衆議院

メインへスキップ



第5号 平成20年10月8日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十年十月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 岡田 克也君 理事 前原 誠司君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    臼井日出男君

      小野寺五典君    尾身 幸次君

      大塚 高司君    大野 功統君

      岡本 芳郎君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      中馬 弘毅君  とかしきなおみ君

      中森ふくよ君    仲村 正治君

      長島 忠美君    根本  匠君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      広津 素子君    深谷 隆司君

      三原 朝彦君    山内 康一君

      吉田六左エ門君    若宮 健嗣君

      笹木 竜三君    武正 公一君

      中川 正春君    原口 一博君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      松本 剛明君    山井 和則君

      笠  浩史君    渡部 恒三君

      赤羽 一嘉君    伊藤  渉君

      上田  勇君    西  博義君

      笠井  亮君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    保坂 展人君

      糸川 正晃君    鈴木 宗男君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   法務副大臣        佐藤 剛男君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   文部科学副大臣      松野 博一君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   農林水産副大臣      近藤 基彦君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   文部科学大臣政務官    浮島とも子君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第四局長            鵜飼  誠君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         栗本まさ子君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    坂野 泰治君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月八日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     中森ふくよ君

  小池百合子君     山内 康一君

  坂本 剛二君     若宮 健嗣君

  園田 博之君     長島 忠美君

  三原 朝彦君     とかしきなおみ君

  赤羽 一嘉君     西  博義君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  阿部 知子君     保坂 展人君

  糸川 正晃君     鈴木 宗男君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   三原 朝彦君

  中森ふくよ君     尾身 幸次君

  長島 忠美君     園田 博之君

  山内 康一君     大塚 高司君

  若宮 健嗣君     広津 素子君

  西  博義君     伊藤  渉君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  保坂 展人君     阿部 知子君

  鈴木 宗男君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     小池百合子君

  広津 素子君     坂本 剛二君

  伊藤  渉君     赤羽 一嘉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 三案に対する基本的質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府食品安全委員会事務局長栗本まさ子君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁長官坂野泰治君、社会保険庁運営部長石井博史君、農林水産省大臣官房長岡島正明君、農林水産省総合食料局長町田勝弘君、中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長小武山智安君、会計検査院事務総局第四局長鵜飼誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島敏男君。

小島委員 おはようございます。自由民主党の小島敏男です。

 委員長のお許しがありましたので、ただいまより質問させていただきます。

 暗いニュースがいっぱい続いているんですけれども、昨晩ノーベル物理学賞の発表があり、日本の方が三名推薦をされて受賞する喜ばしいニュースが入りました。久しぶりのことですので、まず総理からそのことに対して所感をお伺いしたい。それと同時に、担当の塩谷文部科学大臣からもいただきたいと思います。よろしくお願いします。

麻生内閣総理大臣 正直、おおっというようなニュースだったんじゃないでしょうか、ほとんどの方が。多分、それが正直な反応じゃなかったかなと思います。お一人の方は私と同い年だったので、ああ、おれぐらいの年とってもノーベル賞がとれるという頭のやわらかさがあるんだろうと思いましたけれども。あのうちお二方は、南部先生以外は日本に住んでおられますので、お二方にお祝いの電話を申し上げたんですけれども、何とも言えず反応がおもしろかったな、正直。こういう頭のいい人は全然発想が違うなと思って、参考になりましたけれども。

 いずれにしても、国民としては大変誇らしく思いましたし、物理学という、とても私はついていける頭じゃないんですけれども、あの内容の話をとてもわかるわけではないんですが、とにかく、湯川秀樹以来この部門というのは、日本の方がこれでノーベル賞だけで十六人目だか十五人目だと思いますけれども、三人の方が一挙にとられたというのは久々に明るいニュースだったと思って、うれしく思うと同時に、大変誇らしく思いました。

塩谷国務大臣 ただいま総理からお話ございましたように、本当に我々もびっくりしております。

 月曜日から発表があって、月曜日はなかったものですから、ことしもだめかなと思っておりましたが、六年ぶりに我が国の受賞ということで、しかも三人ということで、大変うれしく思っておりまして、南部氏、小林氏、益川氏の物理学賞は、日本の研究レベルの高さを証明したと同時に、やはり日本の誇りであり、これから若い人たちにも夢を与えると思っております。

 特に、三名が受賞された素粒子物理学の分野では世界的にもかなり高いレベルだと言われておりまして、もっと早くとってもよかったのではないかという意見もありますが、しかしながら、なかなかこの選考も難しいわけでございます。

 ただ、三名が出した理論に対して、我が国我が省が、高エネ研という研究機構のBファクトリーというところでまたその理論が証明されたという点でも非常に我々としては喜んでおるわけでございまして、今後、こういった学術研究、特に基礎研究の分野がいかに大事かということで、これからの学術研究、そして研究開発に対してより一層力を入れてまいりたいと思っております。

 大変、最近では明るいニュースに喜んでいるところでございます。

小島委員 昨晩の明るいニュースから始まったわけでありますけれども、中山成彬文科大臣のときに、私は今の塩谷大臣と一緒に副大臣をやったんです。文科副大臣をやったときに、いつもいつもこのノーベル賞の話が出るんですけれども、何としてもかすらなかったですね。きょうは塩谷大臣はにこにこしていますけれども、ようやく、三人一遍にということですから、これから続々続くように行政の方もしっかりやっていただきたいと思います。

 私は、麻生総理大臣とは、もう三十年前からおつき合いがあるわけなんですけれども、総理が昭和五十二年に社団法人の日本青年会議所の会頭に立候補されたわけでありますけれども、そのときに私は、埼玉県下で一番古い青年会議所、熊谷青年会議所の理事長だったわけなんです。

 そういうことで、立候補したときに、ちょうど広島の望月さんという方と二人が立候補されて、一騎打ちだったんですね。それで、日本青年会議所では、本当にまれなんですけれども、四十七の都道府県全部その二人が回って、そして、自分の立候補のあいさつをするというのは総裁選みたいな感じですけれども、それをやったわけなんです。

 大宮国体記念会館に行ったときに麻生総理の話を聞いたんですけれども、あの当時と全く変わらないですね。あのときはまだ三十八ぐらいじゃないですか。変わらないですよ。

 それで、埼玉県で一番古いということで熊谷にお越しになったんですけれども、そのときに役員のみんなとすき焼きを食べながら話をしたわけなんですけれども、今もってあのときの肉はうまかったと覚えていてくれるので、本当にうれしく思っているんですけれども、そういうことがありました。

 それから、その後は、今度、私が県議会議員のときに、麻生青年局長、自民党の青年局長として、フィリピン、マレーシア、あそこへずっと行ったんですけれども、船田元先生とか藤井孝男先生、今民主党で活躍されている山岡賢次先生、みんな一緒に青年局の主催のところに行ったんですけれども、そんなことも大変に私としてはいい思い出になっています。

 そういうことで、今度総理になられたので、これからもしっかりと頑張っていただきたいと思います。

 まず、質問に入ります前に、総理の所信表明演説がありますね。あれはすごいですね。私はまたもう一回読み返したんですけれども、今までの所信演説でこういう書きぶりをした総理は私はいないと思いますよ。全く違った、歴史に残る名文だと私は思っています。

 ねじれ現象で、そのために二人の総理が一年でおやめになったということで、普通ですと今の状態の中ではなかなか踏み出せない部分なんですけれども、それをあえて総理に立候補されたということでありまして、不退転の決意が演説にはみなぎっていると思います。

 そこで、総理に質問をしたいんですけれども、ある方が、自民党には不満がある、しかし民主党では不安だと言ったんですね。そうしたらば、たまたま読み返したら、所信表明演説の五ページに載っているんですよ、不安と不満が。(発言する者あり)いや、これは総理が答えるでしょう。これが一つ。

 それからあと、総裁選挙の前に、今、中曽根外務大臣がおりますけれども、中曽根外務大臣のお父さんの元総理、中曽根康弘先生のところに私伺いました。そこで私は聞いたんですけれども、麻生太郎という人は、やはり祖父である吉田茂の後ろ姿を見て総理になりたいと思ったんでしょうかと質問したんですよ。そうしたらば中曽根大勲位は、腕組みしながらにこにこと笑って、私はそうは思わないと言うんですね。恐らく彼は、衆議院議員になったときに、絶対に総理になるんだということを心に誓ったんではないかなというのが中曽根元総理のお話でした。

 そういうことで、そういうことを含めて、不満と不安、それから総理になった自分の心構えはどこから出てきたのか、この辺をお伺いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 暮らしの安心のところで不満と不安ということを申し上げたんですが、今、世の中には生活に対する不安、いわゆる景気の先行きに対する不安、そして、それに対応できない政治への不満で埋まっているんですが、とにかく不安というのはエネルギーを生まない、ただ人を立ちすくませて不安になるだけ。不満はエネルギーになるけれども、不安はならない。したがって、我々としてはこの不安の解消というのが最も今喫緊の課題、最も急いでやらねばならぬ課題ではないかということを所信で申し述べたと存じます。

 いつごろ総理大臣になろうと思ったかと言われると、ちょっと正直に言って、子供のときは最も嫌な職業だなと思って見ていましたな。毎朝、うちを出ると新聞記者の人がいっぱいたかっていて、こうやって私ら小学生をつかまえて、おまえのじじいが死ねば日本はよくなるよなんて毎日こづかれていましたから、ようぐれずにここまで成長したものだと思って自分で感心していますけれども、それが子供のときの時代でした。

 ですから、あのころ世論調査なんてあったらきっとめちゃくちゃだったろうなと思いますけれども、それが毎日の生活でしたので、総理大臣とか政治家になる気は子供のときには全くなかったと思います。

 政治家になろうと思ったのは青年会議所に入って全国を歩いたころぐらいからだったと思いますけれども、総理になろうと思ったのは、政治家になったらとは思っていましたけれども、中曽根先生言われましたように、政治家になったころぐらいからだと存じます。

小島委員 それでは、中曽根先生のお話が出たところで、今度は与謝野先生にお伺いをしたいと思うんですけれども、与謝野先生が「堂々たる政治」という本を書かれました。

 この本は、一読したら本当にすばらしいですね。そういうことで、私はこの本を、先生のところに行ってお話ししたんですけれども、すばらしい本だということなんですが、この中で書いてあるのが、ちょうど五十ページですか、「たとえば、どこかの会社の入社試験に「自民党と民主党の差を述べよ」という論文が出されたら、どんな答案が返ってくるのだろうか。「専門家」であるはずの私とて、正解を書く自信がない。一体どこに差があるのか。」こういうことが書かれているんですね。それで、「自民党の「売り」、民主党の「売り」がなくなったということである。」そういうくだりが書いてあるんですけれども、この辺の考え方についてひとつ伺いたいと思います。

 それからもう一つは、ちょうど野党に転落したときの話が書いてあります。これは、野党に転落したときに、中曽根先生の秘書をされたということでありますから、中曽根先生のところに与謝野先生が伺って、「「先生、野党の仕事って何ですか」と尋ねた。その答えは、「何が何でもそのときの政権を倒す。政策も何もない。とにかく政権を倒すことが野党の仕事だ」」と言ったんですね。それで、今度、新聞社の人がこの本を読んで聞きに行ったんですね、中曽根先生のところへ。これは中曽根先生の言葉ですかと聞きに行ったらば、いや、そうじゃない、これは三木武吉さんの言葉だという話をされたんですね。それがその新聞に載っていました。

 この二つの点について、今ねじれが起きて野党が政権交代と言っていますけれども、この辺も含めて与謝野先生の考え方をお伺いしたいと思います。

与謝野国務大臣 政治というのは権力闘争的な側面がありますから、野党が与党政権を倒して政権の座に着こうとするのは自然な行動だろうと思います。ただ、国の外交にかかわること、国の安全保障にかかわること、国民の社会保障、社会福祉にかかわるようなことはやはり政争の対象にしてはいけないんだろうと私は思っております。

 ここ三年ほどの国会を見ておりますと、やはりそういうものが政争の対象になって物事が決まらない、そういう状況が繰り返されている。むしろ、与党の方は話し合いたい、時の政権も話し合いたいということでございますけれども、野党の皆様方は応じてくださらない。これは国会の本来のあるべき姿からはかけ離れている、そういうふうに私は思っております。

 もう一点、自民党と民主党の差がなくなったというのは、要するに、政党がイデオロギーを基礎にしていないという、イデオロギー、特に社会主義社会が崩壊したということに起因をしていると思います。岡田さんや前原さんが民主党の責任者をされているときは、消費税の必要性などにも言及され、責任ある野党という立場をとっておられましたけれども、最近の民主党の政策を見ますと、どうも怪しげで、ふろしきだけは大変大きいけれども、私も政策に関心がありますから、民主党の言っておられる政策、特に財源問題などで見習うべきところはあるのかという観点から民主党の政策を見ましても、残念ながらここから学ぶべきことはない、大変残念に思っております。

小島委員 ありがとうございました。

 それでは、今度は防衛大臣にお伺いいたします。

 今農林大臣をしている石破茂農林大臣がかつて防衛庁長官をされたときに、私は長官政務官という役を仰せつかりました。二〇〇三年の三月二十日にイラク戦争が始まったんですが、近代兵器を駆使した米軍が五月一日に大規模戦闘終結宣言を行いました。そこで、戦後間もなくでありますけれども、六月二十日から二十五日にかけて、杉浦正健先生が団長となる与党調査団が現地入りをいたしました。私は長官の命令によりまして参加をいたしましたが、舛添厚生労働大臣そして斉藤環境大臣もメンバーの一員でした。

 ヨルダンのアンマンからずっと砂漠を千キロ走ったんですけれども、その途中では、戦車が焼けただれて道路わきにあったり、戦後の生々しい傷跡があったんですが、バグダッドに行きますと、今度は、暴徒が火をつけたということで、焼けただれたビルがいっぱいありました。そのときに案内をした人が井ノ上書記官、後で亡くなったでしょう、奥参事官と井ノ上書記官がいますけれども、あの井ノ上書記官がマイクロバスで我々を案内してくれたということなんですね。

 ですから、そういう大規模な戦争が終わって、ともかく落ちついたときに我々が行ったということなんですけれども、これが将来にわたって、イラク復興支援特別措置法が成立したり、自衛隊の国際貢献、イラク派遣となったわけであります。世界各地で紛争が絶えませんけれども、我が国は、日米関係をしっかりやって、これからも頑張っていかなきゃならないと思います。

 防衛大臣に二つ伺いたいと思うんですが、第一点は、日米関係強化に向け、特に安全保障、防衛の分野でどのように取り組んでいくべきかということが第一点。それから、二点目といたしましては、今問題になっているテロとの闘いであります。インド洋でのシーレーンの安定、言わずもがなでありますが、海上自衛隊が実施している活動は我が国の国益にかなうものであるということで延長するべきだと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

浜田国務大臣 お答えいたします。

 それこそ小島先生は防衛関係にずっと携わってこられましたので、私の方からお話しするのも幅ったいこともありますが、とにかく、私が大臣に就任をするときに麻生総理から、日米関係をしっかりやれということ、日米同盟をしっかり強化していけということを言われましたし、そういう意味では、当然この日米関係というのは我々日本にとってのまさにかなめであると私自身も思っています。

 単に我が国だけでなく、国際的な安全保障の環境等も考えれば、当然不可欠な役割をしっかりこの日米同盟は果たしているというふうに思っていますので、今後、まだまだ北朝鮮そしてまたテロとの闘い、米軍再編という日米の共通の課題をしっかりやっていくことが、これからまさに日米同盟を未来志向として一層強固なものにしていくものと考えております。これからも主体的に、積極的に日米同盟の強化と発展に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 今回の補給支援特措法は、我々にすれば、当然これは国際貢献の今一番の課題というふうに考えておりますし、国益というものを考えれば、当然我々はこれにさらに参加を続けていくべきだというふうに思っておるところでございます。

 ですから、我々防衛省にとっていろいろな問題はありましたけれども、しかしながら、しっかりともう一度態勢を整えて、国会で議論され、そしてそれに対して真摯にこたえてやっていきたいというふうに思っておりますので、ぜひとも御理解をいただいて、さらにこの延長をお願いできればというふうに考えておるところでございますので、また御指導のほどよろしくお願いいたします。

小島委員 ありがとうございました。

 二日間にわたって基本質疑があったわけですけれども、その中でも、特に金融問題が多くの方々から取り上げられました。アメリカ発のサブプライムローン問題が世界の金融を揺るがしているということでありますけれども、今、世界同時株安の影響で、東京市場の平均株価は四年十カ月ぶりに一時一万円の大台を割った、そんなニュースも飛び込んでまいりました。きのうもアメリカの方の株は随分下がっているということでありますけれども、これは大変な事態だと思います。

 これから年末を迎える中小零細業者に対する貸し渋り、貸しはがしということも出ていましたけれども、これは銀行自体も大変な事態に陥っているということだと思うんですね。新聞ではこれを大きく一面で取り上げられていますけれども、「株下落「景気回復遅れる」 家計に大きな影響も」ということです。そして、経済アナリストたちは、年を越せない企業が出るということでありますし、年金が減る可能性もあるというようなことで、国民が非常に不安に思っていることが実態だと思うんですね。

 きょうも、私が埼玉版を見たら、毎日新聞ですけれども、ともかく毎日新聞の埼玉版の一面が、「倒産が止まらない」とでかい字で書いてあるんです。倒産なんですね、みんな。原材料高が直撃をして、上半期で二百二十三件ということなんです。これは埼玉県のことなんですけれども、中小企業の倒産件数というのは今全国ではどうなっているのか、この点をお聞かせいただきたい。

 それから、貸し渋り、貸しはがしの実態というのはどうなっているかということであります。きのう、公明党の先生からいろいろと質問があって実態を出されたんですけれども、この貸し渋り、貸しはがし、これをぜひお聞かせをいただきたい。

 それから、一番心配なのは、日本の金融は大丈夫か、日本の株だとか何か大丈夫かということですね。我が国の金融政策は本当に大丈夫なんだろうかとみんな心配しています。

 私なんかは日本は健全であると言っているんですけれども、この辺のことについてお聞かせいただければありがたいと思います。

中川国務大臣 今の日本の経済状況、あるいは生活実感、あるいは金融、株式等の認識は、私も基本的に小島委員と同じ認識を持っております。

 九時十五分時点での株価が九千八百三十二円ということで、三百二十三円、現時点で前日比下がっている。ドルの方は、百一円三十三銭ということで円高に向かっている。これは、きのうも一時下がって、最後株は戻しましたけれども、一万円を行ったり来たりという状況になっております。

 また、倒産件数は、今御指摘のように、ことしに入りましてからも月千百件から二百件、場合によっては千三百件を超すような毎月倒産件数で、その大半が中小企業であるということでございます。

 そういう状況の中で、いろいろお話しされるわけでありますけれども、特に金融に関しましては、やはりお金というのは経済や暮らしの文字どおり血液でございますから、これが循環をしていかなければなりませんし、また、必要なところには供給されなければいけませんし、また、きちっと決済をされなければいけないということで、金融システムというものが健全であるかどうかというのは、特にこういった日本や世界の状況の中で非常に重要だろうと思っております。

 海外では、日々、厳しい金融に関するニュースが伝わってきておりますけれども、大変厳しい日本の経済状況でありますし、その傾向はある意味ではますます強まってきているという警戒感を私ども持っておりますが、金融システムそのものについては、十数年前の苦い、つらい経験も我々乗り越えたわけでございますので、欧米に比べれば健全であるという認識であります。

 いずれにしても、全国の働いている方々、暮らしている方々の不安や不満を解消するために、この補正予算の成立を含めて全力を挙げて対応していきたいと思いますので、御指導よろしくお願いいたします。

小島委員 それでは最後に、私は自由民主党の国家戦略本部歴史的遺産の保護プロジェクトチームの座長をしているわけでありまして、過日、我が党の歴史遺産の関係で京都、奈良に参りまして、清水寺、平城京跡大極殿等を視察いたしました。

 これは全部木造で、清水寺なんかは木造でありますから、ある程度の時期で修理をしないと全部なくなっちゃうんですね。しかも、たくみがいなくなってしまったということで、この間も総理にお話ししたんですけれども、ぜひそういう方々をいわゆる激励に行ってくれないかという話もいたしました。彼らは一生懸命やっています。そういうことで、我が国の文化財の多くは木造であるということは今言ったとおりでありますけれども、適切な周期で保存、修理をしなければならないということであります。

 そうなりますと当然お金がかかってくるということでありますけれども、この辺については文科大臣の方から、その取り組みについて力強いメッセージをいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 小島先生には、一緒に副大臣をやっていただいて、文化に大変熱心に取り組んでいただいて、今お話あった党の方でも、大変貴重な議論をしていただいて感謝をしているところでございまして、常に文化の薫り高い、質の高い人間性を感じて御指導をいただいております。感謝を申し上げます。

 そういった文化、芸術については、やはり、人々に感動や喜びを与えて、そして本当の意味で心の豊かさを与えていただいておりますので、我が国としてもしっかり取り組んでいかなきゃならぬ。特に、伝統文化のいろいろな文化財については、貴重な資産として残していく必要があると思っております。

 今お話しの木造建築、これは世界最古の木造建築である法隆寺もありますし、数多くの貴重な建造物があるわけでございまして、特に、そういった木造建築については、大体百五十年周期で根本修理をやらなきゃならぬということが言われておりますが、現在のところ大体二百七十年周期になっておりまして、それをできるだけ縮めるべく努力をしていくつもりでございます。

 そのために、来年度予算についても木造建築の保存について増額して要求しておりますので、また先生と協力しながらしっかりと日本の伝統文化を守ってまいりたいという決意でございます。

小島委員 どうもありがとうございました。

 総理、頑張ってください。きのうは阿部知子先生が、いなくなっちゃったけれども、あなたは年はお幾つですかなんて、びっくりしちゃったですね。私は総理より一つ上ですから、そういうことで、同世代の人間として、ともかく総理には頑張ってもらって、これからの日本を背負っていただきたいと思います。

 時間が参りました。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて小島君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 委員長のお許しをいただきまして、総理並びに関係大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の当委員会におきまして、民主党の菅委員の方から、憲法二十条、政教分離に関する御質問がございました。横で聞いておりまして、弁護士出身の私から見て、あれっ、ちょっと違うんじゃないの、どうも議論がすれ違っているんじゃないかなというふうに思われましたので、法制局長官に、その点ちょっと、再度確認をさせていただきたいというふうに思います。

 法制局長官は、菅委員の質問に対しまして、憲法二十条の規定の趣旨について何点かこれまでの確定した解釈、政府見解について御説明をいただきました。その点をまず確認させていただきます。

 憲法は、第二十条の第一項後段におきまして、宗教団体が特権を受け、または政治上の権力を行使することを禁止するとともに、同第三項で、国及びその機関が宗教的活動を行うことを禁止しておりますとこの憲法の規定を述べられまして、これらの政教分離の規定は、憲法二十条第一項前段に規定します信教の自由、その保障を実質的なものとするために、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入しまたは関与することを排除する趣旨であるというふうにこの趣旨を述べられました。宗教団体が政治活動をすることをも排除する趣旨のものではないということも明確にしていただきました。

 また、続きまして、憲法二十条第一項後段、ここにあります、この政治上の権力というのは、国または地方公共団体に独占されている統治的権力をいうんだというふうに教えていただきました。そして、この規定は、例えば、宗教団体が国や地方公共団体から統治的権力の一部を授けられてこれを行使するようなこと、これを禁止している趣旨だ、このように述べられました。

 そして、最後に、宗教団体が支援している政党が政権に参加するというのは、宗教団体が推薦しまたは支持している公職の候補者が、公職に就任して、国政を担当するに至ることを指すものと考えられますが、そのような状態が生じたとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的には別個の存在でありますし、宗教団体が政治上の権力を行使しているということにはならないというふうに考えられますので、憲法第二十条第一項後段違反の問題を生ずることはない、このように明確にしていただきました。

 このように原理原則を長官の方で説明していただいたんですが、その後に、菅委員の方がこのような御質問をされました。

 一九九〇年に、オウム真理教の麻原彰晃氏を党首とする真理党が結成されまして、東京を中心に二十五名の衆議院候補が立候補いたしました。幸いにして、有権者、国民は、一人も当選者を出さなかった、全員を落選させました。もし、こういった真理党が大きな多数を占めて権力を握って、統治権力を使ってオウムの教えを広めようとしたような場合、これは当然、憲法二十条の政教分離の原則に反すると考えますがというふうに菅委員は質問されました。

 これは、菅委員は憲法二十条の政教分離の原則に反するというふうに言われましたが、先ほど私の方で長官の原理原則のところを読み上げさせていただきましたけれども、その原理原則からいうと、菅委員が言われるこれは憲法二十条の政教分離の原則に反しないというふうになると思われるんですが、法制局長官は、今お尋ねのようなことは、まさに宗教団体が統治的権力を行使するということに当たるだろうと思いますので、それは違憲になるだろうと思いますというふうに答弁されました。

 原理原則の方から当てはめると、菅委員の質問では憲法違反にならないという答弁だと思うんですが、どうも質問を聞き間違えられたんじゃないか、質問通告もなかったというお話ですので、質問の趣旨を取り違えて答弁されたんではないかと私は思うんですが、長官、どうでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の昨日の私の答弁につきましては、いささか御説明の内容を簡略にし過ぎまして、誤解を与える結果となったとすれば、まことに申しわけありません。改めて、丁寧目に申し上げたいと思います。

 憲法第二十条第一項は、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないと定めております。ここに言う政治上の権力というのは、一般的には、国または地方公共団体に独占されている統治的権力をいうというふうに考えられておりまして、例えば、あいまいな政治的権威のようなものを含むということではないというのが政府見解でございます。

 また、同項は、例えば、宗教団体が国や地方公共団体から統治的権力の一部を授けられて、これを行使することを禁止している趣旨であるというふうに解されてきているところであります。

 ところで、昨日の本委員会での菅委員のオウム真理教を例に挙げられての御質問に対する私の答弁は、要するに、宗教団体がただいま申し上げたような意味で理解された政治上の権力を行使することは憲法上禁止されているのではないかという趣旨の御質問であると受け取りまして、それは違憲になる旨を一口でお答えしたものでございます。

 他方、私の、その点を答弁の前の部分でお答えしておりますとおり、宗教団体が推薦しまたは支持した公職の候補者が、公職に就任し、国政を担当するに至ったといたしましても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的に別個の存在でありまして、宗教団体が政治上の権力を行使していることにはならないのであるから、憲法第二十条第一項後段違反の問題は生じないものと考えております。

 また、憲法第二十条第三項は、国及びその機関は、いかなる宗教的活動もしてはならないと規定しておりますが、もとより、国またはその機関に政党が当たるわけではありません。

 さらに、御指摘にもありましたように、国務大臣は憲法尊重擁護義務を負っており、国権行使の場面において、特定の宗教団体の教義に基づく宗教的活動を行うなど宗教に介入したり関与したりすることができないのは当然でありまして、そういう意味でも、先ほど申し上げたとおり、特定の宗教団体が支持した候補者が例えば国務大臣に就任したからといって、そのことにより、憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が生ずることにはならないものと考えておりますし、また、国務大臣の地位にある者であっても、私人の立場で宗教的活動を行うことは、個人の信教の自由の問題であり、憲法第二十条との関係で問題はありません。

 以上でございます。

富田委員 今の答弁で明確になったと思うんですが、実は、きのうの長官の答弁の後に総理の方に菅委員は振られていましたので、総理は、今法制局長官が答弁されたのが基本的な考え方だ、私もそう思うと言われたんですが、今長官が述べられたので間違いないというふうに御理解していただけますね。うなずいていただきましたので、結構でございます。

 では、質問を次に行かせていただきます。

 今自民党の小島先生の方から、中小企業が大変な状況にあると、埼玉県内での倒産件数の数を出して御質問していただきました。私の地元の千葉県でも、この春からやはり中小企業の倒産がふえています。現場を回っていますと、本当に中小企業の皆さんから金融に関する御相談が一番多い。そういった中で、今回の補正予算の中に、中小・零細企業等支援対策費のうち、経営安定関連金融対策費ということで四千百四十億円を計上していただきました。これは、国民の期待は大なるものがあるというふうに思います。

 十月六日の当委員会における我が党の北側幹事長の質問に対しまして、中川金融担当大臣、また二階経済産業大臣から大変重要な答弁をいただいたというふうに考えております。

 ちょっと御紹介をさせていただきます。

 中川大臣は、中小企業が元気になっていただくために、地域の中小企業に対する金融機関の役割をきちっと果たしていただきたいと。この後が大事だと思うんですが、そのためには、単に目の前の赤字だとか債務超過だとかいった数字だけではなく、地域に密着した、また、その企業のいい面もしっかり金融機関が把握できるようにしていかなくてはならないというふうに御答弁いただきました。金融の現場で融資を担当する係の者がしっかり目ききを持って、その地域に密着した金融をやってもらいたいという趣旨だというふうに私は理解しました。

 また、二階大臣は、私どもも、中小企業の皆さんに対する金融を初め、この難しい経営状況の中にあって、一つでも多くの中小企業の皆さんがこの難しい状況を乗り越えていけるようにするために我々はこれを後押しすることが大事だというふうに考えていると言っていただきました。本当に、一つでも多くの企業がこの経営難の中、乗り越えていくような政策を、政府を挙げて実行していくことが大事だというふうに思います。

 現在、政府の方では、中小企業を応援するためのさまざまな金融制度を準備しております。

 ちょっと例を挙げさせていただきますと、セーフティーネット貸し付け等保証制度、資金繰り円滑化借りかえ保証制度、無担保無保証の融資保証制度、小口零細企業保証制度、小企業等経営改善資金融資制度、これはマル経融資と言われているものですが、再チャレンジ支援融資制度、新創業融資制度等々、数多くいろいろなメニューで中小企業の支援を今していただいております。

 ただ、この中小企業も含めた法人の約七割、これが現在、赤字決算である。国税庁の二〇〇七年の税務統計によりますと、〇六年度の赤字法人率は七一・三%、七割を超える企業が赤字でやっているわけですね。この赤字企業は、現実問題として、政府系金融機関だとしてもなかなか融資を受けることができません。返済できるのかということを必ず言われます。ただ、ことしも来年も赤字決算だけれども、一生懸命従業員のために、また地域のために頑張っている中小企業の経営者というのは、日本全国、本当に大勢いらっしゃる。

 政府の用意したいろいろな制度の中で、財務や事業の抜本的な見直しが必要な場合に、企業再生するんだという支援制度はあります。各都道府県に中小企業再生支援協議会をつくっていただいて、いろいろな専門家がバックアップしてくれる。また、一たん会社はつぶれちゃった、でも再チャレンジしたい、そういった方に再チャレンジの支援制度もあります。

 ところが、抜本的な解決が必要だ、もう破綻状態だ、あるいはもう一回やり直すんだという制度がありながら、大変な状況の中で頑張っている、赤字は続いているけれどもまだ会社はつぶさないぞ、うちには技術もあるんだ、そういったことで一生懸命頑張っている企業を支援するシステムがないんですね、現実問題として。

 いろいろなメニューはありますが、実際に赤字が続いている会社になかなか金融が回ってこない。やはりここを何とかしないと中小企業の倒産件数がふえていることを抑えるというのは無理だと思うんですね。ただ、何でもかんでも赤字で貸してしまえということになると、今度、返済、先ほど中川大臣が言われていました、決済してもらうのが大事だと。決済の方が出てこない。

 そこで、例えば、税理士さんや公認会計士さんがきちんと経理を担当されていて、会計帳簿が適正に作成されている、帳簿の数字がきちんと信用できる、そして事業計画も毎年毎年きちんと組み立てて、三年目、総理は三年間だと言われていますので、ことしも来年も厳しいけれども、再来年には黒字にするんだ、黒字決算企業を目指すんだというような企業に対しては融資とか保証がスムーズにできるような、そういった新しい制度、枠組みを今備える必要があるんじゃないかと思うんですが、この点について、経済産業大臣、また金融担当大臣の御意見を伺えればと思います。

二階国務大臣 今、富田議員から大変中小企業に対して思いやりのある御質問をちょうだいして、大変私どもも励まされると同時に、恐らく全国の中小企業の皆さんも、そうした中小企業の最大のピンチとも言っていいくらいの状況を今迎えておるわけでありますから、国会あるいはまた政府等が一体となって、私たちは全力を尽くして救済を、あるいはまたそういうことに陥らないための対策をとっていきたいと思っております。

 そこで、私どもとしては、全国の商工会議所あるいは商工会、そうした皆さんの御協力をいただきながら、経済産業省がみずから現場に出向いて、それも一つの県で三、四カ所ぐらい回らせていただいて、その地域の皆さんの声を直接伺う、そしてその中からさらなる対策を考えていきたい、このように思っておる次第であります。

 今御指摘のとおり、今は赤字でもやがて黒字になるかもしれない、そういう懸命に事業に取り組んでおられる人たちを応援する、それはやはり、貸し手の方が借り手の方の中小企業経営の皆さんの気持ちになって対応していくということが大事ではないかと思っております。

 商工中金が今度新しい制度の新商工中金に生まれ変わりましたが、私ども、その間の国会審議等を通じても、商工中金でお世話になって、そして自分が今日あるというふうな立派な企業の声を何回か聞いたことがあります。私は、それが大事だと思うんです。今は大変だけれども、政府系金融機関あるいはまたそれに類する金融機関が中小企業の再起に対してお手伝いをする、そういう気持ちが大事じゃないかと思っております。

 そこで、私は、この国会審議の合間を見て、全国の五十二あります信用保証協会の会長さんにお集まりをいただいて、現状を伺うと同時に我々の麻生内閣としての方針を伝えて、多くの皆さんの御協力をいただきながら、中小企業のこの困難な状況に対して政府としてしっかりした対応をしてまいりたいと思っております。

中川国務大臣 日本を支えております数多くの中小企業に対しまして金融機関がどういうふうに対応していったらいいのかということにつきまして、金融担当大臣としてお答えさせていただきます。

 金融庁というのは、金融の企画立案と監督と二つの大きな仕事があるわけでございますが、私もよく全国を回って聞くのは、金融機関が非常に厳しい、最近特に厳しくなっていると。また、金融機関の方も、金融庁のルールというものがあって、ともすればそれに縛られてというような声も聞くわけであります。

 したがいまして、その後ろにおります金融庁といたしましては、もちろんルールというものがあるわけでございますけれども、金融検査マニュアルの中に、中小企業向けの融資マニュアル、別冊というものがございまして、この中では、先ほど富田委員がお話しになりましたように、単にバランスシートとかあるいはまた債務超過とかいった数字だけでだめだということはあってはならないと。やはり、お互いプロですから、プロとしての目きき、例えば、おっしゃったように、数字にあらわれない技術力でありますとか経営者の資質とか、あるいは場合によっては会社の元気とか明るさとか、そういうものを敏感に感じて、そして必要な融資をさせていただくことに関して、そういう方向で判断したことについて、金融庁としてもバランスよく判断をすべきである。

 現に、昨年も、先ほど聞きましたら、赤字会社、債務超過会社に対する融資も、金融庁としては結果として適正な融資であるというような判断をしたものも結構あるようでございますので、我々の方ももっと情報を発信して、金融機関あるいはまた中小企業、全国の皆様方に、金融庁はこういうやり方で行政を行っているんだということをもっと周知徹底させていただかなければなりませんけれども、ぜひ先生からも、御理解をいただいて、また御指導いただきたいと思います。

富田委員 今、中川大臣がおっしゃっていただいたことが本当に大事だと思うんですね。各金融機関の窓口の皆さんが、今おっしゃった金融検査マニュアル別冊の趣旨を本当に理解していただいて中小企業の立場になって考えていただくと、赤字決算法人であってもここには融資して、ちゃんと返済も受けられるというような事例がふえてくると思います。ぜひ、担当大臣としてその点を徹底していただきたいと思います。

 現場では、今、不動産、建築関係の融資がなかなかできません。千葉県内にある地方銀行の皆さんに聞きましたら、支店長決裁がなくなった、不動産は全部本店決裁だと。何でそんなことにしたんだといったら、やはり金融庁の監督で、横並びにしておかないと、おまえのところだけ何をやっているんだみたいに言われちゃうんじゃないかと。そういう、現場の方に目を向けないで後ろの監督に対して目を向けて融資している、ここを変えていかないと、やはり本当に苦しんでいる中小企業の経営者の皆さんの助けにはならないと思いますので、その点、ぜひ今の大臣の御指示を徹底していただいて、また、現場でいろいろなことがあったら、ここはもう与野党関係ないと思いますので、それぞれの議員がきちんと相談してあげていくという態勢が必要だというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 総理、この中小企業対策につきまして、自由民主党、公明党の連立政権合意におきまして、「「安心実現のための緊急総合対策」に基づき、原油・原材料価格高騰により直撃されている業種に対する金融支援など、政府主導・民間協調での中小企業金融対策に実効をあげるよう、万全を期す。」というふうに決めていただきました。そして、「地域経済の基盤をなす中小・零細企業に対し構造改革に対応する体質強化支援策を拡充する」というふうに合意をしていただきました。

 この合意を踏まえて、総理の中小零細企業対策に対する御決意を伺いたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 御存じのように、日本じゅうにいわゆる企業というのは約四百二十一万社、そのうち中小企業が四百十九万八千、約四百二十万、九九%が中小零細企業というところに属します。従業員で見ましても約七割が中小企業に属しておられるというのが実態ですから、その意味では、中小零細企業の占める比率というのは普通に考えられているよりはるかに大きいという自覚が余りおありにならぬ方が多いように思います。これは物すごく大きいと、私自身は基本的にそう思っております。それがまず第一点です。

 加えて、こういうところでは、資金繰りという言葉、これは役所にはない言葉でして、民間でないとこの資金繰りと比較貸借対照表というのはなかなか理解されない種類の書類なんです。決算書とか損益はわかるけれども、比較貸借対照表とか資金繰り表というのはなかなか理解できないところなんですが、日本の場合は三月決済また年末決済ということになりますので、今から十二月末に向けて資金繰りが猛烈な勢いでショートしてくるという傾向にあるだろう、最近の一連の金融事情を見てそう思っております。

 したがって、過日、公明党との合意、あのときはまだ自民党の幹事長で、あれをやらせていただいたときに比べましてさらに厳しくなってきておると思いますので、こういったものが、この補正予算を通していただきました後は、これは速やかに前倒しして、十二月とは言わず十一月でも、とにかく事を急がないと、大体三カ月でずっと回っていきますので、その意味では、十月中にそういったものがきちんと対応できていくという方向にしないと十二月がもたないということになるという感じがしますので、この年末を越えていくためにはこれはすごく大きなところ、それが第一点です。目先のところ。

 もう一点は、中川大臣からもお話がありましたように、これは基本的には、今バランスシートとか損益だけ見れば赤であっても、ある程度銀行のリスクをとる反面、銀行というのは、企業を育成する部分というのは大きな要素。したがって、リスクテークというんですが、このリスクテークをどの程度やるかというのは、これは銀行側にとっては物すごく大事。それを見抜ける目を現場の支店長とか貸付課長が持っているかどうかというのがすごく大事なところなんです。

 それは、いいかげんな経営者も中にはおるでしょうけれども、きちんとした経営というものをやっていながら、いろいろな意味での、持っております研究開発の今ちょうど仕掛かり品、仕掛かり品というのは途中のところの状況をいうんですが、この仕掛かり品とかそういったものに関して、いま一つ、もう一歩でいくというところの前でぱたととまるからいきなりとまるということになりますので、こういったような地道な努力というものもある程度。それは、全く無駄な努力になり得るものも決してないわけではありません。

 しかし、地道な努力をやると、先ほど小島議員からのお話にありました、今回の物理の素粒子の話にしても、あれは今から三十年ぐらい前にもう既に理論は終わっておるわけですから。それが今、三十何年たちましてノーベル賞ということになりました。もともとは三十年前。それがきちんとして、裏づけられて出ましたのが約六年ぐらい前だと思いますが、そういった形で、きちんとしたものをやっていくには、少々時間がかかるところを見抜けるか。

 かつ、もう一つは、やはり、経営をやっている責任者が、それをやる体力とかやり切る意識とか、そういった資質というものもあわせて見抜いている目が貸付課長なり支店長クラスにあるかないかというのは、地元に張りついている人でないと見えないのであって、本店じゃそんなものはわかるはずがないと私自身はそう思いますので、先ほどの二階大臣、中川大臣、それぞれ担当を、いろいろ行っておられると伺っておりますので、その成果を期待したいと思っております。

富田委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 残りがもう五分を切りましたので、最後に、民主党の皆さんが考えられている子ども手当の財源についてちょっと質問をしたいというふうに思います。

 十月五日日曜日の新聞各紙に「新しい生活をつくる。」というキャッチフレーズで「民主党五つの約束」というものが掲載されていました。

 「約束」の三番目に「子育ての心配をなくし、みんなに教育のチャンスをつくります。一人当たり月額二万六千円の「子ども手当」を支給します。」というふうに書かれていました。

 これを見ると、子供が月二万六千円もらえるんならうれしいなとだれもが思うと思うんですね。昨日、民主党の菅委員は、こういった民主党の政策の財源について説明するということでかなりこの席で細かく話をされました。

 こんなふうに言われたんですね。「子育ての手当などを導入することによって今の子供のいわゆる税の体制も変わりますので、そういうものを含む租税特別措置の見直しで、四年間で十三・一兆円、一年間平均三・三兆円、こういう形で捻出をいたします。」というふうにお話をされていました。「今の子供のいわゆる税の体制も変わりますので、そういうものを含む」というふうに言われましたので、これは所得税の扶養控除を廃止にしようとされているのかなというふうに思いました。

 民主党の政策をいろいろ勉強させていただきましたら、昨年度の民主党の税制改革大綱の中で、「控除から手当へ」という、考え方を変えるんだという中に、やはり扶養控除を廃止する、配偶者控除も廃止するというような記載もありました。

 これは多分、国民の皆さんは、月二万六千円もらえるようになるんだということしか耳に入ってこなくて、所得控除の方の部分、扶養控除また配偶者控除が廃止されるなどというのはほとんどの方は知らないと思うんですね。何かちょっと、こっちではいい話をしておいて、逆の方では配偶者控除なり扶養控除が廃止されるというのは、ある意味増税ですから、ここをきちんと言わないでおいていいことだけ言うというのは、私は、ちょっと……(発言する者あり)では、そこをちゃんとマニフェストに書いていただいて説明していただかないと、やはり、ちょっとそこは不公平だと思うんですね。(発言する者あり)今、岡田委員から財源明示しているんだというやじがありましたが、これが財源に本当になるのかなというふうに私は思います。

 控除を廃止しておいて手当を出すというのは、ちょっと財源論にならないんじゃないかなというふうに思います。これで本当に新しい子育て支援になるのかと大分疑問に思いますので、ここは、厚労大臣、どんなふうに思いますか。

舛添国務大臣 民主党が提案している子ども手当につきましては、五兆六千億円の財源が必要とされております。今委員が御指摘のように、民主党税制改正大綱によれば、所得税の配偶者控除、扶養控除から転換すると言われておりますが、この額は一兆六千億円でございますので、五兆六千億円から一兆六千億円を引きますと、四兆円、あと残りの財源をどこかから捻出しないといけないということであります。それが一つ。

 それからもう一つは、今委員が指摘されましたように、お子さんのいない世帯などにとっては増税になる、この点もきちんと指摘しておかないといけないと思います。

 政府といたしましては、子育てに対するさまざまな支援を総合的に行っていっておりますので、そのこともつけ加えておきたいと思います。

富田委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠委員 おはようございます。民主党の笠浩史でございます。

 きょうは、麻生総理とは、総理になられて初めて質疑を行わせていただくわけでございますけれども、前に外務大臣等々のときにも私も何度か議論させていただいたことがあるんですが、この二日間の委員会、私も参加をしておりまして、総理になられてちょっと歯切れが悪いかなと。総理は、逃げないということを常に強調されておりますので、しっかりとみずからの考えをやはり総理自身の言葉で語っていただきたいと思います。

 限られた時間でございますので、明瞭に答弁いただくことをお願い申し上げたいと思います。

 冒頭に、この二日間、きのう、おとといと、私ども野党が各省庁に資料請求をしたときに、これを出す前に事前に自民党の国対の方に相談をする、この問題について同僚議員の方から幾つか指摘をさせていただいております。

 まず、河村官房長官に、昨日、松本剛明委員が要請をいたしております政府としての統一見解を聞かせていただきたいと思います。

河村国務大臣 お答えいたします。

 野党からの資料要求について、各府省が自民党国対に事前の相談、すなわち情報提供している件については、次のとおりであります。

 第一、まず、国会議員からの資料要求に対して、資料の内容や提出の可否の判断権は、各府省の大臣に属する。

 第二、自民党国対への事前相談は、資料要求のあり方に関してのルールづくりのため、資料要求の実態を把握するために自民党国対から各府省に依頼されたものである。

 なお、自民党国対からの依頼は、野党からの資料要求が多く、膨大な作業を伴うものも多いことから、自民党国対委員長から民主党国対委員長に対して、各府省の事務負担軽減の観点から資料要求のあり方等に関してのルールづくりを申し入れており、それを踏まえたものと承知をしておるところであります。

 次に、この件に関する政府と自民党との関係でありますが、政府から自民党に情報提供を行うものであり、自民党から政府に、修正したり提出を控える等の指示が行われるものではない。したがって、検閲や隠ぺいではない。

 第四点、情報提供の依頼であって、自民党国対から政府への指示ではないということであります。

 第五点は、議院内閣制のもとで政府・与党の関係を踏まえると、政府から与党に情報提供を行うことは特段の問題はない。

 以上のとおりであります。御理解をいただきたいと思います。

笠委員 官房長官、確認をさせていただきますけれども、先般来、この文書、各府省に総務官室の方から出ておりますものです。

 野党(政調等の組織を含む)からの資料要求等については、既存の資料をそのまま提出するようなものを除き、各省庁限りの判断で資料を提出することは厳に慎み、自民党国対筆頭副委員長及び各省庁担当副委員長にあらかじめ相談することというこの文書、もう提出しておりますけれども、これは、では、撤回されるということでよろしいわけですね。

河村国務大臣 きのうの御質疑にもありましたように、石破大臣からも御答弁あったとおりでございますが、誤解を招くような点については修正した、またはそのように、その基準によって各省庁取り扱う、こういうことになっておるわけであります。

笠委員 私、今おっしゃった五つの点、政府見解として出たんですが、ちょっと確認をさせていただきます。

 本来、例えば非常に資料要求が膨大である、その中身の問題じゃなく、膨大であるとか作業量が大変だ、そういうふうなことの実態を把握したいということでの申し入れであったということですけれども、それであるならば、それは院の中には議運なりあるわけですから、議院運営委員会等々、これは自民党と民主党だけの関係ではございませんから、各党、やはりこれから省庁に対して資料請求等々するときに、ではどういう一定のルールを設けることができるのか、あるいはそういうものは必要ないのか、それは議論すればいいことなんですよね、本来。

 しかし、これは自民党の方から、要するに官邸を通じて各省庁にこうした文書で、今修正をもう今回されたということですけれども、あったということで、では、今後は、量が多いから、例えば我々の要請に対してちょっと間に合わないであるとか、あるいはもう少し時間がかかるんだということの個々の相談はいいでしょう。しかし、中身について、どういうものを要請されたということについて、各省庁が自民党の国対に事前に相談をする、あるいはそれを連絡するということはないということでよろしいわけですね。その点だけ確認させてください。

河村国務大臣 お答えいたします。

 事前の情報提供、これは自民党国対からの依頼でありまして、政府・与党の関係を踏まえてできる限り協力する、こういうことになっておるわけでございます。与党としては、できるだけ情報を早く欲しいという趣旨であるというふうに理解をしておるところでありまして、事前の可否を相談、判断をするためのものでないことは明らかでございます。

 事前に自民党に情報提供したとしても、資料の内容や提出の可否の判断というものは、これは各府省の大臣が行うものでありまして、自民党が検閲とか隠ぺいする、そういうものでは決してない、こういうことであります。

笠委員 いや、今、長官、要するに、検閲しているものではないときのうからあります。ただし、そういう誤解を、きのう石破大臣が一番いい答弁をされておりますね。疑念を持たせたことについては率直におわびをしたいということで、あくまでもこれは大臣がみずからの判断で、出す出さないも含めてしっかりとやるんだと。だから、そのことをしっかり約束してほしいわけですよ。

 では、なぜ事前にこういう、要するに疑念を招くあるいは検閲ではないかという誤解を招くおそれがあるのであれば、それは、そのことをしっかりと誤解を招くことがないように、要するに、事前に出さなくても、同時であれあるいは事後であれ、それは構わないわけじゃないですか。

 いや、総理が、事前も事後も、要するに事後でいいんだったら事前でもいいじゃないかという答弁を一昨日されたので、これはやはりいまだに誤解を招いているんですよ。

 ですから、そこのところをしっかりと約束していただきたいと思います。

河村国務大臣 自民党国対から政府、役所に対して情報提供の要請があった、これに対して、これにこたえる権限は大臣が持っておるわけでありますから、今御指摘の点については大臣の判断にある、こういうことであります。

笠委員 要するに、であるならば、自民党の方に、国対の方に、事前に出さないこともあるということですね。

河村国務大臣 すべからく大臣の判断にまつものであります。

笠委員 長官、もう一点、ちょっと事実確認をさせていただきたいんです。

 これは九月十二日、こういった指示が出されたわけです。それ以降、まだ一カ月たっていないんですが、きのうちょっと私お願いをしておるんですけれども、今回、事前に資料を自民党国対の方に出して、その結果として資料がおくれてきたケースというのは我々もあって、このことで今回の問題が発覚したわけですよ。修正をしたケース、あるいは出さなかったケースというのは具体的にあるんでしょうか。

河村国務大臣 ただいま申し上げましたように、その判断をすべて大臣がやっているということでございますが、今御指摘のあったケース、今般の自民党国対への事前相談の依頼があって以降ということです、自民党国対の指示によって資料を修正して提出した、あるいは提出しなかったというケースは一切ないと私どもは承知をしているところであります。

笠委員 この点は今後もしっかりと、今、官房長官が、そういうケースは今のところはなかったということで、今後そういうことが絶対にないように、修正をしたということを確認させていただきたいと思います。

 もう一点、これは一昨日、本当にちょっとゆゆしき事態だと思うんですけれども、厚労省の官房長さんが、マスコミからの資料要求等々についてもケース・バイ・ケースで事前に与党にお知らせすることがあるということを答弁されているわけですよ。私もマスコミ出身、テレビ局の記者をやっておりましたので、政府の情報を、マスコミであれ、あるいは我々野党であれ、もちろん与党の皆さんもそうでしょう、これは本来国民の皆様方の情報ですから、しっかりといかに公開をしていくのかということは当たり前の話だと思うんですね。そこに与党の自民党の国対が事前にまさにチェックをするということになれば、そのことを理由にして、これから役所だって出してこない、なかなか出し渋る、やはりそういう危険性があるわけですよ。

 ですから、このマスコミからの請求について、これは取材ですから、それに制限を加えることにもとられかねないような、これもまさにそういう危惧があるわけですよ。そういう誤解を招かないように、その点についても御答弁をいただきたいと思います。

河村国務大臣 まさに、こういう取材等もあるかと思われますが、これも当然大臣に上げるわけでありますから、大臣が責任を持って対応される、このように思います。

笠委員 この点については、あと個々具体的なケース等々について、また同僚委員の方からもあるかと思いますけれども、やはりそれは政府一体、あるいは議院内閣制のもとで政府・与党が一体であるということをきのうから繰り返されているわけでございますけれども、我々は、政府に対して、院としてしっかりと追及をしていく、そしてまた、政府の情報を公開していくためにその責務があるわけですよね。そこに制限をかけるというようなことにつながるようなことは今後一切やめていただきたいと思います。

 ちょうど十二日に出たというのが、これは前の福田総理が辞任を表明されて総裁選が始まったころですか、そういう何か祭り騒ぎをやっているところに乗じて、陰でそういう指示を出すというようなこと、これは本当に不適切な行動だと思いますので、これからは、総理と官房長官、責任を持って、間違っても私どもの資料請求に対して、その中身等々について事前に自民党国対に提出するようなことがないように、各大臣の皆様方にも賢明なる御判断をお願いしておきたいと思います。

 次に、中山大臣が、失言で、前国土交通大臣が辞任をされました。このことについては、麻生総理自身が国会等々でも任命責任を認めておられます。きょうはそのことを繰り返し聞くことはしませんけれども、一点、実は私も、当選して以来、文部科学委員会の方に所属をして、この学力テストの導入ということについては非常に積極的にやるべきであるということを委員会の中でも質問させていただいておりました。当時、副大臣を務められていたのが、今の塩谷文部科学大臣でございますけれども、確認だけさせていただきます。

 中山さんが、この学力テストの導入について、日教組の強いところは学力が低いのではないかと思ったから調べてごらん、だから学力テストを実施する役目も終わったと思っているということで、この学力テストの導入の理由を、日教組の組織率と学力がどういう相関関係にあるのかを調べたかったからこの学力テストを導入したんだ、そのことがわかったから役割は終えた、もうやる必要はないというようなことまで言い切っているわけですね。

 私は、これはそういうことではなくて、当時、そんな議論は全くありませんでしたよ。OECDのPISAの調査を含めいろいろ、日本の子供たち、学力の低下が叫ばれていた中で、やはりある程度の競争、切磋琢磨、あるいは、自分の所属する、通っている学校がどういうレベルにあるのか、そういったことをしっかりと本人も知ることは大事だし、あるいは教師、さらには親御さんたちもそういったことをきちっと把握することが今後に結びついていくんじゃないかというようなことで、随分建設的な議論をさせていただいたつもりなんです。

 文部科学大臣、今後、ではもうこの学力テストはやめるのか、そういう中山さんがおっしゃっているような理由でこの学力テストを導入したのか、その点について明確に御答弁をお願いしたいと思います。

塩谷国務大臣 笠議員には、この学力調査の導入については十分に議論いただいて感謝をしているところでございます。

 中山前国土交通大臣の発言については、私も当時副大臣として、この導入についての議論をしましたが、そういった目的で議論したことはないと思っております。

 この学力調査あるいは学習状況調査につきましては、今お話がございましたように、国際的な学力調査、PISAの結果とか、あるいは現状の義務教育のあり方等、課題がある中で、やはりしっかりと今の子供たちの学力を調査して、それをまた改善に向けての一つの大きな資料にしていくという目的で行われたわけでございまして、特に国として子供たちの学力・学習状況をきめ細かく把握すること、そして教育委員会等、また学校がこの調査に基づいて改善に努力していただくこと、さらには、各学校あるいは個々人において学力の状況をしっかり把握するという目的で行われましたので、これは引き続きまた実施してまいりたいと思っているところでございます。

 また、日教組の組織率と学力の関係につきましては、過去二年の統計においても、必ずしもそういう結果は出ておりません。つまり、組織率が高い、例えば秋田県とか富山県等は学力が高いわけで、また、組織率が高いところで低いところもございますし、その逆もあるということで、そういう結果にはなっておりませんので、必ずしも中山前大臣がお話ししたような結果になっておりません。したがって、この学力調査につきましては、当初の目的どおり、引き続き行っていく所存でございます。

 以上でございます。

笠委員 その点は、この学力調査のあり方についても、これはさまざまな角度から今いろいろな賛否もあるわけで、少なくとも導入をされた大臣が、こういうみずからの導入した制度について、今の文科大臣の答弁にあったような目的、あるいは今後の方針と全く違ったことで、そういう方を任命されるということの責任も本当に重大であるということを指摘しておきたいと思います。

 次に、北朝鮮の拉致問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先般、麻生総理が、これは飛び入りでということなんでしょうか、官邸で拉致家族の皆さん方と河村担当大臣がお会いになっているところに参加をされて、非常に話が進まずにいらいらしている、時間との勝負である、答えは急いで出したい、全力でやっていきたい、国家主権の侵害であるということまで含めてはっきりとおっしゃって、この被害者救出へ向けた決意を被害者家族の皆様方に直接お述べになったというふうに承知をしております。

 具体的にこれから総理自身が、これはもう本当に進んでいないわけですよ、我々もこれは党派を超えてずっと取り組んでおります。今からこの問題の解決へ向けてどのように取り組んでいかれるのか、ちょっと端的に今後の動きを、あるいは今までと違ってこういうことをやるんだということがあればお述べをいただければと思います。

麻生内閣総理大臣 拉致被害者の家族との面会は外務大臣のときにもさせていただいたことがありますので、事情は私なりにわかっているつもりでもあります。

 また、海外で北朝鮮の外務大臣と同じ席になることもありますので、いろいろな形でありますけれども、これは基本的には応答はなしという形がずっと続いておりますのは御存じのとおりです。したがって、対話と圧力という表現をずっと使ってきておりますが、この対話と圧力のバランスをいかにやっていくかだけであって、対話だけ、圧力なくして対話はいまだかつて起きておりません、私はそう思っております。

 したがって、八月でしたか、ボールは向こう側にありますので、この返答が一切ないという形で何となくこのまま経済制裁だけ解いてみたいな話を言われても、それは拉致の進展もなければ核、ミサイルの進展も全くないという状況で一方的にいわゆる経済制裁だけを解いて、そうすればとかいう話に、私どもは単純にこれまでの経緯から、信用ということはなかなか難しいというのが今私どもの基本的な立場であります。

 したがって、今後どういった形になっていくかといえば、これは日本一国でなかなかできにくいということで六者協定というものもさせていただいておりますので、ぜひそういった六者協定の枠組みを含めて、基本的に積極的に詰めさせていただきたいと存じております。

 大事なところは、何となく粘り強くというふうにみんなよく言うんですよ、粘り強くなんて、待っていられぬのですよ、年齢が来ていますから。だから、私どもは事を急いでおるというのが正直なところです。焦っておるのとはちょっと違いますので。

笠委員 安倍政権で、安倍さんが総理になられたときに、今官邸の方には拉致対策本部というもので、これは今麻生総理が本部長でやっておられると思うんですけれども、近々この対策本部を開くという予定はございますか。

麻生内閣総理大臣 進展は何も起きておりませんので、今直ちに全員集めて開く予定にしているわけではありません。

 しかし、基本的には、担当補佐官に中山恭子補佐官を充てておりますので、この室長ともども、日々これに対する情報収集などなど、いろいろいたさせているところであります。

笠委員 この対策本部は二年前、たしか九月にできまして、安倍政権時代に第一回目の会合というんですか、これが平成十八年十月十六日に開かれて以来一回も開かれていないんですよ。福田さんのときは一回も開いていない。福田さんは、対話と圧力の中で、もちろん両方大事ですよ、しかし、どちらかというと対話、対話、対話というような印象が強かった。ただ、これは総理がかわって、まさに新しい政権を発足させて、新しい本部長でしょう、その中でしっかりとこれからの方針を確認し、対外的にも、北に対しても、その揺るぎなき姿勢というのをメッセージとして出すということは私は大事なことだと思うんです。やはりこれは早急に開いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 御指摘はよくわかるところでありますので、検討させていただきます。

 次の制裁解除がたしか十月十三日だと思いますので、その前後が、ああ、予算委員会がありますか、ちょっとそこの日程等々は詰めないかぬところだと思いますが、検討させていただきます。

笠委員 これは担当大臣、河村長官の方でもいいんですが、この二年間、対策本部があって、その下に関係省庁の対策会議、実際はここで各省庁がいろいろな連携をしてやっていくということになると思うんです。これも安倍政権時代は四回開かれているんですけれども、福田総理のときは、ことしの四月に一回開いただけで、いかに拉致の問題に後ろ向きだったかということがわかるんです。

 では、この二年間に、会議を開かなかったけれどもそれなりに各省庁が取り組んできたという中で、今政府として、例えばこの拉致被害者というものをよく全員救出と言いますね。では、その全員というのはどこまでを指していくのか。あるいは、今後の再調査を仮に北朝鮮がやったということで何か結果を出してくる可能性だってあるわけですね、まだ再調査する前の段階のところでとまっていますけれども。そのときに、例えば何らかの調査結果が出てきたときに、では、それで全員なのかどうなのか、要するに、それを政府として受け入れることができるのかできないのか、その判断をするだけの材料というものは日本独自にしっかりと情報を集めているのかどうか、その点をちょっとお答えいただきたいと思います。

河村国務大臣 お答えいたします。

 当然、御指摘のような情報収集、これは事務局が中心になりまして、関係省庁と密接に連携をとってやっておるところでございます。まさに政府が取り組んでおると言っていいと思います。

 しかし、具体的にどうかと言われますと、現時点では、その情報の収集については困難を要する問題があるということから、この内容等々について具体的にお答えをすることは差し控えさせていただいております。

 いただいておりますが、もちろん御指摘のとおり、あらゆる方法を用いて、緊密な連絡のもとで、絶えず連絡をとり合って、事務方等々、中山補佐官を中心にやっておることは間違いございません。

笠委員 私はここで今具体的に、情報の管理というのはまさに大事ですから、だから出せということじゃないんだけれども、今どういう結果が北朝鮮から出てきたとしても、しっかりとそれに対して、政府として、これじゃ足りない、これであれば、そういうことはないと思うけれども、すべて北朝鮮が出してきたと言い切れるだけの、根拠となるだけの情報ぐらいはある程度集めることができているという認識を持たれているのかどうか、中身のことじゃなく、その点をお伺いしたいんです。

河村国務大臣 当然、全員救済というのが目的でありますから、今の十七人プラスアルファの問題についても、日本側としてもいろいろな資料を集めながら、そういうことが起きた時点では、それに対してきちっとした判断をして、全員救済という形で進めていく、こういうことでございます。

笠委員 プラスアルファという言い方をされましたけれども、やはり特定失踪者のいわゆる千番台リストの方々のみならず、これは数百人にも上る方々が今なお救出を待たれているということです。

 そして、時間になりますので、ここで私は二点、これは総理に要望したいんです。

 一点は、私たち民主党も拉致対策本部の方で、特定失踪者の家族の方々や、また協議会、連絡会の方々ともいろいろな議論もさせていただいているんですが、よく要望されるのが、例えば一千番台の方々、濃厚な方々の家族でもいいでしょうし、それ以外の方々も含めて、この特定失踪者の被害者の家族の皆様方とも、総理、一度ぐらいは官邸の方で話を直接聞いていただくという機会をつくっていただきたい。これは安倍総理もそういう形ではお会いになっていないんですよ。

 もう一点は、ホームページ等々、政府の公式な文書の中で、帰国させるとかそういう言葉はあるんですけれども、これはあくまで全員救出ですからね、国家の主権の侵害にかかわることなので。ですから、帰国させるということじゃなく、救出という言葉をぜひ使っていただきたいと思うのです。

 その二点について、総理、よろしくお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 特定失踪者の話をされたので申し上げますけれども、これは、特定失踪者として上がってきた中で、後で国内で発見されたケースというのもございましたでしょう。したがって、この辺で特定失踪者が果たして本当に全部そうかというのはなかなかちょっと言いにくいという事情も一つありまして、これは安倍総理のときからもそういうことになっているんだと存じます。

 ただ、こちらの方々も、いずれも、私どもとしては、失踪者十七人のうち五名帰ってきたので残りまだ十二名ということになっておりますけれども、そういった方々と同様、お気持ちはよく理解できるところではあります。

笠委員 時間になりましたのであれですけれども、先ほど言った、もうこれからは、帰国させるではなくて、救出する、やはりその言葉をしっかり政府の公式文書の中でも使っていただきたいと思いますので、その点だけお答えいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 帰国ではなくて、向こうから取り戻す、救出する、どこの表現が一番いいのかわかりませんけれども、帰国ではないという、もっと強い言葉、どの言葉が適当か、ちょっと検討させていただきます。

笠委員 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 これにて笠君の質疑は終了いたしました。

 次に、細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の細野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは事故米の問題について主に聞きたいと思いますので、石破大臣にも御答弁いただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、早速ですが、総理、資料をお配りしていますので、それをごらんいただけますでしょうか。

 これは、静岡県内の幼稚園、小学校、中学校で今回の事故米が含まれている給食がどれぐらい提供されたかという数を示したものでございます。本来であれば全国の数字を示すのが筋なんですが、全国の数字が余りまとまっておりませんので、静岡県内だけ、静岡県がつくった資料ですが、提示をさせていただいております。十四市八町で、合計をすると四十三万二千七百三食、子供たちが事故米が含まれた給食を食べています。

 ちなみに、一つだけ例を出しますと、私の地元の富士市の場合、小学校でいうと二十三校。これは、二十五校しかありませんから、ほとんどの子供が食べています。中学校は十四校。これは、十四校しかありませんから、この三年間に中学校に通っていた子供たちは事故米が入った給食を全員が食べている可能性があります。

 ちなみに、全国で、今の段階で取りまとめられている、学校給食で事故米が入ったものを食べた総数、延べ数というのは、六百三十九万二千六百二十七食です。総理、全国で六百四十万食が、子供たちの口から事故米が入っている可能性がある、こういう問題なんですよ。

 まず総理、率直な御感想をお聞かせいただきたい。

麻生内閣総理大臣 これは前にもずっと答弁をさせていただいておりますので、基本的には同じ感想を申し述べざるを得ないんですが、とにかく、こういう事故米というものを流通させて、しかも食用に流通させてしまった一義的な責任は業者にあることははっきりしていますが、問題は、行政として、食用に横流しされるであろうリスクというものに関して適切に対処できなかったというところが多々問題あり、基本的にそう思っております。

 加えて、これは、食べてしまった人にとっては、今のところどうもなっていないけれども、何となく気味悪いじゃないですか。ずっと後になってどういうことになるだろうかということに関して、食べた人の気持ちを考えると、これはかなり行政としての責任は大きいだろう、基本的にそう思っております。

細野委員 総理、相当認識が甘いと思いますよ。

 給食というのは、おわかりになりますよね、選択の余地がないんですよ。例えば、子供がアトピーを抱えていたり何らかの慢性疾患を抱えていて、食事を気をつけている親は非常に今多いです。給食は、これは強制的に食べさせられる、実質的には。それにこれが入っていたんですよ。今、業者が第一義的だとおっしゃったけれども、極めて認識が甘いと思いますね。あと、気持ち悪いとおっしゃいましたね。私は、今、気持ち悪いとかそういうレベルの事態ではないと思います。

 では、農水大臣に聞きますが、学校給食で出されたものの中にどういうカビがどれぐらい入っていたということを農水省はどれぐらい把握しているか。

 きのうからさんざん、先週からずっと聞いていますが、それは文科省の責任です、食品衛生法の問題だから厚生労働省に聞いてください、しまいには、食品安全委員会に聞いてくださいという話まで出てきて、最後の最後まで出てこなくて、ようやく紙一枚出てきました。

 大臣に全部答えをいただくと時間が長くなるので。五点カビが出てきていますが、アスペルギルス・フラバス属、こういうカビが入っている可能性がある、入っていると確認された。その中にはアフラトキシンなどのカビ毒を産出する場合が知られている。大臣、アフラトキシンというのはわかりますよね。これは史上最強の発がん性物質と言われているんですよ。

 総理、あなたは気持ち悪いとおっしゃったけれども、こういうものが入っている可能性がある食料品を子供に食べさせているんじゃないですか。気持ち悪いとかそのレベルで総理が言っていただいては、これは食わされた子供は救われないですよ。

 大臣に伺いますが、何が入っていて、どういうものをどれぐらい子供たちが食べたかということをきちっと把握していますか。

石破国務大臣 どれぐらい入っておったかということでございますが、事故米穀を原料として製造したでん粉の製品重量に占める比率一%が使用された可能性があるということで自主公表を行ったということでございます。

 その後いろいろと調べてみまして、今おっしゃいますように、カビというのは委員御案内のとおり数千のカビがあるわけですが、それを属というふうに分けてみたところが、今委員がおっしゃいますようにアスペルギルス・フラバス属というものがございまして、これがアフラトキシンを産出するものと同種のカビということになるわけでございます。これを分析しましたところが、アフラトキシンというものは検出をされていないということになっておるわけでございます。

 したがいまして、委員おっしゃいますように、このアフラトキシンというものが自然界に存在する最も毒性の強いものであるということはよく認識をしております。ただ、私どもとして、そうではあるのだが、アフラトキシンが検出されたかといえば、それはされていないということでございます。

 ですから、それが非常に危ないものでありますし、混入した可能性があるということで調べていましたが、アフラトキシンというものは検出されていないということもまた事実でございますので、そのあたりは、正確な情報を消費者の方々に、あるいは学校教育関係者の方々、保護者の方々に御説明する責任があると思っております。(拍手)

細野委員 今のは拍手するところですかね。

 アフラトキシンはしょうちゅうには入っている可能性があるということで、もう既に食品安全委員会に諮問していますね。今、リスク評価の最中ですね。

 では、大臣に伺いますが、学校給食に出されているものの中で菌がどれが入っているかと全部チェックできていますか。全部把握されていますか。

石破国務大臣 現在問題となっておりますのは、この事故米、これがどのように混入をしたかということが問題となっておるわけでございます。もちろん、委員おっしゃいますように、子供たちに選択の余地はない、そして、見ても全然わからないというものでございますから、すべてのものについてそういうような可能性がないかどうか、そういうことはきちんとチェックをしていかなければなりません。

 ただ、今本当に早急にやらねばならないことは、この事故米というものが、そして農薬が、もう事故米なんて言い方はいかぬのかもしれませんね、水にぬれちゃったというのとは違いますから、こういうものが入っていたかどうか、そのことをきちんと調べるということが喫緊の課題だというふうに考えておるところでございます。

 そのことについては、正確なデータというものを持ち、そして、保護者の方、子供たちに安心してもらうことは政府として最も重要なことだと認識をいたしております。

細野委員 非常にゆったりとお話をされましたが、まだ把握できていないんですよね。さんざん先週から、学校給食に何の菌が入っているか、カビが入っているか調べてくれと農水省にお伝えをしましたが、実は学校給食はかなり落ちていますよ。どうも間接的にいっているという認識だったようで、さっきも言いましたが、文科省、厚生労働省、食品安全委員会の間に落ちて、実は全部調べているわけじゃないんですよ。私は、極めて無責任だと思いますね。

 その上で、大臣にもう一つお伺いしたいんですが、余り揚げ足をとりたくないんですが、先日、筒井NC大臣とのこの委員会でのやりとりの中で、一つ気になることがありました。消費者の皆さんに申しわけないという言葉は農水大臣からよく出てくるんだけれども、生産者の皆さんに申しわけないという言葉はほとんど出てこないんですね。つまり、米農家。

 私、地元を歩いていまして言われますのが、まじめに米をつくっている農家は、減反を強いられて、本当はおいしい米をつくりたいのにつくれない状況にいるわけですね。今回、外米が入ってきて、しかも、それが汚染をされているにもかかわらず食用に回っていたという問題が出てきているわけでしょう。これは何なんだと、米農家から見れば。外米が入ってきて、そして、食べられないのにそれが食用に回っているということについて怒っている生産者は多いんですよ、大臣、うちも選挙区に米どころがありますから。

 ところが、農水大臣は、先日、葉梨委員からの質問に対して、それを廃棄することに関し、こういう発言をされているんですね。何だ、もったいないじゃないか、農業をやる方々がずっと一生懸命つくったものを燃やすとは何事だという御批判があると。

 本当にありますか。外米で入って工業用なんだからきちっと廃棄をしてくれとか処分してくれというのは、当然農家の皆さんの声でしょう。外米はむしろ工業用のはずなのに食用に回っていること自体に対して農家の皆さんは怒っているのであって、そこは大臣、大いに認識が違うと思いますよ。どうぞお答えください。

石破国務大臣 委員が揚げ足をとるような議論をされる方だとは私は全く承知をいたしておりません。そのことをよく認識した上で申し上げます。

 私は、就任以来何回か申し上げておりますが、農水省というものが消費者そして一人一人の生産者を見てきたかどうかということについては、きちんと検証したいということを申し上げました。生産者を見ていないというつもりは全くございません。このことについて生産者の方々が心を痛めておられることもよく承知をしております。

 そして、生産者、お米というものをつくった人というのは、私は、日本のお百姓さんだけではないと思っています。タイ米であれベトナム米であれ、それは、その地域で米をつくっている生産者がタイにもベトナムにも中国にもどこにもいるのです。

 私は、食に対する尊敬とか畏敬の念というのは、それは国境を問わずどの国に対しても持つべきであって、どの国でつくられた米であれ、それは天の恵みであり、その国のお百姓さんが一生懸命つくったもの、それを燃やすということについてどうなのだということは、それは内外の差はないのだろうと思っています。しかしながら、事安全性ということにかかわるものであるならば、それはきちんと処分をするという方針を固めたということを申し上げておるのでありまして、それは矛盾するものではございません。

 そして、本当にそんなことを言っている人がいるかということですが、それは委員のところにはどうか私は存じませんが、私のところには多くのメール、あるいはブログへの書き込みがございます。本当に食べられるものを燃やしちゃう、あるいは国民の税金で買ったものを燃やしちゃうということについてどうなのか、あるいはバイオエタノールに変わっていかないのか、そういうのは非常に多くございますので、そういうことを事実として申し上げました。

 そして、では何でそんなものが回ってくるんだ、入ってくるんだ、減反が厳しい折柄、何で外国から入れなきゃいかぬのだという議論はまたさせていただきたいと思いますが、これは高い関税を張っている、そしてその代償としてどうするかということ、そのことの議論をきちんと踏まえない上で、高い関税を張っているということは何のためなのか、そして枠を設定しているのはどういうことなのかということをきちんと認識した上で議論をしないと、この米の問題は語れないと私は思っております。

 政府がこのことについて、ちゃんと横流しがされないようにしなければいけなかったということの反省、責任は十分踏まえた上で、MA米というものがなぜあるのか、これをどうすべきかという根本の議論はきちんとさせていただきたいと思います。

細野委員 まじめに米をつくっている方々に対して謝罪の言葉がなかったのは非常に残念ですね。そこは私と大臣とは、残念ながらこの点に関しては見解を異にします。

 私は、本当にまじめに日本で米をつくっていて自給率を上げようと頑張っておる方々にとっては、外米が本当は工業用だったのに食べさせられていたと、給食にきちっと出したいと思っていた農家の方々にとっては、非常に無念の思いを持っている方は多いと思います。私は、そういう声を聞いています。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 その上で、今回のケースでガバナンスに問題があったことは明らかなんですが、少し絞って話を聞きたいと思います。

 まず、平成十九年一月二十九日、内部告発があってから、福岡の農政事務所は五回の調査に入っています。五回調査に入って、それでこれは問題ないという結論を出しているんですが、その後は随意契約で、三笠フーズ、また買ったりしていますからね。淡々と調査をしているという状況なのです。

 ここで結論を出しているんですが、大臣にお伺いしたいのが、この結論を出したのはだれですか、問題なしと。どこまで上がったんですか。農政事務所から九州農政局まで上がったのか、九州農政局から本省まで上がったのか。本省まで上がっているんじゃないですか。

石破国務大臣 結論とおっしゃいますのは、これが立入検査に入って、告発といいますかそういう文書があって、実際に行って、三袋なくて、その議論をしておられるのでございましょうか。

 それは、農政事務所そしてまた農政局まで上がっているというふうに私は承知をいたしております。農政事務所だけで完結しているというものではないと考えております。

細野委員 本省まで上がっていませんか、本当に。本省の判断を仰いでいませんか。

石破国務大臣 この決定についてでございますが、当時の本省の担当課長、消費流通課長でございます、これが判断をした、つまりそれを確認したということまでは承知をいたしております。

 ただ、そこから先、上に上がったかどうか、局長クラスまで上がったかどうかということにつきましては調査を進めておりまして、これは担当もかわっておりますので、きちんと、その者が承知をしていたかどうか、それは今後、承知をしていたか承知をしていないか、それは行政の責任として極めて重大なものでございますので、調査完了次第また御報告を申し上げます。

細野委員 今、非常に重要な答弁ですね。本省まで上がっているんですね。

 大臣は、先日のこの委員会の答弁の中で、どうも農政事務所の現場と三笠フーズの間には認識の共有があったのではないかという話をされましたね、答弁されましたね。つまり、何らかの関係があったのではないかという、それを示唆する発言をされましたが、認識の共有があったのは、これは農政事務所の現場だけじゃなくて農水省本省まで認識の共有があったんじゃないですか。これだけの調査をして、この調査結果を見て、安全と判断できるなどというのは、これは認識の共有があったとしか思えない。

 大臣に聞きますが、それぞれの農政事務所から、事故米が出ました、これはどこに売ればいいですかと問い合わせが結構農水省に来ていますね。私は幾つかの農政事務所から話を聞きましたが、事故米の購入については三笠フーズや浅井が買ってくれますよと農水省が答えていませんか。

石破国務大臣 私が申し上げましたのは、認識を共有しているではないか、だから、俗な言葉で言えば「ぐるではないか」みたいな形の認識を持たれていますねということを言ったのであって、私としてそういう認識を持っているという答弁はしたことは一度もございません。きのう申し上げましたのは、少なくとも緊張関係は欠いていたというところまでは責任を持って申し上げられるということです。認識を共有していたかどうかということについて、大臣として軽々なことは申し上げられません。

 ただ、それがあったかどうかというのは極めて重要なことでございますので、そのことの調査は徹底的にいたします。そういうことだと私は思っております。

 三笠フーズを紹介したというおっしゃり方でございますが、少なくとも、三笠フーズというものがあるということを示したことは事実でございます。こういうものがあります、こういうところが買ってくれますということを事実として示しましたが、買ってもらいなさいというような、慫慂みたいなことはしていないという認識はしております。

 ただ、提示をしたことも問題であって、その前段として、きちんとそういうような事故米についての調査を行い、これがよくないということを認識しておればそういう提示もしないのであって、その認識を欠いていたということについての責任は極めて重かつ大であると思っております。

細野委員 もう一度整理して申し上げますが、今回の事故米の問題が、半ば、これが内部リークによって明らかになるチャンスがあった。この平成十九年の一月二十九日の内部告発ですね。その後内部調査をして、三袋なくなっていて、それで事足れりとしたなれ合いの調査は、本省が最終的に報告を受けて、これでよしとしているんですね、大臣。

 加えて、累次にわたって農政事務所から事故米の処理をどうしましょうかと本省に問い合わせが来ているときに、三笠フーズを、社名を挙げて、買えと言わないまでも、紹介をしているんですね。これは農政事務所とぐるだという話じゃなくて、農水省とぐるだという話じゃないんですか。

 この議論は、今調査中ということだし、これ以上我々でやっても多分見解が違うんでしょうから。私は、農水省全体に三笠フーズとの関係というのは相当色濃くしみついていたんだろうというふうに思っています。

 もう一つ私が指摘をしたいのは、こうした議論をする中で、自民党の議員の皆さんの中から、いや、それは労働組合だ、労働組合が悪いから勝手にやったのであって、自民党は責任ないみたいな話がありましたね。そのことに対して私の見解を申し上げたい。(パネルを示す)

 これは、平成十五年から平成二十年まで、この五年間、事故米が流れた期間における農水大臣のリストです。五年間で十六人も農水大臣が就任しているんですよ。兼職をした人五人を除いても十一人ですよ。平均在任期間はわずか百四十六日。

 まず麻生総理に聞きますが、総理、あなたは社長の経験をされて、その経験をもとに総理大臣になられた。会社であれば、五年間で十六人も社長がかわって、取引先に信用されますか。こんな会社、存続できますか。どうですか。

麻生内閣総理大臣 会社経営があったから総理大臣になったというお話は、ちょっと話が飛躍し過ぎているように存じます。まず、その点だけは反論させていただきます。

 その上での話ですけれども、普通、常識的に言って、短期間にこれだけかわるというのは、会社の組織として多々問題があるというように判断される可能性は極めて大きい。事実、そういった問題のある方、やめられた方も、やめ方もいろいろ違いますので何とも申し上げられませんけれども、私の申し上げているのは、短期間にいろいろな意味で長が次から次へかわるというのは、組織としてはなかなかうまくいっていない組織と言えることと存じます。

細野委員 総理、そもそもガバナンスの問題なんですよ、この問題は、ここまで話が大きくなったのは。

 このリストの中で、石破大臣を除いて唯一今閣僚席に座っているのは中川大臣ですね。せっかくなのでお聞きしたいんですが、中川大臣は、在任中の三百三十日の間に福岡の農政事務所に行かれたことがありますか。九州の農政局に行かれたことがありますか。答えてください。

中川国務大臣 ありません。

細野委員 私、これは調べてみて愕然としたんですけれども、石破大臣も聞いてくださいよ、この五年間で福岡の農政事務所に行った大臣は一人もいませんよ。それはおろか、九州の農政局にすら一人も大臣は行っていないですよ。組織の長たる者、社長は、現地の工場を回り、そして工場で働いている職員から話を聞き、顧客とどういう関係が成り立っているのかと聞くのが社長の仕事でしょう。五年間も、この間これだけのことが起こっていて、歴代の大臣が一人も現場を見ていないんじゃないですか。そこが問題なんですよ。

 要するに、政策を全部官僚に丸投げをして、そして官僚の暴走を招いた自民党そのものが問題だということに総理自身が気がついていないんですよ。どうですか、総理。総理です、総理。総理だ、ここは。

麻生内閣総理大臣 五年間の間にこれだけかわったら、農政局に行ける時間は物理的にはなかったですな、これは。基本的にはそうなりますよ。ただし、その種の……(発言する者あり)これは物理的に申し上げているので、感情論の話じゃないんだ。物理的な話をしているんだから、よく聞いてください。基本的に、こういったような問題のあるところがたまたまできていなかったんだと思います。

 九州農政局以外の農政局にも全然行っていないんですかね。そこは調べておられますか。ちょっと教えていただけると、今後の参考になります。

細野委員 一つも行っていません。(麻生内閣総理大臣「他の農政局にも」と呼ぶ)一切行っていない。石破大臣が初めて行ったんですよ。これが自民党なんですよ。官僚に政策を丸投げ。

 では、総理、もう一回聞きますが、物理的な時間がないと言うけれども、三百日、四百日、五百日やっている大臣いるじゃないですか。現場に行って、何が起こっているか、ちゃんと国民の皆さん、お客さんに対して充実したサービスを提供しているかどうか聞くのは、当然大臣がやるべきことでしょう。時間がないって、よく見てください。そんな認識でこの問題、解決できますか。もう一回総理に聞きます。

衛藤委員長 総理の前に、農林水産大臣石破茂君。(細野委員「総理に聞いている。総理のさっきの答えに対して聞いているんです。だめだめだめ。総理に聞いていますから。逃げるんですか、あなたは。逃げるんですか、総理」と呼ぶ)

石破国務大臣 委員の御指摘で調べましたが、御指摘は事実でございます。

 ですから、これからどうするかということを考えましたときに、地方の組織のあり方、すなわち、委員御案内かと思いますが……(細野委員「そういう問題じゃない」と呼ぶ)いや、いいですか、農政局があって、これが二重行政ではないかという御指摘もいただいているわけです。どのようにすれば一番効率的かということが一点。

 それから、大臣、副大臣、政務官といるわけですから、それが現場を見るということは必要だということは、今回本当に私、痛感しました。組合がどうとかそういうことを私は申し上げているのではありません。農林水産省全体の問題です。

衛藤委員長 簡潔に。

石破国務大臣 ですから、そこはどうなんだ、本省の認識はどうなんだと、農政局長を呼んで、どれだけ会議をやっているのか、その点はきちんと見なければなりませんし、同時に、現場において何が行われているのかということを監察するという仕組みがあるかないか、このあたりもやっていかねばならぬことだと思っております。

 今まではともかくとして、これから先、農林水産省の行政のあり方というのは徹底的に見直してまいりますので、その点は御了承いただきたいと存じます。

麻生内閣総理大臣 基本的には、農政事務所というものの存在が多分二重行政になっておるのではないかという昔からある御批判というものの一つがこれなんだと思いますが、ただ、農政事務所に行っていないからといって、そこに務めておられる、中川先生初め多くの大臣の方々が農業の現場に行っていないというわけではありません。

 したがって、そういったことを考えますと、ぜひ、農政事務所のあり方、今、石破大臣の方からお答えがありましたけれども、二重行政と言われるもののうち、よく出てくるものの一つですが、こういったものを含めて、今、この五年間だれも行かれていないという現実も踏まえて、この農政事務所のあり方、存在等々含めて、検討されてしかるべきだと存じます。

細野委員 今の御認識、その程度の認識であれば、こういうガバナンスをきちっと政治家がやるべきだ。現地に行っていないことを反省するぐらいの、それぐらいのせめて意識を持っていただかなければ、野田大臣いらしていますが、何をつくったって同じだと思いますよ。

 官僚の暴走をとめるために政治家が何をしなければならないのかということに関しての、今、石破大臣も組織論をおっしゃいましたが、基本的な態度がなっていないと私は思いますね。そのことがよくわかりました。

 最後に、総理、もう一点だけ伺います。

 先ほど笠議員から、マスコミの情報提供に関しての質問がありましたね。大臣が責任を持ってこたえますという話がありました、マスコミから役所に情報提供の依頼があった場合。

 私、あれは聞き捨てならぬと思うんですよ。国対へ、マスコミから提供があった場合には、厚生労働省の官房長はケース・バイ・ケースでお知らせすると言っているんですね。大臣が責任を持ってこたえるのは、それはそれで結構。しかし、国対に知らせるというのは、これからもやるんですか。これは、やるとすれば大変なことですよ。やるんですか。

麻生内閣総理大臣 それは、先ほど大臣が判断すると言われたので、基本的には各省庁によって大臣が判断されるということだと存じます。

細野委員 総理、わかっていない。

 総理、マスコミに情報提供するというのは、官僚もそれなりの萎縮効果が働くんですよ、国対から情報を求められた場合にどうするのか。マスコミも我々野党も、そういう萎縮効果がいろいろある中で、役所から情報をとって国会で追及をしているんです。消えた年金問題だって、いろいろな税金の無駄遣いだって、そうやって資料が出てきたから追及ができたんですよ。

 マスコミに出す情報すら国対に知らせるなどという、そんなことを黙認する、その感覚そのものが私は民主主義というのをわかっていないと思います。

 そのことについて、これは見解をどうされるのかわかりませんが、私は、今の政権そのものの体質をあらわしている、そのことに強く違和感を感じたということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

衛藤委員長 これにて細野君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。質疑の機会をいただきました。

 一昨日、昨日と二日間、この補正予算審議、基本的質疑ということで、先輩諸氏が質疑をされておられます。昨日、前原議員が道路特定財源の一般財源化について質疑をされました。私は、このいただいた時間を使って、その後の道路問題ということで、この一般財源化についてもお尋ねをしたいというふうに思っております。

 昨日の前原議員の質疑の中で、金子国土交通大臣、道路特定財源の一般財源化については、私は極めて違和感を感じる答弁がございました。それにつきまして、冒頭、まず確認をさせていただきたいと思うのです。

 前原議員は、昨日は、道路特定財源の一般財源化について、平成二十一年度の概算要求、対前年比一・一一ということで、この概算要求ベースを見れば、一般財源化して、もともと社会保障、さまざまな形でその用途を広げて考えるべきだというその趣旨から外れているのではないか、こうしたことを質疑されたわけでありますが、そこで、金子大臣は御答弁の中でこういうことをおっしゃいました。担当大臣としては今の概算要求をみんな認めていきたい、このようにおっしゃったわけであります。

 御本人は、九月の二十九日、御地元での岐阜新聞でのインタビュー記事にも、単独インタビューのお答えとして、「「必要な道路を造るために、しっかり地域の要望に対応していきたい」と抱負を語った。」このように載っております。さらに、公共事業費の削減方針に関しては、「予算獲得に向けて努力していきたい」、こう語られておるわけであります。

 金子大臣、お尋ねをさせていただきますが、このようなインタビューの抱負を語っているお気持ちの中に、いわゆる道路予算、これを抑制する意思というのは全くお持ちではないんでしょうか。いかがでしょうか。

金子国務大臣 道路財源一般化というのは、ある意味枠組みとして非常に画期的なことだということも申し上げました。

 これまで十年間で、道路予算というのは四〇%以上の削減を行ってきております。そういう事情の中で、一方、他の財政需要も非常にふえてきているという状況で、道路財源を一般化、一つの過程なのかもしれませんけれども、しかし、これまでやってきた大きな枠組みを、一般財源化するということ、自身を変えるという意味ではまさに画期的なことであります。

 そういう中で、しかし一方で、それぞれの地域、特に地方、道路に対する需要は非常に強い。それに対して、こういう一般化の中ではありますけれども、必要な道路を当然確保していく、これは、もとより私の選挙区だけでなくて地方全域で確保していきたいというのは、当然、担当大臣としては持っております。

 ちなみに、地方だけじゃなくて東京も、都会部も、まだ東京では圏央道、環状線ができていない。世界先進国の中で、多分環状線がないというのは東京ぐらいだと思いますけれども、そういう意味で、都会、地方ともどもにそういう需要があるという中での対応だと思っております。

馬淵委員 一般財源化していくということと同時に必要な道路をつくる、このことは、再三さきの通常国会の中でも議論がございました。

 ただ、一般財源化をしていくというこの趣旨、要諦というのは、まさに道路予算の抑制、ここに重点が置かれているのではないかということを昨日も前原議員がお尋ねしたんだと私は思っています。

 お手元に資料を配らせていただきました。資料の2をごらんいただきたいと思います。

 資料の2は、福田総理が三月二十七日に記者会見をして、道路特定財源制度を廃止し一般財源化する、これを語られた後、歳入法案の再可決、四月三十日に福田総理が会見をされたその一文でございます。

 ここにありますように、三月二十七日に行った会見で、道路特定財源制度廃止、二十一年度から一般財源化、このことをお約束いたしますと述べられて、そしてここでは、明確に、「社会保障や環境対策の充実を求める国民の皆さんの声に応えていくためには、道路整備は、国民生活にとって優先度の高い順に、コストを徹底的に削減して行うこととし、それによって生み出された財源を一般財源として積極的に活用していかなければならないと決断いたしました。」このように述べられています。

 すなわち、まさに一般財源化の要諦というのは、福田総理がここで述べられているように、道路予算のコストの削減を徹底的に行って、あいた部分について、社会保障や環境対策、さまざまな形、まさにこれは一般財源ですから、自由に使えるわけですから、その自由に使えるということを考えていくんだと明言されているんですね。

 金子大臣、福田総理がおっしゃったこの趣旨を、先ほど明確にお答えいただけなかったんですが、無視されているんじゃないでしょうか。いかがですか、端的にお答えください。

金子国務大臣 この中で福田総理が言われました、「道路整備は、国民生活にとって優先度の高い順に、コストを徹底的に削減して行うこと」とする、このことについてはこのとおりやっていきたいと思っております。

 ただ一方で、先ほど申し上げましたように、十年間で四四%ほど道路予算が削減されてきている。道路財源の増加に合わせて道路支出というのがずっと伸びてきているという状況とは全く違う環境であるということも我々よく認識しながら、しかし、今申し上げたことはきちっとやってまいります。

馬淵委員 あいまいな御答弁ですね。

 一般財源化、道路コストの抑制を明確に示されているわけですよ。そのことについては決意を持って臨まれるのかどうかというのを、私、最初の質問にしたんです。そして今も、福田総理の会見の文章、会見の要旨をお伝えしました。金子大臣はこれを無視されるのかと私はお尋ねしているんです。明確に、端的で結構ですから、お答えください。

金子国務大臣 コストを徹底的に、無駄を排除して、やります。もう既に馬淵議員からも御提案ありました、いろいろなコスト削減手法を使いながらやってまいります。

馬淵委員 明確ではないんですが、昨日の金子大臣の御答弁の中には、みんな認めていきたいんだと言うけれども、しかし一方で、年末までに、これは時間をかけて決めていくんだと。これは麻生総理もそうおっしゃっておられましたね。予算編成に向けて、年末にかけて決まっていく、今の段階ではわからないと。麻生総理も繰り返しそのようにお答えをされていました。

 ところが一方で、金子大臣は、一般財源化されたとはいえ、革命的に、道路を半分にするとか三割減らすとか、そんなことを政府がやれるわけがありません、昨日このように答えられましたね。

 金子大臣、これも端的にお答えいただけませんか。今の段階ではわからないとお答えをされたにもかかわらず、一方で、三割減らすとかはできないと。なぜ三割減らすことはできないと判断されたんですか。

金子国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、既にこの十年間で四割以上の削減をしてきている。こういう中で、道路の需要、その他の需要というものも含めて、行政需要は大きくあります。

 同時にでありますけれども、やはり国費の支出、公共事業の支出、この国の経済に与える影響というものが非常に大きいということも勘案すれば、三割、五割の削減というものは、私としてはがえんじられるものではないということを申し上げたつもりであります。

馬淵委員 御本人の中では、三割減らすことはできない、もう既に減らすつもりはないとおっしゃっているのと私は一緒だと思いますよ。

 三割減らすことができない。では、二割だったらできるのか。これはお答えできますか。大臣、どうですか。

金子国務大臣 きのうの答弁にも申し上げましたとおり、概算要求を今させていただいておる。そういう中で一・一九の概算要求を認められている。これは他の公共事業も同じであります、道路だけではありません。そういう中で御答弁をさせていただいたところであります。

 二割も削減、三割も削減。これは三割、二割という数字を、いいとか悪いとかではなくて、明示的な、シンボリックな表現として申し上げた次第であります。

馬淵委員 お話を伺っても、御本人の中では、抑制をしていく、そして福田総理がおっしゃった、道路特定財源を一般財源化する本来の趣旨というものを十分に御理解されていないのではないか、そのようにも感じます。

 麻生総理、こうした一般財源化について総理は、必要と判断される道路、これは資料1にございますが、閣議決定では「必要と判断される道路は着実に整備する。」このように明記されております。総理も昨日、当委員会では、必要な道路はつくらせていただくという趣旨を述べられておりました。

 ここで麻生総理、金子大臣は三割と言った、これはイメージだとおっしゃいますけれども、必要な道路をつくると昨日おっしゃられた。必要な道路をつくるというその判断というのは、さきの通常国会の予算委員会も閣僚としていらっしゃった中でこれをお聞きになられたと思いますが、これは道路策定の中期計画の中で決定され、そしてBバイC、いわゆる費用対便益、これで判断されるということの認識を当然お持ちですよね。いかがですか。

麻生内閣総理大臣 まず最初に訂正しておきますが、さきの通常国会は閣僚ではありませんでしたので閣内にはおりません。一方的に言われると、後でいかにも無知だったように言われるとちょっといけませんので、訂正だけさせていただきます。

 その上で、これは閣議決定はされておりますので、一般財源化するということははっきりしておるということだと思います。

 何となく今、きのうもどなたか言われていましたが……(馬淵委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)もう一回聞いてください。あなたの最初の訂正をさせていただきましたので、もう一回質問していただけますか。

馬淵委員 では、もう一度伺いますよ。

 必要と判断される道路、これは新しく策定される五年間の中期計画により判断され、費用対便益、BバイC、これで判断されるという御理解をされていますねと聞きました。

麻生内閣総理大臣 基本的に必要な道路はつくります。当然のことだと思っております。

 どういうものが基本かといって、私はたしか、あちらこちらで、つながっていない道路というのが一番問題、効率が悪い、そういったものをつなげていくというのが道路が生きてくるということになる、私はそういったものがいい、優先順位が高いのではないかというような話を申し上げました。

 また傍ら、いろいろ今、救急医療の話等々、田舎、地方と言われるところで道路の要求というのは物すごく強いものがある。私は、病院の問題を含めて、地方を歩くとすごく強いと思うんですね。奈良県は知りませんよ、私、正直。奈良県はそんなに詳しいわけではありませんから。ただ、私どもの周囲では物すごく多いというのを言いますので……(馬淵委員「聞いたことだけ答えてください」と呼ぶ)丁寧にお答えをさせていただいておりますので。はしょって答えるといろいろ物議を醸しますので、丁寧にお答えさせていただくつもりです。

馬淵委員 中期計画で策定された道路、BバイCで決定されるということを認識されていますねという質問ですよ。

麻生内閣総理大臣 基本的には前からお答えをいたしておりますとおり、中期計画というのは五年として新たな整備計画を策定されておりますね。これに沿って検討を進めてまいるということであります。

馬淵委員 その御認識をもとに、この中期計画、そしてさらには中期計画のもととなる需要推計の見直し、これが再三、さきの通常国会の中でも議論されました。五月十三日のこの閣議決定の中でも明確に、道路の中期計画は五年とし、最新の需要推計などを基礎に、新たな整備計画を決定するとなっております。

 この需要推計の策定、これについてお尋ねします。金子大臣、端的にお答えください。この需要推計の策定の完了予定はいつですか。

金子国務大臣 十一月中には取りまとめたいと思っております。

馬淵委員 十一月中という答弁をいただきました。秋までに作業完了ということですから、十一月中は秋、十二月は冬だということの御認識だというふうに理解いたします。

 これは、お手元の資料3にありますように、福田総理も明確に、このことは四月四日の参議院の本会議で述べられております。今年の秋までに作業が完了する交通需要推計、これを用いてということで述べられておりますが、秋までに、十一月までにこれが策定されるという前提でございます。

 さて、この需要推計ですが、これについて確認をさせていただきます。この新たな需要推計、私はさきの通常国会の中で、この需要推計については、平成十四年センサスのデータを用いているが、本来ならば平成十七年センサスを用いた、そして平成十九年の需要推計報告を用いて行うべきではないかということを指摘いたしました。これによって、再度秋までに見直しを行うという答弁をいただいているわけです。

 さて、その作業状況、これはどういうことかといいますと、現在、国交省は財団法人計量計画研究所にその作成を委託されております。これは資料4をごらんください。契約書の写しでございますが、今後の交通動向を踏まえた将来交通需要推計に関する検討業務、これを計量計画研究所と国交省道路局が結んでおられます。四月十六日にこの契約を締結されました。契約書では、第六条に、ここには載っておりませんが、工程表の提出というのが定められております。

 資料の5をごらんください。工程表というのが、この5でございます。

 この需要推計を検討する業務ということで、計量計画研究所は、大きく三つの段階を指定しています。作業方針の作成、そして、それからの全体の検討、さらに報告書作成、大きくは三段階。さらに、その真ん中の検討の部分でいいますと、三つに分かれております。将来交通需要推計モデルの分析・検討、有識者による幅広いご意見に基づく将来交通需要推計モデルの検証、将来交通需要推計フレームの構築及び今後の道路交通需要の分析。これらの工程を行って、そして需要推計が決定される、受託業務を終了させるということであります。

 大臣、この5の図の中で、工程は現在どの段階でありますか。これも端的にお答えください。

金子国務大臣 この契約をされましたのが、四月の契約時点であります。(馬淵委員「大臣、ここですよ、ここで示してください」と呼ぶ)その表……(馬淵委員「資料5ですよ。聞いていてください。どこですか、どの段階ですかとお尋ねしているんです」と呼ぶ)わかりました。

 これは、今度、さっき申し上げましたように、十二月に予算編成があります。その作成までには交通需要統計を当然提出、作成いたしますので、どの段階という御質問でありますけれども、既に作業が相当進んでおります。

 ここの契約の出てきておりますものには、相当、資料整理等、残事業まで入った工程表になっておりますので、そういう意味では、十一月までに間違いなく終わらせます。

馬淵委員 私がお聞きしているのは、この工程表の図、フローチャートがあるじゃないですか、どこの段階まで行っていますかと聞いているんですよ、大臣。

金子国務大臣 この資料は初めて拝見をするものですから……(馬淵委員「いや、違いますよ、これ、ちゃんと提出していますから」と呼ぶ)私は見せられるのは初めてなものですから。

 有識者による幅広い御意見に基づく検証、これはもう進んでいます。それから、推計モデルの分析、検討も進んでおります。それから、三の交通需要推計フレームの構築及び今後の道路需要の分析、これについて既に有識者等の声も聞きながら相当に進んでおります。

 そういう話ですよ。それ以上の答弁はありませんよ。

衛藤委員長 馬淵澄夫君、もう一回質問してください。(馬淵委員「おかしいよ、答えになっていない」と呼ぶ)

 国土交通大臣金子一義君。

金子国務大臣 もう一遍繰り返します。

 一の将来需要推計モデルの分析、二の有識者による幅広い意見に基づくモデルの検証は既に済んでおります。現在、三番の将来交通需要推計フレームの構築及び今後の道路交通需要の分析、この過程に入っております。

馬淵委員 現在このフローチャートの三番に入っているということですね。モデルの分析、検討は終わった、そしてモデルの検証も終わった、そしてフレーム構築さらに需要の分析、そこに来た。今明確にいただきました。

 大臣、ではお尋ねしますが、この工程表がある。同時に、作業日程の提出というのも契約の中に定められております。資料6でございます。「作業日程表の提出について」ということで、これは資料6、7をごらんいただきたいと思いますが、今申し上げたこれらのチャート、これらの作業工程が作業日程表として示されておりますが、これを見ると来年の二月までになっているんですね。来年の二月までかけて、三月に報告書作成ですよ。この作業日程でいえば、本来、秋までという、今十一月までとおっしゃった部分、これはできないじゃないですか。これは一体どういうことなんでしょうか。秋までにということであるにもかかわらず、契約上では来年の二月になっています。これはどういうことなんでしょうか、大臣。

金子国務大臣 先ほどちょっとこのことをお答えしたんですが、この作業日程あるいは契約書は、四月の契約時点の見込みであります。先ほど申し上げましたように、年末に行われます予算決定前に需要予測というのは当然必要でありますから、その作業に間に合うようにさせていただきます。この契約書の中身は、資料整理、残作業等々も含めた日程のようでございます。

馬淵委員 この契約の段階で、これは、見ればわかるように、二月までかかる予定になっているんですね。報告書作成は三月末ですが、二月までの作業工程になっている。その段階で秋までと明言をされておられるわけです。

 資料8に、国土交通省の需要推計策定に関する経緯というものを私はまとめました。

 四月十六日に契約を結んだ。そして、一週間後の二十二日に工程表、日程表が提出され受領された。二十二日の段階での日程表は、先ほど申し上げたように二月までかかるとなっているんですね。二月までかかるという状況の中で、秋までには終わらせるという、秋ごろになるということを再三再四、福田総理あるいは冬柴大臣が答弁されています。

 冬柴大臣の御答弁は、お手元の資料の9でございますが、ことしの六月十一日、小宮山泰子委員の質疑に対して、将来交通需要推計、これについては冬柴大臣は、「秋ごろになります。」このように明確に答えておられます。秋ごろにこれが出る、そして十一月に間違いなく出すというふうに今おっしゃいました。この秋ごろにというのが十一月。これは再度確認させてください。この工程表の中で確定された秋ごろ、十一月末までに交通需要推計が確定するということ、これは再度答弁いただきます。

金子国務大臣 十一月中には交通需要推計を取りまとめて、速やかに公表させていただきます。

馬淵委員 この経緯には、さらに、計量計画研究所とは別の会社との契約も示しております。これは、分布交通量モデルを用いた将来OD表作成検討業務というものなんですが、これは五月の二十三日に、株式会社社会システム研究所と契約を結んでおります。これも同日で、工程表、日程表を受領されているんですね。

 これはどういうことかといいますと、交通需要推計のモデル、フレームを……(金子国務大臣「資料は何」と呼ぶ)資料8ですね。資料8に私は経緯をまとめました。

 再度、おさらいですが、需要推計を行っていく上で、フレームを構築する、モデルを決定する、これが計量計画研究所で行われます。それらの決定をもとに、フレームをもとに、今度はOD表というのが作成されます。オリジン、デスティネーション、出発点とその最終着地点、六千カ所のそれぞれの表をつくっていく、マトリックスをつくっていく。これらの作成検討業務が社会システム研究所に委託されました。そして、これをもとに、今度は中期計画の策定に入っていくわけです。いわゆる配分交通量というものを決定していくわけです。きょうは添付しておりませんが、この社会システム研究所の契約締結、これを見ますと、これも同様に、来年の二月までの業務となっております。

 今、金子大臣は、十一月にこの需要推計を必ず公表するとおっしゃいました。この需要推計を受けてから、さらに、このOD表作成をして、配分交通量、各路線にどれぐらいの交通量があるのか、いわゆる断面交通量です、これらをもとにしてBバイC、費用便益を算定していくんです。これが二月末までの工程となっております。

 金子大臣、ならば、確認しますが、二月末、三月末までにこれが確定するということですか。もう二月末では遅いですよ。いいですか。予算編成がなされていく中で、予算の提出は来年の一月じゃないですか。中期計画を策定して、それを予算に反映するのであれば、すなわち、十一月に需要推計ができても、OD表作成、費用対便益の分析を行っていくのに、これがどれぐらいの時間がかかるか。

 これは、前回の需要推計から費用対便益分析までの計算過程は六カ月かかっているんです。前回、六カ月かかっている。十一月末までに需要推計が出されても、二月までの工程で今出ていますよ、これを前倒しで十二月末までにできるんですか。いかがですか。大臣、お答えください。

金子国務大臣 十一月末までに、全体のマクロの数値は、統計は出させていただきます。その後、個別のミクロのものは、今度は予算策定と、財務と個別にやっていきますので、これは少しずれ込むことになると思います。しかし、予算編成……(馬淵委員「いつですか」と呼ぶ)それは二月、三月までかかると思います。しかし、予算編成上必要なマクロの数字というのは、十一月中には報告をさせていただきます。

馬淵委員 大臣、ことしの通常国会の審議、ごらんになられたでしょう。通常国会で予算委員会の審議、中期計画、これを審議したんですよ。このときにも、中期計画、年間五兆九千億円、十年間で五十九兆円、そして、その根拠は何だといえば、まさに配分交通量、先ほど申し上げている、路線それぞれのBバイCを計算して積み上げたものだと、最初、国土交通省、そう言っていたんです。それがあいまいじゃないかということで、もう一度見直すという話になったんです。

 今のお話、一緒じゃないですか。来年の二月、三月じゃ遅いんですよ。来年の予算編成までにこれは確定していないと、またもやいいかげんな中期計画で審議せよということなんですか。同じことをまた言っているんですか。どうですか、大臣。

金子国務大臣 予算編成に必要なマクロについては、申し上げましたように、十一月中に必ず公表させていただくということは申し上げたとおりであります。

 個別のBバイC、馬淵委員が前予算委員会でもこの問題を熱心に勉強されて取り上げられたことも伺っております。それから、半年以上も前回かかったという御意見をいただいたことも承知しております。

 しかし、予算編成に必要なマクロのものについては、十一月中にきちんと出させていただきます。それによって、予算編成がおかしなものを前提としないようにさせていただきます。

馬淵委員 ことしの予算委員会の審議は、そのことが問題になったんですよ。中期計画が緻密なものではないじゃないかということで、再度見直せ、ずさんな計画を審議しても仕方がないだろうということで問題になったんです。今のお話じゃ、一緒じゃないですか。

 麻生総理、総理、お聞きいただけませんか。麻生総理、よろしいですか。

 ことしの予算委員会の審議で、まさに秋までの新需要推計の完成、五年に短縮した中期計画の策定、さらには道路特定財源の一般財源化で道路予算の抑制、コスト抑制、このことを確認して行っていくということを国民の皆さん方に福田総理は示したんです。それを受け継がれた麻生総理は、引き継いでいるときのうはおっしゃった。でも、今の金子大臣の答弁では、マクロを決めるということしか御答弁にならない。十一月までに需要推計は確定させたけれども、その先の話は何一つ確定されない。これで来年の予算編成できるんですか。

 麻生総理、何ら体質変わっていないということじゃないですか。いかがですか。

麻生内閣総理大臣 基本的には、これは閣議決定がなされた話でありますので、その閣議決定に基づいて、マクロのところで閣議決定をするということだと理解しております。

馬淵委員 お答えいただいていないということ、麻生総理がこの問題に対しては極めて、誠実なお答えをいただいていないということを私は皆様方にお伝えをして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 麻生総理に、今の道路のこともあわせて、引き続いてちょっとお伺いしたいんですが、これはちょっと質問通告にないんですけれどもね。

 私も福田総理とこの予算委員会でBバイCのことをいろいろと議論を、十回ぐらいやりとりさせていただきまして、中期計画はBバイCが一・二以上のものをつくる、こういうやりとりがあったんですけれども、それが、一・〇から一・二でも場合によってはつくる、こんなやりとりになりましたが、結局総理は、いや、場所によっては一・〇を下回るところも政治判断でつくる、こういうようなことを言い出して、それだったら一体何のための中期計画なんだ、何のためのBバイCなんだ、こういうやりとりをこの場でしたんです。

 こうしたBバイCという基準、これに基づいて道路をつくるんだということで今、新たな需要推計の調査が行われているということでありますが、このBバイCという基準に基づいて今度の道路関係の計画をつくる、つくり直すということで、そのBバイCという基準、一・〇以上あるいは一・二以上、これはしっかりと堅持をするということでよろしいでしょうか。いや、総理に聞いているんです、総理。

衛藤委員長 まず先に、国土交通大臣金子一義君。

金子国務大臣 基本的には、そのとおりであります。

 ただ、先ほど総理がお話しになりましたように、ネットワークとしてつながれていないぶつぶつのところ、それから、命の道という言葉がありますけれども、単にBバイCだけではなくて、どうしても地域にとって命の道、病院に行くといったようなことを我々忘れるわけにいかないんです。

 そういうことにこたえていくためにも、単なる需要推計だけでなくて、そういう地方の声を聞きながら今度の中期計画を策定していく。しかし、それがBバイCを無視するということでは決してありません。

麻生内閣総理大臣 武正先生、急な御質問ではありますけれども、関連しておられましたのでお答えを申し上げます。

 基本的にBバイCというのを考慮するというのは、これは基本的に、例の一・二とか一・〇八とか何かいろいろありましたですね、あれを考慮するというのが基本です。これは当然だと思います。

 ただ、私が申し上げましたのは、少なくとも今、地方で、病院まで何とかとかいろいろありますでしょう。そちらの選挙区には余りないのかもしれませんけれども、全国を回りますと、いわゆる道路がつながっていないために病院までというお話とか、道路が一部つながっていないために荷物の流通がとか、こういう話は全国にいっぱいありますので、そういったところはつなげることによってどうなるという話は、効果という点からいったら極めて大きい、私は基本的にその話を申し上げております。

 したがって、一・二のところが基本だというのは私も全く同感だと思いますし、無駄な道路をつくるつもりもありません。ただ、今申し上げましたように、場所によっては特殊な事情もあるというのも十分勘案しておかないと、これは政治にはならぬのではないかと思っております。

武正委員 そうした道路についてはそれぞれ規格を落として取り組むとか、いろいろなやり方をやっていくということでありますが、やはり一番最新のデータに基づいた、今回の需要推計、それに基づいて、しかもしっかりとした基準、これを明確にしてやらないと、結局ずるずる前と同じことの繰り返しになるということを改めて指摘させていただきたいと思います。

 そこで、質問通告に基づいて行わせていただきますが、まず、外務大臣、お手元のこの資料をごらんいただきたいと思います。今回の自民党国対からの九月十二日付指示、これに基づいて外務省ではこのような形で省内に通知をしたという文書がありますが、これは事実でしょうか。特に、メールで省内に指示をしたという記載がありますが、これについても改めてお伺いしたいと思います。

中曽根国務大臣 委員がお配りになられたこの資料、この内容につきまして省内メールで通知をいたしました。事実でございます。

武正委員 ぜひ外務大臣にはこのメールを御提出いただきたいと思うんですね。というのは、農水省では省内に文書を回覧したということでありますが、外務省では電話、会議などでということでありますので、どういうような形で通知をしたのか、このメールをぜひこの委員会に御提出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 省内にはいろいろな文書もありますし、それをメール等で通知しているわけでありますけれども、省内での文書は直接省外へは出しておりません。メールについてもそのような対応をとっておりますので、御理解いただきたいと思います。

武正委員 おとといからこの点を同僚委員も質問で取り上げておりますが、私は、三権分立の、やはり立法府の国政調査権を行政府が阻害している、こういう問題、しかも、そこに立法府の第一党、自民党の国対が絡んでいるという、三権分立の国政調査権ということで、憲法六十二条、大変ゆゆしき問題であるというふうに考えるわけです。この外務省のメールについて、ぜひ、どういう通知をしたのか、これをやはり明らかにする必要があるというふうに思うんですが、再度、外務大臣、この御提出をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 省内での通知は、先ほど申し上げましたように、いろいろなものがございます。それは、メールによるもの、文書によるもの、あるいは会議等の場で通知するものもありまして、内容もいろいろなものがありますので、メールの公開というものは行っておりませんし、行う予定はございません。

武正委員 ぜひ理事会で御協議をいただき、外務省の省内に、自民党国対からの資料要求への対応についての依頼についてどのように周知をしたのか、御提出をいただくよう御協議をいただきたいと思います。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

武正委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。山田洋行の過払い請求事件についてであります。

 資料の二ページをごらんいただきたいと思います。山田洋行に係る過払い案件等については、ことしの九月十二日時点で二十二件、当初契約金額は八億七千万円、過払い額は約五億円ということで、五六%の過払いがこの二十二件については明らかになっております。

 ただ、しかし、三ページをごらんいただきますと、中央調達分百十六件のうち、確認、つまり真正ということで問題ないというのが四十五件、真正でないものが九件ということであります。地方調達については、五百二十五件の調査中、真正がわかったのは四十八件、確認中四十七件ということでありますので、真正及び真正でないということがはっきりしたものは、中央調達では百十六件中五十四件、地方調達では五百二十五件中四十八件ということでありまして、これ以外はまだわかっていない、あるいは確認中ということであります。

 防衛大臣、これはもう去年の十一月から、あるいはことしの二月には、地方調達分にはすべてそうした照会を行っていると、既に委員会でも、当時、江渡副大臣が答えておりますけれども、いつになったらこの回答があるのか、あるいは確認ができるのか、これについてお答えをいただきたいというふうに思います。と同時に、山田洋行について告発を行うということを前々から言っておりますが、告発は既に行ったのか、お答えをいただきたいと思います。

浜田国務大臣 武正先生の御指摘、大変私どももこの問題に関しましては努力をしておる最中でございますけれども、今この時点で、この地方調達の件に関しましても、まだ今の状態ですと回答を得られない、それに対して明快にどうしたらいいのか、声がけはしておるんですが、なかなかそれが上がってこないという状況にありまして、そういった意味においては、いつまでにこれを出すのかというのは、大変今の状況でお答えができない状況であるわけであります。本来、上の方から、石破大臣の方からもいろいろな形でその指示は出されていたようでありますけれども、それが工程表もまだできていないような状況でありますので、私とすれば、こういう状況を看過するわけにはまいりませんので、これから積極的にやっていきたいというふうに思っておるところであります。

 そして、山田洋行に関しましては、今お話し申し上げましたように、この内容が精査できていないということもあり、そしてまた告発に対しての態度というのは、我々もしっかりとした調査状況を出さなきゃいけないということもございますので、そういったことも含めると、今の時点で、いつ告発するかということに関して、まだ決定をしていない状況でございます。

 以上であります。

武正委員 先ほど挙げました委員会のやりとりは五月二十一日の内閣委員会でありまして、そのときに江渡副大臣は、「今委員の御質問の告発するかどうかというところでございますけれども、今、この件につきまして鋭意調査中でございますので、そして関係省庁ともしっかりとこの辺のところを検討させていただきながら、その方向性で考えているところでございます。」と。告発するという方向性で考えていると述べてからもうそろそろ五カ月、まだ調査中であると。その調査中の理由が、この三ページにあるように、過大請求関連調査が、回答がないとか確認中とか、だから告発できないんだとすると、これが、要は調査をおくらすことを告発できない理由に今挙げていたように私はとったんですが、これはやはり本末転倒であるというふうに思わざるを得ません。

 そこで、会計検査院も来ておりますのでお聞きをしたいんですが、会計検査院法の二十八条ということで、外国のメーカー等に対して協力を求めるということができる、まだ過去やったことはないけれども、今回の事案についてはやるんだと。これについても、五月二十一日、「協力を求めることも検討してまいりたい。」ということを言っておりますが、現時点で、会計検査院として、外国のメーカー等に対して、過払いがあったのかどうか、そうした調査をしたのか、お答えをいただきたいと思います。

小武山会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 まず、この山田洋行過払い請求事件に関しまして会計検査院の臨む態度でございますけれども、こういう防衛の分野の検査につきましては従来から非常に重点を置いてやっておりまして、さらに今回このような事件もございましたので、本年の四月に防衛調達の検査を担当します防衛調達検査室を新設したところでございまして、山田洋行事件を含めまして防衛調達について、これまで以上力を入れてやってまいりたいというふうに考えております。

 また、本年の六月には、参議院から、国会法百五条の規定に基づきまして、防衛装備品の一般輸入による調達につきまして会計検査を行い、その結果を報告するというようなことを求める要請を受けまして、私どもの会計検査院法三十条の三の規定によりまして検査を実施して、その結果を報告するということを決定しているところでございまして、この報告の中で山田洋行事件を踏まえた検査の結果をきちんと記述することというふうに考えております。

 防衛省に対しましてさまざまな角度から検査に取り組んでおりますし、また、国の直接の契約先でございます商社等に対しましても検査を行っておるところでございます。

 それで、委員お尋ねの外国メーカーに関しての検査ということなんですけれども、御案内のとおり、国の直接の契約先でない外国製造業者には検査院法上の検査権限は及ばないわけでございます。このため、会計検査院としましては、先ほど御指摘の二十八条に基づく依頼を検討しているところでございますけれども、この依頼に対しましてその相手方が協力するか否かというのは、相手方の任意の判断ということになります。

 したがいまして、防衛省が現在進めております調査の結果を踏まえまして、どのように調査したらいいのか、これは検査権限が及ばないので、まさにその外国製造業者に対して防衛省と同じようなやり方をしてもそれほど意味がないと思われますので、どのようなやり方をすれば効果的な調査となるかということを踏まえまして、さまざまな角度から今後とも検査に取り組んでまいりたいと思っております。

武正委員 五月の内閣委員会では「検討してまいりたい。」ということを言っていながら、これもやはり、五カ月たっても会計検査院は調査にも動いていない。防衛省のその調査を見きわめながらという、憲法で独立された予算執行の調査機関、検査機関でありながら大変情けない状態であるというふうに思うわけであります。

 財務大臣、いかがでしょうか。こうした予算の過払い、しかも契約額の倍以上のお金を払っている。これは、まだ明らかになっていない、未回答とか回答なしを考えますと合計額三百億円以上ですから、半分ということでいえば最大百五十億円の過払いがある可能性があるということなんですよ。ですから、こういう外国からの調達に関して、今の会計検査院の及び腰の対応なども含めて甚だやはり問題があるというふうに考えるんです。

 まず、財務省、会計法あるいは予決令、これを所管する省庁としてどのようにこの過払いについて認識をされているのか。また、予算執行調査は強化すると言っておりますけれども、やはり事前の予算の段階でしっかりとこれに横ぐしを入れないと同じようなことがまた繰り返されるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 財務省といたしましては、予算編成に当たりまして、防衛装備品に関しまして、例えば価格につきましては、主要な装備品の過去の調達価格などを聴取して、要求が適切かどうかを精査しております。

 また、今回の事案が生じたことを踏まえまして、本年度は予算執行調査というものを行いまして、防衛装備品の輸入をめぐる問題を取り上げて、入札条件の見直しやまとめ買いの促進等について改善措置を提案したところでございます。

 個別の予算の執行に関しましては、これは関係省庁の責任のもとで行われておるべきものと思っております。当然、適切にやっていかなければいけないと思っております。

 また、問題点につきましては、会計検査院が厳正な検査を実施しているものと承知をしております。

武正委員 今度の予算編成についてこういった過払いが二度と起きないように、特に、海外調達についてどのようにその予算編成をしていくのか。これはどうですか。

中川国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、ことし、この件が生じましたので予算執行調査というものを行いまして、改善の措置を提案したところでございます。

 今後、予算編成に当たりましても、こういうものを念頭に入れながら予算編成作業を進めていきたいというふうに思います。

武正委員 四ページをごらんいただきたいと思うんですけれども、ここに幾つか法律を並べました。昨日も総理は、無駄遣いについて、きちっと対応しなきゃいけない、法制化も必要ある、こういうことを言っておられるんですけれども、この一番上の例えば会計法十条、要は、各省各庁の長が支出に関する事務を管理する、こういった法律がありまして、私は、縦割り行政の弊害というのは、もちろん人事ということで公務員制度改革、これは与野党が協力して法律が成立をしておりますけれども、やはりこうした公会計、公契約も、縦割りで各省各庁の長がその支出に関する事務を管理するということで、実は予算編成の担当省庁である財務省とか、あるいは予算執行の調査を行うべく、会計検査院とか、それが横ぐしを入れられない、こういった縦割り行政の弊害は公会計、公契約に実はあるというふうに考えております。

 昨日、公明党の議員の方が、与党としての会計検査院法の改正等の法案を考えているということでありましたが、民主党でも今、民主党の決算・行政監視調査会というものをつくりまして、こうした公会計、公契約、縦割りの弊害をなくしていかないと、相変わらずこうした山田洋行のような過払い案件がそれぞれの省庁でも発生する、起こる、こうした点を民主党として考え方を取りまとめております。

 ということで、総理には、法改正が必要なんだ、法制化が必要なんだということがありましたが、こうした縦割りを、それぞれの支出をそれぞれの省の長が行うということにもっと横ぐしが入れられるような、そんな法制化が必要だと思うんですが、例えばこの会計法十条の改正等、私は必要だと思うんですけれども、総理の御所見を伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 会計というところは、これはたしか憲法上独立している組織だと記憶しますので、これは総理大臣の職務権限が及ばないのは御存じのとおりだと思うんですが、ただ、これは院でお話し合いをしていただいて、そういったものがもっと調べられるようにするというのは、私は、一つのアプローチとしては正しいと存じます。

 いずれにしても、こういった過払いというか、過大請求なんというのはふざけた話ですから、こういった話が、何となく、海を越えると調査できないということになっておるわけで、これはいろいろな意味で、今後いろいろ仕事をやっていく上においては、これだけ経済がグローバル化してくると、それに対応したものを考えていくというのは、国とか政府の会計を預かる、または支払いをする側に立っては今後検討されてしかるべきものかなと思っております。

武正委員 五ページをごらんいただきますと、いわゆるフォーリン・ミリタリー・セールスということで、この調達に関しても、合計三千二百三十九億円が給付の確認がされていない装備品等の前払い金額ということで、これについては、利子をしっかりともらうというような改革はされていても、例えば、このうち、精算されずに二年以上経過した装備品等の前払い金額は約二百四億円というようなこともありまして、この海外からの調達について、これは防衛省のみならず全省庁、やはり改めてその精査が必要ではないのかな、今回のミニマムアクセス米もその一例ではないかなというふうに思っております。

 そこで、次は公益法人の改革についてちょっとお話を伺いたいんですが、官房長官、ことしの八月十四日付ですかね、二年前、出身省庁からいわゆる公益法人に天下ったその割合が三分の一を超える法人、約三百五十ぐらい、三百六十八ですかね、それを二年以内に三分の一以下にするんだ、こういうことを取り組まれたというふうに記憶をしておりますが、その結果をお知らせいただきたいと思います。

河村国務大臣 お答えいたします。

 国の所管の公益法人、約六千ございますが、所管官庁出身理事を三分の一以下とすべくということで、この指導を徹底させまして、本年八月までに全法人がそれを達成したところでございます。

武正委員 ただ、六ページをごらんいただきますと、三百六十八の法人で、所管省庁出身常勤理事、常勤、非常勤を合わせては三分の一以下にすべてしたんだという今の官房長官のお話なんですが、常勤理事だけ見ると、三分の一を超えている国所管法人の数は二百七十七ということでありまして、九十一減っただけということでありますが、ゼロと二百七十七。

 中には、非常勤の理事をふやして、水増しというんですか、それで三分の一以下にしたような、そんな法人もありまして、それぞれ各省各庁の三分の一を超える法人数というのはこれを見ていただければ一目瞭然なんですが、私は、やはりこれは見せかけ、やったふりの、出身省庁から公益法人への天下りを減らしたということではないのかなというふうに思うんです。

 やはり常勤理事を三分の一以下にしないと改革とは言えないんじゃないかと思うんですが、官房長官、いかがですか。

河村国務大臣 御指摘の点でありますけれども、常勤理事に限っての規制については、法令上、非常勤理事と権限が同一であるということから、常勤理事に限っての、着目した規制、指導はしていないところでございます。

武正委員 非常勤理事と理事が同じ権限ということを言われたんですか。とても同じとは私は思えないので、御案内のように、常勤理事がいかに強い権限というか、常勤ですからね、あとの方は非常勤ですから、意思決定はすべて常勤の理事が担っているわけです。

 ですから、当然、常勤理事が三分の一を超えている、ここをやはり変えなかったら本当の意味の公益法人改革にならないでしょう。これをやるべきだというふうに私は思うんですが、いかがですか。

河村国務大臣 確かに、常勤理事と非常勤理事、勤務形態が違います。しかし、これは権限上は同じになっておりますので、団体の主要事項については理事会等で決定していくわけであります。

 そういう意味で、現時点で常勤理事に限っての規制といいますか指導はしていない、こういう状況下にあることを御理解いただきたいと思います。

武正委員 御理解はできないので、これをやはりやるべきだというふうに思うんですね。常勤理事の規制をしなければならないと思うんです。

 官房長官は今のような答弁なんですが、総理、やはり常勤理事ですよ。常勤と非常勤は同じ権限だなんというのはだれも思わないですよ。給料も違うし、常勤ですから、非常勤の理事と全然権限が違うわけです。この常勤理事をやはり三分の一以下に少なくともしないと公益法人改革には資さないというふうに思うんですが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 常勤、非常勤が法律的には一緒になっておる、そういうものはいっぱいありますが、しょっちゅういるのといないのと、国会にしょっちゅういる人と全然地元にしかいない人と、やはり扱いが違うのと同じものだと思いますね。やはりしょっちゅういる方が強い。当然ですね。

 だから、そういった意味では、私は、基本的には、常勤と非常勤の中で、やはり常勤も問題なのではないかという点については考えないかぬところだと思います。

 もう一点、給与とか報酬やら何やらという規程というものに関しましては、これはちょっといろいろまたあるのではないかということで、国から補助金やら何やらを受けているようなところに関しての役員報酬については、これを公表するようにしたらどうという話で指導はいたしております。(拍手)

武正委員 ぜひ、常勤理事について、三分の一以下にするということで、改めてそれをそれぞれの各省各庁の長に命ずるということでよろしいですか、総理。

麻生内閣総理大臣 検討させていただきます。

武正委員 ぜひやっていただきたいと思います。

 というのは、七ページをごらんいただきますと、国所管法人のうち所管官庁出身常勤理事が常勤理事の三分の一を超える法人は千七百六十三ですよ。今、約六千のうちの千七百六十三法人が三分の一を超えているんですよ、常勤理事が。特に、ここの中では、国土交通省は五百五十四もありますからね。

 予算委員会で、国交省道路関係五十法人の見直しがあっても、まだまだこの公益法人改革、公益法人、これは国交省あるいは厚労省、あるいは経産省、農水省と、ぜひこの三分の一ということでしっかりと見直しをしてほしいと思いますが、総理、これはいつまでにやりますか。二年前にやろうと言って、ことしの八月十四日にやったんですが、いつまでにやりますか。

麻生内閣総理大臣 検討の指示は出しますけれども、いつまでと言われると、ちょっと今のこの段階で、きょうのきょうですので、本日御遠慮申し上げます。

武正委員 これは、公益法人に九千億のお金が流れているので、その三分の一を、福田総理が言ったように削減するんだということを、この間も総理は引き継ぐと言われたわけですから、やはりこれは同時に、この公益法人改革、今の所管省庁からの常勤理事への天下りを速やかに見直す、それを全省庁の長に命ずる、これを速やかにやるということをしっかり言っていただきたいと思います、いつまでが言えないんだったら。それをお願いします。いかがですか。

麻生内閣総理大臣 先ほど御答弁をいたしましたので。

 野党に拍手されると余りいいことじゃないのかなと思ったりもしないわけでもありませんけれども、与党から全然拍手が出ないので、ちょっと正直、与党から拍手をしてもらってもいいんじゃないかなと思っております。(拍手)

武正委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

衛藤委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長大野恒太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑を続行いたします。原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 麻生総理には、御就任のお祝いを申し上げたいと思います。

 そこで、争点はやはり政権担当能力だというふうにおっしゃいますが、何を今さらという声も片っ方であります。何となれば、やはりマニフェスト選挙は、政権党は過去を問われます。この三年間を問われますから、今、地域の安心、安全が奪われ、そして格差が広がり、総理、私はちょっとこの間、非常にショックなことを地元で聞きました。高校生がアルバイトをしないと私学に行けない。半分ぐらいがアルバイトをしているそうです。つまり、格差が広がって、親が学費を払えなくなっているんだという状況です。これを変えなきゃいけないと思います。

 また、答弁を伺っていると、経済に対する総理の危機感、非常に強いですね。私も、そういう危機意識を持ちながら政権運営をするというのは大事なことだというふうに思っています。

 きょう日銀は一兆五千億の資金供給をされていますが、日銀総裁にまず伺いたいと思います。現状の危機的な状況、それをつらつら総裁にお聞きすることはあえてしません。そこで、総裁にはまとめて二問申し上げます。

 豪州の中央銀行が一%の利下げを決めました。ECBやFRBも利下げを検討しておりますが、きのうの政策決定会合で、日銀はそういう協調利下げをされませんでした。内需刺激にはやはり強い円が必要です。だから、安易に金利を下げればいいと、まあ限界的に下がっている日本の金利ですから。今回の判断をされた理由をひとつ伺いたいと思います。

 それから、あす御出立されるということですが、世界銀行のゼーリック総裁が、G7ではやはり問題は解決しないんだ、もうG7だけで問題解決する時代は終わったんだ、ロシア、中国、インド、ブラジルなどを加えたG10もしくはG11の枠組みをつくるべきと提唱しておられますけれども、日銀総裁はどう考えておられるのか。

 この二点を伺いたいと思います。

 それで、これはあわせて財務大臣にも伺いますが、私は正直、八月にも、このサブプライムローンの問題というのは過剰流動性のわなで、大変大きな問題になるから、早く国会を開いて一刻も早く国民に安心、安全のメッセージを出すべきだということを申し上げてきました。今になったことは非常に残念ですが、今からでもやらなきゃいけないことがたくさんあるというふうに思います。

 例えば、金融機関に対する手当てもそうでしょう。これは、アメリカは預金保護の限度額を引き上げましたね。二千五百万まで引き上げました。それから、きのうですか、EUについても限度額が引き上がっているんです。よその国が引き上がった、ペイオフの限度額ですね、引き上がったというときに、我が国がこのまま一千万のままだと、では邦銀のお金はどこに行くのか、国民のお金はどこへ行くのか、ひょっとすると、保護の、プロテクトの強い方に行ってしまうんじゃないか、こういう危機感を持っています。

 ですから、総選挙の前ですから、激しく戦うのは戦います。しかし、協調してやるべきことは前向きの提案をしていきたい、そういう思いを持っています。ペイオフについては通告していませんからお答えをいただかなくて結構ですが、お答えになるんだったら答えてください。

 まず日銀総裁に二問、それから財務大臣に二番目の質問を一問、お願いします。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、昨日、金融政策決定会合を開催いたしまして、政策金利を据え置くということを決定いたしました。

 最初に、その背後にあります経済金融情勢の見方を御説明したいと思います。

 日本経済は、現在、エネルギー、原材料価格高の影響や輸出の増勢鈍化が続いていますことなどから停滞しております。当面、欧米を中心とする海外経済の減速が明確化するもとで、こうした停滞という状態が続く可能性が高いというふうに判断しています。

 ただ、もう少し先を展望しますと、現在日本の経済は、設備、雇用あるいは債務の面で、かつてと異なって、大きな過剰を抱えているわけではございません。したがって、海外発の要因で、日本国内の理由でもって経済が深く落ち込むということはないというふうに判断しております。そういう意味で、少し長い時間の経過を経て、緩やかな成長経路に復していくということを中心的なシナリオに想定しております。

 一方、物価の方は高目の上昇が続いております。しばらく続いた後、低下をしていくというのが現在の判断でございます。

 ただ、今申し上げましたこうした見通しは、非常に不確実性が高いというのも率直に判断しております。これは、上の方向にも下の方向にもリスクが大きいというふうに判断しております。特に、欧米の金融市場がこのところ緊張感を強めているということでございます。このことが世界経済に影響を及ぼす可能性、その下振れリスクということについては十分認識をしております。

 金融政策につきましては、こうした経済、物価の見通しとその蓋然性、それから景気の下振れリスク、物価の上振れリスク、これらの要因を丹念に点検しながら、機動的に金融政策運営を行っていくという方針でございます。

 それから、先ほど日本銀行の資金供給の話がございましたけれども、現在のように金融市場が大きく緊張を強めている状況のもとでは、金融市場の安定を確保するということが中央銀行にとって非常に重要な役割でございまして、そうした観点から、流動性をこれからも供給して安定性を確保したいと思っております。

 御質問のオーストラリアでございますけれども、先生御指摘のとおり、昨日、オーストラリアの中央銀行は金利を一%引き下げました。

 この背後にある考え方、オーストラリアの中央銀行自体は別にしまして、日本銀行として協調して利下げをする考えはないかということでございますけれども、日本銀行は、先ほど申し上げたような、日本の経済、物価情勢を十分点検し、その背後にはもちろん海外経済がございますけれども、その上で適切な政策運営をやっていくというのが我々の判断でございます。この背後に、例えば為替レート、強い円というふうなねらいがあるかというと、これはそういうことではございません。あくまでも経済、物価の見通しに沿ってこの判断をしたというものでございます。

 それから、御質問の二つ目の、ゼーリック総裁との関連で、G7等の枠組みについての御質問でございます。

 現在のG7は、これは厚みのある金融市場を有する主要先進国で構成されておりまして、国際経済、金融に関するさまざまな問題を幅広く議論する場としてこれまでも重要な役割を果たしてきておりまして、今後も引き続きそうした役割を果たすことが期待されております。私自身もメンバーの一人としてしっかり貢献していきたいと思っています。

 ただ一方で、近年、いわゆる新興市場国が経済発展を遂げまして、国際社会におけるプレゼンスを拡大させているということは事実でございます。これらの国々と意見交換を深めることの重要性も増しております。

 こうした認識に基づきまして、一九九九年には、中国、インド、ロシアといった主要な新興市場国も含め、いわゆるG20というものが発足いたしました。近年は、G7でも、新興市場国や資源国などと議論を行う会合もあわせて開催するようになっております。それから、中央銀行のサークルでありますBISの場でも、実はこうした国の参加を求めて今議論を行っております。

 いずれにせよ、今後とも、国際経済、金融のグローバル化ということを踏まえまして、既存の枠組みを活用しながらしっかりと貢献をしていきたいというのが私どもの判断でございます。

中川国務大臣 今原口委員から、世界的な金融危機の中で、アメリカが先週、十万ドルから二十五万ドルまで預金の保証を引き上げた、あるいはまたEUで、きのうも大幅に引き上げをやっている、日本もやらなくて大丈夫なのかという御趣旨の御質問をいただきました。

 欧米を中心に、世界は今金融危機の中にあるわけでございまして、今白川総裁からもお話がありましたように、日本もその世界全体の中の重要なパートナーであるというふうに認識をしております。したがいまして、各国とあるいはまた国内でも日銀等とよく連絡をとりながら、絶対に日本の国内においてシステムリスクを起こさないという決意で日々いるわけでございます。

 そういう中で、日本の金融のシステムリスクというのは、現段階では、個々の経済的な問題はいっぱいあるわけでございますけれども、金融のシステムリスクというのは欧米に比べて非常に健全ではないかという認識を私は持っております。

 そういう中で、日本の一千万も、九〇年代に全額保証ということを一時期やったことがございますけれども、現時点では預金の一千万の限度額を上げる必要はないのではないかというふうに思っております。こういう状態で上げると、逆に人々に余計な不安、警戒心をお与えすることも、我々は避ける配慮も必要なのではないかというふうに考えているところでございます。

原口委員 日銀総裁は新たな枠組みについては言及されませんでした。既存の枠組みでやっていくということですが、なぜ私がこういうことをお話ししているかというと、きのうIMFが、いわゆるサブプライムローンの住宅の焦げつきに端を発した金融危機に伴う金融機関の損失について額を出しましたね。これは物すごい額なんですね。一兆四千五十億ドル、約百四十三兆円。これでも少ないんじゃないかと私たちは思っています。しかも、これは生活にかかわるところですから、大変深刻なんです。だから、ただただ、これほど多くの金融機関の救済策を同盟国がやったときに、新たな枠組みなしでまた我が国に国債の引き受けだ何だと言われてきても困るから言っているわけです。

 確かに、去年の夏ぐらいからコストインフレに入ったかなと。コストインフレに入ったかなというときに景気が減速する、こういうときには慎重な議論を国会でずっとやらなきゃいけないんです。こういう短時間で、総理、あえて私たちはテレビの前で、NHK放送の前ではこういう議論をしたくないのは、あらぬ予見を国民に与えるからなんですね。これだって放送されていますけれども、こういう慎重な議論をするためには、やはりきっちり国会で議論を重ねなきゃいかぬというふうに思います。リーマン・ショックも蚊の刺したほどしかないとおっしゃったのはどなただったか忘れましたけれども、やはりそういう認識ではまずいんだと思います。

 財政のつくり方についても、財務大臣、選挙前だから私たちの財源を皆さんがいろいろ言われるのはわかります。恐らく五年ぐらい前だったら、総理、ああ、民主党というのはひどい案を出してきたなと私も思うと思うんです。ところが、二百十二兆円の中の一〇%無駄をなくして、そして別につけかえようと言っているわけです。私は、財務大臣、予算編成のやり方についても考えなきゃいかぬと思います。

 それは、例えば、先ほど馬淵委員が指摘をされましたように、今は積み上げ方式ですね、各省の積み上げ方式で概算を出してくる。そうすると、しがらんだ予算もその中に入ってくるわけです。だから、そういうやり方ではなくて、まず、麻生総理になったら麻生総理、私だったら私が、この分は政治決断でやれ、それ以外については財源を捻出してこいというやり方の方がより国民に近いんですよ。そういうやり方を私たちは目指しているということを御理解ください。

 それは、頭のいい方から見たら、あなた方のやっていることに学ぶことは何もないと言うかもわからぬ。しかし、私たちは、自民党さんがお示しの政策についても謙虚にそれを検証していきたいと思います。やはり、相手が何を考えているのか、どういうものを目指しているのかということを知るということはとても大事なことだということを指摘しておきます。

 さて、郵政の民営化の検証、これをやらなきゃいけません。きのう少し見直しについても前向きの御答弁……。

 日銀総裁、結構です。頑張って国際社会で闘ってきてください。

 郵政の民営化の検証、これは今どうなっているかということで、少し皆さんのお手元に、これはこの間の郵政国会のときに安住さんがつくった紙芝居です。自民党さんも、郵政民営化すれば、コンビニはできる、国際ロジスティックはできる、バラ色だ、税金も安くなるということをおっしゃいました。それに対して安住さんは、皆さんのお手元に資料を差し上げていますが、「あすなろ村の惨劇」という安住さんがつくったものです、この予算委員会でも彼が。

 郵政民営化法案が成立して、そしてどうなったかというと、結果、多くの郵便局、一千にも及ぶ集配局は閉ざされて、一つの自治体に一個は残すとおっしゃっていますけれども、総務大臣、一つの自治体が大きくなっていますから、より高齢者についても、あるいはさまざまな障害を持った方々についても郵便局が遠くなってしまう、閉鎖をされてしまう。そして、結果何が起きるかというと、郵便局のネットワーク、機能維持ができなくなるんじゃないかということを安住さんが出したわけです。

 さて、ここで伺いたいのは、私たちは国民新党さんと一緒に株式売却の凍結法案というのを出しています。なぜか。郵政の株を売却するその理由がよくわからない。総理、私たちはここに、皆さんのお手元に、これは自民党さんの宮城県連ですか、これも少し言葉が走っているなと思うのは、「国家公務員の郵政に戻して!改革逆行をみやぎ県連は許さない。」と書いてあるんです。私たちは国家公務員に戻せなんて一言も言っていません。分社化ありきの民営化によって今何が起きているか、これを検証しなきゃいけないと言っているんです。

 局長さんたちのところへ行くと、六台も監視カメラがあります。六万ページにも及ぶそのマニュアル、その六万ページを読んだかと思うと、また毎日のようにマニュアルが来る。それで何が起きるでしょうか。佐藤国家公安委員長と一緒に松山で私たちは大会に参加しましたね。佐藤さんもそのとき大変危機感をお示しになっていましたが。

 総理、この郵政の民営化、いや、民営化という言葉よりも、むしろこういう言葉を使いましょう、分社化ありきの民営化によって、今、現場がどうなっていると考えておられますか。総理は総務大臣もなさっていましたから、よく御存じだと思います。総理に伺いたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今の段階でどういうようなことが起きているか。これはいい面と悪い面と両方ありますので、いろいろあろうと存じますが、基本的に、原口先生、局員の少ない郵便局の方がわかりやすいと思いますので、そういうところで、局員の少ないところでは、仕事が簡保、郵貯、郵便配達と三つ、目に見えるところで出てくるんです。

 その三つの事業で、例えば郵便貯金のところに人の列ができる、ほかの二つはあいている、人はいる、だけれども、その人たちは今までだと同じ郵便局ですから人は融通し合ってやっていたものが、今は人が違うからというので一人の人がやるから、そこだけ列ができる。ほかの人はその間、待っていますので、いや、やりたくても、おれたちはちょっと立場が違う、大体現場にあるとこういうことになる。外から見たらこれはサービスの低下ということになる、同じことをやっていてもね。そういったことが現実で起きているとなると、現場でやっているサービスをもう一回考えてもいいのではないか。一つの案です。

 私は、そういった意味で、民間になったおかげでいろいろなところの宅配と組んだりクレジット会社と組んだり、いろいろなことができるようになったところは間違いなくよくなったとは思っているんですが、このメリットがある部分は確かですが、同時にマイナスの部分もある。

 サービスの低下という一番目に見えるところが低下しているという点は、いろいろなところで、現場を歩いたらわかりますので、そういった点については、これは郵便局のネットワークの維持、プラス、サービスの維持という二つを考えておかないかぬところと、利便性の向上、役所用語でいえばそういうことになるんでしょうけれども、不便になったという点をやはり考えないかぬところだと思いますので、この点は見直すというんであれば、私どもも、この今の民営化された前提でどうサービスを向上させるか。

 かつ、この会社は、民間会社になったのだから、もうからなきゃだめなんですよ。もうからないとやれませんから。だから、いつの日になったらまたずうっとなって、やはり国営にしなきゃもたないなんていったんじゃ、はなから間違えることになりますので、そういった意味では、この会社がみんなでもうかるような会社になっていかないと意味がないといった点を、ちょいと何となく、皆さん方は、民営化ということは利益を出すということもあわせて考えておいていただかないかぬと思っています。

原口委員 割と同じ認識を持っていますよね。

 何が起きているかというと、分社化という物すごく非効率的なことを強いられた上に、効率を追求させられているんですよ。これが問題なんです。

 だから、総理がおっしゃったように、私たちは郵政事業の抜本的見直しというのを国民新党さんとの間で合意しまして、その際、郵便局による郵政三事業の一体的サービス提供を保障するんだと。ばらばらにやっていたら、それだけロスが起こるんですよ。今総理がおっしゃった御懸念の部分を、そのために「株式保有を含む郵政会社のあり方を検討し、」と。だから、別に民営化会社をもとに戻すなんということをじかに言っているんじゃなくて、むしろこのユニバーサルサービスをどう保障していくかということを申し上げているわけです。

 そのためには、なぜ金融持ち株会社方式をとらないのかなと。よそのフラッグ、要するに国を代表するような会社は必ず国が黄金株を持っていますよ、それはだれからも食われないように。オランダの民営化されたINGだって、総務大臣、ちゃんとよそからは食われませんよ。シンガポールのテマセックだって、僕らは、あそこを買収できません。だから、そういう買収防止策があることと、それからもう一つは、なぜ金融持ち株会社方式をとらないのかなと。

 今度アメリカでは、企業名を申し上げて悪いけれども、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーという大きな証券会社、これは金融持ち株会社になりましたよ。金融持ち株会社になって、そのもとにさまざまな事業会社をぶら下げているわけですから。日本郵政という持ち株会社と局会社、事業会社を一体にして、その中にゆうちょとかんぽをぶら下げればいい話じゃないですか。そうしたら、今郵便局の皆さんが困っていらっしゃること、それから、さまざまに、本当に何千人もやめておられる、やはりつらい思いを現場の人たちにさせちゃいかぬと私は思います。

 そこで、鳩山大臣にもこれは伺いたいんですが、このままの形態でいくと一番危機的なのは、ゆうちょが一カ月に一千万ぐらい下がっていたんですか、かんぽが去年の三割なんですか、総理がおっしゃるもうかるどころか、このままじゃ手数料で食べている局会社は成り立たないという話になるわけです。成り立たなくなれば、局会社は閉めるんですよ。だからもう見直しは必至だと私は思うんですけれども、総理もその辺は見解は同じじゃないかなと思うんですが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 郵政の総務大臣をやめてからもう三年ぐらいたちますので、正直なところ、そんなに現場に詳しいかといえば、比較対照の問題でしょうけれども、まあ詳しい方なのかもしれませんけれども、ただいま現在のことに関して、そんなに詳しいわけではありませんが、今申し上げているようなことは、あの分社化するときから、総務大臣として、この可能性がありますということはずっと指摘をしていたとおりでありますので、元経営者の感覚からいったら、これはちょっと問題だなというふうに思って申し上げていた点が一点。残念ながら力及ばず、そういうことになりませんでしたけれども。

 もう一つは、どうも会社経営者の経験からいきますと、この四つの会社でどこがもうかるかなと。どこかの会社の社長をやれといったら、どこが一番手がたくいけるかなとか、いろいろなことを考えながら、あのとき、自分で勉強というか、いろいろシミュレーションをやったことがあるんです。

 そういった中で、やはりこれは、サービスという点は、新しいサービスが起こるというのなら、郵便配達が一番おもしろくなり得るはずなんですが、なかなかそういったことにはならないで、何となく銀行だけがぶわっと大きくなるような形になって、ギガ銀行が一個できちゃうというのは、しかし本来の目的とは違うことになりはせぬかなというようなことを、当時、三年、四年ぐらい前に思っておったんですが、結果的にはそのような形になりつつあるかなと、私自身はそう思っております。

 いずれにしても、これは、民営化した以上は、少なくとも国民のためになって、利便に供して、かつ、これが成功させた結果を出さなきゃいけませんので、そういった中で、修正をすべきところというのは、これはきちんと検証した上で、修正すべきところは修正すべきものだと考えております。

鳩山国務大臣 総理のおっしゃったことと基本的に何ら変わるところはありませんが、郵政民営化の大議論をやったときに、私も心の中で、これは、自分は賛成なのか、反対なのか、すごく迷った時期があったと思うんですね。これは巨大な行政改革なんだ、官の資金が民に流れて活性化するんだというようなことを考えて、最終的には、小泉改革の最大の改革である郵政民営化には賛成をしたわけですが。

 大改革で物すごい光が強いわけですから、当然、影があり得るわけであって、実際に、民営化といってもいろいろな段階があるわけでしょうが、民営化が進んでいく中で問題点があったらこれは徹底して解決をしなければならぬなという思いで見てきて、今度たまたま総務大臣ということでございますと、とにかく、やはりユニバーサルサービスというのは絶対に維持しなくちゃならない。

 コミュニティーということを考えた場合に、今はただの局長さんでしょうが、特定郵便局長さんというのは地域コミュニティーのリーダー、中心であった。そういう局長さんのところに貯金をする、簡保に入る、郵便も受け持ってもらうという安心感というのがあった。こういうものが絶対に失われることがないように、昔の特定局長さんであった今の局長さんたちの活躍の場を広げて、例えば集配とか集荷についても積極的にタッチできるような、そんなこともやらなくちゃならぬと思うし、実際、光が強い分、影もかなり強いかもしれないから、徹底して我々も注意して見ていって、今総理がおっしゃったように、問題点があればすぐ解決できるような、そんな方向でやっていきたいと思います。

原口委員 鳩山大臣は光とおっしゃいますが、私にはなかなか光が見えないんですよ。

 なぜかといいますと、この五会社の社長にもし自分がならせてくれといったら、多分、総理も私も郵貯会社ですよ。金融会社、こっちはもうかりますよ。だけれども、一番厳しいのは局会社、そして事業会社です。それを窓口で本当に耐えて耐えて、まじめですから、郵政マンは。何をやっているかというと、今まで地場でとっていたさまざまな物品も二社でしょう、二社に任せて、そして高い物品を買わされているから、郵便局が地域から離れているんですよ。リテールバンキングをつくればいいんです。

 ところが、今、鳩山大臣はそうおっしゃいますけれども、それこそ二〇一〇年には株式上場を目指してばんばんやっているわけです。上場の目的というのは企業価値を高めるためでしょう。買収防衛措置も何もなしに、ただただとにかく株を売ろうとやったら、それは国民から遠いところになってしまうということを申し上げておきたいと思います。

 ぜひこれは、総理、受託手数料の決め方と月別、事業別の具体的な金額をお調べになってください。受託手数料、つまり、郵貯会社と簡保会社が手数料を払いますね、局会社に。それはどのように決まっているんですかと聞くと、この本質がわかります。そこは出てこないんですよ。つまり、どんぶりでやっているんですよ。どんぶりでやっているとしか思えない、答えないから。つまり、かかった分だけそこに今払っていますよというわけです。十年間は仮にいいかもわからない。しかし、十年後にこの民営化法案の縛りが解けたときに、どこでも委託できますよとなったときに、局会社は全部つぶれてしまうという懸念もあるわけです。

 そこのところをぜひ、委員長、お願いをして、先ほど私が申し上げた受託手数料の決め方、月別、事業別の具体的な金額、これを本委員会に、理事会で御協議いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

原口委員 ありがとうございます。

 郵政については本当に百時間ぐらい言いたいことがありますが、ちょっとここで別の話題にします。

 年金です。

 埋蔵金だ何だという話が、さっき予算の組み方の抜本改革という話をいたしましたが、やはりキャッシュフローマネジメントというものが年金について本当にされているんだろうかと思います。

 よく財源を言う方々に、今皆さんのお手元に、これは、私が平成十五年に、今の上田埼玉県知事と追及したんです。なぜ国民年金や厚生年金は運用に失敗してなくなっているのに、共済年金はそのままなんだと。平成十四年度までに累積六兆円の赤字が出ていました。そこで、パッシブとアクティブを変えて、運用の仕方を変えて、いや、もう大丈夫ですよ、原口さん、もう八・七兆、十七年度には利益が出ましたから大丈夫ですよと言っていたけれども、ことしの初めの予算委員会でも、こういうやり方をやっていたら大赤字になりますねと私は舛添大臣にも御指摘を申し上げましたが、十九年度だけで五・八兆円の赤字を出しているんです。これをどうとらえるかなんです。

 つまり、資産運用というのは、これは総理も民間におられたからよくおわかりでしょうけれども、どのようなポートフォリオをつくるかというのが勝負なんですよ。ところがどうかといったら、ポートフォリオを固定しているんです。官から民にと郵政民営化で言いましたけれども、実質、鳩山大臣、ゆうちょ銀行の八五%のお金は国債に行っているんですよ。国債に行っているということはどういうことかというと、私たちの九州でみんなが集めたお金が、九州には回らずに中央に行くような仕組みになっちゃっているんですよ。官から民にじゃないんですよ。地域から中央資本に、地域からアメリカ資本への流れなんですよ、これは。

 この年金運用のやり方については、ポートフォリオを固定化するやり方を私は改めるべきだということを申し上げてきました。何も危ない株に使えなんということを言っているんじゃないんです。だって、将棋だって相手の手を見て将棋を指すでしょう。相手が角を打ってきたのに、それも関係なしに全く別の歩を動かす人なんかいませんよね。

 これは事務方で結構ですけれども、年金は国民に、幾らで運用しますという予定利率を約束していると思います。今の予定利率は幾らですか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 年金運用における予定利率というお尋ねでございますが、公的年金給付は、長期的には名目の賃金上昇率に連動して給付が増加いたしますので、賃金上昇率との比較で、どの程度上回る予定利率を立てるかというのが最大の重要なポイントでございます。

 現在までのところ、長期的には賃金上昇率を一・一%上回る名目運用利回り三・二%、この二十年度までの平成十六年以来のもので申しますと名目賃金上昇率を〇・八%上回る運用利回りを確保することを目標としております。実績はここまでのところは二・九でございますので、何とかやれているものというふうに評価をしております。

原口委員 三・二を下回っているでしょう。二・九じゃないですか。これだけ巨額の年金資金を持ちながら、運用に失敗しているんですよ。これは続けたらだめなんです。あるいは、不透明な介入を許したりということをやるべきではない。これはぜひ、前向きの提言をさせていただいているので、総理、厚労省におっしゃっていただいて、検討するように言っていただけませんか、総理。

麻生内閣総理大臣 この種の運用で金を稼ぎ出すというのは、これは大量な金を扱った経験者じゃないとなかなか金は稼ぎ出し切らない。これは原口先生よく御存じのところなので、世界じゅうでこの種の大量の金を動かしている人たちというのは総じて特殊な経験、才能、能力というのを持った方がやっておられる。そういう人がやっても今回みたいな騒ぎになるわけですから。

 そういったものは、かなりかたいもので運用しなくちゃならない。といって、かたくし過ぎると基本的にはまた難しい。これは本当に難しい職種なんだと、私の友達が二人ぐらいおりますので、正直、この種の話、結構詳しい方だと思いますが、基本的に、何となく、これが役人にできる仕事かねとは正直、昔から思っておりましたので、最も役人に不向きな仕事ではないかな、私自身はそう思っておりました。

 ただ、これを何らかの形で、巨額な金をどうやって運用していくかというのは、これは国益に直結する話でもありますので、どういった形がいいのか。正直、これは今すぐここで結論を持っているわけではありませんけれども、いろいろな考え方を検討してみる必要はあると存じます。

原口委員 ありがとうございました。前向きの御答弁をいただきました。

 残りわずかなので、私たちが何を目指しているか、総理。それは、官僚のつくった枠から出ることができずに、格差を広げ、国を滅ぼす、こういう政治をやめたいと思っているんです。だから、自民党さんの中にも同じ考えの方、いらっしゃると思います。

 今回も大和都市管財事件という、私が八年間追及してきたこの事件について、役所の中から証言をする人がいました。これだって、最高裁に上告するということを金融大臣は断念されたということですけれども、見て見ぬふりをしたんです。一千百十一億、一万八千人もの人たちがなけなしのお金を詐欺に取られた。そして、その人たちが、中には自分で命を絶った方もいらっしゃるんです。

 しかし、どうでしょうか。役所の中には、この証言者を飛ばそうなんということもやってきたんですよ。今回皆さんが上告を断念されたということは私は評価しますが、しかし、なぜこんなことがあったかということはぜひ総括をしてください。

 年金だってそうです。今、舛添大臣、指摘だけしますが、だれか一人を捕まえてどうかなるものではないんです。今、虫を一匹捕まえて、それをつぶせばいいという話じゃないんです。カビなんです。構造そのものなんです。なぜこの改ざんが起きたか。

 私たちは、あの相馬社長の証言のときに、四月に申し上げていましたね。これは組織的にだれかがやっているんじゃないか、社会保険庁の人間、保険事務所の人間がやったんじゃないかと言いました。そのときに役所の皆さんは、いや、そんなことはありませんと私たちに答えました。ところが、どうですか。三月の末には、社会保険事務所の人間が自分も改ざんしていましたと皆さんに伝えているじゃないですか。今、何月ですか。十月まで私たちはそれを目にすることがなかったんです。

 なぜ資料請求の問題を私たちが問題にするか。いや、与党だからいいじゃないかという話じゃないんです。一歩でもその資料がおくれれば、救えない人たちがいるからなんです。それを考えていただきたい。

 農水大臣に申し上げますけれども、農水大臣には、私、あなたが就任されてから、この汚染米の問題、特にアフラトキシンの問題、これは最悪の発がん物質ですから追跡してくださいとお願いをしました。

 会計検査院からもらった資料がここにあります。

 これによりますと、用途別の販売量で、事故米はこれまで二万七百六十七トン入っていることになっているんです、農水大臣。ところが、皆さんが私たちにお示しになった数字はこれよりはるかに小さいんです。なぜか。それは、皆さんが政府米の行き先、三笠フーズだけにこれを押しつけて、その先を調査すればいいというものじゃないですね。これは政府米だけじゃなくて、商社が入れているんです。

 ここの答弁で、いや、検疫をこれからしっかりしますという話をされました。それで、おかしいなと思って、農水大臣、私は資料を取り寄せてみたんです。輸入米穀買入委託契約書というものです。これは、きのう、農水省からいただきました。

 これによると、輸入業者は安全が確認されたものでなきゃ船積みしてはならないと書いてあるじゃないですか。そしてさらに、ここによると、輸入米の品質劣化及び事故品の発生防止を図るための万全の措置をしなきゃいけないと書いてあるんです。

 ところが、総理、会計検査院が私に示した資料を見ますと、最初はこの契約どおりやっていた節がある。ところが、一気にこの事故米がふえた時期があるんですよ。倍にも三倍にもなっているんです。つまり、これは何を意味しているかというと、事故米と知りながら入れているんじゃないかということです。

 農水大臣に要請をします。二つです。

 一つは、アフラトキシンの追跡をしてください。これは、総理、西日本に肝臓がんが多いと言われています。アフラトキシンの追跡をしてください。

 もう一つは、今皆さんが出しておられる事故米の、いわゆる政府買い上げ米だけじゃない、商社ルートについても追跡をしてください。平成十四年前についても、私たちは何回もこれを出してくださいと言いながら、出てきません。

 これは終わった話じゃないんです、総理。今現在進行中の問題なんですよ。それがだれの口に入ったかということがわからなければ、私たちは国民の安全を守れないということを指摘したいと思います。

 総理、御所見があったら、ぜひ農水大臣に指示をしていただきたいと思います。

石破国務大臣 累次答弁を申し上げておりますように、毎日毎日国民の口に入るものであります。したがいまして、委員の御指摘について、きちんとした調査をするべきことは当然であると考えておりまして、数字が出次第、そしてまた確認され次第、あるいはその途中経過も含めまして御報告することは当然であると心得ます。

麻生内閣総理大臣 今、石破大臣からも御答弁申し上げましたように、体の中に入るこの種の食べ物というものが、今言われたようなものを含めまして多々問題があるというのはゆゆしき問題なのであって、これは監督不行き届きという面はあろうと存じますが、ここは原口先生、ぜひこれは一緒にやっていかないかぬところですが、だから役人をふやさないかぬなんという話にはせぬことです。そこだけは一番肝心なところだと思っています。

原口委員 これで終わりますが、役人をふやせなんか一回も言ったことはありません。行政改革をして、きっちりとしたガバナンスをやっていただきたい。

 そして、農家あっての農村、農家あっての農業だから、税で、農業の所得補償で農家を支えましょうよ。何でアメリカの所得補償がよくて日本の所得補償が悪いのか、そんなことは絶対にあり得ないということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 農水省が九月に発表した〇七年産の米生産費調査結果によれば、一日八時間当たりの家族労働報酬は全国平均で千四百三十円、時間給にするとわずか百七十九円にすぎません。罰則つきの生産調整、資材、飼料、肥料、燃油の高騰という中で、もう農業は続けられない、そう悲鳴が上がっているときに、キロ五円から十円で買った輸入汚染米がめぐりめぐって三百七十円にもなったり、老人ホームなどで食べられていたとは、まじめに良質の米をつくっている生産者の誇りが踏みにじられました。

 そして、消費者はもはや何を信用したらよいのでしょうか。一部の悪質な業者と一部の農水省官僚の癒着、不十分な対応、そういう問題に矮小すべきではありません。

 さて、一体全容はどうなっているでしょうか。この間大臣が答弁されている、汚染米は国内流通をしないようにするとか、トレーサビリティーの問題、あるいは原産地表示の問題、いずれも全部やるべきだと思います。私たちが求めてきた問題であります。肝心なことは、これまでのこと、どこでどうなっていったかがほとんどわかっていないということであります。

 パネルを見ていただきたいと思います。

 今回、輸入外米の中で事故米と言われているもので今流通の経路がはっきりしているのは五千二百八十五トンであります。ところが、今ちょうど原口委員のお話にも少しありましたけれども、会計検査院が平成七年から十七年まで報告をとっておりまして、その合計では輸入事故米の売り渡し総量は二万七百六十七トンであります。一方、政府の手にはもう渡らない、検疫の時点で違反となったもの、これが同じく平成七年から十九年までで一万七百二十八トンございます。合わせると三万トン以上これまで事故米が出ている。そのうち、経路がわかっている、まあ全容ではないにしても、政府が発表しているのはわずか五千二百八十五トンにすぎないということなんです。

 この内訳を資料の二枚目と三枚目につけておきました。二枚目は、会計検査院の報告の内訳であります。報告のうち、農水省が公表した分というのが分かれていて、二つ目が食品衛生法による違反数量。これを見ると、例えば二〇〇三年、これは合わせて六千トン以上事故米が出ているんです。ところが、わかっているのは六十八トンにすぎません。この年は不作で、中国からモチ米が五千トン輸入された年であります。〇五年、残留農薬規制が厳しくなった最初の年ですが、五千六百二十九トン、それでもわかっているのは二十九トンのみであります。

 大臣、今判明しているのは氷山の一角にすぎない、このことをまずお認めになりますか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、この事故米穀でございますが、水際で発見されたもの、また、水際で問題がなく国内に入りまして倉庫保管時で見つかったもの、こういったものがあるわけでございます。その中で、現在私どもは、この五年間、販売先等がわかっている七千四百トンでございますが、この分析、調査、解明に全力を挙げているところでございます。

高橋委員 何で大臣が答えないんでしょうか。

 要するに、氷山の一角にすぎない、そこで全容解明を当然するということで、一言お願いいたします。

石破国務大臣 今局長から答弁を申し上げたとおりでございますが、平成十五年度以降の七千四百トンについて今全力を挙げて調査をやっておる。これは、本当に全件調査みたいな話で、非常に時間がかかります。時間がかかるからといって逃げはしませんが、正確を期するためにも、ある程度の時間はちょうだいをしなければなりません。

 残留農薬基準超過米、アフラトキシン検出米等の流通ルートの解明、これを最優先しなければいけないということでございます。したがいまして、今のような答弁をいたさせました。一般カビも含めまして、十月末を目途として全体像を解明したいと思っております。氷山の一角かどうかは別といたしまして、全体像は解明をいたします。

高橋委員 あいまいにしないことをあわせて求めていきたいと思います。

 さてそこで、大変素朴な疑問を差し上げます。

 まず、三笠フーズは一体何の会社なんでしょうか。フーズ、食品と名のつく会社がなぜ工業用のりの原料を買ったのでしょうか。

石破国務大臣 それは、登記簿を見たわけではございませんが、これは食品を扱うということもやっておったわけでございます。したがいましてフーズということになっておるわけでございますが、そういうふうに名乗ったからといって、そういうような工業用の米を取り扱ってはならないということには相なりません。

 これは登記簿を確認してはおりませんので、正確なお答えは後ほど登記簿を確認してから申し上げます。

高橋委員 この間も一定指摘をされていることではあるんですけれども、ここのところに実は非常に問題があるのではないか。

 〇四年度米改革で、わずかな要件をクリアし、いわゆる届け出さえすればどんな業者でも米の売買ができるようになりました。当時、日本共産党は、流通の規制緩和は大企業の参入機会を許し、中小の米穀店を淘汰するとして反対しました。その後、平成六年、三万四千軒あった町の米屋さんは、十九年には一万七千軒と半減をしました。食管法の廃止後、丸紅、伊藤忠、ニチメン、三菱商事、住友商事など、次々に卸売資格を取得しました。このことを九八年九月八日付の日経流通新聞は、「コメ三兆円市場を狙え、完全自由化へ関連業界走る」と題して、米流通業界の淘汰、再編を報じました。

 大臣、この〇三年五月の新食糧法提出に当たって、農水省は、「消費者が求める安全、安心な米など多様な要請にこたえ得る生産体制づくりや流通改革の推進」と述べております。しかし、今回の事件を通せば、行き過ぎた規制緩和が安全、安心を置き去りにしたとは言えないでしょうか。

石破国務大臣 それは、統制経済というものを頭に置いて、戦時にどのようにして国民にきちんとした食糧を配るかということが食管法でございました。食管法のそもそもの成り立ち、その後の経緯は委員よく御案内のことだと思います。それを、食管法は本当に必要とするか、委員がおっしゃいますようにかつての食管法の時代に戻したとするならば一体どのようなことになるのか。今、米が非常に余っている、過剰である。昔、処理するときに三兆円ぐらい使ったことは委員御案内のとおりだと思います。どうやって消費者の方々に安全で安心で安い米をお届けするかという考えのもとに食糧法はできております。

 ですから、食糧法が悪い、自由化されたから悪いということではなくて、そういう業者というもの、そういうやり口というものをいかにしてはじくかということの制度の手当て、それはこれからやっていかねばなりません。本当に届け出制のままでいいかという議論もしていかねばなりません。

 しかしながら、食糧法があって、自由化になったのでこういうことが起こったというふうにストレートになるとは私は全く考えておりません。

高橋委員 私は、食管法に戻せとかそういう議論をしたのではありません。行き過ぎた規制緩和が安全、安心を置き去りにしたのではないかと、行き過ぎたという指摘をいたしました。

 先ほど大臣が後で見ますと言いました三笠フーズの履歴事項全部証明書が私の手元にございます。この中に「目的」というものがございます。工業用のりの原材料の製造、加工、販売並びに輸出入業とあります。確かにあります。ただし、それは十二番目であります。その前に何が書いてあるか。農畜産物の販売並びにその加工、処理及び同加工品の販売並びに輸出入業。肥飼料、有機化学製品及び無機化学製品。三、化学工業薬品、木材、酒類、食品全般。四、産業機械、建設機械、繊維機械、事務機械及びそれらの部品の販売並びに輸出入業。五、自動車、自転車、産業用運搬車、構内作業車及びその他の車両。六、不動産の取得云々。七、損害保険代理業云々。八、有価証券。九、古物品。そういうものが並んだ後に、総菜の加工販売、飲食店などというのも来ています。

 この中に、十四項目ある中に、のりというものがあったがために認めた、事故米穀買い受け資格というものが認められるんだそうです。しかし、これはもう何でもありですよね。要するに、社長は商社出身だということを言われていますけれども、この書類だけで判断したと。

 実は、ここに書かれている北区梅田一丁目の本店の住所には電話すらありません。実体がないということは、もう農政事務所が認めていることです。書類だけで資格を認める、このこと自体に問題があったと言えませんか。

石破国務大臣 会社の目的というのは、公序良俗に反するもの以外は何を書いてもいいということに一応なっておるわけでございます。ですから、本当に社名とやっていることが全然違うねというのは、別に三笠フーズに限ったことではございません。多くあります。

 ただ、委員御指摘のように、その会社がどういう会社であったのか。それは、やはり私どもとして事故米を買い取ってくれる業者として提示もしてきたわけでございます。そうしますと、食の安全ということを考えましたときに、目的がいかなるものであるにしても、その会社がどのような会社であるのかという認識は、食の安全にかかわる役所として持っておらねばならぬことであったというふうに思っております。そういうような実態をきちんと了知をしないまま、事が、その推移というものが起こったということについては、当省として重い責任を感じておるところでございます。

高橋委員 今、責任を感じておるというお言葉がございました。この後にも続く幾つもの会社がペーパーカンパニーであったということが指摘をされているし、先ほど示した、まだ全容がわかっていない、その中にもいろいろなこういう問題が隠されているんだろう。ここを本当に恐れず改革をするという立場に立っていただきたいと思います。

 次に、今回の事件の主役であるミニマムアクセス米について伺いたいと思います。

 必要のない外米を輸入してきたことと規制緩和は表裏一体だと私は考えています。

 パネルを見ていただきたいと思います。九五年の四十万トンから始まり、だんだんふえて、今は毎年七十七万トン輸入されてきました。三月末で輸入数量は八百六十五万トン、現在在庫が百二十九万トンと聞いております。三年以上保管が、この赤いところ、印をつけておりますが、三割を超えている。赤字にもなるしカビも生える、こういう実態であります。倉庫代が一トン当たり一万円かかるということが既に表明されていますが、十一年間の倉庫代の累計と売買差益がどうなっているか伺います。

町田政府参考人 委員御指摘のとおり、本年三月末現在の在庫数量は百二十九万トンでございます。平成七年から本年三月までのこの間の保管費用の累計額は一千二百五十三億円でございます。

 また、直近におけますミニマムアクセス米の十九年度の損失額は二百十六億円となっているところでございます。

高橋委員 これも国民の税金であります。こうして倉庫代が圧迫をし、そして必要のないミニマムアクセス米が積み上がっているという現状の一端をまず紹介しました。

 実は、全国農民連が二〇〇三年にミニマムアクセス米の加工原材料仕向け先、購入業者名及び業者別販売数量の情報公開を請求したことがございました。一部開示決定となり、不服審査をしましたけれども拒否されたという経緯がございます。

 これは、なぜこういう請求をしたのかというと、申立人は、前年、中国東北部に視察をして、現場で、湖畔に化学工場が建っておりまして、現地の担当者が重金属汚染の危険性を述べていた、そういうことを考えたときに、国民にとっては原産地表示すら何もない中で選ぶ権利がないのだ、そういうことを考えれば、国民の生命、健康を維持するためには必要なことではないか、こういう立場で開示を求めたわけです。それが不開示になったわけですけれども、大事なことは、私が何を言いたいかというと、なぜ開示できないかというその理由のところなんです。

 一部紹介をしたいと思います。

 前段に、ミニマムアクセスがこんなに積み上がっているという話をしております。九三年十二月十七日の閣議了解もあり、在庫に係るMA米の保管経費が食糧管理特別会計の健全な運営を圧迫しており、政府はこの在庫処理の対応に苦慮している、このような状況のもとで開示をすると、みずから獲得し蓄積した各種ノウハウ、つまり、業者の皆さんがMA米をどこからどれだけ購入してどれだけブレンドするかというふうなことを言っているんだと思うのですが、その外部流出を恐れる購入業者などを中心に政府への信頼が失われ、MA米の購入取りやめが相次ぐことが予想される、こういうふうに書いているのですね。

 そうすると、もはやだれのため、何のためのミニマムアクセス米の受け入れなのかな、こういうことを考えてしまうわけです。それでも、七月のジュネーブで行われたWTO交渉では、アメリカの強い圧力もあり、約百万トンのミニマムアクセスを受け入れる、そういうこともできていたと聞いております。

 最後に総理に伺いたいと思います。必要のないミニマムアクセス米はきっぱりとやめるべきと考えますが、どうでしょうか。

石破国務大臣 それは、これだけお米が余って、何でミニマムアクセス米を入れなきゃいかぬのということは、それはだれしも思っています。入れないで済めばこれにこしたことはないのです。

 しかしながら、何で七八〇という高い関税を張って、消費者の負担によって入れないようにしているか、そこの議論もきちんとしなければいかぬでしょう。

 そして、このミニマムアクセスというのは枠だからいいのだと言いますけれども、それはやはり入れていかねばならないもので、どうすれば国内でつくった米を、おいしくて安全で安い米を日本人が食べられるようになるかということ。そして、世界の貿易ルール、そして農業保護というのは一体だれの負担で行うべきものなのか。あちらのいいこと、こちらのいいことばかりつなぎ合わせても政策はできないわけで、トータルで考えてどうすべきなのかという議論をきちんとさせていただきたいと思います。

 ミニマムアクセス米を入れなくても済むような農業の体制というのはどういうものなのか、そのためにはどういう障害があって、それをどうやって乗り越えていかなければいけないのか、その議論をせずしてミニマムアクセス米をやめるという話にはすぐなりません。ぜひ、共産党としてもこうすべきだというお話をしていただき、私どもも議論を展開させていただきたいと思います。

 国内でつくった安全でおいしい米をみんなが食べられる、そのことはみんなの願うところであり、そこは考えは共通であります。

高橋委員 ミニマムアクセス米はWTOの協定上は義務ではないということは、この間の国会の議論で既にされてきたこと、それを踏まえて多分おっしゃっている、閣議決定の中身であるということだと思うんですね。そのために何を努力するのかというお話がございました。それで、昨年米でも実際には全量は輸入できていないわけですよね、国際価格が高くなったという背景の中で。しかし、それでも別に責められないという関係がございます。そういう中で日本が判断できることがあるんだろうということです。

 九月五日、この事件の問題が発覚した日に、政府は、〇八年の第一回ミニマムアクセス米の入札を強行し、トン当たり十万を超す最高値で落札をしました。国際米価が三倍とも言われる中で、ミニマムアクセス輸入が国際価格をつり上げる影響があることも言われている中です。

 一方、生産調整の目標を達成できなかった農家には、今、厳しいペナルティー、各種補助事業の補助金を出さないということが言われております。そのうちの一つ、千葉県の匝瑳市では、一俵一万三千円する新米、先ほどおっしゃいましたおいしいお米、これを泣く泣く三千円、キロ五十円でえさ米に回しました。国民には汚染米、家畜には新米、この不合理に全会一致で意見書を出しました。このような農政は日本農業を崩壊に導くのではないでしょうかと訴え、主食を輸入しなくてもよい農政のため、全容解明と、輸入義務ではないミニマムアクセス米の輸入中止をきっぱり求めています。

 こういう立場に立って見直しをするべきと思いますが、総理、一言お願いいたします。

麻生内閣総理大臣 今、石破大臣からももう既にお話があっておると思いますので、十分わかった上で聞いておられるんだと存じますが、これは、ミニマムアクセス米を入れざるを得ない背景というのは、日本のお米に関しましては輸入関税というものが六〇〇%か五百何十%がかかっておる、ここが問題なんだ。

 だから、五百何十%がゼロでいい、何もなしでいいぞというのが共産党の御意見というのであれば、それは、一挙に安いお米が入ってきてもいいんだというお話になりますと、七七八%か、こういったものがかかってきますと、これはそれだから今守られている部分がありますから、それなしにすればミニマムアクセス米はないですよ、入ってこなくなります。しかし、それだと今度は、こちらの方の農政、農業生産者としては、七七〇%がなくなったらもちますかといえば、それはなかなかもたないんじゃないかというので、そこのところのせめぎ合いが今一番難しいところなんだ、私はそういうぐあいに理解しております。

 僕はそんなに農業に詳しいわけでは正直言ってありません。しかし、基本的には、その点を考えますと、これは各国皆同じような問題を抱えておられますので、ガット・ウルグアイ・ラウンド等々で何回も何回もやってきて今の段階になってきておると理解をしております。したがって、これを、最初にミニマムアクセス米を決められた細川内閣のときですけれども、いろいろ苦悩の上に最終決断をされたんだ、私どももそう思っておりますよ。思っておりますけれども、しかし、私どもとしては、これは世界じゅうで合意した上でやっておりますので、日本だけそれから別にというわけにはなかなかいかない。

 基本的には、事故米とか汚染米とか言われたものが入ってこないようにするところが、きちんと管理するところが一番肝心なところなのではないか。私も基本的に、先ほど大臣の言われたのと同じ考えであります。

高橋委員 最後の一言でそこまで言われると、反論の時間がないのにちょっと困ってしまいますね。

 今、細川内閣でとおっしゃいましたけれども、共産党を除くすべての政党が賛成をいたしました。そのときに、その前のときに農水政務次官だった石破大臣は、三度の輸入自由化反対の決議があったにもかかわらず決定をしてしまった、この責めは次の選挙で審判が下るだろうということを当時書いていらっしゃいますね。そういうことがまた起こるのではないかということを指摘して、終わりたいと思います。

衛藤委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 私は、年金記録問題をきょうやりたいと思うんですが、改ざんも非常にひどいことであって、標準報酬月額が勝手に削られていたら将来の年金裁定のときに大変な影響を受ける。私は、社民党として調査をしてきたのは、舛添大臣も御存じの、七十歳以上の方々の旧台帳、手書きのカードの台帳、これがどうも、社会保険庁に聞いても保管状況をしっかり教えないんですね。我々視察に行きたいと言っても、半年がかりでようやく委員会で実現した。この問題をやりたいと思います。

 まず、社会保険庁長官に聞きますが、いらっしゃっていますね。

 我々は、まさに資料要求、説明要求をこの問題について多分二十回以上しています。この年金記録問題、旧台帳の、千三百六十五万枚と言われる、マイクロフィルムに撮って後は捨ててしまった加入をしていなかった人のデータではなくて、現在加入中、現存台帳といいます、昭和三十二年当時に年金に入っていた人の記録、これはとても大事だ、だからこれは何枚あるのかと何回も聞きましたよね。これは捨てていたということを発表されたんですか。正確にここで報告してください。何枚捨てていたのか。重大です。

坂野政府参考人 御指摘の旧台帳については、九月九日の年金記録問題関係閣僚会議において報告をしたとおりでございまして、現在保有する旧台帳の数は千百六十七万件であるということを確認いたしました。旧台帳約二百六十万件が昭和四十七年に廃棄されたことを確認いたしております。(保坂委員「五十万件は」と呼ぶ)

 なお、これとは全く別のものでございますけれども、かつて、もうかなり高齢に既におなりになっている方でございますけれども、別に五十一万件を廃棄したということは既に国会の場においても何度もお答えをしておるわけでございます。

保坂委員 国会の場でお答えなんかしていないんですよ。ずっと私は聞いていたんですよ。廃棄されているはずがないんだけれども現在調査中だ、こういうふうに言っていたんです。

 舛添大臣、さっき後段で言いました、二百六十万件は廃棄していたことがわかったんです、それとは別に五十万件が廃棄されていたこともわかったんです。これをめぐって、厚生年金保険法で社会保険庁長官が保存義務を負っている、それから社会保険業務センター文書管理規程では永久保存となっているじゃないか、こういうやりとりを六月二十八日の参議院の厚生労働委員会でしています。

 ここで柳澤大臣は、長官が原簿を備えということになっているので、もし廃棄をされていたとしたらこれは不適当な扱いであると申し上げざるを得ないと答弁しているんです。いいですか。そして、この時点では、そんなふうに大量に廃棄したのかどうか調査すると言っているんです。

 しかし、福島みずほ党首が、これを捨てていたんだと役所の文書にあるので、これは本当だったら大臣謝るべきじゃないですか、こう言っているんです。

 これに対して柳澤大臣は、これは当時原簿として保存されていたものだ、廃棄ということであれば法令違反ということになります、そうしたことをしていたという前提に立って申し上げれば、これはだから仮定形なんです、前提に立って申し上げれば、大変これは国民の皆さんに申しわけないと言わざるを得ないと。これは筋の通った答弁だと思いますね。これは、五十万件もし廃棄していたのだとすればですよ。坂野長官は今言ったんです、廃棄していましたと。

 それとは別に、我々が、千三百六十五万件も本当にあるのかなと。舛添大臣も見に行かれましたよね。倉庫で番号どおりにも何もなっていない、数がなかったじゃないですか。

 そこから、昭和四十七年に、これは資料でお配りをしていますけれども、社保庁からもらったのは、「厚生年金保険被保険者台帳の引渡し及び廃棄について(伺)」という文書ですね。これは驚いたことに、社保庁長官の判こはないんですね。年金保険部長の判こもないんですよ。(伺)という書類を出して、一日ですっぽり通過している。

 舛添大臣、一言、これは本当に大事な記録ですよ。当時の安倍総理がこの年金について一つだけすばらしいことをやったと私は思っています。時効を撤廃したことですよ。これまでは五年時効がありましたから。九十六歳にして、二千八百万円ですか、取り戻した方がいるんですね。そういう方は、この台帳を見て確認して、計算をしたわけです。しかし、千三百六十五万中、その中で二百六十万足す五十万ですから三百十万廃棄されていたとすれば、その中にまじっていた人は回復の可能性がないじゃないですか。

 これは一言、国民に対して申しわけないと、柳澤大臣は仮定形で謝るべきだと言っているわけですから、一言言ってくださいよ。

舛添国務大臣 旧台帳も含めて、私が大臣になって精力的にこれを解明しておりますし、先ほどの二百六十万枚も、私が現場に行って現場を見て、委員と同じ感想を持って、こんなずさんなことではだめだ、データベース化やりますと。その過程でこれを発見する。それから五十一万枚、これは事実上もうお亡くなりになっているような方々ですけれども、しかし、もとの名簿は、原簿はすべて今でも社会保険事務所に、そこにあります。ですから、確認することは可能でありますが、こういうことを含めて余りにもずさんだったので、一つ一つ積み上げていっている。

 そういうことについてはきちんと国民に謝罪をしないといけないと思っていますが、私の今の仕事は、被害に遭われた国民に対して一刻も早くそれを回復することであるということで、現場を見ながら陣頭指揮をし、そして不祥事を正し、前に進めていっているところでございます。

保坂委員 舛添大臣、ちょっと今言われたのは、旧台帳も全部、地方の社会保険事務所のいわば事業所名簿に載っている、それはマイクロにも撮ってあるから大丈夫なんだ、こうおっしゃいましたよね。

 ところが、私、調べてみましたよ。マニュアルとかこういうのをもらいまして、精査しました。そうしたら、結局、この時期のコンピューター入力には事業所名は入っていないんですよ。事業所名は入っていないで、厚生年金と打ち込まれているだけなんです。これは五千万の宙に浮いた年金でわかりましたよね。五百二十四万件は名前がなかったんです。ですから、ワンビシという倉庫に日参して職員が捜したじゃないですか。でしょう。

 ですから、二百六十万全部の人が未払いの目に遭っているとは思えません。しかし、その中に含まれている可能性は理論的にはあるじゃないですか、どう考えたって、名前がなかったり。年金手帳番号で昔の記録を捜していくのは、ラストリゾートなんですよ、この倉庫が。そこが三百万も捨てられていたということは、今きちっと謝ってくださいよ。昔々の話ですけれども、それは国民に対して済まなかったと。

舛添国務大臣 非常にずさんであったこと、これは私も今憤りを持ってそれを是正しているところでありますから、きちんと謝罪をしないといけませんが、今申し上げた二百六十万枚含めての千三百六十五万枚というのは磁気テープ化をされております。

 したがって、私の仕事は得べかりし年金を得ていない人をいかに救うかということですから、そのための手だてはあります。しかし、だからといって、これまでのずさんなことを弁護しようという気は毛頭ございません。

保坂委員 麻生総理、今の議論、やや細かいところがあったかもしれませんが、今七十歳を超えた方、私の母親なんか七十九ですよ。ねんきん特別便が来ました。結婚してからの保坂という名前の働いた記録はありましたよ。しかし、姓が変わっていますよね。結婚前、銀行で働いていたと、話を聞いてみると。それはやはり統合されていないから、戦前の記録とか戦後すぐの記録は倉庫に行かなきゃないんですね。それが千三百六十五万枚あったという内容です。そこから三百万枚捨てられていたら、もう回復のしようがない方が出てきます。

 これはやはり、こういう失態があったということを、私は一年前からずっと社保庁に要求していますよ。調査中だ、精査中だとずっと言われています。ですから、これを回復しようにもできない人たちが出てきたということについて、総理、どう考えますか。

衛藤委員長 では、総理の前に厚生労働大臣舛添要一君。簡潔に。

舛添国務大臣 事実を申し上げますと、磁気テープ化されていますから、お申し出があれば回復できます。

麻生内閣総理大臣 回復できると回復できないのでは全く前提条件が違いますが、いずれにしても、ずさんな管理というのは甚だ行政官としては多々問題がある、多くの方々に御迷惑をかける結果というものを生んだということになろうと思いますので、その点に関しては政府としておわびをすべきだと存じます。

保坂委員 実は、もうこれは時間がないので続けませんけれども、回復できない資料があるから、倉庫に事務所の職員が行って一枚一枚捜したんですよ。事業所名は入っていないんですよ、古いオンラインのデータには。事業所名がわからなければ、地方の事業所のリストは捜せないんですよ。そのくらいわかってください。

 麻生総理に聞きたいんです。これは三十回近くやったと思います。ヒアリングも十五回ぐらいやりました。野党による資料の要求で、舛添大臣も自分で気づいて、これは大変なことだといって、今七千万かけてデータベース化したそうですよ、この記録も。

 質問のための、あるいは調査のための野党の資料要求、これは国民の安心や年金記録のために役に立っていると思いませんか。総理、どういう感想をお持ちですか。

麻生内閣総理大臣 野党の資料要求が役に立たなかったと政府が申し上げたことが過去にあるという御前提ですか。

保坂委員 そんなことは聞いていないので、こういった問題について我々が調べること、そして、政府側は当時こういう資料を出さなかったり、あるいは調査に協力したということも当時はなかった。後からは協力しましたよ。だから、そうやって問題を投げかけて、例えば汚染米の問題にしても、どういう実態なのかということを我々が知りたいというのは当然じゃないですか。

 ちょっと農水の官房長に来ていただいていますが、私は、九月二十二日に、汚染米が例えばこれだけ安易に人間の口に入ってくるとしたら、家畜の飼料はどうなんだろうか、大丈夫なんだろうかと感じて、家畜の飼料の汚染のチェック体制について資料要求しました。これについては、自民党国対にお諮りをして、そのオーケーの上で資料を出されたんでしょうか。

岡島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からの資料要求につきましては、大臣からの方針でございます、真摯にかつ速やかに対応することという精神で出させていただいたところでございます。

保坂委員 ちょっと確認したいんですが、担当課の方に聞いたら、一回目に出てきた資料はたった二つだけ、抗生物質が過剰だったり少なかったりしたという、これは分厚いですけれども中身は余りない、ホームページをプリントアウトしただけの資料でした。私の質問も逆登録されていたということがわかり、問題意識はちゃんと記載されているんですね。

 そして、きのう私は怒りました。これは、飼料の安全性についてもっと多角的にあるだろうと。例えば、農薬が残留している飼料についてどうチェックしているんだと。遺伝子組み換えの問題もある、あるいは動物性たんぱくの輸入再開の問題等々あります。それを速やかに持ってきていただいたんです、きのうは。前回は自民党国対にチェックしていただいた、今回はストレートに来ましたと。私は、進歩したなと、石破大臣の発言もあって。

 これは、事実としてそれでいいですか。要するに、全部自民党国対にこうやって出します、出しますというのはやめたんですね。これははっきり言ってください。

岡島政府参考人 お答えいたします。

 前回についても今回についても、私が知っている限りにおいては、その時点で出せるものを速やかに出すということで出しておるということでございます。

 あと、資料要求全体の扱いにつきましては、午前中官房長官がお答えになったというのが政府の統一見解だというふうに理解しております。

保坂委員 時間なのでやめますけれども、とにかく、前回は自民党国対に伺いを立てたそうですが、今回は、そういう国民の安全にかかわることについてはそんなことやらないで、すんなり出せということでやられているようですから、それでいいと思いますよ。石破大臣、どうですか。

衛藤委員長 農林水産大臣石破茂君、簡潔にお願いします。

石破国務大臣 いずれにしても、これは、どのようなものも誠実に、迅速におこたえをするということでございます。そして、自民党とはどういう状況にあるかという状況は、共有の認識を持つということでありまして、迅速、誠実に出すという方針は今までもこれからも変わりません。さらに努力をいたします。

保坂委員 終わります。

衛藤委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)委員 国民新党・大地・無所属の会の鈴木宗男です。

 委員の皆さん方に、この質問の機会を与えてもらったことに感謝したいと心からお礼を申し上げます。

 時間がありませんので端的にお尋ねしますが、外務大臣、ことしの六月六日、衆議院、参議院両院におきまして、アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議が決議されまして、その結果、日本国政府は初めてアイヌ民族を先住民族として認めました。

 この流れの中で、北方四島、サハリン、千島列島もアイヌ民族が先住民族であるという認識かどうか、御認識をお尋ねいたします。

中曽根国務大臣 ことしの六月の国会決議にもありますように、アイヌの人々は日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住をしまして、独自の言語や宗教、文化、そういう独自性を有する先住民族であると認識をしております。

鈴木(宗)委員 ですから、大臣、北方四島、サハリン、千島列島も同じ認識かということなんです。

中曽根国務大臣 我が国の北部領土周辺ということで、それには北方四島は入ります。お答えできるのはそこまででございます。(鈴木(宗)委員「サハリンは」と呼ぶ)それ以上はお答えできません。

河村国務大臣 政府といたしましては、アイヌの人々は、いわゆる和人との関係において、日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住していた、こういう認識でございまして、アイヌ民族がサハリンまたは千島列島における先住民族であるかどうかについて判断する立場にございません。

鈴木(宗)委員 時間がありませんから細かい話はしませんけれども、外務大臣、北方四島に行きますと、ロシアの方の教育で、この島はアイヌ民族が先住民族であった、そこにコサックが来ていさかいが起きたということをきちっと教えているんです。サハリンに行ってもそう教えているんです。ですから、今の官房長官の答弁も適切じゃないんですよ。ぜひともこれは認識を改めてください。

 なぜアイヌ民族かということを皆さん方ぜひともわかってください。私は一貫して、このアイヌ民族の権利の確立を訴えてきた。それは、北方領土の返還も、この島はアイヌ民族が先住民族です、アイヌ民族は日本国民です、だから、大統領、返してくださいというアプローチができるんですよ。今、油がなくて、原油が高騰して困っている。サハリンのオハでは天然ガス、油が掘られている。大統領と、この地を開拓したのはアイヌ民族なんです、優先的に北海道に、日本に油を回してください、ガスを回してください、こういうアプローチができるんですよ。国家戦略として私は言っているということを、ぜひとも外務大臣も官房長官もおわかりください。

 もう一回、外務大臣から答弁をお願いします。

中曽根国務大臣 国家戦略を考えることは大変重要でありますが、先ほど官房長官からお答えいたしましたように、アイヌ民族がサハリンまたは千島列島における先住民族であるか、それは判断する立場にございません。

鈴木(宗)委員 外務大臣、大臣になったばかりですから、これからしっかり勉強してもらえばわかるし、北方領土はアイヌ民族が先住民族だということを認めてもらいましたから、これだけでも大きな成果であります。

 ついては、官房長官、有識者懇をやっておられますから、ぜひともアイヌの文化、歴史を学んでください、尊重してください。環境問題を言うときは、アイヌの歴史が大事なんです。アイヌは自然との共生です。無駄なことはしません。シャケをとるにしてもクマをとるにしても、必要な数しかとらないんです。ですから、二十一世紀は環境の世紀だと言うならば、私は、アイヌ民族の歴史、文化に学ぶべきだ。そんなこともあって、この国会決議を一生懸命やったということをおわかりいただきたい。

 この点、有識者懇での見解、決意を官房長官から承りたいと思います。

河村国務大臣 貴重な御指摘をいただきました。

 有識者懇におきましても、私自身もしっかり勉強させていただきますが、今の御指摘を踏まえ、対応を図っていきたい、こういうふうに考えます。

鈴木(宗)委員 くれぐれも、官房長官、有識者懇にはアイヌ民族の代表として加藤ウタリ協会理事長が入っておりますので、やはりこの方の経験等を十分踏まえて施策を展開していただきたい、こう思っています。

 次に、外務大臣、日本の領土問題は北方領土問題と竹島問題だというのが私の質問主意書に対する政府の公式見解ですが、それでよろしいですか。

中曽根国務大臣 結構でございます。

鈴木(宗)委員 そこで、外務大臣、北方領土は、北方領土の日も決めて、さらに内閣府には担当部署も置いております。竹島には、竹島の日は決めていなければ、また、担当の役所、大臣もおりません。なぜ、領土問題が竹島と北方領土だというならば、差があるのでしょうか。拉致問題も領土問題も、国家主権が侵されているということでは、皆さん、一緒ではないでしょうか。

 この点、北方領土は北方領土で、政府が後援して年に一回、二月七日やっている、さらにさまざまな会合も持っている。竹島については何ら一切やっていない。この差はどこにあるか、教えていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 領土問題の対応につきましては、それぞれの問題をめぐる経緯とか歴史とか状況とか、そういうものが違います。したがいまして、必ずしも同様の対応とはなっておりません。

鈴木(宗)委員 外務大臣、竹島問題で、それでは韓国といかような外交交渉をしているか、教えてください。

中曽根国務大臣 竹島に関する我が国の態度といいますか方針は、一貫して変わっておりません。歴史的にも法的にも我が国の固有の領土である、そういう考えであります。

 私どもは、韓国に対しましては、累次の機会に我が国の立場を申し入れをしております。それは鈴木委員御承知のとおりです。

 政府といたしましては、引き続き竹島問題の平和的な解決を目指して外交努力を行っていく、そういうことでございます。

鈴木(宗)委員 外務大臣、北方領土は曲がりなりにも交渉のテーブルに着いているし、それなりのやりとりもあっています。竹島問題では、国民の皆さんが目に見えた形で交渉をやっているという認識はないんですね。この点、ぜひともしっかり取り組んでいただきたい、こう思います。

 そこで、外務大臣、本年六月十六日、外務省総合外交政策局国連政策課の藤本健太郎首席事務官が島根大学で、いわゆる出前講座と称する、外務省の人が時局講演をするわけですが、その中で、韓国には拉致問題で協力を得なければならないので、竹島問題では強く出られない、こういう講演をしているんです。これは、外務省また日本政府の公式見解でしょうか。

中曽根国務大臣 御指摘のような発言があったとは承知しておりません。

鈴木(宗)委員 これも、大臣、時間がないから言いませんけれども、テープもとってあります。今の大臣の発言は、藤本健太郎さんに確認しての発言ですか。それを確認します。

中曽根国務大臣 このような発言がなかったということにつきましては、当該職員に確認をしております。

 それから、この講演を記録した文書は作成されていないということでございます。

鈴木(宗)委員 これは開かれた、一般の人も参加しての講演でありまして、さまざまな人が聞いております。

 外務大臣、たまたま、この外務事務官が率直な胸のうちを言ったかもしれませんよ。私はそれを責めているんじゃないんです。基本的な国家政策として、譲ってはいけないものがある、触れてはいけない話がある、このことをきちっと指導していただきたい、こう思って話をしているんです。何も藤本首席に対してペナルティーをとるとかではないんです。よかれと思って言ったかもしれぬけれども、それは国益を損ないますよ。絶対譲ってはいけない一線がある、このことだけはしっかり私は指導をしていただきたい。この点で、大臣、答弁は要りません。大臣の気持ちはわかりますから、しっかりお願いしたいと思います。

 次に、グルジア情勢について伺います。

 南オセチアで民族浄化という名のもとにさまざまな人権侵害が行われております。このことについて、外務大臣、日本国として抗議はしていますでしょうか。

中曽根国務大臣 ロシアとグルジアの双方が南オセチア自治州において民族浄化を行った、そういうふうに互いに非難していることは私ども承知をしております。

 一般的に、民族浄化が発生すれば、当然のことですが、それは決して人道的な観点からは許されないものと考えておりまして、しかし、事実関係はいまだ明らかになっておりません。したがいまして、我が国といたしましては、グルジアに対して民族浄化を行ったとして抗議を行ったことはございません。

鈴木(宗)委員 委員長も委員の先生方も、一方的な報道ですとまたいけないと思って私はあえて指摘しているんですけれども、この南オセチアという国は、ここの国民は、グルジアが嫌なんです。だから、ロシア国民になりたいといってロシア国籍を取っているんです。ですから、ロシアは自国民保護という大義名分のために動いたんですよ。この点、どうぞ皆さん、きちっと歴史を踏まえて、勉強して、この議論はしてもらいたい。同時に、ロシアに間違ったメッセージを与えてはいけない、私はそんなふうに思っております。

 次に、法務大臣にお伺いします。

 きょうは前の法務大臣の鳩山大臣もお見えですけれども、四月二十二日の決算委員会第四分科会において、私は、裁判の公平公正、さらには事件の真実を明らかにするには、全面可視化が必要だと思っているんです。全面可視化。これは私自身が取り調べを受けて痛感しているんです。

 なぜかというと、参考人と称する人たち、証人と称する人たちは、皆さん、おまえたちは何を言っても罪ないよと言われたら、検察の一方的な誘導、誤導で調書をつくられるんです。ところが、その調書がまた裁判では生きてくるんですよ。

 私は、この委員会で、あれは平成十四年の三月十一日です、ここで、ムネオハウスだ、あるいは疑惑の総合デパートだ、総合商社だとかいろいろ言われましたよ、アフリカODAだ。一切裁判やっていませんよ。事件になっていませんよ。しかし、あのころは、検察のリークだとかマスコミのリークによって、ムネオハウスの偽計業務妨害で私が捕まる、アフリカのODAで捕まるだとか、そんな話ばかりでしたよ。これも皆さん、怖いんですよ、情報の流れ方というのは。そういった意味で、私は可視化をしなければいけないと思っているんです。

 この点、法務大臣、鳩山大臣は被疑者や逮捕された人とは別に証人、参考人についても何ができるか検討したいという答弁になっていますから、それから検討が進んでいるのかどうか、端的にお答えをいただきたいと思います。

森国務大臣 お答え申し上げます。

 法務省としては、被疑者以外の者の取り調べにおいて録音、録画を義務づけることについては、刑事手続全般における取り調べの機能を維持する上で、参考人の協力が得られなくなるなどの問題があって、慎重な配慮が必要であると考えております。したがって、さまざまな観点からの入念な検討を要する問題であると考えます。

 さはさりながら、鳩山前々大臣の御発言もありますので、さまざまな御意見に耳を傾けてまいりたいと存じます。

鈴木(宗)委員 森法務大臣、ぜひともここは、参考人や証人というのは検察から呼び出されただけで実際は萎縮していますから、どうしても自分の本心を言えません。だから、私が今やっている裁判でも、賄賂を贈ったという人はみんな裁判所に陳述書を出してくれていますよ、賄賂は贈っておりません、正式な領収書もいただいた政治献金ですと。しかし、それでも検察側はしゃにむに事件に持っていったんですよ。当時言われたことが事件にできなかったからです。そのためにも、皆さん、私は弱い人のためにも可視化は必要だ、このことをぜひともお願いしたいと思います。

 最後に、麻生総理、総理大臣おめでとうございます。

 総理は覚えているかどうかわかりませんけれども、今から二十九年前です、初めて総理が選挙に出たとき、私は中川一郎先生の秘書をやっておりまして、山崎平八郎という先生がおりまして、応援に行ったんです。ちょうど二時間、時間があきました。どうするかというとき、私は、麻生太郎さんという将来ある人が出ている、青年会議所の会頭もやって非常に志も高い、ここは麻生さんの激励に行きましょうと連れていったことがあるんですよ。二十九年前のことです。自分自身の先見の明はなかったけれども、人に対する先見の明はあったかな、こう思っているんですね。

 そこで総理、総理は今景気の回復が大事だと言っています。おっしゃるとおりだと思うんです。国民もそう思っています。あわせて、総理、前の選挙から丸三年たちました。さらに、内閣は総理で四つ目です。国民の中には、やはり選挙で信を問うべきだ、こんな声がありますね。

 同時に、総理、総理自身が四回戦って総理大臣になりました。私は毎朝、運という字をなぞるんです。運は、皆さん、戦が走ると書いて運です。努力していなければ、戦っていなければ運は来ないんですよ。そういった意味では、総理は間違いなく努力してきた、こう思っているんですね。

 その意味からしても、総理、ここはやはり解散・総選挙に打って出て国民の信を問う、これが今必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。(発言する者あり)

麻生内閣総理大臣 やじがいいかげんで済みません。

 まず最初のお話ですが、検察に呼ばれると萎縮しますと。私も鈴木宗男先生の質問というと萎縮しますもの。やはりいろいろな意味で可視化が進んでいるからこの程度なのかなと思わないでもないなと思って、今、話を伺っていたんです。

 今言われましたように、二十九年前から随分長い時間がたったような気がいたしますが、いずれにしても選挙というものは、これは国民の信を問うという意味においては非常に大きな大きな四年に一遍のあれですが、同時に、私どもとしてそのタイミングというものをやはり考えないと、今これはちょっと正直、きょうまた株が六百円下がった……(発言する者あり)七百円、普通じゃないですよ、これは。株が七百円も下がるなんというのは、ちょっと正直私らには想像を絶するほどでして、やはり先行き不安というのは物すごく出てきていると思いますので、それを何とかするための対策を、きちんとしたことをしないといかないと思います。九千二百五十二円、これは九百円下がったということになりますよ。

 これはやはり景気対策というのをきちんとやらぬと、国民から見て、おまえ、選挙なんてやる前に景気だろうという話がやはり出てくるところも踏まえて私どもとしては判断をしなきゃいかぬところだと思いますが、言われましたように、選挙の時期につきましては、これは四百八十人からの首をという話になりますので、そういった意味では非常に重い判断だろうと思いますが、いずれにしても、私が最終的に決めさせていただきます。

衛藤委員長 鈴木君、時間が来ましたから。

鈴木(宗)委員 終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。

鈴木(恒)委員 自由民主党の鈴木恒夫でございます。

 私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となっております平成二十年度補正予算三案に対しまして、賛成の討論を行うものであります。

 現在、我が国経済を取り巻く情勢は、米国を初め欧州や新興国など世界経済全体において成長が鈍化するなど、景気後退の波が押し寄せております。また、資源・食料価格も歴史的に見て高い水準に高どまりする中、特に最近の米国発の国際金融市場の動揺により、世界経済の先行きは不透明さを増しております。

 こうした経済情勢のもと、資源・食料価格の動向により、価格の転嫁が困難な立場にある中小企業や、賃金が十分に上がらない雇用者の皆様などは、大きな影響を受けておられると承知しております。国民の皆様が感じておられる痛みや不安に対処するとともに、将来にわたり日本経済をより強固なものとするため、政府は、八月二十九日、安心実現のための緊急総合対策を決定いたしました。

 今回の補正予算は、この経済対策を実施するための、国費一・八兆円、事業規模十一兆円を超える、まことに重要な予算であります。本補正予算の成立により、経済対策を速やかに実施させ、物価高、景気後退の直撃を受けた人々に安心をもたらさなければなりません。

 以下、賛成の理由を申し述べます。

 本補正予算は、まず第一に、生活者の不安の解消を目指し、生活・雇用の支援、医療・年金・介護の強化、子育て・教育の支援を実施することとなっております。

 第二に、持続可能社会、低炭素社会の実現に向けた取り組みや住まい・防災対策の推進、強い農林水産業の創出を図っています。

 第三に、新価格体系への移行と成長力強化のため、原材料価格高騰対応、緊急保証の導入、政府系金融機関によるセーフティーネット貸し付けの拡充など、総額九兆円規模の事業を実施し、中小零細企業の資金繰りにも万全の対策を講ずることとなっております。

 同時に、本補正予算案は財政健全化路線を堅持しております。既存の歳出を見直す中で、最大限の経費の節減を行うことなどにより、特例公債は発行せず、財政規律を確保しており、評価できるものとなっております。

 以上、補正予算三案に賛成する主な理由を鈴木恒夫から申し述べました。麻生総理が所信表明演説で訴えられた日本経済全治三年へ向けた処方せんも、まずはこの補正予算の早期成立こそが大切な一歩となります。今後も麻生内閣が、景気対策、財政再建、成長政策の実現に向け、万全の体制で臨んでいただくことを御期待申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。

 終わります。(拍手)

衛藤委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇八年度補正予算三案に反対の討論を行います。

 初めに、福田内閣が政権を投げ出し、その結果誕生した麻生政権に対して、山積する国政の基本問題をただすべき予算委員会をわずか三日間で終わらせようとすることに強く抗議するものです。

 今日の日本社会は、貧困と格差が拡大し、労働者、高齢者、障害者、農民、中小業者など、国民のあらゆる層の暮らしと営業が深刻な不安と危機に見舞われています。

 相次ぐ労働法制の規制緩和によって一千万人を超える規模となった働く貧困層、七十五歳以上に年齢を重ねただけで別枠の医療制度に囲い込む後期高齢者医療制度、原油、原材料、物価などの異常な高騰にあえぐ農漁業者、運輸業者、中小業者など、国民の苦しみはかつてなく広がっています。

 ところが、政府にはこうした事態を招いた構造改革路線への反省が全くありません。しかも、世界の金融と経済は極めて危機的な状態にあります。

 だからこそ、今一層必要なことは、一部の輸出大企業のもうけの応援だけを追求し、国民には痛みだけを押しつける政治を根本から正し、内需主導、家計に軸足を置く経済に切りかえることであります。

 直ちに後期高齢者医療制度は廃止し、社会保障の充実を図ること、労働者派遣法を一九九九年の原則自由化前に戻し、雇用の安定を図る対策をとること、投機マネーを規制し、中小企業の経営を守ること、食の安全を確保し、農業、漁業の再生に踏み出すこと、こうした緊急対策こそ求められているのであります。

 本補正予算案は、あくまで従来の経済政策にしがみつき、多少の取り繕いをするものにすぎず、賛成できません。

 道路特定財源の地方減収分の補てんについて言えば、そもそも本年度の総予算審議の際、政府・与党が暫定税率の廃止と道路特定財源の一般財源化を求める広範な世論を踏みにじったことによるものであります。しかも政府は、その後五月に一般財源化を閣議決定しているのですから、地方に補てんするとしても、使途を限定しない一般財源として交付すべきであります。道路特定財源に固執することは認められません。

 以上、反対討論を終わります。

衛藤委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇〇八年度補正予算案に反対の立場で討論を行います。

 麻生内閣が日本経済を全治三年と言うのであれば、治療に当たっては、しっかり病因を究明することが不可欠です。

 今回の緊急総合対策では、景気回復は総じて外需依存型であり、家計全体は賃金増を通じてその恩恵を実感するには至らなかったと指摘をしていますが、分析はありません。アメリカ発金融不安が日々襲いかかってくる中で、もっと有効な治療策が必要だと思います。

 以下、反対の理由を申し上げます。

 第一に、後期高齢者医療制度の廃止ではなく負担軽減にとどまっていることです。選挙対策のまやかしであり、後期高齢者医療制度自体の廃止を実現すべきです。

 第二に、燃油急騰の大きな原因である投機マネーへの有効な規制がないことです。

 第三に、漁業者の燃油費補てんも、省エネ船舶・設備等の条件や〇七年度基準などの制約があり、実際には使い勝手が悪いことであります。漁業者への直接補てんを求めます。

 第四に、減税や各種控除の復活など、国民の痛みを和らげる政策がとられていないことです。

 第五に、地方財政への支援が弱いことです。地方税の減収補てんは当然ですが、五兆円以上削減されてきた地方交付税を復元すべきです。

 第六に、東アジア経済統合研究協力拠出金や投資環境関連情報発信事業費、商品先物市場監視強化システム構築事業費、出入国管理システム設備整備費、市町村合併体制整備費補助金などのように、それぞれに問題があるものが多いことです。

 今回の補正予算案には、中小企業への融資拡大やネットカフェ難民への支援、公立小中学校の耐震化、アスベスト対策、離島航路確保、消費者政策の強化、地方バス路線維持なども盛り込まれていることは評価できますが、内容や規模が貧弱なものであり、一段と不透明感が高まっている日本経済の立て直しに十分ではありません。構造改革路線と決別し、実体経済を支えるための政策への転換、個人消費を中心とした内需重視への転換を強く求めて、反対討論を終わります。

衛藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより採決に入ります。

 平成二十年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立多数。よって、平成二十年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

衛藤委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.