衆議院

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第4号 平成19年2月7日(水曜日)

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平成十九年二月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 一義君

   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 萩山 教嚴君 理事 森  英介君

   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君

      赤池 誠章君    井上 喜一君

      井脇ノブ子君    飯島 夕雁君

      石破  茂君    稲田 朋美君

      猪口 邦子君    上野賢一郎君

      臼井日出男君    遠藤 武彦君

      小野寺五典君    越智 隆雄君

      大島 理森君    大野 功統君

      亀井善太郎君    河井 克行君

      河村 建夫君    倉田 雅年君

      木挽  司君    佐藤 剛男君

      清水鴻一郎君    清水清一朗君

      田中 良生君    高鳥 修一君

      中馬 弘毅君    冨岡  勉君

      中川 泰宏君    中野  清君

      中森ふくよ君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    西村 康稔君

      野田  毅君    原田 憲治君

      広津 素子君    深谷 隆司君

      藤田 幹雄君    藤野真紀子君

      細田 博之君    馬渡 龍治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      三ッ林隆志君    三ッ矢憲生君

      三原 朝彦君    宮下 一郎君

      武藤 容治君    矢野 隆司君

      山本 公一君   山本ともひろ君

      石関 貴史君    岩國 哲人君

      小川 淳也君    大串 博志君

      岡田 克也君    川内 博史君

      小宮山洋子君    高井 美穂君

      高山 智司君    寺田  学君

      中井  洽君    原口 一博君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      松木 謙公君    伊藤  渉君

      大口 善徳君    斉藤 鉄夫君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    佐々木憲昭君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   菅  義偉君

   法務大臣         長勢 甚遠君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         尾身 幸次君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         若林 正俊君

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       溝手 顕正君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (イノベーション担当)

   (少子化・男女共同参画担当)

   (食品安全担当)     高市 早苗君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (規制改革担当)     渡辺 喜美君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   法務副大臣        水野 賢一君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   環境副大臣        土屋 品子君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官    藤野 公孝君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月七日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     赤池 誠章君

  臼井日出男君     藤田 幹雄君

  遠藤 武彦君     木挽  司君

  小野寺五典君     猪口 邦子君

  大島 理森君     中川 泰宏君

  大野 功統君     冨岡  勉君

  河村 建夫君     広津 素子君

  倉田 雅年君     丹羽 秀樹君

  笹川  堯君     石破  茂君

  中野  清君     亀井善太郎君

  西村 康稔君     上野賢一郎君

  野田  毅君     原田 憲治君

  細田 博之君     中森ふくよ君

  三原 朝彦君     長島 忠美君

  宮下 一郎君     高鳥 修一君

  山本 公一君     藤野真紀子君

  与謝野 馨君     清水鴻一郎君

  岩國 哲人君     寺田  学君

  原口 一博君     高井 美穂君

  松木 謙公君     高山 智司君

  大口 善徳君     伊藤  渉君

  丸谷 佳織君     斉藤 鉄夫君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     稲田 朋美君

  石破  茂君     田中 良生君

  猪口 邦子君     小野寺五典君

  上野賢一郎君     西村 康稔君

  亀井善太郎君     牧原 秀樹君

  木挽  司君     飯島 夕雁君

  清水鴻一郎君     清水清一朗君

  高鳥 修一君     越智 隆雄君

  冨岡  勉君     大野 功統君

  中川 泰宏君     大島 理森君

  中森ふくよ君     細田 博之君

  長島 忠美君     矢野 隆司君

  丹羽 秀樹君     倉田 雅年君

  原田 憲治君     野田  毅君

  広津 素子君     馬渡 龍治君

  藤田 幹雄君     臼井日出男君

  藤野真紀子君     山本 公一君

  高井 美穂君     小宮山洋子君

  高山 智司君     松木 謙公君

  寺田  学君     石関 貴史君

  伊藤  渉君     大口 善徳君

  斉藤 鉄夫君     丸谷 佳織君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     遠藤 武彦君

  越智 隆雄君     宮下 一郎君

  清水清一朗君     井脇ノブ子君

  田中 良生君     山本ともひろ君

  馬渡 龍治君     河村 建夫君

  牧原 秀樹君     中野  清君

  矢野 隆司君     三原 朝彦君

  石関 貴史君     岩國 哲人君

  小宮山洋子君     原口 一博君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    武藤 容治君

同日

 辞任         補欠選任

  武藤 容治君     笹川  堯君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算案に関し少子化その他について


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 予算案の審査に入ります。

 この際、少子化その他の集中的審議を行います。

 お諮りいたします。

 予算案審査のため、本日、政府参考人として国税庁次長加藤治彦君、厚生労働省労働基準局長青木豊君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長中村吉夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。猪口邦子君。

猪口委員 自由民主党の猪口邦子でございます。本日は、この質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。

 私、質問に入ります前に、一言申し上げたいことがございます。

 昨日成立しました補正予算でございますが、この中には、災害対策あるいは障害者自立支援対策、そして、いじめ・児童虐待対策など、国民生活にとって極めて緊要性を要するものがたくさん含まれてございます。このような重要な審議につきまして、与野党で合意していた日程にもかかわらず、野党が欠席されましたこと、まことに残念であり、本日から国会が正常化しましたことを心から歓迎するところでございます。

 では、少子化対策についての質問に入りたいと存じます。

 私は、初代の専任の少子化担当閣僚といたしましていろいろと努力しておりましたとき、当時官房長官でいらっしゃいました安倍総理が、この少子化問題についてどれほど積極的に取り組んでくださり、さまざまな困難の調整をみずから積極的にやってくださり、私は非力な大臣でございましたけれども、それをしっかりと調整をもってサポートしてくださり、そのときのことを思い出しますと、心から感謝申し上げたいと思います。

 また、その官邸のリーダーシップのおかげさまをもちまして、昨年の六月には、新しい少子化対策を政府決定することができました。後任の担当大臣でいらっしゃいます高市大臣は、これを着実に実施するということを答弁の中でもおっしゃっていただいております。

 この新しい少子化対策の中でも、例えば、とりわけ予算措置等において困難であろうと思われていました乳幼児加算の創設などにつきまして、安倍総理は、総理大臣として、今度はまさに総理大臣として、積極的にこの創設を可能にしてくださったと考えております。

 まことに感謝申し上げるとともに、そのような強い決意で新しい少子化対策の実施をさらに進め、また、少子化対策を一層主流化させて、重点化させていくことにつきましての決意につきましてお伺いできればと存じます。よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 猪口委員におかれましては、少子化担当大臣時代に本当に積極的に少子化に取り組まれたわけであります。

 子供を生み育てやすい日本をつくっていく、また、この少子化問題に取り組まれ、そして、子育てをしている女性やお父さんを、また家族をしっかりと支援をしていかなければいけない、国がその支援をしていくという強いメッセージを出していくべきであるという考え方のもとに、少子化対策をお取りまとめいただいたわけであります。

 その中で、ただいま先生がお触れになりました児童手当の乳幼児加算、そしてまた、さらには、育児休業給付を四〇%から五〇%に引き上げたわけであります。乳幼児加算については、五千円を一律一万円にするという加算があったわけであります。また、延長保育等大変ニーズがあるわけでありまして、そうしたニーズ等に対応するための対策があります。また、やはり子育ては、お母さん、お父さん、家族で支援をしなければならないという観点に立って、長時間の時間外労働を抑制していく、働き方を少し変えていこうという観点からの取り組みを強化もしていかなければならないということでございまして、そうした総合的な政策を組み合わせていく。すべての子供、すべての家族を大切にしていくという基本的な考え方のもとに、子供と家族を応援する日本という基本戦略を打ち立ててまいりたいと考えている次第でございます。

 基本的には、猪口大臣時代に取りまとめた方針にのっとって、さらにそれを強化していく考えでございます。

 いずれにせよ、結婚したい、あるいは子供を持ちたいと思っている方々が、安心して結婚できる、また、安心して子育てできる日本にしていくために、全力を尽くしてまいる考えでございます。

猪口委員 総理、まことにありがとうございます。大変に本質に踏み込んでお答えいただきました。

 総理の少子化に対する思い、まあ大きな声で言うかどうかは別で、官房長官時代から非常に熱心で、積極的で、この分野こそ重点化していこうという、そういう思いにあふれていたと私は思い出しております。まことに感謝申し上げ、総理大臣として一層この分野の強化に不退転の決意で取り組んでいただければと、お願い申し上げます。

 それでは、柳澤大臣にお伺い申し上げます。

 柳澤大臣は、私、思い出すこと、たくさんございます。少子化対策の担当として、国として政策を強化するときには、一つには予算措置があります。それから、もう一つには税制での対応がございます。予算措置を強化していくには、今申し上げましたとおり、当時官房長官でありました安倍総理を私はお頼りいたしました。そして、税制を改正しなければならない、子育て支援型の税制という考え方を党税調においてしっかりと打ち立てていただかなければならない。そのときの党の税調会長は柳澤大臣でいらっしゃいました。私は、当時、一般に党税調の議論というのはそう早く始まらないんですけれども、昨年は、二月、三月の時点から柳澤大臣のもとで、積極的に少子化対策を支援するような新しい税制の考え方を内々に議論を始めたと伺いました。

 私は、自分の日記を見ましたところ、三月一日に、柳澤大臣に意見を伺いに議員会館のお部屋に伺っております。そのとき、当時の柳澤税調会長は、少子化分野は大変重要だ、なかなか理解が得られないかもしれないけれども担当大臣としてしっかり頑張るように、党税調の側からは全力をもって支えてあげたい、早い時期に議論を始めることによってみんながその話になれていく、内々でいろいろと議論していると。これは、税調の他の幹部の先生方に伺ったときも、皆、口をそろえてそういうふうにおっしゃってくださいました。

 私の印象としては、柳澤大臣は、本当にこの少子化対策について熱心に、そして女性の社会的な機会の拡大について理解を示しながら、具体的な施策がどうあるべきか、税制がどうあるべきか、そういうふうに考え抜かれてこられた先輩の議員の先生でいらっしゃると感じておりました。

 それで、さきの残念な発言がございまして、大臣はたび重ねて謝っていらっしゃいます。私は、そのお姿を拝見するたびに、非常に胸痛むものがあります。もちろん、発言された言葉は決して適切でなく、すべて反省しなければならないということは言うまでもございません。そして、大臣は、それについて、そのように、すべて撤回し、反省し、謝罪されてきました。改めてここで謝罪していただきたいということを、私としては非常に申し上げにくいです。そのように徹底的に謝罪されてきたわけですから、ここは、大臣の本心は決してそこにはないということを私としては理解しております。

 そこで、私は、柳澤大臣が生まれたころ、そして柳澤大臣の世代について思いをいたしておりました。

 柳澤大臣は、終戦を迎えたとき、ちょうど十歳の直前のころだったと思います。そして、その後、職業人となって、日本の戦後復興の時代、また、無資源国でありながら石油危機を乗り越える、そのような時代を切り開いて、そして、日本がさまざまな価値の転換を見ていく中で、その新しい価値と積極的に向き合う、そのような努力をされてきた世代ではないかと思います。

 もちろん、若い世代から見れば、いろいろなところで、発言が不十分でありますとか、さきの発言のように、間違っている発言ということがありました。しかし、それについて、その発言を完全に反省して取り下げておられます。

 そのことについて、その世代が、異なる時代の中を生きてきたにもかかわらず、新しい男女共同参画、そして少子化対策の子育て支援など、新しい価値と積極的に向き合うその努力を一生懸命され、かつ、間違ったことについて、それを取り消し、謝罪し、その努力をしているということについて、そういう新しい価値と向き合う努力について、今後一層さらに進めていただきたいと思いますとともに、世代間において、一人の人のキャリアタイムの中で、大きく日本の社会の価値が変遷する中で、上の世代の、心を込めた対応をしつつも、言葉が不十分であったり間違っていたりしたということについて全面的に撤回される。そのこともまた認めて、受けとめて、また、新しい世代とともに、新しい世代のために、先ほども、若い人たちにフィットした少子化対策を打ち立てなければならないということをおっしゃってくださいましたけれども、そういう新しい世代の思いを重視して歩み続けてくださるというところに、やはりそこに、ある種の、非常に国民社会として重要なものがあるのではないかと思います。それは世代間の問題もあるのかもしれませんが、上の世代の方が新しい価値にしっかりと向き合おうとしている努力について、私は、積極的にさらに努力していただきたいと考えております。

 大臣に、さきの発言のことも含めて、今後一層少子化対策を重点化し、世代を超えて、若い世代の苦労や新しい価値について努力してくださることをよろしくお願いしたいと思いますが、御意見を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 ただいま猪口委員から、本当にいろいろな多角的な見地から、私のこれまでの発言について、非常に御同情をいただく、温かい励ましの言葉を含めてのお話がございました。大変感銘を受けてお聞きいたしておりました。

 私の一月二十七日の松江における発言、これは講演中に発した発言なのでございますけれども、女性と人口の関係について実に不適切な表現を用いたということがございます。そのことによりまして、女性のみならず国民の皆様に大変大きく傷をつけ、混乱も招いたこと、本当に心からおわびを申し上げる次第です。

 この上は、強い反省の上に立って、与えられた任務のために、微力ではありますけれども、私の全力を挙げて取り組みたい、このように考えておる次第でございます。本当にいろいろと申しわけありませんでした。

猪口委員 ところで、少子化対策でございますけれども、新しい少子化対策の考え方の基本となっておりますのは、二つの大きな柱がございます。一つは、子育て支援、それからもう一つが、働き方改革でございます。この二つは、まさに車の両輪のように、今後、それぞれあわせて強化していただきたいと思うところでございます。

 よく少子化対策は、いろいろと案があるけれどもどれが一番重要なのかということを聞かれることがありました。この国では、経済政策についての議論が非常に活発でありまして、経済政策においては、一番重点化するべき政策、こういう物の考え方があるのだと思います。しかし、社会政策においては、さまざまな家庭あるいは個人において困難の内容がさまざまでありますので、そういう意味では、どれか一つを重点化して答えが出るということではありません。体系的に、総合的に、そして、かなりきめ細かくさまざまな施策を組み合わせなければならないと思います。

 ここで簡単に、新しい少子化対策の背景となっています考え方を述べてみたいと思います。また、それにつきまして厚労大臣のお考えを伺いたいと思います。

 そのような考え方を表明して施策を強力に推進しようとしている中で、実は、我が国の人口動態の流れが変わってきております。二〇〇六年の出生数、これは、特に後半期において急増するようにもなっておりますし、また、二〇〇六年においては、結婚数も実に大きくその前の年を上回るようになっています。

 このことが示すことは、政府が本気度を持って軸足を少子化対策に置けば、若い世代が、いろいろと不安はあり、経済的にも立ち行くか不安はあるけれども、しかし自分たちの生活の中で子育てを頑張っていこう、そういう政府に対する信頼あるいは社会に対する信頼を回復してくれるものではないかと感じております。

 そこで、そのような少子化対策の考え方なんですけれども、まず第一に、子育てというのは、第一義的に保護者の責任であります。しかし、その保護者を社会全体で支えなければならない、それが社会の責務であるという考え方でございます。

 それから、もちろん、特に働く母親、共稼ぎの家庭、そのような家庭を重点化することも必要でありますが、同時に、全子育て家庭支援という考え方をとり、特に我が国ではゼロ歳から二歳の間の子供たちは専業主婦によって育てられている率が高いので、すべての子育て家庭が裨益するような少子化対策ということを柱にしたわけでございます。

 それから、三つ目は、乳幼児の時期、これは、その親にとって、本人の年齢も若く、したがって、その人の生涯の中で所得が低いときであろう、このように考えますと、乳幼児を抱えている家族を支援することを重点化するということも考え方にございます。

 それから、四つ目として、従来は、子供の安全、安心ということは必ずしも少子化対策の観点から議論されたことではないかもしれませんが、私は、全国各地を担当大臣として回り、現場の意見、地方の意見を聞く中で、保護者たちが最後に語る言葉は、いろいろあるけれども、結局は不安であると。治安状況、子供が巻き込まれるべきでないような事件の多発、この社会についての漠然と不安感があるということをおっしゃいましたので、子供の安心、安全ということを重点化するということを考えました。

 それは、新しい少子化対策の中の、例えば小学生期におきます放課後子どもプランによって、小学校に上がりますと、低学年のときは下校時刻が早く、その不安感から母親が仕事をやめなければならないということも多いことを知って、今後は、小学校の中で預かりながら、夕方までスポーツをさせたり、補習を望む子供にはそれをさせたりということを可能にする施策を導入したり、あるいはスクールバスの導入を積極的にしたりという、こういう考え方を施策体系の柱として、あるいは考え方として抱いていたわけでございます。

 そして、その二つの大きな柱は、子育て支援、そして働き方改革でございます。そして、子育て支援につきましては、子供の年齢進行順に施策を整理しまして、わかりやすく、国民が自分の子供の年齢だったらどういう支援策が受けられるのかということを示していったわけでございます。

 細かい施策の説明はここではいたしませんけれども、厚労大臣に、今私が申し上げました、今後我が国におきます少子化対策を強化するときの基本的な考え方、そして、体系的に、総合的に、多角的に推進しなければならず、どれか一つ、どっちが重要なのかという議論よりも、そのような体系性が重要であるということについて御意見を伺えればと存じます。

柳澤国務大臣 猪口委員が初代の少子化担当大臣として八面六臂の御活躍をなさったわけですが、それは、ただに議員の間を立ち回るというようなこと、これも非常に大事なんですが、それにとどまらず、学者の御出身というようなバックグラウンドもございまして、非常に根本的な施策、お考え、そのもとで政策を打ち出そうとなさって御努力をなさっていたことを、私も、傍らからですけれども、非常に敬意を持って見ておった次第でございます。

 少子化対策というのは、ともすれば、先ほど猪口委員がおっしゃられたように、お金が大変だからお金を少し与えればいいんじゃないかというような、どちらかというと経済的な側面に力を入れがちなんですけれども、実は、そうではなくて、次世代の子供を健全に育て上げるということには、非常に大きな社会的な基盤、あるいは、もっと言えば、社会の人々の考え方を少し変えないといけないというようなことすらあるんじゃないか、こういうような御指摘をいただいたように思います。

 私どもも、今、第一に大事なのは働き方、このことが非常に大事だろうというふうに考えまして、ちょっと今までの少子化対策だったら迂遠ではないか、遠回りではないかというような感じを与える、雇用の場でのしっかりした子育て支援の基盤の整備ということが非常に大事だという考え方をとっております。

 それから、その中には、単に労働者の時間が確保できるというよりも、使用者の理解、これも非常に大事だというような考え方で、使用者の理解が明らかに進んでいるようなところには、これを奨励するというような措置も考える。さらに、もっと欲を言えば、使用者の考え方が変わってくるというようなことすら期待をしたい、このように考えております。

 それから、やはり現実的には、経済的な支援を行うというようなことが大事だということでございます。

 それから、第三番目には、今、猪口委員が最後に触れられた、社会が子供たちを、しっかりとその安全を確保する等のことにおいて、子供たちに温かい目を常に注いでいく、こういうことが大事だ。

 つまり、多角的なアプローチで社会の雰囲気が変わるというか空気が変わる、こういうようなことこそが大事だということが猪口委員が少子化担当大臣時代に私どもに示されたメッセージではないか、このように考えまして、不十分かもしれませんが、我々、現実の政策の中でそうしたことを生かさせていただきたい、このように考えております。

猪口委員 企業の対応につきましては、私、冒頭申し上げました、税調会長時代にこの少子化を重点化するという流れをつくってくださいまして、その後、厚労大臣になられましたけれども、その後の党税調の中で、十二月に決着した非常に重要な点として、企業の子育て支援税制の創設の一環として、企業が設置する事業所内託児施設に対して割り増し償却制度を創設することがされました。

 このような流れは、まさに税調会長時代の去年の三月ぐらいから、少子化対策、少子化対策、子育て支援税制が大事ですよという流れをつくってくださったからこそ十二月の税調の最終結論が出るところでの事業所内託児施設についてのインセンティブが可能になったと考えております。

 そこで、今、雇用の場で、あるいは企業の対応として重点化しなければならないことがあるとおっしゃってくださいました。育児休業制度は、なかなかその取得、活用が進んでいないという問題があります。実際に我が国では、女性も約七割の方が第一子の出産とともに退職届を出しているわけであります。また、男性の取得は〇・五%と、なかなか低いんですね。女性はその残った方の七割が取得されていますけれども、この育児休業制度の取得の促進をさらに進めることが重要と考えております。

 そのためにも、総理が冒頭御指摘くださいました育児休業制度の中における給付、これを四〇%から五〇%に引き上げたことが一つの促進剤になることを期待しております。と申しますのは、家庭の中で、共働きの場合、男性配偶者の方の所得が高い場合が多く、したがって、四〇%の給付になるということであると、それはなかなか男性の方が育児休業制度を活用しにくいという事情があったかもしれません。給付の割合がふえることによって男性の配偶者の育児休業取得が進む可能性が十分ありますので、今後、さらにその点を考えていただければと思います。

 そこで、私、せっかくの機会ですから、その育児休業制度をさらに拡張して、欧米ではパパクオータという制度で呼んでいるそうでございますけれども、今、一年の育児休業がありますが、我が国においても、例えば、あと数週間それを延長するような形で、その制度を活用していない側の保護者がとる。そして、給付額についても相当な程度である。そして、それは、もう片方の保護者に振り分けることはできない。例えば、母親が育児休業制度をとっている場合に、父親が今度四週間ぐらいのそのパパクオータ制度を活用することができるけれども、父親が休みたくないときにはそれを母親に転嫁することはできないというようなパパクオータのような制度を我が国においても導入できれば、一層、現場が助かるということのほかに、意識の改革にもつながるのではないかと考えますが、いかがでございますでしょうか。

柳澤国務大臣 今、委員から、欧米の、例えばノルウェーとかスウェーデンで実施をされておりますパパクオータということで、男性が育児休業制度を活用する、こういうことにお触れになられて、こういうこともまた促進をすべきではないか、こういうお話がございました。

 現状は、冒頭、この質問の部分で委員が御指摘になられたように、女性はまずまず育児休業制度を活用しておられますけれども、男性の育児休業制度の活用というのは、本当に、各企業でもあるいは官庁でも、話題になるくらいのエピソードというような段階にとどまっております。これを、もっともっと本格的に自然な形でとるようにしなければいけない。

 これは、現状から考えると、非常に飛躍した状況を我々イマジネーションを働かせて想像しなければいけないというような領域なのでございますけれども、実は、いろいろと今回私どもが、若い人たちが持っている結婚であるとかあるいは子供の期待の数を調べて、そして、その希望と現実との間に乖離がある、この乖離はどうやって埋めたらいいだろうかということを、ほとんど全国にあるいろいろな各般の調査結果を物すごいマンパワーをかけまして整理して、この埋める方策をとったわけでございます。

 その中に、育児だけではございません、やはり男性が、家事も育児も、そういったことについて協働をする、ともに働く、こういう分担というかそういうものが実現されることがそのギャップを埋める非常に強い働きを持つ方策だということもわかりまして、私がこれの推奨の先頭に立つかどうかはともかくとして、少なくとも、そういう認識は非常に強く持たされたというのが実情でございます。

猪口委員 すばらしい、誠実な御答弁、まことにありがとうございます。

 雇用の面からの支援、もちろん非常に重要でございます。あわせて申し述べておきたいことは、若い世代は、経済的な困窮度も非常に大きい家庭が多いんですね。それは、我が国は、基本的に年功序列制度が残っておりまして、例えば、経済のグローバル化などの試練を外部から受けますと、その影響を年齢階層横断的に受けるのではなく、若い世代が集約的にそれに対応するというところが見られます。ですから、若い世代に対する経済的支援も引き続き重点化していただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、文科大臣に、伊吹大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほどの、子供の放課後についての措置、放課後子どもプランの重要性について、子供の安全確保あるいは充実した放課後の時間、これは、学力の面からもいろいろと補強してあげる機会になるかもしれない。また、二〇〇七年というのは、退職者が一気に地域に戻ってくるときでもあります。この世代は、先ほどもお伝えしましたような、戦後の大変な時代に日本を支えた非常に能力の高い世代。その世代の能力を今度地域の中で生かしていただける、そういう受け皿にもこの放課後子どもプランがなるのではないかと期待しております。

 いずれにしましても、大人社会が持つ最良のものを子供世代に伝えていく、それを地域ぐるみでやっていく、そんな方向で発展してくれることが望ましいと考えておりますが、伊吹大臣の、この放課後子どもプランについてのお考え、よろしくお願いいたします。

伊吹国務大臣 先生が大臣時代にアイデアを出されて推進をされた放課後子どもプランというのは、先生の言葉をかりれば、働き方の支援と子育ての支援の接点にある問題だと思います。

 私の担当しております教育再生でも、やはり地域社会の再生と家族の復権というのは、百年仕事ですけれども、大変大切なポイントです。

 社会が発展して豊かになると、やはり都市へ人口は集中いたしますし、当然、三世代同居ということは崩れていきます。核家族になりますし、女性が社会に進出することによって、今、日本の社会の便益というんでしょうか、サービスのレベルが維持されているということも、これは紛れもない事実ですから。そうすると、子供が学校が終わった後、家へ戻られたときに、それを受け入れる家族というものがいないわけなんですね。これをかぎっ子と称する。

 ですから、学校の場を使い、あるいは柳澤大臣が所管しておられる保育所の場を使い、地域の方々と協力をして、放課後の子供さんを受け入れる場所をつくる。これが、安心してお母さんが働ける条件づくりでもあるし、将来は労働法制をしっかりとしていただいて、お母さんだけではなくて、父親もまた子供を持っているときは早く帰れるという状況をつくるということだと私は思います。

 それまでの間のつなぎという形でもあるかもわかりませんが、我々のところでは一万カ所、約六十八億円、柳澤大臣のところで二万カ所、約百六十億だったと思いますが、この資金を投入して、地域社会との連携で、子供さんに生きる知恵を教えていきながら、お母さんが帰ってこられるまで、お父さんが戻ってくるまでの預かり場所をつくっていくということをさらに力を合わせて進めていくということでございます。

猪口委員 まことにありがとうございました。

 三世代同居という言葉がございましたが、これからは、地域全体で三世代同居と考えます。その一つの場として、そういう放課後の場、地域全体で、自分の直接の子供、孫でなくても、地域の子供、孫をみんなで大事に、三世代同居なんだと考えて子育て支援をしていただければと思います。

 そして、高市大臣、本当にありがとうございます。もうどれほど大変な中で新しい少子化対策の着実な実施を推進しなければならないと言い続けてくださったことか。私はこの場をかりて、大臣のぶれない姿勢に心から感謝を申し上げたいと思います。

 これからの少子化対策についての取り組みの決意と何かお考えがございましたら、よろしくお願いいたします。

高市国務大臣 前の内閣で、小泉内閣で猪口大臣がリーダーシップをとられて、すべての閣僚がメンバーになって、新しい少子化対策、すばらしい四十項目にも及ぶ施策をつくっていただきました。

 平成十九年度の予算案の編成に当たりましては、一つでもこれを早く動かそうということで、先ほど来お話が出ておりますような、放課後子どもプランも全小学校区で実施するんだということですとか、それから、先ほど猪口委員がおっしゃいました乳幼児加算の創設もそうでございます。それから、こんにちは赤ちゃん事業、これも、今までの日本にはなかった事業が予算化されて始まる見通しでございますし、それから育児休業給付、これも給付率を上げるということで、これは秋からになりますけれども、こういった形で、一つずつ一つずつ形になっていっております。

 実際には、財源の確保と、年末にはさまざまな議論もありましたけれども、そのときにも安倍総理が、もうやれることは全部やろうと非常に強いリーダーシップを発揮されまして、与党の先生方にも大変御苦労いただいて、税制や予算案の編成の中で形が見えてきたということでございます。

 私の立場といたしましては、せっかく残していただいたこのプランを着実に実行するとともに、プランには書き込まれてあるんですけれども、実際、運用面でなかなかうまくいっていないというようなことを掘り下げて、さらに重点化していきたいなと思っております。

 例えば、なかなか企業で、制度はあるんです、育児休業の制度もあるんですけれどもとりにくいとか、それから、若者がやはり経済的にも精神的にも自立できていないんじゃないか、そこを掘り下げていけないだろうか、こういった問題もございますし、企業の、経営者の方の意識改革もあると思いますので、子どもと家族を応援する日本重点戦略というものをしっかりと確立して、その中でさらに深掘りをしていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

猪口委員 どうもありがとうございました。

 最後に、大田大臣、この間の経済演説、すばらしいものでございました。経済財政諮問会議において引き続き少子化対策を重点化していただけますよう、私、お願い申し上げて、私の質問時間が終わりましたので、一言決意を伺う時間、よろしいでしょうか。(発言する者あり)はい、わかりました。では、私の方からお願い申し上げて、私の質問を終えたいと存じます。

 以上をもって、委員長、私の少子化対策についての質問を終わります。どうもありがとうございました。

金子委員長 これにて猪口君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 政府の少子化対策、既に進んでおります。そういう意味で、まず最初に、総理にその基本的な考え方を再確認させていただきたいと思います。

 少子化の議論を進めるときに、子供を持つか持たないかは個人が決めることであって、行政やまた政治が介入すべき問題ではない、ある意味ではほっておいてくれ、こういう議論もございます。戦前の産めよふやせよの国家介入の歴史もありますので、私たちは、行政が基本的に介入すべき分野ではない、心の問題であるということを十分認識しなければならない。

 しかしその上で、産みたいと思っているけれども産めない、そういう環境もある。そういう環境がある限り、政治はその環境を取り除かなくてはならない、だから我々政治家は少子化対策に取り組むんだ、こういうふうに認識をしておりますけれども、この認識についてどうかということ。

 それから、あくまでも個人の自由意思による出産、子育てでございますけれども、しかし、子供を育てるということは、次の社会の担い手を育てるという非常に社会的な行為でもございます。そういう意味からも、社会がこの子育てを支援していかなくてはいけない。したがって、我々が税金を使って社会が子育てを支援するということは、次の社会を建設していくということにつながりますから、子供を持たないという選択をした人からも、政治の支援、行政からの支援というのは認めてもらえるんだろう、このように考えております。

 このような基本的考え方に立っての少子化対策ということについて、総理の基本的なお考えをお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 政府の少子化対策についての基本的な考え方は、まさに今斉藤委員が御指摘になったとおりでございます。人生の生き方、どういう生き方を選択するか、それはもう個人の価値観の問題であり、それに対して国は決して介入するべきではないし、また、その価値観について云々するべきではない、このように思います。

 そしてそれと同時に、私は、やはり子供は国の宝であろう。そして、この子供をみんなで大切に育てていく、家族はもちろんでありますが、地域や社会や、また地方の行政、そしてまた国において、社会において子供を育てていく、その頑張っている家族に対しては支援をしていく、そういう社会でありたい。

 そして、結婚をしたい、あるいは子供を生み育てていきたい、子供を持ちたいと思いながらも、なかなかそれにちゅうちょしている、あるいはいろいろな障害があってそれができないということであれば、その障害を取り除いていく、安心して子供を生み育てやすい、あるいは結婚できる環境をつくっていく責任は我々にまさにあるわけであって、その責任は果たしていかなければならない、こう考えているわけであります。子育ての支援、そしてまた働き方を変えていく、先ほど猪口委員から御指摘があったとおりであります。

 そうしたこととともに、家族を持ったり、あるいは子供を生み育てていくということの価値についても、私はやはり再認識していく必要もあるのではないだろうか、このように思います。

 それぞれ国民の持っている望みを実現できる社会にしていかなければならない。そして、特に、結婚したいあるいは子供を持ちたいという方々が、若い人たちがその夢を実現できる社会にしていくために安倍内閣としては全力を尽くしてまいります。

斉藤(鉄)委員 その基本的認識はよくわかりましたし、我々と共有をしているということも確認されました。ありがとうございました。

 それでは次に、具体的な少子化対策について質問させていただきます。

 先ほど猪口さんからもお話がございました、少子化対策の大きな柱は子育て支援と働き方改革であると。そして、この子育て支援の中にも、経済的な支援だけではなく、いろいろな支援があるというお話でございました。そのとおりだと思います。

 ただ、この経済的支援というのも、お子さんをお育てになっていらっしゃる方のアンケート等を聞くと、また、これからお子さんを持ちたいと思っていらっしゃる方のアンケート等を見ると、非常に大きな比重を占めていることも確かでございます。この経済的支援についてちょっとお伺いいたします。

 児童手当については拡充をされてまいりました。私は、今は小学校六年までですけれども、十五歳までは児童手当、そして十六歳からは奨学金、こういう形で子育てを支援していくということが基本だと思います。そういう意味で、将来、児童手当をぜひ十五歳まで早急に実現したいと思っておりますけれども、意外と大きな負担だというアンケートが来ておりますのが、妊産婦健診でございます。

 妊産婦健診は、大体、妊娠をされている間に十数回、平均十四回で、一回の健診料が平均して六千円ということでございますので、十二、三万円の負担がかかります。しかし、無料健診は、前期に一回、後期に一回ということで二回。これは市町村の措置でございますけれども、当然、国からの交付税の裏打ちがございます。

 この無料健診の数をふやしたらどうか、少なくとも五回、六回、無料で健診を受けられるようにしたら、妊娠中の、特にまた経済的な基盤のない若いそのカップルに大変支援になるのではないか、このように考えますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 子育て支援のためには、希望と現実との間にある障害を取り除いてあげるということは公的な任務であろうという先生の基本的なお立場から、経済的支援についてもなおまだ考えるべきところは相当残されている、その一つが健診の費用である、こういう御指摘でございます。

 そのとおりでございまして、私どもの今度の十九年度の少子化対策パッケージ案でも、この妊娠中の健診費用の助成の拡充というものは、経済的支援の中の、児童手当に次いで二番目にランクされて重要事項ということで、私ども努力をさせていただきました。

 ただ、この助成の費用につきましては、累次の地方分権の推進の中で、従来は国の補助事業であったものが、地方の財源が一般財源化をいたしまして、完全に、今個別に国がこれに関与するということの手段はなくなったわけでございますが、しかし、さはさりながら、地方交付税あるいは地財措置の要求という形で財務省ではなく総務省さんにお願いする、そういうことがいたせるという立場に立っております。

 それで、現在は二回ということは先生仰せのとおりでございますが、私どもとしては、まず五回を基準にしてもらいたいということを今後とも地方財政措置としてお願いをしていきたい、こういうことで、ぜひそれを実現いたしたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 ぜひ実現をしていただきたいと思います。

 次に、保育料の軽減ですが、二人目以降、保育料が軽減されるという措置があるんですが、いよいよ幼保一元化、認定こども園がスタートいたしました。ある意味では、幼稚園と保育園、その差がなくなると言うと言い過ぎですが、そういう体制でスタートいたします。

 この場合、二人目が幼稚園の場合はこの措置が全然使われなかったんですが、認定こども園がスタートしたこの時期に、幼稚園や認定こども園に行っている子供も対象にしたこの軽減措置というのは必要なんじゃないでしょうか、厚労大臣。

柳澤国務大臣 やや細かいことになって恐縮ですけれども、現在、確かに、同じ保育園に行っているということであれば、二人目の方は二分の一ということになりますし、三人目の方に至っては一割負担ということで、子供の順番が遅くなるということによって非常に軽減をされているというのが実情でございます。

 しかし、一番上の子が今度は幼稚園に行ってしまうということになると、保育園としてはこれはある意味では関係のない、ちょっと隔たった世界にお兄ちゃんは行った、お姉ちゃんは行った、こういうことになりますので、今度は、二人目の人が一人目になり、三人目の人が二人目になるようにどんどん繰り上げになっていく。

 これはいかにも、幼稚園であれば、今や幼保一元化の認定こども園ができた段階でおかしいのではないか、こういう御指摘でございますが、まさにそのとおりでございまして、私どもは、今回制度を改めまして、幼稚園との連携が密になったというこの機に、幼稚園に一番上のお兄ちゃん、お姉ちゃんが行った場合も、それも、今までだったら、あたかも保育園にいるかのように勘定に入れて、二人目、三人目に対して必要な軽減措置を講じていくということにいたしました。

斉藤(鉄)委員 この点も大変要望が強いので、ぜひ実現をしていただきたいと思います。

 次に、文部科学大臣にお伺いいたします。二点ちょっとお伺いしたいんですが、一つは、私立の幼稚園の就園奨励費でございます。

 先ほど申し上げましたように、義務教育、これは基本的に授業料はなし。高校からは奨学金ということになっておりますし、また児童手当というものもございます。そういう中で今一番負担のネックになっているのが、私立幼稚園に通わさざるを得ない低所得者の親御さんではないかと思います。

 保育園には所得に応じたかなりのいろいろな軽減措置がとられております。公立幼稚園もかなり負担は小さくなっております。しかしながら、保育園に行かせたくても行かせられない、いわゆる待機の方もまだたくさんいらっしゃいます。そういう、公立幼稚園もない、私立幼稚園に行かさざるを得ない人の低所得者層に対して配慮が、教育全体の中でまさにピークになっておりますので、ここを取り除くべきではないかというのが一点。

 それから、先ほど申し上げました子育て支援、奨学金というのは非常に大きな柱だと思います。この奨学金についての基本的なお考え、済みません、短くお願いいたします。

伊吹国務大臣 地域によっては、やはり私立の幼稚園に通わさざるを得ないという地域の保護者がおられることは当然だと思います。

 文科省としても、十九年度予算で見ますと、この厳しい財政状況でございましたけれども、前年度より増額をいたしまして、百八十四億という助成のお金を積んでおります。したがって、今後とも、やはり公立、私立とのバランスもありますし、私立は一番お金がかかることは先生がおっしゃるとおりですから、この点さらに努力をして、学びと同時に少子化という観点を忘れずに努力をさせていただきたいと思います。

 それから高校以上の方の奨学金、これは二つの観点があって、一つは、やはり能力のある子供を学ばせるという視点、それから、親御さんの負担を軽減して、低所得の人たちにも平等に学びの機会を与えるという二つの観点がございます。

 今のところは、少なくとも、申請をしてこられた方についてはこれを一〇〇%充足できるという状況になっておりますので、今後は、この貸与の金額をさらにふやしていくとか、償還の期間をどうするとか、あるいは無償といいますか、返さなくてもいい奨学金をふやしていくとか、このことに意を用いる段階まで来たということです。

 ただ、高等学校の場合は、国は地方自治体に助成をして、そして地方自治体が地方の単費をあわせてやっておられますので、この点については、若干まだ足らざる点が先生の御指摘のようにあるのかもわかりませんので、実態をさらによく見きわめて、国は国費をふやしていく、地方にもお願いしながら単費をふやしていただいて、先生のおっしゃっている方向へ行けるように、できるだけ我々としては頑張りたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 奨学金につきましては、アメリカ型といいましょうか、アメリカでは、高校ないしは大学以降は、親の収入状況にかかわらず自分で奨学金をもらって自分で行く、そして社会人になってそれを返していくということが当たり前になっております。そういう社会を目指して頑張っていかなくてはならない、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 厚労大臣に、介護保険料の問題についてちょっと質問をさせていただきます。

 介護保険料は、現在、住民税の課税、非課税による所得段階区分によって保険料設定がされております。今回、いろいろな税制改正がございました。そういうことで、その課税枠の中に入るか入らないかで急激に保険料が変化するという問題が生じております。

 この保険料の段階設定制度について、例えばその収入に応じて比例するとか、これはいろいろな考え方があろうかと思いますが、少なくとも、今の、課税か課税でないかで大幅にその保険料が違うということは見直していかなくてはいけないのではないかという声が地方から大きく今出てきておりますが、このことについてお伺いします。

柳澤国務大臣 介護の保険料、これは、地方団体がそれぞれに保険者になっておるということで、課税の要件等も決めております。もちろん、国の大枠の指針のもとでそういうことを決めているわけでございます。

 その場合、国の大枠の指針からしてそうでございますけれども、これが、負担が階段状になっているということがありまして、こういう、ある意味で不連続の階段状の税率というものの持つ宿命なんですけれども、本当に一円変わるだけでどんと上がって、何で隣の一円少ない人とこんなに差があるかということは、常に、この階段状の税率構造を置く限りは、もう免れない宿命なのでございます。

 そういう意味で、ではそれでいいのかというと、今回のような課税、非課税の分岐点が微妙に動いたということによって、このいわば制度の持つ矛盾というか問題点というものが極めて強く露呈されたというふうに我々も実は認識をいたしております。

 殊に、問題は、介護保険料の基準の税率、今でいうと大体全国平均で四千九十円、四千百円というようなことなんですが、この基準保険料を支払う世帯が、そもそも、年金収入が非課税の世帯ということになっているんです。だれかその世帯の中に課税者がいる、つまり念頭にあるのは、恐らくこの制度が始まった当座では、おじいさん、おばあさんが年金世代になった、しかし、中には、第二世代というか若い世代がおじいさん、おばあさんを扶養してくれるような格好でいる世帯を考えた。それが基準の四千九十円を払うそういう世帯だというふうになった。

 ところが、だんだん核家族化して、今や年金をもらう夫婦だけがいるという世帯が非常に多くなった結果、基準世帯で課税をされるというような人が正直言うといなくなってしまっている。基準に該当する世帯がいないというか、両方とも非課税に入るとだれもその世帯の課税を受ける人がいないというような、非常に不思議な、つまり私が言いたいのは、段階課税には非常に基本的に問題があるということに加えて、介護世帯のときに基準税率として考えた世帯の構造が今や社会的実態と乖離をしてしまった。こういう二つの問題が今度の介護保険料の税率構造には生じてしまっている。

 こういう問題がありまして、これは早急に検討会を開いて、専門的なかなり難しい問題です、検討しろということを指示しているところでございます。

斉藤(鉄)委員 終わります。ありがとうございました。

金子委員長 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 民主党の枝野でございます。

 柳澤厚生労働大臣には、ぜひ御自身から辞職をされることを期待しておりましたし、そうでないならば、安倍総理が罷免をされるということを期待しておりましたが、残念ながら、国民の多くの皆さんの声に反して、きょうもこうして答弁の場におられているということを大変遺憾に思います。

 その実質、本質的な問題点について、この後いろいろと御質問させていただきたいと思いますが、一点だけ、先ほども猪口委員が、私どもがこれまで出たくても委員会に出ることができなかった状況についていろいろ御意見をおっしゃっておられました。こういう国会戦術について、国民の皆さんからいろいろな御批判がある、私自身も個人的にはいろいろな思いもございます。ただ、ぜひ、特に与党の幹部の皆さんにはしっかりと自分の過去を振り返っていただきたい。

 私と安倍総理、当選五回で初当選は一緒でございますが、当選五回以上の国会議員で、自分の所属している党が国会に出ないという戦術をとったことのない国会議員は、たまたま与党の筆頭理事の園田議員がそのようでありますが、そのほかに数人しかいないはずであります。

 ほかの方、皆さん、御自身の属している党が、個人としてのいろいろな思いは党の中であったかもしれませんが、私ども、別に審議に出ていなかったから遊んでいたわけではありませんで、ずっと院内テレビで見させていただいていました。与党の一番最初に質問をされた方も御批判をされておりましたが、その方は、審議に御自身が出ないだけではなくて、私が与党のときに、審議に入ろうとしたら入り口で座り込んで邪魔をされておられた方でありまして、政治の世界というのは、もしかすると自分のことをある意味、棚に上げてやらないといけないこともあるのかなと思いながら聞いておりました。

 私は、繰り返しますが、国民の皆さんからいろいろな御意見、御批判があるということはわかりますが、そういった、それぞれ立場が変わればいろいろな状況があるということをちゃんと理解をして、自分のそれぞれの過去の行動についてきちっと整合性をとる発言をしていかないと、国民の皆さんからは、目くそ鼻くそを笑うという、お互いの泥仕合になると私は思っておりますので、繰り返しますが、国民の皆さんからいろいろな御意見、御批判があるのは十分理解をしているつもりでございますけれども、その点だけは一点申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、その上で、柳澤厚生労働大臣、この間、先ほども謝罪をされておられますが、何を謝罪されているのかが、どうも、いろいろとこの間の委員会等での御答弁も聞かせていただきましたし、いろいろなインタビューなどにお答えをされているのも聞いてきたつもりでおりますけれども、国民の皆さん、直近のいろいろな調査でも半数以上の方がおやめになった方がいいんじゃないかという御意見のようですが、なぜこういう意見になっているのか、別の言い方をすれば、何を、どういう発言のどういう部分を謝っておられるのかということをお尋ねさせていただきます。

柳澤国務大臣 一月二十七日に私は島根県松江に参りまして、ある政治家の後援会の応援弁士の一人として入場しました。そのときに、私、お約束は実は厚生労働大臣になる前にしてあったんですが、その後厚生労働大臣になりましたので、演題も何か社会保障とかいろいろ書いてございましたので、そういったことも触れなきゃいけないということで、つい最近発表された人口推計を年金と絡めてお話を申し上げた。

 その人口推計と女性との関係について、私が使った表現は、まことにもって本当に不適切な表現を使ってしまいまして、これにつきまして、女性を初め国民の皆様に、大変お心を傷つけ申しわけなかったということでおわびを申し上げ、深く反省しているところでございます。

枝野委員 今のお答えですと、表現が悪かった、だからその表現をかえれば、撤回すればいいんだというふうな意味に受け取れたんですが、そういうことなんでしょうか。

柳澤国務大臣 表現というか発言ですね、これが非常に適切を欠いた、それからまた、人の、特に女性の方々のお気持ちを傷つけたということを私は深く反省して、おわびを申し上げているところでございます。まことに申しわけありません。

枝野委員 総理も同じ認識でよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 厚生労働大臣の当該の発言は極めて不適切なものであった、多くの国民の方々を傷つけたのは事実であり、ただいま大臣がおわびをしたとおりであります。また、私からもおわびを申し上げたい、このように思うわけでありますが、柳澤大臣は、結婚したいあるいは子供を持ちたいと思う方々がその望みを実現できる社会にしていかなければならない、そのためのさまざまな施策を遂行していかなければならない、このように考え、そして実際に政策を実行しているわけでございまして、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を行うことによって、国民の皆様の信頼を得て、そして職責を果たしてもらいたいと考えております。

枝野委員 今の厚生労働大臣の御答弁も総理の発言も、伺うと、どうも女性を機械に例えたことが女性を傷つけて申しわけなかったということにとどまっているように私には聞こえるんですが、もちろんそれだけでも大変深刻な問題だと思いますけれども、私は、もしそれだけであったならば、これだけおわびをしていれば、多くの国民の皆さんが、表現は不適切だったけれどもということになったのではないかと逆に思います。

 むしろ、その表現の背景にある、家庭の問題に対するあるいは子供を生み育てるということに対する柳澤厚生労働大臣あるいはそれをかばっておられる総理の基本的な認識が、どうも自分たちの実感とずれている。そのずれていることの象徴的な表現として、機械という言葉が象徴的にあらわしている。だからこそ、この言葉に多くの国民の皆さんが反応をされているのではないかと私は思っていますし、まさにその点の認識のずれというものが解決をされなければ、私は、厚生労働大臣を幾ら総理がかばっておられても、期待を、今おっしゃられていたような政策的な成果を上げることは、残念ながらできないと言わざるを得ないと思っています。

 まさに、先ほど猪口委員の質疑の中で、一点だけ非常にいいことをおっしゃっていたんですが、そこはなかなか突っ込んでいかれなかったんですが、子供を生み育てる、あるいは結婚をする、こうした問題は非常にプライベートな問題で、各人各様、抱えている状況、事情はすべて違っています。子供を産みたいと思うか思わないか、産みたいけれども産めないという方がどういう理由で産めないのか、それぞれ抱えている事情はすべて違っています。そのそれぞれ異なっている事情に応じた、政治として何ができるのかということを考えていかなきゃならない、非常にミクロを見ていかなきゃならないのが厚生労働行政、これは一般に言えることだと思います。社会政策一般に言えることだと思います。

 経済の世界については、マクロ経済、ミクロ経済という言葉もあって、柳澤大臣はむしろ経済の専門家でいらっしゃいますから、経済の話については、ミクロだけ見ているわけにはいかない、マクロの経済というものとミクロの経済を両方ちゃんと兼ね合わせて見ていかなきゃならない、これはそのとおりなんだろうというふうに思っています。

 それで、どうもその視点で、この社会政策についてもマクロをベースに物を考えておられるのではないか、私はそう受けとめざるを得ないと思っていまして、ここはまさにあべこべなんです。経済はマクロから見ていくべきだと私は思いますが、社会政策は、ミクロにちゃんと目を向けていかないと、実は一番大事なところが欠けてしまう、一番本質的なところが欠けてしまう。その点のずれを、私は、この間の一連の大臣の発言の中あるいはその発言に対する謝罪のされ方から感じざるを得ないと思っていますので、そのミクロの点から幾つかまず聞かせていただきたいと思います。

 まず、子供を産みたいと思っている人が子供を安心して産むためには、産科医療、周産期医療がしっかりとしていなければいけません。ところが、日本では、医師の数全体は伸びておりますが、公表されている統計データで私が把握をできている厚生労働省の〇四年度の調査で、減っているのは産婦人科と外科だけであって、例えば九四年から〇四年までの十年間で産婦人科の医師は八%ダウンをしている、こういう統計になっております。

 もし、その後の統計、情勢等がわかっていれば、まず厚生労働大臣、お尋ねいたします。

柳澤国務大臣 おいおい委員の方から御質問がありまして、それに対してお答えしようと思いますが、今委員の前段で御指摘になられたことは、まさしく私もそのとおりだ、このように考えております。

 あえて申し上げさせていただきますと、私は、実は去る十月の二十五日に厚生労働委員会で、人口の問題に関連して、合計特殊出生率一・三九を目標にした、そういう政策体系を整えたらどうかという御質問を委員から伺いました。そのとき、私は、そういうことは自分は適切でないと思う、というのは、結婚をする、子供を産むというのはまさに個人の自由に属する問題であって、我々の国はそういう自由な意思の集合体としてつくられているというふうに自分は考えるからだということを申させていただいております。

 これはつけ焼き刃で申したのじゃなくて、私は、その前に、ちょっと遠い話になりますが、昭和五十三年、大平内閣がスタートをするときに、あのときに家庭基盤強化ということをタイトルにうたった政策を打ち出しました。あのときに随分議論がありました。家庭政策そのものを取り上げるべきではないかという議論もあった一方、家庭に政治が入り込むというのはよくない、せいぜいやるべきことは家庭基盤の整備なんだ、そこにとどまるべきなんだ、こういう議論が対立いたしまして、最終的に家庭基盤の整備ということが政策目標の項目になった、そういういきさつを私もよく承知をし、記憶をいたしておりますので、そのような観点から先ほどの発言をしたということでございます。

 さて、産婦人科のお医者さんの数でございますが、産婦人科のお医者さんの数は、平成十六年のものしか手元にございませんけれども、診療科を産婦人科または産科とする医師は全国で一万五百九十四人、分娩を実施した施設数というのは、平成十七年の医療施設静態調査によれば二千九百三十三ということでございます。

枝野委員 前段について、実はこの話は幾つかのふくそう的な論点があって、今おっしゃられたのは、行政が家庭生活に介入してはいけないという話では、むしろ、柳澤大臣の発言から取り上げれば、きのうおっしゃった健全という発言についての話についての御答弁というか御説明としては今の御答弁であり得ると思うんですけれども、私が先ほど申し上げたのは、ミクロのところをちゃんと見ていかなきゃならないのに、常にマクロから物事を見て発想して御発言があるよねと。そこのところのずれのことを申し上げたので、ちょっと私の御指摘と今の御答弁はずれているということを申し上げておきます、そのミクロのところの話で。

 今、実数値を出していただきましたが、現実問題として、特にリスクのある妊婦の方、リスクがあるというのは、事前にわかる場合もありますし、実際に出産、分娩のときになってこれは大変だということになる場合もあります。

 私の個人的なことを言って恐縮ですが、昨年の七月に子供が生まれましたけれども、そのときも、急に破水をしまして、急に救急車で病院に運んでもらって、それで帝王切開をした。もともと、双子でしたので、リスクが高いということがわかっておりましたので緊急に手当てできたわけですけれども、そういうふうにリスクが高いとわかっているケースとしてのリスクが高い場合、それから、急に、これは自然の分娩ではなくて手術等が必要だというケースとか、いろいろあるわけですが、そのリスクの高い出産、分娩を扱える病院が明らかに、これはいろいろな報道あるいは現地からの調査等で、急激に大幅に減っている。

 例えば、これは大阪の例でありますけれども、大阪市が四つある市民病院にある産科を三つに再編した、しかし、それでもさらに病院を減らさないといけない、こういった報道も例えば昨年の暮れなどに出てきておりまして、人口減少地域はもちろんのこと、都市部においてもリスクのある出産、分娩を扱える病院が減っている。それは、それを担っている産科の医師が減っているという状況が背景にあると言われている。この現状認識は、厚生労働大臣としてお認めになりますか。

柳澤国務大臣 医師の数が医療の需要とどのようにマッチするかということは、我々の行政にとっても基本的な課題であります。言うまでもないことでございます。

 特に、今先生が御指摘になられたような産科の医師の場合は、出生数の減少というようなことで、実は総数においても減っているわけですが、出生数当たりの医師の数が減っているわけではない、大体横ばい状態。ということは、どういうことを行政としてやればいいかというと、やはりこれはネットワーク化というか、拠点病院を指定して、あとは診療所も含めてネットワーク化して、そして今言ったようなリスクの認められる、あるいはリスクの発生した医療については早急にこの拠点病院に搬送をしてしっかりとした治療が行われる、こういう体制をつくることが大事であるということになっております。

 現在、周産期医療につきましても、周産期医療ネットワークというようなものを構成し、それからその拠点病院もしっかりと設備することによって、こういうある種の効率化というか、効率化というと経済的なようですが、実際、医療のネットワークによってできるだけ安全性を高めながら効率化をする、こういう方向での医療行政、医療の提供体制を構築しているということであります。

枝野委員 その現状認識自体が、特に今懐妊をされていて産科などに通っておられる、あるいは最近出産などをされた、そういう現場の実態にかかわっている皆さんの実感としては、明らかにずれているのではないかと私は思うんですね。

 確かに、拠点化をしなきゃならないという部分はあるかもしれない。しかし、先ほど来申しているとおり、出産は、あらかじめリスクがわかっているケースももちろんあるけれども、実際に出産、分娩に入って、あるいは急に破水をしてとかあるわけでして、その場合に、例えば、拠点化をして、拠点化をした結果として、身近な診療所は家から歩いて十分だけれども、病院は車で十分です、こういう拠点化だったらまあ話はわかりますよ。

 ところが、現実に起こっていることは、島から、つまりリスクのある出産を扱える産科の医師、病院がなくなるとか、車で何時間も行かないといけないとか、実際に出産、分娩のときというのは、妊婦の方だけではなくて、生まれた後のお子さんのことだとかいろいろなことを考えると、それは配偶者である男性とか、おじいちゃん、おばあちゃんとか家族とか、みんな、ある意味では家族ぐるみでのプロセスなわけですよね。そのときに、何かあったときには救急車で二時間、そして、例えば都市部においては逆に、みんな満床で、そんなリスクの高い患者を急に救急車で運び込まれても受け入れられないよと。これは関西でありましたよね、それで出血死をされた妊婦さんという話が。そういう状況が現実に次々と起こっている。

 こういう状況、だけれども拠点化だから仕方がないんですということで、本当に安心して生み育てることのできる社会づくりをしているということになるんでしょうか。私は、全く逆の方向に行っている。

 産科のお医者さん、後でお話をしますけれども、妊婦の皆さんは、肉体的な健康の管理だけではなくて、精神的なケアなども含めて、いろいろなことでその懐妊期間あるいは出生直後の期間を親身になってケアをしてくれる、診てくれる産科の医師ないしは、後で助産師さんの話もしますけれども、などが必要である。ふだんは近くのところに、いざとなったらこっちの病院に行くからなんという話で、果たして実際に、さあ子供を生み育てましょうという、こういう方が、ああ、安心だからということになるのか。むしろどんどんどんどん遠くに行っているという今の状況は、何とか歯どめをかけて逆転させなきゃいけないんじゃないですか。

柳澤国務大臣 今、枝野委員の御指摘になられた離島であるとか僻地であるとかということにつきましては、私どもも、これは格別の措置をいたしておりまして、出産の日が近づいたときには、もっと近くに来て宿泊をして出産の時期を待つ、それからまた、そういったことの宿泊の手当て、あるいは運賃等の交通手段の手当て、こういったものについてはしっかりやるという別途の手当てをいたしております。

 突然、何か起こったから拠点病院に行ってそういうことがうまくいくのかというようなお話をいただきましたけれども、これは今、それぞれの県で、医療計画というものを策定させていただいて、医療提供体制の拠点病院を中核としたネットワーク化を進めておりますけれども、先行事例も実はあります。先行事例、私は先般視察に行ってまいりましたけれども、イーツーシステムといって、お医者さんが、病院のお医者さんと診療所のお医者さん、日ごろ、これは両方とも行きつけ、情報は常に交換し合っている、こういうような密接なるネットワーク化を実現しているところも実はございまして、こういう形で私どもの今の医療体制を安心なものにしていくという努力が私は必要であるし、それが的確に行われることが大切である、このように考えております。

枝野委員 別の視点から聞きますと、先ほど私が取り上げました〇四年度の厚生労働省調査の時点で、医師の数が減っているのは産婦人科と外科だけというふうに厚生労働省の調査結果になっています。この傾向は大きく変わっていないだろうというふうに思います。なぜ産科、産婦人科と外科だけ減っているのか、大臣は御理解されていますか。

柳澤国務大臣 産科は、先ほど来私も触れたかと思いますけれども、出生数の減少で、医療ニーズがはっきり低減しているということの反映というふうに承知をいたしております。

 外科については、一般の外科というとらえ方をすると確かに減少しているんですけれども、医療の専門化が進捗しておりまして、先生御承知のとおり、呼吸器外科それから消化器外科、消化器内科もあるし消化器外科もあるんです。呼吸器内科もあるし呼吸器外科もあるんです。そういうものについて、外科という一くくりをして統計をとるというようなことをいたしておらない。一般の外科という、つまり外科そのものが縮小しているというふうには我々考えておりません。

枝野委員 これも通告しているので、多分お勉強してこられていると思うんですが、福島県の大野病院事件という事件の経緯、それから私、この問題を法務委員会で取り上げたことがありますが、そのときの経緯、大臣は事前に勉強してきていただいておられるでしょうか。

柳澤国務大臣 大野病院事件につきましては、私ども、個別の事案であるということで、これは従来の慣例によりまして、ここで所見を申し述べることは差し控えさせていただきたいということでございます。

枝野委員 大野病院事件というのは、これは福島で起きた事件なんですけれども、出産、分娩の際に、非常にレアなケースであったようでございますが、胎盤が癒着をして、その処置のプロセスで母親が出血死をされてしまった。大変お気の毒な事例であって、残された御家族の皆さんあるいは御本人の無念というものは、本当に何とも申し上げられない事件であるというふうに思います。この事件について、執刀した産科の医師が昨年逮捕をされて、業務上過失致死で起訴をされたという事件でございます。

 私のところにも、産科の医師ではありませんが、知り合いの医師から、こんな事件を放置しておいたらリスクのある医療に従事をする医師はいなくなりますよという御指摘をいただきました。

 その後、あるいは同時並行かもしれませんが、産科、産婦人科の学会等、全国の関係者の皆さんが、これはひどいじゃないかということで、厚生労働省にも要望を上げたというふうに思います。

 私は法務委員会でこの問題を取り上げまして、まだ起訴前でございましたので、私はあえて、これは、こういう場合のためにこそ法務大臣には検察に対する指揮権があるのではないかということを申し上げました。

 個別の刑事事件に今なっておりますので、起訴してしまっていますので、起訴の取り下げも検察によってはできますから、それも本当はお考えをいただかなければいけないと思うんですが、私は医師の刑事責任を甘く見ろと言うつもりは全くありません。これは、御存じの方も多いと思いますけれども、私はこの場で、十数年前、薬害エイズ事件で、むしろ医師の刑事責任をちゃんと問わないことに対して激しく指摘をして、実際にその後医師の刑事責任を問うという形で事件が推移をいたしました。したがいまして、刑事責任を負うべき事件についてはちゃんと医師の責任を問わなければならないというふうに思います。

 このケースの場合は、僻地医療であって、一人の産科の医師でその広域地域のリスクのある出産、分娩をずっと担ってこられました。そして、大変それは、いろいろと専門家の皆さんの御意見も聞かせていただいていますが、少なくとも、初歩的なミスであるとか、あるいは例えば酔っぱらって手術をしたとか、道義的に許されないようなことではない。真摯に対応して、しかもそれが、もしとことん法律的に突き詰めて、構成要件的に業務上過失に当たるのかどうかということは、これは最終的には裁判所の決めることだと思います。その可能性があるからこそ検察は起訴したのかもしれません。

 しかしながら、僻地医療をたった一人のお医者さんで担っていて、真摯に対応して、しかも初歩的な医療ミスではない、高度な医療の、非常にレアなケースへの対応、残念ながら力及ばずお母さんが亡くなられてしまったというケース、御本人も道義的な責任を強く感じておられる。これを逮捕して起訴をして刑事処分をする。なるほど、リスクの高い医療をやったら、真摯に全力を尽くしても、結果が悪ければ刑事責任を問われる可能性があるんだ、こういうメッセージを政府は全国の高度医療に携わっている医師の皆さんに発信をしてしまったんです。

 起訴をする前でしたので、こういうときのためにこそ法務大臣の指揮権という制度があるんじゃないですかと私は指摘をしました。そして、起訴というのは、起訴便宜主義ですから、構成要件に該当したらすべて起訴をするということではない、それが起訴しなければならない、起訴に値するかどうかというのは、その事件ごとに検察が判断できるということであります。

 刑事事件になっていますから、構成要件に該当して、形式的には処罰対象になる事件かもしれませんが、やはりこの事件、どうトータルで見ても、この今被告になっている医師が逮捕されるということは、逃亡、証拠隠滅のおそれがあるから逮捕したわけで、逮捕自体がそもそもおかしい。もし起訴するとしても在宅事件ではないか。なおかつ、そういった今の、全体の医療、高度医療、リスクの高い医療に対して、さわらぬ神にたたりなしということをこういうときに使っていいのかどうかわかりませんが、まさに、リスクの高いことをやって、真摯にベストを尽くしても刑事責任が問われるかもしれない、こういうメッセージを発信してしまった。

 その後、現実に、それではとても産科、リスクの高い医療はやってられないよ、あるいはそんな科は選択したくないよという声は各所で上がっています。こういう実態を、厚生労働大臣、どう考えますか。

柳澤国務大臣 この事案については、いろいろ経緯もあるようでございますが、ここではこれに所見を述べることは差し控えさせていただきます。

 いずれにしましても、こういうことに非常な危機感を持って、関係の団体等も、これでは困るという声を上げていらっしゃることもございます。

 医事紛争につきましては、産科医療に限らず、医療事故の死因究明を第三者が行うということが、やはり医療の透明性を増し、患者にとって納得のいく医療確保のためにも必要だというふうに考えておりまして、このような仕組みを構築するという方向で現在いろいろの検討が行われているところでございます。年度内をめどに厚生省としての試案を取りまとめまして、これをパブリックコメントあるいは有識者による検討にかけまして、来年度において最終的な仕組みを確定いたしたいということで取り組ませていただく予定になっております。

枝野委員 今後、医療事故についてどういうふうにするのか。もちろん、特に医療事故で人の命が失われているという場合については、例えば、真摯に、ベストを尽くしたかどうかをちゃんと事後的にチェックをしないといけないということはあるだろうと思います。あるいは、余りにも初歩的な、平均水準以下の技量でというようなことがあったら、それは一定のペナルティーといいますか、何らかの措置は必要だろうというふうに思います。だけれども、それと同時に、真摯に、誠実に最善を尽くし、なおかつ、とても初歩的なミスとは言えないような、そういったケースが現に今刑事裁判にかけられているんですよ。それに対して、厚生労働省からも法務省からも何のメッセージも発信されていないんですよ。

 これで本当に、もちろん、それでも自分は産科の医療に使命感を持っているんだということで頑張っておられる産科の医師の方はたくさんいらっしゃいます、あるいは、高度の外科の医療に携わっている方はたくさんいらっしゃいます。しかし、やはり傾向として、それよりも、医療リスクがあっても死亡とかという重大なことにつながらない医療の方が無難だよねという方向にどうしても流れていってしまうのは、ある意味、人間のやることですから、当然だろうと思います。

 ですから、これを何とか食いとめないといけない。政治として、行政としてしっかりとメッセージを出していかないと、医師の養成というのは、そこから何十年間に影響していくわけでありまして、ほかの科をやっていた人が、時代状況が変わったから産科に変わりますと簡単になれる世界じゃありませんから。例えば、今、現に医大に通っていらっしゃる方々がこれから数年間どういう道を選択されるのか。あるいは、今、産科の医療をやっている人が、とてもやっていられないよといって離れている方が現にいらっしゃる。そういって離れて、数年たってまた戻ってきましょうと簡単にいかないわけですよ。しかも、高度の医療に近い人、つまり技術を持っている人ほどそのリスクを高く感じている。

 先ほど、関西で出産時出血死をされたケース、最近もあったという話をしましたけれども、いや、うちは満床だからとかいって、リスクの高い患者さんは危ないと思ったら受け入れない方が一番無難なんです、刑事責任を問われないとすれば、という現実を、本当に厚生労働大臣、そんな悠長な話でいいと思っているんですか。

柳澤国務大臣 今度の我が省における検討、それからまた、それに引き続きます専門家、有識者による検討の中でそうしたことも扱って、今、司法手続の中間段階にあるものについて何が可能なのかというようなこと、これも制度論としてもいろいろと研究をしていく必要があるだろう、このように考えます。

枝野委員 いや、起訴されて刑事裁判の手続でも、公訴の取り下げできますよね。通告していないから、もしかすると弁護士資格を持っているほかの大臣に聞いた方がいいのかもしれませんが、法務大臣じゃなくて。公訴の取り下げできますよ、検察が判断すれば。

 検察は法と証拠に基づいてやるわけですから、検察にそれをしろとは私も言いません。それはむしろおかしなことになると思います。しかし、まさに指揮権というのは、疑惑のある政治家の逮捕を免れさせるために法務大臣の指揮権があるわけじゃなくて、まさに、その法と証拠だけに基づけばもしかすると犯罪を構成しているのかもしれないけれども、しかし、総合的な今のような判断をしたときに、これを刑事処罰の対象にしていいのかどうかというようなときにこそ使われるべきじゃないか。私はあのときも申し上げました。法務大臣、そうではありませんか。

長勢国務大臣 理論上、そういうことは全くないとは言えないのかもしれませんが、現在、裁判係属中の事件でございますので、当面、そのようなことは今必要あるとは考えておりません。

枝野委員 少なくとも、あのときも私は法務委員会で申し上げたと思うんですが、当時と大臣かわっていますが、厚生労働省と法務省との間で真摯に協議をして、これがまさに現場に与える社会的影響、それから、逆に、法務省としての、あるいは検察を通じて持っている法と証拠の状況として、もしかすると私が情報不足で、初歩的な、こういう状況だとしても、処罰に値するケースなのかもしれない。それは、私はまさに刑事裁判の証拠をその時点で見ているわけではない、現時点でも公判に出てきているものしか見ていませんから。しかし、どうも公判に出てきている状況を見ても、最初の私の判断は間違っていないなと今のところ思っておりますが。それこそ、検察と法務の持っている証拠と状況と、医療の現場の実態ということをせめて協議して検討するぐらいしたらいいじゃないかと私はあのとき申し上げたんですが、どうもされていないように思うんです。

 先ほど来、個別の案件を云々という話がありますが、実際に、その後個別の案件で、法務省というか検察庁はちゃんと判断しているんですよね。

 横浜の無資格助産事件というのがありまして、つい最近、起訴猶予になりました。この起訴猶予の理由の中に、検察は構造的問題というのを挙げていると報道されていますが、間違いありませんか、法務大臣。

長勢国務大臣 今御指摘の事件でございますが、横浜地検におきまして不起訴処分をいたしました。その際に、一つは、本件の背景には助産師偏在等を原因とする産科個人病院及び産科診療所における助産師不足があり、本件は周産期医療における構造的な問題の一端であって、事態の改善に向けて施策が推進されている分野において被疑者らを処罰することが相当であるとは考えられないこと、その他、具体的な危険がないとか、あるいは、その後是正措置がとられている、あるいは退職されたといったような理由を挙げて、これらの諸般の事情を考慮して起訴猶予としたものであるという旨の発表をしたものと承知をいたしております。

枝野委員 報道によると、今、法務大臣がお答えになったように、横浜地検は、構造的問題があるということも理由の一つにして起訴猶予にしている。起訴猶予というのは、構成要件的には刑罰に該当するけれども起訴しないという判断をしたわけであって、報道によると、これは看護師による内診行為、助産師でないとできないはずの内診行為について看護師が行っていたという事件でありますけれども、厚生労働省は違法としているがということでありますが、今のような横浜地検の構造的な問題であるという指摘を受けて、どうするんですか。

柳澤国務大臣 厚生労働省としては、法と証拠に基づいてこれは違法であるということで立件されることをそのままにしておいたということでございますが、判決において構造的問題をいわば理由とされたそうした扱いが行われたことについては、司法の側からもこの問題について重大な問題提起があったというように受けとめております。

 これについては早急に、裁判においてそのようなことを指摘されるような、いわば行政としては恥ずかしいというようなことを言わざるを得ないと思うんですが、そういう状況を早く克服しなければならない、このように思っております。

枝野委員 正確に言いますと、裁判ではなくて裁判の前、起訴をしなかった。しかも、起訴猶予ですから、嫌疑不十分とか嫌疑なしではありませんから犯罪には当たる、当たるけれども起訴をしない。その理由として、構造的な問題として、つまり、犯罪には形式的に当たるけれども起訴しないということの理由として、いわば露骨な表現でありますが、厚生労働省の怠慢を指摘されているんですよ。その危機感が今の御答弁から全く感じられないんですよ。危機感、必要じゃないですか。

 これが厚生労働省の堅持している方針のとおり、看護師が内診をする、助産師にかわってするということがいけないことだ、よくないことだ、危ないことだと考えるならば、早急にそれにかわってどうするのかしなきゃならないし、そうではなくて、いや、何らかの条件をクリアすれば看護師でもいいんだということであるならば、それはそれで、こうして現場、現実に対応してやっている病院、医師、あるいは看護師が、刑事罰の危険にさらされないで安心して仕事ができるように、どっちか早急にしなきゃいけないじゃないですか。どっちにするんですか。

柳澤国務大臣 失礼しました。起訴猶予ということであれば、これは検察官の判断ということでございますので、その点は訂正いたします。

 先ほど申したように、そうしたことを仮に検察官であれ指摘をされていわば司法の処分を差し控えるということは、やはり我々の行政に対して重大な問題提起をしているということでございます。

 今、委員は、そもそもそうしたことを許してしまう、そういう法律改正をすればいいじゃないかというようなことを選択肢の一つとして申されたように私はお聞きしましたが、しかし、私はやはりそうしたことはなすべきではない、このように考えております。我々は、看護師資格を持ちながら同時に助産師資格を持つ、これは両者を養成する課程等に顧みればそんなに難しいことではないわけですから、夜間の養成コースか何かによりまして、看護師資格を持つ者に助産師資格を与えるというような再教育を早急にやるべきである、このように考えております。

枝野委員 時間があれば後でやろうと思っていますが、私は、助産師さんの看護師さんとは別の知識、技能というものはもっともっと生かさなければいけないと思っていますので、助産師さんが不足をしているのであれば、その養成ということに早急に取り組む、それはもうまさにそのとおりでありますが、まさに最初の柳澤さんの例の松江での発言、女性が頑張ってほしい、頑張るのは女性の前に厚生労働省なんですよ。

 これも、厚生労働省の今までの厚生行政のツケを現場の医師、看護師に押しつけているじゃないですか。これから養成するにしたって、養成されて、実際に現場が、構造的な問題と検察から指摘されないように、しっかりと数がそろって、どの病院でも必要な助産師さんがそろうというまで何年かかるんですか。その間、実際に目の前の患者さんを抱えている病院は、患者さんを抱えているけれども助産師は足りない、だけれども目の前に患者さんがいるんだから、それは対応しなきゃならない。そういうことの中で、形式的には違法であるけれども、それをやらなければ現場が回らない、そのツケを現場の病院に押しつけているんですよ。そういう発想が、こういう社会政策においてはあべこべだと言っているんですよ。

 どうするんですか。養成、育成する。何年かかるんですか、そろうまでに、構造的な問題が解消されるまでに。その間、違法な状態をどうするんですか。では、違法じゃない状態で、実際に患者さんが来ても、うちは助産師さんが足りませんからほかに行ってくださいということで、たらい回しするんですか。どうするんですか。

柳澤国務大臣 もちろん、中期的というか、先生は時間がかかるというので、あえて私は中期的という話をさせていただきますけれども、厚生労働省としては、先ほど申し上げたように、看護師に特別な養成コースで、そして助産師資格も持っていただく、これも一つの方法です。

 それからまた、現に現役を引退している、そうした助産師さんを再研修して、至急即戦力の現場に戻っていただく、こういうようなことも考えておるわけでございます。

 同時に、先ほど来申し上げておりますとおり、とにかく拠点病院を中心とするネットワークシステムというものを構築いたしまして、これに対して対応していく。これはもうこの周産期医療につきましてもそうですし、他の医療についてもそうした考え方で、とにかく医療を、今までのようにぽつぽつと、独立して切り離されて存在している病院あるいは診療所の問題ではなくて、その地域全体のネットワークの中で医療ニーズにきっちりと対応していく、こういうようなことを考えているということでございます。

枝野委員 答えていただいていないんですよ。現場の病院はどうすればいいんですか。

 厚生労働省の〇五年十二月に出している看護職員需給見通しでも、助産師について平成二十二年で千名不足する。厚生労働省自身の需給見通しでも平成二十二年で千人不足すると出ているんですよ。現場の実態からすれば、これの平成十八年度の需要見通しと供給見通し、人の問題なのでこういうところで需要と供給と使っていいのかどうか、そもそもそう思いますけれども、厚生労働省の文書にそう書いてありますからそのまま読みますが、千七百と出ているんですが、現場の実態はこんなものじゃないですよ、助産師さんの不足は。その甘い見通しに基づいても、そして五年後の二十二年でも千名不足すると言っているんです。

 その間、これは実際に検察から書類送検をされているんですね、病院は。書類送検されているけれども、構造的な問題だから起訴は勘弁してあげましょうと言われているんですね。でも、構造的な問題だから、この病院はもしかすると、こういう事件で書類送検されたから、助産師さんを何とかかき集めてやるかもしれないけれども、構造的問題なんですから、どこかではやはり同じように、もしかすると書類送検されて、今度はもしかすると起訴されるかもしれない。だけれども看護師さんは実態足りない。こういう状況が数年間放置されるんですよ。そのツケを現場に回すんですかと聞いているんですよ。

柳澤国務大臣 これは重ねての答弁になりますが、今のシステムを、今の各診療所あるいは病院が、ばらばらに、余り連携しないで対処している、そういうものをもっとネットワーク化して、そしていろいろなところに、円滑に、一番適切な医療が受けられるところに患者さんを持っていく、こういうようなことによって需給の、需給というのは確かに言葉としては使ってはいけないのかもしれませんけれども、マッチというものを我々としては的確に図っていきたいという施策を当面追求している。

 もちろん、マンパワーの不足についても同時に、全然これを軽視するとか等閑視しているとかいうことではなくて、それはそれとして対処しようとしている、その両面から対処しているというのが現状であります。

枝野委員 ネットワーク化、拠点化自体の話、先ほど来、私、それ自体がこのケース、産科医療についてどれぐらい意味があるのかということについては疑問を持っていますが、仮にそれがあったとしても、助産師さんというのは、拠点病院のような大きな、つまりリスクのある患者さんについて、妊婦さんについて対応すべき病院にだけいればいいんじゃなくて、まさに日常のかかりつけ的診療所においても、内診等について医師か助産師でなきゃできないことになっていて、特に診療所における助産師の充足率、基準に対して何人いるのかということについても、大幅に不足しているんですよ。だから、ネットワーク化が解決の策にならないんですよ。

 そのことを指摘させていただいた上で、何度も聞きますが、その間どうするんですか、現場のお医者さんは。目の前に患者さんがいる、患者さんに対応しなきゃいけない、構造的な問題として助産師さんは足りない、患者さんに対して何とかしようと思えば、違法な無資格助産師、つまり看護師さんにやってもらうしかない。それを、法をちゃんと守ろうとすれば、いや、それはとてもうちでは診られません、どこかへ回ってくださいと言って、たらい回しをするしかない。そういうジレンマに現場のお医者さんを、現場の病院、診療所を置いているんですよ、今。そう置いたのは、現場の医師の責任じゃなくて厚生労働省の責任じゃないですか、構造的問題ですから。まさに、マクロの話を一生懸命して、ミクロの現場で一番困っている、苦しんでいる、どうしたらいいんですか私はと思っている現場のミクロを全然見ていないということじゃないですか。

 このミクロの問題をどう解決するんですか。いや、違法だけれども、構造的な問題なんだから、しようがないから見つからないようにやれという話ですか、充足されるまで。どうするんですか。現場の医師はどっちを選択したらいいんですか。この場で答えてあげてください、困っている現場の医師に。(発言する者あり)

金子委員長 委員外発言、そこ、お静かに願います。

柳澤国務大臣 これはほかの医療においてもそうなんですけれども、周産期の医療につきましても、私どもといたしましては、やはり、診療所あるいは助産所というようなことで独立にやっている方々も含めて、とにかく、先ほど来同じような言葉を使って私も本当に申しわけないと思うんですけれども、しかし、現実にお産をする方が少なくなっている、そういう中で、これをいかに医療全体として的確に対応していくかというのが我々の直面している問題の大きな部分だということであれば、これを効率化して、そこのところをしっかりと対応していくというのは一つの考え方だろうと思うんです。そういう意味合いで、拠点病院と各独立の診療所あるいは助産所さん、そういうようなことをネットワーク化することによってその体制を築いていこうということを同時にやっているということを御理解いただきたいと思います。

枝野委員 まさに経済の話だったらそうなのかもしれないんですよ、マクロとして、そういう対応をしていって経済をよくしていきましょうと。だけれども、現実に、目の前に患者さんを抱えていて、なおかつそれに対応しようと思ったら、検察が認めている構造的な問題ですから、助産師さんが足りない、どこかの病院、診療所にはそのしわ寄せが今は行っているんですよ。その人はどうしたらいいのか教えてくださいとお尋ねをしているんです。

 助産師さんをそろえようと思っても、今は構造的な問題で、少なくともあした、あさってはどうにもならないわけです。だけれども、目の前に患者さんを抱えているんです。さあ、法には触れるけれども起訴されなさそうだから、しようがないから無資格助産師さんでやるのか、それとも、患者さんをお断りして、どこかの病院へ行ってくださいと言うのか。

 総理、どっちですか。どちらが政府の方針なんですか、見解なんですか。教えてあげてください、現実に困っている病院、診療所がありますから。

安倍内閣総理大臣 先ほど既に厚生労働大臣が答弁をいたしておりますが、この起訴猶予の件については、個々の事案についての判断であるわけであります。しかし、それと同時に、もちろん構造的な問題も指摘されているわけでありますが、その構造的な問題とそのとき置かれている個々の件とを勘案した上であろう、このように思うわけでありますが、この助産師の不足については、今まさに充足率として九〇%であるものを九七%ぐらいまで上げていく、しかしそれでも千名足りないのは事実であります。しかし、その中で我々も改善するために最大限の努力をしていかなければいけない。

 現在、潜在的に助産師の資格を持っておられる方々になるべく現場に復帰をしていただく、これはまさに即戦力になっていただけるわけでありますから、そのための努力をしていかなければならない。そしてまた、助産師を養成するため、その予算も来年度の予算において、養成をふやしていく、その支援をしていく、そういう予算も組んでおります。そしてさらには、先ほど大臣が答弁をいたしましたように、ネットワーク化を進めていく中において、拠点病院を整備していく、あるいはまた派遣をする病院、医師に対しての支援を行っていく。そうしたことを総合的に行いながら、現在確かに不足をしているわけでありますが、それを補えるように最大限の努力をしていきたいと思っております。

枝野委員 質問にはお答えをいただいていないんですが。構造的な問題と、あなたの政府のもとの検察が言っているんですよ。構造的な問題だと言っているのは、あなたがトップを務めている行政府の一員である横浜地方検察庁の検事が言っているんですよ。

 そうして、現実に、構造的な問題である以上は今すぐには充足はできない、それは当たり前ですよ。厚生省の大甘な見通しに基づいても、平成二十二年で千名不足をするんですよ。それどころか、現場の実態は厚生省の把握どころじゃありませんよ。日本産婦人科医会が実態調査をすると、例えば、診療所千三百四十三カ所のうち、助産師の充足率ゼロ%が二百五十、三〇%未満が三百五十三、七〇%未満で五百三十二、七〇%以上充足しているのは二百八しかないんですよ。そして、産婦人科医会によると、不足解消に最低十年はかかると現場の当事者の皆さんはおっしゃっているんですよ。

 そういう状況の中で、それは、確かに国全体の話を考えれば、今のような話、建前としては非常に美しい。では、現場の医師はどうしたらいいのかということに全くお答えいただいていないんです。まさにミクロを見ていないんです。現実を、現場を見ていなくて、机の上の数字合わせをして、こういう問題は解決できない。それが、柳澤さんの、いろいろなところから端々にうかがわれるから、こういう人にこういう問題を扱ってもらっちゃ困る、こういう流れになっているんですよ。

 もう一回、大野病院事件に戻らせていただきますが、大野病院事件も構造的な問題じゃないですか。現実に、福島の大野病院では、リスクのある妊婦さんを広域的に担当している病院で、そもそも一人の医師しかいなかったんですよ。三百六十五日、二十四時間、いつリスクのある妊婦さんが運ばれてくるかわからない状況のところを一人で抱えている、そもそもそのこと自体が構造的に現場の医師に過重な負担をかけているんですよ。

 私は、この事件は、いろいろな裁判資料等、外から調べた限りでは、刑事処罰に値するケースではないと思いますけれども、そういう構造であれば、それだけミスも出やすくなって、まさに安心して子供を生み育てる、産むというところに物すごいリスクが高まるんですよ、もともと出産についてはリスクがあるんですから。そういう構造は、ますます拡大をさせているじゃないですか。

 そういった実態、現状、少なくとも厚生労働省の側からは、法務省に対して、これは何とかしないとまずいんじゃないかと。法務省の側が、いや、それはもう起訴しちゃったんだから、それはそうはなかなかいきませんよという話で、まさに政府の中でかんかんがくがくになるならともかくとして、厚生労働省というのはまさに現場の医療を安心してできるようにしてもらう、そのためには、意欲と能力を持った医師がリスクの高い医療にも積極的にやってもらう、真摯に取り組んでもらう、そういう環境を整備する厚生労働大臣が、法務大臣みたいな答弁をしていてどうするんですか。違いますか。

柳澤国務大臣 まず、先ほど来御答弁申し上げておりますが、この大野病院事件の現状は、今枝野先生から御報告いただいて、そういうものなんですが、この件については、私として、何かここで言及するということは差し控えさせていただかざるを得ないということが一つあります。

 それから、一般的に、こうした問題が起こりますから、したがって、我々は、今度、その死因究明の問題を第三者機関でやってもらう、そういうような仕組みをつくりたい、それから、特に産婦人科の、産科の問題については無過失補償責任を負うというような仕組みもつくりたいというようなことで、そういう事故が医師あるいはその科目のお医者さんになろうとする若いお医者さんの気持ちを萎縮させてはいけないというようなことで、そういう制度をこれから構築していこうとしているということを先ほど来御答弁させていただいているわけでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

枝野委員 安心して子供を生み育てるということの、ある意味では一番の一つのポイントは、安心して出産できるというところ、そこが、まずはこの間のいろいろな経緯の中で産科医療がどんどんどんどん弱体化をしている。さらにそれを加速することを、起訴している検察というのも行政府の一員ですからね、内閣のもとにあるんですからね、半独立性はありますけれども、まさにそういったことを加速しているんだと。

 ちなみに言いますと、繰り返しますが、最初に申し上げましたが、私は医療行為だから何でも刑事免責にしろだなんと言うつもりは全くありません。逆に、世の中には、ちょっとこの医者ひどいじゃないか、それなのにそういった人がちゃんとペナルティーを受けていない、そこはもっとちゃんとやってもらわなきゃならないところもたくさんあるんです。だけれども、まさに現場の実態、構造的な問題として起こっている事故なのか、それとも個々の医者のモラルとか技量に問題がある事故なのか、そういうところのめり張りがきちっとつけられない状況のままで、今も現場の医療をやっているんですよ。

 現場で高度な産科医療に当たっている医師は、最善を尽くして、そしてベストを尽くしても、もしかすると亡くなるケースはあるわけですよ、周産期医療においては。そのときには逮捕されるかもしれないんだ、だけれども、目の前の患者さんのために最善を尽くすんだといって頑張っているんですよ。そこに責任を全部しわ寄せして、厚生労働省は建前論、筋論だけ言っている。私はそう受け取らざるを得ないと思っています。総理、違いますか。

安倍内閣総理大臣 この事案については、まさに裁判が係属中でありますから、我々行政の立場としてコメントするべきではないと思います。

枝野委員 先ほど来ちゃんと申し上げているじゃないですか。起訴されたとしても、起訴便宜主義ですし、起訴された事件についても検察は公訴を取り下げることは自由にできるんです。そして、検察庁法だったと思いますけれども、法務大臣には検察庁に対する指揮権があるんです。法律上認められているんです。

 なぜ認められているのかといえば、まさに個別具体的な事件について、それが構成要件に該当するのかどうかというようなレベルの判断を超えて判断が必要なケースがあり得るから、そのために検察庁法には指揮権という道を残しているんです。

 ですから、せめてそのことについて真摯に検討するというぐらいのことがあっても私は決しておかしくはない。どうして、建前論といいますか、官僚的答弁をされているのか。こういう姿勢が、どんどんどんどん現場、特に弱いところにしわ寄せがされている、一生懸命頑張っている人のところにほどしわ寄せがされている、こういう状況をつくっているんだというふうに思っています。

 もっとやりたいんですが、ほかにもやりたいテーマがあります。

 柳澤大臣の松江での発言について、いろいろな人がいろいろな思いを持たれていると思います。千差万別だと思いますが、私も半年ちょっと前まではある意味で当事者でありましたので、今いわゆる不妊治療、生殖医療に努力しているカップルの皆さんには大変いろいろな意味での思いがあったのではないかというふうに思います。

 産みたくても産めない、だけれども子供が欲しいので一生懸命努力をしておられる方、たくさんおられます。厚生労働省として、こうした実態をどの程度、どういうふうに把握されておられますか。

柳澤国務大臣 不妊に悩む方々の数がどのくらいあるかと我々が承知をしているかといえば、平成十四年度における推計でございますけれども、約四十七万人の方がそうした問題を抱えていらっしゃるということでございます。

枝野委員 数を把握しているだけなんですか。つまり、もちろん子供がいないカップルでも、子供が欲しいと思っていない方もいらっしゃるし、子供は欲しいけれども不妊治療などの生殖医療をせずに、自然に任せて、もしできたらいいねということでいらっしゃる方もいるし、実際に不妊治療に当たっていらっしゃる方もいるわけで、その四十七万人というのは、後者二つ合わせたものなんですか、それとも、実際に医療を受けられている方なんですか。

柳澤国務大臣 今私が触れました概数でございますが、触れました方は、不妊治療の患者の方の数でございます。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

枝野委員 不妊治療というのは、実は保険はききません。保険をきかせることがいいのかどうかというのは、違った視点から実は議論のあるところなんですけれども、大変お金がかかります。お金がかかります上に、期間がかかります。何かやれば一回でうまくいって妊娠をして出産できるというケースは、逆に言えば、本当にまれな、幸運なケースであって、何度もチャレンジをしなければなりません。

 チャレンジをしているプロセスにおいては、実は私のところもそうだったんですが、途中までうまくいったんだけれども、残念ながら、途中でうまくいかなくなった。着床はしたんだけれども、その後流産をしてしまったなどというケースを実は繰り返したりしながら、そして、何が原因なのかということが、ある部分はわかるんだけれども、例えば、なぜ着床しないのかとか、しにくいのかなどということについてはなかなか実は原因もわからないんだけれども、何度もチャレンジをする、そのたびに多額のお金がかかる。

 こういうプロセスでありまして、その例えば期間とか、それから、それにどれぐらいの費用がかかっているのか、こういったことについての調査、実態把握はどの程度されているんですか。

柳澤国務大臣 不妊治療に取り組む患者さんが不妊治療に取り組む期間は、平成十六年度の研究によりますと、五年未満が約半数、五年から七年までが、さらにそれに加える二割強ということで、今委員が指摘するように、かなり長期にわたるということを把握いたしております。

枝野委員 五年で切るということ自体が、そもそも、月に一回、多くても月に一回のペースでしか治療が進みません。一年、二年、十分精神的には厳しいプロセスなんですよ。なおかつ、費用が物すごくかかるんですよ。

 どれぐらい費用がかかっているのかということについての実態把握は、今の御答弁ですと、されていないわけですよね。

柳澤国務大臣 研究結果ですけれども、調査において、一夫婦が取り組む不妊治療の期間について、別に五年で切っているわけではなくて、研究の便宜で、治療期間を、一年未満、一年から三年未満、三年から五年未満、五年から七年、七年から十年、十年から十五年、十五年以上ということで、それぞれ取り組んだ治療期間の人数の割合は掌握しておりますけれども、子細にわたり過ぎるということで、今申したような回答を申し上げました。

 それから、医療保険の適用がない体外受精、顕微授精の一回当たりの治療費用は約三十万から四十万円である、経済的負担は重いものだというふうに認識をいたしております。

枝野委員 揚げ足をとるわけじゃないんですけれども、全部の細かいデータをここで言葉でしゃべれと言うつもりは全くありません。だから、どこかで、アバウトなところでお話ししていただいていいんですけれども、実際に不妊治療に取り組んだ立場からすると、五年も長い期間やって、その間、頑張って頑張って五年間継続するというのは物すごい精神力が要る。特に男性よりも女性の側に、物すごい、精神的にも、肉体的な不安、苦痛がある。

 一年未満で終わっている人はこれぐらいですよ、これぐらいの方は一年以上かかっているんですよとか、せいぜいそのぐらいのところで、あるいは、せめて三年ぐらいのところで線を引いてお答えをいただきたいなというのが当事者的実感であります。

 その上で、今お話ありましたとおり、保険のきかない体外受精、顕微授精等の場合は一回当たりなんですよね、今の金額は。私の場合、今、国会議員という立場をさせていただいて、私にとっては、国民の皆さんの税金からそれなりの歳費をいただいているので、何度もチャレンジすることが幸いできました。しかし、後で話をしたいと思いますけれども、年収二百万円以下の若い人たちがたくさんいるんですよ。あるいは、そういったいわゆるワーキングプアと言われている人たちじゃなくても、年齢層にもよりますけれども、年収四百万、五百万とか、そういう世帯でそういった治療ができると思いますか。

柳澤国務大臣 これは保険の対象でないということもありまして、そうしたことは極めて困難であろうと容易に察せられます。

枝野委員 それで、どうするんですか、厚生労働省としては。何を今しているんですか。これからどうしようとしているんですか。

柳澤国務大臣 今申しました体外受精あるいは顕微授精というものにつきましては、これを特定不妊治療費助成事業ということで平成十六年度から助成をいたしておりますけれども、今回、平成十九年度予算におきましては、一年度一回当たり十万円ということは変更させていただきませんけれども、これを二回までということにいたさせていただきます。

 それから、所得制限でございますけれども、従来、夫婦合算の所得ベースで六百五十万円ということでございますけれども、平成十九年度におきましては、これを七百三十万円まで制限を緩和させていただくということをいたさせていただきました。

    〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

枝野委員 またマクロなんですよね。もちろん、十万円でも、二回でも、それは、ないよりはあった方が当事者の皆さんはありがたいだろうというふうに思います。所得制限もできるだけ高い方がいいだろうというふうに思います。しかし、では今のような施策で本当に、子供が欲しいということで一番努力をしているわけですよね、その人たちに対するサポートとしてそれが十分なものであると言えるのかというと、私は、残念ながらそうは言えないのではないだろうかということを指摘しておきたいというふうに思います。

 お金の問題だけではないんです。不妊治療には時間が必要なんです。母親になろうとしている人はもちろんのこと、ケースによっては父親になろうとする人も、特に母親の方の体調に合わせて、必要に応じて休暇をとったりしなければならない。そうしないと不妊治療が前に進まないということであります。

 また自分のことを申し上げますと、私の場合は、皆さんそうですけれども、タイムカードを押してという仕事ではお互いありませんので、いろいろな時間のやりくりをして、また病院の方でもいろいろな配慮をしていただいて、仕事を休むというような対応がなくても済みますが、普通のサラリーマンあるいは企業に勤めていらっしゃるカップルの場合、実は不妊治療のために休みが欲しいんだという話をしても通用しないんですよね、現実には。

 お金の問題もあるんですけれども、まさに産みたいと思っている人が産める環境をつくるということのためには、不妊治療のための休暇、これは父親になろうとする人も母親となろうとする人もとれる、とりやすくするという配慮が必要ではないかというふうに思うんですが、厚生労働大臣、どうお考えになりますか。

柳澤国務大臣 不妊治療を受ける際に男性も休暇をとらなければならない場合があるということは、今先生の御指摘のとおりだと我々も同じ認識を持っております。

 不妊治療のための休暇については、そうは申しましても、ほかの理由による通院治療とのバランス等を勘案しますと、別枠で有給休暇の制度を設けさせるということはなかなか難しいと考えておりまして、年次有給休暇を取得しやすい職場環境というものを醸成していくということが必要だというふうに考えております。これは一般に、今、ワーク・ライフ・バランスということで全体としてそうした方向で施策を進めておりますので、その方向をさらに進めていくことによって休暇取得も容易になるように期待をいたしたい、このように思います。

枝野委員 ほかの病気、病欠などの場合とのバランスとかいろいろなことが、配慮が必要なのはよくわかりますが、今の社会の実態を見ていただきたいんですが、不妊治療のために休暇を下さいということがそもそも言い出しにくい、事実上ほとんど言い出せない、言い出したとしても、たまたま理解のある上司でないと、何だそれはと言われてしまう。実際、私のところにもそういうケースの声が上がってきているんですよ。

 つまり、不妊治療、子供を安心して生み育てる、産みたいと思う人が産めるような社会にするためには、それはどういう仕組みの中であったとしても、不妊治療のために休みが必要なんだと言いやすい環境、言ったときに、それは例えば年次有給休暇の中でも当面はやむを得ないと思いますが、ああ、そうだねということを社会の共通の認識にしないと、なかなか現実にはできないですよ。

 もう一つ、実は同じような観点のことをまとめてお伺いしたいんですが、柳澤さんの発言のことに対するいろいろな反応の一つに、社会全体の、子供のいないカップル、特に女性に対する社会的プレッシャーに対する配慮のなさ、デリカシーのなさというのを感じざるを得ないというふうに思っています。

 世の中の多くの人たちが、実はここが難しいんですが、善意で、子供のいない夫婦にお子さんはまだと聞いてくださるんです、早い方がいいよと聞いてくださるんです。悪意は全くないんです。御本人は全くの善意なんです。しかし、いろいろと事情で産みたくても産めない、特に医学的な問題で産みたくても産めないような方はたくさんいらっしゃるんです。しかし、何となく社会としては、若い夫婦がいたらお子さんはまだと言うのがむしろ当たり前のようになっている。そのことが、いろいろなハンディを抱えている、産みたいんだけれども実は産めないんだ、産みたいんだけれども、実は不妊治療を一生懸命頑張っているんだけれどもなかなかできないんだというカップルに対して、物すごいプレッシャーになっている。

 特に、私も実はそういう時期を五、六年経験しましたが、私以上に私の妻は物すごいプレッシャーを受けていまして、こんなことを言うと家に帰って怒られそうですが、どちらかというと気の強い妻なんですが、涙を私の前で流したりしたこともありました。悪意が個々の皆さんにはいらっしゃらない。私の支持者の皆さんなどの中にも、本当に私のことを思っていただき、私たちのことを思っていただき、親身で、お子さんは早い方がいいよとうちの妻などに言ってくださった方もたくさんいらっしゃって、私が不妊治療をしていたということはその後、生まれた後でお知りになって、悪いことをしたね、申しわけなかったねなんて言っていただいたりもしたんですが、これは個々の皆さんの問題じゃないと思うんです。

 安心して子供を生み育てることのできる社会をつくる、なおかつ、そうした中で、いろいろな事情で産みたくても産めない人たちに配慮をする。もしも、柳澤大臣、この間の発言、女性を傷つけたということで反省をされているんだったら、この機会にぜひとも、お子さんはまだとか、お子さんは早い方がいいよという話をするのはマナー違反なんだという社会の共通認識を、柳澤大臣、先頭に立ってつくっていただけませんか。

 でないと、常にそのプレッシャーの中で、そもそも、例えば不妊治療をしていたらそのことで、あるいは時々、うちもそうでしたけれども、着床までいったのに残念ながらまたうまくいかなかったねとか、そのことだけでも物すごい精神的なプレッシャーを受けているんです。そこに、善意だから反論もできないんです。そこに対して、これこそまさに政治がリーダーシップをとって、いや、そういうことは言わないようにしようね、いろいろな事情があるんだからね、こういうことを、いろいろな広報、啓蒙活動に政府広報予算を使っておられますけれども、こういうことを社会の共通ルールにするということにむしろお金を使っていただけませんか、厚生労働大臣。

柳澤国務大臣 私がああいう発言をしてしまった後、私のごくごく近い周りの男性、女性ともに、基本的には私の人柄というのを信じてくれて、いろいろ激励をしてくれたわけですけれども、ただ、そういう方々の中にも、私は親からでも早く結婚しなさい、あるいは子供はいつということを言われるのが一番嫌だったんです、それは先生にはっきり言っておきますと私は言われまして、本当にそういう気持ちに対するおもんぱかりが欠けていたということで、大いに反省をしたということがございました。

 その上に立って、今、枝野委員からは、そうであれば、そうしたことが無神経に言葉として交わされる、そういうカルチャーと申しますか、そうしたものを是正するようなキャンペーンを工夫したらどうか、そしてそれを遂行したらどうかという御提案でございますが、私として今とっさに具体的なアイデアも浮かびませんので、勉強、検討をさせていただきたいということを申し述べさせていただきます。

枝野委員 これは総理にお尋ねをした方がいいのかどうか私も迷うんですが、総理も私の今の発言は御理解をいただけるんではないかというふうに思います。ぜひ厚生労働大臣と御協議いただいて、今のような悪意のない、本当に皆さん善意に基づく御発言なんですよ。それで言っていただいているんです。それもよくわかるだけに、社会全体として、個別のところで何とかしていくじゃなくて、社会全体として、産みたくても産めない人がたくさんいるんだからそういうところを配慮しようねということをこの機会に、総理、リーダーシップをとってやっていただけませんか。

安倍内閣総理大臣 ただいま枝野委員がおっしゃった気持ちも、私はよくそれはわかります。人それぞれいろいろな事情があるわけでありますから、そういう事情に対して配慮する、これは当然のマナーであろう。時には善意をもって、特に結婚した当初なんかは、これは全く善意でおっしゃって、そしてまた受ける方もそれを別に気にしないというときもあるわけでありますが、しかし、不妊治療をされておられる、特に女性の方にとっては大変つらい思いもされますし、またさらに大きなプレッシャーの中で悲しい思いや苦しい思いをしておられる方々に対して、そういう言葉は時として非常に傷つけるということになるのは事実であろうと思います。

 ですから、その観点から、そういうこともみんなで考えていく、そういう視点も大切であろう、このように思いますので、柳澤大臣また厚労省とよく検討をしていきたい。どのようにこれは、社会がいわばそういう微妙な気持ちについて配慮するという機運ができてくるか、またそれが常識になってくるか、そういう常識を形成していくために何ができるかということをよく考えていきたいと思っております。

枝野委員 ぜひ、厚生労働大臣の反省ということを形につなげていくんだとしたら、もちろん、いわゆる広い意味での、一般的な意味での少子化対策をきちっとやっていただくということも大事でありますけれども、どこを傷つけたのか、何を、一番どういう人たちを傷つけたのかという観点からも、今のことをやっていただきたいと思います。

 一点だけ、余計なことかもしれませんが、結婚したばかりのカップルでもだめなんですよ。初めから自分は子供を産む可能性がない、医学的にいろいろな事情で。だけれども、結婚をされる方もいるんですよ、そのことをお互い納得ずくで。ですから、いろいろな人たちがいるんですよ。いろいろな事情を抱えているんですよ。そのいろいろな事情に対して、特に厳しい事情を抱えている人に対してどうするのかということが社会政策なんですよ。

 だから、一番レアなケースかもしれないけれども、だけれども、一番厳しい状況に置かれている人たちはどういう立場なのか、どういう気持ちなのか、そのことを常に意識を、厚生労働行政、少子化対策、社会政策というのは考えていただかなきゃいけないということを私は一貫してきょうの質疑の中で申し上げているんです。

 もう一点、生まれた後の話です。生まれたからといって祝福されるわけではない、少なくとも法が祝福をしていない、あるいはそう受けとめられても仕方がないケース、民法七百七十二条の嫡出推定の話であります。これは法務大臣が中心だと思います。

 民法七百七十二条は、婚姻中に出産した子は夫の子と推定する、これは結構でしょう。婚姻解消後三百日以内に生まれた子は解消前の夫の子と推定をする。推定という言葉は、推定なんだから、反証が挙がれば覆されると思ったら大きな間違いで、いや、これは別れた前の夫、あるいは死別した前の夫の子ではなくて、その後のカップルの関係で生まれた子供ですということをちゃんとしようと思っても簡単にはできませんよね、法務大臣。まず事実関係だけ。

長勢国務大臣 お答えを申し上げます。

 先生御案内のとおりだろうと思いますが、今御指摘の民法七百七十二条による嫡出推定、これを覆すためには原則として裁判が必要になっております。原則は嫡出否認の訴えを行うということになります。

 この訴えは、原告は前の夫に限られる、また、その者が、子または親権を行使する母親に対して、その夫が、前の夫ですね、出生を知った日から一年以内に行う。この裁判によって嫡出否認の訴えをするということが一つの方法であります。

 これ以外に、方法として、子供を懐胎したときに、前の夫と妻との間に性的関係が認められないことが外形的、客観的に明らかである場合には、この嫡出否認の訴えによらなくても、前の夫との親子関係を否認するという裁判をする、あるいは後婚の夫との間で親子関係を認める裁判をする、こういうことを行えば、この関係が明らかになるということが確立した判例ということになっております。

 まず最初の親子関係不存在確認の訴えについては、子や親権を行う母など、確認の利益を有する者であればだれでも原告となることができますし、また、時期の制限もありませんし、被告は一般的には前の夫ということになります。また、後婚の夫に対する強制認知の訴えについては、子またはその親権を行使する母が原告となって、後の夫に対して行うことができます。

 これらの訴えについては、いずれも調停前置主義という仕組みになっておりますので、当事者はまず家庭裁判所に調停の申し立てをしなければならず、当事者間において合意が成立する場合には、家庭裁判所が必要な事実を調査した上で合意に相当する審判をすることができるということになっておるのが制度でございます。

枝野委員 けさの毎日新聞なんかも大きく取り上げておりますけれども、現場、現実は非常に混乱をしています。

 十月十日とよく言われますけれども、いわゆる出産予定日に生まれるケースだけではない。世の中、たくさん、早産というケースもあります。うちも、九月一日の予定日だったのが七月十三日にいわゆる早産しましたが、元気に育ってくれております。もっと早く生まれても、今、医学の発達によって十分元気に育っているお子さんはたくさんいらっしゃるわけで、ですから、いわゆる懐妊の事実から三百日ということ自体が、もともとそうではなかったわけですけれども、医学の進歩によってますます元気に育つお子さんはどんどんどんどんふえているという現実があるわけですね。

 それから、婚姻解消の日から三百日。普通、婚姻解消の場合、死別の場合は別かもしれませんけれども、きのうまで仲よくしていて急に離婚届を出すだなんてケースの方がごくまれですよね、現実社会としては。普通は、むしろ夫婦関係の存在しない期間が、離婚届が出される前に、例えば訴訟とか調停とかになればもちろんのことですけれども、そうじゃなくたって、相当期間、前にあるのが当たり前でありますよ。にもかかわらず、離婚届が出された日から三百日以内は前の夫の子と推定をされてしまうという今の現実。

 そうすると、法的には夫婦関係が残っている以上は、他の男性との性交渉があったら、それは不貞行為じゃないかというような仮にモラルをかざし出したとしても、じゃ、法的に離婚をしました、さあいよいよ、まさに再チャレンジですよね、新しい家庭を築こうと思ってスタートさせた。それで、少し早産でした、三百日以内に生まれました。そうすると、前の夫の子と推定されるんですよ。覆そうと思ったら、裁判しなきゃいけないんですよ。裁判するまでの間、戸籍どうするんですか。前の夫の子として戸籍に載せるか、出生届を出さないかということで、現実にたくさんの人たちが声を上げているんです。

 安心して子供を生み育てる社会、生まれてきたお子さんをみんなで祝福して、本人も家族も祝福されているんだと受けとめられるような社会にする。そのためには、ちょっと、この制度は現実の実態に合っていないのは明らかだというふうに思います。改善の必要が早急にあると思いますが、大臣、いかがですか。

長勢国務大臣 今先生御指摘の現行の制度は、できるだけ、婚姻解消後に一定の期間内に出生した子供を夫婦の子と推定することによって父子関係の早期確定を図る、それによって子の利益を擁護するということでありますし、そういう意味では、それなりに今までも十分機能してきましたし、合理的な制度だと思っております。

 しかし、今御指摘のように、医療の発達ということもあり、あるいはまた、その余のいろいろな意識の変化ということもあるのかもしれませんが、昨今、御指摘のような問題がたくさん起きておるのも事実でございます。これは、親子関係という非常に民法の根幹にかかわる問題ではございますが、現実にいろいろ問題が起きておる以上、今、裁判という迂遠なというか、非常に手間の、負担のかかる方法でない方法をとったとしても可能な部分が、何かできることがあるかどうか。これは今も先生も幾つかの事例を挙げられましたが、そういうことが起こる事情その他いろいろあると思いますし、やはり民法の根幹にかかわることに影響するようなことを簡単にするというのはなかなか慎重でなければならないと思います。

 いま少し、そういうことが起こる状況あるいは事情等々を調査させて、できるものがあれば、早急にできるように検討してみたいと思っております。

枝野委員 何か実態調査をしているとか、するとかという話も報道されているんですが、実態調査はしているんですか。しているとすれば、どういう対象に対してどういう調査をしていて、いつごろまとまって、当然、結果は公表していただけるんでしょうね。お答えください。

長勢国務大臣 何らかの、調べないかぬと思っております。裁判所における裁判なり調停なりの状況とか、あるいは、届け出があるのは市町村窓口になりますので、そこら辺の状況とかということをとりあえず調べなきゃならぬかなと思っています。

 ただ、こういうことに関するデータがどの程度統計処理されているかどうかとか、また、内容等も個人にかかわることが多いわけでありますので、どういう形で調査をするか、それをどういうふうにまとめるか、今検討しておる段階でございますので、いつまでにやるかという御質問には今明確にお答えはできませんが、できる限り検討に資する資料を集めたいと思っております。

枝野委員 そもそも遅いんですよ。それから、実態調査がそもそも必要なのかということと両方今申し上げたいんです。

 毎日新聞の二月四日配信の報道によると、二〇〇二年に、自治体の戸籍担当者の集まりの中でこの問題が取り上げられて、運用改善が必要だという声が上がって要望が上げられている。それに対して法務省はゼロ回答であった。現場からこれはまずいじゃないかという声がもう〇二年の段階で法務省に上がっているのに、今までほったらかしにしてきたんですよ。まず、そのこと自体が怠慢であると言わざるを得ない。

 さらに言うと、実態調査の問題だと私は余り思わないんです。なぜかといったら、それはもう社会通念、常識として、離婚に先行して、離婚した前の夫の子であると推定をされるような、推定が働く客観的事実はありますか。普通はないでしょう。普通は、離婚に先立って、離婚調停とかあるいは離婚しようだなんて相談をしているプロセスの間に夫婦関係がないという方が社会通念じゃないですか。ないということを推定する方が当然じゃないですか。

 死別の場合はどうするかとか、いろいろなケースはあり得るかもしれないので、今、ではこうしますという結論までは求めませんよ。しかしながら、現状の、離婚の日から三百日は前の夫と推定するというような、推定の前提になる根拠が社会常識、社会通念と明らかにずれているんですから、改善せざるを得ないというのは、これは調査を待つ以前の話じゃないですか、法務大臣。

長勢国務大臣 御指摘のように、平成十四年に戸籍担当者の連合会からそういう御要望がありまして、それに対しまして、法務省としては、当時、嫡出推定の基本的な枠組みは子の福祉の観点及び家庭の平和を守るという観点から合理性を有する制度であるという考えのもとに、慎重に対処すべき問題であるというふうな御答弁を申し上げた、回答したというふうに承知をいたしております。

 今先生おっしゃっておられるように、調査も必要ないじゃないかというのは、先生のお話はいつも非常に論理的なので、一瞬、聞いたらなるほどなと思ったところもありますが、よく検査をして、私なりにまた検討してみたいと思います。

枝野委員 現実に、例えば、前の夫が失踪してしまって、それで、手続をとって離婚ができましたと。どこかに行っちゃっているんですよ、失踪しちゃって。それで、ようやく法律上の離婚ができたので、新しい男性と新しい家庭を。まさに再チャレンジ。ところが、そのお子さんが、法律上の離婚の日、相手は何カ月も何年も前から失踪しているんですよ、その法律上の離婚の日からたまたま二百九十何日目に生まれてしまって、その前の夫の子として戸籍届け出をしないと届け出が受理されない。

 こういうケースは現にあるんです。日々生じているんです。悠長な話じゃないんです。だから、早急に結論を出していただきたい。法改正という方法が最終的には必要だと思いますが、少なくとも、運用上でもできる余地があるんじゃないかと思います。ですから、その両面で早急な対応をしていただきたい。

 まさに再チャレンジですよね、これ、総理。再チャレンジでしょう。前の夫婦関係がうまくいかなくて、新しい夫婦関係のもとで、それで子供を持って新しい家庭をつくっていこう。その再チャレンジのところに、何か知らない変な法律で、忘れたい昔の夫と裁判をやらなきゃならない、こんな話はやはりおかしいと思いますよね、総理。

安倍内閣総理大臣 さまざまなケースもあるでしょうし、そしてまた、何といっても、親子の関係を定めている民法の改正ということであれば、これは慎重な検討が必要になるんであろう、このように思いますが、しかし、個々のケース、ただいま委員が挙げられたような個々のケースを、よく法務省の方でも、大臣も調査をしながら、どういう対応ができるかということを検討するということでありますので、それはその方向で、その中で検討をしていかなければいけない、このように思っています。

枝野委員 産みたくても産めない、いろいろな理由があります。最後に、産みたくても経済的な理由で産めないという問題を取り上げたいというふうに思います。特に、その典型例として、いわゆる偽装請負の話を取り上げたいと思います。厚生労働省、どこまでお答えいただけるんでしょうか。

 キヤノンという精密機器メーカーがあります。例えば、二〇〇五年十二月二十九日の朝日新聞、「派遣社員を長期雇用 キヤノン行政指導」というのがあります。朝日新聞二〇〇六年七月三十一日、「偽装請負 製造業で横行」、キヤノンでも、「労働局が調査強化」という報道があります。最近ですと、二〇〇六年十月十八日、キヤノンの工場で働く人材会社の派遣労働者が、違法な偽装請負の状態で働かされていたとして、正社員として雇用するよう申し入れた。さらには、団交を拒否したので請負労働者が救済の申し立てをした、これはことしの二月二日の報道であります。

 なぜキヤノンという個社名を出すかといいますと、ここの会長は公務員であるからであります。つまり、経済財政諮問会議の委員、メンバーとして、皆さんの政府のつくる経済政策、雇用政策について一定の権限を持っておられます。ですから、単なる一民間企業であるとは私は思いません。

 したがって、お答えをいただきたい。厚生労働省として、このキヤノンあるいはキヤノン関連会社における偽装請負あるいは派遣労働法の違反、こうした事態について、どの程度把握をして、どういう指導を行ってきているのか、お答えください。

柳澤国務大臣 請負における発注者が請負事業主の労働者に対して指揮命令を行って業務の処理を管理し進行させるということは、明らかに労働者派遣法に抵触しておりまして、これは違法行為ということになるわけでございます。

 今先生は個別の企業の名前を出されまして、これに対する労働監督上の諸措置の状況についてお尋ねでございますけれども、これにつきましては、やはり個別の企業の案件であるということから、お答えを差し控えざるを得ないということを申し上げます。

枝野委員 違法な行為なんですよね、いわゆる偽装請負は。違法な行為をした企業で、すべてのことを公表するかどうかは、いろいろな議論があるでしょう。ですから、今新聞記事を読むときに、キヤノンや何々と、ほかの会社の名前は挙げませんでした。それは、キヤノンは、繰り返します、トップが皆さんの政府の一員なんです。皆さんの政府の一員として、皆さんの雇用、経済政策について影響力を持って発言をしておられるんです。

 それで、お認めにならないんですが、新聞記事が一〇〇%正しいかどうかわかりませんが、これだけ繰り返し、キヤノンにおける偽装請負や派遣法違反が新聞で報道されているという事実があります。それが事実であるのかどうかぐらいはお答えをいただきたいというふうに思いますし、その上で、こうした報道が事実で、キヤノンにおいて請負に絡んで違法な行為が行われているとすれば、この御手洗何がしという人は、皆さんの会議でとんでもないことをおっしゃっておられます。「法律を遵守するのは当然だが、これでは請負法制に無理があり過ぎる。」今の請負法制、偽装請負などに関連して、今の請負法制には無理があり過ぎる。いいですか。自分の会社は、無理があり過ぎるけれども一生懸命法律を守ってちゃんとやっています、だけれども、これじゃ無理があり過ぎるから何とかしないといけませんねというならば、これは一つの考え方、現場からの声としての考え方です。

 自分の足元で違法な行為をやっておいて、それで、そこのトップとして、うちでやっている違法な行為が合法になるように何とかしてくださいよだなんていうことを堂々とおっしゃっている。私はこれはむちゃくちゃだというふうに思うんですが、総理、そう思いませんか。

安倍内閣総理大臣 御手洗氏は、法律を遵守するのは当たり前のことであるということも諮問会議において発言をしておられるわけでありまして、我々としては、個人としての識見をぜひ発揮してもらいたいということで諮問会議の議員に任命をしているわけであります。

枝野委員 だったら、自分がトップを務めている会社で違法な行為がないようにまずするのが責任じゃないですか。その上で、いや、うちの会社はちゃんと守らせているけれども、これで守っている状況ではとても実態は回りません、だから何とかしましょうよ、こう提言するなら百歩譲って一つの見識だと思います。

 しかし、自分のところでも違法はやっておいて、それを放置しておいて、だけれども、いや、法は守るべきだと思いますが、今の法制度はおかしいと思いますと。そういうのは筋が通らないと思いませんか。総理は何か日本の伝統文化がお好きのようでございますが、まさに恥の文化に反する行為じゃないかと私は思うんですが、総理、違いますか。

安倍内閣総理大臣 当然、政府としては、偽装請負など法令違反に対しては徹底して監督指導を行っていく、これは当たり前のことでありますし、繰り返しになりますが、諮問会議の御手洗議員も、当然法令を遵守していく、これは当たり前のことである、このように発言をしておられるわけでございます。

 現在、経済がグローバル化する中において、経営者としての見識、そしてまたさらに国内においても雇用を確保しておられる、またその観点も常に忘れずに努力をしておられる、そういうことも含めて我々は議員に任命をしているということでございまして、今後とも、議員として見識を発揮していただきまして、経済財政運営においてエンジン役を果たしてもらいたい、このように考えております。

枝野委員 だから、では、キヤノンは本当に守っているんですか。公表してくださいよ。キヤノンに対して、いつどういうふうに、どういう申し立てがあったりとか、どういう監督が行われて、どういうふうに改善されたのか。全部なんて言いませんよ。経済財政諮問会議でまさにいろいろな指摘をされている、自分の会社でやっているんじゃないかという、違法請負をやっていると指摘されているキヤノンについてだけでいいですから。

 現に、ことしの二月になってもキヤノンの請負労働者が、偽装請負だ、だから団体交渉しろと言っても応じない、それ自体が違法だといって労働委員会に申し立てしているんですよ。現に現在進行形なんですよ。昔あったけれども、悔い改めて今はやっていませんじゃないんですよ。

 だから、まずは実態、厚生労働省、明らかにしてください。これは、まさに今の政権の経済財政運営の基本にかかわる問題ですので、まず、このキヤノンにかかわる、厚生労働省として把握している偽装請負や派遣法に絡む違法な行為、監督事例、申し立て事例、全部資料として公表してください。

 それから、欠席裁判は不公平だと思いますので、この予算委員会に、委員長、御手洗何がし、経済財政諮問会議の委員、参考人として来ていただいて、御本人の釈明を聞きたいと思いますので、ぜひお計らいをください。

金子委員長 ただいまのお申し出の件は、理事会で協議をさせていただきます。

枝野委員 この会社は、派遣とか請負、つまり正社員以外の比率の非常に高い企業であるということが言われている。その上で、経済財政諮問会議で先ほどの発言に続けてこんなことを言っているんですね。「今の派遣法のように三年経ったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう。それは空洞化に結びつくことになる。」大体いつもこういう理屈を言うんですね。

 確かに、国際的な輸出産業は、コストの競争をしているわけですから、それはコストを抑えなきゃいけないですけれども、私は、日本の伝統的経営者というのは、会社が苦しい、コストを下げなきゃならないときは、まず社長が自分の給料を削って、自分が我慢をして、それでも足りないときに、従業員の皆さん、我慢をしてください、これが日本の企業経営者の伝統的な価値観だったというふうに思っています。今でも、多くの日本の中小零細企業の経営者の皆さんはこういう経営をされている。

 実際にきょうはそこまで示しませんが、統計数字で出てきていますよ。大企業においては、役員賞与がぐうっと伸びているけれども従業員給与は伸びていない。中小零細企業については、従業員の給与の所得の下がり方以上に役員の所得の下がり方が大きい。

 これが日本の伝統的経営者で、国際競争のコストというんだったら、まず経営者のところが我慢をして頑張って、従業員の皆さん、それでも足りないんだから我慢してください、これが物事の筋だと思うんですが、今の経済財政諮問会議で、「今の派遣法のように三年経ったら正社員にしろ」、今の派遣の実態、請負の実態、こういう実態、年収二百万円以下、たくさんいる。社会保険なども事実上空洞化をしている。いつ首になるかわからない。家庭を持って子供を産め、冗談じゃない、どこの世界の話だという人がたくさんいる状況を放置して、そうじゃないとやっていけませんですよと言っているキヤノンの財務諸表を見ると、例えば、百二期、平成十五年の株主総会で決議されている取締役賞与金一億三千九百万、それが翌年には一億八千九百万、さらにその翌年には一億九千九百万、そして、十八年三月三十日株主総会決議では二億二千二百万。取締役、役員賞与だけはぐんぐん伸ばしているんですよ。

 だけれども、コストが大変だから、請負で、派遣で、いつでも首が切れて、不安定で、所得も生活保護以下ぐらいの収入で仕方がないですね、こういう人が経済財政諮問会議の委員として、総理、ふさわしいと思っているんですね。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をいたしましたが、グローバル化が進む中において、競争力を持っていかなければ、競争を勝ち抜いていくこともできないわけであります。

 その中で、競争力を持ちながら、グローバルな経済の中で業績を伸ばしているのは事実であります。そして、それと同時に、やはり日本の国内においても雇用を確保しなければならない、なるべく日本にも工場等生産施設をつくっていこうという考え方も持っておられるわけであります。そして、その中でさまざまな努力をしておられるわけでございますが、しかし、と同時に、いろいろと委員は御指摘をなされたわけでありますが、雇用を確保し、そしてまた、日本において税金もしっかりと払っておられるわけでございます。

 また、国際社会の中において活躍をしている個人の見識に着目をして、我々は、その見識を生かしてもらいたい、今後、成長戦略を着実に実行していく上においても、その見識を私は生かしていただきたい、このように思っております。

枝野委員 私は、国際競争の中でコストの削減はしていかないと競争に負けていくケースがあり得る、そのことはよく認めていますよ。でも、そのときに、まさに企業経営者のモラル、まさに道徳、その一番として、厳しいときにはまず経営者がみずから身を削って、それで、それでもどうしても足りないとき、従業員の皆さん、申しわけないんだけれども給料を下げますよとか、リストラしますよとか、これで日本の戦後経営、日本の戦後経済というのは私は伸びてきたと思っています。

 これこそが日本の伝統的よさだったんじゃないですか、日本経済の強さだったんじゃないですか。だから、企業のために、会社のために一生懸命みんな頑張ったんですよ。いつでも首にできます、便利に使えます、それで本当に金がないならいいですよ。自分たちのはがんがん上げているんですよ、この御手洗さんは、自分たちの賞与は。

 この役員賞与の分を、従業員とか請負の人を正社員に回すためには少しかもしれない、でも、自分たちのところをふやす金があったら、まず、請負の人たち、派遣の人たち、せめて偽装を解消する、その上で、少しでも正社員化していって、安心して家庭を持ち、子供を生み育てられるようにする、そっちに回していくような企業経営者を見識ある人だというんじゃないですか。違いますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、偽装について、今後もやり続けるということでは全くないわけでありまして、それについては、御手洗氏もおっしゃっているように、法令違反はあってはならない、こういうことでありますし、我々はしっかりと法令違反を徹底して取り締まっていく、これは当たり前のことではないか、このように思います。

 そして、その中で、我々は経済成長を目指していかなければこの活力を維持できない、そして雇用も確保することができないわけであります。そして、国民の生活を向上させていく上においても経済成長が必要である、これは当然のことであると思います。その中で、やはりグローバルな経済の中でいかに競争力を持っていくかということではないかと思います。その中でまさに勝ち抜いている企業がキヤノンであり、その経営手腕にも我々着目をしているわけでありますし、また、国際的な視野にも着目をしているわけであります。

 そして、先ほど申し上げましたように、国内においても何とか雇用を確保しようという努力をしておられるのも事実であります。そういうことを全部横に置いて、一部だけを見て、全く資格がないと言うことはおかしいのではないか、このように思うわけであります。いかにその会社が成長をしていく、発展をしていくというインセンティブをどう持っていこうかというのはそれぞれの経営者の判断ではないか、このように思います。

枝野委員 ですから、その偽装がどの程度どうあってどう改善されているのか、ちゃんと厚生労働省、出してくださいとまずは申し上げているんですよ。それで、本人を呼んでどうなっているのかちゃんと聞かせてください、そういうことを申し上げているんですよ。ですから、それは必ずやっていただきたい。ことし、この国会で、予算委員会で経済運営についてこれからやっていきたいと思いますが、まさにここが私たちと皆さんとの決定的な違いだと思います。

 確かに、企業は経営をよくして国際競争力を持って、そして稼いでくれる、これは大事なことです。私たちも、それは必要なことだ、その足を引っ張るつもりは全くありません。しかし、昔、まさに戦後レジームのときは、ほうっておいても、国際競争力を持った企業が出てきて稼いでくれたら、それが世の中全体に行き渡るような社会構造だったんです。ところが、今は、ほうっておいたら、国際競争力を持って稼いでも、株を持っている人とか経営者とか一部の人たちと海外にだけどんどん出ていって、そして国際競争力を持つためには、雇用の数をふやしたって、生活保護以下で家族を持つ、あるいは子供を生み育てる、とてもこんな収入で、あしたはどうなるかわからない、そんな状況の人たちをどんどんどんどんふやしていくということになるんです。

 だから、今の社会状況においては、もちろん競争力を持った企業はもっと競争力をつけてもらうことも大事だけれども、それと同じぐらいのウエートで、その稼いだ金が国内にちゃんと循環するためにどうするか、こちらのことに同じぐらいのウエートをかけないと、国は何か立派だけれども、まさに個々の生活はどんどんだめになっていく、それが安倍内閣の姿勢である。これからそのことについて十分な議論をさせていただきたいということを申し上げて、あとの時間帯は同僚議員に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて枝野君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高井美穂君。

高井委員 民主党の高井美穂と申します。

 私は、この二月でやっと議員生活が丸三年になりまして、私のような議員歴の短い人間がこうした予算委員会の場で質問に立たせていただきますことを、まずもって感謝を申し上げたいと思っております。

 引き続き、午後の一番から、冒頭から質問に入りたいと思いますけれども、この今回の柳澤大臣の一連の発言に関しまして、私のところにもさまざまな御意見が届いております。本会議でも、総理の方からも、適切ではなかったというような御答弁もございましたけれども、改めて私は、先ほど枝野議員の質問にもございましたけれども、とりわけ傷ついている方の多くは、やはり、持ちたいけれども持てない、持つことをあきらめざるを得なかった方々が多いのではないかと思います。そして、その中には、やはり女性だけではなくて、男性の方の、妻が持つことをあきらめざるを得なかった、大変僕も傷ついたという御意見もお聞きしました。

 そこで、率直に、まず総理にお聞きしたいと思います。

 総理はお子様がいらっしゃらないというふうにお聞きをしております。極めてプライベートなことではございますけれども、先ほどの、次に子供はいつなのか、早く子供を持った方がいいんじゃないかとさまざまなプレッシャーがある中で、ちょっとした励ましの一言が傷つく。実は私も、後段申し上げますけれども、国会議員として出産をした際に初めて産休というのをとりまして、さまざまに批判もあり、励ましもあり、いろいろなことを考えました。

 そういう中で、総理御自身のお気持ちとして、今回のこの発言に対して、傷ついたのではないかというふうに私は推測するわけでございますし、そのほか、与党内の女性の議員や男性の議員からも、問題である、傷ついたというお話が出たように思います。

 率直に、御自身の思うところで一言お考えを聞かせていただけたらと思います。

安倍内閣総理大臣 厚生労働大臣の当該の発言につきましては、極めて不適切な発言であり、多くの方々を傷つける結果となった、そのことに対しましては、大臣御本人も何回かおわびを申し上げておりますし、また、私もそういう方々に対しておわびを申し上げたい、このように思う次第でございます。

 と同時に、私はよく、柳澤大臣のお人柄、また政策の方向性について存じ上げております。柳澤大臣は、厚生労働大臣として、子供を持ちたい、あるいは結婚したい、そういう希望を持っている人たちがその希望をかなえられる日本にしていきたい、そういう思いの中で頑張って政策の推進に当たっているわけでございます。

 そしてまた、柳澤大臣の奥様は立派な職業を持たれた方でございます。また、お嬢様方も仕事を持っておられて、そういう方々の子育てに対しても、お孫さんを御本人が保育所に送っていったり、そういう子育ての支援も御本人がしておられるということも私も存じ上げております。ですから、そういう意味においては、発言自体は不適切ではあったわけでありますが、私は、目指している方向については誤りがないということは確信をいたしておるところでございますので、今後、常に国民の気持ちとともに厚生労働行政をしっかりと前進させていくことによってその職責を果たしてもらいたい、このように考えております。

高井委員 私も、柳澤大臣がすごくお孫さんを大事にしておられるお話、またお嬢様も職業を持っているお話、もう実は、うわさのレベルですけれども、お聞きをしたことがあります。だからこそ、なぜこういう御発言が出たのか、大変残念でございます。

 私は、三十分御講演があった話を当然全部は聞いておりません。しかし、発言要旨というのを、いろいろなところ、メディアの方からも手に入れました。その中の言葉でやはり問題なのは、産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申しわけないが、機械と言ってごめんなさいねと。さらに重ねて、産む役目の人が一人頭で頑張っていただくしかないと。その後続けて、一人当たりどのくらい産んでくれるかという合計特殊出生率が、今、日本では一・二六と。その後にさらに、二〇五五年まで推計したら、くしくも同じ一・二六だった、これを上げなくてはいけないというような御発言なのでございます。

 だから、機械というのは、当然人権的に問題があるということは承知の上であえておっしゃったわけですよね。そしてさらに、一人当たりどのぐらい産んでくれるかということで頑張ってもらわなくてはいけないというのは、少子化問題はあくまでも女性の側に問題があって、やはり一人頭で頑張るべきだというような考えが透けて見えることは、少子化の問題を、特に社会全体で支えよう、とりわけ男性の働き方も見直さなくてはいけないんじゃないかという議論がされている中で、こうした、一人頭で頑張っていただかなくてはいけないという発言は、とても少子化対策を進める上で問題があるんじゃないかというふうに私は思うわけですね。

 これは、そういう趣旨でおっしゃったんでしょうか。柳澤大臣、お願いします。

柳澤国務大臣 私の、去る一月二十七日、松江におきます講演で、人口推計のお話を申し上げるくだりで、女性と人口との関係につきまして、今先生御指摘の数々の不適切な発言をいたしまして、本当に多くの方々、特に女性の方々を大変傷つけてしまったということ、本当に申しわけなく思っておりまして、申しわけないとおわびを申し上げる次第でございます。深く反省をいたしているところでございまして、本当に恐縮でございました。

高井委員 今、どういう御認識でこういう発言が出たのかということをお聞きしているのであって、つまり、かなり強調しておられますよね、申しわけない、申しわけないとは言いながら、産む役目の人が一人頭で頑張っていただかなくてはならないと。

 つまり、少子化の問題、子供の問題自身がとりわけ女性にあるんだというような発言の趣旨であるならば、私は、大問題だというか、それは認識として違うんではないかというふうに感じています。だからこそ、とりわけ女性の問題として少子化問題をとらえて、それでこれから少子化対策をさまざまに進めていこうというのであれば、これは厚労大臣としてふさわしくないのではないかとあえて言わせていただきたいと思います。

 そうなると、だから、総理におかれても、任命されたわけですから、もちろん、こういう趣旨ではない、社会全体で少子化対策をしていこうという趣旨でおっしゃったのであればもっと言いようがあるのではないかと思いますけれども、そうではないかどうか、御確認をお願いします。

柳澤国務大臣 ここで、本当に不適切な表現あるいは発言をいたしたわけでございまして、不適切さかげんにつきましては私自身深く反省しておりますので、本当に、私のそうした反省の気持ちをぜひそのままお受け取りいただきたいと思います。

高井委員 済みません、謝ってくれと私は申し上げているのではなくて、発言の趣旨、それから、どういうおつもりで少子化政策を進めていかれるのか、つまり、なぜ少子化対策が必要だとお考えなのか、そこからお聞かせください。

柳澤国務大臣 男性にしても女性にしても、結婚をしたい、それから子供を持ちたい、こういうような希望というものがあるわけですが、今日までの実績を見ますと、非常に少子化が進んでいるということでございまして、そのよって来るところは、結局、希望と実態との間に乖離があるということでございまして、私どもは、その乖離がどういうところから起因するかということをこれからしっかり見定めて、そこに対して的確な施策をして、その希望と現実との乖離をできるだけ小さくしていくということ、これが少子化対策ということになろうと考えております。

高井委員 そうおっしゃる割には、この発言の最後には、一・二六まで特殊出生率が下がったからそれを上げなくてはいけないというふうにおっしゃっていますよね。

 そもそも特殊出生率を上げるのは何のためなんですか、大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。少子化対策というのは、要するに何のためにやるのだと。

柳澤国務大臣 先ほど申したように、一・二六というのが、今も現実なんですが、それが、二〇五五年においてもたまたまそういう数字になっている。今みんなが、我々の一致した考え方として、少子化が現実のものになりつつある、こういう認識でございまして、もし、日本の男性、女性が希望しているものがスムーズに、もっと高い確率でもってかなえられるという状況があれば、これが上がっていくだろうということでございます。

 では、少子化がどういう問題をはらんでくるかということについては、現在、労働力というようなものも当然これは比例して縮小してまいりますし、また、現実、我々の国の地域社会なぞも非常に変貌していくだろうということで、それも、余り望ましくない方向に変貌して、困ることが次々起こってくるというようなことが予想されるというようなことが少子化が現実になったときの事態であろう、これは避けることができれば避けたい、こういう考え方で申しているわけでございます。

高井委員 少子化という問題がとりわけ言われ始めて、一番最初に対策がとられたのは、一九九四年が、エンゼルプランといって、スタートでございました。それからはや十三年も超えております。既に社会はもう変貌してしまっていて、今の社会に合わせて制度が変わっていないから、ついてきてこないから子供が持ちたくても持てない環境にあるということを是正していかなくてはならない、だから少子化対策としてさまざまな制度や措置が必要である、そうなんだろうと思います。

 だから、一・二六を年金のために一・三九まで上げるとか、それが、数字だけが先に目標であってはならないと思うんですね。でも、この大臣の発言の中には、この一・二六を上げなくてはいけない、これこそ目標なんだというふうになってしまうと、結局、少子化問題をとらえる上で、だから子供を女性に産んでもらわなきゃという発想に逆になってしまうんだろうと思います。だから、今、現実的に産みたくても産めない環境にある方を産んでもらえるようにする。それは、さっき枝野さんからも質問があった、不妊治療のことでもあったり、さまざまな生殖補助医療のことでもあったりするとは思うんですけれども、あくまでも年金制度を維持するためとか労働力を維持するためというだけであると、こういう発想になってしまうんだろうと思うんですね。ぜひ、その点は御認識をしていただきたく思います。

 そしてもう一つ、二〇五五年まで推計したらくしくも一・二六になるというこの御認識は、これは公式見解なんでしょうか。三年前の年金の質疑のときには、たしか、先々は一・三九に上がるから百年安心だということで年金制度を改革されました。つまり、では、百年安心の年金プランは間違っていたということでよろしいんでしょうか。

柳澤国務大臣 昨年の十二月ですけれども、新しい人口推計をいたしました。その結果が一・二六ということでございました。

 以上でございます。

高井委員 引き続く質問にも一言お答えいただきたいんですけれども。

 では、年金制度改革、三年前の年金制度法案をこの推計に合わせてもう一回また改正しなくてはいけない、もしくは抜本的に年金を変えなくてはいけないというおつもりですか。あのときの、百年安心と言った年金制度は、もう既に、三年後に推計が合わないということをお認めになるわけでございますか。

柳澤国務大臣 あの平成十六年度の年金改革では非常に大きな改革が行われておりまして、保険料率は一定、一八・三%、厚生年金ですけれども、徐々に下げていく、それからまた給付については、調整率と申しますか、マクロ経済スライドということで、これをそれぞれの経済実態あるいは人口の状態に合わせて調節していく、そういう措置をとりました関係で、基本的に安定していくという見方をとっているわけでございます。

 そして、この中で、大体、所得代替率というものを五〇・二ぐらいを、ある特殊な例といえば例ですけれども、基本的なケースとして、そういうものを維持できる、こういう見通しを申したわけでございます。そして、それについては五年置きに、そうではあるけれども、それぞれの状況に照らして、本当にこの計算で今後とも五〇・二とかというようなものがちゃんと確保されるだろうかということを検証していきましょう、そういう法律制度になっているわけでございます。

 そういう中で、昨年十二月に新人口推計というものが出まして、皆さん、この新人口推計を年金のフォーミュラというか、公式に影響を持たせたら一体どういう結果になるだろうか、その試算をしてみたらどうだ、早くその試算を見てみたい、本当の、正式な意味の検証は二十一年度でいいわけですけれども、せっかく新人口推計が出たんだから、それを、今言ったように、年金のこの制度の中に移しかえてみたらどういう影響が出るかということを早く見てみたいというようなことがございましたので、今その作業を鋭意進め、既にその結果については発表をいたしたわけでございます。

 そういうことでございまして、それはもちろん検証ではありませんから、根っこからもう一回やるというのではなくて、この前のわかっている人口の状況と最近の経済の動向、それからその動向を将来、ラフに見通した場合のそういった経済条件というものを入れてみたところの試算をしてみたということを最近におきまして行いまして、これを発表させていただいたところでございます。

高井委員 多分、少子高齢化というよりも少子高齢社会に既になっていて、もう随分前から、こういうふうになるんではないかということは、もう二十年も前から恐らくわかっていたことだろうと思うんですね。だから、急いでやらなくては、急いでやらなくてはと言いながら、多分対策が後手後手に回ったことが、ここまで出生率が回復しないことの一つの原因であろうかと私は感じています。

 そして、柳澤大臣は、大変財政にお詳しい方でございますから、国民年金が空洞化していてこの間の年金制度改革だけではだめなんじゃないかというのは薄々おわかりなんじゃないかと思っています。だからこそ、年金制度を本気の意味で変え、この人口推計も間違っていたということが、間違っていたというか修正しなくてはいけないこともわかっているわけですから、ぜひ年金制度全般について、国民年金も含めた空洞化の問題にどうぞ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 年金のお話はこれでひとまずおいておきますけれども、さらにつけ加えて、先ほど、少子化対策が必要な理由、柳澤大臣はおっしゃいました。それで、さらに、きのうの記者会見、六日の記者会見でございますか、結婚したい、子供を二人以上持ちたいという極めて健全な状態、健全なというお言葉を使われましたけれども、子供二人を持つことが健全な状態という発言は、逆に言うと、それ以外は不健全であるというような御認識なんでしょうか。もう少し御答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 これはもともと、文脈的にいっても明らかなことですけれども、若者全体の状況について申し述べたということでございまして、個々の方々が、先ほど来申し上げますように、結婚をするかどうか、あるいは子供を持つかどうか、何人持つかどうか、こういうようなことは主体的にも完全に個人の自由の意思に基づくものである、そういうことであるということは、私は、ちょっと前ですけれども、国会答弁でもそのように申し上げておりますし、そういう考え方で、決して一人一人に対して、結婚をあるいは子供をというようなことで強制をしたり義務づけたりするというようなことが許される社会であってはならない、このように考えております。

高井委員 それならば、ぜひ御発言に御注意をしていただきたいというふうに思います。健全なという言葉をお使いになるだけでも、二人持てる、私は二人持つことができましたけれども、持ちたくても持てない、産みたくても産めない、例えば病気で子宮を失った人もやはりいるわけでございますから、そういうさまざまな国民に配慮して御発言を願いたいとお願いを申し上げます。

 一連の話を通じて、高市大臣、子供担当中心、また少子化政策の責任者としても、一言、この間の発言に対しての御意見をお願いいたします。

高市国務大臣 この間の発言というのは、柳澤大臣の発言ということでございますか。

 最初に、女性に対する例えに関しては、私も不適切な表現だったと思います。その後すぐに打ち消され、何度も謝罪もされ、そして、私は何よりも、柳澤大臣がふだんから私ども女性に対して大変敬意を持って接してくださる、身近に接する範囲でございますけれども、それも知っておりましたし、また自民党でも、社会保障制度調査会で活躍されて、福祉政策について、少子化対策についてもたくさんの発言をしていらっしゃいましたので、政策能力という面では大変信頼は申し上げております。

 今度、やはり、今まで政府の中でつくり上げてきた政策の中でまだまだ掘り下げが足りない部分ですとか、それから、実際に子供を欲しくても欲しくても産めない女性の方、そしてまた、産んだ後に孤独な子育てで苦労されている女性の方、たくさんのお声を今いただいております。掘り下げが足りない部分について、今度は、子どもと家族を応援する日本重点戦略ということでさらに深掘りをしていきたいと思っておりますので、精いっぱいこれには取り組んでまいります。

 現在、内閣府のホームページで、今既に実施されている施策ですとか、来年度の予算案、これが通りました後にスタートする施策なんかについて御意見を集めております。実際に使ってみて使い勝手が悪いとか、もうちょっと運用改善してくれたらいいのにな、こういった点を毎月二つずつ私の方でテーマを決めまして皆さんから御意見をいただいて、かなり分厚くなりますが、私、全部拝読いたしておりますので、できることから一つ一つ柳澤大臣と協力してやっていきたいと思います。

 やはり社会全体の空気も変えていかなきゃだめでしょうね。企業で幾ら制度があっても使えないですとか、それから、不妊治療している人に対して、休みをとろうといったってなかなか理解してもらえないとか、地域社会の中でもやはり支え合うための空気づくりというのは必要だと思いますので、精いっぱい取り組んでまいりたいと思っております。

高井委員 まさに社会全体で取り組んでいかなくてはいけない、だからこそ大臣の御発言には、ぜひ細やかな気遣いをいただきたいというふうに思うんです。そうしないと、新少子化対策をやるんだ、社会全体でやるんだと言いながらも、やはりこういうふうに女性を見ているんだということであれば、まさに産む側の女性である人間自身が信頼できなくなります。私も、個人的には柳澤大臣のことをよく存じ上げませんので、こういう御認識で政策をつくられるのであれば、たまったものじゃないなと最初思いました。

 高市大臣も、いや、政策通であるから御心配ないというふうにおっしゃいましたけれども、こういうお考えがぽろっと出てしまうというのは、やはり根本的に常にこういうふうにお考えになっているからだという部分もあると思います。健全なという、健全な状態であるということに対しての御発言は、高市大臣はどう思いますか。それは、二人持つことが健全であるという希望というのは、そうでなくてはいけないんでしょうか。多様な社会を許してもらえないんでしょうか。

高市国務大臣 結婚をするかしないか、それから子供を何人つくるか、もしくは産むか産まないか、これはやはり個々の御判断、考えられることですし、また、結婚したくても、例えば性同一性障害その他、結婚ができないというような状況の方もいらっしゃいますでしょうし、産むと決めても産めない、できないということもあります。これは、個々の価値観に立ち入られるようなこと、個々の御判断に政府が立ち入るべきことじゃないと思います。

 恐らく、私は発言した本人ではないので、私も議事録というのか発言録を拝見しましたけれども、各種の調査によると、若い方々の九割が絶対結婚したいと思っていらして、そして若い方々が結婚したら子供は二人以上欲しいと思っていらして、そういう社会の状態、今の社会の状態を、少子化対策を直接担当される大臣として、うれしいな、好ましいな、そんなふうに思われての発言だと思うんです。反対に、もう絶対こんな世の中では結婚したくないとか、結婚してもこんな世の中では子供を産みたくないとほとんどの若者が思っちゃったとしたら、それは大変残念なことでございますよね。社会のあり方について、今の状況についてのコメントであったと解釈しております。

高井委員 しかしながら、現実的には、産みたい人が産めていないという現実があって、出生率がどんどん下がっているわけですね。だから、多様な価値観を許すこと、ぜひ御発言に留意をしながら、使っていただきたいというふうに思っています。

 それで、一つ、生殖補助医療のことに関して、私は法整備が早急に必要ではないかというふうに思うんですね。

 つまり、今、夫婦の一〇%から一五%が不妊に悩んでおられるというふうに聞いております。男性不妊、女性不妊、不妊の原因が一対一であるというふうにあるところで拝見をしたんですけれども、少子化対策としても、生殖補助医療全般、今、何もルールがないですよね。それで、この前から、向井さんの件、それから長野で、子宮を失った自分の娘に、お母様が代理出産をしたというニュースもございました。

 現実的に、この生殖補助医療という形で、人工授精と体外受精で、とりわけ体外受精で生まれた子供たちが、今、一九八三年以降の累計では約十四万人ほどいるという話でございます。二〇〇四年だけでも約二万人近くが体外受精で生まれているということでありまして、本当に法的に問題になったケースはまだ少ないですけれども、潜在的にやはりいろいろな問題をはらんでおりまして、実際に、今、向井さんのケースは、その子供の立場が不安定になってしまっている。

 そして、この代理懐胎、いわゆる借り腹、体外受精のちょっと別の形としての借り腹制度、借り腹で産んだ子供の立場、それから母体の保護等、少し生殖補助医療に関して法整備が必要なのではないかと思いますけれども、ぜひ柳澤大臣としてこれは取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 いろいろな問題があるのでしょうけれども、まず、代理母の問題につきまして、我々のなしておりますことを御報告して、御理解をいただきたいと思います。

 代理懐胎につきましては、個人の倫理観にかかわり、かつ身体的な危険も伴う問題でありますため、平成十五年の厚生労働省の審議会報告におきましては、また日本産科婦人科学会の会告におきましても、これを実施すべきでないというふうにされているところでございます。

 平成十八年秋より、代理懐胎により外国で出生した子供の出生届の受理をめぐりまして裁判が起こりましたし、また、祖母による代理懐胎の実施の公表といったようなものが非常に、今先生御指摘のように、大きな話題になりました。こうした中、現在、立法府でも代理懐胎を含む生殖補助医療に関する議論が進められていると我々承知をいたしております。

 そこで、法学、医学、生命倫理学など、学術に関する有識者で構成されております日本学術会議という会議がございますが、ここで、私ども若干お願いをした背景もありまして、熱心に御議論をいただいておるというところでございまして、与党の御議論、それからまた日本学術会議での御議論、こういうようなものを今現在見守っているという状況でございます。

高井委員 確かに、これは生命倫理の価値観の問題も絡んで大変難しい問題だということは承知をしておるつもりです。しかしながら、先ほどの助産師の件でもそうでございますが、現実的にこういう子供たちが毎年毎年生まれている中で、やはり、ちゃんとした規制を、ルールをつくるということは一刻も早く急がれるべきだというふうに感じています。

 ぜひこれは前向きに検討していただきたく、私たちも議員立法で何か形を、ルールをつくるべきではないかというつもりで取り組んでおります。ぜひ、これは法務大臣にも一言御意見を賜りたいと思います。

長勢国務大臣 突然の御指名でございますが、今、議論の経過は厚生労働大臣から御答弁のあったとおりでございます。事は、そういうやり方があっていいかどうかという問題と、どうあれ、そういう形でお生まれになっている方がおられるわけですので、それをどう扱うかという問題、これが連係するわけでありますので、非常に国民意識全体の問題としても難しい問題だと認識をしております。

 今、学術会議等でも、医者だ、法律だというだけでなくて、いろいろな観点から御議論をいただいておりますので、各方面の御議論を踏まえながら我々も考えてみたいと思っております。

高井委員 難しい難しいと言いながら、現実がもう既にそうなっている以上、どんどん政治の場の方がおくれてしまっていることは大変残念でございます。やはり、この少子化対策でもそうですけれども、さっき申し上げたエンゼルプランから約十三年にわたって、恐らく累計では随分予算をつぎ込んできたのではないかと思います。それにもかかわらず出生率が下がり続けているというのは、やはり政策が、何か足りなかったのではないか、問題があったのではないか。見直さなくてはならないのではないかということを強く認識していただきたいと思います。欧米諸国の中ではかなり出生率が回復している国々もございますので、そういう事例も検証しながら、ぜひ、もっと本気で取り組んでいただきたいと切にお願いを申し上げたいと思います。

 次に、少し障害者自立支援法の件に移りたいと思うんですけれども、とりわけ私が心配しているのは障害児童のことです。

 この間、こういう施設利用者状況調査表というのが、たしか十一月十日に厚生労働省の方が都道府県に調査を依頼して、そして一月に回収をしておるはずでございます、きのうホームページにアップしたというお話もお聞きしましたけれども。

 この中で、「居宅サービスの状況について」という集計の中で、これは三十府県の集計でございますけれども、利用者負担を理由に利用を中止した者、児童のデイサービスだけで七十六名、そして、利用者負担を理由にサービスを減らした者も、児童のデイサービスだけで五百五十八人。これは、多分たったここ一カ月の集計だと思います。一カ月でこんなに多くの子供たちがサービスを受けられなくなってしまっている。とりわけ、療育通所に関しましては五十三人も中止をした。さらに、減らしたという子供たちが六百十二名。合わせると大変な数でございます。十月分の一カ月だけで約五%も利用率がダウンしているわけですね。この児童の福祉サービスにおいて非常にダウンの率が激しい、大きい。障害を持った児童が受けられるべきサービスを受けられていない、負担が重過ぎて受けることができない。保護者の方々は泣いておる方も多うございます。

 そこで、まずお願いをしたいんですけれども、この調査表、かなり分厚い調査表が私ども民主党からの依頼で県の方にも出されて、厚生省の方も出しておられると思うんですが、この調査表自体を早急に委員会の方か私どもにどうか出していただけませんでしょうか。

 これは厚生省としてぜひ答弁をお願いしたいんですけれども、これには生の、障害者自立支援法で何が困っているか、どうなっているか、実際の声が反映されているに違いないと思います。厚生労働大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 この調査は、前々から国会で御議論をいただきまして、そして、少しお時間をちょうだいしたいということをお断りしながら、ようやく全四十七都道府県の調査が同じ様式でもって調査できて、これがまとめられつつある、こういう状況でございます。

 したがいまして、もう一度数字等について精査をして、それは時間はかからないと思いますので、それができ上がった段階で国会にも御報告をいたしたい、このように思います。

高井委員 数字だけではなくて、書いてある要望事項等もぜひこの場で、この場でというか政治の場で、いろいろな法制度、サービスの不備とかを直すためにも、ぜひ早急に私どもにも見せていただきたいんです。これはぜひ早急に提出をしていただけるということを約束願えませんか。

柳澤国務大臣 何か調査をしている過程でこの個票を出すことについては、出した都道府県の方でちょっといろいろな御意向があるようですが、私としては、できる限り国会の先生方に実態を把握してもらうのが大事だと思っておりますので、できるだけ先生方が実態がわかるような、そういう取りまとめをして出させていただきます。

高井委員 ありがとうございます。

 この委員会にもぜひ提出をしていただきたいと思いまして、理事会でぜひ協議していただきたく思います。お願いします。

金子委員長 理事会で協議をいたします。

高井委員 そこで、そもそもこの障害者自立支援法において、なぜ子供が適用の対象なのかということをお聞きしたいと思っています。つまり、成人を対象としてつくられている制度ではないかというふうに思うんです。

 つまり、児童は保護者による保護が必要なわけですよね。そして、障害児には、とりわけその保護、保護というか、障害を持っていてもできるだけ普通の生活を送れるだけの条件整備をしてあげるのが、それは我々が批准しております児童の権利条約の趣旨からいうと必要だと思います。それにもかかわらず、成人と同じように利用料を、利用したければお金を払ってくださいと障害児童にもそれを負担させるのは、私は、そもそもこの障害者自立支援法の趣旨からいっても当たらないのではないかというふうに感じています。

 この点、とりわけ障害児を持つお母様方の、本当に費用負担がかなりふえて、子供と一緒に、もうこの子を連れて死んでもいいなどという手紙も来ておりまして、非常に悲痛な叫びがたくさん届いております。

 自立支援というくらいでございますから、就労を促す。子供は就労して稼げるわけじゃないわけですから、ぜひこの障害者自立支援法の対象から、利用したければお金を払ってくれという対象から児童を外すことを検討していただけませんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 この障害者自立支援法ができましたときに、施設から地域へというようなことで、一つの、今よりもできるだけよくしようという方向でこの制度を考えた。そのときに自立という言葉を使ったわけですが、これは必ずしも経済的な自立、もちろん就労支援というのも大きな柱ではあるんですけれども、そういうことでもない。

 こういうことがありまして、そして児童の方々についても、障害の負担というものを、世帯というか家族で全体として負担能力を見ていこうというのは、ほかの方にもずっと共通な考え方になっておるわけですが、そういったことで、御家庭の負担の能力に応じて御負担をお願いしよう、こういうようなことで、障害児をお持ちの家庭にも御負担をお願いするということになりましたが、また今回の特別措置でもって、さらに、特に児童の、通所をされる方々を中心として負担の軽減を一段と大幅にするということでそうした改善策を講じさせていただきましたので、御理解をぜひお願いいたしたい、このように思います。

高井委員 幾らその軽減措置をとられたといいましても、やはり三年間でしかない。その三年後、障害を持つ子供たち、障害を持った方々は、三年だけ障害があるわけじゃなくて、ずっと、一生障害とおつき合いをしていかなくてはいけない、生活していかなくてはならない。当然、三年後どうなるんだろうと、大変な負担と不安を感じているわけでございます。

 とりわけ、前回の改正によって、児童福祉施設に入っている子供たちで、なぜ障害児施設に入る障害児童のみが入所利用料を払わなくてはいけないのか、これは大変疑問に感じるところであります。

 今回の二〇〇六年の児童福祉法の改正にあわせてこの障害者自立支援法が子供の方にも適用になりましたけれども、障害福祉施設の中で障害児施設のみがお金を払わなくてはいけないようになっている、入所利用料を払わなくてはいけない、一割負担がふえたので。この点、障害児を持つお母さん方には大変重いというふうに思っています。一般の幼稚園や保育所に通わせるよりも障害児施設に通わせる方がずっとお金がかかるというふうに現実としてなっているケースも多うございます。

 ただでさえ、多分、障害児を持つ御家庭は、お母様がずっとついていなかったらいけなかったり、お父様がずっと子供のケアをしなければいけなかったり、働きたくても働けない状況の方も大変多うございますから。しかも、家族が、お金を持っている方に合わせて子供の分も払ってもらうという御答弁でございましたけれども、やはり障害児童の親は、普通は親の方が先に亡くなり、子供は残されるようになるわけでございます。そういう点から考えても、子供自身の自立というものを、かえって、お金がかかるから余り通わせられないということになってしまえば、阻害をしてしまうようになるのではないかというふうに私は思うわけですね。

 とりわけ子供の障害というのは、発達障害でもさまざまな身体障害であっても、子供というのは非常に柔軟なものですから、一生懸命リハビリをしたり、さまざまに療育施設に通ってエネルギーをもらったりする中で、障害が固定化されずに、少しでも改善していくようなケースもあると思います。

 そういう中で、負担がふえて行かせられないから泣く泣く通所を減らした、サービスをやめたという声が、たったこの一カ月間でもこれだけ多く来ているわけでございますから、ぜひそこら辺の御配慮をお願いしたいと思います。もう一度御答弁をお願いできますか。

柳澤国務大臣 先ほど、いろいろな措置による入所をされた施設に比べてというお話がございましたけれども、これはちょっと別の体系で、行政措置でもってそこにあえて入所をさせるということでございますので、ちょっと性格が違うということを御理解いただきたいと思います。

 それからまた、もう委員はつとに御承知でしょうけれども、通所の先も、今回、特別措置でかなり大幅な負担の引き下げをいたしましたが、そういうことを通じて、よりいいところを御自身で選べるという、措置と違ったそういう面もあるということをぜひまたここでも御確認をいただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、この障害児を含めて今度の障害者自立支援というものは大きな改革でございまして、そこここにいろいろなきしみがいわばある、できるだけそのきしみを拾って今回の特別対策でもって解消することに努めましたけれども、さらに、これを実施することによりまして、そこでいろいろとまた問題が出てこようかと思いますので、それらを、また次の見直しの機会がございますので、そのときにはしっかりと見直してまいりたい、このように考えておることをここで申し上げておきたいと思います。

高井委員 とりあえず予算措置が今回つきましたけれども、次の見直しまで、それまでに何人もの子供たちが少しずつ減らすことがあるんじゃないかということを懸念しております。

 次の、三年後と言わず、できるだけ早く見直しのことも検討していただきたい。ここまで大幅に予算を投入しなくてはいられなくなるというのは、よっぽどの事態ですよね。やはり法に大きな欠陥があったという御認識はあるのではないか、これは与野党を超えてあるのではないかというふうに思います。

 先ほど大臣は、よりまた別のサービスを選べるということで意義があるんだということもおっしゃいました。ただ、それは、やはり成人の話でございまして、子供とか、それこそ小さいお子さんでは、サービス、これを受けたい、あれを受けたいなんて比べたりできないと思います。まさに、親が選んでサービスを受けさせるわけですけれども、自立という、自身で選んで自身で利用して自身で成長していくという観点からすると、これは、子供は対象からぜひ外していただきたいというふうに思います。

 これは、この福祉の問題だけではなくて、少子化、少子というか子供の問題全般にかかわってくることだというふうに思いまして、例えば、乳幼児医療を無料化するという政策を国も進めておられるし、各市町村も取り組んでおられる。私の住む町も乳幼児医療無料化の拡大がなされましたけれども、それと同様に、障害児、子供も無料化、施設利用に子供だけは無料化していけるということをぜひ検討していただかなくてはいけないんじゃないかというふうに思っています。

 これについて御意見があれば、大臣にもう一度お伺いしたいんですが、ぜひ私は、ここで文部科学大臣に一言御意見をちょうだいしたいと思うんです。

 つまり、子どもの権利条約というのは、障害を有する児童の特別な必要を認めて、養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与えられるものとしというふうに、さまざまな援助は無償で与えられるべきだというふうに、子どもの権利条約、九四年に批准した条約にも書いてあるんですね。それにも少し、子供に、障害児童にのみ、利用すればするほど重い負担が増していくというのは、反するのではないかと思うんですが、いかが思いますでしょうか。

伊吹国務大臣 今の、福祉施設の利用のことについては私から申し上げるのはいかがかと思いますが、教育の分野においては、今は障害別にいろいろな学校をつくっておるのは先生御承知のとおりですが、これは、完全に同じ学校で、健常者と全く同じ学校で教育をすべきだという趣旨に最後は権利条約は向かうのは、当然なんですね。

 そこで、可能な限りと先生おっしゃったように、予算の制約というのは確かにございます。しかし、文部科学省としては、予算の制約はあるけれども、目指すところは、やはり御一緒の教育の場をつくっていくということが理想であるということはしっかりと受けとめてやっているということは、文部科学委員会等でも先生から御質問があって、お答えしているとおりでございます。

 ですから、障害のある人、障害のある子供には何の責任もないわけですから、納税者の理解を得ながら、権利条約の示しているところに向かって、現実の制約を一歩一歩乗り越えながら進んでいくという気持ちだけは、我々政治に携わる者は失わないようにしたいと思っております。

高井委員 まさに教育の現場で、予算の制約があって、学校に行きながらも福祉のサービスを利用してできるだけ社会に溶け込もうと努力しておられる子供さん方が多いわけですから、そこを軽減するということは必ず必要なことだと思います。

 伊吹大臣がおっしゃった納税者の理解というものに関して、これはまさに国会で、多くの議員が納税者に理解をしていただく努力をしなくてはならない。障害者政策というのは障害者だけの問題にとらえられがちですけれども、これこそまさに、弱い立場の人にいかに税金を割けるかというのは民主主義の尺度とも言えるものだと思います。みんなで弱い人を助け合いながら、そこにきちんとしたサービスを提供して、一緒に暮らしていける社会をつくろう、そのためにお金を使うということのコンセンサスをできるだけ得ていかなくてはならないと思います。

 今、障害者、精神障害、知的障害、身体障害、三障害合わせると約六百五十万人というふうに平成十七年の統計では出ておりますけれども、これは人口比にすると約五%です。ということは、多分、この委員室の中にも障害を持った方と常に接しておられる方は多いのではないか。私ごとですけれども、私自身も身内に障害者が二人おります。恐らく先生方の中にも障害を持っている子供さんや親族がおられたりする方もおいでと思いますから、ぜひ、この問題を我が事ととらえて、障害児童をできるだけケアするという方向で、負担がかからないように社会で助けていくということを御理解いただきたいと思います。

 むしろこれは、やはり本当は子供政策の主任担当大臣である高市大臣にお願いする方がよかったかもしれませんけれども、ぜひ、子供のことに関する、障害児童に関することによく目を向けていただきたいと心からお願いを申し上げたいと思います。

 高市大臣、一言、障害児の政策について、ぜひ御答弁をいただけたらと思います。

高市国務大臣 十分、委員がおっしゃっている意味は理解をいたしました。

 少子化対策でもそうなんですが、これからお子さん方の成長を社会で支援していくということに関しましても、とにかく、私たちすべてですけれども、人生一回きりでございますから、その方々が、すべての人々が夢を持ってそれを実現するために、その阻害要因が社会的にあるとしたら、それを取り除いていくというのは私たち政治の大事な仕事だと思います。

 今回の自立支援法に関する障害児の問題に関しましては、まずは、三年間で千二百億円という予算措置がございますので、これで十分に状況を見ながら、たくさんの方々の生のお声を聞きながら、先ほど柳澤大臣もおっしゃいましたとおり、不断の見直しをしていく、改善をしていく、この姿勢が大切だと思っております。

高井委員 まさにこの障害者自立支援法の根本的な問題は、障害が重い人ほど負担が重くなるということであると思います。

 応能負担から応益負担へということで変わったわけですけれども、つまり、障害を持った方がサービスを受けて、サービスをかりて普通に生活することは、それは益なのかどうか。まず、基本的人権を保障することでもあるわけですから、それは、能力に応じての負担をという形にぜひ変えていただきたい、趣旨自体も変えていただきたいと思います。

 障害を持った方がサービスで利益を受けるんだという考え方は、私は、根本的に間違っていると思うんですね。健常者と同じ生活を送れるだけの基本的なことを保障するのは、やはり国家としての責務ではないかというふうに私は感じているわけでありますので、ぜひその点も御検討をお願いしたいと思います。

 最後になりましたけれども、今回、児童虐待防止法、それからDV法も改正になります。そこで、徳島の吉野川市というところで、DVの保護観察中の方に配偶者の方が殺されてしまったという大変悲惨な事件が少し前に起きました。関係者の皆さんは、亡くなった配偶者の方が子供たち三人と一緒に新しい自立への生活を始めた中で殺されてしまうという事件でございましたので、とてもショックを受けております。

 こういうDVの被害者もそうですし、虐待を受けた子供もそうですし、障害を持つ方々もそうですが、自分が望んでそうなったわけではない、自分の責任でないのにこういう苦しい状態に置かれている人に対して、やはりきちんと配慮と施策を講じなくてはならない、ここにこそ国は支援の手を差し伸べるべきだというふうに感じております。

 そして、とりわけ児童相談所が、大変、今機能が重くなっている、子育て支援に関することも養育相談もさまざまに受ける中で、パンクしそうな状態で大変であるということを常々お聞きしております。それは恐らく大臣も総理も御承知だというふうに思います。

 今回、改正もありますけれども、その中でも議論したいと思うんですが、少子化対策というか子供政策の一環としても、児童相談所に対する機能強化、予算づけなどもぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、大臣の御答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 児童虐待の窓口であります児童相談所の機能については、本当に私ども大きな期待をかけているというのが率直なところでございます。

 私も視察に出かけてまいりまして、本当にその真剣な取り組みに感心、感銘を受けてきたわけでございます。そこでは、まず、とにかく先延ばしをしない、通報、情報を受けたら即座に対応していく。それから、出かけていったら空振りしない、絶対にその目的とする人にとにかく会ってくる。それから、いろいろな機関との間あるいは相談所の内部における連携、これについては絶対にすき間を与えない。この三つをスローガンに掲げて懸命に対応していらっしゃる姿に私は非常に感銘を受け、また力強く受けとめたわけでございます。

 この話は、私、先般一月末にありました、全国の都道府県からの、この関係の部局長会議でも披露をいたしまして、ぜひ抜かりなくやってもらいたいということでお願いもいたしておきました。

 今回の補正予算でも、児童相談所の一時預かり所の増設といったようなものについて予算を計上いたしましたし、また、来年度におきましては、児相の職員の増員等についても増強をしていくというようなことで、昨今の世相にかんがみて、やはり児相の人たちに頑張ってもらう、その基盤整備というものをしっかり我々させていただかなければならぬ、このように考えて取り組んでいるところでございます。

高井委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

金子委員長 これにて高井君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として総務省統計局長川崎茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 安倍内閣総理大臣以下、閣僚の皆様方に質問をさせていただきたい、また、質問の機会を与えていただきまして、委員長や与野党の理事に感謝を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 安倍内閣総理大臣は、「美しい国、日本」というビジョンを掲げられて各種の施策に当たられようとされていらっしゃいます。「美しい国、日本」という言葉は非常に美しい言葉であるというふうに思いますが、しかし、内実は、言葉だけが美しく、実は、切り捨てられようとしている人たち、地方や中小企業やあるいは弱い立場の方たちにとっては美しい国ではないのではないかということを論証していきたいというふうに思います。

 もちろん、私自身も、総理がおっしゃる成長というものについては大事なことだということは否定をいたしません。成長をしつつ、かつ、その成長によってもたらされるひずみを是正していく、すなわち格差を是正していく、それが政治の役目ではないか、そして、そのことが少子化対策にも資するものになるのではないかということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 まず、柳澤厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 昨日の閣議後の記者会見で、少子化対策として若者に安定した雇用の場を与えていかなければならないと発言をされているというふうに承知をしておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

柳澤国務大臣 速記録を別に持っているわけではありません、新聞記者会見ですから持っているわけじゃありませんが、間違いないと思います。

川内委員 若者に提供すべき安定した雇用の場とは正規雇用のことである、安定した雇用とは正規雇用のことであるということでよろしいでしょうか。

柳澤国務大臣 基本的に正規雇用のことであります。

 それで、ちょっと敷衍させていただきますが、最初に御党のことを申し上げてはなんですが、先般、私、演説を聞いておりまして、民主党でも、要するに管理者は競争をしろということですね。管理者でない人たちはできるだけ正規雇用というか長期雇用をしよう、これが民主党としての政策である、こういう演説を聞きまして、ああ、そんなに違うことを考えているわけじゃないんだなと思って、大変ある意味で傾聴しておった次第です。

 どういうことかと申しますと、私どもは、管理職とそれ以外という分け方はしません。やはり、創造的な仕事をする人たち、特にそのうちの、年収もそれだけに高くて、主体的な使用者との交渉等ができるというところまでを一つの区切りにしたい、こういうことでありますが、いずれにせよ、基本的に正規雇用であります。

 ただし、みずからの意思でもって、自分が都合がいいからといって非正規の例えばパートタイム労働だとか派遣になる人、これについては、これはもうそれがそのままとしてやはり安定的な雇用というようなことの範疇に入れても差し支えないのではないか。

 基本的には、正社員それから長期雇用である、こういうことを私としては考えております。

川内委員 私の聞いたことに答えていただけますか。

 大臣、少子化対策として若者に安定した雇用の場を与えることが少子化対策に資することであるというふうに政府として認識している、その場合に、安定した雇用とは正規雇用であるということでよろしいかということを聞いたのであって、働く側がパートやアルバイトでいいのだということはまた全然別個の問題ですから。政府として、少子化対策に資するのは若者に安定した雇用の場を与える、すなわち、若者に正規雇用の場をつくっていくことが少子化対策に資することであるというのはそのとおりでよろしいですね。もう一回答えてください。

 基本的にとか言われると、全部いいということになっちゃいますから。

柳澤国務大臣 私は、やはり労働者が望むところを実現するのがよろしいと思います。そして、安定した職場として若い人たちが正社員を望んでいるのが圧倒的な多数であるという認識を持っています。

川内委員 それでは、その安定した雇用の場、正規雇用の場で若い人たちが結婚をし子供を産みたい、あるいは生み育てたいと思うような年収というのは、政府として幾らぐらいだというふうに考えていらっしゃいますか。

柳澤国務大臣 これは、にわかに何かデータをもって私答える用意がございません。もう少しいろいろなことにブレークダウンしていただいてそれで御議論しないと、それだけでちょっと私もお答えすることはかなわないので、御理解をお願いしたいと思います。

川内委員 いや、政府の認識として、安定した雇用の場、正規雇用の場で若者を雇用していくというか働いていただくことが少子化対策に資するのであると。なぜかならば、低所得、所得が低い層については婚姻できない、結婚できない、したがって子供が生み育てられないという傾向があるからだということですよね。だから、正規雇用、安定した雇用が必要なんですよね。その場合にどのくらいの年収があればいいのかということについて答えられないというのは、本気で少子化対策として正規雇用の場が若者に必要だということを考えていないのではないかということを国民の皆様方から疑われるのではないかというふうに私は思います。

 大体幾らぐらいかということを私は聞いているんですからね。政府が幾らを保障しろなんて言っていないです。大体幾らぐらいがあれば子供を生み育てられる環境なのかということを聞いているんですよ。

 いいですか、少子化対策基本法にはこのように書いてありますよ。「もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくものではあるが、こうした事態に直面して、」少子化の事態に直面して、「家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、」これが、少子化対策基本法が政府にこれをやってくれと言っていることですよ。

 そのときに、では、一体どのくらいの所得があれば子供を安心して生み育てることができる環境になるのか。政府はこの環境を整備しなければならないと少子化対策基本法に書いてあるんですからね。にもかかわらず、その所得について、いや、調査しなければわかりませんというのでは、私は答弁になっていないというふうに思います。

 さらに、大臣、いわゆるワーキングプアという言葉がございますね、最近。働いても働いても生活保護の扶助基準にまで達する収入を得ることができないという人たちをワーキングプアというふうに世間では今呼んでいるわけでございますが、厚生労働省として、少子化対策を担当する役所として、ワーキングプアの実態について調査をされたことがございますか。

柳澤国務大臣 ワーキングプアについて、なかなか定義等も難しい、いろいろな見方があるんだろうと思いますが、私ども、関係する分野の各般の調査はたくさんあるわけです。それを今取りまとめまして、そして、何とか一つの像を析出して、それを中心にして、これからいろいろな施策を考えるに当たっても参考にしていきたい。各般の調査を取りまとめ分析する、そういうことを今鋭意やっているところでございます。

川内委員 若い世代の低所得が子供を生み育てやすい環境をつくっていくための阻害要因になっている、したがって、まず、その一番根本の問題であるいわゆるワーキングプアの皆様方の実態について各般の統計などを取りまとめ、その実態の把握に努める所存であるということでございますが、では、政府として正式に、ワーキングプアという、いわゆる生活保護の扶助基準にまで働いても働いても達しない方たちについて言葉をしっかり定義し、そして対策をとるということでよろしいですか。

柳澤国務大臣 先ほど言いましたような、各般の調査を取りまとめてどういう像を結べるか、我々も、ワーキングプアというものをしっかりつかまえて、そしてそれに対して施策を打っていきたい、こういう考え方を持っているわけです。同じ方向だと思います。

 そういうことで今調査を分析しているわけですけれども、その後において、これを克服していく、これを引き上げていく、底上げしていく、こういうようなことのための政策も並行して今検討している、これは必ずしも私が専任でやっているわけじゃありませんけれども、そういう作業中だということは私の立場からも御報告できるかと思います。

川内委員 先ほど高市大臣が、新しい少子化対策についての施策を準備中であるというふうに御答弁をされていらっしゃいましたが、今現在政府が動かしていらっしゃる施策としては、平成十八年六月二十日に少子化対策会議が決定をした「新しい少子化対策について」というものが今現在動いている少子化対策についての政策のメニューであるというふうに思います。

 それでは、今度策定される新しい政策のメニューには、少子化対策に資する政策として、ワーキングプア対策、ワーキングプアという言葉が果たして適当かどうかはわかりません、若年層の低所得対策とか、あるいは若年層の所得増大対策とか、言葉はいろいろあると思いますが、とにかくそういうものが政策のメニューに入るという理解でよろしいでしょうか。これは総理にお答えいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 今、川内委員もワーキングプアと言いながらちょっと口ごもるところがある、そのぐらい難しい概念です。というのは、少なくとも、若者だけに限るのも果たしてどうかという側面があり得ると思うんですね、中高年の人たちもいらっしゃるわけですから。

 そこで、今、私がちょっと勝手に触れさせていただいたわけですが、政府部内で検討中のものは、この人たちの所得レベルを少しでも引き上げる、そういう施策というのは何だろうかというアプローチであります。そして、少子化対策との関係でいえば、それが上がってくれば、にらんでいる少子化対策としても結果として有効になるということで、今現在は、そういう人たちの所得の底上げを図るということそれ自体を目的にしていろいろ施策を検討しているのではないか、このように思って横から見ておるところでございます。

安倍内閣総理大臣 この後担当大臣からも詳しく答弁をいたしますが、今、私どもが少子化に対しての新しい戦略について打ち立てていきたい、こう考えておりますが、今までも、少子化対策、エンゼルプラン、新エンゼルプラン、こう進めてまいりました。小泉内閣におきましても少子化に全力で取り組み、そして乳幼児の加算、あるいは、育児休業給付を四〇%から五〇%に引き上げる等々の対応をとってまいりました。

 さらには、我々、働き方を見直していく、労働法制等を含めて長時間労働を見直していく、お父さん、お母さん両方が子育てに参加できる、働き方を見直していく、あるいはもう少し家族と過ごす時間をふやしていく、そういう要素も大切ではないか。そしてまた、この労働法制を変えていく中において、パートと正規の均衡処遇等々の問題もあるわけでございます。

 そして、ただいま柳澤大臣が答弁をいたしましたように、全体としてやはり底上げを図っていくことによって、結婚しようあるいは子供を持ちたいと思っても、経済的な要因が障害となっている方々のそうした障害を取り除いていくためには、やはり底上げを図っていくさまざまなこれは対応が大切であろう、このように考えております。

川内委員 ちなみにこれは、柳澤大臣、厚生労働省の調査でも、配偶者や子供がいる割合、これは若年者雇用の不安定化の概況という調査資料ですけれども、おおむね所得の高い層に配偶者や子供のいる割合というのは多いわけですね。所得が低くなるに従って未婚率が高くなり、したがって、子供を生み育てることができないという状況になっている。低所得者層の増加が少子化の誘因ということが一つ言えるのではないかというふうに思いますので、ぜひ、今私が申し上げたことを踏まえて新しいプランをおつくりいただくように、これは、今総理からも御答弁ございましたけれども、お願いをしておきたいというふうに思います。

 ちなみに、きょう国税庁にも来ていただいているんですが、国税庁の平成十七年分の民間給与実態統計調査によると、年収二百万円以下の人が九百八十万人、年収ですよ、所得じゃないですよ、年収が二百万円以下の人が九百八十万人、三百万円以下の人が千七百万人。男性に限ると、二百万円以下の人が約二百四十五万人、三百万円以下の人が約五百五十五万人というふうにこの民間給与実態統計調査が報告をしています。

 これは国税庁に確認をしていただきたいというふうに思います。

加藤政府参考人 今先生の御指摘にございました国税庁によります民間給与実態統計調査、まず、直接お尋ねございました二百万円以下の方、平成十七年分では九百八十一万人でございますけれども、ほぼそのとおりでございます。以下のそれぞれにつきましても、先生の御指摘の数字でございます。

川内委員 さらに、総務省の就業構造基本調査というのがあるんですけれども、この就業構造基本調査によれば、働いているにもかかわらず生活保護水準以下の収入しか得られない人の人数というのは何人になるのか、御説明をいただきたいというふうに思います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの就業構造基本調査と申しますのは、年間収入それから個人の就業状態を調べるものでございまして、生活保護の水準がどうかということは全く調査しておりません。これは非常に難しい基準でございますので、大変恐縮でございますが、その数字につきましてはお答えすることができません。

川内委員 それでは、年収二百万円以下の人は何人いるというふうに総務省としては把握していらっしゃるんですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 年収二百万未満で、これは年齢を十五歳から三十四歳までと限定しておりますが、その有業者の数は約六百七十八万人となっております。

 以上でございます。

川内委員 驚くべき数字だと思います。十五歳から三十四歳の有業者で年収二百万円以下が六百五十万人近くいる。これで結婚して、これは少子化対策基本法ですよ、何回も繰り返しますが、この少子化対策基本法に書いてある政府の役割というのは、「子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、」というのが政府の役割である。そういう中において、今の日本の置かれている状況が、果たして子供を安心して生み育てることができる環境であるのかどうかということを御指摘申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、私は、柳澤大臣の一連の発言がなぜあのような発言になるんだろうということを考えてみたんですけれども、私たちあるいは政府の役割というのは、要するに、安心して生み育てることができる環境をつくること、そして、子供がひとしく心身ともに健やかに育ち、子供を生み育てる者が誇りと喜びを感じることのできる社会を実現することが政府の役割であって、出生率、あるいは産む、産まないは結果である。そこをあたかも目標のようにしていることが柳澤大臣の発言の根底にあるのではないかというふうに思います。

 政府の少子化白書というものが発表されておりますけれども、この少子化白書の中にこのような記述がございます。「二〇〇六年度の「骨太方針」では、「全力を挙げて少子化対策に取り組み、少子化に歯止めをかけなければならない」とし、「新しい少子化対策について」」、これは昨年六月二十日に会議決定されたものですが、「「少子化対策の抜本的な拡充、強化、転換を図ることが必要である」としている。新しい少子化対策では、「出生率の低下傾向を反転させる」という目標を設定している」というふうにこの少子化白書では書いてございます。

 この、出生率を目標にしてしまっていることが、政府の間違い、あるいは柳澤大臣の発言の根底にあるのではないか。結果なんです、あくまでも。

 政府としては、生み育てやすい環境をつくることが政府の役目であるというふうに思いますが、こういう、今せっかく「新しい少子化対策について」の施策を策定していらっしゃるということでございますので、このような誤った、誤ったというか、私はちょっと違うんじゃないかと思う、これは私の解釈あるいは見解でございますが、について、大臣としての御所見を賜りたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 そういうことかと思いまして、私としてはとにかく、ただ、念頭に置いて目標にするというのはやはり非常に問題がある。これは、私自身がかつてそのことをそのものはずばり厚生労働委員会で問われていまして、私は、目標にはしない、目標は設定しないと答えております。これは明確に答えております。

 それは、先ほど言った私の経験からも、それはしないんだということでございますが、今委員がおっしゃられたように、我々は環境を整備する。ただ、その場合に、では、環境を整備することだけは一生懸命やって、それで国民の税金を使って、何にも後のことは考えていないんだ、これはやはりおかしいんだろうと思うんですよ。やはり念頭には置いていないといけないだろう。こういうように、結果としてそうなるように環境整備に取り組むということだろうと思います。

川内委員 それでは、結果としてそうなるように環境整備に取り組むということでございますが、午前中の、私どもの同僚議員の枝野議員、最近、産婦人科の先生が大変に御苦労されていらっしゃるというか、産婦人科の医師も不足をしているということが言われるわけでございますが、例えば午前中の厚生労働大臣の答弁は、周産期医療体制について、効率化をして対応するというふうに再三にわたって答弁をされました。

 しかし、総理、この「新しい少子化対策について」という政府の紙でございますが、これには周産期医療についてどう書いてあるかというと、「産科医等の確保等産科医療システムの充実」と書いてあります。効率化することが充実することであるというふうには私は思いませんが、厚生労働大臣、今、産科医あるいは周産期医療を取り巻く環境というのは非常に厳しいものがあるというのは共通の認識だと思うんですね。であれば、効率化しているのだという言葉でそれを逃げるのではなく、この「新しい少子化対策について」という少子化対策会議決定にあるように、まさしく充実をしていくべきだ。

 それは、例えば、医師の臨床研修制度が大きく変わって、産科医に入ってくる方々が物すごく少なくなっているという状況もある、さらには、午前中、枝野議員がおっしゃられたように、産科医の訴訟リスクというようなものなどから産科医が敬遠される傾向にあるわけですから、それをまず解決していくための方策というものを、厚生労働省として、あるいは政府としておとりになるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 この「新しい少子化対策について」で先生御指摘の箇所かと思いますが、第一項目に「子育て支援策」、「1 新生児・乳幼児期」というのがありまして、その5番に「産科医等の確保等産科医療システムの充実」ということが書かれております。先生がおっしゃる充実という言葉も使われておりますが、私が……(川内委員「いや、政府が使っているんですよ、充実というのは」と呼ぶ)ごめんなさい、今御指摘になられた充実という言葉も使われていますが、私が先ほど来るる説明させていただいた医療システムと拠点連携システムという言葉もここで同時に使われております。

 私が効率化という言葉を使わせていただいたのは、マンパワーそのものをもちろん広げる努力もいたします。例えば、先ほどの助産師さんあるいは産婦人科医の女性のお医者さん、これを現役復帰していただくというような格好でそのマンパワーも広げますけれども、そこにもやはり限界があるということだし、また、高度医療にそれで対応できるかということもあって、拠点とそれに連なるシステムを充実することを申し上げたわけで、それを、ちょっと誤解が生ずる言葉だったかもしれませんが、限られたマンパワーで対応するという意味で効率化ということで言わせていただいたわけでございまして、御理解を賜りたいと思います。

川内委員 では、産科医療システムを、産科医療システムと僕が言っちゃいけないんです、周産期医療を充実するということでよろしいんですよね、私の理解としては。

柳澤国務大臣 今、先生と私との間で実態についてはそごがなかったと思いますので、それをもって、充実するという言葉で表現することで私としては結構でございます。

川内委員 きょうは柳澤大臣にちょっと集中的にお聞きをすることになってしまうわけですけれども、柳澤大臣は、一連の発言以外にも、大変昨今話題になりましたホワイトカラーエグゼンプション法案についても、最後まで、提出したい、あるいは提出すべきであるというようなことを繰り返し御発言されていらっしゃいました。

 このホワイトカラーエグゼンプションについて、柳澤大臣の諮問機関であります労働政策審議会の労働条件分科会の使用者側委員のある方が、ことし一月のある週刊誌で物すごい発言をしていらっしゃいます。昨日、質問レクをさせていただくときに、大臣にあらかじめこの記事を読んでおいていただけますかということで御担当の方にお渡しをさせていただいて、読んでいただいているものという理解で質問をさせていただきます。

 この方はこのようなことをおっしゃっていらっしゃいます。「自己管理しつつ自分で能力開発をしていけないような人たちは、ハッキリ言って、それなりの処遇でしかない。格差社会と言いますけれど、格差なんて当然出てきます。仕方がないでしょう、能力には差があるのだから。」「下流社会だの何だの、言葉遊びですよ。そう言って甘やかすのはいかがなものか、ということです。」さらに、「だいたい経営者は、過労死するまで働けなんて言いませんからね。過労死を含めて、これは自己管理だと私は思います。」「ハッキリ言って、何でもお上に決めてもらわないとできないという、今までの風土がおかしい。たとえば、祝日もいっさいなくすべきです。二十四時間三百六十五日を自主的に判断して、まとめて働いたらまとめて休むというように、個別に決めていく社会に変わっていくべきだと思いますよ。」「労働基準監督署も不要です。個別企業の労使が契約で決めていけばいい」、このようなことを、労働政策審議会の労働条件分科会、ホワイトカラーエグゼンプションを議論していた使用者側の委員の方が雑誌のインタビューに答えておっしゃっていらっしゃるわけですね。

 この考え方とホワイトカラーエグゼンプションの導入を、この方は当然ホワイトカラーエグゼンプション制度の導入推進派なんですね。推進派のこの方の見解と柳澤大臣の見解は一緒なんですか。あるいは安倍総理も、ホワイトカラーエグゼンプション制度を導入すれば少子化対策に資するんだというようなことを記者会見などでおっしゃっていらっしゃるやに私は新聞の記事で読んでおりますが、同じような御見解をお持ちなのかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 私、今、川内委員が御指摘になられた雑誌の記事は、読んだとまでは、見ました。ただ、真っ黒でございますからそう克明に読んだわけじゃないんですが、この雑誌の記事について論評するということは差し控えたい、このように思います。

 ただ、そこで述べられていること、記されていることについておまえどう思うかといえば、それはもう全く私どもの考え方ではございません。

川内委員 雑誌の記事については論評しないということでございますから、では、労働政策審議会労働条件分科会の議事録をコピーしてまいりましたので、それを読み上げさせていただきます。

 労働条件分科会の議事録がまだ昨年の九月の分までしかアップされていないので、早いところアップしていただくようにお願いをしておきたいというふうに思いますが、これは、このインタビューに答えていらっしゃる方の御意見です。

 「過労死まで行くというのは、やはり本人の自己管理ですよ。」「はっきり言って、労働者を甘やかしすぎだと思います。」このようなことをおっしゃって、議事録にこれははっきりと出ています。過労死は自己管理、要するに自己責任だとおっしゃっていらっしゃるわけですが、この方は、労働政策審議会の労働条件分科会の委員として発言をするときは特別職の国家公務員ですよね。

柳澤国務大臣 これは、単純な諮問機関の委員でございますので、公務員であるとか特別職の公務員であるとかということはないと思います。――私は、必ずしも、今申し上げましたように、非常勤の一般職の公務員、こういうこと。

川内委員 日本国憲法の九十九条に公務員の憲法遵守擁護義務というのがございます。日本国憲法二十七条を受けて労働基準法は制定をされ、日本国憲法二十八条で労働基本権というものが定められております。この方のこういう御発言というのは、僕は、柳澤大臣の一連の発言は辞任に値すると思います。辞任しなければならぬと思いますよ。しかし、経済財政諮問会議で柳澤大臣が、労働者というのは経営者よりも弱い立場にあるのだから、だから労働法制があるんだということを御発言されていらっしゃることに関しては評価します。そういう柳澤大臣が諮問する機関に、日本国憲法を無視して御発言をされる方が委員としていらっしゃる、しかもホワイトカラーエグゼンプションを推進されていらっしゃるということに関して、問題があるというふうにはお思いになられませんか。

柳澤国務大臣 私は、その発言自体が、もし執行者であれば大変な問題だと思います。ただ、諮問委員ということでございますので、余り御発言についてこれは憲法との関係でいかがかというような議論をわきでいたしますと、これはまた諮問機関の機能というものに対して果たしていい影響があるだろうかということについて私はかなり疑問を持ちますので、諮問委員の発言というのを余り縛りたくないという気持ちがございます。

川内委員 いや、私は、余りの暴論なので問題を提起しているわけです。基本的に私は発言は自由だと思いますよ。どんな発言であろうと、自由の国においてはその発言は保障をされなければならないと思います。しかし、ここは居酒屋じゃないんですからね。あるいは床屋さんでもない。労働政策審議会の労働条件分科会という、国の大事な政策を議論する場なんですね。その場でこのような暴論をおっしゃる方が、何を言っても自由なのよと、よとつけたことで女性だということがわかってしまったかもしれませんが、それを、いや問題ないのではないかとおっしゃるのは、私はちょっと違うのではないかというふうに思います。

 なぜかならば、二〇〇〇年の最高裁の判例によれば、過労が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務が使用者側にはあるということを最高裁は判示しているわけですね。経営側が職場の環境を整えなければならないということを言っている。たとえそれは取締役であっても、過労死の責任が会社にあるんだということを判示している判決もあるわけですね。

 そういう中で、過労死は自己管理の問題だ、労働者は甘え過ぎだと。このインタビューの最後に、何でこんなくだらないことを一々議論しなければならないのか、ホワイトカラーエグゼンプションの導入は当然だ、何でそんなことに一々目くじらを立てるんだということをこの方はおっしゃっていらっしゃる。私は、議論の公正さを欠くのではないかというふうに思います。

 これはなぜかならば、ではお伺いしますが、今私が申し上げたとおり、経済界の使用者側はホワイトカラーエグゼンプションの導入を大変強く望んでいらっしゃる。では、労働側というか働く側はホワイトカラーエグゼンプションの導入を望んでいるのですか。だれが望んだのですかということをお答えいただきたいと思います。

柳澤国務大臣 ホワイトカラーエグゼンプションについてちょっとだけどういうものかということを申し上げておきますが、現在でも裁量労働制というものがあることは御存じのとおりです。その裁量労働制の中で、企画、立案、調査、分析、このすべてをやる部署に属する者は、管理職から下のところはすべてがこの裁量労働制でございまして、深夜労働、十時からの労働でない限りは全く裁量労働になっているわけでございます。

 しかし何といっても、今言ったように、企画、立案、調査、分析をすべてやらなきゃいけないということからいきまして、この制度は存在しながら余り活用されていないという問題が実はあるわけです。

 そこで私は、企画、立案をもっと自由にやって、そして、あいた時間でどんどんビジネススクールや何かの研修もしてもらいたい、能力アップを図ってもらいたい、そういう考え方からこの枠を広げたいと思ったんですけれども、下まで全部含まれたのでは、これはもう労働強化になってたまらないだろうと。そこで私は、この年収要件をかますということで、もう本当に交渉能力をみずから持つ人たちだけに限ろうと。それから、今川内委員の御指摘のように、休息は一体いつとるんだという問題で、休日の百六日確保というものを強制的に、義務的に課す。

 こういうように、今言ったようなことが起こらないようにして、しかも、ホワイトカラーの人たちが本当にみずから自己啓発にも努められるし、また、家事や育児を協働できる奥様と、いや、こちらが奥様かもしれませんが、だんな様と協働できる、そういうようなホワイトカラーというものを日本につくっていくことが私はいい、このように考えまして、先ほど来言ったように、随分長く主張をさせていただいたというわけです。

 その労働について労働者側の要望があったかということでございますが、やはりこれは私どもの調査で、裁量労働制導入事業場の労働者でございますが、この企画業務型につきまして、やはり要望が二五%ほどございまして、これはかなりの率だというふうに見ておりまして、一応、このデータ的な根拠としてはこれを我々踏まえさせていただいたということでございます。

川内委員 厚生労働省の調査でとおっしゃいましたが、その調査の具体的な名称をお答えいただけますか。

柳澤国務大臣 厚生労働省、裁量労働制の施行状況等に関する調査、平成十七年、調査の回答時期は二〇〇五年三月末現在でございます。

川内委員 どういう方たちに調査をされたんでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、先ほど申し上げましたとおり、裁量労働制導入事業場の労働者でございます。

川内委員 サンプルはどのくらいですか。

柳澤国務大臣 今の二四・九%というパーセンテージで、自分の意思というか考えを表明した者が六百四十三名に当たります。

川内委員 六百四十三名の人がアンケートにそう答えているから、それが労働者側が望んだことであるとおっしゃるのは余りにこじつけが過ぎるんじゃないですか。単なるアンケート調査じゃないですか、それ、私も昨日拝見させていただきましたけれども。その中で一番多いのは、本来ならば正規雇用で働きたいけれども、正規雇用にしてもらえないから、仕方なく今の状況に甘んじていますという人が一番多いんじゃないですか。

柳澤国務大臣 一番パーセンテージとして多いのは、特になしという、考えがないというか、要するにDKとすべき人たちではないかと思います。

川内委員 いずれにせよ、安倍内閣総理大臣も本会議の演説でこのようにおっしゃっていらっしゃいます。「最近の非正規雇用の増加傾向は、経済・産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきていることが一因と認識しています。」と。

 最近の非正規雇用の増加は、労働者側は余り望んでいることではないと思いますよ。正規雇用が非正規雇用に置きかわってきているから仕方なく非正規雇用になっているというのが労働者側の正直に感じているところであって、労働者側がホワイトカラーエグゼンプションをぜひ導入してくれと、何かそういう要望書とか、あるいはそういう団体の陳情とか、あるいはそういう集会に厚生労働大臣が招かれたとか、そういうことは一切ないでしょう。どうですか、大臣。

柳澤国務大臣 これは本当に私の抜かりといえば抜かりなんですけれども、最初から残業代ゼロなんて言われちゃいまして、全然もう誤解が横行してしまったということが背景にあろうかと思います。年収でいうと四百万以上、四百万というのは、恐らく平均のフルタイムワーカー、常用の雇用者だと思いますが、その人たちまで全部この対象になるなどというような報道等がなされまして、それがみんなの理解となりまして、我々はこの曲解の打開に非常に努めたんですが、力足らずしてそういうことにはなりませんでした。

 そういう客観情勢を反映してだろうと思いますが、だれも、このことをよく聞いてみようというようなことで私にもお呼びかけが残念ながらなかったということでございます。

川内委員 いや、私が申し上げているのは、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を望んでいるのは経済界であって、働く側はだれも望んではいないということを申し上げているんです。だから、大臣が、いや、これは導入すれば働く側にとってもいいのだという御主張はわかりました。

 しかし、これまでの労働法制の規制緩和によって起きていること、午前中、枝野議員が指摘をしたように、経団連の会長であり、経済財政諮問会議の民間議員の一人であるキヤノンの御手洗会長のお会社でさえも、偽装請負ということを指摘されるわけですね。経営者は、会社の利益を最大化することが経営者としての役目であって、それを私は否定しません。その利益を最大化していくことが経営者の役目であって、だからこそ、労働法制というものがあって、働く方たちの権利あるいは環境というものを制度的に担保していかなければならないというのが、憲法二十七条や二十八条、あるいはその憲法によって委任されている労働法制の役割であるというふうに思うんですね。

 そういう中で、労働に関する規制を緩和するのに、労働側から、働く側から何にも要望もないのに、いや、これは働く者にとっていいんだ、いいんだというのは私は無理があるというふうに思います。

 総理は、ホワイトカラーエグゼンプションを導入すれば少子化対策に資するというふうにおっしゃっていらっしゃいます。今国会には出さないということのようでございますけれども、私は永遠に出してはならないというふうに思いますが、永遠にという言葉は悪いですが、今、こういう日本の経済状況の中で出すのは当分の間おやめになられた方がよいというふうに思いますが、総理の御所見を承りたいと思います。

安倍内閣総理大臣 答弁する前に、私は、いわゆる自己管理型労働制、ホワイトカラーエグゼンプションと言われておりますが、この自己管理型労働制が少子化対策にいいということを言ったことは一回もありません。それはまず、私はそんなことを言ったことは一回もありませんよ……(川内委員「新聞記事は」と呼ぶ)間違いです、間違いです、全く間違い。よく間違いがありますからよくそれは留意をしておいて、新聞記事といえども間違いと勝手な理解がありますから、よく留意をしておいていただきたいと思います。

 私はそのときに、働き方一般について、少し日本人は働き過ぎではないか、このように答えました。長時間労働については見直しをしなければいけない、その中において労働法制を見直していかなければいけない、働き方一般については、働き方を考え直していくことは少子化の観点からもいい、こういう議論をした、こういう答えをしているわけであります。それはもう調べてみていただいても結構だろう、このように思います。

 そこで、自己管理型労働制については、ただいま厚生労働大臣が御説明をいたしましたように、基本的に比較的所得の高い方々でございまして、いわゆる非正規の方々を全く想定はしていないんだろう、このように思います。基本的には、比較的収入の高い方々を対象としている、そして、自分たちで働く時間も自己管理的に決めていくこともできる。もちろん、労使双方でこれは話し合いがなされて了解がなければなりませんし、本人の了解もなければならないし、またあるいは、自己管理型労働制の中に入らないとキャリアアップできないというようなプレッシャーがあってもならないのは当然であろうと。その中でさまざまな働き方が模索できないかという中において、自己管理型労働制ということを政府としても考えたわけであります。

 ただ、働き方については、これはやはり国民一般の理解がなければうまく運用ができないわけでありますし、法律の趣旨にのっとって、これは、結果としてそれぞれが生活をしていく上においてプラスになるようなそういう制度としてこれを進めていくことも難しい。まずは国民の理解が必要である。現段階では、残念ながら国民の理解は十分に得られていないという状況であります。

 今後、政府・与党でよく議論をしながら、さらに国民の皆様に御理解をいただく努力をしなければいけない。もちろん、法律を出すことありきではなくて、まずは国民の皆様の御理解を得ることに力を注いでいきたいと思います。

川内委員 国民の皆様方の御理解という言葉が出ましたので、その国民の皆様方の理解という言葉をちょっと詰めさせていただきたいんですが、私が申し上げたとおり、今現在ホワイトカラーエグゼンプションを政府が導入しようとしていることの根拠は、単なる、今やっと私もいただいた資料を見つけましたけれども、平成十七年度労働力需給制度についてのアンケート調査、これらのアンケート調査の中で幾つかパーセントがあったということを根拠にしているわけで、労働者、あるいは労働界、あるいは労働者のグループなりから実態としてホワイトカラーエグゼンプションを導入してほしいという要望があったわけではないということでありますから、国民の理解というのは、そういう労働者側からの要望が今後あるという理解でよろしいかということを柳澤大臣に確認させていただきたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 いろいろ統計データを引用されてのお話でございますけれども、国民の理解という今総理がおっしゃったことは、私も、今後とも最大の配慮をして国民の理解を得るように努めていかなきゃいけない、これはもう当然のことだというふうに思っておりますが、それが即具体的に、労働側からの何か要望がないといけないということと解していいか、あるいはそう解すべきではないか、これは、ちょっと私として今ここでお約束はできません。

 もうちょっとつけ加えさせていただきますと、要望という形ではないけれども、労働側の方々も納得する、理解をしている、こういう状況があれば、いろいろな形でそれをこちら側がはかることができれば、私はそれで足りるのではないか、このように考えております。

川内委員 働く側の理解、納得がなければ、国民の理解とは、働く側の理解、納得であるという御答弁であったということでよろしいでしょうか。ちょっと確認をさせてください。

柳澤国務大臣 働く側の理解と納得を得て、さらにまたほかの方々も含めて国民の理解を得て、私どもとしてはこの政策を推進したいということでございます。(発言する者あり)

川内委員 いや、本当に私の質問などはもう早く終われとお思いになられているかもしれませんが、もうちょっとで終わりますので、もうしばらくお聞きをいただきたいというふうに思います。

 要するに、私がなぜ働く側の思いというか、働く側の要望なり考え方というのが大事だと申し上げるかというと、先ほど申し上げたキヤノンの偽装請負、これを御手洗さんは、経済財政諮問会議の中で、労働者派遣法が悪いんだ、法を改正すべきだということを御発言していらっしゃる。

 さらに、昨年十一月三十日の第二十七回経済財政諮問会議で甘利経済産業大臣が、さらにそれを裏づけるかのごとくに、「現在の派遣・請負制度は製造現場の実態と乖離しており、製造業の国内回帰に水を差しかねない。発注者から請負労働者に対する指揮命令については、以前も話が出たが、製造現場の実態を十分に踏まえた上で、安全を確保する責任を発注者が負うことを前提に検討を行うべきではないか。」という御発言をされていらっしゃいます。

 派遣法にのっとってきちんと派遣していれば、現場で指示、命令できるわけです。現場で指示、命令できるわけです、派遣法にのっとっていれば。それを、長期雇用にしたくないから、請負で偽装請負をするからおかしな話になるのであって、この甘利大臣の発言は、私はちょっと適切さを欠く発言ではないかというふうに思います。

 このような形で、やはり使用者側というのは力が強いですから、法律を変える力を持っているわけですよね。そういう方たちの意見に余り流されてしまうと、かえって国全体の公正さを欠くことになるのではないかというふうに思うんですが、ちょっと甘利大臣の御見解を聞きたいと思います。

甘利国務大臣 経済財政諮問会議の議事録は公開されていますから、お読みになった上でのお話だと思います。

 お読みになっていらっしゃらない方もいらっしゃると思いますが、これは、前段にキヤノンの御手洗さんからどういう問題提起があったかといいますと、派遣は、指揮監督権がこちらにあるから問題はないと。請負のことについておっしゃっていますね。請負は受け入れた先で指揮命令してはいけないとされている、これにより仕事を教えることも禁止されていると。例えば何か突発的な事故があったり難しいことがあったりすると、その現場で雇っている方が教えるというのは当たり前で自然の流れだけれども、今の勧告ではできないということをおっしゃったわけなんです。

 それで、私はどう申し上げたかといいますと、そのさっきの発言の前段で、フレキシビリティーを確保する、つまり、生産が乱高下する部分について正規社員で対応できない部分については、派遣、請負を活用するということは国際競争力を担保する上でも合理性がある、ただし、安直に低廉な労働力を求めることのみを動機とする派遣や請負の拡大は不適当と思えると私は言っているのであります。

 その後段は、先生がおっしゃったとおり言っておりますが、乖離というのは、つまり、この前の段に、何か突発的な事故があったり難しいことがあったりすると、それすらできない。しかし、安全管理の施設整備については義務を負うんです。ところが、働き方については、これは請負の話ですけれども、先方が管理責任を負っていますから、そうすると、こうした方が安全であると言うことすらできないということであれば、私は危険ではないかという思いで言っております。

 それから、派遣については、つまりフレキシビリティーとモチベーション、これを両方維持することが大事なんです。ところが、現場で派遣の人に監督者がいろいろモチベーションを上げようとしても、いつまでここにいるかわからないというのでは上がりません。そういう意味で、派遣の方は、乖離というよりも課題がある。片や課題があって、片や、現場で安全管理その他でやろうとしてもシュリンクしてしまう。これは問題があるのじゃないかと。

 その後言っているのは、ただし、いいとこ取りはだめですよとくぎを刺しているつもりです。つまり、指揮監督権だけをもらって責任は残ったままよというのじゃなくて、一緒に責任もついてきますよと。だから、指揮監督権をこっちに持ってくるんだったら、それに関連する責任も一緒に来ますからねということでくぎを刺しているつもりであります。

川内委員 今、随分丁寧に詳しく御発言についての御説明をいただいたわけでございますが、一言で申し上げれば、要するに、派遣にすれば何も問題ないわけで、それを請負という形で安直にやろうとするから偽装請負だという指摘につながっていくわけで、私は、都合の悪いことは法律を変えればいいのだ、あるいは法律を変えるんだというような経済界の要望に、そんなに政府が簡単に乗ることはないというふうに信じておりますけれども、ぜひぜひこの経済財政諮問会議での議論というものには気をつけていただきたいというふうに思います。

 私の時間がそろそろ終わりますので、予算委員会はまだ長く続きますから、今後、閣僚の皆様方としっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。私は、成長も大事だと思います。しかし、成長に伴う格差を是正し家計を豊かにする、それが持続可能な社会をつくっていく大前提であるというふうに思います。大企業が豊かになれば地域や家計もあるいは中小企業も豊かになるといういわゆる上げ潮路線というのは、順序が逆ではないか、順番が逆ではないかというふうに思います。

 ある程度これは、財務大臣、済みません、お休みのところ。平成十八年の十一月二十二日の財政制度等審議会の平成十九年度予算の編成等に関する建議でございますけれども、この中で、「マクロ的に見れば、国の財政が民間の過剰債務を肩代わりすることによって、民間部門におけるバランスシート調整が進められてきた。」国の財政というのは、要するに国民負担ということですよね。それでバランスシート調整、要するに雇用と設備と債務、三つの過剰のバランスシート調整が進められた。これは、国民の負担によって経済界は回復したと私は解釈いたします。

 であれば、ある程度、政府は、イザナギ景気を超える景気拡大期間を観測しているんだと言うのであれば、そして今後も安定的な成長軌道に乗せていくのだと言うのであれば、家計を豊かにする、そのことによって消費が、内需が喚起をされて大企業も潤う、持続可能な社会になるという、発想を全く逆にすべきではないかということを最後に主張申し上げ、そういう視点でずっとこの予算委員会で閣僚の皆さんと議論をさせていただくということを申し上げさせていただいて、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

金子委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山洋子君。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 私は、民主党の中で男女共同参画推進本部の本部長代理も務めております。この少子化への対応と男女が平等であること、男女共同参画というのは同じ根の問題だと思っておりまして、その点から、今回の一連の柳澤伯夫大臣の御発言は大変本質的な問題だと思っております。

 私はちょうど四人目、今回のこの集中審議の民主党の中で最後の質問者でございますので、これまでお答えになった部分につきましても、もう少しお答えいただきたいと思っているところも含めて、質問をさせていただきたいと思います。

 とにかく、この一連の柳澤大臣の発言には全国の女性たち、そして多くの男性たちも怒っています。いろいろな世論調査がございますけれども、どれを見ても、七割から八割が柳澤大臣はおやめになるべきだと言っています。すぐに言い直したからいいではないか、そういう話もありますが、謝って済むことと済まないことがあります。私も長年、言葉で仕事をしてまいりましたが、幾ら謝っても、覆水盆に返らず、本質的な問題の場合には、謝ったことでは事は済まないわけでございます。

 決して、一部の方が言われるような言葉じりをとらえているとか言葉狩りとかいうことではなくて、これは本当に日本にとって最も最重要課題とも言える少子高齢社会への対応、その責任者の方が本当に本質的にどういう考えをお持ちの方なのか、その資質の問題とかかわっているから、みんな怒っているし、大きな問題になっているという御認識をしっかりまず持っていただきたいというふうに思います。

 その上で、やはりなぜその少子高齢社会が問題かといいますと、言うまでもなく、社会保障制度、税制、それから財政、経済、労働、外国人労働力に頼らなければいけない部分なども出てくるでしょうから、そういうことも含めた外交など、あらゆるこれからの日本の社会にとりまして最重要課題なのだと思っています。その責任者の認識が問われているということです。

 海外でも随分いろいろ報じられておりますので、後で少し御紹介したいと思いますけれども、海外からは、こうした人権問題でこのような発言をした場合は、自分の国ではみずから即刻やめるのが常識だというふうにも言われております。私は、やはりこれからの最重要課題を建設的に審議するためにも、ぜひ柳澤大臣はおやめになるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 一月二十七日でございましたが、私が島根県松江市で行いました講演におきまして、人口推計の御説明を申し上げるくだりで、女性と人口にかかわる話の中で大変不適切な発言をいたしまして、女性の方、さらには国民の皆様方に、大変心を傷つける、申しわけない発言をいたしました。私は、そこでもおわびをしたとはいいますが、ここで改めて深く深くおわびを申し上げる次第でございます。深い反省の上に立って、与えられた任務を遂行してまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 また個々の御発言については後ほど詳しく伺っていきたいというふうに思いますけれども、先ほど申し上げたように、おわびをすれば済むということではない。思っていたから言葉に出るので、言葉というものは思わなければ出てくるものではありません。そういう意味でも、やはり私どもはおやめになるべきだと思っております。

 そして、こうした大臣を任命された安倍総理の任命責任も大いにあるのではないでしょうか。安倍総理は再三、そのまま職責を全うしてほしい、柳澤大臣を守るという御発言をされております。ということは、私だけではなくて、多くの女性からいろいろ意見が寄せられておりますが、安倍総理、そして安倍内閣の基本姿勢がそういうことと共通点があるのではないか、だから切れないのではないかというふうな言い方もございますけれども、罷免をされるつもりはございませんか。

安倍内閣総理大臣 柳澤厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言であったと私も思います。多くの方々を傷つける結果になったことに対しましては、私からもおわびを申し上げたい、このように思います。

 ただ、ただいま委員が御指摘された、柳澤大臣が当該発言の、そういう考え方を持っているのではないかという御指摘でありましたが、そうではないということは、この審議を通じて私は明らかになっている、このように思うわけでありまして、また、安倍内閣の方針とそれは方向性が同じだからという指摘は全く当たらないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

小宮山(洋)委員 安倍総理は、代表質問の中で、これは一月二十九日の衆議院本会議ですけれども、小沢代表、そして松本政調会長の質問に対して、「私としても、不適切な発言と考え、今後誤解を生じないように大臣に厳しく注意を促したところでございます。」というふうにおっしゃっています。

 誤解というのは、結局これは国民の方がその解釈を誤ったということかと思うんですが、これは誤解ということでよろしいんですか。

安倍内閣総理大臣 それはまさに私の誤解という言葉を委員が誤解をされているんだろう、このように思います。

 私が誤解と申し上げましたのは、まさに先ほど委員がおっしゃったように、私の内閣の方針を誤解されないように、しっかりと我々が少子化に対してどういう政策を持っているか説明をしていかなければならないということでございます。

小宮山(洋)委員 いや、これは本会議場で聞いているところでは、厚生労働大臣の発言についておっしゃっているとしか思えないのですけれども、安倍内閣としては、内閣全体が発足されて四カ月余り、今五カ月目に入ろうとしているんでしょうか。昨年には佐田大臣がおやめになり、これは閣僚ではありませんが、税調会長の本間さんもやめられ、そして今回の柳澤大臣の発言、また事務所費をめぐる伊吹大臣や松岡大臣の問題、さらにアメリカのイラク政策をめぐる久間大臣や麻生大臣の発言など、たがが外れているのではないかと評されております。総理のリーダーシップが見えないという話もあります。内閣改造ということが、幾ら否定をされても、世間ではいろいろ言われております。支持率も下がる一方だと思いますが、安倍内閣としては、これからどのようにして立て直していかれるんですか。

安倍内閣総理大臣 政治は結果を出していくことが一番大切である、私はこのように考えております。昨年の臨時国会においても、教育基本法の改正、あるいは防衛庁の省昇格、地方分権改革推進法等、国づくりの礎となる法律を成立させることができた、このように思っております。また、補正予算、そして十九年度予算におきましても、我々が財政規律をしっかりと守っていく、財政再建を行っていくという意思を込めた予算をつくることができた、こう考えているところでございまして、今後とも自信を持って政策を遂行してまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 今、衆議院では与党が七割を、郵政復党組も含められますとなっておりますので、総理がリーダーシップを発揮されなくても、与党多数ですから法律というのは成立していくのではないかというふうに思います。

 これから一つずつ柳澤大臣の御発言について、私は、先ほど申し上げたように、わびれば済むという話ではないと思いますので、その本質について質問を一つずつしていきたいというふうに思います。

 まず、一月二十七日、松江市での自民党県議の決起集会での発言、それがそもそも発端になっているわけですけれども、十五から五十歳の女性の数は決まっている、産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないということですね。

 おわびを再三されていますけれども、何が悪かったということでわびていらっしゃるのかを伺いたいと思います。午前中の枝野議員の質問に表現が悪かったと答弁をされていますが、表現が悪かったということではないのではないかと思いますが、お答えください。

柳澤国務大臣 ただいま委員が例示をされたようなことにつきましての私の発言が不適切であったということで、心からおわびを申し上げます。

小宮山(洋)委員 今のではお答えになりません。何が悪かったかということを具体的にお答えください。

    〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕

柳澤国務大臣 今、委員が御指摘というか、私の発言どおりかどうか、私は速記を別に保存しているわけではありませんのでわかりませんが、趣旨としてはそうした趣旨のことを、その放送した表現のもとで申し上げたかと思いますが、いずれにしても、それらの表現、発言は適切を欠いており、心からおわびを申し上げているところでございます。

小宮山(洋)委員 女性を産む機械、装置と言うことは……(発言する者あり)言葉狩りではありません。これは基本的な考え方の問題です。女性を産む機械、装置とそこで例えとして言われたということは、全く思っていらっしゃらないことが言葉に出るとは思いませんので、やはりどこかに、人口政策の対象、道具と女性を考えていらっしゃるということではないかと多くの女性が感じております。その点についてお答えください。(発言する者あり)柳澤大臣に伺っているので、後ろの方は黙ってください。

柳澤国務大臣 ただいま先生が御指摘になられた点を含めて、大変不適切な表現、発言をいたしたことを心からおわびを申し上げます。

小宮山(洋)委員 それはそういう考えをしているから出てくる言葉なのです。

 さらに、一人頭で頑張ってもらうということについては先ほど高井議員が伺いましたけれども、女性が頑張っていないから少子化になっているという考えは全くお持ちでないということでいいんですか。そうであれば、どうしてこういう表現になったんでしょうか。

柳澤国務大臣 今、先生御指摘の表現、発言を含めて、御指摘のくだりなぞにつきましては、本当に申しわけなく思っておりまして、心からおわびを申し上げます。

小宮山(洋)委員 おわびはもう結構なんです。どういうことでおっしゃったかということを言っていただかないと、柳澤大臣にその責任者としての資質が問われているわけですから、しっかりそこはお話をいただきたいと思っています。

 そして、再三話に出ているように、このことで多くの人が傷ついている。それは、不妊で苦しんでいる人やら事情があって子供を持てない人のことなどをどう思っているかということなんです。子を持つかどうかということは、非常に心の機微に触れる、繊細な配慮なしには口にしてはいけないこと、それを、そういう配慮なしに、あるいは、心の底からではないとおっしゃっていますけれども、どこかでそういう潜在的な意識があるからこういうふうに発言をされた。そういうことに気がつかない、配慮できないという方は、やはり私は資質に欠けると思うんですが、いかがでしょう。

柳澤国務大臣 その点につきましては、委員は、ぜひ、十月二十五日衆議院厚生労働委員会における私の答弁も御参照賜りたいと思います。

小宮山(洋)委員 今回の発言についてはそれ以上おっしゃることはないということのようでございますから、この発言が明らかになりました翌日、一月二十九日月曜日の夕方に、参議院の厚生労働省政府控室で超党派の女性議員十六名が辞任の要求をいたしました。署名自体は二十八名がしておりますが、参加したのが十六名でございました。

 そのときの柳澤大臣の発言をメモしてございますけれども、ここでまた幾つか問題の御発言をなさったんですけれども、それは認識をしていらっしゃるでしょうか。

柳澤国務大臣 私も、女性の議員がそろわれて、ただただ恐懼しておわびを申し上げていたということでございまして、当時の発言についてはつまびらかに記憶をいたしておりません。

小宮山(洋)委員 その中で柳澤大臣は、報道から皆さんがそう受けとめられるということはわかる、皆さんにおわびする、報道がこういうふうにしたから皆さんにおわびをするというようなことをおっしゃって、発言は私の女性観、女性に対する思いではないというふうに再三おっしゃいまして、家内も働いていて、娘たちにも男性と同じ教育を受けさせて、成人して社会参加をしていると言われました。

 今私が引用したところで、どこが問題かおわかりですか。

柳澤国務大臣 ただただ、不適切な言葉を使用したのではないかと恐縮いたしております。

小宮山(洋)委員 娘さんたちに男性と同じ教育をした、女性に男性と同じ教育をしたということは、今の男女共同参画社会を推進している内閣の大臣としてはおっしゃるべきことではないし、やはりそういう考え方……(発言する者あり)黙らせていただけませんか。

斉藤(斗)委員長代理 お静かに願います。

小宮山(洋)委員 男性と同じに女性を教育するということが女性の個性を生き生きと発揮させる、男女共同参画の考え方とは違うそういうことが次々にお言葉の中で出てくると、やはりそこが少子化問題の責任者としての資質に問題があるのではないかということになるわけですが、おわかりでしょうか。

柳澤国務大臣 深い反省の上に立って、これからも与えられた任務を全力を挙げて遂行してまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 それでは、男女共同参画社会、これは歴代内閣が力を入れて取り組んでおられて、きょう午前中に質問をされました猪口大臣、そして現在は高市大臣が少子化とか男女共同参画の担当をされていると理解をしております。安倍内閣もそのことに力を入れていらっしゃるんだと思いますけれども、どういう理念がこの基本法に盛り込まれているのか、柳澤大臣は御存じでしょうか。

柳澤国務大臣 国家にしろあるいは世界にしろ、人間のつくる社会でございまして、そこの社会のもろもろの活動に対して男女が共同して参画するということが大切だ、このように考えております。

小宮山(洋)委員 この男女共同参画というのは、どうもサンカクだかシカクだかわからないという人もいるように、なかなかこなれない言葉でございますので、この基本法をつくるときに、これは与野党、本当に力を合わせてつくった基本法ですが、当時の官房長官で担当大臣であられました野中広務大臣と私どもとでいろいろ審議をしながら協議をして、わかりにくいから前文をつけようということになりまして、そこの前文に「少子高齢化の進展」と、やはりこれは少子高齢化ともかかわりがあるということを盛り込んでございます。「少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要な課題となっている。」「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である。」というふうに言っておりますけれども、このこととその一連の御発言との関連を柳澤大臣はどのようにお考えになっていますか。

柳澤国務大臣 今、委員の御発言を通じてこの前文を読ませていただきました。

 今後、これを拳々服膺して、深い反省の上に立って与えられた任務を遂行してまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 少子化の問題というのは、一九八〇年代からヨーロッパの多くの国でも少子化と直面をしていました。そして、少子化から持ちたい人が持てるようになって、多くの国で出生率が回復をしております。回復をしている国の多くのところで男女共同参画、男女平等が実現をしている。そして、働いている、みずから自立をして所得を持っている人が多いほど出生率が高いということもありまして、そういう意味で、持ちたい人が安心して生み育てられる社会をつくれば出生率が上がってくるというお手本が既にいろいろあるわけですね。

 日本の中で一貫して下がっているということは、これは政府の取り組みの甘さということもあると思いますし、いろいろな意識の問題の、その根の深いところ、表面的には、今、男女共同参画に反対するなんてだれも言いません。けれども、腹の底のところにそれが落ちていないというところから日本の出生率が上がってこないのではないかというふうに思っております。

 特に、男女が平等でない、男性がいろいろなところで全体を支配していると言うと悪いんですけれども、全部牛耳っているようなイタリア、スペイン、そしてこの日本などで出生率が上がらない、そういうこともございますが、このあたりの少子化と男女平等の概念を、今初めてでしょうか、前文をお読みになったということで、その辺を踏まえて、そういう認識をお持ちになっているかどうか。柳澤大臣、いかがでしょう。

    〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 私もふつつかな男でございますけれども、かつて、平成八年十二月の六日、当予算委員会で当時の橋本内閣総理大臣に質問をさせていただいております。いろいろ、委員のような開明化された女性議員のお立場からは多々御不満な点があろうかと思いますけれども、私がこのような質問をしていることもぜひお酌み取り賜りたいと思います。

 まじめな話、この女性をどういうふうに、ともすれば負担を今までしわ寄せられてきた、さらに今後もそういうことがほっておけば起こりがちなそういう女性を、結婚もする、家庭も持ってもらう、それからまた子供も持ってもらう、そのときに、そういう条件でなお女性が力を発揮できる、こういう条件を本当に真剣につくってやるということが必要なのです。

  私は、橋本総理は五つの五大改革を掲げられましたけれども、できれば六大改革に一つふやしていただいて、女性の幸せのためというか、これはもう国全体、社会全体の幸せにつながる問題でありますから、こういうことを総合的に考える改革、これをぜひ御検討いただきたい。御見解を賜りたいと思います。

このような質問をさせていただいております。

 ぜひ御理解を賜りたいと思います。

小宮山(洋)委員 今の御答弁の中で、カイメイカというのはどういう字を書くんでしょうか、私を何かおっしゃったようですけれども。文明開化をまだしていないのかなと思ったりもいたしますけれども、カイメイカ、ちょっとよくわかりませんでした。

 今も、よいことの、こういう発言もしている、だから今回の発言は私の本音ではないという趣旨で今お使いになったんですけれども、その中にも、やはり適切でない言葉遣いはかなりございますよ。

 例えば、子供を持ってもらう、持ってもらうというのは何でしょうか。子供は持ちたい人が持つんです。大臣が持ってもらうというものじゃありません。

金子委員長 どうぞ質疑を継続してください。

小宮山(洋)委員 いや、ですから、持ってもらうということについて、どういうふうなお考えでおっしゃったんですかと伺っています。

柳澤国務大臣 先ほどお断り申し上げましたように、あらかじめ申し上げましたように、言葉の中には多々間違いがあろうかと思いますが、私の当時の発言についても、また御批判の対象としても、ぜひ俎上に上げていただきたい、このように思います。

小宮山(洋)委員 もう一つだけ、御発言のことを聞きたいと思います。

 三つ目の御発言でございますが、それが昨日の記者会見で問題になりました、若い人たちは、結婚したい、子供を二人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる、若者の健全な希望にフィットした政策を出していくことが非常に大事だと思っていると発言をされています。

 これはどこが問題だかおわかりになりますか。

柳澤国務大臣 それは、先ほどどなたかの質問にもございましたとおり、日本の若者の全体の状況、意識の状況を私がそのように受けとめたということでございます。

小宮山(洋)委員 問題だとは思っていらっしゃらないということでしょうか。

 では、申し上げますけれども、それを、二人以上持ちたいということが極めて健全だとおっしゃったことが問題だと思っています。二人以上持つことがなぜ極めて健全なんでしょうか。

柳澤国務大臣 みんなが持ちたくないという意思表示をされたら、私は大変困ってしまうということでございます。

小宮山(洋)委員 私としては困ってしまうと言われても、こちらも困ってしまうんですけれども。

 では、柳澤大臣にとっての健全、不健全の定義を伺いたいと思います。

金子委員長 質疑を、わかりやすく聞いてください。

柳澤国務大臣 国語の力も十分ではございませんので、またここで何か申し上げますと、またそれが新たな波紋を呼んでいくということでございますので、健全というのは皆さんおわかりになるような意味合いで私も使わせていただいているということで、御理解を賜りたいと思います。

小宮山(洋)委員 それがわからないから伺っているんです。

 それでは言い方をかえます。少子化の背景に不健全ということがあるのでしたら御説明ください。

柳澤国務大臣 先ほど私が申したように、日本の若者たちが、そうでないような、先ほど言ったようなことになれば、やはり私は、大変困った状態になるであろうということでございます。

小宮山(洋)委員 今のを伺うと、柳澤大臣は、今、国の中で少子化問題の責任者をされている、厚生労働大臣として困ってしまうことが不健全だということでよろしいんですか。二人以上産んでほしいと思う、だから柳澤大臣が困らないようにすることが健全であって、そうでないと不健全ということかなと。

 私も、今の御答弁を本当にここで真摯に伺っていて、わからないから伺っているんです。もうちょっとちゃんと質問に答えていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 とにかく、世論調査の結果出てきた若い人たちの意識、全体の意識の状況が、私としてはプラスに評価できることだというふうな受けとめ方をしたということでございます。

小宮山(洋)委員 評価をした、健全だと評価をしたということですね。

 今私がここで申し上げているように、二人以上子供を持つことが健全な状況だということは、これは、先ほどから申し上げている女は産む機械だということと同じかあるいはそれ以上にひどい発言だという意見が、私のところにも来ております。

 この発言につきましては、健全だということについては撤回をされていないのですが、これもそれでは撤回をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 今、委員のお話を聞いておりましても、私がここでその言葉を撤回しなければならない理由が、ちょっと私、わかりませんでした。

小宮山(洋)委員 少なくとも、女性の心を傷つけたと機械発言ではおっしゃったわけですよね。そうしたら、この二人以上持つことが健全だということが、前の文脈を見ればわかるといっても私は全くわかりません。わからない女性がたくさんいるということであることは、不適切な表現だったのではないでしょうか。

 そうだとすれば、それも撤回をしていただきたいと思いますし、撤回されないなら、先ほどお答えがございませんでしたけれども、どういう定義で健全とおっしゃったのかを自信を持って御説明いただきたいと思います。そうでなければ撤回をしていただきたいと思います。

柳澤国務大臣 もし若者が、子供は持ちたくない、結婚もしたくないというようなことが社会の大勢になってしまう、そういう社会であるということであれば、やはりそれは困る社会ではないか、このように考えます。

小宮山(洋)委員 それは、持ちたくなくて持っていないのではなくて、大臣がおっしゃっているように、本当は二人持ちたいと思っている人が若者の八割から九割いるんですよ。ところが、持ちたくても持てないから、その環境を整備する責任者があなたでしょうということを言っているわけです。それを、そちらの方がきちんと果たされていないから一・二六の出生率になっているのに、二人以上持つのが健全だというふうに受けとめられる発言をされるということは、非常にこれは不適切な発言だと思います。

 改めて撤回をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

柳澤国務大臣 ですから、先ほどの答弁で累次申し上げておりますように、そういう希望を持つ若者たちがいらっしゃる、一方、それが実現されていないという現実がある、したがって、その乖離をいかに埋めていくかということが我々が少子化対策として取り組むべき課題である、このように認識しているということでございます。

小宮山(洋)委員 今のこの一連の柳澤大臣の御発言について、高市少子化担当大臣に伺いたいと思います。

 今、内閣委員会や、そして青少年問題特別委員会でも担当大臣として御出席いただいて、本当にいろいろ積極的な御発言をいただいていると思っています。

 これはやはり、最初の発言があったときに、一人の女性としての発言をされました。その御発言と、それからやはり、少子化担当大臣は高市大臣なんですが、実質的に少子化への対応として行う多くの施策を所管しているのが厚生労働省なので、厚生労働大臣のことを少子化担当大臣と表しているメディアもあるわけですよね。ですから、これから共同してやっていかれるパートナーとして、そういう公的な立場と一人の女性としての立場と、両方の答えをいただきたいと思います。

高市国務大臣 一人の女性としての立場というのは、今閣僚としての立場でここに立っておりますので、余り答えるようなことではないんじゃないかと思います。たまたま私は女性である、しかしながら少子化対策の総合調整を担っている立場の閣僚である、そのように自分の立場を認識いたしております。

 柳澤大臣の御発言ですけれども、例えとしては不適切だったかなと。最初の、機械、装置という表現ですね、これに関しては、私はそう思いました。

 しかし、これからとにかく力を合わせてやっていかなきゃならない、やるべきことをやっていかなきゃならない、今はその思いだけでございます。特に、新しい少子化対策が去年できて、今回、予算委員会で御審議いただきます平成十九年度の予算案の中でいろいろ具体的に措置がなされておりますけれども、まだまだ掘り下げが足りないことがたくさんあると思います。

 委員も、当然、十分認識をされていると思いますけれども、委員のところにも、私のところにも、同じような声が届いているんだろうと思うんですね。女性の方から、制度だけ整えて、形だけ整えても使えないじゃないかとか、男性の理解が得られないじゃないか、企業の理解が得られないじゃないか、また、家族からの理解が得られないという場合もある。そんな中で、いかに社会全体が子供を産む、育てるということを応援していくか、反対に、子供に恵まれない、望んでも恵まれない人に対して、社会がまたもっと温かくあらなければいけない。この辺は掘り下げがまだ足りないし、具体的に、では、どうやればそういう社会になるのかというのは、まだまだ私はいろいろな知恵を絞っていかなきゃいけないと思います。

 そのために重点戦略を立ち上げますし、若い方々の自立、経済的な安定というところも今回議論の対象になるかと思いますので、精いっぱい、柳澤大臣は柳澤大臣の担当のところで、特に厚生労働省が予算措置をして、制度面で、また法制面でこれから対応していかなきゃならない部分でしっかりやっていただきたいし、私は、総合調整的な立場ですから、例えば文部科学省、厚生労働省、経済産業省もです、あらゆる関係ある省庁と連絡をとり合いながら対策を進めていきたいな、そのように思っております。

小宮山(洋)委員 私が最初からこれまでずっといろいろな発言について伺っていたのは、決して私一人の考えからではありません。私のところに、メールやらファクスが本当に読み切れないほど連日来ているんです。

 その中の一部をちょっとだけ御紹介します。

 広がりつつある男女平等に逆行する動きをとめるために、これを機会に、女性の権利を守って男女平等を進めるために新しい形の連携をぜひ考えていただきたいと思いますということやら、あとは、

  政府の果たす役割は、安易な出産奨励ではなく、子どもを望む女性が、生み育てたいと思えるような環境を整備することであるはずです。しかし、先日の安倍首相の施政方針演説では、「子どもは国の宝」と言われ、また、「家族の素晴らしさや価値を再認識することも必要」だと言われました。このようにして「少子化対策」が「家族の価値」と重ね合わせられるのをみるとき、また、今回の「産む機械」発言をみるとき、現政権は、子どもや女性を、あるいは家族を、それじしんの価値によってでなく、何か他のもののために価値をもつものとみているのではないかとの危惧を禁じ得ません。

それから、この後ちょっと伺いたいと思っていますが、

 既にご承知と存じますが、日本を含め、国連加盟諸国は、一九九四年「国際人口開発会議」(カイロ人口会議)において、「女性は人口政策の対象ではなく主体である。特に、産む性の女性が自己決定をすることに世界が取り組む」という原則に合意いたしました。この課題の先頭に立つべき担当大臣が、この基本原則について全く認識の無い女性差別的発言をされたことは、極めて深刻な事態であると私は考えます。

 それから、謝罪を繰り返す柳澤大臣本人も安倍内閣総理大臣にも、内容がありません。何がどうだから謝罪しているのかわかりません。本人は女性の大切なものを傷つけたと発言しましたが、女性の何が大切なのか、どう傷つけたのか、自分の中にどういう考えがあったのか、深く見詰めていないことがわかるだけです。

 産むことを問題にするのに、男性が出てこないのはおかしい。女性の責任ではなく、与党の長期政権の責任でしょう。安倍晋三大臣も閣僚全体も与党全体も、かばうだけで謝罪の内容がないのですから、辞職を勧めないのは、自分たちもそうであることを証明していると思います。赤信号みんなで渡れば怖くないと多数のおごりで開き直っているとしか思えません。

 このようなメールやファクスがたくさん届いております。多くの人が、今の柳澤大臣の資質、それをかばい続けられる安倍政権の姿勢に疑問を持っているということは、よく御認識をいただきたいというふうに思います。

 それで、海外のメディアも実に、私は恥ずかしいことだと思いますけれども、とてもよく取り上げてくれております。

 アメリカでは、タイム、ニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズ、シカゴ・トリビューン、ウォールストリート・ジャーナル、そしてCNNのアメリカンモーニングという朝の看板番組では、CNNのウエブサイトでけさ一番読まれている話の一つと紹介しまして、皮肉まじりに、産む機械も有権者なので謝罪しなければならなかったと解説をしているというような記事がございます。

 それから、カナダ、イギリスのBBC、タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ガーディアン、インディペンデント、フランスのAFP通信、フィガロ、リベラシオン、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、それから中国でも取り上げられ、韓国でも取り上げられております。

 ドイツではヴェルトの電子版のところで、安倍首相は、仕事と育児を今後はよりよく両立できるよう努力していくつもりと言っている。この厚生労働大臣がこれらのすべての措置の実現を現職の政治家として体験することになるのかどうか、今は疑わしく思われるというようなことも言っております。

 このように、海外で取り上げられているということ、そして中には、先ほど冒頭で申し上げたように、こういう発言をしながら辞任をされないということで、日本は人権後進国だという評をしている海外のメディアもあるのですが、国際的にこういうように評価をされていることについて、柳澤大臣はどのように自覚をしていらっしゃるでしょうか。

柳澤国務大臣 今、委員から御紹介いただきまして、私の本当に不適切な発言がそのように多くの人々にまで伝わって、大変恥ずかしく思い、また強い反省をしているというところでございます。

小宮山(洋)委員 先ほどの私のところへ来たメールの中にもありますが、人口問題に深くかかわる厚生労働省の最高責任者である大臣として、国際的な人口問題についての取り組みの基礎となっています一九九四年にカイロで開かれました国際人口・開発会議、ここでの合意文書のカイロ文書というものが原点になって今国際的に動いているわけですが、これについては事前に通告をしっかりしてございますので、今初めてお読みになるんですか、事前に、もうずっと前に申し上げてありますが、それを御存じであったのかどうか、そのことについての御認識を伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 平成六年にエジプトのカイロで開催されました国際人口・開発会議において採択された行動計画におきましては、すべてのカップルと個人は、自分たちの子供の数と出産間隔について自由にかつ責任を持って決定し、そのために必要な情報、教育及び手段を持つ権利を有するものである旨の原則を定めている。今、委員がさきに御紹介いただいた文章と大意同じだというふうに受けとめます。

 昨年の厚生労働委員会において答弁いたしましたように、我が国も、結婚するかしないかや子供を持つか持たないかは個人の自由であるという基本的な考え方を前提として成り立っていると私は思っておりまして、カイロ会議で明らかにされた原則と軌を一にするものと思う次第です。

 このような基本的考え方のもと、国民の結婚や出産に対する希望がかなうような社会の実現に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 そうなんですね。女性は人口政策の対象ではなく主体であるということが国際的に確認をされているわけです。今読み上げられたように、何人子供を産むか、産まないか、どういう間隔で産むか、それは、それぞれのカップル、特に産む性である女性が自己決定をするということが確認をされています。

 そのために、女性のエンパワーメント、力をつけることが必要だということやら、日本ではちょっとうまい訳がないのでなかなか定着をしないんですが、リプロダクティブヘルス・ライツという言葉がキーワードになりました。そのことによりまして、途上国では、産みたくないのに、家族計画などが行き渡らないで産まなければならない、そのことが人口爆発も招いている。また、先進国では、産みたいのに、いろいろな環境が整わないので持ちたい数の子供が持てない。そうしたことに各国が精いっぱい取り組んでいくということが合意をされ、その後、フォローアップもしっかりとされているところです。

 ところが、こうした合意で、軌を一にする、同じだというふうにおっしゃいましたが、このことにこの一連の柳澤大臣の御発言が反するということで、世界各国も驚き、あきれているということなんです。

 この後は、責任を持って全うされるということですので、少し建設的な議論をぜひしていきたいと思いますが、もう一言だけこの一連の発言について、このカイロ会議の国際合意と非常に抵触をしている、反しているから国際的に驚き、あきれ、怒られているのだということの御自覚を伺いたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 私の発言における表現がこのような国際会議で採択された原則と違背しているということについて御指摘をいただいたわけですが、よく、今後これらの原則を踏まえて、課題に向けて取り組んでまいりたい、このように考えます。

小宮山(洋)委員 冒頭にも申し上げましたけれども、これからの日本の社会にとって、環境の問題とかいろいろな問題がありますけれども、最優先の課題がこの少子化への対応、少子高齢社会への対応ですけれども、幾ら高齢社会への対応をしても、子供たちが必要以上に減る、持ちたい人が持てなくて減っていくということがあったら、この国は本当に成り立たなくなっていくんだと思います。

 実質的にはそのほとんどを所管する厚生労働大臣だというところで今回問題が大きくなっているんですけれども、この国がもう既に超少子高齢社会になっているということは、平成十七年の国勢調査で、総人口に占める六十五歳以上の割合が二一%、これは世界で一番高くなっていまして、十五歳未満の子供の割合が一三・六%、これは世界で最も低くなっている。正真正銘の、超と言ってもいいような、超少子高齢社会になっているという御認識は、当然、内閣の皆さんにはおありになるんだと思います。

 しかも、その説明をされようとして最初の発言になったわけですが、昨年十二月に発表されました将来推計人口あるいは人口推計と言われている、これは五年ごとに発表されているものですが、毎回毎回、政府の推計は甘いんですね。常に現実が下回っている。そのことが前回の年金の改定のときにも問題になったわけですけれども、このことも含めた出生率の数字の、隠してあったということが問題になったわけです。

 今回、十二月に出た一番新しいもので、これは、うまくいったというか上がっていたときの高位推計と、非常に下がっていたときの低位推計と、平均の中位推計というものが出ておりまして、大体、人口推計というのは中位推計をとっているわけですが、五年前には中位推計が一・三九でした。それが、今回、現在と同じ一・二六という、かなり下がっていますよね。大幅に下がっているということが出ました。

 それで、このままでいきますと、五十年後には六十五歳以上の人口が四〇・五%とほぼ二倍になる、そして、十五歳未満の子供の人口がほぼ半分になる、また、そういうことになるというような結果が出ているわけですね。

 これを一生懸命説明されようとして、産む機械、装置とおっしゃったんだと思いますから、今のこの現状に対する柳澤大臣の認識をまず伺いたいというふうに思っています。

柳澤国務大臣 昨年十二月に新しい人口推計を発表いたしました。

 近年の出生率の低下や寿命の延びを反映し、前回推計よりも人口減少、少子高齢化が進みまして、二〇五五年の総人口は九千万人を下回り、合計特殊出生率は一・二六、六十五歳以上の高齢者が、今委員御指摘のように、総人口の四〇・五%を占める等々、超高齢化社会を迎えるという厳しい見通しが示されております。

 また、人口構造の変化は、単なる人口減少ではなく、年齢構成が大きく変化し、労働力に大きな影響があるとともに、未婚者の増加による単身世帯が増加するなど、地域社会の姿が大きく変化することにも私どもとしては留意をする必要がある、このように考えております。

 しかしながら、結婚や出産に関する意識調査を見ますと、未婚女性の九割が結婚を希望し、結婚を希望した方の子供数の希望は平均二人以上となっていることから、このような急激な少子化の進行は、国民の希望が反映されたものではなく、何らかの障害によりやむを得ず選択された結果ではないかと考えております。

 そこで、結婚や出生に対する障害を取り除き、国民の希望が実現できる、子供を生み育てやすい社会をつくるために引き続き全力で取り組んでいく必要がある、このように考えております。

小宮山(洋)委員 全力で取り組んでくださるということですが、それはぜひ、女性が頑張らないからだというのではなくて、持ちたい人が安心して生み育てられるように、それでは、柳澤大臣は、担当、所管が一番その政策について多い厚生労働省の責任者として、どのように取り組んでいかれるおつもりですか。

柳澤国務大臣 第一に、やはり、先ほどどなたかの質問にもお答えいたしましたように、若い人たちの雇用の安定を図るということが迂遠のようなんだけれども非常に大事なことである、このように考えております。これは先ほども話題になりましたけれども、やはり、雇用が安定している、自分の勤め先が安定しているということとそうでない人との有配偶者の率と、一定の地点を基準点としまして何年後に有配偶の状態になったかどうかというものを調査いたしますと、もう明らかに安定的な所得を得ている人の率が多い。こういうことから、やはりそこに有意な関係を、意味のある関係を認めざるを得ない、このように考えまして、そうした意味で、まず雇用の安定というものを我々は実現しなければならない、このように考えております。

 同時に、子供を育てるということになりますと、やはりそこに経費もかかる、また時間も必要となるというようなことから、第一には、ワーク・ライフ・バランスというか、仕事と生活、家庭の両立ということを実現しなければなりませんし、また、かかり増し費用等についてはできるだけの経済的な支援をしていかなければならない、こういうことであろうと考えております。

 それからまた、私のことを先ほど来委員はいろいろ御指摘いただいたわけですけれども、そういったことも含めて、私どもの持っている、私が一番反省をすべきなんですけれども、持っているそういう意識というものについても、今先生からるる御説明になられたような新しい時代の意識というものをみんなが持ち合う。これは、私さえ持ち合えれば、あとは皆さんもうお持ちだろうとは思いますけれども、持ち合っていく、こういうことが非常に大事なことである、このように考えます。

小宮山(洋)委員 済みません、私、先生と呼ばれないことにしているので、委員か議員にしていただくようにお願い申し上げます。

 この少子化の問題というのに政府が本格的に取り組み始めたのはいつごろだと認識していらっしゃるでしょうか。これは、答えを言ってしまいますと、一九九〇年、平成二年に発表されました、前の年の合計出生率が一・五七で、このときに一・五七ショックという言葉が生まれたということは覚えていらっしゃる方は多いと思います。なぜショックだったかというと、その前のひのえうまの年、ひのえうまというのは、その年生まれの女はどうのこうのといって産み控える、そのひのえうまの年が一・五八で、それすら下回ったというのがショックだったわけですね。

 そのときに、もうこの一九九〇年に、政府では、これは縦割り行政ではだめだからということで、健やかに子どもを生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議という、非常に長い名前ですけれども、省庁が知恵を出し合う会議というのをつくりまして、私、そのとき解説をしたのでよく覚えているんですけれども、これは、働き方を見直す、あるいは育児休業をとりやすくする、保育所をしっかりと充実させていく、それから、住まいもきちんと、子供が多い人たちはそれに見合った住まいに住めるようにする、それから、今柳澤大臣がおっしゃった、意識を変えていく。メニューはしっかりそろっているんですよ。

 そのころはまだ少子化という言葉は余りありませんでした。少子化という言葉が出てきたのは、それから数年後の国民生活白書でタイトルに少子化と言ったときが、恐らく、少子化が皆さんの口に上ってくる最初だったのかなと。そのころはまだパソコンはなくてワープロを打っておりましたけれども、そのころ、ワープロでショウシカと打つと焼死と出たので、少子という認識はまだワープロにもなかったんですね。

 ですから、最初が一九九〇年ということは、ことしが二〇〇七年ですから、もう十六、七年、政府としては一生懸命取り組んでこられているんだと思いますけれども、ほぼ一貫して出生率が下がり続けている。これはなぜだとお考えかを柳澤大臣と安倍総理に伺いたいと思います。

柳澤国務大臣 先ほど私が挙げさせていただきました要因がやはり十分うまく克服できていないということだろうと思います。

 例えば、所得環境というものを考えますと、この間に、バブルの崩壊、それから低迷の十年あるいは十五年というようなものが間に挟まっておりまして、その間、日本経済が大変な苦境に陥って、雇用環境も非常に厳しかった。こういうようなことは、ひとり雇用の、若者の雇用の状況だけではなくて、今の結婚、出産ということにも十分影響があったというふうに見るべきではないかと私は思います。

 それからまた、同時に、経済的な支援というようなことを一つ考えてみましても、この間、財政が非常に厳しくなりまして、むしろ歳出の削減というようなことをやらないと、やはり国民の皆さんに税の負担をふやすことのお願いができないというようなことがあります。

 したがいまして、少子化対策ということで、皆さん危機感を持ってこれに資源を投入しようということを図るわけですけれども、それがやはり十分にはいっていないということは、これは否めないことであろう、このように考えます。

 意識については、むしろ、私がどうこう申し上げること以上に小宮山委員がよく御存じのようなことで、我々、特に私は、これからこの点について大いに反省の上に立って勉強をしていかなければいけない、このように考えます。

安倍内閣総理大臣 既に厚生労働大臣が答弁をいたしましたが、先般、議論の中にございました意識調査にございましたように、多くの若い人たちは、結婚をしたい、あるいは子供を二人以上持ちたい、こう思っているわけでありますが、しかし出生率は下がっていく。それはやはり障害となるものが幾つかある。

 例えば、女性にとりましては、仕事をしながら子供を生み育てやすい環境はまだできていないというのが現実だろうと思います。そうした環境をつくっていくことが大切であり、そのための、例えば保育所等についてもっと利用しやすい工夫も我々は考えていかなければいけませんし、また、社会全体が理解を示さなければいけないということでもないだろうか。また、雇用関係についても、働き方においてもそうした意識の改革も必要だろうと思います。

 また、当然、育児を行っている家庭に対して、両親に対して、また家族に対して支援をしていくということも大切ではないか、このように考えております。

小宮山(洋)委員 政府は昨年、先ほども同僚議員もちょっと取り上げておりましたけれども、六月に新しい少子化対策というものをつくられました。六月には何か骨太の方針が出てくるということで期待をしていたんですけれども、どうも昨年のは、見ると、大分骨が細くなっているような印象がございます。

 この新しい少子化対策、これは四十項目の対策が列挙されておりますけれども、これが、それでは昨年の段階ではベストの政策だという自信を持ってお出しになったものなんでしょうか。いかがですか。これは、厚生労働大臣でも、少子化大臣あるいは総理大臣、どなたでも結構ですけれども。

高市国務大臣 昨年の段階で私は閣内におりませんので、そのときに閣僚としてベストなという形で出したという立場ではございませんけれども、しかし、昨年の秋に就任して見まして、非常に幅広く、四十項目並んでおりました。

 それは、最初は余りにも総花的だというような批判もあったというのは私も承知いたしております。だけれども、今の私の立場になってみますと、もう本当にいろいろな立場の方からいろいろな御要望が来るんですね。それぞれにやはり悩んでおられること、困っておられることが違う。だから、できるだけ幅広く、お一人お一人いろいろな形で、子供を授かりたいと思っている人、やっと生まれてこれから育てていきたいと思っていらっしゃる方々、お一人お一人にできるだけ幅広にこたえるという意味では、議論をしていくうちにあれだけ総花的なものになったんだろうと思います。

 ですから、安倍総理自身も、もうやれることは全部やろうと、去年、予算編成のときにそういう方針を出されまして、予算案にきちっと盛り込んで措置をしていくこと、税制の方も同じような御指示があったようでございます。

 その結果、新しい少子化対策の具体的な政策というのはことし非常に大きく動いてまいります。実際的に展開される。象徴的なのは、こんにちは赤ちゃん事業が始まることですとか、それから放課後子どもプランも、これはエンゼルプランのときから整備をしてきたものを合体させていくんですが、それも全小学校区にきちっと展開されるということで、形はできてまいりますね。だから、ベストかどうかというよりは、もうやれることを全部やろうというのが今の立場でございます。

 ただ、予算措置だとか税制で手当てできていない、やり切れていないことをこれからまた深掘りをして進めていく。それが、先ほどから話の出ておりますような、働き方でございますとか地域社会の協力でありますとか、そういったことになっていくんじゃないかと思います。

小宮山(洋)委員 そうですよね、高市大臣はそのとき担当大臣であられなかったので。

 今高市大臣がいみじくもおっしゃったように、総花的だという批判も出されたときにありました。それで、目玉の乳幼児加算、これは緊急雇用創出特別基金の余剰金活用という一時しのぎにすぎないのではないかというような批判もございました。

 一番私が問題かなと思っているのは、これから少子化への対応として目指すべき青写真、グランドデザインが描けていないという見方が結構あるんですけれども、これについては安倍総理から、しっかり認識ができるように丁寧に御説明をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨年取りまとめた骨太の方針では、幅広く、かなりの項目にわたって言及をしているわけでありますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、まずはいわば働き方、暮らし方等を変えていく。そしてまた、子づくり、また子育てをしている家族を支援していく。と同時に、先ほど委員は批判的に取り上げられましたけれども、子供を生み育てることの価値や家族の価値も再認識をしていこう、そういう柱で進めていこうということになっているわけでございます。そしてまた、そのときに考えられる、昨年の時点においては、やるべきこと、また入れ込むべきことは入れている。

 しかし、これは日々状況も変わっていくわけでありますし、新たに取り組まなければならない課題もあるわけでございまして、ただいま新たに取り組むべき課題としては、特に働き方に注目をしながら、その働き方を変えていくということにも重点を置いていこう、そして、当然また国民総がかりで子育てを支援していく、そういうものを構築していくことにも力を入れていきたいと思っております。

小宮山(洋)委員 昨年、骨太と今おっしゃいましたけれども、できるだけのものを、あらゆるものをここに入れたということでございましたが、先月、また新しい戦略会議をつくるということが出ました。新たに戦略を練らなきゃいけないということは、今までのでは足りないということかなと思うんですが、この新たな戦略会議、かなり多くのメンバーの方が、有識者も含めて、閣僚も入っていらっしゃいますが、この戦略会議が目指すもの、ここでわかりやすく青写真が出てくるのかどうか、新たに戦略会議を立ち上げられるということは今までとは何が流れとして変わってくるのか。総理にお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁の中でも申し上げたわけでありますが、昨年は昨年の段階で、猪口大臣も大変な御苦労をされまして取りまとめを行ったところでございます。

 そしてさらに、先ほど申し上げましたように、働き方については、この国会におきまして労働法制に関する六本の法律を出したいと思っておりますが、そうした働き方にも着目をする、さらには、国民総参加での支援のあり方も含めて検討をして、この戦略を打ち立ててもらいたいと思っております。

小宮山(洋)委員 その中でやはり柳澤厚生労働大臣も重要な役割を担われると思うんですけれども、大臣はいかがですか。

柳澤国務大臣 これからの検討課題だと思っておりますが、私は、もし本当に戦略ということであれば、これからその会議で発言させていただきたいと思いますが、やはり今までは、例えば私どもの役所の予算もぎりぎりと歳出の削減を求められるわけでございます。

 しかし、今度もし、私どもの役所を含めて、本当に財政改革の裏打ちのある施策の体系というものをつくるんだということになれば、これは、今まで、さっき小宮山委員が言われたように、九〇年代から何回ももう子育てのプランを立ててきたじゃないかというとき、この間というのは、先ほど私が言ったように、歳出削減ばかりかかっている、そういう中での施策であったわけですが、今度もしそういう財政改革を伴う改革ということであれば、安倍総理のまた御指示をいただきながら、少し違った施策の体系がつくり得るとしたらこの次か、こういう感じを私は持っているわけです。

 そういう状況がうまく出てくるのかどうか、ここが私としては、大変、取り組みもどういうレベルでの取り組みかということで変わってくるのかなと思って、これはやや個人的な私の気持ちですけれども、申し上げさせていただきました。

小宮山(洋)委員 先ほど一九九〇年からもう十六年も十七年もたっているではないかと申し上げましたけれども、その間出生率が下がり続けているのは、政府の本気度が見えないんです、女性たちには。私も仕事をしながら三人男の子を育ててまいりましたから、大抵のことは、どう答弁をされても、いや、そこは現実は違うということになるのかというふうには思いますけれども、とにかく、場当たり的で、小手先で、小出しにしていくから隔靴掻痒の感があって、なかなか本当に必要な分量が必要なタイミングで出ていないんですよ。やはり、本音のところ、子供のことは後回しだったんじゃないですか。

 今、社会保障給付費、これが、高齢者対子供が何対幾つになっているかということはいろいろなところで話題になっているので、私は、いろいろな外で話をするときには、何対何だと思いますかというふうに手を挙げてもらったりするんですけれども、ここは委員会ですからそんな失礼なことはいたしませんが、高齢者十七に対して子供一なんですよね。冬柴大臣、うなずいていただきましたけれども、こんなに差があるということは国民は知りません。そのことで、やはり驚き、あきれている。子供を持ちたいと思う女性たちは、それでも怒っているということがあるわけです。

 だから、一遍に一対一にしろとは言いませんけれども、せめて五対一からだんだん三対一とかにしていかないと。これは最初申し上げたように、高齢社会に対応するという意味だって、持ちたい人が持てるようにしなければこの国が成り立たなくなるんですから。

 やはり、未来への投資という意味も含めて、子供のことをもっと政策のど真ん中に据えてしっかりとやってもらっている、そういう認識がないから私は出生率が下がっているんだと思います。このことについては、柳澤大臣、安倍総理、どのようにお考えですか。

柳澤国務大臣 小宮山委員の御指摘も一々うなずけることが多いわけですが、ただ、去年の婚姻の率、それは前々年に婚姻の率が高まってまいりましたけれども、それで去年の出生率、出生数は高まりました。これは久々のことです。いろいろおっしゃって、もう本当に絶望的なようなことを小宮山委員はおっしゃいますが、実際は政府も一生懸命やっている。これはやはり若い人たちにもアピールしているんです。私は、そう思います。

 それから、経済情勢の好転、これも明らかに私は好影響があったと。あったからこそ、去年は合計特殊出生率が一・二六から一・二九に上がったんです。ですから、こういう施策の展開、あるいは取り組み方の本気度というか、そういうようなものを国民の皆さんはやはり見ている、こういうように私は考えるわけでございます。

 そこで、確かに今、委員がおっしゃられるように、社会保障の中で現役世代向けの支援規模というのが非常に日本は貧弱なんです。ですから、このあたりを、では高齢者向けの福祉を削れますか。削って、小宮山委員は現役世代あるいは子育て支援に向けるんでしょうか。私どもの総理大臣はそういうことはしないということをおっしゃっていますから、私どもは、そういう高齢者向けの社会保障というものは効率化はします、無駄は排除しますけれども、基本的に手厚いものにしながら、同時に、現役向けの社会保障あるいは子育て支援、そういうものに我々の資源を振り向けていくという努力をこれからしていかなきゃいけないということだと私は思っております。

安倍内閣総理大臣 出生率の変化についてはただいま厚生労働大臣が申し上げたとおりでありまして、我々の意思がもっと伝わるように我々も努力をしていきたい、このように思っております。

 また、お年寄りに対する給付と子供に対する給付のバランスは確かにそのとおりでありまして、そういう問題意識も私は持っておりましたが、しかし、その中で我々も努力をしながら、例えば医療費の給付につきましても、子供の自己負担がいわば三割だったものを二割にする。もちろんこれは年齢を限っておりますが、そういう努力をしながら、さらに我々も子供を持つ家族を支援していかなければならない、このように思っております。

 他方、高齢者に対する給付については、一人一人の給付をそのまま維持していくということだけにおいても、対象者がどんどん毎年ふえていきますから、どうしても給付費はふえていく。そういう中でできる限りの効率化は図っていかなければならないと考えております。

小宮山(洋)委員 まだ、正式な出生率の発表は六月だと思いますけれども、昨年が一・二九ぐらいに上がったであろうということは私も聞いております。ただ、これで抜本的に上向き傾向になったとは私は思っておりません。なぜなら、私たちはベビーブームの世代ですが、第二次ベビーブームの世代が、今、適齢期という言い方はいたしません、子供を産みやすい年齢になっている。母数がふえているんですよ。ですから、そのことによって上がったのであって、抜本的な上昇傾向になったとは私はとらえておりません。

 それで、先ほど言われたように、高齢者向けを削れと私は言っているのではありません。子供の方をふやしなさいと言っているんです。そのことについては、私たち、後でまた具体的に提案をいたしますけれども、やはり、私たちはきちんと予算の配分を変えていく。少子高齢社会の中で国民が望んでいるのは、子育て、医療、年金、介護、そして教育など、人にもっとしっかりと税金を使ってほしいということなんです。

 コンクリート、箱物から人へということは私たち民主党はずっと提案をさせていただいておりますし、また特別会計の無駄遣いとか全体の構造を改めていく。また、少子高齢社会の中にあって、社会保障制度、税制を抜本的に見直す必要がある。そうしたことの中で、子供への支援をふやすことでその割合を上げていってほしいということを言っているわけです。

 それで、私ども民主党では、育ち・育む応援プランというものを昨年の春に、ちょうど六月に骨太方針をばたばたとおつくりになっていましたので、私どもは、ずっと子供を政策の中心にする、チルドレンファースト、子供第一ということで、政策の中心にその考え方を、子供を後回しにしない、子供第一ということを据えて、総合的にあらゆる政策を組み立てていく、そういうことをずっと提案してきております。政権をとらせていただいたら、それをすぐに実現できる体制をとっております。

 その中で、育ち・育む応援プラン、これは五、六年かけて私たちはずっとこつこつとつくってまいりました。どうもアピールがうまくない民主党ということがあるものですから、これは漫画なども入れまして、中学生ぐらいには簡単にわかるように、こういうちゃんと総合的な政策を、子供を中心に置いてつくっております。そういう体制がないから本気度がわからないということを申し上げているんです。

 この中の柱の一つとして、私たちはこども家庭省ということを提案しています。今、省庁が縦割りになっている。例えば、環境問題のときに、環境庁から環境省をつくりましたね。あのときに、各省庁の環境関係の予算と人を集めて、環境大臣もうなずいていらっしゃいますけれども、環境庁をつくり、それを十年かけて環境省にしたんです。だから、新しいものをつくれと言っているのではありません。

 例えば、後ほど時間があれば話しますけれども、幼稚園と保育所が縦割りになっている。今の実態に合っていない。それを一緒にすればもっと効果的に施策ができるわけです。ですから、各省庁にばらまかれている予算、人手を集めて子ども家庭省というものをつくるということについては、いかがお考えか。

 ちょうど、安倍内閣になりまして、省庁再々編というお話がいろいろなところで出ています。私たちは、再々編するなら、この間のように、あるものをただ数を合わせて巨大なものをつくるのではなくて、視点を変えて、もう供給サイドからの縦割りではなくて国民のサイドから省庁を割っていく、そうすれば子ども家庭省ができるのは当然ではないかと思うんですが、いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 現在も、子育て、教育全般についてでありますが、これは縦割りを排して各省庁横断的に対応していかなければならないと考えておりますし、また、内閣におきましてもそうした会議を設置しているところでございます。そうした中で、縦割りの弊害を排除しながら、子供をまさに中心に我々は政策を進めていかなければならないと考えております。

 省庁の問題につきましては、現在、我々国がやるべき仕事と民間がやるべき仕事をしっかりと仕分けしていく、あるいは国と地方の仕分けをしていく中において、さらに、もちろん効率化をいろいろと図っていく中において、あるべき姿も当然考えていかなければならない、このように考えておりますが、まずは、行政改革を徹底して進めることを第一に考えていかなければならないと思っております。

小宮山(洋)委員 この子ども家庭省とか庁を設置している国というのは結構あるんです。アイルランドが国家子供事務所というのを持っています。ニュージーランドは子供若者家族サービス省というものを持っています。ノルウェーは子供家族省。そしてアメリカは子供家庭行政局。このように、各国いろいろ持っているんですね。

 だから、それぐらいやはりこれから重要な問題で、縦割りでは解決できないから、さっき御紹介したように、一九九〇年にそういう長い名前の連絡会議をつくった。だけれども、実質的に各省庁縦割りになっているから十分なことができない。先ほど柳澤大臣もその十分でないということは認められて、先ほどはちょっと踏み込んだ御発言をいただいた、財政の専門家でいらっしゃるからいただいたのかと思いますけれども、根本的な改革をしなければいけないし、やはり担当の省庁が縦割りであるという現状を変えていくべきだと思っているんですね。

 あと、私どもがいろいろ政策を立てている具体的な中身について少し伺いたいと思うんですが、縦割りの弊害という意味では、例の幼稚園と保育所の問題、私たち民主党は、幼稚園と保育所は子供にとっての質を下げない中で一本化すべきだということをずっと主張してきております。

 昨年、政府は認定こども園の法案を出されましたけれども、これは本当に中途半端なものです。モデル事業をやったところも悲鳴を上げていました。

 というのは、例えば、ある認定こども園が三分の二は幼稚園型の子供を受け入れ、三分の一は保育園型の子供を受け入れたときに、これはそのモデル事業をやった園長さんがわかりやすくおっしゃったんですが、例えば、給食のキャベツがある、そのうちの三分の二のお金は文部科学省に請求をしなきゃいけないんです、この三分の一は厚生労働省に請求をしなきゃいけないんですと。

 そういうことは、幾ら一体にやるといったって、現実が縦割りになっているわけですから二倍に手数がかかるということは、私も審議いたしましたが、当時の小坂文部大臣も馳副大臣も認められまして、自分たちはやはり民主党が言うように本来の一本化の方がいいというふうにおっしゃっていただきました。伊吹大臣はどのようにお考えですか。

 今の現状、本当に、少子化の中で、私のいる世田谷でも保育園は相変わらず待機児さんがいっぱいなんですよ。何百人も毎年出る。それに対して、少子化のあおりを受けて、保育所が待機児さんがたくさん出て、幼稚園は三割あきがあるんです。ところが管轄が違うから融通がきかない、こんなばかな話はないと思うんですが、いかがでしょう。

伊吹国務大臣 先生がよく、先生と言っちゃいけないんですね。委員よく御承知のように、措置として出てきた保育園と、教育として出てきた幼稚園と、その出発の原点が違うということがやはり根本にあると思います。

 したがって、午前中も公明党の斉藤委員から御質問がありましたように、幼稚園、特に私立の幼稚園はかなりお金がかかりますね。この違いを乗り越えなければいけないので、私どもは、基本的には、やはり省庁のために認定施設をつくっているわけじゃなくて子供のためにつくっているわけですから、将来は、今御指摘のあったことも踏まえて、もう少し考える余地が私はあると思っています。

小宮山(洋)委員 ですから、そういう第三の施設をつくっても、およそ千カ所ぐらいつくる、それ以上ふやすつもりはないというようなお話だったので、すごくおかしな形になっています。そういうような無駄なことを省くためにも、やはりそこは同じところがやればきちんとできてくるということなんだと思うんですね。

 ただ、おっしゃったように成り立ちが違うので、それを一年の試行期間で拙速にやろうとするから現場は大変なんですよ。それもやはり、グランドデザイン、青写真を持って長期的な展望の中で将来を見据えた措置をしないと、こういう小手先の認定こども園をつくっても、これはなかなか大変なことじゃないかというふうに思っています。

 それから、あと、経済的な支援がないから子供を持てないということがどの調査でも多いんですね。それは、よくこの話をすると、では金をやったら子を産むのかとまた短絡的なことをおっしゃる方があるんですが、先ほど申し上げたように、私どもが立てているように、子供をとにかく中心に置いて総合的にやる中の大事な柱が経済的な支援だというとらえ方だと思っています。

 私が手元に持っております少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査という内閣府がされたものでも、経済的な支援措置が要るというのが六九%で、次の保育所の充実三九%を大きく離しております。それから、あと、これは国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によりましても、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから理想の子供の数より産む数が少ないという答えが七七%になっています。

 そして、私どもが民主党の中で注目をいたしましたのは、特に、子供を持っている夫婦より子供を一人も持っていない夫婦が、恐らく経済的な負担があるだろうから持てないと思っているんですよ。といいますのは、これは財団法人のこども未来財団の子育てに関する意識調査なんですけれども、子育てに伴う経済的負担が重いということが子供を持てなくしているというのが、子供を持っている人たちでは三六%、それに対して子供のいない層で二倍の七二%なんですよ。

 ところが、政府が今やっておいでなのは、今度、乳幼児加算をどこかから財源をつけてなさるようですけれども、現行は、一人目、二人目五千円、三人目で一万円、これはちょっとやり方が違う。私たちは、子供一人一万六千円の子ども手当ということを法案を昨年の通常国会に出させていただきました。というのは、後ろへ行くほど多くなるというのは今の意識の実態に合っていない。

 諸外国でも、子供がふえるほど額が多くなっているところが多くはあるんですけれども、日本のように倍も違うところはありません。数千円ずつ、子供が多くなるごとに上がっている。それで、イギリスは逆に一人目が一番高いんです。日本のこの持っていない人が経済的負担が一番ネックだと言っているんですから、せめてやはり子供には同じ額を出すという発想の方が現実に合っているのではないか。

 私たちは、財源もそれはきちんと示して法案も提示し、この中でもお示しをしています。というのは、複雑な控除によって今の日本の税構造が成り立っています。これは民主党の税調としましては、税の控除はなるべくなくしてスリム化をしていく、その財源を社会保障のサービス給付に充てたいという基本的な考え方を持っていまして、配偶者控除とか、それから子供に関する控除、これをなくすことによりまして、それと、あとは働き方の中で、ちゃんと均等待遇とかで全体でバランスをとりますが、この子ども手当につきましては、そういう控除をなくしてそれを高齢者か子供の弱い立場の人にということなんですけれども、高齢者については、改正する点も多くありますけれども、曲がりなりにも社会的介護の介護保険制度ができている。それから、社会保障給付費が、先ほど申し上げたように子供の十七倍高齢者に出ているということから、この控除を廃止してそれを財源に子ども手当にしたいということを提案しております。こういう考え方についてはいかがでしょうか。

 もう抜本的に変えないと、今の児童手当というのは、継ぎはぎ継ぎはぎで来ているので、働き方によって全く負担の層も違いますし、やり方がもう行き詰まっているんだというふうに思うんですけれども、この点につきましては柳澤大臣はどのようにお考えでしょうか。(発言する者あり)いや、財源のことというよりも、これは、児童手当の所管は厚生労働省でございます。

柳澤国務大臣 月額一万六千円の子ども手当を創設すべきではないか。私どもの試算では、三兆四千億円のお金が要る、こういうことのようでございます。

 そういうことから、我々はすぐに、財源はどこから持ってくるんだろうかということでございますが、今、小宮山委員がおっしゃるには、扶養控除、配偶者控除等を廃止するということですが、それだけではやはり十分説得的でないと思うんですね。

 つまり、税全体がどういうことになるかということを教えていただかないと、私どもとしては、扶養控除、配偶者控除等を廃止する、本当に配偶者控除を廃止するということでいいんだろうか、それから、扶養控除においては、中学まではこの一万六千円がいただけるようですからそれは相打ちということでいいんですけれども、その他の、わかりやすく言えば、高校生以上あるいは年齢がいっても障害などを持っている、そういうことで扶養控除の対象になっている人たちは放置されてしまうんだろうか等々がすぐ頭に浮かんでくるわけでありまして、そうではない、安心ですよと言っていただくためには、やはり税体系全体のことについてお示しいただかないと、なかなか我々もそれについてどうこう申し上げるというわけにはいかない。

 そういう意味で、財務大臣がよろしいんではないかということを申し上げたという次第でございます。

小宮山(洋)委員 私どもは、義務教育までこの子ども手当で、その先は奨学金ということで、ちゃんとその財源についても民主党の予算案の中で出しておりますので、きょうは時間がございませんけれども、後ほどお届けをしたいというふうに思います。

 それからあと、これはやはり働き方の問題とも非常に大きくかかわっている。先ほどワーク・ライフ・バランスと言っていただきましたけれども、今のキーワードです。女性たちが、持ちたいのに子供が持てない、このもう一つの大きな要因は、妊娠をして働き続けられないということがございます。

 今、育児休業は、一番新しい二〇〇五年の数字で、女性が七二・三%取得をしているけれども男性は〇・五%しかとっていないというこの男女の差がございますが、厚生労働大臣は、妊娠をした女性の七二・三%が取得しているというと、十人に七人はとっている、そのようにお考えですか。

柳澤国務大臣 今のは育児休業ですね。育児休業ということでありますれば、そのほかに何が分母として考えられるかということでしょうけれども、育児休業は雇用保険に入っていらっしゃる方々は皆対象になっているはずですから、雇用保険に入っている人たち以外の分母に算入すべき方々がどのぐらいいらっしゃるかによりますが、雇用保険については、大体、多くの方が、加入率は非常に高うございますから、まずこれと誤りではない、このように考えます。

小宮山(洋)委員 ちゃんとその働き方、こういうことについて聞くというふうに私は言ってあります、午前中に。横でそういうふうに出てこないでください。

 これは、やはり厚生労働大臣がそういう認識を持っていらっしゃるから女性たちは信用できないというふうに言うわけですよ。七割の女性がとっているのではないんです、実際は。仕事をしている女性で、妊娠をすると、七割がやめるんです、やめざるを得ないんです。残りの働き続ける三割のうちの七割がとっている。だから、実際には妊娠した女性の二割しか使えていない制度なんですよ。これで、このままでいいとお考えですか。

柳澤国務大臣 ですから、私は、雇用保険の対象になる女性労働者ということを申し上げたつもりなんです。ですから、引き続いて、雇用保険の対象になる方々が育児休業手当をもらいながら、また継続雇用をされる機会をいただく、こういうことだろう、このように思っているわけです。

小宮山(洋)委員 なかなかわかっていらっしゃるとはよくわかりませんが、私が伺ったのは、このような七割がやめなきゃいけないという現状についてどうお思いですかと伺ったんです。

柳澤国務大臣 これは、私どもとしては、できるだけ継続雇用というものをこれから奨励するというか、そういう方向でないと、ワーク・ライフ・バランスのとれた、子育てフレンドリーと申しましたか、ファミリー・フレンドリーの社会を構築するということにはならない。ですから、ファミリー・フレンドリーの社会を構築するという意味合いでも、できるだけ継続雇用をしていくという前提でいきたいと思います。

 今のような、七割の人が出産を機に職を離れるというようなことは、決して、我々のこれからの、子育て支援を中心として社会保障制度を組み立てていこう、そういう方向からはそぐわない状況だ、このように思います。

小宮山(洋)委員 そうなんですよ。そぐわない状況なんです。だから、出生率が下がっているんです。

 日本だけが、女性の生涯の就業率をあらわしたときに、M字型カーブ。大臣御存じだと思いますけれども、学校を出て、まず働き出したところがMの最初の頭になります。二十代後半から三十代前半の子育て期の人たちがやめざるを得ない、今のように妊娠すると七割がやめる、だからMの底になります。それで、子供が三年生ぐらいになってちょっと手が離れるとまた働き出す。ところが、ここは非正規雇用。今は最初の頭も非正規雇用になるから、さっきのワーキングプアのように問題なんですけれども、そのように子育て期にやめざるを得なくてM字型カーブを女性の就業率が描いているのは、先進国では日本だけなんです。

 しかも、女性たちは働き続けたいと願っている。潜在就業率といいますけれども、本当は働きたいかどうかを聞くと、女性たちは八割ぐらいが働き続けたいと言っているんです。そうなると、M字型カーブではなくて、ヨーロッパのような食パン型、馬の背型、それこそ男性が働くのと同じように女性も個性を発揮して働き続けられる、そういう形が望ましいというふうに思うんですね。

 そのためのかぎがこのワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和ということで、今、幾ら育児休業をとりなさい、ファミリー・フレンドリーな企業は表彰しますと言ってもとれていない。それは、御承知のように、働く現場がこれだけ厳しくなっている中で、妊娠をした人だけの特別の権利というのは、幾らとれと言ってもとれないんですよ。

 だから、そういう特別な人だけじゃなくて、もう子育てが終わった人も独身の人も、女性も男性も、みんなが仕事と賃労働以外の生活がバランスのとれた働き方をしましょうということで、その生活の中には、家事、育児、介護といった家庭での生活のほかに、地域活動とかボランティア活動とか何かを学習するとか、人間として生きていくすべての活動と賃労働がバランスのとれた社会にしましょうというのがかぎになっているわけです。

 ただ、それも、そういっても、事業主はなかなか、それにとってメリットがあると思わなければ導入しないので、ぜひ、そういうふうにした方がこれからの、特に、少子社会が一気によくなるとは思えませんので、労働力が不足する中で、女性が働き続けた方が企業にとっても得だということが、アメリカなどではデータが出ているんです。

 例えばAT&Tという会社では、働いていた女性が妊娠を機にやめてしまうと一五〇%の損失、だけれども、一年休業をして戻ってくれば三〇%の損失、五分の一で済むというデータなどが出ているので、ぜひそういうような調査研究もしていただいて、本当にワーク・ライフ・バランスが根差すように、そういうふうに取り組んでいただきたいと思うんですが、柳澤大臣、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 これは、我が国の労働力を確保する観点からも、どうしても必要なことなのでございます。

 今、我々の人口推計を労働力調査の方に投影してみますと、二〇三〇年の時点で、大体、労働力はそのままにしておきますと一千万人単位で減ってしまうということでございまして、これをこのままにしておいたのでは余りにも経済活動への影響が大きい。そのために、私どもはやはり就業率というかそれを引き上げようということを考えておりまして、これを五百万人規模で引き上げる。どこで引き上げられるかといったら、今、小宮山委員が御指摘になられたようなM字型カーブのおっこったところを思い切り上げていかざるを得ない、いってこそ初めてそうしたことが実現できるということもあります。

 そういった観点からも、ぜひ、今言ったM字型カーブのおっこったところの女性たちが就業を継続できるような、そういう政策を打っていかなければ我が国の労働力そのものが確保できない、こういう事態ですから、これは真剣に取り組まなければならない課題である、このように考えます。

小宮山(洋)委員 とにかく子供を中心に置いて総合的に政策をするという中には、今申し上げました経済的な支援、働き方の見直し、そして、ワーク・ライフ・バランスをきちっと確保するためには、この国会でも労働国会ということでこれは提出をされるということですが、正規と非正規の均等待遇の問題、これはパートの待遇の問題として法案が出てくると思っております。

 私どもも今つくっていますが、政府の言われている均衡待遇ではだめなんです、均等待遇でないと。均衡というのはエクイティーで、それぞれの中で公正であればいい、均等というのはイコーリティーで、すべてにわたって公平、平等でなければいけないということで、一時間当たり同じ価値の仕事をしたら、短い時間働いても長い時間働いても同じ報酬があるというようなことをきちんと位置づける中で、ヨーロッパの国などは、きちんと働きながら子供も持てるということが実現をしている例がたくさんあるわけですから、均衡とおっしゃらずに均等までぜひ踏み込んでほしいと思います。

 そのほかに、もう時間が余りなくなりましたが、小児医療の問題にいたしましても、本当に喫緊の課題です。産科、小児科が町になくなったのにどうやって安心して産めというのか、育てろというのか。そういう現状はまた予算委員会でも厚生労働委員会でも質問をしていくと思いますけれども、小児医療の充実についても、拠点化、集中化の法案を私たちはさきの国会に提案しておりますので、ぜひそのあたりも取り組んでほしいと思います。

 学童保育の充実ということも子供の安全の問題から求められているのに、大分修正はされましたが、放課後子どもプランということで、週に一日しかやっていない全児童対策と、毎日、特に低学年の小学生は学校にいるより長い時間いる学童をあたかも一緒にするかのごとく報道が当初されたりして、現場は大変混乱をいたしました。これは、全児童対策は全児童で、そして学童は学童で充実をさせて、必要なところを連携させていく、そういうところはきちっと取り組んでいただきたいと思っています。

 年金の問題についても伺いたかったのですが、高井議員が伺いましたし、ちょっと時間もなくなってきましたので、やはり少子化対策と政府は言っていらっしゃいますけれども、それがどういうねらいで行われているのかがどうもわからない。私は余り少子化対策という言い方はしたくないので、少子化への対応という言い方をしておりますけれども、政府の少子化対策と言われているものの政策のねらい、理念というものを改めて厚生労働大臣に伺いたいというふうに思います。

柳澤国務大臣 ちょっと時間があれなんでしょうか。

 先ほどパート労働の均衡待遇の話についてお触れになりましたが、私は民主党さんにも考えていただきたいのは、日本の労働賃金が職務給でないということをお認めになるのかならないかなんです。職務給というものを、私は、いわゆる自己管理型労働を突破口にしてできるだけ職務給が定着するようにという方向で考えておりました。ところがそれは、また別の理由かもしれませんが、御反対だとおっしゃる。それから今度は、パート労働については、あたかも職務給があるかのようなことで均等待遇をしろ、こう言う。

 これはやはり、全体の体系がそうならなければそんなこと実現不可能なんです。そういうことを前提にして物を考えてもらいたいということでございます。

 少子化対策の理念は何かと。これはもう明らかに、日本の国家社会、これがやはり、みんなが幸せなことで過ごせるようにということで、それぞれがその中で自己実現をし、それからまた、将来にわたって安定した国家社会が維持できていくということであろうと思います。

 いずれにせよ、これは私は、ある意味で実行官庁として位置づけられておりまして、実際は、今言った戦略会議でもってこの問題はしっかり練り上げられていくというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 前半のものについては、私どももしっかりと理論的につくって法案を提出させていただきますので、その折にまた議論をぜひさせていただきたいというふうに思っております。それは、それぞれの職場の中でしっかりとした価値基準を持って当たるという法案を出したいというふうに思っております。

 後段のことですけれども、今のお話の中でも、やはり私、本質は変わっていないし、違うというふうに思います。

 まず日本の国家社会が出てくるじゃないですか。国家社会のためじゃなくて、そこが違っていることが女性たちが違和感を感じるところなんですよ。一人一人が持ちたい数の子供を生み育てやすい環境をつくることによって、結果として出生率が上がってきて国家や社会のためにもよくなるということを、私たち、特に女性たちはそういうことを考えています。どうも、国のために産めと、現代版産めよふやせよに近い言動があるので出生率が下がり続けているのだというふうに思っています。

 そうしたことの中で、先ほど御答弁の中でも、環境整備をするだけではなくて目標値を念頭に置いてというようなお話もありました。これもやはり、私は違う、順番が違うというふうに思いますが、いかがですか。

柳澤国務大臣 国民の税金を差し向けていろいろな対策を打っていく場合に、それがどのような結果を招来するかということも全然放念して取り組むということは、私はあり得ないと思います。

小宮山(洋)委員 ということは、出生率の目標値を念頭に置くということですか。

柳澤国務大臣 出生率を念頭に置くということです。

小宮山(洋)委員 出生率を念頭にするというのはお答えになっていないようですけれども、出生率がこれぐらいまで上がるという目標値を念頭に置くということですか。

柳澤国務大臣 国民の希望が実現される、現実との乖離がそれで埋められていくというときに、どのぐらいの出生率になるかという見通しが立てられます。その見通しから出てきた出生率、合計特殊出生率というわけですが、それを念頭に置いて我々は子育ての支援をしていく、こういう少子化対策を打っていくということであります。

小宮山(洋)委員 では、政府は今までもそういう見通しを持ちながら念頭に置いて進めてこられたのに、一九九〇年から下がり続けているということは、これは政策の失敗ということでしょうか。

柳澤国務大臣 一生懸命やってきた、先ほど来申し上げました。しかし、限界があったんです。経済状況、何のためにさっきから私いろいろと御説明申し上げたんですか。よく聞いてくださいよ。経済状況、それから、子育ての支援の歳出をやるにしても、それは、いろいろな財政の制約のもとで我々は一生懸命やってきたということであります。それで、経済状況なんかが好転したことを反映して……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に願います。

柳澤国務大臣 去年は合計特殊出生率の上昇を見ました、我々はそのように受けとめていますということを先ほど来御説明させていただいた次第でございます。

小宮山(洋)委員 あと三十秒ですから、しっかり三十秒で、ストップウオッチを持っています、そこで終わりますけれども、今大臣が言われたことは、結局、幾ら一生懸命やっても財政の制限があったとか、優先度を上げていないということなんですよ。子供を第一に考えていないということなんです。ですから、言いわけになるわけです。

 それはもう私たちが申し上げたように、私たちはチルドレンファースト、子供第一で、子供を中心にして、しっかりと政策を総合的に立てていく、そうした中で、一人一人が産みやすい状態をつくって、結果として出生率が上がる、そういう政策にならなければ、女性たちは安心して産めませんので、大臣にはやはりおやめをいただいて、しっかりとしたいい議論をしていきたいというふうに申し上げて、私の質問を終わります。

金子委員長 これにて小宮山君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明八日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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