衆議院

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第3号 平成20年1月29日(火曜日)

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平成二十年一月二十九日(火曜日)

    午前九時二十四分開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 伊藤 達也君 理事 遠藤 利明君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 中山 成彬君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      伊藤 忠彦君    岩永 峯一君

      上野賢一郎君    臼井日出男君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      片山さつき君    金子 一義君

      河村 建夫君    倉田 雅年君

      小池百合子君    小坂 憲次君

      佐藤 剛男君    斉藤斗志二君

      坂本 剛二君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    薗浦健太郎君

      園田 博之君    高鳥 修一君

      中馬 弘毅君    土井  亨君

      長勢 甚遠君    野田  毅君

      深谷 隆司君    藤野真紀子君

      増原 義剛君    三ッ矢憲生君

      三原 朝彦君    笹木 竜三君

      武正 公一君    中川 正春君

      西村智奈美君    原口 一博君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      松本 剛明君    山井 和則君

      笠  浩史君    渡部 恒三君

      赤松 正雄君    江田 康幸君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)

   (行政改革担当)     渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   法務副大臣        河井 克行君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   厚生労働大臣政務官    伊藤  渉君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   経済産業大臣政務官    荻原 健司君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松富 重夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    坂野 泰治君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   参考人

   (日本銀行総裁)     福井 俊彦君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十九日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     薗浦健太郎君

  尾身 幸次君     高鳥 修一君

  大島 理森君     伊藤 忠彦君

  小池百合子君     片山さつき君

  小坂 憲次君     藤野真紀子君

  坂本 剛二君     土井  亨君

  菅原 一秀君     上野賢一郎君

  馬淵 澄夫君     西村智奈美君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     大島 理森君

  上野賢一郎君     菅原 一秀君

  片山さつき君     小池百合子君

  薗浦健太郎君     臼井日出男君

  高鳥 修一君     尾身 幸次君

  土井  亨君     坂本 剛二君

  藤野真紀子君     小坂 憲次君

  西村智奈美君     馬淵 澄夫君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  保坂 展人君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)

 平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)、平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官新保雅俊君、外務省大臣官房審議官松富重夫君、厚生労働省医政局長外口崇君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、社会保険庁長官坂野泰治君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君、防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。

斉藤(斗)委員 おはようございます。私は、自由民主党、斉藤でございます。

 三十分という限られた時間でございますので、簡潔にお答えいただければというふうに思います。

 最初に、福田総理にお尋ねしたいと思います。

 先日、ダボス会議に御出席になられました。私の聞いたところでは、一泊四日ですか、夜行に次ぐ夜行、強行軍の中で、力強いメッセージを発せられたと私は評価しているわけであります。

 特に、クールアース推進構想というのを高々と打ち上げられました。国別総量目標の設定、さらに、なかなかできにくい基準年の見直し、こういった、日本が環境についてリーダーシップをとっていくんだ、そういう力強さを受けたわけでありますが、いつも比較されるのが、この間ノーベル賞を受賞したアル・ゴアとの比較なんですけれども、アル・ゴアは、「不都合な真実」、そういう打ち出し方をされましたけれども、私は、クールアース推進構想、クールアースというのは、非常にわかりやすい世界へのメッセージ、また、意識革命の力強いメッセージだなと思います。

 この後、小池百合子元環境大臣が質問に立たれますけれども、小池さんは、クールビズということの中で意識革命をしていただいたんですね。

 そういう意味で、このダボス会議でのクールアース、これを日本がやるんだということの総理の強いメッセージ、最初に、どのような気持ちでこれをさらに推進し拡大していくのか、お聞きしたいというふうに思います。

福田内閣総理大臣 気候変動問題の解決に当たりましては、すべての主要排出国が参加するということが極めて大事なんであります。もう決定的なことですね。そして、世界全体としての排出削減を目指す、そういう枠組みを構築していくことが大事なんであります。私は、このダボス会議でもって、クールアース推進構想というものを提案いたしました。

 その提案の中身は、まず第一に、ポスト京都フレームワークということでありまして、温室効果ガス削減に向けて、主要排出国とともに国別の総量削減目標を掲げて取り組むということ。そして、目標の策定に当たっては、エネルギー効率などをセクター別に割り出して、今後活用される技術を基礎として削減可能量を積み上げ、削減負担の公平さを確保する。公平さがなければみんなが納得する枠組みというのはできない、そういう考え方であります。

 それから第二に、国際環境協力を実施いたします。世界全体で、二〇二〇年までに三〇%のエネルギー効率を改善する目標を世界で共有するということ。そして、百億ドル規模の新たな資金メカニズム、クールアース・パートナーシップ、こういうふうに名前をつけましたけれども、これを構築しまして、途上国の温暖化対策を支援する。これは、技術的にも、それから温暖化による被害を受けた国に対する支援、こういうふうなこともございます。そういうような温暖化の技術支援という前向きのものと被災の支援、こういう両面の支援をするということ。

 第三に、これは技術開発、イノベーションということでありますけれども、革新技術の開発と低炭素社会への転換ということであります。

 この革新技術というのは、今、省エネというのを一生懸命やっておりますけれども、その省エネだけでは根本的な解決にならない。CO2を排出しないゼロエミッションのそういう技術開発をしていく。これは、時間は多少かかります。ですけれども、これは何としても実現しないと、二〇五〇年半減ということは達成できないし、将来の、もっと炭素排出を減らそう、そういう目標は達成できないという観点から、相当額の研究開発費を投じて、何としても二十年、三十年後に開発しよう。そして、排出が今しばらく上昇してきます、それを頭打ちにして、下げさせていこう、こういうふうなことで、この分野に力を注ごう、そういう考え方で構成されているわけであります。

斉藤(斗)委員 大変ありがとうございました。

 この予算委員会で、どちらかの党の方が、キリバスという国が水没しちゃうんだ、これを救ってくださいねと総理にお願いをしたことを私は覚えているんですけれども、このクールアース推進構想の中には、そういうことも含めてしっかり対応しますよという福田さんの強い意思、決意が感じられたところでございます。ぜひとも環境最先進国の日本を形成していただいて、世界が日本を見習え、このようなリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 時間の関係で次に行きたいと思いますが、今まで環境の優等生だと言われていたのは、実は、製紙業における古紙の活用でございました。しかしながら、ここへ来まして問題を起こしました。再生紙偽装問題で、大変けしからぬというふうに思っているわけでございますが、これについて幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の漢字の一字が「偽」ということにつきまして、古紙配合率の偽装表示ということであります。

 ただ、古紙の現状というのは大変厳しゅうございまして、トレードオフの関係が幾つかあるんだということを御指摘申し上げたいというふうに思うわけですね。例えば、紙の品質を上げると逆に古紙の使用比率が下がらざるを得ない、品質問題で。また、古紙をある程度使って、ある基準を超えると逆にエネルギーへの負荷が高まってしまうという逆の方向への動きも一つ出てくるし、また、中国を初め諸外国が古紙について輸入を拡大している中で、質のいい古紙が入手できない。

 ですから、メーカーの苦悩もそこにあるわけでございますので、これは甘利大臣にお願いしたいと思いますけれども、この問題にこれからどういうふうに対応していくのか、まずお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、製紙業界というのはリサイクル社会を先導する優等生と思われておりました。これがその信頼を裏切ったということは、極めて遺憾なことであります。関係当事者を呼びまして、信頼回復それから再発防止に努めるように指導しているところであります。

 現在、製紙連合会から業界全体の実態調査の報告をされております。これを今精査しておりまして、必要に応じて、さらなる実態調査を指示する、コンプライアンスの強化、再生紙の定義、表示の問題等について指導する等、適切に対処してまいります。

 確かに品質の問題もありますが、それは技術開発を通じて解決してもらいたいと思いますし、何よりも、契約は資本主義市場経済の基本でありますから、契約をしっかり履行するということが大事なことでありまして、信頼回復に努めるよう今指導しているところであります。

斉藤(斗)委員 この古紙問題は、実は環境省も所管をいたしておりまして、グリーン購入法が、その法律がございまして、一〇〇%というのが幾つかの項目で購入義務になっているわけでありますが、この基準について、今、改正等々見直しの手続に入られたという報道があるのでありますけれども、大臣、その点、いかがお考えか、お聞かせください。

鴨下国務大臣 今御指摘をいただきましたグリーン購入法におきましては、これは用途に応じて、事業者の意見を聞いた上で、専門家による検討会で議論をして、例えば古紙パルプ配合率一〇〇%、七〇%などの基準を決めていたところでございますけれども、今先生が御指摘のように、そのことについていわば技術的になかなか難しい、こういうようなこともあって、検討に入ったところでありましたけれども、報道されているような、いわゆるエコ偽装というふうに言われているような事態が起こりました。

 ただ、それも受けまして、これからは、きちんとした形でどう対応するかということで、本日十六時から有識者の検討会で検討を始めよう、こういうようなことであります。

 内容につきましては、一つは、今後の偽装に関する、ある意味で全容を解明しないといけない、さらに、官庁における古紙の利用のあり方、グリーン購入法の問題点、再生紙の考え方、古紙配合率などの監視、確認の方策、そして古紙利用技術や古紙資源の実情確認など、こういうような点につきまして、検討会を本日から始めるわけでありますけれども、できるだけ早い時点で結論を出してお示しをしたいというふうに考えております。

斉藤(斗)委員 本件につきましては、業界も深く反省をし、おわびを申し上げている。したがいまして、業界の秩序ある安定的な発展をぜひとも御指導いただきたいというふうに思いますが、そんな中で、資源有効利用促進法という法律がございます。国内の需給バランスを安定させるという非常に大事な法律でございますし、大事な資源を勝手に使ってはいけない、また輸出してはいけない、そういう意味も含まれた法律だというふうに思っておりますので、例えば、輸出が急増することによってこの配合の関係が乱れるというようなことがございました場合でも、輸出に一定の規制を設ける等、こういったことも検討していただくことをお願いしておきたいというふうに思います。

 時間の関係で次に行きたいと思いますが、暫定税率、道路の問題に参ります。

 この予算委員会ではいろいろな議論が出ておるわけでありますが、ガソリンの価格ですが、私は、まず冷静に、国際比較等々、見なきゃならないんじゃないかというふうに思っております。総理も、日本のガソリン価格はOECDの上から二十五番目だ、たしかそういう説明をされたと思いますが、決して高くはない、むしろ安いという認識を持っているわけでございますが、ただ、これは相場物で、上がったり下がったりいたします。

 このガソリン価格の見通し、現在日本のレギュラーガソリンは一リットル百五十五円とか百五十三円前後を推移しておりますが、これから為替の問題等々もございますし、相場の問題もある、これをどのように見られておるのか、担当大臣からお答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 WTIの先物の価格は、ことしの初めに一時一バレル百ドルをつけました。現在は九十ドル前後に下がってはいますが、引き続き相当異常な高値であります。

 今後の見通し、これはなかなか難しいのでありますけれども、新興国、中国、インドを初め、石油の実需要がかなり高まっております。そして、実需の需給が次第にタイトになってきているというのが一番大きな原因であります。加えて、地政学的リスク、これは産油国の政情不安で供給途絶が起きるんではないかという不安も価格に影響する。それから、投機資金の動きであります。これら三つが影響してくるんだというふうに思います。

 消費国側としましては、一致結束をして省エネに徹底的に取り組む、それから代替エネルギーの開発を行うということを確認しております。と同時に、それぞれの国がいろいろなチャンネルを通じて産油国に増産を呼びかけようと。というのは、これを放置して経済が停滞すると、結局、産油国経済も影響を受けますよ、ひとり勝ちするというようなことはできませんからねということを申し上げているわけであります。

 加えて、今回アメリカ側に私が提案をしましたのは、アメリカの製品在庫が品薄になってきています。これが市況に影響を与えているのも事実であります。リファイナリーの投資がアメリカは余り進んでおりません。一つは、上流投資の方が利幅が大きくて下流は少ないから、効率の関係から投資が進まないということと、それからもう一つは、環境問題だと思います。そこで、日本からの製品輸出について検討してはどうかという提案もさせていただいたところであります。

斉藤(斗)委員 私は、今、日本が円高になってきている、原油相場も弱含みだという状況の中で、現在百五十五円程度のものが、もう少し下がってきて百五十円は切っていくなという予測もしているところであります。

 そういう状況でも、韓国におきまして、新しい大統領が、関税の方の税負担分の一〇%引き下げ。これは約六割です。六〇パーですから、下がっても六円ぐらいかなということでございますので、韓国の百九十数円、今、日本より約四十円高い韓国のレギュラーガソリンになりますが、韓国が一〇%下げても日本はまだまだうんと安いんだということが予想されるかと思っているわけであります。

 ここで今、WTI、ウエスト・テキサス・インターミディエートの話が出ました。このインターミディエートのものは全石油生産量のわずか〇・五、いわゆる一%未満のこの原油の相場が世界をリードしていくという、これは異常というか、私どもなかなか納得できないわけでございまして、もう少し投機マネーにもてあそばれない、そのような価格メカニズム、システムというのを構築すべきだ。それは、サミットの場でも十分議論する価値がある課題だというふうに思っております。

 ここは総理にお聞きしたいんですけれども、WTIの相場形成について、例えば福田メカニズムとか、そういうようなことまで、クールアース推進構想の一環としてお触れになる、そういうお気持ちがおありじゃないでしょうか。ぜひそういうことをやっていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 石油の価格というのは、伝統的に言えばアメリカ着、中東の価格もアメリカ着で決まった、こういうことがありまして、これはずっと伝統的に行われてきたんですね。ですから、それでアメリカのその〇・五%が今でも引用されるということになっているんです。

 昔はやはりコストベースで、採掘のためのコストが幾ら、運賃が幾らというふうな形でマーケット価格というのは構成される、基本は構成されたということなんです。今は、全く違うんですよ、投機なんですよ。投機でもって値段がついてくるということでありまして、例えば、ニューヨークで、要するに現物を伴わないペーパー取引というもの、現物は三十万バレルなんだけれども、それに対して、紙の方は、ペーパー取引は五億バレルあると。そのぐらいの、実態を伴わない架空取引的な形で相場が形成されているということでありますから、そういう仕組みを変えないと、この原油高というのは解消しないというように思います。

 これは、ほかの商品なんかについてもそういうことは言えるんだと思いますけれども、そういう今の国際的な金融の一つのメカニズムになってしまっている、そういう現実を理解していかなければいけないというように思います。

 ただ、そういうことについて、決していいことではないという認識は当然持っていると思います、各国首脳は。ですから、話し合いの余地はあるんだろうと思います。しかし、それが大きなボリュームを占めているということになりますと、果たしてどういうことになりますか、余り急に変えますと、今の世界全体の経済が本当におかしくなってしまうといったようなこともあわせて考えていかなければいけない、なかなか深刻な問題だというふうに私は受けとめております。

斉藤(斗)委員 総理はエネルギー問題に非常にお詳しい方でございますので、世界経済が混乱しないような新しい秩序をぜひとも目指してやっていただきたいと期待を申し上げているところであります。

 時間の関係で、道路の暫定税率の問題に入りたいと思います。

 地方は今、不況なんですね。その不況にさらに追い打ちをかけるような状況になるんじゃないかと私は心配をしているんです、もしこの暫定税率が廃止されれば。というのは、大きなお金の流れでございまして、人間の体で言えば血流なんですね。血液がぐるぐる回っている中をすぽっと二兆数千億なくなっちゃうとか、そういうことは避けるべきだと私は思っております。

 たまたま、二、三日前の日曜日に大阪国際女子マラソン、皆さん、ごらんになったと思いますね。あの福士加代子、いい選手なんですが、途中で倒れているわけですよ、脱水状況で。それで、血流不足、脳貧血を起こして倒れていっちゃって、走れなくなっちゃうんですね。今暫定税率をなくしたら、ああいう状況の中で、血流不足で脳血栓状況が日本の経済を襲っちゃう。特に地方が参っちゃうんだと思いますよ。

 大臣、その点いかがお考えか。一応、先に増田大臣、お願いできますか。

増田国務大臣 道路の関係ですけれども、地方の場合には、道路特定財源というのはわずか二〇%でして、そのほか、一般財源とそれから地方債、そういう形で何とか資金を調達している、こういう現状ですね。

 ところが、暫定税率がなくなると九千億の減収、そのほかに七千億、きのう七千億丸々かどうかの議論がありましたけれども、それでも一兆数千億の巨額な減収になるということでして、これは結局、地方団体それぞれが自己資金不足になるので、新たな補助金の受け入れとか、それから借入金の調達はできなくなります。今お話がありました、経済を活性化する上での例の新直轄など、これはもうあきらめざるを得ないとか、あるいは、身近な生活道路の整備もできなくなる。

 ある県の方から御相談が参りまして、そこは、そういう整備どころか、過去の借金の返済も来年は厳しくなりますということで、相談がうちの方に参っております。

 そういった借金の返済だけではなくて、やはり維持管理費は毎年毎年それでもきちんと計上しなければなりませんから、そうすると、他分野の予算、これは産業活性化の予算もあればいろいろな予算もあると思いますけれども、そういったところも削っていかなければならない。

 そうやって何とか予算のやりくりをしなければならないということになりかねませんので、この点についてはよくよく御理解をいただいた上で、地方のそうした経済、行財政にも非常に多大な影響を与えますので、暫定税率の維持については何とか御理解いただきたい、こういう思いでございます。

斉藤(斗)委員 これは、地方とともに、国の、中央の問題でもあるわけですね。

 ここで冬柴大臣にもお聞きしたいんですが、その前に私はお礼を申さねばなりません。昨年のこの国会で、御当地ナンバーの最後の大きな、富士山ナンバー、お認めをいただきました。富士山を中心とした周辺十二市町村が新たに車両ナンバーに富士山をつけていくわけですが、あれもやはり地方道路を通るわけですよね。この暫定税率がなくなりますと、国の直轄事業もありますけれども、地方部への影響も大変大きいんだと思いますけれども、その点お答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 暫定税率が廃止されますと、国、地方を合わせて二兆六千億の大幅な減収となります。静岡県では、県と市町村を合わせて三百四十九億円の減収となりますが、これに加えまして、地方道路整備臨時交付金分二百三十五億円を加算いたしますと、実に五百八十三億円の減収となります。そうしますと、もうあかずの踏切の解消、通学路の歩道整備を初め、地方における高度医療施設への広域的なアクセスの強化など、都市における安全で円滑な交通を実現するための環状道路やバイパスなどの対策を進めていくことは、極めて困難になると思われます。

 特に、地方では、道路特定財源に加えまして一般財源や地方債により道路整備の多くを賄っているのが現状でありますが、とりわけ削減が困難な維持補修費や公債費の負担が大きい地方公共団体にとっては、暫定税率の廃止に伴い、予算全体の編成に苦慮されるところが多くなると思います。

 直轄事業負担金が廃止されますと、補助金等の額を確保するとした場合、国が行う直轄事業に使える予算はわずか四千億になります、年間でございます。国道の除雪や維持管理費に係るものがちょうど四千億円でございますから、新規事業の凍結はもちろん、継続事業もすべて休止となることになります。さらに、過去に契約した工事の支払い六千六百億円も支払いに困難を来すことになります。

 静岡県におきましては、伊豆縦貫自動車道あるいは三遠南信自動車道の整備等を常に要請をいただいておりますが、これを進めることは全くできなくなります。

 以上です。

斉藤(斗)委員 ということで、福士加代子状況を発生させるなということで、ぜひとも暫定税率維持で対応していただきたいというふうに思います。

 時間がなくなってきてしまったんですが、きょうは日銀総裁にお越しいただいております。

 私は、経済並びに社会状況が日本は閉塞状況だということで、憂慮している状況でございます。先般、総裁は、循環メカニズムは機能しているから大丈夫だということをおっしゃったんですが、私は、いかがなものかなと。

 例えば生産、これは海外へシフトしている。所得も減ってきている。さらに、支出についても、義務的支出の方が多くなっちゃって、自由裁量の支出が減ってきている。まして、人口が減ってきているので、支出もふえるわけないじゃないか。そういう発想の中で、循環メカニズムは機能しているけれども、それは縮小均衡に移行しながらの安定ではないかというふうに理解しているんですが、総裁、いかがですか。

福井参考人 お答え申し上げます。

 日本経済は、足元は減速いたしておりますけれども、少し長い目で見ますと、やはりグローバルな経済の展開、そのダイナミクスを日本の企業もフルに生かしながら、前向きの好循環の軌道をしっかり生かして先行きの経済につなげていく、そういう姿になっていると考えています。

 政府においてとられております成長戦略が功を奏して、日本経済自身の持てる実力としての潜在成長能力が今後さらに上がっていくということを日本銀行も強く期待しておりますが、同時に、潜在成長能力がそのまま現実の成長として実現していくように、これは企業がイノベーションを施して長期的な投資を実現していっていただかなければなりません。

 日本銀行といたしましては、物価安定のもとで、景気の振幅がなるべく小さい、息の長い成長が実現するような金融環境、これをしっかりと整えるということで貢献していきたいというふうに思っております。

斉藤(斗)委員 どうぞ総裁、お引き取りください。ありがとうございます。

 時間の関係で前へ進みたいと思いますが、大田大臣に質問したいと思ったんですが、時間の関係で。しかしながら、ジャパン・アズ・ナンバーワンとかつて言われました。今、ジャパンは十八位ですか、それをはっきり明言されましたよね。ですから、日本は今、停滞、劣化、混迷、そういう状況に入っている。残念に思っているんですよ。ですから、幾つかのパンチを出してもなかなかきいてこない。ですから、認識が甘いというふうに思っています。

 ですから、元気はつらつガッツポーズの日本をつくってもらいたい。どちらかというと、病気にならないように、そういうような対応が多いんじゃないかなというふうに思っております。

 時間の関係で私の方から申し上げますけれども、元気はつらつガッツポーズがとれる日本、これにはブレークスルー戦略が必要だというふうに思っているんですよ。

 少なくとも三つの柱。一つは、少子化対策の本格化。まだGDP比一%まで届いていない。ドイツが二%までいっている、フランスが三%までいっている。暇、時間をかける、それから手間もかける、さらにお金もかける。この三本柱の中で少子化対策を一段と拡大していくというのが、一つのパンチ。

 二つ目がバイオエネルギー。これは日本をバイオ燃料産油国という構想の中で、農業、商業あわせて、チーム・ジャパンの中で日本を産油国にしていく、こういうような力強い構想。

 さらに、新技術、新産業のラッシュ。私は、防衛庁長官のときにCX導入をさせていただきました。バイク、オートバイの部品が二万点、自動車が二十万部品、飛行機が二百万部品と言われて、ポスト自動車の、そういう時代もつくっていかなきゃならない。

 そのような三つの強烈なパンチを繰り出すことによってこの閉塞状況を打破していくということが大事だというふうに思います。

 時間の関係でちょっと順序を入れかえますけれども、きょうは若林大臣がお越しでございますので、バイオ燃料について。

 私は、バイオ燃料産油国、バレル百ドルの時代、これを克服するには一リットル百円のバイオエタノールをつくるべきだ、そういう主張をしておるわけでありますが、これについての大臣の御認識、また決意をお聞きしたいと思います。

若林国務大臣 バイオ燃料の生産振興というのは、地球温暖化とか地域の活性化などにつながるとともに、従来の食料などの生産の枠を超えまして、将来日本の農林水産業の新たな領域を開拓するものである、このように認識をいたしております。

 昨年二月に取りまとめた国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表、委員が資料をお配りいただいておりますけれども、それに基づきまして、農林水産省としては、二十三年度における五万キロリットルの生産目標に向けまして、今年度から、北海道二地区、新潟において、バイオエタノールの本格的導入に向けた大規模実証事業を開始したところでございます。

 また、生産拡大を図るために、平成二十年度予算においては、食料供給と競合しない稲わらや間伐材などの未利用バイオマスを有効に活用した日本型のバイオ燃料生産拡大対策を重点的に実施することとしておりますが、同時に、平成二十年度の税制改正事項として、バイオエタノール混合ガソリンに係るガソリン税の軽減措置、バイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置の創設を予定しているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携を図りながら、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大の実現に向けまして戦略的に推進してまいりたい、このように考えております。

斉藤(斗)委員 時間が参ったわけでありますが、バイオ燃料産油国の構想に向けて、しっかりと対応していただきたいと思います。特に、農地の集約が大事でございまして、小規模農家の農地を貸していただくことによって、田分けをなくして、大きな規模の中でこれをしっかり、それと、そのために地代もしっかり面倒を見る、こういうような構想で大臣にしっかり取り組んでいただくことをお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、小池百合子君。

小池委員 おはようございます。小池でございます。きょうは久しぶりの質問でございますので、よろしくお願いいたします。

 まずは、総理、スイスへの御出張、弾丸ツアー、御苦労さまでございました。まさに、日本の総理というのは、気力、体力、知力、この三つがそろっていなければならないわけでございますし、ますますこれからも御活躍を期待いたすと同時に、くれぐれも御自愛をいただきたい、このように思います。

 といいながら、きょうの質問は、できるだけこの国のかじ取りについての考え方について伺いたく思いますので、特に総理からお答えいただくということでお願いを申し上げたく存じます。

 まず、今回のスイス御出張もそうでございますし、これまでの総理になられてからの海外の御出張、それからきょうは皆さんおそろいの、それぞれ大臣の皆様方も、ますます国際会議は数はふえても減ることはないというのが現状だと思います。ところが、出張の、国会の御承認を得て行くわけでございますけれども、ぎりぎりになって行く、行かないが決まったりいたしますと、実際、国際会議などでいいポジションを得るということが難しくなってしまう。そしてまた、行って帰ってくるだけでは、せっかくの会議のいろいろな機会を逃すことが現実にあるということを、私自身、わずかな大臣の経験ではございますけれども、痛感をしたところでございます。

 国際会議に行って、各国の首脳たちとの意見交換の絶好の場であるにもかかわらず、ただそこでスピーチをして、そのままトンボ返りをするということを強いられたことも何度かあったわけでございまして、行かないよりはいいけれども、しかしながら、もっと生かせる方法がある。

 結論として、日本の顔が見えない、プレゼンスが確保できないといろいろと指摘はされますけれども、もう少しこのあたりは国会全体で考えていくべきではないのかな、このように思うところでございます。

 また、陛下の認証官としての副大臣制度を取り入れました際にも、もっと大臣には外での営業活動をやってもらってということで、国会対応は副大臣でも可能ということで、これまでもいろいろな協力を得てはいますけれども、本来の副大臣制度を導入したときの魂といいましょうか、それがかなり後退しているのではないかという思いもいたします。

 これは国会の問題ではございますが、そういったことも踏まえまして、総理のお考えについて伺わせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘のとおりのことでございまして、国際会議で日本の首脳がそこに顔を出していないということは、そこで、首脳であれば発言できても、そうでないと発言させてもらえないといったような国際会議の状況を考えまして、日本の主張が国際場裏に通らないということになりかねないわけでございますので、これは非常に不利な状況だと思います。

 首脳が行けない事情は何か、それは国会です、大体そういうことになっているんですね。これは、実例を挙げれば、二〇〇一年の国連総会に臨時国会のために出席できなかったということもございました。近くは、二〇〇七年の十一月にアナポリスで中東会議があったんですけれども、これに外務大臣が出席できなかったなんということもございまして、そういうふうなことは今まで幾らでも経験しているわけです。それから、私の出張も、予算委員会と予算委員会の間に挟まれて、土日を使ってというようなことになることでありまして。

 そういうような状況というのは、世界の方々、皆さん、日本はそうなんだということで理解してくだすってはおりますけれども、しかし、チャンスを失うこともあるわけでありまして、そういうことがないような何かいい方法があればいいなというふうには思っておるわけであります。

 これは、国会の御理解もいただかなければいけないということでありますけれども、そのために、今御指摘ありました副大臣制度というのは、まさにそれを解消する、解決するために認証官の副大臣を設けた、こういう話も伺っております。ですから、そういう制度を今後御理解いただいて、副大臣が国会で答弁する、そして大臣は、もちろん必要があって行くわけですから、必要なときには大臣が行けるというふうな仕組みにしていただきたいなということで、これは御協力をお願いする、こういうふうなことでございます。国会の運営のことでございますので、国会の方でそういう検討をいただきたいと思っています。

小池委員 政権交代ということがいつしか想定されるならば、これは逆の立場になってその思いを結局味わうということになるわけでございますので、ここは国家のプレゼンスの確保ということをもう少し現実とともに考えるべきだ、このように思うところでございます。

 さて、先週、一月二十四日でございますけれども、新テロ対策特措法に基づきまして、海上自衛隊の護衛艦「むらさめ」が出港をいたしました。私も横須賀に見送りに参らせていただきまして、そして元気な姿で海上自衛隊の皆さんが出港するさまを見て、そこへ行き着くまでのいろいろな過程を思い出しながら、感無量となったわけでございます。

 また、湾岸諸国の中の一つのある王族の方とお話もしていたんですけれども、日本のプレゼンスは実は極めて大きいんだ、そしてできるだけ早く戻ってほしいんだ、また、日本のかわりにほかのところが来てもらっても困るんだと。ここで私が注釈を加えるならば、多分、中国、ロシアなどがあの湾岸の、まさに日本で言うところのシーレーンのところに来ると、湾岸諸国からするとかえって不安であるということをおっしゃるわけですね。

 ですから、私は、日本のプレゼンス、そして日本があの地域においてこれまで培ってきた信頼感というものは極めて大きいものがあって、それに対して我々日本人自身が、もしくは日本そのものがもっと自信を持つべきである、このように思ったところでございます。そのためにも、せっかくの信頼が置かれているところにまた出たり入ったりということは、わざわざこれまで積み重ねたものの実績をそいでしまうということにもなりかねない、このように危惧をするわけでございます。

 そして、昨年の一月に防衛庁から防衛省に昇格をいたしました。その際に、自衛隊の国際平和協力活動を本来任務とするということとなったわけでございまして、そのためにも、一つ一つのケースで特措法を設けるというこれまでのやり方ではなくて、やはりどうしても恒久法ということで対応していく必然性があるのではないか、また、憲法との整合性ということについても深く研究もしなければならない。

 その意味では、これは安倍政権の時代でございますけれども、官邸におきまして、いわゆる法制懇という形で、有識者の皆様方に四つの類型ということでいろいろと御研究をしていただいていたと思います。

 その中の一つに、例えば駆けつけ警護の際の自衛隊の対応についてということも、法律的な観点からの研究も行われてまいりました。最終的な報告がどのようになったのか承知をいたしておりませんけれども、これまでのこういった研究について総理はどう見ておられるのか、そしてまた、今後どのような取り組みをされていくお考えなのか、お聞かせをいただければと思います。

福田内閣総理大臣 一般法の必要性の是非につきましては、暫定措置をイラクで行いました、あのときからの議論なんです。ですから、もう随分長いんですね。

 ただ、そういうような暫定措置を実施している間はなかなか難しいだろうという議論もございまして、今まで国会で取り上げるということはなかったんですけれども、これは、我が国が国際平和協力ということを行う、そして、自衛隊がそこに参加するという場合には何らかの法的な担保が必要だということで、それも、暫定措置ということで、特別措置ということでもってその都度つくるということであってはいけないのではないか。特別措置をその都度つくるということは、立法するわけですから、国会でもってやはり一カ月、二カ月、テロ特措法は一カ月でできましたけれども、普通は二カ月はたっぷりかかるんです。そうしますと、ほかの国はもう出て活動しているけれども、日本はなかなか出ていけない、こういうようなことでもって本当に協力活動を十分にできるかどうか、そういう心配もあります。

 ぜひ一般法をつくりたい、こう思っておりますけれども、いずれ、この国会で取り上げるかどうか、取り上げるのであれば、取り上げられるように準備をしていかなければいけないと考えておりますし、また、与党の中で取り上げる前に議論をしなければいけないということもございます。また、国会の方でそれを議論していただける状況ができるかどうか、そういうこともよく考えながら、また、野党の方々にも理解をいただきながらこの問題を進めていければ一番いいのではないかというふうに私は思っておりますので、そういうことを、全体を見て進めさせていただきたいと思います。

小池委員 平和協力活動、現地において、自衛隊の皆さんが、全員からというか、日本の国民からしっかりとバックアップを受けて出ているのと出ていないのでは士気にもかかわる、このようにも思うわけでございますので、この一般法、恒久法についての議論は、今回のインド洋の活動につきましても、もう既に一年後に同じような状況が考えられるわけでございますので、これについては時間をかけながらも急いでやるべきではないか、このように思っております。

 それから、米軍再編についてでございますけれども、現在、党の方で基地対策委員長を仰せつかっております。米軍再編につきましては、日米合意に基づいて、そしてまた地元の理解を得ながらも速やかに、確実に進めていかなければならないもの、このように考えております。

 特に、普天間空港の移設でございますけれども、三年をめどということも沖縄の仲井真知事も公約でもおっしゃっているところでございますが、刻一刻と時間は過ぎているという現状かと思います。

 私は、前次官との攻防、いろいろございましたけれども、この普天間の移設については考え方を一にしておりまして、そして、日米同盟に基づいた形でしっかりと進めていく。その中で、地元の理解を得るための努力はもちろん欠かすことができないわけでございますが、お正月の新聞記事を見ておりますと、原案を大幅に動かすといったような報道などもございました。

 これらにつきまして、できるだけ早期に結論をつけて、そして進めていかなければならない、このように思うわけでございますが、総理のお考えはいかがでございましょうか。

福田内閣総理大臣 米軍の再編、特に普天間飛行場の移設、返還というのは、沖縄県民の負担を軽減する、そういうためにもぜひ実現をしなければいけない、そういう課題であると思っております。

 普天間飛行場代替施設については、現在の案は、生活環境、自然環境、そしてまた実行可能性に十分留意をして検討して、地元の名護市などとの合意を踏まえ、米軍と合意をしたものでございます。

 今後どうするか、日本政府として、地元の声に耳を傾けつつ、日米合意に従い、普天間飛行場の移設、返還を含む米軍再編を着実に進めていく、こういうことでございまして、今そういう観点から交渉を鋭意行っているところでございます。

小池委員 地元の声もいろいろございます。皆さんの声に耳を傾けていただければと思っております。

 また、この米軍再編でございますけれども、冷戦後の東アジアの情勢をにらみながら、我が国の抑止力の確保ということが最大の目的であるわけでございます。そしてまた、東アジア情勢も刻々と変化を遂げているわけでございます。例えば、先日の大統領選におきまして、韓国では新しい大統領が来月にも就任をするということで、ここでも一つの変化が見られます。また、台湾におきましても総統選挙が間もなく行われる。そしてまた、中国の経済、軍事力その他も日々刻々と変化を遂げている。

 また、何よりも、北朝鮮問題につきましても、核開発の申告がいまだに明確に行われていない状況にあって、このあたりがまだ膠着状態が続いているということで、拉致問題にもいまだ動きはなしという見方があるかと思いますけれども、この東アジア情勢につきまして、特に北朝鮮問題について、今の総理のお考えについて伺わせてください。

福田内閣総理大臣 北朝鮮問題については、六者会合などを通じました関係国の努力によりまして一定の進展はあるわけでございます、分野ごとにいいところ、悪いところございますけれども。六者会合共同声明の完全実施に向けて、今後一層の努力をしていく必要があると思います。

 また、先般大統領選挙がございましたが、次期韓国大統領も、朝鮮半島の非核化の完全実現、それから拉致問題の解決というのは大変重要である、こういう認識を示されております。

 ですから、米中韓を初めとする関係国と今後連携を強化するということは今まで以上に大事だというふうに思っておりまして、問題の解決に向けた北朝鮮の具体的な行動をそういうような連携の中から促していきたいと思っております。

 我が国は、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決を図るということ、そして不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図る、こういう基本方針、これは全く変わっておりません。鋭意これも交渉し、また、関係国と連携をとりつつある状況にあります。

小池委員 特に、韓国の大統領が今度新政権、新大統領にかわるということでございますが、二月二十五日でしたか、就任式でございます。ぜひとも、総理には就任式にもお出かけになったらどうか、このようにも思うところでございまして、国会の御承認を賜ればでございますけれども、ぜひいらしていただきたいというのが私の希望でございます。

 それからまた、先ほど斉藤議員の方からも韓国のガソリン税の話がございましたけれども、現在で二百二円程度の中で六、七円下げるということなのでしょうか。韓国でもやっているじゃないかという話があるかもしれませんが、韓国は京都議定書の削減義務を負っていない国であるということも留意しなければならない、このように思います。

 そこで、地球温暖化について、また洞爺湖サミットについて、引き続き総理に伺いたいと思います。

 昨日、この予算委員会の場で、日本の国別総量目標ということで、二〇五〇年に五〇%以上の削減という具体的な数値が総理の口から出てきたのは、私は、きのうの場が初めてであった、このように認識をいたしております。

 ただ、温室効果ガスの濃度を安定化させる、これが究極の目的なのでありますけれども、科学的に言うと、先進国は六割、六〇から八〇%の削減が必要であるというのが一応相場となっているわけでございまして、二〇五〇年に五〇%以上、以上というのがにょろっとついて非常に幅が広いわけでございますけれども、五〇%でとまってしまうと後退と見られかねない。ましてや、科学的な相場からいきましても、それよりもかなり低いという位置づけになってしまいます。

 また、京都議定書から現在ブッシュ政権が離脱しているとはいえ、例えばマケイン上院議員、今の候補者がかねてより進めてきた、その仲間であるリーバーマン議員などを含めるリーバーマン・ウォーナー法案というのが上院の委員会で可決いたしております。五〇年には産業分野で七〇%、それから国全体では六三%という数字を出したこの法案を可決しているところでございますし、今、戦っている民主党側のオバマ、ヒラリー、それぞれ二〇五〇年八〇%という数字を出してきているわけでございます。

 もちろん、中国やインドを引き入れなければならないという極めて難しい交渉ではございますけれども、国別の目標を設定する、それも、我が国としての目標を決めるのは、我が国が決めればいいわけでございますので、これについてはより明確な数値の設定ということがどのみち必要になってくるのではないか、このように思います。

 また、積み上げ方式での国別総量目標という考え方でございますけれども、多分、今、ダボスでその御発言があって、世界全体のこのダボス発言についての反応というのがまだまだらというか、よくわからない。急にゴルフのヤード表示からメートル表示になったような部分があるので、もしくは、ティーグラウンドがバックティーからレギュラーティーに変わったというか、若干その辺のところで、みんないろいろ、うんと思って、今、計算をしているところなんだろうと思います。

 もちろん、これで新しい日本の提案したルールが、マーケットもしくはルール全体を、世界のルールを決めていくということにつながっていけばいい、このように期待をするところですけれども、総理御自身の勝算はいかがでございましょうか。

福田内閣総理大臣 委員が御指摘になりました、私、昨日も答弁の中で申し上げたように、二〇五〇年五〇%削減というのは、これは世界の目標なんですね。我が国も、とりあえず五〇%削減はしなければいけません。しかし、ほかの国がそこまでいかないというのであれば、先進国は、我が国も含めて、さらに低い数値を出さなければ、目標を掲げなければいけない、こういうことになるわけですね。

 しかし、二〇五〇年で五〇%削減で本当にいいのかどうかという議論も当然あると思うんですよ。ですから、そういうこれからの科学的な予測とか実行能力とかいったようなものを勘案しながら、そういう数値はいずれ改定されるかもしれぬ、こういうことになります。

 ですから、そういう状況の中で日本はどうするかといえば、やはり、二〇五〇年にはもうCO2排出ゼロのエネルギーを開発するとかいったようなことをこの二十年、三十年の間にしていかなければいけないのではないか、こういうように思いますし、そのために具体的にその第一歩をもう踏んでいるわけでありますけれども、そういう方向に向かって開発のテンポを速めるという努力をしなければいけない、そういう提案もしているわけでございます。

 ですから、今、何%でどのぐらい本当にできるかどうかといったような議論というのは余り、意味がないわけじゃありませんけれども、しかし、それよりも、より現実的に、今何をするか、第一歩をどこで踏み出すのか。今できることはあるわけです。例えば、完全なエミッションゼロではないんだけれども、しかし、省エネとかそういったようなことでもってそういう方向に向かえる、そういう技術もございますから、そういうものをまずは普及させていくということが大事なのではなかろうかというふうに思っております。

 また、これを日本だけでやるということでなくて、ほかの新興国、途上国にもそういう技術を移転するということも考えていかなければいけない。そして、世界全体で、今現在何ができるか、それを実行していくということが問われていると思います。

 いずれ中間的な目標も出さなければいけないと思います。我が国としての意思も示さなければいけない。そういうことがございますけれども、これは、ほかの国も、ああ、そういうようなやり方であれば公平だなというようなものでないと、長期的な目標としてそれを協調して実行するということにならないということがありますから、その辺は、ことしG8の議長国であるという立場もありますので、またよくそういう関係国と協議をしたい。G8だけでない、新興国、途上国とも話をしていかなければいけない。そういう問題だと思っております。

小池委員 もちろん、現実を考えなければいけなくて、そして、省エネ、日々行っていかなければならない。

 ただ、私は、積み上げ方式という形になりますと、今できるところをやっていくならば、二〇五〇年の五〇%削減というのは到底無理だろう。であるならば、例えば月、火、水はもう自動車には乗らないとか、それぐらいのかなり激しい話が二〇五〇年に五〇%というのを確立するためには実際には必要になってくるであろう。これぐらいのものである。

 ですから、積み上げ方式というよりも、むしろ、まず御旗を立てておいてそこから逆算するぐらい、それによってイノベーションを図るというのが必要なのではないか。それを実現するために、省エネを、毎日の部分のところの技術開発を行う。両方からだと思いますけれども、まずやはり、ここがゴールなんだということをもう少し明確に言うべきではないかと私は思います。

 また、例えば、日本はそもそも石油資源がないという前提に立ってすべて考えなければいけないのであるならば、ちょうど七〇年代の石油ショックで味わったときのような、もっと大胆なことを次々とやっていかなければならない。

 例えばロンドン市でございますけれども、一般家庭の白熱球を三日間にわたって無料でかえます、これをLEDの電球にかえますということを実施いたしております。これによって白熱球から出る部分の大体五分の一で済むということをロンドン市内全体でやった、これは大変なものになります。

 それから、これもロンドンでございますけれども、自動車の市内乗り入れの制限をし、これはコンジェスチョンチャージとか、それからロードプライシング制度などを導入しているということで、非常に政官財、三者一体となって、まさに低炭素社会を目指すんだというその勢いたるや、大変なものがございます。

 ましてや、イギリスは産油国でございます。ですから、石油のない我が国にとりまして、より本格的に取り組んでいくためにも大きな目標が必要なのではないか、また、そのためにも、環境税の導入ということは避けて通れない道になる、このように思うわけでございます。

 そういったことで、ぜひともこのG8サミット、非常にことしは難しい年であることはよくわかりますけれども、ぜひとも、総理の明確な目標設定と、それから各国を引き入れるための御努力を期待するところでございます。

 と同時に、洞爺湖サミットをぜひともカーボンオフセット型にしていただきたい。つまり、ハイリゲンダム・サミットのときに三日間で使ったCO2の量は約三万トンと言われておりますけれども、それと同じことを考えるならば、この三万トン分をどこかで相殺してくるという話になりますが、私は、ぜひともアフリカでの植林ということで相殺をしてみたらいかがかと。

 例えばそのときには、三千万本の植林を行ったマータイさんの力をかりるというのもよいのではないかと思っておりますし、日本にとってはアフリカは若干遠いという思いがある人は多いと思うんですけれども、ぜひその植林という活動を通じて、アフリカとも身近で、そしてまた温暖化対策という具体的な問題、これら二つをアピールするためにもこういう形をとられてはどうかと思いますが、お考えを伺って質問を終わりたいと思います。

福田内閣総理大臣 温暖化問題は、省エネだけでは済まないんです。省エネ以上に経済成長が進んでしまえば、排出量はふえてしまう、そういう結果になりかねないわけでありますので、やはり総排出量というものを規制していかなければいけない、またその目標を立てなければいけないということは当然のことでございますので、そういう目標を設定して、そして世界で協力し合いながらカーボンをなくしていくという努力をしていくのは当然のことでございます。

 今、御提案が具体的にございましたけれども、洞爺湖でカーボンオフセット、その構想は考えております。どこでどういうふうにするかということもございますので、一番納得のいくような方法を考えたいと思っております。

小池委員 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 あらしの前の静けさのような、私の質問はまだ静けさの中で進められると思いますけれども。

 総理、きょうの本題に入る前に、今もお話が出ておりましたが、ダボス会議に出席をされて、さまざまなことが報道されております。昨日も御自分の趣旨と違うというようなことをおっしゃった場面がありましたが、私も新聞報道を見たりしておりまして、総理が、いわゆる今の日本の国会の状況について、ありていに言えばちょっと愚痴を述べられたというか、ねじれ現象、そういう言葉を使われたかどうかは知りませんが、そういう厳しい国会運営の中で大変に苦労しているというニュアンスのことをおっしゃったというふうに理解しているわけです。

 総理は、この場面で登場されたのは、すべて承知の上で登場されたわけで、むしろこういう場面を楽しむような境涯というか雰囲気でやっていただきたいな、こういうふうに思うわけで、そういう姿勢からの発信、昨日テレビがついて、きょうは残念ながらテレビがありませんけれども、そういうテレビを見ている国民の皆さんがかたずをのんで見ているという場面で、やはり堂々といろいろな角度から発信をされるということが大事ではないか、そんなふうに思います。

 今いろいろなことが言われておって、きょうのこの委員会も二十五分スタートがおくれたわけですが、単刀直入に言って、私はこの事態、きょうが二十九日で、三十、三十一とまだ数日残っているわけで、言われているような形に、正面から激突するというふうな形にならない、そういう方法、今まさにトップ同士の会談ということがあっていいんじゃないか。

 実は、前回この場面で、総理が小沢民主党代表とお話し合いをされたのはちょっと早過ぎたんではないのかという話をしましたが、私ふうに言わせるとやはりちょっと早かった。今までしておられなかったら、今こそやられたらうまくいったんではないかというふうに思うんですが、その辺を含めて、冒頭に総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 今の状況はもう皆様方よく御案内のことでございまして、そういう状況の中でどういう打開の方法があるのかということであります。

 何もこの予算とか関連法案とかいうだけのことでない、いろいろな政策について同様な問題が起こる、そういう状況の中で一体どうするのか。これはやはり、国会というのは話し合い、議論する場所ですから、この議論を通して解決するというのが一番いいわけですね。ですから、そういう努力を続けていただくということ。

 そういう意味においては、今、国会運営のことについて与野党間でいろいろな話がなされているというように思います。私は、その話し合いに期待をいたしたいと思っております。

 そして、今の経済の問題なんかでも、どうもその見通しを立てるのが難しいといったような状況の中で、まさに日本の政治の場面において経済の先行きを、見通しをさらに暗くしてしまう、そういうような状況があるというのであれば、これは非常に残念なことであるというように思います。そういうことが何とかこの話し合いによって打開されればなと思っておるところでございます。

赤松(正)委員 今、話し合いが進められることに期待するとおっしゃいましたが、ぜひ、必要な場面があったらトップ同士の会談も辞さないという覚悟でお願いをしたい、そんなふうに思う次第でございます。

 今、経済の先行きについて、国民が不安を持たぬように、そういうふうな運営の仕方が大事だというお話がございました。

 まず冒頭に、大田経済財政担当大臣にお伺いしたいんですが、昨日も私どもの北側一雄幹事長を初めとして、またきょうも斉藤斗志二委員からありましたけれども、原油の値上げ、こういったこと。その原油値上げだけではなくて、一月二十五日発表の消費者物価指数の統計によりますと、消費者物価が値上がりしてきている。その中身は、原油だけではなくて、いわゆる生活必需品の値上がりというものがその大半を形成している。

 この原油値上げ、あるいはまた生活必需品、食料、こういったことは、日本が資源小国である、石油がない、あるいはまた食料自給が、これは長年の懸案というか、ずっといろいろ指摘をされてきておりながら、日本の食料自給というのは非常に低迷している。こういった観点のものが値上がりをしていて、それ以外のものはむしろ値が下がっている、こういう状況があるわけでございます。

 そうした状況の中で、総理大臣が、昨年の暮れに、この原油の値上げの状況というのは一時的なものなのか、それとも長期的なものなのか、よく見定めてから対応しなくちゃいけないということを言われた上で、去年の十二月二十五日に一連の対策を発表されたということで、約一カ月がたったわけで、そして、今申し上げたような生活必需品の値上がりという状況が続いて国民生活を圧迫しかけているというか、もう既にされている。

 こういう状況の中で、きのうも御答弁ありましたけれども、引き続きの対策を打っていく、そういう間断ない対策を打っていく構えなのかどうか。ぜひそういうふうにしていただきたいと思うんですけれども、そのあたりの状況認識とこれからの考え方、対応をお願いしたいと思います。

大田国務大臣 昨今の原油高それから資源高というのは、投機マネーが入ってきているという要因もございますけれども、その背景にはやはり構造的な要因があります。新興国での需要がふえている、それから、原油については地政学的なリスクといった構造的な要因がございます。したがいまして、昨今の原油高がやや落ちついても、構造的なものが続く可能性は十分にございます。

 したがいまして、今回の原油高対策においても、中小企業や国民生活への対応策に加えまして、新エネの開発、省エネの推進、それから国際原油市場の安定化といった構造的な問題にも取り組んでおります。

 原油高というのは日本にとっていいことは何もありませんで、これは産油国への支払いがふえるわけですから、企業か家計のどちらかが負担せざるを得ないという厳しい問題がございます。したがいまして、こういう構造的な取り組みも大変重要だと考えております。

 まずは、昨年末の原油高対策を着実に実施する、そして、その効果をきめ細かく見ていくということが重要だと考えています。あわせて、構造的な取り組みを行い、原油高、資源高の動向も見ながら、今後十分に目配りしていきたいと考えております。

赤松(正)委員 今言われたものはほぼ全面的にエネルギーに関することでありましたけれども、あわせて食料等につきましても、今後、食料の場合は、日本の農業政策に深くかかわってきて、農業政策は単純に日本だけの問題ではなくて、これもエネルギーと同じで特にアメリカの動向と深くかかわっているということがありますので、きょうはこれ以上は言いませんけれども、こちらの方もしっかり目配りした対策をしていただきたい、そんなふうに思う次第でございます。

 次に、舛添厚生労働大臣の方に振りますけれども、昨日、民主党の皆さんの議論の後、社民、共産の皆さんからの、特に女性の皆さんから、後期高齢者の医療制度の改革の話、窓口の負担が一割から二割になるのを凍結する話、それから保険料の話、こういうことを中心に激しい議論があって、医療制度改革全般、その中の一部を占めるわけですけれども、テレビを見ておられた国民の皆さんは非常に暗たんたる気持ちになったんじゃないのかなというふうに思うんですね。

 申しわけありませんが、総理大臣も厚生労働大臣もかなり押されておられたという感じがいたしまして、そういうマイナスの側面というか、光と影でいえば、影の側面ももちろんありますけれども、同時に光の部分というか、医療制度の構造改革というのは、文字どおり、この平成十九年版の厚生労働白書の冒頭に舛添大臣がしっかり述べておられるように、大変に大きな役割を持った改革であるということで、やはりこの全体像をしっかりと示さないといけない。そういうことで、国民の皆さんにしっかりわかっていただく。

 きのう、福田総理大臣が非常に率直に、後期高齢者の医療制度の改革の中身についてよく知らないとおっしゃっておりました。現実に、確かにいろいろな場面で、上がることも知らなかったし、凍結になることも、凍結になるということを聞いて初めて上がることを知ったというふうな場面が結構多いわけで、それは一部の話でありますけれども、全体像というものをしっかり、そして特に光の部分というものをしっかり言って、そして国民みんなで医療制度の改革に取り組むんだという姿勢をしっかりと共有していかなくてはいけない、そう思うんですけれども、舛添大臣に、きょうは一転、元気に光の部分を強調していただきたいと思います。

舛添国務大臣 七十五歳以上の方々の心身の特性、それは青年や壮年と違うことは確かであります。私も、母親の介護をずっとやっておりました。まさに後期高齢者に当たる母親でありましたから、やはり治療が長期化するとか、私の母は認知症でした。認知症の数が極めてふえているというのは、先般NHKスペシャルで、私も出演して、やりました。

 それから、御高齢の方々は体力も落ちてきますから、ただの治療というよりも介護の側面が入ってきます。ですから、それぞれの体の特徴、青年には青年、子供には小児科でありますから、子供は子供、そして高齢者には高齢者に合った形のケア、医療、介護、これをやるべきだと思いますので、そういうことが大前提になりまして、どうすれば本当にいい治療が受けられるか、いいケアが受けられるか。そして、だれもが死を迎えるわけですから、死の準備ということも含めて総合的にやろうということで、決して暗い話ではなくて、本当に御高齢の方々の医療ということをまず考えてやったわけであります。

 そして、やはり高齢化とともに医療費はふえている。これは現実であります。しかし、私は、国民皆保険はしっかりと守っていかないといけない。そのために現役世代も含めてどういう負担をやるか。この負担の公平化、明確化。そして、市町村が運営主体だと、なかなか規模が小さいですから、うまくいきません。ですから、広域の都道府県を単位とすることによって、きちんと財政の問題も光を当てていこう。こういう思いで、日本全体の国民皆保険というすばらしい医療制度を守るために、いろいろな知恵を働かせ、こういう制度をつくったわけであります。

 そして、激変緩和というか、非常にそのことによって一部の方が困るということは、与党が決めましたように、凍結というような手段でこれは対応していきます。しかし、長期的にそういう安心と希望、これを国民にもたらせるようなビジョンのもとに行っているということでございます。

 そして、この点については、自治体とともにやはり広報活動が少し足りないと思いますので、全力を挙げて国民の皆様方にこのメリットもきちんとお伝えして、広報を周知徹底したいと思います。

赤松(正)委員 きのう、私ども、予算委員会の議論を聞く中で一部で話題になったのは、道路特定財源、この暫定税率の話との関連で、この凍結状態、今は暫定状況だけれども、それをずっと引き延ばして、三十年ぐらい引き延ばしたらどうだという話が出ておりましたけれども、そういうふうなことも出るぐらいになる可能性が高い。

 したがって、これからの期間の中で、しっかりと私たちも、与野党を挙げてこの医療制度の改革の、もう既にスタートしているわけですけれども、今後のさらなる展開に向けてしっかりとした議論を進めていきたい、そんなふうに思います。

 特に、医療制度全般のことについて言えば、この厚生労働白書、かなり厚生労働省としては力を込めて取り組んだものでありますけれども、その最大の眼目というのは、診療所、そして急性期の病院の言ってみれば役割の分担というところにあると思います。

 一次的な地域医療の窓口としての機能強化が一般の開業医、診療所に求められて、時間外や休日も連絡が可能になるようにするということ、一方で急性期の病院の方は、高度な医療機器の整備や専門医の十分な配置ということによる質の高い入院医療というものが二十四時間提供されるよう、原則として入院治療と専門的な外来のみを基本とすることを検討する必要がある、こういうふうに書かれているわけです。そういったこれからの日本の医療の体制の展望というものをしっかりと明らかにすることによって国民が安心をする、こんなふうに思うんですが、ただ、現実はなかなかそういうふうになっていくということの確信が持てないという状況が実は続いているわけです。

 私どもの公明党の救急医療対策推進本部が、全国の千百四十病院でこの救急医療の現状というものに対するアンケート調査をやりました。昨日発表いたしまして、近々に厚生労働大臣の方に、また総理大臣の方にその中身をお持ちし、そして要望をしたい、こんなふうなことであります。

 一点この中身を申し上げますと、要するに、救急医療が向上するための改善策について何が一番高かったかというと、一つは診療報酬の引き上げであり、また医療スタッフ不足の解消、この二つが大きなウエートを占めており、また、公的支援の強化というものを求める声が強かった、こういう点が一つ大きく挙げられます。

 つまり、私の住んでおります姫路でも、いわゆるたらい回しの結果、一人亡くなるというケースが昨年の暮れにありました。昨日、阿部委員の方からそういう表が示されたわけでありますけれども、そういう患者たらい回しを防ぐために、今申し上げたような、言ってみれば基本的な対応としての診療報酬の引き上げとか、あるいは医療スタッフ不足の解消という問題が根源的に必要だ。

 同時に、もう一方で、救急患者を受け入れるためのいわゆる空きベッドの情報提供をしっかりする、そういうシステムを整備しなくちゃいけない、こういうふうなこと。私どもが調べた千百四十病院の中でもう既にそういうシステムがあるというところが、五九・一%ですから六〇%ほどそういう状況があるわけですけれども、残り約四〇%はない。こういうこともありまして、今の短期的な問題としては、そういう空きベッドの情報提供システムを整備するということが非常に大事になってくるんじゃないか、そういうふうな調査結果が出ております。

 こういったことに対しまして、全貌をまだ御存じないかもしれませんけれども、今言ったようなことは大概既にもう言われていることでもありますので、そういう救急医療、患者たらい回しを防ぐための方途、厚生労働大臣の方からお願いしたいと思います。

舛添国務大臣 まず、公明党の皆さんがそういうアンケートをなさってくださって、本当に感謝しますし、高く評価をしたいと思います。

 今申し上げました長期的なこの対策は、診療報酬の改定その他で手当てをしていきたいと思いますが、緊急の、喫緊の課題であります救急体制ですけれども、これは、どの病院に今空きベッドがあるのか、それでどういう形で連携すればいいのか、これがやはり欠けていることは確かでありますので、消防庁など関係の省庁と至急連携をとりまして、その情報がきちんと行くシステムをつくりたいというように思います。

 緊急搬送の円滑化のために来年度予算で約百億円の予算を計上しておりまして、一日も早くそういうシステムを完備したい、そういう思いで全力を挙げて取り組んでまいります。

赤松(正)委員 ぜひそういう対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。医師不足の問題等、非常に大きい課題を幾つも抱えておりますが、また別の機会にいたしたいと思います。

 次に、外務大臣にお聞きをいたしたいわけですけれども、今回の補正予算の中で、外務省の補正予算の中身を見ますと、アフリカのPKOセンターに対する支援というものが入っております。

 私、最初に今回の補正予算の中身を見たときに、このアフリカPKOセンターへの支援というものに、ちょっとこちらの勉強不足もあって、アフリカにおけるPKOセンターというものがどういうふうな現状にあるのかということをよく知りませんでして、日本が、今なぜこの時期にアフリカに対する、そういうPKOセンターに対する支援というものを補正予算に入れねばならないのかということについて若干の疑問を抱いたわけでございます。

 まず、外務大臣の方からまとめまして、アフリカあるいは世界的にそういうPKOセンターというもの、私の記憶では、今世界じゅうで二十二のPKOの取り組みがなされているようでありますけれども、そういった状況に対してさまざまなかかわりを持つ、そういうPKOセンターというものがどれぐらいあるのか、そして、今回日本がそのアフリカのPKOセンターに支援をする、そういう意図、ねらいはどこにあるのか、こういった点を答弁願いたいと思います。

高村国務大臣 例えば、ダルフール国連AU合同ミッション、UNAMIDと言われるものでありますが、二万六千人という未曾有の規模であって、かつ、スーダン政府の要求により、その要員はすべてアフリカ諸国から派遣される、こういうこととされたわけで、アフリカの平和維持能力向上支援のニーズが急増しているわけであります。

 ことしの一月からUNAMIDは展開しておりますが、どうしても訓練されたPKO要員を緊急に派遣することが求められておりまして、このような措置は当初予算では定められておりませんので、我が国も、先進国の一つとして、国際社会から緊急にこの要員の支援が必要だということで、補正予算として計上しているわけであります。

 それから、PKOセンターは世界でどんなものがあるか。例えば、アジアの主要なPKO訓練センターでいいますと、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、モンゴルなどにございます。アフリカのPKO訓練センターでいうと、エジプト、ガーナ、ケニア、ジンバブエ、マリ、ルワンダ、こういうところでありまして、また、先進国でいえば、カナダ、スウェーデン、ドイツ、イタリア等に展開をしているわけでございます。

赤松(正)委員 外務大臣が先日、三日ほど前でしたか、もうちょっと前でしたでしょうか、ホテルオークラで国連に関するシンポジウム、各国の代表が来ておられるところで講演されたのを読ませていただきました。外務大臣の過去のお仕事を含めて、大変にPKOに対する思い入れの強いそういう御発言を読んで、PKOにはそれぞれの歴史があって、私どもにも深いそういう思いがございますけれども、高村大臣、当時外務副大臣をされて、大臣を経験された後、副大臣をされていたんですかね、そういうことがあったように記憶しておりますが、そういうときのカンボジアPKOに対するさまざまな御苦労を語っていただいて、非常に興味深かったわけです。

 要するに、今、日本が世界じゅうに展開されている二十二のPKOの中で、ゴラン高原に定番としてのPKO派遣と、そしてネパールとかごく一部のところに一人か二人という格好で、PKOの参加が今極めて弱まっているというか、少なくなっている、こういう状況があって、そういう状況の中でアフリカのPKOセンターに対して補正予算でお金を出すというのは、またぞろ日本がもとへ戻って、ぐるっと回って、カンボジアPKOに出した以前の、いわゆる人的にPKOで貢献をするというのではなくてお金で貢献するという、形を変えた、そういうところに戻ってきたんではないかという印象を与えかねないなというふうなことを強く感じている次第でございます。

 先ほど小池委員の方から、そういう中身を展開しますと、PKO、いわゆる伝統型PKOが出ていく場面が少ないために、どうしても多機能な、そういう多機能紛争型のPKOになるということになると、日本がそれに参加できないという状況が続いているために、結果的にPKOに対する貢献が今は少ない。したがってお金の支援をするしかない、こういうふうに私は見ているわけですけれども。

 そういった点で、防衛大臣に最後お聞きしたいんですけれども、今PKOセンターというものが各国にいろいろあるという状況の中で、日本は、静岡県の駒門にいわゆる国際平和教育隊ですか、というものがあって、陸上自衛隊の訓練、これはいわゆる伝統的なPKO参加と、そしてイラクあるいはアフガン、そういう特措法に基づいて出かけていく場合の自衛隊、日本の場合はそういう立て分け、仕分けが必要なわけで、そういう状況の中で国際平和教育隊ということになっているんですけれども、これは堂々とPKOセンターと言っていいんじゃないか、こう私は思うんですけれども、PKOセンターと名乗らないことの理由と、そして今そういう私が申し上げたふうにしていく考えはないかどうか、この辺のお考えを大臣に聞かせていただきたいと思います。

石破国務大臣 先生御指摘の国際活動教育隊でございます。内容は先生御案内のとおりでございまして、要は、陸上自衛官を教育するということになっております。

 つまり、昨年の七月から千五百人規模の要員指定を五方面で行い、ローテーションをやっているわけで、それに対しまして、国際法でありますとかPKOの原則でありますとか実務ですとか、そういうことを教えている。つまり、中の組織に対して教育を行うという考え方でございますので、これはもう名前としては教育隊というのが実態をあらわしているのかなというふうに思っております。

 先生の構想のような形を実現しようと思いますと、これ、対象は自衛官だけでいいのだろうか、そして教える内容はこれだけでいいだろうかということを政府全体の中で検討していくことになるだろうというふうに考えておりまして、先生のお考えを、あるいは内閣府あるいは外務省と協議をいたしまして、政府全体として考えていくべきものと考えております。

赤松(正)委員 これで終わりますけれども、今大臣の御答弁で、そういうふうなお話をいただきました。今、目黒の防衛研究所の中に、いわゆる自衛隊以外の部分の、皆さんのPKOへの取り組みの資料とかあるいはさまざまな歴史的な経緯を、広報宣伝も含めて、国民の皆さんに幅広く提示する、そういう建物をつくるということが今年度予算で、去年そういう調査費がつけられて、ことしから進むということになっておるわけですけれども、ぜひともそれとの連関性、防衛省だけの仕事ではなくて、内閣全体で取り組んでいただく。そして、でき得べくんば、名前は両方ブリッジさせてPKOセンターというふうにすることが非常に大事じゃないか。日本のこれまで取り組んできたPKOに対する強い熱意、そしてこれからの取り組みというものも国民の皆さんによくわかっていただくために非常に大事なことであると思いますので、御検討方、よろしくお願いを申し上げます。

 以上で終わります。

逢沢委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 通告はしてありますけれども、その前に、昨日から問題になっておりますいわゆる道路特定財源の暫定税率、この延長問題について総理の見解を伺いたいと思います。

 昨日から与野党の間で協議が行われて、どうも与党の方からつなぎ法案なるものが出てくる。これはもうとんでもないことだと私も思っております。予算の審議が始まる前に、その予算の関連法案が通らないかもしれないということで、予算関連に係る法案、いわゆるつなぎ法案が出てくるというのは、予算の審議を封じ込めるものではないか。これは、あってはならないこと、まさに国会の権利を損なうものであり、総理としても、この点、ぜひ与党の側に提出しないようにということを言っていただきたいのですが、総理はどういう御意見ですか。

福田内閣総理大臣 今、予算及び予算関連法案の取り扱いについて与野党で協議しているわけですね。それは、結局何かといったらば、国民生活に影響を与えないような形で審議が進まないかどうか、この一点について議論をされているというように伺っておりますので、それはどういう結果になるかわかりませんけれども、私としては、ぜひ話し合いによって解決が図られればいいな、こう思っております。

西村(智)委員 話し合いについて解決が図られればいいというのは、それは、総理、人ごとですよ、ほったらかしにしているということです。

 それは国会の問題と言えるかもしれませんけれども、予算の関連法案は政府が提出しているものです。その審議の前にこの関連法案が出てくるということは、これは国会の歴史を見ても前例がありません。こういったことをやってしまえば、後世に汚点を残すことになってしまう、あしき前例になってしまいますよ、総理。どうですか。

 この法律は、本来であれば、議員立法ではなくて、政府が提出すべきものではないかと私は思っています。そうでしょう。予算関連です。そして、政府がなぜこの法律が必要なのかということをきちんと国民に説明して、その理解を得るように努力をする。議員の立法ということであれば、議員が答えるわけですよね。それは政府の答弁ではありません。必ず、将来大きな問題になってきます。政府が提出するおつもりはなかったんでしょうか。

額賀国務大臣 きのう菅委員が、立法府は国権の最高機関であるというお話をされておりました。予算は内閣に提出権があります。法律は国会の皆さん方がいろいろと提案をして議論されていくことは、国会のルールであります。(発言する者あり)

西村(智)委員 そんなのは意味のない答弁だと思います。

 今、与党の席から、それは議員の立法だから国会の話とは違うんだというような声が聞かれておりますけれども、与党内でも、これは禁じ手だという声が聞かれている。どうなんですか。禁じ手ですよ、これは。

 このことが本当に、この後審議をされる、例えばきょうの、何時かわかりませんけれども、午後にでも提出をされる、そして本会議が開かれて採決をされる、そして参議院に送られるということになれば、これは、国会での審議を無視して与党の力だけで何でもできるということになってしまいます。まさに与野党の信義を無視している。審議の封じ込めだと思います。

 総理、総理は、薬害肝炎の被害者救済に関して議員立法を与党に指示したと報道されております。ぜひ、この点、与党の側に、議員立法をしない、提出をしないという指示をすべきだと思いますが、どうでしょうか。このまま総理が放置をすれば、総理が与党の側に議員立法をやらせているというふうになってしまいますよ。どうでしょう。

福田内閣総理大臣 今、国会の運営上のことで話し合いをしている最中です。そして、どういうようなことを考えているか、その中身について私どもは承知しておりません。ですから、それは、国会運営を上手にやっていただきたい、そして、少なくとも、国民生活に心配を与えるような、そういうような事態にならないようなことをしていただく、これが私どもの考え。そのために、与党の方でいろいろ工夫をして、またいろいろな話し合いをしている、こういうふうに思いますので、また、与党からこの運営については任せてほしいというような話も伺っておりますので、そういうことで、私は、何とか話し合いが決着するように、そう願っておるところでございます。

西村(智)委員 与野党で話し合いが行われているということであれば、これは総理、リーダーシップは一体どうなるんですか。完全にほったらかしということですよね。少なくとも、これだけ大きな問題になっている道路特定財源の暫定税率、総理の何らかの意思が示されるべきではないでしょうか、このつなぎ法案に関して。もう一度伺います。

福田内閣総理大臣 私の意思は、何しろこの法案が三月末までに、年度内に成立をする、そして国民生活に影響を与えない、心配をかけないということでございまして、それ以外ございません。

西村(智)委員 つなぎ法案について何の見解も総理は持っていない。ということは、総理はこのつなぎ法案を容認している、認めている、進めているというふうに見なければなりません。

 総理は、与党の、自民党の総裁です。ですから、与党に対して物を言うことはできるはずです。それは総理大臣としてここにお座りになっていらっしゃるかもしれませんけれども、では、薬害肝炎は何で議員立法を指示できたんですか。そこのところ、説明がつかないじゃないですか。都合のいいときの使い分けです。どうでしょうか、総理。

福田内閣総理大臣 私は、今ここでは行政の長として立って答弁しているんですよ。薬害肝炎のときは与党の総裁でありますよ。与党の総裁として与党の幹事長に検討をお願いした、こういうことでありまして、今は、与党の総裁であるかもしれぬけれども、しかし、ここに立っているのは総理大臣として立って答弁しているんですから、ひとつそれはきちんとわきまえるということは必要なんじゃないでしょうか。

西村(智)委員 それでは、与党の、自民党の総裁としてお伺いをいたします。

 この法案は、予算関連の質疑が始まる前に提出をされる議員立法であるとすれば、それはまさに、国会の歴史上初のあしき前例になる危険性のある極めて問題のある法案、立法になると思いますけれども、その点について、総裁はどうお考えですか。

福田内閣総理大臣 議員立法、議員立法とおっしゃるけれども、私は、その議員立法の中身も承知しておりませんし、それを実際に出すか出さないか、そんなことも承知していないんですよ。それは、今まさに、話し合いの結果ということでしょう。だから、そういうことにならぬように話し合いに応じてほしいということですよ。

西村(智)委員 話し合いに応じるかどうかの前に、私は、この道路特定財源の暫定税率の問題点をまずきちんと国民の前に明らかにすることが必要だと考えております。

 総理は今、中身も知らないとおっしゃいましたけれども、これほどまでに報道もされていまして、私たち野党の側にもちらちらとその中身については伝わってまいります。それを総裁が知らないというはずはないんじゃないですか。知っていますよね。この点については、総理、本当に無責任な態度きわまりないと思っております。このことは国会の審議上にも大きな影響を与えると思っておりますが、総理もその点重々御覚悟の上、今後の行動をとっていただきたいと強く要望いたします。

 そこで、この道路特定財源の暫定税率、中身について伺いたいと思うんですけれども、総理はこのところ、地球温暖化対策としてこの道路特定財源の暫定税率の維持が必要だというふうに論調を少し変えておられるようです。

 ただ、この道路整備費の財源等の特例に関する法律、いわゆるこの関連法ですけれども、ここの第一条に目的が記載されておりますが、ここには地球温暖化対策という文言は一言も書かれておりません。本当に、国会審議に合わせてこの暫定税率を延長するんだ、そういう御意思であれば、こちらの法律の方も目的を改正する必要があるんじゃないですか。それが出ていないのはどうしてでしょうか。

福田内閣総理大臣 もう何度も答弁していることなんですけれども、地球温暖化のためというか、地球温暖化に役に立つ部分があるわけですよね。それは、昔あったでしょう、東京で、新宿区の柳町で、交差点でもって渋滞があって、そしてあの近辺が、住民が何か公害ぜんそくになってしまったといったようなこともございました。一つの例として申し上げれば、そういうようなことを防ぐような取り組みも道路整備の中で行われているということであります。

 こういうようなことについては以前から指摘されていることでありまして、三年前の政府・与党の合意でもって、地球温暖化という言葉が、環境問題という、環境対応というふうなことも書かれておりまして、そういうことをもとにして何回か予算審議の中で御議論いただいたと思っております。

 そういうことで、地球温暖化もしくは環境対策ということが全く考慮されていない、今度新しく言われた、そういうことでは全くないんですよ。私も今までと同じような考え方をしているということです。

西村(智)委員 全く新しいことじゃないとおっしゃるんですけれども、どうも理解できないんですね。

 国土交通省の方は、これは道路をつくり続けるためにとおっしゃっていますし、総理の方の、地球温暖化対策として道路の整備が必要だというようなお話も、私が記憶している限り、比較的最近だったと思うんですね。ずっと前から配慮してやってきたということは、それはそうだろうと思います。私も、そのようなことで予算づけの説明があったことも記憶をしております。

 ですけれども、かつて附属的に、ついでの話として説明されてきたことを、今、ことしのサミットがあるから温暖化が非常に注目をされている、ここに乗っければ国民の皆さんの理解も得やすいかもしれないということで、あたかも取ってつけたがように目的化していくというのは、これは本当にまやかしじゃないかと思うんですね。本当に地球温暖化対策としてやるのであれば、国土交通省の予算ではなくて、環境省の予算でやるべきではないんでしょうか。どうでしょうか。

額賀国務大臣 これは、政府・与党としては、小泉内閣のときに、道路特定財源を見直しして一般財源化を図ろうという考え方をお示ししたわけです。そのときに環境問題等々にも触れてあるわけであります。

 実際問題として、自動車が通ればCO2を排出していくわけでございますから、それを削減していくために渋滞を解消したり円滑に道路交通をしていくことを考えていくことは、当然のことであります。

 と同時に、きのうも説明がありましたけれども、OECDでは燃料にかかる税金を対象にして、環境対策に熱心であるかどうかということの一つの判断の基準にしております。そういう意味から、ガソリンに対する、燃料に対する税金はどういう程度であるかということが各国の評価の目印にもなっていることですから、環境問題と無関係ではないということになるわけであります。

西村(智)委員 いや本当に、各国から温暖化対策を求められているから道路をつくるんだというふうにおっしゃっているように私には聞こえるんですね。ちょっと矛盾していると思いますね。

 私は、この点もう少し、目的はきちんと明確に政府の方でよくよく整理をしていただいて出し直していただかなければならない、内閣の答弁もぜひ整理をし直していただきたいと思います。

 きのう、国土交通大臣からパネルを出していただいての説明がありました。私はきょう、資料として最後のページにつけさせていただいているんですけれども、きのう、黄色い色のパネルでしたね。

 これを見せられましたら、欠かすことのできない取り組みということで、救急病院へ行く生活道路の整備に始まって、いろいろ書いてある。国民に向かって説明をした資料でありますので、きちんとこの裏づけの数字や項目なりがあるのではないかと思いまして、国土交通省にきのうから、この項目と額について出していただきたいというふうに要求をしておりました。そうしたら、何と出てきた資料は、道路中期計画をそっくりそのままコピーしたものが丸々出てきまして、本当にこれで説明ができるのか、つくのかというふうに私は唖然といたしたんですけれども、この道路中期計画そのものも、非常にずさんなやり方で見積もられていると私は考えております。

 例えば、救急病院へ行く生活道路の整備というものですけれども、これ、どこなのか示されていないわけです。ただ文章として抽象的にこう書かれているだけでして、まあ、この救急病院へ行く生活道路の整備が必要だと言われれば、それは私も必要だろうなと思いますよ。

 先日、公明党の委員がドクターヘリなどというお話をされていました。ドクターヘリの整備も大事なことだと思いますし、救急病院が、そこに勤務する医師が一割減ったと言われれば、お医者さんの確保も必要だというふうに考えつつも、救急病院へ行く生活道路の整備が必要だと言われると、それはやはり、だめとは言いづらいわけですよ。言えないわけですよ。そのためのお金だったら私も払いたいと思います。

 さてそこで、では、一体どこなんだろうというふうに考えますと、この中期計画、十年間の中期計画に全く書かれていないんですね。そういうことになりますと、どこにそれをつくるのか示されないうちにこれから十年間ものお金の請求を、今、きょうとかあすとかいうタイミングで回されるというのは、本当にこれはいかがなものかと思うんですけれども、大臣、ぜひ国民にわかりやすい説明をしていただきたいと思うんです。中期計画には書いてありません、そのことは。どうですか。

冬柴国務大臣 私に対する通告はございませんけれども、まあしかし、予算委員会ですから。

 今、中期計画をお持ちのようでございますが、六十二ページ、六十三ページを見ていただきますと、そこには、各県ごとに何カ所の渋滞箇所とか、それは詳しく書かれてあります。そして、それについて、後ろには各県ごとの、まるで人体の毛細血管のような道路まで書かれてあります。これはすべて我々検証したものでございます。そして、そこに書かれている渋滞箇所、そういうものも全部ありますので、詳細にお読みいただきたいと思います。

西村(智)委員 詳細に読みました。ですけれども、救急病院へ行く生活道路というのは一体この中でどこなのか。この図、毛細血管のようにその張りめぐらされている道路網の図が、私のところもありました、都道府県別でずらっと全部出ています。ですけれども、救急病院へ行く生活道路というのがどこなのか、これははっきりと出ていないんですね。深刻な渋滞対策ということで、この図を見ますと、では、全部これ、渋滞対策するのかなというふうに考えましたら、そうじゃないんですね。このうち三分の一程度しか箇所づけを行わない。これ、非常にこんなあいまいな計画で、果たしてこれからも十年間、道路特定財源、暫定税率が続けられるのかどうか。

 各自治体の首長さんたちが、千八百名余りですか、直筆のサインを持ってこられたそうでございます。きのう菅委員の議論にもありましたとおり、首長さんたちが、今後の予算編成、ちょうど今予算の審議がこれから始まるという時期ですから、サインをして政府・与党の方針に沿った行動をするというのは、私もこれは、まあそうだろうというふうに思います。でも、一般ユーザーがどう考えているかということです。

 政府はこの間余り説明はされませんですけれども、実は、自動車の業界、それから石油の業界、あるいはユーザー団体などから道路中期計画に抗議をする声明文が出ておりますよね。確認をいたしましたら、一千万人を超える署名が、要するに、この道路中期計画に沿って暫定税率を十年も延長されるのはたまらない、そういう署名が一千万人を超えて集められ、自民党と財務省とそれから国土交通省に提出をされていると聞いております。

 このことはなかなか表ざたにはならないんですけれども、私はここに大変大きな問題があると思っていまして、確かに、道路に使ってくれという御意見もあったようなんです。ところが、問題は、道路特定財源が道路以外のものにも使われているということなんです。

 きのう、細野委員の質疑にもありました。レクリエーションのボールですか、グローブですか、何かああいうのを買っているという話でして、私も、直轄事業の約二兆八百億円でしょうか、その内訳がどうなっているのかということを知りたいと思いまして、国土交通省の方に、道路以外、いわゆる道路行政費以外で一体どのくらいの項目が、あるいは額がそれ以外のものに使われているのかということで、ずっと資料請求してまいりました。きのう、夜まで待ちました。待ったんですけれども、出てきませんでした。これは、ぜひきちんと出していただきたい。

 道路特定財源という名目で税金を集めておきながら道路以外のものに使っているのであるとすれば、それをきちんとこの審議の場に出して明らかにした上で議論を進めるべきだと考えますけれども、資料は一体どこにあるんでしょうか。

冬柴国務大臣 予算の中にきちっと書いてあります。したがいまして、道路整備費として整理されております。その中にはもちろん、道路整備に従事する一万三百名以上の従業員に対する公務員宿舎の手当て、そういうものもあります。それから、今までは、いわゆる国家公務員法に定められる、その人たちに対する厚生経費としてのそのようなレクリエーションという費用がありました。

 しかしながら、このような原油価格高騰の中でこの延長をお願いするということにかんがみまして、決して違法な計上ではないと思いますけれども、国民から不快感を持たれるような費目については自粛をしようということで、そのことを明らかにしたわけでございます。

 公務員宿舎につきましても、これについて新たなものを、これは未来永劫とは申せませんけれども、働く人たちがそこで暮らす住宅の手当てなので、国家公務員宿舎法にもそういうものはきちっと手当てしなさいということが書かれているわけでございまして、しかしながら、そういうものにつきましても自粛をしようということでございます。御理解をいただきたいと思います。

西村(智)委員 ということは、確認ですけれども、道路特定財源で集められている税金の中から、道路行政費、道路の事業費と申しますか、道路をつくるために使われているお金以外に支出されているお金もあるということですか。

冬柴国務大臣 道路整備費そのものでございます。二万二千キロメートルに及ぶ国管理の国道、そういうものについての維持管理、あるいはそれに対する拡幅あるいは改善作業、そういうものに専属して従事している従業員の話でございますから、それは道路整備そのものでございまして、これは国土交通省だけではなしに、あらゆるところでそういうことは行われておると思います。

西村(智)委員 そうしたら、きのう大臣が御説明になったこういうパネルにも、そういうものがきちんと含まれていますというふうに書いて御説明すべきだったのではありませんか。これを見ればみんな、例えば、生活道路をつくるための工事費とか、渋滞を緩和するための信号の設置だとか、ガードレールをつくるためのお金などというふうに考えますよ。そこはきちんと費目別に出すべきだと思いますけれども、それはいつごろまでに出していただけるんでしょうか。私はずっと請求をしております。

冬柴国務大臣 道路整備をするために企画立案、執行、そして監督したりする費用そのものでございまして、これは道路整備費用そのものではないでしょうか。そういうことでございます。

西村(智)委員 ぜひそれは早く出していただきたいんです。理事会の方からも請求があったと思いますが、理事会の方にも報告はないようです。ぜひ早く出してください。つなぎ法案がきょう夕方出てきてしまったら、これはもう、なし崩しですよ。わからないうちにまた通っちゃう。

 そしてもう一つは、国民は、このパネルを見れば、人件費が入っているとか、あるいはレクリエーションのボール代とかグローブ代が入っているなんてだれも思いませんよ。国民の理解と国会でのあるいは内閣での法律上の運用の話とそごがあるというのであれば、これはまた国民に誤解を与えたままこの暫定税率が延長されることになってしまう。きちんとそこは説明すべきだ、それは提出者としての責任だと思いますけれども、どうでしょうか。

冬柴国務大臣 理事会で協議をいただきまして、そして、整理してどういうものを出したらいいのか、そういうことを国会として我々に指示をいただけましたらありがたいと思います。

西村(智)委員 これは、昨日質問をいたしました細野委員からお借りをしている資料です。

 直轄事業費の内訳といたしまして、工事費が一兆九千五百億、調査費三百十七億、ここまでは現場の道路行政費として私もそうだろうなと思います。それから、人件費が八百三十億、事務費が九十六億。この人件費の八百三十億と事務費の九十六億、これははっきり言って組織の維持費である。こういったものを全部ミックスしたまま、ごちゃごちゃのうちにこの道路特定財源の話を審議するというのは、これは私は、やはり提出者としてはあってはならないことだと思います。

 ぜひ、早く資料を出していただいて、そしてその上で徹底した審議をやるべきだ、このように考えております。(発言する者あり)昼、出すんですね。

 さて、それでは、時間も時間になってまいりましたので、補正予算そのものの審議に入りたいと思います。

 つまり、なぜこういう話をしているかというと、補正予算の審議を今やっている最中につなぎ法案などという話が出てくるから、せざるを得ないんですよ、ここは。来年度予算の審議の前につなぎ予算の法案が出てくるとかいうふうにおっしゃっているから、補正予算の審議も非常に重要だけれども、こういう話を少しさせていただいたわけなんです。

 さて、それでは、補正予算のあり方などについてから伺っていきたいと思います。

 きょうの資料で、一枚目「財政法」、それからその二枚目に、これは財務省の主計局が作成されたそうなんですけれども、「執務参考資料(用語の解説)」というものがついております。

 そもそも補正予算は、大体通常国会の冒頭に議論されるんですけれども、財政法第二十九条では、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」、括弧は省きますが、「又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」などというふうに書かれておりまして、言ってみれば、緊要性、緊急性、これがその大きな特徴の一つなんだろう。逆に言えば、緊要、緊急性がなければ補正予算としては組むべきではないというふうに私は考えるわけです。

 ところが、本当にこれが補正予算として上がるのが妥当なのかどうかと疑わしい項目が幾つかあります。

 それは何かと申しますと、二枚目以降についている資料なんですけれども、まず総理に一点お伺いいたしたいんですが、この緊急性あるいは緊要性について、補正予算を組まれるときに、総理はどういうお考えでこの緊要性、緊急性というものをとらえられているのか。財政法などではかなり限定的に解されているというふうに私は理解するんですが、総理はいかがでしょうか。

額賀国務大臣 これは、西村委員がおっしゃるように、この最初に書いてあるように、予算作成後に生じた事由に基づいて特に緊要となった経費の支出等について出しているわけでございまして、当初予算の作業の後に、作成した後に、さまざまな事情の変化、災害が起こったり、そういうことを踏まえて私たちは補正予算を組ませていただいたわけであります。

 しかし、財務省、政府としては、補正予算を組む場合も、やはり財政の基本的な原則である財政健全化ということは崩さないということから、公債の増発は行わないという中で、この緊急性に伴う予算措置をさせていただいたということです。

西村(智)委員 公債の増発は行われておりません。ですけれども、それをもって財政規律が維持されているとはとても言えないのではないかと私は思います。

 資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、行刑施設等整備費ですね。これは法務省からいただいた資料なんですが、本予算の要求額として、例えば平成十九年度、今年度ですと二百九億円要求をされている。ところが、本予算でついているのは百十二億であった。そして、補正予算で百十一。これは、足すとちょうど二百をちょっと上回るぐらいなんですね。

 ずっと振り返ってみますと、もっとひどい年がありまして、平成十三年度から平成十八年度ぐらいまで、本予算よりも補正予算の方が多いんですよ。本当に緊急性でこういうことをやっているとしても、補正予算が本予算を上回るということが余りにも続き過ぎている。本当にこれは常態化しているんですね、こういう状態が。つまり、プラスの補正が行われるということを前提にして本予算を策定しているのではないかと思われるところがあるんです。

 これは、このところ、骨太の方針などで歳出歳入一体改革、ずっと歳出の削減ということも言われておりまして、恐らく各担当の方は予算編成に相当苦慮されていると思うんです。しかし、それだからといって、こういうプラス補正を前提としたような予算組みが常態化しているというのは問題があるんじゃないか、こういうふうに考えますけれども、法務大臣、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 基本的には、やはり犯罪が平成十四年ぐらいに向かってがあっとふえていって、結局、拘置所あるいは刑務所で処遇しなければならない人の数がふえていった。それが刑務所の過剰収容問題となっていくわけで、その趨勢の中でこういうふうな数字が並んでいるんだろう。

 つまり、当初、ことしはどれくらい。変な話ですが、刑務所でも出と入りと両方あるわけですね。要するに、入りが多くて出が少なくて、だんだんふえていったわけですよ。それが予想を上回っておりましたから、結局、補正予算でふやさないとあふれちゃう、こういうことでございます。

 ただ、平成十五、六年度からは、特定の処遇をしなければいけない人の、変な言い方ですけれども、需要がふえてきたわけですね。平成十九年の場合、ことしの百十一億というのは明確でございまして、高齢者、六十歳以上が高齢受刑者というんですが、元気な人はいっぱいいますが、その中で格別に要介護に近いような者、面倒を見なくちゃいけない人が予想より三百人ぐらい多くなってしまったので、こういうお願いをした。

 しかも、今度、刑務所のバリアフリー化を進めるわけですね。そうなりますと、各刑務所にそういう介護が必要な人たちがぽろぽろといるとかえって効率が悪いから、大分と高松と広島の三カ所に格別にそういう介護の必要な方々を集めるというようなことで、これも緊急性あり、こういうことであります。

 なお、耐震能力が低いので、北九州の医療刑務所、この緊急性もお認めをいただいて予算を認めていただいております。

西村(智)委員 今、伺いますと、高齢者用のバリアフリー化だとか耐震だとかということが含まれているということですけれども、それは急に受刑者がわっとふえた話じゃなくて、高齢者の方というのは、だんだん年をとっていくわけですから、わかるわけですよね。そうしますと、それは本予算で本来やるべき話。耐震化などというのも本来はそうだと私は思います。きのうまで頑丈だった建物がきょういきなり耐震度が低くなるなどということはないわけですから、やはりそういう見積もりをきちんとした上で本予算を組むべきだ。

 ですから、ここは財政規律の話に直結してくる話だと思います。こういう、本予算と補正予算とを足してちょうどいいみたいな、そういう発想での予算編成はぜひ今後やめていただきたい。そこは強く要望したいんです。

 あわせて、合併市町村の補助金についてなんですが、資料の次のページを見ていただきたいと思います。

 市町村合併は、このところ、国のいわゆるあめとむちでかなり強力に推進されてきた。合併しない小規模自治体は交付税の減額がされるというむちと、合併すれば特例交付金などでお金が行くというあめとで進められてきた市町村合併です。政府の方針としては、合併をこうやって推進しているということですので、ある程度の合併が行われるだろうということは、ごく当然に織り込み済みの話なんだろうと思うんですね。

 ところが、この市町村合併の補助金についても、先ほどの行刑施設の補正と同じように、当初予算よりも補正予算の方が多いとか、あるいは、今年度もそうなんですが、五十八億円が当初予算、補正予算が四十二億、足して概算要求額を上回るぐらい、こういうようなことが、こちらもやはり常態化しているのではないかというふうに考えております。

 ここのところも、歳出歳入一体改革のところで、本予算の編成のときに切り抜けなくちゃならないということで、本予算の編成時にみんなが考えて、それで出された知恵といえば知恵ですけれども、やはり、悪知恵だと思うんですね、これは。財政規律をきちんと維持するというために、ここはやはりきちんと本予算でやるべき性質のものだったんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 この合併補助金ですけれども、これは、合併後のまちづくりや一体感の醸成のために行う事業に対して補助するというものなんです。十四年から計上してございますけれども、やはり、合併自体が非常にデリケートな問題なものですから、当該年度にどの程度の市町村合併が行われるかということは見通しが立てづらい。ことしは全国で百市町村行われるとか、そういったようなことが非常に立てづらいということがございます。

 それと、あと、合併した後も、先ほど言いましたような、事業に充当する補助金でございますが、そうした事業の内容がまた合併した後いろいろと見直しをされるといったようなこともございますので、もちろん財政規律を確立するという観点も大事でございますが、できるだけ実態に合わせて、当該年度年度ごとに予算を計上させていただきました。

 それから、ことし、十九年につきましては、五十八億と四十二億ということでございますが、これは特に、昨年に財政健全化法が成立をして、それによりまして、財政力が弱い合併市町村で地方債を発行するということがなかなか難しくもなってきているんですが、今、十九年からのこの合併の補助金が、起債を中心として、起債で基金を積み立てて、それの償還に補助金を充てるという仕組みをつくったんですが、それとの関係で、やはり起債よりも現金で本年度交付をしてほしいという市町村からの御要望もございました。

 この点については、でき得る限り、私どもも市町村の要望を生かしたいというふうに考えておりまして、この点、ぜひ御理解を賜ればと、このように考えております。

西村(智)委員 私は、ここのところをちゃんと、総務省が合併を推進してきているわけですから、市町村からの要望があるとか何だとかといろいろ細かい御説明はいただいたんですけれども、そこは、国がきちんとその方針を示して、それにのっとって自治体が合併を推進してきているので、そこはきちんと当初の見積もりでやはり上げるべきだ。

 これは、今の説明を伺ってもきちんと理解できないんですね、私。つまり、何かというと、やはりシーリングがかかっていて、そこを超えないようにということで組んだ予算であり、足りない分は、総務省と財務省の方でどういう話があるのかわかりませんけれども、足りない方は補正でよろしくお願いしますよなどという話があってこういうふうにやられているのであるとすれば、それはもう本当に財政規律の根本にかかわる問題だと思っていますので、ぜひそこのところは注意していただきたい。

 もちろん、新年度の予算案の編成のところでも私たちはその点をよくチェックをしていきますし、来年度の補正のときにも、同様にそこのところは確認をさせていただくことになると思っております。

 本来、補正予算で組むべきものというのは、やはり緊要性のもの。例えば災害対策、私は新潟ですので、本当に災害対策などでは必要な経費もあります。そういったものだけで行われるものだと思っておりますので、この辺はぜひ今後とも留意していただきたい、強く要望いたします。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたが、次の高齢者医療制度の円滑導入費について伺いたいと思っています。これはちょっと視点の違う話です。

 高齢者医療制度の円滑導入費、これはきのう高橋委員と阿部委員の方からも議論がありましたけれども、そもそも私たちもこの制度に反対をしております。しかし、与党の方が強行採決までされて決めた制度だということがあり、そしてまた、その制度の導入時に、一部高齢者、昨日の阿部委員の説明資料でいいますと、一番左の枠の方々に対しては、制度加入後二年間の軽減措置が決まっていたはずです。

 今回、この高齢者医療制度円滑導入費に関して、激変緩和を行うということで保険料のさらなる減免が決定されたわけですけれども、既に軽減措置が講じられることになっていた制度です。なぜ、さらに激変緩和措置が必要なのでしょうか。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、高齢者に過大な負担とならないように配慮をしようということで措置をとっておりましたけれども、それに加えまして、先ほどこの高齢者医療制度の理念、目的、そういうことについては御説明したとおりでございますので、その新しい医療制度を円滑に実施するために、この高齢者の方々の置かれている状況について配慮して、より一層きめ細かい対応をとりたい、そういう必要性があるということで激変緩和措置が取りまとめられたわけであります。

 そういう与党の取りまとめを踏まえまして、政府といたしましても、激変緩和措置を講じて制度をさらに円滑に実施していきたい、そういうふうに思っております。

西村(智)委員 より一層の激変緩和が必要だと判断した理由は何ですか。

舛添国務大臣 既にお答えいたしましたように、高齢者の方々の今置かれている状況というものを配慮して、より一層細かな激変緩和措置をやるということを与党において決められたということであります。

西村(智)委員 高齢者が置かれている状況というのは、この高齢者医療制度の制度導入時、法案を採決したときにもわかっていたはずのことではないかと思います。

 では、そのとき高齢者の置かれている状況がわからなくて、そして、与党PTがある日突然この高齢者の置かれている状況に気がついて、より一層の激変緩和が必要だというふうに判断したんでしょうか。

 私は、そうじゃないと思うんですね。高齢者の置かれている状況というのは、この法案を採決したときから今に至って、急激な変化というのはないと思います。当然、置かれている状況は楽ではない。これで医療保険料が取られるということになればさらなる負担増というところで、私たちはこの制度導入に反対をしてきました。しかし、強行採決をしてまで通した理由、これは振り返ってみてもよくわからないんです。

 今になって激変緩和が必要だという、そういう激変的な政策をどうして強行採決してまで通したのか、これが一点、非常に不可解なのと、また、もう四月から、これは施行が目の前だという状況になっていたものです。なぜこの直前に方針転換をしたんですか。明快に答えてください。

舛添国務大臣 まず、この後期高齢者の医療制度を含めて、先ほど申し上げましたように、国民皆保険という現行の状況を守っていって、きちんとした持続可能な医療制度を守っていく、そして、高齢の方々は心身とも若者とは違いますから、きめの細かい対応をやっていく、そういう目的で、これは一日も早く実現させるべきだ、そういうことで行ったわけであります。

 しかし、例えば、七十歳から七十四歳までの窓口負担の一割から二割への引き上げとかその他について、これは与党の皆さん方が、過渡期において、この制度が定着するまでの間にやはりきめの細かい配慮をしてあげないといけない、そういう思いでお決めになったことでございます。

 それを踏まえまして、厚生労働省としてもそういう激変緩和の措置をとった、こういう次第であります。

西村(智)委員 いや、それは、過渡期なのは、ずっとそうなんですよ。これは単なる負担の先送りでしょう、高齢者の皆さんにとっては。制度そのものがなくなるというわけではなくて、本当に制度をなくすのであれば、それは与党PTが言うように、高齢者の置かれている現状をきちんと理解した上での措置だというふうに言えますけれども、これは高齢者の皆さんにとっては単なる負担の先送り。

 そしてまた、これもまた骨太方針の二〇〇六で示されていることですけれども、社会保障費を五年間にわたって一・一兆円削減する、こういうことも示されておりますけれども、この中で、例えば、世代間の負担を先送りしない、次の世代には負担のツケ回しをしないということも示されているんです。

 そういったことをもろもろ考えてみますと、どうも導入直前の方針転換というのは、やはり、私たち民主党がずっとこの制度の導入について疑義を唱えてきたからであり、参議院選挙で負けた後に、与党の中で、この高齢者医療制度が評判が悪いようだから一定程度見直そうということになったのではないか。すなわち、いわゆる選挙対策的に極めて短期間のものとして導入されただけで、本当の意味で高齢者の置かれている状況を勘案して決めたものではないし、制度そのもののあり方について見直すものでもないというふうに見ざるを得ないんです。

 そこのところについては、どうお考えですか。

舛添国務大臣 日本国民は高齢者ばかりではありません。若者もおります。この世代間の公平な負担ということを、全体を考えてこの制度設計をやる必要があると私は考えております。

 例えば介護保険について、今四十歳からですけれども、二十から保険料を払わせてはどうかというような意見もありますけれども、そうすると、若い人に対しての負担が重くなる。そういうふうに、少子高齢化が進む中で、高齢者と若者との間の負担の公平化、こういう観点を入れておりますから、今委員は高齢者という視点を強調されましたけれども、私は、若者も高齢者もすべての世代を公平に、こういう立場からこの制度設計をやっているということをお話ししておきたいと思います。

西村(智)委員 ある意味では、今の世代といいますか、若い世代に対する方針転換でもあるわけですよね。大臣がおっしゃったとおりです。世代間の負担の先送りはしないということで導入をされたはずなのに、ことし、本当に施行直前になって見送りをするといった、これはやはり朝令暮改だと思います。

 こういう朝令暮改はこの高齢者の医療制度に関することだけではなくて、農業政策も民主党の政策の方に政府も寄ってきたなと感じるんです、緊急対策ですね。しかし、こういった朝令暮改をやられ続けますと、政府に対する信頼はより一層失われていくことになると思います。

 道路特定財源の話も、私たちが要求している資料をきちんとそろえていただいて、その上で改めてもう一度議論をさせていただきたい。くれぐれも、つなぎ法案なるものが提出をされて、政府からの説明が一言もないうちに暫定税率がまた十年間も延びることがないように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

逢沢委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 この予算委員会で初めて質問をさせていただくわけですが、福田総理におかれまして、いわゆるつなぎ法案と言われるものがどうなっているのかということで、先ほど同僚委員からも質問がありましたけれども、どうも昨日来、いろいろな動きが今与野党間で行われている。そうした中で、総理が先ほど、中身を承知していないとおっしゃいました。本当に知らないんですか。まず、その点をお答えいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 中身、本当に承知していないんですよ。新聞では見ていますけれども、また話としては聞いておりますけれども、しかし、それは与党の方で、任せてほしい、こういうふうに言われておりますので、私はそれ以上関与しないことにいたしております。

笠委員 今のはやはり、総理、本当に無責任な答弁だと私は思いますよ。

 なぜかといいますと、本当に税にかかわる大事な話、租税特別措置の関連法案の審議、本来だったら、先ほどあったように、やはり閣法でやるべき話ですし、歳入にかかわる大事な財政の骨格ですよね。では、それに対して、もし与党が総裁の許可なく勝手なことをやっているとすれば、むしろ、おかしいじゃないか、どうなっているんだと、そういう説明を求めるのが本来当たり前の姿ではないでしょうか。いかがですか。

福田内閣総理大臣 ですから、あらゆる可能性を考えて、今、与野党間で交渉している最中でしょう。ですよね。やる、やらないと決めた上で話しているんじゃないと私は思いますよ。ですから、そういう段階において、私がその内容に関与する、そういうふうな立場にはないし、また必要もないというように思っております。

笠委員 総理は先ほど、国民生活にとにかく影響を与えてはいけないということを繰り返されています。

 しかし、この暫定税率というのは、まさにこれから十年間、年間二・六兆円、十年にわたって、三月末で一度期限が切れるんですから、二十六兆円の増税を続けるかどうか、増税をするかどうか、これは国民生活にとっては、それが果たして、そのことによるプラスとあるいはマイナスと、それをこの国会でしっかりと議論が始まったばかりなんですよね、今。

 きのうからこの補正予算の中で議論が始まっている。しかし、この租税措置の特別法については、まだこれから審議が始まっていく。そういう中で、あらかじめこのつなぎ法案というものがそもそも検討されること自体が、国会として、私も予算委員の一人として、これは許すことのできない行為であると。まさにこれから、本予算だってまだ審議に入っていないわけです、そういうことですよね。

 ですから、総理、もう一度お伺いをしますけれども、では、もし相談があったときには、これについては、やはりおかしい、本当にそういうことをしていいのか、そういうきちんとした形で自民党の幹部の方々とお話をされるという意思はございますか、それとも任せっ切りですか。

福田内閣総理大臣 何度も申し上げますように、今交渉している最中じゃないですか。する、しないなんて、そんなことを言っているわけじゃないんじゃないですか。

笠委員 しかし、本当に、先ほど申し上げたように、骨格にかかわる話ですから大事な話じゃないですか。しかも、これだけすべてのマスコミで報道されているわけですよ。もうきのうからずっとこの話ですよ、国会の話題は。

 ですから、総理が、やはり今政府を預かる立場からすれば、では、この歳入にかかわる問題についてどういうふうな形でこれから国会の中で審議をしていくのか、その方法論というのは、それはいろいろ国対でやってもいいでしょう。しかし、まだ、まさにこの中身の議論も入っていないにもかかわらず、何かもう三月末で成立ができないんじゃないかとか、それは議論の結果じゃないですか。これから議論を深めていく中でさまざまな問題点が明らかになる中で、国民の皆さんが納得をすれば、それはおのずと、来年度以降、平成二十年度以降、この暫定税率、十年間負担しましょうということになるでしょうし、しかし、さまざまなこの道路の十年の中期計画についても、これは問題点をこれから明らかにしていくんですよ。

 私も、この後質問させていただきますけれども、積算根拠ですらが我々には見えてこない。もっと言えば、国民の皆さんはわからないですよ。そういう中で、本当に必要な暫定措置なのか、この増税分二十六兆円というものがこれから十年間負担をお願いしないといけないのか、そのまさに今入り口なんですよね。

 かつて、このつなぎ法案的なものが四回、一九五三年、五五年、六七年、七〇年と、税制の関連法案がこうした形で延長されたことはありました。しかし、それはいずれも解散・総選挙などの影響で、しかも三月末ですよね。三月になってですよ、こうした話題が出てくる、こうした方法というものが検討される。

 まだ一月二十九日で、補正予算を今審議している段階でこういう話が与党内で検討されているということについて、改めて総理に見解を伺いたいと思います。(発言する者あり)

逢沢委員長 静粛に願います。

福田内閣総理大臣 私は、私の立場で、この予算案が歳入と歳出一体でもって成立してほしい、そういうことなんですよ。やはり、そういうことでない、歳入の方が決まらないで歳出が決まったというようなことは今までなかったわけですから、それをぜひ実行していただきたい、年度内に両方通していただきたいということを再三申し上げ、また、いろいろな角度からお願いをしているのではないかと思います。

 私、そういうような交渉は、国会のことですから、一々指図しません。国会で適切に処理してくださるというように信じておりますので。あくまでも話し合いでもってこの辺は解決をしてほしいと思っております。

 それ以上のことはありませんから。

笠委員 我々はしっかりと議論をしたい。しかし、その議論の入り口で、今取りざたされているまさにブリッジ法案というようなつなぎ法案というものをもし出されるとすれば、これは最初から、もう国会でこれから議論ができなくなる、そういう状況になるわけですよ。

 そのことを申し上げて、午後、改めて質問させていただきたいと思います。

逢沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十五分開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠浩史君。

笠委員 午前中に引き続きまして質疑をさせていただきたいと思います。

 総理、二時間、ちょっと休憩が長くなりましたけれども、その間もいろいろと与野党間で協議が行われたように伺っております。ちょっと冒頭改めてお伺いをいたしますけれども、午前中、つなぎ法案の件をお伺いしましたが、知らないということでしたが、御説明を受けられたでしょうか。

福田内閣総理大臣 全く連絡はございませんでした。

笠委員 全く今の段階でお聞きになっていないということでございます。

 総理は就任以来、国会の場で、あるいは記者会見等々で、やはり我々野党ともしっかり話し合いながらやっていきたいということを繰り返しおっしゃってまいりました。今国会の施政方針演説でも冒頭に、「国民生活に直結する予算や重要法案など政策課題が山積しております。与野党が信頼関係の上に立ってよく話し合い、結論を出し、国政を動かしていくことこそ、国民に対する政治の責任である」と強調されたわけですね。

 もし、そのお気持ちに変わりがないのであれば、この道路特定財源の問題、あるいはこの暫定税率というものを続けていくのかどうか、これは本当に国民生活に直結する、私どもも重要な課題であると認識をしております。まだお聞きになっていないということですけれども、恐らく総理に話をすることなくそういう奇策に出ることはないと思いますけれども、万が一そういう御相談があったときには、ぜひ、やはり与野党間、信頼関係というものが大事でございますので、どうかその点を十分に頭の中に入れて、総裁としての指導というかリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、その点だけ確認をさせていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 私どもは、あくまでも誠意を持ってお話をしていく、そういうような国会運営というのを心がけていかなければいけない、こう思っております。ですから、野党の皆様にも、ぜひそういう我々の対応におこたえいただきたいと思います。

 何しろ、歳出と歳入が一緒に法律として成立するということ、これは通常そういうことになっているんですから、そういうことができないときにどういうような影響があるのかというようなことも我々は予測をいたしまして、そういうことにならないように、今、与野党間の話し合いが真摯に行われているというように私は理解いたしておりますので、あくまでも話し合いで解決できるように野党の方々にも御協力をお願いしたい、こう思っております。

笠委員 午前中もそうだったんですが、今の総理の答弁をお伺いしていて、なぜ今の段階で、審議に入った段階で、できないと本当に決めつけているのかなというような、私はこれは非常に疑問に感じるわけです。

 我々も、このねじれ国会のもとで、参議院で第一党という責任があるわけです。ですから、私たちは何でもかんでも反対をしているわけではございません。そして、この租特法に関しても、確かにガソリンにかかわる部分については、今、政府の考え方と、あるいは与党の考え方と我々の考え方は違うかもしれない。しかし、それ以外で私たちだって賛成できる部分はあるわけですよ。ですから、私たちは、このガソリン部分を切り離して、十分にその部分については別途審議すればいいじゃないか、そういう提案だってしているわけです。

 ですから……(発言する者あり)それは奇策じゃないですよ、奇策はつなぎですよ。まさに我々は、やはり一括で出されれば、では、すべてひっくるめてマルなのかバツなのか、それが本当に国民にとって十分な審議をしていくという期待にこたえていくことになるのかどうか。この点は我々も引き続き主張させていただきますので、ぜひ総理もお考えになっていただきたいと思います。

 そして、今、反対だ反対だとかいろいろ言われましたけれども、現にこの補正予算に関連する議論の中で、きょう、ちょうどここに原口委員もおられますけれども、総務委員会の方でも、地方交付税にかかわる問題についてお互いに現場でしっかり議論して、合意点をもう見出している。そういうあるべき国会の姿というものもしっかりと考えていただき、ぜひとも御判断をいただきたいと思います。

 それでは、続きに、道路の中間計画のことについて、この中身について具体的にお伺いをさせていただきたいと思います。

 お手元に資料を配付させていただいておりますけれども、「中期計画(素案) 単価、事業量等一覧」というものがございます。我々もこれを国土交通省からいただきまして、これが要は十年間の計画の中身であるということでいただいたわけです。

 しかしながら、何を根拠にこの単価がはじき出されているのか。あるいは、「箇所数・延長等」というのがございますけれども、これも具体的にどういう箇所で、いろいろあります。きょう午前中、西村委員の方からも質問がありましたけれども、耐震対策、例えば橋を一万整備する、あるいは通学路の歩道整備、踏切の安全対策。これは、本来であれば、こういう単価を計算したり、あるいは、どこにするのか、本当にそれが最優先されるのはどこなのか、どういう基準でそれを選ぶのか、それによって初めて事業量というものが算出をされ、予算が組み立てられると思うんですが、この積算根拠というものが、私は資料をいただいて読んでもやはりわからない。

 その点について、冬柴大臣にお伺いをいたしたいと思います。

冬柴国務大臣 中期計画の素案では、各政策課題の重点方針に基づきまして、目標を達成するために必要な事業量として六十五兆円を計上したわけでございます。

 このうち主な政策課題の事業量につきましては、救急病院へ行く生活道路、生活幹線道路ネットワークの形成でございますが、これが七兆円、それから児童の通学路整備には二兆八千億円、あかずの踏切の解消には四兆一千億円、渋滞対策には二十一兆六千億円というふうにして、事業量の算出に当たりましては、基本的には、それぞれの政策課題の中の中期的に対策を講じる箇所の箇所数に、具体的な施策の実績費用をもとに算定した一カ所当たりの平均的な事業単価を乗じて算出をしてきたわけでございます。

 基幹ネットワークの整備と維持管理の事業量につきましては、道路の中期計画が始まる直前の平成十九年度における予算を、計画期間である十年間における毎年の事業量と想定をいたしました。例えば渋滞対策では、中期的に対策を講じる箇所三千カ所に一カ所当たりの平均的な事業単価を乗じて二十一兆六千億円と算出をしたわけでございます。では、事業単価は幾らだったかといいますと、これは、三ないし四年前の実績を平均いたしまして、七十二億円と算出をいたしました。

 なお、平均的な事業単価は、政策課題によって違いはあるものの、直近の三、四年間において完了した事業を対象に、その事業費を平均して算出をいたしております。したがいまして、主として平成十五年度あるいは十八年度に完成した事業の事業費を平均して算出をいたしました。

 こうして算出された政策課題ごとの事業量を整理し、すべて合算した上で、例えば環状道路整備は渋滞対策にも基幹ネットワーク整備にも当てはまることから、そういった複数の政策課題に計上されている重複分を引いて六十五兆円を求めたものでございます。

 ちなみに、合算した総額は百六兆円になります。重複分は四十一兆円になりますので、事業量を六十五兆円と見積もったわけでございます。

 以上です。

笠委員 今大臣、一つ例を挙げますと、渋滞対策というのを挙げられました。先ほど、ちょうど午前中の質疑の中で、この中期計画の素案の渋滞対策は、まず信号の交差点等が全国で十九万カ所あると。そこから九千カ所に、まず日常的に混雑が発生している箇所に絞り込んで、そして、特に優先的に実施をしなければならないところが三千カ所であるということですね。

 この資料を見ればすべてわかるはずだとさっきもおっしゃったけれども、例えば、先ほど大臣はおっしゃいましたよ、六十二ページと六十三ページを見ろと。この一覧がございます。ここでは、渋滞対策というのは九千カ所ということしか出ていないわけです。現に、積算根拠となる三千カ所というのは、もう場所は決まっているんですか。その点、お答えください。

冬柴国務大臣 これは決まっておりません。というのは、整備をする時期がございます。

 そして、そのときに、ここに書いてありますけれども、三十三ページに書いてありますように、特に事業効果の高いものから順番に、三千カ所に対して優先的に渋滞対策を実施していくということでございます。したがいまして、その道路の混雑ぐあいにおきましては一日当たり幾らある、あるいは、交通事故がそこで起こって死亡事故が起こったとか、いろいろなものが総合されましてその優先順位が決まってくるわけでございます。

 それには、やはり周辺の地権者の方々との話し合い、あるいは地元からの要請、そういうものもありますので、すぐには決まりませんけれども、先ほどの六十二ページ、六十三ページに、各県ごとに渋滞箇所の候補となるほぼ三倍のものが書かれてありますので、その順序に従って整備を進めていくという趣旨でございます。

笠委員 私は、これは計画を立てる上でそもそも間違っているんじゃないかと思うんですよ。

 今大臣のお話を伺っていると、まず三千カ所というのがありきで、要するに、では、特に事業効果が高いもの、あるいは最優先して政策的にやっていかなければならないところがどれだけあるのか。それは、時にはひょっとして千五百かもしれないし、あるいは五千かもしれない。その積み上げによって三千カ所になったというのであればわかるんですね。

 しかし、この一つ一つの項目が、結局はそういった積み上げ型ではなくて、では六十五兆円を確保しよう、それが五十九兆になるわけですけれども、何かお金ありき、予算ありきの中で、まず前提があって、一つ一つある意味ではこういう内訳を出していくような。だから、本当に精査したんですかね、それぞれ。その点が私はやはりまだ納得できないんです。

冬柴国務大臣 本当に夜を徹して、誠心誠意やりました。それは私もよく現認をいたしております。

 三十三ページを見ていただいたらわかりますけれども、全国の信号交差点の箇所は十九万カ所あります。そのうち、混雑の発生が見られる箇所は二万三千カ所でございます。その定義もそこに書かれてあるとおりでございますが、日常的に朝夕のラッシュ時等において混雑発生時間がその時間の五〇%以上を占めている場所が九千カ所というふうにいろいろと絞り込みながら、しかしながら、これを全部やるといったら大変な金額になります。

 したがいまして、そのうちの三分の一程度の三千カ所に対して優先的にやっていくという絞り方ですから、今委員がおっしゃったのとは逆に、大きくつかんで、そしてそれを絞り込んで、そして最後、これを整備するかどうかということも、先ほど述べたような順序でやっていく。この効果の高い部分からそれは着手していきたい、こういうことでございます。

笠委員 それでは、あわせて、これはほかのものもそうなんですけれども、それぞれの箇所数、それぞれの小項目というか政策課題ごとにこれから、具体的な、どこをやるんだという絞り込みをしていくわけですよね。その基準というものは、もう明確に決まっているんでしょうか。

冬柴国務大臣 整備によって効果が発揮されるべきその順序に従ってやっていくわけですが、十年という歳月があります。もちろん、十年かけて徐々にやっていくというわけでもありませんけれども、予算とかあるいはいろいろな優先順位がございます。

 したがいまして、この効果が高いもの、それは交通事故が起こったとかそういうものは本当に日常的にあるわけですから、そういう要請の高い順番に順次これは実施をしていく、こういうことでございますから、現状においてはわかりません。

 ただ、県ごとにそこに挙がっていますけれども、その後ろにもたくさん、各地域ごとの、まるで毛細血管のような道路が書かれてあります。全部で百二十万キロメートルございますが、その一つ一つについてどういう渋滞があるかということとか、あるいは、あかずの踏切は丸で示されておりますけれども、そういうものを全部図面で落とし、もちろん特定をしてやっているわけでございまして、逐一、それにはどの程度の混雑ということも資料としてはあります。もちろん、膨大になりますから、この冊子には入っておりませんけれども。

笠委員 この六十五兆円が、昨年の十二月の七日の政府・与党の協議、合意によって、五十九兆円に削られるんですね。現在、この五十九兆円についての議論を行うわけですけれども、五十九兆円と、六兆円減らしたのはなぜなのか。あるいは、ここに恐らく理由として、いろいろと節約をしてというような、あるいは有効活用、インターチェンジの増設等々、いろいろとるる書いておりますけれども、今の資料のこの表からすれば、どこを削って六兆円になるのか。そのことをちょっとお答えいただけますか。

冬柴国務大臣 中期計画の素案では六十五兆円というふうにしていましたけれども、事業の重点化や料金引き下げなど、ソフト施策の活用を進めるとともに、規格の見直しを進めることにより、徹底したコスト縮減に取り組むことで一割の縮減を図ることとして、事業量の上限を五十九兆円としたわけでございます。

 具体的には、高速道路の料金引き下げというようなものが別に行われます。また、信号機の高度化などのソフト対策も行われますが、これは渋滞対策や交通安全対策などが推進されたことと同様な効果が生じてまいります。また、中期計画とは別に行われるまちづくり、あるいは地域づくりというものと一体となって行われます道路整備というものがございます。それは同時に、生活幹線道路の整備や安全な市街地の形成ということが推進されることにもなります。

 それからもう一つは、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、個々の道路事業におきましても、構造、規格の見直しなどをさらに徹底すべきである。

 例えば、高速道路だからということで全部四車線がつくられていましたけれども、もうそれは二車線にしてしまおうとか、あるいは、二車線だけではなしに、現在使われている道路でも、ちょっと手直しすることによって、一直線に六十キロ、大体六十キロで走らないけませんけれども、走れるように現道を利用するという方法もございます。そういうようないろいろなことに積極的に取り組むことによって、整備目標というものを、量を変更することなく、おおむね素案に沿ったものをつくるように頑張ろうということでございます。

 これは、十万人を超える国民とかすべての人々の御意見をいただいて、あかずの踏切を解消したり、通学路の歩道整備をしたり、基幹ネットワークの整備などの課題を把握した上で、課題ごとに事業量を算定し、これを整理して積み上げたものでございます。したがって、今後策定する中期計画については、こうした積み上げた素案の事業量をもとに、一割の削減を図るべく死に物狂いで努力をしていかなきゃならない、このように思っているところでございます。

 基本的には、五十九兆というのは、その内数でこれをつくろうとしているわけでございますので、きちっとした根拠があると私は思っております。

笠委員 やはりわからないですよね。

 具体的に、例えば六十五兆の計画、そもそも積算ベースで積み上がった計画じゃないですから、それを協議しても、例えば、これは無駄じゃないか、あるいはこれはもっと落とせるじゃないか、そういう議論があって結果として五十九兆円になるんだったらわかるけれども、私、これは国土交通省の方からお伺いしたら、一割ぐらいはちょっと削らないといけないということで五十九兆になったんですということをおっしゃっていました。

 だから、それは、今度、五十九兆円というのが上限になってくるわけですよね。それが非常にやり方として、じゃ、一体幾らかかるんだ、本当に必要な道路やあるいは道路に関連する事業の何が必要なんだ、そして、それに対して必要な経費というものは実際に幾らぐらいかかるんだ、その結果出てくるものがこの計画じゃなきゃですね。これは十年の大きな計画で、しかも一般財源化という方針をかつて示されておりました。しかし、その特定財源をこれから続けて、そして二十七兆円の暫定税率でまた税を国民の皆さんに負担をお願いするということなんですから、やはりこれは納得していただかなきゃいかぬですよね。

 恐らく今の大臣の御説明では、じゃ、本当に切り詰めた単価なんだろうか、あるいは、本当に優先順位というものが公平に決められるんだろうか、そこあたりが見えてきませんので、やはりこれはもう少しきちっとした、先ほど、何か徹夜してたくさんの国土交通省の皆さん方が頑張っておられるということでしたけれども、わかりやすい、そしてきちんとした積算根拠というものをぜひお出しいただきたいと思います、当委員会に。よろしくお願いいたします。

冬柴国務大臣 例えば、幹線自動車道等の整備をする場合には、今、予定路線のものを整備路線に格上げして着工するという順序が、ずっと法的にあります。その際は、国幹審と言われたいわゆる国幹会議、これには民主党の先生も衆参二人ずつ入っておられます、四人入っていらっしゃいます。自由民主党からは六人が入っておられます。こういうところと学識経験者というところでもう一度、着手する場合には、BバイC、いわゆるコストとそれが生み出す利益、こういうものも厳しく査定をし、そしてその事業量についても審議していただくわけですよ。

 ですから、今ここに書いたものがそのまま全部六十五兆円ででき上がるというのではなしに、これから着手する十年の間には、その間にやはり、都市の形あるいはその土地の形によって工場が進出してすごく交通の量がふえるとか、事情がたくさん変わってくると思うんですね。したがいまして、それを着手する際には、今申しましたような相当詳細な手続を経て、そして初めてするわけでございまして、その間に国民の納得はいただけるような仕組みになっておりますので、御了解いただきたいというふうに思います。

笠委員 その間にというのは、やはりそれは、これだけの大きなお金がつぎ込まれるわけですから、ちょっといかがかなと思います。

 もう一つ具体的にお伺いしたいんですが、平成二十年度に道路投資を一兆円行うことによって二・六兆円の経済効果があるということがこの中期計画の中で出ているんですけれども、二十年度に一兆円投資したら二・六兆円の経済効果、これも、何を根拠にしてこういうことが言えるのか。あるいは、過去の道路に関連する事業に一兆円投資をして、その結果としてこれだけの経済効果があったんだというような検証があってこの数字が出てきているのか、その点をお答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 こういうものについては、学識経験者というか、そういう方面の学問もきちっとありまして、マクロ計算経済モデルというものがあるわけですが、道路の投資をするという場合には、ここにはフローの効果とストックの効果というものが考えられます。

 フローの効果というのは、その道路を整備するということになれば、建設業あるいは資材あるいは関連する事業というものが創出されて、そういうものが計算されます、金額によって。それが国内の最終需要にどう影響するかとか、そういう学問があるわけですね。

 それから、もう一つのストックの効果は、それができたことによって周辺の土地が上がります、また、民間投資が増加いたします。そういうことがストック効果でございます。

 もちろん雇用が増加をいたしますし、それから、それに対する労働投入量の増加、潜在生産力の増加等々がありまして、最終的には国内の総生産、GDPの増加に影響してまいるわけであります。

 そういう一つの学問的なモデルというものを利用してこれは計算しているわけでございまして、もちろん、今までの投資について、そういうものがどれだけ出たかということの検証も不断にされているところでございます。

笠委員 ちょっと確認なんですが、この一兆円というのは、先ほどのこの資料の、これはすべての事業、それとも、例えば道路のみに限られるのか、そこの、一兆円の中身というか、それをちょっとお答えいただきたいんですが。

冬柴国務大臣 公共事業をやる場合には、すべてもちろんそういう効果がございます。これによって、例えば交通事故が減る。同じ期間に同じところで五年間とって、そこで六人亡くなったという道路があります。そして、それに道路整備をきちっとして、その後の五年間には死亡事故がゼロというようなところの検証をしているものもございます。そうしますと、自賠責とかで、一人亡くなれば相当な損害です。精神的なものを抜きにしても、経済的にもですね。

 ですから、その工事によって、道路の場合もあれば、あかずの踏切はそれとはまた違った経済効果があります。環境に対しても、CO2の排出を、そこを連続立体することによって防ぐことができますし、いろいろな利益がそれぞれにあります。したがいまして、一概には申せませんけれども、しかし、そのモデルは共通して使われるのではないか、こういうふうに思います。

笠委員 いや、私が今この点をお伺いしたのは、この中期計画自体は、その積算根拠とか含めて非常にわかりにくいんですね、これを見て。しかし、この効果の部分だけは何か具体的に、雇用の増加二・二万人、税収の増加四千五百億円、事細かに、国民一人当たり換算、一人当たり投資額七千八百円でフロー効果が約八千円、ストック効果が約一万二千三百円と。何かバラ色のようにこっちの方は書いてあるけれども、もともとのこの計画自体が、例えばその経済効果にしても、同じお金をやはりつぎ込むにしても、その地域であったり、あるいはどの事業に配分をしていくのか、そういったことで随分違ってくると思うんですね。

 ですから、逆に、そういう経済効果も考えて、では、何にお金をかけていくのがいいのか、どこの部分に。これは道路だけということじゃないですから。そういったことも含めてやはりしっかりとわかりやすい説明というものを、これはまた今度機会を改めてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、また検討のほどよろしくお願いをいたしたいと思います。

 ちょっと道路の話はこの辺にしたいんですが、ただ、いずれにしても、やはり積算根拠というものがはっきりしないし、真に必要な道路、それは我々だって必要だと思っています、その整備というものは。しかし、私はやはり、国で決めていくというよりも、だったら、十年単位でこういう計画を立てるのであれば、そもそも今の道路行政自体をどのようにしていくのか。例えば、地域にお金を渡して、地域の方が本当に一番必要な優先順位はわかっていますよ。それを国の基準でやるから、無駄だって出てくるし、お金だってかかる。

 ですから、そういう大きな議論というものを本来して初めて、十年計画というようなこういうものがなければ私はなかなか納得できないと思いますし、やはり道路だけが特定財源として残されていくということについては、私はこれはおかしいという思いを述べさせていただいて、次の話題に移らせていただきたいと思います。

 では、ちょっと短目にお願いいたします。

冬柴国務大臣 百三十ページから百三十六ページにかけて細かく、どこの路線で、しかも、余り長い道路ではいけませんので、百八十七区間を、今最新の通行量と、そしてそれに対して必要な事業費というものを全部して、そしてBバイCが幾らになっているか。すべて一・二以上でございます。

 そして、その右側のページに十六項目細かい数字が並んでおります。これを整備することによって、拠点病院に近づけるか、あるいは近くのインターチェンジ、空港、港湾に近づくことができるかどうかということを詳細に分析をしておりますので、またぜひ読んでいただきまして、これをそのままやるというのではなしに、そういうものを資料にして、具体的な手続を踏んで、そしてやっていくということでございます。我々としては現時点で迫れるだけ迫ったつもりでおりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。

笠委員 今おっしゃったのは、この「高規格幹線道路の点検結果」ということは出ていますけれども、それ以外のことというのは、本当にこれはわからないわけですよ、これだけじゃないですからね。その点だけは指摘にとどめておきたいと思います。

 次に、教育に関してお伺いをしたいんですが、ちょっと時間の方がなくなってまいりました。

 総理、私も議員になって四年余りになりますけれども、ずっと文部科学委員会等々、あるいは教育基本法の議論などについても参加をしてまいりました。前の安倍総理は、その中身ということはいろいろな議論はありますけれども、教育を第一に掲げられて取り組まれたことについては、私、その点は物すごく評価しているんです。しかし、この前、施政方針演説を聞かせていただいても、総理は、人づくり、教育ということについて関心が余りないのかなとちょっと思ってしまうわけでございます。

 総理が五つの基本方針というものを掲げられて、そのためにはやはり人が重要なんだということをおっしゃいました。これから教育については、これはいろいろと議論がございますけれども、やはり投資していかなきゃなりません。お金も予算も十分にかけていかなきゃなりません。そういう決意で取り組んでいただけるのかどうか、まずその点を認識をちょっとお伺いいたしたいと思います。

福田内閣総理大臣 我が国は、これからいろいろな課題に取り組んでいかなければいけないんです。

 私は、施政方針でも、それをまとめて五つの課題を取り上げました。これは、我が国が今現在、そしてまた将来に向かってなし遂げていかなければいけない課題だと思っておるわけでありますけれども、そういう大きな課題を実行していくという際に最も重要なのは人である。人がそういうものをつくっていくわけですから、基本は人なんですよ。ですから、要するに人材の育成ということについては、これは私から申し上げるまでもないくらい重要なことであるということは、もうみんな認識しているわけです。

 我が国が、戦後、また戦前もそうですけれども、こういうような体制を、社会の体制、そして政治、あらゆる分野において立派な対応ができたということは、やはり人材によるものであるというように認識しておりますから、今後も、人材育成、そしてその根幹をなす教育の問題には真剣に立ち向かっていかなければいけないと思っております。

笠委員 私は今、本当にさまざま、ちょうど前通常国会の中では格差という問題が大きな議論になりました。そのことを、きょう、格差論議をする時間はございませんけれども、とりわけ、その中でもやはり教育と医療という、もちろん日本は自由主義の国で民主主義の国ですから、経済的にやはり頑張った人たちが、例えばぜいたくをするとかあるいはお金を稼ぐ、それはあっていいでしょう。しかし、絶対セーフティーネットを張らなきゃいけないのは、やはり教育であり医療だと思うんですね。残念ながら、OECD各国と比べても、この二つの分野について公的な財政支出というものが、GDP比、比率が低いんですね。

 そこで、とりわけこれから厳しい国際競争の中で勝ち抜いていくためには、やはり国際的に通用する人材というものを育てていかなければならない。このことでは、恐らくそれはみんな同じ考えを持っていると思います。

 そうした中で、きょう、資料の方を用意させていただきましたけれども、「高等教育及び研究開発に対する公的支出と公共事業の対GDP比」という表をごらんいただきたいんですけれども、これはやはり圧倒的に公共事業。だから、この道路の問題だって我々はこだわるわけですよ。財源をどこに求めるんだ、何を削るんだと。そうしたら、どこに重点的に予算をシフトしていくのか。何かを削って、その財源をもとにしっかりと今度は使うべきところに使っていかなければ、これは何でもかんでもお金をかけることはできないわけですから。

 そこで、ちょっと余りにもこれはお粗末というか戦略性がないんじゃないか。むしろ、これから人材及び競争力を本当に高めていくために、人材育成に向けてしっかりとした予算配分というものをしていただきたいと思うんですが、その点について、総理の決意をお願い申し上げたいと思います。

福田内閣総理大臣 戦略性がないとおっしゃいましたけれども、戦略性、あるじゃないですか。

 公共事業だって、今、ほかの国に比べて比率が高いというお話がございました。それは事実は事実として認めた上で申し上げますけれども、その公共事業だってこの七、八年間で半分に減ったんですよ。これをもってして戦略性がないということは言えないと思いますよ。それでは、地方に道路をつくらなくてもいいんですか。公共施設が日本は十分に完備されていると言い切れるんですか。そういうようなことも考えていただいて、地方の経済も考えなければいかぬでしょう。

 今、日本全体に閉塞感がある、特に地方は疲弊しているんじゃないかというようなことは、民主党の方々も皆さんおっしゃっていますよ。その地方をやはり大事にしなきゃいかぬですね。そういうためには、やはり道路もつくってあげなきゃいかぬということもあるでしょう。そういうこともしながら、そういうことに目くばせしながら、教育にもしっかりと対応していかなければいけないと思います。

 特に公教育、これの充実というのは大いに図られるべきだと思いますよ。

 ですから、来年度予算においても、奨学金制度、これを拡充するということにしております。まだまだ足りないという話もございますけれども、財政の規模の問題もありまして、そうあれもこれもというわけにいかない。そういう中で苦労してやっている。そしてまた、教員の数もふやす。こういうような状況の中においても教員の数もふやすという努力をしているわけでありますから、そういうところは率直に認めていただきたいと思います。

笠委員 総理、道路もつくってあげなきゃいかぬとか、そういうことじゃないですよ。我々と全く目線が違うんですよ。地域に任せてつくっていく、これからそういう時代にしていけばいいんですよ、財源だって。

 要するに、国でやるから、分配型のやり方を続けていたら、必ず無駄が起こるんですよ。我々、私も今度独立行政法人の問題等々やらせていただきますけれども、必ず間に何か入って、そこでまたいろいろな無駄が出てきている。だから、その事業自体が悪いというんじゃなくて、それをやはりしっかりと削減していくというところが見えないじゃないですか。

 そこまで総理が自信を持っておっしゃっているけれども、では、本当にそういうことも精いっぱいやっているんだという胸を張れる、それだけの自信がありますか。

福田内閣総理大臣 いや、そのとおりやっているんですよ。そういう、地方にすべて任せろというお話、これもわかります。これは分権ですね。分権をしていかなければいけない、もちろん財源もつけなければいけない、そういうようなことをいろいろ取り組んできておるわけです。

 道路の場合に、すべて地方にお任せするというわけにはいかない部分もありますよ。それは、地方だけで道路をつくればいいというんじゃなくて、みんなつながらなきゃいかぬわけですから。そういうところを全体を見ながらやっていくということで、地方分権については我々も十分考えておりまして、地方分権委員会の答申もございますので、その方向性をしっかり守っていこう、そういうふうに考えておるところでございます。

笠委員 私は、やはりこれだけの借金を抱えてきた中には、何も国の責任だけじゃないと思います。やはり今の補助金、この制度の仕組みがあって、自治体の中には、きちんと無駄な事業はやらずに頑張っている首長さんたちもいるけれども、中には、バブルのころを含めて、どんどん自分たちも借金しているわけですよ。これは、私は必ずしも国だけの責任じゃないと思う。

 しかし、この仕組み自体を変えていかなければ自立できないですよ。そしてまた、税源を全部渡して、財源も渡していく中で、もちろん国としてやらなきゃいけないこともありますよ。けれども、やはりもっと身近なことについては、しっかりと地域で財源を持って、そしてそれをきちんとした形で住民にチェックをしてもらいながら進めていく、選択をしていく。

 道路が先なのか、あるいは教育、医療が先なのか。あっていいじゃないですか。うちは道路が最優先だというところだってあっていいでしょう。あるいは、うちは、いや教育だ、まずは病院の問題、医師の確保だ、あっていいでしょう。それを国ですべてやる、国でその基本方針を、とりわけこの道路行政というのは、今まだ根強くその部分が残っている。だからこそ大きな問題になっているわけです。

 最後に一つ、今、総理がかなりむきになっておっしゃったので、私、さっきの教員の定数、これは、千人ふえたことは評価します。まだ足りないと思います。

 では、総理、そこまでの御決意があるなら一点だけ。〇六年の骨太方針で、今後五年間で一万人程度の純減を図っていく、要は、子供の減少以上に教員の数を減らしていくという方針があるわけですね、行革推進法。これを、方針を転換される考えはございますか。

渡海国務大臣 評価をしていただいてありがとうございます。

 笠議員には、文部科学委員会でいつも議論させていただいております。この問題というのは、大変厳しい問題であったというふうに思っております。そして、教育改革の中で、新たな主張、新たな需要が出てきているということもまた事実であろうというふうに思っております。

 しかしながら、一方では、笠議員もおっしゃいましたように、長くは話しませんが、この財政難の中でいろいろな改革をやっていこうということで、地方でも大変な御苦労をいただいている。その中でぎりぎり、いわゆる行革の姿勢というものはやはり守り続けながら、そして総理が最後に御決断をいただいて、そこの部分の中でも、やれることはとにかくやれということでこの千人の定員増が確保されたということでございまして、細かくは説明いたしませんが、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

笠委員 総理、今の件で一つだけ。

 ことし千人でした。まだ足りません。これは、二万千人を三年間でという目標を立てておったわけですけれども。総理、でも、五年で一万人を削減するということは、これは来年ももちろんふやしていく、私はふやしていかなきゃ大変なことになると思っていますし、これから学習指導要領も変わって、そしてあるいは教育の制度も変わって、向き合う時間が本当になくなっていきますよ、いろいろと。授業の時間もふえる、そのことはいいんです。ですから、この方針は転換されるということだけ、お約束いただけませんか、最後に。

額賀国務大臣 これは、文部大臣がお話ししましたように、行政改革法で一千三百人を教職員及び職員の中で純減させるということの中で講師などの千人を増員させていただいたわけでございまして、行革法の精神というか基本的な考え方は踏襲した中でその教員の増加をさせていただいたということでございます。これからもそういう考え方でいく。

福田内閣総理大臣 今、日本が置かれている財政事情を考えて、簡単に、はい、そうですというふうに言いたいところだけれども、やはり諸般の状況を考えながらやらなきゃいかぬことはあると思うんですよ。しかし、その必要性が本当にあるということなのかどうか、よく吟味した上で判断していきたいと思います。

笠委員 総理、まさにこれは総理が本当に決断しなければできないことでございますので、その点をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

逢沢委員長 これにて笠君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 山井和則です。

 これから五十五分間、質問をさせていただきます。

 きょう、つなぎ法案を出すとか出さないとか、そうした状況に入っております。そこで、福田総理に最初にお伺いしたいことがございます。これは共同通信の世論調査です。ガソリン税などの暫定税率継続について、賛成二一・四%、反対七二・二%、不明六・四%。七割以上の方が反対、賛成は二割程度なんですが、ほかの世論調査でも似たような数字が出ております。このような数字に対して、福田総理はどのような感想を持っておられますか。

福田内閣総理大臣 反対するのは、これはやむを得ないところもあるなというふうに思います。私も、個人、消費者の立場だったら、安い方がいいですよ、それは。私が自分で運転するという立場であれば。そういう気持ちが素直にあらわれているというふうに思っております。

山井委員 ということは、確認しますが、消費者の立場としては、この七割の人が反対しているということは理解できるということでよろしいですか。

福田内閣総理大臣 一般論として、何でも安い方がいいんですよ。そういう気持ちをお持ちなのは、これはもう当然だと思います。

山井委員 一般論として安い方がいいんですよというのは、何かちょっと、私は、国民に対して失礼な言葉じゃないかなと思うんですね。別に、国民の方は、こういう税金を下げると、つくる道路が優先順位をつけて多少減るかもしれないということは御理解されている方も多いと思いますよ。そういう中では、多くの方々が今この暫定税率の延長に反対している、このことはやはり、国民本位ということをうたっておられる福田総理としても重く受けとめていただきたいと思います。

 福田総理は、この間、七日、自民党本部の仕事始めで、奇策はあるわけじゃない、そういうことをやると国民の信頼を失うと語っておられました。そして今、奇策と言われるつなぎ法案を与党は出すということで、今、野党に対して申し入れを行っております。そういうことをやると国民の信頼を失うと七日に語っておられたんですが、その福田総理の思いは今日まで変わっていませんか。

福田内閣総理大臣 今、その問題はまさに与野党間で協議している最中なんですよ。やるというふうに決めて、何かやっているというふうに私は聞いておりませんよ。ですから、あくまでも話し合いですから、それは野党の方々にも理解をしていただかなきゃ、協力を仰がなければいけない。国会を正常に運営するということにひとつ御尽力いただくということで、何しろ歳入歳出が一体で通るようにひとつよろしくお願いをしたい、こういうお願いを申し上げているわけですから、ぜひ御協力を願いたいと思っております。

山井委員 確かに今は話し合いの途中ですが、もしかしたら今晩にもそういうつなぎ法案を出してくるかもしれないという状況に、今政治情勢としてはなっているわけです。そのときには、与党が出すとすれば、自民党総裁である福田総理にも相談が当然来ると思いますが、もしそういう法案を出すんでしたら、総裁である福田総理に相談は来るわけですか。

福田内閣総理大臣 まさに仮定の話ですから、仮定のことにお答えする必要は私はないと思いますけれども、そういうことがないように、あくまでも話し合いで解決をしてほしいと思っております。

山井委員 先ほど、笠議員、西村議員の質問でもございましたが、年末、自民党総裁として薬害肝炎救済法案の指示をされました、自民党総裁として。今回もつなぎ法案は議員立法として出てくるわけですから、つくってくださいという指示を出したということは、法案に対して、その議員立法はやめてくださいということも当然自民党総裁として福田総理は言える立場にあると思います。

 そこでお願いしたいんですが、これは話し合いを確かに今やっていますが、話し合いがうまくいかなくて、そういう話が与党から来たときに、総裁として、話し合い、話し合いという路線を今までから福田総理は言っておられるわけですから、自民党総裁として、そのつなぎ法案のことに関しては、それはよくないということを言っていただきたいと思いますが、福田総裁、いかがですか。

福田内閣総理大臣 そういうお話の前に、やるべきことはあるわけですね。やはり与野党でよく話をしていただきたいということです。

山井委員 ですから、その話し合いがうまくいかなかった場合のことを聞いているんですよ。(福田内閣総理大臣「そんな仮定の話はしない」と呼ぶ)福田総理、仮定の話とおっしゃいますが、これは非常に重大な話ですよ、国民生活にとっては。小さな法案じゃないですよ。七割の方が反対をしている。そして、この法案は増税法案ですよ。

 暫定税率の期限は三月三十一日で切れるんですよ。その後、つなぎ法案を出すということは、増税をするということなんですよ。十年間にわたって二十六兆円増税をするということを、つなぎ法案一本で、審議もせずに決められると思いますか。

 福田総理、これは国民生活にとって深刻な問題なんですよ。もちろん、賛成意見、反対意見、あるでしょう。しかし、審議なしで一日で決められるような軽い問題じゃないんですよ。

 薬害肝炎の救済法案でも二百億円。しかし、今回の増税は十年間で二十六兆円ですよ。福田総理、今回、増税になるんですよ、暫定税率が切れるのを無理やりつなぎ法案で延長するということは。そういう増税法案を審議なしで強行採決していく、このことについて福田総理はどう思われますか。

福田内閣総理大臣 問題は、委員のおっしゃるのは、ガソリン税をどうするか、こういう話でしょう。このことについては、幾らでも審議できるじゃないですか、成立するまでの期間が十分にあるんですから。その期間に、いい悪い、いろいろ議論されるのが、これが本来の姿ではないかというふうに思いますけれどもね。

山井委員 違うでしょう。このつなぎ法案を通したら、これでもう暫定税率の延長が事実上決まるじゃないですか、幾ら審議をしたって。この七割の国民の声はどうやって届くんですか。

 今も笠議員が道路中期計画の中身について説明を求めましたけれども、明確な答弁がありませんでした。これからきっちり予算委員会でこういうことを審議してやらないとだめなんでしょう。(福田内閣総理大臣「そうしてくださいよ」と呼ぶ)そうしてくださいよとおっしゃるわけですけれども、そうできないようにしてつなぎ法案を出そうとしているのが与党で、その責任者が福田総理、あなたなんじゃないですか。人ごとのように言わないでくださいよ。

 これは、十年間で五十九兆円も道路に使うかどうか、そのこと自体に関して国民の世論は今大きく二分しているんですよ。二分しているんですよ。そのことを審議もせずに決めるということ。

 福田総理はきのう、記者に対して、奇策じゃない、正々堂々とやっていかないといかぬということをおっしゃっています。確認します。この問題について、道路特定財源について、福田総理は正々堂々とやっていかれるんですね。確認します。

福田内閣総理大臣 正々堂々、この問題について議論をすべきだと思いますよ。今、中期計画のことも言われましたけれども、そういう内容についてよく質問してくださいよ。そして、疑問をただしていただきたいと思いますよ。

 今は、いずれにしても、これは与野党間で協議をしていることであって、その先どうなるかということを私に何か言えといったって、今は無理ですよ。それよりも、野党の皆様方よくわかっているんじゃないですか。

山井委員 正々堂々とやっていくわけですね。そしたら、つなぎ法案、審議を正々堂々とやってくださいといいながら、こういう、まさに審議もさせずに一瞬にして暫定税率の延長が決まるようなこのつなぎ法案、このつなぎ法案は、福田総理の認識としては正々堂々としたやり方ですか、どうですか。

福田内閣総理大臣 今、何も出ているものでもないことに対して、それがどうのこうの言ったって意味ないじゃないですか。もう少し、本当に静かに議論ができるような雰囲気をつくっていただきたいと思いますよ。

山井委員 福田総理、まだ今議論したらいいじゃないですかといいながらも、もしかしたらきょうの本会議で出すとしたら、議論するのは今しかないじゃないですか。だから今聞いているんでしょう。つなぎ法案が出た後じゃ遅いんじゃないんですか。

 そしたら、福田総理にお聞きします。まさかきょう出すということはないでしょうね、ゆっくり議論した方がいいと言う以上は。きょうつなぎ法案を出すということはないですね、福田総理。

福田内閣総理大臣 同じことを何度も何度も聞かれて、私も、同じことを繰り返して言うのも正直言って余りうれしくないですね。

 これは今、御党の代表の方々が話している最中でしょう。もし本当に委員が心配されるんだったら、そこに行って一緒に話しされてきてはどうなんですか。まだどんな中身なのかも私も知りませんし、そしてどうなるかもわからないことの仮定の話をしたってしようがないでしょう、この大事な委員会でもって。

山井委員 私は、福田総理と私たちの認識が非常に違うと思うんですよ。これは大変重大な問題ですよ。十年間で二十六兆円にも及ぶ増税、そして、五十九兆円、道路に特別枠で使うかどうか、そのことを審議もせずに一瞬にして決めてしまうかどうか。こんなことがもしまかり通ったら、国会の存在意義が否定されるじゃないですか。予算委員会なんか必要なくなるじゃないですか。何のためにこれは国会をやっているんですか。そういう国会史上例のないことなんですよ。

 それに対して、何か人ごとのようなことをおっしゃっておられる。福田総理は言っていることとやっていることが違い過ぎませんか。話し合うといいながら、片や幹事長はつなぎ法案を出してくる。国民本位といいながら、国民が一番期待をして関心を持っている暫定税率の問題を審議させないようにしようとしている。言っていることとやっていることが違うじゃないですか。国民本位どころか、まさに国民無視。正々堂々とやるといいながら、最もこそくな手を今使おうとしているんではないですか。言っていることとやっていることが余りにも違い過ぎると思います。

 もう一度、福田総理、お聞きします。正々堂々とやるということをお約束ください。

福田内閣総理大臣 私どもの幹事長云々というお話ございましたけれども、幹事長だって、何もけんかしようなんて思ってやっているわけじゃないと思いますよ。そうじゃないことで努力しているということを私に言っていますからね。だから、そういう気持ちでやっているんだから、素直に対応して、そして野党の皆さんにも協力していただきたい、そう思います。

山井委員 やはりこれは、自民党総裁ですから、仮定の問題、仮定の問題と今おっしゃっていましたが、早ければこの予算委員会の後にでもその話は上がってくるんですよ。まさか、これだけ審議しよう、審議しようといっておきながら、つなぎ法案を了承するようなことはしないでくださいよ。まさに、国民本位といいながら、それと逆のことになります。

 幹事長から何を聞いておられるんですか、福田総理は。

福田内閣総理大臣 同じことを何度も聞かれますけれども、あくまでも話し合いで解決したい、そういう一念でやっているんですよ。

山井委員 それでは、少し道路財源についてお聞きしたいと思います。

 冬柴国土交通大臣、通告をしておりませんが、国土交通省の本庁なり出先機関の職員が道路特定財源維持の署名集めを勤務時間中にしたとか、そういう事例というのは今回あるんですか。

冬柴国務大臣 私は聞いておりません。やっているかやっていないか、そんなことは聞いておりません。

山井委員 もしそういうことがあったとしたら、どう思われますか。

 勤務時間中に国土交通省の本庁あるいは出先機関の職員が、暫定税率維持の署名活動、それを市町村の職員などにお願いして、署名に協力してくださいということを勤務時間にファクスやメールでやっていたとしたら、どう思われますか。

冬柴国務大臣 それは、職務としてやったのか、あるいは個人として知り合いあるいはそういう人にやったのか、それはわかりません。しかし、私は、組織としてそういうところでやったということは承知はいたしておりません。

山井委員 個人としてとおっしゃいますが、勤務時間中に個人としてそういう活動をやっていいんですか、国土交通省は。

冬柴国務大臣 ちょっと具体的に言ってもらわないとわかりません。具体的に言ってください。

山井委員 いや、ですから、一般論としてですよ、勤務時間中に個人のそういう署名集めをやっていいんですか。(発言する者あり)一般論として聞いているんですよ。委員長、一般論として聞いているんですよ。

逢沢委員長 質疑者、もう一度質問をしてください。

山井委員 一般論としてお伺いします。国土交通省では……(発言する者あり)

逢沢委員長 質疑者が質疑をしているときは静粛にお願いします。

山井委員 国土交通省の職員が、勤務時間中にメールやファクスで道路特定財源維持の署名集めの協力要請をしていいんですか、勤務時間中に。

冬柴国務大臣 これは省として命じたわけではありません。そういうことはしておりませんので。ただ、個人としてそういう人がいるかもわからぬわけですから。六万三千人もおるんですから、それは一つ一つわかりませんよ。

 でも、具体的に言っていただければ、それが勤務時間中であったのかそうでなかったのか、あるいは、その相手方が知り合いの人なのかどうなのか、どういういきさつでやったのか、そういうこともわからないじゃないですか、一般論では。個々具体的に言ってください。そして、もしそういうことが行われたとすれば、それは納税者にとって不快であるということになれば、私の方としては行政上の手続を何らかとらなきゃならないかどうかは、それは具体的になってから判断させてください。

山井委員 具体的な話をということですので、一月二十日付の北海道新聞、「「暫定」維持へ署名要請 網走開建職員 管内十八市町村職員に」。政府の立場を利用したと受け取られかねない協力要請に批判が集まりそうだということです。

 ここにファクスがございます。

 日ごろは大変お世話になっております。網走開発建設部の何とかです。今回、必要な道路整備を進める会が全国の各団体に呼びかけ、暫定税率維持の署名活動を実施しております。今回、署名活動中ですが、御協力をよろしくお願い申し上げます。署名期間は一月中となっております。お忙しいところ申しわけありませんが、よろしくお願いします。以上、お願いします。

 これがファクス送信票ですね。

 それで、これは国土交通省も認めております。そして、開発局は、一職員の行動であり、開発局として協力を求めた事実はないと説明しているというふうに新聞には出ておりますが、ここにございます。道路特定財源の確保に関する署名のお願いについて。

 特に、北海道に当たっては広大な面積を有していることから広域分散型社会が形成され、地域間の移動には長い距離と多くの時間を必要とします。当会におきましては、道路特定財源の安定的な確保と真に必要な道路の整備を着実に進めることを国などに強く要望しております。今後より一層力強い要望活動を進めるために、皆様の御理解と御協力を得ながら署名活動を実施したいと考えております。

 これは道を考える会の署名のものですが、これを国土交通省の出先機関の職員が勤務時間中にファクスをして、市町村の職員にお願いしろと言ったら、まるで自作自演、これはやらせじゃないですか。国土交通省の財源を確保してくださいということを、民間団体に署名集めをやってくれるように国土交通省の職員が勤務時間中にやっている。

 冬柴大臣、この事例をどう思われますか。

冬柴国務大臣 その北海道新聞の、あなたが読まれませんでしたけれども、知り合いの人に頼んだと、そう書いてあります。

 それから、頼まれたのは、その会は御婦人の方が一生懸命やっていらっしゃる、御婦人の方が。その知り合いで、その代表者は御婦人じゃないんですか、会は。そうでしょう。そういう人から、たまたま知り合いの我々の職員に対してやった。その職員は、そのように頼まれたので、自分の知り合いの方にそのようにファクスをしたというふうに聞いておりますが、それがもし軽率なものであり、いや、手を振っていますけれども、それが違うのであれば、違うところを指摘してください。私の理解はそうです。

山井委員 大臣、最初そういう事例は知らないと言っていた割には、えらい詳しいじゃないですか。そうしたら、こういう事例があることを知っていられたんじゃないですか。それに、言っていますが、単なる知り合いじゃないんですよ。勤務時間中に管内の十八市町村の職員に送っているんですよ。これはまさに職務上の知り合いで、これは圧力と受け取られかねませんよ。

 おまけに、私がちょっと心配になっているのは、このファクス、これはわかりませんが、名前のところだけがちょっと大きく空白になっておりますが、まさかこれが、こういうフォーマットがあって、この人個人じゃなくて、二人、三人、四人、五人、あるいは全国で行われているということはないですね。この署名の中には、全国で署名活動を行っていますというふうに書いておりますが、まさかその全国でやっているところに、これと同じように国土交通省の職員が関与しているということはないですね。冬柴大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 現在、そのような認識は、私はそういうことは知りません。認識はありません。

 それで、先ほど来、あなたは一般論、一般論と言われるから、個々具体的に挙げてくださいと申し上げたわけで、決して否定したわけではありません。具体的にあなたがそうおっしゃるから、私が知っているそのことを申し上げたわけでございます。御了解いただきたいと思います。

山井委員 いや、これは個別の話だから取り上げているんじゃないんですよ。こういうことがもし全国で行われていたら、これは大変な問題だ、やらせのタウンミーティングみたいなものじゃないですか。これは深刻ですよ。勤務時間中ですから、国民の税金で道路特定財源の維持のための活動をしている、これは深刻な問題です。

 冬柴大臣、それでは、深刻という認識は一緒だと思いますので、こういう事例がほかにないか調査していただけますか。

冬柴国務大臣 調査をします。

山井委員 この予算委員会に報告をしていただきたいんですが、いつまでに報告していただけますか。これは、まさに今、審議の最中の一番重要な局面ですから、大体いつまでに報告をしていただけますか。これはすぐわかると思いますよ。

冬柴国務大臣 しかるべく、誠心誠意やります。

山井委員 ちょっと委員会室が静かになったのは気のせいでしょうか。

 きのうも菅議員から話がありましたが、こういう道路特定財源の維持の活動を万が一、そういう国土交通省が一緒になってやっているということになると、これはとんでもないことになりかねません。

 それと、もう一つお伺いしたいと思います。

 昨日、千八百人の首長さんからの道路特定財源の維持の署名が集まったということを冬柴大臣はおっしゃいましたので、私は、ぜひその署名を見せていただきたい、お名前は隠してもらっても結構ですよ、どういう内容の署名か知りたいということで、国土交通省に四時間前からお願いをしておりますが、見せられませんというふうに言われております。冬柴大臣、これは見せていただけますか。

冬柴国務大臣 そのうちの何枚かをお渡ししているんじゃないですか。(山井委員「いやいや」と呼ぶ)一枚も。(山井委員「まだもらっていません」と呼ぶ)ああ、そうですか。それは、あれします。

 しかし、文書というのは、署名した人から私に対する文書ですから、その人の御了解なしに、みだりには渡すわけにいかないでしょう。ですから、あなたが名前を消してもいいというんであれば、それはそういうことで、一般的な形式としてはお渡しします。私はお渡ししたつもりだけれども。お渡ししますよ。

山井委員 首長全員なわけですから、別に隠さなくても、すべての首長から来ているということだと思いますので、出していただきたいと思っております。

 それでは、福田総理にここで一つお伺いしたいと思います。

 今のやりとりをお聞きになって、国土交通省の出先機関の職員が、少なくともこの北海道新聞の事例では、お一人、勤務時間中に道路暫定税率維持の署名活動の要請をしていた、このことについてどう思われますか。

福田内閣総理大臣 これは国土交通省でよく調べていただきたいと思います。

 一般的に、もし委員がおっしゃられるような疑念があるのであれば、それは明らかにされるべきだと思っております。

山井委員 増田総務大臣にお伺いします。

 総務省では、こういう道路特定財源の維持の集会、署名、そういうふうなことを勤務時間中に職員の方がやっておられるということはないですか、総務省では。(発言する者あり)

増田国務大臣 私、そんなことは指示しておりませんし、職員がそういうことをやっているという事実も把握しておりません。

山井委員 そうしたら、増田大臣、総務省がこういう道路特定財源の維持の集会や署名に関するアドバイスあるいは指示、そういう相談に乗ったり、そういうふうなことをしたことがないかどうか、これも冬柴大臣と同じように調査していただけますか。そして報告していただけますか。(発言する者あり)

増田国務大臣 いや、先ほどからのやりとりを私は聞いておりましたんですが、北海道新聞が、これは多分、北海道局ですかね、開発局か何かわかりませんけれども、そこの職員がそういうことをやったという事実があったので、恐らく冬柴国土交通大臣も調べる、こういうことだと思います。

 私のところは、何かそういう事実は全く把握しておりません。ですから、それは確かに、調べろと言えば、全部そういうことを全職員に徹底するということはあるかもしれませんが、ただ、報道で何かどうのこうのということを聞いているわけでもありませんし、私はまたそういったことで新たにいろいろ仕事をつくり出すのもどうかなと思います。

 いろいろ様子を見て、そういう調べる必要があれば、またそこは私で判断をしたいと思います。

山井委員 増田大臣、これは大切なことですから、様子を見てじゃなくて、冬柴大臣と同じように、李下に冠を正さずという言葉もありますから、念のため調査して報告してください。増田大臣、もう一度答弁お願いします。

増田国務大臣 念のためということでございましたが、できれば理事会あたりでこういったものはいろいろと御相談して御指示いただければと思います。(発言する者あり)

山井委員 このことは理事会で協議してください。

逢沢委員長 資料その他については、理事会で適切に対応をいたします。

山井委員 私、後ろからのやじで信じられないのが、そんなことやって何が悪いんだ、やっていいじゃないかと。国民の税金を使って道路特定財源維持の活動や集会や署名集めをやっていいはずがないじゃないですか。国民の税金じゃないですか。こういうふうに国論を二分しているそういう問題を、何で国民の税金を使ってやっていいんですか。タウンミーティングと一緒で、これはやらせ問題ですよ。

 それでは、限られた時間ですので、次の質問に移らせていただきます。

 今回、福田総理は、薬害肝炎について救済法を議員立法でつくれ、そういう指示をしてくださいました。

 そこでお伺いをしたいと思いますが、今回救済された対象になるのが、福田総理、これ、たった千人でして、この法案は。三百五十万人、実は感染者はB型肝炎、C型肝炎、おられるわけです。そして薬害が一万人ぐらいと言われておりますが、輸血や予防接種の方が非常に多いわけです。ということは、三百五十万分のたった千、三千五百分の一、〇・〇二九%。ここの、ほんのこの点ですよね、この赤い点ぐらいの方しか対象になってない。

 当然、これからは、薬害ではない方、資料をお配りしておりますが、薬害じゃない、三百五十万人のうちインターフェロン治療が効かない感染者の方々や、あるいはカルテがなかったり、投薬が証明できない人をどうこの法律で救うのか。さらに、真相究明をして責任の明確化をしないと、だれも責任をとらなくていいということだったら、再発防止ということが起こらないんですね。こういう問題が積み残しになっているわけです。

 そこで、福田総理にお伺いしたいんですが、一月十七日に、こういう新聞折り込みが全国で三千万部入りました。「C型肝炎ウイルス検査をお受けください。」という告知ですね。これ自体は、福田総理、いいことだと思うんですが、総理、これは私ショックを受けましたのが、今回法律が成立しました、だから、ここで病院を見て、カルテがあったり、投薬が証明できたりしたら和解金の対象になるわけですよね。まさに救済のために福田総理も法律をつくられたと思うんです。でも、肝心のこの新聞広告には、二日前に成立した救済法のことが一切触れられてないんです。

 おまけに、「C型肝炎は、早期発見・早期治療が重要です。」と書いてある割には、何と、新聞折り込みが三千万部しかなくて、数が足りなくて、三分の一ぐらいの世帯には行ってないんですよ、これ。余りにもお粗末だと思われませんか。

 おまけに、C型肝炎のウイルス検査をお受けください、急いでくださいと書いてあるけれども、病院で使ったフィブリノゲンで薬害というのが起こって大変御迷惑をおかけしましたという言葉の一言ぐらい、その二日前にせっかく福田総理や舛添大臣が責任を認めておわびを言ってくださったわけですから、何で薬害のヤの字も謝罪のシャの字も、また、例えば国会の議員会館も一枚も入ってない、三分の一の世帯には入ってない、きょうも薬害肝炎の原告の方が何人か傍聴に来てくださっていますが、その原告の方々の中でも私の家にも入ってないという方がいるんですよ。

 福田総理、余りにもお粗末だと思われませんか。せめて法律のことを書いてくださいよ。法律のことを書いたら、その方は和解金がもらえて治療が安心して受けられるじゃないですか。せっかく法律をつくっても、折り込みに一切そのことを書かない。余りにもお役所仕事じゃないですか。福田総理、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今の山井委員の御質問にお答えいたしますと、この新聞折り込みの原稿を確定したのが十二月の二十八日でした。それは年末年始を通してそれから印刷その他ということでありますので、一月十九日に和解の合意書を交わしましたけれども、実は準備段階でありましたので、そこに記すことはできませんでした。

 したがって、福田総理、私もきちんとおわびをし、そして皆さん方に一刻も早くこの検査を受けていただくように、そういうことは明言しておりますし、内閣府、それから総理官邸、それから厚生労働省のホームページにもきちんとそれは書いてあります。

 それから、三千万部というのは、普通、折り込みをして大体事業所以外の普通の御家庭に行くときはそういう数字だというのをいただきました。しかし、今おっしゃったように、届いてないところに対しては、その後、例えば九州の新聞社は九州版だけ掲載していただけるというようなことでできる限り周知徹底する努力をしておりますし、そしてまた、市町村の窓口その他のところでも見られるようにしております。

 そのように、全力を挙げてこの問題に今後とも取り組んでまいりたいと思います。

山井委員 福田総理、何のために責任を認めて謝罪をされたんですか。これは、ある意味で命のリストですよ。四年前にも、この新聞記事を見て病気に気づいて、そして、インターフェロン治療をして助かった方もおられる。肝炎は、二十年間ぐらい潜伏して、なかなか自覚症状も出にくいんですよ。命がかかっているんですよ。

 それに今、舛添大臣、二十八日に確定したと。でも、二十八日といえば、救済法の骨子が固まって、新聞には一斉に、年明けには救済法成立と新聞に出ていたころじゃないですか。そのことがわかっていながら、なぜそのことを入れないんですか。

 福田総理にお願いがあります。

 本当にこれは、この方々を全力で救いたい、一日も早く検査を受けて治療を受けてほしい、そういう思いがあるならば、ぜひ全世帯に行き渡るようにもう一度出してほしい。そして、そこにはこの法律のことを書いてほしいんですよ。これによって、何百、何千人もの方が救われる可能性があるんです。命がかかっているから言っているんですよ。どうか、福田総理、御決断をお願いします。福田総理、お願いします。

舛添国務大臣 まず、この新聞折り込み広告を一月十七日に入れました。そのときまではお問い合わせは五百件でしたけれども、一気に千五百件に上がっておりますので、十分効果は上がっております。

 それから、そこにあります約七千の医療機関に対して、私が指示を出し、そして専門チームに質問書を書かせまして、とにかく二十九万本近くのフィブリノゲンが投与されている方々を捜し出せということで、今懸命にその調査をやらせております。これは、お医者さん、医療機関がだれに投与したかを一番よく知っているわけですから、今そのことをやらせておりますので、一日も早く多くの方に検診を受けていただきたい、そういう思いでさらなる努力を続けてまいりたいと思います。

山井委員 福田総理にお聞きしたいと思います。

 これはまさに、救済法をつくるという指示をされたのは福田総理でありまして、それは、一刻も早く多くの方々に感染に気づいてもらって、救済したいという思いからだと思います。にもかかわらず、この新聞折り込みにそのことが全く書かれてないんですよ。

 これはやはり、救える命を救うのが政治の最大の仕事ですから、ぜひ、福田総理、もう一度やると。それによって、本当に何百人、何千人もの方の命が救える可能性があるんです。どうか、福田総理、もう一度新聞折り込みをやるという御決断をお願いします。

福田内閣総理大臣 厚生労働大臣が再三お答えしているとおり、その新聞広告は、何しろ早く通知をしよう、こういう趣旨でもってしたわけですね。ですから、それはそれなりの一定の効果はあったと思います。

 ただ、それについて、まだ不足があるというふうに委員が言われて、厚生労働大臣もさらなる必要があればやっていきたいということを言っておられますから、そういうことで御了解いただきたいと思います。

山井委員 この折り込みを見たら、いつまでたっても責任は認めない、薬害とも認めない、謝りたくない、そして、感染した方もできるだけ気づかないでいてくれた方がありがたい、そういうふうに言わんばかりなわけです。

 おまけに、もう一点、指摘だけしておきます。

 この折り込みが入った十七日に、ホームページの、カルテが残っているかどうかが変わりました。四年前にはカルテなしとなっていた病院のほとんどが、一月十七日にはほとんどが三角、カルテが残っているかもしれないというふうに変わりました。つまり、四年前の調査では、カルテがあるかないか十分に調査されてないのに、カルテなしとして多くの患者にあきらめさせてしまっておりました。そのことは非常に深刻な、これは隠ぺい、偽装であります。

 そこで、舛添大臣にお伺いしたいと思います。

 舛添大臣は今大事なことをおっしゃいました。だからこそ、二十九万人、三十万人、フィブリノゲンを投与された方に対して一刻も早く、あなたはフィブリノゲンを打たれてウイルスが入っているかもしれないよということを告知するということをおっしゃいました。

 ここに議事録もございます。十月二十四日、菅直人議員への答弁です。フィブリノゲン製剤、「これを約三十万本も使った。」「投与された人は全員危険がありますから、投与された人に全員早く告知をして、あなたは、これはもうまさにビールスを打たれていると同じなわけです。ですから、全員に告知する、そして一日も早く検査していただく。そういうことのために精力的にあらゆる対策を打ってやりたいと思います。」

 これが十月二十四日、三カ月前です。これから三カ月たって、何人の方に告知したんですか。大臣、お答えください。

舛添国務大臣 まずその前に、四年前と今の調査の比較をおっしゃいましたけれども、カルテのみならず分娩記録は、あらゆる記録で少しでも記録が残っている方はお知らせくださいという質問にしたので数字が多くなったんだと思います。

 まさにそのカルテのみならず、しかしこれはだれに投与したかというのは、投与された方は知らないんです、お医者さんが知っているんです。ですから、その七千の医療機関を通じて、今それを精力的に集計をし、どういうことになっていますかということを言っております。それが今の現状で、私は私なりに全力を挙げて一人でも……(山井委員「何人にできるんですか」と呼ぶ)今集計中でございます。まだすべて戻ってきてはおりません。大体九割近く戻ってきておりますので、二月の半ばぐらいまでにはきちんと数字を出して公表したいと思っております。

山井委員 これは一月四日にお願いしたんですが、そうしたら、二月中旬までに公表してください。念押しをしておきます。

 これは、消えた年金、ねんきん特別便と同じ話なんです。要は、感染者から病院に問い合わせさすだけではだめなんです。今、多くの患者の方々が病院に行っても、忙しいからカルテを探せないとかカルテはありませんと言って門前払いに遭って、幾ら法律ができたって対象者がふえないんですよ。だからこそ、舛添大臣がおっしゃったように、病院から告知させるのが一番なんですよ。病院が一番正確なことを知っているんですから。

 舛添大臣、念押しをしておきます。そのときに、まさか何十人とか何百人とか、そういうことはないでしょうね、三カ月もやって。お願いします。

舛添国務大臣 例えば、あるお医者さんがきちんと二十五年間カルテをとっておられて、そこに明確にフィブリノゲンを投与したということがあれば、その方を捜して、それをきちんと告知していただく。ただ、記憶にない、カルテも残っていない、そういう場合もありますから、これは結果を見てみないと。七千の医療機関すべてに通告をし、指示しております。しかし、これは結果を見てみないとわかりません。

 したがって、例えば特別の電話ダイヤルを設けたのも、実は私がかかっていた病院が、今度は統廃合されてなくなった病院についてもアップ・ツー・デートなデータが載せてあります、したがって、自分がかかっていた病院がない、お医者さんもいない、そういう方でも電話で相談してください。できるだけそういう国民の目線で、そして、そういう方々の立場に立ってきちんと対応してまいりたいと思います。

山井委員 これは一人一人の命がかかっているわけですから、そして、病院から告知が行ったら一〇〇%その方は今回の救済法の対象になって和解金も出るわけですから、その方の人生が、一生がかかっているわけですから、ぜひともお願いします。

 そしてもう一つ、首相官邸で一月十五日に福田総理が原告の方々にお約束をされた一般対策についてお伺いをします。

 このことに関しては、民主党は参議院に肝炎医療費助成法案を提出しております。そして、与党は肝炎対策法を衆議院に提出しております。しかし、年末から協議が進んでおりません。残念ながら、与党からは予算がふえるようなことはなかなか難しいという、そういう否定的な回答しかございません。

 しかし、福田総理、多くの原告の方々は、自分たちだけではなくて、薬害肝炎を突破口に三百五十万人みんなの医療費助成をしてほしい、これが裁判を闘われた大きな理由なんです。自分だけのためにやっておられたわけじゃないんです。だからこそ、法律をつくって幕引きでは、これは全く意味がないんです。

 そこで、民主党は医療費助成法案を出しておりますが、なかなか協議がうまくいきません。ぜひとも福田総理、これは与党と協議をして、この国会で成立させたいと思うんです。しかし、なかなか与党が消極的なんですよ。ぜひとも福田総理、その協議を進めて、まさに肝炎患者の方々のための基本法、医療費助成法を成立させる、そのリーダーシップを救済法のときと同様に自民党総裁の福田総理にとってほしい。

 具体的に申し上げます。

 何が違うかというと、福田総理は本会議の答弁でも四月から政府案でインターフェロン治療の医療費助成をするということをおっしゃっています。しかし、このグラフにあるように、四百五十万円までは一万円ですが、九百万円までは三万円、年収九百万円以上は五万円とかなり高いんです。実際、多くの患者の方々に聞いたら、インターフェロン治療で仕事を休まないとだめだ、また、子供の教育費もかさむから、この一、三、五ではなかなかインターフェロン治療は受けられないという方が多いんですよ、福田総理。ですから、私たち民主党は、九百万円までは一万円、九百万円以上からも二万円、そういう提案をしてこのことを法案化しております。方向性は一緒です。

 さらに、この法案の中には、与党案も民主党案も、今回含まれていないインターフェロン治療が効かない多くの患者の方々がおられるわけです、その方々の、肝硬変や肝臓がんの方々の医療費助成も速やかに検討するということも入っております。

 さらに、B型肝炎の患者の方々の抗ウイルス剤、B型肝炎の方々はなかなかインターフェロンが効かないんですね。こういう一般対策をやらないと、ここで幕引きになってはならないと思います。

 実は、私が肝炎のことをずっと教えていただいた天野さんという東京肝臓友の会の事務局長の方が、残念ながら肝臓がんで先日お亡くなりになってしまいました。ずっとこのファイルを、私、天野さんからお借りしたままなんですが、平成十二年、つまり八年前から肝臓病の患者の会の方々は、肝硬変や肝臓がんになったときの医療費助成ということで、八年前からずっと要望を続けてこられた。しかし、その事務局長だった天野さんは、それを待ち切れなくて残念ながらお亡くなりになってしまった。

 福田総理、どうかこの肝炎対策法、肝炎医療費助成法案、これを通常国会で協議して成立させる、そういうふうな決断をぜひとも福田総理からいただきたいと思います。いかがですか。

 福田総理、これは議員立法ですから、総裁に聞いているんですよ。大臣に権限はないですよ。

舛添国務大臣 まず、来年度予算で百二十九億円のインターフェロン治療費を計上させていただきました。七年間で千八百億円、これでインターフェロン治療を受けたくても受けられないという方をなくそう、こういうふうにしております。

 そして、今おっしゃった民主党の法案、そして自民党の、与党の法案、これは立法府の方できちんと御議論をしていただいて、ひとつ立派な形で成果を上げていただくように期待しております。

山井委員 これは、権限があるのは自民党総裁ですので、ぜひとも与党に働きかけていただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 これは、昨年から議論をされているのですね、厚生労働委員会でもって。それぞれ、この取り扱いについて与野党間で数度にわたって協議が開かれている、こう理解しております。それで、国会における与野党間の協議でございますから、私の立場でそれについて申し上げることはできませんけれども、しかし、引き続き協議をしていただきたい、議論をしていただきたいと思います。

 しかし、そんなことをしている前に、早く手を打ちたいというような意味でもって、ただいま厚生労働大臣からお話ししましたような早期治療、そういうような手段を講じてまいりたい、こう思っているところです。

山井委員 ずるずる協議している間に救える命がどんどん失われていっているんですよ。だから必死になって言っているわけですよ。ぜひともこの国会で成立をさせていただきたいんですよ。

 もう一度、もう少し前向きな答弁をお願いします。協議、協議で進まないんですから。だから総裁に頼んでいるんですよ。

福田内閣総理大臣 ただいま私は総理大臣としてこの委員会に出席をさせていただいておりますので、総裁という立場でなくて。

 まずは協議してください。しかし、そうしている前に、この早期治療をするということは非常に現実的な解決の一歩じゃないんでしょうか。議論は議論でしてください。そして、それの議論がまとまるように委員の方も御尽力願いたいと思っております。

山井委員 残念ながら一日に百二十人もの方が肝硬変、肝臓がんでお亡くなりになっておられます。これは非常に深刻な、一刻を争う問題です。そういうことについて、私たちは、ずるずるとやっているわけにはまいりません。ある程度のところで期限を切らせていただいて、どうしても与党がそういう人の命を救うことに不熱心というのであれば、参議院で出している肝炎医療費助成法案を成立させるなどして、衆議院でそのことの賛否をぜひとも問いたい。その際には、まさかこういう命のかかった法案をつるしたままとか、与党が審議を拒否する、そんなことがないようにしていただきたいと思います。

 年金の問題も審議したかったわけですが、最後になりますが、福田総理、どうか、もっともっと議論をということをおっしゃったわけですから、きょう、つなぎ法案を提出する、そして成立させるということが絶対ないようにしてください。話し合いをするといいながらも強硬手段に出る、国民本位といいながらも国民の不安の大きい暫定税率の問題を審議させない、そして正々堂々とやるといいながらもこそくなつなぎ法案を出す、そんなことをするのであれば、福田総理、あなたは偽装総理ということになりますよ。そのことを最後に申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、昨年来の沖縄戦をめぐる教科書検定問題について聞きます。

 この問題は、福田総理が歴史問題にどう向き合うのか、そして、沖縄が抱える問題にどう向き合うのか、その根本が問われている問題であります。

 御承知のように、昨年九月、県民大会が開かれ、十一万六千人が参加をいたしました。集団自決に関する記述から軍の強制を削除した検定意見の撤回と記述の回復を県民の総意として求めました。

 私は十月の本委員会でもこの問題を質問いたしましたが、そのとき総理は、県民の思いを重く受けとめる、このように述べられました。総理は、県民の思いを重く受けとめ、どのような手だてをとってきたのですか。

福田内閣総理大臣 沖縄における集団自決に関する教科書検定の御質問でございますけれども、訂正申請のあった八点すべての教科書について、昨年十二月二十六日、文部科学大臣が承認を行ったと承知しております。

 今回の承認は、教科書検定審議会における慎重かつ丁寧な審議の結果に基づいていると承知しておりまして、こういうような専門的、学術的見地からの対応について私の見解として何か申し上げるというのは、これは差し控えたいと思います。

 ただ、沖縄戦が、住民を巻き込んだ悲惨な戦いでありまして、多くの人々が犠牲になったということについては、歴史を風化させないように、これからも子供たちにしっかりと教えていかなければならないと考えております。

赤嶺委員 今回、検定意見には全く手を触れなかったわけです。訂正申請という形で教科書執筆者や教科書会社に責任を押しつけてきたのが政府の対応であったわけです。

 総理にもう一度伺いますけれども、今回の訂正申請の結果、軍の強制によって集団自決に追い込まれた、いわゆる軍の強制という記述は、認められたという認識ですか。

渡海国務大臣 今回の検定審査会の審議におきましては、赤嶺議員もよく御承知のとおり、専門家から意見も聞き、また、基本的な取りまとめというのを審議会がおやりになりまして、そしてその中でこの「とらえ方」というのをまとめられたわけでございます。それぞれの集団自決について強制があったという具体的な事実というのは現時点において確認できないけれども、しかし、当時の状況、さまざまな状況からして県民の目にどのように映ったか、そういったことも含めて、より詳細に記述をすることによって事実がちゃんと伝えられる、そういうことに配慮して検定を行ったと。

 かなり分厚い報告書でございますが、そういった経過も含めて御報告をいただき、その結果に基づいて、先生お持ちでございますね、それを読んでいただいたらよくわかっていただけると思いますが、最終的な承認をすべしという答申をいただいたものですから、私どももその意見に従って承認手続をしたということでございます。

赤嶺委員 私、総理に伺ったんですけれども、渡海文科大臣が出ていらっしゃいました。

 それで、その答弁ですね、かなり分厚いということでしたが、強制の事実は確認できなかったという御答弁だったわけですが、「基本的とらえ方」の中にはそういう表現はないですよね。

渡海国務大臣 先ほど申し上げましたのは、実は全体として申し上げたわけで、個々の集団自決において、現時点では、それぞれ、軍の命令により行われたことを示す根拠は確認できていない、こういう報告でございます。よろしゅうございますか。

赤嶺委員 大臣、そうなんですよ。基本的考え方には、命令については触れていますが、強制については触れていないんですよ。ですから、今度の結果で強制という記述は復活したんですか、しなかったんですか、こういうことを聞いているわけです。

 なぜそういうことを聞くか。十一万六千人の県民大会を主催した県民大会実行委員会が、皆さんの審査を受けて十二月二十八日に要請文を改めて出しました。ここに、こういうことが書いてあるんです。「そもそも今回の沖縄戦記述についての検定問題は、いわゆる「集団自決」に関し根拠のない検定意見を付して、これまで長年にわたって教科書に記述されてきた日本軍の強制性を削除させたことに端を発している。」「したがって、今回の訂正申請の焦点は、検定で削除させられた「集団自決」における日本軍の強制が明示されるか否かにあった。」このように言っているわけです。

 ですから、軍の強制記述は認められたんですか、認められていないんですか。

渡海国務大臣 そこの部分につきまして、強制性というものをどういうふうにとらえるか。その問題というものについては、当時のさまざまな状況について分析がなされておりまして、その分析に基づいて、沖縄県民の皆さん、当時の沖縄県民の皆さんから見れば強制的と言われるということについて、そういう事実があったということが記述がされている申請につきましても承認をするというふうになっていると理解いたしております。

赤嶺委員 今の渡海大臣の答弁、沖縄の住民の側から見れば強制性があったと。では強制があったということじゃないですか。だのに、何で教科書に強制という記述が認められないんですか。

渡海国務大臣 先ほども申し上げましたように、それぞれの集団自決が住民に対する直接的な軍の命令によって行われたことを示す根拠は、現時点では確認できていないということでございます。

 強制という記述については、特に、先生がおっしゃいましたように、強制性があった強制性がなかったということについて断定すべき、そういったとらえ方はされておらないというふうに承知をしております。

赤嶺委員 渡海大臣、厚い報告書を出したのでとさっきおっしゃっていましたが、ここに持ってきました。文科省の今回の「基本的とらえ方」の中に、強制性を認めないというのは一言もないですよ。どこにありますか、「基本的とらえ方」の。ないのに何で削除したんですか。

渡海国務大臣 いや、私は、そこに強制性を認めるということは書いていないということを申し上げているわけでありまして、強制性を認めないのかと先生がお聞きになったわけでありますから、そういうふうにお答えをしたということでございます。

赤嶺委員 審査会の中では、例えば強制性についてどういう結論を出したんですか。

渡海国務大臣 先ほどからお答えをしておりますように、それぞれの集団自決が直接的な命令により行われたことを示す根拠は、現時点では確認できないということが基本的なとらえ方だというふうに思っております。

 なお、先生から強制性のお答えがございましたから、私、今その書類を持っておりませんが、かなり詳しく読みましたので、その記憶からすれば、当時の状況下で、受ける側からすれば、そういった状況に、それが命令的に見えるとか、そういったことはあったのかもしれないという記述は、確かにその中に載っていると記憶をいたしております。

赤嶺委員 審査会の「とらえ方」の中では、強制性という結論は出ていないんですよ。論議にはなったけれども、一定の方向は決めなかったと言っているんですよ。命令については確認できなかった、こう書いてありますけれどもね。

 強制性については、審査会は一定の結論を出さなかったのに、何で教科書の中からは、例えば今、私、資料を持ってまいりました、文科省の資料は余りにも不親切なものですから。教科書の一つ一つについて、十一月の執筆者の訂正申請でどんなふうに書かれていたか、十二月に最終的にどんなふうになったか。強制という部分は、全部関与に改められているんですよ。

 結局、皆さんは、強制というのは審査会で一定の方向を書かさないという議論。命令は出ていますよ、命令についても後でやるつもりですけれども、強制については、結論も出ていないのに、実際に教科書会社と調整に当たった教科書調査官が、強制という文字は、十一月の申請にあったものを十二月には全部消してしまっている。こんなことが許されるんですか。審査会では一定の方向も出ていないのに、何で調査官が勝手にやるんですか。

渡海国務大臣 赤嶺先生の今の御意見ですが、調査官が勝手に何かをやるというふうなことではないと私は思っております。

 そして、この検定過程において、出されたものについて疑義があったり、要は、これはどういうことでこう書いているのかということを問いただす。これは審議会の先生方に、そういうことをしてくれという、そういう指示のもとで窓口としての調査官が行うと、このことは何度も確認をいたしております。そういう結果、最終的なものが出てきた。

 我が省でおつけしたさまざまなものに多分この変化というものが出ていなかったのかもしれませんが、そういう結果であるというふうにお答えをさせていただきたいといいますか、御理解をいただきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 私、教科書審査会の筑波大学の副学長の波多野先生に電話をして伺ったんです。命令についてはいろいろ書いてあるようですが、強制についてはどんな議論をされたんですかと。強制については一定の方向性を出していませんと。出していないけれども、先生、教科書は全部消えていますよ、当初の執筆者の訂正申請には強制は入っていたんですよ、何で消えたんでしょうと。調査官が調整の中でやったからじゃないですか。

 私、やはりもう一度沖縄戦について考えてみたいと思うんです。

 軍、官、民、共生共死の一体化、これは認めました。住民を根こそぎ戦場に動員いたしました。この軍、官、民、共生共死の一体化というのは、いわば玉砕ですよ。玉砕を沖縄県民にあらかじめ命じていたわけですよ。

 そして、陣地づくりに動員した。戦争が始まる直前になって、大挙して日本軍が押しかけて、一人も軍隊はいなかった島に七万余の軍隊が押しかけて、そして陣地づくりをした、十五カ所の航空基地をつくった。県民はみんなそこに動員されたわけですよ。動員されて、そして、軍の機密を漏らすなと言われた。

 そのとき、漏らすなと言われただけじゃないんですよ。漏らしたらスパイとみなして死刑に処する、そういうふうなことまで言った。ここまでは一般的な訓示でしょう。しかし、方言を使った者までスパイとみなすと。こういう軍の機密を知った以上、敵の手に落ちたら機密を漏らすことになるかもしれないからということで、県民をスパイ扱いしていたのが当時の日本軍でしょう。

 つまり、軍と住民との関係というのは、強制、強要の関係しかなかったわけですよ。違いますか。

渡海国務大臣 事実がどうであったかということについては、赤嶺先生、これは、私が今それをそうだったとか言うことは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、今回の申請も、前回のいろいろなことで疑義がありました。ですから、そういった意味では、専門家の意見を聞いていただいたり、そしてまた、中で、どういう経過でこういう検定がなされたのか。今回の場合は、検定というより、意見を聞いたわけでありますが。そういったことも含めて、実は、できるだけ透明感を上げていただきたいということで、そのような経緯の中でこのような審議会としての意見報告書がまとめられたというふうに御理解をいただきたいと思います。

 先ほどの件、もう一度繰り返しますが、そこの部分は、私も、十分注意してやるようにということもやらせましたし、それから、間違いなく、審議会の先生方がいろいろな意味で出されたものを丁寧に審議するために、その根拠といいますか、そういったものを求めたり、こういったことに疑義があるがどうかというふうなことで問い合わせをされたと聞いております。そのことは普通の検定でもやられることでございまして、特に今回が何かを意図してやったとか、そういうことではないというふうに承知いたしております。

赤嶺委員 先ほど皆さんが出した基本的な考え方の中に強制性を否定するような文言は一つもないのに、実際に教科書調査官が教科書会社と調整したときには、強制がきれいに消えていく。

 そしてもう一つは、あなた方が専門家から意見を求めました。その専門家の中には、「沖縄県史」をまとめられた大城将保さんという方がここに意見書を出しています。ちゃんと、集団自決のときに、座間味の隣の島、慶留間島では、敵が上陸したら自決せよ、そういう訓示を行っていた、沖縄各地で軍隊による命令は確認されているんだと、こう出ているんですよね。

 この専門家の意見、あなた方は聞きましたか。聞いてどうしたんですか。こういうことはどんなふうに審議されたんですか、審査会の中で。

渡海国務大臣 専門家の意見は、今回は、これも審議会でやられたことでありますけれども、書面でもって丁寧にお聞きになったと承知をいたしております。直接我々が専門家の意見を聞くということはいたしておりません。

 そういった意見も踏まえ、審議会の中で、小委員会で先生方が議論をされたということでありますから、これは、検定という今まで諸先輩が守ってきた制度、そういう、審議会が審議会独自の判断でやるということを我々も守っていかなきゃいけないということであろうというふうに思っております。

赤嶺委員 審議会に専門家が、命令があったと、命令をした隊長名まで挙げて意見を出しているにもかかわらず、文科省の考え方の中には、具体的な命令の存在は確認できないと言っている。審議して、こういう理由で命令があったことが確認できないというならまだわかりますよ。一切何の説明もないですよ。何の説明もないままこんなことが通るものですか。検定意見の撤回と記述の回復は県民の強い要望です。これをやらずして、今のようなことをしたからできたんです。

 私、総理にも聞いていただきたいんですが、文科大臣にも聞いていただきたいんですが、集団自決というのは、親が子に手をかけ、子が親に手をかけ、私の知り合いにもおりましたよ。首筋に稲妻形の傷跡があるから、これは何ですかと聞いたら、集団自決で母親と刀で殴り合ったときの傷だ、母親は年老いて耐えられなくて亡くなっていったと。

 こんなふうにして生きている生き証人がいるわけですよ。それが、日本軍の強制によってでなかったとあなた方が言ったら、いや、あなた方が強制的に追い詰められたと、追い詰められた気持ちになったあなた方が悪いんだよと言ったら、どうやってこの人たちは残りの人生を生きていきますか。政府が、本当にあの戦争は悪かった、日本軍の強制によって集団自決が起きたことはもう二度と繰り返さない、こういうことをあの戦争をくぐり抜けた沖縄の人々にきちんと言うべきではありませんか。

 今度、文科省の結論は、そういうことに一切触れていない。戦争を合理化しようとしている、正当化しようとしている、そういうものに満ちたものであるということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

逢沢委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 今、つなぎ法案というふうに言われていますけれども、議論の入り口というより、玄関の手前で強引、力ずくというのはやめていただきたい。同じつなぐのなら、年金記録をつなぐということに総力を挙げていただきたいということで、年金の話をします。

 福田総理、ちょっと基本認識を伺います。こちらをごらんいただけますか。

 安倍内閣、そして福田内閣も、五千万件のオンライン上の記録の問題、そしてオンラインに入っていない千四百三十万件の記録の問題、総理、ごらんになってください。簡単に言えば、こちらを何とかしますということで今やっておられる。

 我々がずっと指摘してきたのは、この旧台帳でオンラインに入っていると言われている千三百六十五万件、これは当時年金に入っていた人の記録ですから大変大事ですよ。ですから、これをしっかり保管しているのかどうかということについてずっと調査要求をしてきましたが、この記録は大事だという認識はありますか。総理、一言だけ、認識をお願いします。

舛添国務大臣 この旧台帳でオンラインに未入力という、千四百三十万件のことをおっしゃいましたですね。千三百六十……(保坂(展)委員「いえいえ、これが重要かと聞いているんです」と呼ぶ)

 これはオンライン化しているところでございまして、それで、例えば入力ミスというようなことがあれば、それが今回の一つの問題につながっているわけですから、極めて大事だと思います。

保坂(展)委員 最初に、重要かどうかということぐらいは、答弁書を見なくても、これは総理、内閣を挙げてやると言っているわけですから答えてほしいですよ。

 舛添大臣に続けてお聞きをしていきます。

 我々、質問主意書を出したり、いろいろヒアリングをして、ついに十二月に、民間の倉庫ですね、セキュリティー倉庫に行きました。大臣も一月に行かれたようですね。そこで見たのは、資料にもつけてありますが、こういった大変不思議な、一番目の箱は一から三千九百八十三まで、二番目の箱は九番から一万八百二十三番まで、三番目の箱は百七十から五万五千九百五までという、つまり、例えば五百番という台帳を捜すためには三箱確認しなきゃいけない、こういう状態なわけですね。

 これは、もう一枚資料をめくっていただくと、資料として大体こういうぐあいの保管リストがあると。一見すると乱数表のような保管リストですね。舛添大臣、これをごらんになって、率直にどう感じましたか。我々は、こんな状態だったのかと驚きましたよ、これ。

舛添国務大臣 私も、一月十六日でしたか、見てまいりました。これは、基本的に都道府県別に整理をしてあるということで、私も今委員がおっしゃったようなのはチェックしてまいりました。

 しかし、今委員御指摘のように、大体順番どおりに、番号順には並んでいるにしても、欠落しているのがあったり、特に問題なのは、ぱっと引き出してみて、もとのところに戻さないで別の箱に入れちゃうというようなことがありましたので、これは早急に、配列の仕方を含めて見直すように検討してきたところでございます。

保坂(展)委員 これは、野党で六月にこの倉庫まで行ったんですね。ところが、当時の社保庁長官、村瀬さんですかの指示で、野党だけではだめだ、この倉庫は見せられないといって追い返されたという非常に不愉快な経験をしました。しかし、この中を見て、今大臣も言われたように、番号が欠けている、そして順列どおりになっていないということですね。

 とすると、実は、十一月に、この年金倉庫に、平成十八年から十九年にかけて、約二千七百件、ありますか、この年金台帳ありますかという照会をかけたら、半分しかなかったと。ちょうど五〇%しかありませんでしたというデータが社会保険庁から出てきて、厚生労働委員会で大臣とも議論しましたが、これはひょっとすると、なかったのではなくて、あったけれども捜し出せなかった、そういう可能性はないですか。

坂野政府参考人 索出が不能であったというもののケースは、確かにいろいろなケースがあり得ると思いますが、その具体的な内容については、私ども、少しサンプルでも調べてみたいというふうに思って今準備を進めておるわけですが、確かに、台帳がなかったというものが全くないかというと、それは私は、可能性としては否定できない、そのように思っております。また、仮にあったとして、その捜しに行った箱の中になかったというケースも、全くないかといえば、それも可能性としては否定できないと私は思っております。

保坂(展)委員 今補正予算ですが、これから予算審議も本格的に始まっていく。福田総理、聞いてくださいよ。これは重大なんですよ、本当に。あったはずの台帳が未整理なために引き出せなかったとすれば、その人の記録はつながらないんですよ。まさにつなげないんですよ。年金をもらえるはずなのにもらえない、そういう人がいる可能性があるんですね。

 ですから、舛添大臣、これは政府が責任を持って、状態をきちっと精査して、一体どうなっているのか、あるのかないのか、すぐわかるように整理するべきじゃないですか。

舛添国務大臣 今長官もお答えしましたように、突き合わせの要求があって、例えば福岡県と見てみた、しかし、そこにない、だけれども、私がさっき申し上げたように、引っこ抜いてそのまま置いていたところにあるかもしれません。

 したがって、一番最初にやらないといけないのは、都道府県別にきっちり順番順に並べかえる、この作業でありますので、先ほど申し上げましたように、その作業を早急にして、いやしくも、問い合わせが来る、来たときに、その箱をあけてみて、それがぴっしり順番どおりになっていれば、もうそこになければないわけですから、そのことは確定できますので、これは早急にやらせるように、今、指示を既に出したところであります。

保坂(展)委員 福田総理、今厚生労働大臣が答えたのは、国民に対する、国会に対する公約と受けとめていいですか。約束ですか。これをしっかり言ってくださいよ。これは厚生労働大臣がただ言っただけで、福田内閣としては知らないよと言われたら困るんですよ。総理、言ってください。

福田内閣総理大臣 私は、厚生労働大臣と連帯責任を負っておりますから、厚生労働大臣の言ったとおりでございます。

 記録が行方不明になるとかいったようなことも、これも否定はできないと思います。年金記録というのは、長い間保存されているものですから、件数も膨大でございまして、保存状態また内容もさまざまなことがあると思っております。

 そして、紙による記録の中には、紙質の劣化ということもあります。それから、戦災などで毀損したということもありますし、また紛失といったようなこと、この可能性もないわけではないんです。ですから、こういう場合には、その他のいろいろな資料を調べることによって、粘り強く調べてまいるということになります。

 また、仮に、記録確認を行う中で、社会保険庁側に記録がないということが判明した場合でも、年金記録確認第三者委員会において、国民の立場に立って申し立てを十分に酌み取って、そして、さまざまな関連資料を検討するということによりまして、記録訂正に関して公正な判断を行うというように今やっておるところでございまして、国民の皆様に不利益が生じないように対応したいと思っております。

保坂(展)委員 最初に聞いた、総理、こちらの方、千三百六十五万件についても、これは厚生労働大臣が言ったように、ちゃんとやりますということで受けとめました。

 社保庁長官に伺いたいんですけれども、こちらの千四百三十万件の方は紙台帳を捨てたというふうに言っているんですね。そうでしょう。よろしいですか、長官、聞こえますか。捨てたのは、いいですか、平成十一年度なんですよ。一九九九年度ですね。

 ところが、この倉庫と契約したのは平成九年なんです。おわかりですか。そうすると、三千百十九万枚の膨大な量の紙台帳をこの倉庫に運んだ。運んで、この中から、皆さん、これを抜き出せますか、千七百五十四万件を。これは、一回その民間倉庫に運んで、社会保険業務センターの職員が立ち会ったにしても、本当にそこで捨てたんですか。これは事実を確認できますか。これは予告してありますからね、きのう。はっきり答えてください。大変なことですよ、これ。三千二百万近く運んで、半分近く、こんな未整理な状態から、どうやって捨てるんですか。

坂野政府参考人 私どもが持っております記録によりますれば、マイクロフィルム化をした千七百五十四万件、これはマイクロフィルム化をしたことに伴い廃棄をしておる、そのように私どもは承知を……(保坂(展)委員「どこで廃棄したんですか」と呼ぶ)社会保険庁が廃棄をいたしておるわけでございます。(保坂(展)委員「だから、どこで」と呼ぶ)場所でございますか。(保坂(展)委員「そうですよ、それが質問ですよ」と呼ぶ)私どもとしては、マイクロフィルム化をするために台帳を持ち出し、マイクロフィルム化をして、その作業が終わったものは廃棄をしていったというふうに承知をしております。

保坂(展)委員 舛添大臣、もう長官の言うとおりにやっていたらだめですから、これ。

 十一年に廃棄したということは社保庁から聞いているんです。きのうも確かめているんですよ。つまり、十一年なんです、つい最近なんです、廃棄したのは。マイクロフィルムに撮った台帳、最近なんですよ。その二年前にワンビシアーカイブズに運んでいるわけですよ。そしたら、そこでどうやってより分けたのかなというのが非常に不思議。捨てていけないものを捨ててしまって、捨てるはずのものをとっていたなんということもあるかもしれないんですよ。これはちゃんと調査させてください。

舛添国務大臣 九年前の話ですから、ちょっとこの経過がどういうふうになっているか、今、九年と十一年と二つの年をおっしゃいましたので、事実関係について調べてみたいと思います。

保坂(展)委員 舛添大臣、続けてなんですが、この旧台帳と言われる今七十歳以上の人たちの記録は、一応、念のためとっておくという位置づけだったかもしれないんです、当初は。ただ、五千万件の問題が出てきた。

 そして、この旧台帳の人たちのオンラインのデータは、ここが重要なんですね、事業所名が全部入っていないんですよ。当時、整理番号がなかったので、事業所名はないんですね。したがって、これから残っている五千万件の続きをやる、それからいろいろな作業をやるに当たって、極めて重要なんですね。

 これは、舛添大臣、本当にオンラインに入っていますか。何回もヒアリングして、はっきりした答えが出ない。では、百でも二百でも三百でも引き取ってみて、サンプリングで当ててみようと言うと、いや、それはできないと言うんですね。これは最優先して、オンラインに入っているのかどうか、どういう状態か、舛添大臣がしっかり調査するという答弁が欲しいですね。

坂野政府参考人 今御指摘のように、旧台帳の記録を電子データ化した際に、昭和三十七年ごろからやっておるわけですが、当時の技術的な事情から、事業所名、当時は台帳には漢字で書いてありますが、そのままそれを入れる方法がなかったために、事業所の番号、そういうものを入れていない記録が一部ある、これはそういう事実が判明をしておるわけでございます。

 ただ、これも、最終的には旧台帳に当たれば事業所の登録がわかるわけでございまして、そういうものはきちんとそういう手段で事業所名等を追求していくことは可能だと考えております。

 また、これも繰り返し答弁を申し上げておりますが、千三百六十五万件については、基本的にはオンラインに収録されているものと私どもは考えているわけでございます。

逢沢委員長 時間が来ておりますので、まとめの発言に入ってください。

保坂(展)委員 一問だけ。

 舛添大臣、この倉庫は問題ないから任せておいてくださいと言って今まで我々を追い払ってきたんですよ、社保庁は。だから、今の長官の言葉をそのまま信じないで、ちゃんとあなたのリーダーシップで調べてくださいよ。それだけ、しっかり答えて。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように、一月十六日に私がみずから視察しました。問題があります。したがって、直ちに是正せよ、そういう命令を下しました。これは大臣の決定ですから、庁を挙げて今それに取り組んでいるところであります。

保坂(展)委員 終わります。

逢沢委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。私がこの補正予算の質疑の最終のバッターでございます。

 私は、本日の質問は、今までの閣僚の皆さんの発言、この観点からも少し質問をしていきたいなというふうに思っております。

 私が今まで取り組んできている中で、耐震化ということに非常によく取り組んできているんです。学校の問題、病院のこと、電気、ガス、水道、こういうインフラの問題も重要でありますけれども、特に水の部分、これは人間が生きていく上で欠かすことができないものでございます。

 水道の場合、地下に水道管があることから、地震で一たび破損すると復旧に非常に時間がかかるということでございます。そのため、水道の耐震化というのは優先的に取り組むべきではないかということを何度も、委員会の場でも、そして予算委員会の場でも言わせていただいております。

 平成十六年度に厚生労働省が策定しました水道ビジョン、これでは、十年後、すなわち平成二十五年までに、基幹管路の耐震化率、これを一〇〇%にするというような目標としておるわけでございます。

 この目標について、平成十八年の二月十六日、この予算委員会で、当時の川崎厚生労働大臣に質問をいたしました。そうしましたら、大臣は、もちろんそのときの、谷垣財務大臣でございましたが、そのいらっしゃる前で、一〇〇%を目指して努力してまいりたい、このように考えておりますというふうに答弁をされたわけでございます。ただ、先日の災害対策委員会で、泉大臣にも私はお伺いしました。そうしましたら、今のままでは目標達成は難しいということをすっと言われました。

 これは私はどうなのかなというふうに考え、そして、その後の昨年の十一月十六日の厚生労働委員会で、この問題について改めて舛添大臣にお伺いしました。そうしましたら、大臣は、しっかりとこれはやっていくんだということを答弁されております。しかし、現実には、基幹管路の耐震化率、これは平成十七年度で一〇・八%であり、耐震化というのは進んでいないというふうに言わざるを得ないわけでございます。

 歴代の厚生労働大臣の国会での発言、これは重いものだというふうに私は思っておりますし、やはり国会での、特に予算委員会の場での発言というのは重いものではないかなというふうに感じているわけでございます。

 また、本気で目標を達成するつもりならば、当然、今回の補正予算にある程度の予算を確保して、こういうインフラの耐震化率一〇〇%に向けての方向性を出すべきだというふうに思っておりますけれども、今回の補正予算において、例えばこういう耐震化について何らかの措置がなされているのか、舛添大臣にお伺いしたいというふうに思います。

舛添国務大臣 この水道の耐震化の問題は極めて重要な問題でありまして、糸川委員がずっとこれを追求なさっていることに高い敬意を表したいと思います。

 その上で、補正予算について、その耐震化の計上は行われておりませんけれども、まず、平成十九年度当初予算において、特に耐震性が低い石綿セメント管、これの更新事業に対する補助採択基準の緩和を図るとともに、来年度予算におきましても、重要な給水施設への配水管耐震化事業について補助採択基準の緩和を図る、こういう施策をとりまして、耐震化関係経費に重点配分を行っているところでありますし、先ほど御指摘いただきました水道ビジョンが示す目標を目指して、今後、水道施設の耐震化を一層促進するように努力してまいりたいと思います。

糸川委員 それは本当に官僚的な答弁であって、大臣、私が川崎大臣に質問したときには、川崎大臣はたしか通告なしで答えたんだと思うんですよ。そのときには、意気込みというか、本当に本気で取り組みたいというような意気込みが感じられたなというふうに思っておりまして、やはりそれであってこそ国会ではないかなというふうに思うわけです。ですから、そういうところで大臣に取り組んでいただきたいんですね。

 今、この水道ビジョン、これはフォローアップ検討会というのがございますね。その中では、耐震化率の施策目標率一〇〇%については実績が低過ぎるため、現状の再評価を行った上で、より具体的なベンチマークを設定することが必要ではないかということが、もうこういう中で出てきてしまっているわけですね。

 そうしたら、確かに一〇〇%は難しい、では、病院や学校、それから避難施設、こういうところだけでも先にやろうかとか、そういうことでも、しっかり取り組んでいくことは構いません。それでも、国民の安全、安心ということをうたうのであれば、やはりこれは約束を守っていただきたいなというふうに思いますが、大臣、意気込みはいかがでしょうか。

舛添国務大臣 平成二十五年には一〇〇%、こういう高い目標を掲げております。この厳しい財政事情の中で、しかし、今委員おっしゃったように、例えば地震なんかのときに命を守る、これは水が最も大事なわけですから、そういう意味で、今後精力的にこの目標に一歩でも近づくように努力をしてまいります。

糸川委員 大臣、では、ぜひよろしくお願いします。

 私も時間がなくなってまいりましたので総理にお伺いしたいと思いますけれども、福田総理は、施政方針演説の中で、五つの基本方針の一つとして、国民が安心して生活できる社会保障制度の確立、それから安全の確保、こういうことを掲げておられます。今まで私も言っておりましたけれども、この水道の耐震化は、国民生活の安全、安心の確保にとって、今大臣もおっしゃられましたけれども非常に重要だ、これは同じ認識だというふうに思います。

 阪神・淡路大震災のときに病院の診療機能を低下させた原因としましても、やはり七割以上が上水道の供給不能だということを回答されているわけですよ。また、先日の新潟の中越沖地震のときも、柏崎の病院が、幾ら病院が耐震化されていても、水が来ないから診療できない、こういう事態に陥っているわけです。

 災害時における国民の生命、生活の維持をするために、水の確保、こういうことはもとより、基幹病院、先ほど私も言いましたけれども、病院を幾ら耐震化しても、そこに水が来なければ手術もできない、やけどの治療もできない、こういうことから、水道施設の耐震化、これは総理も早急に取り組むべきじゃないかなというふうに思いますけれども、この問題について総理の御見解をお伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 耐震問題というのは、これはもう本当に生命にかかわることでございますので、まずは耐震構造の建物をふやしていかなければいけないということであります。先ほども言われたように、小学校とか中学校とか、そういうようなところの校舎も力を入れていかなければいけないと思っております。

 今の御指摘の水は、ライフラインとしては極めて重要な分野だと思います。今のお話、御質疑を伺っておりまして、その重要さというものをさらに強く認識させていただきました。この分野におきましても力を入れてまいりたいと思っております。

糸川委員 総理、もちろん力を入れていただくというのはもうわかっている話で、力を入れないと言ったらそれは大問題になるわけですけれども。

 今、世界で起きている大地震の二割が日本で起きているんですよ。そういうところからして、この水道管耐震化率一〇・八%というのは、この日本の中で余りにも低いんじゃないかということを指摘させていただいているわけです。

 ですから、そういうことも含めて、国のトップに今立っていらっしゃるわけですから、やはり施策としてそういうことも国民の安全、安心を得るんだと。

 それから、トイレの問題。例えば、地震が起きて困るのはやはりトイレの問題だというのはどこでも出るわけです。何でかといったら、やはり今は水洗便所ですから。こういうところにもしっかりと目を向けていただくことがやはり総理にも大事なんじゃないかなというふうに思います。

 以上です。終わります。

逢沢委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成十九年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤利明君。

遠藤(利)委員 私は、自民党の遠藤利明です。

 自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成十九年度補正予算三案に対しまして、賛成の討論を行うものであります。

 平成十九年度補正予算案については、例年補正予算において措置されている災害対策、義務的経費の追加に加え、緊急性の高い政策課題、具体的には、高齢者医療制度の円滑な導入、水田農業等の緊急活性化、原油価格高騰対策などについて所要の措置を講ずるものとなっております。

 国民生活にとって大切な政策的課題に適切かつ迅速に対応していくためには、本補正予算案は極めて重要であり、平成二十年度予算案とあわせて、一日も早い成立を強く望むものであります。

 以下、簡潔に、賛成する主な理由について申し述べます。

 賛成する第一の理由は、災害対策について適切に対応していることであります。

 災害対策費につきましては、約七千三百億円を計上しておりますが、平成十九年発生災害及び過年発生災害により被害を受けた公共土木施設等の災害復旧等事業に要する経費のほか、台風、豪雨、地震等による災害の防止等のため緊急に対応すべき事業として、治水、道路等の整備等を推進するために必要な経費を計上しております。

 また、災害対策費のうち、学校等の施設について、地震に対する安全性の向上を図るため、緊急に施行する施設整備に必要な経費として約二千四百億円が計上されております。

 賛成する第二の理由は、高齢者医療制度の円滑な導入のための措置が盛り込まれていることであります。

 補正予算案においては、保険者等が設置する基金に高齢者医療制度円滑導入臨時特例交付金を交付すること等により、保険料負担等の激変緩和措置を講ずるために必要な経費として約千七百二十億円を計上しております。

 また、水田農業等緊急活性化関係経費につきましては、二十年産の米の生産調整の実効性を確保し、米の安定供給体制を確立するため、長期契約により生産調整拡大を行う者等に対する支援を行うなどのために必要な経費として約八百億円を計上しております。

 原油価格高騰対策費につきましては、最近における原油価格の急激な高騰にかんがみ、中小企業者の金融の円滑化を図るため、中小企業金融公庫の行う中小企業信用保険事業に係る準備基金に充てるための同公庫に対する出資、原油価格高騰に対応するための陸上自衛隊等の車両等に要する油購入費等に必要な経費として約五百七十億円を計上しております。

 賛成する第三の理由は、財政規律の確保の面から見ても評価できる内容となっていることであります。

 税収について減収を見込んでおりますが、税外収入、前年度決算剰余金及び既定経費の節減等を財源として確保することにより、公債の増発は行わないこととしております。また、財政法第六条剰余金について、その二分の一を国債の償還財源に充てるため、国債整理基金特別会計へ繰り入れることとしております。

 以上、本補正予算案に賛成する理由を申し述べ、私の賛成討論を終わります。(拍手)

逢沢委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成十九年度補正予算三案に対し、反対の立場から討論をいたします。

 補正予算三案の討論を行う前に、一言申し上げさせていただきます。

 昨日午後、国会内で与野党幹事長会談が開かれ、自民党幹事長の伊吹文明君より、租税特別措置などの一部の期限を延長するつなぎ法案なるものの要綱が示されました。平成十九年度補正予算案の審議中、平成二十年度予算案の審議も始まらないうちに、予算の根幹をなす歳入の一部を切り取った法案を提出しようとする動きがあること自体、当予算委員会の権威をおとしめるものであり、厳重に抗議するものであります。

 衣の下のよろいよろしく、総理の言う誠意を持って話し合いをではなく、問答無用の姿勢であります。良識ある委員の皆様におかれましては、提出に賛同されぬよう強く求めるものであります。

 以下、本補正予算案に反対の理由を申し上げます。

 第一に、経済成長率見込みの大幅下方修正に伴い、約九千億円もの税収減が見込まれていることであります。

 自公政権の経済失政により、物価が上昇する一方、賃金は伸び悩み、国民生活は打撃を受けております。建築確認申請のおくれもそれに追い打ちをかけました。自公政権は、経済失政を率直に認め、平成二十年度予算案も含め、抜本的な見直しを図るべきであります。

 なお、税収の甘い見込みのため、地方交付税に約三千億円もの減が生じますが、これを埋め合わせることは、国の責任として当然であります。また、交付税特別会計借入金償還計画を初年度からほごにしたことは、政府・与党の財政再建への対応がいかに見せかけであるかを示していると言わざるを得ません。

 第二に、医療費の抑制を目指すとした医療制度改革関連法を強行採決により成立させましたが、約千七百億円をかけて実施前に方針転換することであります。

 方針転換するのであれば、後期高齢者医療保険制度を含めた医療制度改革関連法に誤りがあったことを率直に認め、凍結ではなく全面的な見直しを行うべきであります。

 第三に、米価下落や品目横断的経営安定対策の機能不全に対し批判が相次いだため、約八百億円を計上していることであります。

 これも、方針転換するのであれば、自公政権の農政の誤りを率直に認め、全面的な見直しを行うべきであります。

 以上のように、本補正予算案は、政府・与党の無策、朝令暮改ぶりが余りにも目立つ内容となっております。まさに、国民生活を第一に考えることなく、みずからの政権延命に固執するだけの福田内閣を象徴するものであることを指摘し、私の討論を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

逢沢委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております平成十九年度補正予算案につきまして、賛成の討論を行うものでございます。

 本補正予算案は、財政規律の確保を前提とし、国民生活における安全、安心、地域活性化、原油価格高騰への対応等に配慮しつつ、災害対策を初めとして、必要性、緊急性の高い追加財政需要に適切に対応したものであると評価いたします。

 以下、主な賛成の理由について申し述べます。

 まず第一には、災害対策として、平成十九年に発生した台風、豪雨、能登半島地震及び新潟県中越沖地震等による災害復旧及び緊急防災事業予算を計上しております。あわせて、早急に整備が求められる学校等の耐震化対策も含まれております。

 第二には、最近の原油価格の急激な高騰に対応するため政府が取りまとめた原油高騰対策に必要な予算である点であります。

 寒冷地における生活困窮者に対する灯油購入費等の助成、いわゆる福祉灯油や地方におけるバス路線の維持対策、離島航路の維持改善等に必要な対策が盛り込まれており、国民生活の安定化に欠かせないものであるということであります。

 第三には、高齢者負担の軽減措置など、国民の安心のための予算であることであります。

 生活弱者対策として、高齢者医療制度の円滑な実施を図るため、保険料負担等の激変緩和措置を講ずるために必要な経費を計上しております。これにより、本年四月から二割負担になる予定だった七十歳から七十四歳の医療費自己負担を平成二十一年三月まで一年間据え置くこととなります。また、七十五歳以上の被用者保険の被扶養者の保険料負担についても、四月より六カ月間の凍結などの措置を講じているところであります。

 さらに申し上げれば、地方交付税に関して、本補正予算案が成立し、仮に補正交付税法案が成立しない場合、各地方公共団体の交付税が減少するため、既に受け取った差額を国に返還することになります。また、地方税の減収を補てんするための地方債を発行できなくなります。そうなれば、地方交付税の減少や地方税の減収を補てんすることができず、多くの地方公共団体が赤字団体となるなど、地方財政が混乱することは必至であります。したがって、本補正予算案とともに補正交付税法案に関しても確実に成立させる必要があるということを申し上げておきます。

 以上、補正予算の緊急性、必要性について申し述べました。

 現在、米国のサブプライム問題を発端に世界経済の先行きに不透明さが増しつつあり、我が国経済、金融への影響を懸念する声も高まってきています。政府においては、これらの情勢を注視しながら、柔軟な経済運営が求められております。

 私は、こうした不透明な状況だからこそ、国民生活にとって必要かつ緊急性を持った本補正予算及び平成二十年度当初予算を速やかに審議の上成立を期すことが最大の経済対策であると考えます。このことこそが国会の重要な役割であることを強く申し上げ、平成十九年度補正予算案に対する賛成討論を終わります。(拍手)

逢沢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇七年度補正予算三案に反対の討論を行います。

 災害対策や中国残留邦人への支援などに対して補正予算を組むのは当然であります。しかし、今回の補正予算は、以下の重大な問題点を含んでおり、賛成できません。

 第一に、米軍再編関係経費に百七十一億円もの予算を計上していることであります。

 岩国基地への米空母艦載機移駐経費は、岩国市民が二度にわたって示してきた移駐反対、米軍再編反対の声を踏みにじるものです。また、名護市辺野古沖への新基地建設は、地元住民が強く反対してきたものであり、去る二十四日には、米国連邦地裁が国防総省に対し、ジュゴンに与える影響調査をしていないことは文化財保護法違反だとする判決を下しています。こうした在日米軍基地と自衛隊基地の再編強化の予算は、地球的規模での日米軍事一体化を推し進めるためのものであり、断じて認めるわけにはいきません。

 第二に、原油価格高騰対策費五百七十億円のうち、その二二%を自衛隊の訓練等の燃料購入費が占めており、漁業の燃油対策、離島航路や地方バスへの補助などの経費を上回っています。これは、原油高騰によって重大な影響を受けている国民生活より軍事を優先する政府の姿勢を示すものにほかなりません。

 第三に、高齢者医療費負担増の激変緩和措置は、凍結とは名ばかりのごまかしにすぎません。

 負担増の凍結の期間は、わずか一年間にすぎません。後期高齢者医療の保険料徴収の凍結対象もわずか百六十万人で、千三百万人の大半を占めている国保加入者の保険料は予定どおり四月から徴収され、わずかな年金からも保険料が天引きされるのであります。高齢者が長生きを喜べない差別医療制度は、一部の凍結ではなく、きっぱり中止すべきであります。

 最後に、与党側がガソリンの暫定税率を二カ月延長するつなぎ法案なるものの提出を画策していることに強く抗議するものです。

 二カ月のつなぎ法案を一月中に衆議院を通過させることによって、参議院での審議やその可否にかかわらず、衆議院の三分の二の多数によって十年間の道路特定財源を確保する法案を確実に成立させ、二十六兆円もの増税を強い、五十九兆円もの道路整備計画を推進するものにほかなりません。断じて容認できないことを述べ、討論を終わります。(拍手)

逢沢委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇〇七年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。

 二〇〇七年度補正予算案には、災害対策や原油高騰対策、中国残留邦人支援、被災者生活再建支援金の追加など、社民党が要求してきたものが盛り込まれてはいます。しかし、不十分な水準にとどまっているほか、以下のような重大な問題点があることから反対するものです。

 反対の理由の第一は、政府・与党の強行した理念と哲学を欠く政策の欠陥を根本的に正すことなく、総選挙対策のまやかしにすぎない補正予算の使われ方であることです。

 二年前の医療法改正の結果生じた著しい高齢者の医療負担増に対する対策としての一千七百十九億円は、総選挙前の一年間だけの限定的な経過措置にすぎません。水田農業等緊急活性化経費の七百九十八・五億円についても、政府・与党が経営安定化対策によって中小農家を切り捨ててきた問題を隠ぺいするものです。補正予算で緊急、不測の事態に対応するのではなく、政府・与党の政策遂行の誤りをしりぬぐいさせるというのは本末転倒です。

 また、四月発足の後期高齢者医療制度に関する負担増対策というのであれば、〇八年度予算できちんと措置すべきです。毎年社会保障の自然増について二千二百億円の抑制を続けておきながら、このたびの補正に滑り込ませてごまかそうとするのは、余りにもこそくな対応です。

 第三に、国民生活より防衛関係を優先していることです。原油価格高騰対策の最大のものが自衛隊関係の油購入費差額分約百二十四億円というのでは、余りにも国民には冷たい仕打ちです。また、米軍再編関係経費や普天間飛行場移設に伴う海上警備活動のための経費も大きな問題です。

 第四に、今回の大幅減収の責任です。当初予算の見積もりが余りにも過大過ぎた結果ですが、税収の下振れは、政府・与党が強調する景気回復が表層的なものにすぎないことの証左でもあります。

 第五に、賃金が上がらない一方で、物価上昇が国民生活を襲おうとしている今日、いわゆる霞が関の埋蔵金は、国債整理基金特別会計への繰り入れではなく、生活関連予算の充実にこそ回すべきです。

 最後に、与党側は道路特定財源の暫定税率の扱いをめぐって急遽つなぎ法案の提出をする構えですが、数の暴力で入り口での国会の審議権すら封殺する党利党略であり、断じて認めることができないということを申し添えて、反対討論を終わります。(拍手)

逢沢委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより採決に入ります。

 平成十九年度一般会計補正予算(第1号)、平成十九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、平成十九年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成十九年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

逢沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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