衆議院

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第17号 平成19年3月1日(木曜日)

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平成十九年三月一日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 金子 一義君

   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君

   理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君

   理事 萩山 教嚴君 理事 森  英介君

   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君

      井澤 京子君    井上 喜一君

      井脇ノブ子君    飯島 夕雁君

      稲田 朋美君    猪口 邦子君

      臼井日出男君    遠藤 武彦君

      小野寺五典君    大島 理森君

      大野 功統君    亀井善太郎君

      亀岡 偉民君    河井 克行君

      倉田 雅年君    木挽  司君

      佐藤 剛男君    笹川  堯君

      中馬 弘毅君    中野  清君

      西村 康稔君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    馳   浩君

      原田 憲治君    深谷 隆司君

      細田 博之君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    三ッ林隆志君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      宮下 一郎君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    山本 公一君

      岩國 哲人君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 克也君

      川内 博史君    北神 圭朗君

      小宮山泰子君    篠原  孝君

      中井  洽君    原口 一博君

      前原 誠司君    松木 謙公君

      松本 剛明君    大口 善徳君

      丸谷 佳織君    笠井  亮君

      佐々木憲昭君    阿部 知子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         菅  義偉君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         尾身 幸次君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         若林 正俊君

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     塩崎 恭久君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働副大臣      石田 祝稔君

   環境副大臣        土屋 品子君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   国土交通大臣政務官    藤野 公孝君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山崎 史郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋  進君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長)   後藤 正之君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)     目賀田周一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            高橋  満君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  山田 修路君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     飯島 夕雁君

  稲田 朋美君     冨岡  勉君

  臼井日出男君     藤井 勇治君

  中馬 弘毅君     中根 一幸君

  細田 博之君     土井  亨君

  宮下 一郎君     松本 文明君

  岩國 哲人君     逢坂 誠二君

  中井  洽君     細野 豪志君

  丸谷 佳織君     田端 正広君

  飯島 夕雁君     福田 良彦君

  大野 功統君     山内 康一君

  河村 建夫君     赤澤 亮正君

  笹川  堯君     土井 真樹君

  土井  亨君     杉田 元司君

  深谷 隆司君     木原 誠二君

  藤井 勇治君     木挽  司君

  小川 淳也君     村井 宗明君

  逢坂 誠二君     田嶋  要君

  川内 博史君     前田 雄吉君

  原口 一博君     高井 美穂君

  馬淵 澄夫君     大島  敦君

  前原 誠司君     黄川田 徹君

  松木 謙公君     市村浩一郎君

  田端 正広君     古屋 範子君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  阿部 知子君     重野 安正君

  赤澤 亮正君     福岡 資麿君

  木原 誠二君     萩原 誠司君

  木挽  司君     小里 泰弘君

  杉田 元司君     橋本  岳君

  冨岡  勉君     阿部 俊子君

  松本 文明君     長島 忠美君

  山内 康一君     木原  稔君

  大串 博志君     山井 和則君

  田嶋  要君     田島 一成君

  村井 宗明君     内山  晃君

  大口 善徳君     斉藤 鉄夫君

  古屋 範子君     田端 正広君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  重野 安正君     照屋 寛徳君

  遠藤 武彦君     矢野 隆司君

  佐藤 剛男君     赤池 誠章君

  土井 真樹君     石原 宏高君

  中根 一幸君     西本 勝子君

  長島 忠美君     坂井  学君

  野田  毅君     越智 隆雄君

  福岡 資麿君     平口  洋君

  増原 義剛君     丹羽 秀樹君

  大島  敦君     三日月大造君

  岡田 克也君     菊田真紀子君

  黄川田 徹君     石関 貴史君

  田端 正広君     古屋 範子君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

  阿部 俊子君     薗浦健太郎君

  赤池 誠章君     馬渡 龍治君

  石原 宏高君     平  将明君

  小里 泰弘君     近藤三津枝君

  大島 理森君     猪口 邦子君

  木原  稔君     田中 良生君

  丹羽 秀樹君     亀岡 偉民君

  萩原 誠司君     藤野真紀子君

  橋本  岳君     松本 洋平君

  平口  洋君     盛山 正仁君

  福田 良彦君     遠藤 宣彦君

  市村浩一郎君     松木 謙公君

  内山  晃君     三谷 光男君

  高井 美穂君     松野 頼久君

  細野 豪志君     鈴木 克昌君

  山井 和則君     楠田 大蔵君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

  照屋 寛徳君     保坂 展人君

  亀岡 偉民君     加藤 勝信君

  近藤三津枝君     原田 憲治君

  薗浦健太郎君     とかしきなおみ君

  西本 勝子君     井澤 京子君

  藤野真紀子君     広津 素子君

  馬渡 龍治君     大塚 高司君

  菊田真紀子君     鷲尾英一郎君

  鈴木 克昌君     松本 大輔君

  前田 雄吉君     川内 博史君

  高橋千鶴子君     吉井 英勝君

  保坂 展人君     日森 文尋君

  井澤 京子君     牧原 秀樹君

  坂井  学君     渡部  篤君

  楠田 大蔵君     後藤  斎君

  松野 頼久君     吉田  泉君

  吉井 英勝君     赤嶺 政賢君

  日森 文尋君     保坂 展人君

  松本 大輔君     近藤 洋介君

  三日月大造君     仲野 博子君

  三谷 光男君     森本 哲生君

  斉藤 鉄夫君     江田 康幸君

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

  猪口 邦子君     大島 理森君

  遠藤 宣彦君     井上 喜一君

  越智 隆雄君     野田  毅君

  大塚 高司君     佐藤 剛男君

  加藤 勝信君     増原 義剛君

  田中 良生君     大野 功統君

  平  将明君     笹川  堯君

  とかしきなおみ君   稲田 朋美君

  原田 憲治君     臼井日出男君

  広津 素子君     深谷 隆司君

  牧原 秀樹君     中馬 弘毅君

  松本 洋平君     細田 博之君

  盛山 正仁君     河村 建夫君

  矢野 隆司君     遠藤 武彦君

  渡部  篤君     宮下 一郎君

  石関 貴史君     前原 誠司君

  後藤  斎君     大串 博志君

  近藤 洋介君     中井  洽君

  田島 一成君     岩國 哲人君

  仲野 博子君     馬淵 澄夫君

  森本 哲生君     小川 淳也君

  吉田  泉君     原口 一博君

  鷲尾英一郎君     岡田 克也君

  江田 康幸君     大口 善徳君

  古屋 範子君     丸谷 佳織君

  穀田 恵二君     佐々木憲昭君

  保坂 展人君     阿部 知子君

三月一日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     清水清一朗君

  臼井日出男君     上野賢一郎君

  河村 建夫君     中川 泰宏君

  佐藤 剛男君     武藤 容治君

  笹川  堯君     鈴木 馨祐君

  野田  毅君     片山さつき君

  深谷 隆司君     北村 茂男君

  宮下 一郎君     篠田 陽介君

  岩國 哲人君     前田 雄吉君

  小川 淳也君     佐々木隆博君

  岡田 克也君     北神 圭朗君

  中井  洽君     津村 啓介君

  前原 誠司君     柚木 道義君

  大口 善徳君     赤羽 一嘉君

  上野賢一郎君     岡部 英明君

  大串 博志君     寺田  学君

  北神 圭朗君     小宮山泰子君

  佐々木隆博君     泉  健太君

  津村 啓介君     森本 哲生君

  原口 一博君     笠  浩史君

  前田 雄吉君     岡本 充功君

  松木 謙公君     菊田真紀子君

  鈴木 馨祐君     福田 峰之君

  武藤 容治君     井脇ノブ子君

  菊田真紀子君     鈴木 克昌君

  小宮山泰子君     長島 昭久君

  馬淵 澄夫君     長妻  昭君

  井上 喜一君     高鳥 修一君

  大野 功統君     林   潤君

  清水清一朗君     清水鴻一郎君

  中川 泰宏君     亀井善太郎君

  泉  健太君     三日月大造君

  岡本 充功君     横山 北斗君

  川内 博史君     高山 智司君

  鈴木 克昌君     太田 和美君

  長島 昭久君     逢坂 誠二君

  笠  浩史君     郡  和子君

  井脇ノブ子君     佐藤 剛男君

  岡部 英明君     臼井日出男君

  片山さつき君     野田  毅君

  亀井善太郎君     河村 建夫君

  北村 茂男君     深谷 隆司君

  清水鴻一郎君     稲田 朋美君

  篠田 陽介君     宮下 一郎君

  高鳥 修一君     井上 喜一君

  林   潤君     大野 功統君

  福田 峰之君     笹川  堯君

  太田 和美君     松木 謙公君

  逢坂 誠二君     岡田 克也君

  郡  和子君     原口 一博君

  高山 智司君     川内 博史君

  寺田  学君     大串 博志君

  長妻  昭君     馬淵 澄夫君

  三日月大造君     小川 淳也君

  森本 哲生君     中井  洽君

  柚木 道義君     前原 誠司君

  横山 北斗君     岩國 哲人君

  赤羽 一嘉君     大口 善徳君

  稲田 朋美君     井澤 京子君

  遠藤 武彦君     原田 憲治君

  小野寺五典君     葉梨 康弘君

  大野 功統君     亀井善太郎君

  河村 建夫君     飯島 夕雁君

  西村 康稔君     矢野 隆司君

  野田  毅君     猪口 邦子君

  馳   浩君     安井潤一郎君

  細田 博之君     木挽  司君

  小川 淳也君     篠原  孝君

  大串 博志君     松本 剛明君

  川内 博史君     北神 圭朗君

  馬淵 澄夫君     小宮山泰子君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  井澤 京子君     亀岡 偉民君

  飯島 夕雁君     牧原 秀樹君

  安井潤一郎君     井脇ノブ子君

  井脇ノブ子君     馳   浩君

  猪口 邦子君     野田  毅君

  亀井善太郎君     大野 功統君

  亀岡 偉民君     稲田 朋美君

  木挽  司君     細田 博之君

  葉梨 康弘君     小野寺五典君

  原田 憲治君     遠藤 武彦君

  牧原 秀樹君     河村 建夫君

  矢野 隆司君     西村 康稔君

  北神 圭朗君     川内 博史君

  小宮山泰子君     馬淵 澄夫君

  篠原  孝君     小川 淳也君

  松本 剛明君     大串 博志君

  笠井  亮君     佐々木憲昭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、お手元に配付のとおり政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 本日は、地域格差等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 自由民主党の葉梨康弘です。

 本日は地域格差等に関する集中質疑ということですけれども、何の因果かわからないんですけれども、実は私も、昨年の格差問題に関する集中質疑で、前の小泉総理大臣に対して、十五分ほど時間をいただいて質疑をさせていただきました。そのときの答弁が、格差はどの時代でも、あるいはどこの国でもあるというような答弁がございました。ただし、しかしながら、前の小泉総理も格差があっていいと言っていたわけではない。やはり格差はない方がいい、これは我々政治家として当然の話だろうと思います。しかしながら、事実の問題として、結果が全部平等になるということは、これはあり得ないわけですから、そういう認識で小泉総理も言われたのかなというような感じを持っています。

 しかしながら、私自身の考えを申し上げますと、高度成長期というのは極めて幸せな時代だったと思います。結果の平等をより促進するような仕組みを我々は持つことができました。右肩上がりの経済成長の中で、企業においては、一九四〇年体制の後、年功序列そして終身雇用、そのシステムが定着し、より働く若い世代に対しては低い給与、そして物入りの要る中高年の世代に対しては高い給与を支払うことができました。

 しかし、今、若年雇用者は減少し、グローバル化が進み、そういうような雇用慣行を保つことはできません。また、右肩上がりの税収増の中で、税収も非常に余裕があった、そして、地方に対して傾斜配分をすることができました。また、地方重視の公共投資、これも行うことができました。しかしながら、今、財政は火の車、そういうようなシステムを持つことができない。

 その中で、私たちがやっていかなければいけないことは、官から民へということを小泉前総理もおっしゃいましたけれども、やはり、頑張る普通の人をどういうふうに応援していくか、そういうことだろうと思います。

 ただ、前提の認識として、私は、今、日本の国において、不可逆的かつ固定的な格差があるというふうには思っていません。日本人は、やはり頑張れば当然その格差の問題を克服することはできる、そういうふうに思っています。しかしながら、一方で、野党の方の中には、日本は世界で一番格差のある国である、そういうような認識を持つ方もいらっしゃいます。

 総理に、まず、今の現状の認識についてお尋ねを申し上げたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、日本は世界で一番格差がある、これを本当に信じる人はいないんだろうと思うんですね。それは全く事実に反する、私はこのように思います。

 格差について言えば、ただいま葉梨委員がおっしゃったように、まさにいつの時代にもあります。しかし、この格差というのは、結果として、不公平、不公正な競争の結果生まれたもの、あるいは、これは幾ら何でも許容できないという格差はあってはならない、このように思います。

 そして、今、現実に、日本においても地域間あるいは産業間等の格差は、それはあるんだろうと思います。そしてまた、一生懸命頑張っているけれどもなかなか未来が見えてこないと思っている人たちも当然おられるんだろうと思います。そういう方々や地域に光を当てていくことこそ、まさに私たち政治家の使命であろう、この使命は果たしていかなければならないと思います。

 その中で、格差について言えば、いわばマクロの数字としてのジニ係数で見ると、格差においては、OECDの国際比較においても大体真ん中辺ですねということなんだろうと思います。

 そしてまた、他方、日本が世界で一番格差がある、こう言った人がいますが、しかし、食料品など生活必需品を調達できなかった人たちの割合、これはいわば絶対的な貧困率、このように言われておりますが、この絶対的貧困率においては、日本は国際比較で見ても、先進国の中では最も低い、幸い低いというのは絶対貧困率が低い水準にある、このように言われています。総体的には、貧困率において第五位になっている、このように言われますが、数字によっては大体中位ぐらいである、このような平均を下回るという数字もあるわけであります。

 しかし、若い人たちの中にフリーター、ニートと言われる方々がいて、この方々は、なかなか職業訓練を受けたり自分たちのキャリアを上げていく、さらに、何か技能を身につけるという機会が失われていたり、あるいは、新卒一括採用という中にあって、中途採用の道がなかなか開かれない、大変不利な立場に置かれていて、その中でやはり格差が出てくる可能性があります。

 ですから、私たちは、そういうことを今から対策を組んで対応していくことが必要であり、そのための再チャレンジ支援であり、また成長力底上げ戦略である、このように思っております。

葉梨委員 不可逆的かつ固定的なものではない、頑張ればできるんだということだろうと思います。

 今、私も地元でいろいろな会合に出ております。今現在の景気回復は実感なき景気回復であるというような声を耳にします。そういうときに私は申し上げるんですけれども、では、五年前どうでしたか、官が乗り出して、小渕総理も頑張って、借金をして、それで公共投資もして、財政出動して、だけれども失業率五・三%。今四%だ。五年前は実感ある景気の後退だったものが、今実感なき景気回復になっている。そこまで持ってきた。日本人は頑張ればできるんだ、官に頼らなくても日本人はそれだけ優秀な民族なんだ、そういうことをワンフレーズと言われながら言い続けた小泉前総理の改革の功績というのは私は決して低く評価すべきじゃないと思います。

 実感のなき景気回復だとすれば、これを実感のある景気回復に持っていくにはどうしたらいいのか。それは、やはりもっと頑張る、民間の方々に頑張っていただく、それがいいのか、それとも、もう一度官が乗り出して、財政出動して、結果の平等を担保するのがいいのか。これはもう答えは明らかだろうというふうに思います。

 そういう観点から、きょうは議論を進めさせていただきたいと思います。

 ちょっとパネルを用意しております。まず、経産大臣にお伺いをしたいと思います。

 今この国会でも税法等も審議されております。予算審議とあわせて税法等も審議されておりますが、よく企業優遇税制であるというふうに言われることがございます。これに関連して、中小企業にぜひ頑張っていただきたいという観点から、御質問を一問させていただきたいと思います。

 大企業における労働分配率が減少傾向にあるということが、この予算委員会でもいろいろな野党の方々から質疑として言われました。そして、中小企業については、二〇〇三年から四年以降、労働分配率自体は増加傾向にあるというのもよく知られている話です。

 このパネルを見ていただきたいんですけれども、平成十二年と平成十七年の比較でございます。これは国税庁の統計、民間給与実態統計調査結果ですけれども、それぞれ、資本金別の企業で、どこが雇用を創出したのかということを表にさせていただきました。答えは明らかです。平成十二年から平成十七年の間に百三十万人の雇用が創出されました。その雇用を最も多く吸収したのが資本金二千万から五千万の会社、そして資本金五千万から一億円の会社です。資本金十億円以上の会社というのは、むしろ雇用を減少させています。雇用を減少させている中で、労働分配率は当然下がってまいります。

 では、一人当たり給与はどうだということなんですが、定年退職もいらっしゃいます、あるいは非正規雇用の問題もあります、あるいは若年層を余り雇わないというような問題もありますけれども、一人当たりの給与は、資本金十億円以上の会社は十二年と十七年を比べると九四・三、下がっているとはいえ、そんなに下がっていないんです。二千万から五千万の会社は八七・四、それから五千万から一億の会社は八四・四。ここの部分が下がって、でも労働分配率は上がっている。

 何でか。利益が出ないんです。利益が出ないから中小企業は払いたくても払えない、そういう中で一生懸命雇用を充実させて景気の回復に寄与した、本当にこの中小企業の涙ぐましい経営者の皆さんの努力というのがこの表からもかいま見られるんじゃないかと思います。

 そして、私自身は、この地域格差の問題を減らすにしても、実は、私の選挙区に、この予算委員会でいろいろな議論がございましたキヤノンの工場が二つあります。市の財政には大変寄与しています。ただ、献金はしていただいていないんですけれども。ただし、このキヤノンの下請の会社が非常に地域に根差して、そしてその中で地域の雇用を創出しております。

 地域の活性化のかぎというのは、このあまたある、たくさんの中小企業、この経営者の皆さんに、より利益が出る体質にしていただくということ、これが非常に大事だと思います。そして、その中では、元請、下請との関係で、私も全く大企業と中小企業、格差がないなんと言っているわけじゃない。元請、下請との関係で、やはり下請いじめだとか、そういうことはあってはならない。ぜひともこの中小企業を支援していかなきゃいけないし、また、そういうような施策を今与党は組もうとしているはずです。

 経産大臣から、そこら辺の御所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 雇用の七割を中小企業が支えています。

 中小企業は、直近の業績で見ますと、売り上げが伸びて利益が減っているというところであります。中小企業の底上げを図ることはすなわち地域の底上げにつながる、そして、中小企業の底上げを図ることは、すなわち、その雇用の大宗を占めている中小企業が元気になるということですから、消費の拡大にもつながってくるわけであります。

 そこで、この国会に地域振興の三法案を提案いたしました。そして、あわせて、この成長戦略の中で、格差が固定あるいは拡大していかないようにということで、底上げ戦略を提案しているわけであります。その成長力底上げ、つまり、成長戦略でパイを大きくする、底上げ戦略で格差の是正を図るという二段構えになっているわけでありますが、その中小企業の底上げの際に、中小企業に悪い影響が出ないように中小企業への配慮を最大限にするようにという指示を総理からいただきました。つまり、底上げの中には最賃の話があるわけであります。最低賃金を引き上げる、大企業ももちろん影響があるでしょうけれども、一番影響を食うのは中小企業。中小企業の頭が抑えられていて下だけ上げたら、これは中小企業が大変になるだけですから、この頭も引き上げるということが大事という指示を総理からいただきました。

 中小企業の底上げを図っていくためには、構造改革としてのITの導入等があります。しかし、これは構造改革ですから時間がかかります。即効性としては、中小企業の取引の適正化、つまり、下請二法というのがありますが、この下請二法の運用基準や振興基準に沿って元請がちゃんと代金を払ってくれるということが大事であります。

 先ほど、総理の御指示もありましたので、経団連の常任理事会に出席をしてきました。二百社の経営者が集まった席で、この下請取引の適正化並びに正規雇用化の推進を要請してきた次第であります。

 即効性のあるものと、それから構造改革と、あわせて中小企業の底上げを図っていきたいと思っております。

葉梨委員 まさにそこのポイントが大事なわけです。

 大企業の労働分配率を上げても、組合のサラリーマンの方は喜ぶかもわかりません。でも、中小企業の最低賃金を余り上げて中小企業が立ち行かなくなったら一体どうなるんだ、そこのところが非常に問題だと思います。

 また、今回、予算とあわせて税法の審議もされています。税法の審議の中でよく、大企業優遇税制だ、そういうことを言われることがあります。しかしながら、我々、昨年の党の税調の議論を考えてみても、声は、大企業じゃなくて、中小企業もっと頑張ってくれ、同族会社ももっと頑張ってくれ、留保金ももっと頑張ってくれ、そういう中で議論をしてきた、そういう覚えがあります。

 尾身大臣から、今回の税制で中小企業に対して非常に支援をしているんだ、そこのところをぜひとも一言お願い申し上げたいと思います。

尾身国務大臣 今、葉梨議員のおっしゃるとおりでございまして、私も党におりまして、中小企業が我が国経済をまさに支えているという実感を私どもは持っておりまして、中小企業を元気にすることが日本を元気にすることである、おっしゃるとおりの考え方でございます。

 安倍政権発足の後、こういう点を非常に強く意識いたしまして、税制改正の中にも織り込みました。

 一つは、減価償却の問題でございまして、今までほかの国が設備について一〇〇%まで償却をできていたものが、日本は九五%しか償却をできなかった。これを国際競争の中でほかの国とイコールフッティングにしようということで、あえて一〇〇%まで償却できるように直しました。これによりまして、中小企業の皆さんも大いに元気が出ると確信をしております。

 それからもう一つは、同族会社の留保金課税という問題がございまして、同族会社の場合に、配当をすれば通常の法人税で済むわけでありますけれども、しかし、これを内部留保に回すと、またさらに内部留保に回すことによる追加の税が取られるという留保金課税という制度がございました。これは、中小企業の活力を高め、そして内部留保をしっかりと積んでいただくために非常に足を引っ張る制度でございましたので、これを中小企業についてはなくそうということで、このたび、中小企業はこの例外にする、除外するということにいたしました。

 それから、いわゆる一人会社のオーナーの役員給与の損金算入の問題でございますが、これの適用除外の水準を、今まで八百万円以下ということにしておりましたのを千六百万円まで上げまして、これも中小企業の活性化に大いにプラスだと思っております。

 それから、中小企業にとって一番の大きい問題は相続の問題でありまして、事業承継をしっかりできるようにするということで、自社株の贈与の場合に、年齢制限を六十五歳から六十歳に引き下げて、かつ非課税の枠を、五百万円上乗せして三千万円にいたしました。

 このような幾つかの改正、これは中小企業の活性化を目指して、平年度ベースで千八百億円程度の減収になるわけでございますが、法人、個人を合わせて約二百七十万の中小企業の活性化のためには大いにプラスになるというふうに考えております。そして、中小企業が活発に頑張っていただくことによって日本経済が活性化する、これが我々望んでいるところでございまして、これからもしっかり頑張ってまいりたいと思います。

葉梨委員 尾身大臣の財務大臣になる前からの専門分野で、よく聞かせていただきました。

 次に、給与の官民格差の問題を申し上げたいと思います。

 格差という意味で、不可逆的かつ固定的な格差という意味では、官の場合は、正規雇用、非正規雇用の問題がない、比較的年功序列というシステムがとられている。ここで給与格差があるとすれば、これはまさに不可逆的かつ固定的な格差であろうというふうに思います。

 一昨年の人事院勧告、これによって国家公務員の給与構造改革というのは図られましたけれども、なかなか、今人事委員会もそれぞれ努力はしているんですが、地方まで浸透がまだまだいっていないというのが現状だろうと思います。ですから、総務省においても、資料二のように、各都道府県別のラスパイレス指数あるいは給与、これについてのディスクロージャーを図っているんですけれども、なかなかこれは、インターネットの中でクリック、クリック、クリックして見ていかなきゃわからないところがありまして、非常にちょっと見ていてもわかりづらいという問題があります。

 そういう中で、例えば、私は愛知県のことを悪く言うつもりもないんですけれども、愛知県においては、市別にいう国の公務員の地域手当、これは名古屋市で一二%。ただ、豊川市は対象外、豊橋市は三%、一宮市は三%、岡崎市は三%。名古屋だけが高いという状況なんですが、愛知県の職員は、すべて町村押しなべて一〇%の地域手当をいただいておる。さらには、豊川市の市の職員は、国の公務員は対象外でもあるにもかかわらず、一〇%の地域手当をいただいている。これはちょっと一昨年の統計ですので、ただ、私も総務省に確認しましたところ、愛知県はまだまだレベルとしては高いですよということで、是正されているとしたら申しわけございませんけれども、そんなような状況が出ております。ですから、まだまだ地方における行革努力というのは必要だというふうに思っています。

 そこで、総務省にもぜひお願いしたいんですけれども、このディスクロージャーをやはり国民の目の前に、わかりやすくやっていただくということが大変大切なことです。やはり国民の目からそういうような官民の給与の実態というのを監視できるような形にしていただくということが大切だろうと思うし、それは総務省だけが頑張ってやるんじゃなくて、都道府県とか市町村も、ぜひとも、その住民に対してやっていただく、そういうような努力が必要だと思います。

 総務大臣として、いろいろと指導もされているかと思いますけれども、その方向性を伺いたいと思います。

菅国務大臣 葉梨委員の御指摘のとおりであるというふうに思っております。

 地方公務員の給与については、開示、公表によって透明性を高めることは地方公務員に対する住民の一層の納得と理解を得られる意味で極めて大事なものであると思っています。そして、給与の適正化を進める上でもこれまた重要であると考えます。

 こうしたことから、総務省では、地方公務員給与実態調査の結果等について、全国の地方公共団体別のラスパイレス指数、あるいは平均給与月額などの一覧表を公表いたしております。

 さらに、今御指摘のありました地域手当そしてまたボーナスの支給月数など、住民の皆さんにとって関心の深いものについて、項目によって一覧性をもって団体間の比較ができるように、そしてわかりやすいものにするように徹底をしてまいりたいと思います。

葉梨委員 ぜひとも地方の行革努力にインセンティブを与えるように、また、税金なんかの徴収についても頑張っている、そういうところについては応援するプログラムというのも総務大臣になられてから用意されていると伺っています。そういう方法をやはり進めていくということが、この地域間格差、これを、頑張っている人を応援するということで進めることが大切なことだろうというふうに思います。

 そして、地域間格差の問題で、農山漁村、特に農村の問題についてお聞きしたいと思います。

 今、やはり、地域間の格差ということを考えたとき、農村を荒廃させないということが私自身は大事だなというふうに思います。

 ただ、地元に帰りましても、またあるいは各県を回りましても、今、農村は大変高齢化しています。六十五歳ぐらいの人、七十歳ぐらいの人が大体一ヘクタールだとか一・五ヘクタールだとかそこら辺のところを耕している。後の後継者がいません。だれも若い人はやろうとしません。もしもこの状態を、例えばどこかの党が言っているように、お金をばらまくことによってその状態を固定化して、あと十年、二十年たったら、その農村は一体どうなるんだ、農地はどうなるんだ、そういうことを私自身は考えています。そして、そのお金のもとというのが、かんがいなんかにつく農業土木を使うとしたら、農地に水が通らなくなるじゃないか。

 やはり、十年、二十年後にこの農村を荒廃させないということを考えていかなければ、長期的には地域間の格差というのは広がってしまうんじゃないか、そういうふうに私は考えています。そういう方向でまさに今農政改革は進められているというふうに思います。松岡大臣から御所見を簡潔、端的にお願い申し上げたいと思います。

松岡国務大臣 葉梨先生にお答えいたします。

 地方の活力なくして国の活力なし、これはもう安倍総理の施政方針演説であります。

 私どもといたしましては、当然のことながら、それを受けまして、地方の大部分を占める農山漁村、なかんずく農村ですね、農林水産業、このやはり活性化を図ることが地方全体の活力であり、また国の活力につながる、こういう認識に立っております。

 そこで、ちょっと話が外国との比較になりますが、EUは構造改革をやってから価格政策をやった。我が日本は価格政策を先にやった。したがって、価格政策を先にやったものですから構造改革が進まなかった、これが現実であります。

 EUの場合、特にフランスは、一九六〇年には、農業基本法におきまして、農業所得、農業の労働時間、これが半分以上の主業農家だけを農政の対象とした。したがって、規模拡大が物すごく進みました。そして、一九七〇年になってこれは価格政策をやった。これがまた行き過ぎまして、一九九〇年には改革をして今度は直接支払いに移っていった。

 こういうようなことでありまして、今やっと我々も、そういうEUの例も見習いながら構造政策をこの時点で進めて、困難な面、また御苦労いただく面があると思いますが、何としてもこの改革をなし遂げまして、農村の活性化、農業の活性化、これをなし遂げていこう、このように思っております。

 したがって、今私どもが進めております改革は、まさに農業、農村の将来に向かった、活性化に向かった改革である、このような確信と自信のもとに進めていきたいと思っていますし、皆様方の御理解と御協力を得たいと思っております。

葉梨委員 地域間格差の問題に対処するためにも、ぜひとも進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 ただ、不可逆的かつ固定的な格差という意味では、ちょっと外国との関係でもそれがあるんです。今度ハワードさんが来られるそうですけれども、オーストラリアと日本だと、一戸当たりの耕地面積が千九百倍違う。これは、どんなに逆立ちしてもなかなか、そこのところは非常に問題がある。

 そして、農水省が、もしも農産物の関税を撤廃したときの試算ということになると、二百七十二万ヘクタール、今の農地の約六割が耕作放棄地として荒れ地になってしまう。一たん荒れ地になってしまったら、何か緩急あったときにすぐに芋を植えればいいという話じゃない。さらには、いろいろな試算でいうと、三百七十五万人の雇用が失われる、あるいは九兆円のGDPが失われる、あるいは米、麦というのが壊滅するんじゃないか。

 ですから、私自身は、やはりEPAそれからWTO、日本も貿易国ですから、それはやっていかなきゃいけないんだろう。しかしながら、この日本の美しい村、美しい国を守るためには、この農地の保全の問題、そして農業に対する十分な配慮、これというのは絶対に必要だろうというふうに思っています。

 今度、日豪のEPA交渉入りということで、合意はされているということですけれども、この問題、地域格差の問題に配意して、農地の保全、農業の問題、十分な配慮を総理にもお願いしたいと思います。総理から御所見を承りたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私の内閣の成長へ向けた基本的な姿勢は、イノベーションとそしてオープンな姿勢であります。その中で、FTA、EPAも我々は進めていきたい、このように思っております。そしてまた、豪州との関係においても、豪州とのEPAは豪州との戦略的な関係を強化していくという大きなメリットがある。

 しかしながら、今葉梨委員が御指摘になったように、農業、これはやはり日本の食料を支えているだけではなくて、地域を支え、また地域の環境、そして、やはり私は、日本の文化を支えている、このように思います。地方に行って、日本の農村風景の美しさ、これを失ったら、私は、日本ではなくなってしまう、このように思うわけでございます。

 農業の大国である豪州との交渉においては、当然、国内農業への影響を十分に踏まえなければならないと思います。また、農業においては、豪州との、今委員が指摘されたように、経営規模の格差があります。また、地域経済への影響、そしてまた、最初に申し上げましたように、農地の保全、農地が果たしているいろいろな役割を十分に勘案しなければいけない。当然、守るべきものは守らなければいけないとの姿勢で交渉に当たるのは当然ではないか、このように思います。

 国内農業の構造改革の進捗状況にも当然留意をしなければならない。日本として最大限の利益を得ることができるような交渉を、今委員がおっしゃった御意見もしっかりと胸に刻みながら交渉をしていきたい、このように思います。

葉梨委員 ありがとうございます。ぜひとも政府を挙げて、甘利大臣にも断固たる対応をお願い申し上げたいというふうに思います。

 さて、今、本当に短時間の中で議論をしてきたわけですけれども、やはりこの地域格差の問題、そういったものに対処するためにはどうしたらいいんだ。頑張る中小企業を応援する、頑張る地方を応援する、それから頑張る農家を応援する。しかしながら、よく言われるように、中小企業であるとか地方自治体であるとか、それから農家、担い手の方々、農地の守り手の方々、決して強者ではありません。やはり頑張っている普通の人、この人たちにどう光を当てて、そして頑張っていただくか、このことがまさにこの地域格差の問題にも対処することであるというふうに私は考えます。

 その意味で、セーフティーネット、これの構築というのは確かに大切なんです。ただし、やはりこれからの方向として、冒頭申し上げたように、日本人はやればできる、そして頑張っている人を応援していこう、そういう方向性がいいのか、もう一度官が出動して、そして結果の平等を実現しよう、そういう方向性がよいのか。これは、私は改めて結論は明らかだろうと思います。

 まさに今我々がやろうとしていることが、頑張る普通の人を応援する、生活格差の問題にも対応する、そういう施策であろうというふうに思っています。そして、地域格差の問題に対処するに当たって、これから改革を加速させていかなければならない。総理から強い御決意をお願い申し上げたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに委員が指摘されたように、格差が固定的なものであってはならないし、これは不可逆的なものであってはならない。であるからこそ、まずは我々あらゆる対策をまとめて打って、再チャレンジ、チャレンジの支援をしていかなければならないと思っております。二百三十七施策を、我々、再チャレンジ総合支援プランの中に織り込んでいるわけであります。そして、それと同時に、地方を支援していく、頑張っている地方を支援していく、中央から押しつけではなくて、地域のやる気やアイデアを生かしていく形で支援をしていかなければならないと思います。

 地方の中小企業もそうです。具体的には、中小企業については、中小企業地域資源活用促進法により、地域資源を活用した中小企業の新商品開発等を支援していきます。自治体については、地場産品のブランド化など独自のプロジェクトをみずから考え、前向きに取り組む地方公共団体に対し地方交付税等の支援措置を講じる、頑張る地方応援プログラムを本年四月からスタートするわけであります。

 農業については、先ほど農林水産大臣から答弁したとおり、担い手を育成していって、若い人たちにとっても魅力ある農業にしていかなければならない、このように思います。

 二月六日には、こうした観点に立ったさまざまな地域活性化策関連法案を九本提出する予定でありますが、全体像を地域活性化政策体系として取りまとめたわけでございます。

 今後とも、地域で頑張っている、地域にあってなかなか厳しい状況であるけれども、やはり自分たちの能力を生かして未来をつくっていこうという人たちに対してはしっかりと政府としても支援をしてまいります。

葉梨委員 まさに国民の皆さんに向けてしっかりとしたメッセージを発していただいたというふうに思います。

 格差の問題に我々は手をこまねいている、そんなことではありません。それをまさになくしていくために我々与党がどういうことをやっているか、一生懸命やっているんだということをぜひとも国民の皆さんにわかっていただきたいというふうに思います。

 そして、もう一つ問題があります。

 よく安倍総理の批判の中で、生活格差の問題の方が大事なんだ、教育だとか憲法の問題というのは大事じゃないんだ、大事じゃないとは言わないけれども、後回しでいいんだ、そんなようなことを言われる方もいるやに聞いております。しかしながら、私はそんなことはないだろうというふうに思います。

 一つは、憲法の問題について。これはまさに、きょうもテレビが入っている場ですから、ぜひとも国民の皆さんにも御理解を賜りたいんですけれども、何も憲法改正の国民投票法案という法律がこの国会で急に出てきたわけではありません。昨年の五月に、私は与党案の提出者の一人ですけれども、民主党案の提出者の枝野委員も、こちらに理事もいらっしゃいますが、昨年の五月に与党案とそれから民主党案、これが出て、そして国会においても、また担当者の間においても本当に熱心な、しかも、これはあえて申し上げます、建設的な議論です。我々の間では決して党利党略ということはない。そういう中でずっと議論を進めてきた。やっとこのカキが今本当に熟した、そういう時期なんです。この時期を逃してしまうと、このカキが腐ってしまう。カキを腐らせては、これは政治家として果たして本当に責任を持った立場と言えるのかどうかということがあります。

 ですから、その意味で、この憲法の問題、特に憲法改正国民投票法案の早期成立の問題というのは、これはまさに、今、熟したカキが熟すか腐るか、その岐路に立たされている。ですから、その意味では、ぜひともその早期の成立に御支援をお願いしていかなきゃいけないなというふうに思っています。

 そして、もう一つです。教育の問題について。これが、生活格差の問題が大事である、あるいは教育再生会議における議論が拙速である、あるいは中教審を日曜日に開いたのが問題である、そんなようなことが時たま報道されたり、あるいは口さがない形で言われるようなことがあります。しかし、私自身の立場として言うと、これはとんでもない話である。

 実は、先ほど、何の因果かと申し上げましたけれども、昨年の二月、この格差の問題で私はここで質問させていただきました。そして、きょうなんですが、私、公立小学校に娘を通わせております。国会議員の子供だということで、たたかれても、たたき返すとパパの人気が落ちちゃう、そういうことで、ずっといじめを受けて、学校に行けなくなってしまって、それできょう、実は、学期途中なんだけれども転校しました。学校にはすごく、現場ではよくやっていただいたんです。本当によくやっていただいたし、大変感謝もしています。そして、いじめた子だって、別に本当に悪気があってやったんじゃないだろうと思うんです。だけれども、事実は事実です。

 子に対しては私自身も、本当に因果な商売をしてしまったなという、そういう……(発言する者あり)それはそうだなんて何だ。与党でした、ごめんなさい。ごめんなさい、与党。実際、因果な商売。ただ……(発言する者あり)いや、与党も悪いです。与党も悪いです。静粛にお願いをいたします。(発言する者あり)もうやめてください。ただ、本当に因果な商売をしちゃったなということを本当につらく思ってもおります。また、うちの妻に対しても大変な迷惑もかけておる。

 ただ、そういう意味でいうと、親の立場からして、制度的にいろいろと緊急に直していかなきゃいけない部分というのはやはりあるんですよ。そして、そういう議論は、まさにいじめられた被害者を目の前に置いて、その親を目の前に置いていたら、それは国会の定例日だとかあるいは徹夜の議論だとか土日だとか、そんなの関係なしで、議論を尽くすべきだったら政治家として議論を尽くしていかなきゃいけない、そういう話だと思うんです。それを先延ばしにしちゃいけない。日曜だって議論する、当たり前のことだし、私はぜひともそういうことをやっていただきたいというふうに思っています。

 ですから、総理に最後にお尋ねをいたします。

 憲法の国民投票法の問題、そして教育の再生の問題、これは、もちろん格差の問題に我々はしっかり取り組んでいる、そしてプラスして、今本当に緊急にやらなきゃいけないことなんです。この国会、統一地方選挙もあります、参議院選挙もあります、非常に日程はタイトだけれども、ぜひとも国民投票法案の成立に対する御支援と教育再生に対する意気込み、これを総理から伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私たち政治家の使命は、これはもう国民生活にかかわるありとあらゆることに対して対応していくことであろうと思います。憲法ももちろん大切でありますし、当然、生活にかかわることも大切であって、どっちかをとるということではないんだろう、このように思います。

 その中で、現行憲法の九十六条にも規定をされています改正手続に関する法律である国民投票法について、葉梨委員を初め、与野党で大変熱心に御議論をしていただいていることに対しまして本当に敬意を表したい、このように思います。この改正手続について定めるというのは、まさに国会議員としての責任を私は果たしていくことではないか。この六十年間、ある意味では放置されてきたこの責任をしっかりと果たしていかなければならない、このように思います。

 私は総理と同時にまた自民党の総裁でもあるわけでありますが、この国会において速やかに成立することを、早期に成立することを望みたい、このように思う次第でございます。

 そして、いじめ及びまた教育の問題でありますが、教育の再生はまさに待ったなしであろう、このように思います。公立学校においても、だれもが高い水準の学力と規範意識を身につける機会を我々は保障しなければならない。今すぐやるべきことは直ちに私たちは着手をしなければいけませんし、着手しています。

 いじめの問題におきましても、これはもう教育現場も含めて、我々が正面から取り組まなければいけない課題である、このように思います。都道府県等の担当者への認識、取り組みを徹底しています。また、調査方法の見直しによる的確な実態把握を推進しております。早期発見、早期対応が大切であろうと思います。また、全国統一の二十四時間いじめ相談ダイヤルを設置し、スタートいたしました。

 スクールカウンセラー等の教育相談体制の充実など、やるべきことはたくさんあるわけでございます。この国会にも、教育再生会議において取りまとめた取りまとめに従って、三本の法律を提出する予定でございます。

 我々は正面からこのいじめの問題にも取り組んでまいりますし、教育の再生を我々は必ずやり遂げなければならない、このように思っております。

葉梨委員 では、終わります。

金子委員長 これにて葉梨君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 私は、きょうは、地域格差という観点で、具体的なケースとしての沖縄県、しかも、在日米軍基地の基地の面積あるいは人の問題、あるいはまたいわゆる県民の負担の軽減、こういった角度から少し議論をしてみたいと思います。

 ちょっと時間が、私、二十分しかありませんので、防衛大臣、具体的な数字はきのう資料をもらっていますから私の方で申し上げますので、政府委員ではなくて、大臣また総理大臣の見解を聞きたい、こんなふうに思います。

 御承知のように、ことしはこの五月十五日で沖縄復帰三十五年になるわけですけれども、私ども公明党は、結党以来、在日米軍基地の撤去ということに非常に熱心に取り組んでまいりました。今この三十五年を振り返ってみますと、はるけくも来たという感じがいたします。前進した部分もありますし、また余り前進していないところもある、こんなふうな思いがしてきたわけですけれども、歴代外務大臣また防衛庁長官、防衛大臣の大変な御苦労があったと思います。

 そういう御苦労の所産として、今、アメリカのトランスフォーメーション、米軍再編と相まつ格好で沖縄の米軍基地の変化というものも、歴史の流れの中で大きな転換期を迎えようといたしております。グアムに向かっての米海兵隊の移動、移転の話、あるいはまた沖縄の基地面積の縮小、そして共同訓練というものを沖縄だけではなくて本土全体に広げていこう。

 今申し上げました面積、人、そしていわゆる機能的な部分、訓練、こういった観点で、沖縄の県民の皆さんが受けておられる基地負担、こういった問題について、私は与党の立場でもありますし、また沖縄に強い関心を持ってきた人間としまして、いわゆるこの北東アジアにおける抑止力の維持あるいは向上、こういった側面も非常に重要な側面だと思いますし、あわせて、そのことが沖縄の県民の皆さんに多大なる負担となっていってはいけない、こういう観点で、両方のしっかりとしたバランスをとりながら見ていくべきだ、こんなふうに思っておるわけでございます。

 この国会、例えば人の問題でまずいきますと、グアムに米海兵隊が移動する、こういったことにまつわる法案、財政負担というものも含めての法案が提出されますので、こういった議論はまた先に置くといたしまして、ざっくりとした大きなとらえ方として、人、面積、そして機能、こういう部分で若干私が持っている疑念、こだわり、問題点というものを指摘したいと思います。

 まず第一に人の問題でありますが、防衛大臣、この間この委員会で議論を聞いておりましたら、野党の論客の御指摘だったと思うんですが、それに対して大臣は、基地の負担がなくなるんですよ、この辺のあたりも宣伝してくださいというふうなお話があって、私もそのことは非常に大事なポイントだなと思って聞いておりました。しかし、実際はなかなかちょっと、正直申し上げて、少し失望する部分があるなという感じがいたします。

 まず、人の面でいきますと、沖縄海兵隊が八千人、グアムへ移動する。これは、八千人が移動するというのはすごいな、こういう思いを当初持って私は聞いておりましたが、今、沖縄の海兵隊、いろいろな変動はありますけれども、大体一万二千人、それが概略八千移動すると残り四千か、こういうふうに思いがちなわけですが、大臣はそうじゃないと、わかっておられるから、そう頭をかしげておられますけれども、問題は定員が一万八千ということであります。

 沖縄海兵隊の定員が一万八千、それで八千移動する。そうすると、沖縄本島における定員は一万、こういうことである。したがって、私、先日、与党の視察団の一員としてグアムに参りまして、率直にアメリカ側にそういう部分を申し上げました。

 要するに、私の考え方では、人の移動というのは、確かに八千人、司令部が移動するという側面、従来とは違った側面が出てくるわけですけれども、しかし、その中身をつぶさに検討するならば、決して劇的な人の移動にはつながらない、数年たてばもとどおりということも起こりかねない、こんなふうに思いますが、まず、その人の部分で大臣の見解を聞きたいと思います。

久間国務大臣 沖縄の海兵隊の定数は一万八千人でありまして、今、実員が何人かということは申し上げませんけれども、今赤松委員が言われましたような、そういう実態はあろうかと思います。

 しかしながら、それは今の現象でありまして、一万八千が沖縄の定数ですから、それを定数で八千人減らすということは、やはり定数で一万人になるということでございますので、かなり定数が半減近くするということでございますから、そういう点ではかなりの負担の減になる、そういうふうに理解してもらっていいんじゃないかと思います。

赤松(正)委員 今、公式どおりの御答弁をされましたが、大臣、海兵隊の人の移動というものを、これは防衛省の資料より作成したものが手元にあるんですが、今、ざっと見て一万二千ですが、過去に、平成の前、昭和五十五年あたりには二万人、あるいはまた六十年には二万一千、その後一万八千とか、ずっとそういう時期を経て、今日一万二千、こういう経緯があります。

 これは、ここでこのことについてさらに突っ込んでというふうには言いませんけれども、私が言いたいのは、要するに、定員一万、過去の例を見ても、大きく膨らんでいるときがあるわけです。したがって、つまり北東アジアの情勢、いろいろな形の変化に応じて、それが伸縮自在とまでは申しませんけれども、やはり人数の変動というのは起こり得るということだと思うんですね。

 そういった点で、八千移動する、定員が一万、だから最大限になっても一万。まあ私は、最大限一万になるといっても一万二千とほとんど変わらないということを言っているわけですけれども、そういった部分がある。今、その辺についてしっかりとした歯どめを持っているのかどうかということを後で総理大臣に聞きたいと思いますけれども、そういう側面が一つある。

 それから、面積のことでありますが、面積は、今沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小という格好での議論が進んでいる、最終段階に来ていると思います。

 普天間の基地移転の問題については、さまざまな課題があるということは承知をしておりますけれども、それ以外の、沖縄の中南部地域、かなり過密度が高い、過密の地域における沖縄の米軍基地を縮小するという格好での努力はなされていることは承知をいたしておりますけれども、私たち、沖縄の在日米軍基地、これは本土との比較で常に意識をしてきた数字は七五%であります。本土の基地と沖縄の基地、沖縄にいわゆる全日本の四分の三の基地が集まっているということは大変に大きな負担である、こんなふうに思ってきたわけでありますけれども、今回の米軍再編に伴って、この沖縄の米軍の基地面積がどれぐらい縮小されるのか、非常に興味あるところだったわけです。

 これは、防衛省からいただきました資料、沖縄の今回の米軍再編完了と同時にどれぐらいの面積になるのかということにつきましては、キャンプ瑞慶覧の部分返還を半分とする、あるいは全面返還にするという場合で多少数字が変わってくるんですけれども、キャンプ瑞慶覧が半分返ってくるとして六九・五%、それから全部返ってきたとして六九・一%。

 これをどう見るか。現在は七四・六、切り上げで七五ということですが、それから見て、ざっくり言えば、一のケースでは七〇%、二のケースでは六九%ということになるわけで、これは大変な努力の集積、私は努力を否定するものではありませんけれども、しかし、この数というのはいささかちょっとがっかりする部分があるな、こういうふうに思いますが、大臣のお考えを聞かせてください。

久間国務大臣 沖縄の場合は、本土と違いまして、かなり北部の方の山林その他が入っているわけでございまして、そういうのが返らないと面積的には七五が七〇を切るという格好になります。しかしながら、人口密集地帯の中での基地がどれぐらいのウエートかとなりますと、今度の件で嘉手納以南が返りますと結構な面積の減になるわけであります。

 それと、先ほど、定数が一万になっても余り影響ないじゃないかと言われましたけれども、一万八千のときに住宅その他をきちんとそれに備えてやっているのが、一万ということになりますと住宅の数はやはり減るわけでありますから、そういうことを考えますとやはりかなりの負担の軽減につながっている、そういうことについても御理解を賜りたいと思うわけであります。

赤松(正)委員 今言われたいわゆる面積の過密度、過疎の地域との問題でございますが、沖縄の人口密集地という部分に限定して言うと、現時点では二四%ほどの面積を占めている、それが、先ほどの一のケース、キャンプ瑞慶覧が半分返ってきた場合で大体一六%、それから全面返還になった場合は一三・八%、このように人口密集地における返還の度合いというものはそれなりに評価できると思うわけです。

 今、その辺のことは、やはり冒頭私が申し上げましたように、大臣が、もっと全体にその辺のことを宣伝してほしい、つまり、言葉をかえれば、我々の努力を評価してほしいということだろうと思うんですが、それにつけても、今申し上げた我々の頭にある七五%という数字、これが深く定着をしているわけですから、その辺あたりを、認識を順次変えていっていただくためにも、しっかりとしたそういう現実というものを説明する必要がある、そんなふうに思います。ですから、いろいろとああでもないこうでもないとつけ加えるよりも、明確な形で、国全体と沖縄の比較では七〇%、それから過密地域においては、今申し上げた二四が一六、こういうふうな形でいろいろな機会に発信をしていく必要があるんじゃないか、そんなふうに思います。

 それから、機能の部分でいいますと、やはり沖縄には騒音の問題でありますとか、あるいはさまざまな事件、事故がある、大変にそういう部分で沖縄の皆さんには大きな負担をかけているということがあると思いますね。今回は、そういったものを避けるためにも、本土にある意味で分担をしてもらおうという発想があるわけですけれども、その辺のことについては、数量的なあらわし方というのは難しかろうと思うんですが、わかりやすく、こういうふうになる、今までの沖縄の負担が、本土にも共有してもらうことによってその負担が軽くなるんだということについての大臣の言い回しを聞かせていただきたいと思います。

久間国務大臣 米国の戦闘機が今嘉手納で訓練をやっておりますけれども、これを全国、本土の基地でも訓練を共同訓練という形でやってもらうということで、六カ所の基地にそれぞれお願いをしまして、皆さん方、一応それについて協定を結んでいただきました。これはやはり非常に大事なことでございまして、嘉手納に集中しているのを全国のみんながそれだけ負担しようということで引き受けていただくわけでありまして、今までなかった共同訓練を引き受けるところは大変でございますけれども、私どもからお願いをして、これを引き受けてもらいました。

 ちょうど十年前にも、一〇四号線越えについて、やはり全国の五カ所の自治体に私はずっとお願いしてまいりました。そして、最初は反対でしたけれども、沖縄でやっているのを、年間わずかなんだから引き受けてくださいよということで、全国の五カ所で引き受けていただきました。そして、そのおかげで、これも一〇四号線越えが沖縄ではやれなくなったわけでございますので、今度もそういう意味で量的にも減るわけでありますし、質的にも減るわけであります。

赤松(正)委員 一昨年でしたか、超党派の議員団で大臣とも一緒にアメリカに行きました際に、私はローレスさんに対しまして、要するに、日本はいわゆるホスト・ネーション・サポートをやっている、同時にアメリカはゲスト・ネーション・マナーをしっかり持ってもらいたいということを言って、ローレスさんが、一瞬何を言っているんだという顔をした後で納得したような顔をしておりました。覚えていただいていると思いますけれども。そういった意味で、大臣はホスト・ネーション・サポートでなくてホスト・ネーション・マナーに欠けるようなことをおっしゃったのかもしれませんが、近過去に。

 そういった部分で、沖縄における県民の負担を縮小していく格好でしっかりと、日本もやるべきはやらなくちゃいけないし、アメリカに対してもきっちりと物を言っていかなくちゃいけない、こんなふうに思います。

 その点と、それから総理大臣にお聞きしますが、今、沖縄に対する負担軽減という側面についての総理大臣の見解と、もう一つは、今回の国会開会に当たりまして、外務大臣が、日本の外交の柱として四本目の柱、日米同盟、国際協調、そしてアジア諸国との連携という三つの旧来の日本の外交にプラスして、いわゆる自由と繁栄の弧というものについて強調をされました。私は聞いていて、不安定の弧というものに対応する物言いだなという感じがしたわけでありますけれども、この四本目の柱について、いわゆる政権閣内における十分な一致の上で出てきたものなのかどうか、若干の疑念を持つわけであります。

 そのことについて、つまり三本柱にプラスワンするものについて防衛大臣がまた違った御見解をお持ちじゃないのかなという感じがするわけですが、あえてきょうは時間もないので聞きませんけれども、私は、この自由と繁栄の弧というものはよほど注意して説明をしていかないと誤解を与えてしまう、ODAでありますとか文化とか歴史とか経済とか、あらゆるそういう角度で日本独自の非軍事的な側面における対外的な宣伝攻勢、こういうものが極めて大事である、そういう側面で訴えられていくべきである、こう思うわけですけれども、総理大臣のこの問題に対する見解を聞かせていただきたい、そう思います。

安倍内閣総理大臣 自由と繁栄の弧でありますが、私が常々申し上げております主張する外交の三本柱については、ただいま委員からその三本柱について御指摘がありました。この三本柱は、まさに私の主張する外交の基本的なスタンスと言ってもいいんだろう、このように思います。

 また、自由と繁栄の弧は、これはまた主張する外交を展開する上においての一つのアプローチを示したものである、このように理解をしていただきたいと思うわけであります。これは、不安定の弧と、弧というところがまた似ておりますから、不安定の弧に対応するために出てきた言葉ではないかということでありますが、決して我々はそういう考え方には立ってはいないということは申し上げておきたいと思います。自由と民主主義、そして基本的人権、法の支配といった基本的な基盤、基本的な価値の基盤に基づいて、豊かで安定した地域をユーラシア大陸の外周に沿った一帯において形成していくという新たな外交方針でもあるわけでございます。

 具体的には、基本的な価値を共有する国々と協力をしながら、教育、保健といった基礎的生活分野での支援、民主化定着のための支援、インフラ、法制度整備のための支援など、ODA等を活用した支援とか、またあるいは貿易・投資といった協力を通じてともに自由で繁栄した社会を実現していこう、この地域を平和で自由な地域として繁栄させることによって世界はもっと安定し繁栄したものになるという、いわば私たちの外交の一つの考え方、アプローチを示したものである、このように思うわけでございます。

 また、在日米軍の再編の問題でございますが、沖縄が確かに日本全体の安全保障のために過度な負担を負ってきた、こういう気持ちは、私も、多くの方々が共有をしているんだろう、このように思うわけでございます。今回の米軍再編は、沖縄の方々の負担を初めとして地元の負担の軽減と、そしてさらには、当然、抑止力の維持を図っていく、抑止力の維持を図りながら地元の負担の軽減をしていくための再編であるということでございます。

 それは、強いて言えば、やはり過度な負担があったところの方々のやはり切実な声に耳を傾けてきた、今後もそうでありますが、そして負担を軽減させていくと同時に、そのように負担を軽減していくことは、ひいては同盟を安定したものとなり、よりこれは強固なものにしていくことにつながっていく、このようにも思うわけでございます。

 今後とも、地元の皆様の切実な声によく耳を傾けながら、米軍再編を進めてまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 その角度でぜひよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。

 終わります。

金子委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩國哲人君。

岩國委員 民主党、岩國哲人でございます。

 総理初め関係各大臣に、いわゆる格差の問題について質問したいと思います。

 今、大げさに言えば、日本列島は分断の危機にあります。経済的、社会的な意味においていわゆる格差が拡大しているんじゃないか、どこまでいったらとまるのか、いつこの格差は縮小されるのか、そういったことに対して懸念、不安を感じている人たちが、ある世論調査では七〇%、時には八〇%に達している。こういった現状を踏まえて、それに対応した政策がとられているのか、準備されているのか、それについて質問をしたいと思います。

 まず、この経済的、社会的な意味の格差につきまして、一番わかりやすい問題では、いわゆる道路の整備、あるいは鉄道の整備、こうしたハードの社会資本の整備が均等に進められているのかどうか、こうした点について冬柴大臣にお伺いしたいと思います。

 昨日、私はある葬儀に出席しておりました。大臣は当然覚えていらっしゃると思いますが、一昨年四月二十五日に尼崎市でJR福知山線の脱線事故がありました。朝十時にその知らせを受けて、そして、それから不眠不休で働いた、その復旧事業に当たった中尾組の中尾勝守君が亡くなりました。彼は元気な男でした。私は小学校のときから、中学校のときも、姉さんと同級でした。勝守君のあの元気な体、まあ、授業時間というよりも休み時間の方で存在感が目立つような、そんな男だったんです。あの元気な男が、不眠不休であの事故の復旧工事に対応し、そして二年後に彼は人生を終えました。私もこんないい男を亡くして非常にショックを受けました。

 中尾君は、冬柴大臣、御存じだと思います。冬柴大臣の政治活動を彼は彼なりの立場で一生懸命応援し、少しでもいい政治が実現できることを願っておった男。それよりも何よりも、この僻地の島根県、小さな西濱村というところから、小学校、中学校を卒業して、そして間もなく大阪へ出て、大きな舞台をいただき、たくさんのいい人に出会い、いつも、自分はいい運をいただいた、しかし、自分と同じようないい運をいただく人間がいかに少ないか、同じ日本の中で、島根県とそして大阪、神戸、尼崎、こうしたところと比べて、これが同じ日本なのか、いつまでもこんなひどい差があってええんでしょうか、彼はそれをいつも訴えておりましたし、冬柴大臣もその声を彼から直接聞いておられたでしょう。同じ日本の中でこれほど大きな違いがいつまでも放置されている、いや、放置されているどころか、どんどん拡大されている。これは大きな問題だと思います。

 日本は小さな国。私はいろいろな国を見てきました。日本は小さな国ですけれども、なぜしっかりとした強さを持っているのか。それは、日本が二つではなく、三つではなく、いつも一つにまとまっている国だからこそ日本の強さが私はあると思うんです。それが二つにあるいは三つに分断されるのならば、日本の強さはなくなります。

 総理の施政方針演説、私はよく聞いておりました。その中で、地方の活力なくして日本の活力なし、こういうかけ声、そして看板をかけられたことはまことに適切だったと思います。しかし、そのかけ声と看板にふさわしい政策が進められているのか、準備されているのかどうか。

 まず、冬柴大臣、インフラ整備の点で、道路とか鉄道、こういった面で、新幹線の駅に行くまで三時間以上かかるような地域や住民の人はたくさんおられるでしょう。あるいは、高速道路のインターチェンジへ行くのに三十分以上かかる、そういう県民、住民の方もたくさんいらっしゃいます。こういう観点から、特にこの格差がひどいと思われる県はどういうところを認識していらっしゃいますか。お答えいただけませんか。

冬柴国務大臣 今、中尾勝守さんのことをおっしゃいました。私の本当の、初当選以来の支援をしてくださった方です。

 さて、先生と一緒に、出身であります島根から最寄りの新幹線まで鉄道で行くとしたら、伯備線で約三時間かかるということも認識をいたしております。高速道路に何分でアクセスできるか、これは自動車ですが、三十分以内でアクセスできる、人口が八割に満たない県が二十一県あると認識をいたしております。いろいろな資料がありますけれども、面積で高速道路の整備率がどうかというところから、下からとれば何県あるかということで、これも認識しておりますし、人口当たりでもどうなるかというものもあります。

 いずれにいたしましても、私どもは、限られた財源ではありますけれども、これら社会資本の整備、とりわけ道路の整備につきましては、平成十五年にも、十九年度までの五カ年間で整備すべき社会資本というものについて、重点的に整備すべきものの目標を定めました。また、平成二十年から二十四年までの間に整備すべきもの、その達成率も明示して、それを各県で不平等にならないようにやっていこうという目標を立てているところでございます。

 もうちょっと言わせていただいたら、国土形成計画法というもので、今までのように中央で何でも判断するのではなしに、日本、本州、四国、九州を八つのブロックに分けまして、県境を越えて、そこに住む人々が、民間人も交えて、どういう社会資本整備を優先させるべきかということを決めていただく、そういう方法を、広域地方計画、形成計画を立てていただくことになります。それに従って、国の方はそれを重点的に応援していくという方法をとろう、今そのように取り計らっているところでございます。

岩國委員 大臣、特に、いろいろな施策を進めていらっしゃる中で、この県は余りにも格差がひど過ぎる、この県も大変だなと思われる県、たくさんあると思います。十五も二十もあるでしょう。その中で特にこれはと思う県を具体的に五つ挙げてください。

冬柴国務大臣 面積当たりで、高速道路の自動車国道ですね、供用延長、これは、百平方キロ当たりで何キロかというので、奈良県、北海道、鳥取県、鹿児島県、高知県の順番でございます。

 それから下水道、これは、徳島県、和歌山県、高知県、島根県、香川県、鹿児島県といろいろありますけれども、まだやりますか。

岩國委員 大臣、ありがとうございました。

 別に、島根県がワーストの中に入っていないから不満だと言っているわけではありませんので。私は島根のことしかよくわかりませんから、島根という物差しで見て、それよりも悪いところもあればいいところもある、それを一つの目線として言っておりますし、確かに悪い方に属してはおるんでしょうけれども、それよりももっとひどいところがあるということが大臣の方から指摘されております。

 そういうところに対して、いわゆる経済活力、総理のおっしゃる地方の活力というのは、いろいろな意味の活力があると思います。やる気があるのか、あるいは教育力、そういったものもおありでしょうけれども、一番易しい物差しは、県民の財布の中にどれだけお金が入っているか、県民一人当たりの所得というのが一番わかりやすい標準だろうと思います。

 そこで、総理にお伺いいたします。この地域間格差について、四十七都道府県ありますけれども、この四十七都道府県の、東京を一〇〇とした場合に、東京を基準にした場合に、いろいろな県との県民一人当たりの所得格差というものは、最近五年間に拡大しているのか縮小しつつあるのか、どちらでしょうか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 地域間格差の所得格差については、一人当たり県民所得のばらつきで見ますと、八〇年代は拡大し、そして九〇年代以降は低下傾向にあり、二〇〇一年度を底にやや上昇しているわけでありますが、水準は低い。ただし、この地域間格差は、指標のとり方によってさまざまな解釈が可能でございまして、特定の指標のみで見ることは甚だ困難であります。

岩國委員 総理にそうした計数的な答弁をしていただいて大変失礼をいたしましたけれども、しかし、総理の頭の中に、この経済格差、所得格差、地域間格差というものが、どれだけの勢いでどれだけ広がりを見せているか、それを私は知りたかったんです。

 この二十年間をとってみても、最近の五年間を見ても、貧しいところはますます貧しくなっているんじゃありませんか。財布の小さいところはさらに小さくなって、大きいところはほとんどない。四十七都道府県の九〇%以上の県において、県民一人当たりの所得はこの五年間も着実に減ってきております。

 また島根のことを言うかと思われるかもしれませんけれども、島根県の場合も、東京一〇〇に対して六〇だったのが、五七になり、五五になり、そして小泉内閣になってからも、最初の二年間でさらに二%減少する。いずれ五〇%、あるいは、きょう現在も、東京一〇〇に対して五〇を割っているかもしれません。

 さらに問題なのは、総理、この県民一人当たりの所得、データを総理もごらんになっているようですけれども、これは平成十五年度か何かの数字でしょう。私は、省庁に要求しました。県民一人当たりの所得はどうなっているのか。言ってみれば、平成十六年の三月末の数字を見ながら我々はここで議論しなきゃいけないんですね。なぜ二年も三年も古い数字を見ながらやらなきゃいかぬのか。私は、この前の予算委員会でもそれを指摘いたしました。

 国民が深刻な不安を持っているとき、そして経済的な苦しみにあえいでいるとき、もっと経済統計を早くつくって、早く発表して、そしてこの予算委員会を中心とする国会議員にも早く提供して、政策は功を奏しているのか、失敗しているのか、脱線しているのか、そういうことをもっと早く判断しなければ、例えて言えば、東京から大阪へ向かうときに、名古屋の辺で東京の雨量が幾らだったかということを聞いても大阪の天気はわからないわけです。大阪の天気を知りながら向こうでのスケジュールなりに対応しなきゃいかぬときに、二時間も前の東京で幾ら雨が降りましたというふうな情報をもらって何の役に立つのか。これは真剣な問題として内閣も取り組んでいただきたいと思うんです。

 この格差の問題というときに、格差は拡大しているのか縮小しているのか。総理大臣がそれだけ格差の問題が大切だ、とはおっしゃっていないという声の方が実は強いんですけれども、少なくとも格差の問題をとらえようとしておられるときに、正確な統計数字を持って的確に、四十七都道府県の中で財布が小さくなっているのはどこなのか、財布が膨らんだのはどれぐらいの県があるのか、そういう認識をしっかりと私は持っていただきたいと思うんです。

 次にお伺いいたします。外国で、この格差の問題で今一番苦しんでいるのはどこの国で、どのようにそれを参考にしていらっしゃいますか。格差というときに、地域格差というときに、二つの意味の格差があると思います。地域と地域の間の格差と、同じ地域の中の貧富の格差。日本では、四十七都道府県の地域間格差が今進行しております。同時に、貧富の格差、同じ地域の中の所得格差も広がっています。今、世界の先進国の中で、日本と同じように地域間格差が広がり、地域内格差も広がっている国はどこにあるでしょうか。一つか二つ、お答えください。

 私は総理に聞いています。総理の後に答えてください。

大田国務大臣 まず、データだけ私の方からお答えさせていただきます。

 OECD諸国で見ましたジニ係数の地域格差、一人当たりGDPのジニ係数を見ますと、大きい国は、メキシコそれからトルコになっております。日本はOECD諸国の中では最も低い部類に属します。(岩國委員「世界の先進国の中で、G7の中でどこですか」と呼ぶ)G7の中で見ますと、イギリス、カナダといった国で地域ごとのばらつきが相対的に大きくなっております。先進七カ国の中では日本は最も小さくなっております。

 それから、失業率の地域間ジニ係数を見ますと、イタリア、カナダ、ドイツといった国で相対的に大きく、日本は最も小さくなっております。

岩國委員 総理から御答弁いただけませんでしたけれども、総理が地域格差と言うときに、どこの国がもっと深刻で、どういう対策をとろうとしているのか、そのエッセンス、要点だけでも知って内閣を指揮していただきたいと思うんです。

 今、大田大臣からお答えいただきましたけれども、しかし、地域間格差の広がり、これはイギリス、オーストリア、それはそんなに日本ほどの大きな広がりになっていないはずです。十年、二十年のスパンで、数字で比較してみてください。

 それから、日本のように地域内格差が同じように進行している、二つの格差が同時並行的に進行している国はG7の国の中ではないでしょう。日本よりいろいろな意味で進んでいる、日本の経済のあすがわかると言われるアメリカの社会、アメリカの経済の中で、この二十年間に地域格差というのは進みましたか縮小しましたか。成長なくして改革なし、あるいは成長があれば格差が解消できる、上げ潮路線、こういうことで、格差縮小には底上げがいい、成長路線がいいんだ、こういう内閣の御方針のようですけれども、アメリカは、結果として、ほとんどこの二十年間、経済の成長が続きました。そのアメリカにおいて、地域間格差は拡大したんですか縮小したんですか、どちらですか。

大田国務大臣 一人当たりGDPの地域格差を九八年と二〇〇三年で比較しますと、若干拡大しております。

岩國委員 資料をお配りしてないのかもしれませんけれども、アメリカの場合には、アラスカとか、あるいはワイオミングとか、こういう小さな州が幾つもあります。そうしたところで、州と州の間の格差と、ニューヨークを一〇〇とした場合の州民一人当たり所得というのを見た場合に、この二十年間に、時には経済が停滞した時期もありますけれども、八〇%以上の州で格差は縮小しているんです。

 つまり、アメリカの場合には、成長はあって、地域間格差は縮小しております。しかし、地域間格差じゃなくて地域内格差、内部の貧富の格差が拡大している。それは、前回予算委員会で申し上げました、アメリカのFRB議長のバーナンキ氏がそれを指摘しているところなんです。アメリカでは地域間格差は進行しませんでした。しかし、地域内格差、一つだけの格差を抱えて、それに対応しようとしています。日本は、地域間と地域内と二つの格差の問題を抱えている。アメリカ以上の対応が必要ではないかと私は思うんです。

 そして、この格差の縮小については、アメリカの、三十年間にわたって四千人の追跡調査をしたトム・ハーツ氏の研究結果も私は発表いたしました。一番所得の低いところ五%の家庭の子供が一番上の五%の層に入る確率は百分の一。それに比べて、上の五%の家庭の子供が次の時代に上の五%に入る確率は二二%。同じアメリカ人でありながら、二十二倍の差がある。それは全部教育、学歴。教育にどれだけお金をかけたか、そういうことで格差がついている。教育というのは、ある意味では恐ろしいものです。教育があるから、教育に力を入れるから格差が縮小することにもなるし、教育がなければ格差拡大の被害者になる。

 そういう意味で、私は、この二つの格差の同時進行をとめる一つのキーワードは、総理、教育だと思います。そうした点で、教育基本法よりも、口を出すなら金も出す、そういう姿勢が必要じゃないでしょうか。教員の数もふやす、施設も充実する、両親の負担を減らす。先進国はGDPの五%とか五・五%のお金を教育にかけている。日本はわずか三・五%、半分に近いお金しかかけない。半分に近い教育に対するお金のかけ方で、世界のどこにもないほどの深刻なこの二つの格差に対抗するためには、教育にもっと予算の面で、そしていろいろな環境整備を進めることしか、結論を申し上げるようですけれども、ないと私は思うし、また、総理もそういう認識には恐らく同意していただけるだろうと思うんです。その点について所感がおありでしたらおっしゃっていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほど委員は、外国の例を参考にしろということでございますが、確かに外国の例も参考になるわけでありますが、それぞれ、例えば格差の議論をする場合は、その社会の成り立ち、文化、産業構造等で、また人口構造も含めて、この違いもやはり着目をしなければならないわけでありまして、一概にその国の対応策、また問題点が日本と同じであるとは私は考えておりません。しかし、もし有効な対策があるのであれば、それを研究していくのは当然であろう、このように思うわけであります。

 基本的には、まず、私どもは、格差全体、地域間格差をなくしていくにおいても、やはり、しっかりと日本が成長していくことが結果として全体を底上げしていくことにつながるわけでございまして、有効求人倍率等を見てもそれぞれ明るい傾向が出てきているのも事実であって、それはやはり、構造改革を進めながら成長している成果が各地域においてもだんだんあらわれつつあるということではないか、このように思います。

 そこで、大切なこととして、やはり教育において、教育の場で格差があってはならない、これはまさにおっしゃるとおりだろう、このように思います。だからこそ、私は、すべての子供たち、特に公教育において、すべての子供たちという意味においてはまさに公教育を大切にしなければいけない、公教育を再生しなければいけない、だれでも通うことができる公教育を再生することに重点を置いているわけでありまして、すべての子供たちに高い水準の学力と規範意識を身につける機会を私たちは責任を持って保障していかなければならない、このように考えております。

岩國委員 とおっしゃる以上は、当然のことながら、高校を卒業して、そしてその高校を卒業した十八歳の子供たちが地元で勉強できるのかどうか。遠くまで子供を大学へ進学させるために親の負担は、特に地方の県は、五〇%、六〇%、七〇%の所得で、それだけの四年間の学費を支えていくということは大変大きな負担なんです。

 そこで、文科大臣にお伺いしたいと思いますけれども、そこに差し上げております資料、前回も使わせていただいた資料でありますけれども、各県別に、それぞれの県の高校卒業生が地元で勉強できるのか、遠くへ、県外に出かけなければならないのか、これは大きなばらつきがあるんです。

 それぞれの県におきまして、進学する場合に七〇%、八〇%は出ていくところ、また就職する場合も県の外へ出ていかなければならないところ、そういった点から、十八歳で地元にどれだけのパーセントが残るのか。これをごらんいただきますと、四十七都道府県、低いところでは五十数%、奈良県のように五〇%を割っているところさえあります。

 せっかく、十八歳まで、千八百万あるいは二千万とも言われますけれども、それだけのコストをかけて育てて、勉強させて、そして東京へ出かけてまた四年間、今度は仕送りマネー、島根県の場合には約二百億円の仕送りマネー。そして、それまで育てた子供たちに、投下したお金と言うとおかしいですけれども、それだけのお金が、結局、持参金つきで東京へ運ばれる。しかも、持参金だけではなくて、四年間、お嫁に行った生活費の仕送りまで四年間しなきゃいかぬ。持参金は失われる、仕送りの金も使われる。

 そして、その税金はだれに払われるのか。島根県知事ではないし、奈良県知事でもありません。そういう、総理、地方の貴重な税源、財源となるべき若い人たちが、汽車に乗って、飛行機に乗って、税源、財源が東京、大阪、名古屋に運ばれていっておるんですよ。

 それに対してどのような補てんが考えられるのか。まず一つの方策としては、文科大臣、前回の予算委員会でも質問いたしました。大学の定員というのは、この十年間に、東京、大阪、名古屋以外のところにどれだけふやしたのか、これから五年間どれだけふやすのか、具体的な目標を示してください。

 それがなければ、安倍総理がさっきおっしゃった、これから、そうした地方の活力、地方の活力こそ日本の活力の基礎だと。絵にかいたもちじゃないですか。かけ声だけで、看板だけで、まさに施政方針でおっしゃったことがそらぞらしくさえ聞こえてくるんです。今までの十年間の実績、これから五年間の見積もり、具体的に数字で端的にお願いいたします。

伊吹国務大臣 ちょっとテレビに今の資料を見せてください。

 先生からいただいた高校卒業生の、まず最初に出ているのが、他県への進学者、他県への就職者ですね。これを見ますと、やはり先生のおっしゃっていることだけで数字が決まってこないような印象を受けますよ。

 まず、一番高いのは、景気がよくて財政が非常に厳しいと言われる北海道じゃないんですか、残存率が一番高いのは。八七・五%。その次は、大学等の施設もむしろ非常に残念な状態で、我々がもっと力を入れなければいけない沖縄じゃないんですか。ごめんなさい、二番目は、景気がよくて割に教育施設が多い愛知県ですよ、三番目が沖縄県ですよね。四番目が宮城県。だから、島根から東京へ行っている、東京へ行っているという数字ではないんですよ、これは。(岩國委員「島根だけじゃない」と呼ぶ)いやいや、ですから、これはやはり他県に……(発言する者あり)いや、ちょっと待ってください、説明しているんですから。

金子委員長 御静粛に願います。

伊吹国務大臣 その近くに大学があるのか、就職先があるのかによって、実は、北海道や沖縄の方たちは出たくても出られない状態にあるというふうにむしろこれは理解すべきだと思うんですよ。

 それで、大学の定員は、むしろこれは、なぜ大学を独立行政法人にしたのか、私学の自由というものを認めているのかといえば、官がみんな決めるというのはおかしいとおっしゃったのは民主党じゃないんですか。だから、各県の、各大学の要望に応じて大学の設置審査会にかけてやっているわけですから。もちろん、そこへもっと定着する、インフラを整備してもっと地元に地元にという状況をつくれとおっしゃるんならわかるけれども、大学は幾らふやしたかと、官がそんなことをするというのは民主党が反対しておられたことじゃないんですか。

岩國委員 文科大臣、私が伺ったのは、過去十年間にどれだけふやしたかということを端的におっしゃっていただけませんかとお願いしました。十年前に民主党はありませんでした。十年前からやらなかったことを民主党のせい、それも事実とは違いますけれども、十年前の話を民主党のせいにしようというのはちょっとおかしくありませんか。もともと政府には、地方に大学の定員をふやそうという意欲がなかったから、ずっとこれは現状で来ている。

 そして、この数字の読み方にしても、北海道の進学者の数が少ないんです。沖縄も進学者の数が少ない。そういう特殊事情もよく考えてこれを読んでいただきたいと思います。

 次に、人は出て行く、それからお金はどうなのか。それぞれの県の県民が預けたお金が地元にどれだけUターンして貸し付けに回っているか。これを見ても、非常に格差があり過ぎるんです。預けたお金がそのまま地元の経済に使われるところ、あるいはよそで使われてしまうところ、この格差もどんどん広がっております。結果的に、人も出て行く、金も出て行く、残るのは借金だけ、残るのは県庁の借金だけ。こういう、人も出て行く、金も出て行く県ほど、県民一人当たりの借金が大きくなっています。

 これは、全国の県の中でも、人が出て行く、金が出て行く、資料の三番目ですけれども、これがどの県において特に顕著にあらわれているか。決して、この県、この五つがワーストという意味ではありませんけれども、人の出方、お金の出方、その両方の出方が一番顕著にあらわれている一つの例として、五つの県をそこへお示ししました。

 奈良県の場合に、十八歳の卒業生は半分以下しか残りません。お金も、半分以下しか地元に使われることはありません。預けたお金の五〇%以上はどこかよその県のために使われてしまう。和歌山、島根、三重、佐賀、同じような傾向を示しております。

 そこで、お伺いします。

 金融大臣にお伺いしたいと思いますけれども、こうした地方に対して、金利の面で、格差を是正するような誘導的な金利というものは考えられるのか考えられないのか。議論は大変難しいと思いますから、今現在考えておられないか、検討しておられるのか、それだけお答えください。

山本国務大臣 先ほどの伊吹大臣の発言と似通ったことですが、預貸率だけでその地域の資金需要を全部見通せるものではなくて、銀行の規模だとか、経営方針だとか、個性だかというものもございます。例えば、先生の資料の二十三番、愛知県も五〇%台であることもありますが、いずれにしても、委員おっしゃるように、地元の資金需要に対して的確にこたえていくという資金仲介機能が金融機関にぜひなければならないという意味におきましては、地域金融が地元ニーズに的確に対応するということが大事だろうというように思います。

 まずは、都道府県で政策金融をやっておりますし、中小企業庁の諸施策でもそうした金利優遇というのはございます。その中で、貸出金利の水準につきましては、各金融機関のみずからの経営判断で決定すべきものでございますが、地域の金融機関におきましては、取引先企業に対して、地域の中小企業のニーズをくみ上げて、例えば優遇金利というものをぜひ設定してもらいたいと思っておりますし、新しい融資手法についての情報提供機能を一層強化させなければならないと思っております。

 そこで、ヒントになりますのは、今現在やっておられます各地域地域での再生ファンドだとか、再生支援システム、あるいはベンチャー企業育成のファンド、そういったことが新たな手法として根づいていくことができれば、金利というものは変動いたしますし、もう一つ、朗報としましては、バーゼルIIで、中小企業金利につきましては、リスクウエートを七五%まで下げました。そうしますと、この春から新しい金融機関のビヘービアが見られるのではないかということが期待できようと思っております。

 以上です。

岩國委員 そうした期待だけではなくて、それは、政策的、強力に誘導し、人が先か金が先か、両方ともそろうような形でもって、地方に若い人が残り、そして地方の企業が活性化するような方向に強力に誘導しなければ、この格差の問題は、来年の今ごろ、もっと深刻なことになっていくんじゃないかと思います。

 次に、総務大臣にお伺いいたします。

 郵政民営化、大きな議論の結果、郵政は民営化されることになりました。この郵政民営化が、これから地方のこの格差拡大をとめる役割を果たすのか、格差をさらに拡大する方向にあるのか、大臣の頭の中では、どういうふうに思っておられるのか、お答えください。

菅国務大臣 民営化の議論の中であったわけでありますけれども、この郵便局のネットワーク、これは私は国民の資産だというふうに思っております。この資産を活用してまいりたいと思いますし、今回の民営化においても、必要な郵便局ネットワークが維持されるとともに、郵便局における郵便、貯金、保険のサービス、その水準がやはり維持される制度の設計がされておりまして、地域に根差した郵便局がなくなったり、また地方と中央との格差拡大につながるものではない、こう思います。

岩國委員 格差拡大につながるものではないと大変自信を持って断定されましたけれども、これは私は一つの大きな注目点ではないかと思うのです。

 地方の人たちが、こういう計数的な所得格差に対する不安だけではなくて、目で見てすぐわかる、例えば、郵便局の建物がなくなった、あるいは郵便局の建物はあるけれども、中にいる人が、例えば出雲市の場合ですと、稗原、朝山、神西、大社、こういう郵便局で集配サービスは停止になりました。土曜日、日曜日は閉鎖されました。中に九人いた人はたった三人になりました。

 そういうことで、地方の人の不安感は募っています。それが、あと三年、五年して、このサービスはきっちり維持できるのか、そういうことに対する不安に対して、しっかりとこれは民営化以後も、国民の資産だとおっしゃる以上は、本当は国民の資産は民営化すべきでないと私は今でも思います。しかし、民営化された以上は、政府は責任を持って、国民の資産らしいサービスあるいは安心感につながるようなことを。政府はもっと責任を持って具体的な対策を。人が減った、サービスが減った、今度は建物も消えていくんじゃなかろうか、特に大社というのは出雲大社、観光の名所でもあります、そういうところで土曜日、日曜日、商店はにぎわっているのに郵便局は閉まっておる、サービスも受けられない、そんなことはおかしいんじゃないかと私は思います。ぜひこの点はしっかりと、格差拡大にそれがつながることのないように歯どめをかけていただきたいと思います。

 次に、厚生労働大臣にお伺いいたします。

 隠岐島の出産、お母さんが赤ちゃんを産むためにヘリコプターで飛ばなきゃならない、こういう悲劇、苦労はもうこれからなくしていただきたいと思います。

 コウノトリが赤ちゃんを運んできた、それは童話の世界です。今はヘリコプターという名前のコウノトリが赤ちゃんを運んでくる。これは笑い事ではなくて、ヘリコプターが飛ばないような天候の悪いときには、天候のいい悪いによって赤ちゃんの命が失われてしまうんです。そういうことのないように、どのような具体的な対策を持っておられるのか、お答えください。

柳澤国務大臣 厚生労働省におきましては、これまでも離島を含めて僻地医療の確保という観点は大変重要なものだというふうに考えておりまして、僻地診療所の整備、僻地医師が不在の場合に代理を務める医師の派遣、このようなことについての都道府県の取り組みを支援しているところでございます。

 また、平成十八年度補正予算におきましては、医療機関まで相当の時間を要する、容易に利用できない地域の患者及び家族を対象とした宿泊施設の整備、それから、平成十九年度予算におきましては、船では相当の時間を要し、十分な巡回診療が難しい離島に対しましては、民間のヘリコプターの活用をする等の措置を盛り込んで、いずれにしても僻地医療対策、離島への医療の対策に取り組んでいるところでございます。

岩國委員 最後に総理にお伺いいたします。

 イラクへの自衛隊派遣、これは我々は反対いたしました。大量破壊兵器があるというアメリカの説明に説得され、ミーも行くからユーも行け、一緒に行って、大量破壊兵器は結局発見されないで、発見されたのはアメリカそのものが大量破壊兵器だったというお粗末。

 日本はよその国と同じことをやってはならない。世界でたった一つ、大量破壊兵器の被害国になった日本は、普通の国、よその国がやれるようなことをやっているだけではなくて、平和に対するしっかりとした理念を持って、アフリカ諸国の中でもアラブ諸国の中でも格差は拡大しています、国家間格差、そして国家内格差、私は今こそ日本がイスラム開発国際会議を提唱し、口も出す、金も出す、人も出す、技術も出す。そういうアラブ、アフリカの国家の中の国家間格差の拡大と国内における貧富の格差の拡大、それがテロの温床に、社会不安の温床になっている、その根源をつくのはイスラム開発国際会議。それを提唱できるのは日本だけではありませんか。

 アメリカもヨーロッパの国も、歴史的にはいろいろな過ちをあの地では犯してきました。私はベイルートの所長をしておりましたときも、アラブのいろいろな国から、日本の言うことだけは聞いてみたい、日本は我々のことをわかってくれると。そのたった一人のアラブの仲間の日本が、アメリカと同じことをやってはいけないと思います。

 総理、今こそイスラム開発国際会議を提唱し、そうしてアラブの青年に職場を。そして、日本の格差拡大を我々は今やっておるわけですけれども、しかし、そのアラブやアフリカの格差拡大が結果的には日本の経済不安になってはね返ってくることを考えるならば、私は今こそ日本の総理の出番ではないかと思います。総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 まさに日本はアラブの国々からの信頼がございます。この信頼を生かして我々はイラクの復興支援に当たっているところでございまして、エジプトを初めとしてアラブの諸国と連携をしながらの支援をイラクに対しても行っているわけでございまして、今後ともアラブの復興支援のために日本の役割を果たしていかなければならない。そしてまた、イラクの復興支援だけではなくて、あるいはまたパレスチナの和平、中東和平についても、現在、今、パレスチナそしてイスラエル、日本、ジョルダンで、この地域を繁栄させていくために、平和と繁栄の回廊の構想も進めているところでございます。日本の独自の取り組みもこれから進めていきたいと思います。

岩國委員 今こそ日本の出番、主張する外交とおっしゃる以上、ぜひ、提唱する外交へ踏み切っていただきたい。そのことをお願いして、私の質問を終わります。

金子委員長 この際、篠原孝君から関連質疑の申し出があります。岩國君の持ち時間の範囲内でこれを許します。篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 予算委員会で久しぶりに質問させていただきます。

 今、資料を皆様方の手元にお配りしておりますので、それをごらんになりながらお聞きいただきたいと思います。

 地域間格差、いろいろ問題にされております。今、岩國委員は、教育格差を中心にいろいろ御指摘なさったかと思います。格差はいろいろあると思います。安倍総理がいろいろおっしゃっておられるように、個人のところにいろいろ格差があっていいんだ、仕方がないんだ、これは私はそのとおりだと思います、いろいろあると。

 それから、格差がどうなっているかというのは、年代に応じてちょっと変わってきているというのが僕はあるんじゃないかと思います。年によって違ってきている。例えば、よく言われることですけれども、生活保護世帯が五、六年前は八十万ぐらいだったのに百万を超えた。それから、貯金なしの家庭も一八%ぐらいだったのが二三%を超えたというのがそれじゃないかと思います。貧しい人たちがふえている、片方でお金持ちもふえているということ。

 資料を用意いたしましたので、まず、資料を見ていただきたいと思います。

 「大都市と地方(農村)の格差」。まず、一ページの一般経済です。これはもう皆さん聞き飽きておられると思いますけれども、まずは県民の一人当たりの所得です。これは何回も問題にされていると思いますけれども、東京都が一人当たり四百二十七万円、それに対して沖縄は二百四万円、倍半分違うということ。前の方にパネルのコピーがありますが、すっ飛ばしてページを見てください。ここに、有効求人倍率とか最低賃金とかいうのがあります。ちょっと気になる県がいろいろ出てきます。右側の方が下位の五県です。地域間格差が確実にあるんです。これは年を示してありませんけれども、年ごとに拡大してきているんです。それをまず頭に入れていただきたいと思います。

 それから、二ページ。地方は農村だけではありません。しかし、やはり農業が中心のところが多いんじゃないかと思います。農業の占める割合、ここは、農村度、田舎度がどれぐらいかという、全世帯に占める農家の割合、総生産に占める農業生産の割合、それから人口の占める。それから、逆ですけれども、第二次産業とか第三次産業がどれだけ多いかというのですね。この田舎度を、右側の方を頭に入れていただきたいんです、この県がいかにほかの県と比べて格差があるかというのを。

 ちょっとユニークなのでは、長野県。第三次産業就業比率のところを見ていただきたいんです。長野県、一番少ないのを私はこの数字を集めて初めて知りました。つまり、どういうことかというと、第一次産業、農林業や製造業ですね、諏訪あたりの製造業、つまり、物づくりに一番一生懸命になっているのが我が長野県人だというのをこういうところで初めて知りました。まあ、こんなことを言っては悪いんですが、横から横へ流して、人のふんどしで生きているのが東京都の人じゃないかと思います。

 次、子供・人口、これは大切です。次の三ページを見ていただきたいんです。

 ここになってくると、またいろいろおもしろい格差が出てまいります。一番問題になっておりますし、柳澤厚生労働大臣を悩ませております合計特殊出生率、ここは沖縄が一番高い、東京が一番低い。その下、婚姻率。結婚しているかどうか。東京が一番高いんです。一番高いのにもかかわらず、子供は産んでいない。沖縄は、婚姻率が上から三番目で、お子さんもいっぱい生まれておるというのですね。それから秋田県、菅総務大臣のふるさとですけれども、婚姻率が非常に低いんですね。結婚したがらないというのじゃなくて、これは数字のからくりでして、高齢者率が一番高いところで、結婚するような人がいなくて、もう結婚しちゃった人ばかりだということです。これは数字もいろいろからくりがありまして、見方は難しいわけですけれども。

 ですから、年少人口割合も、秋田県は非常に少ない。東京は、先ほどの岩國さんのお話にもありましたけれども、働く人たちがいっぱい集まってくるから、若い人たちは少ない、働き盛りの人が多いということ。

 次、人口動態の純増減、これは総理、よく見ていただきたいんです。神奈川県、愛知県、埼玉県、ここは都市近郊で、人口がどんどんふえているところですね。右側、減っているところ、これは絶対数です。北海道、新潟、秋田、山口、青森と続く。(発言する者あり)秋田、多いですよね。北海道、新潟は、それぞれ母数が大きいんです、五百六十五万人、二百四十三万人。それで、秋田県、山口県になると母数が少ないですから、人口比、一万人当たりで割ると秋田が一番、山口が二番なんです、人口流出が一番大きいのは。総理の地元から人がどんどん減っているということ。まあ総理を輩出しているぐらいですから、いっぱい外に出てきているんだろうと思いますけれどもね。

 次に、教育の問題。これは、先ほどの大学の数というのもあるんです。それは岩國さんが触れられましたので、やめました。どの数字が適当かというので、象徴的な数字を選ぼうと思ったんですが、余りちゃんとしたのがなかったんです。

 就学援助率というもの、これはよく東京都の足立区の区長さんが怒っておられるそうですけれども、やはり大阪、東京が多いんですね。それに対して、静岡とか山形とか栃木とかは少ないんですね。まじめに一生懸命やっておられる方が多いんだろうと思います。教育にはちゃんとお金を出すというのです。山口県が意外と高いんです、二三・二%。東京、大阪は都市部で、こういうことを一生懸命やられる人がいたりしてという事情があるんだろうと思います。

 それから、次の二つはすっ飛ばしていただいて結構です。

 高校生の県外就職率、これは、さっき大学のこともいろいろおっしゃっていましたけれども、上位五県、県内の就職率が高いのは愛知県なんです。やはり調子のいいところなんだろうと思います。ほとんど太平洋ベルト地帯ですね、富山県を除けば。それで、問題は右側です。農村度が高い県、仕事がない県、半分がみんな県外に出ていかざるを得ない、こういう問題がございます。

 次、医療。一応全部ちょっと見てください。人口十万当たりの医師の数、文部科学大臣、おられなくなっちゃいましたけれども、そのゆがんだ、画一的な政策がこの数字によくあらわれてきているんです。

 人口十万人当たりの医師数が、何で徳島県が一番多いか、鳥取県が一番多いか、すぐおわかりになりますね。医学部の定員がどこの県も、東京みたいに人口が多いところも、どこでもみんな百人ぐらいであります。それで、徳島県なんて人口は少ないです。鳥取県も人口は少ない。そこに六年、大学にいて、大学院に行く。それは、顔なじみになったり縁ができるから、そこに居つくようになる。だから、この結果、徳島と鳥取は得しているんです。わかりますか。東京、京都は、医学部なんかいっぱいあるから。

 それで、右側は、埼玉、茨城、千葉などというのは、都市近郊で人口がふえているところ。学校や何か、インフラが間に合わないのと同じように、病院も間に合わないということなんですね。

 それから次の、もうここは言うのをやめますけれども、二年前の予算委員会でやりまして、麻生当時の総務大臣から非常にいい指摘をいただいた点ですけれども、一人当たりの老人医療費、長野県が一番少ないんですね。まじめに働いて、死ぬまで働き続けて、ぴんぴんころりで死んでいくということなんです。隣、福岡県が一番高齢者の医療費が高いというようなことですね。

 ここで何でこれを申し上げたかというと、やはりみんな数字が物語っているんです、社会の状況を。つまり、地域間格差は絶対あると思うんです。

 格差という言葉、総理、お嫌いなようでして、ないというようなことをよくおっしゃっているんですが、この数字をごらんになって、地域間格差、やはりある、問題だと思われるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 一概に格差という概念、私は、格差があるということを否定もしていませんし、格差は好き、嫌いという問題では全くないと思いますね。ですから、私は、もう前々から申し上げておりますように、格差が不公平、不公正な競争の結果生まれたものであってはならないし、また社会的に許容できない格差があってはならないし、また格差を固定してはならない。そのための施策をやっていくのは当然であり、我々はそのための施策をやっているということではないかと思います。

 そして、今委員がお示しになった各分野の資料でありますが、読み方はいろいろとあるんだろうと思いますが、地域においては、それぞれの地域の事情もあります。しかしながら、やはりそれぞれの地域の人たちが、それぞれの皆さんが可能性を十分に引き出すことができる、チャレンジできることが大切ではないだろうか。その基盤は我々が努力してつくっていかなければならないと考えております。

 そのためにも、地域との、地域間の格差を埋めていくためにも、我々は、頑張る地方応援プログラムを初めとして、また今回、地域を支援する七本の法案を提出することを予定しておりますが、地域の活性化を目指していきたいと思っております。

篠原委員 同じ条件のところでだったら、総理のおっしゃるように、チャレンジの機会を与えてやればいいんだろうと思います。しかし、まるっきり条件が違う、先ほど岩國委員が指摘されていましたように、新幹線のところに三時間、高速道路の入り口のところに三十分のところがありますね。総理、そこを選挙区とされておりますけれども、そこで生まれ育たれた方ではないので、おわかりいただけないかと思いますけれども、山口県の日本海側の油谷町、私は棚田振興議員連盟というのに入っていまして、非常に美しい棚田で、いつも水田カレンダーに出てくるところですけれども、ああいうところを一体どうやって活性化していくかというのをやはり考えなくちゃいけないんだろうと思います。

 ちょっと思い起こしていただきたいんですが、歴代政権、これに腐心してきたんです。

 どういう系譜かというと、経済を重視してきたグループがあるわけです。吉田茂さんがまずそうだったと思います。軍事面は目をつぶって経済を重視なんだったんだろうと思います。池田勇人さんの所得倍増もそうです。それから、大平さんの家庭基盤の充実、田園都市構想というのも、中核都市を何とかしようというのがあったはずなんです。それから、きわめつけは田中角栄さんだろうと思います。日本列島改造論。それから、竹下さんの、ふるさとを何とかしなくちゃいけないということで、ふるさと創生論。

 後でお話しいたしますけれども、ふるさと創生資金というのは、農村に対して直接支払いというのに対して、市町村に対して直接支払いして使途を決めずに自由に使っていいという、市町村に対する直接支払い、地域間格差を是正するものだったと私は思います。

 ところが、もう一方の系譜があるんです。鳩山さん、それから岸さん。鳩山さん、日ソ国交回復、岸さん、安保条約。

 それぞれの政権がどこに重点を置くか。安倍さんは当然、憲法、教育とかということで、おじいさんの系譜に属せられるわけですね。

 地方に温かい方をやってきたのは、これは、済みません、こちらの皆さんの先輩たちで宏池会、経世会グループの人たちが多いんです。そして、今、そこの、小沢さんが生活維新というフレーズを掲げられているのは、やはり同じ系譜に属するんじゃないかと私は思います。

 そして、EUはこれを政策的に導入したんです。何かというと、直接支払いなんです。直接支払い、よく見ていくと、これは理屈だけで、後づけしたんじゃないかと私は思います。地方にお金を行かすために、いや、条件不利地域だからといって一九七五年から始めました。環境を守っているといって一九八五年から始めました。

 それから、今までいろいろ価格を支持していたけれども、価格支持をしていると過剰になる。米が典型的ですよ。日本も同じなんです。それではやはりいけないから、本当に必要な人たちに補助をやろうというので、田舎にお金が行くようにいろいろへ理屈を考えてやり始めたのが直接支払いです。きょうは、これについて中心に御質問したいと思っております。

 それで、これはどうでもいい話ですけれども、農業再生プランというのを配っています。これの三ページ、農家にわかっていただくためにやったんですが、これは小沢一郎党首、こちらは、ちょっと似ていないですかね、安倍さん。本当はここに私が出たいんですが、小沢さんのかわりに私が質問させていただきます。

 それで、直接支払いのを出していただきたいんですが、直接支払いの……(発言する者あり)まあ財務大臣から見るとそういう、財務大臣、黙っていて、やじはこちらの方だけに任せておいてください。民主党の農業再生プランと、政府案も直接支払い、導入いたしました。どこが違うか。ここの対象作物はそんなに変わらないんです、麦、大豆。それから、景観、きれいにというので、我が方は菜種を入れてみました。しかし、こちらは価格政策の対象作物のみ。

 それで、大きく違うのはここです。ここを見てください。すべての販売農家、まじめにやっている販売農家に対して我々は出そうと。(発言する者あり)私のような者です。それに対して、対象農家は四ヘクタール以下を切り捨てている。それで、集落営農で二十ヘクタール以上というのは、やはりそんなにうまくいかないと思うんです。

 そして、我々は、政権与党ではありませんけれども、農林水産省の予算の三分の一ぐらい使っていいじゃないかと。これは別に一兆円上乗せとか言っているわけじゃないんです。今の枠の中でやりましょうと。財務大臣には迷惑をかけるつもりはありません。こちらは千七百億円でスタートしました。まあ、やらないよりはいいと思います。

 これは支払い基準がまたよくないんです、政府案の方は。過去の生産実績にだけ基づいてやると。これはEUがもうとっくの昔からやっている、そのルールが国際的なルールになっている、だから、それを日本で踏襲してやろうと。日本は初めて導入するんですから、そんなものは構うことはないんです。生産面積に応じて支払ってやっていけばいいわけです。こういうのを考えております。

 それで、大体のことは御存じだと思いますのでやめますが、直接支払い、我々もやろうとした、政府もやろうとした、これはマルだと思います。しかし、いろいろ対象のところで違ってしまっているんです。

 どこが違うかというと、EUは平均耕地面積が一八・七ヘクタールです。イギリスは六七・七ヘクタール。みんな何十ヘクタールです。日本は四十六都道府県あって、たった一・三ヘクタール。彼らのところにも下限面積があります、〇・三ヘクタール以上じゃないとだめですよと。見てください。これは、EU平均で、平均の六十二分の一以上に支払うと言っているのに、日本はどうなっているかというと、四ヘクタール以上。これは平均の三・三倍になるんです。これはどう見てもおかしいんです。なぜこんなような敷居を高くされておるんですか。農林水産大臣、手短にお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

松岡国務大臣 いろいろ大分しゃべられて、私だけ手短というわけにはいきませんので、割といただきますが、まず、その表のことから言いますと、EUの〇・三ヘクタール、そして一八・七ヘクタールですか、それと比較して日本は四ヘクタール、こうおっしゃいました。

 これは、もう先生はとっくに御承知の上で言っておられるわけですよ。もともとEUというのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、構造政策を先にやった。特に一九六〇年、これはもう昭和三十五年、その時点でフランスはまさに構造政策をやって、農業基本法においては、フランスの場合は、農業の労働時間、そしてまた所得、これがその農家の半分以上、そして主業農家である、六十五歳未満の人がいるという、そこしか農政の対象にしなかった、そこを助成の対象にした。したがって、全部そこに集中して規模拡大が進んで、構造改革が進んだ。

 その後、おっしゃるとおり、一九七五年に価格支持政策というのをやった。ところが、これは過剰生産につながった。これは大事なんです、歴史が。過剰生産につながったので、これはいかぬと。財政も大変だし、余ったものを、今度は在庫量も大変だし、輸出補助金をかけて輸出をしなきゃならぬ。ただ、そこに今度はウルグアイ・ラウンドの交渉が入ってきて、これではもたぬというので一九九二年にやったのがマクシャリー改革、あなたが一番御存じ。

 そこで、そうやって改革をやって直接支払いにした。そのときやった直接支払いというのは、今まで価格支持で所得があった人たちをどこで切るかということで、まあ一応〇・三ヘクタール。〇・二も〇・一もあったんですよ。だけれども、一応〇・三で切った。あわせて、もう構造改革は済んでいますから、あなたがおっしゃっている直接支払いも、たった二〇%の農家に八割以上が実は受給で言っている、これがEUの実態ですよ。

 そして、説明されませんでしたが、その中に条件不利地域がある。この条件不利地域で見ますと、EUはあの条件不利なところでも三ヘクタールという基準を決めておる。日本の中山間所得補償は農家の基準は決めていません、地域対象ですから。〇・一ヘクタールでも〇・二ヘクタールでも、すべての農家が日本の場合は中山間所得補償の対象になっておる。

 そして、今四ヘクタール以上とおっしゃったが、直接支払いとしては、我々としては、あの青の稲経も、これは全く面積要件なし、まだ残しております。野菜の価格安定制度も面積要件なしで残しております。そしてまた、一番よく御存じの長野県あたりの牛も、一頭当たりですから、不足払いは。全部残しております。

 ただ、今度は構造改革、もう既にヨーロッパが何十年前にやった構造改革をやはり日本もやって、日本の農業を世界に冠たる農業にしていく、強くするためにも、ここは構造改革も日本としてはあわせてやる、こういう観点からやっているわけで、残したいものは残した。

 それと、千七百億とおっしゃっていますが、この千七百億というのは品目横断をとらえただけであって、既に黄色の部分も入れて六千四百億が今直接支払いに行っている、日本の場合。これが実態ですよ。だから、これはうそで、偽りありでして。

 それともう一つ、民主党案について、これはもうここまでおっしゃるから言わせていただくと、国民の皆さん、みんな見ておられますから。彼は、そんなこと構ったことじゃないから、緑として通報すればいいんだみたいなことを言いましたが、そんなの裁判に行ったら一発でやられます。

 そして、この民主党のは、まだ規律がはっきりしていませんからわかりませんが、規律がはっきりしてもわかりませんが、いずれにしても、これはWTO上は認められない政策なんです。(発言する者あり)いや、質問に対する答弁です。

 黄色に対しては、これは黄色ですからふやしちゃいけない。ふやしちゃいけないわけですよ。それを一兆円にふやすというのは、できないことをしようとおっしゃっている。だから、不可能なことを約束しようとされておる。そして、国内的にも理解はされないと思いますから、できないことをおっしゃっている。そういうふうに私は思います。

 これはもう議論ですから、お互いに議論した方がいいと思います。そういうことであります。

    〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

篠原委員 もう農林水産委員会でも一度やっていますけれども、松岡さん、質問されるようになったら長々しゃべっていただいて結構です。大臣ですから、答弁は簡単にお願いします。

 いいですか、今、青とか稲経と言ったってわからないんです。わかりません。こっちの面積見てください。大臣は認識がちょっとおかしいんです、最初から。この間の農林水産委員会の延長線で言いますと、この直接支払いというのは、構造政策のためにやるんじゃなくて、所得補償というのは社会保障的なので、本当に必要な農家のところに、条件不利地域や何かにやりましょう、困っている農家にやりましょう、大きな農家にはやめましょうと。

 ですから、いつもイギリスで一年に一回ぐらいずつ問題になるのは、チャールズ皇太子も直接支払いを受けているというのが問題になるぐらいなんです。そして、それを何とか切ろうとしている、本当に必要なところに直接支払いをして、農村地域社会を活性化しようと。

 いいですか、ちょっと出てきただけでまだ実現されていませんけれども、教育バウチャー制度というのがあります。安倍総理の美しい国のところに出てきていますし、進展はしていないんだろうと思いますけれども、考え方があるわけです。

 なるべく自由にさせるという、フリードマンが言い出した言葉ですよ、バウチャー。みんなにお金をやって、あちこちの大学や高校にお金をやるんじゃなくて、教育を受ける子供たちのところにやって、あなたはどういう教育を受けるか、それぞれの子供たちに判断させようというのなんです。

 それを農業の場にやったのがこれでして、農家個人個人にやっていく、都道府県も市町村もない、地方分権どころじゃなくて農民分権です。そして、それは対象はどこかといったら、これでおわかりのとおり、零細なところに行くようにしているんです。そして、ここ、上限、五千ユーロ以上は全部減らしていく、でっかい農家にはやらない。直接支払いというのは、そもそもそういう性格のものなんです。

 ですから、僕は譲っていいんですけれども、日本型の直接支払いの導入ということにしたっていいけれども、それにしたって、四ヘクタールなんというこんなでかい農家、大体、長野県なんか、みんな零細農家ばかりです。若林さん、すぐおわかりだろうと思いますよ。四ヘクタール以上の農家なんて集落に何軒あるか。二十ヘクタールの集落営農なんというのも、一元経理とかなんとかいうのも、ソ連でコルホーズ、ソホーズというのがありました、国営農場、共同農場。中国に人民公社がありました。この日本国で今こんなことをやり出そうなんて、僕は、田植え機を共同で使うとか、それはいいです。ですけれども、その一元経理とかそういうのは、理想に走り過ぎですよ。もっとなだらかに、みんなに、自由に任せて、これだけやるから考えてくれというふうにすべきです。

 総務大臣、ちょっとお伺いしたいんですけれども、こんな調子で四ヘクタール未満の農家をがたがたにしていったら、私はもたないんじゃないかと思う。総務大臣は地域間格差を一番よくおわかりになるんじゃないかと思います。神奈川県は、経済指標とかいろいろな指標がみんないい方に入っています。秋田県は悪い方に頻繁に顔を出しているんです。この格差、非常におわかりいただけるんじゃないかと思うんです。これはやはり秋田を何とかしなくちゃという気持ちを大臣としても強くお持ちだろうと思いますけれども、お伺いしたいと思います。

菅国務大臣 まず、神奈川と秋田の格差というのは、私どもは地方交付税で今調整をさせていただいております。そして、今の御質問でありますけれども、これにつきましては農林水産省の所管でありまして、農林水産省で適切に関係者の理解を得ながら対応していくものと私は思っています。

 そしてまた、私ども総務省としては、地方公共団体が国と連携をして、農村だとかあるいは漁村の地域の活性化、担い手育成のために取り組む事業に対して地方交付税措置というものをとらせていただいておりますし、十九年度からは新たに、農地・水・環境保全向上対策事業、これについても交付税措置をしてそうした地方を応援させていただきたいと思っております。(松岡国務大臣「零細とかいろいろ言われましたので、ちょっと簡単にやります」と呼ぶ)

金子委員長 松岡大臣、後で篠原さんから質問してもらいますから、そのときに答えてください。

 篠原さん、事実誤認があるので質問してください。

篠原委員 この延長線で総理にお伺いしたいと思います。

 総理は……

金子委員長 その前に聞いて、農林大臣に。

篠原委員 いやいや、総理に先に伺わせてください。

 総理は、日本経済全体の底上げ戦略というのを再チャレンジということでやっておられます。ところが、農業の方は全体の底上げじゃなくて、ここに、言いましたように、平均の三・三倍。平均点以上ぐらいだったら多少わかるような気がするんですよ。平均点じゃなくて、平均点の三・三倍、平均の。上の方のエリート、超エリートだけを対象にするのでは、これは底上げにならないんですね、全然。全体の経済、日本国全体の底上げ戦略というのをやっておられるときに、農業だけは別扱いじゃないかと思います。

 例えば、考えてみてください。二ヘクタールで二十五歳でこれから一生懸命やっていこうという人、七十三歳で、年はどうでもいいんですけれども、七、八ヘクタール持っていて悠々やっている人と、どっちをバックアップすべきか。面積要件で切るべきじゃないんです。経営担い手新法といって担い手を育成しようとするんだとしたら、私は、まず条件をつけるのは年齢要件じゃないかと思うんです。

 見てください。ここは、条件不利地域支払いは六十五歳未満でないとやりませんよというようなことをやっているんです。ですから我が国も、底上げするんだったら条件はつけていいです。財務大臣が心配されているように、全部対象にしたらばらまきという誤解も生じますよ。ですから、それは避けた方がいいんです。ですけれども、こんなにでかいのばっかしというのは異様です。これは、日本社会を混乱に陥れ、農村地域社会を崩壊させるような方向に行くだけじゃないかと思います。

 総理、その点について、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 詳しくは、農林水産大臣がいますから、当然農林水産大臣と議論もしていただきたいと思います。それは当然のことだろうと思います。

 この担い手に対して、我々は、担い手を育成していこうというのは、先ほども議論の中でありましたが、農村部においては大変今高齢化が進んでいますので、若い人たちにとって魅力的な農業にしていかなければいけない。今の農業のこの状況をいわば固定化してもいけないわけであって、我々は、何とかここでまた担い手の人たちがしっかりと産業としての農業として支えていけるような、そういう農業に私たちはしていきたい、このように考えています。

 そこで、その条件等についてはまた今農林水産大臣からお答えをいたしますが、しかし、その中で、例えば、四ヘクだけではなくて、二十ヘクという集落の形において対応していくことができます。

 先ほどソビエトのコルホーズ等と対比をされましたが、あそこの問題点は、努力や成果とそして収入が全く関係なかったからじゃありませんか。まさに私たちが進めようとしている農業は、頑張って収益を上げていけばそれがそのまま未来につながっていくという、意欲が結果に結びつくようにさらに私たちは支援をしていこうということでありますから、全く逆だ、このように思います。

金子委員長 松岡農林水産大臣、簡潔に答弁してください。

松岡国務大臣 今総理からお答えがあったわけでありますが、ちょっと具体的なことにお答えしたいと思います。

 まず、篠原先生、先ほど直接所得補償というのは零細を救うんだとおっしゃいましたが、これはOECDのレポートにもありますように、まあOECDにもおられたわけですが、これはターゲティング、ターゲットを絞ると。だから、所得の場合、環境に着目して所得補償する場合、条件不利に着目して所得補償する場合、いろいろあるわけですよ。そして、今回の、おっしゃっているように、マクシャリー計画も零細の補償じゃないんですよ。まさに過剰生産をどうやめさせるか、そしてWTO交渉にどうEUとして臨むか、そのためのこれは改革だったわけですよ。これが一つ。

 それと、四ヘクタールは多過ぎるんじゃないかという話ですが、もう既に規模拡大が進んで構造改革が済んでいるヨーロッパと違って、我々のところは、価格政策を先にやってずっと続けてきた結果、規模拡大が進んでいません。そういう中で、今私どもは、個人にあっては四ヘクタール、そしてまた集落営農にあっては二十ヘクタール、しかし中山間にあってはこれは半分でいい、また、生産調整との絡みではもっと少なくていい、こういうことをやっています。そして、たとえ二反でも三反でも、〇・一ヘクタールでも、どんな小さな人でも、この集落に入ることによってみんな担い手たり得る。排除の論理をとっていないんです。そして、日本全体を底上げしていこう。まさに、世界に冠たる日本の農業をつくっていくために日本の総合力を最大にしようというのがこの政策ですから、ぜひ御理解いただきたい。

篠原委員 今、日本は構造政策をとってこなかった、価格政策だけをとってきたというふうに松岡農林水産大臣はお答えになりましたけれども、農林水産省構造改善局農政課長として構造政策に心血を注いでこられた方が隣におられます。それを自民党で支えた方がそのちょっと隣にもおられます。構造政策を農林水産省がやってきていないなんてことはないんです。それは成功しなかったんです。ですけれども、僕は構造政策は推進すべきだと思います。しかし、やってこなかったなんていうんじゃない、やるべきだと思います、やるべきだと思いますし、ターゲットを絞るのはいいんですけれども、こんなばかでかいところばかりにやったんじゃ困るということです。この議論はやめます。(発言する者あり)

金子委員長 静粛に願います。

篠原委員 環境大臣に来ていただいています。具体的なことで、例えば中山間地規制、ぜひ予算委員会の場で検討していただきたいことがありまして、環境大臣と厚生労働大臣に来ていただいています。

 中山間地域というのは、農村の中でも一番疲弊しているところなんです、山あり谷ありで。猿は出てくるわ、イノシシは出てくるわ、長野はクマも出てくる、シカも出てくる。それで農作物を荒らされる。台風の被害とか雨の被害というのは、ことしはだめだったけれども来年はいいだろうという希望が持てるわけですよ。出てき始めますと、猿知恵をつけると、毎年来るわけです。これはよくないわけです。

 それで、いろいろ考えているんです。長野県の大町市は何をやり出したかというと、資料のところをちょっと見ていただきたいんですが、資料の十六、十七にございます。モンキードッグ、新聞は、犬猿の仲を使うと。追い払うんです。犬を公募しているんです。政治家だけじゃないんです、公募するのは。政治家は公募してすぐ当選しちゃうからちょっと問題のある人もいるかもしれませんけれども、犬は訓練を三カ月受けて、ちゃんとしつけを済んだのだけが解き放たれて、そして成果を上げているんです。

 ですから、僕はこれは非常にいいアイデアだと思ったら、何のことはないんです。私の小さいころを思い出しました。何年のころから鎖で犬がつながれるようになったか。私も犬を飼っていました。余計な話ですけれども、テスというんです。私のイニシャルがT・Sで、篠原孝で、テスという犬ですけれども、疲れているときは、ガーデントラクターにぴゅっと乗って畑に行きました。調子がいいときはトラクターより先に走っていって、もう家じゅうで農作業をしている間じゅう畑を走り回って、その辺に小便をさんざんして自分のテリトリーを明らかにしている。

 ですから、それで気がつきました。「北越雪譜」というのを書いた人がいるんです、鈴木牧之というんですけれども。その人は秋山郷という、長野、新潟の県境地方のことを書いているんですが、どこの農家にも犬がいた、何のためか、鳥獣を追い払うためだということなんです。そして、それがいつのころから変わったかというと、昭和三十年代の中ごろぐらいから変わったんです。だめになった。みんな犬が鎖でつながれるようになったんです。

 世界じゅうに行かれていると思いますけれども、日本の犬ほど不自由な犬はいないんです。袴田茂樹、ロシアの専門家、ソ連の共産主義時代よりも不幸なのが日本の犬だ、日本の犬だけには生まれたくないとおっしゃっています。

 それを何とかするというのは、電気さくとか防護さくなんかもあるんですけれども、一番簡単な方法は犬を放してやること。それで、ちゃんと考えているのがいるんですよ。

 この十六ページを見ていただきたいんです。私はしつこくいろいろな条例を見ました。狂犬病予防法、動物の愛護及び管理に関する法律というのがあって、ずるいんです、法律は係留を義務づけていないんです。環境省の法律の、家庭動物の飼養及び保管に関する基準という告示でもって「犬の放し飼いを行わないこと。」というふうになっているんです。

 ところが、何か気がきいた県はないかと思ったら、一番下を見てください。六の福島県、犬による危害の防止に関する条例施行規則というのが昭和四十三年、「けい留義務が課せられない場合」というふうに、中山間地域という言葉がなかったんです、山間僻地において、人、家畜、耕作物等を野獣の被害から守るため飼い犬を使用するときは係留しなくたっていいと。これだけで全然違うんです。

 それは、絶対人に危害を与えてはいけません。ですから、きちんと訓練する必要があります。私は、きょうこの予算委員会の場で、両大臣から、これを直ちにするというお答えをぜひいただきたい。中山間地域の活性化に必ずすぐつながります。

柳澤国務大臣 篠原委員御明察のとおりでございまして、狂犬病予防法におきましては、別に犬の放し飼いという行為を禁止はいたしておりません。狂犬病予防法で義務づけておりますのは犬の登録と犬の予防注射でございまして、これらが済みますと、鑑札とそれから注射済票の装着を義務づけているということでございます。

 したがいまして、狂犬病予防法を今申したような義務づけの規定につきまして遵守をしている限り、地域の実情に応じて犬の放し飼いができるようになっていることでございまして、狂犬病予防法の観点から、それを妨げるものでは全くありません。

 この点につきましては、環境省ともよく連携しながら、機会をとらえて、地方自治体に対して周知をさらに深めてまいりたい、このように思います。

若林国務大臣 今、厚生労働大臣からお話がございました。狂犬病との関係で犬を係留しなきゃならないという義務があるのではないかと巷間思われていることが多いと思います。きょうは多くの方がテレビでごらんですから、そういうことはございませんということをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、法令上、犬を係留しておかなきゃいけないというようなことは何もありません。そのことは、基本的には、地域住民の安全、安心のために規制をする必要があるというふうに考えた都道府県が条例で犬の係留を定めるということになっております。

 もっとも、動物愛護法に基づきまして、これはいわゆる告示ですけれども、指導基準という形で、委員が先ほどお示しになった資料にもございますけれども、こういう基準を決めていいようになっておりますが、その場合も、それぞれの条例を決めるか決めないかというのは都道府県の選択判断に任せております。

 都道府県の実例を調べますと、犬の放し飼いを禁止、規制をしている条例の有無でありますけれども、九十八自治体中六十二自治体が、つまり六三%がそのような条例を設けており、三十六自治体、三七%はそのような条例を設けておりません。

 条例を設けている自治体にありましても、犬の放し飼いを完全規制しているというところは少ないわけでありまして、狩猟犬だとかその他幾つかの、盲導犬とか危険のないようなものについては係留していなくてもいいというように条例は定めております。

 その点をわかりやすく条例で書いたのが、委員がお示しになりました福島県の条例でありまして、長野県の場合も、お話ありました大町市は、長野県の条例に基づきまして、猿からの被害を守るという意味でモンキードッグのシステムを昨年導入いたしております。

 しかし、これも、住民に危険がないように、管理された形で、その犬は、公募と言いましたけれども、公募した犬を警察犬の訓練所などで訓練をちゃんとしまして、その訓練をした犬について適正に飼養者が管理をしながら、猿の農作物被害を防止する等のために管理下に置いて行っているということでありまして、委員の言われるように、犬をもっと自由に放してもいいというようなのは大変危険でありまして、私もこの二十年の政治活動の中で、農山村部が多い、過疎地が多い、そういうところを歩いて大分かまれましたよ、本当に。本当に何回もかまれるんです。

 ですから、犬を、訓練をしないで、安全管理をしないで、自由に放し飼いをしたらいいというような考え方はとるわけにいかないと私は思います。

篠原委員 私も、自由にかんでいい、放していいなんて言いませんよ。この辺の元気のいい人なんかは典型的で、私なんか、質問しているときにいっぱいかまれているような気がしますので、余り野方図にというのはよくないので、そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。

 今、直接支払いの関係で僕がもう一つ心配するのは、農村地域社会の崩壊というのは、食料安全保障も一部の人たちがやるとだめになっていくんじゃないか。

 食料安全保障については、安倍総理のお父上の安倍晋太郎さんのときに非常に大きな動きがあったんです。昭和四十八年、大豆ショックがありまして、これではいけないとアメリカが大豆の輸出を突然禁止したんです。それで困って、そして食料の安定供給ということで協定を結ぼうとしたんです。

 ところが、カナダとオーストラリアはすぐ応じたんですけれども、アメリカは、責任がある国といえば責任がある国、無責任といえば無責任、ちゃんと供給することを約束できないということで、安倍・バッツ紳士協定ということでお茶を濁されたんです。

 つまり、どういうことかというと、軍事的には、核の傘か何か知りませんけれども、アメリカが守ってくれるとかいうのはあるんだろうと思います。そこは私はよくわからない部分があります。しかし、食料については、それぞれの国できちんと責任を持つのは当然だという考え方のはずなんです。

 総理、この点について、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 食料安全保障という観点からも、私たちの食べ物はなるべく私たちが確保していくという観点からも、やはり食料自給率の向上に努力をしていかなければならないと考えております。

篠原委員 今、安全保障上いろいろなところできちんとしていこうというのに、特に軍事的な安全保障をきちんとしていこうという議論が僕はあってしかるべきだと思う。その内容自体について賛否というのはいろいろあると僕は思いますけれども、軍事的にも自前で、エネルギーもなるべく自前で、食料も自前でと考えていくべきなんですが、ちょっとここでよく考えていただきたいのは、一番下の参考のところ、資料にもありますけれども、軍事的にちゃんとやろうという人が、食料なんかどうでもいいという人が結構多いんです。これは論理的な矛盾ですから、よく承知していただきたいんです。

 この点について、軍事的なことについては非常に一家言を持っておられる麻生外務大臣、食料についてはどのようにお考えでしょう。これもきちんとやっていただけると思いますが、オーストラリアとのEPAやFTAで一二%に自給率が下がるなどということが絶対ないようにしていただけるんだろうと思いますけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、これは先生お詳しいところなので、日本の場合は、食料の輸入を約四兆円かな、今していると思いますので、世界最大の食料の純輸入国というのが日本の置かれている現実だと思います。

 そういった意味では、これは食べるものの内容が、お米を皆食べる量が、昔は大体一人三俵、今一俵いくかいかないかというような形まで食べるものの内容が大幅に変わってきたということもこれありで、食料自給率というのは四〇%という形にまでなってきております。

 そういう中にあって、今オーストラリアの話が出ておりますが、これもあの交渉の中を読んでいただければおわかりになりますとおり、この問題は日本にとっては非常にセンシティブな問題がいっぱいあるので、ここだけは考えてもらっちゃ困りますよということで、あの交渉をやります前の、いわゆる報告書において、センシティブという言葉はたしか十六カ所出てくると思っております。一つの文書にセンシティブという言葉が十六カ所も書いてある例なんてほかにないと思いますが、それほどおれたちにとってはこれは大問題なんだという話をして、向こうでも、自由化されたら自分のところの自動車工場はつぶれるとか、それはお互いさま、いろいろあろうとは思いますけれども、貿易が拡大するに当たって犠牲というものを伴う、その犠牲の内容はよくよく検討しなきゃならぬ、特に、我々は農業ということを踏まえて対応していきたいと思っております。

篠原委員 時間になりましたのでやめますけれども、松岡農林水産大臣とは農林水産委員会でもっともっと長く議論を続けさせていただきたいと思います。

 そのためには、大臣、ひとつ気をつけてください。事務所費とかワクチンの何とかとかNPO法人、そういったことをきちんと説明して、きちんと長らく議論できるようにぜひしていただきたいと思います。

松岡国務大臣 その点は何も、私はちゃんと説明もし、法的にも問題ないと思っております。

金子委員長 この際、松本剛明君から関連質疑の申し出があります。岩國君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 地域間格差等ということで、総理を中心に御質問をさせていただきます。関係の大臣の方にもおいでをいただいておりますけれども、基本的なことを伺いたいと思いますので、基本的には、ぜひ総理に御答弁をお願いしたいということを冒頭に申し上げたいと思います。

 まず、この格差ということについての総理の御認識を改めて確認させていただきたいと思います。

 委員長もおいででございますが、きょうは地域格差等という題でございます。衆議院としては、格差の存在を認めつつ、これについての政策の議論をしようということであると思いますし、きょうは、開会から拝聴をしておりましたら、与党の方も格差を前提に議論されていることを総理もお受けになっておられるようにお見受けをしましたが、今は格差はあるという総理の御認識でよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この格差はあるかないかという質問自体が私は少しおかしいと思うんですが、まず、格差というのはこれはいつの時代もあるわけであって、格差を全くなくすことはこれは不可能であろうと。努力した人が報われる社会をつくっていく、汗を流した人、頑張った人が、知恵を出した人が報われる社会をつくっていかなければいけないわけであって、その努力の差あるいは能力の差に全く目をつぶって、結果平等の社会をつくろうとは全く思っていないわけであって、では、格差において何が問題かということであろうと思います。

 格差においては、これは不公平、不公正な競争の結果であってはならないし、また、社会的にこれはやはり容認できないという格差であってはならない、そしてまたさらには、この格差が固定化されてはならないということではないだろうか、このように思います。

 そこで私も、今この日本において格差があるかといえば、当然それは格差がありますが、今言ったような格差については、固定化されないような、私たちとしては、そういう仕組みをつくっていくために再チャレンジの支援策をつくっているわけでありまして、予算にしても、千七百二十億円この予算に組んでいるわけであります。

 そうしたことをきっちりとやっていくことが大切なのであって、格差があるかないかとかということを言うのは余り政策的にはそれほど意味がない。大切なことは、地域間の格差、地域で格差を感じている人たちがいるわけであって、そういう地域を活性化させていく、そのための地域活性化について九本の法律を出していく、我々は着々と政策でこたえていく、そして結果を出していく考えであります。

松本(剛)委員 総理、それでは是正をすべき格差というふうに申し上げましょうか。

 お聞きをしたかったのは、前政権から引き継がれたときは、格差は見せかけである、こういう、ある意味では私は内閣府官僚のおつくりになったペーパーだろうと思いますが、それを引き継がれたようにお見受けをいたしました。そして、ことしの予算委員会の冒頭でも、格差があるとすれば、こういうお答えであったというふうに思います。

 この半年間で我が国の状況が急速に変わったわけではないと思いますので、総理の方でいろいろ話を聞いて認識をお変えになったのかどうかということをお聞きしたかったわけでありまして、一番最初に格差は見せかけと言っていたのはやはり違っている、こういう理解でよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、今まで格差が見せかけと言ったことは一回もありません。それは、一度も言ったことのないことをあたかも言ったかのごとく質問するのは、私はそれはふまじめだと思いますよ。まず、私が言ったことをよく踏まえていただきたいと思います。

 そして、格差を感じる……(発言する者あり)私は見せかけなんか言ったことは一回もないじゃないですか。私は、格差が拡大をしてきているかどうかということについては、マクロ的な分析であるジニ係数を使って説明しました。格差があるかないかではなくて、格差が拡大しているかどうかということについてお話をしたわけであります。その認識を示したわけであって、それをねじ曲げないでいただきたいと思います。

 そしてまた、格差を感じている人がいるとすれば、その人たちに光を当てていく。これは、すればというのを、いないということを前提にしているわけではなくて、私が表現として使ったわけであります。

松本(剛)委員 私は、総理は小泉政権の路線を引き継ぐとおっしゃったので、認識も共有をされているんだろうというふうに思います。最近の復党の話とかをお聞きしていると、御就任のときは引き継ぐとこうおっしゃったけれども、実は決別をするということであれば、そのことをはっきりとおっしゃった方が、国民にとっても大変わかりやすいのではないかというふうに思っております。

 それでは、この格差是正における政治の役割ということでお聞きをしたい。先ほど、不公平があってはならないということがありました。私どもは、やはり本当に困窮をしている人たちを救うということも必要なことであろうというふうに思います。そしてまた、著しく格差が拡大をしていく傾向というのが本当に望ましいのかどうかということも問われるというふうに思っています。せっかくの予算委員会ですし、政策の内容でいろいろ議論をしたいと思っております。

 きょうも、冒頭からお聞きをいたしておりまして、片や市場原理主義、片や結果平等の共産主義、この二つを対置させているままでずっとイデオロギー論争のようなことをしていては、それこそ何十年か前にさかのぼるだけであろうというふうに思っております。

 そういう意味で、総理において、この成長力底上げ戦略の文章を拝見すると、格差是正という言葉はお使いにならないのかもしれませんが、機会を均等にすることが大切だというふうにおっしゃっておられます。機会の均等ということはもちろん重要なことでありますが、それで十分だというお考えでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 機会の均等で十分だとは申し上げておりません。

 まず、もちろん機会は均等でなければなりません。そしてしかし、人間は不幸にして失敗する場合もありますし、病気になる場合もあるでしょう。そうしたときのためのセーフティーネットは、しっかりとこれは構築をしていく必要があります。ですから、私が申し上げておりますように、医療や介護、そうしたものを初め、生活保護もそうですが、そうしたいわばセーフティーネットはしっかりと維持をしていく。年々これは高齢化が進んでいきますから、財政的には大変ではありますが、介護や医療の給付の水準は落としてはならない、このように申し上げております。

 そしてまた、チャレンジして失敗して、もう一回チャレンジするのは日本ではなかなか難しいという構造がありますから……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 その構造を私たちは変えていかなければいけないという中において、私たちはこの再チャレンジ支援の総合プログラムを取りまとめ、先ほど申し上げましたように、千七百二十億円の予算も組んでいるわけであります。

松本(剛)委員 再チャレンジ、成長力底上げ戦略というのは私もずっと拝見をいたしましたが、基本的に、機会の均等化を含め、先ほどおっしゃったセーフティーネットについても、私どもの岩國委員などから離島医療の問題なんかもありましたように、セーフティーネットについても随分問題があるというふうに認識をしておりますけれども、このセーフティーネットの問題というのはまた別途では手当てをするという理解でよろしいんでしょうか。成長力底上げ戦略とか再チャレンジの中には入っておられないですよね。

安倍内閣総理大臣 成長力底上げ戦略の中においての例えば最低賃金については、ある意味においてはこれはセーフティーネットとしての機能であって、十分にこの機能を果たしていかなければならないと思います。しかし、基本的には、セーフティーネットと再チャレンジと、そしてまたこの成長力底上げは別のものである。

 しかし、成長力底上げについても、就労するに際して、今まで、いわば社会保障的なアプローチといわば就労のアプローチがあったわけでありますが、ここはお互いに協力をしていくということも重要であろう。つまり、社会保障の対象からいわば就労を支援していく、そこは区別することなく対応していくことが大切ではないだろうか。この最低賃金にしても、いろいろな考え方はありますが、これはセーフティーネットとして考えるべきだという考え方もあるということは申し上げておかなければならないと思います。

松本(剛)委員 最低賃金がセーフティーネットという考え方はちょっと違うのではないかというふうに思いますが、セーフティーネットの問題については、後で何件かそれではお聞きをしていきたいというふうに思っています。それから、格差について、やはり所得の格差拡大、総理の目指すべき社会の方向ということとあわせてお聞きをしていきたいというふうに思っています。

 米国が我が国の先を行っているというふうには私は思いません。日本は日本のやり方があっていいというふうに思っております。しかし、今の企業の体系というのは、まさに株主のウエートが非常に高まってきております。ちなみに米国では、この十数年、十五年ほどの間に経営者の所得というのが百三十一倍になって、働く平均の人々の三百六十九倍の所得を得るようになってきた。バーナンキFRB議長、この方がことしの二月の講演で、米国の大変大きな問題として格差の拡大があるということを指摘されております。

 そういう意味で、この数年間、日本は大変株主のウエートを重んじる方向に走ってまいりましたが、かつて我が国においては、米国的経営よりも日本的経営、長期的視野に立った投資を行い、人材を育成する、このことがまさに日本の強さを発揮してきたのではないかというふうに話をしてきたと思います。そして、今実際に国際競争力を有している多くの企業というのは、長期的視点に立った経営、投資、そして人材の育成、団塊の世代が今退職を間際にして、その人材の持つ技術の継承というのが大きな話題になっているぐらいでありますが、これが大きなテーマを持ってきたと思います。

 しかるに、この数年間、日本においても、いわば米国流株式市場を取り入れることによって我が国の大きな企業の利益というのは、かなりの部分が自己株式の取得そして配当増に回る、そして、いわば人材育成にかかる人件費には回らない。投資も、ある意味では、後回しとまでは言いませんが、かつての米国のようになってきつつあるのではないかというふうに懸念をしておりますが、今のこの流れ、いわば、ある意味では株式市場最優先の政策というのを総理はそろそろこの辺で振り返るべきときではないかと私は思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 後ほどまた甘利大臣からも詳しくは答弁をいたすわけでありますが、かつては、確かに委員がおっしゃっていたように、日本的な経営というのは世界でも称賛されたわけであって、いわば、雇用されている、働く人たちに投資をしていくことによって人材育成につながり、中長期的には大きな成果を上げていく。また、日本的な経営というのは、短期的な結果を求めない中にあって、いわば設備投資等々においても中長期的に取り組んでいた、その成果が出てきた、このように言われております。

 しかし、このグローバル化が進む中において、日本においても株主のこれは利益についても配慮をするということが求められているわけであって、しかし、それは一つの考え方として全く否定されるべきものではないんだろう。いわば、株を買って投資をする人がいて経営が成り立っているという側面もありますが、と同時に、やはりこれは、そこで働く人たちが意欲を持って仕事に取り組んでいくことによって企業は成長していくわけでありますし、そのことを忘れてはならない。要はそのバランスが大切であろう、このように思います。

松本(剛)委員 さすがに、年金は一円もらえばいいんだというようなかつての極端な議論にはならないようですが、そのバランスがそろそろ限界に来ているのではないかということを申し上げたかったわけであります。

 公表されているから社名を申し上げてもいいと思いますが、兵庫県にあるワールドというアパレルの大手の会社は、一昨年、上場を廃止いたしました。経営陣による株式取得、MBOという形で上場を廃止いたしました。長期的視点による経営のためにということで廃止をし、翌年行ったことは何かといえば、六千人の非正規雇用者のうち、希望される五千人の方を正規社員にしたということであります。コストがかかるけれども、将来のための人材確保のためにはこれが望まれる政策だというふうに言っておられました。まさに、上場を廃止し、翌年にこういう人材育成の方に向かって動き出した。

 今の株式市場というのが、買収の懸念とかそういったものを考えると、企業がこれから将来を見越して人材投資を行っていくということについてそろそろバランスを失する状況に来ているのではないかというふうに私は認識をして、今総理にお聞きをいたしたわけであります。認識を共有していただけるかどうか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

金子委員長 ちょっと甘利経済産業担当大臣、ワールドの話を聞きたかった。

甘利国務大臣 企業が国境を越えてMアンドAと直面しなければならない、その際に、日本の企業はお買い得だ、同じ業績でいながら時価総額が極めて低いから買収しやすいというリスクにさらされるわけであります。そういった中で、配当性向を強める、株価を上げる、これは、企業防衛上選択をしなければならない一つかもしれません。従来は、日本は、株主重視というよりも軽視し過ぎたという指摘はありました。そこで、バランスをとったということだと思います。

 そこで、九〇年代後半以降、どうも社内投資、人材投資が後退をして、効率経営だけ先行してしまった。しかし、気がついたら、アメリカですら人材投資はかなりやっていたということで、人材投資減税等を組んだわけでございます。

 日本型経営のよさ、それが国際競争力になっているのではないか。例えばチームワークとか、長期的な投資とか、あるいは、先生が今おっしゃった現場での技術の継承、こういう自分のノウハウですらチームで共有し合って総合力として伸びていく、そういう視点が大事だというふうに今なってきたのではないかというふうに思っております。日本型経営のよさをしっかり見詰めて、これを国際競争力にしていくべきだと思うし、そういう風潮にはなっているんだと思います。

松本(剛)委員 甘利大臣、ここは国会でございますので、この間、制度その他が今おっしゃったような方向でない方向にやはり動いてきた結果としてこうなっている。これからその制度、政策をどうしていくのかということなんであります。

 先ほど申し上げたように、上場廃止にして正規社員を数多く雇用し、事業の展開のために企業の将来を展望するという企業もあれば、片や、上場して株式の半数を外国人が占め、トップは経済界のリーダーですけれども、内実は偽装請負が横行している。こういう状況では、上場とは何なのか、株主市場とは何なのか。

 本来のあるべき姿というのは、やはり、株式市場から多くの人の資本を受けて、そして事業を展開し、総理も、私もずっと答弁をお聞きしました、会社は株主のものだけだとは思わない、こうおっしゃっておられましたから、それに見合った政策、制度をつくるべきときに来ているのではないかというふうに思っておるんですが、決意を伺いたいと思います。総理の決意だけ伺えば結構です。

安倍内閣総理大臣 会社は、当然これは社会的な責任も負っているということではないかと思います。当然これは、株主に対しての責任もありますし、従業員に対してもあるでしょうし、また、地域に対しても当然その責任はあるであろう、このように思うわけであって、会社について、それは中長期的に見ていけば、そういう責任を果たしている企業こそが伸びていくという社会でなければならないと私は考えております。

松本(剛)委員 ぜひ、今申し上げたような現実を踏まえて、今後の制度をつくるに当たって、率直に申し上げれば、この間、さまざまな株式市場の制度、私も金融関係に携わっておりましたからよく理解をしているつもりですが、ずっとつくってみて、本当に極めてアメリカに近い形になったけれども、この間の企業の投資行動というか企業の行動を見てみると、今申し上げたような結果に至っているということは、やはり真摯に受けとめなければいけないのではないかというふうに思います。

 関連をして、企業の行動という意味で、労働法制の基本的な考え方について総理にお伺いをしたいと思います。

 先ほど、最低賃金、セーフティーネットというお話がありましたが、労働法制そのものというのは、私は、ある意味で、経営者と働く人たちとを公平な立場に立たせるために必要な制度だというふうに認識をしております。競争というのは、やはり情報が対等でなければいけませんし、ある意味では、アクセスというんでしょうか、機会が対等でなければいけません。そういう意味で、一定程度明らかに立場に相違がある場合は、やはりそのバランスをとるということが必要なんだろうというふうに思います。

 そういう中で、私ども、これも議論を拝聴したり、またそれぞれのお話を伺ったりすると、経済財政諮問会議の中にも、委員の方々で、対外的に、最低賃金の細かい内容はまたお話をしますが、最低賃金を引き上げるべきであり、罰則は強化をすべきだ、こうおっしゃっている方もいらっしゃれば、他方で、そういったものも規制というくくりにして、規制を緩和すべきだというふうにおっしゃっている方もいらっしゃいます。

 総理としては、この労働法制というのは、やはりしっかりしたものをきちっとつくっていくべきだとお考えなのか、これはやはり規制であって、緩和をすべきものだというふうにお考えなのか、基本的な認識を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は、どのような雇用形態であっても、安心して、そして納得して働ける、そういう環境を整備していくことが重要である、こう考えています。

 このために、正規労働者との均衡処遇の実現や、正規雇用への転換を促進するためのパートタイム労働法の改正や、最低賃金制度、最低賃金制度を私がセーフティーネットと申し上げましたのは、いわば、市場で決まる賃金や価格に対して一定の規制をして、最低の給与を保障するという意味でのセーフティーネットとして十分に機能するようにするための、約四十年ぶりの最低賃金法の改正を行うわけでございます。

 ちなみに、この最低賃金法ができたのは岸内閣のときでございまして、先ほどの質問では、岸内閣では安保しかやっていないということでございましたが、最低賃金法も国民年金法もこの岸内閣のときにできたということも申し上げておきたい、このように思います。

 働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組んでいかなければならない、こう考えておりますが、経済財政諮問会議のもとに設置をいたしました労働市場改革専門調査会においては、働く人一人一人が働くことへの誇りや生きがいを感じられるよう、今後十年程度の中長期的な労働市場改革のあり方を検討しているところでありまして、こうした検討も、雇用の安定をないがしろにするものではございません。規制緩和ありきではない。

 つまり、あるべきルールは、働く人たちが安心して働くことができる、そういうちゃんとルールはルールとして、ルールをすべて外せということではなくて、いわばこの規制を外すことによって経済が活性化し、また、働く人たちにとっても多様な働き方を選ぶことができるという規制はこれはなくしていかなければいけないわけでありますが、規制緩和ありきではないということは申し上げておきたいと思います。

松本(剛)委員 私も、岸元総理は、特に戦前、かなり社会主義的な政策も展開をされ、総理のときもそういう要素もお持ちだったというふうに理解をしております。

 今のお話ですが、総理にお聞きをいたしましたのも、経済財政諮問会議のもとに設置をされた労働市場改革専門調査会ですか、これを率いられている方は、もう規制緩和をするんだということを公言されておられます。他方で、経済財政諮問会議のメンバーで、最低賃金を引き上げるべきだ、罰則も強化をすべきだとおっしゃった方は、公開の場でも、考え方が違うというふうにはっきりおっしゃいました。二つの考え方があるとすれば、それをおまとめになっていくのが経済財政諮問会議の総理の立場だろうというふうに思いますので、どちらをとるのか。

 そして、今おっしゃったお話を聞く限りは、むしろ、労働も一定のルールは必要だという御認識だというふうに私は理解をいたしました。とすれば、労働市場改革専門調査会、先ほど、十年、二十年の中長期的なというようなお話でしたけれども、そもそもそこを率いておられる方の考え方が総理と違うわけですから、もうこれはおやめになったらいかがですか。

安倍内閣総理大臣 我々は、労働市場について、やはり多くの国民がいわば働き方について多様な考え方を持っているし、多様なライフスタイルもあります。そして、グローバルな経済の中で、今のままでいいというふうに考えている委員は私は諮問会議の中にもいないんだろう、このように思います。

 ですから、そういう意味において、この労働市場の改革には私たちは取り組んでいかなければならない。その中で、やはり働き方でありますから、これは国民的なコンセンサスも必要でありますし、ある種の慎重さも必要であろう、このように考えております。

松本(剛)委員 多様な意見があり、そして、多様な意見を聞くことは大変重要なことだろうというふうに思っていますが、経済財政諮問会議における労働市場改革専門調査会でありますから、そこで出てきた方向というのは、やはり内閣の一つの重要なポイントだろうというふうに思います。いろいろありましたけれども、税制調査会長の人選とか、いろいろ御腐心をされてきたんだろうというふうに思います。その意味で、お考えが違う方をトップに据えて作業をしていくというのは、考えが違うことになると思いますので、ぜひ見直されるべきだということを御進言を申し上げて、話題は次に移らせていただきたいと思います。

 成長力底上げ戦略について幾つかお聞きをしたいと思いますが、そもそも、先ほどちょっと申し上げたように、セーフティーネットの問題とそれから機会均等、成長力底上げの問題というのは、私はそれぞれ取り組んでいくべき問題だろうというふうに思っているんですが、成長力底上げ、成長すると底上げがされるんだというようなお話になっています。本会議での質問でもお聞きをしましたが、先ほども、日本の特に上場企業の構造が変わりつつあるのではないかというふうに申し上げましたように、成長の結果の利益というのが底上げに回らないそういう構造になりつつあるのではないかというふうに私たちは認識をしておりますが、総理は、成長すれば底上げをする、全体がよくなる、このメカニズムというのを、どのように御説明を国民に対してしていただけるのか。

 少なくとも、例えば労働分配率の問題一つ取り上げても、これまでは、景気下降局面では上がり、上昇局面では人件費の上昇が追いつかないので下がるというふうになっていますが、この間ずっと下がり続けているわけですね。下降局面で下がり、上昇局面で下がりという状況が来ている。これは、先ほど申し上げたような、雇用の形態の変化から企業の行動の変化というものがあるというふうに認識をしています。

 そういうことからすると、成長力と底上げの関係というのは別々に取り組むべきものだと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 また経産大臣から後ほど詳しくお答えをいたしますが、この六年間、改革の成果としてまた成長しているわけでありますが、この成長によっていわば労働の環境も大きく改善をしているのは事実であります。失業率も改善をしています。有効求人倍率も、これは〇・五だったものが、一を超えて一・〇八まで回復をしているのも事実であろうと思います。そしてまた、ことしの新卒の採用を見ても、大卒、高卒両方とも改善をしております。また、新卒者の給与もふえてきているのも事実であります。

 ですから、この傾向を我々は維持しながら、さらに成長していくことによって労働市場をタイトにしていき、さらに、労働人材を確保するために企業が投資をするという環境が私は醸成されていくのは間違いない、このように思います。

 そこで、成長力底上げと成長の関係でありますが、まさにこの成長を働く人という視点で見ているわけであって、働く人たちの生活の水準が上がっていくように、賃金が上がっていくようにしなければ成長していく意味がないということであります。そして、働く人というのは、まさにこれは成長の基盤である。下支えの基盤であって、その基盤を強化することにもつながっていくわけでありますし、そのことによってさらにこの基盤が強化され、成長はさらに力を増していくという好循環に私は入っていくのではないか、このように思うわけでありまして、その中から、この成長力底上げ戦略は、人材への投資、人材の能力、就業支援、そして中小企業の底上げ、これを三本の矢として進めていかなければいけないと考えております。

松本(剛)委員 成長力と底上げの関係というのは、今、賃金が上がることが大切だというのは私どもそのとおりだというふうに思いますが、二つのことがつながり切っていないのではないかということを申し上げたわけです。そこが極めて重要なところで、先ほど、自民党の質問者の方も実感がないということはお認めになっておられたわけであります。まあ、一番悪いときよりましじゃないかみたいな議論もありましたけれども、上がってきたのなら、それぞれが実感を持てるようにするということが非常に重要なことであって、やはり、そこは整理をしてきちっと手を打っていただく必要があるというふうに思っております。

 この成長力底上げ戦略、ずっと拝見をさせていただきましたけれども、「本格実施は平成二十年度から」というふうに書いてあるわけですが、来年の四月一日まで国民は待たなければいけないんでしょうか。

甘利国務大臣 例えば中小企業でいいますと、最低賃金を引き上げる、中小企業が頭を抑えられたままで最賃が引き上げられますと、中小企業がよりその利益を吐き出すということだけの結果になってしまいます。そこで、中小企業のさらに生産性を上げるという作業が必要です。ただ、これは時間がかかることです。

 そこで、即効性のある課題として、下請二法の基準、ガイドラインをしっかり実行していくということで、これは、きょう昼、経団連に申し入れてきました。ですから、うんと先まで待たなくちゃいけないこともあるでしょうけれども、即効性のあることはすぐにやったということであります。

松本(剛)委員 経団連に申し入れるのはそれはそれで結構でありますけれども、この国は社会主義国家ではありませんので、政府が言ったから企業が動かなきゃいけないという仕組みにはなっていないはずでありますから、当然の話であり、むしろ、経産大臣がそこまでおっしゃるのであれば、公取の方をきちっと指導するとか、そういう御答弁を出されるべきだというふうに思いますが、それ以前に、この底上げ戦略、予算の裏づけのあるものというのが十九年度からおありなんでしょうか。どなたか御答弁いただけますか。

安倍内閣総理大臣 この成長力底上げ戦略は、原則として三年間で集中的な取り組みを行います。すなわち平成十九年度においては、本格実施の準備を進めます。各施策を有効に組み合わせた先行的な取り組みを行っていくということでありまして、その上で、次の平成二十年度、平成二十一年度には本格的な実施に移っていきます。

 そもそもこの戦略は、六月の骨太方針の策定を待たずに前倒しして進めることとしたものでありまして、今から着手することによって、早期に準備をして本格実施へと円滑に展開ができるのではないか。今の状況に対して直ちに私たちは、やるべきこと、やれることをやっていかなければならないと考えているわけであります。

 具体的には、まずは、戦略を推進する官民一体の体制である成長力底上げ円卓会議を早期に立ち上げをいたしまして、最低賃金法の改正などを先行させ、従来からの施策も戦略に沿って集中をさせ、強力に推進をしていきます。もちろん、現在御審議をいただいている平成十九年度予算においても、今回の底上げ戦略に合致しているものを効果的に活用して取り組んでまいります。

松本(剛)委員 会議が多過ぎるというふうに自民党から声が出ていたようですから、ふやされるのであれば、支えておられる与党ですから、御確認をとられたらと思いますが。

 今お聞きをしたのは、一番最初にお聞きをいたしました。総理御就任のときから、是正すべき格差という言葉がいいのかどうかはあれですが、これをお認めになって、そこから政策を御準備いただいたら、十九年度予算の中に具体的な政策を入れることができたのではないか。半年間、格差が云々、こういう議論に費やした結果、この予算審議の真っただ中で、底上げ戦略という、予算等が既に提出された後からまた出てくる。大変不思議な格好になっているわけです。整合性をとろうとすれば、当然、平成二十年度以降からしか予算は追加的にはつけられない。もしくは、十九年度の予算でついているものを並べれば、それはもちろん予算としては問題ないわけですけれども、目新しいものにはならない。

 やはり、総理にぜひお願いをしたいのは、この格差云々という論争で半年間我々は費やしてしまいましたが、きょう冒頭にもお聞きをしたように、またこれが結果平等なのか市場原理なのかということで延々と時間を費やすのではなくて、具体的な政策を早急に一つ一つ打っていくことが必要だという御認識を持っていただきたいということを総理にお願いしたいと思います。御所見ありますか。

安倍内閣総理大臣 格差の認識ということではなくて、我々は、若い人たちについて、フリーターやニートという方々がふえている、こういう方々に対して前もってちゃんと政策的に対応しなければいけないということで、今回もちゃんと対応をしています。いわばそれが再チャレンジ支援の総合プランであって、先ほど申し上げましたように、予算においても千七百二十億円の予算の措置をしておりますし、二百三十七施策を盛り込んでいて、これはかなり充実した対応をしている、このように思います。

 その上でさらに今成長力底上げ戦略。この成長力底上げ戦略というのは、ただ単にこれは予算ということではないわけでありまして、例えばジョブカードをつくっていくということは、これは予算ということよりも、いわば民の取り組みを我々が支援していくということになるんであろう、このように思います。

 また、先ほどの成長力底上げの円卓会議は、官邸に置く会議とは違いまして、官民から成る、これは、最低賃金についての審議会が行われる前に前もって官民において労使も含めて議論をして、生産性を向上していく中で最低賃金をどうしていくかということも議論をしていくということになるんだろう、いわば前さばきを行っていくということになるんだろう、このように考えております。

松本(剛)委員 柳澤大臣にお伺いをしたいと思います。

 ジョブカード、予算が要らないかのように言っていましたが、来年、予算をつけるんですよね。

柳澤国務大臣 このジョブカードは、民間の方々がボランタリーに率先してくれるということを期待しておりますが、我々としても、これをどのように支援していくか、これは来年度予算の課題であろうと考えております。

松本(剛)委員 ちゃんと経済的支援という言葉も入っているんですよ。ですから予算は要るんですよ、本格的に実施をしようと思えば。ですから、総理がおっしゃる再チャレンジが立派であれば、それを堂々と御説明いただくのがまさにこの予算の時期の審議のはずだったわけで、この格差の問題について、現場をよく見てまず認めるというところを始めていただいたらこんなことにはならなかったのになということで、大変残念な思いがいたします。

 きょうは地域格差等ということでありますが、この底上げ戦略の中では、中央と地方の格差というのは、どこを読むと中央、地方の格差対策になっているという理解でいいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほどの最後の委員の御指摘でありますが、我々は、まさに再チャレンジというのは、何度でもチャレンジするという仕組みをつくっていくという観点から取りまとめたものであって、成長力の底上げ、これはもちろん、格差というよりも、成長していくということについて、働く人に着目をして、そういう取り組みをやっていこうということであります。十九年度においては、まずはこれは取り組めることから取り組んでいく。本格実施は、先ほど申し上げましたように、二十年度、二十一年度になっていくということでございます。

 ただいまの御質問でございますが、成長力底上げ戦略は、働く人全体の所得、生活水準を引き上げながら、格差の固定化を防ぐことを目指して取りまとめたものであります。中央、地方の格差対策を念頭に置いたものではございませんが、経済成長を下支えする基盤を、人材能力、就労機会、中小企業、この三本の矢でありますが、この向上を通じて地域における底上げに資するものであろうと私は考えております。地方にある中小企業を支援していくということは、中小企業の活性化につながっていくのは当然であろう、このように思います。

 それと同時に、この成長力底上げ戦略とは別に、やる気のある地域の独自の取り組みを支援していかなければならないと考えております。二月の六日に、この観点に立って、さまざまな地域活性化策、関係法案九本の提出を含むわけでありますが、全体像を地域活性化政策体系として取りまとめたところでありまして、この内容に基づいて、政府一体となって地域の活性化に取り組んでまいります。

松本(剛)委員 民主党は格差是正緊急措置法案というのを策定いたしました。この中には、テーマとしては、おっしゃった中で共有をされているものもあります。法律改正を伴うものということで、一番上の最低賃金引き上げについてお聞きをしていきたいというふうに思っています。

 先ほども引用させていただきましたが、やはり日本の最低賃金を引き上げるべきだ、こう経済財政諮問会議メンバーの中でもおっしゃっている方がいる。日本では十年間で七%しか上がっていないのに、欧米では三〇から五〇%上がっているではないか、こう御発言をされた方がいらっしゃいます。

 具体的に、この最低賃金、私どもはやはり全国最低のラインというのを一つ決めるべきではないかというふうに御提言をさせていただいているわけですけれども、総理としても、この最低賃金引き上げ、どういうイメージを持っておられるのか、せっかくの予算委員会の場ですから、お聞きをしたいと思います。

柳澤国務大臣 ちょっと具体的な、今国会に提出する改正法案の中身、考え方について御説明をさせていただきます。

 今国会に提出する改正法案につきましては、地域別最低賃金について、生活保護との整合性も考慮することを明確にする、こういうことを眼目にいたしております。そして、先ほどちょっと松本委員も触れられておりましたけれども、不払いに係る罰金額の上限、これを引き上げるということもその担保措置として同時に決めるつもりでおるわけでございます。こうしたことによって最低賃金制度がセーフティーネットとしてより一層適切に機能することになる、このように考えております。

 最低賃金の具体的な水準をどう決めるかということは、これは、公労使三者構成の地方最低賃金審議会における、それぞれの地域の実情を踏まえた審議を経て決定される、そういう法的な枠組みになっておりますので、今回の法案が成立した暁におきまして、各都道府県の地域最低賃金審議会において、この法改正の趣旨を踏まえて、それに沿った議論が行われて、まずは、現下の雇用経済情勢を踏まえた適切な引き上げ等の措置が講じられるもの、このように考えております。

松本(剛)委員 米国の選挙でも議論になったように、まさにここは政治の場でありますから、今の仕組みは私もよく理解をしております。しかし、その上でもある程度リードする議論をすることは可能なはずでありまして、具体的にどのようにしていくのかということをやはりここは話をされるべきだと思います。

 私たちは、きちんとした生活をしていくためには、目標としては千円という一つの数字を挙げさせていただきましたが、各地の生活をそれぞれ調査をいろいろさせていただいたようなデータを拝見いたしましても、まずは、先ほど五〇%という話もありました、三〇から五〇ということからしても、今の最低が六百十円ですか、そこから考えても、八百という数字を例えば一つは目安にするとか、そういう考えが政治のダイナミズムとしてあってしかるべきだというふうに思いますが、これについての御意見を、厚労大臣そして総理に一言ずつお伺いしたいと思います。

柳澤国務大臣 私、先ほど、水準の問題としては生活保護との整合性というものを考慮するということを申し上げましたが、ここのところの整合性を具体的にどう考えていくかということ、これが非常に私どもの大きなテーマだ、このように考えております。私は、先般予算委員会でも申し上げましたけれども、これによって最低賃金を上昇する方向で当然考えているんだということも明言をさせていただいたところでございます。

 しかし、具体的には、従来、公労使で考えてきたというその三者構成の審議会方式というものを、我々の国は、他の多くの国もそうなんですけれども、そういうことをとってまいりましたので、その枠組みの中で我々としてはある種の指針というようなものを示すというようなことでこれに取り組んでまいりたい、このように考えております。

安倍内閣総理大臣 この最低賃金法については、今後の私たちが目指すべき方向については先ほど厚生労働大臣が答弁をいたしましたが、いわば、生活保護との整合性をまずこの念頭に置かなければいけないと思っています。

 そしてその先でありますが、もちろん我々も、できれば高くなった方がいい、このように思いますが、しかしそれは、実際の実態にそぐわなければ、かえって中小企業にとっては経営が成り立たないということになるんだろうと思います。ですから、これはやはり、全国一律に決めるよりも、地域で決めていく方が柔軟であって、より現実的になるのではないか、このように私は思います。

 そして、それと同時に、いわば次の段階としては、先ほど申し上げました成長力底上げ戦略推進円卓会議をつくりまして、ここで、生産性の向上を踏まえた最低賃金の中長期的な引き上げ方針について政労使の合意形成を図っていく、その合意にのっとって産業政策と雇用政策の一体運用を図り、生産性の向上に見合った最低賃金の引き上げを実現していかなければならないと考えております。

松本(剛)委員 最低賃金の話ですから、やはり総理たるもの、ここである程度の金額をずばっと言われてもいいのではないかというふうに思います。(発言する者あり)少し静かにしていただけませんか、小野寺さん。

 中小企業の問題というのは私どもも認識をしておりますが、これは柳澤大臣にお聞きをしましょうか、幾らに上げたらどのぐらいの影響があるかという試算をされたことがありますか。

金子委員長 柳澤厚生労働大臣、試算があるかないか。

柳澤国務大臣 これは今すぐここで持ち合わせておりませんけれども、当然、その賃金コストにつきまして、我々は、ある程度の水準を想定した場合にどのぐらいの負担になるか、これは試算を当然しております。

松本(剛)委員 私どもが試算をしたところ、八百円に上げた場合、従業員百人未満の中小企業の賃金増加額というのが、全国で百七十五億円という数字が出てまいりました。大きいと見るか小さいと見るか、また、これを中小企業に対してどう支援をするかということはいろいろな課題があるというふうに思いますけれども、十分に可能な数字ではないかというふうに私ども思っておりますけれども、試算があるとすれば、その辺も含めて御認識をお聞きしたいと思いますが。

柳澤国務大臣 今、具体の数字を私は持ち合わせていないわけですけれども、今、八百円と松本委員はおっしゃられましたけれども、このレベルになりますと、アメリカの三段階ぐらいで今考えておりますが、最初のレベルよりもかなり高いという私印象を今持ちましたが、八百円はかなり中小企業にとってはきついレベルだというふうに私は考えます。

松本(剛)委員 中小企業に対しては何らかの対応策が必要だということは今申し上げたつもりであります。試算があるということでしたから、ごらんになったことがあるのかなと。この細かい数字は結構です、印象としてこのぐらいならいけるのかなというのを、これだけ最低賃金が議論になっているわけですから、大臣はお持ちではないかなということを期待してお聞きをさせていただいたわけでありまして、これが幾らか幾らかでないかという話ですね。

 最低賃金、今までもいろいろな議論がありましたが、本当に現場の審議会では一円刻みで厳格な議論をある意味ではしてきておりますが、今の六百十円という水準から、けたが一つ上がるぐらい、二つ上がるぐらいの、やはり百円玉の話に変えていくべきときが来ているんではないかということをお聞きしたかったわけであります。

 その点に対して、中小企業にはどのぐらい影響があって、ではどういう対策が必要なのかということを考えたときに、我々も、政府ではないんですけれども試算をしてみたのは、やはり影響額がどのぐらいあるのか、そのことがなければ、これが何兆円もかかるということになればどうにもならないわけですね。そこをお聞きしたかったということでありますが、もうよろしいですか、今のところないということで。

柳澤国務大臣 抽象論になるので、私が立つには及ばないのかもしれませんけれども、我々の検討の中では、アメリカの最初のレベルぐらいでどうだろうかというようなことを、ごくごくハイポセティカルというか、仮想の問題として、というのは、今松本委員が仰せのとおり、一円、二円を今まで刻んできた、しかも熾烈な議論が行われてきたというのが実態でございますから、そういうものとの関係で何が考えられるか、これは、我々はこれからぎりぎりのところを考えていかなきゃいけないというのが私どもの直面している現実だということです。

松本(剛)委員 ぜひ、何もかもアメリカ基準ではなくて、日本の生活から見て、最終的に、本当にそれぞれが健康的でまさに文化的なではないですけれども、暮らしをするには千円が一つの目安ではないかというふうに私どもも御提言をしていますが、生活のぎりぎりということで八百という数字を、全国のいろいろなデータを拾ってきてお話をさせていただきましたので、ちょっと念頭に置いていただいて、ぜひこれから議論をしていただきたいと思います。

 時間が限られてまいりましたが、セーフティーネットについて一点だけ、医師不足の問題についてお聞きをしたいと思いますが、総理、医師不足だと思っておられますか。

安倍内閣総理大臣 これはもうこの委員会でも答弁をいたしておりますが、医師の数はふえておりますが、地域においての偏在があります。そして、それと同時にまた、科目によっては、特に産科あるいは小児科において、また麻酔医もそうですが、大変医師の数が不足しているということは認識をしております。

松本(剛)委員 先ほど、離島について、我が党の岩國議員の質問に対して柳澤大臣からは、従来からの僻地医療政策をやっていると同時に、宿舎の整備とヘリコプターを買うんだ、こういう話でしたけれども、医者が足らない、偏在をしているということそのものを変えることがお考えなのかどうか。

 私どもは、これはやはりきちっと政府にやっていただきたいということで、実は、法律改正をすべきもの七項目、そして、緊急に行動していただくべきもの七項目ということで挙げさせていただきましたが、そのトップに、医師不足の問題というのを挙げさせていただきました。

 やはり、先ほどの離島のお話を聞いても、医師の偏在をどうするかということのお話は直接にはなかったような気がいたします。患者さんなり地域の方々からすれば、もう不足なんですよ。その不足の問題を解消する対策をやはり早急に立てていただく必要がある。これは、産科のみならずすべての病気そうですが、来年度からとか再来年度からでは間に合わないわけでありまして、緊急に対策を立てていただく必要がある。我々、御提言をさせていただきますが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 医師が毎年かなりの規模で増加しているにもかかわらず、偏在ということが起こって、各地域でその問題について非常に深刻な声が上がっているということを私どもよく承知をいたしております。

 どうするかということでございますけれども、今回の予算で、中央にも、地方の医療対策協議会のいわば協議を助けるような中央会議というようなものを予算化しまして決めましたけれども、私は、そこで一般的な意味の、全国画一のような指針を示すというようなことではもうだめではないかということを部内で指示しました。そういうことで、部内に、そうはいっても人間に限りがありますから、このスタッフをうまく編成しまして、各地域ごとに、地域の実情を踏まえて、そして各県の地域医療対策協議会と、本当の地域の実情に即した偏在の克服策、これをそれぞれに協議しろ、こういうようなチーム編成をしてこれに取り組むつもりでございます。

 そういうことによって、それはもう本当に、実は地域によって、例えば、大学病院あるいは公立病院と診療所の先生方がつくられている医師会というようなものも、非常に距離感というものはそれぞれに区々でございます。そういうようなことをよく受けとめた上で、しからばどういうネットワークづくりというようなものができるんだというようなことで、もっと具体的で、そして実際に効果の上がるそういう施策をそれぞれの地域ごとに協議して決定していく、そういうようなことでこの問題に対処してまいりたい、このように考えているところであります。

松本(剛)委員 言葉に力は入っておられるんですが、もう去年の通常国会から問題になってきた案件ですから、具体的にメッセージが届くように、そして内容がわかるように、早急に対策をとっていただくことを要望して、テーマを移らせていただきたいと思います。

 菅大臣においでをいただいて地方分権の話をさせていただきたいと思っていたんですが、まことに申しわけありませんが、時間に限りがありますので、きょうは御容赦をいただきたいと思います。

 総理に一点、私どもから申し上げても、この格差是正策を展開するためには行財政改革が必要だと思いますし、天下りの問題というのが無駄遣いの中で大変大きな問題だと思っています。

 私と本会議で議論をさせていただいたときに、総理、押しつけ的なあっせんは根絶をするということをおっしゃいました。あっせんに押しつけ的かどうかということも大変問題があると思いますし、私どもの質問主意書というのに対して、押しつけ的の内容をお聞きしたのに対しては、膨大な作業なので答えられないというばかりの答えが全部返ってきておったわけですが、さらに、先般、法案の説明というのでしょうか、お聞きをしましたら、押しつけ的なあっせんの前にもう一つあったんです。

 仕事とあっせんがワンセットになった押しつけ的なあっせん、その場であっせんと仕事を一遍に要求するようなところは幾ら何でもあり得ないと思いますけれども、いつの間にかそういう形容詞がどんどんついてくるんです。形容詞がつけばつくほど実態としては実効性がなくなるというふうに思いますが、総理、そのことをどのように御認識でしょうか。

安倍内閣総理大臣 形容詞について余りここで議論をしても意味がないんだろうと思うんですね。我々がしっかりと出していく中身をまずは見ていただきたい。(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 私が、あっせんと仕事がワンセットになった押しつけ的な再就職は問題である、このように申し上げましたのは、まさに、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる再就職がいけないということを別の言葉で表現したにすぎないわけでありまして、同じ意味だということはまずはっきりと申し上げておきたい。

 なぜ私は首をかしげられるのか本当にわからないわけでありますが、まさに、あっせんと仕事がセットになっているというのは、セットにできるということは、予算や権限を背景としているからそれがセットにできる。ですから、そういうあっせん、天下りは根絶をするということをお約束しているわけでありますから、これは当然、そんなに松本委員が悩まれる必要は全くないということをまず申し上げておきたい、このように思うわけでございます。

松本(剛)委員 予算と権限は役所が本質的に持っておられるわけですから、それが所管をされる産業、企業に対してあっせんをするということそのものが、役所がそうやってあっせんをするということ自身が、裏づけがあるわけですから、あっせんそのものをやはりやめるというのが、予算と権限を裏づけとしたあっせんをやめるということであれば、すべてのあっせんをやめるということにするべきではないかということを我々は申し上げているわけで、改めて総理にもお考えをいただきたいと思います。

 ワンセットという言葉は読みようによっては相当限定可能でありますから、そこは同じだと言うのであれば、そして私どもからすれば、裏づけがあるというのは同じだとすれば、それはもう全く同じことであるべきだというふうに思います。

 時間が限られてまいりました。総理、御通告を申し上げておりませんが、一点、やはりお聞きをさせていただきたいと思います。

 私どもは、政治資金規正法の改革案を取りまとめをいたしました。経常経費の光熱水費、備品・消耗品費、事務所費について、一万円以上、領収書の徴収、添付というものを提案させていただこうというふうに思っております。

 与党の中でも、公明党さんの方では法案のお話もあるようでありますし、総理は法案の指示をされたというふうにも漏れ伝わってきておりますのでそこはわかりませんが、今のところまだ法案の話は出てこないようでありますけれども、それについての総理のお考えをお聞きしたいと思います。

 そして、私の時間、答弁がなくなるとあれでしょうから、ぜひ、私ども民主党としては、先ほどの雇用のところで申し上げましたけれども、雇用の所得格差の問題について、経済財政諮問会議の御手洗委員、かねてお願いをしていますが、参考人の招致を要求させていただきたい。

 そして事務所費の問題、私も大変なことをかけて説明をさせていただきましたけれども、松岡、伊吹大臣についても説明をしっかりと要求させていただきたいということを申し上げて、私の最後の質問にしたいと思います。

 政治資金規正法の改正について、総理のお考えをもう一度お聞きをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政治資金規正法の改正につきましては、事務所費のあり方等について、国民の皆様から信頼される政治でなければならないという観点から、党に対しまして、よく議論をするように、政治資金規正法の改正も含めて検討するように指示をしているわけでありまして、現在、与党において議論をしているところでございます。

金子委員長 これにて岩國君、篠原君、松本君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 米軍再編について、安倍総理に質問いたします。

 昨年五月に、日米の最終合意、ロードマップということで計画表が取りまとめられて、それに基づいて政府は、日本国内での在日米軍の再編と自衛隊との一体化、グアムへの米海兵隊移転を進めるとしております。

 そのために、今国会では、初めて関係予算として、十八年度補正予算で百十億円、来年度予算で三百十三億円ということで、合計四百二十三億円もの予算を盛り込んでおります。

 米軍再編に伴う日本側の負担の問題についてですが、これまで米側から三兆円という数字も出たことがありました。日本政府は、まだ決まっていない、そしてこれから積み上げて詰めていくということを再三言われてこられました。

 そこで総理に端的に伺いたいんですが、既に国会に関係予算も提出をして、補正も通過をしている、そして再編のための特別措置法案を提出されているわけですが、端的に言って、日本側の負担というのは全体で幾らかかることになったんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕

久間国務大臣 補正予算並びに本予算に経費を組んでおりますけれども、これは調査とか設計のための経費でございまして、やはり、これから先、そういうのに基づいてどれだけかかるか、それを具体的に積み上げていかなければならないわけでございますから、今この時点で全体が幾らになるということを申すことは事実上できないわけであります。

笠井委員 そういうこともはっきりしないまま、もう予算を実際に出し始める、法案を通してくれという話でありますけれども、では、一体いつまでに総額を明らかにするんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 どれだけかかるかというのは、そういう調査とか実施設計を組んでみて初めてわかるわけでありまして、大まかな方向を示すことによって、その方向を示しながらも、地元との関係をどうするか、そうしたときに、地元に対しても、負担がふえるところについては交付金を出す、そういう基本的な考え方を法律で示そうとしているわけであります。

笠井委員 大まかな方向ということでこれからやっていくというのですが、では、大体何兆円になるのか、何千億円かとか、そういうことも示さないままどんどん始まっていくというのが今の政府の態度であります。

 米軍再編に係る日本国民の負担というのは、総額で少なくとも兆単位になると言われているわけでありますが、その中で、沖縄の米海兵隊移転先としてグアムということでありますが、これの基地建設にまで日本国民の税金が、実際に真水としてもつぎ込まれる。

 昨年の予算委員会で、私、この場でも質問しました。外務省が答弁して、そういうやり方というのは歴史上も世界の中でも類例がない、そういうことに手をつけて始めるわけであります。

 しかも、米側も明らかにしておりますけれども、沖縄にいる海兵隊が行く以外にも、米海軍、空軍という形で、それも使うグアムの基地増強ということを実際にアメリカは計画している。それを、この米軍再編全体に係る予算、全体がどれぐらいになるかも言えない、そして額ももちろん言えないで、見通しも言えない、だんだん積み上げて一つずつやっていくんだと。そういう形で具体的な積算も示さないままにごり押しをするということは絶対に許せないと思うんです。

 総理、責任ある答弁を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ただいま久間大臣の方から答弁いたしましたように、再編案の詳細な計画等について、今、日米間で検討して詰めているところでありまして、まだ具体的に申し上げる段階では残念ながらございません。

 今後、所要の経費を精査していくことになるわけでありますが、厳しい財政事情を踏まえて、鋭意検討を進めて、できるだけ早い段階で、早期に明らかにしていきたいと思います。

笠井委員 詰めていると去年から一年も言っているわけですよ。それでまだ出てこないということで、詰めてからということであれば、詰めていくというんだったら、それから予算をつける、それから法案を出す、これが国民の立場からすれば当然の順序じゃないかというふうに思うんです。

 他方で、国民の命、それから暮らしにかかわる問題では、本当に、福祉関係の予算でいえば、一円もどうするかということで、全部そういう形で細かい積算をやって切り詰める、切り下げることをやっているわけですよ。先ほども、本当に一円、二円の熾烈な議論がやはりお金の問題ではあるんだと厚生労働大臣も最賃制の問題で言われました。まさにきょう、地域間格差の問題でもそういう問題が問われているという状況で議論になっているのに、一方では、米軍再編のためには、日米間で協議しているけれどもまだわからない、しかし、もうお金出しますよ、仕組みつくりますよと。こんなことは到底国民は納得しないと私は思います。

 しっかりとこれ、出していただきたい。委員長、積算について今わかっている段階でどれぐらいになるかということで、資料提出を検討いただきたいと思います。

萩山委員長代理 理事会で相談させていただきます。

笠井委員 日本国内の再編をめぐっても、グアムだけじゃありません。神奈川県の座間基地の米陸軍司令部の改編だとか、山口県の岩国基地への米空母艦載機の移駐、それから、嘉手納基地F15戦闘機との共同訓練が今月初めから福岡県の築城基地を皮切りにして行われるということでありまして、一連の米軍再編をめぐって自治体や多くの住民が強く反対をしております。その上で、日米合意のロードマップにあるものだけじゃなくて、ないもの、新たな米軍戦力の配備や計画が次々と実行に移されている。国民にとってはさらに重大な負担になっているということがあると思います。

 私、既に明らかになっている範囲でパネルにしてみました。委員の皆さん、それから総理、大臣の皆さんには資料でお渡ししてありますけれども、ごらんいただきたいと思います。

 この図の中で、青い字がロードマップの計画です。去年五月に合意したもの。そして、その後の増強配備がこのパネルでは赤い色になっております。そして、点線内では計画というものをさらに加えてあります。これをごらんいただきますと、どういうことになっているか。

 横田基地、ここには、ことし一月、朝鮮半島を除くアジア太平洋とインド洋全域を責任範囲とするアメリカ空軍の第十三空軍の分遣隊、ケニー司令部ジャパンというのが発足いたしました。横須賀基地には、去年八月に最新鋭のイージス巡洋艦が配備されました。そして、原子力空母の配備計画、母港化の問題も今進められているということであります。

 沖縄でいきますと、普天間基地にかわる代替基地ということで、キャンプ・シュワブの新基地、これは今建設の問題で大きな議論になっていますが、ここにも新型の垂直離着陸の飛行機オスプレーの配備ということで、沖縄の駐留米軍の司令官がそのことを明言いたしました。嘉手納基地には、F15に加えてF22の戦闘機が十二機新たに配備されました。レーダーに映らない最新鋭のステルス機ということで、アメリカ国外に配備されるのは今度が初めてであります。そして、それが築城、新田原、小松、百里、三沢、千歳でも訓練を共同でやるという可能性があると外務委員会で防衛省もそのことを答弁いたしました。さらに、嘉手納にはF35戦闘機の配備計画もある。

 加えて、一昨日あたりから報道されておりますけれども、三沢基地には国内で初めて移動式の情報処理施設、これを配備されるということが判明しております。等々であります。

 総理に伺いますけれども、明らかにこういう事態というのは新たな負担増ではないか、一体どこまで米軍を増強させるつもりなのか、いかがお考えかをお答えいただきたいと思います。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 まず、米軍の日本への駐留というのは、安保条約にのっとって、まず日本を守るため、そして極東の平和と安定を守るために米軍が日本にいるわけであります。まずそのことを踏まえておかなければならない。

 そして、その上で米軍再編を行っておりますが、米軍再編については、地元の負担の軽減、そしてまたさらには、同時に抑止力を維持していく、抑止力を維持しながら地元の負担を軽減するための再編でありまして、その再編は、地元の声に耳を傾けながら、着実に進めていかなければならないと考えております。

笠井委員 ですから、今起こっているロードマップ以降の事態というのは負担増じゃないですかということを聞いているんです。端的に、総理大臣、総理がお答えください。

安倍内閣総理大臣 私がお答えをした後、詳しくは防衛大臣からお答えをさせていただきますが、米軍再編に係る訓練移転については、関係市町村すべてから御理解を得て、本年の三月から、嘉手納飛行場からの移転訓練を実施することとしているところであります。

 他方、嘉手納飛行場へのF22の配備でありますが、あくまでもこれは一時的、暫定的な措置でございまして、特定の脅威の増大によるものではないと米側から説明を受けています。

 関係地方公共団体に対し情報提供を速やかに行い、飛行場周辺住民への影響が最小限となるよう、騒音規制措置の厳格な履行について、米側に申し入れを行っています。

 政府としては、引き続き訓練移転を着実に実施しまして、嘉手納飛行場等の負担軽減等に努めるなど、関係地方公共団体の御理解と御協力を得て、米軍再編のロードマップの着実な実施に向けて全力で取り組んでまいります。

笠井委員 今言われましたけれども、結局、負担軽減と言われますが、F15を嘉手納から移転訓練させると、そうしたらF22がやってきて、それもまた移転訓練の可能性があると。期間限定と言われましたけれども、では、はっきりいつまでというのはないんですよ。地元にとっては、期間が限定されたって、負担増、基地強化になる。

 そして、日本を守るためとかいろいろ言われますが、米軍再編の目的といえば、抑止力維持ということがもう一方である。これはまさに、在日米軍がイラクへ行くということで作戦を展開しているわけですけれども、やはり地球規模で米軍が展開するという一環であります。

 そして、地元の協力とか言われていますけれども、これはやはり米軍の都合。米軍の運用とよく政府は呼びます、しかし米軍の都合なんです。それで、結局新たにやってくる。そして、そういうものでも地元にとっては負担増なんです、同じなんですよ。政府は、口を開けば負担軽減、それから抑止力維持と言われます。しかし実際には、相次ぐ負担増、そして米軍のやりたい放題と。

 私、ここに、嘉手納町の基地被害の聞き取り調査を持ってまいりました。調査結果です。これを見ますと、昨年五月から十二月に住民三百世帯から聞いたものですけれども、とにかく音が聞こえない、テレビも映りにくい、それから耳鳴りがする、難聴になった、たくさんの深刻な健康被害があります。そして、飛行機の落下とか墜落とか落下物の不安とか爆発とか、それから戦争に巻き込まれる不安とか、こういうことを訴える方はたくさんいます。極めて憂慮すべき状況にあるわけです。その上にF22が配備される。地元の町当局も、そういう意味では、さらに騒音の激化が心配されると言っております。

 それだけじゃないんです。沖縄の本島ではもうやらないと言っていたパラシュート降下訓練が頻繁に行われるようになって、まるで占領下のようだと怒りが沸き起こっています。県民の飲み水になっているようなダムの中に一万数千発の米軍の弾薬が沈んでいたと、大問題になっています。まさに住民の生活と安全を脅かす、こんな人権侵害が許されるかと。

 私、最後に総理に伺いたいんですが、先日チェイニー副大統領とお会いになりました。こういうことは困る、国民や県民の安全や健康を考えたら、やはりやめてくれ、解決してくれ、解決しようということを一言でも総理の側からチェイニー副大統領に提起されたんでしょうか。

    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 米軍の再編は、例えば海兵隊八千人を沖縄からグアムに移すなど、実際に地元の負担の軽減につながっているんです。こういうことを着実に私たちは進めていきたい、地元の声に耳を傾けながら我々はこの米軍の再編を進めていきたい、このように思っております。

 我々は、チェイニー副大統領に対しましては、地元のそうした声に耳を傾けながらこの米軍再編を着実に進めていくということを申し上げました。

笠井委員 終わりますが、本当にそういうことをきちっと言われていないんですよ、そういう形で負担増が実際起こっているんですから。こんな米軍再編はやめるべきだと申し上げたいと思います。

 終わります。

金子委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の集中審議のテーマであります地域格差、地方格差に入ります前に、命のかかわります緊急の課題がございますので、厚生労働大臣と文部科学大臣に御質疑をいたしたいと思います。

 暖冬であったことしはインフルエンザの発症もやや遅く、今皆さんの身の回りでもインフルエンザ、そろそろ聞かれるようになりました。この予算委員会の審議中にも、実は二月の十六日と二十七日、二人の中学生がマンションから転落死いたしました。

 この問題に当たって、昨日、柳澤厚生労働大臣は、私は医者でもありますが、医療関係者に対しまして、インフルエンザの患者さんを診たら、親御さんに、特に子供や未成年の患者さんは二日間十分に、監視といいますか、目を離さないであげてくださいねと言うよう発令を出されました。それ自身はいいことでありますが、しかしながら、私は、ここには重大な親御さんにとっての疑義をあえて厚生労働省が目を向けずに、私ども医師に対して出した発令であると思います。

 では、表をお願いいたします。

 皆さんのお手元にはもう少し詳しい形で、この間、二〇〇四年の二月から先日、二月の末に亡くなりました十四歳の仙台の坊やまでの、いわゆる十歳代の子供さんの相次ぐ五人の死亡例が載せてございます。

 皆さんもよくごらんいただきたいですが、これらいずれも、例えば一番最初、二〇〇四年の二月の方は、タミフルというインフルエンザの特効薬と言われるものを飲んでから二時間余りで、雪の中を表に飛び出して、線路を越えて道路に出てトラックにひかれて亡くなりました。

 また、さっき申しました四例目、五例目はいずれもマンションから転落死ということで、今、子供たちの自殺の問題が大変大きなテーマになっておりますから、そうしたことが、果たしていじめ等々なかったかどうか、教育委員会もお調べになりました。あるいは御家族もそのような点をお確かめになりました。しかし、これといってそうした兆候はなかったと言われる子供たちであります。

 私は、きょう、この四例目の犠牲者となったお母さんから聞いてまいりましたことをここで柳澤大臣にお伝えさせていただきます。

 このお嬢さんは中学二年生でありましたが、昨年たまたまテレビで、インフルエンザでタミフルを飲むと、異常行動、特に突進して転落死などが起こるということを聞いており、お医者様がタミフルを処方されたのですが、飲む前に、お母さん、このお薬は怖いからやめようかなとおっしゃったそうです。しかし、それを聞いたお母さんは、厚生労働省が昨年の十月に新聞紙上にも発表なさいました、インフルエンザでタミフルを飲むことが異常行動とは何ら関係がないという記事をお読みになって、早く熱が下がった方がいいからと娘さんに飲ませました。その二時間後にこのお嬢さんは転落死なさいました。

 今、日本じゅうの親御さんたちが知りたいのは、果たして我が子にタミフルを安全に安心に飲ませることができるかどうかという一点でございます。

 柳澤大臣は、厚生労働大臣を拝命され、この問題についても、私どもがせんだって被害者の御家族三家族ともども厚生労働省に伺いましたから、国民が何を心配しているのかは既に御承知であると思います。であれば、今回の、医師に対しての、インフルエンザと診断されたらお母さんたちが二日間見ていなさいねという漠然としたものではなくて、これは、タミフルを内服されて例えば二時間、六時間は十分に監視してくださいね、まだどんな作用が起こるかわからないものだからと、正直にお伝えになるべきではありませんか。大臣、いかがでしょう。

柳澤国務大臣 阿部委員のようにお医者さんとして専門的な知見を持っていらっしゃる方に私がこのようなことを申し上げるのは、通常ははばかられることですけれども、立場上これはもうそんなことを言っていられませんので、私として申し上げるわけでございます。

 それは、こうした問題は、しっかりした科学的な知見というか、科学者による評価というものに基づいて考えなければならないわけでございまして、タミフルについては、これまでの専門家による検討や調査の結果によれば、タミフルの使用と精神神経症状に起因すると見られる死亡との関係は否定的というふうになっておりますので、現段階ではタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていないというのが基本的な立場でございます。

阿部(知)委員 厚生労働省がそう言い続ける限り、子供の命が奪われていきます。

 大臣の前の前の大臣になります坂口厚生労働大臣が、なぜ日本で薬害が多いのかという質問に対して、日本は、疑わしきは罰せずじゃなくて、黒と出てからしかとめないからだと。もうちょっと品のあるお言葉でしたが、でも、まさにそうなんだと思うんです。

 予防原則、疑わしいと思ったらとりあえずとめるなり十分な注意を喚起しないから、実はこの審議中に二人の子供が亡くなったということは、幾ら悔いても命は返ってこないのです。この厚生労働行政の怠慢。FDAでは、アメリカでは、同じ事態に対して、投与した後きっちりと見てくださいねという注意勧告をしているんです。なぜこれだけの彼我の違いがあるのでしょうか。なぜ厚生労働省は予防原則に立てないのでしょうか。

 一般にタミフルが、これから重要な薬で、新型鳥インフルエンザ等々で使われる、その可能性はあります。でも、今起きていることは、インフルエンザで高熱の最中に飲んで、わずか服用後二時間から六時間で子供が飛びおりちゃう、あるいは突然死しているんです。この事態に対して、いつまでもそうした厚生労働省の薬事行政の、本当に数々あります、全部汚点の数々です、繰り返さないでいただきたい、大臣。そして、きょう、恐縮ですが、答弁の時間がないので申しわけありませんが、これは、しかとお心に刻んでください。もうこれ以上一例たりとも私どもは子供たちを失うべきではないのです。

 そして、文部科学大臣にお伺いいたしますが、実は蒲郡市でありました、十四歳の少女は。蒲郡市の教育委員会は、この事例が発生したときに、お集まりをお持ちになって、ではタミフルを飲んだ場合にしばらくは親御さんに注意喚起をした方がいいのではないかということも御論議であります。

 私は、学校現場で子供の命を守ってほしい。本当にそこしか子供に広く言える場所はないのです。大臣としてぜひ前向きに御検討いただきたい。いかがですか。

伊吹国務大臣 タミフルの服用とその後の副作用的症状については、これは厚生労働大臣の御答弁にお譲りしなくてはいけないんですが、例えば、風邪になった場合に塩酸エフェドリンとかこういうものを飲めば非常にもうろうとしてきます、これは先生よく御承知のとおり。

 ですから、タミフルに起因するかどうかはわかりませんが、これは厚生労働省の判断に任せねばならないんですが、二月二十八日に我が省としては各教育委員会その他に次のような注意事項を発出しております。

 それは、今月に入り、抗インフルエンザウイルス薬であるいわゆる販売名タミフルを服用したと見られる中学生が、自宅において病気療養中、マンションから転落するという事例が二例報道されているという事実関係をまず述べております。そして、その後、児童生徒がインフルエンザにかかった場合に、タミフルだけでなくても、ほかにもいろいろ事故が起こる可能性がありますから、自宅において療養を行う場合には、容体が急変することもありますので、できるだけ児童が一人にならないように保護者において配慮されたいということをお願いしてございます。

阿部(知)委員 一歩前進であると思います。しかし、親御さんも、ずっと見ているのは大変なんです。飲んでから二時間から六時間が血液の濃度も上がる時間であります。薬は常にもろ刃の剣です。いい面も副作用も持ったものと心得て、その時間をよく監視してくれというのがFDAの基本スタンスです。こういうことを一つ一つ、本当に守るという覚悟において行っていただきたいと思います。

 さて、時間がないので本題に移らせていただきます。

 私は、きょう、いわゆる労災保険でつくられた労災病院において、実は、せんだって、つい先ごろのことですが、青森の労災病院で産婦人科が閉鎖されるという報道が流れておりました。大臣も御存じかもしれません。

 そこで、昨日、労災担当の厚生労働省の部署を呼んで伺ったところ、びっくりするようなデータが上ってまいりました。何と、この五年間で九つの労災病院から産婦人科が消えております。消えようとしておりますと言った方がいいでしょうか。労災病院は、いろいろ規模を拡大したり縮小したりしながら、終局的には三十にしたいという厚生労働省の見解。そして、二十四の病院は、もともと産婦人科を持っております。

 柳澤大臣、御存じかどうかわかりませんが、労災病院というのは、大体、地域においては大規模病院です。少なくとも三百床、多いところは六百床、基幹病院です。こういうところで、わずか五年間で九つも産婦人科が閉鎖されていく。まず、この事態を御存じであったかどうか。

 そして、先ほど来のお話を伺いますと、集約化、集約化というお話がございますが、では伺いますが、自治体の市民病院でも産婦人科は閉鎖されていきつつあります。この三月に、幾つでしたか、私が自分で数えただけでも物すごい、市民病院だけではありませんが、中核病院の十六個で閉鎖、四月にもまたこれが十一個の閉鎖でございます。どんどんどんどん、このように閉鎖していく。しかし、その実態を厚生労働省が御存じない。私が初めて聞いて、きのうこの例が出てまいりました。私も、正直言ってびっくりしました。そんな規模の病院まで閉鎖されていくのであれば、とても地域のお産は守れません。大臣、いかがですか。

柳澤国務大臣 阿部委員が御指摘のとおりの状況になっておりまして、労災病院の産婦人科体制の現状ということですと、九つが閉鎖をされている。ただ、その中には、本当に、婦人科だけは三つほど残っているということは、これは先生御案内のとおりでございます。私の近くの労災病院というのは浜松労災病院なんですが、そこもやはり同様の状況になっているということで、これはもう非常に身近な問題として私も認識をしなければならない、このように考えます。

 ただ、これもまた理屈になって恐縮なんですが、労災病院というのは、勤労者の業務上の負傷、疾病について、これが中心でこの病院はでき上がりました。ただ、現実にはどうかというと、今委員が御指摘のとおり、地域の重要な機能を担っている、地域の病院になっているということもございます。

 したがいまして、この点については、やはり、そもそもの元締めである労働者健康福祉機構、それから各労災病院において医師の確保のためにさまざまな努力を行っておりますので、それに対して我が省としてできるだけの支援をしていきたい、このように考えます。

阿部(知)委員 確かに、出産は労災ではありません。しかし、女性が働くときは、妊娠の合併症も多いのです。大臣、機械ではないのです。本当に生身の女性が働き、出産をするのです。その視点が厚生労働省にないから、次々とお産の場が奪われていきます。

 最後に、委員長、お願いがあります。

 私の党の、社民党の保坂展人が、いわゆる最高裁判所の陪審員制度の導入にかかわる広報活動における会計的な不明朗についてずっと質疑をしてまいりました。特にこの予算委員会の委員長にお願いしたいのは、最高裁判所の裁判員制度広報費を対象に、国会法百五条に基づく会計検査院への検査要請を行っていただきたいと思います。よろしく御差配お願いします。

金子委員長 委員長として申し上げますが、今の件はできれば質疑を通じてやっていただきたいとお伝えください。

 お預かりいたします。

阿部(知)委員 はい、わかりました。質疑時間をもっといただければ。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査斉藤斗志二君。

斉藤(斗)委員 第一分科会における審査の経過及び内容について御報告申し上げます。

 本分科会は、昨日と本日の二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、国会所管につきましては、国会改革への取り組みなど、

 次に、内閣所管につきましては、道州制の考え方並びに天下り問題など、

 次に、内閣府所管につきましては、政府広報のあり方、ワーキングプアの定義及び対策、治安・防犯対策、被疑者の取り調べ方法の見直し、さらに、債権回収業に対する規制の必要性など、

 次に、防衛省所管については、防衛省における情報管理体制のあり方、在日米軍再編問題、自衛隊員の待遇改善などでありました。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第二分科会主査三原朝彦君。

三原委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、夕張市の財政再建問題、過疎・離島地域における情報通信環境の整備、新型交付税及び頑張る地方応援プログラム導入の趣旨、消防団の充実強化に向けた取り組み、道州制及び地方分権改革推進のあり方等であります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第三分科会主査森英介君。

森(英)委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、無国籍者に対する国籍付与のあり方、裁判員制度の広報のあり方、日豪経済連携協定が我が国農業に与える影響、我が国の国連安保理常任理事国入りに向けた今後の戦略、補正予算のあり方、国際協力銀行の朝鮮半島エネルギー開発機構への貸付金等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第四分科会主査萩山教嚴君。

萩山委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、地方教育行政に対する国の関与のあり方、いじめ相談体制の充実、幼保一元化の今後の展開、放課後子どもプランの実施、科学技術分野の研究成果の社会への還元、文化財の保護、活用等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第五分科会主査実川幸夫君。

実川委員 第五分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、地域医療充実への取り組み、次世代育成支援の充実、産科・小児科医確保の取り組み、高齢者の医療・介護のあり方、若年者雇用対策等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第六分科会主査山本公一君。

山本(公)委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、森林整備の推進、品目横断的経営安定対策の円滑な導入に向けた取り組み、バイオマスの利活用、地球温暖化対策、産業廃棄物不法投棄問題、農林水産物の輸出振興策、高病原性鳥インフルエンザへの対応等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第七分科会主査杉浦正健君。

杉浦委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について二日間審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、中小企業支援策、エネルギー安全保障政策、連鎖販売取引問題、中心市街地活性化対策、経済連携協定(EPA)の取り組み、省エネ対策等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 第八分科会主査赤松正雄君。

赤松(正)委員 最後に、第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について二日間にわたり審査を行いました。その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。

 その主な質疑事項は、地方における道路整備の推進、バス事業の規制緩和と安全確保、整備新幹線の今後の整備見通し、大規模災害に対する国の危機管理、経済活性化等のための港湾及び空港の整備などであります。

 以上、御報告申し上げます。

金子委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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