー源としても使われるA重油でございますけれども、これも大変値上がりしておりまして、いずれの分野でも手痛いダメージをこうむっているところでございます。前者に対する支援の一環として、補正予算に、これは大型クラゲの対策ともあわせてでございますけれども、漁業経営体質強化緊急総合対策費が盛り込まれておりますことを高く評価いたしたいと思いますが、使い勝手が悪いという現場の声も耳にいたしますので、ぜひとも運用面での御配慮をお願いいたしたいと思います。これについてはお願いだけをさせていただきたいと思います。

 さて、この原油の高騰は、さまざまな要因によるものでありましょうけれども、膨大な人口を抱えた中国やインドが急速に経済発展しつつあることを勘案いたしますと、原油の需給がこれから緩むことは考えにくいんじゃないかと思います。今後の原油価格の見通しと、この原油価格が高水準で推移するとした場合の産業全般に及ぼす影響をお伺いいたしたいと思います。

二階国務大臣 お答えいたします。

 お説のとおり、中国、インド等の急成長などによりエネルギーの需要は急増する一方でありますし、一方、供給面では、OPEC諸国等において十分な投資が行われていないことなどによる制約が明らかとなっており、世界のエネルギー需給構造は大きく変化しております。こうした状況は残念ながら今後も長期にわたり続く可能性が高いと判断せざるを得ません。そうした中で、お説のとおり、エネルギーは経済産業及び国民生活にとって極めて重要な基礎となるものでありますだけに、安定的、しかも効率的なエネルギーの確保は、国にとって極めて重要であると考えております。

 このような認識のもとに、経済産業省としては、長期的な視点に立って、民間企業等の御協力も得ながら、密接に連携し、総力を挙げてエネルギー安全保障の確保を軸とした新国家エネルギー戦略を確立したいと考えております。柱として、省エネルギー、石油依存度の低減、石油、天然ガスの安定供給の確保、原子力エネルギーの推進等がございますが、少なくとも五月末ぐらいまでにこれらの案を早急に策定し、今後、実施に移してまいりたいと考えております。

与謝野国務大臣 森議員の御質問の中に経済に対する影響の部分がございましたので、その部分についてお答えを申し上げます。

 経済への影響というのは、七〇年代に経験しました石油危機のときよりは、はるかに小さなものとなっております。これは、石油価格が上昇したことによる、いわば所得移転がどのぐらい起きたかということを考えますと、その当時よりはるかに小さい。

 その理由としましては、やはり日本では省エネというものを一生懸命やりまして、エネルギーの原単位が小さいということもございますし、また、生産性の向上によって原油価格の高騰を吸収しているという面がございます。したがいまして、石油は高騰いたしましたけれども、消費者物価にはそれがあからさまに出ているという状況ではありません。

 しかしながら、所得移転は現実に起きておりますし、それぞれ、物をつくり、サービスを提供しているところのコストは上がっている、ただ、目に見える大きな影響はまだ出てきていない、そのように考えております。

森(英)委員 確かに、先ほど申し上げましたように、漁師ですとかお百姓さんですとかは今本当に困っておりますけれども、社会全体を見てみますと、一九七〇年代のオイルショックのときに比べると随分穏やかな受けとめ方であるなという感じはいたしますが、やはりこれは、長期に続きますと、だんだん、じわじわとボディーブローのようにきいてくることもあると思いますので、くれぐれもいろいろな御配慮をお願いいたしたいと思います。

 続きまして、原油と同様に、中国やインドの経済発展によりまして、将来的に需給が逼迫してくると考えられますのが食料でございます。現在、中国から安価な農産物や畜産物が怒濤のごとく我が国に流入してきて、我が国の農家に大きな打撃を与えております。しかし、よくよく考えてみますと、私は、このことは中国にとっても余り好ましいことじゃないんじゃないかというふうに考えるのであります。

 何となれば、農産物や畜産物の生育には膨大な水を必要とします。ある研究所の報告によりますと、これは実は三年ぐらい前のデータでございますけれども、中国から輸入されている農畜産物を生育するのに必要な水の量というのは十五億トンにも相当するということでありまして、毎年中国から十五億トンの水を日本に持ってきちゃっているというわけでございます。これは、考えようによっては、結果として中国にとって極めて深刻な問題である砂漠化を我が国が図らずも助長をしてしまっているということになると考えるわけであります。

 したがって、このような構図はお互いのためになるべく早く改めるべきであって、そのためにも、我が国の食料自給率を高めて、むしろ、水資源の豊富な我が国から中国に農畜産物を輸出してあげるという状況を現出することが望まれるのではないかと考えます。

 私はそういうふうに考えるわけでございますけれども、農水大臣の御所見を承りたいと存じます。

中川国務大臣 今、森議員御指摘のように、一キロの穀物をつくるのに、あるいはまた一キロの牛肉をつくるのに一体何トンの水が使われるのかということを考えますと、日本は、世界一の食料の純輸入国でございますから、言葉をかえますと、世界じゅうの水を日本が、ある意味では世界一輸入をしているということになろうと思います。

 御指摘の中国につきましては、農業用水も工業用水も生活用水も、地域によっては極めて不足をしているという状況でございまして、そういう観点から、輸入というよりも輸出をという御指摘でございます。

 貿易というのは、買う人と売る人との意思がマッチして初めて成り立つものでございますけれども、小泉総理もよく御指摘になっておりますように、中国で大変高い日本製のリンゴが売れているとか、イチゴとか長芋がとかいうこと、これはもう中国の人たちは、生活レベルが上がっていけば、おいしいものを高くても買いたい、これは日本も同じでございますけれども。

 そういう観点から、攻めの農業をやっていこう、日本は六兆円農産物を輸入し、三千億円しか輸出しておりませんので、総理の指示のもとで、これを倍増させよう、三千億円を六千億円にしようという今努力をしているところであります。

 買ってもらえるようないいものを一生懸命つくって、そして、高く売れるということは日本の農業者にとっても大変いいことでございますし、また買う人にとってもそれはそれで喜びであるわけでございます。そして、それがまた中国の深刻な水不足にいささかなりとも貢献できるとすれば、これは日中双方にとっても大変ハッピーなことだと思いますので、今後一層、この輸出、攻めの農業というものに力を入れていきたいと考えております。

森(英)委員 まことに力強い御答弁をいただきました。

 攻めの農業というと、日本のお百姓さんを激励するにはいいんですけれども、外国から見るとどうかなという感じもいたしますが、趣旨としては同じことでございます。

 次に、エネルギー問題、それと密接に関連する炭酸ガスの問題、さらに食料問題、この三つの問題が人類の前に立ちはだかる最も重大にして深刻な問題であるというのが私の認識でございます。

 これらの問題を解決するために、人類は全知全能を結集しなければならない。特に不安をあおるつもりはございませんけれども、私たちにそう長い時間は残されていないんじゃないかというふうに私は思います。例えば、東北大学の前の総長の西澤潤一先生が、炭酸ガスの問題に非常に危機感を感じておられまして、「人類は八十年で滅亡する」という本を最近上梓されました。

 いずれにしても、国家百年の計と申しますけれども、地球百年の計というか、五十年後、百年後に地球が一体どうなっているのかということを見据えまして、そこから逆算して、今これからの問題を克服するための取り組みを早く始めなければならないと考えます。

 そして、我が国は、そういった人類的な問題解決の努力をするために、恐らくその中心的な役割を果たすことができると思いますので、国際貢献といった面からももちろん、極めてこのことは意義のあることであろうというふうに考えます。

 その取り組みの成否のかぎを握っているのは、申すまでもなく科学技術であるというふうに思います。そのような観点から、ちょっと補正から本予算の方に入りますけれども、平成十八年度予算において、極めて厳しい緊縮予算の中で、科学技術振興費を増額しているということを私は高く評価をしたいと思います。

 また、あわせまして、科学技術の理論的なことだけではなかなかこういったことはできないので、やはり物づくり技術ということが極めて重要であると思いますけれども、中小企業の物づくり技術も、我が国にとってかけがえのない、外国に対して自慢のできる財産でありまして、その面でも、予算の中で配慮がされているようにお見受けをいたします。

 今後の科学技術政策のあり方並びに我が国の物づくり技術振興策につきまして、それぞれ、松田科学技術担当大臣並びに二階経済産業大臣から御所見を伺いたいと思います。

松田国務大臣 委員御指摘のとおり、今、人類あるいは世界、日本が抱えます課題を解決していく上で、科学技術の発展は欠くことのできないものだと思っております。

 昨年末の総合科学技術会議の答申でも、厳しい財政事情の中ではございましたけれども、第三期基本計画、これからの五年間の科学技術への投資総額を約二十五兆円と掲げてくださいました。これにより、科学技術創造立国実現に向けた力強い旗印を内外に示すことができたのではないかと考えております。

 今委員御指摘のように、平成十八年度の科学技術振興費につきましても、一般歳出が減少している状況の中で増額されております。科学技術の振興があすへの投資として強く期待されているものと重く受けとめております。

 もちろん、科学技術政策は国民の理解と支持を得て初めて効果的な実施が可能であります。貴重な財源を無駄にせず、研究開発投資を一層効果的に進めていきたい。また、科学技術の成果を、イノベーションを通じて社会や国民に思い切り還元していきたい。また、国民にわかりやすく政策や成果を説明していく、説明を徹底的にしていくということを私の科学技術基本政策の基本としたいと考えております。

 こうした政策を通じまして、国民の科学技術に対する関心を高め、国民とともに科学技術を進めていきたい。そして、世界最高水準の科学技術創造立国の実現に向けまして、政府一丸、総理のリーダーシップのもとに頑張っていきたいと考えております。

二階国務大臣 お答えいたします。

 我が国の製造業の競争力の源泉は、メッキ、鋳造などの物つくり技術においてすぐれた能力を有する、これは議員御指摘のとおりであります。

 先般も、これらの優秀な中小企業の現場、特にプレス加工等について小泉総理御自身が現場に足を運ばれて御視察をなさいました。おいでになって、大変すばらしい感想をお聞きしたことを覚えております。また同時に、私自身も、例えば金型あるいは鋳物工場なども、現場に伺ってまいりましたが、極めて少人数で、しかも会社挙げて取り組んでおる物つくり中小企業の存在の立派なことを改めて痛感いたしております。

 今、経済産業省では、全国のこのような優秀な中小企業をピックアップして、これを一つの報告書にまとめようとしておるところであります。我が国の経済を牽引する製造業の国際競争力の強化と次代を担う新産業の創出を今後強力に推進していくために、物つくり中小企業の技術力の維持強化を図ることが極めて重要だと考えております。

 しかしながら、こうした物つくり中小企業は、求められる技術が一層高度化、専門化しております。人材の確保、育成が一層困難になっていることなど、経営を発展させていくためにさまざまな困難に直面しておるのが現実であります。このため、経済産業省としては、中小企業の物つくり技術の高度化を図るための新法を提出し、物つくり技術の高度化のための研究開発、さらに人材の支援など、総合的な施策を強力に推進し、中小企業の発展に寄与してまいりたいと考えております。

森(英)委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、財政健全化、景気回復に向けてようやく明るい兆しが見えてきたところでございますけれども、一つの懸念材料は、急速な少子高齢化と人口減少ではないかと思います。これは社会保障にはもろに響くわけでございますけれども、それ以前に、やはりどうしても経済収縮の方向への圧力になるのではないかというふうに考えますが、世界を見ますと、フランスのように少子高齢化に歯どめをかけることに成功した国もあるようでありますが、猪口少子化対策担当大臣の御見解と抱負をお伺いいたしたいと思います。

猪口国務大臣 森委員にお答え申し上げます。

 少子化が進みますと、おっしゃるとおり、税や社会保障の負担の増大あるいは例えば地域社会の活力の低下あるいは経済成長の鈍化、さまざまな深刻な影響が懸念されますことから、私としまして、これは国の基本にかかわる重大な問題であると認識しております。

 我が国の総人口、昨年、戦後初めて減少に転じたと見込まれているわけですけれども、同時に、例えば第二次ベビーブームの世代が三十代であるのも今後五年程度の期間と考えられますことから、少子化対策というのはまさに時間との闘いの局面に入った、そのように認識しております。

 少子化の流れを変える方法ですけれども、一方では、例えば待機児童ゼロ作戦のような保育関係事業をさらに一層強力に推進しなければならないのです。他方で、同時に、やはりより幅広い観点から少子化対策を進めていく必要がございます。そのような考えのもとに、現在、子ども・子育て応援プラン、これを本年度から実施しているさなかにございます。

 この応援プランの特徴は、まさに、より幅広い観点から少子化対策をとらえているというところにございまして、例えば、仕事と子育ての両立支援、それから、保護者が働いているかいないかにかかわらず、子育て期の家庭へのさまざまな支援を推進しているところでございますし、さらに最近では、若者の経済的な不安感が未婚化あるいは晩婚化につながっているのではないかという指摘もありますので、若者の経済的な自立支援を推進しているところでもありますし、また、子育て世代の経済的負担の軽減を図っているところでもあります。

 政府といたしましては、少子化社会対策推進会議において、この応援プランの課題を中心にさらなる少子化対策についての検討を進めているところでございますが、その際に、先生御指摘のように、出生率が高目に推移している、あるいは少子化の流れを変えることに成功したフランスなど、欧州各国の政策を参考にすることといたしておりますし、また、世論調査の結果あるいは地方や現場の声なども参考にさせていただきたいと考えております。

 いずれにしても、今後とも、多様な施策を総合的に、関係府省庁一体となって、連携を密にしながら進めていくことが重要であると認識しております。

森(英)委員 どうもありがとうございました。

 私も、いろいろと申し上げたいことがありますけれども、それはともかく、ぜひ頑張ってください。

 最後に、今ようやく明るい兆しが見えてきたとはいえ、我が国の財政事情は依然として容易ならざる状況にあるということは論をまちません。このような情勢の中で、小泉構造改革総決算の時期に当たって、総理はこれからの我が国の経済財政をどのようにかじ取りなさるおつもりかということを伺おうと思ったんですけれども、時間となりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

大島委員長 これにて森君の質疑は終了いたしました。

 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 せっかくのこの十七年度補正予算、大事な大事な締めくくり審議に当たりまして、野党の皆さんがいらっしゃらないというのはまことに残念であります。理由はともかく、言論の府でありまして、この後出席されることを強く期待し、委員長にも御努力をお願い申し上げて、審議に入りたいと思います。しばらくの間、野党の役割を果たすようなつもりで議論をしたい、このように思っております。

 最初に、通告にはなかったんですが、非常に大事な話でありまして、米軍再編問題について確認をしておきたいと思います。

 マスコミの報道によりますと、二十四日から二十六日、ハワイで日米審議官級の協議が行われた。その協議の中で、米海兵隊普天間のKC130を自衛隊の鹿屋基地にという方向であったんですが、これを岩国基地にというふうに米海兵隊が要望している、こういう報道がありまして、防衛庁長官、少しく驚いているわけです、こっちも。

 それで、長官に確認をしておきたいと思いますが、地元におきましては、私、山口県でありますから岩国基地の問題が大きな課題でありまして、現在、防衛庁なり防衛施設庁から現場に十分御説明いただいている、御努力をいただいているところでありまして、その中で、最近もありました地元の市議会の議会におきましても、防衛施設庁の方から、いや、この中間報告の内容は変わらないんだ、何とかなりませんか、地元の声を聞いて少し変えてくれませんかという本音があったりして、いや、それはもうできませんよ、一つ変えれば大変なことになる、こういう御答弁があったりしたものですから、中間報告の内容は今の段階で変わるものではないという、あるいは、地元の強い要望があれば変更はあり得るのかということをまず確認しておきたい。

 それから、もっと大事な話は、岩国については、ただいま非常に悩んでいるのは、時の問題。中間報告が三月いっぱいで最終のまとめが行われるというふうに理解しておりまして、現場もぎりぎりの議論をしているわけでありますが、御案内のとおり、三月の十九日で市長の任期が切れる、職務代行者になる。四月の二十三日に選挙が行われる状況ですから、こういう状況であれば、まとめが延びるのであれば新しい市長さんが誕生してからでもいいではないか、時間があるんだったらあるというふうに言ってもらいたい。ぎりぎりのところで議論しているものですから、その日程に変更があるのか、場合によっては変わるという見通しがあるのか。この二点について確認をさせていただきたいと思います。

額賀国務大臣 桝屋議員には、日ごろから米軍再編問題を初め安全保障の問題について御協力いただいておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 今御指摘の点でございますけれども、一つは、昨年の十月二十九日に、二年間日米の間で協議をしてまいりまして、中間報告という形で一定の考え方が示されました。これは、米軍再編をめぐるこれからの基地のあり方、同盟関係の原則がつくられたわけであります。その原則に基づいて、今、日米間で鋭意協議中でございますので、この原則を変えることはありません。

 その上に立って、地域の皆さん方の負担、被害を最小限にする努力をしながら抑止力も維持する、そういう相反する連立方程式の解決に向かって努力をしているということであります。

 それから、タイミングでございますけれども、この十七日、ラムズフェルド長官と話をいたしまして、当初の三月末に最終報告をまとめるということについてお互いに共通の認識を持ち、最終的には、それぞれが政治的なリーダーシップを発揮してこれをまとめるということに相なっております。今、そういう意味で、率直に意見交換しているというふうに御認識をいただきたいというふうに思います。

桝屋委員 わかりました。中間報告について基本的な内容が変わるものでもない、そして、予定どおり進めていく、日米ともに政治的に努力をしていく、こういうことですね。

 こういう新聞が出ますと、まさに岩国の住民からしますと、それ見ろ、いろいろこんな話がどんどんついてくるんじゃないのという懸念を持たれるわけでありまして、この報道に対しては私自身も不快な感じを持っているわけでありまして、今後の報道等についても十分な注意をしていただきたい、お願い申し上げておきたいと思います。引き続き、私も地元の住人の一人としてぎりぎりまで努力を続けていきたい、こういう決意を申し上げたいと思います。

 それから、きょうはもう一点、補正予算を審議するに当たりましてどうしても確認しておきたい議論、認知症高齢者のグループホームの問題。野党の皆さんはこの国会を安全国会、安全国会と言われているので、実は野党の皆さんがいるところでやりたかったのでありますが、私の議論を聞いておいでいただくことを期待し、この認知症グループホームの防火安全対策について議論したいと思います。

 一月の八日の未明に長崎県大村市で認知症グループホームの火災事故がありました。厚生労働大臣のこの火災事故に対する御認識をまずもってお伺いしたいと思います。

川崎国務大臣 今御指摘の事件は、七名の方がお亡くなりになりました。まことにお気の毒な事件であり、心から御冥福をお祈りしたいと思いますと同時に、再びこのような事件が起きないようにしなきゃならない。そういった意味で、実は今、警察それから消防が出火原因等を調べております。

 ただ、一方で我々も対応していかなきゃならぬという中で、事件が起きましてすぐに、西川政務官を筆頭に現場を見てまいりました。その中で今回のさまざまな対応を考えてまいりたいということで、させていただいているところでございます。

桝屋委員 西川大臣政務官、早速、九州ということもあるんでしょう、現地に足を運ばれたというふうに伺っておりますが、現場がどういう状況であったのか、簡単に御報告をいただきたいと思います。

西川大臣政務官 西川でございます。

 私がたまたま九州の方におりまして、近いということで、大臣の御指示によりまして早速十一日に現地に入らせていただきました。

 集落からちょっと離れたところにございまして、本当に外壁と屋根の一部を残すという状況で、ほぼ全焼という大変悲惨な状況でございまして、九人の認知症の方々が入居されている中で七名お亡くなりになるということで、本当に悲惨な状況でございまして、心から御冥福をお祈り申し上げまして、献花もいたしてまいりました。

 ただ、現地の状況を考えますと、ちょうど集落から離れていて、ホースをつなぐのに五百メートルもつながなければいけなかったというような、消火活動にやや不向きな状況のところにあったということもちょっと印象に残りました。公明党の先生たちのところからもいろいろ御要望も出ておりますけれども、確かに三百平米の消防の基準には抵触しないんですけれども、九人そういうお人を預かっているということに関しては、やはりそれなりの今後の対策をまたなければいけないのかなという印象は持ちました。

 以上でございます。

桝屋委員 大臣に改めて確認したいと思いますが、介護保険制度発足以来、この認知症のグループホーム、どのように事業所がふえてきているのか。私は、大変な勢いでふえているというふうに思っております。

 もっと大事なことは、既存の社会福祉法人等が運営するのであればなお基盤はあるのでありますが、介護保険は、御案内のとおり民間事業者に門戸を開いておりまして、民間の事業体が随分実施主体としてふえているというふうに思っておりまして、認知症グループホームの事業所数の増加の状況、それから、民間の事業者がそのうちどのぐらいなのかという数字をお示しいただきたいと思います。

川崎国務大臣 御指摘いただきましたように、平成十二年末で全国で七百九十カ所でありましたのが、十七年末で七千六百四カ所になっております。社会福祉法人が千六百九十一、医療法人が千四百五十一、御指摘のように、営利法人が三千九百二十七ということで、営利法人のウエートが非常に高くなってきております。

桝屋委員 大臣、私は、先ほど大臣の御答弁を聞いておりまして、大きな認識をしていただいているということで安心しておりますが、正直言いまして、介護保険が始まって一番心配していたことが起きたというのが私の実感であります。

 今、大臣からもお示しがありましたが、介護保険、大きな特別養護老人ホームや老健施設をつくるということよりも、小さな単位で生活の基盤をということで、とりわけ認知症についてはグループホームを整備してきまして、まさに七百ぐらいの数が、七千を超える。七千六百とおっしゃいましたけれども、そういう大きな、要介護者、とりわけ認知症高齢者の生活の受け皿、介護の受け皿に今なっているわけでありまして、これは、一つのグループホームが九人程度、多くてもツーユニットで十八人ぐらいですから、七千六百といいますと、もうそれだけで六万人以上最低でもいらっしゃる。大変な受け皿の中でこういう事故が起きるんではないかということを実は私も一番心配しておりましたが、それが起きた。

 九人の入所者のうち七名が亡くなるということは、ある意味では、数は少ないけれども大惨事ではないか。私は、介護保険始まって以来の惨事だというふうに思っておりまして、国民の皆さんに、介護保険制度に対する信頼感というものが、グループホームだけには入るんじゃないぞというようなことになったんじゃ大変でありまして、この信頼をぜひとも回復しなきゃならぬと思っております。そういう意味では、二度とこういう火災事故を起こさない、あるいは起きたとしても犠牲者を出さない、こういう取り組みが今求められているんだろう、こう思っておりまして、そうした観点で、大臣の取り組み、お聞きしたいと思います。

川崎国務大臣 今、西川政務官からも御報告がありました。一つは、かなり消防ホースをつなぐのに時間がかかった。そういう意味では、避難訓練と消防団との提携というものを日ごろからまず心がけなければならない。それから、火災報知機というものがやはり必要だったんではなかろうかという議論を今消防庁と詰めているところでございます。結論が出ましたならば、その方向で努力をしたいと思っております。

 それから、今回管理者がいたわけでありますけれども、やはり夜勤の職員の配置を義務づけ、介護報酬見直しの中で、在宅でございますけれども、この辺に少し手厚くさせていただこうということで今進めております。

 なお、先ほど申し上げましたように、まだ出火原因が確定はいたしておりません。そうしたものを受けながら、もう少し詰めていかなければならないな、このように思っております。

桝屋委員 いま少し詳細に御説明をいただきたいんでありますが、グループホームは九人ぐらいで、昼間は三対一で配置されておりますが、夜、いわゆる宿直、一人の方が宿直をされている、こういう状況ですから、今回のように、仮眠をとっておられる、今回その状況はよくわかりませんが、例えば仮眠をとっているときに出火をした、火が回ってきたというときに何人の人を、自分で避難できない方々を一人の人が何人救えるか、誘導できるかというと、私はどんなに力がある人でも二人が限界だろう、まさにそういう心配をしていたわけであります。

 夜の宿直の体制、とりわけ、今回、介護報酬の見直しが今まさに行われている。公明党も、すぐ大臣に、一月十日でありましたか、介護報酬への反映ということも早急に検討してもらいたい、こう申し入れをしているわけでありますが、報酬がどういうふうになるのか、見通しを今お聞かせいただければ、御説明いただきたいと思います。

川崎国務大臣 御心配いただいているのは、多分、在宅介護の報酬が一%下がる、その中で、全体的に下がる中で大丈夫か、こういう御趣旨だろうと思います。

 基本的には五、六単位上がるように、夜間勤務をきちっとつけるということで単位が上がるというような設定にしたいということでやっております。

 また一方で、現場、西川政務官から報告を受けたわけでありますけれども、認知症の方ですから、勝手に外に出ていけないように、要は、自分の部屋の窓ガラスを破って出ていけるような体系になっていない。そういう意味では、先ほどから申し上げているように、その場合にはどうやって避難誘導するんですかという基本的なスキームがやはりでき上がっていなかったのかな、こういう反省をいたしております。

桝屋委員 ただいま介護報酬の改定について議論が進んでおりますが、給付費分科会での議論、先ほど大臣からもお話がありましたように、夜勤のナイトケア加算というものをやめて、これから、今までの宿直であったものを夜勤を義務化するということで、その部分については報酬も反映していただいていると。本体の報酬がちょっと下がるんじゃないかという心配をしておりましたが、加算で、何とか現場の皆さん方に御理解いただけるような数字になっているようであります。

 大臣、ぎりぎり合格です。いや、これじゃだめだと僕は言おうと思っていたんでありますが、ぎりぎり合格でありまして、やはり本体の報酬がどうなるのかというのは、今回のこの事故を見て、多くのこの七千六百の事業者、みんな関心を持って見ている。しかも、民間事業者が多いわけでありますから。たとえ消防法の義務づけがなくても、さまざまな、経費に余裕があれば、設備、機材の整備をしていこう、こう思うのが福祉事業者の心でありますから、そういう意味では、この報酬、きょうのところはぎりぎり合格だ。あとは厚生労働委員会でしっかり議論していきたいというふうに思っているわけであります。

 もう一点、竹中大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほどの西川政務官の話じゃありませんが、五百メーター離れていて、消防のホースもなかなか、もう本当にその姿を想像するだけで私は胸が痛むし心が痛むわけでありますが、小さい単位での施設というのはこれからのトレンドでありまして、職員は十分な職員というわけにはいかぬだろうと思います。日中はともかく、とりわけ夜間には、十分な配置は今の限られた財源の中で大変難しいわけでありまして、私は、消防の基準あるいは設備ということで、こうした小規模の施設というのは、ソフトに加えてハードの力で何とか利用者の皆さんの安心というものが確保できないかな、こう思っているわけでありますが、消防庁の御検討をお示しいただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、今回の大村市のグループホームでは七名の高齢者がお亡くなりになる、本当に痛ましいこと、このような被害を二度と起こしてはならないという思いは、消防を担当する私としても全く同じところでございます。

 総務省の対応ですけれども、発生後、これは直ちに、まず火災原因の調査のために職員を現地に派遣しまして、火災原因の究明、そして、問題点がどこにあったのかという把握に当たっているところでございます。

 施設の点もやはり重要だという委員の御指摘、私もそのとおりだと思います。消防法令の規制がほとんど及ばない小規模な施設であったということが今回の対象になっているわけでございますけれども、今、三百平米未満で収容人員三十名未満の施設に対して義務づけられているのは誘導灯でございます。そして、百五十平米以上の場合で消火器ということでございますので、スプリンクラーとか火災自動報知機とか、そういうものは義務づけられていない。

 それで、今後、この種の施設における必要な火災報知機など防火管理者のあり方とか、必要な制度改正を行うために検討会を設置して、今検討を行っております。その結論を本年三月中に得る予定になっておりますので、まずはしっかり専門家にそのことを検討していただきます。それを踏まえて、必要な対応を我々も適切に行っていく覚悟でございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 竹中大臣、恐らく消防の皆さん方も私と同じ気持ちだと思います。起きたか、これを一番心配していたんだという認識を恐らく持っておられると思います。

 消防も、さまざまに火災予防の対策について、こうした小規模の施設の存在というのは十分認識をされて種々検討されていたんではないか、それで、具体的な対応を考えなきゃならぬというときにまさに起きたという状況だというふうに私は思っておりまして、厚生労働省と連携の上、ぜひ、検討会、いい方向、結論を出していただきますように、そして、その徹底方を厚生労働省と十分連携して、厚生労働大臣におかれては、かつかつ、ぎりぎり合格だと申し上げましたが、介護報酬、検討できるところは大臣みずから目を入れて、手を入れて御検討賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、最後のテーマになるのでありますが、総理と議論したいのでありますが、ちょっと資料を配っていただけますか。総理、社会保障の財源について議論を若干したいと思います。

 谷垣大臣に最初にお伺いしたいと思いますが、十七年度補正予算、今まさに出口でありますけれども、十七年度補正予算ベースでも結構ですが、いわゆる社会保障の関係経費、予算に占める関係経費がどの程度の数字になっているのか、そして、なお前年に比べてどうであったのか、あるいは十八年度当初予算、この数字がどうなっていくのか。さらにはまた、ここから先、社会保障の給付費がふえていくだろうと思うんですね。その見通しと、大臣自身がこの社会保障の財源についてどうあるべきか、どういうふうに考えていらっしゃるのか、大臣の御見解をあわせてお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 平成十七年度の社会保障関係費ですが、補正予算で四千四百二十七億上積みをいたしまして、補正後では二十兆八千二百三十五億円という数字になっております。

 これを十六年度と比べますと、十六年度の補正後の規模は二十兆三千九百四十七億円で、四千二百八十八億増ということになっているんですが、実は相当これは、ごりごりと言うと言葉は悪いですが、抑制の努力をいたしまして、例えば、いわゆる三位一体で、国民健康保険制度に係る都道府県負担を導入したとか、あるいは介護保険の食費、ホテルコストの見直し等々をやってここに圧縮したというのが実際の姿でございます。

 そこで、十八年度当初予算はどうなっているかと申しますと、これは、十七年度の補正後予算に対して二千四百九十六億円の、形の上では減になっております。二十兆五千七百三十九億円でございます。これも、三位一体の補助金改革の中で、都道府県負担を導入したとか、あるいは医療制度改革、診療報酬改定の合理化といいますか、それから十七年度の介護保険制度の平年度化効果、こういったもので、本当はもっと膨らむはずのものを相当圧縮してきた。したがいまして、これからも相当な自然増というものが見込まれるというのが実態のところでございます。

 こういう負担といいますか、その負担はどういうふうにあるべきかというお話でございますが、現在、御承知のように消費税については、五%のうち一%はすぐ地方税になっている、それから、国に入ってくる分も地方交付税でお渡しする分がございますので、全消費税の五六%強だったと思いますが、国に入ってまいります。それで、国に入っている部分は、全額、基礎年金あるいは老人医療、介護等々に充てるということに予算総則に使途を限定しておりますが、現在、それを見ますと、消費税収、国分は七・四兆円、それから、実際その対象となっている、社会保障に充てる、消費税をもって充てろとされている部分が十一・九兆円でございます。

 これからも、先ほどちょっと申しましたけれども、経済の成長の規模を上回って高齢化が進んでおりますので、社会保障関係費は、大体、現行制度のままでは年一兆円程度の自然増が見込まれるということがございますので、これをまた引き続き、どうしていくか、どう身の丈に合わせていくかという議論がやはり必要だろうと思います。

 それにあわせまして、基礎年金の国庫負担でございますが、これについては、十六年の年金改正法の附則で、平成十九年度を目途に所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までにこの基礎年金の税負担は二分の一に持っていくということが法律に書いているわけでございますので、こういったことを視野に入れながら、やはり負担と給付の関係というものをよくよく議論していかなければならないというふうに考えておりまして、ことし、歳出歳入一体改革、これは与謝野大臣のお仕事ということでございますが、できるだけことしの年央をめどに選択肢も示して、工程表も明らかにしながら国民的な議論をして、こういった問題をどう対処していくか、決めていかなければならないと考えております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 時間がありませんので、今皆さんのお手元に資料をお配りいたしましたが、最後に総理と意見交換を一問だけしたいんです。

 総理は消費税については余り言及をされない、自分の任期中は消費税に手をつけない、こう言い続けてこられまして、それは私も大賛成であります。そうあるべきだと思ってまいりました。

 ただ、そうした中で、今谷垣大臣からも御説明がありましたが、社会保障の財源だけを見ても、実は多くの国民が誤解されている。私は個人的には、党はともかく個人的に、今後、社会保障の財源を考える場合に消費税の議論は避けて通れない、こう思っているんですが、多くの国民の皆さん、六割ぐらいの方はまだ懸念を持っておられる。消費税という議論をするだけで大変なアレルギーがある。

 実は総理もこの議論を余りされてこなかったがゆえに、国民の皆さんは、消費税は何に使われているのか、日本の国は消費税は取るだけ取って、役人の無駄遣いや、まさに変なところに使われているんじゃないか、こういう誤解をされている方があります。

 今お手元に配りましたように、大臣が御説明された十七年度の補正予算のベースで見ても、基礎年金あるいは老人医療、介護、年金、医療、介護で国の義務負担十一兆九千億、これに対して使える消費税が七・四兆円しかないということでありまして、今日ただいまも、消費税は年金、医療、介護以外にはびた一文使っていない、足らない状況なんだというこの事実すら国民の皆さんは理解をされていない。これは、社会保障、医療に携わっている方と議論したときに、そんなことはないでしょうと私言われて、目が点になったことを覚えております。つい最近であります。

 私は消費税の議論を開始しなきゃならぬと思いますが、こうした事実をきちっと政府としても機会あるごとに国民の皆さんに説明をしていく。もちろん、消費税収は大変に、私は消費税そのものに難しい問題が横たわっているというのはよくわかっておるんですが、その議論の以前に、こうした事実をしっかり、総理、国民の皆さんに総理の口からお話をされる必要があるのではないか、こう思っておりますが、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 消費税、私は議論を封殺している気持ちは全くありません。消費税の議論は大いにしていただきたい。しかし、今の時点で消費税を引き上げる状況にはないと言っているわけでありまして、消費税の議論は、今後、所得税、法人税、資産税、全体の税体系の中で大いに議論していただきたいと思っているんです。

 それと、消費税のみならず、所得税も法人税も他の税も、日本の政策の中に全部投入されているんです。消費税だけでは福祉関係予算は足りないんです。十八年度でも、年金、医療、介護、生活保護を含めた福祉関係予算、日本政府が一番支出しているということは、税金をどこに一番使っているかというと、福祉関係なんです。消費税だけでは足りないんですよ。税金には色がついていませんから、今、消費税の税収を全部福祉に使っているということも言えるし、所得税も法人税も福祉関係に使っているんです。だから、消費税だけをもし福祉目的税にしようという議論だったらば、五%じゃ足りないということも御理解いただけると思うんです。

 そういう点も含めて、議論は大いにしていただきたい、今は、できるだけ将来の税負担を軽減するためにも、行財政改革、これに一生懸命やらなきゃならないというのが私の考えであります。

桝屋委員 これで終わりますが、今総理がおっしゃったことを国民は余り理解されていないという認識はぜひお持ちいただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて桝屋君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 委員長から一言経過を説明申し上げます。

 松野委員の最後の質問に対する中川農林水産大臣に対し、民主党細川理事から、閣議決定された質問主意書と答弁、輸入再開決定の経過について、さらに大臣発言にある責任に対する答弁が必要との強い要請を受けました。委員長として、理事間の協議を求め、それらを踏まえ、中川農林水産大臣から発言を求めることといたしております。

 この際、中川農林水産大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中川農林水産大臣。

中川国務大臣 川内議員への答弁書では、輸入再開以前に現地調査を実施することが必要と考えておりました。また、昨年六月、農林水産委員会の方々が現地調査を行われた際の報告書については承知いたしております。

 しかしながら、十一月十八日の後の段階、十一月二十二日でございますが、この日に日米の話し合いが行われまして、先ほどの答弁でお答え申し上げましたように、日本向け牛肉の輸出プログラムについて、米国側で行う認定作業を日本側も調査できることが判明いたしました。また、輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないことも判明いたしました。

 なお、閣議決定以降の十二月八日に出された食品安全委員会の最終答申においては、査察の実施は輸入再開の前提条件とはされておりません。

 したがって、これらのことを総合的に判断して、必ずしも十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではないと理解しております。

 なお、責任という言葉についてでございますけれども……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

中川国務大臣 責任という言葉についてでございますが、閣議決定は重いものと考えております。閣議決定を経た答弁書どおりにしなかったことにつきまして、院に対する十分な説明が足りず、また、結果として、重く責任を感じております。

 いずれにいたしましても、食の安全、安心という国民の関心事項にかんがみ、輸出プログラムの実効性の確保に万全を期し、国民の理解を得られるようにすることが私の責任でございます。

大島委員長 質疑を続行いたします。長浜博行君。

長浜委員 民主党の長浜博行でございます。

 金曜日に本会議で代表質問をやらせていただいて、きょうはアスベスト問題について総理を初めとして各大臣にお話を伺う、これも本会議壇上で質問通告をいたしました。予算委員会が中断をしたことがありまして、多分、大臣の皆様におかれましても、日比谷公会堂を出発して、二千五百名のアスベスト被害者の方々それから御遺族の皆さん、そして環境暴露をされた、こういった皆様が、それを支援される方々とともに衆議院の議面正面での請願活動ということで、ずっと歩かれていたわけでございました。

 今申し上げましたように、健康な体の方ばかりではありません。むしろ、このアスベストの問題の、今回の二千五百名の、何としても私たちの願いを聞き届けていただきたいということで、私の予定では二時からのこの衆議院の質問のために、二千五百名もの方々がお集まりをいただいたわけでありますが、あの金曜日の本会議で、安全国会の幕あけだということで、私の担当のアスベスト問題ということをやらせていただこうとしたら、これは総括質疑でございますよね、その前の一般質疑のときの問題が私の質問時間の中で語られるような状況になっているわけでございます。

 当然、その前の段階で、なぜこの問題で予算委員会がとまっているのかということも認識をしておりますが、いわゆる質問主意書のそのお答えと、これは、この場にもおるかもしれませんが、川内博史君の質問主意書と言われますが、質問主意書は、衆議院の議長を通じて行われ、衆議院の議長に対して戻されるという趣旨のものでございます。

 これは、後ほどまたこの問題で、主意書の問題を言わせていただきますが、少なくても、今農水大臣のお答えになったことは、主意書に反して、主意書に書いてあるところの、いわゆる輸入開始前に、正確に言った方がいいかもしれませんね、ごらんになっている方でおわかりにならないかもしれませんが、十月の二十八日にBSE問題に関する質問主意書が出されているわけでございます。

 「厚生労働省と農林水産省により、米国で未実施の規制が完全に遵守されることを前提に、食品安全委員会において米国牛肉および内臓の安全性評価が行われているが、輸出再開以前に、対象工場における具体的な完全遵守の確認方法や、SRM除去率などの科学的キットを用いた調査結果、調査人員、予算、確認頻度などを渡米して確認すべきだと思うが、政府の見解を求める。」という質問主意書を提出しております。十月二十八日であります。

 十一月十八日の、戻ってきた、ここの問題でございますが、「厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設(以下「対日輸出施設」という。)に対する現地調査を実施することが必要と考えている。」

 つまり、おわかりになりますか、質問主意書で書いたことをわざわざ、あえてこのお答えの中では繰り返して、「輸入再開以前に、」という文言を入れて返ってきているわけであります。

 とりあえず今農水大臣にお聞きしなきゃなりませんが、後で厚生労働大臣にも伺いますが、農林水産省においては、「輸入再開以前に、」こう書いている閣議決定を、閣僚の方が、きょうの委員会の中で明確に、閣議決定をしなかったのですかと松野さんがお聞きをしているときに、中川大臣が、「閣議決定どおりにしなかったということでございます。」松野さんもよほどびっくりされたのか、「もう一回、最後のところが聞き取れなかったので、もう一回お願いします。」さらに、閣議どおりにしなかったということでございますと。

 速記録をお持ちでしょうから、それぞれ理事の方も。そのようにお答えをされているので、今のお答えでは答えになっていないと思いますが、いかがですか。

中川国務大臣 十一月十八日に河野衆議院議長あてにお出しいたしました答弁書の中には、今御指摘のように、牛肉輸入再開前にという文言が入っていることは事実でございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、一つは、アメリカから、再開後に検査施設をいつでも検査することを了解する。それから、具体的には、危険部位の除去でありますとか、二十カ月齢以下でありますとかといったことを確認することがポイントでございますので、それは輸入再開の作業が始まった以降でないと実質できない。まだその処理も作業も進んでいない段階でやっても、これは本来の目的、つまり安全性の確認の担保という目的が達成できないので、輸入再開前にということではないということを、我々は判断を変えたわけでございます。

 しかし、趣旨は、先ほど申し上げましたように、安全に対する担保という趣旨には反してはおりませんけれども、文言自体が本当に事実と違っていた、再開前にやるということをやらなかった、またやれなかった、ある意味ではやる必要が実態としてなかったということでございます。

 それにつきまして、それに……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛にお願いします。

中川国務大臣 私が今やる必要もないと申し上げたのは、もちろんやってもいいんですけれども、食の安全の担保のために、きちっと確認ができない、作業がないわけでございます、やっていないわけでございますので、できないということでやらなかったわけでございます。

 そのことにつきまして、私は、答弁書でお書きしたことと結果において事実関係が違っていた、それを院に対してきちっと正確に丁寧に説明をしなかったということに対して、大変申しわけなく、責任を感じているということでございます。

長浜委員 院に対して適切な説明をしなかったといっても、そもそもの質問が、どうもいつもはぐらかされて困ってしまうわけですが、閣議決定をされているもとに従わなかった、御自身の判断で。これはだれの判断ですか、午前中の質疑にもありましたね、御自身がされた判断。閣議決定に従わなかった。その後の御説明はまたそれはそれでこれから議論になると思いますが、閣議決定に閣僚が反していることについてどう思われますか。

中川国務大臣 閣議決定に反したことをしなければならない場合には、これは当然、院に対して、ああいうふうに答弁書でお書きいたしましたけれども、かくかくしかじかの理由でこういうことになりましたということを院に対してきちっと報告すべきであり、それをしなかったのでおわびとともに責任を感じているということでございます。

長浜委員 お答え書で訂正をするというか、質問主意書については、質問主意書が提出をされ、議長が承認したときは、直ちにその全文を印刷し議員に配付するとともに、内閣に転送をする、印刷がどうこうじゃなくて、議長が承認をされたときは。内閣が質問主意書を受け取ったときは、その日から七日以内に答弁しなければならない。

 ただ、これは相当重要な質問主意書だったとみえて、提出は先ほど申し上げたように十月二十八日でございますが、お答えをいただいた、すなわち河野洋平議長が受領されたのは十一月の十八日、二十日後でございます。七日以内に答弁できるような内容のものではなかった。

 これを、仮に、今の話は、中川農水大臣が、どういう表現かわかりませんが、それを訂正しなければいけなかったと言いますが、この提出した方が何かの関係でこれを撤回しようと思うには、済みません、間違いました、撤回しますと言えるかというと、内閣に転送するまたは転送した後に提出した議員がそれを撤回するためには、議長の許可を得なければならない。こういう種類のものが質問主意書であって、少なくとも、閉会中、国会が開かれていない状況の中において、国民だれもが注目をしているこのBSE問題に関して、果たして今のような答弁で、政治家としてというよりは、まず一つは閣議決定に反した閣僚として、もう一つは、今るる申し上げました一衆議院議員として、果たして質問主意書の趣旨を、委員長にもあえて申し上げますが、これは院に対して、立法府に対してなされた答えを、行政府がちょっと間違えましたので訂正をするなりなんなりのミスでした、こういう答弁を、院の品位をおとしめるわけではありませんが、そういった理由からも認められるんでしょうか。委員長に質問しているわけではありません、ごめんなさい。

 もう一度答弁を願います。

中川国務大臣 議長を通じていただいた質問主意書でございますので、議長に対して答弁書をお出ししたわけでございます。そして、それがその後のいろいろな状況の変化で書いてあることが変わった。このことをきちっと、院という国権の最高機関、議院内閣制でございますから、いただいた議長にその事情の説明なりをきちっとしなければいけない、大変重大なことだと認識をしております。それをしなかった。ですから、私は、院に対しての不作為に対して、大きな責任とおわびを感じているところでございます。

長浜委員 責任という言葉を午前中の質疑では述べられました。私も、明確に説明を早急にさせ、責任問題も含めて当委員会に御報告をさせていただきたいと思っておりますと。その後、再開後の委員会においては、なお、責任につきましては、先ほど責任という言葉を私も使いましたけれども、この答弁書をお渡しした後、状況は変わりました、今申し上げたように変わったということにつきましては、川内議員にあるいはまた院の方にお伝えをしなかったということにつきましては、大変申しわけないことだと思っています。

 大変申しわけないことで済む問題ではないという認識をなぜお持ちにならないのか、もう一度どうぞ。

中川国務大臣 きょうの松野議員とのやりとりの中で、自分にとっての今の考えなければいけない責任は何かということを、質問をお聞きしながら考えておりました。

 その中で、先ほど申し上げたように、院に対して一度出したものの文言が変わったということについてきちっとした御説明をしなかったことの責任、それから、改めまして、この牛肉輸入再開問題を初めとして、食の安全の責任というものの大きさを改めて感じたということでございます。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛にお願いします。

長浜委員 法制局長官、今の閣議決定、つまり、質問主意書に閣僚が反しておわびを申し上げているという、何回も言いますが、中川先生の個人のことを言っているんじゃありません。小泉内閣における農水大臣という閣僚が閣議決定に反して行った決定、こういったものはどう理解をしたらよろしいんでしょうか。

阪田政府特別補佐人 突然のお尋ねでありますので、一般論として申し上げたいと思いますけれども、御承知のように、行政府は内閣を最高の機関として、上位下位の関係、ヒエラルキーといいますか、構成されておるわけでございますから、内閣の意思決定が行政府として最高の意思決定である。各関係の行政機関は、内閣の意思決定に即して行政を遂行する責任があるということでございます。

 ただ、今御指摘の質問主意書を、詳細を承知しているわけではありませんけれども、その質問主意書決定当時の内閣としての認識、具体的には農林水産省それから厚生労働省としての認識、考え方をお示ししたものだというふうに思っております。

 それが、今の農水大臣のお話を伺っていますと……(発言する者あり)

大島委員長 川内君、御静粛に。

阪田政府特別補佐人 その後の状況によっていろいろ検討した結果、その輸出再開前に検査を行うということが必ずしも適当ではない、あるいは難しいということを申し上げておられるんだというふうに思います。

長浜委員 極めて政治的な発言を法制局長官がされていることに驚くばかりでございます。

 この予算委員会の平成十年三月三日の議事録を取り寄せてあります。このときは、法制局長官は大森政府委員でありました。この日の質疑の中で、予算委員会会議録の第十七号、平成十年三月三日ということでありますが、法制局長官に対してお尋ねをする場面があります。

 もちろん、状況はこのBSEの問題の質疑ではありませんが、「閣議決定ですとか国会決議、また附帯決議というふうなものがるるされておりますが、その辺の重みというか拘束力というか、それは具体的に今どういうふうになっておるのでしょうか。」ということで、法制局長官はお答えになっております。

 「閣議決定につきましては、内閣法第四条に規定しておりますとおり、最高行政機関である内閣の意思決定の方式であるということであります。したがいまして、その効力は、構成員である国務大臣のみならず内閣の統括のもとにあります行政機関すべてを拘束する、またその所属の職員も拘束する、こういうことでございます。」

 そうすると、質問者が、「閣議決定、一度されますよね。それは、次にそれを変更する閣議決定がない限りはずっと生き続けると考えてよろしいでしょうか。」それについて、「ただいま申されましたとおりでございまして、閣議決定は、後の閣議決定によって取り消しあるいは変更することができます。しかしながら、内閣がかわっても依然として効力を持ち続けているというのが純理論的な考え方でございます。」

 閣議決定の取り消しも変更もその後なされていない状況の中で、一閣僚がその判断だけで閣議決定を覆すことについて、果たして、先ほど申されました政治的にといいますか、レンジの広いといったらいいのか、どうにでも解釈できる、大変失礼でございますが、そういった答弁とこれの整合性について、もう一度お尋ねをいたします。

阪田政府特別補佐人 一般論としては、今委員御指摘の大森元長官の答弁のとおりであると思います。全くそれに補足することはないわけであります。

 ただ、先ほど私が申し上げましたのは、ここで閣議決定されたものは今後の施策の方針を示したものというふうにお考えになれるかどうかという点でありまして、それは、そのときの検査の必要性をどのように認識しているか、そして、特に、これは内閣全体としてもちろんそうするということでありますけれども、行政は具体的には各省各省によって分担管理をされておるわけでございますね。分担管理をされておる各省各省の責任において……(発言する者あり)

大島委員長 静粛に。

阪田政府特別補佐人 それぞれその守備範囲に属する仕事について、最もその時々で適切な判断をし、執行していくという責任も他方において負っておるわけでございます。

 そういう意味で、一度閣議決定をしたから、およそありとあらゆる……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

阪田政府特別補佐人 施策の遂行を変えることができないということでは、必ずしもないと思います。

 ただ、その手続について、再度、質問主意書の場合にはもう一度閣議決定を要したかどうかということについては、ちょっと今突然のお尋ねでありますので、お答えすることは差し控えたいと思います。

大島委員長 委員に申し上げます。御静粛にしながら、質疑を充実したものにしたいと思います。

長浜委員 法制局長官、この大森さんと同じように、あなたのおっしゃられた今の答弁も残るんですよ。将来において、あのときの法制局長官はということで残るわけですから、本当にその答弁がいいか、ちょっともう一回よくお考えになっていただいて、また中川さんに話を戻していきますので、ちょっと周りの方とよく御相談をされていただければと思いますが。

 この答弁書の中において、質問書じゃないですよ、さっき言われたように質問主意書じゃなくて、答弁書の中で……(発言する者あり)

大島委員長 静かにしなさい。

長浜委員 「輸入再開以前に、」というふうに、わざわざですよ、わざわざ政府の答弁書には書いてあるわけです。これを、解釈の中において、趣旨に沿っては合っていると思うがと。「輸入再開以前に、」という文言が、どう趣旨が合えば、先ほどおっしゃったような形での、まあ委員長からの答弁要請のお答えですが、になっているんでしょうか。これは、私どもが、川内君が出したものじゃありません。いただいた、輸入再開以前に、担当官を派遣して米国で調査を実施することと、小泉内閣からいただいた答弁書でございます。

 どうぞ。

中川国務大臣 質問書の趣旨が、輸入再開についての作業が大分大詰めに来ているという状況の中で、川内議員からああいう形で質問書をいただいたわけでございます。その趣旨というのは、きちっと安全ということが確認されるようにするためには、こうこうこういうふうにしたらどうかということでございまして、それについてお答えをさせていただきました。

 その時点では、日米の話し合いもまだまだ続いておりましたし、何よりも食品安全委員会の御議論もまだまだ続いていたわけでございまして、最終的な方向性というものは、もちろん、いわゆる食品安全委員会からのマンデート、指令も、こういうふうにしなさいというものもまだ確定をしていなかったわけでございます。

 そういう中で、より食の安全、この米国産牛肉の安全についてできるだけ担保していこう、きちっとしたものにしていこうという趣旨で御質問をされたというふうに我々は受け取り、そういう御趣旨でもって、我々としては、開始前にできるものであれば、それはそれでもっといいことではないかというふうに思ってお答えをしたわけでございますけれども、残念ながら、先ほど申し上げましたように、それをやっても実態上の担保をすることができない。危険部位の除去の作業がまだ行われていない、あるいはまた、二十カ月以下ということを証明するような方法もまだ実際に動いていないということ、あるいはまた、アメリカからは、再開後いつでも一緒に、まあ調査に来て結構ですよということはその数日後にわかったということでございますので、その時点におきましては、まだ何も決まっていない段階で、食の安全という観点から、こういう方法も一つあるのではないかということでお答えをいたしましたが、先ほどから何回も申し上げておりますとおり、実質上の食の安全を担保するという観点からは、再開前にやるということは実質上は意味がない。そしてまた、アメリカからのその後の担保の処置もある、食品安全委員会の御議論もまだ尽くされていないということで、状況が変化をしたというふうに考えたわけでございます。

長浜委員 意味がないとおっしゃいますけれども、意味がないのは、質問主意書自体が意味がないということですよ、もう。あらゆる問題に関して、質問主意書が、今回のこの事例は、一見BSEの問題を扱っているように思いますが、質問主意書なるものの法的効果とか、これはもう日常行われている状況の中において、ある種の状況の変化の中において、後で謝りゃそれで済むんだ、こういう前例をあらゆる委員会に残す、国会に残すあしき前例になって、私が指摘をしているところの閣議違反の問題にも答えていない。

 こういう答えではまるで論理が重なっていないわけでありますので、大変恐縮ですが、ちょっと理事、調整をしてください。

大島委員長 農水大臣、何か今の質問に対してもう一度答弁ございますか。もう一回答弁。もう一回。意義がないというところを、どういう意味であったのか、ちゃんときちっと。

中川国務大臣 意味がないということを申し上げた根拠は、先ほど申し上げましたように、輸入再開決定をして、輸入再開の作業に入るわけですね、米国側も。屠畜場で、危険部位が入っていないかとか、あるいは二十カ月齢以下であるとかいう確認作業を米国の責任においてやるわけでございますけれども、そのときに、日本としてもぜひその場に立ち会いたい、念のために立ち会いたいということを申し上げていたわけでありますけれども、再開前ですから作業をしておりませんので、危険部位の除去の作業もやっておりませんし、アメリカは通例三十カ月齢でございますから二十カ月齢以下の作業もやっておりませんので、再開前に行っても、実際の作業を見ることはできない、日本が要求している作業を確認することはできないという意味で申し上げたところでございます。

大島委員長 長浜君。(発言する者あり)

 ちょっととめておいて。

    〔速記中止〕

大島委員長 速記を起こしてください。

 長浜博行君。

長浜委員 法制局長官、どうですか、準備はできましたか。何かお打ち合わせを、官房長官とですか。いいんですか。はい、どうぞ。

阪田政府特別補佐人 質問主意書は閣議決定されるものですから、その中身等は大変重いものであることは、委員御指摘のとおりであると思います。内閣として、答弁をした内容について責任を持つということであるというふうに考えます。

 ただ、先ほど来申し上げましておりますのは……(発言する者あり)

大島委員長 ちょっと、御静粛に。川内君、御静粛に。今、答えている。

阪田政府特別補佐人 中川農水大臣がおっしゃっておりますのは、その時点での農水省と厚生労働省の検査についての認識を述べた答弁書であるということでありまして、その後、いろいろ検討した結果、その輸出前検査についての考え方が変わったということでありますので、それをいかにして、質問者である川内委員なり、あるいは衆議院の全委員の方々にお話しをする、御説明をして御理解をいただくということが、どういう方法が適当であったかということについて問題はあると思いますけれども……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。御静粛に。

阪田政府特別補佐人 承知している限りは、その答弁書の答弁内容を変更するような手続というのは法定されているわけではありませんし、まして閉会中でございますので、改めて委員から質問主意書をいただくということもできませんでしたので、やむを得ないことであったというふうに思います。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。ちょっと、御静粛に。

 長浜博行君。(発言する者あり)

 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

大島委員長 速記を起こしてください。

 法制局長官、もう一度簡明に、質問書に対する答弁書の意味、重さというものをきっちりと説明してください。

阪田政府特別補佐人 今、委員長の御指摘は、質問主意書、閣議決定の意味、重さということでありますので、その点に限ってお答えをいたしますと、それは、内閣が最高の行政機関でありますから、各関係の行政機関は、その内閣の意思決定にすべて拘束される、少なくともその意思を体して職務を遂行する責任を負うということでございます。(発言する者あり)

長浜委員 何か、うちの理事が言っても取り扱ってくださらないようでありますが、今おっしゃったことは、要するに反しているということを言いたいわけでしょう。違いますか。だって、さっきから何回も、もう時間の無駄なんだけれども、「輸入再開以前に、」という文言を書いてあるのは、こっちの質問主意書じゃなくて、いただいた答弁書で書いてあって、それに違反している状況をどう考えるかと。何回同じことを聞かせるんですか。

阪田政府特別補佐人 この答弁書の内容は、その時点における、答弁書を提出した時点における内閣としての、農林水産省それから厚生労働省の考え方を述べたものということでございます。(発言する者あり)

大島委員長 ちょっととめなさい。

    〔速記中止〕

大島委員長 速記を起こして。

 長浜博行君。

長浜委員 大変失礼ですが、農水大臣の証言の補佐人じゃないんですから、冷静になっていただいて。

 そうすると、一番最初に私が申し上げた大森長官の解釈と一緒でよろしいんですね。別に法制局の解釈変更が行われたわけではないですね。

阪田政府特別補佐人 内閣の意思決定の重さ、意味合いということについては全く変わっておりません。

長浜委員 それでは、間違いなく、明らかに、御自身が午前中に答弁をされたとおり、閣議違反をしたということじゃないですか。

中川国務大臣 答弁書では、輸入再開前に現地へ行って調査を行いたいと考えておりますと、ちょっと正確じゃないかもしれませんが、そういう文言が確かに入っているわけでございまして、その文言どおりにやらなかったということは事実でございます。しかし、質問の趣旨、そして答弁の趣旨、食の安全という観点からは反するものではないというふうに理解をしております。

長浜委員 食の安全に反するものではないけれども、閣議違反をお認めになったということですか。閣内不一致ですか。

中川国務大臣 その文言に照らしますならば、そういう再開前に調査をやるということはしなかったわけでございます。ただし、御質問の趣旨、そして答弁の趣旨とはいささかも違っていないというふうに理解をしております。(発言する者あり)

大島委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

大島委員長 再開してください。

 中川大臣、趣旨に反していないという形でお答えされております。したがって、そこの点を、どういう点において趣旨に反していないか、いま一度きちっとした答弁をしていただいて、その上で長浜さんのまた御質問をちょっと……(発言する者あり)いやいや、ちょっといただく。(長浜委員「委員長、それはだめですよ。時間、まさにさっき松野君に言った手法と同じじゃないですか、それは」と呼ぶ)ちょっと待って。指名してから。指名してから。

 それじゃ、もう一度、長浜さんから御質問いただきましょう。

長浜委員 これだけ明確に、御自身の言葉で、閣議決定されていることには反しているとおっしゃっているんですから、閣内不一致ではないですか。趣旨に合っているとか何かということを聞いているわけではありません。趣旨にはみんな合っているんですよ。この食の安全に関しては、みんな何とかしようと思っている。しかし、現実に、十一月十八日に返ってきた答えの中で、輸出再開される前にやらなきゃいけないということに関して、しないで決定をあなたが出したわけでしょう。そして現実に、あなたはそれに違反をしていると認めている。その状況の中で、なぜ閣内不一致といいますか、閣議決定に反しているということを言わないんですか、認めないんですか。

 そして、認めた場合の責任というのは、今さら聞くこともないでしょう、どういう責任のとり方かというのは。小泉内閣の閣議に反して、どうなったんですか、この間、郵政のときは。閣議違反をするとどういうことになるのかというのは、私どもが申し上げることじゃなくて、責任のとり方はおわかりになるじゃないですか。

中川国務大臣 午前中の松野議員とのやりとりの最後の部分でございますけれども、松野議員から、輸入再開を急いだのか、これは明確な説明をしていただくまでは審議ができないんではないかと思いますが、いかがでしょうかという御質問に対して、私から、「私も、明確に説明を早急にさせ、責任問題も含めて当委員会に御報告をさせていただきたいと思います。」というふうに答弁を午前中させていただいております。

 したがいまして、なぜこの状況、つまり、再開前に調査をするという趣旨のことをお答えさせていただきながらしなかったかということにつきましては、そういう二十二日の状況、あるいはまた、実際に行っても、危険部位の除去作業や二十カ月齢以下の確認作業をやっておりませんので、これについては、その時点では行く目的が、つまり、安全の確保の担保という目的を達成することができない。

 しかし、質問のやりとり、いただいた質問の御趣旨、それから、政府から、実質的には私と厚生労働大臣でございますけれども、お答えした趣旨も、食の安全のために何が一番できるのかという前提でお答えをし、二十二日、その他、食品安全委員会の最終的な報告もいただいておりません時点でしたので、状況が変わったということでございますが、趣旨についてはいささかも私は変わっていないというふうに理解をしております。

長浜委員 状況が変わったということで、質問主意書の答弁の変更も認められるということをおっしゃりたいわけですか。

中川国務大臣 ですから、その辺を衆議院河野議長あてに、状況の変更ということをきちっと御説明をしなかったということについて、大変申しわけなく、責任を感じ、これについてはなぜそうなったのかということを徹底的に調査をして、御報告をさせていただきたいというふうに思います。

長浜委員 だから、閣議違反でしょう。

中川国務大臣 閣議違反かどうかというのは、問われているのは私でございますけれども、私が閣議違反かどうかということを有権的に判断する立場に多分ないんだろうと思いますので、内閣として、私と厚生労働大臣のとった行動が閣議違反かどうかは、内閣の中で御判断をしていただいた方がいいのではないかというふうに思います。

川崎国務大臣 農林水産大臣と厚生労働大臣、すなわち農林省と厚生労働省で最終的に決定をしたことでございますので、私の方からも申し上げます。

 「輸入再開以前に、また、輸入再開後も」「現地調査を実施することが必要と考えている。」当時の認識を答弁書で示させていただきました。その後に、今、中川大臣からるる御説明をさせていただきましたように、食品安全委員会の答申、またアメリカの現地の状況、いろいろな変化を判断しながら、十二日に再開、十三日に査察を出すという形で一定のことを進めてきた。

 そういった意味では、答弁書の内容と一〇〇%一致してないじゃないかという御趣旨でございますので、院に対する説明という意味では、私どもに欠くる面があったということで、大いに反省をいたしております。

長浜委員 答えになってないんですが、閣議決定違反については何にも語ってないと思いますが。

大島委員長 閣議違反かどうかという点に関しての、川崎大臣、御答弁をお願い申し上げます。

川崎国務大臣 これも中川大臣から何回もお答えをいたしております。そういった意味では、食の安全という全体の趣旨に沿って私どもは行動、判断をしてきた、このように考えております。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

 ちょっととめて。

    〔速記中止〕

大島委員長 再開して。

 長浜さんに申し上げます。

 今、一番の問題は、農水大臣もお話しされましたように、この判断がいわゆる閣議決定に違反しているかどうかということを、長浜さんがよく聞かれておりました。大臣も、自分ではしていないと思うが、それが有権的にどうであるかどうかということは、自分が判断できるものではないとお話しされました。

 したがって、政府が、今、その点について統一した見解を出すまでに、暫時休憩をいたします。

    午後七時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後十時十二分開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、安倍内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 川内議員への答弁書では「厚生労働省及び農林水産省においては、米国産牛肉等の輸入を再開することとなった場合には、輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えている。」といたしました。これは厚労省及び農水省の当時の認識、考え方を内閣として是としたものであり、必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではありません。

 その後、実際には……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

安倍国務大臣 日本向けの牛肉輸出プログラムについて、米国が行う施設認定を日本側も調査できること、輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないことが判明しました。

 また、十二月十二日に米国との間で輸入再開を決定した後、十三日には査察に出発し、第一便の米国産牛肉が我が国に到着したのは十六日となっております。

 なお、閣議決定以降の十二月八日に出された食品安全委員会の最終答申においては、査察の実施は輸入再開の条件とはなっていませんでした。

 したがって、厚生労働大臣及び農林水産大臣の輸入再開の決定は、十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではないと理解しております。

 しかしながら、答弁書の閣議決定以降に生じたような過程について、院に対して十分な説明を行わなかったことは事実であり、まことに遺憾であります。

大島委員長 質疑を続行いたします。長浜博行君。

長浜委員 かなり長い中断の後、こういった、これは政府見解ですか、統一見解と理解をしてよろしいのでしょうか。こういった統一見解が、私は何のためにこの前あれだけ時間をかけて、いや、その前には松野委員もやったわけでありますが、こういった答弁を、政府見解を、十時十五分に、時間がかかって出されたものを、御理解をいただきたいと言われても、評価ができるわけがないわけでございます。

 先ほどは安倍官房長官には答弁を求めませんでしたが、今、逆に、安倍官房長官から政府見解、統一見解のお話があったわけでございます。そもそも、この質問主意書に関する答弁は、内閣総理大臣小泉純一郎ではなかったんですね。十一月十八日のこの答弁書は、内閣総理大臣臨時代理国務大臣安倍晋三、つまり、あなたがこれは出されたものでもあるわけでございます。

 この、必ずしも特定の行為をなすことを内閣で決定したものではありませんという答弁が政府統一見解であるならば、過去幾つの質問主意書が、先ほど中断前でも申し上げましたが、BSEのこの問題のために質問主意書というものが存在をしているわけではありません。さまざまな分野で出された質問主意書、つくって答えが返ってきて、当時は、議運委員長を経験もされた委員長でありますから、あれはいつでしたですかね、昭和二十三年か、とにかくずっと前、古い時代には、一々議運がチェックをしながらやられていたこういった伝統のある質問主意書において、特定の行為をなすことを内閣として決定したものでないということが仮に定められるんだとしたら、今までの質問主意書の中において、これで理解したと思っていたものが全部崩れるのではないかなということを危惧するわけです。

 特に、今回の場合の、思い出していただきたいんですが、自民党も民主党もあったものじゃなくて、この牛肉の問題というのは、休憩時間も随分いろいろな人から言われました、安心して牛肉が食べられるというふうに思っていたものが食べられなくなった、どうしてこういう状況になっちゃうの、あなたたちは国会決議までしたんじゃないの。十七年三月三十日、去年の三月三十日に農水委員会での決議、国会決議ですね。「米国産牛肉の輸入再開問題に関する件」で全会一致の決議がなされました。「米国産牛肉の輸入再開については、科学的知見に基づき、食の安全と安心の確保を大前提として、国民の十分な理解が得られるよう対応し、もって、国民の健康の保護に万全を期すべきである。 右決議する。」と。

 別にこんなのは、こういった問題は、全会一致でもありますから、党利党略とか、いわゆる政局物でやっているわけではありません。安全国会の中での食の安全、私たちは、拙速な決め方だな、こんなときに牛肉を輸入して大丈夫だったの、こんなことで委員会、国会では責めましたが、しかし、一般の方々からすれば、いや、早く食べられてよかったんじゃないかな、そう素直に思っていた方もいらっしゃると思いますが、現実には輸入ができないような状況になっている。テレビで毎日やっています。輸入をして、やろうと思っていたのができなくなった。

 こういった状況の中において、この質問主意書は、そういったトラブルを起こさないために、川内委員は、「対象工場における具体的な完全遵守の確認方法や、」さっきも読みました、「SRM除去率などの科学的キットを用いた調査結果、調査人員、予算、確認頻度などを渡米して確認すべきだと思うが、政府の見解を求める。」というのが質問主意書でございました。

 つまり、こういった特定の行為をなすことをこの答弁書の中においては、「輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えている。」当然のことながら、質問主意書における、この対象工場における先ほど申し上げた具体的な事例を受けて「現地調査を実施することが必要と考えている。」という答えに、普通の人なら問いに対しての答えと受けるわけでありますが、こういったものすべてを、特定の行為をなすことを内閣として決定したのではないという意味でございましょうか、官房長官。

安倍国務大臣 答弁書におきましては、先ほども申し上げましたように、現地調査を実施するというふうに、行為そのものを定めて書いているわけではございません。「現地調査を実施することが必要と考えている。」という当時の考えと認識について述べているわけでございまして、それは、その後の遵守状況について現地において確認したいと考えているという認識を示していることとも共通するわけでありますが、認識と考えを述べたものでございます。

長浜委員 いい答弁ですか。果たして、まじめに質問をしておりますが、まじめに必要と考えたのであって、やることを約束したわけではない、これでよろしいですか。

安倍国務大臣 先ほど答弁したとおりでございまして、これは、この答弁書をつくるにおきまして、厚生労働省と農水省が合い議をいたしまして一字一句詰めた結果でございますが、その中で、申し上げましたように、当時の認識と考えを述べたものであるということでございまして、その後、先ほど私が述べましたように、認識にこれは違いが出てきた、変化が出てきた、こういうことでありまして、その変化の違いについて院に対して説明するべきであったという認識は、お示しをしたとおりでございます。

長浜委員 単純な疑問でありますが、状況において変化が生じたのであれば、なぜ閣議決定をやり直さないのですか。

安倍国務大臣 先ほど答弁したとおり、実施をするということに対して実施をしないということになれば、つまりそれは閣議決定に反したことになるわけでありますが、これは、川内議員から聞かれた当時の認識と考えをそのとき認めたものでありまして、当時の認識、厚生労働省と農林水産省が示した認識を閣議においてそれを是としたものである、こういうことでございます。

長浜委員 川内君に言っていることとか、民主党に対してとか、私が質問しておりますから私でということではなくて、本当に、先ほど申し上げたように、牛肉を食べられるか食べられないか、食の安全という観点に関して、本気で安倍官房長官といいますか総理大臣臨時代理の安倍晋三さんは、国民の皆さんに対して、検査の必要性は感じると言って、検査をすると言ったことではないというふうに、私からいえば強弁ですけれども、論理的に説明をされるんですか。

 この質問主意書は、自民党も民主党も、社民党さんも共産党さんも公明党さんもみんなそうでありますが、全部の文書箱に入ります、第一会館、第二会館の。それぞれがこのBSEにどのぐらい深く関心を持っているかどうかは別にして、政府の見解、何か質問書が出たよ、そしてこういう答えが返ってきたよ、それぞれ地元で報告をするときに、もう時間の無駄ですから何回も読みませんが、普通にあの文章を読んで、普通に素直にあの答弁書を読めば、見解が変わる前の話ですよ、ああ、よかった、政府は少なくとも牛肉輸入が再開される前に調査団を出してくれるんだ、だから、今度輸入が再開されるときは当然厳しいチェックを受けて入ってくるんだから安心だね、普通はあの質問主意書をそうやって読むんじゃないんですか。

安倍国務大臣 今私が申し上げたことは、この質問主意書と実際に再開したこととの整合性についての解釈について申し上げたわけでございます。

 実際に、我々しっかりと安全を確保しなければならないという中身においてはこれはもう間違いのない中身であるということは、先ほど来農林水産大臣が説明したとおりでございまして、いずれにいたしましても、食の安全、安心という国民の関心事項であることにかんがみまして、輸出プログラムの実効性の確保に万全を期し、国民の理解を得られるようにしてまいりたいというふうに考えております。

長浜委員 国民の皆さんは、多分今の答弁に驚きを禁じ得なかったと同時に、それがまたあの安倍晋三さんから言われるとは、多分大変な驚きを持っておられると思います。僕もびっくりしました。(発言する者あり)立派な答弁だというふうに不規則発言も出ておりますが、この認識が今日の悲劇を、そんな大げさな悲劇じゃない、食べられると思った牛肉が食べられなくなった、こういう状況を招いているように思えてならないんですが。

 ちょっと確認、「その後、実際には、」というくだりから、先ほどお話しでありましたが、「その後、」というのは、先ほど農水大臣が答弁をされた十一月二十二日のことですか。

中川国務大臣 今、安倍官房長官から発表した文書の中の「その後、」というのは、正確に言いますと、アメリカの検査状況について日本も参加することができるという一点目について、十一月二十二日であります。

 二点目につきましては、これは、考えてみたら特定危険部位の除去作業もやっていませんしということでございまして、これは、二十二日というのは、厳密には一点目だけを指します。

長浜委員 そうすると、先ほどの農水大臣が述べられた十一月二十二日という意味は、この1のことを指していたわけですね。先ほど御説明をされた、政府見解との状況が変わってきたというのを、この休憩前の状況のときに御説明されたときに十一月二十二日という日付が出てきたと思うんですが、このことですか。

中川国務大臣 全く同趣旨でございます。

長浜委員 先ほどにお話しされたときに、六月のときの農水委員会の現地視察、衆議院米国における牛肉処理等・食の安全に関する実情調査議員団の報告書は、理解をしているといいますか、御存じだという答弁がありましたよね。それは間違いありませんか。

中川国務大臣 農林水産省としてその報告書を、いただいたのか保管しているのか、私もさっきそれを見ました。

長浜委員 八月に報告書は出されています。

 ちなみに、ちょっと言っておきますと、団長は山岡委員長ですね、農水委員長ですか、それから二田さん、これは自民党筆頭理事になるんでしょうか、が参加をされているその報告書でございますが、六月の時点でアメリカ側は、輸出が決定したらUSDAにEVプログラム認定のための申請を行う、その審査に要する期間にもよるが、EVプログラム決定後三十日ぐらいが輸出再開の目安となるという、衆議院の報告書に書いてありますが、これを理解しているという意味ですね。

中川国務大臣 全部を読んだわけじゃございませんけれども、今長浜委員の御指摘の部分については、今、手元にそのコピーを持っております。

長浜委員 こういった認識の中で、川内博史君からのBSE問題に関する質問主意書は十月二十八日に提出をされています。この質問書の御答弁といいますか回答をされる前には、当然、今申し上げたことは頭にあるわけですね。

中川国務大臣 十月二十八日ですか、川内議員からいただいた時点では、この報告書の内容は把握をしております。

長浜委員 そして、十一月十八日に先ほど言っている答弁書が、内閣総理大臣臨時代理、国務大臣安倍晋三さんから出されているわけですが、しかし、十一月二十二日になって、要するに、アメリカに行った衆議院の調査団が、輸出再開から、省略しますが、そこそこの日数の後、再開を決定してからも、実際物が届くまで時間がかかりますよ、そういうのを御理解されて、十月の二十八日の段階のこの質問書に対して、そうだよなと。先ほどの「必要と考えている。」ということがひっかかりますが、いずれにしろ、「輸入再開以前に、また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国に」云々、こういうことになっていって、そして、二十二日になって変わったということですよね……。ああ、ごめんなさい。

大島委員長 質問をちゃんとしてください。

長浜委員 十一月十八日に、そのずっと一連の流れの中において、「必要と考えている。」という状況になるまでは、輸入再開前には事前のチェックが必要だということを認識していたわけでしょう。

中川国務大臣 この十一月十八日時点での政府から議長あてにお答えした段階では、輸入再開前にできること、一体何があるんだろうかということの中にいろいろなものが考えられるということを認識しておりました。

長浜委員 十月二十八日に質問主意書が出された後に、十月三十一日の日に石原農林水産事務次官が本省会見室で記者会見をされております。御存じですか。

中川国務大臣 承知しております。十月三十日に私どもの事務次官が会見をしております。

長浜委員 その中のやりとりでありますが、クエスチョン、輸入再開、実際に、その前に査察することもあり得るんでしょうね。アンサー、査察を前にやるということは、やっても意味がないわけですね。ですから、もちろん、担当者が前に行って査察の手順とか、そういうことは当然アメリカ側と協議しながら決めていくわけでございますけれども、それは、あくまで査察というのは輸入が行われてからの問題でございますので、その輸入が実際に開始される前に、必要な検証といいますか、そういうことをやることは必要だとは思っていますけれども、査察自身は、あくまで輸入が決定されてからと思っています。

 十一月十八日の答弁書の前に農水省の事務次官が記者会見で述べていることは、一体どういったことでしょうか。

中川国務大臣 十月三十一日時点での事務次官の会見の模様は、今長浜委員がおっしゃったとおりでございます。

 しかし、最高責任者である私は、安全確認のためにできることであればあらゆることをやるべきだという観点から、翌日の私の記者会見におきましては、現段階では、いつやるかということについては、意味がないということじゃなくて、決めておりませんというふうに修正をさせております。

 そして、十一月二日、私の翌日でございますけれども、次官の会見におきましても、私と同様の記者会見、つまり発言を訂正させております。

長浜委員 発言は何度でも訂正をするんですか。少なくとも、事務次官という方が責任を持って発表して、おまえ、その発言はちょっとまずいよ、訂正しろよ、わかりました、済みません失礼しました、訂正します、こういったことをやり続けるんですか。

中川国務大臣 やり続けるかどうかわかりませんけれども、この場合は私が最高責任者でございますから、私の判断で私の考え、つまり、いつやるかということについては現段階では決めておりませんと私が発言をしたわけでありますから、事務次官はそれに従うというのがルールでございます。

長浜委員 そこまで農水の最高責任者というふうにおっしゃるのならば、午前中の質疑でおっしゃられた、閣議決定に反しましたとおっしゃるのなら、責任のとりようがあるじゃないですか。

中川国務大臣 責任ということに関しましては、先ほどから何回も申し上げているとおり、食の安全に対する責任、それから、国会に対して、事前にやるということも考えているということに対してやらなかったことに対する丁寧な御説明というものはしなかったということに対して責任を感じております。

長浜委員 ここで、長時間ずっと聞いてばかりいただいておりました総理に御発言をいただきたいと思いますが、別に深い意味はありません、素直にこのやりとりをずっと聞いていていただいて、私は余り、無理を申し上げているでしょうか。何か普通の議論の過程の中においての問題点の指摘、一点は、先ほどの質問主意書、「必要と考えている。」ということで、やるとは言っていないといったこういったくだり、あるいは最高責任者、それはそうですね、大臣ですから。そういった大臣というポジションにあって、事務次官の発言を訂正し、事務次官よりは私が責任を持っているんだから私が全責任を負っているんだ、それでいて、長い間、憲政の常道といいますか、この議会の中で積み上げられてきた、国会閉会中等に使われるこういった質問主意書に対する閣議決定、そして閣議決定に違反をしても、これも解釈の範囲だからまあいいじゃないか、長年の伝統をある意味で壊そうとしているこういった状況についてどうお考えになるでしょうか。

中川国務大臣 お言葉ですが、私は、違反したという言葉は一つも使っておりません。

 正確に言わせていただきます。(発言する者あり)事実関係ですから、はっきりちょっと……

大島委員長 事実関係を修正するということですね。

中川国務大臣 はい。

大島委員長 今、自分の答弁の事実関係をもう一度申し上げたいということですから。ちょっと、それから総理に振りますから。

中川国務大臣 私のではなくて、長浜委員の御発言の中で、私が閣議決定に違反をしたというお言葉をお使いになりましたが、私が発言をしたのは、「お破りになったかどうか、言葉の問題でございますけれども、閣議決定どおりにしなかったということでございます。」ということで、違反という言葉は使っておりません。(発言する者あり)

大島委員長 総理の御意見。

 小泉内閣総理大臣。

小泉内閣総理大臣 先ほどからの質疑を伺っていまして、この統一見解にはっきり申し上げているんです。いわば、全部は読み上げませんが、必要と考えている、これは厚労省及び農水省の当時の認識、考え方を内閣として是としたものであり、必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではありません、その後、実際には、輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないことが判明しました、当時の認識は、必要と考えていると。しかし……(発言する者あり)そういう認識だった。しかしながら、輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないことが判明した、これはもう先ほど農水大臣が答弁しているとおりであります。

 でありますから、農林水産大臣は、答弁書の閣議決定以降に生じた過程について院に対して十分な説明を行わなかったことは事実である、まことに遺憾であるということでありますが、責任ということについては、今までの質疑でたびたび農林水産大臣が申し上げておりますけれども、食の安全についてこれからも万全を期していきたい、そういうことで責任というものを十分感じているという答弁をされた、私はこれで結構だと思います。

長浜委員 私も、ちょっと総理の前に先ほど突然中川国務大臣からおっしゃられたことでありますが、これも、普通の常識として、まさにおっしゃられたとおり言葉の問題でございますけれども、閣議どおりにしなかったということは、閣議の決定に違反したということじゃないんですか。

大島委員長 大臣、しっかりとお答えください。

中川国務大臣 長浜委員が私と同じ速記録をお持ちになっておられると思いますけれども、その中で私の発言を引用されておられると私は理解をしております。であるとするならば、正確にお読みいただければありがたい。

 私は、松野委員の御質問に対して、「お破りになったかどうか、言葉の問題でございますけれども、閣議決定どおりにしなかったということでございます。」というふうに答えておりまして、違反をしましたということは答えておりません。

長浜委員 閣議決定どおりにしなかったということでございますね、最後のところが聞こえなかったので、もう一回お願いします。多分、同じ速記録です。「閣議決定どおりにしなかったということでございます。」

 閣議決定どおりにしない、内閣の中において大臣が存在をしたということで、これも趣旨の範囲というか、レンジの範囲でしょうか、これ。安倍長官。

安倍国務大臣 最初に私が答弁したとおり、この閣議決定というのは、行為を定めたものではなくて、そのときの認識、考え方について閣議として是としたものである、こういうことでございまして、その後、また御説明したとおり、認識が変化をしたということでございます。

長浜委員 答えになっていない。もう二回も聞いた。

大島委員長 もう一度、官房長官お願いします。もう一度。もう一度、官房長官、恐縮ですが、冒頭にお話しされたようなことをきちっとお答えしてやってください。

安倍国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、答弁書においては、「また、輸入再開後も定期的に、担当官を派遣して米国における我が国向け牛肉等に係る食肉処理施設に対する現地調査を実施することが必要と考えている。」としたわけでありまして、厚生労働省及び農水省の当時の認識、考え方を内閣として是としたものでありまして、必ずしも特定の行為をなすことを内閣として決定したものではない。

 しかし、その後、先ほど答弁したとおり、日本向けの牛肉輸出プログラムについて、米国が行う施設認定を日本側も調査できること、輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないことが判明したわけでありまして、そしてまた、十二月の十二日に米国との間で輸入再開を決定した後、十三日には査察に出発し、第一便の米国産牛肉が実際に我が国に到着したのは十六日、こういうことでございました。

 したがって、厚生労働大臣及び農林水産大臣の輸入再開の決定は、十一月十八日に閣議決定された川内委員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではない、こう考えているわけでありまして、先ほど中川農林水産大臣が答弁した際に、結果として違うことになったということについては、認識については変化があったわけでありますが、事前に査察を、結果としては査察を行わなかったということを大臣は申し上げたわけでありますが、閣議で決定したことは、何回も申し上げておりますように、認識を示したものであって、いわゆる認識を示したものを是とするこの閣議決定には反するものではない、こういうことでございます。(発言する者あり)

大島委員長 長浜博行君、もう一度、もう一度。もう一度簡明に、どこが……。

長浜委員 だから、中川国務大臣のその理屈であれば、閣議どおりにしなかったということではございませんという答弁でしょう。

大島委員長 そこだけ答えてください。

中川国務大臣 ですから、先ほど、この中断前のときに、長浜委員からの御質問に対して、違反かどうかは、内閣が私どもの考え方あるいは行為について違反かどうかを判断するのであって、私がみずから違反かどうかということを判断することは控えた方がいいのではないかという趣旨の答弁をさせていただきました。

 したがって、違反かどうかということについては、今官房長官から答弁があったということで私は理解をしております。(発言する者あり)

大島委員長 長浜博行君。長浜君、長浜君。(発言する者あり)

 官房長官、もう一度お答えをいただいて、後半の部分でいいですから。

安倍国務大臣 先ほど来、再々申し上げておりますが、最初に申し上げましたように、閣議決定においては、農林水産省そして厚生労働省の当時の認識、考え方を内閣として是としたものでございます。

 そして、その後、実際には、先ほど申し上げましたように、日本向けの牛肉輸出プログラムについて、米国が行う施設認定を日本側も調査できること、そして、輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないことが判明をしたわけでありまして、そして、それに従って認識が変更した、こういうことでございます。

 したがって、厚生労働大臣及び農林水産大臣の輸入再開の決定は、十一月十八日の閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではないというふうに理解をしております。これが政府の統一見解でございます。

大島委員長 長浜博行君、もう一度。(発言する者あり)お静かに。

長浜委員 厚生大臣、閣議決定どおりにあなたはしたんですか、しなかったんですか。

川崎国務大臣 それは、先ほどから再三御答弁がありましたように、考え方、現地調査を実施することが必要と考えているという当時の認識を示した。その後、さまざまな状況の変化の中で、これはもう書いてあります、いろいろもう御答弁にありました。そういった中で、一つの判断として、私ども厚生労働省と農林省が相談をしてこのような形でやってきたということでありますので、閣議決定に反したとは思っておりません。

長浜委員 厚生大臣は閣議決定に反したということではございませんと言い、同じ質問に農水大臣は、閣議どおりにしなかったということでございます、これは何ですか。

大島委員長 それはどなたに聞いているんですか。農水大臣に対してお聞きになっているんですか。

長浜委員 官房長官。

安倍国務大臣 先ほど来私が答弁しておりますように、内閣としての考え方としては、先ほど来答弁しておりますように、答弁書に対しての、答弁書に書いてございますが、当時の厚生労働省と農林水産省の考え方と、そして認識を示したものであります。

 よって、その後再開したことは、その後の認識の変化の中で行われたことでございまして、これは閣議決定に反したものではないということでございます。(発言する者あり)

大島委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

大島委員長 速記を再開してください。

 それでは、もう一度、農水大臣、厚生労働大臣に答弁をお願い申し上げます。(長浜委員「委員長、委員長」と呼ぶ)先に質問しますか。

 長浜博行君。

長浜委員 何のためにこの時間をやっているのかといえば、午前中からの延長戦ですが、その大事な質疑の、輸入再開を決定したのが農水大臣、「つまり私でございます。」同じものをお持ちですから、ちょっとごらんになっていただければいいと思いますが、大臣みずから閣議決定をお破りになったということを認められているわけですね。

 お答え、「お破りになったかどうか、言葉の問題でございますけれども、閣議決定どおりにしなかったということでございます。」

 「もう一回、最後のところが聞き取れなかったので、もう一回お願いします。」

 「閣議決定どおりにしなかったということでございます。」

 大臣、輸入再開を決定されたというこのプロセスの答弁書は、厚生省及び農林水産省においてはということで始まる文章で答弁書が来ております。

 厚生大臣、閣議決定どおりにされたのでしょうか。

川崎国務大臣 先ほどもお答えいたしたように、実施することが必要と考えている、当時の認識でございます。その後に変化があり、そして輸入解禁以降でなければ履行状況の調査ができないということが判明した。それに従って、十二日に再開、十三日に査察という一つの判断を私どもはしてきた、こう申し上げているんです。

 したがって、先ほど農林水産大臣もお答えになりましたように、我々が違反した違反しない、我々が判断するというよりも、政府として統一の考え方を出しましょうということで官房長官から御答弁があり、「十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではない」、官房長官から統一見解がありましたので、私もそのとおりの認識でございます。

長浜委員 議運委員長の御経験もある、公正中立な委員長の立場で、私の質問にお答えになっているかどうかというのは御判断していただければわかると思いますが、この答弁では満足ができません。

大島委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

大島委員長 速記を起こして。

 長浜博行君。

長浜委員 農水大臣、もう一度お答えください。

大島委員長 今のをもう一遍。

長浜委員 文部科学大臣にお伺いしようかな。これは普通の会話の問題でございますから、何かこう私にはちょっと理解ができない、そのフレーズとして。「大臣みずから閣議決定をお破りになったということを認められているわけですね。」ということで、中川農水大臣は、「閣議決定どおりにしなかった」ということで言っておられるわけでございます。

 そして、答弁書は、農水大臣だけではなくて、厚生労働省という連名で来られておりますので、厚生労働大臣におかれましては、同じ質問でございますが、閣議決定どおりにしたのかしなかったのかお答えくださいということを申し上げているだけであります。

中川国務大臣 まず、前段、長浜委員がおっしゃった、閣議決定を破って輸入再開を決定したのはだれですかという、要するに輸入再開を決めたのはだれですかということについて、それは農水大臣、つまり私であるというふうに申し上げましたが、これは言うまでもないことだと思いますけれども、私一人ではございませんで、厚生労働大臣と私とで決定をするわけでございます。

 それから、違反したかしないかということにつきまして、この閣議決定どおりにしなかったということでございます。二回やりとりがございました。

 これにつきましては、その場で書類を、松野委員から質問主意書そしてまた答弁書をいただいて、その場で見てのとっさの判断でございました、とっさのお答えをしなければいけなかったわけでございますので、「と考えている。」というところによって、これは、決定、一つの行為なのか、あるいは認識、考え方なのかというところまで冷静に分析することができませんでした。政府統一見解として、これは特定の当時の認識、考え方を内閣として是としたものであるということで今官房長官からも政府統一の考え方が示されましたので、それに基づきますならば、私はこういう違反、あるいはまた政府決定どおりにしなかったということではないということになるわけでございます。(発言する者あり)

大島委員長 長浜博行君。長浜君、もう一度。

長浜委員 委員長に申し上げますが、議事録の、確かに、速記録ですから正式なものではありませんけれども、「決定どおりにしなかったということでございます。」と出ていて、私がアドバイスをして、閣議決定にしなかったということじゃないんでしょうと申し上げたら、閣議決定どおりにしなかったということでは……。どっちかこんがらがってきましたけれども、要するに、前言を翻されるのか、こんなんじゃ委員会質疑はできませんよ。委員長、これは委員会ですよ。

大島委員長 農水大臣、閣議決定どおりしなかったという発言についてもう一度、その後政府見解も出ていました、したがって、閣議どおりしなかったと御答弁されたことは、あの答弁書に書いてあるとおりしなかったということは事実なわけですね。つまり、事前に考え方を述べたけれども、あの考え方のとおりにはいかなかったということでございますね。だから、そこら辺の経過を、もっと手短に長浜委員に御答弁ください。(発言する者あり)お静かにしてください。

中川国務大臣 午前中のやりとりは、あの資料を、いただいたことをさっと読みながらお答えをいたしました。したがって、言葉足らずの部分が、先ほどの、決定は農林水産大臣でありますと申し上げたり、また、「閣議決定どおりにしなかったということでございます。」と二回にわたって申し上げたことは……(発言する者あり)

大島委員長 答弁者のをちゃんと聞いてください。

中川国務大臣 これは閣議決定違反ではないという趣旨で申し上げたつもりでございますけれども、そういう長浜委員のような御理解もできるわけでございますので……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

中川国務大臣 私といたしましては、この閣議決定に意思として違反をしていない、この閣議決定に違反をしていない、あるいはまた、閣議決定に基づいてその時点での選択できる範囲の一つであるというふうに理解をして、そしてそのように御理解をいただきたいと思います。

長浜委員 委員会の質疑においても、しかもこの大事な、国民の皆さんが見ておられるかどうかわかりませんが、BSEの牛肉の問題の論議でも、さっき御自身でおっしゃった、自分が最高責任者だとおっしゃった方が、午前中と夜中でしゃべっている内容が違うということになったら、何でこんなに時間をかけて、まじめに質疑をしているつもりはあるんですか。当たり前のことを聞いていますよ。済みません、文科大臣に聞く時間はないんですが、当たり前のことを聞いていますよ。何もおかしくない、子供でもわかるような、難しいことじゃなくて、何で、そこを撤回されちゃったら、今まで何をやってきたのかというのがわからないじゃないですか。

安倍国務大臣 先ほど私の方からは、農林水産大臣そして厚生労働大臣の答弁について、政府として統一見解を述べさせていただいたわけでありまして、その統一見解とは、厚生労働大臣及び農林水産大臣の輸入再開の決定は、十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではないと理解しております、これが政府としての統一見解でございまして、先ほど川崎厚生労働大臣はそのとおり述べたわけでありまして、先ほど中川農林水産大臣もそのとおりに答弁をされた、こういうことでございます。

 なお、午前中の答弁と少し違うではないかということでございますが、それにつきましては、事前に通告がなかったことから、先ほど中川大臣が……(発言する者あり)中川大臣が、よく、答弁に際して少し言葉足らずだったというふうに説明したわけでありますが、しかし、その後……(発言する者あり)

大島委員長 官房長官、丁寧に答弁をしてください。

安倍国務大臣 中川大臣が答弁を修正しておられるわけでありまして、統一見解は、今私が述べたとおりでございます。

大島委員長 私から一言、長浜議員に申し上げます。

 政府も、その後、内容においていろいろ変わったことの説明は不足であった、このように言っております。私は、この事態を見て、この結果を議運委員長に報告して、そして、質問主意書に対する政府答弁、そしてその後のあり方について、どういうルールがあるべきか、長浜さんの議論と政府の議論、政府側も説明は不足であったということをきちっと言っているわけですから、議運委員長のところで、今後いろいろな、あなたもおっしゃったように、趣旨説明に対する答弁、内閣のあり方がどうあるべきか、こういう本質的な問題も問われたと思いますので、そのことは委員長として議運委員長にお願いしてまいりたいと思います。

長浜委員 委員長の今のコメントに関しては、それを見守りたいと思いますが、国民の安全を保障するこの国会において、また、立法府の端に座っておる一人として、立法府の権威の回復のために、そして信頼の回復のために、与野党ともに努力をしていかなければいけないというのを、この厳粛なる予算委員会がこのような答弁で右往左往していることに悲しい思いを持ちながら、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

大島委員長 これにて長浜君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私も、米国産輸入牛肉の輸入再開問題について質問したいと思います。

 午前からの今の質疑のやりとりを聞いておりまして、非常に怒りを禁じ得ません。閣議決定や国会答弁がこんなにも軽いものなのか、このことを本当に怒りを持って抗議をしたいと思います。今後の国会の答弁に責任を持った対応をしっかりと求めておきたいと思います。

 この危険部位の混入事件、そして、今回の閣議決定を翻した農水省の決定という問題、これらの一連の問題が起こったその根底には、まず輸入再開ありき、食の安全よりアメリカとの約束を守る、この政府の姿勢があったのではないでしょうか。このことをまず強く指摘をしておきたいと思います。

 それで、きょうは、ずっと待機をしていただいて、食品安全委員長の寺田さんにおいでいただいております。

 なぜ、このような事態になったんでしょうか。輸入再開の決め手となったのは十二月八日の食品安全委員会の答申でありますが、その後の急展開です。わずか四日後に決定、その四日後には牛肉第一弾が入ってまいりました。一月後には危険部位の混入であります。率直に、この間の事態について寺田食品安全委員長の感想を伺いたいと思います。

寺田参考人 お答えいたします。

 米国からの輸出プログラムにつきましては、私どもの委員会でも審議をいたしまして、その必要性、重要性に関しましては、答申案に繰り返し書いているところであります。

 今、高橋先生が言われました問題につきまして、話を聞いた最初は、本当のことを言うと、率直に言いまして大変驚きました。これは、米国の対応がいかにずさんかということを大変に驚いたという感じが、率直なところ、ございます。

 ただ、この問題は、米国のずさんさということが大きな問題でございまして、現在、その原因、あるいは今後の対応をするということなので、そこはしっかりと見ていきたいと思いますし、それから、その方策につきまして、管理官庁の方から国民に対してしっかりといわゆるリスクコミュニケーションをしていただきたいというふうに思っております。

 また、私どもは評価の機関でございますから、このことに関しまして、管理機関であります政府が全面輸入禁止をされたということは、評価機関といたしましては大変評価をしている次第でございます。

 入れなかったら……(発言する者あり)いや、本音でございます。もしかあのまま入れておったら……(発言する者あり)

大島委員長 答弁者は淡々とお答えしなさい。

寺田参考人 はい。

 国民の健康のことを思いますと、管理機関がやられたことに関しては評価しているという、それはそのままでございます。

 以上、私の本当のところでございます。

高橋委員 今、いかにずさんかという率直な感想をいただいたと思うんですけれども、事は、そのずさんなアメリカの体制について科学者がお墨つきを与えたんだ、そういう言葉がひとり歩きしては困るということなんですよ。安全委員長、そこを責任を転嫁されているんです、今現在。そのことを率直にどう思うのかということが、私、正直に問いたいと思うんですね。

 食品安全委員会の答申の内容は、「米国・カナダのBSEリスクの科学的同等性を評価することは困難と言わざるを得ない。」というものと、「リスクの差は非常に小さい」という、一見相反する内容でありました。しかしそこには、上乗せ条件、いわゆる特定危険部位の除去並びに月齢が二十カ月以下が証明できるものという前提がありました。答申の結論部分には、「前提が守られなければ、評価結果は異なったものになる。」とまで指摘をしております。

 委員長、今回の脊柱混入問題は、必須条件の一つが破られたのですから、いわゆる上乗せ条件という前提は崩れたと言ってよろしいでしょうか。

寺田参考人 おっしゃるとおりです。崩れたと思っています。

 したがって、輸入をとめたということは正しいと思っております。

高橋委員 前提が崩れたということはおっしゃるとおりですと言われたですね。

 ですから、問題は、それで輸入をとめた、でも、上乗せ条件がきちんと担保できるかどうかを責任を持って管理機関が、厚生労働省と農水省が責任を持ってやるということで評価をした。それを、まさか何度も繰り返すわけにはいかないわけですよね、もう前提が崩れちゃったわけですから。そこをどう見るかという問題なんです。

 管理機関である農水省、厚生労働省の責任が問われますが、中川農水大臣は一月二十六日の予算委員会の中で、「日本側に行政としての今回問題点があったかと言われれば、私はないというふうに考えております。」と答えておりますが、この発言について、撤回あるいは訂正されますか。

中川国務大臣 一年半にわたりまして、日本とアメリカとでいろいろな協議をし、また、独立した機関である食品安全委員会の先生方に長期間にわたって御議論いただき、出た結果、ルールにのっとってスタートをしたわけでございます。

 今回は、アメリカ側の、今、委員長からもずさんなという言葉がありましたが、本当に、一重二重のずさんな処理によってああいう形の、脊柱つきの肉が入ってこようとしたわけでありますけれども、日本としては、税関、動物検疫所でこのことを発見し、しかも、その部分、あるいはその会社だけではなくてすべてのアメリカの牛肉の輸入をストップしたわけでありますから、ルールどおり、あるいはそれ以上の対応をとったということで、今回のことに関しての日本側の行政の対応としては、私は問題はなかったというふうに理解しております。

高橋委員 ずさんな体制を全く見抜けなかったことについての責任はいかがですか。

中川国務大臣 ずさんな体制を見抜けたんです。

高橋委員 ずさんな体制を見抜けたと、ちょっと今の答弁は非常に驚きました。

 何がわかったんですか。

大島委員長 中川大臣、丁寧に答えてください。

中川国務大臣 一月二十日、成田の動物検疫所において、四十一箱の米国から入ってきた牛肉の中に骨つきの子牛の肉が入っている、脊柱つきの肉が入っている、これは、日米間で輸入をしてはならないという取り決めに明らかに違反をしているということを日本の行政当局が発見したということでございます。

高橋委員 まず一つは、一年半かけて審議をしたというお話ですけれども、一年半ではありません。国内対策についてほとんどの時間を費やしておりました。食品安全委員会がアメリカのリスクについて検討をし始めたのは昨年の五月ですから、わずか七カ月です。十分なデータもないままに、だからこそ上乗せ条件という形で言われたのではなかったですか。

 それから、今回の検疫体制、見抜けたと、ここまで自信たっぷりにおっしゃいましたけれども、輸入再開直後の特別な検疫体制の中でようやっと見抜けたし、背骨という特別な目立つものだったからこそ見抜けたんだと。通常の体制になったらそれができたのか、そこに自信を持って言えますか。ここを指摘し、時間なので。

大島委員長 終わりますね。

高橋委員 はい、残念ですが、ここを指摘して、終わります。

 以上です。

大島委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、本来、麻生外務大臣に質問通告をしてございますが、一連の本日の討議の中で、大変麻生大臣には恐縮ですが、ぜひとも中川大臣に確認しておかねばならない、あるいは安倍官房長官にしっかりと……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

阿部(知)委員 お答えいただかなければならないことがありますので、麻生大臣にはお許しください。

 先ほどの高橋委員の御質疑の続きでありますが、中川大臣には、いつの段階で、アメリカの牛肉の管理、これがずさんであると認識されましたか。いつアメリカの牛肉管理体制のずさんさを認識されましたか。

中川国務大臣 一月二十日の、あのときは総理の所信表明の日だったと思いますけれども、それが終わった段階で、成田で骨つき、脊柱つきの肉が発見されたという第一報を聞いたときに、脊柱つきかということで、もう聞いた瞬間にずさんだと思いました。

阿部(知)委員 その時点までずさんさに気がついていないということが、農水大臣として国民の食の安全を預かる立場の認識の甘さなんだと思います。

 川内議員の質問主意書は、全文、中川農水大臣はお読みになりましたか。川内議員の主意書を全文お読みになりましたか。お伺いいたします。

中川国務大臣 もう何回も読ませていただきました。

阿部(知)委員 その川内委員の質問主意書をよくお読みになれば、アメリカでの牛肉管理体制のずさんさが随所に指摘されております。

 中川大臣に伺います。

 アメリカの農務省の食品安全局のウィリアム・ジェームズ氏、この方は責任者でありますが、この方が、二〇〇四年の一月から二〇〇五年の五月まで危険部位の除去手続違反が千三十六件あったという報告をしておられますが、これは農水省として御存じでしたか。

中川国務大臣 今の千三十六件ですか、あって、いろいろな類型に分かれますけれども、その資料は、日本側、農水省で入手し、食品安全委員会の御議論に資する資料として提出をさせていただいております。

阿部(知)委員 川内委員の質問主意書は、それであればこそ、どのように検査官が検査し、現実にはその中でも除去されていないものがあるから、輸入より前に検査をせよという趣旨なわけです。

 九番目の一の質問が、この輸入開始前のアメリカの現状の検査でありました。何もぽこっとそこだけ来たわけじゃなくて、一連の続きの中で、そうしたずさんな現実がわざわざ向こうの最高責任者が報告したことの中にあるから、輸入前にせよという御指摘であったと思います。

 そのずさんさは、どこでどのように認識が変わって、一月になるまで全く忘れ去られていたのか、そのことにお答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 そもそもアメリカと日本ではシステムが違うわけです。基準が違うんです。国際基準とも日本は違うんです。国際基準よりもより厳しいんです。

 ですから、輸入開始前に、アメリカではオーケーだけれども、日本に輸入する場合にはオーケーじゃない。例えば、先ほどの脊柱がついているとかなんとかというのは、アメリカではオーケーなんです。それから、三十カ月以下なんです。日本は二十カ月以下ですから。

 そういう意味で、日本向けに決められたルールにのっとってやっているということをチェックするためには、輸出決定をして、再開決定をして、その作業が始まって初めてそのことが確認できるわけですから、その前に確認しろということは物理的に無理でございます。

阿部(知)委員 米国のウィリアム・ジェームズ氏の指摘は、そもそも月齢がどうかではないのです。危険部位が除去されるべき三十カ月以上でも残っておる、危険部位の除去という手技が違反で既に千三十六件あるという事実であります。

 その事実をあえて無視したからこそ、今回、輸入の場で、危険部位が除去されないものが見つかったわけです。

 安倍官房長官、事の認識は、政府がいかに危険性を認識しておったかにあると思います。そうしたことをあいまいにしたまま輸入再開に踏み込んだ、その判断こそが今問われているわけです。その判断に誤りはなかったのかどうか、お答えください。

安倍国務大臣 判断につきましては、ただいま農林水産大臣から答弁をしたとおりであります。

阿部(知)委員 ただいまのは答弁になっておりません。非常に失礼だと思います。あなたに、私は、判断に誤りがなかったのか、あなたの御意見を聞いたのです。逃げずにちゃんと答えてください。

安倍国務大臣 政府の判断としては誤りはなかったというふうに農林水産大臣が答弁したとおりでありまして、当然、私の答弁もそのとおりであります。

阿部(知)委員 誤りがなかったものが、一カ月で危険部位がごろごろついたものが出てくる。これはまさに、その判断の甘さ、認識の甘さ、命への本当の軽視だと私は思います。そうしたことを最後に申し添えて、私の質問を終わります。

大島委員長 答弁は要らないんですね。

 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃です。

 事前通告とちょっと違う質問をさせていただきます。北側大臣、申しわけございません。

 今までの民主党さんのいろいろな質問の経過から、中川大臣にお尋ねいたします。

 閣議決定どおりにしていないという大臣の行動に関しまして、大臣の行動は、状況の変化に対して、政治論的には理解できる、政治的には理解できるんですね。ただ、法手続的に誤りがあったことは認めますでしょうか。

中川国務大臣 政府としては、あの質問主意書に対する答弁書の内容が、あの十一月十八日時点で農林水産省、厚生労働省としてはこういうふうに考えておりますという意向を示したものであると。意向という言葉じゃなかったわけですけれども……(発言する者あり)認識であるという前提でございますので、そうである以上、状況が変わったのでその認識が変わったということでございますので、違反したか違反していないかと言われれば、違反をしていないということで、先ほど官房長官から御答弁があったところでございます。

糸川委員 私は、違反しているかどうかじゃなくて、法手続に誤りがありましたかということを確認しているんです。

中川国務大臣 確かに説明は、特に院に対しての御説明をきちっとしなかったということは責任を感じておりますけれども、法に違反をしているかと言われますと、根拠の法は何になるのか、私にはちょっと浮かばないので、御指摘いただければありがたいと思います。

糸川委員 閣議決定を覆すには閣議決定が必要だというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

中川国務大臣 閣議決定と法とは違いますけれども、閣議決定を変える場合には閣議決定が要るのかもしれませんが、今回の場合は閣議決定を変更する必要がない、違反をしていないということだと認識をしております。

糸川委員 では、せっかくなので総理にお尋ねしますが、質問主意書は議長を通して出すわけですね。そして、議長を通して返ってくる。ですから、閣議決定の重みというのはあるわけで、閣議決定の重さが今回は失われてしまう、閣議決定と反することをしたら法秩序を損なってしまうと思うんですけれども、行政を行う三権分立が崩れてしまうというふうに思うんですけれども、そのことを総理はどのようにお考えですか。

小泉内閣総理大臣 再三答弁しておりますように、それぞれ今までの答弁、質疑の中で、質疑者と答弁者との間でわかりにくい部分があったと。そこで、内閣で統一見解を出せということで出したんです。それを、何回も申し上げているように、十一月十八日に閣議決定された川内議員の質問主意書に対する答弁に反しているわけではないと理解しております。ただ、院に対して十分な説明を行わなかったことは事実であり、まことに遺憾である、これが統一見解なんです。答弁に反しているわけじゃないんです。そういうふうに我々は理解している。

糸川委員 なかなか難しいところですけれども、苦しい答弁かなというふうに思います。

 やはり中川大臣の今までの答弁を聞いていても、なかなか多分国民が納得しないんじゃないかなというふうに思うんです。今もどういうふうに考えられているかわかりませんけれども、この閣議決定には反していないということは間違いないですか。今でも変わっていないですか。もう一度、確認のためお願いします。

中川国務大臣 私は常に、私なりに食の安全という観点から、この米国産牛肉輸入再開問題にも最大限取り組んできたつもりでございます。ですから、再開前か後かというときにも、前に検査に行っても、物がないわけですからきちっと検査ができない、だから変更したということでございますけれども、先ほど、総理あるいは官房長官からも、政府の統一した形としての御判断、私も、やりとりの中で言葉足らず、あるいはまた聞き違い、いろいろあったかもしれません。そういうことで委員の方々には御迷惑をおかけした点があるかもしれません。そういうことで政府統一見解を出したわけでございますから、それに基づきまして、私は閣議決定違反ではないということを政府として表明したわけでございます。

糸川委員 私の持ち時間は終わりですのでこれで終わりますけれども、まだまだこの問題について追及をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

大島委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成十七年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 民主党・無所属クラブを代表して、平成十七年度補正予算三案に対し、反対の立場から討論をいたします。

 国民の安全と安心の確保は、政治の最も重要な責務であります。しかしながら、本補正予算案は、そうした政治の責任をないがしろにしたものであると言わざるを得ません。まず、災害対策費には、昨年末からの未曾有の雪害への対策費は一切含まれておりません。また、雪害以外の災害対策費にしても、被災者の切実な願いである住宅本体再建への支援が完全に欠落しております。

 民主党は、被災者の生活の基盤である住宅本体への再建支援を行う法案をこれまで何度も国会に提出してまいりました。そのたびに政府・与党は、私有財産に公的資金は投入しない、その一点張りで反対してきたのです。ところが今回、政府は、同じ私有財産であります耐震偽装物件については公的資金を盛り込んでおります。被災者に対するこの扱いの差は一体何なのでしょうか。明快な説明は全く見当たらないのであります。

 他方、耐震偽装物件並みの強度しかない小中学生の校舎が数多く存在するにもかかわらず、その対策費が一切盛り込まれていないことも不可解であります。子供の安全を脅かす凶悪事件の続発に対しても、全く手当てがなされておりません。民主党は、子供の安全を守るため、補正予算に学校耐震化、不審者侵入対策などを盛り込むことを強く主張いたします。

 さらに、アスベスト対策についても、たまたまアスベストを扱う工場のそばに住んでいたというだけで、何の落ち度もない人の生命や健康の代償として総額三百万円の支給というのは、これは余りにも不十分ではないでしょうか。

 最後に、政府が食の安全をも軽んじているということが、先般の審議の中で明らかになりました。米国産牛肉の輸入再開の前に米国での現地調査を行うという閣議決定をしていながら、それに平然と違反をして、現地調査せずに輸入再開をしたのであります。政府の行政府としての最高意思決定をみずから破るという、立法府のみならず、国民に対して不信と不安をもたらす行動をとったわけであります。

 以上、本補正予算案、そしてそれに関連する審議が数多くの問題を抱えているということは、火を見るよりも明らかであります。

 そもそも、なぜ補正予算を組まなければならないのかといえば、小泉政治の影の部分に手当てをせねばならないからであります。にもかかわらず、政府にはこの影に覆われた方々の悲痛な叫びにこたえようとする真摯な姿勢が見られません。責任逃れに終始し、わずかな手当てでお茶を濁そうとするその不誠実きわまりない姿勢は断じて許されないことを指摘し、私の反対討論といたします。(拍手)

大島委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇五年度補正予算三案に反対の討論を行います。

 災害対策など、被害者救済のため緊急に求められる補正予算は当然です。しかし、今回の補正予算は、以下の理由から賛成できません。

 第一に、本補正予算に在日米軍再編計画関連経費、すなわち米軍基地再編のための調査費等を盛り込んでいることです。

 沖縄県の普天間基地にかわるキャンプ・シュワブ地区への新基地建設のための調査経費を初め、米軍厚木基地と岩国基地、さらに鹿屋、築城、新田原の三つの自衛隊基地の現地調査費として、合計三億円を計上しています。これは、昨年の日米合意に基づき、日米軍事同盟の再編強化を進め、自衛隊と米軍の軍事一体化、日米同盟の地球的規模への拡大を一層推し進めようとするものです。

 こうした基地再編に、関係する住民や自治体が強く反対するのは当然であり、断じて認められません。また、SACO経費は、沖縄での米海兵隊実弾演習を本土で移転実施するための経費であり、容認できません。

 第二に、アスベスト対策は、被害者の真の救済や問題の根本的解決にとって極めて不十分なものであります。

 これまで石綿による健康被害がありながら一切救済されてこなかった工場周辺住民等の救済に初めて踏み出したことは、長年にわたる被害住民の運動を一定反映したものであります。

 しかし、今回の対策は、国の行政責任と加害企業の責任をあいまいにし、その救済水準は極めて不十分なものであります。少なくとも、対象疾病を中皮腫、肺がんだけでなく労災並みの五つの疾病に拡大し、労災や公害健康被害補償の水準に引き上げるべきことを強く要求するものであります。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

大島委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出、二〇〇五年度補正予算三案について、反対の立場から討論を行います。

 本日の審議でも既に明らかなように、命に直接かかわるBSEの問題をめぐっても、閣議決定がいかにいいかげんなものであるかは、私どもの審議の中でも明らかになっております。

 今回の補正予算案でも目玉とされているアスベスト対策についても、何よりも国の責任が全く盛り込まれておらず、内容的にも、労災補償と比較すると、金額や対象範囲、性格等が極めてあいまいであり、すべての被害者に対する公正な補償にも、真の総合対策の確立にもほど遠いと言わざるを得ないと思います。

 認定基準が労災認定基準と比較しても厳しいものになってしまうおそれや、中皮腫、肺がん以外のアスベスト関連疾患が新法の対象とされない可能性もあり、生活を支え切れないといった不安や悲鳴が患者や遺族からも次々と出されています。

 目先の責任回避にきゅうきゅうとした小手先のびほう策ではなく、ノンアスベスト社会の実現に向けた総合対策を強く求めるものです。

 また次に、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設が合意されたことを受け、埋蔵文化財や地質、環境などを調査するために必要となる経費等が含まれていることは、沖縄県民の基地への思い、基地撤去への思いや、あるいは自然環境を破壊する、そうした基地の問題について全くその気持ちを逆なでするものであり、認められません。

 次に、補正予算そのものは、財政法二十九条で予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費とされているにもかかわらず、行刑施設整備費や沖縄の米軍基地移転に関する日米特別行動委員会の経費、市町村合併推進体制整備費補助金などのように、災害対策とはとても言えないものも含まれており、大変に問題が残るものと思います。

 その一方で、未曾有の豪雪に対する雪害対策費等には全く配慮がされず、耐震偽装対策や新型インフルエンザ対策、子供の安全対策への対応も極めて不十分なこと、地方交付税増額分が恣意的に利用されていることなど、今回の補正予算案は多くの問題を抱えており、反対することを表明し、討論を終わります。(拍手)

大島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより採決に入ります。

 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)、平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立多数。よって、平成十七年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成十七年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後十一時四十八分散会


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