衆議院

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第9号 平成18年2月10日(金曜日)

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平成十八年二月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金子 一義君 理事 田中 和徳君

   理事 玉沢徳一郎君 理事 茂木 敏充君

   理事 森  英介君 理事 細川 律夫君

   理事 松野 頼久君 理事 上田  勇君

      井上 喜一君    井脇ノブ子君

      伊吹 文明君    臼井日出男君

      小川 友一君    尾身 幸次君

      越智 隆雄君    近江屋信広君

      大野 功統君    大前 繁雄君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      川条 志嘉君    河井 克行君

      河村 建夫君    佐藤ゆかり君

      斉藤斗志二君    坂井  学君

      笹川  堯君    実川 幸夫君

      園田 博之君    高市 早苗君

      渡海紀三朗君    中山 成彬君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      根本  匠君    野田  毅君

      藤井 勇治君    藤田 幹雄君

      三原 朝彦君    山本 公一君

      山本 幸三君    山本 有二君

      小川 淳也君    大串 博志君

      岡田 克也君    加藤 公一君

      笹木 竜三君    末松 義規君

      高山 智司君    原口 一博君

      伴野  豊君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    伊藤  渉君

      坂口  力君    西  博義君

      佐々木憲昭君    塩川 鉄也君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

      徳田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   財務副大臣        竹本 直一君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   財務大臣政務官      西田  猛君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       松本 義幸君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   参考人

   (食品安全委員会委員長) 寺田 雅昭君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     藤田 幹雄君

  亀井 善之君     大前 繁雄君

  河村 建夫君     井脇ノブ子君

  笹川  堯君     越智 隆雄君

  二田 孝治君     藤井 勇治君

  町村 信孝君     岡部 英明君

  山本 公一君     坂井  学君

  山本 有二君     丹羽 秀樹君

  小川 淳也君     末松 義規君

  桝屋 敬悟君     伊藤  渉君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     河村 建夫君

  越智 隆雄君     川条 志嘉君

  大前 繁雄君     佐藤ゆかり君

  岡部 英明君     小川 友一君

  坂井  学君     山本 公一君

  丹羽 秀樹君     西本 勝子君

  藤井 勇治君     近江屋信広君

  藤田 幹雄君     臼井日出男君

  末松 義規君     小川 淳也君

  伊藤  渉君     西  博義君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     町村 信孝君

  近江屋信広君     二田 孝治君

  川条 志嘉君     笹川  堯君

  佐藤ゆかり君     亀井 善之君

  西本 勝子君     山本 有二君

  西  博義君     桝屋 敬悟君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ち、委員各位、各会派に一言申し上げます。

 委員会の審議に当たっては、国会の品位を重んじ、充実したものとなるよう願います。

     ――――◇―――――

大島委員長 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算、平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長寺田雅昭君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として防衛施設庁長官北原巖男君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、外務省北米局長河相周夫君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長松本義幸君、農林水産省消費・安全局長中川坦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤公一君。

加藤(公)委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。

 先日の委員会質疑に続きまして、この前、しり切れで終わってしまいましたので、それに続きまして、きょうは、感染症対策、そしてその研究のテーマについて伺ってまいりたいと思います。

 まず、もう既に皆さんも御承知のとおり、鳥インフルエンザが世界的な流行の兆しがございまして、大変大きな人類にとってのリスク要因となっております。この高病原性の鳥インフルエンザ、あるいはそれが変異をした場合にあらわれる可能性のある新型インフルエンザ、もちろんそれ以外にも致死率の高い感染症というものは存在をするわけでありますが、そうした感染症が日本国内で流行する可能性というのは決して否定できないところであります。

 こうしたリスクに対して、政府としてどのような危機感を持って対応をお考えでいらっしゃるのか、まずはこの認識を厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

川崎国務大臣 新型インフルエンザ対策については、WHOを中心に、各国連携しながらやらせていただいております。

 基本認識としては、今六カ国、最近の報道ではアフリカも入ってきたかもしれない、七カ国になりますでしょうか、あの地域で、鳥から人へうつる段階、人から人への段階になるかならないか、これをしっかりウオッチしていかなきゃならぬ。

 また、ある地域でそれが起きましたときに、まさにWHOを挙げて、また日本の国も最大限の努力をしてそこに囲い込みを行う、これが第一の手段であろう。最悪の場合に、我が国にもH5N1が来たという場合にどのぐらいを想定するか、これは、正直言って大変難しい想定でございます。

 しかし、一方で、行動計画におきましては、全人口の二五%が罹患すると想定した場合に、医療機関に受診する患者数、約千三百万人から二千五百万人、こういう推定をいたしております。

 したがって、こうしたものに対応する薬の確保、それから、医療機関というものを都道府県としっかり調整し合いながら確保する、これが一番大事だろうと思っております。

 また、過去の例で申し上げると、当時、医療はどのぐらいでしたかという問題も含みますから必ずしも正しい想定にはならないかと思いますけれども、アジア風邪、これは一九五七年でございます。このときは、我が国において、入院患者数は五十三万人、死亡者数は十七万人。また、重度、これはスペイン風邪が一番きつうございますけれども、このときが、今から約九十年近く前になるのでしょうか、一九一八年、入院患者数が二百万人、死亡者数は六十四万人。医療の進歩がかなり違いますので、しかしながら、やはりこういうものも頭の中に置きながら、最悪の場合も想定しながら準備を進めている、こういうことでございます。

加藤(公)委員 確かに、過去の流行のときとは時代が変わっておりますから、当然のことながら、医療技術や医薬品の進歩もあります。あるいは栄養、衛生状態も変わっておりますので一概には言えないとは思いますが、仮に新しい形のインフルエンザが発生したとしたらその病原性がどの程度の重みを持つのかということは、これは我々が今の段階で予測することは不可能なわけですから、最悪の事態を想定するというのは当然のことだと思います。

 今大臣の御答弁にもありましたけれども、政府としてお考えの最悪のケースというのを考えても二百万人ぐらいの方が入院する可能性がある、こういうお話でありますし、私も、承っておりますところでは、病原性が中等度の場合であったとしても一日の最大入院患者数が十万人を超える場合が起こり得る、これは政府の試算として出していらっしゃると聞いております。中等度の場合であっても一日最大十万人の方が入院せざるを得ない可能性がある。これが仮に病原性がもっと重たいものになれば、さらに多くの方が、ある日一日だけでも入院を要するということが起こり得るということであります。

 これが果たして今の日本の医療機関で対応できるのかどうか。厚生労働大臣、いかがお考えでしょうか。

川崎国務大臣 基本的に都道府県と連携し合いながら、今お話がございました最悪の事態を想定しながら準備は進めなければならないだろう。

 今完璧にでき上がっておりますかと言われたら、進行中であることだけは事実でございます。

加藤(公)委員 正直な御答弁だと思います。

 今現在、では、それにすべて対応できるのかといったら、恐らくできないのだろうと思います。ただ、一方では、新型インフルエンザが発生するリスクというのは、これは高まることはあっても、恐らくそのリスクが小さくなることは想定できないのだろうと思いますので、相当の危機感を持って対策をしていただかなければいけないと思います。

 そこで、別の観点からお伺いいたしますけれども、そうはいっても、何よりも一番大事なことは予防対策でございまして、予防対策としてどんな方法をお考えなのかということ。それともう一つは、予防対策を国が考えただけでは意味がなくて、それを日本じゅうの方が承知していなければならない。その周知徹底をどのようにお考えか。この二点を伺いたいと思います。

川崎国務大臣 そこは、正直申し上げて、基本的な原則、うがいをしましょう、手を洗いましょう、やはり清潔な生活というものをきちっと担保する、これが、今の風邪でもそうですけれども、同じ理屈であろうと考えております。

加藤(公)委員 本当にそれは基本中の基本だとは思いますが、それだけでいいのかどうか。

 予防というのは、お一人お一人が気をつけていただくという部分ももちろんありますけれども、万が一、新型インフルエンザに変異をする前であっても鳥インフルエンザがまた日本で発生するリスク、あるいは新型インフルエンザが海外で発生をした場合に日本がどう対応するかということも含めて予防というのは考えていかなければならないと思いますが、その点はいかがお考えですか。

川崎国務大臣 予防ということになりますと、正直言って妙手はありません。先ほど申し上げた、最大の予防は、鳥から人へうつる状態から、人から人へうつる、それを各国が、もうその事態が生じたらすぐ情報発信する。そして全世界を挙げて取り組む。そして、一番効くであろうと言われておりますタミフルという薬を集中的に投与する。また、医師の投入を行うということで、何といっても、囲い込みといいますか抑え込み、これが一番大事であろうと考えております。

加藤(公)委員 では、ちょっとだけ進めて別の観点から伺いますが、今お話あったように、日本でなくとも、世界のどこかで人から人にうつるような形にインフルエンザが変異をした、その流行が発生し始めたという場合、あるいは場合によっては日本が最初かもしれません。日本で患者さんが発生するということも起こらないとも言えないところでありますが、その場合に、政府としてどういう対応をまずとられるのですか。

川崎国務大臣 ある地域ということが確認されましたならば、基本的には、そことの往復の問題に当然なってまいるだろう。空港とか港湾におきまして、入管体制の中できちっと消毒するなり、入らないような体制をしくというのが第一になってまいると思っております。

加藤(公)委員 もちろん、日本にできるだけ入らないようにするというのは当然のことだと思うんですが、今も質問でも申し上げたとおり、場合によっては日本国内で患者さんが発生をするということだって想定しておかなければならないわけでありまして、そのときに、流行の規模を少しでも小さく抑える。そのために、仮に患者さんが発生した、あるいは近隣諸国で発生した場合に国内でどんな対応をとるのかというのは、水際で防ぐというだけではなくて、国内の対策としてどんな対応をとるのかということも当然想定しておかなければならないと思いますが、この点、いかがお考えですか。

川崎国務大臣 一つは、先ほどから議論しておりますように、病院の受け入れ体制、場合によっては隔離しなければならぬだろうと思います。

 それからもう一つは、薬の備蓄というものを計画的に進めなければならない。したがって、補正予算におきまして、七百五十万人分のタミフルの確保ということで補正予算を成立させていただきましたので、その確保をまず国が率先してやるということで位置づけております。

 一挙に二千五百万人という薬の量をロシュという会社から購入することが可能ならばすぐ実行いたしますけれども、これは委員が一番御承知のとおり、日本の消費量が大変多い薬でございました。それが今、全世界が求めている。全世界が手を挙げて、ロシュに、私のところへ寄こせ寄こせ、こういう状況でございますので、流通在庫を含めて七百五十万をまず確保する。

 それから、地方にも、状況に合わせながら、国が七百五十万確保して、一定の地域があればそれをすぐ動かすということと同時に、各地域にきちっとしたストックをしてもらう。そして我々もストックをふやしていくということで、全体として二千百万人分の確保、これは二年間です。それから四百万、これは流通在庫でございますので、合わせて二千五百万人をこの二年間できちっと確保してそうした状況に対応していくというのが、私どもの今対応しておる措置でございます。

加藤(公)委員 タミフルの備蓄の問題あるいは治療方法の問題はもう少し後で改めて議論させていただきたいと思いますが、私が心配をしておりますのは、先ほど大臣おっしゃったように、予防のために、うがい、手洗いを励行してください、それこそ幼稚園、保育園、小学生からずっと言われ続けていて、それでも、新型じゃありませんが、インフルエンザというのは毎年冬になると発生をするわけであります。ことしも、多くはないかもしれませんが、当然患者さんは出ているわけでありまして、それを言っているだけでは、なかなか、大変リスクの大きな新しい感染症の大流行を防ぐということにはならないだろう。

 万が一、近隣諸国で新しい形のインフルエンザが発生した、場合によっては日本国内で患者さんが発生したというときに、その患者さんに対してどう対処するのか。あるいは、海外から日本に病気が入ってこないようにするためにどうしたらいいのかということをまず第一に考えるべきではないですかということを申し上げているわけであります。

 大臣も先ほど、水際でできるだけ防ぐというお話はありましたが、国内で患者さんが発生した場合に、タミフルを飲んでくださいだけでいいのかどうか。そこを伺いたいと思います。

川崎国務大臣 今、想定として、日本で第一号が出た場合にどうするんだという御下問のようですけれども、正直言って、人から人への鳥インフルエンザはかなり伝播力が強いと思っております。そういった意味では、起きたときに、まさにその地域総動員体制になるだろう、こんな想定をいたしております。

 段階段階においてやるべきことを既に六フェーズまで決めておりますけれども、それに合わせながら準備行動を進めることになると思います。

加藤(公)委員 もちろん、日本で第一号という可能性がないわけじゃありません。ただ、高いとは思っていません、私も。

 ただ、世界のどこかで人から人へ感染をする新型インフルエンザが発生してしまったときに、新型インフルエンザの出現が起これば我が国への侵入も避けられないと言っているのは厚生労働省御自身でいらっしゃいますから、世界じゅうどこかでこの新しい病気が発生してしまった場合には、日本国内で起きたことを既に想定しなければならないんじゃないか。

 幾ら水際で防ぎますと言っても、防ぎ切れるものじゃないというのは政府としておっしゃっていることでありますから、だとしたら、日本が第一号かどうかは別にして、日本で新型インフルエンザの患者さんが仮に発生した場合には、いや、タミフルが備蓄してあるからそれを飲んでもらえば大丈夫なんですと言うだけで本当に大丈夫なんですかということを伺っているんです。ほかに何か対処するすべはないんですかという御質問であります。いかがですか。

川崎国務大臣 基本的な医療技術として、タミフル以上の薬というものは考えておりません。

 しかし、先ほど申し上げたように、地域で起きれば、当然、病院の中で隔離政策等していかなければならぬだろう。一方で、伝播力は相当強いということも頭の中に置かなければなりませんので、そういった意味では、一挙にタミフル等をその地域に投入していかなきゃならぬ。そういった意味で国が七百五十万人分持つ、こう申し上げております。

加藤(公)委員 実際、伝播力が強いであろうという予測は私もわかります。ただ、その程度がどの程度かというのは、これは病原性の問題と同じで、実際に発生してみない限りわからないところであります。恐らく、仮に日本国内で病気が発生をすれば、これは厚生労働省の方ももうお考えだとは思いますが、大流行する前の段階の対処の仕方と、流行がほぼ広がってしまった場合の対処の仕方というのは当然変わってくるんだとは思いますが、かなりの部分、これは医療界だけではなくて多くの国民の皆さんにも何がしかの御協力をいただかないと、それは手を洗うとかうがいをするとかいうレベルではなくて、御協力いただかないと、この大流行を防いだり、あるいは小さなものでおさめたりということはなかなか容易じゃないんだろうというふうに私は思っております。だからこそ、これは実は最初の話に戻るんですが、より早い段階から正確な情報を国民の皆さんにお伝えするということこそが大事なんじゃないか、これを申し上げているわけです。

 政府がどの程度の危機感を持っていらっしゃるのか認識を伺いたいという最初の質問はまさにそれに通ずるところで、何も、不安をあおってパニックを今から起こさせようなんというつもりは毛頭ありません。ただ、万が一病気が発生してしまった後にパニックになることの方が私は怖いと思っていますから、それであるならば、今の段階で、こういうリスクが我々人類にはあるんだ、日本にもあるんだ、場合によってはこういうことも想定し得るから、皆さん、できるだけこういうことには協力してくださいという正しい情報を国民に伝えていく責務は国が負っているんじゃないですか、こういう趣旨で伺っているんですが、大臣、いかがお考えですか。

川崎国務大臣 今言われている意味は、例えば今のインフルエンザでも、学校を何日間か授業をとめてもらう、こんなことを現実行っていますね。それ以上の段階になるだろうということを委員は言われているんだろうと思うんです。

 例えば、接触をなるべくしないように、それから集会、そういうものをなるべく御遠慮くださいというような形にする。それから、警察とか医療機関の人たちに優先的に薬をしながら、安全体制を確保しながらやっていかなきゃならぬ。これは段階を追いながらやっていくということになります。もちろん消毒ということも当然出てまいりますし、そんなものを複合的に組み合わせながらやっていく。

 最終的には、私どもだけでやり切れない話でありますから、省庁全体、連絡会議を持ちながらやっていく、こういうことになります。

加藤(公)委員 今おっしゃられたように、例えば医療従事者の方とか、社会を動かしていく上で必要な皆さんに優先的に医薬品を使っていただくなんということも当然出てくるんだろうと思いますし、あるいは、できるだけ人と接触をお互いしないようになんということも出てくる可能性だってあるわけであります。

 つまり、鳥インフルエンザとか新型インフルエンザがどうのという報道がなされていても、今ここで議論されているようなレベルまで多くの国民の皆さんは考えていらっしゃらない、想定していらっしゃらないというのが私の思いなんです。そこまでひどいものじゃないんじゃないか、新型インフルエンザというのが発生したとしても、毎年の冬とそんなに変わらなくて、まあ風邪引いたぐらいで、五日も寝ときゃいいのかなぐらいの認識の方が多いんじゃないだろうか。

 でも、それでは新しい感染症に日本として対応できないから、不安をあおるわけじゃありませんよ、不安をあおるわけじゃありませんけれども、ここまでのリスクはあり得るんだから、皆さん、ここまでは了解しておいてくださいね、あるいは、ここまでの予防は協力してくださいねということを今の段階から伝えておくべきじゃないですかということを申し上げているんですが、いかがですか。

川崎国務大臣 テレビの報道番組等でも随分取り扱われておりますので、私は、国民の鳥インフルエンザに対する意識というのはかなり高くなってきているとは思っております。自分自身、いろいろな集会に出ます。今先生の言われたような質問がたくさん出ますので、国民の皆さん方はある程度御存じだと思いますけれども、厚生労働省、もう少ししっかりとしたPRをしろという御激励だと思いますので、しっかりやってまいりたいと思います。

加藤(公)委員 正確な情報を事前に知っているということが極めて重要な問題だと思いますので、その線でぜひお願いをしておきたいと思います。

 先ほど大臣からの御答弁にもありましたけれども、今度は治療方法の件でお話を伺いたいと思いますが、医薬品としては現状ではタミフルが最も有効であろう、だからそれを備蓄するんだ、こういうお話でありました。

 先日の委員会質疑のときにも、私、そのことは伺わせていただいて、聞いているところですと、国として一千五十万人分、地方自治体として一千五十万人分、四百万人分は大体流通在庫があるだろう、こういう読みだというふうに理解をしております。補正予算で予算がついて備蓄がスタートしたということは私も理解しておりますが、この二千五百万人分の備蓄は果たしていつまでに調うのでありましょうか。

川崎国務大臣 ロシュという会社との交渉を続けて、我が国は二年間で二千百万人分買います、買いますからつくってくださいということで要請申し上げて、そういった意味では、この四月から二年間で備蓄をするということになります。

加藤(公)委員 二年間で二千百万人分、つまり、流通在庫分を除いた二千百万人分は確実に日本として手に入るというふうに理解してよろしいんでしょうか。

川崎国務大臣 厚生労働省の担当者とロシュとの話し合い、煮詰めてきております。一部報道でも流れていますとおり、でき得れば国内で生産に移れないかという要請もしながらやってきておりまして、約束は履行されるものだと信じております。

加藤(公)委員 国内生産の件はけさの報道でも私も拝見をいたしましたが、あれは早くても生産開始が二年後以降ということですから、今おっしゃっていた目標の後の話だと思います。それはそれで期待はいたしますけれども、国と地方自治体合わせての二千百万人分というのは、二年間でぜひ備蓄をしていただきたいと思います。

 そのときに一つ不安になりますのは、政府として一千五十万人分というのは、これは実はわかりやすいんですね、ここで直接議論できますし。都道府県に残りの一千五十万人分の備蓄を政府としてはお願いするという形になるんだろうと思いますが、依頼をする。こちらの一千五十万人分の備蓄というのは本当にできるんでしょうか。これは総務大臣に伺います。

竹中国務大臣 厚生労働省とよく相談をしながら進めているところでございます。

 これは、言うまでもなく、この対策として、国と地方が適切な役割分担のもとで、発生時に迅速に対応するということが重要である。県民の健康維持の観点から考えまして、厚生労働省から都道府県に対し備蓄の要請がなされたというふうに承知をしております。量としては、二千百万人分の半分の千五十万人分。

 当該都道府県の備蓄に要する経費につきましては、平成十八年度から二年間、地方交付税措置を講ずることにしておりますので、その手当てがなされるということでございます。

加藤(公)委員 財政的な支援の件は私も承知をしておりますが、聞くところによりますと、きょう現在で、四十七都道府県のうち、行動計画ができていない県もまだ幾つか散見されるというふうに聞いております。

 都道府県に、合計で一千五十万人分になりますが、それぞれ備蓄してくださいね、財政的な手当ては国からしますよと言っているだけで本当に大丈夫なのか。本当に備蓄が進んでいるかどうかということを政府として確認しなくていいのかどうか。総務大臣、いかがお考えですか。

川崎国務大臣 基本的に、昨年来ずっと議論を詰めてまいりまして、また総務省さんの御協力もいただき、都道府県の足並みがすべてそろった、こういうことでございます。

加藤(公)委員 今の御答弁は、では、四十七都道府県すべて、二年間で備蓄を完了するという言質をとっている、こういうことでよろしいですか。

川崎国務大臣 薬の話だけでなく、先ほどから議論いたしております行動計画を四十七都道府県がおつくりいただいた、こういうことでございます。

加藤(公)委員 いや、行動計画を四十七都道府県がつくることは知っています。ただ、きょう現在、まだ完成していない県もあることも事実だと聞いております。私が心配しているのは、計画をつくるのはいいんです、そこまで約束していらっしゃるのも聞いています。計画をつくったけれども、二年たったら、済みません、備蓄ができていませんというのじゃ困っちゃうから、ちゃんと薬が都道府県に、総計一千五十万人分の備蓄が進んでいるかどうか、政府として確認をされた方がいいんじゃないですか、今後どうされますかという質問です。

川崎国務大臣 御指摘は現実にやっているわけです。全国の都道府県の保健衛生部長、責任者を東京に呼びまして、会議を重ねております。今言われたことも、御懸念でございますので、私どもから、その会議のたびにチェックするようにさせていただきます。

加藤(公)委員 では、その件は大臣を信用して、お願いしておきたいと思います。

 予防、治療に関して言うと、もう一つ、タミフルの備蓄だけではなくて、ワクチンの開発の問題というのも感染症にとっては非常に重要なテーマになるかと思いますが、新型インフルエンザと呼ばれているものについて、そのワクチンは、今、どなたがどこで研究をしていらっしゃるのか、あるいはしようとしていらっしゃるのか。厚生労働大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 日本のインフルエンザワクチン製造業、四社でございます。四社が協力して新型インフルエンザワクチンの開発研究及びプロトタイプワクチンの供給と確保に取り組んでおり、今回の予算におきましても、とりあえず卵をきちっと確保させてもらう。どこかで実際発生したということになれば、それをとってワクチンの製造に入る。

 そういった意味では、実は、つくるために約一年かかります。できるだけその日数を縮められぬかということで努力いたしておりますが、いずれにせよ、現物がまだないわけでありますから、想定想定で全力を挙げて取り組んでいるということでございます。

加藤(公)委員 今大臣がおっしゃられたように、四社というか四団体なんですね、インフルエンザワクチンの開発、製造をされるところが。開発期間をできるだけ短くすれば、それだけ日本が負うリスクは小さくできるわけでありますから、それでいうと、何もこの四社じゃなくとも、もっと多くのところで開発なり研究なりを進める体制をとられてはいかがかと思うんです。

 これは名前はあえて出しませんけれども、なぜこの四社だけなのか、何か理由があるのであればお聞かせいただきたいと思います。別に理由がないのならそれはそれで、きょうのメーンテーマではありませんので後日また改めて伺いますが、理由があるんだったら教えていただけますか。

川崎国務大臣 私どもの現状認識として、ワクチン製造業者、しっかりとした能力を持っておるものという基本、どこで線を引いたかと言われるとなかなか回答しにくうございますけれども、お名前も挙げておきます。

 化学及血清療法研究所、これは熊本県でございます、阪大微生物病研究会、香川県、北里研究所、デンカ生研、この四社と共同しながら、御懸念でございますので、この四社の能力が上がっていくように我々もできるだけの協力をしてまいりたい。

加藤(公)委員 きょうはその部分はメーンテーマではないのであえて私からはお名前を申し上げませんでしたが、大臣から御答弁いただきましたので、その四社で本当に十分なのかどうなのか、私もまた今後勉強させていただきたいと思います。

 もう一つ、これは新型インフルエンザとは別でありますが、広く感染症という意味でいえば、本当に最悪の場合、テロに使われる可能性のあるような病原体というのも当然存在をしているわけであります。これは鳥インフルエンザとか新型インフルエンザというのとは全く別の観点で、病原性の高い感染症の病原体に対して、例えば治療方法であるとか医薬品であるとか、その開発あるいは基礎的な研究というものを国内で十分にしていくべきではないかというふうに私は思っているんです。

 インフルエンザに限らず、現状、日本で、感染症の病原体に対する研究は十分にできているのでありましょうか。厚労大臣、場合によっては文部科学大臣にも伺いたいと思います。

川崎国務大臣 御指摘のように、私の分野と文科省の分野、国立感染症研究所、大学、地方の衛生研究所、それから民間企業で行われております。

 その管理体制について、国立感染症研究所では国立感染症研究所病原体等安全管理規程というものをつくっております。基本的には、この基本的な施策というものを他の機関でも応用しながら、他の機関もそれに合わせながらやっていただいているという認識をいたしております。

小坂国務大臣 ただいま厚労大臣の御回答にもありましたように、大学関係の研究施設では、国立感染症研究所やウイルス学会等が作成した規程類を準用いたしまして、大学を初めとした多くの機関で研究いたしております。

 具体的に申し上げますと、ただいまの厚労の方では国立感染症研究所でございますが、私どもの方では、東京大学医科学研究所あるいは阪大の微生物病研究会、こういったようなところを中心にいたしまして、長崎大学あるいは北海道大学、徳島大学を初めとして、海外にも拠点をつくりながら感染症の研究に入っているところでございます。

 とりわけ新型インフルエンザ関係といたしましては、十七年度に緊急調査研究をスタートさせておりまして、これは先ほど厚労大臣の方から回答のあったところでございます。

加藤(公)委員 私が、今、十分にできていますかという聞き方をしたのは、例えば病原体の研究をするときに、この辺で勝手に実験ができるわけじゃもちろんありませんので、それなりの研究施設が当然必要になるはずであります。そうじゃなければ、危なくてそんな研究できるわけがありませんので、当然、それなりの研究施設が必要になる。今、厚生労働省の所管では国立感染症研究所、文部科学省の所管では東大、阪大を初め各地の大学の研究施設等々お名前を挙げていただきましたが、それぞれの研究施設は、その研究に対応するだけの十分な施設設備は整っていらっしゃるんでしょうか。

 別の言い方をすると、病原体というのは本当に数多くある。それぞれ、病原性の低いものもあれば高いものもある。極めて高い病原性の病原体について研究するだけの体制が我が国で整っているかどうかということを、私、疑問に思っていますが、いかがですか。

川崎国務大臣 先日御答弁したかと思いますけれども、現在、法規制がありません。したがって、取扱施設にて許可、届け出を要しないことから、そのすべてを私どもは把握していないのが現状でございます。

 委員御承知のとおり段階を分けておりまして、P1レベル、P2レベル、P3レベル。P1というのは通常の微生物学実験、ある意味では大学の実験室等で行えるようなもの。P2レベルの病原体は、エアロゾル発生のおそれのある実験は生物学的安全キャビネットを用いる等、いろいろな規制をかけております。P3レベルについては、二重ドアまたはエアロックにより外部と隔離され、排気は高性能フィルターを通す等の設備を有する実験室ということになり、P4は現実に動いておりません、これはもう御承知でありますけれども。P4については、独立した建物とし、隔離域と、それを取り囲むサポート域を設ける等、基本的に全体から隔離されておるということが前提になっております。

加藤(公)委員 今、川崎大臣からしっかりと御答弁いただきましたから、それを前提にお話ができますので手っ取り早くていいんですが、P1からP4までのそれぞれの研究施設のレベルがあって、一番病原性の高いウイルス、細菌等々の研究施設、つまりP4については日本では一カ所も存在をしていないわけであります。施設として二カ所しかない。その二カ所とも稼働していないというのが現実であります。一つは、つくばにあります理化学研究所、もう一つが国立感染症研究所の武蔵村山庁舎であります。私の地元でありまして、だからあえて伺うという部分もないわけじゃありませんが。

 きょうは、その部分、これは各論で議論させていただいた方がかえってわかりやすいと思いますので、そこを少し取り上げさせていただきたいと思うんです。

 なぜP4レベルの施設が稼働できないのか。二カ所しかないということ自体、不十分だとは思いますが、仮に二カ所で何とかなるとしても、両方とも稼働できていない。これは、住民の皆さんが不安に思っていらっしゃる、当然、反対を表明していらっしゃるから稼働できないでいるというふうに私は理解しております。

 では、なぜ住民の皆さんがそんなに不安になるのかということを実は皆さんに御理解いただきたいと思って、きょうは資料を配らせていただきました。予算委員会の資料としては珍しいかと思いますが、地図を一枚配らせていただいておりまして、国立感染症研究所の武蔵村山庁舎の周辺の住宅地図であります。

 ごらんいただけばおわかりのとおり、日本で最も危険度の高い病原体の研究をする施設、国立ではここ一カ所です。国立では日本でただ一つのP4レベルの研究施設がここにあって、隣が小学校と養護学校です。周辺は住宅地であります。すぐ御近所には大きな病院もあります。

 ここで一番病原性の高いウイルスの研究をさせてくださいと言って、住民の方が、はい、どうぞとおっしゃるでしょうか。そこで反対をするのが住民エゴだと言えるでしょうか。大臣、どうお考えになりますか。

川崎国務大臣 御承知のように、研究所として設置され、その後、東京都内全域にわたって都市化が進んだという中で、団地も学校も後から建設されてきたことは事実でございます。

 P3段階までについてはお認めいただいておる。しかし、P4ということになりますと、まだ地域の皆さん方の御理解を得られない。それを強行するつもりはございません。ゆっくりお話し合いをしながら、完全に隔離というものがされているということをぜひ御理解賜りたいと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、強引にやるという気持ちはございません。

加藤(公)委員 私は何も、住民の意見をここで代弁して申し上げようという、それだけのことじゃないんです。

 日本全体の感染症対策の議論をきょうはさせていただいてきました。前半は鳥インフルエンザ、新型インフルエンザの対策について伺いました。でも、感染症というのはそれだけじゃなくて、ほかに、それこそテロに使われるリスクのある病原体というのもたくさん存在をしています。アメリカなどではウエストナイル熱がいまだに流行しているなんという事実もあります。日本だって、いつ入ってこないとも限らない。そういう状態の中で、感染症研究をもっと進めるべきだというのが私の趣旨なんです。

 ただ、研究を進めるときに、幾ら後からできたとはいっても、住宅街のど真ん中で、国立の施設としてはただ一つのP4レベルの研究所をここに置いて、研究させてくださいと言ったって、それは周りの方が不安に思うのは当然で、結局のところ、日本ではP4レベルの研究は国内ではできていないわけであります。

 そのことが問題だと私は申し上げているのであって、それであれば、もっと十分に安全に研究できるところに研究施設を移すなり、あるいはつくるなりした方がよろしいんじゃないですかということを申し上げているんです。大臣、いかがお考えになりますか。

小坂国務大臣 厚労大臣御答弁の前に、先ほどの関係も含めまして、P4レベルの理化学研究所の施設もあることは御存じのとおりでございます。

 国内でというお話でございますけれども、感染症研究の場合に、病原菌が入手しやすいところで研究をするというのも一つの方法なんですね。そういう意味で、国立大学であります大阪大学あるいは東京大学、北海道大学、長崎大学それぞれに、長崎大学がベトナム、大阪大学がタイ、そして東京大学は中国と、新型インフルエンザについて特化した研究もスタートさせていただいております。また北海道大学が、これは海外とは、特に拠点を設けてという形ではございませんが、提携しながら研究を進めている。

 それぞれタイとか中国とかベトナムに拠点をつくったのは、そういう意味では、現地での管理体制を含めて、病原菌の入手のしやすさ、そして既に研究者がいるということ、そこに日本の研究者が行って完全な共同研究をする、そして成果として持ち帰ってくる。こういう形で、安全性も確保しながら研究を進める体制もあわせてやっているということも御了解いただきたいと思います。

川崎国務大臣 今お話ございましたように、基本的には東京都内なり関東圏のところでしっかりとした施設をやりたいというのが認識でございまして、そういった意味では何とか住民の皆さん方の御理解を得たいと思って努力いたしておりますけれども、加藤さんの御主張というのはよくわかっております。そうしたものを含みながら、十分勉強させていただきたいと思います。

加藤(公)委員 では、もう一つ例を挙げてお話をしたいと思います。

 これも私の地元なものですから、余り地域のことばかり言うのは若干言いにくいところはあるんですが、何せ選挙区内に二つも研究施設があるものですから、あえてそれを例にさせていただきます。

 東村山市の青葉町というところに国立感染症研究所のハンセン病センターがあります。これまでは、らい菌の研究をしておりましたので、いわゆるP2レベルというものでありました。これを今度P3レベルに上げたい、こういう話が出ております。

 この研究所も、二枚も三枚も出してもしようがないのであえて地図はつけませんでしたが、市境にあります。反対側はハンセン病療養所全生園であります。しかし、反対側は清瀬市の住宅街がずらっと並んでいる、あるいは青葉町の住宅街に隣接をしております。まさに、この武蔵村山の施設とほぼ同じような状況です。

 そこはP4だとは言いませんが、今までP2で住民の方が了解していた。それをP3にここで上げようとすれば、当然のことながら、これは不安を感じられるわけであります。研究棟から住宅地まで、聞くところによりますとちょうど五十メーターしか離れていない、こういう話でもございます。

 先ほど来申し上げておりますとおり、住宅地が後からできたか先にあったかは別にして、少なくとも、現状、この狭い土地の日本で、住民の方がそれだけ住んでいらっしゃるど真ん中に危険な研究施設をつくって、住民の方に何とか理解してほしいと言っても、それはなかなか容易なことじゃないと私は思うわけであります。

 研究施設のこのP1からP4というのは、通常、何にもないときにそれが稼働していて、こういう設備が整っているから安全です、こういうランク分けですよね。しかし、世の中、何が起こるかわかりません。さっきから申し上げているように、テロのリスクもあれば、あるいは日本の場合、地震災害のリスクもあります。仮に、では、大地震が発生したときに、その感染症研究所は安全なのか、こう住民の方が不安に思われても当然だと思います。あるいは、病原体をその研究所の中だけで見つけて、そこで培養してということじゃありません。あるタイミングでは、毎日とは言いませんが、その病原体を外に持ち出して運搬しなきゃいけない、そんな場面も当然出てくるだろうと思います。そこまで含めて住民の方は不安に思われるわけでありまして、その不安を住民エゴだとはとても言えないというふうに私は思うわけであります。

 さらに言えば、国立感染症研究所の本庁舎は、御存じのとおり新宿区の戸山です。東京のど真ん中に本当にその施設が必要なのかと改めて考えれば、別に、どこかの地域ならいいということを言っているんじゃありません。ただ、もっと安全に十分な研究をできる体制を整えて、そこで日本の感染症対策をもっと充実したものにした方がいいんじゃないですかということを申し上げている。

 大臣、大分御理解はいただいているようでありますが、改めて伺います。今後どう対応されるおつもりですか。

川崎国務大臣 今、二つの切り口があったと思います。

 一つはハンセン病研究センター、一月十四日に住民説明会を開催いたしました。これは、おわかりのとおり、らい菌の研究をいたしておりました。そして、少しレベルが上がる、あくまでハンセン病と結核の発病予防に係る研究、薬剤耐性らい菌の治療法に関する研究、そういう意味ではハンセン病、らい菌というものに特化した研究でございますので、今までの流れの中で何とか御理解できないかということで努力をしておるということが一つでございます。

 それから、耐震性の問題でございますけれども、基本的には官庁施設の総合耐震計画基準によりますけれども、国立感染症研究所のP4施設を有する村山庁舎については、平成十一年度に耐震診断を実施しております。それから、戸山庁舎においても、建設当初の設計図書をもとに改めて再確認を行って、そういう住民の皆さん方の御不安というものにしっかりこたえるようにしていかなければならない。

 全体的な大きな御提案をいただきましたので、それはよく勉強させていただくとお答えさせていただきます。

加藤(公)委員 きょう、これ一回で議論が煮詰まるとは思っていませんが、最後に申し上げておくと、海外がどうかというと、もし不勉強だったらまた御指摘をいただきたいと思いますが、私の知る限り、アメリカ、カナダでは、住宅地の真ん中に感染症の研究所をつくれないというルールになっているだろうと思いますし、仮に砂漠の真ん中に施設をつくるとしても、環境影響評価をして、それを公表しなきゃいけない、たしかこういうルールになっているんじゃないかと思います。

 あるいはヨーロッパ、イギリスやドイツでは、研究所をつくるときには届け出をして認可を受けなきゃいけないということだと思いますが、P1からP4レベルの施設の場合、認可をしただけじゃなくて、その後定期的に査察が入る、こういうルールだというふうにも聞いております。

 先進国の中では日本だけが野放しなわけで、それでここまで来てしまった。今国会、法案の提出もお考えということは聞いてはおりますが、しかし、一方で、先ほど申し上げた現実がそこにあるわけでありますから、少し大きな枠組みで感染症対策については考えていただきたいということを、とりあえずきょうの段階では申し上げておきたいと思います。今後機会があったら、改めてこの続きを議論させていただきたいと思います。

 きょうはまだほかにもテーマがありますので、そちらを少し進めさせていただきたいと思います。

 次は、障害者雇用の問題についてお話を伺いたいと思います。

 地図の次のページに資料二というのを配らせていただきました。障害者雇用の現状というデータであります。実は、このデータ、少し御説明しないとなかなか理解をしていただけない数字です。

 一般の雇用状況と書いてあるものは、これは健常者の方も障害者の方も含めて、被雇用者が五千四百十八万人、そして完全失業者が二百六十五万人、これは昨年末の総務省のデータであります。一方、障害者の方だけの雇用状況というのは、同じような数字では統計がありませんから、被雇用者として四十九万六千人、そして有効求職者、これはハローワークのデータかと思いますが、十五万四千人。本来同じ数字ではありませんから比較するのは科学的には正しくありませんけれども、一つの目安として、これしかデータがないので、似たような数字をとってきて比較させていただいたのがこの資料であります。

 その下に、被雇用者を一〇〇としたときに、職を探していらっしゃる方がどれぐらいになるかという比率をとりました。全体で言うと、被雇用者の方を一〇〇とすると、職を探していらっしゃる方が四・八九という比率になります。障害者の方の場合には、被雇用者の方を一〇〇としたときに、お仕事を探していらっしゃる方が、これはハローワークに登録していらっしゃる方だけですから、少なくとも三一・〇五にもなる。

 つまり、先ほど来申し上げているとおり、一概にこの数字、科学的じゃありませんから、それだけで言えるわけじゃありませんが、おおむね目安として、障害者の方が健常者の方よりも六倍、七倍、あるいはそれ以上、職につくのに苦労していらっしゃるということは推測できるわけであります。

 このことを前提として、障害者施策については猪口大臣が御所管ということを承りましたので、政府としてのお考えを承りたいと思いますが、障害者の雇用状況はこの現実のままでいいのか、国の責任としてこれから具体的にどういうことをしていったらいいとお考えなのか、まずこの点、お伺いしたいと思います。

猪口国務大臣 加藤先生にお答え申し上げます。

 言うまでもなく、障害者の雇用は、障害者の自立、社会参加の非常に重要な柱でございまして、障害者基本計画に基づいて施策を推進しているところでございます。

 雇用状況につきまして、先生よく御存じなんですけれども、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率で見ますと、民間企業につきまして基準が達成されていない等の状況がございまして、障害者の雇用を一層推進していく必要があると考えております。

 先生これもよく御存じのことなんですけれども、その促進方につきまして、昨年非常に有意義な改定があったと考えております。精神障害者を実雇用率の算定対象に追加するということでございます。

 ですから、さまざまな努力を重ねてきているところでございますが、厚労大臣がいらっしゃっていますけれども、法定雇用率の達成に向けまして、例えば、企業に対する指導を強化する、あるいはハローワーク等を通じまして、相談、紹介をしっかりとしていくということをやっていただけると考えております。

 それから、もし続けてよろしければ、公務部門につきましての取り組みも強化しなければならないと考えております。これにつきまして、先生御存じだと思いますけれども、このようなハンドブックを作成しまして努力しているところでございます。

 それから、私といたしまして、やはりこの分野、普及啓発がとても重要だと考えております。そこで、就任しまして、例えば昨年の十二月に障害者週間がございまして、このとき、雇用と就労の促進そして支援ということの観点から、東京と大阪で、初めて連続的に大規模なシンポジウム等を展開して、鋭意普及啓発に努力しているところでございます。

 これからも、関係行政機関と連携しまして、しっかりと推進していきたいと考えてございます。

加藤(公)委員 では、今るる御説明いただいたことを前提に、少し各論で議論させていただきたいと思います。

 今度、厚生労働大臣にお伺いいたしますけれども、今出てきた法定雇用率というのが定められておりますが、この算定の根拠をまず伺いたいと思います。

川崎国務大臣 民間企業における障害者雇用率、官の場合と分けておるのは御承知のとおりであります。

 民間は、常用労働者と失業者の総数、これが分母になります。障害者である常用労働者と障害者である失業者の総数を分子とするということで、一・八%という数字を設定いたしております。

 一方で、国におきましては、これは委員が御主張でございます、率先してやれ、そういう意味合いを含めて二・一%という数字を設定いたしております。

加藤(公)委員 民間企業の場合、一・八%という法定雇用率を定められておりますが、これは昨年の法改正で、ことしの四月一日施行で、精神障害者の方を雇用したときに実雇用数に加えられることになりますが、一方で法定雇用率は変わらない、こう聞いています。

 お考えがわからなくはありませんが、一般的に、ごくごく自然に考えれば、精神障害者の方も法定雇用率に算入して新たな法定雇用率を決めて、その上で精神障害者の方の雇用の促進というのは別の政策を打ち出すということの方が正しいんじゃないか。もう少し雑駁に言えば、わかりやすいんじゃないかというふうに私は思いますが、川崎大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 これも後から御批判あるんだろうと思いますが、一・八というものが達成できていない。考え方はよくわかります。しかし、まず一・八というものをきちっと実行する、二・一を実行するというのが大前提ではなかろうかなと思っております。

加藤(公)委員 そのとおりで、一・八を達成しなきゃいけないし、二・一も達成していただかなきゃいけないんですけれども、今回のこのやり方だと、法定雇用率は変えません、でも、雇ったときに人数にカウントしていい人たちだけふやします、こういう話ですから、それで実雇用率が上がったとしても、それは本来あるべき姿じゃないじゃないですか。だったら、精神障害者の方もカウントするということにやっとなったんですから、法定雇用率自体を見直して、その上でさらに精神障害者の方が働きやすくするような政策というのは別にサポートしたらいいんじゃないですかということを申し上げているんです。

 法定雇用率を変えないで、この人を今度カウントできます、この人をカウントできますといったら、それは確かに数字だけは上がると思いますよ。実雇用率の数字だけは上がると思いますが、まさに見かけで数字だけ上げたって意味がないわけですから、もう大臣よく御理解の上お話ししていらっしゃるんだとは思いますが、法定雇用率そのものを見直した上で新たな雇用促進策をとられた方がよろしいんじゃないですか。もう一度お考えをお聞かせください。

川崎国務大臣 これも御懸念だろうと思うんですね。要するに、新しい分野を足しておいて、上がっちゃったと厚生省は発表するんじゃないかと。そこは発表の仕方でありますので、きちっと分けて、国民にわかるように開示していきたい。そして、早く一・八%を達成できるようにした中で、次の施策として、まさにそうしたお考えも入れながら練り上げていきたいと思います。

加藤(公)委員 では、ぜひ分けて数字は今後出していただきたいと思います。三年後に見直しをされるという話は聞いてはおりますが、実態がわからなくなることが統計の数字上は一番問題だと思いますので、その点はよろしくお願いします。

 続いてなんですが、障害者の方の実雇用率について、あるいは法定雇用率を達成している企業の割合について見ると、企業規模とか地域とか業種とか、さまざまな要因によってかなり大きな開きがあります。一律、はい皆さん、一・八%達成してくださいねというだけでは、それだけの指導では限界があるのではないかというふうに私は思うんですが、大臣、今後どうこれについて取り組んでいかれるお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 政策全体として、地域事情を加味した上で数字を出すとか業界別で数字を出すとか、これは余り走りますとまた数字がふくそうしますので、そういった意味では、先ほど御議論ありましたように、我々の方の情報開示の方が大事じゃないか。

 例えば、百人から三百人以下の企業では実雇用率一・二四、千人以上ですと一・六五という数字になる。医療福祉関係では当然のように一・八という数字になり、情報通信産業だと一・一という数字しか行かない。また、県別、発表していいということですから発表しますけれども、神奈川県が一・三七、山口県は御努力いただいて二・〇八という数字、こういうものはやはりできるだけ開示しながらやっていくという方策をとりたいと思っております。

加藤(公)委員 ちょっと時間が迫っておりますが、最後に一つだけ伺いたいと思います。

 追加資料でお配りをさせていただいた資料の二の三というグラフがあるんですが、これは今大臣の御答弁にもありましたとおり、民間企業も、企業規模によって実雇用率が全く違います。

 このデータを見ると、三百人以上の企業の実雇用率というのは基本的に上昇トレンドであります。ずっと雇用率が上がってきている。しかし、三百人未満の企業の実雇用率というのは、残念ながら、ここのところ下降トレンドであります。

 障害者雇用納付金制度というのは三百一名以上の企業に対して義務づけられているわけでありまして、余り中小企業に負荷をかけ過ぎることには私はネガティブでありますけれども、しかし、事このことに関して言うならば、三百人以下の企業に対しても障害者雇用納付金制度を導入するということを検討すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがお考えになりますか。

川崎国務大臣 予算委員会でもいろいろ議論いただいていますとおり、まだまだ中小企業の経営は厳しいことも事実でございます。そういったものを加味しながら、そうはいっても障害者雇用を進めなきゃならぬ。雇い入れ計画作成命令の対象に中小企業を加えるなどして対策を講じてまいりたいと思っております。

加藤(公)委員 終わります。

大島委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。

 午前十時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十四分開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 きょうは、予算委員会で質問させていただく栄誉をいただき、ありがとうございます。

 私どもは、まず自民党の本部の問題、これは国有地に建てられた自民党の本部ということ、これについて、特に、従来国会で計七回問題となりました。ずっと数十年来問題になっているわけであります。自民党及びこれは社民党、旧社会党の本部も国有地の中に、国有地を借りているという状況でございます。

 これは、ちょっと経緯だけ簡単に申し上げますと、資料の一番最初、五枚組の資料を配りましたけれども、ここにかいてございますように、オリンピックに向けて道路を拡幅するということで、そこで、今自民党本部そして社民党本部のある近くに、丸の点々で囲ってございます。それがもともと自民党があった地域です、そして社民党があった地域。それを道路拡幅のために少々横にずらした、そこで国有地を借りたということでございます。

 以前、自民党につきましては、それが私有地であったというふうに聞いておりますけれども、それ以上のことはわかっておりません。これは自民党の権利が、所有していたのかどうか、それもわかっておりません。

 これを一九六一年に議院運営委員会で衆参決定をいたしまして、そして国有地を借りるということになって、そして、一九六三年に、これは資料二にございます予算決算及び会計令臨時特例というものを一九六三年につくりまして、そして政令、特例という政令に従って賃貸関係が、国と自民党、そして国と社会党の中でできたという状況でございます。

 これが何が問題なのかというと、国会で七回質疑のあったうち、これは自民党の故渡辺美智雄議員も問題提起をされておられますし、また自民党の参議院議員の、今も現職でございますが、泉信也議員が一九九四年の九月十六日にこういうふうに述べております。

 これは参議院の決算委員会ですけれども、泉信也議員が「特定の政党が金銭的にあるいは空間の確保という点で仮に特別の便益を受けているということがあれば、これはやや問題であると私は思っております。この際、国有地を特定政党に貸与している状況等の見直しも必要ではないかと思いますが、総理の御見解はいかがでしょうか。」と。これに対して、村山富市当時総理が「政府が政党に対して中立公正であるべきことは当然なことだと思いますから、厳正に対処していきたいというふうに思います。」と、こういう答弁がなされているわけです。

 そこで、まず法的な関係、そしてこの賃料が適正なのかどうか、これが今ずっと問題になってきたわけでございますので、この辺、私の方で調査させていただきました。結論として、事の重大性といいますか、私の結論を最初に申し上げさせていただければ、五五年体制という体制の中で、自民党、社会党が、両巨大政党が政府とぐるになってお手盛りの政令をつくって、本来民間なら見込める税を納めずにうまい汁を吸ってきた、それが私の結論でございます。

 そればかりか、実は総務省が、自民党、社会党にかわって、固定資産税相当の額を国庫から東京都に払っております。この額は、毎年でございますが、現在は、自民党が大体三千七百四十八万円、社民党が約一千七万円、計四千七百五十万円。国が自民党、社会党にかわって、社民党にかわって、これが東京都に支払われている。これが長年続いてきたわけでございます。

 この賃料が安いかどうか、これはもうずっと安い安いと言われてきたんですけれども、これは後で私、議論をいたしますけれども、私が試算した限りにおいては、大体、賃料、本来であれば、この時世の価格でいけば百二十億円ぐらい以上は払っておくべきじゃなかったのかな。それが、この四十年間にかけて大体二十億程度ぐらいしか払っていないのではないか。ですから、言うと大体百億円ぐらい国税を実は納めなかったのではなかろうかというふうに私は今計算をしております。この議論は後でまた大臣、財務大臣とお話をさせていただきたいと思います。

 それでは、このために、いろいろなからくりを私は政府がつくったと思っております。政令、臨時特例という形での政令、及び契約、それが問題となるわけですが、この二枚目の予算決算及び会計令臨時特例、これをごらんください。これは昭和三十八年の二月二日に改正していると言われていますが、ここでポイントは、この第五条ですけれども、「各省各庁の長は、当分の間、」これはちょっと記憶しておいてください、「当分の間、」と書いてあるんです。「当分の間、」何をやるかというと、「随意契約によることができる。」と書いてあるんです。

 そして、この下の十を読みますと、「国会議事堂の周辺地域において都市計画において定められた重要な道路の新設又は改築が行なわれるのに伴い国会に相当数の議席を有する政党が」、これは自民、社会なんでしょうね。「国会における政治活動の便に資するため当該地域に設置している本部の施設を移転する必要が生じた場合において、当該地域において当該移転に係る施設を設置するため必要な土地又は建物を当該政党に売り払い、又は貸し付けるとき」、このときに「随意契約によることができる。」これも「当分の間、」ということなんです。

 これに従って自民党と国の方は契約を結びました。三十年間の契約でございました。これは一九六三年から一九九三年まで続いたわけでございます。三十年間ですよ。これが「当分の間、」の、この大蔵省発の政令というもので、ここで法的根拠が与えられたと言っているんですね。

 九三年で更新のときに来たんです。そうしたら、一たん契約はそこで切れるわけです。切れたときに、また更新しているんです。さらにまた三十年間借りるという話なんですね。

 私は、ここで感じるのは、この「当分の間、」ということについて、これはどの程度と解釈しておられるのか、まず財務大臣にお聞きしたいと思います。

谷垣国務大臣 当分の間という用語を使った法令、かなりあるわけですが、一般的に当分の間というのは、法令上、不確定な期限をあらわす、そういう場合に使われるというふうに承知しております。

 それで、当分の間と規定した場合は、ある程度年限が経過すると自然に効力がなくなるということじゃなくて、当該措置が臨時的、暫定的な措置であるということを示すだけで、具体的な期間を定めたものではないというふうに通常理解されているわけでございます。

末松委員 今、谷垣財務大臣が言われました、臨時的、特例的に定められたものだと。臨時的ということであれば、全く期限がないということはないですよね。

 これについて、三十年間ですよ。その更新のときにどうして、ここに書いてある、道路のために、これで、もうその事実が三十年後にはなくなっているわけですよ。なくなっているのに、この政令をもとに、三十年間ずっと自民党本部があり続けている中で、何らこういった特例の事由が消滅しているにもかかわらず、なぜまた三十年間結んだんですか。

谷垣国務大臣 今おっしゃった予算決算、長い名前ですが、長過ぎますから予決令と縮めさせていただきますが、一度予決令で随意契約だということで契約をいたしますと、後は借地借家法の規定になるわけでございます。借地借家法の規定で、三十年を経過したときには更新をするということになるわけであります。

末松委員 そうしたら、この第五条にはもう一切基づかないという判断ですか。

谷垣国務大臣 そのときは、更新のときは借地借家法が適用になるということだと思います。

末松委員 議運の決定で、まさしくあのときはオリンピックの道路の関係でということで、ここは特別に特例として認められて、三十年間、自民党、社会党はそのまま占拠していたんですね。占めていた、占有していたわけですね。占有していた、まあ借りていた。では、その事由が消滅していたら、次に議運の決定か何かあったんですか、更新のときには。

谷垣国務大臣 更新のときにはございません。先ほど申し上げておりますように、そのときはもう借地借家法の規定が適用されるということであります。

 それから、さらにさかのぼって申しますと、予決令の当分の間の規定、もう事由がなくなっているとおっしゃいますが、当分の間という規定は、要するに特定の期間を定めたものではありません。臨時的、暫定的なものであるということを意味しているだけでございまして、この効力がなくなったわけではないんです。これは、効力をなくすためには、その法令自体を改廃する必要があるということでございます。

末松委員 これが一つのからくりなんですよね、よく政府が使ってきた。これも、法律じゃなくて政令で、省庁で決めていくわけですよ。とにかく、当分の間といって、あたかもこれが途中で、臨時だと言いながら期限がない。これというのはおかしいじゃないですか。一般的に見たら、当分の間というのは大体数カ月、まあ、いって一、二年というようなものですよ。法律はいろいろとあるという話がありますが、全然期限がない。

 ということは、さっき、借地借家法の適用ということであれば、これの会計特例は、そこは効力がなくなったということをおっしゃられたと思うんですけれども、それもまだある、こういう言い方なんですか。

谷垣国務大臣 当分の間という規定は、それを改廃しない限り続きます。ですから、この予決令の規定も今は生きております。

 ただ、委員がおっしゃった、更新のときもこの予決令の規定が適用されるというのは、そこは違いまして、もう借地権が設定されたわけでありますから、その後は借地借家法の規定によって判断をするということだろうと思います。

末松委員 借地借家でいった場合にはこれは基本的には賃貸関係になるんですけれども、このときに、当時で、一九九三年ですか、そのときも非常に賃料が安いという批判があったわけなんですね。

 そこで、この借地借家法、更新請求等という、この三枚目の資料をちょっとあけていただきたいんですが、この第五条で、借地権設定者が遅滞なく異議を申し述べたときは、この限りではないと。実際に会計特例というものを見た場合、「当分の間、」ということで、それでも三十年間占有している、そこにいるわけですよ。それが、国としては、今は小泉改革の方針なんかもありますけれども、大体、官として、国として、本来であればきちっとした家賃を払わなければいけない、そういう状況で考えるならば、国の資産の有効的なあるいは効率的な管理ということを考えれば、ここで異議を唱えて、そして民間に貸し出すとかあるいは売り払うとか、そういう判断も私はできたと思うんですけれども、その辺についていかがなんですか。

谷垣国務大臣 借地借家法、確かに委員がお引きになりましたように、五条の第一項で、その更新のときに、「借地権設定者が」、この場合は国ですけれども、「遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。」こういうことになるわけですが、第六条の規定がございまして、更新拒絶にはいわゆる正当事由が必要であるというふうに第六条で定められているわけであります。

 それで、一九九四年に更新をしたわけですが、当時、借地権設定者である政府、国ですね、国において利用する必要がなかったことから、借地借家法に述べる異議を申し述べなかったというふうに報告を受けております。

末松委員 本来、特別の事由でこれは国の国有地を借りたんでしょう。それが、事由がなくなったら、今度はもう通常の関係で、一回居座ったから、そうしたらもうそれで、ほとんど全くそのまままた三十年更新するというのは、これはある意味じゃ悪用じゃないですか。

 要するに、「当分の間、」があるから国が貸したという理解。あなたはさっき更新のときにもそれは生きていると言いましたけれども、それであるならば、その事由が消えたのであれば、両政党はそれはしっかりと国に返して、そして貸借関係を大体ここで一たん消滅させるのが常識じゃないですか。そうじゃないと、特例という意味が全くないじゃないですか。その事由で議運の決定もそうされたんですよ。ということは、議運の決定でもう一回、正当な事由があって、この特例に関する事由がまだ相当するということを議運の決定でして初めてその有効性が確認されるんじゃないですか。

 何か、あたかも普通の土地に普通に借地借家でやったような言い方をされていますけれども、それはおかしいんじゃないですか。そんなことだったら、何もこの特例でやる必要がないじゃないですか。もともと借地借家でやればいいじゃないですか。

谷垣国務大臣 いやいや、もともと借地借家でやればいいというわけではなくて、国が契約を結ぶ場合には、随意契約によるかどうかというようなことで、先ほどの予決令があるわけですね。ですから、契約に入るときはその予決令に従ってやりまして、そうして私法上の賃貸借関係、要するに借地借家上の契約ができたわけですから、以後はその規律に従っているということであります。ですから、問題は、第六条に定める正当事由があったかどうかということになるんではないかと思います。

末松委員 更新のときに、一たん予決令でこの「当分の間、」というものが、私はここで切れたと思っていますよ、「当分の間、」と言っている限りにおいて、その事由が消滅したんですから。そうしたら、一般入札とかそういう形で、随契である必要はないじゃないですか。一たんそれを借地借家という全く一般の形で解釈するところに、私は、国とそれから自民党、社会党との間で談合があると思っているんですよ。

谷垣国務大臣 今の末松委員の御議論は、借地借家法というものの考え方とは少し距離のあるお考えではないかというふうに思います。

 借地借家法は、やはり、土地の利用、それからその上に堅固の建物を建てた場合にどういう関係を規律していくかというところから生じたものでございまして、仮に更新のときに、随意契約ではないんだ、一般入札だということになりますと、その借地借家法をつくった考え方と大きく離れてくるんではないかと私は思います。

 もっとも、借地借家法に関しては、私は有権解釈を申し上げる立場にはございませんので、それはまた適切な方に御発言をいただいたらいいと思いますが、私はそのように考えます。

末松委員 この点についてずっとやっているとちょっと時間がなくなってくるので、この点について、私は納得していません。これが私は、国と五五年体制の巨大政党としてのある意味での談合、それがこのからくりで、これから三十年間、そして、やった後また三十年間、ずっとこの理屈で借りていく。もともとは特例で借りていったんですよ。それがずっと繰り返しやられていくという、これが一番の私は談合の、本当に問題だろうと思います。

 では次は、この辺について総合的に、ニューリーダーと目されている谷垣大臣に自民党の姿勢をまたお聞きします。

 その前に、では賃料、これについてちょっとお伺いをさせていただきたいんです。これが適正かどうか。

 二〇〇〇年から、それまでは近接地域との関係で賃料が、一九九四年ぐらいですか、で大体五千万円ぐらい賃料を含めたと。賃料というのは、参考の二枚目、資料の二枚目にございます。

 ここがおもしろいんですけれども、二〇〇〇年から不動産鑑定士の意見ということで、まあ社会党もありますけれども、これは自民党ですけれども、ここで示しております。

 これは、この東京都中央区の株式会社の一社が継続して、二〇〇〇年そして二〇〇三年、そして今度はことしが、三年に一回改定ですから、二〇〇六年、ことしの八月ごろに、またここで、改定で意見を述べるという話になると思うんですけれども、この会社は、二〇〇〇年と二〇〇三年、二回継続して、しかも随意契約で、この会社一社だけにこの価格の意見が求められているわけであります。

 ここを見て、一番最後の「ご回答」の五のところで、対象不動産の適正地代、年額が七千百四十九万九千三百二十四円、これは平米当たり二万一千とちょっと。月額は千八百二円というんですよ、平米当たり。

 これは、もし百平米であっても十八万円ですよね。これは、相場からいって本当に適正なんでしょうか。千八百二円ですよ。国民の皆さんへ訴えたいですよ。あの一等地で、何でこれだけの賃料でおさまるんだ。庶民の皆さんが聞いたら怒りますよ、これ。私だってあそこに家を建てたいですよ。本当にそうですよ。こういうことをやっていて、これで国民に、谷垣大臣は消費税増税を求めておられますけれども、本当にいいんですか。

 私は実は、その近辺の不動産鑑定士、いろいろと調べ回りました。聞きましたよ、あの相場は一体どうなんだと。ほとんどみんな、何と言われたか。自民党さんを恐れて、だれも言ってくれませんよ。いや、私はわからない、いや、当社ではと。それはそうでしょう。この一社だけが意見を言う立場にあって、ほかの会社は一切関係ない、かかわりたくないというのが現状でした。

 ちょっと前の例を出しますけれども、二〇〇一年に参議院で、民主党の松井参議院議員が、ここで、この問題について指摘をしております。

 ちょっと彼の質問から抜粋しますけれども、普通の民間の不動産業者の相場だと、時価の大体三%から四%が年間の貸付代金になるんだと。これが一般の相場だそうですね。そして、一九九四年に自民党本部前の路線価が平米当たり五百四十三万円で、時価は平米当たり六百八十万円だったと。ですから、時価全体で、あの土地は二百二十四億円に当たると。それの三%だということであれば、民間だと本来、賃料は大体六・七億円、これぐらいが相当だと相場では見るという話をこの国会で審議されているんですよ。それが、そのときは、賃料は年間五千万円なんですよ。これはあんまりじゃないですか。

 そして、では平成十三年、当時は路線価が平米当たり二百二十一万、ちょっと落ちているんですね。そこで、時価だと平米当たり二百七十六万円ですから、これで今のような計算でいくと、大体二・七億円、二・七億円は本来納めてしかるべきじゃないかと。それが現在、この不動産鑑定士の適正価格というのは、意見として七千百四十九万円だと言っているんですよ。

 おかしいじゃないですか、これ。これがそのまま自民党では通るんですか、あるいは旧社会党では通るんですかと私は申し上げたいんです。私は、これで庶民の皆さんに対して税を上げろと言うのは、冗談じゃない、まず隗より始めてくださいということじゃないんですか。

 私は、この不動産鑑定士の名前、所在を明らかにしていただきたいんです。私はここで、国政調査で、そこをしっかりと聞きに行って、そしてその根拠というものを調べたい。そこは、谷垣大臣、よろしいですよね。

谷垣国務大臣 私は、不動産鑑定、どういうふうに土地を評価するかというようなことに明るくございませんので、今不適切だとおっしゃいましたけれども、それについて細かに今ここで議論する能力はございません。

 ただ、一般論で申しますと、継続貸付料の算定に当たりましては、一般的には従前の貸付料に物価指数などを乗じて算定するということだろうと思いますし、また、更地で見るか、あるいは従前も借地権があるもので見るか、建物が上に乗っているかどうかでみんな価格が違ってくるんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、私どもも、一定以上の貸付料や面積があるものにつきましては、客観性を高めるために、民間精通者、つまりこの場合の不動産鑑定士でございますが、意見を求めて、そこで算定をしているということでありまして、したがって、私は適正にこの評価がなされたものと考えております。

末松委員 では大臣、今言った価格、このあなたの、財務省が決めた価格は適正価格だということですね。

谷垣国務大臣 はい、そのように考えております。

末松委員 さっき、適正価格を決める際、従前の価格に対して、インフレ率だなんだ、いろいろな要素が加わるという話はありました。従前の価格そのものが間違っていたらどうするんですか。それが不当に低く見積もられていたらどうするんですか。

 だから、ここを明らかにしてもらいたいんです。あなたが適正価格と言うのは、お立場上そうでしょう。だから、それをどう算定したのか。私は、さっき平米当たり千八百二円、これがあの一等地で、この国会では通用している、これを言われるのであれば、それをしっかりと明らかにしてもらいたいんです。

 ですから、谷垣大臣、もしこの不動産鑑定士の方が不当に低い見積もりを行っていた、これはあり得ないことかもしれませんよ、もしそうであれば、その方の資格の問題を含めて、あるいは国庫に対して不正といいますか、要するに、不当な評価を行ったことによって国庫が、実は自民党からいただかなきゃいけない賃料、これを不当にまけさせたということで、これ自体非常に大きな問題ともなるんです。

 ですから、私は、その根拠をしっかりと明らかにしたい、そういう意味で、ぜひ会社の名前をここで明らかにするとおっしゃっていただきたいんです。

谷垣国務大臣 会社の名前を明らかにするということは、相手方に対する影響もございますので、そこはちょっと御遠慮をさせていただきます。

 ただ、今いろいろ御意見がございましたように、私どもは、これで適正な評価であると考えておりますが、これをやっておりますのも、客観性を担保するためにやっているわけですね。そうしますと、やはりこれから、賃料が特に高額なもの等につきましては、より客観性を高めるために複数の意見価格をとる必要があるかどうか、そういったことを私どもは検討したいと思っております。

末松委員 当然なんですよ。

 そのからくりが、またここで国の方のからくりがあるんですね。おもしろいんですけれども、ここでこの不動産鑑定士、一社が二回も継続してやっているんですよ、三年ごとに。しかも、随意契約でないといけないという理屈を財務省の方が持ち出して言っているわけです。

 財務省の説明によったら、この意見価格については、報酬が固定されていることから、競争になじまないものであり、会計法二十九条の三の第四項により随意契約を行っていると。随意契約を行わなきゃいけないのは、こんな理由でやられているんですよ。でも、これがからくりでしょう。ほかのところには意見を一切言わせない、随意契約でこの特定の会社しか言わせないようにしているのが、これが財務省のからくりじゃないですか。それはあなた自身もわかっているでしょう。

谷垣国務大臣 からくりという言葉は撤回をしていただきたいと思います。

末松委員 では、それだったら、あなたがきちんとした十分な説明をしてもらいたいんです、私は。

 いいですか、ここで、あなたがさっき言った、ことしの八月か九月、これを行うときに、きょういろいろと何社かやると。これは評価するんですよ。私もそういう形で当然やるべきだと思っている。一件の評価料が四万二千円ですよ。こんなこと、どうして何社かきちんと当たらないんですか、当たってこなかったんですか。問題はそこなんですよ。当たってこなかったことに対してどうあなたは責任を感じているのかということなんですよ。

谷垣国務大臣 随意契約にした理由は、先ほどおっしゃいましたけれども、これは今四万、私、金額が幾らか今承知しているわけじゃないんですが、百万以下のものは随意契約でできるということになっておりますから、百万以下のものを全部競争入札にさせるとなかなか手間がかかるということで、随意契約でやってまいりました。

 ただ、こんなことで、先ほどからくりとおっしゃったけれども、からくりと言われるようじゃやはり困りますので、先ほど申し上げましたように、きちっと複数の者に意見をとるようなことも考えて、からくりではないということを明らかにしていきたいと思っております。

末松委員 もし、私がからくりという言葉を撤回するという話であれば、だったら、この根拠をしっかりとみんなの前に見せてくださいよ。そして、その鑑定士の方を参考人として招致してください。参考人で彼にしゃべってもらいましょうよ。そこで納得すれば、私はこのからくりという言葉を撤回しますよ。それを認めてください。委員長、私は、この不動産鑑定人の方、特定の不動産鑑定人の方、参考人で招致したいと思いますので、そこをぜひお願い申し上げます。

大島委員長 理事会で協議してみましょう。

末松委員 これは、委員長、委員長もやはり自民党の方ですから、そういう言い方をするんですか。

大島委員長 協議会してみましょうと言っているんじゃありませんか。

末松委員 わかりました。では、お願いしますね、そこは。

大島委員長 ちゃんと、委員長の話をちゃんと聞きなさい。

末松委員 私は国民のために言っているんだから。おかしいことをおかしいと言って何で悪いんだと。

 いいですか、では、私はとにかく、それと同時に、もし呼べないという話であるならば、それは根拠をしっかりとこの委員会に示してください、紙で、納得できるように。そこは別に特定の方の名前に傷がつくどうこうの話ではありませんよね。そこは約束してください。

谷垣国務大臣 それは、やはり専門家である不動産鑑定士がきちっと責任を持って鑑定しておられるということではございます。

末松委員 それが信じられない安い価格だからおかしいと。だから、そこを、内容を示してくださいと。そうしたら、いろいろと議論できるわけでしょう。議論して、だから、妙なぬれぎぬを着せられたら困るというんだったら、明らかにしましょうよ。それが一番いいじゃないですか。別に私は無理を言っているわけじゃない。だから、からくりという言葉を撤回させたい、当然、しろと言うんだったら、ぜひそこをやってください。

 私は、ちょっと立場を変えて、では、総務大臣に聞きたいんですよ。

 これは、政党に対して国家は厳正、中立、公正であるべきです。自民党そして社民党さんに対して、もしこれが安い賃料であるとするならば、これは、民主党、あそこの私どもの本部、一億三千万円前後、しっかりと賃料を払っていますよ。自民党さんは七千百九十何万円でしょう。それから、社民党さんはその半額ぐらい。これでもし公正な競争、政党としての競争ができるのか。そこは私は問題だと思いますが、そこをどう考えますか。

竹中国務大臣 委員のお尋ねはもしということでございますが、私は国有地の貸付制度を所管する立場ではございませんし、また、実態を承知する立場ではありませんので、総務省としてコメントするということは控えなければいけないと思っております。

 いずれにしても、適正な時価で貸与されているということでありましたら、そういう問題は生じないというふうに思います。

末松委員 そうなんですよ。みんなこの問題の解決は、本当に適正な時価なのかどうか、それが、今、総務大臣からもそこがポイントだと言われました。私たちは、そこをぜひ国会のこの予算委員会の場で審議をしてもらいたい、そこを繰り返しこれは要求いたします。

 そして、もしこれが不当に低い賃料であったとすれば、逆に言えば、財務省あるいは国から自民党あるいは社会党に対して、社民党に対して、何か隠れ補助金のような、そういう形となってしまいますから、そういうことをしっかりと見きわめるためにも、ぜひ内容を、くれぐれも、そこは紙で指し示していただきたい。

 特に谷垣財務大臣は、小泉総理が官から民へ、そして官の資産を民がもっと有効に活用できるじゃないかということを、改革という言葉で徹底して推し進められていると主張しております。それであるならば、もし、自民党、あそこは、特例で借りることになったことに対して、もっとしっかりとした形で民間に貸せばもっと大きな賃料が、当然、自民党の払っているのと民間の払っているのは当然同じ額にならざるを得ないでしょうから、そこは、民間だったらもっと多くの税収が入るということであります。

 私は、特に、ニューリーダーの谷垣さんに期待する方も多いということから、財政再建に向けて、本当に、先ほども申し上げましたけれども、消費税増税ということを、テレビでも何でもどこでも、あなたは理解を求めているということで言っていますよね。それだったら、まずこの問題について、一回自民党で本当にどうなのかということを検討して、そして是正ということを考えてほしいんですよ。そこの決意を問いますよ。

谷垣国務大臣 国有地の有効利用ということであれば、相手方の希望に応じて売却をするというようなことを今までも進めてまいりました。

 ただ、私は、ここでは自民党の立場に立って物を申し上げているわけではありません。あくまで財務大臣として、自民党に成りかわって言うことはできませんから、ここでは財務省としての立場で物を申し上げているわけであります。

末松委員 財務大臣の立場だから、財務大臣の立場だからこそ、国がもっと税収をとれる道をしっかりとそこは検討すべきなんでしょう、財務大臣として。

 そして、だったら、では、契約が今あります、三十年間。だからあと二十年間ありますよ、十年たって。あと二十年間そのままですと。不当に安く、安いかどうか、そこをあなたは答えていない。きちんと答えてくださいよ、それを、しっかりとそこを見直す形でやるかどうか。そして、もしそれが不当に低いということであれば、これは是正すべきでしょう。だから、とにかく、その根拠を、価格の根拠を予算委員会で示してくださいよ。そこをはっきり約束してください。

谷垣国務大臣 今の御議論の中で、やはり国として、借地借家法の精神も踏まえてやらなければならないわけでございます。借地借家法は、先ほど申し上げたように、六条の正当事由というのを認めているわけですから、それを全部無視してやるようなことは私どもにはできないんです。

 それと同時に、適正かどうかという問題に対しては、これは賃料改定の時期がまたございますね。そのときにはやはり、先ほど申しましたように、きちっと複数のをつけてやるというようなことを検討したいと思っております。

末松委員 とにかく、この委員会では一切そこは示さないと。

 私は、これは調査でしっかりとできると思いますよ。だって、あなたが言うきちんとした形で不動産鑑定士が言ったのであれば、その根拠についてもしっかりと示すのは、これは何か無理がありますかね。(発言する者あり)ないですよね。どうしてそれを言わないんですか。

 ちょっと言ってください。委員長、そこに、質問に答えさせてくださいよ。じゃ、それは嫌なんだと。嫌だというのが彼の立場ですよ。それは明らかにしないと。それは、どっちか言わせてください。

谷垣国務大臣 鑑定をお願いしたときに、不動産鑑定士から出てまいりますのは、先ほど委員がお示しになった紙がございますね、あれで出てまいりますので、あれが根拠ということでございます。

末松委員 これのどこに根拠が示してあるんですか。要するに、これは、不動産鑑定士としての我が社を信用してください、その私たちの結論はこれですと。何も根拠が示されていないじゃないですか。

 では、私の要求ははねられたということでいいんですか、谷垣財務大臣。これ以上内容は公開しないんですか。

谷垣国務大臣 それは、やはり責任ある、そして資格を持った不動産鑑定士がそのように鑑定しておられるということでございまして、それは今、あの一枚の紙に示されているわけであります。

末松委員 では、もう一度聞きますよ。

 では、この委員会でその内容を示さないということですね、それは。言ってください。これは別にいいでしょう。答えてくださいよ、それは。

谷垣国務大臣 あの紙がすべてでございます。

末松委員 だから、それがからくりなんですよ。国会に対しても内容を一切知らせない。知らせない中で、そして自分たちが、あと寄らせない、タブーをつくっているわけですよ。知らせなくて、そして、しかもこれが根拠、信用してくれと。それで、一切ほかの人が立ち入らせないようにしている。それこそからくりじゃないですか。冗談じゃない。これこそ本当に偽計と言ってもいいぐらいですよ。偽政令に、偽契約をやっているのと一緒じゃないですか。

 いいですか。だったら、内容を示してくれと言いたいんですよ。その内容を示さなくて、冗談じゃない。竹中大臣が言ったじゃないですか、実勢価格と。きちんと、それが適正なのかどうかはっきりわからない、だから、わからせるためにどうするかというのがこの委員会の使命じゃないですか。(発言する者あり)そうですよ。これは税収にもかかわってくるんですよ。

谷垣国務大臣 ですから、これは権限ある不動産鑑定士が適正に判定をされたということであります。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに、お静かに。

 末松君、何かしゃべるんでしょう、質問。大臣、ちょっとお待ちください。

末松委員 ちょっと待って、私がしゃべるから。

 では、とにかく、今、はねつけたということでいいですね。国民の皆さんも本当にここは関心持っているんだから、国会で七回もやっていて、いつもこれで終わっているんですよ。ここで終わりです。こんなばかなことがありますか。

谷垣国務大臣 確かに、私どもの手元にありますのは、手元にあるかどうか、私自身あの資料でしか見ていないのですが、手元にありますのは不動産鑑定士からいただいたあの資料でございます。

 しかし、末松委員もこれだけ御議論をされているわけですから、私どもも、不動産鑑定士によく話を聞いて、御報告できることは御報告いたしたいと存じます。

末松委員 まず、ちょっと理事会、当委員会にその資料をぜひ出していただきたい。

大島委員長 大臣から今お答えがございましたので、よく調べて、出せるものは出してみたい、こう言っておりますから、そのときにお受け取りして、皆さんに御披露するときは御披露したいと思います。

末松委員 なるべく早くお願いしますね。(発言する者あり)そう、予算審議中にお願いを申し上げます。極めて……(発言する者あり)

大島委員長 余りやじを飛ばさないように。しっかり、静かにやりなさい。

末松委員 では、極めて速やかにそれは出してください。可能ならば、あしたじゅうにお願いします。

谷垣国務大臣 あしたじゅうにお出しできるかどうかはわかりませんが、できるだけ早く出せるように努力をいたします。

末松委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、ちょっと質問の順序を飛ばします。

 これは外交の方にも、また日本国としてかかわってくるわけでございますが、これは戦争責任について一言お話を申し上げます。

 日本とドイツの戦争責任のとり方なんですけれども、ドイツは、警察当局がナチスの関係者を徹底的に追及して裁いてきた、一方、日本の場合は、戦争指導者を日本の警察や司法当局が追及し、裁いたという事実はないと私は考えています。国内法上は、戦争遂行及び戦争中の行為に関して、だれもそこは犯罪を犯していないということですけれども、これはそういった理解でよろしいか、官房長官にお伺いをいたします。

 そして、さらに続けて言いますが、日本人の裁判官はいなかったんですが、サンフランシスコ条約の極東裁判で、ここで日本は受諾しております。ということは、そのときに、日本が戦争責任の判断をしたのではなくて刑の執行を引き受けたということが言われておりますが、そうしますと、日本は主体的に戦争責任を総括して追及したことがないのではないかと思いますが、そこは安倍官房長官の御認識を伺いたいと思います。

安倍国務大臣 先ほど、ナチスの犯罪との比較で御質問がございました。

 そもそも、ナチスの自国民をも殺害をした犯罪行為と同列に扱うことはできない、こう思っておりますが、日本国との平和条約による極東国際軍事裁判所及びその他の連合国戦争犯罪法廷が刑を科した者について、その刑の執行が巣鴨刑務所で行われていた事実はありますが、その刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではないということでございます。

 続きまして、サンフランシスコ平和条約との関係についても御質問がございました。

 ただいま御質問にございましたように、我が国は、サンフランシスコ平和条約第十一条により、極東国際軍事裁判所のジャッジメンツを受諾しております。

 他方、我が国の戦争責任の総括についての政府の考え方は、平成十七年八月十五日の小泉総理の談話において述べているとおり、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対し多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明するというものであり、このような考え方は、平成七年の内閣総理大臣談話、これはいわゆる村山談話でありますが、その談話や、昨年四月のアジア・アフリカ首脳会議における小泉総理のスピーチを初め、これまでも一貫して表明してきているわけであります。

 政府としては、これまでも述べているとおり、極東国際軍事裁判所において被告人が平和に対する罪等を犯したとして有罪判決を受けたことは事実であります。そして、我が国としては、先ほど申し上げましたように、十一条によりジャッジメンツを受諾している、こういうことでございます。

末松委員 今、小泉総理の談話という話で、植民地支配をし、周辺諸国に対して多大の損害と苦痛を与えたことに対して痛切な反省とおわびをするという表明が総理の談話でなされたということでありますが、これは損害と苦痛を与えた主体については一切触れていません。これは、だれなんですか。

安倍国務大臣 平成七年の内閣総理大臣談話、村山談話は、過去の戦争について政府としての痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明したものではありますが、さきの戦争に対する責任が具体的にだれにあるのかについて明らかにしたものではございません。

末松委員 質問に答えてくださいよ。だから、だれなんですかと聞いているんですよ。

 確かに、この村山談話にも書いていますよ、おわびの心、気持ちを表明すると。「この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」と書いていますよ。「この歴史がもたらした」というのは、では、だれがやったんですか、それはだれなんですかと。そして、日本は極東裁判を受け入れた、刑の執行を受け入れたけれども、みずから一切戦争責任者を特定していない。それも、あなたが言ったように、国内法で裁かれていないんですよ、一切。

 では、だれが悪いんですか。逆に言えば、だれも悪くないんですか。答えてください。

安倍国務大臣 先ほども答弁したとおり、この平成七年の村山談話においては、だれがということについては申し上げてはいないわけでございます。(末松委員「だから、だれなんだ」と呼ぶ)ですから、この談話においては、だれがということについては申し上げていない。

 では、なぜだれかということを申し上げなかったかということでございますが、このさきの戦争に対する責任の主体については国内においてもさまざまな議論があるわけでありまして、政府においてそれを具体的にだれだと、こう決めつけるのは適切ではない、このように思っています。

末松委員 官房長官は、ちょっと、本当にへえと思ったんですけれども、サンフランシスコ平和条約のときに、要するに極東の軍事裁判を受け入れる、ジャッジメンツを。ということは、A級戦犯以下いろいろと戦犯がありますけれども、そういったことも特定しないということを今おっしゃられたわけですよね、結局。だれが悪かったかということは、日本国では、ここは一切わかりませんと言っている、あるいは特定しない。だれも、だから悪くないと。(発言する者あり)尾身議員、ちょっとうるさいですよ。尾身議員がちょっといろいろとやじを飛ばしていますけれども、こんな、おかしな話でしょう。私はまじめに審議をしていますよ。

 だれが悪かったんですかということを、この国会で、少なくとも政府は明らかにしていなかった、そして、極東裁判で裁かれた方々もそれは責任者ではない、だれか特定できないんだということをあなたはおっしゃった。間違いありませんよね。

 そんなことだったら、これだけのことを日本が過去の歴史でやって、確かに被害を受けられた国から、日本人がだれかわかりませんと世界に対して言えるんですか、日本が。そんなばかなことは、だから他国から言われるんだよ、いろいろなことを。自分で総括していないんでしょう。

 安倍官房長官、答えてくださいよ。一切それは政府として明らかにしてこなかった、それをあなたは言いましたよ。でも、あなたも自民党のニューリーダーの一人なんでしょう。そうしたら、しっかりとそこは、あなたの考えで結構ですから、言ってくださいよ。

安倍国務大臣 私は、歴史に対しては常に謙虚な態度で臨まなければならない、こう考えているところであります。

 そして、先ほど述べさせていただきましたように、極東国際軍事裁判所においてジャッジメンツが出たわけでありまして、それを我が国として受諾したわけでありますが、我が国が主体的に裁いたわけではございません。

 そして、政府が政府の名において、この長い歴史の中でのさまざまな出来事について、それを裁判所のごとく定めるということが果たして適切であろうか、このように思います。

末松委員 つまり、日本においては、あの戦争でだれも悪くなかった、だれも責任者はいないんだということが安倍官房長官から表明されたわけですが、ちょっと何かにやにやされておられますが、麻生外務大臣、あなたもそうお思いですか。

麻生国務大臣 時間だと思いますが、質問をもう一回言ってください、安倍官房長官の質問をいきなり振られましたので。戦争責任を……。

末松委員 これは、外務大臣にも私、質問通告していますけれどもね。

 いいですか、安倍官房長官はこうおっしゃられた。要するに、我が国として戦争責任者は特定してこなかったし特定できない、いろいろな議論があるからできない。そして、ここが重要ですけれども、サンフランシスコ平和条約の極東軍事裁判、あれで、戦犯についてもそこは、それを含めて特定できないと言ったんです。それはあなたも、外務大臣も同じことですかと私は聞いているんです。

大島委員長 麻生外務大臣、冷静に御答弁ください。

麻生国務大臣 にこにこするとにやけておると言われるし、なかなか難しいところですが。

 戦争の責任ということに対しての主体がどうだったという御質問なんでしょうね、多分御質問になりたいのは。長々言っておられましたけれども、そういうことを聞いておられるんだと思うんですが、これは政府であって司法ではありませんので、政府としては具体的に断定することは適当ではない、これはずっと政府の一貫した答弁だと存じます。

末松委員 世界に向けて言える言葉なんですか。あれだけのことを日本がやっておいて、いや、日本人の中はだれも悪くありませんでした、だれも悪くありませんでした、これが通じるんですか。私も外交官として十数年やっていましたけれども、おかしいですよ。

 別にこれは中国とか韓国を利するために言っているわけじゃない。マゾヒズムでもありませんよ。だって、あれだけのことをしておきながら、おかしいですよ、だれも悪い人は日本にはおりませんでした、特定できません、六十年たってこれが日本の反省なんですか。おかしいじゃないですか。だから本当に他国からとやかく言われるんですよ、自分の国でしっかり総括していないから。いいですか。これを明らかにしてこなかったから、この国がいつまでたっても、幾らおわびといったって、反省といったって、では、だれが悪かったんだといったら、いや、だれも悪くありません、こんなので通じるわけないじゃないですか。

 本当にこういうことをしっかりと、これは他国を利する話ではない。自分の国がしっかりと歴史として責任を持った見解をまず政府として持つべきだということを私は当然言わなきゃいけない。そういうことでしょう。(発言する者あり)

大島委員長 どうぞどうぞ静かに。質問者はこちら、質問者。

末松委員 そこが、私は別に、私は愛国者ですよ。私は日本国を愛しているし、日本のために身をささげているつもりなんだ。だからこそ、とやかくとやかく海外から言われたくないんですよ。いいですか。そういうことを、私は、しっかりとした上でいかないと、日本の骨ができないと思っている。そこでふらふらしていたら、日本はいつまでたっても反省をしない国だと言われ続けるんです。私たちのここにいる人間の……

大島委員長 末松君、時間が参りましたので。

末松委員 ほとんどすべてが戦争を経験していません。だけれども、そういうふうに言われたくないためには、しっかりとした見識を示す以外ないでしょうということを申し上げて、私はこれで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、先般の私の補正予算のときの質問に続きまして、幾つかの国策の重要事項に関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、先般に続きまして米国産の牛肉の輸入の問題についてですけれども、きょうは関係省の大臣の方に来ていただいております。その上で、食品安全委員会の委員長にも参考人としておいでいただいております。

 申すまでもなく、今般の米国牛肉の輸入に関しましては、十二月八日に食品安全委員会の答申が出され、これが非常に重い答申だったということが事実でございますけれども、それが出され、それに基づき十二月十二日に輸入を解禁するという決定がなされ、そして、それに基づいて米国から牛肉が入ってき、一月二十日には脊柱を伴う牛肉が発見され、そして現在に至っているという経緯をたどっているわけでございますけれども、この一連の経過の中で、どこに非常に重要な問題があったか。私は、やはり、食品安全委員会の十二月八日に出されたこの答申の内容、これに非常に重いものがあったんだろうというふうに思います。

 ですから、きょうは、食品安全委員会の委員長にもおいでいただき、その内容を確認しながら、これまでの議論の中でも、その中の附帯事項、この附帯事項の意味等々についても国会の中で審議が進んできました。これは条件ではないんだというような議論も進んできました。こういうところも一つ一つ丹念に確認をしながら議論を進めさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにしましても、この答申の内容が非常に重要なんだ、これがすべてのリスク評価に関する判断のベースであり、それに基づいてリスク管理機関における行政がそこから動いていったんだというこの答申の重要性というのは、だれも否定はできないんだろうというふうに思います。もちろん、これをつくられた食品安全委員会の委員長も、そして、食の安全に対する担当をされている松田大臣、きょうおいでいただいておりますけれども、松田大臣においても、この答申の重要性、これは否定できないところだと思います。

 一応確認しておきたいんですけれども、この答申の内容が極めて重要であるということ、そして、この内容が十二月八日に示されているわけですけれども、この内容自体に異論あるいは異なった意見等ございませんか。この二点、松田大臣、まず冒頭に、ちょっと確認までですけれども、この答申の重要性をきちんと理解していただいているか、そしてこの内容に御異論はないか、確認だけさせていただければというふうに思います。

大島委員長 食品安全担当大臣松田岩夫君、しっかりと自説を述べて。

松田国務大臣 大串委員おっしゃるとおり、食品安全委員会としては大変な御審議をいただいて、出てきておる答申でございます。そういう意味で、委員おっしゃるように、とても重要なまさに評価だと思っております。

 具体的な点について何か御質問があれば、またその点にお答えいたしますが、まず一般的に、とてもそれは、おっしゃるとおり重要な答申でございます。(大串委員「異論はないということですね」と呼ぶ)

大島委員長 手を挙げて御質問してください。

 どうぞ、大串君。

大串委員 失礼、二点目のお答えがなかったものですから。異論もないということでよろしゅうございますね。

松田国務大臣 食品安全委員会からいただきました評価でございます。私としては、それをまさに受け取りまして、リスク管理官庁側に御提示されておられる、こういうものでございます。

大串委員 確認をさせていただきました。この答申の内容の重要性に関してはしっかり理解されていて、かつ、当然のことながら、しっかり御異論もなく受けとめていただいているという確認をさせていただきました。

 この内容につきまして、食品安全委員長に幾つか事実関係を御確認させていただきたいと思います。

 資料をお配りさせていただいておりますけれども、この一ページ目と二ページ目が今回の答申の結論部分、そして附帯事項の部分でございます。この結論の部分は申すまでもなく結論、そういうことだろうというふうに思います。

 そして、この附帯事項が今般来非常に議論になってきているわけですけれども、まず、附帯事項というものの持つ意味合いについて、いま一度、食品安全委員会の委員長、御答弁いただければと思います。

寺田参考人 先生が言われましたように、結論は結論であって、その結論を導くために非常に重要なこと、あるいは、その議論の過程において話題になったことを附帯事項として書いております。すなわち、附帯事項に関しましては、この議論全体が、評価全体が、アメリカのEVプログラムは守られるという前提のもとにこの評価をやったんだということを管理側はよくわかってくださいということ、それから、国民に対してリスクコミュニケーションをきっちりやってくださいと。

 それから、その次は議論になった内容でございますけれども、これは、管理側に、こういう問題がありましたよ、それはSRMの除去をちゃんとやってくださいとアメリカに言ってください、あるいはサーベイランスを続けてください、それから飼料の規制をきちっとやってください、そういう議論があったということで管理側からアメリカ側に伝えてください、そういうことでございます。

大串委員 今、御確認させていただきました。附帯事項の持つ意味合いというのは、結論を導くために非常に重要なこと、そして、議論の中で出てきて話題になったことの中から、結論を導くために非常に重要だったこと、これをここに附帯事項として書いたんだということでございました。非常に重要なものであるということは間違いないということだと思います。

 そして、いま一つお問い合わせさせていただきますけれども、このように、答申の結論のところにこのような形での附帯事項がつくということは多々あることなのか、それともまれなことなのか、そこの点についてお答えいただければと思います。

寺田参考人 私ども食品安全委員会におきましても、こういう項目別に附帯事項ということを書いたことはありませんが、結論の部分に、管理側に、こういうことがありますよという別項目として書くんじゃなくて、やったことは、例えば鳥インフルエンザのワクチンだとか国内対策のときに、こういうことが話題になりましたとかということ、あれはちょっとあれなんですけれども、最初に「結論」を出して、それから「おわりに」という言葉をつけて、ちょっとわかりにくいんですが、そういう形でやっております。

大串委員 これは、食品安全委員会の方からも事前にお聞かせいただきました。附帯事項という形でこういうふうにきちっと項目別に書くということはこれまでなかったということ、それだけ、この議論の中でこういう附帯事項に書かれたことが重要なんだということが指摘されていたということを確認させていただきました。

 そして、この附帯事項の中に、一ページ目の一番下のところに線を引かせていただいておりますけれども、これも議論になりました。「輸入再開の場合は輸出国に対して輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負うものであることを確認しておきたい。」というこの一文が書かれております。字面のとおり、非常に平明な文章で書かれているので、内容を読めば一目瞭然の内容だろうと私は思います。

 この中でキーとなる、何度も出てくる言葉は、輸出プログラムの遵守という言葉がこの附帯事項の中にたくさん出てきます。この輸出プログラムの遵守という言葉の主体は、アメリカ、そういうことになるんだろうというふうに思います。輸出プログラムの遵守ですから、アメリカということだろうというふうに思います。

 そして、この「輸出プログラムの遵守を確保させるための責任」、この内容についてちょっとお尋ねさせていただきますが、これは、この輸出プログラムの遵守というものが、アメリカが行うという、主体性がアメリカにありますから、これを確保させるための責任ということは、仮に、輸出プログラムが遵守されなくて、例えば脊柱のついた牛肉が日本に入ってきてしまった場合に、それを検疫なり税関なり水際でとめるというところまでの日本政府の責任も包含しているんでしょうか、どうでしょうか。そこについて寺田委員長の御意見を求めたいと思います。

寺田参考人 この輸出プログラム、いわゆるEVプログラムの遵守はアメリカが一義的に責任を持つものである、それは、日本へ輸出する国内の牛肉の管理、そのEVプログラムということで定義づけられたことはアメリカでやってください、それに対して、管理機関、これは、日本の管理機関がアメリカに遵守させるようにやってください、そのときに、国外での管理、国外というのはアメリカから見た国外、例えば検疫所の場合、これも、当然管理機関の問題として私たちは考えておりました。

大串委員 昨日議論になっておりましたけれども、この輸出プログラムの遵守を確保するための責任が日本政府にあるということがここに書かれておりますけれども、この責任というのは、この文字面を平明に読めば、輸出プログラムの遵守をしてください、日本政府の方からアメリカ政府に対してしっかりとした働きかけなり作業を行って、アメリカ政府がこの輸出プログラムの遵守という言葉そのものを実行できるように確保する、そのことにあるんだろうというふうに思います。

 もしそれがそうなのであれば、今回、輸出プログラムを明らかに遵守をしていない肉が入ってきて、一月二十日にそれが税関で見つかっているというこの事態、これは、輸出プログラムの遵守を確保するための責任を日本は果たしていないというふうになるのではないか。これが、これまでからの日本政府としての責任論、これまでの議論でございました。

 各大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、まず松田大臣。

 輸出プログラムの遵守を確保するための責任を負う、輸出プログラムの遵守、これはアメリカがするものです。これを確保するための責任を負うというふうに食品安全委員会がここに明確に書かれている。これを先ほど松田大臣は、この内容については異論はないというふうにおっしゃっていた。であるのであれば、輸出プログラムの遵守が明らかに今回は行われなかった、そして肉が入ってきた、このことに関して日本政府に責任ありというふうになるのが論理的な流れではないかというふうに思われますけれども、松田大臣の所感はいかがですか。

松田国務大臣 輸入再開されましたときは、御案内のように、食品安全委員会の、私どもの委員会からの答申を踏まえまして、リスク管理機関において責任を持って判断されたものでございます。御案内のようなことが起こって、直ちにリスク管理機関は輸入をおとめになりました。適切な判断であり、その結果、今、国民は食品の安全を保たれ、安心した食生活を送っておられるのが現実の姿であります。

 今、輸出管理機関は、米国政府による原因の究明、再発防止のために、御案内のとおり、連日、管理官庁責任者から御答弁がありますように、努力をなさっておられます。リスク管理機関は精力的にその責任を果たしておられると思います。

大串委員 字面をきちっと読んでいただきたいんですけれども、この答申の附帯事項のところには、輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負うんだということが明確に書かれている。そして、脊柱のついた肉が一月二十日の段階で日本に入ってきた。入ってきたということは、アメリカにおけるこの輸出プログラムの遵守が確保されていなかったということの証拠であります。であるにもかかわらず、ここに、責任を負うということをこの文書に書かれて、しかもそれを松田大臣は、異論がないとおっしゃった。なぜ、その異論がないとおっしゃった言葉と、今おっしゃった日本には責任がないとおっしゃった言葉にそごがあるのか、そこに関しての端的な説明をお願いします。

松田国務大臣 先ほど御答弁申しましたけれども、リスク管理側は直ちに輸入をおとめになりました。賢明な判断であり、当然の措置であり、その結果、国民は今、この限りにおいての食品の安全問題というものを持っておりません。そういう意味で、しっかりとした対応をとっておられるというのが私の判断であります。

大串委員 では、食品安全委員会委員長に技術的に確認します。

 もう一度確認しますけれども、輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を負うということを確認しておきたいということを、食品安全委員会の議論の結果、ここに書かれた。その食品安全委員会のそのときの思い、議論、ここに込められた意味、それは、例えばアメリカにおける輸出プログラムの遵守が行われなくて、そして、例えば脊柱のついた肉が日本に一回ぐらいは入ってきて、そういうことがあったとしても、ちゃんと税関のところでとまっていればいいんだというふうな議論だったのかどうか、その点だけ端的にお答えください。

寺田参考人 ここに書いてありますとおり、私どもの評価は、すべて、そういうプログラムが守られるという仮定、仮定というか条件のもとでああいう答申をいたしましたので、そういう想定は、審議はされませんでした。

 ああいうことが起きて、これは正直なことを申し上げまして、何てアメリカはひどい、そんなところでございます。

 以上です。

大串委員 ありがとうございます。

 もう一度お問い合わせさせていただきます。ここは、議論の結果を踏まえて極めて客観的に答えてくだされば結構ですので、もう一度お尋ねします。

 輸出プログラムの遵守を確保するための責任を負うということを書かれているわけです。そこには、この書かれた思い、理由、書かれていることがすべてだと思いますけれども、そこがある。それは、先ほど申しましたように、輸出プログラムが遵守されなくて、例えば今回のように脊柱のついた牛肉が一たん日本に入ってくる、そしてそれを水際で、税関でとめた。一回ぐらいは入ってきてもいいんだ、水際でとまっていればいいんだという思いがここの思いなのか、それが食品安全委員会の方々の議論を尽くした思いだったのかどうか、ここを端的にお答えいただきたい。

 もしそこがはっきりしなければ、後ほど質問主意書等々の紙ベースできちっと皆さんの総意をもう一度確認しなきゃならないかもしれないけれども、これは国会の議論でここで聞かせていただいているから、ぜひそこのところは客観的に端的な答弁をお願いしたい。お願いします。

寺田参考人 そのとおりです。先生が言われたとおりで、先ほども申し上げましたとおり、私どものところでは管理の方法とかそういうところまでは立ち入ることはできませんし、しかも外国のことでございますから、非常にデータも乏しいところがございまして、安全性に関してという重い諮問に関しましては、そういう条件が守られなければ評価ができないという話でございましたし、ちょっとお答えが、どういうのかな、委員会全体の方も、そういうことが起きる、骨がそのまま入ってくるというようなことは想定していなかったと思います。

大串委員 骨が入ってくるということを想定していなかったということをおっしゃった。最初にそのとおりとおっしゃった言葉がちょっと私はよくわからなかったんですけれども、もう一度、非常に端的なことです。輸出プログラムの遵守を確保するための責任を負うということをこの食品安全委員会がおっしゃったそのときに、そこの中には、一回ぐらいプログラムの遵守がされていない事象が起きて骨つき肉が日本に入ってくる、そういうことがあっても、それは想定の範囲内だといふうに思われていたかどうか。もう一度だけお答えください。

寺田参考人 そういうことは想定しておりません。

大串委員 松田大臣にお問い合わせしたいと思います。

 今、食品安全委員会の方々のここに込められた思いをお話しいただきました。「輸出プログラムの遵守を確保させるための責任」、ここの中には、一回ぐらいこのプログラムが遵守されなくて、例えば脊柱のついた肉が日本に入ってくる、そういうことは想定していなかった、想定外だったと。ということであれば、輸出プログラム遵守を確保させるための責任、これが果たされていなかったということになる。それについて、先ほどの松田大臣の意見とは異なることになりますけれども、御答弁をいま一度端的にお願いします。

松田国務大臣 お答えを申し上げます。

 この結論への附帯事項、末段、一番最終段落でございますが、「もし、リスク管理機関が輸入再開に踏み切ったとしても、管理措置の遵守が十分でない場合、例えば出生月齢の証明が出来ない場合、SRM除去が不十分な場合、処理・分別過程において牛肉等が二十一ヶ月齢以上のものと混合され得る場合など、人へのリスクを否定することができない重大な事態となれば、一旦輸入を停止することも必要である。」ということも付言されておられまして、今委員御指摘のようなことは、私はその時点では大臣ではありませんでしたが、こうした文章を読むにつけ、いろいろ御議論があったことを事務方からは御説明を受けております。

 先ほど来から何遍も御答弁申し上げておりますように、この末段にありますとおり、リスク管理側は即座に輸入を停止し、先ほどから何遍も御答弁申し上げておりますように、国民は今安心して食生活、この限りにおいてでございますが、なさっておられるものと思います。

 しかし、委員も御案内のように、食品の安全は大事な問題ですから、なお一層精励をしていきたい、そう思っております。

大串委員 では、食品安全委員会の委員長にもう一度お尋ねします。

 先ほど、輸出プログラムの遵守を確保するための責任を負うというふうなことを書かれたときに、その想定の中には、一度ぐらいプログラムが遵守されなくて、例えば脊柱つきの肉が日本に入ってきても、とめればいいや、そういうところは想定していなかったんだというふうにおっしゃった。すなわち、責任を果たすという意味からすると、想定していなかったということですから、このプログラムが遵守されなくて、そしてそれが日本に入ってきて、水際でこれをとめれば、それで輸出プログラムの遵守を確保させるための責任を日本政府は果たしている、そういうふうな議論だったのかどうか、そこについての端的な答弁を、委員長、お願いします。

寺田参考人 先ほど申し上げましたように、議論の中ではそういうことは想定されませんでしたが、この前提条件が大変大事だ、それのもとで議論をいたしましたから、二重に書いたというんですか、二重三重に、もしくは、松田大臣がおっしゃいましたように、健康に害するようなことがあったら直ちにそれは管理側はとめてくださいよ、そういう意味で下に書いたのでございまして、その面におきましては、管理機関はそこの部分に関しましてはきちっとやられていると私も思います。

 以上です。

大串委員 委員長、ありがとうございました。今の言葉、非常に私には明確に聞こえました。二重三重と今おっしゃいましたよね。二重三重のことを考えたんだ。すなわち、この輸出プログラムの遵守を確保するための責任、これは一重目の責任なんだ、今うなずいていらっしゃいます。一重目の責任、すなわち、アメリカにしっかりやってもらうという責任なんだ。ということは、この責任の中には、その一重目の外の二重目の、水際で仮に入ってきた場合にとめるということはここには含んでいないという理解でよろしゅうございますでしょうか。よろしくお願いします、今うなずいていらっしゃいましたから。

寺田参考人 二重の、外側のところに入っているか入っていないかちょっと難しいですけれども、要は、アメリカ側にEVプログラムという輸出プログラムを守るような手段をちゃんととってくださいよ、それがもうこの委員会の、五月に諮問を受けたときから、最初から管理機関の方にも来ていただいてやったということです。

 だから、二重三重の外側か内側かよくわかりませんけれども、それがもとでございまして、それがなかったらとにかく評価ができないということでございました。そういう重要性は非常に認識しておりました。

大串委員 そうすると、委員長にもう一度お尋ねしますけれども、輸出プログラムの遵守を確保するための責任、この内容がどこまでのものを含むのかというところの議論は食品安全委員会はきちっと詰めてやっていない、そういうふうな極めて浮ついた、浮ついたという言い方は大変失礼しましたけれども、内容が不分明な議論だったと。すなわち、そういうふうな、非常にここは大事なところだと先ほどおっしゃったんだけれども、実は、その内容においては極めて読み方に差のある、幅のある、詰まっていないものだったのかどうか。そうであれば、食品安全委員会の責任も極めて重いと私は言わざるを得ないというふうに思いますけれども、委員長の御答弁をお願いします。

寺田参考人 EVプログラム、アメリカによるプログラムの遵守をしていただくように管理側がやるということには責任を持ってくださいよ、それから、検疫所のことは、これは当然のことながら管理機関としてやることですから、そういう意味でそこの点は議論をしなかったということでありまして、私たちのスタンスはあいまいではないと私は思っております。

大串委員 それでは、論理的にもう一度確認しますけれども、議論されたということであれば、輸出プログラムの遵守を確保するための責任というのは、皆さんで議論された内容ですから、今議論された内容というのは、すなわち、アメリカ側できちっと遵守をするようにやってくれ、そのことを責任として書いたんだという理解でよろしゅうございますか。

寺田参考人 委員御存じのように、諮問の内容が、EVプログラムを守って輸出されるアメリカ、カナダの肉の安全性は日本の国内で生産される牛肉と同じかどうかという諮問だったんですね。だから、当然のことながら、そこの面に関しましては管理側がやる、諮問を受けましたのは管理側から受けたわけでございますから、ということです。

大串委員 松田大臣、もう一度お尋ねします。

 今の委員長の言葉からも明らかなように、輸出プログラムの遵守を確保するための責任、これはアメリカ側にちゃんとやってもらうということ、これを日本政府としてちゃんとやってもらうということなんだということでございます。

 先ほど大臣は、水際でとめた、これをもって責任を果たしているというふうにおっしゃいましたけれども、食品安全委員長のおっしゃっていることとはそこには食い違いがある。ところが、先ほど、この答申の内容については異論はないとおっしゃった。なぜ発言が食い違うのか、大臣のお答えをお願いします。

松田国務大臣 既にリスク管理担当大臣からも御答弁があったと思いますけれども、アメリカ政府に対して原因の究明と再発防止を強く御要請され、今、鋭意御努力をいただいているところだと思います。

 私どもは今、その結果の御報告はいずれ食品安全委員会にありましょう、それをお待ちしておる状態でございまして、十分努力をなさっておられると私は思っております。

大串委員 私が問うたのは、輸出プログラムの遵守を確保するための責任というのは、食品安全委員会の議論の中では、それはアメリカ側がしっかりこれを守るということ、この責任なんだ、すなわち、一回ぐらいそれが守られなくて牛肉が入ってくるということは想定していない、それはこの責任の中には入っていないんだということなんです。ところが、一回実際入ってきている。その責任に関して、リスク管理機関としての責任があるんじゃないかという議論が起こっているわけです。

 それで、先ほど大臣は、この答申に関しては異論はないとおっしゃった。それについて、食品安全委員会の方々との答弁にそごがあるんじゃないですかということなんです。なぜそごがあるか、お答えください。

松田国務大臣 何度も恐縮でございます。

 先ほども、結論への附帯事項をわざわざ読み上げさせていただきました。まさにそこに書いてある起こってはいけないことが、想定されていることが起こったわけ、したがって一たん輸入を停止する、リスク管理官庁としては当然の措置がとられ、そして、今、リスク管理官庁は米側に対して強くお話しをいただいていると承っております。

 入った入ったと言われるので、これは質問にはありませんけれども、物は入っておりません。

大串委員 問題の根幹は私はそこにあると思っています。つまり、食品安全委員会の答申、この答申の中身、ここに込められた思いと、実際いろいろ日本側の責任があるなしで答弁されていることとに食い違いがある。

 すなわち、食品安全委員会の方々においては、思いのたけの思いを込めて、リスク管理機関がプログラムの遵守をしっかりやってくださいということを書かれている。にもかかわらず、リスク管理機関からの答弁においては、いやいやそれは、先ほど日本には入っていないとおっしゃいましたけれども、確かに入っていない、検疫のところでとまっています。検疫でとまっていますけれども、ただ、飛行場まで届いている。その状況を踏まえて、それをとめて、そしてその後の手続をしているから責任を果たしているんだというふうなことをおっしゃる。そこに、食品安全委員会の思いとリスク管理機関の思いとの間に大きな乖離がある、ここに大きな問題の乖離があると思うんです。

 とまった、とまったとおっしゃるのであれば、ちょっと話を進めさせていただきますけれども、今、約千五百トンの肉が入ってきました。入ってきた千五百トンの肉に関して追跡調査をされています。追跡調査をされているんですけれども、これは資料を三ページ、四ページ目につけております。四ページ目を見ていただくと、千五百トン、一月二十日までに輸入届け出があったもののうち追跡調査をされているのは、四ページ目に線を引いておりますけれども、調査対象となる米国産牛肉のうち、脊柱周囲の部分五百七十五トンというふうに書かれております。

 厚生労働大臣、どういう考えに基づいてこの脊柱周辺部位の五百七十五トンに関して追跡調査を行っていらっしゃるのか。考え、ベースをお答えください。

川崎国務大臣 ここに書いていただいておりますとおり、輸入手続が終了したのは七百五十トンぐらいですね。その中で、危険部位が混入する可能性があるロット、これを抽出いたしまして五百七十五トン、これについて、自治体を通じながら、二十六の業者でございますけれども、念のために調べてください、報告をしてください、そして、それがその各業者ごとにきちっとするまでは販売をとめてくださいよというお願いをいたしました。そして、大体返ってまいりました。今現在、危険部位が混入したという事実は一つも報告がございません。

大串委員 お尋ねさせていただきたいんですが、一月二十日以降、米国から輸入される牛肉に関してはすべてとめるという決定を一月二十日の日にされております。今後、本件の原因について米国政府からの報告があるまで、すべての米国産牛肉の輸入手続を停止することとしたと。これから入ってくる肉に関してはすべてとめていらっしゃる。しかし、国内で流通している肉に関しては、ここに書かれているように、脊柱周囲の部位だけしか追跡調査はされていない。つまり、脊柱部位以外のところ、ここの部分についても危険部位が何がしかの形で混入している可能性は排除できないんだろうと思います。であるがゆえに、一月二十日に、すべての脊柱部分の肉のみならずそれ以外のものもすべての輸入をとめていらっしゃるんだろうと思いますけれども、であるにもかかわらず、なぜ、国内に流れたもの、これのうち脊柱周囲の部分しか追跡調査はされないのか、なぜそこに考え方のそごがあるのか、それについてお答え願いたいと思います。

川崎国務大臣 アメリカが守るべき約束を守らなかったということから、すべての手続を停止した。一方で、今日入っております肉につきましては、私どもが検疫をやり、検疫、御承知のように農林省がまずやります、その後私ども厚生労働省がやる、二重でチェックをいたしまして、結果としてないであろうと思っております。

 しかしながら、官房長官の御指示で、念のためにもう一度、事業者の協力を得てやりましょうということでやりました。先ほど申し上げたように、今現在、大体返ってまいりましたけれども、危険部位の混入はないという報告を受けております。

大串委員 アメリカがやるべきことをやらなかった、したがって、一月二十日にすべての肉の輸入手続を停止したんだと。すなわち、アメリカがやるべきことをやらなかった、輸出プログラムの遵守をしなかった、したがってどこにどれだけの危険部位が混入するかわからない、そういう考えですべてをとめられたんだろうと思います。であれば、この日本に既に入ってきている肉においても、この脊柱周辺の部分だけじゃなくて、すべてをとめるのが論理的には一貫するんじゃないかと思うんです。

 念のためにとおっしゃいましたけれども、食品の安全、食の安全という観点からすると、だれがこの肉を食するかわからない、そういう状況の中で、念には念を入れるのであれば、しかも、この一月二十日にとられた、輸入を全部とめるという考え方との一貫性をとるとすると、すべての肉に関して追跡調査をするべきではないかと思いますけれども、一方で輸入は全部とめていて、なぜ、この国内のところに関しては脊柱周囲の部分以外のところは野放しにされているのか、そこについての考え方を教えていただきたいと思います。

川崎国務大臣 アメリカが約束を履行しなかったという中で、一部のものの輸入を認めるんですか。そんなの、とめるの当たり前じゃないですか。当然とめますよ。この部分だけは大丈夫だから入れるという話ではないでしょう。

 一方で、我々は農林省と厚生労働省で検疫をしているんです。それでまず間違いなかろうと我々は判断しています。しかし、国民の理解をより一層深めるためにもきちっとやれということで官房長官から御指示をいただきましたから、地方自治体を通じながら、混入される可能性があるものについて全部チェックをしてくださいよ、開梱して調べなさいという指示を出した。同時に、その開梱作業が終わらないうちに販売なりそういうものに手をつけないでくださいよというお願いをして、今申し上げたとおり、大体返ってきておる、こう申し上げているんです。

大串委員 いいですか、きちんと答えてください。(発言する者あり)いや、全く答えているとは思えない。すなわち、アメリカがやるべきことをやらなかった、すなわちそれはどういうことかというと、どこに危険部位が混入しているかわからない、そういうことなんです。

 そして、中川大臣も以前の答弁の中でお答えになりましたけれども、強化された通関での手続をやられているとはいっても、全箱の開梱をされているわけではありません。どこでどういうふうに入ってくるかはわからない状況にある。

 すなわち、アメリカがやるべき手続をやらなかった、どこに危険部位が入っているかわからない、しかも全箱開梱はしていない、そういう中で入ってきている肉、すなわち、一月二十日前の肉はそういう肉だったんです。一月二十日以降、そういう肉が入ってこないようにすべてをとめている。なのに、一月二十日前の肉は脊柱部分だけしかチェックしない。明らかにおかしいじゃないですか。きちんと説明してください。

川崎国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、農林省と厚生労働省でやっております検疫体制、これで大丈夫だと申し上げているんです。しかし、国民の理解を求めるために、できるだけ事業者に協力してもらいなさいという御指示がございましたから、重ねてやらせていただいている。そして、今のところ入っていない、入っているという報告は今の段階ではない、大体報告はもうすぐまとまるであろう、こう思っております。

大串委員 今の答弁がそのままだとすると、つまり、検疫体制を強化しているから、ひょっとしたら、今引き続きアメリカからの肉が入ってきても大丈夫なんだ、大丈夫かもしれないけれども、アメリカがやることをやらなかったので一応とめたんだ、検疫はしっかりしているからもともと大丈夫なんだ、そういうことをおっしゃっていた、そういうふうに聞こえるわけですよ。

 では、そうじゃない、検疫がしっかりしているから大丈夫なんだという言葉を使わないで、それを使わないで、なぜ、輸入はすべてとめていて、一月二十日以前の肉は脊柱部分しかチェックしないのかということを説明できますか。(発言する者あり)論理的に答えてほしいから聞いているわけです。

 もう一度、では論理的に聞きます。もう一度論理的に聞きます。きちっと答えてください。

 一月二十日以前の肉に関しては脊柱部分の肉しか追跡調査されていない、一方で、一月二十日以降はすべてとめていらっしゃる、なぜ取り扱いに違いがあるのか。食の安全という観点からすれば、両方とも、すなわち、一月二十日以前の肉について、脊柱つきの部分も脊柱以外の部分についても追跡調査を通じてとめるのが筋じゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

大島委員長 ちょっとお待ちください、大臣。

 大串質問者に伺いますが、七百三十トンのうち、なぜ五百七十五トンしかやらないのかということをお聞きになっておるんですか。(大串委員「そういうことです」と呼ぶ)そういうことですね。

 そういうことだそうですので、だから、川崎大臣、もう一度そこをお願いします。

川崎国務大臣 ですから、脊髄、脊柱、これが混入する心配があるものを調べさせてもらっている。あとは、例えばもも肉とかそういう部分ですから、調べていませんよと申し上げているんです。

大串委員 すなわち、一月二十日までの段階で入ってきた肉に関しては、この脊柱周辺の部分だけチェックされていますけれども、その他に関しては絶対に大丈夫だということなんでしょうか。もしそうであれば、一月二十日以降も脊柱部分だけ輸入をとめられればいいんじゃないか、論理的に言うと。そういうことじゃないですか。どうです。

川崎国務大臣 ですから、先ほど申し上げたんです、それでいいんですかと。

 アメリカが約束を守らなかった、プログラムを守るという前提ですから、それが守られなかったからとめますよ、先ほど、あの食品安全委員会の答申の最後にも書いてあります、きちっと書いてあります。そのとおり実行しているんですよ、我々は。一方で、検疫をしたものについては大丈夫だろうと、しかし念のためにやらせてもらっているんです、こうお答えしているんです。

大串委員 それでいいんですかという御答弁でしたので、そっくりそのまま、その言葉を私は私の質問に使わせていただきたいと思います。一月二十日以前の肉に関しては脊柱周辺の部分しか追跡調査されていらっしゃらない、それでいいんですかということなんです。一月二十日以降については全部とめられている。すなわち、今おっしゃった、それでいいんですかということだから、一月二十日以降は全部とめられているんだと思います。それであれば、その考え方を透徹させるとすれば、一月二十日以前の肉についても、脊柱以外の部分の肉についても追跡調査をするべきじゃないか、それが論理一貫性というものじゃないかということです。

中川国務大臣 一月二十日にすべての米国産牛肉の輸入をストップしたのは、家畜伝染病予防法第四十条に基づいて、日本が日本の判断でとめたわけでございます。これが異例の事態、特別の事態であります。

 それまでは、今、大串委員がちょっとおっしゃったように、すべての部位についてチェックをしているわけでございまして、それは、そこに書いてある輸出に関するデータ、これはきちっとしたデータでありますから、それに基づいて抽出調査をやり、成田空港においてはふだんの調査の約百倍のものをやっているわけでありまして、一月二十日にやったことが特別のことであって、その根拠は家畜伝染病予防法四十条に基づくことでございます。

大串委員 答弁いただくのはどちらの大臣でも結構ですけれども、一月二十日に特別のことをやられたとおっしゃった。その特別なことをやられたんであれば、そして国民の食の安全を守るということであれば、一月二十日以前の肉についても特別なことをやらない理由はないんではないかというのが私の質問です。それについての御見識をお答えください。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

川崎国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、検疫で私どもは大丈夫だと思っている。先ほど御答弁したように、既に食されているものもあります、現実問題として。ですから、検疫体制で我々は大丈夫だと思っているのが認識ですよ。皆さん方はだめだと思っているから、認識の違いがある。しかし我々は、念のためにやらせてもらっていると再三申し上げています。

大串委員 大臣、いいですか、いろいろな言葉を使われていますけれども、説明になっていないんです。検疫で大丈夫だと思われるのであれば、一月二十日以降も検疫でしっかりチェックするということで輸入を認めればいいわけですよ。それをされていないということは、検疫でとめられないかもしれないからしっかり輸入をとめなきゃいけないということだと思います。論理が破綻しているんです。いいですか。

 では、こうお問い合わせしましょう。検疫が大丈夫だと思われているんであれば、一月二十日以降、なぜ全部の肉をとめられているんですか。これをお答えください。

中川国務大臣 一月二十日以降の米国産輸入牛肉をとめたのは、家畜伝染病予防法四十条に基づくものでありまして、EVプログラム違反をやった二社、認定取り消しになりましたけれども、二社のものだけをストップしてもいいという言い分もアメリカ側にあるんです。

 しかし日本は、これでもって、念には念を入れて家畜伝染病予防法四十条、つまり、動物検疫を経ないものについては入れませんよという、これはある意味では特別の措置を四十条に基づいてやっているわけでありますから、それ以降我々は検疫をしません、だから入ることができません。さっきから、入っている、入っているとおっしゃっていますけれども、入っていませんということをやっているわけであります。

大串委員 委員長、私が先ほどから質問していることに関して同じ答えばかりなんです。

 すなわち、多分皆さん、ここで聞かれている方々も恐らく聞かれていると思うんですけれども、一月二十日以前の肉に関しては脊柱だけしかチェックしていらっしゃらない、一月二十日以降に関してはすべてとめていらっしゃる。これに関して理由を問えば、先ほどおっしゃったように、検疫が十分なんだ、検疫がしっかりしているから一月二十日以前はそれでいいんだとおっしゃる。では、検疫がしっかりしているんだったら、一月二十日以降も脊柱部分だけとめればいいじゃないかと聞けば、いやいや、これは全部とめるんだとおっしゃる。そこの理由に関してはしっかり説明をなさらない。こういうことなわけですね。すべての理屈がつながらないわけですよ。

 もう一回問います。もう一回問いますけれども、なぜ、一月二十日以前の肉に関しては脊柱部分しかチェックされないにもかかわらず、一月二十日以降はとめられるんですか。もう一度お答えください。同じ答えだったら、私、本当に質問できないですよ。もう一度お答えください。

川崎国務大臣 何回でもお答えしました。変わりようがありません。あなたの質問もイコールなんだから、我々の回答もイコールです。

大串委員 理屈が破綻しているんじゃないですかと申し上げているわけです。(発言する者あり)どっちが破綻しているかは、この議論を見ていらっしゃる方はよくわかると思います。

 一月二十日以前は脊柱部分しかチェックされない、つまり、脊柱以外のところは大丈夫だという判断で日本政府はいらっしゃるんです。ところが、一月二十日以降はすべてを危険だということでとめられている。そこの判断には段差がありますねということなんです。その段差をどのような理由で説明されるかというその一点なんです。そこだけお答えください。

中川国務大臣 なぜ段差の措置をとったか、一月二十日以前においては、日本のリスク管理機関としてやるべきことも、アメリカのEVプログラムに基づくこともきちっとやられていた、だから安全な牛肉がアメリカから入ってきた。しかし、一月二十日におきまして、成田空港においてああいう形で脊柱つきの子牛の肉が入ってきた、これでもってEVプログラム違反である。

 そこで、これは私と厚生労働大臣とで判断をいたしまして、すべての米国産牛肉の輸入を停止します、その根拠は家畜伝染病予防法第四十条に基づくということで、一月二十日以降がEVプログラム違反になったのでそういう措置をとったのでありまして、それ以前は、通常のルールにのっとって、そして安全な肉が日本に入ってきているということなのであります。

大串委員 今非常に貴重なことをおっしゃいました。一月二十日以前は、日本のリスク管理機関において、そしてアメリカのリスク管理機関においてもEVプログラムが守られていた、だから安全だと判断して一月二十日以降とは違う対応をしているんだということでした。しかし、その判断が妥当だったんですかという問いなんですよ。

 一月二十日以前の肉が本当にEVプログラムが守られているそういう肉だと、農水大臣、言い切られるんですか。お答えください。

中川国務大臣 日米のルール、約束されたルールに基づいている以上は安全でございます。

大串委員 私は、形式上ルールに基づいているかどうかということをお問い合わせしているのではない。一月二十日に脊柱のついた肉が入ってきている以上、その前の段階でEVプログラムが履行されていないという事実がなければ、一月二十日に脊柱つきの牛の肉は入ってこないわけです。この現実を見据えたときに、実質として一月二十日以前にEVプログラムが守られていなかったという判断を日本政府はしないんですかという問いなんです。

中川国務大臣 大串委員は論理がとてもお好きなようでございますので、一月二十日以前に日本のリスク管理ルール、アメリカのリスク管理ルール、つまりEVプログラムに違反したものがあるかどうか、証明していただきたいと思います。

大串委員 私は、今一言も一月二十日以前にEVプログラムが違反されていたという証拠があるとは申していない。

 一月二十日に脊柱つきの肉が入ってきたということは……(発言する者あり)入ってきていない。入ってきていないけれども、一月二十日に検疫に届いたということは、すなわち、一月二十日以前にEVプログラムが適切にアメリカで行われていなかったということを類推させるんじゃないか、丁寧な言葉を使いますと、そう言います。類推されているのではないか、類推してしかるべきじゃないかと。類推するのであれば、食の安全を担当する大臣ならば、一月二十日以前についてもEVプログラムが守られていなかったという想定、類推、あるいは念のためという想定に基づいて、脊柱つき以外のところについても追跡調査をするべきじゃないですかということなんです。お答えください。

中川国務大臣 安全という我々のリスク管理機関の仕事は、法律と、食品安全委員会からいただいたリスク評価に基づく答申に基づいてやっているのであります。

大串委員 今お答えいただいたのは、私の問いにお答えいただいているものでは全くございません。

 よくお聞きください。一月二十日の段階で脊柱つきの肉が検疫に届いた。であれば、一月二十日以前にアメリカ国内でEVプログラムが一〇〇%実施されていなかったではないかというふうに想定されるわけでありまして、その想定される期間内に処理されて入ってきた肉が一月二十日以降日本に存在する以上、脊柱つき部分以外のところについても追跡調査するべきじゃないですかという問い合わせなんです。

 もう一回お願いします。

川崎国務大臣 ですから、私どもの判断によって、脊髄周辺、この部位の肉について再度調査をせいということで、これは任意です、正直申し上げて。地方自治体を通じて、協力をしてください、そして、そのものが終わるまではそのものを売らないでくださいよとお願いをして、大体資料がお出しできるような段階になってきただろう、先ほどこう申し上げた。

 我々は、検疫というものは基本的に大丈夫だということで申し上げている話です。

大串委員 任意だということも既にわかっております。もう流通しているということもわかっております。しかし、まだ政府としてやれることはあるんじゃないですかということなんです。

 すなわち、脊柱つきの肉について、こうやって一月二十日以前に入ってきた肉に関して追跡調査してくださいと各自治体にお願いされているのであれば、同じ注意深さをもってすれば、脊柱部分以外の肉についても追跡調査をするのが筋なんじゃないですかということを問うているわけです。任意だということはよくわかっている、その上で問うているわけです。もう一度厚生大臣、お願いします。

川崎国務大臣 だから、それはあなたの御主張で、我々はこういう判断をしました、農水大臣と私どもで指示を受けてこうやろうという決断をしたということです。

大串委員 お問い合わせしますけれども、その話の流れからすると、そういう判断をされたということですよね。一月二十日以前の肉については、脊柱部分だけをチェックすればいい、脊柱以外の肉についてはチェックしなくていいというふうに政府の自律的な判断をもって判断された、そういうことですよね。

 それで先ほど来聞いている。なぜ、一月二十日以降と違って一月二十日以前のものに関しては、脊柱つき以外の部分については安全と判断されたんですかという理由を聞いた。それに関して、ただ一つ何となしに答え的に聞こえたのは、我々の検疫は大丈夫なんですというのが答え的に聞こえました。

 しかし、検疫が大丈夫なんだということをおっしゃるのであれば、その理屈を一月二十日以降に当てはめれば、検疫が大丈夫なのであれば、一月二十日以降も背骨つき以外の肉は輸入していいというふうになるはずなんです。そこには非常に理屈に断絶があるんです。どう思われますか、厚生大臣。

大島委員長 大串君、お時間が少し来ておりますよ。

中川国務大臣 一月二十日以降にも危険部位ではない牛肉あるいはまた内臓がEVプログラムに基づいて入るということは、論理的にはそれは可能なんですね。可能なんです、ルールにのっとっていれば。

 しかし、EVプログラム違反をやった、この重大性で、原因をきちっと究明してください、それから、二度とこういうことを起こさないでください、先ほど大串委員もおっしゃったように、説明を待っている。我々は説明を待っただけで、再開するつもりはありませんけれども、とにかくきちっとした説明を待っている。その間は、先ほどから申し上げている予防法四十条に基づいて検疫をストップしている。これは特別の措置。

 せっかく十二月十二日に、二年間かけていろいろな手続を日米でやって、安全委員会にも十回も、長時間御議論をいただいて結論を出していただいたにもかかわらずこういうことになったんですから、これは重大ですよ、アメリカも重大だと認めています、だから、その原因究明、再発防止まではストップします、アメリカもそれを認めますということでストップしているのであって、それは、では逆に、問題がないんだったら再開していいか、我々は、食の安全、国民の信頼からいってそれはできないと言っているんです。

大島委員長 大串君、もう時間が参りました。

大串委員 はい。

 食の安全に関して極めて不十分な認識であるということがわかったと申し上げて、私は質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

大島委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 格差社会あるいは非正規雇用の拡大の問題に関連をしまして、人材関連サービス産業の実態と派遣、請負の問題についてきょうは質問させていただきます。

 人材派遣や業務請負などの人材関連サービスが急膨張していると言われております。一年ほど前になります二〇〇四年の十二月十一日付の週刊ダイヤモンドでは、「人材派遣、業務請負業界が、わが世の春を謳歌している。大企業が正社員を削減し、派遣・請負を活用する「雇わない経営」を加速させていることもあり、人材ビジネスに対する需要は高まる一方だ。だが、市場の急膨張は、同時に不祥事やトラブルの温床ともなっている。」「人材派遣、業務請負の市場規模は推定四兆円。いまだに拡大の一途をたどっており、一説には「潜在市場四〇兆円」との見方まである。」と述べています。業務請負や人材派遣など、人材関連サービスの全体像がどうなっているのか、ここで一度確認をする必要があるんじゃないかと思っております。

 そこで最初に、川崎大臣に人材派遣業界についてお尋ねをしたいと思っております。お手元の配付資料の一枚目に派遣社員数の推移をグラフで紹介をいたしました。九九年の二十八万人から〇五年で百十三万人と急増しております。

 そこでお尋ねしますが、人材派遣業界の総売上高、市場規模。それから主な大手の五社ぐらいの名前。それから、派遣労働者、一般労働者派遣事業の場合の契約期間がどのぐらいになっているのか。それと、こういう派遣労働者の方の平均年収がおおよそどのくらいなのか。お答えをお願いします。

川崎国務大臣 労働者派遣事業の総売り上げでございますけれども、平成十六年度におきまして売上高二兆八千六百十五億円という把握となっております。その中で、派遣労働者の実態調査、製造業を行う事業所のうち請負労働者がいる事業所の割合は三〇・七%となっております。

 五社ですか、大きな会社。御質問、何か多様ですので。名前までは私は……(塩川委員「事前にお願いしましたけれども。では、結構です、契約期間ですとか」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

塩川委員 それでは、お聞きしたいのは、派遣労働者、一般の労働者派遣事業の場合の契約期間はどのぐらいになっているのか。それと、およそ平均年収がどのくらいなのか、その点を確認したいと思います。

川崎国務大臣 まず、大手さんでございますけれども、大きい順番ですから申し上げていいんだと思います、一番大きなのがスタッフサービスさん、千八百七十七億円の規模でしょうか、テンプスタッフ、パソナ、アデコキャリアスタッフ、五番目がニチイ学館でございます。

 それから、十六年度の労働者派遣事業報告の集計結果で、労働者派遣契約期間については、三カ月未満六五・一%、三カ月から六カ月が二一・九%となっております。

 そのほか、製造業だけ申し上げましょうか。いいですか。(塩川委員「では、あわせて」と呼ぶ)はい。製造業だけを取り上げますと、正確な把握とは申し上げられませんけれども、基本的な調査結果によりますと、六カ月以上一年未満が四七%、三カ月から六カ月未満が二五・六%という数字になっております。

塩川委員 平均年収がどのくらいかという調査というのはしておられないんでしょうか。また、製造業だけ取り出してという数字というのはあるものなんでしょうか。

川崎国務大臣 これもあくまで集計結果でございますけれども、一般労働者派遣事業二百八十八万円、特定労働者派遣事業約四百四万円となっております。

 また、製造業におきまして、これも粗い計算でございますけれども、一般労働者派遣事業で二百四十七万、特定労働者派遣事業で三百四十七万円。一般の正規雇用の場合で大体三百万ぐらいと承知いたしております。

塩川委員 特定の場合には技術を持っている方々ですから、専門職ということで。

 一般との比較をしますと、一般労働者について、全体が二百八十八万、製造業では二百四十七万ですから、やはり大きく低い状況がありますし、契約期間につきましても、三カ月未満という契約が六五・一%ということで、そういう点では非常に不安定な状況に置かれているということだと思います。こういう非正規の派遣社員が、この間、急増をしている。そういう派遣労働者の労働条件が低いということが言えると思います。

 次に、二階大臣に請負事業についてお聞きいたします。

 請負を事業とする請負業界についてですが、この請負業界の市場規模ですとか、大手の主なところの名前ですとか、あと請負労働者の人数とか平均年収とか、わかるところでお答えください。

二階国務大臣 お答えをいたします。

 人材関連ビジネスの市場規模につきましては、平成十五年度においてでありますが、約二兆五千億円と承知をいたしております。事業所の数にして約三万カ所を数えております。また、製造業関連の請負、派遣業界の市場規模でありますが、十分な統計はありませんが、平成十六年に経済産業省が実施しましたアンケートの回答で、製造企業の六七・六%が生産現場で請負の人材を活用しているとのことであり、相当数の企業がこうした人材の活用をしていると考えられるわけであります。

 製造業における請負と派遣を合わせた労働者の数は、平成十六年六月の時点におきまして約八十一万人を数えております。製造業関連の請負労働者の平均時給につきましては、千円ないし千百円程度だというふうに報告を受けております。派遣労働者の場合は、千円ないし千二百円とするケースが最も多いという民間調査の結果であります。

 最後に、お尋ねの製造業関連の請負業界の大手企業としましては、私どもの把握しているところでは、日研総業株式会社、日総工産株式会社などがあると承知をいたしております。

塩川委員 時給はありましたけれども、平均年収ということでは数字がないのかと思いました。お話にございましたように、市場規模でも大変大きくなっておりますし、労働者の数でも、派遣と請負合わせて八十一万人というお話もお聞きしました。また、生産現場で請負を活用している事業所が三分の二に上る、これ自身も急速にふえているということも紹介をされました。

 その上で、そうはいっても請負業界の全体の実態というのがなかなかリアルに見えてこない。例えば、請負業界最大手と言われておりますクリスタルグループというのがございます。先ほどの名前には出てまいりませんでした。そこには、製造請負の子会社としてコラボレートというところがございます。ここでホームページなどを拝見しますと、クリスタルグループは人材サービス業において世界第五位の超大規模企業ですと自己宣伝をしております。

 この製造請負の子会社となるコラボレートというのは、この間、ダイテックですとかタイアップ、アクティス、リライアンスなどが合併をして昨年誕生した会社であります。そのコラボレートのホームページでも、売上高一千八百億円となり、国内最大の製造請負サービス業になります、世界でもこの業界で最大級となりますと述べています。

 ですから、五つ六つが合併をしましたから、ここが今現在でトップに躍り出ているという状況ではないかな、私はそう推察をするわけですけれども、このクリスタルグループの製造請負の子会社であるコラボレートが国内最大の製造請負サービス業と自称していることについては、二階大臣としては承知をされておられるでしょうか。実態がそうなのかという、その辺の率直なところを。

二階国務大臣 詳細にわたる統計資料等はまだ十分整っておりませんが、今議員御指摘のようなことで推移されておるのではないかというふうに私ども推察をいたしております。

 これは大変大事なことでありますから、今後、経済産業省におきましても注意深く動向を見守って、議員が御心配をいただいているようなことに対しても十分目配りといいますか、配慮をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 統計資料が整っていないということで、本当の実態像はまだ明らかになっていないというのが現状だと思っています。そういう点でも、注意深くというのは大変大事な指摘だと思っております。

 そこで、このクリスタルグループの製造請負の子会社コラボレートの合併する前の会社の一つにダイテックというのがございまして、配付資料の四枚目に、このダイテックの昨年の単月、一カ月一カ月の売り上げの、取引先の一覧表があります。単位が千円ですから、一番取引をしている三菱電機の場合には二億二千六百五十五万円、二番のセイコーエプソンの場合には一億八千九百万円という規模になります。年間に直すと物すごい量になります。これをごらんいただければわかるように、豊田とかキヤノンとか東芝とか松下とかシャープとか、特に電機、自動車関係のトップメーカーがずらりと名前を連ねているわけであります。

 そこで、先ほど二階大臣もお話しされましたように請負を活用している事業所が三分の二以上に上るということですから、大変大きく活用されています。それが近年急速に伸びてきているという実態があるんだろうと思っています。

 例えば、先日我が党の佐々木議員がこの委員会で取り上げましたシャープの亀山工場、ここは産業再生法の適用会社でございまして、一昨年でしたか改正しました、事業革新設備導入計画と言われる、最新鋭のラインあるいは設備を投入したところについては国が減税などを行う、特典を与える、そういう認定が行われている、その計画に唯一採用されたのがこのシャープの亀山工場です。国が減税という形を含めて支援をしているところです。

 その最新鋭の工場の中で、これは三重県からお聞きしたわけですが、社員が約千三百人、これに対して請負や派遣などの非正規社員が二千十六人を占める。千三百人と二千十六人ですから、六割が非正規、最新鋭の工場で働く労働者の六割が非正規であるというのが実態です。

 私が聞いたところでも、キヤノンの宇都宮工場なども、五千人の事業所ですけれども、うち三千人、六割が非正規だということも伺っています。ですから、大手製造メーカーの生産現場で非正規雇用が急拡大をしているというのが実態だと思います。

 そこで、川崎大臣にお尋ねしますけれども、東京労働局が「NO MORE 違法派遣! 偽装請負!」というキャンペーンを行っております。厚生労働省からいただきましたこういうポスターがありまして、「NO MORE 違法派遣! 偽装請負!」、こういう形で大きくアピールをしているものです。ここにも今はやりの偽装というのが出てまいりますけれども。

 そこで、ここで挙げていますこの偽装請負というのはどういうものなのか、簡単で結構ですから、御説明いただけないでしょうか。

川崎国務大臣 請負ということになれば、工場からこの仕事、例えばラインをきちっと請け負って、その中において、日通さんなんかいっぱいやられていますね、こん包作業を全部受ける。それは当然、指揮命令もすべてその請負会社の命令系統の中で行われていく。

 しかし、偽装請負といいますのは、請負という形はとっているけれども、事実上は工場側がリーダーシップをとって仕事をさせている。そうなると、正直言って派遣の形態になっていますね、要は請負ではありませんね、偽装請負ということで、こうしたことは基本的に法律違反ですよということで指導を行っているということです。

塩川委員 要するに、その指揮命令がどちらなのかが不明確だと。派遣であれば指揮命令があるけれども、請負だったらない。しかし、現場には実際には指揮命令しているという形での請負がある、それを偽装請負。そうなりますと、労働者の労働条件、就業条件ですとか、労働安全衛生でだれが責任を持つのかが極めて不明確になる、あやふやになる。それが職場でのさまざまな労働条件の悪化や、あるいは労働安全衛生の不十分さにもなっている。

 そういうことで、このキャンペーンのリーフレットの中でも、偽装請負というのは、就業条件や労働安全衛生面での配慮や責任が十分確保されていないことが懸念をされますということで、是正を求めるということが今行われているということであります。

 キャンペーンを行うほど違法がまかり通っているということになるわけですけれども、違反事例には、構造的多重派遣と言われるように、五社も六社も派遣をする、ですから、ピンはねに次ぐピンはねが行われている、そんな悪質な事例なども現場では摘発することも、東京労働局などが行われているということもお聞きをしております。

 そういう中で、事業改善命令を受けた事業所の一つに、タイアップと言われる、今お話ししましたクリスタルグループ、コラボレートのグループに入った企業ですけれども、事業改善命令を受けたわけですけれども、実際には罰則がなくて、事業所の名称の公表のみになるわけですね。

 でも、これはもう既に名前は変わってしまったわけですよ、タイアップだって。公表して、それがいわば大きな抑止効果になるかと思ったら、もう既に名称も変わってコラボレートになってしまっている。痛くもかゆくもないというのが実態です。まともに罰則も適用されていないというのが、現場でのこういった違法な状況を横行させることにもつながっていると思います。

 あわせて、実際どういうふうなことが行われているかというのが、配付資料の五枚目に、コラボレートのグループに入ったダイテックのアウトソーシングセミナーと言われる、取引先事業所への宣伝、PR用のセミナーでの資料であります。

 ここにありますように、製造現場における請負契約について、請負と派遣の比較が行われています。1に期間の制限、2に契約の特性、3に税法上、請負と派遣を比較してどっちが有利か、請負の方が有利なんですよということを売り込むのが、このダイテックの資料の意味であります。

 ここに書いてありますように、税法上で、派遣は課税対象、請負は課税対象外。これで違いが出る、請負の方が有利ですよとなるんですが、わざわざここに、偽装請負は課税対象と書かれているわけですね。違法な偽装請負も含めて三通り並べて、どれか、比べてみて有利だとすれば請負になるんじゃないですかということをわざわざ行われている。これ自身が、現場で偽装請負が横行していることを示している。こういう偽装請負は違法行為だということを承知で売り込んでいる実態があります。

 税を担当しておられます谷垣大臣に、率直な感想ですけれども、ここにあるように、派遣が課税対象とかある中で、偽装請負が課税対象となっている。こういったやり方が真っ当な商売なんだろうかという懸念を覚えるんですけれども、率直な感想をお聞かせください。

谷垣国務大臣 感想とおっしゃられましても、適切に課税をしているんじゃないかと思っております。

塩川委員 一筋縄ではいかないわけで、いわば確信犯として、偽装請負も念頭に置きながら商売をやっているというのが実態です。いまだに違法状況というのは是正をされておりません。それを承知で受け入れている大手製造メーカーも、いわば共犯と言われても仕方がないんじゃないかという現状にあるんじゃないでしょうか。

 そこで、川崎大臣にお伺いをいたします。

 現場では非正規雇用がどんどん拡大をしている、製造現場などで。川崎大臣は、先日の我が党の佐々木議員への答弁で、正規がふえているか非正規がふえているかという議論の中で、少しずつ正規雇用がやっとふえ出したのかな、こういう感を持っていますと、正規雇用がふえることを好ましいものとして述べておられました。そういうことだと思うんですけれども、しかし、実際にやろうとしていることは何か。今、製造業での派遣については、来年の三月からは、今まで一年と限定されていた派遣期間を三年に延ばすことになるわけです。いわば、これは非正規雇用を拡大するやり方になるわけですね。

 ですから、正規雇用をふやそうという立場にお立ちのはずなのに、規制緩和で非正規雇用をふやすという施策を遂行する、これは正規雇用をふやそうという立場に逆行しているんじゃありませんか。いかがでしょうか。

川崎国務大臣 製造業における請負労働、派遣労働、外部人材の活用という観点から生産変動に柔軟な対応ができるということから、先ほどから御議論のように、大企業を中心に広がりが見られております。しかし、御指摘のように、また我が省がやっておるキャンペーンも先ほどPRをいただきましたけれども、まさに法律違反は許さぬという立場の中で、きちっと請負、派遣というものを明確にしながら指導してまいりたい、こう思っております。

 一方で、何回も各委員にお答えいたしておりますけれども、私どもとしては、特に正規雇用を望む人たちに正規雇用をきちっとしていく、これは事業者側にやはり働きかけをしなければならないという立場の中で、ハローワークで、前にお答えいたしましたように、二十万人という数字を二十五万人に上げさせていただいて、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。

 法律の改正については、一昨年ですか、御議論をいただいた中での一つの結論でございますので、法に沿って進めていくということになります。

塩川委員 正規雇用を望んでもなれないというのが現場の実態だということを踏まえて、生産変動に柔軟な対応ができるようにというのは、事業者の側の立場なんですよ。働く人の立場に立ってみれば、非正規ばかりふえるようなやり方では正規雇用の道が開けてこないじゃないかということが問われているんだと思うんですね。

 そういう点では、小泉総理自身も、先日、前原議員の質問に答えて、ようやく正規社員を将来の人材のために各会社がふやし始めた、こういう傾向を続けていってほしい、またそういう環境を整備していきたいと述べている。正規雇用がふえる方がいいという認識を示しているわけです。

 そう言っておきながら、一方で規制緩和で非正規を拡大するようなやり方では、逆行するんじゃないんですか。総理が言っていることとも、これは逆行するんじゃないですか。その点、改めていかがでしょうか。

川崎国務大臣 平成十年以来でしょうか、非正規雇用がずっとふえてきた。法改正もございました。そうした流れの中で、企業が変動に柔軟な対応をしていく、これはやむを得ないことであろう。しかし一方で、我々の認識として、できるだけ正規雇用をふやしたい、これは産業界とも話し合いをいたしますし、できるだけの努力をしたい。また、数字的には昨年末からそろそろ正規雇用がふえてきたな、経済の温かみというものが少しずつ広がりつつあるかな、こんな認識をいたしております。

塩川委員 いや、現場は逆行している、非正規がどんどん拡大をしている、やろうとしていることが逆行している。このことは重大であります。

 その上で二階大臣に、製造業の立場からいってもこの非正規雇用の拡大がいいのかということでお尋ねしたいと思うんです。

 私は率直に、派遣ですとか請負といった非正規雇用の拡大は物づくりの現場にふさわしくないと思います。丁寧に丁寧につくり上げていくその物づくりの現場で期限が定まった労働者がいたら、どうやってその技術の継承が可能になるのか、技術を深めていくことができるのか。このことが問われているんじゃないでしょうか。

 しかも、二〇〇七年問題のように、団塊世代が退職をする、それで若者がどんどん非正規でしか入ってこないんだったら、どうなっていくのか。その物づくりの技術の継承が問われていると思うんです。物づくりの現場に派遣や請負はふさわしくないと思いますけれども、大臣の御見解を聞かせてください。

二階国務大臣 御指摘のとおり、製造業におきまして非正規雇用者が長期的な傾向として拡大しているというのは事実であります。中長期的な観点から、物つくりの技能の伝承等に関する懸念が一部にあることは承知をいたしております。

 経済産業省といたしましては、こうした現場の懸念に対応するために、製造現場の技能、技術の伝承の拠点とする金型等の専門職大学院の設置、また、中小企業の物つくり人材を育成するために、地域産業界と工業高等専門学校、高専ですね、さらに工業高校等と連携を深めてまいりたいと考えております。また、ものづくり日本大賞による表彰等により、物つくりの技能伝承に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 非正規雇用の問題というのは、働く人にとってだけではなくて、物づくりにとっても重要なんだ。というのは、この非正規雇用について規制緩和をしていけば、その道を開けば、現場でどんどん非正規に置きかえられることになるんじゃないですか。中核的な人材を育てますといっても、その中核的な人材まで非正規雇用に置きかえられるというのが今の現場で起こっていることなんじゃないでしょうか。

 製造業にとって、中核的な人材まで非正規に置きかえられるということは命取りだ。これは経済産業省の北畑経済産業政策局長が、私どもが研究したところでは派遣では物づくりの強さは出ないとはっきり言っているわけです。こういう立場に立って是正をすることが必要なんじゃないのか。

 改めて、製造業への派遣の解禁を行った上に、来年からは一年を三年に拡大するような規制緩和は、物づくりの実態からいって、ここで立ちどまって見直す必要があるんじゃないか。三年に延ばすというようなことをきっぱりとやめるべきじゃないか。このことを、物づくりの立場から二階大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 御本人の希望ももちろんありますし、その企業にどう適合するかという問題もありますが、私どもは、いろいろな職種といいますか企業に勤務する人たちの形態を組み合わせて、立派な物つくりができるように考えていきたいと思っております。委員御指摘のような点につきましても、我々は十分視野に入れて検討をしてまいりたいと思っております。

大島委員長 塩川君、時間でございます。

塩川委員 一度、規制緩和を開けば、人材派遣業界の要求はどんどんエスカレートしていくんです。

 資料の六枚目につけましたように、日本人材派遣協会で、五つの規制緩和を求めてというふうに五つの項目が出ています。規制緩和、規制を撤廃して受け入れ期間を延ばせということとか、雇い入れの申し込み義務を撤廃しろだとか、働く人にとってみれば、権利や労働条件を切り縮めるようなことばかり要求しているじゃないですか。この要求をしている人材派遣協会の、この写真に出ている専務理事はどこの出身か。厚生労働省の天下りじゃないですか。業界との癒着で、労働者の権利や労働条件を……

大島委員長 塩川君、お時間でございます。

塩川委員 はい。

 切り縮めるようなやり方はやめるべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

大島委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、我が国の外交防衛の基本的施策についての質疑を麻生外務大臣並びに額賀防衛庁長官にお願いしたいと思います。

 冒頭、予告外の質問で恐縮ですが、麻生大臣にお願いいたします。

 昨日、中国から、外務次官ですね、お越しになって、麻生大臣とお会いになったということであります。次官級の会談は、去年のたしか秋、十月、小泉首相の靖国参拝以降、途絶えていたものかと思いますが、せんだって私がここで質疑させていただきましたように、日中関係は極めて肝要で、多岐にわたる課題を抱えておるという中、外務次官にお会いになって麻生大臣がどのようなお話をされたのかにつき、冒頭、お願い申し上げます。

麻生国務大臣 戴秉国というこの方には、私は正直初めて会いました。ほかのもう一人が、あそこは武大偉という方がいらっしゃいますんですが、私はこの方と初めて会う機会をいただいたんですが、有意義だったと思っております。三十分の予定が一時間を超えたと思いますけれども、日中関係、国際情勢等々いろいろな話をさせていただいて、大変有意義だったと思っております。

阿部(知)委員 内容に立ち至らない、総論的、優等生のお答えでありましたが、この前も申しましたように、非常に日本と中国との関係というのは微妙、かつ、ハンドルするのにいろいろな意味での誠心誠意な努力が必要と思いますので、麻生大臣には重ねてその向きをお願い申し上げたいと思います。

 さて、私が本日、主に大臣並びに防衛庁長官にお伺いしたいのは、私は実は神奈川の藤沢というところを選挙区にしておりますが、今、全神奈川県下で、特に基地再編に伴う住民負担並びに不安感が高まっておるという中で、わけても横須賀、これは小泉総理のおひざ元でありますが、そこにおける原子力空母の配置問題についてお伺いをいたします。

 実は、この横須賀に原子力空母をというお話は、そもそもは二〇〇四年の、たしか三月ごろでしたか、第七艦隊の海軍司令官の方がアメリカの議会でおっしゃったのが初めで、そして我が国に伝えられ、表立った形の話題になりましたのは昨年の二月、ちょうど2プラス2の片側で問題になっていたことかと思います。

 当然、地元としては、現在、横須賀は通常型の空母が、キティーホークですね、おりますが、原子力空母というのは安全性の面からも極めて不安が強いので、何とかこれを配備しないで、違う方法がないものかという声はたくさん上がっておりましたし、実に昨年の十月、たしか二十八日だと思いますが、たまたま松沢知事がアメリカに行っていらっしゃる最中に、日本の方で、通常型ではなくて原子力空母の配備が決まったぞということが伝えられ、外務省もそれを了承したということで、松沢知事も、寝耳に水であった、これまで要望してきたことが全く聞き入れられないという形で、地元の声も非常に、首長の約七割が反対をしておるという状態で今日を迎えています。

 その中で、私は、実は、去年の十二月の四日から八日間にわたって民主党の県選出の議員お二方とともにアメリカに行き、米国の国務省あるいは国防総省あるいは日米安全保障委員会にかかわる方々と意見を重ねてまいりました。

 そこで、きょう麻生大臣にお伺いしたいことは、私どもが訪米しましたときも大変に問題になっておりましたのは、ことしの二月四日に日本の新聞では報道されましたが、恐らく現地、二月三日のことと思いますが、QDRと申しまして、アメリカの国防総省が四年に一度のタイミングで出す戦略的な防衛にかかわる文書がことしの二月の四日、日本では報道されております。

 まず、麻生大臣は、このQDR、一番初めが一九九七年、次が二〇〇一年のテロの直後、そして今回ですが、今回のQDRは既にお目通し、膨大な文書ですので全部とは言いませんが、担当官からその要旨、概略はお聞きになっておられますでしょうか。

麻生国務大臣 QDR、カドレニアル・ディフェンス・レビューということを知っておられるんだという前提で、正直言って物すごく膨大です。

 実物を見て、最初から、もうページをあける気もなくなるぐらいたくさんありましたけれども、要約された文章がありましたので、その中について一応、四分野に分けられるかなと思いながら読ませていただきました。

阿部(知)委員 いわゆる2プラス2は、日本の外務大臣と防衛庁長官、それからアメリカでは国務大臣と国防大臣がお出になって、日本側から二、アメリカ側から二で行われる協議でございますが、とりわけ一九九〇年以降はこういう大臣同士の枠組みになって、日本の安全保障政策あるいは外交政策に極めて肝要な会議でありますし、また、先ほど申しました、ここに国防総省側から出されるQDRという軍事戦略の問題も大きく関係していると思います。

 麻生大臣がお読みになった中で、アメリカはこれから空母を全世界に展開する際に、十一隻体制ということが言明されております。この十一隻というのは、今現状、実は十二隻あるわけですけれども、何が欠けて十一隻であるのか。

 こう伺いますのは、実は横須賀の地元では、キティーホークにかわってジョン・F・ケネディという通常型があるんだから、空母が来るのは仕方ないとしても、せめて原子力空母じゃなくしてほしいと。これも県民の切実な願いでありますが、この十一隻体制と言われますときに、既に県民が広く期待しているジョン・F・ケネディの道は閉ざされているのかどうか、これについて教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 横須賀並びに神奈川県知事の方から、いろいろ御要請があっておったことはよく知っております。

 ジョン・F・ケネディにつきましては、二〇〇八年だったと記憶しますけれども、これをもって廃艦、運航停止になるということをもって十二が十一というように理解をいたしております。

阿部(知)委員 これは重ねてお願いしたいですが、結局、基地の再編問題も地元負担ということを抜きにしては進められない問題であります。

 私は、これから、原子力空母にかかわる日本の安全保障上の問題並びに現地の不安の問題、いろいろ御質疑いたしますが、二〇〇八年の退役まで時間的なゆとりがどうであるのか。キティーホークの退役もそのころでございますから、やはり県民の希望というのは、最後まで検討はぜひしていただきたい。

 実は、町村外務大臣の折に、原子力空母が来るのは仕方ないんだ、全部原子力空母なんだというお話が繰り返しありました。しかし、何度もそのお話を伺っても、沖縄の問題にしろ神奈川の問題にしろ、やはりそこにいる国民がどう思うか。あるいは逆に、安全保障上、日本の外交上、世界の平和上非常にそれが必要なんだということであれば、そういうお話もきっちりしていただかないと、やみくもに、そして戦略的にそういうものが配備されるということだけが先立って事が進むのでは私は本末転倒であると思いますので、麻生大臣には重ねて、その県民の懸念ということはここでお伝えしておきたいと思います。

 そうした上で、今回のこのQDRというアメリカの四年ごとの戦略的な軍事的な見直しでは、太平洋に広くシフトして、特に海軍力を太平洋に置くという配備になってございます。空母も六隻太平洋に配備する、これまでにない体制であります。そして、この原子力空母のうちの恐らく一隻が日本の、私どもの横須賀に来るというふうに仮定いたしました場合に、果たして、我が国の本当のこれまでの日米安保条約の枠、あるいは米国との集団的自衛権の行使などに抵触しないかどうか。私は抵触すると思うのですが、そのことをまず私は政治の中でもきっちり論議すべきなんだと思うんです。

 たまたまこれまでは、基地の再編をどうするんだ、どこにどう基地を置くんだというプラクティカルなこと、これも重要です、その現実によって市民は被害を受けるわけですから。これも大事ですが、より根本的には、アメリカが大きく世界戦略を変えようとしている、それも、日米同盟というものを一方に見ながら、我が国とて当然無関係ではいられない現状、これはもうどんな立場に立とうと事実でございます。

 であるならば、この日米の安保条約、これまで我が国が枠組みで持っておりますもの、そのことに対して、今回のこのQDRに示される空母六隻体制というものがどういう影響を及ぼすのか。実は、去年十月二十八日そういう通知があってから今日に至るまで、私は、もっと国会の中でも論じるべき課題と思っておりました。

 と申しますのは、現在の駐日大使でありますシーファーさんがおっしゃるところ、空母というのは、これまでの通常空母はプロペラ機、そして原子力空母はジェットエンジンだ、すごく迅速に移動できるし、六隻体制、空母を六個太平洋に置くことによって、逆に非常に迅速な、いつでも基地に転換できるような、攻撃も可能なような配備であると言われておる。

 この点は、実は麻生大臣、これまで、例えば我が国は日米安全保障条約の中で極東条項と呼ばれるような、アメリカが日本に対して負っている、ともに負うその国防の義務は極東条項というふうに私どもは伝え聞いておるわけです。原子力空母がジェットのようにあちらこちらに移動しながら不安定な弧に対応するとなれば、我が国のこれまでの日米安保条約の枠を超えるものではないのか。このことについて、一点、お願いいたします。

麻生国務大臣 まず最初に、日米間では、二〇〇二年十二月の2プラス2以降、いわゆる現在におきます安全保障の環境におきます日米同盟のあり方を検討しようではないかということで協議を行って、昨年の二月に2プラス2におきまして日米間の共通戦略目標を確認ということになったと思っております。

 これを踏まえて、日米の役割や任務や能力というような話に、日米間の兵力態勢の再編ということに関して協議をずっと行ってきた成果を取りまとめたものが昨年十月に出ました2プラス2の共同文書であったと理解をしております。したがいまして、個別の施設・区域に関する議論のみが先行していたというわけではないと思っております。

 また、今、憲法上の問題等々がございましたけれども、いわゆる集団自衛権との関係ということだと存じますが、米軍の空母というものに対して、日本のいわゆる施設とかまた区域の使用を許可することにつきましては、いろいろ御意見もあるんだと思いますけれども、米軍に対して施設・区域を提供するということは、これは憲法上禁じられている武力の行使ということには当たりませんし、集団自衛権との関係上でも、いわゆる憲法上の疑義が生じることはないということは、従来から申し述べさせていただいているとおりだと理解をしております。

阿部(知)委員 今の麻生大臣の御説明は私は知った上で、そのことが日米安保条約の極東条項から見てどうなのか、逸脱しているんじゃないか。

 それからもう一点は、例えば米国が今現在日本で使用している基地から、例えば現在のキティーホークでもそうですが、空母が出ていくときには、一応、我が国の港を出るときは攻撃用ではないという変な暗黙の合意のもとにやっているんだと思います。これから、さっきも何度も言いますが、プロペラエンジンかジェット機かというように、迅速な攻撃で、いつも六隻体制のリンケージの中で考えられるときに、そうはみなし得ないだろう。そうであれば、当然、私は、憲法にしろ集団的自衛権の問題、日米安保条約にしろ、日本の現下の法律でありますから、きっちり、そのことがどこでどういうふうに変わろうとしているのか、変えられようとしているのか。それを、事実先行型で、軍事先行型で変えていけば、必ず私どもの国は取り返しのつかない事態に陥る。

 一つ一つ、それが国民合意、議会の中で論議され、一歩進むものであれば、それもあり得ることと思いますが、余りにそこが軍事先行、特に、こうやってアメリカが軍事戦略の変更を述べられて、それをいわば請け負う形で2プラス2になってしまっては、日本の本来的な、私は、外務大臣の役割がやはりこれでは軽くなってしまうというふうに思ってお尋ね申し上げているわけです。

 まだまだこれから国会内での審議は、実は三月の基地再編に向けて多様に行われますでしょうし、これは繰り返し取り上げさせていただきますので、大臣にも今私のお尋ねした点で、また、きょうは他にも予告してありますのでここでとどめますが、お返事をいただける折があれば、私も重ねて質問をさせていただきます。

 もう一点、原子力空母の寄港ということに関しましては、既に一九六四年に原子力潜水艦の立ち寄り、そして六七年に水上艦、今のような空母の立ち入りに対して、その安全性において日米両国でエードメモワールという覚書、口上書が交わされております。これは、一時寄港、とりあえず来るよと二十四時間前に言って、そして、寄港中にはさまざまな原子力の修理は行わないのはもちろんのこと、やはりそこに通常ならざるものがいるんだということで、日米での合意があったわけです。今度母港化するということは、実はずっといる、それから、太平洋に六隻体制ですから、いろいろなかかわりが出てきます。

 外務大臣として、アメリカとこの新たな母港化に伴って何か、エードメモワール、もちろんこれは厳守していただかねばいけませんが、それを超える何かのお取り組みを現段階でなさっているのかどうか、お教えください。

麻生国務大臣 原子力潜水艦のいわゆる事故等々を懸念されているというのは、機械であります以上、常に故障とか事故とかいうものは、いかなる機械であろうとも起こり得る。自動車でも軍艦でも皆機械というものは、そういったものはある程度危険は、ある程度負担を常に避けがたくあるものだと十分に御存じの上で聞いておられるんだと思いますが、今御指摘のありましたように、これまで約一千二百回、原子力船何々というものは日本に寄港をいたしております。潜水艦、空母等々、原子力とつくものはいろいろございますけれども。

 そういった中にありまして、その都度、モニタリングというんですか検査をさせていただいておるんですが、少なくともこれまでの間、放射能の異常値というものが検出されたことは、この一千二百回の回数の間では一回もなかったというのが事実であります。

 また、そういったあらゆる事態というものに備えなくちゃいかぬというのははっきりいたしておりますので、そういった意味では、原子力船の災害というものも可能性というのは常にあると覚悟しておかないかぬという御指摘なんだと思いますので、そういった災害に備えたいわゆる訓練というものを政府としてもいろいろやらせていただくというのは、これは当然の備えとして必要なものだとも理解をいたしております。

阿部(知)委員 これも直接的なお答えでないと思いますが、そのエードメモワールを上回る何かお約束事をなさっているのかと伺いたかった理由は、実はエードメモワールの中では、何か一たん事が起きたら、日米地位協定に基づいて損害等々も補償すると。

 しかしながら、大臣も御存じかもしれませんが、私どもの神奈川にございます厚木基地というところの例えば騒音の被害一つにしろ、これまで、既に判決が確定して騒音被害で補償が行われて、それをアメリカに要求しても、アメリカは日米地位協定すらこのことについては履行していません。

 原子力事故というのは、一たび起これば、その人的被害も含めて、現実に人においても損害額においても非常に大きな災害が起こる可能性をなしとしてかかってはいけないものだと私は思います。そのことを踏まえて、これは沖縄も要求されておりますが、日米地位協定のきっちりとした遵守、履行、さらには、こうした原子力事故への対応については、念には念を入れて、外務省としてきっちり協議していただきたいと私は思うものです。

 もう一つ、恐縮ですが、何か事故が起こったときの訓練等々、想定した訓練は、実はこの横須賀でも、もう一つよく寄港します佐世保でも、米軍が起こした事故であるという想定は抜きにしか行えないことになっています。私は、もちろん原子力空母の寄港をよしとするものでありませんが、せめて、起こり得る、あり得る危険の一つとして対応する、そうした姿勢がなければ、ゼロベースで、事故はないんだよベースではいかないと思いますので、この点もあわせてお願いいたします。

麻生国務大臣 御指摘のありましたエードメモワールにつきましては、そのほかにも政府声明等々、いろいろ安全性を保障してきておりますのは御存じのとおりですが、御存じのように、先ほど千二百回と申しましたけれども、一九六八年だったか以来のかなり長期間にわたる安全性とか安全運航の実績等々もございますけれども、いわゆる寄港時の安全というものに関しましては、十分に配慮をするというのは当然のことであります。

 したがいまして、昨年十月の、原子力空母がいわゆる後継艦となるという話が出ましてこの方、原子力空母に交代した後も、御指摘の文書に、エードメモワール等々に指摘されております内容はもちろんのことですけれども、寄港に関するこれまでの安全性というものに関します保障は、すべて引き続き堅持、当然のことだと思いますが、厳格に実行する旨を改めて外務省といたしましても文書の形で求めておりまして、これを向こうから確約してきておるところでもあります。

 そして、今、もしものときはという、いろいろ地元とのあれにつきまして、原子力空母は事故がないという前提になっておるではないかという御指摘については、これはかなり事務的な話になりますので、防衛局長の方から答弁させていただきます。

阿部(知)委員 麻生大臣は事務的とおっしゃいましたが、例えば二〇〇四年の九月に佐世保で、原子力空母の本体に至る導線のところで火災事故がありました。この事故の報告は五時間おくれでした。そして問い合わせて初めてでした。

 導線から火事になれば、当然本体に行きます。この五時間のおくれすら地元にとっては危機的なことであります。事務的な事態と認識せずに、ここは大臣、ぜひ、この地元の方々の抱く不安ということについてみずから深く御配慮いただき、何度も言いますが私は配備には反対ですが、もし配備なさる場合でも、やっていただきたいと思います。

 引き続いて、額賀長官にお伺い申し上げます。

 きょうは、私は額賀長官には、主に、原子力空母が来る以前から横須賀で、十二号バースといいまして、通常型空母の長さに合わせてバースが延長されております工事に関しましてのお伺いをしたいと思います。

 きょう、大臣のお手元に、私は横須賀基地関連工事の落札率というものを出させていただきました。これは実は、横須賀基地の関連のバース延長工事は平成五年から行われておりまして、途中で環境汚染等々が見つかりまして、頓挫して再開してということで、長い経緯がございますが、全貌は、実は火曜日の午後しか防衛施設庁の方で出せないというので、私が二〇〇二年分だけここに計算をしてみました。

 一年分ですから、他の年度は違うと言われるかもしれませんが、皆さんにお示ししたかったのは、ずっとこの委員会でも問題になっております落札率でございます。一〇〇%というのも二個ございますほか、九五%を欠くものはたった一件でございます。非常に高い落札率、八割、九割を超すものについては、これまで額賀長官は談合率という形でちょっとそこでおっしゃいましたが、そうではないとは思いますが、しかし私は、やはりこれだけ、神わざでも一〇〇%ぴったりよというのはないと思うんですね。

 そこで、長官はこのデータをどうごらんになるかということと、もう一点、実は額賀長官は、これは私が議員になる前ですが、九八年に、同じように調達本部の問題で責めを負われて辞任なさいました。私は、今回もまた防衛施設庁解体とか言われていますが、何でも解体してうやむやにするのは反対でございます。大体、事実を明らかにしないで中途半端な手を打つから、次々に同じ形のものがより深く、調本のは氷山の一角で、今この基地をめぐって、佐世保も、こうやって横須賀も、岩国も、ほぼ全国、私は問題が生じていると思います。長官として解体を云々する前にやるべきことは何とお考えか、ここはしっかりとお答えいただきたい。この二点、お願いいたします。

額賀国務大臣 今阿部委員の資料を読ませてもらっておりますが、老婆心ながら御指摘をさせていただきたいと思いますが、上から十一番目、戸田・松田とありますが、これは戸田・松井建設ですね。それから、十二番目も、石川播磨ではなくて、石川島播磨重工業ということでございます。

 十二バースの工事については、委員御指摘のとおり、平成五年からスタートしておりまして、バースの延長等の工事が行われているわけでございますけれども、この中で、平均的なその落札率が何%か出ておりませんけれども、施設庁全体では大体九五%ぐらいなんですね。それで、大体、公共工事を行う際には、国土交通省の方で、資材の容量だとか単価だとか、労務単価等も全部公表しておりますから、プロが計算を積み上げていきますと、やはり役所側でやるのと業者側でやるのと余り、まあ一体になるということはほとんどないと思いますが、非常に近くなるということはあるんですね。

 そこで、私も一〇〇%というのはいかがなものかと思っているんですが、今回のこの一〇〇%というのは、例えば十四、これは倉庫の昇降設備、エレベーターですね。それからもう一つ、十七番、これはちょっと調べてみたんですが、本体工事の追加工事を請け負ったときの話だと聞いております。それから、下から二番目の場合でありますけれども、これも配管とかそういうことで、非常に業者が特定されつつあるところの仕事が多いというふうに聞いております。それは工事の中身とか技術とかです。それでも一〇〇%が多いというのは、私は問題だというふうに思っております。

 したがって、我々は今後、こういう落札率の問題についても、競争力の原理を入れるとか、総合評価方式を考えるとか、あるいは予定価格の事前公表制を考えるとか、さまざまな知恵を働かせて、どういうふうにしたらいいかを考えていく必要があると思います。

阿部(知)委員 済みません、一言だけ。

 丁寧にお答え、ありがとうございます。そうであれば、もう一歩、長官にはお願いがあります。

 例えば、ここの業者、どの業者とは申しません、アンケートが来るそうです。OBの受け入れについてどうかというアンケートだそうでございます。よくお聞き取りをください。それは、その業者がそういうアンケート用紙を出せば差しさわるということで私はきょうお示ししませんが、それほどに詳しく長官がおっしゃってくださるのであれば、実際ここにかかわる、こことは申しません、業者の方たちがどういう調査でどういう働きかけをさせられているのか。それから、防衛施設局の各局長の天下り先についても、つまびらかにしていただきたい。一件、横浜の施設局長が出ておりますが、他の新聞社から、これも全体解明の中でぜひお願いしたいと思います。

 終わります。

大島委員長 阿部さん、ちょっとまだ終わらなくていいのでございまして、麻生大臣が客観的な事実についてちょっと修正したいというので、お時間が来ておりますが、ちょっとお座りくださいませ。

麻生国務大臣 済みません、先ほどジョン・F・ケネディという空母の退役年数を二〇〇八年と申し上げましたけれども、二〇〇七年の間違いです。修正させていただきます。申しわけございません。

大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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