衆議院

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第13号 平成20年2月25日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十年二月二十五日(月曜日)

    午前九時二十九分開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 中山 成彬君 理事 増原 義剛君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石原 宏高君    稲田 朋美君

      猪口 邦子君    岩永 峯一君

      浮島 敏男君    臼井日出男君

      小川 友一君    小里 泰弘君

      尾身 幸次君    大塚  拓君

      大野 功統君    金子 一義君

      木原 誠二君    木原  稔君

      北川 知克君    倉田 雅年君

      小池百合子君    小坂 憲次君

      佐藤 剛男君    斉藤斗志二君

      坂井  学君    坂本 剛二君

      菅原 一秀君    杉浦 正健君

      園田 博之君    田中 良生君

      中馬 弘毅君    土屋 正忠君

      土井  亨君    長勢 甚遠君

      西銘恒三郎君    西本 勝子君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      平口  洋君    深谷 隆司君

      馬渡 龍治君    牧原 秀樹君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      御法川信英君    吉良 州司君

      小宮山泰子君    郡  和子君

      笹木 竜三君    末松 義規君

      武正 公一君    中川 正春君

      原口 一博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    松木 謙公君

      松本 剛明君    山井 和則君

      柚木 道義君    笠  浩史君

      渡部 恒三君    赤松 正雄君

      江田 康幸君    西  博義君

      笠井  亮君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    重野 安正君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   法務副大臣        河井 克行君

   財務副大臣        森山  裕君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   厚生労働副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      岸  宏一君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   農林水産大臣政務官    谷川 弥一君

   経済産業大臣政務官    荻原 健司君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    杉本 和行君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高橋 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       藤崎 清道君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  内藤 邦男君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 順一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     浮島 敏男君

  大島 理森君     葉梨 康弘君

  金子 一義君     土屋 正忠君

  河村 建夫君     北川 知克君

  小池百合子君     小川 友一君

  小坂 憲次君     稲田 朋美君

  坂本 剛二君     御法川信英君

  菅原 一秀君     木原 誠二君

  長勢 甚遠君     小里 泰弘君

  野田  毅君     石原 宏高君

  深谷 隆司君     木原  稔君

  三ッ矢憲生君     牧原 秀樹君

  馬淵 澄夫君     小宮山泰子君

  山井 和則君     吉良 州司君

  赤松 正雄君     西  博義君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  阿部 知子君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     野田  毅君

  稲田 朋美君     田中 良生君

  浮島 敏男君     西本 勝子君

  小川 友一君     土井  亨君

  小里 泰弘君     馬渡 龍治君

  木原 誠二君     大塚  拓君

  木原  稔君     深谷 隆司君

  北川 知克君     猪口 邦子君

  土屋 正忠君     金子 一義君

  葉梨 康弘君     坂井  学君

  牧原 秀樹君     三ッ矢憲生君

  御法川信英君     坂本 剛二君

  吉良 州司君     松木 謙公君

  小宮山泰子君     末松 義規君

  西  博義君     赤松 正雄君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  重野 安正君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     河村 建夫君

  大塚  拓君     菅原 一秀君

  坂井  学君     大島 理森君

  田中 良生君     小坂 憲次君

  土井  亨君     小池百合子君

  西本 勝子君     平口  洋君

  馬渡 龍治君     長勢 甚遠君

  末松 義規君     馬淵 澄夫君

  松木 謙公君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     臼井日出男君

  柚木 道義君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     山井 和則君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 決算及び平成二十年度予算の概算要求等に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算、平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成二十年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項

 第二分科会は、総務省所管

 第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管

 第四分科会は、文部科学省所管

 第五分科会は、厚生労働省所管

 第六分科会は、農林水産省、環境省所管

 第七分科会は、経済産業省所管

 第八分科会は、国土交通省所管

以上のとおりとし、来る二十七日、二十八日の両日分科会審査を行いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 次に、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長久保信保君、総務省郵政行政局長橋口典央君、外務省大臣官房参事官羽田浩二君、外務省領事局長谷崎泰明君、財務省主計局長杉本和行君、厚生労働省医政局長外口崇君、厚生労働省健康局長西山正徳君、厚生労働省医薬食品局長高橋直人君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁運営部長石井博史君、農林水産省総合食料局長町田勝弘君、農林水産省消費・安全局長佐藤正典君、農林水産省生産局長内藤邦男君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、国土交通省大臣官房長宿利正史君、国土交通省道路局長宮田年耕君、海上保安庁長官岩崎貞二君、環境省大臣官房審議官白石順一君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長由田秀人君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省大臣官房技術監佐々木達郎君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより一般的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。

杉浦委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の杉浦正健でございます。貴重なお時間をお与えいただきまして、感謝いたしております。

 私、きょう四十五分いただきましたが、民主党のマニフェストに示されました、民主党の経済財政政策について議論をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)いや、そう思うんです。本当はここに鳩山さんが座っていただくといいと思うんですが、予算委員会の構造がそうなっていませんし、本当は、民主党と政策協議の場ができて、そこで話し合うのが私は一番いいと思っておりますが、今のところ、そういうことがないようですから、私の所見を交えまして問題点を指摘させていただくという形で進めたいと思うのでございます。

 去年の参議院選挙のときにこれが提示されまして、私ども、私はと言った方がいいかもしれませんが、十五・三兆円無駄をなくして、主要政策六項目ですか、投入するというこの内容は実現不可能だと。言ってみれば、選挙戦ですから言葉は激しかったですから、これは毛針だと言ってがんがん戦わせていただいたわけでありますが、残念ながら、爆弾的逆風にあおられまして政策論争は飛んでしまった感じがして、いささか消化不良、大変な消化不良であったわけでありまして、いつかは民主党の皆さんとも話をしたいと思っておったわけであります。

 この予算委員会で立たせていただく気持ちになりましたのは、一つは、鳩山幹事長が施政方針演説に対する質問の中で、これは資料第一に添えさせていただきましたが、民主党の政策を述べられたということがございます。

 そこでは、最後のところにありますが、「今後、この財源政策をさらに詳細にし、具体的に提示してまいります。」というところで終わっておられるわけですが、ぜひ、できるだけ早い機会に詳細にして、具体的に提示していただきたいという強い気持ちを持っておるわけでございます。

 もう一つは、質疑をさせていただきたいという気持ちになって、マニフェストを詳細に読ませていただきました。この細かい字のところまで何回も読ませていただきまして、実は気づかなかった点に気づいたわけであります。

 それは、このマニフェストの中に民主党さんが、資料二はこのマニフェストからの抜粋ですが、二―五の、ページ数で六ページになっていますが、「財政構造改革の推進」、「政と官」という大きな題でございまして、その下の方に、さまざまな改革を通じて、二〇一一年度には国、地方の基礎的財政収支を黒字化し、その後、債務残高GDP比を着実に引き下げます、こう明確に打ち出しておられるわけであります。

 実は、これは私どもの骨太二〇〇六の基本と一致しておりまして、財政改革を進めるという基本姿勢を明確にされておるわけでありますが、初めて私、これを詳細に読んで気づいたわけでして、選挙における論戦でも、あるいはその後の民主党の幹部の方の御発言、この国会論戦の中でも、この点に触れられたところはなかった、私の記憶にはございません。

 実は、党の幹部の何人かに、あなた、このことに気づいておったかと聞きましたら、全員気づいていないということがわかりまして、私どもも大変、気づかなかった私が悪いわけでありますが、恐らく与党の予算委員の中でそのことに気づいていた方はいらっしゃらないんじゃないかと思うんです。いらっしゃったら手を挙げていただきたいんですけれども、いらっしゃらないですね。(発言する者あり)そう、不勉強といえば不勉強であります。

 そういたしますと、財政の基本は、入るをはかって出るを制すということであります。マニフェストの中でも、無駄を省くことでこういう十五・三兆円の財源を出すんだというふうに言っておられる。我々も、財政の無駄を省くという点については、基本的にそういう考えでさまざまな措置を講じておるわけであります。今年度予算においてもそうであります。そして、無駄を省いた上で財政構造改革を進める、この点においても民主党と同じだ。

 要するに、与党も野党も基本においては変わらないという点に気づきまして、であるとすれば、あとは政策の選択の問題であり、またスピードの問題であろうということになるわけでありますので、この十五・三兆円の問題について、さまざまな問題点がありますので、ともかく指摘をさせていただくという形でこの質疑の時間を持たせていただいたわけでございます。

 まず、支出の方から参りますが……(発言する者あり)問題点を指摘させていただくわけですから。

 まず、年金基礎部分への消費税全額投入で六・三兆円という第一項目でございます。資料二ページをごらんいただきたいと思います。民主党は、年金の基礎部分の財源は全額を税で賄うこととし、消費税の全税収をその財源に充てます、現行の年金水準を維持し、国民が安心して暮らせる安定した年金制度を構築しますという御主張であります。

 現在、基礎年金の支給対象となっている六十五歳以上の方の人数は、二十年度で約二千八百万人。仮に、保険料の支払いの有無を問わず、現在の給付額、月額六万六千円を全員に支給するとすれば、約二十二兆円が必要ということになります。私は数字に弱いですが、これぐらいの計算は私でもできます。

 厚生労働大臣、資料三をごらんいただきたいと思いますが、その点は、この資料三のとおりでよろしいわけですね。いいですね。うなずいておられますから、そうだと思います。

 この資料三で、実際の給付総額は、二十年度ですと十九・三兆円、これは予算に計上されております。その差額が三兆円ほどあるわけでありますが、この差額というのは、申し上げるまでもなく、保険料を払っていらっしゃらない方がある、その場合は減額されますので、無年金の方もいらっしゃいます。実給付と全員に給付した場合の差が三兆円出るということになるのは御説明するまでもないと思うんです。

 消費税全額、五%をこれに充てるということでございますが、現在の消費税率五%に対応する税収はどれだけでございますか、財務大臣に伺います。副大臣、政務官で結構ですから、どうぞ。

森山副大臣 お答えを申し上げます。

 平成二十年度の消費税収は、国の分で十兆七千億、地方の分で二兆五千億、合わせまして十三兆二千億を見込んでおります。

杉浦委員 十三・二兆円ということでございますが、そういたしますと、仮に、全員に対して保険料納入の有無を問わず支払うとなりますと、二十二・三兆円になるわけですから、民主党案ですと約九兆円足りないということになります。また、実際の給付額は十九・三兆円になるわけですから、十三・二兆円ということは六兆円ちょっと足りなくなる。年金の給付水準が下がるんじゃないかというふうに思われるわけであります。

 マニフェストの後ろの方のこの細かい字の部分を見ますと、資料の二―三でありますけれども、年金の抜本改革、その2のところに「高額所得者に対する給付の一部ないし全部を制限します。」こういうことが書かれております。この高額所得者が、要するに、年金を受給してからの高額所得者なのか、あるいは受給者になる前の段階の高額所得者なのか、はっきりいたしませんが、具体的に十三・二兆円、実際には、現在の給付水準を払うだけでも六兆円ぐらい足りなくなるということでございますので、二十二兆を十三・二兆に圧縮するということは大変なことだと思うんです。

 他党の政策のことですから言いにくいかもしれませんが、厚生労働省、どういうような方法があるのか、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

西川副大臣 おはようございます。杉浦先生の御質問にお答えさせていただきます。

 今、仮に二十二兆円という消費税を計算するに当たりましては、単純に計算いたしますと、今の給付対象人口二千八百万人、この方々に現行の六・六万円を掛けますと、この数字が出てまいります。これを十三兆円に圧縮するにはどういう方法があるかということでございますけれども、これは簡単に考えますと、給付対象人口を抑えるのか、あるいは一人当たりの給付額をカットするのか、そのどちらかだと思います。

 そういう中で、十三兆円に圧縮するということは四割程度圧縮するということでございますけれども、仮に今の民主党のマニフェストの所得制限をするということを考えますと、現実にやはり年収五百万円以上ぐらいの方がほとんど基礎年金をもらえなくなるという計算になるかと思います。

 そういう中で、あるいは、現行の消費税は、いわば医療や介護、その他の社会保障制度を、では一体どうするのか、そういう問題も出てくるわけでございます。

 一人当たりの給付カットの方で考えますと、現行の六・六万円から四万円ぐらいになると考えられます。

杉浦委員 民主党さんは、現行の水準は維持するということもお約束されておるわけですが、そこのところは、では、どこをどうカットするのか、明確にしていただく必要があると思います。

 それから、総務大臣にお伺いいたします。

 資料三以下は私の責任で財務省につくってもらった資料でございますが、資料四をごらんいただきたいと思うんですけれども、五%の消費税は、資料四にございますように、地方消費税が一%で二・五兆円、また、地方交付税が三・二兆円で、合計で五・七兆円が地方自治体の財源になっておるわけであります。これを全額年金に投入されるといたしますと、この分の財源をどうするのかという問題が起こってまいります。この点についてのきちっとした御説明が必要になろうかと思うわけであります。

 総務大臣に伺いますが、この資料四はこのとおりでよろしいかどうか、そして、もしこの地方分がなくなった場合、どういう影響が地方自治体に出るか、御説明願いたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 消費税、現行税率五%のうちの一%が地方消費税、それから、残り四%ありますが、そのうちの一・一八%相当がいわゆる交付税原資となって、これも地方に回っていますので、足し合わせますと二・一八%が地方分となる。これが、今お話しの、お金に換算いたしますと五・七兆円、こういうことになるわけでございまして、この五・七兆円、地方の一般財源、安定的で重要な税財源ということになっておりますので、これが全部年金の基礎部分に充当されるということになりますと、その地方の安定的で重要な税財源は失われる、こういうことになるものでございます。

杉浦委員 この点は、民主党さんにおいても十分御検討いただくべきことだと思います。

 次に、子ども手当の創設の方に参ります。

 民主党は、資料の二―三にございますとおり、中学校卒業までの子供に一人当たり月二・六万円を支給するとされております。そのための財源について、配偶者控除や扶養控除を見直すとされておるところでありますが、資料の十―一、二をごらんいただければわかりますが、これは両方合わせて二・五兆でございまして、配偶者控除、扶養控除を全廃しても財源には足りないわけであります。

 それはさておきまして、厚生労働大臣、資料五を見ていただきたいと思いますが、現行の児童手当制度との比較をさせていただいておるわけでありますけれども、これを見ますと、民主党案ですと全額国庫負担五・六兆円、現行制度ですと約一兆円ということですから、差は四・六兆円ということですから、マニフェストの子ども手当創設で四・八兆円というのはほぼ合っているかな、こう思うわけでございますけれども、御所見があれば伺いたいと思います。

 資料はこれでよろしいですね。合っていますね、これ。比較、いいですか、費用はこれで。

岸副大臣 はい、合っています。

 そこで、所見ということでよろしいですか。(杉浦委員「はい」と呼ぶ)

 さきの臨時国会に民主党議員より提出され、廃案となりました子ども手当法案によりますと、給付費のすべてを国庫負担により賄うこととされており、総額で平年度約五・六兆円が見込まれております。

 この金額を前提に考えますと、現行の児童手当制度においては実質的な国の負担が約〇・四兆円、四千億でございますから、新たに国費ベースで五・二兆円程度の財源が必要になるというふうに見込まれると思います。

 以上です。

杉浦委員 若干、〇・四兆円ですか。ふえるということになるわけでしょうか。この点も御検討いただいたらと思います。

 三番目の項目に参ります。公立高校無償化等教育の充実でございます。

 これは、資料の二―三にマニフェストが出ておりますが、そこでは、高校の無償化、希望者全入とか、奨学金の充実、これは大学生以上でありますけれども、上限三百万、希望者全員ということであります。

 教育は未来への投資である、少子高齢化の中で日本が成長を続けていくためには人材育成は何より大切である、これは民主党さんもそうでありますが、我々も同じ考えでございます。しかし、議論としてはいろいろあると思いますね。希望者全入ということでいいのかどうか、奨学金の支給額、支給方法がいかにあるべきかというのは議論のあるところだと思いますが、それはさておきまして、民主党案では、必要な費用が〇・三兆円、三千億円とされております。これで民主党の言っておられる施策は実現できるのかどうか、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。

池坊副大臣 公立高校の無償化に必要な経費は前提によって額が変わってまいりますけれども、公立高校生全員の授業料を無償化する場合には、平成十七年度に支払われました授業料総額は二千五百五十二億でございます。

 また、奨学金制度の拡充も年間貸与額によって変わってまいりますけれども、大学生百十六万人、大学院生十三万人全員が上限の三百万を希望するとしたならば、三兆九千億でございます。これは、現在は八千五百三億の事業費で、その中で一般会計が千二百二十四億でございますから、これをもとにして計算いたしますと、一般会計の負担額は四千四百億でございますので、総額は七千億になるかと思います。

杉浦委員 前提によって変わってくる数字でございますが、ちょっと三千億では無理じゃないのかなという感じもございます。これも詰めていただく必要があるんじゃないかと思います。

 次に、農業の戸別所得補償でございますけれども、一兆円計上されておりまして、資料の二―四に民主党の案が書いてございますが、原則としてすべての販売農家に戸別所得補償を実施するとされております。中身はちょっとはっきりしませんが、米、麦、大豆、雑穀、菜種、飼料作物などの重点品目、品目をどれぐらい考えておられるのか。それに加えまして、農地を集約する者への規模加算、捨てづくりにならないための品質加算、棚田の維持や有機農業の実践など、環境保全の取り組みに応じた加算などを実施するとされております。

 どのような設計をされるかで随分金額も違ってまいると思うのですが、これを実施することによって、食料の完全自給への取り組み、食の安心、安全の確保、下の方に書いてありますが、農業の持つ多面的機能の維持、地方経済の活性化による国土の均衡ある発展、農家が農業を持続できるような条件の整備などが可能となるとされておるわけです。前提条件の中身がはっきりしませんが、いろいろ設計を拝見しないとわからないんですけれども、きちっとした加算がなされるとすれば、我々の目指している新農政と基本的にそんなに変わらないのかなという感じもするわけであります。

 この点については、中身がはっきりしないので何とも言いようがないと思うんですけれども、もし農林水産大臣で、この食料の完全自給への取り組み云々の条件の整備に役立つのかどうかについて御所見があれば、伺いたいと思います。

今村副大臣 お答えいたします。

 結論から申しますと、このマニフェスト案では我が国農業の維持発展というものはなかなか難しいというふうに思います。

 例えば、食料の完全自給ということがございますが、これには我が国の現在の農地の二倍から三倍の農地が必要でありますから、とても現実的ではありません。そしてまた、農業が持ついろいろな多面的機能、あるいは農家が農業を維持できる条件として今一番大きな問題は、これは担い手の問題でございます。二〇三〇年までに労働人口が一千万人も減るという中で、農業もまさにそのとおりでございまして、今現在でも六十五歳以上の人が六〇%にならんとしておるわけでございまして、これから五年、十年、二十年たったときにだれがこれを担っていくのか。

 その意味では、やはり大規模農家をまず育成すること、そしてまたもう一つは、集落でチームを組んで担っていくという方向が必要でございまして、民主党の案でいきますと、極めてこれは、現在の脆弱な農業構造というものを固定化するということになってしまうのではないかというふうに思っております。

 以上です。

杉浦委員 次に、高速道路の原則無料化に移ります。

 民主党さんは、資料二―四に、高速道路の原則無料化ということを言っておられ、予算を一・五兆円投入するとされておるわけでございます。

 国土交通大臣、資料六をごらんいただきたいと思いますが、高速道路料金収入とその使途について、これは財務省にまとめてもらったんですが、これでいいのかどうかという点ですが、よろしいですね。いや、時間がありません、これでいいですね。料金収入が二・五兆円、使途は債務償還が一・九兆円、維持管理に〇・六兆円ということであります。

 ところが、さらによく見ますと、一部の主要大都市を除き無料化と書いてあるんですね、原則無料化。選挙戦のときには、私どもも、全部無料化されるのか、そんな非現実的なことはないといって戦ったんですが、よく読んでみると、一部の大都市については無料化しないんだということが書かれておりまして、一・五兆円で無料化できないのははっきりしております。

 つまり、償還だけで一・九兆円かかるわけですから、一・五兆円投入しても償還に足りない。四十年の償還を六十年にするとか、変えれば別ですけれども、お考えになっているんじゃないかと思いますが。それから、維持管理費〇・六兆円をどうするのか。これは多少節約に努めるとしても、どの程度できるかという問題であります。

 ですから、ここのところ、要するに、どの範囲を有料化で残し、どの範囲を無料化するのかということをはっきりさせていただく必要がある。

 正式に資料は出してもらっていませんが、東京と大阪の高速道路の料金だけで現在〇・四兆円、つまり四千億の収入があるそうなんですが、一・五兆と二・五兆の差額、単純に一兆円を有料化といたしますと、東京、大阪だけでは足りない。私の地元の名古屋だとか、あるいは福岡だとか広島とか仙台といった大都市の料金も有料にしないと一兆円に足りないんじゃないかとも思われるわけでございます。

 この点につきまして、民主党案でございますとどういうふうになるんだろうか。債務償還、維持管理はどうなっていくんだろうかという点について、御所見があれば国土交通大臣に伺いたいと思います。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 民主党が提案されておりますただいまの無料化案でございますが、まさに先生御指摘のとおり、どの範囲を無料化の対象とされているのか、どういうスキームでこれを具体化するのか、はっきりしておりませんので、申し上げようがございません。特に、債務償還のための貸付料の問題、それから管理の費用をどう出していくのか、この辺がきちっと示される必要がある、このように考えております。

杉浦委員 いずれにしろ、協議できる場があれば協議しなきゃいかぬですが、少なくとも選挙戦で言っていただく以上、国民の皆さんは全部無料になると勘違いしたと思うんですね。だから、東京、大阪は有料です、名古屋も有料ですと言っていただかないと、誤解されるおそれがあると思います。これははっきりとさせていただきたい、こう思うわけであります。

 六番目に移ります。最低賃金引き上げのための中小企業対策等一・四兆円であります。

 予算を三倍にするということでありますが、今年度予算は約千七百億ですか、これを三倍にいたしますと、ふえる分は三千四百億になりますか、それを超えてさらに一兆円対策をされる。軽減税率二二%を一一%にされるということでしたから、かなりその分にお金も要ると思うんですけれども、そういった内容についても示していただく必要があろうかと思うわけでございます。

 ざっと申し上げただけで、基礎年金部分とか、もっとお金が要るんじゃないかという点があちこちに出ておりますので、消費税数%の財源がないと必要な経費は賄えないんじゃないか、ここに示された以上にかかるんじゃないかという印象を受けるわけであります。

 次に、財源の方に移りますが、第一に、補助金の一括交付化等による無駄の排除ということで六・四兆円を浮かせる、これは地方への補助金としておられるわけでございます。資料二―六にございます。

 資料の七、総務大臣、ごらんいただきたいと思いますが、地方向け補助金等の全体像、これは財務省につくってもらったわけですが、これが正しいかどうか。

 それから、これを見ますと、社会保障にしても教育にしても、義務的経費がほとんどですね。ここから六・四兆円どうやってひねり出すのか、等という字が入っていますから、ここ以外からもということかもしれません、それは明確ではございませんが。仮にこの地方向け補助金十九・一兆円に限るとすれば、六・四兆円、公共事業全部切ったところで出てまいりませんし、無理じゃないかという印象でございます。

 これが正しいかどうかを含めて、総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 表の方は、このとおりでございます。

 それで、これをごらんいただきますとおわかりのとおり、十九・一兆の内訳でございますが、社会保障の十二・四兆、それから文教・科学振興のうちの少なくとも義務教育一・七兆、これはいわゆる義務的な性格を有する経費でございますので、恐らく削減ということは現実には考えられないだろう。これを足し合わせますと十四・一兆で、残り五兆ということになりますので、今御提案の六・四兆削減するというのは現実には考えられないのではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、もしそれを削減するということになれば、ほかのところから何か財源の手当てをしなければいけない、こんな姿になるのではないかと思います。

 そして、六・四兆というのは、交付税総額でも今十五・四兆で、それの四割にも相当するような大変大きな額のお金でございますので、いずれにしても地方財政には相当甚大な影響が生じるのではないか、このように考えられるところでございます。

杉浦委員 一括交付金化という考え方は、私は個人的には賛成でございまして、ただ、総額がどうもこれでは平仄が合わないんじゃないかというふうに思えるわけであります。ここも、御明確にしていただく必要があるんじゃないかと思うわけであります。

 それから二番目の、談合、天下りの根絶等々で一・三兆円というところでありますが、談合や天下りをなくして行政経費の無駄を省くということには大賛成であります。与党も、自由民主党としては長年取り組んできております。私が初当選のころあった三公社五現業は郵政を最後に民営化されましたし、公社公団の整理、独法化、それも非公務員化、見直しを随時やってまいっております。特別会計も縮小しておりますし、合理化は随分図られてきております。まだ完全とは言えません。今後とも見直していくという方向については賛成であります。

 しかし、原則全廃と言っておられるんですけれども、全部なくすことが可能だとは私は思いませんが、全廃が可能かどうか、財務大臣、もし御所見があれば伺いたいと思います。

森山副大臣 お答えを申し上げます。

 独立行政法人、特別会計とも、それぞれ政策目的を持って設立されておりますので、全廃というのはかなり乱暴な議論ではないかなというふうに思っております。

杉浦委員 原則全廃とおっしゃっているわけで、全部廃止しろとおっしゃっているわけじゃないと思うんですが、これはお互いによく協議して、合理化を進めていくことは不可能ではないと思います。

 先日の予算委員会で、細野議員が埋蔵金九十六兆円という資料を出されたわけであります。具体的に資料を示して指摘されたわけでございますので、資料八―一と二、八―一は細野議員の表でございますが、八―二は、財務省に見解を書いてくれと言ったら書いてきてくれました。

 特会や法人が持っている資産はさまざまでございまして、単に資産と負債差額だけを見て財政貢献を期待するのはいささか短絡的だと思います。現に今度の予算でも、財投特会から基金を十兆円国債の償還に充てるということもしております。これは、基金を崩すんですから、経常的経費には充てられない。それから、為替特会ですね。為替特会から一・六兆円、これは運用収益でございますから、さまざまな議論はあったところですけれども、一般会計だという、そういうこともやっておるわけなんですけれども。

 恒常的な財源としてどういうものが出てくるのか、これは議論していくべきことだと思うのでございますが、この細野議員の表、八―一と二について財務大臣の御所見を伺いたいと思います。

額賀国務大臣 これはもう杉浦議員もよく御承知のとおりでありまして、埋蔵金、埋蔵金と言っておりますけれども、私は、いかにも財源がそういう独立行政法人とか特別会計とかにあるような印象を与えていることは、国民の皆さん方に対して、巨額のお金がどこかにあるのではないかということは、逆に、歳出削減だとかあるいは自分の勤労意欲だとかそういうことをそぐことになって、マイナス的な印象を与えていって、社会的にこういう誤解を与えるようなことは、政治家としてそんなに安易に使うべきじゃないんじゃないかというような思いがあります。もうちょっとやはり財政問題についてはきっちりと、まじめに取り組んで議論をしていくべきだという思いがあります。そういうことをお願いしたいというふうに思っております。

 そういう意味におきましては、特別会計は、国有林だとかダムだとか空港用地だとか、それはとても売却したりなんかできるものではないということでございますね。それから、今お話がありました外為特会にしても財政投融資の特別会計についても、これは市場の動きとか為替の動きによって大きく変動して、そういういざというときに備えておくための積立金でございまして、いつでもこれは取り崩せるということではないわけですね。

 ただ、我々は、きちっと運用してもうけを出して、一般会計や国債の残高を圧縮するために使わせていただきたいという思いは持っているわけでございます。

 また、独立行政法人についても、これは改革に取り組んでおりまして、不要な資産なんかは売却して国庫に納めていくというようなことを決めさせていただいておりますし、それから、独立行政法人というのは、高速道路とか原子力の研究施設だとか、そういう巨大な資産を持っているわけでございまして、こういうのを売却してすぐ資産をお金にかえるなんということはできないわけでございます。

 公益法人については、国が出資したりなんかしている分については、できるだけ一般会計に戻させるような努力をさせていただいているということでございます。

杉浦委員 この点はお互い協議して、どこで無駄を省くかは協力できる分野だと思います。

 三番目の国家公務員総人件費の節減でございますが、一・一兆円。総務大臣、時間がございませんので、資料の九―一、二として資料を財務省に用意していただいたんですが、客観的数字ですから、この数字そのものは間違いございませんね。それだけ確認させていただきたい。間違いございませんね。はい。総務大臣、もう結構でございますので。

 民主党さんは三年間で二割削減と、資料二―六にございますが、おっしゃっておられるわけであります。地方分権も進める。基礎自治体を三百にするとか。財源等を移すとおっしゃっていますから。これは三年間で二割削減、私どもは五年間で五%削減ということで、この資料九―一を見ればわかるとおり、取り組んでおるわけでございますが、なかなかそれも大変であります。

 ただ、分権を進めて地方へ移すという数字を入れれば三年間で二割は可能かなとも思うわけでありますが、地方公務員の分も含めて具体案をお示しいただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 所得税の見直し等で二・七兆円、これもさまざまな形で可能かと思いますが、先ほどちょっと申しましたように、配偶者控除、扶養控除を全部見直しても二・五兆円にしかならない。これは子ども手当に充当するということですから、もう少し具体的にしていただく。

 資産性所得を見直すとされていますけれども、例えば株の取引についての収益課税だとかいろいろあると思うんですが、具体的なことを明確にしていただく必要があると思うわけであります。

 収入、得られる財源の方でも、こんなに得られないんじゃないかという点がありますし、必要な経費についても、いや、これよりももっとかかるんじゃないか、その差額は消費税にすると数%に当たるぐらいの差が生じるんじゃないかというのが正直な印象でございますので、今後、鳩山さんがおっしゃったように、具体的にしていただいて、お互いに論戦することが可能なようにお願いしたいと思うわけであります。

 最後に、今後の財政健全化について、若干時間がございますので触れたいと思います。

 先ほど申しましたように、民主党さんも政府と同様に、二〇一一年度におけるプライマリーバランスの達成を目標に掲げておられるわけでございます。政府もさまざまな、我々も努力をしておるわけでありますけれども、この答えももう少し具体的にしていただきたい。例えば、十五兆円カットして、十五兆円必要な政策に使ってしまうということですから、では本当にこれでプライマリーバランスの回復が可能なんでしょうかという点もございます。

 また、昨日、菅代表代行が道路特定財源の政策五つを打ち出されたわけでありますが、あれでございますと、暫定税率、二・六兆については完全に穴があくという内容であります。そうすると、穴をあけておいてこのプライマリーバランスの達成が本当に可能なのかどうか、その点についても十分な御検討が必要なんじゃないかと思うわけでございます。

 同時に、消費税については、このマニフェストに、一般財源化、暫定税率を廃止させた上で、平成二十年度に環境税の制度設計を検討するということも書いておられます。そうしますと、一般財源化するけれども、暫定税率はやめるけれども、環境税というような形でガソリンに税金を新たにかけられるお考えのようにも読み取れます。その点についても、もう少し具体的にしていただく必要があるんじゃないかと思うわけでございます。

 いろいろ言ってまいりましたけれども、私が冒頭申し上げましたように、政府も与党も民主党も基本的に、財政改革をやっていく、二〇一一年度におけるプライマリーバランスの達成を目標にして努力する、無駄な行政経費は節減するというスタンスは変わりがないわけですから、私は、いろいろある政策ごとに政党間で協議する場、国会の中でも外でもいいですが、きちっとつくって議論をするということが大事じゃないだろうかと思うわけであります。

 特に社会保障の分野、年金については、民主党さんもこのマニフェストの中で、消費税率の検討は、年金等の分野ではっきりした抜本策が確定されることを前提として消費税率は考慮するとおっしゃっておるわけでありますので、消費税というのは法律ですから、今の状況ですと、少なくとも民主党さんと与党が一致しなければ上げられないわけですから、協議を始めるべきだと思うわけであります。

 また、地方分権についても、私は自民党の中の道州制の旗振り役なんですけれども、地方分権を言っておられます。中身、方向としては同じだと思うんです。これが実行できれば相当の行政経費が節減できるという面もございますので、例えば道州制についても協議の場をつくっていただきたいな、こう思うわけであります。

 ほかの分野でもさまざまあるわけであります。そういう立場でさまざまな問題点を指摘させていただいたわけでありますので、ぜひ民主党さんにおいても十分に検討を加えられ、与党との間で誠実な協議の場を設けていただきたい。重ねてお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて杉浦君の質疑は終了いたしました。

 次に、葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。杉浦先生に引き続き質疑を続行させていただきたいと思います。

 予算委員会における審議も、中央公聴会を経ていよいよ大詰めでございます。ただ、一般論として申し上げますと、誤解に基づくと思われるような考え方に依拠して、水かけ論的な不毛な議論が続くということでありますと、必ずしも生産的ではありません。きょうは、その審議を今までウオッチしてきた関係から、これは誤解に基づく考え方じゃないかなということを提示して、指摘をさせていただきたいと思います。

 冒頭、国会審議というよりも、テレビ番組の話なんです。ある人から、みのもんたさんの番組で、外麦、麦ですね、値段が上がっているから国産の麦を利用すべきであるというような指摘があったと聞きました。この点について、民主党さんですけれども、農林水産業再生プラン、小麦を四百万トン生産、これは過去最大収量だというんですが、これをパンやパスタの原料に利用されている輸入麦に置きかえれば八%の自給率向上ができる、そうすれば、カロリーベースで五〇%の自給率はすぐにでも達成可能というようなものを出されているわけでございます。

 まず、第一の誤解に基づくと思われる考え方でございます。パンやパスタの原料として輸入麦のかわりに国産麦を使えば食料自給率の向上は簡単、これはちょっと誤解なんです。我が国において小麦を四百万トン生産したことがあるでしょうか。また、我が国で生産される小麦は、パンやパスタの原料として適当かどうか。農水省生産局長、お願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 明治十一年に作物統計をとり始めて以降、我が国における小麦の生産量が最も多かったのは昭和十五年の百七十九万トンで、過去において四百万トンを生産した実績はございません。

 なお、小麦、二条大麦、六条大麦、裸麦の四麦合計では昭和二十九年がピークでございまして、四百十万トンの生産でございました。

 また、国内におきまして、パンやパスタ用の小麦の需要量は約二百万トンございますが、これらの製造には、たんぱく含有量の高い小麦が必要となります。しかしながら、国内産の小麦は、多くが水田の転作作物として栽培がされていること、湿潤な気候条件によりたんぱく質が低いために、パンやパスタなどへの使用はわずかな量にとどまっているという現状でございます。

 以上でございます。

葉梨委員 たしか、小麦と大麦を足して四百万トン生産したのは昭和十七年だったと思いますけれども、戦争中ですね、これは麦飯とかすいとんの材料。

 今もお話がありましたとおり、我が国の小麦というのは、梅雨どきの刈り入れになりますから、たんぱくの含有量が少ないということで、パンやパスタの原料にはなかなかなりません。そうなりますと、麦は内麦ですとパン用にならないということです。実際問題として、我が国は、自給率は低いんですけれども、国産の米も国産の麦も国産の牛乳も、すべて余っているんです。

 そこで、私は、去る二月二十一日、自民党畜産・酪農対策小委員長として、配合飼料の高騰で危機的状況にある畜産・酪農農家に対する経営支援などを内容とする一千百四十一億円の緊急対策を取りまとめました。そして、今後は、多収穫米などを基軸とする飼料用米の自給体制、こういったことをつくっていくということが非常に大事だというふうに私は思います。

 そこで大臣、我が国の食料安全保障の観点から、畜産・酪農農家の経営安定の観点からも、毎年二千二百万トン輸入しています飼料用穀物、これをできるだけ自給化していくということが喫緊の課題だと思います。大臣からお答えいただきます。

若林国務大臣 委員には、畜産物価格の安定制度、特に飼料高騰を背景といたしました緊急の事態に対処しまして、大変御苦労をおかけして取りまとめをいただきました。本当にありがとうございました。

 御指摘ありましたように、配合飼料の原料でありますトウモロコシなどの飼料穀物のほとんどが輸入でございます。一方、我が国において飼料用にトウモロコシを生産することは、雨が多い気象条件などのために不向きであります。このため、水田を活用した飼料用の米や、稲全体を無駄なく利用できる稲ホールクロップサイレージの生産が極めて重要であると考えております。

 飼料用の米などにつきましては、十九年度の補正予算の地域水田農業活性化緊急対策におきまして、主食用の米の需給バランスを図りながら、米の生産調整の一環として、低コストの生産技術の確立、定着を促進することとしております。

 さらに、先般、委員に御苦労いただきました自民党の畜酪小委員会の場においても御議論をいただきました二十年度の畜産・酪農緊急対策におきまして、飼料用の米を利用した畜産物の付加価値化や給与方法のモデル実証を拡大して、全国的にこれを展開するということにいたしております。こうした対策によりまして飼料自給率を向上させることにより、我が国の食料安全保障に寄与するとともに、畜産・酪農農家の経営安定に努めてまいりたいと考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 農水大臣にはもう御退席いただいて結構でございます。

 私も、水田の転作として、将来的にはやはり水田はイネ科で転作をしたい、水を張って転作をしたいなということを強く主張したいと思います。

 次に、特別会計の仕組みについて議論を移します。

 まず、誤解に基づくと思われる考え方、この第二として、特別会計は、国会審議すら不要で、勝手につくられているという考え方があります。また、第三として、道路特別会計などの特別会計から職員厚生費や宿舎費を支出するのは、税金の無駄遣いにつながるという考え方がございます。

 そこで、政府参考人に答弁を求めます。

 特別会計予算及び政府関係機関予算については、国会における審議を経た上で成立するものと考えています。また、特別会計の場合、特別会計に係る事業に携わる職員の給与や宿舎費、職員厚生費等は特別会計から支出される仕組みになっている、これは一般的にそういう仕組みになっているというふうに考えておりますけれども、主計局長からお願いいたします。

杉本政府参考人 各年度当初の特別会計予算及び政府関係予算につきましては、一般会計とあわせて国会に提出し、御審議をいただいているところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。

 また、特別会計の業務に従事する職員の経費につきましては、こうした職員の給与、宿舎費、厚生経費は、それぞれの特別会計に経費として整理しているところでございまして、この点も委員御指摘のとおりでございます。

葉梨委員 私も党で、特別会計改革委員会のメンバーとして、平成十八年の特別会計改革に参加をいたしました。そのときは、公共事業特別会計チームのチームリーダーというのをさせていただいたんですけれども、何か、特別会計というのは無駄の巣窟であるような言い方で言われます。ただ、今まで国会審議をなされてこなかったわけじゃないんです。ちゃんと資料を要求すれば、財務省だってそれに十分こたえてきたはずなんです。ですから、その意味では、ある意味で国会議員自身が天につばをする議論じゃないかというふうに私は思います。

 また、もちろん、豪華になってはなりませんけれども、職員の給与や宿舎費、厚生費、これは税金を使って支出すべきものです。特別会計から出さなければ、これは一般会計から出すということになってまいります。

 しかも、道路特別会計について言いますと、道路特定財源、この一部は、直入という形で直接特別会計に入ります。しかしながら、それ以外の大半は、一たん一般会計の歳入となります。そして、そこから、道路整備費さらには職員厚生費、こういったものの査定を経た上で道路特別会計への予算づけがなされるわけですから、お金に色があるわけではありません、宿舎費が道路特定財源由来のお金なのか、あるいは消費税由来のお金なのか、これは基本的に余り意味のない議論なんです。

 ですから、道路特別会計から宿舎費を出す仕組みについては、もう既に国会審議を経た上で確立した仕組みになっているということを御指摘申し上げたいと思います。

 さらに、誤解に基づくと思われる考え方の第四に移らせていただきます。天下りの官僚支配をなくせば幾らでも財源があるという考え方です。

 先ほど、杉浦議員のところでもございました、十五・三兆円ですか。ただ、これにプラスして、高速道路をすべて無料化すれば一兆円かかります、それから、暫定税率を廃止すれば、国の取り分だけで一・九兆円かかりますというようなことで、計二・九兆円ぐらい、さらにかかってくるということでございます。これを、天下りをなくして無駄を排除することでできるかということなんですけれども、実は私、究極の天下りをなくすアイデアを持っています。これは、すべての国家公務員を首にすればいいんです。国家公務員が一人もいなくなれば、天下りはあり得ません。

 主計局長、平成二十年度予算における国家公務員の人件費の総額について、お答えください。

杉本政府参考人 平成二十年度における国家公務員の人件費は、一般会計、特別会計を合わせまして、五兆三千二百五十二億円でございます。

葉梨委員 五・三兆円ということです。先ほどの民主党の財源の中で、天下りをなくして一・三兆円、それから国家公務員の人件費節減で一・一兆円。ですから、国家公務員の全体の給与は五・三兆円ですから、残り二・九兆円しかありません。これがちょうど、高速道路を無料化するのにさらにかかる一兆円と、暫定税率の国の取り分の一・九兆円、計二・九兆円、これにかかってくるわけですね。ですから、国家公務員をすべて首にして天下りをなくしたところで、お金が天から降ってくるというわけではないということを御指摘申し上げたいと思います。

 次に、誤解に基づくと思われる考え方の第五に移らせていただきます。霞が関埋蔵金の話をすれば借金を忘れることができるということです。

 埋蔵金というのは、先ほど財務大臣も誤解があるんじゃないかと言われましたけれども、あるかもしれません。ただ、少なくとも、特会や政府関係機関の分は、既に国会での予算審議、決算審議を経ています。私自身は、より妥当な表現として言えば、これは上品に言えば貯金だし、わかりやすく言えばへそくりだというふうに思います。借金がそれ以上にあるということを忘れてはなりません。

 ちょっと比喩のお話を申し上げましょう。

 国を国民が雇った保安官に例えたいと思います。そこで、国民が毎月五十万円の給料で国男君という、鳩山ではありませんよ、国男君という保安官を雇いました。でも、この保安官は、五十万円では足りませんので、毎月三十万円の借金をしています。それをすべて仕事に使う約束ですけれども、会計報告も公開をしています。せっせと仕事をしています。その借金が今、積もり積もって八百万円あります。五十万円の給料、毎月三十万の借金、それで、積もり積もって八百万の借金。

 ところが、あるときに、国男君の奥さんで国子さんというのがいて、猪口邦子さんではありませんよ、将来への備えもあったらしいけれども、どうも何十万円かへそくりをしているということがわかりました。国民の一部は、国子さんがへそくりをしていたことが悪い、悪いと言って、給料を二万円下げましょう、四十八万にしましょうと。でも、そんなことをされたら、この国男さん、私は夜逃げするしかないんじゃないかなというふうに思います。

 たとえ埋蔵金があったとしても、毎年の確実な歳入にはなり得ません。その意味では安定的な財源とはなり得ないし、本来は借金の返済に充てるべきものと考えますけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、今は特別会計とか全部、財務諸表はオープンにされて、国会でも審議されているわけでございますから、そこは埋蔵金と言われるような筋合いのものはない。

 それから、特別会計といっても、先ほど言いましたように、国民年金とか厚生保険とか、国民に対して返さなければいけないお金を預かっている分野が多いわけでございますから、そこは葉梨委員のおっしゃるとおりだと私は思います。(発言する者あり)

葉梨委員 いろいろやじも飛んでいますけれども、この埋蔵金の議論は、我々もちょっと反省しなきゃいけないところがあるんです。

 というのは、昨年の十一月ですけれども、財政改革研究会、ちょうど私もいて、額賀大臣の前に慶応大学の権丈先生がお話しされたんですね。それで、権丈先生が、民主党は打ち出の小づちを持っているようだというペーパーを出して、民主党の政策をいろいろ批判されたんですが、それはきょうは紹介を申し上げません。そのときに、口頭で、これは言ってみたら霞が関埋蔵金伝説のたぐいですねと言ったのに、我々が、その言葉はいいといってぱっと飛びついちゃったんです。

 打ち出の小づちと言っておけばよかったんですよ、打ち出の小づちと。ただ、それが、それに飛びついちゃったものですから、党内の某有力者もまた飛びついてしまって、こんなような誤解のもとをつくったことについては、私自身もちょっと反省しなきゃいけないかなというふうに思いますが、へそくりがあるからといって毎年の収入がふえるわけではありません。借金が七百九十四兆円もあるんです。この現実を我々は直視しなければなりません。

 埋蔵金探しというのは、私は大いに結構だというふうに思います。でも、政治家が埋蔵金に頼り過ぎると、これは結果として、国民に大きな誤解とさらには最終的には失望を与えてしまう。それで、政治家がそれこそ山師になってしまうということを申し上げたいなというふうに思います。

 次に、緊急経済対策、二〇〇一年骨太等における公共事業のとらえ方についていきましょう。誤解に基づく考え方の第六として指摘をさせていただきたいと思います。

 これは、ちょっと前までは、道路工事といえば必要とも思えない穴掘りばかりやっていた、これからもどうせそうなんだろうという考え方です。これは私は、ある意味で素朴な国民感情じゃないかなというふうに思います。

 そこで、大田大臣にお聞きしたいと思います。

 平成十年の緊急経済対策や平成十一年の経済新生対策においては、私は資料にもお配りをしております、景気対策としての公共事業という考え方がとられておりました。宮沢さん、当時の大蔵大臣自体がみずからケインジアンと認めているわけですから、ケインズ経済学的な政策がとられていたのかなという感じがいたします。この考え方が、小泉内閣になりまして策定された二〇〇一年の骨太、これについても該当部分を資料としてお配りしておりますが、これにおいて大きく転換をいたしました。そして、公共事業は、真に必要な社会資本を整備するものと位置づけられたというふうに私自身は受け取っておりますけれども、大田大臣から御見解をお願いしたいと思います。

大田国務大臣 御指摘のように、経済新生対策までは、公共事業というのは景気対策としての側面が重視されておりました。しかし、財政状況が厳しい中で、しかも人口減少が進む中で、やはり貴重な日本の資源は真に必要な社会資本に向けていくという考え方で、骨太二〇〇一からは、一時的に需要をふやす効果というよりは、ストックとしての社会資本が経済の成長力や国民の豊かさをもたらすという、ストックとしての効果を重視する方向に転換いたしました。

 このような考え方で、これからも地域の自立、活性化ですとか経済の成長力、それから防災、安全、安心といったようなところを重視して、真に必要な社会資本整備に重点化、効率化させていくということが重要だと考えております。

葉梨委員 先ほどの国男さん、国子さんの例え話が余り評判がよくなかったそうですので。

 大場智満さんという元財務官、「世界ビジネスジョーク集」というのを出しています。

  モスクワの広い通りの真中で二人の労働者が働いている。一人が穴を掘る。もう一人がその穴を埋める。一カ所が終わると数メートル動いてまた穴を掘る。もう一人が穴を埋める。その繰り返しである。

  イギリスの観光客が不思議に思って尋ねた。

  「何をしているの。あんたたちはケインジアンか」

  労働者は答えた。

  「ケインズってなんだ。いつもは三人一組で働いている。一人が穴を掘る。二人目が苗木を置く。そして三人目が土をかける。今日は二人目の苗木の担当が風邪を引いた。だから二人でやるしかない」

これは計画経済を皮肉ったジョークでございますが……(発言する者あり)そういうことでございます。

 ジョン・メイナード・ケインズの雇用、利子及び貨幣に関する一般理論で述べられているということで非常に有名な話は、雇用対策としての公共事業、これであれば、それは極端に言って、穴を掘って穴を埋めるということだけでも雇用が創出される、そして乗数効果が生まれる、そういうような考え方であったからと思います。その考え方、つまり景気対策としての考え方をやめて、今、大田大臣が言われたように、まさにストック重視という形に変わってきているということです。

 穴を掘ってそれを埋めるという公共投資を行うことでも雇用が創出され、乗数効果を生むということになりますと、BバイCも相当やはり見方としてちょっと甘くなってくる。このことは、実はきょうもお配りしていますが、平成十三年の骨太、これについても、率直に当時の政府が閣議決定をして反省していることは間違いございません。

 ただ、当時はそういう時代だったんです。バブル崩壊後の恐慌に緊急に対処するために、地方では、余り必要がないと思われるような立派なホールが建てられた、そういう時期も確かにあったんです。その時期の公共事業というのは、それは主としてやはり景気対策であり、私は、雇用確保のためであったんだろうかなというふうに思います。

 それを最後として、つまり経済新生対策、これにおいては六・五兆円の補正予算での、補正予算ですね、ここに書いてありますとおり、これは地方も入れてですけれども、景気対策を行いました。その前の緊急経済対策では八・一兆円の公共事業を行いました。そして、その六・五兆円の、これが最後になったわけですけれども、大規模な補正予算を組んだ。このときは、連立与党でございました。連立与党が一生懸命すり合わせて行いました。そのときの与党である自由党の党首は小沢一郎という方でございます。

 ですから、景気対策として公共事業をとらえた場合、BバイC、これに関する考え方は明らかに平成十三年の骨太以降とは変わってくるんです。私自身は、小泉構造改革の意義というのはやはり極めて大きいんだというふうに思っています。我々自身は、もう既に大きな考え方の転換をしているわけです。

 ですから、昔の自自連立政権あるいは自自公連立政権、自自公連立政権が自公保になりましたのは二〇〇〇年ですから、それで大きく変わってくることになったわけですけれども、自自公連立政権までの公共事業に関する考え方、それが踏襲されているというふうな理解で、もしそういうような誤解でいろいろな質疑をされているとすれば、これはもうまさに前時代の考え方であるというふうに思っております。

 そして次に、第七に移らせていただきましょう。誤解に基づくと思われる考え方の第七でございます。今回の道路の中期計画の素案、これは、具体的な箇所も確定されておらず、財務省の査定を経ていない、いいかげんなものであるということでございます。

 ただ、資料をちょっと見ていただければ、平成十三年の骨太については、いわゆる公共事業に関する計画ということについて相当踏み込んだ書き方をしております。すなわち、公共投資に関する計画の硬直性、これについてはしっかりと打破していかなければならないというような記述がお配りした資料の中にも出てまいるわけでございます。この平成十三年の骨太でございます。

 かつては、いろいろな公共事業に関する計画というのは、私も役人で、いろいろな合い議を建設省からいただいたことがありましたけれども、今よりも相当な事業の具体名というのが書かれておりました。より一般的な計画を書くはずであるいわゆる全国総合開発計画、全総計画、これについても、紀淡の話もいろいろ出ましたけれども、具体的な事業というのをとんとんと書いて、そしてそれが何か公約、空証文になった場合もありますけれども、公約のような形になっていた。

 ですから、この公共投資に関する計画で具体的な事業名を記述するということは、ある意味で、建設官僚にとっては当時、力の源泉だったんです。計画をつくる段階で陳情に来ます、そして予算をつける段階でも陳情に来ます。今みたいに漠としたものだったら、昔の建設省と今の国土交通省では、それはもう陳情の仕方というのが相当変わってきたと思うんです。

 これは何で変わったかというと、打破したのは平成十三年の骨太です。計画というのは、対象となり得る箇所を積み上げた膨大なバックデータを背景にしつつ、時々の経済状況もある、財政状況もある、それから必要性が変わるということもある、そういうことを踏まえて、硬直的になっちゃいかぬということで、わざと、この事業の具体名を挙げるということは、改革の成果として厳に排するようになってきたわけなんです。これはやはり、小泉構造改革の成果だと思います。福田内閣になって小泉構造改革が変わってしまったということではないんです。大きな転換をもう既に我々はしていたということだと思います。

 そして、その上で、私は、党の歳出歳入の一体改革、公共事業担当の副主査というのも務めさせていただきました。その経験からすると、党の議論の中だって、財務省の主計官も来ている、主査も来ている、みんなで、どうやってコストカットをしていこうか、そういう議論を、国交省の方とも当然どんどん議論しながら、財務省の方ともどんどん議論しながら、そして、決して役人主導ということではなく、どこまで詰められる、どこまで切り詰められるということを一生懸命議論して、歳出歳入の一体改革の計画もつくってきました。その結果としてできたのが二〇〇六年の骨太ですよ。これは非常に大事なものだというふうに思っています。

 ですから、財務省の関与とか財務省の意見が全くこの中期計画の素案に入っていないなんということは、私はあり得ないんじゃないかなというふうに思っております。

 道路の中期計画の素案、これについて、具体的な事業に関する予算要求とは、これは明らかに性格を異にいたします。将来的には閣議決定されるべき性質のものであります。ですから、コスト削減などについて、やはり財務省の意見も大分反映されているというふうに私は考えますけれども、財務大臣からそこら辺のところについて御説明をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 葉梨委員のおっしゃるとおり、国土交通省から中期計画の素案が示されました。それで、事業量としては大体六十五兆円ということであります。

 その中で、我々は、整備目標としてはいいんじゃないかと。ただ、この経費についてはもうちょっとコスト縮減できないのか、いろいろな新技術が出たり、比較について考えてみたらどうだろうかとか、あるいはまた、まちづくり交付金というのをやっていますから、そういう中で、街路だとか道路だとか、そういうのはうまくかみ合わせていくことはできないのかとか、あるいはまた、渋滞対策等についてもいろいろな方法があるんじゃないか、そういうことを激しく議論し、協議した結果、五十九兆円を上回らない額という形で中期計画の目標額が決められたということでございます。

葉梨委員 ありがとうございました。

 そこのところは、決してこの計画というのは個々の事業を査定するという性質のものでもない、しかも、これは上回らない額であるということをやはりしっかり我々は押さえていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 では、この五十九兆円という計画、これについて、第八の誤解というのがあります。

 今回の道路の中期計画は、今も申し上げましたけれども、実のところを申し上げますと、小泉構造改革の成果をしっかり引き継いだものであるというふうに私は考えます。しかしながら、その誤解に基づく考え方というのは、今回の道路の中期計画(素案)は、小泉、安倍政権から福田政権になったのを奇貨として道路利権を復活する、ちょっとそういうような誤解に基づく考え方があるのではないかというふうに思います。

 では、具体的に今回の道路の中期計画というのはどれぐらいのボリュームを持つものかということで、資料の四を見ていただきたいと思います。これは、私が金曜日に自分で電卓で計算したんです。

 まず、暫定税率が適用になった以後の道路整備の五カ年計画、これの事業量を単年度平均いたします。単年度平均をしましても、物価の変動がございますので、二〇〇三年を基準年といたしまして消費者物価指数を割り返しました。ですから、二〇〇三年の貨幣価値における各五計、それから今回の中期計画の毎年の単年度の金額になるんです。

 しかも、今回の中期計画というのは、あくまで上回らない額ということですから、これをさらに下回るということで、暫定税率の適用後の各種の計画の中で最も低い計画になっている。ですから、その意味では、相当やはりつつましやかな、控え目な計画じゃないかなというような感じがいたします。

 ですから、これは、これから公共投資は二〇一一年にかけて一%から三%削減をしていきましょう、そして二〇一一年にはプライマリーバランスの黒字化を達成しましょう、そういった二〇〇六年の骨太に示された歳出歳入の一体改革、これを踏まえた成果であるというふうに考えます。

 ただ、この国会審議の過程で申し上げますと、六十五兆円がなぜ五十九兆円になったのか、これはちょっと不透明じゃないか、もう少し具体的にちゃんと説明してくれよというような要求が特に野党の委員を通じて結構たくさんあったわけでございます。本日、理事会でも、私はさっき聞いたんですが、資料が配付されたというふうにも聞いておりますけれども、大臣からそこのところをちょっと系統立てて御説明いただきたいなというふうに思います。

冬柴国務大臣 六十五兆円と見積もったのは、今、葉梨委員からもおっしゃいましたように、十五年から十九年の前の道路計画では、五年間に事業量は三十八兆円と決められていたわけでございます。したがいまして、これを倍いたしますと、十年間で七十六兆円というのが、今までの、前の事業量であったわけでございます。

 しかし、それを六十五兆にして、八五・五%でございますが、そしてそれをまた再度五十九兆ということは、前回から比べれば、七七・六%、二割以上切り込んだ総額になっております。

 しかしながら、これは、どうしてするかということにつきまして、きょうお配りをいたしました資料の二ページ目をちょっと見ていただきたいんですけれども、私どもは、具体的には、コスト構造改善プログラムというものに基づいて徹底したコスト削減をやっていこうと。それは、事業量全体の約五%の縮減を図るということで、この中の図面では青いところの右側に残した1という白地の部分でございまして、その部分を五%は削減させていただきたい。

 それから二番目は、まちづくり、地域づくりと一体となって行う道路整備など、ほかの事業を活用することにより、これによって生活幹線ネットワークの形成、すなわちここの2の1と上に書いてある部分でございますが、あるいは下の、安心な市街地の形成、幹線のネットワークの形成、これも下に2の1と書いてありますが、この白地の部分を削減できるということで、事業量を二兆円削減させていただきたいということでございます。

 それから三番目には、高速道路の料金の引き下げ、あるいはスマートインターチェンジなどの他の施策というものを活用いたしまして、渋滞対策の重点対策箇所、こういうものが百五十カ所に相当する部分、全体の五%でございますが、その金額、一兆円を削減することができる、これはここで2の2と書いてある白い部分でございます。

 こういうことで、現在の五十九兆円の事業規模は、現行の社会資本整備重点計画の事業量に比べましても約二割の大幅な削減を行っているわけでありまして、決して過大なものではないと思います。

 なお、細かい部分につきましては、ここに書いてありますが、大変詳しく書かれてありますので、また説明の機会を与えていただきたいと思います。

葉梨委員 そこら辺のところは、しっかりと野党の委員にもわかりやすくこれからお答えをしていただきたいなというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、今回の中期計画というのが、今も申し上げておりますように、小泉構造改革の成果を十分に反映したものであるということを私は申し上げたいと思います。

 第九の誤解に移らせていただきます。

 誤解に基づくと思われる考え方の第九、それは、道路特定財源があるから無駄な道路がつくられるということです。現在、平成十九年度で結構です、国、地方を通じての道路整備事業は道路特定財源の歳入を上回っていますか、下回っていますか。政府参考人、よろしくお願いします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年度の国、地方を通じての道路整備事業量は約五・八兆円でございます。さらに、地方単独分の二・三兆円を加えた八・一兆円が総道路投資額となります。一方、道路特定財源の歳入は五・六兆円となっておりまして、道路整備事業量は道路特定財源の歳入を上回っております。

葉梨委員 今おっしゃられたように、国、地方を通じて、道路特定財源の歳入よりも、財政状況、今はもう国も地方も大変厳しいですよね、だけれども、この厳しい中でも、道路整備の費用というのは道路特定財源を上回っているということなんです。

 道路特定財源が仮になくなったときのことについて、暫定税率ということじゃなくて、今度は財務大臣と国交大臣に、それぞれ簡潔にお答え願いたいんですが、仮に道路特定財源が全くなかった場合、真に必要な道路には予算をつけるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。イエスかノーかで結構でございます。

冬柴国務大臣 この点については、何回も答弁しておりますように、国、地方合わせて二・六兆円の税収減を伴います。したがいまして、道路予算を大幅に削減するか、その他の歳出を削減ないしは国債を増発するかということが避けられない、このようなことになると思います。

額賀国務大臣 道路は、必要なものは私は出てくると思いますし、それから、新しい道路をつくると同時に、これからは、維持管理とかそういうことにも膨大なお金がかかるという時代に入ってくると思います。

葉梨委員 結局、この議論は、必要な道路をつくるための負担をだれにお願いするかという議論なんです。今財務大臣からもお話があったとおり、暫定税率じゃありませんよ、道路特定財源すべてがたとえゼロだったにしたって、必要な道路はつくらなければなりません。

 暫定税率分二・六兆円について申し上げれば、それに見合う金額の消費税を一%上げてもらえれば、国交省の役人はどう言うかわからないけれども、財務省の役人にとってはそれでいいんです、シーリングがかかっているわけですから。二・六兆円、消費税一%上げれば入ってきます。お金に色があるわけじゃありませんから、それを道路に使えばいい。それだけの話なんです。お金に色はありません。道路をつくるためには車を使っている方からより多くの負担をいただきたいというメッセージを持つのが道路特定財源という言葉であって、お金には色がないんです。税金を負担していただくというユーザーへの強力なメッセージだ。

 これは私は、道路をつくるためには、車を使っている方からはより多くのお金をいただきますよ、でも、余ったらほかのことにも使わせてくださいねということ、これでいいと思うんですよ。税金を負担していただくユーザーに強力なメッセージを発して、財政の硬直化を防ぐとともに、特定財源があろうがなかろうが、道路はつくらなきゃいけないんです。結局は支出しなければならない道路整備費用、これを上回る税収となればこれを活用するという内容で、私は、今回の法案というのは至極当たり前の法案だというふうに思います。

 必要な道路の事業量がある以上、一般財源であるとか特定財源であるとかという議論は、私は、本質的には余り意味のない議論であって、意味があるのは、必要な事業量を確保するということと、それを消費税でやりますか、ガソリン税でやりますか、その選択なんです。我々はガソリン税でやった方がいいと思うから、ユーザー向けのメッセージをしっかり法律に書きながら、この法案を提案しているということだろうというふうに思います。

 最後に、第十の誤解について申し上げたいと思います。あと五分ぐらいになってまいりました。

 第十の誤解、今回の道路の中期計画を十カ年計画としたのは道路族の利権を守るためであるというような誤解でございます。

 私は、公明党の大臣が、自民党の道路族というのがいるのかどうか知りませんけれども、その利権を守りたいと考えているとは到底思えないんですね。

 でも、この十年間というのは、私は極めて大切な十年だというふうに思います。ちょっとつぶれてしまっているので、これは見ていただいたらわかるんですが、資料の五でございます。社会資本、先ほども議論がありましたけれども、維持更新にかかる支出というのはどんどんふえてまいります。ただ、一方、さはさりながら、二〇〇六年の骨太にも示されましたように、少なくとも二〇一一年までは、公共投資というのは名目額で一%から三%削っていかなければなりません。そして、その二〇一一年以降も、少子高齢化というのは進んでまいります。歳出改革の要請というのはやはりまだまだ強いものがあるだろうというふうに思います。

 そこで、この試算は、一%ぐらいずつ毎年公共投資を削っていくと、大体二〇三〇年ぐらいで新規の投資はできなくなります、そして維持更新しかできなくなりますという試算です。二%ずつ削っていきますと、二〇二〇年をちょっと過ぎたあたりで新規の投資はできなくなります、維持更新しかできなくなります。三%削ると、ちょっと私は計算していないんですが、その伝でまいりますと、二〇一〇年代の終わりぐらいには、もう本当に新規の投資ができなくなります、それから維持更新しかできなくなります、そういう時代が訪れてくるということなんです。

 当然、一%から三%までのアローアンスが二〇〇六年の骨太にはありますけれども、いずれにしても、あと十年ぐらいしたら非常に厳しい財政状況が続いていくことになると、あと十年ですよ、あと十年で新規の投資というのが、孫子の代にいろいろな社会資本をつくっていく、それができなくなっちゃうということをこの試算は示しているわけです。

 ですから、二〇〇六年の骨太に示された歳出改革、これを踏まえますと、二〇二〇年前後には、更新の投資、これが新規投資に極めて大きな制約を加えてまいります。子孫のため、どのような社会資本を残していくかという観点からは、あと十年は、この十年というのは我が国にとって私は最後のチャンスだと思います。

 小泉改革の成果を踏まえた効率的で透明性の高い公共投資を行いつつ、道路という社会資本を概成させることについて、大臣から御決意を承りたいと思います。

冬柴国務大臣 今おっしゃったとおりでございまして、本格的な人口減少社会を迎える十年、それから、高度成長時代につくられた道路及びその橋梁、トンネル等、そういうようなもののいわゆる本格的な更新投資期を迎える十年、その残された十年はまことに貴重だと思います。

 現状におきましても、基幹の道路がぶつぶつに切れているというのが全国諸所に見えるわけでございます。私は、そういう意味で、こういうものが、国民が納得できるような、そしてまた子供たち、孫たちの世代になっても、この国が安全で安心であり、そして成長力を維持しながら、また、国際競争力も強化されながら、地方もまた活性化できるような、そのような道路を今整備しなければ、残された十年、本当に大事なときだと、私はかたくかたく信じます。

 国民の皆様方に、本当に苦しい、このような厳しいガソリンの値段の高いときにこれの暫定税率の維持を私はお願いするのは、そのような、我々今を生きる大人たちが次の世代のためにやってやることの必要な、本当に必要な時期だ、そのように思うからでございます。どうか、本当に御理解を賜りたいと思います。

葉梨委員 ありがとうございました。

 本日は、この来年度予算に係る十個ほどの誤解に基づく考え方というのが世の中にあるんじゃないのかなというような気がしたものですから、そこら辺を正す意味でも質問をさせていただきました。

 最後のポイントというのは極めて重要でございます。この道路の中期計画というのは、一万四千キロを高規格幹線道で全部つくると言っているものではありません。ただ、一万四千キロのネットワークというのは、ある意味でこれは必要性はないというわけではない。では、どうつくるかというのを、ここは現道でいきましょう、ここは高規格幹線道でいきましょう、ここは暫定二車でいきましょう、何もつくらないでいきましょう、これは今の道を使っていきましょう、そういうことも含めて個別にしっかりと見ていく。その中で、本当に子供たちに、無駄遣いじゃない、いいものを残していくということだということを最後に御主張申し上げたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて葉梨君の質疑は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは、予算委員会の貴重な時間をちょうだいいたしました。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 初めに、中国産の冷凍食品問題について若干の質問をさせていただきます。

 この問題は、現在、食料のカロリーベースの自給率四〇%を切るという日本のこの食料事情の中にあって大変重要な課題をはらんでいる、こういうふうに思っておりまして、ぜひとも前向きな対応をお願いしたいと思います。

 まず初めに、最近マスコミ等で報道されるこの冷凍食品問題、つまり農薬の混入問題ですが、複数の製造元からの農薬混入が認められる、しかも、農薬の種類も何種類か出てくるようになっております。そのすべてが高濃度というわけではありませんけれども、かなりの広がりが見えているのではないか、こういうふうに考えておりまして、今現在、やはり、どの冷凍食品を購入すればいいのかということが国民にとってわかりにくい、大変不安な事態になっているのではないかと思っております。

 そんな意味で、すべての輸入元に対して農薬の検査を現在要請しているのかどうか、基本的なことをまずお伺いしたいと思います。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、従来より、輸入食品監視指導計画に基づき、輸入者に対し、加工食品の原材料が残留農薬基準に適合するかなど、自主管理の指導を行ってまいりました。

 しかしながら、中国産冷凍加工食品に関し基準値を超える農薬が検出され、自主回収が行われる事例が複数報告されていることを踏まえ、問題となった製造業者の製品については、輸入の都度、輸入者に農薬の検査を指導し、また、すべての輸入者に対し原材料及び製造加工工程の管理を求め、あわせて、これまでの一連の事案において検出された農薬について、加工食品のモニタリング検査を開始したところであります。

 今後とも、輸入食品の衛生確保は一義的に輸入者にあることを踏まえ、必要とされる対策を通じ、輸入者の自主管理の推進を図ってまいりたいと考えております。

西委員 今お話がありましたことを初めとして政府は再発の防止策をおまとめになったということでございますが、十八日の政府・与党連絡会議で我が党の太田代表も提案いたしました、食品業者から保健所への通報、報告体制の整備などを含め、舛添厚生労働大臣には大変迅速に対応していただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 さて、先日の農水委員会でも私も申し上げましたとおり、中国産の冷凍ギョーザ中毒事件の真相はまだ解明されておりませんが、真相を待つまでもなく、やはり、できることは先々と行っていくべきである、こう思います。

 そんな意味で、中国政府に対して、輸出野菜検査検疫管理弁法の登録制度の見直しや農薬の使用制限などについて技術的な問題を積極的にこれから協議をしていただきたい、こう思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 この中毒事件の原因究明がまだなされておりませんけれども、しかし、できることからやっていこうということで、先般、二十二日に閣僚会議を開きまして、何ができるかということを検討いたしました。

 先ほど藤崎局長が答えましたように、輸入業者を指導して、もう中国から出る段階でちゃんと検査しなさい、それから検査の技術があるものについては、もう今モニタリングしてあけてみるというようなこともやっております。今委員御指摘の中国の検疫管理弁法がありますけれども、こういうことも活用して何かできないか、これは中国側と緊密に連絡をしてまいりたいと思います。

 実は、三年前でしたか、日本の厚生労働大臣と中国のカウンターパートとの間で覚書を交わしてありまして、こういうことをきちんとやるようにということですから、委員の御提案も含めまして対応してまいりたいと思います。

西委員 中国の検疫体制における技術的なハード、ソフト含めての支援ということも日本ができる大事な側面ではないかと思いますので、総合的な対応をお願いしたい、こう思っております。

 続きまして、今、日本の農業を取り巻く世界情勢、これはもう大きく変わり始めているというふうに思います。

 まず初めに、発展途上国の人口増加、それから経済発展などに伴う穀物需要の急増、それから地球温暖化などに対する生産の不安定化、さらにはバイオエタノール生産の増大による食料需給との競合、こんないろいろな要素が絡みまして、いよいよ食料の争奪戦、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、そういう様相が現実味を帯びてきたというふうに考えられます。

 政府は、こうした情勢の変化を受けて、国民に対する食料の安定供給の確保を図るための方法について議論するとともに、食料問題に関する認識を国民全体で共有するということを目標にして、食料の未来を描く戦略会議という組織を設置したということをお聞きしております。これは、三月末におまとめになるということを聞いておりますけれども、今後この戦略会議で描かれることとなる食の未来図、これは今後の日本の農業政策に大きな影響と方向性を与えることになるというふうに考えております。

 この食料の未来を描く戦略会議の提言と今後の農業政策との関連をどのようにお考えになっておられるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 委員が御指摘になりましたように、世界の食料事情は大きく変化をいたしてきております。そういう意味で、食料問題についての国民的な関心も高まってきているというふうな状況になっております。

 こういう中で、昨年の七月、私が主宰をしまして、食料の未来を描く戦略会議というものを立ち上げました。ここでは、世界の状況を正確に把握した上で、国民に対する食料の安定供給の確保を図るための方向性というものにつきまして、生産面のみならず、加工、流通や消費も含めまして有識者に御議論をいただいておりまして、来月を目途に提言を取りまとめていただく予定としております。

 政府としては、この提言を多くの国民に対して広く発信をし、食料問題をみずからの問題として認識していただきたく国民的な議論を巻き起こしたい、このように考えているわけでございまして、提言を受けましたら、食料の安定供給に必要な政策につきまして早急に取りまとめをした上で、速やかにこれをできるところから実行に移していきたい、このように考えております。

西委員 今大臣から御答弁ありました。しかし私は、それに加えて、この提言がまとまり、それが政策に反映され、そして、その次の段階でやはりその提言のとおり食料政策が進んでいるのかどうか、ここがもう一つの課題ではないかと思います。

 気候条件の変化等もありますし、日々刻々と食料事情は変わってまいります。提言のとおりすべて毎年いくとは限りません。小麦が不作であったり、いろいろな条件が、世界情勢が変わってまいりますので、その刻々と変動する食料事情を情報収集し、そしてそれが常に施策に反映されるというサイクルをぜひとも、今後ともさらに陣容を強化してつくっていただきたいと思いますが、大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。

若林国務大臣 今委員が御指摘のように、世界の食料事情は刻々と事情の変化が進んでいくわけでございます。そういう意味で、来年度、平成二十年度から、農林水産省の中に食料安全保障課という組織を立ち上げまして、世界の各地におきます食料の生産あるいは食料需給に影響を及ぼすであろう食料需要の変化などについて、情報を収集し、一元化し、これを分析しまして、そのことによりまして、国内の生産はもとよりでありますが、輸入の安定的な確保、さらに備蓄、そして安定的な食料供給がしっかりと守れるようにする、そういう戦略本部を立ち上げたいと思っております。

西委員 次の課題に行きたいと思います。

 今後の農業政策の方向性について議論をさせていただきたいと思います。

 農林水産省は、今まで、どちらかというと生産者重視の観点から政策を展開してまいりました。それに対して、やはり生産から販売、消費、そして輸入など、総合的な食料全体を取り巻く政策へと転換を既にされようとしている、これは大変重要なことで、私は評価したいと思います。

 安心、安全な食料をいかに安定的に確保していくかという観点から農業政策を考えると、厳しい国際価格競争の中で食料自給率の向上を図る、これは、先ほども他の議員から議論がありましたように、大変重要なことになるというふうに思います。そんな意味で、どうしても国内の生産体制を強化していかざるを得ない、こう思っております。

 そこで、きょうは、農業会社、農業経営家の育成、それから、輸出、日本食の普及など販路、消費拡大、この二点について御質問申し上げたいと思います。

 これまでの農業者は、専ら生産に努力を集中してまいりました。いわゆる篤農家と言われる農家も、基本的にはそういうことでございました。そして、みずから販売に取り組むということも余り行ってきませんでした。家族経営的な農家が多いということも反映して、生産した農産物について価格交渉力が発揮できなかったというのが現状だと思います。

 これまでも、農林水産委員会の質疑などを通して、生産から流通、販売まで考える農業経営家、農業会社、一般的には農業生産法人とか言いますが、農業会社と言った方がわかりやすいかと思って申し上げておりますが、そのような経営体の育成や設立の支援をする、もしくは、販売や営業にたけている一般企業との連携でこの経営的な側面を強化していく、こういう必要性を訴えてきました。

 例えば、トヨタのプリウスという車がありますけれども、これはもう皆さん御存じだと思いますが、ガソリンと電気のエネルギーを利用して、低燃費、低排出ガスなどの環境的性能だけではなくて、基本的な性能も高い、こういう評価をされているハイブリッド車でございます。

 日本の農業も、すぐれた知恵やノウハウを持つ一般企業と高い品質の農産物を生産する農家のハイブリッドな農業会社が、環境保全型農業で安全、安心な食料を提供、販売していく、いわばハイブリッド農業と呼ぶべきものを将来の姿として目指していってはどうかというふうに考えております。

 株式会社が無差別に参入をすることによって農地が壊されていくということ、これはもちろん避けなければいけませんが、農業にやはり経営的側面をこれからどんどん注入していくという意味での提案でございます。

 農業会社等の育成やハイブリッド農業について、若林大臣の御見解をお願いしたいと思います。

若林国務大臣 委員がおっしゃられましたように、言うなれば、農業経営をハイブリッド化していく、そして、単なる生産のみならず、流通あるいは加工の企業のノウハウ、情報なども取り入れた形で農業自身がそのような複合的な経営という形に変わっていくということを、方向性としては大変好ましいものと考えているわけでございます。

 一つ例を挙げさせていただくと、石川県に六星という株式会社がございます。この株式会社は、資本金は二千四百三十万円でございますが、主要の事業として、稲作や大豆、野菜などの作業受託をするほか、農産物の加工、直売店なども行っております。そして、これらの生産物を全国のデパートなどに出品したり、顧客の声に耳を傾けて、的確なニーズを把握していろいろな商品をつくり上げております。例えば、やわらかく蒸した黒豆をたっぷり使った豆板餅でありますとか、そういうようなものをやりまして、全体の売り上げは六億円を上げているというような事例もございます。

 最近の集落営農の発展型として、新潟県の、これは有限会社でありますが、神林カントリー農園というのがございます。ここでは、売り上げは一億八千万円でございますけれども、ここでの農産加工品としては、きねつきのもちをつくる、あるいは玄米コーヒーをつくる、笹だんごをつくる、また田舎みそを手づくりでする、梅干しをつくるといったような加工商品の開発などもいたしまして、積極的にデパートやスーパーなどにも出店をいたしまして、消費者との直接販売も機動的に行っているというような事例も生まれてきております。

 あと、観光農業とのつながりといったようなことも芽生えてきているのが状況でございます。

 土地利用型農業を含めまして、農業全体として農業所得を上げるためには、やはりこのように、生産のみならず加工販売の分野にも進出をし、販路の拡大や新商品の開発などを行うことによりまして経営発展を図っていくというのは有力な手法だというふうに考えております。

 また、資本調達の多様化とか取引信用力の向上とか家計と経営の分離、経営管理の徹底を図るためには、やはり法人化を進めるということが重要ではないかというふうに考えておりまして、担い手のアクションサポート事業を支援するとか、あるいは強い農業づくりの交付金を活用して、農産物の処理加工施設や直売所を支援するといったようなさまざまな支援もいたしております。

 二十年度からは、農商工連携の取り組みというものを推進しまして、このために実は法案も用意して、御審議をお願いすることになっておりますけれども、地域の基幹産業であります農林水産業と商業、工業の分野が連携をしまして、地域産品の販売の促進、新商品の開発、地域産業におけるイノベーションの促進などに対する支援を実施していきたい。このようなことを通じて、加工、販売や観光事業など、経営の多角化や複合化による経営発展をなし遂げていくような、そういう事業体というようなものも育成をしていく。

 すべてがそのようになっていくというわけではありません。家族農業というものも大事な要素でございます。それらさまざまな経営の類型というものに応じまして、今申し上げたような新しい形の経営類型につきましても、将来これが発展をしていくような基礎固めができるように応援をしていきたい、そのように考えております。

西委員 数々の実例を挙げていただきましたが、そういう例が各地にございますので、適地適作、その方向性を見出すためにも、広く各地にそういう実例を広めていただければというふうに思います。

 次に、米の輸出の問題について質問をさせていただきたいと思います、ちょっと時間が押してまいりましたので、はしょる部分もございますが。

 この米の輸出戦略において、農水省の資料によると、重点国として指定されている国のほかに、ブラジル、イギリス、フランス、ヨーロッパですね、それから韓国、タイ、オーストラリア、ロシア、こういう主要都市に、ある程度の日本食のレストランがあります。この国は重点国には指定されていませんが、日本食ブームを食文化として定着させるためにも、これらの国々への米など日本食の輸出をしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 戦略的に進めていただくことになるんですが、目標が大事だというふうに思っておりまして、現在は米の輸出はわずか千トン弱という、ほとんどないに等しい量ですが、例えば、米輸出十倍プランなどを策定して具体的に取り組んでいただくことを提案したいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 御承知のように、今世界各地で日本食ブームというのが起こっております。これは、健康視点でありますとか、食文化としての日本の食というものへの注目が集まっているわけでございます。このような日本食のレストランなどがだんだんその水準を上げていきますと、食材も日本から調達をするというような方向に動きつつあるわけでございます。その意味では、米のみならず他の日本の食材というようなものを、日本食のレストランの普及拡大に合わせましてこれが進んでいくということを我々としては推進していきたいと考えているわけでございます。

 この輸出目標につきましては、平成二十五年までに一兆円規模の輸出を達成するという目標を掲げて、官民一体となって、輸出環境の整備とか、意欲ある農林漁業者などの支援を行っているところでございます。この目標の達成に向けまして、米の輸出拡大を図るためには、諸外国の高所得者層をターゲットとした販売を基本としまして、日本の米が持つ食味や品質のよさといった強みを生かしながらこの普及を図っていく。

 私自身も昨年来中国の幹部ともいろいろと話を進めまして、日本の米の輸出の解禁の方向性というのを合意したわけでございます。この三月までに百五十トンを実証的に出すことは、既に着々実績を上げておりますが、それまでの間に、検疫上の問題がございますので、日本の米に付着します病害虫を心配している向きが多いわけでございますが、対中国との間ではかなり技術的な詰めを行いまして、今それが心配がないということを確認、実証いたしますれば、四月からは数量的な制限なしに商業ベースで日本の米が輸出できるというような状況がようやくでき上がってきているところでございます。

 今、米自身について、今のお話のように、十倍プランといったような、そういう基礎を持っているわけじゃありませんが、やはり検疫上の問題をクリアしながら、その商品性というようなものについて国際的な評価の高まりを見ながら、これから米の輸出についても積極的に取り組んでいく、そういう中で一定の計画も立案できるようになるのではないかということを考えているわけでございます。

    〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

西委員 私は和歌山で、果樹等についても大変関心があるんですが、検疫上の課題も克服していただいて、さらに広めていただきたいと思います。

 また、先日の農水委員会でのハラール食品への対応とか、さらには中国の商標の問題とか、課題があると思いますが、細かいことではございますが、対応して輸出の促進をお願いしたいと思います。

 さて、最後に、学校での米飯給食について御質問を申し上げたいと思います。

 米の消費拡大のために、さまざまな取り組みが今行われております。先日も、ある業界団体の方から、お米マイスターというお米のプロが一年間で五百校以上の学校に行って出前授業をして、お米のことについての話をしていただいている、こういうふうにお伺いしました。また、全国ブレンド競技グランプリ開催に際し、コーヒーのブレンドのように、お米をブレンドしてよりおいしいお米を創作しようという試みも行っているんだそうでございます。こうした地道な活動に対してしっかりと支援をしていただきたいと思います。

 米飯給食につきましては、文科省では、昭和六十年に、当時の文部省体育局長裁定の米飯給食の推進についてという文書が出されておりまして、週三回程度を目標に取り組んでいただいてきました。これまで、関係者の御努力のおかげで、自治体間でばらつきがあって若干都市部ではまだ少ない傾向があるというふうにお伺いしておりますが、平均的に二・九回ということで、週三回の目標に近くなってまいりました。

 一方、政府は、食育推進基本計画で、望ましい食生活や食料の生産等に対する子供の関心と理解を深め、地産地消を進めていくため、学校給食における地場産物の活用の推進や米飯給食の一層の普及、定着に取り組むべき、こういうふうに施策を策定していただいております。

 そんな意味で、米飯給食の目標を週三回から四回に引き上げていただいて、一層のお取り組みをいただくように渡海文部科学大臣にお願いしたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

渡海国務大臣 米飯給食の意義については今委員からよくお話をいただきました。日本の根幹は米飯でございますから、正しい食生活を身につける、また、地域のいろいろなメニューというのは大体米を中心にできておりますから、ふるさとのいろいろな地産地消、またふるさとの食生活、文化、こういったものの教育的意義もあるわけであります。

 今おっしゃったような、週三回ということで二十数年間続けてまいりました。ばらつきがありまして、まだちょっと低いところもあるようでございます。なお今後、そういったところ、すべての学校において、やはり三回を目指して頑張っていきたいというふうに思っております。

 また、米飯の供給体制、御飯を炊いてちゃんとできるかどうか、こういった問題もまだございますので、当面は、すべての学校で三回ということをしっかりやってほしいということを普及啓発していきながら、今モデル事業もいろいろやっておりますので、さらなる促進に向けて検討を続けていきたい、そのように考えております。

西委員 ありがとうございます。さらにもう一歩の促進をお願いしたいと思います。

 最後に、政府米の無償交付制度というものがございます。備蓄されている政府米を無償で交付するということでございますが、しかし、交付されるのが現在では古米であるとか、交付の条件に制約があります。そんなことで余り活用されていないというふうにお聞きしております。また、学校給食用の米粉のパンの原料についても同様な事情のようでございます。

 これらの制度について、米飯給食の一層の取り組みを支援していただくために、ぜひとも改善をしていただきたいというふうに思います。そのことによって学校現場においてもさらに米飯給食のチャンスがふえる、こういうことになると思います。

 具体的にはまた農水委員会等で議論させていただきたいんですが、新米を交付する、それから増加分の十割交付ということも視野に入れていただきたい、それから交付期間を複数年としていただきたい、既に目標を超えて米飯給食に熱心なところがそれなりのメリットを受けられるようにしていただきたい、それから米粉パンの特例措置について、無償交付化するなど、見直しをぜひしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。お願いいたします。

若林国務大臣 学校給食に米飯を中心としたいわば日本型の食生活、食文化というようなものを積極的に導入していくということは大変大事な問題だというふうに認識いたしておりまして、これが伸び悩んでおります中で政府米をどのように有効に活用し、この推進に使っていくかというのは、大きな課題だというふうに思っております。

 今委員が挙げられましたそれぞれの幾つかの課題というのは我々も共有をいたしておりまして、少なくとも増加分について努力をして、増加をした部分については新米を供給することも考えていくなども含めまして、また、米粉パンの普及というものも、パン業者との関係がございますけれども、米粉パンという形で、地産地消でこれを推進する方策はあるのじゃないかという問題意識も持っております。それらについて、なお今後積極的な姿勢で検討を深めたい、このように思っております。

西委員 これは財政的な面もありまして、財務大臣等の協力も得なければ進まない部分もあるかと思いますが、積極的な推進をお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠藤(利)委員長代理 これにて西君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 大変貴重な予算委員会での質疑の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げ、やはり私自身もずっと考えておりますが、本当に今の税金が無駄なく使われているのか、そしてこれからも無駄なく使われるのかということを心配もしております。その検証というのは、本当にやっていて難しいことが多くありますので、その点で感じたこと。

 また、今までも、まちづくり三法をやっているときから、地下駐車場に非常に不思議さを感じております。それは本当に必要だったのか。また、これが生み出すビジネスというんでしょうか、天下りビジネスともいうようなもの、もしくは、我が党でよく言いますけれども、創造型の天下りというものですね、法律ができて、それのために地下駐車場をつくるというような、そういうようなことも見受けられます。

 また、本日質問させていただきますのは、こういう天下り財団だけでなく、地下駐車場はほかにもつくっております。上野広小路の地下駐車場の例を挙げさせていただきますが、これにおいても、地下駐車場をつくるにおいて巨額な投資、これは主体は台東区ではありますけれども、これに道路特定財源が使われているということは掲示板にも掲げられております。それによって追加予算等が出て、また、こんなものがどうして今まで、そこに出るまでに予算がつぎ込まれてしまい、それを見逃すようなシステムで道路特定財源が垂れ流しされるというようなことが起きていたのか、ぜひその点に関してお答えをいただきたいと思い、質問させていただきます。

 さて、国土交通大臣におきましては、この道路特定財源、特に財団法人駐車場整備推進機構については本当に連日のように質問が起きておりますし、最近は、地下だけでなく、マンションとかETCとかいろいろなところに触手を伸ばしていらっしゃって、駐輪場もやろうとしていますので、いろいろなところに広げているんですが、これについては、恐らく大分お詳しくなったことかと思います。これは後ほど質問をさせていただきます。

 その前に、財団法人だけでなく、実は道路特定財源というのは、別の意味でまた、これは先ほども言いまして繰り返しになりますが、台東区が主体で、上野広小路のところに三百台収容の地下駐車場を、三者、東京都、台東区、そして東京メトロでつくるという事業が今進み、工事も進んでおります。この工事によって渋滞緩和と言っておりますが、地元の方からは、長年の工事によって非常に渋滞が起きていて困るというような話も聞いております。

 本日、それについて質問するんですが、配付させていただきました資料、こちらの方に、個別外部監査報告書、台東区個別外部監査人ということで監査が行われました。この資料をもとにお話をさせていただきたいと思います。これは台東区のホームページで公開をされておりますので、どうぞ御興味のある方はすべてごらんいただければとも思います。

 これですけれども、二ページ目のところをあけていただくと、東京都台東区事務監査請求書というのがございます、四角く囲っている中であります。この中において、三百台、また総事業費百三十五億円、台東区の負担は約九十九億円としているということがあります。しかし、設備とか地下道とか、全部を合わせると大体三百億円の工事費、建設費がかかる、事業費がかかる事業でもあります。正直、これはかなり大きなものだと思います。

 そして、これの構造なんですけれども、これは大分後になりますが、資料の十一ページ、後ろから三枚目ぐらいですか、ごらんいただきますと、断面図をつけさせていただきました。こちらの方、断面図を見ていただきますとわかるように、東京メトロの銀座線の下を上野地下歩行者専用道路と上野広小路駐車場という、こういう三層になっている巨大な建造物でもあります。工事も非常に難しいのではないかというふうに思われます。そして、これは三百億かけてつくっていた。

 しかし、何が問題になったかといえば、申しわけございません、お戻りいただけますでしょうか、二枚目になります。これは、大体三十五億円の追加補正予算で出入り口をつくりました。そして、実際には、出口のない地下駐車場をずっとつくっていた。

 この点に関しては、ごめんなさい、あちこち行って申しわけないんですが、九ページ目ですね、これが一番わかりやすいかと思うんですが、時系列で言いますと、平成十二年にPC設計に対して上野広小路駐車場建設に関する詳細設計を委託、PC設計というのが略語なのかどうかというところもあるんですが。そして、平成十二年に基本協定の締結があって、そして、議会の方では定例区議会が平成十四年、当初協定の締結が平成十四年、同じ年にあります。

 ところが、平成十七年、もう工事も始まっておりますが、そこから追加変更額が三十五億円ほど、二年間の工期延長というものが決まってまいります。そして、その中身は何かというと、平成十八年三月一日でありますけれども、変更協定締結ということで問題点が外部監査の方から出ております。約三十五億円の増加額のうち、協定から除かれた出入り口、出庫スロープ、路面復旧関係の工事がここで追加されるとあります。

 早い話が、先ほども言いましたが、一カ所から入って、地下駐車場に入っていったはいいが出口がない、こういった工事をずっと続けてきたことになります。これに道路特定財源が入っているということでもありまして、これはどれぐらい道路特定財源が入っていたのか。

 実際に私は写真を撮ってまいりました。一番最後のページ。掲示板で高々と街路に絵つきで書いてあります。これは入り口の近くなんですが、「この工事はガソリン税、自動車重量税等の道路特定財源で行っています。」とはっきり書いてくださっています。そして、下のところ、一応この追加予算でできました建設中の出口も写真を撮らせていただきました。

 こういった道路特定財源の使い道というものがどうして許されていたのか、その点に関しまして御意見がありましたら、お聞かせください。

冬柴国務大臣 上野広小路駐車場につきましては、平成十年度の補助事業の交付申請がなされているわけですが、そのときにおきましては、全体事業の中に駐車場出口が当然計上されており、平成十二年度に東京都、台東区それから東京メトロの間で締結された費用負担割合等を定めた基本協定の範囲にも、当然に駐車場出口は含まれていたわけでございます。したがって、当初設計で出口がない事実はなく、チェックなく支出した事実もございません。

 ただ、平成十四年度に概算工事費や詳細な費用負担割合などを定めた施行協定を締結する際に、駐車場出口について、地元の関係から内容が詳細に確定していなかったそうです。そのために、これを除いた部分を対象に、締結を三者で行っております。その後、平成十七年度には出口部分の内容が確定したため、施行協定を変更し、出口を追加したということになっております。

 なお、出口の詳細は、平成十四年度当時は確定できなかったとはいえ、概算での積算は可能であり、平成十四年度の施行協定締結時においては、出口を含めて締結すべきであったと思われます。

 しかしながら、これは施行協定締結時の手続上の問題でありまして、当初設計や補助事業の認可においては、御指摘のような無駄があったとかというような性質のものではないということを御理解いただきたいと思います。

小宮山(泰)委員 大臣、詳細をお調べいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、資料六ページを見ればわかるように、当初からないんですよ。それで負担をされたというけれども、出口が最初からないというのはおかしな話じゃないですか。こういったことを放置して、道路特定財源、では、幾ら今までここにつぎ込んだんでしょうか。それはおわかりになっていますか。国分、そして地方を回って現場に行くまでの額というのはおわかりになっていますでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 区の方でどういう財源構成で行われているかというのはなかなか難しゅうございます。一般財源も入っている可能性。ただ、区の方と補助の方を足しますと百三十五億ということでございます。

小宮山(泰)委員 ここで問題なのは、当然区を回っていく道路財源もあります。もちろん、別に国庫から出される税金もあるわけですから、トータルで見て、税金が、これは道路財源の問題だけではありませんで、地域において、国も、これだけの規模になりますと、当然道路財源は入っているわけですから、こういった事業でどこか不備のあるようなものというのが、はっきり言えば平成十年から十七年の間というのは、この計画からは抜けるような状態になっていたのも事実でもあります。後で追加すればいいじゃないんです。後で追加したら、追加で三十五億円かかったんです。

 これ、額がふえなければ、ある面、わからないでもないし問題はないんだと思いますが、これ全部、区民であったり国民の税金という意味においては、こういったことを放置し、そしてこういったことは、道路だけではない、ダムのときとかはよくありますが、当初の計画よりも予算が、年数がたてばたつほど上がっていくという現実もあると思います。そういったところに関して、最近は時のアセスとかも言われるようにはなりましたけれども、外部監査まで署名が集まってやられるようなものに道路財源が使われていく、国から税金が流れているというものを調べるという構造、システム、制度というもの、仕組みというものは、国交省の方は何かお持ち合わせなんでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 上野広小路地下駐車場につきましては、事業着手時の平成十年度に台東区独自で費用便益分析及び採算計算を実施していると聞いております。

 採算計算につきましては、供用後二十年目で単年度黒字に転換し、供用後四十一年目で累積損失が解消されるというふうな結果と聞いております。

小宮山(泰)委員 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのもありますが、この第一条には、当然「補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。」ということもあります。

 これ、本当に適正なんでしょうか。こういう事例がほかにもあるとか、外部監査請求が起きるような、それを実行するような事例というのは国交省では把握をされているんでしょうか。そういったものに対しては何か指導とか、そういったことはされるんでしょうか。この点、ぜひ大臣、お聞かせいただきたいと思います。

 また、額賀大臣におきましても、せっかくいらっしゃいますので、大臣、お疲れでいらっしゃるでしょうが。では、改めて質問させていただきます。

冬柴国務大臣 国の補助金の交付決定をするに当たりましては、法律の規定によって、設計の内容を含めて、申請書類の審査等を行うこととされております。これらの規定に基づきまして適正に処理しているところでございます。

 市町村が事業主体となっている場合の補助金の交付決定に係る審査は、地方分権の観点から法定受託事務とされ、都道府県、この場合であれば東京都が行っているものでございます。

 また、この東京都台東区が事業主体である上野広小路地下駐車場につきましては、商店街等への工事による騒音の影響に配慮した工法への変更、それから、地下水位上昇に伴う地下鉄銀座線防護工の増額などの事由によって、当初計画から事業費の増額が生じたというふうに説明を受けております。

 出入り口がない駐車場というのはないわけでありまして、当初からの設計図にはきちっと書いてあります。ただ、周辺の人ともめまして、その中で施行する場合に、そこを明記するということは、いたずらにもめている周辺の人を刺激するので、そのようにされたんだろうと思います。したがって、それが解決した暁に、当初予定どおりに出入り口のついた駐車場ができ上がっているわけでございまして、ですから、増額ではなしに、本来あるべき姿と違っていた。

 ただ、一番最初の我々の申請は、東京都が審査をされて、そして我々の方で決定をしているわけでございますが、その後の施行命令とかそういうものについて我々が一々審査をするということにはなっていません。東京都が台東区及びメトロと一緒になってやっていられる事業でございまして、我々は、その審査をええころかげんにしていいというそんなことでは全然ないわけでございます。当初申請があったときは、もちろん出入り口もきちっとついていたわけでございます。ただ、それが、そういう事情で、途中、施行命令のときにはそうではなかったということでございますので、ちょっとその事情が違うんじゃないかと思います。

小宮山(泰)委員 確かに、最初の計画の中にあるのが途中で消える、そしてまた復活するという工程になりますけれども、周囲の人とは確かにもめなくてもいいかもしれませんが、これは税金が入っているわけですから、周囲の人ともめなくても、納税者、ほかの、一生懸命働いて納めていらっしゃる納税者の方々とはもめるんじゃないでしょうか。やはり増額ですよ、はっきり言って。

 というのも、これは、一番最初、これは陳情では出ているんですが、期間が切れているものですから、当初の計画というか契約書みたいなものがどうも台東区の方ではもうない、保存期間がない。これは、先週、国土交通委員会の方で、契約書の保存期間の話、大臣からも非常に前向きの御答弁をいただきましたが、これにつながってくるんです。

 なぜこの話をするかといえば、では、最初から、PC設計、こういったコンサルさんみたいなものも入れていらっしゃっているのに、周辺のもめごとがあるからと途中で消えてしまうような計画、後から、平成十四年なんですから、三年後になってまた予算をつけていく、追加でされるということが果たしていいのか。また、これだけの難しい工法をする必要があったのかという問題も、正直言って私には疑問に思えます。

 その根拠というのは何かといえば、資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、これは外部監査の報告書でいうと四ページ目右側の四角の中にあります真ん中あたりですね、「「反省とお詫び」の発言をしている。因みに、現在」、平成十九年ですけれども、「計画されている御徒町駅周辺地区計画における三百二十台の立体駐車場は建設費が五億円程度とされていることと比較しても、あまりに費用対効果を無視した「税金の無駄づかい」との謗りは免れない。」ということが書いてあります。

 これは民間の百貨店さんだというふうに聞いておりますけれども、地上につくれば五億で、そこから徒歩五分かもう少しでしょうか、私はNTTにいたときにこのすぐそばで働いていて、ここも担当エリアでございますので非常になじみがあるところではありますが、そう遠くないところに、三百二十台で地上でつくれば五億でできて、地下につくれば、この、区がつくっている、道路特定財源を使ってつくるものは三百億。もっといきますね。東京都からいただきました試算、これは民主党の政調の方からいただいている資料でありますが、十ページにありますが、大体三百億を超すんですよ。こういう負担内訳も添付させていただいておりますが。

 これ、費用対効果をちゃんと考えていたんでしょうか。やはり道路財源というものは、そういったことも考えて出していかない限りは、幾らなっても、やはり地方の方や、そして多くで、本当に緊急や必要とする道路財源というのは有効に使われないのではないか。

 民間との共同ということは、この十年来もうずっと言われていることでもあります。地域のコミュニティーづくりや、地域協議会をつくったりという運動も、この数年来ずっと盛んでもあります。当然このあたりから、この最初計画されたころにももちろんそういう機運は全国的にあった背景だとは承知しておりますけれども、そういった中で、こういうコンサルさんを入れておきながら、比較というものがきちんとされない。

 そして、東京都が確かに主体というか責任をとるところかもしれませんが、やはり国土交通省としては、もっともっと重点を入れたいところもあったかと思います。それが、実際には、こういういろいろなところに分配されて、結局のところ、本来回すべきもの、もっと大きな意味での、交通渋滞の解消であったりということに回せなくなってしまったんじゃないかという推測も可能でもあります。

 つまり、費用対効果や比較というものが抜け落ち、また、外部監査を受けるものが東京都ですべて情報がとまってしまうというふうにもとれる答弁でもありました。国交省に、やはり、そういった地域で、出した税金の、末端でこんな監査が起こるようなものが起きましたら、ちゃんと情報が集まり、そこを検証するということも重要だと思いますので、その点に関してお知らせください。

冬柴国務大臣 先ほども局長からも言いましたけれども、この上野広小路駐車場についての費用便益分析は、事業着手時の平成十年、台東区において独自に行っておりまして、その結果は、二・六四倍と非常に高い結果が出されております。

 そして、採算計算につきましては、供用後二十年目で単独黒字、そして四十一年目で累積損失は解消する、そういう計画で進められたものでございます。

小宮山(泰)委員 自治体の責任になるということなんでしょうけれども、やはりこの辺は、道路計画、きょうも、お出しいただきました中期計画の方を拝見させていただきました。事業量算定方法等ありますけれども、キロ数を減らしたり、面積だったり、非常に、本当にこれは必要なところなのかどうか精査して出しているとも思えません。

 正直、大体、箇所数とかが多いんですよ、算定根拠の出し方が。(発言する者あり)いや、当たり前じゃないんですよ。与党の方から、それが当たり前だと言いますけれども、地方分がその中で多く削られているけれども、地方分も含め、また、天下り財団には道路特定財源で、本当に必要かどうかというのは箇所の問題じゃないと思います。事業量が本当に必要かどうかというのはその内容だと思いますので、この点、さらに精査していただきたいと思います。

 この絡みでいきますと、先般、道路関係業務を見直しするということで改革本部をされるという答弁もありました。これは、実際に出てくる内容を取りまとめ、六月まで出てこないということになれば、今こうやって見直された六兆円分、減額になった分、これというのが本当にこれでよかったかというのも当然出てくるんだと思います。この点に関してはさらに見直していくことというのは考えていらっしゃるか、お聞かせください。

冬柴国務大臣 これは、金曜日には第一回を開きました。そして、私と副大臣二人、政務官三人、まあ政治家六人が責任を持ってこれを進めていこうということでございます。そして、それは部会をつくりまして、そして、そこで結論が出次第これを執行していく、私はそのように申し上げているわけでございます。

 ただ、六月というのは一つの終わりのめどでございまして、我々としては、それまでに、結論が出次第、それについては改善をしていこうということでございます。

小宮山(泰)委員 早くされるということで、大体いつぐらいなんでしょうか。

 それと、もう一つお伺いしたいんですが、それはどういうふうにほかの、今計画がいろいろ出されていますが、それに反映されるんでしょうか。過去にはさかのぼれません。それ以降つくられるものにしか反映されないと思いますが、どういうふうに反映されるおつもりなのか。ただ結論を出すだけで終わったのでは、会議されるだけ、その費用だけ無駄になると思いますので、その点お聞かせください。

    〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

平井副大臣 先ほど大臣から答弁がありましたとおり、金曜日にその第一回会合をさせていただきました。私は、副本部長という立場で、それぞれの分科会の結論を取りまとめる立場でございます。

 契約方法の見直しの徹底。公益法人の組織のあり方、これは、御指摘いただいている民営化等についても検討させていただきます。また、公益法人に対する指導監督の徹底ということでは、内部留保の適正化とか役員構成の見直し、情報公開の徹底。また、支出の適正化、この中には、御指摘いただいております……(発言する者あり)これは、結論が出次第、随時その報告をさせていただきたいと思います。

 御指摘いただいているもの、そして我々自身がこれから政治家の目でチェックをさせていただきますので、そのすべてを洗い出そうと思っておりますので、これは時間はかかります。ただし、その途中経過に関しては、随時報告をさせていただくことになっております。

小宮山(泰)委員 時間はかかると今おっしゃられましたけれども、大臣はなるべく早くしたいとおっしゃいました。ということは、六月より前だと思いますので、その点をお聞かせください。

平井副大臣 我々は、スピードということも一つ重要なポイントだと思いますが、その内容も重要だと思っておりますので、徹底的に頑張りたいと思います。

小宮山(泰)委員 いや、これこそ、せっかく中期計画で六兆円減らすという見直しをしたならそのときに出すべきだと思いますので、ぜひ早急に、できることなら予算委員会をやっている最中に出していただきたいと思います。

 委員長、その辺、取り計らいをお願いいたします。大臣にぜひお願いいたします。

冬柴国務大臣 例えば民主党の委員の方から、これこれの法人の理事の数が、役員の数が超えているではないかと御指摘いただき、私も調べたら、そうだと。その日のうちに二人はやめていただくとか、そのように、私は、御指摘いただいたことについては誠実に対処してきたつもりですし、今後もそのように検討して、その中で、途中とはいえ、ある程度の熟した結論が出れば果敢に執行していくということで、今、みんなにもそのように申し上げているところでございます。

小宮山(泰)委員 ぜひ、これは予算審議の問題でもあります。何に使われているのかわからないし、何に使われたか、これからどうなっていくかもわからないというもので賛成するというのは非常に難しいし、納得もできるものでもありません。

 また、本日、時間がなくなりましたのでしませんけれども、財団法人駐車場整備推進機構、これは役員名ですけれども、ずっと国交省からいただいていた平成十九年の三月三十一日付までの役員名簿には、コンサルであったり、建設業者であったりとか、そういったところの、各理事さんたち、役員、入っておりました。しかし、平成十九年の六月からの役員名簿には、これはホームページ上でも公開されているものではありますが、これには最終官職しか載らなくなっている。

 この点に関して、出向者に関しましては、十三名、各民間から来ていると言われておりますが、その内訳としましては、自動車の関係から二人、コンサル関係、これは建設コンサル関係だと思われるんですが六人、建設業からは二人、首都高の方から二人、本州四国連絡の方から二人というようなことを言ってきております。

 やはり、特に道路開発資金なども持っているところでもありますので、こういったところに税金が行っている、そして、いつもいつも、なぜかすべて国土交通省がこの財団のことになるとお答えをいただくという形。所管ではありますけれども、別の団体であるならば、このことは、そこに予算が回って、そこが受注、発注しているとかいうことになれば大きな問題でもありますし、そういったようなことが推測されるようないろいろな事例もあることもあります。

 ですので、ぜひ委員長、機構の鈴木道雄理事長を参考人としてこの予算委員会にお呼びいただきたいと思いますので、理事会で御協議いただけますでしょうか。

逢沢委員長 理事会で取り扱いを協議いたします。

小宮山(泰)委員 よろしくお願いいたします。

 ぜひ、無駄のない予算、そして、今までの無駄をまた再現させるような予算でないように、この予算委員会、さらに審議が尽くされることを言いまして、質問を終わらせていただきます。

逢沢委員長 これにて小宮山君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 民主党の吉良州司でございます。

 道路関係について、質問というよりも、きょうは提案をさせていただこうと思っています。

 これまでの議論の中で、政府・与党と我が民主党とで、平行線のままの議論もあれば、ある程度の合意がなされていることもあると思っています。

 ある程度の合意は何か。まず、真に必要な道路を厳選しなければいけないということ、そして、その真に必要な道路はつくってもいいではないかということ、そして、その真に必要な道路をできるだけコストを縮減しながらつくっていくということ、このことについてはある程度の合意がなされていると思っております。

 私は、きょうは、ある意味では当たり前のことながら、今申し上げた真に必要な道路をできるだけ安くつくるという入札改革の提案、と同時に、それに応札してほしい、応札するであろう地場企業、また日本企業が、今後、国際社会の中で、また特にアジアの中で、その競争力を生かして、いい意味で進出し発展をしていく、そのための提案をしたいというふうに思っております。

 そこで、資料を配っておりますけれども、一番後ろの三ページ目を見ていただきたいんですが、これは、インドのタタ財閥というところの中核企業、タタ自動車が、ナノという小さな大衆車を九月に発売するということを決定しております。その価格が何と十万ルピー、日本円にしますと大体二十八万円ということなんです。このタタ自動車の二十八万円のナノ自動車の発売ということについて、国交大臣、この記事を見てどうお感じになるか、感想をちょっとお聞かせください。感想で結構です。

冬柴国務大臣 全く感想ですけれども、これが、日本と購買力平価がどうなっているのか、日本円で二十八万円と換算されておりますが、そのほかの物価と比べて、インドの方々にとってこの二十八万というのはどの程度重いものなのか、そういうものがわからないと論評ができないわけでございます。

 ただ、五人乗りで、しかも、パワーウインドーはない、それからエアバッグもない、冷暖房もない。ちょっとインドで冷暖房がないということは、私はこの間インドに行きましたけれども、四十二度ぐらいありましたので、これは大変だなと思います。音響施設なし、ドアミラー一つ、ワイパー一本。非常に簡素な設計だと思います。日本の車から比べて相当簡素なものだと思います。

吉良委員 今、感想をいただきましたように、確かに、購買力といいますか、一般庶民、インド国民の平均収入から比べますと、まだまだ高価な、大変高価なものであります。ただ、世界的に見ても、一般大衆車というのは、日本円でざくっと百万円、どんなに安くても七、八十万円と思われる中で、今まさにおっしゃっていただいたように、ワイパー一本、インドでクーラーなしで大丈夫なのか、とはいいながら、やはりある意味ではガソリンで動く箱が欲しいという中で、無駄なものを一切排除して、そして所得の低いインドの人たちの需要にこたえていこうと。これは、ある意味では、私に言わせると、民間企業の顧客志向の執念と言えるようなことではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、私自身がこれから提案しようとしておることは、民間企業の顧客のニーズにこたえていくという執念、価格低減に対する執念、そしてまた、これは外しても大丈夫、これは抜いても大丈夫というようなもろもろの知恵、工夫、最後はとにかく顧客のニーズにこたえる、そういう民間の活力、執念を道路建設にも生かせないのか、こういう趣旨でございます。

 そこで、ちょっときょうは三十分というふうに限られておりますので、もういきなり提案に行きたいんですが、その前に一点、国交大臣にお聞きします。

 今回の道路建設の目的は、あくまでも道路を、真に必要な道路をつくることであって、間違っても道路工事が目的ではないし、ましてや、もちろんある程度の財源は必要でありますけれども、財源確保自体が目的ではない、真に必要な道路を安くつくることが目的であるということについて間違いないか、御答弁をお願いいたします。

冬柴国務大臣 そのとおりでございます。

吉良委員 そのことをちょっと確認させてもらった上で、提案をさせていただこうと思っています。

 まず、資料の一ページ目に当たります。

 実は、私自身は、国会議員になる前は商社に勤めておりまして、世に言われる、BOTと言われる、ビルド・オペレート・アンド・トランスファーと言われるような、日本でいえば一種のPFIという事業、電力であるとか高速道路であるとか港湾、また空港建設等に携わっておりました。

 その中で、もちろん日本の道路においては、このPFI的手法、またBOT手法というプロジェクトファイナンスの発想を使ってそのまま生かせるとは全く思っておりません。ただし、その中でのいいとこ取りができないものかということについての提案であります。

 まず、その第一は、道路建設、維持補修、金融を一体総合事業として入札にかけるということであります。

 これとも関連しますが、二番目は、入札対象を個々の細かい事業とせずに、かなり大きなまとまった入札とするということであります。

 今現在は、地域高規格等においても、ある意味でぶつ切りで入札されていくんですけれども、それを、例えば私どもの大分県であれば、大分県の区間の工事は一体として入札をしていくというような意味であります。

 それからもう一つ、例えば渋滞対策であるとか、あかずの踏切というのは大分は余りないんですけれども、そういうところも、一点一点ではなくて、渋滞対策事業ということで、例えばそれが十カ所だったり二十カ所だったり、そういうことをまとめて入札していくということであります。

 それから三番目は、これは実は、今現在でも形は国際入札が原則になっているんですけれども、私の知る限り、道路工事で、国際入札で海外企業がとったという事例は知りません。そういう意味で、ある意味ではきちんと国際入札ができる条件を整えていくということであります。

 それから四番目は、ちょっとこれについては問題点があるところでありますけれども、地場企業や国内企業に対する入札評価上の優遇措置を容認することを検討するということであります。

 これは、厳密に言うと、御承知のとおり、マラケシュ協定、政府調達にかかわる協定において内外無差別の原則というのがございますので、実際に優遇するということについては、まだこれはグレーの要素がございます。ただ、米国あたりでも、例えば首都のワシントンDCの公共事業調達において、地場企業に対する三%の評価上の優遇措置を認めたりしている例もございます。

 そういう意味で私は、安くいいものを調達するという意味で、これは、将来的には、最終的にはそういう優遇措置もないようにしていかなければいけない、それまでに、地場企業、国内企業が十分に競争できるような仕組み、また力をつけていっていただかなければいけないと思っていますけれども、当面、こういうことが、そこの下に書いていますけれども、WTOドーハ・ラウンド、またFTA、それからマラケシュ条約、協定に明らかに抵触しない限りは、ある一定期間の優遇措置を認めてもいいのではないか、このように思っているところです。

 それから、五番目ですけれども、一体総合事業として入札にかける際に、支払い条件についても提案者から提案をさせるということであります。もちろん、入札書類の中に一定標準の支払い条件はつけますけれども、提案者からの提案も受け入れるということであります。

 このことは、どういうことかといいますと、これまでのコスト削減ということも、何か道路建設に限定されてしまっているんですね。私は、究極の発注者は国民だと思っていますので、国民から見れば、国民の負担は何なのか。それは、建設費にかかわるコスト、そしてその後の維持補修にかかわるコスト、そして、その建設、維持にかかわってお金が調達されるわけです。もちろん税もありますけれども、お金に色はありませんから、国債発行による金利もついているわけです。

 こう言うと失礼ながら、官にはほとんど金利の観念がありません。そういう意味では、こういう事業については金利もかかるんだ、お金にコストがかかるんだということを徹底させること、そして、そのコストをやはり最小限に抑えていく、これも必要なことだと思っています。

 もう少し言うならば、これを全国に広めていくときに問題が出てきます。

 それは、一般的な提案者側からの望むべき支払い条件というのは、当然ながら、契約時、前金に幾らいただく、それから、実際の工事を始めたときの出来高払いが幾ら、こういうふうになっていくわけですけれども、一方、予算の方は、例えば同時並行的にずっと進めていったときに、ある年度だけ多額の予算を計上するわけにはいきません。そういうことになれば、レベルペイメントの方がいいわけです。そういう意味で、提案者側から、本来なら出来高払いでここでどばっと欲しいところなんだけれども、それを、一定の金額を支払ってもらうということによって、ある意味では発注者である国民、政府、地方政府の支払い、予算措置を助けていく、こういう趣旨であります。

 六番目は、道路構造令を基本としつつも、個別の実情とコスト削減に配慮して、道路構造令からのデビエーション、入札書類上の条件とは異なるけれども、よりよい提案をするというときに使われる手法のデビエーションでありますけれども、これを容認して応札者の構造提案も認めていくということであります。

 御承知のとおり、今私が申し上げた六つのことは、ある意味ではすべて当たり前のことであります。すべて当たり前のことでありますけれども、実際、この当たり前のことがなされていないというふうに了解しております。

 念のためにお聞きしますけれども、PFIを使った、PFI的手法と言ってもいいですけれども、道路工事は、今現在この国にないということと、先ほど言いました海外の実際の受注者はいないということについて確認をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 道路事業のPFIでございますが、国土交通省関係で、公共事業全体では六十事業が既に、十九年十二月末時点でやってございます。

 道路事業といたしましては、駐輪場、それから道の駅、それぞれ一カ所、二カ所で実施をしてございます。

 次のお尋ねの海外企業でございますが、ちょっと記憶だけで不正確かもしれませんが、過去、外国企業が道路事業について落札した事例はあったかと思います。(吉良委員「あったの」と呼ぶ)ございました。

平井副大臣 済みません、私、今、資料を見つけましたので、事実関係だけお話しさせていただきます。

 これは二〇〇五年の実績でありますが、中国地方整備局発注の道路、これは米国企業のベクテル、そしてあと、韓国の三星物産、ロッテ建設等々であります。

吉良委員 ありがとうございました。逆に、あると聞いて安心をしているところであります。

 私の経験からいっても、例えばプラザ合意以前というのは、道路建設事業も含めて、海外の公共事業というのは日本企業の独壇場でありました。それが、プラザ合意以降になって、だんだん、そういう入札をしたときの上位は韓国が占めるようになってきた。そのときに日本企業はどう対応したかというと、独自では対応できないので、韓国企業とコンソーシアムを組む中で、そして何とか日本と韓国のコンソーシアムで受注をし始めた。そうすると、今度は中国企業がどっと出てきて、日本、韓国でもかなわなくなった。そして、その後は、中国企業単独であれば、また日本だとか韓国と中国企業がコンソーシアムを組んでということで、そういう流れの中で、徐々にそれぞれ得意な分野を持ち合ってコンソーシアムを組む、そして結果的には、発注者である、政府であれ、一番安いものを提供するということがなされてきたわけなんですね。

 それで、もうちょっと言いますと、道路工事等は、最初、韓国企業が出てきたときというのは、日本から見てほぼ半分近いような値段でありました。その後中国が出てきたときには、半値からさらに八掛けというような値段でありました。そういう意味で、安くしようと思えばとことん安くできる。ただ、さっき、やじの方でありましたけれども、本当に、その性能上といいますか、安全上大丈夫か、これはもちろん精査しなければいけません。

 ですから、私もここに書いてありますように、資格審査、信用力審査、これは十分に行わなければいけないんですけれども、日本企業も、自分も、ある程度、より高い付加価値の業務に移行しつつ、価格の安さを補うところは海外の企業とコンソーシアムを組みつつ、最終的に顧客のニーズに合った安いもの、そして安全なものをつくる、こうしていかなければいけないと思っています。

 私、きょうは短いのでかなり一方的に話をしていますけれども、今申し上げたような入札改革といいますか、でも、当たり前の改革でありますけれども、これを実施するということについて、国交大臣の御見解を賜りたいと思います。

冬柴国務大臣 私は、非常にいろいろな経験を踏まえた、そして外国の事例もよく知った質問者がそのように提案をいただいたことは、重く受けとめなければならないと思います。

 我が国では、例えば大分県の道路全部を一社に請け負わすとか、それから、予算の単年度主義をとっているために、これがいいかどうかは別ですよ、ですけれども、そういうものが、これを乗り越えるためには確かに障害になるのかなという感じはいたします。

 しかしながら、外国企業とか、今ちょっと言いましたけれども、事例は希有のようですけれども、私は、それは、値段その他性能が、おっしゃるようにきちっと信用も調査して、受けていただけるのであれば、これはいいと思います。

 ただ、御配慮をいただいているように地元の企業、この人たちは、例えばその地で大震災が起こった、大水害が起こった、きのうもありましたけれども、そういうときに、こういう地場の建設業者の方が、自分が被災をしているにかかわらず、そういうような応急の復旧復興に本当に力を注いでいられる事例はたくさんあるわけですね。やはり、そういう人たちには報いるような、総合評価の中で評価点は重くつけるべきだと私は思っています。

 また、建設業というのは、そういう意味では、その地場における基幹産業ですよ、多くの若い人たちを雇用の場に抱え込んでいただいていますし。そういう面も、地元に対する裨益度というものもこれはやはり考慮してあげないといけないと私は思います。

 そういう意味で、その点について、いろいろな条件はあるけれども当面配慮してもいいのではないかという委員の御意見は、私は、実態を踏まえれば、それは非常にすばらしい発想だというふうに思っています。

吉良委員 ある意味で前向きな発言と同時に、地場企業に対する配慮、これは私も本当に大事だと思っています。

 ただ、現実問題としてどういう形式になるか、実態面を思い浮かべてみますと、例えば私どもの大分であれば、大分の地場企業のそこそこの中堅、大手、そこがある意味ではコンソーシアムを組まなければならなくなってくると思います。そこが単独でできるのか、先ほど言いました価格競争力を考えて海外と組むのか。実際そうなった場合、その下請にどうしてもさらなる地場企業は入ってくるんです。ただし、そのときに、言い方は悪いですけれども、今までいつもいつも接待して、そのコネで入れてもらうとかいうよりも、そこの持つ技術と価格競争力というものを評価した上で、いいところを下請に加えていく、こういう形になっていくわけなんですね。

 ですから、先ほど来言っていますように、ある程度の地場企業への配慮、日本企業への配慮をしつつ、最終的には、国民が発注者なんですから、その国民に対して一番安いコストで安全でいいものを提供する、これは国として、地方政府として当たり前の責任でありますということを申し上げたいと思います。

 ちょっと大田大臣にお尋ねいたします。

 つい先日の内閣府の所信表明の中でも、大田大臣は、人口減少と急速なグローバル化の中で経済成長を持続できる新たな成長のモデルをつくり出す、そして、成長力の強化について特に重要なことが三つある、一つは、世界に開かれ、世界とつながるオープンな経済システムをつくり、アジアを初めとする世界の成長エネルギーを取り込むことだとおっしゃられています。二つ目は、地域に根を張るサービス産業を活性化し、生産性を高めることだとおっしゃっています。三つ目は、人材の力を高めることです、こうおっしゃっております。

 私は、これはすべて納得をしておるんです。そういう意味で、私の提案は、まず、先ほど言いました、世界に開かれて、世界とつながるオープンな経済システムをつくる、その具体的な手法だというふうに思っています。ただ単に東京だとか一部の地域に入れるのではなくて、日本全国にそういう世界に開かれたマーケットをつくっていく。これが一つ。

 その過程で、実はPFI的手法というのは提案型ですから、言われたままの入札にこたえるんじゃないんです。この方がもっとよくなります、こういう支払い条件であればもっと国民負担が少なくなりますということを提案させるわけですから、いやが応でも地場企業の成長につながっていく、育成につながっていくという意味で、地域に根を張るサービス産業の活性化というのにつながると思っています。そして何よりも、そこに勤めている人たちの人材の力が高まっていく、こういうふうに思って、まさに大田大臣が言われることを日本全国で実践する手法になると思うんですが、その点について大田大臣の所見はいかがでしょうか。

大田国務大臣 利用者、それから納税者の立場に立って資源を最大限に活用するというのは、大変重要なことだと思います。

 先生の御提案を、道路建設に関してどうかというのは冬柴大臣が御答弁申し上げたとおりです。私は一般論として申し上げますと、PFIというのは、もう釈迦に説法ですが、民間の資金だけではなくて、経営力とか技術ノウハウを生かすということですので、それを海外からも含めて活用していくというのは、資源の効率的な活用になりますし、それによって質の高い社会資本が低いコストでつくられるとすれば、それは経済成長にもプラスだと考えております。

吉良委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 これも、ここにいらっしゃる委員の皆さん、大臣にはもう釈迦に説法になりますけれども、日本企業というのは、最初はある程度国の保護を受けながら、技術力を高め、そして経営力を高めていく中で、その経験を踏まえて、次に成長していくところにどんどん進出していくわけですね。今、中国、それから東南アジアがこれだけ経済成長を進めていく、インフラ整備をしておりますけれども、もちろん今向こうは自国で賄う方が安いに決まっているんですが、だんだんこういう東南アジアの国、中国も、やはり必要なインフラはあるけれども、限られた財源というふうになってきます。

 そうなってくると、やはりどうやって限られた財源の中で本当に必要なものをつくっていくか、そのノウハウ、まさに経営力そのものが必要とされてきます。そのときに日本が、例えば日本の地場の建設業も、ただ地場の工事を請け負うということではなくて、積極的に成長力のある地域に出ていって、そして自分たちも、言い方は俗ですけれども、きちんと稼がせていただく。それで、相手の国の成長にも貢献する。これはもうウイン、ウイン、ウインのゲームであります。だから、そういう意味で、ぜひこの手法について前向きに考えていただきたいと思っています。

 繰り返しますけれども、私が言っていますのは純粋なPFIではありません。今回の場合は、特に料金収入でもって必要な建設・維持コスト、金利コストを賄うということではありません。その料金収入に当たるのは、あくまでも予算措置であります。だから、そういう意味で純粋なプロジェクトファイナンス、純粋なPFIではないんですけれども、繰り返しますが、最終負担者である、最終発注者である国民の負担を軽減するための手法ということで、再度国交大臣に、この手法について前向きに取り組むということと、早速、先ほど配ってもらったものでも、新コスト構造改善プログラムというようなことを言っておられるわけですけれども、その中にこういう入札改革、こういう手法を取り入れることによる経費節減というものを取り入れていただく、そのための何か前向きな組織をつくるというようなことについて、ぜひ前向きな答弁をいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 今、すばらしい御提案をいただきました。現在、我々もそういうことも考えておりますし、入札段階で工事の施工方法に関して民間企業のコスト縮減等に対する技術提案というものも受け入れる入札時のVE方式や、設計・施工を一括して発注する方式、デザインビルド方式などを導入するなど、民間企業の有する技術を積極的に活用し、コストの縮減に努めてまいりたい、このようなことを考えておるわけでございますから、今あなたの提案されました問題も含めて、国民の負担が最も少なくて、そして、いい、良質なものができるようなことは、今後検討してまいります。

吉良委員 今回の私の提案の中で実は一番大事なことは、これまでも議論がありましたけれども、例えば真に必要な道路というものを精査していく、厳選していく場合も、これまでのような、国交省が決めるとか、また、言い方は悪いけれども、族議員が決めていくとか、そういう仕組みを排除することなんです。

 そして、この入札改革についても、一方的に国土交通省が技術審査等をやってきた今までの仕組みではなくて、先ほど言いました、これまで民間で海外のこういうPFI的事業に参加したような人たち、そういう知恵を結集して、そういう人たちに入札仕様をつくってもらう、そして、その評価システムもそういう人たちにつくってもらうということで、これまで国交省ですべて決めてきたことを、繰り返しますけれども、国民の目線に立ってコストを縮減するための手法として、それにずっと携わってきた人たちにその評価を任せていくということが、実は改革の本丸なんです。

 では、コメントがあれば。

冬柴国務大臣 今回の中期計画を策定するについては、再三申し上げておりますように、広く国民に問いかけまして、十万一千三百十四件の国民からの御意見、それから千八百七十四人の全首長からの御意見、それから二千九百二十八名に及ぶ有識者からの御意見というものを踏まえまして、そして、今ニーズはどうなっているのかということをよく考えて、それを十六に分類し、そしてまたその素案についても問いかけをいたしました。

 これに対して、五千十五件の国民からの御意見、首長からの千百八十人の御意見、それから有識者の九百五十人からの御意見等も賜りながらつくっているわけでありまして、国交省だけで勝手につくっているわけではございません。

 また、道路につきましては、六十二年の閣議決定、あるいはそのような法律、あるいは大臣告示等、その沿革を踏まえてしているわけでありまして、これには多くの方々、国会の審議はもちろんあったわけでございますが、そういうものを踏まえてしているということを御理解いただきたいと思います。

 ただ、それに固執するんじゃなしに、それを今後やるときには、具体的に、その最新の資料でBバイCをとって、そしてそれがコストを上回る便益が見込めると国民に御納得いただけるものについて着手をしていく、こういうことでございます。

吉良委員 本当にどうもちょっとかみ合っていないんですが、もう質問時間が終わったということと、皆さんもおなかがすいているのでやめざるを得ないんですが。

 この具体的な、今総論で言いましたけれども、私自身、各論についてもアイデアを持っております。ぜひ、徹底的にコストを削減するということの具体的な手法と、それから、今大臣いろいろおっしゃられましたけれども、結局は、最終段階で、入札の資格審査だとか、それから審査をする人だとか、そういうところで実際選別が行われていて、競争がきちんと行われない仕組みになってしまっているんです。

 そういう意味で、再度、この民間的手法、入札書類作成から入札実施段階まで踏まえてやることをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。末松義規君。

末松委員 民主党の末松義規でございます。

 きょうは、今テレビ等で非常に話題になっております鳥インフルエンザ、鳥からくる新型インフルエンザ、これに対する国家的な危機対応というものをお聞きしたいと思います。

 私も、ここ二年間、オオカミ少年ならぬオオカミ中年と言われながら、鳥インフルエンザ、本当に大変だ大変だと騒ぎ回ってきたわけですけれども、だんだんと、ひたひたと日本にも迫ってきている感じがいたします。そういった意味で、備えがあれば憂いなしですから、そういう観点からお聞きをさせていただきたいと思います。

 まず、厚労大臣にお聞きをしたいんですが、WHOが、テレビでも報道されていましたけれども、この鳥の新型インフルエンザ、もう来るか来ないかという話ではない、それはいつ来るかという問題だ、あした来てもこれは不思議ではない、そういうふうに言われております。そういう危機的な認識といいますか、そういうことについての認識をまずお伺いいたします。

舛添国務大臣 鳥インフルエンザは世界じゅうで流行しておりますし、それから、鳥から人へという段階、さらに困るのは人から人へ、これが新型インフルエンザですから、これはやはり、来るか来ないかということよりも、もういつ来てもおかしくない、そういう現状だと思いますので、それに対してどう危機管理をするか、これを今しっかりやりたいというふうに思っております。

末松委員 本当に、まず鳥から人には来ないと言われていて、来て、それから人から人には来ないと言われていて、インドネシアで一件、また昨年、中国で一件あったわけですが、ウイルスの方も突然変異でどんどん人から人にうつるような適応性を深めてきているという話がございます。恐ろしい話であります。

 スペイン風邪という、一九一九年から二〇年に起こったときには、四千万人から、研究者によれば一億人亡くなったというようなお話もございます。このとき、スペイン風邪というのは弱毒性と言われましたけれども、今回のH5N1は強毒性と言われていて、それよりもさらに毒性が高いと言われております。今、大体二百四、五十人でしょうか、犠牲者が出られて、かかった方の約六割が亡くなられている。こういうことからしますと、非常に高い致死率でございます。

 まず、ちょっと脅威認識からお聞きをしたいんですが、通常、我が国というのは、インフルエンザというのは、大体ワクチンなんかは二千万人分前後用意していて、大体一万人ぐらいがお年寄りを中心に亡くなられるという状況が続いていると言われております。ここで、政府の犠牲者の予想も、十七万人から六十四万人が新型インフルエンザで亡くなると予想を立てられていて、これ自体も、専門家に言わせれば、一番最低限の見積もりだろうと。実際は、オーストラリアのローウィー研究所なんかは、日本でも二百十万人ぐらい亡くなるんじゃないか、そういうふうに言われているわけでございます。

 こう言いながら、プレパンデミックワクチン、パンデミックという大流行の前のワクチンが、実は、私から言わせれば、たった二千万人分しかない。これも、ことしの三月で二千万人分がそろうという状況だと言われています。一万人亡くなるという通常の対応時でもワクチンとしては二千万人分があるわけですけれども、こういうH5N1という強毒性の鳥インフルエンザ、新型インフルエンザに対して、ちょっとここはワクチン数も少ないと思います。

 最大見積もって六十四万人、これも、スペイン風邪のときと比べて、スペイン風邪のときは大体三十八万から四十五万人が亡くなったと言われております。あのとき人口は、日本は五千五百万人でした。今は一億三千万。さらに、交通機関も当時とは比べ物にならないほど進んでおります。

 そうすると、この大流行というのが一挙に来るという場合、十七万から六十四万人というのは非常に低過ぎるのではないか、そういう気がいたしますが、まずそれをお伺いいたします。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃられました死亡者数ですけれども、これは、第七回ヨーロッパ・インフルエンザ会議、国際的な専門会議で議論されまして、勧告が出ました。国民の二五%が罹患し、致死率は、過去の新型インフルエンザ、先生おっしゃいましたスペイン風邪のときには二%でしたけれども、それに基づいて計算したものであります。現時点では諸外国も同程度と想定しておりますけれども、御指摘のとおり、鳥インフルエンザは、現在のH5N1、強毒性でありますので、想定以上の被害が発生する可能性もあります。

 したがいまして、あらゆる状況を想定しながら、その数字についても検討を進めているところでございます。

末松委員 私が配りましたこの資料の中の1と書いてある、波線のところにそれが書いてあるわけですけれども、アメリカは、去年、アメリカ保健省がパンデミックの机上訓練をやりました。そのときに使った前提が、米国民の三〇%が感染し、その二〇%が死亡するというような想定でやっております。これで計算しますと、大体千五百万人ぐらい亡くなるかもしれないという想定のもとに机上訓練をやっているわけですね。これは余りにもちょっと、私たちから見たら、いやあ、そこまでやるのかという気もいたしますけれども。これはどうしても、十七万から六十四万ということであれば、これでもすごい数字なんですね。実は、第二次大戦で民間人の方々が亡くなった数字が八十万人という話がございますから、これが一、二年の間に一挙に来るということであって、大変な話でございます。

 こういったときには、まず、この薬用のワクチンのほかに、知識のワクチンということで、国民にやはり正しい姿を示す必要があります。私は国会質問のたびに言っているのですけれども、アグノビさんというアメリカの保健福祉省の事務次官が、この鳥インフルエンザ、H5N1について対応している実質的な責任者に今なっていますけれども、彼が言うには、この危機の対応の要諦は、まずトランスペアレンシー、透明性を確保することだと。情報を透明にして、そしてオープンにして、その中で、これだけ大変なんだ、だけれども、これだけの政策、対応するから大丈夫なんだと。あわせて大丈夫なんだというメッセージを示さなきゃいけないということが私の印象に残っております。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、私の方に数件、この鳥インフルエンザというのは何か大変だと騒がれているけれども、そうでもないじゃないか、そんなに大したことないじゃないかという印象を持ったというのが情報として入ってきたんですね。私がいろいろと鳥インフルエンザを前からやっているがゆえに、私のところに聞いてきたんですけれども。

 BMSAというんですか、これは何か厚生労働省が委託をしているバイオメディカル・サイエンス・アソシエーションというところですか、厚生労働省にこの鳥インフルエンザの危機を教えてもらおうと思って質問をしていったら、BMSAというところに回されたと。BMSAの関係の方が電話で対応したらしいんですけれども、それほど大したことないのかなという印象を持ったという方が私のところに数人来たんですね。

 それで、ちょっと本当かなということが、私はちょっと信じられなかったんですけれども、それはどういうマニュアルに基づいてやっているんですか。もしそれがそういう印象を与えているのであれば、それはおかしいんじゃないかと思いますが、いかがですか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 BMSAと申しますのは、国立感染症研究所の研究者がOBになってつくられた団体でして、NPO法人になっていまして、そこに私ども、専門的な内容ですから業務委託をしております。

 私が聞きましたら、やはりそのような回答をしたそうでして、いずれにしても、まことに遺憾であります。

 御指摘の点については、もうちょっと詳しく確認した上で改善を図りたい。当事者の弁では、ある方が非常にパニクって質問されてきたというふうな場面においてそういう言葉を使ったかもしれないけれども、やはり私どもから見て問題だろうと。

 それから、もう一点、先生がおっしゃられましたマニュアルですけれども、私どもが作成していますQアンドAに沿って回答していただきたいというふうに申し上げていますけれども、いずれにしても、事実をもうちょっと調べて、そのような誤解のないように再度指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。

末松委員 しっかりと指導してください。まさしく厚生労働省の方が、本当にパンデミックが起こったときの重大性、それから対応をするんだというかたい意志、それを同時にあわせ持ってやられることが重要だと思います。

 それでは、話題をプレパンデミックワクチンというものに移したいと思います。

 今私が思うのは、やはり切り札はプレパンデミックワクチン、すなわち、大流行というパンデミックになる前にワクチンを打つことが重要だと思っております。今、一千万人分去年確保して、ことしの春までにあと一千万人分やるということなんですが、この対象が医療従事者それから社会機能維持者だけに限られていると言われていますが、実際そうでしょうか。

 それは行動計画にも語られていますが、そうだと思うんですが、そうなると、一般国民の皆さんが、ああ、やはりおかしい、私もひょっとしたらかかっているかもしれないと思って来たときに、対応できないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 プレのパンデミックワクチンでありますけれども、今、一千万人分用意しております。株が、インドネシア株を中心とするワクチンと中国の安徽省を中心とする株と二種類、一千万人ずつつくるということを考えていまして、使用するときはフェーズ4のAということで、どこかで新型インフルエンザがはやったときというようなことで、まだその段階にはないということですけれども、そのワクチンについては有効性ですとかあるいは安全性、そういう問題がありまして、現在のところ、まだ希望者の方に打てていない状況にあります。

 ただ、今後は、やはり医療従事者や、あるいは社会機能を維持するために、そういう方々に対しまして打つことにしていますけれども、一般の希望者に対してもどうするか、引き続き検討してまいりたいと思っております。

末松委員 今、医療従事者、社会機能維持者というのは何万人ぐらいいるんですか。

西山政府参考人 私どもの推計では一千万人でございますけれども、実際には、現在詳細な精査をしていまして、おおむね一千万人程度だろうというふうに踏んでおりますけれども、現在精査中でございます。

末松委員 これは、ことしの二十年度の予算には、本予算の方には、このプレパンデミック予算、これが書かれていないわけですけれども、ことしの予算はないんですか。

高橋政府参考人 十九年度予算におきましては、研究費で、これは特に細胞、バイオの方の予算のお尋ねかと思いますけれども、十九年度予算では……(末松委員「違う、そうじゃない。プレパンデミック予算、製造の予算を聞いているんだよ」と呼ぶ)申しわけございません。

 二十年度予算においては、プレパンデミックワクチンの製造予算については、今のところ用意しておりません。

末松委員 今、医療従事者、社会機能維持者の方が一千万人と言われました。ということは、国民が希望したいと、これも株が分かれていますから、中国株が一千万、それからベトナムとインドネシア株がそれぞれ五百万ずつ、合わせて二千万ですけれども、彼ら、そういった社会機能維持者や医療従事者だけが対象となっていて、一般国民が、今局長の話だと、これから検討するようなことを言われていましたけれども、本当にこれは、患者が日本に何かの形で来たら、一挙にみんなパニックになっちゃうんじゃないですか。本当に問題なくて、しかもことしの予算がついていないというのは、ことしはつくらないということですか。ちょっとおかしいんじゃないですか。

舛添国務大臣 実は、これは概算要求のレベルで経費を計上しておりまして、急いでつくれという指示を出しまして、そうするとことしの三月に原液ができるということで、そうすると四月一日からのお金で間に合いませんので、急遽、十九年度の補正予算を充てまして二十年度分の原液をつくったということなので、概算要求にあって、今、今回の本予算にないのはそういう意味でありまして、つくらないということではなくて、補正の形で前倒しで三月にできますのでというのが予算上の仕組みであります。

 これはもう非常に、ベトナム株と中国株、一千万ずつありますから、どれだという段階で、そこからつくらないといけない。だから、この後いろいろ議論しますけれども、生産体制をもっと拡充するとか、いろいろな手を打って、本来は、ですから、みんな、なぜお医者さんだけか、なぜ警察官や消防士だけかというのはあると思うんですね。ただ、生産体制の問題。

 それから問題は、やはり、プレとついてあっても、ワクチンの効果と安全性を考えないといけない。それはもう、多少でも効果があればみんな打ちたいんですけれども、赤ちゃんなんかに打ったときに副作用で亡くなるというようなことも考えないといけないので、総合的に判断して今はそういうことですが、さらに、また委員の御指摘も賜った上で、もう少し前に進めることができるか、検討したいと思っています。

末松委員 もう少しじゃ困るんですよ。

 そもそも問題は、何千万人分のワクチンをつくる、この目標がない。そこが一番の問題です。さっき安全性とそれから効果の問題と言われました、これについてはまた議論しましょう。

 それで、私が今本当に思っているのは、合意をちゃんと、インフォームド・コンセントというものを国民の皆さんにやって、そして、それで同意した方、希望者はみんなプレパンデミックのワクチンを与えればいい。私なんかも打ちたいですよ。ここにおられる方もたくさん、打ちたいと思いますよ、そこは。そうしたら、効果として持続的に続くんじゃないかと。

 効果についてお話をしましょう。

 今、動物実験とか、あるいは香港風邪のときにやった事例がございます。学会で報告されています。それから、WHOの、日本で多分ワクチンについては最高の権威者の方だと思いますが、田代先生という方も、いろいろと私もお話をして、この効果は一度打つと大体十年から四十年ぐらい続くだろうと言われております。

 そうなると、一応副作用ということがなければ、それは打った方がいいじゃないか、それが当然考えられるわけですよ。だったら、大流行時にパニクって打つよりも、今少しずつ打っていけば、そこは十分恐怖ではなくなる、脅威ではなくなるわけですよね、H5N1が。そこはいかがですか、効果について。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、プレパンデミックワクチンと申し上げましても、いろいろな種類がございます。

 現在、私ども、二つの会社の製品を承認いたしておりますが、それぞれの効果につきましては、一回ワクチンを打った後、その後、体の免疫反応によって抗体ができるわけでございますけれども、その抗体の持続効果を見ますと、現在、二社とも大体三カ月、重症化を予防できる効果が期待できる抗体価を維持できる。それから大体半年ぐらいは、抗体価は減少しますけれども、ある程度の重症化の予防効果はできるというふうに考えられております。

 それから、先生今御指摘のように、免疫の記憶につきましては、この試験データはございませんけれども、一般的には、医学的な知見から見て、一度免疫が成立すれば、追加的なワクチン接種や感染に対しても早期に免疫応答が起きるというふうに言われております。

末松委員 そうすると、基礎免疫ができるわけですよ。これはWHOの最高権威の田代先生も言われているから、そうなんですよ。ということであれば、副作用がなければ事前に打っておいた方がいい。

 副作用があるのかどうか、この辺についても、今、数百例の治験結果があって、問題ないと言われている。さっき赤ちゃんの例を厚労大臣が出しましたけれども、赤ちゃんの事例と、あと妊婦さんの事例、これが確かにそこは不足している部分がある。でも、これを希望する方、徐々に数万人あるいは数十万人やっていけば、さらに治験の記録ができてくるわけですから、当然、パンデミックという大流行になってから慌てるよりはいいわけですね。

 と同時に、社会機能維持者あるいは医療従事者についてはもう打つということでやっているわけでしょう。やっているのであれば、それはきちんと安全であると思っているからやっているわけですから、だったら、一般の国民の皆さん、希望する方、打って全く問題ないんじゃないですか。安全性について、どうですか。

西山政府参考人 予防接種ということでありますけれども、一般的には、注射した部位がはれたり発熱等の副反応が見られるわけですけれども、この場合、先ほど申し上げたように、重篤な副反応も出る可能性がございます。しかしながら、そういった症例をふやしていくことによって、どのような状況かというのを把握できます。

 いずれにしても、接種対象者、接種方法については行動計画で決められていまして、一度、御指摘を踏まえて、その行動計画について議論を今後進めていく必要があるだろう。まさしく今、どの対象者に接種していくか、議論を始めたところでございますので、至急検討していきたいと考えております。

末松委員 すぐ検討して、結論を本当にできるだけ早く出してくださいよ。それで、プレワクチンならプレワクチン、もし国民の皆さんが、例えば希望する方が八千万人おられたら、八千万人分のワクチンをつくってくださいよ。そうしたらこのH5N1というのは脅威でなくなってくるんですよ、ある程度の基礎免疫ができるということですから。それが国民の命を救うことになるんですね。

 米国が、今提出した資料で、このプレパンデミックワクチン、備蓄目標二千万人分と書いていますけれども、これは二千万人分ということで、今でもそう思っていらっしゃいますか、厚労省。

西山政府参考人 これについては、CDCからそのような情報を得ております。

末松委員 最近のWHOの会議で公表されましたのが、今、私も専門家から聞いて、私自身が専門家じゃないので余りうまくは説明できないんですが、今まで、たんぱくを、実際のこれをつくるのに九十マイクログラム、二回接種というのがアメリカの技術的な水準だったんですね、やり方だったんです。それが、アジュバントという、これが免疫の増強剤、これを加えることによって七・五マイクログラムでよくなった。ということは、必要な量が、より薄めて効果のある方法になったんです。その計算でいきますと、それで十倍以上薄めても大丈夫だという話になったわけです。

 そうなると、アメリカで三億人弱ぐらい、そのくらいの人数が、今アメリカとして備蓄になったという話がこの前のWHOの会議で言われたんですが、そこは御存じありませんか。なかったら、至急調べてください。

西山政府参考人 アジュバントで確かにそのような技術があると一般論では承知していますけれども、今回の、このプレパンワクチンでWHOがそのような科学的なレポートを出したというようなことを、私、知りませんので、至急調べてお答えを申し上げます。

末松委員 日本の場合はアルミアジュバントということで、ちょっと製法が違うので、すぐに直接それを応用するということはできないとは聞いていますけれども。

 ただ、どんどんそういうやり方で、アメリカもプレパンデミック、パンデミックの起こる前にもそういう形でコントロール、マネージして、そしてアメリカは、パンデミックが起きてから、組織培養という、卵を使わなくて済む、本当だったら、有精卵を一々集めて、そしてやっていくという、かなり遅い方法なんです。その組織培養というもの、これは卵がなくてもできる、その研究をアメリカが今して、五年間レベルで、この資料にも書いていますように一千億円ぐらいの予算でやっているわけですよ。

 日本も組織培養というのは、今、日本の予算は二千万円と聞いていますけれども、これはちょっと情けない数字だと思うんですね。もっとそういった形で、一どきに大量につくれる、そういう技術をしっかりと、これは国民の命がかかっているわけですから、それも多数の国民の命が。それはもう強力に進めていくべきじゃないですか。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、卵だと時間がかかりますから、細胞の培養、これを何とか進めたい。

 それで、十九年度の予算がございました。今年度、委員の指摘もございますし、研究費全体の予算がありますから、これをそこに差し向けて、そして、卵じゃなくて細胞培養の方向に何とか持っていけないか、そうすると早く大量にできますので。全力を挙げて研究に取り組みたいと思います。

末松委員 今の全力という言葉、いいんですが、ただ、アメリカみたいに一つのプラントを建てて、ヨーロッパから専門家を呼んでやっていて、一基のプラントに百億ぐらいかかるわけですから。

 ただ、これが、国民の命の数十万人と比較するという話になっちゃうと、まずやるべき話だと思いますし、全国民分のプレパンデミックワクチンをつくったとして、予算が、これはある専門家の試算ですけれども、大体一千三百億円というふうに言われていました。これは、今問題となっているイージス艦と同じぐらいの額なんですよね。ですから、むしろ、本当に国民の命を守っていく、直接裨益をしていくわけですから、ぜひこれは全力ということを、言葉だけじゃなくて、行動で示していただきたいと思います。

 それから、ちょっと、プレパンデミックワクチン、最後の質問ですけれども、先ほど効果という話がございました。このワクチンそのものが、三年を超えるとだんだん機能が悪くなってきて使い物にならなくなる、そういう話がございます。今、一年前につくられたものがありますから、あと二年で、これはどうするんですか。これはもう捨ててしまうという話なんでしょうか。もし捨ててしまうんだったら、今私が申し上げているように、きちんと国民の皆さんにもこのワクチンを打てばいい、それに活用すればいいと思うんですが、いかがですか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 三年で有効期限が切れますので、議員おっしゃるように、三年後は廃棄するというようなことが原則でありますけれども、現在、例えば指定医療機関の医療従事者あるいは検疫所の職員、あるいは議員もおっしゃっていますような市販後臨床試験参加者への接種、さらには鳥インフルエンザ発生国への国際的な提供というようなことを幅広く現在検討しておりまして、活用のあり方についてまたお答え申し上げたいというふうに考えております。

末松委員 これからこれからと言われますけれども、まず国民ですから、医療従事者あるいは社会機能維持者が必要だったら、まずそこを優先的に打つ中で、さらに一般の国民の方々、希望する方がいたら、ぜひその門戸を広げてくださいよ。そしてどんどんつくってくださいよ、このプレパンデミックワクチンを。もし捨てるという話なんかだったら、よっぽどそういう形で活用した方がよろしいんじゃないでしょうか。これを口を酸っぱくして言っておきます。

 ちょっと時間がございますので、パンデミックワクチンについても質問します。

 パンデミックワクチンというのは、大流行が起こってからそのウイルスの型を調べて、それからワクチンをつくるということなので、半年から一年かかると言われております。そういう答弁もいただきました。そうすると、大体、H5N1の波が数週間ぐらい、どんどん波が起こってはさらに次の波、第二波が来て、第一波の次は第二波が来てまた第三波が来る、これが一年から二年にかけてどんどん押し寄せてくるということなんですが、なかなか、第一波、第二波、間に合わない、国民の命を救うのに間に合わないということになるかと思いますが、そういった認識でしょうかということと、全国民にワクチンをつくると言っておりますが、どういう状況なんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、これは先生よく御承知のとおり、ワクチンは、防御の対象となる病原体が出現して、それに対して特異的に反応するような抗体を産生できるようにということで製造しますので、これは、新しい疾病の発生後、すぐに生産できるという性格のものでございません。したがって、今現在のインフルエンザワクチンの製造方法の技術的な制約から、大体、パンデミックの発生から、はっきり申し上げれば、ウイルスの株を入手してから一年近くかかるということが、現在の技術的な制約、限界があるということでございまして、第一波はもちろん、第二波というのは大変難しいのではないかというふうに考えております。

 それから、では実際に出現した場合にはどうするかといいますれば、それは通常のインフルエンザの時期でありましてもその生産を変えて、これは行動計画上大体そういう考え方になっておりますけれども、そういった通常のインフルエンザの製造を一たんとめて、それからパンデミックの方のインフルエンザの製造に取りかかるということで現在考えております。

末松委員 来たら一年待たないと。一年生き長らえた方に対して有効なワクチンが打たれるという話、こんな話は正直言ってまずいですよね、やはり。それを、さっきの組織培養、できる限りこれを大量に即座にやるということにもっと金をつぎ込んで、財務大臣、今ちょっと目をつぶっておられますけれども、ぜひお聞きいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 とにかく、プレパンデミックワクチンという、今の重要性をるるお話をしました。そこの重要性についても、財務大臣にぜひいろいろな手厚い考慮をいただきたい。そこを、ちょっと突如の質問になりますけれども、お願い申し上げます。

額賀国務大臣 極めて大事なことでありますので、しっかりと対応します。

末松委員 あと、パンデミックが起こったときに、これはちょっとまた、余り詳しくはもう時間の関係でできませんけれども、二週間の国民に対する食料備蓄、そして外出を自粛せよということが、アメリカでも出ておりますし、日本の行動計画でも出ております。なぜ二週間なんだということが私にとって常々の疑問でございました。

 というのは、一年近く続くわけですよ、いろいろと波を繰り返しながら、大きな波、小さな波。それなのに、二週間備蓄をして、後は知りませんぜという話なのか、これはどういうことなんですかね。

舛添国務大臣 例えば、外出禁止なんというのは、これは二週間を超えてまだはやっているというときには、それはやらないといけない。ただ、今まで調べてみますと、災害、地震その他のことについての備蓄は、大体平均的な日本の家屋のスペースということから二週間という答えが出てきています。

 ただ、では、二週間で食べ尽くしちゃった、どうするんだというときに、やはり食料供給体制は、確かにうちが狭いからそんなに置けないにしろ、即座に供給できる体制というのは政府全体で取り組む、そういうことでございます。

末松委員 これがとんでもないなぞなんですよ。つまり、何か昔の帝国海軍のように、一応はやるだけやる、その後は知りませんぜという話になる可能性が高い。

 例えば、ばっと首都圏あるいはいろいろな都市部に広がったら、本当に何百人あるいは何千人かその都市に広まっただけで、どのくらいのゾーニングというんですか、指定区域をやって、それで二週間たったら、では、この方々に食料を供給しなきゃいけない。今、舛添大臣はそう言われたんですよ。でも、これが本当にできるんですか。だれがまずやるんですか。その供給体制はどうなるんですか。物すごく膨大な話なんですよ。

 これが実際的じゃないというのは、本当に体制をつくり切れない。例えば、東京でも、私の住んでいるのは多摩、多摩の地域が指定されたら、この三百六十万人の方々をどうやって食わせるんだ、二週間後。とんでもない話になるわけです。

 ですから、そこも含めて、まず、先ほど申し上げたように、プレパンデミックワクチンというもので基礎免疫をきちんと上げておいて、そして、実際上、外出をやるなと言っても、なかなか無理ですよね。しようがない、どうしても。やはり外出するという話になってしまいます。そういうときに、基礎免疫をつけておいて、そしてマスクだゴーグルだ、そういった本当に必需品ですよね、それで注意しながらやってもらうしかないんじゃないかと思うんですが、それはいかがですか。

舛添国務大臣 具体的には、ほかの災害、ほかの災害というか、災害のときと同様に、例えば、防衛省・自衛隊の協力を仰ぐ、警察、消防もいる、それから農林水産省、そして食料の調達、搬送、こういう方々はまさに社会機能維持に従事しているということで、プレパンデミックワクチンを、今委員が指摘したように、事前に接種をするということで、これは政府全体を挙げて危機管理体制を、例えばシミュレーションをきちんとやって、やるということが必要だと思います。

 特に、今委員がおっしゃったように、大都会で起こったときというのは、どこか離れ島とか寒村とかそういうところならば封じ込めたりすることが可能ですけれども、実を言うと、大都会でどう対応するかというのは非常に苦慮しているところで、今後、また今後と言うとしかられるかもしれませんが、政府全体で、これは重要な課題ですので、検討してまいりたいと思います。

末松委員 日本で成田にちょっと入ってきた、あるいは船で何か入ってきた、大体、一人の患者から十日ぐらいで十万人ぐらいにうつっていく、こういう状況であれば、まず封じ込めということ自体がそれは無理だというふうに考えた中で、では、先ほど申し上げたように、プレパンデミックのワクチン、これを、基礎免疫をつけてもらうというようなことから始めないと、正直言ってここは大変な、これが一年、二年続くという話だったら、もう日本そのものがパンクしてしまう、そういう状況になるということを申し上げながら、ぜひそれは早急に検討してください。

 それから、これも現場の話なんですけれども、お医者さんとかあるいは医療従事者の方々からの切実な要望、要求なんです。私は、二年前あるいは去年の予算委員会でもこの鳥インフルエンザのお話をしましたけれども、末端の医者の方々が、実際に、新型インフルエンザの講習というものを受けたこともなければ、あるいは、マスクとかゴーグルとか、本当に必要な品物、そういったものを供与もされていなくて、竹やりで戦えと言うのかということを言っているんですね。それについてはいかがですか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本医師会に対しましては、既に昨年三月、ガイドラインを配って協力をお願いしているところでありますが、今議員がおっしゃったような研修については、平成二十年度、来年度予算で医療従事者研修ということで三千万ほど予算を計上しております。この中で、実地研修をしていただくということとマスクなどの個人防護具の着用等の推進を図っていくための知識の習得というふうなことを図っていきたいというふうに考えております。

末松委員 計画をつくってそれを発表する方はそれでいいですよ。でも、実際にこのパンデミックが起こったら、実際に生のお医者さんの、これは余り表には言えないけれどもと言っていましたけれども、本音は、もうシャッターをおろすしかない、そして休業だ、じゃないと自分と家族の命が守れないじゃないか、こういうところまで言ってきているわけですよ。それはしっかりと、協力を求めるのであればそれだけのことをやってあげないと、もう冗談じゃないという話になっちゃいますよね。

 と同時に、お医者さん自身、そこのところはどうなんですか。アメリカなんかは、NHKのテレビ報道にもありましたけれども、実際に歯医者さんとか獣医まで全部動員して、そして新型インフルエンザの対応、往診、問診をするという話になっているわけですけれども、日本の場合、そういった、医師会には言っても、実際に末端のお医者さんまで、これはきちっとやってくれということを厚生労働省の方から通達なりを出して、それをやるべきじゃないですか。

西山政府参考人 おっしゃるとおりでありまして、現在、どの医師にどこで診療をしていただくのかということについて、地域ごとの具体的な医療体制についての整備を進めたい。近々でありますけれども、地方自治体、都道府県レベルになりますけれども、担当者と協議をしながら、各県それぞれにおきまして、そういった体制をつくっていただく、さらに、先ほど申し上げたような予算でもって医療従事者の研修も実施していただくというふうなことを考えております。

末松委員 大体どのくらいの数を言っているんですか。あなたの答弁を聞いていると非常に抽象的だ。やりますということでいいんだけれども、どのくらいの数の人がいるんですか。

 それに、医者からいったら、お医者さんが言っていましたけれども、タミフルがどこにあって、どうするのか、どうやって配られるのかもわからないし、検査キットがどうなるかもわからない、要するに何もわからないぞ、そういうふうに言っている医者の方もおられるんですよ。

 要は、どのくらい、みんなきちんと診てくれるんですか、国民はそこを知りたがっているんですね。かかりつけのところに、お医者さんに行ったら、本日臨時休業と言われたら、ほとんど絶望的になるわけですよ。各県、あるいはどのぐらいなんですか、数は何万の単位で日本にあるんですか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的には、感染症の専門家がおられる感染症指定医療機関が現在三百四十四、病床数が千六百九十二です。さらに、結核予防に基づく指定医療機関が一万二千二百七十九床、三百七医療機関。合わせて六百五十一機関が全国にありますので、そこを中心に、医師会と連携をとりながら研修を進めていっていただきたいというふうに考えております。

末松委員 全国で六百五十幾つでしたか。それから、一般のお医者さんも協力してもらえるんですか、指定機関だけじゃなくて。要するに、大流行になったら何十万あるいは何百万来るわけでしょう、そういった患者がどうだどうだといって。そういったところは、指定機関に行かないと、つまり、そのときに、電車が動いているとか動いていないとかいろいろなことがまた出てくるんですよ。そういったときに、そこまで、遠くの指定機関まで足を運ばないとだめだ、こういうふうなところになるんですか。もう一度答えてください。

西山政府参考人 失礼しました。私が申し上げたのは、そういったドクターが、専門家が六百五十一機関におりますので、そのドクターたちがそれぞれの県の医師会と連携をとりながら研修をしていっていただくというようなこと、それから、医師会のかかりつけ医の方々についても、こういった新型インフルエンザの知識を持っていただくというための研修費を確保している、こんなような状況でございます。

末松委員 お願いしたいのは、日本全国で幾つなんだと数で示してください、一般病院含めて。お願いします。

 最後に、官房長官、お待たせしました。今までのお話を聞いて、この机上訓練は、官房長官の方で実質的に、総理が多分本部長でしょうけれども、対策本部でやっておられると思いますけれども、この机上訓練、去年も二回、二月そして十一月にやられました。そこの進捗状況とともに、やはり官邸の方で音頭をとって政治家がどんどん進めていかないと、これはなかなか進みません。そこを、官房長官の決意と今後の見通しですか、それについてお伺いします。

町村国務大臣 今、末松委員のさまざまな御指摘、御意見を伺いまして、改めて事の重大性を認識したところであります。昨年、たしかテレビだったですか、大分やりました。私も、あれを見て、これは大変だなと思っていたところでございました。

 去年の十一月十六日ですか、これは関係省庁に加えまして千葉県、それから成田の空港の検疫所等も交えて訓練を総合訓練という形でやったところでありますが、まだまだ課題がいっぱいあるなということが素人の私にもわかったところでございます。今委員御指摘のさまざまな点があるな、パンデミック一つとっても大変な、お金もかかるけれども、やはり準備しなきゃいけないということであろうか、こう思っております。そういう意味で、これはいわば国の危機管理の重大な問題の一つである、そういう認識を持って、政府を挙げて、官邸中心になってしっかりとやらなければいけない、そういう思いを強くしております。

 その一助として、今回、法律を、感染症法等の改正案を提出しておりますが、そうしたことなどを含めて、国会の皆様方の御意見、御指導もいただきながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

末松委員 本当にそのお言葉どおりしっかりと取り組んでいただいて、何回も繰り返しになりますが、プレパンデミックワクチンを、インフォームド・コンセントのもとで合意する国民の皆さん、希望する方々すべてに、そのワクチンが打たれて基礎免疫が高められることを心から私自身願いまして、また要求もいたしまして、この質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて末松君の質疑は終了いたしました。

 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めます。

 最初に、鳩山法務大臣に来ていただいているんですが、冒頭で、余り楽しくない質問かもしれませんが、恐縮なんですが、お聞きをしたいと思います。何かいろいろ失言とか虚言とかで話題になっておりますが、過去の行動についての質問になりますが、お答えいただきたいと思います。

 二〇〇六年の十二月二十五日に鳩山大臣はフィリピンに行っておられたという報道がありますが、そのことについてお答えを、御確認をいただけますか。

鳩山国務大臣 一年二カ月前の年末でございまして、突然冬休みがとれそうなことになったものですから、フィリピンへ行ったのを覚えております。

笹木委員 それはどういう用事で行かれたのか。具体的に聞きます。

 そのときに、大臣は、自分の御趣味のチョウの採取ということで、現地の方お二人を同行していろいろ行動されたという報道があるわけですが、そのことについて、事実に即して経過をお話しいただけたらと思います。

鳩山国務大臣 ウイークリーでそういう報道があったことは、私は知っております。

 フィリピンには以前から、以前からといっても、アキノ大統領とか、デ・ベネシア下院議長とか、あるいは、現在のアロヨさんが副大統領のころとか、何度か行ったことがありまして、フィリピンは大都会でございまして、そのころから、私は、自然に興味がありますから、いろいろ歩いたこともありますし、どういう変化が、自然破壊等あるのかなという思いで、かなり久しぶりであろうかと思いますが、孫も連れて参りました。

 正直言って、個人的な話で皆さんは余り御興味ないかもしれませんけれども、例えばサバ大学、マレーシアですが、あるいはそういうようなところとの共同研究のようなことはいたしたことのある私でございまして、マニラというところは大都会でございますから、私はチョウは大好きでございますが、チョウの研究のためだけに行くようなところでは全くないと思います。それは、三時間、四時間、あるいは五時間、車で走って、どこかルソン島の北の方へでも行けば別だと思いますが。

笹木委員 十二月二十五日にフィリピンに行って、同行したのが日向博美さんという方、それと、もう一人のフィリピンの男性の方が同行して、自然保護区内でチョウの採取をした、そういうふうに現地の新聞で報道がされています。

 今のお話と食い違うんですが、実際のところは、報道されているとおり、この二人を伴ってチョウの採取に行ったということですね、自然保護区内において。

鳩山国務大臣 日向博美さんという方は、私はお会いをしたことはほとんどありませんでしたが、エリマキトカゲを日本に持ち込んだ方として著名でありまして、突然フィリピンに行くことになったものですから、友人に、何かおもしろい案内をしてくれる人はいないだろうかと言ったときに、日向さんがいるから連絡しておきましょうということでお会いをして、日向さんに連れていっていただいたのは事実です。

笹木委員 それで、その自然保護区内でチョウの採取をされていて、日向さんと、そしてドライバーの役割も果たされた方と一緒に行って、そこで高圧線にその日向さんが触れて、感電で、その後しばらく療養生活をされたが、数カ月後にこの感電の事故がもとで亡くなっている。これも報道のとおりなんだと思います。

 もう一回確認させてください。この自然保護区内でチョウの採取をされていたわけですね。

鳩山国務大臣 結果的には、しておりません。

 それは、実は正直に申し上げて、外国へ行ってトラブルが起きるということは最も我々は避けなくてはいけないことでございまして、私が行ったことのないところでどこかおもしろいところはないかと日向さんに前日お尋ねしたときに、例えばマルコス大統領やイメルダ夫人が専用に使っていた別荘地のようなところがあって、そこはバージンフォレストが、つまり処女林ですね、二次林じゃなくて、残っているから行ってみませんかと言われましたので、私は、じゃ、そこへ行ってみます、御案内くださいというふうに申し上げたわけでございます。

 ところが、そういうところで実は採集禁止であってトラブルが起きるというようなことは最も避けなければならないことでございますから、日ごろから注意しておりまして、できる限りどこかの大学との共同研究のような形をとっている私でございますが、そのとき、やはりいろいろ複雑だと思うんです。これは実は、日本の国内も環境省と文部科学省と両方あって複雑なんですが、さまざま複雑なことがあるので警戒をしておりまして、尋ねたわけですね、ガイドさんには。違法ということはないだろうかというふうに聞きましたところ、まあ問題はないでしょうという返事があったのですが、私としてはまだ一〇〇%の確信がありませんでしたから、採集をいたしませんでした。というか、歩き始めて間もなく、私も人生で初めてのような恐ろしい事故の現場に立ち会った形になりました。

笹木委員 それで、さっきお話ししましたが、もう一人の同行された、運転手もされたフィリピンの男性、この方は御存じですよね。これも現地の日本人向けの新聞で報道がされていますが、このもう一人の方が、日本にビザを申請した折に、二〇〇七年の夏ですか、鳩山大臣の秘書が便宜を図る、この方、過去にビザを申請して拒否をされている方らしいんですが、この二〇〇七年には秘書が便宜を図られて、それで日本にその後訪問をされている、これは事実ですね。

鳩山国務大臣 事実でないと思います。

 正直申し上げて、そのウイークリーには、ちょうど私が行っているときに、その恐ろしい事故とともに大使館員が自殺するという事件がありましたが、まるで私が会ったことがあるような書きぶりでございまして、そのビザの申請のことは、うちの地元の担当秘書に問い合わせましたら、日向さんが不幸にして亡くなられて、その葬儀に私は自分が行けなかったものですから、その秘書に香典を持たせて行ってもらったわけです。そのときに、うちの秘書の運転も彼がしてくれて、うちの事務所の者は、日向さんの事故のことで大使館にもすごく世話になりましたから、お菓子か何か持ってあいさつに行ったときに、大使館員とドライバーさんとの間に面識はできたかもしれないけれども、いわゆる便宜を図るというようなことは一切ない、こういうことです。

笹木委員 この報道では、現地の日本人向け新聞では、この御本人が取材に答えられて、大臣の秘書に国際電話をかけて、ビザを申請した、助けてほしいと依頼した、これに対して秘書側は支援を約束し、ビザの申請番号も男性から聞き出して電話を切った、数日後、秘書から、査証が出たから日本大使館にとりに行くようにと連絡があった、そういうふうに報道されているんですね。

 このことはこれでいいですが、要は、お話ししたいのは、面識もあるこの方が、同行された方が、大臣が先ほど言いましたその研究、自分はチョウの研究をというふうに言われましたが、この運転手もされた方が、事故のその場で大臣は網を持っていたというふうにこの取材に対して答えているわけです。

 研究だったらどうして網が要るのか。四メートルのさおをつけた捕虫網を持っていた、そういうふうに報道がされています。このことについてはいかがですか。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたように、個人のプライバシーに触れることになるので余り御説明はすべきでないのかもしれませんが、ここは問題はないと思うということでありました。したがって、私も、網は出しましたが、正直言って、トラブルがあってはいけないと思い、全く採集する意思はありませんでした。

 というか、網を出した直後にあの恐ろしい感電という、私は多分三メーターぐらいしか離れておりませんで、最初、何が起きたか全くわかりませんでした。正直言って、ぼわっと火が燃えたので、何かのテロとかありますね、そういう何かの爆発物かと思ったら、飛びのいて見たら、いきなり日向さんの衣服がぼっと燃えた音であって、そのままお倒れになった、そういう恐ろしい事件だったわけで、その後は病院に彼をどうやって送るかという大騒ぎになったわけです。

笹木委員 研究とか観賞目的というふうに大臣が言われていることに対して、現地のフィリピンの環境天然資源省のマニラ局長代理が、自然保護区域内で捕虫網を手にしていることは何を意味するのか、省職員が現場を目にすれば、野生生物法違反の疑いでまず事情を聞くというふうに言っておられますね。

 それと、先ほどの運転手の方が、こういうふうにこの取材に答えているわけですね。この男性によると、ドライバーの方です、鳩山大臣らが探したのは、黒っぽい羽に赤い部分のあるチョウ、私は詳しいことはわかりませんが、事故発生までに同大臣と日向さんで計十匹程度のチョウを捕まえたが、うち四匹から五匹は目的のチョウと違ったため放した、それを確かに見たというふうに言っているわけです。

 網を持っておられたことは間違いないという事実と、報道に対するこういう証言、どこがどう事実と違っているのか、大臣がそう思われるのなら具体的に答えていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 ですから、網を出したのは、その方がここは問題ないと思うとおっしゃったからでありますが、私は、トラブルが起きることはあってはいけないと思っておりましたから、そこが国立公園、自然保護区域であるということは、まにら新聞という新聞が日向さんの事件を報道した、それがウイークリーのもとになっていると思いますが、そのときに初めて知りまして、ああ、採集をしなくてよかったと、正直言って胸をなでおろしたところでございます。

笹木委員 自然保護区内、ここはそうなんですが、観察目的で一時捕獲することも禁じられている、事前に許可を申請した場合を除いてということですが、当然事前に許可の申請はされていなかったというお話でしょうが、一時観察目的で捕獲も禁じられているということなんですね。

 それと、日向さんが鳩山大臣から頼まれて同行した、これは家族の取材に対する答えでそういうふうに言っておられるわけですが、それに同行したばかりに感電死になって、その後、御家族、お子さんも含めて非常に苦労されているようです。そういう報道がされていますが、そういうこともあります。

 やはり知らなかったということで今現職の法務大臣はなかなか済まないんだろうと思いますし、この報道はもう三回ぐらいですか、ことしに入ってからも二回報道されているんです。皆さんが読んでいるわけですね。ぜひ、ここがこう違うということを、鳩山大臣みずから書面で事実を詳細に書いていただいて、提出をしていただきたいと思います。ぜひそのことを約束していただきたいと思います。

鳩山国務大臣 正直言って、部分的には全く根も葉もないことを言われて、それに対して一々どうだというのを私が書く必要はないと思います。

笹木委員 事実に即して書いていただければ、それである程度のことはわかると思うんですが。現地で言われている目撃者の発言と全然食い違いがある。網を持っていた。非常に不自然なんですね。十匹以上捕獲をしている、そういう報道もあるわけですね。ですから、その疑いを晴らすために、ちゃんと書面で事実を提出されるべきだと思いますが、そのことを再度約束していただきたいと思います。

 もし大臣が約束をされないのなら、理事会でそのことをしっかりと協議していただきたいと思います。

鳩山国務大臣 亡くなった方のプライバシーにかかわる問題があるから、余り詳しく長々とということではないと思います。

 ですが、私がここで申し上げたとおりでございまして、私が申し上げたようないきさつそのものが、書面で書いても同じことになるでしょう。

笹木委員 では、そういうことなのでもう一度聞きます。

 どうして網を持っていたか、単に観察目的で採取することも禁止をされているわけですが、知らなかったということだけで済ますということなんですね。観察目的で採取をしていたんだということですね。十匹ぐらい捕まえて、四匹ぐらいを逃がしたという報道があるわけですが、これは事実無根だということですね。

鳩山国務大臣 最後の部分については全く事実無根でございまして、網を持っていたのは、私は、それは知らなかったで済まないかもしれませんが、全く知らないところに彼の案内で連れていかれて、だから私なりに不安に思って、大丈夫なんですか、ここで採集してもいいんでしょうかということを言ったら、大丈夫だと思うがと言われました。だから網は出しましたが、私は、確証がなくて、外国でそういうトラブルがあるといけないので採集はしなかったということでございます。

笹木委員 納得できませんので、ぜひ、この報道、こういうふうに現地で何度も報道されている、ここのどこが事実と違うのか、それを具体的に文書で出してください。

 理事会で協議をお願いします。

逢沢委員長 納得がいくまで質問をいただいた方が建設的であろうかと思います。

笹木委員 では、このドライバーの証言が間違っている、鳩山大臣は御存じだと思うし、日本に来られる便宜も図ったと言われているわけですが、その方と、こういう証言は間違っていることでやりとりを、秘書経由でもいいですが、やられたことはありますか。

鳩山国務大臣 だれを。(笹木委員「そのドライバーを」と呼ぶ)私がですか。ございません。

 事務所の秘書には、彼が日本に来たときに、参議院選挙中で私も回っておるときに、そのドライバーから電話があったことがあると言っていました。

笹木委員 実は、これは民間の方から、こういう情報で、私もきょう急に質問することになりましたが、大臣がそういう資料を具体的に出していただけないということであれば、その民間の方からまたいろいろなことが、私に限りませんが、情報があると思うので、多分、引き続きこの質問は別の委員がやることになると思います。ぜひ、そんなことを長々とやるんじゃなくて、事実を文書に即してやっていただければありがたいと思います。

 二つ目のことについてお伺いしたいわけですが、まず冬柴大臣に、ほとんど冬柴大臣にお伺いをしたいんですが、先ほどの続きです。

 改革本部を設置する、そしてなるべく早くというようなことも言われたりしていますが、具体的にいつ結論を出すおつもりなのか、お答えをここで再度確認させてください。

冬柴国務大臣 対策本部では逐次出していきますが、遅くとも六月中にはそれを締めるぐらいのスピードでとにかくやらせていただきたい。途中である程度の結論が得られれば、それはその時点で直ちに実行する、そういうつもりでおります。もちろん、専門家等の御意見も聞こうというふうに思っております。

笹木委員 ここで何度か私もお聞きしたことについて再度確認をさせていただきますが、例えば、発言が何度か食い違ったりぶれたりしているので確認をしたいんですが、宿舎、何度もほかの委員もこのことを取り上げて質問しています。道路特定財源なんだから、この特定財源から支出をするものについては道路をつくるのに不可欠な宿舎に限る、一般の住宅は特定財源は使わない、一般の住宅については一般の基準で一般財源で国交省の予算でやればいい、それも国民に納得のいく形でやるべきだと思いますが、このことは間違いないですね。

冬柴国務大臣 道路整備特別会計法に基づいて、そこから宿舎あるいは福利厚生費というものは出すことといたしております。

笹木委員 答えていただきたいんですが、宿舎の建設を控えるというふうにもお答えになっていますね、これまでの委員会で。それは、こういうものがふさわしくないという判断のもとで、これから控える、もう建設をストップさせるものもここで何度かお話しになりました。そういうことは今後やらないという原則だから控えるという発言もされているわけなんですね。そうじゃないんですか。そうじゃないのなら、なぜ今数件を控える必要があるんですか、建設を。問題がないのなら、ずっと続ければいいんじゃないですか。

冬柴国務大臣 委員から、いろいろな方から、このように我々が、今ガソリンが非常に暴騰している中で、暫定税率を維持させてほしい、このようにお願いしているわけです。その中で、国民が、そういうことをやっているのかということで御批判を、これが適法か違法かは別として、違法ではありません、適法であるかどうかは別として、妥当であるか、あるいはそれが国民にとって不快感を持たれるかどうかというようなことを考えて、十九年度は二つの土地について、整地も終えて着工するところでしたけれども、凍結せよということを私は申し上げた。

 それは、ほかのことを言って申しわけないけれども、社保庁の事件でいろいろな批判を受けましたね。そういうものを連想されても困る。それで、二十年度も予算はいただいていますけれども、着工しないということを申し上げたわけでございます。

 別に、悪いとか、そういうことでなしに、これは公務員宿舎法という法律で、長が、すなわち私が職員の宿舎は手当てをしなければならない規定が置かれているわけでございまして、決してぜいたくなものではありません。

 ただ、一万名を超える職員、二万二千キロに及ぶ国道の維持管理をしている人がいるわけですけれども、八千戸というのは多いか少ないか、これはいろいろ考え方があろうかと思います。そういうことから、私の方は、東京二十三区内にある三宿舎四十八戸は全部廃止するということも決めていますし、あるいは、政令指定市等に所在する六十一宿舎一千七十一戸も廃止するように決めております。そういう計画をいたしております。これは、二十三区では全部ですし、政令市、九十ほどありますけれども、そこではその約半分を廃止しようということでございます。

笹木委員 半分は廃止をする、今後建てていくものについては、今言った一部の地域以外については従来どおり建てていく、そういう計画を続けるということなんですね。

冬柴国務大臣 例えば八千戸の住宅というものが四十年で命数が切れる、償却するということを前提としますと、年に二百戸更改していかなきゃいけないわけです。八十年もたすということなら百戸です。六十年であれば百五十戸。そういう耐用年数が過ぎて、そして、これを建てかえなきゃならないという時代がこれは来ると思います。したがいまして、未来永劫絶対やらないとか、そういうことを私の立場で今言うのは行き過ぎだと思います。

 したがいまして、人数に相応した過不足のない、国民の目線から見て適当な数の宿舎というもの、これは清潔に、そしてまた住む人が安心して住めるようなものを提供するのがやはり省の長の義務だと私は思います。しかし、今このような事態の中で建てるのは自粛をいたしますということを申し上げているわけであります。

笹木委員 要するに、今非常に注目されている、予算としてこの法律を通すまで、この十年計画をとりあえず通すまでは自粛をする、その程度のことですね。これがやはりずれているんですよ、大臣、一般の方の感覚とは。

 あるいは、着工前に改めて費用便益分析を実施する、そして、最新のデータにより計算し直す場合、計画は見直さないといけない、この原則は間違いないですか、計画も見直すというのは。最新のデータにより、その消費量、費用対便益、これが変わってくる場合には計画自体を見直す、これは間違いないですか。

冬柴国務大臣 それはもう最初から申し上げているとおりでございまして、ですから、もちろんやり直すんですよ。着工するときにやり直すんですよ。それは私、前から言っているじゃないですか。そして、決定して着工しなければ、五年ごとに見直すんですよ。それもやっていますよ、今。

 そういうことで、私は、BバイCもそのように、現実に整備に着手するときにはもう一度やり直し、最新の資料をもってやり直します、こういうことを再三申し上げているところでございます。

笹木委員 いや、その場合に、費用対便益がかなり落ちてもやる、やらない、この判断、何も具体的に根拠を示しておられないわけですね、原則も。要は一般の感覚とずれている。

 これで、今度の改革の本部ですか、メンバーを見ても内部の人ばかりじゃないですか。大臣と副大臣、政務官、そして国土交通省のお役所の方々だけ。感覚がずれているわけですから、そういう内部の方だけで改革本部といっても大したものは出てこないとみんな思っているんですね、大臣。

 大臣、細かいことは聞きません。どうしてこの改革本部の中に、別に有識者に時々意見を聞くという話じゃなくて、改革本部の中に外部の方、民間の方を含めて入れて抜本的な改革を示していく、そういうことを決められないんですか。やるべきでしょう。内部だけでやっているからずれているんですから。

冬柴国務大臣 我々、今国土交通省にいますけれども、本地は政治家でございます。国民の代表でございます。我々六人が力を合わせて公正公平にやらせていただきます。

 それから、先ほど道路の事業評価のことでお尋ねでございましたけれども、再評価は累計で二千七百八十二件やりました。うち、見直しは四十一件、中止二十九件をやっておりまして、途中ででも私どもはそういう、見直したりあるいは中止をしたりしているということを申し上げたいわけでございます。

笹木委員 だから、内部の方だけでは、国民の代表の政治家だからといっても、ずれている。今までもたくさんありますね、ほかの省でも、国交省でもありましたが。改革をする、報告書を出す、そしてその報告書も内部だけでつくる、結局実行されない。実行されないだけじゃなくて、そもそもその改革書、報告書を出すのが六月、六月のいつだと思ったら、国会が終わる二日前、三日前、そういうのはざらですね。国民の代表は大臣だけじゃないんですよ。しかも、今までの決定がずれているから問題だというふうに世論も注目しているわけですよ、国民も注目しているわけですよ。

 国会で審議できるように、六月で国会が終わる前に、間際に出すとかそんなことは絶対ない、ちゃんと審議ができる間に、その期間を持って最終的な報告書を出す、約束していただけますか。

冬柴国務大臣 誠心誠意やらせていただきます。

笹木委員 具体的にいつまでに出されますか。期限を聞いているんです。

冬柴国務大臣 遅くとも六月中には出させていただきます。

笹木委員 だから、今お話ししたでしょう。過去にもそういうパターンは多いんですよね。もう国会審議が間に合わない、国会は終わる、二日後には終わる、一日後には終わる、たくさん例はありますよね。恥ずかしいでしょう、そういうの。国会で審議ができる時期に、五月の末までとか、最終も出す、それを約束してください。

 それと、先ほど、随時、途中経過をお知らせする、どういう形で報告されるんですか。ちゃんと途中の経過、一回目はいつにされますか。報告書で出てきますか、途中の経過も。

平井副大臣 具体的な作業のやり方等々につきましては、大臣の方から私の方に指示をいただいております。それで、この問題に関しては、いろいろな御指摘の点に対して結論が出たものから皆様方に報告をさせていただきたいと思います。

 ただ、今回は総点検ということでありますから、皆様方の御指摘以外のものも全部点検をさせていただきます。ですから、政治家六人で総点検をするのに時間はかかります。それはある程度の時間は必要だということは皆様方もお認めいただきたいと思います。

笹木委員 大臣にお答えいただきたいんですね、冬柴大臣。いや、冬柴大臣にお答えいただきたいんです。

 与党の中からも、この中期計画の見直し、若干は必要じゃないのという声が出始めているじゃないですか。国民はほとんどそう思っていますよ、無駄がたくさんあると。それをまた隠れみのみたいに改革本部をつくって、報告書も国会が終わる時期に出してくる、これをやめましょうと言っているんですよ。

 とにかく、中間の、中途経過、その報告書を、一番最初のものをいつ出しますか。それぐらいは約束してください。冬柴大臣に聞いています、冬柴大臣に。

平井副大臣 いや、それは大臣からきつい厳命を受けて我々作業しておりますが、具体的なスケジュールをすぐ今出すことはできません。

 ただし、このことに関しては問題意識は皆さん方と同じですよ。ですから、そういう問題を隠すようなことがないために、要するに国土交通省の常識が世間の非常識と言われないために我々政治家が張りついてやろうとしているわけです。どうぞ見ていただきたいと思います。

笹木委員 今の発言にありましたが、国土交通省の常識が世間の常識とずれているんですよ。言われることがないようにと言いましたが、言われているんですよ、今現に。だから、その状況認識がおかしいでしょう。既に言われている。それを、そういう状況を変えるために改革本部をつくるということであれば、冬柴大臣、御自身の言葉でちゃんと答えてください。ちゃんとこの予算委員会でもその改革の方向性を、そちらがたたき台として出した中間報告でも結構です、それを審議できるように、大臣が中間報告を、口頭じゃないですよ、ちゃんとしたものを出す、審議ができる時期に出す、それを約束してください。年度内に必ず出すと、中間報告を。

冬柴国務大臣 この年度内ということは三月の末ということだと思いますけれども、毎日これですよ、これから参議院へ行っても。そうでしょう。

 私は、本当に毎日毎日、これは忙殺されるんですよ。ですけれども、事は大事だからということで、私は御指摘いただいたことはその日のうちに改善もしていますよ。改善もしていますよ。(発言する者あり)ですから、いや、非常勤の理事とかなんとかおっしゃいますけれども、そういう……(笹木委員「質問にお答えください。中間報告を」と呼ぶ)いや、私が言っているのは、私が見て、私の目線から見て、これは改めるべきだという御指摘をいただいた分については、直ちにやっていますよ。私は今後もそのようにやりますということを申し上げているわけです。(発言する者あり)

 ですから、それは今、金曜日に着手したんですよ。今やっているんですよ。それは、ですから、いいじゃないですか。

笹木委員 大臣、質問に答えていただけたらいいんですよ、長々と話していただかなくても。

 必ず中間報告を、審議ができるようにその報告を出してくれ、三月、まあ四月でも結構です、出してくれと言っているんです。それが答弁できないんですか。大臣御自身にお答えいただきたいんですよ、冬柴大臣に。

逢沢委員長 平井副大臣。その後、大臣にも答弁を求めます。

平井副大臣 私は、大臣から御指示をいただいて作業をしておりまして、私自身の作業進行というものが、最終的に大臣がいつまでということになりますので、全力を尽くして、できるだけ早くやらせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 御指摘を受けて、努力いたします。

笹木委員 では、三月に中間報告、一回目のでいいですよ、何度かあるんなら。それを出していただく。予算委員会でちゃんと、最終的に予算が通るまでにそのことを審議できるようにする。当然ですよね。大臣、大臣、お答えください。冬柴大臣、お答えください。(発言する者あり)

逢沢委員長 静粛に願います。

冬柴国務大臣 今まで私が答弁をしたとおりでございます。誠心誠意やらせていただきます。

笹木委員 必ずこの予算が通るまでに中間報告を出すのが必要だと思っていますが、あわせて、ここでぜひ、この予算委員会の委員長に検討をお願いしたいんですね。

 これだけ国民の世論、注目をされている問題について、結局材料を出さずにまた通したと言われないためにも、この第一回目の中間報告が出てきた時点でも、年度内は無理だと言っているんですし、出てきた時点で集中審議を必ずやっていただくことを検討していただきたいと思います。

逢沢委員長 一応、予算委員会理事会で扱いを協議いたすことといたします。一応は取り除きます。

笹木委員 必ずそのことを理事会で協議をお願いしたいと思います。

 舛添大臣にお聞きをしたいんですが、まず、年金相談について、今、社労士の方の力もかりてということが始まっているわけですね。その中には、資料で出しているような「今後御協力いただきたい事項」ということで、(1)は今、社労士会との関係ですね。(2)、市町村の庁舎の一角の年金相談コーナーにおいて、場所はそこを借りて。(3)は郵便局や農協、同様のことを、こういうようなことが書いてあります。

 今、特にお聞きしたいのはこの(2)や(3)。これはどの程度進んでいますか。そして、当初は、市町村の中の人も、あるいは農協とか郵便局の人も協力をいただくことも含めて検討がされているというふうに聞いていましたが、今現状はどうなっているか、御報告いただきたいと思います。

舛添国務大臣 この資料にございますように、社会保険労務士の方々に御協力をお願いして、快諾をいただきました。

 そこで、まず、市町村でありますけれども、平成十九年三月二十七日時点の市町村長数が千八百三十でございますけれども、年金相談の実施は、十八年度、千八百二十四件でございます。

 それで、今、細かい、ここに私がお願いした件に書きましたように、二月十五日の時点で、ねんきん特別便に関する説明については六百四十一市町村、それから年金加入記録照会票の代行受け付けについては四百三十八市町村、それから、場所を提供してください、コーナーを貸してください、そこに社会保険労務士の皆さんが行って相談します、これについて三百三十八市町村から御協力をいただけることを確認しておりまして、これは総務省の御協力もいただきまして、できるだけ市町村、それから農協や漁協、それから郵便局、これも快く協力してくださるということなので、社会保険労務士の方々の場所を貸すという感じでやっていただき、(笹木委員「人について」と呼ぶ)人も含めて提供してくださるということなので、全力を挙げてこの方向を進めてまいりたいと思います。

笹木委員 いや、人のこともあわせてと今お聞きをしたわけですが、人は実現していないというふうに聞いております。場所については、例えば市町村あるいは農協、漁協、郵便局。そこから相談についての人の協力、人もそこから出して協力ということは実現していないというふうに聞いておりますが、間違いないですよね。

舛添国務大臣 私が社会保険労務士会の皆さんにお願いしたのは、もうプロですから、とにかく相談やってくださいと。それで、それぞれの社会保険労務士の事務所に来られてもいいんですけれども、どこにあるかわかりません。それで、それはホームページを含めて、各都道府県の全体の連合会がここにあります、そこにかければ、あなたの市町村の近くの社会保険労務士さんは例えば笹木さんという方でこういうふうにおられますと。

 だけれども、これはやはりお年を召された方は大変なので、今言った市町村とか農協、漁協、郵便局の一角、スペースをお貸しください、そこに労務士の方が行きますということで、結局、市町村の職員が対応できるかといったら、専門家じゃないので、その場所貸しということでの御協力でございます。

笹木委員 それで、結局、人については社労士会しか出せない、市町村とかそうしたほかの農協とかそういうところで人は出せない、場所だけということになったということ。

 お聞きをしたいわけですが、今、この消えた年金、宙に浮いた年金の記録の確定、この作業、あるいは特別便の相談業務に関して、全国三百カ所で、社労士の方は除いて、今新たにやろうとしている方は除いてですが、社会保険事務所で千六百名体制なんですよね。間違いないですよね。間違いなければそれでいいんですが、そういうふうに聞いております。

 いや、大臣、これはちょっと余り時間がないので、提案したいからお話ししているだけなんです。いや、やはりこれはちょっと無理なんじゃないですか、はっきり言って。今までの進行の速度、スピードも見て。

 社労士会、全国で二万人おられますね。一つ今、社労士会、手伝おうと思っている方々の中でも話題になっているのは、端末のコンピューター。それで、県に一つだけは記録を見られる端末のコンピューター、県に一つだけは社労士会にも見ていただけるようにしようという話になっています。

 しかし、これでもまだ現実的には足りなくて、二万人の方にはかなり年金業務にお詳しい方とそうでない方もいると思うんですが、強力なローテーション、腕のいい方というか詳しい方は、そんな毎日なんて絶対無理だし、月に二日ぐらい割けるかなというところでしょう、報酬があっても。

 ぜひ、この端末を今の十倍ぐらいはちゃんと持っていただく。これは、機密保持とかプライバシー、全然問題ないんですよね。特別の国家公務員になっていただく。今までのいろいろ統計調査でもそういう形で委託してやっていることはあるわけですし、ぜひそれを検討すべきだと思うんですよ。

 今各県に一カ所だけ。これじゃまだまだ追いつかないし、強力なローテーションも組めていない。それで、この端末を十倍ぐらいはちゃんと見られるような場所をふやすということと、もう一つは、いろいろ各県の社労士会によって事情は違うと思います。ローテーションをしっかり組めるところとそうでないところ。そうでないところは、例えば、社会保険事務所のスタッフに、自分が受けた相談の内容を持っていって調べてもらって、また答えてもらう。こちらの連携をもっとより密にしていく。地域によっていろいろ事情が違うみたいですね。

 ですから、ぜひ、全国の会長だけとじゃなくて、地域ごとに社会保険事務所と社労士会の責任者の方、そこらのやりとり、どういう体制を組むか、きめ細かくやっていくこと、それと端末のコンピューターをふやすこと、これはぜひとも必要だと思います。

 私も何度かやりとりしましたが、やはり民間の感覚にはずっと近いですよね、こういう方々は。このことを検討していただくことをここでお答えいただきたいんです。

舛添国務大臣 笹木委員の御指摘は非常に的確で、私も全く同じ問題意識を持っています。

 とりあえず、新たにウインドーマシンをつくるというのは時間がかかります、ですから、四十七都道府県に一台ずつは行きましたけれども、これじゃとても足りない。そこで、何か工夫ができないか。一つは、今コールセンターや何かにあるのを、それは、アマチュア、ちゃんと研修はしていますけれども、社会保険労務士よりは恐らく知識は少ないでしょう、そういうのから引き離して、社会保険労務士の方に任せるという形が一つ。ただ、電話がコールセンターにかかってきたら、問い合わせに対応しないといけないですから、それはそれで必要だ。

 だから、今考えているのは、コールセンターにかかってくるその電話の対応を社会保険労務士のところにリレーできるようなシステムができないか。これは、私のもとに専門家の作業委員会がおりまして、今の御指摘を今検討中でございまして、全く同じ問題意識を持っている。よりプロの人がやった方がいいわけですから、その指摘も含めて、何とか実現したいと思っております。

笹木委員 ぜひ、端末をふやすということと今の話を検討いただきたいと思います。三月までのことは今手続が済んでいるけれども、新年度からはこれからだとも聞いていますし、四月からのこの作業についてはぜひそういう体制をとるべきだと思います。

 余り時間がなくなってしまったんですが、経産大臣に、今、現状の中小企業は非常に大変な状況です。現状認識、一言でいいですから、お聞かせ願えますか。

甘利国務大臣 一言で申し上げますれば、中小企業の景況感は悪化をしております。これはかなり長いトレンドで続いております。

笹木委員 それで、実は、この間、予算委員会としては初めての地方公聴会、初めての試みということで、私は茨城の方に一員として参りました。

 そこで、これは決して私たちの方からの推薦した意見陳述人じゃないんですが、与党の方が推薦された意見陳述人の方からこういう御意見がありました。一つは、道路の特定財源、この方は別に反対ということを言っておられたわけじゃないですが、しかし、透明度をやはりちゃんとふやしてほしい、もっと透明性のあるものにしてほしいというお話がありました。

 私とのやりとりの中で、再三ここでも天下りの問題、随意契約の問題が話題になっておりますが、この天下り、そして金銭交付の総額が上半期だけで五兆以上になっている。結果的に、この大事な財源が、地方の工事あるいは道路に直接係る発注、非常に無駄遣いをして額が減っているじゃないか、実質的なものは、地方におりてくる分については。そういうことについて私が質問をしたときに、そういう透明度を増してほしいということと、そしてもう一つは、道路の仕様、つくり方についても地方の自主性をもっとふやすべきだ、裁量をふやすべきだということについても、この方は山本さんと言われる方ですが、大賛成です、地域でできるものは地方でやらせていただければ非常にいい、地域同士の競争にもなるし、そういうふうに答えておられます。

 経産大臣にお聞きをしたいわけですが、中小企業対策としても、こうした道路財源の無駄遣い、少しでも一般財源をふやすことも必要ですが、今既にあるこの特定財源の、天下り、随意契約の無駄遣いをなくすこと、そして地域での裁量をふやして、道路の仕様についても、つくり方についても自主権をもっと強めること、このことが何よりも地域対策、地域の企業対策になると思いますが、それについて御意見を伺わせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 これは道路に限らず、すべての歳出予算について無駄を省くということは、常に我々が心がけなければならないことだと思っておりますし、そのことを通じて実行予算の額を確保するということは、地域の振興にも当然資することだと思っております。

笹木委員 話をまた戻しますが、冬柴大臣、答弁は結構ですが、我々、野党だからこうやって、このことを早く報告を出してくれということで言っているんじゃないです。別に国会対策上のことだけで言っているわけじゃないです。国民の目から見て当たり前だと思います、その法律を通す前に、どう改革するんだということ。非常に問題があるから、その改革の、中間報告でもいいと言っているわけですね。

 中小企業対策に対しても非常に無駄になっている。少子高齢化で非常にお金が要る。そういうことから見ても、この抜本改革の中間報告を早く出していただくということを再度確認させていただきたいと思います。

 質問を終わります。

逢沢委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、まず、ちょうど先週の十九日になりますけれども、イージス艦「あたご」と漁船清徳丸が衝突をした事故について、お伺いをさせていただきたいと思います。

 質問に入る前に、今なお行方不明になっておられる清徳丸の吉清治夫さん、そして哲大さん親子の安否が大変気遣われるわけでございます。一刻も早く救出をされるよう、引き続き政府を挙げて、懸命の捜索活動に全力を挙げていただければと思います。

 ちょうど先週の火曜日でございました。私も石破大臣に急遽この委員会においでをいただき、この事故が発生をしたということで、大臣も、当時はまだ状況がわからない中で、ただ連絡等々が非常に遅いというようなことを率直にお認めになっておられました。事故が発生して数日ぐらいの間というのは、それぞれの対応の中で、あるいは情報も錯綜する部分もあると思います。

 ただ、もう間もなく一週間たとうということでございますし、先般、ちょうど二十一日の日ですか、大臣が勝浦の方に行かれて、そして、今心配をされている御家族、御親族あるいは関係者の皆様におわびを申し上げてこられたということを伺っております。その中でも、やはり、とにかく情報をしっかりと出してほしいんだ、正しい情報を上げてほしいというようなことを直接聞かれ、大臣も、情報伝達のおくれを反省しており、今後は可能な限り情報を出すという約束をされたと伺っております。

 海上保安庁の捜査が行われており、今後裁判等々も行われることもあり、今の段階ですべてを包み隠さずということはなかなか難しいかもしれません。しかしながら、少なくとも出せるものはきちっと出していくんだという姿勢で本日も御答弁をしていただければと思います。

 まず、初動態勢についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 大臣にこの一報が入ったのは五時四十分、事故発生から一時間半、そして福田総理には二時間後の午前六時五分ということで、ちょうど二十年前の「なだしお」のときですら、当時の防衛庁長官には一時間後に連絡が入っているんです。このとき問題になった連絡の初動のおくれ、このことが二十年たっても全く生かされていない。

 大臣、率直に、どうしてこうしたおくれにつながったのか。今回、石破大臣への連絡がおくれた理由について、統幕監部のオペレーションルームに当直していた内局、いわゆる背広組の職員が、大臣に速報するように指示をされたけれども大臣秘書官への連絡を怠ったということも報じられておりますけれども、もう調査されておると思いますので、具体的にお伺いをしたいと思います。

石破国務大臣 このようなあってはならない事故が起こりましたこと、本当に申しわけのないことであります。幾重にもそのようにおわびを申し上げなければならぬと思いますし、委員御指摘のように、お二人の行方というものを確認するために今も全力を挙げておるところでございます。

 なぜこのようにおくれたということにつきましては、それぞれいろいろな部署で時間がかかっております。

 今後の議論のもとにもなりますので申し上げておきますが、四時七分に事故が発生をしておりますわけで、そこから順序を経て上級部隊、すなわち護衛艦隊あるいは自衛艦隊、これが上級部隊というものでございますが、そこへ伝わり、そこから防衛省内、市谷にあります防衛省内の海上幕僚監部及び統合幕僚監部のオペレーションルーム、内部部局の当直担当者への第一報が五時ごろまでに行われた。ここで五十三分、ごろですから正確ではないかもしれませんが、五十分程度かかっている。これで何でこんなに時間がかかるのかということが一つございます。ここの短縮ができないか。

 すなわち、委員御指摘のように、オペルームからすぐ大臣に入るという方法があっただろう、それは確かにそのとおりでございますが、オペルームに入るまでにこれだけ時間がかかっている、ここの短縮ができないかということでございます。これが一つの問題点。

 その次ですが、それを受けました海上幕僚監部及び統合幕僚監部では、この第一報を受けて海上幕僚長及び統合幕僚長への報告が行われております。内部部局では、担当課、関係課への連絡、整理、情報の確認を行い、五時半ごろから順序を経て防衛省幹部への報告を実施した。その結果として、大臣、私に四十分、総理に六時ということになっております。そこへ、オペルームに入ってから内部部局で担当課への連絡、情報の確認、整理、そして、五時半ごろから順序を経て防衛省幹部への報告が実施されたということで、ここは短縮できないのかということです。つまり、オペルームに入るまでに短縮できないかということが一つ。

 もう一つは、オペルームに入った段階で、これは重大な事故であるという判断がなされ、そしてそれが大臣に上がってくる、とりあえずの第一報、詳細確認中であっても、それが大臣に上がってくるということがきちんと確立されていなかったのではないかと私は思っております。今回の民間船舶にかかわる重大な事故、今回のような事故は民間船舶にかかわる重大な事故でありまして、そうしますと、これが早急になされるべきであったというふうに考えております。したがいまして、どこでどれだけの時間がかかったのか。

 事故には、軽微な事故、通常の事故、重大な事故というふうに分かれております。では、どれが重大な事故なのか、どれが軽微な事故なのかという判断基準が類型化され、主観的な判断を交えずにこれはこうするのだということが徹底をされねばならないと思っております。

 だれの責任だ、かれの責任だということもございますが、ここの結節点を少なくする、あるいは、主観的な判断というものを交えない、そういうような体制というものを早急に構築する必要があると思っております。

 その後、御質問になるのかもしれませんが、今回、とりあえずその日のうちに、海上幕僚長、陸上も航空もそうでございますが、そこがそれを承知した段階で速報として大臣にそれぞれの幕僚長から上げるということは、通達上明確にいたしました。しかしながら、この通達そのものを見直す必要があるということで、今作業を急がせているところでございます。

笠委員 大臣が今おっしゃいましたけれども、今回、これは重大事案ですよね。お手元の資料の一枚目をごらんいただきたいと思います。

 これが十七年の九月二十一日に事務次官通達として出され、そして、今回の事故を受けて大臣が十九日の日にこの改正を通達として出されているんですけれども、今回改正された部分というのは、まさに、この重大な事件のところの、ちょっとわかりにくいんですけれども、私、この「各幕僚長、各機関の長又はこれらに準ずる者」から、濃く点線しております。それが副大臣のところにもということなんですが、今回の情報の報告の仕方というのは、これは従来ある三つのパターンですけれども、まさにこの「軽微な事件・事故」、この一番右のものですね、この方法で上がっていったんじゃないですか、結果として。いかがですか、大臣。

石破国務大臣 軽微な事故の場合に、委員がお示しの図のような流れ、つまり、部隊から担当部署に上がり、内局に上がりということになっております。

 ここは詳細をよく確認しますが、幕の方で、これは内局の方を通じて上がっているんですねという確認がなされたかどうか。すなわち、実際のオペレーションに当たります者は、早く現場、現場といいますか、海上幕僚長の場合には市谷の海上幕僚監部に入ってきちんと対応をしなければならないということがある。そこで、内局の方に対して、この連絡はきちんと即刻内局から上がっていますねという確認がなされたのか。そこで、ちゃんと上がっています、あるいは、上がるように措置しておりますということであれば、海幕長が、そうか、内局からきちんと大臣に上がるんだなというふうに判断をして登庁したことが、それがどうなのだという評価、それはあるんだろうと思います。

 ですから、軽微な事故と同じようにずっとゆっくり上がっていったということではなくて、これは、きちんとそちらのラインから上がっているんだねという確認がなされたということだとするならば、軽微な事故と同じように非常に緩やかなスピードで上がっていったということと全く同じに評価をされるものだとは私は今考えておりません。そこのところの確認をきちんと行うことが必要だと思っております。

笠委員 先ほど質問したんですけれども、恐らく、この幕の方は、仮にこの一番右のケースで上がっていっていたとしたら、まさに内局の職員が、この幕の方、オペレーションルームにいた、それで、上げておいてくれよということをもし指示をしているとしたら、やはりそこはこの一番右のケースに当たるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、そこで内局の方に言ったから、あとはちゃんと大臣に上げてくれるだろうということで終わっているんじゃないかと思うんですよ。その点、いかがですか。これ、ちょっと端的にお答えください。

石破国務大臣 そこは、恐らくとか、だろうとかいうことで、私の立場で言ってはいけないことだと思っております。これは正確を期さねばならないので今確認をしておるところでございますが、内局からも上がる、幕からも上がるという両方のラインで、どっちかがやるだろうと思って、結局、届きませんでしたみたいなことが一番いかぬわけでございます。

 だとすれば、そこのラインをどのようにしていけばいいのか。私は、今回あるべきだったのは、あくまで結果論みたいな話ですが、やはり、オペルームに入った段階で、これは重大なのだということで上がらないと、一分、二分のおくれがとんでもないことを招きかねないと思っております。

 ですから、委員おっしゃいますように、内局から上がっているんだろうねということ。ただ、そこの思い込みではなくて、そこで確認はしているわけですね。単なる思い込みではない。海上幕僚長としては、これは内局を通じて上がるんだろうな、そのようにやっておりますということだったのか、やるようにしておりますということだったのか、そこのところは、思い違いとかそういうことを防ぐためにはどういう流れ方が一番いいのかということで、私どもで今検討中でございます。それを早急に示しまして、御説明をし、また、こういうことがあるではないか、こういうことがあるではないかというような御指摘をいただきたいと思っております。

 排さねばならないのは、だろう、だろうの思い込み、これは排さねばならない。そして、内局がどうの制服がどうのという二系統をとるのが正しいのか、そこは一系統に集約するのが正しいのか、そこのところをどうするのかということは、よく判断をしなければいかぬことだと思っております。

笠委員 大臣がこれからこれを見直すということはわかるんですけれども、つまり、この通達自体を、私は幹部の方々もよく頭の中に入っていたのかというと、十分認識されていなかったんじゃないかと思いますね。それは、まずこれが重大事故なのかどうかという認識ができたのかどうか。

 もう一つは、もし重大だという認識ができていたら、これは一時間以内に必ず報告をしなきゃいかぬという規定があるわけですよね。そうすれば、オペレーションルームの方には、四時四十八分に少なくとも幕には連絡が行っている。これは決して早くないですよ。しかし、少なくともそこでそういう判断が働いていれば、すぐに大臣のところに上がっていたはずなんですね。

 ですから、そこのところをしっかりと、この点は事実関係を明らかにしていただき報告をしていただかなければ、どんなに仕組みを変えたとしても、やはりその認識ですね。

 それと同時に、一点お伺いをいたしますけれども、このとき、幕の方には内局から何人の方が詰められていたんですか。これは事務方の方で結構なんですが、政府参考人。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 このとき、統合幕僚監部の総合オペレーションルームに、私ども内局の運用当直要員が一名、当直としておりました。

笠委員 ちょっと一名というのも、ここあたりもしっかりと見直していただき、このときの初動の報告体制の流れというもの、結果についてはまた御報告をいただきたいと思います。

 私は、一つ提案をさせていただきたいんですけれども、今度、防衛省そのものの体制を抜本的に改めるという中で、少なくとも文民統制、シビリアンコントロールということを考えたら、では、だれが、重大だ、通常だ、あるいは軽微だという判断をするのかといえば、これはなかなか任せても難しいと思いますよ。ですから、そこのところについては、例えば、大臣がおられて、そして副大臣がおられて、政務官が二人いるわけですよね。そうしたら、これは重大かどうかというのを、職員、内局であれ背広組であれ、そこに判断を任せるのではなくて、まず一報をしっかりと、全部大臣のところに行くというのは大変ですよ、しかし、やはり政務官のところにはあわせて上がっていく、少なくとも副大臣のところ、このラインに上がっていくような仕組みというものも考えていただいた方がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

石破国務大臣 そういう考えもあるだろうと思います。検討はしてみます。

 ただ、私は、きょうも議論しているのですが、何が重大か、何が通常か、何が軽微かというのは、やはり類型化をして、主観的な判断をなるべく入れない方がいいのではないかと思っているのです。

 もう一つは、今委員が御指摘になりました一時間以内という言葉は、私は余りよくないと思っているんですね。五十九分ならいいのか、五十八分ならいいのかみたいな話になっちゃって、一時間以内をめどとしてという表現は、私は相当に問題があると思っております。

 そして、類型化をした上で、今なお判断できないものというのは何なんだろうかと。やはり、上げますときに、これを大臣秘書官に、例えば午前三時、午前四時に連絡していいのだろうかという迷いが当然そこにあります。受けた者も、副大臣であれ政務官であれ、これは重大なんだろうか、そうじゃないんだろうかという判断を、そこで主観を交えてやっていいのだろうかという問題もあります。これはまた委員の御教示をいただきたいのですが、省内で類型化がどこまでできるか、そしてそれを政府の中でどのように判断するのかということが大事だと思っております。

 もちろん、類型化ですから、事態は実は千差万別でございます。これをどのように、つまり、航空機あるいは艦船等にかかわる事故の場合というふうになっていて、類型化というのは、定性的にやってしまうものと、細かく細かくやるものと、細かく細かくやるとそれを類型化というのかということになってまいります。

 そこで、今までも一定のものはやっておりますが、なお判断の迷いを生じる部分があったのだとするならば、そこはやっていかねばなりません。今までやっていなかったというものではありません。さらにそれを精緻にし、主観というものをどのようにして排していくかということが肝要だと私は思っております。

笠委員 大臣の頭の中では整理がある程度できるんでしょうけれども、本当に、確かにこれまでもあったけれども、これが機能しなかったということですから、そのことはやはり重く受けとめていただいて、早急にこの抜本的な見直しをやっていただきたいと思います。

 官房長官にお伺いをしたいんですけれども、今回、官房長官のところにも、これは官邸ですね、官邸への連絡も、防衛省の方からも、あるいは海上保安庁の方からも、私、これはやはり遅いと思いますよ。秘書官に五時三十五分に防衛省から一報があった、そして官房長官が五十分ごろたしか一報を受けられたんですか、そして総理が一報を受けたのが六時五分ですね。もう六時前にニュース速報が流れているんですよ、早いところは。自衛隊の最高指揮官は総理ですから、その最高指揮官に、これだけの重大な事故が起こったときの一報がマスコミのニュース速報よりも遅く入るなんというのは、これは本当にお粗末きわまりないし、まさに笑われますよね。

 そして、官邸は、これまでもさまざまな事件、事故が起こって、常に、緊急事態に対する初動態勢、初動対処、どうしていくんだということをそのたびにこれまでも議論され、そして再発防止へ向けてということで徹底してきたはずなんです。

 町村長官、ぜひ、今回のことを受けて、官房長官なりあるいは副長官には少なくとも確実に早く伝わるような仕組みを改めて徹底していただきたいと思います。

町村国務大臣 先ほど石破大臣がお答えになったように、今これの見直しをやっているところだと思います。

 この資料の中で、確かに連絡は来るようにはなってはいるわけですね。ただ、それが現実には時間を要したということは、当初から私も、これは問題であったという認識は持っております。

 防衛省では、即日、重大な問題は各幕僚長から、太い点々で書いてあるんですね、これを直接、例えば海幕長が防衛大臣等に速報を行うというふうに改めたようでございますけれども、同じように、この点々で書いてあるものが、やはり官邸のしかるべきところにも大至急届くようにやらなければいけない。これは、同じように、海保の方からもまた上がってくるような仕組みも必要なんだろう、こう思っております。

 大いに、毎回同じことをやっているではないかというおしかりをいただきますが、事実が事実でございますから、深刻にこの事態を受けとめて改善をし、また、先ほど委員がお話しのように、この事件が起きた瞬間に果たしてこの初動態勢というものが頭にあったのかどうなのかというあたりも、実は、これは検証してみなければわかりませんけれども、問題の一つではなかったのかな、このようにも思っております。

 いずれにしても、日本国全体の危機管理の重大な問題点だ、このように認識をして、しっかりと改善策をつくり、再びこういうことが起きないようにしなければいけないと思っております。

笠委員 次に、情報の公表についてお伺いをいたしたいと思います。

 大変混乱をしております。あるいは、これは、関係者、家族、親族の方々のみならず、多くの国民の皆さんも、一体全体どうなっているんだ、防衛省、何か隠しているんじゃないかというような不信感を持たれていると思います。

 これは、今まさに海上保安庁の方が捜査をしているという段階なので、防衛省は一方の当事者でございますから、その大臣は知っていてもすべて言えない部分はあるでしょう。しかしながら、大臣のところには、今現在、こうした、海上保安庁が今乗組員の人たちの事情聴取も含めさまざまな捜査をやっているわけですけれども、そのすべての情報は上がっているんでしょうか。

石破国務大臣 すべての情報が上がっているわけではありません。それは捜査中の事案でございますし、委員御指摘のように、我々は一方の当事者でございます。すべての情報について、我々が海上保安庁と全く同じものをリアルタイムに有しているわけではございません。

笠委員 官房長官にもお伺いしたいんですが、少なくともこれは、政府全体でどういう情報を公表していくのかということを判断するのが私は当たり前のことだと思うんですけれども、官邸の方には、それぞれ防衛省あるいは海上保安庁から、すべてこの情報というものは集約をされているということでよろしいですか。

町村国務大臣 官邸の方には、現在、海上保安庁あるいは水産庁あるいは防衛省などの関係省庁より、毎日の捜索の予定でありますとか、あるいは、どういうものが見つかったであるとか、こうした現象があったなどの捜索状況、救助の状況、まずこれが入ってまいります。

 それから、捜査のことを今委員はお尋ねなのかと思いますが、捜査の流れ、今後の捜査予定、これにつきましては、第三管区海上保安本部での記者会見の状況等について、定期的かつ随時、官邸にありますところの情報連絡室に対して適宜報告がなされております。

 今、委員は、すべてかというお問い合わせでございました。これは捜査の、例えば、一人一人の自衛官がどういうことを捜査の過程で言ったであるとか、そうした個別具体的内容の逐一が報告をされるわけではございません。それは、例えば警察の捜査においても、実際犯罪捜査になった、その状況が全部官邸に入ってくるか、それは入ってきてはむしろいけないわけでありまして、そこはまず独立の捜査機関としての捜査というものがあるわけでございますので、それらのすべてが入ってくることは期待しておりませんし、また入ってこない方がいい。

 ただ、一定の期間を経た段階で、明らかになってもいいこと、客観的な事実等々につきまして、捜査に支障のない範囲内で報告が参りましょうし、また、それは当然、捜査に支障のない範囲内で公表をされるべきもの、かように考えております。

笠委員 私、もちろん警察でございますけれども、ちょっと通常の事件とは違うと思うんですね。やはり、どこまで公表できるのか、あるいは何はできないのかという判断、これは本当に海上保安庁の判断だけでは難しい話だと私は思っています。

 この後、幾つか具体的にお伺いしますけれども、現に三管本部の方が窓口というか、そこが今現場になっているわけですけれども、リークなのか何なのかわからないけれども、公式の記者会見等々では全く発表はしないけれども、各紙の報道あるいはテレビニュースを見ていると、三管本部によるとというようなことで、いろいろな大事なことが報じられているんですよ。これはやはり整理をしなければ本当に極めて混乱を招くということになっていきますので、その点は、少し官房長官の方にも私はしっかりと、やはり出すべき情報というのはあっていいんですよ。ですから、その点はやはり政府全体として考えていただきたいと思います。

 そこで、ちょっと具体的に幾つかお伺いをいたしたいと思います。

 今回、十九日、石破大臣が、二分前に初めて視認したんだということを、夕方の自民党の国防部会で初めて公に発言をされました。そして翌日、今度また夕方の同じ国防部会ですか、そこで、実は十二分前に視認していたんだということを発言して、一夜にしてまた情報が変わってしまったということ。これは、それぞれ間違いじゃないことはわかっているんですよ。しかし、やはりそれが同時に出てこなかったということが混乱を招いておりますけれども、大臣、この二分前の情報、そして十二分前の情報、いつ、どこから大臣のもとに連絡が入ったのかをお答えください。事実関係だけで結構です。

石破国務大臣 十九日の事故直後のものでございますが、これは護衛艦「あたご」の乗組員から聴取をした情報でございます。二十日に発表いたしました情報につきましては、その後、それとは別に聴取をした情報を発表したものでございます。何のだれがしということは、今後の捜査の関係もございますので申し上げられません。これは、それぞれ公表した日でございます。(笠委員「公表した日の何時ごろ」と呼ぶ)時間ですか。時間につきましては、ちょっと今正確に記録がございません。記録が出次第、すぐお話を申し上げます。

笠委員 これが本当に、私がそれにこだわっているのは、どういうルートで、どなたからということじゃなくても、どこの部署の方が乗組員の方から連絡をとって、それが同じ方からの報告であったのか、あるいは何時に大臣のところに入ったのか。その点を明らかにしていただかないと、やはりこれだけ重要な情報で、普通であれば多少の時間差があってもいいでしょう。それは、例えば聞いている乗組員の、事情聴取している乗組員の方がひょっとしたら違うかもしれない、相手が。そういったことがありますから、そこは、では、その事実を明らかにしていただき、また質問をさせていただきたいと思います。

 次に、事故発生後の救助活動についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 防衛省の発表では、「あたご」が四時八分に、内火艇ですか、三隻での救助活動を指示して、二十一分に救助作業を開始したという御報告を受けております。この内火艇三隻に何人の「あたご」の乗員が乗り込んで、具体的にどういう救助活動を行ったのか、その点をお答えいただければと思います。

石破国務大臣 一分後に救助作業の指示が出されております、下令をされております。

 具体的には、内火艇二隻、後ほど一隻を追加しておりますが、一隻にそれぞれ七名程度の乗組員が乗り込んで救助作業を実施いたしました。

 そのほか、艦橋から照明で衝突海域を照らし、艦橋あるいは甲板から呼びかけるということですね。いろいろな言葉で呼びかけたのだと思いますが、そういう形で捜索を行ったものでございます。

笠委員 ちょっと今の後半の部分がわからないんですけれども、済みません、もう一回。

 では、乗り込んだのは、それぞれ七名ということでいいですね。(石破国務大臣「そう」と呼ぶ)ということは、最初は二隻だったので、十四名の方が二隻で活動していて、そこに一隻加えて、また七人ということで、延べ二十一人の「あたご」の乗組員の方が捜索活動にまず当たったと。

 これは、呼びかけとかそういうこと以外に、例えば漁船があるわけですよね、現地に行っているわけですよね。そこで、そこに例えば飛び込んで、それで見てみるとか、捜索をするとか、そういう具体的な救助活動、捜索活動というのはやっていないんですか。呼びかけまでですか。

石破国務大臣 現段階で私が報告を受けておりますのは、それぞれ七名程度。ですから、トータル、七掛ける三で二十一というふうに断定はできません。七名程度というふうに聞いております。それで救助作業を実施した。そして、探照灯で衝突海域を照らし、探照灯だと思います、そこから呼びかけたというふうに聞いております。そこで飛び込んで、二つに割れて浮いている清徳丸の船首あるいは船尾に実際にそのような作業を行ったとは報告を受けておりません。

笠委員 これは、やはり海上自衛隊の方々ですから、これはまさに「なだしお」のときもそうですけれども、もちろん照らすことも大事だし、そして、呼びかけてそれに反応があればいい。しかし、恐らく、これだけの事故に巻き込まれたときには、もうこれは大変なことだということで、そういう何か、救助する場合のマニュアルといったらちょっとおかしいんですけれども、こういうふうな形でやるんだというような、「なだしお」のときの教訓も受けて、そういったものはないんでしょうか。

石破国務大臣 私も「なだしお」のときのことはよく覚えておりますが、そこでなぜ飛び込まなかったとか、いろいろな御批判をいただきました。それを受けて、救助の要領というのは作成をいたしたものでございます。

 ただ、そこで飛び込むということがベストであったか、そして、そのようなことに対する態勢というものが整っていたか。もちろん、遭難者の救助ということが一番です。しかしながら、二次災害というものを起こさないためにどのような配慮がなされたのか、これは詳細に調べまして、できるだけ早い機会に御報告申し上げます。

笠委員 これは、海上保安庁等々、あるいは自衛隊のほかの護衛艦も含めて、到着までにはやはりかなりの時間が、これはもう物理的にかかるわけですよね。ですから、やはり一義的に即応の態勢をとっていくためには、当然ながら、この「あたご」の乗組員の方が全力を挙げてまず一次的な捜索に当たるというのは、これは当然の、最優先されるべきことだと思いますので、そこのところを、ちょっとまた詳細を必ず報告をいただきたいと思います。

 そして、事故が発生するまでの十二分間の問題、この間になぜ回避できなかったのかということが一番大きな焦点になってくると思うんです。

 艦長にかわって指揮監督をする当直士官が、見張りをする人あるいはレーダー員等々から通常であれば報告を受けて、そして漁船団の存在を当然ながら認識をしているのが当たり前だと思うんですけれども、その点、今回のケース、四時に、四時までにということでしょうけれども、交代もあって、その間、果たしてどうだったんだと。

 大臣、この当直士官がしっかりとこの漁船団の存在を認識していたのかどうか、その点を、事実関係をお答えいただけますか。

石破国務大臣 まさしくそこが今回の核心の一つでございます。

 見張り員がどのような認識をし、そしてその認識を当直士官に伝え、当直士官がどんな判断を行ったのか、それがポイントであります。

 先ほど委員からもお話がございましたが、海上保安庁からは、防衛省から報道機関等への発表について、本件の捜査機関たる海上保安庁としては、事故原因の核心に触れるような内容は控えるようにという申し入れをいただいております。したがいまして、当省から、このことについてどうであったと、見張り員がどういう認識で当直士官がどうでありということは、まさしく事故原因の核心に触れるものでございますので、この場での答弁は、これはもう知っていて隠しているとかそういうものではございません。委員御指摘のように、まさしく捜査の厳正、公平を期するために、一方の当事者であります私どもから、そのときの状況はどうであった、こうであったということについてお話をすることは、恐縮でございます、控えさせていただきます。

笠委員 しかし、大臣は、艦長あるいは当直士官と防衛省はしっかりと直接連絡はとれているわけですよね、防衛省なりに。ですから、それは、知っていたかどうか、もうきちっと漁船団を認識していたかどうか、もちろん、それは話としてしっかりと知っているけれども答えられないということでよろしいですか。

石破国務大臣 それは、当省の指揮系統として、どうであったかということを、事故直後、ある程度の聞き取りは行っております。それが事故原因のまさしく核心に触れるものでございますが、それが多方面から、いろいろな角度から、あるいは大勢の人に対してどのような評価がなされるかということは、まさしく捜査機関たる海上保安庁が厳正に行っておられるものでございます。

 当省として、幾つかの断片的なものは把握をしておりますけれども、そのことについて、それをどのように取り扱うかということは、捜査機関の判断が最も優先されるべきものというふうに考えます。

笠委員 いや、私は、やはりこれはおかしいと思いますよね。

 要は、きちっと仕事をしていたのかどうかということじゃないんですか。少なくとも引き継ぎが行われるそのときに、例えば漁船団を認識していたよと。これが見張り員なのか、あるいはレーダーも含めてなのか、それは当たり前にやっていれば認識しているのが当然ですよね。何ら問題ないんですよ。ですから、そのことを聞いているんです。認識した上でその後どうだということは別として、認識をきちっとして当たり前に仕事をしていたんですよね。その点をお答えいただきたいんです。

石破国務大臣 それには立場をかえて御判断をいただけるとありがたいのですが、捜査当局というのがございます。そこは厳正、公平に判断をするという観点から、事故原因の核心に触れるものについては、これは公表を差し控えるようにというふうに申し入れをいただいております。

 だとするならば、それは委員御指摘のように、一般論としてこのように当直に立つべきである、一般論としてこのように情報の伝達はなされるべきである、このような判断がなされるべきであるということについては、これは私どもとして幾らでも申し上げることはできます。この当該「あたご」においてどうであったのかということについて、事故原因の核心に触れるというふうに私どもは思っております。

 海上保安庁からそのような公表を差し控えるようにというように言われております状況でそれを申し上げるということは、それは私ども……(発言する者あり)主体性とかそういう話ではありません。捜査の厳正をやるときに、厳正たるべき捜査機関がそのようなことについて公表を差し控えるべきというふうに言われておるときに、それを主体性というふうにおっしゃるのかもしれませんが、それではと、私どもの方としてこうでした、ああでした、ああでしたというふうに申し上げることが、本当にそれが望ましいことなのかといえば、私はそうは思いません。捜査当局が全くそういうようなことに、公表されるようなことに、それが支障を生ずるというふうに思っておられる段階で防衛省があれこれ言うこと、それが主体性があるということだとは私は全く思いません。

笠委員 官房長官、お伺いしたいんですけれども、これは防衛大臣は難しいかもしれない。官房長官はやはり政府の責任者として、こういう事実関係というのは、「あたご」の中で、きちんとしたこの当直体制の中で、当たり前にしっかりと業務が進められていたのかどうか、そしてまた、そういう漁船団を認識していたのかどうか、それもやはり隠さなければいけないことですか。

町村国務大臣 これは、隠すとか隠さないとかそういう問題ではないんだと私は思うんですよ。

 海上保安庁の方から、これは記者会見で説明をしておりますけれども、海上保安庁において捜査中のため、防衛省は乗組員に接触できず、聞けていないのではないかというふうにして、接触を制限しているということがまず一つあります。そして、捜査機関、要するに海上保安庁ですね、としては、事故原因の核心に触れるような内容は控えてもらいたいと防衛省の方に今申し入れているわけです。

 したがいまして、今まさに捜査が進んでいる段階でありますから、そこの発言には一定の制約がかかる、また実際に接触することもままならないという意味で制約がかかる、これはやむを得ないんじゃないでしょうか。

 しかし、先ほど申し上げましたように、捜査に支障がない範囲内で、客観的な事実、言えること、それはあると思います。そこについては公表をする必要があるということはもとよりでありまして、そういう意味で、私は、防衛省と海上保安庁がお互いに合意した範囲で、ここは客観的な事実として公表して構わないという部分については、それをも何か隠しているというようなことは私はないと思っております。

笠委員 でも、私はやはり、例えば、レーダーがきちっと作動していたのかとか、あるいは交代がきちっと何時に行われて、そしてそこで通常どおりに引き継ぎがされていたのかどうかとか、やはりこれは公表をしないというのがよくわからないですね。そこは少し、政府の中で、官房長官、やはり整理をしていただきたいと思いますよ。何でもかんでも海上保安庁に任せておけばいいんだ、捜査だというんだったら、政府全体で判断することにならないじゃないですか、そもそもが。

 例えば、大臣、防衛省は、衝突二分前、「あたご」が速度が十ノットだったということを発表されましたよね、防衛省の会見で。よっぽどこれの方が、これは何を根拠に確認をして、そしてなぜ発表したんですか、じゃ、そういうことであれば。どれぐらいのスピードで例えばぶつかったのか、あるいは自動操舵の中でこれを手動に切りかえたときに、ではどれくらい、本当に約十ノットだったのかどうか。もっとスピードが出ていたらこれは大変なことですよ。これの方がよっぽど、私は、例えば捜査上でいえば簡単に発表していい情報じゃないと思いますよ。むしろ私が求めていることの方がまだ普通に公表できる情報だと思いますけれども、いかがですか。

石破国務大臣 それは海上衝突予防法にいいますところの安全な速度とは何ノットかということにかかわる部分だと思います。ですから、委員御指摘のように速ければ危ないとか遅ければ安全だとか、必ずしもそういう評価ではございません。そのときの通航の流れがどうであるか、一隻対一隻で走っておるわけではございませんので、こちらは一隻、向こうは複数隻ございます。そのときの海上交通の流れがどうであったかどうか、まさしくこれも極めて核心に触れるお話だと思っております。したがいまして、十ノットというものは、それはそのように報告を受けていたという、私どもがその時点で掌握しておったものを発表したということでございまして、その後、海上保安庁の方からそのような核心にかかわる部分についてはということがございました。

 ですので、委員御指摘のように、まさしく政府全体としてどうなんだというお話だと思います。何でもかんでも海上保安庁任せにするなというようなおしかりでございますが、それは、政府の中において厳正、公平な捜査機関というものの位置づけをどのように行うのかということでございます。

 一番大事なのは、その捜査が厳正に公平に行われるということ。そして、そこにおいて、私どもが接触をしておりませんのは、接触をすることによってその厳正性、公平性というものがいささかでも損なわれてはならないという思いのもとにやっておるわけでございます。私たちの方として知っていることをみんなしゃべるということになれば、それは、私は、厳正、公正が損なわれるのではないか。したがいまして、私どもとして、これから先、新たな情報というもの、それは持っておりませんし、それを発表すべきだとも思っておらないところでございます。

笠委員 大臣、恐らくもう、これで一つ一つ事実関係を聞いたとしても、今の段階で同じ答弁になると思うので、そこは本当に、町村長官、政府の中でもう一度やはり整理をしていただきたいと思います。出せるものはやはり出していただきたい。そうすることが、やはり関係者、本当に家族、親族の皆さん、また、国民の皆さんだって、今まさに自衛隊に対して不信感を持っていますよ。ですから、やはり一刻も早くこの事実関係を明らかにしていくことは、もうこれは責務でありますから。

 石破大臣、一点、今いろいろな形で情報も出てきている部分も含めて、この十二分間、そして、結果としてこの事故を招いてしまった、これは、三時五十五分の時点から衝突するまでの間においては、まさに回避義務は「あたご」にあった。そして、この責任というものは、裁判でどうじゃない、やはり「あたご」側に大きな責任があるんだという認識を持たれているかどうかだけ、お答えいただけますか。

石破国務大臣 これは裁判がどうのこうのではないとおっしゃいましたが、まさしくそういうことなのだろうと思っております。

 今出ておりますいろいろな情報、すなわち、どなたがおっしゃったかは知りませんが、海上保安庁の捜査によればとか三管本部の捜査によればとかいうようなことになっております。そのことを私は確認したわけではありません。どなたがおっしゃったかを知っているわけでもありません。そういうことが仮に事実だとするならば、それは「あたご」の責任でございましょう。ですけれども、私どもとして、今接触をしていない状況において、捜査当局でいろいろな厳正な捜査がなされている段階で、防衛省の責任者たる私が「あたご」に責任がございましたというふうにこの国会の場で言明するということが、今後の捜査のあり方について私は決して望ましいものだと思っていない。

 それは委員おわかりいただけると思いますが、情報は本当に可能な限り開示すべきものだと私は思います。それは、現場の関係者の方、御家族、そして組合長さん、それから、本当に絞り出すような声で言われたことを私は今でもよくよく認識しています。これから先もそうであらねばならないと思います。情報は可能な限り出したい、それは政府全体としてどうするかということと、捜査の厳正、公平というものをどうやって両立させるかということであって、隠し立てとか小出しとか、そのようなことを考えたことは一度もございません。

笠委員 質問を終わりますけれども、石破大臣、大臣は先般、安全保障委員会で、国民一人の命を守れないで国が守れるのかということを力強くおっしゃったわけです。大臣も政府の一員ですから、政府としてやはりきちっとした形で、くれぐれも、私は隠ぺいとは言いませんよ、しかし、やはり今出せるものはしっかりと出して、一刻も早く真相究明に努めていただきたい。そのことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

逢沢委員長 これにて笠君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、今の笠議員の取り上げておられたイージス艦の清徳丸衝突事故について、最初に官房長官に二、三お伺いしたいと思います。

 首相は、あの事故のあったときに、漁船員の安否確認と救出、救援について指示し、そして事故原因の調査究明、これを指示していらっしゃるわけですが、事故から一週間たちました。依然として清徳丸の吉清さん親子は見つかっていないし、仲間の人たちが非常につらい思いをしてずっと捜してこられたわけですが、それなのにこの事故の方については、当事者の海上自衛隊から、例えば衝突の二分前だったとか、一日たったら十二分前にわかっていたとか、ころころ話は変わってくる。

 小出しにくるくる変わるような話が出てくるだけで、防衛大臣の話というのもほとんどちゃんとした報告がないわけですから、一体どうなっているんだ。これはみんな、私たちが、国民が怒るのは当たり前の話ですよ。こうした防衛省の態度からは、事故原因の真相究明を積極的に行おうという姿勢がほとんどうかがわれない。今回の事故について防衛省がこれまで把握した内容など、やはり国会と国民にきちんと明らかにさせるように、私は官房長官に、この点については官邸としてそういう指示を出すことが必要だと思うんですが、お考えを伺います。

    〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

町村国務大臣 今、直前に笠議員から、まさにその点について、防衛大臣あるいは私に対してお尋ねがありました。重複になろうかと思いますけれども申し上げますけれども、まず被害者の救出、発見を最優先に考える、その上で捜査において事実関係の究明に全力を挙げ、それの上に立って再発防止策を考える、こういう順序なんだろう、こう思います。

 現在、海上保安庁では、護衛艦の乗組員等の関係者の取り調べとか、船体の見分でありますとか、所要の捜査を進めているところでございまして、その原因についてはいまだ判明をしておらないわけでございます。そういう状況の中で余り断片的な情報をお話しするというのは、やはり捜査に支障が生ずるおそれがありますから、いかがなものかということにもなりましょう。したがって、判明した事実については、捜査に支障がない限り、可能な範囲で公表するということで、毎日、海上保安庁の方から結果の報告というものをしているわけでございます。

 いずれにいたしましても、私ども何も、先ほどの御質問にもございましたが、隠ぺいをする等々の御指摘もありましたが、毛頭そんなつもりはございません。捜査をしている最中にその一方の話あるいは断片的な話をするということは、決して捜査の公平性、中立性、厳正性のプラスにはならない、これはもうありとあらゆる場合の捜査において同じなんだろう、私はこう思いますので、私どもとしては、現在、その捜査を最優先して進め、一刻も早く原因究明をすることが大切だ、かように考えているところでございます。

吉井委員 捜査に支障という話をよくされるんですが、しかし、艦長がそのときに何をしていたのかという、こんな簡単なことさえ説明がほとんどなされていない。私は、これは本当に、何もわからないというのはちょっと異常過ぎると思うんですよ。

 大体、漁船の側は、実際には衝突のおよそ三十分前ぐらいに漁船団は、三時三十分過ぎぐらいですか、大きな艦船が来ているというのを見つけてレーダーの精度を切りかえたというお話があります。だから、何もかも国民がわからないままで説明もなされないというのは、これは本当にとんでもない話だと思うんです。

 私は改めて町村官房長官に、これは官邸として、捜査云々の話じゃなくて、明らかにできることがもっとあるはずですから、きちんと明らかにしていく、そして、捜査の話とは全然別な問題として、国会は国会として究明を行っていく、このことにやはり協力するように、これは官邸として指示をされるべきだと思うんです。もう一度伺っておきます。

町村国務大臣 官邸は何でもできる場所ではありません。警察であれ、あるいは海上保安庁であれ、捜査をしているさなかの、その集めている事実等々をどんどん国会に出しなさいという指令を出せという趣旨であるならば、それは私どもできません。やれることには限界があります。

 しかし、先ほど申し上げましたように、捜査に支障がない限り、わかった範囲で客観的な事実を可能な限り国民に対し、また国会に対してもお示しする、それは当然のことであろうと思っております。

吉井委員 捜査に支障のないものはたくさんあるはずです。ほとんど何がどうなっているかわからないという異常事態は、まず是正しなきゃならぬと思うんです。

 海に投げ出された被害者の捜索には、地元漁協の人たちが漁を休んで、今、油代が高騰している中ですけれども、本当につらい思いで仲間の捜索に努めてこられました。そして、吉清さん親子の無事をみんな願っているんですよ。政府として仲間の漁民のこうした願いに誠実にこたえていかれるように、このことを強く求めておきたいと思います。

 次に、私、環境問題できょう官房長官がいらっしゃる間に伺っておきたいのは、温室効果ガス削減のための排出量取引制度導入を考えている立場に政府方針を今切りかえることにしておられるのかどうかですね。政府方針を切りかえられた、切りかえる方向に動いたと理解していいのかどうか、これを伺います。

町村国務大臣 今般、福田総理のもとに地球温暖化問題に関する懇談会というものを設置いたしまして、この問題の全体的な議論をし、また、大きなクールアース推進構想というものを総理がダボス会議で提唱されました。その内容を詰めていこう、こう思っております。

 国全体の総排出量目標、総量目標というものを掲げる。それを実現する手段として、またいろいろなことを考えていかなければいけない。その一つとして、排出量の取引、排出権取引というものがあり得るかもしれない。または、それが本当に排出量の削減に貢献するかどうか、もう一度改めて一から議論をしてみる必要があるんだろう。

 今、経済産業省においても、また環境省においても、それぞれ専門的なお立場での議論も始められようとしている、あるいは始めておられると思いますけれども、そうした議論の結果なども踏まえながら、この懇談会の場で議論をし、政府として、それに積極的に取り組もうとか、あるいは取り組まないということをまだ決定しているわけではございません。

 これから可能な限りスピーディーに議論をして、その方針も決めていかなければいけないんだろう、こういう段階でございます。

吉井委員 官房長官が出ていかれる前の多分最後の質問になるだろうと思うんですが、環境税の導入、これについても考える方向に切りかえていくといいますか、それを考えていくということで取り組んでおられるのかどうか、これも伺っておきたいと思います。

町村国務大臣 環境税の問題につきまして、政府が特定の考えを今持っているという状況にはございません。

 これまでも何度となく、例えば自民党税制調査会で、あるいは政府の中でも、この環境税の議論はされてきております。されてきておりますけれども、率直に言って、果たして環境税というものが、もちろんその税率、税額にもよるわけでございましょうが、どれだけの効果があるだろうか。

 もちろん、値段が上がれば消費は抑制され、そういう形で排出量の抑制にはなる、こういうことが一般的には妥当すると私は思っておりますけれども、ただ、ちょっと私の記憶が正しいかどうかわかりませんが、かつて環境庁の時代に、環境省になっておりましたか、例えばリッター二円とか三円とか、あるいは五円程度でしたでしょうか、ぐらいの税を導入したらどうかという御提案があったやに私は記憶しております。(発言する者あり)ああ、一・五円ですか。それは失礼しました。その場合に、もちろん、それによる税収によって環境対策の支出をしっかりやっていこうというのも一つの考えかもしれませんが、果たして一・五円程度で抑制効果があるんだろうかという議論も随分あったように思います。

 現に、これだけ、リッター数十円ここ何カ月かで上がってきている状況で、間違いなくそれは抑制効果が働いておりますけれども、しかし、一円、二円のことで、環境税を入れた、それによって大いなる抑制効果があるだろうか、そこはやや疑問なところがあるのかなというような両面の見方があるんだろうと私は思います。

 ただ、これも環境対策を進める上で一つの手段であるかもしれないというようなことを考えながら、今後この問題についても真剣に議論を進めていきたいと考えております。

吉井委員 では、官房長官、結構です。

 次に環境大臣に伺いますけれども、福田総理の一月の二十三日の話で、京都議定書で約束した日本の六%削減目標の確実な達成のために一層の強化を図るというお答えとか、それから、約束どおり二〇一二年までに達成するともいうお話がありました。本当に約束を果たすためには、これは既に何度も議論されていますように、九〇年比でマイナス六%なんですが、二〇〇六年現在で九〇年比プラス六・四%ですから、一二・四%の削減をことしからやっていかなきゃいけないわけですね。特別の努力が要ると思うんです。

 そこで、お手元に配らせていただいております資料の一枚目をごらんいただきたいんです。

 先進国の経済発展の中でCO2の排出効率がどのように推移しているかというものですが、二〇〇四年のところで見ると、日本より一人当たりのGDPの高い英国が、GDP、これは購買力平価で合わせてある分ですが、一〇〇万ドル当たり、CO2の排出量で日本より低くなっていますし、日本と同規模のフランスは日本より排出量が低く、ドイツは一人当たりのGDPでは日本よりやや少ないんですが、日本と同じ排出量。しかし、これを一九七五年当時から見ると、日本よりGDPで多かったヨーロッパ各国が、GDP当たりのCO2排出量でもそのときは多かったんですが、急速に削減を図って成果が上がってきているということがわかります。

 下の方の、アジアの発展途上国の排出がよく言われるんですが、それを見ると、七〇年代のGDPが低くて、GDP当たりのCO2排出量が多かった時代からいずれも経済成長は進んできたんですが、GDPは伸びているわけですが、GDP当たりのCO2排出量は減らしていて、排出削減効率は高いということが言えるわけですね。一九九〇年から二〇〇四年にかけて、中国、インドはGDP当たりの排出量が下がっている。日本は、一人当たりのGDPは伸びているのに、排出量が下がっていない。だから結局、二酸化炭素の総排出量がふえるということになってきているわけですね。

 先進国を見てもアジアを見ても、九〇年代から排出削減効果があらわれていない日本というのは特異な存在になっていると思うんです。

 そこで、環境大臣に伺っておきたいんですが、なぜ横ばいなのか、伺います。

鴨下国務大臣 GDP当たりのCO2排出量につきましては、一九九〇年以降二〇〇二年ぐらいまではほぼ横ばいでありますが、それ以降は、GDPが伸びている状況の中ではGDP当たりの排出量は順調に削減傾向にある、こういうようなことは言えるんだろうというふうに思います。こうしたことからも、産業界の自主行動計画等の取り組み、あるいは省エネ機器の普及など、温暖化対策は一定の効果はある、こういうふうに考えているところであります。

 ただ、今、先生がおっしゃるように、二〇〇二年以降もCO2排出量そのものは横ばいで推移をしている、こういうようなことなどから、これから既存の対策だけではなかなか難しい、こういうようなことにもなってきているんだろうというふうに思います。

 加えて、日本は発射台のところでは極めて省エネ技術あるいは経済とのバランスの中では効率がよかったわけでありますけれども、先進諸国がそういうようなところに追いついてきて、ほぼすべてのところで並んできた、こういうような解釈もあるわけでありますから、我々としては、特に環境省としては、より積極的に経済を発展しつつ、さらに削減を進めていく、こういうようなことが必要だ、こういうふうに今考えております。

吉井委員 六〇年代、七〇年代というのは、思い起こしてみればわかるように、大変ひどい、世界一というぐらいのひどい公害の国でしたよ。そこで住民運動が、公害反対運動など各地で起こって、私も参加しましたけれども、その成果として、環境対策をとらせてきて、七〇年代ごろのひどい事態では、早くになったということはあるわけです。

 しかし、九〇年比で排出削減を行う努力ができてきていない。それは、排出総量ではふえているという事実、一二・四%になっているというこの事実そのものを見れば、やはりそこははっきりしているわけで、ですから、九〇年比では日本はプラス六・四%ふえてしまったわけですから、これは政府が今おっしゃっておられた、経団連の主張どおりに自主行動計画任せでやってきたというところが、やはり私は大きな問題だと思うんです。

 ちょうど昨年十二月十一日に日本経団連が優先政策というのを出しておりますが、「民間主導の低CO2経済社会を形成すべく、環境税や国内排出権取引制度などの経済統制的な施策は一切採用することなく、経団連環境自主行動計画の尊重や国民運動の展開、」云々、「民間の活力を重視した対策を推進する。」ということを、これは経団連が優先政策として求めていることですね。

 ですから、この自主行動計画任せでは、これではうまくいかないということはもうはっきりしてきたと思うんです。

 今、世界の流れを見ると、総排出量規制が世界の流れで、国内で主要な発生源企業ごとにCO2の総排出量を規制する数値目標を決める、つまり、キャップをかけて、その上でさらに国内での排出量取引制度をつくって削減努力をすればメリットが出るし、努力を怠れば排出量を購入することで企業にコスト負担が生まれる。こういう、削減努力が進むようにインセンティブを与えるということが必要だと思うんですが、政府はなぜこれに取り組んでこないで、自主行動計画というのに任せてきたのかを伺います。

甘利国務大臣 まず、GDP比当たりのCO2に関しては、GDPは国内通貨で計算をしてそれを為替ベースでドル換算する、それに購買力平価という数値を持ってくると、すべての数値が、GDPの実力とは何かということをかえなきゃならないわけでありますから、GDP単位当たりでは日本が優秀であることは間違いないと思います。

 それから、実は、九〇年から比べまして、いわゆる産業の現場、物づくりの現場は五・六%CO2を減らしているわけでありまして、それ以外の部分がオフィスとか家庭とか運輸。

 それに対して、御党の前の質問者からは、すべてそれは、家庭でも家電製品は業界がつくるものではないか、運輸でもそれは産業の一環だというお話がありました。ですから、産業が八割だというお話ですが、実は、ライフスタイルのこともあろうかと思います。消費者が省エネ家電を購入するとか、まめにスイッチを切るとか、電球を白熱灯から蛍光管のものにかえるとか、そういうやはり消費者の選択の問題もあります。ライフスタイルの問題もある。あるいは、いつも……(吉井委員「何で総排出量規制をかけないのかということを聞いているんです」と呼ぶ)

 それは、自主行動計画によって実は達成ができてきていて、それに加えて、達成はしているけれども、さらに上乗せをしてくれと。つまり、よその分野で減らせない分もあなた方が背負ってくれということで、それも受けましょうということになってきているわけであります。

 ですから、六・四%減らすというのは、必ずこれは政府として実行をいたします。それに加えて、国民運動的に、つまり、政府からあるいは政治の世界からは言いづらい消費者に対しても、ライフスタイルを変えるくらいのことをしないといけませんよということを言わなきゃいかぬのだと思います。それを総合的にやっていくということでありますから、六・四%は必ず実行してまいります。

吉井委員 国民は、みんなが今取り組んでいるんですよ。私は、きのう、ポッポ、再生エネルギーの共同発電施設を見てまいりましたけれども、そうしてみんな取り組んでいるんですよ。しかし、産業の分野での八割のところを本気でキャップをかぶせてやっていかないと減らないというのが、今直面している一番の問題なんです。

 二月二十三日付の東京新聞で紹介されたように、イギリスは、キャップ・アンド・トレードを始めていて、日本のビジネスマン百五十人を英国大使館公邸に集めて、排出権取引セミナーを開いていますね。日経の同日付では、ノルウェーの政府系ファンドは、温暖化ガス排出の多い企業は投資の対象から外すということを伝えていますね。

 欧州のこの動きの背景にあるのは、IPCC四次報告が示している、産業革命による工業化が始まったときまでに比べて二度C以内に温度上昇を食いとめるようにCO2を減らさなかったら人類社会の危機に直面してしまうんだ、この真剣な受けとめがあるんですね。私は、やはり日本の政府にヨーロッパの皆さんのような真剣な受けとめ方というものはないんじゃないかと思うんですよ。

 環境大臣に伺っておきますけれども、実は政府には、各企業からエネルギー使用量や二酸化炭素排出量の報告が来ていますね。これは、省エネ法とか温対法とか関係する法律をつくってきて、来ているわけですね。ですから、各企業とその事業所ごとに、総排出量規制から、その目標数値から割り出される排出枠というのを示していくことができるわけですし、政府と企業が協定を結んで、本当に九〇年比で六%削減を達成する、このことに取り組むということをやらなかったら、六%だ、さらに六・四%上積み分だ、それをなくすんだと幾ら言ったって、それは進みませんよ。だから、そういうことをちゃんとやっていこうという立場に立っておられるのかどうか、伺います。

鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、炭素に価格をつける、こういうようなことにおいては、先ほど官房長官との議論の中でもありましたように、例えば炭素税のような環境税、あるいは今議論になっておりますキャップ・アンド・トレード、こういうようなものを導入して、いわばより規制的な手法をとらざるを得ない、こういうようなときも来るのかもわかりません。

 ただ、今、政府は新たに、自主行動計画を含めた京都議定書の目標達成計画のいわば改定版をつくっているところでございます。こういう中で、産業界にもより一層深堀りをしていただいて、その結果、進捗状況を環境省の方がしっかりと見させていただいて、厳格な評価の上でより一層の対応をせざるを得ない、こういうようなことになれば、今言ったような議論を速やかにできるように、もう既に環境省の中にでも、自主参加型の排出量取引、こういうようなことで、そのモデルケースの知見の蓄積をしているわけでありますから、これから前に進める、こういうようなことでしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 もう一度、環境大臣に重ねて確認しておきますけれども、政府には、各企業からエネルギーの使用量、二酸化炭素排出量、報告が来ているわけですね。ですから、全体はわかるわけですから、ああ、ここはよくやっておったとか、それもわかるわけなんですよね。

 総排出量で幾ら規制しなきゃいけないかという全体の数値目標というのはあるわけです。ですから、各企業、事業所別に、排出規制に基づく割り当てですね、あなたのところは幾ら下げなさいよと。それに基づいて、政府と企業、事業所との間で協定を結んで、そうしてこそ本当に、その事業所は、達成すれば逆に排出量の枠は出てくるわけですし、達成できなかったら買わなきゃいけないわけですからコスト負担になりますね。だから、政府はまず各企業ときちんと協定を結んでいく。そうすれば、具体的に目に見える形で達成への道筋が見えてくるわけです。

 環境大臣、そういうことについて、さっきのお話の中でちょっと必ずしもはっきりしなかったので、もう一遍聞かせてもらえますか。

鴨下国務大臣 今、ヨーロッパのキャップ・アンド・トレードの制度もこれから見直そうという時期に入ってきているわけでありますが、その中で一番今問題になっているのは、先生がおっしゃるように、トップダウンで、グランドファザリングというそうでありますけれども、そういうような形でのいわば排出枠をそれぞれに割り当てる、こういうようなことが妥当だったかどうかというようなことについては少しこれから見直さなければいけない、こういうような機運になっているところであります。

 ただ、日本も、総理がダボス会議で、国別の総量目標を立てるんだ、こういうようなお話もなさっているわけでありますから、何らかの形で効率的な、いわば私たちは積み上げ、あるいはセクター別の積み上げをトータルでどういうような形でキャップをつけるのか、こういうようなことについて日本型のあり方、こういうようなことをこれから鋭意検討して、しかるべきときにそういうような提案もしていきたい、こういうふうに考えているわけでありまして、いきなりトップダウンで排出枠を割り当てる、こういうようなことについては今のところくみしないというのが政府全体の考え方でございます。

吉井委員 政府として、結局、環境省はその考えに屈服といいますか、内閣一体ですから、そういう考えを今示されたわけですが、イギリスにしてもEUにしても、スターン報告、気候変動の経済学に見られるように、基本の理念、哲学があるんですね。IPCC四次報告とこれはつながるものですが、やはりそういう哲学を持って臨んでいないというところに大きな問題があると思います。

 次の資料をごらんいただきたいんですが、二枚目ですね。アメリカは京都議定書から確かに離脱したんですが、州によっては温暖化対策に取り組むところが今ふえてきていますね。立法提案も次々と議会で出てきております。アメリカでは、大統領がかわる来年から劇的な変化が生まれるだろうということも言われておりますし、別な情報によると、ブッシュ政権最後の花道として地球温暖化対策の劇的削減計画発表かということも言われたり、つまり、最悪から物すごくいい大統領だった、そういう話もあるぐらいなんですね。

 環境大臣に伺っておきますが、アメリカでも、州ごとに排出削減目標を決めたり、排出削減規制法案が議会に提出されたり、今まではブッシュ政権が足を引っ張っていたけれども、同時に、アメリカには足を引っ張っているだけではない別な現実があるんだということもきちんと見ておかなきゃいけないと思うんですが、どういうふうに認識しておられるか、伺います。

鴨下国務大臣 一部はまことにおっしゃるとおりでございます。

 ただ、全体的には、アメリカは、昨年のバリでのCOP13において、最終的には、すべての国が参加する枠組みにアメリカも参加する、こういうようなことになったわけでありますけれども、残念ながら、いまだに京都議定書は批准をしていない。こういうようなことでございますので、私たちは、アメリカがより積極的に環境に取り組んでくれること、あるいは、主要排出国としてはいまだ世界の一番、あるいは中国とも匹敵する排出国なわけでありますから、ここが協力しなければ、今先生がおっしゃっているように、IPCCの第四次報告書における、我々、温暖化をとめるというのが究極の目標でありますから、それにかなうためには必ずアメリカが参画しなければいけない、こういうようなことはそのとおりでございます。

 ですから、私たちは、アメリカの状況をしっかりと見きわめつつ、これからすべての国が参加して地球の温暖化を防止する、こういうようなことにしっかりと取り組んでいかなければいけないわけでありますけれども、アメリカも民主主義の国ですから、国民の中に環境に対する意識が非常に高く、地方政府の中には極めて先進的に取り組んでいるところもあります。ですから、そういうような状況で、急速に政策転換をしていく段階で日本がそれに乗りおくれないように、我々もしっかりと見きわめつつ取り組んでまいりたいというふうに思います。

吉井委員 国内では経団連の自主行動任せ、国際的にはアメリカの動向をうかがってというんじゃ、本当に、日本としてのきちんとした環境対策になってこないということを言わなきゃならぬと思うんです。

 バリでは化石賞をもらった三カ国だったんですが、このままいくと最後に残るのは日本政府だけということになりかねない。やはり、そういう点では、世界標準ともいうべき方向へ日本の環境政策を切りかえていかなきゃいけないということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 次に、経産省の政府参考人に伺いますが、経産省提出資料をかつてもらって、これは二〇〇五年六月十五日の経産委員会で経産省に確認してもらっていますが、物理的限界潜在量で見ると、太陽光発電、風力発電、小規模水力発電など、新エネルギーの合計で十二兆五千億キロワット時で、現在の日本の発電電力量九千億キロワット時の約十四倍の可能性があるということを、当時でありましたけれども、その後、風力、電力等、さらに新たな可能な量がふえているんですかと聞いたら、まだ変わっていないということですから、現時点では、この前お答えいただいたように、日本の再生可能エネルギーの物理的限界潜在量では、現在の総発電電力量の約十四倍の可能性があるということでいいのか、こう伺っておきます。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の提出した資料について、その後のアップデートはございません。

    〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 それで、やはり、物理的可能性というのを現実的可能性に変えていく取り組みというのが今非常に大事だと思うんです。

 ヨーロッパでは、再生可能エネルギーの発電に占める割合、電力における比率ですが、ドイツの比率は、二〇〇一年の四・五%を二〇〇六年には一二%へ七・五%ふやして、ドイツの風力発電は設備容量で二千万キロワットを超えて、年間通じてで見ますと発電電力で二百万キロワットと、日本の原発の二、三基分に相当するものになってきています。太陽光発電も二〇〇五年に日本を抜いて急速に普及して、設備容量では三百万キロワットにほぼ近づいて、日本より百万キロワット以上も多く発電をしております。

 ドイツで進んだ理由というのは、やはり九一年の電力供給法とか、二〇〇〇年の再生可能エネルギー法など、買い取り義務、固定価格で買い取りをして、二十年間その価格でいける、こういうふうな、やはり買い取り保証制度というべきものがあるというのが大事な点だと思うんですが、ドイツでこの再生可能エネルギーが進んだ理由というものがどこにあると大臣は考えておられるかというのが一つ。

 もう一つは、これは単にエネルギーの問題だけじゃなしに、再生可能エネルギーというのは地域分散型エネルギーで、地産地消ですね。そして、原発のような遠いところにあるわけじゃありませんから、送電ロスがうんと少ない。そうして、地域経済に仕事が回るものですから、ドイツでは膨大な雇用を生み出してきているということで、これは経産省の方からも資料をいただいているんですが、例えば、二〇〇二年の十一万九千人が二〇〇六年には二十三万一千人へ雇用が二倍にふえた。

 ですから、やはり再生可能エネルギーが進む制度をきちんと、日本でも固定価格買い取り制度をつくっていくということと、それからもう一つは、そういうことを通じて雇用も広がっていく、地域経済も活発に興していく、こういう視点に立った再生可能エネルギーへの取り組みが大事だと思うんですが、大臣の考えを伺います。

甘利国務大臣 地産地消という視点からは極めて大事なエネルギーだと思いますし、それによって地域雇用を確保するということもおっしゃるとおりであります。

 ドイツがなぜ進んだかというのは、固定買い取りで必ずもうかるように、キロワットアワー当たり約七十五円だったと思いますが、買い取る。二十年間その固定価格でずっと買い取るわけですから、商売としては極めてうまい商売になるわけであります。では、その価格でどうペイするのかといえば、電力会社はそっくり需要者に、つまり消費者に転嫁してしまうということで、ウナギ登りに電力料金が上がってしまっているということ、これはちょっと問題だと思います。それから、系統容量が日本の三倍から五倍ありますから、出力変動を無視して購入できる。日本の場合は、ある一定限度を超えますと本流の電力がフラクチュエートしますから、精密機械が動かなくなります。そこで大事なことは、高性能の蓄電池とかませることが必要で、この両方をあわせて推進をしていくべきだというふうに思っております。

吉井委員 系統につないできちんとやっていけるというシステムは既に開発も進んできております。ですから、系統につなぐから無理ということじゃなくて、要は、買い取り枠を設けて買わないという今の電力の側の姿勢がありますが、それを取り払って進めていくことが大事だということです。

 電力会社は、実は財政的に困らないんですね。既に電源開発促進税は現在、キロワット当たり三十七・五銭、電気料金から徴収されております。それは二〇〇七年度で見ると、三千四百六十億円になっていますね。石油石炭税というのは、文字どおり、本来炭素税と言えるものですが、あるいは環境税と言えるものですが、五千三百三十億円ですよ。今、電源三法交付金として、原発立地自治体などには、年によりますが、この間ずっと年間大体千五百億ぐらい投じているわけですし、さらに、原発の場合には、電気料金に高レベル放射性廃棄物処理費用までオンされていますね。

 何か甘利大臣のお話を伺っておったら、電気料金にはね返ってきて大変だというお話ですが、そうじゃなくて、そういう今ある財源も活用して、設備を補助したり、買い取り価格の差額の補てんを考えるとか、そのことを進めることによって、現在の状況でもうんと前進させることができるんですよ。再生可能エネルギーを進めていこうとするその姿勢に立つかどうかということが最大の問題だと思います。大臣、どうですか。

甘利国務大臣 再生可能エネルギーについて推進をしていくということの姿勢に私ども揺らぎはないと思っております。ここで大規模な、世界最大級と申し上げていますけれども、太陽光発電所を建設したいと思っておりますし、太陽光社会のロードマップも描いていきたいというふうに思っております。

 そのためにいろいろ技術開発も必要でありますし、そこにも必要な資金を投入していきたいというふうに思っております。

吉井委員 時間が参りましたから終わりますが、経団連の自主行動計画任せとか、これでは進まないし、そして、本当に炭素を減らそうということで、再生可能エネルギーについては既に電気料金の中にも随分いろいろな形で取っているものがあるわけですから、そういうものを活用して、市民の負担というものをふやすことなく、原発に頼ることなく転換することができるんだということを申し上げまして、質問を終わります。

逢沢委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず私は、イージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船の清徳丸衝突事故についてただしたいと思います。

 質問に入ります前に、まず、なお行方不明の吉清さん親子の無事を心から祈っております。一日も早い救出を念じております。

 そこで、まず最初に、真相究明に向けた防衛大臣の意思を確認しておきたいと思うんですが、質問が重複することもありますけれども、お許しをいただきたいと思うんです。

 今回のこの痛ましい事故がなぜ起こったのか、この原因究明というのは最も重要な課題でありまして、現在、海上保安庁、海難審判庁がその究明を行っているというところは見えるわけであります。

 問題は、私がいささか不満に感じますのは、先般、日曜日のNHKのテレビを見ていまして、そのときに防衛大臣の口から出るのが、海保の調査が今行われているという発言が再三出されておりました。

 私は、正直言って、そんなことでいいのかという感じがしましたね。だから、海上保安庁、海難審判庁、そして当事者であります防衛省が本当に三者で全力を挙げて、事実の解明とそれに対する対策、そして対処、これをやはりやるべきだ、こう思うんですが、そういう私の主張に対する大臣の見解をお聞かせください。

石破国務大臣 先ほど笠委員の御質問にもお答えをいたしましたが、現在のところ、海上保安庁の方から、私どもの防衛省としていろいろ把握していることの中で、原因の核心に触れる部分についてはこれは述べるなということでございます。そしてまた、現在のところ、私どもとして、「あたご」の艦長以下の乗組員に接触するということは、捜査の厳正、公平を確保する観点からいたしておりません。

 そうしますと、きのうテレビの中でも出演者の方から御指摘がありましたが、例えば警務隊という組織が私どもの中にございます。横須賀にもございます。これが合同してやったらどうなんだというような御指摘もございましたが、これは相当昔に、昭和二十八年ぐらいのものだと思いますが、こういうものについては基本的に海上保安庁が行うという確認がそのときになされておりました。そうしますと、私どもの警務隊が一緒になってということは手段として考えられないということになっておるわけでございます。

 私は、情報というのはできるだけ速やかに、できるだけ正確に開示をすべきものだと思っております。そして、私どもとして隠し立てをするとか、あるいは故意におくらせるとか、そのようなことは断じてあってはならないということは、事故発生当時から私は厳命をいたしておるところでございます。

 その中にあって、どうすれば本当に厳正、公平な捜査ができるのかということと、この情報の開示というものを、どういうふうにして調整をとっていったらいいのだろう。このことに限らず、事故の事案についてはまさしくそういうものだと思っております。

 ただ、一方の当事者である私どもの方として、海上保安庁からそういう御意向が示されておる状況において、こうです、こうです、こういうふうに把握をしておりますというようなことをぺらぺらとしゃべるようなことは、私はあるべきではないのではないかというふうに思っております。また委員のお考えを御教示いただければ幸いでございます。

重野委員 それでは、具体的な質問に入ります。

 まず最初に、新勝浦漁協の吉清さんが所属する支所を除く六支所の皆さんが捜索を打ち切ったと報道されております。本当に断腸の思いだっただろうと思います。連日、六十隻もの漁船を出して、何とか仲間を救おうと頑張ってきた漁協の皆さんの姿に、この寒い中、本当に頭が下がる思いです。

 ところで、捜索一回で一隻当たり、燃料代だけでも五万円から七万円かかるんだそうです。しかも、この間、一切漁に出られていない、そういう現実があるんですね。

 こうした漁協組合皆さん方の負担に対して、防衛省としてどのような対策、配慮を考えているか、あるいは検討されているのか、そういう点についてひとつ答弁ください。

石破国務大臣 私も現地に赴きまして、多くの漁業者の方々がみずからの漁を休んで捜索に当たっておられるという姿に接しました。大変な御負担をかけておるということをよく認識いたしております。申しわけのないことだというふうに思っております。

 当面、当省といたしましてどのような対応がなし得るか、そういう強い認識を私自身持っておりまして、これは、政府部内全体でも調整をしていかねばならないことだとは承知をいたしておりますが、どのような対応がなし得るのか、これは本当に真剣に検討していかねばならないことだというふうに考えております。

 今委員御指摘のように、捜索救難に、当該漁協を除きまして縮小の態勢にありますが、私どもとしては、今私どもがやっておる態勢というものを維持したい、少なくとも空からの捜索というものについてはきちんと行いたいというふうに考えております。

 それはそれといたしまして、私どもとしてどのような対応がなし得るのか、そのことについて本当に真摯に検討を現在いたしておるところでございます。

重野委員 その点については、内閣挙げてきっちりした方策を導き出すように心から念じております。

 次に、報道によりますと、沈没した清徳丸は、船団を組んで漁場に向かっていたようです。事故当時、同海域に何隻ぐらいの船舶が航行中だったのかという点について、また、当時の海の状況はどういう状況にあったのかという点についてお聞かせください。

石破国務大臣 当時の現場の状況でございます。午前五時五十五分時点、天候は曇りでございます。風は北北東七メートル、毎秒でございます。視程は良好であり、波の高さは〇・五メートル、平穏な状況でございました。海水温度は十八度というふうに聞いておるわけでございます。

 当時、どのような船舶が航行しておったかということでございますが、このことも、またおしかりをいただくのかもしれませんが、私どもとして今、東京湾内のように船舶が常にふくそうしているような海域ではないというふうに認識をしておるところでございますが、事故当時、ほかの船舶の航行状況がどうであったかということにつきましては、現在、海保庁によります捜査が行われておるところでございます。私どもとして、こうであったということは公表できない状況でございます。

重野委員 当時、「あたご」が航行しているその近辺に何隻の船がいたのかという問いですよ。それで公表できないというのは、どういうことですか。そんなことも公表できないんですか。

石破国務大臣 それは、私どもの「あたご」の周り何マイルに一体どのような船がいたのか、それをどのように把握しておったのかということでございます。

 このことはまさしく、どれぐらいの海域にどれぐらいの船がおり、そのことについてどのように私どもの方で認識しておったかということが、捜査の核心部分の一つだというふうに承知をいたしております。

 事実関係として、これは私どもの方として、何隻おったのかということについて責任を持って主体的にお答えをできるという状況ではございません。捜査の状況によって、これぐらいの海域にこれぐらいのものがおったというふうに把握をしていたということは、これから先、事故原因を解明する、特定する場合の大きなファクトであるというふうに認識をしておるところでございます。

重野委員 何人の方も質問したテーマについて、今、そういうふうな答弁しかできない。これはやはり問題だと思います。

 そこで、そういう状況というものがあって、その船の航行の方法というのが定まってくるんだろうと思います。問題になっております自動操舵、当時、自動操舵で進んでおって、途中で切りかえてやったけれども間に合わなかったんですね。

 通常、いわゆる自動操舵にするという条件、こういう場合は自動操舵でいい、こういう状況は自動操舵ではいけないという約束事があるんだろうと思うんですが、そういう基準というのが防衛省・海上自衛隊の中で設定されているのかいないのか、その点についてお聞かせください。

石破国務大臣 このことについて、どのような場合に自動操舵にするか、どのような場合に手動操作にするかということが法令規則上決まっているわけではございません。

 一般論といたしましては、周囲に船舶が多く航行している場合でありますとか、ほかの船舶と接近する場合などは、これは手動操作に切りかえるというような指導が行われているというふうに私は承知をしておるところでございます。

 なお、一部報道に、自動操舵装置の使用に関しまして、船舶交通がふくそうする海域などを航行しようとするとき、速やかに手動操舵ができるようにしておくべき旨が船員法の施行規則に規定をされております。このことは私どもの自衛艦にも適用されるものでございまして、このことの適用が自衛艦に行われないということはございません。

重野委員 さきに私が、その周辺に他の民間の船が漁船も含めてどのぐらいいたんですかという問いに対して、大臣は答弁できない。そして、今の自動操縦に切りかえる問題については、具体的に答えられた。

 そうすると、あのとき、衝突直前まで自動操縦で行っていた、その自動操縦で行くということの前提条件、どういう条件があるから自動操縦で行くという判断が当時のその艦においてなされたのかというものがあるんでしょう。それをお聞かせください。

石破国務大臣 一般論として、船舶がふくそうするような場合は手動操作に切りかえるということになっておるというものでございます。

 この自動操舵の使い方、つまり、これは比較的新しい船に入れております。〇三DDと申しますが、「むらさめ」型以降の船、すなわち、「むらさめ」型九隻、「たかなみ」型五隻、「あたご」型、あと、練習艦「かしま」が装備をいたしておるものでございます。

 一般論として、こういうような海域、つまり、太平洋のど真ん中で全く交差する船もない、あるいは行き交う船もないというような場合とこの場合は、やはり明らかに違うのだろうというふうに思っております。

 他方、この装備は、何も私どもの国の船だけが持っておるわけではありません。アメリカ海軍におきましては、横須賀に在籍しております水上艦艇はすべてこれを装備しておるというふうに聞いております。一方、イギリス、フランス、ニュージーランドの船は一切これを装備していないという報告を今受けておるところでございます。アメリカではどのように使われるかといいますと、海が荒れておって実際に針路を真っすぐ保つことが困難である場合に主に使用するというふうな情報を受けております。

 そうしますと、やはり私は、一般論でございますが、船が多く行き交う、今回のように、東京湾内に入っておるわけではございませんが、八丈島沖に漁船が出漁する経路に当たっているというようなところにおきましては、それは一般論として、手動で運航すべきものではなかったかというふうに思っております。

重野委員 問題は、自動操舵が適切であったのか、そうでない、自衛官が人力で操舵するのが適切であったのかということは、今後、一つやはり争点になってくるんだろうと思いますね。

 そこで、問題は、漁船を、清徳丸を発見する時期が結果的にはおくれたんですよね、間に合わなかった。当然、イージス艦にはレーダーが搭載されている。その自衛艦のレーダーが、どういう種類のレーダーがあるか私は知りませんが、船舶をレーダーで捕捉することは当然可能だろうと思うんですが、その点については。

石破国務大臣 護衛艦には通常、航海用レーダーと水上レーダーと、両方のレーダーを装備しておるものでございます。このような場合、つまり、当該漁船等々を把握いたしますのは、主に航海用レーダーを使うものだというふうに私は聞いております。

 この「あたご」がどのように把握をしておったかということは、これは現在捜査中でございますので、申し上げることはできません。

 ただし、目標が小さくて、非常に波が高い場合には、これは映らない場合はあり得るということでございますが、今回のように、先ほどお尋ねがありましたように、波が静穏であったというような場合には、把握をできていた可能性は、それは相当にあると思っております。実際にどうであったかということについて断言する立場に私はないものでございます。

重野委員 捕捉できていたかどうかというのがやはり決定的に重要な意味があると思うんです。

 これも仄聞するに、「あたご」の乗組員の言によると、一度視認をした、しかし、見失ったかどうかわからない、あるいは水上レーダーに映っていたかどうかわからない、こういう記事が出ていました。それと、「あたご」のレーダーでとらえた漁船の航跡の記録というのは残っていなかった。他の漁船のレーダーには明確にその航跡が残っていた。そういう形は一体何を意味しているのか。常時自衛艦は、そういう意味でのレーダーで記録をとるということをしていないのかどうか、その点はどうなんです。

石破国務大臣 船にはいろいろなデータを記録する装置がございます。この「あたご」に備えつけておりますのは、自艦、すなわち自分の船、「あたご」自体でございますが、これの方向でありますとか速力でありますとか、そういうものを記録する装置は搭載されており、そういう記録は残されている。性能諸元上、そのようになっております。

 他方、レーダーに映ったもの、このことについて記録する装置は搭載をしておらないと承知をいたしております。

重野委員 同じたぐいの質問になりますけれども、漁船の方に航跡映像が残っていて護衛艦には残っていない。

 そこで、私が不思議に思うのは、民間船に適用される法令の自衛艦における適用除外、特別扱いがある。航海情報記録装置、VDRというんだそうですが、これは装備されなくてもいいんだ、それから自動操舵装置の適正使用などを定めた船員法も適用されない、それから船長の職務や乗組員の規律を定める船舶法、あるいは免許の種類などを定める船舶職員及び小型船舶操縦者法は、これも適用されない。

 こういうふうに、一般の民間の船にはやらなきゃならないと義務づけられているものが、いわゆる自衛艦には除外されている。これは一体どういうことですか。どういう意味があるんですか。

石破国務大臣 先ほど少し不正確な答弁をいたしました。OPA―3Fというレーダー指示器、これにはレーダー画面に表示された映像というものが残ります。これは手動により記録は可能でございますが、記録の出力は乗員ではできないというふうに聞いております。これがどのような性能を持つものかということについて、さらに具体的にきちんと調べまして御報告をいたしたいと思っております。

 後段お尋ねの、何で適用除外になっているかということでございます。

 例えば、先ほど御指摘のものは適用除外の除外がなされておって実は適用される、ややこしい話なのですが、そういうものになっておるものもございます。したがいまして、船舶が航行いたします上において安全を確保しますために必要不可欠なものというものは、たとえ自衛艦、護衛艦であろうとも装備はいたしております。

 他方、それ以外のもので記録が残るということにより、いろいろな状況がございますので、そういうときに私どもの性能あるいは作戦の動向というものが相手方に把握をされ運用に支障を来すというものは、それは除外をされているものがある、そういうふうに承知をいたしております。

 今、私の方で、適用除外になっているもの、適用になっておるもの、それを法令との関係で整理、精査をいたしておるものでございますが、少なくとも航行の安全において必要不可欠なものというものは装備をいたしておるものでございます。

 除外になっているものは、それは航行の安全に必要不可欠ではないが、同時に、それに残っている情報等々を探知されることが、国の防衛上、差しさわりがあるという判断に基づくものではないかというふうに私は思っておりますが、もう一度精査をして委員に御報告を申し上げたいと存じます。

重野委員 自衛艦というのは、言うなら、これは戦闘する船ですよね。だから、その場合にはこういうことになるんですという理屈はあると思いますよ。しかし、今だれが考えても、そういう時代ではない、そういう状況にはない。だから、平常の折に船が込み合うところ、漁船が込み合うところ、そういうところを通過するときの構えというのも当然あってしかるべし。

 私は、今回のこの事件の背景にはそこのところが抜けた部分があったのではないか、こういう感じがするんです。これは自衛隊のありようの問題ですね。これは、やはりしっかり、今回のこの事件を契機に検討することだろう。

 以前、潜水艦が釣り船を沈没させて、大変な数の人が亡くなった。あのときの記録を調べてみますと、今度までに余りそういう部分についての改正というか改善がなされていないというふうに私は言わざるを得ないと思うんですね。漁船を発見したときの船の速度を落とすタイミングとか、あるいは後進をかけるとか、方向舵を転換するとか、そういう反応が、本当にあとわずか何秒という単位ですね。一体何だったのか。

 あのときに、自衛隊も二度と起こさないという誓いを国民にしたんですね。それがこういうふうな形でまたぞろ引き起こしたという点については、防衛大臣の責任は大きい、そういう視点で今後の防衛省の日常の運用に当たってもらわなきゃならぬということを私は強く強調しておきたいと思います。

 時間もあと五分しかありませんが、そこで、西川社長にも来ていただいておるんですが、一つだけ確認しておきます。

 郵政会社がローソンの店長さんに簡易郵便局長を兼ねてもらうこともあり得る、こういうふうなことを発言されております。それは一体どういう趣旨、目的でローソンの店長に簡易郵便局長を兼ねてもらおうということを発言したのか、その一点、確認しておきたいと思います。

伊東参考人 お答えをいたします。

 二月十二日の日本郵政とローソンの提携発表会の場で、今委員御指摘のように、ローソンに簡易郵便局の業務を受託してもらうという趣旨の発言があったという御質問でございます。

 今回の日本郵政とローソンの提携につきましては、全国のお客様の利便向上、郵便局ネットワークの維持増強による地域社会への貢献等を目的として、両者の経営資源を効果的に活用する共同取り組みの可能性を検討するために行ったものでございます。

 具体的な取り組みはまさにこれからでございますが、例えば、郵便局内での商品・サービス等を提供する新しいモデルの構築とか、ローソンからの物販・サービス、さまざまな機能等の提供による郵便局のサポート、あるいは双方が保有する不動産を活用した店舗の出店、こういったものにつきまして、今後詳細を詰めていこうと考えているところでございます。

 委員御指摘の簡易郵便局の一時閉鎖問題、私どもの会社にとりまして、非常に大きな、重要な課題と認識しておりまして、これにつきましては、昨年検討会を設けて抜本的な対策を行っていることにつきましても委員御案内のとおりだと思いますが、さらに、先週は移動郵便局ということで、愛知県豊田市の方でバスを配置したりなんかしておりますけれども、いずれにせよ、この問題につきましてはいろいろな方面から対策を立てなきゃならないという認識のもとで、今回のローソンとの提携につきましても、今申し上げましたようなさまざまな目的があるわけでございますけれども、簡易郵便局の一時閉鎖の対策の一助にもなるのではなかろうかと考えて、社長の方からああいう発言をしたわけでございます。

重野委員 いろいろな選択肢の中の一つとして認識しておきたいと思います。我々は異議ありという立場です。

 林野庁に。大規模林道四十区間の費用対効果をやって、いろいろ問題があると。それで計算データを廃棄したということなんですね。これは、実は我が大分県でも宇目小国線という大規模林道があって、そのデータ等々を林野庁に求めたけれども、言うならば、おたくの方でやりなさいという話の新聞記事を見て、私は愕然としたんです。これは地方の県にとっては大変大きな問題で、事実、そんなことがあったのかどうか、その点だけ確認したいと思います。

若林国務大臣 新聞報道がありましたことは、委員御指摘のとおりでございます。

 これは昭和四十八年から全国三十二路線において実施してきた緑資源幹線林道事業でございます。この事業については平成十年度から事業評価システムを導入しまして、平成十三年度からは実施中の区間に係る期中評価について費用対効果分析を行っているところでございます。

 この事業評価に伴う費用対効果分析に係る行政文書の保存については、農林水産省の行政文書管理規則、法令の制定とか審議会の答申などの区分によりまして保存年限が決められておりますが、その他の行政文書、一年未満という区分が設けられております。それにのっとり定められておりまして、費用対効果分析の結果の総括表を含む委員会資料につきましては保存期間を三年としまして、計算データ等についてはその他の行政文書として一年未満で廃棄する取り扱いを行ってきたところでございます。

 その結果、平成十三年度以降の事業評価に伴う費用対効果分析を実施した五十四件につきまして、平成十七年度以前に実施された四十三件について計算データが廃棄されております。

 なお、平成十八年度からは、費用対効果分析に係る関心の高まりなどを受けまして、計算データにつきましても廃棄せずに保存をしているというのが昨今の状況でございます。

重野委員 データの問題については、この道路の問題でも大変大きな議論になっております。そういう関心を持っておるということです。

 それから、官房長官、きょうは予定しておったんですが、時間が足らなくなりました。大変失礼いたしました。

 以上で終わります。

逢沢委員長 これにて、重野君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私は、「あたご」のことではなくて、昨年十二月十四日、神奈川県横須賀市の横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」で火災が発生した、このことについて本日は質問させていただきたいというふうに思います。

 この火災は、「しらね」の中枢である戦闘指揮所、これは俗に言うCICというのでしょうか、これがほぼ全焼して、消火には海水を使用したことから、周辺の対潜指揮室であったりとか武器管制室の精密機器、これが全損に近い状態になった。隊員四人の方が軽傷を負われたということで、それ以外に人的被害はなかったわけでございますが、この護衛艦をそのまま改修すれば二百億から三百億、退役する別の護衛艦から通信機器などを移設した場合でも五十億は修理にかかるということでございます。

 周辺にはほかの艦船も停泊しておりまして、一歩間違えれば大惨事になりかねない事態ではなかったのかなというふうに感じます。

 そういう中で、今回、この「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故が起きたわけでございます。やはり、冒頭、大臣にちょっと確認をしたいんですけれども、この火災を大臣が承知されたのはいつだったのかというのを明確にお答えいただけますでしょうか。

石破国務大臣 恐縮です、何時何分ということをちょっと今特定できませんが、火災発生後、報道で発表される以前に、私のところに、秘書官あるいは海上幕僚長から連絡を受けております。

糸川委員 報道で発表されるというのは、そうしますと、大体発生から一時間とか、今、紙が入られたんでしょうか、大体の時間でも構わないんですが、もし今わかれば、ちょっと教えていただきたいのですが。

石破国務大臣 一番早く一報が入りましたのは十二時、午前零時ですか、海上幕僚長から報告を受けております。

糸川委員 これは大臣、発生が十時二十分ごろということでございます。そこから午前零時に大臣に話が行く。ところが、ぼやであればいいんですけれども、全損に近い、CICのセンターがすべて破壊されてしまうというような非常に大きな事故になっているわけでございます。その事故の第一報が零時ということでございますが、今回の「あたご」と清徳丸、こういう問題を考えても、やはり大臣に連絡というのが遅い、こういう話があるわけですよね。これは大臣も認められていらっしゃると思います、通報がなかなかないというのは問題だと。

 本来、この火災があった、「しらね」の事故があったときに、遅いというふうにお感じになられていらっしゃるならば、この火災の第一報が自分のところに入るのが十二時ごろだった。実際には十時二十分ごろに火災が発生したという事実があるわけですから、そこから一時間四十分、これは大臣が、もし「あたご」と清徳丸のこういうことが起きる前に、もっと通報を早くしろということが起きていれば、もう少し早くこの通報システムも変えられたんじゃないかなというのを感じました。

 ですから、その辺に対しても、また大臣、しっかりと配慮していただきたいなと。こういうところから教訓にしていただかなければ、小さなことだからいいということであってはいけなかったのではないかなというふうに思いますが、その辺、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 御指摘のとおりであります。

 ですから、「しらね」の場合と今回の「あたご」の場合とクロノロジーを両方比較して、今、一覧表をつくっておるところでございますが、まさしくほとんど時間差がない、私のところまで上がってくるのに時間差が余りないというのは一体これは何だと。この二つの事案の時間差ですね、これは一体何だということであります。

 ただ、「しらね」の場合には、戦闘艦として区画は軍艦構造になっておりますので、非常に細かく分かれておる。どこから火がおこったのか、ぼやみたいな状況なのか、これが居住区からなのかどうなのか、これが、CICという極めて中枢部分が燃えているというようなことの判断ですね、この判断。とにかく「しらね」が燃えているという時点で入るべきなのか、CICが燃えているという段階で入るべきなのか。

 笠委員に対する答弁で申し上げましたが、一体どの場合を重大な事故として判断するのか。後から考えれば、この「しらね」という旗艦においてCICというものが燃えた、結果として国民の税金を多く使わざるを得ないような申しわけない事態に立ち至った、それは重大な事故だったねというふうに、今から見れば思えるわけです。ただ、そこで燃えているという状況において一報が入るとするならば、本当にそれが正しいのか。ですから、そこの類型化というのはきちんと行わなければいけないということだと思っております。

 私は、「しらね」のCICが燃えていますということは、速報としてオペレーションルームに入った時点で「あたご」と同じように入るべきものではなかったかと、今は私個人的には思っておりますが、そのあたりの検証、こういう場合にはどう、こういう場合にはどうというのを早急に確立しなければいかぬ。今この瞬間も船は動いておるわけでございます。この瞬間も、我々は国の独立と国民の生命財産を守るために動いておるわけでございまして、これは悠長な話だとは思っておりません。急ぎます。

糸川委員 やはり大臣、CICというところが、戦闘指揮所が燃えているということに関しては、早く、それがわかった段階で大臣に通報が行く、これは当然のことだったのではないかなというふうに感じるわけです。

 それから、「しらね」が深夜、火災が十時二十分ぐらいに発生してから一晩燃え続けたわけですね。早朝になってやっと鎮火したわけですけれども、艦艇の火災というのが特殊であったということであっても、火災が発生してから鎮火まで相当長い時間かかっているんですが、これはどういう理由だったのか、お聞かせいただけますでしょうか。いや、大臣にお願いします。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 消火活動といたしまして、主として三つの方法をとっております。まず、「しらね」のCIC、戦闘情報センターの入り口から消火員が入って放水をするという方法。それから、甲板等をカッターで切りまして、それで、その開いたところから放水をするというやり方。それから、間接的な方法ではありますが、CICの外壁に水をかけて冷やすという、この三つの方法を消火活動としてはとっております。

 具体的には、当日の午後十時十九分ごろに、乗員がCICの下部区画において煙がおりてくるのを見ておりまして、それで、この「しらね」の乗員なりあるいは近傍の艦艇の防火隊員が防火服を着まして、さらに酸素呼吸器を装備いたしまして消火活動を開始いたしましたが、これで火の勢いを弱めることができなかったということがございます。

 それから、横須賀市の消防局の消防隊が到着をした後に、これは午前零時を回っておりますが、午前零時四十分ごろですが、艦長は、このCICの上部の甲板、それから外壁を切って開いて消火を実施することといたしまして、消防が順次その開いたところから水を注入したということでございます。

 そして、午前四時ぐらいになりまして、右舷の後部入り口から、先ほど申し上げましたような防火服を着た隊員が進入をしまして消火活動を実施した。それで、艦長が現場からの報告を受けて、五時六分に鎮火をした、こういうふうな判断をしたわけでございます。

 そして、このように消火活動に時間を要した理由というもの、非常に火が燃え盛っていたわけでございますので、このCICの内部における状況というものについては、現在、できるだけ早く調査結果をまとめるべく努力をしているところでございます。

糸川委員 正直、八時間も鎮火までにかかるというのは、大臣、僕はショックですよ。護衛艦ですからね。では、洋上で火災が発生したときに全損するようになってしまったら、これは消防に火を消していただいたというのは、防衛省としてはどうなのかなと。正直、独自に、即消えるというぐらいの訓練もないと、洋上で何か有事のときに、火災が発生して火が消えないということがあったら、これは問題じゃないかなと。その辺の訓練をまた見直していただきたい、このように思います。

 この火災の原因なんですけれども、大臣、当初これは、CICは火の気がないということから、電気系統のトラブル、こういうような見方をされていましたけれども、最近になって、どうも、隊員が無許可で持ち込んだ私物、保冷温庫の異常過熱、これが火災の原因ではないかなということが見方として濃厚になってきております。

 だれが、どこに、いつ持ち込んだのか、この事実関係というのはどのようになっているのか、お答えいただけませんでしょうか。

石破国務大臣 今そのような報道がなされております。

 これまでの調査で、平成十七年一月ごろに小型の保温庫が、冬場に缶コーヒーなぞを温めるため、CICに乗員により持ち込まれて使用されておったということ、また、この保温庫につきましては、持ち込みのための手続が行われていなかったということは確認をされております。

 この保温庫は、当時「しらね」のCICで勤務しておった乗員が持ち込んだものでありますが、これを当時CICで勤務していた乗員の間で使用することになりました。持ち込んだ乗員は、この年の三月、すなわち平成十七年三月に、ほかの配置に異動となったわけでございますが、その後も「しらね」のCICにおいてこの保温庫が使用され続けていたということまでは確認をいたしております。

糸川委員 では、だれが持ち込んだかということは明確にわかっているんでしょうか。

石破国務大臣 これは、何の何某ということは、それは把握をしております。

糸川委員 その方の、これが原因であれば、どういう処分になるのかというのは、また今後追っていきたいと思いますけれども、大臣、そうすると、私物の家電製品を護衛艦内、しかも精密機器が集まっていて一番重要なCIC、ここに持ち込むということ、これは許可があれば、手続さえ経れば持ち込むことは可能なんでしょうか。

石破国務大臣 乗員が共同購入するような場合の私物につきましても、任務遂行に支障を及ぼすことがないと認められる範囲内での持ち込みは認められております。

 このような私物を艦内に持ち込み使用する場合には、申請を行い、各区画の電力容量の観点から問題がないか、あるいはそれがどのように作動するかという状況を確認の上、手続に従い許可を行い、今までは持ち込みを認めてきたものでございます。この「しらね」におきましては、そのための手続がなされていなかったという事実が確認をされておるものでございます。

 この事案を踏まえまして、このような家電製品の使用というものは一切行わないということ。そして、厳格な手続、管理というものが行われている。それは、私、こういうように、これが原因ではないかとまず特定をされた、これであるというふうに断定されたものではありませんが、こんなものを手続も経ずに入れるのかと。「しらね」が、この保温庫かもしれないということがわかった時点で、海上自衛隊の船すべてにわたって、そういうような事実はないかということは確認をいたさせました。

 現時点におきまして、そのようなものを手続も経ないで、保温庫のようなもの、家電製品を使用しておるということは一切ございません。

糸川委員 大臣、これは十七年ごろから持ち込んで使用されていたということですけれども、そうすると、CICの中の冷蔵庫の上に保温庫が置かれていたということですけれども、そういうものが置かれていたということをほかの方も多分御存じなわけですよね。そうすると、組織ぐるみになってくるわけですよ、艦船ぐるみというんでしょうかね。

 CICに入られる方というのは、立ち入りが制限されている区域ですよね。ということは、そういういわば艦の中枢部に出入りされる方たちが、余りにもこういうデリケートな問題、こういうところにこういう私物を置いてはいかぬよと言う方がだれかいてもよかったんじゃないかなと。これは許可をとっているのかどうなのか、どこ製のものなのか、これは他国の製品だということですけれども、そういうことまでやはりしっかりと把握をするということが、事の重大性を皆さん理解されていなかったのかなということ。

 それから、海上自衛隊全体の危機管理意識、これが欠如しているんじゃないか。やはり「あたご」の漁船との衝突事故という問題を見ても、余りにも危機管理意識が欠如しているんじゃないか。一たび火災が発生してしまっても、八時間も鎮火することができない。大臣、これで本当に我が国は大丈夫なんでしょうか。ちょっとお答えいただけませんでしょうか。

石破国務大臣 本当にこれで戦闘時に大丈夫なのかということは、私はその日のうちに聞いたのですよ。これが本当に有事において、弾が当たるわけですよね、それは、向こうは火災を起こさせよう、爆発させようと思って当てるわけですから。そのときに消すのに八時間、そんなことで本当に大丈夫かねということは、それはだれだって思うことでございます。

 それで、この場合に、例えばアメリカの駆逐艦コールがアデン湾で爆破されたという事故がございました。別にそれを同列に論ずるつもりはありませんが、どれだけの警戒体制をとっているか、そういうことも全部確認をしていかねばならぬことなのだと思っております。

 深夜に港に停泊をしている船の警備体制はいかにあるべきか。それは、船はどうしても、上陸をいたしますので、ある程度手薄になります。そのときに、基地警備というものはどうなのか。それは海のみならず、空も陸も一緒のお話でございます。どういうような警備体制をしくのかということ。

 戦闘時における消火作業と、停泊時、深夜の消火作業というのは違うわけでございますが、そのときにどのように消防に連絡をしたか。こういう場合には消防に連絡はしなきゃいかぬはずなんです。自己完結で全部うちだけでやるのだということにはなっていないはずなのです。そこは一体どうなのだということ、基本的なところから点検をし直さなければいかぬのではないか。

 ですから、「こんごう」のSM3によって目標を破壊したということは、これは高い練度を示すものでございます。ですから、それはそれとして、とても高い練度は持っているのだけれども、一番の足元がどうなんですかということは、それは言わねばならぬことなのだと私は思います。

 それは、乗員もCICでずっと見ているわけですね。あそこは窓も何にもなくて、非常に緊張感の高い空間であります。そこに、疲れたな、コーヒー一杯飲みたいなということは、それは人情としてあることなんだと思う。だけれども、そこがルーズになるということはありはしないか。それは、命をかけて国を守る人たち、そのことに対する敬意、尊敬は十分払わねばならないが、だからといって、ルーズであっていいということにはならないのだというふうに思っております。

 そこは、海上自衛隊のいろいろな事案、それは偶発的にばらばら、いろいろなものが起こったとは私は思っておりません。ある意味、本当に、どんなにおしかりというか、を受けようとも、これは厳格に見直していかねばならない。根底から、基本の一つ一つができているかどうか、どんなに高い性能を持っていたとしても、基本をおろそかにして総合的に抑止力が発揮できることにはならないと私は思います。

 申しわけございません。

糸川委員 大臣、当時八十人程度の乗組員の方が艦内にいらっしゃったということも消防の発表では出ているわけですね。ですから、こういうケース、どういうふうに対応するのかということもしっかりとまた見直していただいて、それから、やはり情報の開示、これはやはり、税金で艦船は動いているわけですよ。国民の皆さんが知る権利があるわけですよね。ですから、裁判云々よりも、やはり情報を開示して、これからどういうことが国民の皆様が知りたいかということをぜひ積極的に開示していただきたい。もちろん、防衛省、そして隊員の皆さんを守るということも大事だと思います。でも、明らかにするということはもっともっと大事なことだというふうに思っております。

 以上です。終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

逢沢委員長 この際、御報告いたします。

 昨年十一月一日、議長より本委員会に送付され、同月二十日、調査局長に命じました議員中川正春君外百十二名からの決算及び平成二十年度予算の概算要求等に関する予備的調査につきまして、去る二十二日、報告書が提出されました。

 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。

 次回は、明二十六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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