衆議院

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第19号 平成19年5月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金子 一義君

   理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君

   理事 園田 博之君 理事 萩山 教嚴君

   理事 馳   浩君 理事 森  英介君

   理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君

   理事 赤松 正雄君

      井上 喜一君    井脇ノブ子君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      臼井日出男君    遠藤 武彦君

      小野寺五典君    大島 理森君

      大塚  拓君    大野 功統君

      河井 克行君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    佐藤 剛男君

      笹川  堯君    中馬 弘毅君

      中根 一幸君    西村 康稔君

      西本 勝子君    野田  毅君

      広津 素子君    深谷 隆司君

      細田 博之君    増原 義剛君

      松浪 健太君    三ッ林隆志君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      宮下 一郎君    岩國 哲人君

      小川 淳也君    大串 博志君

      岡田 克也君    川内 博史君

      北神 圭朗君    高井 美穂君

      高山 智司君    中井  洽君

      長妻  昭君    原口 一博君

      松木 謙公君    松本 大輔君

      大口 善徳君    東  順治君

      佐々木憲昭君    阿部 知子君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         菅  義偉君

   法務大臣         長勢 甚遠君

   財務大臣         尾身 幸次君

   文部科学大臣       伊吹 文明君

   厚生労働大臣       柳澤 伯夫君

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   財務副大臣        田中 和徳君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   最高裁判所事務総局総務局長            高橋 利文君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 薄井 康紀君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  馳   浩君     与謝野 馨君

五月十八日

 辞任         補欠選任

  杉浦 正健君     馳   浩君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     西本 勝子君

  大野 功統君     広津 素子君

  中野  清君     井脇ノブ子君

  西村 康稔君     大塚  拓君

  山本 公一君     中根 一幸君

  与謝野 馨君     浮島 敏男君

  小川 淳也君     高山 智司君

  馬淵 澄夫君     高井 美穂君

  前原 誠司君     松本 大輔君

  丸谷 佳織君     東  順治君

  阿部 知子君     保坂 展人君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     中野  清君

  浮島 敏男君     与謝野 馨君

  大塚  拓君     西村 康稔君

  中根 一幸君     松浪 健太君

  西本 勝子君     臼井日出男君

  広津 素子君     大野 功統君

  高井 美穂君     北神 圭朗君

  高山 智司君     長妻  昭君

  松本 大輔君     前原 誠司君

  東  順治君     丸谷 佳織君

  保坂 展人君     阿部 知子君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  松浪 健太君     山本 公一君

  北神 圭朗君     馬淵 澄夫君

  長妻  昭君     小川 淳也君

同日

 理事杉浦正健君同月十八日委員辞任につき、その補欠として馳浩君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(政治資金問題等)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に馳浩君を指名いたします。

     ――――◇―――――

金子委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

金子委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、政治資金問題等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長久元喜造君、法務省民事局長寺田逸郎君、国税庁次長加藤治彦君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、厚生労働省政策統括官薄井康紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局高橋総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司でございます。

 本日は、予算委員会の政治と金、集中ということで、ずっと我々野党が与党側に求めてきたことがついに実現をいたしまして、国民の皆さんが、相次ぐ政治資金の問題、また談合の問題、一番聞いてみたいと思うところを正面から伺っていきたいと思いますので、総理、きょうはどうぞよろしくお願いします。

 まず、談合問題ですね。お手元に資料をお配りしていると思うんですけれども、きょうも新聞に出ておりましたけれども、林野庁、一説には農林水産省の本庁まで絡んでいるのではないかとも言われております。お手元の「天下り・談合・政治献金」という資料を見ていただきたいんですけれども、まさに今、問題となっている林野庁から緑資源機構、そして公益法人、この天下りの問題、まさにこれが、政治と金の問題の中でも一つの大きなテーマである天下りにより官製談合が行われている。

 そして、この図を見ていただければわかりますけれども、林野庁から年間五百八十八億円もの予算がおりている緑資源機構から仕事が、財団法人、社団法人といった公益法人、そして緑資源機構も、またこの公益法人にもほとんど林野庁からOBが天下っている。そして、そのOBが天下りの談合の潤滑油となりながら官製談合が進められてきたということが、けさの新聞でも報道されておりますし、ここのところずっと報道されているわけでございます。

 この天下りですけれども、さらに問題なのが、この六公益法人から松岡農水大臣に政治献金という形で、税金を食いつぶしていた公益法人からまた政治献金という形で政治家にお金が戻っている。こういう構図をやはり断ち切らなければいけないという思いが私たち民主党にはあります。これは、与党の皆さんにも、もうしっかり断ち切らなきゃいけないんだという当然の思いはあると思うんですけれども、まず、総務大臣に確認をさせていただきます。

 これは通告させていただいておりますけれども、緑資源機構からまたこの六法人に天下り、そして談合によって仕事の発注がなされている、そして、この六公益法人から松岡農水大臣にトータルでいえば一億円以上の献金がなされているということでございますけれども、これらの公益法人から、ほかにもたくさん有力な農政通の先生方はいらっしゃると思うんですけれども、松岡大臣以外にどういう献金があるのか、まず答弁をお願いします。

菅国務大臣 私ども、総務大臣届け出団体に係る平成七年から平成十七年までの寄附及び政治資金パーティーの対価に係る収入の状況について、独立行政法人国立印刷局が運営する官報情報検索サービスにより調べたところ、松岡大臣の資金管理団体以外の政治団体に対する寄附及び政治資金パーティーの対価に係る収入は、確認できませんでした。

高山委員 今、総務大臣から御答弁いただきましたように、今問題となっているこの談合企業から松岡大臣以外には献金は行っていないんだということで、私は、松岡大臣は、単なる林野庁のOB以上の、もし働きかけや何かがあったらもちろん問題だし、ないのであっても、どうしてこれはまた林野庁一家ということで税金を食い物にしているのか。

 松岡大臣も林野庁のOBではありますけれども、政治家になったなら国民の税金を一円も無駄にしないという立場で、むしろこういう談合を根絶、こういう悪弊を改めるべきだと思うんですけれども、大臣、なぜ政治家になられてからもまだ献金を受け続けられ、こういった悪弊に気づいておられたのか、それとも気づいておられなかったのかはわかりませんけれども、このようなことがずっと今まで続いてしまったのか。

 これは松岡大臣に伺いますけれども、私は、こういう献金をもらっている、もらっていないということは、余計松岡大臣が不適切だなと疑われることにもなりますので、松岡大臣の方から、ぜひこの談合問題、特にこの緑資源機構、解体も含めて検討をしていただきたいと思いますが、この件に関して松岡大臣、いかがですか。

松岡国務大臣 お答えいたします。

 まず事実関係だけをきちんとさせていただきたいと思うのでありますが、まずその前に、この緑資源機構の談合の問題につきましては、今、談合という形で公正取引委員会の強制調査を受けている、そしてまた、報道によっていろいろと今言われているわけでありますが、このような事態になったことに対しましては、所管の大臣といたしまして、また私自身も、今先生から御指摘あったわけでありますが、ずっと以前に林野庁、農林水産省に身を置いていた立場からいたしましても、まことに遺憾のきわみであり、残念のきわみであり、これはもう申しわけなく、おわびを申し上げたい、そのように思っております。

 そこで、今先生の方から、六公益法人から献金が私にあって、トータルすれば一億幾らというようなことをおっしゃったわけでありますが、六公益法人からの献金といいますものは、十年ぐらい以前にはその中の幾つかの公益法人から献金があっておりましたが、もう長いもので十年以上、それからまた、短いものでも七年以上、この七年間ぐらいは一切その公益法人の方からの献金というものはいただいておりません。あとは、それ以外の民有林関係の皆様方の懇話会であるとか政治団体であるとかといったところからのものも、今高山先生はそれに全部絡めてそういう額としておっしゃったわけでありまして、これは六公益法人からそのような額が来ているのではないということだけは、ここではっきりと確認として申し上げておきたいと思います。

 そして、もう既に返却すべきものは返却をいたしておりますし、また、昔同僚であった、先輩であったといった方々からも個人的に御支援をいただいていた点もございますが、それも、代表をお務めになっておられるような皆様方からのものにつきましては、先般この問題が出ましたときにお返しを申し上げた、こういうことが事実関係でございます。

 そこで、どういうふうにこの談合問題に対処していくのか、農林水産省としての対応を問われたわけでございますが、これはもうまことに遺憾なことでございまして、国民の皆様にも深くおわびを申し上げますと同時に、まず、とにかく天下りが談合のもとになっているのではないか、こういう御指摘でございますが、そのように思われてもやむを得ないようなそういった形が今問われている、そのように重く認識をいたしております。

 したがいまして、第三者委員会というものをお願いいたしまして、全く関係のない皆様方に、有識者の方々にお願いをいたしまして、五月の十八日に第一回の会合を開催していただいたところでございます。そこで、この組織のあり方、人事のあり方、あらゆる観点からそれこそすべて議論をしていただきまして、その結果を待ちたいと一つには思っております。

 それから、今、強制調査、捜査に対してでございますが、当然のことながら、その強制調査、捜査に対しましてはすべて全面的に協力をするようにという指示をいたしているところでございます。

 それから、既にもう指示をいたしましたものとして、天下りというものにつきましては、今の問題になっております公益法人、こういったところに対する天下りはすべて自粛をする、ということは事実上これはやめるということを、今役所の方に、また、役所を通じて所管のところに指示をいたしたところでございます。

 それから、緑資源機構の入札関係につきましても、これもすべて一般競争入札に切りかえる。ただ、災害等の場合の随意契約というのが、これは、随意契約に緊急性があって「随意契約によるものとする。」そういった特定な特別のものを除いてはすべて一般競争入札に切りかえる、こういったことを指示いたしたところでございます。

 さらにまた、林野庁所管の発注分についても、これはすべて一般競争入札に切りかえる、そのような指示をいたしたところでございます。

 以上が、今日までの緑資源機構の関連に対しまして講じた措置であります。

高山委員 今のように松岡大臣から説明されると、問題が解決したかのようにこれは皆さん誤解されると思うんですけれども、よく聞いてみると、天下りも自粛するだけで、我々民主党は、天下りはもう全面禁止なんだという法案を既に出しております。自粛なんかしても、必ず、またうやむやになって同じような問題が起きてしまう。

 また、私これは安倍総理にも後で伺いますけれども、まず今、政治資金のこの還流の問題、天下りがあって、その天下り団体からも松岡大臣が多額の献金を受けていたじゃないかという私の指摘に、松岡大臣は、返すべきものは返した、このような御答弁をされておりますけれども、なかなかこれは本当に返しているのかなというように疑われる大臣が、これは安倍内閣の中にはまだいらっしゃいます。

 まずその点に関して伺いますけれども、総務大臣に伺います。

 長勢甚遠法務大臣の資金管理団体についてでございますけれども、その長勢甚遠法務大臣の資金管理団体の名称、そして所在地、また、それと同じ所在地にある団体の名称、代表者名、こういったものを昨日のうちに詳細に質疑通告してありますので、御答弁ください、総務大臣。

菅国務大臣 長勢大臣の資金管理団体の名称は、長政会、主たる事務所の所在地は、東京都千代田区神田神保町二の十になっております。

 また、新時代政策研究会の主たる事務所の所在地は、東京都千代田区神田神保町二の十、代表者は大堀幸男となっております。

高山委員 長勢大臣に伺います。

 この大堀幸男という方はどういう方ですか。

長勢国務大臣 ずっと私の政策秘書をしておりまして、現在は法務大臣秘書官ということになっております。

高山委員 ただいまお配りいたしました私の資料が長勢大臣関係のものは二枚ありますけれども、これに関して総務大臣に伺います。

 まず、きょう問題を明らかにしたいのは、二〇〇三年ですか、精神障害者の方の関連の法案改正の際に、その法案が成立した前後に、長勢大臣には五百八十万、当時の法務関係の委員をされていた現在の塩崎官房長官にも百万円、法案成立の日に献金がされているというのが一時報道されたことがあります。

 この日精協という団体から長勢大臣に多額の献金、五百八十万円がその年だけ行って、またそれを返金してというようなお金の流れがあるんですけれども、この点に関しまして、総務大臣、どういうお金の流れになっているのか、どういう団体に幾らお金が何年に入り、そして幾ら返金されて、またそれが次どうなったかということ、これは皆さんのお手元に今私がお配りしている資料に書いてありますけれども、改めて御答弁ください。

菅国務大臣 日本精神病院協会政治連盟から長勢大臣の資金団体であります長政会及び新時代政策研究会に対する寄附の状況について過去五年分を確認しましたところ、長政会に対する寄附はなく、新時代政策研究会に対する寄附は、平成十三年に百万円、平成十四年に五百五十万円、平成十六年に二百万円、平成十七年に三百万円、計千百五十万円となっておるところであります。

 また、長政会及び新時代政策研究会から日本精神病院協会政治連盟の寄附の返金の状況について、収支報告書の原本が保存されている過去三年分を確認しましたところ、平成十五年に五百万円の返金の記載があったところです。

高山委員 長勢大臣に伺います。

 まず、これは平成十五年ですか、日精協さんに五百万円返金しておりますけれども、どうしてこれは五百万円返金されたんですか。

長勢国務大臣 この件については過去にも他の委員会で御説明申し上げてきたところでございますが、十四年にいただいた五百万円の献金について、日本精神科病院協会政治連盟からの私の政治活動一般に対する御支援という趣旨というふうに理解をしておりますが、そのような私の認識とは違ったとらえ方をするという指摘もありましたので、そういう誤解を招くことのないようにという趣旨から返還を申し上げたものでございます。

高山委員 それでは、その次の年とまたその翌年に、ほぼ同額、二百万円、三百万円とまた献金を受けているのはなぜですか。

長勢国務大臣 私の政治活動に対する御支援という趣旨のものと考えております。

高山委員 総理、これは物すごく不自然だと思います。不適切なことを指摘されて一回返した、だけれども、その次の年にまた二百万、三百万ともらったら、これは見せかけだけの返還じゃないですか。

 しかも、私、今大臣の答弁を聞いていてもっと不思議だなと思ったことがあります。この新時代政策研究会、代表者は大堀さんという方ですけれども、先ほどから、長勢大臣、私の政治活動に対する支援であるとかそういう御答弁をされておりますけれども、大臣、この新時代政策研究会というのは、まさに大臣の操り人形的な存在なのでしょうか。

長勢国務大臣 操り人形というのはどういう意味かわかりませんが、私の政治活動を支援する政治団体でございます。

高山委員 安倍総理に伺います。

 資金管理団体を政治家が指定して、そこの団体がどういうお金の出入りがあるかチェックしていく、それを国民に明らかにしていくんだということだったと思いますけれども、今のように、みずからの、大臣秘書官もやられているような方ですね、まさに腹心とも言える秘書を代表者にして、このように政治家がもう一つ別にポケットを持って、お財布を持ってお金の出し入れをしている。しかも、私が今指摘したように、法案の質疑にかかわってお金の支払いがあったのではないか、まさに政策決定がお金によってゆがめられたのではないかという疑いを持たれるような献金が、資金管理団体ではなくて、この秘書が代表者を務める団体を通じて行われている。これは適切ですか。

安倍内閣総理大臣 政治資金につきましては、すべて政治資金規正法にのっとって処理をしなければならないということであろう、このように思うわけでございまして、そういう中におきまして、法務大臣が答弁いたしましたように、法にのっとって処理をしているということだと思います。

高山委員 安倍総理、私たちは警察でも検察でもありません。法律にのっとっているからそれでいいんだということではなくて、このように政治家が二つポケットを持って、お財布を持って、裏帳簿団体とも言えるような、こういう団体を自由に操っていく、こういうようなことが適切ですかというふうに私は聞いているので、もう一度答弁をしてください。

安倍内閣総理大臣 ただいま委員が裏帳簿団体とおっしゃったんですが、それはちゃんと届け出をしている政治団体であり、そしてお金の流れについても、そのように把握できる形になっているということではないでしょうか。

高山委員 今、いみじくも総理が御答弁されたように、裏帳簿団体ではない、それはちゃんと届け出をしているからだ。けれども、現行の政治資金規正法、非常にわかりにくく、かつ抜け穴がいっぱいあるじゃないか。だから、今の政治資金規正法上きっちりやっているからそれでいいんだということではなくて、特に安倍総理に考えていただきたいのは、なぜきょうこのような政治と金の集中審議をしているかということでございます。

 それは、今まで、佐田玄一郎元行革大臣に始まり、事務所費の問題、いろいろ安倍内閣で政治と金の問題、事務所費問題等で疑惑が出てきて、本当に今のこの法律のままでいいんだろうかと、今、改正の機運も高まってきたところだというふうに思います。

 私は、一番伺いたいのは、このように、実質的には資金管理団体は確かに国民の監視の目がまだ行き届いているのかもしれないけれども、それ以外のいろいろな政治団体を使うことで、実質的には政治資金の流れが明らかにならないのではないかという危惧を持つ国民の方は多いと思うんです。

 ですから、もう一度総理に伺いますけれども、この長勢法務大臣の場合は、みずからが代表を務める団体が二つ、三つということではなくて、一見わからない、秘書官が代表を務めている団体があって、そこが実質的には献金の受け皿になっているじゃないですか。こういう問題だというふうに私はとらえますけれども、総理は、このような政治団体の使い方、これが本当に適切だとお考えですか。

安倍内閣総理大臣 私もその詳細までよく存じ上げないわけでありますが、基本的には、資金管理団体あるいは政治団体、こういう団体から政治家が支援を受ける、これは当然あり得るわけでございます。そして、それはそれぞれ届け出をしているわけであって、かつ、その中の資金の流れについても上限が決められていて、そして当然公開されるということではないでしょうか。そして、その公開された透明性の中において判断されるということだ、このように思います。

高山委員 残念ですね。総理も、この政治資金の問題、もう少し意気込みを持ってやっていただきたいなというふうに思います。

 こういう政治と金の問題、やはり、まずこれの一番発端となった、いわゆる事務所費問題に関しては、この場でももう一回明らかにしなければいけないと私は思うんです。

 今までの、もうこれは何回も委員会でやられていることですけれども、佐田玄一郎元行革担当大臣、これは全く賃貸借契約もなく、実体のない政治団体の事務所を、九〇年から〇〇年まで七千八百万円も支出している。

 また、伊吹文科大臣も、家賃無料の議員会館を事務所とする二つの政治団体が四千七百万円もの事務所費を計上していた。そしてまた、松岡農水大臣も、事務所費が無料の議員会館に事務所を置きながら、〇五年には三千三百五十九万円、〇四年には三千百六十万円、合計一億四千二百万円もの、家賃がただのところに事務所を構えているのに事務所費が一億四千二百万円もかかっている。そしてさらに、松岡大臣は、我々も使用している議員会館、光熱費も水道代も全部無料のところにありながら、一年間で五百七万円、前年は七百万円といった多額の光熱水費を計上している。極めて不自然な記載であるなというふうに国民の皆さんも思ったと思います。

 そして、きょうはこの予算集中審議で、何か閣僚の皆さんから、みずから明らかにして、どんどん政治資金の透明化を進めていくということが見られるのではないかと国民の皆さんも期待していると思います。

 そこで、まず松岡大臣に伺います。

 今これだけ政治資金規正法、いろいろ改正が成ってきました。御自身が今一番疑われている事務所費問題、そしてこの光熱水費五百七万円の内訳を明らかにする気はございますか、再度伺います。

松岡国務大臣 お答え申し上げます。

 いろいろと御指摘をいただいていることにつきましては、特にまた、国民の皆様からの御指摘につきましては、真摯に受けとめているところでございます。

 しかし、私は、何といいましても、やはり法律があるわけでございまして、法の定めに従って、その決められたとおりにきちんと対処してまいる、これが基本であると思っております。したがいまして、今日までも何度も御答弁はさせていただきましたが、法律に基づき適切に報告をいたしている、法の求めるところはそれによって責任を果たす、こういうことでございますので、そのようにずっと申し上げてきたところでございます。

 そしてまた、説明をどうするのかということでございますが、現行法では、それをもって説明にかえるというようなことになっていると私は理解をいたしておりますが、さらに今後ということになれば、これはもう前から議論がされておりますように、各党会派において、国会において議論がなされ、新たな法律としてその制度が、仕組みが決まってまいれば、当然のことながらそれに従って私もこれは対応してまいるというのは、そのとおりだと思っております。

高山委員 それでは、農水大臣にさらに伺います。

 各党会派で議論が固まってくればそれに従ってということでございますけれども、通常、法律は遡及効がありません。大臣は、今後、もし政治資金規正法が改正されて基準が定まったら、その後、それに従って公表されるという意味ですか。それとも、今疑惑を持たれている昨年の分そしてまたその前の分を、新たな基準に従って国民の皆さんに明らかにする、遡及させて責任をとるんだ、こういう意味ですか。どちらですか。

松岡国務大臣 これは何度も申し上げておりますように、法の定めに従って対応してまいる、こういうことであります。

高山委員 今の説明では国民は納得できないと思います。

 大臣、もう一度御答弁願います。新しく基準ができたときに、それに従って、今疑惑を持たれている資金関係も大臣は明らかにするのですか。それとも、その基準ができた後だけを明らかにして、今疑惑を持たれている部分は全く説明しないというおつもりでしょうか。どちらですか。

松岡国務大臣 これはもう何度も申し上げておりますが、法の定めに従って対応してまいるのが基本である、このように認識いたしております。

高山委員 総理に伺いますけれども、ここは別に法廷でもありませんし、私たちは検察官や警察官でもありません。政治家として、国民から政治資金に関して疑惑を持たれた、いや、こういうふうな政治活動に使っているんですということをきちんと国民に対して説明責任を果たすというのが、まさに政治家の責任だと私は思っています。今の大臣の答弁、これが本当に国民が納得できるものなんでしょうか。

 私は総理に伺いたいのですけれども、今、政治資金規正法が改正の準備をしているということですけれども、その準備が整って、その後だけ公開すればいいんですか。それとも、今疑惑を持たれた分をさかのぼって新しい基準で当てはめてみたら、こういう問題点が出てきたあるいは問題がなかったというふうに明らかにするべきなんでしょうか。総理の見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 この政治資金の問題につきましては、かつては専ら入りの問題についてさまざまな議論がなされてきたところでございます。この政治資金の入りの問題、そしてまた、あるいは一時、いわゆる迂回献金等が問題ではないか、そして、そのたびごとに政治資金規正法を改正しながら、国民の声にこたえ、信頼を得る、また透明性を高め、もって説明責任を果たしていく、このような中で立法府が責任を果たしてこられた、こう理解をしています。

 今回、いわゆる出の問題について、事務所費についての出費が適正であったかどうかという議論がなされているところでございます。その中におきまして、今までのルールにのっとって、私どもの閣僚も含めまして、国会議員の皆様はそういう処理をしておられたんだろう、こう思うわけでありますが、今回の御指摘等々もありまして、国民の皆様からも、もっと透明度を上げろ、政治家は説明責任を果たしていけ、こういう声がございます。

 政治活動の自由という問題もあわせ考えながら、その中で、与党として、やはり立法府として責任を果たしていこうということで改正案を取りまとめられた、こう私は理解をしているところでございまして、当然、この法律にのっとって、すべての議員がその中で責務を果たしていくということになるんだろう、こう思うわけであります。当然、この法律の原則にのっとって対応していくということではないだろうか、こう思うところであります。

 なお、自民党におきましては、この施行時期とはまた別に、十九年度からということも考えているというお話を伺っております。これは法律とはまた別に、内規でどうしようかという議論がなされているということをお伺いいたしておるところでございます。

高山委員 総理、今問題となっているのは、今十九年度がと言いましたけれども、十九年度というのはもうこの問題が明らかになってからですよ。それからであれば、これは幾らでも取り繕うことができるじゃないですか。今まさに問題となっているのは、〇五年や〇四年、収支報告が公開されて国民の皆さんが見てみたら、どうも不自然な支出があるぞ、家賃ゼロ、光熱水費がゼロのところなのに、どうしてこんな多額の水道代、何とか還元水だとかそういうものが使われているんだろう、国民の皆様から疑念の声が上がってきたわけですよね。

 確かに、法律に基づいて、今の現行法どおりやっているのかもしれません。私たち民主党は、もう既に政党支部に関しては外部監査を入れて、一円から政治資金を公開するなんというのは当たり前のことですけれども、党内でももちろん、一万円以上に関しては領収書を全部添付するんだということももう決めました。また、小沢一郎代表、また所属議員も、事務所費問題等で報道がされたときに、みずから進んで、法律で求められている以上の詳細な帳簿もすべて公開して、それが、いや、多い、少ない、いろいろな議論はあると思います。けれども、我々は既にもう国民の皆様に対して、説明責任という点では自民党より一歩、いや、自民党といいますか安倍内閣より一歩進んで、みずから先んじて公開しています。

 こういった点を受けて、今総理がいみじくも十九年度からはという話も自民党の方で聞いているということでございましたけれども、まさにこの疑念を持たれた〇四年、〇五年、どうせさかのぼるのであれば、こういったところもさかのぼって、きちんと国民に説明して、説明責任を果たすということを指示していただけませんか。

安倍内閣総理大臣 今までは、今までの政治資金規正法にのっとって我々は政治家としての責務を果たしてきた、それは先ほど答弁を申し上げたとおりであります。そして、その中で説明責任を果たしてきたということではないか。

 しかし、そこで厳しい御指摘があった。これはやはり常識からいって透明度を上げるべきである、その説明では納得できないという声がある中において、そういう国民の声を我々は真摯に受けとめながら法律を改正していくということがまさに立法府の使命ではないか、こう思うわけでございます。

 そしてまた、ただいま委員は、民主党の方々の説明ということをおっしゃったわけでありますが、しかし、それについては、まだいろいろな議論があるのも事実であろう、このように思うわけでございます。例えば、角田前議長が朝鮮総連から献金を受けていたのではないかということも指摘がなされているわけでございます。これは、いわゆるただの政治資金規正法とは性格も異なるのではないか、こんなようにも思うわけでございます。

 いずれにせよ、我々は、国民の厳しい声がある以上、やはり国民からの信頼、これが政治にとっては極めて必要な基盤でありますから、この基盤をしっかりとしたものにするためにも国民の声にこたえていく、その上において法改正を行っていくべきだろう、こう考えているところでございます。

高山委員 総理、いいですか、これだけ疑惑を持たれていて、何とか還元水だとか事務所費が、ただのところに入っているのにこれだけ巨額だ、いろいろ問題が起きていて、それでことしからしか対象にならないのであれば、今回の政治資金規正法の改正というのは見せかけだけじゃないですか。無意味な改正ですよ、これは。きちんと、では〇四年、〇三年、さかのぼって松岡大臣や伊吹大臣の疑惑が明らかになるのであれば改正の意味がありますけれども、どうして、ことしからというだけで、これで説明責任を果たしたことになるのでしょうか。全くこれでは国民に対して私は説明責任を果たしたことにはならないと思います。

 また、先ほどから総理が政治資金規正法によればこれで十分なんだというような御答弁をされておりますけれども、私は、この政治資金規正法がこういった形で疑惑を持たれた政治家を守るために使われるのは、全く本末転倒だなと思います。政治資金規正法は、国民の皆様からいただいた浄財、これがどういうふうに使われているのか、政治家がきちんと政治活動に使っているのか、これを明らかにするためのものであって、政治家を守るためのものではないというふうに私は思います。

 ですから、政治資金規正法で求められたことをやっていればこれでいいんだということは、私は、国民の皆さんは納得できないと思います。これは法が求めている最低限であって、別にそれ以上の公開をすることを全くこの法は禁じてはおりません。

 ですから、私は、これは総理に、また政治的決断としても伺いたいんですけれども、今回政治資金規正法を改正しても、遡及して松岡大臣のこの去年、おととしのものが全く明らかにならないのであれば、全く無意味な改正じゃないですか。

 そして、私が先ほど質問させていただきましたように、自民党案では資金管理団体のみを対象としているということですけれども、佐田玄一郎元大臣、これも資金管理団体以外の政治団体が不正な支出を行っていたのではないかという疑惑でした。また、伊吹文科大臣も、資金管理団体以外の、御自身が代表を務められる政治団体の問題でございました。そして、長勢大臣、資金管理団体以外の団体で、かつ秘書が代表を務めている政治団体。こういったものが全く規制の対象から外れるということになれば、もう本当にざる法じゃないかというふうに国民の皆さんは思うと思います。

 ですから、資金管理団体以外の団体に対して規制をかける必要が全くないというふうに総理は思っているのか、それとも、ここで何か長い答弁をしてこの場が過ぎればいいやということなのか、総理にまじめに答弁していただきたいと思います。もう一度、答弁を求めます。

安倍内閣総理大臣 私は、先ほど来、まじめに、真摯にお答えをいたしておりますので、今の発言はぜひ控えていただきたい、このように思います。

 今回、与党で議論をしております。まだ法案が国会に提出をされておりませんから、法案が提出をされた際にぜひまた深い御議論をいただきたい、こう思うところであります。

 今回の問題は、また国民の御批判は、そもそも、議員会館に事務所を置いている政治家の資金管理団体の経常経費のあり方に端を発したものであります。

 一方、いわゆる政治団体は、大小含めれば全国に約七万に及ぶわけでございまして、すべての政治団体に領収書の添付義務を、義務づけを適用した場合の影響というのは極めて大きなものがあるわけでございます。大小さまざまでございますから、そういうところの事務処理能力等々も考えなければならないということでございます。そういう観点から、政治結社、政治活動の自由の観点も尊重すべきものという認識もあるわけでございます。

 まずは、国民の皆様の今の御批判にこたえ、国民の皆様の信頼を回復するために、御批判の対象となっている国民の代表たる国会議員がみずから襟を正すことが大切ではないか。いわば公職に出ている者の資金管理団体に対して五万円の添付義務をつける、こういうことでございます。

 いずれにいたしましても、この法案についてよく御議論をいただきまして、そしてその上で改正を図り、もって国民の期待にこたえていかなければならない、このように考えております。

高山委員 今いみじくも総理がおっしゃったように、やはり政治家みずから襟を正すという点でいえば、先ほど私が冒頭に御紹介しましたこの緑資源機構の天下り、官製談合問題も、トップの農水大臣がみずからの政治資金の疑惑を持たれていること、不自然だなと国民の皆さんが思うことを明らかにしない。これでは、下の者が、ああ、じゃ少しぐらい自分もごまかしてもいいじゃないかと思っても不思議はないと私は思いますよ。

 ですから、この天下りの問題だって、我々民主党が提出しているように、天下りはもう完全に禁止なんだということを決めればなくなるのに、人材バンクというんですか、天下りバンクのようなものをつくって、公務員だけまた就職のあっせんをしていく。あるいは、この事務所費問題、政治と金の問題も、我々政治家がみずから公表すれば、きょうからだって国民に説明責任を果たすことができるんです。なぜそれをやらないのか。きょうからでもできるんですよ。

 私は本当に残念だなと思いますけれども、今質疑時間が来たということですので、岡田克也議員に質問を譲りたいと思います。

 終わります。

金子委員長 この際、岡田克也君から関連質疑の申し出があります。高山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。

岡田委員 まず総理にお聞きしたいと思います。

 今の高山委員と総理のやりとりを聞いていて感じたことですけれども、松岡さんの問題、いろいろありますが、その中で私が取り上げたいのは、経常経費、光熱費や事務所費の問題です。この予算委員会の場でも何度もやりとりがありましたが、法律の問題は横に置きましょう、松岡さんの答弁で説明責任が果たされているというふうに総理はお考えですか。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁の中におきまして松岡大臣も、現行法にのっとって、法律にのっとって処理をしている、このように答弁をしているわけでありますし、また、私もそのように報告を受けているわけでございます。

 現在私どもが政治活動を行うに際して、政治資金の取り扱いについては、現在決まっているこの政治資金規正法にのっとって処理をしていくことが義務づけられているわけでありまして、その中で処理をしているという説明であり、これは法にのっとって処理をしているという説明をされた、このように理解をしております。

岡田委員 その説明は先ほど聞きました。法律にのっとって報告していると松岡さんは何度も繰り返しています。私が聞いているのはそういうことを聞いているんではなくて、そのことについて総理は、松岡大臣は説明責任を果たしているというふうに考えているのかどうかを聞いているわけです。

安倍内閣総理大臣 いわゆる政治資金規正法というのは、いわば政治活動について透明性を我々高めていく、あるいは、国民にとってその流れを把握できるようにするためのものでもあります。そして、政治活動に曇りがあってはならないということであろうと思います。

 と同時に、やはりこうした政治資金規正法のような政治活動を縛るものにつきましては、政治活動の自由との関連から議論がなされるのは当然のことだろう、こう思うわけでありまして、ですから、政治資金規正法については、各党会派においてよく議論が進められていくわけであります。

 その中において議員立法によって先般も改正がなされた、こう承知をしているところでございますが、つまり、その中におきまして、この法律に求められている中におきまして松岡大臣は説明を果たされた、このように私は理解をいたしておるところでございます。

岡田委員 松岡大臣が法律に基づいて説明といいますか報告をきちんとしたかどうかということはちょっとこれからまた議論したいと思うんですが、私が総理に聞いているのは、説明責任を果たしたと総理は考えているかどうか、イエスかノーかで答えてください。ほかのいろいろな経緯の説明は必要ありませんから。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁で申し上げましたように、この法律によって定められているところによっての説明を果たしている、このように思います。

岡田委員 説明をしているかどうかじゃなくて、説明責任を果たしたかどうかということを聞いているわけです。説明は、それはずっとしておられますよ。それが説明責任を果たしたことになっているかどうかを聞いているわけです。

 ちなみに、先般のテレビ番組「報道二〇〇一」で、自民党の石原伸晃さん、政治改革実行本部長、それから公明党の東さん、政治改革本部長、お二人は、口をそろえて松岡大臣は説明責任を果たしていないとテレビではっきり言われたんですよ。ですから、総理はどうですかということを聞いているわけです。

安倍内閣総理大臣 この政治資金規正法については、これはまさに、閣僚だけではなくてすべての議員に課せられているわけであります。その中において、説明をすること、公開をしていくことをこの法律は求めているわけであって、その法律の求めるところに従っての説明をしているということでございます。

岡田委員 総理からお答えは結局聞けなかったというふうに思うわけですけれども、それでは、ちょっと別の問題を少し。

 松岡大臣に一言お聞きしたいと思いますが、松岡大臣は先ほど来、政治資金規正法に基づいて適切に処理しているという答弁を繰り返されているわけですが、実は、法律は報告を義務づけているだけではなくて、ほかのことも政治資金規正法は義務づけております、経常経費に関してですね。一つは、支出簿をちゃんと備えなきゃいけない。もう一つは、五万円以上の支出については領収書を保存しなければいけない、添付は求めていませんけれども。それから領収書と支出簿の三年間の保存。これは法律が義務づけているんです。

 松岡さんは当然それをごらんになっていますね、御自身の経常経費について。

松岡国務大臣 お答え申し上げます。

 私の事務所の方でこれを担当いたしておるわけでありますが、法に定められた保存の必要性のあるもの、保管の必要性のあるもの、そういったものについては法に従っておる、こういうことであります。そういうふうに報告を受けております。

岡田委員 報告を受けているかどうかじゃなくて、松岡大臣自身は確認をされていますねというふうに私の方で確認しているわけです。

 松岡大臣、これは、参議院の予算委員会で社民党の福島さんの質問に対して、「はっきり申し上げますが、虚偽記載は一切ございません。」と断言しておられるんですね。虚偽記載が一切ないと言う以上は、自分で当然確認をしてそういう答弁をされていると思うんですよ。もし確認せずにこういう答弁をしたとしたら、それこそが虚偽の答弁になりますよ。いかがですか。

松岡国務大臣 お答えいたします。

 岡田先生も自分でいろいろな帳簿を見られて大変だと思います。私もいっぱいこの何年分とかあるのを見ましたら、これを一つ一つ確認するというのはとてもじゃないが大変な作業でありますから、私は、いずれにいたしましても、そういうことは一切ない、ちゃんときちっとした報告をいたしておるということについて、その報告を確認いたしているわけであります。

岡田委員 今、見たと言ったり報告を受けていると言ったりはっきりしないんですけれども、これだけ大きな問題になったわけですから、当然、子細にその問題になった部分についてはチェックをされているはずですね。それをされたんですか、されていないんですかということを聞いているわけです。イエス、ノーでお答えください。

松岡国務大臣 いや、これは先ほどから申し上げておりますように、しかるべき、法的に決まった会計責任者、またこれを担当している者、すべて確認をし、問題はないという報告を受けております。

岡田委員 今のお答えは、ですから、御自身では確認していないということを裏からお答えになったと思うんですね、報告を受けているということですから。しかし、国会でこれだけ「虚偽記載は一切ございません。」と言い切っておきながら、自分で見ていないというのは極めて不自然ですよね。だから、そこが私の疑問であり国民の疑問なんですよ。

 そこで私は総理にお聞きしたいんですが、今の説明を聞いて、つまり、松岡大臣は御自身で確認せずに言っておられる、それが果たして法にのっとったものだというふうにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 松岡大臣も現在農林水産大臣という立場にあって公務が大変忙しいんだろうと思うわけでありますが、と同時に、会計責任者が今までずっとこの政治資金については責任を持って事務を取り仕切ってきたということではないだろうか、このように思うわけでありまして、その政治の資金管理団体等々の政治資金を責任を持って管理してきた責任者にどうなっているかということを聞いて、この責任者の説明を聞いてその報告を受けた、そしてそれを了としたということではないだろうか、このように思います。

岡田委員 総理は、松岡大臣が自分で確認すべきだとは思われないですか。

安倍内閣総理大臣 これはそれぞれなんだろうと思うんですが、例えば私も、ほとんど会計責任者に任せているわけでありまして、むしろ、私が自分でずっと調べるよりも、その任せている人物の方が旧来からずっと経緯も知っているし、中身の把握もしているわけでありますから、私個人が一々調べるよりも、私の会計責任者に当たった方が事実関係を把握する上においてはむしろ正確になる、私自身はこんなように考えております。

岡田委員 これだけ疑惑が深まっていて、それでも本人が確認しなくていいと。私は、安倍さんは日本国総理大臣ですから、やはりここはしっかりけじめをつけないと、松岡さんが調べないと言うなら、安倍総理がだれかに調べさせたらいいわけですよ。そのぐらいのことはきちっとやらないと、国民はもう政治に対しては本当にどんどん不信感が増してきますよ。そのぐらいのことをどうしてやられないんですか。

 法律にのっとったと言うけれども、法律にのっとっていない可能性が高いから問題になっているわけでしょう。それを、法律にのっとってやっていると聞いている、そういう答弁でずっと総理は続けておられますが、本当にそれでいいんですか、総理。

 どんどん安倍内閣に対する国民の不信感が増していって、私は、総理はこれからいろいろなことを総理としてやっていかなきゃいけないと思うんですね。その中には、国民に対して厳しいこと、負担がふえること、いろいろなことを日本国総理大臣としてやっていかなきゃいけない。そういうときに、こんなことで国民がついてきますか、信頼しますか。私はそこがすごく気になる。

 いかがですか、今からでも遅くはないですから、もう一回きちっと調べ、そしてけじめをつける、そのことは必要じゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 確かに、この場においては松岡大臣の事務所費、光熱費の問題が議論されていますが、しかし、事務所費については、自民党だけではなくて民主党も含めていろいろあったわけですね。そして、その中において、例えば小沢党首の問題についても発表されたわけでありますが、では、別の人がそれに対してそれを監査したりしたんでしょうか。

 ですから、これからやるべきことというのは、これから果たすべき役割は、今までいろいろな指摘がありました、今後は、そういう指摘、御批判にこたえて法律を整えていくということではないんでしょうか。こうした批判が今後は出ないように、これからはこういうルールでみんなきっちりやっていきましょうねということでやっていくのが私は責任の果たし方ではないか、このように思っております。

岡田委員 私は全く違うと思います。

 まず、小沢党首は記者会見で記者の皆さんに全部チェックしてもらったんですね。見せたんですよ。だから、ちゃんとやったんです。(発言する者あり)領収書を記者にチェックさせたんですよ。問題になったところの領収書は全部チェックさせました。

 そして、松岡さんは大臣ですよ。ですから、なぜ松岡大臣はやめないんだ、こんなことであればやめて当然だ、野党もふがいないといって我々国民から批判されることもあるんですが、実は、松岡大臣がやめないのは、総理がかばっているからなんですよ。今までの歴代総理でここまでかばった総理はいませんよ。だから松岡大臣は首がつながっている。そのことが政治不信というものにいかにつながっていくかということをぜひ考えていただきたいと思います。

 次に、これからの問題としての法改正について少し議論をしたいと思います。

 まず、今の不動産の議論が少し総理の方から出ましたから、この点について少し議論したいと思いますが、まず総理、不動産所有について与党案は、その所有を禁止する、こういうふうに聞いておりますけれども、その理由は何ですか。

安倍内閣総理大臣 まだ与党案が成文としてでき上がっておりませんから、私も詳しく今ここでお話しすることはできません。まさに、この法案をつくっていく方向性について、こういう方向性でつくっていくということを担当者から今の段階では聞いているにすぎないわけでございますから、詳しい議論は、この法案を国会に上程した後に国会で御議論を、委員会で御議論をいただきたい、このように思うわけでございます。

 今回のこの不動産所有禁止の問題につきましては、これは、先ほど申し上げましたように、民主党の小沢代表が、年間四億円、総額で十億円を超えるとこう言われておりますが、年間四億円余という極めて異例の事務所費を計上し、かつ、それによって入手した不動産を個人名義にしたということでございます。これだけ巨額な不動産をこのように個人名義にされた方はほかには見当たらないわけでございます。もちろん、不動産を個人名義にした方はおられますが、それは、選挙が終わった後、いわば管理事務所等々、これはほとんど大した額ではないですが、名義上そういう処理をした方もいるわけでありますが、ここまで巨大な額を、不動産として、しかも個人の名義にされた、こういうことでございます。

 そこで、現行の政治資金規正法は資金管理団体の不動産所有を明示的に禁止はしていないところでありますが、そもそも法律は、不動産所有を想定した構成にはなっていないというふうに認識をしています。この不動産所有を認めますと、適正な課税がなされないまま不動産がいつの間にか個人の所有になってしまうというおそれがあります。そしてまた、政治資金を使って私的な蓄財や投資が行われるなどの懸念があるわけでございます。いわば不動産投資というのは、これは投機の対象にもなり得るわけでございます。そして、実際にまた、政治活動に果たして本当に複数の不動産を保有する必要性があるのだろうか、それはやはり低いのではないかということでございます。

 そうしたことなどから、与党案においては、不動産所有を明示的に禁止するということを今論点として検討をしている、こう聞いているわけでございます。

 こうした問題についても、もちろん自民党だけでということではなくて、与党の中で、そしてまた与野党でお互いに胸襟を開いて議論をしていくことがよろしいのではないか、私はこのように思っております。

岡田委員 今、総理の御答弁の中で三つ理由として言われたと私は理解をいたしました。一つは、いつの間にか個人の財産になってしまうんじゃないかということですね。それから二番目は、それが投機の対象になるんじゃないか。三番目が、本当に政治活動に必要なのか。この三点言われたと思うので、順次ちょっとお聞きしたいと思います。

 まず、総理は小沢党首の件を取り上げて、個人の名前になっていると言われましたが、今は個人以外に登記のしようがないわけですね。ですから、そのことがおかしいということではなくて、それは、もし不動産を持とうとすれば、登記は個人でしかせざるを得ないということですね。問題は、その制度を悪用して、それがいつの間にか個人の財産になってしまうかどうかということが問われているわけです。

 そこで、きょうは国税庁次長を呼んでおりますので、確認したいと思います。もちろん、政治団体が保有するそういう不動産が、例えば政治団体が解散するとか、あるいは相続の折に個人の財産になってしまう、適正な課税もないままそうなってしまうということであれば、それは極めて不公正なことですね。ですから、そういうことがあり得るのかということを、私はあり得ないというふうに確信をしておりますが、国税庁から答弁していただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、私ども国税当局といたしましては、従来から資料情報の収集に努めておりまして、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして適正、公平な課税の実現に努めている、これが私どもの基本方針でございます。

 今後とも、このような考え方に基づき、私ども国税庁といたしましては、できる範囲で適切に対処してまいりたいということでございます。

岡田委員 実は、財産としては、不動産以外にも国債とか預金とか、みんな個人の名前ですね。ですから、実は同じ問題はあるんです。政治団体が持っていて、それは全部個人名義になっています。そしてそれを、解散したときあるいは相続のときに個人の財産に紛れるんじゃないか。しかし、そんなことを認めるような国税庁じゃないというふうに私は思うわけです。今の答弁もそういう趣旨で言われたと思いますが、財務大臣、いかがですか、今の国税庁の答弁。

尾身国務大臣 国税当局は適正、公平な課税の実現に努めているものと確信をしております。

岡田委員 それでは、二番目の問題です。つまり、投機の対象になるんじゃないかという問題ですね。投機の対象になるかどうかということに関して言うと、まず、今の政治資金規正法上、不動産や株を持つこと自身は禁じられていない。これは実は明文でも書いてあるわけです、株とか不動産というのは。しかし、それを運用してはいかぬ、こういうことになっているんですね。運用できるのは、国債とか預金、あるいは元本保証された投資信託、元本補てん契約のある金銭信託、こういうものに限られているわけであります。

 つまり、なぜそうしているかというと、おっしゃるように、そういう投機的なことに使って、本来、政治資金の趣旨からいって、そういうものに使うということは控えるべきだ、そういう考え方で十年前にこれは法改正されたと思うんです。

 それで、不動産を投機の対象にすることはもちろん法律違反です。不動産を保有することが投機につながるかどうかということが議論だと私は思いますけれども、ここは、もし投機を禁止するという趣旨で不動産や株について政治団体が持ってはいけないということであれば、一つの議論として私自身はわかるというふうに思っています。ですから、そういう趣旨で法改正をするということなら私はわかります。しかし、それは株も含めてですね。ですから、やはり法改正するときに、きちんと論理的に意味のあるような改正をしないといけないというふうに思うわけであります。

 そういう意味で、私自身、投機の対象としての不動産保有や、あるいは株の保有が投機の対象になりかねない、そういう趣旨から制限をするということは理解できるということは申し上げておきたいと思います。

 さて、最も重要な制度論は、私は、資金管理団体に限っているということだと思います。資金管理団体について、なぜ資金管理団体に限ったのか、ここは私は全く理解できないんですね。資金管理団体とそれ以外の政治団体で法的にはほとんど効果の違いは今やないというふうに私は思うんですが、総理、なぜ資金管理団体に限ったんですか。

安倍内閣総理大臣 この法律については、まだ現在与党で最終的に法文をまとめているわけでございまして、それが出てきた段階においてぜひ提案者との議論を行っていただきたい、こう思うわけでございます。

 政治資金団体とは、政治家が代表を務める政治団体のうちから、その政治家のために政治資金の拠出を受けるべき団体としてその政治家が指定する団体という位置づけがなされているわけでございます。

 資金管理団体に関しては、政治家個人が資金管理団体に対して行う寄附について、寄附の限度額に関するこれは特例が設けられている。政治家個人の政治資金は資金管理団体に取り扱わせることとするという趣旨で、他の政治団体と異なる制度が設けられているということでございます。いわば、この資金管理団体は他の政治団体とは違う位置づけ。政治家にとっては、これは自分が指定して、ここを基本的に出入りの中心にしますということに指定しているわけであります。そして、そのことによって今申し上げましたような特例が設けられているということであります。そこにかんがみ、今回、資金管理団体に特定をした。

 そして、すべての政治団体にしますと、これは全国に七万近くの政治団体があるわけでありまして、それらは非常に小さなものもあって、いわば細々と活動を行っているところもあるわけでございます。そうした観点から、今回、我々、資金管理団体に絞らさせていただいた。また、今回のもともとの発端についても、資金管理団体のこれは事務所費の処理の仕方に問題があったということでございます。

岡田委員 総理おっしゃったわけですが、資金管理団体とそれ以外の政治団体はどこが違うかということですよね。(パネルを示す)昔は確かに全然違ったんですよ。二〇〇〇年以前は、資金管理団体のみが企業・団体献金を受けられる、これは基本的に違うことだったんですね。しかし、今や企業・団体献金は政党以外はだめなんです。だから、ここは同じになっちゃったんです、禁止、禁止。

 そうすると、例えば政党や政党以外からの寄附について、政党からは制限がないとか政党以外は五千万円以下、これは同じです。総枠制限と個別制限、個人からの献金ですね、があって、一千万と百五十万、ここも基本的に同じなんですが、今総理がおっしゃった自己資金による寄附、つまり、政治家が自分の資金管理団体に寄附するときは青天井ですよ、ほかの人がするときは百五十万が上限ですよ、ここが違う。もう一つは特定寄附、これも非常に技術的な話ですが、政党から政治家個人にお金が行ったときに、お金を入れる、そのときに制限がない。でもこれは、いずれにしても非常にレアケースですよね。基本的に、そのことによって、政治団体とその中の資金管理団体の基本的な性格が異なるということはないんですよ。

 それは、企業・団体献金を資金管理団体だけが受けられた時代はかなり違いましたよ。今やほとんど違いがない。だからこそ、例えば自民党でも、私の把握しているところでは、五十人ぐらいの方が資金管理団体を持っておられませんよ。ほとんど実態が一緒だから、資金管理団体がなくても、ほかの政治団体でも代用できるわけです。

 そういうふうに、ほとんど同じものでどうして分けて、そして資金管理団体に限って今回のいろいろな規制をしようとしているのか、そこが私は理解できないから質問しているわけです。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回の問題の発端は、そもそもこの政治資金管理団体であった。政治家の政治資金管理団体において、その事務所費の使い方に対して問題があるのではないかという指摘があったことを発端としての今度の改正でございます。

 例えば、多くの政治団体を持っておられる方々にとっては、それは全然自分たちとは関係ないことではないかという強い御主張もあるのは当然ではないだろうか、私はこんなように思うわけでございます。そして、それほど多くはないとはいっても、政治家個人が自分の政治資金管理団体に寄附をする、上限がないというのは、これはやはり大きな特例の措置であろう。そしてまた、政党からの寄附ということにおいてもその上限がないということになっているわけでございます。

 そういう点から、資金管理団体については、これはやはり、今回こうしたことが起こった中において、みずから我々いわば政治家が、ほとんどの政治家が大体政治資金管理団体は持っているんだろう、こう思うわけでありますが、その中で資金管理団体に絞った、こういうことではないかと思います。

岡田委員 さっき言いましたように、個人で百五十万以上自分の政治資金管理団体に入れる、そういう人もいるでしょうが、毎年毎年何百万も何千万も入れる人はまれだと思うんですね。それから、自民党だって、資金管理団体に一千万も特定寄附でやっていないと思うんです、政党支部にはやったとしても。そういう意味で、実際は全然変わらない。

 そういう中で、例えば経常経費、領収書添付を資金管理団体だけにするということになると、それを嫌な人は、では、資金管理団体をやめて、政治団体で基本的な活動をしましょう、実態は変わらないわけですから、そういうことは可能なわけですね。

 それからもう一つは、資金管理団体とその他の政治団体の間のお金の行き来は、これは自由ですね。ですから、そういう中で実質的には全くのざる法になっているというふうに私たちは言っているわけです。

 ですから、法律をつくる以上はきちんとしたものをつくるべきで、ざる法をつくって、国民の皆さんに、これでちゃんとやりましたなんというのは私は全くおかしなことだと思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今まで何回も答弁をいたしましたように、基本的には、今回の問題というのは、政治家の資金管理団体の事務所費のあり方についての議論が発端でございます。

 その中で、大半のいわば政治団体はこれは関係がなかったわけでありますが、主たる資金の団体である資金管理団体を、これをやはり今回は対象として絞っていくということが与党において大勢の議論であった、このように私は承知をいたしております。

岡田委員 大半の政治団体は関係なかったとおっしゃいましたが、たまたま今回問題になったのは資金管理団体であって、探せば経常経費について同じような問題、ほかの政治団体も出てくる可能性は十分あるんですよ。だから、たまたまそうだったということですよ。

 もう一つ、では、いかに資金の流れがあるかということを説明したいと思います。失礼ですが、これは安倍総理の二〇〇五年の政治資金収支報告書をもとにつくったものです。安倍総理が違法なことをやっているということではもちろんありません。これは、政治資金収支報告書の報告に基づいてそれを図にしたわけで……(発言する者あり)私のものもしたいと思ったんですが、実は私は、政党支部と政治資金団体以外に政治団体を持っていないんです。六、七年前に全部整理しました。ですから、こういうことができないんです。ですから、総理の分をちょっとお借りしたんです。

 政党支部と資金管理団体、晋和会がある。そして、この資金管理団体の経常経費が八千二百六十九万、経常経費だけですね、ほかの政治活動費は除いてあります。それ以外に、この資金管理団体晋和会と同じ事務所で東京政経研究会というのがあって、これは当時の総理の、安倍さんの秘書さんが代表をしておられる。経常経費一千百万。それからこれは、地元にいずれも秘書さんが代表をしておられる三つの団体があって、同じ下関に、同じビルに事務所があるんですけれども、それぞれ八十二万と千二百五十四万と五万の経常経費がある。今回の改正は、この資金管理団体だけ領収書の添付を義務づけるということなんですね。

 ですから、例えば同じビルに東京政経研究会と晋和会があって、そのときに、事務所費とか光熱水費とか、つけかえというのは、つまり、どっちで計上するかというのはかなり自由度があると私は思うんですよ、同じビルにあるわけですから。そういう場合に、いや、晋和会の方で計上したら領収書添付が義務づけられるから、こっちの東京政経研究会の方で経常経費を計上しようというようなことが、悪く考えれば、悪い政治家ならそういうことを考えるということですね。

 ですから、そういうことについてやはりそういう抜け穴だらけの法改正は私は意味がないということを申し上げているんですが、いかがですか。やはり、やる以上ちゃんとしませんか。

安倍内閣総理大臣 まず、今の私の晋和会と東京政経研究会においては、同じ事務所でありますが、事務所経費がかかっておりますので、この事務所経費についてはそれぞれの規模において折半して、もちろん既にしっかりとこれは納めているわけでございますし、それは既に公開されているんだろう、このように思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、今、私のこの資金管理団体やほかの後援会等々の関係を見ても、やはり、主たるものは圧倒的に資金管理団体になっている。党の方は、これは党の支部でありますから、私は支部長でありますが、会計責任者はしっかりとまた別途いるわけでありまして、また党本部との関係にもあるということでございます。やはりこれを見ても、基本的には、資金管理団体が主たるこれはいわばお金を取り扱う流れの中心でもあるわけでございますから、ここをやはりそういう義務を課していくということについては、これは、いわば透明性を高めていく上においてはかなりの前進になっているのではないか、私はこのように承知をいたしております。

岡田委員 何度も繰り返しますが、安倍総理のこの流れに問題があると私は言っているわけではもちろんありません。例として取り上げさせていただいただけです。

 ただ、結構お金が行ったり来たりしているなという感じはありますよね。これは多くの議員の場合、やはりそうなっていると思うんですよ。そういうふうに自由に行ったり来たりする中で資金管理団体だけ網をかけても、私はほとんど意味がないんじゃないかということを申し上げているわけです。

 例えば政党支部はどうですか。つまり、今回の伝えられる与党案では、資金管理団体に限る、そういうふうに言っておられるので、そうすると政党支部も外れちゃうんですね。政党支部というのは、これは政治家の政治活動をしている。だから、七万も政治団体があって、それを全部網をかけるのはおかしいという議論があります。私はそのこと自身認めませんが、しかし、少なくとも国会議員の政党支部、そういうものまで外しちゃうというのは、これはおかしいんじゃないですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 そうしますと、政党支部ということになれば、これは政党そのものになるわけでございますから、つまり、では政党をどう考えようかという議論になるのではないだろうか、このように思うわけでございますが、政党は政党において厳しいチェックを行っているわけでございまして、自民党においては、政党のまさにこの出納については、内規において、公認会計士も入れて厳しいチェックを行っている、このように承知をいたしておるところでございます。

岡田委員 私が申し上げたいのは、もともとこういった政治活動費は、これは全部領収書添付が義務づけられているんですよ、五万以上は。その上で経常経費をどうするかという今議論をしているんであって、それは、七万の政治団体すべてについて五万以上の政治活動費については領収書の添付が義務づけられている。これはやはり、政治活動をする以上、それを国民の目にさらして、適正、公正に行われているかどうかをチェックしてもらう、そのことによって説明責任を果たす。これは政治資金規正法にその趣旨が書いてありますが、つまり、ほかの権利能力なき社団とは全く違う性格を政治団体は持っているわけです。

 基本的に、その最もコアの部分、核心部分である政治活動費について領収書の添付を義務づけている。経常経費については、光熱費とかは当たり前だから、わざわざ領収書を添付しなくてもおかしなことは起こらないだろう。しかし、それがどうもそうじゃないらしいということが今回のこの問題の根の深さであって、ほかもなぜ経常経費について領収書添付はだめなのか、私はいまだにわからないです。

 そして、さっき言ったように抜け穴も、やろうと思えば、悪意を持ってすればできちゃう。そういういいかげんな法改正をやって、国民の皆さんに、私たちはちゃんとやりました、そういうことを続けていると政治全体が沈んでしまうと私は思うんですよ。やはりきちんとやるべきことはやる。それを総理の指示で、自民党の中にいろいろ抵抗はあるのかもしれません、余り抵抗されると、経常経費の中に領収書のとれないようなまずいものを持ち込んでいるんじゃないか、そういう疑念すらわいてきますよね。だから、ちゃんと経常経費は経常経費として使っているのなら、すべてについて領収書を添付したらいいじゃないですか。

 そういうことを私はもう一回安倍総理に考えていただきたいんですよ、政治全体が沈んでいくかどうかの話ですから。ぜひ、日本国総理大臣としての答弁を最後にいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま岡田委員がおっしゃったような論点も含めて与党で議論がなされた、このように思うわけでございます。

 そういう中におきまして、政治活動の自由、あるいは、小さな団体にとっては事務の煩雑さ等もあるんだろう、このように思うわけでありますが、その中で、まずはやはり、基本的には我々国会議員がすべて持っている資金団体、これはいわば政治家にとってのお財布になるわけであります。主たる資金を預かる団体である政治団体において我々は五万円の領収書の添付をする。

 この領収書を添付するということについてもいろいろな議論があったわけでありますが、ここはやはり透明性を高めるべきである、こう判断をいたしまして、問題の発生した資金管理団体、我々政治家が基本的には全部持っている資金管理団体にまずは絞って、しかし、五万円の領収書の添付は義務づける、このような改正を行っていくことをもって国民の信頼にこたえていかなければいけない、こう考えているところでございます。

岡田委員 私は、国民の信頼にこたえたことにはならない、そのことを申し上げておきたいと思います。

 終わります。

金子委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。高山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、まことにありがとうございます。ぜひ端的に御答弁をいただきたいと思います。

 今回は、安倍内閣のもう一つの解決しなければならない金の問題、消えた年金納付記録の問題を質疑させていただきます。

 ちょうど一年ぐらい前から、我々民主党といたしまして、この納付記録が消えてしまう、こういう問題をずっと調査してまいりまして、初めは社会保険庁は全く情報を出さなかった。徐々に徐々に詰め寄って逃げられない形にして、情報を一つ一つ出してきて、今、やや全容が見え始めたという段階でございます。

 そこで、我々民主党といたしましては、消えた年金情報被害者救済法案というのを今、厚生労働委員会に提出をいたしまして、ぜひ成立をしていただきたいということで取り組んでいるところでございます。

 この消えた年金記録という問題は二つあります。物理的に納付記録が消えてしまう、つまり、社会保険庁の中、政府が管理しているはずの納付記録が全く消えてしまって、なくなってしまう。こういう問題が一つ。もう一つは、統合漏れという問題でございます。

 これは、平成九年、今から十年前に、日本国民全員、一億人以上の成人の方々に基礎年金番号が一人一番号ついた。過去の、平成九年以前の納付記録、ばらばらの番号で管理されておりまして、それを一つの基礎年金番号に統合する。これが、全部統合すれば問題ないわけでありますけれども、統合漏れが発生してしまった。つまり、どなたが納めた記録か確認できない、こういう宙に浮いた記録が、平成九年の基礎年金番号統合から十年もたっているのにいまだに、我々の調査で社会保険庁がやっと出してきた数字で、どなたが払ったのか確認ができない情報が今現在五千九十五万件ある、こういう事実があるわけでございます。

 そして、これは何を意味するかといいますと、つまり、国民の皆様が、自分が昔から払った納付の記録を全部覚えていて、抜けていたら社会保険庁にきちっと文句を言って回復させる、こういうことを国民の皆さんがやらなければ回復しないよと。

 しかし、国民の皆さんが抜けていると主張しても、物理的に消えた記録もあるわけですから、どうしても救済できない場合もあるということでございまして、社会保険庁が昨年八月から相談の窓口を設置いたしましたところ、割合にして百三十人に一人しか救済されておりません。つまり、実際に領収書を持っている、社会保険庁の中に記録がなくても、自分が領収書を保管していた、そういう人だけは今助けるという姿勢でございまして、それ以外の、記録が消えていると主張した百三十人は却下されているわけでございます。昭和四十年代、五十年代の納付記録をずっと保管されている方というのは非常に少ないわけでございまして、本当に救済者が少ない。

 これは国民年金だけではございませんで、厚生年金でも、一つの会社に勤めていて、例えば広島支店に転勤した、その二、三年間の間に、なぜか厚生年金を脱退したことになってしまっている。ずっと一つの会社に勤めているにもかかわらずですね。いろいろなところでそういう問題が発生をしているところでございます。

 そこで、我々民主党といたしまして提言をいたしますので、ぜひ本当に実行をしていただきたいという救済策のまず第一歩を申し上げたいのでございますが、今現在、厚生年金、国民年金を受給されておられる方々が三千六十五万人おられます。約三千万人今現在おられます。こういう方々は、ひょっとすると、この五千万件の、払い込んだ記録が統合されずに少ない年金額を受給されている方もいらっしゃるかもしれない、本人も気づかずにもらい続けている方もいらっしゃるかもしれない、こういう問題があるわけでございます。

 事実、過去六年で、社会保険庁は、二十二万件の受給権者の方の受給金額を、本人の申し出などで納付記録をやっと発見して、受給金額を変更した、こういう事例もございますが、そこまで社会保険庁にかけ合ってそういう受給金額の変更をかち取る方というのは氷山の一角でありますから、多くの被害者がいると我々は思っております。

 そこで、提案でございますけれども、この五千万件の宙に浮いた記録は、ほとんどが名前と生年月日と性別は入っているんです。ただ、名前が片仮名のみの入力の案件もあるので、入力をミスしたらお名前が照合できないということはありますけれども、この三つの情報は五千万件にある。当然、今三千万人の受給されている方々の名前、性別、生年月日は社会保険庁がきちっと把握しているはずでありますから、この三千万人の今の三つの情報と同じものをこの五千万件から抽出をする。そうすると、三千万人と同じ名前、性別、生年月日のものが何件、何人分あるのか、こういうことをまず調査していただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

柳澤国務大臣 長妻委員は、この年金記録の問題につきまして、非常によく丹念にいろいろな問題点をお調べになって今日まで至ったことについては、私は率直に言って敬意と感謝を申し上げております。これは委員会でも同じです。

 ただし、余りに政治的な文言を使用されまして国民の年金に対する不安をあおる、そういうことについては、これはお互い、年金などという問題は、年金の実体の改革をしたときもそうなんですけれども、与野党一緒になってやりましょう、スウェーデンの例もそうです。

 ですから、本問題につきましても、消えた年金記録というようなことで……(発言する者あり)

金子委員長 お静かに願います。

柳澤国務大臣 いきなり切り出されるということではなくて、その後に続いた……(発言する者あり)

金子委員長 お静かに願います。

柳澤国務大臣 委員の表現の方でぜひ御議論を賜りたい、まずそのことを申し上げておきます。

 どうして五千万件が生まれたかということは、もう長妻委員は非常によく御存じなんですけれども、テレビをごらんになっている皆さんは、五千万件もどうして迷子になっちゃったんだろう、こういうように思われますので、そのことをちょっとだけ御説明させていただきますと、委員もよく御存じのように、平成九年一月に基礎年金番号というものを皆さんに振らせていただいた、付番をさせていただいたということがございました。その基礎年金番号というのは、そのときに現に加入している年金、これに振らせていただいたわけでございます。国民年金の場合には国民年金の付番そのものを基礎年金番号とさせていただきました。

 そういうことで、厚生年金も同じでございます、船員年金も同じでございますが、共済だけはけた数が違いますから全く新しい基礎年金番号を付番させていただいた。したがって、そのときに現に加入していたのではない、昔一度加入したことがある、そういうものについては付番が行われませんでした。したがって、それがそのままこの社会保険庁の記録の中に存在しているということです。

 ですから、本当は、それを今この付番をした基礎年金番号に統合するという課題が残っているわけですけれども、これがなかなか、時間がかかって困難である。そういうことで、これについては、皆さんから、自分の年金記録はこうやってもらっているけれどもちょっと不審な点があるな、あるいは、自分はこういう記録に基づいて年金を支給されているけれどもどこか欠けたところがあるんじゃないかと思う方は、ぜひ我々の方に申し出ていただきたい。それは、もともとが……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に願います。

柳澤国務大臣 この年金というものが……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に。

柳澤国務大臣 社会保険方式で行われていたというようなこともありまして、そういう仕組みに、申請主義という法的な仕組みのもとにありますし、実は、我が方で統合をして……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に。

柳澤国務大臣 それで、皆さん、こうではないでしょうかということを基礎年金番号を付番したときやったんです。やったんですけれども、我々が目見当をつけて統合をしてやったもののうち三百件以上について、実はそれは私のものではありません、私はほかには年金を持っておりませんという御返事までいただいた、そういう実績がありますから、やはり基本的に、ぜひお申し出をいただきたい、こういうことであるわけでございまして、五千九十五万件は決して消えておりません。社会保険庁の記録の中にきちんと、むしろ基礎年金番号と同じ仕組みの中で、オンライン化の中でこれが記録をされているということでございますから、おいおい、これについては御議論の上、我々のこれに対する対処、対応策というものもお話し申し上げたいと思います。

長妻委員 今、決して消えていないということを言われましたけれども、柳澤大臣、誤解を生む発言はいけませんよ。消えた記録あるじゃないですか。領収書を持っていて、しかし社会保険庁の中には全く記録がない、こういう消えた事実があるじゃないですか。これは社会保険庁も認めているわけですよ。それは誤解を生みます。

 そして、今ちょっと大臣の変な発言を聞いて、私は被害者救済をしたいだけなんですよ。それで質問しているんですよ。何か与野党が何とかとか今言われましたけれども、与野党を超えた話ですよ、これは。別に対決する話じゃないんですよ。

 今、皆様方から不審な点があるんならお申し出ください、こういうふうに言われましたね。今回の問題の非常に大きな点は、潜在的被害者、つまり自分が被害者だと気づいていない方もいらっしゃるんですよ。つまり、三千万人の年金受給者の方々のうち、いや、自分は金額はこのぐらいだろうなということで、問題ないだろうなということでもらい続けている。つまり、納付記録の漏れがあるとはつゆ知らずにもらい続けている。過去、それで亡くなった方もいらっしゃるかもしれない。こういう、疑問を持っていない方は行きようがないじゃないですか。社会保険庁に申し出しようがないじゃないですか、自分の記録がおかしいから、年金額が少ないからということで。

 そういう意味では、政府が進んでやることがあるということを私は質問しているんです、大臣。私、これは本当に不思議なんですよ。この三千万人、今年金を受給されている方のうち、本当はもうちょっと金額が多いんではないかという方、こういう被害者がいると大臣は国会で答弁されたんですよ、私の質問に。そういう被害者がいる可能性があるというのは、大臣は五月十六日の厚生労働委員会で御答弁されているんですよ、そういう可能性もございますということで。この三千万人の中で、本当はもうちょっと年金をもらえるのに、記録が統合されていないから少ない方がいらっしゃるんじゃないかと。

 そうすると、被害者がいる可能性があると最高責任者が認めている、それで五千万件の名前と生年月日と性別、ほとんどわかっていれば、統合するというか照合してくださいよ。これは何件あるのか、ここと三千万人とダブっている、今の三つの情報が。その件数、まず調べてくださいよ。何で調べないんですか。

 これは総理にちょっとお伺いしたいんです。

 大臣は先週の厚生労働委員会でも、調べない、調べない、文句があったら言いに来いというような趣旨の話を言われているんですが、安倍総理、いかがですか。何件あるのか、総理にお伺いします。

柳澤国務大臣 一億百五十六万件を我々が付番させていただいたときに、そういう、もう一つお持ちでないでしょうか、それから、我々の方で調べて、まさに今委員が提案されているように三要件、氏名、それから年齢、生年月日ですね、それから性別、この三要件がぱっちり一致したものについては統合を仮にして起きた、これが九百二万件あった。それを、皆さんどうでしょうかということを言ったら、先ほど言ったように、三百万件以上が、我々はほかに年金を持っておりません、こういう御回答をいただいたということでございます。

 したがいまして、我々は、やはり最終的には、我々だけが統合をして、我々の方で名簿の統合をして、それで支給に直結させるということはできないんです、これは。危ないです。やはり本人の確認が要るということは長妻委員も認められるでしょう。認められるでしょう。

 ですから、本人の確認を求めて、今度も我々としては、受給権者についても、六月に行われる我々の一年一回の振りかえ通知に、我々はきちっと、あなた方の年齢層に属する皆さんについても、このくらい実は未統合のいわば口座がありますよ、番号がありますよ、ぜひ、御自身を顧みられてチェックをしてくださいということを呼びかけるわけです。

 そこで、長妻委員も御提案でございまして、我々も……(発言する者あり)

金子委員長 答弁中です。答弁中ですから。

柳澤国務大臣 我々も、一億百五十六万のときに、九百二万件につきましてこれはやったことがあるんです。これがそのときの呼びかけです。(発言する者あり)

金子委員長 今、答弁中ですから。

柳澤国務大臣 ですから、いいですか、長妻委員に申し上げますが、私どもは、本人がそういうことを最終的に申し出ていただかない限りは、統合は最終的にできない、統合を年金給付に結びつけることはできない。ですから……(長妻委員「件数を調べてくださいということなんです」と呼ぶ)件数を、そういうマクロ的な観察をしてみても、それは給付には結びつかないんです。

 ですから、私は、あくまでも当事者からお申し出があって、それをチェックして、そうしてやるということ、支給に結びつけるということを考えておりますが……(発言する者あり)

金子委員長 答弁中ですから、理事は戻ってください。

柳澤国務大臣 さらに、今度、振りかえ通知……(長妻委員「これは質疑妨害ですよ」と呼ぶ)いや、ちょっと、では、長妻委員も、最終的には個人の申し出、確認の申し出でなければこの支給は動かないということはお認めになられるでしょうか。(長妻委員「なりません」と呼ぶ)とてもどうしようもない。(発言する者あり)

金子委員長 お静かに願います。

安倍内閣総理大臣 ただいま厚生労働大臣の方から、事務を担当する大臣として現実について御説明をさせていただいた、このように思います。

 受給者の方々については、振り込み通知書を出すときにおいて、これは確認をしていただきたいという呼びかけも広く行っているわけでございます。もちろん、これからいわゆる裁定を受けて年金を給付される方々、現在の段階では被保険者の方々については、これは五十八歳でいわば通知が行きますし、五十五歳で行く。将来は、三十五歳、四十五歳という段階において確認の通知が行くわけであります。

 そこで、今、長妻議員からもいろいろとお話がございました。やはり国民の皆様に不安を与えてはならない、私はこのように思うわけでありまして……(発言する者あり)ちょっと、今私が答えておりますから、最後まで聞いてください。国民の皆様に不安を与えてはいけない、国民の皆様の不安を解消するための努力はしなければいけない、こう私も考えているわけでございます。そのための工夫を行いながら、やはり一層厚労省にも努力をさせたい、このように思っているところでございます。

長妻委員 いや、私は被害者の方を救済したいだけなんですよ。そういう趣旨で質問しているんですよ。

 つまり、今、柳澤大臣も言われましたけれども、三千万人の受給者の方がいらっしゃる。そして、その三つの情報が同じもの、五千万件探して一人一人に確認するんですよ、直接結びつけないで。こちらからですよ、政府から確認するんですよ。

 つまり、例えば、ヤマダヒロシさんとかそういう方がいらっしゃる、そして生年月日と性別が合った、この受給者のヤマダヒロシさんと五千万件の記録が。そうしましたら、そのヤマダヒロシさんという方に、あなた様は昭和四十年の何月から○○株式会社にいて、年金を払っておられたんじゃないですか、あるいは昭和五十年の何月何日から年金を払っておられたんじゃないんですか、ひょっとしたら漏れておられるんじゃないですか、こういうことを工夫して聞いて、裏づけをとって、相手の方と、相手が確認できれば結びつけていく。社会保険庁から働きかけることもできるわけですよ。

 何で、疑問があれば言いに来いということなんですか。この三千万人の方は、ほとんどが、多分、疑問をお持ちになっていない方も多いと思いますよ。既にもらっておられる。しかし、一時期払ったことを御本人も忘れている、そういう方のために今のような方策をすることをなぜ、素朴な疑問として、政府はやられないのか。

 こういうこと、自民党の皆さんはどう思いますか、やるべきじゃないですかね。(発言する者あり)いや、さっきから何か、やるなやるなというやじが飛んでいますけれども、これは与野党を超えてですよ。与党と野党を超えて被害者の救済策を提言して、ぜひやってほしいということを申し上げているんですよ。

 そして、もう一つ。実は今、六十五歳以上で四十万人の方々が二十五年に満たない。つまり、日本には二十五年ルールというのがあるんです。これは、世界の国にはこんな厳しいルールはありませんが、つまり、厚生年金、国民年金合わせて延べで二十五年以上保険料を払わないと、保険料を没収された上、一銭も給付がない、こういう制度があるんです、日本には。そういう二十五年に満たない方々が六十五歳以上で四十万人、払ったけれども一銭ももらえない方。ひょっとすると、その四十万人の方々にも、こういう統合漏れの記録があって、統合したら、ひょっとしたら二十五年を超えて、受給ができる、こういう方もいらっしゃるかもしれないじゃないですか。

 そういう意味でも、四十万人の今の二十五年に満たない方の名前と生年月日と性別、これと合致する五千万件の記録を抽出する、何件あるのか、そして政府がみずからそういう方々にお尋ねをする、こういうことはやってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがでございますか。

柳澤国務大臣 長妻委員の御発言、微妙に少しずつちょっと中身が変わる、我々の事務処理の観点からすると変わることがあるものですから、私もちょっと答弁に戸惑うわけでございますけれども、私どもも長妻委員と全く同じなんです。ですから……(長妻委員「四十万人の件」と呼ぶ)いえ、そうではなくて、その前の基本的な問題ですけれども。

 長妻委員は、五千万件の記録をそのまま相手方に教えてやったらどうだ、何年何月からこういう会社に勤めていたんではないかというところまでお行きになるわけですけれども、私どもとしては、それはやはり後々また混乱が起こってくる懸念がある。

 実際に私どもは、同姓同名、同じ会社に勤めていた人がおりまして、それを統合してしまいまして……(発言する者あり)

金子委員長 御静粛に願います。

柳澤国務大臣 後で、それがいわば間違った統合だということも発見したという事務処理上の事例もございます。

 そういうことで、私どもとして、特に今委員の、最終的には本人が確認しなければ給付に結びつかないということはお認めいただきましたので、そういう前提で、私どもがこちらから、あなたは、今回我々、特別の調査をしましたら、やはりまだ統合漏れの可能性がありますというようなことをお知らせするということは、これから統合をしていく、仮に統合することにもやはり予算とそれから手間はかかりますけれども、そういうことを今回の振り込みの通知書に加えて、そういう方々に準備ができ次第やっていくということについては、私どもも検討してみたい。このように総理も今、非常に工夫をしろ、こういうおっしゃり方ですから、それも申し上げます。

 その結果、四十万件のことについても自然に、ボーダーラインでわずかに足らなかったけれども、それが統合漏れのものを加えることによって、これは客観的に真正なものでなければいけませんが、そういうことによって二十五年の受給条件が満たされるということもあり得ますから、そういうことで我々は工夫してまいりたいと思いますが、その場合でも、やはり基本的には、相手方から最終的なもの……(長妻委員「いや、こちらから」と呼ぶ)我々もそういう働きかけをしますが、最終的にはやはり本人がお申し出をすることによって、突合を念入りに、丁寧にやることによって、真正でなければいけませんので、そういう手続をとらせていただくということを前提にそういうことを検討してみたいということを申し上げます。

長妻委員 ぜひやっていただきたいと思います。大臣、この件数もきちっと発表してください。公明正大に、国民の皆さんにわかりやすいように件数も発表した上で、個々の抽出をして統合するということをお約束されたと私は認識をしております。

 そして、もう一点。今申し上げたのは統合漏れの話ですけれども、消えた年金の記録、これをどう救済するか、消えてしまった、これにテーマを移します。(発言する者あり)

 今、自民党の方が本当に消えたのかと言われましたが、社会保険庁が、狭い期間で確認しただけでも五十五件消えたというのは認めているんですよ。そういうやじを飛ばさないでください。知識がわからないで、消えていないとか、そういうことを言わないでください、まじめに質問しているんですから。

 そういう消えた年金記録をどうやって回復するのか、まずこういうことの一つの提言を申し上げます。

 これは、昭和五十九年前後に年金事務が全面的にコンピューターシステムになりました。そのときに、これまでは厚生年金の年金の保険料の受け入れ、この納付記録は手書きでした。名簿とか原票とか言われるものに手書きであります。国民年金はといいますと、これも手書き台帳ということで、手書きの納付記録がありました。この膨大な手書きのデータをコンピューターに全部入力したんですよ。そのときに、私が聞くところによると、ダブルチェックをしていなかったり、いろいろ資料が散逸したり、余りきちっと入力がされていなかったんじゃないのか、入力漏れがあるんじゃないのかと。ここで消える、こういうことが発生したのではないかということも大きな原因じゃないかと思うわけであります。

 そこで、私、社会保険庁の態度で驚いたのは、せっかくこういう手書き台帳があるにもかかわらず、ほとんどの手書き台帳は捨てちゃっているんですね、社会保険庁。御丁寧にこういう通知を出して、昭和六十年九月の通知で、コンピューターに入力したらば国民年金の普通台帳は捨てていいよと。もうさかのぼって確認できない。

 しかし、一部の国民年金の特殊台帳と言われるものはマイクロフィルムで保管されております。厚生年金の手書き台帳はすべてマイクロフィルムで保管されているということでございます。そして、地方自治体、市区町村が集めていた年金の手書きの納付記録、これは被保険者名簿ということで、かなり多くの市町村、捨ててしまったところもあるんですけれども、保管している。ですから、本来はそういう手書きの台帳とコンピューターのデータが全く同じじゃなきゃいけないんだけれどもそれが違うという事例も、我々の調査要求で社会保険庁はあると、十一件あるということを認められました。

 これは私は氷山のほんのほんの一角だというふうに思いますので、すべての手書き台帳とコンピューターの中身を照合して、入力漏れがあればコンピューターの中を正確なものに正していく、せめてこのぐらいはやっていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。

柳澤国務大臣 今委員が言われたように、平成四十年代に入りまして、国民年金それから厚生年金ともに、コンピューター化というか、オンラインで管理をしなければ、先ほど言ったようにいろいろな年金に入っていらっしゃる方がいますから、統一的な管理ができないということで、そういうオンライン化をいたしたわけでございます。

 そのときに、今委員はいかにもこれが粗雑に行われたということでございますが、私が聞いている限りでは、これは一回、二回、三回、四回、国民年金においてはそういう関所があった。それから、厚生年金においても同じような関所がありまして、そういうことでチェックをされているということでございます。

 そういうことではありますが、今委員が言われるように、五十五件、それに初めて市町村の台帳で見つかったものが十一件とおっしゃられたでしょうか、そういうようなことでございますが、これは百万件からのお話の中で八十四件、特に御自身で領収書を持っておられた、御自身の方で客観的な資料を持っておられたということの中で確認ができたという件数でございまして、そういう意味合いでは、これは決して私も自慢しようとか胸を張ろうとかというような気持ちはないのでございますけれども、コンピューター化をするときにそういう転記ミスが生じたのかな、こういうように思っております。

 こういうことは、今も委員もお認めになられましたように、厚生年金についてはマイクロが残っている、それから国民年金については、そういうものは基本的には廃棄して、特殊台帳と称して、非常に納付の記録に穴ぼこがあるというようなものについては、これはコンピューター化をするに当たってもよくよく注意をしなきゃいけないということで、マイクロフィルムにそれも撮ってある、こういう処理をいたしたわけでありまして……(長妻委員「照合しなさい」と呼ぶ)照合をするといっても、結局においては一部ということになってしまうわけでありまして、なくなったものもありますから。

 そういう意味合いでございますので、基本的に、我々はこの問題については、先ほど来申し上げておるように、五十八歳通知であるとか、あるいはこれから四十五歳であるとか、そういうことで年金の加入履歴というものをしっかり皆さんにお知らせしますので、それとチェックをされて申し出をいただく、そういうことによって我々は年金の給付に結びつけていく、それしかない、こういうように考えているということでございます。

長妻委員 いや、これ、持ち時間が少ないですから、委員長、答弁を短くさせてください。これは議事妨害ですよ。答えておられないんですよ。

 結局、これは先週の厚生労働委員会でもそうでしたけれども、サンプル調査もしないと。つまり、手書きの……(柳澤国務大臣「意味がない」と呼ぶ)意味がないと今大臣言われましたね。何でないんですか。手書きの台帳とコンピューターの中身が違っている事実が判明したんですよ。それで多くの被害者の方がおられる可能性があるんですよ。では、どのぐらい、数万件調査をして、間違った比率がかなりあれば全件をやるとか、そういうことも検討しない、しないと首を横に振っておられますけれども、本当にとんでもない話。

 今も誤解を生むような発言を大臣はされました。百万人の受け付けで、たった八十四人が領収書を持っていて、それで変更したんだと。消えたのはたった八十四人だというような趣旨の答弁がありましたけれども、それは間違いですよ。つまり、比率にして百三十人に一人しか領収書を持っていなかったんですよ。八十四人の人は、昭和四十年代、五十年代の領収書をたまたま持っていたから回復されたんですよ。その陰で、百三十人に一人当たり、つまり、実際には一万八百五十八人に対しては証拠がないから帰れということになったわけですよ。ですから、その方だって消えているかもしれないじゃないですか。少ない、少ないということを余り意図的に言わないでいただきたいと思うんです。

 そして、これ、ぜひ安倍総理にもお伺いしたいんですが、せめて手書きの台帳とコンピューターのデータを抜けているのか抜けていないのか照合して、コンピューターの中のデータを正しいものに直す、これをぜひ指示していただきたいんですが、ぜひお願いします。

 いや、ちょっと待ってください。これはもう先ほど、時間があと一分しかありませんから、総理、お願いします。もうさっき答弁、いや、総理です、総理です。では、時計をとめてください。(柳澤国務大臣「委員長、先にちょっと答弁します」と呼ぶ)

金子委員長 では、柳澤大臣、簡潔に頼みます。(長妻委員「いや、ちょっと待ってください。総理、答弁してください。これは大事なことなんですよ、被害者救済の」と呼ぶ)

 柳澤厚生大臣、簡潔に答弁してください。簡潔にお願いします。

柳澤国務大臣 簡潔にお話し申し上げますが、今長妻委員が認められておりますように、コンピューター化をしたときの転記ミスというものを見つけるのは、結局、その前の段階の台帳が残っていなければならないわけですが、御自身が認められたように、国民年金についてはほとんどがもう廃棄をしろということで……(長妻委員「捨てることを自慢しないでください」と呼ぶ)いや、自慢はしていません。廃棄をいたしたわけでございます。

 そういうことからいって、結局、これは悉皆でなければ意味がない。すべて、全員が、一人一人についてきちっと支給に結びつけなければ、これはかえって信頼を失うし、国民の皆さんの期待に応じられないということでございますので、こういう機会を通じて、やはり年金については個別に申し出ていただくということで、我々は本当に丁寧に調べるつもりですので、そのことをぜひお願いしたいということでございます。

安倍内閣総理大臣 いずれにいたしましても、そうした間違いを精査していくことによって、これは給付と結びつかなければ意味がない、そういう趣旨のことを今柳澤大臣が申し上げていたわけでございます。

 社会保険庁では、昨年来、年金の記録相談の特別強化体制をとっています。年金記録の確認を幅広く国民の皆様に呼びかけています。まずは、御懸念のある方から、確認の申し出に対して一つ一つこれは丁寧に対応をしていくことが大切であろう、このように思うわけでございまして……(発言する者あり)

金子委員長 答弁中です。御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 こうして社会保険庁において一人一人丁寧に対応しながら、そして、それが国民の皆様にとっての御懸念を払拭し、あるいはまた、これが将来の給付に結びついていくように、我々もそうした懸念に対して対応していかなければならない、このように考えております。

長妻委員 いや、私、きょうは本当に質疑に期待して参ったんですが、本当にがっかりします。

 今でも与党は、年金百年安心プランという旗を掲げておられますよね。これで本当にいいんですか、安心なんですか。銀行だったらば、一人でも預金が消えていたら、その銀行は業務停止じゃないでしょうか。何で、社会保険庁みずから調査をして、国民の皆さんに個別に、こういう抜けがありませんか、あなた様のこういう記録はどうですかということをやらないのか、そして、手書き台帳とコンピューターデータを照合しないのか、こういうことを私は言いたいわけです。

 今の姿勢は、国民の皆様方に、文句があるなら来てください、そうしたら調べないことはないという姿勢なんです。こういうことでは、これからのきちっとした社会保険庁改革だって、私は逃げ切りだと思いますよ、政府は。特殊法人にして逃げ切る、こういうことにならないように、ぜひ皆様方の努力をお願いしたいんです。我々は、引き続きこれからも被害者救済に全力で取り組んでまいりますので、あきらめません。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて高山君、岡田君、長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東委員 公明党の東順治でございます。

 私の方は、先ほど岡田委員も取り上げましたけれども、今回の資金管理団体の質問を中心に、政治資金規正法改正のあり方というところの議論を行いたい、このように思います。

 さて、先ほどから、政治資金の問題で資金管理団体の特徴という話がるるございました。確かに、一つしかその議員が持てない、あるいは政治家個人の政治資金を集中して取り扱わせるために特例を設けられている等々で、いわば政治資金を受けるために政治家が指定する団体であって政治家と一体的な政治団体である、ここが非常に重要なわけでございます。

 今回いろいろと問題になりました事柄も、いわば、この資金管理団体の経常経費における事務所費あるいはまた光熱水費というところから惹起した問題でございまして、先ほど岡田さんから、資金管理団体だけに特化して領収書を添付というふうになってしまうとざる法だとか、その他の政治団体には全然それが及ばないからどうだといういろいろな発言がございましたけれども、私は、これは言い過ぎだというふうに思います。

 まずは、今回、与党でどのような改正ということで議論を進めてきたかということを御説明したいために、ちょっとパネルを使って説明を申し上げます。

 これは、資金管理団体収支報告書における収支の項目の分類でございます。ちょっと内訳のところが細かくなり過ぎて恐縮でございますけれども、要するに、このブルーの色で書かれているところが資金管理団体の政治活動費のフィールドです。この白のところが経常経費でございます。

 政治活動費には、組織活動費、選挙関係費、機関紙誌の発行その他の事業費、調査研究費、寄附・交付金、その他の経費、こうございます。ここには、それぞれの項目別の金額を記載しなければならない、なおかつ、一件五万円以上のものについては、支出先の氏名、住所、支出の目的、金額、年月日を記入しなければならない、現行法でこうなっています。そして、それにはなお、一件五万円以上のものは領収書を添付する必要あり、こういうふうになっております。

 さて、では経常経費はどうだろうか。経常経費の方は、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費と四つの項目がございます。四つの項目がありまして、ここは、記載形式として、項目別の金額を記載するのみでよい。つまり、一件五万円以上についての支出先の氏名や住所、支出の目的、金額等々というよりも、項目別の金額を記載すればよい、そして、領収書の添付の義務はない、不要である、こういうふうになっているわけでございます。

 そもそも、今回いろいろと問題になりました事柄は、この政治活動費のフィールドにおいてさまざま行う、例えば、ここの組織活動費のところに組織対策費とか渉外費とか交際費等々ございますが、こういうような政治活動費というものは、月々その活動の内容によって、大きく支出が出たり小さくなったり、支出に大きな変動がある。ところが、経常経費というのは、これはもう読んで字のごとし、常日ごろ毎月どのぐらいお金が出ているか。つまり、資金管理団体を運営していく人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費ですから、これは出ていくお金にそんなに大きな動きはない。だから経常経費というんだ。当然のごとく、そういうものに領収書は要らないということでずっと来たわけでございます。

 今回の問題は、実は政治活動費のところで、五万円以上は、領収書を添付して、支出したということをきちんと届け出なきゃいけないものが、なかなかそうできずに、ひょっとして、経常経費の方は領収書を添付する必要がないから、事務所費とかあるいは光熱水費、こういったところに流れていってしまっているのではないかというところから今回の問題になった、このように私は承知をいたしております。

 したがって、そこから、結局、そういうふうなお金の動き方であれば、普通考えられないことなんだけれども、もしそういうことがあるということの疑義が生じているのであれば、それではこの経常経費のところも五万円以上の領収書添付義務をきちんとつけようではないか、そして、支出先の氏名、住所、支出の目的、金額、年月日を記入しようじゃないか、つまり、この経常経費のところも青色に全部塗ってしまおうではないかというのが、一つ与党の中でまとめた考え方でございます。

 もう一つは、先ほど出ました不動産というものをぜひ禁止すべきであるという、この二つが与党案の大きな骨組みでございます。

 そこで、先ほど岡田さんは、資金管理団体だけに特化して経常経費、領収書添付義務をつけるんだったら、他の政治団体にどんどん抜けていってざる法になるんじゃないかというようなことで安倍総理とも、安倍総理は、いやいや、主たる資金管理団体の、これを見てもらったらわかるように、ここは主たる団体ですと、こういうやりとりがございました。

 総務省に伺いたい。今の日本の政治団体の数、その種類、こういうものはどうなっていますか。

久元政府参考人 平成十七年末の政治団体は七万百三十三というふうになっております。その内訳は、政党本部が八、政党支部が八千六百十八、政治資金団体が四、その他の政治団体は六万一千五百三というふうになっております。そして、このその他の政治団体の中に資金管理団体が含まれるわけでありますが、その数は一万一千六百十五ということになっております。

 したがいまして、その他の政治団体で資金管理団体以外のものは約五万あるわけでありますが、これらの中には、いわゆる政治結社、あるいは職種、業種関連の政治連盟ですとか労働組合等が関連する政治団体含め、さまざまな性格の政治団体が存在しているというふうに考えております。

東委員 まさに今、およそ七万の日本にある政治団体の種類別の内訳がございましたが、ここで私申し上げたいのは、先ほども少し議論になっていましたが、政党というものは、監査だとか公認会計士、さまざまな形できちっとチェックが働いている。政党支部もいわばその政党のコントロール下にあるわけですから、当然のごとく、政党としての責任がそこに生ずるわけですから、きちんと内部監査なりなんなりの体制というものができている。

 政治資金団体というのがありますね。これは、いわゆる各党がそれぞれ持っている団体でございます。例えば、自民党であれば国民政治協会、公明党であれば公明文化協会、こういうものが四つある。ここまではわかります。これらを足して八千六百三十。

 問題は、そのほかなんですね。つまり、先ほども説明がありましたように、その他の政治団体として六万一千五百三ある。うち、資金管理団体が一万一千六百十五。

 今回の問題は、あり得べきことではない、経常経費というところがひょっとして政治活動のフィールドという形で流し込まれているのではないかという、普通考えられない事柄が起こったわけで、それで、そこが心配ならば、経常経費も、性質上、本来は領収書は要らないんだけれども、ここはつけるようにしましょうということにしたんです。

 それで、いわゆる資金管理団体は政治家と一体性が強くて、政治家がいわばいろいろな特典というものもあり、一体性が強いゆえで資金管理団体はそれでもわかりますが、その他の政治団体、つまり、全体の政治団体から資金管理団体を引くと約五万のその他の政治団体がある、このその他の政治団体にもすべて経常経費に領収書添付というのは、これはどういう話なんだ。これは大変に混乱すると思いますよ。

 例えば、その他の政治団体で、今、政治結社等の主義主張団体、日本にたくさんあります。八百以上ありますよ、そういうもので。あるいはまた、業界団体の全国的な政治連盟、日本医師連盟とか日本看護連盟とか全国石油政治連盟とか全国たばこ販売政治連盟等々、総務省に対する届け出分だけでもたくさんございます。あるいはまた、労働組合関係の政治活動委員会、例えば、電機連合政治活動委員会、全トヨタ政治活動委員会、NEC労連政治活動委員会、ヤマダ電機グループ未来を考える会等々、ずうっとあるわけです。それらを全部ひっくるめて、およそ五万あるわけです。

 こういうところに、ほとんどの政治家はまじめに一生懸命頑張っているんだけれども、ごく一部のところから問題が惹起して、やはり政治は常に国民が監視し続けなければならないという、それが政治ですから、国民がそこに対して大変な不安を持ち、あるいは疑義を持っているんだったら、必要ない領収書なんだけれどもあえて経常経費というところに、必要ないんだけれどもあえてつけましょうという、それで資金管理団体はつけた。それが他の政治団体全部に及んでいくということになってしまうと、事務的処理の問題やさまざまな問題を惹起して、いわば、言葉は適切かどうかわかりませんけれども、はた迷惑的なことになっちゃうわけですね。

 そういうことから考えまして、一つは、資金管理団体の経常経費のところに五万円以上の領収書添付義務ということで我々は考えたわけでございまして、それをざる法とか抜け道とか、そういう言い方で言われるのは大変心外だというふうに思います。

 それから、もう一点でございますけれども、先ほどの岡田委員の質疑の中で、民主党さんがよく、一万円以上だ一万円以上だ、こうおっしゃいます。しかし、先ほど、この一万円に対する言及がありませんでした。一万円以上という言及がない。世の中は、民主党さんがそういう問題提起をするものだから、五万円以上がいいのか一万円以上がいいのか、こういうことに議論がなっているわけです。ここもはっきりさせなきゃいけない。

 そこで、我が国の政治団体、つまり、資金管理団体も含め、すべての政治活動について五万円以上の領収書添付義務ということが今なされているんですけれども、その根拠というものを総務省に伺いたいと思います。

久元政府参考人 昭和二十三年に政治資金規正法が制定されたわけでありますが、このとき以来、原則として一件千円以上のすべての支出について明細の報告が義務づけられていたところであります。

 その後、いろいろな議論がありまして、昭和五十年の法改正におきまして、一方で寄附の量的制限の導入などといった規制の強化をする、その一方で収支公開制度の合理化を図る、こういう観点から、経常経費以外の支出で一件一万円以上のものについて、明細の報告の対象とするとともに、領収書等の写しの添付が義務づけられたというふうになっております。

 これは、第五次選挙制度審議会の答申を受けたものでありまして、経常経費を除いたという趣旨は、この分野の経費についてまで明細の報告をさせることは、政治団体に過大な事務負担がかかる一方で効果が薄い、こういった趣旨の議論が行われております。

 さらに、昭和五十五年の改正におきましては、政治家個人の政治資金について報告義務を課すといった規制の強化を図った上で、当時の物価上昇、また報告義務者の事務負担などを勘案して、支出の明細の報告基準が一件一万円から五万円に引き上げられて今日に至っているということでございます。

東委員 こういう経緯があるんですね。一万円であれば多大な事務負担の割に効果が薄い、それから、昭和五十年に比べて五十五年段階で物価も大分変わってきた、ここで五万円に改正をしましょう、こういう経緯があってなされているわけです。

 しかも、政党交付金の方も、一件五万円以上の領収書添付義務になっていますね、支出。これは、政党交付金という制度が導入されたのが平成六年、まさに細川内閣のときでございます。日本列島が大変政治に熱い熱い関心を持ってヒートアイランド現象みたいな感じになる、そういうさなかで導入されたのが政党交付金制度。そこに一件五万円以上の領収書の添付義務、こうなされた。

 私、調べてみました。平成六年の一月二十九日、賛成多数により衆議院本会議及び参議院本会議通過、可決成立となっている。そのときの賛成は、いわゆる細川内閣の連立与党と、自由民主党、当時は野党でございましたね。連立与党と自由民主党が賛成をし、反対は共産党のみなんです。つまり、当時いろいろ会派が動いていましたけれども、共産党の皆さんを除いて全議員の総意でもって五万円以上ということが可決されている。しかも、日本列島が、政治が大変注目されていた、細川内閣の支持率が八〇%台、そういうときですから。

 こういう論拠があり、こういう経緯があり、そして今、五万円以上の領収書添付ということが、政治活動にはすべて添付義務になっている。その五万円を経常経費にも、本当は必要ないんだけれども、そこまでの疑義が出てきているんだから、経常経費にも五万円をつけましょう、こういうことなんです。

 だから、民主党の一万円なんて何の根拠もない。そうじゃありませんか。そういうことなんですよ。だから、余り感情的にならずに、冷静にきちんと経緯を踏まえてやらなきゃいけないというふうに思います。

 それから、先ほどから出ました不動産の所有の禁止、これは後で自民党さんもお触れになるみたいですが、これは民主党の小沢代表から惹起した問題ですね。

 先ほどもるる発言があっていましたけれども、要するに、個人資産になってしまうんではないか、あるいは投機目的で使おうとしてしまうんではないか、そういう甘い誘惑みたいなものが常にあるのが不動産。だから、何で政治家の資金管理団体の名のもとに資金管理団体が不動産というものを所有しなきゃいけないんだ、所有することそれ自体でも、国民から、大丈夫か、投資目的に使うんじゃないか、個人資産にするんじゃないかという疑義が生ずるわけですから、そういう疑義が生ずるものは、もう最初から不動産は所有禁止、こうすべきである、こういうふうに言っているわけでございます。

 これから私どもが法案をつくり、提出をし、そして委員会で議論になったときに大いにこの議論を闘わせたいと思いますが、そういう基本であるということでございます。

 総理、以上のやりとりを聞いておられて、見ておられて、今の所感をぜひ伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま、政治資金規正法の改正案、与党案について、大変論点をわかりやすく整理していただいた、このように思います。

 政治資金規正法については、やはり成り立ちにおいていろいろな経緯があるわけであります。その時々の問題点、国民の指摘と同時に、実際に政治活動をしている中においての現状等についてのさまざまな議論がなされた後に成立をして、そういう経緯をたどって今日に至っている。

 でありますからこそ、やはり、さらにこれを変えていくというときには、経緯にもしっかりと我々目配りをしながら、よくその経緯も認識をしながら、そしてさらには、国民の声を真摯に受け、透明性をさらに高めていくという努力の中で、また政治活動の自由ということも勘案をしながら前進をさせていくということが大切だろう、このように思うわけでございます。

 そういう中におきまして、今回の与党の案におきましては、まさに発端は政治資金管理団体であった、そしてその事務所費の使い方に問題があった、これをやはり政治活動費と同じように五万円にしよう、そしてこの五万円には、かつて、今までの中で十分に根拠のある額である、こういうことではないか。そしてさらには、やはり何といっても不動産は、個人のものになっていくという可能性もあるし、そして投機になっていく、そういうことから禁止をすることが望ましい。私は、極めて妥当な案ではないか、このような思いを強くしたところでございます。

東委員 今回、与党内でこういう案をまとめるに至るまで、私どもがこの五万円以上の領収書添付義務ということを提案させていただき、まあ本当に、正直申し上げて、激しいやりとりもございました。しかし、そういう中で、やはり理は落ちつくところに落ちつくと申しますか、自民党さんもよく私どもの提案を研究されて、そしてまたいろいろと議論していく中で、このようにいたしましょうという落ちつきになったわけでございまして、私どもは、この政治とお金というのは与党、野党ということはないと思います。政治家とお金の問題ですから、これは与党であろうと野党であろうと、きちんと理を踏まえて、やるべきことをきちんとやっていくということでございます。

 ということで、きょうは理の上で申し上げさせていただいた次第でございます。今国会でぜひともこの改正案が成立しますように、精力的に私どもも努力していく覚悟をお約束いたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、細田博之君。

細田委員 きょうは政治資金等についての審議ということでございますが、私の後、松浪健太議員が不動産取得その他、やや詳細な質問をすることになっております。

 私としては、党内で、石原伸晃本部長のもとで、長野県選出の後藤茂之君がコンプライアンスの委員長として、私も常時参加して、十回にわたってこの政治資金規正法改革に携わってまいりました。そうして、公明党と、今の東議員と最終的な調整を経た上、今週末にも議員立法を提出する。内容的には、私はしっかりした内容であると確信しております。不動産については、これまで疑義がありましたので、さまざまな事情はありますが、やはりこれは改革をきちっとしよう。それから、事務経費等についてはさらに詳細にしていこう。

 私は、自由民主党の経理局長という立場で、さまざまな企業献金のあり方、それから政治資金団体のあり方等についても仕事をしておりますが、細川内閣のときの政治改革、そして政党交付金制度、小選挙区制の導入、そして透明化、ありとあらゆるあの改革は、基本的に非常にすぐれた改革であると確信しておりますし、今それは機能しております。

 ただ、その後、ことしに至りましてさまざまな問題が発生し、国民から、さらにその点をきちっとせいということでございますので、私ども自由民主党としても、詳細に内容を詰めて、しっかりとした内容の法案を提出いたしますので、また別途委員会での御審議をお願いしたい、資金問題については、このことをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、現在、ちょっと話題はかわりますが、天皇陛下が北欧、バルト三国、スウェーデン、ロンドンを御訪問中でございますが、非常に首脳外交は大事なことでございます。

 総理もこの八カ月間で、外国の首脳、総理大臣とか国王とか大統領とかそういう方々との会談は、国内に来られた方が二十九カ国、国外で会談した方の数が十九カ国、国内でも海外でも要人と会談をされた数、重複が五カ国、中国とか韓国とかその他ありますので、そういうものを除きますと四十三カ国。八カ月といえば二百四十日でございますけれども、本当に連日のように首脳会談をやられるということは、大変大事なことであると思います。

 この間も、日米首脳会談、そして産油国を訪問されましたね。私は一年半前に政府特使としてアブドラ国王様にお会いしたんですよ。そうしたら、アブドラ国王さんは、政府特使でしたから、非常な親愛の情を込めて、天皇陛下によろしく、皇族の方々によろしくお伝えください、そしてまた、お嬢様が御結婚されるということでございますが、おめでとうございます、そして、総理大臣としては、特に橋本龍太郎さん、小泉純一郎さん、非常に私は高く評価しておりますから、よろしくお伝えくださいと。

 つまり、首脳外交というのは、資源外交も含めまして大変大切でございまして、私は、国会等で非常にお忙しい中でございますが、さらにさらにこの首脳外交というものは展開していただいて、特にこの日中、日韓の問題、アジアの問題、FTAの問題、EPAですか、ございますが、ぜひ前向きに取り組んでいただきたい。特に資源の問題については、甘利大臣も麻生大臣もいろいろ各国を飛び回っておられますけれども、今の資源の、第三次石油ショックとも言うべきこの時期に、このことは非常に大事である。

 ただ、これをお答えいただくと時間がちょっとかかって、私から以上の点だけ申し上げて、さらに頑張っていただきたいです。国民の皆様方は、そこまで首脳外交をやっておられるかどうかは御存じない方が多いですから、このことをまず申し上げておきたいと思います。

    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕

 それから、財政の問題でございますが、プライマリーバランスがどんどん改善してきたわけですね。そして、二〇〇七年度の、今の国と地方の合計の見通しはとうとうマイナス三・一兆までになった。これが一九九九年に何兆であったかというと、三十兆ですよ。それから、国税収入というのは幾らだったかというと、平成二年に六十兆だったんです、海部内閣のころに国税収入六十兆。それが平成十四年、十五年、小泉内閣の初期には四十三兆台まで落ち込みまして、十七兆国税収入が欠損した。十七兆というのは、消費税に直すと七%に当たるんです。当時の経済界代表は、一%ずつこれを上げて七%消費税を国民に課せれば、これでどうにか収支は相償うんじゃないかといって大きな提言をした。しかし、小泉政権はそういうものは採用せずに、経済の振興を図って何とかプライマリーバランスをよくしようというところになって、そしてようやく三・一兆まで来たんですね。私が見るところ、二〇一〇年代初頭にはプライマリーバランス・ゼロ、つまり、毎年の税収と支出が均衡するというめどは立ったんじゃないか。

 まず、財務大臣、余りけちなことは言わずに、大体今の好景気が続けば、まあ前提はいろいろありますよ、国民年金の基礎年金の二分の一への増額分が二・何兆あるとか、いろいろな要素はあるけれども、これで財政健全化宣言をまずすべきである、その後に長期債務の問題を議論すべきであると思いますが、どうですか。

    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕

尾身国務大臣 今お話を伺っていると、大変ぐあいがいいなというふうに国民の皆さんも思われるかもしれませんが、財政を預かる者としては、やや違った感じもございます。

 一つは、国民の、この債務残高というのが一四八%、世界一高い債務残高になっている。他方、国民負担率は三九・七%で世界一低い。アメリカと並んで世界一低いということで、財政制度等審議会でも、中福祉・低負担の国が現在の日本である、こういうふうに言われているわけでございます。そういう中で、ことしの予算におきまして、あるいは昨年の補正予算におきましても、税収の増も確かにございました。そういう中で、安倍政権のもとで歳出改革路線を厳しく貫いた結果、先ほどのお話のとおり、大幅に状況が改善していることも事実でございます。

 しかし、これからこのプライマリーバランスの改善ということを考えますと、実は、今まで考えていない二つの要因がございます。高齢化の問題、それから年金に対する負担増の問題等がございますが、もう一つは、金利が、今一・四%が負担になっておりますが、やはり、好むと好まざるとにかかわらず、全体的な金利上昇というのは私ども財政当局として覚悟しなければならない。一%上がると七・七兆円の負担増になる、こういうことでございます。

 それからもう一つは、少子化対策。今、百年後には四千五百万人に、三分の一の人口になるというような予想がなされている中で、これをどうしてもやらなきゃいけない。しかし、現実に今一・二六の出生率になっておりますように、日本はこのままいくと、まさにすさまじい人口減少社会に突入する。ですから、そのことに対する負担も考えていかなければならないという状況でございます。

 そういう金利の問題あるいは少子化対策の問題を考えつつ財政再建をしていくという課題に直面しているわけでございまして、私ども、歳入歳出改革を含めまして、さらに国民の御理解をいただきながら、しっかりと国家の根幹を立て直すために、財政再建、経済活性化を両立させる形で実現していきたいと考えております。

細田委員 私が思っているより大分渋いことをおっしゃいまして、財務大臣だから責任者で、それはそうでしょう。

 しかし、竹下内閣、海部内閣のころの平成元年の長期債務は二百五十兆だったんですよ、国と地方の合計が。それが、二〇〇七年度末に七百七十三兆。確かに、五百二十三兆ふえた。これは、単なる財政支出だけでふえたのか、あるいは国鉄の赤字のつけかえとか道路公団とかいろいろなものがありましたから、これは詳細に調べる必要があるでしょう。

 しかし、では七百七十三兆はみんな返すのか、それから、それをどこまで改善すれば今財務大臣が言われたふうに安心ができるのかということは、もちろん安心はならないけれども、これだけ予想以上に景気が回復して、それがみんな怨嗟の声なんですよ。東京の方ばっかりもうかっているじゃないか、地方は全然だめじゃないかと言うから、私は地方でこういう説明しているんですよ。いや、皆さん、本当は、七%消費税すぐ上げて、それでプライマリーバランスがようやく先ほど言いましたようにバランスするような、三十兆もの毎年の赤字があった、これが一・三兆までなったんだ、これは、東京や、あるいは先端産業、自動車産業や電子やあるいは情報関係だとか鉄鋼業とかそういうところでもうかったからそうなったので、この分の増税が、少なくとも負担が、一部にしろかなりの部分にしろ免れたんだ、あと我々が考えることは、地方にもっと力を与えるべきである、こういう議論を私はしているんです。

 これは国会の議論でも絶えず行われておりますから言うまでもないんですが、財源超過団体、地方公共団体は、もう東京都と愛知県しかないんですね。平成十八年で、東京都は断トツの一兆四千二百九十二億円黒字、愛知が二百十五億円黒字。あとは全道府県で不足しておりまして、特に財政力指数が〇・四以下のところというのが十七道県あるわけです。自慢じゃないが、びりは、高知、島根、鳥取、我が県などもそうでありますし、どういうところかと言えば、九州、沖縄それから四国、山陰、和歌山それから東北四県、北海道。これらは本当に今苦労しているわけですよ。公共事業は削減され、産業が振興できない、もちろんいろいろな政策はとられているわけですが。

 そこで、やはりもう一ひねりをして、この不均衡を改善するような政策、例えば法人事業税とか住民税のあり方の見直しだとか、最終的に地方交付税の問題まで検討しなきゃならぬと思いますけれども、こういう地方のために、これから夏以降年末まで真剣に検討すると言ってほしいんですよ。

 まず、総理大臣、どうですか。総理大臣は山口県であり、総務大臣だってもともと秋田の生まれだし、群馬もそうよくはないでしょう。どうぞ。

安倍内閣総理大臣 ただいま細田委員が御質問になられましたように、近年、改革の成果で景気がよくなってきました。

 景気がよくなった結果、地方法人二税の税収が急速に回復をしていますが、これは全部足し込んだ額でありまして、全部足し込んだ額が急速に回復をしてきている。しかし、地域間には、現在の構造改革あるいは景気回復の果実を、これはいわばなかなか恩恵に浴していない地域もある。その差も随分出てきているわけでありまして、そうしたことを背景に、地域間の税収の差が随分広がってきているというのも確かに実感としてあります。それが財政力の差として拡大をしていく傾向もあるわけでありまして、こうした傾向はやはり是正をしていくべき課題である、私はこう考えています。秋以降の税制の抜本改革の中で検討をしていきたい。

 また、地方公共団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保するとともに、地方交付税の配分に当たっては、条件不利地域、ただいま委員が御指摘になったような地域はそういう条件不利地域が多いんだと思うんですが、条件不利地域など財政事情の厳しい団体の財政運営に支障がないように配慮していかなければならない、私はこのように考えております。

 何といっても、地方の、地域の活力なくして国の活力はないというのが、私の内閣の基本的な姿勢でございます。

細田委員 御決意を承ったわけでございまして、ここで財務大臣と総務大臣に伺うと、それぞれの立場があって、まだこれから要調整のところがたくさんあるので。しかも、私は、さっき長妻議員が言われたことに関連して、厚労大臣に、ぜひこの際はっきり聞いておきたいことがあるので、十分しかないものですから。その点、総理が今はっきり言われましたから、地方の振興のために税のあり方の偏在等、党では今、野田毅先生筆頭に我々も一生懸命、貧乏県議連が貧乏県救済税制なるものを検討しておりますので、これはもうぜひこの方向で検討していただきたい。そういうことを今総理がはっきり言われたと承知しております。

 それからもう一つは、社会保障分野の問題なんですよ。

 坂口当時厚労大臣が、私が官房長官のときに、社会保険庁問題というのはもう泥沼だ、ぜひ官邸で検討会をやってくれと言って、いろいろな識者を集めて検討したんです。官邸で随分深掘りして、それをまた厚労省の方に投げて、またさらに検討してもらったんですがね。

 そのときに私はIT担当大臣でもありましたから、一番大事なことは何かというと、システムそれから情報化、これをしっかりやらなきゃならない、だから、そこの権威である東京工業大学の大山教授をぜひ入れなきゃいかぬ、実際のコンピューターの今のシステムのあり方、年金にしても医療にしても、母体が共済であったり、いろいろなものがありますが、それらを検討してもらって、本当の改革が長期にわたってできるような体制をとってもらおうということでやったんですが、最近、大山教授が心配だと言ってくるのは、ちょっと長妻さんはいなくなったかもしれぬが、だれか賛成の人がいないかと言われたんだけれども、私は、長妻さんとよくけんかはしてきたけれども、いいものはいいといつも認めているんでね。漏れの問題。これは確かに、コンピューター化の時代に、それを移行するのにとんでもないことになって、しかも、容量が少ないから大変で、そして、漏れがたくさんあるとか、さまざまな問題が指摘されていますね。それは確かにあります。

 これはこれで私は解決しなきゃならないと思うんですが、これから心配なのは、まだ厚労省も縦割り意識なんですよ。では、年金問題どうするか、医療問題どうするか。それぞれに、システムは、我が田に水を引いてここでやりたいと言うんですよ。それは、コンピューターの能力は増しましたよ。しかし、対象は一億何千万人、医療でいえば一億二千何百万人でしょう。年金だって、支払い始めてからの人が一億人いるわけでしょう。死んだ人の数まで入れたら大変ですよね。

 今、この対象となっている者、そして受給者がここにある三千万人ですけれども、これらがそれぞれ縦割りでコンピューターにインプットされて個別に処理されているともうだめだ、これが大山教授のまず所見です。だから、長期にわたって将来同じような問題が行われないようにするためにはそうしなさいという、第一の提案。

 時間の関係で第二の提案を言うと、個人に手紙を出していると、一億人に手紙を出すと、百円ずつかかったって百億。それから、手紙を一回出したって、届くかどうかわからない。そこで、今のいろいろなカードなどを使って私的な電子私書箱制度をつくれと。それで、もちろん、パソコンをいじれる人は、そこからキーを使って自分の状況がどうなっているかを調べる。手紙を出したり出かけたりしなくても調べられるようにする。これはまだ先の話ですよ。今すぐにやるためには、また予算をとってどんどんやっていかなきゃいけない。しかし、何年か後にそれができれば、今日起こっている問題は非常に回避できるということで、電子私書箱制度をやる。

 どうしても、そういうコンピューターなどを扱えないような人が出ますから、高齢者とか、これは郵便局を活用したりいろいろ社会保険関係の事務所を利用して、そこで、出かけていけば、本人に聞いて、それで、ああ、あなたの今の年金の状況はこうなっていますよ、あるいは医療情報もこうなっていますよということが本人に伝わるようにやったらどうかと。

 それで、もうちょっと欲張って言うと、レセプトだとか医療のデータ等についても、これは岩國出雲市長がやろうとして、ちょっと時期が早かったからなかなか御苦労になったんだけれども、まさに電子化をして、共通の、重複投資をしないでやって、そして、もちろん、今までのものは、逆に迷子私書箱をつくってもいいんですよ。迷子になった人の姓名と生年月日はこれだけありますよと入れるのなら簡単なんだから、それを探す、申し出があるということをやらせると大変ですからね。

 そういうことも考えて新しい取り組みをしていかないとまた間違うぞというのがプロの議論なので、ぜひこのこともあわせて、厚労大臣から御答弁願います。

柳澤国務大臣 いろいろ、かつて党にいらっしゃったときからコンピューター化あるいはIT化の委員会を率いられた細田委員から、私もたびたび個人的にも御注意をいただいたり御指導いただいたりしておりまして、心から敬意を表します。

 二つ問題を指摘されました。

 一つは、それぞれが縦割りで個別のシステムをつくったら、これは本当に大変なことになるぞ、こういう御忠告でございました。

 私ども先般、医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザインというものを年度末に策定させていただきまして、今は安倍総理の御指導のもとで、IT化ということで、それによって、医療・介護サービスの質向上・効率化プログラムというものの中でIT化を進めるということをうたわせていただいております。その中で、私は、あえてこの中にも入れさせていただきましたが、社会保障全体を包括する、こういう観点からの医療、介護の情報化でなきゃならない、こういうことをそこでもあえてうたわせていただいたのは、これは細田さんからのいろいろな御注意もいただいての上でございました。

 このように、私どもは、今度こそ縦割りの弊を排除した上でシステムを構築しようと。もちろん、一遍にはできないですから個々にやっていくわけですが、それはやはり、全体の、トータルのシステムを頭に置いてやっていく、こういうことでございます。

 それから、電子私書箱の問題。これにつきましても、今後取り組ませていただくということをはっきり言わせていただいておりますが、ただ二点、個人情報の保護、それから経費との相談、この点について、またいろいろと御指導を賜りながらこの問題を克服してまいりたい、このように考えております。

細田委員 総合コストでいうと、その方がはるかに安くなるんですよ。今までのような事件は幾らでも起こるんですよ。ですから、私は、さっきも議員から質問がありましたけれども、やはり、まじめにこつこつと全部対応していかなきゃだめなんですよ。そのためには、手紙を出したり役所に出かけていったり、そうする手間ばかりで考えるよりは、何らかの電子的な媒体を利用して、それが自動的にわかるようにしてあげるということも大変大事なんですよ。

 つまり、パソコン上に、何万人かわかりませんけれども、五千万人のうちの、とりあえず何百万件でもいいですけれども、ある割り切りで何百万件をぱっと、ここを見なさい、住所と氏名が書いてあるからあなたの氏名でアプローチしなさいといえば、それだけでも随分違うんですよ。

 それを全部、電話をかけて確認をして、それにお答えするようじゃいけないので、それは一部やっておられると今おっしゃっているけれども、それをもっともっと速いスピードでやる、やっているんだという答えがさっき十分に伝わってこなかったから、それはやはり、大宗においてやらなきゃだめですよ。私はそう思いますので、その点を強くお願いします。

 それから、さっき財務大臣がちょっと渋いことを言われたけれども、やはり景気回復は今は本物だし、あの恐ろしいほどの財政赤字状況からはどこかで脱却せにゃいかぬ。しかし、蓄積した債務は、これは全部の、国家的責任であるけれども、七百何兆円をどうするかということも含めて考えると、安易な増税ということが私はいいかどうかは甚だまだわかりませんけれども、それから、地方のためになる税制も考えながら、あわせて対策をとるべきじゃないか、こう思いますので、総理、ぜひよろしくお願いしたい。最後にちょっと、テレビもまだちょっとやっているようですから。

安倍内閣総理大臣 先ほど柳澤大臣に御質問のございました年金は、やはり国民の信頼の上に成り立っているわけでございます。今までの社会保険庁のあり方は大いに問題があったわけでありまして、社会保険庁も、国民の皆様に丁寧に一人一人に対応していく、サービスをしていく、そういう新しい社会保険庁に変えていく、そのための法案を提出したところでございます。今回の問題についても、誠意ある対応をしていかなければいけない、このように考えております。

 また、構造改革の成果として、今景気は力強いものになっているわけでございます。そして、私たちが約束をしている、二〇一一年プライマリーバランスを黒字化するという目標に確実に進んでいくためにも、新経済成長戦略を進めていく必要がある。そのためのイノベーション、オープンな姿勢、これは二本の柱でありますが、強力に推し進めてまいりたい、このように考えている次第であります。

 そしてさらに、やはり地方の方々、島根県もそうでありますが、地方において一生懸命頑張っておられる方々が未来に夢を持てるように、この景気回復の実感を、地域においても、また家計においても実感していただけるように、この国会にも地域関連の法案を九本提出いたしました。また、働き方についても六本法律を出しているわけであります。こうしたことを実行していく上において、多くの方々に実感していただきたい、こう考えているところでございます。

細田委員 以上、終わります。

金子委員長 この際、松浪健太君から関連質疑の申し出があります。細田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松浪健太君。

松浪(健太)委員 自由民主党の松浪健太であります。予算委員会はデビュー戦でございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、なかなかこの政治と金の問題、国民の皆さんにも心躍る問題ではございませんので、まず最初に、今後我が国がどのような国家像を目指していくのかという点で、総理に一つ道州制について伺ってから、この政治と金の問題に入っていきたいと思います。

 安倍総理は、総理就任後に初めて道州制担当大臣を置かれました。そして、道州制特区法も成立をし、そして今まさに道州制ビジョン懇が今後道州制の国家のビジョンを策定されている、議論されているところでございます。

 私は、この道州制という政策は一政策にはとどまらない、今後の日本のパラダイム、さらには国民生活に与えるインパクトというものを考えますと、これは憲法改正にも匹敵をするような大きな課題であると思っております。

 我が国は、江戸時代二百六十年間、幕藩体制というそのパラダイムを乗り越えて、そして廃藩置県以降、私たちは、中央集権体制を、敗戦という経験を経ても、なおこれで経済成長を遂げてきたわけであります。しかしながら、この中央集権もどうももう制度疲労を起こしているんだろうと思います。地方分権を徹底的に行っていくためには、私は、まさにこの道州制が一番我が国にとって必要な政策であろうと思っております。

 我が国は、人口減少社会に先進国で最初に突入をいたしました。少子高齢化も、日本で世界で一番速いスピードで進んでいるわけであります。今後の国民負担率を抑制し、そして着実にこの逆境の中で経済成長を行っていくためには、究極の構造改革が必要であろうかと思います。私は、この究極の構造改革と言われます道州制につきましては、一つには、我が国の国会、地方議会も含めた究極の政治改革である、二つには、国の出先機関である地方支分部局、また中央省庁の再編も含む究極の行政改革、さらにもう一つ言わせていただければ、この道州というものを新しいアイデンティティーとして、新しい我々の経済圏、生活圏、文化圏と定義していく上で、究極の国民の心の改革であると思っております。

 このメリットによって、私たちは、既に、地方分権の中で市町村合併をどんどん進めてきております。明治二十一年の市町村制導入のころには七万以上あった市町村が今は千八百にまで減ってきているわけでありますけれども、都道府県の枠組みは当時と全く変わっていないわけであります。私は、そのことこそ不自然であるなと思うわけであります。

 例えば、私の選挙区は大阪でありますけれども、関西州が仮にできた場合に、関西のGDP規模は既にカナダと同じように、カナダに匹敵をする。また、今最も道州制論議が華やかであります九州は、面積そしてGDPともにオランダに匹敵をする。また、四国、北海道といった地域も、北欧諸国と同じだけのGDP規模を誇るわけであります。

 我が国の地方は、それぞれが先進諸国に匹敵をする、国並みの力を備えている。これを伸ばしていくためには、やはりこの道州制を導入していくことが一番メリットがある。今後の行政改革、行政の効率化、そして経済の活性化、この両輪を回すには、私はこの道州制しかないと思っているわけであります。

 そうした意味におきましても、私は、よく地元では有権者の皆様に、道州制は子供たちへの最高の贈り物なんだという言い方をしております。我々が今、政治家が、みずからの身をどれだけ削ってもやらなければいけないことがあると思うわけであります。

 そこで、今、自民党の道州制調査会におきましても、私たちは五つの小委員会をつくりまして、区域の問題、国と地方の役割分担の問題、統治機構、道州制と基礎的自治体の問題、税財政と五つに分かれて問題を追求しているところであります。そして、ことしに入ってもう三十回以上の議論を行ってまいりました。

 そして、さきに私が内閣委員会で渡辺大臣に質問をいたしましたところ、渡辺大臣は、やはりこの肝は、地方支分部局は道州に移管する、そしてさらに、国家公務員を地方公務員に転換していくことも考えるという踏み込んだことをおっしゃっていただきました。まさに私たちの調査会でも、地方支分部局の移行、さらには、仮に国が基準をつくったものもできるだけ道州に実施主体になっていただく、さらにもう一つ、補助金をできるだけなくしていく、この三つの方針に沿って私たちは議論を進めているところであります。

 渡辺大臣のこのような突っ込んだ答弁も踏まえて、総理の思いも含めまして、特に廃藩置県、平成の廃藩置県でありますから、まさに山口出身の総理にはふさわしい課題かと思いますけれども、そのお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま松浪委員がお話しになったように、廃藩置県によって県が置かれ、そして、中央集権のもとに近代国家として日本は発展してきたわけであります。

 しかし、日本も大きく変わりましたし、世界も大きく変わってきたわけであります。我々は、地方分権を進めていく、やはり地方のことは地方が決めていく、そのためにも市町村の合併を行いました。市町村の合併は、行政改革を行っていくということと同時に、地方分権を進めていく上においての受け皿として強力な行政母体をつくっていく、そういう意味もやはりこれはあったんだろう、こう思うわけであります。随分、市町村合併を進めてくることができた、こう思います。

 その中で、では、県という単位はどうなんだろうか、あるいは、もう県を越えて市町村合併した方がいい、そういう機運すら盛り上がってきたわけでありまして、では、基礎的な自治体と、そしてそれを包含する文化的、経済的な各拠点はどれぐらいの大きさになるのか。これは、やはり規模としては大体道州制ぐらいがいいのではないか、私はこのように考えるわけでございます。

 二十一世紀にふさわしい行政機構を考える上において、そのグランドデザインを考えていく上において、私は、道州制というのは大きな柱になっていく、このように思うわけであります。我々はさらに、行政改革を徹底して進めていく中において、国と地方の役割の仕分けはどんどん行ってまいります。地方でやるべきことはどんどん地方に任せていきます。しかし、その地方に任せていく中にあって、地方の受け皿は今の中核的な自治体と、そしてそれを包含する、やはり道州という単位でこれはくくるべきではないだろうか、私はこう思うわけでございます。

 そしてまたさらには、今やこのグローバル化の中で、東京を経由してではなくて、地方が直接世界に対して発信をしていかなければいけない時代なんだろう。地方と直接世界が結び合って、人と物、またお金の交流も進めていくという上においては、ある程度の単位が必要ではないか、それはやはり道州制ではないだろうか、私はこう思うわけでございます。それによって、今、日本全体が何となく東京にすべて集中してきているのではないか、この流れを大きく、思い切って変えていくことができるだろう、私はこう思います。

 先ほどおっしゃったように、それぞれの、九州がオランダと同じぐらい、あるいは四国がフィンランドぐらい、このように言われていますが、しかし、インフラを見れば、これはいわゆる国としてのインフラ整備と違いますから、ですから、そうすると、道州で考えれば、道州を基盤としたインフラの構築を考えていくことによってさらに発展していくことも十分に可能ではないか。そして、文化圏を形成して、そこに住んでいる人たちがその地域にいることにさらに誇りを持つことができる、私はこのようにも考えているわけであります。

 そのためにも、国民的な合意形成が必要でございますので、道州制ビジョン懇談会をつくりました。ビジョン懇談会を設置したわけでありますが、ここでの議論を踏まえて、道州制ビジョンを策定していく考えでございます。

松浪(健太)委員 ありがとうございました。

 まさにこれからの国の柱にしていただきたいと思うわけであります。

 それでは本題に入ります。

 今回の法改正、我々は、主に問題、二点あると考えておるのは先ほどからの議論のとおりでありますけれども、私は特に不動産の問題について伺いたいと思います。

 マスコミの報道を見ますと、検察当局の幹部、識者の皆さん、口をそろえていらっしゃるのは、そもそも、政治資金規正法の、これは不動産を所有することを想定していないというものであります。

 先ほどから議論がありますように、政治団体には法人格がないので、そのまま不動産登記をすることができない。しかしながら、政治資金規正法は、政治団体に対してこうした不動産を持つことを禁じていない、私はこれは一種の矛盾であると思っております。

 政治資金は公共性が高いために、法人税が一部の収益事業を除けばかからないわけであります。その政治資金の運用は、これまでのさまざまな経緯から、預貯金や国債はいいけれども、株式投資はだめだというふうになっているわけであります。こうしたことを考えますと、不動産を仮に売却して、そして利益が出た場合に、これは資金運用と全く同じことになります。

 この矛盾について総務大臣の見解を伺いたいと思います。簡潔にお願いいたします。

菅国務大臣 政治資金規正法の第八条の三において、政治資金の運用方法というのは、今、松浪委員から御指摘のありましたように、貯金だとかそういう固定的なものであります。そういう中で、金銭等の運用として不動産の取得を行うことは禁止をされております。

 一方、例えば政治団体の事務所のために、運用以外の目的で不動産を取得することは、現行法上これは禁止されておりません。取得した不動産を売却したときに、地価の変動等によって結果的に利益が生じることはあり得る、こういうふうに思います。

 こうした運用以外の目的での不動産の取得を規制することについては、現在、与党間で議論が行われているというふうに承知いたしておりまして、ぜひ、各党各会派でさらに議論をしていただきたいと思います。

松浪(健太)委員 おっしゃるように、やはりこれは非常に問題があると私は思うわけであります。

 これについては、先ほど民主党の岡田議員も、売却益というようなものを、これは理解ができるとおっしゃっているわけでありますけれども、しかしながら、この問題の発端となりました小沢民主党党首は、会見で、賃貸でよくて購入はよくないという論理はわからない、できるだけ浄財、献金してくださったみんなのお金を、政治団体の献金であれ不動産であれ、資産として有効活用するということの方が、献金してくれた皆様の意思を大事にし、有効に使う方法だと私は考えていると言っておられるわけであります。岡田議員と党首の、代表の意見というものが真っ向からこれはぶつかっているなと私は思うわけであります。

 そこで、この十億円という破格の不動産以上に政治不信に拍車をかけているのが、小沢党首が会見でお使いになったいわゆる確認書というものであります。委員の皆さんには紙をお配りいたしております。このパネルのとおりであります。

 これは、チュリス赤坂という平成六年に取得をした物件と、そして平成十七年の分が両方出ております。これを見て非常に怪しいなと思わない方というのはいらっしゃらないと思うんですね。私はマスコミ出身でありまして、記者の仲間、昔の知り合いがいっぱいいるんですけれども、これが、後でつくったんちゃうかというような声がほとんどです。

 例えば、素人目に見ても、この名前を見ても、私も十年前の自分のサインを見たんですけれども、大体、個人内変動というので随分と字が違うんですけれども、これは十年後に書いてこれだけ似せるというのもなかなかのテクニックだな、怪しいなという感じはするわけであります。

 そして、この文章についても私は問題があると思うんですね。見ていただいていいんですけれども、平成六年と平成十七年、内容がほとんど同じであります。このことも、私はやはり、当時と全く認識違わずに使っているということ自体が不自然であるなと思うわけであります。

 実際見ますと、つまり、平成六年当時の政治状況を考えていただきたいと思うんですね。政治と金をめぐる意識です。平成六年当時は、まだ政治資金規正法が改正をされていなくて、指定団体というものを政治家が幾つも持てる時代だったんです。今は、企業献金は政党支部しかだめだ。その前は、資金管理団体に五十万円まで認められていた時代がありました。しかし、この時代は、指定団体を十個でも二十個でもつくって、そこには幾らでもお金が入るという時代にこの確認書というものをつくっているんですね。

 この確認書の意味というもの、この確認書なんですけれども、ですから、政治資金規正法上何らかの規定があるわけではないんですね。規定がないものをつくる動機というのは、一体皆さん、何なんでしょうか。法的根拠がないんです。どうして法的根拠のないものをここでつくる必要があるのかということを、私は皆さんにも代表に対して問うていただきたいと思うんです。皆さん、法的規制のないもの、何かこういうものをつくりますか、実際問題。

 私は、陸山会の所有する、これは素直に読めば、これをちょっと読んでいただきたいと思うんですけれども、これは読んでいただければわかるんですけれども、便宜上、乙を、つまり小沢一郎さんが、甲の代表者、つまり陸山会の代表として明記した上で、不動産売買を締結し、あくまでこれは所有権の移転登記の申請を行うだけであると、権利関係を規定しているわけでありますけれども、どうしてこんな権利関係を規定する必要があるんですか。(発言する者あり)

 では、政府に質問いたしましょう。政治資金規正法上これは何らかの規定を設けられておりますでしょうか。簡潔にお願いします。

菅国務大臣 資金法上はありません。

松浪(健太)委員 では、これを普通に読めば、私は、陸山会の所有する不動産は小沢氏の隠し資産ではありませんよということを言っているように一見見えるんですけれども、しかしながら、何の規制もないものをつくった、しかも平成十七年じゃないんですよ、平成六年の、さっき言ったみたいに政治資金の感覚が全く我々と違う時代、今と全く違う時代にこれだけのことを認識してつくっていた。これは私、にせものの可能性もあると思いますけれども、本物だったら、皆さん、確信犯じゃないですか。

 この確認書について、法務省に伺います。

 この確認書の内容を破棄しようと思えばどうなるのか、また、この確認書の法的効果を改めて伺います。法務省、お願いします。

寺田政府参考人 この確認書でございますが、内容を拝見いたしますと、いわゆる売買契約書のように、これで直接法的効果を生ぜしめるというような性質のものとは異なるものであろうかと思います。

 つまり、だれが買い主かということは売り主との間の売買契約の枠内で決まる問題でございまして、買い主がだれかということを買い主の関係者の方と御確認になるということは、直接的な法的な効果を生ぜしめるものではございません。何らかの間接的な証明手段というようなことであろうかと考えられると思います。

松浪(健太)委員 つまり、この自分から自分へのお手紙には全く何の意味もないということであります。

 そして、私はこれはにせものの可能性が高いということを申し上げましたが、これは平成六年ですから、ウィンドウズ95がまだ導入される前の時代であります。その当時のものは非常に特徴的でありますから、皆さん、もし証明されようと思うのであれば、原本をこういう鑑定に出せば真偽のほどはしっかりとわかるということでありますので、私はこのことについてはこれ以上触れないでおこうと思うわけであります。

 ですから、皆さん、この問題から導かれることは何か、考えていただきたいんですね。この確認書がにせものであれば、私文書偽造です。本物であれば、法の抜け穴を知ってやったという確信犯ということになるんですよ。どちらにしても退路はないじゃないですか。弁解の余地はありますか。わざわざこういう紙を出すのを、世間ではこれはやぶ蛇というんですよ、やぶ蛇。やぶ蛇ですよ。どっちにしても難しいですよ。どっちにしても問題がありますよね。このやぶ蛇確認書の真偽は、また皆さんにお任せをいたしたいと思います。

 そして、次の問題に移りたいと思います。

 この十億円という額はそもそも非常に大きいわけであります。ほかに三人か四人、この問題、建物と不動産を持っている方がいらっしゃるんですけれども、ほかは建物ばかりですね。土地まで持っているというのは小沢さんただ一人であります。そして、その額も、ほかの方は皆さん一千万円程度、それが百倍の十億円。この額というのは、これは問題ないんですか。本当に使われているんですか。

 私は、仮にこれがしっかりと使われているのであればいいと思いますよ。しかし、いろいろこうやって写真を撮りに行っていただいたんですね。部屋へ行きますと、何とかの九〇二号室、ポストは何にも書いていません。部屋は何にも書いていません。ほかのものに行っても、ほとんどが名前を書いていないんですね。書いていたところで、何かわけのわからぬ会社の名前になっているというような例もあるわけでありまして、赤坂宿舎の近くにあります、この問題の確認書にありますチュリス赤坂ですね、このチュリス赤坂についても、入り口のポストには何にも書いていない。当然、部屋にも何にも書いていない。これが一体、政治目的で使われている物件なんですか。

 さらに言えば、赤坂近辺で何軒も何軒もありますね。何軒も何軒もある不動産、使われていないものもたくさんあるんですね。こんなにあの近辺でたくさん、不動産屋でもないのに、こんなにたくさんの物件を持つ必要性というのはどこにあるんでしょうか。私はこのことは非常に大きな問題であると思います。額が破格に大きい、そして使われ方が間違っているという問題は、私はこれは看過をできない問題であると思います。

 さらに、これは新聞報道にもなっていますけれども、小沢さんの事務所費を見ますと、十億円の資産があるんでしょう、十億円の資産があるにもかかわらず、地代、家賃で毎年二千四百六十一万円。十億円で感覚が狂っているので、二千四百六十万円というのは少ないかなと思いますけれども、我々でいえば、一年間政治活動ができる額なんですよ。これはどんなものを借りているんですか。これも明らかにしないと、あんな釈明会見をしたって、問題は全く解決をしないと思うわけであります。

 そして、総理に伺います。

 こうした不透明な使い方が明らかになっているわけでありますけれども、今回、我々政治家と一体的な政治団体と言われる資金管理団体につきまして、不動産の取得の禁止も含めて、自民党、公明党で政治資金規正法の改正案を検討いたしているわけであります。総理のお考えを伺いたいと思います。

金子委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 ただいま、松浪議員の御指摘で、不動産を取得して個人の政治家の名義にするということについてはどれぐらいの大きな問題があるかということがはっきりしたのではないか、こう思うところでございます。

 いわば政治献金として集めた額、あるいはまた、場合によってはこれは交付金、税金から来たお金であるかもしれない、それが個人名義の不動産になってしまって、もしそれが例えば相続権が発生した場合、結局個人のものに完全になっていくということもあるのではないか。こんなようにも思うわけでありまして、その観点から、与党案において資金管理団体の不動産の取得等の制限等を内容としているのは当然のことではないか、このように思うところでございます。

金子委員長 これにて細田君、松浪君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私は、企業・団体献金についてただしたいと思います。

 まず総理にお聞きしますけれども、総理は昨年末に銀行からの政治献金を受け取らないという表明をされたそうですが、その理由は何でしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、昨年十二月の記者会見におきまして、主要銀行からの政治資金について御遠慮するということについて申し上げたわけでございます。

 この理由でございますが、いわゆる主要銀行について言えば、不良債権の処理に当たって、公的資金を導入することによって立ち直ってきたという経緯がございます。そして、現在は、繰越欠損金の関係で、収益を上げてもなお法人税を納税していないという状況、これは法的なことでございますから、それはもう当然といえば当然ではございますが、しかしながら、いわば公的資金によって、それを注入したことによって立ち直っている。と同時に、現在まだ税金は払っていない。これは先ほど申し上げました繰越欠損金の関係でございますが、そういう中において、政党として政治資金を受け取ることについては国民的な理解を得ることができないのではないか、また、主要行にとってもお客様との関係でそごが生じる可能性もあるのではないだろうか、これはお互いにとってそれはお互いに遠慮した方がいいだろう、このような結論に達した次第でございます。

佐々木(憲)委員 それは当然だと思うんです。

 では、保険会社はどうか。今はどんな実態にあるかといいますと、最近は、生命保険会社、損害保険会社による保険金の不払い、これが続出しておりまして、私は、契約をしていて保険金を払わないのは契約違反だというふうに思うわけでありますが、山本大臣、その実態を簡潔に報告していただきたい。

山本国務大臣 まず生命保険会社でございますが、不適切不払いが三十二社、千四百八十八件、七十二億でございます。また、支払い漏れにつきましては、三十七社、四十四万件、三百五十九億円でございます。

 損保会社におきましては、第三分野の不適切な不払いが二十一社、五千七百六十件、約十六億円でございます。また、付随的な保険金の支払い漏れにつきましては、二十六社、三十二万件、百八十八億円でございます。

佐々木(憲)委員 これはとんでもない話でありまして、苦情が例えば国民生活センターに殺到しておりまして、生命保険会社が明確な理由を示さず、入院見舞金の支払いを拒否したというようなことが、一つの事例として私はここに手元に持っております。

 相談内容は、数年前に夫婦で定期保険特約つき終身保険に加入した、その後、妻が十四日間入院したので生命保険会社に入院給付金を請求したが、支払いを拒否された、こういうことで相談があって、保険会社の回答は、病院を退院後に病理が確定したものは、約款に書いてないから払えないんだ、こういう話だったわけです。そこで、この相談を受けて国民生活センターも調査をした。その後、保険会社が支払うということになったそうであります。

 この問題点ということで、こういうふうに書かれているわけです。生命保険に関する相談件数は多く、今回の件のような支払われるべきはずのものが支払われなかったという申し出も多数見られる、今回の件は、約款に書いていないことを保険金を支払わない理由に掲げており、保険会社の姿勢を問われると考えられると指摘をしているわけです。

 それで山本大臣、もう一度お伺いしますけれども、こういう保険会社の姿勢、これはどのようにお感じでしょうか。

山本国務大臣 そもそも、生保、損保を問わず、保険会社における契約の中身は、保険支払いが基本的かつ重要な責務でございます。特に、支払い事実が発生する、すなわち、事故が起こる、あるいは死亡するというような、残念な、万一のことでございます。その万一のときに支払っていただけないということになるならば、これは期待を裏切るどころじゃなくて、落胆のふちに陥れるということでございまして、それが契約者の何ら責任じゃなくて、立派な保険会社側の責任であるということに問題の深さがあるだろうというように思っております。

 その意味におきましては、保険の支払いにおける管理、特に不服申し立てだとか苦情処理だとか再発防止策、今後、金融庁としましては、徹底的にこれに厳正に対処していきたいというように思っております。

佐々木(憲)委員 この保険会社の姿勢について総理はどのようにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ただいま山本大臣が答弁をいたしましたように、やはり生保、損保双方とも、万が一事故があったときのためにみんなこの保険に加入をしているわけでありますから、そのときにその責任を果たすというのは、当然、企業としての社会的責任また成り立ちからいっても大きな責任だろう、このように思うわけであります。

佐々木(憲)委員 このパネルを見ていただきたいんですが、「契約者に不払い・支払い漏れ」、先ほど説明がありましたように、大変な金額であります。しかも、これはまだ一部なんですね。しかもまだ調査中で、最終的な数字は確定しておりませんが、それでも大変な状況でございます。

 ところが、契約者に不払いを起こしている生命保険、損害保険の会社から自民党に献金が行われておりまして、これが毎年ふえているわけであります。例えば、二〇〇五年初めに生命保険の不払いが発覚をいたしました。その後、献金がふえておりまして、その中でも、行政処分を受けた以降に献金しているのは、十三社、四千百六十三万円に上っております。

 先日、私は財務金融委員会でこの問題を取り上げました。それぞれの協会の会長にお聞きしました。会長の会社である第一生命は〇六年に献金がふえまして、九百九十三万円、東京海上日動火災は、同じ年、千七百六十四万円の献金をしているという答弁を行いました。

 そこで総理にお聞きしますけれども、先ほど、献金をもらうのは国民の理解は銀行は得られない。契約者に払っていない、あるいは処分を受けているような保険会社から献金をこのように受け取ることは理解を得られるというふうに思いますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、主要銀行との関係で申し上げましたのは、主要銀行は、いわば国民の税金によって公的資金を導入して、この公的資金の導入によって立ち直ったわけでございますが、しかし、その後の、これは税制上のことではありますが、税金を払っていないという中において我が党に対して政治資金を支払っていただくということについては、これは遠慮させていただく、こういうことでございます。

 生保、損保も含めて多くの企業がいわば社会的な存在として政治献金を行っておりますし、我が党も多くの企業から政治献金をいただいているわけでございます。それぞれの企業は、政治活動の自由が保障されている中で正当に資金を献金しているということであろう、こう思うわけでございます。

 その中で、今御指摘のような問題点については、直ちに生保、損保を是正しながらお客様また国民の期待にこたえていっていただきたい、このように思うわけでありますが、私どもは、銀行のときにはいわば公的資金を導入した、そしてまたさらに、税金はしかしその段階でまだ払っていないということにかんがみて、その中で献金をお受け取りするのは控えさせていただいたということで、状況は違うというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 契約者に払わないという保険会社から自民党が献金を受け取る、これは国民はだれも納得できないと思いますよ。それをやめると言えない、言わないというところに今の総理の姿勢があらわれているというふうに思います。私は、当然こういうものは受け取るべきじゃない、こう思います。

 もともと企業献金というのは、企業というのは利益を目的に活動しているわけですから、お金を出すということは、当然見返りを求めるわけです。それが政治腐敗の根源になってまいりました。企業側が見返りを求めないとすれば、そのお金を出した、これは背任行為になるわけですね。もともと企業献金というのは賄賂性の強いものでありまして、私は企業・団体献金はきっぱりと禁止すべきだと思っております。

 政治資金の入りの問題でいいますと、例えば政党助成金の問題もあります。国民一人当たり年間二百五十円を強制的に献金させているようなものでありまして、毎年三百億円以上、これまで総額にしますと三千八百四十億円です。それだけの税金が自民党、公明党、民主党などに山分けされております。我々はこれは受け取っておりません。一方で国民には増税を押しつけておく、負担をふやしておきながら、税金から政党に流されている、これも、国民が納得できない、そういう問題であります。

 私は、献金というものは本来個人献金に限るべきである、そしてまた政党助成金というのは、これは国民の税金を山分けするものでありまして、いわば思想、信条の自由を踏みにじるものであって、こういうものはきっぱりと廃止すべきである、この点を主張しておきたいというふうに思います。

 以上で時間が参りましたので、質問は終わらせていただきます。

金子委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 松岡大臣、例の何とか還元水の中身について、再三質問に、我々野党が追及をしていますが、お答えになっていません。そこで、ちょっと角度を変えてお聞きいたします。

 松岡大臣の資金管理団体が国会内に置かれていて、光熱水費が五百万円を超えていた、これが問題になってきたわけですけれども、これは〇五年、五百七万円ということでしたが、この春、政治資金収支報告書で記載をした同欄、事務所費の光熱水費の部分はふえたんでしょうか、減ったんでしょうか、去年並みだったんでしょうか。真実一路というのが座右の銘、こう聞いていますので、お答えください。

松岡国務大臣 それは、法に基づいて収支報告をいたしておりますが、その公開はまた法に基づいて、これは総務省の方で公開されるものと思っております。

保坂(展)委員 いいですか。五百七万円、ふえたのか減ったのか、これも言えないと。国民を本当にばかにした態度じゃないですか。納得すると思いますか、これで。ふえたのか減ったのか、そのくらい言ったらどうですか。

松岡国務大臣 法律に基づいて、法律に定められたとおりに手続をとっているわけです。それをここで、法律に私が違反しているのならともかく、それがおかしいじゃないかと言われることの方が、私はこれは当たらないと思います。

 法律に基づいて手続をし、その手続に従って、これはしかるべき時期に公開されるものである、そのように思っております。

保坂(展)委員 しかるべき時期に公開される金額も言えないと。これは到底納得できませんね。こんな答弁で、本当に松岡大臣が説明をしているなんて思う人はだれ一人いません。

 私は、きょうはグリーンピアの問題を中心に取り上げたいと思っています。

 このグリーンピアについては、年金保険料を湯水のように飲み込んできた、無駄遣いをしてきた。したがって、これは廃止ということで自治体に譲渡されていますね、大臣、御存じのように。

 和歌山県の那智勝浦町と太地町の間にまたがるグリーンピア南紀というところがございますが、こちらの方が、海側の部分が太地町で主な施設が全部あります。そして、那智勝浦町の部分はホテルがありますけれども、キャンプ場とか大体山林が多い、こういう形状です。那智勝浦町が、これは平成十七年でしょうか、十二月に香港ボアオという会社と契約をした。しかし、一年半、工事が進んでいない。

 ちょっと持ってきましたが、一応実地で調査に行ってきましたが、山を削っていますね。山を削った工事がされた。そして、真ん中にある、これがあずまやですね。この中には公衆トイレとか事務室がございます。公衆トイレの写真も写しておきました。

 これだけが進んだ工事、こういうふうに言えるわけなんですが、これは、では、年金局長に伺いますが、このボアオと那智勝浦町の契約はどこで行われたんでしょうか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 せんだって委員会の方でも御議論がありましたけれども、私ども、旧年金資金運用基金というものが実施していた事業を廃止するに当たり、売買契約書を自治体と結んで売却をしたということでございます。

 したがいまして、当該自治体が、その後、運営を第三者に委託する際に、一民間企業と当該自治体がどういう契約を結ぶのか、どこで結ぶのかというのを、私どもは現認したり知るべき立場にもありませんけれども、経緯がございまして、委員会の中でお尋ねがあった中で、那智勝浦町から私どもが聞き及んだところで言えば、経済産業省の大臣応接室というところで当該民間企業との契約が行われたと。ただ、そこには大臣は同席していなかった、このように承知しております。

    〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕

保坂(展)委員 柳澤大臣、当時の経済産業大臣とはどなたですか。

柳澤国務大臣 十七年、契約ということでありましたが、私もつまびらかにはいたしませんが、多分、二階大臣であられたと思います。

保坂(展)委員 二階大臣、当時はですね、紹介で香港ボアオという会社との契約を急いだ。契約を急いだんですね。ところが、一年半、全然進展をしない。そして、進展をしないどころか、計画がころころ変わってきているんです。ホテルもリニューアルしてすぐにオープンするという話が、これもどうもホテルを使わないというようなことになってきている。

 そして、これがなぜか、この図面を見ると、先ほど写真で示しました、山を削ったところにでき上がる、モデルハウスというんですね、このモデルハウスの図面を見ると、これはどうも本当に別荘分譲でも始めるのか、こういう内容ですよ。主寝室のでかいのがあって、そして子供室があって、シャワーがあって、そして書斎まである。この費用は二億円から三億円か四億円と聞いていますけれども、こういう別荘をつくる。

 年金の保険料が湯水のように注がれた施設を自治体に譲渡して、その際には、大臣がよく知っているように、これは公共性、公益性があるんだ、だから、国民の財産なんだから、しっかり使おうよということで確認をした上で自治体に譲渡しているわけでしょう。自治体もその企業との間でそういう旨の契約をしているはずですね。

 これはどうですか、こういう契約。全然履行されないで、全く事業も進まない、そして別荘のようなものに化ける、こんなことでいいんですか。

    〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 グリーンピア事業は、当時、まだこれほど年金の給付というものが本格化しない間に、累次の国会の附帯決議で、もっと現役還元すべきだ、こういうことで積立金の現役への還元というものを具体化するということの中で行われたものでありまして、当時としてはそれなりの意義があったということであったろうと考えます。

 そして、時代が変遷しまして、給付も急速に伸びてまいりましたし、また、そういうリゾート的な施設について民間が手をつけるというようなことも盛んになる中で、平成九年六月にグリーンピアから撤退するということになりました。そして、平成十七年十二月までに、この閣議決定に基づきまして、十三カ所すべてが地方公共団体等へ移譲された、こういうことでございます。(保坂(展)委員「そんなこと聞いていない」と呼ぶ)いや、経緯をしっかり踏まえた上での御議論でないと……

金子委員長 簡潔にお願いします。簡潔に答弁してください。

柳澤国務大臣 そういうことで、端的にお答えしますが、地方公共団体へ譲渡するということの条件、一種の条件として、公共的目的に少なくとも十年間は使用されるべし、こういうことになったということで、それが、工事がおくれているということにはそれなりに背景があって、太地町との間の関係がなかなか当初予定されたようにスムーズに運ばなかったというようなことも背景にあるのではないか、このように考えますが、いずれにせよ、まだこの段階でどうこうということを判断すべき状況だとは考えておりません。

保坂(展)委員 先日、厚生労働委員会で、厚労省及び大臣は、太地町との間で契約が結ばれた、だから進んだんだと。私は、それを聞いて、どうなっているのか見に行ってきましたよ。太地町というのは海側のかなり平たんでいい施設がたくさんあるところですよ。そして山側が那智勝浦町ですよ。太地町と契約が結ばれたのなら、これは一体的な開発の可能性もあるなと思って見てきたんですが、確認しましたところ、ほんの一部ですよ。ホテル棟の中の一部とお庭と、それから温泉のあるふろを年間三百五十万で貸すというだけで、さらに驚いたのは、このボアオグループは、もう二年ほど前に、太地町の町長あてに、いろいろ協議したけれども、もうこのプロジェクトは成功が難しいので、これ以上太地町に迷惑をかけるわけにいかないと書いてあるんですよ。そして、グリーンピア南紀の貴町部分への進出は御辞退させていただきたい、こういう書面を送っているんですよ、太地町に。だから、一体とした開発なんかできるわけないじゃないですか。こういう状況の中で、全く進まない。

 安倍総理、どうですか、これ。国民の共有財産ですよ、年金施設。保険料でできているんですよ。百二十二億かけてつくられた。そして、金利負担だってかなり多かったんですよ。こういうものを、公益性、公共性を担保してしっかり使ってもらうというはずが、こんな、計画がころころ変わる、そして何もできない、これが美しい国ですか。

安倍内閣総理大臣 このいわばグリーンピアについては、今までのグリーンピアのあり方を反省して、そしてもうこれ以上の無駄遣いはしないということでそれぞれグリーンピアを処分していったんだろう、こう思うわけでありますが、その中で、特定の業者、まずは町にそれがいわば譲渡されて、そして町から民間会社、それは町の御判断でございますから、それは私どもが何とも言いようのないところでございますが、しかし、もともとはいわば年金の保険料の中からつくったものであるということを忘れずにそうした運営に当たっていただきたい、このように思います。

保坂(展)委員 厚労大臣に伺いますけれども、この施設は保険料でできたんですね。みんなのものなんですよ、本来は。そして、保険料でできた施設だからこそ両町がこういった計画を立てて、公益性があるように運営をしよう、こうなっているわけですね。ところが、それが全然進展をしない。一年半もずっと放置されている。そして、出てきた計画書は、さっき見せたような、大金持ちの別荘みたいなものですよ。そういうものを将来分譲していくような、今はお貸ししていますという立場ですけれども、公益性、公共性が担保されなければ、こういう計画は取り消して、ちゃんとした実行を迫る、そういう、国は指導する責任があるんじゃないですか。

柳澤国務大臣 私どもは、公共的目的に少なくとも十年間活用される、こういう条件で勝浦町に売却をしたわけでございます。売却をしたわけでございますから、売却の条件にうたわれた定期的な報告ということ等については私どもしっかりしたフォローアップをしているつもりですけれども、また、その間いろいろ那智勝浦町の方から御相談もある、これには応じているわけですけれども、そういう私どもとの譲渡の条件に従ってしっかり運用されることを私どもとしては期待をしている次第でございます。

保坂(展)委員 全く、こちらの香港ボアオが出した計画書というのは実行されていない。第一段階では、ホテルをリニューアルして供用を開始することでした。全く何も行われていない。こんなことを放置するべきじゃないというふうに思います。安倍総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣が答弁いたしましたように報告を受けているわけでございますので、しかるべく本来の趣旨にのっとって公益性の観点から対応するように、これは当然厚生省の方にも努力をしていくように指示をしたい、このように思っております。

保坂(展)委員 終わります。

金子委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 国民新党・そうぞう・無所属の会を代表して質問をさせていただきます。

 私は、平成十七年の選挙は無所属で通ってきたんですね。無所属で選挙に出るとなかなか厳しいんですよ。ポスターは規制がある、そして政見放送には出られない、ビラもなかなか配れない、企業献金も集まらないというような中で、厳しい選挙で勝ってきたわけでありますから、こうやって無所属で選挙に出て勝つというのは、人柄のよさ以外余りないのかなという感じもしないわけではないんですけれども。

 また、国会へ入っても、委員会も、常任委員会は一つしか入れないし、特別委員会は入れない。そして質問時間は、与党も野党も質問時間を無所属にはなかなか上げないというようなこと。また、政党助成金もないわけですね。

 私は、これだけ選ばれてきて、無所属で国会に来ても、国民から選ばれた一人になっても、なかなか国会の中で仕事ができないというのは、やはりこれはいじめ以外にないんじゃないかと思うんですね。だから、社会的ないじめの問題を安倍総理は今一生懸命やっていますけれども、国会内での無所属のいじめの問題も、ぜひ改善をしてもらいたいなと思いますね。

 そして、この無所属にも一ついいことがあるんです。それは何かというと、しがらみがないんですよね。政治団体とか労働組合とか、そういうところからのしがらみが全くないものですから、非常に伸び伸びと自分で判断できるというのはいいところなんです。

 この前、ある選挙で横浜に応援に行きました。そうしたら、横浜の無所属の議員がこう言うんですね。しがらみなし、利権なし、そして議会活動は、是は是、非は非で判断して、行政への疑問は厳しく追及します、そのことができる無所属をぜひ当選させてくださいというふうなことを言っておりましたね。無所属の役割、しがらみなしでしっかりと物が言えるというのが非常に大事だということを彼女が言って、三番目で当選をしたわけであります。

 そこで、きょうの私の話の中心は政治と金のしがらみというところなんですけれども、まず安倍総理にお聞きしたいんですけれども、安倍総理が山口県の第四区の選挙区で無所属で立候補して、しがらみなしで出て、自民党、公明党からも民主党からも共産党からも社民党からも立候補者が出たら、勝てそうですかね。

安倍内閣総理大臣 それは考えたこともないわけでありますが、ちなみに、私も大変地域の皆様に力強く御支持をいただきまして、得票率的には、今までの三回の選挙を平均すれば日本一の得票率をいただいていることは私の誇りとするところでございますが、今委員がおっしゃったように、そもそも考えたこともないわけでありまして、それは大変な困難が伴うのではないだろうか、このようにも思います。

 下地議員は、自民党におられるときから、しがらみなく伸び伸びと行動し、御発言もされていたように記憶をいたしております。

下地委員 もう時間がないので少しペースを速くしますが、しがらみというのがきょうの私のキーワードになっていますけれども、私は、政治と金と、もう一つは選挙だと思うんですね。このトライアングルのしがらみを取り除かないとなかなか政治と金の問題を解決できない。だから、木を見て政治改革の話をするとか森を見て話をするんじゃなくて、もっと大陸的に大きくやらないと、この五万円の領収書が一万円になるとかというのも非常に大事なことかもしれませんけれども、本当に国民が考えているような政治と金の問題がこれで根本的に構造的に改革できるのかといったら、なかなかこれは難しいと思うんですね。

 だから、私たちが、政治家が政治改革をするときには、透明性ができて信頼性もわくというのと一緒に、政治家が身を削って政治改革をやったら国民の生活もよくなった、国民負担も少なくなったというのが結果として出てこないと、私はなかなかだめだと思うんですね。

 そういう意味で、選挙に絡み得るしがらみが一番多い人たち、私は三つと言っている。一つは公務員、そして二つ目は宗教団体、三つ目は企業。この三つの選挙に対する介入をしっかりともっと規制をすることが、政治と金の問題の大きなポイントになるんじゃないかと私は思うんですね。

 一つ目には、今参議院で二百四十名いますけれども、二百四十名のうちの八十三人は省庁の出身か団体の出身ですね。四〇%近くがそうなんですよ。それで、選挙になると、もう省庁ぐるみ、天下りしたOBはやるし公社はやるし労働組合はやるしというふうなことになっている。選挙を応援してもらったら必ずお返しをしなければいけない。お返しをするとなると、これは官製談合につながるというふうなことになるんです。

 しかし、今、公務員の選挙に対する規制というのは、人事院規則の一四―七みたいな法律があるけれども、これはざる法みたいなものですね。まずこれをしっかりと、公務員が政治に、選挙に介入できないような方法をつくれば官製談合というのは確実になくなっていきますから、それを一点目にやってもらいたいと思いますね。

 二点目は宗教団体ですね。

 今、宗教の政治介入というか、宗教に対する政治介入なんて一個もありませんよ。政教分離はしっかりと守られていると思いますね。

 日本には十八万の宗教団体があります。宗教団体の登録では信者数は幾らですかといったら、二億人だというんですね。人口を超えていますよ。

 しかし、この宗教団体の皆さんは、固定資産税は払わない、不動産取得税も払わない、住民税も払わない、法人税も払わないということになりますね。少し質の悪い宗教団体になると、ここに駅ができるなと思ったら、企業と組んでおいて、まず宗教団体が譲渡する、固定資産税をずっと払わなくしておいて、十年後にとんとその民間企業に売って、利益が出ても、これは売却益を税金で納めなくてもいいとなっているんですね。また、宗教団体は貸付業務もできますよ。貸付業務をして利益が上がっても、それも納めなくていいとなっているんですね。

 そういう意味では、私たちは、宗教団体に対する優遇税制に関してももう一回きちっと見直す必要があるんじゃないか。今、消費税の論議を財務大臣もおやりになっている。恒久減税もなくなるというふうなことになってきたら、もう宗教に対する税金はアンタッチャブルではだめ。そして、しっかりとこれを取っていく。今、一兆四千億少子化対策をやっていますけれども、フランスは十兆円ですよ。こういうようなことを、しっかりと宗教団体への課税を行って少子化対策に回せば、その人たちの、信者の子供や孫たちまでちゃんとなる。二点目には、このことをやらなければいけない。

 これからは、心の支えで宗教団体が貢献するのと一緒に、税においても宗教団体が国家に貢献する、こういうことはもう論議をしなければいけないんじゃないかと思いますね。

 三点目には企業でありますけれども、企業は、今のところ、選挙のときに派遣社員を出して、その派遣社員が捕まっても企業のトップまでは影響しないとなっていますから、こういうふうなものを、選挙制度も見直して、企業が個人で社員を行かせても、その了解をした社長まで認識を持つというようなことを考えた対策をきちっとやっていけば、政治と金と選挙というものが、このトライアングルがきちっと是正されていけば、政治と金、前向きにできるんじゃないかなというふうに私は思っておりますが、その点について安倍総理のお考えをお願いします。

安倍内閣総理大臣 まず、公務員と政治活動の関係でありますが、基本的には、政治活動というのは、結社、言論の自由が憲法で認められているわけでありますから、これは保障されているということではないかと思います。その中で、公職選挙法上公務員には規制がかかっている、こういうことではないだろうか、このように思います。

 また、宗教団体についての課税の問題でありますが、これについての詳しいことは財務大臣からお答えをさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、ことしの秋には税制全般の抜本的な改革について大いに議論を行っていきたい、その中でさまざまな事柄について当然議論をしていくことになるんだろう、このように思うところであります。

 また、企業についてでありますが、企業全体で、社会的存在として自分の企業はこの候補を応援するんだという企業も当然あるわけでありますが、他方、いや、自分は企業とはかかわりなくこの人を応援しようという人もいるんだろう、こういうことでございます。

 しかし、その中で、例えば企業が選挙を取り仕切って支援をしている場合において、だれかが、例えば取り仕切っている人が選挙違反を行った場合においては、これはいわば候補者本人との連座の関係も出てくる。いわば組織として取り仕切っている人が選挙違反を行ったらですね。ということも今の法律では決まっているわけでありまして、そういう意味では、それぞれ大変厳しい枠ははまっているということではないかと思うわけであります。

 しかし、今委員が御提案のように、企業の中のだれかが選挙違反を行ったらその企業のトップが違反に問われるというのは、これは少し違うのではないだろうか、こんなようにも私は思うところでございます。

尾身国務大臣 宗教法人に対する課税につきましては、政治と金の問題との関係という観点のみからとらえるのではなくて、民間企業が行う事業との競合関係や、あるいは同様の性格を有する他の法人とのバランスなどを踏まえて、幅広い観点からそのあり方について検討していくべきものであると考えております。

下地委員 戦後レジームのさまざな見直しをする中で、ぜひそのこともやっていただきたい。国民は喜ぶと思いますね。そして、新たな宗教団体も、こうやってみずから納付をするものが多くの国民の利益につながるというのは喜ばしいことではないかというふうに思いますね。あれをやれ、これをやれというときに、みずからの財布は出さないであれをやれ、これをやれでは世の中は通りませんね。みずからちゃんと出して、それで一緒にやろう、そういうふうな考え方でやるべきだと思います。

 最後になりますけれども、私いつも思うんですけれども、最終的には政治家がまず身を削らないとなかなかうまくいかないと思いますね。

 私は昔から言っているんですけれども、究極としては、衆議院と参議院とを一院制にして選挙区三百にする、これだけで大体六百億円ぐらい浮いてきますね。それで、それをやるのと同時に、地方の議員の数も半分にする。今三千五百億ぐらい払っておりますから、そうすると一千七百億ぐらい浮いてまいりますね。それで、県知事とか市町村長とか、特別職に今退職金を三百六十億円ぐらい払っておりますけれども、知事はパーティーでもお金を集められる、後援会でもお金を集められる、そして退職金も一回で四千万から五千万もらえるというのは、やはりそこは今の地方の財政からいって理解できないから、それをやめる。こうなると、みんなでやっても二千億近くのお金が出てくる。

 先ほどの宗教団体のものをやると、パチンコ屋さんが大体二十九兆円の売り上げで二兆円の税金を納めていると言われておりますから、それからすると消費税の二%分はしっかりと出てくるんじゃないか。やはり、その負担軽減を、ちゃんと国民の理解を得てできるというようなことを、一個一個、財政再建をやるというのは国家の目的でありますから、まずそれをやる。しかし、その前に、私たち政治家と、そして今までアンタッチャブルのところにしっかりと私たちが目を向けてやっていくことが大事かなと思っておりますから、どうぞよろしくお願いします。

 終わります。

金子委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十七分散会


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