衆議院

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第4号 平成21年1月9日(金曜日)

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平成二十一年一月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    臼井日出男君

      小野寺五典君    大野 功統君

      岡本 芳郎君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    関  芳弘君

      園田 博之君    土井  亨君

      仲村 正治君    根本  匠君

      野田  毅君    葉梨 康弘君

      深谷 隆司君    三原 朝彦君

      安井潤一郎君   吉田六左エ門君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    仙谷 由人君

      筒井 信隆君    中川 正春君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    渡部 恒三君

      池坊 保子君    西  博義君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           亀井 久興君

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月九日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     関  芳弘君

  菅原 一秀君     安井潤一郎君

  中馬 弘毅君     土井  亨君

  江田 康幸君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     尾身 幸次君

  土井  亨君     中馬 弘毅君

  安井潤一郎君     菅原 一秀君

  西  博義君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)

 平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)

 平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)並びに枝野幸男君外三名提出、平成二十年度一般会計補正予算(第2号)及び平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)に対する両修正案、以上三案及び両修正案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省労働基準局長金子順一君、厚生労働省保険局長水田邦雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 昨日の菅直人君の質疑に関連し、枝野幸男君から質疑の申し出があります。菅直人君の持ち時間の範囲内でこれを許します。枝野幸男君。

枝野委員 おはようございます。

 私は、きょうは偽装請負を初めとする雇用の問題を中心に質疑をさせていただきたいと思っておりますが、その前に、きのうの質疑の残りといいますか更問いといいますか、その部分の方を順序を変えて先にお尋ねさせていただきたいと思います。

 一つは、きのう一番の議論になりました定額給付金。

 総理は、高額所得者が定額給付金を受け取るということはさもしいとおっしゃられた。それがどうも、一カ月たっていませんね、さもしいとおっしゃられた最後は少なくとも十二月十五日前後の参議院の委員会で発言されているということでございますので。状況が変わったというようなことをおっしゃっていましたが、何がどう状況が変わったのかを具体的に御説明ください。

麻生内閣総理大臣 これは、八月末、当時自民党の幹事長をさせていただいたころですが、そのころには、石油の高騰、灯油の高騰、食料代の高騰を含めて、いわゆる生活に対する問題が多く語られていた時代だったと思います。

 しかし、それからどのように変わったか。御存じのように、きのう北側公明党委員のグラフにも出ておりましたように、この三カ月の間、経済状況は著しく変わった。その中において、消費拡大、内需拡大などなど、消費の刺激というのが非常に大きな要素という部分が出てきたというところが非常に大きな変化だった、私はそう思っております。経済状況の変化、これが一番大きな変化だと存じます。

枝野委員 論点をすりかえないでいただきたいんですが、総理が高額所得者の方が受け取るのはさもしい、矜持がないという趣旨のことをおっしゃったのは、三カ月前ではなくて一カ月前なんです。その段階では、今の経済危機の状況というものは十分に明らかになっていた状況であって、この一カ月間で、まあ、確かに年末のあの派遣村の状況、こうした雇用状況であるということは総理はもしかすると御存じなかったかもしれませんが、しかし、世の中的には、この一カ月で急変をする、しかも、さもしい、矜持がないという、ある意味では受け取る人に対する侮辱的なところが百八十度転換するほどの大きな変化が、この一カ月に何があったんですか。

麻生内閣総理大臣 経済情勢が大きく変化したということはお認めいただいた上での話だと存じますが、少なくとも今の状況において、より使ってもらうことによって消費を伸ばすということが景気対策上大きな要素だという部分が前のときに比べてさらに大きくなってきたというのが事実なんだと思っております。特に十一月末、十二月に入ってからは、その部分が非常に大きく言われるようになった。

 私は、生活給付の話は最初から出ておりましたが、そういった面からいきますと、我々としては、より高額をもらっている方々にもより多く消費をしていただくことによっていわゆる景気対策になるという情勢は大きな変化なんだ、私自身はそう思っております。

枝野委員 今の話を善意に解釈すると、十二月十五日までは景気対策、消費拡大のための必要性はそれほど感じていなかったけれども、この一カ月の間にその認識になった。でなければ、十二月十五日の段階で総理は、高額所得者の方はこれを受け取るのはさもしいとまで、さもしいというのは大変厳しい言葉ですからね、矜持がないということをおっしゃっているんですからね。それがわずか一カ月の間で変わったということは、この一カ月の間までは総理は、景気対策、特に消費の拡大、消費刺激ということについての必要性をそれほど強く感じていなかったことをお認めになったということだというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 その上で、通告はしておりませんが、与謝野経済財政担当大臣、当然御存じだと思いますので、所得階層によって消費性向というのはどう違いますか。所得の高い人と所得の低い人で、消費性向というのはどちらが高いですか。

与謝野国務大臣 基礎的なもの、例えば食料、飲み物、衣料等は、所得の低い方も高い方も日用品については似たような消費の傾向がございますけれども、やや高いもの、やや高級なものについては、所得の高い方の方が当然のこととして消費性向は高くなるということでございます。

枝野委員 消費性向という話を聞いているんです。消費性向というのは、受け取った所得の中でどれぐらいの比率の金額が消費に回るのかということをお尋ねしているんです。

与謝野国務大臣 当然、所得の高い方は残りは多くなるでしょうし、所得の低い階層の方はほとんどすべて生活に使うということですから、所得の中の消費という意味での消費性向は、所得の低い階層の方が高いというのは当然のことでございます。

枝野委員 総理の先ほどの発言を百歩譲って受けとめるとしても、消費を刺激するという効果を考えても、所得の低い人により厚く給付をしてその人の所得をふやす方が、消費性向が高いんですから消費刺激の効果は圧倒的に高い。

 所得の高い人に、例えば二千万も三千万も、あるいはそれ以上もらっている人に一万二千円をお渡ししたからといって、それは何%が消費に回るのか。当然のことながら、全体としての消費性向が低いんですから、それが消費に回る可能性、確率は低いと認識するのが基本的な考え方じゃないですか。与謝野大臣、どうですか。

与謝野国務大臣 そもそもこの話は、定額減税をやった方がいい、これは生活支援をする必要があって、やはり原油あるいは穀物類の価格の上昇によって生活が打撃を受けている、こういう方々に対する生活支援、すなわち消費を行っていただけるように定額減税をやろう、これがそもそもの発想で、政府・与党も定額減税という話で最初の話はスタートしたわけでございます。

 この定額減税というのは幾つか欠点がありまして、税を全く納めていない方にはその政策の効果が及ばない、そういう問題があります。それから、税は納めているけれども定額減税の額のところまで行かないという方には完全な効果が及ばない、そういう問題があります。

 したがいまして、そこで、枝野先生がお話しのように、所得制限の問題が当然出てきたわけでございます。しかしながら、これは、鳩山大臣のもとで技術的に検討をしたわけでございますけれども、所得制限をこの問題で行うとしたら膨大な手間暇がかかる、また個人情報にも接触せざるを得ない、もろもろの問題があって現在の形に落ちついた、こういうことでございます。

枝野委員 委員長もおわかりになりますでしょう。聞かれたことにお答えいただいていないんです。

 そんな経緯はもうきのう来さんざん議論をしておりまして、そういうプロセスでこの定額給付金という制度が提起をされて、でも、法案は出てこなかった、予算案は出てこなかったというその段階で、麻生総理は、所得の高い人がもらうのはさもしい、そんな人がもらうのは矜持がないということをおっしゃった。それがまたころっと変わって、お金持ちもたくさんもらってください、なぜかといったら、消費刺激だと。

 でも、消費刺激だということでまたもとに戻る、つまりお金持ちの人にも受け取ってくださいというのは理屈が通らない。消費刺激ということであっても、所得の低い人にはたくさんもらってくださいと。もともと消費性向の低い人にお金をもらってもらったって、その人たちが消費に回す確率は低いんだから、消費を刺激するという効果であったとしても、高額所得の人は受け取らないでくださいという方が論理的に正しいじゃないですか。

 そこのずれをどう考えておられるのか。総理、どう考えているんですか。

麻生内閣総理大臣 消費の刺激ということに関して、先ほどたびたび申し上げておりますように、消費を刺激するために、少なくとも御理解をいただいて、これは個人に来る話ですから、個々人がどう判断されるかを政府で強制するつもりはありません。もう最初から申し上げております。したがって、私どもとしては、所得の高い方、消費ができる余裕のある方はぜひ盛大に使っていただくのがよろしいのであって、そういった意味で、これがその一端の刺激になるのであればということを御理解いただければそれでよろしいんだ、私はそう思っております。

枝野委員 お聞きいただいている方も、すりかえだということはすぐおわかりいただけると思うんですが、個人が自分の所得を、自分の持っているお金をどう使うのかはまさに個人の判断ですよ。それに対して、国民の財産、税金を使って景気を刺激するというときに、受け取った人がどう使うか強制できないからそれが消費に回るかどうかわからないけれども、だけれども消費刺激のためにそのお金を使う、国民の税金の浪費じゃないですか。無駄遣いじゃないですか。

 この人たちにお金を配ればこういうふうに消費が拡大をする、こういう効果がある、もちろん個人個人については、使う人、使わない人、強制できないけれども、少なくともマクロで見たときには、こうやって消費が伸びる、そういう前提があるからこそ国民の財産を使って消費刺激策として給付をする、そういう説明ができなければ、全く税金の無駄遣いじゃないですか。

麻生内閣総理大臣 枝野先生も御存じなんだと思いますが、この給付金の話というのは日本だけがやっているのではございません。これはアメリカもやっておりますし、いろいろな国がやっております。もう御存じのとおりだと思いますので。日本だけ間違っているということになるのかもしれませんが、これは私は、結果を見ない段階で今の段階から申し上げるのは僣越だと思っております。

枝野委員 外国でやっているからといって、この間、規制改革は我々も賛成で、無駄な規制はやめろということを言ってきましたが、規制をしておかなきゃならない雇用分野についてまでむやみな規制緩和をして、その結果としてこういう事態を招いている。アメリカのまねをして、アメリカがやっているんだからいいじゃないかとやってきた、その結果ですよ。

 外国でやっているから、だからいいじゃないかというのは、何の説得力、説明もない。少なくとも日本の国の総理大臣として、日本の国民の財産を使う以上は、外国でやっているからというのは、補足的な理由の一つにはなるかもしれないけれども、私の問いに答えてください。どうして、高額所得者に一万二千円を配ったら、そのことが一万二千円以上の、あるいは一万二千円に相当するような消費刺激効果があるんですか。高額所得者は消費性向が低いんですよ。どうですか。

麻生内閣総理大臣 受け取る額、いわゆる給与なり、そういった形で所得としてもらっている中での消費性向の比率としてはさようなことを言われる、パーセントとしてはわかりますが、高額所得者の場合、低所得者と違って、使う額におきましてはそれなりのものが大きいというようなことは十分に配慮しておくべきことだと思っております。

 したがって、我々としては、ぜひ高額所得の方には盛大に消費をしていただきたい、その一端の刺激になるのであれば、それでよろしいのではないかということを申し上げております。

枝野委員 全く論理的になっていないのは国民の皆さんはおわかりだと思うので、時間の無駄ですので、このことについては最後に一問だけお聞きをしますが、受け取って、それをぱっと使っていただきたいという政策目的でこの政策をやるんなら、当然、総理も与謝野大臣も受け取りますね。論理的にこういう答えになりますよ。お答えください、お二人。

麻生内閣総理大臣 私は最初から、個人としてそれを使うか使わないかということを政府が強制的に決めるのはいかがなものかと最初から申し上げております。したがって、これは個人の判断であって、それを、まだ予算も通っていない段階から、もらったらどうだとかこうだとかいう、たらればの話というのではお答えのしようがないとお答えをいたして、ずっときております。

 したがって、もらう、もらわないは、この予算が決まり、そして、いよいよ地方に回ってきて、その地方でそれを配分されるその段階において、配る私どもとしては判断をさせていただきますと申し上げております。

与謝野国務大臣 仮にこの制度が成立をいたしましたときのことを質問されているわけですが、この制度は、受け取るか受け取らないかというのは個人の意思に全く任されている制度でありまして、受け取る方もおられるでしょうし、受け取らない方もいると私は思います。

 これは個人の自由なる意思の領域の問題でして、それに対して個人の内面性に土足で踏み込んで、もらうのかもらわないかということを迫るのは、本来の、やはり個人の内面性の自由とはぶつかるんではないかと私は思っております。(発言する者あり)

衛藤委員長 皆さん、静粛にお願いします。

枝野委員 皆さんの理屈は、総理の理屈は全く理屈になっていないんですが、それでも、せめて善意で解釈すると、お金持ちの人も受け取ってもらったら、ほかにもお金持っているんだから、一万二千円にくっつけてぱっと使ってもらえば消費刺激になる。ならないんですよ、消費性向低いんですから、この人たちは。

 でも、そうすることが政策目的なんでしょう。みんながお金持ちもぱっと使ってもらうことで消費を刺激するのが政策目的なんでしょう。その政策目的で国民の税金を使う先頭に立つ総理大臣と、そして経済政策の責任を担っている与謝野大臣が、まさに私も受け取ったら、我々の政策目的どおり受け取ってぱっと使いますからという、それは総務大臣のこの間おっしゃっていることの方が、まだ百歩譲って筋が通りますよ。受け取って、お金持ちもぱっと使ってくださいという政策なのに、自分は受け取るかどうかわからない、内心の問題だから受け取るかどうかわからないなどというのは、何を言っているのかさっぱりわけがわからないということだけ申し上げて、次にもう一点。

 きのうの審議の中で、天下り推進政令の問題がありました。きのうここで、法律を政令でひっくり返すだなんというばかなことが堂々と行われている、こんなことでは法治国家が成り立たないという議論を仙谷委員が行いました。

 これは大変技術的な問題でもありますし、内閣法制局長官が堂々とここであんなむちゃくちゃなことをおっしゃっておりますので、ここで法制局長官とだけやり合っても時間の無駄です。むしろ、この件については、まさにこの国の法治主義の基本にかかわる問題です。議会と内閣との基本の問題です。

 ですから、本当に今回のように、法律では委員会でやらなきゃならない、委員会に委任すると書いてあるのを、勝手に政令で総理大臣が天下りを認める、こんなひっくり返しをしてもいいのかどうか。内閣法制局長官だけでは信頼できませんから、専門の憲法学者や行政法学者を参考人として呼んで集中審議をしっかりやっていただきたい、そのことを委員長にお願いいたします。

衛藤委員長 後刻理事会で諮ります。

枝野委員 その上で、そもそもこんな政令をつくったこと自体が、自民党の中でもおかしいじゃないかという声が出ているように、わたりを認める、わたりを原則か例外かだなんてごちゃごちゃしたことは言いません、結果的にわたりが認められるケースがある政令である、これは間違いありませんね、総理、確認いたします。

河村国務大臣 御案内のように、再就職等監視委員会の委員長等が任命されないという状況になっておりまして、委員会が権限を行使し得ない、こういうことでありますから……(枝野委員「そんなことは聞いていないんですよ。わたりは認められるのかどうか、認めるケースはあるのかと聞いているんです。今の話はもう終わったんですよ。集中審議の話ですよ」と呼ぶ)再就職等の経過措置として、実効性を確保するために設けたものでありまして、これは、法律の施行に関して必要な経過措置は政令で定めるということになっておりまして、法の第十六条によって……(発言する者あり)

衛藤委員長 皆さん、静粛にお願いします。

河村国務大臣 経過措置として、法律になっておりますから、法律改正を要しない形でこういうふうになっております。

 このわたりは、原則として、政令上はそういう形になっておりますが、これは厳格に行使するということでありますから、現実的にはわたりを認めない方向で政府としては考えておるところでございます。

枝野委員 またむちゃくちゃなことを言っていますよ。実際は認めないんだったら、こんな政令要らないじゃないですか。政令には認める場合があると書いてあるんじゃないですかと僕は聞いているんです。

 運用をどうするかは、麻生総理が三カ月後も半年後も一年後も総理大臣をやっていて、あなたが官房長官をやっている保証はないんです。どなたが官房長官になるか、総理大臣になるかわからないんです。その人がこの政令を運用するんです。ですから、この政令上、わたりを認めるケースがあり得るということ、そのことが問題なんです。あり得るんですね。

河村国務大臣 政令上はそういう形になっておりますが、現実問題として、原則承認しないという方向でありますが、しかし、この運用を厳格にやることによって、現実にはやらないということになると思いますが、極めて例外的なケースもあるということでありますから、極めて例外的なケースについてのことが残っておる、このことは事実であります。

枝野委員 どんなケースを想定しているんですか、わたりを認める。わたりを堂々と内閣総理大臣があっせん、承認する。別のところに天下りしている人間がまた次のところに天下りをする、わたりをすることについて、例外的に内閣総理大臣が結構ですと承認をしなきゃならないような例外的なケースというのはどういうケースですか。

 これは総理大臣が承認するかどうか決めるんですから、総理大臣御本人がお答えください。官房長官が承認するんじゃありませんから。

麻生内閣総理大臣 職員の退職管理に関する政令、いわゆるわたりのあっせんを行うことについては原則承認しないことにしておるとたびたび申し上げたとおりであります。その中において、これを厳格に運用していくということなんだと思いますが、例外として……(発言する者あり)聞こえないのはそちらの方です。原則として認められるのは、企業などの依頼に応じるためということでありまして、どのような機関があるかといって、あえて、そういった例はめったにない例ではありますけれども、国際機関での勤務経験が極めて豊富、外国当局との交渉に十分な知識経験を有する者等々の場合はあり得ると存じます。

枝野委員 この間にも、天下りという問題は、基本的には、天下りを受け入れる側が、役所におけるさまざまな経験、知見がある、だからうちに来てくださいという大義名分、建前のもとで、役所の人事管理の体制の中で天下りを事実上押しつけてきたんじゃないですか。

 今のように、外国の経験が長い。外国の経験が長い官僚はわたりがオーケーで、国内勤務しかなかった官僚はわたりはできない。では、みんな海外経験はありますよね、大部分の高級官僚の皆さんは、という話であって、わざわざ政令に例外を認めなきゃならないようなケースじゃない。今までだって、そもそもわたりなんか例外ですよ、天下りのあっせんだなんてありませんよといっとき言っていたじゃないですか。今のような例外だなんという話のためにわざわざこんな政令をつくるということは全く説得力がない。

 そもそも、この法律の趣旨からすれば、そして、この法律をつくったときの国会議論からすれば、こんな政令の例外をつくるのは立法趣旨に反している、立法の意思に反している。それは、きのう自民党の党内の議論でも出たらしいじゃないですか。ですから、これは、あの当時この法案を提出して国会で答弁をされた渡辺喜美衆議院議員に参考人として来ていただいて、立法者の意思をしっかりとこの場で聞かせていただきたい。委員長、お願いいたします。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

枝野委員 きのうの積み残しで、最後にもう一点。旧麻生鉱業による捕虜労役問題のホームページ掲載。

 外務大臣、これをホームページで、麻生鉱業は強制労働を利用したとの情報には接していない、そうホームページに掲載をしろというのは、本省からの公電に基づいてニューヨークの総領事館が行ったということで間違いございませんね。

中曽根国務大臣 昨日も申し上げましたけれども、御指摘の報道は、さきの大戦中の我が国の企業における強制労働などについて扱ったものでございまして、その一部に旧麻生鉱業についての記述が含まれていると承知をいたしております。

 この記事につきましては、事実誤認が種々含まれておりましたために、外務省が通常業務の一環として事務当局において反論作成のための作業を行い、そして、大臣に報告をした上で、公電にてニューヨーク総領事館に対して指示を行ったものと承知をいたしております。

枝野委員 麻生鉱業に関するところ以外は、確かに事実誤認だし、偏見に基づいていて、きちっと反論をすべきであるような内容が含まれていることであって、その部分については問題ありません。問題は、麻生鉱業の部分です。

 その当時、報告をした外務大臣はだれですか、報告の対象だった、相手方である。

中曽根国務大臣 現在総理大臣の麻生外務大臣であったと承知をしております。

枝野委員 では、麻生総理にお尋ねをいたします。

 その報告について総理は、当時外務大臣として了承、了解を与えたということで間違いございませんね。

麻生内閣総理大臣 今御指摘になっている記事につきましては、先ほど外務大臣からも報告がありましたように、外務省事務局より通常業務の一環として反論を行うとの報告があり、私、当時は外務大臣でありますけれども、これを了承したものと記憶をいたしております。

 なお、当該記事に記録されている内容に関した情報がないか、当時、私の事務所を通じまして旧麻生鉱業関係者に照会を行わせましたが、そのような情報は見出すことはできなかったと記憶をいたしております。

枝野委員 結果的に、その問題のホームページ、麻生総理も外務大臣として了解をした、公電に基づくホームページの掲載は、麻生鉱業が強制労働者を利用したとの情報には接していないということを書かれていた、ところが、その後、厚生労働省にそのことを認める情報がもともと存在をしていたということが明らかになって、このホームページは消されているという、外交的にも、あるいは国際世論的にも大変みっともないことをしたんですね。

 麻生総理は、ある意味では個人的に半分当事者でありますし、また、当時の外務大臣として、厚生労働省には情報があった、そういったことを確認もせずに、自分の関連する会社のことについて、まさにいいかげんな調査で国際的に大恥をかくようなこんなホームページを掲載した、こういうことでいいですね、総理。

麻生内閣総理大臣 当時、厚生労働省に関係する資料が保管されていることは承知をしておりませんでした。報道記事への対応という限られた時間の枠内で、可能な調査を行ったということだと記憶をいたします。

 結果としては、関連資料が政府部内で倉庫の中に存在していたことは事実でありまして、当時の対応が必ずしも十分でなかったと認めざるを得ないとは思っております。

枝野委員 元厚生大臣が横から言っていましたが、旧軍に関するそういった資料というのは厚生労働省が引き継いで持っているというのは常識じゃないですか。厚生労働省にきちっと確認、問い合わせをするだなんて常識じゃないですか。しなかったんですね、厚生労働省に確認を。

 厚生労働省に確認もせずに、堂々と我が国の外務省の総領事館のホームページに掲載をして、それが、一年もたたないうちにかな、事実と違っていたということで取り消すというみっともないことになった、こういうことですね。

 これはどちらでもいいですよ。厚生労働省に確認しなかったんですね。

中曽根国務大臣 今、総理からも御答弁ございましたけれども、当時の対応が必ずしも十分でなかったと認めざるを得ないと思います。

枝野委員 その結果として、当時の外務省の対応がしっかりしていなかったことによって、もちろん、第二次世界大戦に対してのいろいろな評価、思い、いろいろな人たちが世界じゅうにもいろいろな立場であります。でも、少なくとも、我が国の関連するところで我が国によって強制労働をさせられたことのある捕虜、あるいはその方の例えば親族の方が世界じゅうにいらっしゃるわけです。少なくとも、この人たちに対しては大変失礼であるし、大変我が国の外交上も国益を損なうことをしてしまったわけです。

 当時の外務大臣がせっかく閣僚席にいらっしゃいます。その責任をどう感じておられるんですか、麻生総理。

麻生内閣総理大臣 御存じのことだと存じますが、いわゆる戦争において捕虜の労務、労役自体というものは国際法において認められていた、認められておりますというのは御存じのとおりであります。

 したがいまして、その背景となる事実というのに基づいて、私は当時反論し得なかった、当時私どもとしては承知していなかった事実がその後の調査で判明したということだと存じますので、私どもの方としては、基本的に、その他、これまで政府がずっと公式見解で述べておるところだと思いますが、旧連合国諸国を含む多くの国々の方々に対しまして多大な損害と苦痛という話をずっと申し上げておりますので、これまでさまざまな機会にこの種のことに関しましてはそれを表明していると存じます。

枝野委員 麻生鉱業はアジア人、西洋人の強制労働者を利用した、現在の外務大臣である麻生さんの親族会社である麻生鉱業はアジア人及び西洋人の強制労働者を利用したという記事に対しての反論として、その麻生さん御本人が責任者である外務省の公電に基づいて、同社が強制労働者を利用したとの情報には接していない、だから、こんな断定的な調子でかかる記述を行うのは全く不当であるとホームページに書いたんですよ。

 確かに、そんなことがないのにこんなことを書かれたら不当ですから、それこそ厳しく、こんなおかしなことやるなと言うのは当然ですよ。我々は、実際に我々の先輩たちがしてしまった残念なことについてはしっかり謝るべきだけれども、そうじゃないのにそれに対して批判をされるようなことがあったら、それは厳しく反論すべきです。

 ところが、厳しく反論したけれどもその反論が間違いでしただなんというのは、まさにいろいろな、二重三重の意味で、この国の国益にも、あるいは過去との関係でも、私たち国民のまさに矜持の観点でも大変めちゃくちゃなことをした。その当事者の責任者は麻生総理であり、なおかつ、自分の身内の会社のことについてである。二重三重、そして、その方が今内閣総理大臣として外務大臣以上の外交的な責任を負っているということの意味を、少なくとも今の答弁では総理は余り理解をしておられないと言わざるを得ないということを指摘しておきたいと思います。

 さて、きょう一番にやりたいと思っている派遣、請負の問題に入りたいと思うんです。

 二年前の予算委員会で、私はキヤノン宇都宮工場の偽装請負問題を取り上げました。そして当事者、偽装請負で働かさせられている大野秀之さんに公聴会の公述人として来ていただいて、その実態についてお話をいただきました。そのときの時点でも明らかに派遣法違反あるいは労働基準法違反の偽装請負である、こんなものを放置しておいていいのかということをこの場で厳しく申し上げましたし、大野さんからも何とかしてほしいということを指摘されました。

 結果的に、その国会審議の後、一昨年の九月に厚生労働省は、このキヤノン宇都宮工場の大野秀之さんほかの案件について、労働者派遣法違反として是正指導をしましたね。間違いありませんね。

舛添国務大臣 基本的に、個別の企業の事案についてはお答えを差し控えるということになっております。

枝野委員 二年前もそういうお答えでありました。

 しかし、私どもは当事者、つまり是正指導によって、その是正の内容については後で議論をいたしますが、是正指導によって少しは状況を改善してもらったその当事者の人たちからの声を受けて、それで質問させていただいています。二年前の時点でも、キヤノンは宇都宮工場が初犯ではない、大分工場を初めとして、キヤノンは全国各地の事業所、関連会社で相次いで偽装請負で指摘をされて、是正勧告を受けて、その場だけは取り繕って是正をしている。にもかかわらず、厚生労働省はそのことを認めない。認めないからみんな知らない。みんな知らないから全国各地でまたモグラたたきのように、その場だけ取り繕えばまた別のところで偽装請負という違法なことをやる。これを経団連会長企業が堂々と行っている。こんなことを放置することになったのは、厚生労働省がそうした事実を認めないで隠している。共犯じゃないですか。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたように個々の企業についての言及は避けますけれども、偽装請負に対しては極めて厳しい指導を行っておりまして、平成十九年度におきましては千八百三十三件の指導を実施しておりますし、さきの国会に提出しました労働者派遣法改正法におきましても、偽装請負にかかわる発注者に対して、労働契約の申し込みを行政が勧告できるような提案をいたしております。

 さらに、派遣労働者を正規雇用した企業に対する助成、年長フリーターを正規雇用した企業に対する助成、さらに有期契約労働者を常用労働者に転換させた場合の助成などをこの二次補正予算、そして本予算で行っておりますので、個々については具体的なことは申し上げませんが、極めて厳しい指導を行っておりますということを明言しておきたいと思います。

枝野委員 厳しくやっているのに何で繰り返されるんですか。

 それは二年前も申し上げましたよ。そのときも、おかしなことが見つかったら、公表はしないけれども厳しく是正指導していますと当時の厚生労働大臣はおっしゃっていましたよ。でも繰り返されて、そして、例えばキヤノン宇都宮工場の件については私も国会で取り上げたし、共産党も取り上げたし、そういうことでメディアなどの一部も取り上げて、世間で注目されて、明らかにやはりおかしいよねという声になっても、でもキヤノンは是正勧告を、是正指導を受けるまで放置したんですよ。そして、さらに各地で、キヤノンに限らず同じようなことが現に繰り返されているという、この認識を厚生労働大臣はお持ちなんですか。

舛添国務大臣 厳しく指導したところではきちんとその成果があらわれていると思います。そして、厳しく指導することによって、さらにそういうことを、偽装請負というやってはいけないことをやる企業に対して、きちんとした抑止力を発揮できていると思っております。

枝野委員 厳しい是正指導なんてやっていませんよ。それは、その後、国会質疑の後、国会の質問で取り上げる機会はありませんでしたが、当事者の皆さんたちと、これはキヤノンに限らず、偽装請負等の被害に遭われている人たちと何度も厚生労働省と協議しましたよ。申し入れいたしましたよ。是正指導、何しているのかと。

 キヤノン宇都宮工場の例えば大野さんのケースの場合、これは公述人で、国会で議事録にちゃんと残っています、国会で発言をしていだたきました。

 半年、一年の偽装請負じゃないんです。十年近くにわたって、しかもキヤノンは光学機械メーカーです、その心臓部分であるレンズづくりといういわば熟練工部分を十年近くにわたってやっているんです。十年近くにわたってやっているということは、今厚生労働大臣はおわかりだと思いますが、派遣法に基づいて、偽装請負ではなくて本来の派遣ということでやっていたら、とっくの昔に正社員化をしていなければいけなかった。そういう実態だったわけですよ。

 ところが、では、この是正指導をして宇都宮工場の人たちはどうなったのか。キヤノンの常用雇用になりましたか。どうです、厚生労働大臣。

舛添国務大臣 何度もお断りしていますように、個別の企業については申し上げないことになっております。

枝野委員 十年近くにわたって、派遣だ請負だというまさに実態とは違う形式で、そしてそれが偽装請負として是正勧告を受ける、是正指導を受けるような状態であった。とっくの昔に常用雇用の正社員にしなければいけなかった大野さんたちに対して、是正指導の結果、大野さんたちはどうなったのかといったら、わずか最初は五カ月、以後六カ月の、最大二年十一カ月の有期雇用にしかならなかったんですよ。

 それまで十年近くにわたって繰り返し繰り返しこのキヤノン宇都宮工場で、事実上、キヤノン宇都宮工場の指揮監督下で仕事をしていた人たちが、これはひどい、違法だといって是正指導を求めて声を上げて、そして指導を受けたと思ったら、今度は、ある意味ではより不安定かもしれない期間工になって、そしてこの当事者の人たちのうち一人は既に退職に追い込まれています。

 こういう実態、どこが強い指導なんですか、厚生労働大臣。

舛添国務大臣 委員御承知だと思いますけれども、法違反に対しては、助言、指導をまず四十八条第一項で行う、そして勧告を四十九条の二項の第一項で行う、そしてそれに従わない場合に四十九条の二項の三項で公表するということでありますし、改善命令、これは、今はキヤノンという派遣先でありますが、派遣元事業者に対しても行政処分を、四十九条一項、改善命令を出し、事業停止命令を法の第十四条で行い、そしてさらにそれができない場合は法十四条の許可の取り消しということになっておりますので、法律に従って粛々と業務を実行し、勧告にきちんと従っていただいたということが事実でございます。

枝野委員 法に従って、法に従ってと言いますけれども、実態としては常用雇用状態だったのを、派遣法違反の偽装請負で、いつでも切れる、しかも正規雇用に比べれば半分ぐらいの賃金でボーナスもなしでということで使っていたことが問題だったんですよ。

 では、行政指導で、常用雇用で雇いなさいよと行政指導したんですか。常用雇用で直接雇用しなさいとしたんですか。していないから期間工になっただけじゃないですか。期間工になったということは、期間が切れたらいつでも今度は首が切れる、こういう状況にしただけじゃないですか。違いますか。それが強い指導なんですか。キヤノンの思惑どおりじゃないですか。

 キヤノンはなぜ偽装請負したのか。正社員にしてしまったら、正規雇用にしてしまったら高い給料を払わなきゃならないし、切りたいときに切れない、だから、使い捨てできるように、いつでも切れる、切りやすい、常用雇用にしないために偽装請負を繰り返した。その偽装請負がばれたら、今度は期間工で、やはりいつでも切れる状態にした。キヤノンにとっては何の痛みもないじゃないですか。共犯ですよ。

舛添国務大臣 日本は法治国家ですから、行政の担当者としては、国会でおつくりになった法律に従って粛々と業務を行う、先ほど来申し上げているとおりでありまして、そこに、派遣法に違反したからそれに対して勧告をやる、それに対してきちんと是正される。期間工をどうするとか常用工というのは、これは法律で規定されていることではございません。派遣法に対して違反しているから、派遣法に対してこれを改善したのでありまして、そのことはきちんと法律に基づいてやっているということを先ほど来申し上げているとおりでございます。

枝野委員 これは厚生労働省とのやりとりも、何度もやりとりをさせていただきました。そういうロジックなんですよね。派遣法に基づいてやりましたと。

 だけれども、派遣法に違反をした偽装請負状態で働かせていて、実際の、事実上の雇用関係はキヤノンとの間にあった、指揮命令関係があった、だから偽装請負なんですよね。それで、派遣法に違反する。これは派遣に類似する実態なのに、請負という形態をとっていたから派遣法違反である。

 だけれども、派遣に類似する形態であったと同時に、このことが三年以上にわたって反復されていたということは、もともと派遣法に基づいて、のっとってちゃんとやっていれば、とっくの昔に直接雇用状態になっていた話なんですよ。それを十年近くにわたって繰り返していたということは、これはもう派遣法違反であると同時に、労働基準法違反、労働契約法違反、さまざまな問題が出てきて、それに基づいて、あんた、キヤノンは実態的に雇用者としての責任があるんだからと言うのは、別に、労働者派遣法以外のところで、その実態に基づいて指導はできるじゃないですか、少なくとも。なぜしないんですか、その指導を。

舛添国務大臣 派遣という形で人がそこに送られてきている。その派遣に対して、派遣先、派遣元に対して、それぞれの規則があります。派遣先がこの派遣法に基づく規則に違反したので、それを是正する、そういう勧告をし、派遣元に対しても行政の勧告をする。これで正当でありますから、そこから先は、今の派遣法の枠内できちんと仕事をしているのであって、だから、例えば日雇い派遣の禁止を含めてさまざまな、さらに強化した規制を盛り込んだ派遣法の改正案を、今、昨年の衆議院において提案して、御審議をいただきたいということを言っておりますので、そのことは明言しておきたいと思います。

枝野委員 キヤノンは経団連会長企業だし、特に悪質なので個社名を出しているので、ほかのところについてはあえて個社名を出しませんが、厚生労働大臣も御承知のとおり、裁判になった企業のケースがあって、今の論理は破綻しているんですよね。派遣に類似をした偽装請負という形態なんだけれども、結局それは派遣法にも違反だし、ではどうなるのかといったら、これはもう実態としては派遣先との直接雇用関係が生じていたんじゃないか、こういう判決が出ているじゃないですか。

 だから、厚生労働省の論理はとっくの昔に裁判所によって否定されているんですよ。派遣法の文字面だけを見れば、皆さんのおっしゃるとおりかもしれないけれども。それこそ先ほどのわたりの政令の話じゃないですけれども、法律を実態に基づいてしっかりと解釈をするということを考えたら、委員会が承認するという天下り、わたりを勝手に政令で総理大臣ができちゃうというようなことができる解釈をする内閣法制局のもとで、何でそんな硬直的な解釈をしなきゃならないんですか。何でそんな形式的な解釈をしなきゃならないんですか。まさに日本経団連会長におもねっているんですよ、この政府は。

 その結果として、僕は二年前から指摘しているんですからね、今初めて言ったんじゃないですよ。同じような議論を二年前もこの場でやって、早く何とかしろ、そして早く救え、そうでないとどんどん非正規雇用がふえていく。

 それが放置されてきたから、少なくとも二年前の段階では国会でも指摘をされていた。そこから手を打っていれば、そして、その段階から厳しく、請負の形式をとっているけれども派遣の形式をとっている、もう実態としては長期にわたって雇用していて、派遣先企業との間の事実上の直接雇用関係、常用雇用関係ができ上がっているところについては、その実態に基づいて雇い主としての責任をとれ、こういう対応をとっていれば、今回派遣切り、請負切りをされている人たちのかなりの部分はそれによって救われていたはずだし、さらに言えば、そういう行政の対応になれば、常用雇用にしたくないから、正社員にしたくないからといって派遣や偽装請負でいいかげんなことをやる企業が、この間こんなにさらに拡大をしてくることはなかった。

 今の雇用環境の中、経済状況が厳しいのはわかりますよ、でも、何とか正社員については抱えてやっていかなきゃならないと、各企業、その限りでは今のところは努力をしていますよ。そういう状況の中で、保護される中に、この人たちのかなりの部分は救われていたと私は思います。そういう意味では、この二年間の政府の放置が、少なくとも我々が指摘をした以降のこの二年間の放置が、現状の被害をこんなに拡大させたということを指摘せざるを得ません。

 その上で、このキヤノンが余りにもひどいということについて、もう一点申し上げたいと思います。

 大分キヤノンは、請負を千人以上切りながら、同時に期間従業員の募集をしている。御存じですか、厚生労働大臣。

舛添国務大臣 まずその前に、偽装請負にかかわる発注者に対して労働契約の申し込みを行政が勧告できる、そういう制度を入れてくれということを、今回の労働者派遣法改正案において、昨年十二月に出しましたよ、だから、そういうことができるように改正してくれということを申し上げているわけであります。それがまず第一点。

 そして、個々の企業についての言及は差し控える、これは繰り返して申し上げているとおりでございます。

枝野委員 このキヤノンという会社は、その子会社であります大分キヤノンは、まず一つひどいことをやっているんですね。

 最近、期間従業員の求人をしたんですが、労働組合に入らないことが雇用条件であると堂々とハローワークで求人票に書いている。何ですか、これは。労働組合法違反ですよね、こんな求人を出すのは。と同時に、千人以上請負労働者を切っておきながら、同時にこの期間工の採用をしている。人が余っちゃって生産過剰だから派遣の人たちを無理やり切っているんじゃないですか。それなのに、同時に、切っている一方で新たに期間従業員を採用する。それも、労働組合に入らないことが雇用条件ですと。ここがどういう企業かというのははっきりしていますよね。

 もう一点だけ、このキヤノンというとんでもない企業について指摘をしておきたいと思いますが、キヤノンが昨年の十二月、基本財産十億円で、一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所というのを設立しました。去年の十二月です。十億円お金を出しました。ここの理事長は福井前日銀総裁です。

 一方で派遣切り、請負切りをしながら、十億円を出して日銀前総裁の天下りの一種の受け皿をつくってあげているような話だと思いませんか、総理。違いますか。

舛添国務大臣 まず一般的にですけれども、労働組合に入らないというようなことを条件に人を募集するということは違反でございますので、こういうことに対しては厳しく指導を行います。

 その他、個々の企業のことについては言及を避けたいと思います。

麻生内閣総理大臣 労働組合に入らないことを条件にということは今会社でできないんじゃないでしょうかね。私が当時会社の社長をしていたときにはそうだったと思いますので。

 ただ、その企業が個別にどうしたか、それが本当かどうかというのは、私は個別の企業のことに関して答弁をする立場にありません。

枝野委員 総理大臣でも御存じのとおり、この総理大臣でも御存じのとおり、労働組合に入らないということを募集の条件にするだなんというのは許されない。そんなことを、経団連会長の、日本の財界のトップの企業のおひざ元で堂々とこの御時世にやっているんですよ、数十年前ならともかく。そんな人が財界のトップで、きのうだかおとといあたりも偉そうに言っていますよね、ワークシェアリング。ワークシェアリングも将来は必要になるかもしれません、こんな経済運営が続いていたら。

 ワークシェアリングの前にやることがあると思いませんか、与謝野経済財政担当大臣。

与謝野国務大臣 経済が厳しくなって雇用情勢が大変厳しくなる、これは各国とも経験していることでございます。そういうときに、雇用創出を行うということのほかに、例えばオランダの例で見られますように、一つの仕事を複数の人でシェアしよう、いわばワークシェアリングという形でオランダなどは失業率を低下させたというケースがございます。必ずしもフルの賃金をいただけるわけではありませんけれども、雇用喪失に比べればはるかにいいのだろうと思っております。

 今問題になっております派遣労働の問題というのは、労働の流動性というのはある程度確保しなければならないんですが、日本の場合は流動性とフレキシビリティーだけが先行したような形になっておりまして、やはりセーフティーネットというものを十分備える、これが私は必要であろうと思いますし、こういう時期になりましたら、やはりそのセーフティーネットを国会でも政府でも十分に討議をしていただいて、働く方々のために、労働の流動性、こういうものも必要ですけれども、もう一方では十分なセーフティーネットが用意されているということによって初めてその流動性が社会的に有意義なものになっていくんだろうと私は思っております。

枝野委員 結局、与謝野さんも、今の状況のもとで、一種のワークシェアリング的にしていくとか、セーフティーネットをしなきゃいけないとかという話の方向でしかないんですね。

 大前提になっているのが、この間の、今の現状において、今派遣を切っている、請負を切っている大手企業の、もちろん企業によっていろいろ、強いところ、弱いところありますが、多くの部分のところが、今派遣を切る、雇用を切る、こんなことをする立場にあるのか、しなきゃならない状況にあるのか。その大前提を御理解されていないのか、それともそこにおもねっているのかわかりませんが、その話を指摘したいと思います。

 法人企業統計を担当しているのは財務大臣ですので、財務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、大企業製造業の二〇〇一年、二〇〇二年における配当金、つまり日本の大企業製造業、十億円以上の大企業の製造業トータルの数字です。個社は出してくれませんからトータルで結構ですので、その二〇〇一年、二〇〇二年の配当はそれぞれトータルで幾らしているか、お答えください。

中川国務大臣 二〇〇一年の利益剰余金でございますか。(枝野委員「配当金」と呼ぶ)配当金。二〇〇一年が一兆七千三百七十六億円、二〇〇二年が二兆二千八百五億円でございます。

枝野委員 では、直近二年間、二〇〇六年、二〇〇七年の配当金は幾らですか。

中川国務大臣 二〇〇六年の配当金が七兆二千五百二十九億円、二〇〇七年が五兆六千六百九十億円でございます。

枝野委員 数字でお聞きになっている方はわかりにくいと思いますが、二倍以上に株主には配当をふやしているんですね。

 では、利益剰余金。利益剰余金というのは、企業に残って積み立てられている、企業の中に資本金があって、資本剰余金があって、それ以外にいつでも取り崩せる積立金ですね。いわゆる内部留保と言われている部分ですね。この利益剰余金、同じように二〇〇一年、二〇〇二年、大企業製造業トータルで幾らですか。

中川国務大臣 利益剰余金の二〇〇一年が五十六兆一千六百九十九億円、二〇〇二年の利益剰余金が五十五兆九百七十三億円でございます。

枝野委員 では、これは二〇〇六年、二〇〇七年でどうなっていますか。

中川国務大臣 二〇〇六年の利益剰余金が七十四兆四千三百四億円、二〇〇七年の利益剰余金が七十六兆三千六百四十億円でございます。

枝野委員 これも二十兆ですか、ふえているんですね。

 この間、大企業製造業で従業員の賞与、給与、これはもう私の方から申し上げましょう。二〇〇一年は二十一兆七千億円余り、二〇〇二年は二十兆三千億円余り。これに対して、二〇〇六年、二十兆九千億円余り、二〇〇七年、二十一兆三千億円余り。つまり、これだけ株主にはばんばん配当する金があり、それでも余って社内に積み立てた金が二十兆もトータルでふえたのに、従業員の給与、賞与はほとんどふえていないんですよ。

 この利益をもたらしたのはだれですか。この間、確かに、経常利益はべらぼうにふやしました。当期純利益もべらぼうにふやしました。二〇〇一年などはマイナスですよ。それが十兆もの当期純利益プラスになっていますよ、直近では。もうかりましたよ。そのもうけを生み出したのはだれですか、総理。

麻生内閣総理大臣 生み出したのはだれか。それは社員みんなであるでしょうし、それは企業によって事情がそれぞれ違うと思いますので、一概には答えられないと存じます。

枝野委員 そうなんです。株を持って売買していただけの株主だけでこんなことにはならないです。もちろん、株主が資金を出してくれているから、株式会社、資本主義が成り立つ、そのことは否定しませんよ。会社の経営者も、正しい経営判断をしたからもうかっているところはもうかっているので、正しい判断をしなかったところは、つぶれているところはこの間だってあるわけですから。

 だけれども、従業員が一生懸命しっかりと働いて国際競争力のある物づくりをしなければ、製造業はこんな利益を上げられてないわけですよ。にもかかわらず……(発言する者あり)社員株主どうなるんだって、派遣社員なんて社員株主になんかなっていますか。請負が社員株主になんかなっていますか。正社員のごく一部じゃないですか、社員株主になれている従業員だなんというのは。

 その人たちのところは全くワーキングプアの状態で、不安定な状況にしておいて、配当金だけは二倍以上にふやして、利益剰余金も二十兆もため込んで、さあ景気が悪くなったから、ばっさり、あしたから来ないでください、住むところもなくて、どこへ行ってもいいですよ、これが矜持のある経営者のやることだと思いますか、総理。

与謝野国務大臣 枝野議員が御指摘のように、一時期、会社は株主のものであるという、私にはとても理解できないような思想が広がりました。やはり、会社というのは従業員のものであり、下請のものであり、お客様のものであり、株主だけのものではない、私はそういつも思っておりました。

 この十年間の傾向というのは、労働分配率が下がってきた。一つの傾向。それから、配当性向が高くなってきた、内部留保が高くなってきたということで、人を安く使おうという傾向が企業に見られるというのは大変残念なことであって、そういう中で、非正規社員と正規社員が同一労働を同一現場でやりながら、容認できないような格差が生じているということは、やはり政治としては正義の問題としてこの問題を取り上げなければならない、そのように思っております。

 ましてや、何兆円にも及ぶ内部留保を持っているところが時給千円足らずの方の職を簡単に奪うということは本当に正しいのかということは、当然のこととしてあるわけでございます。

枝野委員 だったらやらせてくださいよ。皆さんのカウンターである日本経団連の会長企業が率先して首切りしているんですよ、事実上の。

 企業によって状況が違う、そのとおりです。企業によって状況が違うので、だからあえて、日本経団連会長、財界のトップで、そこの発言がワークシェアリングと言えば新聞に載る、そういう影響力の大きい人ですよ。しかも、ついこの間まで、皆さんの政府の、自民党政府の経済財政諮問会議の議員ですよ。経済政策の決定をする最もある意味では権威ある機関のメンバーだったんですよ。そうですよね、経済財政諮問会議というのは。

 ここは個社で見ると、二〇〇三年から二〇〇七年の五年間で、キヤノンは売上高四三%増加。頑張ってたくさん物をつくったんです。その結果、経常利益は七二%増加。七二%のうち、売上高との差額部分は、経営努力であったりとか経営者の努力とかいろいろなものがあるかもしれません。配当は四・六倍ですよ。もうけは七二%しか伸びていないのに、配当は四・六倍ですよ。

 そして、二〇〇七年末、直近の財務諸表に基づいてはじき出すと、内部留保、利益剰余金は一・八兆です。ちなみに、キヤノンの従業員給与、賞与は大体トータルで二千億円ぐらいですから、九年分ぐらいの賃金を、ただ賃金を払い続けるだけでも、これは利益剰余金ですからね、お聞きになっている、テレビを見ていらっしゃる方はおわかりにならないかもしれませんが。資本金があって、資本準備金、資本剰余金などがあって、その上のまさにもうけをとりあえずため込んでいる金が一・九兆あって、従業員に対する給与、賞与をトータルしたって二千億円しか年間に使っていないんです。当然のことながら、まず内部留保を切り崩すべきじゃないですか、派遣を切る前に、請負を切る前に。

 それが、この間こんなにべらぼうにもうけてきたのは、先ほど来厚生労働大臣とやり合ったとおり、ワーキングプアの派遣や請負を便利に使ってきた、そのおかげで労働分配率が下がって、労働分配率を下げて、その分もうけをたくさんつくって、こんなにため込んできたんじゃないですか。それをまず吐き出すのが、少なくともこんなに利益剰余金を抱えている会社、ずっと雇い続けろなんて言いませんよ。少なくとも、寮に住んでいて、派遣を切られたらあしたから住むところがないという人たちがたくさんいるんですよ。

 こういう人たちの生活を、本当は、この間に政治がきちっとセーフティーネットをつくっておく。こんな人たちが、切られたらすぐに住むところもなく、それから生活保護もすぐにもらえず、雇用保険もなくだなんという、こんな状況を放置してきた政治の責任もあるけれども、こんな経営を放置してきたのも政治の責任です。政治の責任で何とかさせるべきじゃないですか、総理。

麻生内閣総理大臣 これは、今言われましたように、先ほど与謝野大臣からも言われたと思いますが、企業のいわゆる生産活動によって得られた価値、付加価値というものをどのように分配するかというのは、基本的には個々の企業において判断をする、これは、まず間違いなく自由主義のルールにおいてはそうされるべきだと思っております。

 ただ、一般論的に申し上げさせていただいて、いわゆる自律的な内需拡大というものを図っていくためには、これは、働く人、いわゆる労働者の手当てというものを厚くしないと消費は伸びていかない、基本的にはそうだと思っております。

 今、労働分配率の話というのは、三十年前、私ども社長をしたころに比べても一〇%以上下がっているなと思って、何年か前に申し込んだことがあります。その大きな理由は、非正規雇用という方々のパーセントの方が伸びているということが大きな理由の一つだ、私自身もそのように思っております。

 したがって、パートタイムや非正規労働、労働者派遣法に基づくいろいろな非正規労働者の待遇の改善というもの、また、最低賃金法に基づきますいわゆる最低賃金の確保などというのを行っていくということが今後とも効果的な対策であると思います。

 ただ、よく労働分配率の話をされる方がいらっしゃいますけれども、この労働分配率というのは、枝野先生よく御存じのように、不況期になりますと、これは当然のこと利益が減りますので、労働分配率は逆に上がることになります。その意味では、今、こういう不況期になったからといって労働分配率を上げたというような手法にはひっかからないように我々はしておかにゃいかぬ。大事なところだと思っております。

 その意味で、十分配慮した上で、こういったような経営者の姿勢というものに関しましては、これは個々の企業の経営者の姿勢の問題でもあろうと存じますけれども、極めて大事な、みんなして一緒にやっていくという会社全体のいわゆる一体化、そういったものが企業の中においての企業の文化としてどのように育っていくか。これは、今後の企業にとっても日本の産業界にとっても大きな問題だと思います。

枝野委員 一点だけ指摘をしておきたいと思います。労働分配率の話が出てきていますが、労働分配率が下がったのは大企業だけなんですね。中小零細企業は、この景気がいいと言われていた期間にむしろ労働分配率は上がっている。まさに大企業は、労働者に対してだけではなくて、下請、孫請などの取引先関係の中小零細との関係においても同じようなことをやってきて、結果的に、でも、中小零細は、頑張って何とか雇用を抱えなきゃならないということで、労働分配率をむしろ上げる方向にこの間努力をしてきているんです。

 まさに、日本の大企業経営者の、全部とは言いません、立派な人もいるんでしょう、そのまさに矜持の問題ですよ、プライドの問題ですよ、モラルの問題ですよ。モラルでだめならば制度でやらせるしかない、内部留保を少し吐き出せと、配当よりも労働分配にしろ。モラルがだめだったらば制度でやるしかありません。

 いずれにしても、これは一種の欠席裁判に今なっていますので、これは、私、二年越しです、御手洗さんには、今の偽装請負の件を初め、労働分配の問題を初めとして、ぜひ直接話を聞かせていただきたい。ついこの間まで政府の一員だったんですから、経済財政諮問会議の議員という。当然、ここに出てきて、私と今の議論をさせていただきたい。

 委員長、よろしくお願いいたします。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

枝野委員 もう一点。残りの短い時間であと二点やりたいんですが、一点、かんぽの宿のオリックスへの売却問題、これも一種の経済人としてのプライド、矜持の問題じゃないかなと思うんですが、総務大臣がこれについてはなかなか良識ある方向の御発言をされたと聞いています。

 このかんぽの宿の売却問題についての総務大臣の御認識をお話しください。

鳩山国務大臣 今なかなか興味ある議論を聞かせていただいて、それは、世の中は市場原理ですべて動いてうまくいくというものでは断じてない、私はそう思っております。

 また、法律の問題がよく出てまいりますが、法律に違反していなければ何をしてもいいということでは全くない。やはり人の幸せのためには、まず疑念を抱かれないこととかモラルとかプライドとか、今、枝野先生いっぱいおっしゃったが、大変大切なものが多くある、こう思うわけでございます。

 私は、かんぽの宿、まだ泊まったことがないのでこれから泊まりに行くつもりでございますが、なかなか評判のいいところもかなり多い。確かに、全体では年間四十億を超すような赤字が出ているわけでございます。なぜこんな時期に売る必要があるのかというのがまず第一点で、これは、とにかく今のような経済状況でございますから。

 そして、オリックスの宮内さんは、政府のさまざまな審議会等で大変活躍をされた立派な方だと思っております。したがって、小泉総理が郵政民営化については経済財政諮問会議に任せるまでの間は、相当郵政についての議論をされておられる、あるいは規制改革会議の方で、公的な宿泊施設はもうやめよう、民間に売るか廃止すべきだというような答申も出されている。

 とすれば、法律的に問題がなくても、国民から疑念を抱かれて、これはできレースじゃないか、なぜ一括なんだというふうに疑われるおそれがあるので、私はこの問題をいろいろ真剣に検討したい、こう思って発言しました。

枝野委員 私も、今の点については珍しくそちら側と意見は一緒でございますので、まさにこれは、私は、オリックスがこの応札をしたこと自体が理解不能なんですよ。郵政民営化について、直接ではないにしても、まさにこれを推進させた原動力の一人であるということは、知っている人はみんな知っているわけですね。そこが、民営化の結果として売りに出したものを買いますだなんというのは、百歩譲っても、買い手がつかない、何度入札やっても買い手がつかない、だから、むしろ民営化を推進した立場としては、ちょっとリスクはあるけれども買わざるを得ないかなというんだったら、まだわかりますが、複数の者が手を挙げているところに、おれもと言って手を挙げるというのは、経営者としてまさにこれまたプライドの問題、理解できません。

 総務大臣、しっかりやっていただけると思うんですが、これはしっかり国民の前で、いや、もしかすると違法ではないかもしれませんが、李下に冠を正さずですから、国民の見えるところで御本人の弁明を聞きたいと思いますので、宮内さんについても参考人でお呼びをしたい。よろしくお願いいたします。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

枝野委員 最後に、命の問題、命にかかわる問題についてお話をさせていただきたい。

 これも二年前の予算委員会でやりました。福島県の大野病院事件、福島県の大野病院で、出産時に、残念なことですが、お母さんが手術中に亡くなられてしまった。その結果として、そのときの執刀医が逮捕、起訴されました、業務上過失致死罪で。この裁判の判決が確定をしたはずでありますが、最高裁事務総局、この裁判の結果、どうなっているのかを御報告ください。

小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の事件につきましては、平成二十年八月二十日に福島地方裁判所において無罪判決が言い渡されておりまして、同年九月三日までに検察官から控訴の申し立てがございませんでした。そのことから、同月四日に確定したものと承知しております。

枝野委員 二年前あるいは三年前、この問題を取り上げた時期は、たまたま、うちの子供が今二歳半でございますので、うちも妻が妊娠中、出産直後というような時期でございましたので、本当に亡くなられた方にはお気の毒だというふうに思います。亡くなられた方の御遺族の立場から見れば、医師の責任はどうなんだということのお気持ちもよくわかります。

 そして、私は、この間の国会活動を見ていただいている方には御理解いただいていると思いますが、医師を一方的に守るつもりはありません。薬害エイズのときには、むしろ医師の刑事責任をこの場で追及させていただいた立場であります。

 でも、この大野病院事件については、逮捕の時点から、これが逮捕に値する件かと。

 例えば、だれでもわかるような、血液型を間違って輸血しちゃったとか、おなかの中にはさみを残してきちゃったとか、酸素と何とかを間違えたとか、あるいは酒を飲んで酔っぱらって手術したとか、そういう案件とは全く違う。

 まさに、大変レアケースの、リスクの高い、そういう状況について、当該広域の地域の医療を担ってたった一人の産科の医師が、大変広い地域でこうしたリスクのある出産に対応できるたった一人の医師の方が二十四時間三百六十五日頑張っている中で、残念ながら命を救い切れなかったという案件だということで、産科の関係者の皆さんはもとより、国会においても、この逮捕は幾ら何でもひどいじゃないかということは繰り返し指摘をされました。そして、私も指摘をしました。

 残念ながら、それにもかかわらず検察は起訴をしました。起訴をしたので、私はこの場で当時の法務大臣に、これは指揮権を発動してでも起訴を取り下げるべき案件じゃないかということを申し上げました、指揮権は大変重いですが。

 なぜならば、確かに、刑事司法的に有罪に当たるものなのか無罪になるものなのかは判決が出なければわかりませんが、まさに社会に与えている影響というのは、産科の医師不足というのは、もちろん労働環境、さまざまな問題もあります。もう一つ、産科や外科というハイリスクの医療分野については、努力をして最善を尽くしても命を救えないケースがある。そのときに、民事、刑事のさまざまな責任が追及されるというリスクがある。

 目的意識を持って頑張っている医師の方はたくさんいますが、その目的意識の善意だけにすがってやっていけるのかといったら、現実に、この大野病院事件で逮捕、起訴という流れの中で、産科を希望する医学生の方の数が減った、産科を離れる方の数がふえた、こういった事例はこの間何度も指摘をしてきました。

 だから、これは、まさに司法行政の観点を超えた、トータルとしてのこの国の産科医療あるいは医療全体をしっかりと守る、国民の命を守るという観点から、指揮権を発動してでも起訴を取り下げるべきではないかということを申し上げました。

 結果的に無罪です。無罪になったことは、逮捕、起訴された方との関係においては責任は重たいですけれども、そのことを私は指摘しようとは思いません。なぜならば、有罪率一〇〇%という国家は裁判所の要らない国家ですから、これは困ります。個別の事件について、無罪になるケースもあるし有罪になるケースもある、だから刑事裁判があるのであって、そのことについては問いません。

 でも、逮捕のときから起訴をされたときまで、指揮権発動とまで申し上げて、こんなものをやっていたら日本の産科医療は崩壊するよということを繰り返し指摘されていた事件が、それでも百歩譲って、やはり過失が認められる、犯罪に当たるというケースであったならばまだしも、結果的には、無罪だった、過失がなかったと認定された。

 それを、これだけの世論の声と国会での指摘にもかかわらず一審判決まで起訴を継続した、そのことによって産科医療に与えた責任、法務大臣、どう考えますか。

森国務大臣 ただいま枝野委員が御指摘をされましたけれども、それに先立ちまして、みずからのお子さんの時期であって、亡くなられた方に対する思いをまずもって前提として語られたことに敬意を表します。

 そういう意味で、本件につきましては、先ほど裁判所から御答弁がありましたとおり、検察当局において法と証拠に基づいて被告人とされた医師を起訴したものの、審理の結果、無罪判決が言い渡されました。控訴せずにこれが確定したものと承知しております。

 個別の事件の判決内容について法務大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として言えば、検察当局は、無罪判決となった場合には、この判決の指摘を十分に考慮して、これを今後の捜査そして公判に生かしていくものと思います。

枝野委員 私が指揮権を発動してでもと申し上げたときの大臣とはかわっておられますので、森大臣にどういう申し上げ方をしていいのか難しいところなんではありますが、当時もそういった紋切り調のお話だったんですよ。わかりますよ。法務大臣としては、指揮権発動なんか、それこそ我々の立場から見ても、軽々にされちゃ困りますよ。軽々にやっちゃ困りますけれども、それでもやらなきゃならないケースじゃないですかと。私も一応法律家の端くれですから、指揮権を発動しろだなんて国会で言ったというのは、私も覚悟を決めて言ったんですよ。

 そうはいっても、事件は残念ながら有罪なんだろうなとある意味思っていましたよ。でも、結局無罪だったんですよ。つまり、起訴自体が結果的に間違いだった。そのことの責任を問うつもりはありませんが、その程度の、つまり、十分に有罪だ、これは有罪だし、責任も重いし、それは産科医療に与える影響が大きかったとしても、逮捕、起訴、そして有罪判決をとらなきゃならないというケースであったのならば、百歩譲ってもいろいろな議論があります。でも、結局は、証拠が足りなかったのか、法律評価のところを間違えたのか、そういう案件だったんですよ。

 二度とこんなことをしてもらっちゃ困るんですよ。無罪になるようなケースで現場の医師を逮捕して、起訴して、そして、一生懸命やったのに逮捕されたんじゃたまらぬな、そういう思いを医師の方が持つようじゃ困るんですよ。何とかする責任を感じませんか、大臣。

森国務大臣 枝野委員はすべて承知の上で御質問になっていると思いますけれども、これは別に無罪を想定して起訴したものではないというふうに私は承知をしております。

 いずれにしても、検察当局において法と証拠に基づいて起訴した公判係属中の事件についてでございましたので、時の法務大臣において指揮権を行使することは考えていなかったというふうに承知しております。

枝野委員 ケースによっては例外もあるかもしれませんが、起訴するときに、力のある、わかっている検事だったら、これは危ない、無理筋だよなとか、これはもう確実に有罪だよななんということはわかりますよ、逆に言えば。わかっていたんじゃないですか。危ないけれども、無理筋だけれどもやらざるを得ない、逮捕までしちゃったんだから、大きな問題になったからこそますますやらざるを得ない、そんな感じだったんじゃないんですか、もしかしたら。

 ということも含めて、この検証をしっかりしていただきたいのと、時間がなくなりましたので、最後に私の方から。

 あのときも提起をしたはずです。業務上過失致死傷罪で起訴されているんです。医療という大変高度な専門的な分野、そして、もともとリスクがある、一生懸命やっても命を落とすケースもあり得る話。例えば、最近は、業務上過失致死から自動車運転を切り離しました。別にしましたが、あらゆる業務上過失は全部一本の法律なんです。医療ミスについての過失責任については別枠の、もうちょっときめの細かい法制度にして、一般の業務上過失致死罪とは別にしませんか。これは、私、二年前から申し上げています。

 今回の反省を踏まえてそういう議論を進めていただけませんか。最後に法務大臣。

森国務大臣 今の委員の御指摘でございますけれども、さまざまな態様、分野のものが包含されております業務上過失致死傷罪の中で、医療事故のみについて特別の取り扱いとすることについては、被害者を初めとする国民の理解を得ることは困難であろうというふうに思います。

 しかしながら、やはりそれなりの対応というのは、委員の御指摘のとおり、私も必要だというふうに思っておりまして、これは所管外でございますけれども、医療死亡事故の原因究明、再発防止を図る新しい制度に関しては、厚生労働省において、平成二十年六月に医療安全調査委員会の設置法案大綱案を公表いたしまして、広く国民の御意見をいただいているところでありまして、今後さらに議論を深めていただきたいと思います。

枝野委員 終わります。

衛藤委員長 これにて菅直人君、仙谷由人君、逢坂誠二君、枝野幸男君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 この年末年始、私も、日比谷公園につくられた年越し派遣村を訪れて話を直接聞いてまいりました。本当に大変な状況であります。大変な問題であります。

 そこで、麻生総理、今全国で、一生懸命働いていたのに一方的に突然解雇をされる、雇いどめされて、職と住まいを失い、年末の寒空に投げ出された非正規の労働者の皆さんがたくさんいらっしゃいます。その中の五百人が、ようやく東京のど真ん中にたどりついて、やっと温かい御飯を食べられた、これほど人の情けを感じたことはなかったと口々に言われておりました。

 総理は、そういう、働く意思も意欲もちゃんとある人たちがやむにやまれず集まったところがあの年越し派遣村だ、こういう御認識、お持ちでしょうか。いかがですか。

麻生内閣総理大臣 今笠井先生の言われた日比谷のところが主に焦点が当たっておりますが、正直申し上げてここだけではありません。全然テレビのスポットは当たりませんでしたけれども、いろいろな形の、善意の第三者というかNPOというか地元の方々で、同様な趣旨のもので規模はもうちょっと小さいことでしたけれども、やっておられるという事実もございます。

 したがいまして、これは、仕事だけではなくて住居がなくなるというところがちょっと今までとは少し状況が違っている、私自身はそう思います。

 従来も、解雇通告、三カ月とか半年とか、いろいろ企業によって、また職種によって例は違います。ただし、今回の場合、はい、あしたから出ていってというような話が本当にあったとするならば、これは少々異常ではないか。

 したがって、私どもとしては、対応として、企業に対してそれはちょっとということで、しかるべき対応をするべきということで、企業に対して、それを解雇するということは、後からすぐ次に人が入ってくる当てもないんだろうから、社宅はそのまま使えたっておかしくないだろうがと言ったら、借り上げ住宅だと言うから、では、その借り上げている住宅分については何らかの補助もしましょうと。したがって、暫時それらの人たちの住居について助成というものをするなどなど、これまでにないような対応をさせていただきました。

 とにかく、こういった状況というのは、年末という特に人々の気持ちの気ぜわしいときになってああいったようなことが行われるということは、そういった方々の善意を含めまして、私どもとしてはいろいろ考えさせられることの多いことだったと記憶いたしております。

笠井委員 総理、本当にあったとするならと、本当にあったことがもう今全国で起こっているということでありまして、要は、総理、国としてこういう事態はほうっておけない、こういうことだという御認識ですね。

麻生内閣総理大臣 これまでのいわゆる不況のときと全然違ったものが起きてきているんだと思います。

 一つは、たびたび申し上げているように、不況の下降カーブが過去六十年間で例を見ないほど急激な落ち方であるという面が一点。そして、いわゆる非正規雇用というものに関しまして、今言われましたように、はい、きょうから、あしたからもうないというような話で、派遣元の方との関係も極めておかしな状況というのを考えますときに、従来とは違ったことになっております。

 我々としても、百年に一度のということを申し上げておりますので、それの対応につきましても従来にない対応をしなければならないということになったと存じます。

笠井委員 今回の派遣村は、市民、労働団体、それからNPOとおっしゃいましたが、千七百人近くもの民間ボランティアに支えられて始まった活動であります。厚生労働省は、年を越してようやく一月二日になって講堂を開放して、引き続き五日以降ということで都内の四施設を一時的に確保いたしましたが、これは一月十二日までの期限つきであります。

 そこで、舛添厚生労働大臣、政府として、こういう方々の生活、住居、それから就労支援、就職支援について、何をどこまで責任を持ってやるというおつもりか、御答弁をお願いします。

舛添国務大臣 笠井委員御承知のように、全力を挙げて、年末年始、この問題に対応しております。

 最初にちょっと数字を言わせていただきますと、今派遣村から出られた方々、四カ所の施設に二百九十三名おられます。その中で、昨日までで百二十五件、就職の相談がありました。それから、生活保護関係ですけれども、二百六十六件の申請が既にありまして、決定したのが既に五十四件であります。それから、生活保護申請者は一万円、行っていない方々は五万円という緊急の貸し付けがありますが、これは既に二百五十件についてそういう決定をしております。

 ということで、地方自治体と密接に連携して、今、ハローワークの出張相談をやっている、生活保護の相談をやっている、住宅相談も同時に進めております。

 したがいまして、滞在期限一月十二日までに全員が、例えば住居を確保できる、生活保護が受けられればこれは当然できるわけです。そうじゃない方々に対しても細かい手当てをして、最大限、一人一人の住宅、そして、できれば就職ということをやっていきたいと思っております。

笠井委員 今お話がありましたけれども、ようやく住まいが見つかってほっとされたという方がいらっしゃいますが、では今度は、次は仕事探しだ、まだこれはなかなか大変と。あるいは、生活保護の受給が決まってよかったんだけれども、しかし、アパートはまだすぐ見つからないので、しかも保証人が要るということも含めて、結局、五万何千円か月にもらったとしても、まずはネットカフェに行くしかないな、こういう声もあります。

 そこで、大臣、一言確認なんですが、期限が来たからといってただほうり出してしまう、路頭に迷わせるようなことは絶対しないということは御確認できますね。

舛添国務大臣 今の見通しですと、これは見通しですから、ほぼ全員に手当てができるというつもりでやっておりますし、仮に、ちょっと手続上間に合わないというようなことがあっても、これは東京都それから関連の区と協力してきちんと対応してまいりたいと思っております。

笠井委員 きちっとやってほしいと思うんです。ところが、去る七日には、これは名古屋市の場合ですが、無料の宿泊所で年末年始を過ごした約四百人の非正規の労働者の方々がいますが、滞在期限切れということで退所をさせられました。非正規労働者の方々は、バスに乗せられまして名古屋駅前まで送られて、そこで、はい、さようならということになったわけでありまして、そのままほうり出されました。年末年始を越せたのはありがたいけれども、きょうからはもう泊まる当てがなくて路頭に迷うだけだ、寮の延長など、何とか対処してもらえないかなど、痛切な声が上がっております。

 この問題は、さっき冒頭に総理が言われましたけれども、年越し派遣村、日比谷公園にとどまらない。今回は派遣村にも、群馬などからも、交通費をカンパしてもらったということで、日比谷公園までようやく来ましたという方に私も会いました。そういう方もいるわけですが、来られなかった方は、首都圏にはもちろんですが、全国にたくさんいらっしゃいます。

 地方の事態も極めて深刻で、各自治体も対応を始めているという状況ですが、厚生労働省はこうした人々に対する全国的な支援の状況をつかんでいるかどうか、その点、確認したいんですが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 すべて最前線は各自治体ですから、きちんと連携をとってやっていく、そして国としては、例えば住居については雇用促進住宅を開放するということで、例えばきのうまでで千九百八十三件、約二千件これが実現いたしましたとともに、労金を使っての就職のための安定資金の融資ということで、これはもう既に二百二件ございます。厚生労働省の住宅も、各自治体に散らばっていますけれども、これも二百件ばかり各自治体に貸与するという形で、今のようなケースに使っていただくようにということをやっておりますので、各自治体も自分の市役所の臨時職員として雇うというようないろいろな努力をなさっていますので、連携をしながら、さらに進めていきたいと思います。(笠井委員「実態をつかんでいますか」と呼ぶ)すべて、出先のハローワーク、それから労働関係の我々の出先、そして自治体、こういうところと連携をして、情報をきちんと把握しております。

 さらに、その上の情報については、これは総務大臣にお願いして、きちんと総務省と連携をとりながら、各自治体との連携を行いたいと思っております。

笠井委員 的確な対策というのはやはり実態をつかむことが肝心でありますので、ぜひ、厚生労働省、今総務省とも連携してと言われましたが、厚労省は労働局が各県にもありますから、きちっと早急に、全国的な支援の状況、それから問題点も含めて調査をして、早急にこれを当委員会に報告していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 各地のハローワーク、労働基準局、その他の関係団体から毎日情報は上がってきております。そういうものをどういう形で公表するかは、それは委員会の理事会の御決定に従いたいと思っております。

笠井委員 当委員会への提出を求めたいと思いますが、御検討ください。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

笠井委員 こうした首切りされた人たちの当面の生活、住居、就職が確保できるまで、今もありましたけれども、国と地方自治体が協力して、責任を持って十分な措置をとる、救済、救援するということは、総理、これは本当に大事だということでよろしいですね。

麻生内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、この種の状況は百年に一度のこととはいえ、過去六十年間でも余り例がないほど、少なくともこの五十数年間の間でこれだけ急激な例はないと思いますので、その意味では、それに対します対応も、今労働大臣述べられましたとおり、いろいろなこれまでにないような対応を考えねばならぬものだと思っております。

笠井委員 これは憲法二十五条の生存権、それから二十七条の勤労の権利、義務という観点からも当然必要なことだと思います。まして、こんな事態は、先ほど来議論がありましたけれども、労働法制の規制緩和、派遣労働の自由化の中で起こったことでありまして、いわば政治災害ともいうべきものでありますので、やはり国が責任をきちっと果たすべきだということを強く指摘しておきたいと思います。

 もう一つ、今肝心なのは、何よりもこれ以上の首切りを許さないということだと思います。

 厚生労働省は、派遣切りなどの解雇、雇いどめでことし三月までに職を失う非正規労働者は、直近の調査で八万五千人余りだと言っております。昨年十一月の前回調査の約三万人という数字からしますと、一カ月で二・八倍にも急増して、それも厚生労働省自身が、これは聞き取り調査の結果であって、そのすべての事例を把握しているわけではありませんということを説明しております。

 一昨日も、ベアリング大手の日本精工が二千人削減ということを発表しました。昨日は三菱自動車が千人の追加削減を相次いで発表するということで、実際にはさらに大規模な解雇が予想される、首切りが予想されるということであります。

 そこで、厚生労働大臣に伺います。

 少なくとも、厚生労働省がつかんでいる八万五千人という人たちのうち、派遣契約を中途で解除される人数というのは何人だというふうにつかんでおられますか。

舛添国務大臣 約二万九千人でございます。

笠井委員 この契約の中途解除というのは、会社と労働者との間の契約期間がまだ三カ月も四カ月も残っているのに会社の側がその途中で首を切って放り出す、こういうことであります。契約違反ということだと思うんです。

 厚生労働省の調査結果を見ますと、非正規切り八万五千人のうち派遣労働者は五万七千三百人。その五一・四%、今厚労大臣言われました、二万九千人余りが、途中でほうり出されるということであります。

 そこで、舛添大臣、厚生労働省がつかんでいるこの二万九千人もの契約の中途解除、派遣労働者の解雇などという理不尽は、これはやはり直ちにやめさせるべきだ。どういう指導をしているんですか。

舛添国務大臣 まず、派遣先が労働者派遣契約を中途解除するということは、雇用の安定上、私は好ましくないと思っております。

 やむを得ず契約を中途解除する場合には、これは派遣元そして派遣先指針というのがございまして、これに基づいて、双方の企業に対しまして、例えば、関連企業で就業のあっせんをしなさい、それから、新たな就業機会を確保しなさい、こういう措置をとることを各都道府県の労働局に対して指導し、徹底するように指導をしております。さらに、私自身も経団連に対しまして、可能な限り避けてくれという要請を既に行っております。

 それから、派遣元、これは労働契約法によって、有期労働契約はやむを得ない事由によらない限りは違法になっておりますから、これは解雇できないことになります。このこともきちんと啓発するとともに、何度も御説明していますけれども、雇用調整助成金を活用すれば解雇をしないで職業訓練をやっていただく、休業していただく、その間八割まで国が見ますから、これはぜひ活用させていただきたいと思いますので、そういうさまざまな施策を講じながら、派遣元、派遣先双方に対して今後とも指導を行っていきたいと思っております。

笠井委員 契約の中途解除というのは、雇用の安定上好ましくないというだけじゃなくて、契約違反なんですよ、基本的に。

 そういう問題について、好ましくないということで、今、通達を出したりということで幾つかのことを言われましたけれども、では、実際に、好ましくない、おかしな問題というふうに厚労省がつかんだり、あるいは、ちゃんとした事由がなければ違法だということも今言われたことがありましたね、そういうケース、一件でもあって、これは問題だと指摘して改善させたというのはありますか。具体的に。

舛添国務大臣 ですから、派遣というのがどういうことであるかを正確に御認識いただきたいのは……(笠井委員「知っていますよ、それは。わかっています」と呼ぶ)いや、今の御質問だと、そのことの……(笠井委員「二つのことを言われたのはわかっていますよ」と呼ぶ)いや、ですから、派遣先と派遣元の……(笠井委員「だから具体的な話を聞いているんです」と呼ぶ)

衛藤委員長 笠井委員に申し上げます。

 発言は起立の上願います。

舛添国務大臣 企業間の契約ですから、この企業間の契約に対して、好ましくないということは言えますけれども、法律で、この国会で決めた法律で決まっていることではありません。しかし、派遣元と労働者の間は労働契約の法律に基づいてですから、こちらに対しては違法ということが言えます。

 したがいまして、そういう要請はしておりますが、そこから先は各企業がきちんと対応していただくしかありません。

笠井委員 二つの問題があることはわかっています。しかし、違法だと、派遣、そういう問題について……(舛添国務大臣「好ましくない。違法じゃないんです」と呼ぶ)いやいや、違う違う、後段の話です。派遣元がそれをやめさせるということになると、これは合理的な理由がなきゃ違法だと言ったでしょう、大臣自身が。その部分について、では、一つでも具体的に、これは違法であるからこうだと指摘して改善させたというのはありますか。

舛添国務大臣 派遣元とそのもとにある労働者の間の契約違反については法律違反ですから、個々の企業については言及しませんですが、きちんと指導し、是正をしているというのが現状でございます。

笠井委員 問題は個々に起こっているんですから、それについて言及しないということ自体が私はおかしいと思うんです。

 その点でいいますと、今、違法だという問題、労働契約の問題ということを言われましたが、厚生労働省は十二月九日に、その非正規切り防止の通達を出されました。これは大事だと思うんですけれども、その通達でさえ、契約期間満了前の解雇というのは、やむを得ない事由以外は労働契約法第十七条違反とちゃんと言って、そうやって周知徹底するというふうに言われているわけです。今厚労大臣言われたんですから、それをきちっとやらなきゃだめだと思うんですよ。

 ところが、依然正されていない現実がある。

 三菱ふそうトラック・バスという会社がありますが、川崎工場の派遣と期間従業員約五百人を十二月末までに切りました。契約途中に通告された人々から、実際に私、話を聞きました。

 これは、この会社に派遣されていたHさん、三十八歳の男性ですけれども、このHさんの場合の契約の経過をまとめたものであります。

 二〇〇五年の九月二十九日から三十日までの二日間の契約に始まって、その後、同年の十月から三年半にわたって、六カ月、六カ月、五カ月、十八日間、五カ月十三日、六カ月、十八日間、五カ月十三日、六カ月ということで、こういう形で契約を繰り返しながら雇用が継続されてきました。それが、二〇〇九年、ことし二月末までの契約期間がまだ二カ月以上残っている途中の昨年十二月二十六日に中途解除、解雇されまして、寮からの立ち退きを求められました。通算して三年以上連続して働いているわけですが、直接雇用の話も違約金の話もなしに切られたわけであります。

 舛添大臣、先ほど通達やあるいは違反ということも言われましたけれども、これは明らかに厚労省の通達にも反する。こんな首切りはきちんと指導してやめさせるべきじゃないんですか。いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今お示しになっている図について、要するに、二つのことを混同してはいけないということを先ほどから申し上げているので、中途解除というのは、その図で言うと、派遣先の三菱ふそうと労働者を派遣している派遣元との間の中途解除……(笠井委員「でも、イコール解雇になっている」と呼ぶ)ちょっと待って。それが中途解除ですね。それは、三菱ふそうと派遣元との間の企業間の契約ですから、ここは、好ましくないと言っていますけれども、法的な強制力はあり得ません。しかし、派遣元、どういう会社か知りませんですけれども、派遣元とその労働者の契約がどうなっているかということをまず教えていただかないと、判断ができません。そのときは、派遣元はその労働者に対して責任を持っていて、それが法律違反であればきちんと対応するということですから。

 まず、事態、具体的な事実について言っていただくということとともに、派遣元はそういうことをやらないように、例えば、今、寮から追い出されるということがありましたけれども、たとえ首を切っても寮から追い出さないために、例えば社員寮をそのまま使わせてくれる企業に対しては四万から六万の支援をすると、さまざまな手を考えておりますので、法律に基づいてできるだけの支援はし、指導をする、この立場は全く変わっておりませんで、まずは事実関係を明確にした上でのお答えをしたいと思っております。

笠井委員 前段の方の三菱ふそうの方と派遣元との関係では、好ましくないというお話がありました。

 後段の方で言うと、混同していないんです。二十六日に派遣契約が中途解除されて、そして同時にこの人は派遣元の会社を解雇されたわけです。そういう問題なんですよ。こういう具体的な問題についてやめさせられないでどうするかという問題であります。ほうっておくから、大企業による大量の首切りをとめられずに、第二、第三の大波がやってくるんです。

 三十五歳のSさんも、世界規模の経済情勢悪化に伴って、社内での生産調整の影響によって、十二月二十六日をもって三菱ふそうトラック・バス株式会社組立工作部大中型車両組立課の係、班からの人員削減となりますと、一片の紙をもらって、ことし三月までの契約を途中で打ち切りということで、解雇、寮からの立ち退きというふうになっています。

 Sさんは、この後、まだ仕事が見つからない、四年間も正社員と同じ仕事をやってきたのに、勤務年数や仕事ぶりと関係なく契約を打ち切られてしまうのは納得できないと言われておりました。

 いずれも、契約中途解除と寮からの退去の撤回を求めて頑張っていらっしゃる、労働組合に入って。

 私は、こういう事例についても実態をつかんできちっと調査をして強力に指導すべきだ、監督すべきだと思うんですけれども、それはできないんですか。

舛添国務大臣 先ほど来何度も申し上げていますように、個々の企業について細かく言及はいたしませんが、しかし、中途解除については好ましくない、そして、それをやるような場合には、派遣元、派遣先に対して、関連企業への就職のあっせんをしなさい、さらにほかの就業機会を求めなさい、もともとは派遣元企業がきちんとその就職の世話をしないといけない、そして法律違反があればきちんと指導する、これは今後ともやっていくとともに、首を切っても社員寮に住まわせていただくような財政的な措置も考えておりますし、さまざまな手を打っている。

 今回の雇用政策は、かつてないほど大規模かつ徹底したものであるということを明言しておきたいと思います。

笠井委員 実際に首切られているわけですからね。かつてないほど明快にやったら、もっと本当に事態は変わっているはずです。

 委員長、大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせるという見地から、私、昨年十二月五日の当委員会で、大量解雇計画を進める大企業の代表、自動車産業ということを具体的に申し上げましたが、参考人として招くよう求めました。あわせて、私も、先ほどありました、御手洗日本経団連会長、そして非正規切りに遭った労働者の皆さんも参考人としてこの委員会にお呼びする、このことを求めたいと思いますが、理事会で諮ってください。お願いします。

衛藤委員長 後刻理事会で協議いたします。

笠井委員 同時に、私、今伺っていて、厚生労働省の通達だけではなかなか雇用が守り切れないなと。三月末以降の大量解雇のおそれが極めて深刻という中で、我が党は、この通常国会で、文字どおりこの問題では超党派で話し合って、これ以上の派遣切り、期間工切りを防止するという緊急の実効ある対応措置を求めていきたいと思っております。

 そこで、総理、今日の景気悪化のもとで、いわば名立たる大企業を先頭にして大量解雇が進められているわけでありまして、私は思うんですけれども、個々の企業にとっては、人員削減をやるということによって、一時的、瞬間的には財務状況がよくなるということになるかもしれないんですが、しかし、それがすべての企業で一斉にやられるとなりますと、今の、まさに国民が目の前にしているような事態、国民のたくさんの人たちが切られる、国民の所得を減らして消費が一層冷え込む、そして下請や地域経済にも甚大な影響が出てまいります、日本の経済と社会の前途を危うくすることにならないか。

 麻生総理、このような一斉の大量解雇というやり方は、結局のところ、企業にとっても、その存立あるいは発展を脅かしていくような自殺行為につながるんだよ、こういう認識を私は持っているんですけれども、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 経済に合成の誤謬という言葉がありますのはもう先生よく御存じのとおりだと思いますが、その企業においていいことであっても、コストを削減するというのはその企業にとっては間違いなく正しい、利益追求という本来の形からすれば正しい、しかし、それを全国四百二十一万社みんなでせえのでやるとどういうことになるかというのは、必ずしも、個々において正しくても全体でやるといいことにならない、そういった場合、合成の誤謬という言葉を使います。

 そういったことになりかねないという心配を多分、笠井先生はしておられるんだと思いますが、おっしゃるとおりで、今回の場合は、従来と違っておりますのは、少なくとも、どこかで引っ張ってくれるような景気のいい国が存在せず、世界同時に不況になっているというのが一点。もう一点は、各企業の中において非常にリーディング産業みたいなものが、かつての鉄であったり造船であったり自動車であったり、そういったリーディング産業みたいなものが今の段階ではなかなか目についていない。ここのところがもう一つ大きな問題なんだと思います。

 では、どうするかといえば、ここはみんなで少しずつ少しずつ支え合わないかぬというところを多分笠井先生は言っておられるんだと思いますので、企業というものにとりましても、ここは大いに頑張って支えるという気概、企業として存続するためにぎりぎりのところ、倒産するとさらに大きな被害になりますのでそれは避けねばなりませんが、そこの一歩手前ぐらいまでのところまで踏ん張る、そういった気概というものを各企業の経営者たる者が持たねばなかなかこの段階は難しい。私もその面は、それがすべてとは申しませんけれども、大きな要素であろうと存じます。

笠井委員 まさに本当に今、個々にやり出したら全体が大変なことになる。私も、一九九九年のリストラあらしのときに参議院の予算委員会その他で与謝野大臣とも議論しました。私も、そういう点では、まさに大企業自身が踏ん張って雇用を守るということが必要ですし、だからこそ雇用を守るルールをつくらないといけない、やはり、企業全体ここは守ろうよということを、だから、そこに政治の出番があるんだと思います。そうやって大企業に雇用を守らせることは、私はある意味一番の景気対策にもつながると思います。

 そういう中で、今、大企業による大量の派遣切りという事態を目の当たりにして、使い捨て労働をなくせという世論がますます高まっております。

 そこで、パネルをごらんいただきたいんですが、資料二枚目です。

 棒グラフが資本金十億円以上の大企業の内部留保の推移であります。これは、利益剰余金、先ほどありましたが、それに資本剰余金、引当金、有価証券ということで入っておりますけれども、これが折れ線グラフの派遣労働者の増加とともに、順調にというと変な言い方ですが、増加しております。

 派遣労働が原則自由化された一九九九年の百七十九・六兆円から、二〇〇七年までの八年間に、六十兆円もふやして二百三十九・八兆円にもなっている。まさに派遣労働者の皆さんを先頭にした、血と汗と涙でため込んだものがこうやってふえているわけでありまして、私は計算したんですが、このわずか〇・二%でも回せば、厚生労働省が今つかんでいる八万五千名の方々の正社員化は可能であります。

 そこで、河村官房長官、去る五日の記者会見で、企業側に内部留保を活用して雇用の確保に努めるようにということを求められましたけれども、私は、今のような状況の中で、今こそ本格的にこのことに取り組む、企業に働きかけてきちっとやらせる、大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

河村国務大臣 一月五日に、記者団の方から、会見において、麻生内閣として雇用の問題にどう取り組んでいくのかという質問がございました。

 これに対して、内閣としては、今、雇用の問題は喫緊の課題である、この問題に全力を挙げて取り組んでおるんだということと、私は企業に勤めた経験もありますが、まさに企業は人なりでありますから、こういうときにこそ、やはりきちっとした人材を企業が持っていくという姿勢も非常に大事なことではないか、こう申し上げておりまして、企業は経営判断をいろいろするわけでございますが、この中には、やはり企業が存続することが第一でありますから、そして長期的な展望を持たなきゃいかぬ、こういうことの中にも、雇用の維持に最大の力を果たしていく、これも企業の社会的責任の一つだ、日本の企業の経営、いわゆる生涯雇用であるとか日本的経営と言われた、そういう中にそういう視点があってもいいのではないか、こういうことを申し上げたわけでございまして、内部留保の活用ということもその一つになっていくだろう、このように申し上げたところでございます。

 政府としても、今、二次補正、そしてこの次の本予算、雇用調整助成金等を持っておるわけでありまして、企業のそうした姿勢に対しては支援をする、こういうことをやっておるわけでありますが、企業側としてもいろいろな手だてを考えていただく、内部留保の活用についても考えていただく、あるいは労働分配率を増すことも考えていただく、そういうことはこれからも、折に触れてといいますか積極的に、経営者団体等々を通じて要請を強くしてまいりたい、このように考えておるところであります。

笠井委員 総理御自身もそういう立場で、内部留保の活用を含めた、やはり企業に対する、あるいは財界に対する働きかけ、これをきちっと求めていくということは大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 たびたび答弁もいたしておりますが、いわゆる団体、商工会議所などなど、そういう企業、経営者側の団体と、それから、非正規社員を正規社員にかえてうまく成功させた企業、ちょっと名前は申し上げられませんけれども、その方々と一緒に話をしてもらうという機会を、官邸で主催をして自分でやって、こうやった結果うまくいっている企業もありますということも申し上げたこともあります。

 いずれにしても、この内部留保の使い方ということに関しましては、今までと違って、一つは、多分猛烈な勢いで資金繰りがきつくなってきていますから、内部留保を厚くしておかないとキャッシュフローが動かなくなるだろうということに関しては過剰反応していることはもう間違いないと思いますが、いわゆる国際金融の面で、かなりそこの分に関しましては、信用収縮というものを最低限にとどめるということを今いろいろやっておりますので、少し効果があるかなとは思っております。

 いずれにしても、CPやら何やらこれだけ極端なことになってきますと、企業の経営者側の気持ちも猛烈かたくなっているというのが多分現状だなと思いますので、そういう気分の問題、気の問題という点に関しましても留意をして、ぜひ、そこらの点は金融の面できちんとしていくので、内部留保の扱いについてという点は重ねて言わねばならぬところかなと思っております。

笠井委員 やはり、政府としても政治の責任として企業に社会的責任を果たさせると。それから、解雇、首切りを許さないということでの緊急の実効ある措置とあわせて、この際、やはり労働者派遣法の抜本改正が必要だ、このことを強く求めて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、私は冒頭、まず中東情勢について総理にぜひお願いしたいことがございます。

 本日の読売新聞でございますが、冒頭一面は、イスラエルに対してレバノンからも攻撃が加えられ、戦火の拡大が大変懸念されておると。

 昨年の十二月二十七日に、イスラエルとハマスとの間の停戦合意が実質的に破綻して、そして、侵攻、イスラエルの攻撃が始まりました。総理にあっては、十二月三十一日にイスラエルのオルメルト首相、そして一月三日にはパレスチナのアッバス代表に日本からの支援を訴えて、何とかこれが停戦に向かうように御尽力中ではあると思いますが、しかし、実は一月五日の日から、国連のパレスチナ自治区にある学校、子供たちがおり、たくさんの避難民がおられるところにイスラエルが攻撃をしかけて、無差別殺りくに近い状況が広がっております。

 私は、知人から、南ドイツ新聞というところに掲載されたノルウェーの医師、この方はパレスチナのガザで救援活動をしていますが、その方の現地報告をちょっと読ませていただきたいと思います。これは、一月五日にイスラエルが空爆を学校等々に起こした翌日のものでございます。

 ノルウェーの医師の名は、マッズ・ギルベルトとおっしゃって、麻酔科の六十一歳のお医者様であります。今、このガザ地区には西欧からの医師は二名現地に立ち残って救援活動をしておりますが、なかなか日本には現地で何が起きているかという情報がない中で、極めて私は深刻だと思いますので、あえて読ませていただきます。

 今夕の情況はドラマチック以上のものだ。激しく爆撃されている。この四十八時間は大変に厳しかった。ガザ市の野菜市場への攻撃で多数の死傷者が出た。今日病院に運ばれた二百十人の負傷者の内だけでも三十五人が救急部門で死亡した。死者の内で十八人が九歳以下の子供たちだ。私たちは次から次へと切断手術を続けている。廊下は切断手術を受けた患者でいっぱいだ。私はすでに手術をいくらしたか数えられない。

 そして、いろいろなインタビューに答えて、負傷者の四五%が女性と子供だ、このままでは、子供たちの死者が百十七人、これは一月五日の時点ですけれども、負傷者は七百四十四人、極めて深刻であると。

 この方は元旦にラファ経由でここに入ってこられたそうです。ノルウェー政府がエジプトの指導部に非常に大きな外交圧力をかけたと。今、御承知のように、エジプトが停戦に向けた努力をしておられますが、その背景にはノルウェーからの働きかけもあったということと思います。そのおかげでこの医師は入ることができたけれども、

 私はなぜ他の西側の医師たちが来ないか疑問に思っている。世界はここで何が起こっているかを見ることが出来ない。私たちだけが西側の代理人だ。私たちは、援助すべき医師なのだ。それと同時に私たちは世界中のメディアに電話で情報を伝えなければならない。同僚とここへ来ていらい、私たちは時間を忘れて働いている。あの音が聴こえますか。また爆撃されている。

ここで終わります。

 この深刻な事態に対して、そして今レバノンにもまた戦火が拡大すれば、中東情勢は本当に世界じゅうに広がりを見せてしまいます。私は、総理にはぜひ、我が国から特使をイスラエルに派遣する、このことを早急にやっていただきたい。いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 今委員がおっしゃいましたけれども、連日あの地域の武力攻撃等によって子供や民間人を含む多くの方々が犠牲者となっているのは、本当にあの事態は遺憾に思っております。

 我が国は、関係国とも密接に連絡、連携をとりながら、事態の悪化に懸念を伝えつつ、さまざまなレベルで即時停戦の働きかけをしております。委員からお話ありましたけれども、総理からも、イスラエルのオルメルト首相、それからパレスチナ自治政府のアッバス大統領と電話会談を行いまして、直接働きかけを行いました。また、私からも、イスラエルのリブニ外相との電話会談、あるいはイタリア、イラン各外相とも電話会談をして、この件について連絡を取り合っておるところでございます。

 現地情勢のさらなる悪化を防ぐために、国連や、今お話ありましたようにエジプト、フランス等各国が努力をしているところでありますけれども、今回、現地への我が国からの派遣という意味では、有馬外務省参与、有馬さんは中東和平担当の特使ということでございますが、有馬参与の派遣について検討しているところでございます。

 今後とも、安保理等の場におきまして、我が国は非常任理事国となっておるわけでありますから、建設的な役割を果たすべく、関係国とも緊密な協議を行ってやっていきたいと思っております。

麻生内閣総理大臣 今、中曽根外務大臣から答弁をさせていただきましたとおりなんですが、この有馬、中東関係に関しましては少なくとも最も顔の広い人だと存じます。この有馬龍夫を送ることに今検討をさせて、向こうでいろいろやらせていただいております。

 同時に、このガザ地区に関しましては、けさのBBC、それからおとといのCNN、ごらんになったかと存じますが、こういうのを見ていましても、明らかに、国連の、UNの学校、あれ以後、国際世論は変わったかなという感じが正直いたしております。

 しかし、いずれにいたしましても、停戦中に、ガザ地区にありますハマスの方から先にロケット攻撃が始まって、それに対する報復というのが今回の停戦が壊れたきっかけであります。今、ハマスの方から弾が撃ち込まれるのはガザ地区からではなくて、上の方というか、北にありますレバノンから飛んできたということになってきておりますので、そういった意味では、ハマスという組織がどのような形のものになっているかといえば、これはなかなか難しいので、パレスチナのアッバスも、これが一つのテロ組織みたいなものなのであって、直接、いわゆるパレスチナ政府が、我々が指導してこれをやらせているわけではないという立場に立たれると、これはなかなか話としてはさらに込み入っておることになっております。

 いずれにしても、これは人道上の問題もあるので、このオルメルトという人に対しては、少なくとも、日本から人道支援物資として医薬品などなどいろいろなものを搬入しようにも入らないという状況は、これはどう考えても異常なんじゃないのか。

 したがって、停戦などなどいろいろ形をということが必要で、少なくとも場所としては、大きさ、面積からいうと種子島ぐらいとかよく例に引かれますが、そういったぐらいのところに二百万とも三百万とも言われる方が今おられるわけですから、人口密度としてはくしゃくしゃのところに、猛烈密集地帯、水道、電気、ガスなんというのがとまっていたりなんかする状況の中で、せめて医薬品、食料、水の搬入というものができる時間すら与えないというのは、これはどう考えてもということで、結果として、今そこの中でとまって、一日三時間かな、とまることにするんだという話が実行中であろうと思っております。一つの進歩ではありますけれども。

 ただ、ハマスからのロケット砲攻撃がまだ継続しております段階で、きょうも国連安保理でいろいろ議案が出されておりますけれども、こういったものに我々としても、非常任理事国としてこれに参画をいたしておりますので、いろいろな形で、これが停戦をしないととにかく話がスタートしないというのと、ロケット砲の攻撃がとまらない限りは停戦できないというのと、真っ正面からぶつかっているという現状の中にあって、日本としては非常に苦慮をしておるというのが現状であります。

阿部(知)委員 この点においても、日本のリーダーシップは麻生総理にかかっているんだと思います。とにかく停戦を何が何でも獲得しなければ、人道的に許しがたいこと、無差別殺りくになると思います。私は有馬さんという方がどの程度外交通であるか知りませんが、ここは政治家の派遣が必要だと思います。政治の意思だからです。

 日本は、特に中東について、これまでいつも中立的な立場、例えばイスラエル・パレスチナ問題においてさえそういうスタンスをとってこられた数少ない国ではあると思います。この段、やはり日本が顔の見える外交をやるということは、本当に世界じゅうに、私は正義の戦争なんかないと思いますが、こんなに非人道的なことが横行する事態を一刻も早くとめさせるために全力を尽くしたんだということをやっていただきたいと思います。

 あわせてもう一つ。私は、きょう同じ新聞に、ソマリアで人質になって誘拐されておられたお医者さんの、小児科の医者ですが、赤羽桂子さんが解放されて、本当によかったと思います。

 先ほど御紹介したノルウェー人の医師と同様に、日本の中にもこうした国際的な人道支援の場で活動しよう、活躍したいという若い医師たちがたくさん出てきて、私は、せんだって総理が、最近の日本のお医者さんたちはちょっとどうかと思う人が多いというようなことを申されましたが、逆に言うと、医学教育のあり方の中で、何を私たちの医師モデルにしていくかという教育の問題であって、個々の医師が、例えば金もうけ主義に走る、楽な方がいいなどなどの悪貨の方を持ち上げて、悪貨が良貨を駆逐すると申しますが、弊害の方を言っていても仕方ないんだと思います。どういう医師に育ってほしいか、どういうふうに国際貢献できるかというようなことに向けて、やはり政治はメッセージがあるべきなんだと思います。

 あわせて、これはソマリアに連れていかれたわけですが、南エチオピアといって、ソマリアと国境沿いにあるところで救援活動をしておられたわけです。ソマリアは今、海賊問題でも、またこういう誘拐問題でも問題になっておりまして、いわゆる破綻国家になりかけているわけです。この間、総理は、例えばソマリア沖のアデン湾に自衛隊の派遣をどうするか等々に言及されてございますが、私は、まずこのソマリア情勢というものをもっとじっくり見ていただきたいんです。

 申し上げたいのは、二〇〇六年の十二月から、この地区のイスラム勢力を何とか駆逐しようとして、アメリカ側が、イラクやアフガニスタンに次ぐテロ国家だからここを空爆する、あるいは軍艦を海に浮かべるということを開始したわけです。先ほど申しましたように、これから世界がイスラム勢力と常にそうやって武力で構えていったら、事は文明の衝突以上のものになり、結局は、私は無辜の民がたくさん犠牲になると思います。

 ぜひ、総理にあっては、きょうは時間がないので御答弁は結構でございますが、アデン湾に自衛隊派遣云々以前に、どうやって我が国がこのソマリア情勢に一つでも、やはりそこで暮らす人々、例えば海賊と誘拐しか仕事がないんだったら、本当にそれは悲しい国家になると私は思います。そういう大きな目で、広い目でぜひ外交政策をやっていただきたいと思います。もし総理がお答えあれば。

麻生内閣総理大臣 基本的には、ソマリアの中、いらしたことがおありになるかどうか存じませんが、海岸線のところの部分と内陸部とかなり違いますし、もっと西の方に住んでいたことがありますので全然知らないわけではありませんが、かなり違っております。したがって、北部の方とまた南部の方とはかなりいろいろ部族が違っておるんですが、その海岸線のところはほぼ無法地帯というか、法治がほとんど行き届いていない、海賊をもってなりわいとするというような形までかなり秩序が乱れておるという状況の中にあって、かなり高度な武器がいわゆるソマリアの海賊に渡っている。それを買うだけの金があるということなのかもしれませんが。戦争というのは、御存じのように武器が購入できない、弾薬が購入できないと継続ができませんので、そういう意味ではかなりのものが入っているという、結果としてなっている。

 それによってどうなっているかというと、日本の船を含みまして、多くの国に所属する船がそこで極めて危険なことになっているというのが現状。中国も海軍を送り、韓国も近々送るという話をしておりますが、いずれにしても、我々の持っております、日本の国が持っております多くの船舶というものがそこを一日数多く通過して危険になっているというので、船主協会からも陳情が来ているという実態をひとつ御理解いただいた上で、今言われました点につきましては、その国自体の統治が、ちょっと正直私らでどこから手をつけていいかわからないぐらい内部はかなりぐじゃぐじゃになっておるというように思いますので、各国がなかなかこれ以上入れないということになっているのかなと思います。

 いずれにいたしましても、今阿部先生の御指摘はまことに正しいところだと思っておりますので、どのような方法があるのか、今後検討させていただきたいと存じます。

阿部(知)委員 では、労働問題に入らせていただきますが、ここに示させていただきましたパネルは、十二月段階で厚生労働省が今後起こり得る非正規の皆さんの解雇等々の状況を聞き取り調査されたものでございます。先ほど笠井さんも御質問ですので、上から、派遣、契約、請負、その他と分けて、総計八万五千人の雇いどめが起こるだろうという予想で、現状、ここのところさらに深刻化しておりますから、これで済むかどうかはわかりませんが、この数値だけ見ても極めて深刻なわけです。一番目に派遣労働者が多く首を切られ、その中では中途解約が半分以上、二万九千四百五十一人ですから全体の半数以上なわけです。

 舛添さんに伺いたいと思いますが、こうした事態の中で、いわゆる派遣先が、例えば派遣先で仕事がないから首を切る場合には、自分の企業の中で他の部署に振り分ける、他の工場に振り分ける等々の指針がございますが、それは先ほど舛添さんもおっしゃいましたが、実際、厚労省としては、そうした指針がどこまできちんと現実に機能しているのか。指針は、これは厚生省告示で出したわけですが、たしか平成十五年だと思いますが、これを見ると、全く指針は機能していないのではないか。だって、三万人近くが簡単に首を切られているわけです。その点についてはどうお思いかということと、恐縮です、時間の関係で麻生総理に。

 私はちょうど地元が藤沢で、いすゞの九百六十人の一斉の解雇が起こり、派遣と期間工両方でございました。企業の中の組合が一生懸命頑張って、一部ですが、期間工については解雇の撤回をかち取りましたが、派遣の皆さんについては直接の雇用契約がないので、これをいかんとも動かしがたい。先ほど舛添さんがおっしゃいましたが、法律がないからということであります。

 私ども社民党は、これまで一貫して、国民新党や共産党の皆さんと、派遣法を九九年段階まで、登録型派遣の禁止まで戻しなさいということを主張してまいりましたが、昨今、せめて製造業現場ではこの派遣という働き方はいかぬのではないかということを舛添大臣もおっしゃいますし、広島の労働局の局長もおっしゃる等々、民主党や公明党の皆さんも足並みをそろえていただけそうな雰囲気が出てまいりました。

 そこで、総理にお伺いいたします。さまざまな問題はあろうかと思いますが、この解雇という一点に関して、法律がなければ、派遣法というところではどうあっても手も足も出ないのです。派遣先は、先ほど舛添さんがおっしゃいました、法律的には、ある意味で合法的に首を切っているのかもしれません。製造業現場への派遣の解禁はやはり問題が多過ぎて、これは禁止する方向に明確にかじを切るべきだという点について、総理の御見解。

 一番目は、恐縮ですが、指針とはいかほどのものか、どのくらいやったのか、お教えください。

舛添国務大臣 今委員も御指摘になりましたように、派遣先の企業と派遣元の企業の、民間企業間の契約でございますから、どういう契約内容であるかということはその契約当事者の両方の会社の御判断によりけりだと思いますし、違約金があるならそれは両者間の話でありますけれども、我々としては、指針に基づいて、安易な中途解除はしないように要請しておりますとともに、経団連に対して私も直接要請をいたしました。

 ただ、そこから先は法的な拘束力はございませんから、指針は最大限に活用しますけれども、要するに、それにはおのずから限界があるということでございます。

麻生内閣総理大臣 雇用のあり方にはさまざまな雇用の形態があると先生言われましたけれども、私も全くその点に関しましては、例えば通訳とかいろいろ例がありますので、そういったものを身近に見ておりますと、やはり職種によって、職場によっていろいろな形のものがあるんだということは前提として、その上で、常用雇用という方が基本的な形としては正しいものだと思っております。

 ただ、今現在、製造業におけます派遣を見ますと、約四十六万人の方々がいわゆる派遣ということになっておられるそうであります。したがいまして、こういう現下の情勢の中において直ちにこの話に手をつけるということは、今回この四十六万人がまた危なくなるというようなことになるのは、これは断固避けねばならぬところだと思っておりますので、そういう意味では、慎重にここのところは考えないかぬと思って、まずはということで、今、日雇い派遣の話からスタートさせていただいております。

 ただ、今言われましたように、これは、企業にとりまして、長期的に見た場合には、安いだけでよかったのかというと、これはなかなか、雇用に関する環境も変わりますでしょうけれども、企業の環境も変わってきていると思っております。したがいまして、長い目で見た場合は、常用雇用にして雇用を安定させた方が企業にとって結果として利益を生む確率が高くなるのではないかという発想が出てきても全然おかしくないし、事実、そういった姿勢でやっておられる企業もあります。

 したがいまして、今言われましたことを考えますと、簡単に、これだめ、これやめたから途端によくなるという種類のものでもありませんし、ここはいろいろ議論はさらになされないといかぬところだと思います。

 ただ、一つだけ、私らのときにはなかったものなんですが、派遣を受けております大企業、派遣を出しておる派遣元に所属をしておるわけですから、ここにおいての労働契約というものが、我々から見ますと甚だおかしな形になっておるのではないか。私は、ここの派遣元の話をきちんとしないと、派遣元に対して派遣先が発注するわけですから、その派遣元の会社との話だけで進みますので、派遣元がきちんと契約をし、企業として社員と個別にきちんとしたものをやっていないと、今言われているような話になっているのであって、ここのところをきちんとさせるというところが私は一番難しいのかなと。ここが一番難しいところです。

阿部(知)委員 総理、政治家には方向性とリーダーシップが必要なんですよ。総理には今明確に、製造業現場への派遣は禁止する、それに伴って起こり得るいろいろなことについては政治が対応すると。これが政治なんですね。ああだこうだ、そうだなんだと言っていて方向性が定まらなければ、国もそうですし、国民も行く先が見えないんですよ。ぜひそこを明確にしていただきたい。

 そして、派遣元につきましては、マージン率の問題とかいろいろありますよ。でも、登録型派遣だったら、仕事があるときとないときとあって当たり前で、仕事がないからないということで終わっちゃうんですよ。だから、登録型派遣も含めて禁止をしていただきたい。政治はそのような方向に向けるか向けないかが問われているんですね。そこを、恐縮ですが、私はあと給付金の問題をやりたいので、総理にはまた次の回、お願いをしたいと思います。

 私は、給付金の問題で、実は、後期高齢者医療制度の保険料で、年金から天引きされていなくて普通徴収の方で一体未納がどこまで起こるんだろうかということを、今、これは朝日新聞社調べ、厚生労働省調べも本当に少数ですがありますし、また東京の保険医団体連合会等々も調べておられますが、少なく見積もっても二十万くらい、多く見積もれば三十万、六十万と未納問題が起きると。

 この問題はこれとして医療制度でまたお伺いいたしますけれども、結局、こうやって未納になる方の実態を自治体はどこまで把握しているんだろうか。せんだって、子供の無保険問題が問題になりましたが、三万三千人の子供たちが医療を受けられない、保険証がないという状況が起きました。今度は高齢者で同じ状況が起こるでしょう、このままでは。

 そういう中で、例えば給付金が配られるというお話があるときに、実際には、例えばこの方たちは御高齢者で制度が変わったのもわからない、保険証が来ているけれども、これが未納で取り上げられるかどうかもわからないというような、いわば情報の穴に落ちたというか、漏れになっている方たちがたくさんおられると私は思います。今度、給付金を自分で申請なさるということすらかなわないでしょう。こういうことを総務省はどう考えておられるのか。

 そして、この間、住民税の問題も後期高齢者の問題もこの給付金の問題も、ひたすら自治体に負担をかけ続けてまいりましたが、一体そのことについては、この給付金を配ることを自治体にお願いするに当たってどんな配慮がなされているのか。単に補助金の問題だけではありません、人手が足りないんですから。そのこともあわせて、恐縮ですが時間内で、鳩山総務大臣、御答弁ください。

鳩山国務大臣 給付金の、自治体が配る問題については、とにかくできるだけシンプルな形にして手間暇がかからないようにと懸命に考えておりますが、それでも相当な超勤とかアルバイトとかそういうことで対処するんだろうと思いますが、それらはすべて国が面倒を見るということでございます。

 前段の長寿医療の二十万人というのは、これは一部ですよね。ひょっとすると四十万とかいう数字になるのかと思いまして、これらの問題については市町村にきちんと話をしていきます、あるいは広域連合にも話をしてまいりますが、これは舛添厚労大臣とよく打ち合わせをしながらやっていきたいと思います。

阿部(知)委員 私にしたら、子供がいる家庭が保険証を取り上げられるなどということが起こるこの国で、同じく、知らずに未納になり、そして今度は医療保険証が取り上げられる御高齢者が生まれるこの国で、本当に一番必要な給付金が、とてもとても今の自治体の業務の煩雑さ、繁忙さの中では行かないと思います。

 本当に真剣に考えて、この政策が果たして、福祉政策たり得ないし、では生活支援対策たり得るのか、手間暇ばかりかけて本当に効果が大変に疑念が抱かれるということを指摘して、終わらせていただきます。

衛藤委員長 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 議員亀井久興君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 亀井久興君。

亀井(久)議員 国民新党・大地・無所属の会の亀井久興でございます。

 ただいま委員長初め与野党の理事の皆様方の温かい御配慮によりまして委員外発言を認めていただきましたこと、まずもって心から感謝申し上げる次第でございます。

 麻生総理、私は、総理と小学校から大学まで同じ学校で学ばせていただきました。私の方が一年先輩でございますけれども、子供のころからよく承知をしておりますし、政界に入りましてからもほとんど同じ政策集団で政治行動をとってまいりましたから、もう知り尽くしていると言ってもいいかと思います。

 個人的な友情は変わらないと思いますけれども、今、私はまさに野党の立場でございまして、まさか麻生総理とこういう場で御質問をするというようなことになろうとは想像もしていなかったわけでございますけれども、そういう立場の違いというものがございますので、かなり厳しいことを申し上げますけれども、そのことについては御了解をいただきたいと思います。

 さて、最初に伺いたいんですが、自由民主党という政党が結党されたのが一九五五年、もう既に五十五年目を迎えているわけでございますが、それだけ長い間に、一時期を除いて、そのほとんど、自由民主党を中心にした政権がつくられてきた。国民からそれが支持されてきた。それはなぜだというように思われますか。

麻生内閣総理大臣 いろいろな御説なり、いろいろな分析が可能だと思いますが、自由民主党という政党が昭和三十年結党以来、少なくとも、いろいろな政策、その時代時代に合った政策というものをとって、それを現実、採用するだけでなく実行せしめて、結果として、日本の国家というものを経済的には間違いなく世界第二の経済大国までのし上げた。これは自由民主党が誇れる一つの大きな成果であり、国民として、生活水準の向上がそれを支えてくれるものの大きな支援の根底にあったんだ、私自身はそのように感じております。

 ほかにもいろいろあるんだと思いますけれども、これは大きな一つの要素だったと存じます。

亀井(久)議員 御承知のとおり、自由民主党、保守合同によってできましたけれども、その前にはいろいろな保守政党があって、それが一緒になった。その保守政党のそれぞれの考え方が自民党の中に持ち込まれて、一つの政策グループがずっと続いてきた。その中で、実に多種多様の意見が活発に議論をされて、それが民主的な手続で集約されて、政権政党として実現をしてきた、そういうことだと思います。ですから、まさに自由であり民主的な政党だったというように思います。

 それと、もう一つ大事なことは、その間に、私は、国民にこれだけ支持されてきたということは、いわゆる一億総中流社会と言われる社会をつくったからだと思うんです。これは本来、資本主義ではつくり得ない社会の形ですね。それを、市場経済、自由経済というものを維持しながらつくった。世界の他の先進国どこもなし得なかった、それを日本はやった。

 国民の皆様方、選挙をやったって何も変わりないじゃないですかとか、だれがやっても同じでしょうということを言われたということは、言ってみれば、基本政策が変わってこなかったということでありましょうし、そこには、自由民主党の党内でいろいろな議論が交わされて、それが一つに集約をされて、間違いのない政策をとってきて、その結果として、当時の野党が主張をしていた社会政策というものもどんどん取り込んで、そして、まさに世界に誇るべき一億総中流社会をつくった。そこに国民のコンセンサスというものがつくられたというように思うんです。

 その点、どう思われますか。

麻生内閣総理大臣 今おっしゃいましたように、一億総中流化がいいか悪いかは別にして、間違いなくそれが国民の多くの合意を得たということは事実だと思います。世界で最も成功した社会主義国家とよく外国の新聞にやゆされておりましたのも、当時、御存じのとおりであります。

 したがいまして、日本としては、少なくとも、そういう評価を得るほどにいろいろなものの規制などなどが多分あったからうまくいったのであって、その規制が逆に言えば活力をそいだとか、いろいろな面も事実でありましょうけれども、結果として、総中流化をなし遂げるに、この規制というものなり指導というものが大きな効果を上げた結果だということに関しましては同感であります。

亀井(久)議員 その点は同じだと思うんですけれども、私はよく円盤形社会という言葉を使うんです。戦前のピラミッド構造が、底辺がずっと持ち上がってきて、押しつぶされたひし形みたいになって、それがもっと薄くなってくると円盤のような姿になる。その中心部分の厚みは私はあっていいと思うんです、これがなければ競争力は出てきませんから。中心部分の厚みをどうするかということはいろいろな議論がある。

 だけれども、全体の形、姿形を変える必要はないというように思っておりまして、だから、まさに一億総中流社会というのは世界に誇るべき姿形だ。しかも、それで日本の経済が大きくなっていないんなら別ですけれども、どんどんそれで成長をして、今でもまだ世界で第二番目の経済規模を持っているということですね。ですから、私は、それを変える必要はないと。

 ところが、私は、小泉構造改革、特に竹中さんの経済財政金融政策と真っ向から対立をいたしましたけれども、あの方の考え方は、要するに、この社会における強いもの、大きいものを、より強め、大きくすれば全体がよくなるでしょう、そういう割り切り方をされるんですね。

 私は思い出しますけれども、ちょうど小泉内閣が発足をして間もないころに、最初の骨太の方針を竹中さんがまとめられた。その概要を示されて、私ども議論をしたことを思い出します。当時、麻生総理は政調会長。私は、その政調会長の意を受けて、総合経済調査会の会長をやっておりまして、まさに、経済財政諮問会議のカウンターパートを党でつくろう、そういうことでやりました。

 そのときに竹中さんが言われたのは、緊縮財政と不良債権の処理と企業の破綻処理の推進と規制緩和、これを強力に進めることによって、デフレを解消し、財政を再建すると言われた。私は、その基本方針では絶対にデフレも解消しないし、財政再建もできませんよということを申し上げたのをよく覚えております。

 最初、三十兆に国債の発行を抑えると言われたけれども、それもできませんよと言った。あのとき、すぐ補正でもって五兆増発しましたね。最初からできなかった。ところが、小泉さんは、そんなの大したことないでしょうというような発言をされましたけれども、最初から私はあの方針では無理だと。

 結局、思い切った内需拡大政策をとらない。デフレというのは、申し上げるまでもありませんけれども、需給バランスが狂っているわけですから、それを、供給を抑えることだけやれば縮小均衡に向かわざるを得ない。思い切った内需拡大政策をとって需要をふやすということを官民力を合わせてやるべきだということを主張しましたけれども、それは受け入れられなかった。

 企業経営者の立場になってみれば当たり前ですね。とにかく、景気対策を政府は本気でやらないなということになれば、それは個人消費も伸びませんね。個人消費伸びない、売り上げも伸びない、そういう中で設備投資なんかする意欲が出てくるはずがない。ですから、売り上げが伸びない中で一定の収益を確保しようと思えば、これはコストを削減するよりしようがない。結局、リストラというところへいかざるを得ない。

 そういう状況のところに、労働者派遣法の改正というものが進んできたわけでしょう。ですから、それをもう待ってましたとばかりに活用した、悪く言えば利用した、これが大企業の姿ではないのかな。ですから、今の労働者派遣の問題、これのもともとは、そういう大きな経済財政政策の失敗というところに起因をしているんではないか、そのように思いますが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 基本的に、この話は亀井先生と話し合った上で当時やらせていただきましたので。私の方としては、当時、ほぼ意見がことごとくあちらとは対立しておりましたので、非常に厳しい状況にあったのはもう御存じのとおりであります。

 少なくとも二つの前提条件が間違っているとあの当時申し上げた記憶があります。金利が限りなくゼロに近くても企業が金を借りて設備投資をしないという前提でこれまで経済学の本が書かれたことがあるなら、一冊でもいいから紹介してもらいたい、それが一つです。もう一つは、企業が、利益の最大化というのは企業家の立場ですが、それをやめて債務の最小化を図るという状況になれば必ずデフレになるのは当たり前のことではありませんか、そういう状況の中にあって財政が出動せずしてどうしてデフレを抑えることができるのか、ぜひ教えてもらいたいという話も二人で申し上げたと思いますが、そう申し上げて、御返事はなかったと記憶をいたします。

 結果として、その後、いろいろな形で今のような状況になってきておるのは事実なんですが、傍ら、規制を緩和させたためにいろいろな意味で活性化されたこともまた事実でありますので、その意味では、閉塞感の一部を打ち払ったことは確か。

 しかし、こういった改革をやりますと必ず、既得権益が破壊されてみたり、いろいろなものをいたしますので、痛みが出てきますので、そういった痛み、ひずみに対しましては、しかるべき痛みどめやら輸血やら、いろいろな形の手当てが今後経済の面において必要なんだと思っております。

 加えて、一挙に来ましたのが世界金融危機でありますので、その意味では、それが二重にかかってきたみたいな形になって、厳しい形になっておると理解をしております。

 いずれにいたしましても、内需の面でいきますと、公共事業は当時十四兆五千億あったと思いますが、今、約六兆ちょっとということになっておりますので、そういった意味では、内需の部分におけますものは、急激に政府支出を減らした結果は御存じのとおりであります。

亀井(久)議員 あの当時のことを考えてみますと、経済財政政策で思い切った需要拡大策をとらなかった、そのツケを金融政策にゆだねてしまっていたと思うんですね。もちろん、不良債権の処理は必要だったと思います。それは見事にやり遂げた。そのことは評価しておりますけれども、資金需要がないのに幾ら金融機能を強化しても全然意味がないですね。

 あのとき、本来からいえば金融政策の中心というのは金利政策ですけれども、金利政策が全然機能しないような状況でずっと推移してしまった。どうしようもないから、世界に例のない金融緩和兼量的緩和ということで、日銀の当座預金残高を三十兆から三十五兆に維持するということをずっとやって、二〇〇六年までそれを続けましたね。だけれども、日銀の当座預金残高、そこにじゃぶじゃぶお金があったって、それが実際に貸し出しに回っていかなければ何の意味もないわけですね。だから、資金需要をつくるということをやらなくてはいけない。それは、まさに経済財政政策でやっていく。民に力がないときは官が引っ張るのは当たり前だと私は思うんですね。

 ですから、財政というのは、難しく考えれば難しいんですけれども、要するに家計のやりくりと同じで、入るをはかって出るを制するということだと思いますけれども、出るを制することだけをやって入るをはかることをやらないんだから、どんどん縮小してしまう。

 ですから、GDPがこの十年全く大きくなっていないですね。税収は逆に減ってきている。また今度、歳入欠陥だという話になってきているわけですけれども、税収は伸びない。それで、GDPが大きくなっていないけれども、OECD参加国みんな伸びてきましたから、ここ十年で平均して一・五、六倍ぐらいになっていますから、どんどん差がついてしまう。だから、一人当たり国民所得が、一九九四年には世界で一位まで行ったのに、今、どんどん落ちてしまって、一昨年が十八位、昨年は十九番というところまで落ちて、先進七カ国の中では最下位ですね。ですから、強いもの、大きいものを強め大きくすれば全体がよくなるでしょうと言ったのに、全然全体はよくなっていないですよ。

 しかも、日本は貿易立国でやってきた、物づくりでやってきた。ところが、その貿易立国の拠点になる一つの空港とか港湾とか、これの整備が十分でないでしょう。ですから、私、船会社にいたから港湾に非常に関心を持っているんですけれども、今、世界のコンテナの荷扱い量の推移を見ていますと、かつて私が船会社におったころには、神戸港、横浜港というのは世界を代表する港湾の一つだったですよ。ところが今は、シンガポール、上海、香港、シンセン、釜山、ロッテルダム、ドバイ、それに今度は台湾の高雄、それからハンブルク、青島。そうすると、ロッテルダムとドバイとハンブルクを除くと、あとの七つは全部東アジアの国々の港でしょう。そこがどんどん活性化して、日本はまさにアジアの物流の拠点国じゃなくなっているわけですよ。

 そういうところに戦略的、集中的な投資をしなければ、日本の力というものは発揮されない。だから、そういうことに対する財政出動というものを私は恐れちゃいかぬと思うんですよ。それが、財政のことばかり考えてしまうから思い切ったことができない。やはり、総合的な国力をいかにして強めるかということを考えるべきだと思うんです。

 そこで、私、総理がスピード、スピードということを言われるんですけれども、小渕優子大臣の御尊父の小渕内閣、これは一九九八年、今から十一年前ですけれども、あのときの大変な状況を打開するためにとられた行動というのは、実に私は素早かったと思うんですよ。

 あれは、平成十年の十一月十六日に二十四兆円の緊急経済対策を打ち出した。その中に六兆円の減税というものも含まれていましたけれども。それを打ち出してすぐ臨時国会を召集して、十二月の十一日にはもうとにかく衆参両院で成立させちゃったんですね。そのときに、またもう一つ大事なことは、財政構造改革を凍結しているんですよ。だから、明らかに路線を転換しますよということをメッセージとして出して、その上で思い切ったことをやっておられるわけです。

 だから私は、今、アメリカを見ておりましても、先般、金融システム安定化法というのが一たん下院でもって否決された、九月二十九日。ところが、素早くブッシュさんも動いて、マケインさんとオバマさんと二人に話をして、二人が議会対策を一緒に力を合わせてやって、十月一日には上院、十月三日には下院を通してしまったというあの素早さ、そこが私は大事なんだと思うんですよ。

 ですから、補正を昨年内にお出しになるべきだ、なるべきだと私ども強く言ったのは、やはりそういうスピード感のあるやり方が、国民にまた本気でこれはやるんだなという安心感を与えるということにつながってくると思いますので、そのことは大いに見習っていただきたいというように思います。

 そしてもう一つ、これから、あのアメリカの金融システム安定化法を見ましても、七千億ドルその枠を用意したということで、言ってみれば、公的資金を金融機関にも注入していこうという日本に学ぶようなやり方もあるわけですけれども、その資金は一体どこにあるのかといったら、アメリカは国債の増発しかないですよね。だから、七千億ドル、国債の枠を大きくふやしているわけでしょう。その国債をそれではアメリカの国内で引き受ける力が今アメリカの金融機関にありますか。これはないでしょう。だから、いずれ、日本にどんとアメリカ国債を引き受けろ、また、基軸通貨としてのドルを維持するために日本に買い支えてくれという要請が来る、これも私は目に見えているように思うんです。

 そういうときに、とにかく日本はまだ力がある。どこにあるかといえば、千六百兆の個人金融資産がまだあるわけですよ。だから、日本というのは海外に金を貸している国なんですね。借りている国じゃないでしょう。国債だってちゃんと国内で消化しているわけですから。国債というのは、要するに政府にとっては借金だけれども、それを引き受けている民間の方にすれば最良の金融資産なわけですから、官から民へ移動しているというだけ。国内で回っている限りにおいてはそんなに心配する必要はない。

 ですから、どっちみちこのお金が使わされるんだから、日本の国民生活のために、国益のためにまずこれを使うんだ、そういう政策を思い切ってお出しになるべきだと思います。ですから、少なくとも骨太二〇〇六という、社会保障関係費を一兆一千億切るというようなこととか、あるいは公共事業費をどんどん切っていくとか、ああいうようなことにもう歯どめをかけて、それと、構造改革路線と決別をするんだというその宣言をまず出されて、それから思い切っておやりになるべきだと思いますけれども、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 今御指摘のありました点ですけれども、これは非常に大事なところです。今、状況は明らかに変わってきておりますので、それに合わせて経済政策も転向して当然ではないかという御指摘なんだと存じます。

 私ども、今回、それに当たりましても、いわゆる世界最大の海外債権を保有している国家でもありますが、同時に、国債発行の点からいいますと借金国でもあります。そういった二つの面をちょっとまじめに考えておかないかぬところでありまして、これを、基本的にはこういったときに合わせてということで、今回、経済対策として七十五兆円というものを今御審議いただきたいところなんですが、これをやらせていただくに当たって、ある程度裏づけもきっちりしておかないとということで、中期プログラムというのを出させていただきました。

 これは、私どもにとりましてはすごく大きなところでして、これがなくなりますと、日本の国債というのは先はない、危ないということになったら、いきなり国債の金利がぶわんと上がり始めるということは同時に避けねばなりませんので、私どもとしては、目先、経済対策、そして中期には責任ということを申し上げざるを得ない、その背景は御理解いただきたいところだと存じます。

亀井(久)議員 この問題はまたゆっくり議論をさせていただきたいと思います。

 次に、今、新聞紙上等で話題になっております郵政に関することで、西川参考人には、お忙しい中、ありがとうございます。かんぽの宿の売却問題でございます。

 これは枝野委員も取り上げられたわけでございますが、私ども郵政の方からもいろいろ事情は聞いておりますが、聞けば聞くほど不明朗なことが浮かび上がってまいります。

 西川参考人にまず伺いたいんですが、西川参考人は総務委員会の先般の株式売却凍結法の議論の中で、上場までは株式は売却はいたしませんということを明確に言われておるわけでございますが、今回のそのスキームを見ておりますと、会社を分割して、それを一括譲渡する、そういうやり方でございますから、これは明らかに株式の売却に当たるというように思うわけでございます。平成二十四年の九月末までに売却をしろという民営化法の附則にのっとってやるということですけれども、平成二十四年の九月までには三年半以上あるわけですから、まだ時間は十分にあるわけですから、なぜ焦ってそういうことをされるのか。

 それとまた、鳩山総務大臣、極めて明確な答弁をしておられますけれども、やはり国民の、簡保加入者の貴重な拠出金によってつくられた資産ですから、それを、株価が下がっている、不動産が下がっている、こういう悪い時期にどうして焦って売らなくてはいけないのか、そのことを大変疑問に思っておりますので、西川参考人と鳩山総務大臣から明確に御答弁いただきたいと思います。

西川参考人 お答え申し上げます。

 株式の譲渡ということでございますが、これは、かんぽの宿の事業を会社から、新設分割という形で会社をつくりまして譲渡をしようということでございます。そのような形にいたしますのは、一つのテクニックでございまして、かんぽの宿は不動産以外に従業員、もちろん従業員も多いですし、あるいは取引先からの買い掛け債務等もございますから、こういったものをまとめて売却をさせていただこうということでございまして、そのために便宜新しい会社をつくる、日本郵政から分割をいたしまして新しい会社をつくろう、こういうことでございます。

 したがいまして、日本郵政本体の株式を今売却しようということではございません。

 それから、今なぜかということでございますが、売却手続にはやはり相当時間を要します。今回の案件につきましても、受け渡しをいたしますまでには、やはり当初から数えますと一年程度かかるということになります。

 そういう時間がかかるということと、もう一つは、二番目には、従業員の方が、これは売却あるいは廃止について法定されておるということでありますし、また期限も切られているということでございますから、やはり先行きの雇用について御心配をなさるということでございますので、この雇用の確保ということについて早くはっきりとさせていく必要がある、そうでなければ、なかなかモチベーションも維持ができないということが一つでございます。

 それから、これは実は不採算事業でございまして、持てば持つほど負担がかかってくる、こういうことでございますので、早く売却できるものであれば早く譲渡してしまいたいというのが一つの理由でございます。

 以上でございます。

亀井(久)議員 今の御答弁、私、極めて不明瞭だと思います。私が伺ったのは、株式の売却は上場までやらないと言っているけれども、実質的に、会社分割してその株を渡すわけですから、やはり同じ話ではないかというように思うので、その辺の答弁との整合性が全くとれないということ、それから、相手がオリックスグループのオリックス不動産であるというところに私は極めてこれは不明朗なものを感じるわけでございます。

 しかも、オリックス、今、市場関係者の間では、将来性、これは危ないのではないかということも一部で言われているわけで、去年の十月から十二月までの間に株価が三分の一に落ちていますね。そういうような状況で、これは信用リスクもかなりあると言われている、そういうところになぜこれだけ焦って売却をしなくてはいけないのか。

 四月一日には譲渡完了というような、そういう計画だと伺っておりますけれども、それには総務大臣の認可が必要になるわけでございますから、総務大臣がやはりきちっと、そこは、こういう不明朗なやり方は認められないということで認可を認めない、そういうことをぜひお願いしたいと思いますので、御答弁をお願いします。

鳩山国務大臣 やはり一番大事なのは、李下に冠、瓜田にくつを入れずということでございまして、先ほど枝野議員にもお答えをいたしまして、国民から、これはできレースじゃないか、こんなときに安売りするのかと。国民は怒りますよ。だから、そういうことは私はきちんと考えていきたいと思いますし、何で一括じゃなければいけないんだろうか。

 それは、確かに法律で五年以内に売却するということになっておりますけれども、大変評判のよいかんぽの宿があって、お客さんもいっぱいいるんだったら、まさに地域活性化で、その地域の方々が地域資本で運営するということは観光の振興にも役立つし、地域の振興にも役立つ。

 どう考えてもおかしな話で、しかも、私が認可しなければ会社分割はできないのに、会社分割を含むような話が、少なくとも日本郵政から私に一遍の報告も話し合いも相談もない。大変おかしいんですよ。だから、おかしいものはおかしいと私は申し上げているわけで、亀井先生の御意見をよく体して、これからまた調査し、考えてまいります。

亀井(久)議員 鳩山大臣の極めて明確な御答弁をいただきましたので、そのとおり、政治家としての立派な見識を発揮していただけるということを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて亀井久興君の発言は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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