衆議院

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第3号 平成20年10月6日(月曜日)

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平成二十年十月六日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      伊藤 忠彦君    石田 真敏君

      猪口 邦子君    臼井日出男君

      小野寺五典君    近江屋信広君

      大塚 高司君    大野 功統君

      岡本 芳郎君    木原 誠二君

      木原  稔君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      近藤三津枝君    坂本 剛二君

      清水清一朗君    下村 博文君

      菅原 一秀君    杉浦 正健君

      園田 博之君    中馬 弘毅君

      土屋 正忠君    中森ふくよ君

      仲村 正治君    西本 勝子君

      根本  匠君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    広津 素子君

      深谷 隆司君    福岡 資麿君

      保利 耕輔君    三原 朝彦君

      吉田六左エ門君    笹木 竜三君

      武正 公一君    中川 正春君

      長島 昭久君    長妻  昭君

      原口 一博君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    松本 剛明君

      山井 和則君    笠  浩史君

      渡部 恒三君    赤羽 一嘉君

      上田  勇君    北側 一雄君

      西  博義君    笠井  亮君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)

   (消費者行政推進担当)  野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   法務副大臣        佐藤 剛男君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   農林水産副大臣      近藤 基彦君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   内閣府大臣政務官     松浪 健太君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   文部科学大臣政務官    浮島とも子君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長)   大脇 広樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          草野 隆彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  薄井 康紀君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 岡島 正明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  保坂 展人君     阿部 知子君

同月六日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     中森ふくよ君

  木村 隆秀君     西本 勝子君

  小池百合子君     猪口 邦子君

  斉藤斗志二君     近江屋信広君

  下村 博文君     木原 誠二君

  園田 博之君     木原  稔君

  野田  毅君     保利 耕輔君

  吉田六左エ門君    福岡 資麿君

  細野 豪志君     長妻  昭君

  笠  浩史君     長島 昭久君

  赤羽 一嘉君     西  博義君

  上田  勇君     北側 一雄君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     近藤三津枝君

  近江屋信広君     斉藤斗志二君

  木原 誠二君     大塚 高司君

  木原  稔君     伊藤 忠彦君

  中森ふくよ君     清水清一朗君

  西本 勝子君     木村 隆秀君

  福岡 資麿君     吉田六左エ門君

  保利 耕輔君     野田  毅君

  長島 昭久君     笠  浩史君

  長妻  昭君     細野 豪志君

  北側 一雄君     上田  勇君

  西  博義君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     園田 博之君

  大塚 高司君     土屋 正忠君

  近藤三津枝君     広津 素子君

  清水清一朗君     尾身 幸次君

同日

 辞任         補欠選任

  土屋 正忠君     下村 博文君

  広津 素子君     小池百合子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房長大谷泰夫君、厚生労働省職業安定局長太田俊明君、厚生労働省職業能力開発局長草野隆彦君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、社会保険庁総務部長薄井康紀君、農林水産省大臣官房長岡島正明君、資源エネルギー庁長官石田徹君、中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保利耕輔君。

保利委員 おはようございます。総理初め閣僚の皆様、まことに朝から大変でございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。また、予算委員会の委員の皆様方、本当にお疲れと思いますが、おつき合いを願いたいと思います。

 まず最初に、内閣総理大臣に指名された麻生総理大臣の感想をお伺いいたしたいと思うのでありますが、総理、御存じでございましょうか、十月七日という日、あしたですね、これは我々にとって非常に大事な日なんですが、何か御記憶ございましょうか。首をお振りになるだけで結構でございます。

 実は、昭和五十四年十月七日と言えばおわかりだと思います。それからちょうど二十九年たちました。

 その間にいろいろなことがございましたが、総理が九月の二十二日に自民党総裁として選出され、二十四日に本院において内閣総理大臣に指名をされた。そして、直ちに組閣をされて、すぐにニューヨークへ行かれて、二十五日にはニューヨークで演説をなさる。そういう大変お忙しい日程でございまして、きょう、これから予算委員会が開かれるという段取りになりました。本当に、お体も大切になさらなければなりませんし、お忙しいことと存じます。我々も全面的にバックアップをしていきたい、そういう立場でおりますので、まずそのことを申し上げておきたいと思います。

 九月の二十四日に内閣総理大臣として指名された総理大臣、これから日本のかじ取り役として大変大きな役割を果たしていかれるわけでございますが、閣僚の皆様ともどもに頑張って、日本を誤りのない方向へ持っていっていただきたいと思います。

 それでは、まず、麻生総理大臣に、総理として指名されたその御感想、そしてまた、日本をどういう国にしたいか、日本のかじ取り役としてのお話を聞かせていただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 十月七日、昭和五十四年、初当選を一緒にさせていただきました。七万一千四十一票という票をいただいた、その票だけは今でも記憶があります。昭和五十八年には私は落選して無職になりましたので、そのときにずっと当選されておられますので、そこで当選回数が一つ違った形になろうと存じます。

 正直申し上げて、あのころの時代から比べますと、随分、私の選挙区においては事情が物すごく変わったと思っております。そういった意味では、当選させていただいたあの時代を振り返って、九月の二十四日の日に内閣総理大臣を拝命するということが決まったときには、一番最初に思い出したのは、あの二十九年前の筑豊というところが最初にやはり目に浮かんだところで、随分変わったと正直思いました。

 今、改めて責任の重さというものを感じておりますけれども、保利先生、日本という国はもっと高く評価されてしかるべき状況になり得る国だ、私はそう思っておりますので、ぜひこの国は強く明るいものにしていきたい、基本的にはそう思っております。

保利委員 今、総理から大変力強いお話をいただきました。

 実は、今お座りになっていらっしゃる席には、大分昔になりますけれども、おじい様の吉田茂総理がお座りになっていらっしゃった。その席にお座りになって、恐らく感慨ひとしおのものがあるのかなと思います。そんなこと関係ないやとおっしゃるかもしれない。そこはよくわかりませんが。

 私は、昭和五十四年に初めて選挙に出たときに、それ以来ずっとですが、選挙のたびに、尊敬すべき人物はだれかというアンケートが必ず新聞社からありました。その新聞社のアンケートに対して、迷うことなく、吉田茂を尊敬します、私はそう言っておったわけであります。

 なぜだ。あの終戦の大変な混乱の中から吉田総理がイニシアチブをとられまして、鳩山さんもおられましたけれども、あるときは対立をしながら、あるときは一緒になっていろいろお仕事をなさった。それが今日の日本の国の繁栄をもたらしたものと私は信じて疑わないわけであります。

 そこで、私は吉田さんに何遍かお会いいたしましたけれども、私どもが接するお姿というのは、まさに好々爺という言葉がぴったりでございました。しかし、政治家に言わせますと、吉田さんは非常に怖い人だったと申します。

 私は、父に聞きました。何で吉田さんは怖かったんですかと聞きましたらば、吉田さんのところへ問題を持っていって、どうしましょうかというお尋ねをいたしますと、必ず、君ならどうすると聞かれたそうであります。このことは、私が政治家として務めをしてまいります場合に、自分自身に自問自答をする大変大事な要素ではないかと思います。政治家として、付和雷同するわけではなく、やはり自分の信念というのが政治家にとって必要であると思います。

 そこで、総理は、お身内のことでありますからちょっとお話しになりにくいかもしれませんが、おじい様、吉田茂先生、また麻生太賀吉先生、どういうお気持ちを持っておられるか、ちょっとお述べいただければありがたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

麻生内閣総理大臣 日本が敗戦国として占領されたという状態は異常事態。長い歴史の中で初めて占領されたというあの昭和二十年以降、正式に講和条約ができ、昭和二十七年四月の二十八日に正式に発布していると思いますが、やはりこの時代というのは異常な事態だと思います。そのときに敗戦国側の方の内閣総理大臣を務めるというのは、今とは全く時代が違っておったろうというのは想像にかたくないところであります。

 何となく物騒な時代だったので、人さらいやら何やらがよくある時代でしたので、一回おやじとおふくろに呼ばれて、人さらいが多い、残念ながら人さらいというのに遭った場合は、我が家の置かれている状況からわかるように、人さらいと交渉して応じることはない、したがって、なるべく人さらいに遭わないようにと小学生のときに言われて、弟と二人で、うちはきっとパパの子じゃないんだねとか言って、結構暗い青春でしたな、正直。ひとえにそれがあのじいさんのおかげかと思うと、余りおもしろいイメージはありませんでした。したがって、早うやめてくれぬかなというのが正直な実感だったんですが。

 あの講和条約の前後ぐらいが一番日本としては厳しい選択を迫られておって、単独講和か全面講和かとかいうので国論を二分しておった時代でしたので、小村寿太郎の話を聞かされたり、松岡洋右の話を聞かされたりして、小学生、六年かそんなものだったと思いますが、余りよくぴんときていなかったと思いますが、何となく置かれている状況の厳しさというのが我々にも伝わってくるところでして、子供心に、政治家というのは置かれた状況においては厳しいものになるんだなということだけが私のすごい印象であります。

保利委員 総理の吉田茂観あるいは戦後の日本の政治の歴史を簡単にお話しいただいて、ありがとうございました。

 そこで、今日本の国民が一番気にしておりますといいますか、話題にしておりますと言った方がよろしいんじゃないでしょうか、解散はいつだということをしょっちゅう問われる。総理は本会議でも、私が決めますと言って胸をたたかれたわけであります。そのとおりであります。だから、我々が、いつだいつだ、とこういうことを言うというのは、私は、立法府にいる者としてそれは差し控えたいと思うんです。

 実は、解散ということは総理大臣の大権であるというふうに言われておりますが、このことについて一つの論文がありますので、ここで一部だけ御紹介をさせていただきます。

  衆議院が与野党対立で混乱し、国会審議が渋滞する。そのため国政に重大な支障が生ずるような場合、内閣として何ともできない状態が続くのでは行政権の行使に困るので、衆議院を解散して民意を問い直す、ということになるわけで、他方内閣総辞職という手段もあることは言うまでもない。

  憲法第六十九条は、そうした場合の典型的なケースとして衆議院で内閣不信任案が可決されたとき、あるいは信任案が否決されたとき、内閣は十日以内に総辞職するか、あるいは衆議院を解散できるとしているのである。これは、三権分立のもとで議院内閣制をとり、立法府と行政府に抑制と均衡の機能を持たせている以上、当然のことであるが、このほか、憲法第七条に基き内閣の助言と承認による天皇の国事行為としての解散もありうる。

  しかし“六十九条解散”でいう不信任案可決とか信任案否決といった典型的な形でなくとも、予算案や内閣の公約である重要案件が否決されたり、審議未了になったりしたときとか、審議が長期間ストップして国会の機能がマヒしたときとか、“六十九条”と同一視すべき事態もある。しかも異常な事態でありながら、党利党略等で内閣不信任案も提出されないまま国政が渋滞を続けるといった例もなかったわけではなく、そこに内閣による“七条解散”の意義があると認められる。

  従って“七条解散”は憲法上容認されるべきであるが、ただその発動は内閣の恣意によるものではなく、あくまで国会が混乱し、国政に重大な支障を与えるような場合に、立法府と行政府の関係を正常化するためのものでなければならない。つまり“七条解散”の底には、“六十九条解散”と同様な精神が流れていなければならないのである。

こういう論文があります。解散というのは非常に大事なことであり、憲法にも規定してある。七条解散、六十九条、六十九条で解散したということはないと思いますけれども、天皇の国事行為でありますから、事実上六十九条の事態が発生をいたしましても、天皇に御裁可を仰ぐということでありますから、当然七条解散というふうに解釈ができるわけであります。しかし、その精神は、やはり六十九条あるいは六十九条に類するところの事態が起こったときに解散をするということでありますから、大変難しい判断を内閣総理大臣はされるわけであります。

 マスコミ等で見ますというと、十月二十六日に選挙と一面トップで打った新聞もありましたし、十一月二日なのか十一月九日なのか、大騒ぎであります。しかし、内閣総理大臣がお決めになるというのには、今のようないろいろなお考えをされ、そして国民のために考えて解散をなさるということだと思います。

 非常にお話しになりにくいことだと思いますが、もし今の話を聞いていただいて御感想があれば、お聞かせをいただければありがたいと思います。

麻生内閣総理大臣 七条、六十九条、昔からこの議論のなされてきたところであるのは、もう保利先生よく御存じのとおりであろうと存じます。

 基本的に、今、世の中、解散というのを私の口から聞いた方は一人もいらっしゃらぬのですが、新聞によると、常にどなたかが言っておられることになっております。これは、私のときに限らず、いつの時代でもそういうものだと思っております。

 ただ、今、私自身は、世の中というものは、景気というものに関して、特にアメリカ発の金融危機というのは、これは確実にヨーロッパにも広がっておりまして、ヨーロッパの大きな銀行も幾つか倒産ということになっておって、ヨーロッパの首脳会議を急遽開いてというような一連の話がございますので、その意味では、少なくとも今、基本的には、景気というものに対する先行き不安というのが国民の最大の関心事であろうと思っています。

 したがって、私自身といたしましては、まずは何といっても、緊急経済対策として提出させていただいておりますこの補正予算というのを審議していただく、それでこれを上げていただくというのが一番と思っておりますので、今この段階で解散というような話を考えておるわけではございません。

保利委員 もちろん、総理大臣のお口からいつ解散するなんということは言えないわけでありまして、それは、よくお考えいただいて、そして慎重に解散権を行使なさるようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 そこで、総理大臣として、さきに本会議において所信表明演説をなさいました。いろいろな項目がございましたけれども、民主党に対して問いかけをするという、議会史上余りなかったことじゃないかと思うんですが、そういう形式をおとりになった。

 そして、その中に、当面いろいろ政治の問題があるわけですが、政治とは国民生活を守るためにある、これは民主党さんの標語でありますが、議会人たるもの、何人も異を唱えぬでありましょう、ならばこそ、今、まさしくその本旨を達するため、合意形成のルールを打ち立てるべきでありますと。

 このねじれ国会の中で合意形成のルールというのは、総理からいえば、どういうことを想定していらっしゃるのか。ちょっと難しい質問かもしれませんけれども、もしお答えができれば、お願いをいたしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これは、この前、安倍内閣のときの幹事長それから福田内閣のときの幹事長に短期間ではありましたけれどもさせていただいた最初に、私は、政党間協議というのを両方とも呼びかけたと記憶をいたします。

 衆参、他国では上院下院、いろいろ言い方がございますが、そういった両院がねじれているというのはどこの国でもよくある話、それに当たってどういう形でそれらの国々で合意形成をしてきたかを見るときに、やはり基本的に、院内において両党間で話し合うというのは当然のことなんであって、それは談合とかいうような話とは全然違う種類の話なんであって、両党間でいろいろやる。さきの臨時国会におきましても、その前の国会におきましても、いろいろな形で法案が成立しておるという例もございます。そういった意味では、政党間協議というのは成熟した民主主義というものなり議会制民主主義という中にあっては当然やるべき、なされるべき行為だ、私自身はそう思っております。

保利委員 ありがとうございました。

 話し合いの精神ということでありますけれども、これだけねじれておりますと、なかなか話し合いもうまくいかないかもしれない。しかし、そこは誠意を持って話し合いをしなければいけないし、政権を預かる内閣、そしてまた我々与党、そこはやはり話し合いのための精神をきちんと持っていなきゃいけないと思います。

 昔から、聖徳太子、和をもってとうとしとなすと言いますし、また、英語のパーラメントあるいはフランス語でのパルルマン、これは話をすることということから来ているようでありますので、そういう意味で、やはり話し合いの精神というのは大事にしてほしい、また、大事にしてもらいたいということを民主党さんにも呼びかけられておる、そのように解釈をしたいと思います。

 次に、同じページに書かれておるんですが、着実な経済成長というところで総理はこういうふうにおっしゃっておられます。

 緊急な上にも緊急の課題は、日本経済の立て直しであります。これに三段階を踏んで臨みます。当面は景気対策、第二番目は中期的に財政再建、中長期的には改革による経済成長。

 この三つを挙げておられますが、国民の皆様方、これをテレビの前にいらっしゃって聞いておられます。この意味をできるだけ易しくお話をいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 今、当面、景気対策、約三年ぐらいということを申し上げました背景は、少なくとも今、日本を取り巻いておりましたこれまでの景気環境というものは輸出に頼っている部分が極めて大きかったと存じます。アメリカへの輸出、中国への輸出が日本の経済成長のほとんどを占めておったと言っても過言ではないと思います。

 それが、昨年末からことしに入りましてからは、アメリカは御存じのようなサブプライムローン等々が始まり、中国におきましては、ことしの一月以降この夏までに上海の株価は約六〇%ぐらい下がったと思います。したがって、四割、百円が四十円になった。そういう状況になりますと、外需に頼れるような状況ではない。

 したがって、当面は、これは景気対策をしない限りは、日本の経済成長は二%ぐらいから三%ぐらいの名目経済成長率を達成して、その上で、いろいろな意味でのパイを大きくしてから財政再建、いわゆる、日本としては財政は極めて大きな借金を抱えておりますので、そういったものを解決していく。ただただ倹約して小さくして、そぐところはそぐ、無駄を省くのは当然ですが、それプラス、ある程度の経済を成長させないで財政を再建するというようなことはあり得ない、私自身はそう思いますので、まずは景気対策、その上で財政再建だと思っております。

 加えて、中長期的にと最後に申し上げましたのは、中長期的には、日本が今後、これまでもいろいろな産業を、リーディング産業というのを育て、昔は繊維、造船、鉄鋼、自動車、いろいろやってまいりましたが、日本は今はそういったリーディング産業になり得るものとして、新たに環境技術とか省エネ技術、ソーラーパネル等々、幾つもの新しい技術が今芽生えつつあるような感じがしておるのは御存じのとおりです。

 こういったものに関して、積極的に我々はその産業を育てるということによって、結果としてそれが雇用を生み、新しい企業の収益を生み、結果として日本経済のパイ全体が大きくなっていくというようなことを考えていくべきなのであって、それを三つ一緒にというような話になりますと話が込み入りますので、まずは景気対策、その上で財政再建、そしてということを申し上げさせていただきました。

保利委員 御懇切な解説をいただきまして、ありがとうございました。

 これは人間の体に例えて言うならば、けがをした、血が出ている、血はまずとめなきゃいけない。あるいは、頭が痛い、お腹が悪い、薬を飲まなきゃいけない。それから、それが回復したら、しばらくの間リハビリをしなきゃいけない。そして、健全な体ができたらば、その後は、スポーツでもやって体を鍛えて、明るい人生を築いていかなきゃならない。そういうふうな例え話になりそうでございますが、今の例え話、総理、御了解いただけますでしょうか。

麻生内閣総理大臣 例え話は、うかつにやるとそこだけつかまえられて話が、危ないですものね。ですから、なかなかうかつには乗れないところですが。

 心臓ぱくぱくの状態のところに医者が来て、まずは体質改善ですと言われても、体質改善する前に本人の心臓が停止したんじゃ話になりませんから、やはりそこは、点滴を打ったり、心臓マッサージをやったり、いろいろなことが必要なんだと思います。順番からいきますと、今は私はかなりきついと思って、特に、都会にいると余りぴんとこない方が多いように思いますけれども、地方に行くと物すごく状況は厳しくなっているし、これから先もさらに厳しくなるであろう、私はそういう感じがひしひしとしますものですから、これは今のうちにやっておかないとえらいことになるというのが率直な実感です。

保利委員 地方の問題は全く同感であります。私も九州で一番小さい県の出身でございますので、そのことは強く感じておるわけでございます。

 そこで、お薬をまず差し上げなきゃいけないとか、あるいは血をとめなきゃいけないとかという意味で、これは与謝野大臣にお伺いをいたしたいと思うんですけれども、安心実現のための緊急総合対策というのをつくりました。それに基づいて、ここに提出されております補正予算案が出てきていると私は思っております。

 そこで、安心実現のための緊急総合対策、これは福田内閣のときにたしか閣議決定されていると思うのでありますが、それから補正予算に至る道筋、そうしたものについての解説をお願い申し上げたいと思います。与謝野大臣、お願いいたします。

与謝野国務大臣 お答え申し上げます。

 緊急経済対策というのは次のような観点からつくられました。一つは、原油、資源、食料等が急激に上がった。一方、日本の経済も循環的な意味から一応減速過程に入った。また、アメリカで起きたサブプライム問題、これはいずれ金融問題として波及をしてくる。こういうことに備えて、痛みを和らげる、また、少しでも安心実現のための施策を行う、また、金融問題から端を発して、日本の経済、特に中小企業に対する金融等が滞るというようなことになると日本の経済が打撃を受ける、したがって中小企業対策も行う、こういうことでございます。

 恐らく保利委員の御質問の趣旨は、今のような経済危機というものを考慮に入れた対策なのかどうか、こういう御趣旨であるとすれば、そのような条件は、八月四日から作業を始めましたので、その間は、米国を初めとしたヨーロッパの現在のような金融危機、こういうものの要素は一切入れていない対策でございます。

保利委員 ありがとうございました。

 こういう形で補正予算が提出をされ審議にかけられているというふうに理解をいたしまして、これこそまさに今の日本経済に対するお薬であるというふうに思います。言葉は注意をしなきゃいけないので、私も注意をしなきゃいけないと思っております。

 そこで、いろいろ今度の補正予算について、本会議場で総理御自身、呼びかけをされた件がございます。補正の賛否、それから地方道路財源に欠陥が起こっておる、地方で税収不足が起こっているという問題、それから消費者庁の三法案についてという問題。さらに、総理はこの間国連で演説をされましたが、この所信の表明の中でも、日米同盟と国連との関係についても述べておられます。また同時に、インド洋での補給活動についてもお述べになっていらっしゃる。そういったことについては、国政を預かる身としてぜひなし遂げたいというお気持ちだろうと思いますが、それで間違いないでしょうか。どうぞよろしくお願いします。

麻生内閣総理大臣 補正に関して、特に中小零細企業の経営者の方にとって、この年末の資金繰りというのが多分最大の関心事だと存じます。元経営者として、やはり年末の資金繰りは極めて大きいものだ、私自身はそう思っております。

 したがいまして、この補正に立てさせていただきましたものの中にも、効果としては約十兆円前後のものになり得る資金繰りの案が提示されておりますが、こういったものが補正としては非常に大きいものだと思っております。

 消費者庁に関しましては、これまで国でいわゆる生産者側の方の話をいろいろ行政としてやってきておりますが、消費する側の立場に立っての役所というのは多分これが初めて、実質的には消費者庁という形でつくらせていただきますのはこれが初めてであろうと存じますし、今、食品の安全やらいろいろ出てきておりますが、こういったものは、私どもにとりまして、どこに文句を言っていいんだかさっぱりわからぬみたいな話でありますので、各県に窓口をつくるとか、いろいろな形での消費者庁というのは非常に重要なものだと思っております。

 それから、テロの話に関しましては、今、イラクに派兵しておりました兵を各国皆引き揚げて、もしくは削減して、その多くの部分をアフガニスタンに振り向けているというのが今の世の中だと存じます。そのアフガニスタンのテロに対して世界が闘っておる最中である中にあって、日本だけがそこから撤収をするというのは常識的には考えられない、私自身はそう思っております。

 今、あそこに油を給油しておりますが、油代金は年間どれぐらいでしょうか、今二十億円から三十億円の間の油代金だと思いますが、そういったことによって世界から多くの信用を得ておりますが、傍ら、湾岸戦争のときには一兆五千だか八千だかのお金を出して何ら感謝されなかった。あの例を私どもはちょっと、一九九〇年のことでしたけれども、私にとりましては鮮明な記憶でありまして、私どもとしては、きちんとした形で世界と一緒にテロと闘う国際社会の一員であるということに、この意義は極めて大きい、私自身はそう思っております。

保利委員 いろいろなことがございますが、特に消費者庁の問題とか、あるいはインド洋の給油問題とかいうのは、ねじれ国会のもとでは結論を得ていくということがなかなか難しい状況であるということは我々も認識をいたしております。しかし、これは国民のために必要だということで、やはり粘り強いお話し合いをしていかなければならないと思っております。

 今お触れになった中で、地方の問題についてお話がありました。総務大臣に御所見をお伺いいたしたいと思いますが、先日、全国知事会の会長であります麻生会長がおいでになりまして、地方税の減収補てん措置の速やかな実現を求める緊急申し入れというのをされました。しかし、これもまた法律事項でありますね。そこで、この問題にどう取り組まれるか、総務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 先ほど総理から御答弁がありましたように、私もかつて選挙区が東京で、現在は福岡でございまして、久留米市という中核都市に居住いたしておりますが、中核都市でもシャッター街がふえるというような状態があって、これがもっと小さな都市あるいは町へ行けば、その景気の厳しさというものはひとしおだろう。

 やはりその根底には、要するに財源という問題があるわけでございまして、交付税が三位一体改革のときに五兆円以上減らされている。地方は懸命にスリム化をやってこれをしのいだりしている。例えば、四兆七千億の補助金を削減したときに、税源移譲は三兆円で、あとはスリム化とか地方交付税対応。

 こういうことで、やはり地方の税財源がないと大変厳しい状況だ。それが続いていると思いますので、麻生総理から、地方を元気にするのがおまえの仕事だ、こう言われている以上は、地方の税財源の確保に全力投球をするのが総務大臣の役割だと認識いたしております。

保利委員 今、総務大臣からお話がございました。これは地方の切なる願いでございまして、そういう事態が起こってしまったということは仕方ない。やはりその穴埋めはきちんと国が責任を持ってやらなきゃいけないということでありますので、総務大臣の御奮闘をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう一つこの所信表明の中で言っておられることに、わずかに二行でございますけれども、教育問題を扱っておられるわけであります。本来ならば文部科学大臣にお尋ねをしたいところでありますが、総理の御所見でございますので、総理が教育に対して持っておられるお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

 ついては、その所信表明で、「学校への信頼が揺らいでいます。教育に不安が生じています。子供を通わせる学校を信頼できるようにしなければなりません。保護者が納得するに足る、質の高い教育を実現します。」こういうふうに所信表明をしておられます。ここで言うところの総理のお考えの質の高い教育というのはどういうことをお考えになっていらっしゃるか、御所見をお伺いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 ほぼ同じ世代でありますので御理解をいただけると存じますが、私どもの時代、昭和三十年代では、少なくとも東京では勉強のできる人は都立高校に行ったと存じます。私立の高校に行く人の方が少なかった。大体皆、やめて都立高校に行った。ああ、あいつ都立に行ったんだといって、日比谷高校から何々大学というのだったんですが、最近は私立におみえになる。高い、授業料が。明らかに高い。

 何で都立に行かなくなったのか。私は、非常な大きな問題は、これが問題という答えがあるわけだとは思いませんが、私立に皆、高い方を選んで行くようになった理由が、しかるべき背景があるはずだと存じます。そこが教育費を高いものにしていることの一つだと思っております。

 いろいろな意味で、私は、今、我々の時代とは少し時代が変わってきているどころか、大きく変わってきている一点だと思っておりますので、ぜひこういった面はきちんと考えないと、なかなか言うはやすし行うはがたしだと思いますが、こういった点が一つ。

 もう一点は、やはり教育というのはかなりいろいろな意味で、しつけとかそういった話は何となくどこか家庭でやる話になっておったんですが、いつの間にか家庭は夫婦共稼ぎをせざるを得ない状態が常態化いたしたりしておりますので、家庭のしつけの分が学校に持ち込まれたりする。そういった状況になりますと、なかなか、それは御家庭でなさる話じゃありませんか。私は、妹二人が幼稚園の先生をしておりましたのでその種の話をよく聞く機会があったので、話を聞くたびに、それは普通、家庭でやるんじゃないのという話をよく聞かされたことがあります。

 そういった意味では、それも実質問題、学校でやらねばならぬ、保育園、幼稚園でやらねばならぬということになるのであると、従来のものと、我々の子供のとき、我々の学生時代とは随分違ったものになりつつあるのが今の現状、もしくはなってしまっているというのが現状というのであれば、もっと根本的なことをきちんと学校で教える必要が今あるのではないか、そんな感じがしております。

保利委員 教育の問題については後で時間がありましたらばもう少しお話をしたいと思いますが、麻生総理とはかつて道徳教育の問題についてお話し合いをさせていただいたことがあります。日本の道徳教育の根源をなす理念、思想というのは一体今何なんだろうか、なかなかわかりにくいことであります。

 欧米においてはキリスト教精神が教育の基本精神になっている、恐らくアラブではイスラム教の精神が教育の基本になっていると思う。日本はかつては、大体江戸時代からのしきたりでしょうか、朱子学というので、孔子、儒教の教えをよく用いておった。そういう時代の礼儀正しさというのが、今日の日本の道徳のもとになっていると思います。

 もっとも、道徳という言葉は非常に古めかしいので、例えばエチケット教育とかあるいはマナー教育とか、そういうことでいいんじゃないかと思うんです。悪いことをしたらたたかれるというぐらいのことは、道徳教育であってもいいんじゃないかなと思っております。これは、後からまた文部科学大臣にもお尋ねをしたいと思います。

 さて、今度の法案には関係がございませんけれども、消費者庁という問題があります。この消費者庁をなぜつくらなければならないか、どういう意味で消費者庁法案をお出しになったのか、そこのところの御説明を、これは担当の大臣であります野田大臣にお願いを申し上げたいと思います。

野田国務大臣 このたび、臨時国会に消費者庁設置に関する関連三法案を提出させていただいております。

 その理由は、まず、昨今、食の安全を脅かす事案が多数発生しております。例えば農林省に関連している汚染米の問題、さらにはその前には偽装の食品等々、とにかくありとあらゆる食に関する信頼感が揺らいでいるのが現状であります。

 と同時に、食だけではなく、さまざまな物品とか取引に関しても金融詐欺が増発している中で、やはり消費者がしっかりとこの国に安心して暮らしていけることをお約束するのが、この国の責任であります。

 残念ながらこれまでは、その行政サービスを担ってきた各省庁というのが、明治以来の縦割り行政の中で行われてきており、そもそも当時の発想というのは、殖産ということで、生産者や事業者を育てることで国を強くしていこうという精神のもとでできてきましたから、その受け取り側の消費者に対する権利を保護することとかしっかりとした消費活動を守るということが、どうしても二次的、後回しになってきたことは事実であります。

 結論からいうと、そういう縦割り行政の中で、さまざまな多様化した問題が、先ほど総理がおっしゃったようにたらい回しになってしまったり、または、育てる側とそれを処分する側が同じ役所でいるということで、どうしても手が緩められて速やかに事件の解決に至らなかったということがずっと積み重なってくる中、今、日本のこの閉塞感を打ち破る一つとしては、やはり個人の、生活者の立場に立脚した新しい行政改革を進めていかなければならない。

 そういった意味では、消費者庁は、単に新しい組織をつくるということではなく、やはり今ある日本の閉塞感のもとである省庁のあり方を抜本的に見直し、それを横断的にし、なおかつ個人個人の生活者の立場に立った、先ほども総理がおっしゃった、日本で初めてのそういう意識改革の象徴であると思います。

 できれば皆様方の御協力をいただいて速やかに成立し、明るい、強い日本の一つの柱としていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

保利委員 この問題は大いに私どもも期待をいたしておりますし、二百人程度で消費者庁を発足させると伺っておりますけれども、各省の縦割り行政というのがどうしても生き残ってくる可能性がある。そこら辺のところを、指揮者として、コンダクターとしてきちっと整理をして、そして、リーダーシップを持って消費者庁を運営していただきたいことを御要望申し上げておきたいと思います。

 さて、補正予算、いろいろな特徴があると思います。一兆八千億の国費をもって十一兆五千億の事業を行うということでございますが、これは財務大臣に、今回の補正予算の特徴というものがどういうところにあるのか、前に財政演説で伺っておりますのでほぼ内容は伺っておりますが、今パネルに出ているとおりの内容でございますけれども、どういう特徴があるのかということについてお話しいただければありがたいと思います。

中川国務大臣 今回御審議いただいております平成二十年度補正予算の特徴につきましては、まず、非常に切り詰めるところを徹底的に切り詰めるというところ、つまり歳入の方でございますけれども、徹底的にやるということで、今までのような方針ではなく、いわゆるばらまきと言われるようなことについては、これはもう絶対に避けなければいけないという歳入の方の方針でいかせていただいております。

 しかし、どうしても歳出の方でやむを得ない歳出というものに対応するために、建設公債というものを出させていただくことを考えております。赤字公債については、これは一切発行しないということでございます。

 歳出の方につきましては、まず、先ほども御指摘ありましたが、景気の状況が非常によくない、特に地方も含めてよくないという状況、さらには、国際的な金融市場が非常に緊張しているということも現実にあるわけでございます。

 そういった観点から、主なものを申し上げさせていただきますと、高齢者医療を円滑に運営する対策、あるいは医師不足対策、あるいはまた新型インフルエンザ対策等、生活者の不安解消が一点でございます。

 それから、災害対策ということで、学校の耐震化、さらには災害の復旧ということでございます。

 三点目といたしましては、低炭素社会の実現と強い農林水産業をつくっていく。特に、農林水産業も輸入物を中心としたコスト高に非常に苦しんでいらっしゃるわけでございますので、これに対する対応というものも盛り込んだところでございます。

 さらには、日本の経済を支えております中小企業。中小企業も、今御指摘がありましたように、地方の中小企業を初めとして全国で大変困っているわけでございますので、新たに保証制度の対象を広げるとともに、セーフティーネット貸し付けの方も、期間の延長あるいは限度額の拡大等で対応をしていきたいと思います。

 そしてまた、住民の皆さんを直接支えていらっしゃる地方公共団体。地方公共団体も、あの一カ月間暫定税率がなくなりました。歳入減という問題等で困っていらっしゃいますので、地方公共団体に対する配慮というものも盛り込ませていただいておりまして、これらを中心に、何とか現下の経済情勢あるいは暮らしの不安解消のために資するように作成をしたところでございます。

保利委員 今度の補正予算は、赤字国債を出していないというところが非常に大きな意味があると思います。したがいまして、国費のベースで一兆八千億、これはかなりの部分、やはり現在の予算の節約等も含まれておりますし、苦心惨たんして国費をお集めいただいた。余剰金もございます。それから政府の予備費を使っているというようなものもありまして、そういった大変に苦心をされた跡がよく見えるわけであります。

 しかし、考えてみますと、いろいろお約束をする、または総理の所信にもあります、例えば定額減税をどういう財源をもって行うか、あるいは基礎年金の二分の一への引き上げの財源をどうするかとか、もろもろの要望が積み残しになっておりますので、ここらについては後ほど同僚議員がいろいろお話を伺うように質問の準備をいたしておりますので、そっちにお譲りをいたしたいと思いますけれども、政府はもう手持ちがないよという状態まで来ているのか、それとも、若干まだ揺すれば幾らか財源が出てくるというのか、そこら辺は我々にもわかりにくいところであります。

 しかし、どうしてもそういったことについて対策を打っていく必要がありますから、税源については今後税制調査会その他できちんと議論をして、将来あるべき税制というものを確定していかなきゃいけないんじゃないかなと思います。

 それの一つの大きな原因としては、最近の金融危機の問題がありますし、金融危機がどういう形で日本に波が押し寄せてくるのか、これはなかなか予測の難しいところでございますけれども、それに対応する、やはり備えというか構えというか、そういうものが必要なんじゃないかと思います。麻生内閣にかけられた責任あるいはそういった処理をすることの大切さということは、大変大きい問題があるだろうと思います。

 金融危機の問題については、今週末ですか、中川大臣は渡米をされていろいろお話し合いをされるように伺っておりますが、そういうことでしょうか。

中川国務大臣 今週末にワシントンでG7、それから財務大臣と中央銀行総裁会合が予定されております。日本としては、財務大臣と中央銀行の総裁が出席をすることになっておりますけれども、財務大臣は私でございますが、これは国会の御審議との関係で、国会の御判断というものをいただきながら、最終的にどうなるかという現状でございます。

保利委員 細かくは述べませんけれども、財務大臣と金融大臣を兼ねられる、これは非常に大きな意味があると思いますし、またいろいろな論調がありますので、そこのところは、財務大臣と金融大臣を兼ねられたというメリットが出るようにこれから頑張っていただきたいなと思っております。

 それから、これは文部科学大臣に伺いたいと思います。

 今度の補正予算の中で、学校の耐震化という問題について問題提起をしておられ、予算にも組み込まれていると思います。その様子、耐震化に対する文部科学大臣の心構えをお聞かせください。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 学校施設については、児童にとっても、また緊急時の避難地ということで住民にとっても大変役割を果たすところがあると思いますので、この安全確保は万全を期してまいりたいと思っております。

 しかしながら、現在の公立小中学校の耐震化率は約六割ということでございますので、これをいち早く進めなければならないということで、特に、市町村の財政負担が大きく、耐震化を速やかに進められないという状況がありましたので、本年六月に地震防災対策特別措置法が改正されて、まずは、地震による倒壊危険性の高い公立小中学校施設の地震の補強事業、そして、国庫補助金の引き上げを行って、さらには、実質的な地方負担が三〇%から約一三%に軽減されたところでございます。これによって市町村の負担の大幅な軽減が行われたわけでございまして、耐震化事業の前倒しが今計画されているところでございます。

 そして、今般の補正予算につきましては、このような市町村の取り組みを支援するために、公立小中学校施設の耐震化にさらなる加速化を図るため、必要な予算として一千百三十九億円を計上しております。これについては、今、現在の耐震化を進めている五年計画が平成二十年度から二十四年度までになっておりますが、これを一年前倒しに、二十三年度まで完了していきたいと思っております。

 そして、この耐震化を加速するためには何といっても市町村の財政の負担の軽減を図ることが重要だと思っておりますので、文部科学省としては、総務省に対しても地方財政措置の拡充を要望して、地方公共団体への支援を進めてまいりたいと思っているところでございます。

保利委員 学校の耐震化というのは非常に大事でありまして、中国の四川省で大きな地震があって学校が大分やられた、そして、その中で将来を担うべき子供さんたちが亡くなるというような事態が起こっております。

 日本も、地震大国と言って威張るわけにはいかないんですけれども、非常に地震の多い国である。そうして見ると、子供さんたちが寄り集まっている学校というのは、地震の悪魔がねらい撃ちをするということはないだろうと思いますけれども、そこに集まっているところががしゃっといっちゃったら大変なことですから、文部科学大臣、これは一生懸命に努力をしていただきたい。これから先、五年計画と言わず、前倒ししてでもこれを実行していただきたいと思います。

 ついては、今、文部科学大臣から地方財政に対する配慮というのがあったと思いますけれども、これは鳩山大臣にお伺いをしたいと思うが、中には、せっかく国がたくさんお金を持ってきて、学校の耐震化をやりなさいといっても、地方財源が非常に苦しいものだから、ちょっと待ってくれというようなところも出てこやしないかと心配しておりますが、それに対する総務大臣の対策というか、手の打ち方というのを教えていただけますか。

鳩山国務大臣 私は、保利先生と同じような経験がありまして、耐震化であれ、学校の施設整備の件で、文部科学省も了承しているから、だから建てかえましょうとか、耐震化やりましょうというふうに言いますと、市町村の方が、これは困った、自己負担分が払えないから待ってくださいということは往々にしてあることで、こんな悲しいことはないわけでございます。

 そういう意味では、今回の補正予算では、いわゆる震度六強で倒壊、崩壊の可能性のある一万棟の中から幾ばくかをやるわけですが、全額面倒を見るというか、要するに、地方の自己負担なしに、三分の二補助をして、残りは全額地方債を発行してよい、しかも、その発行した地方債については円滑に事業が実施できるようにしておりまして、後年度の元利償還金を全額基準財政需要に入れるということで、当面のお金は一円も要りません、そして、その後年度負担も相当程度国が面倒を見ますということで、地方の負担を減らす、そういう形をとっているところでございます。

保利委員 学校の耐震化というのは、先ほどの四川省の例も申し上げたんですけれども、大変大事なことですので、両省あわせて頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に、中小企業対策についてお話を伺いたいと思います。

 今度の中小企業対策のうち、特にこの補正予算の中にも組まれておりますけれども、四千億の国費をもって、そして九兆の信用供与を行う、そういう事業が組まれております。大変二階大臣が御苦労なさってこの予算をつけられたというふうに理解をいたしております。感謝を申し上げるところですが、この仕組みを大臣から、あるいはこういうことを入れた理由とか、そういうことがありましたらば御説明をいただきたいと思います。

二階国務大臣 お答えいたします。

 御承知のとおり、今日の経済情勢のもとで中小零細企業の皆さんが大変資金繰りで御苦労いただいている状況、そして現に倒産件数がふえておるということを認めざるを得ない、そういう事情にあるわけでありますから、私ども経済産業省としては、中小企業の資金繰りこそ最重要の課題だというふうに考えて対策を講じてまいりました。

 具体的には、原油、原材料、そして仕入れ価格の上昇などに苦しんでおられる中小零細企業の皆さんを幅広く支援する、そういうために、今、保利先生から御指摘のありました緊急保証制度を創設して、六兆円の保証を実施することにしております。

 次に、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付けをさらに強化して、三兆円の追加資金を供給することにしております。今御指摘のとおり、補正予算におきましては、これらのために必要な予算として四千百四十億円を計上しているところであります。

 あわせて、大変重要な中小企業対策であります保証協会、そして金融機関の窓口において、中小企業の実態を踏まえた、親身な、親切な取り組みが行われるように、関係機関に配慮を要請しているところでありますが、私も保証協会の各県の責任者に近くお集まりをいただき、厳しい今日の経営状況の実態をお伺いすると同時に、中小零細企業の資金繰りに対して配慮をいただくべく万全の対策を講じてまいりたいと思っております。

 要は、最悪の事態であります倒産という事態を回避すべく全力を挙げてこの景気対策を含めた中小企業対策を講じてまいりたいと思っております。

保利委員 現下の景気、地方において、また中央でもそうかもしれませんが、大変厳しいものがあります。特に原油の高騰、それから資材の高騰等で弱っておられるところがある。

 そこで、ちょっと話題をかえさせていただきますけれども、こういうことを書いたものがあります。それは、昭和四十年代にオイルショックというのがあった、そのときの状況を書いたものがありますので、ちょっと読ませていただきます。

  今日のわが国の政治、経済ないし国民生活の実情は、きわめて困難な問題にぶつかっている。大変な危機に直面しているともいえる。このことは国民の多くが心から心配し、政治に対する強い要請ともなっていると思う。それだけに政治にたずさわる者の責務は大きい。

  「政治とは一体何なのか」、最近の政治、経済は外的な要因によってますます複雑な様相を深めており、今一度政治の原点に立ち帰って日本の将来を考え直さなければならない時期を迎えた。

  戦後の保守政治、吉田内閣から田中政治まで、それなりの役割を十分果たしてきたと思うが、急速なスピードで経済大国といわれるようになったその過程で、果たして政治の任務、使命というものが十分全うされたかどうか。高度な経済成長は国際的な情勢によって促進され、日本人独特の優れたエネルギーが十二分に発揮された結果である。

  “経済優先”というようなことも否定し得ない。そこらに反省させられるものがあるように思う。政治はこれに便乗してきたにすぎないのではないかという反省――経済の繁栄の中で、国民一般の生活、環境条件が十分満たされてきたのであれば問題はないわけだが、逆に公害、住宅問題、下水道などの環境整備などは、むしろ損なわれ、非常に窮屈になってきた。これはやはり政治の大きな責任分野であるわけだ。政治がどこまでこうした意識を貫いてこられたのか、経済の成長に頼ってきた政治の安易なやり方が結局、社会的な公正を欠く社会を生み、政治、経済、社会の今日的な危機につながっているといえる。政治というものは常に社会的な公正が保たれなければならない。ところが、最近は石油問題、国際通貨の問題などが起こり、急速なインフレ状態に向かっており、かなりのアンバランスが生じている。インフレは社会的公正の面から言えば、これほどの重罪犯はいない。今こそ言葉の上でなく、真に経済優先から本来の政治優先の姿に転換しなければならない。

という文章があります。これを見ると、三十数年前の話でありますけれども、実に今日の状況とよく似ているということであります。

 そこで、もとへ戻りますけれども、中小企業対策について、きょうは中小企業庁長官もおいでになっておられる。中小企業庁長官ですから、最先端の企業の皆さんが御相談をいろいろするんだろうと思いますが、金融機関にお金を借りに行ったときに、いろいろ条件がつけられて、本当に借りたいという人に行くのかどうか。担保が足りないじゃないかとか、あるいは累積で随分借りちゃっているじゃないかというようなことを難癖をつけられて窓口でシャットアウトされるというような事態が起こりはしないかと私は心配をしますが、中小企業庁長官、この辺はどういうふうに御説明になり、お考えになっておられるか、御所見をお聞かせください。

長谷川政府参考人 委員長のお許しをいただきましたので、一言御答弁申し上げます。

 中小企業、零細企業の方は、資金繰りのみならず、現下の厳しい経済情勢の中で、従来の顧客がなくなった、あるいは全く御自分の及び知らないところで生じました原油、原材料の価格が上昇した、こういうことで大変呻吟しております。私も着任以来、職員と分担いたしまして、東京にいただけでは全くわかりませんので全国二十カ所以上回りまして、直接皆さんのお声を聞きました。

 そういうことを踏まえまして、二階大臣に御報告をさせていただきながら、まずは、先ほどお話がございましたように、止血をする、倒産を少しでも防ぐという意味で資金繰り対策ということに全力を傾注しております。

 今、保利政調会長からございましたように、制度をつくっても本当に中小企業の方々にそれが行き渡るのかということは、一番重要な点でございます。一刻も早くこの補正予算を使わせていただきまして、そういった事業者の方々に浸透するように全力を挙げて、広報それから説明に努めてまいりたいと思います。

 この際、金融庁の皆様方とも連携いたしまして、貸す立場、借りる立場、双方が一体として、実際にお使いになる中小企業者の方の声を聞くべく、早速今月からでございますけれども、全国百五十カ所を回るということで、いろいろな方々の声を少しでも聞いて、この予算が少しでも趣旨どおり実現するように努めてまいる所存でございます。

保利委員 この場で中小企業庁長官は、親切丁寧に窓口業務をしてもらうということでありますが、ひとつ、これは金融関係を担当しておられる中川大臣にもお尋ねをしたいわけですが、金融庁として、やはり銀行の窓口あるいは信用組合の窓口が丁寧に対応するように何か通達をしていただくとか、そういうことをするお考えがあるかどうか、お聞かせください。

中川国務大臣 金融庁といたしましても、現在の経済情勢、とりわけ中小企業が大変厳しい状況にあるということは十分認識をしているつもりでございます。

 金融庁は、直接的には金融に対する企画立案とか監督行政ということでございますけれども、それは単に厳しくやればいいというものではないというふうに私は考えております。もちろんリスク管理も大事ですけれども、リスクをある程度金融機関も貸し出しに当たってはバランスよく認識をしていく、あるいはその企業の特性というものをよく判断した金融をしていただきたい。そのために金融庁としても後押しをしていかなければならないと思っております。

 今、何らかのことを全国に発出するかという御質問でございますが、私は、以上のような観点で毎日金融庁には申し上げておりますし、また、今中小企業庁長官からもございましたように、中小企業庁と金融庁が一緒になって全国の実態を把握していくということを近々始めさせていただきますので、現下の経済状況、あるいはまたその報告を待ちながらも、適時に対応できるように注意深く見守っていきたいというふうに考えております。

保利委員 これは、日本の経済を支えている中小企業と申しますよりか、本当に三人とか五人とかでやっている先端企業、こういう人たちは銀行との折衝能力というのが、大きな会社と比べればそれは小さいかもしれない、だから銀行の窓口に行ってしまえば萎縮してしまう。おまえのところはこれはだめじゃないかというようなことで親切さが欠けてしまう場合があります。そこら辺については、やはり金融機関の先端のところが、その産業界の先端の方々と丁寧に接触をしていただくように、御指導のほどよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。

 次に、農業問題でありますけれども、これは農林水産大臣がお見えでございます。農林のベテランの先生でございますから、いろいろ申し上げたいこともありますけれども、今度の補正予算の中で、とりあえずこういうことをやろうということで補正予算が組まれているはずであります。全国の農家の皆さん方が注目をしておられますから、ぜひその全国の皆さんに向かって、政府としてはこういうことをやりますということをわかりやすくはっきり御説明いただきたいと思います。

石破国務大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、燃料が上がった、肥料が上がった、あるいはえさが上がった、そういうことで、もう極めて厳しい状況であるということをよく認識いたしておるところでございます。

 農業分野についてでございますが、省エネ機械・施設、あるいは効率的な施肥体系、肥料をどう施すかということ、その導入支援など構造転換の対策、それから、化学肥料をどのように使うかという量、野菜、花、果樹などすべての種類の施設園芸での燃油消費量について一定以上の低減を行う農業者グループに対しましては、肥料費、燃料費の増加分の七割を国が支援するということを入れております。これで約六百十八億を組んでおります。

 また、飼料、えさですが、この価格安定制度の財源積み増しなどによりまして、安定的な飼料供給の確保をやりたい。ここにおいては、自給飼料、輸入ではなくて自給飼料の率をどれだけ上げるかということにも配意をしたいと思っております。

 漁業も極めて深刻でありまして、漁業についてもお話をさせていただきたいと思いますが、省エネ型操業への転換、流通対策のほか、操業の合理化によりまして燃油の使用料を一定以上削減する漁業者のグループに対しまして、燃油消費量の削減による水揚げ金額の減少のリスク、これが高いわけでございますから、このことを踏まえまして、燃油費の増加分の最大九割を国が支援したいというふうに考えておるところでございます。

 先ほどの中小企業のお話にもございましたが、国はいろいろな施策を打ちますが、漁業のタイプもいろいろです。農業のタイプもいろいろです。それにきめ細かく対応するやり方でなければいけないということ、そしてまた、どう使ったらいいんだ、どうやったらこの支援が受けられるんだということが、書類を物すごく書かなきゃいけない、何度も何度も行かなきゃいけない、そういうことがないように、親切で丁寧できめ細かくて迅速だ、当然のことでございますが、そういう対策を講じてまいります。

 以上でございます。

保利委員 農業問題は、論ずれば本当にいろいろございまして、私もここで時間を使って農業問題をやりたいのでありますが、また農林水産委員会とかそういう場もございますから、そこでまたいろいろお聞かせをいただきたいと思います。

 ただ、今言われた中で非常に大事なポイントというのは、書類が煩雑で農家の人たちあるいは農協の人たちに大変な手間暇をかけさせている。やはり農林水産省は膨大な組織であるがゆえに、大臣が考え、そして局長、次官がお考えになったようなことが末端まで浸透しにくい、これは私もよくわかります。これを何とか、今大臣が言われたような考え方を末端の組織まできちっと伝えていただく、御指導いただく、こういうことが必要だと思います。その御覚悟だけをひとつお話しください。

石破国務大臣 これは今、副大臣を長としてプロジェクトチームを立ち上げております。書類は半分。いろいろなことを書いても、実際に高齢化も進んでいます。そしてまた、JAも統廃合で支所も少なくなっちゃった。町村役場も合併によって少なくなっちゃった。霞が関直送の政策が、高齢化が進んでいる農山漁村に行って、どうして政策が発現できるのかという問題意識を強く持っております。

 書類は半分にする。そしてまた、実際にビデオですとかDVDですとか使いまして、こういうふうにするんだよということが実際の現場の方がわかるようになるまでやらなければいけないということで、これは期限を区切って、そのようにしたいと思っています。実際にそれをごらんに入れて、わかりますかということで、わかりますと言ってもらえなければ、どんな政策も意味がない、私はそのように考えておる次第でございます。

保利委員 先端で働いておられる民間の方々が、役所の先端の組織の方々と接触をされましたときに、わかりますかと言われれば、わかりますと言うものなんです。だけれども、本当はわかっていない。本当はわかっていないだろうといったところをどうやって自分が感じるか、そういうようなことも大事だと思います。

 これは、各省庁皆そうですね。厚生労働大臣おいででございますけれども、社会保険庁のことなんかも、やはり厚生省の真ん中の組織はわかっているんだけれども、末端と言ったら悪いんですけれども先端の組織では、そんなこと言ったってというような感覚があるんじゃないか。各省庁それはあると思いますから、各大臣におかれましては、自分たちの先端の組織が指の先まで神経がきちっと行き届いているような御指示そして御指導をいただくようにお願いをいたしておきたいと思います。

 それでは、時間ももう詰まってまいりました。外交問題を伺おうと思いましたが、外交問題については時間がございません。ただ一点だけ。

 総理が九月の二十五日に国連で演説をされました。その簡単な内容とそれに対する反響。そして、総理は日本の機械じゃないよなとおっしゃった、ああいうウイットに富んだ総理、どんなことをお感じになったか、お話をいただければありがたいと思います。

麻生内閣総理大臣 ちょっと私はその日本のテレビを見ておりませんので何とも、そこばかりが何か出ていたように映ったそうですけれども。

 日本という国は、戦後、経済的繁栄とそして民主主義というものを通じて日本の平和と人々の幸福というものを達成する、これが基本なんですと。だから、経済的繁栄というものが伴わないでただただ民主主義といってもなかなかそうはいきませんし、経済的繁栄はしても民主主義もしくは自由がないというわけにもいかぬ。両方要るんだというのを日本はテーゼ、基本に置いてこれまでやってきたという信念を訴えて、何となく、終わった後はえらく人がいっぱい寄ってきましたので、それなりの反響があったんだと存じます。

 日本製じゃなかったというのは、たまたましゃべっていたときに見たら、何かざわざわしているんで、国連大使が上がってきて、いや、機械がどうかと言うから、ちょっと待っていたら、今度は国連の職員がまた来て、今同通の機械がどうたらこうたらとかいろいろ言いますものですから、何だ、これは日本製じゃないのかと英語で言ったところだけ今度はマイクが入っちゃうものですから。

 それでえらくみんな、そこだけ話題になっておりますが、ちゃんとまともな話をしたところが一番聞いてほしかったところだったんですけれども、そこだけどっと笑われて、何となく話がそこばかりになっておりますが、基本としては、日本という国は、ぜひ多くの国々に、今若い民主主義国家があっちこっちにでき上がってきておりますので、そういった国々の民主主義というものがきちんと根づくまでの間、経済的な繁栄というものもいかないと民主主義もなかなか根づきにくいという例を引いて話をさせていただきました。

保利委員 これからも国連の場、そのほか諸会議に御出席になると思いますけれども、どうぞ心がけて日本の立場を御主張いただきますようにお願いをしたいと思います。

 教育問題を三十分ぐらいやりたいと思っておりましたが、時間を使ってしまいました。きょう、たくさんの大臣に、全部の大臣に御出席をいただいているんですが、日本の将来を考えるときに、やはり子供の教育というのは大事だ。それから、まず、子供というものをどう考えるかという問題があるわけであります。

 今度、若い女性の少子化担当大臣が誕生いたしました。小渕大臣に、今後の少子化というものにどう取り組んでいかれるのか、その心構えをお聞かせいただきたいと思います。

小渕国務大臣 このたび少子化対策そして男女共同参画を担当することとなりました。

 少子化については、さまざまな問題もあり、これまでいろいろな議論が進んできたところでありますけれども、私自身、このたび、少子化担当大臣ということで、私自身も今子供を育てる一人の母親であります。これまでもいろいろな困難にもぶつかってまいりました。そして、これからもいろいろな課題にぶつかっていくかと思いますけれども、そうしたことについて、そうした気持ちを大切に、率直に国民の皆さんに発信していきたい、語りかけていきたいというふうに感じています。

 それとともに、私自身の体験だけでなく、少子化問題にはいろいろなことがありますし、子育てについても、皆さん方それぞれいろいろな問題を抱えていると思います。現場に足を運んだりすることにより、多くの方から御意見をちょうだいしていきたいと考えております。

 一緒に考え、また一緒に悩み、一緒に歩いていく大臣でありたいと考えております。

保利委員 どうもありがとうございました。初答弁を立派にされまして、敬意を表したいと思います。

 教育問題についてはさまざまの問題がありますので、これはまたいつか機会を得てお話を申し上げたいと思うのでありますけれども、特に教育の問題では、大学の問題というのが非常に大きな問題になっている。OECDの調査ですと、GDPのわずか〇・五%しか大学には使っていないということが、日本の大学を世界の中で高い地位には持っていっていないという一つの原因だろうと思います。わずか〇・五%であります。

 この間、中教審が教育振興基本計画の中で、GDPの五%を教育費に充てるべきだということを入れたのでありますが、見事に最終調整の場ではその五%というのが消されてしまっている。まことに残念だと思っております。ぜひ、これは文部科学大臣にも頑張っていただいて、大学を立派なものにしていただきたい。大学は、生徒の数、学生の数でいって、恐らく四分の三は私学ですから、私学の方も大事にしていただかなければならないと思います。

 そして、例を言っては悪いですけれども、日本の一流と言われている一番上の大学も、世界のランキングでいうと十六位とか十七位とかいうようなランクづけになっている。そこはやはりもう少し、日本の将来のために教育に対する投資はきちっとやる、こういうことを心がけていかなければならないわけですけれども、文部科学大臣のこれからの取り組みの決意と、そして、あわせて、中川大臣がこの問題についてどういうふうに感じておられるか。財政が厳しいからというのはよくわかりますが、しかし、日本の将来、強い国にする、立派な国にするためには、やはり子供さん、学生さんの力を蓄えていかなければいけませんので、その点、両大臣から御所見をいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 ただいま保利先生から大変力強いお言葉をいただきまして、本当にありがたく思っているところでございます。

 特に我が国の教育に対する公財政支出につきましては、OECDの中で、今お話あった高等教育の分野では一番低い二十八番目ということで、大変残念に思っているところでございます。

 我が国は、とにかく資源もない小さな島国で、やはり人が資源でございますから、人をいかに教育して、特に最近の世界の状況については、知識基盤型社会ということで大変な国際競争が激しい中で、やはりここにしっかり投資をする必要があるということでございまして、教育振興基本計画につきましてもぜひその数字をということで皆さん方に努力いただいたんですが、結果は、数字は入れることはできませんでした。

 これから、何が本当に具体的に必要か、そういった積み上げをしていく。そして、我が国としては、もちろん社会福祉も重要ですが、やはり教育投資も同じように財源として必要だということをしっかりと訴えて、国民の皆さん方に御理解いただくような教育投資をこれからしっかりと訴えてまいりたいと思っております。

中川国務大臣 いつの時代でも、特に日本では人材の育成というものは最も大事な政策項目の一つだろうというふうに思っております。麻生総理も所信表明等でもいつもお話しされているように、元気な日本、明るい日本をつくるために、やはり人づくり、人材育成というものは極めて重要だと思っております。

 そういう中で、厳しい財政状況ということを私としても当然考えていかなければなりませんけれども、その中でめり張りということを考えたときに、やはり人材育成、教育というものは、限られた財源の中であっても最も重要なものの一つではないかというふうに理解をしております。

保利委員 予定の時間が参りましたのでここでやめますが、最後に総理にお伺いをしたいと思います。

 教育というのは非常に大事な問題である。それから、今やっている制度をそのままずっと何となくのんべんだらりと続けていっていいのかどうか、そこはいろいろ問題があると思います。

 そこで、与党教育再生に関する検討会というのが二十回ほど会議をやりまして、先ほど中間報告をまとめさせていただきました。こういうものがあります。ここは、将来日本の教育はどういう方向を目指すべきかということを、疑問を投げかける、質問を投げかける形で書いてございます。そういった将来の教育に対して我々は責任を今持っていると思いますので、これはまだ提言を読んでおられないかもしれませんけれども、これからの将来、日本の教育をどういう方向に持っていくか、そして力強い日本をつくるために総理の御所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

麻生内閣総理大臣 教育は国家の根幹、間違いのないところだと存じます。

 今、まだ御提言を拝読させていただいておりませんが、少なくとも、やはり六・三・三・四という制度の話から、いわゆる私学もしくは公立の比率の話とか、大学教育というものに進む人の数の比率がすごく多くなった、我々の時代と全く違いますので、そういった時代になってきた。そして、人口からいきますと若い人の数は減ってきたということになりますと、やはり大学としてもこれが国際社会に開かれたものとしてもっと国際化した大学になっていく、もしくは機能別に分化していく、特色のある大学、そういったいろいろな形のものがもっと、きちんとしたはめられた形じゃなくて、大学の中でいろいろなことが自由にできて、かつ大学間で競争が起きる、いい意味でそういったことが助長されていく。

 大学の教授も、一回なると定年退職までずっとというのがいいのかねとか、これは本当にお詳しいところでもありますので、ぜひいろいろな、この問題に関しましては、実に幅広く多くの方々の御意見がおありになるところでもあります。ぜひそういったものを参考にしながら、今のでこれがすべてです、パーフェクトの答えなどということはない、それだけははっきりしておる、私もそう思います。

保利委員 最後に、大学のところで、日本のこれからの国力を支えていく非常に大事な分野で、意外に日が当たっていないところがあります。

 これは、基礎科学の研究であります。リニアコライダーという言葉を御存じだと思いますけれども、一般の国民の方々は、リニアコライダー、何それと言われるだろうと思う。私も何かはよくわかりませんが、しかし、そういうことをやるのが基礎科学、つまり陽子と陽子をぶつけて、そして物質の構造はどうなっているのかというようなことを解明していくというようなことでありますが、この基礎科学の研究こそ日本の将来を明るくするものだと信じて疑いません。

 委員長、少し時間をオーバーしました。ありがとうございました。これで終わります。

衛藤委員長 この際、園田博之君から関連質疑の申し出があります。保利耕輔君の持ち時間の範囲内でこれを許します。園田博之君。

園田(博)委員 私は、財政、それから、これからやはりいろいろな施策が要求されますから、そのための財源のことについてちょっと御質疑を申し上げて、議論をしたいというふうに思っています。

 この財政なんですが、膨大な借金を抱えていることはもう国民の隅々の方までよく御承知なんですが、一つ、プライマリーバランスというのがございまして、二〇一一年度までに達成するんだ、これは小泉内閣以来の一つの目標にしてきて、歳出削減をずっと行ってきているわけです。

 麻生内閣が誕生するときに非常に気の毒だと思ったのは、特にこのプライマリーバランスの達成計画というのが、順調に伸びてきていた税収がこの経済状態で鈍化をしてしまった。これはもう去年から鈍化しているわけですね。ここに大きな計画の食い違いが出てきてしまったわけですが、麻生総理は、それでもとにかくこのプライマリーバランスを達成するために最大限の努力をしようじゃないかということを掲げておられます。

 このプライマリーバランスというものがどういうことなのかということは大分多くの方が間違えておられまして、プライマリーバランスを達成すると、その翌年からもう借金をしなくて、借金返しが始まるんじゃないかと思っている人たちがおられるんですね。ところが、残念ながらプライマリーバランスというのはそれ以前の、まだまだその前段階で、要するにその年入った収入でその年の借金返し以外のことが賄えるようにするというのがプライマリーバランスなんです。したがって、借金返しのためにまた借金しなきゃなりませんから、恐らく十年以上また借金がふえていくんですね。ただ、その額はなるべく抑制をしていかなきゃならぬ。

 これほど国が毎年国債を発行していても国債の信用度が落ちないというのは、そういう計画が片っ方でしっかりしていて、日本経済も堅調だからということで信用は落ちないんですね。ところが、ここにもってきてこういう経済状態になりました。今度の補正予算では、かき集めて、建設国債は発行しましたけれども、何とか赤字国債を発行しないで当面の対応ができるようになったわけですが、これからということになりますと、この財源を捻出するのが大変困難な状態にあるわけですね。

 そこで、私も総理に選挙はいつごろなんですかとつい聞きたくなっちゃうんですが、これは総理が前から言っておられるように、今の緊急事態、とにかく政策を実行していかないと国民が迷惑するということを言っておられるので、私はそれが正しいだろうと思うんですね。

 ただ、今まで私は、野党の皆さん方が言われることをほとんど気にしたことがなかったんです。なぜかといいますと、政権を握っているのは実際自民党だし、これからもそうであろう、だから、野党の方々がどんなに目立つことを言われたって、それを批判したところで何も始まらないと。まあ、中にはいい意見があれば一部採用してでもやればいいじゃないかぐらいのつもりでおったわけですが、今度はどうも世間の情勢を見ていると、与党にとっても大変厳しい選挙だということを肌で感じざるを得ないわけで、ひょっとしたら政権がかわるということもあり得ないことではない。

 こうなりますと、では、政権を我々によこせと言っておられる方々の政策と、それを裏づける財源というのが本当にしっかりしたものなんだろうかどうかということは、これはやはり国民のためにも我々は責任を持たなきゃいけないと思うんですね。したがって、私は今まで野党の方々のことを言ったことはないんですが、ここはひとつ冷静に民主党の方々が示しておられる政策とその財源について議論をし、もちろん民主党だけじゃないです、政府・与党でこれからどうしていくのかということも、政府のお考え方を聞きながらちょっと議論してみたい、こう思っております。

 不満があれば、まだ後ほど、野党の皆さん方の持ち時間というのは自民党よりもはるかに多くありますから、そこで御意見を述べられたらいいのではないかというふうに思っています。

 まず、九月二十一日の党大会で、小沢代表は、国の一般会計、特別会計の純支出、重なり合わないところだけ取り出して合計二百十二兆円、これは確かにあるんですが、これを大まかに一割カットするんだ、それで二十二兆円を出すんだということを言われました。

 これをちょっとグラフにしてみたわけですが、大まかに言いますと、これはグラフを見ていただけばわかるとおり、八割以上が国債費それから社会保障、地方の財源、貸し付けの原資等々でございまして、ここから多くの財源を削減することは困難なんですね。これは多分そう思っておられると思います。もしこれをやるとすれば、社会保障制度を変えて給付を低下させるか、あるいは地方財源をカットするとか、これは理屈の上では可能なんですが、これではもう多くの人たちが困ってしまうことはわかっているとおりでございまして、そのことはお考えになっていないんだろうと思うんですね。

 つまり、そうなりますと、これら以外の政策経費が約三十兆円でございますから、この七割をカットしないと二十二兆円という金は出てこないんですね。だから、これは大まかに考えても、この論理は大きな無理があるということをまず申し上げたいと思うんですが、そこは専門の財務大臣、間違っていましょうか。間違っていなければ、つけ加えるところがあれば、ぜひ御見解をお聞きしたいというふうに思います。

中川国務大臣 今、園田委員から、民主党の政策についてどう思うかという御質問でございます。

 率直に申し上げて、民主党が示しておられます政策というのは私も幾つかの疑問、不明点がございます。

 まず、政策について、これはいずれも恒久的な政策というものだろうというふうに理解をしておりますけれども、恒久的な政策であれば財源の裏づけは基本的に恒久財源でなければいけないというふうに思いますが、民主党の主張、財源の御説明の中には、特会の積立金等を使うんだと。これはもう御承知のとおり、一度使えばなくなってしまう一時的な財源であろうというふうに理解をしております。

 また、地方向け補助金を一括交付金化するという御主張も伺っておりますけれども、地方向け補助金十九兆のうちの約七五%が社会保障関係あるいは教育費でございまして、これらを大幅に切ることが果たして現実的なことなんだろうかという疑問も生じているところでございます。

 さらには、園田委員が今詳しく御指摘になりましたので繰り返しは避けますけれども、国の純資産二百十二兆円のうち八割以上の国債費、社会保障費、地方向けの財源、財投資の貸付金等、これらを歳出しないとするならば、残り三十兆円。これが公共事業費、文教費、食料安定費、中小企業対策費、これらの三十兆円の中から二十二兆円を捻出するとするならば、これは国民生活に大きな影響を与えるのではないかというふうに思っております。

 さらには、今御指摘のありましたように、私自身、昨年政調会長のときに、参議院選挙の中で、こういう議論を民主党ほかの政党と自民党の立場でやらせていただきました。一部内容が今回に追加されておりますけれども、基本的に同じ部分につきましても、そのときは地方への補助金を一括交付金化するという御主張が大半であったわけでございますが、今申し上げたように、その積立金であるとか国の純資産の一割をカットするというふうに、財源の裏づけについてもかなり変化をしているというふうに理解をしております。

 時々刻々変化をしている状況でございますので、よく我々も勉強していかなければいけないというふうに考えております。

園田(博)委員 今財務大臣が一部触れられたんですが、民主党ではその後、一週間ほど前だと思いますが、今度の選挙に向かって、主たる政策とその財源案というのを、また違った角度から、今私が申し上げたよりはやや各論も含めて提示をされました。このことについて、では、主要なものを取り上げてちょっと議論してみたいと思うんですね。

 民主党さんが掲げられた政策と財源案をこれは簡単に表にしたものなんですが、まず、特別会計からの積立金、運用収入とございます。ここから六兆五千億というふうに提示をしておられます。

 そこで、よく言われる、テレビでもよく見ているんですが、特別会計が三百何十兆円もあって、ここら辺に無駄があるんだということをしょっちゅう言われてきました。また、特別会計の中に埋蔵金があるとかですね。特別会計といったって、ちゃんと国会で出されて審議されているわけですから、隠れていることはないんですが、どうもやはりわかりにくいということだけは事実なんですね。

 これも財務大臣から、できれば表にしてもらえればよかったんですが、特別会計全体が主としてどういうものに区分けされるのか、それをちょっと御説明いただけませんか。

中川国務大臣 特別会計というもの、全体として主なものを申し上げますと、年金でございますね、これが国民年金勘定と厚生年金勘定に分かれるわけでございます。それから、労働保険、これが労災勘定と雇用勘定に分けられるわけでございます。それから、地震再保険特別会計がございます。それから、いわゆる外為特会というものがございます。さらには、国債整理基金特会というものもございます。そして、財政投融資特会というものもございます。その他、二千億ほどございますけれども。

 このうち、特会の積立金というものは、例えば国民年金、厚生年金の百五十兆ほどの積立金、これを安易に取り崩すということは、これは今後保険給付に必要な財源でございますので、非常に難しいと考えております。さらには、財投、外為特会、これは金利とか為替の変動に対応するためのお金であります。それから、国債整理基金特会は、言うまでもなく国債の将来の償還のために備えている特会でございます。

 これはそれぞれ法律でもってきちっとやっているわけでございますし、今御指摘がございますように、特会の中身については我々きちっと明示しているつもりでございますし、また、今までも、財政健全化のために特会の積立金についても使わせていただいているところでございます。

園田(博)委員 つまり、特別会計というのは数多くあるんですが、大部分は、小さな無駄があるとかそういうのを指摘されたことがありますから、これは否定しませんが、大きな財源として取り崩すということは、できる特会というのは限られてくるということなんだろうと思うんですね。

 そこで、これは党内でもよく議論がありますよ。私は、特に特会の中で、今ちょっと財務大臣がお触れになった外国為替の特別会計、それから財政投融資の特別会計、ここにはお金がたまるんですね。簡単に言うと、外国為替の場合は、買ったドルの値、価値が下がれば、円と比べて価値が下がる、つまり円が高くなると、たまり金は少なくなってしまう。

 財政投融資も、道路なんかはそうなんですけれども、財政投融資で高い金利のときに金を貸して、当時の道路公団が道路をつくって、それで今せっせと返している。金利は今低うございますから、この金利差が特別会計でもうかっているんですね。

 このたまり金があるものですから、これを埋蔵金と言う人たちがどうやら多いらしゅうございまして、少なくとも私が申し上げているのは埋蔵金ではないよ、その中身は常に明らかですよということを言っているということ。

 基本的に、この特別会計のお金を使いますと、不可能ではないんです、使いますと、それ一回こっきりで終わりだということが一つ。それから、特別会計の性質上、将来そこにお金がたまるのかマイナスになるのか非常に不安定ですから、やはりある程度の準備金はとっておかないと大変なことになってしまう。

 では、この二特別会計のお金は、現在まで、たまった、ある程度の準備金を超えたお金はどのように使われているのか、それをちょっと財務大臣から御説明いただけませんか。

中川国務大臣 今御指摘の説明は私も同じ考えでございますので、それを前提にしてお答えさせていただきます。

 外為特会は、御指摘のように、為替変動等、あるいは金利リスク等に対応するわけでありますけれども、これは、円を調達するときに、円の負債というものが同じように並んでいるわけでございまして、それとの関係でもって、いつ何どき使わなければいけないというためにためてあるものでございますけれども、それ以外に使う場合には、これは一般会計の方に既に今までも繰り入れているところでございます。

 それから財政投融資特会につきましては、これはルールでもって積み立ての数字というものが決まっているわけでございまして、ことし、千分の百から千分の五十というふうに数字を変えたわけでございますけれども、残りについては、国債整理特会、これに繰り入れなければならないということになっております。

園田(博)委員 今御説明のとおりで、特に外為特会の場合は、ここ何年間か税金収入が少ないものですから、税外収入として毎年一般会計に入れているんですね。多分、来年度、まだ予算編成に入っていませんが、もっと入れないとまずいという感じになるんじゃないかと私は思っているんです。税外収入として外為特会から繰り入れないと予算が非常に組みづらいということが一つあるんじゃないか。

 もう一つの財政投融資特別会計は、今御説明のあったとおり、ある一定の準備金よりふえた部分は法律でもって借金返しにする、国債に返しているんですね。私が知る限り、もうその返した額が二十兆円を超えました、超えたと思いますね。

 実は、私は政調をやっていますから、来年度の概算要求に、財務省から来年度も三兆円入れたいという要求が来ているんですよ。だから、この金は、それは使えます。少なくとも来年度に使うことができます。

 ただし、これは、前から申し上げているとおり、毎年毎年出てくるものではございませんから、一回使ってしまえば、これでもう終わりなんですよ。つまり、これから新しい政策を実行するときに、毎年毎年やらなきゃならない財源としてはこれはだめだということを申し上げたい。また、逆に言うと、緊急的にどうしてもこれを使わなきゃならぬということであれば、このお金を使うことは国民の方々は理解されると思うんですね。一遍こっきりの金。ただし、これは法改正をしなきゃなりません。このことは十分に頭に置いてやっていただきたいというふうに思います。

 私がなぜこういうことを言うかというと、使える部分もあるんですが、恒常的な財源として考えたら大きな間違いを犯しますよということを実は申し上げたいわけですね。次に聞きます。また財源論で。

 次に、補助金の一括交付金化、そして削減というふうにあります。

 ところが、このうち、生活保護や老人医療といった社会保障費や義務教育の経費がこの中には十四兆円を占めておりまして、残りは四、五兆円しかないんですよ。したがって、この中でさらに補助金を一括交付金化して財源をつくるというのは無理があるというふうに申し上げたいんですね。

 それからさらに、独立行政法人支出削減、それから国の直轄事業を半減することで新たな財源をつくる、こう示されております。

 独立行政法人向けの支出削減というのは、ここ何年かずっと政府・与党でやってきています。もっとできるよと言われるのであれば、それは細かく吟味していけばいいんですね。

 ただ、私は、ここで申し上げたいのは、野党の方々から見れば、政府・与党が今までやってきていることをよく吟味していただかないと、何もやっていないときに、こういうことをやると大幅に出ますよ、これは理屈はわかるんです。例えば、余り例えがよくないかもしれませんが、日本の経済成長が、中国は二けたじゃないか、何でもっと成長しないんだと。これは無理ですよね。それは、そこまで日本経済というのは、いろいろな努力をしてもう成熟してきているわけですから。

 そういうふうに、全く手のつかないものを大幅にやるということは理屈的に可能なんだけれども、年々それを積み重ねてきているということを、やはりもう一回吟味してもらいたいと思うんですね。その上で、自分たちが本当に仕事をするときにどのくらいのことができるかということを、もう一回考え直すべきですよ。それは私は特に意見として申し上げたいというふうに思っています。

 例えば、公共事業をよく言いますね、後で国交大臣の方へちょっとお聞きしたいと思っていますけれども、直轄事業半減と言っておられます。

 公共事業は、十年前と比べて、御案内のように、国費ベースでもう六割を割っていますね。四十数%も削減されたんですよ。おまけに地方財政がさらに悪くなって、地方単独で新たな事業をする枠がなくなっちゃったものですから、十年間で、少なくとも私の熊本でいいますと、公共事業は十年前と比べて三分の一なんです、やっているのが。それをさらに半減するという考え方が本当に可能なのかどうか。

 それは公共事業を主として担当される国交大臣は十分に意見を述べられた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

金子国務大臣 園田委員御指摘のとおり、全国でも公共事業が半減しております。そういう中で、特に公共事業をこれから実行していく上でも、国の予算だけではなくて、地方自治体の財源、いろいろな負担をしてもらう部分、地方負担をしてもらう部分、これが大きく、余力がなくなってしまっている。こういう状況の中で、しかし、一方では必要なものをつくっていきたいという努力を我々はしていきたい。

 そういう中で、今御指摘いただきました直轄事業を半分にしてしまうという案になりますと、必要な新たな事業、改良すらままならない。特に、数字の面で申し上げさせていただければ、今直轄事業は三・四兆円であります。これが半減、一・七兆円ということになりますと、維持していく部分だけで〇・六、既に契約して今継続している事業で一・三兆円ということになります。合計、合わせて一・九兆円は必要でありますので、半減ということになりますと、維持改修すら、継続すらなかなか難しい。ましてや新規のものは全くできない。

 そういう中で、地方に財政余力がないという状況というのは現実の状況であると思っております。

園田(博)委員 もう一つ提案しておられるのが、公務員人件費の二割削減と言っておられます。(発言する者あり)総人件費ですね、人数だけじゃなくて給与も含めてです。

 我が党におきましても、実は、国家公務員の純減計画というのはずっと続けております。順調に一応進んでいます。しかし、さらにその上に二割削減ということになりますと、人数でいったら、自衛官を含めて六十万人ですから十二万人削減か、もしくは給与を二割カットするか、あるいはそれを取りまぜてやるかということになるだろうと思うんですね。これは、縮減計画を進めているだけに相当無理がある。

 そこで、もう一つ提言しておられるのは、国の出先機関ですね、今政府でもやっていますけれども、国の出先機関を地方に移管してしまえと。これはもう政府でも今やっています。その際に、移管されれば人員は減るじゃないかということを言っておられるんですね。

 人員が減った分が、地方にその分引き受けろということであれば、地方団体は今大変なリストラをして合理化していますから、まずこれは嫌がると思うんですね。むしろ、出先機関を移管するときに地方がどうしてもやれと言っているのは、財源をよこせと言っているんじゃないでしょうか。それを地方でやるためには財源が要るんだということを言っているのであって、人をよこされたら、これは大変な迷惑がかかるということになるんじゃないでしょうかね。総務大臣。

鳩山国務大臣 地方分権は大事ですし、出先機関の整理はしなければならないと思っております。それは各省庁の抵抗は激しいんですが、総理が決断をされるというわけですから、これから大変な闘いがあろうかと思っております。

 この出先機関がもう要らない、全く意味がないからこんなのは要らない、つぶしてしまえというんだったら地方の負担にならないわけですが、こういう出先機関は、地方がやればもっと住民の意見とか考えと密接につながって効果的になるということで、二重行政を排しながら国の出先機関を地方のものにすれば、当然、仕事も人員も受け取るわけですから、地方の負担になるわけで、これは財源がついていかなかったら、そうでなくても給与の削減、人員の削減、地方自治体は本当に血のにじむような努力をしてきている中で、仕事と人だけ来て金が来なかったら、これはもう大変なことになると思います。おっしゃるとおりだと思います。

園田(博)委員 それで、次は、民主党さんの政策のことについてもちょっと触れてみたいと思っております。

 まず、道路特定財源の暫定税率を撤廃して二兆六千億の負担をなくしますと言っておられるんですね。

 基本的に、これはもう政府でも与党でも来年度から一般財源化ということを決めましたから、考え方からすれば、道路をつくるために税を下さいということじゃなくなるんですね。新たな課税目的を立てて、そのときにどのくらいの税を御負担いただくのかということをこれから議論しなきゃならないんです。議論がやや我が党では始まっておりますが、これは年末に向けてある程度の結論も出さなきゃならぬと思うんですね。

 ただ、これから議論だから余り余計なことは言えませんが、基本的には、今申し上げたように、税収がどんどん見込みが立たなくなっている中で、何とか最大限の税を御負担いただくように、納税者の方々と十分に御相談申し上げて、ここのところはその財政を、国も地方もですから、お助けいただくという前提で御相談をしなきゃならぬということがやはり必要なんですね。

 特に、私の個人の考え方では、ガソリン税に関しては、諸外国の税率、税額などを見ておりますと、今の税率、油が高くなって大変御迷惑をかけましたけれども、ある程度落ちついてくれば、これから、税率を維持していって、特に、ガソリンをなるべく使わない、CO2削減のためにはそういう方向性を出していかなきゃなりませんので、そういうお願いをやはりすべきじゃなかろうかと。

 あとは、自動車関係の諸税は、これはまさに、もともと複雑ですから、昔から、税制抜本改革のときには全部整理しましょうということになっておりますから、そういう議論を始めて、どこまで税を納めていただくようになるのかどうか、これは納税者の方々と御相談をして決めたい。

 したがって、私は、一切税率を下げませんということは言いませんが、少なくとも、撤廃していくということを簡単に決めるというほど今の財政状態は甘くありませんよということを、もし与党になられたら考えないと、対応できなくなるだろうというふうに思います。

 それから次に、高速道路の無料化というのがございまして、これは私は若干関心があるんです。

 これは、無料化というのはだめですよ。ただにするというのは、道路政策上も交通政策上も、あるいは地球環境を維持するためにも、それはただにすることはできないと思うんですね。そこは綿密に、値下げをもうちょっと考えたらどうかと私は思っているんです。今、実施中です。深夜とか休日とか値下げを実施していますが、これはなぜかといいますと、よく言われるように、日本の高速道路料金は高いです。一時的じゃなくて恒常的に下げていく方向を考えなきゃいけないと思うんですね。

 これは、来年度に向けて政府・与党で議論をしていかなきゃならないと思いますが、ただ、その場合、これがまた財源が相当要ります。私は、さっき申し上げた、こんなことを言うと後で党内で怒られるかもしれませんが、財政投融資特別会計を一部繰り入れてもいいんではないか。もともと道路会社が高い利子で金を借りてつくって、今や利子が安いのに借りかえを認めていませんから、どんどんそれで返しているんですね。この分は返してやるということで、私はそのことが道路料金を下げる一つの考え方になるんじゃないか。

 これはぜひ、今総理に聞けば、やると言えば大変だし、やらないと言うわけにも、関心は持っておられると思うんですが、とりあえず担当大臣の国交大臣にちょっと聞いてみましょう。

金子国務大臣 財投会計を、投融資会計を使ってという園田委員からの御提案をいただきました。大変力強く、今お話をお伺いさせていただきました。

 二兆五千の範囲内で、これはスマートインターの設置も含めてでありますけれども、高速道路料金を引き下げていくという決定を先般させていただいておりました。これをどういうふうに実施していくのか、どのペースで進めていくのかということについて、政府内で検討しております。

 この二兆五千の財源をどう確保するか、今、園田委員が言及をしていただいたまさにそれに尽きますが、これとあわせて、地方が先行するかもしれませんけれども、全国の高速道路の料金を大幅に引き下げていく方向で、担当大臣としては検討をさせていただきたいと思っております。

園田(博)委員 これは、総理、財源問題がありますから、あくまでも来年度に向けて。なぜかといいますと、今日の経済状況で、一つは、物流費が下がりますから物価抑制効果があります。それからもう一つは、一般道と高速道路を有効に利用することによってCO2削減に必ずつながると思うんですね。それからもう一つは、地方です。地方の高速道路に車が走っていないなんてよくテレビでやっていました、道路のことは。これを下げることによって、地方経済の活性基盤に必ずなると私は思うんですね。このことはぜひ前向きにお考えいただきたいなというふうに考えております。

 それから、その他、医療対策。この二兆円という金額はともかくとして、これは政府・与党でも、医療の供給体制が科目によって、あるいは地域によって大変な状況が起きていて、地域におられる方々の健康が守れないという大変なピンチを迎えているわけですね。これは、そういう限られた中で医師を適切に供給できるような仕組みを今つくっておりますから、私は当然、やろうとしているし、やるべきだというふうに思います。

 それから、後期高齢者医療制度の問題につきましては、これは総理も舛添大臣も早く結論を出して、そしてよりよい制度をつくろうじゃないかと言っておられますし、そのための財源措置というのは必要になると私は思いますね。これはこれでやはり考えていかなきゃならぬと思います。

 それから、問題は、去年から非常に評判の農業の戸別所得補償というものなんですね。私は、農業に従事する方々に対して我々もちょっと考え方を基本的にきちっとしなきゃいけないと思うのは、高度経済成長が続く中で、農業を初めとして一次産業に従事する方々が大変お困りだから、これを何とか政策的に助けようじゃないか、どちらかというとそういう雰囲気だったと思うんですね。これは後で農水大臣にお聞きしますけれども。

 ところが、これからはやはりちょっと違うと思うんです。食料に対する潮目が明らかに変わりましたね。国民のためにまず安全な食品を届けるには、国内で生産する、いわゆる自給体制を相当早く強化していかなきゃならぬということです。それからもう一つは、国際的に食料危機の時代が来ますから、今農産物を輸出している国がやがて出さないと言うときが必ず来ます。そのために、自給率五〇%を早く達成するということをやらなきゃいけないんですね。

 つまり、私が言いたいのは、困っておられるからお助けするんじゃなくて、国民の食料供給のためにそういう農業や漁業に従事する方々、林業であれば地球環境を守るために従事する方々がお国のために頑張っていただくような施策をお願いしてつくっていくんだと。当然そうなれば、例えば農家でいえば、そういう農家の所得がある程度恒常的に計算できる仕組みをやはりつくっていかなきゃだめなんですね。それは戸別にお金を払うということで解決できる問題では全然ないと思うんです。このことについて、農水大臣、ひとつ。

石破国務大臣 基本的に園田委員と認識は同一であります。

 どんどん農地は減っている、そして農業者はどんどん減る、減ること自体が即悪いとは言いませんが、この高齢化は何だということなんですね。つまり、主業農家というものが、農業者というものが六十代、七十代になった。これは結局、昭和一けたがずっとスライドしているんです、ですから六十代、七十代になっているんですが。これは、あと十年たつと、七十代、八十代が支えるということは本当にあり得るのか、九十代が支えるということはあり得るのか、それはないと思うんですね。この高齢化というものをどう考えるかということ。

 もう一つは、農地がどんどん減っているというのをどう考えるか。

 委員御指摘のように、自給率は確かに大切です。しかし、それを因数分解してみたときに、農業者の数とその年齢構成、それから農地をどれだけ確保するか。公共事業を減らせという御意見もあるようですが、では水利をどのようにして確保するのか。やはり、自給率、自給力、供給力というのは、そこを精緻に見ていかなければいかぬのだろうと思っています。

 だとするならば、そこに直接支払いということをやることによって農業の将来の姿が描けるのか。今はいいかもしれません、今このときはいいかもしれない。だけれども、十年後、二十年後、三十年後に、消費者の方々に対して、安くて安全でおいしいもの、確かに安全でおいしいかもしれないが、安くてということをどう考えるかということは、我が国が自給の体制を五〇%確保していく上において絶対に必要なことだ。

 だから、今さえよければいいみたいな政策ではなくて、私たちは十年先、二十年先に日本の農業の姿はこうなるということをきちんと提示しなければ、それは政策として極めて無責任だ、私はこのように考えております。

園田(博)委員 そのとおりだと思うんですね。

 そういう意味では、農業政策強化ということじゃなしに、基本的にそういう考え方に基づいて、再構築していくという考え方に基づいて頑張ってもらうということにしなければならないというふうに私は思いますね。

 それで、民主党さんのことをるる御意見申し上げてまいりましたが、この案を見て、私は、簡単に申し上げますと、この案を実行するには、一年目はできると思いましたね。それは、特別会計の金を取り崩せばいいんですから。さっきから申し上げているとおり、恒常的な財源になりませんが、一年目にこういう政策を実行するために、この金さえ使えば一年だけできるんですよ。ただ、起きてくる問題というのは、二年目以降、こういう政策はつながっていかなきゃなりませんから、そのときの財源がないということ。

 それからもう一つは、これは後で、最後に消費税のことなんかもちょっと私申し上げたいと思うんですが、国が新しく、もしそれを無理やり実行するとしたら、赤字国債発行しかなくなると思うんですね。そうなりますと、今までのも借金しておりますが、今は信用があるんです。また、緊急、緊急と言いながら毎年毎年借金の額がどんどんふえていく。こうなったら、金を借りるときには返済計画がなければ貸してくれませんよ。これは国がやったって同じことなんです。それでも無理やり借りようと思ったら金利が上がりますよ。金利が上がれば、世の中の金利も上がってくるに違いないんです。

 こういう経済状態の中で、それは金利を上げた方がいい場合もあるんですよ、今の経済状態の中でもし金利が上がったら、中小企業の方々はばたばたいってしまいますよ。これはもう日本の経済が大変な事態に陥るということを私は言いたいんですね。

 それだけに私は、これから、我々もそうですが、恒常的な財源をどう確保していくかという観点で攻めないと大変な事態に陥ると。

 だから、私は改めて選挙は負けられないと思ったですよ。大分不信を買っていますが、責任を持って選挙に勝って、間違った方向に行かないようにしなきゃいかぬ。これは我々全体の責任だというふうにむしろ思うべきだと思うんですね。

 それで、我が党と、時間もなくなりましたが、これから財源をつくっていかなきゃならないんですね。今回の補正予算財源はやりくりできましたが、もう一つは、この先、年度内に約束された定額減税というのがあります。それから、来年度は基礎年金二分の一国費を投入しなきゃならぬ。これはどうするんだと多分言われるんでしょうね。こういう財源はまず見つけなきゃいかぬ。

 さらに、来年度に向けて、今申し上げた農業政策、それから中小企業政策を強化しなきゃなりませんね。これは大臣、やはり中小企業は、助けるだけじゃなくて、新しいビジネスチャンスをつくって、それを国が支援するという体制をつくっていかなきゃだめだと思うんですね。これが地域経済の強化につながりますから。

 それから、高齢者医療制度、これを変えますと、私は、高齢者医療制度の七十五歳の部分で、本人一割、現役世代四割、国が五割、この仕組みは堅持しないと大変だと思うんですね。

 ただ、問題は、医療費というのは必ずふえますから、では、ふえたときに、この一、四、五でいったらどうなるんだ。公平に一、四、五で負担していくのか。そういう制度をつくったはいいけれども、ふえるところで、一割と少なくはなったけれども金額はふえていくじゃないか、こういう不安はやはりあると思うんですね。

 私は、もう方法は国の五というものをふやす以外ないと思うんですよ、将来。そうしないと、本当にこの制度の安心感につながらないと思いますから、そういうことも含めて検討しなきゃならないし、その財源を考えなきゃいかぬというのがまた我々の大きな課題だというふうに思うんですね。

 そこで、既に我々はずっと歳出削減をやってきました。さらに、実は、政府でもそうなんですが、我が党でも無駄撲滅チームというのをつくりまして、余り目立たないんですが、これは春からずっとやっています。私が座長なんです。五つのチームに分けて、全部やりました。

 まず、よく話題になりましたタクシーチケットだとか、レクリエーションだとか、それから広報費、これを大幅に削減しました。大幅に削減しましたから、もう年度内に実行していますし、来年度からは相当大幅に削減されます。

 それからさらに、独法改革はさっき申し上げたんですが、公益法人改革ですね。ここからやはり大きな財源をとろうじゃないか、見出そうじゃないかということは、これは民主党の皆さん方も言っておられるんですが、この公益法人改革について、政府の方ではどのような目標を立てて取り組んでおられるか、大臣にちょっと。

甘利国務大臣 ただいま御指摘の公益法人、これは、国と独法からなされている支出が十八年度ベースでいいますと九千六百四十一億円あります。これを極力削減していこうということでございます。

 行政支出総点検会議、いわゆるムダ・ゼロ会議という、これは官房長官が所管されているところでありますが、ここにおきまして、それらに向けての支出の三割削減などについて検討を行っているというところでございます。

園田(博)委員 そのように、我が党でも政府のその有識者会議とも連動し合って、公益法人は三割削減を目指してこれから具体的な計画をつくっていこうと思っているんです。そういう意味では、民主党さんの案には賛同いたします。

 そういうことをやりながら、一つ問題が出てくるのは、よく予算の組み替えと言われますが、ある意味ではやるべきだと思うんですね。

 それは何かといいますと、これから、今私が申し上げたようなことを来年度から新たな施策として積み重ねていかなきゃだめなんですね。当然、財政出動を伴います。そのときに、今までの事業をもう一回全部総ざらいして、見直しちゃえと。つまり、政策の棚卸しと言っているんですけれども、これを今、五チームで全部やっていまして、私が皆さん方にお願いしているのは、無駄を削るのは当然なんだ、この際、少々必要であっても切っちゃおうじゃないか、もう涙をのんで切るんだ、新しい施策のために。

 そういうことを今順次進めておりまして、多分、選挙がなければですが、十一月中には大体の計画をまとめて、政府でもその取り組みを進めておられますから、まず来年度予算の重点施策のための事業見直しによって財源は出したいと思っています。これを新しい方向に切りかえていくということをやっていかないと、既存の事業が大事だから大事だからとやっていると、それができなくなるんですね。そういう意味では、私はそういう取り組みを政府・与党一体となって進めなきゃならぬというふうに思っています。

 それから、時間がなくなりましたので、最後に消費税のことをちょっと申し上げたいと思うんです。

 消費税は余り言うなと言う人もいるんですが、ただ、私が申し上げているのは、総理も、日本経済は全治三年間と言っておられます。今の経済状態で、しかも国民生活が非常に不安な状態を迎える中で、仮に選挙が終わっても、消費税を提案するということは私はないと思います。

 これは、経済状況がある程度立ち直って、しかも国民生活も先の見通しがついたときじゃないと相談できませんから。しかも、その期間は三年間かかるだろうと総理も言っておられます。大体私もそう認識をするんですね。

 ただ、将来に向けてなぜ消費税が必要かということを私はこの場でもう一回申し上げたいんです。それは、我が国の社会保障制度なんです。これはどんなことがあっても、医療、介護、年金、それから今度小渕さんが担当される少子化、このための財源というのは欠かせないんですね。

 それで、毎年予算を組むときに社会保障費の二千二百億削減計画というのがございまして、ことしももめました、概算要求基準のときに。基本的にこれはやるという方向にしましたけれども、実際は私は無理だと思っているんです、これは。去年予算を組んだときに、舛添大臣が、毎年言われるものだから、とうとう筋の悪いものまで手をつけなきゃならなくなったと言われたのが印象に残っていますよ。本当は言わせたいんだけれども、もう時間がないから発言は求めません。

 ただ、問題は、社会保障が毎年二千二百億減っているのかと思っている人がいるんですね。これは違うんですよ。つまり、さっき申し上げた社会保険制度の自然増がどんどんふえてくるものですから、これは当然なんです。少子高齢化ですから、保険料を払う人が少なくなって、給付を受ける人は当然多くなるわけですから。来年度もこれで大体八千五百億ふえる見込みですね、厚労大臣。八千五百億もろもろふえたんじゃ、ほかの経費を幾ら削減しても追いつかないから、したがって、二千二百億ぐらいはほかのところで削減してくれやということをやってきたんですね。その限度に今来ているわけです。

 私は、このことを考えますと、当面はやりくりをしていかなきゃなりませんが、経済も国民生活も落ちついてきたら、私が申し上げているのは、財政再建のために消費税をと言っているんじゃないんです。社会保障をこれから五十年たっても百年たっても堅持できるように、消費税を新たにまたいただいて、今までの消費税も含めて全部社会保障目的税にしようじゃないか、一円たりともほかの経費には使いません、こう申し上げているんですね。そして、財政再建は、その他の税とその他の費目でなるべく切り詰めていって、借金返しができるようにしようじゃないかというのが私の考え方なんです。

 こういう考え方に基づいて、これから何カ年か先でしょうけれども、国民の皆さん方にも御議論をいただいて、本当に財政をしっかりさせて、国民が求める施策はやはりちゃんと実行できるような仕組みをつくるというのが我々に与えられたいわば使命でございますから、そういう意味で総理に頑張っていただきたいと思いますが、総理に最後に。

麻生内閣総理大臣 今、社会保障制度の持続的なもの、いわゆる持続可能でないと安心できたものになりませんから、そういったものをきちんとつくり上げるために消費税というお話だというぐあいに理解しておりますが、これは何となく、おまえ、将来とも大丈夫かという話はだれでも何となくお持ちなんだと思いますね。今もらっておられる方々は、どうしても、これから払っていかれる方々、これから受け取られる方の方が特にそう思っておられる、私はそう思っておりますので、そういった意味では、この消費税というものは極めてその中で重要な役割を果たすものだ、私自身はそう思っております。

園田(博)委員 時間が来たので終わりますが、いずれにしろ、こういう非常に不安な経済状況でございますから、まずはやはり国民に緊急的な対策を早く実施できるようにして、私はそれで事足りると思っていないんですね。あと何をやりますよと言ったら、二次補正かとか、そんなの補正を修正しろとか言われますからね、そんなことは言えませんけれども。

 私は、やはり、政府・与党一体となって、来年度からの施策に向けて直ちに取り組んで、そういうものを国民の方々に提示をして、こういうものを先にやろうじゃないかという総理のお考えは全く正しいと思うんですね。でも、いつ解散になるかわかりませんが、なるたけ政策実行できる体制を政府・与党でつくり上げて、頑張っていこうではありませんかということを御提言申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、葉梨康弘君から関連質疑の申し出があります。保利耕輔君の持ち時間の範囲内でこれを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘でございます。

 時間も限られておりますので、とんとんと質問を始めたいと思います。

 まず冒頭なんですけれども、実は、九月の三十日の日なんですが、子どもたちのインターネット利用について考えるシンポジウムというのが東京で開催されまして、私もパネリストとして参加をしてまいりました。実は、本年の六月に成立をいたしました青少年のインターネット規制法について、私も青少年の違法・有害情報対策委員会の主査というのをやっておりまして、携わったという関係で参加をしたんです。

 携帯電話とかインターネットを子供たちからやみくもに取り上げるというのもどうかと思います。ただ、安心して使っていただくためには、私も三人の娘の父親なんですが、保護者も余りデジタル系が詳しくない、それから教職員あるいは警察官も余りデジタル系が詳しくない、そういった問題もございます。(発言する者あり)麻生総理は詳しいんですが。ですから、法律で規定されたフィルタリングソフト、この技術開発と普及促進に加えて、今後は、公務員についての教育訓練ですとか、あるいは、外部からの専門家を任用するなどして、学校でのスクールカウンセラーと同様に、例えばインターネットの相談を行うなど、多様な取り組みが必要じゃないかなと思いますけれども、冒頭、小渕大臣からお答えを伺いたいと思います。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 委員が御指摘のように、インターネット上の有害情報に対する対策、これについては極めて重要なことであると認識をしております。

 さきの通常国会で成立いたしました青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律、この施行に向けてしっかりと準備をしていかなければいけない、それとともに、関係府省そして民間事業者としっかり連携をいたしまして、総合的な取り組みをしていかなければならないと思っております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 それでは、午前中は、社会保険庁の問題及びいわゆる事故米穀の不正流通の問題、これについてお尋ねを申し上げたいと思います。

 実は、これは四月の決算委員会で私も社会保険庁のいわゆるやみ専従の問題について取り上げさせていただいたんですけれども、テレビが入っている場では初めてということでございます。

 このパネルにありますとおり、労働組合活動、これだけをやっている職員が月に一回程度事務所を訪問します。二枚目を出してください。そして、こういう形で出勤簿にまとめて一月分の押印をするわけです。これは、庶務の係長ですとか事務所長、皆さんよく知っているわけなんですけれども。そのときに一月分まとめてというか、そのために出勤をします。

 そして、一月分の給与はまとめていただくということなんですけれども、それだけじゃなくて、彼は超過勤務も実は東京ではもらっていまして、超過勤務というのは、全く勤務をしていないんですけれども、なぜか、総務課の人事係長が組合活動をやった時間というのを計算していまして、それを事務所長に対してお知らせするんですね。それで超過勤務も支払われている。

 三枚目を出してください。さらには、この上の人たちもそうなんですが、特別昇給もしているんです。これは、やみ専従ということで仕事もしていない職員に対して、勤務評定のAがつけられたという勤務評定記録ですけれども、これが特別昇給の材料になる。そういうのがいわゆるやみ専従の実態なんです。

 そして、この問題というのはどういう問題かということなんですが……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に願います。

葉梨委員 まさに、役人の世界の中で、労働組合と上司の官僚、これが完全になれ合っているという体質の問題なんです。ですから、私自身は当時、舛添大臣にも質問をさせていただきましたが、これは、自民党はもう官僚とも切りましょう、それから労働組合とも切りましょう、上も下も徹底的にやらなければ国民のための行政はできないということを、私からも訴えをさせていただきました。

 そして、その後なんですが、今年四月、社会保険庁のいわゆるやみ専従の問題について、社会保険庁の内部でやらせたってだめなんですよ。これは犯罪者が犯罪者を調べている。現実問題として、私は官僚も切らぬといかぬと思いますよ。例えばここでやみ専従を許していた課長がいるんです。課長といったって、三十人ぐらいの課ですから、やみ専でやっていたとわかりますよ。さっき言っていた勤務評定、これも書いているのは課長ですよ。

 その課長が今どこに在籍しているんだというのを社会保険庁に調べさせたんです。四の五の四の五の言って一月間何にも出さなかったけれども、現職の方の中で、いいですか、現職の都道府県の社会保険事務局長、現職の厚生労働省の企画官、課長級ですよ、ここら辺が実際に課長としてやみ専にもかかわっている。

 官僚も切らぬといかぬ、それから、労働組合、これもしっかり切らなきゃいけない、両方に公平に切らなきゃいけません。

 そこで、厚生労働大臣には、四月、社会保険庁の内部調査によることなく、直属のチームを編成して、しっかりとした実態解明を行って積極的に刑事告発をすべきである、このような要請をいたしました。その進捗状況を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今、葉梨委員が御指摘いただきました社会保険庁職員のいわゆるやみ専従につきましては、九月三日、既に判明した行為者三十名等に対する処分を行い、あわせて給与の返納を求めたところでございます。

 さらに、この問題については、今先生御指摘のように、私のもとに弁護士などの外部有識者から成る服務違反調査委員会を設置し、今、刑事告発等について検討いただいているところでございます。十月末を目途に結論を取りまとめておりますので、その結果に基づき厳正に対応を行ってまいりたいと思います。

葉梨委員 これはしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。

 そして、上司の方々までが組合に汚染されている実態というのを、私はつぶさに聞いていてわかりました。何でこういうやみ専従みたいなことを、東京と大阪、京都が判明しているんですが、許してきたんですかというふうに総務課長あたりに聞くんです。そうすると、大体、二十代になりまして社会保険事務所の中で労働組合の役員になる。そのときには既にわかります。みんなが全部知っています、少なくとも地元採用の社会保険事務局の人間はみんな知っています。その中で、管理職になる方もいるけれども、組合活動をやって組合の役員になったという時点でみんなわかっています。だから、総務課長は自然と、組合のある程度の幹部になったら、例えば大阪の例ですけれども、そういうところに配置する、暇な事務所に配置する、暇な課に配置する。それは、みんなの暗黙の了解として、まさになれ合い体質として、社会保険事務所の中で全員がわかっている話です。社会保険事務局の中では全員がわかっている話。

 ただし、これは、厚生労働省の本省とは私ども仲が悪いので、全然報告はしておりません。厚生労働省の本省じゃなくて、まさに地元のなれ合いの実態、ここがあるということですね。これをまず押さえなきゃいかぬ。

 それで、彼らは全然悪いことだと思っていない。その大阪の総務課長に聞きましたら、この職員はどうですか、いや、三日か四日ぐらい出勤していたんですよと言うんですけれども、では本当ですかと聞いたら、いや、実は一日か二日でした。

 そんなようなことが恒常的に行われていたのが社会保険事務所でしたが、その話を聞いて、いわゆる標準報酬月額の改ざん問題、これもむべなるかなというか、まだまだ、この社会保険庁という組織、あるいは特に地元の社会保険事務局ではどんどん不祥事が出てくるんじゃないかというふうに、当時、三月ぐらいに、調査チームの座長としてやりましたら、予感をしたわけです。

 そして、この標準報酬月額の改ざん問題です。

 保険料を少なく支払っていて、給与を実際よりも低く支払ったことにすれば、実際、満額納入になるということですね。ただ、事業者は、従業員の給料から天引きした年金保険料、これの一部を横領している方も中にはいるだろう。そして、このような行為を社会保険庁の職員が示唆していたんじゃないかといったら、これは教唆犯になるわけです。

 ただ、最近の議論の中で私がちょっと気になっているのは、一部の方は、これは年金保険料徴収率のノルマがあったから悪い、ノルマがあったから悪い、だから、これは組織的に上が悪い、上が悪いと言うんですが、とんでもない話ですよ。徴収率にノルマを課すなんというのは当たり前の話であって、実際にそういうことをやってだれが悪いんだといったら、そんな改ざん行為をやっていた職員であることは間違いないし、そのなれ合い体質を許していた組織の体質であることは間違いありません。

 この問題についても、必要な調査を行っておると思いますけれども、ただ、これは社会保険庁の組織の中のなれ合い体質から出てきたものです。そして、これはまさに組織的なれ合い体質のものと言えるからこそ、社会保険庁の内部調査に任せていたって絶対に無理だというふうに思います。

 そこで、大臣からお答えを伺いたいんですけれども、この問題というのはまさに社会保険庁の組織的ななれ合い体質、これに依拠したものだ。ただし、厚生労働大臣か、社会保険庁長官という話が飛んでいますけれども、私自身は、社会保険事務所、この出先における完全ななれ合い体質というのがあったんじゃないかな、やみ専従問題と同じような背景があったんじゃないかなというふうに思います。だからこそ、このような調査というのは内部調査に任せていては絶対に無理だと思います。

 そして、やみ専従の問題と同様に、きょうの報道にもありますけれども、しっかりと厚生労働大臣直属の調査機関というのを置いていくべきじゃないかというふうに考えますが、厚生労働大臣から御見解を二点についてお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 私が大臣になって以来、この問題というのは、内部の職員からのいろいろなメールや手紙をいただいたり、ちゃんと名前を名乗っていただいたり、それから自分で不正をやったという中小企業の企業主からもそういうことをいただいた。それで、特別のチームをつくってずっとこの解明に当たってまいりました。

 そして、今さらに、委員御指摘のように、まさに社会保険事務所の中で、成績を上げるというようなことがあったり、いろいろな意味でなれ合いで職員と上司がやっている、こういうことは許すわけにはいかないと思います。そういう意味で、本日、弁護士等から成る特別チームを編成し、この予算委員会が終わり次第発令して直ちに第一回会合を開きます。

 我が国は法治国家ですから、法と証拠に基づかない限り、刑事告発を含め、できません。そういう意味で、ただ内部告発があったからということだけで犯罪化ということは不可能でございます。委員は警察の出身ですから、そのとおりだと思います。

 したがって、きちんとこのための委員会をきょう発足させて、直属のチームで社会保険庁の中に足を踏み込んでいく。そして、結論を出し、職員を初め上司についても問題があれば厳正なる処分をやりたいと思っております。(発言する者あり)

葉梨委員 いや、私、何でこの問題でやじられるんだかさっぱりわからないんですよ。国民のために実態をしっかり明らかにしていこうと我々が言っているのに、何で民主党の皆さんが我々の努力に対してやじるんだ、このことがさっぱりわからないということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 そして、今もお話がありましたように、やみ専従ですとか標準報酬月額の問題とも刑事事件として問擬すべき要素を含んでいます。

 ただ、新聞記者から聞いた話なんですけれども、民主党の部門会議なるものがあって……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いいたします。

葉梨委員 事案解明のためには、職員の罪を問わないから申告しろ、そういう式でなければだめだという意見が公然と出ているという話を私は新聞記者から聞きました。

 こんな悪事にかかわったことを告白した方が、野党やマスコミからはまさに何か英雄のように取り扱われる、こんなことは極めて問題です。国民感情に配慮して、その生活ということを第一に考えるためには、刑事事件に当たるものは確実に事件化していくことが重要と考えます。総理から御決意を承りたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今しっかりした答弁が大臣からあったと存じますので、この国は法治国家でありますので、法と証拠に基づいてやらせていただきます。

葉梨委員 ありがとうございます。

 さて、いわゆる宙に浮いた年金の問題もございます。さらには、このような消された年金という問題もあります。ただ、我が国の人口、これは一億二千八百万人です。それなのに、八億を超える年金口座がまだ残っている。これは、六十五年間の社会保険庁のうみがたまりたまった結果だというふうに思います。

 これは、上下の問題だけじゃないんです。官僚とそれから役人、六十五年の間には政権交代もありました。まさに全職員の問題と考えます。どのような特別便、定期便を出したって、その担当者が給与記録の改ざんを行っていたんじゃ、さっきの話のように、何も悪いという感じがないようでは、これからも私たちの年金というのは毀損され続けるに違いないんです。

 そうしますと、やはり、年金回復、いわゆる被害回復の徹底した努力とあわせて、この社会保険庁という組織の人を入れかえる、このことを行うという視点が絶対に必要じゃないかと思いますが、厚生労働大臣から御見解を承ります。

舛添国務大臣 社会保険庁の積年の病弊、徹底的にうみを出す、そういう覚悟で行ってまいりたいと思います。

 その中で、平成二十二年一月に日本年金機構が設立されます。その採用に当たりましては、懲戒処分を受けた者は一切採用しない、人員数を大幅に削減する、外部の人材を登用する、そういう思いで新しい体制をつくり、そして信頼できる、この社会保険庁にかわる日本年金機構をつくり上げていきたいと思っております。

葉梨委員 しっかり組織を変えて、また人もかえるということで、今私ども、この日本年金機構の、今ありました基本計画、もう既に閣議決定が七月二十九日にされたわけですけれども、これにあわせて、党内においても議員立法の努力をさせていただいていることを御紹介したいと思います。

 といいますのは、私、この社会保険庁という組織のやみ専従の問題あるいは先ほどの標準報酬月額の問題、ここら辺にかかわってみて、もしかしたらこの組織というのは、まさに積年の病弊、積もり積もっていますから、まだまだこれから問題が起こるかもわからないということを非常に強く感じました。

 ですから、基本計画でこういう人間は行かせないとしても、また新しい問題が起きたら、では、その職員はどうするんだ、一たん採用されてしまったら、それこそ猫かぶりをしてほくそ笑んでいる、そういう人たちの何か笑顔が見えてしまうものですから、私どもは議員立法をつくろうということを提案させていただいております。

 今現在、私、自民党のヤミ専従問題対策プロジェクトの座長というのをやらせていただいていますが、さきに、この七月ですけれども、やみ専従にかかわった職員、そしてその上司たち、そういう方々をひっくるめて、この人たちには、日本年金機構に行かせてはいけません、そして年金業務からお引き取りを願いましょうということを提案させていただきました。

 そして、十月の二日には、この標準報酬月額あるいは資格の遡及、こういったものの改ざん行為にかかわった、相当と認められる職員、そしてその監督をしていた、先ほど組織的という、この組織的なれ合い体質、例えば徴収課長あるいは社会保険事務所長経験者、こういった方々についても年金業務からお引き取りを願おう、そういう法案も提案をさせていただきました。

 そしてさらには、これからそういった改ざん、いわゆる年金とか給与の記録改ざん、ほかの何が起こるかわからない、こういったものに携わった方、これについてもやはりお引き取りを願いましょうという、法律で欠格事由を定めまして、ここがみそなのは、採用された後でもそのことが事後的にわかったら、何十年か後にわかったって、そいつらは解雇するんだ、そういうような法律を提案させていただいたということでございます。

 ただ、実は非常に危惧されているのは、先ほどの基本計画の話なんですけれども、基本計画では今大臣からもお話があって、問題職員というのは日本年金機構には採用しませんよということになっているわけなんですけれども、どうも、その問題職員たちが厚生労働省に国家公務員のままで居座っちゃうんじゃないかというような報道がされているんです。

 国家公務員法上の話を申し上げますと、確かに分限免職の回避の努力というのは、法律があって法治国家ですから、やらなければなりません。その分限免職の回避の努力というのはどういうことかというと、民間企業でこういう方を採ってくれますかというようなことを何年かはやっていくということです。

 ただ、果たしてそういう問題職員というのを民間企業の方々が採ってくれるかどうかというのは、これは押しつけで天下りさせるわけにいきませんから、押しつけることはできない。そして、問題職員だとして民間企業も採ってくれなかった、我々も努力をした、そういう人たちがたくさん残ってきます。たくさん残ってくる人たちを、厚生労働省でも国家公務員としてまたそのまま居座らせる。

 それよりも、やはり社会保険庁という組織はなくなったわけですから、これはしっかりと分限免職をするということは、この場で、いろいろな疑念がいろいろなテレビ番組で出されているんです。自民党が厳しくやっているけれども、何だ、我々、そんなことは言ったことはありませんよ、言ったことはないのに、厚生労働省に国家公務員として残るんだ残るんだというのは、厚生労働省の役人たちがばんばん言っている。そんなことは絶対させないということをしっかり総理から、問題職員、社会保険庁の組織はなくなります、この方たちについては年金業務からお引き取りを願うだけではなくて、分限免職にさせるんだということを明確に御答弁いただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 懲戒処分というものを受けたことによって年金機構に採用されないという者につきましては、これは閣議決定をされました基本計画というのがありますので、厚生労働省への配置転換などの対応、残余の者については分限免職を行うということになります。

 ただ、中でも犯罪行為を行ったということが明らかになるなど、公務員としての適性を欠く者は当然分限免職ということになります。当然だと思いますよ。

葉梨委員 もう一度ちょっと、厚生労働省への配置転換とおっしゃられましたが、分限免職回避の措置というのは、私は民間企業への就職のあっせんなどが主だと思います。厚生労働省の中で配置転換なんかをやったら、役人の世界では何をやられてしまうかわかりません。ここのところは総理から明確にしっかりと分限免職するんだということをお答え願いたいと思います。

舛添国務大臣 委員長のお許しをいただきまして、私の方からまずお答えをして、その後総理に御決意を賜ればと思います。

 今、委員がおっしゃったように、法に基づいて分限免職の回避の努力はしないといけません。したがって、退職勧奨をやる、それからほかの役所、我が省も含めてですけれども配置転換を考える、それからさらには、民間への出向というようなことを考え、さまざまな手をやりますけれども、しかしポイントは、適性でない者についてそういう努力をしても、これは適性でないと判断した場合には分限免職を断固行うし、犯罪者については一切の猶予はないということを明言しておきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 懲戒処分を受けたという人の中には、これはいろいろあるんですよ。武正先生なんかお詳しいんだと思いますが、いろいろあります。スピード違反もそうですから。そういった意味では、これは一律にはなかなかいかないので今のような表現になったということでして、基本的には、犯罪をすればこれは分限免職、当然だと思います。

葉梨委員 それでは再度、お伺いいたします。

 非常に軽微なものについては、もしかしたら例外的に配置転換というのはあり得るかもわからないけれども、問題職員については基本的に分限免職にするということでよろしいですね。

麻生内閣総理大臣 そのとおりです。

葉梨委員 そして、分限免職にしたということで、訴訟のリスクというのを非常に気にしているというようなことがあるようでございますけれども、それについても堂々と受けて立つということでよろしいでしょうか、総理。

麻生内閣総理大臣 そのとおりです。

葉梨委員 済みません。総理からいろいろと。

 このパネルにありますけれども、あと一分ほどでテレビ中継がなくなるんですけれども、人を入れかえるという視点と、人を入れかえるという視点がない民主党案と、それから政府案であるということを御説明申し上げたいと思います。

 民主党においては、国税庁と社会保険庁、これを統合して歳入庁にするということを言っております。国税庁の職員は、あんながん細胞みたいな人たちが入って来たら大変になるといって、大変びびっているようですけれども。

 ただ、歳入庁に行けなくなった社会保険庁の職員についても、民主党案においては、私も読んでみましたけれども、公務員としての身分、これはそのまま残るということですから、先ほどお話があったように、懲戒処分を受けた職員であっても、例外的に配置転換をして、基本的に分限免職をするということではなくて、分限免職できない案になっているということを国民の皆さんにもぜひおわかりをいただきたいと思います。

 つまり、我々はそういうようなうみ、がん細胞をちゃんと入れかえることによって日本の年金を守っていきます。そして、民主党は入れかえないで日本の年金を守ろうとしていますが、本当かどうか、そこのところは国民に判断をしていただきたいというふうに思います。

 さて、天気予報の時間になったようでございますが、次に事故米についてお伺いをしたいと思います。

 九月の十八日ですけれども、私はいわゆる事故米穀の不正流通問題調査チームの一員として三笠フーズの九州工場に現地調査に行っておりました。事実関係等の質疑については、午後の質疑に譲らせていただこうと思いますが、この問題の背後に天下り先の確保があるんじゃないかというような指摘があるということで、ちょっと気にしておりましたので、午前中、二点ほど確認をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、石破大臣、国が外国から輸入した米などの保管について、個々の倉庫業者と直接契約を結ぶんじゃなくて、全国食糧保管協会と契約を結ぶ仕組みは協会の会費収入で農水省のOBの面倒を見るためじゃないか、そういう指摘がございます。確かにこれは誤解を招く仕組みじゃないかなというふうに私自身も思っておりますが、今後どのような取り扱いを行っていくおつもりでございましょうか。

石破国務大臣 お答え申し上げます。

 全国食糧保管協会についてのお尋ねであろうかと思います。

 ここは理事が七十一人おるのであります。常勤の者は三名。三名とも農水省OBであります。

 何でこんなものがあるのかという話でありますが、これは、政府が民間倉庫業者と寄託契約を締結いたします場合に、この食糧保管協会のメンバーである倉庫業者は、契約締結をこの協会に委任しておるのだということになっている。では、何でそんなことをするのかというと、事務コストが安くなるとか連帯保証してもらえるとか、そういう話なのであります。しかしながら、それは個々の業者でやっているんだということになるんですけれども、やはりこの三人の常勤理事、これが三人とも農林水産省OBだということを考えた場合には、委員御指摘のように、では、その人たちのためじゃないのということを言われかねないことでございます。

 今後は、全国食糧保管協会が取りまとめて契約することはやめます。それはいたしません。したがいまして、国と倉庫業者が直接契約するという形に改めなければならないということで、十月一日付でこの通知を発出したところでございます。

 ですから、あとは、ここがどうやってやっていくかは、それは自分たちで考えてくれればいいことであって、それができないんだったら、もうそれは解散という話であります。

 以上であります。

葉梨委員 もう一点、ちょっと報道されたことでお伺いします。

 農水省のやはりOBが天下っている日本穀物検定協会、これが輸入米の検査を一手に引き受けているということが問題として指摘をされております。どう対処されますか。

石破国務大臣 これが何で高いシェアを持っているかといえば、それはそれなりに技術が高いですとか実績があるとか、そういうお話になっておるようでありますが、しかしながら、ここにもOBがたくさんいるということであります。

 そうすると、そこにOBがいっぱいいて、無言の圧力、無形の圧力、そういうものがかかっておるのではないかというふうに、それはそういうふうにお思いになる方もいらっしゃるわけであります。むべなるかなということでありまして、ここのOBの数、これは減らさなきゃいかぬということで、減らしたいと思っております。

 同時に、在職期間が長い、そしてまた社会通念上報酬が非常に多いという人がおりますので、そういう場合に、そういう方が常勤でおるということについては、これは改善をしてもらうというふうに強く要請をしなければ、国民の税金が直接入っているわけじゃありませんが、こういうやり方が本当に正しいのか、農林水産行政に対する信頼を損ねることになりはしないかということで、そういうものに対しては適切に要請をしてまいりたい。

 以上であります。

葉梨委員 しっかりと襟を正していただきたいと思います。

 ちょうど時間でございます。以上で午前中の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長大脇広樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑を続行いたします。葉梨康弘君。

葉梨委員 午前中に引き続き、質疑を進めさせていただきたいと思います。

 午前中の質疑で、日本年金機構に移る職員について、ちょっと法律的な議論で国民の方にわかりづらいところもあったのかなということで、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

 懲戒処分を受けたなどの理由で、問題があるということで日本年金機構に採用されなかった、この職員たちが国家公務員として居座るということになりますと、まじめに働く者がばかを見て、問題職員を優遇することにもなりかねません。

 そこで、一応国家公務員法というのがありますので、法治国家ですから、分限回避の努力といって、民間への就職あっせんくらい、これはまあやらなきゃいけないんだろうなというふうに思いますが、それをやっても、民間企業にとっても魅力がないというような職員というのは、やはりそれなりに問題がある職員だと思うんです。

 国民目線の政治、行政の観点からは、こういった問題職員を国家公務員として採用することは絶対あってはならないし、組織自体がなくなったんだから、分限免職とすべきだと考えます。総理から再度御答弁、御確認的にお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 午前中の答弁で御理解いただけなかったかと存じますが、問題の残った職員というものは分限処分にします。

葉梨委員 それでは、午前中に引き続き、事故米穀の不正流通の問題について議論を進めさせていただきたいと思います。

 まず、この三笠フーズ、大変ひどい会社だというふうに思います。後でちょっとこのパネルも御説明させていただきますが、私も、三笠フーズの九州工場に自民党の調査団の一員として現地に行ってまいりましたし、また、農政局の職員、さらには農政事務所の職員からいろいろとお話を聞いて、これは行政の問題としても大変大きな問題であるということを痛感して帰ってまいりました。

 そこで、まず冒頭、農水省の責任ということで、三笠フーズに対しては九十六回立ち入りをいたしました。しかも、十九年の一月には、この三笠フーズのいわゆる事故米が酒造メーカーに横流しがされていたんじゃないかという通報があって、一応抜き打ち検査をやったということなんですけれども、一切見抜くことができませんでした。これについては、行政システムの重大な欠陥であるというような指摘がなされております。

 そして、今回の事件について、農水省としての責任をどのようにお考えか、農水大臣から御答弁をお願いいたします。

石破国務大臣 行政の責任は重大であります。そのことは私も責任者として申し上げ、深く反省をし、国民の皆様方におわびを申し上げ、どうすればこのようなことが起こらないかということについて迅速に提示するということが私の責任であると心得ております。

 私も先週行ってまいりました。委員が行かれたところと一緒の事務所あるいは三笠フーズの九州工場であります。

 それで、検査というのは抜き打ちでやるのが当たり前で、どこの世界に、いついつ行きますなんという、そんな検査があるかという話なのですね。私は昔、民間銀行に勤めていましたが、検査は突然来るに決まっている、徹底してやるに決まっている。いついつ行きますなんということはあり得ようはずがない。これも非常識です。そして、検査マニュアルが全然ない。これも非常識なお話ですね。

 そして、これは私は後で考えてみたのですが、検査というよりも、本当にそれが適正に処理されているかどうか。それは一時間や二時間で全部処理されるはずがない。最初から最後まできちんと見ていなければならないのに、二時間ぐらいしかいなかった。これは一体何事だと。

 そしてまた、実際に行って日誌を書くわけです。日誌を書くわけで、問題なしという日誌を書く。それをだれも見ていない。ファイリングしているだけ。責任者も見ていない。これで行政と言えるのかということです。

 私は、人ごとみたいに言うつもりは全くなくて、これは農水省の責任。それは出先もそうです、そういうような体制をとっていた本省もそうです。このことについては厳正に検証して、しかるべき措置をとらねばならない。それはもう厳正に、そして迅速に行うものであります。

 そして、何でこんなことになったかということですが、結局、事故米、すなわちカビが生えちゃったとかそういうものと、農薬が混入していた、そういうようないわゆる汚染米と言われるもの、これを一緒に扱っておったところに大きな問題があるということ。そしてまた、検査立ち会い部門と販売部門、これが一緒でいいはずがない。これはやはり分けていかねばならないということだと私は考えております。

 そして、内閣府には事故米穀の不正規流通問題について有識者会議が設けられ、徹底的な検証が行われているところでございますが、私どもとしても、行政の責任は大であるということの認識のもとに厳正に調査、検証し、国会にも御報告をしたいと考えております。

 以上でございます。

葉梨委員 この問題、実は行ってきまして、非常に思いましたのは、全く今の石破大臣と同じような印象を持ったのですが、地元の福岡の農政事務所と、九州の農政局というのは熊本にあります、ここのパイプがもう完全に詰まっているような印象を受けました。

 もちろん、農政事務所自体も、旧の食糧事務所で、非常に闘争活動の強いところではあったんですけれども、この係官自体が上司に報告しないんですね。これは管理職じゃないですから、行って、全然問題ない問題ないということで、上司にも報告をしない。ただ、農政事務所では、八月に問題が起こっても、農政局それから本省との連絡の関係というのは非常に詰まっているなというような感じを私自身も持ったわけです。

 時間の関係もあります。今のいわゆる事故米と、あと今大臣が言われた汚染米という問題があって、メタミドホス、そういったものに汚染されていたお米を何で日本が輸入して保管していたんだということが非常に国民の間から疑念としてあるわけでございます。

 ここら辺のところ、なぜこのような輸入米を政府が保管していたのか、事実関係をちょっとお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 そういうような疑問を持たれる国民の方、非常に多かろうと思います。

 パネルをつくってみたのですが、要は、今回の事故米穀のうち、メタミドホスの残留値が基準を超えております中国産モチ米については、平成十五年度に輸入をしたものでございます。その平成十五年度というのは、食品衛生法上このメタミドホスについては規制がなかった、そのときは入ってもいいものであったということでございます。

 ここでチェックがなされなかったということではなくて、ここにおいてはそういう規制そのものが存在をしていなかったということで、委員御案内のとおり、平成十八年の五月から食品衛生法の残留農薬規制、これが強化をされた。そこにおいて、メタミドホスの基準値が設定をされたということでございます。

 したがいまして、平成十七年度に政府が保有する輸入米について、つまり十八年の五月から変わったわけですから、十七年度に政府が保有をしておりました輸入米について、残留農薬の値を調査しましたところ、この中国産のモチ米から基準値を超えるメタミドホスが検出された、こういう経緯でございます。

葉梨委員 さらに、報道等をされておりますいわゆるカドミウム米というのがございます。これは、現在でもあるわけですけれども、着色して横流れの防止の措置というのをとっております。事故米について、何で同様の措置をとっていなかったのか。そして今後、工程表等を作成されておるようですが、農水省としての対策についてお伺いをしたいと思います。

石破国務大臣 カドミウムではきちんと着色をし、横流し防止の措置もとっていたのにどういうことであるかという御質問であります。

 先ほども申し上げましたが、意識が薄かったということは認めなければいけないと思います。すなわち、農薬等々で汚染された米を、水ぬれとか袋が破れちゃったとか、そういう事故米と同じであるというふうに取り扱ってきたこと、その意識、ここに極めて問題があるというふうに考えております。

 そしてまた、これが安くしか売れない、実際に安くしか売れないわけですね。そうしますと、やはり税金で買ったものでございますから、これに着色をするような、コストをかけるということについてちゅうちょするところがあったのだということは認めなければいけないところだと思います。

 今回、こういうことがございました。私ども、深く反省のもとに、このパネルにございますけれども、食品衛生法上問題があります事故米穀を販売することは一切いたしません。そして、これを、輸出国への返送、あるいは、先般から始めておりますが、焼却等、廃棄処分を行うということにいたしておるところでございます。

 ここもいろいろな議論があるところですが、燃やす場面がテレビに映りますと、何だ、もったいないじゃないか、農業をやる方々がずっと一生懸命つくったものを燃やすとは何事だというような御批判もございます。燃料に使えないかというようなお話もございますが、食品衛生法上問題があるものは売ってはならないということで私どもは認識を統一しておるところでございます。

 また、工程表についての御指摘がございました。これは、机上配付もさせていただいておりますが、ここに書いてありますような、このような工程に従いまして、今後対処をしてまいります。

 まず第一に、流通ルートの全容、この解明を今全力を挙げて行っておるところでございますが、これは、十月末、今月末を目途に、流通ルートがどうなっているか解明をいたします。

 二番目、焼却処分は先週から開始をしております。

 検査マニュアル、これがないことにつきまして、本当に申しわけのないことでございました。これは今週中に作成をいたします。

 もう一つは、先般、私は熊本にも行ってまいりました。善意の方々で、この事故米が入っていることを知らないでお酒をつくったり、あるいはお菓子をつくったりという方々であります。経営上も非常に大きな問題が生じているということを私ども強く認識いたしておりまして、この経営支援につきましては、今月中にスキームを決定するということで、これは迅速にやらねばならないと思っております。

 そしてまた、行政の責任でございますが、責任追及、先週、倫理法違反の調査結果を発表いたしたところでございます。これだけにとどまらず、過去の行政経緯も調査をいたしまして、有識者会議の検証を経て、厳正に処分を行ってまいります。

 トレーサビリティー、原産地表示等々の流通規制につきましては、十一月中にその骨格をまとめます。

 そして、委員も御認識だと思いますが、農林水産省の体制はどうなんだと。今、九州農政局と地元の事務所との連携は一体どうなっているかという御指摘もございました。農水本省も本当にこれでいいかということはもう一回見直していかねばなりません。

 私は、消費者の立場というものをきちんと考えてこなかったのではないか、BSEのあんな問題がありながら何でこのようなことが起こるのかということは、深く反省をしなければならないし、検証もしなければならないことでございます。それは、消費者、そして国民、あわせて生産者一人一人も見ていかねばならないことでございます。十一月中にこの骨格を発表し、また御議論を賜りたいと思っております。

 以上でございます。

葉梨委員 事故米穀の関係、三笠フーズに行ってまいりました。今も大臣からお話がありましたけれども、これは大変ずさんな実態があって、本省も悪いけれども、出先も大変悪いというような感じを持ちました。悪いというよりも、マニュアルをつくろうが何しようが、仕事をやる気がなくて、仕事をしていなかったら、見抜くことはできないわけです。

 九十六回のうち一回は抜き打ちと称しても、どれぐらいの時間調査したんだといったら、九十五回は約二時間、二人ぐらい、九十六回は四人ぐらいで行って四時間ぐらいいたというんですが、これはお茶飲み話をしているわけです。何でかといったら、これは、渡した先の、納入した先の会社というのは、九州工場長の宮崎さんのお父さん、もとの顧問がやっている会社で、そのお父さんの話をうのみにして、ちゃんと納入を受けましたから大丈夫ですという話。

 それでは、一回の抜き打ちで行ったときですけれども、このときは酒造メーカーに横流しをしているんだという通報を受けた。通報を受けたけれども、確かに、その宮崎さんのお父さんから、三社ぐらいにサンプルとして渡しましたけれども、これで書類はちゃんと在庫が合っているようになっているでしょう、それだけ見てきて、私も倉庫を見ましたら、倉庫には三十キロ積みで事故米というのは汚染米も含めてどんと山積みにされている。これは何ですか、そういう質問もしていない。これは調査じゃなくて、お茶を飲みに行っていたとしか思えないんですね。

 ですから、農政事務所長もそれが見抜けないというのでは、これも節穴かなと思うんですけれども、報告自体が、問題ありません、問題ありません、問題ありません、そんな報告だけがずっと何十年も続いている。ある意味で、先ほどちょっと社会保険庁、これはまたひどくて、さらに社会保険庁の場合は、仕事をしないだけじゃなくて悪いこともやっているというようなこともあるわけですけれども、大体似たような体質というのはあるのかなというようなことを痛切に感じて帰ってきたのがこの九州の調査でございました。

 この事故米の問題、これについては出先のなれ合いの体質というのはやはり大きいと思います。今もお話があったように、事故米自体については今後焼却処分にすれば問題は起きないのかもわからないけれども、農水省というのはまさに食の安全と安心を確保する役所だ、このような行政の方向性、これを変えていくためには、先ほども大臣のお話にもあった消費者の視点、これは絶対に必要です。外部の目を入れていくということが必要です。その意味で、今回の国会にも提出されています消費者庁の法案というのは、こういう事件があったからこそ、まさに緊急にやっていかなきゃいけないというふうに思います。

 野田大臣から御見解を伺います。

野田国務大臣 この事故米もしくは汚染米の問題に関して、実は、先立って、中国からの冷凍ギョーザの問題で、食品の安全に対して大変心配だということで、食の安全を担当する例えば厚生労働省または農林水産省そして内閣府、そういうメンバーが集まって総括官会議というのをやりまして、情報の共有をしようということで会議が立ち上がっていました。しかし、残念ながら、内部通報があって、どうも非食用が食用に回っているらしいという報道、報告があり、そして検査をしたという事実も実はこの会議では一切農林省から報告がなかったという残念な結果がございました。それを受けまして、やはり先生がいつも御指摘のように、縦割りの限界の中で起きるべくして起きていました、いわゆる不作為の事案だったと思います。

 それを踏まえて、今後は、例えば農林省にしてみると、今おっしゃったなれ合い、農林省というのは、そもそも生産者そして食品関係の事業者を育成するという大義がある中で、そういう関係の中でなかなか厳しい検査ができなかったんじゃないか、また、そういうことを共有できることをしてこなかったんじゃないかということを踏まえて、まさにそこには消費者がいなかった、存在しなかったという原点に立って、今後は消費者から発信する、そして消費者が主体となった消費者のための組織というのが必要不可欠である。

 これは食だけではない、これからすべての消費活動において、常にやはり消費者優先ということで発信していかなければなりません。生産者も消費者あっての生産者、事業者も消費者あっての事業者、そういう当たり前の原点に戻った上で、しかし、そのためには横断的な組織がこの国では不可欠ということで三法案出させていただいております。

 どうか、速やかに審議をいただきまして、新しい国づくり、そして消費者がしっかりと安心して生きていけるために、皆様方の御理解を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

葉梨委員 この問題、去年、私は実はミートホープ調査団の自民党の団長でも行ってきまして、五年前にも、いろいろな役所に通報があるのに全然横の連絡ができていない。横の連絡をとればいいというよりも、やはり一つのそういう消費庁みたいな組織があって、ちゃんと強制的にとらせなきゃいけないということを強く思ったんです。

 ただ、縦割りだけではなくて、ここにあるのは、霞が関五五年体制とでもいうような体質的な問題があると思います。与野党、自民党、与党、それから野党、社会党あるいは民主党、それぞれ、与党が官僚組織、それから民主党とか社会党ですと労働組合、そこら辺といろいろと利害関係を持っております。そしてその中で、永田町の五五年体制というのはどうも大分ぶっ壊れてきたような気がいたしますが、官僚組織、この霞が関の五五年体制というのはなかなか壊れていない。官僚は天下りのし放題だ、それから省益第一だ、そして、出先は労働組合が主体で、仕事は楽をし放題で身分保障がある。この出先も変えなきゃいけないですね。それで、そこはだれが打破するのかという問題があるだろうと思うんです。

 これについて申し上げますと、官僚についてだけじゃなくて出先に対してもやはり厳しい姿勢が必要です。これによって初めて公務員というのが生きてまいります。改革のためには、労働組合の既得権益を守るような政党では、とてもこの改革はできないだろうと思う。

 そして、対策として言えば、天下り、撲滅せぬといかぬでしょう。それと内閣の一括人事、これも必要でしょう。そして出先については成果主義、外部の目、信賞必罰、こういったことが必要なんだけれども、ではこの成果主義について、労働組合、どう言っているかということです。

 先ほどの社会保険庁、全厚生の労働組合という組合があるんですが、二〇〇五年の十一月五日、こんな新聞が出ております。「人事評価制度が社会保険庁に導入されようとしています。実績評価と能力評価の具体的な運用マニュアルや評価シートも示され、本格実施に向けて試行も行われています。」「チームワークが基本となる組織運営と行政サービスの向上が求められる社会保険職場になぜこうした評価制度が導入されようとしているのか。私たちは、様々な角度から検討し要求を対峙」反対ですね、「していく必要があると考えます。」これが全厚生の見解です。

 チームワークが必要となる社会保険職場、何のチームワークだったんだろうか。そのチームワークの結果というのが、午前中も質疑をさせていただいたやみ専従がチームワークの結果だったんじゃないか、それから標準報酬月額の改ざんというのもチームワークの結果だったんじゃないか、そういう疑念も起きてくるわけでございます。

 そこで、官僚と断ち切るという意味では、私は、小泉政権というのは名実ともに古い自民党というのをぶっ壊したと思います。そして業界や官僚とのなれ合いというのはしっかり断ち切ってきた。そして、ここの表にもございますけれども、安倍政権、ここで押しつけ天下りの撲滅、さらには成果主義という形での国家公務員改革を行ってまいりました。そして福田内閣ですけれども、今もお話がありましたが、やはり外部の目を投入しようということで、国民目線、この消費者庁の構想を推進してきた。

 そして、午後の冒頭の質疑でも再確認をさせていただきましたけれども、麻生政権においては、これはしっかりと信賞必罰、出先も含めての信賞必罰というのを徹底することで、この霞が関の五五年体制というのを完全に打破しなければならない。そして、どこかの党のように、どっちかの既得権益を守っているんじゃしようがないんですよ。例えば、出先の労働組合に甘くて、官僚の天下りにだけ厳しい、これだけではバランスのとれた霞が関五五年体制の打破ということはできないと私は思います。それは我々がやるべきことであるというふうに考えます。

 総理にこの公務員改革についての御決意を伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 たびたび申し上げてきましたけれども、公務員というものは、基本的に、国民に奉仕する政府のいわゆる経営資源ということだと思っております。したがって、公務員を使いこなせるということが物すごく大事だ、私は基本的にそう思っております。

 そして、公務員から来られた方もここに何人もいらっしゃいますが、公務員各位は、これは省益を捨てて国益に徹する、大事なところだと思っております。そして国家国民のために粉骨砕身働く、当然のことです。そしてそのために、今言われましたように、信賞必罰は徹底、これは当然のことだと思いますので、国家公務員制度改革基本法だと思いますが、これに基づく改革をさらに推し進めていかねばならぬと決意を新たにいたしております。

葉梨委員 次の題に移ります、あと五分になりましたので。

 拉致問題とテロとの闘い。これは、官僚に対しても厳しく、出先に対しても厳しくということを申し上げました。出先の方々は労働組合主体で、政権の交代を望んでいるんだろうと思いますが、その方々が望む政権になったら、果たして改革ができるのかなということをちょっと考えたりもいたしましたが、同種の問題について、同じように厳しくなければならないということで、拉致とテロというのを挙げさせていただきました。ちょっと法務大臣の質問、時間がなくなっちゃったんで、こちらでのみ込んで説明させていただきたいと思います。

 平成十三年九月十一日の同時多発テロ。ここには、世界貿易センタービルの中に二十社の日系企業が存在して、三百五十人の日本人が働いていました。二十四人、うち、遺体が確認されたのが十三人、これが死亡した。彼らは、アルカイダは、日本人がそこにいるということを知って、働いているということを知って突っ込んだ、完全な殺りく行為です。平成十五年の刑法の改正によって、このような行為については、日本の刑法によって日本の法廷で外国人の国外犯ということで裁くことができるようになりました。

 一方、拉致の問題ですけれども、現在、確定的な被害者というのは十七人認定されておりますけれども、その中には、外国で外国人に拉致をされたというふうに思われるような方もいます。その方についてもあるいはその事案についても、平成十五年の刑法改正によって、その拉致問題についても日本の法廷で裁くことができるようになりました。

 そのように、拉致問題とテロの問題というのは、外国人の日本人に対する国外犯という意味では法的な位置づけが極めて似ているものなんです。

 ですから、そのような同種の問題について、私、共産党というのは非常に一貫していると思います。両方太陽政策でぶれない。自民党、公明党も、これも一貫している。やはり北朝鮮に対しても厳しく圧力をかける、そしてアメリカに対しても、テロ支援国家の指定、これは解除反対だと。そして、テロとの闘い。日本人は二十四人犠牲になっているんだ、だから我々も努力をする、我々も活動する、そして諸外国に対しても協調を呼びかける。

 民主党は必ずしも、この表にありますとおり、そうはなっておりません。これを諸外国の方々が見たときに、聞いたときに、果たして、朝鮮の方からはいろいろなことをされてそれについては非常に先鋭的になるけれども、アフガニスタンにされたら何されたっていいんですか、そういうようなダブルスタンダードが日本はあるんじゃないんですか、特殊な感情があるんじゃないんですか、そう思われかねないんじゃないかと思うんです。

 やはり、この同種の問題については同様に、我々は日本国民をしっかりと守っていく国であるということを全世界に対して示していかなければいけないと思いますけれども、総理から御見解を伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 二〇〇一年九月十一日のテロの話に関しましては、先ほど葉梨議員からもお話がありました。日本人二十四名、これは飛行機の方も含めまして二十四名になるんですが、二十四名が犠牲になっておられまして、世界じゅうで二千九百七十二名が亡くなっておられる。これは、これぐらいでかいテロというのは二つとないと思っておりますので、そういった意味では、これに端を発しましたアフガニスタンの支援活動というのは、テロとの闘い、テロの撲滅ということで、これは長い闘いになることをはなから覚悟で各国は臨んでおるんだと存じます。

 したがいまして、日本に期待をされておりますのは、そのうちでの海上での補給活動が主に期待をされているところだと思いますので、私どもは、日本のため、日本の国民のためにこれは頑張っておるんであって、決して一カ国のために頑張っているわけでも何でもありません。

 テロとの闘いというのは、世界じゅう、いつどこでだれが起こされるかわからぬわけですから、その意味では、ここは徹底して最後まで闘わなければならないと思っておりますので、この活動から日本だけが手を引くということは考えられないというのを最初から一貫して申し上げてきているとおりであります。

葉梨委員 あと、最後にちょっと厚労大臣に伺いますけれども、いわゆる長寿医療制度、この見直しについて、これをやめる方向なのか改善を図る方向なのか、何か言葉のニュアンスがぶれているんじゃないか、そんな指摘があるんです。

 この問題については、一年の間をかけて抜本的に見直し、その見直しの結果を踏まえてしっかりと改革をするということでよいのかどうか。よいのであれば、はいと、それだけお答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 御指摘のとおりでございます。

葉梨委員 総理も同様でございますが、そこでうなずいていただければ結構でございます。ありがとうございました。

 一時半で交代の時間になりましたが、きょうは、本日の予算委員会の中でいろいろと、巷間言われている話と多少ちょっと誤解を解くような話も含めて、お話をさせていただきましたが、この委員会における議論が、議論は知識のやりとりである、口論は無知のやりとりである、しっかりと議論ができるようになることをお祈り申し上げまして、また切望いたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、山本拓君から関連質疑の申し出があります。保利耕輔君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本拓君。

山本(拓)委員 山本でございます。

 冒頭、地元の鯖江青年会議所の大橋理事長以下皆さんから、麻生総理に頑張ってくださいというメッセージを預かってきていますので、お伝えいたします。

 ところで、昨年の参議院選挙の結果、民主党が参議院の第一党になったところでありますが、それは、これから法案を通す場合には、参議院の第一党の責任者である小沢民主党としっかりと話し合いを進めていかなければならないということで、いわゆる、その当時の福田総理が話し合い総理を目指すということで、福田総理が実現したわけであります。その話し合い路線に当時の小沢党首は真摯に、しっかりとそれにこたえて話し合いを進めたわけでありますが、いつの間にか、一方では、傍ら、蜜月ぶりという言い方をされてみたり、相思相愛と言われてみたり、そういう中で、民主党の中で小沢批判が出てみたり、御存じのとおり、小沢さんがやめるとかやめないとか、どたばた劇が始まったことは記憶に新しいところであります。

 その小沢一郎さんがやめる、やめないという騒ぎをしたときに、マスコミの報道でしか知りませんが、小沢さんが言ったと言われる、民主党にはまだ政権能力がないという報道は、私は直接聞いていませんけれども、マスコミで知ったところであります。

 そういう中で、結果的に、小沢さんは民主党党首をやめるという辞任を撤回されて、再び党首業に励まれたわけでありますが、そうすると、その途端、今までと違って、話し合い路線をやめて、小沢党首はもう福田さんとはテーブルに着かないと。その延長で、参議院で多数を野党が持っていますから、福田総理に、もうやめなさい、さっさとやめてくださいということで問責決議案を提出して、数が多いですから可決してしまったわけであります。

 そういう中で、さきの、小沢さんが民主党党首をやめると言って騒いで、そのときには小沢さんは十分考えて撤回しましたけれども、福田総理は、問責決議案で、今まで出された防衛大臣の人たちとかいろいろなのはやめて、やめたときには野党から、もっと早くやめるべきだったとかやめて当然という話だったんですが、今回は福田総理は、国民が参議院に多数を与えたわけですから、その多数から、話し合いをしないということを、拒否して問責決議案を出されたわけですから、福田総理は熟慮に熟慮を重ねた結果、じゃ、やめるという結論を下しました。

 ところが、福田総理にやめろ、やめろと言って、やめたらその途端、やめるのはけしからぬ、やめるとは何ぞや、無責任だという批判を一斉にして、何か今全国にばらまいているようでありますが、まさしくちょっと理解に苦しむところであります。

 これはしっかりと、総理、解散をしろ、しろと言っていますけれども、個人的には準備しているから早くやってほしいと思うんですが、しかしながら、今、野党が解散しろ、解散しろと言って解散したら、こんな不景気なときに何で解散するんだと言いかねないですから、よく野党の言うことは聞いて、頑張っていただきたいと思っております。

 そんな中で、さきの代表質問というか本会議で、総理は、いろいろな人がいろいろなことを言いますけれども、初めて野党の党首に質問をされました。これは、ある意味では当然であります。逆に、前提が、与党というか、自民党、与党は参議院では少数になっていますから、当然少数の責任者としては、やはり経緯を押し立てて、今までと違って、法案に関してはちゃんと真摯に野党の意向を聞くというのは当然であります。もともと福田さんはそういうことをせずに話し合い路線をしようとしたわけでありますけれども、それは小沢さんに拒否されたわけですから、本会議の場所で正々堂々とオープンにこういう法案についてどう思いますかと聞くのは、これは当たり前のことであります。それに対して答えないという方が若干理解に苦しむところであります。

 そこで、新しい試みは、これはいろいろとやっていく必要がある、毅然とやっていく必要があると考えております。いろいろな、これは総理に二問ほどちょっと質問も頼まれていますので、地元の多くの人たちの意見を集約してここへ持ってきましたので、決して揚げ足をとるような質問はいたしたくありません。

 ここでちょっとデータを確認したいんですが、国民の総資産というのは一体幾らあるのか、これは内閣府の責任者、ちょっと言ってください。御質問します。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年版国民経済計算年報によりますと、平成十八年末の我が国の国民資産残高は八千五百六十二兆であります。そのうち負債額を差し引いた正味資産であるいわゆる国富は二千七百十七兆円となっております。

山本(拓)委員 いわゆる国民の総資産は二千七百兆円ということであります。ちなみに、百歳を超える人が三万人を超える、これは女性が多いわけでありますが、日本の底力というものが一つかいま見られるところだと思っております。

 そこで、先ほども申し上げましたように、これは実を言うと、ふだん我々が質問しています、そういう中で、地元の青年会議所とかいろいろな青年会議所とか、また商工会とか、実際にやっている、税金を納めている人たちがぜひともいろいろ質問してほしいと。素朴な疑問。例えば選挙、選挙と言っていますけれども、一回選挙すると税金を七百億ほど使うらしいです。七百億の税金をこういうときに使って、選挙をやるときには、総理としては何を争点としてやったらいいか。

 これはきっと民主党の皆さんも喜ぶと思うんですが、先日の国会で小沢党首は、二十一年度予算案はしっかりと八兆円ほど新しい財源を捻出して、あれをやります、これをやりますという美辞麗句を並べました。前の参議院選挙のときも、所得補償どうのこうの、ただ、その所得補償を言ったその次の国会では、その選挙公約と違うものを答弁者が言っておられましたけれども。

 政権交代は、昔一回やりました。平成五年、これは細川内閣が実現しました。あのとき、細川内閣だったけれども実際は小沢さんが陰の総理ということで、だれでもが理解していたところであります。

 しかしながら、そのときに実際にどういうことをやったかというと、WTOのMA米を輸入して、そして食管制度をやめて今の事故米の元凶をつくっただけでありますし、あのころ、私は若かりしころでございますが、もう一粒たりとも入れないということで、国会決議を三回やって、我々は日本の農業を守ろうということで、そして政権交代をしたところで、ただ、政権交代するときにMA米を入れますとかなんとか約束してなったのならいいんですが、絶対しない、しない、しないと言って政権をとったら、八月に内閣をつくって十二月に調印しちゃったんですね。だから、私ら頭にきて、国会正面の方の階段の下のところに、死んだ松岡君とか私らとか、ハンガーストライキを三日間やりましたよ。初め、ハンガーストライキをやるときにはハンガーするつもりはなかったんだけれども、だれかがハンガーと言っちゃったもんだから本当に食べなかったんですね。いい経験をいたしましたけれども、しかし、野党だったからしようがなかったんですね。

 だから、そういうことがまた起きかねないんですね。せっかく七百億も税金を使って、そして、解散はやってほしいですよ、個人的には。しかしながら、これは何を選んだらいいのと。またでたらめばかり言ってやっていてもしようがない、過去、そういう約束を破った実績がありますから。

 だから、今回はむしろ来年の総選挙を目指して、これはJCの皆さんからの一つの提案なんですが、しっかりと小沢案そして麻生カラーの案、根拠を示して、それを衆参で来年の通常会でやって、そして解散してくださいという提案がありました。これにコメントは求めません。お伝えするだけです。

 そういうことやら、そしてまた、大体税金を、景気のいいときは余りそういうことを言わなかったのでしょう。しかし、国会を一日開くと一億円とか、マスコミがいろいろたたくというか批判するようになって、そういうことであるならば、今度、ねじれ現象だったら、総理がこれをやる場合には、国会を空転させないためには前もって意向を聞くのは当たり前の手法でありますし、選挙をやるにしたって、七百億のものを使うというのは、これは大変税金を食うわけでありますから、しっかりとそれをやるというのが大事なことであります。

 そういうことで、もう一つは、ついでに二つ目だけ総理に聞いておきます。あとは聞かない。小さな政府を目指すということを小泉総理のころから始めております。我々としても、それを推進しています。

 ただ、民間に任せるということは、これは先ほども言いましたように、細川内閣のときに食管制度をなくして、そして米の管理を民間に任せて今の事故米につながっているということもありますけれども、それは民間で進めなあかんところは進めなくてはなりませんが、国家資格を持っている人、例えば、先ほど来から社会保険庁がどうのこうのとありますね。しかし、社会保険労務士の皆さん方、全部とは言いません、匿名で来ていますから。その人たちに言わせると、国家資格を持っている社会保険労務士に社会保険庁の仕事、年金の相談、労務士会に任せてもらえれば懇切丁寧に全部やりますよ、コストも半分以下でできますよ、大胆に広げてくださいね、職員も半分減りますよと。

 例えば、もう一つは、税務署のOBで税理士になっている人ですね、その人たちが言うのは、いわゆる、イギリスでもやっていますということですが、会計士のサインによって税額を決定してそれを認めるということです。今の税理士は、せっかく国家試験を通って、そして一生懸命やっても、また税務署とやりとりするという二重コストがかかっている。もっと国家資格を持っている人たちの有効利用、業務拡大というものが、一番、将来の民間開放にとって、また国家資格を持っている民間人として、なお一層活力が出るということがあるのではないか。

 そういうことで、とりあえず、総理の御意見として、いわゆる七百億近い税金を使って解散をやる、また選挙をやるに当たっての、いわゆる争点というか、そういう考え方。そして、小さな政府を進めるに当たって、国家資格、行政書士もいます、いろいろなそういう資格の人たちにもっと政府の持っている仕事を移して、そして業務拡大して、そしてさらに、その人たちにとってみれば委託料をもらえるわけですし、また、公務員一人雇えば一人一千万ずつかかっていくわけですから、当然コスト的には半分以下でできる、それに新しい国の形につながっていく、民間活力を活用できる、そういうこともひとつ総理として小さな政府を進めるに当たって検討を指示するお考えはないでしょうか。この二点だけちょっと御意見をお伺いします。

麻生内閣総理大臣 経験を得ている人たちで、退官をされた後、まだ志の高く、まだ体力も残っている、そういった方々をいろいろな形で活用する、効率的にうまくいけば、私はそれは決して間違った方法だとは思いません。コスト削減には、会社でもよくある話でありまして、退職された方々で、近くに住んでおられて、まだ元気もあるしというような方々を私どもの会社でも採用させていただき、いろいろな形で使わせていただいたことは何回もありますので、そういった意味では、それが国家公務員においてどういった形か、資格、身分、そういった問題が残るとは思いますが、決して間違っている方法だとは思っておりません。

山本(拓)委員 ぜひとも、行政書士であれ、社会保険労務士であれ、税理士であれ、司法書士であれ、いろいろな資格を持っている方、これはだれでも取れますからね、勉強さえすれば。やはりそういう中で、もう少し政府の仕事を民間に任せるという対処でしっかりやっていただきたいなという思いでありまして、非常に前向きの言葉をいただいたというふうに理解をさせていただきます。

 それともう一つは、石破大臣、防衛庁長官から食料専門の大臣、農林大臣ということで大変期待をいたしております。

 いかなる事態のもとでも全国民の生存に必要な食料を確保することは、国の責務であります。備蓄はもちろんのこと、不測時に食料の生産、供給のための万全の体制を図ることは最も大事なことであります。

 以前からいろいろな、食料安保論という、そういう議論はあります。ましてや、農水省がマニュアルで平成十四年に決定いたしております、一億二千七百万人が万が一のときに、外国から一つも食料が入ってこなくなったときに、カロリーベースで最低二千二十三キロ、二千キロカロリー以上は必要だ、そういうことをするためにはすべての農地を確保する必要があるというシミュレーションとかいろいろいたしておりますが、最近は農商工連携とか、そしてまた今度は防衛的な考え方での農地を食料安保的な基地にするという考え方で、食料安全保障という観点での立法措置に相当するようなものを考えるおつもりはありませんか。

石破国務大臣 委員御指摘の二千キロカロリーとはどういう食事かというと、こういう食事になります。ごらんをいただければいいのですが、朝御飯は、お茶わん一杯、粉ふき芋一皿、ぬか漬け一皿、以上。お昼御飯はどうなるか、焼き芋二本、ふかし芋一個、果物、以上です。晩御飯はどうなるか、お茶わん一杯、焼き芋一本、焼き魚一切れ。これで大体二千キロカロリー、こういうことになるわけですね。そのほか、うどんが二日に一杯、みそ汁は二日に一杯、納豆は三日にツーパック、牛乳は六日にコップ一杯、七日に一個は卵、お肉に至っては九日に一食。

 大体一日当たりに割ればこんなことになるわけで、委員おっしゃるように、結局、自給、国内だけでやっていくというのはどういうイメージなんだといえば、こういうイメージですということをよく認識しなきゃいかぬのだということがございます。

 委員がおっしゃいますのは、今みたいに物すごく飽食の時代の自給率を維持するということではなくて、安全保障という考え方からすればこういうものなのです。国内で目いっぱいやってこういうものを確保したいというふうに私どもは考えておるところでございますが、午前中の質疑でも申し上げましたが、農地はどんどん減っている、農業者はどんどん高齢化をしている、そして水利もどんどん傷んでいるという状況で、これを確保することが今後もできますか、そうでなければ安全保障というのは語ることはできないのだというふうに考えておるところでございます。

 したがって、自給率というのもいろいろな概念がございますが、私は、委員おっしゃいますように、カロリー自給率というものを根本に置いて考えなければいけない。そこで五〇を目指すためにはどうするかというと、国民が質素な質素な食生活をしたので自給率が上がりました、よかったねというのは何となく倒錯した議論だと思っておりますが、農地、そして農業者、そして水利などインフラストラクチャー、これをどうやって確保するかということは、いろいろな手法があるのだろうというふうに思っております。

 基本法にもそのことは書き込んでございますが、おっしゃいますように新しい法的な仕組みというものをさらにつくる必要があるかどうか、その点につきまして、また委員が政策研究グループでまとめられたものがございます。私どもよく見せていただいて、さらにやっていく必要があるということであれば、法的措置も考えていかねばならないというふうに思っておるところでございます。

 もう一つ申し上げれば、諸外国との連携をどのようにするのかという視点が必要だと思っております。FAOとどのように連携をしていくか。もちろん、農業交渉はWTOの場で行うものでございますが、援助とかそういうもの、つまり、国内でどんどんつくればいい、余ったものは外国に援助すればいいんだというような議論をされる方がありますが、そんなに簡単な話ではございません。余ったものはどれだけでも輸出できるか、援助に回せるかといえば、FAOでそんな話にはなっていない。日本がそんな勝手なことをしていいはずがない。FAOの議論もきちんと踏まえながら、委員おっしゃるような法的措置というものも私どもよく勉強させていただきたいと思っております。

 以上でございます。

山本(拓)委員 いずれにしても、食料自給率というのは、日本人がふだん食べているものがどれだけ国産品かということですから、国民の皆さんにも協力していただかなくてはなりません。

 今、朝、バナナが大変はやっているようで、国民が全員バナナを食べ出したら、どんなに頑張ったって食料自給率は限りなくゼロになっていってしまいます。国産バナナが温暖化になってできればいいんですが。

 だから、やはり日本人の食生活というのは、なかなか難しいですね。国産をいかに使うか。やはり国産というのは、地産地消であり、いろいろな地域で、なかなかそれは難しいわけであります。

 例えば、水田面積で、日本の国内に二百五十三万ヘクタールの水田がございます。この水田で全部米をつくったら一千二百万トン近い米ができてしまいます。日本人の米の消費量というのは年間八百五十万トンですから、大体、いっぱいつくってしまったら価格が下がっちゃいますので、その需給に応じて生産調整をして、そしてつくらないところに転作でいろいろな品目をお願いしているわけでございます。

 しかしながら、なかなかうまくいかないところもある。だから、そこで新しく自民党の農政でも提案して実現を図ってきているのが、米をつくるところはどんどん米をつくってもらいましょう、ただし新規需要米と。生産調整はしなくてはなりません。しかし、お米をつくりたいところは新しい需要のお米をつくっていくような手はずをしていく必要がありますと。これはいろいろ、北海道であれ九州であれ、また考えている人も違います。だから、そういうことを考えると、私のところの北陸なんかは水田が多いですし、優良な米がいっぱいとれます。しかし、全部つくったら価格が下がるから、転作でいろいろなものをやっているんですが、やはりお米をつくりたいというニーズが多いです。そこは新規需要米で、例えば、最近特に力を入れているのは米粉ですね。

 小泉総理のときに特に力を入れてやっていましたけれども、これが今具体的に進んできて、先日、外国の商社さんが日本に来られて、国産米粉でパンをつくった米粉製品を海外に輸出したいというんですね。何で輸出したいんですかという話をお聞きしたら、イタリアの、パスタの王国、国民みんな小麦食を食べていますが、その国でさえ一%弱の小麦アレルギーの国民がふえてきていると。小麦アレルギーの子供というか大人というか、日本もそうでありますが、最近アレルギーが世界じゅうにふえてきている。そういう人たちは小麦パンとか小麦スパゲッティが食べられないんだ。だから、米粉一〇〇%、小麦グルテンもなしで米粉一〇〇%の製品は結構あちこちで出てきているみたいでありますから、それを買いたいと。しかも、中国製じゃなしに、日本は安全、安心だからということでございます。

 だから、こう考えると、もともと日本というのは、戦後、安い労働力と優秀な技術で世界に物を輸出して成長してきました。しかし、日本の労働力よりもさらに安いところで、また日本も成長して高くなっちゃったものだから、生産基地がだんだん海外に移転をしてきて、日本は今後どうしようということであります。

 そこで、ずっと役所のデータを調べてみましたら、日本の資産は二千七百兆ということでありますが、世界で、日本国民を除く六十億の人口の中でその約一割がいわゆる日本人と同じ所得層の国民である、二百万以上ということであります。どこの国も格差社会でありますから。ということは、日本でそれなりに付加価値の高いものをきちっと輸出すれば、そこに焦点を当てれば、きちっとそれが売れてくる。

 以前、私が農水の役をやらせてもらったときに、世界じゅうのジャパニーズレストラン、二万五千店舗ありますけれども、最近、日本レストランがどんどんふえているわけですね。しかし、日本レストランはふえているんだけれども、どこの日本レストランも、入ってみると、何かどこの国かわからぬような料理をいっぱい出していますから、やはり日本料理と名乗る以上はきちっとした日本料理のメニューを出してもらおうということの趣旨で、認証制度ということでちょっとたたかれましたけれども、茂木さんを会長にNPO法人で今準備を進めていただいています。

 私どもの目的というのは、そこに大体お金持ちが来るんですね、その地区で、日本人料理店というのは。ロシアでもふえています。そこに日本の本来の食生活、日本の優良な生活、その国の人たちに日本料理の本質的なものを食べていただいて、味を覚えれば、またスーパーで買いに来る、またそれが広がる、日本から輸出する、そういう仕掛けも大事かなと。そういう仕掛けをしっかり今進めているところであることは承知いたしております。

 そんな中で、せっかくつくっても、中国産とかほかされると困ります、日本の農業者としてみれば。そういうことでいうと、お客さんというか国民というか、消費者が買う場合に、国産というものと、私が言いたいのは原産地表示なんですが、中国産とか、それを明確にこれからしていくのも大事かなというふうに思っております。

 そういう中でこれからしっかりと、農林行政、農水行政、食料行政、地域の底力を発揮するためには、小さなアイデアを我々政府として大きく取り上げていく。そのためには、いつも決まった、人の悪口を言っているような野党議員の質問を中心にするのではなしに、広く広くいろいろな人たちの、我々、原点に戻ってここで集約してお聞きしていくという姿が政治家に求められているなと思って話をさせていただいております。そんな中で、しっかりいろいろやっていただきたいと思います。

 また、いろいろ将来非常に不安がっています。二千七百兆円ほどみんなお金を持っているのに使わない。やはり不信、不安があります。だから、その意味では、将来明るい何か計画をやる必要がありますね。前の大臣であった高市大臣なんかがまとめたイノベーションとか、そういうものを推進するとか。また、そういうことで我々としては、総理の明るさを大いにひとつ盛り上げて頑張っていきたいと思います。

 そして、一つ、経済産業大臣にお聞きしたいんです。

 地域の活性化というのは、これはしっかりみんな力を入れて頑張っていくんですが、今国交省なんかで観光庁ができまして、今度二千万人の外人観光客を呼ぶという計画で今進めようといたしております。それは実現せなあかんし、実現できると思います。その流れを地方の商店街の人にしっかりと結びつけられるような、日本に来た外人観光客をしっかり地方に引っ張り込むためには、いろいろな大手スーパーチェーンがあっちこっちやっていただくのもいいんですが、やはり地元の商店街。今の商店、どこの地方もシャッターストリートと言われております。そのシャッターストリートを脱却する、そしてそこでいろいろな人たちが安心して買い物をする。

 うちの地元の商店街でも、自転車屋さんが百年続いているんですが、シャッターストリートの一画にあるんですが、非常にもうかっています。これは、インターネットで店舗を出したら、みんな来るんですね、申し込みがまた来る。何でかというと、インターネットの上で商店街というのは時々詐欺があります。実体がないものがやる。しかし、実業で商店街に入っている人というのは、親子代々ですから、おじいちゃんから百年目とか、そして実際に実業がありますから、信用がありますから。そこの信用でもって、ホームページで、みんなその信用を求めつつある。

 全国の商店街というのは信用が一番ついています。やはりそこをベースに地域の拠点にしていくのが一番大事です。それをいろいろ地域で考えているんですが、先行投資的なお金がない。下手なコンサルタントでまねしてもだめです。やはりみんなが真剣に、今まで我々以上に真剣に考えてみんながやっているんだ、国会議員よりもどの役人よりも我々がやっているんだという人がどんどん出てきております。それを我々がそのまま吸い上げて、しっかりと反映していくのも仕事かなと。

 そこで二階大臣に、来年度に向けて、また今やっている商店街の、地域の活性化は、やはり元気の出る政策、御所見をひとつ伺わせていただきたいと存じます。

二階国務大臣 商店街と例えば観光とをどうマッチさせていくか、大変すばらしいアイデアだと思っております。ちょうど観光庁ができたばかりですから、このことに模範的に対応していただきたいと思っております。

 今御指摘のことは、そうした商店街を活性化させるために何らかの補助措置といいますか対応を積極的にとってはどうかということであろうと思いますが、我々、これからは商店街に対するソフトの面での支援措置等も考えてまいりたいと思っております。

 そして、私は前に模範的な商店街、「がんばる商店街七十七選」というのをやってみましたが、これはもっともっと、考え方によって、新たな模範的な商店街というのを、現に存在しておるわけですから、そうしたことに全国の商店街がみんな見習って立ち上がっていくようなことのために、頑張る商店街、名称は今後考えることにして、そうした意味合いの商店街を模範的にステージにのせていきたい、引き続き、それを支援してまいりたいというふうに考えております。

 今後、何かと御意見をちょうだいしながら努力していきたいと思います。高市副大臣ともども頑張ってまいりますから、よろしくお願いします。

山本(拓)委員 ぜひとも力強く、明るい、地方が元気が出る政策、さらに一緒に頑張らせていただきたいと存じます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて保利耕輔君、園田博之君、葉梨康弘君、山本拓君の質疑は終了いたしました。

 次に、北側一雄君。

北側委員 公明党の北側一雄でございます。

 麻生総理初め閣僚の皆さん、大変御苦労さまでございます。

 限られた時間でございますので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 私は、きょうは経済対策を中心に論議をさせていただきたいと思うわけでございますが、八月の二十九日に政府・与党で緊急総合対策、緊急経済対策の決定をいたしました。その中から幾つか御質問をさせていただきたいと思うのですが、まず、平成二十年度内に実施することを決定いたしました定額減税、この定額減税について論議をさせていただきたいと思います。

 なぜ定額減税なのか、なぜ定額減税が必要なのか。あの八月の二十九日に決定する前に、当時、総理は幹事長でいらっしゃいました。最終は、政調会長また幹事長同士で、さらには税調会長も入ってもらって決めたことを今もはっきり覚えております。なぜ定額減税かといいますと、やはり物価高対策、これを経済対策の一つの柱にしなければならないというふうに考えたからでございます。

 ちょっと消費者物価指数の変化を見ていただきたいと思いますが、このグラフを見ていただいたらわかりますとおり、去年の秋以降、消費者物価が非常に急上昇をしております。この上の青い数字は生鮮食品を除く総合指数ですが、これは七月の段階で二・四%、また八月も同様に二・四%。青の方の消費者総合指数が一年前に比べて二・四%上昇している。

 これは、以前の数字を見ていただいてもわかりますとおり、かつてというかバブル崩壊以降はずっとデフレと言ってきまして、物価がなかなか上がらない状態が続いておりました。これが昨年の秋以降急激に伸びる。特にその中でも、この赤い太いグラフですけれども、購入頻度が九回以上のもの、日常生活必需品です。それに限って申し上げますと、七月は一年前に比べて六%の上昇、八月も五・三%の上昇と、非常に高い消費者物価の上昇になっているわけです。

 では、一方で、所得は上がっているか、賃金は上がっているかといいますと、きょうは表は用意しておりませんが、賃金の方はむしろ下降ぎみでございます。勤労者の所得はむしろ下降ぎみでございまして、所得、賃金が上がらない、また下降ぎみの中で、一方で消費者物価が上がる、さらには日常生活必需品の物価が特に上がってくる、こういう状況になっているんです。

 これは、過去の日本の戦後の経済を見ましても、過去は、物価上昇局面はありました。ありましたけれども、そのときは賃金も所得も上がっているんです。所得が上がる中で物価が上がる、こういうことでしたので、まだ生活への影響というのは比較的小さく終わったんですね。今回は、そうではない。

 そういうことを考えると、やはりこの物価高対策として、家計への、家庭への緊急支援、国民生活の不安を少しでも和らげる物価高対策というものを打っていかねばならない、こういう趣旨で私どもは定額減税をやるべしというふうに主張させていただいたわけでございます。

 この定額減税、以前やっていました定率減税と違います。ちょっと次のパネルを出していただきますと、これは定額減税の簡単なイメージです。決して正確ではございません、全くイメージということで御理解いただきたいんですが。

 定率減税というのは、所得税、住民税、その納税額に一定の比率を掛けた額を減税する、したがって、税金を多く納めている人ほど減税額は高くなる、これが定率減税でございます。一方、定額減税というのは、これは納税額にかかわらず一律の額を減税する、これが定額減税でございます。

 この定額減税は、かつて平成十年に実施をした経験がございます。

 平成十年のときの実施の中身について、どんな中身であったかちょっと思い起こしてみますと、十年前、定額減税を実施しました。これは、国税、地方税、所得税と住民税です。御本人がいらっしゃって、専業主婦の奥様がいらっしゃって、二人のお子さんがいる、こういう四人家族の例でとりますと、合計額で六万五千円の減税、定額減税をしたという経験が私どもあるわけでございます。このような定額減税をこの平成二十年度内に実施をすべしということで論議をいたしまして、あの八月二十九日の経済対策の中に盛り込みをさせていただいたわけでございます。

 改めて総理にお聞きをしたいと思います。私、今少し申し上げましたが、この定額減税の目的そして効果、これについてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 この定額減税につきましては、夜中十二時過ぎてまでかなりいろいろやらせていただきましたので、それなりに頭に入っていると思うんですが。

 家計に対する言い方、可処分所得なんて言っちゃいかぬね、いわゆる使い前が減っておるわけです。先ほど言われましたように、物価が、昨年の八月以降から、それまで前年度比マイナス〇・何%だったものが、それ以降急に上がり始めた昨年秋以降の前年度比二%、三%と言われる中にあって給与、所得、収入はふえていない、むしろ残業が減って目減りしているというような状況にありましては、御家庭における使い前が減ったという状況は、明らかに消費が渋ります。それは内需が下がるということを意味しますので、外需が減った上に加えて内需まで減るというのは景気に極めて大きな影響を与えるということで、ことしの八月以降、景気対策ということを、幹事長になった当時だったと思いますが、申し上げたというのがその背景です。

 今回のこの定額減税の御提案というものは、これは財源の問題等々いろいろ勘案しなきゃいかぬ問題はありますというのは申し上げたとおりです。したがいまして、これをどういう形でというのに関しましては、今度、年末の税調、税制調査会等々でいろいろ検討させていただかないかぬところだと思っておりますけれども、いずれにしても、定額減税というのは、その効果というものは今言われたとおりでありますので、その額につきましては今検討させていただきますけれども、定額減税は実施させていただきます。

北側委員 この物価高の状況の中で国民生活の不安を少しでも解消していこうと。そして、今総理がおっしゃったように、これはやはり消費につながってまいります。消費の拡大につながってくるわけでございまして、私は、当然これは、ばらまきなんかとんでもない話でございまして、現下の経済情勢をかんがみれば極めて有効な経済対策であると。ぜひこれは年度内に実施をしなきゃいけない。

 この規模と財源をどう考えるかということなんですが、あのときも、年末の税制改正論議に合わせて論議をしていこうということになっているんですが、ぜひここは、その後のアメリカの金融不安の問題もあります、そういうことも踏まえながら、どの程度の規模にしなきゃいけないのか、また、その財源をどう考えるかということについて少し論議をさせていただきたいと思うんです。

 私は先ほど平成十年に実施したものをお示しをしましたが、標準的な四人家族で六万六千円という税金を戻すということをやったわけですね。私は、少なくともこの程度の減税は実施しなければならないと考えております。

 また、その財源なんですが、先ほど来、午前中から論議があるとおり、安易に赤字公債に頼るというのはよくないわけでございまして、これは単年度で実施しようということになっております。

 そういう意味では、きょうの午前中も園田委員の方が特別会計についての論議をされておられましたが、財投特会、財政投融資特別会計、これは何のために準備金を積み立てているかといいますと、金利が急に上がった場合に備えて準備金を持っているわけですね。

 今、この現下の経済情勢で、果たして金利が大きく上がる局面かというと、そうじゃないと思うんですね。そう考えたときに、もちろん一定の準備金は備えておく必要がありますが、この準備金の中から、一時それを活用してこの定額減税の財源にしていくことも一つの方法ではないかというふうに私は考えているところでございます。

 規模、また財源について私の見解を述べさせていただきましたが、総理もしくは財務大臣、御見解があればお教え願いたいと思います。

中川国務大臣 まず、規模というのは目的と多分ほぼ同義だというふうに理解をさせていただきます。

 では、目的は何かと申し上げますと、今手元に、北側先生にも大変お世話になってまとめた緊急対策の最初に書いてありますように、外需依存型の景気回復も家計には余りプラスにならなかった、最近は御指摘のとおり生活物資が上がってきている、こういったことに対して、このマイナス面をどうやって払拭するかというのが目的だろうと思います。これは定性的な目的というふうに申し上げなければいけないと思います。

 財源については、こういう状況の中でやはり財源をきちっと対応しなければいけないということで、この特別減税の実施に当たっては、そういう目的のために今財源を勘案しながら、平成二十年度内に実施するために、年末にいろいろな場で御議論をいただくということで、まさにこれから政府・与党で御議論をいただくということで、実際の数字については、またその御議論を待って判断をさせていただきたいと思います。

北側委員 私の申し上げた財源についてはどうでしょうか、一つの考え方だと思うんですがね。財源。特別会計等を活用していく、特別会計の準備金等を活用していく。これは恒久的な財源ではございません。

中川国務大臣 午前中、恒久的な政策に対して一時的な財源でいかがなものかという答弁をさせていただきましたが、まさに、この特別減税、定額減税につきましては、一年限り、緊急的な措置でございますので、基本論として申し上げれば、私は、これは特別会計にあるお金を活用するということも論理的にはあり得るのかな、最初から排除すべきものではない、法律的な制約を別にして、そういう考え方は成り立ち得るというふうに思っております。

北側委員 ありがとうございました。

 平成十年のときは、この定額減税と臨時福祉特別給付金、こういうのもあわせてやっているんですね。

 定額減税というのは、当然、納税されている方への対策でございます。したがって、例えば年金だけで生活をされていらっしゃる本当に大変な皆様、そういう方々にとりましては減税の恩恵は当然及ばないわけですね。そういう方々に対しても、ある意味、物価高というのはそういう方々を一番直撃しているわけですから、そういう年金生活をされている方々等々に対する臨時福祉特別給付金についてもやろうということを先般の経済対策では決定を見ているところでございまして、これもともに年度内に実施をしていきたいというふうに思っておるところでございます。

 次に、中小企業対策について論議をさせていただきたいと思います。

 この原材料価格の高騰、また原油価格の高騰、中小事業者の皆様は、本当にコストがどんどん膨らんでくる、一方で、価格転嫁ができるかというとなかなかできない、収益はどんどん圧迫される、事業経営そのものにも大きな影響をこうむっているというのが今の多くの中小事業者の皆様の状況でございます。

 ここはやはり、日本の経済を支えているのは中小企業ですから、この中小企業の皆様への支援対策をしっかりとやっていかねばならないと思っております。

 特に資金繰りです。年末に向けて、中小企業の皆さんへの資金繰りの支援を特段やっていかねばならないというふうに思っておりまして、そのような経済対策も盛り込みをさせていただきましたし、今論議になっていますこの補正予算の中にも計上をされているわけでございます。

 中小企業庁長官がいらっしゃると思うので、ぜひ、ちょっと宣伝の意味も込めて、こういうことを新たにやろうとしているんだというのをかいつまんで、余り長い時間をかけないで。

 新たな保証制度をやると聞いています。新たな保証制度とはどういう制度なのか。

 それから、対象業種が大幅に拡大するというふうに聞いております。これは、借りる側からいうと、自分は借りられるのかどうかという問題です。それが大幅に拡大されるというふうに聞いています。どの程度拡大されるのかということ。

 三番目に、いつからこの制度、緊急保証制度を実施しようと準備をなされているのか。できるだけ早くしなきゃいけない、遅くとも十一月に入ったらこの制度が使えるようにしていかないといけない、その以前にしっかり周知徹底をしなければいけないわけですが。

 今私が申し上げた点について、国民の皆様に、中小事業者の皆様も聞いていらっしゃいます、ぜひ簡明にお答えをいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生ただいま御指摘ございましたように、中小企業の皆様方、中小零細企業の皆様方、原材料サイドのコストアップもございますし、また、ここに来て、先行きの需要といいますか、むしろ売り上げの方の、大変ここが冷えてくるのではないかということも懸念されるわけでございます。

 そうした中で、今次補正予算の中で、大変貴重な財源から四千百四十億円という御提案をさせていただいておりまして、これを用いまして、今おっしゃいました保証の関係、それから政府系金融機関によります融資、二本立てで取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 保証につきましては、石油製品の価格がコスト上圧迫される中小企業の方々は従来から手当てしてございますが、こうした考え方を格段に広げまして、原材料、それから仕入れ価格の上昇、原材料でございますので、これは金物関係のかたいものもございますし、あるいは食品関係もあろうかと思います。それから、実際に売り上げが伸びていても、コストが上がるために、コストの伸び率の方が大きいために収益が圧迫される、こういった業種の方の声もたくさん耳にいたします。

 したがいまして、今申し上げましたような観点から、幅広い業種を対象にいたしました緊急保証制度というものを、一刻も早くこの予算を成立していただきまして、実施に取り組みたい。これにつきましては、今先生ございましたように、年末、これは本当に中小企業の方にとっては大変深刻な時限でございます。

 ただし、この新しい制度が実際に機能いたしますためには、むしろ保証サイド、金融機関サイドにも十分周知する必要がございます。したがいまして、そういった周知期間も十分いただくということで、私どもは、十一月にも新制度によります保証が可能となるように、鋭意準備を現在進めているところでございます。

 また、政府系の金融機関からの融資につきましては、これはすべての業種の方に役立てていただけるということで、これもあわせまして、一刻も早い予算の早期成立をお願いしているという状況でございます。

 対象業種につきましては、現在のセーフティーネット保証では百八十五の業種が対象になっております。最終的に幾つにするかにつきましては、極力広くということで、先ほど申し上げましたような観点から、現在、関係省庁の御協力も得ながら詰めているところでございます。

北側委員 もうちょっとはっきり言ってもらった方がいいんですよ、そんなうじょうじょ言っているんじゃなくて。

 対象業種については、大幅に拡大というのは、私が聞いているところによれば、今が百八十五ですか、それが二倍、三倍。三倍ぐらいにふやすんですか、対象業種を。それから、実施期日については、これは年末の資金繰りに間に合わせないといけないわけですから、やはり十一月の早い段階には実施ができるようにしないといけないわけでございまして、ここはちょっと明確におっしゃっていただきたい、それを期待しているわけですから。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 業種につきましては、現在、最終的に数字、データ等を確認しておりますけれども、二倍を大きく超えるというようなものになる見込みでございます。

 それから、実施時期につきましては、ぜひ早くこの予算を成立させていただきたいわけでございますけれども、年末に備えての中小零細企業の皆さんの準備期間を考えますと、御指摘ございましたように、十一月になりますれば早々にも始められるような準備を私どもは事務方としてしております。

北側委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、金融担当大臣、また経済産業大臣にお聞きしたいんですが、こういう制度をつくっても、これは今までもそういうことが多かったんですが、いざ金融機関に行ったら、また信用保証協会に行ったら、審査が厳しくて現実にはなかなか必要なお金が融資してもらえない、こういうことを現場ではよく聞きます。そうでなくても、今、本当に金融機関の審査が厳しい。金融機関がお金をなかなか貸してくれない。貸し渋り。最近は貸しどめなんて言われているんですね、貸しどめ。このような金融機関の融資態度を現場ではよく聞くわけでございます。やはり中小企業というのは、そこは柔軟に考えていただかないといけないわけですね。景気にすごく影響を受けます。財務状況を見れば、一たん赤字になることもあるでしょう。しかし、さまざまな全体状況を見ていただいて、人を見ていただき、また事業の状況をよく見ていただいて、やはり柔軟に融資を実施していく、また保証をしていただくということをやっていただかないといけないわけでございまして、中小企業の実態を踏まえた審査を行うように私は改めて徹底すべきだと。

 また、既往の債務の返済について、新たな保証、新たな融資ではなくて、従来借りているお金についての返済条件の緩和、リスケですね、こういうものに対するニーズも非常に強いわけでございまして、こうした既往債務の返済についての返済条件の緩和についても、金融機関や保証協会に対して、ぜひ柔軟な対応をしてくれるように私は要請をしていただきたいと思うわけでございます。窓口での柔軟な対応をぜひお願いしたいし、その旨、ぜひ御要請をお願いしたい。

 金融担当大臣、また経産大臣から御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 中小企業にとって、つき合っている金融機関というのは極めて重要な存在だろうと思っております。特にこういう経済状況でございます。そういう中で、金融庁といたしましても、そういった実体経済というものをよく把握して、やはり、経済がよくなる、地域がよくなっていく、中小企業が元気になっていただくために、地域の中小企業に対する金融機関の役割をきちっと果たしていただきたい。

 そのためには、単に目の前の赤字だとか債務超過だとかいった数字だけではなくて、地域に密着した、また、その企業のいい面もしっかり金融機関が把握できるようにしていかなければいけない。そのために、金融庁としても、金融検査においても、あるいはまた日ごろの金融監督、金融行政におきましても、その点について私からも何回も指示を出しているところでございます。

 また、既往の保証づき融資につきましても、そういった目的を達成するために、既に関係金融団体にも、柔軟に対応するように、きめ細かく対応するようにと指示を出しているところでございますけれども、今、北側委員の御指摘も踏まえまして、さらにこれが、目的が達成できるように指導していきたいと思っております。

二階国務大臣 北側委員から、中小企業に対する大変思いやりのある御質問をちょうだいして、力強く思っております。

 私どもも、中小企業の皆さんに対する金融を初め、この難しい経営状況の中にあって、一つでも多くの中小企業の皆さんがこの難しい状況を乗り越えていけるようにするために、我々はこれを後押しすることが大事だというふうに考えております。

 そういう意味で、金融対策でありますが、今、中小企業庁長官からも御答弁申し上げたとおりでありますが、業種の拡大等は思い切ってやります。それは、後に北側委員からもなるほどと言ってもらえるぐらいにやりたいと思っておりますから、期待をしてください。

 ただし、これはいつも政府側からお願いすることでありますが、補正予算の審議は今お願いしておるところでありますが、これが早期に成立できるように、そしてその手順をしっかりやっていきたいと思っています。したがって、十一月の早々には新制度による保証が可能となるように今準備を始めておりますから、必ずそういう方向に私たちは頑張ります。ですから、国会の方でもそうした面でどうぞ御配慮をちょうだいしたいと思います。

 今、中川大臣からも御答弁いただきましたので、金融庁と私どもが相協力して、中小企業の皆さんのために、しっかりしたものに、期待にこたえていきたい、このように思っております。

北側委員 ありがとうございます。

 一問だけ、公取委員長がいらっしゃっておられますので御質問したいと思います。

 これだけ原材料価格が高騰する、または原油価格の高騰等で景気の見通しが不透明になってきますと、どうしても弱いところにしわ寄せが行くんですね。中小企業の皆さんが、例えば取引先の大企業の皆さんから値下げ要請をされる、この要請を受けないと発注の打ち切りを示唆するかのごとき要請があったりする場合も現場では多々ございまして、中小企業側から見ますと、取引関係が絶たれてしまうのではないか、このように感じられるやり方が現場ではよくお聞きをいたします。これはやはり独禁法で禁止する優越的地位の濫用に該当するのではないかと私は思うんですね。

 また、この優越的地位の濫用に該当する場合というのはどんな場合なのかということをできるだけわかりやすく企業の皆さんにもやはり伝えていかないといけない、それが公取の役目でもあるというふうに私は思っております。委員長、どうでしょうか。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 優越的地位の濫用、よく耳にしますけれども、難しいといえば難しいということかと思います。

 そもそも、我が国においては取引は自由でございますので、当事者が合意すればそういう条件で取引される、これがまず基本でございます。

 さはさりながら、例外的なケースとして、取引関係が継続している、一方が他方に対して取引の立場が強い、こういった関係にある中で、当事者の合意ではなくて、一方的要求として、一たん決めた単価を事後的に値引きするとか、それから、注文したものをその後情勢が変わったからといって発注側の事情から一方的にキャンセルするとか、そういったことは、これはやはり独禁法で言うところの不公正な取引方法の一つの形態である、こういうふうになっていまして、私どもは、これにこのところ相当のエネルギーを割いて取り締まりをしてきているつもりです。

 典型的には、大規模小売業者による納入業者いじめというものがございまして、これは態様はたくさんございますけれども、私どもは、この数年ちゃんとした法律的措置、要するに、あなたは違反ですよということで法的措置を講じたものがこの三年間で七件ございます。そういうことで、ただ働きを強要するとか協賛金を不当に要求するとか事後的な値引きというものについては、厳しい目で今対応しています。

 それから、もう一つその優越的な地位の濫用に関係するのは下請法の関係でございます。この下請関係は、まさに継続的取引でございまして、一方が強い立場にある。したがって、特別に下請法という法律をもって、買いたたきであるとか事後的な値引きだとかそういったものはしてはいけませんよ、すれば、これは事情の有無を問わず法律違反ですということで指導しています。

 毎年でございますが、たまたま来月十一月は下請法の推進月間になっております。こういう状況でございますので、通常は三十カ所ぐらいへ行って、それぞれ中小企業庁と連携をとって、下請法というのはこういう法律ですよ、こういうことをやれば違反になりますよということを御説明申し上げていますが、ことしはそれに加えて、もっとちっちゃな町でも、全部で五十カ所会場を設営しまして、十一月に集中的に親事業者並びに下請の事業者の方々に、今言った、何が違反になるかということについて周知徹底をさせていただきたい。

 それから、泣き寝入りと言ってはなんですけれども、そういう被害に遭っていてもなかなかそれが言えない、言うと親事業者の耳に入って、それこそ取引が停止されるということを恐れておられるという話はよく耳にします。したがって、我々が調査するときは、だれが公正取引委員会なり中小企業庁に不満を言ってきたのかということがわからないような形で調査をして、その親に対して厳正に対処している、こういうことでございます。

北側委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 この八月二十九日の経済対策は、ここにはリーマン・ブラザーズの破綻等々は入っていないんですね。アメリカの金融不況の問題は勘案されていないわけです。新たな事態なわけですね。

 そういう意味では、この補正予算は補正予算、緊急経済対策は緊急経済対策としてしっかり実施をしなきゃいけませんが、年末の予算編成や税制改正がその後控えています。私は、この予算編成や税制改正に、麻生内閣として、現下の経済情勢を踏まえて、やはり新たな経済対策をしっかり打ち出していかねばならないと思うんですね。私は、その新たな経済対策の必要性、またその基本的な考え方、そういうものを総理が国民の皆様にぜひ打ち出していただきたいというふうに思っております。総理、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 この緊急経済対策を決定いたしましたのは、御指摘のとおり、八月の二十七日か九日だったかと記憶をいたします。

 リーマン・ブラザーズを初め一連の話で、リーマンの倒産がたしか九月の十五日だと思っておりますので、少なくとも時期的には、ずれがあります。もう御存じのとおりです。

 その後、AIG初めいろいろな大きな問題が出て、加えてヨーロッパにもこれは飛び火しておりまして、ヨーロッパの結構大きな銀行が、取りっぱぐれというか、倒産になってみたり取りつけが起きてみたり、いろいろな騒ぎが起きておりまして、日本の状況は、いわゆる金融決済システムが傷んでいるというわけではありませんが、こういうような一連の欧米におけます金融問題が、雇用に影響して、それが取引に影響をしてくるというのは、これは時間差がありますけれども、必ずそういうことになります。

 日本の場合は、この約十年間、経済成長のかなりな部分、ほとんどの部分とは申しません、かなりな部分を輸出、いわゆる外需に頼っておった部分があります。したがって、その分が急激に落ち込むということは避けて通れないということになろうと思います。日銀の短観を見るまでもなく、いずれも景気に対しては先行き極めて暗いという予想を出しておられる。当然、財布のひもも締まる。ということは、不景気ということに。さらに厳しくなるということ。あらかじめ予測のできるところでもありますが、その態様というものが、この予算が上がった後どういう効果が出るかというのが、ちょっと、いま一つよく見えておりません。

 ちなみに、きょうは、後場で株は一万四百円ぐらいになっていますか。見ている人はいませんか。一万四百円ぐらいになっているんじゃないか。五百円を切ったと思うんですね。こういったような状態というのは、かなりな事態になってきているということは、多分みんな、有権者の方々は肌で感じておられる、株価の話というのは。

 そういったものを勘案しながら、これはしかるべきことが必要というように判断をするのであれば、それなりの対応は当然のこととしてさせていただきます。

北側委員 我が国の実体経済にも少なからず大きな影響を与えてくる、また与えているというふうに私は思います。

 また、日本の金融機関も、私は、ますます融資に向けての融資態度が大変厳しくなってくるのではないか、リスクテークをさらにしなくなってしまうのではないかと。

 そういう意味では、中小企業の金融支援の話をしましたが、さらなる対策も必要かもしれないわけでございまして、ぜひ現下の経済情勢をよく見ていただきまして、私は、新たな経済対策の基本的な考え方はこうなんだ、麻生総理としてはこういうことをやっていくんだということをぜひ打ち出しをしていただきたい。それを予算編成、税制改正に反映させていくということが、私は、国民の皆様が麻生総理に期待をされているのではないのかなというふうに思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたが、若者の雇用の問題、これはやはり大事だと思うんですね。特にこういう景気情勢になりますと、なおさら、若者の雇用をいかに確保し、安定させていくかということが大事だと思います。

 今回の補正予算にも盛り込まれているんですが、厚生労働大臣、簡単で結構でございます、若者の正規雇用化、常用雇用化を促進するためにこういうことを今やろうとしているんだと。

 また、これは自民党、公明党の政権合意に入っているんですが、職業訓練期間中の給付金制度を創設するということも私は非常に大事だと。能力開発、職業訓練をして能力をつけることは大事なんですが、その間、やはり生活をしなきゃいけないわけです。ところが、その生活ができないから、なかなか能力開発、職業訓練も受けられないという実態があるわけでして、職業訓練や能力開発をしている最中に生活に必要な最低限のお金を支給していく、給付していくということは、私は非常に大事な施策であると思っております。

 厚生労働大臣の御見解を求めます。

舛添国務大臣 まず、若者の正規雇用化ですけれども、これは、若者直接もありますが、やはり企業主に対してもやらないといけないというふうに思っています。

 それで、この平成二十年度には、トライアル雇用奨励金ということで、一定の期間トライアルで雇ってくれる企業にそういうことをやります。それから、いわゆる年長フリーター、こういう方々に対して常用雇用をしてくれるような事業主に対しては、若年者雇用促進特別奨励金による助成を行っています。

 それから、今回の補正予算につきましては、一つは、この奨励金について支給対象年齢を三十五歳未満から四十歳未満に拡充しますとともに、若年者雇用促進特別奨励金につきましても支給額を増額するというような補正予算上の措置を講じておりますので、一日も早くこの予算を通していただきたいと思います。

 それから、今、自公合意ということでおっしゃいました、職業訓練中生活していかないといけないわけですから、既に二十年度から生活費を加味した貸付制度を設けております。月額四万六千二百円でございますけれども、今回の補正予算におきまして、融資金額の引き上げということで、四万六千二百円を十万円にまで引き上げるという措置をとりますし、二十五歳―三十代後半の若者のうちに、訓練の修了状況やその後の就職状況など一定の要件に該当する方への返還免除を導入するということで、訓練期間中でもちゃんと生活できる、こういうことを手当てしてまいりたいと思っております。

北側委員 私は、これを実施、また拡充をしていけるように、ぜひ厚生労働大臣、頑張っていただきたいと思います。

 総理も所信表明の中で若者を支援する新法とおっしゃいましたが、この支援する新法、発想としてはすばらしいと思います。その柱はやはり若者の雇用の問題です。ここに私は麻生内閣として力をぜひ入れていただきたいと思うわけでございます。

 最後に、ちょっと農業政策についてお聞きをしたいと思います。

 食料自給率、現在は四〇%ですが、これを五〇%にしていく、国内の食料供給力を強化していくというのは、農水大臣、これはもう喫緊の課題であるというふうに私は思っております。

 午前中も御質問があったんですが、私は、農業政策については、ある意味、潮目が大きく変化していると思います。国際穀物の価格が、小麦を初め大変な高騰をしていますね。これは、私は決して一時的な要因じゃないと思うんですね。これは構造的な要因が強いと思います。

 世界の人口はどんどん増加をしています。特にBRICsと言われる、ブラジル、ロシア、中国、インド、この四つの国だけで人口が三十億人を超えるんですね。世界人口の四割を超えるわけですよ。この国々が急激に経済成長をする。そして、単に経済成長するだけじゃなくて、我々日本もそうでしたけれども、食生活も変化してくる。

 また、地球温暖化に伴う気候変動もある。食の安全に対する消費者の強い関心がある。食料を海外から輸入すればいいんだと、その食料の輸入に過度に依存してはならない時代に入ってきたというふうに我々は考えないといけないと思うんですね。国民に安全かつ低廉な食料をどう安定的に供給していくのか、これは国民生活の根幹にかかわる話でございます。

 こういう、先ほど申し上げた世界の諸情勢が大きく変化する中で、私は、農業政策について基本的な考え方を大きく転換する必要があると思っておりまして、国内の食料供給力を徹底して強化していく対策を打っていかねばならないと思うんですね。

 一つは、農地の有効利用です。

 今、実態調査をされていますが、耕作放棄地が約四十万ヘクタール近くあるわけですね。埼玉県の面積以上と聞いております。これを解消するというふうにおっしゃっているわけですが、耕作地としてもとに戻すためには、当然、手間と費用がかかるわけですね。この手間と費用について、これは農家でやってくださいというのでは、とてもじゃないけれどもできないわけでございまして、これは国として、国策として耕作地に戻していくために全面的な支援をしていかねばならないと私は思います。

 また、農地について、私は、所有から利用への転換、ここの転換をしないといけないと思うんですね。

 農地は、所有者がみずから営農することを前提にしているんですね、今の制度は。所有者がみずから営農する。そうではなくて、もちろん、所有者が、農家の方々がみずから営農することが大事なんですが、それだけに意味があるのではなくて、農地が食料生産のために有効に利用されていることに意義があるわけでございまして、そういう意味では、所有から利用への転換をしなきゃならない。

 農家の方々が、ある意味、農地を安心して貸し付けることができるように、やりたいと言っている人たちに安心して貸し付けることができる、また、農業に意欲を持った方々がいらっしゃいますので、農業に意欲を持った方々が借りやすいような制度に農地法を転換しなければならないと私は思うんですね。平成の農地改革と言われておりますが、私は、これは早急に実施をしていくべきだと思っております。

 この関連で、財務大臣、農地の相続税の納税猶予制度というのがありますね。今回、相続税については抜本的な改正を今しようとされています。相続評価、課税評価の方法について大きな見直しを今検討されているんですが、この農地の相続税納税猶予制度については、これは変更してはならないと思います。とともに、所有から利用への転換という考え方に立つと、他人に貸し付けても農地として有効に利用されている限りはこの相続税納税猶予制度が適用になる、今できないんですよ、適用になるようにしていかないと、これは所有から利用への転換なんかできません。ぜひ、そういう面でも、税制面で私は財務省の御協力をお願いしたいと思います。

 私の今の意見について、農水大臣、また財務大臣の御意見を賜りまして、私の質問を終わりたいと思います。

石破国務大臣 潮目というのは御指摘のとおりだと思っております。もうすべて見直していかねばならぬのだと思っておりまして、私は、委員御指摘のように、一番の問題は農地制度だというふうな認識を前から持っております。

 やる気のある人に農地が集積するという方向に政策は収れんをしていかねばならぬのだということと、もう一つは、農地とは一体何ですかという議論をもう一回ちゃんとしなければならぬのではないか。つまり、農地は本当に農業生産の用に供するということで価格が決まっているのか、それとも転売期待の価格がビルトインされているのか、そのことについて精緻な検討が私は必要だと思っております。

 ヨーロッパと比べて農地の拡大が全然進まないのはなぜなのか、そして農地の価格がヨーロッパに比べて非常に高いのはなぜなのか。農地とは何なんだというところに、もう一度原点に戻って議論をしなければ、実は日本のいろいろな農業問題は解決をしないのではないかというふうに考えております。

 先ほどおっしゃいました税制の点につきましては、税務当局とよく議論してまいりたいと思いますが、御指摘を真摯に踏まえて対応してまいりたいと存じます。

 以上であります。

中川国務大臣 農政については、今、農林水産大臣から、そういう改革の議論が進められております。納税猶予制度についても、これができたときの目的というものがあるわけでございまして、それは、農政の推進に役立つという意味でこの制度が認められたものというふうに理解をしております。

 したがいまして、今、北側委員の御指摘のように、そういった日本の食料の確保のために役立つような改革を我々もよく見ながら、また年末の税制改正に向けて議論を進めさせていただきたいというふうに思っております。

北側委員 以上でございます。

衛藤委員長 この際、赤羽一嘉君から関連質疑の申し出があります。北側一雄君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、まず、緊急経済対策であります補正予算案に対する審議、そしてまた過日の麻生新総理の所信表明演説に対して、何点か質問させていただきたいと思います。

 私に与えられた時間は三十分間でございますので、総理、できましたら御答弁は、簡素にして国民に温かい御答弁でよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。

 これだけ景気が悪くなると、やはり、国民がこれだけ苦しんでいるんだから、まず政治家や官僚は襟を正せ、こういう意見が強いと思います。

 行政改革についての総理の所信表明演説は、やらなければいけないけれども本末転倒してはいけないと。これはまさに正論だと思いますが、多くの国民は、まず政府を小さくしろ、効率化しろと。これはまさに国民の皆様方の行政に対する不信感のあらわれそのものであると思います。

 ですから、私は、行政を見直すときには、まさにそれぞれが、民間レベルから見てどうか、民間準拠でやるべきだ、これを原則にして、国民の皆さんから見てこんな非常識が通っているのかといったものはすべて一掃するべきだ、そう考えております。

 公明党はこれまで、政治家、官僚の特権はなくしていこうということで、例えば政治家が二十五年勤務しますと、肖像画で百万円支給されたりとか毎月三十万円の交通費が出たという時代があったということですが、これももう既に廃止をさせていただきました。こういったことは不断に続けていかなければいけない。

 その中で、非常に象徴的なこと、ちょっと前に居酒屋タクシーという、私、一度も出会ったことがありませんが、この居酒屋タクシーをめぐるタクシーチケットの利用について、こういったことが問題になりました。

 私も総合商社で勤務したときは、毎晩、真夜中、最終列車に間に合うかどうかの仕事をしておりましたので、タクシーで帰るなと言うのは、今の国会の状況を見ますと、国会待機がこれだけかかっていて、それを帰るなと言ったら皆さん帰れなくなってしまうので、私はタクシーは使うなとは申しませんが、今、民間企業でも、社員が帰るときにタクシーに乗る場合は、タクシーチケットを使っている企業なんてありません。やはり、かかった分はみずから立てかえで現金で払って、領収書をもらって、翌日、会社で申請をして精算をする、これは当たり前のことです。この企業として当たり前のことは、当然、霞が関も当たり前にやるべきだ。

 人間というのは不思議なもので、チケットがあるからきょうもタクシーで帰ろうというのが、チケットはない、まあ最終列車に間に合うようにしようとか仕事の効率化を考えようとか、私は、人間というのはおのずから知恵を出すものだと自分の体験として実感しております。

 そういうことで、国土交通省が、六月に当時の冬柴国土交通大臣が決断をして、今国交省はタクシーチケットを使わない、こういったことが実施をされております。この一月目の調査、報告をされたわけでありますが、六月二十三日から一カ月間、タクシー利用は実は六百万円で済んだと。その前の一月は実に一億円かかったということなんです。九四%安くなっているんです。

 これは、もちろん国会の状況の違いとかさまざまあるにせよ、私は、やはり精神的な抑制、これは、ひいては官僚の皆さんの仕事の仕方についても相当健全になるというふうに思っておりますので、これは国土交通省の役所だけがやるのではなく、やはり、隗より正せ、まずみずから襟を正していこうという意味で、新しい大臣が、皆さんの政治決断でぜひ実行していただきたい、こう思うわけでございます。

 きょうは、全員にお伺いをしようかと思いましたが、時間もありませんし、我が公明党から出ている斉藤鉄夫さんに代表していただいて、環境省としての御決断を迫りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

斉藤国務大臣 お答えいたします。

 実は、環境省は、非常に少ない人数で多くの仕事をしておりますので、深夜残業、タクシーの利用が最も大きい役所の一つでございます。

 これまで、この合理化を図ろうということで、ISO14001の環境マネジメントシステムを使って削減に努力をしてまいりました。平成十九年度、昨年度は、平成十三年度に比べて約五〇%削減ということでございますが、さらに削減できないかということで、公明党から提案がありましたタクシーチケットの廃止、内々にこれを実行できないかということを事務方に検討させました。その結果、必要なタクシーは必要だけれども、タクシーチケットなしにこれを実行できる、合理化できるということが大体わかりましたので、私としても、タクシーチケットの廃止を指示したところでございます。

 環境省は、タクシーチケットを廃止いたします。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 タクシーチケットというものは、私は、ややもするといろいろな不正な事案につながってしまう、そういったことですから、タクシーは乗るなとは申しませんが、タクシーチケットはやはり慎むべきだと。官房長官、ぜひ官房長官のリーダーシップで、各省庁の足並みがそろわないようなことがないように閣内をおまとめいただきたいと強く要望するものでございます。

 次に、中小企業支援について。

 これは今、北側幹事長が再三詳細にわたって質問されましたので余り触れませんが、現場を歩いておりますと、本当に中小企業の多くの皆さんが、商売はある、だけれども原材料が高くなって、黒字が出るはずが全部赤字になっていく、だから、商売をやればやるほど赤字になって、このままいくとこの秋から年末にかけて本当に倒産するかもしれないと。このような悲痛な声が出ております。

 今、こういったことで、緊急対策ということで、相当踏み込んだ今回の緊急の保証制度ですとかセーフティーネット貸し付けの強化というのは大変評価ができるものだと思いますが、中小企業に対する金融機関というのは、これまで貸し出しは民間が八割ぐらいだと思います。その民間の中小企業向けの貸出残高は、やはり昨年ぐらいから相当減っているんですね。一方で、中小企業の小規模の倒産というのはふえている。銀行の不良債権の処理は進んでいる。

 こういったこと、どういう関連性があるかというのはなかなか簡単ではないんですけれども、私が大変心配しているのは、その中で頑張ってきたのが政府系金融機関だと思いますが、この十月一日から政府系金融機関も一本化されて、日本政策金融公庫と。まあ民営化されたわけです。商工中金にしても、政策投資銀行、政投銀にしても民営化されるとなると、やはり、これだけ厳しいときに相当踏み込んだ保証を請け負う金融機関が本当にあるのかどうかということを大変懸念しておりまして、この点について、これはどなたの担当なのかわかりませんが、経済産業大臣でよろしければ御答弁いただきたい、こう思うわけでございます。

二階国務大臣 お答えいたします。

 政府系金融機関の三公庫を一銀行に統合するという際に、大変熱心な議論が衆議院においても参議院においても行われました。たしか赤羽議員にも御質問をいただきました。そうした際に、やはり統合してよかったと言われるような金融機関にならなくてはならないということを、私も再三答弁を申し上げてまいりました。私は、そういうふうな結果をもたらすために、厳重にこの成り行きを見ていきたいと思っております。

 仰せのとおり、十月一日にこの統合が行われました。私は、統合の式典におきましても、温かみのある金融機関として頑張っていただきたいということを申し上げたわけでありますが、今、全国の中小企業の皆さんは、この統合について大変関心を持って見詰めておられます。

 ちょうどそこへこのような経済的な難しい状況を呈しておるわけでありますから、私どもは、これらの金融機関と相協力して、中小企業の皆さんのために真に頼りがいのある金融機関としてやっていっていただくように努力をしたいと思いますし、それに対するそれぞれの御質問や御意見、また、こういう扱いに対して、もう少し、政府やいろいろな関係者が説明しているとおりのことにならなきゃいけないわけですから、それに対して御意見のある場合に、駆け込み寺のような感じ、あるいはまた私たちの出先を総動員して、中小企業の皆さんのお役に立てるように頑張っていきたいと思っております。

赤羽委員 今、大臣の御答弁の最後にありました、個別事案についてよく相談を受けますが、なかなかこれは、民間と民間の話ということで、結局は銀行の言ったとおりになってしまう。これが貸し渋りですとか貸しはがしが起こってきた過去の事例だと思います。まさに駆け込み寺的な相談窓口、やはり金融機関に対しても物が言えるようなところをぜひつくっていただきたいと強く要望するものでございます。

 油が上がって、この油を使った現業、中でも運送業ですとか漁業はもう大変な状況になっております。

 この運送業に対する支援政策として、これまで、例えば実質的な値上げとなる阪神高速や首都高速の対距離制の運賃への移行を凍結もしました。また、高速料金の夜間の割引の拡充ですとか割引時間帯の拡大、こういったものもやっていただいたわけでございます。また、燃料サーチャージ制ということで、運賃の値上がりがなるべく影響が出ないようにということで、そういった施策もとられておりますが、まだまだ、やはり中小が多い運送業者の皆さん、本当にこれは走れば走るほど赤字を生み出してしまっているということでございます。

 政府・与党で、原油高騰対策として、トラック燃費対策構造改善事業というものを取りまとめる、このような約束をしたはずでございますが、国土交通省としてどのようなことがされるのか、お答えをいただきたいと思うわけでございます。

金子国務大臣 御指摘いただきましたとおり、軽油価格の値上がり、これが荷主に転嫁できずに、トラック業者、特に中小のトラック業者が大変苦労されている。御指摘のとおりであります。

 深夜の道路交通、高速道路の料金の割引、サーチャージ制も少しずつ進んでおるようでありますけれども、まだまだなかなか広がっていかないという現状も認識しております。そういう中で、今般、補正予算の中で、燃費効率を上げる、向上させる、あるいは事業の構造を改善するトラック業者に対して給付金を補助するというのを措置として入れさせていただいております。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

赤羽委員 ぜひ実質的な、ダイレクトな支援となるように仕上げていただきたい、こう思うわけでございます。

 また、漁業につきまして、これももう既に発表されておりますが、燃油高騰対策として、省エネの実証事業といったものを今回の補正予算にも用意されておるというふうに了解をしております。

 ただ、この前の日曜日に、地元神戸にも漁港がございまして、神戸市の漁業組合の皆さんにお話をいただきました。大手ではない、非常に個人営業のところが多いわけでございまして、今回せっかくのこういった支援措置が、例えばグループで五隻以上の操業をしなければいけないですとか、一〇%の省エネというと、簡単に言うと、スピードを一割ダウンして操業する、そうすると大変水揚げが上がりにくいといったような実態があるそうです。だからこれは今回は見送りだなんという声が多いんですが。

 今回の措置は、そもそもは、相当燃油が高騰しているということで、助けたいということであったはずでございまして、ハードルを高くするということは役所としての本意でもないと思います。ぜひ、現時点での利用状況を詳細にヒアリングしていただいて、運営の改善をよろしくお願いしたいと思います。

石破国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 午前中は保利委員の御質問にもお答えをいたしましたが、とにかく親切に、丁寧に、迅速にということでございます。五隻以上ということになっておりますが、これも弾力的に取り扱わせていただきたいと思います。五隻未満でも取り扱いの対象といたします。また、一〇%も、十九年度を基準としてくださいということになっておりますが、それをほかの年の基準で置きかえていただいてもそれは結構でございます。

 全国的に事業を実施できているところとできていないところとございますので、ここをよく調査いたしまして、できないところはなぜできていないのか、御説明の仕方が十分ではないのか、御理解が十分ではないのか、そこをよく検証いたしまして、先生の御趣旨に対応するように私どもとしても対処してまいります。

赤羽委員 次に、景気が悪くなるとよく出る現象で、親がリストラになったから子供が学校の進学をあきらめるとか、今の日本でこんなことが起きるのかというような現象が実はあって、私は毎回この予算委員会の質問では、教育費用負担軽減について質問を挙げさせていただいております。

 私も自分自身が大学時代三つの奨学金をもらっておって、そんな経験から、とにかく奨学金で、親がかりじゃない奨学金で大学は入学、卒業ができるような、アメリカのような社会がいいんじゃないか、こう思っております。

 この中で、政府としても、当時は日本育英会、今は日本学生支援機構の奨学金で、十年前から比べると、こうやってグラフにもありますが、十年前は、全国で利用者、大学生が四十九万人だったんです。当時は、成績要件があって、成績が優秀な学生しかなかなか利用ができなかった。今は、成績要件が実質的に外れました。希望者全員に支給ができるようになりました。額も年々拡大をしております。

 また、私、昨年の臨時国会のこの予算のときにも、ことしから最高十万円が十二万円になる、毎月二万円上がるのなら四年間で九十六万円上がるわけだから、入学金のときになかなか対応できないということが問題なので、入学金の支払いというか支給を厚目にすることはできないか、こういった提案もさせていただきました。今は三十万円まで入学金としての支給がされておりますが、これは来年度五十万円に引き上がるという方向だということも聞いております。これは大変すばらしいことだと思いますので、ぜひその点についての御確認と。

 また同時に、この日本学生支援機構が、行政改革の話の中で、民間金融機関でやれというような意見が出ている、こういった話がございます。しかし、これは金融事業じゃなくて、当たり前ですが、教育事業でありますし、どこまでいっても民間の金融機関でやれるような話じゃございません、長期間の貸し付けでもありますし、無利子の部分もございますので。この点についても、文部科学大臣からの決意と今後の見通しについて、御所見をいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 赤羽議員においては、この点で前々から大変な関心をいただいておりまして、ありがとうございます。

 奨学金事業につきましては、経済状況によって就学の機会が奪われないように、家庭の負担軽減を通じて教育基本法にあります教育の機会均等を実質的に実現するものでありまして、重要な教育政策の一つと考えております。

 このため、今お話ございましたように、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金事業については、来年度、二十一年度の概算要求においても、貸与人員の増員、これは無利子においては一万一千人、そして有利子においては五万七千人、そして新たな入学時増額貸与額につきましては、先ほど三十万というお話がございましたが、これは十万から五十万までいろいろなタイプに、その人に合ったような選択ができるようにしておりまして、この奨学金事業の充実を図っているところでございます。

 そして、奨学金事業、健全性の確保が重要な観点でありますので、そういう点で、民間の委託をいろいろ言われておりますが、やはりこれは教育事業として奨学事業をしっかり進めていくことが大事であり、もとより長期間、今お話ございましたように無担保ということもあり、これはとても民間ではできないと思っておりますので、我々文部科学省としても、より充実した形を進めてまいりたいと思っております。

赤羽委員 この奨学金、前回の政権のときにも質問をしたんですが、私は、国が制度を変えるということの結果として、民間というか世の中の考え方も変わっていくべきだと。ですから、私は、国の制度を充実させるだけではやはり限界がある、民間団体による奨学金というのがもっと設立されなければいけない、こう考えております。

 これを見ますと、(パネルを示す)アメリカと比べるのはどうかと思いますが、アメリカの場合は民間団体の奨学金というのは実は三三%、日本は一一%なんです。この数だけというか金額ですけれども、一人当たりの金額なんかも全然アメリカの方が充実している。

 こういったことは、どうか経済団体に対して、やはり企業としての社会に対する貢献ということは、なかなか給料を上げにくいというような話の中で、将来の人材を育てるスカラシップを設立するというのは、私は、企業モラルとして、企業風土としてつくっていただきたい、こう考えるわけですけれども、総理として、この点についての御所見、御決意をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 赤羽先生、これは特定寄附に対する免除の話と密接に絡んでいますでしょう。ここのところがちょっと今一番しんどいところかなと思っておりますが、流れとしては、基本的にこの方向が正しい流れだと存じます。

赤羽委員 それでは次に、今回の総理の所信表明の中にもありました暮らしの安心ということで、最近の救急医療体制及び医師不足の問題についてちょっとテーマを移したいと思います。

 実は、私、神戸市の北区というところに住んでおりますが、北区の中核病院がございまして、いっときは北区の救急搬送の四割を受け入れていたというしっかりした総合病院でございますが、最近、産婦人科の先生がいなくなり、内科がいなくなりということで、この四月から、二次救急の輪番日のほかは午後十一時から翌朝六時までの夜間救急が休止されたという事実がございます。

 神戸市でも受け入れができなくなっているということは、全国押しなべてそういうことになっているんだろうなと。総合病院へ行っても、若手はいるけれども中堅層はいない、指導する中堅層はいない、こういった状況が続いていまして、これは相当深刻なんじゃないか。

 勤務医の待遇を本当に抜本的に変えるというようなことをまずするということが大前提だと思いますが、それは中長期的な話でございますので、目の前のことは、やはり総合病院と地元の開業医、医師会の皆さんに協力をいただいて、救急医療のネットワークをつくるですとか、そのときには、開業医のお医者さんは一人でやっているからそんな宿直に行ったらそれなりの見合うものがないとできない、それはもちろんそうでございます、そういったことに対する手当てですとか。

 あと、なかなか見落とされがちですが、この十年間で救急搬送をされた人員は五一%増加して四百八十九万人、約五百万人なんです。そのうちの半分以上が実は、軽症か中症か重症かという区別ですと軽症なんですね。

 昔は、おじいちゃん、おばあちゃんまで住んでいて、赤ちゃんが熱を出したとしても、まあまあこういう処置をしておいてあしたまで様子を見ようということでおさまっていたのが、今は、熱が出たということで当然病院に駆けつけるというようなケースが多い。これもよくわかるわけでございます。

 だから、そういったことについては、今厚労省としてもやられている赤ちゃんの、小児救急の電話相談、こういったものを充実するということが目の前の対策であるというふうに思います。

 しかし、抜本的なことを言うと、本当に医学部の定員をどうするのかとか、また私立大学の医学部の学生は年間一千万ぐらいかかるというふうに聞いておりますので、そういったところの経済負担を軽減するということをしない限り、なかなか勤務医に定着するということはできないと思うんです。そういうことをしっかりとしていく。

 相当中長期的な、また相当腹を決めた対策をしないと、医師不足による救急医療体制というのは本当に大変だなということを実感しているわけでありますが、この点について、舛添大臣、よろしくお願いいたします。

舛添国務大臣 今御指摘の医師不足、特に勤務医の問題、これは私は大臣就任以来力を注いできた問題でありまして、安心と希望の医療確保ビジョンというようなものを打ち立てまして、十一年ぶりに閣議決定を覆していただいて、医師が余っている、それを、医師が不足しているということで、医学部定員も一・五倍にする。それから、今、研修制度の見直しも文部科学省とともに制度をつくってやっております。それから、勤務医に対するさまざまな施策をとっていますし、訴訟リスクの問題についても、無過失補償制度、医療事故安全調査委員会の設置、こういうことを今やろうとしております。

 それから、今般の補正予算におきましては、短時間正規雇用を導入する病院に対して四億七千万円の経費の支援をする。それから、いわゆるメディカルクラークと呼んでいますけれども、事務作業を手伝ってくれる方々の経費の助成事業として六億八千万を入れるというようなことで取り組んでおります。

 それから、今、緊急搬送の問題がありましたけれども、これはいわゆるトリアージの問題で、兵庫県に柏原病院というのがあります。私はここを視察しましたけれども、そこのお母さんたちは、小児科を守る母親の会、だから、軽症なときにはもう自分で処置する。コンビニ受診と言っていますけれども、昼間行けばいいのを真夜中になって行くから緊急の患者が助からない。こういうことで、トリアージを家庭でやる、地域でやる、そして今委員が御指摘のような、地域のお医者さんとのネットワークを組む。江戸川区ではそのことができ上がっております。それから、例えばよその地域では、コンピューターでカルテを送る、こういうようなこともやっております。

 総合的に、中長期的な問題、目先の問題、全力を挙げて今取り組んでいるところでございますので、特にこの補正予算、一日も早く成立させていただきたいと思っております。

赤羽委員 最後に、予算編成のあり方についてちょっと質問したいと思うんですが、今舛添大臣から精力的な御答弁ございましたが、結局は、厚生労働省の限られた予算の中でのやりくりになります。

 きょう、本当は時間があれば小渕少子化担当大臣にもお聞きしようと思ったんですが、小渕さんも多分、新任になって、大胆に、あるべき子育ての施策というのを考えていると思いますが、なかなか、今の厚生労働省の予算の中でやらなきゃいけない、どこかをへっこめないととなると、これは大変なんですよね。児童手当も、これまで三歳児未満から小学校六年生まで段階的に拡大をしましたが、そのたびごとのやりくりも大変でした。

 これは、相当社会が変化している。今言った医師不足もその一つ。きょうは触れませんでしたけれども、環境に対する取り組みもその一つ。大きな社会の転換がなされようとしているときに、国の予算の編成は、やはり基本的には七、八月のシーリングで枠を決めて、その省庁間の壁を越えるということはなかなかできにくい。

 ですから、ぜひここは、道路特定財源が一般財源化されますから、その大きなターニングポイントの今回、来年度の予算編成において、首相特別枠というものを大幅にとっていただきたい。大胆に切り込むことは切り込む、そしてやはり政治の力で、政治のリーダーシップで、新たな日本の国のあり方がわかるような麻生政権としての予算編成をしていただきたい、私は、こう強く思うわけでございます。

 その点についての御決意を最後にお聞かせいただきまして、私の質問を終了させていただきます。

麻生内閣総理大臣 予算編成が硬直化しておる、したがって、それに対して柔軟性を持たせるべき、特にこういうような緊急事態においてはという御意見に対しては同意します。

 それに当たって対応策はいろいろあろうと思いますが、今言われたような方法を含めまして、重点配分というんですかね、傾斜配分、適当な言葉が、わかりやすい言葉があるんでしょうけれども、重点的に配分する、そういうようなことは、これは基本的に、ある程度政治力の要求されるところだと思いますので、十分検討させていただきたいと存じます。

赤羽委員 各役所は無駄なことはやっていないという前提で毎年の予算要求もしていると思いますが、そこにやはり切り込むことができるのは政治のリーダーシップだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

鈴木(恒)委員長代理 この際、上田勇君から関連質疑の申し出があります。北側君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 まず、麻生総理、御就任大変におめでとうございます。

 景気の減速が鮮明になる中で、まさに今課題が山積みというときだというふうに思います。そうした中での大変多難な船出ではありますけれども、こういう困難な状況の中であるからこそ、内閣にはしっかりしてほしいというのが国民の声だというふうに思います。そういう意味では、ぜひ頑張っていただきますよう、心から期待を申し上げる次第でございます。

 初めに総理に、行政改革について何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 今、我が国は本格的な人口減少・高齢社会になってきておりまして、こうした傾向は、これからますます強まっていくわけでございます。当然のことながら、社会保障費などの財政需要が伸びていく。国民に過大な負担を求めないためには、社会保障関係についてもできるだけ合理化をしていくことは当然なんですけれども、それ以外の部分についても極力削減をしなければ、これ以上、日本の財政も経済も社会も早晩成り立たなくなってきてしまうという現状だというふうに思っております。

 一方、行政の中には効果が疑わしいような無駄の多い事業や補助金というのも数多く実施されているということが、いろいろなところで明らかになってきております。また、社会保険庁におけるずさんな年金業務のあり方だとか、農水省の汚染米の不正転売問題など、行政執行のあり方についても信頼が随分損なわれているのが現状であります。

 さらに加えて、北海道開発局では官製談合事件も起きました。都道府県労働局におけるやみ専従問題、きょうも取り上げられたことでありますけれども、等々、不祥事も後を絶たないのが現状であります。

 行政に対する国民の不信というのは、まさに今、頂点に達しているのではないか。したがって、これからいろいろな施策に取り組むんですけれども、あらゆる改革の前に、やはり行政改革ということをやっていかなければ国民の信頼が得られない。最も重要な課題の一つだというふうに考えております。総理も同じ思いを持っていただいているのではないかというふうに信じております。

 政府・与党でも、これまで、行政改革推進法を定めて目標を立てて改革を進めてきましたし、行政の担い手であります公務員制度の改革も推進をしてまいりました。しかし、まだまだ改革は道半ばであり、今後ともこの改革の方針はしっかりと堅持をしていかなければいけないというふうに考えております。

 総理は所信表明演説で、簡素にして温かい政府を目指すと述べられております。その趣旨はわからなくもないんですが、ともすると、行革への取り組みが多少弱まるのではないかというような懸念もあるのではないか。心配される面もございます。

 そこで、麻生総理にぜひとも、今後とも行政改革を強力に推進していくんだというそうした基本方針、その御決意をお伺いしたいというふうに思います。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生内閣総理大臣 所信の中でも述べさせていただきましたけれども、行政改革を進めていくというのは、基本はもう今おっしゃるとおりでありまして、無駄を省く等々いろいろな表現がありますけれども、少なくとも、今の行政のあり方というのが今の時代に合っているかという話に始まり、消費者庁になってみたりする、傍ら、食糧庁がなくなったらこういうことが起きたじゃないか、だからやはり検査官はまたふやさないかぬのじゃないかとか、それはいろいろな理屈は幾らでもつけられる話なんであって、そういったものに対してはきちんとして無駄を省く、ここがまず基本です。

 そして、かつそれを効率のいいものにしなくちゃいかぬということになろうと思いますので、物すごく簡素になりますと、それはそっちでやる話、すべてということになると、それは逆に、冷たいとか対応が悪いとか、いろいろこの点のどの程度までというのは、これはどの方がやられても同じ悩みを持たれるんだと存じます。

 しかし、基本としては、効率がよくても温かい政府とか、小さくても強い政府とか、いろいろ表現はあろうと思いますが、基本は、無駄の排除、これから始まらなきゃいかぬところだと思いますので、厳しい態度で臨んでいかなければならぬものだと思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 今、麻生総理の御決意、お考えを伺いまして、やはり行政改革、この内閣としてもしっかりと取り組んでいこう、これまで以上に力を入れて取り組んでいこうという姿勢、大変明確であったというふうに思っております。行政改革をぜひこれからも最優先の課題と位置づけていただきまして、無駄のない効率的な行政、そして、不正や偽りのない行政を目指して取り組んでいただきたい。また御期待を申し上げるところでございます。

 公明党におきましても、先ほど同僚議員からも言及がありましたけれども、行政の無駄、税金の無駄をなくす十の挑戦というのを発表いたしまして、さまざまな取り組みを行っていこうということを今進めているところでございます。

 その中に触れている課題の一つでありますけれども、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 まずは、国の出先機関の廃止縮小についてでございます。

 先ほど言及しました税金の無駄遣いやさまざまな不祥事の多くは、実はこれ、出先機関を舞台として起きているものが多いわけであります。現在、その出先機関には二十一万人の国家公務員が勤務しております。そこで行っている業務の多くが地方と重複している、二重行政ではないかというようなことも今さまざまな批判が出ているところであります。そうした出先機関を思い切って廃止縮小して、そこで行っている事務事業を地方自治体に移譲していく、そういう方向で進めなければならないというふうに思っております。

 政府の地方分権推進委員会が行った提案に対して、残念ながら各省庁、余りいい回答がなかった、ゼロ回答などという言い方もされておりますが、それが現状であります。さまざまな理由はあるんでしょうけれども、そういうのが現状ではあります。

 一方で、本年二月、全国知事会によります提言の中では、地方分権改革推進委員会が検討対象としている約九万五千人の国家公務員、これを地方に移譲することを通じて、そうした改革を行っていければ二万人余りの人員が合理化できるのではないかという、いろいろな前提を持っての試算でありますが、そういうことも言っているわけであります。

 こういう試算もあるわけでありまして、今こそ、やはり総理のリーダーシップを発揮していただいて、思い切ったそういう出先機関の廃止縮小、地方への権限移譲を進めていただきたいというふうに思います。

 この出先機関の廃止縮小につきましては、九月二十三日の自民党、公明党の連立政権合意の中の項目でもございますので、ぜひ実行に向けての総理の御決意をお伺いしたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 御指摘のありました二重行政という点につきましては、よく例に使います農政局初め、よく例が出てくるところです。そういった指摘のあるものは、地方に、住民と身近な地方自治体に移していくというのが基本的な流れだと私も思っております。

 地域主権型の道州制というのを最終的に目指すべきと私自身は思っております。それに至るまでの間のいろいろな方法があろうと思いますが、少なくとも二重行政を廃止するとかやめるとかいうようなところは、その一つのステップなんだと思いますが、簡単には、行政の効率化が進むということだろうと思っております。

 これは当然のこととして抵抗があろうというのは、いわゆる今の自分の仕事がなくなるみたいな話になろうと思いますので、そういう意味では、いろいろな抵抗があろうということは常のことでありますけれども、最終的には私で決断させていただきます。

上田委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、もう一点、会計検査院の機能に関することでありますが、今、行政機構の中にも、行政のさまざまな不適正な支出であるとか無駄遣いをチェックする機関として会計検査院があります。ただ、これが、機能が必ずしも十分果たされていないのではないかという指摘もございまして、本年六月に、与党の会計検査院に関するプロジェクトチームでは、機能強化するための議員立法を進めるということで合意をされているところでございます。

 その内容というのは、第一に、会計検査院が指摘した不当事項など、これが、今までは指摘をされてもなかなか是正をされてこなかった、不十分であったという面がありまして、それをやはりフォローアップして、確実に改善される、是正されるような仕組みを導入しようと。

 第二には、いろいろと指摘をされている裏金、その裏金づくりを目的とした不正行為、それに対する罰則を新設することによってそれを追放していこうということであります。

 さらに、三点目が、予算執行に当たった職員が、会計検査院の判断として懲戒処分に該当する行為であるにもかかわらず、実際には処分権限がある省庁で処分が行われていないという場合、それは会計検査院から懲戒処分を要求しなければならないというような項目を入れるということで、会計検査院の機能を強化しようとするものでございます。

 こうした措置が導入されれば、ある程度予算の適正な執行を確保して、不正を防止する上で有効な手だてになるのではないかというふうに私は考えております。そうした会計検査院の機能強化について、総理のお考えをお伺いできればというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 会計検査院の検査結果につきましては、これまでも行政や税金の無駄というものをなくすという観点から、重要な役割を果たしてきていると認識をしております。

 しかしながら、今御指摘ありましたように、より厳しく検査をすべきではないか、また、その検査した結果に対応するというようなことで、今、与党のプロジェクトチームが立ち上がっていると聞いておりますので、議員立法を含めて議論されているものと承知をいたしております。

 したがいまして、政府として、与党の御議論を踏まえて協力をさせていただければと存じます。

上田委員 ありがとうございます。

 次に、道路特定財源にかかわる問題について国土交通大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 これまで、道路特別会計におけるさまざまな無駄遣い、不適切な予算の執行ということが指摘をされてまいりました。

 公明党でも、道路財源の執行適正化に関するワーキングチームというのを設置いたしまして、私が座長を務めさせていただき、また浜田昌良参議院議員が事務局長ということで、このワーキングチームでは、国直轄事業の事業費の中の工事関連経費の部分、実際の工事以外の関連経費の部分ですね、十八年度予算では約三千八百億円相当の部分がありましたけれども、そこの部分にとにかくまず着目をして、地方整備局や国道事務所も現地に赴いて調査をさせていただきまして、また県の道路関係部局などからもいろいろと意見も伺いまして、そうした調査検討を行ってまいりました。その結果を取りまとめて、八月八日に当時の谷垣国土交通大臣の方に申し入れをさせていただいたわけであります。

 その主な内容というのは、一つは、調査研究費や測量試験費の委託業務の契約金額を積算する際に、直接経費に諸経費を上乗せするんですが、その諸経費の計算方法が、直接人件費に一〇〇%から一二〇%の率を掛けて自動的に上乗せをするというようなシステムになっております。これではちょっと余りにも、本当に実際の経費、必要な経費と合っているのかどうかというのがわからない、ちょっとどんぶり勘定というような印象を受けておりますので、こうした点を是正してもらいたいというような点を一点申し入れさせていただきました。

 二点目として、建設弘済会とか、OB職員が三割以上を占めるような公益法人が幾つかありました。そこにも業務委託が行われていたんですが、そこはやはり原則廃止をすべきではないか。そういったところの仕事というのは、いわゆる工事の補助業務であるとかそういったことが行われているんですが、どうしてもそういう工事業務の補助などで必要な場合には、退職する職員を再任用する形で採用して仕事をしてもらう。そうすれば、公益法人などの、直接仕事をしない、いわゆる天下り役員等の給与の分ぐらいは節減できるはずだということであります。いろいろ聞きますと、事実、県ではそういうような対応をしているところが多いというふうにも承知をいたしております。

 また三つ目、公用車の運行業務委託についても、これは原則廃止をしていただき、基本的には職員に運転をしてもらう。これは他の省庁とか県で聞いてみますと、ほとんどがそれに近い対応をしていただいているということでございます。

 その他も含めて合計八項目の提言を行いまして、約五百四十から七百四十億円程度の節約を行うことができるのではないかということを提言させていただきました。

 国交省では、このワーキングチームの御提言をどのように受けとめて、改善に努めていただいている点があるのか、その辺を御答弁いただければと思います。

金子国務大臣 今お話しいただきました道路財源の執行の適正化に関する申し入れ、公明党のワーキングチーム座長上田勇委員から、八月八日、当時の谷垣国土交通大臣あて、ちょうだいいたしまして、これを受けとめさせていただいております。

 国土交通省として、この問題について、外部有識者を入れました検討委員会をつくって、四月に大枠の方針は、最終報告、取りまとめとしてまとめさせていただいておりますけれども、八月八日にいただきました八つの項目について十分しんしゃくをして取り入れさせていただきながら、さらに改善を進めていきたい。

 具体的に一つ、二つだけ申し上げれば、経費率を含む積算体系のあり方、今お話ありましたけれども、これもやはり有識者によります検討チームをつくりまして、見直しに着手させていただいております。また、先ほど赤羽委員からも御指摘いただきましたタクシー券でありますが、本省のタクシーチケット停止、一方で立てかえというものを既に六月から試行させていただいておりまして、現在もそれの継続をしているところであります。

 そういう効果というものをさらに見きわめながら、全体として支出のあり方について見直しをしてまいりたいと思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 これから道路特定財源の一般財源化を含むいろいろな改革の論議が始まるわけでありますけれども、この道路事業の中には、やはり国民生活、経済にとってどうしても必要なものもあるわけであります。

 ただ、やはりそこに国民的な御理解をいただくためには、いろいろな指摘をされた無駄遣いあるいは不適切な部分、それはしっかりと是正をして、その上でないと議論がなかなかスタートできないものだというふうに思いますので、ぜひ、今御検討いただいていることを鋭意進めていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 次に、年金制度についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 公的年金制度の運用では、記録の実にずさんな管理あるいは組織ぐるみと言われているような改ざん事件であるとか、その他さまざまな問題が噴出をしてきました。舛添厚生労働大臣、今、一生懸命、問題の解決、信頼の回復に努力をしていただいているところではありますけれども、余りにも問題が山積みになっているというのが現状だというふうに思います。

 制度そのものは、平成十六年度の改正で、長期的に安定した制度ということで成ったものだというふうに認識をしておりますけれども、ただ、運用にこれだけ問題がありますと、もう制度自体に対する信頼が失われているわけであります。年金というのは、やはりだれにとっても人生設計の上で最も重要な制度でありまして、それに対する信頼が失われているというのは、まさに国家に対する信頼が失われている深刻な事態と考えられます。

 総理は、この年金に関する制度のあり方や運用の実態、どのように受けとめられているのか御認識をお伺いしますとともに、信頼を回復していくための総理の御決意、国民に向かってお伝えいただければというふうにお願い申し上げます。

麻生内閣総理大臣 今御指摘のありましたように、年金という組織、システム、制度そのものに対する不信が高まっている、政府、政治に対する不信と同じではないかという御指摘があっておりましたが、これはまことに痛恨のきわみと申し上げるべき、これは国家にとっての一大事だと私自身も思っております。

 したがって、私らが見ても、公的年金制度の仕組みそのものは、確かにいろいろな形で改正をさせていただいたりいろいろして、そのもの自体、私どもの認識では、今、長期的なものとしてはかなりバランスのとれたものにつくり変えることに成功したと思っております。しかし、それに対する理解を得られなかったという点に関しましては、これはいろいろ反省をしなきゃいかぬところなんだと思っております。

 財政的な状況、いろいろなものを勘案しなきゃならぬところだと思いますが、やはり、正しく、信頼が置けるものになったんだという御理解を得られるように、今後ともいろいろ努力を、これは懸命に手間と暇を惜しまずやっていかないかぬ、大事なところだと思います。

上田委員 今総理がおっしゃっていただいたこと、全くそのとおりだというふうに思います。

 この制度の問題、それからその運用のあり方、今両方に対する不信感が高まっているわけでありますので、これをやはり解消していくというのは内閣として非常に重要な仕事だというふうに考えておりますので、ぜひ、総理また舛添大臣もよろしくお願いをいたします。

 この年金制度に関する課題の中で、一つだけちょっと具体的な御質問を舛添大臣にさせていただきたいというふうに思います。

 年金の制度設計に関する課題で、これまでの制度改正で十分に対応できてこなかった課題について、今、社会保障審議会の年金部会でいろいろと議論が進められております。その中の一つが、在職老齢年金制度のあり方についての課題でございます。

 その在職老齢年金制度というのは、六十歳以上の方、六十歳から六十四歳までの方というのは、賃金と年金を合わせた収入の合計額が月額で二十八万円を超えると、賃金が二を超えるのについて年金額を一停止するという、給付の調整を行う制度になっています。しかも、賃金が月額四十八万円を超えると、賃金が増加した分だけ年金を停止する。ということは、それ以上賃金がふえても合計収入がふえなくなるというような構造になっています。

 さらに、六十五歳以上、ここはちょっと制度が変わるんですが、ここは基礎年金は全額を支給します。しかし、賃金と厚生年金の合計額が四十八万円を上回ると、賃金が二増加すると年金額を一停止するということで、二分の一停止をするというようなことになっております。

 今申し上げたような制度は、従来の制度から比べると随分改善をしたというふうには考えているんですけれども、ただ、厚生年金の平均的な受給額というのは、厚生労働白書を見ますと月額十六万五千円だそうでございます。そうすると、ボーナス込みでありますから、月給にすると、十万円弱ぐらいの月給を稼ぐようになると年金が減額されてしまうんですね。

 そうすると、健康で意欲も技能も高い六十歳以上の方が仕事を続けようという、そういうやる気に水を差すようなことになっているのではないかということをよく意見として伺います。また、現役時代ずっと保険料を納めてきたのに、それはちょっと割り切れないなというようなこともありまして、こういう話というのは私も今地元でいろいろとよく聞く話でございます。

 公的な社会保障制度でありますから、高額所得者の方に対して一定の給付の調整が行われるということは避けられないことなのかというふうには思いますけれども、もう少し仕事を続けようという意欲がわくような形での制度に改善できないのか。

 例えば、年金額の調整を開始する収入額、今二十八万円と言われていますけれども、この部分をもう少し引き上げるとか、減額の割合、今は二に対して一という形になっていますけれども、少し段階を設ける方法であるとか、あるいは月収が四十八万円を超えても合計収入が多少なりとも増加するような配慮をするとか、そういった点は見直せないのかというふうに思っております。総理も先日の本会議でこの見直しについて、まことに重要な検討課題と考えておりますというふうに御答弁をいただいております。

 そこで、厚生労働大臣に、これからの検討の方向性など、お考えを伺いたいというふうに思います。

舛添国務大臣 委員御承知のように、我が国の社会保障制度は自助、共助、公助という仕組みとなっております。やはり皆が助け合う。昔は、年金がないときは、息子が親に仕送りをする、この仕送りが社会全体の仕送りになったわけです。

 そういう中で、確かに、仕事を持って働いて収入を得れば年金がもらえない。こんなに元気なのに働けないな、年金がもらえなくなるから働かない、これは非常にもったいないことなんですね。

 しかしながら、片一方で、やはり今これだけ雇用情勢が悪いときに若い人が一生懸命頑張っている、そういう若い人の負担がさらに重くなって裕福な高齢者を支えていいのか、こういう議論もあると思いますので、今の委員の問題の指摘を受けまして、今後さらに検討を深めていきたいと思っております。

上田委員 時間ですので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて北側一雄君、赤羽一嘉君、上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。端的に御答弁を願えれば幸いでございます。麻生総理大臣、よろしくお願いをいたします。

 初めはリーマン・ショックと言われ、アメリカの金融不安を初め経済の問題がかなり拡大の様相を呈してまいりまして、日本経済への大きな影響というのも懸念をされます。

 我々は以前より緊急経済対策、民主党も提言をしておりまして、中小企業や個人事業主の皆様方に特別信用保証の実施、信用保証枠十兆円、貸付資金の繰り延べ返済、あるいは貸し渋り、貸しはがし対策、あるいは農林漁業対策で、高騰した燃料の差額の補てん、あるいは離島、半島、過疎地の対策、当該地域の公共運送機関の料金の助成などなども提言をしているところでございます。

 そして、本当に懸念をされますのは、今後一定の期間、日本経済は大きな影響を受けてくる。特に地方金融機関への公的資金注入の仕組みの準備もきちっとしなきゃいけない。なぜならば、貸し渋り、貸しはがし対策の一環でもあると思います。

 そして、失業者が多く出てくる懸念も強く持っておりまして、現在、平成十九年、平均をいたしますと、非正規雇用の方が全体の三三・五%、三人に一人が非正規雇用ということで、日本の姿は以前に比べてがらっと変わってしまいました。ということは、労働の規制緩和が進み過ぎて非正規雇用がふえて失業者が出やすい仕組みになった。しかも、雇用保険のセーフティーネット、安全ネットのない方もおられるということで、この対応もしなければいけないということで、我々もマニフェストで提言をすることにしております。きちんと審議をしてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、先ほどから与党の方の質問を聞いておりますと、非常に民主党に対する御指摘、中には誹謗中傷のようなたぐいもございましたけれども、あるいは民主党の政策をフリップにして御紹介をいただくというようなこともございましたが、逆に、私も麻生総理にお伺いしたいのは、当然民主党はマニフェストを提示して、今骨格を公表しておりますけれども、自民党も今骨格ができたやに聞いております。もちろん、自民党のマニフェストも政策の財源と期限、工程表が入る、どこから財源は持ってくる、こういうことが明示されるマニフェストになるということと理解してよろしいでございましょうか。

麻生内閣総理大臣 基本として、政策を掲げます場合には、それに対応する財源というものができる限り明示されるようにマニフェストはつくられるべきものだと理解しております。

長妻委員 それでは、多少具体的に麻生総理に聞きたいんですけれども、我々は、歳出カット、税金の浪費などを削って新たな財源を生み出す、これは工程表を示しておりますけれども、麻生総理は、今、日本の特別会計と一般会計合わせて、今年度、重複を除くと歳出が二百十二兆円の規模でございますけれども、どの程度の税金の浪費、何兆円単位ぐらいであるのかとお考えでございますか。

麻生内閣総理大臣 二百十二兆円のうちに何兆円の脱税、無駄があるのかというのがわかって捕捉していると言えば、それは逮捕されるべき話なのであって、私としては、今その額は全部捕捉しているわけではございません。

長妻委員 私は脱税ということは言っておりません。つまり、税金の無駄遣いなんですよ。税金の無駄遣いが大体一年間にどのくらいあると御認識されておられるのか、その見解を聞きたいということなんです。

麻生内閣総理大臣 正確に無駄遣いが捕捉されていれば、それは無駄にはしないわけですから、今幾らか、総額がどれくらいか、アバウトどれくらいか、わかっているわけではありません。

長妻委員 いや、無駄がないという今の御認識ですけれども、無駄があれば是正するということですが、自民党の方と議論すると、いや、無駄はないんだ、無駄遣いというのは主観的なんだと言うんですけれども、では、言葉をかえて言うと、増税してまでする必要のない仕事ですよ。どのくらいあると思われますか。何兆円ぐらい。

麻生内閣総理大臣 仕事の内容はその都度いろいろ事情が違うと思いますので、重ねて申し上げるようですが、今どれぐらいの無駄が、どこの仕事が無駄かというのが正確に捕捉できているわけではありません。

長妻委員 これは、私は本当に驚くんですね。

 今、日本には五つの税金の浪費を生み出す仕組みがある。我々、先進七カ国を調査して、これほどの仕組みはほかの国にはないと。ひもつき補助金システム、天下りあっせん仲介システム、特別会計システム、官製談合システム、随意契約システム。この浪費を削るというのが日本政治の最大の課題の一つだと私は思いますよ。

 それを、非常に、何もそんなのはないんだ、自民党からも、無駄がないないない、そういうやじが飛んで、こういう政党で本当に任せられるのかと。この浪費を積み上げた責任をよく自覚していただいて、まじめに御答弁いただきたいというふうにまず思います。

 私は麻生総理は立派な方だと思いますけれども、どんな立派な方が総理になっても、自民党型システムの中では、政治は変わらないんですよ。役人の上に乗っかって、そして役所をコントロールできない、大臣にも実質的な人事権がない、今こういうような状況にまでなっている。私は、最大の日本政治の課題は、官僚をきちっとコントロールする政権をつくる、これが最大の課題だと思います。

 我々は、権限を持たせた上で、政権をいただければ、国会議員を百人以上政府の中に入れて、局長の隣に席を設けて、チームで役所をコントロールしていく、あるいは、局長さん以上のポストに公募や政治任用制、これを入れていくということで、今計画を練って、きちっとその工程表も立てているところであります。

 そして、もう一つ重要なのは、人事評価基準なんですね。つまり、今は、要らない天下り団体をなくそうとすると出世できないんですよ、官僚の今の人事評価の基準では。あるいは、予算を余らせるとなかなか出世できない。要らない規制をなくすと怒られる。むしろ、要らない規制をどんどんつくったり、要らない天下り団体をつくると評価される。膨張する方向に働かせると官僚が評価されるという仕組みなんですよ、今現在。その仕組みを完全に直して、我々は逆にして、つまり、要らない天下り団体をなくした官僚、これはもうどんどん出世していただく、あるいは税金の浪費をなくす、あるいは要らない規制をなくす官僚はどんどん評価が上がる、そういう仕組みに我々はしてまいります。

 そういう意味で、官僚は敵じゃないんですよ。これは自民党の議員の方も、霞が関をぶっ壊すなんというふうに言われる方、非常に私は違和感があるんですけれども、無駄遣いを見つける、無駄遣いの一番わかっているのは官僚の方、お役人ですよ、一番見えているのは。そういう人が自動的に無駄遣いを申告する、表に出させるような、そういう仕組み、官僚の手綱を握る、これが今の政権に欠けているということで、我々は申し上げているところでございます。

 年金、医療を削る前に、税金の浪費を削れということを申し上げ、そしてもう一つ、先進国と日本が違うのは、今、税金の節約ということでいろいろなところを削っていますけれども、結局、削る順番が、官僚の抵抗する分野は温存される、官僚が抵抗しないところは削るということで、年金、医療、介護がどんどん削られているんですよ。それで、天下り、そういう税金の浪費システムは温存される、これを逆にしなきゃいけないということで我々は申し上げているところであります。

 そして、これも統治機構の欠陥から生じた問題でございますけれども、消えた年金、標準報酬月額の改ざん、偽装脱退などについてお尋ねいたします。

 これは、一番初めは標準報酬月額の改ざんが一件だと、かかわっていたのは。それで、我々が追及すると六・九万件、今度は百四十四万件という数字が出てきた。もう隠すことができずに、先週金曜日、もう逃げられなくなって公表したというふうに思わざるを得ないんです。

 舛添大臣にお伺いしますが、百四十四万件のうち、改ざんや不適正な処理というのは何件あるのでございますか。

舛添国務大臣 まず、その前に申し上げますが、午前中、葉梨委員にもお話を申し上げました。私が大臣に就任して、いろいろな情報が集まって、こういう問題があるということはきちっとわかっており、そのために特別チームを編成し、さまざまなアプローチの手段を考えてきた。

 その中で、第三者委員会に、標準報酬が改ざんされたのではないかといって申し出て認められた方々のデータを克明に分析して、まさにこれがサンプルなんですよ、正しい。ここからどういうルートをたどれば問題に行き着くか。それは、八億枚全部やみくもにやるよりも、早くやった方がいいです。(長妻委員「百四十四万件のうち何件か」と呼ぶ)きちんと説明しないと、国民にわかるように私は説明をさせていただいております。

 そういう中で、例えば、等級で、月給でいうと、三十万の月給がぱっと十万に下がった、こういうケースの場合、女性の方はよくおわかりですけれども、お仕事をしていて、妊娠して出産の準備をするときに仕事の量を減らすとそういうこともあります。五等級以上下げたという中にはそういう件数もありますから、すべてが改ざんではありません。

 それから、六カ月以上の遡及というのは、中小企業の皆さんもお忙しいですから、きちんきちんと届け出がなされない場合がある。そして、戻ってみたら六カ月遡及しないという、まさに適正な措置もあった。

 それで、最大の問題は、標準報酬の改ざんをやったそのときの日にちと資格喪失の日にちが同一の場合が一番この問題点がありますので、そういう三つの点は、先ほど申し上げた第三者委員会に出てきた問題について、九割ヒットしたものについていきました。

 したがいまして、すべては優先順位、まず一番可能性の高いところからやっていく。やらないなんて一度も言っていないですよ。ですから……(長妻委員「何件かと聞いているんじゃないですか」と呼ぶ)それは今から調査しないとわかりませんよ。ですから、わからないから……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に願います。静粛に願います。

舛添国務大臣 六十五年間積もりに積もった不祥事の山をこつこつこつこつと解決していっているんじゃないですか。

 ですから、その中で出てきた問題も、御高齢の方が早く、そして一刻も早く、その可能性の高いところがある、この優先順位を考えないといけないので、私は、御高齢で可能性の高いところからやっていく。そして、来年の四月一日からは全員に標準報酬が行きますから、順序を、優先順位をつけてやっていく、私は、このやり方は間違っていないと思っています。

 したがいまして、お答えにつきましては、今から調査をする、しかし、可能性の高いところからやっていく。こんなもの、最初からわかっていたら苦労しないですよ。一つ一つ見ていかないといけない。

 それからもう一点、標準……(発言する者あり)いいですか。

長妻委員 いや、これは我々の経験からいうと、この百四十四万件はよくわからない数字だ。発表して、これでふたがされる、これは絶対させません、我々は。

 そうしたら、大臣、この場でお約束いただきたいのは、百四十四万件のサンプル調査をして、改ざん率が何%ぐらいあるのか、百四十四万件のうち。それをぜひ実行すると明言いただきたいんです。

舛添国務大臣 今申し上げましたように、第三者委員会に上がって、確実にこれはやっているということをまさにそこから追及していくのがサンプル調査でありまして、そして、サンプル調査をしても……(長妻委員「百四十四万件」と呼ぶ)百万件あるものをやるよりも確実性のあるところから、今何が一番問題かというと、なぜ一件かというと、証拠が残っていないから証拠探しをしている。被害者である国民の側に証拠が残っていればそれからとれるわけです。まさにそれこそサンプル調査であります。

長妻委員 これは今までこの問題が徐々に解明されてきたのは、本当に我々民主党の方から、サンプル調査をやってくれと何度も国会でも申し上げ、あらゆる場所で申し上げ、それで徐々に解明されてきているんですよ。

 この百四十四万件、さっぱりわからないのであれば、常識的に、サンプル調査して改ざん率がどのぐらいなのかと。被害者の方は待っていますよ、一刻も早く救済を、補償を。ぜひ百四十四万件の、何で、これは自民党の方は不思議に思いませんか、サンプル調査ですよ、全件やれなんて言っていないんですよ。サンプル調査して、どのくらいおかしい記録があるのか調べる、これは合意されるでしょう。(発言する者あり)だめなの。これはおかしいですよ。サンプル調査ぐらいしてください、国民の立場に立って。

舛添国務大臣 本日、特別の調査チームをつくります。この後すぐ発足させます。

 そして、中に踏み込みますけれども、百四十四万件といったって、今申し上げたように、出産でまさに下げたり中小企業が完全なケアレスミスであったりする、では、そのサンプル調査、何件のうち何件かをやるよりも、可能性の高いところ、六十五以上の方は待っているんですよ。ですから、この十月の十四日から二万人の方々に直接データを持っていって確立していく、そのことの方が早い。

 私は、一日も早く人を救うためには、サンプル調査をやる手間暇があったら、一人一人のところにデータを持っていって解決する、これが最高のやり方だと思っております。

長妻委員 これは本来、消えた年金問題というのは社保庁の問題なんですよ。社保庁の課長クラスがまじめにやれば済む問題なんですよ、本来は。そこが隠ぺいして、そして大臣までも前向きに解決策に行かない。総理まで来ちゃう話にならないんですよ、普通は。でも、総理に聞かざるを得ないんですよ。

 総理、サンプル調査をやっていただけますか、リーダーシップで。リーダーシップで。

麻生内閣総理大臣 担当は舛添厚生労働大臣だと思っております。したがいまして、厚生労働大臣を指名した私としては、厚生労働大臣の御意見を尊重してやらせていただきます。

舛添国務大臣 これだけ難しいデータの山、そして、午前中の葉梨さんの意見もありましたように、全く不祥事の山、そして労働組合の問題、山ほどある中で、全力を挙げて私の特別チームが解明したからこの百四十四万件も出てきたんです。それは、それだけの努力を一年間やってきた、そのことについて、それは今後とも……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。静粛にお願いします。

舛添国務大臣 暇と手間を惜しまずに、こつこつと努力をしていきたいと思っております。

長妻委員 これは、多くの国民の皆様方のもとにねんきん特別便というのが今届いておられると思います、このテレビ、ラジオを聞かれておられる国民の皆様のところにも。

 ただ、我々が前から申し上げていたのは、ねんきん特別便の中に標準報酬月額を書いてくれと前から言っていたんですよ。ところが、それを書かずに強行して出した。何でかと聞くと、社会保険庁の幹部は、いや、それを書くと電話がパンクしちゃうんですと。それは国民の皆さんに正直にお知らせして、国民の皆さんに標準報酬月額の改ざんをチェックしていただく、こういうことを何でやらないのか、高い税金を払ってねんきん特別便を出して。

 そして、今回、百四十四万件という数字も、実は一定のカテゴリーのところから抽出した数字が百四十四万件で、実はそれ以外のまだ大きいところは手つかずなんです。それは二つあります。

 一つは、この厚生年金の記録がオンライン化された一九八六年二月より以前の記録は、記録の履歴が残っていないので、紙台帳に当たらなければ件数が抽出できないということで、これは全くほったらかされています。第三者委員会が認定した六十四件のうち、四割がオンライン以前なんです。つまり、四割がオンライン以前、その四割を手つかずなんですよ。

 そして、もう一つの重大な抜けは、今回は標準報酬引き下げだけを調査しているんですよ。

 我々、前から申し上げていたのは、偽装脱退というのが目に余るんじゃないか。この偽装脱退というのは、厚生年金に本当は入って会社も続いているのに、お金が大変だから、違法な形で全喪ということで事業は続いていないよという届け出を出して、事業主負担がなくなる、こういうようなケースなわけでありまして、それも、第三者委員会が認定をするものの七割が偽装脱退なんですよ。三割しか標準報酬月額の改ざんの疑いはないんですよ。

 その三割だけを見て、つまりパイの小さいところを見て百四十四万件ということなので、すべて、百四十四万件にこだわらず、全喪、つまり脱退した事業所すべて、あるいは標準報酬月額が下がったすべて、紙台帳にも当たってそれのサンプル調査をして、全容の改ざん率がどのくらいあるのか、これを出すというのが非常に重要だと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 何度も申し上げているように、やらないと言っていないんです。やるんだけれども、優先順位のつけ方ややり方の手法があなたと違うということ。

 それで、昨年七月五日、政府・与党が年金記録問題に対してきちんと方針を出しましたね。それに従って着々とやって、私は、政府・与党の一員として、その方法で間違っていなかったと思っています。

 というのは、標準報酬月額を最初から入れる作業、これは、標準報酬月額というのはそんなに、現物を見たらわかりますけれども、皆さんが読みやすいようにするのに物すごく手間暇がかかるんです。だから、まず急いでやることでねんきん特別便を送った。来年の四月一日から標準報酬月額を入れますが、もし最初から標準報酬月額を入れた形でやっていれば、こんなに速いスピードでねんきん特別便は送られていません。

 ちなみに、ねんきん特別便、この十月までに一億一千万人に全部送ります。そして、そのうちの四千万、今四千万人の方々がそれぞれ、自分については訂正なしであったり年金の記録は片づいた、こういうことであります。

 それから、御質問にお答えいたします。九六年……(発言する者あり)いや、質問三つありましたから、ちゃんと答えさせてくださいよ。九六年三月のオンラインの前、私が申し上げたのは、コンピューター……(発言する者あり)国民が聞いていますから、きちんと答える権利は私にもあるんです。説明をするべきですよ。

 オンライン上のものについて言うと、長妻さんがおっしゃったように、それは、オンライン上はぱっと前のを消せますよ、今のパソコンでもそうですから。証拠残りません。しかし、オンラインより前の紙は書きかえた跡があります。

 それが一つと、もう一つは、標準報酬月額の改ざんといっても、いろいろなケースがあるんです。例えば、従業員と企業主が一緒になってやったのは、これは彼らは加害者であって、救う必要はない。救わないといけないのは、従業員がちゃんと保険料を払っているのに、改ざんされたり捨てられたりした人は救わないといけないんです。

 そのことについて、今おっしゃった四割云々という数字は私もデータを持っていますよ。持っていますけれども、これは企業主が期間を改ざんしたんです。だから、標準報酬の改ざんのような難しいのはまさにそこに社会保険庁がかかわっているだろうと私が申し上げているので、全部の、ケース・バイ・ケースであって、しかも、それもやらないと言っているんではなくて、被害者の救済、一番重症で血を流して今すぐ助けないといけない人から助けていく、軽症の人は次だ、そういう順番をやって、私は優先順位をつけてきちんとやる。

 何にもやらないと言っていないんですよ。やるんだけれども、順番がある。我々のやり方が一番正しいやり方だ、そう信じております。

長妻委員 これは結局、我々もこういう手法でいつも逃げ切られてしまっているんですけれども、つまりどういう手法かというと、発覚した狭いところだけを調査して、そして、そこの部分だけ対応していく。私はそれも重要だと思いますよ。ただ、一番重要なのは全容解明なんですよ。何で、消えた年金問題が何年も前から発覚したのに、まだ全容がわかっていないんですか。何を怠慢しているんですか。何でサンプル調査をしないんですか。だめですよ、全容解明がまず先ですよ。

 そして、もう一つお伺いしたいのは、これも舛添大臣は判断できないかもしれないので総理にお尋ねしますけれども……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に願います。

長妻委員 不正免除問題のときに、その部署にいた社会保険庁の全現役職員、全OBにヒアリングしたんですよ。それで、ある程度の問題が抽出できたんですよ、全職員、全OBへのヒアリングで。

 それで、今回は、まさに標準報酬月額や偽装脱退、これはヒアリングをしてほしいと、これも何カ月も前から我々申し入れているんですが、しないというふうに言われておられるんですが、これはまたしないと言われるので、麻生総理、決断してください、ヒアリングしてください、全員に。

舛添国務大臣 今引用なさった国保の例の場合は去年の例で、ことしはみんなまだ記憶も新しいんですよ。この問題は、十年前とかさかのぼってヒアリングをやるよりも、特別チームで踏み込んでいってやった方が早いので、いろいろなやり方がありますけれども、私は私の方法できちんと結果を出します。

長妻委員 何で同時にやっていただけないんでしょうか、そういう全容解明を。何で社会保険庁を守る立場に立つんですか、大臣が。おかしいですよ。いや、我々は本当は大臣と協力してやりたいんですよ、協力して。ただ、大臣がブロックするから、大臣と対立せざるを得なくなっちゃうんですよ。

 我々は、今、本当に日本国は大変冷たい政府だと思う。冷たい政府だと思います。我々は、政権をいただければ、こんな冷たい政府から変えます。こういう年金通帳というのを出して、これをATMで印字して、ここにきちっと、払った金額が幾らで登録されているかな、はっきりわかる。そして受給額もわかる。ぜひ大臣、これを検討していただけませんか、その発行を。どうですか、大臣。

舛添国務大臣 我々は、電子データでそれをやる方法で今進んでおります。そして、それをやったときに、ではその通帳の管理はということになりますよ。ですから、きちんとアクセスしていただければ、ぴっしりデータでできますから。あなたたちの方法のみがいいわけではなくて、我々は我々できちんとやっています。

 それから、何度も言いますけれども、日本国は法と証拠に基づかないと刑事告発はできないんですよ。ですから、一人だというのは、相馬事案の一人にのみ筆跡で証拠が出たからやっているんですよ。

 私のところにもたくさん告発がある。どうか国民の皆さん、厚生労働省のホームページをあけてください。私直属のこの問題専用のメールをつくりましたから。職員の皆さんも、私しか見ませんから、どんどん告発してください、そして証拠を下さいと言っている。

 だから、かつて社会保険事務所に勤めていた方に、私が国会でもお願いをいたしました。こういうことがあって、上司に言われて改ざんしたというなら、何月何日、どこの会社のだれの従業員に対してどういうことをやったという証拠を出してくれということを言っているので、その証拠が出ないから、特別チームで入っていくとともに、それから、これは改ざんしたときの証拠は三年で破棄できるようになっているので、私が今全部とめてありますけれども、だから、国民の皆さんに来週から訪問していって、被害者の方の方が証拠を持っている可能性があるんです。ですから、そういう形できちんと対応したいと思っております。

長妻委員 本当にがっかりするんですけれども。

 そして、もう一つの問題は、これが例の先週明らかになった百四十四万件の、「平成二十年十月三日 社会保険庁」と記された資料なんです、百四十四万件が明らかになった。きょうは厚生労働省の官房長が来ておられると思いますが、これは官房長が九月十二日に自民党国対に呼ばれて、資料の提出についてのいろいろ説明を受けた、その方がきょう来られている官房長だと思うんですが、この資料は自民党国対に民主党に出す前に事前にお渡ししたのでございますか。

大谷政府参考人 十月三日の部門会議の資料のうち、今お示しになりましたこの五枚構成の「不適正な遡及訂正処理の可能性のある記録の抽出について」という文書につきましては、本体部分であります最初の三枚について事前にお知らせいたしました。

長妻委員 自民党国対に、我々が要求した資料をこの前の日に見せたということでございましょうか。なぜ見せる必要があるのでございましょうか。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 これにつきましては、九月十二日に、与野党間で国会のこういう資料作成についてのルールづくりをするということで、国対から要請がありまして、それに基づいて事前にお知らせしたものでございます。

長妻委員 ということは、我々民主党が要求した資料については、基本的には、既存の白書のようなものはそのまま出していいということらしいんですが、新たにつくる資料は自民党国対に見せる前に民主党には出さない、つまり、自民党国対に見せなければ民主党には出さない、こういうルールが今あるということでございますか。

大谷政府参考人 新しいルールをつくるというプロセスの中で、既存の資料等は別でありますけれども、新しく作成した資料については、こういったものであるということを事前にお知らせするというふうにしております。

長妻委員 とすると、これは例えば、いろいろこういう資料については、我々野党だけではなくてマスコミも独自に役所に資料要求するケースがあると思うんですが、そういうケースに関しても、ケース・バイ・ケースではやはり事前に自民党国対にお知らせする、こういうようなことでございますか。

大谷政府参考人 お答え申し上げます。

 これはケース・バイ・ケースでありますけれども、事前に与党にお知らせするということはございます。

長妻委員 私もマスコミにかつていたことがあるのでございますが、今の発言はちょっと耳を疑いませんか、マスコミ出身の議員もおられると思いますけれども。

 ケース・バイ・ケースで、マスコミから資料要求があったことも、私は、例えば、厚生労働省が大臣にお見せして、あるいは政務官にお見せして、副大臣にお見せして、これどうでしょうか、これお出しします、あるいは、いっぱい資料が集中したので、かなり事務が大変なのでこういう措置をとりますけれどもよろしいですかと、これは幾らでも構いませんよ。ただ、政府の役職に入っていない自民党国対という、職務権限も何にもない分野の方にマスコミの要求の資料も事前にケース・バイ・ケースでお見せをするというのは、これはどうですか。

 麻生総理、これは残念ながらここに国対を呼べないんですよ、自民党国対を。だから、こういう役職のある方がやる分には私はいいんです、政府の方がやる分には。しかし、そういう国会に呼べない方が何かイメージとしては裏の方でそういうやられているイメージがあるんですが、自民党総裁の麻生総理に聞かざるを得ないんですが、いかがでございますか。

衛藤委員長 総理の答弁の前に厚生労働大臣舛添要一君。(発言する者あり)委員長の議事整理権に従ってください。

舛添国務大臣 委員長に指名されましたのでお答えいたします。

 私は厚生労働大臣として、どういう書類をどこに出すか、だれに対して出すか出さないか、メディアで、例えば与党の先生方に対してであれ、それは私が全責任を持って決めるところであって、私は政治家であって、国会議員であって自民党の政治家でありますから、当然与党の国対、幹事長室と相談することもございます。最終責任は、私、厚生労働大臣舛添要一がきちんと負ってやっているということをお伝えしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 野党からの資料要求ということですけれども、自民党国対へ事前の相談の件ということですが、資料要求の実態を把握するため、自由民主党から各府省に対して事前に国対に相談するように依頼したものだと理解をしております。

 国会議員によります各府省への資料要求につきましては、過重な事務負担にならないようにルールづくりがされるべきだとずっと申し上げてきておったと思いますが、与野党間でルールづくりを進めていただくこともあわせて期待をいたしております。

 なお、議院内閣制をやっておりますので、大統領制じゃありませんから、議院内閣制のもとでの政府・与党の関係を踏まえますと、与党からこのような依頼に応じて資料要求について情報提供を行うことに特別な問題はないのではないかと思っております。

長妻委員 これは麻生総理、非常に不可思議だと思われませんか。今、多分どなたかが書いた答弁書をお読みになったのだと思いますが、資料要求の実態を把握するためであれば、事後でもいいじゃないですか。あるいは野党に出すのと同時でもいいじゃないですか。何で事前なんですか。つまり、事前に自民党国対に見せないと野党には渡らない。ストッパーがはまっているのですよ。

 これは何でだと思いますか。事後とか、あるいは同時じゃだめなんですか。なぜですか。

麻生内閣総理大臣 事後でいいなら、事前でもよろしいのではないかと思いますけれども。

長妻委員 麻生総理、よく考えていただきたいのは、事前というのはストッパーがかかるのですよ。つまり、自民党の国対にその資料をお見せする。例えば、自民党国対が忙しいということで仮に会わなければ、その期間、野党に対する資料の提出がおくれるということになるんですよ。

 では、今ここで明言していただきたいのは、これは事前のものはやめると。これをちょっと明言してください。

麻生内閣総理大臣 事前のものをやめるという気はありません。

長妻委員 いや、総理大臣に申し上げたのは、簡単に言うと今こういう仕組みがあるんですね。事前に自民党国対に知らせないと野党に出さないという仕組みがあるのです。これはもうやめていただきたいと思うのですが、ぜひ明言をお願いします。

麻生内閣総理大臣 これは基本的にそちらの国会対策委員会と私どもの国対とで話をされるべき種類の話であって、少なくとも政府としては先ほど申し上げた答えを変える気はありません。

長妻委員 いや、これはどう考えても私はおかしいと思う。

 そして、きょうは農林水産省の官房長も来ておられますけれども、この資料の三ページですね。農林水産省がこういう省内の資料を書かれておられます。これをちょっとお読みいただいて、事実かどうか、ぜひ御答弁いただきたいと思うのです。三ページです。

岡島政府参考人 では、読み上げさせていただきます。

    野党(政調等の組織を含む)からの資料要求について

    ((衆)(自)国対からの指示)

  野党(政調等の組織を含む)からの資料要求等については、既存の資料をそのまま提出するようなものを除き、各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み、(自)国対(村田(衆)(自)筆頭副委員長及び各省庁担当副委員長)に予め相談すること。

ということでございます。(長妻委員「今はどうなんですか。これを守っているのですか」と呼ぶ)これにつきましては、本日も御説明しましたけれども、当省の国会連絡室の担当者が内閣総務官室での連絡をメモ書きしたもので、不確かなものでございましたので、これは現在改定しております。

 というのは、その前のページのものがございます。「資料要求への対応について」というもの、これは九月十二日、当省の官房総務課の担当者が書きまして、それに別紙という形で私どもの国会連絡室が……(長妻委員「では、こっちが正しいの」と呼ぶ)それで、この二枚が一組になっておるわけでございますけれども、これにつきましては、大臣に御説明して、大臣から御指示いただきまして、修正したところでございます。

長妻委員 どこを修正されたのでございますか。どこを修正されたんですか。

岡島政府参考人 それでは、主な修正箇所というか、まず大臣から、基本姿勢として真摯にかつ速やかに対応することということ、その上で、当面以下の手順のとおり対応してくださいということでございます。

 それで、手順三につきましては、定期的に、一日一回とかそういうことではございません。官房総務課で取りまとめ、国対へ相談する。

 手順四につきましては、ちょっと誤解を招きました。相談の後、速やかに担当部局より依頼元へ資料を提出するということでございます。

 それから二枚目については、これは不確かなものであったということで、なくしております。

 手順については、以上のような形で改めて定めたところでございます。

長妻委員 では、一緒じゃないですか、何か言葉が変わっただけで。つまり、事前に自民党に相談して、農林水産省限りでは判断しないと。これが変わっていないということで、この縛りがどんどん厳しくなっていくと、私は、役所もこれに乗っかって資料が今まで以上に出てこなくなる懸念を強く持っておりまして、ぜひ麻生総理、自民党の総裁でもあられますので、この事前審査制というのは絶対にやめていただきたいということを強く強く要請いたします。

 そして、次に天下りの問題について。

 これも、税金の浪費がどのくらいあるのか、この根幹にかかわる問題で、今現在どういう状況になっているかと申し上げますと、これは民主党が要請した予備的調査というところで初めて明らかになった国の天下りの実態でございます。

 今、昨年四月時点で、国からだけですけれども、二万六千六百三十二人の方が四千六百九十六法人に天下っておられる。そこに、平成十八年度一年間に十二兆六千四十七億円の税金が流れております。一カ月に一兆円ずつ税金が流れている。このお金すべてが私は無駄だとは思いませんけれども、この中には、天下り団体を食べさせるために必要性の低い仕事をでっち上げて金を流し込んでいくケースもあると思っております。

 麻生総理、この中で大体どのくらいの金額が無駄だと思われますか。

麻生内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、この総額がどれぐらい無駄かというのを今申し上げるような資料もしくは調査資料を持っておりません。

長妻委員 では、財務大臣にお伺いしますけれども、お金を預かる財務大臣、どのくらいだと思いますか、程度的に。

中川国務大臣 総理から御答弁ありましたように、無駄という言葉は、私としては特に軽々しく使うべきではないと思います。

 その上で、十二・六兆円という数字の内訳を申し上げさせていただきますと、中小企業向け貸付原資、あるいは人件費とは関係のない事業実施経費が大半でございます。また、運営費交付金も使途がないものとして一・七兆円含まれているわけでございます。

 何を無駄と言うかどうかについては、私にはお答えできません。

長妻委員 今の説明は、財務省の官僚の説明と全く同じです。大臣御自身で調査していただきたいんです。

 大臣が言われるように、この十二兆円のうち、政府系金融機関に対する融資として流れる金は四・三兆円あります。しかし、その金も全部適正なのか。政府系金融機関から融資先に天下っているのは、日本政策投資銀行で十社に天下っている。国際協力銀行で四社、沖縄振興開発金融公庫で一社天下っている。ですから、聖域を設けずに、役人の言うことをうのみにせずに、本当にどこに浪費があるのかをチェックしていただきたい。

 そして、これは以前にも福田総理に質問をしたのでございますけれども、このわたりは今でも続いているんです。我々は、もう天下りのあっせんはやめてくださいと。これが税金浪費の温床だから、我々は、天下りのあっせんは全面禁止する法律を出しましたけれども、自民党の反対で通っておりません。

 先進七カ国を調査すると、国が天下りをあっせんしているという国はどこにもありませんでした、七カ国で。自分で探す分にはいいと思います。しかし、何で国があっせんするのか。

 しかも、我々は当然、一回目というか初めのあっせんをやめてくれと言っているんですが、それどころか二回目以降の天下りあっせん。

 これは先週金曜日に出てきた資料でございますけれども、平成十九年度に十八人の方が、これは認めた件数だけですから、私は氷山の一角だと思いますけれども、もう既に天下って民間人になっているんですよ。ここの表は、ここは民間人になっているんですね、真ん中は。再就職先法人。一たん民間人になって霞が関と縁が切れた、もうお役人じゃなくなった方にさらに二回目以降の再就職を霞が関の人事課がお世話するというのは、これはどう考えても即刻やめていただきたいと思うんですよ。

 これは、国民の皆さんも自民党の方も異論のある方はいないと思うんですが、麻生総理、ここでツルの一声を言っていただければあしたからとまります。ぜひお願いします。

甘利国務大臣 日本のあらゆる人材は日本にとっての経営資源ですから、優秀な人材を適宜適切に使っていくということは大事です。それに中立的な立場で関与するということで、官民人材交流センターというものが省庁から離れてできるということになったわけですね。

 その間、でき上がって三年以内にも省庁の関与するものはやめていこうということで監視委員会をつくるわけですが、これは御承認をいただいていないんですね。その間の対応についてどういう設計をするか監視委員会でいろいろ議論していただかなきゃいけないんですけれども、それの委員の御承認をいただいておりません。ですから、できるだけ早く承認をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 各府省のあっせんの話なんですが、これはわたりの話を言っておられましたが、官民人材交流センターに一元化するということにしたんだろうと思っておりますが、官民人材交流センターは、これは職員の離職に対していわゆる再就職の援助を行うもの。いわゆるわたりにつきましては、センターがあっせんを行うということはないというぐあいに理解をしております。センターが、昨年たしか設立したんだと思いますが、国家公務員法改正法の趣旨に沿って機能するよう準備を進めていくというのが我々の立場であります。

長妻委員 総理、全然御関心がないんでしょうか、センターは昨年設立されていません。年内に設立される予定なんですよ。

 そうすると、総理、悠長なことを言っておられますけれども、では、二回目以降の天下りあっせんがとまるのはいつですか。

麻生内閣総理大臣 法律が昨年できたのでしたね。(発言する者あり)先ほどの質問に答えておりますので。(長妻委員「これがとまるのはいつですか」と呼ぶ)

甘利国務大臣 あっせん、わたりは各省庁がやっているわけですね。各省庁がやっていることについて、その経過措置として、監視委員会が適切かどうかを判断するわけですよね。だから、その判断をするところをつくってくださいと。(長妻委員「では、いつやまるんですか」と呼ぶ)だからつくってくださいよ、そこで設計しますから。だって承認していただいていないんですから。承認をしてくださいということです。

麻生内閣総理大臣 今、甘利大臣がお答えしたとおり、これはたしか法律できちんと対応しようというところが法律ができないんじゃないんですかね、今。たしかそうなっていたんじゃありませんか。私はそう理解をしておりますので、もし理解が違っておりましたら、それは私も完璧じゃありませんので、全部が全部知っているわけではありません。

 だけれども、私どもとして、今、甘利大臣のお答えしたところと私の考えと基本的に違っていることはありません。

長妻委員 総理、本当にごまかさないでいただきたいんですが、じゃ、いつ二回目の天下りというのは日本国からなくなるんですか。いつですか、大体。

甘利国務大臣 何度も説明していますように、現状のあっせんは省庁がやっている。それから離れて中立機関が人材を、中立的な、省庁と中立した立場の官民人材交流センターをつくって、そこがあっせんをする、現役から外れるときに。その間、三年間は省庁のそういう対応を認める。ただし、その場合には監視委員会が承認することという、御承知でしょう。

 その監視委員会の人事というのは国会承認人事なんですよ。民主党が承認していただいていないじゃないですか。その設計を、その詳細な、一回目、二回目以降どうする云々のことについて、この監視委員会できちんと設計しなきゃならないんですよ。その人事を承認してくださいと言っているんです。

麻生内閣総理大臣 今の補足になると思いますが、官民人材交流センターの設置後三年を超えない期間に限り、今言われました再就職等監視委員会の承認を得た場合には、各省にあっせんを暫定的に行えるとしている、これは御存じのとおりです。その文章ですから、この法律ができ上がったら三年後です。

長妻委員 いや、ちょっとこれは総理、三年後にやめるかどうかわからないけれども、やめるかもしれないということですか。そんな悠長なことでいいんですか。総理のリーダーシップでやめてくださいよ、すぐに。

 そして、もう一つは、先ほど甘利大臣から官民人材交流センターの話がありました。我々は、絶対こういうのはつくらせませんよ、こんなとんでもない組織ですから。

 つまり、今まではこそこそやっていた天下りを、省庁がこそこそやっていた天下りを、今度は合法化して、官房長官トップの官民人材交流センター、我々に言わせたら天下りバンクですよ、天下りあっせんセンターをつくって合法的に押し込んでいこうというものじゃないですか。そして、これは年内にできるわけですよね、年内に。これは絶対つくらないでください。

 聞いたらば、ここに一年間に、年間予算が十億円かかるというんですよ。これをつくるのであれば、天下りあっせんは禁止して、御自身で探していただく。一般の方は就職情報誌とかハローワークへ行って仕事を探しますよ。何で官僚の人はこういう特別の組織で恵まれた天下りを世話するんですか、税金で。

 それで、これは私、もう一回、本当にびっくりしましたのは、この官民人材交流センターでございますけれども、これは閣議決定の文章なんですよ、閣議決定の文章なんですけれども、これが年内にできるということは決まってしまったわけですが、こういうことが書いてあるんですね、役割として。閣議決定の文章ですよ。「再就職ニーズに十分対応した積極的な求人開拓営業・キャリアコンサルティングの実施等により、センターの再就職支援機能の重点的強化を図る。」と書いてあるんですよ。

 今までの政府の公式見解は、天下りというのは、相手の企業とか法人からちょっといい人いませんかと聞かれたから情報提供をしているだけなんだ、それ以外の売り込みはしていませんというのが公式見解だったんです。

 今度もっと悪くなるのは、「積極的な求人開拓営業」ですよ。これは閣議決定の中に書いてある文章ですよ、大臣も御存じのように。今度は押しつけもオーケーですということで、これは本当にやめてください。恥ですよ、先進国の。何でこんなものをつくるんですか。もう天下りあっせんをやめてください、あっせんを。

甘利国務大臣 先生の御持論は、職安に行けとおっしゃるんですね。

 民間の人は雇用保険がありますから、職安で見つかるまでは、最低のセーフティーネットとして失業給付があります。公務員というのは失業保険がないんですよ。ないんですよ。だから、やめた途端に生活保障がなくなるんです。だから、ちゃんと、やめたときには、次につながるようにしていかなきゃいけないんですね。(長妻委員「では、同じにすればいい」と呼ぶ)いや、同じようにすればいいって、それは、だって、身分保障とのかかわりで雇用保険がないんですから。(発言する者あり)そうです。

長妻委員 いや、今のこういう発想は捨てていただかないといけないと思うんですよ。官尊民卑の発想なんですよ。

 つまり、私、この天下りバンクのようなものを何でつくるんだ、本当に就職情報誌とかハローワークで一般の方が苦労されて探している、そういう形にしたらどうですかと官僚の人に聞いたんです。そうしたらば、私の部屋に官僚の幹部の方が来られて、いや、長妻さん、ハローワークじゃ仕事が見つからないんです、こういうふうに官僚の方が私に言われたんですよ。

 ハローワークというのは厚生労働省がやっているんですよ。自分たちはハローワークに世話になっていないから、役人はいいかげんに運用する。社会保険庁で何で厚生年金と国民年金がいいかげんに扱われたか。国家公務員共済は社会保険庁で扱っていないからですよ。特別扱いだからですよ。

 国民の皆さんの制度はいいかげんに運営する、こういう嫌いがあるから、これはハローワーク改革の逆に絶好のチャンスだ。こういうのをやめて、毎年十億円の税金をハローワークに注ぎ込んで、官僚の方もハローワークで仕事を探すようになれば、自分たちのことだから、もっといい仕事が見つかるようになりますよ。麻生総理、決断ください。麻生総理。

甘利国務大臣 官僚は、私は三高を目指そうと。つまり、高いモラルと、高いモチベーションと、それから高い能力を持つ人が集まる、そういうふうな公務員制度改革にしてまいります。そうすると、その人材は、日本という国にとっての貴重な経営資源になるんですよ。

 その人たちの情報をきっちりと提供していく。そして、生活の保障が途切れる期間がないように、ちゃんと適材適所に情報提供して、第二の人生を送るということをきちんとできるようにした方がいいと思ってやっているわけでありまして、これはいわゆるセーフティーネットの役割も果たすと思います。

麻生内閣総理大臣 基本的に、官僚を身分から職業に変えるというのは基本なんだと思うんですね。(長妻委員「これはやめたらいい。これはやめるんですね、では」と呼ぶ)

衛藤委員長 長妻昭君。(長妻委員「いや、総理に聞いているんです、質問に答えていないから」と呼ぶ)立席して質問してください。立って質問してください。

長妻委員 だから、官民人材交流センターみたいなのはやめると明言してください。

麻生内閣総理大臣 私は、それをやめるというようなことを申し上げたことはありません。

 基本的には今のが基本だと思いますが、直ちにそれができるかといえば、なかなかできにくいというのは御存じのとおりだと思います。少なくとも、これまで、肩たたきやら何やらの部分が全部定年までざあっと延長する等々、いろいろなことを考えてこれまでやってこられたという長い長い歴史だと思いますので、そういったことも勘案してやっていく。

 そういった意味で、各省庁があっせんするのにかえてこの交流センターをつくらせていただくということをしております。その結果、この法律が通りました暁には三年以内ということを申し上げておるというのが事実であろうと思っております。

長妻委員 総理、総理も民間経験がありましょうから、これは、官房長官がトップのこういう天下りバンクのような組織が民間に、例えば財団法人、補助金をもらっている財団法人に、これは「積極的な求人開拓営業」ですから、ちょっとうちの官僚の人を、老後を面倒見てくださいと売り込んでいったら、断ることができると思いますか、民間が。補助金や仕事をもらっているところが。あるいは企業ですよ。企業が本当に断ることができると思いますか、こういう売り込みがあったらば。国と契約している企業や国から補助金をもらっているところとか。これは本当に酷な仕組みだと私は思いますよ。民間に、今度は大上段に構えてこっちから押し込んでいく。これは民間は断り切れないですよ。もうこれ以上疲弊させるのはやめてください。

 麻生総理に御決断いただきたい。あっせんをもう全部やめる、あっせんはもう全部やめると。

麻生内閣総理大臣 企業というものは四百二十万社ありますけれども、実にいろいろだと思います。素直に受け入れて、嫌々ながら受け入れて、喜んで受け入れて、全く断って、いろいろ種類があろうと思いますので、一概にあなたの言われるような感じですべてが全部そうなるという感じがしたことはありません。

長妻委員 いや、総理、私も民間企業からそういう愚痴を何度も聞いたことがありますよ、本当に受け入れざるを得ないんだと。あるいは財団からも。本当に困っていますよ。もうやめましょうよ、こういう押しつけ型天下りというのは。ぜひ、総理、ちょっと御決断いただけなかったんですが、これは粘り強く、先進七カ国と同じように日本も天下りのあっせんのない国、税金の浪費の温床なんです、それをやめさせるということをこれからも取り組んでまいります。

 そして、ちょっと年金問題に戻りますけれども、今五千万件の、これが例の問題になった宙に浮いた年金記録でございますけれども、これと先ほどの標準報酬月額の話というのは全く別の話で、この五千万件とはまた別の問題が標準報酬月額改ざんの疑いの問題でございます。

 では、この消えた年金問題は今どうなっているのかと調べますと、八月末時点で七百五十一万件が統合された、しかし、多くの記録はまだ金は戻ってこない。こういう状況で、これは、政府が言っておりますのは、五千万件すべてを統合する必要はないんだ、最大で四千四百万件は統合すべき記録なんだと言われておられるので、四千四百万件をこれまでの進捗の期間で割ると、このスピードでいくと、全件統合するまで十二年かかるんですよ、十二年。

 本当に我々は福田総理の時代から、国家プロジェクトで人、物、金を集中投下して取り組んでいただきたいと言っているんですが、いまだに社会保険庁の夕方の余った時間で、片手間仕事のような形でこれに取り組んでいるんですよ。

 そして、重要な対策としては、八・五億件の紙台帳、これを見つけさせましたよ。国民年金、厚生年金の納付記録が記された紙台帳が八・五億件ある。これをすべてコンピューターデータと早急に照合してください。確かにこれは人手はかかります。大変な作業だと思います。そうしたらば、やっと今年度三千三百万枚やる、一年間で。ということは、今年度三千三百万枚だから、今やっているんですけれども、割り算すると二十五年かかるんですよ、これも、全部照合するのに。

 舛添大臣、八・五億件の紙台帳の照合は完了はいつですか、終わるのはいつですか。

舛添国務大臣 二つぐらいのことを御質問なさいましたから、きちんと時間をいただいてお答えをしたいと思います。

 まず、この記録問題、これはもう本当に大変な不祥事であって、国民の皆さんに謝罪するとともに、全力を挙げて今もやっておりますが、前から申し上げているように、二つの方法で、二つの車輪を回しながらやっています。

 一つは、今長妻議員がおっしゃった、データからやっていく。しかし、そのデータの中に、全く存在しない架空の人名をでっち上げたこともあります。したがって、もう一つの手で、ねんきん特別便、先ほど申し上げましたように、お送りする。大部分の国民の皆さんにはお送りしたと思います。そして、ねんきん特別便で一人一人に御協力いただいて確認できたものが四千万件ございます。

 そして、データは今申し上げたようにいろいろな問題がありますが、それは名寄せの中で統合された記録でありまして、死亡したり脱退手当金受給などが千五百八十八万件あります。それから、千四百十五万件、今後進める記録、細かい数字は先般の九月の閣僚会議できちんと私は定期的に報告をいたしておりますけれども……(長妻委員「何年ですか」と呼ぶ)ちょっと待ってくださいよ。最後まで人の説明をきちんと聞いていただきたいと思います。それで、そこは三千二百五十一万件、既に一定の解明がなされている。

 そこで、これは平成十七年から、積もり積もった六十五年間の不祥事の山をやっているわけですから、あなたもやったことがない、私もやったことない、未知の領域に、一個一個やっているわけですから、例えば八億五千万枚について画像データを来年度やっていく、そして、それを回しながらやっていくわけですから、そういうことで工程表をつくっていきますけれども、しかし、これはまさにやってみないとわからない。しかし、こつこつと最後まであきらめず、最後の一人、最後の一円まできちんとやる、そういうつもりでやっていきますので、だれもやったことのない仕事だということを御理解いただきたいと思います。

長妻委員 麻生総理、本当はこういう話は総理まで行く話じゃないんですよ。きちっと担当の方がやっていただければいい話で。

 これは総理に御決断いただきたいんですけれども、八・五億件の紙台帳の照合、これは速やかに、できる限り早く、二十五年などと言わないでやっていただきたいんですが、何年でやっていただけますか。

麻生内閣総理大臣 先ほど、やったことのない仕事をやるのに当たって何年と言って明確なことが言える人はおらぬと思います。二十五年というのはあなたの計算であって、少なくとも舛添大臣から二十五年という話を聞いたことがありませんので、単純計算をされて二十五年と言われる算定の根拠はわかりましたけれども、それを厚生省の見解として二十五年という話を聞いたことはありません。

長妻委員 麻生総理、民間企業では、何かプロジェクトをやるときに、大体めどは何年だと決めますよね、期限。これはプロジェクトじゃなくて、御迷惑かけた国民の皆さんに対する補償なんですよ。大体何年ぐらいのめどもさっぱりわからぬ、こういうことじゃ困るので、これは民間企業でも、大体何年がめどだよと。これは、ボトムアップじゃなくて、総理からリーダーシップで何年でやれと言わないと進まないんです。本当に進まないんです。麻生総理、期待していますから、ぜひ年限を言ってください。

麻生内閣総理大臣 少なくとも物理的なこと、初めてのことをやるのに、いつごろまでと言われて、めどと言われても、らしかなんという提案をやったことがありませんから。少なくとも、それで、民間企業だったら今この場で、二十二カ月でできます、二十五カ月でできますと、とても民間企業でも言える数字ではないと私ども思いますので、先ほど舛添大臣が答えられたとおりですから、残余の質問につきましては、舛添大臣からお願い申し上げます。

衛藤委員長 厚生労働大臣舛添要一君。(長妻委員「きちっとこれは事前に質問を通告して、ちゃんとお考えになってお答えくださいというふうに私は言っているんですよ」と呼ぶ)

舛添国務大臣 委員長の御指名を受けましたので、お答え申し上げます。

 紙台帳の突き合わせのスケジュールにつきましては、平成二十年度、国民年金の特殊台帳三千三百万件の突き合わせを実施いたします。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いいたします。

舛添国務大臣 平成二十一年度は、紙台帳を電子画像化し、検索システムを整備します。平成二十二年度、二十三年度、検索システムを活用し、記録確認の申し出のあった受給者、加入者については突き合わせを実施します。並行して、申し出のない受給者についても実施します。続いて、申し出のない加入者について実施します。

 ということでありまして、予算の限度があり、また、そして人員の限度、プロがやらないとできない面もあります。着実にそういうことでやっていきますから、二十五年という数字を私は一度も申し上げたことはございません。着実に一歩一歩やってまいります。

長妻委員 いや、これはお役人と話しているのと同じです。

 基本的に、仕事はめどがあるんです、どんな仕事でも、どのぐらいの期間でやるという。めどのない仕事は終わらない仕事なんです。

 参考人招致を委員長に要求いたしますけれども、これは、全く国会に呼ばれていない、責任追及する、すると言いながら、この消えた年金問題、全く責任追及がされていません。

 国民年金の紙台帳は、廃棄命令が出てほとんど捨てられてしまいました。この廃棄命令を出したときの当時の長官、正木馨元長官の参考人招致、この方は今、天下りをされて、何カ所目かの天下り団体におられますけれども、そしてもう一つは、政府がヒアリングした佐々木典夫元長官、そして真野章元長官、三人の参考人招致をして、これだけ巨額の解決金がかかる話でありますから、せめて、どういう状況だったのか、どこに問題があったのかぐらい国民の皆さんの前に明らかにする義務がやはり国会にはあるというふうに思います。

 いまだ、びっくりするのは、社保庁の職員に至っては、消えた年金問題で処分された人は一人もいない、ゼロだ、こういう驚くべき優しい自民党政権なんですよ、役所に。

 ぜひ参考人招致、お願いします。

衛藤委員長 ただいま委員から要求のありました三人の参考人の件につきましては、後刻理事会で協議いたします。

長妻委員 そして、後期高齢者医療制度の案件に移ります。

 これは、七十五歳という年齢で区切ってまとめて一つの保険にするというのは先進国ではあり得ないわけで、病気にかかりやすい人だけを一グループにして保険が成り立つわけがありません。当然、目的は、集中的に七十五歳以上の方の医療費を削減していく。それによって必要な医療までも削られるという懸念を我々は持っておりまして、今、日本は、国民一人当たりの医療費は先進七カ国で最も低い、そしてGDPの比率でも総医療費は先進七カ国で最も低い、そして人口千人当たりの臨床医、お医者さんの数もカナダと同じで先進七カ国で最も低い。そういう状況でさらに削っていくというのは、今の手法に無理があるというふうに考えております。

 舛添大臣は、年齢で区切るのをやめるという舛添三原則を出されて、その後それを引っ込められて、今度は県民健康保険というのを提唱されておられますけれども、この県民健康保険と七十五歳以上の保険を合体する、こういう構想だということなんですが、具体的にいつから始めるんですか。

舛添国務大臣 私は、私のアイデアは撤回した覚えは全くありません。

 私が申し上げたのは、厚生労働大臣として、後期高齢者医療制度をきちんと定着させるように努力に努力を重ね、私が一番この制度の問題点もいい点も知っています、たくさん問題点もあり、しかし、いい点もたくさんあります、それはきちんと残していかないといけない。

 その中で、しかしながら、御高齢の方々がこれは嫌だと。なぜ嫌だというときの一番の問題は、今委員がおっしゃった七十五歳以上を切り離すということが嫌だというのですから、それに対する解決策を求めましょう。そして、もう一つは、年金からの天引きだけしか方法がないというのも嫌だ。こちらについては一部緩和しますし、さらにもっと選択肢をふやそうとしている。

 ですから、そういう御高齢者の心情に配慮して改善して改革していくというのは自公合意ですから、その方向で出た答えであればいいので、それはみんなで知恵を働かせて一年を目途に出しましょう。

 私が申し上げたのは、今申し上げた、地域保険の概念でいくと後期高齢者制度のいい点は残してやれる、これはしかし、皆さん今から議論をして、御高齢者の心情はきちんと満足できるようにしたい、そういう思いで頑張ってまいります。

長妻委員 これは舛添大臣、持論というか政策をまた撤回されたんですか。

 つまり、今聞いたのは、県民健康保険をつくると言われているので、これは舛添大臣、いつからつくるんですかというふうに言ったんです、中身と。

舛添国務大臣 民主党の皆さんは、廃止をする、そして一元化をするとおっしゃるときに、大臣は何も案がないじゃないかと言うから、私の私案はこうですということで、地域の保険というのはまさに県民保険で、一つのアイデアを申し上げた。しかし、これは国会できちんと議論をして一年を目途にやろうと言っているわけですから、国権の最高機関の国会で、皆さん方も入れて、もっといい制度をつくることで努力をするということでやっていきたいと思っております。

長妻委員 いや、これは大臣、私は、こういう話で大臣とあるところで御一緒したときに、早ければ来年の四月から新制度をスタートします、こういうふうに言われているんですよ。だから、県民健康保険というとどういう制度なのか。これは我々も本当に吟味しなきゃいけないので、どういう制度なんですかと。では、県民健康保険という名前は、こういう名前なんですか。

舛添国務大臣 国保が破綻状況にある。それをどういうふうに救うかということで、例えば突き抜け型であったり独立型であったり、いろいろ出てきました。

 それぞれにプラスマイナスがありますけれども、私は、実施責任者として、これほどまでにこの長寿医療制度に対する御高齢の方々の反発が強いということを感じて、それならばその反発を緩和する方法として、今は、県ごとに国保と長寿医療制度を統合する形、そういう形を私案として持っておりまして、その中で、例えば一、四、五という割合は残していく。しかし、長期的には、けさ園田委員がおっしゃったように、公費の割合をやはり財源を考えるとふやしていかないといけないかな、こういう財源調整の問題。

 それから、なぜ今広域連合でやっているかというのは、県が嫌がるんですね。県が嫌がらないようなシステムをどう構築するか、これはやはり党派を超えてみんなと議論しながらやっていきたいと思っております。

長妻委員 やはり、年齢で区切るというのは一切やめる。そして、医療にも無駄が当然ありますから、そういう検査が二重になるとか、あるいは国立病院の談合体質とか、薬のメーカー上位三十社に、十八社に天下っているとか、こういういろいろな高コスト体質がありますけれども、それにメスを入れた上で、やはりこれ以上の公費の削減というのは私は限界があると思いますので、ぜひ年齢の差別は一切やめていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 次回は、明七日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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