衆議院

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第16号 平成20年2月29日(金曜日)

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平成二十年二月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 逢沢 一郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 中山 成彬君 理事 増原 義剛君

   理事 森  英介君 理事 山本 幸三君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      安次富 修君    新井 悦二君

      井上 喜一君    井脇ノブ子君

      伊藤 公介君    猪口 邦子君

      岩永 峯一君    上野賢一郎君

      臼井日出男君    小川 友一君

      尾身 幸次君    大島 理森君

      大塚  拓君    大野 功統君

      金子 一義君    河村 建夫君

      倉田 雅年君    小池百合子君

      小坂 憲次君    佐藤 剛男君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      清水清一朗君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    杉村 太蔵君

      薗浦健太郎君    園田 博之君

      高鳥 修一君    中馬 弘毅君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中根 一幸君    長勢 甚遠君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      浜田 靖一君    深谷 隆司君

      福岡 資麿君    牧原 秀樹君

      三ッ矢憲生君    三原 朝彦君

      武藤 容治君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    太田 和美君

      佐々木隆博君    笹木 竜三君

      武正 公一君    中川 正春君

      原口 一博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    松本 剛明君

      山井 和則君    笠  浩史君

      渡部 恒三君    赤松 正雄君

      江田 康幸君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      阿部 知子君    辻元 清美君

      糸川 正晃君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   農林水産副大臣      今村 雅弘君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   環境副大臣        桜井 郁三君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   厚生労働大臣政務官    松浪 健太君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  福島 克臣君

   政府参考人

   (警察庁長官)      吉村 博人君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         宮本 和夫君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (国土交通省航空・鉄道事故調査委員会事務局長)  辻岡  明君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 冨賀見栄一君

   政府参考人

   (高等海難審判庁長官)  岸  良彬君

   政府参考人

   (防衛事務次官)     増田 好平君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十九日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     井脇ノブ子君

  臼井日出男君     薗浦健太郎君

  大島 理森君     浜田 靖一君

  大野 功統君     武藤 容治君

  河村 建夫君     新井 悦二君

  小池百合子君     土井 真樹君

  杉浦 正健君     小川 友一君

  園田 博之君     中根 一幸君

  中馬 弘毅君     杉村 太蔵君

  長勢 甚遠君     牧原 秀樹君

  深谷 隆司君     上野賢一郎君

  武正 公一君     市村浩一郎君

  原口 一博君     佐々木隆博君

  赤松 正雄君     田端 正広君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     辻元 清美君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     猪口 邦子君

  井脇ノブ子君     岩永 峯一君

  上野賢一郎君     深谷 隆司君

  小川 友一君     杉浦 正健君

  杉村 太蔵君     中馬 弘毅君

  薗浦健太郎君     臼井日出男君

  土井 真樹君     高鳥 修一君

  中根 一幸君     園田 博之君

  浜田 靖一君     とかしきなおみ君

  牧原 秀樹君     長勢 甚遠君

  武藤 容治君     安次富 修君

  市村浩一郎君     太田 和美君

  佐々木隆博君     原口 一博君

  田端 正広君     赤松 正雄君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  辻元 清美君     阿部 知子君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     大野 功統君

  猪口 邦子君     河村 建夫君

  高鳥 修一君     清水清一朗君

  とかしきなおみ君   福岡 資麿君

  太田 和美君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     小池百合子君

  福岡 資麿君     若宮 健嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     大塚  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     大島 理森君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

逢沢委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算、平成二十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官福島克臣君、警察庁刑事局長米田壯君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長宮本和夫君、法務省刑事局長大野恒太郎君、外務省北米局長西宮伸一君、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会事務局長辻岡明君、海上保安庁長官岩崎貞二君、海上保安庁警備救難監冨賀見栄一君、海上保安庁交通部長米岡修一君、高等海難審判庁長官岸良彬君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省大臣官房技術監佐々木達郎君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 本日は、イージス艦・沖縄問題等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。

三原委員 おはようございます。

 私は、特に、今回のイージス艦の事故の問題について質問させていただきたいと思います。

 十九日の朝、朝早く起きて六時のニュースを見ていましたら、「あたご」が漁船と衝突したという状況が入ってきまして、まず私が感じたことは、もちろん人災にならないでほしい、船がどういう衝突をしたとしても、死亡事故やけががないようにあってほしい、こう思っておりましたけれども、結果はそうでなかったようですね。

 それと、もう一つ私がぱっと思い出したのは、二十年前の「なだしお」の事件ですね。「なだしお」のときの事件を思い出して、ああ、あのときも実は浦賀水道で、亡くなった人、後で調べてみたら、四十八人か何か乗っておられて、それで本当に多数の人が亡くなっていたんですね。

 それで、本当に祈るような気持ちで国会に来たのを思い出します。それからもう十日たちましたけれども。

 人間というのは失敗はするものなんですね、失敗はする。しかし、そこから学んでいないと進歩がないし、また、人間とは言えないわけでありまして、国民を守り、国を守る我々の自衛隊が、たとえ過失で生じたことといえ、国民に被害を生じしめるようなことはあってはならないはずであります。ところが、現実に、二十年前も「なだしお」の事件もあったし、今回の「あたご」の事件もあった、こういうことなんであります。

 そこで、二十年前の「なだしお」の海難審判についての裁決が出ましたから、その結果を少し見てみましたら、第一審が横浜の地方海難審判所でありました。決着しなくて、第二審が高等海難審判所に進みまして、事件が起こって二年後に裁決が出たわけなんですね。

 このときの主文を読んでみますと、要約といいますか箇条書きにしますと、「なだしお」側の問題点としては、わかりやすく言いますと前方不注意で、そしてまた、右に曲がらなければならないのに命令の伝達がおくれた、このことが理由である、また、相手側の第一富士丸の側にも、動静判断の不適切、接近して左転した、こういうことが原因である、こういうふうに裁決が出たわけであります。

 事故が発生して、そのときに「なだしお」からの通報がおくれたのも詳細にわたって書いてありますけれども、簡単に言いますと、「なだしお」は、ちょうどそのときに伊豆沖で展示訓練をやっていて、帰りだったんですね、横須賀に戻ってくる途中だった。

 それで、そのときの僚船に乗船していた群指令に、ちゃんと「なだしお」からは事故の発生は報告した。しかしながら、「なだしお」から近くの船舶に、助けてほしいという救助の遭難信号を出さずに、慌てふためいちゃって、自分みずから戻ってきて救助に当たろうとして、海上保安庁に事故発生を通報するのをしなかったということがあったり、報告した群指令が、次は護衛艦隊司令官にちゃんとしてくれるだろうと思っていたんだけれども、それがどうもうまくいっていなかったとか。それは、その間にいる船が、僚船同士が通信をやっていたので、それで聞いていただいていたから言わなくてよかったんだろうと思っていたなんというようなことを書いてありますね。そういう、上級機関への報告を行わず、なんということも裁決ではあったようですね、そういうことの批判が。

 また、海上保安庁へは、近くに巡視艇あたりが来ていたので、そこからまた海上保安庁へ連絡が行っていただろうから、するのを怠っていたなどということが、後で調べてみたらわかった。しかしながら、それから二十分ぐらい後には海上保安庁へ海上自衛隊から報告があっていたということになっておるんですけれども、即刻ということでもなかったようであります。

 また、そのときの裁決の中では、つまり事故原因のもとになったもの、それは、事故原因は先ほど申し上げた前方不注意とか命令のおくれだったんですけれども、そういうことを起こしたもとというのは、裁決の文を引用すれば、安全航行の基本の見張りとか、他船に対する動静判断、衝突回避等についての乗員の教育、指導が十分ではなかったというふうに結論づけられているわけであります。

 そのこと以降どうしたかというと、書いてあるのは、航行安全の教育訓練を継続して行っておる、そしてまた、水上行船法とか見張り法等基本的な訓練、不測事故への対応強化も実施しておるということで、これから先もそういうことをしなさい、そして、その他種々の改善措置をとったことに徴し、勧告しない、こういうふうな結論で終わっておるわけですけれども、このなだしお号から学んだ、今最後に申し上げた所為ですね、こういうことを含めて、その以後二十年間でどのようなことを、学んだことから行ってきたのであろうか、ついついそういう疑問を持たざるを得ないんですけれども、その点についてわかりやすい説明をお願いしたいと思います。

石破国務大臣 今回、このような、あってはならない事故が起こりました。本当に申しわけのないことで、御家族、関係者の方、国民の皆様方に本当におわびを申し上げる次第であります。

 今、委員から「なだしお」事件の教訓についてお話がございました。これは、委員、今詳細をお話しのように、潜水艦の事故でございます。したがいまして、潜水艦にかかわりますものと水上艦にかかわりますものと違いますので、潜水艦特有のものは省かせていただきたいと思います。

 共通して言えますものは、やはり見張りの徹底ということでございます。潜水艦の場合はセールの部分が狭うございますので一名しか上がれませんでしたが、これをもっとふやすということをいたしました。それから、水上艦におきましても見張りの徹底ということは当たり前のことでございますが、教訓事項でございます。

 もう一点は、御指摘のように、関係当局への通報、この場合には海上保安庁でございますが、「なだしお」のときに二十一分、今回十六分ということでございます。五分短縮できたではないかというような話ではなくて、これがもっと早くならないかと。つまり、詳細なことを報告せねばならぬ、時間あるいは場所、被害状況、そういうことをきちんと押さえなければ一報できないというような意識があったのではないか。しかしながら、そういう詳細を確認しなくても、何時何分、どこにおいて事故が発生したという一報は十六分を要したものではないのではないか、もっと早くならないかという反省はございます。もっと早くならないかということは、検討を今早急にいたしておるところでございます。

 三点は、「なだしお」のときに海難対処部署、つまり、そういう事故が起こったときにどのように対処するかということでございますが、そういうものを新たに作成いたしました。海難対処訓練を実施しておるところでございます。

 今回、報道されておりますように、事故が起きまして一分後に内火艇をおろせというような命令が下りました。この内火艇というのは、簡単におろせるものではございません。あるいは委員も映画なんかでごらんになったことがあるかもしれませんが、内火艇をおろすというのは相当に危険な作業でございます。今回も実際に一名が負傷いたしております。内火艇をおろすとかそういう場合の部署を発動、その態勢を発動するということですが、そこの訓練も行い、いろいろな対処をしておるところでございます。

 そこの点については、今回、事故を起こしておいてこういうことを言ってはいけないのかもしれませんが、起こった後の捜索救助については本当に、その場における、よいといいますか、適切な措置がとれたのではないかというふうには思っております。

 改善せねばならぬ点は、これから捜査の状況を見なければなりませんが、事故が起こった当日から、もう一回見張りの徹底、基本に戻れということは申しております。そして、海保にもっと早く通報できないかということ、もう一度、今回の事故原因の究明というものを待つというのとは別として、どういうことができるか、今も徹底しておるところでございますし、さらにこれを深めてまいりたいと思っております。

三原委員 確かに太平洋のど真ん中とか大海原で何か事故が起こったときには、今のようなことかもしれません。

 ああいう東京湾の内とか出口あたりだと、やはり航行の船が多いでしょうから、そういう船にも即座に救援救助の援助を依頼するというようなシステムというのが、今回は発動したんでしょうか、どうでしょうか。それは、つまり、今言われた、十五、六分で海上保安庁に連絡して、海上保安庁がまた民間船に連絡するようになっているのか、それとも、そこのところはどうなんだろう。なだしお号のところを読んでいましたら、ヨットが近所を通っていて、ヨットも来て一人、人を救助したなんという話も書いてあったんですよね。だから、近くに、ああいう東京湾みたいな本当に混雑しているところなら幾らでも船がいると思うんだけれども、そういうところに対する依頼みたいなことは、それはすぐにできるようなシステムになっているんだろうか。

石破国務大臣 あるいは足らざるところがあれば海上保安庁からお答えをいただきたいと思いますが、私どもとして、事故が起こったという知らせは、海上保安庁にお伝えすると同時に、上級部隊でありますところの護衛艦隊、そして自衛艦隊と上がっていくものでございます。それを受けて、海上自衛隊の艦船でありますとか航空機でありますとか、そういうものが出ます。海上保安庁から、そういうような民間の船舶等々には御連絡が行っているというふうに私は承知をしておるところでございます。

 今回、一つ私どもがよく考えなければいけないなと思いましたのは、千葉県知事さんやあるいは勝浦の市長さんから御指摘を厳しくいただきました、そういう事故が起こったときに、自治体への通報というのも即座に行わねばならないということでございます。千葉県知事あるいは勝浦市長から御指摘をいただきましたのは、千葉県のいろいろな船、指導船でありますとか監督船でありますとかそういう船でございましょうが、そういうものも海域に出ておった、そういうものを出すというやり方もあったのだ、即座に通報してもらいたかったということで、これも即日改めたところでございます。

 そういうような救難体制、私どもの艦船、航空機以外の救難体制というものにつきまして、今回さらに改善する余地がないかどうか、私ども、関係当局とも御相談をして、さらによりよい体制をつくってまいりたいと思います。

岩崎政府参考人 海上保安庁といたしましても、事故の発生の情報を受けまして、周辺の船舶にわかるような警報を出しております。その海域で事故が発生したという情報をキャッチしたことを周辺の人に伝えております。そうすることによって、周辺の船がその付近の航行により安全を期するようにということと、先生今御指摘の、救助なんかについてそれなりに協力してもらうという趣旨で、そうした警報を出しているところでございます。

三原委員 あのときも、松和丸とかなんとかいう船が近所にいて、そこで遭難した人を救ったり、ヨットが一名救ったりして、四十八名乗船している中で、三十名亡くなっちゃったんですけれども、十八名の方が救われたということでしたよね。

 だから、そういう意味では、自衛艦の事故だけじゃなくて、あらゆる、ふだんのときでもやはりそういう面では万般怠りなく、人命救助の方策なりシステムなりをつくっておかなきゃいけないとしみじみ思っておるわけでもあります。

 残念ながらこういう事件が起こってしまいましたけれども、これから先も、今大臣がおっしゃったように、いま一遍、事が起こったときのための施策みたいなことは磨き直してもらいたいと思っております。

 ところで、こういう事件というのは、やはり、我が国の船舶が海外に行ったときにでも起こったりしたような例が幾つかあるんでしょうか。なおかつ、そういうときには、やはりちゃんと海外でも国際法的な慣習なり法律にのっとって、我が国、このごろは海洋国家日本とまで言わなくなってきたけれども、我が国の船が安全、安心に航行できるようなことになっているんでしょうか。

 海外で被害を受けたとか損害を受けたようなことあたりも含めて、対応のこと、わかるところで教えてもらいたいと思います。

石破国務大臣 これは、いろいろな事故につきまして、私ども、分析、研究をいたしております。私どもの船の被害もございますし、あるいは他国の軍用艦船と民間船、そういうようなものも全部詳細に検討、分析をいたしておるところでございます。

 お求めがあれば一つずつお話をいたしますが、これは委員にも御理解をいただきたいのですが、あるいは御案内かもしれません、月ごとにこういう本を私ども海上自衛隊で出しております。「艦船と安全」という本でございますが、これは月刊誌でございます。ここにおいて、いろいろな事故、それはこのような海上の事故もございますし、あるいは、いろいろ、武器を扱いますときの事故等々もございます。こういうことにつきまして、本当に毎月毎月、小さなものも大きなものもそれぞれの体験談を含めてこういうような冊子にして、全部の船、全部の部隊に配っております。

 本当にこういう教訓というものをきちんきちんと生かしているか、こういうものを一生懸命つくって再発防止ということの徹底をしておるわけでございますが、この本を本当に一人一人が我が事と思って読んでいるかどうかということについて、私は検討していかねばいけないことだと思っております。

 委員御指摘の、そういうようないろいろな海外で起こった事故も含めまして、私ども、詳細に検討、分析をし、そういうことにならないためにはどうすればいいかということを考えておるところでございますが、それが徹底しているかどうか、それをお預かりする者としてもう一度見てみたいと思っております。

三原委員 大臣が先ほど、潜水艦と護衛艦とではまたちょっと状況もいろいろ違うとおっしゃった中では、見張りあたりも、艦艇だとより多くの人を見張りに立てられますけれども、潜水艦というのは場所が狭いですから一人だったんですというようなことをおっしゃっていましたが、二十年前の「なだしお」の事故と今回の事故の、例えば決定的な事故の原因の差異みたいなことがあるんだろうか。

 「なだしお」は展示訓練から戻ってきたところであり、「あたご」の方はハワイでの訓練から、何カ月間かふるさとを離れていたんでしょう、そういう帰心矢のごとしみたいな、そんなことでまさかあの事故が起こったとは思いたくもないけれども、そういう明らかな、自分の母港を離れて短い期間と長い期間とかそういう違いがありますけれども、根本的な原因の差異みたいなことを何か感じられることがありますか。船の形の違いとかいうだけじゃなくて。その点があれば説明していただきたい。

石破国務大臣 これは、こうだああだという断定は私にはできません。今、海上保安庁で捜査中のことでございます。断定的なことを防衛大臣として申し上げるわけにはまいりません。

 ただ、私の感想めいたことで恐縮ではございますが、一つは、時刻でございます。夜間であったということがございます。午前四時七分というふうに言われておりますが、その時間は、薄明るいのではないかという報道も一部ございましたが、真っ暗でございます。そういう時間帯の問題。

 もう一つは、委員御指摘の、水上艦と潜水艦という違いがございます。

 あと一点は、この「あたご」が、就役いたしまして一年に満たない新造艦でございます。新しい船は、クルーが全部かわりますので、その船に習熟するということについての訓練をずっとやるわけでございます。

 たとえ夜間であれ、たとえ新造艦であれ、それは事故が起こっていいなどということには一二〇%ならないわけでございますが、何が違うかといえば、それは違う。しかし、新造艦であれ夜間であれ、事故が起きないための訓練というものは当然のこととしてきちんとやっておったということであります。基本を守っておったということであります。

 にもかかわらず、なぜだということでありまして、私は、その差異が原因だとか、そのようなことを申し上げておるのではございません。何が違うかというふうにお問いになれば、それが違うということを申し上げますが、それが原因とリンクするということを私は思っておりませんし、そのことについてどうかということは海上保安庁の捜査において明らかにせられるべきもの、また、もし状況が許すようになれば、私どもの事故調査委員会でもきちんとした調査をなして御報告をいたしたいと思うところでございます。

三原委員 もちろん、自衛隊の第一義は、国を守る、国民の生命財産を守る、安全を守るということですから、そのための訓練は、血のにじむような訓練は日々やっていただいておると思いますけれども、同時に、万々が一こういう事故が起こったときの手順とか訓練とか、備えあれば憂いなしですから、そういうことあたりも当然、ふだん、このための訓練、事故が起こったときの訓練もやらなきゃいけないと思いますから、そういうエネルギーのかけ方というのは、例えば十対一なのか二十対一なのか。事故が起こったときのための緊急措置の重要性みたいなものを時間の長さではかるわけにいかないでしょうけれども、どれぐらいの、それこそ重要性というものを勘案しながら、訓練、通常の国防、防衛の訓練以外のこういうたぐいの訓練というのはなされているんですか。

江渡副大臣 お答えいたします。

 今、訓練等のことの御質問をいただいたわけでございますけれども、事故発生後の対応手順といたしましては、他の艦船との衝突の際の海難救助を行いつつ、自艦の被害対処を行うため、海難対処の要領を定めました海難対処部署というものが各艦ごとに作成されております。また、艦船事故調査及び報告等に関する訓令などにおきまして、艦船事故発生時の海上保安庁その他の関係機関への通報についても定めているところでございます。

 そして、事故発生後の対応についての訓練でございますけれども、先ほど委員から御指摘がありましたとおり、昭和六十三年の潜水艦「なだしお」と第一富士丸との衝突事件を受けまして、再発防止策といたしまして、事故等の不測の事態が発生した場合の情報伝達要領を整備し、当該要領に従った情報伝達訓練を実施することにしております。この情報伝達訓練は、地域別訓練と部隊別訓練というふうに分けて、それぞれ練度の達成のためにということで訓練をさせていただいております。

 また、各艦艇ごとに作成する海難対処部署の標準となります海難対処部署標準というものを新たに作成いたしまして、海難対処訓練を実施することなど、平素よりこれらの訓練を実施しているところでございます。

 特に、この海難対処訓練というのは、艦ごとでどうのこうのというよりも、自衛隊の隊員ごとの練度の達成というところに着目して、約二十項目ごと、例えば、衝突時の海難対処部署の発動要領とか、生存者に対する救命浮環の投入、浮き輪でございますけれども、あるいは艦外への報告通報要領、あるいは生存者救助作業要領等々、約二十項目について、標準時間とか回数を含めて、とにかく海上自衛隊員が練度が達成できるまでということで訓練を行っております。

 そして、今回の事故の際の護衛艦「あたご」において、捜査救助活動につきましては、先ほども大臣も答弁いたしましたけれども、四時七分ごろの事案発生を受けまして、一分後の四時八分に救助作業の開始命令、下令がなされまして、十四分後の四時二十一分に、内火艇二隻、それぞれ約七名程度乗組員が乗り込んで捜索活動を開始されたところでございます。

 また、救助機関及び上級司令部への連絡については、まず、四時二十三分に国際VHFにおいて海上保安庁に通報いたしまして、その後、四時三十三分に「あたご」から同艦が所属する護衛艦隊司令部に連絡を行ったというわけでございます。

 また、先ほど大臣の方からお話がありましたけれども、既に述べたような対処手順や訓練がどのように生かされたということは、これはあくまでも、今後の捜査によりまして検証というものが必要であろうというふうに考えております。

 ただ、やはり事故発生から海上保安庁への通報まで十六分要してしまった、こういうことが指摘されておりますので、今後ともしっかりと検証してまいりたいと思っております。

三原委員 今聞かせていただきましたけれども、ふだんから万般怠りなく訓練はやっておるということ。もちろん、一番大切なことはそういう事故が起こらないことでありますけれども、これからも、やはり万々が一のときのために、救助訓練というものを大いに重要視していただきたいと私は心から思う次第であります。

 そういう行動の面、物理的な面、肉体的な面での訓練というのは、もちろんそうやってやっていただかなきゃなりませんけれども、例えば、しかしながら、心にすき間ができて、それで、まさかとは思いますよ、まさかとは思うけれども、大事、つまり国の守りの前の小事、ふだんの行動というような感じで行動する場面があったとしたならば、これはゆゆしきことであります。

 心の面での、そういう意味での、国の守りが大切であるけれども、通常の生きざまみたいなこと、このことに対してもちゃんとした指導、教育みたいなこと、そういうたぐいのことが大いに必要だと思いますけれども、そういうことに関して欠ける点があったというような反省みたいなこと、そういうたぐいのことは、今こういう時期、こういう事故が起こって、何か反省されるようなことがありますか。その点について聞かせていただきたい。

石破国務大臣 私は、国民一人一人を大切にするということは当たり前のこと、当たり前のことという以前の話だと思います。そして、国民の信頼があって初めて成り立つ自衛隊であり国防組織であるというふうな当然の認識を持っております。

 そういうような、委員御指摘のようなことがあったとはいささかも思っておりません。おりませんが、まさしく今回このような事故が起きたのですから、もう一度徹底をしなければならぬと思います。

 私は、昨日も夜、捜索中の護衛艦に乗艦をして、いろいろな状況を見てまいりました。もちろん、素人が見て何がわかるという御批判をいただくかもしれませんが、そこを見て、本当に隊員一人一人が真摯に一生懸命、夜間困難な状況の中、行方不明の方の捜索を行っている、そこにおいていろいろな場面を見ました。一人一人の隊員たちが、国民一人一人のために一生懸命やろう、そういう意識があること、そして、それが今回の関係者の方々にも御理解いただけるのかなというふうに思ったりもいたしております。

 しかしながら、その意識をもう一度徹底すると同時に、精神論に堕してはいかぬと思っております。先ほど「艦船と安全」という本をお示しいたしましたが、もう一度、わかっている、わかっているということじゃなくて、基本に忠実であるかどうかということは、何度も何度もおさらいをしてみるということが大事だと思います。なれになっていないかということも、これは見ていかねばなりません。

 大事の前の小事というような考えを、私ども実力集団でございますが、それが大事であり国民一人一人が小事だなぞというような意識をいささかも持ったことはございませんし、それは今後もそうであるというふうに思っております。

三原委員 もちろん有事のときに、自衛艦の行動というのはかなり他の艦艇を制約するような場面も起こる可能性だってあるでしょうけれども、ふだんの場面でも、我々が車に乗るときに道路交通法を守って安全第一でやるように、船だって同じことだと思うんですよね。

 そういう面で、特によく言われる浦賀水道あたりの安全性の徹底みたいなことは、他にも増してやらなきゃいけない場面だと思いますけれども、そういう点で、全くあそこの地域を、そういう安全のための管理をする海保あたりでも、何か抜かりがあったようなことはなかったんだろうかと私は思ったりもするんですが、そういう点に関して、特にあの近所の東京湾内での安全に対しての覚悟といいますか、考え方あたりを、いま一遍、国民の皆さんに、安全第一なんですということを示してもらいたい。そのことをまずお尋ねしたいと思います。

岩崎政府参考人 今回の事故が起こった海域は東京湾内ではございませんが、東京湾内、先生御指摘のとおり、非常に船舶交通がふくそうしております。私どもも、東京湾内については特別な交通ルールを設けたり、あるいは、私どもに海上交通センターというのがございまして、そこで船舶の動静なんかをよくウオッチしながら、いろいろな航行に対するアドバイスなんかをやっているところでございます。

 また、今回起こりました海域は、東京湾ほどではございませんけれども、やはり、特にある種の時間帯でありますとか、今回起こりましたとおり、漁船団が出港し、あるいは東京湾に入ってくるような船が通航する。東京湾ほどではございませんけれども、やはりある程度の時間帯、ある程度の一定の状況では十分注意を払わなきゃいけない海域だろうと思っております。

 私ども、普段から、そうした事故があった場合、こうした事故がありました、よく注意してくださいということを心がけておりますけれども、今後とも、今回の事例も参考に、より一層海難の防止のためにいろいろなことの諸活動はやっていきたい、このように考えております。

三原委員 私の友人が、今度の事故があって、私のところにメールをくれまして、それは、広いところでのことではない、ああいう混雑したところ、確かに東京湾外四十キロぐらいで今度のは起こったんですけれども、あそこでもやはり出入りの船は多いでしょうからね。

 その中で、私は、これは専門じゃないのでわからない。相手船を右側に見る船が避航船と呼ばれ、右転して針路を変える義務を負います、逆に、相手船を左側に見る船は保持船と呼ばれ、針路と速度を保持しなければなりません。そういう海上衝突予防法があるんですね。あるんだけれども、僕ら素人が考えても、大きな船は、動き出したらなかなかとまらないし、回ろうと思っても小回りきかないですよね。それに比べれば、小さな船は、今言いましたように、速度も速く出せるけれども、とまることも早い。転回だって、でかい船と違って自由に回れる。そういうことから考えたら、国際的なルールはルールであるとしても、場所によってはもうちょっと柔軟性を持たせてやったらどうですか。それが事故を回避するもとにもなりますよ。

 操船能力の高い小型船が原則として避航船となり、みずからの見張りの必要の意識を高めて、衝突回避行動を一義的にとるようにするような場面があってもいいんじゃないか。こういうふうなことを疑問を持って、私のところにメールを送ってこられたんです。

 私は、素人として見ても、確かに、船の大きさが大きいか小さいかなんて、一概に、五万トンと七万トンの船で、では七万トンの方がでかいから五万トンがそんなに動きやすいかというとそんなこともないとは思うけれども、明らかに、今回のような場合だったら、遭遇するようなことになったら、何か新たな方策あたりも考えられるんじゃないかと素人として思いもするんですけれども、その点に対しての意見はどうですか。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、東京湾等の特別な海域以外の一般的な海域では、海上衝突予防法という、道路交通法に準じたような法律でございますけれども、そうした法律で、これは国際的な条約に基づいて、そういう船の航行の仕方を定めております。その定め方は、二隻の船がそれぞれ見合い関係になった、あるいは行き会い関係になったというときにどういうことをすべきかということのルールを定めております。

 先生御指摘の、大きな船、小さな船で少し弾力的に考えたらいいんじゃないかということについても、一つのお考えだとは思いますけれども、今、これも先生御指摘のとおり、船の大きさというのは、今回の場合は明らかにどちらが大きいかというのはよくわかりますけれども、なかなかわかりがたいケースが多うございます。そうしたことを、わかりがたいケースがあることを踏まえ、国際的なルールでも、船の大小に関係なく、どちらがどういう位置関係にあったかによって、どちらがそのままの針路を保持する、どちらかがよける船だということを規定しているところでございます。

 ただ、確かに大きな船はなかなか、直ちに針路を変えたりスピードを変えたりというのは難しいですから、そういう意味で、見張りを十分にして、早い時期にそうした衝突を避けるための行動をとるようにということを、あわせて国際的なルールでも海上衝突予防法でも定めているところでございます。

三原委員 事故が起こってもう十日たちますけれども、一生懸命で、きのうも石破大臣は捜索の護衛艦にも飛んで行かれたようでもありますけれども、時々ニュースの報道で、千四百メーターですか、下の方のところから、何か部品なるものが見えました、撮れましたみたいなことが言われていますが、まだ二人の身柄と、あと、お二人の方が事故当時おられたと思う機関室あたりが上がってきていないというようなことを言われています。もちろん海保の方でも、操船していた艦長以下の事情聴取も行われていると思います。また、きのう、艦長が御遺族のところに見舞われて、見ていても本当に真摯な態度で、心底おわびをしている状況を私もかいま見たわけです。

 御遺族と、もう何か亡くなっているようなことを言っているからあれだけれども、吉清さん親子の安否は、残念ながら、ほぼ絶望的な感じもしなくもないんですが、何らかの遺留品の一つでもというような感じでやってきておられることは、それはまた私もマスメディアを通して認識もしておりますけれども、これまでの、大体述べられる限りの捜査の進展、ここまで来ましたというようなことを、状況あたりは説明をひとつお願いしたいと思います。

岩崎政府参考人 海上保安庁におきましては、事故が発生した十九日以降、関係者の取り調べ、それから衝突状況についての専門家による鑑定等を進めているところでございます。

 関係者の取り調べにつきましては、艦長を初め「あたご」の乗組員、それから事故に遭った漁船清徳丸の僚船、数隻の船が出ておりましたので、その関係者等、合計四十名、延べ六十四回にわたって取り調べ、事情聴取を行っているところでございます。

 鑑定につきましても、漁船の清徳丸の船体が一部残っておりましたので、それの実況見分をするでありますとか、それを今専門家に鑑定をお願いするとか、そうしたことをやっております。

 護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の、先ほどもお話が出ましたが、位置関係がどうなっていたか、それから衝突に至る経過がどうだったのかといったことの事実関係を明らかにしながら、海上衝突予防法の規定に照らしまして衝突原因を究明していくことで関係者の刑事責任について調べているところでございます。

 まだ、捜査がどれぐらいの段階でできるかということについて、めどがついている段階ではございません。なかなか、やはり物証等がないものですから一定の時間を要すると思っておりますけれども、できるだけきっちりとした、またできるだけ早い時期に解明するよう、我々頑張っていきたいと思っております。

三原委員 ベストを尽くして頑張ってもらいたいと思います。

 一方、私は、石破大臣とは、最初に我々が当選した昭和六十年ですね、一番若くてはつらつとしたときから存じ上げておる。本当にすごい、すばらしい方だと私は尊敬してきました。

 それで、石破大臣がこうやって今責任者として直面しておられるわけでありますけれども、残念ながら、時々、例えば、二分前にわかっていました、いや、それが十二分前だったとか、後になってわかったのだと、航海長を呼んでいたとか、そういうたぐいのことが出てくるものですから、我々も心配せざるを得ないという場面があります。

 私は、それを称して、外野の人が言うように隠ぺいだ何とかだと思いもしないけれども、しかし、やはりこれは、国を守る最前線で活動する自衛隊である以上は、常に国民に疑問、疑惑を持たせるようなことがあっちゃいけないと強く思いもいたしておるわけです。

 そういうことから考えたら、これまでの一連の状況、そしてまたこれ以後のことというようなことに関して、やはり国民が疑問を持たないようなことを、疑問を払拭するような態度、立場というものを明確にいま一遍大臣からこの場でやっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

石破国務大臣 委員御指摘のとおりであります。

 ただ、一つだけ申し上げておきたいのは、捜査にかかわることでございます。明らかにできることとできないこととあるのは、委員もよく御承知のことでございます。何でもかんでもわかったことを全部話していいということであれば、それは、防衛省として知っていることを全部出せ、包み隠すなということで全部言うことはできるでしょう。しかし、捜査にかかわることでございますから、明らかにしていいものしか出せません。

 これは明らかにしていいかどうかということを確認するには時間はかかります。それを行ったときに、それを小出しという評価をされるかもしれません。しかしながら、明らかにできるものしかできないのです。それを小出しという評価をいただくとするならば、それは明らかにするものしか出せないということであって、それを小出しというふうなネガティブな評価をされるとするならば、私はそれは必ずしも正しくないと思っております。

 そして、もう一つは、正確なもの……(発言する者あり)今そこで、隠ぺいじゃないかという場外の発言がございました。それを隠ぺいとかそういうふうに評価するか、それとも、捜査中の事案であるから明らかにできるものしかしないということを小出しとか隠ぺいとかそういうような評価をしてかかるのか、どっちが正しいのかということは、それは、捜査にかかわることですから、明らかにできるものしかしないという方が正しいのだと私は思います。

 もう一つは、正確なものでなければいけません。ある程度それは、事実は確認中ということを言うことも可能かもしれませんが、事柄が捜査にかかわることですから、正確性を期すためには、それは時間がかかるんです。それを遅いというふうな評価、そういう方もあるでしょう。しかしながら、最初から、遅くて小出しで隠ぺいだという先入観を持ってすべてのものを評価するか、それともどうするかという問題です。

 私は、防衛省をお預かりする責任者として、この事故が起こったときに、明らかにできるものはしたいということを申し上げました。何を聞かれても、調査中、調査中、調査中、すべては海保に聞いてくださいというようなことは、私はあるべきではないということを申しました。

 ただ、委員御案内のとおりでございますが、この国の場合には軍事法廷というものがございません。

 グリーンビル事件、えひめ丸の事故がございました。私はそのとき、斉藤斗志二長官のもとで防衛庁副長官をやっておりまして、あの事故の捜査の状況というものがハワイでどうなっておるか、私どもの潜水艦部隊からも人を出したりいたしました。あのときに、アメリカの裁き方というものがどうなっているかということを勉強する機会がございました。あのときのグリーンビルの艦長はワドルという艦長で、軍法会議にかかって、いろいろなことが軍の手で明らかになっていったわけでございます。

 私どもにはそういうものがございません。そういたしますと、軍、私どもの場合には自衛隊ですが、そういうことで起こったことを、もちろん事故調査委員会はございますが、基本的に海上保安庁が捜査をされる。私どもは、一義的にそれに全面的に協力するという立場になるわけでございます。そことの調整ということがありまして、それは時間は当然かかる。そして正確性を期そうと思えば、それは時間がかかる。そしてそれが、おくれているとか、隠しているとか、小出しであるとかいう御評価をいただくとするならば、それはその方の考え方、価値観というものだと思います。

 ただ、私が確保せねばならぬのは、いつも悩んでいるのは、捜査の厳正、公平というものは確保しなければならないということと、情報をどうやって公開するかということ、これが、自衛隊と海上保安庁、普通の国でいえば軍と軍法会議、そことの違い、ここをどうしていくんだという問題点は根底にはあるような気がいたしております。

 いずれにしても、今そういうものもございません現状にあって、捜査の厳正、公正を確保するとともに、情報の公開というものをなるべく行う、ここの両立をどう図るかということに今努力をし、苦心をしておるところであります。いろいろと足らざる点、御指摘をいただいておりますので、私どもも改めるべき点、多くございます。改めていかねばなりませんし、今後とも御指摘を賜りたいと存じます。

三原委員 私は、今大臣が言われた、正確であるとか捜査の厳正、公正であること、そのことの必要性、そしてまた、大臣がそれを基本にして行動しておられることを十二分に理解、納得しておるつもりでもあります。真実は一つですから、これから先も、今回のこの事故の原因究明を明確にすることと同時に、再びこのようなことが起こらないようにすることへ向けての我々のポジティブな行動が必要であろうと強く感じる次第でもあります。

 石破大臣が常々私たちに、いざとなったら私は身命を賭してもということで、部下に対する責任というものの重大性というようなことを心に持ちながら行動しておられることは十分わかりますけれども、しかし、そのあなたの志というのがちゃんと上から下まで、二十五万の人たちに明確につながるかどうか、このこともまた大切なんですね。上が一生懸命頑張ったって、下の方の人に、もし万々が一、どこかのかげんで緩みがあるとか抜かりがあるようなことはあってはいけないわけです。

 そういうことを考えたときに、今のシステム、制度というのは、それに対して抜かりや落ち度はないであろうか。なおかつ教育に対して、新しい人が入ってきて、その人たちに国を守ることを十二分に理解してもらう。また同時に、一般人としての常識といいますか行動性も持ってもいなければならない。一朝有事のときの行動に対しての覚悟もなきゃいけない。そういう両々相まって初めて磨かれた自衛官になるということなんだと思います。

 そういう面で、今の制度がそのまま踏襲されていって、今私が申し上げたような期待や要望がなし得るものであろうか。いま一遍、私はお互いに議論してみたいと思うんですけれども、もう時間がありませんけれども、大臣のそれに対する考え方を教えていただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、二十二年前に委員も私も国会議員になって以来、いろいろな議論をいろいろな場所でさせていただきました。今後ともさせていただきたいと思いますし、委員は私よりも前に防衛の、政府の役職をお務めでありました。私よりもはるかに御案内のことも多くございます。

 委員がよくおっしゃいますように、信なくば立たずということをよく徹底しなければいけないと思っております。それが精神論だけではなくて、江田島にあります五省のようなことが一人一人に徹底をされているかどうかも考えていかなければなりません。一人一人を大事にするということ、海軍以来のよき伝統、あしきものはともかくとして、よき伝統というものがきちんと受け継がれているか。しかし、日本海軍だって、すべてが正しかったわけではない、反省しなければいけない点もたくさんある。むしろ反省しなければいけない点の方を、今の海上自衛隊にもちゃんと反映されているかどうかも見ていかねばならないと思います。

 もう一つ、また機会があれば委員と議論をさせていただきたいのですが、ここ数年といいますか、冷戦終了後、安全保障環境が大きく変わったということはいつも申し上げておるところでございます。例えば、海上警備行動というものが発令をされた、インド洋で補給活動がずっと長きにわたって続いている。そういうふうに、非常に環境が変わり、海上自衛隊の任務というものも、実オペレーションというものはふえていったということが一つある。

 もう一つは、急速なハイテク化というものでございます。きのうも船に乗って改めて思ったのですが、まさしくコンピューターの塊になっているわけですね。省力化はどんどん進んでいく、船はコンピューターの塊になっていく、人員はふえないということがある。そこに加えて、ミサイル防衛というまさしくハイテクの極致みたいなものが出てきた。そうすると、新しいものが入ってくるたびに訓練訓練、教育教育。そしてまた、新しい任務がふえるために法律が変わり、そしていろいろな規則が変わっていく。人員はふえないが、物すごく負担はふえているのかもしれない。私は、それをエクスキューズにするつもりは全くないんです。全くないんですが、足らぬ足らぬは工夫が足らぬみたいな話で本当にいいのだろうかという思いもございます。ここは国会においても御議論をいただきたいことだと思っております。

 私は、隊員たちに緩みとかたるみとかそういうものがないかどうかは見ねばならぬ、しかし同時に、足らぬ足らぬは工夫が足らぬとかいう話ではなくて、本当に、人員と与えられている任務とそしてその負担、そのことは私どもコントロールする側としてもきちんと見なければならないことだ。私は、防衛省をお預かりする者として痛切にそのように思っておるところでございます。

三原委員 力強いリーダーシップの言葉、すばらしいことだと私は思います。

 最後になりますけれども、今、石破大臣からも言われた、信なくば立たずですね。これは論語の顔淵の中にある、子貢が政を問う。子のたまわく、食を足り、兵を足り、そして民は好からしめる、信ぜしめる、それこそが政の中心なんだよと。民、信なくば立たず。兵、食よりも信頼が人間関係で大切なんだということを問う場面、答える場面があります。まさにそれが、実は、国民一人一人が自分の国を愛する、国を大事にする、国を守るというその覚悟というか気持ち、お互いの信頼のきずながあって初めて、例えばイージス艦があってもF15があっても、それがなければだめなんですね。

 そこのところがやはり、万々が一、今回の事故あたりで疑念、疑惑が持たれるようになったら、これは大変なことだ。そうはならないと私は確信しておりますけれども、そういう意味で、私は、今回の事故をまた本当に真剣に問題視しながら、二度とこういうことが起こらないようにしなきゃならない。それが、民が政治を信ずる、政を信ずるもとだと思うんです。民、信なくば立たずのもとだと思います。

 最後になりますけれども、私の質問を終わるに当たって、総理にその点に関して言及いただければと思います。

福田内閣総理大臣 まず最初に申し上げなければいけない、このたび、海上自衛艦の事故により吉清治夫さんと哲大さんお二人を遭難させてしまった、このことについて、政府として大変重く、そして責任の大きさ、そういうことを感じておるところでございまして、このことで吉清さんお二人、そしてまた御家族、御関係の皆さんに本当に申しわけない、こういう気持ちを申し上げたいと思います。

 海上自衛艦の海上事故ということでございまして、これは事故でございますから、今、原因究明、捜査をしているという段階でございますけれども、しかし、まずは国民の生命財産を守らなければいけない、そういう立場であるということ、そしてまた海上交通の専門家であり、言ってみればプロ中のプロ、そういう立場の海上自衛艦で起こした事故ということでありますので、これはまことに申し開きのできないことだというように思っております。このことによって、国民の皆様に、本当に日本の自衛隊大丈夫なのか、こういう御心配をおかけする、これはとても大きな問題であるというように考えております。

 私は、このことについては、もちろん原因究明、今、捜査を全力でやっている最中でありますけれども、原因究明をあわせて行い、そして、毎度繰り返すようなことで恐縮でございますけれども、再発防止に全力を挙げるということが必要だと思っております。

 そして、この事故は、吉清さん親子お二人のこと、遭難のことだけにとどめてはいけないんだと思います。そういうことでなくて、国民全体の安全を守るために自衛隊そして防衛省がどうあるべきかということをここでよく考えて、再出発してもらいたいと思っております。

 そのために、今回の事故を大いに反省し、そして、ただいま防衛省の改革会議というものを行っておりますけれども、この中でもこの原因等について十分論議し、そして、防衛省において昨年来いろいろと問題が生じておりますけれども、そういう問題が再び起こらないような、そして真に国民から信頼を受けられるような、そういう自衛隊にそして防衛省に生まれ変わってほしいな、こういう思いでございます。

 また、そのために、私も、今回の事故の責任者でありますので、その責任者としてしっかりとこの問題に対応し、そして防衛省・自衛隊改革に全力を挙げてまいりたいと思います。

 再び申し上げますけれども、このようなことを起こして、そして国民の皆様方に大変御迷惑をおかけいたし、また不安な気持ちを抱かせてしまったということを本当に重く受けとめております。また同時に、治夫さん、まだ五十代の働き盛りであったということでありまして、こういう方を亡くしてしまった、そしてまた哲大さんはまだまだ二十代、若い青年でございます。有為の青年であります。みんなから好かれていらしたということであります。本当に、漁業という仕事をこれから続けていく、こういう気持ちを強く持っておられたという話を伺いまして、貴重な人材を遭難させてしまった、お二人に対して本当に申しわけないというように思いますと同時に、御家族にもおわびを申し上げたいと思っております。

三原委員 終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、浜田靖一君から関連質疑の申し出があります。三原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。浜田靖一君。

浜田委員 自由民主党の浜田靖一でございます。

 きょうは大変残念な質疑をしなければいけない。いまだに吉清治夫さん、哲大さん、捜索は続いておりますけれども、発見をされておらない。大変残念でなりません。事故から十日たった今もこういう状況であるということに対して、御家族の皆さん、関係者の皆様方のお気持ちを考えますと、いかばかりなものがあるのかなという思いもあり、そしてまた、何とか一刻も早く発見、そして救助されることを心からお祈りするしかないわけでございます。

 特に、今回の事故は、我々房総半島野島崎沖で起きたわけでもございますし、そして新勝浦市漁協は、今ここの理事席にお座りの森先生の御地元であって、その意味では、関係者の方々も大変多い。その中でこういう事故が起きた。

 私自身も、今、自由民主党の水産総合調査会長として水産関係の施策を担当させていただいておるわけでありますけれども、我々一次産業、特にこの水産業というものの厳しい状況というのは、これはもう本当にひどいものがございます。

 この情勢は、資源は枯渇している、消費は低下、浜値が安い、そしてまた今回、きょうもまた石油の値段が上がった、燃油の高騰によって収入源が本当に乏しくなっておるわけで、今の漁業者の感覚からすれば、漁に出ることがもう既にそこでマイナスになってしまう、油銭も出ないような状況。そしてまた、こんな状況でありますから、サラリーマンの給料と同じような収入は得られない中で、後継者が大変少なくなっている。

 この吉清さんの親子は、哲大さんというすばらしい後継者を、今二十三歳という若さで船に乗って、今後家業を継いでやっていこうと言っていたやさき、そしてまた、お父さんである治夫さんは五十八歳という若さ、まさに我々漁業界においてはばりばりの現役、このお二人を一挙に亡くしてしまったこの事故というものを考えるとき、我々とすると、本当に水産関係者としては理想というか、まさに後継者と一緒に親子二人で漁業を継いでやっていくという理想的な漁家をここで一挙に亡くしてしまったというこの状況は、何でこんなことが起こるのかなというふうに思ってしまうわけであります。

 そしてまた、今回の事故の相手が、我々の国を守るためにその存在意義のある海上自衛隊の船とぶつかってしまったということ。この事故、本当に、どう考えても残念でたまらないと私は思っています。

 今、福田総理からまさに真摯なお言葉をいただいて、地元の方もそのお気持ちというものを察していただけたものとは思います。

 前回、この事故が起こった後に防衛大臣である石破大臣が訪問されたとき、そしてまた、昨日、艦長が謝罪に訪れた際に、まさに今回の事故に対する怒り、憤りというのを十二分に、家族の皆さん方、そしてまた組合の組合長さん、外記組合長ほか多くの方々が憤りを持っていたと思うわけでありますが、その中において、私、まさに森先生ともお話をするんですが、今回、一番最初に重要なことは、あのお二人を捜してくれ、捜索をしてくれ、捜し出してくれという思いが一番最初に出てくるわけであります。

 そして、今大変厳しい状況で、この御家族の皆さん方も捜索を見守っていた。しかし、今週の月曜日には、地域における浦じまいという形で、善意で漁業組合の組合員の皆さん方が捜索をやっていたわけでありますが、それに一応の区切りをつけた。大変厳しい状況で、何とか捜し出してほしいという思いの中でも、一応の気持ちの区切りをつけながら、きょう十日目を迎えているわけであります。

 その意味合いにおいては、組合長さん初めの言葉の中によく、今回の事故が起こった後に何が始まったかというと、連絡体制の不備だとかいろいろなことが起きました。しかし、その中にあって、彼らにしてみれば、まず捜索することが重要であって、発見してもらいたいという気持ちがある中で、それが一番なのにもかかわらず、その話が何かずれていったような気がしてしようがないんですね。それよりもまず、もう総力を挙げてやっていただいたんだろうけれども、まだそこに議論、逆に、地元の御家族の皆さん方、組合の皆さん方からすれば、もっとそこはほかにやってほしいことがあったんじゃないかな、議論してもらいたいことがあったんじゃないかなと私は思うんですね。

 そういう意味では、このごろ、事故に対しての順番というのがちょっと、確かに情報は欲しい、しかし、地元の御家族の皆さん方、その地域の皆さん方のことを考えれば、これをやはりまず最初に、しばらくは、その姿勢というものを見せる意味でも、捜し出すことを中心に、捜索をすることを中心にやってもらいたいなという思いがあったはずであります。

 今回、確かに、今の状況ではこういう状況だ。しかし、では、海上自衛隊、今責任論の話が出ていますけれども、私たちの組合長さん、家族の皆さん方からは、やめることが責任をとることじゃないんだよと。そしてその中で、今やるべきことをしっかりとやって、こんなひどい事故を二度と起こさないでくれということが常にその言葉の中にあるわけであります。艦長さんが謝罪に訪れたときも、あなた、やめちゃだめだよと。その中で、これから後進にこんな事故を起こしちゃいけないということをしっかりと残していくことがあなたの責任なのではないのかということを外記組合長もおっしゃっておるわけであります。

 ですから、その意味で、先ほど福田総理からもお言葉がありました、今回のこの事故に対しての思いを先ほど言っていただきましたけれども、もう一度お話をしていただいて、そして石破防衛大臣にも、一たんここで、きょう私は、地元の皆さん方の前で、テレビを通じて質問するのは初めてでありますから、その点を私からもう一度確認させていただいて、その思いを伝えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

石破国務大臣 総理からのお答えの前に私から答弁させていただきたいと存じます。

 この事故が起こりました当初から、まさしく地域の議員であられます森議員あるいは浜田議員からいろいろな御指摘をいただき、私どもも対応をいたしてまいりました。とにかく一番最初に、行方不明となっておられるお二人の捜索に全力を挙げるということだ、まず、もう最大そこなんだという御指摘をいただき、私どももそうだと思って対処いたしてまいりました。

 今日に至りましても、なおお二人は発見されておりませんが、私どもとして、捜索の態勢は継続をいたしております。水上艦も、そしてまた航空機も出ております。きのうも夜遅くまで、ある意味夜を徹して海上自衛官たちは捜索に当たっておりますし、文部科学省の特段の対応をいただきまして、「かいよう」という船、今違う船が出ておりますが、海底の捜索もしておるところでございます。

 政府として、お二人の捜索、一縷の望みという言葉がありますが、本当にそれを信じて、私ども政府として、海上自衛隊として、事故の当事者として、家族が御納得いただける形、私どもとして誠意が示せる当然の形、ここをやらせていただきたいと思っております。それが一点であります。

 それからもう一点、責任論についてお話がございました。

 これは、開き直りとか自己正当化とか、そういうことで申しておるのでは全くございません。そう受け取られるとしたら、私の不徳のいたすところでございます。

 翌々日、私、現場へ参りました。いとこの方あるいは妹さんから私に対して、あなたの責任のとり方はね、この事故の原因をきちんと究明する、これが起こらないようにきちんとする、それが責任のとり方であって、あなたやめちゃだめだよということを強く言われた。組合長さんからも言われた。

 私は、責任のとり方というのはたくさんあるんだろうと思います。委員も、私とともに防衛省に籍を置いて、一緒に仕事をしておられました。それは、常に退路は断ってやるのが当然だと思っております。しかし、一番つらい思いをしておられる、そういう方々のお気持ちにこたえるというのが責任のとり方だと私は思う。その方々のお気持ちに自分はこたえられているかということを常に自分の胸に手を当てて対応していって、そして自分なりの判断はしたいというふうに思っております。

 私は、今の時点で軽々にここでやめますというようなことがつらい思いをしておられる方のお気持ちにこたえることだと、この段階においていささかも思っておりません。

 このことについて、そんなに簡単なお話ではございませんが、委員が今まさしくおっしゃっていただいたように、艦長に対しても、あなたがやめることが責任のとり方じゃない、そして、どうしたらば後進に対してちゃんとした指導ができるか、そしてもう一つ申し上げれば、艦長にも家族がいる、私たちが遭難した人間の家族であるように、艦長にも家族がいるだろう、艦長の家族もきっとつらい思いをしておられるだろう、そういうお言葉をおっしゃったということを聞いて、私は本当に、ありがたい方々だ、本当に海の男、そしてまた海の女性、そういう人たちの心の温かさや、本当に真の思いやりや、そういうものを感じた次第でございます。そういう方々のお心にこたえたいと私は思います。

浜田委員 そういう思いの中で、今回、今大変厳しい状況で、私、地元でございますし、また、そういう意味では、水産関係者として考えますと、御家族の方、今この行方不明という状況の中で、もしもということの際に、私が一番思うのは、国としてこの御家族に対して一体何ができるのかということだと思っています。

 これは当然のごとく厳しい状況であるけれども、一縷の望みと今防衛大臣おっしゃってくれましたけれども、しかし、その御家族に対して、今後、最悪の場合を考えたときに、政府として精いっぱいの措置をしていただきたいと思いますし、また、善意とはいえ、組合の皆さん方が、先ほど申しましたように、水産業、大変厳しい折の中で、自分たちの漁を休んで捜索活動に従事をされてきた。この方々に対しても、やはり政府として何らかの措置をぜひ考えていただきたいと思います。

 総理、私、先ほどの三原先生のお話の中で十二分にその気持ちはよくわからせていただいたつもりでありますけれども、それも含めて政府としてのお考えを教えていただければと思います。

福田内閣総理大臣 浜田委員はお近くですよね。ですから、殊のほかこのことについて御心配されていらっしゃいます。また同時に、以前、防衛庁副大臣をしていらっしゃる。両方の立場ということもあろうかと思いますけれども、御心痛は大変なものだというふうに思っております。

 本当に、今回の事故によりまして貴重なお二人を遭難させてしまったということについて、申しわけないと思っております。と同時に、今委員からもお話ありましたとおり、一遍に、大黒柱と、そしてまたこれから家を支えていく大事な息子さんを亡くしてしまった、こういう御家族のお気持ちを考えますと、本当に悲しい思いでございます。そういう悲しいお気持ちを私ども、どのように受けとめていくかということだと思いますけれども、同時に、御関係の皆様や、また勝浦の漁業協同組合の皆さんにも随分御迷惑をおかけいたしました。また、この捜査に協力をいただいたということもございまして、これは、そういう方々にも御礼を申し上げると同時に、御迷惑をおかけしたことについておわびを申し上げたいというふうに思っております。

 そういうような事態を引き起こしてしまったということについて、政府としても重大に受けとめておるということは前にも申し上げましたけれども、これからいろいろな捜査、調査等行われると思います。その中で、この原因究明というのがもちろん行われます。そして、そういう究明の中でどのようなことを政府としてすべきかという法的な問題ももちろんありますけれども、いろいろな事情等を考慮して、できるだけのことをさせていただかなければいけない、そういう責任は感じておるところでございます。

 また同時に、防衛省の改革、これは大変大きな課題だと思います。今回のことは、この遭難事故、このことが、そのことだけにとどまらないものだという感じを私はいたしております。もっと大きな問題がその基盤にあるのではないかということも考えまして、防衛省をこれからどのように再生させるかということについて、私もこれから全力を挙げてこの再生に、またその改革に取り組んでまいりたいと思っております。

浜田委員 ありがとうございました。総理の口からしっかりと対処していただけるということをおっしゃっていただきましたので、地元の御家族、そしてまた地元の関係者もほっとしているものと思いますので、ぜひ今後の措置についてもよろしくお願いをしたいと思います。

 そこで、今総理からも防衛省の改革も含めて今後やっていくんだというお話がありましたけれども、国民の皆さんから見れば、何をこんなにたるんでいるんだという声があると思うわけであります。

 特にここのところ、そういった不祥事が大変多く起こってしまっているというふうに私は思うわけでありますが、今回のこの案件に関してもそうでありますけれども、少々、国民から見たら、本当に大丈夫なのかねという思いが、これはもう何を聞いても言われてしまうような状況になってしまったと私は思っております。

 その際に、では今後、今のこの国民の声に対してどうこたえるのかというのが一番問題になってくると思うわけであります。先ほどの水産関係の話とはまた別に、防衛関係の方に移れば、要するに、これを緩み、なれとかということで本当に済ませてしまっちゃいけないと石破防衛大臣はおっしゃいましたけれども、しかし、今回の案件は別にしても、そういった問題が起きているということは、これに対する処方せんというのは本当にあるのかどうか。

 よく石破大臣とお話をするのは、要するにそもそも論という部分でこの問題を考えると、今、ここまで本当に規律を守ってきた、その規律を守ってきた根本にあるものは何なんだといえば、防衛省・自衛隊は、この日本の国民の皆さん方のために我々は存在をし、そしてその中で我々の任務を果たすんだということを自分たちの中で思ってきたわけですよね。そしてまた、法律的にいえば、これは要するに自衛隊という特殊性があって、世界の国とは少々異質な軍事組織になっているわけでありますけれども、その点について、我々とすると、私とすると、今回のような事故を起こしてしまったがゆえにその議論が少々またおくれてくる。足らざるところを足していくということも含めて私は考えにゃいかぬと思うのです、そもそも論も含めて。

 その際に、今回の、要するにたるんでいるんじゃないかということに対して石破防衛大臣はどのようにお答えなのか、お聞かせいただければと思います。

石破国務大臣 事故が起こりました。たるんでいませんとか、士気は旺盛でありますとか、規律厳正でありますとか、それは防衛大臣として当然言わねばならぬことであります。ただ、事故は起こった。基本を守っていないから事故は起こった。どちらがどうということは、今捜査が行われております。しかしながら、仮に、仮に割合がどうであったにしろ、今回の場合はともかくとして、私どもが基本をきちんと守っておれば避けられたという可能性もあるのかもしれません。現に事故が起こっている以上、どこかが問題があるということは確かなのでしょう。それが緩みなのか、なれなのか、あるいは疲れなのか、何なのかということでございます。

 そこは私は根源論は二つあって、一つは、委員がまさしく核心にお触れになったように、普通の国でいう軍隊というものは、その国における最高の栄誉と最高に厳しい規律が与えられて軍隊ですよね。つまり、いざとなったらば国の独立を守る、いざとなったらば本当に文字どおり身命を賭すというものですから、その国における最高の規律がなければいかぬ。あるいは、扱うものは、その国の何が束になってかかってもかなわないものを扱うわけですから、その国における一番厳正な規律が適用されねばならぬ。そうであるがゆえに、与えられる栄誉はその国における最高の栄誉が与えられなければいけない。

 我が国においてそうかといえば、それはそうではない。服務の宣誓というものによって、自衛官の規律、自衛隊員の規律も保持されている。そこはほかの国と大きな違いがあるわけです。そこをどう考えるかということ。

 そして、普通の国であれば、軍隊の中に警察が入ってきて捜査をするということは、それは考えられない。だからこそ、軍隊の中に軍法会議があり、軍律というものがある。しかし、我が国はそうではない。

 それをどう変えようかなぞという議論をしているのではなくて、それがそうである状況においてどのようにして規律を保ち、そして、議論はそれるのかもしれませんが、どのようにして情報公開をし、捜査の厳正性を保つか。そういう根本論というものは、やはり政治の場で議論をしなければいけないことではないか。政府としてどうのこうのではなくて、国会において議論をせねばならないことではないかということを私は一議員として以前思っておりました。また、委員の御提案を受けて、いろいろなお話をさせていただきたいと思っております。

 二点目につきましては、二点目と申しますか、先ほど三原委員の御質問にもお答えをいたしましたが、今我々が置かれている環境、特に海上自衛隊、多くの任務が与えられている、実任務に出ている。もう一つは、いろいろと法律が変わった、そのことによって下の訓令とか規則というものが物すごくふえた、それを全部幹部は理解をせねばならないということ。そして、MDを初めとした新しいハイテクが入って、乗組員はずっとその教育に出ているということ。そして、少ない人員で船を動かしていかねばならないということ。

 そういうことがたくさん重なってきたということに、何か負担が過度に生じていないかということは、我々コントロールする側として、きちんと見ていかねばならないのではないか。海上自衛隊に対して、何をしている、たるんでいる、きちんとしろと言うこともそうですが、何が起こっているのかということは、我々コントロールする側としてきちんと把握をしなければ、これはコントロールの名に値をしないのではないか。私は、自分として、そのようなことを反省とともに思っているところでございます。

浜田委員 それで、もう一つわかりやすく教えていただきたいんですが、要するに、今回の事故の対応を見ていると、では、危機管理体制というか、そういうものは本当にちゃんと機能するのかという話があるわけですね。

 これは大変誤解をされておるところも、国民の皆さん方には安全保障のことは大変わかりづらいところもあるわけで、そこのところを、例えば、今事故が起こっただけでこういったような状況になるということを、何をやっているんだ、おい、本当にこんなので大丈夫なのかという声もあるわけで、この場合と、まさに有事とか、そういう危機が迫ったときの差というのは、要するにどこがどう違ってどうなるのか。いや、実は今のままと同じなんだよと言ったら、今のままだとえらいことになって、国民の皆さん方も驚いてしまうわけでありますので、そこのところをわかりやすく、多分、これは専門用語で言っちゃうとわからないと思いますので、そこをしっかりとわかりやすく説明していただけますでしょうか。

石破国務大臣 よく御指摘をいただきますのは、それでは、自爆ボートが全部灯火を消して夜陰に紛れて突っ込んできたらどうなるかという御指摘をいただくわけでございます。

 これは、私どもの方としても、そういうような御懸念をいただかないように、さらに万全を尽くしていかねばなりませんが、常に見張りは厳となしておりますというか、その言い方は正確を欠くかもしれませんが、見張りをきちんと適正に行っていれば、今回の衝突のようなことは起きなかったかもしれない、予断を持って言うことはいけませんが。私は、本来の基本をきちんと守るということがあれば、例えば自爆ボートのようなものに対してもちゃんとした対応はできるし、できなければいけない、その能力もあると思っております。思うだけではなくて、そのことを私自身、今得心をしておるところでございますが、さらに徹底もいたしてまいります。

 ただ、アメリカのイージス駆逐艦コールというのがアデン港で自爆ボートにぶつかられて、自爆されて多くの死傷者を出したというケースがございました。それは、警戒態勢がきちんとしかれていなかった、その認識がなかった、したがってアメリカのイージス駆逐艦においてもそういう被害に遭ったということでございます。

 したがいまして、どういう状況にどのような態勢をしくかということ、そして、今のテロの脅威に我々が直面している中にあってどういう態勢をしくかということについては、本当にこれで大丈夫かどうか、点検はいたしておかねばならないと思います。

 そして、例えば、MD、ミサイル防衛についても法制というものはきちんとできておる。そして、「こんごう」によるPAC3の迎撃実験も成功した。そして、パトリオットというものの配備も今進んでいる。いろいろなアセットはそろいました。法律もできました。さて、これが動きますかということは、それはシミュレーションをちゃんとしなければいけないのだと私は思っております。

 この地域から、この地点から一発のミサイルが撃たれた場合、あるいは違う地点から複数発撃たれた場合、その場合に、どこにイージスを置き、どこにパトリオットを置き、日本のものはどこにいて、そして日米がどのようにして連携し、防衛大臣、総理大臣、現場の司令官、どのように連接をするかということは、それは紙の上ではきちんとしておりますし、そのことの確認もいたしておりますが、ありとあらゆる想定される状況について、シミュレーションを行い、訓練を行い、それが頭で覚えるのではなくてある意味で体で動くようにならなければ、それはパーフェクトということにはならないのだというふうに思っております。

 私は、委員と大臣や副大臣をしておりましたときから、ありとあらゆるケースを想定してシミュレーションをやろうということでやってまいりました。これから先もそれは不断に続けていかねばならないことだというふうに思っております。テロの時代になればなるほど、私は、それはさらに必要なことだというふうに考えておる次第でございます。

浜田委員 これはぜひ、本当に、今回の事故でさえという言葉が大変言われているわけであって、今回の事故において御批判があるのは、逆に言うとまさに時間の問題だとかいろいろなところがあるわけでありますけれども、そういった情報の提供というところで極めて混乱が起きているというところがあろうかと思うわけで、それが後追い後追いになっている。

 これは事故ですから、交通事故でもそうですけれども、当然、当事者の方が亡くなったりした場合には、必ず周りの目撃情報を集めてきて、警察は、事故の原因、そしてまたどちらの方が悪かったのかというのを決めるわけだし、逆に言えば、今、海保がやっている中でそういった情報収集をして、次から次へと情報が出てくるわけですから、最初の情報が変わってくるのは当たり前の話でもあるわけで、そこのところの情報の提供の仕方というのが極めて今回まずかったと私は思うわけであります。

 その中で、特に今回、一つ、昨日の産経新聞の一面にまさにそもそも論が出ておりまして、今回の防衛省のイージス艦事故、防衛省の対応、要するに、航海長を聴取したというのは組織としては自然のことであると。しかしながら、これは自然なんだけれども、日本ではこれが認められない状況にあるというのがあるわけです。これはなぜかといえば、日本の自衛隊というのは軍隊ではないし、そしてまた、そこに軍事法廷というものがないので、警察の能力を持つ海上保安庁というものが捜査をして、司法がこれを取り締まっていくということになっているわけであります。

 そういう意味では、この記事を読んだときには、二律背反で、もう今私がここで長く議論しようとは思いませんけれども、先ほど普通の国というふうに大臣おっしゃいましたけれども、まず、普通の国というのと日本の違い、外国組織との違いというのを、こういった海難事故が起きたときに一体どういうふうになるのかということも含めて教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

石破国務大臣 これが普通の国という普通の国は世の中にきっとないのでしょうが、私は、言葉を誤って使ったのかもしれません。

 日本以外の国においてはどうかといえば、私どもの憲法七十六条のようなものがございませんので、軍事法廷というものがある。軍事法廷というものがあり、軍法というものがあり、それは、軍というものがほかのだれが束になってもかなわない組織であるがゆえに、最も重い規律が求められる。よって、規律を保持するということが自己目的であり、同時に、何年もかかっていれば、それはもう規律も何もあったものじゃありませんので、実際に戦争というものが始まったとして、何年も何年も裁判にかかっていたとしたならば規律なんて保持できませんから、目的が違うのと速さが違うというのが軍律あるいは軍法会議というものの特色でございます。私は、この二点が特色として挙げられるだろうというふうに思っております。

 我が国の場合に、そういうことに相なっておりません。相なっておりませんので、軍隊の中に警察機関が入ってくるという、ある意味、ほかの国から見れば不思議に思えるような状況になっているのだと思います。

 私は、これを直すとか直さないとか、そんなことを申し上げているのではありません。これが我が国の制度ですから、その中できちんとしてやっていくのは当然のことでございます。

 ただ、憲法論との関係で申し上げれば、前に議論したことがありますが、最終審ではない形の、行政審判のような形を設けることはできるかできないかという議論を以前した記憶はございます。それは政府の見解でも何でもなく、自民党の中で議論をしておったときの一つの議論のテーマでございました。これをどうすべきかということにつきまして、私ども、党でまた御議論をいただければ、あるいは国会内で御議論をいただければというふうに思っているところでございます。

 なお、付言して申し上げれば、海難審判というものもございますが、私どもの事故調査委員会というものが、状況が許すようになれば、この調査を開始いたしたいと思っております。これは、「なだしお」の例、あるいはほかの船の例、いろいろ見ますと、かなり早い段階で、海難審判の結果が出る前でも中間報告みたいなものを出したことはございます。そういうようなことで、迅速性というものが、捜査の厳正性あるいは公正性を損なわない範囲でどこかで出せないかなというふうなことは、今後あるいは考えられるのかもしれないというふうに思っております。

 したがいまして、ほかの国との比較は、もうそもそも成り立ちからしてほかの国と相当に違う状況にありますので、私は、行政の範囲内あるいは防衛省の範囲内でできることは、私の責任において、総理の御指示のもと最大限やらせていただきますが、その大枠をお決めになる政治の場でそもそも論というものをぜひ御議論いただくということが肝要なことではないだろうか、そういうことを私は以前長官のときに思っておりました。

 今回も、自分の職責を果たすことは当然でございますが、そういうような御議論を国家のために賜る場面はあるいはあるのかもしれないと思ったりすることもございます。

浜田委員 なぜこういうことを聞いたかというと、今回の事故のみならず、いろいろと昨年からの不祥事等々を考えましたときに、今のこの現状で解決のできないことがあるならば、やはりその根底にあるものをしっかりと見据えて、この組織というものを考えなければならないと私は思っています。

 特に防衛省の諸君は、多分、今回の件を見たときに、いろいろな問題がここのところ、事故の後のいろいろな動きを見ても、石破大臣が今回御自分の考え方、防衛省改革に対する考え方をされたときに、防衛省の中で一体何が起きたかといえば、これは、お互いの組織を守る、そして今から変わりたくないというような、そういう何となくハレーションみたいなものが起きたような気がしてなりません。不断の改革をするといいながら、そこに身を置く者が自分の問題点を把握し切っていないということに大変な憤りを感じるものであります。それがないからこそ、ほれ見たことかというのが今回の事故のような気がしてならない。運用官庁としてのまさに自覚を持たなければならない、私はこう思うのであります。

 今回の事故、ただの事故でこれで終わりだと思っては困るのであります。ぜひ非の打ちどころのない体制をつくり上げていただきたいと私は石破大臣に要請をするものでもありますし、また、もしも、そもそも論で足らざるところがあるからこういう問題が起きているんだということであるならば、我々政治家が本当に勇気を持って議論をしていかなければならないと私は思います。

 そこを、大臣、きょうお戻りになりましたらぜひ伝えていただきたい。怖がるものは何もありません。大臣の力で防衛省・自衛隊を変えていただくことを心からお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、西銘恒三郎君から関連質疑の申し出があります。三原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 ここに一冊の本がございます。これそのものはコピーですけれども、琉球政府、沖縄県庁の前でありますが、琉球政府並びに沖縄県庁のある先輩が退職をしたときに、この本を出版しております。三百八十ページ余りでありますが、前書きには、「敗戦から復興へ、祖国復帰から今日の平和社会への変遷を思うに、その裏側にはそれは極限の忍耐で耐え、しいたげられた先人たちのギリギリに生きるための命を賭けた戦いがあったことを私どもは、心のどこかにか銘記しなければならず、それはありったけの平和を享受してやまない私どもの使命ともしたいものである。」。

 この先輩は、平成十一年の四月にこの本を出版しております。この本によりますと、一九四五年の終戦の直後から一九七二年の祖国復帰までの二十七年間、特に昭和二十年代の十年間にかけて、沖縄では語り尽くせぬ数々の事件や事故があったことが記録をされております。

 今回、二月十日の少女暴行事件をこの歴史の中で考えるときに、またも起こってしまったかという怒りを圧縮したような県民の声が、初めて歴史認識として理解できるものと確信をしております。

 そこで、福田総理大臣にお伺いいたしますが、去る二月の二十七日に来日されたライス国務長官との会談で、どのようなお話がなされましたか、お伺いしたいと思います。

福田内閣総理大臣 先般、二十七日の夕刻、私は、ライス国務長官の表敬を受けました。そこで、いろいろな話がございましたけれども、まず、冒頭、先般、沖縄で起きた米海兵隊員による暴行被疑事件について、ライス長官からお話がございました。

 その中で、ライス国務長官から、今般の事件は極めて遺憾であり申しわけない、深刻に受けとめている、そして、被害者の少女や御家族のことを心配している、再発防止に向けて最大限努力したい、こういうようなお話がございました。私からは、今般の事件は深刻に受けとめなければならない問題であるということを述べますと同時に、再発防止のために日米で協力していきたい、そのようなお話をさせていただきました。

西銘委員 県民の感情としましては、再発防止という言葉がむなしく響きかねないぐらい、事件、事故の積み重ねがなされてきております。ありとあらゆる方策をとって、本当に二度とこのような事件、事故が起きないように対策を政府の方に要望したいと思います。

 防衛大臣、大変御苦労が多い昨今だとは思いますけれども、世界じゅうに駐留をしている米国の軍隊全体の問題として、このような暴行事件を抑止するような厳しい罰則や再発防止の策は、米国のことではありますけれども、国防省とか、あるいは軍法の規律の中にはないものでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 私自身、米国が外国に駐留いたしますすべての軍律について承知をしておるわけではございません。この国に重くてこの国に軽いとか、そういうものは特に差異があるというふうには承知をいたしておらないところでございます。

 ただ、これは既に委員御案内のことかと思いますが、統一軍法というものがございます。例えば統一軍法の第百二十条におきましては、相手の同意なく力ずくに性的行為を行ったいかなる者も、強姦罪を犯しており、死刑または軍法会議で定めるその他の罰に処せられるというふうに規定をされております。

 この統一軍法は、全地域の正規軍人、予備役軍人等を対象としておるものでございまして、そういうものが特に、御指摘を受ければ挙げられるものだというふうに私は承知をしております。

 委員御承知のリバティーカード制度、夜間外出制限、あるいは一時的な出入り禁止の制度、オフリミッツ及び米軍人に対する研修、教育プログラム等々実施をしておるものでございまして、統一軍法というもの、まずそれが根底にあって、そのほかのものは、その地域にあって本当にそういった地域の実情にふさわしいものが、ある意味で、言葉は正確を欠くかもしれませんが、運用ベースがあるものというふうに承知をいたしております。

 今回、では沖縄において、沖縄のいろいろな状況あるいは県民の方々のお考えを踏まえて、沖縄において本当に有効なもの、そういうものが何なのかということについて、私どもは私どもなりの考えがございます。それを、アメリカお任せよということではなくて、私どもは、これについてどうですかということを申し上げ、沖縄の意見をきちんと反映し、そのことについて合衆国の誠意ある対応を求める。

 今総理から御答弁がございましたように、ライス長官がお越しになりました。私もライス長官と一時間弱会談をいたしましたが、本当に心を痛め、誠心誠意対応するという姿勢を私は感じたところでございます。

西銘委員 米国の軍隊のことではありましょうけれども、我が国の防衛大臣として、日米同盟を締結する者の一方の大臣として、米国の側に厳しい厳罰、こういう事故が二度と起こらないような厳しい厳罰をもっと隊員に周知徹底する、現実にこういう事故、事件が二度と起こらないような厳しい対応をとってもらいたいと要望をしておきます。

 次に、日米地位協定についてお伺いをいたします。

 去る二月十八日の予算委員会で、高村外務大臣は、日米地位協定が不磨の大典であるとは考えていない、必要があれば、法律であれ憲法であれ改正することは当然であると述べた上で、政府としては運用の改善で対処したいと答弁をしております。

 そこで、外務大臣にお伺いいたしますが、事件や事故という歴史的な現実を積み重ねてきている県民は、地位協定を見直してほしいと切実に訴えているのであります。米軍人の、表現はまずいかもしれませんけれどもある種特権を、国民の目線で、全体的に言いますと郷に入らば郷に従えというような感覚で制限をすることによって、犯罪防止への抑止力が働くというふうに考えることはできませんでしょうか。

 日米同盟がより深化した形で、より強固な絆を築くためにも、地域住民とのかかわりはその大きな基盤であると考えるからであります。高村大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 このたびの忌まわしい、まさに忌まわしい事案については極めて遺憾だと思っていますし、また、沖縄県民の中に地位協定を変えてほしいという意見があることも私は承知をしております。

 ただ、一方で、今度の事件だけについて言えば、最初から身柄は日本の警察が押さえているので、これは、今度の事件だけについて言えば、捜査に全く支障がないということが言えるわけであります。

 一般論として、それではどうすべきかということについては、こういうことがあった場合に機敏に対応する。あってはいけないことでありますけれども、あった場合には機敏に対応するという意味では、運用の改善でやっていった方が私ははるかにベターだ、こういうふうに思っております。

 米軍が駐留しているのは日本だけではなくて、NATO諸国にも駐留しております。それから韓国にも駐留しております。大体、地位協定というのは、それぞれの受け入れ国との間で、派遣国として米国は地位協定を持っているわけでありますが、NATO諸国と日本の身柄引き渡しについては全く同じ、地位協定自体は全く同じであります。

 さらに言えば、日本の場合は一九九五年に運用の改善を行って、凶悪犯の場合に身柄の引き渡しを求めることができる、そういうことになっているわけで、現実に幾つかの事件で身柄の引き渡しを受けていますが、そういうことはあらゆる米軍が駐留している国の中で日本だけでありまして、運用については日本が一番進んでいる、身柄の引き渡しについて一番進んでいるというのは、これは客観的な事実であるということであります。

 もう一つ言うと、国連のPKOでも、国連と受け入れ国との間で地位協定が結ばれるわけであります。日本の自衛隊がどこかの国にPKO部隊として駐留する、そのときに刑事裁判権は受け入れ国にない、やはり派遣した国である日本の自衛隊の人が犯罪を犯した場合の刑事裁判権は日本側にある、こういうことになっている。むしろ、国連よりも米軍が駐留した場合が進んでいる。そして、その進んでいたスタンダードに日本の協定はなっている、運用でいえばさらに進んでいる、そういう客観的事実があるというこの事実だけは御理解をいただきたいと思います。

西銘委員 日米両政府が地位協定の運用の改善に取り組むこと自体は評価をいたしますが、運用の改善という日米の合意事項、これまでに合意されてきた事項を、地位協定全体、一条から二十八条ある全体の中で、追加をしたり修正をしたり、あるいは明文化をしていくというようなことはできないものでしょうか、お伺いします。

高村国務大臣 具体的にどの点をおっしゃっているのかちょっとよくわかりませんが、地位協定を変えるということは、相手もあるわけで、また場合によっては相手の政府だけでなくて、議会ということもあるわけで、要するに、米軍が駐留した場合のスタンダードの地位協定そのものを変えるとなると、まさに大変なエネルギーを要する。機敏に対応する運用改善で、実質的な我が方の利益を守っていくということが必要なのではないか、こういうふうに思っているところでございます。

西銘委員 地位協定二十五条に基づく日米合同委員会のもとで運用改善で合意されてきた事項が、地位協定の法体系のもとで積み上げられてきた実績があると理解をしております。

 私は地位協定を直すとすれば、この身柄拘束の問題、十七条に関する問題、あるいは時代が変わってきて、環境問題の視点が出てきておりますから、環境の視点で議論ができないのか。日米合同委員会の中で、運用改善というテーブルの中でもよろしいですから、環境の問題ということがテーマになったことはありますでしょうか、お伺いします。

高村国務大臣 日米合同委員会のもとに環境分科委員会というのが設けられておりまして、環境問題について日米両国は、二〇〇〇年九月の2プラス2において、環境原則に関する共同発表を発出いたしました。これは環境分科委員会等でいろいろ議論を積み上げてきたその結果を2プラス2でまとめてきたわけでありますが、環境保護のために、在日米軍は、日米の法令、ある場合は日本の方が厳しくて、ある場合はアメリカの方が厳しい、そういう状況があるわけでありますが、日米の法令のうち、より厳しい基準に従って取り組みを行う、こういうことが確認されているわけでございます。

西銘委員 地位協定一条から二十八条の中、制定された当時に環境の視点はなかったものと私は確信をしております。時代の変化によって、環境の視点が世界的にも大きくクローズアップされる中、日米合同委員会の運用改善の分野で、ある合意点がなされたのならば、日米地位協定の中のどこかに環境の項目を立てていくという手法が、私は、とられてもいいのではないか。

 日本の外務大臣として、米国とNATOとの関係、米国と韓国との地位協定の問題を心配することもわかるのでありますが、より強固な日米同盟を築いていくためには、運用の改善という事例の積み上げが明文化された形で、何らかの形で、時代に合わせて、しかも目的はより強固な、深化した日米同盟を築くんだという視点で話し合いが持たれないものでしょうか。いま一度、外務大臣の御所見をお伺いします。

高村国務大臣 一つ一つの事案に対応していくためには機敏な対応が必要なので、先ほど申し上げたように、日米地位協定がもし改定される場合に、すべての場合にアメリカの議会が関与するとは限りませんけれども、場合によっては、アメリカ軍人の権利とかそういうものに重要な変更がある場合には、議会が関与してくるということもある。

 そして、アメリカはアメリカとしてのグローバルスタンダードを持っている中で、個々の運用の改善ということには割と応じやすいけれども、そうでないものについては極めて難しい。先ほど言いました機敏な対応ができにくくなって、今まで運用の改善ということをやって、そして世界の先端の日米関係になっている、こういうふうに思っております。

西銘委員 ことしの七月に環境サミットとも呼ばれるようなサミットが開かれます。環境のテーマは、米国とNATOの諸国、ヨーロッパ諸国は特に環境には敏感でありますし、地位協定の中でも、韓国と米国の中でも、あるいは我が国と米国の日米地位協定の中でも、環境という視点は、一つの地位協定の中に明文化していくという意味では、米国にとってもやりやすいのではないかなという印象を私は持っております。

 ここでお伺いしたい点があります。日米合同委員会の合意事項、たくさんいろいろな事例が積み上げられてきていると思いますが、この合意事項はすべて公表されているのでしょうか。外務大臣にお伺いします。

高村国務大臣 日米合同委員会で極めて忌憚のない意見を交換しようということで、相手方が同意のないことは公表できないという取り扱いになっています。その上で、私の感覚で言えば、ほとんどのことが公開されている、こういうふうな感覚を持っております。

西銘委員 相手があって大変難しいことではありましょうけれども、憲法改正の議論がされる時代、国民投票法案、手続法案が制定されるような時代でありますから、大臣がさる委員会で答弁されたように、不磨の大典とは思っていない、合同委員会の合意事項を精査する中で、アメリカにとってもいい地位協定の追加、明文化できるものがあれば検討をしていただきたい。これは要望にとどめておきます。

 次に、普天間飛行場の移設について、官房長官にお伺いしたいと思います。

 普天間飛行場の移設の協議会が順調に開催されてきていると理解をいたしますが、次の協議会はいつごろを予定しているのか。

 あるいは、キャンプ・シュワブ地先の埋め立て予定地、ある程度埋め立てをしますから、埋め立て予定地の一番端っこの東側の埋め立てのラインが、長島という小島がありますけれども、この長島という小島とどのぐらい離れているかわかりませんけれども、その島側、東側に少し動かすことによって、地元、県と市と、政府が合意に達するものと考えますが、なかなか答弁はしにくいでしょうけれども、官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 普天間の移設、これは本当に急がなければならないという思いで、米軍再編の中でも大きな課題として日米間で議論をされ、そして合意をされたわけでございます。委員一番その辺は御承知のとおりでございます。

 それを受けまして、この移設を順調に進めるための政府と地元との協議会が開催をされておりますが、昨年の一月以降しばらく開催されておりませんでしたが、福田内閣ができて以降、たしか三回既に開かれたかな、こう思っております。先般も二月七日に開きました。

 次回いつかというお尋ねでございますが、予算が成立することを受けまして、三月末というよりは、むしろ四月に入ってから早い時期に一回開ければいいかな、こう思っているところでございます。

 今委員から、少し動かしてはどうかというお話がございました。これは、この協議会の場でも知事さんから、あるいは名護の市長さん等からも再三出されているお話でございますが、現在の案につきましては、相当日米間でも議論をしたし、また地元の皆さん方にも御理解をいただいて、生活環境の面、自然環境の面、実行可能性等に十分留意をして練り上げたものでございますから、なかなかそう簡単に、ちょっと東から西へというようなわけにはいかないわけでございます。

 ただ、現実に今、環境アセスメントが始まらんとしている、そのための準備が行われているところでございますし、地元の御理解を得なければこうしたこれからのいろいろな手続がスムーズに進まないということも、私どもよく承知をいたしているところでございますので、地元からのお話、あるいは今西銘先生からのお話なども含めまして、この建設計画をどうしていくのかということについて、よく地元とも協議をし、理解を得ながら、この普天間飛行場の移設、返還問題にしっかりと取り組んでいきたい、かように考えているところでございます。

西銘委員 政府といたしましては、米国政府との合意も心配される向きもありますけれども、私は、何はさておいても、まず地元との合意を早急に取りつけることが肝要だと考えております。アメリカ側のことを類推しますと、とにかく早くできればいいという形で、私は、我が国の政府としては押し切ることができるものと考えておりますので、地元との合意をぜひとも優先していただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、日中中間線のガス田開発協議についてお伺いをしたいと思います。

 経済産業大臣にお伺いいたしますが、原油の高騰がこれだけ続く状況の中で、我が国政府としても、エネルギー資源を積極的に開発していくという姿勢があっていいものだと思っております。日中中間線のより日本側の海域でガス田開発を粛々と、淡々と、国益に沿うという理解のもとで進めていくという考えはないでしょうか。甘利大臣にお伺いします。

甘利国務大臣 東シナ海における資源開発問題は、この東シナ海を平和友好協力の海にしていかなければ根本的な解決にはつながらないわけであります。

 そこで、昨年末の福田総理訪中時には、まず、これまでの協議を通じて相互理解が一層深まったということ、それから、一刻も早く解決するとの断固たる決意を共有して協議を継続していくこと等が両首脳間で確認をされたわけであります。現在は、この両首脳間の新たな確認のもとに、日中両国が懸命な歩み寄りの努力をしている最中であります。

 経済産業省といたしまして今お答えできるのは、対話を通じた解決を図るということが大事で、両国で今、両首脳間の新たな確認に基づいて歩み寄りの作業を懸命に続けている最中でありますから、これを見守りたいというふうに思っております。

西銘委員 私は、国益の観点から、中間線の日本海側で国益の視点からできるものを進めていく、その方が、より具体的な日中間の共同開発の議論なり、同じテーブルに立った共同開発の議論ができるのではないかという思いでお聞きをいたしました。

 日中中間線から尖閣諸島周辺の海域、あるいは台湾海峡の海域、海洋基本法ができる中で、この海域の持つ重要性は我が国にとっても極めて大事だと思います。

 最後に、台湾の問題についてお伺いをしたいと思います。

 台湾海峡の安全保障の環境を緩和させるという視点から、私は、台湾と我が国との観光を含めた交流を大いに盛んにすべきではないかと考えております。台湾の側から百三十八万人、我が国から百十六万人、合計で二百五十四万人の往来があります。将来、羽田の第四滑走路が完成するときに、台北と羽田間の路線を実現すべきと考えますが、国交省のお考えをお伺いしたいと思います。

松島副大臣 お答え申し上げます。

 羽田空港の再拡張は、二〇一〇年十月末に四本目の滑走路を供用開始という形でスタートいたします。このときに、おおむね年三万回の国際線の近距離の旅客定期便を就航することとしております。

 具体的な路線につきましては、昨年五月に策定されましたアジア・ゲートウェイ構想に基づき、これまでの距離の基準だけでなく、これまでは距離の基準が羽田空港から国内線の最長距離であります石垣までの千九百四十七キロ、これを一応国際線の場合も距離の基準としていたんですが、ゲートウェイ構想に基づきまして、その基準だけでなくて、需要や路線の重要性も判断し、羽田にふさわしい路線を近いところから検討し、今後の航空交渉で確定することとしております。

 お尋ねいただきました西銘委員、非常に熱心に取り組んでおられます台北と羽田を結ぶ路線につきましては、今申し上げましたような考えに基づき、航空交渉の進捗状況を見ながら判断してまいりたい、そのように考えております。

西銘委員 去年の八月に、台北―那覇間を運航しております中華航空機が炎上する事故が発生をしております。運輸安全委員会の実務者レベルでの台湾側との協議は平時からなされていたのか、御説明をいただきたいと思います。

松島副大臣 委員がおっしゃいました昨年八月の事故でございますが、那覇空港で中華航空機が炎上いたしました事故におきましては、発生日の夕方に台湾側の事故調査官チームが那覇空港に到着し、翌日から調査に参加いたしました。また、台湾には、現場調査終了後もこの件の調査に協力していただいているところでございます。

 台湾側とは、かねてより、国際会議の場を通じまして交流を図ってきておりますが、昨年四月には台湾側から委員長その他のメンバーが来日して意見交換を行い、さらに、昨年九月には台湾側が主催する研修に我が国の事故調査官一名を参加させました。

 日本と台湾の間には航空旅客が多いことでございますから、今後とも、事故等発生時に相互協力が円滑に行われますよう、台湾との窓口機関を通じて、実務者レベルでの交流を進めるとともに、意見交換をしっかりと行ってまいりたいと思っております。

西銘委員 ありがとうございました。

 台湾、中国初め、アジア各都市との交流を深めることによって、台湾海峡、あるいは尖閣諸島周辺、あるいは日中中間線海域の安全保障の環境が緩和することを、政府としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて三原君、浜田君、西銘君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端正広でございます。

 今回のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故、大変に痛ましく、そしてまた、行方不明になっているお二人の関係者の方々に心からお見舞い申し上げたいと思いますし、同時に、引き続いての精力的な捜索活動、そしてまた、徹底的な原因究明、そしてさらには、再発防止に向けた道筋をしっかりとつけていただくことを願うばかりであります。

 国民の生命と財産を守るという自衛隊に対しての期待と意識の高まり、そしてまた、先般、さきには新テロ特別措置法の成立等があったばかりのこの時点において、こうしたことが起こったということについては、本当に残念な思いでいっぱいでございます。

 きょうも議論がございました、自衛隊については、二十年前に「なだしお」の事件がありまして、乗員乗客三十人が死亡するということもございました。その後も、今日に至るまで衝突事故等八件ほど起こっているようでありますし、また、自衛隊においては、昨年は守屋事務次官逮捕という衝撃的な事件もございました。あるいは、護衛艦「しらね」が火災を起こすといったようなこともございました。等々、過去に、幾多の教訓、あるいはそういった反省しなければならない点があったにもかかわらず、またしても事故が起こってしまった。この点について非常に残念に思うわけであります。

 しかも、今回の場合、その後の対応について、情報公開等をめぐって二転三転しているところもまた大変大きな問題であろうかと思いますが、私は、突き詰めて言えば、これは、やはり自衛隊・防衛省の体質というものが大きく原因しているのではないかなということをしみじみ感じるわけでありまして、防衛省改革というのはもう本当に待ったなしの状況だなということを感じています。

 総理は、自衛隊の最高指揮権者でございます。そういった意味で、今回のことを通して、国民の皆さんにきちっと御説明をいただき、今後の自衛隊のあるべき姿ということについてのお話をしていただきたい、こう思います。

福田内閣総理大臣 今回、本当に申しわけない事故を起こしました。そしてまた、二人の遭難者を出してしまったということでございます。御家族、関係者の皆さんに本当に御迷惑をおかけし、私ども、本当に残念な思いでいっぱいでございます。その責任を重々感じておるところでございます。

 防衛省におきましては、ここしばらくいろいろな事件、事故が起こりまして、憂慮いたしておりました。そのために、防衛省改革会議というものを立ち上げまして、その本質に迫り、今後の防衛省のあり方というものを変えていかなければいけない、こんなふうな思いを持っておったところでございまして、そういうさなかにこの事故を起こしてしまったということでございますので、本当に改革も急がなきゃいけないなということを痛感いたしております。

 防衛省・自衛隊は、今回こういう事故を起こしました。以前も「なだしお」というようなこともあったのでございますけれども、そういう反省があったのかなかったのかというふうなことをいろいろ議論されておるところでございますが、自衛隊は、海外における活動においては大変高い評価も受けているんですね。

 例えば、インド洋における海上の輸送活動、補油活動におきましても、本当に諸外国からも模範的だというような評価をいただきました。古くは、今から十八年前の、掃海艇がアラビア湾に行きまして、そしてそこで掃海活動をした。五百人行ったんですよ。そのときも完璧な仕事をしたということで大変高い評価を得た。そしてまた、陸上の活動においても、PKO活動においては東ティモール。東ティモールから、帰ってくれないでくれ、もっとやってくれというような要望を受けたぐらい高い評価を受けているんですよ。にもかかわらず、一方、こういうふうな事故を起こす。本当にざんきにたえません。

 こういうことがないように、我々責任者としても、十分、これから改革に立ち向かい、こういうことが二度と起こらないように、そして国民の皆さんに少しでも心配をかけないような自衛隊・防衛省になってもらいたい、そのことを痛感しておるわけでございます。

田端委員 そのためにも、今回の事故の原因、ここはもう徹底的に究明していくことが大事。そして、その上に立って初めて再発防止策というのができると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、もう一度、国民の皆さんにしっかりと認識していただくためにも、当日の時間を追っての対応についてちょっとお伺いします。

 まず、十九日の四時七分に衝突事故が発生しているわけでありますが、しかし、その十二分前、見張り員の方が清徳丸の灯火を視認しているわけであります。しかし、実際には、四時六分という衝突一分前、もう前方百メートルのところに迫った時点で自動操舵から初めて手動に切りかえて、そして、逆進、後進ですね、バックさせるという、エンジンの切りかえによってブレーキをかけた。しかし、もう百メートルですから、事遅しという状況でございます。

 自衛隊のイージス艦は時速十二ノットで走っていたということでありますから、十二ノットということは時速三十キロということであります。そうすると、急ブレーキということにあってもなかなかそこは対応し切れなくて衝突事故になってしまった、こういうことでございますが、例えば警笛を鳴らしたのかどうか、鳴らさなかったということでもありますし、また、見張りが途中で交代した、四時の時点で交代したとも言われていますし、等々、いろいろな情報がその後出てまいりました。

 まず、防衛大臣、この四時七分をめぐっての対応について、今の時点で大臣はどういうふうな御所見でありましょうか。

石破国務大臣 四時七分の直後の御指摘でございましょうか。(田端委員「その前後も含めて」と呼ぶ)前後でございますか。

 これは、今委員が御指摘をいただきました、三時五十五分に見張り員が清徳丸の灯火を確認。四時六分、清徳丸前方百メートル、「あたご」後進、手動操作に切りかえ。四時七分衝突。大体このとおりでございます。

 なお、今委員が十二ノットという御指摘をなさいました。私ども、十ノットというふうな認識をいたしております。

 おおむね委員が御指摘いただいたとおりと承知をいたしております。

田端委員 いや、私は、ここに十一分、空白といいますか、対応すべき時間があったではないかということを言いたいんです。

 そして、もう一つ大変気になるんですが、四時七分に衝突が発生したその後のまた対応で、この表にも書いていますが、四時二十一分に「あたご」の内火艇、二隻か三隻かははっきりしていませんが、救助活動を開始したということであります。ということは、ここもまた十四分間あったわけであります。

 なぜ、もっと早く、すぐに救助作業ができなかったんだろうか、この点も大変気になる点ですが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 三時五十五分から四時六分まででございます。これはまさしく、この事故原因の本質に係ることでございますこの十一分何をしておったかということについて、私ども、今、予断を持って申し上げることは極めて難しかろうかと存じます。

 ただ、明かりを見たというのが、さて、どのような明かりか、そして、それがどれぐらいの距離と認識をし、どれぐらいの方位と認識をし、こちらの船も動いておるわけでございますので、向こうも動いている、保持船、避航船という立場にございますが、それが何分たつとどのように変わるという認識をどのように船として持っていたか、当直士官として持っていたか、その認識の共有がどのようになされたかというのがまさしくポイントでありまして、この十一分は何であったかということについて今捜査が行われているという認識を私は持っておるところでございます。

 また、御指摘の、四時七分にぶつかりながら二十一分に救助開始という点については、いろいろと御指摘をいただいておるところでございます。

 ただ、これは、ぜひ多くの方々に御認識をいただきたいのでございますが、護衛艦が積んでおります内火艇、あれをおろすというのはそう簡単な作業ではございません。イージス艦を主人公にした映画が一昨年ございましたが、あそこで、内火艇をおろす、そこでロープが切れて事故が起こるという場面がございました。事ほどさように、極めて危険を伴う作業でございます。

 私が聞き取りましたところでは、内火艇を艦の上から海面におろす基準につきましては、護衛艦隊タイプ訓練実施基準によれば、九分を基準としておるものでございます、九分。ところが、夜間航行中の船でございましたので、事故発生、総員かどうかは知りません、総員でございましょうね、総員起こしということで起こして、寝ている人間が起きて、ぱっと着がえて内火艇の地点に行ってというところまで、昼間とは、どうしても時間がかかります。

 そうした場合に、この時間がかかったということは、私は、極めて極限された状況の中で、ベストとは申しませんが、最善を尽くしたのに近い時間ではなかったか。もちろん、もっと短縮すべきであったという御指摘はいただきますが、今回も負傷者が出ております。単に骨折のみならず、もう少しシリアスな負傷が起こっておるわけでございまして、私は、この時間をもっと短縮する努力はいたしますが、今回そこが抜かっておったかといえば、私自身、そのような評価はいたしておらないところでございます。

 さらなる改善点につきましては、今後、また私ども、検討させていただきます。

田端委員 もう一つ時間がかかった点がございます。それは、下の方のところでありますが、四時二十三分に海上保安部の方に通報された、しかし、「あたご」から護衛艦隊司令部の方に四時三十三分に連絡が行きながら、オペレーションルームに行き、そしてそこから石破大臣のところに来たのが五時四十分、福田総理のところに行ったのが六時、つまり、事故発生から大臣のところには約一時間半、総理のところには約二時間という、このことは何回も、これまでもマスコミ等でも指摘されてきたところであります。

 やはりこれは、素人が見ても、どう考えても、あるいは国の安全保障を預かる防衛省・自衛隊の体制として果たしてこれでいいんだろうかということは、この数字を、時間帯を見たら本当に感じるわけでありますが、この点について、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 委員の御指摘、そのとおりでございます。自民党委員の御質問にもお答えをいたしました。

 四時七分に発生をして、海上保安部に通報したのに十六分かかっております。そこから上級司令部であります護衛艦隊司令部に行ったのに二十六分かかっているわけで、ここをもっと縮めるというのは、これは当たり前のお話でございます。まず一つ、ここでどれだけ縮めることができるかということ、ここは相当縮めることができるというふうに私は思っております。それで、その後に防衛大臣に伝わるのが遅いということ。現場の護衛艦隊司令部から市ケ谷に入る、ここは余り時間はかかっておりません。市ケ谷のオペルームに入ってから大臣に上がるまでに物すごく時間がかかっている。

 原因につきましては、今までいろいろな委員会でお話をしたことでございますし、委員御案内のことでございますから、繰り返すことはいたしません。

 ここで通達を、幕僚長から大臣に速報できるようにというふうに即日改めました。よって、幕僚長が知った時点で当然大臣に速報するということはその日のうちに改まったのでございますが、それだけではだめだということで、今週いっぱいかけましていろいろな議論をいたしました。あらあらまとまりましたので、お話をさせていただきたいと思います。

 今までも申し上げてきたこととも重なるかもしれませんが、一つは、速報すべき事態が主観的判断で左右されることがないよう、緊急事態は具体的に例示をする。今まで事故を、軽微な事故、通常の事故、重大な事故というふうに分けてきましたが、この区別を廃止いたします。この事故、この事故、この事故というふうに具体的に示しまして、これに当たる場合には速報せよというふうな形に、だれが見てもすぐわかる形に改めるということが一点。

 第二点は、今まで、速報という意味は何であるかといえば、事件、事故発生後一時間以内にこれを伝えることだというふうに言っておりましたが、一時間以内ならいいなぞという考え方がそもそも間違いであって、この一時間以内というものはやめます。直ちにというふうに変更いたします。当たり前じゃないかとおしかりを受けることは覚悟の上でございますが、今まで一時間以内というふうになっておりました。大変に申しわけのないことだと思っております。

 もう一つは、官邸への連絡でございますが、従来の通達は、必要に応じというふうになっておりました。これは、必要に応じとは何だということになるわけでございまして、官邸への報告を必ず行うことといたしました。あわせまして、連絡先は一体どこなの、官邸といったって、いろいろな、官邸といいますか部署があるわけでございまして、この連絡先も、内閣情報センターあるいは各秘書官等というふうに具体化すべきではないかと思っております。

 そしてまた、新たに各部隊から、今回の場合、千葉県に対する御連絡がおくれたりということがございました。このことも加えるということで、今あらあらまとめたところでございます。最終的な調整を行い、実行いたしたいと考えております。

田端委員 昨年、守屋事務次官の事件が起こったときにも、土日にゴルフに行っていた、そういうことで、緊急事態が起こったらどうするんだということが議題にもなりました。そういった意味では、そういう教訓が一つもまだ生かされていないなということも感じるわけでありまして、今大臣は改めるということをたくさんおっしゃいましたが、ぜひこれは本格的な体制を組んでいただいて、やはり国家の安全保障ということにかかわっている省庁として、そしてまた大臣、総理としての体制はちゃんとしていただきたい、こう思うわけであります。

 ちょっと話を客観的に見詰めてみたいと思いますが、今回のイージス艦は、ハワイに行かれて、四カ月の長期にわたる航行であった、そして、あと五時間でもう横須賀港入港だという、その目の前に来ていたわけですね。

 私は、このイージス艦は一度に二百機が識別できるという高性能レーダーを持っていて、すばらしい機能を持っているということはよくわかるんですが、しかし、目の前にいる漁船に対してのレーダーがどうなっていたのかということがはっきりしていないというところは、また問題だなとも思うわけであります。

 私、三年ほど前に横須賀港に行ったときに、同じイージス艦で「きりしま」だったと思いますが、中を見学させていただきました。高性能のさっきおっしゃっていたようなコンピューターの装置、それはすばらしいと思いましたが、船室は本当に狭い。もう見るからに、潜水艦というのは私わかりませんが、ああ狭いなという感じがしました。

 四カ月、三百人近い隊員の方々が、もうあと五時間で入港するということになれば、そこは、張り詰めていたものがやはり緩んだのかなという気もしないではない。そういった視点での分析ということはやはり必要ではないか、こう思いますが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 検討いたします。

 もちろん、だからいいという話を委員はおっしゃっているわけではなくて、そのことについて、常に乗員がベストコンディションでいられるように配慮をせよという御指摘だと思います。

 委員もいろいろな船をごらんになったと思いますし、それでも、イージスの居住区画というのはほかの船に比べれば広い。「くらま」でありますとか、例のDDHという船、あれは三段ベッドで、本当に昔の昔の三段式寝台車よりももっと狭いかなというものでありまして、それに比べれば、二段で、相当の居住スペースは確保をいたしております。

 また、新造艦で、非常に厳しい訓練を積む。早く練度を上げねばなりませんから、苦しい訓練を積む。ハワイへ行って、いろいろな訓練航海をし、テストをし、非常に過酷な状況にあったことも事実でございます。そのあたりで、今回の事故をエクスキューズするつもりは私は全くないのですが、何か考えるものがないかどうか、これは委員の御指摘を受けて検討をさせていただきます。

田端委員 それでは、もう一つ、私のつくった、当日の航海長をめぐる事情聴取についてお尋ねしたいと思います。

 まず、九時十分、航海長がヘリコプターで「あたご」を出発して、九時五十五分、十時前に東京新宿の防衛省の方に着かれた。十時ごろから海上幕僚監部が事情聴取を一時間ほどされた。正午前後に防衛大臣、増田事務次官等らが今度は事情聴取に移った。そして、二時半ごろに防衛省を出て、夕方帰られた。その後、五時五十分、六時前に海上保安庁が「あたご」の家宅捜索を始める。こういう当日の捜査の状況でございます。

 ここで私が気になるのは、下の段のところでありますが、最初、九時三十分に海上自衛隊が、けが人を病院に運ぶ、幹部も一人同行する、こういうことで連絡をされた、こういうことであります。そして、一時四十分に海幕の方から海上保安庁の方に、航海長の聴取をする、こういうことを正式に連絡されたようであります。それは、上のところの、石破防衛大臣、増田事務次官らが十二時から聴取されて、一時間ほどされたということでありますから、二時、一時半ごろには終わっていたとして、大体、大臣の事情聴取が終わった後に正式に通告ということになるのではないか、つまり、これは事後連絡に当たるのではないかと思うわけであります。

 そして、実はこの問題をめぐって、下の方に移りますが、二転三転しているところがまた問題であります。

 二十六日に河野海幕防衛部長は、事前に了解をとっていたというお話をされ、そして午後二時には吉川海幕長が、連絡をとって了承をとっていた、こういうことを申されたようであります。

 ところが、二十七日になって、いろいろなことが指摘されて、石破大臣が、二十七日の朝九時、これは分科会か何かだったと思いますが、了解を得ずに聴取を行ったということについて初めてお認めになって、その後、夜、今度は増田次官が、海保への連絡が虚偽だった可能性も全く排除できないという意味では、うそだったかもわからないということに近い表現だと思いますが、そんなことをおっしゃった。

 こういうことは、大臣は、自衛隊・防衛省の最高責任者として、まず事実を確認しようというその思いは、それはもうそのとおりだし、それはしっかりとやっていただかなきゃならない。だから、海上保安庁に一言言っておけば何の問題もなかったことが、何でこんな変なことになって、それをまた、隠そうとされたのかどうされたのか知りませんが、後になってぼろぼろと出てくるという、これが国民、私たちから見ていて、何とやり方としてはすっきりしていないな、こういう思いに至るわけでありますが、きょう、改めてすっきりとした説明をお願いしたいと思います。

石破国務大臣 大変混乱をした印象を多くの方にお与えして、それは大変に申しわけのないことであります。私が責任を負って対処しなければならないものであります。

 事実を一つ二つお話ししておきますと、了解というのをどういうふうに考えるかということなのでございます。

 委員がまさしくおっしゃいましたように、けが人が出ました、つまり、内火艇をおろすときに小指骨折ほかのけがをした者が出ましたので、これを陸上の病院に運ぶということが一つ。もう一つは、上級部隊に報告をするため、上級部隊というのは結局海上幕僚監部のことになりますので、言葉としては余り正確ではないと私は思っているのですが、幹部一人も運びます。この二つのことを私どもの方から海上保安庁の方へ御連絡いたしました。場所は横須賀海上保安部にお電話をして、その二つを御連絡したというふうに私は報告を受け、認識をしているところでございます。

 これをもって了承を得たというふうに海上幕僚長はとってしまったのではないだろうか。つまり、当直の方にお電話をするわけで、海上保安庁はそういうような者はいないというふうにおっしゃっておられますので、言った言わないの議論は私はしてはならないと思いますが、仮に、私はそう認識をしておるのですけれども、電話して、けが人を運びます、上級部隊に連絡のため幹部一人運びますということで、わかりましたと言われたことが、これを了承ととってはならない。それは通告とかお伝えとかお知らせとかいうべきものであって、これを了承というふうに評価してしまったというところに一つ誤りはあったというふうに思います。これが一つ。

 もう一つは、私自身、予算委員会に出ておりました。十二時前に、航海長を市ケ谷に呼んでおりますという報告を受けましたので、それでは私が聞きますということを私の判断で申しました。それは、ほかの省庁と少し違いまして、私どもは、統制する側である大臣と統制される側であります事務次官、幕僚長以下の自衛隊員という立場に分かれております。そうすると、統制する側としてそれは聞かねばならないという問題意識。もう一つは、そんなことはなかったと私は確信をしておりますが、やはり、中だけでやった場合に、何かあったのではないかというお話が出る、そうなっては、本当にせっかく状況を把握せねばならぬということでやったことについて、そういうあらぬことを思われてはいかぬということで、私がいなければならぬと思いました。

 しかし、委員御指摘のように、事前に、こういうことです、航海長を呼びますということ、そして、事情を聞きますということ、聞き取ったことは後刻お知らせいたしますということをお断りしておけば何ら問題はなかったものでございます。法的にも問題ございませんし、海上保安庁からも、捜査に支障があったというふうな認識はないという御見解が出ておるところでございます。このところは、きちんと事前にしかるべき者がしかるべき方に御了解をいただいておくべきだったというふうに思っております。

 以上でございます。

田端委員 私は、大臣が、事故以後、本当に一生懸命に取り組んで当たられている、これは大変評価しておりますし、また、本当に今お疲れのきわみじゃないか、そんな中で頑張っていられるということについては、本当に、同じ国会議員として、どうぞ体を大事にしながら今後も頑張っていただきたい、こう思います。

 私は、大臣が二十一日の日に勝浦の現地に行かれて、家族の方々あるいは漁協関係者、組合長初め関係者の方々等に謝罪をされた、あの行為を見ていて、これはよかったなと。まず責任者が現場に行って、きちっと頭を下げて謝罪をし、説明した、これは、現地の人にとっては、今までもやもやとしていたものが、それはそれなりに落ちるものがあったのではないかな、こう思って喜んでおります。

 ちょうど大臣が行かれたのと同じ日、ちょっと先に公明党の方の調査団が参りまして、千葉県本部の人たちにお願いして行っていただいたんですが、そのときに、外記栄太郎漁業組合長に面談していろいろなお話を伺ってまいりました。そのお話を私伺いまして、本当にこの中にいろいろな意味があるなということを感じましたので、ちょっとここで御紹介します。

 外記組合長は、浦賀水道へ向かうあの海域は、船舶の航行が多くて、自動操舵というのは常識では考えられない、仮に自動であっても、しっかりと見張り態勢をとるのが当たり前だ、警笛も鳴らしていない、イージス艦は七千七百トン、我々の漁船は七トン、一対千の比率である、昔から、我々の仲間はあの海域での衝突を恐れて、特攻隊という言葉があった、今回の事故原因の究明には徹底して取り組んでいただきたい、特に、防衛省関係の方ばかりではなく、我々同僚の漁船からもしっかりと実情を聞いて真実を解明していただきたい、真相なくして再発の防止はあり得ないということを声を詰まらせて語っていたということでございます。

 それから、この事件以降、我々の方にいろいろな声が寄せられていますが、その中の一つだけ。

 静岡の漁業関係者の方からでありますけれども、自衛隊の艦船にはいつも危うい目に遭っている、日常茶飯事である、自衛隊には安全航行基準のようなルールがあるんでしょうか、こういうことを言ってきています。もしないんだったら、全国の漁業者の安全のために、ぜひ航行基準をしっかりとつくっていただきたいということでございます。

 これは、基本的には、条約とかなんとかいろいろあるんでしょうが、内航、特に漁船との関係で、漁民の方がそう言っているわけでございますから、この二つの声をもとに、漁業関係者、大臣の地元も、漁業の関係者、日本海の方は多いわけですから、ぜひこの点をお考えいただきたいと思います。

石破国務大臣 私も、外記組合長あるいは関係者の方々、御家族の方々とお話をして、委員がおっしゃっていただいたとおり、いろいろな御指摘をちょうだいいたしました。本当に立派な皆様方だと思っております。尊敬すべき方々であり、これからも御指導をいただきたいと思っています。

 その中にあって、言われましたことの中に、きのう私、護衛艦に乗ってみて、いろいろな灯火をを見、レーダーも見、あるいは汽笛も聞いてみたのでありますが、一つは、漁協関係者の方々が言われたのは、じゃ、漁船から護衛艦がどう見えるか。護衛艦から漁船がどう見えるかではなくて、漁船から護衛艦がどう見えるか。商船と違って、違うシルエットをしておりますので、あるいは灯火の感覚も違いますので、私は、そういう感覚というのは必要なんだと思ったんです。実際に、これは捜査の関係もありますが、私は、もし機会があれば、私自身もあるいは海上自衛隊の関係者も、漁船から見てみるということをしてみるのが必要なんだと思っております。委員がお考えの、漁業者の方々の立場に立ってというのは、まさしくそういうことなんだと思います。

 今回、自衛隊に対して、私どもも考えられる限り真摯で誠実な対応をさせていただいておると思っておりますし、ここにおいて私どもは一方の当事者でございますが、ある意味で御理解をいただけた部分もあればありがたいと思っております。本当に一緒になって原因を究明する。再発防止、事故原因の究明ということは、もちろん海保において行われているわけでございますが、私ども、漁業者の立場になって、ある意味、お許しがいただければ一緒にやっていく、同じ海に生きる者としてそういうことは必要なのではないか。

 委員御指摘のことを本当によく心に刻んで、私ども、実効を期してまいりたいと思っております。

田端委員 これは切実な全国の漁業者の声だと思いますので、どういうルールをつくるかは一緒になってひとつお考えいただいて、少なくとも漁業者の方から見ると、自衛隊の艦船は大きくてすごいんだ、今回の事件のように一対千、七千対七トンという比率になるわけでありますから、そういう意味では、本当に危険と背中合わせの中で頑張っているんだということでございますから、ぜひ安全な漁業活動ができるようにお取り計らいをお願い申し上げたいと思います。

 それで、この千葉の勝浦の方々が一番悩んでいるのは後継者の問題です。漁業にとって今最大の問題は、後継ぎなんですね。漁業を守るために必死で今頑張っていただいているわけでありますが、今回の吉清治夫さんと息子の哲大さん、この親子の場合、本当にいい後継者ができて、そしてお父さんも喜んで、親子で一緒に漁をしていた。そういう意味では、本当に地域からも尊敬されるといいますか、いい家庭だなと言われていた。

 私は、特にこの哲大さんという方は大変心の優しい青年で、年に何回か東京上野のホームレスのNPOの関係のところに、おい、魚持ってきたぞといって、大量の魚を一度にどっと届けていたということで、これはすばらしい行為だと思います。私は、六年前ですか、ホームレス自立支援法という法律をつくらせていただいた立場からいいますと、こういうボランティアの方があってこそホームレスの自立ということが成り立つわけで、そういう陰で支えてくださっているこの哲大さんのような人がいたんだなということを改めて感じたわけであります。

 そういう意味で、総理は今、生活者の政治あるいは消費者が主役の政治とここのところずっとおっしゃっていただいているわけでありますけれども、この生活者の立場、漁業の関係者の立場に立てば、このおっしゃっている総理の気持ち、それが漁業の方々にもぴしっと落ちるような、そういう政府の責任でなきゃならないと思うわけであります。

 今回の事故は、そういった意味で、漁業者の方には大変痛ましいという思いがいたしますが、総理の、この事件を通しての生活者への思いというものの決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 お聞きしますところによりますと、吉清さん親子、吉清さん、お父さんは、これは本当に、五十八歳、働き盛りなんですよね。そして、まだまだこれからもお仕事できるんだろうと思います。一家の大黒柱を失ってしまったわけですね。それから息子さんは、哲大さん、二十三歳、これから本当に漁業を守り、そして一家を守る、そういう立場でございまして、また、この哲大さんは、地元の漁師とか地元の方々のだれからも愛されている、そういう方であったというふうに伺っておりますし、また、ボランティア活動にも積極的に参加していらっしゃるといったようなことも伺っておりますので、そういう意味においては、本当に貴重な人材を遭難させてしまったということでございます。

 漁業後継者、これは先細りのような状況にあるんじゃないでしょうかね、少子化時代でございますし。そういう中で、本当に、そういう意味において残念であると思います。

 しかし、御家族、御親族の方々からは、事故原因を徹底的に究明して、こうした事故が二度と起きないよう再発防止に全力を挙げてほしい、こういう要望を石破大臣にも伝えているようでございますので、大変立派なことをおっしゃっているなというふうに思って、実は感心をいたしておるところでございます。そういう気持ちにこたえなければいけないと思いますね。

 ですから、今、防衛省の改革会議というものを行っております。こういう防衛省の現状を一番よく承知しているのは、理解しているのは、私は、これは石破大臣以外にいないと思います。ですから、石破大臣の手でこの改革をしっかりし遂げてもらいたい、そのことが吉清さんの御家族の方々にもこたえることではないのかなというふうに思いますので、私も、石破大臣がしっかりとやれるように支えていきたいというふうに思っているところでございます。

田端委員 どうぞ、そういう現場の人の声を大切に、お取り組みをいただきたい、こう思います。

 高村外務大臣にお尋ねいたします。

 二月十日の沖縄での海兵隊による少女暴行事件、もう大変に痛ましいことであり、残念なことだと思います。しかし、その後、またこの一週間の間に、十七日に、海兵隊による道路交通法違反という事件がありました。それからまた、十八日には住居侵入で逮捕されるということで、この一週間の間に三つも連続して起こっているようなことでありまして、この海兵隊と沖縄の問題、今までもいろいろなことがありましたが、今回、またそういった不幸が重なりました。

 これについて、政府もいろいろ手を打っていただいて、シーファー大使を初めいろいろな関係のところに申し入れていただいたり、日米で合同の協議をしていただいたりやっていると思いますが、また、米軍司令官もタスクフォースの設置も発表されているようでありますが、しかし、まだもう一つはっきりした感じはしていません。二十七日にはライス国務長官も、まことに申しわけない、極めて遺憾だ、こういうことで陳謝をされたということでございますが、この点について、改めて高村大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 まさに、極めて忌まわしい事件が起こったわけでありまして、再発防止策、全力を尽くしていかなければいけないと思います。

 政府がやれること、政府と沖縄、あるいは自治体で一緒になってやるべきこと、それから、もちろん米軍にやってもらわなきゃいけないこと、そして、米軍がやるべきことであっても、被害者が私たち日本国民であるわけでありますから、それを守るために、私たちは、米軍にこういうことをやってもらわなきゃいけないということは、それはきっちり申し入れていきたい、こういうふうに考えております。

 いずれにしても、これは一過性で終わらせないで、継続的にこの再発防止対策をやっていきたい、こういうふうに考えております。

田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて田端君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

逢沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として警察庁長官吉村博人君、防衛事務次官増田好平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 午前に引き続き、イージス艦・沖縄問題等についての集中審議を行います。

 質疑を続行いたします。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 まず、イージス艦「あたご」と清徳丸の事故につきまして質問をさせていただきます。

 まず冒頭、午前中の質疑を聞いていまして、私は、極めて違和感といいますか不謹慎だという思いを持ちましたので、それを少し申し上げて、総理もぜひそれについては訂正をしていただきたいと思います。

 質疑者も答弁者も含めて、御遺族とか亡くなられたという言葉が何度か出てまいりました。今、お二人については精いっぱい捜索をしている段階でありまして、こういう言葉が委員会室で語られるということ自体が極めて不謹慎だと私は思います。

 総理、しっかりお二人の捜索に全力を挙げるということをまず御答弁いただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 御指摘の点については、私は随分注意して発言していたつもりでございます。遭難された方、こういうふうに申し上げたと思うんですけれども、ひょっとして間違って失礼な言い方をしたことがもしあったとするならば、これは陳謝いたします。

前原委員 午前中の議論でそういう議論があった、したがって、最高責任者である総理に今の御発言を求めたということでございます。

 事故に遭われた吉清さん親子、御家族、関係者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、みずからの漁を休んで仲間の捜索に全力を挙げておられる方々、おられた方々、本当に、海の人たちの心意気というものを感じました。心から敬意を表したいと思います。

 そういった方々の思いにこたえるためにも、全容解明が何よりも大切だという視点から質問をさせていただきたいと思います。

 私は、この問題が起きた後、若干、防衛省そして海上自衛隊に対しては、少し甘く見ていたところがありました。甘く見ていたというのはどういう意味かというと、いわゆる被疑者として捜査を受ける立場になったので、本当に情報がないんだろう、海上保安庁がイージス艦の中の人を聴取する、なかなか接触できない、そしてまた航海日誌等も押収をしているということで、本当に何も、なかなか知り得ないんだろう、その中で情報を小出しにせざるを得ないというところで、そういう文脈の中で甘く見ていたということがあるわけでありますが、事実がだんだんわかるに従いまして、その思いは私はかなり薄れてきまして、むしろ、ちょっと大きな問題を感ずるようになってまいりました。

 防衛大臣にしても、あるいは、きょうお越しをいただいている増田防衛事務次官にしても、説明が二転三転としております。

 まず、漁船の発見時間、衝突前二分だったのが十二分とか、あるいは航海長のヒアリングは、海上保安庁へ事前連絡をした、それが実は事後通告であったとか、航海長のヒアリングは海幕のみであった、しかしそれは防衛大臣も事務次官もヒアリングをしていた。これは増田事務次官がおっしゃっておりましたけれども、ヒアリングのメモはとっていなかった、しかし、実はメモをとっていた人間がいて、海上保安庁にファクスを送っていたなどなど、二転三転する中で、どこまでこの組織というのを信じられるかということを私は正直言って今感じているわけであります。

 そこで、まず増田次官にお伺いをしたいと思いますけれども、ヘリで航海長の方を呼び戻したということでございますけれども、これは、海上保安庁にけが人と幹部をヘリで運ぶと事前に連絡をしたと記者会見でおっしゃっていましたけれども、それは事実ですか。

増田政府参考人 お答えをいたします。

 事前に、横須賀地方総監部の第四幕僚室長から横須賀海上保安本部の方に、けが人が出た、それから、幹部を報告のためにおろしますという連絡をしておるということを、私ども報告を受けております。私どもとしては、その報告が正しいと信じておるところでございます。

 ただ、一方、受けておられる横須賀海上保安本部の方が、それを確認できないということをおっしゃっておることは承知をしております。

 事実は一つでございますので、本来そういうことはあってはならないことだというふうに認識をしております。

前原委員 しかし、事前通告の情報そのものが疑わしいものだった可能性を否定されませんでしたよね、後の記者会見で。それは、今おっしゃったこととそごが生じるんじゃないですか。後に記者会見でおっしゃったことと今おっしゃったことは、違う内容のことをまたおっしゃっているんじゃないですか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今、前原先生から、御指摘の、質問の中で、虚偽の可能性があるのではないかという指摘がありまして、私として、そういう可能性を全く排除できないわけではないと会見で述べました。

 その言い方というのは、虚偽という言葉の中に、真実と見せかけるようにすることというような意味が広辞苑を引けばあるものでございますので、そういうことは私の真意ではありませんでした。

 そういう点で、今のような発言を会見でしたことは、私として適切でなかったと思っておりますけれども、私は、同じ会見の中で、先ほどの答弁で前原先生にお答えしたように、横須賀の地方総監部から、けが人をおろす、そして幹部を状況報告のためにおろすという連絡をしたという横須賀地方総監部の第四幕僚室長の報告は正しいものと信じておりますということも、あわせて述べておるところでございます。

前原委員 増田次官、もう一点ちょっと事実確認をさせていただきたいと思いますが、護衛艦隊幕僚長が海自のヘリで「あたご」に八時半ごろに着艦をしていますね。これについては、事前に次官の方に連絡はありましたか。

増田政府参考人 事実関係としてお答えをいたします。

 私の、また、少なくとも私にそういう連絡はございませんでした。

前原委員 それから、市ケ谷にその航海長を呼ぶことについては、石破大臣は、もともと自分が呼んだものではない、ただ、来ているので話を聞くかというメモが予算委員会で入ったので聞きましょうという話でしたけれども、それを呼び戻すということは事務次官は聞いておられましたか。

増田政府参考人 航海長を状況を把握するために呼び戻すというのは、海上幕僚長の御判断で行ったことでございますけれども、ちょっと済みません、恐縮でございますけれども、いつの時点かはともかくとして、事前に私も聞いておりました。

前原委員 事前にということは、今お話をされたように、到着をする前ということか、それとも、要は、出発しましたというのか、いや、これから呼び戻しますというのか、そういったあいまいな時系列で結構ですから。

増田政府参考人 大変恐縮でございますが、いつの時点ということを明確に記憶しておりませんが、私が事前にと申し上げましたのは、大臣室で大臣と一緒に聞く以前という意味でございます。

前原委員 まず、国土交通大臣、海上保安庁の所管大臣としてお伺いしたいと思いますが、事故が発生しました、そして、事故ですから、捜査を行うのは、海ですから、海上保安庁が捜査を行います。

 その前に、例えば、先ほど事務次官は御存じなかったという答弁をされましたけれども、八時半ごろに護衛艦隊幕僚長が海自のヘリで「あたご」に着艦をして、話を聞いたり意見交換をしているわけですよね。それから、先ほど、いつの時点でかはつまびらかに覚えてはいないけれども、事前に話を、航海長が市ケ谷に来て、防衛省の本省に来て、話を聞くということをしていた。そしてそれが、海幕の幹部のみならず、防衛大臣そして次官を含めて話を聞いていた。これが明らかになっているわけです。

 その中身もさることながら、捜査権のある海上保安庁の頭越しに、聴取を防衛大臣みずからが行った。これは、捜査当局の所管大臣として、証拠隠滅とかあるいは口裏合わせの疑念というものは生じないものですか。国土交通大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣 海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧するため、国家行政組織法三条の規定に基づいて、国土交通大臣の管理する外局として海上保安庁を置くということでございますから、お説のように、海上における犯罪の捜査は、刑法及び刑事訴訟法の規定に基づいて海上保安が行うということになっております。

 それで、海上保安庁の長官と私の関係ですが、「海上保安庁長官は、国土交通大臣の指揮監督を受け、庁務を統理し、所部の職員を指揮監督する。」こう規定されています。ですから、私は指揮監督権がある、こういうことになります。

 ところで、捜査の部分では、これは警察、検察と並ばれる、これは司法警察職員に当たりますから。そういうことで、私は、個々の事件の指揮監督権はない。これは、管理と規定をしている。ですから、個々の事件についての捜査とか、それについて私がコメントすることは、これは適当でないと思いますが、一般論としては、捜査に支障が及ぶような可能性があるようなことは、捜査機関の立場からすれば、それは望ましくはないということになるんだろうと思います、一般論としても。

 ただ、御指摘の件は、防衛省という大きな組織の中で起こった事故ですから、防衛省として、何が起こったのかということは調査されることは当然だろうと思います。しかし、それが、おっしゃるように、捜査の妨害になるとか、あるいは証拠隠滅の疑いを受けるとかいうような行為は望ましくはないというふうに思いますが、私どもも、その人をまだ逮捕もしていませんから、ですから、それはいけませんとか、やめてくださいということは言えるんでしょう、言われたら。でも、そういうことだと整理ができると思います。

前原委員 海上保安庁に事前通告がなかったということも含めて、私は、これはやはり問題だろう、このように思います。

 そこで、石破大臣、二月の二十五日のこの予算委員会の場で、大臣は、乗組員に接触することは、捜査の厳正、公平を確保するためにしていない、こうはっきり答弁されていますね。しかし、実際には、今お話があったように、その事故の日に、結果としては大臣室で航海長を呼んで話を聞かれている。

 ということは、予算委員会でうそを言われたことになりませんか。

石破国務大臣 御指摘なさいました答弁は、重野委員の質問に対するものでございます。

 重野委員の御質問は、海上保安庁、海難審判庁、そして当事者であります防衛省が本当に三者で全力を挙げて、事実の解明とそれに対する対策、そして対処、これをやるべきだと、その時点、その後の防衛省としての取り組み姿勢に対する御主張でございました。

 このため、現在のところ、私どもとして、「あたご」の艦長以下の乗組員に接触するということは、捜査の厳正、公平を確保する観点からいたしておりませんと、現在のところと申しました。それは、その時点でどうだということを申し上げたものでございます。

 一方、防衛省といたしましては、先ほど国土交通省から、大臣から御答弁がございましたが、何が起こったのかということは防衛省として把握をするべきであるというふうに考えておりました。今もそうです。

 十九日から二十日にかけまして「あたご」の乗組員から聞き取りを行っており、市ケ谷におきまして「あたご」航海長から聞き取りを行ったのは、その一環でございます。「あたご」の乗組員から聞き取りを行うことは、防衛省として問題であったというふうには考えておりません。

 それで、十九日、二十日に衝突当時の状況を取りまとめて公表しておりますことから、当然「あたご」の乗組員から聞かなければ、そのようなことが公表ができるはずはございません。全くしていないということであれば、そんなことが言えるはずもない。想像やなんかでそのようなことが発表できるはずもないものでございます。したがって、「あたご」の乗組員から聞かなければ、そのようなことが言えません。

 したがって、現在接触を行っておりませんということと、「あたご」の乗組員から聞いていないということ、そこをどう考えるかということでございまして、私は、矛盾をしているというふうには考えておらないところでございます。

前原委員 非常に私は苦しい言いわけにしか聞こえませんよ、正直申し上げて。

 日本語で現在のところといったら、それまでの間はと。今その時点のアイ・エヌ・ジーとは普通はとりませんよ。それまでには接触していないと。現在のところはといったら、それまでには接触していないということを普通あらわすものであって、今まで違う答弁で、そういうことを、接触して知り得たことを言っているんだから、接触していたというのは当たり前だと言うのは、それは私は居直りにしか聞こえませんよ。日本語としておかしいということは申し上げたいと思いますよ。

 これは、私は、国民一般が今の石破大臣の答弁をどのように判断されるかということだと思いますよ。私は、その点はしっかりと申し上げておきたいと思います。現在のところといったら、それまでのことを指すんですよ。これは私は、虚偽の答弁に当たるというふうに思います。

 そこで、事務次官にお尋ねをしたいと思います。

 事務次官の今までの発言の中で、私は、少し驚く発言が幾つかあります。それをちょっとお聞きをしたいと思うのでありますが、大臣室での聴取、事情聴取に立ち会っておられた中で、聴取そのものが適切かどうかの認識もなかったとおっしゃっていますね。聴取が適切かどうかの認識もなくて、事務方のトップですよ、そんな認識で聴取していいんですか。

増田政府参考人 私が記者会見においてそのようなお答えをした趣旨は、何が起こっているかということを把握することに当時重点を置いたということを考えておったと思いますので、そういう御質問に対して考えが及ばなかったということで、そういうお答えをいたしました。

 そもそも、そういうお答えをすることが、今、前原先生から御指摘ありましたけれども、適切でなかったし、そういうことをちゃんと考えるべきであったというふうに反省をしております。

前原委員 しかも、その後に、聴取内容については覚えていないと。何を言ったか、何を聞いたかも覚えていないと。こんな大事なことについて、次官、これは私は、事務方のトップとしては正直言って失格だと思いますよ。どう思われますか。

 つまりは、本当に覚えていなかったのか、本当に、何を聞いて、何を言ったか覚えてなかった、それもだめですし、隠したなら、またそれはそれでうそをついているということで、両方の意味で事務次官は責めを負われるべきだと私は思いますよ。いかがですか。

増田政府参考人 お答えをいたします。

 この点については、昨日の会見でも申し上げたところでございますけれども、その後、何がそこで行われたかということについては、そこに、ヒアリングに出席していた人たちの話を聞くなどいたしまして、その場における内容がどのようなものであったかということを総合いたしますと、おおむね当日の夕方公表した内容に関するものであった、それが報告の中心であったというのが現在の私の認識であります。

前原委員 だったら、何でそういうふうにしっかりそのとき答弁しないんですか、言われないんですか。内容は覚えていない、そして何を聞いたかもわからない、忘れたと。

 私は、それはやはり、明らかになってきたことについては言えるけれども、そのときに自分自身がどういう対処をしなければいけないのかというところで、責任回避なのか、あるいは本当に、後で質問するように、制服からしっかり聞いていなかったのかも含めて、私は、今の答弁では国民は納得しないということは申し上げておきたいというふうに思います。

 事務次官、もう一つ聞きます。

 「あたご」は、ハワイから横須賀に帰る途中でありましたけれども、これは四交代の当直体制だったということで間違いないですか。

増田政府参考人 当直体制というものは、四交代という意味が、ちょっと先生の御指摘がよくわかりませんでしたが、基本的に、二時間もしくは二時間半ごとに直のグループがかわっておるという……(前原委員「四交代というのは、四グループで交代するということですか」と呼ぶ)四グループで交代しているのかという御質問であれば、恐縮ですが、ちょっと確認をさせていただきたいと思います、二時間もしくは二時間半ごとに当直についている者が交代していっていると私は認識しておりますので。

前原委員 どなたでも結構ですから、四交代だったかどうか、その事実確認だけで結構です。だれか、わかられる者、おられますか。

 防衛大臣、閣議後の記者会見でも聞かれたと思いますけれども、一部報道に、飲酒をその艦内でしていたのではないか、こういう報道が流れているわけでありますけれども、それについては認識をされているのか、あるいはそういった事実は全くないという情報を持っておられるのか、その点についてお聞かせください。

石破国務大臣 この点は、二月二十八日に「あたご」の艦長から答申書が出ております。そのとおり申し上げます。

 私は、平成二十年二月四日、パールハーバー停泊中に実施した米海軍関係者等を招待した艦上レセプションを除き、「あたご」艦内において酒類を使用したこと並びに使用させたことは一切ありません。この旨の答申書を得ております。

 したがいまして、私ども、今、聴取をしておる立場にはございません。今というふうに正確に申し上げましょう。今、しておるところではございません。

 しかしながら、この点は、そういう報道等々あるやに聞いておりましたので、これは、委員も護衛艦の中のことはよく御存じです。これは艦長がどのような許可をするかということでございますが、基本的に私どもの船はドライネービーでございますので、このような答申書で、艦長はそれ以外使用させたことは一切ないというふうに申しております。今申し上げられますのは、これだけです。

前原委員 これは内規だと、今、石破大臣が答弁をされたように、当該艦船の部隊の指揮官が行うことであって、停泊中、しかし今度は、航海に出た場合、それは本当に決められたところしかだめだということでありますし、使用後、使用後というのは飲酒後ということで、内規の言葉は使用後ということだと思いますけれども、六時間以内に当直、保安、警戒等につく者を除くということが内規では書かれているわけです。

 先ほどは確認できませんでしたけれども、四交代で行っている場合においては二時間ごとですから、ですからこれは、六時間ということを考えたら、港を出たら一切飲めるはずがありません。

 ですから、もしそういった事実が仮にあれば、今御答弁されたように、ないという確認をしている、今はそれしか言えないということですが、あれば、これは完全に規律違反、内規違反だということ、そういう認識でよろしいですね。

石破国務大臣 私は、そういうことを予断を持って語ることはしてはならないと思いますが、事実としてそうかということであれば、四直であれば、計算上、そういうことに相なります。

 ただ、今、繰り返しになりますが、そのように艦長が答申をしておる、それを除いて酒類を使用したこと、させたことは一切ないというふうに言っておるわけでございます。私は、それは捜査を待たなければ何とも言えません。

 しかしながら、こういう船、そして入港直前にそういうことがあったというふうな報道、あるいはそういうことを言っておられる方がおられるということに対しては、私はとても残念で悲しい気持ちはいたしております。私は、そういうことはないというふうに信じております。

前原委員 少し政策論で、今回の事件を私はしっかりと受けとめて体制を立て直さなくてはいけないと思いますが、たびたび委員会あるいはこの場でも話があって、大臣も引用されていますけれども、私は、第一報を受けたときは、これは信じられなかった。なぜ信じられなかったか。

 つまりは、漁船とぶつかる。例えば、夜中の港を出るとき入ってくるときというのは一番危ないわけですね、これは大臣が御存じのとおり。機雷とかあるいは自爆テロ船のようなもの、こういったものが、出入りをするときなんかは極めて危ない。

 しかも、真夜中であったって、そういった工作をしようとする意思を持っている船は、当然無灯火で来ますよね、真っ暗で。見張りをしたってなかなかわからないということになれば、レーダーも含めて、特に、最新のものになれば一隻一千四百億円するわけでしょう、イージス艦。しかも、これからミサイル防衛で、今これで五隻になりましたよ、八隻までふやしていこうと。そして、日本のミサイル防衛網をSM3でしっかりと防御していこうという船が、逆に言えばこんなに脆弱な立場に置かれているのかと、漁船とぶつかる。

 これは、単に事故を起こしたという緊張感のなさのみならず、そのような状況が起き得るような体制に今の護衛艦、イージス艦が置かれているのではないか。つまりは、こういったイージス艦に対するテロ対策というものがしっかりとなされていなかったことが今まで大きな問題ではないかと思いますが、そういった対策はとられていたんですか、とられていなかったんですか。

石破国務大臣 私も、きのう「あけぼの」に乗ってまいりました。委員も何度も船に乗られ、夜のブリッジにもお立ちになったことがあると思います。どれだけ厳格に見張りがなされているか、そしてCICとの連絡が行われているか。それは、釈迦に説法かもしれませんが、たとえ一人二人が抜かっていることがあったとしても、それがシステムとして動いているという形になっているということを私は改めて実感をいたしました。

 問題は、これがなぜ今回動かなかったのか、それが原因の一つだとすればですよ。私は、自爆テロ船とかそういうものについての警戒態勢が今怠っている状況にあるとは思っておりません。それは、システムとして、そういうことが行われないように、当然テロ船は無灯火で来るわけです、夜陰に紛れて来るわけです、そういうものがきちんと把握をできるという体制で動かしております。にもかかわらず、なぜこのようなことが起こったのか。アメリカの駆逐艦コールでもそうですよね。アメリカの新鋭イージス、コールがああいう形で自爆テロに遭い、大勢の死傷者が出た。それで、なぜなのかという検証がなされた。

 今回も、捜査当局の解明を待たなきゃわかりません。わかりませんから断定的なことは言いませんが、私は、なぜこういうことが起こり得るのかということは、ありとあらゆる可能性から検証してみる必要があるだろうと思います。

 それは、事故調査の結果を待つこととはまた別問題で、委員御指摘のように、それが常に完璧かという体制は検証する責任がございます。

前原委員 私は、今の体制は万全だと思いませんよ。

 九・一一テロの後にアメリカがイラクを攻撃する。キティーホークが出ていきましたよね。そのときに、海上自衛隊の護衛艦が護衛しましたね。これは、護衛という行為は法律違反だからということで、調査研究という極めて脱法的な形で護衛をした。

 つまりは、空母のような大きなもの、あるいはイージス艦のような大きなものというのは、港の出入りというのが一番危ないんですよ。大海原に出たら別ですよ、先ほど話があったように、すばらしい装備を持っているということで。むしろ、出入りが危ない。

 では、出入りでそういったものに対して、極めて脆弱なものに対して、本当に護衛をすべてつけて、今おっしゃるような備えが全部できていますか。

石破国務大臣 委員がおっしゃる極めて脆弱なものというのは、自爆ボートのことをおっしゃっておられるのでしょうか。それとも、航空母艦のようなもののことをおっしゃっておられるのでしょうか。極めて脆弱なものという表現をお使いになりましたので、極めて脆弱なものというのは何を指しておるのかということでございます。

前原委員 港の出入りをするときには、空母にしてもイージス艦にしても脆弱でしょうということで申し上げているわけですよ。

石破国務大臣 それを私なりに解釈すれば、極めて危険な状態にあるという意味で申し上げれば、そのとおりでございます。極めて危険な状態にあるときにどのようにして自船を防護するかということは、まさしく出港時、入港時が一番危険なものであって、見張りの態勢は常に厳となしておりますが、そのときには、例えば艦長が必ずブリッジに上がるとか、そういうようなことで、機器類も含めまして体制は最大限に強化をするものでございます。

 先ほど脱法行為という言葉をお使いになりました。私は、必ずしもそのようには評価をいたしておりません、それは見解の違いだろうと思いますが。それは、船が出ていきますときに、航空母艦というものが自艦を守る能力がどうなのかということと私どもの戦闘艦がどうなのかということ、それは当然同列に論じるべきものではございません。

 そうだとするならば、例えば輸送艦でありますとか補給艦でありますとか、そういうものが出ますときには、当然、それにふさわしい警備体制をしいておるものでございます。

前原委員 今申し上げたように、とにかくしっかりと、だから、石破さん、大丈夫だじゃないんですよ。一千四百億円するんですよ、一隻。万全には万全を期して、こういうものをどのように守るか。別に、それは一千四百億のイージス艦だけではない。さっきおっしゃったように、輸送艦「おおすみ」だって大きいし、高い。だけれども、そういうものに対して、ああ言えばこう言うではなくて、本当に国防の観点から大丈夫かと。今回のようなことが起きて、正直言って偉そうなことを言うなということですよ、国民からすれば。

 だから、十分な体制をとるためにこちらは提案をしているんだから、今のままで大丈夫ですという答弁は私はないと思いますよ。より、これをしっかりと守るために最善を尽くすというのが防衛大臣の答弁じゃないですか。

石破国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど四直ということを申し上げましたが、確認をいたしました。これは、艦長命令簿に基づき五直で当時は実施をしておったということでございます。これは艦長が定めるものでございます。

 私は別に、ああ言えばこう言うということを申し上げたのではございません。仮に委員がそうおとりになったとしたら、それは私の言い方が悪かったのでございましょう。しかしながら、今どうだと言われれば、そういう体制をとっているということでございます。今このときも、この瞬間も、テロというのは、いつどこで、だれがだれから、なぜどのようにしてやられるかわからないということだということは、私はもう一日に何回も申し上げておることでございます。しかしながら、そういう体制をとっております。今どうなのだと言われれば、そういうことに対する警戒もやっております。

 しかし、委員御提案のように、これが本当に万全なのかといえば、世の中に万全なんてないわけですから、そこに近づくべくどうやってやるんだということは考えなければいけません。ありとあらゆることを考えなければいけない。(発言する者あり)ですから、さっきから言っているじゃないですか、何で今回考えられないようなことが起こったのか。

 すなわち、我々はいろいろなありとあらゆる可能性を考えていますが、それでもわからないことがあった。事故というものはそういうものでしょう。だからこそ検証するわけでしょう。そういうことについてどうなのだということも、また、それをさらに、万全と言っていけなければ、何でもいいですよ、完璧でもいいです、そこへ近づけていく、その努力をやるのが私の責任だと思っております。

 それは、委員の御指摘は、そのとおり受け取らせていただきます。

前原委員 私は、国会議員の中で防衛、軍事に対して石破大臣ほどよくわかっておられる方はおられないと思いますよ。それは率直に認めますよ。でも、今の答弁、今までの答弁はおごりになっていませんか。私はそう思いますよ。

 つまり、事故というのはもちろん起きる。だけれども、私が申し上げたように、これは、高いとかという問題ではなくて、大事な装備、国有財産なんです、国民の血税によって使われているもの。これが、どう考えたって、空母とイージス艦ではもちろんすべてトータルイコールではないけれども、だけれども、出港時、入港時には脆弱さにさらされるというのはだれもがわかることじゃないですか。それに対して十分な備えができているかどうかというところで、しっかり点検をしてやってくださいということを申し上げているわけであって、そこは素直に私は聞かれた方がいいと思いますよ。そのことだけは申し上げておきたいと思います。

 さて、今回の事故もそうでありますけれども、これは石破さんが一番問題意識を持っておられると思いますけれども、私も今まで安全保障の問題をやっていて、やはり内局と制服、それから制服の中でも陸海空、こういったものをどう融合していくか。そして、一つの組織としてどのように、意思疎通もそうですよ、あるいは、これはいざとなったとき戦わなきゃいけない部隊、これをどのように硬直した縦割り組織から融合したものに変えていくかということは、私は極めて大事なことだと思います。

 そこで、石破大臣が防衛省の組織のあり方等についての意見をおっしゃった。これは読ませてもらいました。これについては、私は、うまくいけばいいと。だけれども、要は、防衛参事官制度というものも含めて考えたときに、どうやってこの縦割り組織の弊害をなくして、そして硬直化した組織というものを使える組織にしていくか。意思伝達、情報伝達ではなくて、いざというときに有効的に使える組織にしていくかということは大事なことだと思いますけれども、この点、石破大臣はどういうイメージでその組織の中身を考えておられるのか、その点をお聞かせください。

石破国務大臣 現在、有識者会議でいろいろな議論が行われております。したがいまして、そこで出ました方向性を尊重して、私どもの中で具体的作業を進めていくことに相なります。

 私の中で考えております一つのイメージを申し上げれば、これは委員であればおわかりいただけると思いますが、スタッフの部分とラインの部分、ここはきちんと分けようということでございます。

 ラインの部分は、総理大臣、防衛大臣、そして各上級司令部から部隊まで、ここを一本の線ということにしなければならない。そして、スタッフの部分が、今、制服、内局というものが並立をしている形になっている、車の両輪論みたいな形になっている。軍事専門的なことは制服が、法律や予算は内局がというふうに仕分けられて車の両輪として支えるということになっているけれども、本当に制服だけしか扱えない軍事専門的ということがあるのか、あるいは背広だけしか扱えない法律、予算というものがあるのかといえば、それはそんなにきれいに分けられるものではない。一部にあるように、軍政、軍令というのをきちんと整然と二分をするということになると統帥権独立みたいな話になって、それはかえってよくない例が過去あったであろう、だとすれば、そこを一体としてやるという形ができないだろうかという問題意識が一つ。

 最後に申し上げれば、防衛省とか自衛隊とか、そういうものの機能を分ければ、一つは、防衛力整備であろう、一つは、どのように運用するかということであろう、もう一つは、どのようにしてこの場も含めて国会に御説明し、国民に御説明するかということだろう。その機能を三つ分けるというお話と、先ほど申し上げました論というものを組み合わせるとすればどうなるだろうかという、一つのぎりぎりの形というものを私はイメージいたしております。

 確かに、その究極の形というものができるかどうかわかりません。ただ、一つの究極形というものを示さないといろいろな議論が生まれないだろうということでそれをお示ししているものであって、その場しのぎ、小手先ではだめだという認識を持っております。おごりとおしかりをいただけば、そのとおりかもしれません。

前原委員 総理、今の問題ももう一度総理にお伺いをしたいと思いますが、もう一つ私はきょう聞きたいテーマがあります。それは、沖縄の基地の問題、特に、また米兵による少女暴行事件という、忌まわしい、許すべからざる事件が起きました。

 私は根本的に考えるんです、この国は主権国家なんだろうかと。先般、この予算委員会でも、私は、横田、それから岩国、嘉手納の空域がいまだに米軍に支配をされている、管制をされているということは、戦後六十年以上たっておかしいという話を申し上げました。日本の防衛のかなめは日米安保だけれども、日米安保という旗頭のもとに、結局は七割以上の基地が集中している沖縄の人たちに負担をかけ過ぎてきたのではないか。

 そこで、米軍の再編などの話がある中で、海兵隊の一部がグアムに移転をするという話があります。総理、今までの事件の発生状況を見たときに、問題が大きいのは、すべてじゃないですよ、しかし、問題として大きいのは何かというと、新兵のローテーション部隊が沖縄に来たときに犯罪を犯す確率が極めて高いんです。そうではなくて、例えば沖縄に家族と一緒に住んでいるいわゆる管理職の人たちというのは、それほど犯罪率は高くありません。しかし、今回の米軍再編の中で、基地の再編の中で、その比較的いわゆる事件の少ない司令部の人たちはグアムに移動して、八千人プラスその家族で一万七千人、しかし、そうではなくて、犯罪を犯す、そういったローテーション部隊は残る、これは逆なんじゃないかと私は思うわけです。

 つまり、アメリカからすれば、これからアメリカからして、危機を感じる国の防衛力というものの技術もどんどんどんどん伸びていく。そうすると、前方展開というのは危ない。そうすると、新兵のようなローテーション部隊は前線でいいけれども、そういった司令部機能というのはセットバックしよう、奧に下がっていこうという形の中で、沖縄の負担軽減というよりはアメリカの論理の中でこれが行われていて、それに金を支払わされる。それでいて、沖縄のいわゆる事件の負担は減らないという状況が今あるわけですよ。

 ここはもう一度立ちどまって、どういう中身をグアムに移すのかということを根本的に入れかえなくてはいけない。それをしっかりと、日本の国民、特に女性の方々を守る総理の立場として、普天間の移転にしたって、今回の問題にしたって、こういう問題が何度も何度も起きたら日米安保というのは成り立たないですよ。

 こういった問題をしっかりと解決することが、日米安保、ひいては日本の安全保障というものが維持できるという観点になれば、アメリカに対して、どういう部隊をグアムに移転するかどうかについては、日本の総理として、しっかり物を言うべきではないですか、総理。

福田内閣総理大臣 今回の沖縄の事件は本当に残念なことであり、まことに申しわけないことであったと思いますけれども、このことについては、米国も大変重く受けとめております。

 私、ライス国務長官と二日ほど前に会いましたけれども、そのときも、国務長官の方から、このことについては、被害に遭われた少女と家族のことを大変心配しているというようなことまでおっしゃいまして、遺憾の意を表明されていらっしゃいました。

 これは、まさに日米安保の体制を壊してしまう、私もそういうふうに思いますよ。そういう危険性をはらんだ問題であるというだけに、アメリカもそのことを重く受けとめておるんだし、これは、アメリカのことだけでない、日本のことであるんですね。日本の安全保障体制というものの根幹になってくるわけでありますから、これは日本だって無視し得ない問題だ。こういうことをなくして信頼関係を強める、そして沖縄の方に迷惑をかけないという体制をつくらなければいけない、そう私も本当に深刻に思っておるところでございます。

 そこでもって、今おっしゃったような部隊配置の問題について申し上げるならば、これはやはり安全保障上の問題であるということ、そして、実動部隊と申しますか、そういう部隊がどこにいたらば抑止力を一番発揮できるのかといったようなことも関係ありますので、それ以上のことは防衛大臣なりに聞いていただきたいんですけれども、私は、そういう部隊配置の効率性とか実際の抑止力の発揮といったような観点から考えてそういう配置になったんだろうというふうに思います。

 しかし、そのことによって日米安全保障体制を揺るがすような問題がどうしても起こるのであるというのであれば、それはそれなりに考えていかなければいけない問題である。しかし、抑止力という観点から考えてそういうことになっているのではないかと私は思っておるところでございます。

 なお、そういう問題が起こらなければということもありますので、そのことについて全力を挙げてまいりたいと思います。

前原委員 総理の支持率がだんだんだんだん落ちていっているという、嫌な言葉を申し上げるかもしれませんが、答弁を聞いていても、何か変えるという意思、あるいは問題を解決する意思が全く感じられないんですよ。

 抑止力という言葉を言えば、それはその面は一つありますよ、確かに。しかし、実際問題、沖縄の理解なくしては日米安保は成り立たない。七割以上が沖縄に集中しているんですよ。アメリカ側は何度も何度も綱紀粛正をする、改善をすると言って、ずっと同じような問題が起きているじゃないですか。そういうことを放置したまま日本の総理と言えるのかどうかということが突きつけられているわけですよ。

 では、そういったものと抑止力をどうてんびんにかけて、それをどのように変えていくかという前向きな答弁をされるのが本来の総理としてのお立場じゃないですか。そういうものが感じられないから、私は、失礼ながら、どんどんどんどん支持率が下がっていっていると思いますよ。

 総理、どうか、この国をどうしたいのか、そして沖縄の問題、今回の防衛省の問題にしても、自分はどう変えたいのか、最高責任者は総理なんですから、総理自身がメッセージを発しないとこの国は変わりませんよ。私は、そのことだけ申し上げて……。どうぞ。

福田内閣総理大臣 今の発言、そのことを私は申し上げているつもりだったんですよ。

 それは、これは日米安全保障条約の根幹にかかわることであると思いますよ、私も。この体制が必要だから今こういう体制を組んでいるわけでしょう。必要ないというのなら話は別ですよ。必要ないんだったらば、我が国は我が国できっちりと自分を守る体制をとらなければいけないんです。そのことがこの地域の安全保障体制にどういう影響を与えるか、そういうことも考えた上で、あなた、発言していただきたいと思いますよ。

前原委員 そういうことを考えているから、沖縄の理解なくして日米安保は成り立たないから、決断をしなきゃいけないときはしなきゃいけないということを申し上げているのに、しないから申し上げているんですよ。

 質問を終わります。

逢沢委員長 この際、武正公一君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 まず冒頭、きょうのこの委員会、イージス艦・沖縄問題等集中審議でございますが、この後、締めくくり総括質疑そして採決ということが委員長職権で立てられたことは、極めて遺憾でございます。

 その理由として、まず、昨日、道路問題の集中審議を行った折、私が、ちょうどこの一週間前、二十一日、この席で、国土交通大臣、そしてその前は総理とのやりとりでございました、テレビ入りで全国の皆さんが見ておられる中で、いわゆるBバイC、便益を費用で割ったもの、これが一・二を切った場合には、この中期計画、十年間で五十九兆円を使うというこの道路整備中期計画中は道路はつくらないんだ、これを総理ともう十回ぐらいやりとりをしました。総理は、それ以降は一・〇を切っても、政治判断でつくらないわけにいかないじゃないですか、こういうようなやりとりはありましたが、中期計画中はと十回ぐらい言われましたし、それを受けて国土交通大臣も、私どもはこの期間は一・二を切ればやりません、このように言ったわけですが、きのう、私ども到底承服しかねる政府見解なるものを読み上げられましたので、二十一日はテレビで皆さんがそのことを聞いておられますので、ぜひこのテレビの前で、私どもは承服しかねますが、その政府見解とやらをお読みいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 今求められている点について私の考えを率直に、政府見解でございますが、読み上げさせていただきます。

 一、道路事業においては、便益が費用を上回る、B/Cが一を超えることを採択の基準としているところ。

 二、今般、中期計画に合わせて行った高規格幹線道路の未供用区間についての「点検」では、平成十七年の道路交通センサスをもとにした交通量予測値が減少傾向にあることを踏まえ、費用対便益の計算で通常一・〇を用いているところを、交通需要の変動に備えるため、一・二に引き上げて「検証」を行ったところ。

   この場合、一・二を下回るものについては、恒久二車線化や一部現道の活用等により、費用対便益が一・二を上回ることが確認されない限り、整備は行わないということを申し上げてきた。

 三、ただし、このことをもって高規格幹線道路を全て整備することを決定したわけではない。

 四、個別事業の採択に際しては、本年秋に作業が完了する新しい需要推計結果のみならず、その時点で活用可能な最新データに基づいて客観的かつ厳格な事業評価を行い、便益が費用を上回る場合に限り整備するとの考え方に変わりない。

以上でございます。

武正委員 私どもは、一・二を切ればこの期間はやりませんと、この間、二十一日に国土交通大臣は言ったわけでございます。それが今のように、これまでは一・二を上回ることが確認されない限り整備は行わないということを申し上げてきた、それが二番目までであります。しかし三番目、しかしこの限りではない。そして四番目、一・〇を、要は、便益が費用を上回るということは一・〇を超える場合、整備するとの考えは変わりはないということがここで出てきてしまうと、これまでこの委員会でずっと議論をしてきた、国土交通省の、一・二以上のものでしか中期計画はつくらないんだという答弁が、やりとりがその根底から崩れてしまうわけですよ。

 ですから、私どもは昨日、馬淵議員が委員長に理事会協議を求め、徹底審議を求めたわけです。というのは、前提が崩れてしまったわけですから。もう一度しっかりと、この一・〇以上でもつくるという、こうした新たな、私ども到底承服しかねる政府見解をもとに徹底審議を求めたにもかかわらず、委員長は職権で、本日五時でこの委員会の審議を打ち切り、締め総、そして採決としてしまったわけでございます。

 総理、どうですか。この後ちょっとイージス艦と沖縄にすぐ移りたいんですけれども、総理、この五時でもう打ち切ってしまって本当にいいんですか。総理は十分な時間をとっているからいいじゃないかということをきのう言っているようですけれども、私はまだまだ、特に、総理が言ったように、一・二を切ったらこの十年間はやらないんですと総理は十回も言いましたよ。それが、一・〇を超えてもこの十年間つくることがあるんだというふうに、きのうそういう政府見解を出してきたわけですから、もう一度それをもとに徹底的に審議をすべきだと思いますが、総理、いかがですか、御所見を伺いたいと思います。総理ですよ、総理、総理に聞いたんですから。

冬柴国務大臣 二月十五日に、私は、御党の笹木委員とのやりとりの中でこのように答弁しています。

 一・〇以上であれば、公共事業は、それはやってその価値があるということでございまして、しかしながら、今、一・二というものを目標に、新しい将来交通予想推計が出るまでは、それと整合するためにも一・二でこの中期計画は構築をしております。ちょっと中途飛ばしまして、一・〇を切れば、それはもちろんいかなる場合でも取りやめなければなりません。しかしながら、それが一・二じゃなければそれはできないというものではございません。

 このように申しておることも御注意願いたいと思います。

福田内閣総理大臣 この問題は、何度も何度も御説明申し上げているとおりでございまして、それ以上のことはないんです。ひとつ、それを中心に御理解いただき、また御審議を進めていただきたいと思います。

 あと、国会のことは国会で決めていただかなければいけないと思っております。

武正委員 総理が、十分な時間もうやったじゃないか、だから審議打ち切り、採決、構わないじゃないかという趣旨できのう述べておられるから、私は聞いたのでございます。

 改めて、徹底した審議が必要であることを、もう委員長職権で立てておりますが、私ども民主党は求めてまいります。

 そこで、続いて、このイージス艦、沖縄事件に入らせていただきますが、まず、吉清さん親子が一日も早く発見をされること、そして、そのために政府が、きょうのいろいろな質疑を聞いていても、本当に全力で取り組んでいただいているのかということを疑わしい午前中の質疑もございましたので、先ほどの総理の決意を持って徹底してこの捜索に当たっていただくことを求めたいと思います。

 そこで、まず、総理に、今回の事故の連絡、何時に聞かれたのか、総理、官房長官それぞれお答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 委員の方には、この「あたご」と漁船の衝突事案の内閣官房、官邸クロノロジーという資料を、もうちゃんと立派な表ができておりますが、それをお渡ししてあるとおりでございますから、それ以上詳しく、一々今全部、時間を追って申し上げませんけれども、総理大臣には六時ごろ秘書官から上がり、六時五分には総理の指示が出まして、漁船員の捜索に全力を尽くせという指示がおりたところでございます。

 私の方には、六時前、五時五十分ごろだったと思いますが、官房長官秘書官から私の方に連絡があったところでございます。

武正委員 総理は何時にお聞きになられましたか。総理にお伺いしているんです。

福田内閣総理大臣 六時ごろです。

武正委員 この表を見ていただくとおわかりいただけるように、またお手元の資料をごらんいただくとおわかりいただけるように、四時七分発生から、今のお話ですと約二時間経過をして総理そして官房長官に連絡が入ったわけでございます。

 それで、このお手元の一枚目に書いてありますように、初動対処の流れということで、これまで内閣官房から御説明をいただいていたこと、また、平成十五年の閣議決定によって、まず情報はこの内閣情報集約センターに入る、このように閣議決定されて実施が決められておりますが、先ほどの表でいきますと、それぞれ内閣情報集約センターに入ったのが、六時五分、これが海上保安庁、そして防衛省から六時二十七分ということでございますが、なぜこのように遅い時間に内閣、内閣官房に入るようになったのか。官房長官、御説明をいただきたいと思います。

町村国務大臣 事実関係は事実関係として、今委員が御指摘になったとおりでございまして、初動態勢、対処というのが極めて重要であるにもかかわらず約二時間かかったということは、問題があったと私どもも認識をいたしております。もっと早く報告がされるべきであった、こう考えているところであります。

 そういう意味で、まだまだ改善の余地というか反省をすべき点があるな、こう思いまして、実は、きょう、閣議におきまして、私の方から、全省庁に対しまして、官邸への情報伝達体制、平成十五年十一月二十一日の閣議決定、これを再確認するとともに、さらなる改善を図る余地があるのではなかろうかということで指示をし、どういう改善をしたかということについてできるだけ早く私の方に報告するようにという指示をしたところでございまして、一層の危機管理体制の強化に努めてまいりたい、かように考えております。

武正委員 先ほど、防衛大臣も、今防衛省の検討として、内閣の情報集約センターに連絡が、防衛省の場合、六時二十七分に入ってしまった、事故発生から二時間二十分後にということもあって、いち早く内閣官房の情報集約センターに連絡を出すように、そういう指示を今検討しているということを先ほど言われておりますが、これは平成十五年の閣議決定なんですよ。もう五年たとうとしているわけなんですが、なぜ五年たっても繰り返されるのかということなんです、この初動態勢のおくれ。

 そして、何といっても、私も道路問題でも言いましたが、この縦割り行政の弊害というもの、これをなくすために、内閣府は半歩高い位で、そして、内閣総理大臣に、あるいは内閣官房にはより強いリーダーシップをというのが、平成十三年一月六日の中央省庁の改革の趣旨の一つだったわけなんですよ。ところが、相変わらず、二時間あるいは二時間半後に官邸に連絡が入るというのが極めて解せなくて、先ほど来、防衛大臣や、あるいはさまざま、海保、海難審判庁とやりとりをしておりますが、私は、やはりここで官邸の責任というものを改めて問いたいというふうに思っております。

 そこで、これは先ほども出ておりました、平成十三年二月十日、えひめ丸事件でございます。ちょうど七年になります。

 宇和島水産高校の生徒さんを含め九名の方が亡くなられたあの事件、ハワイ・オアフ島沖でございました。この事件、それがやはり教訓になって、平成十五年のこの閣議決定もあったのではないかと私は承知をしておりますが、あのえひめ丸事件のとき、官房長官はだれであったか。官房長官、お答えいただけますか。

町村国務大臣 細田博之官房長官ではなかったかな……(発言する者あり)ごめんなさい、失礼をいたしました。福田官房長官でございました。

武正委員 御案内のように、あのときには、森総理が、戸塚カントリー倶楽部でしたか、十五番ホールにいた。そして、福田官房長官は群馬県にいた。そして、伊吹危機管理担当大臣。あのときは危機管理担当大臣というのがあったんですね。小泉内閣になってなくなってしまったんですよ、危機管理担当大臣が。官房長官が兼ねるということになったのか、それは小泉改革の冒頭かもしれません。この福田内閣で危機管理担当がだれなのか私は承知をしておりませんが。あのときの教訓があって、そしてその後にもいろいろな事件があって今日があるにもかかわらず、今回もまた繰り返しをしているということであります。

 総理、あのときの官房長官として、えひめ丸事件、やはりあの反省というものがあって今日があるというふうに私は理解をしておりますが、あのときの反省、担当官房長官としては、どのように今思い返して、あるいは今でもそのことを多分かみしめてこの国の危機管理に当たっておられると思うんですが、御所見を伺いたいと思います。

福田内閣総理大臣 あのときも、えひめ丸のときも、これも私、前から、群馬県に参りまして、何か祝賀会をしてくださる、こういうふうな話で、私はその日いないということは皆承知しておったわけであります。その辺はいろいろありますので、私もそれ以上言いたくないのでありますけれども。

 やはり危機管理を担当するのは内閣官房長官だ、こういう認識はいたしておりますので、私もその辺は十分注意をしておった。ですから、その一報を聞いて、すぐ途中で帰ってきたということがございましたけれども、その危機管理、私がいないときにはほかの、官房副長官にお願いするとかいったようなことはしているんです。

 えひめ丸が起こりましてからは、官房長官は必ず東京にいる、近県でも東京を離れるというようなことがあれば、それはしっかりと副長官なり、また総理にお願いをするとかいったようなことも含めまして、連絡体制はいつでもとれるようにするというような配慮をしておりまして、以来、ずっとそのようにしております。今もそういうふうなことなんですけれども。

 ただ、今回のことについては、その第一報は入ってこなかったということがありましたので、前回のえひめ丸のときの状況とはちょっと違うのでありますけれども、しかし、情報が入ってこなかったことについて、私どもも、我々にも問題があったのではないかという反省をいたしておるところでございます。

武正委員 えひめ丸の事故を教訓にこの閣議決定がされていて、いち早く官邸に連絡が入るように、しかも情報集約センターに入るようにといいながら、今回そこに二時間あるいは二時間二十分もおくれて入っている、ここがやはり問題だということであります。

 官房長官からそれを見直すということで先ほどお話がございましたので、速やかなる見直しをいただくと同時に、ここもいわゆる縦割り行政というところの弊害で、そこで情報をある程度持ってしまって、すぐそれを内閣官房、危機管理センターあるいは情報集約センターに送るというところに何かの逡巡があるとすれば、これはやはり体制としての問題点があろうかというふうに思っておりますし、いわゆる政官業の癒着ということでいえば、私はここの意味では、何度も申し上げますが、やはり政権を民主党を中心とするところにお任せをいただいて、改めてこの危機管理なんかも徹底して民主党にお任せをいただくということを申し上げたいというふうに思います。

 そこで質問を行わせていただきますが、これが、情報連絡室にとどまっているんですね、先ほどの時系列の方を見てください、情報連絡室。

 これは、官邸連絡室、官邸対策室と、どんどん上がっていくわけですね。初期の段階で、情報連絡室というところで、なぜとどまっているのか。このものでいきますと、五時五十五分に情報連絡室がつくられております。

 官房長官、私は、これは今回の事案の重大さにかんがみて、官邸連絡室あるいは官邸対策室になってもしかるべき事案だというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。なぜ情報連絡室でとどめているのか、お答えをいただきたいと思います。

町村国務大臣 一応三段階に分けて、今委員御指摘のとおり、一番重要といいましょうか、緊急性、重大性等々にかんがみて、特に政府として初動措置の総合調整を集中的に行う必要があるときには官邸対策室。それから、多くの関係省庁との連絡調整を集中的に行う必要がある場合には官邸連絡室。情報連絡室というのは、それほど関係省庁が多くない場合ですね。例えば、今回ですと、防衛省と海上保安庁、いわばこの二つで完結できる。実際には、後になって文部科学省の、「しんかい」の捜索という意味では参加をもらいましたけれども、基本的には官邸と二つの省庁であるということもこれありまして、情報連絡室ということにしたわけでございます。

 ただ、やはり重大な案件であろうという認識から、野田危機管理監は、最初から危機管理センターの方に入りまして、連絡調整を行っていたという事実もございます。

武正委員 この図を、一枚目を見ていただくように、官邸連絡室そして官邸対策室、二省庁だからということではいかがかなというふうに思います。

 先ほど触れた閣議決定、そしてそれに基づく細目でも、重大事件、やはり自衛隊に関する事故、これはもう重大事件とこの内閣は平成十五年に決めておりますし、関係省庁でいえば、今の文科省のほかに農水省も、漁業関係者ということでも当然補償の問題もありますし、さまざまやはり関係省庁、またがってくるわけです。

 何よりも、今回の事件の国民の皆さんに与える影響の大きさ、こういったものを考えて、この情報連絡室でとどめているというその認識が、官邸としてやはり甘いと私は言わざるを得ません。

 そこで、国交大臣、私は、海上保安庁さんが夕方、横須賀に「あたご」が入る前に、当然任意で、捜査と言わないんでしょうか、捜索ということで、やはり「あたご」に、それこそヘリで行って話を聞くとか検証するとか、任意ですよ、これはあっていいというふうに当然思っているんですが、夕方、横須賀に「あたご」が入るまでにそういったことはやられたのかどうか、お伺いしたい。それをもしやっていなかったとすればなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 海上保安にはこのような海上における刑事捜査というもの以外に海難救助という大きな使命があります。したがいまして、この連絡があったときに、もう直ちにヘリで三名の特救隊、「海猿」という映画で有名になりましたけれども、それを現場海域に運びまして、五時四十八分には、この被害船舶の上へ、破片ですけれども、おり立って、そしてヘリからつるしてもらって、そこに生存者はいないかどうかという捜索を始めているわけでございまして、それ以来、六人を通過して九人でそこへ、海底へ潜ったりやっているわけです。

 したがって、もちろん、捜査、押収それから事情聴取という刑事手続も必要でございますけれども、とりあえず、これは年間に四千五百件ぐらいあるんですよ、海難事故というのは。そして、その中でも百数十件にこのように海難救助のために特救隊が出たりやっているわけです。

 したがって、私どもは、まずは人命救助ということから始めたわけでございまして、その後、この艦船に捜索、押収等の手続をとっておりますが、今、すぐにやらなかったのはなぜかと言われれば、海難救助というものを先行させて、人命救助にまず一生懸命取り組んだということを申し上げたいと思います。

武正委員 海上保安庁からいただいた資料では、午前十時二十七分に潜水捜索は終了されているという資料もいただいておりまして、なぜそれを聞くかというと、午前中に海上保安庁に連絡がないまま、航海長が市ケ谷に行っている。あるいは、午後には、今度は海上幕僚長が「あたご」に行っている。あるいは、その夜に、「あたご」に、午後十一時から電話のやりとりもしている。こういったことが行われているから、夕方五時から夜十時までは強制捜査、差し押さえ、これをされていますが、その後はまた任意の捜索ということになっているので、私はやはり、そうであれば、その前に任意で捜索をすべきではなかったのかというふうに申し上げているのです。

 そこで、今、年間四千件もあるんですというお話でしたけれども、海上保安庁そしてまた海難審判庁も国土交通大臣の所管になるわけですが、それぞれ、この事件、この事故は、重大な事件である、あるいは重大な事故であるということをはっきりと海上保安庁、海難審判庁は決定をして今日まで至っているということでよろしいでしょうか。

冬柴国務大臣 そのとおりでございます。

武正委員 私が事前にお伺いするところ、海上保安庁では、これが重大事件、これがそうでないと、そういう決める基準はない、そして海難審判庁は、きょうに至るまで重大事件の認定はしていない。海難審判庁から重大事件の基準を出していただいたら、死者十名以上であることというのが一番最初にあるんですよ。ですから「なだしお」事件のときは特定重大事件と指定をされているんです。

 今の御答弁でいいですか。海上保安庁も海難審判庁も重大事件ということで特定しているということでいいですか。

冬柴国務大臣 本件の社会的な影響の大きさにかんがみまして、横浜地方海難審判理事所は、事件発生から調査本部を立ち上げ、五名の理事官で調査を実施しているところであるが、本日二十九日、重大海難事故に指定し、特別調査本部を設置いたしました。これによって、横浜地方海難審判理事所にも本部からの応援といいますか、それが派遣されることになります。

武正委員 ということで、今日まで重大事件の特定はしていないということがわかるわけです。

 官房長官、なぜ官邸を挙げてこのことに取り組まなきゃいけないのか、官邸連絡室じゃなくて官邸対策室あるいは官邸危機管理センターに格上げする必要があるのかというと、こうした関係省庁のまだまだ認識の甘さとか、あるいはそれぞれの連携ということが、あるいはそれを調整するということが官邸として必要だから言っているわけであります。

 そこで、国交大臣、もう一度お聞きをしますが、この質疑なども含めて、防衛大臣が何度も何度もこうおっしゃいます。いや、これは捜査に支障があるためお答えできません、こういうふうなことを何度も何度も言っておられるんですが、そのもととなったのは、やはり二十二日の大臣の記者会見ではないかなと思うんです。二十二日の大臣記者会見で、犯罪捜査に関することは差し控えてほしい、私から感想をあからさまに申し上げることは適当でないと思います、このように言っておられます。

 それをもとに二十三日に海上保安庁警備救難部刑事課長から防衛省の運用企画局事態対処課長に電話をされたということであります。電話の内容はこういうことだと。防衛省からの発表において、防衛省の判断によって行うべきものだが、捜査機関としては事故原因の核心に触れるような内容の公表は差し控えてもらいたい、なお、これは当然ながら、客観的事実や一般論についてまで公表を差し控えるというものではないと。

 ですから、私どもも、民主党の外務防衛部門会議や、あるいはこういった質疑の中で、一般論としてというふうに注釈をして聞いても、それに対しても、いや、捜査に差し支えるから答えられませんと、こういうような答えが防衛省から相次いで出ております。これが実は、今回の問題の原因究明を妨げている一つではないかなというふうに私は思っております。

 ここで、やはり首相官邸のリーダーシップが、国土交通省と防衛省の間のこれを取っ払うのが、私は官邸の役割ということを再三申し上げているわけです。

 海上保安庁であります、国土交通大臣、先ほどこういうふうに申し上げた、自衛隊の事件、海上自衛隊が起こした艦船事件、これは、海難審判庁に聞きましたら、昭和三十年以降三十二件あるそうです。ただ、その三十二件の中で、「なだしお」と今回だけは当然重大事件にしてもいいというふうに思っております。

 本当に一日も早い捜索を、そして救難を求めておきますが、そういう重大事件にしておくべきなのに、それができないということについて、やはりこのことが私はおかしいというふうに思うわけであります。

 そこで、官邸なんですけれども、運輸安全委員会というものがこの通常国会に法案として出されるということでありますが、私は、この運輸安全委員会は、より強い権限を持っていかないと、こうした省庁間の調整に手間取ってしまうというふうに思うんですね。

 ですから、今八条委員会で国会の方に提出をということでありますが、これはやはり三条委員会に格上げをしていくべきではないかというふうに思いますが、御所見を伺いたいと思います。官房長官。

冬柴国務大臣 今回出しているのは三条委員会ですよ。国家行政組織法三条の運輸安全委員会というものをつくっていただきたく、法案を提案しているところでございます。

武正委員 三条委員会ということでありますが、もともと私ども民主党は、海難審判庁も含めてそれを一つにということを申し上げてきたところでございます。

 そこで、今回の沖縄少女暴行事件について、米軍によるこの事件について話を移してまいりますが、民主党は、この事件が起きましたときに、二月十三日、シーファー大使あての要請書を米大使館首席公使に手交いたしました。また、二月十五日、鉢呂ネクスト外務担当を団長に、沖縄のジルマー四軍調整官に抗議ということで、捜査協力、再発防止の徹底、そしてまた補償を求め、日米地位協定の改定ということを要請してまいりました。

 これもかねてから質疑があると思うんですけれども、外務大臣、私は、この際、地位協定の改定、特に、お手元の方には資料が配られておりますが、第一次裁判管轄権、これは日米地位協定の第十七条にございますが、これが必要だというふうに思っております。

 というのは、米軍ヘリが墜落したときに、私も三日後、沖縄に行きましたが、ヘリが米軍によって沖縄国際大学の施設内から持ち去られていた、ちょうどそのときでございました。沖縄県警は遠巻きにしていて、そこを米軍が縄を張って、ロープを張って、その撤去をしているということでありました。

 一体ここは日本なのかということを見まがう光景でございましたので、私は、地位協定の改定で、第一次裁判管轄権、こうした公務執行中のものもやはり対象に加えるべきだというふうに、この地位協定の改定、今お考えはいかがでしょうか。

高村国務大臣 米軍が軍隊を派遣し駐留している国は日本だけではないわけでありまして、NATO各国、イギリスにしてもドイツにしてもイタリアにしても、その他たくさんの国に駐留させているわけであります。そういう中で、やはり受け入れ国側がどうしたらいいかということと、派遣する側には派遣する側の意見がある、そういうことで、グローバルスタンダード、地位協定というのは大体共通のものになっているわけですね。

 私が調べた限りでは、日本がどこかの国より不利になっているということはないと思います。イギリスでもドイツでもイタリアでも、どちらかが不利になっているということはない、こう承知しております。それだけではなくて、九五年に運用の改善で、起訴前であっても引き渡してもらえるというような、世界の各国でないようなところまで運用が改善されて、日本は受け入れ国の中で現実の問題としては一番有利になっている、こういう状況があるわけであります。

 委員、よくいろいろなことをお調べのようでありますから、もし、そうでないよ、この国はここが有利になっているよということがあれば教えていただきたい、教えていただければ私も私なりに考えていきたい、こう思っています。

武正委員 日本における米軍の駐留の数の多さ、日米関係のさらにまた今深化をしようとしているこの状況、また、先ほどから話が出ておりますように、沖縄に米軍の専用施設・区域の七五%が集中をしている、こういったことから、やはり地位協定の改定ということに踏み込むべきだということを申し上げたんです。

 では、外務大臣はこれまで、あるいは日本政府は米政府に地位協定の改定を申し入れたことがありますか。いかがですか。

高村国務大臣 この問題について、それぞれ、機動的に対応するためには運用の改善が正しいと思いまして、九五年に抜本的な運用の改善が図られた、こういう事実がございます。地位協定そのものについては、ほかの国よりも明らかにおくれている、不平等だというようなことがあれば、もちろんそれはやりますが、そういうことは全くありませんので、地位協定そのものについて申し入れたということはございません。

武正委員 韓国もドイツも地位協定の改定をされていますよね。いかがですか。

高村国務大臣 委員もお調べのことだと思いますが、韓国の場合、日本の場合よりもはるかに不利な条件にあって、例えば、判決が確定するまで引き渡さない、こういうような条件になっていた。日本は、公訴提起のときに引き渡すという条件になっている。そして、日本に今、改定をして少し近づいてきたというぐらいで、まだ日本より決して有利なところになっているとは思っておりません。

武正委員 つまり、改定をしている国はあるというわけです。ですから、私は、日本も改定ができないということはないし、そしてそれを、まして申し入れていないということは極めて不可解であるということでございます。

高村国務大臣 グローバルスタンダードがあって、ほかの国が日本より有利なところがあれば、それは不公平ですねということで、申し入れます。韓国の場合は、まさにそういうことだったんです。そういう中で申し入れて、起訴された時点で十二の犯罪だけ引き渡すとなっているわけでありますから、日本の立場より今でも韓国の立場は、外国のことは余り言いたくないんですけれども、そういう状況で全く事情が違う、こういうふうに思っています。

武正委員 ボンの地位協定では、たしか低空飛行の禁止という項目があったと思うんですね。ですから、私は、やはり各国それぞれ、日本にとっても参考にすべき点はあるし、地位協定の改定というものは行わないんだということで臨む政府の姿勢がいかがなものかと。私どもは、やはり地位協定の改定というものの実現が必要だというふうに申し上げております。

 そこで、ちょっと時間もありませんが、普天間飛行場の移設問題に触れさせていただきます。

 お手元資料、八ページ、九ページをごらんいただきますと、これは、ちょうど額賀財務大臣が防衛庁長官当時に結んだ普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書でございます。その一番、読みますと、「防衛庁と名護市は普天間飛行場代替施設の建設に当たっては、名護市の要求する辺野古地区、豊原地区及び安部地区の上空の飛行ルートを回避する方向で対応することに合意する。」このように合意書を現財務大臣は交わしておられます。

 しかし、昨年の第五回の内閣官房主催で行われた移設協議会でも、防衛大臣は、緊急及び訓練の場合は上空を飛ぶことがあるんだ、このように言われて、また、今回、二月に出てまいりましたアセスに関する追加の資料の中でも同様のことが述べられております。ということは、以前の地元の自治体との基本合意に背くのではないのかというふうに思いますが、この点について御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 政府といたしましては、普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書につきましては、周辺地域上空の飛行を回避してほしいとの御要望を踏まえ、平成十八年四月七日に防衛庁長官と名護市長との間で締結したものでございます。これは、同合意書も踏まえまして、同年五月一日にロードマップが日米間で合意されたと考えておるところでございまして、今後、日米合意に従いまして、地元の声にも耳を傾けつつ、移設、返還を着実に進めてまいりたい。

 ですから、本当に地元が何を望んでおられるかということは、よく、きちんと認識をしてやらなければいけないと思います。緊急の場合とはどういう場合か。それに名をかりて、そうじゃない場合にも飛ばないような、そういうことはよく考えていかねばなりませんが、日米でよく話をしながら、地元の意向というものを踏まえて、誠実にやっていかねばならないものだと思っております。

武正委員 この二月十五日、私ども民主党が、私も行きましたが、ジルマー四軍調整官に抗議ということで申し入れを行ったときに仲井眞知事とも面会をいたしましたが、同日、仲井眞知事は、たしか、前々から三年で普天間基地の返還ということを主張されておりますし、もともとSACO合意のときにはこの普天間基地の危険除去だった、そもそもは危険除去だった、それが今や辺野古への移設とパッケージで普天間返還というような形、あるいはグアムへの移転とパッケージで普天間移設というのは、やはりこれは切り離してほしいというようなことを申しております。それが地元の意向でもございます。

 ですから、普天間では、普天間の小学校がそのゾーンの中に入っているという問題点も地元の宜野湾の市長が指摘をしておりますので、私は、普天間移設については、民主党のこれまでの立場は、やはり国外移転、それまでの間は県外への移設もあるというようなことが民主党の主張でございますが、とにかく今の、普天間から辺野古への移設について、徹底して地元の自治体の意向というものをしっかりと聞いて対応すると今防衛大臣が申されたとおり、このことを求めて私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 この際、細野豪志君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。福田総理を初め閣僚の皆さん、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、中国ギョーザの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 急遽、警察庁長官にも来ていただいておりますので、まず長官にお伺いをします。

 昨日、中国の公安当局が、中国ギョーザについての記者会見をいたしました。この記者会見の中身は、私も報道でも見ましたし、文章も少し確認をしましたが、非常に衝撃的な内容でございます。中国側で実験をして、メタミドホスはギョーザの袋の外側から内側に浸透したんだということを言っている。そして、そういう検証をした上で、メタミドホスが中国国内で混入をされた可能性は極めて小さい。半ば結論をここで言っているわけですね。さらに見過ごせないのは、日本側の捜査当局がこれに協力をしていないという趣旨の話もしています。それに対して、昨日、警察庁の長官がそれについて反論する会見をしたことは、私はこれは当然やるべきであったという考え方でございますが、長官にまずお伺いをします。

 こうした捜査当局同士の見解が百八十度異なる中で、では、こういった問題をどういうふうに乗り越えてこの問題を解決するというふうにお考えになっているのか、今の時点での御見解をお伺いしたいと思います。

吉村政府参考人 このたびの事案につきましては、日本警察におきまして、科学的な、客観的な事実、すなわち、これは既に報じられておりますが、千葉と兵庫の事案のギョーザにつきましては、中国国内から出荷をされた後、完全に別ルートで日本に来ておりまして、日本国内でクロスする点が全くございません。これが第一点。第二点は、密封された袋の内側からメタミドホスが検出をされている。三点目は、検出されたメタミドホスには不純物が混在をしておりまして、日本ではいわゆる商用のメタミドホスはございません、試料としてのメタミドホスしかございませんので、日本で入手できるものとしては純度の高いものしかないというようなこと等から、日本国内で薬物が混入された可能性は極めて低いというふうに現在も認識をしております。

 これに対しまして、今委員が御指摘のとおり、中国公安部からそうではないという趣旨の会見がなされたわけでございます。

 警察庁におきましては、中国側に対しまして、中国側の判断がどういう根拠に基づいているものなのかということについて、資料の提供を要請するなどして、今後事実関係を確認していきたいと考えておりますが、具体的には、昨夜、中国公安当局に対し、ギョーザの袋に対するメタミドホスの浸透実験の詳細がわかる資料、すなわち、先方は袋の外から内側にメタミドホスがしみ込んでいったということを言っておりますので、その資料について至急書面で提供していただきたいということを要請しております。

 加えて、実は、二月の二十五日、今週の月曜日でありますけれども……(細野委員「わかっています」と呼ぶ)よろしいですか。そういうことを申し入れておりまして、いずれにしても、警察庁として、引き続き中国捜査当局との連携を、これは強化してやりませんと私どもの力だけではいかんともしがたい部分がございますので、本件の早期解決を図ってまいりたいというふうに思っております。

細野委員 先日中国側に行った調査団も含めてそうなんですが、中国側に対して日本が要求をしている資料が出てきていないんですね。もちろん、中国側と捜査当局同士で協力することは必要でしょう。その意味で、信頼関係をつくることについて私は否定をいたしませんが、やはり情報としてもらわなきゃならないところはきちっと主張をして、もらってくる。そこをきちっと主張しないとこの捜査の問題は解決をしないと思いますので、捜査当局として、そこは全力をぜひ尽くしていただきたいというふうに思います。

 その上で、ここから厚生労働大臣に一つお伺いをしたいんですが、日中間でこの問題を解決して中国の食料品が信頼性を取り戻すというのは相当厳しい、消費者の皆さんもそういう思いをかなり持っていらっしゃるというふうに思います。

 そうなってくると、国内で、じゃ、どういうふうに安全を確保するかということが問われているにもかかわらず、私がいまだに納得ができないのは、中国の天洋食品の冷凍ギョーザの問題も含め、その後も幾つか出てきましたね、さまざまな農薬の混入の問題が言われている中で、なぜ厚生労働省が回収命令を食品衛生法に基づいて出さないのか、ここが私は納得ができません。

 テレビを見ている方にもこれはわかっていただきたいんですが、要請をして業者が回収をする分には、仮に要請をし切れずに、それこそお店に残っていても、それに対しては罰則を科すことができません。回収命令をきちっと限定して出して、その回収命令に従わないということになれば、それは罰則を科すことができるわけですね。海外との、いろいろ中国とのやりとりはもちろん大事だけれども、我が国は、国内でやれることがあるにもかかわらずこれをやっていない。私は、この厚生労働省の問題というのは非常に大きいと思います。

 先週も、先々週ですか、大臣にお伺いをいたしましたが、回収命令を出す気があるのかないのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

舛添国務大臣 先日、細野委員の御質問を受けて笠委員が御質問なさいましたので、私はその場で答えましたけれども、食品衛生法というのは、食品が毒に汚染されている、こういうようなことで、国民の命を守る、これが法の最大の目的ですから、この法の目的をどう達成するかということを私は考えないといけないのであります。

 それで、要するに、何をやれば一番いい形で国民の命を守ることができるか。皆さん、食べないでください、そして一日も早くスーパーなんかから回収してください、これは実は、命令をかけるということも当然考えられますし、過去にもそういう例はあります。ただ、問題は、ギョーザ、これを特定してそこに毒物があった、これに対しては命令をかけられます。しかし、自主回収をお願いしたのは、天洋食品から来た全部について回収してくださいと。これは回収命令の範囲を超えるんです。

 そして、その結果として、消費者も、テレビや新聞の御協力で、どういう商品が困ったものだということがわかっている。それから、スーパーも一生懸命回収してもらった。そして、逐一報告を受けていますので、今のところ漏れているという報告は上がっておりません。それと、今、どういう形で卸から小売に行ったかのデータがありますから、それできちんとやっていると思いますので、私は、法の目的はとれたと。

 そして、もし、今委員が御心配のように、例えばどこかの寒村とか僻地のようなところで、そこまで回収が行っていない。これは、命令をかけようが、自主回収でやろうが、そういうケースはあり得ると思います。もしそういうことがあれば、直ちに回収命令をかけて、食の安全をきちんと守りたいと思います。

細野委員 日本は広うございますから、私は、そういうところがある可能性がまだ残っているというふうに思います。

 大臣、食品衛生法については、私もこの間勉強しまして、いろいろな学者とも話をしました。政治決断なんですよ。範囲をきちっと限定して、どこまで拡大するか難しい問題はありますが、大臣がこれだということで特定をすれば、審議会に諮らずとも大臣の権限でできるという政治決断なんですね。今、新しいいろいろな農薬の混入なんかも言われています。ここで結論は求めませんが、そこは私はきっちり政治決断をしていただきたいというふうに思います。

 日中間にもう一つ大きく横たわっている問題として、日中のガス田の問題があります。きょう、外務大臣にも来ていただきました。つい先日、外務次官同士の次官級の協議も行われました。

 きょう、地図をつけておりますが、このガス田の問題というのは、この数年間、日中間に横たわった非常に深刻かつなかなか出口の見えない問題として、ずっと協議が続いてきた。昨年の頭に大きな動きが出てくるのかなという感じがございました。秋には妥結をするという話まで出ておったんだけれども、福田総理が中国に行った際も、結局合意はできなかった。

 まず、外務大臣にお伺いをしたいんですが、どういうふうにこの問題は解決をするのか。日本として、四月に胡錦濤国家主席が日本に来るということになっているようでありますが、それまでに本当に解決できるという見込みがあるのかどうか、その展望についてまずお伺いしたいと思います。

高村国務大臣 この問題は、共同開発ということでやりましょう、具体的に申し上げられるのはここまででして、両方の立場が相当狭まってきていることは事実です。ただ、最後の一線を乗り越えるのはなかなか難しい面が今ある。

 ただ、何とかして早く解決して、この海を平和、友好、協力の海にしたいというのは両首脳の強い意思でありますから、それをやるべく最大限の努力をしたい。必ずしも胡錦濤主席訪日までとか、そういう、いつまでとかいうことは考えておりませんが、できるだけ早くというのは、できればもっと早い方がいいし、ともかくできるだけ早くやるということです。相手のあることですから、向こうにとっても日本という相手のあること、最大限の努力をしたい、こう思っています。

細野委員 外務大臣、国会の答弁の中で、国家主席が来るそのときまでに、半ばあきらめたような答弁は、私はされない方がいいと思いますよ。

 ポイントは一つなんですね。要するに、共同開発をどこでするかなんですよ。中国側は、日中の間の海で、中間線までは自分たちでさまざまな開発を終わっているから、それよりも日本側で共同開発をしようと言っている。日本側は、中間線までは少なくとも自分たちの排他的経済水域であるというふうに主張していますから、私は、その主張自体が間違いで、中国側も含めて二百海里をまず主張して、間を考えるべきだったと思っていますが、それはとりあえずきょうはいいでしょう。中間線の中でどういう共同開発ができるかということ、これが最大の争点なんですね。

 外務大臣、一つだけ言っておきます。

 この中間線の中で一番問題になってきたガス田は、日本名で白樺というガス田ですね、中国名で春暁と言っています。このガス田は、過去、中川経済産業大臣が、地下でつながっていて、日本側のガスがストローで抜かれているんじゃないかということまで言ったこの油田。この問題をなくして、春暁ガス田、白樺のガス田を共同開発の範囲に含めない共同開発はあり得ない、中間線のちょうど真ん中にありますから。これは私は強く申し上げておきたいし、そのことは確約をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

高村国務大臣 今、交渉の中身について触れるつもりはない、先ほど言った共同開発ということが、今やっている、そこまでが限度だと申し上げたとおりであります。それ以上のことは申し上げません。

 それから、胡錦濤主席がおいでになる前に解決するとか解決しないとか、それまでとかいう線を日本政府が引いたことはない、こういうふうに思っていますから、逆に、それをあきらめたとかあきらめないとか、私たちはできるだけ早く解決したい、こういうふうに思っているということでございます。

細野委員 外務大臣のお話を伺っていると、これまでと余り変わらないなという感じがするんですね。

 中国はいち早く、もう八〇年代、九〇年代から、沖縄トラフまで、日本の本当の近海まで排他的経済水域だと主張したから、中間線上のガス田も掘れているんですよ。

 我が国は今、何を主張するべきなのか。当然中間線のガス田も含めた共同開発を我が国としては主張するんだということを堂々とおっしゃればいいんですよ。そこをおっしゃらないから、これはもう中国が開発をしていて、今一瞬休止をしているようでありますが、これが最終的には対象になるかどうかというレベルでとどまっているんだというふうに私は思います。これ以上答弁は求めません。

 総理に伺います。

 胡錦濤国家主席が日本に来られますね。ギョーザの問題もあります。そして、ガス田の問題もあります。私が若干懸念していることを申し上げると、日中友好、結構です、隣の国ですし、さまざまな歴史をずっと共有してきた、そういう歴史もありますからそれは結構ですが、やはりきちっと主張をすべきところは主張をして、ギョーザの問題にしても情報を出せと、ガス田の問題についても、それこそ中間線を抜かして共同開発なんというのは私から言わせればあり得ないわけですから、それを総理としてしっかりと国家主席に対しても主張をしていただきたいと思いますが、御所見はいかがでしょうか。

福田内閣総理大臣 東シナ海のことにつきましては、外務大臣が答弁したとおりでございます。昨年の十二月の訪中時に、中国首脳との間でこれまでの協議を通じて相互理解が一層深まった、こういうふうに確認をいたしました。この問題、東シナ海問題、一刻も早く解決するという決意、これもお互いに確認をいたしました。

 そういうことでありますので、時期がいつになるかということは、なるべく早い方がいいというように思いますけれども、交渉事のことでございますから、これは、今は時期をいつまでというふうに区切るべきでないというふうに思います。

 いずれにしても、外務大臣答弁のとおり、この地域を協力できるような地域にしたいというように考えております。

 また、中国ギョーザ問題、これはなるべく早く解決すべきだと思いますよ。解決しなければ、お互いの、政府同士とかいうことじゃなくて国民同士の対立になってしまうかもしれぬというようなことも考えまして、早期解決ということでもって鋭意努力をしてまいりたいと思っております。

 決して、日本が主張しないで遠慮しているんだとか、そういうことではないということだけ申し上げておきます。

細野委員 特にガス田の問題、実は石破大臣ともこの議論を若干したかったんですが、きょうは違う大事な問題もありますので、正直言うと残念な思いを持ちながら、しかし、やはりイージス艦の問題を聞かなければなりませんので、その話に移していきたいというふうに思います。

 ちょっとパネルをごらんいただけますでしょうか。資料では二枚目につけておりますので、その資料をごらんください。

 今回、事故が起きたのが二月十九日でございますが、その事故当日の経緯について私なりにまとめた、これはすべて、防衛省が出した資料か、もしくは国会での答弁に基づいていますので、私がアレンジをしたものはありませんので、そのまま時系列で並べたものです。対象は私が選びました。

 まず、事故が発生をしたのが四時七分、防衛大臣への連絡が五時四十分、随分時間がかかりました。ただ、きょうはそれはもう結構です。そして、私が問題にしたいのが、七時にこの問題に対する海上自衛隊の事故調査委員会というのが立ち上がっています。

 実は、今回問題になっている、「あたご」から人員を運んできたと言われる決断をしたのは、この事故対策委員会なんですね。ヘリコプターが飛んでいる時間が非常に早いので私は驚きました。七時二十五分、すなわち、この事故対策委員会が一番初めに決断をして行動したのが、このヘリコプターの出発なんですね。市ケ谷から出ています。そして、「あたご」まで行って連れてきて、十時から海上幕僚監部において聴取が行われています。そして、十二時からは大臣が直接聞いておられる。これも、累次のいろいろな答弁、質問の中でも出てまいりました。

 まず、大臣に初めに確認をしたいことがあります。それは、ヘリを使って海上幕僚監部に連れてきた、この決断をしたのは一体だれなのかということなんですね。答弁によると、海上幕僚監部、そして最終的には海上幕僚長ということになっておるんですが、きのうの参議院の外交防衛委員会での答弁というのは、実は微妙な言い方になっている。呼ぶという意思決定は海上幕僚監部が行ったものでございます、最終的には海上幕僚長の責任において行ったものでございます。これは、いずれも石破大臣の答弁であります。

 確認をさせていただきたいのは、この海上幕僚監部の一連の経緯の中で、決定をしたのはこういう経緯だというのはわかりました。それを発意したのは、発想して、そういうことが必要じゃないかと言った、そういうことが石破大臣自身にありませんか、そういう経緯はありませんか、それをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 この海上幕僚監部の中における意思決定に私の意思が入っていないかというお尋ねがあるとするならば、それは入っておらないと明確に申し上げておきます。

細野委員 では、再度確認しますが、「あたご」からだれか呼ぶ必要があるのではないかということを周辺におっしゃったということもありませんか。

石破国務大臣 どこからそういう情報を得ておられるか私は全く存じませんが、私はそのことには一切関与をいたしておりません。

細野委員 わかりました。

 そうしましたら、大臣、答弁のとおり、十二時前に、航海長が来ているのでどうしましょうかという話があったわけですね。それに対して大臣は、それが自分に事前に知らされていなかったことについては、これは知らせてもらいたかった、教えてもらいたかったと答弁をされています。当然、海上幕僚監部に対して、なぜ事前に大臣たる私にそのことを知らせていないんだということを、まずこのときにおっしゃいましたか、おっしゃっていませんか。

石破国務大臣 それは、事故当日でございます。事故当日に統制者たる私がそれを聞くということは、私の職務として行うべきものだと思っておりました。そのときに、なぜ私に断らなかったんだというような詰問、叱責、そのたぐいのことはいたしておりません。いたしておらないからといって、おまえが最初から関与しておったのだろうということであれば、先ほど来申し上げておるとおり、この意思決定に事前に私がかかわったということは一切ございません。

細野委員 事前にかかわったかどうかということを聞いているのではありません。今聞いたのは、これは海自が、海上幕僚長がやったわけですね。海自のトップです、実質的な。トップがやったことに関して、事前に私にしっかりとそれは伝えるべきであったのではないかという趣旨のことはおっしゃっていないということですね。それを再度確認させてください。おっしゃっていない。

 では、もう一つ確認します。今回、一連の経緯の中で、海上保安庁に対していつ伝えたんだということが問題になりました。最終的に海上保安庁に確認ができて、そして海上自衛隊も合意をしているのは、この下、十三時四十分、海上幕僚監部より海上保安庁に対して航海長を聴取しているとの電話報告があった。これは大臣の聴取が終わった後ですね。

 もう一つお伺いをしたいのは、大臣は、十二時に航海長から話を聞く前に、これは海上保安庁にきっちり伝わっているんだろうなということはチェックはされましたか。

石破国務大臣 それは、私自身、明確にチェックはいたしておりませんでした。するべきであったと思いますし、そこまで当然やっておるというような予断、思い込みがあったということは、私自身反省せねばならぬことで、統制をする者として、その時点において当然やっているものだろうというような思い込みがあったことは、これは反省せねばならないことだと思っております。

細野委員 ここは、私、大臣の判断ミスだと思います。この時点、ずっといろいろな経緯を見ていても、当然、海上保安庁に、後ほど少し、一つ一つ詰めてお話を聞いていきますが、海上保安庁には当然伝えなければならないことでありますから、それをそのときにきっちり大臣がおっしゃらなかったことは、これは私は大きなミスだというふうに思います。

 そしてもう一つ、次は海上保安庁に聞きます。何度かいろいろ答弁が出ているんですが、シンプルに聞きたいと思います。

 航海長を「あたご」から市ケ谷に呼んできたという行為に対して、これは海上保安庁としてはどういう評価をしていますか。

冨賀見政府参考人 お答えします。

 一般論として、任意による捜査でありますから、航海長の下船については、刑事手続上の問題はないかというふうに認識しています。

 しかしながら、当日、犯罪捜査に着手したばかりであり、犯罪事実の解明に関係者の供述内容は重要であります。その内容に影響する可能性が全く否定できないことから、好ましくないというふうに考えております。

細野委員 供述内容に影響を及ぼす可能性があるので、望ましくないと。

 大臣、何度か、海上保安庁に事前にお伝えすれば何の問題もなかったという趣旨の答弁をしていますが、この答弁の中から見えてくるものというのはそういう種の問題ではないんですね。仮に事前に海上保安庁に伝えていれば、それは遠慮をしてくださいと。さっき国土交通大臣もおっしゃいました。やめてくださいということがありましたね。可能性を大臣も否定しませんでした。そう言われた可能性もあるんです。もしかしたら、では、海上保安庁が同席の上でやってくださいという話があったかもしれません。そういう可能性も含めて、この問題は非常に重要なんです。

 大臣、一つ一つちょっと確認をしていきます。

 まず、供述内容に影響する可能性が否定できない、この部分であります。まず確認をしますが、私が問題にしたいのは十二時からの会議ではありません。

 外務大臣と厚生労働大臣、済みません、結構でございますので。

 大臣、十二時からの会議は大臣も出られていますから、ここでさすがに供述合わせが行われたり証拠隠滅が行われることはあり得ない、当然だと思います。

 ただ、問題は十時からの会議ですね。ここのメンバーを見てください。海上幕僚監部において、海幕防衛部長、運用支援課長、運用支援課企画班長、いずれも海上自衛隊の制服組、しかも、この航海長のはるか階級の上の人間だけが集まっています。ここでどういう話が行われたかということについては、重大な、さまざまな可能性がある、私はそういうふうに思っています。

 まず大臣に御答弁をお願いしますが、この十時からの会議において、打ち合わせにおいて、議事録は存在をしますか、存在をしませんか。

石破国務大臣 私が大臣室で聞きます前に、そのような聞き取りの場面、これがあったということは承知をいたしております。

細野委員 議事録はありましたか。つくっていますか、つくっていませんか。メモでも結構です。

石破国務大臣 そこにおきましてまとめた流れというものを私に対して説明がございました。議事録というような形のものではございません。

細野委員 いいですか、大臣、公開をする、しないは、事件とのかかわりがあるので、それはさまざまな判断があることは理解をします。ですから、それは結構です。ただ、この十時からの会議は、七時にできた海上自衛隊の事故調査委員会が立ち上がって、そこがやった調査なんですね。これは答弁です。正式の機関が立ち上がって、そこがやった調査であるにもかかわらず、メモがない、もしくは議事録がないなんということはあり得ませんから。これは、大臣、確認をしてください。いかがですか。

石破国務大臣 調査委員会の会議では、そのようなものはございません。

細野委員 いや、大臣、そうなるとますます問題ですよ。いいですか。

 私も刑法はそれほど詳しいわけではありませんが、専門家にもいろいろ相談をして、幾つか調べました。

 まずは、証拠隠滅の可能性。証拠というのは物的な証拠だけではなくて、証言を変えることも、証言も証拠の一つですから、証拠隠滅の可能性があります。また、証拠隠滅だけではなくて、刑法の百五条の二には証人等威迫罪というのがある。

 きょうは法務省に来てもらっていますので、まず、これは見ている方によくわからないと思いますので、証人等威迫罪というのはどういう構成要件が該当するのか、法務省の政府委員に御答弁いただきたいと思います。

大野政府参考人 ただいま、証人等威迫罪の構成要件についてお尋ねがございました。

 刑法百五条の二によりますと、自己もしくは他人の刑事事件の捜査等に必要な知識を有すると認められる者等に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請する、つまり強く求める、相手の意思に反して要求するなどした場合に成立するということになっております。

細野委員 強く要請されている可能性は大きいですね。何しろ、海上幕僚長、海自のトップから三佐が言われて来ないわけないですよ。艦長もかんでいる可能性があります。まず、それは要件に該当します。

 もう一つ、では法務省に聞きます。

 このことは、最終的に証言を変えるとか、それこそ、そのことによって事件が影響するということを構成要件にしていますか。

大野政府参考人 構成要件についてのお尋ねでありますけれども、面会を強請するというようなことが構成要件でありまして、それ以上のことは求められておりません。

 ただ、犯罪の成否ということになりますと、これはもちろん捜査機関において収集された証拠に基づいて判断されるべき事柄でありますので、この段階ではもちろんお答えできないのでございます。

細野委員 大臣、よろしいですか。証人を呼んで具体的な証人の証言自体を変えさせなくても、無理して呼んでそこで圧力をかければ、そのこと自体がこの証人威迫罪に当たるんですよ。問題は、そこで何が話し合われたかということになりますが、大臣はその中身を、記録が残っていないとおっしゃる。

 もう一つ私が強調したいことは、時間の問題なんですね。いいですか。

 この会議の中で、「あたご」は、今回ぶつかった漁船、いつこれを発見したのかということについて、二分前ということをここの話し合いの中で出しているわけですね。二分前と十二分前、どちらが海上自衛隊にとって有利かといえば、後ほども少し説明をしますが、だれがどう考えても二分前の方が有利なんです。なぜかといえば、例えば回避行動をとる場合にも、それこそブレーキをかける場合にも、いずれも十二分前にこれが見つかっておれば回避行動はとれる。ところが、二分前であれば、とれる行動には限界がありますから、これはそれこそ過失の程度も軽くなる可能性がある、そういう問題なんですね。

 大臣、本当に議事録がないのかも含めて、公開自体はいろいろ留保があると思いますから、こういう事実関係からいっても、この部分についてはしっかり何が話し合われたかを確認して、議事録の有無も含めて、私、ないわけがないと思いますよ。ないとすれば、何が話し合われたかわからないわけですから。刑法違反の可能性もありますよ。これは大臣としてはしっかりと確認をして、そして、中でどうだったのかということを調査すべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 百五条の二、これについて構成要件を議論しても、ここはそういう場ではないと思っております。

 ただ、そこに「正当な理由がないのに」ということがございますね。私どもの組織として、一体何が起こったのか、海上自衛隊に何が起こっているのかということをきちんと把握するということは、私はこの「正当な理由」に当たるものというふうに考えております。そしてまた、先ほどの警備救難監の見解は私は初めて承りましたが、しかしながら、私どもは、今までこれが捜査に影響を与えたとは聞いていないというふうに考えております。

 委員御案内のように、この組織を維持しますときに、そのときに何が起こったかということはきちんと見ておかなければいけません。委員が私の立場に立たれても、それは同様のことだと思っております。

 ただ、私がその場におるというふうに申しましたのは、それは、私が信頼している自分の部下、幕僚たちでございますけれども、そこで何が行われたのか、何が話されたかということについて、政治家たる、統制者たる自分が全く関与をしていないということの方があらぬ疑念を招くということで、私はその場にいるということを申し上げました。その考えは、今も全く変わるものではございません。

 そこで何が行われたかということ、議事録がないということは今申し上げたとおりでございますが、それでもなお、私どもの組織についていろいろなお考えがあるようでございます。私もこれは自分として把握をしたいとは思いますが、きちんと申し上げておかねばならないのは、海上保安庁の捜査は、私は厳正だと思っております。きちんとした厳格な捜査がなされて、そこにおいて、隠ぺいであるとか証拠隠しであるとか、そのようなことが通用するほど、私は、日本の海上保安庁の捜査というのはいいかげんなものだと思ったことはありません。

 きちんとした捜査が行われる、我々はそれに対してちゃんとした協力をする、それは当然のことであり、海上自衛隊においてその点は徹底している、私はそのように信じておるものでございます。

細野委員 私もそう信じたいと思いますよ。私も、自衛隊の皆さんともいろいろおつき合いもありますし、一生懸命国益のために頑張っていらっしゃる方もたくさんいますから、そう信じたいと思います。

 しかし、大臣、よろしいですか。この間の、二分前が十二分前に変わった経緯も含め、そしてこの一連の経緯も含めて、海上保安庁にきちっと連絡も行っていなくて、制服が暴走しているのではないかという懸念は持たざるを得ない。そこをきちっと制御するのは、文民統制の柱たる防衛大臣の責任じゃないですかということを申し上げているんです。

 もう一つだけ申し上げます。大臣、よろしいですか。

 この事故調査委員会は、いまだに存在をしていまして、海上自衛隊という組織ではなくて、艦船事故調査委員会に変わったというふうになっています。しかし、トップは海上自衛隊の海上幕僚副長がやっていますよ。いまだに海上自衛隊の幹部がずっと並んでいて、そのもとでやっていますよ。この問題は、むしろ、大臣も含め、内局も含めて、調査委員会は海自以外の人間も入れてやるべきだと私は思います。そのことだけ強く申し上げておきたいと思います。

 大臣、話をかえます。もう一つだけ、別の話題。大臣、午前中の質疑の中で一つ私は疑問に感じたことがあるので、次の議論にもつながりますから、そっちに答えてください。

 午前中の自民党の方への質疑の中で、大臣はこういう答弁をされています。清徳丸についてですが、四時六分、清徳丸の前方百メートル、「あたご」後進、手動操作に切りかえ、四時七分衝突、大体このとおりでございます、なお、これは田端委員が十二ノットとおっしゃったのに対して、十ノットというふうに認識をしておりますというふうにおっしゃっている。

 大臣、いいですか。百メートル前から十ノットで走行していた「あたご」が後進をして、そして制御をしようとした、ストップをしようとした。一ノットは一秒間で約〇・五メートル進むという計算になります。ということは、十ノットということは一秒間に五メートル進むことになります。百メートル進むためには、一秒間で五メートルですから、二十秒で百メートル進むんですよ。

 いいですか、大臣。これは恐らく、何らかの海自の現場の声をそのまま大臣がおっしゃったんだと思うんですが、一分前にブレーキをかけていれば、とまれた可能性があるんですよね。百メートル行くのに二十秒で行けるじゃないですか、十ノット一秒であれば。しかも、先方から、向こうからも船が来ていてぶつかっているわけだから、これはもっと早い可能性がある。この矛盾をどう説明されますか。すなわち、百メートルで、十ノットで来ていて、ぶつかる距離に合わない、計算が合わないですよ。これは大臣、どう御説明されますか。

石破国務大臣 その前に幾つかお答えをいたしておきます。

 名前が変わったじゃないかというお話でございますが、名前はいっかな変わっておりません。二月十九日、艦船事故調査委員会というものをつくりまして、そのまま今も艦船事故調査委員会です。名前を変えたことは一度もございません。

 それから、海上自衛隊以外の者を入れて調べたらいいじゃないかというやり方もあるのかもしれませんが、それはラインとしての、「あたご」があって護衛艦隊があって自衛艦隊がある、幕僚としての海上幕僚監部がある。海上自衛隊の中で何が起こったのかということについて、そのラインではない幕僚部分の海上幕僚監部でやるということに私は問題があるとは思っておりません。

 それから、もう一点申し上げれば、隠ぺいとか捏造とかそういうお話の、委員はそこまでおっしゃいませんが、隠ぺいだ、捏造だというような委員外の発言が先ほど来相次いでおりますけれども、私は、そうであるとするならば、何で十二分前なぞという、私どもにとってまさしく委員御指摘のような不利なことを自分たちの方から出すのですか。そんなことはいたしません。

 二分前と聞いたときに、それはだれが聞いても、その前にどうなんだということは思います。それはそういうものでございます。しかしながら、聞き取ったものを、そのことはそのこととしてきちんと明らかにする。それはおかしいな、後から別のものが出てくる、十二分前。でも、十二分前と二分前というのは、それは何ら矛盾するものではない。ある意味私どもが不利に、ある意味どころか完璧に私どもが、十二分前から気づいていたでしょうということを、私どもの方から明らかにしておるわけでございます。

 私は、このことを、うそとか捏造と……(発言する者あり)答弁中は静かにしていただきたい。いいですか。私は、そのことについて、自分たちにとって不利なことであってもきちんと出すということを言ってまいりました。

 ただ、そのことにおいて、不明確なものは明確にしていかねばならない、不鮮明なものは鮮明にしていかねばならない。そして、出していいか出していけないかということについて確認はとらねばならないということをやっておりました。それが、小出しであるとか、遅いとか、そういう御非難になるのかもしれませんが、その二つはやっていかねばならない。

 十ノットのお話は、十ノットというふうに聞いておりますので、そのように申し上げたものでございます。

 委員がおっしゃいますように、一秒間に幾ら進むかというのは、それは相対速度の問題でございますので、向こうがどう進むか、そしてどの方位をとるかということについて、それを全部置きませんと、この衝突がどうのこうのということは議論ができません。それはいろいろな前提を置いて、委員とまた議論をさせていただきたいと存じます。

細野委員 大臣もわかっていらっしゃる上でおっしゃっていると思うんですが、向こうは進んでくるんですよ。こっちが行くだけでも二十秒で行くのに、向こうが来れば、もっと時間は短いじゃないですか。大臣、今のは説明になっていないですよ。

 大臣、よろしいですか。私が懸念をしているのは、現場でいろいろな声を聞いても、現場の方から話を聞いても、これはもっと制御をするのは遅かったんじゃないか、一分前に制御したとは到底思えないという声があるんですよ。さまざまなそういう声があるんですよ。大臣は現場の声、現場の声とおっしゃるけれども、海上自衛隊の声を丸のみしていませんか。事故は本当にどうなんだというところを、目を開いてくださいよということを申し上げているんです。私は、その一つの傍証だと思ったので、このことを指摘いたしました。

 時間ももう短くなってまいりましたので。

 大臣、私は、今回の海上自衛隊のとった、海上保安庁に言わずに航海長を呼んだということについては、大きな問題があると思っています。

 そして、私が大臣に、今、正直言いまして、不信感というふうに言っておきましょう、そういうものを持つのは、事実を隠ぺいしようということに大臣が加担したとは私は全く思っていません、海上自衛隊がそうでなければいいなと強く思っています。ただし、少なくとも十九日のこの一連の経緯の中でそれを隠したことは、これは免れない事実ではないか。要するに、呼んできたことです。ずっと答弁を見ていると、そういう経緯が見えてきます。

 いいですか。この後質問している笠議員は、二月二十五日、委員会の中で、十二分前の情報はどこからとりましたかと聞いているんですよ。そうしたら、大臣、どう答弁になったか覚えていますか。乗務員から聴取をした情報でございます。いいですか、十九日にこうして「あたご」からわざわざ人を連れてきているというのは重要な事実ですよ。そのことをなぜここで御説明されなかったんですか。

 さらに、二十六日、この日に判明をしていますが、午前中の答弁の中ではまだ実は同じようなことを言っている。彼から聴取しました内容については、当然三管、三管というのは海上保安庁ですね、三管の方にお伝えをし、共有をいたしておるものでございます。

 これだけ聞けば、事前に海上保安庁に伝えて、初めから諮ってやったように聞こえるじゃないですか。でも、事実は違ったんですよ。十九日には海上保安庁に伝えずに、そして呼んでいて、事後的に報告をしていたんですよ。そして、午後になってようやく、最後は、その午後の質疑の最終的には、はい、そうでございますということで、航海長と会ったことを、これを最後に率直に認められています。

 一週間たっているんですよ、一週間。この重要な情報を一週間大臣がお話をされなかったということに関しては、私は大きな責任があると思います。そのことを御答弁ください。

石破国務大臣 当然のことでございますが、航海長も乗組員でございます。乗組員から聴取をしてという中に、航海長も含まれるものでございます。それはもう当然御理解をいただけることだと思っております。

 そして、私が聴取をいたしたことは、私は今でもやるべきことであったと思っております。それをやらなくて、それが海上幕僚監部のみで行われた、あるいは内局を入れて行われたということになれば、それは、自衛隊員、事務次官も自衛隊員でございますから、自衛隊員たちだけで、大臣を入れずに勝手にやったということで、また別の観点で御非難を浴びるのだろうと思います。

 私は、文民統制の文民としてそこにいなければならなかった、いるべきであった、その当然のことをやったということでございます。そのことについて何ら隠し立てするものでもございませんし、いつ、どこで、だれが、どのようにして聞いたということよりも、何が事実であるかということが重要だということを申し上げておるわけでございます。

 もし、早く、だれが、だれから、何を、どのようにということを申し上げた方がよかったということがあれば、それはそちらの方がよりよかったということはあるだろうと思っております。しかし、私どもが行ったことが捜査に影響を与えたか与えないか。これは、松島副大臣がきのう答弁されたとおり、与えていないということを言っているわけですね。そのことは事実であって、それはこれから先、海上保安庁の捜査で明らかになることです。

 日本の国の捜査当局の厳正性というものは、私どもはきちんと担保されていると思う。そして、我々が、海上自衛隊として、防衛省・自衛隊として、その事故が起こったときに何が起こっているかということを把握することは、それは組織として当然なことであり、あるべきことです。

 その二つは両立をするものであり、委員が先ほど来、不信とか、そういうことをもって何をおっしゃろうとしているのか私にはよくわかりませんが、私どもがやろうとしたことは、それは捜査に影響を与えるものでもなく、組織として当然行うべきものであって、そして、私が、文民統制の主体として行うべきことを行ったということを先ほど来申し上げておるのでございます。

細野委員 大臣、国会の質疑の中で、二分前はどこから得たんですかと言ったときに、航海長を呼んで十九日に聞いてこれこれしかじかだったんだという話をされるべきだったんですよ。それが大臣の責任だったんですよ。

 今回、いろいろな経緯の中で、大臣が防衛省の中のいろいろな動きとも戦っておられることは私もわかります。いろいろな情報リークも含めて、内部改革をやろうという意欲も、これもよくわかります。ただし、大臣、情報を出さない、そのことを言わないということは、重要な事実を言わないということは、それそのものが情報操作です。

 大臣は、二十二日の答弁の中で、情報の操作をするということが行われているとするならば、それは大臣として責任をとるものでございますと、はっきりここまでたんかを切っているんです。最後は、これは大臣御自身が判断すべきものであるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

逢沢委員長 この際、笠浩史君から関連質疑の申し出があります。前原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、またこのイージス艦衝突の事故についてお伺いをしたいと思っておりますけれども、一点、その前に、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 このイージス艦の情報流出問題で、きょう一部報道で、この取り調べを受けていた海自の三佐が、部隊に戻る途中、逃走を図った、行方不明になった、情報を持ち出したという報道がございますけれども、事実関係だけ、大臣、お聞かせをいただきたいと思います。防衛大臣。

石破国務大臣 そのような報道があることは承知をいたしております。

 そのような者がおったかどうかということについてでございますけれども、現在、そのような事実の有無も含めまして、コメントを行うことを控えるべきものというふうに考えておるところでございます。

笠委員 大臣、これだけ今イージス艦の問題が大きな問題になって、しかも、海自の不祥事が続いているわけですよ。これはやはりしっかり確認をされていなければおかしいですよ。まさに中の問題ですから。

 これはちょっと確認をして、また、この場じゃなくても結構でございますから、しっかりと事実関係について、何らかの形で速やかに公表をしていただきたいと思っております。

 本日は、このままイージス艦の衝突事故についてお伺いをいたしますけれども、まずもって、まだお二人の吉清さん親子が見つかっていないということで、冒頭、しっかりと引き続き捜索をしていただけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 総理、冒頭に、まず最初にお伺いをしたいんですが、先ほど来、私どもの同僚の議員から、例えば、今回の事故が起こって、総理大臣やあるいは石破防衛大臣等々に対する第一報の入るおくれ、あるいは、先ほど来ありました、漁船を確認できたのがまず二分前だった、それが新たに十二分前、こういう情報に訂正をされた。そういった、さまざまな情報の混乱あるいはおくれというものについて、私は、多くの国民の方々が不信感を持たれていると思う、防衛省に対して、あるいは政府に対して。

 率直に今、総理が、この十日間たって、これまでの防衛省等々の対応について、どのようにお感じになっているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 事故が起こったことにつきましては、これはもう全くあり得べきことでないことを起こしてしまった、そういうことについて大いに反省をしなければいけない、また当面捜査に全力を挙げるということは当然のことでございます。そういうことで、遭難をされた方々の御家族の気持ちなども考えながら対応してまいりたいと思っております。

 今回、この事故が起こった後の対応について、いろいろの御批判があります。そういう対応の仕方については、これは情報の連絡も含めまして適切でなかったということはあったのではないかと考えております。

 今現在、いろいろな調査、捜査をしておる最中でございますから、具体的なことは申し上げませんけれども、危機管理の基本であります情報連絡、こういうことについても、もっとしっかりやらなければいけない。そしてまた、この情報管理、毎日のようにメディアを騒がせておるというような情報管理体制というものを含めまして、今後いろいろと考えていかなければいけない。そうでないと、この巨大な組織を規律正しくきちんと統制していくことができるかどうか、そういうふうなことも考えていかなければいけない。そのために、今般は防衛省改革会議というものがございますので、そこで十分議論をさせていただきたいと思います。

笠委員 私、今の総理の答弁をお伺いしていて、総理も感じられていると思うんですけれども、この間、一方で防衛省があるわけです。そして、一方で捜査を進める海上保安庁がある。そして、そこでお伺いを立てる、あるいは相談をする、調整をする。そして、調整をするから時間がかかって、出せない等々のさまざまな、これが混乱をやはりもたらしているわけですよ。立場が違いますから、防衛省と海上保安庁。

 ですから、やはり総理が自衛隊の最高指揮官でございますから、私は、もっと官邸がしっかりと間に入って、そしてリーダーシップを発揮して、やはり、指導するなりあるいは調整をするなり、情報についても、では何を公表していくのか、あるいは、これは情報公開できないんだ、公表できないんだ、そういったところで、もう少し総理が当事者意識を持ってやっていただかなければならないのではないかと思っております。いかがですか、総理。

町村国務大臣 あの事件が発生をした日の夕方、事務次官を呼びまして、出すべき情報は出さなきゃならないけれども、しかし既にその時点では、海保による捜索が始まっておりました、したがって、捜査に支障のない範囲において、発表においては、よく打ち合わせをして、客観的事実等々について発表して差し支えないものについては出すようにということを申し上げました。

 そういう指示をし、また、さらに金曜日以降、どうも依然として、捜査と調査あるいは事実関係の公表などについて考え方が十分されないで情報が断片的に出ていったという様子がさらに見受けられたので、改めて、両省、海上保安庁と防衛省を呼んで、この間の調整をするというようなことをやっておりまして、私どもとしては、必要な調整はしっかりやってきたつもりでございます。

笠委員 いや、必要な調整をした結果、このような事態を招いているということは、やはりこれは政府全体の問題になるわけですよ。調整してしっかりやっているんだったら、これだけの混乱は招きません。

 今から幾つか具体的に、先ほどの細野委員の質問も受けまして、防衛大臣に確認をしていきたいと思います。

 私は、ちょうど今週の月曜日、二十五日に、当委員会において石破大臣とこの問題について質疑を行わせていただきました。そして、今問題になっている漁船の発見、二分前、いつ大臣がそれをどこからお聞きになったのか、あるいは、その後、一転して十二分前という情報が出てくるわけですね、これについてはどうなのかということで、大臣は、その時点では記録がないということで、後ほど速やかに報告するということで、ちょうど二十五日の夕方、大臣の指示を受けた事務方の方が私のところにも説明に来られました。

 そして、夜、防衛省でも詳細が発表されて、この詳細というのは、午後五時十四分、海上幕僚監部に報告があって、十九日の二十時半に大臣に報告があって、そして、二十三時から翌朝の二時四十七分までの間に精査をして、この十二分前情報というものが、朝、二十日の八時半に改めて大臣に報告をされたということを伺っております。それはこれまでも大臣が答弁されております。

 ここで問題なのは、では、この八時半以降、大臣が一報を耳にされて確認作業をしてからの翌日二十日夕方五時までの間に、自民党の国防部会で大臣がこの十二分前という情報を初めて公表されたその二十時間ではなくて、朝八時半、もう確認された情報がそれからなぜ夕方五時まで公表されることがなかったのかということなんです。

 大臣、そのことについてまずお答えをいただきたい。

石破国務大臣 これは、八時半から、私に対しまして、海上幕僚監部が再確認した内容、すなわち、報告の内容が不鮮明な部分がありましたので、再確認が必要だったというのは委員が今おっしゃったとおりです。

 これは、八時半に一分で会議が終わったわけではございません。それから一時間半ないし二時間ぐらい、そのほかのこともございましたが、何せ次の日のことでございますから、いろいろな対応等々含めまして、八時半から、たしか私の記憶では十時半ぐらいまで会議をしておった、もちろんみんな出入りをしておりましたが、そういうものであったというふうに記憶をいたしております。

 それで、その後どうなっておるんだという話でございますが、二十日のこの内容でございますけれども、同日午後一時五十一分、私どもの運用企画局事態対処課の担当の者から、海上保安庁警備救難部刑事課担当に対しまして、ファクスにおきましてこの内容を記載しました公表資料案というものを送付いたしました。私どもでこのように確認をしたけれども、このことを公表することによって捜査に支障はありませんかということは、当然お尋ねをしなければならないものでございます。この時間が一時五十一分でございます。この後、午後二時三十分、この刑事課長さんから防衛省の担当に対しまして連絡があったというものでございます。

 その後、所要の調整、委員は報道に長くおられましたから、こういうことを出す場合に、これが正しいか、そして出してよいかということにおいて幾つかのお話がなされるということは御案内のとおりでございます。それに時間を要しておったというものだというふうに私は理解をいたしておるところでございます。

笠委員 大臣、私、これはやはり認識の問題だと思うんですよ。その事の重要性、この日の十七時から行われた、ちょうど大臣がこのことを部会でお話しされている時間帯に、防衛省で報道官の会見が行われています。

 その中で、ほかにもさまざまに判断を仰がなければならないことがあって、対応に追われていたので、実際に対外的に動き始めたのはお昼過ぎからになったと。今、大臣が、十三時過ぎの時間帯をおっしゃいました。三時以降にも差しかかるような形で調整が続けられたと聞いていると。したがって、官邸への報告もそれ以降になったと。官邸への報告も夕方になっているんです。

 大臣、これが初めての、二分前の情報が前の日に出ていなければ別ですよ。でも、それを訂正する、要するにまた新しい情報が加わる、十二分という情報が入ったのであれば、何でこれを最優先して確認させないんですか。では、海上保安庁とも早急に、何よりもまず先に、このことを最優先してしっかりと調整してこれを発表するというような指示をされないんですか。その点についてお答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 報道官の、今おっしゃっておられるのは十九日でよろしいですね。二十日ではなくて、十九日のお話をなさっておられるのでしょうか。日にちについて、済みません、お教えをいただければと存じます。

笠委員 済みません、二十六日です。要するに、このことが明らかになった後に経緯を説明しているんです。

石破国務大臣 二十六日という御指摘であれば、またその背景等々調べましてお返事をさせていただきます。

 ただ、委員御指摘のように、何を公表するか、どれを海保との調整を急ぐのか、ごめんなさい、私の能力が足りないせいでしょうけれども、あの十九日、二十日の、いろいろな情報が入ってくる。第一に優先するのは遭難された方々の救助である。そして、海保とのいろいろなやりとりもある。そして、自民党あるいはマスコミの方々、いろいろな方々と対応せねばならないという段階で、私がすべてその判断の優先順位までなし得たかといえば、それはなし得なかった部分があるかもしれません。

 後になってみれば、ああすればよかった、こうすればよかったという反省はございます。それはまた残していかねばならないものだというふうに考えておりますが、ああしておくべきだったという委員の御指摘は、それはそれとして私自身よく検討してみたいと思っております。

笠委員 冬柴大臣にお伺いします。

 幾つか防衛省の方から、ファクスでなんですよね、主にファクスでその時々海上保安庁の方に報告が行きますけれども、それに対して海上保安庁としては、やはりこれはファクスで返して、例えば、この情報は公表していいんだとか、あるいはこの情報は控えてもらった方がいいとか、そういうことを逐次、各案件について回答されているんでしょうか。

冬柴国務大臣 海上保安庁法十条で私は海上保安庁長官に対して指揮権を持っておりますが、これは個別事案についてはそれは及ばないというのが、一条に私が海上保安庁を管理するということが書かれてありまして、そういうのが通説でございますし、私はそれが妥当だと思います。

 というのは、海上保安は海上における刑法あるいは刑事訴訟法に基づく司法警察官としての役割を担っているわけでございますから、それの捜査というものは検察庁法における法務大臣の検事総長に対する一般指揮権よりももっと狭く考えるべきだということになっております。警察のように、それもそうだと思います。

 したがって、今の個別事案に対するお尋ねですので、長官も出席をさせていただいておりますので、その点について答弁をさせます。よろしくお願いします。

岩崎政府参考人 私ども海上保安庁は、捜査をする立場でございます。それから、防衛大臣も答弁されておられますように、防衛省としては、防衛省として内部で起こった事実を把握され、それを公表されるということで、立場が先生もおっしゃるように違います。

 私ども、来たものについて、これは客観的事実であるかどうかというようなことについては、それは防衛省の方にお答えをしておりますけれども、事故の核心となる部分について、これは正しいですよとか正しくないですよ、こういうことを申し上げる立場でもございませんし、また、これは捜査の中立性からいっても適正ではないと思っております。

 そういう意味で、そういう形でのいつも対応をさせていただいておるところでございます。

笠委員 ということは、長官、確認しますけれども、先ほどありましたような、例えば十二分前に発見しましたよというような話であるとか、さまざまこれまで防衛省から相談を受けていると思うんです、連絡が行っていると思うんです、ファクス等々で。そういうことについては、一つ一つ、海上保安庁としては、いや、これは出していいですよとか出しちゃだめですよとか、一切見解を示していないということでいいんですね。

岩崎政府参考人 特に十九日、二十日は、まだ私ども捜査を始めた段階でございます。それから、そうしたことについては、今まさに捜査で解明中のことでございますので、その二分、十二分のことについては、個別についてそれぞれ判断して申し上げたことはございません。

 ただ、繰り返しになりますけれども、公表されるということは、防衛省のお立場で、防衛大臣のお立場で内部で知り得た事実を発表したいというのも一つの考えだと私は思っておりますから、それはおやりいただいて結構ですということは申し上げました。

笠委員 防衛大臣はこれまでの答弁の中で、本当に、情報の公開については積極的にやりたい、しかし一方で、捜査の厳正、公正性、これを確保しながら、この両立をしっかりと図っていかないといけないということをおっしゃって、一つ一つの案件についてお伺いすると、重要な案件であるほど、いつも、海上保安庁の方との調整で時間がかかっているというようなことをおっしゃっているんですけれども、だって、もともと海上保安庁は、何を聞いても、これは捜査にかかわることがほとんどですから、見解を示すことができないんですよね、発表していいですよとか公表していいですよとか。今の答弁はそういうことでしたよ。

 だから、報告するのはいいんですよ、防衛省から。しかし、そんなに時間がかかる話じゃないし、むしろ、防衛省内あるいは大臣が官邸と調整をしてとか、あるいは国土交通大臣と調整をしてとかという動きをされているなら別だけれども、何か、海上保安庁、海上保安庁ということでこのおくれについての弁解をされているような気が私はしてならないわけですよ。むしろ、やはり省内の方に、体制に問題があるんじゃないかという気がいたします。

 次にお伺いをしたいんですが、今、三つのことを事実として防衛省は発表している。これは、事故が起こった直前、後進をかけて衝突回避を図ったんだ、つまりはバックをするという切りかえをした、そして、自動操舵から手動操舵へ一分前に切りかえたんだ、変更したんだ、それと、当時の航行速度は十ノットだった、こういう重要な、まさに捜査にかかわるような情報を防衛省としては発表されているわけですね。

 大臣、これはすべて海上保安庁の方に確認をしたんでしょうか。あるいは、先ほど来の案件と同じように報告をしたんでしょうか。

石破国務大臣 十ノットの航行、あるいはオートから手動への切りかえ、後進の命令の三点についてのお尋ねがございました。海保と調整をしたのかということでございます。

 ここは、調整というのか、協議というのか、合い議というのか、相談というのか、いずれにしても、これを外へ出していいですかということについてのお話というものはこの三点ともいたしたものでございます。

 なお、十ノットで走りましたということにつきましては、ごめんなさい、ちょっと答弁を訂正いたしますが、十ノットでの航行につきましては、公表に当たり海上保安庁と調整をいたしておるものではございません。これは防衛省の責任で行ったものでございます。

 ただ、この速度につきましても、極めて重要なファクターでございますので、海上保安庁の捜査に全面的に協力をしなければならないという立場から考えました場合に、この調整は必要であったというふうに思っておるところでございます。

笠委員 大臣、今の三つの公表されていることについて、間違いないと言い切れますか。

石破国務大臣 これは捜査が行われておるものでございますので、委員も既に御案内のことかと思いますが、いろいろな記録装置がございます。これは何度も申し上げておることでございますが、私、きのう乗ってみて、何が記録をされているのか、何がされていないのか、何が自動的に記録され、何が人の意思を介して手動に切りかえなければ記録をされないのかというのを見てまいりました。それは、きのう乗りました「あけぼの」という船と、また「あたご」とは違うものを搭載いたしております。

 それが間違いないかどうかという点につきましては、海保において捜査が行われておるものであり、その中には記録が電磁的に残っておるものもあるのではないかというふうに思っております。あくまで一般論でございまして、断定的に申し上げているものではございません。

笠委員 いや、私は、公表する情報、何を基準にしながら防衛省は情報を公開しているんだろうというのが常々、この十日間、わからないんですよ。

 というのが、今のような話、私が今なぜ三つのことを申し上げたかというと、海保は何もまだこの捜査結果を出しているわけじゃない、これは防衛省が出しているけれども、明らかに、まさに回避をした、衝突を回避するための行動をとったと言われるような情報じゃないですか。衝突回避へ向けて。そうでしょう、衝突回避へ向けた行動にかかわる情報ですよね。しかし、まさに、だからこそ、これは本当に捜査ということを考えるのであれば、極めて慎重でなければならない。これが、早いタイミングで情報がすべて出ているわけですよ。

 何か、自分たちに都合のいい情報は出して、そして、もっと言えば、先ほど、この事故が起こった日の十九日に、十時から、そして十二時からは大臣も入って報告を受けていたというようなことについては、ずっと、その中身は別ですよ、きちっとそういう事情聴取を、防衛省に呼んで航海長から受けていたんだということすら発表していないわけでしょう。

 そこで何が話されたということではなくて、防衛省としては、私は、大臣おっしゃるように、やっていいと思うんですよ。それはもちろん海上保安庁に連絡をしておくことの方が、私はそれは当たり前だと思う。しかし、これをやっちゃいかぬということじゃないと私は思うんですよ、当然。

 ですから、なぜそのことをきちんと、数々の記者会見等々があるわけですよ。海幕長だって、その日十二時から大臣室で一緒に聞いていたわけでしょう。事情聴取をしていたわけでしょう。そうしたら、その後、一時から記者会見があるわけですよ。そうしたら、我々はまず防衛省としての対応で、きょうはこういう事情聴取をした、しかし、中身については捜査にかかわる部分もあるので言えないと。なぜそのやったことを隠すんですか。私はそこが、基準がおかしいと言っているんですよ。大臣、お答えください。(発言する者あり)

石破国務大臣 隠していません、それは。

 先ほど来、できれば質問者以外の方の御発言はお控えをいただくべく、委員長からお話をいただきたいのですが。私は質問者のおっしゃっていることにちゃんと答えたいと思っております。

 それは隠してなんかおりません。私どもとして、それは、では事実、言葉にすれば、客観的な事実であって捜査の核心に触れないものというのは一体何なんだろう。例えば、この船が何トンでありますとか、あるいは個人情報等の問題はありますが、艦長の名前は何の何がしでありますとか、その日の温度は何度でありますとか。あるいは温度だってひょっとしたら捜査のどこかに触れるかもしれませんですね。何を言ってよくて何を言ってはいけないかということは、私ども、物すごく悩むところでございます。

 同時に、防衛省は隠しているじゃないか、何にも言わないじゃないかという御批判は、私は防衛省のためにも、自衛隊のためにも、国家のためにもならない。もし、そうだったら、一切言わない、すべて海保に聞いてちょうだいということを言いました、私は。だけれども、そういうことはあるべきではないというふうに私は思いまして、このようなことをやっております。

 もしそういうような、少しずつ出ていることが小出しであるとか、矛盾することはありますよ、矛盾じゃないな、食い違うことはありますよ。時間が違うし、聞いている者が違うのですから、当然違うことはあるでしょう。委員も報道でそういう経験はなさったでしょう。それを隠ぺいだというふうにおっしゃる、小出しだとおっしゃる。であるならば、それはすべて海保にお聞きください、自衛隊としては一切何も申しませんと言う方が、それはよろしいのだろうか、あるいはそんな気がしないでも私はありません。ですけれども、私どもとして、隠しているとか隠ぺいしているとか、そのようなことはないのであります。

 委員がおっしゃいますように、では何でもっと出さないんだということでございますけれども、その日のうちにこの「あたご」は横須賀に回航し、海保の接触になっておる。私どもは接触を自発的にしないことになっておる。したがいまして、入っている情報には物すごく限りがございます。そして、現時点において私どもは、現時点においてという言い方を取り消せば、横須賀に回航した時点で、私どもとして、「あたご」の乗員との接触はいたしておらないところでございます。ですから、私どもから出ます情報というのは、現在外に出しておるもの、それで全部であります。これ以上、私どもから物が出ることはございません。

 その中で、どれをどうすべきであったかということは、何が客観的なファクトであり、そして何が捜査の核心に触れないか、どれがそうであったか、そのことをどう判断すべきであったかということは、今後私どもの方で検証していかねばならないことだというふうに思っております。ですけれども、私どもとして一番重んじなければならないのは、隠ぺいとかそういうことはもってのほかで、論外で、そんなことはないように厳に指導しておりますが、同時に、一番重んじねばならないのは、捜査の公正であり、厳正である、それは絶対に侵してはならないものだ、そういう認識は私どもすべて持っているものでございます。

笠委員 大臣は繰り返し、隠ぺいしていないんだ、隠していないんだ。それは大臣はそうでしょう。しかし、今大臣、おかしいですよ、やはりおっしゃっていることが。

 例えば、先ほど言ったように、速度であるとかあるいはいつ漁船を発見したのか、そういったことというのはまさに捜査にかかわる話で、私が言っているのは、防衛省がどういう対応をしていますよというのは、防衛省は捜査機関じゃないんですよ、そういったことについては速やかに、その時々で報告していいじゃないですか、会見で聞かれたって。そこでどういう情報が出てきたのかということについては、確かに、出せるものと出せないものがある。それはわかる。しかし、初動対応として、十九日に航海長を海幕長が呼んで、大臣がそのことを昼前に知って、自分もそこから報告を受けた、そこに幹部がずらっと、大臣室でまず状況について説明を受けたということをなぜ発表しないんですかということを言っているんです。

 大臣の会見では、大臣は隠していないかもしれないけれども、よく精査してくださいよ。海幕長であるとか事務次官、とんでもない会見ばかりしているじゃないですか。知っているのに答えていない。そうでしょう。だから、防衛省全体が、幾ら大臣が隠ぺいしていない、隠していないと言ったって、結果として、こういう後手後手の対応になっているんですよ、混乱を招いているんですよ。

 大臣、大臣はそれは一生懸命でしょう、出したいでしょう。しかし、海保にもとめられる、出せない、そういう思いは伝わってきますよ。しかし、大臣がやるべきことは、役所をまさにきちっと正常な形で機能させることじゃないですか。そうでしょう、大臣。しっかりとやってくださいよ。

 そして同時に、総理、やはり……(発言する者あり)いや、私は大臣は頑張っていると思いますよ。しかし、結果責任ですから。ですから、これは今限界があるんです。一方で海上保安庁があって、防衛省としてもさまざまな制約がある中で、すべてを防衛大臣に判断しろといったって、これは無理ですよ。だから、総理、官邸がしっかりとやはりその中心に立ってうまく調整をしていかなければ、防衛省から出てくる情報によって、国民の皆さんが本当にこれはおかしいじゃないかというような、結果としては防衛省の対応のまずさになっているんです。総理、いかがですか。

福田内閣総理大臣 防衛省も、危機管理に、特にこの事故の起こった後の危機管理について真剣に考えて全力投球している。しかし、いろいろ問題はある。それは、その都度判断をしなければいけないことはたくさんある。それを適切に判断していけばいいのでありますけれども、時にはそうでないときもあるかもしれない。しかし、それは、流れの中で大きな間違いをしてはいけないというように思いますけれども、今まで問題が全くないというわけではないけれども、きちんとやっている方だというふうに私は思っております。

 それを、また官邸の方でしっかり支えなければいけないじゃないかと。それは支えておりますよ、見えないかもしれませんけれども。先ほど官房長官も答弁したけれども、官房長官も一生懸命相談をしながらやっておるわけでございまして、それがまた表に出てくると、どこが指揮しているかわからなくなってしまう、こういうこともありますからね。それは、見えないところで一生懸命やっておる、政府挙げてやっているんだ、こういうように御理解をいただきたいと思います。

笠委員 二十年前の「なだしお」の、まさにあの事件が起こったときには、たしか当時の運輸大臣が今の石原慎太郎都知事だったと思います。このときは、運輸大臣を本部長にした政府対策本部を早急に立ち上げたんですね。ですから、私は、海上保安庁と申しわけないけれども海自、それは昔ながらの関係がいろいろとあるでしょう、しかし、今まさに一体となって取り組まなければならないときに、やはりここは、防衛大臣、あるいは国土交通大臣、そして官邸が一緒になって、ある程度連携をする形で対応していくような体制をぜひ整えていただき、今後の対応に当たっていただきたいと思います。

 時間の方が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。

逢沢委員長 これにて前原君、武正君、細野君、笠君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、イージス艦の衝突事件について聞きます。

 軍艦が漁船に衝突し沈没させるなどということは、絶対にあってはならないことです。防衛省・自衛隊に対して強く抗議します。同時に、吉清さん親子は今も行方不明のままであります。お二人の捜索に政府が全力を挙げるよう、強く求めます。

 問題は、なぜこのような衝突を引き起こしたか、その真相の究明でありますが、まず総理に確認しますけれども、海上保安庁は、刑事責任を追及するため、事実を究明し、徹底した捜査を行うべきであります。同時に、衝突を引き起こした防衛省・自衛隊には、みずから原因を究明し、国民の前に事実を明らかにする責任があると思いますが、どうですか。

石破国務大臣 委員長の御指名をいただきましたので。

 るる答弁をしておりますが、海上保安庁において今捜査が行われているものでございます。私どもも委員会は立ち上げておりますが、これが調査ができるような段階になりますれば、私どもの方としてきちんとした調査を行いたいというふうに思っております。それは、今までの事故の例におきましても速やかに中間発表をした例もございます。

 当面、捜査当局に全面的に協力をし、状況が許す段階になれば、私ども防衛省として、この事故の原因というものをそれなりに解明し、究明し、明らかにしたいと考えておるところでございまして、防衛省として早く明らかにせよというふうな委員の御指摘でありますと、現在、海保において捜査が行われているというような答弁に相なるものでございます。

赤嶺委員 私は、この衝突事件が起こって以来、何度も防衛大臣とは質問をやりとりしてまいりました。ですから総理に聞きたかったわけですが、防衛大臣の言い分はいつでも、海上保安庁から捜査の核心に触れるような内容の公表は控えてほしい、このように言われているということで、明らかにすべき客観的事実の公表すら拒んできているわけですね。

 そこで、私、海上保安庁に聞きますが、防衛省に対して、客観的事実を明らかにすることまで控えてほしい、このように申し入れているんですか。

    〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

岩崎政府参考人 私ども、二月の二十三日に防衛省に申し入れました内容につきましては、事故の捜査の核心に触れる内容について公表を差し控えていただきたい、客観的事実でありますとか一般論をとめるものではないという趣旨でお話をさせていただいているところでございます。

赤嶺委員 つまり、客観的事実や一般論については公表を差し控えるようなものではない、海上保安庁はそう述べているわけですが、ところが、この間、大変重大な問題、事実が明らかになりました。衝突があった十九日当日、イージス艦の航海長をヘリで防衛省本省に呼び出して、石破大臣みずから事情聴取をしていたということが明らかになりました。にもかかわらず、その事実を、この一週間、一切明らかにしてきませんでした。

 石破大臣に聞きますが、一週間、事情聴取したことを隠してきたその理由は何ですか。

石破国務大臣 いや、それを隠したという評価をされますと、これはもう委員のお考えということに相なりますが、私自身として、隠したというつもりは全くございません。私どもとして、それを聞くということは当然のことであり、そしてまた、まさしく委員御指摘のように、それが、当日、航海長というものを呼ぶということでありとせば、それはむしろ私が聞くべきものであった。

 私ずっとけさから答弁しているのですが、もしそれがやましいこととか、あるいは法に反することとか、捜査を妨害することであるとかいうことであれば、隠すインセンティブ、動機もございましょうよ。ですけれども、これは、本来やらなければならない、私がやるべきものであったとするならば、委員の表現をかりれば、「隠す」みたいな動機は私には何もございません。

赤嶺委員 石破大臣、事情聴取してきたことを国民の前に一週間言ってこなかったんですよ。言ってこなかったその理由を聞いているんです。

石破国務大臣 それは、言ってこなかったということは事実でございます。別に、それを隠したという否定的な評価にそれがなぜなるのか、私にはよくわかりません。当然のことを当然のように行ったというものでございます。

赤嶺委員 私は隠したと思いますが、石破大臣は言ってこなかった。その言ってこなかった理由は何ですか、一週間。

石破国務大臣 これは、先ほど来お答えをしておるとおりでございますが、それは、私として、行いましたということを言った方がよりよかった、今のような、隠しているとかそういう評価をいただくのであるならば、それは、当初から言った方がよろしかったと御指摘を受ければ、そのとおりだと私は思います。

赤嶺委員 私、本当に、これで説明責任を果たしていると国民は絶対に納得しないと思いますよ。

 石破大臣、あなたは、国会で、乗組員との接触はしていないと答弁していたわけですよ。しかし、一方で航海長と接触していた。だから、乗組員と接触していないというのはうそではないですか。これはうそですよ。何でうそをついたんですか。うそをついた理由も聞かせてください。

石破国務大臣 それは、そのように、この人はうそつきだというふうに思い込めば、それは何を言ってもそういう話になるのでしょう。(発言する者あり)しかしながら、いいですか、落ちついて聞いてくださいませよ。私どもの方として、いろいろな情報を出しておりますね。そして、それは乗組員と接触をして明らかにしたものだということを申し上げておりますね。私どもとして、乗組員に接触をしないで、千里眼でもございませんし、人の心を読むわけでもございませんし、どういう状況かなぞということが言えるはずもないのでございます。

 乗組員と接触をした上で申し上げているものが、つまり、十九日及び二十日に衝突当時の状況を取りまとめて公表しておるものでございまして、これは、「あたご」の乗組員から聞き取りを行っていることが前提です。聞き取らなくて何でそんな発表ができるんですか。聞き取っているからこそ公表できるわけでしょう。聞き取って公表している。聞き取っていないということを重野委員に申し上げましたのは、その時点で船は横須賀に回航され、任意で海上保安庁の調査が行われており、調査の厳正、公正を確保するために、私どもとして、現状において乗組員との接触は行っていないということを申し上げている。

 ですから、先ほど来、場外発言をされる方が大勢いらっしゃいますが、全部、委員会のやりとり、前後の応答、それを見て物事をおっしゃっていただかないで、うそつきとか、そのようなことを断定でおっしゃられますと、それは非常に私としては困惑をするところでございます。

赤嶺委員 場外の発言を気にしているようですが、私は、この問題では一番数多く石破大臣とやりとりをしておりますし、全体をつかんでおりますよ。石破大臣は、捜査の厳正性のため、現時点では乗員に接触していないということを二十五日の予算委員会ではっきり答弁しております、さっきも申し上げておりましたが。

 それで、さっき石破大臣は、防衛省において一刻も早く事故状況を把握し、対外的に説明するための行動である、このようにおっしゃっておりますが、そうであれば、一週間も隠す必要なんかなかったんじゃないですか。聴取したことを隠していたわけでしょう。聴取していたことは隠していたんですよ。だから、やはり何かやましいことがあったからということになりませんか。

石破国務大臣 ですから、隠していたという前提でおっしゃる。言わなかったことを、それはおまえ隠していただろうということなんですが、何で隠す必要があるんですか、これ。隠す必要なんか何もない。当然のことを当然のように行っていることなので、それは私がですねということをあえて言うまでもない。

 ただ、そういうふうにおっしゃられるとするならば、ああ、最初から言っておけばよかったな、当然のことを当然として行ったのだけれども、そうであるならば、あえて申し上げておきますがということ。それは、やはり私が行った、当然。

 これは委員とは文民統制の考え方が違うのかもしれませんが、私自身が、大臣が当然聞くべきだ、それは当然のことなのだという意識がありましたので、当然のことを当然に行うということでございます。(発言する者あり)

遠藤(利)委員長代理 委員外、御静粛にお願いします。

石破国務大臣 ついでに申し上げておきますと、二十五日のお話がございましたので申し上げておきますと、二十五日の笠委員の御質問に関しまして私はこのように答弁をいたしております。

 十九日の事故直後のものでございます、これは「あたご」の乗組員から聴取をした情報でございます、二十日に発表しました情報につきましては、その後、それとは別に聴取した情報を発表したものでございます、だれの何がしということは申し上げられませんという答弁は、二十五日にいたしておるものでございます。

 それはおまえが聞いていたんだ、石破が聞いていたんだ、それを言わなかったことはけしからぬのだと言われれば、それは言っておけばよかったなという反省はございます。

 では何を聞いたんだということにつきましては、それは海上保安庁に対しましてこういうようなことであったということをファクスで送ったということは、この委員会でも、あるいは安全保障委員会でも申し上げておるとおりのことでございます。

 私は、当然行うべきことを当然行うべき者が行ったということについて、それを隠すなぞという必要性はどこにもないものだというふうに今思っておる。ですから、であればこそ、それは言う必要もなかったことであるけれども、そういうような隠したとかうそつきとかいう話になるのであるならば、それを早くから言っておけばよかったというような認識は今持っておるところでございます。

赤嶺委員 「あたご」の艦船の中からヘリで航海長を事故の当日運んで事情聴取した、それは当然のことをやったまでで国民に説明する必要はない、そうおっしゃっているのと同じですよ。

 さっき海保には説明したということを言っておりましたが、石破大臣が「あたご」の航海長を大臣室に呼びました。あなた自身が事情聴取をしております。あなたはその際にどんな質問をしたんですか、航海長はそれにどう答えたんですか。

石破国務大臣 委員が私の立場であられたとすれば違う判断をなさったでしょうか。

 それは、そこにおいて、これは、例えば一党独裁国家におきましても文民統制というものは存在をいたします。それは、軍が統制をする側の意を離れて勝手に動いてはいかぬ。それは、共産党と呼びますか、一部の国の言葉では政治将校という言葉というふうに聞いたこともございますが、そういう者が聞くことも必要だ。それは、何が行われているかわからなければいけないということで。

 ですから、当然のことを当然のように行ったのだから国民に向かって説明する必要がないというふうにおっしゃっておられますが、私は、そういうことは行う必要がある。そうでなければ、自衛官が、あるいは自衛隊員が政治の統制を離れたところで何をやったかわからないというような話になってしまう。それをとめるのが私は防衛省に政治家としている者の責任だという信念は、私は以前の長官のときから強く持っておるものでございます。

 何を聞いたかというお話でございますが、その内容は、海上保安庁にお送りをしたとおりであり、そしてまた、当日の五時に発表したとおりのものでございますので、ここで委員のお時間をとって繰り返すことはいたしません。

赤嶺委員 全く、答弁に詰まってしまったら他党の攻撃まで言い出してくるようなものは、本当に大臣として情けないですよ。私たち日本共産党の立場というのは綱領でもはっきりしていることです。きょうはこういう論争はしませんが、全く情けない姿勢だと思います。

 何を聞いたか、そしてどう答えたかというのは、海保に言ったとおりだ、それから、その日の五時に説明しているとおりだというわけですが、航海長は、漁船を確認したのはいつだと言っていたんですか。

石破国務大臣 このことについてどうかということでございますが、恐らく、「あたご」の航海長は大臣室で、衝突二分前に漁船を視認したという話をしたのかというお問い合わせであるとするならば、それは、航海長が大臣室で話したということではございません。先ほど来クロノロジーが出ておりますが、大臣室で聞き取りをいたします前に海上幕僚監部で聞いております。そして、そのことは、運用企画局から海上保安庁に出し、そしてまた、私が五時に発表したとおりの内容でございます。

赤嶺委員 大臣室で航海長に大臣は、衝突の時間などについて確認しなかったんですか。

石破国務大臣 衝突の時間が四時七分というのは、これは公然の事実でございます。確認をしたかというのは、君は四時七分に衝突したということを確認したのかね、そのように認識をしておるかねというような質問をしたのかねというお尋ねであれば、私は、そのような質問はいたしておりません。

赤嶺委員 衝突までの経過について、大臣がこれまでるる繰り返してきた、二分前に緑の明かりを見て、一分前に近づいてきて、そしてそれが漁船だということで、四時七分に衝突した。その経過を航海長は話したんですね、大臣室で。

石破国務大臣 これも繰り返しになって恐縮でございますが、航海長が話したということではなくて、その前に海上幕僚監部で聞き取りを行ったということを、先ほど来、何度も何度も申し上げておることでございます。そこにおいて、こうであったという説明が行われたということでございまして、航海長からそのような申し述べがなされたということを言っておるわけではございません。

 いずれにしても、内容に差があるものではございませんので、だれが言おうと、その内容に変わりがあるものではありません。

赤嶺委員 大臣、私が聞いているのは、大臣の部屋で、大臣は航海長と一時間話し合っているんですよ。どんな質問を大臣が行い、航海長は何と答えたか、それを聞いているんです。

石破国務大臣 それは、いろいろな想像は可能でございますが、話し合ったというような表現が当たるような状況ではとてもございません。

 そこにおいては……(発言する者あり)よろしいですか、大臣室という、それが例えば地下三階の中央指揮所とか、あの防衛省のことですから、いろいろなところはございます。しかしながら、私が、大臣室という、本当にある意味、全くだれの目にも触れるとは申しませんけれども、私の責任が一番はっきりする部屋で行ったということ、そしてまた、そこには、航海長、統合幕僚長、そして海上幕僚長、事務次官、あるいはそのほかの者、そういうような者もすべておりました。そういうところで、一時間話し合ったということはございません。そこにおいては、先ほど来お話ししているように、海上幕僚監部から話があり、聞き取りがあり、そしてその内容が説明されたということでございます。私から、あれはどうだった、これはどうだったというような詳細な質問をしたというような記憶はございません。

 そこにおいて、ある程度、これはどう、あれはどうというようなことは尋ねましたが、それを整理したものを海上保安庁に送り、そしてまたそれを発表したというものでございまして、そこにおいて、言ったものを変えたとか、それに手を加えたとか、そういうことは一切ございません。

 もしそういうことがあったとしても、それは、海上保安庁の厳正な捜査の中でそんなものはすぐに明らかになるものでございますし、客観的な証拠というものもたくさんある。いろいろなものが数値として、記録として残っているときに、そんなものに手を加えるとか、捏造とか改ざんとか、そんなものができるほど世の中は甘いと私は思いません。

赤嶺委員 何も説明しないで、捏造とか改ざんとか言われるのは心外だと言ってみたって、国民の信頼を得られるものではありません。大臣室での事情聴取の中身もはっきりしない。

 それで、私はこの前の委員会でも要求をしたんですが、いろいろな説明を聞いても、答弁はころころ変わっています。そして、防衛省の言い分も記者会見のたびごとに変わっています。ですから、まだ国民は、どういう状況で衝突したのか、客観的な事実がわからないわけですね。客観的な事実がわからなければ真相究明はできないんです。

 捜査中であっても客観的な記録は存在しています。二十六日の安全保障委員会で、私の質問に対して防衛省は、「あたご」には艦船の航行情報に関して逐一、日付、時刻、位置、速力、船首方位などの情報を常時記録した、このように答えております。この客観的な記録は公表すべきじゃありませんか。

石破国務大臣 これは、委員と多分基本的な考え方が違うんだと思うんです。

 私たちは、捜査の厳正、公正を確保するために、今「あたご」との接触をしないでおります。長い航海から帰ってきた「あたご」の乗組員も、ずっと「あたご」の中におります。そういうような状況であります。それは捜査の厳正を確保するためです。

 委員がおっしゃっていることをそのまま聞けば、私どもは、その船に乗り込んで、このデータは何だというデータを出してきて、それを公表しろというふうにおっしゃっている、それ以外に考えられません。私どもとして、そのようなことをするつもりは一切ございません。

赤嶺委員 これは、機械が自動的に、電磁的に記録するデータなんですよ。捜査に何の影響も与えないんです。まさに、どんなことが起きたかということを知らせる上で非常に大事だと思います。

 時間がありませんので、次の沖縄の少女暴行事件に移ります。

 少女暴行事件について……

石破国務大臣 委員長の指名がありましたから、お答え申し上げます。よろしいですか。

 数字でございます。数字でございますので、本当に乗り込んでその中を出せという権能、またそういうこと、私どもはそのようなことをしていいとは思っておりません。そのことはよく注意をしていただきたいと思います。

赤嶺委員 電磁記録さえ出せない。これは何も捜査に影響を与えないですよ、客観的な記録ですから。客観的な記録を国民の前に明らかにするのは当然じゃないですか。

 それで、私、女子中学生の暴行事件についても最後に聞きますけれども、総理大臣、この間、また許しがたい米兵による暴行事件が沖縄で起こりました。

 総理は、一昨日、ライス国務長官と会談しましたが、あなたはこの事件について抗議いたしましたか。

福田内閣総理大臣 私がお会いしてすぐライス国務長官の方から発言がございまして、大変申しわけないという趣旨でのことでございますけれども、本当に深刻に受けとめている、そういうような発言でございました。

 私もそれに対して、こういうことが続くと日米安保体制を損なうことになるということを申し上げ、また、沖縄県民の気持ちを大事にしなければいけない、日米関係をしっかりさせるためにも、この問題に真剣に取り組んでいこうという話をいたしたところでございます。

赤嶺委員 抗議していないんですよね。

 それで、私たちは一九九五年にも八万五千人の県民大会を開きました。ちょうど、今度被害に遭った少女はそのころ生まれた少女なんです。当時も、静かな沖縄を返してくれ、軍隊のない、悲劇のない平和な島を返してください、こう訴えました。それでも事件が繰り返されております。

 こういう事件について、再発防止策、綱紀粛正、聞き飽きました。基地の撤去、米軍の削減、これ以外に解決策はないということを申し上げて、私の質問を終わります。

遠藤(利)委員長代理 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私も、海上自衛隊イージス艦「あたご」と清徳丸の衝突事故について、総理大臣を中心に質問をしたいと思います。

 総理は、国民の目線に立った政治を行いたいと常々おっしゃっております。今回の事故に対して、福田政権は、国民の目線に立った対応、姿勢で臨んでいらっしゃるのかを中心に質問したいと思います。

 私は、先週、遭難された漁船の清徳丸が所属する千葉県勝浦市の漁業組合の皆さんを初め、市長さんにもお目にかかってまいりました。そのときに、やはり率直な御意見はこうでした。日本の漁業者を守るのも自衛隊の責任だろう、そしてさらに、事実を事実として明らかにしてほしいという。私は、怒りを抑えて淡々と語っていらっしゃったことが特に心に突き刺さりました。

 石破大臣、この間ずっと議論してまいりました、大臣とは。大臣が、漁師の皆さんがやめないでと言ってくださっている、だからやめないんだとおっしゃっていますけれども、私は、その言葉というのは、大臣を信頼しているから何とかしてほしいという悲痛な叫びだと思います。ただ、御自身の進退を語られるときに、そのつらい立場にいらっしゃる皆さんの声は心にしまって頑張っていただく方がいいと思います。悲しくなります。

 そして、石破大臣は、この間議論を随分してきましたけれども、だんだん、石破さん、信頼して頑張ってほしいと思っている、でも何かおかしいな、毎日毎日不審な点が出てくるじゃないか。それに、石破大臣そのものが、同席していたりとか、いつ発見されたという基本情報まで、十二分前かもしれぬという情報が入っていたのに二分前と発表し続けたり、毎日不審な点が出てきているわけです。

 さてそこで、きのう、私、また新しいことを海上保安庁の方から聞きましたので、事実関係をまず大臣に質問いたします。

 ヘリコプターで「あたご」から航海長が防衛省に行ったということはきょうも議論がありましたけれども、実はヘリコプターは三機飛んでいたと。一機は防衛省に行った、一機はけが人を搬送した、もう一機は、横須賀から護衛艦隊の幕僚長が「あたご」に事故直後乗り込んだ。そして、「あたご」が横須賀に着岸されるまで、その中で一体何をしていたのかということが明らかになっておりません。

 これは、きのう、私、海上保安庁の人にこう伺いました。海上保安庁が押収した押収物の中にその記録があって、初めて海上保安庁も知ったというわけです。

 大臣は、この事実、三機目のヘリコプターが飛んで、「あたご」に乗り込んでいたという事実を御存じですか。御存じだったら、何人乗り込んだんですか。そして、どうして大臣、今まで言ってくれなかったんですか。私は、連日、本当に週に何回も大臣と、もうないんですかと聞いてきました。押収物で初めてわかった、どういうことですか。

石破国務大臣 これは、明らかにヘリは三機ということでございます。最初聞きますと、私もそれは同じことを思ったんです、一機のヘリにけがした人とそれから航海長、どっちも乗せたのか、それはおかしいじゃないかということであります。

 お尋ねのポイントは、幕僚長は何のために乗ったのかということでございますが、状況把握。

 乗ったのは四人でございます、彼も含めて四人というふうに報告を受けております。

 状況把握と、非常に混乱している状況にありますので、上級司令部のしかるべき者が乗艦をし、指揮を補佐するということのために乗ったというふうに聞いております、それは。(辻元委員「なぜ言わなかったのか」と呼ぶ)

遠藤(利)委員長代理 手を挙げて質問してください。

石破国務大臣 なぜ言わなかったかということでございますが、それは、彼がなぜ乗ったかということにつきまして私がちゃんと把握をいたしたのが昨日か一昨日でございます。しかしながら、幕僚長が乗ったということは当初から把握をいたしておりました。これは申し上げておると思います。護衛艦隊の幕僚長がこの船に乗っておったということは、私の記憶では申し上げておったことだと思っておりますが、違いますでしょうか。

辻元委員 昨日か一昨日に知ったと今おっしゃった。しかし、申し上げていたことだと思ったともおっしゃった。私、大臣がこんな事実を昨日とか一昨日まで知らなかったという、これこそが今の防衛省の問題だと思いますよ。そして、それを知らされていなかった。

 私、総理にちょっと伺いたいと思います。

 実は、結局、真相を究明していくという立場にある者というのは、いろいろな事実関係、その真相を究明する真相の中身に深くコミットメントする、または関与した人が真相を究明できないという性質のものなんです。

 この間わかってきたのは、石破大臣、最初からヘリコプターが飛んだとか、いろいろな、次から次に出てくる、それに関与されていたわけですよ。そうすると、不審な点だな、なぜ中身、きょうも、事務方の責任者である事務次官までもがその内容は忘れましたとかという答弁に対して、はっきり答えられていないような状況です。国民の皆さんも見て、何か隠しているん違うやろかとか、そこで何か、お互いにこうしよう、ああしようと言ったんじゃないかという不信の目は高まってきているわけです。

 総理にお伺いしたいと思います。そうすると、石破さん自身の問題というよりも、不信の目を向けられていることにコミットメントしていた人は真相究明に不向きなんですよ。

 ですから、ここは一つの局面ですよ、総理。本当に漁師の皆さんや被害者の皆さんのお気持ちにこたえて真相究明を進めていこうとするならば、この事案にコミットメントしなかった客観的な目で、石破さんは今や真相究明する立場から真相究明される立場に変わりつつあるという認識をお持ちになった方がいいですよ、総理。今重大な局面です。本当にこの事案に、今の防衛省の迷走、きちんと対応するというならば、私は石破さんに資質とか申し上げているんじゃないです、この事案にコミットメントし過ぎた。ここではっきりとけじめをつけて前に進めるために、客観的な立場の人に責任者をかえるというようなリーダーシップも含めて、総理の重大な決断をする時期だと思いますが、いかがですか。総理です。

福田内閣総理大臣 石破大臣は防衛省・自衛隊のトップでありますから、全体の指揮をとらなければいけないという責任があるわけですね。ですから、その責任を果たすためのことをしているわけであります。今、海上保安庁が捜査権を持って捜査をしているということでありますから、捜査のことについては、これは海上保安庁が全責任を持っておる。そしてまた、捜査のことについては、これはもう絶対的に防衛省・自衛隊は協力をしなければいけない、そういう立場にありますから、先般来協力をしているということは申し上げているというように思っております。

 私は、そういうことをしているときにどういう責任が石破大臣にあるかといったならば、一番よく今回の問題、そして昨年来の諸問題について理解をし、そして改革をしなければいけない、そしてまた改革の方向性もしっかりと持っておられる、その石破大臣が責任を持ってこの防衛省・自衛隊の体制を再構築するということが一番大事なんだろうと思いますよ。これは最大の責任だと思います。しっかりやってほしいと思っております。

    〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

辻元委員 その御見解もあると思いますよ、総理。でも、この局面はもうちょっと深くお考えになった方がいいと思います。

 今までよく知っているから任せていたというのはもう通用しなくなってきているんですよ。本当に事故の再発防止、そして真相を究明していくためには、ここは、私は石破大臣には御苦労さんと申し上げたいですよ、ここまでは。しかし、局面を変えられた方がいいですよ。じゃないと前に進まないですよ。総理、ツーレートになりますよ。ツーレート、思い出してください。

 えひめ丸に対応されたときの事故処理は総理が官房長官で、森総理が当時ゴルフを続行されていたということで批判を浴びました。あのときと今回、登場人物がよく似ております。あのとき今の石破大臣が防衛庁副長官でいらっしゃったわけです。そして高村外務大臣は当時の法務大臣でいらっしゃいました。そして、さらに町村官房長官がたしか所管の文科大臣で、直前に額賀大臣がやめていらっしゃるというようなこともあったと思いますけれども。

 私、あのとき、総理は森さんの危機管理に対して、総理の危機意識がちょっと薄いと思うんです、今回。何か最初の方、お話を伺っていますと、全部石破大臣に任せっ放し。そして、事故直後の夕方の記者会見で、再発防止策を問われて、それは石破さんがやるでしょうみたいな発言をされて、がっかりしちゃったわけですよ。ツーレートになりますよ、ここで危機感をしっかり持っていただかないと。えひめ丸のときは、森総理のことに対してこうおっしゃった、私個人としては、ゴルフに行くべきでなかったと思う、ゴルフに行くことをとめなかったのかと問われて、ツーレートとおっしゃったわけです。

 私、総理が何をこの十日間されているのか、全然見えないんですよ。日程を調べてみたんですね、総理の日程。ちょっとがっかりすることもありました。例えば、日曜日に結婚式に行かれたこと、これは私は問題ないと思います。前から決まっていたし、高村外務大臣もお喜びだと思います。でも、事故があって三日目に、高村さんの御夫妻と総理の御夫妻で会食とかされているわけですよ。高村さんは、少女暴行事件、十四歳の中学生が強姦された、この事件を解決する所管大臣の外務大臣です、高村さんが。総理はその後、イージス艦のことも、心を痛めていらっしゃったかもしれませんけれども。私はそれを見て、どうなっちゃっているのかしら。みんな見ていますよ、国民は。私は、総理大臣の仕事、それは打ち合わせもいろいろあるでしょう。どうも他人事のように今回の事故対応が見えて仕方がないわけです。私は、非常に軽率だったと思います。

 さてそこで、お伺いしたいと思います。

 「なだしお」の教訓、それからえひめ丸の教訓をどう受けとめるかですよ、総理。御自身で、危機感が希薄だと思われませんか。謝られたのも、私、正式にはきょう初めてですよ。いかがですか。

福田内閣総理大臣 私が何もしていないかのごとくおっしゃるので、多少弁明させていただきますけれども、いろいろ日程をごらんになっている、中身は御存じないでしょう。

 結婚式、これはわかりますよね。高村外務大臣と会食をした、これは韓国に行く前の日でございまして、韓国との、今までどういう外交をしてきたか、いろいろお話を聞きましたし、また、こういうふうな考え方はどうかといったような、そういう話をするために設けた会合なんです。ですから、食事も、それから、私は、幸か不幸か、この事件が起こってから、委員会ずっとなんですよ、予算委員会がほとんどですけれども、国土交通だとか総務委員会とか。そして、委員会に行かなかったのは一日だけ、こういうこともありました。そしてまた土日は、これは韓国に行くというようなこともありまして、そういうことで、そっちの方ばかり目が行ってしまうと、私が何もしていないという感じになりますけれども、しかし、私は石破大臣とはもう何度も連絡をとっております。私のメール、電話、携帯電話ありますよ、これを押せばすぐ石破大臣出るようになっている。やってみましょうか、今。

 そういうことも、電話もしております。官房長官が連絡をとる、私から官房長官に行って、官房長官から連絡をとる、相談をする、そういうこともしておりますし、秘書官も連絡をする、大臣に秘書官から連絡をする、そういうこともしております。

 もうさんざんそういう連絡はとっておるところでございまして、全くそういう面において官邸は関係ないというようなこともないし、石破大臣が指揮をとっておりますから、それを一生懸命支えよう、また、時にはこちらからいろいろ注文をつけるというようなことをさせていただいておるところでございます。

辻元委員 私は心配して申し上げているんです。

 やはり、こういう時期、打ち合わせだったら打ち合わせでぴちっとやった方がいいですよ。私、やはり、いつもそういう話が出ます、「なだしお」とかえひめ丸のときに、危機感が希薄じゃないかと。すごくギャップがあるように思うんですね。

 では、「なだしお」の教訓がどう生かされたかということについて。

 「なだしお」のときもこうだったんですよ。あのときは三十名の方が亡くなっていますけれども。相手が避けるだろうという思い込みだったわけです、大きな船が。これは、冬柴大臣が当時質問されていますよ。相手が避けるだろうと。一分前まで回避行動をとっていないわけです。そこのけそこのけ軍艦が通るよと。軍事優先だと冬柴大臣もおっしゃっているわけですね。私は、これが今回の事故の本質だと思いますよ。総理、事故の本質だと思いますよ。冬柴大臣の議事録もここにあります。艦長の意識のもとに、民間船舶航行軽視、軍事優先、このような意識が見られていた。

 私は、冬柴大臣は、今度所管の大臣で、真相究明、こういう観点からもいい質問をされているんですよ。きちっとやっていただきたいと思いますよ。

冬柴国務大臣 どうも御指名ありがとうございます。

 私はどうしてもあなたの時間の間に釈明をしなきゃならないと思うのは、先ほど、何か私の方が、押収した書類の中から、あなたに私の方の職員が、何かヘリコプター三機出ているということをしゃべったとかどうとかおっしゃいましたね。

 それは、私は、個々の事件のことは申し上げる権限はないと思っておりますが、ちょうど海上保安庁長官が来ていますので、その一点だけ釈明させてもらわないと、きょうは……(辻元委員「公式のヒアリングでおっしゃったんですよ」と呼ぶ)いや、だから、それはそうなのかどうかをちゃんと言わせていただきたいと思います。

岩崎政府参考人 私どものヒアリングに行った人間にどういうやりとりをしたのかと確認いたしましたけれども、私どもの方から護衛艦の司令官が「あたご」に乗り込んだということをお話ししたということはない、このように言っております。

辻元委員 それは、私がきのう社民党の正式なヒアリングでそういう情報に接しておりましたので、担当者にお聞きをいたしました、きのう説明に来られた方に。その中で知ったというように、はっきり、テープもありますので後でお示ししても結構です。きのうの正式なヒアリング、それは報道もされておりますので、大臣、報道もされていますよ、おとといぐらいから。

 総理、実際に勝浦の市長さんがこういうことをおっしゃっていました。今回は漁業を預かる若い芽を摘んでしまったような気がする、そして、これほどせつないことはないとおっしゃったんです。私は、これも胸に突き刺さったんですよね。やはり今回の事故の側面というのは、今調べてみますと、総理は、日本を海洋立国にするとか農山漁村に明るさを取り戻すとおっしゃっていますよ。でも、全国で五千人ぐらいなんですよ、二十代前半の漁業をやられる方々。物すごい打撃を受けたと思います。

 私は、今回、予算委員会をされていますけれども、調べてみましたよ。イージス艦も、最新鋭のハイテクの艦船だと何回も石破大臣は答弁されていますけれども、最新鋭のハイテクの艦船であろうが、ミサイルを撃ち落とすと鳴り物入りであろうが、船は船なんですよ。見張りがなっていない。そして、艦長は、あの海域は漁船が多い海域だとは思わなかったという発言をされた。愕然とするじゃないですか。

 私、何かこの間、この予算審議もそうですけれども、今回の事案で、安全保障政策そのもの全体を見直すべきだと思います。そして、例えばさっきの漁村の話ですけれども、漁業、水産業にかける予算は今回全部で二千四百億ですよ。イージス艦一隻は一千四百億円するわけです。役立たずになっているんじゃないかという声があるんですよ。

 私は、総理、最後にお聞きしたい。きょう、この後、総括質疑をして予算委員会を打ち切るとおっしゃっている。総理、ぬくもりのある政治をしたいとかおっしゃっています。今、五時でこの委員会が終わったら、予算委員会を打ち切るのではなくて、勝浦に行ってみてください、現場に。本当に漁師の皆さんや漁業の現状、今回の事件の概要がよくわかりますよ。

 私は、まだまだ福田政権の予算、それから政策そのものの議論は足りないと思っています。それで、何か総括審議で、きょう採決したいから、その前に集中審議、そしてすぐ採決。イージスの話も、総理と議論するのはきょうが初めてですよ。予算の質疑を打ち切る、これでやめるということは、私は危機感の欠如の一つだと思います。皆さん、そう思いませんか。まだまだやるべきですよ。議論しましょうよ、政策そのもの。二千四百億とイージス一千四百、おかしいじゃないですか。

 総理、いかがですか。予算の審議は十分だと思いますか、イージスの審議は十分だと。総理、最後にお答えいただきたいと思います。

福田内閣総理大臣 私の立場で申し上げられることは、国会運営のことでございますから、どうか国会でお決めいただきたいと思っております。

辻元委員 総理、ぬくもりを取り戻してください。

 終わります。

逢沢委員長 これにて辻元君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 まず最初に、二月の二十六日の安保委員会で、私が、米軍基地で働く警備員の皆さんが鉄砲等を携帯して民間の地域に出ていることに対して、日米で、合意事項でできたのかという質問をいたしました。それに関して、禁止をされているというふうに理解しておりますというお答えを外務省はしておりますけれども、警察庁は、この外務省の認識に伴って、けん銃を持ったまま基地外の一般民間地域に出るということは法律に違反しているということでよろしいですか。

宮本政府参考人 銃砲刀剣類所持等取締法第三条に規定されておりますが、第三条では、法令に基づき職務のため所持する場合など一定の場合を除き、何人も銃砲の所持を禁止されております。

 日本人警備員の基地外のけん銃所持といったことにつきましては、一般にこの除外規定には当たらないと考えられておりますけれども、いずれにいたしましても、個別具体の事案に応じ判断されるべきものと考えております。

下地委員 いや、違反なのか違反じゃないのか、はっきりしてくれないと。もう一度。

宮本政府参考人 違反になるかならないかにつきましては、それぞれ、個別具体の事案に応じ判断をするべきもの、法と証拠に基づき判断すべきものと考えております。

下地委員 銃を携帯したまま基地外に行って昼食を食べているという事案は、違反なのか違反じゃないのか。

宮本政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、法令に基づき職務のため所持する場合など一定の場合を除きまして、日本人の警備員が基地外でけん銃を所持することについては一般に禁止されておると考えておりますが、ただ、その態様、状況につきましては、個別具体の事案に応じ判断すべきものと考えております。

下地委員 外務大臣、今、らちが明きませんけれども、こういうふうな日米で合意していないということを外務省が明確に答弁して、昼食のために基地外にけん銃を携帯して出るというのは、私は違反だと思いますよ。こういうのが積み重なって事件、事故が起こるんですよ。

 私は、そういうことの一つ一つを外務省がしっかりとアメリカ政府にお話しする、忠告する、こういうような個別の小さなことを一つ一つ直していくことが事件、事故の防止につながると。

 警察庁がこれを違反と言わないところに私たちはびっくりしますね。外務大臣のお考えをお願いします。

高村国務大臣 このたび、アメリカ側にきっちりと申し入れをいたしました。

 アメリカ軍自体が基地の外に出たときに銃砲刀剣を持って出ることを禁止しております。禁止しているにもかかわらず、一部の上官が日本人従業員に対してそういうことを命じたという事例があったということは極めて遺憾であります。

 その申し入れをしたことによって、米軍で綱紀を徹底する、こういうことを言っているということでございます。

下地委員 そのとおり、ぜひ絶えず細かいことにも注意してやっていただきたいと思います。

 それで、「あたご」の件について石破大臣にお伺いしたいんですけれども、私が衝突予防装置はついているんですかと質問したら、徳地運用局長は確認しておりませんと委員会で答えたんですけれども、その後、私のところに来て、衝突予防装置はついておりますというふうに返事が来ました。

 そして、国土交通省の船舶設備規程では、間違いなく衝突予防装置がつかなければいけないし、厳格な規律はありませんけれども、この予防装置を使わなければいけないということになっているんです。しかし、自衛艦の乗務員服務規程において、一九七七年にできた海上衝突予防法においては、この衝突予防装置の運用について明確なる運用規定がないんですよね。

 だから、公海において、民間の船は衝突予防装置がしっかりとついて、それを着実に運用しているけれども、自衛艦においてはこれが全くやられていない。規定がない。官民の事故に対する抑止力に対する認識が違うというふうなことを申し上げたんです。

 この前も申し上げましたけれども、この衝突予防装置が、〇・五マイルで設定したら、〇・五マイル以下にその船が入ってくると必ず音が鳴るわけですよ。十二ノットで進んだら、これは二分三十秒。相手も十二ノットで来たら、一分十五秒。専門家に私がお聞きをすると、一分十五秒で回避できますかと言ったら、十分にできますというふうなお話をしているんです。だから、私は、海上衝突予防法を見直して、この衝突予防装置をきちっと明確にした方がいいというふうなことを大臣に申し上げました。

 しかしながら、二月の二十八日に大臣は運航安全にかかわる総点検の実施の概要というのを九つ出していますけれども、その中に、私があれだけ口酸っぱく申し上げた衝突予防装置についての項目が入っていないんですよね。

 なぜこの衝突予防装置、今、時間の系列の話をいっぱいしていますけれども、再発防止という意味で一番大事なのは、この衝突予防装置をどういうふうに運用するかということを自衛艦はやるべきだというふうに僕は何度も指摘をさせていただいたんですけれども、プロの間では、衝突予防装置は鳴っただろうと言っているんです。しかし「あたご」は、鳴ったにしてもそのまま、漁船がよけるものだといって真っすぐ行ってしまって事故があったのではないかという推測をする人もいます。

 そういう意味でも、この予防装置についての運用、再発防止についてあと一項目加えて安全対策をやる、そういうようなおつもりがあるかどうか、お聞かせください。

寺田大臣政務官 お答えをいたします。

 「あたご」には二種類のレーダー指示器を搭載し、そのうちの一種類はOPA―6Eという衝突予防援助機能を有しております。しかしながら、それが今回の事故によって実際にどのように作動していたか、あるいはどのような使用のされ方をしていたかについては、まさにこの事故の核心に触れる部分であり、捜査中のさなか、当事者である防衛省からのお答えは、これは差し控えさせていただかなければなりません。

 委員御指摘のとおり、現在、この法律は適用除外になっております。今後の点については、大臣もお答え申し上げましたとおり、今回の事件の真相究明後、検討してまいる所存でございます。

下地委員 この衝突予防装置がついていたか、これが作動したかは海上保安庁の調査の中ではっきりしますけれども、大臣に一点だけ。項目に加えてください。

石破国務大臣 衝突予防装置は、私もきのう実際に見てまいりました。これはプロッティングをしないといかぬということがあって、それは赤に変わる、そしてアラームが鳴るということでございます。

 どういう場合にプロッティングをするか、そして、どのような動作をするかということも含めまして、今すぐ項目に加えるということはお約束はできませんが、このことをどのようにしていくかということについて検討はいたします。また委員のお知恵をかしてください。

下地委員 もう時間も来ていますから最後になります。福田総理にお聞きをさせていただきたいと思うんです。

 きょうの議題も沖縄問題という問題でありますけれども、東京問題はないけれども沖縄問題はあるんですよね。それで、私は、この沖縄問題がなぜあるのかといったら、日本で唯一地上戦が行われて、軍人軍属、民間の方々合わせて二十万人のとうとい命が亡くなった。このことも一点目にはありますね。

 二つ目には、一九五一年にサンフランシスコ条約が結ばれましたけれども、そのときに沖縄は米軍の施政下に置かれるということが決定されて、あれから二十七年間にわたり、日本人ではあるけれども日本国民ではない、こういうふうな、ある意味屈辱的な立場に二十七年間沖縄はいた。

 そして三点目には、一九七二年に復帰をしましたけれども、在日米軍基地の七五%、日米安保条約を支えているのは沖縄、しかし、これは過重な負担だというぐらいの状況が今ずっと沖縄に続いている、だから沖縄問題を何とかしなければならない、こういうふうなことになると思うんです。

 それで、何で沖縄問題が発生したか。(発言する者あり)ちょっと、静かに聞いてくれないかな、静かに。なぜ沖縄問題が発生したかというと、やはりこれは戦中戦後の国家の戦略なんです。そういうふうなもので沖縄は戦争に巻き込まれたり、そのままアメリカの施政権下に置かれたり、こういう政府の責任論というのが大きいんだということをしっかりと認識することから始まると私は思う。

 だから、今度の事件、事故を、単眼的にその一つ一つを見て考えるんじゃなくて、もう戦後六十三年になっている沖縄をもう一回、経済振興じゃなくて、基地問題も含めて全体で見直すような、もう一回構造的に沖縄を見ないと、事件、事故というのは私はなくならないのではないかなというふうに思うんです。

 今、もう一回、この三つを見てください。沖縄においても、沖縄の地上戦があったというけれども、教科書問題で沖縄は県民大会をやりましたよ。結果として、政府が出した結果に沖縄の人は納得していませんね。また、在日米軍基地が七五%というのは、今六十二年たってもまだ何ら変わっていない。そして、さっき言った経済政策も、三十五年たちましたけれども、失業率が七%あって、県民所得が二百二万あって、総理、十年前の沖縄振興費の予算は四千三百億ですよ。二〇〇八年度の沖縄の振興策の予算は二千三百億ですよ。半分以下になっているんです。

 こういうふうな状況を考えると、私は、沖縄問題に対する国の考え方というのが少し薄れて、こういうふうな状況がある。しかし、役人の中にも政治家の中にも、少々の予算をつけることで、沖縄のために一生懸命やっている、そういうように言う方々がいる、この体質ももう一回直さなければいけないと私は思うんです。

 私はそういう意味でももう一回総理にお願いしたいのは、今度の少女のもう本当に残念な事件を、事件、事故というとらえ方じゃなくて、もう一回沖縄の考え方をしっかりと聞く。今まで沖縄は自分で選択肢を持った決断なんてしていませんよ。だから、沖縄に本当の選択肢を与えて、基地問題も経済問題も、さまざまな問題の選択肢を沖縄に与えて、しかし沖縄、あなたも責任とりなさいよといって大胆な沖縄政策の見直しをしないと、私はなかなか直らないんじゃないかと思うんです。

 だから、そこをぜひ総理が、この沖縄問題に関して、事件、事故という単眼的なものではない形で沖縄を考えてもらう、そういうふうなことの御決意をお伺いしたいと思いますね。

岸田国務大臣 御指摘のように、沖縄の将来を考える上においても、かつて、さきの大戦で国内最大の地上戦が行われた大変悲惨な歴史、戦後の苦難の歴史、そして現状におきましても低い県民所得、高い失業率を初め、こうした厳しい経済状況、こうしたものをしっかり踏まえた上で将来を考えなければいけない。沖縄の振興を考える際にも、こうした過去の歴史をしっかりと踏まえた上で、沖縄県民の皆様方の思いをしっかり受けとめた上で考えていかなければいけない、御指摘のとおりだというふうに思います。

 そして、将来を考える際に、ぜひ県民の皆さん方の思いをしっかり受けとめなければいけない。基地の再編の問題、自立型経済振興の問題、すべてにおいて沖縄の県民の皆様方の思いをしっかりと受けとめて物事を進めていかなければいけない、御指摘のとおりだと思います。それをしっかり受けとめて、担当大臣としても努力をしたいと思っております。

福田内閣総理大臣 沖縄にはさまざまな問題があります。そして、過去のことも決して忘れることはできません。忘れてはいけないことだと思います。

 そういう上に立って、今現在、日米安保条約に基づいて沖縄に多大な負担をおかけしているということも重々承知した上で、その沖縄の、今岸田大臣から申しましたけれども、経済の自立を図る方策は何なのか、負担の軽減、もちろんこれを図りながらも、経済の自立を達成するためにどういうふうにしたらいいのか、いろいろ工夫をしていかなければいけないと思います。また、そのことが、日米安保の一翼、一翼以上の負担を担っておる沖縄の県民の方々におこたえすることであり、そしてまた同時に、日本全体の安全保障というようなことも安定化する。そして、あくまでもやはり負担軽減のために我々は今後努力していかなければいけない。

 こういうふうに思っておりますので、また下地委員からいろいろと御提案をいただき、私どもも真剣に対応してまいりたいと思っております。

下地委員 今、沖縄振興費の予算と……(発言する者あり)

逢沢委員長 議場内静粛に願います。

下地委員 沖縄振興費の予算と、皆さん、防衛省の予算が今つながりがないんですよね。沖縄に関するさまざまな予算が二手に分かれて、その線と点が、面がつながっていない。それが、今実際的に数字が出ていない最大の要因なんですよ。

 だから、私は、いま一度、防衛省のあり方、内閣府のあり方、予算の執行の仕方、こういうところも根本的に考えてやっていくべきだと。今ばらばらにやることで効果が出ていないという現実がある。そのことについても、大臣には構造的にもう一回見直してもらいたいというふうに思っていますから、そのこともお願いします。

岸田国務大臣 沖縄の振興に支出されました政府の予算、内閣府で一括計上している予算で、昭和四十七年以降、十九年度分も含めて九兆一千億余りでございます。それに加えて、総務省あるいは防衛省の交付金等の予算が支出されている、これが現状、この予算の支出の状況でございます。

 今委員御指摘のように、こうした予算の支出について関連性を持たせろという御指摘でございますが、これは沖縄全体の振興ということで、ぜひしっかりとした連携は考えていかなければいけない、そのように思っております。

下地委員 一九四七年から六七年までは、沖縄はアメリカ政府の援助金というのがあるんですよ。そのころは日本政府のお金は一つも入れないで、アメリカ政府のお金を入れていまして、二十年間で六兆五千億入れていますね、アメリカ政府は。今の一号線も那覇軍港も、構造的なインフラ整備はアメリカがやっているんですよ。私は、もうそろそろ、糸満から名護までの鉄道だとか港湾とか、沖縄の二十一世紀を支える百年の大計の公共工事をやってもらいたい。大臣がどんなに大きなことを言っても、この十年間で予算が半分になっているんですよ、大臣。それで頑張りますと言っても、予算の裏づけのないものはなかなか説得力がないですよ。

 本気で沖縄振興を考える、そのことをぜひお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 沖縄の振興につきましては、引き続き政府としてしっかりと努力をしなければいけないと強く感じております。

 平成十四年度から沖縄振興計画がスタートいたしましたが、その後、地域特性を生かした産業の振興、あるいは財政依存型の経済からの脱却等を目指してさまざまな努力が続けられてきました。

 その結果、昨年度の沖縄に入域されました観光客数、五百八十七万人と聞いておりますが、六年連続で過去最高を更新いたしました。あるいは、情報産業関係の企業の誘致につきましても、計画がスタートする前と比べまして百社以上、雇用数にしまして一万人以上の雇用者数をふやすというような成果も上がっております。

 ぜひ、引き続きまして努力を続けていきたい、そのように思っています。

下地委員 きのうの新聞を読んだと思いますけれども、観光客は伸びましたけれども、観光にかかわる売上高は落ちましたね、大臣。六年連続落ちていますよ。一人当たりの観光客が使うお金はずっと落ちています。

 だから、どうするかという、その建前じゃないんですよ、僕が言っているのは。本当の数字を出してくださいよ。大臣が、沖縄県民所得を二百五十万まで上げます、ずっと百九十万で来ているものを上げますと、明確に数字を出して、言葉で幾らやっても数字は悪いんだから。だから、本気でそのことを考えて私は頑張っていただきたい。

 そして、先ほど申し上げましたけれども、沖縄の歴史をもう一回勉強したら、もっとやらなければいけないことに気づくと私は思いますから、ぜひお願いします。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。(発言する者、離席する者あり)着席してください。着席をしてください。着席を願います。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより締めくくり質疑に入ります。(発言する者あり)

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。

金子(一)委員 それでは、委員長から指名をいただきましたので、締めくくり総括に入らせていただきます。(発言する者あり)

 大田大臣、声が聞こえますか。まず、大田弘子大臣に。ちょっと前に出てきてくれますか。

 中小企業の景気調査が非常に悪くなったということについて、地域経済が悪くなってきたということについて、ちょっとこの新聞についてコメントしてください。

大田国務大臣 お答えいたします。

 中小企業の景況感が下がってきております。原材料価格が高くなっていることによって中小企業の収益が減少しております。

 これを受けまして、内閣府の調査によりますと、東北、北関東、北陸で判断を下方修正いたしました。今後も原材料価格の高騰、それを価格に転嫁できない収益の圧迫について、十分に注意してまいりたいと思っております。

 さらに……(発言する者あり)

金子(一)委員 聞こえなかったので、もう一遍答えてください。

大田国務大臣 御質問にお答えいたします。

 御質問の件は、内閣府の地域経済動向調査によります東北、北関東、北陸で判断が下方修正されたということについての御質問でございます。

 中小企業の収益につきましては、原材料価格の高騰によりまして、最近、食料品の値上がりによりまして消費者のマインドが下がってきております。さらに、中小企業ではパートの求人が減ったというようなこともございまして、雇用体系の指標についても悪化が表明されております。

 今後、この原材料価格の高騰、それから、ガソリンや食料品の値上げによる消費者のマインドの悪化につきましては、十分に注意が必要だと考えております。(発言する者あり)

金子(一)委員 ほとんど残念ながら場内が聞こえていませんけれども、しかし、きちんと議事録には残っていますので、我々、理解して、進めさせていただきます。

 あなた、ちょっと悪いけれども、さわらないでくれじゃなくて、声が聞こえないから。さわっているんじゃないんだよ。ちょっと、邪魔だからどいてくれよ。委員長、委員長。ちょっと、目の前で、これは目の前に来たんじゃ暴力ざたになるな、あなた。暴力ざたになるから、よしなさい。よしなさい。

 さて、そういう中で、中小企業がこれだけ……(発言する者多く、聴取不能)どうぞ、増田総務大臣、今、地方の経済動向みんなについて伺っています。

増田国務大臣 建設業を取り巻く状況でよろしゅうございますか。

 今、配付の資料で、建設業を取り巻く状況についての資料がございましたんですけれども、今、建設業を取り巻く状況は大変厳しい状況になっているということは、私どもも認識をしているところでございます。そして、こうした状況につきまして、私どもも、全国知事会や関係の自治体といろいろとこの問題についての話し合いを今進めているところでございますが、特に入札方式などについては今後もいろいろと工夫をする必要があるのではないか、このように考えているところでございます。

 先ほどの資料にございましたとおり、特に地方の中では公共事業に対しての依存度が大変高い地域が多うございまして、この中で地方の景気の足踏み感が強まっているということもございます。

 そこで、こうした中での建設業の疲弊というものに対しましては、極力私どもも適切な対応をしていかなければならない。特に、入札制度につきましては、この間、地方でいろいろな改革が行われてきたところでもございますけれども、例えば、こうした中で一般競争入札を多く採用するといったような自治体も多くなっておりますが、低入札価格制度や最低制限価格制度などを今後も適切に運用していく必要があるのではないか、このように考えております。

 具体的にいろいろと国土交通省と御相談をしながらこの問題について検討していきたい、国交大臣とよく相談をしながらこの問題について対応していきたいというふうに思っておりますが、その上で、一般競争入札、あるいは、特に総合評価方式の導入の拡大などについてよく御相談をして、その上で、まとまりました考え方については都道府県知事に対しても要請をしていきたい、また、特に全国知事会ともいろいろな話し合いを進めて、その上で理解と協力を求めていきたい、このように考えております。(発言する者あり)

金子(一)委員 私も、予算委員会、随分長くいるんですけれども、質問者の目の前でこんなに大声を立てて騒ぎ立てるという野党の抵抗は、本当に初めてなんですよね。武正さん、あなたね、少しおかしいと思うんだよ。国民が……。そうそう、引っ込んでください。引き揚げてください。

 ようやくこれで正常な意見交換、総括ができるようになりました。

 予算も終局に来ました。さっき大田大臣が一生懸命答えていただきましたけれども、やはり、今、地域がこれだけ景気が悪くなってきている、こういうときこそ今度の予算を一刻も早く通してほしいという国民の声も一方にあるんですよ。何でかといいますと、今度の予算は、道路財源、大事な道路財源を含んでいる、それから、予算と税制が一緒ですけれども、いわば地方の資金の偏在、東京に一極集中してしまっている法人事業税の地方配分という大事な予算も税制と一緒に入っているんですよ。

 特に、今、地方で何でこんなに、私、自民党で中小企業調査会長をやっているんですが、先般も官邸に行って、福田総理に皆さんからお伺いした意見をお伝えさせていただきましたけれども、一つの大きなテーマとしてあるのは、地方に金が回らないんですよ。都会ばかり集まっちゃってる。それは、大手の企業が海外でどんどん活動して上げた利益が全部東京の本社へ来ている。私の地元のトヨタも、海外が今五割なんです。活動の五割が海外なんですけれども、上げてきた法人事業税は全部愛知県に入っちゃうんです。ほとんど東京本社に集中しちゃう。これを、東京都の皆さんに今度は御理解をいただいて、そして、全国、地域にもお金が回るようにしていこうと。

 金回りが悪いというのは、やはりよくないんですよね。金が回らないと知恵も回らないし、工夫も出てこない。そういう大事な税と予算を含んだ今度の予算案と税の案であります。そういう意味で、一刻も早く通していただきたいというのが我々の気持ちであります。

 額賀財務大臣、ぜひ答えてください。

額賀国務大臣 今、金子委員がおっしゃるように、今、世界の経済も下方リスクを抱えている、日本も十九年度は下方修正をした、と同時に、原油高とかいろいろな金融不安定もある。そういう中で、一刻も早く、この前通させていただいた補正予算の執行と、そして二十年度予算を成立させることによって、国民の皆さん方の生活の安定を図っていかなければならないというのが政治家の責任であると思っております。

 私は、与野党の間で意見の対立があることは間々あることでありますけれども、国会としては、我々が自信を持って提出させていただいたこの予算案と関連税について、最後まで粛々と、議長の裁定案もある中でございますから、議論をしていただいて、成立をさせていただくことが最も望ましいことであると思っております。これは、年度内に成立をさせるということが衆参両院の議長裁定の意味であるというふうに認識しておりますので、粛々と予算の審議を進めていただきたい、それが国民の期待にこたえることであるというふうに思っております。

金子(一)委員 野党の皆さん、急に静かになったと思ったら、いなくなられちゃったので、小さな声で話します。

 きょう、私は、一時間実は時間をいただくつもりで資料を用意したんですけれども、あと残り三分になりましたので、お手元に配りました資料の五ページ、一つだけ見ていただきたいんですが、これは、東北地方のある県の建設業協会の各社の経営状況なんです。生データなんです。

 冒頭に、地方、特に東北地方が景気が非常に悪くなってきているということで、たまたま符合する資料でありますが、東北のある建設業協会、お許しをいただいて配付させていただいております。

 AからIまで、県の地区の建設協会長の会社、建設協会長ですから、それぞれの地域のいわば担い手として活躍してもらっている企業なんですけれども、ここにお示ししたとおり、残念ながら、十九年になりましてから、いずれも大幅な減益あるいは赤字に陥っている。

 こういう状況の中で、最後にちょっと、総理への御質問、一問だけお願いをしたいんです。

 沖縄の建設業協会長が、競争が激し過ぎる、そして、みんな低位の、最低基準価格のところに仕事が集まってしまうので、仕事がとれるかどうかというのは宝くじに当たるようなもの、つまり、抽せん、くじ引きで行われる、したがって、会社の経営、当たるかどうかは運を天に任せざるを得ないと。

 こういう、会社の経営、運を天に任せるというようなことをずっとほっといて、やはり地域間格差というのはなかなかなくならないんだろうと思うんです。

 総理、こういう問題について、我々、お配りいたしました一番最後の資料で、公共事業調達の問題についての提言をさせていただいておりますが、事務方だけでなくて、やはり、それぞれの地域で優良な技術を持った人たちが、担い手たちが頑張っていただけるような状況をつくっていただけるように、関係閣僚の方にも参加していただく場をつくっていただき、そして、提言を受けて実行すべきものはすぐに実行できるようにしていただきたいと思います。質問とさせていただきます。

福田内閣総理大臣 ここしばらく公共投資もずっと減少してきているというようなことがありまして、建設業の競争環境が著しく変化してきているというように思います。すなわち、過度な価格競争、低価格入札といったような現象でございますけれども、そのことによりまして公共工事の品質が劣化するというようなことがあってはならぬわけでございます。

 この問題は重要な課題であるという認識を持っておりまして、現在、公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議というものを開いておりまして、そこで、政府一体となって当面講ずべき課題について検討を進めているところでございます。

 今後、ただいま御提案いただきましたような、こういうような場でもって議論を行うことも視野に入れながら、早急に対策を取りまとめるとともに、実施可能な施策から速やかに実施をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

金子(一)委員 ぜひ関係閣僚会議を開いていただきますことをお願いいたしまして、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて金子君の質疑は終了いたしました。

 ただいま民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員が退席をされました。

 与党理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

逢沢委員長 速記を起こしてください。

 与党理事をして出席を要請いたさせましたが、出席が得られません。大変残念でございますが、やむを得ず議事を進めます。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 締めくくり質疑にお時間をいただきまして、ありがとうございます。残念ながら、野党の皆さんが出席されておりません。

 この締めくくり質疑前までのことしの予算委員会、九十時間の審議をさせていただきました。昨年は締めくくり前までで六十三時間三十分、一昨年は八十五時間二十分ですから、昨年の河野議長のおっしゃった、しっかり議論するように、そして、ことし両院議長が裁定していただきましたように、しっかり質疑しろということは、もう十分この予算委員会でできたと思います。

 野党の皆さんがさらに質疑をとおっしゃっていますが、毎回毎回同じような質問が続いておりまして、各大臣は本当にお疲れだと思います。ここで最後の十五分間の質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、総理にお伺いしたいんですが、総理は二十五日、韓国の大統領就任式に行かれまして、予算委員会の質疑の合間を縫って、本当に強行日程でしたが、李明博大統領と会談されてきました。

 私も、二週間ほど前、二月の十日、十一日と、超党派の訪韓団の一員として韓国を訪れまして、李明博現大統領とお会いするとともに、韓国側の以前のFTAの交渉担当でありました、今は韓国対外経済政策研究院の研究委員である金良姫さんという女性の博士から、韓日FTAをめぐる懸念と推進方向というふうに題する講義を一時間ほど受けてまいりました。なかなか優秀な女性で、経済産業省の以前のFTAの担当者から聞きましたが、かなりのタフネゴシエーターだということで、日本語も本当に流暢で、大変勉強になったんです。

 総理は、李明博大統領と会談されて、二〇〇四年十一月以降、関税撤廃をめぐる立場の違いから交渉が中断している日韓のEPAにつきまして、両国の経済関係を強化する上でも必要だと強調されたというふうに報道がされておりました。また、両国外務省は、交渉再開に向けて、関係省庁の局長級などによる予備協議を開く方針との報道もされております。

 総理は、日韓のEPAにつきまして、どのような意義があると考え、また、どのような方向性を持って推進していかれようとしているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。

福田内閣総理大臣 韓国は、近年、経済も順調に伸展し、そして、一人当たりの所得などから見ましても、本当に先進国と言うにふさわしい成熟した国になったというふうに私は思っております。

 北東アジアでもって、日本、韓国という二つの隣り合った国が、別々に行動するのでない、経済連携によって同じような方向を歩んでいくということは、日韓だけの問題でない、やはり、アジア、特に北東アジア地域の経済、そしてまた政治的な安定とかいったようなことを考えても、これはとてもいいことだというふうに私は思います。両国がお互いに利益し、より大きなことができる、それと同時に、私は、両国が協力してほかの地域にもいい影響を与えることもできるのではなかろうかというようなことでもって、EPAの話を提案してみたわけでございます。

 ただ、EPAの交渉は、これは四年前に中断しております。いろいろな事情があったのでございますけれども、中断したという、その四年間の空白がありますので、ここはひとつ慎重にやりましょう、そのためには準備的な会談から始めましょう、こういうふうな話し合いをしたわけでございます。

 EPAと申しましても、これはFTAより、より幅の広い範囲をお互いに協力し合うということであります。制度面とかいろいろなことが考えられるわけでありますけれども、特に、環境問題とか、そしてまた、韓国も日本も同じような、資源エネルギーが少ない国ですよね。それからまた、中小企業も多い。中小企業政策でも協力できるんじゃないか。

 こういうふうなことで、そういう幅広いEPAというような形でもってこれから連携をしていくということは、決して悪い話じゃない、しなければいけない、むしろ。そういうような観点から話し合いをしたわけでございます。

富田委員 今総理がおっしゃったのと全く同じことを、その金さんという女性の博士もおっしゃっていまして、韓日FTAの戦略的意義ということで二つ教えてくれたんですが、韓日両国は、韓日FTAを通じて域内経済統合のモデルやガバナンスのあり方を提示できる最良のパートナーだと。本当に今総理がおっしゃったとおりです。また、市場経済、政治的民主主義、市民社会の存在、そして先進的で透明な法制度、こういう面から見ると、東アジア経済共同体の形成を主導し得る、こういう意義があるんだからぜひ進めてほしいというふうに言われていました。

 ただ、外務省の方からちょっと資料をいただいたんですが、総理が二十五日に行かれる前に、日経新聞だったと思うんですけれども、二月の二十二日に、首脳会談でEPA交渉再開の見通しという記事が載りました。そうしましたら、その記事が載った途端、韓国の外交通商部の方でペーパーを出しまして、外務省から仮訳をいただいたんですが、こんなことを言っています。

 両国が二十五日に開催予定の韓日首脳会談で韓日FTA交渉再開に合意し、そのために近く両国の局長級の予備協議を開始するとの報道内容は事実と異なると言いまして、韓国政府は、基本的には韓日間の交易は引き続き拡大均衡を目指していくべきであり、両国間のFTA締結がそれを実現するためのよい手段となり得ることから、FTA交渉再開のため日本側と協議する準備がある。しかし、日韓両国がお互いウイン・ウイン関係となるFTAを締結するためには、FTA交渉開始当時に合意した、高い水準の包括的なFTAを目指すという基本的原則が必ず遵守されなければならない。そして、韓国側の関心事項である日本の農水産物市場の開放水準引き上げ、非関税障壁の解消等、自分たちはこれが認められないとだめだよというのをずらずらっと書いて、ペーパーとして配った。

 こういうふうに、中断してしまった前提と同じようなそれぞれの立場を主張していたのでは交渉は進まないと思うんですね。この立場をそれぞれ乗り越えて、今総理は準備的段階からとおっしゃいましたけれども、それも一つのあり方だと思いますし、この立場の違いをどう乗り越えるかが日韓のFTAを考えるときに大事だと思うんですが、その点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。

福田内閣総理大臣 私は、農産物だけのことではない、いろいろな、貿易の交渉とか対象品目があるわけですから、一部でもって判断するということではないと思います。しかし、全体的になるべく質の高いということ、これを目指すというのは当然だろうと思いますので、そういう方向で努力をすべきであるというふうに基本的には考えております。

 ただ、韓国側も、政権が発足したばかりでございまして、これを今全面的に交渉しようという態勢にないかもしれないし、また、前回の中断した事情といったようなこともございますので、そういうことを総合的に勘案して、準備的な会談を始めていこう、こういうふうなことになったわけであります。

 決して焦ることはないけれども、しかし、余り悠長にやっていることもないだろうというふうに私は思っております。

富田委員 ありがとうございます。

 外務大臣に一点お尋ねします。

 この訪韓の際に、尹徳敏さんという大統領引き継ぎ委員会の外交安全保障問題担当の教授からも、李明博政権の安全保障政策の講義を一時間ほど受けました。彼は、北朝鮮が核を放棄し開放政策をとった場合に北朝鮮国民の一人当たりGDPを三千ドルに引き上げるという、いわゆる非核・開放・三〇〇〇という政策の発案者だそうです。

 彼がいろいろ説明してくれたんですが、この政策を実現するためには、十年間で北朝鮮に四百億ドルの投資が必要だろうというお話でした。四百億ドルどうやって準備するんだと聞きましたら、韓国が百億ドル、ADBなんかを利用して百億ドル、海外からの直接投資百億ドル、米中日で百億ドル用意してくれと勝手に決めているんですね、それはなかなか難しいなと思ったんですが。

 ただ、この非核・開放・三〇〇〇という政策は、これまでの韓国の北朝鮮政策と変わって、ちゃんと北朝鮮の国民の皆さんが本当に自由に暮らせるように、核を放棄したらきちんとやりますよという約束という意味ではかなり意義のある政策だと思いますので、今後、日本政府としては、この韓国側の政策にどのように関与していくおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。

高村国務大臣 非核・開放・三〇〇〇政策というのは、北朝鮮がやるべきことをやれば韓国は応援しますよ、こういうことでありますが、まだ細かい内容を具体的に示されたことが日本政府としてはないわけで、韓国政府自体としても、これから具体的内容を詰めていく段階にある、こういうふうに思っております。

 日本も、拉致、核、ミサイルの問題を解決すれば、過去を清算して国交正常化する用意がある、こういうことを言っているわけで、日本も、北朝鮮がやることをやればそうしますよ、こういうことを言っているので、方向性とすれば同じであると思っていますが、日本と韓国とアメリカ、あるいはその他の国、そういうものを含めて、北朝鮮が拉致、核、ミサイルの問題を解決してもらうように、やるべきことをやってもらうようにやっていきたい、こういうふうに思います。

富田委員 ありがとうございます。

 最後に、財務大臣に、道路特定財源の一般財源化について、この委員会でずっと議論になってきた前提についてちょっと御質問をしたいと思います。

 国土交通委員会の方でも大分話題になったようですが、道路特定財源特例法改正案の第三条第一項本文と同項第二号で、平成二十年度以降の各年度の揮発油税等の収入額の決算額の合計額が当該各年度の道路整備費の決算額の合計額を超えるときは、その超過分を道路整備費の財源に充てなければならないというふうに、規定上、今回改正しようとしています。

 この規定は、これまで全額を道路整備費の財源に充てるとされていた揮発油税について、一般財源化への道を開く根拠規定だというふうに私は理解しているんですが、昨日の集中審議で民主党の岡田克也理事は、この法律なら、翌年もまた道路予算として充当するという建前になっていて、とても一般財源化とは言えないじゃないかというふうに批判されていました。

 これまで全部使っていたものを一般財源として使えるんだよというふうな規定というふうに読むのが自然だと思うんですが、民主党の各委員の批判等も踏まえて、この規定の趣旨について、財務大臣の方からわかりやすく御説明いただければと思います。

額賀国務大臣 これは、富田委員の理解が正しいと私も思います。

 おっしゃるように、財源特例法三条第一項は、揮発油税収等の全額を道路整備費に充てることを義務づけている規定なわけでございます。道路特定財源制度の根拠規定ではあるけれども、これを今回の改正法案によって、道路整備費の予算額を超えるときはこの限りではないと書いてあるわけでありますから、このただし書きによりまして、道路特定財源制度を抜本的に改革をして、道路整備を上回る分は一般財源化をする、ひもつきではない分野に使うことができる。

 問題は、それを計算上翌年度に先送りするという形になっているわけでございますけれども、それも、その翌年度において、改めて真に必要な道路整備に必要な額はどれくらいであるかということを計算し直して、余った分を一般財源化をするということになっておりますので、それで御理解をいただけるのではないかというふうに思っております。

富田委員 道路財源として毎年度どれだけ使うかは、財務省が厳しく査定するんだというふうに伺ってよろしいですね。

額賀国務大臣 そのとおりでございまして、それから、もともと基本方針二〇〇六で、一%から三%ぐらい公共投資は減らしていくということにもなっておりますので、その上できちっと査定をしてまいりたい、合理化を図っていきたいというふうに思っております。

富田委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

逢沢委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会所属委員の質疑に入ることといたしておりましたが、当該政党の議員の出席が得られておりません。

 再度与党理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

逢沢委員長 速記を起こしてください。

 与党理事をして出席を要請いたさせましたけれども、残念ながら出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会の質疑時間に入ります。

 これにて民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・そうぞう・無所属の会の質疑時間は終了いたしました。

 増原義剛君。

増原委員 動議を提出いたします。

 ただいま議題となっております平成二十年度予算三案の質疑を終局し、討論を打ち切り、直ちに採決されることを望みます。

逢沢委員長 増原君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢沢委員長 これより直ちに平成二十年度予算三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立総員。よって、三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)

 お諮りいたします。

 予算三案の委員会報告書の作成は、委員長に一任するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

逢沢委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

逢沢委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十六分散会


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