衆議院

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第4号 平成18年10月10日(火曜日)

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平成十八年十月十日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 金子 一義君

   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 萩山 教嚴君 理事 森  英介君

   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君

      井上 喜一君    臼井日出男君

      遠藤 武彦君    小野寺五典君

      大島 理森君    大野 功統君

      河井 克行君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    佐藤 剛男君

      笹川  堯君    中馬 弘毅君

      中野  清君    中山 成彬君

      西村 康稔君    野田  毅君

      広津 素子君    深谷 隆司君

      細田 博之君    三ッ林隆志君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      宮下 一郎君    山本 公一君

      岩國 哲人君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      川内 博史君    田名部匡代君

      中井  洽君    原口 一博君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      松木 謙公君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    東  順治君

      笠井  亮君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君    徳田  毅君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         菅  義偉君

   法務大臣         長勢 甚遠君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         尾身 幸次君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   法務副大臣        水野 賢一君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働副大臣      武見 敬三君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   文部科学大臣政務官    水落 敏栄君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   経済産業大臣政務官    松山 政司君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十日

 辞任         補欠選任

  中野  清君     広津 素子君

  前原 誠司君     田名部匡代君

  赤羽 一嘉君     伊藤  渉君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     中野  清君

  田名部匡代君     前原 誠司君

  伊藤  渉君     赤羽 一嘉君

  笠井  亮君     佐々木憲昭君

  保坂 展人君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(外交等)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、外交等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長稲見敏夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。

杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。

 まず冒頭、昨週の低気圧、台風と言っていいと思うんですが、日本の東方海上を北へ駆け抜けました台風で多くの方々が亡くなられ、被害が出ました。気仙沼の漁船の方が十六名、まだ捜索中ということでありますが、御無事をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 安倍総理大臣、御就任まことにおめでとうございます。尾身大臣もそうですが、先生の御父君晋太郎先生のじかの御薫陶を受けた一人として、大変うれしいですし、また感慨無量でございます。泉下の晋太郎先生もさぞかしお喜びと思いますが、国内外とも多事多難、難局のさなか、大変革期でございます。たぐいまれなリーダーシップを発揮されまして、我が国の将来にお父様の志を継いで頑張っていただきますように、まずもってお願い申し上げる次第でございます。

 きょうは外交問題集中ということでございますが、昨日、もう全国民の皆さん御案内のとおり、大変な衝撃が地球上を駆けめぐりました。北朝鮮による核実験が強行されたわけであります。まだ核実験ではないんじゃないかというようなことも言っている方もありますが、北朝鮮そのものがやったと言っておりますし、それぞれ資料もそろいつつあるようで、ほぼやったことは間違いないんじゃないかと思われるわけでございます。

 総理は、中国におられるときにやって、機中で恐らくお聞きになったと思うんですけれども、盧武鉉大統領との会談の際にはもう世界じゅう知るところでありまして、いろいろ突っ込んだお話し合いもなされたと思います。国家安全保障会議が緊急招集され、官房長官談話も発表される。国連安保理でも動きが始まっておるようでございます。

 まず総理に、この北朝鮮核実験の御報告をどういうお気持ちでお聞きになられ、盧武鉉大統領、あるいはブッシュ大統領とも電話会談をなさったそうですが、今後どういう方向でこの問題に対処されようとしているのか、お考えをまずお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今般の北朝鮮による核実験の発表でございますが、こうしたもし核実験が事実であるとすれば、我が国を含め、地域の平和と安定に対する挑戦であり、断じて許すことができない試みであります。

 当然、我が国としても、また国際社会としても対応措置を考えなければならない、このように考えております。国連の安保理におきましても厳しい措置を含む決議について直ちに議論をするべきである、また、その旨当局に指示をしたところであります。

 いずれにいたしましても、国際社会の懸念にこたえないばかりか、さらに挑戦的な行動をとるということであれば、その結果はすべて北朝鮮がとらなければならないわけであって、こうした行動をとっていれば、さらに北朝鮮をめぐる状況は悪くなっていくということを北朝鮮に認識させなければならないと考えております。

杉浦委員 総理が現地で発表された談話、それからさまざまな報道によりますと、国連安保理では、第七章に定める制裁に向かって検討が進められるというふうに聞いております。総理御自身も、今、日本が北朝鮮に対して行っている制裁、万景峰号の入港禁止それから公務員の入国禁止というような制裁措置に、さらに加えて追加的な制裁を検討しているというお話を承っておるわけですが、そういった国際社会、国内の対応を具体的にどのようにお進めになられるおつもりか、お伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日の日韓の首脳会談の場においても、また、ブッシュ大統領との電話会談においても、この問題に対して国際社会として対応措置をとっていかなければならないということについて、さらに国際社会において協力連携をしていくということで一致をしたところでございます。また、特に我が国にとりましては、これは大変重大な我が国の安全に対する脅威であり挑戦でもあります。

 まず、実際に北朝鮮が核実験を行ったかどうかということについては、これは情報を収集し判断しなければならない、こういうことでございます。もし実際に核実験を行ったという確認ができれば、これは、我が国としても独自の北朝鮮に対する厳しい対応措置を速やかにとらなければならないと考えております。

杉浦委員 その際に、国際社会、これから安保理で検討いたしますが、いろいろ検討を進める、国際協調の中でやらなければいけないわけですが、官房長官談話によりますと、国内措置についても直ちに検討を開始するということであります。

 その場合、国際社会の協調のもとで協力しながら、しかし、日本単独ででも制裁措置を強化するというようなお考えはおありなんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 もしこの核実験が実際に事実であるとしますと、既に北朝鮮はミサイルの能力を向上させているわけであります。あわせて考えますと、日本にとりましては深刻な脅威となってくるのでありまして、国際社会としても、当然、また国連の場におきましても、この北朝鮮の試みにどう厳しく対応していくか、断固たる対応をしていくかということについて議論をしていく、また、日本がその議論において主張していくのは当然でございます。

 それと同時に、ただいま申し上げましたように、ある意味では日本が一番大きな脅威を受けているという中にあっては、日本独自の対抗措置も当然考えなければならない。その旨、既に検討はいたしております。

 ただ、再三申し上げておりますが、まず、実際に核実験を行ったかどうかということについては、冷静に状況を分析していかなければならないと思います。

杉浦委員 冷静に分析し検討していくことは大事であると思いますが、総理がおっしゃったとおり、これは、我が国のみならず、韓国、周辺国、アジア、この地域全体にとっての大きな脅威であります。凜とした態度で、場合によっては、前の国連安保理の決議もございますので、全北朝鮮船舶の入港を禁止するとか、あるいは国家公務員だけでなくて民間の入国も認めないとか、さらに進んだ制裁措置を単独でもとっていくべきだと思っております。

 麻生大臣に通告してございませんが、北朝鮮はこの問題で国際的に孤立を深めていくと思うんですね、安保理の議論を伺っておっても、世界の反響を聞いておっても。マスコミのそういう状況であります。孤立無援、中国、韓国も大分距離をとり始めた。盧武鉉大統領も、太陽政策だけではだめだというようなこともおっしゃっているようであります。孤立を深めていった場合、最悪の場合、心配されるのは暴発であり、また、あの国の制度の崩壊ということもあり得ない話ではないわけでございます。

 放射能漏れについては、検査体制をとって、国民の生活に不安がないように既に措置をとられたわけですが、あらゆる事態を想定して、政府として万全の対応をするということが大事だと思うわけでございますが、麻生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、委員御指摘のありましたように、基本的には、国連加盟国百九十二カ国の中で、北朝鮮をいわゆる全面的に支援しているという国の数の絶対量は間違いなく減っております。したがいまして、今回のような形になりますと、さらにその数が減るという状況になっていくと、経済的には今でもかなり厳しい状況になっております。しかし、隣国中国からの支援等々、石油に限らず、食料、いろいろございます。したがって、そことの関係が一番深い、逆に言えば、そこが一番影響力が強いということになろうかと存じますが、ミサイルに続いて今回の核実験と、いずれも中国の意に反して事が進んでいるという状況がいかなる利益を北朝鮮にもたらすのかは、外部の我々にはちょっとはかり知れるところではありません。

 しかし、結果としてそれを御存じのように行っておりますので、これが中国との関係で決定的なものになると、それが体制が崩壊したからといってそこから難民が出てくるのか、またそこで内乱が起きるのか、いろいろなことは想定をしておかねばなりませんし、そこからボートピープル、いろいろなことを考えておかねばならぬでしょうし、韓国側に流民が流れ込む可能性もあるでしょうし、中国側に流れ込む、いろいろなケースが考えられると存じます。

 したがいまして、中国、韓国、日本、いずれも隣国にとりましては、ここは何らかの形で、暴走するようなことがなきよう、また、あった場合に対しての対応というものにつきましては、平時のときから検討しておくというのは当然のことだと存じます。

杉浦委員 次に、訪中、訪韓についてお伺いいたします。

 核実験がこんなに早くなされるとは思ってもいなかったことでございますので、ある意味では、そういう意味でもタイミングのよかった訪中、訪韓ではなかったろうかと思います。

 まず中国について伺いますが、日中関係が最も重要な二国間関係の一つだ、これはだれしもそう思っておりますし、総理も所信表明演説の中で触れておられるところでございます。韓国もそうですが、その両国とも門戸を閉ざしておった。こちらはいつでも会うと言っておったのに、先方は、会わない、靖国問題があってということだったわけですが、総理就任早々、先方が扉を開いて会談が実現した。極めて大きな意義があるものだと言っていいと思います。

 タイミングとしても、先方にとっては、第六回中央委員会総会ですか、その初日であるにもかかわらず、三人のトップの人が時間を割いて会われた。非常な厚遇だというふうに伝えられておるところでございます。そのことは、中国がいかに日本との関係改善を重視しておるかということのあらわれではなかろうかとも思うわけでございます。総理が胸襟を開いてこのトップの方々といろいろな話をされた。共同プレス発表というのが出ておりますけれども、未来志向の方向性を出そうということが、非常に前向きに取り組もうということがあらわれておりまして、大変有意義なものではなかったかと思うわけでございます。

 まず総理から、中国訪問、三人との会談、中身について、テレビを通じて国民の皆さんにお話しいただければありがたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は八日に中国を訪問いたしました。日中関係は最も重要な二国間関係の一つであります。この両国の首脳が率直に話をし、そして、信頼関係を築き、未来志向の関係を構築していく、そのために訪中を決意したのであります。また、中国側も、今杉浦先生が御指摘になりましたように、大変政治的にも忙しい中、私の訪問を受け入れてくれたのであります。

 日中関係は、特に経済におきましては、お互いにお互いを必要とする関係になっております。貿易量もこの五年間で倍増しており、日中関係のこの貿易は、今や米国を上回る額になっております。その中で、政治の分野、レベルにおいても、首脳間でいろいろな問題について、東アジア、またアジアや世界の平和や安定のために何ができるかということについても話ができる、そういう関係をつくるべきであるとの考えで訪中をいたしたわけでございます。温家宝総理、そしてまた呉邦国委員長、そしてまた胡錦濤国家主席、それぞれお目にかかったのでございます。

 そこで両国は、これから戦略的な互恵関係を構築していく、まさに次なる高みへと日中関係を導いていくべくリーダーシップを発揮していこうということで一致をしたところでございます。お互いに信頼関係を構築し、そして、胸襟を開いてこうした首脳会談を頻繁に開けることをお互いに努力していこう、来年の近いうちに、また胡錦濤主席の訪日についても要請をしたのであります。

 そしてまた、APECやASEANプラス3などといった場においておのおの首脳会談をしていこうということを提案したわけでありますが、そうした会談を行っていくということについては一致したところであります。日中関係を発展させながら、地域の平和、発展のためにもお互いにこうした信頼関係を構築していくことは有意義であり、そしてそのことを生かしていこうということでも一致をしたところでございます。

 また、東シナ海の問題につきましても、東シナ海を、友好、協力、そして平和の海にしていくという共通の認識を持つということについても一致をしたところでございまして、これを契機として、経済、政治の分野において、まさに車の両輪を力強く動かしていくことによってさらに両国関係を発展させていきたい、こう決意をいたしておるところでございます。

杉浦委員 今、総理がおっしゃられましたように、今回の首脳会談におきまして、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係、言ってみますと戦略的互恵関係と申しましょうか、それから、政治と経済という二つの両輪を力強く作動させる、政経両輪論と申しますか、この二つの基本方向が確認された。共同プレス発表、共同声明と言ってもいいと思うんですが、そこにも明記をされておるわけであります。これは、日中両国がアジア及び世界の平和と安定に貢献するという、新しい時代にふさわしい日中関係の目指すべき大きな方向性をお互いにつくり出したという意味で極めて有意義だと思います。

 ところで、その共同声明を見ても、共同プレス発表を見ても、靖国神社のヤの字も出てまいらないわけであります。歴史認識問題についても、直接触れられたところはございません。胸襟を開いてお話しになられたと思うんですが、その歴史認識問題あるいは靖国問題についてどんなやりとりがあったのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

安倍内閣総理大臣 首脳会談におきましては、中国の指導者から、歴史をかがみとして未来に向かうとの精神につき言及がありました。政治的障害を取り除いてほしいという言及があったわけでございます。

 私からは、我が国が一時期アジア諸国の人々に対して多大な損害や苦痛を与え、そして大きな傷跡、つめ跡を残した、このことに対する深い反省の上に戦後六十年の歩みがある、その思いは、六十年生きてきた人々、そしてまた私は同じ思いであり、この思いはこれからも変わることはないということを申し上げたわけでございます。

 そしてまた、その思いの中で日本は一度も戦後六十年間好戦的な姿勢をとったことはなく、そして、地域の平和、世界の平和のためにも貢献をしてきたところである、また、自由と民主主義を基盤に、基本的な人権を守り、世界に対して貢献をしているということについては、これは世界の多くの国々からも評価されているところであるということについてもお話をいたしました。

 また、靖国神社の参拝の問題につきましては、私が今まで靖国神社に参拝をしてきたのは、これは小泉総理も言っていることであり、また、かつて日中の友好関係発展のためにも大変尽力された大平総理もおっしゃっていたことではあるが、祖国や家族のために戦い、倒れた方々に対して手を合わせ、御冥福をお祈りし、そして哀悼の誠をささげ、また死者に対して尊崇の念を表し、そして平和を祈るためであると。それは決して軍国主義を賛美するものでもなく、また、特定の考えや特定の人々、また、いわゆるA級戦犯と言われる方々をたたえるためでもないというお話をいたしたわけであります。米国のアーリントン墓地においても南軍、北軍それぞれの兵士がそこには埋葬されているわけであり、そのどちらか一方の、例えば南軍の考え方を肯定するかどうかと、そこにお参りすることはつながるわけではないということをお話しいたしたわけでございます。

 私は、基本的には私の説明を聞いていただいた、このように思っておるところでございます。

杉浦委員 今回の御訪問は、未来志向の日中関係の確立に向けて大きな一歩を踏み出したものと評価できると思います。麻生大臣、相互訪問を事務方の方で進めていくようになったようでありますから、一刻も早く胡錦濤さんたちにも来てもらうように、御尽力賜るようにお願いしたいと思います。

 時間がございませんので、次、韓国の方に参りたいと思います。

 総理は、所信表明におきまして、我が国と韓国は、自由、民主主義、基本的人権等の基本的価値を共有するパートナーであるとされ、日韓関係についても楽観しておられるというような見解を表明されているところでございます。日韓関係は、もちろん日中関係にまさるとも劣らない重要な二国間関係で、この地域及び世界の安定と発展に貢献する役割を担うものだというふうに思っております。

 今回の御訪問で、盧武鉉大統領初め皆さんといろいろ話をしていらっしゃったわけですが、日韓関係の目指すべき方向性についてどんな内容であったのか、お話をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日韓関係も重要な関係であり、また、韓国は日本にとって最も大切な隣国である、この両国の指導者が率直に意見交換をできるそういう環境をつくり、そして北東アジアや地域の平和のためにお互いに語り合える、そしてお互いに貢献できる、そういう関係をつくるために韓国を訪問したところでございます。そして、韓国におきまして、韓明淑総理と昼食をともにしながら会談を行いました。また、盧武鉉大統領とは、少人数の会談、そして拡大の会議、さらには晩さん会において率直に話をすることができたと思っています。

 委員が御指摘のように、日韓両国は、自由、民主主義、基本的な人権、また法律の支配と、価値を共有する両国であり、今後、戦略的なパートナーとして地域の平和のためにもお互いに協力をしていこう、この日韓関係を発展させていくことによって、さらに地域を安定し、そして平和な地域にしていこうということで一致をしたところでございます。さらに、いろいろなレベルにおいての交流を深めながら、未来志向の関係を構築していきたい、こう考えています。

 ちょうど、中国から韓国に移動する飛行機の中で今般の北朝鮮による核実験についての報告があり、この問題についても韓国側と協議したところでありますが、北朝鮮の核実験の実施が確認されれば、重大な脅威であり、断じて容認できない、そして、国際社会はこのような北朝鮮の行動を容認せず、さらなる厳しい措置をもって臨まなければならない、そして、日韓両国が今後直ちに断固たる対応をとっていく必要がある、さらに、安保理における厳しい措置を含む決議の速やかな採択に向けて緊密に連携を強化していく、以上の四点について確認し、一致を見たところでございます。

 こうした事態においても、共通の認識を持ち、そしてともに行動していくことが確認されたことは、私は極めて有意義であったと思います。

杉浦委員 韓国でも、率直な、胸襟を開いたお話し合いをなされたようでございますが、韓国の方々が言う過去の問題といいますか、歴史問題についても何か率直なお話がなされたのであれば、お話しいただければありがたいと思います。

安倍内閣総理大臣 韓国側からも、この歴史の問題というのは、日本人にはなかなか理解できない部分もあるとは思うが、十分に韓国の国民の気持ちを理解してもらいたい、この歴史にかかわる障害について取り除くようにしてもらいたい、こういう御発言がございました。

 私からは、先ほど述べましたこととまたあわせまして、韓国の国民のお気持ち、感情を重く受けとめていきたいと思っている、その中でお互いに今後相互理解を進めることによって、そうした問題を克服していくべく双方が努力をしていくことが大切ではないかということを申し上げたところでございます。

杉浦委員 麻生大臣の評価をお伺いしたいんですが、閉ざしていた扉を先方が開いて、安倍政権発足後間もないこの時期に実現したということも含めて、麻生大臣の、今回の訪問についての評価をお聞かせ願えればと思います。

麻生国務大臣 中国、韓国両方ですか。(杉浦委員「両方です」と呼ぶ)

 御記憶かと思いますけれども、五年前の十月八日が、私の記憶では小泉・胡錦濤会談の最後だったと記憶します。ちょうど丸五年の日にちに結果として会ったことになったんだと思いますが、先ほど総理からの答弁にもありましたように、これまで一貫して日本は、こちらはオープンということを申し上げておりました。

 結果、今回、話が向こう側の方から来たということは、やはり、内閣がかわったこのタイミングを外して後に延ばせば延ばすほど、さらにまた話は難しくなるのではありませんかという話は私たちのレベルでは何回となく話し合ってきたところであります。結果としてあの訪問が実現をすることになって、未来志向ということになっていった。それは、中国側もこちら側も意図するところがたまたま合ったということなんだと思います。

 よく日中友好という話が出ますけれども、友好は単なる手段であります。友好は目的ではございませんから、友好をした結果、双方損したでは話になりませんので、友好の結果、利益が出る、日中共益が本来の目的でないと話はおかしい。これも、李肇星外務大臣にことしの五月初めて会ったときに、友好、友好と言うから、友好より共益ということを考えられないとという話を申し上げて、今回も、双方、戦略的とかいろいろな言葉を使っておりますけれども、ぜひそういった意味で、江沢民、済みません、さっき胡錦濤と言いましたが、十月八日は江沢民・小泉会談の最後だったんですが、今の話で、そういった意味では、友好をした方が利益が出る、双方の国益につながるという点が一番肝心というところで、大局観に立ってその方向に行ったというのが一番大きな背景だったろうと、私はそのように思っております。

杉浦委員 世間では、総理が靖国を参拝しないんだということを前提としてこの会談のセットに向けて麻生さんたち外務省が動いたということを言う人がいるんですけれども、そういうことはあったんですか。

麻生国務大臣 ほかの外務大臣だったらあり得たかと思いますが、私の場合は、その種の心配の全くないということで多分外務大臣に御指名をいただいたんだと思っておりまして、そのようなことで向こうと妥協を図ったというようなことは全くありません。

杉浦委員 大変失礼な質問をいたしました。

 時間があと五分しかございません。たくさん用意しているんですけれども、あとはまた後の機会に譲りますが、最後に一つだけ、ロシア外交について質問させていただきたいと思います。

 安倍先生の御父君は、創造的外交を唱道され、ロシア外交にはうんと力を入れておられたということは、総理も、身近にいられてよく御承知のところであります。

 ロシアは、日本の隣国であり、六カ国協議の一つでもございます。北朝鮮にも強い影響力を持っている国であります。中国、韓国と同様に、非常に重要な二国間関係を有する国だと言っていいと思います。また加えて、大きな領土問題がございます。

 委員の方々には日ロ、日ソ間の領土交渉の経緯の資料を配らせていただいておりますが、長々と申し上げる時間はございません。私が御質問したかったのは、日ロの外交については領土問題が不可分でありますが、領土問題というのは、この交渉の経緯にもありますように、明治維新前の下田条約、斉藤斗志二先生が先回触れられましたが、ここで日露国交を樹立して、択捉と得撫島の間の両国国境をそのまま確認したということから始まりまして、明治七年には千島樺太交換条約、これも、向こうは帝政ロシアでありますけれども、結んで、平和的に千島が日本領土になったという経過から始まっております。

 日露戦争の結果、いわば戦争で日本が奪い取ったのは南樺太でありますが、それ以外は平和的に領土関係が確定しているところであります。

 敗戦によりまして、日本はポツダム宣言を受諾した、そして、サンフランシスコ平和条約で日本は南樺太及び千島列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄したわけでございますが、そのポツダム宣言の前のカイロ宣言、ヤルタ協定、二つの宣言、協定で戦勝国の主たる方々が取り決めたものがあるわけであります。

 私が申し上げたかったのは、こういう経過の中でサンフランシスコ平和条約によって放棄した、その放棄した範囲がどこかということで一つ日ロの間で見解の相違があるわけでありますが、交渉を継続するに当たっては、このもとに立ち返って、では、カイロ宣言、これは日本も認めていませんが、米国、英国、中華民国である程度の線を引いた。ヤルタ協定はアメリカ、英国、ソ連ですが、千島列島はソ連に引き渡されるということを決めておるわけですけれども、そこにこの四島が入っておったのかどうか、そのあたりの当事者の意思というのを確認する必要があるんじゃないかということを申し上げたかったわけであります。

 エリツィン・細川さんの東京宣言で、法と正義の原則を基礎として解決するというのが三項目の一つに入っております。ロシアも民主主義国になりまして、法の支配の確立に向けて動いているわけであります。この法というのは、言うまでもなく国際法でございましょう。国際法の大原則というのは、ラテン語でパクタ・スント・セルバンダといいまして、これは合意は拘束するということです。国家間の合意、条約、そういったものが当事者を拘束するんだということでございます。

 北方領土問題は、ポツダム宣言を受け入れ、サンフランシスコ平和条約で確定したわけですが、それに至るもろもろの、さまざま戦勝国側の、特に主要な国、米、英、ソ連の合意を日本が受けた形で決まったという現実が現在あるわけでございますので、日ソ交渉のこれからに当たっては、アメリカとかイギリス、ソ連、ソ連は当事者ですが、よく当事者の意思を確認して、彼らの力もかりて、八月十五日以降に侵攻を開始して九月四日まで不法占拠した島々ですから、正当に、法と正義に基づいて回復すべきであるという国際世論をしっかり盛り上げるようにして交渉に当たるべきだと考えております。

 時間がありませんのでここで失礼いたしますが、麻生大臣、よろしくお願い申し上げます。

金子委員長 これにて杉浦君の質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東委員 安倍総理、大変お疲れさまでございました。総理就任早々、速攻のごとく、しかも最初の外遊を東アジアに、中国、韓国を選ばれて直ちに行かれまして、率直な私の印象を申し上げます。かたずをのんで、どうなるんだろうと思っておりましたけれども、まさに北京の秋の青空のごとく、非常に私は益のある、有益な首脳外交になったんだろう、こういう印象を持ちました。

 そういうさなかに、ただいまお話がございましたが、いきなり北朝鮮が核実験、こう来ました。まあさぞかし総理も驚かれたことだろうと思います。いよいよ最終カードを使ったかと、私も、もうきのうは本当にそういう思いに駆られました。

 今の段階で、もしこれが事実であるとするならばという、イフ、もしということで質問せざるを得ない状況でございますけれども、もしこの核実験というものが事実であるとするならば、総理は、我が国独自の制裁措置を講ずる、こうおっしゃっています。具体的にどういったことを考えておられるのか、お聞かせいただきたい。

安倍内閣総理大臣 七月に北朝鮮がミサイルの発射をいたしましたときには、直ちに万景峰号の入港禁止等を含める措置をとりました。これは我が国独自の措置であったわけでありまして、その後、安保理において決議が行われ、この決議にのっとってさらなる追加的な措置をとったところでございます。

 今回のこの問題につきましても、この核実験が事実である、こう確認をされますと、ミサイルの技術も進歩しており、日本への運搬手段を持っている、これは日本が最も脅威を受けるということになるわけでありまして、日本独自の対応措置、当然厳しい措置も速やかにとるべきであると考えているところであります。

 中身につきましては、現段階ではまだ検討中でございまして、申し上げられる状況ではございませんが、この核実験の事実が確認できれば、北朝鮮が、こうした試みを行うことによってますます状況が悪くなってくる、こういうことを認識するような方向で、今、そういうふうに認識させるべく措置をとるべく、中身についてさらに検討しているところでございます。

東委員 十分なる検討をしてしかるべき措置を講ずるべきである、こう思います。

 国連も、まさに正念場と思います。もし中途半端な決議というようなことで終わるようなことがあったら、あるいはまた、国々の温度差みたいなことがすき間となって、そのすき間に乗じて北朝鮮のこういう暴挙をもし許すようなことに、そういうようなことになってきたら、これは大変な話になる。

 つまり、こういう核実験みたいなことは、国際社会の大変な心配と反対の声の中で無理やりやってしまった、しかし、そこに十分なる制裁というものがぴしっときかないということになってくると、やり得である。そうなってくると、新しい核の時代といいますか、核拡散という新たな状態に発展しかねないということで、ここは本当に日米中韓、特に国連にあっては、中国、ロシア、この辺のところの、当然日本ですが、国連大使も今、大島大使も大変頑張っておられますが、やはり緻密な連携の中できちんとした対応をするかどうかという、かなえの軽重が今問われていると思います。

 そこで、日本も、国連憲章第七章でもって制裁決議を、こういう声を上げている。あるいは我が国独自の制裁をと。

 そこで、一つ気をつけなきゃいけないことがございます。それは船舶の臨検です。船舶の臨検ということは、交戦権というところの行使につながりかねないということがございますので、我が国の憲法にのっとって、この辺はきちんと冷静に対応しなきゃいけないな、こういうふうに思っております。

 それから二点目に、私は伺いたい。それは、我が国の国是でございます非核三原則。我が国は、御承知のように世界で唯一の被爆国であり、あらゆる国の核実験というものに反対をしてきている、これからも反対をしていく。核のない世界を願う国であり国民である。これが我が国の悲願でございます。ところが、こういう北朝鮮のようなことが起こってまいりますと、ともすれば、日本も核を持つべきではないかみたいな、こういう議論というものが起こりかねない、そういう危惧がある。

 そこで、この非核三原則を見直そう、こういう議論がもし出てきたときに、総理はどういう立場をおとりになるか。総理は、総理就任前に、たしか中国新聞でしたかインタビューで、非核三原則については堅持をします、こう述べておられます。このお考えに今もいささかも揺るぎがないかどうか、御答弁をいただきたい。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮の核実験が事実であるとすると、これは北東アジア地域の安全保障の状況に大きな変化をもたらすことになるわけでございます。しかし、その中で、昨日、ブッシュ大統領との電話会談におきましても、日米同盟関係が今後揺るぎない関係であり、そして抑止力をしっかりと維持していく、この関係は微動だにしないということで、大統領との間で意見は一致したところであります。

 そうしたことを踏まえまして、当然、我が国の核保有という選択肢については、全くその選択肢を持たないということについては、今後変更するということは全く念頭にはございません。非核三原則については一切変更がないということは、はっきり申し上げておきたいと思います。

東委員 よくわかりました。

 それから、今回の日中首脳会談におきまして、総理は戦略的互恵関係という言葉を使われました。つまり、政治経済分野で戦略的利益をお互いに共有していこうではないかという考え方、大変すばらしい考え方だと思います。先ほど麻生大臣が、日中友好、友好というそれが目的ではないんだ、何のための友好だ、利益を共有するための友好だ、こういう見識を述べられましたけれども、私も全くそのとおりだと思います。

 そこで、この戦略的互恵関係の中で具体的に、報道によりますと、その第一は北朝鮮問題である、あるいは環境・エネルギー問題である、それから国連改革等々の政治経済分野での戦略的利益の共有ということがうたわれております。私は、ここで一つ、環境問題というものを取り上げたいと思います。

 この環境問題、環境汚染ということは、今や地球的問題になりました。危機的状況に入ろうとしております。そういう中で、日本と中国がこの環境問題を克服していくための具体的な共同作業を推進していく、これは非常に大事な話だろうと私は思います。

 いわば日中における環境パートナーシップみたいなものをきちんとつくって、具体的に、一つは環境汚染を禁止する。二つ目は省エネ、循環型社会への転換を図る。日本はもう相当進んでおりますけれども、中国にもこれをしっかり促していく。あるいは、環境教育というものをしっかりと行っていく。こういった三つを柱にして、そして韓国とも力を合わせて、環境調査あるいは人や技術の交流、人材の育成、こういったことを強く推進していくならば、その勢い、波動というものは、アジアにとどまらず、グローバル、世界的に広がっていくものなんだろうと私は思います。

 したがって、日中間の戦略的互恵関係の中の一つの大きな柱として、この環境問題というものをぜひ具体的に推進をする、そのための体制をつくるというふうに思いますが、これは総理はどういうふうにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 今回の訪中によりまして、首脳会談によりまして両国が、今までのいわゆる友好関係から、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係、戦略的互恵関係のレベルに上げていくということを共通の認識としたことは、私は一つの成果であったと考えています。その中でも、今先生が御指摘された環境分野またエネルギー分野というのは極めて重要であり、かつ、これはまさに両国が共通の利害、利益を持っている分野であろうと思います。

 中国は、現在の人口がますますこれから成長していくわけでありまして、また、一人当たりのGNPも向上していきますと、国全体のエネルギーの消費量は飛躍的に伸びてまいります。そしてまた、それが環境に大きく影響していく中にあって、その環境の悪化はまさに我が国にとっての環境の悪化にもつながっていく、空も海もつながっているという認識を持たなければならないところでございます。

 例えばエネルギーの分野においては、エネルギーの効率を日本は上げる努力をしてきて、世界でも最先端の技術を持っています。その分野において協力をしていくことも大切でしょうし、また環境の面においても、日本はかつての公害等の問題において苦しんだ経験を生かしながら、高い技術を持っています。そうした分野においてお互いに協力をしていくことが、これはお互いの利益につながっていくわけであります。

 そしてまた、まさに今先生が御指摘になった三点等も念頭に置きながら、環境の分野はまさに戦略的互恵関係において両国が協力していくべき分野であると認識をしております。

東委員 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それから、先ほどもちょっと触れておられましたけれども、私も日中共同プレス発表について触れたいと思います。全部で九項目発表がございましたけれども、中でも、非常に私が関心を持った点が三点ございました。

 一つは、二番目に「アジア及び世界の平和、安定及び発展に対して共に建設的な貢献を行うことが、」日中がですね、「新たな時代において両国及び両国関係に与えられた厳粛な責任であるとの認識で一致した。」この「厳粛な責任」という言葉に一瞬目がとまりました。

 つまり、先ほどから話が出ていますように、日中の関係は、今総理もおっしゃったように、もうグレードアップしたんだ、させなきゃいけないんだと。友好でとめてはならない。「共に建設的な貢献を行うことが、新たな時代において両国及び両国関係に与えられた厳粛な責任である」両国は友好から、責任を分かち合おうと。私は、これは非常にすばらしい認識の一致だというふうに思いました。これが一点です。

 二点目は、こういうくだりがございました。これはむしろ総理の方から強くおっしゃったんでしょう。「日本側は、戦後六十年余、一貫して平和国家として歩んできたこと、そして引き続き平和国家として歩み続けていくことを強調した。中国側は、これを積極的に評価した。」この「積極的に評価」という文言は、日中で交わした文言の中で、私が記憶するところ、初めてです。

 つまり、何を言わんとするかというと、日本は、戦後六十余年、平和国家として歩み続けてきた、その平和国家としての日本ということをきちんと中国は認めてほしい、それこそ江沢民時代のように、反日教育みたいなことで間違った喧伝をし続けるということはもうやめてほしいという日本側のメッセージだと思います。これに対して中国側は、積極的に評価した、私はこれは非常に重たい言葉だと思います。

 これは七番目にも出てくるんですけれども、両国の歴史共同研究を年内にも立ち上げる、こう言っていますが、つまり、中国の子供さんたちに対しても、戦後日本の平和国家としての歩みということをしっかり教えてくださいよ、わかりました、これを積極的に評価します、こういうふうに私は受けとめて、大変感銘深いものがございました。

 長くなって恐縮ですけれども、三点目は、こういうくだりがございました。これは第八番目にございました。「双方は、東アジア地域協力、日中韓協力における協調を強化し、」次です、「東アジアの一体化のプロセスを共に推進することを確認した。」東アジアの一体化のプロセス、つまり、東アジア共同体というものを目指そうではないか、私はこのように解釈をいたしました。

 これは総理、私の解釈で間違いないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ただいま三点目に指摘がございました、東アジアの地域協力、そしてまた東アジアにおける日中韓の協力、協調を強化いたしまして、そして私どもが今目指しております東アジア共同体に向けてお互いに努力をしていこうということを申し上げたところでございます。

 また、先ほど委員が御指摘をしていただきました日本の戦後の歩みについてでありますが、今まで日本人として、なぜこの戦後の六十年の歩みを評価してくれないんだろうかということが日本人の心の中にわだかまりとしてあったわけでございます。

 今回、いわば文書において初めて、日本の戦後の平和国家として、また民主主義国家としての歩みについて中国側が一定の評価をしたということは有意義でありました。また、会談におきましては、このことを広く国民に知らしめるように努力をしてもらいたいということも申し上げたところでございます。

東委員 最後の「東アジアの一体化のプロセスを共に推進」というところで、東アジア共同体をぜひ視野に入れて目指してほしい、私はこう願います。

 平和と安らぎと繁栄のアジアというものをつくれば、そういう環境をつくれば、今回のような、北朝鮮がいきなり核実験というようなことは起こしにくい状況ができてくるし、もうそろそろ、中国と日本は盟主争いをするのではなくて、ともどもに責任を共有しながら、そして東アジア共同体を目指して歩んでいく、そういう段階に入るべきだと思います。

 最後に一言伺います。

 総理、我が公明党は、中国との間で長い友好の歴史、そして太くかつ深い関係を保ってきております。今後の総理の対中国外交におきまして、我が公明党に期待をしたいという点がございましたら、率直に忌憚なくお答えをいただきたい。

安倍内閣総理大臣 公明党におかれましては、従来よりずっと一貫して、日中においてこの発展のために大きな貢献をしてこられたと認識をしております。人的な広がり、厚みについては敬意を表している次第でありますし、かつて日本が中国と国交を開く際にも大きな役割を果たしてこられたことを期待しているわけでありまして、今後とも、議員間また政党間の交流は、日中の信頼関係の厚みを増していく上においてはより重要である、私はこのように思います。

 その中でも、公明党が今まで果たしてきた役割以上の役割をさらに果たしていただければ、日中関係はさらに盤石なものになっていくのではないか、こう期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

東委員 ありがとうございました。

金子委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 総理、まずは訪中、訪韓、お疲れさまでございました。

 北朝鮮の核実験の問題については後ほど質問をさせていただくといたしまして、この訪中、訪韓の中で、中国、韓国との関係改善の努力をされているということについては、これは私は評価したいと思います。今までが不正常であったわけであって、それを関係改善するというのは、これは当たり前のこと、もとに戻すという意味では当たり前のことではないかと私は思っております。

 その中で幾つか気になっているところがありますので、その点を少し議論させていただきたいというふうに思っています。

 まずは、靖国問題です。

 靖国問題についての私のスタンス、また、これは民主党の従来のスタンスと言ってもいいと思いますが、A級戦犯が合祀をされている靖国神社には、総理あるいはそういう立場のある方は行くべきではないということは従来から申し上げてまいりました。ただ、このことについては、他国からとやかく言われて決めるべきものではなくて、みずからの判断、意思によってそういう決断をすることが大事なんだということを、私並びに民主党は申し上げてまいりました。それを前提に、今回の総理の靖国問題に対するあいまいさというものをどう考えていくのかということについて、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、総理が総理大臣になられるまでにいろいろなところで発言をされております。幾つもあるので主な御発言を抜粋させていただくということになろうと思いますけれども、二〇〇四年十月、これはテレビに出られておっしゃっているわけでありますが、公式かどうかとやかく言うのはナンセンスだ、首相として参拝すべきだ、国のリーダーが国のために殉じた方々の慰霊に訪れるのは当然のことだと、みずからが首相に就任した場合でも靖国神社参拝を続ける考え方を明らかにされた。

 そして、同じく二〇〇四年十一月二十四日でございますけれども、国のために殉じた方々に尊崇の念を供するため靖国にお参りするのは、一国のリーダーとして当然だ、外国から行くなと言われる筋合いではない、今後とも参拝していただきたい。

 それから、去年の五月二十八日に札幌市内で講演された中身でありますが、命をささげた人のためにお参りするのは当然のことであり、責務だと思う、次の首相もその次の首相も当然お参りしてほしいということを述べられているわけであります。

 こういう発言を繰り返しされたということについては、これはお認めになりますね。

安倍内閣総理大臣 そうした私の発言というのは、国のために戦って倒れた方々に対しての私の気持ちを述べたものでございます。

前原委員 もちろん、それを否定するわけではありません。

 しかし、今回、行くか行かないか、行ったか行かなかったかということについても明らかにしない、こういう立場に要は変わられたわけですね。今までは、行くべきだ、次の首相もその次の首相も行くべきだということをおっしゃっていたのが、要はあいまい戦術に変わられた。これは何でですか。

安倍内閣総理大臣 私が既に述べてきておりますように、この靖国神社に参拝する、しないということが、戦没者の方々に対する思いとは別に政治問題化、外交問題化しているということになるのであれば、それはさらにそうした問題を拡大化させるべきではないという観点から、あえてそのことを申し上げない、また言及をするべきではないという判断を私自身したのであります。

前原委員 今まで、総理になられる前となられた後で、この靖国問題のみならず、随分考え方を変えておられるんですね。

 例えば、村山首相の談話についても、これは官房長官のときでありますけれども、いわゆる侵略戦争かどうか、どう定義づけるかという問題も当然ある、まだ学問的に確定しているとは言えない状況ではないかと言っていたのに対して、今度は、村山談話を受け入れるという答弁をされた。変えられたわけですね。

 そして、河野官房長官談話、これは従軍慰安婦の問題でありますけれども、これは以前、根拠が既に崩れているにもかかわらず官房長官談話は生きている、これは大変大きな問題だということをおっしゃっているけれども、今回は、官房長官談話を踏襲するということをおっしゃっている。

 そして、A級戦犯についても、戦勝国によって裁かれた、責任をとらされたということではないかということですけれども、そういう考え方については否定をされている。

 私が申し上げたいのは、このあいまい戦術、戦略とはあえて言いません。なぜ戦略と言わないかというと、例えば、あいまい戦略というので思い出すのは、アメリカの台湾に対する戦略、これはストラテジックアンビグイティーという言われ方をしておりますけれども、つまりは、台湾に対してどうアメリカとして処するかということを明確に言ってしまえば、両方ともに誤ったメッセージを出してしまう。つまりは、どちらかに偏る、例えば台湾に偏れば台湾の独立というものを促してしまうことになるかもしれない、あるいは中国に対して偏った考え方を出せば中国の台湾の武力統一というものを誘発してしまうかもしれない。したがって、まさに国益というものについて、このあいまいさというものを持つということになれば、これはあいまい戦略として非常にいい。

 しかし、総理の場合は、今まで小泉政権の五年間ずっと中枢におられて、なぜうまくいかなかったかということはわかっておられる。そして、その発言を繰り返してこられた。そして、繰り返してこられた自分の主張というものと、何とかしなきゃいけないという状況の中で、つまりは、日中間あるいは日韓間の関係の改善はしなきゃいけない、しかし自分の今までしてきた発言というものと整合性もとらなきゃいけない。つまりは、このあいまいさというのは、国家的な戦略じゃなくて、自分の保身とか今まで主張してきたことの整合性とか利己心によって行われているものじゃないんですか。そういうことは一国の首相が行うべきものではないと私は思いますよ。

 国益だとおっしゃるのであれば、国民にわかりやすく、なぜあいまい戦略をとることが外交においても国民に対しても説得力があるのか、ぜひそのことについてお話をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 それは、見方はいろいろあるんだろう、私はこう思います。

 政治は、また責任ある立場としては、結果を出していくことが重要でございます。今回、訪中、訪韓をすることによって、両国との関係、首脳同士が率直な話し合いをできる、信頼関係を構築していく、そういう関係をつくっていくことがまずは大切である、このように私は判断をしたのでございます。

 当然、私が今まで述べてきたこととの関係においては御批判はあるであろう、その御批判は私は甘んじてお受けをするつもりでございますが、その中で私は大局的な判断をしているつもりでございます。

前原委員 それであれば、今まで言っていたこととは違いますということをまず国民に対してしっかり説明をすべきですよね。総理になったから考え方を変えますということをしっかりと言った上で、そして、そういうあいまいな考え方をやるということを言うべきではないですか。

 それから、あと二つ申し上げたいと思いますが、一つは、行ったか行かなかったかということについても明らかにしないとおっしゃっていますが、靖国神社というところについては、こっそり行くものですか。行くんだったら堂々と行くべきものじゃないですか。あるいは、総理の立場として、こっそり行くことが可能ですか。そういう意味においては、私は極めてその辺については一本筋が通っていないということをまず申し上げたいと思います。

 それからもう一つは、しょせんは、ことし四月に官房長官としてはこっそり行かれたそうでありますけれども、では、ことしは行かないということになれば、来年の十二月三十一日まで、年に一回参るとすれば。そうすれば、そのときまでにどういう、自分自身のこのあいまい戦術というものが、世界情勢あるいは日中関係、日韓関係、世界情勢がどうなっているかわからないところの中で、どういう責任をそのときに、決断をしたときに負うんですか、負えないんですか。そのこともはっきりしてもらわないと、国民全体があなたのあいまい戦術によって窮地に立たされる可能性がありますよ。

 そういうことも含めて、このあいまい戦術というものについて、こっそり行くものなのか。堂々と行くものではないですか。それと同時に、問題の先送りではないんですか。そういうふうにとられても仕方がないと思いますが、その点について答えていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は何もこっそり行くとかそんなことを申し上げているのではなくて、あえてそういうことを宣言しないということを申し上げているところであります。あえて宣言しないということは、国民の皆様の前で私はあえて宣言しない。そして、なぜ宣言しないかということについては、それは政治問題化、外交問題化している以上、宣言しないということを申し上げているわけであります。

 また、今までどういう気持ちで、思いで靖国神社に参拝をしてきたかということについても申し上げているとおりでございますし、また、中国側、韓国側に対しましても、私が靖国神社に参拝をしてきた思い、また、それはどういう意味があったのかということについても説明をしているところでございます。

 今委員が、国民を窮地に陥れる、私はそのことは全く理解できません。

前原委員 それは、その時点でどういう外交関係にあるかということを含めて、もちろん総理が責任をとられるべき、自分自身でもおっしゃっていました、それについては自分で責任をとるとおっしゃっていたことでありますから。私がこっそり行くと申し上げたのは、行くか行かないか、行ったか行かなかったかについても申し上げるわけがないということをおっしゃったからそう言ったわけです。

 つまりは、こっそり行くようなところではないわけです、もともと。行くとすれば堂々と行く。そして、今までと考え方は変えました、総理になったら変えましたと堂々とおっしゃった方がよほど私はすがすがしい、まさに凜とした美しい姿勢だというふうに思いますよ。

 そのことであえて一言だけ私は外交的な観点から総理に申し上げたいと思うわけでありますが、今靖国参拝を自粛するということは、私は非常にいいタイミングだと実は思っているんです。韓国、そして中国に行かれた。そして、きのう北朝鮮が核実験を行った。それに対して、中国や韓国はかなり厳しい調子で北朝鮮を批判しているわけであります。そして、先ほど私が国民に対して窮地に陥れることになるかもしれないと申し上げたのは、官房長官のときに敵地攻撃論というのがありましたけれども、今、国際社会が結束して北朝鮮の核問題について対処していかなくてはいけない。つまりは、国際社会で北朝鮮を孤立化させて、そして共同戦線を張ってこの問題を解決しなくてはいけないところでこの靖国参拝を行わないというカードを切ることは、極めて外交カードとしては大きなものになるのではないかというふうに私は思っております。

 つまりは、大局的に安倍さんは判断をしたんだ、戦略的に判断をしたんだと。御自身は否定をされたけれども、私には御自身の保身あるいは利己心にしか思えない。それは批判をされたから、それは国民が判断することでありましょう。そしてまた、靖国神社に行かれたときにどういう状況に外交的になるかということも、自分がすべて責任を負われることでありましょう。

 しかし、私が提案をしたいのは、この時期に北朝鮮という無謀な国が核実験を行って、そして世界で一生懸命に一致団結してこの問題を解決しようとするときに、だれもが安倍さんは行きたいのはわかっている、靖国神社に。しかし、それを押しとどめても、自分は行かずにこの問題を封印して北朝鮮の核問題に対して対処をするんだと言えば、これは相当大きなカードになると思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 いずれにしても、昨日、私は盧武鉉大統領とお目にかかって、先ほどの杉浦委員の説明に対して答えたように、北朝鮮の核実験に対して断固たる対応をとっていく、また、国連の場においてさらなる厳しい措置を含む決議について協議をしていく等々の四点について合意をしたわけでございます。

 現実問題として、今、北朝鮮のこの挑戦的な試みに対して日韓は協力態勢をとっている。そして、首脳間で合意をしました。また、これは核実験前ではありましたが、この北朝鮮が核実験をしようという試みは断じて許すことはできないということで、日中においても協力態勢がとれたのであります。

 また、核実験後はブッシュ大統領とも電話会談を行い、また、外相同士の会談をそれぞれの国々、また六者会議、六者協議に入っている北朝鮮以外の国々と直ちにとったのでございまして、そういう意味におきましては、現在の時点においても、この国際的な協力において北朝鮮に対して圧力をかけていくという態勢はとれていると考えています。

前原委員 私の考え方を申し上げて、それについては否定をされた。すべて、先ほど申し上げたように、あいまい戦術をとって、それがどういう形で露呈をしたときに、総理御自身がそういうことも含めた責任をとれるということだと私は思っておりますので、その点については私の意見を申し上げるにとどめておきたいと思います。

 ただ、もう一点。今回の日中の共同プレス発表を見ておりますと、政経両輪ということが書いてありますね。とにかく総理は、この「美しい国へ」を読ませていただきました、そして、幾つかの点で先ほど申し上げたように変節がありますね。先ほど申し上げたように、従軍慰安婦の問題あるいは村山談話の問題、そしてA級戦犯の問題、これは政経分離と書いてある。日中関係は政経分離の原則でということが書いてある。これはまさに、自分が総理になっても靖国には行くんだということを言い続けて、そして、政治と経済は別でやるということの御自身の意味を書かれたんじゃないですか。それが今回は政経両輪と書いてある。どう変わったのか、これは国民に対して説明が要るんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 私がその中で書いてあることは、つまり、経済の今のこの関係というのは基盤的な関係で、この関係を毀損することは両国の国益にそぐわないという認識を持つことが大切である。その中で、政治的な課題を追求するために経済にプレッシャーをかけたりしないということが大切ではないか、これは私は至極当然のことではないだろうかと思います。

 中国もWTOの加盟国である以上、そういう認識を持つべきではないか。その中で、例えば政治的な問題があるから経済を一時的に意図的に悪化させていく、あるいは、その場でプレッシャーをかけるということになれば、これは中国に投資をする際には新たなリスクとして認識されるわけであって、これは中国にとってもよくないということを申し上げております。

 また、その章の中で、しかし、当然政治の場においても、対話は行わなければならない、問題があるからこそ対話を行うべきだということも書いてあるわけでありまして、いわば、かつて国交がない時代の政経分離とは別の意味で私は申し上げているのでありまして、読んでいただければそれはよく理解していただける。つまり、そのとき、私のその中身においても、今、政治の場においてはそういう状況にはなっているけれども、それでいいとは一言も書いていないわけであって、経済と政治の両輪が回っていくことがそれは望ましいという意味のことを書いているわけであって、まさに今回、その方向に向かって進んでいくことになった。それはよく読んでいただければ理解していただける、多くの方々には理解していただいていると思っています。

前原委員 そうしたら、初めから、今の日中関係の政治的な問題を克服して政治と経済両輪でいくと言った方が、こういう要らぬ誤解を生まないで済んだんじゃないですか。だから、これはずっと読んでいったら、さっき申し上げたように、考え方がずっと変わっているんですよ、先ほどの歴史観の問題も含めて。だから、そういう前提で、後からの論理づけは幾らでも可能です。

 一番初めに申し上げたように、日中、日韓の関係改善のために努力しようと言ったら構わないんですよ、それはそれで。しかし、自分は考え方を変えました、あるいは方向転換をしましたと言わずに、何かわけのわからないままにギアを変えて、シフトを変えていって、そして前言ったことと今言っていることは同じですよというのは、これはもう居直りにしか聞こえないですよ。それは、決して美しい国の総理大臣とは言えない、そのことだけは申し上げておきます。言いわけにしかならないですよ、それは。

 日中問題の懸案事項について幾つか申し上げたいと思いますが、未来志向の関係を築くために、今、日中間に横たわっている問題というものを特に顕在化させないためのプレス共同発表だったんだと思いますけれども、先ほど同僚議員からお話がありましたように、日中間は靖国問題がすべてではないし、靖国問題が解決したとしても、決してこれは日中関係、私は安易ではない、簡単ではないというふうに思っています。

 環境の問題もそうですよね。エネルギー効率は日本の約十分の一。そして、日本の人口の約十倍。そして、世界のCO2の排出量は、アメリカに次いで第二位。偏西風が中国から日本の方に吹いてきている、そしてそれが酸性雨となって日本に降り注いでいる。そして、COP3、京都議定書には加盟をしていない。そして、水質汚濁、大気汚染というものをどんどん世界じゅうあるいは海洋にまき散らしているということは、御承知のとおりであります。今の石油高の大きな要因は中国ですよね。中国の経済発展と、そしてエネルギー効率の悪さというのが背景になっているわけです。

 こういう大きな問題というものをどのように解決していくか、これからそういうことを問題解決していくことが大事でありますし、ぜひそれは、美辞麗句の並べではなくて、本当に大変なことだと思います、日中間で議論して、そして解決をしていこうというのは。これについては、先ほどもおっしゃったように、戦略的な互恵という立場からぜひ頑張っていただきたいと思いますし、我々もそれについてはできる限りバックアップをしていきたいというふうに思っています。

 軍事力の問題と、そして東シナ海の海洋権益の問題について伺いたいというふうに思います。

 軍事力の問題について、私はかなりシビアな問題だというふうに思っておりますが、このことについては、さらっと共同プレス発表に書かれているだけであります。総理は、今の中国の軍事力の増強、十八年連続して一〇%以上の軍事費の伸び率、そして、イギリスやアメリカの研究機関の発表によると、中国が公表している軍事費というものは、これは正確なものではない、一・七倍とかあるいは二倍から三倍、そういう指摘もあるわけであります。そして、中国からの説明は、いわゆる近代化を図っているんだ、あるいは、台湾に対する軍事力というものを、もし使わなくてはいけないときにはそれに伍するものにするんだということになっておりますけれども、私は、これをはるかに超えたペースで軍事力増強が今行われているというふうに思っております。

 後の東シナ海の海洋権益の問題のときにも申し上げますけれども、尖閣は我が国固有の領土ですね、そうですね。しかし、中国は、自分のものだと言っている。そして、排他的経済水域については中間線を認めないと言っている。中国大陸がずっと連なってきている大陸棚というのは、それが沈み込む沖縄トラフまでが自分たちのものだと言っている。中間線なんかとんでもない、島国が点在している日本と大陸と中間線を引くなんというのはナンセンスだということを言っているわけであります。

 かように、これからの日中問題、今の軍事力の問題も含めて、この領土の見解の相違、そして海洋権益に対する考え方の違い、あるいは、後で質問するように、もう既に着々と中国は布石を打ってきている。その中に海軍力の増強、空軍力の増強というものが相まって、制空権、制海権というものをとらえたときに、本当に、この海洋権益あるいは尖閣諸島を含む日本の領土というのを、しっかりと日本の主権国家の領土の一部として守り切れると思っておられますか。また、その意思はおありですか。軍事力の今の分析を含めて、今の点についてお答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 中国が、今委員が御指摘のように、十八年連続、軍事費を二けた伸ばしているわけであります。また、この中身についても透明性が不十分である、その点は、今までの日中の安保対話の場において日本が指摘をしてきているところでございます。私も、今まで中国側の高官とお目にかかった際には、この点、指摘してきたところでございます。

 今回の私の訪中におきましても、中国の首脳との間におきまして、日中安全保障対話や防衛交流を通じて、安全保障分野における相互信頼を増進していくことで意見の一致を見たところでございます。

 まさに、両国の信頼関係を増していく上においてはこの安全保障分野の対話が重要であるということを申し上げ、その点においては一致を見たところでございますが、今委員が御指摘になられました、尖閣は当然我が国の領土であります。日本の主権の存在するこの領土については、そのために自衛隊も日米安保条約も存在するわけでありますから、当然この地域の安全を守っていくというのは我々の責務であると認識しています。

前原委員 安全を守ることはさることながら、今私が申し上げたのは、いわゆる所有権ですね、尖閣の所有権。そして、当然ながら、国連海洋法条約で認められる日本の権益については、そういったさまざまな、もちろん外交的なものもそうでありますし、自衛隊あるいは海上保安庁、そういったものも含めて、日本が主体的に、制空権、制海権も含めてしっかりと維持していくということを私は確認をしているわけです。

安倍内閣総理大臣 当然、そのために海上保安庁もまた防衛庁の当局も努力をしているところであります。

前原委員 その点で一点だけ確認しておきたいのですが、F4ファントムの後継機が現中期防の中で決まってくるということでありますけれども、当然ながら、今のような総理の答弁を背景として機種選定に当たるという、やはり強い意思を持っていただかなくてはいけないのではないかと私は思います。その点についてお答えください。

安倍内閣総理大臣 個別の戦闘機の問題等々については、これからしっかりと、我々……(前原委員「そんなことを聞いているんじゃないんです。機種は聞いていません」と呼ぶ)当然、個別の機種について申し上げることはできませんが、我が国の平和と安定に資する防衛力を維持するために、予算は当然組んでいくということになるわけでございます。

前原委員 東シナ海の天然ガス油田開発についてもお伺いしたいと思います。

 この日中共同プレス発表においては、平和の海、協力の海にしていくということ、これは長年言われている美辞麗句でありまして、まあ美辞麗句と言うと言い過ぎかもしれません。私も結果的にはこうなればいいなというふうに思っておりますが、中国側も、この平和の海、協力の海というものについては同意をしながらも、先ほど申し上げたように着々と既成事実化を図っていっているというのは、これは総理も御承知のとおりだというふうに思います。

 例えば、中国名で申し上げますと、平湖、これは中間線より西側でありますけれども、中国名の龍井あるいは断橋、そして天外天あるいは春暁、こういった地下鉱脈が中間線の日本側につながっているのではないかというふうに言われているところがどんどんと開発をされて、本国へのパイプラインも敷設をされて、どんどん吸い上げられているということであります。

 国連海洋法条約を詳しく読んでみますと、これはやはり、既得権益というか既成事実化した方がかなり強いというふうになっていることを中国はよく知っていると私は思うんですね。これはかなり時間稼ぎをして、言葉では協力の海、平和の海にしようとしているけれども、そういうことを言って、日本のいわゆる設定された試掘権というものを封印させて、そしてみずからはどんどん開発することによって既得権益というものの優位化を図っていこうとしている戦略じゃないかと私は思っていますが、その辺についてはどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘をされましたこの資源の問題につきましては、六回にわたり局長級の協議を行ってまいりました。日中双方の立場を害さない具体的な共同開発のあり方も含めまして、さまざまな角度から掘り下げた議論を行っております。先ほど申し上げましたように、中国首脳との間で、東シナ海を平和、協力、友好の海とするとの認識を両国が改めて確認したわけでありますが、協議のプロセスを加速させ、共同開発という大きな方向性のもとで双方が受け入れ可能な解決方法を、ここが大変重要なところでありますが、これは二国間の交渉でありますから、両国が受け入れ可能な解決方法を模索するということで確認をしたわけであります。

 今後、この私の訪中を踏まえまして、引き続き、対話を通じまして我が国の主権的権利を確保しつつ、迅速な解決を目指してまいりたいと思います。

前原委員 共同開発についてもかなり隔たりがありますね、今までの主張では。つまりは、中国は、中間線の日本側で共同開発して、今やっているところは自分たちでやるよと。日本は、共同開発なら当然ながら中間線の両側にまたいでやるべきだということで、もう自分たちのやっているものは中国は自分たちにやらせて、そして日本側のものは共同開発しようという、極めてていのいいことを言っているわけでありまして、それが共同開発という一くくりになって時間稼ぎをされて、先ほど申し上げたように既成事実化、既得権益化し、それが国連海洋法条約の中ではプラスに働くと彼らはわかっているわけです。

 だから、そういう意味においては、時間稼ぎをするのではなくて、試掘権を設定したんですから、話がうまくいかなかったときにはその試掘権設定をしっかりといわゆるガードする形で、国家の意思として、そして試掘をするということも視野に入れて考えるべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今後、私のこの訪中を踏まえて、そこで、先ほど申し上げましたように、協議を加速させていく、双方の立場を踏まえて協議を加速させていくということについては一致をしたところでございまして、ですから、今までの中国側の主張からはやはり前に出ていただかなければならないのは当然のことであろう、このように考えております。

 先ほど申し上げましたように、主権的な権利があるということはもう申すまでもないわけでありまして、そのことを念頭に我々は協議を進めなければならないと思います。

前原委員 繰り返しになりますが、協議を進めるのは当たり前のこと。しかし、時間稼ぎをしているかもしれない。それをしっかりと、お互いが同じテーブルに着くためには、日本の権利である試掘というものをやるということを含めて検討すべきじゃないかということを申し上げているわけです。

安倍内閣総理大臣 実際この所管であります経産大臣からもお答えをさせますが、交渉の過程に今あるところでございまして、交渉の場においてはいろいろなやりとりがあるわけであります。要は、先ほど申し上げましたように、我々の主権的な権利にはいろいろなものが含まれているわけでありますが、そうしたことも当然主張しながら、その中でこの主権的な権利を念頭に、結果を出すべく交渉を加速化させていきたいと思います。

前原委員 国民がどういうふうに見ているかというのがあると思うんですね。安倍さんに期待していた像、先ほど申し上げたこの「美しい国へ」に書いてあることの、歴史認識も含めての、今まで書かれてそして期待をされたことと今実際やられていること。私は評価するところもありますよ、中国、韓国に行かれたことについては私は評価をしますが、しかし、仮に靖国の問題が片づいても日中関係には大変大きな難問が横たわっている。その中で本当に、外交というのは、まさに先ほど麻生外務大臣がおっしゃったけれども、友好というのは目的じゃないわけですから、いかに外交を通じてみずからの国益をいわゆる平和的な環境の中で増進していくかということですから、そんな官僚答弁というか、まあ中国から帰ってこられたところ、韓国から帰ってこられたところだから、なかなかそういう思い切った発言はできないのかもしれませんが、総理がかわって何が期待されていたのかということも含めて、私はしっかりとその点についてはやってもらいたいということを、これはもう御答弁は結構ですから、私の方から申し上げておきたいと思います。

 次に、北朝鮮の問題に行きますが、この間、十月六日の委員会の質疑を聞いて、ちょっと驚いたことがありました。

 田中眞紀子議員と総理のやりとりでありまして、総理からこういう発言があったんですね。「小泉内閣発足当時、金正日委員長の御子息が日本に入ってきて、それを直ちに送り返すというのは、それは当時の外務大臣がなされた判断だったと思います。」ということで、田中眞紀子さんがそのとき外務大臣だったことを引き合いに出されて、金正日の息子、金正男が入ってきて、それを追い返したのはあんたじゃないかということを、そんな議論がないのにおっしゃった。そして、田中眞紀子委員は、「金正男の小泉内閣発足当時のことは、田中外務大臣の決断ではなくて小泉総理大臣です。」ということをおっしゃっている。

 これは、今まで何度か国会の中で議論があったわけです。金正男が入った、あるいは金正男とは確認されていないというのが答弁だったわけですよ。ということは、今まで、この問題については国民をだまし続けてきた、うそをつき続けてきた、隠し続けてきたということになりませんか。みずからおっしゃったことですよ。

安倍内閣総理大臣 委員御指摘のその人物については、当時の情報の中においては確認できなかったわけでありますが、その後もう随分たつわけでありますが、その後集められた情報の中において、極めて蓋然性は高い、金正男氏である蓋然性が高いというに至ったのであります。

前原委員 これは総理、気をつけて答弁してくださいよ。かなり最近、私、これは質問していますからね。そのときもそうじゃないという答弁を政府はしていますから。

 いつですか、では。いつ総合的に判断をして金正男という認定をしたんですか。ちゃんと答えてください、逃げずに。

安倍内閣総理大臣 いつということについては申し上げることができないわけでありますが、さまざまな情報をその後収集している中において、この私の内閣になったわけでございますが、その中で今申し上げた認識を私の内閣としては持っている、こういうことでございます。

前原委員 ああ言えばこう言うという切り返しが大変お上手だと私は思いますが、ただ、これについては、その時点でも、金正男、顔写真もちゃんと出ていた、成田空港で。そして、これは金正男に間違いないということを専門家の方々もみんな言っていた。しかし、そのときにはそういう判断ができなかった、そして、さまざまな状況の中で、いつとは言えないけれども判断したから言ったんだということは、余りにもそれは国民に対して、私は愚弄していると思いますよ、国民を。

 それであれば、しっかりとそのことについて、私は、どういう時期にそういった判断をしたのかということを、今まで国会の中で、いろいろな方が与野党ともに質問をして、確認できない、確認できないということを最近まで答弁をしていて、そして確認できたら、確認ができましたのでちゃんとお答えしますと政府から発表すべきじゃないですか、そんなことは。

安倍内閣総理大臣 もう既に私が今ここで認めているように、今までの情報の中において、私が今総理になり、内閣ができた今この段階において蓋然性が高いということを申し上げているわけであります。

前原委員 でも、そこで帰してしまった。では、総理がおっしゃることが仮に事実としても、そこで帰してしまったということは大変な外交的ミスだと思われませんか。つまり、覚せい剤のいわゆる売人というふうに目されているわけでしょう。そしてまた、今まさに、総理が一生懸命取り組まれてこられた拉致問題、これを解決しようというふうに思っているときに、金正日の息子ですよ、息子がやってきて、そうだという確認、確証が高いという議論が行われていた。覚せい剤のルート、あるいは日本の暴力団とのつながり、あるいは拉致問題の全容解明。何で帰したんですか。

 だから、それは、やはり今から考えたらミスだった、今は金正男ということが総合的に確認できたけれども、そのときに帰したのはうかつだった、そういうぐらい謝ることは私はしかるべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 当時私は官房副長官でございましたが、当時は、私はこの問題についてどう対応するかということについての実質的な議論の中には入っておりませんでしたが、しかし、今の情報について、私が申し上げましたとおり蓋然性が高いということになっているわけであります。ですから、今の段階でわかっていたことでまた当時のことについて判断するわけにはいかないわけでありますが、最初に申し上げましたように、当時の状況についてはそういう判断であった、特定の人物と認定するに足る情報がなかった、私はこのように承知をいたしております。

前原委員 拉致問題に一生懸命取り組んでこられた総理からすると、大変寂しい答弁だと思いますよ。

 あの写真を見たときに、あるいは公安関係者を含めて、あるいは入国関係者を含めて、金正男だとわかっていたわけでしょう。ただ、それは確認ができていなかったということでしょう。拉致問題を一生懸命やって、あるいは日本のさまざま北朝鮮のやみのルートというものにメスを入れるには、帰してしまったということは極めて痛恨のきわみじゃないですか。

 それを率直に認めずに、そして、今となってわかったことだから、そのときには自分はそのラインには入っていなかったというのは、まあ何度も申し上げるけれども、ああ言えばこう言う、まさに美しい国の首相とは私は言えないと思いますよ。そこはもうちょっと歯切れよく、潔く、まさに認めるべきことは認める、変わったことは変わったと認める、ミスは認める、そういった姿勢というものを貫かないと、まあ私が言うのもおかしいですけれども、安倍総理に対する信頼というのは落ちていくと私は思いますよ、今のような答弁を繰り返されてきたら。

 核実験について質問いたしますが、これについては、我が党は北朝鮮のいわゆる蛮行については極めて憤りを感じ、絶対にあってはならないことが起きたということで、もしそれが事実だとすれば、北朝鮮に対する猛省を促し、抗議をしたい、そして、国際社会が一致結束してこの北朝鮮の核問題を解決する努力をしていかなくてはいけないというふうに考えております。その意味では、政府・与党、そして我々野党という立場ではなく、オール・ジャパンとしてこの問題についてはしっかりと取り組んでいかなくてはいけない問題だと思っております。

 その上で、幾つかの点を私はお伺いしたいと思います。

 まず、総理も行かれたときに結ばれた日朝平壌宣言であります。これについて、今も生きていると思われますか。この平壌宣言の趣旨については今も、核保有宣言を去年して、核実験を昨日行ったと言われていて、これが事実だとすれば、この平壌宣言というものはまだ生きているというふうにおっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 この平壌宣言は金正日委員長と小泉総理が調印をして結ばれたものであって、これは両国の約束であると言ってもいいと思います。残念ながら、北朝鮮側がこの趣旨、精神に反して行動をしているわけでありますが、我々としては、この平壌宣言は生きていると。であるからこそ、我々は、この精神に戻るべきである、この平壌宣言に反して行動すべきでないということを主張しているところであります。

前原委員 この日朝平壌宣言の中に三番、四番、一部抜粋で読ませていただきますと、三点目は、「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」ミサイルをぶっ放し、地下核実験を行って核保有宣言をする、これが「互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」ということが生きていると言えますか。

 四番目、「双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。」最後に、「朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していく意向を表明した。」全部裏切られているじゃないですか。それで生きているということ、そういうふうな前提に立ちたいというお気持ちはわかりますが。

 では、聞き方を変えましょう。完全にほごにされていますよね、北朝鮮に。空文化されていますよね。ないがしろにされていますよね。そのことはお認めになりますね。

安倍内閣総理大臣 この平壌宣言の趣旨、また今委員が朗読されました中身について、北朝鮮がそれに反しているのは、これは明らかであります。だからこそ、我々は制裁措置をとって対応しているのでございます。他方、日本側は当然、この平壌宣言の精神に、そもそもサインした以上、これに反するという気持ちはないわけでありますが、彼らがこの平壌宣言に反している以上、我々も対抗措置をとっているということでございます。

 いずれにいたしましても、この文書については、本来、この文書に北朝鮮が戻ってくれば、まさに国際社会に受け入れられる国になるわけでありますし、この文書に戻って行動していけば、結果として日朝の国交が正常化する。その道に戻ってくるように、我々はさらに北朝鮮を促していきたい。

 残念ながら、今、対話によってはなかなか難しい中においては、我々は圧力を強めている。圧力が我々の目的ではございませんし、また、対話をしていてもなかなか前に進まない中において、今は圧力を強めざるを得ない、こう考えているところであります。

前原委員 私がお聞きをしているのは、この文書、共同宣言、平壌宣言というものを北朝鮮はまさにないがしろにし、この文書そのものは今は空文化している。いや、意思はいいですよ、日本政府としての意思は。しかし、実際問題、これをじゅうりんされて、ないがしろになって、空文化されているということはお認めになりますね。

安倍内閣総理大臣 現在、北朝鮮が守っていないというのは、これは公然の事実であって、であるからこそ、先ほど申し上げましたように、我々は対抗措置をとっているということでございます。

前原委員 その制裁のことでありますが、国連憲章第七章に基づく制裁決議の採択に全力を挙げるということですね。しかし、現時点においても、拒否権を持つ常任理事国である中国、ロシアは慎重な姿勢は崩していません。そういう状況であるのは総理も御承知のとおりだというふうに思います。

 その場合、先ほど同僚議員の質問には答えられましたけれども、単独でやるということはわかりました。ですから、まとまらなかった場合、単独ということもあり得ると。では、有志連合で、それぞれの国、総理がよくおっしゃっているアメリカとかオーストラリアとか、そういった価値観を共有する国と有志連合を組んで、そして、国連決議がまとまらなかったときも制裁をするということはあり得るんですか。

安倍内閣総理大臣 先般のミサイル発射のときには、まず、我が国独自の制裁措置をとったところでございます。その後、国連決議、満場一致の国連決議でございまして、その中に金融等にかかわる対抗措置が入っているわけでありますが、その措置については、すぐ実行、これは国内法との関係等々、また置かれているそれぞれの国の事情等もあって、すべての国がそれを行っている状況にはないわけでありますが、例えば豪州は直ちにというか、日本が追加的な措置をするときに、同じ日に発表をいたしました。そしてまた、米国、韓国は既に同様の措置をとっているということであったわけでありますが、今の段階でこの安保理の決議ができないということを前提に議論するよりも、まずは安保理の決議を出すべく、厳しい措置を含む安保理決議を求めるべく、努力をしていきたい。

 また、日本は議長国でもあります。その努力を積み重ねていかなければならないと思っています。

前原委員 一九九四年に北朝鮮の瀬戸際外交、核開発問題というのが顕在化したときに、アメリカは、寧辺の施設、これを攻撃するということを一つのオプションにして日本側に打診をしてきました。

 そのときの日本側に求めてきた千を超える具体的な要望について、私見たことがありますけれども、つまりは、仮定の議論に答えるべきではないと逃げられましたけれども、実際問題、この北朝鮮の核実験というものを目の当たりにして、制裁を含んだものについては、この間の非難決議にしても、第七章を盛り込むことについては中国やロシアが反対をした。今回もかなりそういった部分について、私は厳しい取り組みをやらなくてはいけないのではないかというふうに思っております。

 もちろん、それについて努力をしてもらいたいということについては申し上げておきたいと思いますが、しかし、実際に、もう過去にアメリカが、これはブッシュ政権の前ですよ、クリントン政権のとき、ブッシュ・ドクトリンという先制攻撃論が出る前のアメリカがいわゆるサージカル・ストライクというものをやろうとした、そういうことがあるわけですね。

 そういうことを含めて考えると、実際問題、有志連合というものが組まれたときに、それに参加するかどうかということは当然ながら考えておかなくてはいけないことであって、そしてまた、後で質問いたしますが、経済的な制裁を加えるということになれば、臨検とか船舶検査というものが出てまいりますけれども、これは国連決議が仮にあったとしても、日本は今その法的な対応はできませんよね。周辺事態と認定をすればそれについての法律はありますけれども、国連決議だけではできない。

 そして、アメリカが一番懸念しているのは、この核関連物質というものが北朝鮮から他の国あるいはテロリストに渡ることを一番私は心配していると思うんですね。そういう意味においては、経済制裁というものを前提にした臨検や船舶検査のみならず、今申し上げたようないわゆる不拡散の観点からも行うということを国連決議がなくてもやる可能性というのは、僕は十分あると思うんですね。そういう前提に立って今私は申し上げているわけです。

 だから、努力されるのはわかりました。しかし、実際に過去もそういう事例があった。そして、今もそのことについては、当然ながら日米同盟関係というものを前提にしている以上、考えなきゃいけないんじゃないですか。そのことについて、私は逃げるべきではないと思いますよ。そういうことになったときには有志連合として日本は参加することになるのかどうなのか、あるいはどういうお考えなのか。まとまらなかった場合には個別にはやるとおっしゃったんですから、有志連合はどうするかということはしっかり逃げずにお答えいただきたい。

安倍内閣総理大臣 今般の問題については、まさに国際的なコンセンサスを得ながら、安保理の中の国々のコンセンサスを得る努力を我々が、むしろ我々が一番脅威を感じる立場として、できれば我々が主導権を発揮しながらこのコンセンサスを得る努力をしなければならない渦中にあって、この決議がなされないということを前提にそういうことを考えているということを申し上げるわけにはいかないわけでございます。

 他方、先ほど申し上げましたように、ミサイルに対する決議を行うことができた、全会一致で行うことができたわけでありますが、この実行については、なかなかそれぞれの国々の事情もあり、ある意味では有志連合的な形で実際に実行しているということでございます。

前原委員 国連決議が仮にまとまった場合に、今申し上げた臨検、船舶検査、法的には日本は周辺事態と認定しない限りできないですよね。それについては国連決議が、今おっしゃったように、そういう前提になった場合、臨検をする、あるいは検査をするという可能性は十分あると思いますよ、経済封鎖のみならず不拡散という観点から。それについては日本はどういうスタンスで臨まれますか。

安倍内閣総理大臣 これは当然日本の国内法の中で対応するしかないわけでありますが、他方、物理的に海上で臨検をするということ以外にも、物の流れ、お金の流れについて、大量破壊兵器にかかわることについては、当然我々はもう既にいろいろな措置をやっているところでありますが、それについての流れは当然とめるべく、我々も日本として考えていかなければいけない。また、今までも既に、それについては、一部については行ってきているところであります。

前原委員 今回、この暴挙を働いたのは北朝鮮、非があるのは北朝鮮であります。そしてまた、すべての責任を北朝鮮が負わなくてはいけない。

 しかし、今アメリカの中でどういう議論が起きているかというと、それは総理の耳にも入っていると思いますけれども、ブッシュ政権に対する批判が、イラク問題も含めて、相当大きなものになってきている。つまりは、北朝鮮の核保有宣言を去年みすみす許し、そして今回、ある程度確実だと言われている核実験まで行った。そういう、いわゆるNPTあるいはCTBTを含めて、核不拡散というものをやっていこうという国連を中心とする取り組みがうまくいかなかったということで、アメリカ国内でかなりそれに対するブッシュ政権のやり方について批判が出ているというふうに私は聞いております。

 なぜか。私は、この問題について北朝鮮は二つの国を大事にしたいと思っているんだと思うんですよ。一つは、体制を崩壊させるとすれば恐らくアメリカだろうと。もちろんそれはほかの国もあるかもしれないけれども、一番気をつけなくてはいけないのはアメリカ。もう一つは、平和条約がまとまったときに金を出してくれる日本。この二つが大事な国なんだろうと思っていると私は思います。

 そして、この瀬戸際作戦というものを行ってきている北朝鮮の今までの一貫した要望というのは、米朝直接協議というものでありました。もちろん、六者協議の中でのその二者を選択してということについては今までも何度か行われてきましたけれども、アメリカ国内でも、議会、マスコミの中で、なぜ、この直接協議をする中で北朝鮮とのいわゆる核問題を解決しようという主体的な努力をしないんだ、こういう議論がかなり今大きくなってきていると思いますけれども、総理は、アメリカが主体的に対話と圧力、圧力ばっかりかけるのではなくて対話もしなきゃいけない、しかし、六者協議に乗ってこないんだから対話の機会がないということになれば、圧力ばっかりかけているわけですよ。対話と圧力というのであれば、アメリカに対して、もちろん、最終的にはその六者協議の場、あるいは国連の場にしっかりと北朝鮮が戻ってきて、そして、核放棄、朝鮮半島の非核化というものに対して責任を持つべきだという、多国がかかわる中でそういったものに持っていくということは大事だけれども、その取っかかりとして直接議論をし、そして北朝鮮との話し合いを加速させるということを私は一つのオプションとして考えるべきではないかと思いますが、その点についての総理の考え方を聞かせていただきたい。

安倍内閣総理大臣 今までの私どもの立場としては、北朝鮮が無条件で六者会合の場に復帰するように働きかけを行ってきました。また、この六者会合の場においては米朝の協議もあり得るわけでありまして、今までも行われていた。今までは北朝鮮は条件をつけてきたわけでありますが、そういう条件をつけることなく六者会合に戻るべく、我々も北朝鮮に働きかけを行ってきました。

 今後、まずはこの核実験を行ったかどうかということを確認する必要がございますが、いずれにせよ、そういう発表を行い、挑戦的な姿勢を示し、国際社会の懸念にこたえていないわけでありますから、この安保理の場で当然協議をし、厳しい措置を含む決議に向けて協議をしなければいけない。しかし、それと同時に、協議の場としては、また六者会合に北朝鮮がそういう経緯の中で無条件で復帰をする中においては、当然米朝で話し合いをすることも私は可能であろう、こう考えています。

前原委員 いずれにしても、先ほどから何度か総理が答弁されているように、ミサイルを持っている、運搬手段を持っている。核保有宣言をし、核実験、どの程度のものかわかりませんが、行った。それが融合した場合に一番脅威を感じるのは我が国であります。

 唯一の被爆国として、二度とああいう悲惨な状況というものは、日本のみならず、どの国でもそういうことは起きちゃいかぬということから考えれば、対話と圧力というものをまさに両輪とするのであれば、六者協議には向こうは乗ってこないわけですから、そして米朝の直接対話というものを求めてきている。アメリカはそれを逃げ続けているわけです。それは、枠組み合意をほごにされたという原体験があると思いますよ、米朝枠組み合意を。彼らはうそをついて、ずっと核開発をしてきたんですから。そういうものがあるけれども、しかし、取っかかりとしては、こういう米朝の協議というものを行った上で、そして北朝鮮を抱き込むというか抱え込んで、国際社会の中に巻き込んでいくというようなことをやらないと、あらゆる手段を講じないとだめでしょう。

 そんなものは、北朝鮮はそんな国じゃないというふうな、決めてかかったら、あとは、それこそさっき申し上げたように、アメリカ側が攻撃するという可能性もあるわけですよ、一九九四年に実際あったように、オプションとして。そんなことをしたときに、一番被害が起きるのは日本と韓国ですよ。だから、そういうことを含めて、この問題については、粘り強く外交的な問題で解決するんだということでぜひ私は臨んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 最後に、イラク戦争についての総理の考え方をもう一度私は問いたださなきゃいけないというふうに思っています。

 イラク戦争は間違いでなかった、この間、菅委員の質問に対してこういう答弁をされておりました。そのときにおっしゃっていたのは、かなり法的な側面が強かったと思います。あるいは、今までイラクが行ってきた、いわゆるクルド人に対する大量破壊兵器の使用、化学兵器ですね、そういうものの使用、そして、説明責任を果たしてこなかったフセイン、イラクに対する責任、そして、累次にわたる国連決議があったんだということをおっしゃった。そのことはわかるけれども、この間、おじい様のいわゆる開戦判断については、政治家は結果責任だということをおっしゃった。

 それを考えると、今の理屈だけではなくて、イラクはほとんど内戦状況ですよ、今。シーア派、スンニ派による殺し合いが続いている。毎日毎日、人がたくさん死んでいる。米兵だけで二千七百人以上死んでいるんですよ。各国の軍隊は、さらに何百人か亡くなっておられる。そして、イラクのまさに罪のない人たちは五万人以上死んでいるんですよ。

 こういうことを考えたときには、結果的にあれは、フセインがあるいはイラクが実際問題として説明責任を果たさなかった、あるいは昔の文書のような国連決議をひもといてきて、だから法的根拠があったんだといっても、結果責任からすれば、今のイラクのような悲惨な状況をつくってきたのはあの問題ではありませんか。それと同時に、イギリスあるいはスペイン初め各地で、イスラム過激派を刺激し、テロがいろいろ起きている。そういうものを拡大したのも、やはりアメリカによるイラク攻撃ではありませんか。

 そして、アメリカ自身は、それに対し反省をした、CIA自身が情報操作があったということを認めた。ほかの国も、イギリスでもそれが問われて、失敗であった、間違いであったということを認めている。認めていないのは日本だけですよ。アメリカの情報にそのまま有無を言わずに従って、そして、いまだにあの戦争は間違いでなかったと抗弁している。

 結果責任をおっしゃるのであれば、今のイラクの状況を考えたら、イラク戦争は間違ったというのが大体の国民の認識じゃありませんか。そのことについての総理の答弁を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 米国も、また英国も、彼らがとった武力行使自体ではなくて、情報収集に問題があったことを認めたのだ、このように思います。

 私が答弁をいたしましたことは、イラクに対する武力行使に対して日本が当時支持をしたことについては、当時の客観的な状況の中から考えて、我々がイラクが大量破壊兵器を持っていると考え得るに足る合理的な状況であった、再三にわたる国連決議にかかわらず、フセインはそれを破り続けてきた、そしてまた、証明するチャンスを与えたにもかかわらず、それを彼は生かそうともしなかったという中にあって、米国を初めとした多国籍軍が攻撃をしたことに対して日本は支持をしたということであります。

 今はまさに、厳しい混乱の中でイラクを再建させていくことに国際社会が努力をしていく中で、日本はこれからも協力をしていく、また自衛隊が大きな貢献をしてきたことも事実でありますし、今後ともこのイラクの復興のために貢献をしていかなければならない、こう考えています。

前原委員 はぐらかしちゃだめですよ。

 では、情報については操作があったという、誤りを、それをうのみにした間違いを認めるんですか。それと、今申し上げた、今のイラクの内戦状況とも言われているような状況の結果については責任を負うんですか。この二つ、イエスかノーかで答えてください。

安倍内閣総理大臣 情報の評価におきましては、それぞれ米国、英国が評価をしているところでございます。

 しかし、私が申し上げておりますのは、そうした中で、合理的な疑いがあったということもそうでありますし、また、国連決議において武力行使がなされた、このように考えているわけでありまして、その段階で我々は日本として支持をしたということでございます。

前原委員 これで終わりますが、きょうの答弁を聞いていまして、若い清新な総理のイメージとは全くかけ離れていて、例えば靖国問題、あるいは、きょうは聞きませんでしたが消費税についても、まさに逃げて逃げて参議院選挙後に逃げ込む、そして問題先送りをする、そして明確なことについては説明責任も果たさないし、自分自身の責任も果たさない。私は、そういう政治に国民は期待を持てるとは思いません。

 そういう意味では、この補選でしっかりと民主党が勝って、そして次の参議院選挙、衆議院選挙でやはり政権をかえないとこの国の本質は変わらないというふうに私は思いましたので、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

金子委員長 この際、中川正春君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中川正春君。

中川(正)委員 中川正春です。

 それでは、引き続いて、先ほどから議論になっております北朝鮮の核実験についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 ここ二、三日、慌ただしく政府の対応があったわけでありますが、ちょうど総理が韓国に到着をしたころ、報道によると、それ以前から韓国の態勢というのは、安全保障会議が開かれていて、ということは、事前に核実験があるということを察知して、閣僚がそろって安全保障会議をやっていた。そのさなかに、具体的に、実験があった、そういう情報が入って、急遽、危機対応のための会議に変わったというふうなことが報じられております。

 また、アメリカについては、事前に中国の方から通報があって、相当早い時点からその準備が行われていた、こういうことでありました。

 私、本当にこれで大丈夫かなという印象を持ったのは、テレビの、記者会見じゃない一般のインタビューの中だったかもしれませんが、防衛庁長官が、いや、私もびっくりした、テレビで初めて知った、こういうコメントをされておられました。この危機管理の感覚というのが、国民が見ていても、本当にこれで大丈夫なのかな、そういう不安を抱かせたというふうに思いますし、まさかそんなことではなかったんだと私も信じたいんですよ。

 そういうことも含めて、いつの時点で事前にそういうことが情報としてあって、それはどこから来た情報であったかということと、それから、官房長官は留守番をされておられたわけでございますが、官邸については、どの時点でどこから具体的な情報をとって対応されたかということをまずお聞きしていきたいと思います。

久間国務大臣 いや、私はテレビで知ったと言ったわけじゃございませんで、私は、大阪空港に着いたときに、そこで秘書官からの連絡を受けたわけであります。したがいまして、私が羽田空港を飛び立った後、大阪空港に着くまでの間、その間に連絡が私にとれなかったのは事実でございます。

 それから、私の方へ秘書官から連絡がありましたのは、秘書官には官邸の方から連絡があっております。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮による地下核実験を実施するとの情報につきましては、昨日九日の午前十時三十分ごろに、これは日本時間でありますが、中国外交部より在中国日本大使館に対して、北朝鮮が間もなく核実験を行うであろう旨の連絡がありました。これを受けて、外務省が直ちに、私が乗っております政府専用機に連絡をいたしまして、十時四十分ごろ、秘書官を通じて私に伝えられたところでございます。

塩崎国務大臣 今総理から御答弁させていただいたように、中国外交部から、十時半ごろ、連絡が中国にある日本の大使館に参りまして、核実験を間もなく行うという連絡があったわけでありまして、同様に私に対しても、外務省が直ちに秘書官に連絡し、そして十時四十分ごろに私の秘書官から私の方に連絡をもらったところでございます。

中川(正)委員 問題なのは、さっき飛行機の中と防衛庁長官は言われましたが、全部事が起こってからの対応なんですよ。

 私たちでさえ、金曜日の夜に、私たちというのは議員レベルの話です、与党も含めてなんですよ。与党の国対の方から、核実験があるかもしれない、だからその対応を国会でやっていきたい、こういう連絡が国対間であって、私たち自身も、私も含めて東京へ出てきて、それでその対応ということで待った。こういう態勢をつくっているんですよ。それにもかかわらず、皆さん、具体的な実際の当事者が何やっているんですか。こういう形で危機対応をこれから先やっていってはならない。

 防衛庁長官、大阪というのはどういうことだったんですか。

久間国務大臣 政務で大阪に行く予定をしておりましたので、その出発までには連絡がございませんでしたので、その間、大阪に向かって飛行機に乗ったわけであります。

中川(正)委員 だから、そこに主体的な判断が生きていないということだと思います。防衛庁長官としての責任を果たしていない、そのことを改めて指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、次の質問に移っていきたいと思うんですが、六者協議というのは基本的には何が問題であったかということなんです。

 これは、中国と韓国の北朝鮮に対するスタンスと、それからアメリカと日本のスタンスが違っている。そこのすき間へ向いて、いつも、これまでの交渉の中では北朝鮮がしっかりくさびを打ち込んでくる、こういうパターンがずっと続いてきました。それで、結果的に、今回の訪中、訪韓を踏まえて、あるいはこの中で、韓国と中国のスタンスが、今回のミサイル、それと同時にこの核実験、これがそろってきた中で、基本的に政策転換をするのかどうか、これがポイントになってくるんだろうというふうに思うんです。

 当然、安倍総理は、この話し合いの中で核になる部分、特に韓国のこれまでの具体的な援助、例えば、石油を供給してきた、これは中国もそうですね。そして経済援助もしてきた、食糧も援助してきた。そんな中で、体制が崩壊しては大変なことになるという彼らの思い込みの中で、体制を維持していくということがある。そのこだわりがどうしても迷いを生んで、北朝鮮に対してつけ込むすきを与えてきた。ここだと思うんですよ。このことについて、安倍総理はどのような確認をされてきたか。

 今回、国連で決議をしていくその中身を見ても、やはり中国と韓国がここのところをしっかりと政策転換しないことには、なかなか国際的な連携というのはできないんだろうというふうに思っております。その点について、何を確認されたか、答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日、先ほど申し上げましたように、北朝鮮が核実験を行ったとの発表を受けまして、韓国の総理そしてまた盧武鉉大統領と首脳会談を行ったわけでございますが、その中で、韓国との間におきましては、先ほど別の委員の御質問に答えて申し上げましたように、北朝鮮の核実験に関しては、核実験の実施が確認されれば、重大な脅威であり、断じて容認できない。そして、国際社会はこのような北朝鮮の行動を容認せず、さらなる厳しい措置をもって臨まなければならない。日韓両国は、今後直ちに断固たる対応をとっていく必要がある。そして、安保理における厳しい措置を含む決議の速やかな採択に向けて緊密に連携を強化していく。この四点について、日韓首脳間で合意したのであります。

 これは、まさに北朝鮮が発表したその日のうちに、かなり厳しい、今までの韓国としてもかなり厳しい中身であります、この点において合意したということは、私は相当強いメッセージになったというふうに認識をしています。

 そして、中国との間におきましては、後ほど詳細にわたっては外務大臣からお答えをするということになるかもしれませんが、外相間の電話での協議、そして六者会合における北朝鮮を除くメンバーとのマルチの電話協議等を行って、国際社会において対応していくということが確認された、このように思います。

 また、中国も、これは核実験の前の日でありますが、私が中国側の首脳と会談した際には、北朝鮮の核実験は断じて認めることができない、また、北朝鮮の核保有は認めないというのは、断固たる、今後変更のない我々の考え方であるということで、中国も意思を表明したのでございます。

中川(正)委員 そうすると、総理の理解というのは、そうしたいわゆる抽象的な言葉の中に、具体的には、中国の北朝鮮に対するエネルギー支援と、それから韓国の、開城の工業団地なんかも含めてこれまでさまざまな投資、交易があったわけでありますが、これについて廃止あるいは制限していくというふうな意味合いが込められている、そのように解釈をしているということでいいんですね。

安倍内閣総理大臣 韓国の判断について個々具体的に私がここで述べることは適切ではございませんが、今申し上げましたように、日韓両国が今後直ちに断固たる対応をとっていくことが必要であるということは、今まで、日韓両国が断固たる対応をとっていくということを、外に対して、日韓両国が共同で認識を一致させ、発信したことはなかったということでございます。

 これは極めて大きなメッセージになるわけでありますし、また、先ほど申し上げましたように、国連において、新たな厳しい措置を含む国連決議を行っていくということについて連携していくということも確認されたのであります。

中川(正)委員 私がなぜそこにこだわるかといいますと、これまで金融制裁をアメリカが発動してきた。それに日本も連携して、日本なりの金融制裁を重ねてきた。それは効果があった。だから、北朝鮮というのは今追い詰められている状況にもあるということだと思うんです。それに加えて、今度は、国連決議の中で、七章、特に四十一条、武力じゃなくて平和的な手段でさらに制裁を加えていこう、そういう前提で決議しようとしているわけですね。

 そうなると、経済制裁については、例えば交易、貿易について制限をしていく、船の入港についてもそうでありますが、そういうことも含めて、投資はもちろん、あるいは経済交流自体、例えば開城の工業団地みたいなことも前提にした形で経済制裁を行っていくということが前提になっているはずなんですよ。これは、日本もアメリカもやるということになったときに、一番肝心な韓国と中国がそれに対して別な行動をとったとき、国連のその決議というのがほごにされる、そういうことだと思うんです。

 そのことについて一番大事な部分、日本がもっと経済制裁をやれと言っても、いつも話に出てくるのは、中国から抜け穴があるじゃないか。アサリも中国経由で入ってきているじゃないか、あるいはマツタケも中国経由で入ってきているじゃないか、こういう議論があったから、そこのところはぴしっとふたをする。一緒に連携をしていくということが今回の目的であったはずなんです、北朝鮮に対しては、平和的な手段というのであれば。

 そこのところをぴしっと押さえるということが大事なことなんですが、それについて、押さえたということでいいんですね。

安倍内閣総理大臣 それぞれの国々については、中国も韓国も立場がそれぞれあるわけでありまして、その中から何とかコンセンサスを得ながら、北朝鮮に圧力を加えるべく、我々は努力してきたわけであります。

 その中で、日本単独で行っても効果はない、こういうことも言われてまいりましたが、しかし、私は効果がある、こう考えてまいりました。実際に日本が行った制裁的な措置、また、米国の法の執行等はそれなりに効果があったのではないかと思うわけでありますが、今後、まずは国連の場において、安保理において全会一致の決議が、厳しい措置を含む決議がなされるように努力をしていくわけでありまして、当然、この決議がなされれば、これは義務がかかっていくというふうに私どもは認識しております。その中でそれぞれの国々が義務を果たしていくことが重要であろうと思います。

中川(正)委員 その辺のレベルでとまっているというのは、私は非常に残念に思います。この北朝鮮の今回の挑発に対して、一番大事なことは、各国が連携をとって同じ線に並んでいく、我々はその迫力があって初めて牽制ができるということ、そこのところまでいっていないという答弁であったわけでありますので、これは改めて総理の奮起を期待しなければならないということなんですが、それ以上に、もう一つ。

 平和の部分で連携をするという、これは日本がもっともっと広い範疇で考えていかなきゃいけないところなんですが、核の問題が先ほども話が出ました。これは武力ということも含めてです。そんな中で、核は持たないし、使わないし、これからも核兵器は日本は持たない、そういう意思表示をさっきしていただきました。これは大事なことだろうというふうに思っております。それはそれでいいんです。

 しかし、日本の国民にとっては、だけどどうするのというところがある。私も地元でよく聞くのは、日本は、今、ミサイルあるいは核ということに対して、仮に武力の攻撃があったときに、本当にどこまで守れるのかということです。これについてはっきりした話をしてほしい、その上に立っての平和交渉じゃないか、こういう国民の声があります。それに対して答えていただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 まずは、平和的な、外交的な努力によって、北朝鮮に核を放棄させるべく、国連の場において、先ほど申し上げましたように、厳しい措置を含む国連決議がなされるように努力してまいりたいと思います。

 そしてまた、北朝鮮に対して抑止力を維持することが大切であります。最初に申し上げましたように、昨夜、私とブッシュ大統領が電話会談を行った際にも、日米同盟の抑止力は揺るぎないということを認識した次第でございます。この抑止力をしっかりと維持していく、また、揺るぎないことを北朝鮮に示していく必要があるんだろう、このように思います。

 さらには、もう少し時間がかかるわけでありますが、ミサイル防衛網について、配備を我々は急いでいかなければいけないと思っています。

中川(正)委員 さらに、これまでの北朝鮮に対する日本としての対応をずっと見てきたわけでありますが、拉致を中心にして、経済制裁あるいは船舶の入港を制限するというところまで来ています。しかし、そこのところで、枠というか手段というのを、どうしても、経済制裁の次のレベルはどこか、あるいは次の段階はどこなんだというところに集中をしてしまって、本来の外交力、この国が全体に持っている外交力というのをいかに生かしているかということからいくと、私は、まだまだできる選択肢というのがあるんだろうというふうに思うんです。

 そこで思い出すのは、ヨーロッパがちょうど一九九〇年代、東ドイツが崩壊していく、その前にソ連自体も崩壊していくというあの中で、武力を使わずに平和裏に統合がなされていくプロセスというのがあったんだというふうに思うんです。

 それは何が基本になっていたかというと、政権というものと、北朝鮮でいえば金正日軍事体制という政権と国民というもの、これを分けて考えていく。大きく外からその国民に対して連携をしながら働きかけていって北朝鮮の内部を変えていく、あるいは崩壊させていくという戦略が、非常に成熟した形でヨーロッパの中にあったということ、これが、私たちにとっては大きな教訓にしなければいけないことなんだろうというふうに思うんです。

 そんな意味から、私は、ぜひ、こうした選択肢もあるんじゃないかということを一つ二つ提起させていただきたいというふうに思うんです。

 一つは、先般の国会で北朝鮮の人権法、これが、私たちとの話し合いの中で与党も合意をしていただいて通ってきた。その中の人権というのは、これは拉致はもちろんでありますが、脱北者あるいは韓国の中の離散家族等々、そうした要素も含めて、あるいは北朝鮮の中の国民の人権状況ということも含めて、外の国が連携してその救済をしていくという精神がこの中にあります。

 それで、特に脱北者なんですが、これについて、我々、それこそ韓国の中で、今の盧武鉉政権の太陽政策、これではだめなんだ、もっと北朝鮮の、それこそ抑圧されている国民と連携しなきゃいけないんだという、特に野党の議員、その人たちと、それから、アメリカの人権外交を進めようという人たち、そして、その周辺の、NGO等々含めて、国際議員連盟というのが、私たち、この日本の民主党を中心につくられております。これは、一回目、ソウルで総会をやりました。去年は東京で総会をやって、その連携をつくっていこうという動きをしています。

 そんな流れの中で実はあの人権法ができてきて、脱北者が難民と認定されて、周辺国がその難民というのを使いながら、難民の人たちに連携を持ちながら、もう一回北朝鮮の中に帰っていって頑張れよ、こういう流れをつくろうとしているわけであります。

 それについて、議員立法で人権法が成立をしたわけでありますが、それから後、具体的なこれに対する支援、これは、日本の拉致の、救う会あるいは調査会等々含めて、しっかり支援団体があります。あるいは北朝鮮難民救援基金みたいに、周辺の脱北者の支援、日本にも百人ほど今帰ってきているということでありますが、そういう機関があります。そういう人たちの連携の中で、いかにこの問題をこれから日本としてしっかり外交手段の一つとして使っていくかということがあると思うんです。

 それについて、ひとつ所見、しっかりやっていくよという具体的な話をしていただきたいということが一つと、それからもう一つは情報戦略なんです。

 アメリカあたりでは、ボイス・オブ・アメリカあるいはラジオ・フリー・アジアという、国が直接電波を持って、北朝鮮だけじゃない、世界各国にということでありますが、そういう流れの中で、戦略的に電波を使いながら国の外交を進めていこうという手段があるんです。

 実は、日本でも、NGOを中心に「しおかぜ」という放送を北朝鮮に対してやっています。これは、もうよく御存じの、救う会や調査会が中心になってやっています。こういうNGOが北朝鮮向けに、今それだけじゃなくて、韓国だとかアメリカも含めて四局ほどあるんです。これは前回から、日本でその電波を使わせてほしい、こういう話があったんですが、日本じゃだめなんですよ。NHKじゃだめなんですよ。基本的に政府としてそういう枠組みをつくらなきゃ、そうした戦略はつくっていけない。だから、今、残念なことに、この四局は海外で放送局を持って、あわせて北朝鮮に対してこういう運動をしているということになっています。

 そのことについても、日本としてそうした枠組みを持つんだという、これも一つの意思表示をぜひいただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮の人権法に係る脱北者の支援でありますが、脱北者の支援につきましては、これは基本的に人道的な観点から行うということでありますが、結果として、北朝鮮の体制の、また政策の変化に資することになるかもしれないと思います。

 この支援でございますが、政府としては、これまで、脱北者が日本国籍を有する方の場合、邦人保護の見地から、しかるべき保護をしてその安全を図っていますし、今後とも取り組んでまいります。また、元在日朝鮮人のような、過去に日本に在住した経験を有する方を含め、我が方在外公館に庇護を求める脱北者が外国人である場合の対応は、個々の事案に係る事情を十分具体的に検討した上で判断していかなければいけないと思います。

 いずれにいたしましても、この法律の趣旨にのっとって対応するように私は指示をしてまいりたいと考えております。

 また、日本に今住んでいる脱北者の方々も、これは恐らく安全面等についてもいろいろな不安もあるだろう、このように思います。そうした相談に乗る体制についても当然組んでいかなければならない、このように思っています。

 電波の問題については総務大臣からお答えをいたします。

菅国務大臣 お答えをいたします。

 電波の監理につきましては、我が国でも、欧米と同じように、混信の排除の観点から取り組んでおるところであります。そしてまた、電波の割り当ては、国際的な周波数調整の手続によって決まりますので、特別我が国が厳しいということではないというふうに認識をします。

 今、委員から申し出がありました「しおかぜ」の件でありますけれども、新たにこうした申し出があれば、私は、責任者として、周波数確保のために、国際的なルールに基づいて前向きにぜひ取り組んでいきたい、こう思っております。

 ちなみに、今我が国の国際放送というのは、NHKで英語、朝鮮語、これは二十二言語行われています。その中で……(中川(正)委員「もういい、それで」と呼ぶ)よろしいですか。

 それで、NHKの中でも、私は、委員の思いというのは、よく拉致問題に取り組んでこられたのはわかりますので、でき得る拉致問題等に考慮しながら、これはぜひやっていきたい、こう思います。

中川(正)委員 脱北者について特にこだわったのは、日本の国内に帰ってくる脱北者の支援というのはもちろんのことですが、それをすることによって、実は、問題は中国なんですね。

 中国が脱北者を難民として受け入れれば、それが国際戦略になってくるんですよ。ところが、今、中国は、それを難民として受け入れずに、犯罪者として受け入れて、それで北朝鮮へ向けて送り返している、こういう状況があるんです。そこのところを日本としてしっかり中国に対して政策転換を求めていくということをしなきゃいけないということなんです。答えてください。

安倍内閣総理大臣 いわゆる脱北者が中国に、あるいはまた中国を経由して他国にさらに逃れて、大使館に助けを求める場合もあります。しかしまた、今委員が御指摘になられましたように犯罪者として扱われるケースもあるというふうに私も仄聞をしておりますが、中国においても人道的な対応がなされるように当然我々も求めてまいりたい、このように思うわけであります。

 いずれにいたしましても、我が国としては、北朝鮮の人権法の精神にのっとって対応してまいりたいと思います。

中川(正)委員 それでは、ここで、訪中、訪韓の問題についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 御苦労さまでございました。アメリカに行く前に中国あるいは韓国に行ったということ、これは正しいことだったというふうに思っております。

 同時に、恐らく、中国や韓国の判断というのがあったんだろうというふうに思うんです。戦略的という言葉が使われているように、この二国間、これが政治的に対立していることによって、世界の構図の中で、アジアというのがどうも一つになっていけない。特に、アメリカの一国主義、そういう動きの中で、ヨーロッパを意識し、アジアもやはり一つの共同体としての流れをつくっていく、これは大きな判断だというふうに思います。

 そういうことをしていかなければならないときに、まあ、靖国で小泉さんはむちゃくちゃなことをしていったけれども、安倍さんにかわって、ひとつ見てみようじゃないか、言いたいことはいっぱいあるけれども、一回見てみようじゃないか、そんな判断の中で、恐らく今回の訪中、訪韓というのが実ったんだろうというふうに私は解釈をしています。

 その上で、一番大事なことがあると思うんですよ。もうこの一点だけに絞っていきたいと思うんです。

 それは、さっきもちょっと話が出ましたが、靖国の問題について、これを言わないことにしている、行くか行かないか、あるいは行ったか行っていないか、あるいは、適切に処理していきたい、こういう言葉で記者会見の中で表現をされておられました。さらに言えば、中国、あるいは韓国もそうですが、それで理解したと思っている、こういうことも出てきました。

 ここで聞きたいんですが、適切に処理していきたい、あるいは、中国や韓国というのは、何をどう理解しているというふうに総理は考えているのか、そこをまず初めに確かめていきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 会談の中において私が申し上げたことは、我が国が、一時期、アジアの国々また国民に対して多大な苦痛や困難また被害を与えた、つめ跡を残したことに対する深い反省の中から戦後の歩みがある、そしてその思いは、この六十年生きていった人々も私も同じ思いである、今後も変わることがないということを申し上げた次第であります。

 そして、日本は、戦後六十年、一度も好戦的な姿勢をとったことがなく、国際社会に貢献し、平和構築のためにも汗を流し、大きな貢献をしてきた、そしてまた、自由と民主主義を基盤に、基本的な人権を守り、法律の支配を確立した、この歩みは多くの国々から評価をされている、中国もこの戦後の日本の歩みをよく見ていただきたいという趣旨のことを申し上げたわけであります。

 その中で、靖国神社の参拝につきましては、私が今まで参拝をしてきたのは、国のために、あるいはまた家族のために戦い、倒れた方々に対して、手を合わせ、御冥福をお祈りし、哀悼の誠をささげ、死者に対して尊崇の念を表する、そして平和を祈るという気持ちで参拝してきました。決して、軍国主義を賛美したり、あるいはまた、いわゆるA級戦犯と言われる方々をたたえるためではないという説明をしたわけでございまして、また、アメリカのアーリントン墓地におきましては南軍の兵士も北軍の兵士も埋葬されているわけであって、そこに参るということについては、例えば、どちらか一方の考え方を肯定したり称揚するものではない、同じであるという趣旨のことを申し上げたのでございます。

 その上で、双方が政治的困難を克服し、両国の健全な発展を促進するとの観点から適切に対処していく考えである、このように述べたわけであります。

 私のこの考え方については先方の理解が得られた、このように考えております。

中川(正)委員 肝心のところの、何の理解が得られたのか、こういうところに答弁がなかったんですが。

 これを振り返って考えてみると、さっき外務大臣がちょっと間違った形で触れられましたけれども、小泉さんが五年前に訪中をしたときの状況と全く似ているんですね。二〇〇一年の四月二十六日を思い出していくんですが、総理大臣に就任されて、八月十三日に第一回の参拝をされた。これは総理大臣になってから参拝した。安倍総理の場合は総理大臣になる前に参拝をした。十月八日に中国を訪問して江沢民さんと会っておるんです。その後、二〇〇二年の四月二十一日に二回目の参拝をやりました。ここからけんかがまた始まっているんです。

 さっきの話でいきますと、特に、中国もそうでありますが、韓国の大統領は、記者会見ではっきりと、安倍総理は靖国の参拝をしないというふうに理解している、韓国の国民に対してこのように話をしています。このことに対して、安倍総理、どのように答えるんですか。

安倍内閣総理大臣 私は従来から申し上げているわけでありますが、会談をするに際して条件をつけるということがあってはならないわけでありまして、いろいろな問題があるからこそ、隣国であれば当然政治的な問題が生じる場合もあるわけでありますが、そうした問題を解決していく、あるいはまた、最小限にコントロールしていくために、首脳が会って、胸襟を開いて話し合いをしていくことが大切ではないか。むしろ、問題が起こるからこそ、お互いが会って解決をするということではないか、このように思います。そういう関係を、私も、今後、信頼関係を構築する中で築いていきたいと思います。今回の会談はその第一歩となったのではないかと思います。

中川(正)委員 このままでいくと、小泉さんがやったことと同じような話を繰り返して安倍さんもこれからやっていくんだというふうにしか受け取れないんですよ。それでいいんですか。

安倍内閣総理大臣 私は、これから、日中関係、日韓関係は揺るぎない発展をしていくものと確信しております。

中川(正)委員 私は、争点をぼかした、あるいは先送りしたことによって、かえって我々の政治的リスクというのは高まったんだろうというふうに思います。これは、ある意味では裏切り行為になるんですよ、これでいったら。それを一つ指摘しておきたいというふうに思います。

 それと同時に、先ほどから靖国にこだわっておられますけれども、本来、この国の将来、これからの世代に対しても、国のために命を落としていった人たち、そして平和を希求していく私たちの世代にとっても、戦没者あるいは戦った人たちを追悼していくというのは、これは国民としては当然のことで、我々もそれはこれから先もしっかりと形をつくっていくということだと思っているんです。

 しかし、それと、靖国にこだわるということは違うんですよ。A級戦犯あるいは靖国にこだわるということは、これは違うということをはっきりさせなきゃいけない。だから、国としては、当然、国立の追悼施設をつくって、海外から訪れたそれぞれの元首もそして国民も、わだかまりなくみんなが追悼していくという体制をつくっていくというのが総理大臣としての立場じゃないですか。それを、自分の思い込みの中で靖国にこだわるというのは、これは国のリスクをさらに高めていくということになるんだと思うんです。そこのところをしっかりと指摘しておきたいというふうに思います。

 これはこれまでも何回も議論が出て、同じ答えが出てきて、なかなか平行線で、縮まっていかないところでありますが、しかし、執拗に私たちは、この点、しっかり追及をしていかないと、いまだにこの問題は解決していないんだ、国のリスクとしてあるんだということを指摘しておきたいというふうに思います。

 さて、もう一つ、日米の問題について、限られた時間の中で質問をしていきたいというふうに思うんです。

 BSEでありますが、今はもうアメリカから牛肉が刻々と入ってきております。

 これは松岡大臣にお聞きしていかなきゃいけないんですけれども、ちょっとそれを聞く前に、大臣に就任される前から、あるいは就任されて以降、マスコミでいろいろ騒がれています。献金を受けてはならないところから献金を受けたといって、返したという話になっていますけれども、これは、やはりないしょにしたかったのか、ここから受けたということは、何かそれなりのやましいことがあったのかということを改めて聞くのと、それからもう一つ、もうこれ以上ありませんねということ、その辺をちょっと冒頭に確かめておきたいと思います。

松岡国務大臣 お答えをいたします。

 この件につきましては、先般も記者会見で事実関係を申し上げまして、そして、足らざるところ、至らざるところ、お騒がせを申し上げましたことにつきまして、十分国民の皆様また関係の方々におわびを申し上げた次第でございますが、今、国会の場でお尋ねでございますので、改めて事実関係を申し上げたいと存じます。

 今、中川先生の方から、まず、やましいことがあったために隠したのではないか、こういうことでございますが、私は、今問題になっておりますこの組織とは全く面識もなく、一切の関係もございません。

 ただ、毎年パーティーを実施いたしておりますが、そのパーティーのときに、私の事務所の方から、それぞれ手分けして、おつき合いのある方々にお願いをする。そのときに、たまたま数年来おつき合いのある方がおられまして、その方に五十枚お願いをいたしたところ、その方が、自分の知り合いがこのWBEFというところにいるということで、そちらにお願いをしていただいた。そこはいろいろな方々がおられるので、そういう五十人分をお願いできるだろうということでお願いしていただいた。したがって、それを整理いたしますときに、そのようなことだから、個別には一枚一枚なんだろうから、二十万を超える一件当たりのものはないだろう、こういうようなことで、そういったことをもとに処理してしまった。

 これが事実でございまして、そして、お願いしたときは、この相手の組織というのはまだ全くそのような、社会的に問題を起こすというようなことは明らかになっておりませんで、したがいまして、そういったことから、これは後でわかったことでございますが、決してやましいことのためというようなことではなくて、全くそういった手続のミスであった。五十人分と思っておったのが一つの組織として振り込まれておったことから、これは誤解を避けるためにも修正してきちんと訂正するということで、指摘を受けてからすぐ、速やかに、朝一番で行ったものでございます。

 ほかにはないかということでありますが、現時点で、確認しておりますが、ないものと思っております。

中川(正)委員 BSEの政治的決着というのがなされて、非常に日本の国民としてはいまだに不安を覚えながら、二十カ月以下の牛はほとんどノーチェック。いわゆる全体の中で一%ですから、ノーチェックという形で入ってきているという現実がありますね。これは、そのことに触れる時間はきょうはないんですけれども。

 そんな中で、アメリカの業界、業者の中でもさまざまな考え方がありまして、うちは全頭検査をやれるんだ、やりたいんだということなんです。そうしたことによって、いわゆる肉の安全性というのが高まり、付加価値が高まるから、日本の消費者も喜んでくれるので、どうしても全部チェックして日本に輸出をしたい、こういう話がある。それに対して、実は農務省はだめだと言っているんですね、前から。

 このことに対して、日本政府はどういうスタンスをとっているんですか。

松岡国務大臣 お答えをいたします。

 最初に、中川先生、政治決着というお言葉をお使いになりましたので、このことについてきちんとしておきたいと思うのでありますが、これは、私どもといたしましては、あくまでも、科学的根拠、判断に基づく科学的決着でございます。

 また、ブッシュ大統領と小泉総理が十六年、十七年と会談をされておられますが、そのときも、新聞報道、マスコミ報道でも明らかでございますけれども、ブッシュ大統領からは、小泉総理に、この場でひとつ受け入れてくれ、そういうことを申し入れられた。しかし、それに対して、これはあくまでも科学的見地で判断していく、このように突っぱねた、こういったことが明らかになっております。したがいまして、科学的判断でございます。

 今、先生、最後の方でお尋ねの、アメリカの国内に全頭検査を求める会社があるではないか、そのことについて日本政府としてどう思うか、こういうことでございますが、これは、私ども、国と国との関係におきまして、きちんとしたお互いの条件を定めて関係を結んでおるわけでございます。したがいまして、気持ちは気持ち、いろいろあろうかと思いますが、私どもといたしましては、国と国の関係、こういったことに照らしまして、あくまでも、国と国の関係で結んだものにつきまして、しっかりとそれが守られていくように求めていくし、また我々も対応していく、こういうことでございまして、アメリカの国内の問題につきましてとやかく言うことは差し控えたい、このように思っております。

中川(正)委員 アメリカでは一%のサーベイランスなんですね。日本は全頭検査。これは、この交渉があったときに、二十カ月以下のものについてはいいじゃないか、こういう話になりましたね。その途端に何が起こったかといったら、今度は日本の基準が変わって、これまで全頭検査と言っていたのが、いや違うんだ、日本でも、二十カ月以下は安全だから、国の基準としてはそれは排除しよう、やらなくてもいいよというふうな形で、アメリカの基準に日本を合わせちゃった。しかし、日本というのは、消費者は、そんなばかなという話になりますよ。

 だから、それを当然受けとめて、地方自治体レベルで、実質的には、二十カ月以下の牛も含めて全頭検査をやっている、こういうことですね。実質的には、だから、日本の基準というのは全頭検査なんです。それに、本来は、アメリカが牛肉を売りたいんだったら日本の基準に合わせなさいよというのが当然政府の姿勢であるべきじゃないですか。それを、逆にアメリカの基準に日本の法律を合わせているというのは、これは何たることかというんですよ。そこが政治決着だと。

 小泉さんがアメリカに行って、いや御苦労さまでしたと褒めていただきたい、そこから出てきた話だという、そんなばかなことはないですよ。日本の国民の命をそんなことに、それこそ粗末にしてもらうというような話ではない、そういうことだと思うんです。

 それと同時に、今、クリークストーンという会社なんですが、これが農務省を訴えているんですよ。それは、農務省がなぜこれをとめたかというと、全頭検査することによってコストがかかってくる、業界団体がそれに反対している、業界の秩序を乱すから、だから全頭検査してはだめだという、こんなむちゃくちゃな話で裁判を起こしているんですよ。それに対して日本政府が何も言わないというのはどういうことですか。

 少なくとも日本の消費者には、アメリカで全頭検査をしたいという会社があるのであれば、その肉を日本の消費者に届ける、そうした、それこそフリー、自由経済の原則みたいなものですよ。それをなぜ主張しないのか。なぜそんなにアメリカにこだわっているのかということです。ここのところをしっかりと農務大臣は答えなきゃいけないと思うんですよ。

松岡国務大臣 お答えいたしますが、ちょっと誤解もあるようでございますから……

金子委員長 簡明に願います。

松岡国務大臣 まず、アメリカの基準に日本の基準を合わせたのではないかということでありますが、全くそういうことはございません。アメリカの基準は三十カ月以上を検査する。また、世界の基準も三十カ月以上となっております。したがいまして、二十カ月をとっておるのは日本であります。そういった面からも逆でありまして、日本の基準であくまでもこの基準はつくったものである。

 そして、もう一つ申し上げますが、これは、時間がありませんが、ぜひ大事なことですから言わせていただきますが、十三年にBSEが日本において発生いたしました。そこで、発祥地でありますイギリスにおいてはどんな対応がとられたか。政治的、行政的な対応ではなかなか国民の皆さんから信頼を得られなかった。そこで、イギリス政府は科学者だけを集めた組織をつくって、そこの判断にすべてをゆだねた、こういうことでございまして、それが食品安全委員会。それを私どもは自民党として調査いたしまして、時の小泉内閣、小泉総理にそのことを報告し、その結果、十五年に、国家行政組織法八条によりますところの食品安全委員会がつくられたわけであります。

 食の安全は、我々政治家が、例えばこうやって国会論戦を通じて決めるのではなくて、あくまでも食品安全委員会において決定される、それを受けて私どもは行政として執行していく、こういうことでありますから、ぜひ御理解いただきたいと思います。

金子委員長 中川君、時間が参りました。

中川(正)委員 実際の質問に対しては答えてもらえなかったというふうに思っています。

 これについてはさらに追及をしていきたいということで、きょうは終わります。

金子委員長 これにて前原君、中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 安倍総理に質問いたします。

 まず、北朝鮮政府が昨日九日、核実験を強行したという問題であります。

 我が党は、かねてから北朝鮮が核実験を実施しないように強く要求してまいりましたが、今回の暴挙に対して、我が党の志位委員長は直ちに抗議の談話を発表しまして、二つのことを表明いたしました。

 第一に、北朝鮮の核実験強行は、国連安保理決議、安保理議長声明などが世界とアジアの平和と安定への脅威として一致して反対した国際社会の意思を無視したものである、また、六カ国協議や日朝平壌宣言などの国際取り決めをじゅうりんする暴挙である、我が党は厳しく抗議するというものであります。

 第二に、北朝鮮政府に対して、核兵器及び核兵器開発計画を放棄すること、即時無条件で六カ国協議に復帰することを強く求める、国際社会がこの事態に際して一致協力して対応し、問題の平和的、外交的解決という立場を堅持して臨むことが大切であるということであります。

 この問題では、去る六日に国連安保理が全会一致で議長声明を出したことに続いて、今回の安倍総理の中国、韓国両国との首脳会談を通じて、北朝鮮の核実験は許さない、こういう強いメッセージを出して、そして日中の共同プレス発表では、六者会合プロセスを推進し、対話と協議を通じて、朝鮮半島の非核化の実現、北東アジア地域の平和と安定維持のために協力してともに力を尽くすとしております。

 私、こうして日中、日韓両国が緊密に連携していくということを確認されたことは非常に大事だと思います。安倍総理は、今回の北朝鮮の暴挙に対して、まさにこの日中韓、この間で緊密な連携を重視して対応していくということですね。その点を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮に対しまして大きな影響力を持っておりますのは中国であり、また、中国は六者協議の議長国であります。そして、隣国である韓国も、影響力を持っている、また情報もたくさん持っているわけでありまして、この両国と緊密な連携をとり、認識を同じくしていく、また方向性を一つにしていくことは、この問題を解決していくためには極めて重要であると認識をしております。

笠井委員 総理は、関係諸国、とりわけ中国、韓国とも緊密に連携していくということを改めて述べられましたが、この問題は、北朝鮮に対する日本独自の措置に当たっても、やはり国際協調といいますか、可能な限り足並みそろえていく、そういう立場が重要だということだと思うんです。

 日本独自の措置をとるに当たって、中国、韓国とどのような連携を実際に図っているのか、それから、今後どのように協力をしていくのかということで総理に伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 先ほど来の答弁におきましても、日本は北朝鮮の核実験によって最も強い脅威を受けるわけであります。運搬手段であるミサイルの技術が伸長している中において、あわせて考えれば、極めて重大な脅威であります。

 一番大きな脅威を受ける日本においては、やはり日本の独自の対応も考えなければならない。その中におきましては、まず、この核実験を実際にやったということを確認していくことも大切であります。この確認をした上において、日本の独自の対応、厳しい措置をとらなければならないと思います。

 また、そうしたことを行っていく上においても、当然、韓国あるいは中国とも連絡をとるということは必要なことであろうと認識をしております。

笠井委員 今回の事態を受けて国連の安全保障理事会が開かれましたけれども、私、今最も重要なことは、国際社会が一致協力して対応することであって、北朝鮮政府に核兵器及び核兵器開発計画を放棄させて、即時無条件に六カ国協議に復帰させる、そして一連の問題を平和的、外交的に解決することだというふうに考えるんですが、この点について総理はどのようにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 そうした考え方においては、共産党と同じ考えでございます。無条件で直ちに復帰をさせる、これは今までも主張してきたことでありますが、また、当然我々は、平和的、外交的な手段によって解決を求めていきたいと思っております。

笠井委員 一たん軍事的衝突、エスカレートして衝突するということになりますと、これは最悪の事態になる、そこはやはり国民も、それから周辺諸国もみんなが憂慮しているということだと思うんです。だから私も、今、総理言われましたけれども、何より関係諸国、国際社会がやはり一致をするということで協力しながら、平和的、外交的に解決をするということが本当に大事だというふうに思います。

 それで、この問題でいきますと、日本というのは、やはり特別の位置と役割を持っているということだと思うんです。申し上げるまでもないんですが、何よりも、唯一の被爆国である、そして広島、長崎の原爆体験を持っている。この日本ならではの役割というのが、今本当に求められているというふうに私は痛感いたしております。

 今回の北朝鮮のこういう暴挙に対して、全国民が怒っている、当然でありますけれども、被爆地広島、長崎でも怒りが沸き起こっている。私、きょう紹介したいと思うんですが、広島市においても、秋葉忠利市長が抗議文を出してこのように言っております。

 「本市や被爆者団体をはじめ、多くの都市や団体が核実験中止を求める要請を行ったにもかかわらず、」北朝鮮ですが、「貴国が実験を強行したことに強い憤りを覚える。被爆地ヒロシマを代表して厳重に抗議する。 国際社会が平和的解決に向けて懸命の外交努力を続ける中、貴国が核実験を強行したことは断じて許されるものではない。貴国のこうした行動が、核軍拡や核拡散を加速させ、世界の平和と安全の構築を脅かす取り返しのつかない事態につながることを強く危惧する。」

 そして、この抗議文の中では、「全ての核兵器と核計画を即刻放棄すべきである。」「核問題等に関する六か国協議に応じるとともに、」「核軍縮に向けた誠実な交渉義務を果すことを改めて強く求める。」と言っております。

 また、長崎市においても、伊藤一長市長と山口博市議会議長連名で抗議文が出ている。

 ここでも、「国際社会から自制を求める要請を完全に無視して、貴国が核実験強行の暴挙に至ったことに、被爆地の代表として、私たちは強い憤りを覚えています。」ということで、抗議文の中で、「核兵器の真の恐怖を経験した被爆地においては大きな憤りを覚えるとともに、貴国の愚行によって引き起こされる危機的状況に深く憂慮しております。 ここに被爆地の市民を代表して厳重に抗議するとともに、核兵器の開発を即時に中止することを強く求めます。」と。

 さらに、この長崎市長と市議会議長の連名で、安倍総理にも要請文が届いていると思います。

 この中では、「北朝鮮の核兵器開発の断念に向けて、今後とも、国連ほか関係諸国との連携を図りながら、厳正に対応していただきますよう、被爆都市長崎の市民を代表しここに要請いたします。」と。まさに、被爆地としての重い思いというか、強い憤りとともに述べられていると思いました。

 私も、母が広島で原爆体験をしたので被爆二世です。そういう気持ちでは、やはり今回の北朝鮮の暴挙ということに対して激しい憤りを禁じ得ないということでありますけれども、あの悲劇を二度と繰り返させてはいけないというのは、広島、長崎を初めとして被爆者日本国民はもちろんですが、同時に、被爆者の中には在日の韓国、朝鮮の方々も多数おられて、そういう意味では、やはり共通の願いがあるということだと思うんですね。

 北朝鮮に核兵器及び核兵器開発計画を放棄させて、世界的な核兵器廃絶を実現していくという上でも、やはり最も道理的な、道義的な説得力を持つのがこの被爆国日本だ。この重い位置と役割ということを本当に私たちは痛感するところでありますし、まさに政府としても、そういう立場でこの問題、本当に解決を図るために全力を挙げるべきだというふうに思うんです。

 総理御自身の気持ちも込めて、その辺の決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 核兵器の悲惨さをだれよりも知っているのは日本国民だと思います。また、今例に引かれました長崎、広島の市民は、だれよりもその苦しさを体験したのであります。核兵器の悲惨さというのは、これは被爆した方だけにとどまらず、そのお子さんたちにも大きな禍根を残していく、そういう兵器であるわけでありまして、この核の廃絶というのが日本の究極的な目的であります。

 その中において、まずはNPT体制をしっかりと堅持し、核の不拡散に世界で取り組んでいかなければならない。その観点からいえば、この北朝鮮の核実験の発表は、核不拡散体制に対する挑戦であると思います。断固として、許せない。その中で、国際社会が連携をとって対応していくことが大切であると思います。

 特に、不拡散という観点からいえば、この技術また核そのものが拡散されることはあってはならないわけでありますし、我々としても、国際社会でそうしたことを防止していくためにも、また北朝鮮に核を放棄させるためにも、国際社会が連携をとって、また国連の場において真剣な議論を行い、対応していくことが大切であると認識をしております。

笠井委員 被爆国としてということで、本当に許せないという問題とあわせて、国際社会が連携してこの問題に当たっていくということでその決意があったと思うんですが、一点だけ。

 総理が核兵器廃絶については究極的に目指していくというお話があったのですが、これは国連においても、究極という話ではない、そういう意味では現実政治の中で緊急課題にするという流れもありますし、さまざまな決議も上がっている。

 私、非同盟諸国の首脳会議も、先日キューバであったのに傍聴に行きましたが、そこでもやはり、核兵器廃絶は期限を切るという問題を含めて、交渉開始ということも含めてありましたので、ぜひ、究極的にというお話、先の話にしないで、こういう事態があるからこそ核兵器廃絶に向けても努力していただく。その点をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 それは当然、我が国国民の悲願でもありますから、そのための努力をしていくということであります。

 CTBTについても、これがしっかりと実効性を持つようにも努力をしていかなければならないと思っております。

笠井委員 いずれにしても、核兵器による悲劇を絶対に繰り返させない、本当に重い課題が現実に今あるんだと思うんです。そのためにも、外交の力、そして国際社会の一致協力した努力が必要不可欠だということを重ねて強調したいと思います。

 次に、今回の日中、日韓の首脳会談をめぐって幾つか伺いたいと思います。

 今回、五年ぶりに日本の首相が訪中をして行われた日中首脳会談について、我が党は志位委員長の談話を発表しましたが、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係の構築に努力することで一致したことを歓迎いたしております。これが、日中両国政府間、国民間の友好関係を前進させる、そういう契機となることを期待いたしております。

 今後、両国の友好関係を本格的に発展させるためには、歴史問題での障害が取り除かれて、その基本点での解決が図られることが不可欠だと考えております。その点で、双方が歴史を直視するということを確認して、日中有識者による歴史共同研究を年内に開始するということで一致したことを重視しております。

 また、日韓の首脳会談も極めて重要なものだったと思います。我が党は、日中、日韓関係の発展を一貫して願ってきたし、求めてきたということでありますけれども、今回の一連の結果を本当によかったと喜んでいるところであります。

 そこで、総理に幾つか聞きたいと思います。

 まず、今回の日中首脳会談で、双方は共通の戦略的利益に立脚した互恵関係の構築に努力することで合意したということでありますけれども、この日中両国に共通の戦略的利益というのは、具体的にどういうことを指しているのか。少し説明をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる友好関係から、次に、お互いの国がお互いそれぞれ利益を得る、また裨益するような関係をつくっていくことが大切ではないか。お互いは利益を共有しているところもたくさんあるのではないか。

 例えば、環境の分野については、中国が発展をしていく中にあって、かつて日本が公害等の問題で苦しんだ経験もあります、こうしたことを今後中国の発展に生かしていくことができないか。日本のノウハウもありますし、技術もあるわけであります。

 また、エネルギーの問題についてもそうであります。中国の一人当たりのエネルギーの消費がふえていきますと、日本が資源をほとんど輸入に頼っている中において、中国のエネルギーの消費というのはまた原油価格の高騰にもつながるわけでありますし、日本にとっても大きな問題になってくる。その中で、日本が中国のエネルギー、熱消費の効率を上げていくことに協力することによって、中国も利益を得るわけでありますし、我が国も利益を得るということにもなってくる。

 また、まさに今起こっている北朝鮮の核実験の問題についても、お互いが国際場裏において協力することがこの地域の平和と発展に資することになるのではないか、このように思います。

 また、経済の分野全般におきましても、しっかりとお互いがルールの中で行動することは、結果としてお互いの発展にもつながっていく。

 そういう意味で、さまざまな分野においてお互いは共通の利益があるのではないか、こう考えているところであります。

笠井委員 両国の友好関係、日中で本格的に発展させる上では、日中も日韓もそうですが、我が党は、やはり歴史問題での障害が取り除かれて、その基本点での解決が図られることが欠かせないというふうに主張してまいりました。

 それで、今回の中国、韓国での首脳会談のやりとりの紹介は、先ほど来総理の方からありました、この問題でどういうやりとりをお互いにしたか。その結果として、日中の場合でいえば、共同のプレス発表というのがありましたが、その中で、そのやりとりの結果で結構ですが、たしか三項目めだったと思うんですけれども、歴史についてはどういうふうに扱うということで日中両国間では合意したのか。その点について、端的で結構ですが、お答えください。

安倍内閣総理大臣 日中の間におきましては、共同プレス発表をいたしたわけでございますが、双方は、共同声明、平和友好条約、共同宣言の諸原則を引き続き遵守し、歴史を直視し、未来に向かい、両国関係の発展に影響を与える問題を適切に処理し、政治と経済という二つの車輪を力強く作動させ、そして、さらに両国の関係を次なる高みへと導いていくということで認識が一致し、この共同のプレス発表になった次第でございます。

笠井委員 今、紹介がありました。適切に処理するという合意、そして適切に対応するという総理の表明がありましたが、その合意と表明のこれからにまさにアジアと世界の諸国民も日本国民も注目しているということを申し上げたいと思います。

 その点でさらに伺いたいんですが、今回、日中双方が歴史を直視することを確認して、新たに年内に立ち上げるとした日中の有識者による歴史共同研究というのは、これは一体何を目的にした研究なのか、そして具体的にどうやっていくのか。これからということもあるでしょうが、現時点でどういうことを目的にし、どうやっていこうとしているのか。

 そして、こうした日中の歴史共同研究を進めて、それを通じて、両国の近現代史を含めて、基本点についての共通の認識を深めるということについて言えば、それは二十一世紀の北東アジアの平和にとってどういう意義を持っているというふうにお考えか、総理の所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 両国は、年内に歴史共同研究について立ち上げるべく努力をしていくことについて意見が一致をしたのでありますが、この歴史の問題については、私も従来よりずっと述べてまいりましたように、いわば専門家、歴史家がアカデミックな方向性の中で、静かな環境の中で研究をし、議論をしていくことが大切であります。そして、双方の歴史の専門家が集まり、両国にかかわる、あるいはまた長い歴史も含めてということになるかもしれませんが、その中で率直に議論を交わし合っていく、アカデミックな議論を重ねていくことが大切ではないか、このように思います。

 今の段階でどういう枠組みだということは、私が申し上げるよりも、むしろ専門家の方々によって、まずはどういう課題について議論をしていこうかということについて検討してもらいたいと思っております。

笠井委員 両国間で歴史の共同研究をやる、そしてそのことを政府間で合意したというところに、私はみそがあるんだというふうに思っております。まさにその点が大事だということだと思うんです。

 私、先月、我が党の志位委員長の訪韓に同行しまして、日本が過去に犯した誤りに正面から向き合ってこそ未来の本当の友人がつくれるということを実際にいろいろな交流を通じて実感しました。日中、日韓の友好協力の発展を目指して歴史問題での障害を取り除くということは、それをやっていく上では、やはり総理大臣が靖国参拝を行わないということが必要だということは強く申し上げておきたいと思うんです。

 北朝鮮が核実験を強行するという重大な事態のもとで、二十一世紀の世界とアジア、とりわけ北東アジアの平和と安定を築くために、日中、日韓の友好関係の発展が一層重要になっている、そういう観点からの今回の訪問を経ての問題だというふうに思っております。

 私、このことを強調しながら、質問を終わりたいと思います。

金子委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 昨日の北朝鮮による地下核実験の発表、社民党は強く抗議するものでございます。六者協議における共同声明、日朝平壌宣言に反するだけではなくて、核廃絶を願う世界の人々を踏みにじり、核不拡散体制への野蛮な挑戦であり、決して許すことはできません。

 私たちは、核廃絶を目指して、南北朝鮮を含む北東アジアの非核化を求めてまいりました。北朝鮮が核放棄に向けて無条件、即時に六者協議に戻るべき、国際社会の連携によって、今回の暴挙がさらなる暴走に至らないように、平和的、外交的な解決を求めていくべきだと考えます。

 そこで、まず防衛庁長官に、事実関係について伺いたいと思います。

 まず、今回の地下核実験、この有無、そして規模、さらには、現状で、もし仮に地下核実験が成功したという事態であるならば、テポドンなどの弾道ミサイルに搭載する能力を有しているというふうに見るかどうか、まだそこまではいっていないか。いかがでしょう。

久間国務大臣 今回の核実験が行われて、その成果がどうだったのか、これらにつきましては、まだ断定的に申し上げることはできませんで、関係各国といろいろな情報の交換をしているところであります。

 それと、今委員がおっしゃられました、いわゆる小型化して弾頭化する、その技術はどうかということでございますが、北朝鮮の核兵器開発計画について、これまた我々がこうなっているというようなことを言えるような状況でもございませんし、まだそこまでは把握しておりませんが、一般的に言いますならば、小型化するというのはかなりの技術が必要になるわけでございまして、まだ今の段階では、そこまでの技術が確立されたというような、そういう情報は得ておりません。

保坂(展)委員 外務大臣にお聞きをいたしますが、この事態の中で、核放棄を強く求める六者協議への復帰を促していくという努力をされていくことだと思います。現状はどうなのか、最新のところをお話しいただきたいと思います。

麻生国務大臣 北朝鮮の地下核実験が本当かどうかは、まだ確認されておりません。その点は混同されると話が込み入りますので、それは、弾頭に載っけるほどの、その前の段階の話で、まだ不明なところがありますということを全部わかった上で話をさせていただきます。

 基本的には、今言われましたように、国際連合の安全保障理事会というものを現地時間の昨日開催いたしております。たまたま今、日本は議長国でもありますので、非難決議、これは、七章に基づく非難決議等々を主張する国々と、穏やかにやった方がいいのではないかというのは、前回のミサイルの全会一致を取りつけたときとほぼ同じような状況であると思っております。

 ただ、ミサイルのときにやったのに比べて、今回のは核であります。状況としてはかなり逼迫したものを感じておりますので、できるだけ早い段階で私どもとしてはきちんとした形をつける。国際世論というものの現状を迅速に北朝鮮に示すというのが大事だと思っておりまして、今、鋭意努力をし、私どもの方としては、例の六カ国協議の北朝鮮を除く五カ国の外務大臣と電話で同時会談をするやら、その他の、P5というのは、常任理事国の中でイギリス、フランス等々と電話をしたり、いろいろなことを今させていただいておるところでして、前回のときよりは反応が速いという感じが率直な実感です。

保坂(展)委員 それでは、総理に伺います。

 先ほどCTBTのお話もありました。かつて、九八年でしょうか、パキスタン、インドの核実験がございました。当初、安保理決議、経済制裁等がかかったにもかかわらず、いつの間にかこれは既成事実化をしてしまった。そして、核不拡散体制、現状は危機に瀕していると思います。

 こういった中で、結局、核兵器そのものをこの地上から廃絶する、そのための第一歩として、まさに包括的核実験禁止条約、あらゆる形での核実験を禁止していこう、この条約の速やかな発効を日本がこの状況の中でしっかり求めていくべきではないかと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をいたしましたように、当然、日本の目的というのは、最終的には世界からの核の廃棄であります。それに向けて一歩一歩努力をしていかなければならない。NPT体制をしっかりと堅持していく。これと同時に、CTBTの実効をあらしめるために努力をしていきたいと思います。

保坂(展)委員 次に、この予算委員会の質疑を挟んで、総理が就任から十三日目に訪中され、また訪韓をされた。率直に私は、これは必要なことだった、早くてよかったというふうに思います。

 このスピードで両国を訪問された理由なんですが、小泉政権下でこの二つの重要な隣国との間の関係が必ずしもよくなかった、首脳会談にもぎくしゃくがあった、この関係修復を最優先されたというふうにとらえてよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 従来から、日本は両国との首脳会談については扉を開いているという姿勢で来たわけでございます。

 今回、私に政権がかわりました。これを契機として、一つの弾みとして、最初の訪問国として中国と韓国を選んだわけでございまして、この意味におきましては、それぞれの国々、首脳と率直に話ができる関係を築き、未来に向かって両国の発展を目指していく、そういう関係をつくっていくために中国と韓国を訪問したのでございます。

 今後、さらに信頼関係を構築し、次なる次元に高めていくべく指導力を発揮してまいりたいと思っておるところでございます。

保坂(展)委員 この予算委員会でも、また中国でも韓国でも、総理は、村山談話に基づいて過去の日本の侵略や植民地支配、こういった現実について見解を伝えたというふうに報道などで聞いておりますが、内閣総理大臣としてこの重要な総理就任直後の外交でその姿勢を示したということは、過去の村山談話は現在の安倍総理自身の見解というふうにとらえて当然いいわけですね。

安倍内閣総理大臣 会談におきまして、私の方から村山談話について申し上げたことはないわけでありますが、村山談話に対する認識につきましては、この委員会で申し上げておりますように、戦後五十年を機に発出された閣議決定された村山談話につきましては、私の内閣におきましても受け継がれているということでございます。

保坂(展)委員 その受け継がれているということなんですけれども、我が国がかつてアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたことへの深い反省の上に戦後六十年の歩みがある、こうおっしゃっていますよね。これは、村山談話を土台に基本的な我が国の歴史認識を述べたものというふうに受けとめて間違いないんですか、違うんですか。そこをはっきりお願いします。

安倍内閣総理大臣 村山談話の認識について、私の内閣の認識についてはもう既に述べたとおりでございます。私が申し上げておりますことについては、今までも国会で私が官房長官の時代にも申し上げてきた認識をお示ししたということでございます。

保坂(展)委員 過去の見解と違うということについて、私は、この村山談話に沿ってしっかりと両国に対して説明をしたというふうに両国は受けとめているだろうと思いますし、これを裏切るようなことがあってはならないというふうに思います。

 かつて二〇〇一年に、小泉総理が靖国神社参拝後にやはり訪中あるいは訪韓されました。たしか中国では、江沢民主席が、会談により日中間の緊張した局面は緩和されたという発言もされていますし、こういった問題、日中間がとげとげしい状態になるということは回避されたという認識を当時中国側は持ったようでございますが、現実は違った。

 大事なのは、これからだと思います。これから靖国神社参拝などで、せっかくこの日中、日韓、両国の信頼関係を回復したというスタートラインを損なうことがないかどうか、しっかり決意を伺っておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の訪中、訪韓によりまして、両首脳の会談がスタートしたということでございます。私が総理に就任をいたしまして、今後、中国との間でも、国際会議の場においても首脳会談を行うということでも認識が一致をしたところでございます。

 そういう意味におきましては、これからまさに新しい段階に引き上げていくべく努力をしてまいりますし、そういう方向に進んでいくことが、それぞれ日中また日韓の未来にとっても好ましいことであると思います。

保坂(展)委員 五年前の中国と韓国の首脳会談で、当時の小泉総理は、国立追悼施設の設置を検討する旨を両国に対して話をしていると記憶しています。この点については、今回の両国との首脳会談で言及があったんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 日中の間では、その国立の追悼施設の問題についての議論はございませんでした。日韓の間では、過去に日本側からそういう話があったという紹介がございました。私の方からは、この問題については遺族のお気持ちもあり、国民の中でコンセンサスが得られるかどうか慎重に見きわめていかなければならない問題であるという趣旨の話をいたしました。

保坂(展)委員 首脳会談でかつて小泉総理が日本の側から出した、そして互いにそれを語り合ったことが十分進んでいない、これは非常に問題だと思います。私たちは、だれもがわだかまりなく戦争犠牲者を追悼することもできる、そして平和を祈念する、そういう場をつくっていくべきだというふうに思います。

 格差の問題をやりたいと思います。

 厚生労働大臣に伺いますけれども、児童虐待などで保護された子供たちが暮らしている児童養護施設、そこから大学を目指そうとする若者がいるんですが、なかなか困難だと聞いています。もう一つ、生活保護世帯からやはり大学に進学したいと思って、現実に進学する若者たちの進学率、この二つの数字をちょっと挙げていただけますでしょうか。

柳澤国務大臣 まず、児童養護施設に入所している子供たちが大学等へ進学する率は、平成十六年度で一九・一%。ちょっと古い数字で恐縮ですが、私ども利用可能な最新の数字でございます。そういうことになってございます。

 それからもう一つお尋ねの、生活保護世帯からの大学進学率でございますが、これはちょっとまた、いわゆる浪人をしての進学率というのが把握できませんで、高校新規卒業者のうちの大学進学率ということで申し上げますと、一〇・三%ということになっております。

保坂(展)委員 私が厚労省からいただいた数字では、虐待を受けて、この子は親のもとにいるよりは施設で社会が責任を持って育てなければならない、そういう子供たちの大学進学というのは、平成十六年度の千二百三十一人の高校卒業者に対して、大学、短大に進んだのは九十七人で、実際パーセンテージは八%に満たないものですね。今厚労大臣がお答えになった数字は、専門学校、いろいろな公共職業訓練施設なども含んでいます。

 安倍総理は、特に格差の再生産に対しては、絶対これを行ってはならないというふうにおっしゃっています。

 文科大臣にお聞きしますが、高等教育の無償化条項、国連人権規約A規約に我が国がずっと留保をしている。この留保を撤回するように国連から勧告がありました。その期限がことしの六月だったんですね。期限が来ましたが、留保し続けている。理由を簡潔にお願いします。

伊吹国務大臣 日本の場合は、国民がすべからく最小限の学力と日本人として必要な規範を身につける義務教育は、御承知のように中学校までとなっております。したがって、中学校を出て就職して納税しておられる方とのバランスを考えると、今先生がおっしゃったことは、国民の公平感から非常に難しいというのが留保した理由であります。

 なお、これは各国それぞれ事情があると思いますが、アメリカはこの条約そのものを批准していないということは御承知のとおりです。

保坂(展)委員 この留保をしている国というのは、ルワンダとマダガスカルと日本のみということになっています。この条約を全部オーケーにしないで、ここの部分はとめておくよという態度です。

 法務大臣、共謀罪をめぐって前国会厳しい議論がありましたが、アメリカが共謀罪のもとになる国際組織犯罪対策条約を留保している、事実でしょうか。また、その理由は何でしょうか。

長勢国務大臣 国際組織犯罪防止条約について、米国の留保はなぜかという御質問だと思います。

 これは、アメリカが憲法上、連邦制を採用しておりますことから、連邦と州との間の権限関係の整合性を持たせるために行われたものであるというふうに承知をしております。すなわち、連邦法の範囲から若干、非常にごく少数のようでございますが外れる、州法に限られる犯罪について、この条約から少し外れる部分が出る可能性があるということで、その連邦制との関係での留保をつけたということであります。

 それに関連して、アメリカ政府としては、これによって共謀罪について、連邦法上ではちゃんとつくってありますので、ほとんど影響するということはないということも御報告されておるというふうに伺っております。

金子委員長 保坂展人君、時間が参りました。

保坂(展)委員 日本も留保を検討するべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。

金子委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 まず、安倍総理にお尋ねをさせていただきます。

 安倍総理は、今回、就任して真っ先に中国と韓国を訪問されたわけでございますが、これは途絶えていた日中そして日韓の首脳会談を再開する、こういう重要性を十分認識されてのことだろうというふうに思います。

 官房長官当時、また、今総理となられた現在において、中韓両国との首脳会談の重要性についてどのように認識されているのか、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 首脳が率直な話し合いをできる関係をつくっていくことは、その両国の安定的な発展のためには必要である、このように思います。国が違えば問題が起こることもあります。政治的な問題が起こることもありますし、考え方、認識の違いが発生することもあるわけでありますが、まずは会って話し合いをし、問題を解決するために努力をしていく、あるいは誤解があれば誤解を解く努力、またその場が必要であります。

 そういう意味におきましては、首脳会談というのは必要な場であろう、このように思います。

糸川委員 そうすると、それを五年間訪中をしなかった小泉さん、それから、日米関係がよければ近隣諸国とも友好関係を増進できるんだというふうに小泉前総理はおっしゃられてきたわけでございまして、中国と韓国との関係構築には積極的ではなかったのではないかなというふうに思うわけです。

 今、総理は、首脳会談というものは必要だというふうにおっしゃられたわけです。総理が今回中国と韓国との首脳会談の重要性を認識されていたのであれば、二〇〇三年八月に訪中されました福田元官房長官と同様に、当然、小泉前総理の任期すべてでないにしても、非常に多くの期間、官房副長官、官房長官として深く小泉政権を支えられてきたわけですから、官房長官として中国、韓国を訪問されるべきだったのではないかなというふうに考えるわけですけれども、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は官房長官も副長官も務めてきたわけでありますが、基本的には、官房長官は、国内にあって危機管理の責任者でもあるわけでありますし、内閣のかなめとしての仕事があると認識をしております。

 また、福田官房長官が訪中をいたしましたのは、これは、日中の友好何十周年だったか、それを契機とした式典等にかかわる関連で訪中したというふうに承知をしております。特別なケースではなかったか、このように思います。

 私は、官房長官時代、訪日をされた中国、韓国の要人で私に会うことを希望した方々には、すべて、ほとんどお目にかかっております。

糸川委員 ぜひ、今後このように途絶えるというようなことのないように、積極的に外交に取り組んでいただきたいと思います。

 北朝鮮の核実験問題についてお尋ねをさせていただきたいんですが、気象庁が、九日午後三時三十分、同日午前十時三十五分ごろに北朝鮮を震源とするマグニチュード四・九の地震が発生した、こういうふうな発表があったわけでございます。

 通常と異なる地震波を感知したものの、自然の地震か人工の地震か、こういうことは判断がつかないということでございまして、今現在も核実験ということの断定ができないということでございますが、実際にこの断定にどの程度の時間がかかるものなのか、また、今回、北朝鮮の地震が核実験によるものなのかどうかということが断定できないのに見切り発車的に対応を協議せざるを得なくなった、こういうことなのか。自然の地震なのかそうでないのかが即座に断定できるようなシステムというものの導入を検討するように、何とか研究に予算をつけるべきではないのかなというふうに考えるわけでございますが、そこの点についても御見解をお伺いしたい。

 そしてまた、通常、気象庁が発表する震度情報というんでしょうか、これは、気象庁のほかに、地方公共団体などによって整備、運営されておりまして、約三千八百地点の観測点のデータが、各管区気象台から、そして都道府県庁で集約されまして気象庁に提供される、こういうことになっておるわけでございます。今回のように、北朝鮮を震源とする通常と異なる地震波が観測された場合、管区気象台それから気象庁、官邸との間でどのような情報収集体制をとることになっているのか。

 また、現在、包括的核実験禁止条約に基づいて世界三百三十七カ所に核実験の観測機器、こういうものを設置する監視網の整備が進んでおるわけでございます。国内では九カ所の観測施設等が稼働中でございますが、これらの施設においても地震波や気圧振動ですとか放射性物質の観測が行われておるわけでございますが、日本政府との連携、政府との連携というものは行われているのか。また、今回、これらの施設から政府への報告はあったのか、あわせてお答えいただけますでしょうか。

久間国務大臣 国交大臣がお見えになっておりませんけれども、気象庁の方は、そういうような情報を得て、ウィーンでそれを包括的に報告をしてまとめるということになっておりますけれども、国内のそれを気象庁の方にどういうふうに集約するかは、私の方では今のところつかんでおりません。

安倍内閣総理大臣 その問題については通告がなかったんですが、気象庁からについては報告は官邸に上がっているわけでございます。しかし、地震波の観測だけをもってして特定できるわけではないわけでありまして、総合的な判断が必要であるわけでございます。

 いずれにいたしましても、日本のみならず、同盟国である米国を初め、今、各国と連携をとりながら情報の収集に当たっているところでございますが、今の時点では、今まで答弁をしておりますように、まだこれが核実験だったということを断定するに足る十分な情報を得ていないわけでありまして、そういう認識を確定するに至っていないということでございます。

 ですから、先ほど来申し上げておりますように、やはりこれを確認しなければならない。核実験だったかどうか確認をしなければ、例えば我が国の個別の対応についても、まず確認することが大切である、このように思っております。

 いずれにいたしましても、北朝鮮は核実験をやったということを発表しているわけでございまして、そもそも発表すること自体が、国際社会の懸念にこたえるのではなくて、逆に地域の平和と安定に対する脅威であり挑戦である、こう認識をしているところでございます。

 また、この核実験について、これは核実験であったかどうかということについて判断するのはなかなか難しいというのも現実ではございますが、その中で情報の収集、分析に取り組んでまいりたいと思います。

糸川委員 そうすると、この後、本会議が開かれて、恐らく批判の決議というものがされるわけだと思うんですけれども、非常に見切り発車になってしまうのかなと。確定していないものに対して、断定をしない段階で批判の決議をするということになるのかなと。もちろん、今後、いずれにしましても、今回のようなこういう事態に即座に対応できる、こういうような体制が不可欠であるというふうに思いますので、今後とも対応に万全を期していただきたいなというふうに思います。

 今、関係各国との連携をということでございますが、そうなってきますと、次の国連の事務総長は韓国の方でございますが、国連の問題について一点お尋ねしたいんです。

 先月十九日からニューヨークで始まりました国連総会の一般討論演説に、小泉前総理それから麻生外務大臣、両方が欠席をされたわけでございます。前総理は退任直前だということ、そして外務大臣は二十日の投開票の自民党総裁選の候補者だったということで、それが欠席の理由のようでございますが、これでは、国連安全保障理事会の理事国入りを目指す、こういう我が国の姿勢がどこまで本気なのかと国際社会からは疑われてしまうのではないかなというふうに懸念するわけでございます。また、拉致、核ですとか、そういうさまざまな問題の解決に向けて対北朝鮮の包囲網の構築を目指す我が国といたしまして、国際社会に訴える貴重な外交の機会を失ってしまったのではないかなというふうにも考えるわけでございます。

 今度、安倍総理は、三日の代表質問で常任理事国入りというものを目指される考えを表明されておりますが、この欠席についての御見解をお聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 この質問にお答えをする前に、先ほど国連安保理での協議が見切り発車ではないかという御指摘があった……(糸川委員「国連ではなくて、きょうの本会議」と呼ぶ)本会議ですね、わかりました。それならそれで結構でありますが。

 北朝鮮は、いわば核実験をやっていないというふうに言っているのではなくて、北朝鮮そのものが核実験をやったということを言っているという非常に特異なケースでもあるわけでありまして、その中で、やっていないと言っていて、やっているだろうということで証拠を集めているのとはこれまた状況が違う。核実験をやったということを言っていること自体が、まずはこれは大きな国際社会に対する挑戦であるという認識で、まずそのこと自体も許すわけにはいかないということでございます。

 国連総会での演説の出席の問題でございますが、小泉総理、麻生外務大臣の出席につきましては、国内の政治日程または国際情勢等を総合的に勘案した上で見送ることになったわけでありまして、その上で、一般討論演説または北朝鮮問題に関する関係国外相会合等の一連の外交事案については、外務省において適切に対応がなされたというふうに承知をいたしております。

糸川委員 もちろん、先ほどの総理の発言、私も同感でございまして、北朝鮮が自分から言っているわけですから、きょうの決議にももちろん私どもも賛成をしておるわけでございます。

 最後に、アフリカ外交について総理にお尋ねをさせていただきたいんですが、所信表明等々でもなかなか総理の口からアフリカ外交の重要性というところについては出てこないわけでございます。

 ことしのゴールデンウイークに小泉前総理が、アフリカ、三カ国を歴訪されまして、通常国会閉会後、これまで訪れていなかった国を閣僚が手分けして訪問する、こういうことでアフリカ諸国に閣僚が赴かれたわけではございますが、遅きに失した感、こういうのは否めないのではないかなという感じがするわけでございます。中国なんかの例をとりますと、国連加盟国の四分の一を占める国の約五十三カ国、我が国の大使館が二十四カ国しかないわけでございます。中国は四十五カ国あるわけですね。

 こういうことを考えると、これから、もちろんアジア重視ということも安倍政権の旗印であるわけでございますけれども、アフリカ外交もまた安倍政権が力を注ぐべき重要課題ではないかなというふうに思うわけでございますが、お考えを最後にお聞かせいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、アフリカ外交も重要であります。

 所信表明の中で何を入れるかということがなかなか難しいわけでありまして、まあ、すべて入れなければいけないということでもあるわけでありますが、アフリカは五十三カ国、加盟国の約三割を占めるわけでありまして、極めて重視しております。日本も、TICAD、アフリカ開発会議を主導しているわけでありまして、こうしたアフリカの発展のために日本も貢献をしていく、アフリカの国々を重視していく、そういう観点からも小泉総理もアフリカを訪問いたしました。

 また、この夏、閣僚の戦略的な外遊ということで、今まで閣僚は大体同じ、例えば米国とかヨーロッパの一カ国に集中するところがあったわけでありますが、なるべく今まで行っていない国々、特にそういうことになりますと、アフリカの国ということにもなるわけでありますが、杉浦当時の法務大臣には、ガボン等三カ国に行ってもらったわけであります。またマダガスカル等々、そういう国々にも別の閣僚を派遣いたしました。また、今、議員交流において多くの議員がアフリカを訪問していただいている、このように思います。

 今後、日本が国連外交において主導的な役割を担っていくためにも、アフリカ外交を重視してまいりたいと考えております。

糸川委員 終わります。

金子委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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