衆議院

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第12号 平成20年2月21日(木曜日)

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平成二十年二月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 中山 成彬君 理事 増原 義剛君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      岩永 峯一君    臼井日出男君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      大野 功統君    金子 一義君

      河村 建夫君    倉田 雅年君

      小池百合子君    小坂 憲次君

      佐藤 剛男君    斉藤斗志二君

      坂本 剛二君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      中馬 弘毅君  とかしきなおみ君

      中根 一幸君    長島 忠美君

      長勢 甚遠君    丹羽 秀樹君

      西銘恒三郎君    西本 勝子君

      野田  毅君    橋本  岳君

      平口  洋君    深谷 隆司君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      山内 康一君    山本 有二君

      菅  直人君    鈴木 克昌君

      田名部匡代君    高井 美穂君

      武正 公一君    津村 啓介君

      中川 正春君    西村智奈美君

      原口 一博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    松本 大輔君

      松本 剛明君    三谷 光男君

      山井 和則君    笠  浩史君

      渡部 恒三君    赤松 正雄君

      井上 義久君    江田 康幸君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      阿部 知子君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣         増田 寛也君

   財務大臣         額賀福志郎君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   会計検査院事務総局次長  増田 峯明君

   会計検査院事務総局第三局長            真島 審一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     岩屋  毅君

  小坂 憲次君     橋本  岳君

  坂本 剛二君     猪口 邦子君

  菅原 一秀君     阿部 俊子君

  三ッ矢憲生君     坂井  学君

  武正 公一君     伴野  豊君

  中川 正春君     近藤 洋介君

  原口 一博君     高山 智司君

  細野 豪志君     小宮山泰子君

  馬淵 澄夫君     太田 和美君

  笠  浩史君     市村浩一郎君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     菅原 一秀君

  猪口 邦子君     坂本 剛二君

  岩屋  毅君     大島 理森君

  坂井  学君     三ッ矢憲生君

  橋本  岳君     小坂 憲次君

  市村浩一郎君     笠  浩史君

  太田 和美君     馬淵 澄夫君

  小宮山泰子君     細野 豪志君

  近藤 洋介君     中川 正春君

  高山 智司君     原口 一博君

  伴野  豊君     武正 公一君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

同月二十一日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     藤井 勇治君

  臼井日出男君     平口  洋君

  大島 理森君     山本 有二君

  大野 功統君     西本 勝子君

  河村 建夫君     長島 忠美君

  小坂 憲次君     丹羽 秀樹君

  杉浦 正健君     山内 康一君

  園田 博之君     中根 一幸君

  三原 朝彦君     橋本  岳君

  笹木 竜三君     鈴木 克昌君

  武正 公一君     高井 美穂君

  馬淵 澄夫君     西村智奈美君

  山井 和則君     田名部匡代君

  笠  浩史君     菅  直人君

  赤松 正雄君     井上 義久君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  中根 一幸君     園田 博之君

  長島 忠美君     河村 建夫君

  丹羽 秀樹君     小坂 憲次君

  西本 勝子君     大野 功統君

  橋本  岳君     とかしきなおみ君

  平口  洋君     臼井日出男君

  藤井 勇治君     岩永 峯一君

  山内 康一君     杉浦 正健君

  山本 有二君     牧原 秀樹君

  菅  直人君     笠  浩史君

  鈴木 克昌君     松本 大輔君

  田名部匡代君     山井 和則君

  高井 美穂君     武正 公一君

  西村智奈美君     津村 啓介君

  井上 義久君     赤松 正雄君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  日森 文尋君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   三原 朝彦君

  牧原 秀樹君     大島 理森君

  津村 啓介君     馬淵 澄夫君

  松本 大輔君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 光男君     笹木 竜三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算、平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君、国土交通省道路局長宮田年耕君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長増田峯明君、第三局長真島審一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 本日は、道路特定財源についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。

山本(有)委員 自由民主党の山本有二でございます。

 総理にまずお伺いをしたいことがございます。

 この国会で道路のことが熱く広く語られるようになりました。かつて小泉総理のときに、道路公団の四十兆の債務の返済をめぐって激しい議論がありましたけれども、あのときは、あくまでも道路公団の存続あるいは民営化というような議論に終始したわけであります。今回は、財源論、ネットワーク論、コスト論、さまざまな分野で道路そのものが問われているという、大変広く熱い議論が国民的な輪の中ででき上がってきたというように私は思います。

 そうしたいろいろな偶然が重なったこの国会でありますけれども、総理は、この際、日本の道路行政、なかんずくこれからすべての国土のグランドデザイン、こういったものをお考えにならなければならない立場に立たされた、私はそう思います。

 今、高規格幹線道路一万四千キロ、これは、二度の閣議決定で定められて、我が国の目標というようにされております。しかし、その中身、十分御存じの方、詳しく御存じの方、さまざまいらっしゃるとは思いますが、どうも私は徹底されていないような気がいたします。この一万四千キロをつくるにいたしましても、もっともっと国民的なエネルギーを必要とするというように私は思います。

 その意味において、何が足りないのか、何をどう改善すればいいのかというようなことを考えたときに、私は、国民合意、コンセンサスをとるやり方を思い切って変えてみたら、こういうように思うことに至ったのでございます。

 そこで、例えばです、国民合意のとり方として、政府の案が完全に仕上がってから国会に提出する、あるいは世間に発表するということもさることながら、その案をつくるプロセスの中で、野党も参加する、そして国民に広くいろいろな意見を聞くという形でもし議論が展開されて、アイデアが生まれるということになれば、私は、いい結果、本当の意味でのエネルギーに満ちた目標設定ができるように思っております。

 そこで、あの与野党合意で、私ども国幹会議というものを持っております。例えばああいうものを活用して、日本の目標、国家の道路のグランドデザインというものをつくり上げるというような、そんなお考え方を総理は持っていらっしゃらないか。国幹会議でなくても、第三の委員会、あるいはこれからそういうようなことを考えてみろということでも結構でございますが、総理のお考えをお示しいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 今まさに道路というものが問題になっているわけでありますけれども、この道路を今後どうするかということは、これはもう日本の国土をどうするかというグランドデザインに基づくものであるべきであるというように考えております。

 現状は、今まで何度か示しているとおり、言ってみればぶつ切り道路というようなところは日本全国に見受けられるということでありまして、そういうことでいいのかどうかといったような議論も含めて考えなければいけないということであります。

 そして今、中期計画でお示しをいたしておるこういうような道路が必要だというようなことは、これはやはりその地方の意見、その地域の意見、そういうものを、地方も都市も含めた地域地域の意見を十分に聞いた上で、その上で、これは必要だという判断に基づいて整備していこう、そういう考え方である。都会だけがすべて便益がいいということでなくて、日本全体が必要な道路整備、そして地域地域が活力ある経済活動を営めるように、社会活動を営めるようにというのが、我々の考えているグランドデザインの、まあすべてではありませんけれども、一部というか大部であるというふうに申してもいいんではないかというふうに思っております。

 そういうふうな観点から考えますと、この問題、とても大きな問題なんですね。委員おっしゃるとおり、これは十分な議論を経て計画を完成していくということが必要なんだろうというふうに思います。そういう観点から申し上げれば、やはりこれはお互いに共通の、日本国土という共通の場所があるんですから、その場所をどうするかといったようなことも含めて、大いに議論を闘わせる必要があるんだろうというように思います。

 そういう中から全体の合意を目指していくということでありますので、今まさにこの国会の場でもって議論がなされているということでありますので、都市対地方とかそういったようなことだけでなくて、広くこの国をどうするかといった観点から議論がなされるということが私はいいのではないか。

 そういう意味においては、やはり与党の方から提案をいたしておるこの案について、対案をまた野党の方からも示していただくといったようなことも必要なのではなかろうか、こういうふうに思っております。

 いずれにしましても、建設的な議論が進むことを私どもは期待いたしておるところでございます。

山本(有)委員 国幹会議というものには、与党の幹部も野党の幹部も両者出てこられて、しかもすぐれて社会資本の専門家の教授の皆さんもおいでて議論がされます。そんなものを柔軟に活用するという視点は、私は今回、非常に大事なことだろうというように思います。

 国土交通大臣、私は、この国幹会議でなくてもいいですが、そうした議論の場をつくって、より柔軟な機能を付与するということが今こそ大事なような気がいたします。もしそういうものをおつくりになられたときに、私は、三つぐらい、どうしてもそこで議論してもらいたいこと、そしてそこに機能を付与してもらいたいことがございます。

 一つは、事業推進における透明性、情報開示、こういったものをぜひやっていただきたいと思います。

 民間企業は近年、大企業であればあるほど、厳格な監査体制や内部統制、正確な情報開示が求められております。今の道路事業におきましても、会計検査、主計局の査定、議会の監視、それぞれ監視体制はございますけれども、今日それのみでは、巨額な税金を使うという観点から、社会の要求にたえられていないのではないかというように思います。そういう意味におきましては、分科会なんというのをつくりまして、監査専門家によるローリング的な検証を行いながらその事業を進めていくということが、透明性をより高めて、それで、だれからもこの国の公共事業においては不正はないんだという担保がとれるように思います。

 次に、私は、この国会で特定財源の使い方というのが議論になりました。私ども、受益と負担が明確ということで特定財源を推進し、そして堅持を確信してまいりました。

 けれども、一見、カラオケ、アロマというのは、それは使途として、すとんと国民のみんなに納得するということにはなりません。実際は合法ですよ。実際は合法で、これは別に役人が違法なことをやっているとは僕は思いませんけれども、しかし、やはりここは国民合意の世界がもっと先に必要だ。合意をつくって初めて、税金を使って社会資本を整備していく。そういう順序を変えていく必要があるだろうというような意味で、こんな使い方がどうかという、これは技術的、専門的、非常に個別的な話でございますから、一々、テレビの入る予算委員会でこれを議論するというよりも、もっと細かく分科会で議論してもらった方が、私はなじむような気がします。

 そして三番目。今、私は、投資をどこに重点を置くか、この投資重点の公平感がないように思っております。都会の人は、都会にもっと道路をつくれ、渋滞を解消しろ、踏切を立体交差にしろ、田舎は田舎で、過疎を解消しろ、この争いは不毛でございます。総理がおっしゃるとおりでございます。これをうまく乗り越えなきゃなりません。この乗り越えるときに、私は、いわゆる国民的コンセンサスというのが何より必要だというように思っております。

 そこで、パネル、資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。これは、大都市、東京区部の自動車の保有台数と年間走行距離を示したものでございます。東京区部におきましては、一世帯当たり大体〇・四六台、二軒に一軒自動車を持っているわけでございまして、年間二千キロを走っておられます。富山県に代表される地方都市では何台かというと一・七六台、これが村とかあるいは過疎の町とかいうことになりますと三台、四台というようになるわけでございます。走行距離は、地方都市でも一万三千六百九十四キロ、こういうことでございます。

 そうしますと、どういうことが言えるかということでございます。富山の人はお金持ちだ、こういうようにこの図で考えるかどうかですよ。お金持ちだから東京の人よりも三倍車を持っているんだ、こういうことなのかということですが、当然違います。

 私の家はJRの駅からかなり離れております。タクシーで三千五百円かかります。高知から夜帰ってくるのに、最終電車というのが二十二時十八分、いわば、それから先はもう帰れないわけです。やっとここへ帰ってきて、三千五百円かかるわけでして、これは不便です。一時間に一本しかありません。ですから、こんなふうな町が、車を使うなとか、あるいは車はぜいたくだとか言われたら、とんでもない、もう日常生活は麻痺します。

 そう考えたときに、どうしても車が必要だから、地方都市の方々は一家に一台以上車を持っていらっしゃる。それは、お父さんが出たら買い物に行けないですから、お母さんも車、ちっちゃいのが要ります。それから、やがて子供が成人したら車が欲しいわけです。それで一台、二台とふえていくわけです。

 そんなことを考えましたときに、車は大都市、地方都市で三倍の保有台数の違い、そして年間走行距離は六倍です。つまり、ガソリン税だけで、暫定税率だけで言わせてもらえれば、三掛ける六ですから、十八倍、富山の人は払っているわけです。しかも三十四年間払っているんです。三十四年間払いに払い続けて、それで、暫定税率は廃止だ、道路は十分つくられた、こうきた日には、この国の行政が一体公平かどうか、しかも道路行政がどうなんだ、こういうように地方都市が怒るのも当たり前なんですよね。

 そこで、私どもは、ここは、そんな地方、都市という争いに火に油を注ぐのではなくて、少し腰を落として考えて、じっくりいこうということでございます。

 大体、高速道路というのは、キロ当たり事業費で五十億円かかると言われております。平均です。去年十二月、国土交通大臣が御出席されました国幹会議で、外環の一部の事業認可がございました。私は、そのときに手を挙げて、一体事業費は幾らかかるかと質問しました。そうすると、十六キロで一・六兆円かかるという答えを大臣の前で道路局からちょうだいしました。どういうことかというと、キロ当たり一千億かかるんです。だから、外環という、東京で少し外でもキロ当たり一千億ですよ。普通全国で大体平均五十億円でできるものが一千億ということは、二十倍かかるわけです。だから、外環を少し、一年やめて、地方へ行けば二十倍の道路ができるんです、二十倍の。

 だから、こういうような投資効率、こういうような公平感というのは、必ずしも悪い話じゃありません。

 それから、もう一つ。私は、自分が道路の関係議員をやっておって、私も賛成して認めた道路がございます。それは第二東名でございます。やはり渋滞します。東名高速、大変混雑します。だから、第二東名というのは必要だと思います。

 しかし、第一東名というのは既にできておるんですよ。それと並行に走るわけです。これはいわば二重投資ですよ。そして、料金収入というのは、こっちに乗って、こっちでまた同じ量が乗ってくれるかといったら、乗ってくれません。こっちで渋滞がこっちへ行くだけですから、通行料金は同じなんです。ということは、二重投資というように田舎から見れば見えるわけです。しかも、これは名古屋の近辺から神奈川県の海老名まで、約四兆四千億円かかります。既に事業が開始されています。まだでき上がっていません。

 こういうような投資をまざまざと目の前に見せつけられながらも、四全総ができたとき、二十年前だと言われますが、二十年前と全く同じ様子の地域があるわけですよ。そこは、何やっているんだ、こうなるわけですね。

 そんなことを考えたときに、もっともっと両方に説明ができる、詳しく説明ができる、そんな道路行政にするには第三者機関が要りますよ。国幹会議の中の分科会で、地方対策、都市対策、一緒に議論をしましょうよ、国民も一緒に入ってやりましょうよ、それで納得したコンセンサスのもとで税金を使いましょうよというようなことの投資重点政策の合意というものを図る必要があろうと思います。

 今、大臣、道路がどうやってできるかということをお聞きしますと、陳情の数と言う人がおります、陳情する人間の数だと言う人がおります。そんなこと、全く私は、愚なることです。では、大臣がぱんと決められるかというと、そうでもないんです。ではだれが決めているかというと、結局わからないんです。

 やはり、一万四千キロ、政治的にだれがどう決めるかというのは、合意で国民が決めるということにならなきゃおかしいんです。だから、そこを、私は国幹会議の機能を付与していくという決意が要ると思うんですが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 国幹会議の委員につきましては、山本委員もお話がありましたように、国会の指名によりまして、国会議員十名の、与野党の代表の方が入っていらっしゃいます。また、学識経験者からは、経済界、それから学会、経済、土木、法律、その専門家でございます、それから地方行政、マスコミ、それから道路利用者という人たちに入っていただいております。

 したがいまして、ここで、公開の場で審議をしていただいているわけでありまして、山本委員も代表者として審議に加わっていられますが、熱心に議論をしていただいております。これについて、分科会を御提案いただきました。大変示唆に富む御提案でございます。真剣に考えさせていただきたいと思います。

 情報の公開につきまして、透明性は、そのような会議をマスコミにも、また国民にも開かれたものとして公開しているということでありますし、私どもは、この中期計画をつくるときに、国民、地方、中央問わず広く御意見を伺うという方針を立てました。

 昨年の四月から七月の末までにかけまして、国民、そしてまた全首長、それから有識者の方に御意見を賜りました。国民からは、実に十万一千三百十四件の御回答といいますか御提言をいただきました。首長は、当時の全首長であります千八百七十四名から御意見を賜りました。また、有識者の方は二千九百二十八名からいただきました。そのようなものを整理いたしましたところ、渋滞対策、生活幹線道路、交通事故対策を求める意見が多数に上りました。そしてまた、抱える課題や道路の整備状況などに応じて地域によって求める施策に非常に大きな差があるということもわかりました。

 したがいまして、中期計画ではそのようなものを資料として骨子案を作成し、公表し、第二回の問いかけを行いました、八月二十四日から九月二十五日まで。この間、やはり国民五千十五人から意見をいただき、首長千百八十人からまた意見をいただき、有識者からは九百五十人から意見をちょうだいいたしました。こういうものを整理して、そして十六の政策課題にまとめました。そういうことで、今、国民がどのようなことを道路に求めていただいているのかということをここで出したわけでございます。

 高速道路のネットワークばかりが大きくクローズアップされます。確かに金額が大きいからそうでありますけれども、しかし、渋滞対策とかあるいは子供たちの通学路はどうなっているのかということは非常に国民の、また病院へ行くにはどうなのか、こういうことが国民の目線から見れば道路に対する大変なニーズでございます。

 山本議員の地元の四国、大変失礼ですけれども道路整備はおくれてしまっています。そういうことから、はちきんの会という、女性が私のところへ来ていただきまして、はっぴを着て、そしてどうなっているのかということを本当に強く訴えられました。すごい説得力のあるお話を伺いました。

 私は、そういうところがどうしておくれてきたかということをもっとはっきり説明しなきゃならないし、そして、この意見の中にもそういう地方からの御意見が非常に多いわけです。こういうものを酌み上げて、国幹会議にもお諮りして、そのニーズにこたえるように頑張ってまいる所存でございます。

山本(有)委員 冬柴大臣から、高知のはちきんの会の話がありました。土佐の女は男の四倍働き者であるということで、はちきんだそうです。男は二きんで、掛ける四だそうでございますので。そのはちきんの会の西岡和さんという方が、どうしても若い人たち、子供たち、孫たちをこの地域に残したい、だから道路をつくるんだということで冬柴大臣のところまで来たわけです。

 そこで、大田大臣に、次の図を見ていただいて、それで御質問したいと思います。

 これは、中国・四国地方の高規格幹線道路の供用率と求人倍率についての相関関係を示した図でございます。

 鳥取県は供用が三四%、求人倍率は〇・七四、田舎から人が出ていきます、これでは。島根県、四七%、〇・九、やや出ていきます。岡山県、委員長のところですが、九七%、ほぼ概成しています。そうすると、一・四八、もう雇用感は逼迫しておりまして、若い人たちをどんどん呼び込めるという、岡山はなっております。というように見ていきますと、一番下が高知県、供用率四九%で求人倍率〇・四九ですから、若者はどんどん都会へ出ていく、こういう数字になっておるわけです。

 これで見ますと、高規格幹線道路が供用されて立派にできているところには若者が定住し、そうでないところはどんどん出ていくという、こんな関係になっておるわけであります。

 私どもも、まさに地域再生だとか、あるいはリレーションシップバンキングで仲よくやっていきましょうだとか、あるいは地方へ投資を促進して、頑張る地方応援プログラムだとか、いっぱい施策を持っております。しかし、何のことはない、社会資本をきちっとつくれば、特に道路をつくれば、若い人たち、地域は活性化する、こういう数字が出ておるじゃないか、こういうことなんですよ。

 大田大臣、これを見てどう思われますか。

大田国務大臣 山本先生御提示のように、高速道路の供用率と有効求人倍率には確かにプラスの相関関係がございます。

 因果関係を明確に示すだけの十分な材料を持ち合わせてはおりませんが、企業の立地選定条件の一つには、交通アクセスの容易さというのが挙げられております。高速道路の整備率というのは、企業立地の増加を促し、雇用を改善するための重要な社会資本の一つであると考えております。

山本(有)委員 空港や港湾や新幹線、高速道路、地下鉄、民鉄、こういう社会資本の厚みが競争条件を高めるわけでありまして、これが全然ないところに若者残れ、さあ、何をしろといったって、それは難しいということを私は示しておるというように思います。

 次に、経済産業大臣にこれからお伺いいたします。

 ガソリンを安くするというように、民主党は値下げ隊という六十名もの巨大なる議員集団をつくって、最近も和歌山県に行って大きな活動をやっておられるそうでございます。民主党を代表される菅さんが。これは、完全に財源や資金の二重計上でございます。企業であれば粉飾、民間取引であれば詐欺、背任。政党のマニフェストにも決算監視を制度化しないと、政権政党と余りにもかけ離れた夢物語で顧客を勧誘するということになりかねません。もはや民主党も政権に半分近づいて、もうとれるところまで来たと、私は思いませんが、世間はそう思っているかもしれません。だから、しっかりした責任あるような話をしてもらいたい、民主党の皆さんにお願いをするところでございます。

 昭和五十七年、一九八二年に第二次オイルショックというのがございました。一リットル百七十七円まで上がりました。百七十七円です。今、日本は百五十円から六十円ですから、今よりももっと高かったわけであります。このとき、日本政府や国会は、中東の依存度を減らすという議論をしました。また、節約しよう、省エネしよう、代替エネルギーへ転換しよう、こんな建設的な与野党の議論がございました。政党の政策で税の値下げというのは、このときはありませんでした。今、値下げが一生懸命語られるわけでございますが、これは稚拙きわまりない単純直截な考えでございます。考えというより、思考の放棄、投げやりにすら聞こえるわけでございます。

 この論を聞いたある政治学者は、これでもし味をしめた政党は次から次へと国の制度を順番に廃止して税金を安くしますと言い続けるでしょう、それは戦前からある無政府主義にほかならない、もしかするとアナーキストに扇動されている危険がある、こういうように指摘されておるわけでございます。ぜひ、こういうような無責任をやめて、一緒になって議論するということが必要だろうと思います。

 もし万が一暫定税率が廃止されて一体どうなるかということを、一時的にでもどうなるかということを経済産業大臣にお伺いするわけでございますが、図三というか、資料三枚目をごらんいただきたいと思います。これは、業種別の営業利益率の比較でございます。ガソリンスタンドは〇・六%、本当に小売業というのは今厳しいわけでございますが三・九%、酒の小売は二・九%というように、大変ガソリンスタンドというのは利益率が低うございます。営業が苦しゅうございます。

 そんな意味において、ガソリンスタンドというのは、これからは暫定税率の廃止によって大変な時期が来るのではないかと心配していることでございます。もし暫定税率廃止ということになりますと、出荷時課税、ガソリンというのは庫出税でございますので、ガソリンスタンドは税金を納めたものを自分のお店のタンクに在庫として大体三週間保有していると言われております。これは、税である以上、転嫁しなきゃなりません。しかし、全国で、新聞、テレビで、ガソリン税が下がった、二十五円下がったよというように宣伝されたときに、さあ、ガソリンを入れたときに、転嫁しなきゃならぬので相変わらず値段は変わりませんよ、こういうようなことを言うガソリンスタンドが、私は、本当に商売、それで成り立つのというように心配するんです。

 特に、強力な資金力のあるお店が税金分二十五円十銭を値引きしたとして、安いところに出かけていくのがユーザーの心理でございますから、そうすると、まじめに転嫁するところが転嫁できないという話に結局なってしまうわけであります。小さなお店、特に売り上げの少ない地方の過疎地の業者は、恐らく、もうもはやガソリンスタンドの営業を続けることができなくなるのじゃないか。そうすると、税金を下げるのは国民のためといいながら、安くなったガソリンを入れるところがない。非常なパラドックスに陥るわけでございます。

 もう一つ問題がございます。

 軽油引取税というのは、地方税で、販売時課税です。そうすると、軽油の方は十七円十銭安くなってしまいます。ガソリンはそのまま、軽油は安くなる。そうすると、トラックにはまけるけれども、あのガソリンスタンドはおれにはまけなかった、こんなふうな話になりませんか。

 また、特定財源になっていない灯油、重油、A重油は下がりません。寒冷地の人たちは、車だけ下げておれの暖房の灯油は下がらないじゃないかと怒りますよ。農業のハウス栽培の人たちや、漁業の燃油高に泣いている人たちは、燃油は全然下がらないじゃないか、テレビが言うことと違うじゃないかというようになってくるわけであります。

 そんな混乱をみすみす知りながら、暫定税率を三月で終わらせて、たとえ一カ月でもそんな混乱を社会にもたらすということがあったならば、私は、国民的には大変な不利益をこうむるというように思いますが、経済産業大臣、この点においての中小企業やガソリンスタンドや国民の意識の問題、こういったものをひとつ、その観点でお答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 税制の改正法案につきましては、与野党間で年度内に一定の結論を得るという旨の合意が衆参両院議長のもとでなされたわけであります。政府といたしましては、それがしっかり履行されるということを見守るというのが原則でございまして、仮定の話に答えるというのは適当ではないと思っておりますが、御質問でありますが、一般論としてお答えをしますと、例えば、御指摘のとおり、ガソリンスタンドでは在庫を抱えなければならない。二十日分のうちスタンド在庫は半分の十日くらいだと思いますが、それは、例えば三月には暫定税率が入っている価格で購入しているわけであります。それがなくなったときに、いや、実はこれは税金が入っている分の仕入れですからといって売るということは、価格転嫁は難しいと思います。暫定税率がなくなった時点からそれの金額で販売をしなければならない、価格転嫁は難しい。

 元売に代金を納めるのは翌月でありますから、つまり、高い三月のガソリン代を四月の安い売り上げで支払わなければならない。これは資金ショートを起こすのであろうと思います。その後にまたもとの税率に戻るということがあるならば、その逆が起きて、あるいは価格的には相殺があるかもしれませんが、そのままだとすると、それをそのまま引き取らなければならない。あるいは、それがいろいろ変動した場合の混乱というのは当然考え得るであろうと思いますし、油種間、つまり油の種類による税の変動のあるなしも混乱要因とは一般論としてなろうと思います。

山本(有)委員 甘利大臣は、もう言いたいことはここまで来ているけれども、なかなか言えない立場というようなことを感じました。要は、そんなことしちゃだめよ、どうしても暫定税率を維持しろ、こういうように私には聞こえるわけでございます。

 そこで、次の質問でございますが、外務大臣にお伺いする前に、国交大臣に、おわかりになればちょっと教えていただきたいことがあります。

 EU諸国、これは特定財源を一般財源にどんどんしております。しかし、日本と違って、一般財源にしたからといってガソリン税が下がったかといったら、どうもどんどこどんどこ上がっているんじゃないか。むしろ、日本が百五十円、六十円にもかかわらず、向こうは二百円、二百三十円というように上がっている。これが本当かどうかということと、暫定税率、特定財源をやめたときに、EU諸国は、道路予算を減額してほかに転用しているというように思ったら、そうじゃなくて、道路の予算はむしろ前年度対比一〇%以上でぐいぐいぐいぐい伸びているというようなことを聞くわけでありますが、もしおわかりになっていれば教えていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 ちょっと通告いただいておりませんので、こういう場所ですから差し控えさせていただきます。

 ただ、ヨーロッパでは、我々の方はそういうふうなものを今カウントしていませんけれども、環境というものに対してそういうものが使われて、ガソリンの値段に組み入れられている、このように承知をいたしております。

 アメリカでも、道路の予算がぐっと削られたときがあります。しかしながら、大きな橋梁等が脱落をしたり、大きな事件が起こりました。ニューヨーク州が、道路の設置、保全の瑕疵を理由とする損害賠償、巨額の損害賠償を一万六千件以上抱えたということも知っております。そういうことから、当時、ある経済学者が、私もお会いしたことがあるんですが、こういうことをやっていたのではいけない、道路の保守管理というものをもっともっとやらなきゃいけないということで、一番底から三倍ぐらいまで道路予算が現状ふえております。

 それから、イギリスにおきましても同じような状況が見られておりまして、道路予算というのは欧米ともに相当ふやしている。それは、環境あるいはいわゆる本格的な再生のための投資、そういう保守管理に大きくそのものが使われているということを承知いたしておりますが、細かいことはわかりません。

山本(有)委員 時間も迫ってまいりましたので、増田大臣の方にお伺いいたします。

 ちょっと最後の四枚目の図をお示しさせていただきます。

 これは、平成十年から平成十九年までの道路投資額の推移を示したものでございます。十五兆ございましたのが、現在は、十九年では八・一兆まで道路投資は下がってきております。

 そこで、増田大臣、この八・一兆という数字は、道路特定財源がこの年五・六兆であるということにかんがみますと、随分高い数字でございます。道路特定財源以外に道路投資があったということです。

 その道路投資の中で、地方が一般財源を出して、ここに投資をしている。この場合、地方が直轄の負担金、これで出した分がオンされている、あるいは補助金の補助裏を出した分がオンされているということであれば、私は、もっと低くなっているのじゃないか、単独事業がかなりあるのじゃないか、つまり、特定財源ではまだまだ賄い切らぬぐらい道路のニーズがあるという証拠ではないかなというように思っております。

 まず、暫定税率を本当に一般財源化できるんでしょうか。暫定税率というのは、受益と負担があるから、だから取っているガソリン税で、ガソリン税で取りながら福祉に使います、文教に使いますといって、そもそもこの暫定税率を特定財源から外すということは、まず不可能です。

 それから、もし一般財源化ができ上がったとしましても、一体どうやって地方に渡すんですか。具体論を聞いてみたい。三位一体のとき、総務省は、公平にどうやって渡すかをさんざん考えあぐねた末に、住民税で渡すということにしましたよ。住民税で渡すと一番均てん化できる、こういうわけですね。そうしたら、また今度もこの暫定税率分を全部住民税に渡すんですか。これ、住民税に渡すと、人口の多いところだけがふえて、人口の少ないところ、本当に道路が必要なところには全然財源が来ませんよ。そうすると、一体何で、どうやって、道路を行政が十分にできるなんて、地方に渡したら自由にできるなんて、これで満足できるなんて言えるのでしょうか。

 もし、一般財源になって地方に配分をしたとして、ルールどおりに配ったとして、さっきの図のように道路整備が一〇〇%のところに配られた、それは結構です。ところが、道路整備が全然できていないところにも均分化して配られた、そうしたらどうなるんですか。足りないじゃないですか。足りなくなったところに自由に使っていいよと言われたって、だれも喜びませんよ。

 それから、もし夕張なんかに配ったというときには、これは一般財源化しても借金返済にかえるだけですよ。そんなところと均衡がとれますか。地域間格差を広げるだけじゃないですか。だから、地域間格差を狭めるために、国がお金をプールして必要なところに均てん化していくという制度がこの道路財源の大きな役割だろうと私は思っております。

 地方にとって何がいいのか、地方にとってどういうやり方がいいのかということを本当に具体的にアイデアで出してもらわないと、単に抽象的に地方に配りますじゃ、これはさっき言ったような二重計上や、あるいは、いわば夢物語を言っておいて、後で決算しない野党だから言えるというような話になってしまわないか、無責任な議論だというように思いますが、増田大臣、どうですか。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、この問題を考えていただく上では、地方の道路整備の財源構成というものをきちんとお考えいただく必要がある、地方の道路の財源構成をきちんとお考えいただく必要があると思います。

 今委員からお話ございましたとおり、地方の場合には、まず道路特定財源をその財源として充てるわけでございますが、そのほかに一般財源をそれにオンさせている、さらに、地方債を充てて、そしてこの道路財源を賄っている、こういう状況であるわけでございまして、この一般財源、当然、先ほど委員からお話がございましたとおり、十九年では五・六兆にプラス八・一兆まで積み上がっているということは、地方が、さまざまな財政需要の中で、一般財源を充てて道路整備が必要だという判断をした上で地方単独事業としてそれを積み上げている、こういう実態にある、この点をまず御理解いただきたいということでございます。

 そして、その上で、この道路特定財源でございますが、今、暫定税率を上乗せして国民の皆さん方に御負担をいただいているわけですが、そうした御負担をいただいている皆さん方に御理解いただくという上では、これは道路に充てる、こういういわゆる受益と負担の関係でございますが、これを道路に充てるということの御納得の上に、そういった高い暫定税率を御理解いただいて納めていただく、こういう関係でございますので、そうした国民の理解の上の特定財源、プラス自治体のさまざまな財政需要の中での判断のもとの地方単独事業、そうしたものをあわせてやっと財源を調達して地方道路整備を行っている、この点をぜひ御理解賜りたい、このように考えております。

山本(有)委員 これで終わります。

逢沢委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 初めに、福田総理に御質問したいというふうに思います。

 実は、先週の土日でございますけれども、福島県のいわき市、それから岩手県の大船渡市、釜石市に行ってまいりました。いずれも県都から車で一時間半から二時間半かかるところでございまして、いわゆる常磐道、三陸道の計画がされているところでございます。

 市長さん初め地域の方々ともさまざま懇談をしてまいりましたけれども、やはり何といっても地域活性化や防災という観点から、あるいは救急医療という観点から、道路を整備してもらいたい、そういう要望が非常に強く出されまして、道路に対するニーズは非常に高い、このように改めて実感したわけでございます。

 特に、釜石に参りましたら、地域の代表の方々と懇談をしたんですけれども、救急医療という観点で、我々にとっては道路は命の道路だ、ぜひ整備をしてもらいたい、無駄な道路と言われると胸が痛む、そういうこともおっしゃっておりました。

 帰りまして、実際、救急医療へのアクセスということについて現状がどうなのかなということでちょっと調べてまいりました。

 この表にありますように、これは私の地元の東北地方における救急医療機関へのアクセスの問題なんです。いわゆる三次救急ですね、心筋梗塞とか脳卒中とか、一刻を争う重危篤救急患者の救命医療を担当する施設でございますけれども、この下のグラフでもわかりますように、三十分以内だと五〇%の救命率、一時間を超えるともう亡くなる。東北地方全体で三次救急医療施設に六十分で到達できない市町村、上の表でございますけれども、黄色いのが通常期、それから東北特有でございますけれども、ブルーのところが冬期ということでございますが、通常のときでも約四割の市町村が一時間以内で到達できない、冬期になりますと六割の地域が到達できない。これが現状でございまして、そういう人たちから見ると、まさに道路というのは命の道路、こういうふうに言えるんじゃないかなというふうに思います。

 そういう観点から、ぜひ道路整備はしてもらいたい、したがって道路特定財源は維持をしてもらいたい、こういう皆さんの要望でございました。

 しかし一方で、ガソリンが非常に高騰しているということもあって、特に、公共交通機関がなくて車に頼らざるを得ないという生活をしている地域の皆さんにとっては、ガソリン高騰が日常生活を圧迫している、さらには中小企業の経営にも大きな影響を与えているということで、何とかこの暫定税率、暫定と言っているんだから引き下げてもらいたい、こういう要望も非常に強いわけです。

 そういう中で、今回、十年間の道路整備計画とその財源確保のための暫定税率の延長ということを政府・与党として決めたわけでございまして、我々にとってもかなり厳しい決断でございました。

 政府として、こういう決断をした基本的な考え方というものを、やはり、せっかくの機会でございますから、国民にきちっと説明する必要があるんじゃないか、理解していただく必要があるんじゃないか、このように思いますので、この点について総理の基本的な考え方というものをまずお示しいただきたい、このように思います。

福田内閣総理大臣 今、救急医療の観点からお話がございましたけれども、道路というのは、やはり今の時代において生活基盤でもあるわけでございまして、そういう生活基盤をどのように整備していくかというのは、これは政治の立場において極めて大事なことであります。ましてや、日本全体の発展ということを考えた場合に、地域で人が少ないから、では要らないのかといったようなことも含めて、これは大いに議論しなければいけないことだというふうに私は思っております。

 ましてや、今、我が国というのは、人口はこれから減少する、高齢化だといったようなこともございます。そういうことによって、国際競争力が衰える、そしてまた、住んでいる人にサービスが十分に行き渡らないということがあってはならないというように思います。

 今、成熟した社会になりました。なりましたけれども、さらにこれを発展し、そしてまた福祉を増大していくために交通の必要性というものがいかに大事であるかということは、我々は十分考えていかなければいけないというように思っております。そういうような観点から、今回の道路の中期計画というのをお示しして、そして来年度の予算も道路についてお示しをしているというところでございます。

 そういうことでありますから、そういうものを整備していくための負担、費用というものがかかるわけでございますので、これは国民の皆様の御理解を得ながら、自分の地域だけがいいということでなくて、日本全体でどうなるかということも含めて考えていただかなければいけない、このように思っておるわけであります。

 そしてまた、これから環境の問題も出てくるでしょう。道路に関する、また自動車にまつわる費用負担というものも、ふえてくる要素というのはあるんだろうというふうに思います。しかし、限られた財源の中でいかにして合理的にそれを実現していくかということも我々としては考えていかなければいけない。そういうものを総合した判断の上で今回の予算を計上させていただいた、こういうことでございますので、こういうことについて国民の皆様の御理解を得るように、我々も努力をしていかなければいけないと思っておるところでございます。

井上(義)委員 さはさりながら、ガソリンの急激な高騰で、先ほども申し上げましたけれども、やはり自動車ユーザーの負担というのは非常に重くなっているわけでございます。

 ちょっと表を見ていただきますけれども、一世帯当たりの自動車保有状況の一覧でございます。市町村の中で、上位五市町村、下位五市町村ということで、一世帯当たりの保有台数。一番多いところで、一世帯当たり三台。ですから、東京・中野区に比べるとおよそ九倍の自動車の保有の負担をされているというのが現状でございます。

 いわゆる公共交通機関がない、自動車に頼らざるを得ない、病院に行くにも仕事に行くにも買い物に行くにも自動車を使わざるを得ない、一家に二台、三台が当たり前だ、こういう地域が日本全国にまだたくさんあるわけでございまして、そういう皆さんの負担の軽減ということは、道路は道路として必要ですけれども、やはり負担軽減ということも政府として真剣に考えていかなければいけないんじゃないのか。

 実は、昨年十二月七日の政府・与党合意をこの道路に関してしましたときも、私は直接、ユーザーの負担軽減というものを徹底してやらないと国民の理解は得られませんよということを御指摘したわけでございます。

 先般、我が党の強い主張で、自賠責保険の引き下げとか一部の高速道路料金の引き下げ等が行われましたけれども、ユーザーの負担軽減ということについて、冬柴国土交通大臣、どのように受けとめられていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 本当に今、国民は、バレル百ドルを超えるという異常な事態の中で生活をしていられます。特に地方は、そのパネルでもわかりますように、東京の九倍も自動車に乗って移動しなきゃならない地域が日本にはあります。そういうところは、この暫定税率というものを負担しながら生活を余儀なくされているわけでございます。私の地元尼崎も、本当に庶民の町です。そういう意味で、代議士になろうが大臣になろうが、私は庶民の一人です。ですから、国民の目線に立ったときに、この高いガソリン代、あるいは、冬寒い北海道、東北の人々にとっては生きるための灯油、これを一円でも値下げしてほしい、そういう切実な願いを持っていられることは、十分に私はわかっているつもりでございます。

 しかしながら、我々の子供や孫たちに国際競争力のある国土を残して、安全、安心で、そしてまた人口が本格的に減少する中においても成長力を維持するというためには、やはり道路のネットワーク、先ほどもおっしゃいましたけれども、国家の基幹であります。こういうものを、本格的な人口減少社会を迎えるこの十年、そしてまた道路も、高度経済成長時代につくられた道路は三十年、四十年という日を刻むことになります。そうしますと、それについての補修、再生についての投資が本格化するわけでございます。

 私は、そのような国民の苦しみの中にあっても、我々の子供や孫たちが自信と誇りが持てるような、そのような安全で安心な国をつくってやるというのが今を生きる我々大人の責任ではないかというふうに思うわけでございます。そのような意味で、苦しいけれども本当に耐え忍んでほしい、そして、我々の子供たちのために頑張ってほしいというのが気持ちであります。

 しかし、私は、これは公明党北側幹事長が提案くださいましたけれども、私もそれを承認いたしましたが、自動車の強制賠償保険はドライバーであればみんな払わなきゃいけない保険料でございます。それを、二年分ですけれども、九千二百六十円減額することを決めました。これは、リッター二十五円で換算しますと三百七十リッター分に相当します。私は、本当にわずかだけれども、こういうことも何とか役に立ってほしい。

 それからまた、私の管轄では、道路を使う方、特に高速道路を走っていただく方については、高速道路料金というのは非常に高いものでございます。そういうものを値下げするということで少しでもその痛みを和らげさせていただきたい、こんな思いでおりますが、なおもっときめ細かく配慮すべきことがあれば頑張りたいというふうに思っているところでございます。

井上(義)委員 引き続きユーザーの負担軽減に御努力いただきたいということを改めてお願いしておきます。

 そこで、今回、道路特定財源、暫定税率の延長をお願いしているわけでございますけれども、それはあくまでも、いわゆる道路の中期計画、これを実現するためにお願いしているということなんです。この道路の中期計画というのを本当に国民の皆さんに理解していただくことが、この暫定税率を延長する、維持する前提だと思うんですね。

 ここに、道路の中期計画、我々も政府・与党として合意した中身でございますので、国際競争力の確保ということで基幹ネットワークの整備ということがあるわけですけれども、やはり、例えば安全、安心とか、あるいは環境とか、さまざまなテーマがあるわけでございまして、ただ単に道路をつくるということじゃなくて、我々が日常生活している国全体をこれからどういうふうにしていくのかということを含めてこの中期計画には盛り込まれているわけでございまして、そういうことをやはり国民によく理解していただくという努力をしなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

 その点で、大臣、所感があればお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 基幹道路ネットワークというものとあわせて、あるいは、地方においては、そういうものを重視するところはたくさんあります。

 例えば、先ほども、病院までということがありました。以前にも示した部分ですけれども、救急病院へ行く生活道路の整備というものは大変強い要望がございます。

 ここで先ほど井上議員もおっしゃいましたように、心停止で三分、呼吸停止で十分、出血多量で三十分、本当に一分一秒を争うわけでございまして、救急車に乗ったけれども、目的地に着くまでにこういうことが起こったということで亡くなってしまうということは、大変悲しいことでございます。これは奈良県の十津川の話ですけれども、五條市へ行くまでに九十分、また新宮市に行くのに七十分もかかるという道路、これは別に極端な例を挙げているわけではなしに。

 過日も福島県へ参りました。そこの相馬地区とか双葉地区からは、このような救急でありますと、国道百十五号という、東北中央自動車道に並行したところでございますけれども、ここを行かなきゃならない。ところが、そこは霊山道路という大変曲がりくねったところで、救急車では輸血する瓶が振れてできないというようなことまで言われました。そういうところを今、我々の方で整備をしているわけでございますけれども、一日千秋の思いですよ。そういうところから福島市の高度の医療施設に行くためにはその道を通るのが最短距離だということで、そこを行かれるわけですけれども、大変な難渋でございます。

 そのほか、ちょっと時間があれしますけれども、東京に六百七十三の踏切があります。こういう六百七十三の踏切というものがいかに生活で難渋をしているか。それから、環境問題もあります。

 踏切は全国に三万五千カ所ありますけれども、全部はできません。したがいまして、一時間のうちに四十分以上閉まっているというあかずの踏切、こういうものを六百とか、あるいは、あかずの踏切とは言わないけれども、車や人や自転車が殺到して大変な混雑をしている、この図面がそうですけれども、救急車まで向こうでとまっています、こういうようなところ八百カ所、何としても早く直さなきゃいかぬということで、要望が物すごく強いわけでございます。

 もう一つだけ挙げさせてください。

 全国の学童、一日に四十人以上の子供たちが毎日使っている道路、これは十一万キロメートルあります。そのうちの四万四千キロメートルが、この写真に写っているように、歩道のない道でございます。歩車道の区別がないところ、これの四万四千は、親としても、一日も早く直してやりたい、歩道ぐらいつくってやりたい、それがつくれないのであれば、やはりガードレールをつけてやりたいというのが親心じゃないでしょうか。これは十一万キロ全部はできません。予算にも限りがあります。しかしながら、十年間のうちに四万四千キロは直したい。

 こういうように、十六の政策課題がありますが、今、そういうことで、国民の皆さんもこれは御同意いただけるだろうと思うんです。そういうものをやりたいというのが道路の中期計画でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

井上(義)委員 そこで、従来、道路事業は五カ年計画でやってまいりました。今回、中期計画ということで、十年間の計画にし、暫定税率についても十年間延長するということを出されているわけで、長期の目安となる計画が必要だ、地域にとって大体十年ぐらいの間にどこまで整備されるのかということがわかることは非常に大事だというふうには思いますけれども、一方で、道路整備の硬直性ということを指摘する声もあるわけでございます。

 今回、十年に計画を延長するというふうにした理由についてお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 日本の国の骨格を担うような道路で、井上委員も東北担当ですから御存じですけれども、日本海沿岸東北自動車道、これは青森から新潟まで行きますが、新潟県内だけでも二十九キロがまだ未整備です。整備されたところと整備されていないところがぽつぽつあるわけです。こういうものは、これこそ国民の税金の無駄遣いではないかと思うんです。

 私は、全部を四車線でびしっとした高速道路で結ぶということは、それはもうしない方がいい。そして、できれば完成二車線、あるいは一部は現道を使っても、この道路が全部自動車で一直線に走れる、六十キロで走れる、こういう道路をつくらなきゃならないと思うわけです。そのためには、着手してから完成するまで、本当に十年は姿が見えるまでかかっちゃうわけです。ですから、五年でぶつぶつ切るのではなしに、今回は、この十年を認めていただいたら、ここまでは姿が見えるというような形を示したいわけです。何も一万四千キロ全部つくるなんて言っているわけではありません。本当に骨格の道路が姿が見えるように、そのようなものをするためには十年かかるわけです。

 この二十三日にも、すぐですけれども、新名神の一部が開通します。これは着手が五年ですよ。そして今ですから、丸十四年かかっています。それでも近所の人はお祝いをしたいということで、大臣も来いということで行かせていただきますけれども、本当に道路というのは十年以上かかるわけです。

 したがって、何とかそれは、残された十年、これを認めていただきたいというのが私どもの考え方でございます。

井上(義)委員 昨年十二月七日の政府・与党合意では、「中期計画は、今後の社会経済情勢の変化や財政事情等を勘案しつつ、五年後を目処として、必要に応じ、所要の見直しを行う。」こういうふうになっているわけでございますので、十年間という理由はそれでわかりましたけれども、やはり随時、毎年の予算編成過程での議論というものもありますし、柔軟に見直していくべきだというふうに思います。その辺は受けとめておいていただければ結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 そこで、今回、中期計画に必要な財源ということで五十九兆円、そのために暫定税率を維持するという方針が示されているわけですけれども、当初の素案では六十五兆円でした。この中期計画が最終的にまとまった段階で五十九兆円になったということもあって、要するに、初めに五十九兆円ありき、暫定税率の延長ありきじゃないのか、それに合わせて事業量を決めているんじゃないのか、こういう批判があるわけでございまして、私は、やはり、早く算定根拠というものを国民に示してきちっと議論を深めるべきだ、このように思いますけれども、大臣、どうですか。

冬柴国務大臣 素案で提示しました事業量は六十五兆円でございました。そこで、政府・与党あるいは財務省等との折衝の中で、ほぼ一割のカットをして、五十九兆円を上回らないということが決まりました。

 それで、私どもは、これについて個別具体の整備箇所、提示はしていませんけれども、今後十年間で実施すべき必要最小限の道路整備について、その考え方をできるだけわかりやすく丁寧にあわらしていると考えておりますが、総事業費五十九兆円の積算根拠及びその内訳につきましては、いまだ明らかになっていないとの指摘を特に野党の方々からちょうだいいたしております。

 それは、理由があることだと思います。

 これについては、素案六十五兆円に対して、さらなるコスト縮減で約三兆円、それから、まちづくりあるいは地域づくりと一体として行う道路整備など、ほかの事業を活用することで、そこでも道路整備が行われますから、約二兆円、それから、高速道路料金引き下げやスマートインターチェンジを活用することによって約一兆円、計約六兆円を削減する方向で現在作業を鋭意進めさせていただいているところでございます。

 とにかく、土日も返上して、できるだけ早くこれは積算をいたしまして、国会に提出し、国民の皆様にもお示しして、御理解をいただきたいと思っております。

井上(義)委員 一層の御努力、よろしくお願いしたいと思います。

 それから次に、いわゆる高速道路の整備について、優先度とか重要性をだれがどのような基準で決めているのか、国の道路計画の決定プロセスが不透明だ、国土交通省が恣意的に決めているんじゃないか、こんな指摘があるわけです。

 従来、高規格幹線道路のうち、いわゆる高速自動車国道と言われている一万一千五百二十キロ、これについては、国土開発幹線自動車道建設法に基づいて国幹会議の議を経て決めるということになっているわけです。しかし、それ以外のいわゆる一般国道自動車専用道路、いわゆるA道路と言われているものですけれども、この二千四百八十キロ、さらに、将来この高速自動車国道に編入することを前提にして整備する、いわゆる高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路、これについては大臣告示ということで国幹会議の議を経ないということもあって、私は、国土交通省なりあるいは一部の人が恣意的に決めているんじゃないかという国民の疑念をやはり解消するということが必要だと思うんですね。

 やはり、手続の透明性が確保されるような、例えば第三者機関に諮るとか、そのための仕組みをきちっとつくるべきだと思いますけれども、この点について、大臣、御見解をよろしくお願いします。

冬柴国務大臣 私も、この予算委員会等を通じまして痛感をいたしました。今御指摘の部分については、社会資本整備審議会というものがございます。そういうところに諮って透明性を確保したい、このように改正をしたいと思っております。

 それから、今挙げられたような道路につきましては、例えば地方、道路、だれが決めるのかということは、例えばそこで交通事故が多発しているとか、それから、地方からの要請でそういうことが客観的に明らかになる。

 例えば鳥取県。鳥取県ばかり言って悪いんですけれども、青谷というところでは事故がずっと多発しました。九号線しかないわけです。それで、そこには山陰自動車道が決められているけれども、全然着手されていなかった。したがって、バイパスでもいいからつくれという要望が非常に強かったわけでございます。そして、そのバイパスを急いでつくるという場合には、本来こちらが、山陰自動車道をつくるということであれば国が四分の三持ちますが、しかし、そうなりますと、ですから、四分の一でいいところを、三分の一自分の方が負担してもいいから早くバイパスをつくってほしいということで、そのバイパスをつくるのであれば、将来、山陰自動車道として流用できるように、短い区間ですけれども、そういう構造でつくろうという工夫をしているわけでございます。

 しかしながら、これは、編入する場合には当然国幹会議の議を経なければなりません。事実、そういうふうにして、短い区間ですが、二カ所編入させていただいたところがありました。しかしながら、これが事前にされていないというところが問題があります。

 そういう意味で、先ほど申しました社会資本整備審議会等に諮って、透明性あるいは国民の御意思をそこに盛り込みたい、このように思っておりますので、よろしくお願いします。

井上(義)委員 それから次に、この道路特定財源の使途をめぐってさまざまな議論がこの国会でもなされています。例えば、過去に、カラオケセットとかマッサージチェアなどがいわゆる福利厚生の名目で道路特定財源で購入をされていた、あるいは広報費の名目で多額の費用がかかるミュージカル興行を行っていたというようなことについて、国民から極めて厳しい批判があるわけでございます。

 高いガソリン税を払って、それがカラオケセットとかマッサージチェアに化けるというふうなことは、国民の理解が得られないし、どうしても必要ならこれはルールに従って一般財源でやればいいような話であって、やはり、道路特定財源という、それを隠れみのにして何か好き放題やっているんじゃないか、こういう疑念が国民から持たれるようでは、今回の暫定税率の延長ということについても理解が得られないというふうに私は思うわけでございます。

 先般、こういったことについては大臣が即刻取りやめるという方針を出されたというふうに聞いていますけれども、今後そういうような使途にはもう一切使わないというふうに理解してよろしいのかどうか。

冬柴国務大臣 これは、福利厚生費というところから出したものですけれども、野党の方々の御指摘をここで受けました。私は、本当に国民の目線に立ったときに、これは、違法ではないかもしらぬけれども、しかし妥当性を欠くなというふうに感じましたから、直ちにやめますとここで宣言をし、帰ってすぐにやめることにいたしました。今後は一切そこから支出するということはいたしません。

 それから、たくさんのことを指摘いただきました。そういうものにつきましても、私は今後総点検をします。

井上(義)委員 それともう一点。国民から見ると、道路特定財源がいわゆる道路関係団体とか関連法人の食い物になっているんじゃないか、天下り先確保のために高いガソリン税を払っているんじゃないと。これはもう当然の感情だと思うんです。

 そういう意味で、既に大臣主導で随意契約のあり方なんかについては改革に着手されていますけれども、例えば、指摘があるような、駐車場整備推進機構とか建設弘済会などの関係団体のあり方とか、あるいは職員の再就職、天下りということについても抜本的に見直すべきだというふうに思います。

 やはり、大臣が先頭に立ってこの改革をぜひリードしていただきたい、このように思いますけれども、この点について、大臣、どうでしょうか。

冬柴国務大臣 井上議員と全く同じ発想のもとに、私は、私を本部長として、道路事業に関する業務執行のあり方改革本部、これを設置することにいたしました。道路事業の業務執行について総点検を行うとともに、その改革の方向性について検証、検討を行いたい、結果を得次第、実行したいというふうに私は言っております。

 検討課題といたしましては、先ほど言われましたように、契約方式の見直しの徹底、応募要件の見直し、契約方式の適正化、これは総理大臣からも指摘を受けたところでありまして、昨年の十二月二十六日に私はこれを徹底することを申し渡しましたし、一月からそのようにいたしております。

 公益法人に対する指導監督の徹底は、内部留保の適正化、役員構成の見直し、情報公開の徹底等を行うということで、これにつきましても、その指導を超えているじゃないかと言われる方については、私は、この質問が終わった日に、帰りまして、二人やめてもらってほしいということで、直ちにやめていただいたという経過もあります。

 あるいは、支出の適正化ですが、支出手続の厳格化、それから職員の厚生経費の見直し等もやりたいと思っております。

 本部は、私が本部長で、副大臣、政務官、事務次官、技監、国土交通審議官、官房長、道路局長、総括審議官、道路局次長、こういうことでやりたい。それから、特定のテーマごとに分科会を設置するということで、駐車場の分科会、あるいは建設弘済会の分科会、支出適正化分科会というようなものをやり、また、外部からの有識者の意見の聴取を行うことも予定をいたしております。

井上(義)委員 ぜひしっかりやっていただきたいという意味で、この改革本部の設置の時期、それから、大体どのぐらいまでの間に結論を出すのかということについてもお伺いしておきたいと思います。

冬柴国務大臣 私は、直ちに設置し、そして、できれば六月ぐらいまでに結果が見えるようにしたいというふうに思っております。それは、公務員改革等もそれぐらいまでには結論を出すことというような話もありまして、私は、それを目がけて頑張っていきたいと思っております。

井上(義)委員 それでは、実は昨年十二月の政府・与党合意、先ほども触れましたけれども、中期計画そのものは五年後を目途に必要に応じて所要の見直しを行う、こういうことになっているわけですけれども、あわせて、税率水準の維持についても、「自動車関係諸税については、税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革にあわせ、道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討する。」というふうにしているわけでございます。

 この合意は極めて重要で、要するに、十年というふうに今回決めたわけですけれども、五年後の見直しの規定があるだけではなくて、この方針に沿えば、五年後とは言わずに、近い将来、早ければことしか来年中にも、検討の上、暫定税率を含めた見直しが行われる可能性をこの合意は含んでいる。私は、見直すべきだというふうに思っているわけですけれども、そういう認識を持っているわけでございますが、総理、今般のこの合意及び与党大綱の見直しの規定についての認識を改めて伺っておきたいと思います。

福田内閣総理大臣 委員御指摘のとおり、昨年の十二月七日の政府・与党合意におきまして、税制について抜本的な改革を行うというような、税制改革、そういうような合意を得たわけでございます。

 自動車関係の諸税というのは、それぞれ創設の経緯とか、そしてまた課税の根拠などがございますので、国、地方、それぞれの貴重な財源ともなっているといったようなことも考えまして、今後、課税の趣旨、性格を踏まえながら、政府・与党合意に沿って適切に対応してまいりたい、このように思っているところでございます。

井上(義)委員 特に我が党としては、これまでも、例えば自動車重量税、これは厳密に言えばもともとが一般財源としての性格を持っておりまして、毎年のシーリングで道路整備に使用されない財源が出てくるということであれば、それはやはりユーザーに還元すべしということを主張してきたわけでございまして、この抜本見直しに当たっては、そういった点も含めて考えていきたいというふうに考えております。

 その上で、自動車関係諸税の見直しに際しての基本認識について財務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 我が国の自動車関係諸税、このパネルにもございますように、取得、保有、走行の各段階で、国、地方合わせて九つの税目があるんですね。いわゆる取得段階で自動車取得税に消費税、それから保有段階で自動車税、軽自動車税、自動車重量税、走行段階で揮発油税、地方道路税、軽油引取税、石油ガス税、これに消費税も加わっているということで、極めて複雑で、特に取得、保有段階のユーザーの負担というのが諸外国に比べても非常に重いわけです。これを思い切って整理してはどうかというふうに私は思っております。

 例えば、取得、保有段階の課税について、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ等では、取得段階では付加価値税、いわゆる消費税のみ、あるいは保有段階ではいわゆる自動車税のみというふうになっております。ところが、日本では、先ほど申し上げたように、取得段階では消費税のほかに自動車取得税、保有段階でも自動車の場合は自動車税及び自動車重量税がかかって、その負担割合も非常に高いというのがございます。

 また、消費税に関しては、いわゆるタックス・オン・タックス、税の上にまた税がかかっている二重課税ではないかという指摘もあるわけでございます。

 こうした中で、道路整備の財源をどう確保するのか、さらには、国、地方の税の割合をどうするかというさまざまな課題もあるんですけれども、私は、議論の方向性として、この取得、保有、走行、各段階で原則一種類に簡素化をする、そういう方向で抜本改革を議論していくべきではないかというふうにかねがね思っているわけでございます。この点について、財務大臣の所見を承りたいというふうに思います。

額賀国務大臣 井上委員のおっしゃるとおり、自動車関係諸税というのは、これまでの創設の経緯とかあります。それから、国、地方の有力な財源になっておることも事実でございます。また、非常に複雑であるということも御指摘のとおりだと思います。

 先ほど福田総理がおっしゃいましたように、簡素化に向けてということは政府・与党の間でも確認をしていることでございますので、今後、先ほどお触れになりました消費税とか所得税とか法人税とか、そういう抜本的な税制改革をする際にこの問題を取り上げていくことは自然の流れであるし、私もそういう方向がいいのではないかというふうに思っております。

 道路特定財源自体も、やはり特定財源としては、それは受益者負担というわかりやすい点もあるけれども、長くなってくると硬直性がある、柔軟性がないという指摘もあって、今度の法律では一般財源化という新たな方針転換もさせていただいておりますので、そういう大きな流れの中で考えさせていただきたいというふうに思います。

井上(義)委員 最後に、総理に、一月三十日の両議長あっせんで、「国会審議を通し、税法について各党間で合意が得られたものについては、立法府において修正する。」と、こういう合意がなされているわけでございます。そのためにも、ぜひ、民主党の皆さん、対案を出していただきたい、こう思うわけでございますけれども、この合意について、総理の所見を承っておきたいと思います。

福田内閣総理大臣 せっかく両院議長のあっせんによりまして、国会として一つの意思としてまとめたわけでございますから、このことについては、我々は重大に考えていかなければいけないんだろう、国会として重要に考えていただきたいと思います。できるだけ積極的な議論がなされ、そして、そういうような合意に基づいてこの国会が順調に進展することを、そしてまた、この予算案並びに関連法案等が年度内に成立しますように、心から期待をいたしておるところでございます。

井上(義)委員 以上で終わります。

逢沢委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)委員 総理、本題に入る前に一つだけお聞きしたいことがあります。

 イージス艦が清徳丸と衝突をした。まずは、お二人の本当に無事をお祈りいたしたいと思っております。

 いろいろな報道がなされておりますが、直前まで自動操舵であった。通常、自動操舵というのは、ああいう大きな船の場合、大海原で路線変更が余り必要がないときに使われると聞いております。なぜ東京湾の、しかも午前四時、そういうときに自動操舵であったのか。

 また、いろいろな報告がおくれております。これは、さきのインド洋の給油問題でも、官房長官時代の総理が国会で述べられた数字が間違って官僚から報告されていた。いろいろ、防衛省の問題も、不祥事を含めてあります。

 こういう状況の中で、もちろん、まだ細かい点の調査は今進んでいるところですが、最高責任者の総理大臣として相当重い責任がある、私はこのように思いますが、総理はこの事件に対する責任についてどのようにお受けとめになっておられますか。

福田内閣総理大臣 今回の自衛艦衝突事故によりまして、漁船が大破し、そして二人の方がいまだに行方不明であるというような事態に至ったこと、これは極めて遺憾なことであると思います。

 こういうふうなことが起こらないようにということで常日ごろ十分注意をしていたつもりでありますけれども、しかし、こういうことが起こってしまったという結果を振り返って、この原因を十分に究明し、そして今回のような事態が起こらないように、また同時に、連絡体制等における問題が、連絡が遅かったということ以外にどういうような問題があったのか、そのことについても十分な究明を行っていかなければいけないというように考えております。

 現在、調査中でありますのでこれ以上のことを申し上げるわけにいきませんけれども、きちっとした原因究明をし、そして今後の対応をしっかりととってまいりたいと思っております。

菅(直)委員 まさに我が国の安全保障をつかさどる自衛隊、それだけに国民の信頼が何よりも必要な中で、逆に国民の安全を脅かしているとなれば、そういう信頼も揺るぎかねません。重ねて、重大なる責任が政府にあるという認識のもとでお取り組みをいただくことを強く要請いたしておきます。

 さて、きょうは、予算委員会の中で、道路問題の集中審議ということであります。私も、我が党のこの問題の対策本部長として現地を含め各地を回り、あるいはいろいろな場面に出席をしてまいりました。

 私は、大きく言って、国民の皆さんの疑問は二つではないかと思っております。

 一つは、本当に五十九兆円もと言われるお金が国民のためにきちんと効率よく使われるのか、それとも、一部で言われていますように国交省を中心とした官僚の天下りなどを含めてお役人のために使われる、あるいはいわゆる族議員のそういう力によって不公平に使われる、こういうことであるのではないかという、その疑問が多くの国民の皆さんにあると私は思います。これは、知事の皆さんとも議論してみても、つくってもらいたいという道路についての御意見はそれぞれありますけれども、ルールの透明化ということについては、いずれの方も、それはぜひやってもらいたい、このように言われております。

 そして、もう一点は、これは我が民主党に対する国民の皆さんのあるいは疑問かもしれません。民主党の基本的な改革案、後にこの場でお示しをいたしますけれども、その改革案に従ったときに、どういう形で自分たちの地域あるいは国全体に道路が確保されるのであろうか、こういう疑問だと思います。

 そこで、きょうは、私の持ち時間の範囲で、この二つの面、つまりは、政府・与党に対する国民の疑問と、逆に我が党に対する国民の皆さんの疑問にそれぞれお答えすることができるような議論をしていきたい、このように思っております。

 そこで、まず第一に、総理にお伺いをいたします。

 五十九兆円という中期計画を政府・与党で合意されたということでありますが、この法律的な裏づけはどこにありますか。

福田内閣総理大臣 政府・与党合意ということにつきましては、これは官房長官、財務大臣を含めた関係閣僚、そしてまた与党の幹事長、政調会長といった政府・与党の幹部レベルでの協議でございます。こういう協議によって決まったものでございますけれども、その協議をもととして、道路特定財源の現行税率の維持、特定財源制度の見直しという法案とすべきものについては、この合意を踏まえた上でこの国会に提出をいたしておる、こういうことでございます。

菅(直)委員 ということは、法的な根拠はこの決定についてはないということですか。つまり、今後、法的根拠をつくるということですか。いかがですか。

福田内閣総理大臣 それは、この政府・与党合意、これは法的ということではないけれども、しかし、その合意に基づいて、ただいま申しましたような現行税率の維持、そして特定財源制度の見直しといった法案とすべきものについては、この合意に基づいてつくっているわけです。それを法案としてお示ししているわけでございます。

菅(直)委員 示されておりません。国会に出される法案は、たしか道路整備費の財源等の特例に関する法律は、きょうの午後示されるんじゃないですか、正式に。

 そして、この法案の中に、たしか第三条に、国土交通大臣は、十カ年間に行うべき道路整備量の案を作成し閣議において決定を求めなければならないと書かれていますね。ということは、閣議で決定もしていない、法律も国会に出していない、その段階で幹部が集まって合意した。あたかも、もう国の決定がなされたと言わんばかりの形で扱っている。

 私は、まず総理に、きょう法案を出されるのであれば、法案を出す前に、本会議で趣旨説明をされる前に、昨年の政府・与党合意をまず白紙撤回してそこから議論を始めるべきだと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 この政府・与党合意の前に、行革推進法において、暫定税率は二十年度以降現行水準を維持するということの基本方針を決めております。と同時に、暫定税率の現行水準を維持するということは閣議決定をされております。

 その上に立って、政府・与党の会議が開かれまして、暫定水準を維持すること、それから、真に必要な道路については中期計画をつくっていくということ、そういうことが決定されておるわけでございますから、基本的には、道路特定財源の暫定税率を維持するということについて、行革推進法、そしてまた閣議決定がなされている、その上に立って道路の建設計画が、中期計画がつくられているということで、極めて整合的であるということを国民の皆さん方にわかっていただきたい。

菅(直)委員 いいですか、財務大臣、私は財務大臣に実はお聞きしたんじゃないんですね。今申し上げた閣議決定をすべきだという法律は、財務大臣の所掌ではなくて、国交大臣の所掌で、きょう午後、趣旨説明される法案です。これによれば、この法律ができた中で閣議決定すると書いてあるんですよ。私は、暫定税率のことを言った覚えはありません。

 昨年十二月の政府・与党合意で、この五十九兆円という事業量についての合意があったというから、これはまだ閣議決定されていないんじゃないですかと言ったんです。財務大臣の方は、昨日も、我が党の中川委員から、財務省が一つもチェックをしないで五十九兆を丸のみしているのはおかしいじゃないかということに対してきちんと答えられていませんから、そのことはそちらの委員に私は譲っておりますけれども。

 総理にもう一度だけ申し上げますが、本来、法律ができた後に閣議決定するとわざわざ条項に書いてあることを、閣議決定もしない、まだ法律の趣旨説明もしていない段階で、その同じことを政府と与党で決めました。まさにこれが、昨年の参議院選挙の結果を踏まえない、政府と与党で決めれば何だって法律は通るんだということを前提にした考え方であって、私は、ここが国民の皆さんによく理解していただきたいんですが、昨年私たちがいただいた参議院の与野党逆転というのは、こういう勝手なやり方を許すことはないという、そういう委任をいただいていると思います。

 総理、この基本的な考えについてお答えください。基本的な考え方で結構です。基本的な考え方。

額賀国務大臣 これは、六十五兆円から五十九兆円について何の査定もしていないというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど国交大臣もお話をしておりましたけれども、我々は、六十五兆円をどういうふうに効率的に、合理的にしていくかということについてしっかりと議論をし、また査定をさせていただいた。その結果、徹底したコスト削減をすると。

 四車線を二車線にするとか、あるいは新しい技術でアスファルトの単価を安くしていくとか、そういうことで三兆円を削れるんじゃないか。あるいは、まちづくりで道路の整備も、それができていくんじゃないか、そういうことで二兆円ぐらい削れるんじゃないか。そのほか、信号機が連動していくとか、非常に高度な信号機をつくることによって渋滞を解消していくんじゃないか、そんなことで一兆円ぐらいになるとか。そういうふうにきちっと、六十五兆円から五十九兆円に削減をさせていただいたということであります。

 もう一つの質問でございますけれども、今度、暫定税率法の特例法案を出させていただくわけでありますけれども、その特例法案が通って、と同時に中期計画を閣議決定されるということは、平成十五年で五年間の暫定期間が、期限が来たときに、同じように法案を提出されて、そして、特例法案が通った後にその閣議決定をされてきたということは、これまでの慣例であるし、そういうことであります。

 だから、国民の皆さん方は、今までの道路特定財源というのが延長されてきた経緯というのは、そういう形で今日まで来ているということをぜひ理解していただきたい。

菅(直)委員 そういう慣例が間違っているということを申し上げているんです。つまりは、それは、法案がすべて政府・与党が言うとおりに通過することを前提にしたわけであります。

 それから、その前にも申し上げましたけれども、私は財務大臣に聞いたつもりはなかったんですけれども、この政府・与党合意の中に、「中期計画の事業量は、」という言葉があるんですよ。「五十九兆円を上回らないものとする。」と。そして、きょう趣旨説明される、これは国交大臣の所管でしょうが、この中にも、平成二十年以降十年間に行うべき道路整備事業の量の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。これは、財務省の税の話ではありません。しかし、関連はします。少なくとも法律は別です。

 ですから、私は、このことで余り水かけ論をしても仕方がありませんから、総理に最後に一つだけ。こういうあり方は適切ではないと思いますが、それに対する見解だけお聞かせください。

福田内閣総理大臣 法案の提出までのプロセスの話のようでございますけれども、議院内閣制でございますから、そういう政策決定、法案作成のプロセスというのは、これはいろいろな段階を経てできるわけでありまして、今回のこのことについても、政府・与党の合意があって、それがもとになってこういうような法案提出という段階に至ったわけでございますから、何らおかしいところはない、こういうふうに思っております。

菅(直)委員 せんだっても、議院内閣制というのは国会内閣制だということを申し上げましたけれども、つまりは、私は国民の皆さんに御理解いただきたいと思ってこれは申し上げているんです。

 つまり、法律をつくって閣議決定するんだ、そういう法律を今趣旨説明するという段階で、いやいや、法律を出そうが出すまいが、議院内閣制なんだからもう五十九兆と決めたっていいんだというような、そういうやり方が、まさに議長が言われた、しっかりした議論をやれということと全く反している。まず結論ありきだ、そういう姿勢に対しては、私は今でも、五十九兆の白紙撤回をまず求めておきます。

 そこで、次のことに進みます。

 先日、宮崎県に行ってまいりました。そして一昨日は、東国原知事を含む知事会の皆さんとの公開討論会を行いました。東九州自動車道の現状について、いろいろと現地のお話も聞きました。

 私も改めて現地のことをお聞きしまして、九州の熊本を通って都城から宮崎に到達する、いわゆる西側を通って宮崎に到達する道路は、高速道路がたしか一九八一年に開通されているんですね。しかし、宮崎から北に向かって延岡さらには大分に向かうところは、今日までまだ建設がされていない、部分的には別として。私は、私なりの感覚から見て、やはりここにも必要じゃないかなと思ったんです、本当に。

 なぜこんなにまでおくれたんだろうかな。私は現地の人に聞きました。県の人にも聞きました。そして、一昨日の公開討論会で、質疑の後で記者が東国原知事に質問されていましたが、いや、やはり政治の力ですかね、つまりは、力のある道路族議員がいるところにお金を持っていかれて自分のところはおくれたのではないかというニュアンスでありました。

 つまり、ここが一番問題なんですよ。一番問題はここなんです。いいですか。(発言する者あり)委員長、ちょっとうるさいですけれどもね。

逢沢委員長 静粛にお願いをいたします。

菅(直)委員 ここが一番国民の皆さんに聞いていただきたいんです。問題は、金の絶対量があるなしという問題はもちろん影響しますが、それ以前に、なぜ、ここにはつけるけれども、ここには二十年たっても二十五年たってもつかなかったか、優先度を公平公正にこれまで決めてきたのか、それとも、族議員の力が強いところから優先してきたのか、それを国民は、あるいは知事も心配しているんです。

 私は、東九州自動車道がここまでおくれてきた合理的な説明がもしあるのなら、その合理的な説明を聞かせていただきたい。

冬柴国務大臣 今、冒頭、菅さんから言われましたが、九州地方の高速自動車国道で、九州縦貫道及び九州横断道長崎大分線が先行して整備が進められてきた経緯があります。この路線は、昭和四十一年制定の国土開発幹線自動車道建設法の別表の中で、七千六百キロの中に、予定路線に位置づけられた路線でございます。

 しかしながら、今言われました東九州道及び九州横断道延岡線というものは、昭和六十二年、すなわち四十一年から随分おくれたわけですが、六十二年の国土開発幹線自動車道建設法の改正に伴いまして、一万四千キロの中に決められたわけであります。すなわち、それが予定路線として決められた時期が二十一年おくれている、そういうことを配慮しているわけでございます。

 なお、具体的な路線を整備するかどうかということにつきましては、どこをするのか、これは、決して政治家の圧力とかそんなものではございません。それについての客観的な資料に基づく必要性、それから、何といってもやはりBバイC等の数値等もあります。そして、昔は国幹審でございますが、そういうところの審議も経なければならないわけでございまして、客観的に、その点がおくれたにはその理由があるということを申し上げておきます。

菅(直)委員 今の説明で納得された国民の皆さんはまずおられないんじゃないかと私は思います。

 つまり、BバイCがなどといっても、それは全部国土交通省の、せめて内部でないとしても外郭団体がやっているわけですし、そしてそういうものが、後に示しますが、アクアラインのように、予定をした、予測をした計画よりも大幅に狂ったものについても、ではなぜ狂ったのかということについても何ら反省のない組織が、こういうふうに決めました、こういうふうにやりましたと言っても、それで納得する人はいないと思います。

 そこで、国交大臣、よくあなたは、今も言われました、かつての国幹審、現在の国幹会議がそういう公平性、公正性を保っているというふうに言われました。では、お聞きします。国幹会議は、去年、おととし、何度開かれていますか。

冬柴国務大臣 国幹会議というふうになりましてから三回目が開かれました。昨年の末に三回目が開かれました。(菅(直)委員「全部で何回」と呼ぶ)三回です。(菅(直)委員「何年、いつといつ」と呼ぶ)第一回は平成十五年十二月二十五日、それから第二回は平成十八年二月七日、第三回は平成十九年十二月二十五日でございます。

菅(直)委員 今、聞かれましたか。一回目が平成十五年の十二月二十五日、その次は二年二カ月後の平成十八年二月、昨年はそれからさらに一年十カ月後の十九年の十二月二十五日。一年に一回開かれていないんですよ。これが国交省の隠れみのに使われているのではないかと私はずっと見てまいりました。しかし、大臣は、ここで公正な議論がされているんだと。

 二年に一回、私が見たところでは、最後の一回は一時間ほどの予定になっておりますし、一時間半ですか、待ってください。これでいうと、最初が一時間半、一回目は。二回目が十六時半から十八時、九十分ですね。三回目は、十四時から十五時ですから、六十分間、一時間ですね。二年おきに一時間ないし一時間半開かれる会議、もちろん資料はすべて国交省がつくります。これで透明性、公正性が、国民の皆さん、担保されていると思いますか。

 私は、国幹会議を隠れみのにするのはやめるべきだ。国土省以外のきちんとした第三者的な立場、あるいは、地方の知事も一人は入っておられますが、地方六団体の関係者がもっと参加できる、まさに地方の道路こそ必要だと大勢の人が言われているんですから、その代表が直接参加できるような、国幹会議とは全く別な、まさに国の活力全体を考える会議をつくることが私はあり得ると思います。

 少なくとも、国幹会議のあり方については抜本的な改革が必要だと思いますが、総理、いかがですか。

冬柴国務大臣 きょう、民主党の代表代行である菅さんからそのような御批判をいただきましたので、重く受けとめます。

 そして、これは国幹会議の会長が国幹会議に諮って決めることでございますので、私からそのような御発言をお伝えし、審議をしていただくことにいたします。

 ただ、この十二月の国幹会議の一部ではありますけれども、私は出席をさせていただきました。出席された議員の代表の皆さんは、それぞれに御意見を述べられ活発にされたことは、そこにはマスコミも全部入っていますし、全部速記録も入っておりますので、それを見ていただいたらわかりますけれども、隠れみのというようなものではありませんので、その点だけは釈明をさせていただきます。

菅(直)委員 隠れみのというのは、新聞記者あるいはマスコミが入っているから、会議がオープンなことは認めます、しかし、隠れみのであるかないかというのはまた別の問題です。

 権限がどうなっているかというと、こうなっているんですよ。国幹会議の審議事項というのがありますが、基本計画及び整備計画は国幹会議の議を経て国土交通大臣が決定する、つまり、決定の責任は国土交通大臣が持っているんです。その前に二年に一回、六十分か九十分の会議をやって、二十人の委員から御意見が出て、いやあ、皆さん方の御意見はよく拝聴しました、そこでこう決めました、これが隠れみのの通常のやり方だからそう申し上げているんです。

 ですから、国民の皆さんが聞いておられて、これが隠れみのでないというならば、もっときちんとしたルールを、つまり、国土交通省の内側に取り込んだような審議会ではなくて、本来は、国会議員が審議会メンバーになるというのは普通おかしいでしょう。普通の審議会というのは、そういう形式はとらないのが普通ですよ。

 そこで、もう一つだけ具体的な事例を申し上げます。

 東京にアクアラインという道路があることは、皆さんも御承知だと思います。一兆四千四百億の費用がかかりました。当初、計画として、多少の変化はありますが、償還計画の中で一日何台走る見込みでしたか、そして、当初の片道の乗用車の通行量は幾らに設定されましたか。

冬柴国務大臣 菅さんの質問に答える前に、先ほどの問題ですが、平成十三年のいわゆる行革までは、内閣総理大臣のもとに国幹審というのがあったわけです。それを行革の一環として、先ほど言いましたように、内閣総理大臣から国土交通大臣に組織を変更したわけでありまして、そういう審議を経てこういうふうになっているということを申し上げたいと思います。

 それから、アクアラインの交通量でございます。

 東京湾アクアラインの実績交通量、これは、平成十八年度では一日当たり一万七千六百台となっております。平成九年度事業許可の償還計画の見込んでいた計画交通量は一日四万二千三百台、比べますと、二万四千七百台日と、約六割少なくなっております。これは客観的な事実です。それだけでいいですか。

菅(直)委員 私は、昨日もアクアラインに少し出かけてまいりました。

 実は、きょう、こういう問題の専門家でもある松下さんという方に参考人でお出ましいただこうと思っていたんですが、与党の皆さんの合意が得られなくてまたの機会ということになりました。

 この松下さんが「道路の経済学」というものを書かれていて、この方が、アクアラインの建設の前に、たしかケンブリッジかどこかの大学と一緒になって予測をされております。これが当時の松下さんが出された予測であります。もう今からいえば約十年前、平成八年、もう少し前ぐらいですね、予測ですから。

 当時も、彼に直接話を聞きましたし、この本も読みましたが、大体月収が四十万、五十万の人が月に使える、そういう高速道路の費用とかについては、例えば大体二万円とか三万円とかだろう。それが、当初四千円、往復で八千円ですから、八千円で使える人は非常に少ないだろう。ここにありますのは当時の予測です。三千円として、実際には四千円でスタートしたんですが、今は三千円になっています。三千円で大体一万二千台ぐらいだろう、二千円まで下がると一万七千台ぐらいまでいくだろう、そして、千円ぐらいまで来るとぐっと上がって二万五千台までいくだろう、無料化すると四万台を超えるだろうと言っています。

 この場所は、ほとんどの方が御存じのように、あそこを通れば、私もきのう行ったら、入って出るまで二十分前後でした、制限速度を守ってです。守らなければもうちょっと速いかもしれませんけれども。そのくらいの速さで行くところなんです。ほかの道路を通れば二時間ぐらいかかりますし、当然速度も遅くなるから、燃料もたくさんかかるし、CO2もたくさん出るんです。

 つまり、使いたい人はたくさんいるんですよ、この道路は。無駄だと言っているんじゃないんです。使いたい人はたくさんいるんです。しかし使えないんです。なぜか。べらぼうな高い建設費を償還するためにべらぼうな値段をつけたから使えないんです。

 私は聞きました、きのう、東会社の常務という人が出てこられたから。一体、こんな計画を立てて、この計画どおりにならなかったことについて、どういう反省をしているんですか、どこで間違って、どういう反省をして、今後こういうことにならないためにどういうことをやっているんですか。

 何にもやっていないじゃないですか。だれ一人、責任というか反省すらしていないじゃないですか。結果において、今この会社がどうなっているか。皆さん御存じかどうか知りませんが、民営化直前に、毎年三百億円赤字が出ていたこの第三セクターのような会社を道路公団に買い取らせて、保有機構に買い取らせて、借金がどこに行ったかわからないようにしてしまっているんですよ。

 私は、地方の方に行ったら、大都市の皆さんは大変恵まれているけれども、地方はまだこれからなんだからと、おっしゃる気持ちはよくわかります。しかし、大都市でもこんな、宝の持ち腐れどころか、一兆四千億でつくって、走りたい車は山のようにあるけれども高過ぎて使えない。

 その根拠になる計算はだれがやったのか。それも国幹審と言われるかもしれませんけれども、そういうずさんな計画を立てて、だれ一人責任をとらないで、大借金をそのまま、ツケを残して四十五年間の償還に回している。これが今の道路の実態だということを私は国民の皆さんに理解していただきたいし、そういうやり方を変えない限りは五十九兆円も同じような形で使われますよということを私たちは心配というか、そういうことがあるので、根本から変えていこうと言っているんです。

 総理、いかがですか。

福田内閣総理大臣 御指摘のアクアライン、これはいろいろな情勢が変わったということもあったのかもしれませんけれども、そういう中で、事業の見直しなどは必ずしも適切に行われてこなかったといったようなこと、これは我々もそういう認識を持っております。

 そういうような経験を教訓としなければいけないと思いますけれども、安易に新たな有料道路がつくられるといったような仕組みとか、そういったようなものについては反省しながら、採算性の厳格なチェックといったようなことをこれからしっかりやっていかなければいけないと思います。いかに道路利用者にとってより使いやすい道路にするかという視点も重視した施策の転換、これも必要でございますが、国の政策課題に対応した料金引き下げとか高速道路の有効利用を行うという取り組み、こういうものもあわせて行っていかなければいけないと考えております。

菅(直)委員 もう一つ。

 先日、宮崎に行って、延岡の近くで、市長と県の担当者が出てきてくれました。いろいろと、こういうふうな形で今計画が進んでいるから、ぜひ実行させてもらいたいんだということを、ある意味で陳情といいましょうか、要請を受けました。

 それで、私は聞いたんです。これは全部、延岡の前後から宮崎までの今いろいろ予定されているもの全部つくるのにどれだけの建設費用がかかるんですかと県の担当者に聞きました。県の担当者は、いや、その総額は今はちょっとわかりません。なぜか。私は理解できるんですよ。つまり、この中で、いわゆる旧公団、今西日本ですが、がつくるところ、それから新直轄、それから一部にはたしか国道の有料道路事業というちょっと特別な形でやっているところもある。

 つまり、地元からいえばぜひつくってほしい、それは本当の声です。しかし、コスト計算は、いや、それは国なりあるいは道路公団、今で言う会社なり保有機構なりがやってくれているでしょうから、とにかくつくってくださいと。では、国の方はどういう計算をしているか。それが今のアクアラインです。アクアラインは、今、保有機構の形になっておりますが。

 総理にお聞きします。五十九兆の中には通行料は含まれていますか、含まれていませんか、高速道路の。総理大臣にお聞きします。

冬柴国務大臣 有料道路の通行料というものは、四十兆の借金を四十五年で償還するということに使われます。スキームがありますが、言いましょうか。(菅(直)委員「いや、五十九兆に入っているかと聞いているんです」と呼ぶ)いや、入っていませんよ。

菅(直)委員 いいんですか、今の答弁で。五十九兆の中に今入っていないと答えられましたが、この程度の知識でもし大臣をやられていたら、大間違いですよ。

 私が理解している限りは、五十九兆のうち十兆円は通行料が入っているはずですよ。だから、この問題も五十九兆の中に入っているんじゃないですか。それすらわからないで、こんな答弁していて、大臣が務まるんですか。

冬柴国務大臣 訂正をいたします。入っております。ごめんなさい。十兆円ですか、入っています。

菅(直)委員 国民の皆さんは聞いておられてよくおわかりだと思うんですね。つまりは、それこそ、私たちが金がわいてくるなんて言っているんじゃありません。五十九兆円というのは、皆さん方が払われた、国民の皆さんが払われるガソリン税に加えて、高速道路の料金からもカウントされている。ですから、我が党は、高速道路を走っている皆さんは二重取りされていますよと。つまりは、高速道路の建設費は基本的には通行料で賄われているけれども、では高速道路を通っているガソリン代の税はまけてくれているかといったら、まけてくれていません。二重取りされていますよということを言っているんです。

 ですから、私たちはもともと、これは皆さんもおわかりでしょう、国民の皆さんもおわかりだと思いますが、地方の方は、地方でなくてもそうかもしれませんが、新直轄が一番いいんですよ。そうじゃありませんか。新直轄だったら税金でつくってくれますから、通行料はただですからね。ですから、ただになる新直轄の方が、それは利用者にとってはいいんですよ。当たり前ですよ。

 そういうことを含めて五十九兆の案をばっさり出してきて、そして、先ほど来のようにその根拠も明らかでない。

 そこで、私申し上げますが、この東九州自動車道に関して、だれが責任を持ってこのコストについての、適正なコストなのかどうかということを検討するんでしょうか。いや、私は必要だと思うんですよ、個人的には、この道路は。ただ、だから、私たちが検討するような仕組みにはなっておりませんから、だれがそういうことをトータルとして検討することになっているんですか。

冬柴国務大臣 道路を事業化する、すなわち整備を始めるということについては、地域の課題や要望を踏まえまして、都市計画や環境評価等の手続を経て、これは県がやります。客観的な基準による厳格な評価をいたします。それに基づきまして、事業箇所の選定が行われるとともに、その手続や手法については第三者による委員会あるいは審議会の議を経て決定をするものでございますが、その際には、個別にその年度年度、財務省の査定もちょうだいをいたしております。そういうことで、全体的な予算枠を考慮しながら、事業の進捗や地域の状況も踏まえながら、財政当局の審査を経て決定されるわけでございます。

 先ほど、新直轄と有料道路の関係について述べられました。

 これは、道路公団で今まで、千九百九十九キロそのときに整備計画ができているけれども供用されていない部分を、そのまま道路公団あるいはその民営化された会社に有料でつくり続けさせていいのかどうかということが議論になったわけでございます。しかしながら、そのときに詳細な、BバイCあるいは十六項目にわたる社会的な便益というものもはかって、評価をして、有料でやるべきだという道路区分と、やはりそれは、BバイCは成り立つにしても、先ほどおっしゃったように、高い通行料をもらわなければ成り立たなくなる、そういう部分につきましては、これを外して新直轄ということで国がつくるというふうに仕分けをしたわけでございます。

 したがいまして、そういうところにつきましては、完成四車線ではなしに、二車線とかあるいは現道利用とかいうようなことも考えられるわけでございまして、そういう仕分けをしたということで、片や有料、片や新直轄ということになったということを御説明申し上げました。

菅(直)委員 それでは、もう一つの大きな国民の皆さんの疑問に私たちなりに答えていきたいと思います。

 民主党の、道路特定財源を含むこの問題に対する基本的な改革案を五項目にまとめてまいりました。よく対案と言われますけれども、法律的な部分もないわけじゃありませんが、私は、先ほど来言っておりますように、もっと根本的な、国の形に関することですから、あえて抜本的改革案という形でまとめさせていただきました。お手元にもありますから、よくごらんください。

 第一項目は、道路特定財源の廃止。

 これは、この間言っておりますように、この制度が五十年余り前にできたときには意味があったけれども、特定化する必要性は、総理の答弁からも、私には納得できる答弁は聞いておりませんし、また、特定財源化することによって国交省の聖域に、あるいは道路族議員の聖域になっているというのは私の認識ですから、私は、まずこれを変えていく。

 特にこれは、国交省が、国が地方自治体を支配する道具に使われている、そういう面から含めても、この道路特定財源を廃止して一般財源にする。(発言する者あり)後で地方のことは言いますから。第一番目がこれです。これは、必要であれば法律が出せるように準備はしておりますが、少なくともこのことが第一の項目です。

 第二は、暫定税率を期限切れでするということであります。

 これは、法律は要りません、三月三十一日に暫定税率が切れるんですから。必ずしも法律がなくても切れるわけです。これを増税しようというのが政府案であって、私たちは、暫定税率はこのまま切れて結構だというのが第二の考え方です。

 そのときに、地方のこれまで言っていたいろいろな道路に関する財源は、同額を一般財源で使えるような形で確保できるように、国の負担分の中から地方へ移すべきものは移していく。一つは直轄負担金を廃止する、一つは臨時交付金を、現在の四分の一の地方への交付を二分の一に変えることによって現状とほぼ同額が地方に回っていく。これによって地方の財源、少なくともこれまでの比較ですよ、これまでとの比較における地方への財源は確保されるというのが私たちの基本的な見解であります。

 三番目に、国のことについては四番目に書いてあります。いいですか。国について申し上げますと、国の直接的な費用は相当減額をされます。結果として、国が直接責任を持つ道路建設のスピードは従来よりは落とさざるを得なくなる、私たちとしてもそう思っております。

 しかし、これは五番目とも絡みますけれども、従来のような国と地方の役割分担が、私は必ずしも明確でない。ここはまだ議論が必要ですが、例えばドイツの例で言えば、アウトバーンのような道路は国が責任を持っておりますが、他の道路については大部分、州が責任を持っております。

 これまで国が責任を持っていたものを、すべて国が責任を持って、しかし一部負担金を地方から召し上げるという形ではなくて、私は、国が分担すべきものはかなり限定をして、そして地方が自主的に、自主的にという意味は、道路についてもどういう道路をつくるか、四車線にするか二車線にするかも自主的ですし、道路に使うかどうかも自主的に決められるように、そういう意味で、国と地方の役割分担を明確化する中で国のウエートはもっと下がると思っております。

 そして、最終的には、私たちは一般財源化を言っておりますから、一般財源の中で、本当に国民的に理解が得られて、国の道路財源をもっと積み増すべきだというのなら一般財源の中で議論すればいいのであって、特定財源の中で議論するから偏りが出るというのが私たちの認識であります。

 そういった意味で、四番目の、国の道路整備は落ちるけれども、一般財源を必要であれば活用する。

 あるいは、後に申し上げますように、先ほど来申し上げたように、本来なら、きちっとした計画であればもっと少ない金額でできるものも私たちはあると見ていますから。特に橋梁談合などを見ていると、天下りのためにわざわざ高い金額で、しかもわざわざゆっくりつくっているんです。

 いいですか。ここだけ一言申し上げておきますが、官僚の皆さんにとっては天下りというのは永久に続けなきゃいけないのです。天下りというのを永久に続けるためには、一遍に道路をつくってしまったら天下り先がなくなるから、ゆっくり値段を高くつくっているんです。それは、同僚議員がどれだけ天下り先にお金が流れているかということを後ほど申し上げますので、それをぜひ国民の皆さんはお聞きいただきたいと思います。

 そして五番目に、道路の建設ルールの抜本的見直し。

 これは最初に申し上げましたように、まずは国と地方の役割分担を明確化する。今のように、実質上は直轄といいながら三分の一の費用は地方に押しつけ、補助金といいながら実質上は半々で、つまりは、直轄でも補助金でも国が支配している。一部の地方の独自財源分だけが自分の発想なり自分の判断で基準も決められますが、それ以外は全部事実上、国が地方の分までコントロールしているというこの仕組みを基本的に分ける。先ほど申し上げたように……(発言する者あり)ちょっと議長、すぐ後ろからやじを飛ばすのはやめてください。

 国幹会議というものが、先ほど来申し上げていますように、私の目から見れば国土交通省のお役人の案をまさに追認させる、いわゆる隠れみのになっていますから、私はもっと根本的に変えるべきだということが第二番目。

 第三番目のルールの問題は、先ほど申し上げた民営化会社のあり方なんですね。

 私、改めてこの民営化会社について調べてみて、率直に言って理解ができませんでした。つまり、保有機構があって、会社があって、国があって、そして五十九兆というのが先ほど言ったように売り上げがカウントされているということになると、では例えば民間会社の売り上げが、五十九兆の政府の閣議決定をされるそうですが、政府・与党の合意の中に入っているというのは、私はほかの分野で考えて、考えられません。そうしたら株式会社にした意味が何にもないじゃないですか。いや、それは保有機構だから、それは何とかだからと。つまりは、民営化会社にしたといいながら責任の明確化もなければ、償還見込みについて先ほど四十五年と言われました。いいですか、四十五年の償還といったら、金利が三パー、四パーとしたって、元利含めれば二倍、三倍、四倍になりますよ。これは計算すれば簡単に出ますが。

 つまり、そういうことを考えたら、一体だれが、民営化会社にしたことによって責任が明確になったのか。五十九兆の中に売り上げまで取り込んでおいて、これで民営化になりましたと小泉さんは自慢げに言いましたけれども、私たちから見れば、昨年の清水寺と同じじゃないですか、偽装民営化じゃないですか。にせの民営化じゃないですか。

 こういった意味で、民営化についても責任の明確化、償還の厳格化、これが私たち民主党のこの問題トータルに対するまさに対案なんですよ。まさにこれこそが、民主党が考える、分権型社会をつくっていって、自主的に道路についても判断できる、これこそが対案なんです。

 総理に見解を聞きます。

額賀国務大臣 まず私から説明をさせていただきまして、その上で総理からお話をいただきたいというふうに思います。

 まず、特定財源廃止でございますけれども、我々が特定財源について現行税率を維持していこうとすることは、やはり通学路の整備だとかあかずの踏切だとか、地方都市の中心都市を結ぶ基幹道路だとか、そういう全国民の要望があって、この要望にこたえていかなければならない。それは、生活を守り、なおかつ日本の経済の繁栄、地域の活性化に結びついていくことであるということであります。

 それから、特定財源廃止ということは、これはもう御存じのとおり、自動車ユーザーに納得をしていただいて、この財源を確保し、道路の整備に充ててきたわけであります。そういう納税者の理解を得ることなく、菅さん一人だけで、特定財源を廃止することはできません。もしできるならば、対案、法案がもうできているとおっしゃっているわけですから、しっかりと対案を出していただきたい。

 それから、二番目の暫定税率期限切れでございますね。暫定税率期限切れになりますと、二・六兆円の財源が飛びます。それで、おっしゃるように、臨時交付金を四分の一から二分の一へと言いますけれども、暫定税率はもう既に半分になってしまうわけでございますから、これは幾ら二分の一にふやしても、基本的には、臨時交付金というのは七千億で変わりません。それから、国庫負担金の九千億も減ってしまいます。その上に立って、六千億円ぐらいの補助金もなくなります。そうすると、本則税の一・六兆円から一・二兆円を差し引きますと〇・四兆円、四千億円しか残りません。四千億円は維持管理程度であります。そうしたら、直轄道路も何も、一つも進むことができません。

 国民の皆さん、これでいいんですか。私はやはり、地域の皆さん方がしっかりと要望していることにこたえる中で、地域の整備、将来の発展に向かって、政治家は、しっかりと将来に向かって責任を果たすことが我々の仕事であるということをよくわかっていただきたい。

 それから、国の道路整備についてスピードがおくれると言うんだけれども、ちゃんと国民の皆さん方に、我々が言っている、十年かければほとんどの道路整備が、完璧にはならないけれども相当進むだろうと言っています。では、民主党に任せれば一体何年かかるんですか。ちゃんとそこを言ってもらわなければならない。

 それから、国と地方の役割分担を明確にすると言うけれども、これからの時代は、道州制とか広域化を図っていくときに、地方の一つ一つの町村に任せて道路なんかはつくっていくことはできない。地方の言い分はちゃんと我々は聞いて、道路建設に対して反映をしていきます。これは当然のことでございます。

 そういうことをぜひ国民の皆さん方もわかっていただいて、我々がいかに、自由民主党と公明党と政権与党が、国民の皆さん方の要望にこたえるために地に足のついた政策をやっているかということ、そこをぜひわかっていただきたい。

 それから、道路公団とか、いろいろと国幹会議のことを言っておりますが、冬柴大臣も、国幹会議は改革をすると言っている。

 そういうように、我々は、国民の要望を受けて、しっかりと透明性を持った形で道路整備をしていきますから、御理解をいただきたい。

菅(直)委員 私は、総理からは後ほどお聞きしますけれども、やっと本格的な議論になったと思っています。額賀さんが言われている中身はかなり問題がありますが、やっとトータルで問題になりましたよね。ですから、まさにこのトータルの議論をしなきゃいけないんです。最終的には、それを国民の皆さんが判断していただくことになりますから。

 もう一度申し上げます。今額賀さんが言われましたけれども、まさに道路特定財源については、私たちは、特定ということをやめた方がいい。今あなたは、全国民の要望、それは、知事になったら県民の要望を聞かないということですか。国会と内閣でしかできないということですか。私たちは、特定財源をやめたからといって国民の要望を無視していいなんて言っていません。特定財源を廃止すると言ったら、何か私たちは全国民の要望を聞くためにはこれが必要だと言うけれども、論理が全くそこにはつながっておりません。

 ですから、このことはさきの予算委員会でも申し上げたように、特定にしなければいけないというのは、どちらかというと、自治体がそれには使いたくないけれどもここだけは使ってほしいというときには特定財源ですが、皆さんが使いたいというときに特定にする必要はありません。(発言する者あり)うるさいですよ。もしそうでなければ、教育特定財源も必要だし、医療特定財源も必要なんです。(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。

逢沢委員長 傍聴席の議員の方は静粛にお願いをいたします。

菅(直)委員 ですから、まず一については、もう前回も申し上げましたから、国民の皆さんもかなり御理解いただいているものと思います。

 二番目については、暫定税率を下げるというのは、まさに特定財源である以上は道路について使うからということで上乗せの暫定税率でありますので、道路について特定しないということになれば、少なくとも暫定税率は戻すのが筋でありますから、私たちはそういうふうにするということを申し上げているんです。これは、一と二は、だから一体です。

 そして三番目の問題は、先ほどもまさに財務大臣自身が言われたように、臨時交付金を四分の一から二分の一に増大させることを含めて、地方に対する財政負担はこれまでと同じようにすることを私たちはきちっと提案をいたしております。

 問題は四番目だと思います。

 これは大いに議論があるところだと思います。つまりは、国の直接的費用が四千億になると言われました。しかし、実は正式に言うと、五十九兆の中で言えば、ちょっと違うでしょう。五十九兆の中には税金以外のものが入っていると言われたでしょう。つまり、五十九兆の中には、約六分の一は税金以外のものが入っているんです。

 ですから、余り自分の都合のいいところの数字だけ挙げないでください。それは直轄と、国と言うか国と言わないかは別として、少なくとも高速道路用に約十兆円が今の政府の中には入っております。ですから、それは毎年の四千億とは違います。

 それから、これはちょっとつなぎの問題ですから、余りつなぎという言葉を使いたくないんですが、いろいろな工事には、昨年までの予算だけれどもまだ全部が完了していないものがありますから、事業としては、ことしになったからといって、ことしの予算でなければすぐ事業がとまるわけではありません。

 そして、来年度の予算からは、できれば我が党が政権を持ってつくりたいと思っていますけれども、一般会計の中からどういうふうなウエートでそれに振り向けるかということは議論をすれば適正な配分ができるということで、今のような形についてスピードが落ちることは私たちも認めておりますが、全体としては、今申し上げたように、直轄との区分などを変えることによって、私はより適切な資源配分が可能になる、このように思っております。

 五番目については、特に反論はありませんでしたから余り言いませんが、まさにこの五番目のルールの透明化こそ今一番必要なのであって、先ほど来いろいろなやじも飛んでおりますけれども、結局のところは、自民党の多くの代議士にとっては、長年、地元に国の予算をどれだけ持ってきたかということを競い合うのが自民党の多くの議員の仕事なんです。

 私は、そのことを一〇〇%は否定しませんが、本来は国の形の基本を考えるのが私たちの基本の仕事であって、中身については、多くは地方自治体にお任せし、それこそ今回の事件のような、外交とか防衛とか基本となるものについては国の予算でやるべき、こういう考え方に基づいて我が党の抜本改革案を提示しておりますが、時間も最後ですので、総理にこれに対する御見解を伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 いろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。しかし、もう一つすとんと落ちないところがあるんですね。一つ一つ御説明いただきましたけれども、もう少し丁寧に御説明をいただかなければいけない。そのことによって、私は、話し合いの機会が大きくなってくるんだろうというように思いますので、その点についてぜひよろしくお願いしたいと思います。

 もちろん、野党からいろいろな御意見をいただきまして、それは私どもも、これは改めた方がいいと思うことについては素直に謝る、これは国土交通大臣もそのようにきょうも発言しておられましたので、そういうことはしっかりとやってまいりたいと思います。

 そういうことで、ぜひこの審議がもっと前向きの審議になるように御協力をいただきたいと思っております。

逢沢委員長 この際、細野豪志君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細野豪志君。

細野委員 菅代表代行に続きまして、私の方から質問させていただきたいと思います。

 私が質問させていただきたいと思っていますのは、道路特定財源からの無駄遣い、これに特化をして質問をさせていただきます。

 この予算委員会の審議の中でも、卓球のラケットであるとかグローブであるとかマッサージチェア、そしてユニホーム、アロマテラピー、そしてミュージカル、それらが我々野党の国会での追及の中で明らかになってまいりました。

 まず、政府にも申し上げたいし、与党の皆さんにも申し上げたいのは、こういう道路特定財源の無駄遣い、すべて我々の指摘によって明らかになっているということなんですよね。我々は権力の外にいますから、権力の外にいる人間であってもこれだけ見つけられるのに、なぜか政府からも与党からも、しっかりとそうしたものを見つけて、そして改革をしていこうという流れがないということは、まず冒頭申し上げたいと思います。

 ただ、もう一つ指摘しなければならないのは、これは実は無駄遣いの中でいうと非常に小さい部分、氷山の一角であって、本丸は違うところにある、その本丸は天下りである、私どもはそう考えておりまして、その部分について質問させていただきたいと思います。

 これは、我々が求めてようやく明らかになった、道路整備特別会計からの天下り団体に対する支出のリストであります。全部で五十六団体あって、そして千二百八十八人が天下って、平成十八年度で千八百九十億円がそこにお金として流れ込んでいる。そして、そこにたまっている埋蔵金、これも私は計算をいたしました。それぞれ取り崩せるもの、取り崩せないもの、いろいろありますが、合計すると、資産から負債を引けば、これがちょうど約八兆円ぐらいになるということなんです。

 この中で私がきょう問題にしたいと思っております第一点目は、補助金を受けている、税金を受けている中でいえば三番目に位置しております財団法人道路保全技術センターという機関でございます。

 この機関には、ここにも出ておりますとおり、平成十八年度で約八十二億円の税金が入っています。合計受けている仕事の数をカウントしてみました。数えるのが大変でした。全部で三百六件、そのうち三百五件は随意契約でこの機関は受けています。

 そして、この団体には天下りの役所の人が四十六人。常勤の役員が三人いますが、この三人とも国土交通省からの天下りでございます。ちなみに、給与は、理事長の方が千九百五十六万円、専務理事は千八百十五万円、理事は千六百五十九万円。(発言する者あり)また、この給料は、今与党からは安いという声がありますね。安いという声もあれば、高いという声もある。いろいろあるでしょう。これから仕事内容をしっかり見て、これは判断する必要があると思います。その部分について、皆さんにまず質問させていただきたいと思います。

 そして、道路特定財源から流れている道路保全技術センターの財務状況についても私は調べてみました。もう一枚めくっていただいてよろしいでしょうか。これは道路保全技術センターの財産目録ですが、黄色の部分で塗ってあるところをごらんいただきたいんです。

 まず、私が一番驚いたのは、この道路保全技術センターという機関は、現金預金を何と二十四億円も普通預金で持っている。いいですか、ここはすべて税金で成り立っている団体です。税金が流れ込んで天下り先になっている団体で、内部留保が、特に現金預金という形で簡単に取り崩せるものが二十四億円もある。

 まず、冬柴大臣にお伺いしたいんですが、私はこの委員会で何度も何度も埋蔵金の話をしましたね。そのたびに、埋蔵金はないんです、そんなものはないんですとおっしゃったけれども、ここにはっきりあるじゃないですか。さっき、内部留保の話については改革するとおっしゃいましたが、この機関は内部留保の事業費に占める割合が四二%。これは閣議決定違反でもあります。

 大臣、この機関も含めて、この埋蔵金をちゃんと取り崩して国民の皆さんのところにお返しをする、これを少なくともお約束いただかないと、恐らく見ている方も納得しないと思いますが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 未払い金それから未収金というものは両建てで、財務諸表、PLを見ればわかると思うんですが、それは、いわゆる年度末というものがあるんですね、三月末とか、そういうことで未払いというものが立つわけで、予算の方が成立して、そして国から、国交省からの未収金が入れば、未払いの方へ入っていくということがあると思います。

 しかしながら、今言われたような財務というのは、国からの指導というものに違反するところがあれば、これは改めなければなりませんし、私は、それは全部改めよう、先ほども申しましたように、私が本部長となって、こういうものにメスを入れて改めようと思っております。これは、ことしの六月ごろまでに、国会があいている間に本当にやらなきゃならない課題だと思っております。

 それからもう一つ、ちょっとあなた、たくさん言われましたから。第一のところで、埋蔵金と言われたでしょう。(細野委員「結構です。これはさんざんやりましたよ、大臣」と呼ぶ)ちょっと待ってくださいね。二番目の……(発言する者あり)いや、だけれども、これは、例えば一番目の日本高速道路保有・債務返済機構に五千三百六十六億、こんな、これは資産があるんですよ、道路資産というものが。そうでしょう。それを埋蔵金と言われたら、それは違うんじゃないですか。

細野委員 大臣、まず、内部留保について若干述べられましたが、国のルールに基づいてやっていないところがあるとしたらじゃなくて、これは閣議決定違反なんです。それをちゃんと取り戻さないと、これは、民間の財団と言っていますが、完全にお役所抱えの財団ですからね。それをまずはっきり認識してください。

 そして、今、途中で何かよくわからない答弁をされましたが、もう一つ見ていただきたいのは、この未収金のうちの受託事業分、つまり国からまだもらっていないお金、これが約七十七億円ありますね。そして、もう一つ見ていただきたいのが、その下、未払い金の委託調査研究費他、ここが合計六十億円ある。

 要するに、国から七十七億円もらって、そのうちの六十億円は他の機関に丸投げをしているんです、ここは。いいですか、外注率八〇%ですよ。これをどう考えるかということをちゃんと答弁してもらわなきゃならない。

 もう一つ、要望しておきます。いいですか、大臣、この未払い金、外注をしているんですね、この機関は税金をもらって、それを他の機関に丸投げをしている。どこに投げているのかと聞いたら、答えてもらえませんでした。国土交通省にも何度も、税金の流れなのでこれを出せと言ったけれども、それは民間と民間だということで出してもらえなかった。これは、税金が流れて、そして丸投げをしていますから。

 先ほど、情報公開を徹底するとおっしゃいましたね。ここはちゃんと出していただけますね。御答弁をお願いします。

冬柴国務大臣 もちろん、お示しをして御批判をいただいたらいいと思います。

 しかしながら、ここは、MICHIシステムという、そこが開発した、日本の道路を全部、それは橋梁から全部コンピューターに入れている会社ですよ。そういうソフトは今後の道路管理には必須なんですね。これは、ここが開発し、ここが著作権を持っているものでございます。ですから、私どもはこういうものを利用しなければ、今後の橋梁の管理とか道路、あるいは震災のときに、どこでどういう破損があってどう改修するかということについても、これは非常に必要な、重要な仕事をしているところでございます。

細野委員 大臣はこの機関の全貌をよく御存じないんだと思うんですね。確認しますが、では、丸投げのこの部分がどこに行っているかは情報を出していただけますね。

 私の仮説はこうなんですよ。都市再生機構の場合も、いろいろな仕事をその下に丸投げをして、そこに都市再生機構から天下っていましたね。この財団も、これだけ丸投げをしていたら、出してくれと言っても出さないということは、そこにも天下っている可能性があって、そこにももしかしたら埋蔵金がたまっているかもしれないので申し上げているんです。

 そしてもう一つ、大臣、いいですか、この財団の職員は全部で二百三十五人しかいません。二百三十五人しかいないのに、部長さん以上の方が四十名もいらっしゃる。課長さんが四十名もいる。出向者が六十人もいる。引いたら何人ですか。引いたら技術者百人いるかいないかですよ。百人の技術者で三百五件もどうやって仕事を受けているんですか。丸投げであるという傍証は明らかじゃないですか。

 大臣、役所の方からいろいろそういう話を聞いて、そういうふうに御答弁されているんだと思いますが、私、感じたんですよ。役所の方の若手の方も一生懸命財団と話をしていただいて、情報を出せという話をしていただいた。ただ、財団は非常にかたい。なぜか。それは、役所の方にとっては、先輩が天下っていて、同じ機関の先輩ですよ、そんなに簡単には彼らに物が言えないという形が、本当は、発注をしている先の国、発注元の国にそういう立場があるというのが、このヒアリングをしている中で明らかなんですよ。

 大臣、再度答弁を求めます。そこも含めてきっちり情報を明らかにして、そして、この機関のあり方そのものも、大臣として責任を持ってやっていただけますね。御答弁をお願いします。

冬柴国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでございまして、すべて明らかにし、そして御批判を賜ったらいいと思います。

 しかし、その財団が行っている事務というものは、委員も御案内だろうと思います、そこまでおっしゃるのであれば。本当に重要な仕事をしていただいているんですよ。そういう意味で、それは出しますから、どうぞその上で批判をしてやったらいいと思いますし、改革することについては私は人後に落ちません、やりますよ。

細野委員 私も直接話を聞いていますので、では、大臣も直接話を聞いてやってください。

 もう次の団体に行かなきゃなりませんので、次の団体の話に移しますが、私の方から次に指摘をしたいのが、ランキングでいえば三十四番ですか、国際建設技術協会。この団体は四件、道路特定財源から仕事を受けておりまして、すべて随意契約。わずか四十二人の団体ですが、常勤役員が三人、すべて国土交通省。理事長さんは千八百十四万円給料をもらっていらっしゃる。

 その調査の中で一番高い調査があったので、どんなものかなと取り寄せました。ようやく契約書も出していただいて、私はそれを見てびっくりいたしました。平成十八年度、いろいろ報告書が出ていますが、その中で一番大きな報告書は、これではないかというふうに推察をされます。この社団法人国際建設技術協会が随意契約でとった九千百八十七万の報告書です。約一億。注目していただきたいのは五番「履行期間」ですが、十二月の二十八日から三月二十三日まで、わずか三カ月で一億近い報告書をつくっている。そして一番下の「成果品」、報告書はわずか三部。だれも読まないことを前提につくっている報告書であるというのは、これはもうこの数字からも明らかです。

 手元に報告書がありますが、恐らく、この報告書をまじめに読んだ読者は私が初めてだと思います。読んだら半分は参照資料。世界銀行のデータがずっと入っていて、私はネット検索をして、一時間でかなりの部分を見つけました。残り半分も、これは報告書の体裁は整えているけれども、文章がほとんど日本語の体をなしていないようなところまである。

 一文だけお読みします。いいですか。「北京市ITSアーキテクチャ地域性ITSアーキテクチャに属し、以下のような諸点を揃わないといけない。」「a 北京の特徴を十分に反応すること。」「b 適当な先進ので発展性を持つこと。」そのまま読んでいますよ。

 何なんですか、この報告書は。中身といい、そして資料の参照の仕方といい、私もそういう仕事をしていますからよくわかるんですが、全く報告書の体をなしていないんですよ。ほかにも同様の報告書があります。

 大臣、これは一体どうなっているんですか、国土交通省として。

冬柴国務大臣 一度よく調査をさせて、そしてその法人の存続も含めて検討いたします。

細野委員 大臣、ウィキペディアを御存じですか、ウィキペディア。聞いたことはありますか。インターネット上の辞書なんですよ。新しい言葉が出てきたときなんかには、私もそれを引きます。いろいろな人がいろいろなデータを入れているんですね。それぞれ知っていることを書いていて、最新の情報に対応できるので大変いいと言われている。それがこの報告書でも、少なくとも私が発見をしただけで四、五カ所は引用されています。

 ウィキペディアというのは、今はそういう形で活用はされているんだけれども、学生のレポートでも、そんなものを引用したら、これはだれが書いているかわかりませんから、教授がレポートとして受け付けないぐらいの代物なんですよ。

 大臣、いいですか、これは国民の税金でできている一億の報告書ですよ。それがウィキペディアの引用でしゃあしゃあと報告書が出ているということを一体どう考えるのかというのを本当に考えていただきたい。

 もう一点だけ指摘します。こちらは道路関係情報などに関する調査ですが、もう一つ、道路関係制度に関する調査というのも何と六千万円近く、同じ年に発注をされています。こっちはもっとひどいですよ。前の年にも同じ調査が発注をされていて、前の年の調査報告書に書いているものと同じ記述がこれだけありますよ。これは税金をだまし取っているんじゃないですか、前の年の報告書をそのまま流用して次の年に出しているんですから。これはとんでもないですよ。

 会計検査院にも来ていただいているので、最後に一つ指摘をしたいと思うんですが、これの見積書を出せと言ったけれども、ずっと出してくれなかった。ずっと二週間前からやっていたけれども出してくれなかった。ようやく、きのうの午後、出してくれました。そして、契約書が入っています。大臣、資料の後ろの方を見てください、六ページ。これはパネルでは用意しておりません、きのうもらったところなので。

 細かい字なので恐縮なんですが、人件費が、合計をすると、直接人件費のところですね、三千六百二十万円。それと同じ金額が、諸経費のところ、丸を打っています、三千六百二十万円。これも同じ金額がついています。

 報告書の人件費で三千六百万ですね。そして、諸経費で三千六百万ですね。これは何の根拠なのか。私、いろいろ報告書をつくっていましたからよくわかるんですが、大体、経費は高目でも一〇%とか二〇%しか役所は実は上げさせてくれないんですよ。何で道路特定財源だけできるのかというふうに聞いて、ようやく出てきた資料が、大臣、もう一枚めくってください。この根拠は、「設計業務等積算基準」、その下を見てください、下線を引いてあります、波線で。「土木事業に係る設計業務等に適用する。」と書いてある。

 それは、土木業務をすればいろいろ経費はかかりますね。技術経費もかかるでしょうし、さまざまな物件費みたいなものもかかるかもしれない。それであれば、これは三千六百万円、人件費と同じ金額を積むというのはわかりますよ。これは単なる報告書ですよ、文献を集めて。これはとんでもない。こんな基準を適用した報告書、ほかにも山ほど国土交通省はつくっているんじゃないですか。

 会計検査院、来てもらっていますから答えていただきたいんですが、私は、これは予責法違反の可能性も大いにあると思います。明らかに、土木工事の基準をつくって、報告書をつくって、三千六百万、税金をだまし取っているんじゃないですか。こんなものを見過ごしている会計検査院も私は大変問題だと思いますが、まだ審議しているんですから、これはしっかりチェックをして、予責法違反も含めて指摘をしてください。会計検査院に答弁を求めます。

真島会計検査院当局者 国土交通省と社団法人国際建設技術協会との間の契約につきましては、ただいまの委員の御指摘も踏まえて、今後の検査に当たってまいりたいと考えております。

細野委員 会計検査院に何度もここで聞いても多分同じ答えしかしないんでしょうから。

 総理、こういうことが行われているんですよ。これを残念ながら政府の中でも改める動きがこれまでなかったことをどう思われますか。今大臣言われましたけれども、ようやくここに来てですよ。これは一回本当にきれいにして改めてからでないと、とてもではないですけれども、五十九兆円丸々国土交通省にお渡しするわけには私はいかないと思います。総理、どうですか。

福田内閣総理大臣 ただいまいろいろお話を伺っておりまして、細野委員の御指摘どおりということであれば、それは私はあってはならないことであるということであり、政府としてもこの問題には厳正に対応していかなければいけない課題だ、このように思っております。

 先ほど来、冬柴大臣からも発言がございましたけれども、大臣の方としてもこういう問題にしっかりと対応する、こういうふうに言っておりますので、私の方も、国土交通省、また国土交通大臣と一緒になって目を光らせてまいりたいと思っております。

 しかし、こういう問題があろうかということで、かなり厳しく対応するような仕組みにいたしております。もちろん、随意契約、これについては、それは今まであったというのは事実ですよ。ですけれども、そういうことがないようにということで、厳正な対応ができるように、第三者委員会というものも立ち上げましたし、また、随意契約が減ってくれば天下りも自然になくなってくるという性質のものではなかろうかと思います。天下りも、目に余るものについては、これはやはり何とかしなければいけない、こういう意識も持っておりますので、そういうことをすべて対応項目といたしまして、厳正に取り組んでまいりたいと思っております。

細野委員 総理、平成十九年度、今途中ですよね。平成十九年度も同じような調査をやっていますよ。リストは今取り寄せて順番にそろえていますが、ほとんど、ほかの機関も含めて、随意契約、特命契約とかになっている、特命公募とかになっていますが、変わっていないですよ。ここに至るまで現状変わっていないです。やはりそこをしっかり変えてから私はやっていただきたいと思う。

 時間もなくなりましたから、最後に駐車場の問題をやりたいと思います。

 何度もこの問題はここでも議論されてきましたし、メディアでも報道されていますので、細かい説明は省きますが、全部で十四カ所、全国で駐車場がつくられていて、そこに投じられている税金は道路特会から九百九十五億ということで国土交通省からはなっていますが、実際は、プラス貸し付けがありますから、一千億円を超える税金が全国の十四カ所の駐車場に流れ込んでいます。

 きのう、渡部恒三最高顧問を含めて、水戸の施設にも我々行っていますが、そこも、本当に財団でつくる価値があるのかどうかということも含めて、大いに私どもは疑問を感じてまいりました。私も現場を見ました。

 それで、私がこのデータを見ていて、数字を見ていて大変驚いたことがあるので、最後にそれを御説明して大臣に答弁を求めたいと思うんです。

 この駐車場整備、JPO、ここにも天下りが行っていますね、大臣。二十数人行っている。これは、てっきり私は、この機構の本体に国土交通省が天下っていると思っていたんです。ところが、違うんです、大臣。書いてありますが、駐車場は十四カ所あって、その十四カ所のそれぞれの駐車場には所長さん、副所長さんがいて、一部例外がありますが、そこに天下っているんです。十四カ所のうち、天下りの方が全部で十三人、国土交通省からが十一人。

 私、その話を聞いて、ちょっとこれはと思ったので聞いてみたんですね。このそれぞれの天下りの方はどこから来ていますかと聞いてみたんです。大臣、いいですか、国土交通省には地方整備局というのがありますね。その地方整備局には、もちろん幹部の方は何人か行っていますが、ほとんどは現地採用ですね。これは社会保険庁と同じです。そこの地方整備局で働いている方が、その近くの駐車場の所長に直接天下っているんですよ。

 そして、この駐車場をつくるお金というのは地方整備局の予算から出ているんですよ。大臣、わかったんですよ。そこに天下り先ができているから天下ったのではないんです。天下り先をつくるために予算をつけて、新しい駐車場が一つ、二つ、三つと新しくできるたびに、そこに地方整備局の人が天下ることができるという仕組みなんですよ、これは。本当に、こんなことをやられて納税者が納得すると思いますか。

 大臣、徹底して調べてください。これは、場合によっては、国土交通省の地方整備局の方が天下り先を探すためにいろいろな使途をはかって、そこに駐車場をつくって自分が天下っている可能性もあると思いますよ。説明を求めたら、経緯がわかるのは四日市だけ、あとは何でできたかもわかりません。これが国土交通省の今の説明ですよ。

 大臣、徹底して調べてください。

冬柴国務大臣 徹底して調べますし、そして、それについて得た結論は果敢に実行したい、このように思います。

 ただ、そこに十四カ所ありますが、これは、収容台数、全部いくと二千五百台だと思います。それで、これは年間二百万台収容しています。そこへ九百九十五億出ていると言われましたけれども、これは、道路の下に暗渠をつくってそこへ密集する自動車を入れる、そういう道路整備費用として九百九十五億は出ているわけでございまして、駐車場をつくるというそれだけの目的でやっているわけじゃないんですよ。

 ですから、今、はやっていないところをたくさん言われましたけれども、私は、はやっていないところは売り払えということを言っています。しかし、その二百万台の収容された自動車は、中心市街地の渋滞とかそういうものを回避する大きな役割を果たしていることは御理解いただけるだろうと思います。

細野委員 大臣、この期に及んで言いわけは見苦しいの一言です。

 この九百九十五億円でつくった施設は、JPOはただで借りているんですよ。民間で幾らでもやるところはあります。その方がはるかに効率的にやります。民間が買い取れば、そこで固定資産税も発生するかもしれない、税金も発生するかもしれない。やってもらえばいいじゃないですか。

 質疑時間がもうなくなりましたので、これで終わりますが、総理、最後に、答弁は結構ですから、私の率直な感想を言わせてください。

 やはり、過去、私は幾つか特別会計の追及をやったことがあって、ある特別会計をやっているときに、その役所の人に言われたんです。細野さん、弱い者いじめはやめてください、こっちも無駄遣いはあるけれども、一番巨大な無駄遣いをやっている道路特会をちゃんと変えずに、こっちだけ弱い者いじめをするのはやめてくださいと言っていたんですよ。けたが違うんです、けたが。一つゼロが多いんです、報告書も。

 いいですか、道路特定財源は、今、天下り天国です。そして、その反対側は税金の墓場です。これを維持しようというふうに総理はおっしゃっているということ、それをしっかり頭に入れてやっていただきたい。そして、こういう問題に対しては、民主党としては正面から対峙をしていく、そのことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

逢沢委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、道路特定財源についての集中審議を行います。

 質疑を続行いたします。

 この際、馬淵澄夫君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 この予算委員会、道路問題の集中審議ということで、当予算委員会では三度目の質疑に立たせていただきます。

 私は、この予算委員会の中では、道路の中期計画、まさに道路特定財源の、この問題の根幹にかかわる中期計画についてお尋ねをしてまいりました。

 中期計画は、昨年の十一月に素案として作成され、五十九兆円の巨費が道路整備に投じられる計画でございます。今日までの五カ年計画の延長にあるものという理解をさせていただいておりますが、この中期計画での道路整備のプロセスについて、若干、前回、前々回の質疑の確認をさせていただきたいと思います。

 皆さんのお手元には資料が配られていると思いますが、1の資料、パネルをごらんいただきたいと思います。道路整備はどのようになされるかというプロセス。

 確認でございますが、いわゆる道路交通センサス、全国道路街路交通情勢調査、これに基づいて需要推計、これはいわゆる交通量でありますね、将来における道路の交通量、どのような形で需要、すなわち車が走るとされるのかというものを推計を行って、その上で費用便益分析、ここでB割るC、BバイCと呼んだりしますが、これは道路をつくる費用、工事費あるいは土地を手当てする費用、工事費の中には人件費や材料費も含まれます。

 こうした費用に対して得られる効果、これを便益と呼んでいるそうでありますが、効果は、例えば、道路ができて、短期間で走り抜けることができる、時間の短縮が図られる、あるいは、車の経費がかからない、渋滞でオイルなどが余分にかかったりする、摩耗が少ないといった形での経費の減、さらにはスムーズに走ることによって交通事故などが起こりにくくなるといった形で、効果を金額に置きかえて、お金に置きかえて、投じる費用、これは当然税金からですので、投じる費用よりも効果が上回ること、これが一つの条件として規定され、費用を効果が上回れば道路の整備が行われるという、これが一つの流れ、道路整備のプロセスということであるかと思われますが、済みません、きょう、改めての確認でございます。

 大臣、このプロセスでよろしゅうございますか。

冬柴国務大臣 そのとおりで結構です。

馬淵委員 その中で、需要推計と呼ばれるもの、たびたびこの委員会でも取り上げられているわけでありますが、需要推計というのは、将来の交通量、これがどうなるかということであります。この需要推計というのは、先ほど申し上げているBバイC、すなわち投じる費用に対して効果が上回っているかということについては、大変大きな影響を及ぼすかということにつきましては、この委員会で、私、十二日の質疑で大臣に確認をさせていただきました。大臣には、「非常に大きな要素でございます。」このようにお答えをしていただいております。

 そこで、確認でございます。この費用便益の分析というのが、すなわち効果、便益が費用を上回るというのは、これは事業の前提ということでよろしゅうございますか。

冬柴国務大臣 そのとおりでございます。

馬淵委員 そこで、大臣から確認をさせていただきましたが、費用を上回る効果が当然なければならないということであります。これは必須条件であることは、今大臣の御答弁でも明らかでありますが、これは国交省で通達が出されております。客観的評価指標についてという通達が平成十五年の八月一日に出されておりまして、事業採択の前提条件として、高速自動車国道、一般国道、都市高速道路、これらを含めて便益が費用を上回っている、これが大前提だということで、国交省の中でこれも通達で徹底されているということであります。

 さて、この五十九兆円を投じるという中期計画、十年間で五十九兆円でございますが、この中期計画のもととなる、先ほど資料をごらんいただきまして、需要推計を導くためには交通センサスの調査が必要だというプロセスは確認いたしました。この需要推計、平成十四年の十一月に全国将来交通需要として出されておりますが、今回の中期計画の需要推計はこの十四年十一月公表を用いたということでよろしゅうございますか。

 済みません、確認ですので、大臣、端的にお答えいただけますか。

冬柴国務大臣 はい、結構です。

馬淵委員 さて、この平成十四年推計でございます。お手元の資料は2をごらんください。パネルを用意しておりますが、これが平成十四年推計でございます。

 平成十四年十一月に公表された推計なんですが、ずっと右肩上がりで交通量がふえているということがこの図で明らかであります。ふえている実績のもとに、その後の推計も交通量はふえていくという、この推計値を使用されているわけであります。そして、この推計のもとに中期計画、五十九兆円の巨費を投じる計画がつくられていくわけでありますが、これに対して、直近前の実績はどうかということを私は前々回の質疑でも確認をさせていただきました。

 お手元の資料では、この実績は3でございまして、パネルを差しかえていますが、こちらに実績値というのを示しております。推計は上がっているんですが、実績は実は直近を見れば下がっている。そして、この直近というのも、ごらんいただきますと、過去、これは平成十三年から横ばいになっていて、そして十六年以降三年連続で減少しています。実績値は明らかに、このパネルでは紫なんですが、下がっている。

 この実績、これは単に一時的なものではないと考えるんですが、大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 これからの経済の動向、社会の動向、それから例えば女性、高齢者の免許証取得というような情勢、あるいはいわゆる都心居住ということがどう影響するのか、あるいは一回乗って走る距離というものも大変大きな問題があります。

 したがいまして、この走行台キロというものがどう動いていくか、これはにわかにそれだけのものでは判断は難しいと思います。したがいまして、我々はその後の将来推計というものを今一生懸命やっているわけでありまして、その結果を得ないと、今のお尋ねに対する明確な回答はできないと思います。

馬淵委員 いろいろな要因があるというお答えでありますが、この実績を見れば、横ばいになり、そして三年連続下がっている。一時的なものというよりも、むしろ、これから人口減少社会の中でいえば、トレンドとしてとらえるべきではないかと思います。大臣は、いやいや、これではわからない、今そういうお答えでありましたが、私はそれに対しては非常に不思議な気持ちで今お聞きをしておりました。

 さて、このような実績がある中で、先ほど、平成十一年センサスの結果の十四年推計、今、推計値なんですが、これが直近のもの、最新のものとして中期計画で用いた、こういう御説明をいただいておりますが、その後、平成十七年にもセンサス調査を行っております。その結果を踏まえた推計があるかどうかということを私、十二日にお尋ねをいたしました。そうしましたところ、大臣からは、ない、最新のものを使っているというお答えで、十四年が最新だというお話でございました。

 しかしながら、将来交通需要推計に関する検討業務、平成十九年三月というこの報告書の存在が明らかになりました。この中では、平成十九年三月、すなわち中期計画がつくられる八カ月前に推計をこの中でしておりました、需要推計をしておりました。ようやく入手したこの中で、私は推計値をこの委員会でも明らかにさせていただいたわけでありますが、残念ながら、今まで、この委員会で十二日に私がお示しするまで、この存在すら明らかになっていませんでした。

 大臣、なぜこれが表に出ていなかったんですか、隠されていたんですか。大臣、お答えいただけませんか。

冬柴国務大臣 このような多くの政策を実行するための資料というのは、本当に山ほどあります。その中の一つであります。もちろんそれは重要でありますが、別に隠したわけではございませんで、そこへ出てきた問題、要するに、将来の、十一年と十七年のセンサスの傾向から減少ということが考えられると。これは最終的には確定はしませんよ、さっき申し上げたとおりですが。そういうこともあわせ考え、普通、社会資本の整備の場合、一・〇のBバイCでとりますけれども、一・二というアローアンスを見て、そしてやるということは、そこの報告の成果であると私は思います。

馬淵委員 公表されておると、前回も何かそのように局長は御答弁されましたが、全然これは我々の手にも入らなかったんですよ。これは大変な時間と手間をかけてやっと入手した。その上で、これが出てきたときには、大臣は、いや、途中段階、途中経過、途中報告という御答弁でありました。

 ここに載っている推計値、どういうものか。これはお手元の資料の4でございます。パネルにも用意しておりますが、先ほど示した実績値が入っているんですね。実績値が入っていて、そこから、十九年三月、これは推計し直しているんです。下がり出したところを、これはかなり無理にトレンドを上げています。

 そして、この推計値の値そのものを十四年推計と比較しますと、5の資料でございます。これを見ますと、十四年推計、このオレンジ色の線から比較すると、グリーンの線です、これは下方修正されています。実績値が下がっているのを踏まえて下方修正したんでしょうが、これもかなり無理くりに私は上げているように見えて仕方がありません。二〇三〇年という値を見れば八・七%の乖離がある、これもこのように指摘をさせていただきました。

 大臣、再度確認なんですが、途中段階、途中経過、途中報告との御答弁でありました。しかし、これを見れば、明らかに下がっている中で、これを使いたくないがゆえに途中段階と言っているというようにしか聞こえないんです。

 先ほど申し上げたように、この十九年三月のデータそのものは、我々が予算委員会を始める前にどんなに要求してもこれは出していただけなかった。私が、ありとあらゆる傍証から、計量計画研究所という財団に発注されている業務を把握した上で、契約書の中身を確認して、それでも、やっと、この十八年度と書いてある、将来交通需要推計に関する検討業務という書類を出してくれと具体的に指摘をして初めて出てきたんです。このように隠している。そして、出てきた数値は実績を反映すると下がっている。そして、それを中途段階だ、このように強弁される、反論されるというのは、私は、これは余りにも都合のいい主張ではないかという感じがいたします。

 とりわけ、大臣は前回の御答弁の中でも、新しいデータによる推計というだけであって、適切なモデルを今後考えるというふうにおっしゃっていますが、適切なモデルというのは一体何なんでしょうか。単に推計値を上げるためのモデルをつくっている、そのように聞こえてならないんですよ。

 そして、そのような都合のいい主張を繰り返されて、これはまだまだ途中なんだから、ことしの秋に出ます、こういう答弁でありました。秋には出てきても遅いんですね。今まさに審議しているときにこれは出てこなきゃいけないものなんです。それを私は申し上げたわけですが、大臣はそこでも、いえいえ、途中経過、途中段階ということで終始されましたが、大臣、この御答弁、都合のいい主張ではないんでしょうか。いかがですか。

冬柴国務大臣 我々がこの中期計画をつくるに当たって求めたのは、交通センサスの結果だけじゃなしに、将来の交通需要予測を求めているわけでありまして、それの有力なものでありますが、その資料がそれなんです。

 ですから、これはテレビに映りませんけれども、これが何かわかりますか、OD調査。これは、百二十九万カ所でとったものを、縦六千、横六千、日本国じゅうをそういうふうにエリアを決めて、そして、アンケートに基づいて、一点からどこへ移動したかということを全部整理しているんですよ。これは東京二十三区だけです。それでこれです。

 こういうものを求めて、そして今のセンサスの結果を分析して、そしてそれから、どこからどういうふうに行くのかというモデルを決めて、それで決めるわけでございますから、それには統計学の専門家もみんな入っていただいて検討するわけですよ。

 ですから、センサスの結果をとらえて、そうなっているからこれでやり直せというのは、ちょっと私は、中期計画そのものを見てください、私どもはそういうことをきちっと書いてありますよ。それは最新の交通予測を通じてやっているんだから、それで判断をしてくださいということを申し上げているわけでございます。

馬淵委員 大臣、いいですか、これはセンサスの結果だけ載せているわけじゃないんです。センサスの結果をもとに、過去に行った推計方法もきちっと検証しながらデータをつくっているんですよ。それを大臣は、いや、ほかにもある、ほかにもあるとおっしゃいますが、単にふえる要因を探しているだけに聞こえて仕方がないんです。

 さて、大臣がおっしゃったさまざまな要因の中には、女性高齢者の運転機会の増加等々おっしゃっておられました。しかし、これも、民間の調査結果の中には、日本自動車販売協会連合会と三菱総合研究所の一昨年の調査などでは、人口減に加えて、運転しなくなる高齢者の増加等が指摘されております。

 このように、減る要因というのはたくさんある状況の中で、例えば国内保有台数、自動車、これも、推計にある二〇二〇年ピークという十四年推計の値とは別に、二〇一七年で約六・八%も低い六千十八万台でピークになるのではないかといった、こうした調査もあります。

 結局、減要因、減る要因があるにもかかわらず、それを見ないという姿勢に私は見えてならないわけであります。

 そこで、再度確認をさせていただきたいんです。先ほどの実績をもう一度見せていただきますが、この実績、とにかく減っています。これは十九年三月の数値なんです。十九年三月まで減っていて、その後はどうかというと、月々の数値は十九年の五月まで出ています。十九年四月、十九年五月と出ているんですが、運輸統計月報を見ますと、十九年四月には対前年同月比でマイナス二%、十九年五月は対前年同月比でマイナス三・三%。やはりこれは落ちていっているんですよ。ずっと落ちていくんです。

 トレンドというのを見るのが推計の重要なかぎであります。したがって、それを無視するというのは私は本当におかしなものだなと。これが途中段階だ、途中経過だと言われることの意味というのは、私は、何らかの形で上げる要因を探しているというふうにしか聞こえないわけであります。

 さらに、この要因以外にも下がる要因というのは幾つかあります。ガソリンの高騰であります。ガソリンの高騰に関しては、例えば、これは国内の販売量の推移、これを見ますと、経産省で出ている数値でありますが、平成十七年、十八年、十九年と、ガソリンの販売量が減ってきています。高騰による結果なんです。そして、これについては、ガソリン価格といわゆる交通需要推計に係る交通量、この関係もこの報告書の中に載っております。

 資料6をごらんください。ガソリン価格が上がれば走行台キロは減少するというのが、この検討報告書の中にもしっかり示されています。

 大臣、このように、需要が下がる要因というのはたくさんあるという状況で、ガソリン価格の高騰、台キロも関係してこれが示されていますが、これについてはどうお考えになられますか。端的にお願いします。

冬柴国務大臣 GDPの動きもガソリン価格も、これはそのときそのときによって動きます。

 しかしながら、私どもは、馬淵さんも考えてほしいんですけれども、数次の閣議決定によって、十九年中に、すなわち十九年というのは去年中に、いわゆる暫定税率を御負担いただいているタックスペイヤーに対して、十分、これを払っていただいたらこういうふうなものを提供しますという受益の内容を具体的に示しますという約束をしているわけです。

 したがって、十九年の十一月十三日にその冊子を、大部のものを皆さん方にお配りしていますけれども、これをつくるための時間も要るじゃないですか。そして、そのときに一番最新の資料を使ってそれをつくっているわけでありまして、途中経過のものについてそれを使うわけにはいきません。しかしながら、ことしの秋にはファイナルなものを出します。それに基づいて、今後、そこに書かれた道路を整備する場合には、最新の推計を用いてそれをつくるかどうかということを判断していくわけです。

 そこに書かれたものは、全部つくるわけではありません。百八十七の区間についてBバイCをとってあります。しかし、それをつくるということを意味しているわけではなしに、それを検証した結果、こういうふうにすればBバイCは一・二を超えます、つくる可能性はあります、そういうことを言っているわけでありまして、将来それをつくるかどうかは新しい最新の資料で判断するということでございますので、その点、御理解いただきたいと思います。

馬淵委員 つくるときにはまたし直すんだとおっしゃっていますが、何度も申し上げるように、これは、もう既に今日までの十三次にわたる五カ年計画でも計画以上につくられてきているんですよ。その踏襲をしているというこの計画は、このまま放置すればつくられていく可能性が十分に高い。だから、我々はこの予算委員会での審議が大事だと申し上げているのであって、今のお話であれば、この計画を出す必要はないじゃないですか。

 さて、総理にちょっと確認なんですが、今、私と大臣の質疑をお聞きになられてどのようにお感じでしょうか。

 前回、私、総理にお尋ねしたところ、このようにおっしゃいました。正直言って、私自身、わからないと、技術的なことですから、国土交通省によく聞いていただきたいと思いますと。技術的なことを私はお尋ねしたのではありません。総理は、人間の判断というのがあるんです、判断が大事なんですとおっしゃいました。判断が大事だからこそ、私は、こうした質疑の中で、非常にあいまいで、かつ本当にこの現状を明らかに照らし出しているかどうかわからないような中期計画は考え直さなければならないのではないか、人間の判断が問われているのではないか、こうお尋ねしたわけです。政治のリーダーシップが問われているということをお尋ねしたわけです。

 総理、いかがですか。わからないでは困りますよ。

福田内閣総理大臣 需要推計のお話になりましたけれども、道路の事業量ということについては、さまざまなデータの積み重ねなんですよね。そういう積み重ねの中で、もちろん、いろいろな判断があるんだろうと思います。それはあるはずですよ。ですから、そういう判断も加えて考察して結果を出したものだというように思います。

 御納得がいかないと。それは、全部説明しているわけでないから、御納得いかないというようなこともあるかもしれません。それはひとつ御納得いくまでお尋ねいただきたいと言うしかないんですね。ぜひそういう努力もしていただきたいと思います。

 それからもう一つは、最新のデータというのがすべて正しいかどうか、これも、そういう需要推計では必ずしも合致しないときもあります。そういうときに、やはり判断というものが入ってくるわけですね。それは推計ですから、どうしても人間の考えというのは入ってきますので、数字だけで決まっているものではないかもしれない。その辺のところは、政策判断というものもあるかもしれません。そういうことも含めて考えていただきたいというように思っております。

馬淵委員 政策判断というのであれば、この審議を通じて、私は、中期計画が信頼に足るものではないのではないかということ、これはもう十分明らかになっていると思いますよ。まさに政策判断していただかなければならないときに来ていると思います。

 さらに、この問題について確認をしていきたいと思うんですが、さて、需要推計の話をしてきましたが、中期計画の中では、先ほど大臣もおっしゃいました、百八十七の高規格幹線道路、それはすべて費用と便益の分析がなされております。これは、中期計画の中には、費用便益分析マニュアルを適用して算出したと書かれています。

 そこでお尋ねをいたします。

 中期計画と同時期に、ちょうどこれは十九年十一月、昨年の十一月なんですが、同じ十一月に「高規格幹線道路に関する点検について」という公開資料がございます、これが公開されておりました。評価方法が載っています。お尋ねしますが、大臣、中期計画は、この「高規格幹線道路に関する点検について」、これには従って行ってはいないんでしょうか。端的にお答えください。

冬柴国務大臣 従っております。

馬淵委員 大臣、中期計画にはこの「高規格幹線道路に関する点検について」は一切の記述がないんですが、これはなぜなんでしょうか。今御答弁いただきましたが、これは従っているんですよね。これには一切の記述がないんです。費用便益分析マニュアルにのっとってということしか書いてありません。なぜ、この「点検について」にこれは記述されていないんですか、お答えいただけますか。

冬柴国務大臣 調査して、なぜなのかお答え申し上げたいと思います。

馬淵委員 そこで、ではお尋ねをしますが、なぜ載せなかったのかわからないということでありますが、この「点検について」という冊子に載っている将来交通量の検討の方法なんですが、お手元の資料7に、お配りをしましたところに載せておりますが、この「点検について」の方法は、将来交通量の推計を「二〇三〇年の値で一定」としております。これはどういうことかといいますと、つまりこれは、推計値は、ピークは二〇二〇年なんですが、二〇三〇年、ちょっと下がっていますけれども、この二〇三〇年の値でずっと一定にするという計算をしました、こう書いてあるんですね。

 そこでお尋ねをしたいんですが、このように、推計値が下がっているのに二〇三〇年の値で固定、これでいうと八六二という数字です、八千六百二十億台キロ、それでずっと固定にして計算したということをこの「点検について」は書いてありますが、それでよろしいんでしょうか。端的にお答えください。

平井副大臣 一万四千キロを対象に未供用箇所の費用対便益を算定することから、これらの全国の幹線道路網が全線完成している時点を念頭に、基準年を二〇三〇年とさせていただいています。

馬淵委員 ではお尋ねをいたします。

 実際の事業評価の費用便益の計算では、このように数値を固定するんでしょうか。これはいかがですか、大臣。

冬柴国務大臣 済みません、先ほど調査して申し上げると言った、「点検方法の概要」のところで、百二十四ページに「民営化時と同様の評価手法を用い、費用対便益に加え、外部効果も加味して、下記二に示す手順で点検を実施。」ということで、丸括弧の中にその引用できる部分が書いてありますので、それを見ていただければより詳細な部分が出てまいりますということです。

 それから……(馬淵委員「今質問しました」と呼ぶ)いや、それは、固定するかどうかということは、今後の、そこへインプットする数値、そういうものによって、今、この秋まで、先ほどから何回も言っていますけれども、将来交通予測というものを今求めているわけでございますから、そういうものによってそこへは入れ込むべきであります。そういうことでございます。

馬淵委員 いいですか、二〇三〇年の値で固定しているんですね、この中期計画の計算は。そして、私は、これはなぜ固定しているのか、一般の事業評価のときはどうするんですかとお尋ねしているんです。

 お配りした資料8をごらんいただくと、これは、実際に便益計算の分析の結果が公表されております。便益の現在価値算定表ということで、これは国道二百七十二号、上別保道路、北海道ですね、ここでの便益の計算をここで公表されております。これを見ますと、需要推計が、例えば二〇三〇年で見ますと、これは下がっているんですね。同じように、便益というのもこの需要推計が下がっていく。交通量は減るわけですから、当然、車の量が減るということは、車が得られる便益、効果というのは減っていくんです。減るという計算をこの実際の評価ではしているんです。

 ところが、中期計画では固定して、減る計算をしていないんですよ。便益が高くなる計算をされているんです。

 再度お聞きしますよ。なぜこれは一定の固定でやっているんですか。二〇三〇年の八六二という数字のままずっと固定という前提で、この中期計画の百八十七路線は計算されているんですよ。これはどういうことでしょうか、大臣。

平井副大臣 点検に当たって、現段階では百八十七の個別区間の供用年次の設定が困難であるということ、そして同一の条件での評価が可能であるという観点から、民営化時の評価と同様にさせていただいています。

馬淵委員 これは、私が申し上げたように、実際の評価は、需要推計が下がっていけば便益は減るんですよ。

 では、もう一度確認しますが、需要推計が下がっていくということは便益が減るということでよろしいですか、この理解でよろしいですか、端的にお答えください。

冬柴国務大臣 それは、走る車両が少なくなれば、たくガソリンも減れば交通事故の可能性も減るわけですから、それは減るでしょう。減ると思いますよ、私は。

馬淵委員 減るんですよ。減るから、実際に、道路の便益計算算定表を見れば、明らかに減る数値を載せているんです。にもかかわらず、中期計画では固定にして計算をしている、なぜですかとお尋ねをした。先ほどは供用開始年次がわからないからということでありますが、端的に言えば、便益が高くなる計算方法をとっているんです。

 そして、先ほどの実績との乖離、これを見ていただいたらわかるように、実績が下がった推計では八・七%平成十四年の推計よりも下がっていて、便益がどんどん下がっていくにもかかわらず、二〇三〇年八六二の数字でずっと固定して計算をしたのがこの中期計画。この中期計画は便益が高くなる計算の仕方を選定しているということにほかならないんですよ。

 そして、十九年三月の推計値は下がっている、八・七%もこれは下がってきています。これは中途段階だと大臣はおっしゃいますけれども、この下がっている状況で、これは今後どうなるかというのが私は非常に問題だなと思っています。

 そこで、別の観点からお尋ねしますよ。

 大臣、このように需要推計が下がったりした場合には便益にどのような影響を与えるかというその試算なりというのは、されたことはございますでしょうか。

平井副大臣 ございます。

馬淵委員 これは、将来交通量予測のあり方検討委員会という報告書が十六年三月に出ております。この中で、需要推計、すなわち交通量が減った場合にどれぐらい便益に影響を与えるかという算定をされています。このあり方検討委員会報告書、これについては、前回の私の質疑の中でも、専門家の方々の意見として従うべきものということで大臣が御答弁されました。御記憶あるかと思います。そして、この中ではっきりと、交通量が減った場合にどれぐらい便益に影響を与えるかというのを、算定例を示しています。

 資料の9、10、お手元にありますが、算出例として、二〇三〇年の需要推計、交通量が一%下がった場合にどれぐらい費用便益の分析に影響を与えるかという算出例の計算をされているんですね。これを見ますと、一つは群馬県の鯉沢バイパス、これは群馬県、総理の御出身のところでありますが、ここでは、一%の需要推計、交通量が下がった場合には三・六%便益が下がるという計算がされています。そして算出例二を見ますと、これは片や千葉の四百六十四号バイパス、ここでは一%下がると便益は一・五%下がるとされています。

 資料の11、わかりやすく模式図化すると、交通量が一%減ると、一つの例でいえば三・六%便益が下がる、こういう計算をされています。また、もう一つの例でいうと一・五%。これは、それぞれ個別の路線で、さまざまな要因によって変わる部分はあるかもしれません。しかし、このように、過去においては、需要推計の変動によって変わるという計算の確認がなされています。

 そこで、資料の15をごらんいただきたいと思うんですが、確認をさせていただきたい。このように、交通量が一%下がると、三・六%便益が下がるケースあるいは一・五%下がるケースというのがあるんです。しかし、今回の中期計画というのは、二〇三〇年の値でずうっとこれは交通量を固定していますから、便益は高く出ます。さらに、二〇三〇年の数値、ここは、十九年推計を見れば八・七%下がっているんですね。これは、仮に十九年推計の数値を入れたときにはどうなるでしょうか。

 大臣は再三、私の質疑に対しては、BバイCは大変これはアローアンスが高い、アローアンスがあるとおっしゃっておりました。一・〇ではなく、着工できるのに一・二とっている、アローアンスがあるんだ、ハードルを上げているんだ、このようにおっしゃっていました。しかし、この例を見た場合に、二〇三〇年の値で固定をしている、便益を底上げするような計算の仕方をしている中で、この八・七%、仮にこれが落ちたらどれぐらいの影響があるか、試算をしてみました。

 このあり方検討委員会に書いてある方法で試算をしてみましたところ、同じ計算の仕方をしました、お手元の資料には14に示しましたが、三八・二%下落します。便益の計算は、四割近くこれは落ちるんですね。大臣、これは何を意味しますか。資料の17をごらんください。四割も便益が落ちてしまうんです。

 このように、二〇三〇年の値を固定して便益が上がるままの計算を今中期計画でやっていますが、あり方検討委員会の報告書に載っているような計算方法を実際に当てはめてみると、これは四割もBバイCが落ちてしまうことになりますよ。大臣は、アローアンスがある、アローアンスがあるとおっしゃっていましたが、現実には、これは一・六一八の道路が一を切るような、そういう可能性さえあるということを示しています。

 大臣、一・二でアローアンスがあるとおっしゃっていましたが、アローアンスないですよ。これをどうお考えになりますか。

冬柴国務大臣 これをつくった時点の判断なんです、これは。あなたは、それは、将来私どもがこの中から、百八十七の中からどれかを選んで整備するときに一を切ったらどうするか、こうおっしゃるんだろうと思うんですが、一を切ったらやりませんよ。それは着手しません。

 ですから、この時点では最新の資料を用いてBバイCを行ったところ、その時点で、そこに細かく書いてあるじゃないですか、その一・二を超えるようになるということなんですよ。いいですか。

 ですから、その時点でなぜそういうことにしたかといえば、それは、あなたが一生懸命おっしゃるそれが出ていて、減るじゃないかということがあるから、そういうことも含めてそういうふうにしたわけであります。

 したがって、この中から現実に道路の整備に着手するときには、それはBバイCをその時点でとるわけですから、私は全然矛盾しないと思いますよ。

馬淵委員 大臣、それなら計画の意味がないじゃないですか。

 もともと、五十九兆円で十年間、過去においても五カ年計画、ずっと計画をしてきて、それ以上の実績がある、達成率一〇一%の場合もあったんです。計画以上に道路がつくられてきた。そして、本当に今、特定財源で道路をつくる必要があるのかという議論をしている中で、計画というものがどういう位置づけなのかをずっとこの委員会で議論してきたんですよ。

 その上で、今大臣は、一・二、アローアンスがある、アローアンスがあると言われるが、とんでもない。中期計画の計算は、二〇三〇年で交通量を固定して、高く出る計算方法をとって、そしてその上で、十九年三月の推計値で八・七%落ちている、そのままその八・七%落ちているという状況で試算すれば、この政府が出したあり方検討委員会の方法で試算をすれば、四割も落ちるんです。

 今、この中にある百八十七路線の中で、一・六一八を下回る路線、全部で六十八路線ありますよ。つまり、中期計画で挙がっている百八十七路線は、こうした感度がもし適用されるのであれば、六十八路線、これは一未満になりかねないんです。つまり、この中期計画というものは、もう一度根底から見直さなければならないものだと言わざるを得ないんです。いかがですか、大臣。

冬柴国務大臣 どうもかみ合わないのは、私どもは、これ……(発言する者あり)いやいや、だから、平成十九年十一月十三日にこれを皆さんに発表しています。これをつくるためには、印刷もしなきゃならないし、随分前からやっているんですよ、これは。

 しかし、その時点での最新の資料を用いて百八十七についてBバイC、これはあの道路公団改革のときに用いた手法をそのまま用いてやっているんですよ。ですから、馬淵さんのところの奈良の道路だってちゃんと入っていますよ、これは。BバイC、高い値で入っていますよ。

 私どもは、でも、いいですか、整備に着手するときにもう一回やるわけです。このままでやるわけじゃないですよ。こう書いたからやるというのじゃないんですよ。そうでしょう。ですから、そのときには最新の、あなたのおっしゃるそれよりももっと最新のものを用いて判断するんです。ですから、矛盾はしていない。

馬淵委員 大臣の呪文のように唱えるアローアンスというのは、もうこれは破綻していますよ。

 総理、もう時間がありませんが、今大臣に私尋ねて、もう全く説得力もない御答弁しか私はいただいていないんですが、総理、先ほどもお尋ねをしました。責任ある立場で、まさに人間が判断すべきと、国民本位の生活をつくると所信表明で、施政方針で訴えられた総理、国民本位の行政、新しいやり方を問うのであれば、全く説明できないようなこの中期計画の策定は、これは一からやり直さなければならないんじゃないですか。少なくともこの一年間は、二十年秋に出るならば、凍結をして、来年予算委員会でやりましょうよ。来年予算委員会で再度この中期計画の根本的な議論をしようじゃありませんか。総理、いかがですか。

福田内閣総理大臣 これは、必要性をどう判断するかということ。これについて疑問があれば、ぜひ、国土交通省でそういう数字をつくっているわけですから、お尋ねをいただきたいと思います。それは、ぜひそういうふうにしていただくしかないんですよ。ですから、ぜひそれはお願いを申し上げたい。

 そしてまた、この秋もしくは今年中に新しい数字が出るというのであれば、来年の予算に十分反映させることはできるし、そのことが全く無駄ではないと私は思います。

 御意見は御意見として、十分拝聴いたしました。その御意見を体して、政府といたしましても、よりよい計画をつくるという努力はこれからもしてまいりたいと思っております。

馬淵委員 総理は、国民本位の行財政への転換と施政方針演説で語られました。国民のため、国民のためとおっしゃいます。

 しかし、お話を聞くと、国民のためではなく、現在ある道路官僚あるいは道路族、まさに国民とかけ離れた政治を行おうとしている姿勢にしか聞こえないということを私は強く申し上げて、私からの質疑は、お答えありますか。お答えがあるなら、どうぞ。

福田内閣総理大臣 国民は日本全国においでなんですよ。そうでしょう。では、交通量が減ったからといって、その部分について道路を全く引かないとかいうようなことがあっていいのかどうか。むしろ、そういう地域があれば、人口がふえるようにしてさしあげるというのも一つの政策判断と思っております。国民本位に考えてまいりたいと考えておるところであります。

馬淵委員 真に必要な道路をつくるための議論として、中期計画がその礎となるという話なんです。しかし、その前提が崩れかけている、いや、崩れている状況をこのまま放置してやろうという総理が国民本位だということを強弁されても、全く説得力がないということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

逢沢委員長 この際、武正公一君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 今、馬淵委員の質疑の中で、最後、総理は、需要推計あるいは交通センサス、こうした科学的な統計に基づいて、高速道路を含めた十年計画、五十九兆円、国民一人当たり五十万円、これに関連する法案が、きょう衆議院本会議で出される。その議論が、この予算委員会でも関連してずっと行われてきております。

 その中で、BバイC、先ほどの総理の御答弁では、そうしますと、一・〇以下でもつくらなければならないということと受けましたが、そういうことでよろしいですか。総理の御答弁でございます。

福田内閣総理大臣 私は切り分けて発言したつもりでございますけれども、今の計画は、一・〇を上回るということでつくっているわけです。特に、多少のアローアンスを持って一・二、余裕を持って一・二ということでつくっておるわけでありますから、一・二ということは一つの基準になると考えております。

武正委員 先ほど需要推計のところでも、総理は、政策判断だというふうにお認めになっておられます。ということは、国交省が言っている交通センサス、そして交通センサスをもとに需要推計、需要推計をもとにBバイC、こうした科学的な見地、あるいは第三者のさまざまな委員会の公平公正な見地からの道路整備計画ということでありますけれども、さっき総理は、政策判断があるというふうに言われました。

 そのこととあわせて、先ほど、道路をつくらなければならない場所もあるんだ、BバイCが一・〇以下でもつくらなければならないところもあるんだ、そういうことを言われたんじゃないですか。違いますか。

 一・〇以下はつくらない、しかも、一・二以上がこの中期計画の目標であるということでよろしいですか。

福田内閣総理大臣 今つくっている計画は、ずっと国土交通大臣が説明しているとおり、一・二以上ということでやっておると私も理解いたしております。

 私は、さっきの話は将来の話をしていたんですよ。そうでしょう。将来どうなるかということの観点から、そういう場合には政策判断というものがあるから、だから、将来、結果として一・〇を切るということがあったとして、それはそのとき考えればいいことなんですよ、正直申しまして。だって、それは、結果としてそうなるということはあり得るということだからね。そんな、推計が絶対に間違いないということはないはずですよ、それは人間のやることで。ですから、そういうことについては、もし仮にそういうことがあったとしても、道路は必要でないのかどうかということについての判断はそのときにしていただきたい、こう思います。

 ただ、いろいろなデータを使ってやっていると思いますよ、この一・二をつくるために、一・二以上ということでやっている場合に。しかし、どのデータを使うかとかいったようなことについては、やはり政策判断というのは当然あるんだろうというふうに思いますよ。それは自然だと思いますよ。何でもいいから新しいデータが来たらそれを突っ込んでやればいいんだという、そんなことでは私はないと思います。

武正委員 改めて確認をいたしますが、将来、BバイCが一・〇以下であってもつくる場合があるということですか。

福田内閣総理大臣 今の判断として一・二以上ということを計画で規定しているわけでございますから、それは、今の判断としては一・二以上ですよ。しかし、三十年たって予想が外れたということもあるわけですよね。そのときにどうするかというのはそのときの判断であって、そこに人がいるというときに、では道路をつくるかつくらないかというのは、これはそのときの政策判断じゃないですか。

武正委員 私が聞いているのは、これで中期計画、十年間で五十九兆円の道路整備の大枠を決めるわけです。その中でこれから具体的に整備路線を決めていくときに、必ず最新のデータでBバイCをはかるんだということも再三国交省は言っておられます。その中で一・二以上のものを優先的にやっていくんだ、一・〇から一・二については見直しますということも、昨年の高規格道路の検討であらわしております。四車線を暫定二車線とかあるいは完成二車線とかいう形で、中期計画をこの国会に、十年間で五十九兆円かけるんだということで、しかもその道路特定財源に関連する特例法案も、きょう、たった今、衆議院本会議で趣旨説明と質疑をやったわけですよ。

 その中で、将来、一・〇以下でも整備をするということで改めて確認をしていいんですか。総理、着工をするということでいいんですか。これから将来BバイCをやっていった場合に、一・〇以下でも着工するということでいいんですか。国交省の説明と違いますよ。

福田内閣総理大臣 私は、そんなこと言っていませんよ。今、今の計算として一・二以上ということでつくっているわけでしょう。そして、この計画の範囲、十年間ですか、それは一・二を切らない、こういうような推定で採択している、こういうふうに私は思っております。

武正委員 先ほどのお答えと違うじゃないですか。

 先ほどのお答えは、こういうふうに言いましたよ。これから、需要推計が合っているかどうかわからない、需要推計も変わってくるかもしれない。そしてまた、BバイCの値も、今は一・二以上が着工という基準だけれども、一・〇を切るかもしれない。でも、道路はつくらなければならない、地方ではそうした声もある、だから一・〇ということに限らずに着工する場合もある。このような趣旨でさっき総理は答えられたんですよ。いかがですか。

福田内閣総理大臣 今、十年計画をやっているわけですね。その十年計画の中で一・〇を切るという予想はしていないんですよ、国土交通省で。一・二ですか、切るとは思っていないんです。ですから、計画として計上しているということなんですよね。おわかりでしょう、それは。そうですよね。

 私がさっき言ったのは、それはそのときそのときで、一・二もしくは一・〇を切るとかいったようなことになったときに、今は一・二にしておきますけれども、一・二を切るというようなことになったときには、それはそのときの政策判断でどうするかということを考えることはあり得るということを申し上げたんですよ。

 それはそうでしょう。人が住んでいて、そこのところは要りませんというわけにいくのかいかないのかというのは、やはり、武正委員だって、そういうふうな必要性を感ずることはあると思いますよ。だから、それはそのときに考える。

 ただ、この中期計画の十年間においては一・二以上、こういうことを考えているわけですよ。ただ、今までは一・〇でやっていたんですね。なぜ一・二かというと、今いろいろ委員御指摘のとおり、需要は少し弱含みとかいったようなことがあるから、そういうふうなことも勘案して、余裕を持って一・二にしておる、こういうふうに私も理解いたしておるところでございます。国土交通大臣はそういうふうに答弁していると思います。

武正委員 平成十一年のセンサスで今回の中期計画をつくっておられます。もう平成十七年のセンサスの数値が出始めている、ことしの秋には出る。だから、我々は、最新の数値で中期計画をつくり直すべきだというふうに言っているわけなんです。

 先ほどから我々の委員が言っているのは、もう車が減ってくる、そういう傾向がわかっているんだから、車が減ってくる、その中で一・〇を切る計画が今回の中期計画のうちでも六割近くを占める。だから、この一・〇を切った場合どうするんですかと言ったら、総理は、将来そうした一・〇を切った場合でもつくらないわけにはいかないでしょう、政策判断なんですよ、こういうふうに言われる。

 とすると、私どもが今、この中期計画で平成十一年の数値をもとに、将来、一・二以上、一・〇以上つくるんですよ、五十九兆円ですよといってこの審議をしている、その土台が崩れてきてしまうんですよ。総理の先ほどの答弁は、将来推計が変わってきて一・〇を切った場合でも道路をつくってもいいんだということだったら、我々は審議ができないわけですよ。どういう基準で五十九兆円を十年間かけてしかるべしということを、我々は真剣にこの予算委員会で審議しているんです。

 先ほどの発言はやはり撤回していただかないと。今与えられた最大のベストの新しい推計値でその計画を立てるべきなんですよ。それをやらないで、十一年の、十年前ので出して、将来、数値が変わったらそのとき考えればいいというのは無責任です。どうですか、総理。

福田内閣総理大臣 いや、さっきはこれは二〇三〇年というような数字でもって話があったんですよ。だから申し上げた。よく聞いておいてください、あなたも、話を。その上で言ってください。

 この十年間についての話といったらば、もうさんざん国土交通大臣から説明しているとおりなんですよ。それ以外のことはございません。私も全く同じことでございます。

武正委員 中期計画をつくるのはこれから十年間であります。しかし、その十年間の中期計画の先には二〇三〇年があり、二〇五〇年があるんです。そうした将来の全国的な高規格幹線のネットワークの中で、ここで十年間が位置づけられているんですよ。ですから、二〇三〇年、二〇五〇年の将来の需要推計が変わってきたら、当然この十年間も影響を受けるんです。この十年間だけよければいい、この十年間だけ一・二以上だったらいいじゃないかというのは、開き直りにしか聞こえません。

 改めて、この十年間が一・二以上であれば、先ほどのように、その先、将来需要推計が下がって一・〇以下であってもつくっていいじゃないかという総理の答弁は、撤回をしていただかなければならない。二〇三〇年でも同じであります。二〇三〇年でも、将来需要推計一・〇以下であったらつくったらいいじゃないかというのは、今その十年間の計画は、将来、二〇三〇年を見据えても立てているんです。二〇三〇年、一・〇以下だったらつくっていいじゃないかという先ほどの答弁は撤回をしていただきたい。総理、どうですか。

冬柴国務大臣 最新のものでつくり直すべきだ、こうおっしゃるんですが、平成十九年十一月時点での最新の将来交通需要推計は、平成十四年十一月に発表されたものでございます。したがって、それに基づいてこれをやっているわけだから、最新の資料でやっているんですよ。何も交通センサスが出たから、それで変えているわけじゃないですよ。

 ですから、モデルは、この推計は、センサスは十七年九月から十一月にやっていますよ。しかし、それはファイナルじゃないじゃないですか。それをもとにして、ことしの、いいですか、二十年の秋には将来交通需要推計を発表しますということを私どもは言っているわけです。したがって、それが出れば、それ以降整備に着手するものはすべてそれでやっていきますということです。いいですか。そういうことなんですよ。

 ですから、これで全部、百以上のものをこれでつくるということを言っているわけじゃないじゃないですか。ここをずっと読んでもらったらわかりますよ。

 ですから、前の、道路公団の民営化のときにやらなかった、千九百九十九はやったけれども、二千九百というものはやっていないから、それについて、最新のということは、先ほども言いました十四年の十一月に発表した将来交通需要推計に基づいて評価をしたわけですよ、これは。ですから、それでつくるとかつくらぬと言っているわけじゃないんですよ。そこがちょっとかみ合わないんですね。

 それで、総理がおっしゃっているのは、十年間のことを、私は、一・二というハードルを上げて、そして評価したということを言っているわけでありまして、それ以降の、十年間の計画をやっているわけでしょう、私は。そうでしょう。そういうことを申し上げているわけでございますから。

 私どもは、この期間は、一・二を切ればやりません。もちろん、三分類については、現道を使うとかいうことで、これが、経費が下がることによって、いわゆるBバイCのCが、コストが下がれば、それは一・二になればやりますし、もしそれを切るようなものがあれば着工いたしません、ここに書かれてあるものは。そういうことでございます。

武正委員 便益計算は四十年先を見ておりまして、十年後はさらに便益は小さくなるわけですね、需要推計が減っていくわけでありますから。ですから、十年後のものがまず下がっていく。そして、当然、その先の二〇三〇年、二〇五〇年の需要推計がどんどん落ちていく。

 ところが、今のこの十年計画というものは、先ほども馬淵委員が示したように、まず二〇三〇年で八・六%の乖離が出てくるような高目の需要推計で、この十年間その整備を進めていくんですよ。そうした高目のもので全国同時並行に道路の整備を進めていくわけですよ。ですから、十年間だけでいいという話ではないというわけなんですね。

 ですから、先ほどの総理の、BバイCが一・〇を切っても、将来、十年後ではない、二〇三〇年とか二〇五〇年、BバイCが一・〇を切るかもしれないけれども、そのときはそのときの政策判断だというのは、やはり断じて認めるわけにはいかないんです。この時点で一・二以上のものしかつくらないという国交省の説明で、我々は、それをもとにしてこの質疑をしているんです。

 それなのに、さっきの、いや、十年間は一・二かもしれないけれども、需要推計がそれこそ最新のデータで下がってきて、車がそれこそ余り走らなくなって、そうした場合に便益が下がっていった場合には当然一・〇を割るだろう、割った場合でもつくらないわけにはいかないよ、それが政策判断だと、今こうやって言われても、我々とすれば、今この時点で、将来そういうことがないということで、一・二以上のものをつくるんだということで、まずこの十年間の中期計画について議論をしているわけですから、先ほどの総理の発言は改めて撤回を求めたいと思います。総理、どうですか。

福田内閣総理大臣 私は、仮に一・二とか一・〇を切ったときにというのは、これは、そのときの政策判断でそういうことがあり得るということを申し上げたわけで、それはないときもあるんですよ。あるかないかは、そのときに判断すればいいという話であって、それも二〇三〇年という随分先の話のように思ったものですから、申し上げたわけであります。

 それからまた、BバイCですか、これは優先順位ですね。着工の優先順位とか、そういうようなことを決めるということに使っているものだと私は思います。

 それからもう一つ、最新のデータとおっしゃるけれども、出ていないデータを使って今やるわけにいかないですよね。ある一番新しいデータといったら、ちょっと古いのだけれども、十一年のものを使っているということであります。

 そして、それを金科玉条とするというふうに言っているわけじゃないんですよ。国土交通大臣も何回も答弁しているように、新しいデータが出たら、それはそれで、それをしんしゃくしてまた考えるということも言っておられると思いますけれども、そういうことですから、余りいきり立たないでやってください。

武正委員 いきり立つというか、これはやはり、十年間で五十九兆円の予算をここで確定していくわけなんですね。

 総理、総理は前も言っておられますけれども、毎年毎年予算を精査すればいいじゃないか、このように総理もきのうの財務金融委員会で言っておられますね。十年計画ということで五十九兆円をこれから決めるんだけれども、毎年毎年予算を精査すればいいじゃないかというふうに言われていましたが、その答弁でよろしいですか。総理の答弁、ちょっと確認をしたいと思います。きのうの財務金融委員会の答弁をもう一度確認したいと思います。

福田内閣総理大臣 毎年の予算審議をする際には、数字を出さなきゃいかぬわけですね。その数字を出す根拠、それは、そのときの状況を加味し、また、将来の予想とかそういったような要素も加味して数字をつくっていくわけですよ。政治情勢もあります、財政状況もあります。いろいろな要素を加味して考えてつくってくるわけですから、ですから、ことしつくって、では来年そのとおりやるんだという話じゃないんだと。

 そしてまた、五十九兆とおっしゃるけれども、これは五十九兆全部使うということではないんですよね。当然、五年たてば状況変化もあろう。そして、例えば環境対策もより考えていかなきゃいかぬじゃないかという話もあるかもしれない。それからもう一つは、一般財源化という話もありますから、そういうようなものを勘案しながら、ユーザーにも理解を得ながらこの計画は進めていく、そういう性質のものであるということを申し上げているわけであります。

武正委員 お手元の資料二ページ、三ページ目をごらんいただきたいと思います。パネルはこちらになります。

 十年間で五十九兆円、この道路特別会計、特定財源を使った予算でございます。この五十九兆円の予算が十年間、私はここで決まっていくというふうに思っております。これからそのことについて一つ一つ指摘をしたいと思います。

 その中でも特に道路特別会計、平成二十年の歳出予算額三兆六千億なんですけれども、ごらんをいただきますと、三兆六千億ことし道路特別会計で歳出がありますが、このうち、国庫債務負担行為ということで、平成二十年にその歳出を決める前に、前年、前々年あるいはその前五年さかのぼって既に歳出が決まっているというケースがここに書かれているわけでございます。

 平成二十年度の歳出予算のうち、過年度国庫債務負担行為の歳出額は合計で八千八百億円でございます。八千八百八十億円、約九千億円。すなわち、この平成二十年度の道路特別会計の歳出の四分の一は、既にその五年以上さかのぼって決まった予算がことし歳出をされる。これが一つ、道路特別会計、すなわち道路事業の特徴と言ってもいいということであります。

 これは、既に財務大臣が、この国庫債務負担行為というのは財政法の例外だというふうに言っておりますが、国交省は今、この国庫債務負担行為というのが年々ふえております。今年度は九千二百億円を超えております、この道路特別会計であります。

 ですから、総理は、毎年予算でチェックをすればいい、精査をすればいい、今後出てくるデータも参考に毎年度計画を立てることが必要だ、必ずしもこの金額どおりに計上していくわけではないということを、先ほども同様の趣旨を述べておられますが、実は、一度計画をつくると、国庫債務負担行為で五年先までその歳出を決めて、この道路整備計画というのは全国同時一斉に進み出すんですよ。それがこの国交省の道路予算の特徴なんです。だから、総理が言うように毎年チェックすればいいじゃないかというのは、この道路予算に関する限り当たらないんですよ。このことはどうですか、総理として。

 総理は、毎年毎年チェックすればいいというふうにきのうも、また今もお答えになりましたが、この国交省の道路特別会計、平成二十年の歳出三兆六千億円の四分の一は、平成二十年の予算で決めたんじゃなくて、その前にもう決まってしまっているというこの道路予算の特徴を踏まえて、毎年毎年チェックすればいいというのがなかなかうまくいかないんだということはおわかりいただけると思いますが、いかがですか、総理。

 総理、先ほどの御答弁に対しての御質問ですから、総理、答えてください、お願いします。総理ですよ。総理がさっき答えたことに対して私は聞いているんですから、総理、お答えください。総理、お願いします。

福田内閣総理大臣 トータルの話だけにさせていただきますけれども、三兆六千億円、こう書いて計上されておりますけれども、これは各年の数字を見ても、何も固定化されているというような感じではありませんよね。それは毎年出ている、それも、十五年度には出ていないけれども十六年度以降出ているとか、いろいろあるわけでありまして、それはそのときのニーズによってそういうふうな、これも政策判断のうちだと思いますけれども、その結果出てきた数字だというふうに私は思います。別に固定化している話ではないと思います。

冬柴国務大臣 この事業の円滑かつ適切な執行のために、例えば、トンネル、橋梁等の大規模工事で工期が複数年にわたる事業があります。そうすると、毎年度入札を行うと、工事が一時中断することになります。そういうことで、不経済であります、非効率であります。

 したがいまして、合理的な工期を設定するために、例外的な国庫債務負担行為を、財務省にも、そのときそのとき、御相談申し上げながら、五年が長期でしょう、最長。そういうことでやっているわけでございまして、この国庫債務負担行為をむやみに設定しているというものではございませんので、そういう性質があるということを御理解いただきたいと思います。

武正委員 道路整備は時間がかかるんだ、まさに総理が言われたとおりでありまして、このように国交省の道路特別会計は五年先、五年後の予算を確定していくような複数年度の契約、こういったものを使うという特徴があるということなので、十年五十九兆円、毎年チェックすればいいじゃないかというのは当たらないんだということをぜひこの場で指摘をさせていただきたいと思います。

 そこで、この中期計画の五十九兆円の内訳、ようやく資料が国交省から出てまいりました。一ページ目をごらんください。十六の項目にわたって、平成十五年から十八年の実績、そしてそれをもとにこの事業量、五十九兆円、これはダブりがありますから五十九兆円以上になっております。

 そこで、この実績値から十年分を掛けてみたのが右から二行目の欄でございます。これでいきますと、十六項目のうち四項目はその実績値あるいは箇所数、目標というものが具体的に出ておりませんので四項目を省きますと、十二項目中八項目が、この四年間の実績をもとにして、十年間かけても目標数にはいかないわけでございます。つまり、この四年間の実績からして、十年間その目標数に達しない、それがこの五十九兆円の中身の目標値であるということであります。

 具体的には、三番の渋滞対策は七五%、四番のあかずの踏切等を除却する対策は七%、十年たっても七%しかできない、この四年間の実績値からということでございます。七番、安心な市街地形成六六%、交通事故対策六〇%、通学路の歩道整備一八%、踏切の安全対策二一%、橋梁等の修繕、更新、維持管理九%、無電柱化六五%ということで、この四年間の実績から十年間の、実際にできるのかなということで掛けてみても、目標値に達しない項目が十二分の八、三分の二であるということをぜひ指摘をして、この五十九兆円といった目標値が、事業量として具体的にできない、工事としてできないものを掲げている、非常に大きな目標を掲げているということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 そこで、この中期計画五十九兆円の項目に続いて、資料四ページをごらんいただきたいと思います。

 高規格幹線道路の供用延長で、高速自動車国道のところに、かぎ括弧で七百十二キロという数字がございます。これは、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路というものでありますが、この高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路七百十二キロは、国土開発幹線自動車道建設審議会、先ほどから国幹審、国幹審と言われておりますが、国幹審で決めて整備をしたのか否か、もし決めていなければ、だれが決めて事業化をしたのか、お答えをいただきたいと思います。

 また、あわせて、この高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路は、先ほどの基幹ネット、一番上にありました二十三兆円ですね、基幹ネットワークの整備、これが平成十九年度で二・三三兆円かかったから、この五十九兆円の中で基幹ネットワークの整備には約二十三兆円かかるんだと言われておりますが、その平成十九年度の二兆三千三百億円の中に、この高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路は実際にその実績値として含まれているのか。

 以上、お答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 その七百十二キロは一般国道として整備をしたものでございます。それは、高速自動車国道に並行したところで、それがまだ高速自動車国道の整備ができない段階で、いつも例に出すんですけれども、鳥取県の鳥取市から青谷に抜けていくところは国道九号線しかありません。しかし、将来は山陰自動車道という高速自動車国道ができることになっておりますけれども、その順番が回ってきていない。しかしながら、その青谷周辺では交通事故が多発した。そういうことから、鳥取県から、ここへバイパスをつくってほしい、九号線にせめてバイパスをつくってほしいということで、それについては、一般国道として整備する場合に、将来山陰自動車道をつくるということになりますと、それが二重手間になってしまいますね。したがって、そのバイパスの部分、わずかですけれども、その部分については、高速自動車国道の構造でバイパスをつくらせていただいている、これがそういうことでございます。

 これは、国幹審には、将来、山陰自動車道がつながって、それがつながるということになったときに国幹審にお諮りするということで、現状においてはお諮りはいたしておりません。それは、知事からのたっての要望、そして知事に基づく都市計画決定、それから環境調査等を経由して、そして私の方に整備を申し出ていられるわけですから、それに対して私の方は通常の国道を整備するのと同じ手法でやっておりますけれども、しかし、将来高速自動車国道としてこれがつながるということになれば、これは国幹会議にお諮りをすべき事案でございます。過去にも二件、そういう実績がございます。

武正委員 つまり、国交大臣が決めているんですね、国幹審に諮らずに。国幹審に諮らずにこの七百十二キロを整備しているわけであります。その総額は三兆八千八百五十六億円。この七百十二キロの整備に約四兆円近いお金がもう既に投じられております。十九年度も、事業中区間が三十八路線、三百三十一キロの全体事業費は一兆六千六十九億円というのが今さらにまたつくられようとしているわけであります。それは、三百三十一キロ、国交大臣が決められる、国幹審には諮らずにということであります。

 そうしましたら、下にあります地域高規格道路、先ほどお答えいただけなかったんですが、この一般国道自動車専用道路、並行するものですね、二兆三千三百億円の事業費に、平成十九年度、基幹ネットに含まれているのか否か。平成十九年度の二兆三千三百億円の基幹ネットワークの整備の実績の値に、この並行する一般国道自動車専用道路は含まれているのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。

平井副大臣 含まれております。

武正委員 そうしましたら、この下の地域高規格道路、これも事業をやっているんですけれども、これも、平成十九年度の二兆三千三百億円という実績値、それをもとに十年間で二十三兆円使うんだという基幹ネットワークのもととなる実績値に含まれておりますか。

平井副大臣 実績値に含まれております。

武正委員 そうしましたら、この地域高規格道路は、だれがこの調査区間を指定するのか。そして、計画路線の約七千キロのほかに候補路線もあるんですね、候補路線はだれが指定するのか。

 計画路線はだれが決定するのか、そして、だれが調査区間、整備区間を指定するのか、そして候補路線はだれが指定するのか、お答えをいただきたいと思います。大臣。

冬柴国務大臣 これは、平成十年に二十一世紀のグランドデザインということで閣議決定されたものでございます。当時は六千から八千キロというアバウトでやっていますが、現在は六千九百五十キロメートルが予定されておりますが、これをどうするか、決め方。それは、先ほど言ったような国幹の会議ではないということでございますが、私は、今回、こういう重いものを整備する場合には、最後は国土交通大臣の判断で示すということではなしに、やはり社会資本整備審議会のようなところにお諮りをして、そして決めていくようなシステムにすべきではないかと。早速、それは決めるべきだということを、献策というよりも、そういう指示をしているところでございまして、そういうふうにしたいというふうに思っています。

武正委員 私は事実を確認しているので、この地域高規格道路は、だれが調査区間、整備区間を指定するんですかということにお答えをいただきたいと思います。候補路線はだれが指定をするのか。事実をお答えいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 先ほど、候補路線は二十一世紀のグランドデザインということで閣議決定されています。それを実際に整備するときには、国土交通大臣がやります。

平井副大臣 委員お尋ねの地域高規格道路候補路線指定、これは、道路局長、都市・地域整備局長が指定いたします。

武正委員 この計画路線は大臣が決定して、調査区間、整備区間は道路局長が指定をする、候補路線も道路局長が指定をするということで、それこそ、宮崎の知事が、政治力がない地域にはなかなか道路ができないんじゃないか、国交省のさじかげんでというような趣旨のことを述べたとされておりますところが、実はここに出てくるわけなんですね。すなわち、国交省の道路局長が路線を指定して決めていってしまう。

 総理、こういうようなやり方がされているということは、先ほど一・二以上でなければつくらないと言っていても、結局はさっきの政策判断で、しかも国交省の局長の判断でどんどんと指定をされていくということをあらわしているんですが、先ほどのことも含めて、こうした国交省の道路局長が指定をしていくというやり方を改める必要があるというふうに思いますが、総理、どうですか。先ほど、一・二以上なんだということは一・〇以下はつくらないと言った、そのことも含めて、どうぞお答えをいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 この十年計画については、もう再三御説明申し上げているとおりであります。

 今お話を伺っておりまして感じますのは、これはやはり手続について透明性を十分に確保しなければいけないということはあります。ですから、こういう透明性確保のためにどういうことをすべきかということは十分検討しなきゃいかぬ課題だと思います。

 例えば第三者機関に諮るというようなこと、こういうことについて、国土交通大臣が必要な見直しを検討しているというように私は承知いたしております。

武正委員 これは国交省にお任せするということではなくて、総理みずから、十年間で五十九兆円の計画でありますから、やはり督励をして、国交省の局長が道路を指定していくというやり方を変えないと、先ほどの、一・二以上でつくるんだということがこの十年間でも崩れていってしまうということでありますから、先ほどの総理の発言と食い違わないように、しっかりと督励をお願いしたいと思います。

 そこで、次に、公益法人について移らせていただきます。

 お手元の資料五ページ目をお開きください。

 これは、道路整備特別会計によって支出を受けている主な公益法人を挙げております。所管官庁出身、これは常勤役員に対して、これだけ、ほとんど一〇〇%に近い所管官庁からの出身であります。

 この間、国交大臣は、この一番上の道路開発振興センター、二名やめさせましたと言いましたね。調べてみたら、平成九年と平成十年に勤務をされた非常勤の理事でありました。ですから、常勤の理事をやめさせられていらっしゃらないわけなんですね。

 ということで、この資料を見ていただきますと、たくさんのお金を道路特会から受けておられますし、また、そのお金が、現金預金あるいは資産ということで、これらの法人がそれを抱えている様子もおわかりいただけると思います。

 また、この一番右側の欄は、建設省の事務次官経験者の方が、左の十一法人のうち、見ていただきますと、八つの役員を兼務しているということがおわかりいただけると思います。非常勤の理事長というのも私も今回初めて知りまして、こんなことで果たしてその組織がうまくいくんだろうかということも不思議でならないわけであります。

 また、公益法人には公益法人からの出資、出捐がたくさんされておりまして、道路開発振興センターは八つ、道路新産業開発機構は七つ、道路空間高度化機構は六つ、駐車場整備推進機構は一つ、道路管理センターは二つということで、その次のページにあります、これは駐車場整備推進機構のやはり同じく出捐の様子でありますが、一番下に書いてあります財団法人道路新産業開発機構からも一千万の出捐があるということで、すなわち公益法人が公益法人に出捐をしている、こういった仕組みもここからおわかりいただけると思います。

 そこで、七ページをごらんいただきたいと思います。

 所管官庁出身の理事がその三分の一を超える法人、これは、総務省からお出しいただいた数字は三百三十九でした。この間、官房長官も数字を訂正されて、三百三十九だと言いました。ところが、その中で、所管官庁出身理事数を常勤理事に限って見ますと、何と八一・四%が所管官庁出身なんです。理事の八一・四%が所管官庁出身、すなわち八割が所管官庁出身の理事で占められております。常勤です。非常勤を入れると数が減るんですけれども、常勤ですと八割以上が所管官庁出身の理事なんです、この三百三十九は。

 なおかつ、次のページをごらんください。三百三十九だと思っておりましたら、総務省さん、よく調べていただきました。実は、六千の公益法人、中央省庁所管公益法人のうち千七百六十三の公益法人は、常勤理事に限って見ると、所管省庁出身の理事が三分の一を超えているんです。三分の一近くの公益法人は、常勤理事のうち三分の一以上が所管省庁出身なんですよ。

 どうですか、総理、これを見て。政府は三分の一以下にしなさいということでやっていますが、非常勤理事を入れているから、それでも三百三十九だけれども、常勤理事に限って見ると千七百です。それから、さっきの、もう一度出していただきますと、このパネルをごらんください。建設省の事務次官経験者は、この十一の法人の八つの役員を兼ねていますよ。

 こういったところを見ると、公益法人というものが、実は、それこそ財務省さんが財務諸表をつくられました、預貯金が三十三兆円、連結ベースだと六十六兆円あるんだというような。でも、これは実は、公益法人が入っていない財務諸表をつくっています。独法までですから、公益法人は含まれていません。公益法人を含んだらもっともっと多いと思います、いわゆる連結の、政府にかかわる財務諸表をつくれば。

 ということでありますから、総理、公益法人というものに徹底してメスを入れていかない限り、この道路予算も、五十九兆円も、これまでも何度も指摘があります。さっきも、それはちゃんとやると総理も言っていました、やらなきゃいけないと。それには、この公益法人のチェックがまだまだ甘いんですよ。

 三分の一を超える法人といいながら、それは非常勤を含めているから、常勤だけで見ると六倍になる。それからなおかつ、委託金や補助金をもらっている法人はその給与規程を出しなさいと言っているけれども、この一番下の関東弘済会については、その対象じゃないといって、給与規程は出さないんですよ。委託金とか事業とかこれだけやっていながら、まだ、総務省、あるいは内閣の一致した閣議決定では、公益法人に対する締めつけというかチェックがやはり甘いんですよ。

 これでは、また五十九兆円の事業も無駄に無駄に使われてしまうということが大いに予想されるわけでありまして、この公益法人に対するチェックを、先ほど総理はしっかりやるんだと言いましたが、これについてしっかりとやるということを、改めて決意をお述べいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘の点は、そのとおりというところはございます。そういうことで、昨年の十一月に、随意契約について徹底して適正化を行うということを各府省に対して指示いたしました。

 しかし、国土交通省については、契約の仕方についてもいろいろございます。いろいろ細かく指示もいたしております。そして、第三者機関による監視対象を拡大するとかいったようなことも含めて、一応、昨年十一月、指示はいたしましたけれども、今現在どうなっているか。

 また、ことしの六月に、こういうようなことについて、改善措置についての報告を受けるということになっておりますので、そういうことはともかくとして、より一層厳しくこれに対応してまいりたいと思っております。

武正委員 以上で……(冬柴国務大臣「ちょっと一言だけ。ここのところだけ」と呼ぶ)いやいや、もう総理の答弁で終わりにします。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、岡田克也君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 今までの民主党の議論を踏まえて、最後ですから、総括的に総理に御質問したいと思います。

 まず、総理、最初にお聞きしたいと思いますが、道路の中期計画の素案、これは内閣のものですか、それとも国土交通省のものですか、いずれでしょうか。

福田内閣総理大臣 国土交通省だと聞いております。

岡田委員 そこでお聞きしたいんですけれども、平成十八年十二月八日の閣議決定、「道路特定財源の見直しに関する具体策」、その中で、「道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に精査し、」中略ということですが、「十九年中に、今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成する。」こういうことが閣議決定されているわけですね。

 おっしゃったように、この素案は国土交通省のものであって、内閣のものではありません。閣議決定もしておりません。そうすると、この閣議決定された、十九年中に定めるべき中期的な計画というのはどうなったんでしょうか。

冬柴国務大臣 十九年中、すなわち昨年中に、十一月十三日に国土交通省といたしましてはこの中期計画というものを公表いたしまして、いわゆる税を負担する方にその受益の内容をよくわかるように具体に示させていただいたわけであります。

 そして、それを踏まえて、政府・与党でこれを検証していただき、その前に財務省の評価もいただきまして、そして、そこでは六十五兆と書いてありますが、事業の量を、五十九兆を上回らないものとする、上限を上回らないものとするというように決めていただいたわけで、それに基づきまして、我々はここへ、きょう本会議で提案の理由の説明をさせていただきましたけれども、そういうものを国土交通省において起草し、そして内閣に諮り、閣議決定をしていただいて、そして今提案しているわけでございます。

 ですから、それが決まれば、その中に事業の量を閣議決定していただくということになっていますから、きょう提案の理由の説明をした法律を御可決いただき、そして成立したそのときに政府に諮って、五十九兆を上回らないというようなこの事業の量ですね、こういうものについて閣議決定をいただくというふうに私は予定をいたしております。

岡田委員 私は、大臣に経緯を聞いたのではありません。

 私たちは、閣議決定というのは非常に重いですから、その閣議決定で、十九年中に中期的な計画が、具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画が閣議決定される、内閣として定められるという前提で考えておりましたから、それがないまま、素案のままずっと来ている、そしてこの予算委員会でもこの素案の議論をしている、いまだに内閣としてのきちんと決まった計画はない、そういう状況でこの予算委員会で議論しなければいけないというのは、私は極めて不本意ですよ。政府としてのきちんとしたものがないままに、総理、それで五十九兆円の議論をしろと言うんですか。

 まず、そのことについて総理の説明をお聞きしたいと思います。

福田内閣総理大臣 これは、この中期計画の素案では、渋滞対策などの政策課題ごとに対応する箇所を具体的に洗い出した上で、今後十年間で重点的に対策を講じる箇所数に限って計画の内容として必要な事業を算出したものでありまして、現在お示ししている中期計画の案を御審議いただく材料としてもう十分な内容になっている、こういうふうに承知いたしております。

 なお、詳細なことは担当大臣にお聞きいただきたいのでありますけれども、政策決定プロセスとしてこれは間違っているというものではありません。

岡田委員 ですから、この素案は六十五兆円の案なんですね。しかし、我々が議論しているのは五十九兆円なんです。その五十九兆円の案はどこにあるんですか。案がないまま我々議論させられているんですか。そんなことってあるんですか、総理。

冬柴国務大臣 十年間の個別具体の整備箇所は、これは十年間の予算を縛ってしまいますから、しておりませんけれども、十年間で実施すべき必要最小限の道路整備について、その考え方をできるだけわかりやすく丁寧にそこに書いたと思います。

 事業費が五十九兆円の積算根拠及びその内訳については、いまだ明らかになっていないという御指摘もいただいております。これにつきましては、素案六十五兆円に対しまして、さらなるコスト削減で三兆円を削る、まちづくりや地域づくりと一体となって行う道路整備など、ほかの事業を活用することで二兆円を削る、また、高速道路の料金引き下げ、あるいはスマートインターチェンジを活用することによって一兆円を削ることができるということでございます。計六兆円を削減する方向で、現在、作業を鋭意進めさせているところでございます。

 できるだけ早く国民の皆さん、また委員の皆様にお示しをさせていただきたいと思っているところでございます。

岡田委員 ですから、具体的な案ができたところできちんと議論をしたいと思うんです。それまでは結論出せませんよ。

 それから、今おっしゃったことは先ほど本会議でもおっしゃったんだけれども、コスト削減で三兆円ですか。一声で三兆円、コスト削減できるんですか。そうすると、六十五兆円というのは、それだけいいかげんなものだったんですか。五%あっという間に削減できるような、いいかげんなものを出されたんですか。

 それから、スマートインターチェンジとか高速道路値下げ、これで一兆円。でも、そういうものは、スマートインターチェンジをつくればお金がかかりますよね。それで一兆円お金が浮くということは、結局、そういった高速道路に並行して予定している道路はつくらない、こういうことだと思うんですね。そうとしか説明できないと思うんです、一兆円分。

 では、今計画しているどこの道路をつくらないんですか。一兆円、それを明確にしてください。

冬柴国務大臣 具体的な道路の整備につきましては、これは本当に、あしたこれをつくるというわけにいかないんです。二、三年かかりますよ。都市計画決定もあれば、環境アセスメント調査等、そういうものを踏んで、そして、その上で、その時点で最も新しいと申しますか、将来道路需要、交通需要の予測等を用いてBバイCを行い、それを、高速自動車国道であれば国幹会議にも議をかけて、そして財務省の評価もいただきながら、その時々でやっていくわけです。

 しかしながら、スマートインターチェンジとかそういうもので何で一兆円なんだと。それについては資料を提供しなきゃいけないと思います。私の方は、具体的にそれは示すことになると思います。

岡田委員 ぜひ一兆円の資料を示していただきたいと思います。

 私が申し上げたいのは、一声で三兆円コストが削減できたり、要するに、一体この六十五兆なり五十九兆の計画の中身はどれだけしっかりしたものなのかということなんですよ。つまり、総理、よく聞いていただきたいんですけれども、何でこんな議論をしているかということですよ。

 前回私が口頭で御説明したものを改めてパネルにしてまいりました。これは、一万四千キロの高規格道路をつくる、そのことを決めた昭和六十二年の四全総、そのときの前提としていた数字と現時点での数字の比較です。

 二〇五〇年の人口推計が、この昭和六十一年の人口問題研究所の推計では一億二千八百八万人。しかし、今の最新の数字では、平成十八年ですけれども、九千五百十五万人。もうこれだけで三千三百万人違うんですよ。これだけ人口の見通しが変わってきているんですね。

 それから、財政の状況を見てください。当時は、国、地方合わせて二百三十八兆円、対GDP比六六・一%でしたけれども、今や七百七十八兆で一四七・六%。

 世界を見たって、どこを見たってこんな国はありませんよ。これだけ財政が厳しくなり、そして将来の人口推計が変わった。それは、人口が変われば、冬柴大臣が先ほど言われたように、免許の保有率が女性とか高齢者で高まれば一時はそれで相殺できるかもしれませんが、基本的には、人口が減ればその分、車の数も減っていくんですよ。そういう中で、前回触れた一万四千キロは変えない。それで本当にいいのか。

 先ほども本会議で、日本の競争力のために道路は必要だと与党の議員は言っていましたけれども、しかし、本当にそうなのか。道路は立派なものがどんどんできたけれども、ほとんど使われず、それは維持管理費だって、お金かかりますよ。重荷になってこの国がどんどん沈んでいくことになるんじゃないかということを我々は心配するから、ここでさまざまな議論をしているんですよ。(発言する者あり)

 道路をつくらなきゃ日本はだめになると、今、尾身委員がやじを飛ばしましたけれども、総理、本当にそうですか。総理の意見を聞きたいんですよ。私と同じ問題意識を持っている国民は多いはずなんですよ。ですから、総理にきちんとそこを説明してもらいたいんですよ。

 本当に一万四千キロつくり続けるのか、本当に五十九兆円やるのか、なぜやるのか、そこを国民に対してわかりやすく総理の思いを語っていただきたいと思います。

 総理、大臣の意見を聞いているんじゃありません、総理の意見を聞いているんです。大臣の意見は結構です。総理の意見を聞いているんです。

福田内閣総理大臣 道路計画のことですから、国土交通大臣に聞いていただきたいと思います。

 私は、それは委員のおっしゃることもよくわかります。将来のことは、正直言ってわからないことはたくさんありますよ。人口がどんどん減っていく中で道路をいつまでもつくるのかという、そのお話もよくわかります。

 ですから、そういうことについて、今こういう計画をつくりました、そしてそれは二〇五〇年まで続くんですということを言っているわけじゃありませんよね。それは、極端に言えば、毎年見直しをしてもいいことだと思いますよ。ことしはセンサスが出ますから、それをもとにしてまた新しい推計をするということは可能なわけであります。この十年間の方向性というものはつけさせていただくけれども、五年ごとに見直すとか、また毎年の予算のときにいろいろと議論して、よりよい案をつくるといったようなこともあるわけです。ですから、そういうときに、道路を幾らつくるかといった本当に具体的なことは真剣に議論をしていただきたい。

 ただ、私も、道路をいつまでもつくればいい、そういう話にはくみしません。

岡田委員 ことし秋の交通センサスを考えられる、見直せばいいという、その総理の御発言は重く受けとめさせていただいて、後ほどまた議論したいと思います。

 まず、将来交通量の推計については、先ほど馬淵委員がお話しされたとおりです。基本的に人口が減っていく中で最新の数字を使えば、それは必ず減るんですよ。そして同時に、二〇三〇年で推計しているけれども、ずっとふえているときは二十年ぐらい先でいいかもしれませんよ、道路が次第にそれに追いついていくという意味で。しかし、減っていくときには、やはり先を見通して、二〇五〇年ぐらい先でやらないとつくり過ぎちゃうということになるわけですよ。だから、そういったことをしっかりと、将来交通量の推計についてはもう一回見直す必要があるということを先ほど馬淵さんは言われましたが、私も同じ思いであります。

 そこで、費用便益分析について、これも先ほど来いろいろ議論されておりますけれども、先ほど来から触れられていること以外にも幾つか論点が今までこの委員会でもあったんですよ。

 例えば、人件費の見積もりについて、正社員、つまり、時給二千八百円という前提ではじいているということですね。しかし、今や三人に一人が非正規の働き方をしている中で、こういう高い時給で計算することが適切かどうか。

 もしこれを実態に合わせれば、便益の方は減るわけですよ。時給二千八百円の人が一時間時間が節約できたらと、そういうことで便益が計算されているわけですから、単価が落ちれば便益は減るんですね。全然違ってくるわけですよ。例えば二千八百円と千四百円じゃ全く違うわけですね。そういった問題もあります。

 こういったことについて私はずっと見ているんですが、こういった基準をつくっている道路事業評価手法検討委員会、冬柴大臣は、ここできちんと専門の学者が検討したものだ、こう言われるわけですが、やはりさまざまに聞いてみたいことがあるんですよ、議論したいことが。

 ですから、私は、この検討委員会の委員長の森地茂さんをこの委員会にお呼びして、しっかりと、先ほど私が指摘した具体的なことも含めて議論したいというふうに考えておりますので、まず委員長、その点、お取り計らいをいただきたいと思います。

逢沢委員長 初めての御提案でございますので、予算委員会理事会で取り扱いを協議いたします。

岡田委員 もう一つ費用便益分析の中で、これも今まで触れられた点でありますが、実際にこの費用便益分析を行った財団法人国土技術研究センター、ここの常勤役員四名は、全員が国土交通省のOBであるということが審議の中で明らかになりました。そして、そこには建設会社の出向者もたくさんおられる。こういうところで費用便益分析を行っているということは、私はやはりかなりバイアスがかかっていると言われても仕方がないと思うんですよ。

 ですから、そういった分析も、より客観的な第三者的なところでしっかりとやり直すべきだと思うんですが、国土交通大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 これは非常に専門的で、そんなにあちこちでやっている作業じゃないですよね。しかしながら、もしそういう仕事を出す場合には、企画競争という形で、手を挙げていただく方を探して、できれば十人ぐらいで競っていただいてその中から選ぶ、あらかじめそれを決めるのではなしに、そういうふうにやっていきたいというふうに思っているところでございます。それは、総理からの御指示も受けて、随意契約はやらないということの一環でございます。

岡田委員 その件もここで問題になりました。随意契約ではないという前提ですが、具体的にこの財団法人の名前を挙げて、ここと同等の能力を有するというようなことで、結局は随意契約に実質的にはなっているということも明らかになったわけですよ。だから、もう一度これは全部やり直す必要があると私は思いますよ。

 そして、この国土技術研究センターの責任者である大石久和理事長にもこの委員会に来ていただいて、しっかりとその経緯について議論したいと思いますので、委員長、この点もよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。

逢沢委員長 理事会で取り扱いについて協議いたします。

岡田委員 そのほか、その費用便益分析はいろいろな問題があるわけですよね。

 例えば、今回のその前提が全く古い過大な分析であっても、BバイCが一・二を確保できない。したがって、四車線を二車線にしたものが四百二十二キロありますね、一四%。それから、それでもBバイCが一・二を超えないということで、一部現道の活用など、事実上高規格幹線道路とは言えなくなったもの、これも一六%、四百六十八キロあります。こういうものは、先ほども馬淵委員の話にもありましたように、前提がさらに厳しくなると、ほとんどが私は一を切ると思いますよ。

 そういう意味で、最新の数字でもう一回きちんとやり直す必要がある、こういうふうに思っております。この点、国土交通大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 やり直すといったって、これは、あなたも先ほど言われましたように、閣議決定を二回やっていますよ。十九年中にその道路の姿をいわゆるタックスペイヤーに対してよく説明をし、御納得をいただき具体案をつくる、そういうことでございますよ。ですから、私の方は、ここでそれを十九年中につくって示したわけです、十一月十三日に。

 したがいまして、今後新しいものが出てきます。そのときには、それを用いて、これからつくるものを、いつ着手するかわかりませんけれども、その時点で最も新しい資料に基づいて審査をしていく。当然、財務省においてもそれは求められます。

 そういうことで、その段階で判断をしていくということですから、これをつくり直す必要はないじゃないですか。どうですか。私はそう思いますよ。

岡田委員 その点、最後にまた総理と議論したいと思いますが、私は、ほとんど意味のない今の古い数字を用いたものではなくて、ことしの秋までに出るというのであれば、それで全面的に、今私が具体的に申し上げたところの再検討も含めて、だれが見てもきちっと信頼に値するだけの数字をもう一度計算し直すべきだということを申し上げているわけです。

 そこで、国土交通大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、この費用便益分析、私は、この費用便益分析を考えるときに、本州四国連絡高速道路の話をどうしても思い出すわけです。二〇〇〇年十二月の中間評価で、この費用便益分析、本州四国連絡高速道路、一体幾つだったですか。一・七ですよ、一・七。このことについてどういうふうに冬柴大臣はお思いですか。

冬柴国務大臣 それの整備に着手するときにはそういうものが出たんだろうと思いますけれども、しかし、その後、未曾有の経済の落ち込みがあったじゃないですか。そういう大きな、激変するような、先ほどの、国の債務を比較しておられますけれども、こんな短い期間にこれほど大きな国家債務を負ったというような激変期を通じて、その前と状況が変わった、そういうことがあると思います。

 したがいまして、今後も、今後十年間にこれがどう変わっていくか、GDPがどうなるのか、あるいは人口推移がこのとおりにいくのか、もうじり貧でいいのか。やはり、この十年間に国際競争力もつけて、それで周辺の、特に十三億人という国民を擁する中国の勢力等を我々は取り込むことによって成長力を確保するということも必要じゃないでしょうか。それはそのときの政治判断です。

 ですから、人口が減るからそこの道路はがらがらになるんだとか、そういう縮小均衡的な考え方、そういうことでいいんでしょうか。私どもは、これから、やはり、我々の子供たちが自信と誇りを持てるような国、そういうものをつくっていかなきゃいけないと思いますよ。それが我々の、今を生きる大人の責任じゃないでしょうか。そういう意味で、国際競争力も強化しなきゃならない。

 また、地方も、今経済は低迷していますよ。しかし、そのままでいいんでしょうか。

 岡田委員も御存じのとおりですけれども、東海環状の七十二キロが東側だけ通じただけで、工場団地が、それまで四団地しかなかったのが、今十七団地操業しているじゃないですか。そういう地方の活力を引き出すためにも、ほかにもたくさん例はありますよ、こういうことだから、人口が減ってくるんだからもうやめてもいいというようなことにはならない、そうあってはいけない、この十年頑張らなきゃいけないというのが私の気持ちなのでございます。

岡田委員 全く物の考え方が違います。

 人口が減るからこそ、必要なことは選択と集中なんです。あなたのように、どんどんどんどん道路をつくっていく、本当にそれでこの国は大丈夫ですか。選択と集中ですよ。そのための議論をしているんでしょう、今。それなら、百兆とか二百兆でもつくったらどうですか、道路を。この国をつぶすつもりですか。私は、全く基本的考え方が違うということを、今大臣の答弁を聞いていて思いました。

 私が聞いたのは、本州四国連絡高速道路、これは二〇〇〇年十二月ですから、そんな昔の話じゃないですよ。そのときに、費用は五・二兆円ですよ、便益は八・七兆円。その便益八・七兆円はどういう計算で出てきたんですか、ちゃんと答えてください。

平井副大臣 申しわけありません。急な御質問なので、今手元に資料がありません。

岡田委員 私が聞いたところでは、資料がないそうです。資料がない。つまり、八・七兆円の内訳は今ないと。私は、それは信じがたいことですが、だって二〇〇〇年の計算ですからね。しかし、その公団がなくなった、主体が変わったからないと。

 いずれにしても、そのときに、二〇〇〇年十二月で一・七だったものが結局はどうなりましたか。一・五兆円の税金をつぎ込んだわけでしょう。これは全部道路特定財源ですよ。一・五兆円つぎ込んで何とかつじつまを合わせた。これは全部国民の払った税金ですよ。だから、一・七なんていう数字が平気で出てくるBバイC分析、費用便益分析だから私は信用できないわけですよ。さっきから議論しているわけですよ。

 そういったことをまた今繰り返しつつあるんじゃないか、先ほど我が党の仲間の委員がさまざま具体的に主張しましたけれども、結局、この本州四国連絡高速道路と同じことが繰り返されているのではないか、そのことを私どもは非常に問題にしているということであります。

 そのほかにも、先ほどこれも同僚の議員が言われた地域高規格道路、六千九百五十キロ。しかしこれも、その六千九百五十キロの中にはさまざまなものが含まれていますよね。

 大臣は私の地元のことを時々言われるので、先ほども東海環状の話をされましたが、例えば三重県で、愛知県の渥美半島から志摩半島に橋をかけることになっているんですね。これも計画の中に入っていますよ、将来計画の中には。それから、紀淡海峡、和歌山から四国に橋をかける、四国からまた九州に、大分に橋をかける、そういうものもこの地域高規格道路の計画の中には入っていますよ。

 私は、こういうものを一度きちんと整理すべきだと思いますよ。こういうのが残っていますから、私どもの地元でも、三重県知事も、これをつくってくれつくってくれといまだに陳情に回っていますよ。だけれども、本当にそんなことでいいとは私は絶対思わない。しかし、地元としては、計画が残っていれば期待しちゃうわけですよ、あるいは動かざるを得ないんですよ。

 そういうものをもう一回全部見直してきちんと整理する。ここまではきちっとやる、しかしこれ以上はやりません、そういう線引きが必要じゃないですか。高度成長期みたいにどんどんどんどんやっていく、それで本当にこの国は大丈夫だと。総理、どう思われますか。いかがですか。

冬柴国務大臣 私は、十年間が勝負だということを言っています。それは、本当に本格的な人口減少社会を迎える、それからまた、今、高度経済成長期につくった道路、橋梁が年数を迎えるわけですよ。そうすると、本当にまた、それは今はないけれども、それに対する費用は莫大な投資を必要とします。そうすると、そういうときはもう道路はほとんどつくれなくなるんじゃないかと思います。私は、この十年、だから本当にこの十年の間に、子供たちが自信と誇りを持てるような、安全、安心の国をつくるためにもこれをやらせてほしい、そういう思いです。

 したがって、それから後のことは、もう税の問題とかそういうことはもっと協議をしてやればいい、私はそう思っています。

岡田委員 地方の件もちょっと申し上げたいと思います。

 先ほど来出ている表ではありますが、実績値、例えばあかずの踏切を除去する対策、よく言われますよね、四年間で四十カ所です。それが、今度は十年間で千四百カ所。交通事故対策、四年間で九千六百区間。括弧してあるのは一年間。四で割ったものです。それが四万区間。通学路の歩道整備、千八百キロ。これが二万五千キロ。

 こういった数字を見ると、それは、すぐに政府は、いや、あかずの踏切の問題や通学路の確保だと言われますけれども、数字は立派だけれども、実績から見るとけたが違うじゃないですか。これは本当にできるんですか、できる自信はありますか。総理、いかがですか。

冬柴国務大臣 これは、この直近の四年間の実績をとらえてやっていられると思いますけれども、私どもはこれをスピードアップする、そしてまた、最新の技術を用いてそれはやり遂げるということで申し上げているわけでございます。ではその踏切はどうなると言われたら、現在やっている数字等を見てください。二百二十七の踏切に対しての立体交差を着手していますよ。

 ですから、そういうことをいろいろと言われますけれども、我々としては、そこに盛り込んだものについては責任を持ってやるという覚悟のもとに出しているわけでございます。

岡田委員 私は、今の発言、理解できないんですよね。

 つまり、責任を持ってやるとかやり遂げるというふうに言われていますけれども、これ、全部国がやる話ですか。違うでしょう。だって、地方道の踏切とか地方道の通学路の歩道整備、これは地方の責任でやる話でしょう。国がやる話じゃないですよね。もちろん、国道の中には国が責任を負わなければならないものがありますけれども。

 ですから、大臣はたんかを切るけれども、これ、国が、自分たちの財源でやる気にならなかったらできないことで、それを何か全部自分がやるようにおっしゃるけれども、これは完全に分権に反しているし、やはり、それだけでも僕はこれは実現可能性が極めて怪しいと思うんですよ。

 ですから、答弁は求めませんが、結局、最初に予算ありきなんですよ。予算ありきでそれをいかに埋めるかで、こういったものも含めて一生懸命積算をした、つじつまを合わせた、そういうふうに私は国民の皆さんも思っていると思います。

 そこで、こういう六十五兆円の予算ありき、あるいは五十九兆円の予算ありきということで計算していると思いますが、総理、一方で、今一般財源化の話がありますよね。もちろん我々、地域には、一般財源化して地域に渡すということを言っているわけですが、国の分もですね。それに対して総理は、いや、自動車ユーザーの理解を得られないということを前回言われました。しかし、そこで、例えば酒やたばこに対して高率な課税がされているわけですが、これは特定財源になっていませんよね。そこはいかがなんですか。酒やたばこは、ではユーザーの理解を得ているんですか。一般財源ですよ。どうなんですか。

額賀国務大臣 もう委員御承知のとおり、これは受益者負担で、もともとが特定財源化して道路を整備する目的でやられているわけでありますね。長年のそういう流れを、今回、我々は揮発油税の改正をして一般財源化を図っていくという路線転換を図った。岡田先生の将来の方向とは、まあ同調できるところもないわけではないんですね。だから、そういうことをしながら、やはり道路を整備し、一般財源化を図っていく、この両面をこの法案は持っているわけでございます。

 委員のおっしゃるように、一般財源化をなくしたら、同時に暫定税率も廃止をしたら、これは二・六兆円がなくなってしまって、先ほど示したように、道路が全くできなくなってしまうということをやはり国民の皆さん方は心配していると思いますよ。

岡田委員 財務大臣も、前回と比べると、一般財源化の方向というふうに言われたのだけ、少し財務大臣としてはいい答弁だったと私は思いますよ、前回まではまるで道路族みたいな答弁をしていましたからね。

 先輩の塩川財務大臣、何て言われましたか。母屋でおかゆ、離れですき焼き、これは特定財源、その話をしているんですよ、塩川さんは。当時の財務大臣ですよ。そして、特定財源の最大のものが道路特定財源じゃないですか。だから私たちは、ここを改革の本丸としてとらえて、一般財源化しなきゃいけないということを言っているわけですよ。

 かつては、小泉総理も安倍総理も一たびは一般財源化と言い、財務大臣も母屋、離れの例を例えて、そして特定財源に問題があるということを明言されたけれども、この福田内閣はどうなんですか。余ったものだけ使っていいよ、しかし、翌年になったらまたこれは道路財源だと。これをもって一般財源化というのは、全く羊頭狗肉じゃないですか、総理。

 総理、特定財源をしっかりと一般財源化する、そういう方向性を少しでも出してもらえませんか。

福田内閣総理大臣 ガソリンを使う、要するにユーザーですね、それが明確になっているという特色がありますので、ですから、負担と給付といったような形でもってこういう制度を有効活用するということで、私は今までそういう説明をしてきたわけですね。そういう説明をしてきて、これからどうするかというときに、やはりそういうようなユーザーという立場もございますのですから、そういうユーザーの理解を得るための努力をしているわけであります。そしてまた、そういうユーザーの理解を得ながらその範囲を拡大していくということであります。

 一般財源も二十年度はふやすという方向でいっており、さらに今後その枠を広げていく努力をする。しかし同時に、その際、ユーザーに対する説明もしなければいけない。理解を得てそういうことをしていくことになるということであります。

岡田委員 もちろん、ユーザーへの説明は必要です。ただ、私は、やはり自動車が社会的に与えている外部不経済、例えばCO2、これはもちろん、ガソリン、石油製品だけではなくて、石炭やガスも共通ですね、温暖化対策税のような意味合い。それからもう一つは、NOx、SOxを出している。あるいは、交通事故とか交通警察、そういったところにコストもかかっている。そういう社会に与えているコストを考えれば、私は、ガソリンや自動車に特定の課税をするということは、一定の範囲では当然認められることだと思いますよ。ですから、そういう形でもう一回再構成していくということが必要だと私は思います。

 そして、ユーザーも大事ですが、国民はどうですか。これはNHKの調査ですけれども、道路財源の一般財源化、賛成が四二%、反対の倍ありますよ。暫定税率の維持も、維持すべきでないが三八%です。そして、五十九兆円の道路計画、これはもう、妥当でないが五一%ですよ。国民は、五十九兆円の計画に対して全く理解を示していないわけです。

 ですから、総理、私は一つ提案があるんですけれども、これだけいろいろな議論をしてきて、総理も聞いておられて、この中期計画が、今の素案が相当問題があるということは御理解されていると思うんですよ。ですから、それをもう一回やり直す。

 それは、確かに秋まで時間かかりますよね。私は、秋でも、多少は前倒しできるんじゃないかとは思いますけれども、もう一回、きちんとしたデータがそろうことしの夏か秋、それまでに、今まで指摘されたさまざまな問題もきちんとクリアできるような、そういった形でこの中期計画をつくり直す、そして、この国会でしっかりと中身を議論して、新しい計画をつくる。私は、五十九兆から比べればかなり小さくなると思いますけれどもね。これは政治的な決断なんですね、総理の。

 つまり、事務方が積み上げてきたさまざまな問題があるこの計画を、そのまま、この世論を無視して突っ走ってやっていくのか、それとも、ここで一度立ちどまって、そして計画を見直すという決断をされるのか、それは総理にかかっているんですよ。いかがですか。そういう決断、しませんか。

福田内閣総理大臣 私は、この場で何度も申し上げております。昔のデータを使ってそれでよしというように思っているわけではありません。新しいデータが今年中に出るというのであれば、そのデータ、特に今、転換期ですよね。ですから、毎年、将来に対する見方も変わってくる可能性は十分にあるわけですから、ことしじゅうに出るデータを使って、それを来年以降にどういうふうに反映させるかということは、それはデータを見て考えていけるものだというふうに思います。

 一般財源化についても、これは今御指摘ありましたように、環境の問題、これに対する意識というものも国民の間に随分広まってまいりました。ですから、そういうものを反映して、一般財源化の一つの要素として取り入れていく、そういうことも当然将来考えていかなければいけないというふうに私は思っております。

岡田委員 終わりますけれども、もう一度私言います。

 これは総理の政治決断ですよ。新しいデータに基づいて、国民だれもが信頼できるような計画をつくる。しかし、そのためには一年の空白ができます。この間、さまざまな問題があるでしょう、暫定税率をどうするか、あるいは一般財源化するのか。我々はもちろん、暫定税率は廃止し一般財源化するという考えですけれども、しかし、一年間ということであれば、そこにいろいろな議論はできるかもしれません。

 しかし、それは、あくまでも前提は、これをつくり直すということを総理がはっきり言われることですよ。それを言われない限りは、これはどこまで行っても平行線であるということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

逢沢委員長 これにて菅君、細野君、馬淵君、武正君、岡田君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭に、海上自衛隊のイージス艦「あたご」が千葉県房総半島沖で漁船清徳丸に衝突をしてお二人が依然行方不明の事故、このことに対して、改めて強く抗議をいたします。

 総理に、一刻も早い救助と真相解明のための努力を強く求めたいと思います。そして、政府、とりわけ石破防衛大臣の責任は重大であります。大臣の罷免を要求いたします。

 委員長、きょうは道路問題の集中審議でありますが、改めて、今回の事件、さらには米兵の少女暴行事件など、一連の問題について集中審議を行うように私も理事会で提起をいたしましたが、既に決められた日程に加えて、その実現を強く求めておきたいと思います。取り計らいをよろしくお願いいたします。

逢沢委員長 ただいまの御提案、予算委員会理事会で取り扱いを協議いたします。

笠井委員 それでは、本題に入ります。

 総理、まず初めに伺いますが、東京湾横断道路、アクアラインを御利用になったことはございますでしょうか。

    〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕

福田内閣総理大臣 あります。

笠井委員 利用されているなら話は早いわけですが、このアクアラインは、パネルがございますが、ここにあるように、川崎市と千葉県の木更津市を結ぶ、全長十五・一キロということでありますが、自動車専用の有料道路であります。総額一兆四千四百億円、一メートル当たり一億円、こういう巨額のお金を投じて建設されたものであります。

 そこで、総理、一九九七年十二月に夢のかけ橋とも言われて開通をしまして、昨年十二月でちょうど十年が過ぎましたけれども、この道路はうまくいった、成功したというふうにお考えでしょうか。いかがでしょうか、総理。

福田内閣総理大臣 成功したかどうかということは、採算性とか、そういったようなことについて言われているんだろうと思います。これは、計画交通量と実績の交通量が大きく乖離してしまったということで、この事態ということについては厳しく認識をいたしております。

 ですから、今後、こういうようなプロジェクトについて、有料道路制度の運用、その際の採算性、これは厳格にチェックするということも必要でございますし、社会経済状況等の変化に適切に対処するということが極めて重要だと考えております。

笠井委員 今、総理が言われましたが、計画交通量と実績に大きな乖離があったと。政府もこれまで、こういう結果について反省していると繰り返し国会で答弁してまいりました。

 私は、国土交通大臣の諮問機関、社会資本整備審議会の報告の中にこういう一節を見ました。本州四国連絡道路や東京湾アクアラインについては、利用交通量が当初の計画を大きく下回っている、結果として採算見通しの失敗を招いた、こういうことなどについて猛省しなければならない、このように厳しく指摘をしております。そして、今後同じ過ちを繰り返さぬようにということで、幾つかの問題が明記をされているわけであります。

 冬柴大臣、そういうことが指摘されているということは間違いありませんね。

冬柴国務大臣 私も、現在国土交通大臣におる立場で猛省をしなきゃならない、そのように思います。

 ただ、もう弁解は無用でございますけれども、本当に日本の経済というものが、それまでGDP世界第二位とか一位とかいっていたのが物すごく落ち込んだという事態があったことはもう御案内のとおりでございまして、そういうもの、それからまた、料金設定も高いというようなことから、そういうふうに当初見込みよりは利用していただく方が著しく少ないということについては、猛省しなければならないと思います。

笠井委員 弁解無用だったら弁解しない方がいいんです。

 では、ちょっと伺いますが、当初、一九八七年に立てられた建設費などの借金返済計画では、一日の計画交通量を初年度三万三千台、それが二十年後には六万四千台というふうにふえると予測していた。そして、三十年で借金を返済する計画だったわけであります。大臣、その計画どおりにはいかなかった、まさにそういうことでいいわけですね。端的にそのことだけお答えください。

冬柴国務大臣 お説のとおりです。いかなかった。

笠井委員 要するに、当初の計画どおりいかなかった、うまくいかなかったという問題であります。料金を値下げして多少交通量がふえるというのは当たり前の話で、全然、全体いっていない。

 国土交通省から、きのう夜遅くになってようやく資料をいただきました、もう大分前に求めていたんですが。この借金返しの償還計画というのが、開通以来三度もつくり直されているわけであります。

 最初に、一九八七年に立てられた計画では、三十年後に借金すべて返すというふうになっておりました。それが、二回目につくり直した計画では、これは、一九九七年、開通時ですが、開通してから四十年後に返すということで、さらにずっと先までいきました。そして、その次にまた三度目の返済計画ですが、これが二〇〇〇年、開通から三年後ですが、このときに、返せるという最後の年が開通してから五十三年後というふうになりました。そして、さらに、一番直近でいいますと、平成十八年、二〇〇六年に、これは今の返済計画だと思うんですが、実に二〇五一年、ここでようやく返すことができる、こういう形での一覧表になっておりまして、これは本当に何度も何度もうまくいかないから繰り延べしている。世間ではこういうのを失敗というんだと思います。

 二〇〇五年の民営化後のアクアラインを含む全国道路網の借金残高というのは実に四十六兆円、アクアラインはそういう中で全国一の大赤字路線とも言われております。そして、このアクアライン着工決定時の日本道路公団総裁で元建設事務次官の高橋国一郎氏は、新聞のインタビューでこう言っております。調査を長いことやって、採算がとれないことはわかっていたが、政治決定が出た以上、虚偽の数字を出すため鉛筆をなめざるを得なかった。ここまで言っているわけでありまして、これは、政治の責任は重大だと私は思います。

 ところが、東京湾にこのアクアラインだけじゃなくてもう一本、このパネルにございますが、東京湾口道路ということで、第二アクアラインとも言われる、そういうまた大きな道路をつくろうという計画がございます。

 冬柴大臣、この東京湾口道路、これは一体どんなもので、幾らかかるというふうに見積もりをされているんでしょうか。お答えください。

冬柴国務大臣 全くそういう点についての調査もいたしておりません。幾らかかるかというようなことは調査いたしておりません。幾らかかるかというような……(笠井委員「幾らじゃなくて、どういうものですかということ」と呼ぶ)ああ、どういうもの。それは、地域高規格道路の路線として、そこへ書かれていますけれども、候補として挙げられているわけでございまして、正確な地域高規格道路、先ほど言いましたけれども六千九百五十の中には入っていません。外です。

山本(幸)委員長代理 国土交通省平井副大臣。(笠井委員「いや、委員長、いいです。それで結構です」と呼ぶ)指名しました。

平井副大臣 委員がお聞きになったことに正確にお答えします。

 橋梁、トンネル、両方で検討ということで、この場合は新技術、新工法、これでコストを大幅に削減するということであります。

笠井委員 一回失敗したものの上にまたつくろうというのに、候補路線に挙がっていて幾らかかるかというのは調査もしていないという話ですから、これは全くひどい話です。

 しかも、これはちょっと何かということを説明してほしかったんですが、アクアラインの外側に寄ります、東京湾の入り口に横断道路を建設しようというわけでありまして、全長十七キロでありますから、アクアラインよりも二キロも長いというものであります。

 橋にするかトンネルにするか今検討中という話がありました。具体的には幾らになるかわからない、調査もしていないということでありますが、まさに、もう一つ長大なトンネルを東京湾につくろうということであります、あるいは橋をつくると。(発言する者あり)そうです。まだつくるのかと与党席からありました。

 アクアラインの失敗を受けて、今度は成功する保証、これは今候補路線に挙がっていますが、これが成功するという保証はどこかにあるんですか。必ず採算がとれるというようなことを考えて、今候補路線に挙がっているんでしょうか。大臣、いかがですか。

平井副大臣 このようなプロジェクトは、候補路線ということではありますが、検討しているという段階であります。

笠井委員 二度と同じ過ちを繰り返さないように、ここまで厳しく言われていて、検討する候補路線に挙がっているということ自体が私は異常だと思います。何の見通しもなしにそういう調査検討、計画の取り組みを進めようとしている。

 湾の入り口や海峡などをつなぐ長大な横断道路というのは、この東京湾口道路だけではありません。政府が一九九八年に閣議決定した総合開発計画というのがありますが、これを見ますと、海峡横断道路プロジェクトというので、いわゆる長大な橋、道路というのが、六つあると思うんですけれども、挙げられております。

 どんな候補が挙がっているのか、総額幾らなのか、お答えください。

平井副大臣 六つの海峡横断プロジェクトは、東京湾口道路、紀淡、関門海峡道路、伊勢湾、豊予、島原天草長島連絡道路ということであります。

 事業費は、基礎的な段階の調査でありますので、未確定であります。

笠井委員 これをパネルにしてまいりました。

 今お話ありました東京湾口道路、伊勢湾口道路、紀淡連絡道路、それから豊後伊予連絡道路、関門海峡道路、そして島原天草長島連絡道路、実に六つも、さらにこれから候補路線ということで入っているということであります。

 総理、そこで伺いたいんですが、先日の当委員会でのやりとりの中で、この六つのプロジェクトについて問われて、夢のある話だということを答弁されましたが、採算がとれる保証もない、そして失敗の大赤字の前例がある、それしかないのに候補路線にしてこれから決めていくという話は、私、夢などという代物ではないと思うんです。夢ではなくて無謀だというふうに言わなきゃいけない、夢と言うなら悪夢だと言わなきゃいけない。総理、そうじゃないですか。いかがでしょう。

福田内閣総理大臣 この海峡の横断プロジェクト、これは事業の規模が大きいですよね。ですから、当然お金もかかるわけです。ですから、画期的な技術開発が行われて、そして大幅なコストダウンをできるといったようなことが可能でないと、実際にはできないと私は思います。

 個々のプロジェクトを進めるかどうか、これは、必要性、採算性、当然でございますが、厳格に検討した上で判断すべきものであると考えております。

笠井委員 厳格に判断した上でと言われましたが、これはそんな先の話じゃなくて、今年度末、三月末までに閣議決定をしようとしておられる国土形成計画という中にこの問題も入っている問題であります。原案の中にいずれも候補路線として盛り込まれております。

 だから、総理自身がこれからこれを閣議決定するということで位置づけるということになるわけですが、そういうことで、これはどうなのかというお考えはいかがですか。

冬柴国務大臣 今総理が述べられたとおりに全国計画では書かれているわけでございまして、大幅なコスト縮減を前提として、必要性、採算性を厳格に検討した上で判断されるものでございまして、過去の経緯からそれは取り消さずに、調査は、調査というのはいろいろな調査をしているだけの話でありまして、やるとかやらぬとか、そういうことをそこで書いているわけではありません。

笠井委員 厳格に検討する、よく調査した上で、まだはっきりしていないんだというふうに言われましたけれども、じゃ、大臣に伺いますが、この東京湾口道路を含む六カ所の大型長大プロジェクトでありますけれども、これには、旧建設省が一九九四年に候補路線に指定して以降、調査費を計上していると思うのです。だから、何ら具体的に進めていないんじゃなくて、実際、税金をつけて調査している。今日までの調査費の総額は幾らになりますか。

平井副大臣 五年間で約二十二億円でございます。

笠井委員 九四年からついていますから、十年以上ありますから、全部言ってください、総額。五年間と少なく言わないで。平成六年からつけているでしょう。

平井副大臣 済みません。私は暗算が苦手なんですが、平成六年度が二百九十五億、七年度が三百五十四億、四百七十……(笠井委員「合計額を言ってください」と呼ぶ)単位百万、済みません、間違えました。失礼いたしました。ちょっと待ってください。(笠井委員「ちょっと委員長、とめてください、これじゃだめです。時間がもったいないから」と呼ぶ)

山本(幸)委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山本(幸)委員長代理 速記を起こしてください。

 国土交通省平井副大臣。

平井副大臣 約七十七億円でございます。

笠井委員 七十七億円もつけているんです。何もやっていないんじゃない。これだけの税金を調査費と称して投じているわけですが、大臣、じゃ、こうした東京湾口道路などの六カ所のプロジェクト、この調査というのは一体、調査費をどこがもらって実際やっているのか、請け負っているのか、その実際に受注をしている調査の相手について答えてください。

平井副大臣 六プロジェクトの調査につきましては、広域的な経済調査や一般的な技術検討とあわせて調査が進められており、特定の発注業務として特定することあるいは分離することは困難であって、特定の海峡横断プロジェクトの発注先を特定することは困難、ほかのことも一緒に含めてやっているということでございます。

    〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕

笠井委員 税金で調査費をつけてやっている相手が言えないという話の方がおかしいですよ、これは。本当に言えないんですか。

平井副大臣 要するに、これだけをやっているわけでないので、トータルでわからないということでございます。

笠井委員 答えられない、だれに払ったかわからないという話でありまして、私は、もうこれは月曜日から出してくれと言っているんですよ。調査費という形で税金、道路特定財源から渡っているのに、どんな団体に渡っているか、いっぱいあればいっぱい言ってもらえばいい、それが言えないというのは、何かやましいことがあるんじゃないか、そういう疑問が出てくるのも当然であります。

 そこで、私も答えを待つ前に、急いでいろいろなことを調べてみました。ここに、財団法人海洋架橋・橋梁調査会というのがあります。(発言する者あり)いや、出さないから調べたんですよ。

 国交省が随意契約理由書というのを出していまして、相手先が書いてあるんです。関門海峡道路など一件橋梁構造及び事業手法の検討業務、これを随意契約でやっているという理由書があります。

 ここに、この財団法人のことが出ておりまして、説明が書いてあります。財団法人海洋架橋・橋梁調査会というのは、「昭和五十三年に建設大臣の許可を得て設立された法人であり、全国の海峡横断プロジェクトを検討する「海峡横断道路プロジェクト技術調査委員会(国土交通省・本四公団(現本州四国連絡高速道路(株))・学識者)」の委員であるとともに、海峡横断道路プロジェクトをはじめ、離島架橋事業から海外の長大橋梁プロジェクトに至るまでの数多くの技術調査・技術検討を行って」いるということで、この湾口道路を初め六つのことをカバーする、そういう仕事で調査している、こういうふうに随意契約の理由書に書いてある、そういう団体であります。

 パネルをごらんいただきたいと思います。この財団法人の役員を見ますと、理事長には旧建設省の道路局長、そのほかにも国交省などの天下りOBなどが理事などについておりまして、全役員の半数以上を占めております。そればかりか、大手ゼネコンの大成建設会長を初めとして建設業界団体の会長クラスがずらりと名前を連ねているというのが、このパネルでございます。

 この財団法人のホームページにあります、ここ数年間の事業報告書というのを見てみますと、受託業務として、海峡横断プロジェクト及び離島架橋の施工技術及び社会経済調査を請け負ったというふうに記されております。

 冬柴大臣、国交省は答えられないんだという話をしておりましたけれども、少なくともこの団体が、橋をつくる、道をつくる、この仕事を、調査を請け負っているというのは明らかじゃないんですか。それについては、何か隠す理由でもあるんでしょうか。いかがですか。だって、そういう文書があるんだから。

平井副大臣 隠す理由はありませんので、また調査をさせていただきます。

笠井委員 では、この財団がやっているということは、それは確認できますか。

冬柴国務大臣 道路事業に関する業務執行のあり方改革本部というものを私をトップにつくりまして、ここで洗いざらい調査します。そして、私が、要するに、私は庶民ですから、役人でも何でもないわけですから、庶民の目線で見ておかしいというものはきちっと改革をいたします。

笠井委員 総理、こういうことがあると、本当に、発注元の国交省OBとそれから受注先の業界団体が一体となって、自分たちが将来請け負う可能性がある仕事がうまくもうかるようにということを税金で調査していると言われても仕方がないという状況です。こんなことだから、採算を度外視して計画はどんどん進められていくことになる。現に、この団体の事業報告書を見ますと、設計、施工技術などが中心で、採算性や国民にとっての必要性などは、調査というのは出てこないんですよ、項目に。アクアラインで実証済みの失敗が繰り返されることになるのは明白だと思います。

 そこで、最後に総理、アクアライン失敗した、そして猛省すると言われましたが、そういう形で、さらにどんどんどんどん計画してプロジェクトをやっていく無謀な道路計画を、この三月末までには国土形成計画ということで閣議決定をされるという形になるわけですが、とんでもないと思うんです。こんな決定、やめるべきだと思うんですが、総理、いかがでしょうか。閣議決定の問題ですから、総理、お願いします。

冬柴国務大臣 きょうの議論等も踏まえて検討させていただきます。私の方が閣議にお願いするわけですから、いたします。

福田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたけれども、こういう道路特定財源とかいうような国民にお願いをしている案件につきまして、これはやはり透明性、公平性、いろいろな角度から、間違いないというものをやらせていただきたい、そのための努力をさせていただきたいと思います。

笠井委員 最後に一言ですが、政府のやり方というのは、ともかく湯水のように道路特定財源を使って、次から次に無謀な計画を進めるということになっている。こんな制度を十年間も延長する道理というのは、私、全くないと思います。道路特定財源を一般財源化して、社会保障や教育、さらにはあかずの踏切、あるいは生活関連の道路をつくるために使えるように、そういう財源にして、暫定税率は廃止すべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。

逢沢委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 最初に、総理に二つ御質問をしたいと思います。

 今回、予算委員会の中で、道路特定財源をめぐって、これほど真摯で白熱した議論が行われたということは最近は例がないんじゃないかと思っています。

 審議はまだ半ばですけれども、これまでの議論を通じて、世論を見てもわかりますけれども、五十九兆円を十年間で道路に使い切ります、いや、違うとおっしゃるかもしれないけれども、その政府・与党の方針は、国民の理解を得られたと思っているんでしょうか。それが一点。

 もう一点は、これは、中期計画策定の要旨でも触れられておりますし、それから、昨年十二月の政府・与党合意の道路特定財源の見直しでも同様に言われていますが、地域が活力を失ってしまった、この地域の活力を取り戻すためには道路だ、道路だ、こう言っているわけです。

 しかし、これはもう明らかなように、地域が活力を失ったのは、御存じのとおり、バブル期中心でしたけれども公共事業にどんどんおつき合いをさせられた、それから何よりも交付税が六兆八千億円も減額されてしまった、こうしたところに大きな問題があるのであって、実際には、そのことと相まって規制緩和が非常に進んで、地域の公共交通、これはみんなぶっ壊されちゃった。鉄道がなくなる、バスの路線がなくなる、立派な道路はできたけれども、その上を走るバスがない。あるいはまた、大きなスーパーが進出してきて、商店街が壊滅してしまう、シャッターになってしまう。こういう問題があって、地域が活性化を失っているということだと思うんです。

 これは、旧態依然のように、道路をつくって地域を活性化するんだとまた言っているわけですよ。これで本当に活性化できるとお思いなんでしょうか。これはもう時代おくれと言わざるを得ないと私は思っていますし、そういう意味で、ぜひ総理の御見解、二点についてお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 地域のことをお話しされました。これからの日本の社会全体を考えて、どういうような予算の使い方をするかということは大変大事なことであります。

 今、道路ばかりやっているような印象のお話をされましたけれども、道路だけじゃないですよね。十年間で道路五十九兆円、そしてまた、この道路の中にも、道路そのものもありますし、例えば踏切とか、それから安全のための歩道を整備するとか、いろいろなことがあるわけでありますけれども、そういうこともやりますけれども、例えば社会保障にも、十年、まあ三十兆として、単純に言って十倍して三百兆、そういうようなお金も使っているわけですよ。それから、教育にも使っております。いろいろなものに使っているわけで、道路だけやっているわけじゃないということですよね。

 しかし、道路は、今、地域が大事だという趣旨のお話をされましたけれども、まさに地域にとっては本当に大事な血管のようなものだと思いますよ。ですから、その血管を通って地域に栄養を送る、そういう機能もあるわけですから、そういう機能を無視するわけにいかぬだろうというように思います。

 そしてまた、地域の活性化が失われている。まさにいろいろな要素がございました。改革の部分もあったかもしれません。しかし、そういう中には、やはり道路整備、これが少し時間がかかっているという部分もあると思います。公共事業を減らしたということは道路の分も減らしているわけですから、その影響も当然あるわけでございますので、地域のことを考えたらば、これからもやはり道路というものは大変大事な機能を持っている。

 もちろん、ほかのいろいろな施策もしなければいけません。それとあわせてやっていくわけでありますので、道路だけつくっているのではないということはひとつ御理解いただきたいと思っております。(日森委員「国民の理解は得られたと思っていますか」と呼ぶ)ですから、そういうようなことがございますから、やはり国民の御理解もいただかなければいけない、そのために我々も努力しなければいけないというように思っております。

日森委員 いただきたいという願望はわかります。しかし、直近の世論調査などを見ると、政府・与党の案に賛成です、こうおっしゃる人は一割ぐらいしかいないわけですよ。つまり、五十九兆円を聖域にして道路をつくりますということについて、圧倒的多くの国民がノーだと言っているんですよ、違うと。先ほどの大臣のお話を受ければ、庶民は、違う、こう言っているんですよ。だから、大臣は庶民じゃないのかもしれない、そんな思いもしますが、そのことをしっかり踏まえて御判断いただきたいと思うんです。

 海外でどうなっているかということなんですが、例えばアメリカ、これは環境に随分配慮したような使い方をしているわけですね。例えば、アメリカのガソリン・ディーゼル税、ディーゼル等に課されている燃料税、これは、公共交通機関勘定というのがあって、ここにしっかりと繰り入れられていて、道路だけじゃありません。それは一六%ぐらいになっています。

 ドイツでは、都市交通財源援助法という法律までつくって、そして公共交通整備のために、制度、これをしっかりやっているわけですよ。

 あるいはフランスでも、これは通行税、ちょっと意味が違いますけれども、これを大量輸送機関の鉄道などにしっかりとお金を配っている、配賦しているということが、実はヨーロッパなどでは環境問題も含めて当たり前の常識になっているわけです。

 ところが、残念ながら我が国ではそうならない。受益者負担だ、受益者負担だといって道路に固執をしているわけですよ。だから、今、こういう硬直した道路特定財源を廃止して、その使途をもっと拡大していくということをやるべきじゃないか、時代おくれになっているというふうに思いますが、御見解は。

冬柴国務大臣 今回の中期計画を見ていただいたらわかりますけれども、環境対策にももちろん意を用いておりますし、道路整備をすることが、ほとんど六十キロでずっと走れるという意味では、本当に大きな、環境に裨益していると思います。そういう意味で、十年目の、これは十年後の話でございますが、その段階では一千六百万トンの二酸化炭素というものを削減できるというふうに我々は試算をしているわけでありまして、それにはいろいろな取り組みをして、その中に書かれてありますが、そういうことを、我々は環境問題にも取り組んでいるということを申し上げたかったわけであります。

日森委員 環境問題に取り組んでいくということになると、実は、国土交通省もそうなんですが、モーダルシフト、つまり交通モードを車中心から変えていこう、あるいは物流二法もそうなんですが、という形で、なるべく環境負荷の少ない交通モード、これをしっかり確立していこうということをお決めになっているけれども、残念ながら、ほとんど進捗していないわけですよ。していないわけですよ。(発言する者あり)いや、そうですよ。していないんですよ。だから、そういう意味から考えると、もう少しその使途を拡大していくようなことが当然必要なんじゃないかというふうに思っているんです。

 実は、これに関連して自動車重量税についてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、これは七一年に第六十五国会で決められたんですが、そのときの大蔵委員会というのがございまして、そのときの議論がございます。これは、今は道路特定財源というふうにしているんだけれども、先に申し上げておきますが、総理のお父さんの時代、大蔵大臣でございました。道路特定財源としていますが、しかし、その当時の議論からいうと、これは、環境悪化などを防ぐために、鉄道、航空、海運を含めた総合交通の確立という観点から、交通関係社会資本整備に充当していくんだという考え方で道路特定財源にはしなかった、そういう経緯があるわけです。

 これは、財務省、特定財源とおっしゃっているんですが、これはちょっと事情を説明して、どういうことで特定財源とおっしゃっているのか、このときの七一年の大蔵委員会での議論、これについて、財務大臣、どういうふうに御認識されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

額賀国務大臣 今おっしゃるように、自動車重量税につきましては、昭和四十六年の創設時におきまして、第六次道路整備五カ年計画の財源確保を図るという観点から、道路その他の社会資本の充実の観点も含まれていたというふうに聞いております。つまり、道路を中心とすることもあったけれども、その他の社会資本の充実の視点もあったというふうに聞いております。

 ただ、その後、道路整備需要の高さ、それから総合交通整備特別会計にかかわる論議の中断、そんなことがありまして、一貫して道路のための財源として活用されてきたという経過があると聞いています。つまり、受益者負担の考え方に基づいて暫定税率による負担をお願いする以上、その使途については、納税者であるユーザーの方々の御理解を得なければならない、そういうことから今日まで来ているわけでございますけれども、その当時の委員会のやりとりについて御紹介をしてほしいということでありますならば……(日森委員「いや、紹介はいい」と呼ぶ)いいですか。(日森委員「道路特定財源にどうしてなったのかということだけ」と呼ぶ)いや、だから、道路の需要が、総合交通体系を整備しようかなという議論もあったけれども、その後、やはり道路需要の声が高くて、その重量税については道路を中心とした形になっていったということでございます。

日森委員 そのときの都合によって税の目的が変わってしまうという政府であったということ。

 冬柴大臣、大臣が公明党の幹事長のときに大変すばらしいことを発言して、公明党のマニフェストでお書きになっているんですが、「特に自動車重量税については、その財源が本来の道路整備事業に活用されていない現状にかんがみ、例えば、暫定税率の引き下げにより納税者に還元することや、その使途のあり方を検討することなど、見直します。」というふうに幹事長のときに政策をおつくりになっているんですよね。

 これは今の話と大分違うので、僕は、これはもう大臣の主張はまさにそのとおりだというふうに思いますが、これはどうなんですか。今もう、何か道路担当大臣になってしまって国土交通大臣ではないような気がするんですけれども、どうでしょうか。

冬柴国務大臣 私の方の公明党のマニフェスト、平成十七年、見ていただいたら、よく読んでいただければわかります。私が幹事長をやっておりました。そのときに、ユーザーの立場で自動車関係諸税のあり方を検討させていただきますと言っておるわけであります。これは、道路特定財源制度の趣旨から、財源が本来の目的に活用されていないのであれば、例えば自動車重量税の暫定税率の引き下げなどの見直しを検討すべきと考えていますということを言っているんですよ。

日森委員 そのとおりで、それを検討してくださいよ、実際に。もともと道路特定財源じゃないんだから。それはあなたがおっしゃるとおり、これは暫定税率を引き下げるということをきちんとおやりになったらいいし、一般財源化をすればいいんですよ。それが歴史的にも現状でもそういう流れになっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 総理、お父さんの話で恐縮ですが、お父さんはこれは交通財源であるというふうに言い切っていますよね、言い切っています。これはどうですか。感想はございますか。

 それから同時に、少なくとも自動車重量税については道路特定の枠を外していくんだというふうに、私は最低限そう思いますけれども、それについて御見解をいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 自動車重量税は、地方の財源として、道路財源として非常に貴重で大きい部分を占めています。これは総理の御尊父の大蔵大臣のときの答弁というものが根拠になって、その後そのように扱われています。

 私が言ったのは、それは何も一般財源にするとかそういうことじゃなしに、本来の目的どおりに使われているかどうか、使われていない部分があれば見直すべきだということを当時私は党内でも強く言っていました。しかし、今冒頭申しましたように、地方の道路財源として非常に貴重な部分を占めているわけでございまして、納税者の御理解を得ながら、これはそのように扱わせていただきたいということで、今そのように提案させていただいているわけでございます。

日森委員 時間がなくなりましたので、ちょっとはしょりますけれども、今、納税者の御理解というお話がございました。一昨年の十二月八日の閣議決定において、道路特定財源の一般財源化については「納税者の理解を得ることとの整合性を保ち、」というふうに述べておられるわけです。

 この具体的な内容についてちょっとお伺いしたいと思います。どの範囲ならば納税者の理解が得られるというふうにお考えなのか。例えば、環境、景観、もうお金を使っていますよね。どの範囲だったら納税者の理解が得られるというふうに具体的にお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 自動車起因分の環境対策、信号機の整備、交通事故対策、この交通事故対策というのは、交通事故で非常に重傷を負われた方、一人ではもう全然できないような人たちを収容する病院が千葉にもあります。私も見せていただきました。そういうものについても歳出を一般財源から行っているところでありますが、こうした歳出の範囲内の活用であれば納税者の理解が得られるものと私は思っております。

 これは、毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収については、環境対策等政策課題への対応も考慮して、納税者の理解の得られる歳出の範囲内で一般財源に活用する、こういうふうにされているわけでございますが、その範囲は、今言ったようにやはり自動車起因のものだというふうに思います。

日森委員 自動車起因のものであっても、先ほど申し上げたように、ヨーロッパなどでは、モーダルシフトをしっかりやっていこうということで、かなり広い範囲でガソリンなりディーゼルにかかわる税金を使っているということになっているわけです。結果として、これが環境対策に大きな役割を果たしているということなんですよ。

 しかし、今お話を聞いていると、どうもそういう発想が出てこないんですよ。それで、五十九兆円、一般財源化するのは三・五%ですよね、来年度予算でいうと。三・五%しか一般財源化しないで環境にも何にもといったって、これはよその国と比べたって、とてもじゃないけれども比較になりません。ということについて、非常にバランスを欠くと思っているんです。

 五十九兆円は、公共交通、とりわけ地域、地方のバスがなくなる、電車がなくなる、それで市町村が福祉バスを走らせて、やっと、交通弱者と言われる人々も含めて地域の人々の足を確保しているというのが実態なんですよ。そのために、限界集落がなくなる、住むところがどんどんどんどん疲弊してなくなっていくという状況がもう現実にあるわけで、そういうところにもしっかりと目を向けてこのお金を使っていくようなことがあってもいいはずなんです。

 ところが、道路に関連するものだけという発想でずっと来て、この十年間もそれでやりますと。これは、やはり道路特定財源の使い方、僕らは、一般財源化するにしても当面は一定の限界があると思っていますが、余りにも情けない使い方だというふうにしか思えないんですが、そのバランスみたいなことについてはどうお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 例えば、渋滞緩和のための取り組みとして、バスなどの公共交通機関の利用促進や、あるいは結節点改善によるTDM施策の推進など、公共交通機関と連携する施策を講ずること、そういう部門にもこういうものを活用させていただきたいと思っておりますし、それから、自動車の単体対策とか、これは日本は世界最先端を行っていると思いますよ、そういうものも支援をいたしております。

 CO2総排出量のうち運輸部門からは二割を占めていますが、そのうちの九割は自動車運輸部門の排出でありますが、このような交通流対策や自動車単体対策ということで、二〇〇一年をピークとして今ずっと下がっておりまして、その意味では、他の部門に比較して、いわば優等生といいますか、京都議定書の約束期間にその履行ができるまでに、めどが立つまでに来ているわけでありまして、そういうことも日森委員が御指摘いただいたように配慮させていただいているということを申し上げたいわけでございます。

日森委員 時間が来ましたけれども、私ども、もう少し幅を広く、もちろん一般財源化を展望していますが、当面は総合的な交通政策をしっかりと全国に展開していく、とりわけ、どんなところにいても移動の自由は確保できるんだ、移動の権利は確保できるんだという総合的な交通政策を確立するための統合した会計にしていって、何でもかんでも道路ですという発想はもうやめていただきたいということだけ申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて日森君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 この際、三案審査のため、昨二十日、第一班宮崎県、第二班茨城県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班遠藤利明君。

遠藤(利)委員 宮崎県に派遣された委員を代表いたしまして、団長にかわり私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、逢沢一郎委員長を団長として、理事増原義剛君、前原誠司君、委員阿部俊子君、岩屋毅君、橋本岳君、市村浩一郎君、近藤洋介君、高山智司君、松本剛明君、山井和則君、赤松正雄君、江田康幸君、阿部知子君及び私、遠藤利明の十五名であります。

 会議は、昨二十日午後一時より宮崎市内のワールドコンベンションセンター・サミットにおいて開催し、意見陳述者の方々から、現在本委員会で審査中の平成二十年度予算三案について意見を聴取した後、これに対して各委員より質疑が行われました。

 意見陳述者は、延岡市長首藤正治君、九州産交運輸株式会社取締役相談役坂本洋一君、延岡商工会議所会頭清本英男君及び医療法人財団天心堂理事長松本文六君の四名でありました。

 意見陳述者の陳述内容について、簡単に申し上げます。

 まず、首藤君からは、地域間格差の是正のため、地方への富の再配分システムを拡充すべきであること、地方の幹線道路を国の責任で整備する必要があり、道路特定財源は維持すべきであること、特定財源の無駄遣いの問題は、一般財源化ではなく、その防止の仕組みを工夫すべきであることなどの意見が述べられました。

 次に、坂本君からは、宮崎県や熊本県など道路整備のおくれている地域には配慮が必要であること、受益者負担の原則から、道路特定財源の一般財源化には反対であること、トラック運送事業者の厳しい経営状況を踏まえ、暫定税率の一部引き下げを検討してもらいたいことなどの意見が述べられました。

 次に、清本君からは、九州の域内でもインフラ整備等において格差が拡大しており、地域間格差の是正が必要であること、道路整備がおくれている地域にとって道路特定財源は必要であること、中小企業の創業から継続的な営業活動ができるまでの一貫した支援策が必要であることなどの意見が述べられました。

 最後に、松本君からは、低所得者の負担が大きい後期高齢者医療制度は廃止すべきであること、医師不足や医療費抑制政策により医療崩壊が生じており、医療費の拡充が必要であること、医療費拡充のための財源は特別会計の見直しにより捻出すべきであることなどの意見が述べられました。

 次いで、各委員から陳述者に対し、建設業界の景況と地域経済に与える影響、規制緩和と原油高の影響を受けるトラック業界への支援策、いわゆるふるさと納税に対する見解、暫定税率廃止の場合の地域への経済効果及び廃止の是非、道路の中期計画に対する評価、九州における地域医療の直近の五年間の変化及び医師を確保するための方策などについて、予定時間を大幅に上回る熱心な質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。議事録は、本委員会の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

逢沢委員長 次に、第二班中山成彬君。

中山(成)委員 茨城県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、中山成彬を団長として、理事森英介君、田野瀬良太郎君、山本幸三君、岡田克也君、富田茂之君、委員猪口邦子君、坂井学君、渡部恒三君、太田和美君、笹木竜三君、伴野豊君、小宮山泰子君、塩川鉄也君、糸川正晃君の十五名であります。

 会議は、昨二十日午後一時より水戸市内の水戸プラザホテルにおいて開催し、意見陳述者の方々から、現在本委員会で審査中の平成二十年度予算三案について意見を聴取した後、これに対して各委員より質疑が行われました。

 意見陳述者は、茨城県知事橋本昌君、連合茨城会長児島強君、日立市都市計画審議会会長山本忠安君及び茨城大学人文学部教授佐川泰弘君の四名でありました。

 意見陳述者の陳述内容について簡単に申し上げます。

 まず、橋本君からは、三位一体の改革により削減された地方交付税の復元が必要であること、地域間の税源偏在の是正のため地方消費税を充実させる必要があること、道路特定財源の暫定税率を延長する必要があることなどの意見が述べられました。

 次に、児島君からは、道路特定財源の暫定税率の廃止縮小が必要であること、日本経済の活性化を図る必要があること、非正規雇用労働者を救済する必要があることなどの意見が述べられました。

 次に、山本君からは、幹線道路の整備は地域間格差の是正や成長力強化のために必要不可欠であること、中小企業の活性化を図るには事業承継税制の抜本拡充が必要であること、日本経済の回復には地方都市の活性化が必要であることなどの意見が述べられました。

 最後に、佐川君からは、構造改革などにより崩れてきている地方の経済生活の基礎的条件を公的に再構築する必要があること、地方間での財源のやりとりではなく、地方全体の財源を保障する必要があること、道路特定財源の一般財源化が行政改革推進法に定められていることの重みをおろそかにすべきでないことなどの意見が述べられました。

 次いで、各委員から陳述者に対し、道路特定財源の暫定税率廃止が地方の一般歳出に及ぼす影響、子供の安全、安心確保のための道路整備や学校教育のあり方、道路の中期計画における五十九兆円の事業規模の精査の必要性、ネットワークとしての道路整備のあり方、労働者派遣法に係る規制緩和の見直しの必要性、都市と地方の地域間格差是正策及びその観点からの平成二十年度予算に対する評価などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。議事録は、本委員会の会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第でございます。

 以上、御報告申し上げます。

逢沢委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

逢沢委員長 次回は、明二十二日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の宮崎県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十年二月二十日(水)

二、場所

   ワールドコンベンションセンター・サミット

三、意見を聴取した問題

   平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 逢沢 一郎君

       阿部 俊子君   岩屋  毅君

       遠藤 利明君   橋本  岳君

       増原 義剛君   市村浩一郎君

       近藤 洋介君   高山 智司君

       前原 誠司君   松本 剛明君

       山井 和則君   赤松 正雄君

       江田 康幸君   阿部 知子君

 (2) 意見陳述者

    延岡市長        首藤 正治君

    九州産交運輸(株)取締役相談役((社)熊本県トラック協会長)    坂本 洋一君

    延岡商工会議所会頭   清本 英男君

    医療法人財団天心堂理事長           松本 文六君

 (3) その他の出席者

    財務省主計局主計官   西田 安範君

     ――――◇―――――

    午後一時開議

逢沢座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の逢沢一郎でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。

 皆様方御承知のとおり、当委員会では、平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算の審査を行っているところでございます。

 本日は、三案審査に当たりまして、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当宮崎市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますように、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の遠藤利明君、増原義剛君、岩屋毅君、阿部俊子君、橋本岳君、民主党・無所属クラブの前原誠司君、松本剛明君、市村浩一郎君、近藤洋介君、高山智司君、山井和則君、公明党の江田康幸君、赤松正雄君、社会民主党・市民連合の阿部知子君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 延岡市長首藤正治君、九州産交運輸株式会社取締役相談役・社団法人熊本県トラック協会長坂本洋一君、延岡商工会議所会頭清本英男君、医療法人財団天心堂理事長松本文六君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず首藤正治君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

首藤正治君 延岡市長の首藤でございます。

 きょうは、こうして意見陳述の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、三位一体の改革以来、地方自治体は大変財政的に疲弊をしてきております。延岡市の場合を見てみますと、国庫補助負担金の縮減分と税源移譲分、これはほぼ拮抗しておりますけれども、片や地方交付税につきましては、三位一体改革の前と後を比べてみますと、これはお手元の資料の一ページ目に出させていただいておりますが、約三十六億円、率にして約二〇%減少しております。こうした地方交付税の復元ということにつきまして御配慮いただければというふうに考えております。また、こうした地方の厳しい財政状況の中で地方再生対策費が配分されるということになりましたけれども、これは大変ありがたいというふうに考えております。

 財政力の強い東京都、その二十三区内の合計特殊出生率を見てみますと一・〇を割り込んでいるというのに比べますと、延岡市の場合は一・七程度でございます。地方はこうして愛情とコストをかけて子供たちを生み育て、そして社会に送り出してきております。それを大都市は労働力として吸収し、付加価値を生み出す源泉としているというのが日本社会の構造であろうかというふうに考えております。労働力の供給ということも踏まえ、こうした持続可能な大都市と地方との関係を構築するということから考えても、格差是正という観点とあわせて、地方への富の再分配システムは拡充すべきだというふうに考えております。

 このような地方財政状況の中で、道路特定財源の暫定税率を廃止するということについては、大変大きな問題があると考えております。お手元の資料の二ページ目に出させていただいておりますが、延岡市の場合、暫定税率の廃止によります影響は約七億円に上ります。これは延岡市ばかりのことではございません。地方財政全般が立ち行かなくなるというふうに考えております。

 これについては、今まで非常に多くの議論がされておりますので、これ以上申し述べるのは差し控えますが、もう一つ、この暫定税率廃止による、実はもっと本質的なダメージがある。それは何かといいますと、国直轄での道路整備がほとんどできなくなるということでございます。このことをガソリン値下げよりも重大だと感じる宮崎県民は大変多うございます。だからこそ、実は昨夜、地元宮崎のテレビ局の街頭アンケートをテレビ番組の中で報じておりましたけれども、これはサンプル数こそ少ないんですけれども、暫定税率の廃止に宮崎県では六割から七割が反対という結果をその中では報じておりました。

 幹線道路のネットワークということにつきましては、国が責任を持って整備すべきだというふうに思います。一般財源化して地方に任せるという議論がございますが、地方道についてはそれでいいとしても、幹線道路につきましては、国の手で整備しないというのは、おくれている地方を切り捨てるということでありますし、また、地域間格差を拡大するということにほかならないと感じております。このことについては、地方分権以前の問題だというふうに思っております。

 今、ここに九州の地図、幹線道路のネットワークをプロットしておりますけれども、この地図を見ていただきたいと思いますが、国内の道路整備があらかた終わっているというのは、大都市から見た一方的な視点でしかない、とんでもない誤解だというふうに思います。我々の地域は、これから道路整備が始まる段階をようやく迎えたところでございます。地方の幹線道路整備が一通り終わってから、こうした制度を変える議論をすべきだというふうに思います。

 西九州では、高速道路はもちろんのこと、新幹線も整備が進んできております。東側には、こうした高速交通ネットワークは何もない、完全な高速交通網空白地帯だということでございます。こうした東西格差の一番大きな要因は、道路によるものと考えております。今ここで制度を変える段階にはないというふうに思います。

 例えて申し上げますと、みんな二階に上りたいという状況があって、そして全員でお金を出し合ってはしごを買ったというふうなことを例えたいと思いますが、都会の人たちから順にそのはしごを上り始めて、大半が二階に上って、そしてその段階で、もう大体上がったから、おなかもすいたし、このはしごを売り飛ばして食べ物でも買おうか、そういうことを言い始めたということではないかな。これは、二階に上がった人たちが言い始めた話ではないかなというふうに私たちは感じるところでございます。ちょっと待ってくれ、私たちはまだ二階に上っていない、はしごはまだ要るんだということでございます。

 九州での西と東の格差、このことをぜひお考えいただきたいと思います。昔、高速道路の整備が始まる前は、西九州と東九州の沿線の総人口あるいは経済力、こうしたものは大差ございませんでした。それが今は、天と地の開きがございます。

 高速道路建設の是非ということについては、渋滞解消のためとか、こういう目先のコストパフォーマンスで判断される傾向があるというふうに思いますが、これは最近の話でございますが、九州横断自動車道延岡線沿線の、熊本県の山都町というところがございます。この山都町、最近、高速道路が着工されておりますが、高速道路が着工されてから後、通信制高校の立地あるいはブロイラー飼育場の建設、こうしたものが降ってわいたように本決まりになったということを町長さんがびっくりしておっしゃっておられました。道路は産業を興すという側面がございます。こうしたことこそ、地域が求めるベネフィットでありますし、BバイCの大きな要素となすべきであるというふうに考えております。

 現在、道州制ということも取りざたされる時代にありまして、九州が世界の中で競争していくには、このくらいの高速道路整備では非常に脆弱であります。横に掲げましたオランダの地図でございますが、ちょっと見にくいかもしれませんが、九州とほぼ同じ面積、同じ人口、ほぼ同じGDPでございますが、オランダと比べましても、高速道路の路線を線として引いておりますけれども、この密度が全然違う。

 これから道州制というものがもし本格施行されるとすれば、その中で国際競争力を持った地域経済をつくり上げるために、将来を見据えた国家戦略というものが必要だ、その国家戦略の根幹となるのは、やはりこうした高速交通体系ではないかというふうに思います。

 また、この道路特定財源、これは大変逆進性が強い税でございます。所得の低い地方では、公共交通機関が脆弱であります。車がないと生活できません。ですから、道路を整備するために、ガソリン税を初めとして、世帯当たりの負担でいえば東京の三倍あるいは五倍とか言われるほどの税を払い続けてきております。

 このパネルを見ていただければおわかりいただけるかと思いますが、東京都の二十三区の平均で一世帯当たりの自動車保有台数〇・五五台、宮崎県平均一・三九台、延岡市が一・一四台ということになっておりますが、車の保有台数あるいは一台の車の年間の走行距離、こうしたものを比べますと、実際にはこれ以上、ここでは道路特定財源の年間負担を東京都と比べて宮崎県は約二・八倍ということでグラフにしておりますけれども、実際にはこれ以上の格差がございます。

 実際、県民所得というものを比べてみましても、東京都と宮崎県を比べますと、宮崎県の県民所得は東京都の半分でございます。所得が半分なのに世帯当たりの特定財源の負担が二・八倍ということは、実際はその掛け算できいてくるわけでありますから、五倍以上の負担が実際の負担感としてはあるわけであります。

 このような逆進性の強い道路特定財源でございます。これを一般財源化するということは筋が通らないと思います。所得の低い地方に都会より多くの税を負担させながら、それを道路以外に使おうというのは、我々にとっては本当に許しがたいことだと感じております。取れるところから取るという発想でしかないのではないかというふうに思います。この逆進性の強い税を、いずれ私たちの地域にも道路ができると思えばこそ、今まで文句も言わずに払い続けてきたのがこの宮崎県民ではないかなというふうに考えております。

 無駄遣いが多い、あるいは利権構造が問題だという議論もございます。だから道路特定財源は一般財源化すべきだと言う人もいらっしゃいます。しかし、多くの無駄遣いが指摘されたのは、例えば年金の問題も同じでございます。しかし、無駄遣いがあるから年金制度をやめようということは、どなたも多分おっしゃらなかっただろうと思います。無駄遣いがあるということと、その制度が必要かどうかということ、これは全く次元の違う問題でございます。制度を運用するに当たって無駄遣いを防止するような、そうした仕組みを工夫していこうというのが真っ当な議論の方向性ではないかなというふうに考えております。

 現段階では、この道路特定財源の維持、そして暫定税率の延長ということを強く訴えて、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

逢沢座長 ありがとうございました。

 次に、坂本洋一君にお願いいたします。

坂本洋一君 熊本に本社を置きます九州産交運輸の坂本でございます。

 きょうは、このように発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。感謝申し上げるところでございます。

 そしてまた、国会議員の先生方には、平素、私どもトラック運送事業に対しまして何かと格別の御高配を賜っておりまして、この場をかりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。

 きょう私は、道路特定財源の問題についてお話をさせていただきたいというふうに思います。

 私どもトラック運送事業者、現在、全国で六万三千社を数えております。車両台数にして百十万台、働く人百三十万人、そのような営業ナンバーでの団体でございます。国内の輸送量の九一%を運んでおる、そのような実績がある中で、今、国民生活にとって我々運送事業者というのはなくてはならない、必要不可欠な業種である。まさに、ある意味での生活のライフライン的な存在であって、バスが公共交通であれば、我々は公共運送ではないかな、どうかひとつ予算委員の先生方、そのような御認識をいただければ幸いでございます。

 そういう中において、私どもトラック業者は、社会的貢献、輸送秩序の確保ということに向けて日夜努力しておるわけでございますけれども、御承知のように、近年における原油価格の高騰、特に我々トラックの燃料は軽油でございまして、それには軽油引取税というのがかかっております。今日まで我々は、この道路特定財源を五十年間払い続けてまいりました。その上乗せ分として暫定税率を三十年以上払い続けてまいりました。

 御承知のように、この暫定税率のそもそものきっかけというのは、このままでは日本の道路整備がおくれる、だからここに本税より高い上乗せをして早く日本の道路をつくってしまおうじゃないか、そして日本の経済発展、それから地域の活性化、いわゆる国民の目線での生活道路、経済道路、いろいろあることは承知いたしております。

 しかしながら、今、我々トラック業界、原油価格の高騰によって前代未聞の厳しい経営環境にあることは事実でございます。正直言いまして、平成十六年の三月、それから燃料が上がり始めました。そのとき、我々の一番安いローリーの単価で六十三円でございました、一リッター六十三円。ことしの二月一日現在で百十円。これは一般市場価格よりぐっと安い値段でございます。ローリー買いで約七割のアップ、一リッター当たり四十七円のアップ、これはとてもじゃないけれども我々の域を超えている。

 そういう中において、我々は、日本の経済を支え、そして国民の暮らしを守るためには、何としてでもこのトラック業界が頑張っていかねばならない、そういうことから、いろいろな対策を今日までやってまいりました。

 それに伴って、輸送コストが四年前と比較して、運賃に占める燃料の割合というのは四年前は二〇%程度でございましたけれども、今三五%、一五ポイントも上がっている。とても信じられぬほどの値上がりである。我々は、そういうことを解消するために、何といってもこれは、まずはきちんと省エネ対策なりいろいろな対策をして、自助努力を重ねてまいったところでございます。

 例えば、そういうことによって社会保険の未加入。普通の会社ならば一〇〇%でしょうけれども、我々運送事業者、全国六万三千社ある中で、社会保険の平均未加入率というのは二五%、二五%は未加入。ということは、一万四、五千社は未加入ということになります。御承知かと思いますけれども、社会保険料は賃金の大体一五%です。三十万の給料で四万五千円も企業負担ということになります。百名の従業員であれば月に四百五十万、年間五千万。これは、費用ですから、利益から持っていかれます。今、我々の業界、利益率が一、二%でございます。もう既に吹っ飛んでしまっております。

 そのような厳しい経営環境の中で、どうしてもやはり高速道路の区間の未使用というのも出てきておりまして、それがひいては、長距離運転では長時間労働、居眠り運転、交通事故また交通渋滞、そういうことを招いておるのも事実でございます。

 そしてまた、そういう影響によって、余り公表はできませんけれども、今この宮崎県もそうでございますけれども、九州各県といたしましても、九州八県、約七千事業者ございます。働く人十七万人、車の台数約十五万台。この前、総決起大会を行いました、非常にいい反響がございました、やはり行動を起こすべきだなという感じは持っておりますけれども、今この九州八県で、昨年一年間で事業の休止、廃止、夜逃げ、いわゆる倒産的なものというのが百七十八社。我が熊本県では、八百事業者がおりますけれども、昨年一年で三十六社が倒産をいたしました。全国では、毎年一千社以上がそういった休業、廃止、倒産に追い込まれているのが実態でございます。

 そのように自助努力の限界は超えて、そして、そのような厳しい経営環境にある中で、皆さん、宮崎県もそうでしょうけれども、九州は農業県でございます。今から春野菜の出荷が始まります。ナスビ、キュウリ、トマト、メロン、スイカ、そのような産物が関東、関西の市場に今から、トラックが主力でございます。

 私が今心配しておりますのは、燃料の高騰によって、果たしてその輸送の安全確保ができるのかなということを懸念しておるわけでございます。長距離の運送事業者、二、三年前から撤退をいたしております。倒産、撤退、そのような形で果たして本当に国民の生活を守ることができるのか。

 それと逆に、規制緩和の行き過ぎが非常に問題になっております。平成二年以来の規制緩和が行き過ぎた感じでございますので、実は五台で簡単に許可が出ます。したがって、今倒産の件数を言いましたけれども、それ以上のトラック業者がまた生まれているというこの現実、それがいわゆる過当競争、運賃ダンピング、それから社会保険の未加入、悪循環でございます。

 そこで、そういうふうな状況の中にあって、私は、道路というのは国の根幹をなすものであり、日本の国が生き続ける限り道路整備というのは、未来永劫、真に必要な道路はつくるべきだ、道路に関しては基本的にはそのような認識を持っております。しかしながら、今のようなトラックの現状からして、本当に暫定税率を維持して、しかも十年間維持というのには、私は納得いかない。ここは、どうかひとつ予算委員の先生方、十分御配慮いただきたい。

 しかしながら、今、延岡の市長さんがおっしゃいましたように、九州の特に宮崎県、何か知りませんけれども、おくれています。特に大分から鹿児島に抜けるところ、私も昔から何でかなと思っておりました。たまたま、幸いこのような機会に、今テレビでいろいろなことで宮崎県が報道されていますので、恐らく東九州自動車道は早期実現の日を見ることでしょう。それと同時に、熊本県も非常に悪いわけです。熊本から延岡に来るまで、宮崎に来るまで、これも悪い。九州で一番悪いのはやはり宮崎県と熊本県である。手前みそになりますけれども、どうかひとつ御配慮をいただければなというふうに思っておるところでございます。

 時間もありませんけれども、道路特定財源の一般財源化についてお話を申し上げたいと思います。

 基本的には、我々運送事業者は反対でございます。なぜか。道路をつくるのは賛成でございますけれども、しかし、ちゃんと優先順位を決めて、そして、この道路特定財源は受益者負担という原理原則から成り立っておるというふうに思います。道路以外の目的に転用するのならば、これはきちんと御破算にして、国民やユーザーにお返しすべきだ、これが私は本筋だと。

 本当に道路をつくりたい、年金、医療、介護、そういうものに要るんだ、年間五兆円の道路特定財源、それから年金、介護、医療に五兆円要る、十兆円。それならば、道路特定財源というのは、転用するのは反対です、一回御破算にして、また新しい体系の中で税を考えるべきじゃないでしょうか。これは広く国民の皆さんから御負担いただくようなことが私は必要じゃないかなと。ということは、それは消費税になるかもわかりませんけれども、決して消費税だけではない、霞が関にはその財源がまだまだあるのではないでしょうかというふうにも感じておるところでございます。

 それから、暫定税率の問題でございますけれども、暫定税率につきましては、我々運送事業者としては、まずは、十年間維持、延長には理解ができません。我々はこれだけ、暫定で三十年以上払ってきた。今、テレビ、報道でいろいろな問題が出ている。本当に我々は、血と汗と涙の結晶、血税として軽油引取税を払ってきた。年間で五千数百億円、トラック事業者は軽油引取税を納めております。ああいうことを聞いた場合、それがあのような形で使われたのかと思うと、本当に残念でなりません。

 しかしながら、余ればやはり使います。だから、道路特定財源を含む暫定とまた別な議論の中で先生方にしていただきたいと私は思うんですけれども、この暫定税率につきましては、我々運送事業者としては、まずは、平成五年に時限立法的にできました一リッター当たり七円八十銭、何とかこれを軽減していただきたい。そして、トラック運送事業を元気な業界にしてほしい。それができないならば、せめて三年間の時限立法でもよろしゅうございますから、七円八十銭、一時凍結でも結構でございますから、どうかひとつ余裕を与えてほしいというのが、控え目な、正直な気持ちでございます。

 それからまた、ガソリンは揮発油でございますけれども、揮発油税については、暫定税率全廃ということではなくして、日本はまだ道路が必要ですから、せめて暫定税率の半分程度の十円ぐらいを軽減していただくならば、国民も納得するでしょうし、我々運送事業者も助かります。今、与野党の皆さんは百かゼロかの議論をされておりますけれども、ここはもう少し、党利党略じゃなくして、きちんと歩み寄った議論を私はしていただきたい。それが、国民に優しい、消費者に優しい政治ではないでしょうか。そういう次元の中で、予算委員の先生方、我々の運送事業のこともどうか頭に入れていただいて、元気なものにしていただきますようお願いを申し上げる次第でございます。

 最後になりましたけれども、私ども、そういう状況の中にあっても、企業の社会的責任として、安全対策や環境対策には前向きに、全身全霊をかけて取り組んでいることを最後に申し上げまして、私の意見発表を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

逢沢座長 ありがとうございました。

 次に、清本英男君にお願いいたします。

清本英男君 私、延岡商工会議所の会頭をしております清本でございます。

 会頭をしましてちょうど十三年目を迎えるわけでございますが、その間、中小企業の発展、特に零細中小企業の発展をどうすればいいのかと、この十三年間は大変な苦労の連続でございました。

 ちょうど人口が十三万二千でございます。三町合併が成立いたしまして、人口が十三万二千人になりました。三町合併しまして一万人ふえただけでございますが、面積は九州で二番目に広い市になったわけでございます。

 そういった形の中で、昨今の景気の動向を見ますと、非常に景気はよくなっておるというふうに言われておりますけれども、その実感というのは地方にはほとんどございません。悪くなっておるのが現況かなというふうに思っております。

 これは、先ほど市長からも話がありますように、地方の場合は、やはり交付税等による事業によって、中小企業、特に建設業あたりは支えられておりますし、また、そういう建設業が地方によりましては基幹産業でございますから、これが元気がなくなりますと全体的に元気がなくなるというのが今の現況かなというふうに思っておるわけでございます。

 昨今の状況を見ますと、延岡市だけでも約五年間で一千万以上の倒産が七十四社起こっておるという状況ですし、近々では、宮崎県の建設業協会の会長をされております企業が倒産をするというような形の中で、自殺者も三名出るというふうな非常に悲惨な状況にあるわけです。そういった非常に厳しい状況が、今の状況でいくとますます厳しくなる。

 また、道路特定財源の中での地方に渡す分が、宮崎県ですと約二百十億円というふうに言われております。これが切られますと、単純計算でございますけれども、仮に、このうちの約百億が労務費としますと、一人平均二百数十万円の年収とした場合には六千人ぐらいの賃金に相当するという形の中では、かなり影響が大きい状況になってくるというふうに思っておるところでございます。

 そういった形の中で、やはり地方を活性化するためには、どうしても循環型の高速道路がないといけない。今、道路がつくられておりますが、全然つながっていない。ですから、利用者が少ない。利用者が少ないところはつくらないでいいじゃないかというのが今の議論かなというふうに思っておりますが、高速道路は、つながって高速道路。道は、私は命の道だと思っておるんです。これは、経済でもあり、生命でもあり、文化でもある。いろいろなものを運ぶものが道でありますが、その道に対する戦利戦略が我が国にはないのではなかろうか。九州の経済、九州の発展をどういうふうにデザインするのか。私は、その中で一番重要なのは道だと思うんですね。

 その戦略がないがゆえに、高齢化に向かっている社会に何で高速道路が要るのかとか、ある意味合いでは、車が通らないところに何で道路が必要なのかというふうな議論が都会の方ではなされておりますが、私どもの場合は、そういった意味合いでは、まだ高速道路すら味わったことがないというのが今の現況なんですね。

 それで、何でこういう格差社会が生まれるのかというふうに思いますが、九州でも西と東では、片っ方では三年後には新幹線が走って、高速道路が走っておるのに、こちらはまだ高速道路もない。ましてやJRは、宗太郎峠を通るときに墓石の字が読めるようなスピードで走っておる。こんな状況があっていいのかという、この格差ですね。

 ですから、この辺をもう少し、やはり政治家の皆様方は、我々の税金で法律をつくって、国民が安心して豊かな生活ができるようにしていただくのが政治家だというふうに僕は思っておりますが、そういう細かいところに目配りができていないんじゃないか、何でもかんでも都会のレベルで地方も考えてしまうというのが今の現況かなというふうに思っております。

 例えて申し上げますならば、今銀行が査定をして、要懸念先とか優良先とかいって、要懸念先については積み増しをしなさいというふうな形でやっておりますが、これも都会と田舎では私は違うと思うんですね。いろいろな人間関係があって、ここでは多少赤字でもこの会社は大丈夫だといって銀行は貸すんですが、貸せば積み増せと言われるというふうな状況でございますから、こういう画一的なあり方というのが、もう少し何とか是正できないものかなというふうに思います。

 その辺のところをもう少しきめ細やかなやり方をしていただかないと、田舎と都会では生活の水準も何もかも違うわけですから、その辺のところをしっかりとすり合わせをしながら政治というのをやっていただかないと、どうも最近の政治を見ておりますと、我々の目線ではないなというふうな感じがしてならないわけでございます。この辺は、これからの政治のあり方についても十分議論をしていただきながら、ひとつやっていただきたいなというふうに思っておるところです。

 私も、提言活動という名のもとに、十三年間で約百数十回陳情に行っております。それで、平成十七年に、やっと東九州自動車道の目鼻が立ったなというふうなところで、今度は民営化の問題が出ました。これでまた慌てて、年に八回から十回、陳情に行きました。それがやっと落ちついて、今度は民間でやるものと国が直接やるものということでやっと制度ができて、ああ、これで道ができるなと思った途端に、今度は道路特定財源でどうのこうのと。

 これも、我々からしてみれば、三十四年間納めてきて、やっと自分たちの順番が来たというときに、これをなくするというのはいかがなものか。であるならば、つくるという確約、保証をしっかりしていただかないと、我々から見れば詐欺に近い。税金だけ取っておいて道はつくらぬのかということを申し上げたいわけでございまして、この辺のところをぜひ御配慮願いたいなというふうに思っております。

 それから、やはり高速道路があるところとないところでは有効求人倍率というのが全然違います。現在のところ、大分県は一・〇八あります。私ども宮崎県は〇・六二、延岡市は、大分には近いんですが、〇・五二というような形の中で、やはり高速道路がないところというのは、もう大分県にどんどん人を送っていく県になっていくという危機感を非常に持っております。

 そういった形の中で我々が思うのは、何としてでもやはりこの辺のところを早く是正してもらって、みんなが対等に勝負ができるようなインフラの整備をまずしていただきたいなというのが希望でございます。これをしっかりやっていただくことでできるということで、平成二十六年には高速道路はでき上がるという発表をいただいております。これは本当に道路特定財源があってのことだろうというふうに思いますが、これがどうなるんだろうかというのを非常に心配はしております。

 私ども民間といたしましても、現在、道路ができた後の町をどうするかということで、活道会というのをつくってやっておりますのと、恐らくこれは延岡市だけでは、道路ができたらストロー現象が起こって大変な町になってしまうんじゃないか、だからやはり周辺が合併して強力な受け皿体制をつくってやっていかなきゃならないなというような話し合いを、もう六年後には道路ができるんだからやろうじゃないかということで、民間でも立ち上げておるというふうな状況でございます。

 そういった意味合いでは、まず一番の基盤というのは、やはり道路、しっかりとインフラを整備していただくことが一番大事だというふうに僕は思っております。この辺のところをひとつお願いしたいというふうに思っております。

 それと、もう一つお願いしたいことは、私どもの方の中小企業というのが、日本の場合は九十数%が中小企業なんですが、その中でも小売業というのが、この五年間で延岡市だけでも二百九十四社が倒産とか廃業とかに追い込まれております。こういったところは、小売業というのはある意味合いでは町の歴史でもあるし文化でもあるわけですから、これが壊滅化してしまってみんなジャスコみたいになってしまったら、もうどうにもならないわけです。ですから、どうしても町の中心というのは活性化させていかなきゃならない。そのためにお願いしたいのは、創業から企業化するまでの一貫した援助を国の方でしてほしいなというふうに思っております。

 今までも一部創業者支援というふうな形の中でいただいておりますが、これはもうわずか、一社当たり三十万ぐらいの補助金が出て、そして我々商工会議所がその創業者に対する教育をやるという費用をいただいておりますが、もう少しここいらのところをやっていただきますと、今東京に行ってそういった業界におる人たちが田舎に帰ってきて、東京のノウハウを持ってきて田舎で小売業をしてもらえるというふうな体制がつくれるんじゃないか。そういうためにも、空き店舗の利用とかいった意味合いでは現状あるところを救ってもらうのも必要なんですが、それ以上に大事なのは、新しい小売業者を育てるという施策をぜひ打っていただきたいなというふうに思っております。

 何はともあれ、私どもの方は、やはりこれから地域間競争をしながらこの地に生きていくわけでございますから、どうかほかの地区と対等に勝負ができるインフラを一日も早くつくっていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上です。(拍手)

逢沢座長 ありがとうございました。

 次に、松本文六君にお願いいたします。

松本文六君 私は、大分市の南部で地域の包括的な医療とケアを提供しています。医師で、総合診療医です。病院が百七十三床の急性期の病院、クリニックを二つ、老健を二カ所、そして在宅医療と在宅介護をやっております。

 今回の予算なんかを見ても、医療、福祉、介護、教育あたりについては十分な予算は配分されていないと思います。とりわけ、最近では医療崩壊という言葉が言われていますが、そういう意味で、本日は医療に的を絞ってちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 私は、昨年の十一月に地域医療研究会の代表世話人になりました。前任者は鎌田實という有名な方なんですが、地域医療が崩壊の危機に瀕している、そのことについて、やはりそういう有名人じゃなくて、現実に現場でやっている者にさせた方がいいんじゃないかということで、引き受けることにいたしました。そういう意味では、本日は、日本の医療を再生させるべきだ、そのためにどうすればいいかという意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、目前に迫っている後期高齢者の医療保険制度ですが、これは廃止すべきだというふうに思います。そして、あと医療崩壊と市場経済原理主義、病院閉鎖の危機、それから、日本の医師数はOECDの中で二十七位。これは議員さんにお配りした表紙が間違っています、五番目は医師数です、これが二十七位。そして六番目は、医療費のGDP比がG8で最低で、二十二位ということです。最後に、現在国の描く医療と本来の医療とは何か、そして財源はあるのか、ないないと言っているんですが、それは本当なのかということについて触れたいと思います。

 後期高齢者医療保険制度について、昨年、朝日新聞にあるお年寄りの投書がありましたが、これに、老人はお国のために死んでくれ、こういう制度を設けるべきでないという意見が載っておりました。

 議員さんのお手元にだけしか資料が配られていないようですが、二ページの下の棒グラフですが、これは、国民健康保険から後期高齢者医療保険になるとどれだけ上がるかということについて、低所得者が極端に上がる。そして、旧ただし書き方式で、二百三十五万円以下の人はプラス出さなければいけないけれども、それ以上の所得のある人はかえって保険料が安くなるというシステムです。

 そして、この後期高齢者医療保険制度では、二百万人の方が給与所得者の扶養家族から個人単位で保険料を取られます。そうしますと、介護保険料と合わせると何と月に一万円を超すわけですね。お年寄りは大変困っているんですが、そして、しかもそれは年金から天引きされます。

 さらに驚くべきことには、現在、介護保険料と国保料の滞納者が大体七十五歳以上の一割いますが、一割の方は恐らく後期高齢者医療保険料も払えないと思うんですね。そうすると、資格証明書を与えます。資格証明書というのは、あなたは払えぬぞという証明書ですよね。あなた、医療にはかかれませんよという証明書なんですね。全額現金で出さなければいけない。この七十五歳の人たちをそういうような形で閉じ込めていくという制度があっていいのかと思います。

 先ほど言いました、練馬区では三・六%の人が年収七百五万円以上だそうです。それは特別な計算方式がある所得らしいんですが、その中で、所得合計に占める割合、七百五万円以上の人が何と五八%。ところが、それを合わせて保険料として出した場合には、二六・七%だそうです。私は、収入のたくさんある人はもう少したくさん拠出してもいいんじゃないかと思うんですね。こういう制度は、やはりお年寄りはお国のために死んでくれという制度じゃないかというふうにはっきり私は思います。

 現在八十歳以上の方々は、若いころは、若者よ、お国のために死んでくれと、戦争に、戦場に駆り出されていったわけですね。そして今になってこういうことを言われるというのは、とんでもない話だというふうに思います。

 次に、医療崩壊についてですが、医療崩壊というのはなぜ起こったのか。これは、病院勤務医がその勤務の過酷さに耐え切れずに開業する。二〇〇六年度で数千人が全国で開業しました。病院から去って開業するわけですね。そのことは後ほどまた触れます。そのために、病院が医師不足により閉鎖されたり、診療科の縮小、閉科に伴って、患者さんが従来どおりの至便な、便利な医療が受けられなくなっていることの相対的な表現が医療崩壊という表現ですね。

 これは何で起こったのか。一番大きいのは、医者が絶対的に不足しているんです。そして医療費を抑制するという政策ですね。一九九七年から二〇〇七年、十年間に診療報酬は何と八・四%抑制されたんです。ところが、一方では医療技術はじゃんじゃん進歩する、医療機器も発展する、そういう中で、医療機関が疲れてくるわけですね。

 さらには、実際に小泉政権の中で医療費をもっと抑えろということで、五年間で一兆一千億円を抑え込めと。ところが、年寄りは毎年ふえてくるわけですね、自然増というような形であるわけですが、それだけ抑え込めば、当然、医療費の自己負担をふやすということになるわけです。

 そしてまた、病院に対しては、平均在院日数の短縮化。これはちょっとわかりにくいと思うんですが、非常に象徴的な表現をしますと、お年寄りの肺炎の治療にそれまで二十日間かかったのを十日にしなさい、そうしたら報奨金を上げますということですね。御褒美を上げますと経済的に誘導する。そうすると、単純に考えても二十日が十日になりますから、医者も二倍忙しくなる、看護師も、医療従事者すべてが忙しくなるんですね。

 おまけに当直は、大病院、五百、六百のところは二人夜勤で月一回回ってくるかどうかですが、医者が十人とか二十人しかいない中小のところでは、一週間に一遍とか二回当直しなきゃいかぬ。そうすると、そこでは三十二時間ぶっ続けの仕事、当直をしなきゃいかぬ。大変過酷です。

 しかも、最近ではマスメディアが、厚生省もこぞってだろうと思うんですが、医者が悪い、医療事故が多いということを言っていますが、これだけ締めつけられるとますます医療事故はふえるだろうと思うんです。そういう中で、勤務医が嫌になって、もうこれじゃやっちゃおれぬということでやめていくわけです。そういうことがあります。

 それで、大学の臨床研修医制度によってそういうことが起こったといいますけれども、これは防ごうと思ったら防げたわけですね。

 と申しますのは、大分県には研修医何人、東京都には何人という制限をすれば、田舎からこぞって都会に集まる必要はなかったわけです。山形大学とかは、一時期は百人の卒業生のうち十一人ぐらいしか残らなかったですね。そういうようなことで、今度は大学が医者を引き揚げるという。大学の医療ができないからです。

 こういうことの中で、一番の被害を受けているのは中小の病院ですね。中小の病院では、医者がいなくなると閉鎖せざるを得ないという状況は、皆さん方、既にいろいろなマスメディアの報道で御存じだろうと思うんですね。地域に医者がいなくなって医療機関が崩壊してくると、地域そのものが崩壊するんです。これはやはり大変なことでございます。

 この医療崩壊の根本的な原因は、絶対的な医師不足、それから医療費の抑制、そういう中で、二〇〇六年度の日本全国の病院の決算を分析しますと、自治体立病院の九二%が赤字です。国立病院は約七〇%弱が赤字。公的病院、公的病院というのは日赤、済生会、厚生連とかそういうところの病院ですね、それが六〇%赤字。民間病院も含めると約四三%が赤字といいます。

 何で民間病院を入れると下がるのか。民間病院は税金を払わなければいけません。公的病院は税金を払わなくていい。その中で、民間病院は赤字にすると銀行が貸してくれないから、人件費を抑えて何とか黒字を保とうとするわけですね。だから、民間病院を含めると四三%と、がたっと減るわけです。こういう問題がありますが、日本全体の病院のベッドの半分は民間病院が支えています。

 そういう中で、先ほど申し上げましたように、市場経済原理を導入したということで、平均在院日数の短縮化がそういう疲弊化をもたらしたんですが、これは、一九九〇年にイギリスのサッチャー首相がイギリスの医療の中に競争原理を持ち込んだんです。そしてイギリスは、医療が破綻しました。それで、ブレア首相がこれは大変だということで立て直して、やっと最近よくなってきております。

 この市場経済原理主義というのは、シカゴ大学のフリードマンという方がこう言っています。人生の最大の目的はもうけることで、倫理的、社会的、人間的な価値観は無視してもいいと。この人はノーベル賞をもらったという話でして、大変なノーベル賞をもらった。その中で、アメリカの医療制度、社会全体が既に崩壊し始めています。「シッコ」という、尿という意味じゃないです、病気というスラングですかね、映画がありますが、あれを見たらそのあたりが大変よくわかります。ぜひ機会があったら見てほしいなと思います。

 病院が赤字になっていく中で、病院の経費は大きく三つあります。資本的経費と経常的経費、間接的経費。資本的経費というのは、建てたり機械を更新したり購入したりする。経常的経費というのは、人件費、光熱費等です。間接的経費というのが三つ目、これは、職員の研修、職員の質を確保するための費用、それから大災害、事故に備えるための準備的な費用。この中で、人件費とか光熱費等については診療報酬で保障されていますが、機械の購入とか、大災害、事故に備えるためのお金は全部自己負担でやりなさいという制度ですね。

 そういう中で、医者が不足しているといいますが、日本の医師数は、OECD、経済協力開発機構三十カ国の中で二〇〇二年度、何と二十七位です。人口千人当たり二人ですね。ドイツ、フランスが三・四人、イギリスが二・二人、アメリカが二・三人です。何と、キューバは六・三九人、それからギリシャが四・九人。キューバは統計の中に入っていないんですが、OECDの中でトップはギリシャの四・九人です。

 そしてまた、医療費はどうなのかというと、OECDの中で二十二位です。G8の中で最低です。先進国、先進国と言われていますが、医療に関しては後進国でございます。

 そういう中で、本当に日本の医者、国は足りていると、つい最近まで言っていました。一九八三年に、当時の厚生省保険局長吉村仁さんが医療費亡国論というのを出しているんですね。医者をふやすと医療費はふえる、そうしたら国が滅ぶと。それがつい最近まで延々と続いてきて、二〇〇六年に厚生労働省は、全体としては充足しているが診療科や地域的な偏在が問題であるということで、医者が不足していることを認めなかったんです。

 ところが、こういう余りにもひどい状況の中で、ついにこの二月十二日に内閣答弁書で、医師数は総数としても充足している状況にないということを答弁いたしました。最近のアメリカにおける実証的な研究では、医師数抑制は医療費抑制に直接影響はほとんどない、学者で統計をとってそういうことになっております。

 それで今度、OECDの平均、これは千人に三人ですが、日本は今二人です。三人に追いつくために何人ぐらい医者を補充しなければいかぬかというと、十二万七千六百十九人。大変な不足です。議員さんのお手元にはOECD平均と日本の医師数の動きのグラフを届けていますので、後ほどごらんになっていただきたいと思います。

 それから、日本の医療費は二〇〇四年度でOECDの中で二十二位ですが、OECDの平均に追いつくためには年間どれぐらい追加が必要かというと、四兆四千八百億円ですね。上位十カ国、上位というのはやはり先進国ですが、そこに追いつくためには約十四兆円払わなければなりません。

 そういう意味では、医療費、医療、福祉、介護、そういうところにたくさんのお金を注がなければ、日本は行く行くは、もう少子高齢化であって、お年寄りは早く死になさい、子供を産むなという形になるだろうと思います。

 国が描いている医療制度は二階建ての医療で、一階建てが健康保険、二階建ては民間医療保険と、アメリカに倣おうとしております。こういうことでいいのでしょうか。社会保障は、憲法二十五条に明記されているように、これは国として保障しなければいけないと書いてあります。

 ところで、新聞紙上を見ても、財源がない、財源がないと言っていますが、日本医師会の日医総研というところで特別会計を二〇〇一年から二〇〇五年にわたって調べると、何と二〇〇五年には四十六兆九千億円残っているそうです。そういうのをうまく使用すれば、今のような、お年寄りはお国のために死んでくれとか、そういう制度を設けなくてもいいんだろうと思います。

 いずれにしましても、医療費抑制政策を撤廃して、OECD平均に追いつくためにどうすればいいのか、そして医師数もふやしていくということが今後の日本の国際的な地位を保つためには絶対的に必要だと思います。

 時間を超過しまして済みませんでした。以上です。(拍手)

逢沢座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

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逢沢座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤利明君。

遠藤(利)委員 陳述人の皆さん、きょうは大変ありがとうございました。時間もありませんので、簡単に、早速お伺いさせていただきます。

 まず、首藤市長さん、それから清本会頭さんにお伺いしたいんですが、先ほど、これまでせっせと投資をしてきた、ここでやめられては元も子もないというような話がありました。道路整備と環境と、もう一つは地方経済に与える影響ということがあると思うんです。

 建設業の持つ力というのは、よく建設業は悪という世論がありますが、地域経済に与える影響というのは大変大きい。ましてや、これで二・六兆の削減効果が出てきたときに、そうした建設業だけではなくて、建設業は当然そこに働く人の雇用を守り、そして同時に、そこがいろいろなものを買っていったりするわけですから、そうした地域経済に与える影響はどの程度大きいかということについて、まずお二人にお伺いをしたいと思います。

 それから、坂本会長さんについては、お話を聞いて、大変な状況、私も地元からよく聞いております。そこで、軽油だけではなくてガソリンも含めてこういうような原油高なわけですが、何で運送料に転嫁できないのか。

 同時に、規制緩和をやって、これだけどんどん、つぶれては起き、つぶれては起き、それによって運転手さんたちの待遇が悪くなっていく。それをどういうふうな形にしていけば、転嫁も含めて、あるいは労働者の皆さんの待遇も含めて考えられるのか、それをお伺いしたいと思います。

 最後に、松本理事長さんにお伺いしたいんですが、地域医療が廃れてくる、いろいろな話は我々も聞くんですが、どうすれば地域にお医者さんが残れるのか。

 それからもう一つは、先ほど、国に幾らお金があるという話もありましたが、日本の国民負担率が今およそ四〇%です。アメリカは三五で、欧米は五〇から六〇、北欧は七〇以上かと思います。先ほど来、国の診療報酬を下げたのが問題であり、医者が不足しているのが原因だという話がありましたが、消費税も含めて、国民負担率を上げてでもこうした医療を守るべきと考えるのか、それとも、国民負担率を上げない、少子高齢化が進めば当然医療費等がふえるわけですが、そのときはある程度やむを得ないと考えるのか。

 小さな負担で小さな社会保障を求めるのか、それとも、大きな負担でそうした大きなサービスを求めるか、あるいは中ぐらいなサービスを求めるか、どちらを考えるのかをお伺いしたいと思います。

逢沢座長 それでは、時間の都合、各党持ち時間二十分でございますので、簡潔にひとつ御発言、御答弁いただきたいと思います。

首藤正治君 今、地域経済への影響ということでお尋ねをいただきました。

 この地域経済への影響、建設業界ということを引き合いに出していただきましたが、先ほど運送業界も大変だというお話もございました。今、建設業界も本当に大変でございます。宮崎県内でも、私どもの延岡市内でも、大手の建設業者さんの倒産が続いております。道路行政で、道路の工事でこうした業界を支えるんだとは私は申しません。これは二次的、三次的な問題であろうというふうに思っております。しかし、そうした建設業界が大変な状況であるのは間違いないことであります。

 しかし、道路の経済効果、経済に与える影響ということでいいますと、一般的に最近よく言われるのは、やはり渋滞緩和だとか、こうした非常に目先の経済メリットばかりが言われることには、果たしてそうかなということを私は感じるところであります。むしろ、もっと長いスパンで、さっき例えば山都町の企業立地の例を申し上げましたけれども、そうした道路によって新しい産業が立地する、それによってロングタームの中で地域の経済が振興していく、このことが道路の与える地域経済への一番大きな影響ということではないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

清本英男君 建設業の影響でございますが、まず、当市の建設業界を申し上げますと、平成十三年が百二十三社ございました。それが、現在は八十四社。特に、平成二十年だけで十七社減っておるというふうな状況で、この状況は、このままでいけばますます拡大していくのではなかろうかというふうに思っております。

 御承知のように、今はネット入札とかいろいろなことが行われておりますので、ある意味合いでは、全国的に参入するチャンスがふえたわけです。ところが、それに参入できるのは力のある中央の業者だけであって、田舎の力のないところは、資材を買うにしても、やはり二〇%から高く買っておるわけですね。ですから、そういった形では勝負にならないというような状況の中での競争でございますから、そういう意味合いではかなり影響が大きい。

 去年の暮れですか、下世話な話ではございますが、忘年会の回数がはるかに減って、飲食業の皆さん方が、こんな寂しい年の瀬は初めてじゃったというふうな話をするぐらい、やはり、地方にとっての建設業の影響というのは非常に大きいんではなかろうかなというふうに思っておりまして、この辺のところも、先ほども申し上げましたけれども、やはり地方と都会とは違うんだと。

 それから、申し上げたいのは、その都会から来た人たちが悪さをして、もうたたいてたたいて、地元の下請をいじめて、地元の下請のお金まで持って帰るというのが今の現況かなというふうに思っております。

 それから、宮崎県が現在非常に企業誘致をしておりますが、平成十三年から十七年で、宮崎県の場合は百一社の企業誘致をしておりますが、そのうち、延岡、日向市に来たのは六社です。これはもうひとえに高速道路がないがゆえに、ほとんどが高速道路沿線の県央、県西に企業が立地しておる、空港の周辺とかですね。ですから、先ほどから申し上げますように、やはりそういったところ。

 それから、やはり地方で、まあ延岡市はまだいい方でございまして、三千とか四千の町に行きますと、そこで一番大きい基幹産業で雇用を抱えておるのは建設業なんです。災害が起こったら、この方々が真っ先に飛んでいくわけですね。ところが、こういった方々がどんどん、お金を持っておる人は自主廃業ですね。倒産まで待てぬ、このままいけば自主廃業するということで、延岡の場合でも十七社のうち八社が自主廃業で建設業協会を退会されておる、九社が倒産というふうな形でやめていく方もおられますが、まだまだ延岡の場合は八十四社残っております。これが田舎に行きますと、もうそうじゃない。

 だから、災害のとき、だれが守るのかというような問題もございまして、そういったところにもぜひ御配慮願いたいなというふうに思っております。そういった影響は出ております。

 よろしくお願いします。

坂本洋一君 今、遠藤先生の質問に対してのお答えをしたいと思います。

 まず、運賃の転嫁がなぜできないか。一つは、我々トラック業界のあしき習慣といいますか、それが一つであります。それから二つ目は、やはり何といっても、規制緩和の行き過ぎによって業者乱立、ここが大きなポイントじゃないかな。三つ目は、燃料の高騰によってお客さんもかなりダメージを受けている。

 今、全国の中で運賃に転嫁できたのが、大体三割五分から四割。三、四〇%、実はできているんですね。ところが、それはパーセントからすると三%から五%ぐらいだ。今、転嫁とするのは一五%必要なんです。だから、今、第二回、第三回もやっていますけれども、とてもじゃないけれども、去年やったのに、おととし上げたじゃないかということで、六割から七割は全然、もう十年以上やっていない。そこが非常に問題。

 お客さんも、この燃料の高騰によっていろいろな被害を受けている。例えばメロン、スイカにしても、ハウスですから重油を使います。そういったことでございます。

松本文六君 二つ御質問があったと思います。

 どうすれば地域に医者が残るのか。

 これは、医療とか福祉とか介護というのは公共的なもので、ある意味では生活の必需品ですよね。そういうことに対しては、やはり規制をかけるべきだろうと私自身は思うのです。例えば、人口十万人当たりに医者が二百人とか、各地区にわたってそういうふうにすべきだろうと思うんですね。東京にも、人口十万人当たり相当、もちろん疾病構造とか当然問題はありますが、医療というのは公共財ですから、規制すべきだと。

 開業するにしても、今はどこでもいいんですよね。以前、医師会が、ここは医者が多いから別の地域へ行けと指導しておったら、独占禁止法に違反するということでとめられたんです。だけれども、独占禁止法というのは商売のことですね。その法律を医療に適用するのは間違いだろうと思います。私は、公共財として規制すべきだと思います。そうすれば、必然的に医療がよくなってくるだろうと思います。

 それから、国民負担率を上げるべきかどうか。私は、結果として、上がっていいだろうと。

 スウェーデンは、教師とか医師は税金を七〇%取られるんですが、なぜ暴動が起こらないのか。それは、やはりそれだけのことを政府がやっているからですね。ところが、日本人は税金が高くなるのを嫌がるのはなぜか。政府を信用していないからです。余りにも税の使われ方がいいかげんだからということだろうと思います。

 私は、消費税なんかは逆進性が強いので、累進課税をもう少し考え直す必要があるだろうと。例えば、現在、国民の八〇%の人が所得税二〇%ですね。先進国で、こういう国はないです。それで、高いのが四〇%ぐらいですかね。非常にわずかな人。先ほど練馬区の例を挙げましたが、七十五歳以上で七百五万以上の人が、何と三・六%しかいないのにもかかわらず、負担率は非常に少ない。それと同じです。累進課税を上げるべきだ。そして、富の再分配をして、医療、福祉、教育、介護、そういうところに分けるべきだろうと思います。

 一つは、証券優遇税制というのがありまして、二〇〇六年度で株でもうけた利益がたしか二兆八千億円ありました。その累進課税の最高税率、一〇%を四〇%にしたら一兆八百億円で、小泉さんが言った一兆一千億円が一年で税として取れるんですね。

 だから、そういうあたりを考えて、やはり富の再分配の中で、医療、福祉、介護、教育はよくなると思います。

逢沢座長 次に、増原義剛君。

増原委員 自由民主党の増原でございます。

 きょうは、陳述人の方々、本当にお忙しいところ、お時間を割いて来ていただきまして、まことにありがとうございます。

 先ほど非常に御熱心な御説明をいただきましたので、質疑時間をちょっと短縮しなくちゃいかぬかなと思っております。

 まず、首藤市長さんにおかれましては、よくわかりました。先ほどオランダの例等を引き合いに出されて、なるほどなと思いました。まさにこの九州でも東西の格差がこんなにあるのかと思って、本当に驚いております。

 実は、私は広島出身ですが、中国地方も、山陽と山陰では似たような状況なんですね。ですから、島根、鳥取の方々は、やっとおれたちの番が来たのにと言われております。

 確かに、負担も、これまで地方の方々に、一人当たりで見れば、より多く御負担いただいてきた道路財源であります。やはり、やるべきものはきちっとやらなくてはいかぬというのが我々の意見でもありますので、そこは頑張っていきたいと思っております。特に、農業関係、公共事業、さらには地方交付税、地方に最も密着するところを小泉改革以来ずっと縮減をしてきた。それだけ国も地方も財政は悪いということなんだと思うんです。

 特に、市長とされて、こういう点についてまずイの一番で配慮すべきだと、我々も来年度の税制改正を含めましてやっておりますが、その中で、約四千億の、ある意味では東京から引っぺがして地方に配分していくという地方法人特別税というのをつくろうとしております。わずか四千億でありますけれども、それでもやはり違うんだろうと思います。全体的にどのくらい地方の金回りが悪くなっているのかというのは、我々が見ておっても十分よくわかります。

 一丁目一番地というものを、特に道路特定財源にこだわらずに、市長として一言お願いしたいと思います。

 それから、清本陳述者でございますが、まさに、地域間競争をやる上においてはイコールフッティングでなくてはいけない、私も全くそのとおりであろうと思っております。とりわけ社会インフラがそうではないかというふうに思っております。その点におきまして、道路だけではなくて、先ほど不良債権の、銀行の貸出債権の格付の話もされましたが、ぜひ、そこらあたりにつきまして一言、これも本当に一言なんですが、お願いをできればというふうに思っております。

 それから、坂本洋一さんにおかれましては、確かに、トラック業界の置かれた立場はわかります。先ほど同僚議員が言いましたように、過当競争になってきますと、なかなか転嫁ができないんですね。いずれ消費税の議論も出てまいります。いつも出てくるのが、転嫁ができない、こういう議論だと思うんですね。業界の体質というふうな言葉も使われましたが、今後、エネルギー価格も含めて、これは高どまりをしていきます。さらにもっと上がるかもしれません。そういう状況下において、業界として何をすべきか。

 国の方は地方交付金関係をやっておりますが、各都道府県の方は、それがたまっておるようでございまして、トラック関係に使われていないようなところもあるようであります。もう少しそこらについて意見をどんどん言われたらどうか。協会の方にもたまっているんじゃないかと思いますよ。そこらあたりについて、ちょっと御意見をお聞かせ願いたいと思います。

 それから最後に、もう時間がありませんが、松本文六さんでありますけれども、いろいろ意味深な、非常にサムシングを含んだお言葉をいただきましたが、財源につきまして、例えば十二ページ、これは日本医師会に私の方からまた問い合わせてもいいんですが、これはかなり誤解がありますよ。霞が関埋蔵金の方に何かくみしていらっしゃるようですけれども、これは、一般会計、特別会計の会計制度をわかっていない方です。四十六兆九千億もあるんだったら、こんな苦労しませんよ。それは坂本さんの方にすぐ差し上げるというような感じですね。

 これは本当に、人を驚かす、極めてミスリードなことだと思いますので、一言、その点についてお願いしたいと思います。

 それぞれ一言ずつお願いします。

逢沢座長 それでは、延岡市長から、時間の関係がございますので、簡潔によろしくお願いします。

首藤正治君 地方の自治体を経営している上で一番困っていることは何かというお尋ねでございます。

 これは、たくさんあり過ぎてお答えするのに困るわけでございますけれども、道路はさっきずっと申し上げましたので、これ以外ということで申し上げますと、最近は、社会保障関係予算が大変膨らんできております。これから先、これはずっと右肩上がりですから、将来的にこれは本当に耐え切れるのかということが、一番心配をしているところでございます。それが一点。

 それからもう一つ、ちょっと違う切り口ですが、最近感じますのは、地方におりますことがいろいろな面で不利になっているなと。世の中全体、日本社会全体が市場原理主義的に流れてきている、いろいろなことが、やはり効率性あるいは市場原理で物事が決まっていく、そういう中で、地方で何かしようとすると、なかなかそれがコスト的に見合わないとか、なかなか予算がつけられないというようなことが多々ございます。こういった面が、地方の自治体をこれから経営していく上で非常に大きな課題になろうかというふうに考えております。

清本英男君 今、格差の問題を言われたわけですが、私ども、こういう田舎で生活しておりますと、やはり東京の議論と田舎の議論の違いが非常に目立つというのが一つ印象として残っております。

 それからもう一つは、ちょっと話が違うかもしれませんけれども、道路特定財源というのは、先ほども言われましたけれども、消費税もこれから上げていく方向にあろうかと思いますが、これも目的税になっていこうかというふうに思っております。これも道路をつくるための目的税ですから、これはこれでしっかりとやはり政治家の皆様方が監視していただいて、このお金でどれだけ道路の整備ができたのか、どれだけ町がきれいになったのか、どれだけみんなの利便性ができたのかというのを、もう少しきめ細やかに国民に知らしめるべきだというふうに私は思っております。

 実は、今度の道路特定財源のところで地方の主婦の方々とお話をしたら、そんな、二十五円も税金が乗っていたのかという話ですよね。全然皆さん方は知っていなかった。これで道路ができておるんですってよという話をして、そんなことかというふうなことで、やっと理解願えたというのが今の現状なんですね。

 ですから、やはりその辺のところの温度差がかなりあるのではなかろうかなというふうに思っておりまして、どうか、先ほども言われましたけれども、税金の使い道をもうちょっとわかりやすく結果報告をしていただくことで、我々が喜んで税金が納められるような環境をつくっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

坂本洋一君 簡単にお答えします。

 運賃転嫁の問題ですけれども、これにつきましては、おかげさまで公正取引委員会の方で、買いたたき、そういう条項が今度設けられましたので、その辺で業界を挙げて取り組んでいきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、基金の問題をおっしゃったかと思うんですけれども、先生もちょっと一部誤解があるようですけれども、本部に千二百億ということが新聞に躍っていますが、あれは全くのおかしい報道であって、これは我々、いわゆる交付金で、全国各地、四十七都道府県がきちんと将来のために、また車を買うときに云々ということでしたものであって、公明正大、これは別に何ら憶するところはございません。この辺については、そういうことでございます。決してそれについて取引して云々ということではございませんので、これは公明正大に監査を受けながらやっておりますので、ここはそういうことでございまして、先生、誤解のないように。

 以上でございます。

松本文六君 日本医師会の資料は二〇〇七年三月に出ております。これを公表するということは、冊子になって出ていますから、きちっとした経済のわかる方が分析されたものと思いますので、もしこれがうそだということであれば、議員の方から日本医師会に抗議を申し入れていただいた方がいいんじゃないかと思います。

 それともう一つは、文芸春秋の一、二、三のどれかだったんですが、八百数兆円の借金があるというけれども、純債務というのは二百三十四兆円だという記事がありました。だから、そういう意味での統計的な数字のごまかしが国から出ている数字にはたくさんあるんじゃないか、そのあたりをもう一度検討してほしいと。

 医療についてもそれは言えます。平均在院日数は、アメリカなんかは急性期の病院の平均在院日数を出しているんですが、比較のために出している日本のデータは、精神病院に一年も二年も入っている人たちの患者のデータも含めて平均在院日数の比較をしているんですね。だから、そのあたりはぜひとも検討をしていただければと思います。

逢沢座長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 本日は、首藤市長、そして坂本会長、清本会頭に松本先生、本当にありがとうございます。

 何点かお話をいただいた中で、論点の中にもすれ違いがあるといけませんので、簡単に私どもの考え方を申し上げて、二点ほど順次お伺いをしてまいりたいと思っております。

 まずは、市長がおっしゃいましたように、私どもとしても、ぜひ、権限とお金を伴った、実効のある分権を実現していきたいというふうに思っております。私どもは、昨今の経済状況から考えると、急速な税源移譲より、当面は格差是正を補うような形での財源の再交付というのがむしろ必要ではないかということを御提案させていただいているわけでありますが、これについては、また各県そして市の自治体の皆さんとも議論をしながら、きちっとした詰めた形を申し上げていきたいと思っています。

 もう一点は、二十年度の予算編成、県議会も明日からというふうにちょっと承りましたが、市議会も既に開催されておられますでしょうか、恐らく来年度予算をされておられると思います。私どもとしても、残念ながら、国会に与えられた時間が今回非常に短い。いわば今回の来年度予算につきましても、国につきましては、政府・与党の中では昨年の夏から十二月末まで半年以上かけて議論をされているわけですが、国会へ出てきてからは二月しかない中で、時間がなく、地方の皆さんに御迷惑をおかけすることになるのではないかということは、私ども本意とするところではないということで議論をしてまいりました。

 昨日も、国会の総務委員会の方で、地方財政計画を策定しているということは、地方財政の大きな穴については国が責任を持たなければいけない、こういう趣旨であるという旨のお話も政府からいただきました。今回も、坂本会長からもお話がありましたように、この一、二カ月のことで、時間がないからということで十年のことを決めてしまうということになること自身には大きな問題があると私どもも思っておるものですから、時間切れによって起こる弊害というのは解消していきながらしっかり議論をしてまいりたい、このように思っているところでございます。

 また、先ほど、道路の無駄遣いなどと今回の制度とは少し次元の違う話ではないか、このようなお話があったかというふうに思いますけれども、私どもは、年金の方もそうでありますけれども、特別会計といったような、いわばお金の使い方のガバナンス。きょう、坂本会長もおいででございますし、清本会頭もおいでです。民間の企業でいえば、経理を通さずに営業が自由にお金を使えるような状態になっていればどういうことになるかということに近いような、制度上の問題があるのではないかということで国会で議論をさせていただいておりますので、特別会計と特定財源、ある程度やはり結びついて議論をしていかざるを得ないのではないかということで議論をさせていただいているところでございます。

 坂本会長からは、大変厳しい状況の話を承りました。しっかりと私どもも受けとめてまいりたいと思います。遠路お運びをいただきまして、本当にありがとうございました。

 そして、一般財源化については、負担をしている者の気持ちということのお話をいただきました。おっしゃるとおりでありまして、私どもとしても、今回の税制をするに当たっては、将来的にはやはりきちっと根本から見直して、新しい体系をつくらなければいけないということを考えていきたいというふうに思っています。

 ただ、その中ではやはり、取得に関しては、消費税という体系があるので、そこへそろえていきたいというふうに思っているわけですけれども、走行に関しては、将来的には環境への負荷というものをどういうふうに御負担をいただくかという問題が残ってくるだろうというふうに思っております。

 そういった意味で、今回私どもも、きょう松本先生からもお話がありましたように、限られた税金をどう使うかということでは大変悩ましい状況に来ているわけでありますが、そういった中で一般財源化を申し上げる。しかし、受益者の方々に暫定税率まで乗せた形で一般財源化というのは、幾ら私どもでも申し上げられないということで、皆さんに御理解をいただける範囲ではないかということで今御提案をさせていただいているというのが私どもの趣旨であるということを御理解いただけたらありがたいというふうに思っております。

 また、清本会頭からは、今の地域の大変厳しい経済状況についてお話がございました。

 先ほどの金融の問題につきましても、私どもも、これまで国会の方でも、特に、いわば大手の国際的な金融機関へのルールをそのまま地方の金融機関に当てはめるということの大きな問題が発生していることを訴え続けてまいりまして、金融庁の方でも地域金融機関のいわゆる検査マニュアルを分けるといったようなところの端緒をつけることができたのではないかなというふうに自負をしているところでございます。

 また、今回、公正取引委員会、先ほど自民党の方からも御紹介がございました。下請という言葉は必ずしも適当ではないのかもしれませんが、実質的に下請の立場にある方、公正取引委の言葉で言うと、いわゆる優越的地位の濫用といった問題に対する取り締まりというんでしょうか、これを積極的に行うようにということは、立法、そしてまた国会の審議を通じての公正取引委員会への要請など、繰り返し要請をしてきたところで、多くの方々とその認識を共有できて、今回、制度も含めて少し前へ行くようになったということは大変よかったのではないかと思っていますが、これからもまた適正な形で進めていけるようにしていきたいな、このように思っているところでございます。

 松本先生の方は、私どもも実はきょう、この公聴会に先立って、宮崎県で医療に携わっている方々と一時間余りにわたってお話をさせていただいて、大変厳しい地域の医療現場の状況を承ってまいりました。

 私どもも、具体的に、今の研修医制度のあり方の見直しであるとか、現在おられる先生方にいろいろな形で地域医療でうまく動いていただける仕組みづくりであるとか、また、将来的には医師そのものをふやしていかないといけませんが、お医者さん一人つくるのに、きょう言ってあしたできるわけではありませんので、短期的な課題と長期的な課題について政策を今打ち出しているところでございますが、その危機感を共有してこれから進めてまいりたいと思っております。

 二点お伺いをさせていただきたいと思っておるんですが、時間も限られておりますので、大変恐縮でございますが二点まとめてお伺いをさせていただきたいと思いますので、それぞれの方によろしくお願いを申し上げたいと思います。

 一点は、先ほども、直轄の道路がつくられなくなると大変問題だ、こういうお話がございました。私どもも、どの道路をつくってどの道路をつくるべきでないのかということは、地方の皆さんの声もしっかり承ってまいって、また、その効果、それは、先ほど清本会頭からもお話がありましたが、単にお金の計算をするだけではなくて、地域のニーズというのを踏まえて効果というのを考えてまいりたいと思っております。

 実は、たまたま私ども民主党にもお手紙をちょうだいいたしました。内容が少し長いので要点だけ申し上げたいと思います。暫定税率廃止への反対が強い延岡市の住民でございます、九州横断自動車道延岡線についてでありますが、既存の国道二百十八号線は信号もなく、繁忙期でもゆったりと走行できます、市政は、あれもこれもでもなく、あれかこれかというお話をいただいていますが、国に対してはあれもこれも要求しているのではないでしょうか、東九州高速道は必要としても、横断道は不要です、こういう御意見でございます。ここから先は、私どもも必ずしも本意でないんですが、やや過激な御意見でありまして、政争の具にしてほしくない、こういう主張がありますが、ガソリンか道路かというのは国民の幸せにかかわる大もとの論戦ですから、政争の具にしてください、こういう御意見をいただきました。

 私どもは、政策論争をしようと思っておりまして、政局、政争の具にしようとは思っておりませんけれども、こんな御意見もあるんだなということで、私どもも、代行を初め多くのメンバーも延岡にお邪魔させていただいて、市長にもおいでいただき議論をしたり、現地を拝見させていただいたというふうに伺っております。

 そういった中で、今回、実は国会の予算委員会の審議の中でも明らかになってきたんですが、直轄の道路をどこまでつくるのかということが一つ大きな議論ではないかというふうに思っております。

 これはここにおいでの皆さんはよく御存じでしょうが、御案内のとおり、ここから、宮崎から延岡までの間は、既に会社整備区間ということで工事が着々と進んでいく話でありまして、特定財源の直接の問題にはなってまいりません。大分との間は、今お話がありましたように新直轄ということで、特定財源も投入をされることになってくるわけでありますけれども、優先順位をどこへつけていくのか、そして何をどのぐらいのスピードで取りかかっていくのかということが大きな議論ではなかろうかと思います。

 私ども、この議論をしていて思いましたのは、先ほどもお話がありましたように、道路はつながらなければだめだ、おっしゃるとおりだろうと思うんです。ところが、先ほど清本会頭もおっしゃったように、ここまで道路の戦略があったのか、こういう御指摘があるように、全国的に見ても、実は大変大きな構想の中で細切れ細切れの状態が続いております。

 私は、実はその原因は、いつもその時期その時期にもう一つ大変大きな構想が打ち出されて、そしてその構想のごく一部をあちらこちらずつ、いわばつまみ食いをするような形にして進めていく、こういうことの結果として、大きな構想の中のつまみ食いの結果、先ほどもお話がありましたように、九州であれば、真っすぐまず一番先につなぐべき、例えば東側の道路といったものがなかなか進まない中で、次の構想、次の構想へ手を出すようなことになったことが、細切れになったり大変時間がかかったりしている一つの原因ではなかろうかというふうに思っています。

 そういう中で、きょうちょっとお伺いをさせていただきたいと思っていますのは、今回の中期計画の基幹ネットワークの整備ということで、これはまだ道路局長の指定の候補路線でありますけれども、大分県と愛媛県とを結ぶ橋というのも基幹ネットワークの整備の構想に入っております。

 まさに先ほど申し上げたように、次はこういう構想でまた道路をつくっていくんだということになると、この構想にも少しつまみ食いをし、そして今本当に皆さんが必要なものも、片っ方でつまみ食いをしながら少しずつつくっていく、こういうことになることに実は大きな問題があると思っておりまして、身近なところで、この四国と九州を直接結ぶ道路というものの必要性をどうお感じになっているか。これについては松本先生は直接あれだと思いますが、大分からおいでをいただきましたので、率直な御意見を伺ってまいりたいと思います。

 二つ目は、経済でございます。

 先ほど市長もおっしゃったように、道路というのは、中央と地方という意味で大変逆進性の高い税だというふうに思っております。その意味では、暫定税率は私どもからすれば再増税だと思いますが、実質的に国民にとっては減税ということになってまいりますと、私どもの試算では、地方自治体の収入は九州全体で一千億減りますが、九州の住民の方々の負担は三千億ぐらい減るという試算になるかというふうに思います。また、宮崎に限ってみても、三百億ぐらい負担が減り、もちろん地方自治体の収入は県市合わせて百億ぐらい、これは交付金はちょっと別にさせていただきますが、そういう形になろうかと思います。一世帯当たり六万七千円ぐらいではないかなというふうに思います。

 先ほどの交付金とか補助金については、別途、私ども手当ての制度を考えていますが、時間がないのでちょっときょうは割愛をさせていただいて、こういった減税に伴う景気浮揚効果をどう見ておられるか。特に清本会頭には、先ほどもお話がありましたが、私ども、建設業も大きな柱だと思うんですが、小売、飲食、これは本当に大きな地域経済の柱だというふうに思っております。減税効果というのが期待できるのではないかなというふうに思いますが、その辺の見通しをどう見ておられるか。松本先生には恐縮ですが、これはお三方で結構でございます、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

首藤正治君 二点のお尋ねでございます。

 まず、国の直轄の道路はどこまで必要なのか。例示していただいたのは、四国と九州を結ぶ道路、これが本当に必要かということでございました。

 実際に四国と九州を結ぶ道路について直接申し上げられる立場にはございませんし、実際に今までそのことについて十分な知識もないわけでございますので、そのこと自体についてはちょっと差し控えますけれども、しかし、先ほどあえてパネルを出させていただいたのは、実はこの点でございます。直轄でやっていかなければいけない道路というのは、日本の国の国策としては、現状よりはもっともっと必要なのではないかということを言いたかったわけでございます。九州の西側しか今整備がされていない、東側も当然必要だ、横断道路も当然必要だと私たちは思っております。

 それは、対比させて申し上げましたが、先ほどのオランダの例を取り上げますと、九州とほとんど同じぐらいの面積、人口、GDPなのに、あれだけの高速道路ネットワークを持っている、こういった状況に、同じとは申し上げませんけれども、少しでも近づけるぐらいの取り組みをしていかなければ、これから先、道州制と言っているのであれば、九州というものがこれから国際社会の中で一定の国際競争力を持つためには、やはりその前提条件として、インフラとしては必要ではないかというふうに思っております。これが一点目でございます。

 もう一点、暫定税率廃止による地域の減税効果をどう見るかというお尋ねでございます。

 これにつきましては、おっしゃるとおり、一定の減税効果はあるだろうと当然私も思います。

 しかし、それはやはり、言いますならば目先の効果であろう。きょうあす幾らお金が戻ってくる、あるいは自由になるお金がきょうあすどれだけ出てくる、そのことが大事なのか、それとも、来年、再来年に仕事があるかどうか、新しい職場ができるかどうかということが大事なのか、どちらをとるか、そういう選択ではないかと私は思っておりますし、地域の将来というのは、やはりそうしたロングスパンの中できちっと経済的な骨格をどうつくるかということを考えていかないと、目先のお金に振り回されてはいけないというふうに思います。

 以上です。

坂本洋一君 減税効果でございますけれども、これは本当に大きな効果があるんじゃないかなというように思っております。

 今、目先だけのとおっしゃいましたけれども、我々業界としては、その目先が大事なんですね。そこまで疲弊しているということを私はきょうこの場で言いに来たわけですから、だから、ここはきちんとその目先の効果も出してほしい。

 しかしながら、本当に道路というのは、国のためになるわけです。国民の幸せ、また経済発展のために、地域活性のためになるわけですから、これは未来永劫つくっていく、やはり私は基本的にはそういう認識であるということですけれども、今、目先がそうだから我々はこういう議論をやっているわけですから、ここはきっちりと目先の効果が出るようなこと。

 そしてまた、先ほど私が提案申し上げました、ガソリンについては暫定税率の半分程度、十円と言いました。それから、軽油引取税については七円八十銭と言いました。これは、ざっと計算しても七、八千億だと思いますけれども、この財源の補充は十分できるんじゃないでしょうかというふうに我ながら計算をしているわけです。となると、百対ゼロではなくして、その辺を本当によく御議論いただいて、そして結論を出していただきたい。

 それともう一つは、今、皆さん本当に、国民的議論というのは使う側の議論だけじゃないですか。使う側の論理だけが先走って、払う側の論理というのは、だから、きょうは民主党の推薦ですけれども、私は民主党員でも何でもありません。正直言って、私は自民党の党員なんです。違和感はあります。全ト協からも何で出るんだと言われました。私は、自分たちの主張をするんです。何も遠慮することはない。だから、ここはきっちりと、やはり払う側の論理も聞いてほしいということを一言つけ加えたいというふうに思います。

 以上です。

清本英男君 先ほどの消費税の問題ですが、私どもの方は、この問題が起こったときにどういう形かといいますと、首藤市長も言いましたけれども、やはりこの目先の二十五円というのは、五十リッター、百リッター使いますと四千円ぐらい違うわけですから、そういう意味合いでは確かに大きいと思います。だけれども、子供、孫のために住みやすい町をつくるということは利便性のいいところが必要であって、子供たちが帰ってこなくなる町になってしまうんじゃないかという懸念がございまして、そういった意味合いでは、ここは辛抱してでも道路をつくってもらえないだろうかというのが一つございます。

 それからもう一つは、私どもの方は道路をつくってもらうために道路特定財源を納めておるわけですが、この道路特定財源にもシーリングをかけられて、約六千億、使えないようにしておりますが、このお金こそ、こんなことを言ったらいけませんが、漁船の皆様方にはこのお金で燃料の補助を出してあげるとか、トラック業界の皆様方に高速道路の利用料金を半分にしてあげるとか、何かそういう具体的な対策が打てないものかなと。せっかくある税金をどうやって有効的に使うのかということであって、今でも国の収入というのは非常に破綻状態にあるのに、ここで税金を一回緩めたら、また国民に出せと言ってもこれはもう出すものじゃないわけなんですね。ですから、もう少しその辺のところを議論していただいて、本当にこういったお金も、何で我々が道路をつくってもらうためのお金にシーリングがかかるのかと。

 であるならば、率直な意見ですが、先進国でありながら、町の中に電柱が立っておりますのは日本だけですよね。少なくとも、電柱の地中化とかそういったものをやってくれれば、それだけ事業が興って活性化するのに、何かそういったものがもう少しきめ細やかにできないものかなという気持ちでならないんです。

 ですから、やはりその辺のところをよくお話し合いをしていただいて、もう少し国民の目線でやっていただく。本当に漁業の方々も困っております。魚価は上がらない、とりにいって、とれれば何とか油代が出るけれども、とれぬときには油代は丸々損というふうな状況下にあるわけですから、こういった方々には、やはりそういった中から補助金を出してあげて、何とかするとかというようなことが必要ではなかろうかなというふうに私どもは思っております。

松本文六君 道路財源の問題は、昭和二十九年、一九五四年ですよね、そして、暫定税率というのは三十数年前だったですか、そういう問題をここまでほっておいたというのは一体何なのか、まずそれを考えます。そういう点と、もう一つは、これまで政権を握っていたところに道路づくりの戦略というのがあったのか。多分ないからこういうことになるんだろうと思うんですね。

 それで、新聞を見ても、アンケートをとるのに、全国一斉にとっておるんですね。例えば、宮崎県はどうか、大分県はどうかと各県ごとにとったら、恐らくばらばらの結果が出るだろうと思うんですね。そういう視点で考えていく必要があるんじゃないかと思います。

 それともう一つは、大分―四国の橋、あれは不要不急で、すべきでないと思います。ああいう膨大なお金を使うべきじゃないだろうと思うんですね。そういう意味での見直しが必要だろうと思います。

松本(剛)委員 大変ありがとうございました。

 清本会頭もおっしゃいましたが、多くの議員は地方から出てきておりますので、地域の経済に同じ危機感を逆に持っているからこそ、特に、この三年ほどで所得に関する税金が三兆円以上上がっていますので、何らかの形できちっとした対応が必要なのではないかという思いからお話をさせていただきました。

 そして、道路については、皆さんが願っているものとでき上がろうとしているものがちょっとずつずれているがゆえに本当に欲しいものがなかなかできないのではないか、こういう思いからお話をさせていただきました。

 なお、補助金につきましては、清本会頭がおっしゃったように、いい形でお届けをすることができれば私どももいいなと思っておるんですが、近ごろは補助金に漏れなく天下りがついてくることがございますので、やはり税金を返す方がいいのではないかなというのが私どもの提案でございます。

 以上でございます。ありがとうございます。

逢沢座長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 きょうは参考人の皆様方には、大変お忙しい中、貴重な意見をお伺いしております。心から御礼を申し上げます。

 時間の制限もございますので、早速質問に入らせていただきますけれども、先ほどお話にありますとおり、私も九州、熊本でございます。坂本社長のところと同じ熊本でございますが、その熊本また宮崎、この九州、特に地方というのは、先ほどから話がありますように、交通手段に占める自動車利用の割合が大変高いわけで、道路の整備、管理が非常に重要な課題であることはもう論をまたないと思うわけです。道路特定財源というのは、改めて言えば、渋滞の解消とか駅周辺の整備、さらには子供の通学路の安全対策、そして救急医療に欠かせない命の道路の整備等々、さらに推進していく意義を十分持つものであると思うわけでございます。

 特に、先ほど来話がありますように、私は西九州でございますので、九州の交通体系というのは、西九州では新幹線も部分的に開通して、全線開通を目指している、また高速もある。それに比べて東九州は、先ほどあるように、高速交通体系が著しくおくれておるわけで、東九州自動車道と九州横断自動車道延岡線というのは、これはもう東九州の、宮崎を初め皆様の悲願である、先ほど来お話があるとおりでございます。これは、ひいては九州が一体的に、九州は一つという目標のもとに、九州を経済的な、また文化交流圏として浮揚をさせていこう、そういう目標でございますけれども、そういうような意味でも、この東九州自動車道、また九州横断自動車道延岡線が完成してくるというのが、ネットワークができるということで大変重要であるというのは、私ども九州の主張でございます。

 もし、この暫定税率が廃止されれば、せっかく七年後に、本当に待ちに待って七年後に完成の予定である東九州自動車道や延岡線の見通しが立たないわけでありまして、国、県道においても、整備水準の大幅なおくれが生じることになってまいります。

 そこで、質問でございますけれども、このように国民生活に大きな影響を及ぼす、特に地方には影響の大きいこの暫定税率の廃止ということと、一般財源化ということに関して、先ほど来、それぞれの皆様は結論を出しておられます。首藤延岡市長におかれましては、暫定税率は維持すべきだし一般財源化には反対である、また、清本会頭におかれましても同じであるように思います。そして、坂本トラック協会長におかれましては、一般財源化は原則として反対だが、しかし暫定税率においては、軽油引取税を初めとして部分的見直しも一時的にあっていいのではないか、こういうような御意見があったかと思います。済みません、松本理事長におかれましては別の点でございましたので。そういうような御意見をはっきりと申していただいたわけでございます。

 そこで、確認をお三方にさせていただきたいんですけれども、こういう質問を出すとどうかなと思いましたけれども、一度は出しておくべきだと。

 先ほど来、松本剛明先生の方から民主党のお考えというのが出てきておりますけれども、今、民主党案というのは、対案がはっきりと出ていないわけでございまして、政府・与党案が今審議をされようとしているわけです。その政府・与党案と比較して、要するに民主党の皆様方の御意見は、例えば、暫定税率を廃止して一般財源化する、そして地方の道路整備の水準は維持する、こういうことをおっしゃっておられるようでございますが、これは対案が出ていないから詳細ではないので、我々も本当に困っておるわけでございますけれども、そういう民主党の皆さんのこの案に対して、果たして実現ができるのかということにおいては、財源も具体的に明示がなされていないというところもございますので、そういう点において、私は大変疑問に思っております。率直に申し上げます。

 しかし、国会審議で、これは三月末までに一定の結論を得るわけでございます。そしてまた、国民のためのわかりやすい修正もしていかなければならないわけでございますから、ここで参考人の先生方に、この民主党の皆さんの案、また政府・与党の案に対して、ひとつ御意見をお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

首藤正治君 民主党さんのお考えに対してどう思うかというお尋ねでございますけれども、対案がないということでございました。これについては、私どもも確かに不安視しております。

 やっとこれから私たちの地域に高速道路ができてくるんだ、やっとそういう順番になったんだという思いが我々の地域にはあります。やっとスケジュールにのってきたんだというふうに思っているわけですが、スケジュールにのってきた段階で、さあこの制度はチャラにしましょうという話になると、チャラにした後、ちゃんとそのスケジュールどおりできるんだったら、それはそれでまた考えようもあるけれども、そこのところの担保がない限りは、そもそも私たちとしてはその話は乗れませんねという感じがしております。

 そして、先ほど来、ちょっと特別会計の話も出ておりました。特別会計だから信用できないんだという論理であろうかなというふうに思いますが、国にしても地方にしても、いろいろな分野で特別会計という手法が取り入れられて運営されているわけです。特別会計という制度そのものがそもそも信用できないんだという話になってしまうと、国の運営、それから地方自治体の運営、はなから信用性がない、信頼性を初めから放棄するような、そんな話になるのではないかなというふうに感じております。

 以上でございます。

坂本洋一君 江田先生、非常に厳しい質問をされる。

 この道路特定財源について、民主党さんは一般財源化、それから暫定税率は撤廃だと。そもそも民主党さんがおっしゃる道路特定財源の一般財源化というのは、本質はほかにあるような気がするんですね。やはりそれは、五十年間道路特定財源を払ってきた、暫定税率も三十年以上払ってきた、そういう中で、いろいろな問題が今表に出てきている。ある意味では、参議院での与野党逆転がそこまでいろいろなものを醸し出したんじゃないかというふうに思っております。これは、ある意味では私は非常にいいことだというふうに思っております。

 その中で、やはり特別会計ということであれば、現実問題としていろいろな問題が出てきている中で、一般会計の中で、一般財源という形の中できちんと国会で議論をして、そして真に必要な道路はつくっていこうじゃないか、そしてまた、年金、医療、介護、そういったものにも、まだまだ要るんだったらきちんと財源を確保していこうじゃないか、そういった意味での一般財源化での提案じゃないかな、私はそのように前向きに受け取っております。

 ただ、今のこの道路特定財源を、今の税をそのままにというのは、受益者負担という原則から外れるから、それはちょっとおかしいですよということを私は申し上げておるということをまず御理解いただきたい。

 それから、暫定税率については、これはやはり道路をつくることが、我々トラック業者も高速道路の発達とともに成長してきたわけですから、これをつくることには、自民党さん、トラック業界は賛成なんです。でも、今から十年間なんですかと言いたいんですよ。だからここは、百対ゼロじゃなくして、お互いに歩み寄っていい結論を出してほしいというお答えで、江田先生、いかがでしょうか。いつも江田先生とはこういう議論はやっていますので、江田先生の気持ちはよくわかりますけれども。

清本英男君 松本先生からお話があったんですが、この道路特定財源は、営業が特別営業枠として自由に使えるお金なんだというのを聞きまして、僕らとしてはびっくりしたわけなんです。むしろこの道路特定財源の使い道ということについては、真に必要な道路に使われておるのかどうなのかというのをやはりしっかり監視していくというのが政治の力じゃないかなというふうに僕は思っております。それが、今見ますと、やれカラオケだ何だかんだというふうにして、道路特定財源がさも罪悪みたいな感じで報道されておるということについては、こういうのがあるとまた道路ができぬなというふうなことで、こんな形で我々の生活が左右されちゃかなわぬなというのが率直な意見ですね。

 それともう一つは、そこはもう少し政治がしっかりしてほしい、行政、執行する側の監視をやはりしっかりやってほしいなと。ですから、毎年決算書をつくらせるとか何かそういうことを、民間の会社だったらやるんですから、ぜひやってほしいというふうに思います。

 それと特定財源の是非というのは僕は別問題だというふうに思っておりまして、道路については、やはり本当に今いい制度があって、日本の国の道路というのはこういった形で整備をし、メンテナンスをしていくんだ。

 この間、アメリカの橋が落ちておりましたけれども、これも、アメリカの場合は約二十年間、道路にはお金を回せなくて、戦争の方に回しておった弊害がこういった大きな事故に結びついておるんだというニュースを聞きましたが、我々も今の状況でこれをなくしますと、今ある既存の道路ですらメンテナンスがうまいことできるんだろうか、本当に危険な道路になってしまうんじゃなかろうか。それができるのであれば、そういう財源はどこから持ってくるんだろうかというのが、全然我々としては理解ができていないというのが現況かなというふうに思っております。

 そういった意味合いでは、ぜひその辺のところを、せっかくの機会でございますので、やはりこれを維持しながら、この内容の問題をしっかりと討議していただいて、本当に国民の目線で執行していただくというのが私は一番大事じゃないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 今後の議論としてもしっかりと参考にしていきたいと思う貴重な御意見でございました。

 先ほども、最後の方にも申されましたけれども、一方で、やはり道路特定財源といえども納税者の理解を得ることが本当に必要だ。それは、やはり徹底したコスト削減に努めながら、厳格な事業評価を行っていく、そういうことによって初めて、真に必要な道路とは何なのかというのが出てくるかと思っております。

 そういう意味で、真に必要な道路整備のために重点化していくということが今後最も大事になってくるかと思うんですが、昨年十一月に策定された道路の中期計画については、このような観点から、今後の道路整備の姿を具体的に示したものとしておるわけでございますけれども、率直に言って、この今回の中期計画に対して、皆さんの評価と申しましょうか、そしてまた、それはどうあるべきかということをお聞きしたいわけでございます。無論、これは政府・与党の合意で、五年後に見直す、また税制の抜本改革時に見直すとしたところでもあるわけです。これについてもあわせて皆様方の見解をぜひお聞きしておきたいと思いますが、時間の都合上、延岡市長に代表してお伺いしておきたいと思います。

首藤正治君 中期計画の評価についてのお尋ねでございますが、中期計画につきましては、全国のそれぞれの地域においてそれぞれの路線がどうかということについては、私としては申し上げる立場にないかなというふうに思います。

 私どもの地域にとっての評価ということでございますけれども、そうした意味から申し上げますと、これは大変評価できる計画になっているというふうに思います。東九州自動車道、それから九州横断自動車道延岡線、これはきちんと、やはり大切な路線だということで位置づけられている。そして、これをきちんと整備していく。もちろん、グループ一からグループ三まで、整備の手法はいろいろあるかと思いますが、結果としては、大事な路線だから整備するんだということでございます。これについては、ありがたいことだというふうに評価をしております。

 そして、整備をしていく中で、ただ、先ほどから皆さん方から御意見も出ておりますように、もちろん、無駄遣いとかこうしたことがあってはいけないというのは全くそのとおりだと私も考えておりますので、いわゆる無駄遣いを防止するような、そんな工夫はぜひ同時にしっかりとやっていただければというふうに考えておりますし、今その結果として、節目節目にきちんとした見直しをしていくということについては、ぜひお願いをしたいというふうに考えております。

 以上です。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 最後の質問でございますが、坂本会長に一つ最後にお聞きしたい。

 トラック協会の方からは、といいますか、業界を代表してということでしょうけれども、一般財源化には反対だけれども、軽油引取税の暫定税率の引き下げは部分的にもあるべきだと。道路整備の必要性について、これは業界としても、その受益者ということで御理解をいただいているということは思うんですけれども、一方で、おっしゃっておられますようにこの業界は大変でございます。最近の原油高騰、そのことに対する支援策がやはり大変重要ということは論をまたないと思います。運賃価格への転嫁についても促進をしていく。

 また、運輸事業の振興助成交付金制度の期限延長に加えまして、今回、政府・与党の合意で二兆円規模の高速道路料金の抜本的引き下げが盛り込まれたところでもございます。また、自動車関係諸税についても、今後の抜本改革の中で見直しを検討していくということも盛り込まれたわけでございますので、これらを含めて、一番影響を受けている業界の代表としてこの暫定税率維持に対する御意見を伺って、終わりたいと思います。

坂本洋一君 今回の新年度の予算で高速道路、二月十六日から、おかげさまで、本当にありがとうございました。やっておりますけれども、大体一千五百億ぐらいだと承知いたしております。二兆円というのは、それは十年間で二兆円ということでしょうけれども、これについては、我々トラック業界としては非常にありがたいということで、厚く御礼を申し上げたいというふうに思うわけでございます。

 また、自動車諸税の問題につきましては、一般の方は御存じないかもわかりませんけれども、自動車重量税にしても、いわゆる国税でしょうけれども、地方税の取得税にしても、これは二重課税ですよね。そういう問題もあるわけなんですよ。だから、この辺については、きちんとやはり政府・与党や野党の皆さんで、三年、五年後じゃなくて、早急に自動車諸税すべてについて見直をしていただきたいというふうに思うわけでございます。これは、我々だけじゃなくて、一般の方にも影響するわけですから。

 それと、一般財源化、暫定税率ですけれども、先ほど提案しましたように、暫定税率について、これだけ燃料が高騰しなければ、恐らく我々トラック業界でもこのような議論は出ていないと思います。これだけ高くなっているのに、それでも十年間維持しながら延長ですかという、この我々末端の事業者の気持ちというのは、どうかひとつおわかりいただきたいというふうに思うわけでございます。

 一般財源化については、先ほど申したとおりでございます。予算委員の先生方には我々業界は本当にお世話になりますけれども、今業界の立場として申し上げておりますけれども、我々は、ここまで発達してきたのも、やはり道路ができたからここまで来た、運送業界というのはあるわけですから、その辺は理解しているわけです。と同時に、国民の安全、安心を守るために、これはきちんと今後も安全、安心、それから輸送の安全確保に向けて、我々は業者一つになって努力してまいりたいというふうに思いますので、どうかひとつ先生方の御支援をさらにお願い申し上げたいというふうに思います。

江田(康)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

逢沢座長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 きょうは、実は、予算委員会の中央公聴会というのに先立って、この予算委員会の歴史の中で初めて、地方に来させていただくという段取りを委員長初め理事の皆さんがやってくださって、そして場所もまさしくこの宮崎の延岡に来させていただいたことを、まず冒頭、お礼申し上げたいと思います。

 一つは、日の光が明るくて、そして海と山、自然に恵まれて、九州というのは本当にいいところだと、実はうちの党首も九州出身ですので、私も日ごろから思っておりますが、改めてまたこの地域の発展ということを願いながら、質疑をさせていただきたいと思います。

 冒頭は、延岡市長の首藤さんにお願いしたいと思います。

 大変緻密な分析で、市の財政状況等々も含めてお話をいただきました。国会の方が、ガソリン国会とか呼ばれることもありまして、話題は道路特定財源にかなり集中しておりますが、私としては二点お伺いしたいと思います。

 まず、道路特定財源のことに関しましては、私どもの党、社民党といたしましては、いわゆる道路、鉄道、航空、港湾など、これらは非常に重要な社会資本として、やはり全体的な視野の中で見直す必要があるだろうと考えるものです。

 お話の中に、九州の西部と東部の差が非常にあり、西部の方では新幹線もできているし、博多を中心に非常ににぎわいがあるという中で、東部と言われる宮崎のこの延岡あたりがやはり立ちおくれておるという御指摘は、まさにそのとおりだと思います。

 これを見直していく場合に、先ほど申しました社会資本整備の全体の中で、どうやったら地方の声がきちんとくみ上げられるか。今、国の方は、国土形成計画というのを、八ブロックに分けて、九州ブロックもその一つですが、道路についても計画しておるようですが、私にしてみれば、なぜここまで九州の特にここがおくれたかということについては、やはり説明がだれからもなされていないように思いますし、逆に言うと、社会資本整備の中で、本当に必要な地方の声がどうやったら上がってきて、政策にまで転換していけるのか、その点をきっちりと国会もまた知っておかないと、結局、五十九兆、そこに十年間積んでも、それが本当に役立つ使い方をされるかどうかというところも危うくなってくると思うんです。

 首長として首藤さんが、どうやったら地方の声が、あるいは、これは九州ブロックの声としていくんでしょうか、どうやって実現していくかということについてのお考えを一つ伺いたい。

 それからもう一点は、いわゆる三位一体改革の中で、三年間で約三十六億の交付税の減があったというお話でございました。本当に地方にとっては深刻であったと思います。特に、その交付税の減によって大きく影響を受けた分野はどこであるとお考えか。

 私どもは、党として、三位一体改革で何だかんだで地方に対して減らされた五・一兆円は戻すべきであると。今度の交付税の、法人税の事業税で再生という形で打たれていますが、けたも違いますし、とてもこれでは地方は疲弊し果てる、まだまだ本当に再生できないと思うものです。

 そういう観点から、交付税減がどこに一番影響を与えたかということをお伺いしたいと思います。

 時間の関係で、恐縮ですが、四方に先に質問を投げさせていただいて、まだ時間が余れば二めぐり目を行かせていただこうと思います。

 次に、坂本さんにお願いいたします。

 トラック業界という業界は、先ほどおっしゃったように、規制緩和と原油高、プラス、価格転嫁できないところのダンピングと、もう三重苦にあえいで、その中で働く方々も、このごろ非常に過労死も多いし、交通事故も多いし、労災も多い。本当に大変な業界だと思います。それでいて、国民生活のほとんどの物流の基本を支えていただいている、本当に日々ありがたいお仕事と思います。

 私は、ダンピングについては、先ほど、今後いろいろなところの、例えば公正取引委員会等々の役割があるという御指摘、それから、原油高については、実はこれからいろいろな中東情勢も加わり、投機マネーも加わったとすると、原油高そのものはまだまだもしかして構造的に持続する可能性も含めていかなきゃいけないから、これはエネルギー政策としても別途また考えていかなきゃいけないという思いを持っております。

 そこはちょっとさておきまして、規制緩和というところでぜひお話を伺いたい。

 やはり、社会的規制と経済的規制、両方ございますが、行き過ぎれば、経済効率を上げるといっても、やはり社会的な安心、安全、勤労者の安心、安全も含めて、そういうところに変わってまいりますから、私は、今タクシーとかトラックはそういうところに立ち至ったと。となると、この規制緩和を見直していくという視点は、業界としてはどうお持ちであるかというところをお願いいたします。

 清本会頭には、本当に中小企業こそ我が国を支えておるわけですから、日々御苦労のほどもやはりひとしおであろうかと思います。

 私が最近とても疑問に思いますのは、実は、数年前、高千穂に来させていただいたことがあります。たしかそのときは、福岡から自動車道で来たように思うのですが、こんなに道路のことが問題になっていなかったので、私も道路整備のことは当時頭にございませんでした。逆に、そのとき経験したことは、災害か何かで高千穂鉄道が通らなくなって、不通になったんだと思いますが、そこの周辺の御商売が非常に立ち行かなくなっている状況と、もう一つ、高千穂の町の、たしか国保病院でしたか、お医者様がいなくなってしまって、その町の医療の存続が大変に問題であるということを伺いに来たことがございます。

 高速道路等々は、確かにその地域に企業誘致を生みますが、考えようによっては、むしろ、その地域地域で小さく栄えていたものが消えていくという負の側面もないわけではないのではないか。道路工事に伴う雇用効果、あるいは経済の将来的波及効果もありますが、地産地消的な、むしろローカルな、本当に周辺の、特に中小企業の場合はそういう御商売をしておられますでしょうから、その辺との両立ということはどう考えておられるんでしょうか。

 遠くまで早く物を運ぶということもとても大事ですけれども、逆に、大きな量販店ができたために身近なところがつぶれて、車を使って遠くに行くような体系になるということも、これは道路に反対するものでは全然ございませんが、実際に我が国を今後高齢社会で支えていこうと思えば、やはり身近な、足の届く範囲というのは非常に重要な生活圏だし、また商業圏でもあると私は思いますから、そういうところはいかにお考えかということをお教えいただきたいと思います。

 それから、松本参考人には、実は、五年前の予算委員会で、中央公聴会に松本先生にはお越しいただいたことがあります。それから五年を経まして、果たして日本の医療は、あのときも先生はかなり厳しく批判的な御意見を述べておられたと思いますが、五年たってどうであるのかということ、時間軸の中でお考えをお教えいただきたい。

 特に、先生は今、地域医療研究会の代表。地域医療研究会は二十年前に発足して、本当に地域医療を一生懸命やっていく医師たちによってつくられた新たな共同作業のテーブルだったと思いますが、その地域医療という観点からごらんになって、わけても九州地方の地域医療がどうであるかということを、特にこの五年というところで見られた場合にいかがであるかということでお願い申し上げます。

首藤正治君 私には二点のお尋ねでございました。

 まず一つ目が、どうすれば地方の本当の声が国策に反映されるかというお尋ねでございます。

 これは、国土形成計画というような話もありましたけれども、最終的にはやはり地方分権がもっと本格的に進まないとどうしようもないのではないかというふうに思います。

 例で申し上げますと、今、消防の広域化というようなことを国を挙げて進めておられます。人口三十万人というのを一つの単位にして、それ以上の人口で一つの消防本部を持つような広域化をしよう、それによって近接地域にある消防署の重複だとかいろいろな人員の余剰というものを合理化することによって、そうした部分ではコストダウンができるのではないか、こういうことでありますけれども、これは、私どもの地域から見ますと、どうも大都市圏、特に首都圏を中心として発想された理屈ではないかなというふうに思います。

 三十万人という単位がある程度の面積の中におさまるような地域ならば、それはそれで広域化のメリットというのはたくさん出てくるんだと思うんですが、私どもの地域ですと、宮崎県北部、九市町村全部合わせても三十万人にいきません。そうしますと、非常に膨大な地域で一つの消防本部体制、今そういう体制に移行しようとしても、かえってコストが余計かかるのではないかというようなこともございます。

 ですから、言いたいのは、全国を一律に見るのではいけないということでございます。全国を一律に見て国策をつくる、あるいは制度をつくっていくということでは、やはり問題があろうというふうに思います。地方分権を進めることによって、例えば道州制なら道州制ということをきちんと進めていただく、九州において九州の実情を踏まえた上で制度をつくっていく、法律をつくっていくということがやはり必要であろうというふうに思っております。

 ただ、そのときにぜひ御留意いただきたいことは、特に今回の高速道路のような非常に多額のコストを要する社会インフラ、あるいは自然災害によって大変大きなコストをその復旧に要するとか、こういったことについては、ぜひ国で面倒を見ていただきたい。でなければ、地方に任すよといっても、それは地方切り捨て以外の何物でもないというふうに感じております。まず、それが一点目であります。

 それから二点目、地方交付税の減がどこに影響しているかというお尋ねでございます。

 先ほど、地方交付税が私どもの延岡市においては三十六億円、この四年間で二〇%減りましたというお話をさせていただきました。もちろんこれだけの減額があれば、自治体経営そのものに大変大きなダメージがあります。義務的経費はなかなか減らすことが難しいわけです。ただ、私どもとしても、いろいろな節約に努めておりますし、職員数にしても約一〇%の削減を今進めておるところですけれども、こうしたことをやりながらでも、しかし、どうしても義務的経費でとられる割合が大半を占めてしまう、投資的経費になかなかお金が回らないというところがやはり悩みの種であります。

 本当の投資的な部分であればまだいいんですけれども、例えば小中学校の耐震化というようなことを考えてみても、もう何十年も前にできた小学校、中学校の耐震工事をやるということすらままならない。

 小学校、中学校の体育館なんというのは、自然災害のときには避難所として使っているんですね。ところが、昨年、延岡に竜巻が来ました。この竜巻災害のとき、体育館の窓ガラスが割れて、中に散乱するというようなこともありました。たまたまそのときには、避難しておられた方がそこにはおられなかったのでよかったんですが、しかし、こういった状況は早く脱しなければいけないというふうに思っております。やはり小学校、中学校の耐震化というのは本当に喫緊の課題であろうと思うんですけれども、こうしたものにお金が回らない。

 私どもは一市三町で合併をしたんですけれども、合併特例債が使えるようにはなりました。しかし、この小中学校の耐震化工事ということには合併特例債は使わせてもらえないんですね。だから、こういった合併特例債をどういう分野に使うかということについてもっと裁量権をいただきたい、こうしたことを感じているところであります。

 以上でございます。

坂本洋一君 今、阿部先生、本当にいい質問をいただいて、ありがとうございます。

 さっきから言おうと思っていたんですけれども、この規制緩和というのは、平成二年にできまして、いろいろな規制緩和がある。もちろん大店立地法の問題とかいろいろ会議所関係もありますけれども、我々運輸業界にとりましては、この規制緩和というのは、いわゆる認可から許可への変更、以前はいろいろな形で国土交通省が認可事業ということでしておりました。その後、規制緩和ということで、いろいろな規制緩和、ある意味ではよかった部分もありますけれども、影の部分というのが、今においては、私は、非常に行き過ぎであって、我々の業界を混乱に陥らせる以外の何物でもないというふうに断言したい。

 常日ごろからこういう要望については各省にお願いしておるんですけれども、お答えは、規制緩和の流れは変えられないという一点張りだった。これは納得いかないということからすると、例えば、先ほども言いましたけれども、一つは、許可台数というのは今、五台なんですね。五台で簡単にできるんです、三カ月もかからず。だから、この五年間で実は二万社ふえているんです。四万社だったのが、今六万社、二万社ふえているんです。

 これは何なのか。お互いに競争をさせながら、いろいろないい効率化を生み出していくということが大事だと思うんですけれども、行き過ぎますと、先ほども言いましたように、やはりこれは業者乱立、運賃ダンピング、それから交通事故、業界のモラルの低下というふうにつながりますので、ここは、この許可台数につきましては何らかの歯どめが必要じゃないかな。例えば、許可台数を二十台に上げるとか、または社会保険の加入を強制的にするとか、いろいろなそういったことをもう一回きちんと役所の方々は見直していただいて、そして、我々が真に国民のための運送事業者であるというふうな、そういう下支えをしていただきたい。

 そういった意味で、この規制緩和については、そういう許可台数の問題について御検討いただければと一つは思っているんです。

 それから二つ目は、今、東京都の石原さんがこういうことを数年前にやりましたですね。我々からすると、何でそこまでトラックをいじめるんだ、石原さんはと。だって、七年ですよ、先生方、七年でもうだめなんですよ。人間でいえば三十歳ぐらいですよ。ばりばりですよ。そのトラックはもう入れませんよと。これはちょっと行き過ぎじゃないですか、東京都条例というのは。

 ただ、今後、環境という問題から考えますと、やはりいろいろな意味でそういったCO2削減の問題は、京都議定書の問題もございますので、これは我々は前向きに取り組んでいかねばなりません。

 しかし、果たして東京都に出入りする車が、ディーゼル車が本当に七年でいいのか。それはちょっとおかしい議論であって、では、バスはどうなんだ。バスはそれ以上ですが、ないんですよ。それを先生方、どう思われますかということです。これは不公平だなというふうに思いますので、バスこそ逆に言えば、まあうちも関連のバス業者がありますので、ちょっとしかられますけれども、まあそういうことでございます。

 大阪も今度、来年の四月からまた規制が始まります。しかしながら、その代替というのが、今トラック一台一千万では買えない、もう一千八百万になっているんです。とてもじゃない。我が社だけでも年間百数十台を買うんですけれども、簡単なお金じゃないんですね。それはまだぴんぴん走るんですよ。それでもやはり代替をしなきゃならない。これはどういうことなのか。

 こういうことも、規制緩和の行き過ぎが、これは東京都の条例でしょうけれども、まだ九州はその点緩やかですけれども、そういった条例と環境の問題はセットで考えなくてはいけませんけれども、この辺の見直しをどうぞひとつ先生方にお願いしたい。

 それから、今環境税の話が出ましたけれども、江田先生、この間、環境副大臣もされておりましたけれども、この環境税というのを、これ以上に我々業者に賦課をされたら、これはまた困るな。だから、これはひとつ今の税率の中でおさめるとか、ここは与野党の先生方にぜひとも何とか、それ以外に関してのいわゆる環境負荷の問題、それからCO2削減についてはいろいろなことで我々も努力をしておりますし、助成交付金のお金を使っていろいろなそういった教育もやりながらやっていますので、新たな税として環境税の創設には、これはむしろを立てても反対しますので、その辺は、どうかひとつ先生方の御勘弁をいただいて、御理解を賜りたいなというふうなことでございます。

 時間がありませんので、この辺で終わります。

清本英男君 質問の内容がよく理解できなかったわけですが、中小企業がそういった形で、高千穂の例を出されて言われたわけでございますが、世の中というのは非常に変化してきておると思いますね。ですから、その中では、必然的に消えていくものと、それから新しく生まれてくるものが出てくるのではなかろうかなというふうに私は思っております。

 ただ、問題は、やはり我々は県北地域という、宮崎県の県北にあるわけなんです。この地域で宮崎県の約半分をカバーしておるわけですけれども、その中で一番問題なのは何かといったら、地域で高速道路以外でもネットワークを使う道路が一本しかないという形の中で、災害が起こるとたちまちそれぞれが陸の孤島になる。同じ県北でも、日之影に行きますと、日之影、高千穂、五ケ瀬の方々は熊本空港でございまして、宮崎には遠いわけですね、道路が遠いものですから。国土交通省の方で北方バイパスを今つくってもらっておりますが、これができますと、今まで延岡と日之影が四十分ぐらいかかっておったものが、大体十五分から二十分で延岡に来る。日之影の町長さんは、もう延岡が通勤圏になる、若い者がうちの町から出て行かぬで済む、だから、こんないいことはないというふうな話をされておるわけなんですが、そういった意味合いでは、医療もそうなんですね。

 延岡と高千穂が今一時間ちょっとかかります。これが、高速道路ができて三十分で結ばれれば、延岡に立派な総合病院があるわけです。緊急の場合はここにすぐ持ってくれば死なぬでいい命も助かるというふうな情勢下にあるわけなんですが、今はそうはいきませんので、やはり一定のものはそこに置かなきゃならないという形での無理が、これだけ財政が疲弊しておるのに無理が生じておるという形の中での田舎の厳しさというのがあるのではなかろうかなというふうに私は思っております。

 私どもの方は、今度合併しますと、合併した三町はわずか一万人しかいないわけです。ところが、この人たちは延岡市にのみ込まれてしまったという形ではどうにもなりませんから、海、山、川を持っておりますから、この人たちの産業を我々が延岡市の方でやはり頑張っていかなきゃならないということで、今我々が取り組んでおるのが地産地商で、自分たちで商売をつくって、自分たちで経済を興していこうじゃないかという運動を今進めておるわけですが、これも、進めていくのには、延岡市に補助金をくれと言うても、補助金をくれない、金がない。民間でどうやってこれをやっていこうかというようなことで、もう非常に困っておる。

 だから、やはりそういう地元で頑張っておるところには少し何か背中を押していただきますと、頑張れる要素がいっぱいあるんじゃないかなというふうに思うんですね。ですから、ぜひその辺のところをお願いしたいなというふうに思っております。

松本文六君 五年間の中で地域医療という中でどういうことが起こったのかということですが、まず、医療従事者が非常に疲弊して、疲れ切ってきているということですね。医者、看護師なんかでうつ状態に陥る人が非常に多くなってきた。これはうちでもそうですが、全国的にそういう状況が起こっています。

 サッチャーの時代には、医師の自殺率がほかの専門職の二倍、あるいは看護師は四倍になったことがあるんですね。だんだんそれに近づくような形で、医師がうつ状態で長期に休まざるを得ない、あるいは看護師がやめざるを得ないという状況が出ています。それが一つ。

 それから、閉院、診療科の閉鎖が起こっています。二〇〇三年に日本全国の病院は大体九千二百ぐらいあったんですね。今、九千を切って八千九百台だったと思います。

 それから三つ目には、地域医療研究会というのをずっとやって、世話人会というのがあるんですが、この世話人会のメンバーの院長さんが、やはり経営が厳しいので世話人会に出られないという環境が出てきて、民主党の元医系議員であった今井澄先生が諏訪中央病院でやっておられましたけれども、あそこも産科医が引き揚げられたということです。

 そして、私ども産科について言えば、大分県で中津近辺に二〇〇四年に十人産婦人科医がいたんですね。それが今、たった一人になりました。そして、南部の佐伯南郡という地域、二〇〇四年に六人いたのが、今たった一人になりました。そういう意味で、里帰り出産はなかなかできないというような環境ですね。

 それから、私どもについて言いますと、二年前に癒しの環境研究会の全国大会をやってくれと言われたんですが、医師が急遽二、三人やめて、その学会も返上いたしました。返上せざるを得ない、準備ができないんですね。

 それから、職員について言いますと、職員のベースアップを二年間凍結しました。凍結せざるを得ないような環境ですね。先ほど申し上げましたように、一九九七年から八・四%も診療報酬を切り下げられると、なかなか職員のベースアップもままならないという環境です。そういう意味では、先ほどお見せしました自治体病院の九〇%以上が赤字というのは、非常に象徴的なわけです。

 そういう点で、医療費抑制政策、これは国は適正化政策と言っているんですが、それともう一つは医師不足、この二つが決定的に医療界にダメージを与えている。これは地域住民の命にかかわる問題だろうと思うんですね。そういう意味では、ぜひともこの問題には費用を投入する必要があるだろうと思います。

阿部(知)委員 いろいろな御意見をいただきましたが、一つだけ、むしろ旗が立っては困るので。

 我が党は、暫定税率は引き下げた上で、新たに国民合意で環境税、炭素負荷を税に入れていこうということで、また御理解もいただけたらと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございます。

逢沢座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 おいでをいただきました四人の意見陳述者の方々におかれましては、公私ともに大変御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。団を代表いたしまして、心から厚く御礼を申し上げたいと思います。

 衆議院予算委員会といたしましては初めての試みでございましたが、地方に直接私ども議員が出張させていただき、直接地方の声を聞かせていただく貴重な経験であったと大変感謝をいたしております。きょう承りました御意見、またやりとりをさせていただきました中身を今後の衆議院予算委員会の審査に十二分に生かしてまいりたいと思っております。改めて厚く感謝を申し上げたいと思います。

 また、この会議開催のため、地元宮崎県、宮崎市を初め、御関係の皆様に大変お世話になりました。そのことにつきましても、心から厚く感謝と御礼を申し上げ、団長といたしましてのごあいさつとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時四十分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の茨城県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十年二月二十日(水)

二、場所

   水戸プラザホテル

三、意見を聴取した問題

   平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 中山 成彬君

       猪口 邦子君   坂井  学君

      田野瀬良太郎君   森  英介君

       山本 幸三君   太田 和美君

       岡田 克也君   小宮山泰子君

       笹木 竜三君   伴野  豊君

       渡部 恒三君   富田 茂之君

       塩川 鉄也君   糸川 正晃君

 (2) 意見陳述者

    茨城県知事       橋本  昌君

    連合茨城会長      児島  強君

    日立市都市計画審議会会長           山本 忠安君

    茨城大学人文学部教授  佐川 泰弘君

 (3) その他の出席者

    財務省主計局主計官   迫田 英典君

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中山座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の中山成彬でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算の審査を行っているところであります。

 本日は、三案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当水戸市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の森英介君、田野瀬良太郎君、山本幸三君、猪口邦子君、坂井学君、民主党・無所属クラブの岡田克也君、渡部恒三君、太田和美君、笹木竜三君、伴野豊君、小宮山泰子君、公明党の富田茂之君、日本共産党の塩川鉄也君、国民新党・そうぞう・無所属の会の糸川正晃君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 茨城県知事橋本昌君、連合茨城会長児島強君、日立市都市計画審議会会長山本忠安君、茨城大学人文学部教授佐川泰弘君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず橋本昌君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

橋本昌君 本日は、委員の方々にはこういった機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私どもの考えていることにつきまして、お手元にお配りしております両面刷りのペーパーに沿って御説明をさせていただきたいと存じます。

 きょう、実は来年度予算案を発表させていただきました。マイナス〇・三%ということでございますけれども、それでもなおかつ財源が足りなくて、県債管理基金から二百億円ほどの借り入れをしてしのいでいる状況にございます。

 一方で、私どもは、この一ページの右上の方を見ていただきますと、本県でどのように行革などをやっているかということでございますけれども、職員数につきまして、私が就任したころに六千八百人おりましたのが、今五千五百六十三人、さらに、平成二十二年までに三百七十三人削減する予定でございまして、五千二百人にする。約六千八百人を千六百人減らす予定でございます。

 また、給与のカットにつきましても、例えば、ここに来ております課長級で約六十二万ぐらい給料をカットしております。あるいはまた公共投資につきましても、ピーク時の四割の水準にあるわけでございます。来年度も本県予算は、七・三%の減ということで、大変厳しい状況にございます。

 一方で、医療・福祉関係経費などを中心にして、毎年五十ないし百億円ずつ着実に増額してきているところでございます。

 また、左下の隅の方の図を見ていただきますと、本県におきます県税・地方交付税等の推移という表でございますけれども、平成十五年に三千二百億県税がございまして、二千八百億地方交付税等がございました。それが、年々税が伸びてきておりますけれども、一方で、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた金額が減らされている。例えば平成二十年で見ますと、平成十五年と比べて、税は六百六十五億ふえておりますけれども、交付税等が九百八十億ほど減っておりまして、大体毎年三百億前後、一般財源が減っている状況にございます。こういう状況の中で、私どもは大変厳しい財政運営を強いられている。

 そして、その上に書いてございますように、御承知のとおりでありますけれども、我々知事会として、補助金のスリム化一兆円、補助金の見直し、そして税源移譲三兆円を実施していただきましたけれども、それにあわせて、所得税から住民税へ移譲することに伴う交付税が九千六百億円減らされてしまいました。

 結局、四兆円を私どもは差し出して、二兆円しか私どもの財布の方には来ていないという格好になりまして、差し引き二兆円損失をこうむっている形になってございます。

 また、その間、十五年度から約五・一兆円の交付税総額の削減がされているわけでございまして、こういう形ではとてもとても、今、地域格差が大きくなっていると言われておりますけれども、税だけの問題ではなくて、地方自治体はもうやっていけなくなるのではないかと思っております。

 地方税の格差ということでいえば、平成元年には八・三倍の時期もございました。今、六・〇倍でありますから、それよりは格差は小さくなっているわけでございまして、交付税が大幅にカットされているということが、地方において大変窮乏感が増している原因ではないかなと思っております。

 そして、私の提案といたしまして、一番右下に書いてございますけれども、ぜひ地方交付税を少なくとも九千六百億円ぐらいは、道理からいっても、まずすぐ戻していただかなくちゃいかぬ。地方再生対策費の四千億ぐらいでは、地方はちゃぷんとも言わぬのじゃないかと考えております。

 それから、地方法人特別税の地方消費税への早期振りかえ。これは、私としては、地方法人特別税ということについては反対でございます。地方分権を進めるという立場からすれば、こういう税をつくって特別譲与税で配るということについては反対でございますけれども、どうしてもやるのであれば、なるべく早く、すぐにでも消費税を一%地方に分けていただければそれで済むわけでございます。

 そして、地方法人特別税の場合には、東京は減少し北海道はふえる、これはいいんですけれども、その次にふえてくるのは埼玉、千葉、兵庫などの県でございまして、合目的かどうかということ、地域格差を是正するということのために本当に役に立つのかどうか、こういった問題もございます。

 それから、三番目に、法人事業税の分割基準というものをぜひ見直してほしい。これにつきましては、昭和四十六年と比べると、従業員は二五%も減っている、一方で、製造業の出荷額は四倍ぐらいになっている、あるいは固定資産額等も四倍ぐらいになっております。オートメーション化で従業員がどんどん減っているにもかかわらず、従業員をもとにした形で法人事業税の分割基準が定められている。これについては極めて疑問であると考えております。

 次のページ、裏をおめくりいただきたいと思います。

 次に、そういう厳しい状況の中で、なお暫定税率を廃止という動きがあるわけでございますけれども、そうしたらどうなるかということでございます。

 本県の場合は、県内道路の実延長というのは北海道に次いで二番目に長い状況にございます。それでかどうかはわかりませんけれども、道路の整備率というのは四十七位、全国で最下位でございます。右折レーンがない渋滞交差点その他、三千カ所も交通危険箇所がございます。

 そしてまた、いつも申し上げているんですけれども、ドクターカーを準備する。しかし、道が悪くてドクターカーが着いたときに死んでしまったのでは幾ら医者が乗っていても意味がないわけでありまして、私ども、そういう生活道路をきちんとする。

 あるいは、先般も外国の企業が来て、結局、日本じゃだめだ、道路などの整備が悪過ぎるというのでほかのアジアの国へ行ってしまいましたけれども、世界の中での企業の立地競争などについても負けてしまうのではないか。あるいは、ようこそジャパンといったって、東京とか京都には来るかもしれないけれども、地方に道路もなければ、海外から一生に一回か二回しか来ない人が果たして田舎の方へ行ってくれるだろうかといった問題もございます。

 そういう前提を置いた上で、この2、右側の上の方でございますけれども、暫定税率が廃止された場合にどうなるかということであります。

 本県の場合、今、二十年当初予算、きょう発表したものではこのような形で組ませていただいておりますけれども、仮に暫定税率の分が素直に落とされたとすると、この真ん中の約六百二十六億円というところまで財源が減ってしまいます。約三百六十一億円減額になるわけでございまして、これに伴って公債費とか維持補修費は減らせないとなりますと、右側の方にありますように、建設費に充てております四百八十八億円が、三百六十一億円減って百二十七億円まで減少してしまうのではないかということを大変に心配しております。

 そして、直轄事業負担金を廃止すればいいじゃないかといったような声もあるようでございます。これにつきましては、私は大いに大賛成であります。

 直轄事業負担金につきましては、この下に書いてございますように、例えば道路でいいますと、建設については三分の一、そして国道の指定区間外とか県道については二分の一は国から来る。こういうところは比較的制度的にも似たような感じにとられるかもしれませんけれども、維持管理について、例えば国道の指定区間外、県道については県が十分の十、全部賄っております。それに対して、国道の場合についても十分の四・五を県が負担しているわけでございまして、維持管理についていえば明らかに、どう考えても筋が通らない。

 あるいはまた、国としてちゃんと国を形づくるために重要な道路について三分の一の負担をとるということについても、地方から要望が出過ぎるからだという声もございますけれども、それを抑制するためとはいえ、三分の一というのは大き過ぎる、せいぜい五%か一〇%にすべきであるという考えを持っておるところでございまして、この直轄事業負担金を廃止するということについては大賛成であります。

 しかしながら、その左側の図、地方における道路関係経費の財源構成という図でございますが、歳入を見ていただきますと、道路関係の経費のうちの道路特定財源で賄えないものが、地方債と一般財源、五・八兆円のうちの三・五兆、約六割でございます。この一般財源一・七兆の部分を、せっかく直轄事業負担金を廃止するのであれば、私どもの方に一般財源として戻してくれる、そして道路特定財源については、これまでどおりの事業をやるためにぜひとも続けていただきたい、延長していただきたいというのが私の考え方でございます。

 一方で、国直轄事業の大幅縮減へどう対応するか。例えば、国の直轄事業の道路事業は今二・一兆あるわけですけれども、これが約四千億に減らされるということが言われております。こうなりますと、例えば東京の隣の渋滞対策あるいはまた地球温暖化対策等々から今進められております圏央道などにつきましても進捗状況が大変おくれてくるわけでございまして、地球温暖化などの対応のためにも急がれているものがおくれざるを得なくなってくる、これについてどう考えるかということが大きな課題になってくるわけでございます。

 そういうことで、私の提案といたしましては、道路特定財源の暫定税率の延長、あるいは直轄事業負担金の廃止ということでございますけれども、それにあわせて、一般財源化ということがよく言われておりますので、その点について一言申し上げたいと思います。

 一般財源が足りないから福祉や教育にもこの道路特定財源を充てようということでございますけれども、納税者である自動車ユーザーは、道路の整備に充てるからということでこの負担に甘んじているわけでございますので、話が違うと反対するに決まっております。もし福祉や教育、医療などのお金が足りないのであれば、消費税のような形で広く国民一般に負担を求めるべきであって、自動車ユーザーだけに負担を求めるというのは筋がおかしいと思っております。

 特に、私ども、ガソリン税ですと元売課税なものですから計算しにくいんですけれども、軽油引取税で人口一人当たりの負担額というものを調べてみました。東京は約四千円、茨城では約一万二千円であります。一般財源が足りない分をこういう形で補うことにすると、貧乏な地方が豊かな東京の住民のために割高な形で税を負担するという形にもなってまいります。担税力の問題から見てもこういう形でいくのは大変おかしいと思っておりまして、ガソリン税についても事情は同様ではないかなと私は考えております。

 それから、環境税という発想もございますようですけれども、環境税ということでやるのであれば、専ら環境対策に使う、あるいはまた抑制するということであれば、私は、自動車ユーザーだけに課税するのではなくて、石炭もあればガスもある、重油もあればあるいは灯油もある、そういったことも含めて、全般的に抑制しなければ意味がないのではないかなと思っております。

 以上であります。

中山座長 ありがとうございました。

 次に、児島強君にお願いいたします。

児島強君 私の方から、平成二十年度予算案について、労働組合の立場から意見を述べていきたいというふうに考えます。

 まず、今回の国会の注目の一つは、道路特定財源における暫定税率の継続か、廃止か、縮小かにあります。

 私たち勤労者の生活は、戦後最長のイザナギ景気を更新し、現在も緩やかな拡大傾向にあると言われる経済の中で、その実感もなく、大きな改善もないのが実態であります。

 総務省統計局の年齢別所得のデータを見ますと、平成十四年から十八年の五年間の月額給与比較において、働き盛りの三十歳から三十九歳が月マイナス二万三千八百八十五円、教育・住宅ローンがかさむ五十代においてはマイナス一万七千四百二十五円と大きく減収となっております。また、その他の年齢層においても千円から五千円程度と伸びはわずかであり、非常に厳しく苦しい生活実態となっているのが現実である。

 さらに、これまで、国民・厚生年金の保険料の段階的なアップ、医療費の負担増や昨年の定率減税全廃等々による公租公課の負担の増大、そして、ここに来て、原油高騰によるガソリン、灯油の値上がり、小麦ほかの原材料の供給不足による食品や生活必需品の物価上昇が大きく家計を逼迫させているということであります。

 こういう現状からすれば、道路特定財源の暫定税率については、廃止縮小等の見直しが必要であると判断しております。

 産業の発展やまちづくりの基盤であります道路整備を否定するものではなく、真に必要な道路は整備すべきでありますが、常識的に、何十年も続く暫定という事態は考えられない。また、減少する人口や少子高齢化への進展、道路が必要だった高度成長時代から成熟時代に入った現在、そして、何より国民の生活実態に合わせた計画が必要ではないかと考えております。あわせて、本則部分を含めた自由度の高い一般財源化の議論が必須であります。

 やはり今大切なことは、道路もそうですけれども、小児・産婦人科といった医師不足は、茨城でも日立地区の県北は非常に大変な状況にありますし、介護、年金といった社会保障の充実、子供たちの元気と教職員を励ます教育政策、経済政策、環境政策等に国民の期待は集中しているのではないでしょうか。

 この機会に、徴収側ではなく、やはり納税側に立った視点で、税制のあり方も含めて、幅広く議論いただきたいと考えております。

 また同時に、特別会計の議論についてもお願いしたい。

 現在、一般会計は八十三兆円程度でありますけれども、特別会計は、事業特別会計、資金特別会計、区分経理特別会計の大きく三種類の構成であり、重複する部分はありますけれども、その額は三百六十兆円と、非常に大きな規模である。これは一般会計の四倍強と膨大な額でありますから、国民の目からすれば、この膨大な税金が適切に使われているのかというのをやはり国会の場で明らかにしていく必要があるんじゃないかなと考えるところであります。

 二点目は、日本経済の活性化であります。

 日本経済の状況は、先ほども述べさせていただきましたけれども、さらに年明けからは、サブプライムローン問題に端を発しました世界的な株安と、さらに日本においては円高傾向も加わり、日本も含め全世界的な経済の失速感が強まっております。現実に、日本の上場企業の二〇〇八年三月期の業績は、各社下方修正の傾向からは、既に失速していると言えるのではないでしょうか。

 アメリカにおきましては、一月に入り、FRBが急遽追加の利下げや十六兆円規模の景気対策を打ち出しております。それでも足りないというような反発でさらに株価を押し下げたということもありますけれども、きちんと対策をしている。

 景気の対策の常道というのは、やはり、公定歩合の引き下げや税率の引き下げ、また公的資金の市場投入により資金の市場流通を促し、GDPの六割以上を占める個人消費を喚起するとともに、これによって外需依存から内需拡大型の経済を構築していくことが重要ではないかなと感じるところであります。

 そういった意味で、日本といたしましては、アメリカなどの景気対策と比較し、鈍感ではないかなと見ておりますけれども、この日本経済を早急に立て直すための予算対策においてはどういった工夫がされているんだというところをお聞きしたいなと思います。

 三点目は、労働組合の観点から、特に非正規雇用の問題であります。

 ニートを初めフリーター、パート、派遣、契約社員といった非正規労働者は、現在、労働人口の三分の一を占め、一千七百万人に達しております。特に、一九九三年以降のバブル崩壊後の就職氷河期と言われる二十歳代後半から三十歳半ばの高卒、学卒の非正規労働者をいかに救済していくかということが大事なのではないかなと感じております。

 連合としては、この非正規労働者の正規化に向け、今次春闘に非正規労働センターを設置しました。非正規労働者の問題を連合運動の柱の一つに加え、状況の改善のため、国民的な視野の広がりを求めながら全力を尽くしていくということでございます。

 今後の人口減少化社会による労働人口の減少や、年金、介護といった少子高齢化時代に対応した社会保障の維持の視点からも深刻であり、政府としての具体的な対応をお願いしたいと感じております。

 最後になりますけれども、特に昨年は、消えた五千万件の年金問題と職員の使い込み、防衛省の随意契約からの贈収賄汚職や水増し請求、解決方向にありますものの薬害エイズ問題、農林水産大臣に見た政治と金の問題等々、挙げれば枚挙にいとまがない不正が横行した年でもあり、政治、政府の信頼は国民から見て失墜しているというふうに思います。

 成熟した日本社会、少子高齢化の進展と人口減少社会に向かう日本にとって、国民は政治、政府の手腕に期待し、将来にわたり正しく持続できる日本をいかに構築していくのかを望んでいるということを、ぜひよろしくお願いしたい。

 そして、それぞれの勤労者が、額に汗流し、苦労しながら、家族のため、地域のため、日本国家のためにまじめに働いているということを皆さんはぜひ再認識していただいて、判断をお願いしたいということであります。

 以上です。

中山座長 ありがとうございました。

 次に、山本忠安君にお願いいたします。

山本忠安君 県北の日立市から参りました山本と申します。

 日ごろから先生方には行政や産業振興全般にわたりまして多大な御協力、御支援をいただいておりますこと、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 また、本日は、このような場にお招きいただき、意見を述べる機会をいただきましたこと、まことにありがたく、感謝を申し上げたいと思います。

 私は、日立市で山本理化工業という製造業、それから小咲園という特別養護老人ホームの経営に携わっております。日立市では、日立市都市計画審議会会長、日立商工会議所会頭、日立の交通環境を創る市民の会会長などの公職を務めておりますが、本日は、こうした立場から意見を述べさせていただきたいと思います。

 それでは、早速私の意見を申し述べたいと存じますけれども、まず、道路整備問題に関する基本的な考え方について申し上げたいと思います。

 地方における幹線道路等の早期整備は、地域間格差の是正、地域の活性化、そして我が国全体の成長力強化のために必要不可欠であります。とりわけ、地域間格差の是正という観点が重要であると思っております。

 一部には、我が国の主要道路は完成して、これ以上道路整備は必要ないというような声もあるようですけれども、これは全くの誤解でありまして、都市部に住む一部の方々の御意見ではないかと思っております。

 地方には、まだまだ必要な道路計画でありながら、未整備のまま残されているところがたくさんあるというのが実態であるということを御理解いただきたいというふうに思います。また、このことにより地域間格差が生じているとすれば、その是正は国や県や市の行政として行っていただくのが筋であるというふうに思います。

 昨今の原油価格の高騰が、運輸業界を初めさまざまな業界あるいは一般市民にも重大な影響を及ぼしている状況は重々承知しております。確かに、目先の身近な痛みは切実なものではありますけれども、これは本来、先ほど申し上げました道路整備問題とは切り離して対応を考えるべきだというふうに思います。

 そもそも道路は公共財であり、その整備には一般の税財源を充てることが原則で、緊急かつ計画的に整備する必要があったために創設されたのが道路特定財源であるというふうに私は理解をしております。

 今の原油高騰への対策、いわば物価対策は、道路特定財源制度の議論とは筋道が違うものとして考えるべきだと思います。もしも暫定税率が廃止されれば、必要な道路の整備はどうなるんでしょうか。その財源を果たしてどのように確保するのでしょうか。暫定税率の問題は、国の税収だけではなく、地方の税収にも大きく関係する問題だと思います。

 なお、既に道路は十分に整備されており必要ないといった意見のほかに、暫定税率廃止論の理由として、道路特定財源が余っているというような意見もあるようですけれども、地方の県や市町村の中で、本当に余っている自治体があるんでしょうか。国として、道路特定財源を地方の道路整備の促進に有効に活用する方策と、しかも透明性を高くしながら活用する方策の議論を深めていただきたいと思います。

 せっかくの機会でございますので、日立市に関する道路の状況についても意見を申し上げたいと思います。

 お手元に配付してあります資料をごらんいただきたいと思います。それから、ここに日立市の全体の地図がありますので、これを見ながら私の意見を聞いていただければありがたいと思います。

 私の住んでいる日立市は、古くから日本有数の鉱工業都市として発展してまいりました。しかし、現在は、日本経済の低迷やグローバル化などの構造変化もありまして、人口減少が起きております。昭和五十八年の二十万六千人をピークに、現在は二十万人を切って久しい状況になっております。

 また、地形的には、海と山に囲まれた可住地面積の限られた南北に細長い町であり、特に道路整備につきましては、時間も予算もかかるという問題があり、道路整備が進まないのが現状であります。

 渋滞の一例を申し上げますと、片側一車線の国道六号で、朝の通勤時間帯では、日立の中心部から隣接する東海村、その間の距離はわずか十五キロでありますが、これに約一時間かかります。一時間かかるということは、私も企業の経営者としてそのコストを計算すれば、大変な損失になります。

 こうした慢性的な渋滞の緩和を目指して、日立市内では、国道六号日立バイパスや山側の県道、市道の整備が進められております。特に、現在海側に整備されている日立バイパスは、おかげさまでことしの春には、全長十キロの計画区間の約半分、四・七キロが開通すると聞いております。

 ここまでの整備に実は三十年も年月がかかっているわけであります。ですから、問題はここから先であります。せっかく多額の予算を投入していただいた日立バイパスが、このままでは十分に機能を発揮しません。残り半分の区間は、都市計画決定はされているものの、まだ具体的な建設計画が決まっておりません。早急に整備を進めていただきたいと思います。

 このまま建設計画が頓挫すれば、日立市民の日常生活や企業活動はもちろん、救急医療や災害への対応など、さまざまな影響が出てくることは必至であります。一刻も早い整備を望むものであります。

 日立商工会議所では、昨年の五月に、市民団体や企業などと一緒になりまして、日立バイパスの整備促進の署名活動を実施いたしました。わずか一カ月半という短い期間でしたけれども、九万八千四百六十四人の署名が集まりました。日立市民の約半分の方々が署名をしてくれたわけで、いかに市民が慢性的な渋滞に困っているかということがおわかりいただけると思います。

 また、何も新しい道路に巨額の投資をすることだけが地方の活性化を図る方策ではないと思います。日立市には、主要国道の六号に並行して常磐自動車道という高速道路が走っております。この既存の高速道路を活用することによって市内の渋滞を緩和することができると思います。

 過去四回にわたって、日立市内では常磐道を活用した割引社会実験が行われております。その結果は、日立市内のインターチェンジ間の通行料金を半額に割り引いたところ、市内の国道通行量は減少し、自動車通勤時間は大幅に短縮されました。道路整備と相まって、道路特定財源を高速道路の料金引き下げなどに活用しようとする今回の政府の方針については、大いに期待をしております。

 さらに、日立南太田インターチェンジと日立中央インターチェンジの間に本線直結型のスマートICを整備すれば、市内の交通渋滞は劇的に緩和できるものと思います。道路特定財源を積極的にスマートIC整備等に利用することも、地域の活性化が図られ、大いに賛成であります。

 次に、中小企業の支援策について申し上げます。

 日本経済は、御存じのように、全体的には回復基調にはありますが、地域経済や中小企業においては、依然として厳しい状況が続いております。

 中小企業は、我が国の企業の九九・七%、従業員数の約七割を占める大きな存在であり、産業活力や地域経済を支える重要な担い手であるばかりか、雇用創出の面からも極めて重要な役割を果たしていると思います。日本経済を支える中小企業の経営を活性化し、中小企業全体の底上げを図ることが不可欠と思います。また、グローバル経済が進展する中、中小企業に対し大企業のさらなる御配慮をいただき、頑張る中小企業の御支援をお願いしたいと思います。

 最後に、中小企業経営の立場から一言、事業承継問題について申し述べさせていただきたいと思います。

 今般、全国の中小企業の四十年来の悲願でありました事業承継税制の抜本拡充を初め、遺留分に関する民法の特例や金融支援など、事業承継支援の枠組みを定める中小企業の経営承継の円滑化に関する法律案が国会に上程されました。

 今般の決定は、大きな枠組みが示されたものであり、事業承継税制の抜本拡充の実現のためには、同法の成立を踏まえ、さらに、平成二十一年通常国会において租税特別措置法及び改正相続税法の成立が必要となります。つきましては、一刻も早く成立させていただきたいと切にお願いを申し上げます。

 最後になりますけれども、地方都市の活性化なしには日本経済が真の意味で回復を果たしたことにはならないということを申し上げ、私の意見といたします。

 御静聴ありがとうございました。

中山座長 ありがとうございました。

 次に、佐川泰弘君にお願いいたします。

佐川泰弘君 本日は、公述の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、地方の持続的発展のための予算づくりや予算制度が必要だという観点から、最近の地方再生政策と地方国立大学法人の現状について述べさせていただきます。

 まず、第一の、地方再生政策についてであります。

 最近では、大学の地域連携活動も活発になり、私も学生とともに地域の聞き取りなどに出かけます。最近も、県北のある地域に出かけました。そこでは以下のような声が聞かれました。

 ある旅館経営者の方からは、鹿島開発の砂利採取でアユがだめになり、バブル期のリゾート開発でゴルフ場がたくさんでき、自然が破壊され、さらに、近年の合併でその市の中で隅に追いやられてしまい、この辺はどうしようもない。あるいは、ある農業従事者の方からは、安い農産物が外国から入ってくるため、よいものを頑張ってつくっても減収が続き、後継者問題を考えるなら、所得保障でも行われないとどうしようもない。このような声が聞かれました。

 小泉構造改革の出発点から、競争による勝ち組と負け組が発生するのは必然だからセーフティーネットをどうするのかという疑問が出されてまいりました。しかし、そこが手薄であったため、予想どおり、いろいろな面での格差が問題となっております。

 地方では、経済生活の基礎条件、これをどうするのかというだけではなく、地域の生活維持の基礎条件、これもどうするのか、ここも崩れかけてきているではないかという状況であります。特に、過疎、中山間地域などではそうであり、集落丸ごと生活困難に陥っている地域も出てきています。

 農業の衰退に伴う若年人口の流出と高齢化は、地域の世帯数の減少を伴います。そのため、集落機能が低下し、地域の共同活動の継続が困難になってきます。住民共同のよりどころであります公共施設が統合され、周辺地域では、拠点となるべき施設が空き家となることも起こっております。

 あるいは、地方交通の撤退や合併の影響による公営バスの廃止あるいは路線の縮小、タクシーの利用補助の廃止、こういったことに伴い、移動困難に陥っている高齢者や障害者も多数発生しております。こういったことは、いろいろなメディア等で報道もされており、各議員とも十分御承知のことと思います。

 ともかく、このように、地域生活の基礎条件が後退あるいは崩壊することで地域そのものの維持が困難になってきているわけですが、これは住民の責任だとは言えません。戦後日本の社会構造の変化と近年の行革ないし構造改革の結果であります。

 構造改革により、大都市の再生は成功したのかもしれません。しかし、地方では、経済を支えてきた公的投資が抑制され、それにかわる中小企業を中心とした地域産業支援政策や農業政策が必ずしも充実したわけではありません。政府が行ってきたのは、基本的に地方間競争を前提とした公的投資であり、市町村合併による広域化、三位一体改革を含めた地方財政の抑制であります。

 したがいまして、地域の自立のためには、経済面と生活面での基礎的条件を公的に再構築していくことが必要だと考えます。条件のある地域は自立できるけれども、条件がなければ困難をきわめる、こういった形で地域間格差を拡大させてはなりません。

 ともかくも政府は、地方と都市の格差拡大を防ぎ、地方再生に取り組むとして、地域活性化統合本部を置き、地方再生戦略を定めました。ここで、地域を地方都市、農村漁村、基礎的条件の厳しい集落、こういうふうに分けて対策を考える、あるいは地域の自由な取り組みをそのまま受けとめ国が支援する、こういう発想はいいかと思いますけれども、果たして内実はどうなのでしょうか。

 自由な取り組みということに関して言えば、モデルとして例示されているような事業は、既に各省の来年度予算に含まれているからこそ実現できるのではないでしょうか。加えて、同じく事例として示されていることの内容も、これまで格差をつくってきた競争政策の継続が多いように思われます。

 現在、改革がいずれの分野でも行われておりますけれども、概して、最近の国の改革の進め方は、国が定めた路線の大枠がまずあり、そのもとで地方に自主的に計画をつくらせて、その進行状況を国が点検、評価する、こういう方式になっております。つまり、本質的には上からの改革であります。今回もその方式がとられており、これで地方が本当に必要としているものが自主的に決められ実行されていくのか、あるいはそういうプランが出されてくるのか、ここは大いに疑問を感じるところであります。

 また、ユニークで当初はメディアに取り上げられたような活動や施策も、それを維持できなくなるようなことが少なくありません。これは、プロジェクト型政策の進め方の弱みでもあります。うまくいっている事業をいかに持続させるのか、行政はここにも尽力すべきであると考えます。

 あわせて、財政面にも若干言及しておきます。

 地方法人特別譲与税にしても地方再生対策費にしても、これは地方間での財源のやりとりにとどまっております。いかにして地方全体の財源を保障するのか。先ほどから道路特定財源の話題も出ておりますが、この暫定税率廃止に自治体首長が反対しているのも、少しでも何とかして財源を確保したいという考えのあらわれではないかと思われます。

 第二に、地方国立大学法人の現状についてお話しいたします。

 二〇〇四年度、平成十六年度より国立大学法人の業務が本格的にスタートし、来年度は五年目に当たります。各国立大学法人では、次期中期計画づくりも始まりつつあります。そこで最も大きな問題は、運営費交付金制度が今後どうなるのかということであります。

 国立大学法人法成立に当たっては、長大な附帯決議がつきました。衆議院でも参議院でも、教育研究に必要な所要額を確保するよう努めること、これがついたわけであります。しかし、運営費交付金は、毎年機械的に削減されております。退職手当分の増減はあるものの、来年度予算がこのまま成立すれば、運営費交付金は四年間で六百一億円の減となる見込みであります。全国知事会もこのことを問題視し、昨年七月に「地域に貢献する国立大学法人の運営費交付金について」という声明を出しているほどであります。

 加えて、いわゆる行政改革推進法第四十二条で、国立大学法人も総人件費の削減が定められています。

 法人内の制度やマネジメントの問題がありますが、ここで、私の所属先の実情を若干述べさせていただきます。

 茨城大学人文学部で教えている専任の教員数は、二〇〇〇年度、平成十二年度で百二十三名でありました。それが現在では百六名、一七%あるいは一八%減です。人件費削減で非常勤講師の雇用数も激減しております。そのため、学生、受験生に示している開講科目一覧では休講が目立ちます。これは、意欲を持って入学してくる学生に対する公約違反ではないでしょうか。こういったことが多々生じております。

 あるいは、図書館の図書受け入れ数も激減しております。二〇〇一年度、平成十三年度の茨城大学図書館の新規受け入れ図書は約二万一千冊、資料費は約二億四千万円でありました。それが年々激減し、最新の二〇〇五年度決算によりますと、受け入れ図書は一万二千冊、資料費は一億一千万円で、約半分です。決算はまだ発表されておりませんが、その後もこの状況は続いていると思います。これで果たして地方国立大学が知の拠点となり得るのかどうか、ここについてよくお考えいただきたいということであります。

 結局のところ、文教・科学技術政策全般が、プロジェクト型、つまり競争型及び研究に偏重しており、教育、特に文系の高等教育がおろそかにされていると言わざるを得ません。研究費は、科学研究費補助金の受領等競争的経費、これは各教員の努力で確保できるものかもしれません。しかし、持続的、継続的に必要な教育のための財源はどこに求めたらいいのでしょうか。教育GPなどのプロジェクト予算も期間限定であります。せっかくこれでよい教育ができても、それを以後持続させる体力は地方国立大学法人にはありません。国立大学の従来の役割から考えると、学費値上げも限界であります。

 もう一点、文部科学省との旧来的な人事交流の継続という問題について述べさせていただきます。

 これも、受け入れている法人側の問題もありますが、多くの地方国立大学法人で、本省職員のキャリア形成と身分保障のためのいわゆるわたり制度が温存されております。茨城大学でも、人事交流で来る本省職員が事務局長と四部長職を一貫して独占し、自身が規則を立案し、優位な処遇を維持しております。これが法人としての自主的制度づくりの障害となっております。

 最後に、私の意見を一言でまとめさせていただくと、地方財源にしても教育予算にしても、プロジェクト型の競争的経費というカンフル剤ではなく、自治体や大学が本来の役目を果たせる基礎体力を持続できるような予算と予算制度をつくるべきということであります。

 もう一点、最後に、道路特定財源、時間はありませんが、一言だけ述べさせていただきますと、一般財源化が行政改革推進法で定められているということの重みはおろそかにすべきではないと考えます。各種負担がふえ続け、我慢を続けている国民にとって、聖域が設けられるということは到底納得できる話ではないと考えます。

 以上です。ありがとうございました。

中山座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中山座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。座って発言させていただきます。

 きょうは、陳述人の皆様方から大変貴重な御意見を賜りまして、大変ありがとうございました。勉強になりました。

 持ち時間が少ないものですから、どこまでカバーできるかわかりませんが、取り急いで幾つか聞かせていただきたいと思います。

 まず、橋本知事と連合の児島会長さんにお伺いしたいんですが、橋本知事には、暫定税率が廃止された場合、道路事業への影響ということで三百六十一億円減額になっておりますが、減額になった場合に、道路の建設費が百二十七億円に落ちて、それだけで済むのか、あるいは、そのことがほかの、教育とか福祉とかそういう一般歳出の部分まで影響するのか、どれぐらい影響するのかというようなことについて分析されたことがあれば、ちょっと教えていただければと思います。

 それから、児島会長さんにちょっとお伺いしたいんですが、御意見では、道路特定財源、暫定税率については廃止縮小等の見直しが必要だと。つまり、一般財源化というよりは、廃止すべきだ、縮小すべきだという御意見だというふうに承りました。その後で、道路よりも今大切なことは、小児・産婦人科とか医師不足とか介護、年金といった社会保障の充実だ、あるいは教育政策だというように言っておられるんですが、そうすると、まず疑問は、暫定税率がなくなってしまって財源ががっと減る、その上でそういうところを重視してやれという場合に、財源はどうなるんだろうなということが一つ。それから、今は道路よりもそういう分野だということですが、その意味では、連合としては、この茨城県、道路は十分だというように考えておられるのかというところをちょっとお伺いしたいなと思います。

 それから、今の経済対策について、ちょっと鈍感じゃないかというのは、これは私も個人的には全く同じような気持ちを持っておりまして、厳しく今、もっと危機感を持ってやれと訴えているんですね。予算でも、補正と今の本予算を合わせれば、農業対策、中小企業対策、それなりに一応はつけてあるわけですね。だけれども、これを早く通して早く動かさないと、また手おくれになってしまうわけですね。必要があればもっと追加して考えるべきじゃないかという意見を私は持っていまして、とにかく年度内成立、税制も含めて、早くやることが必要じゃないか。

 同時に、やるとすれば、おっしゃっておられましたけれども、日銀の金利分も下げてやるべきだということは全く同感でありますので、そういうことを連合としても取り上げて今後とも主張されるように思っておられるのか、もう一度確認させていただければと思います。

橋本昌君 この間、実は自治会長さん方との会合を開きました。そのときに出てきたいろいろな話の中で、三分の一は、やはり相変わらず道路を早くしてほしいということでありました。あるいはまた、先般、道路特定財源の暫定税率延長を求める茨城県総決起大会というのに行ったんですけれども、そこに出てこられた交通安全母の会の方も、今のままでは子供が危なくて学校へ行くのにも心配でしようがないという道路がまだまだたくさん残っている、何とか早く道路をつくってほしいという声などなどをいただいたところであります。

 そういったことから見ますと、この表で百二十七億円となっておりますけれども、とてもこの金額で足りるとは思えません。相当額をここへ持ってこなければいけなくなってまいりますので、そうなりますと、当然のことながら、先ほどお話ございました医者の確保対策あるいは福祉、例えば子供のための医療費の支援とかそういったもの、さらには教育などといった分野にも当然を影響を及ぼしてくると考えております。

 そういう点で、全行政分野の見直しということが間違いなく必要になってくるのではなかろうかと大変に心配をしておるところでございますので、ぜひ年度内に法案を成立させていただきたいと思います。

児島強君 まず、道路特定財源の関係でありますけれども、廃止、縮小、見直しの方向だということで、基本的には連合としてもその方向にある。

 連合としましては、一つの政治活動の中においては民主党との連携ということでありますから、では民主党はどういった考えを持っているんだということになろうかと思うんですけれども、その中で、民主党案に対して、道路財源の諸税については、廃止縮小等の見直しをする観点から、自動車関係諸税、道路特定財源等の暫定税率の廃止は賛成である、暫定税率廃止後の特定財源、自動車税、揮発油税等のあり方や一般財源化については引き続き検討をしていきたい、税率の廃止後の地方の道路財源確保には万全を期すべきでしょうというスタンスです。また、民主党の将来の方向性として提示している地球温暖化対策税への一本化については、その詳細な内容の説明を求める云々というスタンスで取り組んでいるという基本的なスタンスに連合としてはあるということで御理解をいただきたいと思います。

 また、個人的には、先ほども山本さんがおっしゃったように、日本経済が伸びるというふうになれば、ある意味では税収もふえるわけですよね。そういった税収の伸びというのも期待できるわけでありますから、やはり早い時期に、予算をきちんと通すことは当然ですけれども、経済を活性化させて税収をふやして、そういった税収がふえることによって債券も減る、その使い道をどうしていくんだ、そして、今大事な福祉、医療、教育等々に手を差し伸べていただきたいというスタンスにあるということであります。

山本(幸)委員 ありがとうございました。

 猪口委員にかわります。

中山座長 次に、猪口邦子君。

猪口委員 本日は、意見陳述人お一人お一人から、大変参考になる、また貴重な御意見を伺いまして、まことにありがとうございます。

 時間も限られていますので、私は、少子化担当大臣を務めたということもあり、子供の安全、また子供に関するさまざまな観点から、皆様の御意見につきましてお伺いしたく思います。

 橋本知事は、生活道路を大事にするということをおっしゃいました。ここで一つお伺いしたいと思いますのは、昨年十二月の、政府・与党で合意なさいました道路特定財源の見直しにつきまして、安全、安心の確保、こういう観点から道路の中期計画を策定する、こういう文言が入ってございます。

 そこで、先ほど山本理事の質問に対しても言及されましたけれども、子供の通学路の歩道の確保、そのような観点からの安全性の確保、このことの必要性についてお伺いしたく思います。

 御存じの方も多いと思いますけれども、まことに残念なことに、我が国の交通事故死の中で占める歩行者の割合は、先進国の中で非常に極端に多いということがございます。交通弱者になると思いますけれども、子供やお年寄りが安全に歩行できる空間をどのようにその人たちの生活空間において確保していくかということは、生活重視の道路の今後の建設においてもとても重要であると思います。

 まず、橋本知事に、茨城県におけますそのような施策の推進がいかなるものかお伺いし、また、山本様は都市計画審議会の会長を務めていらっしゃるということですので、そのような観点からもちょっとお伺いしたく思います。また、佐川先生は行政学の先生でいらっしゃいます。今お伝えしましたような交通弱者のための安全な歩行空間の確保という一つの社会思想の観点からの道路の今後の計画の必要性についてどのようにお考えか、お伺いしたく思います。

橋本昌君 私ども、今委員のおっしゃられたとおりの考え方でございまして、この二ページの方を見ていただきますと、右折レーンがない渋滞交差点二千百三十二カ所、急カーブ等の危険箇所六百二十七カ所、幅員狭小区間箇所四百三十五カ所等、県道、国道だけでも三千カ所以上危険箇所等がございます。こういったものを、今の御趣旨のような考え方のもとに、私どもとしても早急に整備をしていきたいと考えております。

 そして、こういったものについては、比較的経費的にもそんなに多くかかるものではないわけでございますので、実は、七、八年前からだと思いますけれども、安全快適なみち緊急整備事業という項目を起こしまして、県道については県がやる、市町村道を市町村がやる場合には少し支援しましょうという形で、今四十億円の枠をもって積極的に進めているところでございまして、これにつきましては、市町村長さんから随分評判のいい事業でございます。前がこれで今こうなっていますという写真もいろいろ見せていただきますけれども、私どもとしては、それなりに効果の出ている施策かなと考えているところであります。

山本忠安君 都市計画という観点から見た場合に、これも、安全道路だけじゃなくて、やはりこれからの日本をしょっていく子供たちの将来を考えたまちづくりといいますか、これは道路も当然入りますけれども、そういう観点で、私は、それぞれの行政のビジョンというものをきっちり決めておくべきだ。工業地域もそうですし商業地域もそうですし、住宅もそうですし道路もそうだと思うんですね。これがどうも、今私の見ている範囲内では十分ではない。ですから、これは思い切って地方に任せて、そういう都市計画というものをやらせていただくのがいいんじゃないかというふうに考えております。

佐川泰弘君 安全を最優先に考えるということはもちろん必要であると私も思います。ただ、今出されております中期計画がどうなのかということなんですけれども、まず、確保できる予算があって、高速道路とか高規格道路が優先されて、それがすべて必要なのかどうか私はわかりませんけれども、安全あるいは生活優先とは余り思えません。

 ともかく、特に計画のつくり方という点からいっても、住民の要望を基礎にして、それを積み上げて計画をつくっていくということが大切なのではないかと考えます。

 以上です。

猪口委員 ありがとうございました。

 多くの御意見の中で、人口減少社会である、あるいは少子高齢化社会であるということをおっしゃられました。

 きょうは道路特定財源のことだけの会議ではございませんので、予算委員会のこととして、子供の安全という観点から、もう一つの議題について、特に知事にお伺いしたいと思います。

 子供の放課後の安全確保、そして我が国におけます教育の重要性、これは他の委員も御指摘されたわけでございますけれども、その観点から考えますと、政府が推進しようとしております放課後子どもプランの中におきまして、充実した教育要素を含めた子供の小学校におけます放課後時間の確保、これをどのように茨城県においては推進されているか、また、そのための予算の確保など十分であるか、お聞かせいただければと思います。

橋本昌君 子供の健全育成ということは、私どもも極めて重要な政策課題としておるところであります。

 今お話のありました放課後子どもプラン、これの放課後子ども教室というのが本年度から本格的にスタートしているわけでございますけれども、全く同じ制度を実は私ども平成十八年度からスタートさせまして、それが全国レベルになりましたので、それに乗る形で今仕事を進めさせていただいております。

 放課後子ども教室につきましては、実は、今年度も全小学校の半分ほどの予算をつけたんです。全部で大体六百ありまして三百ほど予算をつけましたが、実際に実施に至りましたのが百十八校でございまして、予算を組んでおってもなかなか現実問題として実施できないでいるという状況でございます。

 放課後児童クラブと放課後子ども教室、これはいろいろなことが違う、その辺の調整がうまくいっていないということが非常に大きいネックになっておりまして、この関係についてきちんと国の方で役所の間のバリアを取り払って対応していただくということが、これからやっていただかなければいけない大変重要なことなのかなと思っております。

猪口委員 ありがとうございます。

 ぜひ国の方としても、御指摘のところ、厚労省マターと文科省のサイドと連携を深めながら進めなければいけないという御認識について、同感のところでございます。

 格差の問題についても御意見がございまして、子供のときの教育の中からそのような格差が生まれることがないようにという観点から、例えば、今度小学校におきまして英語の授業を導入するというような流れも国の方として進めていこうとして、国政の中で議論されていくところでございますけれども、その際に、茨城県におきましては、ネーティブスピーカーによる教員の確保など、都会部では非常にそれがやりやすく、地方ではやりにくい、その結果、将来的な子供たちの対応力について差が出てはよろしくないと考えるわけですけれども、知事のお考えをこの際お伺いしておきたいと思います。

橋本昌君 水戸市などを中心に大分積極的に取り組まれております。ただ、私一つ考えたのは、前に中国へ行きまして、中国で勤めた日本の方が子供を置いてこられたと。その子供は、中国語と英語をしゃべれるけれども、日本語をしゃべれないんですよ。私どもとしゃべるのに英語でしゃべっているんです。

 ですから、これもまた大きな問題でありまして、何歳から英語教育をきちんとやらせるのか。遊びの面で少しやらせるとかいうのは、発音とかイントネーションにつきましては、小さいときにやらないと後で直りませんから、これは肝心なことであるにしても、本格的に英語教育をどこまで小学校でやるのかということについては、私は少し検討していく余地があるのではないかなと思っております。

 英語の先生が不足しているということは、今のところはございません。

猪口委員 いずれにしましても、教育、あるいは福祉、あるいは子供の成長につきまして十分な予算を確保しながら、国政も県政も手を携えて進めていくことを努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 御意見ありがとうございました。

中山座長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。今から始めさせていただきます。よろしくお願いします。

 この予算委員会で地方の公聴会というのは初の試みということで、極力きょうの意見陳述人の皆様からいろいろ本音も含めて御意見をいただけたらありがたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いします。

 先ほど、橋本陳述人の方から、一人当たりの車の保有数で見たら、むしろ大都市よりも地方の方が、一人当たりでいうと、道路に対する税、揮発油税ですとか、こういうものを払っているんだと。私も地方出身でありますから、よくわかります。その現実をもとに、四人の方それぞれにお伺いをしたいわけです。

 一つは、では、一人当たり負担している額でいえば大都市よりも地方の方がむしろ負担をしている、それを反映して、これまでの道路の計画そして道路の建設によって、この特定財源によって、あるいは暫定税率による予算によって、地方が格差を縮めることに非常に役立ってきたというふうに評価されておられるのかどうか、これまでのことで結構ですが。

 むしろ、こういう道路をたくさんつくってきたけれども、結果的に格差は広がってきたというのが現実だという御意見もたくさんございます。それは決して道路だけのことが要因じゃありませんが、総括してどういうふうに評価をされているか、四人の方々に、一言ずつで結構ですが、お答えをいただきたいと思います。

橋本昌君 格差という面でいうと、これから縮まっていく、都市部はかなり進んでいる、まだ地方では不十分であるという段階ではないかなと思っております。

 私自身は、東京が強くなるのは大賛成なんです、東京が強くないと世界と競争していけませんから。ただ、それが、人を集めるような形で強くなっていったのでは困る。地方に配慮しながら強くなっていく、そのためにも道路などが必要であると考えております。

児島強君 私も、知事とは意見的には同じです。

 まだ地方においては必要な道路はあるという中においては、格差は縮まっておりますけれども、先ほど山本さんもお話ししていましたけれども、基幹道路という中ではまだまだあるんじゃないかなというふうに思っています。

 だから、どこに集中してきちんとつくっていくのか。やはり、その投資が次の経済効果を生むというような道路じゃないと難しいんじゃないかなという部分でありますから、そこはきちんとつくっていただきたい。それで格差を縮めていただきたいということであります。

山本忠安君 格差はある程度は縮まっているんだろうと思いますが、まだ不十分だと思っています。

 というのは、やはり道路というのはネットワークでありますから、ある一部が完成しても、あるところがないと十分な機能を果たしていないと思うんですね。そういう意味では、そこに格差が生じる可能性は十分にあると思います。

 ですから、やはり、貴重なところはどうしても重点的にやっていただかないと格差が出てきちゃうというふうに思います。

佐川泰弘君 私も、データがなく直観的になりますけれども、広がっているとは言えませんけれども、縮まっているとは言えないだろうと。

 例えば高速道路ができて、観光面なんかで見ますと、水戸もそうですけれども、宿泊じゃなくて、みんな梅祭りでも日帰りで帰ってしまうというようなことが非常に大きな問題になっているわけでありますし、もちろん流通面等で便利にはなるんだけれども、経済効果ということでいえば、一方で問題も生じているということではないかと思います。

 したがいまして、必要な道路はもちろんございます。それをどう精査するのかということかと思います。

 以上です。

笹木委員 では、次にお聞きをしたいんですが、先ほど児島陳述人の方からの御意見で、最初の意見の中で、少子化対策、あるいは医師不足対策、あるいは教育、これから成熟した国としてはそうしたことの政策、予算も非常に大事だというお話がありました。

 これは、恐らくきょう参加されている陳述人、どの方も反対はされないと思います。ぜひ皆さんが、橋本陳述人は知事でいらっしゃいますが、知事なりあるいは総理大臣のつもりでお答えをいただきたいんです。

 今後は、少子化対策、あるいは医師不足対策、あるいは教育、成熟した国としてこういうことに重点的に予算をつけていくことが必要だと思います。現実に、こうしたことが日本は非常におくれていますね。OECDの中でいっても、医師の数にしても、あるいは教育費に対するGDP比においても非常におくれているわけですが、こうしたことに予算をこれから厚くしていく必要がどうしてもあると思います。

 この道路の中期計画、十年間で五十九兆円。たくさん道路をつくっていただくのは本当にありがたいと思う一方で、少子化対策、医師不足対策、教育対策、これを充実していく予算をどこから持ってこられるのか、一体どこにその財源があるか。私は、やはりこの道路の財源というのが、一つそこから持っていく財源として、大いに無駄なところを省いていく対象にする必要があると思っておりますが、どこから持ってくるかということについてお答えをいただきたい。

 もう一点は、自分の地域でこの道路は絶対必要だ、その気持ちはよくわかります、私も自分の地元でよくわかります。皆さん方は、日本じゅういろいろ旅行もされていると思うんですが、では、日本全体で無駄な道路は一切ない、そういうふうに思っておられるのかどうか、これについてもお聞きをしたいと思います。

 橋本陳述人と児島陳述人、お二方にお答えをいただきたいと思います。

橋本昌君 どこから財源をというお話ですけれども、私は、そんなに財源的に必要なことかどうかということについて、まず疑問を呈したいと思っております。

 例えば、今少子化がなぜこんなに進んでいるか。医療費に対する支援とか、先ほどの放課後子どもプランも含めて、いろいろなことをやられているんですね。

 ところが、一番のネックになっているのは、やはり出会いの場がなくなっていて結婚しなくなっている。結婚とか子育てに対してマイナスイメージ、お金がかかる、世話が大変だ、そういうイメージばかりになっている。これをポジティブに、結婚とは楽しいものである、子育てというのは本当にいいものであるというふうに変えていかなくちゃいけない。そして、その過程で、例えば我々が検討して今力を入れていますのは、出会いの場をつくらなくちゃそういうふうになっていかないんじゃないかと。

 今、会社で、君、独身、こういう人どうとやると、場合によったらセクシュアルハラスメントと言われるかもしれない。そういう状況になってしまっていることに対して、何とか公にもいろいろな政策を講じられないかということで、出会いサポートセンターというのをおととしの六月につくりまして、もう百十件以上成立しております。大変順調に成立しておりまして、また、少し公的な資格を与えれば皆さんやりやすいかということで、マリッジサポーターという制度もつくりまして、そういう声をかけても変に思われないような資格なども認定しておるところであります。こういったことについては、そんなにお金がかかるとは思いません。

 それから、もう一つの医師でありますけれども、医師については、例えば、いろいろ今の計画をつくったころ、人口十万人当たり百五十人という計画をつくったころと比べると、女性医師の割合が一割から三割にふえております。二割ふえますと、女性医師の三割は家庭に入っております。二割の三割が家庭に入る、それだけで六%減ってまいります。

 それから、お医者さんの場合には、今極端にふえてきていますのが、医療に費やす時間以外の時間であります。この時間をどういうふうにするかということで、この関係で多分一割、二割はとられております。そういうことになると、今の医師の絶対数では、絶対二割からその辺は足りないんだろうと思っております。

 そういう点で、医師の絶対数をふやさない限り、幾ら開業医がふえているとかいう現象はあるにしても、医師の絶対数が足りないということに対して対処をしない限り、今の医師不足対策というものは、各県のとり合い、お金を出して、一人何千万も出してとり合いになっているだけということになってしまうのではないかと思っておりまして、そういった点で、財源をどこからとるというよりは、私は頭をもっと使うべきだと考えております。

 それからもう一つは、日本全体としてどうかということであります。

 日本全体のことにつきましては、私は全部行っているわけではございませんけれども、逆に言いますと、道路公団民営化のときもそうだったんですけれども、その委員会の委員さん方が、東京周辺、あるいはゴルフ場、あるいは軽井沢、そういったところしか行っていない人が多過ぎる。地方での実情、本当に必要かどうかということを案外知らない人が多い。こういったことからいろいろな声が出てきているんだろうと思っておりまして、私は、うちの県内で進めているものについては、いろいろ事前評価、事後評価をやっておりまして、必要な道路に限っていると考えております。

笹木委員 ちょっと途中ですが、次の方にお答えいただく前に確認させていただきたいんですが、そうしますと、無駄な道路は全国眺めてもまずないだろうということですね、私もたくさん地方を回っておりますが。

橋本昌君 私は、県内については、まずないだろうと申し上げております。全国は、行っていませんからわかりません。

笹木委員 それと、少子化ですとか医師不足対策、あるいは教育については、予算はほとんど今で十分だ、そういう趣旨のお答えと解釈してよろしいですね。

橋本昌君 何兆円などというお金にはならないと思います。何百億か、せいぜい千億は要らないと思います、全部やったって。

笹木委員 県レベルでですか。

橋本昌君 いやいや、全国です。

笹木委員 では、児島陳述人、お願いします。

児島強君 まず、財源という視点では、道路、暫定も含めて十年間で今後五十九兆円ということについては、やはり今の減少化社会、今の経済、今後の経済を含めたときに、その必要性はないんじゃないかというふうに感じております。やはり、人口が縮小したならばそれなりの予算でしかないわけでありますから。

 それで、もともと道路というのは、戦後、非常に日本の道路がひどい、経済を発展させるためにはまず基盤となる道路づくりだというところからスタートしたわけですね。それは確かにそうですよ、それはだれも否定するものではありません。ただ、同じように、今後さらに補修がかかるというのもありますけれども、今の状況からすれば、本当に五十九兆円使っていくというのを国民が理解できるのかということが大きいんじゃないか。

 あと、全国を見たときの道路の無駄ということにおきましては、茨城県はまだメーンができていませんから足りませんけれども、私、会津藩なものですから、大嫌いな山口に行ったんです。ここだけの話ですけれども、あそこはやはり総理大臣をいっぱい輩出しているということもありまして、山の奥の方、あと田んぼの中までもすばらしい道路が整備されているなということについては、ちょっとこれはやり過ぎじゃないのということを味わった経験はあります。

 したがって、全国を見たときに無駄な道路というのはやはりあるんじゃないかなというふうに感じておりますし、もともと小泉さんは、ではその財源を有効に使おうということで、一万四千キロじゃなくて九千三百四十二キロだ、そういう見直しをしましょうと言ったら、また一万四千キロというのがその中で復活しているということで、理解できない部分もあるということです。

笹木委員 山本陳述人にお聞きをしたいんですが、天下りですとかそれに対する税金の無駄遣いということがよく話題になりますが、例えば、平成十八年の上半期分だけでも、天下りをしている団体が四千五百七十六団体、そしてここに対する天下り数が二万七千八百八十二人、これだけの方が天下りされている。そうした天下り先に対する金銭交付の総額が五兆九千二百億円に上っております。

 ここで陳述人にお聞きをしたいのは、先ほど中小企業対策ということを熱心に言われていました。道路についても、すべてとは申しませんが、例えば企画もつくり方も、すべて国がやる、あるいは役所がやるという形じゃなくて、地方の道路については地方がみずからやる。

 発注も、ペーパーカンパニーのような、あるいは天下り団体のようなものの中にたくさん入れて、地元の企業に発注が来たときには、採算に合うか合わないか、ぎりぎりのもので発注が出てくる、それでも回転させるために受けていく、こういう状態をよくそうした関係の方からお聞きをするわけですが、こうしたことをやめて、例えば道路をつくる場合でも、地域がみずから企画をする、あるいは地元の発注率を高める、そのためにもこうした天下り、こういったものをやめる、これがどうしても必要だと思うわけですが、陳述人の御意見をお聞きしたいと思います。

山本忠安君 大賛成ですね。やはり、地域でできるものは地方でやらせていただければ非常にいいんじゃないか。地域同士の競争にもなりますし、そういうことができれば大変ありがたいなと私は思います。

笹木委員 ここでさらにお聞きをしたいわけですが、橋本陳述人も地方六団体には当然知事として、県として入っておられると思うんですが、地方六団体が地方分権の推進に関する意見書というのを平成十八年六月七日に出されております。これが最初でも最後でもなくて、これまでにも何度も何度も出されていると思うんですが、この中に、国庫補助負担金改革に当たっては、国庫補助負担金の総件数の半分を廃止するべきだ、いわゆるひもつき補助金、こういうのも廃止する、そしてその分は一般財源化する、地方がみずからの権限でみずから決定できる、そういう一般財源をふやせということを六団体が言われています。これには当然賛成でいらっしゃるんですよね。

橋本昌君 はい、賛成です。

笹木委員 そこで、我々が提案している道路特定財源、本則の部分についてお聞きをするわけですが、これを一般財源化する、地方がそれで配慮が薄くなるんじゃないかということを先ほど心配されていましたが、一般財源化するとともに、整備率がおくれているところ、あるいはGDPの逆比例とか、いろいろな方法をとって、相対的におくれているところ、あるいは波及効果がさらに大きいと思われるところ、これを優先的にやっていこうということもあわせて提案をしているわけです。

 地方六団体として、一般財源をふやすということを提案されていて我々の提案に反対する理由が余りわからないわけですが、もう一度その御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

橋本昌君 今おっしゃられたように、一般財源化ということは賛成でありますけれども、例えば、今おっしゃられた中にGDPの逆比例とかいうことがございました。地方の財源をそういう形で国がコントロールしようとしているのが間違っているというのが私どもの主張でございまして、地方から上がった分は地方にそのまま渡せばいいじゃないか、それで絶対的に足りなくなる分については地方交付税という制度で本来はコントロールすべきである、その地方交付税をどんと減らしてしまったのが間違いであるというように考えております。

笹木委員 さらに、同時に提案しているのは、補助金をなくして一括交付金制度をふやす、そういうことも含めて提案をしているわけですが、要は、地方がみずから決定して使える予算をふやしていくということには当然賛成でいらっしゃるわけですね。

橋本昌君 はい、賛成であります。

笹木委員 ここでまた児島陳述人にお聞きをしたいんですが、先ほど、格差がこの間非常にふえたというお話がありました。

 私もいろいろ調べてみると、確かにそのとおりで、この六年、七年で非常にふえていて、例えば国民健康保険、この毎月の医療保険の国保の掛金を今払っていない世帯が四百七十五万世帯、この六年ほどで非常に急激にふえております。もちろんその中にはいわゆる怠けて払っておられない方もいるわけですが、そうじゃない、リストラあるいは債務を抱えて倒産、そうしたことでそうなっている方も非常に多いわけです。非常に深刻な状況で、そういうことが一年ぐらい続くと保険証を取り上げられている、これが非常に問題になっているわけです。

 最後の質問です。

 今、国民の生活、医療の分野でも大変な格差が広がっているわけですが、十年間で五十九兆円、これの精査がやはり必要で、そのきっかけとして我々は一連の提案をしているわけです。十年間で五十九兆円、これを今までより、より厳密に精査をしていく、この必要性について四人の方に一言ずつお答えいただきたいと思います。

中山座長 時間がありませんので、一言ずつお願いいたします。

橋本昌君 これは、全部やるという話の金額じゃないんですね。ですから、夢としてこういう数字を掲げるのは非常にいいと思いますけれども、ただ、積算根拠は明らかにすべきだと考えております。

児島強君 私も、ぜひ十分な精査をしていただいて、無駄な使い方を絶対にしないように、そして、今問題になっているところに投資をしていただきたいと思います。

山本忠安君 その額自体はよくわかりませんけれども、精査をするとかあるいは知恵を出して、どうしたら安く延長した道路ができるか、それは皆さんでぜひ議論していただきたい、こういうふうに思います。

佐川泰弘君 もちろん精査は必要です。特に地方分権を考えますと、道路のつくり方、例えばこの水銀灯が一体幾らするんだ、これ自体も物すごい額だというお話をよく伺いますので、そういった点も含めて精査すべきだと考えます。

 以上です。

笹木委員 ありがとうございます。

中山座長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 四人の意見陳述人の皆さん、本当に貴重な御意見をありがとうございました。

 実は私は、茨城県の最南端の町、旧波崎町と利根川を挟んだ銚子市の生まれでございます。銚子で中学生まで育ちました。当時はまだ、私が小さいころは、ぽんぽん船で波崎町に渡っていました。銚子大橋ができまして波崎とつながりまして、波崎町と銚子市は経済的には一体だというような地域で育ちましたので、茨城には非常に親近感を持っています。

 橋本知事の名刺を見ましたら道路のネットワーク網が書いてありまして、こんな名刺を知事さんからいただいたのは初めてなんですが、成田から潮来までは東関道が通っていますし、成田からつくばを通って圏央道がずっと行くのがまだ点線で書かれていまして、そういう意味でも、千葉と茨城は本当に、これからネットワークができれば大変成っていくなというふうに思います。

 私、今、千葉県の習志野市に住んでおりまして、国会の方で仕事をして、生まれ故郷の銚子に行くんですが、銚子に行く一番の近道は、東関道で潮来まで行きまして、潮来から神栖を通って波崎を抜けて銚子大橋を通っていく、これが一番早いんですね。潮来まではすっと来て、神栖は物すごく道路整備がされていまして、旧波崎町に入りますと、ちょっと波崎の方に申しわけないんですが、道路ががたがたとし出して、ちょっと大変だなと。ただ、神栖は、鹿島臨海工業地帯の開発で非常にあの地域は道路のネットワークもよくなった。

 私たちは国会の方から、私、今、文部科学委員会に所属しているものですから、筑波学園都市もよく視察に行かせていただきます。つくばの地域も、つくばエクスプレスだけではなくて、やはり道路もきちんと整備されて、まちづくりもきちんとされている。

 県南のそういう地域から見まして、先ほど山本意見陳述人が、日立は本当に大変なんだと、あそこに地図まで出していただいて、見ました。これを見ますと、やはり茨城県は県内でも道路による格差がかなりひどいんじゃないかなという点、この点について知事と山本意見陳述人に御意見を伺いたいと思います。

 先ほど山本さんの方から、やはり道路はネットワークだというお話がありました。知事のこの名刺にもありますように、今後、きちんとしたネットワーク、これは高規格道路、大きなネットワークですけれども、これにつながるような、それぞれ県道、市道も含めて、やはりネットワークとしての道路の整備のあり方はどういうふうにするべきだということを、知事と山本さんからお伺いできればと思います。

橋本昌君 まさにおっしゃられるとおりであります。

 そして、今言われた神栖あるいはつくば、さらに北の方でいうと東海、こういったところはうちの県内でも超優等生であります。波崎の方も今度、国道百二十四号線などの整備が進んでおりますので、大分変わっていくと思いますが、我々としては、南北格差ということについて、まず道路が極めて大きな要素になってくる、この解消のために大変大きな役割を果たしてくれると考えておるところでございます。

 これから積極的に北の方についても、特に日立市の場合には渋滞が物すごいんですね。県内でも有数の渋滞の地域でございまして、そういったこともあって、月に大体百人ぐらい人口減少が続いております。これを解消するためにも、何とか道路の整備というものをやっていかなければいけないなと思っているところであります。

 それから、ネットワークということにつきましては、例えば東京湾のアクアライン、あれについても、うちの県は負担金を出しているんですね、出資金を。これはまさにネットワークが必要だから我々は出しているわけでありまして、東関道水戸線なんかは今、九千三百四十二で切られちゃっているものですから、こういったことも含めて、きちんとしたネットワークをつくっていくことはこれからの日本の発展にとっては不可欠であると私は思っております。

山本忠安君 ネットワークは必要だ、こういうふうに思っています。

 知事が主導で市町村合併をおやりになっていますけれども、必ずしも市町村が合併しなくても、広域的に行動を起こせば結構いいものができるんじゃないか。実は、きょうはうちの市長は多分見えていると思いますけれども、日立の場合は、隣の東海村と太田と道路については一緒になって国交省の方にお願いをしているわけですね。そういうこともありまして、そういう成果が少しずつは出ているわけです。

 ですから、県内のことしかよく私はわかりませんけれども、やはりその地域で、道路だけじゃないと思いますけれども、広域的に物を考えたらいいんじゃないか。ネットワークをつなぐということは必要だろうと思います。

富田委員 今、ネットワークについて御回答いただきましたが、私どもの党、公明党のこちらの県議会でお世話になっています井手義弘さんのブログをちょっと開いてみたんですが、先ほど山本さんがおっしゃっていた署名について井手さんが書かれていました。

 市の住民の半分の方が署名するというのは、ちょっとなかなか例がないんじゃないかと思うんですが、このバイパス整備の署名に至った経緯と、先ほどの地図なんかもそれを説明されたくて持ってこられたと思うんですが、住民の皆さんがバイパスを含めた道路整備の必要性についてどんなふうに考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

山本忠安君 ありがとうございました。

 署名については、先ほど冒頭お話ししましたけれども、日立バイパスが約半分、四・七キロは完成するわけですね。そこから先が問題なんですね。そこで終わっちゃうと、せっかくの宝の持ち腐れということになっちゃいます。

 問題は、その計画ではバイパスが海側を通ることになっているんですよ。海側を通しますと費用もかかるし、先ほどもお話ししたように、今までも三十年かかっちゃったので、こっちの方はあと五十年か百年もかかっちゃうんじゃないかという市民の声が多くて、これは設計変更をしてでも先ほど説明しました県道の山側道路とつなぐのが一番いいんじゃないかという市民の声がありまして、これは市長や議会が言っただけでは始まらないから、市民が署名を集めてそれで国の方にお願いしようということで、急遽決まりまして、一カ月半ぐらいで約十万人の署名が集まったわけであります。

富田委員 無駄遣いにならないようにという意味も込めての署名だと思いますので、しっかり国の方としても受けとめてまいりたいと思います。

 山本さんの先ほどの意見陳述の中で、新しく道路をつくるだけじゃなくて、常磐道にうまくつないでスマートインターをつくればいいじゃないかとか、高速道路料金を安くしてくれれば、高速道路の方を利用して、渋滞解消にもつながるという御意見がありましたけれども、それは、政府・与党で地域計画を議論する際にも、特定財源の中からそういったところにきちんと手当てをすべきだという議論をいたしました。多分そこを評価していただいての御意見だと思うんですが、そのように伺ってよろしいでしょうか。

山本忠安君 おっしゃるとおりです。

富田委員 橋本知事にちょっとお伺いしたいんですが、先ほどドクターカーのお話をされていました。道路整備をしなきゃならないところが三千カ所ぐらいあって、ドクターカーすらうまく走れないような道路では困るんだというお話がありました。

 私の地元の千葉では、病院のお医者さんたちが不足して、産科とか小児科がなくなるというだけじゃなくて、幾つかの市町村で、計画していた病院建設も取りやめになりました。そうなると、地域医療を担う中核病院というのがなかなか一時間圏内にないとか、そういった状況も生まれてきます。

 そういったときに、きちんとした道路でつないでほしいというふうに地元自治体の首長さんたちからも陳情があるんですが、ドクターカーが茨城県内でうまく動けないような具体的な地域があるのか、また、地域の中心医療機関を考えた場合に、道路整備によって地域医療機関との連携を各自治体がうまく持てるようになるのかどうか、そのあたりについて、知事としての御意見を伺えればと思います。

橋本昌君 ドクターカーといいますか、普通の車がすれ違えないような場所は幾らでもございます。そういうところで向こう側から大きい車でも来たら、もう本当にドクターカーが入っていけない、ずっとすれ違いのために数分待たなくちゃいけないというところは幾らでもございます。

 そういったことで、我々としては、いろいろと救急医療対策を進めていく上で、まず、近くに何か最低限の対応ができる場所をつくっていくべきじゃないかという方向で今施策を進めておるところでございますけれども、その後どうするか。これにつきましては、実は、南の方は一部、千葉県のドクターヘリなどの恩恵もこうむっておるところでございますけれども、北の方についてどうするか。ドクターヘリの導入などについての検討を進める、それとあわせて、しっかりとした道路網をつくるということを大きな柱にしていきたいと考えております。

富田委員 ありがとうございます。

 千葉はドクターヘリが一機あるんですが、堂本知事と厚生労働大臣の方で今話をして、二機目も導入しようというような計画が進んでいます。千葉のドクターヘリの配置も茨城と一緒になって考えてやった方が私は効率的だと思いますし、ドクターヘリはやはり運営費がかかりますので、ぜひ千葉県とも協議していただいて、進めていただければと思います。

 次に、先ほど児島意見陳述人の方から、民主党の皆さんと連携して連合としてはやっていらっしゃるというお話がありました。

 道路特定財源について、暫定税率は廃止だというようなお話があったんですが、茨城県議会の方では、地方の道路整備に必要な財源の確保に関する意見書というのを昨年十二月に県会議員の皆さんが提出されて、意見書として取りまとめて、衆参議長、総理、財務大臣、国交大臣等に提出をされています。

 その文書をいただいたんですが、まだ茨城は高規格道路の整備は六割程度しかされていないし、直轄国道についても四車線化率が二四%というふうに関東で最も低い、道路整備は必要だということをうたった上に、暫定税率が継続されなくなると約二百億円の減収になると。先ほど知事の方から、もっとほかのものを含めて三百六十一億というのがありましたけれども。そういう上で、このような要望をされています。「受益者負担による合理的な制度である道路特定財源の趣旨を踏まえ、暫定税率を含めた現行制度を維持し、安定的かつ確実な道路整備のための財源を確保すること。」等、地方道路整備に必要な財源の確保に関する意見書の中に何項目かまとめていらっしゃるんです。暫定税率をやはり維持しろというふうに茨城県議会の方で意見書を出していただきました。

 この中に、長谷川修平議員という民主党の先生も意見提出者になられて出されていて、私が公明党の県議の先生方にお聞きしましたら、民主党のほかの五名の先生もこの意見書に賛成だということなので、国会と県会はどうも民主党は茨城では対応が違うのかなと思うんですが、連合茨城の会長としては、その点はどのようにお考えですか。

児島強君 県議会と国会議員が意思疎通が図れていないんじゃないかという部分については、本人のあれでありますから。長谷川さんも国会の大畠さんも、ある意味では同じ出身というところでありますから、よく連携をとりながら活動は進められていると思っております。

 基本的に、おくれているところの道路はやはりきちんと、経済を活性化できるという中において重要なものは、真に需要のあるものはつくるべきでしょうということで、単純に廃止しろと言っているわけではありません。ですから、その中でも、従来と同じ額で本当に投資すべきなんですか。いろいろな問題がありますよね。人口が減って税収がないという中で、そちらに対してどういうような、では医療とか福祉とか教育問題にどう配分していくんですかということが問われますよね。高度成長時代と同じように、本当に道路財源を投入していくことが正しいんですか、違うでしょうということですよ。

 また、道路でも、橋のつくり方がありますよね。茨城の例えば、私も東海村出身なんですけれども、最近できた留橋、川から五十メートルも高いハイウエーのような橋のつくり方と、あるいは、一方、久慈川を渡る二四五の橋は今つくりかえていますけれども、平地なだけですよね。かけ方によっても金のかけ方というのは大きく違いがあって、無駄もあるんじゃないんですか、そういうところを精査しながらきちんと対応していただきたい。

 さらに、今、我々国民は、物価上昇、とりわけガソリン、同様に灯油も非常に高くなっているということで、非常に厳しいことがあるんですよということも踏まえた対応をしていただきたいとお願いしたいということです。

富田委員 児島意見陳述人の御主張はよくわかりますので、国会の方でもそういった議論が進んでいますから、きちんと受けとめていきたいと思います。

 橋本知事の方で、今の児島さんの意見に対してもし反論がありましたら、道路のかけ方がおかしいんじゃないかというような御意見がありますけれども、どうぞ。

橋本昌君 規格その他については、私もいろいろ工夫すべきところはあると考えておりますので、お金をどう使うか、より有効に使う方法ということについては、さらにいろいろ研究していただければありがたいと思っております。

富田委員 山本さんに中小企業対策についてちょっと何点かお伺いしたいんですが、事業承継税制について、来年度の税制改正も含めての御意見もいただきました。

 政府・与党では、ここ数年、留保金課税の廃止とか、中小企業の同族会社の役員報酬の損金不算入の枠を八百万から千六百万に拡大したりとか、中小企業の経営者の皆さんに安定した経営をしていただけるような観点から税制改正をずっとやってきているんですが、先ほど山本さんの意見の中で、大企業にも配慮していただいてというような御発言がありました。

 下請になった場合のこととかを意識されて話されたと思うんですが、政府や国会の方で、大企業、中小企業というふうなことをとらえたときに、中小企業の経営者という立場から見て、大企業にどんなことを要望されて、また、国の方の税制改正等でどんなことを中小企業の活性化のためにやっていったらいいかという観点から御意見をいただければと思います。

山本忠安君 御存じのように、例えば製造業をとっても、かなりの仕事量が中国を初めアジアに行っていますね。その分だけ、地元は仕事が減っちゃっているわけですね。そういうことで、いろいろ問題があるので、大企業もそろそろ中国一辺倒じゃなくて地元の企業にも発注できるようにお願いできないかというようなこと。

 それから、格差の問題が出ていましたけれども、どうも私のひがみかもしれませんけれども、今もうけているのは一部の大企業だけじゃないか。中小企業は全然もうかっていないんですよ。もうかっていないというか、赤字ですね。その最大の理由は、単価が安いんですね。ですから、それが、強制とは言いませんけれども、いわゆるグローバル化ですから、中国の単価や東南アジアの単価との比較になっちゃうんですね、安くできないのならば向こうでできますよということになりかねない。

 上の偉い人たちはわかっていると思うんですけれども、実際の窓口のレベルで見ますと、やはり安いところへ出すということがなきにしもあらずなので、その辺も地元の中小企業を育成するというような意味でいろいろと配慮をしていただければありがたいな、こういうことであります。

富田委員 あと二分しかありませんので、佐川先生にちょっと。

 教育予算の件で御意見をいただきました。私は今、文部科学委員会の方の理事もさせていただいております。また、公明党の文部科学部会長ですので、先生がおっしゃる、本当に予算をぎりぎり削ってきているという状況はよく理解しております。

 先ほど挙げていただいた数字等を考えると、やはり基礎的な部分にきちんとお金をかけていかないとこれからの日本の教育というのは本当に大変だと思うんですが、もう時間もありませんが、その点について一言御意見を賜れればと思います。

佐川泰弘君 先ほど述べたとおり、全くそのとおりであるんですけれども、プロジェクト型の研究中心の予算配分にずっとこの間なっていると思います。基礎体力というふうに先ほど申しましたけれども、基本的な維持運営、教育をしっかりやっていけるような予算を組んでいただかないと、今後、どこまでどうなっていくのか、見通しが立たないという状況になりつつあると思われます。

富田委員 大学の予算だけではなくて、やはり小中高通じて、基本的な教育にかかわる予算というのは大事だと思いますので、きょうの団長は文部大臣経験者ですから、しっかり連携して我々も取り組んでいきたいと思います。

 ありがとうございました。

中山座長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 陳述人の皆様には、それぞれ貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。

 最初に、橋本陳述人と佐川陳述人に、地方財政、地方財源の問題に対する国の責任の問題についてお聞きしたいと思っております。

 橋本陳述人の冒頭のお話の中でも、三位一体改革の影響、特に地方交付税の大幅削減が大きい、その復元をというお話がございました。また、佐川陳述人のお話の中でも、地方特別譲与税のあり方ですとか地方再生対策費についても、地方間の調整でしかないのじゃないかというお話もございました。

 私も、今回政府の出された一連の施策や法案の中身を見ましても、地方法人特別税の中身、地方交付税の若干の増額のあり方についても、地方自治体間の水平的な調整にとどまっていて、地方の危機感に対して、国がでは何をやったのかという点で、極めて問題があると率直に思っております。

 国としての責任を果たすものになっていないのではないか、そういう点について、それぞれお考えをお聞かせください。

橋本昌君 今、おっしゃられるとおりであると思っております。

 私どもとしても、水平的調整だけをやっていて、国として地域、地方の格差というものを解消するための財政的な面での手当てというものはほとんどなされていないと考えております。

 地方交付税は、いつの間にか一般会計、国の一般的な歳出というふうにとらえられておりますけれども、国と地方の事務分担を決めたときに、この部分については、一般会計に入れないで地方の税としてやるべきであったのをああいう形で入れているものですから、どうしても削減の対象などということが言われますけれども、本来はそういうものではないんだろうと思っております。

 そういった点からも、その中だけで調整してもだめなので、国として、今の地域格差というものを何とかしたいということであれば、もうちょっと積極的に対策を講じていただきたいと思っております。

佐川泰弘君 私も全く同じでありますけれども、例えば、地方歳出の推移を対GDP比なんかで見た場合に、現在の地方歳出というのは一九八〇年代半ばぐらいまでのところに落ちてきているわけですね。そういうことも考えると、地方分権で地方の仕事はふやしてというときに、一体どうしていけばいいのか。それを、地方間だけで何とかしてください、もうかっている大都市からお金がないところへ移してくださいと、それだけではやはりやっていけないということは明らかだと思います。

 何が起こっているのか、よく考えて国には対処していただきたいと思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 重ねて橋本陳述人に地方法人特別税の問題について伺いたいんですが、これは極めておかしな制度、仕組みではないかなと思っております。

 地方の税を国税にするという点でも問題がありますし、そもそも、今、地方の税財政で、何が地方の財政力格差を生み出しているかというと、法人事業税などの地方税の財政力格差が拡大しているのではなくて、実際には交付税における調整機能が弱められているところが問題だと思っているわけなんです。

 その点、知事のお立場で、本来は地方税の格差ではなく交付税の是正が必要なのではないかと思っておりますが、お考えをお聞かせください。

橋本昌君 先ほども申し上げましたけれども、地方法人特別税というものにつきましては、全国知事会としてどう考えるかは別といたしまして、私個人としては、やはり地方分権に逆行するものであると考えております。

 せっかく所得税から住民税への税源移譲を行ったわけでありますけれども、ほぼ同じ額が逆な形で今度は行ってしまっている。もし、そういう形で地域間格差を解消した方がいいというのであれば、きちんとした税源、消費税を一%地方に回せばちょうど二・六兆円になるわけでありますから、同額になるわけですから、それを、消費税のこれからの抜本的な改正の段階まで先送りするのではなくて、先にまず消費税と地方法人特別税を交換しておく、そして、消費税を今度仮に負担増を願うときには、その中からまた新たに地方分をいただかないと、このままでいくと、多分これが地方分だという形でうやむやにされてしまうのではないかということを私は非常に心配しておるところでございます。

 そういったことも含めて、この格差を是正するために、税の問題よりはやはり交付税の問題なんだということを国会議員の皆様方にしっかり認識していただいて、これから地方向けの対応策をとっていただければありがたいと思っております。

塩川委員 消費税増税についてはお立場が違うと思いますけれども、法人税の引き下げというのが地方交付税繰り入れの引き下げにもなっているという点でも、私ども、法人税制の見直しということが求められているのかなと思っております。

 次に、児島陳述人に、雇用、労働問題について御意見をお伺いしたいんですが、やはり、今の貧困と格差を拡大する大きな要因として、低賃金で不安定な雇用である派遣や請負、パートなどの非正規雇用の拡大があると考えております。その点で、連合としてもこの問題での取り組みをというお話があったかと思いますけれども、茨城におけるこの非正規雇用の現状といいますか、そういうことについて、御承知のところをお話しいただければなと思っております。

児島強君 現状においては、連合茨城で数字を持っている状況ではないんですけれども、各企業を中心に、日立もそうですけれども、建機とかコマツとか、いろいろな分野で非常に立ち上がってきて、ほかの地域から比べれば雇用というのはまだいい状況にあるのかなというふうに見ております。

 私は日立出身ですけれども、採用については、学卒、高卒も採るようになってきましたし、学卒も大いに採ってきている。今問題になっているのは、茨城に来ない。例えば、うちは大みかなんですけれども、品川にも持っている。二つの拠点があるんですね。それが情報制御システム事業部ということでやっているんですけれども、皆さん、やはり品川の方がいいと。若い方は、茨城の大みかは嫌だと。ということで、いい技術者が地方に流れてこないというのが、今ちょっとつらいのかなというふうに感じております。

 それ以外には、今問題にしているのは、氷河期時代の二十代後半から三十代中間の方々がなかなかいい就職につけないというのが、やはり同じような問題として潜在的にあるんじゃないかなというふうに感じております。あと、ニートもあるわけですけれども、ここにどうやって手を差し伸べていくんだというところがあるわけであります。

 これについては、国の方でジョブカードとかもやっていますけれども、県としては、日本型デュアルシステムとか、また、労使で就職あっせんの機構等々もやっていますから、その中で議論をしながら、どういうふうに手を差し伸べて対応すべきなのかという検討をしております。労使の中では、就職あっせん機構というのがあるんですけれども、昨年で二百八十名ぐらい、ハローワークの補助的なことをやりながら就職をきちんとあっせんしたというような対応はしている。

 やはり問題なのは、氷河期時代のニート、フリーターをどういうふうにして、特にニートを世の中に出して、そして働かせるかということが重要なんじゃないかな、そこに行政も我々も知恵を出すべきだなというふうに考えております。

塩川委員 昨年末に三菱化学の鹿島事業所の火災事故がございまして、そこで亡くなられた方、四人の方がいらっしゃいました。その方々、皆様、下請の事業者、労働者の方ばかりでした。そういう点でも、重層下請構造の中で現実に弱い立場にある、そういう方々が犠牲になった、こういう問題についての是正が本当に求められているのかなと思っております。

 そういう点でも、この間のそういう雇用破壊を生み出すような、就職氷河期の方々が生み出してきたような事態を打開する上でも、この間の労働者派遣法の規制緩和の見直しが必要なのではないか。そういう点で、日雇い派遣の禁止ですとか、あるいは登録型派遣についての規制の強化をするとか、こういう取り組みに一歩踏み出すときではないかなと思っておるんですが、現場の実感を踏まえてお考えをお聞かせください。

児島強君 現場の実態の中では、私自身がそういうものに直面したことはないのでなかなか難しい部分はあるんですけれども、新聞紙上に、ある電機メーカーの請負の偽装等々もありましたし、今、低賃金の二百万以下が過去五年間に比べて百七十万人ふえている、そういった弱者がいるわけでありますから、その中でも、派遣の対応も非常に明確に、もっともっとセーフティーネットといいますか、安全も含めて対応すべきだということについては同感であります。

 今回、派遣法は一部改正にもなりましたけれども、それがすべてではないということで、今、連合本部を中心に、派遣法の中身を再度議論して、もっと見直すべきじゃないかというスタンスにあるというふうに思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、山本陳述人に、中小企業の現状とその問題についての御意見を伺わせていただきたいんですが、いろいろ新聞の検索などで山本陳述人の御意見などを拝見した中で、日立市の現状として、二十年前は九割が日立系の完全な下請だったけれども、現在、一〇〇%下請は六割程度ではないかという話を紹介しておられました。

 この変化をしてきた背景といいますか理由というのはどういうものなのかということについて、まずお聞かせいただけますか。

山本忠安君 ほとんど日立製作所、グループを含めた依存だったんですね。それが、市の支援策等、会社の支援策もあるんですけれども、その中で、やる気のある企業、そういうところを伸ばしていこうと。特に、下請だけじゃなくて、自社製品を持とうじゃないかということで指導している。それもある程度実ってきたし、それから、下請の仕事自体も、今までは市内で受注しておりましたけれども、市外、県外にも受注の幅を広げていった。中小企業の経営者も危機意識を持ってきた。それから、これは日立市でやっていますけれども、東京にサテライトという事務所をつくりまして、そこで営業活動をする。援助しているんですね。

 そういうこと等が実って現在の形になってきたんじゃないかというふうに思っております。

塩川委員 先ほどのお話の中で、やはり国内から海外にと生産移転などもある、そういうのが一〇〇%下請が減ってきているという理由にはあるのかな。そういう中で各企業の努力が、新たに販路を拡大したり、新たな製品を開発するという努力の方向につながるようなものにもなってきているんだろうなと思うんですけれども、そうはいっても、単価が安いという問題がございます。

 政府の方も、下請取引の適正化ということを掲げて、下請代金法の厳正な運用を求めるですとか、実際に、慣行として余り好ましくないような下請取引については、これを改善していこうということで、業種、業界ごとにガイドラインを作成するなどという動きもあるそうです。

 例えば、鋳物業界などでは、以前、重量取引という形で、重さで価格を決める。だから、どんなにいい製品で軽い鋳物製品をつくっても、重さではかられますから、安くにしかならない。技術をきちっと見込んだものに変えてほしいというのが実際の業界の要望だと思うんですが、日立などにおいて、そういう点での下請取引の適正化というところで、こういう取り組みがあったらいいんだがなというようなお考えなどがありましたら、お聞かせいただけないかなと思っております。

山本忠安君 なかなか難しい。下請をやっているところは、実際、親工場になかなか直接言えませんよね。取引関係は難しいですよね。そこに、第三者的に、市なり商工会議所等が入りまして、いわゆる懇談会みたいなものをつくって、あるいは経産省あたりの方も入ってその辺の取引をどうやったらいいかというようなことから攻めていくのがいいのかなと。

 私のところなんかにも直接はなかなか入ってきませんので、ましてや取引先には入りませんよね、そういうことは言えませんので。協同組合等もあるんですけれども、これも今の状態はなかなか物が言える組合じゃないので。

 概して言いますと、重電関係はいいんですよ。重電はやはりほかでできませんので、どうしても市内で仕事をするところが多いものですから、その辺は取引先も多分わかっているんだろうと思うんですね。問題は、量産の家電とか自動車部品とか、そういうところが厳しいですね。競争が激しいので、この辺がどういうような話し合いができるか、私も頭を痛めているところです。

塩川委員 ありがとうございます。

 それでは、佐川陳述人に、お話の中でございました地方再生に関連して何点かお伺いします。

 地方再生戦略のメニューなどについて政府の方が掲げていますけれども、既存の予算のメニューに沿って、その中から幾つか組み合わせてやりましょうということですから、そういう点で、これまで格差をつくってきた競争政策をそのメニューに掲げていて、その組み合わせだけでうまくいくのかなという御意見というふうにお伺いしました。私もそういうふうに思います。

 実際にどうしたらいいのかという点で、地方からそういう新しい芽を実らせていくという点で、構造改革のもとで地方が深刻な事態になっている、地域生活維持の基礎条件が崩れているというお話でしたから、それをどう立て直すのかという点で、何が必要なのかということについて、お考えのところがあればお聞かせください。

佐川泰弘君 それを一言で申し上げるのは非常に難題でありまして、できればだれも苦労はしていないところだと思います。

 一つは、先ほどから話に出ております今回の件に関しましても、初めからメニューがあるんですけれども、国から示されて、ではその枠内で自主的にやってください、ではそれで申請をしてというようなことで、それが一種の競争だということで政策が進められているというのが現状だと思います。それは、この点に限らず、いろいろな改革に共通するところだと思います。

 そうではなくて、実際の現場では、こうした方がいいんじゃないか、こうすればできるんじゃないかというような意見を持っておられる方もたくさんいるわけですから、そういった意見をもうちょっと行政が聞くとか、あるいは市民団体、NPOが仲立ちをするとか、あるいはみずからつくって動いている方もいらっしゃいますので、そこに行政が援助をしていくというようなことが一つかと思います。

 それと、もう一つは、芽が出かけているものというのは、それはそれで各地方にありますし、場合によっては、先ほど述べましたように、いろいろなメディアが、こんなことがある、あんなことがあるという報道をされるわけですけれども、それに対して、それが持続できるような援助をやはり行政がやっていくことが必要なのではないかということであります。

 したがいまして、形としては地方が自主的にというんだけれども国の主導になっているというあたりをどう改めるのかということが一つと、それからもう一つは、出かけている芽をこそ援助すべきだという二つであると思います。

塩川委員 大学の現状のお話がございました。その点で、学費の問題を少しお伺いします。

 今、高い学費のもとで、そもそも進学の道がそれで閉ざされるということもあるでしょうし、それを払い続けるということが家庭の事情でかなわなくなるということもあるでしょう。ですから、例えば今、大学側から学費値下げの動きが出てくる、私立大学でのそういう話もありますし、東大などで学費免除などという話も出ています。

 そういう点で、今の高い学費のもとでの学生の現状といいますか、それがやはり本来の大学の機能や役割を発揮するのに大きな障害となるような状況が生まれているのではないかなと思っておるのですが、日ごろ接していらっしゃる学生の方のお話などでありましたら、御意見をお聞かせください。

中山座長 質疑時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

佐川泰弘君 実際上、学務的なことになりますけれども、学費が払えなくて、免除申請であるとか、あるいは支払いの猶予の期限を延ばしてくれというのを受け付けるわけですけれども、毎年それがどんどんふえている。かつ、払い切れなくて、しかも大学としてはどうしても面倒を見切れないので退学等をしていただかざるを得ないという学生が、今、データはありませんけれども、年々ふえているように感じます。

 以上です。

塩川委員 どうもありがとうございました。

中山座長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、四人の陳述人の皆様方には大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。私、最後の質疑者でございますので、どうぞ忌憚のない御意見をいただければというふうに思っております。

 では、座らせていただいて質問させていただきたいと思います。

 まず、全員の皆様方にお聞きをしたいというふうに思っていますけれども、きょうは、宮崎そしてこの茨城、この地方二都市で、予算委員会として地方の意見を聞くというようなことで今行われているわけでございますけれども、今何でこういう話になるのかな、地方で聞かなきゃいけないのかなというと、やはり都市と地方の格差がどんどん広がってきて、もう地方の意見を聞かないと日本というのはどんどん疲弊していってしまうのではないかということで、地方の意見を聞いていこうじゃないかということになったのではないかなというふうに思います。

 そこで、都市と地方の地域間の格差を是正するためには何を重点に持っていったらいいのか。もちろん、それはお金という話に尽きるのかもしれませんけれども、財政が非常に苦しい中でどこに重点を持っていったらよいのか。今、まさに道路とか、いろいろな意見もありますけれども、どこに持っていったらいいのかというところと、それから、皆様方が考えられる重点、ここに持っていったらいいんじゃないかなというところが今回のこの二十年度予算に反映されているのかどうか、それをお聞かせいただきたいというふうに思います。

橋本昌君 私は、地方が都市との格差を感じなくても済むようにするためには、やはり地方に働く場所を確保していく必要があると。定住人口がある程度いないところでは、例えばどんな立派な病院をつくっても病院の経営は成り立ちませんし、お医者さんもいい医者は来てくれません。そういう意味で、農業であれ、商工業であれ、あるいは大学等の教育機関であれ、いろいろな形で働く場所をつくっていく。そのために何をしなくちゃいけないか。

 例えば、電話料が日本では高過ぎるとか、道路が離れ過ぎているとか、いろいろな問題がございます。そういうインフラ、どこでもある程度企業が立地できるような状況をつくっていくことも大変大事になってくるのではないかなと思っておりまして、そういった点で、この道路特定財源の暫定税率の延長ということも必要になってくるのではないかなと考えております。

 それから、もう一つ、ことしの予算でというお話でございますけれども、アメリカは人口が三億人を超えました。猛烈な勢いでどんどん人を集めております。イギリスもそうであります。世界じゅうの優秀な人間を集め始めている。そういう中で、日本からも、例えば筑波の研究者の子弟なんかは、優秀な子はアメリカに行ってしまう子が結構出てきております。そういう形になっていくと、日本がエネルギーも食料もない中でどうやって生きていくか、科学技術創造立国しかない、そのための人間がいなくなってしまう、そういう状況をもっと深刻に考えなくちゃいけないんじゃないか。外国で、一千万クラスの奨学金を出してほかの国から奨学生を集めている例もある。

 そういうことなども踏まえた形での今後の日本というもののあるべき姿をどうやっていくのかということを考えないと、一人当たりの生産性を上げるなんて簡単なことを言っていますけれども、そう簡単には上がりません。絶対人口が減っていったら、多分経済成長は下がっていくと思います。そういう中で、どうやってある程度のレベルでとめていくかという努力をもっとしていく、そういう予算にしてほしいと思っております。

児島強君 働く場所は当然大切であるというふうに感じてはおるんですけれども、やはり地方においては、私は専門家じゃありませんけれども、どういったまちづくりを進めていくんだということが重要なのかなと感じております。

 私は東海村に住んでおりまして、やはり東海村については、原子力の発祥地というのもあって、そこからの最新技術で強度陽子加速器、J―PARCが今度立ち上がるとか、技術的な振興もやっていくんだと。また、農産物においては、乾燥芋等々を産物として、それも結構いい形でふえているといいますか、発展している。それぞれの町の特徴を生かしながらどういったまちづくりをしていくんだ、そしてその町と隣の町とどう連携していくんだというような、やはり人口が縮小する中で、どういったまちづくりをするかによって人口がふえてくる。

 東海村は県北の中では毎年人口がふえている村ということでありますから、そういった視点で、まちづくりをどう進めていくんだ、そのためにどういったお金を投入していくんだ、そういう戦略的なまちづくりに対して、では行政はどうアプローチできるんだということが非常に重要なんじゃないかなというふうに感じます。

山本忠安君 最初の格差の問題ですけれども、これはやはりインフラの整備がまず大事だろうと思うんですね。インフラ、特に今道路の話が出ましたけれども、道路の整備というものは必要だろうと思います。

 インフラは、道路のほかに、茨城空港も知事は頑張ってやっていますけれども、空とそれから港、この辺のインフラが整備されると、企業も来ますし、それなりの地方の活性化につながるんじゃないかと思っております。それから、ちょっとさっき触れましたけれども、広域的な行政をやっていただければ大分違うんじゃないかなと思います。

 それから、予算についてですけれども、これはやはり、一律下げるんじゃなくて、重点配分をしていただければいいんじゃないか。特に、私が中小企業だから言うわけじゃありませんが、中小企業予算は、大分上げていただきましたけれども、まだまだ足りません。それから、福祉の方もやっていますので、福祉においてはなおさらであります。これはとんでもない話で、福祉についてはもっともっとつけるべきだ。それから、少子化の問題、これももっとつけるべきだ。私は、自分が年寄りで、言うのもちょっと変なんですけれども、高齢者の予算をへずっても少子化の方につけるべきだと思っております。

佐川泰弘君 山本さんがおっしゃったことももちろんなんですけれども、それに加えて、もう一点、やはりもう少しガバナンスの視点といいますか、それが必要だと私は思います。

 今回の新しい戦略の中で、エリアを分けて、それで課題を明確にして援助していく、その発想は私はいいと思います。

 それで、恐らくEUなんかの地域計画を少しは参考にされたのかなと思うところもございますけれども、日本でまだまだ欠けているのは、それが上からじゃなくてやはりもっと下から、まちづくり、現場で何をしたいのか、まず行政はそのプロセスを援助するということを極めてもっと重視すべきだというのが一つです。その結果積み上がってきた計画に対して、これはということであれば財政援助を徹底して重点的に行っていく、この二つが大事ではないかと私は思っております。

 以上です。

糸川委員 ありがとうございます。

 では、佐川陳述人に今の中でちょっと御説明いただきたいなと思ったのが、統治システムの中で、中央と地方の関係、役割分担についてどのような体制が望ましいのかなと。先ほど陳述者の概要というのを見ましたら、大分先生はフランスにお詳しいということですから、例えばフランスとの比較の中で、我が国がとっているシステム等の問題点、こういうものを含めてもしお話しいただければなと思います。

佐川泰弘君 一つは、先ほどのお話にもありましたけれども、やはり財源をもう少し垂直的に下におろしていくということが日本には欠けているのではないかと思われるのが第一点であります。

 それから、二点目は、先ほどの発言の全く繰り返しになりますけれども、フランスにおいては、地域圏、州レベルの自治体が主体となって地域計画をつくっていく、それを国とすり合わせて公共政策等を決めていくということが行われるようになってきておりますけれども、それに当たっても、地域圏、州レベルの自治体は市町村とかもっと下のレベルから積み上がってきたものを協議を重ねながら決めていくということが明確にルール化されて、実際のプロセスになってきております。ガバナンスの観点と言えるのかもしれませんけれども、そういった発想が日本ではもっと必要だということであります。

糸川委員 では、橋本陳述人にお伺いしたいと思います。

 先ほど知事は、格差の中で、働く場所がしっかりと必要だ、そしてインフラをしっかりとしていくということでございますけれども、このインフラの中に道路ももちろん入っているんですが、道路という観点だけではなくて、例えばライフラインということを考えたときに、私もたびたび予算委員会等で質問させていただいているんですが、今、水道管というのがもう大分老朽化が進んでいまして、これを維持管理していく中でも、更新の時期を迎えているものもたくさんある。国が補助をしてつくってきたものでありますけれども、こういうライフラインの更新という問題に関して、大分財政が、茨城県の場合はどうなのかちょっとわかりませんけれども、こういうものにやはり予算がついていかないと、いい県づくりというんでしょうか、そういうものが、まちづくりという観点から考えても、非常に厳しくなってきているのではないかなと思うわけですね。

 そこで、例えば今、道路特定財源という問題がありますけれども、これをもう少し拡大していって、ライフラインに使えたらどうなのかという議論もあるところだと思います。例えば水道管を耐震化する必要があるではないかと。

 今我が国では、耐震化というのは非常におくれている。水道管に関しましてはまだ一一%程度でしょうか、そのぐらいしかないわけで、幾ら病院を耐震化してもそこに水が来ないと手術ができない。そういう現状もあるわけで、ここは知事として、例えば道路特定財源を維持して道路だけをつくっていく、これはいい、だけれども、それ以上にもう少し拡大して、ライフラインをいじるところまで予算が拡大できたらどうなのかという御意見はどうなのか、ちょっとお聞きしたいんですが。

橋本昌君 いろいろ、発電所なども含めて、高経年化ということがあらゆる分野で今進んできております。そういう一つとして水道管もあるわけでありますけれども、水道管だけに限らず、これから耐用年数をどうやって延ばせるかという意味で、修繕を相当やっていくということが私は不可欠であろうと思っております。負担期間を長く延ばすことによって毎年の負担を少なくする、そういう対応が必要だろうと思っております。

 そして、そういったことにこの暫定税率分を、あるいはまた道路財源を一般財源化して充てるということにつきましては、もともと納税者が、道路に充てるからというので自動車ユーザーが納得したわけであります。それについて一般財源化、こういうものにまで広げていくのであれば、何で貧乏な田舎の方が一人当たりの負担が重くなっている道路の目的財源から充てていくのか。全体として経費が足りないというのであれば、消費税をどうするのかも含めて、やはり抜本的な国民への問いかけというものが必要になってくるのではなかろうかなと私は思っております。

糸川委員 では、児島陳述人に同じ内容で質問していきたいと思うんです。

 先ほど、やはりまちづくりが地方と都市との格差の中で必要だ、これを是正するためにはそういうことが必要だというふうにおっしゃられました。もちろん、病院をつくっていくとかいろいろなところに学校をつくっていくとかいうまちづくりもあると思うんですが、そういうライフラインをこれから維持していくためには、例えば今は、茨城であれば県の水道局というところになるんでしょうか、そこに県民の皆様がお金を入れて水道料金を払って、それで維持管理しているということですけれども、人口が今どんどん減少していっている中で、当然収入が少なくなるわけですよ。そうすると、そういうライフラインをどうやってこれから維持していくかということが非常に地方の中では重要になってくる問題ではないかなと思うんです。

 先ほどまちづくりが大事だというふうにおっしゃられましたので、こういうものにまで例えば道路の予算を拡大して、一般財源までとは言わなくても、そこまで拡大をして、水道管は地中にあるものですから、当然道路を掘り返します。ですから、道路をいじるという観点では道路の財源を使ってもいいのかななんということも思ったりするんですが、その辺、陳述人はどのような御意見をお持ちでしょうか。

児島強君 まちづくりは重要という中で、今、ライフラインの一例で水道管が出て、水道管は道路の下を通っているんだという意味では、私は、ある意味では、やはり全部道路に投資しなくても、一部をそういうふうに使用できて改善できるのであればそうすればいいんじゃないかな。一方で、筋論でいくんだということであれば、知事の言ったように、消費税も含めて、税制全体がどうあるべきかということも含めて議論をすべきであると思います。

 また、人口が減って税収が減るという実態の中においては、やはり経済が伸びない限り税収というのはある意味ではふえない部分もあるわけですから、人口も減ればそれぞれ納める金がなくなる、高齢化になれば当然働かなくなるわけですから、年金生活になるといったら年金から税を払うぐらいですから、そういう中での税のあり方とかまちづくりのあり方というのをやはり真剣に考えていく必要があるんじゃないか。それで、行政は、それをどういうふうに我々に、こうすべきですよねという無駄のない計画的な提案をできるかということがどんどん問われてくるんじゃないかと考えます。

糸川委員 では、山本陳述人にお伺いしたいと思うんです。

 全く今の話とは違う話でございますが、今、地域経済の景況感というところで、国内の景気というのは全体として回復軌道にあるというふうに言われていますが、消費にやはり力強さというのが欠けているのかなと。そうしますと、地域間それから企業間、地方と都市というところと大企業と中小企業というところでさらに今格差が拡大していっているのかなという感じもするわけです。

 昨今の原油高ですとか資材の高騰、こういうものの影響を受けて、地域経済が都市部に比べて相当厳しい状況になっているかなと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

山本忠安君 おっしゃるとおりだと思います。大変に厳しい。その問題は、価格に転嫁できないという問題が大きいと思います。

 大企業ですと、いろいろ生産性の向上やらほかに転嫁することはある程度できるかもしれませんけれども、中小企業の場合にはそれがないですね。転嫁するものがない。それが高くなると、仕事がない、あるいは売れないという問題に多分なるだろうと思うんですね。

 そういう意味で、中小企業、特に商店については、今非常に元気がなくなって、やる気がなくなっているんですよ、これは非常に心配しているんですけれども。どうやってやる気を起こしてもらうか、こういうこともなお一層大事になってくるだろうと思いますね。ですから、これで廃業がまたふえるんじゃないかと心配しております。倒産までいかなくとも廃業、そういうことをこの景気に、廃業するところが出てくるんじゃないかと危惧をしております。

糸川委員 時間が参りましたので、終わります。

 きょう、皆様方の地方の生の声というのを聞けたのは本当にありがたかったと思います。本当にきょうはありがとうございました。

中山座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。

 当予算委員会としては初めての試みでございましたこの地方公聴会でございました。本日拝聴させていただきました御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに改めて感謝申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力いただきました関係各位に対しまして、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時二十六分散会


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