衆議院

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第5号 平成21年1月13日(火曜日)

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平成二十一年一月十三日(火曜日)

    午前九時三十七分開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    猪口 邦子君

      臼井日出男君    小野寺五典君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      岡本 芳郎君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      坂本 剛二君    下村 博文君

      菅原 一秀君    杉浦 正健君

      園田 博之君    中馬 弘毅君

      徳田  毅君    仲村 正治君

      根本  匠君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    深谷 隆司君

      馬渡 龍治君    牧原 秀樹君

      三原 朝彦君   吉田六左エ門君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    仙谷 由人君

      園田 康博君    筒井 信隆君

      中川 正春君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    渡部 恒三君

      池坊 保子君    江田 康幸君

      笠井  亮君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           保坂 展人君

   議員           下地 幹郎君

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   財務副大臣        竹下  亘君

   文部科学副大臣      松野 博一君

   文部科学副大臣      山内 俊夫君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   衆議院議事部長      白井  誠君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小宮 義則君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月十三日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     馬渡 龍治君

  斉藤斗志二君     猪口 邦子君

  杉浦 正健君     牧原 秀樹君

  吉田六左エ門君    徳田  毅君

  前原 誠司君     園田 康博君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     斉藤斗志二君

  徳田  毅君     吉田六左エ門君

  馬渡 龍治君     木村 隆秀君

  牧原 秀樹君     杉浦 正健君

  園田 康博君     前原 誠司君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)

 平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)

 平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。(発言する者、離席する者あり)

 平成二十年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)並びに枝野幸男君外三名提出、平成二十年度一般会計補正予算(第2号)及び平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)に対する両修正案、以上三案及び両修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房文教施設企画部長布村幸彦君、農林水産省大臣官房総括審議官針原寿朗君、農林水産省総合食料局長町田勝弘君、経済産業省大臣官房審議官上田隆之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより締めくくり質疑に入ります。(発言する者あり)

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島敏男君。

小島委員 自由民主党の小島敏男です。

 きょうは、締めくくり質疑ということで、淡々と粛々とできるものと思っていたんですけれども、こんなにたくさんの傍聴する方がいるということに本当に驚いているわけでありますけれども、今まで考えていたことを申し述べたいと思います。

 まず、総理、韓国からお帰りになったわけですけれども、日韓新時代、この具体化を推進したということで、心から敬意を表しますと同時に、お疲れさまでした。

 今回のいわゆる給付金の問題を初め第二次補正は、野党の方々は、スピードを持ってやれということで、どんどん早くやってくれということなんですが……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いします。

小島委員 ともかくこのように、怒号の中でどんどんおくらせるということは、今まで言っていたことと全く違うということで、私としては本当に理解に苦しむところであります。

 二日間の質疑も私はじっと、菅先生、枝野先生、そして笠井先生の話もじっと聞いていました。大変すばらしい意見も出ていました。そういうことで、私が質疑をするときにこういう怒号の中にさせるということ、このことは考えられないんです。もう少し、私が質疑をしている間だけでも静かにしていただきたいと思います。

 二日間にわたっての質疑は、不況に対する認識というのは皆さんが同一なんですけれども、そのやり方、いわゆる、だから今どうするかという点に欠けていたのではないかと思います。将来に向かって総理が命がけで取り組んでおられる景気対策に対する予算の議論を横に置いて、定額給付金は天下の愚策、総理は受け取るか受け取らないかをテレビに向かって話し、総理が悪いことをしているようなイメージを与えることに終始していたわけであります。

 菅委員は、私はもらわないという話をしていましたけれども、菅委員がもらわないといって、次の日のテレビだとか新聞で取り上げたところはありません。ということは、総理がもらうかもらわないかというのは、やはり日本の一番トップとして、みんな関心を持っている。ですから、そのことを何とか返事をさせようということで終始したわけでありますけれども、いずれにしても、世界各国を見ると、恥や外聞を捨てて、ともかく今の難局をどういうふうに乗り切るかということを真剣に考えているところでございます。

 そこで、特に今回の震源地であるアメリカ、一月二十日にともかく新しい大統領が就任をする、しかし、その前に、ともかく金利をゼロ%に落としました。英国は、何と三百十五年ぶりに、一六九四年創設以来、イングランド銀行が利下げに踏み切り一%台にしたんですね。ですから、今回の不況というのは、百年に一度と言われているように、明確な処方せんというのはありません。ともかく、各国がこれでどうだ、これでどうだということで一生懸命にやっていることも事実でございます。

 昔から言われているのは、愚者は賢者に学べ、賢者は歴史に学べということが言われております。私たち自民党の中では金融調査会というのがありまして、その中に金融政策に関する小委員会があります。座長は山本幸三先生が務めておられますけれども、昨今の状況は一九二九年、三〇年代初頭の大恐慌、昭和恐慌に酷似しているとの問題意識から、その道に通じた先生方をお招きして、昨年十一月から毎週会議を重ねている、勉強会を重ねているところであります。座長がまとめられた昭和恐慌に学べのレポートを総理にお渡ししてありますが、御感想をいただければ幸いに思います。

 野党からは選挙対策のばらまきと批判がある定額給付金でありますが、正確さを欠く報道ですが、相当浸透してきた。いわゆる野党の皆さんが騒げば騒ぐほど、国民の中に給付金とは何だろうかということがずっと浸透したわけですね。ですから、この連休……(発言する者あり)

 委員長、静かにと言ってください。民主党の皆さん、だめですよ。

 この連休中に新年会でこの種のお話をいたしましたが、善意に解釈している人が多いのに実は驚きました。今やるべきことは、全国津々浦々に、体でいえば、体の隅々まで血液を送り、一日も早く健康体にすることが先決だと思います。雇用をどうするか、そして福祉をどうするか、そういうところにだけお金をやって、全体の景気が上がるんでしょうか。これは絶対上がらないと思うんですね。ですから、全国津々浦々に給付金をやるということ、前代未聞ですよ、はっきり言って、やったことがないんです。ところが、諸外国はそれを全部やっているんですね、これでもか、これでもかということで対策に取り組んでいるわけです。ぜひ総理の信念を通してもらいたいと思います。

 きょうの日本経済新聞、ここに、ドイツが所得減税や企業支援ということで、追加景気対策最大六・三兆円、昨年分を合わせると欧州で最大規模というんですね。ですから、ドイツ、英国、フランスの例が載っていますけれども、ともかく皆さん、景気対策の支援をしながら、頭をひねっている状態がわかるわけですけれども、ぜひそのことを考えていただきたいと思います。

 総理は一貫してこの景気対策を第一として考えているわけでありますので、その辺の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 高橋是清内閣にさかのぼっての過去の歴史に学ぶという観点からの山本幸三先生からのレポートというのは、拝読をさせていただきました。

 これは、御存じのように、いわゆる一九三〇年、通称昭和の恐慌と言われたときの話で、高橋財政とよく言われるものですが、これは、今でいえばいわゆる日銀引き受け、当時は太政官札というような形でやられたのが一点と、もう一点は、いわゆるインフレターゲット論みたいな感じになろうかと思いますが、そういう意味での金融政策というものの重要性を二つ語っておられるんだと思って、あれを拝読させていただきました。

 いわゆる百年に一度と言われることですから、これは過去に例がありません。先ほど税制の話をされておられましたけれども、これは各国いろいろ、家計部門への直接給付という形での経済政策というのは、オーストラリアとか、豪州とか今言われましたドイツ、いろいろなところが皆これをやっておられますので、アメリカも似たような制度というものを直接給付という形で、いわゆる小切手とか口座振り込みとかいう形を、これはみんなやっておられます。

 ただ、この種の話をやれという一部の党の御意見もありますが、これを日本でやる場合には、これはいわゆる納税者番号というものが認められるという前提で多分やっておられるんだと思いますが、納税者番号が今の日本にはございませんので、今の段階で納税者番号なしでこれをやろうということになりますと、これはかなりの時間がかかることになります。スピードという点からいきましても、この点はいかがなものか。したがって、我々としては、給付金でやる以外に方法がないのではないか、急ぐので。

 特に、定額減税といった場合、減税されない方、いわゆる対象外の方がかなりの数いらっしゃいますので、その方々にどうするかということを考えてこの給付金という制度を採用させていただいたというのがその背景であります。

 また、今言われましたように、これは全体として今回、いろいろな話をさせていただいておりますけれども、我々として、今回二兆円だけが景気対策かのごとき話になっておりますが、それは全然違います。これは総額七十五兆円になりますから、最初の一次補正で約十一兆五千億、そして、その後の二次補正で、今回通させていただこうというこの二次補正で約二十七兆、そして、今月に出させていただく予定の平成二十一年度の予算分で景気対策が約三十七兆になりますので、合計七十五兆円、総額七十五兆円になろうと存じます。

 その七十五兆円分の二兆円の話をしておりますので、私どもから見ますと、景気対策は何もしないでこの二兆円の定額給付だけが景気対策かのごとき誤解というものを与えられるようにいろいろされておられますが、全然現実は違うという点でありまして、この点は我々もさらに説明を熱心に続けていかないと、いかにもこれしか景気対策をしていないかのごとき話は明らかに誤解であろうと存じております。

小島委員 大分総理の話が、非常に落ちついて話をされましたので、よくわかりました。

 それで、やはり補正予算を組んで、そのことに対して野党の皆さんは余り言いませんよ。ただ二兆円だけを攻めるということに終始しているわけでありますね。

 おとといの新聞ですか、総理がさらなる追加も考えるんだということが新聞に載っていましたね。そうすると、今の状態で満足ではない、もっと、機を見て敏ではありませんけれども、もし必要なことがあればさらなる補正も組みたいという意思だと思うんですけれども、そういう御意思はあるんでしょうか。

麻生内閣総理大臣 御存じのように、今、二次補正をまだ審議していただいている最中、また、本予算の審議にも入っていない段階からどうするということを申し上げるという段階にはありません。ただ、私どもは、今回のこの七十五兆でかなりの効果を期待できるものと思っております。

 ただ、世界を見てみますと、金利を下げたりということをいろいろやっておられますが、我々もかつて大幅に金利を下げて、九十何年からずっとやったんですけれども、金融政策というのは、こういうような状況では余り効果は上がらなかった。

 明らかに、いわゆる金を借りている側の企業はすべて安い金利で金を借りて設備投資をするという前提で、我々が習った経済学はそうなっておりますけれども、金利を幾ら下げても企業が金を借りずに、むしろこれまでの借金返済にすべての利益を優先する。経済用語で言う利益の最大化をやめて債務の最小化を図るという前提で書かれた経済学の本はありません。したがって、そういう状態が起きておりますので、我々は金利ゼロにしてもなかなかさようなわけにはいかず、企業はどんどん借入金の返済を優先したという状態がずっと続いた歴史があります。

 したがって、こういったことになりますから、確実に財政出動というものがない限りはなかなか景気は回復しません。これが我々が九七年、九八年のあのアジア金融危機などなどで習った、もしくは学習したことです。

 したがって、我々は過日のワシントンでもほぼ同じことを、我々の経験からいったら金利を幾ら下げてもそんなに効果は出るものじゃありませんよという点だけは、我々の経験則として申し上げると言った一つの例です。

 そういった意味で、今、各国初めてのことですから、デフレ下の不況というのをやった経験のある国は先進国を含めて戦後一つもありません、日本だけですから。その不況経験を踏まえての話になっておりますので、今、各国はいろいろ模索をしておられるんだと思います。

 ただ、日本はこれは十何年かかりましたけれども、ほかの国は日本の経験則を学んでいただければもっと早く対応していただける、それが結果として世界不況からの克服につながっていけるものだと期待をしております。

小島委員 ありがとうございました。

 今回の世界同時不況、同時株安、そういう関係というのは予想していなかったわけでありますけれども、このことが、ともかく私たちの産業構造を、この点はこう改めるべきだったな、少し偏り過ぎたなという点も全部洗いざらい出てきたわけですね。そういうことで、これを教訓にして、これから先の長い日本の経済を立て直していただきたいと思います。

 私が望むのは、総理がいつも言っている世界一早い不況からの脱出を絶対に図るんだという力強い意見についていきますから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、時間が大変たっておりますので、これから質問をさせていただきますけれども、質問項目を出してありますので、それを順々にやっていきますので、答弁される方は端的にお答えをいただきたいと思います。

 まず、地域活性化・生活対策臨時交付金でありますけれども、これは各自治体とも大変に大幅に税収入が減っていますので、この辺は喜んでいますね。私の地元の市長にお聞きしましたら、一番効率的な使い方を検討中とのことであります。自治体の個々の取り組みと国の指導助言が適切に行われ、有効に活用されることを願っていますが、石原委員もこの点について、よく指導してやってくれないかということを基本的質疑でお話しされましたけれども、この辺は大丈夫なのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 一次補正で二百六十億円の緊急安心実現総合対策交付金、これも先生、多分かなり評判がよかったと思いまして、地方が一番喜ぶのは地方税、自分自身の収入、それから地方交付税、これは全く自由に使えるわけでございます。

 総理からの御指示は、交付金であってもできる限り使い勝手がいいようにということでございましたから、二百六十億円の先ほどの交付金もそのような設計をして、大体ほとんどの地方公共団体に御利用いただいております。

 二次補正の今度の地域活性化・生活対策臨時交付金は、そのスケールは相当大きい六千億。三月に配る特別交付税が六千七百億円分あるんですね。大体それと同スケールのものが二次補正で組まれておりまして、これもできる限り使い勝手がいいように、ハードでもソフトでも、あるいは補助率が法定されていない補助事業の裏負担に使うことも可能でございまして、例を挙げろと言われたら、例えば地域の産業育成でも結構ですし、中心市街地の活性化でも結構ですし、ケーブルテレビだとか光ファイバーを引くことでも結構ですし、実施計画、こんなことに使いたいという書類を出していただいて、それに対してお金を出す、その辺の手続をできる限り柔軟に簡単にしよう、こう考えております。

小島委員 それでは次に、農業政策について石破農林大臣にお伺いしたいと思います。

 年明けの新聞でしたけれども、新聞報道で、大臣が米の生産調整の廃止に言及したような記事が一斉に各新聞で載ったんですけれども、この真意は何だろうかということをちょっとお聞かせいただきたい。

 それから、我が国の食料自給率というのは、カロリーベースで見ると、昭和三十五年には七九%ありました。今や四〇%であります。麻生総理は五〇%の自給率を目指すと言われておりますけれども、どのように具体化をされるのか。

 それで、もう一つの質問は、国土の七〇%近くが日本の場合には山林に覆われていますので、残りの三〇%に工場が、家が、畑があるわけでありますけれども、国の国土形成上からいっても、今の食生活を前提にした場合に、何%ぐらいが一億二千六百万が食べていける最大のパーセントになるんだろうかということをいつも思うんです。海外から絶対に輸入しないんだということはあり得ないと思うんですけれども、今の現状からいうと大体何%ぐらいかということがわかったらばお知らせいただきたいと思います。

石破国務大臣 お答えを申し上げます。

 先生冒頭御指摘の、生産調整をやめるということを私は申し上げたわけではございません。そこは記者会見でも注意して物を申し上げておるつもりでございます。

 ただ、問題は、生産調整というものを考えましたときに、どうしても参加する人と参加しない人がいますね。参加する人たちのいろいろな努力によってお米の値段というのを何とか保っているわけですが、そこに参加しないという人が出た場合に、結局、まじめにやった人の努力の上にもうける人がいる、逆の表現をすれば、正直者がばかを見るという制度、これはどうなんだろうかということは考えてみる必要があるだろう。

 そしてまた、私の選挙区もそうですが、水田の四割があいているわけであって、これがどうしても閉塞感とか疲弊感とかそういうものを生んでいるだろう。そのあたりをどう考えるかということをありとあらゆる観点から検討してみたいと思っております。

 いずれにいたしましても、今、随分、前と違いまして、米粉でつくったパンとか米粉でつくったうどんとか、そういうものが非常においしいですよね。そしてまた、耕畜連携によって、えさ米というものをつくるというのも随分と進展をしてまいりました。当面、水田のフル活用ということを考えてまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、あらゆる角度からタブーなしの議論をいたしたいと思っております。

 また、自給率のお話がございました。

 最後の質問からお答えをすれば、前の予算委員会でもお答えをしましたが、サツマイモ中心の食生活になれば、何とか何とか、今の耕作可能面積をフルに使えばできないことはないお話です。ただ、今みたいな食生活は絶対にできません。芋主体の食生活ということになります。

 私は、食生活がどんどん貧しくなって、結果として自給率が上がってめでたしめでたしというのは倒錯した議論だと思っているのです。やはり大切なのは、農地が減らないこと、そして農業者が減らないこと、そして多様な担い手が就業すること、農業技術が衰退しないこと、そういうことが肝要だと思っております。

 他方、今地球では、先生は外務政務官をやっていたからよく御存じですが、九億人が飢餓状態にあって、一日に二万四千人が餓死をしておって、五秒間に一人子供が飢え死にしている、そういう状態にあって、我が国が六割を外国から頼っているということで本当にいいのでしょうかということだろうと思います。

 世界に対する責任と、そして農地、農業者、農業技術、そういうものをきちんと伝承するために、自給力の確保ということは私は極めて肝要なことだと考えておる次第でございます。

小島委員 ありがとうございます。

 時間がどんどんなくなってきたんですけれども、文部科学大臣にお聞きしたいのは、ノーベル賞を受賞した、昨年四人おりましたけれども、そこで理科離れがとまったかなということだとか、それから全国学力・学習状況調査というのが毎年四月に行われるんですけれども、これは六十億円というお金がかかります。また、ことしは三回目が行われるわけでありますけれども、これをやると必ず、公表するかしないかということがまた新聞に載るわけでありますけれども、この実態等についてちょっとわかったらお知らせいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 暗いニュースが多い中で非常に明るいニュース、四人のノーベル賞受賞者が出たということは、非常に我が国にとってうれしいニュースだったわけでございます。私も、御招待を受けて授賞式に行ってまいりました。

 いずれにしましても、日本のレベルの高さを改めて証明したことになったと思いますし、国民に夢と希望を与えた今回の受賞だったと思うわけでございます。

 私どもとしましても、過去のノーベル賞受賞者に集まっていただいて、今後の基礎科学力の強化はどうするべきかということを二回ほど話し合っていただきまして、文部科学省としては、基礎科学力強化総合戦略構想というものをつくったわけでございます。特に、研究者の支援、そして研究環境の整備、さらには創造的人材の育成ということで、特に若い人、子供たちの理科教育は充実させていこうということで、この構想に基づいてしっかりと基礎科学力を推進してまいりたいと思っておるところでございます。

 また、学力・学習調査につきましては、今委員お話しのとおり、公表の問題がいろいろ言われておりますが、私どもとしては、過去に公表して序列化や過度の競争が起こってやめた経験があります。

 したがって、今回、この調査を導入するに当たって、国会でも議論され、伊吹大臣のときでありますが、やはり公表しないで行うということを明言しておりまして、これは、具体的な目的としては、国は国、そして県、市町村、学校、個人、それぞれが自分たちの学力をしっかり把握すると同時に、それをもとに改善をしていくということが大きな目的であります。今回、公表に当たっては、秋田県知事が教育委員会の了解なく公表しまして、既にその中で藤里町が、公表するなら参加しないということを言っておりますので、そういったことでは、まさにこの調査の目的が本末転倒の話になりますので、ぜひこの目的を理解してもらうためにまた努力をしてまいりたいと思います。

小島委員 きょうは質問をする段階で時間配分を全部したんですけれども、余りにも傍聴席、あれっ、だれもいなくなっちゃったですね。余りにいたので、時間配分がすっかり狂っちゃったんですよ。まあ、ともかくひどかったですね。

 いずれにしても、小渕少子化大臣にも聞きたいし、いろいろあったんですよ。だから申しわけないなと思うんですけれどもね。妊産婦の支援のことについても大変に厚労省が前向きに取り上げているということであって、これはもう本当にすばらしいなということを褒めながら、少子化に何とかなるのかということも聞きたかったわけです。

 それから、次は貸し渋り、貸しはがし。去年の委員会ではほとんど貸し渋り、貸しはがしの質問ばかりだったんですけれども、金融機能強化法が成立して、これがどういうふうに変わったかということも聞きたかったわけです。私は、前向きにこの法律を利用しながら、ともかく貸し渋り、貸しはがしの解決に結びついているんだというふうに理解をしておりますけれども、また質問の機会があったらしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 これにて小島君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 私からは、まず、舛添厚生労働大臣に何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 この委員会でも、社会保障関係の人材の確保が大事だという質問が何点かありました。そういった観点から、介護従事者の処遇改善について、この二次補正予算でもしっかり取り組んでいただいていますので、その点について質問をさせていただきたいと思います。

 私ども公明党の議員に介護現場の職員の皆さんから、理想と希望を持って介護現場に入ったけれども、余りにも給料が安過ぎる、労働は過酷なのに一生懸命頑張ってきたけれども、こんなふうに給料が上がらないのでは続けられないという声が多く届きました。

 実は、きのう地元で、語る会を三カ所やりましたが、その中でも、お母さん二人から、息子さんが十年勤めたけれども、今、奥さんと子供二人いる、このままでは、この給料では暮らしていけない、ほかの仕事を探さざるを得ないという声が一つありました。もう一人のお母さんからは、娘は十二年やってきて、あらゆる資格も取って、夜勤もずっと何でも受けてやっているけれども、一カ月二十万にならない、娘は独身でうちにいるからまだやっていられるけれども、こんなので本当に介護人材のことを政治が考えているのか、そういう生々しい声も聞きました。

 そういう意味でも、厚生労働省の調査でも、二〇〇七年度の介護職員の離職率というのを調査されたそうですが、一年以内に二一・六%が離職されている。ほかの産業では平均一五・四%ですから、これはかなり離職率が高い。やはり、頑張ろうと思ってもお給料がなかなか行かないんだろうなというふうに思います。

 そういった点をやはり改善していかなきゃいけないということで、この二次補正で、介護従事者の改善のための緊急特別対策ということを厚生労働省の方で考えられました。プラス三・〇%の介護報酬改定により処遇改善を図るんだということですが、介護報酬を上げれば当然保険料にはね返ってきますので、今度、保険料にはね返った場合には、何でこんなに保険料を上げるんだというふうな話にまたなるわけですね。そこも、保険料の上昇を抑制する措置を今回盛り込んだということですので、どのような考え方に立ってこういうふうにされたのか、また、現実に介護従事者のお給料が本当に上がっていくのか、そういった点も含めて厚生労働大臣の所見を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 委員御指摘のように、介護の現場で働く方々の待遇改善、これはもう喫緊の課題だというふうに思っております。特に離職率の高さ、こういうことにあらわれていると思います。

 今回、三%の介護報酬改定をやりますが、これは、委員御承知のように、事業者に支払われるものであって、そこから先は事業者が勤続年数とか介護の現場におられる従事者の状況を見ながら決めるので、自動的にすべて賃金にはね返るというわけにはまいりません。しかしながら、できるだけそうなるように、これは総合的にいろいろな施策をやる必要があるというふうに考えております。

 具体的には、手厚い人員配置を行う事業者とか、それから介護福祉士を有する職員を多く配置する事業者、それから、一定以上の勤続年数の職員、非常勤職員の割合が高い事業者に対する新たな加算、これは先ほど御指摘の、長い勤続年数にもかかわらず上がらない、こういうことに対する手当てでございます。

 それから、介護従業者の給与水準について、上げた後を検証していってみたいと思います。さらに、経営モデル、こういうモデルをやると経営がよくなりますよ、それも提示いたしたい。それから、やはりキャリアアップが必要ですから、このためのさまざまな助成措置をやっていく。

 こういう工夫によって、今回の三%の報酬アップが待遇改善と直結するように努力をしたいと思います。

 そして、今おっしゃったように、報酬は上がるけれども保険料が上がればどうしようもないので、今回の補正予算においては、二十一年分の保険料上昇分の全額と二十二年度の保険料上昇分の半額、これについては市町村に交付することによって国民の負担を少なくする、こういう工夫を行い、よりよい方向を目指したいと思っております。

富田委員 今大臣がおっしゃられたように、事業所に報酬アップ分は行くので、ストレートに従事者の給料のアップにつながらないというのはよくわかるんですが、この補正予算を見て、介護従事者の皆さん、自分の給料がもしかしたら二万円ぐらい上がるんじゃないかという期待を持たれている方は大勢いらっしゃると思うんですね。その期待を裏切らないように、今おっしゃったようにきちんと検証していただいて、事業者も大変だというのはわかります。きのうも、事業者の方からも、我々だって大変なんだという声がありました。両方が本当にうまくやれるように、ぜひフォローアップをしていただきたいというふうに思います。

 先ほど小島先生が妊婦健診の件を聞きたかったというふうにお話しされましたが、私も質問で予定しておりましたので、小島先生にかわりまして私の方からも質問をしたいと思います。

 今回、妊婦の皆さんが健診の費用の心配をしないで、必要な回数、おおむね十四回程度と言われていますけれども、これを受けられるように、現在地方財政措置されていない九回分について、平成二十二年度までの間、必要な財源を確保して、市町村における妊婦健診の公費負担の拡充を図るというふうに聞いております。

 これまでも五回分財政措置されていましたが、ほかに流用されてしまったり、なかなか五回きちんと実施していただいていない市町村もある。おおむね、大体五回に近づいてきた。これを何とか必要な十四回にしたいということで今回の措置がとられたと思うんですが、今回の国が措置したお金というのは、都道府県に基金をつくって、そこにとりあえず置くという形になりますよね。残り九回分の半分は必要な地方財政措置を今後やっていくんだということですので、これを合わせれば間違いなく十四回妊婦健診が担保されるというふうに考えていいんでしょうか。

舛添国務大臣 私の問題意識は、こういう厳しい経済情勢の中にあって、手持ちのお金がないならば出産できない、妊娠もできない、これはやるべきではなくて、国がきちんと責任を持って、本当に全く一円もなくても、妊娠して、安心して検査をし、出産するところまではやるべきだ。したがって、十四回全部これは無料化する、残りの九回分は、半分が国庫、半分が地方財政措置できちんとやりますということでございます。

 それで、さらに申し上げますと、今、出産一時金は三十五万円でございます。これを四万引き上げまして三十九万にするとともに、無過失補償制度で三万加えましたから、四十三万円ということになります。そして、今まで出産一時金は、まず自分で払って後で国から、保険者から振り込んでもらう。これをやめて直接医療機関に払ってもらう。

 こういうことで、とにかく、それはもう豪華な病室で産みたいとかいうようなことではなくて、普通どおりであれば、一切お金の心配をしないで、妊娠し、検査をし、出産できる。こういう体制をきちんと今回の補正予算で対応していきたいと思っておりますので、ぜひ一刻も早くこの法案を採択していただければと思っております。

富田委員 大臣の意気込みどおりにぜひ実現していきたいと思いますけれども。

 今、四十三万と言われましたけれども、四十二万ですね。本当に、妊娠から出産まで一貫した支援で、経済的不安によって出産を断念するようなことのないように、そういった環境をぜひつくっていっていただきたいというふうに思います。

 次に、総理にお伺いいたします。

 アメリカのゴア元副大統領がこのように最近発言したというふうに報道で知りました。ちょっと長いんですが、引用させてもらいます。

 世界経済はこれからしばらく大変に厳しい不況を経験することになる。どのように需要を創り出すのかということが重要な政策的な課題となるはずだ。それはたんに景気を刺激するためだけのものであってはいけない。次の時代に備えた投資でなくてはいけないのだ。そしてそのもっとも有力な対象は温暖化対策ではないだろうか。発電などで脱炭素燃料を促進する投資を行い、モーダルシフトを推進してエネルギー効率を高めるというような活動は、巨額な投資を伴うものである。不況の今こそ、そうした投資を加速するような政策誘導が必要である

という発言をされたようであります。

 また、オバマ次期アメリカ大統領も、去年の八月に、グリーン・ジョブという表現を使われまして、今後十年で太陽光や風力発電など再生可能エネルギーに千五百億ドルを投じて、五百万人の雇用を生んでいくというような発言をされたというふうに聞いています。

 こういうグリーン・ニューディールとも言われるような一連の構想が今出てきておりますが、実は総理、総理就任直後の所信表明の中でこういうふうに言われていました。「我が国が強みを持つ環境・エネルギー技術には新たな需要と雇用を生む力があることを踏まえ、これを育てていく」というふうに発言されているんですね。これは今言われているグリーン・ニューディールとも軌を一にするものだと思うんですが、総理はこのグリーン・ニューディールについて、どういった方向性、また具体策を考えられておりますか。

麻生内閣総理大臣 御指摘のありました、まず最初のアメリカのところですが、アメリカの燃料効率、通称IAEAが出しておりますエネルギー効率を見ますと、日本が一とするとアメリカ二、中国八、ロシア一八・五。この間出した資料ですけれども、アメリカの燃料効率を二分の一にすると、ほぼ日本と同じレベルになる。まず、それだけでも日本の方が圧倒的に、いろいろな意味で、燃料効率からいったらよろしいという大前提の上に立ちまして、その上で今、日本として、これからの時代に合わせてもっといろいろできるのではないか。

 よくCO2のもとになります自動車というのは、これが燃料電池、電気自動車、いろいろな技術の開発によって、かなりなものに今なりつつある。ちょっと技術の方、そんなに詳しいわけではありませんけれども、そういうものが今できつつありますが、少なくともハイブリッド等々の新しいものに関しましては、買いかえてもらうというのであれば、自動車税というものにつきましては減税しますというのが一つの例です。

 また、省エネとか新エネというものに関して新たに設備投資をしていただけるというような工場、家庭含めまして、そういう企業に関しましては、少なくともその設備の償却を即時償却、一発、その年に償却できますというようなこと、即時償却なんて今までやったことは例がありませんから、そういったことをやらせていただきます。また、いわゆる住宅用のソーラーパネル、太陽光発電の導入につきましても補助を出します。

 将来こういったものが、電力が双方向で、受電だけじゃなくて送電というようなこともあろうと思いますので、いろいろなパッケージを今度考えて、さらに技術が進歩していくでしょうから、そういったものを促進することによっていわゆるエネルギー効率がよくなるなどなど、いろいろな意味で、これは少なくとも制約要因とは限らない、十分な成長要因になり得る分野なんだ、私はそう思っております。

富田委員 今、総理の方から成長分野だというお話がありましたけれども、斉藤環境大臣にお伺いしますが、需要とか雇用の創出、新たな成長分野の開拓といった面から考えても、今総理も言われました太陽光発電導入の拡大対策というのが重要だというふうに我が党は考えているんですが、この点について環境大臣としてどのようにお考えでしょうか。

斉藤国務大臣 太陽光発電の導入、これは内需を喚起するという面と、それから、私たちの社会のあり方を根底から低炭素化していくという観点、その両方を満足する。そういう意味では、総理が御方針で出された経済と環境の好循環、グリーン・ニューディールの方向に合っているものと思いまして、我々も全力を挙げてこの導入促進に頑張っていきたいと思っております。

 環境省としては、特に今太陽発電、住宅用が九〇%以上でございますけれども、今後は公共施設にしっかりとこれを設置していくでありますとか、また電力会社ではメガソーラーという形で、一つの大きな発電所としてのソーラー発電所も考えております。そういうこともしっかり取り組んでいきたいと思います。

 また、関係省庁と連携をとりながら、発電効率の高い太陽発電パネルの開発ということも環境省として全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

富田委員 今、環境大臣の方から、これまで太陽光発電というのは住宅用に主にいっていたけれども、公共施設にも導入を図っていくんだというお話がありました。

 実は我が党では、経済産業部会を中心に、全国の公立小中学校、三万二千四百五十校ありますが、その屋上に太陽光発電のパネルを導入したらどうだろうかという提言を昨年の十二月十六日、二階経産大臣にさせていただきました。

 公立小中学校は、教育の場であるとともに地域社会の拠点であります。環境に配慮した社会を形成する上でも重要な役割が期待されると思います。この施設に太陽光発電を導入したらどうだろうかという申し入れに、二階大臣もそのときに、災害時、避難所になる学校に自家発電設備があるのはよいことだというふうにお話をしてくれたということです。

 経済産業省として、全国の小中学校に太陽光発電の導入というのをどのようにお考えになるか。また、文部科学大臣に、学校施設のことですので、これは文科省が進めておりますクールスクール化にも資するものと思います。太陽光発電の導入について文科大臣もどのようにお考えになるか、お二人のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

二階国務大臣 ただいまの富田議員の御質問でありますが、仰せのとおり、公明党の経済産業部会の先生方から、大変強い、しかも御熱心な御要望がございました。公立小中学校における太陽光発電の導入を促進することは、ただいまお話のありましたとおり、防災にも大いに役立つ、環境保護、さらに環境教育、加えて理科教育に大変影響が大きい、したがって、私は一石三鳥、四鳥の効果があるだろうと。

 そこで、御指摘のとおりの電気代節約の効果があるほか、この施工を行う地域の工務店あるいは大工さん、もっと言えば、地方の中小の建設業者等にも大きな新しいビジネスチャンスをもたらすものになります。

 私は、さらにこれを進めて、全国の知事会とも御相談をして、高等学校教育の場、つまり公立の高等学校にも及ぼすということは、これは理科教育等を進める上において大いに効果があるだろうということでありますから、こうした問題につきまして御相談を各方面と進めてまいりたいと思っております。

 昨年の十一月に関係者と取りまとめました太陽光発電の導入拡大のためのアクションプランにおいて、文部科学省と連携して、ただいま御指摘のあったことに対して導入拡大を図るという方向性をしっかりと盛り込んだところであります。そして、導入の費用でありますが、三分の一の補助を実施しておりますが、公立の小中学校に向けては、より補助率の高い二分の一の補助を行っていきたいと思っております。

 なお、今後、市町村や学校教育関係者にも広くこの問題に御理解をいただき、さらに塩谷文部科学大臣とも連携をして、全国の成功事例等を大きくPRしてバックアップをしていきたいと思っております。

 なお、先ほど総理からも御答弁の中にありました一般住宅の太陽光発電の活用でありますが、きょうは一月十三日、きょうから補助金の申し込みの受け付けが開始をいたしますので、富田議員にきょうこういう御質問をいただいたということは大変印象深く記憶にとどめておきたいと思っております。

塩谷国務大臣 ただいま二階経済産業大臣からほとんどお答えいただいたと思いますが、文部科学省としても、学校施設において、環境を考慮したそういった施設づくりについては、環境教育、そして環境負荷の軽減について大変期待されるということで、私どもとしても、しっかり取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 特に、国庫補助につきましては、二十年度の第一次補正で、そしてこの第二次、今の審議されている予算案についても、耐震化にあわせてエコ改修に対する国庫補助の予算を計上しているところでございまして、私からも、この耐震の地方へのお願いの文書の中でエコ改修の推進も要請したところでございます。

 そして、先ほどお話ございましたように、公立小中学校への太陽光発電の導入拡大については、昨年の十一月に太陽光発電の導入拡大のためのアクションプランで示したとおり、経済産業省と協力しながら積極的に取り組んでまいりたいと思います。

富田委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、あと一点。

 舛添厚生労働大臣、ドクターヘリの件について一点だけ御要望したいんですが、実は、大臣が、二〇〇七年の九月十九日、千葉県を視察していただきまして、千葉は今、一台ドクターヘリがあったんですが、君津中央病院に二台目の導入が決まりまして、この十九日から千葉では二機活動することになります。ただ、この二機目については全額県負担で、なかなかやはり大変だと。県の方としても、ぜひこの二機目についても国の補助をお願いしたいというような要望があります。

 この点についてどんな方向性なのか、その点だけ御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

舛添国務大臣 二機目のドクターヘリ、これは大変御活用願えると思いますけれども、財政的な問題でございますけれども、二十一年度予算案におきましては、同一県内で二機目のドクターヘリに対する補助を含め、現在導入計画であるすべてに対する補助を盛り込んでございます。

 したがって、引き続き、ドクターヘリの全国的な普及に向けて、国も本格的に取り組んでまいりたいと思っております。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

衛藤委員長 これにて富田茂之君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として内閣官房内閣参事官小宮義則君、内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、総務省統計局長川崎茂君、財務省主計局長丹呉泰健君、厚生労働省職業安定局長太田俊明君、中小企業庁長官長谷川榮一君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長藤田伊織君、防衛省人事教育局長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長小武山智安君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次に、川内博史君。

 川内博史君、進めてください。川内博史君、どうぞ。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、委員長にちょっとお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 本日の質疑について、この委員会が開会前の理事会では、質疑者までの確認が行われた。各党に、質疑を終局するか否か、討論をするか否か、あるいは採決についてその賛否、我が党も修正案を出させていただいているわけでございますが、賛否についての確認、協議が一切なく、委員長が開会をされたというふうに聞いておりますが、事実でしょうか。

衛藤委員長 理事会におきまして協議が進められました。また、理事会における協議調わず、合意至らず、委員長といたしまして、委員長裁定のとおり本日の委員会を決したところであります。

 なお、この間におきまして、討論、採決につきまして、討論、採決をしないと明言をした党もありますし、また、オブザーバーの党にありましては、本件につきまして意見が保留でありました。(発言する者あり)

 討論、採決をやらないと明確に申し上げました。

川内委員 いやいや、討論、採決をやらないと明言した党もあると。しかし明言していない党もあるわけですよね、明言していない党もたくさんある。最終的には、しかし理事会でいろいろなことは発言するわけで、理事懇とかあるいは筆頭間とか関係ないですよ、委員長。

 委員長は委員長就任のときに、公正な議事運営に努めますとごあいさつをされたんじゃないですか。先ほど委員長席を一回おりられましたよね。それは手続についての瑕疵をみずからお認めになったから委員長席をおりられたんでしょう。それは、公正な議事運営をもう一度しっかりしなきゃだめですよ、委員長。

衛藤委員長 川内博史君、どうぞ進めてください。川内君、進めてください。(川内委員「答えてください」と呼ぶ)

 委員長は、本日の委員会開催につきまして、本日の理事会協議、また御案内のとおり、今回につきましては委員長裁定、委員長職権、こういうものがありまして、それをしっかり踏まえてきょうの委員会、すべての日程を決したところであります。

川内委員 いや、委員長職権を私は否定していませんよ。委員長職権、すばらしいことですよ。こうやってお決めになられて、それは委員長の責任でおやりになられたんでしょう。

 しかし、討論をするかしないか、採決の賛否まで委員長職権では決められないんですよ。討論するか否か、採決についてどうするか、それは各党に聞かなきゃわからないことなんですから。そこまで委員長職権で決めちゃだめですよ。

 もう一回、理事間で協議してくださいよ。

衛藤委員長 川内博史君、進めてください。

川内委員 いや、ちょっと、委員部、委員長の就任あいさつを持ってきてください、ここに。委員長が御就任になられるときにどういうふうにごあいさつをされていらっしゃるか。公正な議事運営に努めますと恐らく御発言されているんですよ。これが公正ですか。各党に、討論するんですか、しないんですか、賛否についてどうするんですかと聞いていない、そんな議事運営が、委員長、あるんですか。

 少なくとも、一回委員会を休憩して理事間で協議をする、討論について、採決についてどうするということを決めなければ……(発言する者あり)いや、質疑の終局までは委員長職権で決められますよ。そこは私も委員長の職権として認めますよ。しかし、討論、採決は、それは職権で決めちゃだめなんですよ。討論するか否か、採決の賛否までは決められないんですよ、委員長。

 じゃ、委員長、討論の有無を、委員長、決められるんですか。それを答えてくださいよ。

衛藤委員長 川内君に申し上げます。

 委員長裁定におきましては、締めくくり総括並びに討論、採決、すべて委員長裁定で決しました。既に決しております。

 委員長として申し上げますが、各党の賛否につきましては、討論のときに賛否を表明してください。

 重ねて申し上げますが、委員長としては、質疑、討論、採決まで委員長の裁定で決しました。したがいまして、賛否につきましては討論の折に明確に表明をしてください。

 重ねて申し上げますが、委員長裁定は討論、採決まで諮ってあります。

川内委員 いや、委員長、今そういう御発言をされましたが、じゃ、そういうことを理事会で言わなきゃいけないんですよ、そのときに表明してくれと。後は知らぬと言わなきゃだめなんですよ。それをここで言っちゃだめなんです。それは通用しないんですよ。

 委員長、この委員長の就任のごあいさつを……

衛藤委員長 委員長は、何度も、理事会におきまして、締めくくり総括、討論、採決まで、何度もそれを明言しております。

川内委員 だから、討論をするかしないか、採決についての賛否を理事会でやらないとだめなんですって。

 この委員長のごあいさつは、「甚だ微力ではございますが、委員各位の御協力を賜り、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいる所存でございます。」こうおっしゃっていらっしゃるわけですよ。これは理事会で、もう一度理事間で協議を、討論についてどうする。共産党さんは明確に討論するかどうか聞かれていないとおっしゃっていますよ。

衛藤委員長 重ねて申し上げますが、委員長はこのように決しました。討論、採決ということも明言をいたしました。法案の賛否につきましては、討論の過程におきまして明言していただきたいと思います。それが委員長の決したところでございます。

 川内君、始めてください。どうぞ。(発言する者あり)

 重ねて申しますが、委員長は、先ほど理事会におきまして、御案内のとおり、締めくくり総括、そして討論、採決まで決したところでありますし、また、申し上げますが、法案についての賛否は、各党それぞれ討論のこの場で採決をしてください。

川内委員 だから、討論の有無を聞いていないでしょうと言っているんですよ。

衛藤委員長 委員長は、民主党が討論に反対であるということは、討論をしないと、そのように判断をいたしました。

川内委員 討論をしないということは、すなわち反対であると判断するというのは……(発言する者あり)反対の、何だって……。

 討論に反対するということは討論しないというのは、勝手な決めつけじゃないですか、委員長。

衛藤委員長 委員長として申し上げますが、川内博史君、質疑を続行してください。どうぞ。川内博史君、川内君。

川内委員 いや、委員長、私はきょう、本当にこの百年に一度の危機の中で大事な議論をしようと思っているんですよ。だけれども、委員長がそんな議事運営をされるのであれば、私は絶対にここから動きませんからね。

衛藤委員長 川内博史君、発言をどうぞ。

 川内博史君、川内君、発言を続けてください。

 委員長は先ほど申し上げました。委員長職権で本日の委員会は開会させていただきました。しかるに、賛否につきましては、討論をする場合、討論の場で明言をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

 川内博史君。川内君、どうぞ。時間がなくなります。(発言する者あり)川内博史君、発言を続けてください。

川内委員 議長にも一連の経過を我が党の国対委員長の方から……(発言する者あり)野党四党で御報告をし、この間の経過について、議長と予算委員長としっかり話し合いをして……。委員長は一回席をおりられましたからね。手続の瑕疵を一たんはお認めになられたわけですから。(発言する者あり)いや、開会前とはいえですよ。これは大変に民主主義の根幹にかかわる問題なので、私どもとしては非常に重く受けとめております。

 しかし、私も、きょうはたくさん質疑を用意してまいりましたので、ここから本来の質疑に戻らせていただきますが、私は、委員長というのは、衛藤委員長は人格円満な方ですし、本当は内心じくじたる思いを今委員長席でお持ちになっていらっしゃるであろうということを思いながら、質問に戻らせていただきます。

 まず、定額給付金のことについて質疑をさせていただきます。

 この第二次補正予算というのは、百年に一度の危機の中で、どう景気を支えていくか、あるいは経済を支えていくか、他方で、日本のこの大変な財政の赤字に対して、財政再建の旗もおろしてはならない、おろすことはできないわけでございます。

 そういう意味で、政府が平成二十年十二月、平成二十一年度予算編成の基本方針というものの中に、財政健全化目標については、それまでの堅持という立場から、目標を達成すべく努力はするが、国民生活と日本経済を守ることを最優先し、必要な対策を図るというふうに基本方針をお示しになっていらっしゃいます。

 このような状況下では、当面の最優先課題である景気回復を確実なものとするということが一つ、さらに、しかし、厳しい財政事情であるという制約の中で第二次補正予算が編成をされた、すなわち、景気対策も大事だ、しかし財政再建も忘れてはならないよということでよろしいかということを、まず総理大臣と中川財務大臣に、そうだというふうに御答弁をいただければと思います。

中川国務大臣 川内委員御指摘のとおり、今、世界的な状況の中で日本の経済、暮らしが悪化をしております。そういう中で、第一次補正に続きまして第二次補正予算を御審議していただいていますのは、そういったものに対して万全の対策をとるということで御審議をいただいているわけであります。

 私の立場といたしましては、財政規律というものを守り、財政再建という道筋を引き続き歩んでいかなければいけないとは思っております。赤字財政を出さずに財投特会からの繰り入れで財源を賄うということで、今は、とにかく目の前のこの暮らしと経済の悪化に対して万全の対策をとることが必要だという意味で、川内委員の御指摘のとおりでございます。

麻生内閣総理大臣 基本的に、百年に一度ということは皆経験したことがないということで、どう対応するかというのが今最大の問題であります。したがって、皆経験のないことですから、これは、どうしたって右往左往ならざるを得ないところは避けて通れないところだと思っております。

 したがって、私は、短期的にはこれはどう考えても景気優先にならざるを得ない。したがって、この際いろいろな形での財政出動というもので景気を刺激する、それによって景気を回復するというのが短期的には正しいと思っております。したがって全治三年と申し上げました。ほかの国の状況やら何やら影響いたしますので、私ども、希望として、日本は世界で最初にこの不況から脱却というものを目指しております。

 ただ、傍ら、御存じのように、日本の場合は大幅ないわゆる赤字国債というのを抱えております。したがって、それを無視してどんどん財政出動というような規律のないような話はいかがなものか。これは当然、責任ある立場とすれば同じことをお考えになると存じます。

 したがって、これは中期的には、景気を回復された後は、これは財政で規律というものをきちんとしておかないと後々憂いを残すということになろうと存じますので、どうしてもある程度両にらみにならざるを得ない。ただ、短期的には景気刺激だということを申し上げております。

川内委員 税金の無駄遣いは一円たりともできない、無駄ゼロということを政府もおっしゃっていらっしゃるし、政策の棚卸しなどをさまざまにおやりになられていらっしゃる。そういう中の補正予算の編成であるというふうに思います。

 そこで、定額給付金について、年収一千万円以上の世帯に対してこの定額給付金が幾らぐらい給付をされるのかということについて、全国消費実態調査などがございますので、推計で結構でございますので、総務大臣の方から額をお答えいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 全国消費実態調査を参照いたしますと、これは平成十六年ですからちょっと古いんですが、平成十六年において世帯での年間収入が一千万を超える世帯の割合は一二%、調査対象世帯の一二・二%、こうなっておりまして、これが仮に単純に定額給付金の計算に反映するといたしますと、二兆円の一二・二%ですから、約二千四百億円が一千万円以上の世帯に配られるということになります。

川内委員 世帯でいうと一二・二%と。世帯の構成人数がありますので正確な金額ではないと思うんですが、二千億から三千億ということだろうというふうに思います。

 それでは、経済財政担当大臣にお尋ねいたしますが、この二兆円の定額給付金、消費には八千億回るというふうにお答えになられていらっしゃるわけですね。四割が景気刺激効果があるであろう、二兆円の四割、八千億であるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけでございますが、それでは、逆に言うと、貯蓄にはこの二兆円からどのくらい回るのかということを教えていただきたいと思います。

与謝野国務大臣 四割がほぼ直ちに使われるだろうとお答えしておりますのは、過去の地域振興券の例をとりまして、多分同じような傾向を持つだろうということで、二兆円の四割、八千億は消費に直ちに回るだろうということを申し上げたわけでございます。

 残りの六割は使い残すわけですから、使い残したもの、家計内の貯蓄なのか家計外の貯蓄なのかは別にしまして使い残しはできるわけでございますけれども、所得の高くない階層においては、現在の所得の状況から見て、いずれ消費に回るというふうに考えるのが普通であろうと思っております。

川内委員 済みません、貯蓄に一兆二千億回るということでよろしいですか。

与謝野国務大臣 地域振興券の例に倣えば六割程度は当該年度には費消されないだろうと推定されるということで、これは、地域振興券という現金でないものに関しての過去の例でございまして、これが直ちに今回の給付金の動向に正確に当てはまるかどうかは別にいたしまして、傾向としては多分同じだろうというふうに考えております。

川内委員 そうすると、もう一つ確認をさせていただきたいんですけれども、高額所得者というか裕福な生活をされていらっしゃる世帯が定額給付金を受け取りましたと。それを、総務大臣は、カモ鍋を食べるよとか豚カツを食べるよというふうにおっしゃっていらっしゃったわけでございますが、カモ鍋を食べようが豚カツを食べようが、実は、景気対策に、あるいは景気刺激効果につながる場合もあるし、つながらない場合もある、それはわからないという理解でよろしいかということを、もう余り時間がないもので、端的に答えていただきたいんです。

与謝野国務大臣 可処分所得を得るわけですから、そのうち消費に回る分は当然有効需要の創出につながる、したがって、景気刺激策の一つであると考えております。

川内委員 いや、私が言っているのは、GDPの押し上げ効果につながる追加的景気刺激効果につながりますかと。すなわち、税金の有効な使われ方につながっているかどうかについては、それはわかりませんよねということを確認しているんです。

 いや、ずっとレクを受け続ける中で、そうだと経済財政担当の人が言っているので、そうだと言っていただきたいんですよ。

与謝野国務大臣 〇・二%のGDP押し上げ効果があるということを前提に政府の経済見通しが成り立っております。

川内委員 だから、私が言うのは、マクロで、二兆円の定額給付金について八千億消費に回りますということは、政府の御見解としてはわかりました。では、ミクロで見た場合、一人一人の人が、特に高額所得者の方々が定額給付金をもらってそれを消費したからといって、それがすなわちその八千億につながっていくのかどうかについては、これはマクロのことなのでわかりませんよねということを申し上げているわけでございます。

与謝野国務大臣 あらゆる消費は国民お一人お一人が決めるので、そのお一人お一人にとっては、すべての消費は賢明な消費であるはずであります。

 高額所得者についても、消費に回る回らないということは断言できませんで、むしろ、そのように給付を受けた場合、消費マインドというのは高額所得者であっても当然生ずると考えるのが自然であると思っております。

川内委員 いや、きょう政府参考人にも来ていただいていますが、経済財政担当の参考人に経済学的なことをしっかり僕は答えてもらいたいんですけれども、高額所得者が定額給付金を使うことが直ちに追加的景気刺激効果につながるかどうかはわからないというのが、これは論理ですからね、それを強引に、つながるんだと言ってしまえば、それは議論にならなくなるわけですから、参考人にちょっと答弁していただけますか。参考人に答弁していただきたい。これは経済学的なことを聞くんですから。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 地域振興券の場合、地域振興券がなければ購入しなかった買い物をした、あるいは、より高価な買い物や多数の買い物、ないし地域振興券がきっかけとなって支出が増加したと見られる、こういったものを、消費が追加的にふえたと考えております。地域振興券の場合、三二%程度が追加的な消費に回ったということが結果でございます。

川内委員 だから、ちゃんと答えてくださいよ、参考人だから。私の質問に正確に答えるのが参考人の仕事ですからね。

 高額所得者が定額給付金を使う場合に、それが追加的消費に回るか否か、すなわち景気刺激効果があるか否か、もっと言葉をかえて言えば、GDPの押し上げ効果があるか否かについてはわからない、つながる場合もあるし、つながらない場合もあるということですよねということを確認しているわけですから、そうですと言うのか違いますと言うのか、どっちか。

 ちょっと委員長、ちゃんと答えさせてください。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 高額所得者であっても、それが今回の給付金によって追加的な消費に回るということは十分あり得ますので、その場合は、有効需要を増加させ、景気刺激に役立つものと考えております。

川内委員 与謝野大臣、今参考人の御答弁をお聞きになられましたでしょう、御説明を。追加的消費刺激効果につながることもある、こともあると。逆を返せば、つながらない場合もあるわけです。つながらない場合もあるわけですね。

 私が申し上げたいのは、二兆円のうち、直ちに消費に回るのは八千億である、残りの……(発言する者あり)いや、今大臣が答弁したじゃない。何でわかるんだって、そこで、理事のくせにそんなことを言っていちゃだめでしょう、ずっといるんだから。

 直ちに回るのは八千億だ、一兆二千億は貯蓄です。さらに、閣僚の皆さんが、使うよ、にこにこ給付金で使うよとおっしゃっていらっしゃる方の、総務大臣の消費も、実は、景気押し上げ効果につながるかどうかは、つながる場合もあるし、つながらない場合もあるということなんですよね。

 そうすると、財政再建もしなきゃいけない、そして景気対策もしなきゃいけないというこの非常に難しい局面で、百年に一度のこの状況の中で、一兆二千億が貯蓄に回るような政策が、果たして、これ以上ない政策だ、すばらしい政策なんだと……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いします。

川内委員 これしかないんだというような政策なんですかということを総理大臣にお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 まず、四割は消費に回るだろうというのは、地域振興券の例をとるとそのように推定されますということです。

 それからもう一つは、先生の御質問は、高額所得者が定額給付金を使った場合は景気刺激効果があるか、こういう御質問ですが、使えば当然刺激効果はあるというのは論理必然ですが……(川内委員「追加的消費刺激」と呼ぶ)だから、追加的というのは、使うというのは、定額給付金を使えと。ですから、地域振興券の場合もそうなんですが、地域振興券を現金のかわりに代替的に使ったという場合は除外して物を考えております。

 したがいまして、高額所得者が追加的に使えば追加的な需要を生むというのは当然ですし、(川内委員「だから、使うということが消費刺激効果になりますかと聞いているんです。だって、お金に色はないわけですから」と呼ぶ)追加的に使えば追加的刺激効果は当然あります。

川内委員 いや、今の経済財政担当大臣の御答弁は、答弁としては僕はでたらめだと思いますよ。さっき政府参考人が答弁したことが経済学的に正しいことであって、今の答弁を認めたら、これは議論できませんよ。こんなのだめですよ。

与謝野国務大臣 使えば追加的刺激効果はあります。ただ、定額給付金というものを使ったけれども従来の消費を抑えたという場合は、プラス・マイナス・ゼロになることは当然です。

川内委員 参考人、使うことがすなわち追加的消費刺激効果ではないでしょう。使うことが追加的消費刺激効果につながるかどうかはわからない、つながる場合もあるし、つながらない場合もあるというのがさっきの御答弁でしょう。そこは経済学ですからね。この政策のよしあしを議論するのに、厳密な議論をしなきゃ、いや、おれらの言っていることは正しいんだ、全部間違っていないぞということでやられたんじゃ、これは議論になりませんよ。

 参考人が御答弁をされたことをもう一度……(発言する者あり)いや、違う、へ理屈じゃないんですよ。なぜかなら、だって、税金の無駄遣いはできないんだから、財政再建と景気対策と両方やらなきゃいけないわけですから。参考人、いいですか……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いします。静粛にお願いします。

川内委員 定額給付金を使うことが追加的消費刺激効果、すなわちGDPの押し上げになるかどうかはわからない。つながる場合もあるし、つながらない場合もある。そういうことですよね。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 私、先ほど御説明いたしましたが、与謝野大臣が答弁された内容と同じことを申し上げておることでございます。

 定額給付金を受け取った後、それが追加的な消費に回ればそれは明らかに景気刺激効果があると思います。ただ、給付金がなくても支出していたもの、これに支出するというのであれば、先ほど与謝野大臣が答弁いたしましたとおり、プラス・マイナス・ゼロになるということであると思います。

川内委員 だから、今参考人が御答弁になったとおりだと私は思いますよ。追加的消費に回れば追加的消費刺激効果になるし、回らなければプラス・マイナス・ゼロだ、要するに、消費刺激効果はないですよと言ったわけですよね。プラス・マイナス・ゼロということはそういうことですよね、大臣。

与謝野国務大臣 全く同じように私は答弁をしております。

川内委員 だったら、プラス・マイナス・ゼロになる可能性もあるのであれば、私は、甘利大臣の態度が一番正しいと思うんです。要するに……(発言する者あり)いやいや、鳩山先生が、何を言っているんだ、こうおっしゃいましたけれども、甘利大臣は、自分のポケットマネーを家族に給付して使ってもらうと。要するに、それは追加的消費につながりやすいということですから、高額所得者の皆さんは給付金をもらわずにじゃんじゃか使えばいいわけですよ。それが最も追加的消費刺激効果になりやすいわけですよ。定額給付金をもらわずに使う方が絶対いいんですよ。当然なんですよ。

 それは、参考人、そうですよね。私の考えは間違っていますか。(発言する者あり)いや、経済学的なことですから。

衛藤委員長 静粛にお願いします。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 所得がふえてそれを消費に回すというのであれば、それは追加的な消費に結びつくので、それは景気刺激効果があると考えられます。

川内委員 委員長、参考人には、参考人として来てもらっているわけですから、私の質問に正確に答えてもらわないと。全然違うことを答えているわけですよ。

 だから、さっきから言っているじゃないですか。追加的消費に回ったものは追加的消費刺激効果になるに決まっているんですよ。それはもうみんなが、ああ、そうだねと言うわけですね。そうじゃなくて……(発言する者あり)いや、めちゃめちゃちゃんとした議論ですよ、これは。めちゃめちゃちゃんとしているから、鳩山大臣なんかもう目を見開いて私の議論を聞いているわけですからね。

 なぜかというと、麻生先生、麻生総理の支持率が下がっている、麻生内閣の支持率が下がっているというのは、別に麻生内閣が嫌いなわけでも嫌なわけでもないんですよ、みんな。しっかりしてくれということなんですよ。

 それは、国民の皆さんも、財政が厳しいということもよくわかっているし、百年に一度の景気の危機だということもよくわかっている。そういう中で編成される二次補正予算が、真に国民のためになるのかどうかというのをみんなよく見ているということなんですよ。

 そういう意味で、総理、この二次補正予算から定額給付金はやはり一度分離して、ちゃんと、税金の無駄遣いがないかどうかしっかり議論をしなければならぬと私は思いますよ。

 ほかの部分については、実は、これは二次補正予算の中に、中川大臣、御存じでしたか、独立行政法人の施設整備費とかが一千億円以上入っているんですよ。あるいは、官庁営繕費という名目で七十億円入っているんですよ。(発言する者あり)いや、景気対策になるんですよ、公共投資だから。公共投資はそのままGDPの押し上げ効果につながるんですよ。だから、独立行政法人の施設整備費を潜り込ませているね、あるいは官庁の営繕費を七十億潜り込ませているね、何やっているんだと思うけれども、しかし、GDPの押し上げ効果にはイコールでつながるから、我々は目をつぶって賛成しますと言っているんですよ、分離をしてくれれば。

 総理、そうすると、やはり一応この定額給付金については私は分離をしなければ、予算編成の基本方針、財政再建も大事だ、そして景気の刺激もきちんとするよ、直ちに景気刺激になるのは八千億しかないんですよ。そんな政策が、いや、麻生内閣として大威張りで後世に、歴史に名をとどめる政策であると総理はおっしゃいますか、どうですか。

麻生内閣総理大臣 まず最初に、激励をいただきまして、ありがとうございました。

 その上で、川内先生の御質問ですけれども、この予算というのは、間違いなく、本予算を含めまして、先ほど申し上げましたが七十五兆、そのうち二次補正予算でお願いしているのは二十七兆の分の経済対策なんですが、今の、いわゆる定額補正とかいろいろな表現がありますけれども、この部分が幾らかといえば二兆。だから、七十五兆分の二、もしくは二十七兆分の二なんですけれども、ぜひその点を考えていただきますと、私どもとしては、今いろいろな形で、先ほど甘利大臣のお話もあっておりましたけれども、そういうのが出た場合には、余裕のある方には、いろいろな意味で今、過去に例がないことが起きていますので、地域振興券のころと今のときとは状況は全く違っておりますので、そういった意味では、ぜひ消費というものに使っていただきたいという状況に、私は、石油が猛烈に高かった時代から逆にどおんと下がった今の時期にとりましては、物すごい勢いで変わってきたという経済情勢の変化に対応して消費の対応も考えていただかねばならぬのではないかということを申し上げております。

川内委員 いや、だから、消費を刺激する、百年に一度の危機にこの景気をどうしていくのかということについては、定額給付金よりも、では、私たちが提案している、雇用に三千億、介護に七千億、さらには学校耐震化に一兆円、この二兆円を民主党案で支出するとすれば、参考人、景気刺激効果は二兆円イコールでしょう。それを最後に答えてください。民主党の案どおりにすれば、政府の定額給付金では消費は八千億だが、民主党の二兆円の使い方では二兆円丸々GDPを押し上げますと言ってください、最後に。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 民主党御提案の二兆円の使途につきましては、まだ試算を行っておりませんので、現在、答えることは差し控えたいと思います。

川内委員 いやいや、昨年の道路国会で大田経済財政担当大臣は、我々の暫定税率を廃止すべきであるというのに対して、いや、暫定税率を廃止しても、それは貯蓄に回ります、しかし公共投資であれば、それはそのままGDPの押し上げ効果がありますと答弁しているんですよ。余りにも、政府参考人というのは参考人として呼ばれているわけですから、参考人としての答弁をしないとだめでしょう。

 だから、そのまま我々の案だとGDPを押し上げるということは、最後にもう一回聞きますけれども、大田大臣の答弁があるんですよ、それは読んでいるでしょう。公共投資をすることはそのままGDPを押し上げますと言っているわけですから、それはそうですと。公共投資をすることはGDPをそのまま押し上げますと。ではこの聞き方でどうですか、参考人。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の方でマクロ計量モデルを作成して経済政策の景気刺激効果を分析することがございます。減税による乗数効果よりも、公共投資による乗数効果の方が高いというのは、一般的にはそのような結果が得られております。

川内委員 委員長、私は本日の質疑は甚だ不本意であります。めちゃめちゃ残念ですけれども、馬淵議員が来ましたのでかわりますが、総理、これは本当に分離した方がいい、分離してちゃんと議論した方がいいんだということをもう一度申し上げて、終わらせていただきます。

衛藤委員長 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 締めくくり総括質疑をさせていただきます。

 この補正予算、二次補正予算の審議が本日で終局となること、これは大変遺憾でありますが、しかし、この一・五日の基本的質疑の中でも大きな問題が明らかとなりました。私は、その中で、天下り推進政令について、仙谷委員並びに枝野委員両名が政府にただしましたこの問題について質疑をさせていただきます。

 この天下り推進政令についてですが、経緯を簡単に申し上げますが、一昨年の国家公務員法の改正におきまして、官民人材交流センターによるいわゆる一元管理の名のもとに、府省あっせんを行わなくして、その官民人材交流センターがあっせんを行う、天下りはある意味公然と行われることになったわけであります。

 そして、官民人材交流センター設置と同時に、再就職等監視委員会、これも設置されることになりました。天下りの際の監視を行う機関ということであります。しかし、このセンターが稼働するまでの間、最長三年を限度として、この間は再就職等監視委員会が承認をすれば府省は今までどおりあっせんができる、こういう仕組みとなりました。

 しかし、この再就職等監視委員会は国会の同意人事であり、これが不同意となったために、再就職等監視委員は不在となった。そのため、府省による再就職あっせんが承認できなくなるということから、政府は、再就職等監視委員会を内閣総理大臣と読みかえる政令を閣議決定したという問題意識を仙谷委員の方で指摘させていただきました。

 そこで、まず、この再就職等監視委員会はどのような機関かということの立法趣旨について確認をさせていただきます。

 この再就職等監視委員会、これは平成十九年の国公法の改正のときの議論の中で、当時の渡辺行革担当大臣が明確に示されております。内閣府設置法に基づく審議会として内閣府に設置されますと。各府省等から独立した監視機関であり、その職務遂行上、高い公正中立性が求められる、職権行使の独立性が認められなければならないとして、合議体の委員会がみずからの責任において再就職に関する規制の実効性を確保するためにこういう形でつくるんだということを渡辺大臣は委員会の中でも明言されております。

 官房長官、端的にお答えください。この再就職等監視委員会の機関の立法趣旨、今私が渡辺大臣の答弁を引き合いに出させていただきましたが、これでよろしゅうございますか。

河村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の再就職等監視委員会の役回り等々、今御指摘のあったとおり、その立法趣旨に基づいて設置されておる、こういうことであります。

馬淵委員 この再就職等監視委員会、今渡辺大臣の答弁を引き合いに出したような立法趣旨でつくられたわけでありますが、この再就職等監視委員会、同意人事でございます。

 国会の同意人事ということなんですが、まず、この国会同意人事がどういうものか、よく御存じの方もいらっしゃるかもしれません。私は余りよくこれは承知しておりませんでした。今回、衆議院の事務局においでをいただいて、これについていろいろとお話を聞かせていただいたんですが、この委員会にもお越しいただいております。

 この国会同意という人事制度の意義、これを確認したいんですが、この起源と目的について、衆議院事務局、お願いしたいと思います。

白井参事 お答えいたします。

 昭和二十二年の第九十二回帝国議会における会計検査院法改正によって、検査官について、その職責上、中立性、公平性、内閣からの独立性が必要であることにかんがみ、国会の両議院に同意を求めることとしたのが起源であると承知いたしております。

馬淵委員 ありがとうございました。

 随分古い話であります。昭和二十二年、敗戦後の九十二回の帝国議会で、いわゆる内閣から十分独立させるために、職責上、中立性、公正性、これを担保するために両院の同意というものを義務づけた、これが国会同意人事の始まりであります。その後、こうした同意人事によってさまざまな機関がつくられていくわけであります。

 そこで、平成十年六月の九日であります。当時の国会で、衆議院議院運営委員会理事会において与野党合意の上でなされた「国会同意人事の取扱い等について」という申し合わせがございます。この中で同意人事について記しておりますが、この同意人事、どのような制度として規定をされていますでしょうか。これも事務局、答弁をお願いします。

白井参事 第百四十二回国会、平成十年六月九日の衆議院議院運営委員会理事会申し合わせ「国会同意人事の取扱い等について」において、「国会同意人事制度は、内閣に対し独立の地位を有する会計検査院や一定の中立性が求められる合議制行政機関、政策審議機関等の構成員の任命につき、両議院の同意を必要とする制度である」と記されております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 これは、衆議院の議院運営委員会の理事会の中で申し合わせ事項として確認をしたわけです。すなわち、与野党、自民党も含めて、この同意人事の制度というものはどういうものかということを確認した申し合わせでございます。つまり、公務員の任命に当たっては、中立性、公平性、内閣からの独立性を担保するために国会に同意を求められているということについて、制度としてこれは決定をしたわけであります。

 この中で重要な表現としてありますのは、会計検査院、これは独立性を保つのはよくわかりますが、一方で、合議制の行政機関、これらも独立性を担保し、かつ中立性、公正性を担保しなければならないとして、この同意人事に付するという制度がつくられたわけであります。

 この同意人事、今現在は再就職等監視委員会も同意人事の合議制の行政機関でありますが、それ以外にももちろんのこと、公正取引委員会あるいは原子力委員会等々、ざっと四十余りの同意人事の機関がございます。この四十余りの機関、この同意人事がこのような形でなぜ議運で取り決められたのか、あるいは、なぜもともと発端としてこのような同意人事という仕組みができたか。これは、もとをただせば、憲法の第十五条にさかのぼります。憲法第十五条で、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」このように定められている。

 すなわち、憲法上、国民によって直接に選定される我々国会議員である、あるいは地方議員や地方の首長たち、こうした方々は、直接に選定されるわけでありますから国民が固有の権利を行使していることになりますが、そうでない公務員、国家公務員や地方公務員等々については、これは国会を通して、法律を審議して、法律として定められ、それがまさに国民の意思、国民の固有の権利として行使されるという仕組みになっているからこそ、この同意人事というのがつくられているということになります。

 そこで、このように、公務員の任免については国民の意思とみなされる国会の法律にゆだねられているから、今日皆さん方は仕事をされているわけであります。

 しかし、この任命権というのは、これはいかんせん、行政府に集中する傾向があります。したがいまして、こうした国民の権利というものを、実際に公務員の選定権という実質を失わせないために、中立性の求められる機関については国会が同意を与えるという仕組みになっている。これが、昭和二十二年以来、同意人事という仕組みをつくり、今日まで四十余りの機関を同意人事でつくってきた歴史的経緯なんです。

 麻生総理、総理にお尋ねしたいんですが、このような国会の同意人事、国民の代表者から成る国会がこれを決定していくわけです。なくてはならない重要な制度であります。この同意人事に対する国会の同意の重みについて、麻生総理はどのような認識をお持ちですか。

麻生内閣総理大臣 重いものだと、当然のこと考えております。衆参両院においてこの同意人事というものがいろいろな形でなされておりますが、過日のNHKの話、日銀の話を含めて見まして、同意人事というのは極めて重たいものだと理解をしております。

馬淵委員 全くそのとおりであると私も思っております。これは極めて重い国会の意思である、すなわち国民の意思である、重いものである、このように理解をしております。

 そして、問題の再就職等監視委員会も、渡辺大臣の答弁を引き合いに出したように、公正中立性、そして独立性を理由に国会の同意人事案件とすることが、これは国家公務員法で定められています。

 さて、一定の中立性が求められる合議制行政機関、これに再就職等監視委員会は該当いたします。そして、国会はどのような意思を示したのか。これは、先ほど来いろいろ申し上げているように、国公法で義務づけられたこの同意人事については、昨年の六月六日、そして十一月の二十一日、この二度にわたり不同意となりました。国権の最高機関である国会の意思が二度にわたって不同意となった。

 このことに触れますと、すぐに政府の皆さん方あるいは自民党、与党席の方々も、いや、民主党が反対した、民主党が反対したとおっしゃるのですが、そうではありません。これは民主党ではなく国会の意思なんです。国会の意思として二度にわたり不同意を示したわけであります。そして、この国会の意思を、実は、政府はこの政令によって覆そうとしているんですよ。行政、まさに役人がこの国会の意思を変えようとしていることになるんです。

 このことを、意思を覆したこと、行政の手によって国会、国民の意思、これを覆したことについて、総理はどのようにお考えですか。

麻生内閣総理大臣 お言葉を返すようで恐縮ですが、同意人事に関しましては、これは、法が定めた仕組みに反対という理由で、候補者のいかんにかかわらず、二度にわたって同意がされないという事態になりましたのは、馬淵先生よく御記憶のとおりだと存じます。国会の同意人事ですから。したがいまして、こういうような状況をこの法律は全く想定してできていなかったんだ、私はそう理解をしております。

 したがいまして、今言われました、御指摘の政令の条項というものは、こういった異例な事態を受けまして、その上で、委員長が任命されるまでの間、これは一日も早く任命していただくことを期待しておるんですが、経過措置として、再就職などの規制について監視などを行う、その実効性を確保するために設けざるを得なかったということだと理解をしております。

 したがいまして、法律の施行に関して必要な経過措置というものは、これは政令で定めるということに書いてありますので、そういった意味では、法律改正までは要しないものと考えたというのがその背景だと理解をいたしております。

馬淵委員 国会の意思、国民の意思なんです。そして、国民の意思として不同意になったんです。そして、今、総理は想定されないとおっしゃいましたが、同意か不同意かというのは国会の中で決定するわけですから、法が予定している話とは別の話なんです。

 私がお聞きしているのは、同意人事というのは国会の意思である、それを政令、すなわち行政、役人側の意思によって変えることについて、先ほど重みがあるとおっしゃった。重みがあるにもかかわらず、これを変えることが果たしてできるのか、私はそのことをお尋ねしているんですよ。総理、そのことに対して端的にお答えください。

河村国務大臣 馬淵先生、国会の意思だ、こうおっしゃる。それは、同意人事はまさにそうであろうと思います。

 しかし、このお出しした法律そのものは、これはもう成立をして、この法律を誠実に実施する責任が我々政権にあるわけであります。

 そういう意味において、そのことが全く想定されなかったというのはそこにまさにあるわけでありまして、そのことが同意されない、法が定めた仕組みに反対であるからという理由でそういうことになるということは、これまでもなかったことでありますから、想定されなかったことだと。こういうことで説明を申し上げておるわけで、そのための暫定的な措置をとらざるを得ない。

 かくなる上は、一日も早く、ずっと私も言い続けてきたんでありますが、同意人事に御理解をいただきたいと申し上げてきておるところであります。

馬淵委員 今、官房長官、法律で決まったから、そしてそれを通そうとしている中で反対された、このようにおっしゃいます。これ、想定外だということを繰り返しおっしゃいますよね。これは実は仙谷委員の質問に対しても、想定外という言葉が内閣法制局長官から出てまいりました。一月八日の仙谷委員の質問に対して、宮崎法制局長官、これについては、「法の想定外の状況のもとでどのようにするべきかということについて」と。それで、今官房長官も、これは想定外だと。

 しかし、この国会の同意か不同意というのは、まさに国会の意思なんですよ。国会の意思であることは、これは想定の中に当然範疇として置かれなければおかしいんです。これを、国会の意思を無視して、想定外だと。この想定外だということについては、これは全く国会の意味がないですよ。これについてはどうお考えですか、官房長官。

河村国務大臣 私どもは、この法律に基づいて、実効あらしめるためにお出ししているわけでありますから、そのためにはどういう人物がいいのか、一回、二回、だめだとおっしゃるのなら次の人物に対してお願いをしたい、こう考えておるわけでございます。

 これまで、日銀の副総裁人事等においても同じようなことがあった。仕組みはできている、しかし、中身についてという、こういう想定のもとにこの同意人事は成り立っている、こういうことで来ておるわけです。

馬淵委員 宮崎長官が法の想定外ということを繰り返しおっしゃり、今、官房長官も法の想定外だと繰り返しおっしゃるんですが、私が最初にこの問題について取り上げたのはいつか、昨年の三月の十九日なんですよ。これは、仙谷委員が一月八日の質疑では、十二月の末に、ひそかに十二月につくったと、まあこっそりやったというニュアンスでお話もされていますが、いや、こっそりじゃないですよ。これはむしろ堂々と、行政側が国会同意という国会の意思をねじ曲げることをやっておられるんです。

 これについては、三月の十九日に私は最初に質疑をいたしました。昨年です。もう一年ほど前ですよ、十カ月前です。この当時、渡辺行革担当大臣に、これが不同意となる可能性がある、この場合にはどうなるのかということをお尋ねしたところ、「各省あっせんはできなくなる」とおっしゃった。各省あっせんは一切できなくなる、このように答弁をされ、そしてその後も、私は五月の二十三日にも同様の質問をさせていただきました。

 総理の権限行使が果たして可能なのかということ。これは委任規定がございます、委任するという形で、総理に権限を行使させることが果たして可能なのか。これについては、内閣法制局から、権限の委任についてはということで、「権限の委任があったときは、その委任の範囲内において委任庁は当該権限を行使し得ず、受任機関が自己の名と責任においてこれを行使するものと解されております。」すなわち、委任する側がみずからは行使できないんだという答弁をされているんですね。

 こうした状況の中で、いや本当にそういう状況ならば、これは再就職等監視委員会、国会の意思として不同意も十分にあり得る、そのときにはこれはどういう対応をするんだろうか。五月の二十六日に私は質問主意書も出しました。六月三日に答弁をいただいている。その後、参議院では松井議員や、あるいは内閣委員会で私は十一月、十二月と続けて質問をしています。

 繰り返し繰り返しこのことについて確認をしながら、法の想定外だということで何らこのことに対する対応をせず、最終的には十二月の末に、政令で委任規定があるからということで、経過措置期間の政令の委任規定に潜り込ませたというのが実態じゃないですか。

 官房長官、これは想定外じゃないですよ。昨年の三月から、この国公法が成立をしてから、この問題はどうなるんだろうかということで、参議院で逆転が成り、ねじれ国会となる中で、両院の同意が必要だという極めて独立性そして公正中立性が高い機関を設置するときにおいて、このような法の規定ぶりで大丈夫なんだろうかということで、私は、再三再四、主意書も含めて確認をしてきたんです。

 これに対しては、専ら行使を予定しているという答弁がありました。これは質問主意書に対する答弁です。再就職等監視委員会が専ら行使を予定していると。予定されない場合も十分あり得るではないかということを私は確認しているんですよ。想定外じゃないじゃないですか。いかがですか。

河村国務大臣 政府としては、法律によってできた仕組みを誠実に実行する責務があるわけであります。その仕組みそのものに反対だから同意人事的なことは一切だめだということは想定していないということであります。これはまさに想定していないことであります。

 しかし、現実にこの法律は、三年後には官民人材センターに完全に移っていくという暫定期間的なものがある。その間についてはまさに特例的にせざるを得ない状況にあるんだということ、この御理解を求めておるわけでありまして、現実には、その間はできるだけ長くしないようにした方がいい、こういう意見があることは我々承知しておりますし、国民のいろいろ厳しい目もあることも十分承知しております。

 この三年間においてきちっとそういうことは整理をするんだ、しかし、その暫定的な措置としてこうせざるを得ない政府の役割がある、このことの御理解を求めておるわけであります。

馬淵委員 いや、官房長官、何度も申し上げるように、国会の意思、これは私は歴史的経緯からひもときましたよ。国会の意思なんです。同意するかしないかというのは国会の意思なんです。この国会の意思の中で不同意となることを十分に想定され得るんですよ。法律をつくるときにそれが想定されなくても、法律をつくった後に想定される時間は十分にあったんです、昨年の三月から指摘していますから。その間もこれを全く取り合わずに、行政の言いなり、役人の言いなりになってきた。

 麻生総理は官僚を使いこなせと閣僚に言ったといいますが、使いこなすどころか操り人形になっているじゃないですか。麻生総理は、このような形で国会の権能を無視されていることを全く構わないとお考えなんですか。

 ここでさらに重い答弁がございました。宮崎法制局長官、長官は仙谷委員の質問に対して、外的障害、このように述べられました。これは何を意味するか。

 この外的障害とは、国会で同意人事が議決されなかったことについて、「外的な障害がございまして、」このようにおっしゃったんです。国会の議決がなされないことは外的な障害なんですか。同意人事というのは、これは国公法の中で制定されているんですよ。それを議決できなかったからといって、外的要因、外的障害、これはとんでもない話じゃないですか。

 これは政府見解はいかがですか。国会の議決が外的障害だということですか。政府見解を出してください。

宮崎政府特別補佐人 外的障害という言葉が、もっと適切な言葉がなかったかなということは反省はいたしますけれども、国会同意そのものが制度の自己目的としてあるのではなくて、この問題につきましては、改正国家公務員法の百六条の八で、この委員会の委員長及び委員の任命は内閣総理大臣の権限に属するわけであります。その任命権についての限定、制限として国会同意があるわけでございます。そして、委員長、委員についての任命がおよそどんな努力を払ってもできないということはこの改正国家公務員法は想定していないのだろうということを申し上げているわけでございます。

馬淵委員 だから、政府見解として、国会同意がなされないことを外的障害だということでお認めになるかどうか。確認ですよ。確認してください。

宮崎政府特別補佐人 繰り返しになりますけれども、この場合における国会同意は、内閣総理大臣の委員長、委員に対する任命権の限定でございます。したがいまして、十九年改正法が、政府としていかなる努力を払っても任命権が行使できない、任命ができないということはこの法律は想定していないということを申し上げようと思って、そのように申し上げたわけでございます。(発言する者あり)

衛藤委員長 内閣法制局長官宮崎礼壹君、再度答弁をお願いします。

宮崎政府特別補佐人 この委員会につきまして、この法律が、委員会はというふうに独自に書いてあるのではまた話が別かもしれません。私ども、いろいろ検討いたしました。

 しかし、この退職管理に関するもろもろの権限というのは、内閣総理大臣がその事務を行うということで、十八条の二以下、この十九年改正でいろいろなものが導入されたわけでございます。政令なり、それから退職管理基本方針といったものの策定は、委員会には委任されておりません。内閣総理大臣の退職管理に関するもろもろの事務のうち、調査権と承認権というものについて委員会に委任するということになったのでありますから、そもそもこの法律、十九年改正法の趣旨は、内閣総理大臣に退職管理に関する基本的な権限を行使させるというのが趣旨であるというふうに思います。

 したがいまして、委員会がどうしても成立しない場合において、この法律の趣旨に即すれば、内閣総理大臣がやむを得ず最小限度の範囲内において権限を行使するということは、法律の趣旨に反しないものだと思っております。(発言する者あり)

衛藤委員長 馬淵澄夫君。

 馬淵君、発言してください。(馬淵委員「政府見解を出してください」と呼ぶ)

 再度、内閣法制局長官、答弁をお願いいたします。宮崎礼壹君。

宮崎政府特別補佐人 若干繰り返しにはなりますけれども、仮に、内閣が任命権を行使するに当たりまして、国会同意を得るべく努力を十分にしないというようなことをして、その上で、勝手に、委員会でなくて自分で直接的に行使をするというようなことであれば、これは法律によって許されないと考えております。しかしながら、そういう努力を尽くしても委員の任命ができないということをそのような表現で申し上げたわけでありますが、その表現自体が適切でないのかもしれません。

 そこは、趣旨としましては、内閣なり政府が、委員の任命についての同意という、その要件を満足するために十分な努力、完全な努力を払ったかどうかということでありまして……(馬淵委員「撤回するのかしないのか」と呼ぶ)その場合、そういう努力を十分していない場合との比較において外的障害という言葉を使わせていただきました。その表現……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いします。

宮崎政府特別補佐人 そういう趣旨を表現しようと思ったにとどまりますので、その表現が適切でないということであれば、その表現は撤回させていただきます。

衛藤委員長 これにて馬淵君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日、与野党の合意が得られなかったにもかかわらず、委員長が理事会を打ち切り、採決を前提に本委員会が進んでいることに、まず強く抗議をしたいと思います。

 こんなに暮らしが大変な中でも六割から八割近い国民が定額給付金に反対と言っているのはなぜか、ここに思いをして、国は今何をやるべきか、その点では、さらに審議を深めるべきだと重ねて指摘をするものであります。

 私は、きょうは主に雇用のセーフティーネットについて伺いたいと思います。

 最初に総理に伺いますが、十二月二十六日の厚生労働省の調査では、八万五千人の雇いどめが三月までに出るとされております。その後、帝国データバンクが八日に発表した雇用調整に関する企業の動向調査によると、国内企業の四社に一社は非正規社員を含む従業員の削減を実施または検討している、そのうち、製造業は三社に一社、自動車業界などは六割ということを言われております。

 八万五千人が、残念ながら、わかっている一部であり、今後もこの数字はさらにふえると思われますけれども、総理の受けとめを端的に伺います。

麻生内閣総理大臣 今御指摘がありましたように、百年に一度とよく言われるように、今回の経済不況というものは、これは世界同時不況になっておりますので、日本だけに限らず、世界じゅう、ほぼ同時に昨年末に向けて起きてきております。

 したがいまして、日本としても、国内の経済事情はそれほど悪くないと我々は期待をしておりましたけれども、残念ながら、輸出産業を含めまして、今言われました自動車、家電等々、輸出関連の企業ほどいわゆる影響が大きい、したがってそれに合わせて雇用の調整などが続いておるという事態は、極めて我々としては深刻に受けとめておるというのが正直なところであります。

高橋委員 今後について伺ったつもりですけれども、今の極めて深刻ということにそれが含まれているのか、もし追加があるのであれば。

麻生内閣総理大臣 こうした事態に対応するための措置の話を聞いておられるということですね。(高橋委員「受けとめです」と呼ぶ)受けとめは、今、極めて深刻でありまして、これが、では、すぐ来年からとかことしの中ごろにはすべてよくなっているかといえば、これは世界じゅうの経済、世論調査、予測調査というのはかなりまちまちでありますので、我々としてこれが絶対という自信があるかといえば、正直、世界じゅうこれだけまちまちのあれが出ますと、私どもとして、なかなか予測としては立てにくいというのが率直な感じであります。

高橋委員 世界じゅうというお話をされましたけれども、国内で何をやるかということもまた問われていると思うんですね。

 きょうは、残念ながら、それ以上その話は進めるつもりはないんですけれども、一言言っておきたいのは、今つかんでいる数字というのは自動車・部品ですとか電機などの大手であります。大手が真っ先にリストラを発表し、今後はさらにその関連する中小の企業に波及するというのは必至だと思うんですね。既に、発注の激減、単価の切り下げなどが現実に起こっております。体力のある企業がここで本当に踏ん張らないと、では、どこで持ちこたえることができるのかということが言われている。ですから、先週も内部留保の問題などが議論されていたと思うんです。ここを一般論にしないで、総理が企業に対しても明確に発言されるよう、この点は指摘だけにしたいと思います。重ねて要望したいと思います。

 きょうは雇用のセーフティーネットということで話を進めていきたいと思うんですけれども、この厚労省の調査のときに、六七・四%が派遣契約で五万七千人、一八・五%が期間工で一万五千七百三十七人。いずれも、雇用保険の加入状況が判明した方々のうち、雇用保険の加入者は九九・九%だというわけであります。正直驚きました。もし雇用保険がきちんと適用されていれば、一遍に何もかも失うという混乱は少なくとも避けられたのではないかと思うわけです。

 そこで伺いたいのは、九九・九%は加入している。そのうち、どのくらい実際に失業保険がもらえる資格があるのでしょうか。

舛添国務大臣 委員御承知のように、派遣労働者や非正規労働者に係る雇用保険の適用要件が、現在は、所定労働時間二十時間以上、かつ一年以上の雇用見込みがあることをこの要件としております。したがって、この適用要件を満たす労働者を雇用する事業主は雇用保険の加入手続を行わなければならないし、労働者自身も、公共職業安定所に自分がちゃんとそうなっているかということを確認することができるようになっております。

 なお、この雇用のセーフティーネットとしての雇用保険の機能をさらに強化するために、非正規労働者に対するこの適用基準、一年以上雇用見込みというのを六カ月以上に緩和するという方向で拡大することを予定しております。

高橋委員 どのくらいもらえるかということについてはわからないということですよね。答えていないと思いますが。

舛添国務大臣 週所定二十時間以上、一年以上の雇用の見込みがある方がどれだけかという数字になると思いますから、それは一々把握しているわけではありません。

高橋委員 今回の調査が、企業への聞き取りでこうしたことが判明したわけですから、その時点で少し思いを寄せて実態をつかむべきではなかったかということを指摘したいと思うのです。九九・九%だけが前に来ますと、大体カバーできているのかというふうに思っちゃうわけですよ。そこをきちっと言いたいわけです。本当は使えるのに、使えるのにですよ、知らずにほうり出されていることがあってはならないんです。

 この派遣村では、例えば、会社から離職票は後日届けると言われたという人がいます。ところが、後日といっても、寮から出されているので届け場所がわかりません。そんな形でほうり出されているんです。雇用保険に自分が入っていることさえわからない。とにかく、雇いどめされたショックでそこまで思いが至らないのが実態であります。

 ただ、派遣村では、相談員のアドバイスで、では、ハローワークを気付とすれば受け取れるのではないか、こうしたことをやってくれたからまだ救われている人がいます。しかし、これから先もまだこういう人が出るということを考えたら、少なくとも今資格のある人が受け取れないことは避けるように、企業への指導、相談窓口においても徹底するべきだと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 十二月には、全国のハローワークで特別相談窓口を設置しておりますし、先ほどの派遣村の件につきましても、きめの細かい対応を行っております。さらに、事業主に対しても、こういうことについてきちんと徹底するようにお話をしておりますし、全国の労働関係の部局において徹底的な指導を行っておるところでございます。

高橋委員 〇七年三月の雇用保険法の改正のときに、私は、完全失業者における失業給付受給率が、二〇〇〇年の三三・三%から二〇〇六年は二二・八%にまで落ち、圧倒的多くの失業者が雇用保険から排除されている、そして、その背景に、派遣など非正規労働者を拡大してきたことがあると指摘をし、受給資格要件を半年から一年に延長したことや国庫負担の引き下げについて反対をしました。

 大臣、結局、わずか一年で見直しを迫られている、このことをどう受けとめますか。

舛添国務大臣 雇用情勢の急激な悪化、さまざまな状況があると思いますけれども、委員、ぜひ、これはもう一つ別の側面からもお考えいただきたいのは、一年を六カ月にいたしました、さらにもっと短くするとどういうことになるかというと、片一方では、きちんとその仕事に定着してもらわないといけないという要求があるわけです。いわゆる循環的離職、二、三カ月いて、失業保険、雇用保険もらえるからとぱっと職業を離れる、そしてまたやる、この循環的離職に対する歯どめということも必要なので、やはり政策というのは、両方の側面からバランスをとって、何が本当に労働者のためになるか、しっかりと定着して安定した雇用を確保していただきたい、そういう要請も片一方にあるということを申し上げた上で、バランスのとれたいい政策を今後とも全力を挙げて遂行してまいります。

高橋委員 今指摘をしているのは半年をそれ以上短くしろという議論をしたのではないんですよ。〇七年に指摘したとおりに戻したじゃないか、そのことをどう受けとめているのかと聞いているんです。

舛添国務大臣 それぞれの政治状況、雇用状況、経済状況においてさまざまな政策をやる、そしてその施策が十分でなければ勇猛果敢に柔軟に見直していく、決して悪いことではないと思います。

高橋委員 もう少し率直に認めるべきだと思いますよ。この場で強く指摘をしたいと思います。

 今、派遣労働者は三百八十四万人、問題は二つあると思うのですね。労働法制の規制緩和や非正規労働の増大が雇用のセーフティーネットから労働者を排除してきたということ、この点できちんと責任を認めるべきだと。しかし、同時に、さっき何度も言っているように、期間というものと時間というものがございます。本来ならそれでも雇用保険は適用になるはずなのに、はなから対象外だと排除されているという実態があることです。

 現行では、派遣労働者の雇用保険適用要件について、週二十時間以上、一年以上の雇用見込みということが要件となっています。この雇用見込みというところがネックになるんですけれども、実際には、雇用契約が一カ月とか二カ月とか短いんです。間がちょっとあくけれども継続して一年以上働くケース、これは現行でも雇用保険の対象になりますね。

舛添国務大臣 雇用見込みという形でそういうふうに解釈をし、法の適用に当該するということになればそうなります。

高橋委員 現行でもできるというお答えだったと思うのです。これは実は当然なんですね。労政審雇用保険部会の中で課長がきちんと説明していることを私はあえて聞きましたので。

 しかし、現実にはそうはなっていないというところに問題があるわけですよ。つまり、派遣会社が二カ月の契約ですよと言ったら、見込みがどうかということは全然そこに思いをいたさない。だから、一年間、関係ないから最初から雇用保険を手続していないということが今るる出てきているんだということをちゃんと受けとめて、ここを改善しなければならない。法改正はもちろんですが、その以前でも徹底をしていただきたいと思います。

 実は、今回の法改正でもう一つ、今準備されている中で大事なところに、契約期間満了ということで雇いどめにされた方も今回解雇と同じ扱いを受けることになります。これは何でもともとそうじゃなかったのかなというふうに私は率直に思います。

 これは、やはり突き詰めれば、契約期間満了だから解雇じゃないんだとか、こうした言い分が公然とまかり通ってきた。派遣法にそれを企業が実は期待していたところではないのか。中途解約でさえも、労働契約法でいえば解雇は無効です。しかし、責任が問われるのは派遣元であり、派遣先は解雇したわけではないのだと追及を受けない仕組みになっている。やはり派遣法のスキーム自体に問題があります。

 労働者派遣法は、九九年の原則自由化以前に戻すべきだと思いますが、伺います。

舛添国務大臣 派遣先、派遣元、そしてその派遣元における労働者、それぞれの契約関係はきちんと厳密に議論しないといけないというように思っております。もうこれは釈迦に説法でございますけれども、派遣先と派遣元の企業の間の契約については、自由な私企業間の契約でありますから国が関与するということはございません。

 しかしながら、中途解除というようなことはなるべく避けるようにということを関連団体にきちんと申し上げておりますし、そして、派遣元が自分が管理する派遣労働者について、それはきちんと契約に基づいてやらないといけないわけですから、労働契約法違反の場合には、これは処罰の対象となります。そういう形で、現行の法律の枠組み内でもしっかりと指導監督を徹底してまいりたいと思っております。

高橋委員 自由な契約ということを最初におっしゃいましたけれども、そういうスキームがあるからこそ、本来解雇であるけれども、単なる契約満了なんだよという形で企業が責任を免れる、ここを見直しするべきではないか、このスキーム自体を問題とすべきではないかということを重ねて訴えたかったわけであります。

 本当に今の経済危機の問題、さっき、総理が百年に一度ということを何度も強調されておりますけれども、やはり企業の論理だけがまかり通る社会ではだめなんだ、それが今の経済危機の実は元凶ではなかったかと思うわけです。ドイツでは、上場大企業三十社の人事担当者とシュルツ労働社会相が九日、景気悪化の中でも会社都合の解雇を回避するために全力を尽くすとの共同声明を発表しました。今求められているのは、そういう立場だと思います。

 今こそ人間らしい雇用とルールある経済社会へ大きく踏み出すことを強く求めて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 議員保坂展人君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 保坂展人君。

保坂議員 社民党の保坂展人です。

 委員長には、公平公正、ルールにのっとった委員会運営をお願いしたいと思います。

 外務省の問題をやりたいと思います。

 十一月に会計検査院が指摘をした、いわゆる国連への信託基金、この信託基金の残余金が検査をしたらぞろぞろ出てきた。十個の信託基金があって、これはひどいんですね、外務省から外務委員会の理事懇で詳細な経過は聞いていますけれども。例えば、残余金があるから日本政府はどう受け取りますかと聞いても、返事がない。三年も四年もないんですよ。小切手を用意しているからとりに来てくれと言っても、これまた三年も四年も返事がない。

 こんなことがあるのかと私驚いています。税金の無駄遣いが指摘されてきましたけれども、まさにその税金を返還するということの受け取り拒否で、放漫、金満体質そのものではないですか。

 外務大臣に伺いますが、十一月末の時点では、こうして放置をされていた、検査院が指摘した残金は何と八億円に上っていた、これは事実ですか。正確にお答えいただきたいのと、これは国民に、こんなずさんだったということは一言謝罪をしてほしい。いかがですか。

中曽根国務大臣 会計検査院より指摘を受けました国連信託基金、十の基金につきまして、現在までに確定をしている拠出残余金総額は約八億一千六百四十七万円でございます。昨年、委員からの御質問で政府参考人が御答弁した数字はちょっと正確性を欠いておりまして、八億一千六万円とお答えしたのではないかと思いますが、これは単純な読み違いだと思いますが、訂正をさせていただきたいと思います。

 それから、預けっ放しといいますか、その件でございますが、国連の信託基金の閉鎖に伴う拠出残余金の処理につきましては、十一月に会計検査院が公表いたしましたとおり、速やかな対応がなされていなかったと認識をしております。御指摘の約八億円の残余金が存在した信託基金につきましては、国庫返納あるいは他の基金への振りかえに関する手続をほぼ完了したところでございます。

 このような事態が生じましたことはまことに遺憾でございまして、私から事務当局に対しまして、再発防止を徹底させることについて強い注意喚起を行いました。

 この件につきましては、外務省の体制面につきましても問題があったと認識をしておりまして、かかる状況が二度と再発することのないように、ガイドラインなどを作成し、そして、国連からの照会や通知を処理するものや処理期限など具体的な事務手続等を明確に定めるとともに、信託基金の状況について定期点検を行うこととして、そのような改善を図ったところでございます。

 今後、こういう方針に従いまして適切な処理が行われるよう徹底していきたいと思います。

保坂議員 余り明確な謝罪はなかったという感じなんですね。

 もう一つ、このパネルを見ていただきたい。国連広報センターの業務外と言われていますけれども、PKOのゴラン高原派遣などをする際に、チケットの手配をこのUNIC東京でしていたという問題があります。

 このUNIC東京については、会計上、国連内部監査などで、極めてずさんだ、虚偽の請求書などが指摘をされていることがありまして、これは国連から是正を勧告されながら、PKOの業務の進め方について、日本政府は、このUNIC東京が一つの旅行代理店に、資料にもつけたように全部落ち込んでいく、たった一つの業者にずぶずぶの随契で頼んでいる、こういう実態がある。

 防衛大臣に伺いますが、こうした事実はあったのか。航空券の手配をUNIC東京に行わせていた、そしてまたこのままやらせてほしいと従来の方法を維持しようとした、そんな動きがあったのか。防衛大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 お答えいたします。

 国連PKOへの自衛隊の部隊の要員を派遣する際の本邦と派遣先国間の航空券の費用については、国連側がこれを負担することになっておりまして、平成十一年から十九年までの間、UNIC東京事務所が往路の航空券を手配して、防衛省側に配付をしていたということでございます。

 このため、ゴラン高原に平成十一年以降、平成十九年まで派遣していた要員が該当すると考えられ、総計しますと延べ七百七十四人分の航空券が同事務所を通じて手配されたと考えられているところであります。

保坂議員 次に、パネルをごらんください。

 もう時間がないので総理に伺いますけれども、外務大臣も経験、歴任されているので。

 これは、UNIC東京の広報予算の普通口座と定期預金、この二つを合算した資料を作成いたしました。

 普通、官庁あるいは国や自治体の機関で定期預金がありますというと、これは剰余金であり、これは裏金なのかなと。いわゆる自治体で発覚した預けの問題と近いと思いますけれども、定期預金がつくられていて、しかも、質問主意書で、私、何回も聞いていますけれども、定期預金があることを政府は知っていたのかということについて、知らない、知らないと答弁書で答えているんですね。定期預金が存在していることは承知をしていない、承知をしていないと。

 しかし、資料でつけておりますように、外務省から日本政府の提案、五百万円、十万ドルの基金を国際巡回展で使いませんかというメールであるとか、外務省の担当者とUNIC東京の所長との間で、この五百万円のいわば資金について、これをどうしようか、こういうテーマでメールの記録もございます。これは外務省も認めているやりとりですね。いわば、こういう五百万円の定期預金の存在をはるか前から外務省は知りながら、虚偽の答弁をしていた。これは許されないんじゃないか。

 麻生内閣として、こういった五百万円、これは、国連に預けたといっても日本政府が一〇〇%拠出しているんです。今ずさんな経理について外務大臣は述べましたけれども、国連に出したら出しっ放し、定期預金があるということがわかっても返還要求さえしない。どうですか、これは、麻生総理。麻生総理に聞きます、もう時間がないから。

衛藤委員長 まず、外務大臣中曽根弘文君。

 簡潔にお願いします。

中曽根国務大臣 この件につきまして、国連本部は、定期預金を含む信託基金の口座残高につきましては、国連広報センターから定期的に報告を受けているなど、透明性のある形で管理をしておりましたけれども、昨年三月の監査報告を受けまして、先月定期口座は閉鎖された、そういうふうに説明をしております。

 しかし、我が方といたしましては、本来このセンターの諸活動のために活用されるべき信託基金の残高の一部が定期預金として、定期預金も途中で解約できるものもありますけれども、長期にわたり出し入れもなく保有されていたということは遺憾なことであった、そういうふうに考えております。

 今後は、国連側に適切な執行管理を徹底させたいと考えておりますし、また、来年度予算におきましては、国連広報センター信託基金の予算を約一千万円減額して計上することといたしました。

保坂議員 麻生総理に最後に聞きますけれども、国連に預けたら、余っても、返すといっても受け取らない体質、これはとんでもないと思いますよ、八億円もあったんですから。そして、このUNIC東京の問題も、質問主意書で何回出しても、知らない知らない、私たちとしては調べるつもりはないとのらりくらりやっている。きちっとしませんか、これは。

麻生内閣総理大臣 今までその事実がどうかは、私もあなたの御意見だけでそれが本当かどうか確認する、裏がとれる立場にまだありませんので、お答えのしようがないんですが、少なくとも、こういったようなことで疑念を持たれる、もしくはこういったようなものが有効に活用されていないということのないように努めなければならぬと思っております。

保坂議員 終わります。

衛藤委員長 委員長として一言申し上げます。

 私の発言が誤解を与えまして、大変申しわけなく思っております。

 各党にお願いをいたしますが、質疑終了後、直ちに討論に入っていただくようお願いいたします。

 これにて保坂君の発言は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 議員下地幹郎君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 下地幹郎君。

下地議員 時間が十分しかありませんので、短くて内容のある御答弁をお願いしたいと思います。また、委員会が殺気立っておりますから、質問が終わるまでは冷静にひとつお願いをさせていただきます。

 まず、三つ聞かせていただきますけれども、一つは、麻生総理の今の世論調査が出てのお気持ち。それと二つ目には、定額給付金がありますけれども、この定額給付金の提案者は公明党で、この政策をある意味熱心に推進しているのは公明党であるのかというのが二点目。それと三点目には、総理はどこを見て政治をするのか、国民を見て政治をするお気持ちがあるのか。この三つをまずお答えいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 世論調査のことに関しましては、これは真摯に受けとめるということだと存じます。

 二つ目が、何でしたか、公明党のためにやっている……(下地議員「定額給付金の提案者」と呼ぶ)定額給付金の何でしたか……(下地議員「提案者は公明党で、この定額給付金に一番熱心で強引なのは公明党なんですかということ」と呼ぶ)定額減税について大変御熱心であったと記憶します。

 定額給付金というのは、これは与党で協議をした結果、定額減税より定額給付金の方がより迅速、より広範囲に本来の目的が達せられるのではないかということになりましたので、定額給付金ということに関して公明党だけが特に熱心であったというように感じておりません。

 もう一個あったな……(下地議員「もういいです」と呼ぶ)

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

下地議員 この第二次補正予算が、与野党協議がうまくいって十九日前後に決まるのと、与野党協議がうまくいかないで六十日間予算が執行できないというふうになった場合、経済に与える影響はどんなものがあるのか。

 そして、私、まだ十月―十二月のGDPの四半期の調査も出ていませんし、一月―三月も出ていないんですけれども、経済研究所などにお聞きをすると、十月―十二月も二・四%、また一月―三月も二・四%、GDPが落ちるんじゃないかと。こういうふうになると、計算をしてみると、この給付金が、第二次補正予算が決まらないで六十日間予算が執行できないとなると、新たに十二万人ぐらい失業者が出るんじゃないか、非常に厳しい環境になるんじゃないかというふうなことを言っておりますけれども、与謝野大臣に御答弁をお願いしたいんです。六十日間でどれだけそのことについて経済にマイナス要因が出るのかをお願いしたいんです。

与謝野国務大臣 予算執行がおくれた場合を仮定したGDPや雇用への定量的な影響については、その時々の経済状況は、さまざまな仮定の置き方など複雑な前提を置く必要があり、一概に申し上げることは困難ではございますけれども、影響は悪い方に出るということは間違いありません。

下地議員 二次補正をつくるときに、内閣府に何回言っても今言っているような答弁しか出てこないんですけれども、みずからがしっかりと二次補正をつくって、これで効果がありますよということを言っているわけだから、これがうまくいかなかったら、GDPでどれだけ落ちて、失業率がどれだけ落ちて、経済にどれだけ多くのものが出るのかというのは答えられるはずだと思うんです。自分の自信があって出されているものに関しては、私のものが通らなかったらこれは経済に大きな影響を及ぼしますよと言うのが普通ですけれども、政府は全く数字を言わない。ここは少し問題であると思いますね。

 それで、時間がないからあれですけれども、定額給付金をやると〇・二%のGDPが上がるとおっしゃる。定率減税をやったら〇・二七上がると言う。二兆円の一般会計の政府支出をやったら〇・三九上がるんじゃないかと言われている。定率減税と定額給付金を一兆円ずつやったら〇・二七上がるんじゃないかと。定額給付金と一般財政をやったら〇・三三上がるんじゃないかと。六番目に、定率減税と一般会計をやったら〇・三三じゃないかとか、いろいろと調査室で調べたら、こういう調査が出てきていますよ。

 総理、総理の選択肢はいっぱいあるんですよ。選択肢はいっぱいある。だから、今、国民の支持率、国民から、七〇%の方々がこの定額給付金はだめだとおっしゃっております。それで、第二次補正予算を六十日間与野党が協議をして、お互いがチキンゲームでぶつかり合ったら、十二万人も新たに失業者が出るんではないかというふうな統計も出ている。

 一点目に、総理は、私は国民の立場をもって政治をやるというお考えであることはもう間違いないと。そういうふうになったら……(発言する者あり)当たり前のことを言っているんです。そういうふうなことを言ったら、この公明党の立場も野党の立場も取り込んで、さまざまな選択肢の中でこれは決着をさせていくというのも私は一つの方法じゃないかと。政治はいっぱいの妥協の産物だとよく言われるじゃないですか。そのままけんかをしていくのか、修正をしながら国民のために結論を出していくのか、私は決断しなきゃいけない時期に来ていると思います。

 それで、総理にお聞きする前に野党の提出者の皆さんにもお聞きをしたいんですけれども、こういう修正案が出てきたら、野党も、定額給付金を全部抜けという今提案ですけれども、修正に乗って、国民のためにまとめるおつもりがあるのかないのか、まず野党から聞かせていただきたい。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

細野委員 私どもも、下地議員が御指摘をされたような経済に対する厳しい認識のもとに修正案を、さまざまな意見がありましたけれども、提出をさせていただきました。しかも、この修正案については、仮に採決をしていただければ、今後できるだけ早い段階で実施に向けてできるように、参議院の審議についても協力できるということについても理事会で述べさせていただいたところでございます。

 したがいまして、与党の皆さんがテーブルに着くということであれば、さらなるさまざまな議論も含めて、私どもは修正に応じる考え方だということを申し上げたいと思います。

下地議員 総理、国民のことを考えて修正に応じると言っているんですから、もうここは論議した方がいいんじゃないですか、論議を。ここは強引に強行したら、私は本当の意味での国民のための政治にならないというふうに思うんです。総理の英断をお願いしたいんですけれども、御答弁をお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 修正は一点だけだと記憶をいたしております。ほかにはなかったでしょう。定額給付金だけだと思っておりますが、その点につきましては、給付金つき定額減税というお話が最初あったんでしたね。たしかその……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に、静粛にお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 今出された案というものは、我々は、何回もこれまで政党間協議をというお話をずっとさせていただいてきたのは、下地先生、この一年間、よく御存じのとおりだと思っております。なかなかそのようなものにならなかったというのが、結果としてこういう形になっているんだと理解しております。

下地議員 もう時間ですから最後にもう一度申し上げますけれども、野党も、今の法案にこだわらずに、修正をして、今、総理がおっしゃる百年に一度の金融危機に対応しようと言っているわけですから、総理の決断をお願いしたいと思いますよ。

 それで、先ほど申し上げたように、公明党が、これはどうしてもやらなきゃだめだ、これをやらなければ連立を破棄する、そんなこと言わないでしょう。これはもし言ったら大変なことになりますよ。だから、ぜひ国民のために決断をしていただきたい。そして、六十日間無駄な時間を過ごさない。そのことを決める能力があるのは総理大臣だということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて下地君の発言は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十年度補正予算三案及び両修正案に対する質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより討論に入ります。(発言する者あり)

 平成二十年度補正予算案及び両修正案を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。

鈴木(恒)委員 自由民主党の鈴木恒夫でございます。

 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成二十年度第二次補正予算三案に賛成、民主、社民、国民新党提出の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。

 現在、世界の金融資本市場は百年に一度とも言われる危機に陥っており、それに伴い、世界的な景気後退が生じております。その影響を受けて、我が国経済においても、輸出や生産の減少、消費停滞など景気悪化を招き、雇用不安、生活不安の高まりは日々深刻度を増しております。

 政府の今回の補正予算は、これらの対策を実施するための重要な予算であり、経済政策の速やかな実施が国民生活と日本経済を守ることにつながると確信しているからこそ、議員各位の賛同を得て、早期に成立が図られることを強く期待するものであります。

 以下、本補正予算三案に賛成する主な理由を申し述べます。

 本補正予算は、まず生活対策を実施するものであります。

 第一に、生活者の暮らしの安全を確保するため、定額給付金による家計への緊急支援を行うとともに、ふるさと雇用再生特別交付金を創設し、雇用セーフティーネットを強化します。

 第二に、金融経済の安定強化へ向け、セーフティーネット貸付・緊急保証枠を三十兆円規模に拡大し、中小・小規模企業の資金繰り対策を講じることとしております。

 第三に、高速道路料金の大幅引き下げを行うとともに、住宅投資・防災強化対策を講じることで、地域の活性化を進めることとしております。

 さらには、生活防衛のための緊急対策に掲げられた再就職支援対策として、緊急雇用創出事業を創設することといたしております。

 以上、補正予算三案に賛成する主な理由を申し述べました。

 次に、民主、社民、国民新党提出の修正案について申し上げます。

 野党三党は、第二次補正予算から定額給付金部分を分離すべきと主張していますが、定額給付金は家計への緊急支援であり、消費をふやす経済効果もあり、麻生総理の掲げる生活対策における重要な施策の一つであることを考えれば、絶対に切り離すことはできません。

 昨年十二月、第二次補正予算の早期提出を強く、執拗に求めていた民主党を初め、野党各党が本補正予算の速やかな審議、成立に異を唱えるはずはないと思っておりましたが、質疑二日間という与党提案に対し、五日間を求め決して譲ろうとしなかった姿には、政策より政局優先と言うほかはありません。

 衛藤予算委員長の裁定により三日間の審議となりましたが、良識的かつ公平な判断としてこれを尊重し、質疑が終局した今、速やかに採決を行い成立させることで国民生活の安定、向上に資すべきであると強く申し上げ、討論といたします。(拍手)

衛藤委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議論となっております平成二十年度一般会計第二次補正予算案、平成二十年度特別会計第二次補正予算案、平成二十年度政府関係機関第二次補正予算案の三案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 我が国は、今、百年に一度と言われる経済危機に見舞われ、昨年来の津波が本年はさらに大きな波となって押し寄せてくることが予想されます。その意味では、我々、国民生活に責任を持つ政治家、立法府は、非常時の対策が必要との強い危機意識を持ち、国民生活を守る手を迅速かつ的確に打つ必要があります。

 議題となっております第二次補正予算案は、来年度予算案と、そして既に成立した今年度の第一次補正予算を含め、総額で七十五兆円規模の対策を連続して実施していくことにより、厳しい経済状況を乗り越え、生活防衛を目指す枠組みになっています。最大の景気対策は補正予算の執行であります。第二次補正予算が早期に成立し、速やかに執行されることを強く望むものであります。

 以下、賛成する理由を申し述べます。

 第一に、本補正予算案には、定額給付金の実施に要する家計緊急支援対策費二兆三百九十五億円が盛り込まれております。その目的は二つ、生活支援と経済対策であります。現下の経済状況にかんがみ、家計の緊急支援策としての効果を迅速に発現することが極めて重要です。早期の給付が可能となるよう、本法案の早期成立を期すべきであります。

 定額給付金の経済効果について、一部に、効果がないとの批判があります。しかし、生活必需品を中心とする物価高、さらには、その後の実体経済の急激な低迷などによって、家計は以前にも増して苦しいやりくりを強いられております。我が国の家計の貯蓄率は過去最低の水準に落ち込み、貯蓄を削ってでも日々の生活に回さざるを得ないのが現状であります。定額給付金は、国民生活を支援し、消費を下支えする効果的な政策であることは間違いありません。

 第二に、現下の緊急課題である、中小企業の倒産や、派遣切りなど深刻化する雇用問題について積極的な対策を盛り込んだことであります。

 中小企業の資金繰りを支援するための融資の保証、貸出枠を大幅に拡大するほか、雇用のセーフティーネット強化策として、非正規労働者の雇用安定対策の強化や雇用調整に伴う休業などに対する助成の拡充など、中小企業の雇用を維持するための支援の強化、さらには、職を失った方の雇用を生み出すためのふるさと雇用再生特別交付金の創設も盛り込まれております。一刻も早い執行が望まれるものでございます。

 第三に、こうした重要課題とともに、出産・子育て支援の拡充、介護従事者の処遇改善と人材確保、障害者支援の充実、医療対策など生活安心確保対策、高速道路料金の大幅引き下げ、学校などの耐震化事業など、国民生活の安全、安心を高めるきめ細かな施策が盛り込まれ、一日も早い執行が期待されております。

 以上、本補正予算案に賛成する主な理由を述べました。

 本補正予算案は、未曾有の経済危機に向かい、生活の安心、安全を確保するために必要不可欠なものであります。政党の思惑からいたずらに時間を空費することなく、一日も早い成立を期待するものであります。

 なお、民主党、社民党、国民新党の野党三党提出による、定額給付金に充てる約二兆円を本補正予算案から削除する修正案につきましては、生活を支援しながら消費を下支えする定額給付金の趣旨を理解しない国民生活無視の提案であり、反対する旨を申し上げ、私の本補正予算案など三案に対する賛成討論を終わります。(拍手)

衛藤委員長 笠井亮君。

 笠井君、進めてください。笠井君、進めてください。(発言する者あり)

 静粛にお願いいたします。静粛にお願いいたします。

 委員長の許可なく写真撮影は厳禁とします。なお、委員長の許可なく撮影したものについては、フィルムを委員長として没収いたします。

 笠井君。(発言する者あり)

 諸君、静粛にお願いいたします。委員長の議事整理権に従ってください。

 再度申し上げます。委員長の許可なくしてカメラの撮影は厳禁いたします。なお、撮影したフィルムは、委員長が直ちに没収します。

 カメラを委員長のもとに、ここにお持ちください。

 委員長は、直ちに、ただいま撮影されたフィルムを手元に没収いたしました。

 それでは、委員、どうぞ。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇〇八年度第二次補正予算案に反対、民主、社民、国民三党提出の修正案に賛成の討論を行います。

 そもそも、第二次補正は、昨年十月に閣議決定した生活対策を具体化したものであります。昨年、麻生総理は、迅速、スピーディーに実行すると言いながら、ついに臨時国会には提出しませんでした。年を越して通常国会冒頭に提出するや、わずか三日間の質疑ですぐ採決せよというのは、余りに横暴であります。(拍手)

 この二カ月余りでますます深刻となる雇用、定額給付金など審議すべき問題点を残したまま、雇用の参考人質疑も行わず、本日、与党が予算委員会の質疑を打ち切り、採決を強行しようとしていることは断じて許せません。強く抗議するものです。

 反対の理由の第一は、定額給付金です。

 一体何のための給付金なのか、目的もはっきりせず、給付対象に高額所得者を含めるのかどうかという基本事項さえ二転三転し、やる、やらないの実施は自治体任せです。

 生活対策としても景気対策としても役立たないものであり、公金を使った選挙対策と批判されるのは当然です。しかも、三年後の消費税増税とセットであります。

 だから、予算審議直後のどの世論調査でも、給付金反対は七割、八割に上っているのであります。二兆円をもっと有効に使えとの国民の声を受けとめ、給付金は撤回すべきであります。

 この点で、定額給付金を削除する三党修正案に賛成であります。

 第二の重大な問題は、大銀行、大企業の支援策です。

 マネーゲームに狂奔して損失を抱えた金融機関を公的資金を使って救済するため、政府保証枠を拡大していますが、銀行が負うべき損失を国民が肩がわりする理由はありません。

 また、自衛隊の精密誘導弾導入経費などを潜り込ませていることも看過できません。

 第三に、生活対策として、介護労働者の待遇改善、妊婦健診の公費負担の拡充などは当然ですが、ますます深刻となる雇用と暮らしへの対策は、規模も内容も極めて不十分です。

 今必要なことは、解雇、雇いどめによるこれ以上の首切りを防止し、仕事と住まいを失った労働者への緊急支援措置をとること、そして労働者派遣法を一九九九年以前に戻す抜本改正を行うことであります。経営難、倒産に直面する中小企業への抜本的支援も必要です。

 このことを強く指摘し、討論を終わります。(拍手)

衛藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 これより採決に入ります。(発言する者、離席する者あり)

 まず、枝野幸男君外三名提出、平成二十年度一般会計補正予算(第2号)に対する修正案及び平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)に対する修正案を一括して採決いたします。

 両修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立少数。よって、両修正案は否決されました。(発言する者あり)

 次に、平成二十年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)、平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立多数。よって、平成二十年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。(発言する者多く、聴取不能)次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十九分散会


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