衆議院

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第8号 平成21年2月4日(水曜日)

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平成二十一年二月四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    猪口 邦子君

      臼井日出男君    小野 次郎君

      小野寺五典君    尾身 幸次君

      大野 功統君    片山さつき君

      木村 隆秀君    岸田 文雄君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      中馬 弘毅君    土屋 正忠君

      仲村 正治君    永岡 桂子君

      根本  匠君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    橋本  岳君

      深谷 隆司君    三原 朝彦君

      山本ともひろ君   吉田六左エ門君

      渡辺 博道君    大島  敦君

      逢坂 誠二君    川内 博史君

      菊田真紀子君    仙谷 由人君

      田名部匡代君    田村 謙治君

      津村 啓介君    筒井 信隆君

      中川 正春君    長妻  昭君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    山井 和則君

      渡部 恒三君    池坊 保子君

      江田 康幸君    笠井  亮君

      志位 和夫君    阿部 知子君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   総務副大臣        石崎  岳君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     山本ともひろ君

  大野 功統君     土屋 正忠君

  木村 隆秀君     橋本  岳君

  小池百合子君     猪口 邦子君

  吉田六左エ門君    永岡 桂子君

  渡辺 博道君     片山さつき君

  大島  敦君     長妻  昭君

  逢坂 誠二君     田名部匡代君

  川内 博史君     田村 謙治君

  仙谷 由人君     山井 和則君

  馬淵 澄夫君     津村 啓介君

  渡部 恒三君     菊田真紀子君

  笠井  亮君     志位 和夫君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     小野 次郎君

  片山さつき君     渡辺 博道君

  土屋 正忠君     大野 功統君

  永岡 桂子君     吉田六左エ門君

  橋本  岳君     木村 隆秀君

  山本ともひろ君    小野寺五典君

  菊田真紀子君     渡部 恒三君

  田名部匡代君     逢坂 誠二君

  田村 謙治君     川内 博史君

  津村 啓介君     馬淵 澄夫君

  長妻  昭君     大島  敦君

  山井 和則君     仙谷 由人君

  志位 和夫君     笠井  亮君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     小池百合子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 昨日の細野豪志君の質疑に関連し、前原誠司君から質疑の申し出があります。細野豪志君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 おはようございます。民主党の前原でございます。

 それでは、きょうはまず、日本経済への認識ということで、総理と問題意識を共有する中で少し各論に入っていきたいというふうに思っております。(パネルを示す)

 昨年の十月に、この予算委員会で麻生総理とは一度議論をさせていただきましたけれども、そのときも、自民党が政権をこれからも続けようとも、あるいは仮に政権交代があっても、いずれにしても、日本の運営を担う政権は、幾つかの制約要因というものを前提に国家運営をしていかなくてはなりません。

 その大きな問題が、まず一つは莫大な財政赤字であります。国や地方、あるいは財投債、財投機関債、そういったものを入れた場合には九百十兆円を超える借金がある。五百十五兆のGDPの日本からすると、かなりの額であります。

 そして二番目には、日本は二〇〇四年をピークに、人口減少の社会に入ったということであります。一億二千七百万人余りの今の人口が、二〇五〇年には九千万人程度になるのではないか。平均をすると大体九十万から百万人、毎年減っていくということにこれからなるわけであります。

 三つ目は、少子高齢化が進んでいく。子供の数が少なくなり、しかし長寿化とともに六十五歳以上の比率が、今は二〇%ちょっとでありますけれども、二〇五〇年には四〇%を超えると言われております。

 こういう、莫大な財政赤字があって、人口減少、少子高齢化、そして、総理もよく言われる、四つ目は百年に一度の津波、グリーンスパンが言った言葉でありますけれども、経済的な危機が来ていると。これを、どのような形で国家運営をしていくかということの制約要因として考えていかなくてはいけません。

 そこで、きょうお話をするテーマの前提として、私がまず申し上げたいのは、この未曾有の不況を克服するための主な方針ということで、四つ挙げさせていただきました。

 一つは、財政出動を含むあらゆる政策の動員をやらなければいけない。百年に一度と言うからには、これは財政規律あるいは財政再建というものは横に置いてでも、財政出動を含めてあらゆる政策の動員をしなきゃいけないということ、これがまず一つ。

 二つ目は、しかしながら、ばらまきではない投資分野の戦略化。きのうこの委員会でも、日本の弱点あるいは日本が伸ばすべき分野にどう集中的に税金といいますか資源を投資していくかという話が行われていましたけれども、やはりこの二年、三年の、どれぐらい続くかわかりませんが、不況の霧が晴れたときには、戦略的に投資をすることによって日本の弱点が克服をされている、あるいは、日本の総体的な競争力が強化されている、そういう認識を持って積極的な政策総動員をやらなきゃいけないということになろうかと思います。

 三つ目は、きょうこの三つ目を主にやりたいと思っておりますが、たゆまぬ行財政改革の努力をやらなきゃいけない。つまりは、財政出動も含む政策総動員をやろうとすると、とかく財政規律、行財政改革ですね、これの手綱が緩みがちになるということであって、この点はしっかりとやり続けなくてはいけないというふうに私は思うわけであります。

 特にポイントとなるのが、やはり究極の行革は地方主権化、いかに基礎自治体に権限、財源を与えていくか。そして、後で議論しますが、いわゆる公益法人、天下りの受け皿となる公益法人の問題。そして、公共事業の不断の見直しということはしっかりとやり続けなくてはいけないということであります。

 四番目でありますけれども、昨今、さまざまな問題が言われております。格差とかあるいは雇用の問題が言われておりますけれども、いい改革と悪い改革があって、すべての改革を否定してはいけない、この点はぜひ政治家の共通認識として私は持たなきゃいけないと思うんですね。小泉・竹中路線の改革の検証はしっかりやらなくてはいけませんけれども、しかし、いい意味での改革、あるいは日本が本当に制約要因の中でも成長していくための改革はやり続けなきゃいけないということであります。

 昨年の五月に、中国の胡錦濤国家主席が来られて小沢代表と会われたときに、私も同席をさせていただきましたけれども、これが政治家の言葉だなと思ったのは、去年が二〇〇八年、中国が改革・開放を始めたのは一九七八年の十二月なんですね。だから、去年で三十周年なんですよ、改革・開放。中国は、御承知のとおり、物すごい経済発展をしているわけですけれども、胡錦濤さんが言った言葉で私が感銘を受けたのは、三十年間改革・開放をやってきました、でもまだ足りません、あと二十年間は改革・開放をやり続けます、こういうことを言っていたわけです。

 つまりは、国の体質改善、あるいは競争力強化、こういった意味での改革というものは絶えずやり続けなきゃいけない。しかし、例えばセーフティーネットを張らずに、あるいは市場主義にそぐわないところまで市場の波にさらすというようなことは改革と言えないのであって、これは政策の失敗というのであって、そういったところについてはしっかりセーフティーネットを張っていくということも大事なことなんだろうというふうに思います。

 さて、きょうはその前提に立って、三番目のたゆまぬ行財政改革の努力、そしてまた四番目の税金の使い道を絶えず見直して改革をしていく、その視点に立って幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず総理、道路特定財源の一般財源化についてであります。

 前回ここで議論させていただいたことを麻生総理は覚えておられるでしょうか。忘れられましたか。三月の二十七日に、これは福田前総理でありますけれども、記者会見をされて、道路特定財源は一般財源化しますということをおっしゃって、そしてその中身として、「CO2を排出しない新エネルギー開発、地球温暖化対策、救急医療対策の整備、少子化対策など、様々な政策にも使えるようにします」、こういうことをおっしゃったわけです。

 そこで、私が去年の十月七日にこの場で麻生総理に質問をさせていただいて、この福田総理の考え方は引き継がれるんですかということについて、「これは閣議決定もされておりますので、引き継がせていただきます。」ということをおっしゃいました。そして、私が、しかし、一般財源化と言いながら国土交通省の道路関連予算の概算要求は前年度を上回っているじゃないか、つまりは、一般財源化と言いながら道路予算は削減されて、他に使えるようなものになるどころか、前年度を上回る概算要求をしていますよね、おかしいんじゃないですかという質問をしたときに、麻生総理は、「ごちゃごちゃ悩んでいませんから。基本的には一般財源化するともう決めたんだから、あの段階でもうゲームはきちんとしたんだと思っております。したがって、あとどうするかというのは、この十二月の答えを見ていただく以外にほかに方法がないと思いますが。」と答えられているんです。ここまで言い切っておられるんです。

 そして、十月三十日、これは記者会見ですね、「道路特定財源の一般財源化に際しましては、一兆円を地方に移します」と。そして、その関連で記者の質問に答えて、道路特定財源の地方道路整備臨時交付金、これは平成二十年度まであった約七千億円のお金でありますけれども、これについては、「何でも使えそうに見えるけど、ウソだから。道路にしか使えない交付金なんておかしい」「地方が使いやすい交付税として一兆円。ずっと一貫して言っている」ということをおっしゃっているんです。だけれども、その次の日に、交付税でなくても構いませんと。「裏で縛ってないやつじゃないと、今だって交付金と書いてあるだろ」と、これはちょっと意味不明です、何をおっしゃっているのかわからなかった。そして、最後に十二月二日、「私はずっと同じことしか言っていない。地方に使いやすいお金を一兆円と言っている」と。

 さて、十二月に答えを出すと大見えを切っておられたこの道路予算でありますけれども、では道路関係予算がどれだけ変わったのかということであります。

 まず、公共事業シーリングはかかっていて、そして特別枠のプラスマイナスを入れて前年度比九六%。ですから、道路特定財源が続いたとしても、基本的には九六%というシーリングはかかっているわけですね。しかし、地域活力基盤創造交付金の道路整備のみ、これは九千四百億円のうち八千億円の場合は八九・二%。そして、残りの千四百億円については、これは他の公共事業ということですから、それを含めると九三・七%、ほとんど変わっていないじゃないですか。ほとんど変わっていない。これで、大見えを切られた、十二月になればわかりますよとおっしゃったこと、これが答えですか。

 要は、一般財源化という意味は、総理にとっては何を意味しているんですか。

麻生内閣総理大臣 まず基本的に、道路特定財源の一般財源化という言葉の定義のお話だったと思いますが、これは揮発油税などのいわゆる入ってまいります歳入というところからいきますと、これを道路整備に使うというのが義務づけをされております、それをやめる、これが道路特定財源の一般歳入、いわゆる一般財源化というものの基本的定義の意味はこれです。したがって、歳入を一般財源化するということでありまして、この意味では間違いなく道路特定財源と言われたものはすべて、平成二十一年度、一般財源化されるということになっております。

 こうした中で、今は歳入の話ですから、今度は歳出の部分で言わせていただければ、いわゆる地域活力基盤創造交付金というのを新たにつくらせていただいておりますが、これの中は、御存じのように、道路だけに使わなきゃいかぬということを言っているのではなくて、いろいろな形で、ソフト関連のもの、インフラの整備とかいろいろなものに使えるようにしておりますので、少なくとも道路だけの、この部分に使わなきゃいかぬというようなことになっていないのも、いろいろ、もう御存じのとおりだと思います。

 そのほか、与党から御意見もいただきましたし、また地域からもいろいろ御要望がありましたので、少なくとも、地方の道路の整備の必要性があるということをいろいろな方々からの陳情をいただいて、それを受けて歳出の面でやらせていただいた結果なのでありまして、歳入が一般財源化されたというところで、基本的には特定財源の一般財源化というものは終わっております。

 したがいまして、それが道路にしか使えなかったわけですから、あとどう歳出の部分を使うかというのは、長期的なものもありましょうけれども、毎年、歳出、その計画がつくられるということだと理解しております。

前原委員 これは国民の皆さん方によく麻生総理というか自民党の体質をわかっていただきたいと思うんですが、道路特定財源の一般財源化を議論したときには、先ほど私が大前提で述べたように、日本の置かれている環境が変わってきたと。莫大な借金があって、人口も減っていく、そして少子高齢化が進んでいく中で、医療、介護も崩壊寸前、教育にもお金をかけなきゃいけない、環境対策も必要だ。だから、我々民主党が、道路特定財源の一般財源化ということは、いわゆる揮発油税とかの、道路整備あるいは道路関連しか使えなかったものを、まさにそれは総理がおっしゃったとおりですよ、ほかにも使えるようにしましょうと。そこは必要条件としてはいいんですよ。必要条件としてはそのとおり。うそはおっしゃっていない。

 だけれども、自由に使えることにするという縛りを解いた後に、何に使うかというところが大事なんですよ。何に使うかという大事なところに、基本的には、今おっしゃった、道路整備のみに使えるようなものを一般財源化したんだからうそは言っていませんと。それはそうかもしれないけれども、使い方については、福田さんは、新エネルギー、地球温暖化、救急医療対策、少子化、さまざまな政策に使うということは、これは実際問題、必要条件はそうしたけれども十分条件の中でも、道路からほかのものに予算の使い方を変えますよという意味でこのことをおっしゃったんではないですか。

 そして、総理、十月三十日に記者会見をされた、一兆円を地方に渡します、このとき、あるいは十一月の十九日までは、私は、麻生総理はこれをやられれば大したものだと実は思っていました。一兆円、本当に地方が使いやすい交付税として渡すのであれば、三兆三千億のうち一兆円を本当に地方の使いやすいように自由に、交付税というのは自由ですから、使えるようにしますということをおっしゃるのだったら、本当にこれはなかなか立派なものだと私は思っていましたよ。

 総務大臣、今回のこの地域活力基盤創造交付金九千四百億円、地方は、総理のおっしゃるように自由に使えますか。

鳩山国務大臣 従来、揮発油税の四分の一が直入されていましたね、地方へ。そして、これは道路特定財源ですから、道路にしか使えない。また補助金は別にあるわけでございますが。したがって、国税、地方税合わせて、大体道路特定財源が五兆三千億とか四千億あったでしょう。しかし、実際には地方が三兆三千億円以上使っているという形だったと思うんですよ。今回、臨交金等、つまりガソリン税の四分の一等がなくなるわけですから、それで新しく交付金という形になったわけですから、それは使い勝手は従来とは随分違うわけだと思っております。使い勝手はかなりよくなっていると思っています、地方の自由度という意味で。(前原委員「私が聞いているのは……」と呼ぶ)

衛藤委員長 前原君、委員長の許可をとって発言してください。

前原委員 はい。委員長、失礼いたしました。

 今まで地方道路整備臨時交付金、七千億円ぐらいあった。これも道路に使うお金。しかし、総理は記者会見で一兆円を、総務大臣、道路特定財源というのは国の道路特定財源と地方の道路特定財源があって、地方の道路特定財源は横に置いておいてください。今、国の部分の話をしています。

 一兆円、国の分の約三兆三千億あったこの道路特定財源の一兆円を、地方に使うように回すと十月三十日におっしゃったんですよ。そして、その中で六百億円は医療の方に回すということで削られたけれども、九千四百億円、地域活力基盤創造交付金ということで、交付金ですよ。そして、自民党の中では、九千四百億円のうち、八千億円は道路、千四百億円はほかの公共事業。

 私が聞いているのは、この九千四百億円が、総理が初めおっしゃっていたように、地方で自由に使えるお金ですかと聞いているんです。

鳩山国務大臣 総理が、いわゆる道路特定財源を一般財源化するに際し一兆円を地方へ回すというお話を聞いたときに、私はいろいろなことを考えましたが、際しというのはそのときということですね。つまり、いろいろな枠組みが変わっていくときに、私は、一兆円、地方交付税という全く地方が自由に使えるお金を上積みしていただけるものと期待をいたしまして、最終的には今の九千四百億というものができましたが、そのときに別途一兆円の地方交付税を総理に上積みしていただいたから、私の期待にはこたえていただいた、こういうふうに解釈しています。

前原委員 素直な御答弁ですよ。九千四百億円は自由に使えない、それで、使えると思っていたのにがっかりしていたけれども、ほかに交付税で一兆円地方に回してもらうということになったから自分は納得したということですね。でも、道路特定財源の中の使い道としては、地方に使いでのいいものにするということにはなっていないです。

 総理、特に私の質問に答えて、もうごちゃごちゃ悩んでいない、ゲームはきちんとしたんだ、十二月の答えを見てくれと。そして十月三十日、一般財源化に際しては一兆円を地方に移します。そして十一月十九日、何でも使えそうに見えるけれども、今までの七千億円はうそだから、道路にしか使えない交付金なんておかしい、地方が使いやすい交付税として一兆円、ずっと一貫して言っていると。

 答えが変わっているじゃないですか。何が一貫していますか。これが一貫しているんだったら……。交付税とおっしゃっているんですよ、十一月十九日には。しかも、今までの地方道路整備臨時交付金は道路にしか使えないんだから、うそだから、使いやすいように見えるけれどもうそだからと。交付税として一兆円。道路にしか使えない交付金なんておかしいとおっしゃっていながら、道路と他の公共事業にしか使えない交付金にしていて、何が一貫しているんですか。こんな論理矛盾を、一貫していると抗弁されますか。

麻生内閣総理大臣 まず最初に、重ねてお断りをしておきますが、一般財源化というものは、歳入を一般財源化できるようにした、これが答えですから、まずここだけははっきりしておきましょうね。ここが一番問題だったところですから。歳入の一般財源化の定義は、歳入を一般財源化できるように。歳出の話じゃありませんから。まずこの点だけははっきりしておいていただかないかぬところです。

 続けて、その一番上に書いてあるところを見ますと、地球温暖化何とか、エネルギー開発何とかなどに記者会見でされたということにされているんですが、その記者会見を知らないんですが、私のいただいておりますこの閣議決定の紙というのがあるんですが……(前原委員「自分の発言……」と呼ぶ)いやいや、ちょっと待ってください。その最初のものを言っているんです。記者会見の紙を今ここに出されましたので、一般財源化に関しては、記者会見とそこに書いてありますので。

 ただ、私どもがちょうだいするこの閣議決定の内容を見ますと、暫定税率分も含めた税率は、いわゆる地方の道路整備の必要性、国、地方の厳しい財政などを踏まえて今後といったことが書いてある。そういった中で、私どもの見ている範囲の中においては、少なくとも今言われたようなことはこの閣議決定には書いていないという点もちょっと御理解いただきたいところです。

 記者会見で言われた内容と閣議決定の内容が違う、これが一点目です。

 二つ目の話として、今言われたように、道路特定財源というようなものが一般財源化されました。そして、地方に、いわゆる地方というのはかなり傷んでおりますので、その地方の部分に関しましては地方交付税として一兆円というものを、今、鳩山大臣も答弁されましたように、地方交付税はきちんと一兆円というものは出せることにはなったではありませんかというのが一点。

 そして、もう一点の地方交付金の話につきましては、道路特定財源の中から、少なくとも道路というのに、かなり縛りの厳しいものだからではなく、いろいろな形に、ソフト事業にも使える、インフラ事業にも使えるものになっているんじゃありませんかということを申し上げたのであります。

前原委員 麻生総理、私から言わせると、麻生総理はやるやる詐欺の常習犯なんですよ。選挙をやるやると言ってやらない。道路特定財源の一般財源化もやるやると言ってやらない。これを詐欺と言わなくして何ですか。

 しかも、今となって、歳入のところを一般財源化するのであって歳出のところは云々かんぬんとお茶を濁しておられる。使い方も一般財源化するということが大事なんですよ。やるやる詐欺ですよ。

 これは総理、さっき別途一兆円とおっしゃったのは、先ほど鳩山総務大臣がおっしゃったように、道路特定財源の枠の外なんですよ、それは。初め、道路特定財源の一般財源化に際しては一兆円を地方に移します、三・三兆円の中から使うということをあなたはおっしゃったんだ。それを、別途一兆円充てたからそれでいいでしょうと。それは全く論理矛盾ですよ。

 そして、それと同時に、御自身の言葉で、「何でも使えそうに見えるけど、ウソだから。」と。「道路にしか使えない交付金なんておかしい」と言いながら、今回のいわゆるこの地域活力基盤創造交付金。

 では、与党の中の合意の、九千四百億円の約八千億円を道路に使うということは認めないんですか。認めないんですか。

衛藤委員長 ちょっと総理、発言をちょっと待ってください。

 前原誠司君に申し上げますが、御案内のとおり、国会法第百十九条におきまして、委員は、各議院において無礼の言を用い言論してはならない、このようなことでございますから、十分注意をして発言してください。(発言する者あり)

前原委員 事実を言って何がおかしいんですか。一般財源化をするとおっしゃっていてやっていない、それを、やるやると言ってやらなかったからやるやる詐欺と言って、何がおかしいんですか。事実を言ったまでですよ、私は。それを、委員長が私の発言権に対して文句を言うのはおかしい。

 委員長の発言を撤回してください。(発言する者あり)

衛藤委員長 委員長の議事整理権に従ってください。

 枝野君、委員長の議事整理権に従うように。枝野君、席に戻りなさい。

 前原誠司君、発言を続けてください。

前原委員 私は、言葉を撤回するつもりは全くありません。選挙をやるやると言ってやらなかった。道路特定財源を一般財源化すると。

 これを見てくださいよ、御自身の言葉ですよ。「何でも使えそうに見えるけど、ウソだから。」と、今までの地域道路整備臨時交付金は。「道路にしか使えない交付金なんておかしい」「地方が使いやすい交付税として一兆円。ずっと一貫して言っている」と。違うようなものをつくられているじゃないですか。一日たって全く発言が変わっている。それをやるやる詐欺と言わずして何と言うんですか。

 委員長の発言を撤回してくださいよ。委員長が私に対して無礼ですよ。

衛藤委員長 内閣総理大臣麻生太郎君。(前原委員「委員長がまず私に対して無礼なことを言ったんだから、委員長が撤回してください、発言を」と呼ぶ)

麻生内閣総理大臣 私、指名されているので、私が今発言する立場にあると思って、あなたにはないと思いますので。よろしいですか。委員長から言われておりますので。よろしいですか。(発言する者あり)委員長仕切りがおかしい……。という、理事の代表としての異議ですか、それとも単なるやじですか。(発言する者あり)

衛藤委員長 総理、発言をお願いします。

麻生内閣総理大臣 まず、基本的に、前原先生、詐欺というのは犯罪者扱いの対象になりますので、それは違っちゃいませんかとか、間違っちゃいませんか程度の話にしていただかないと、詐欺と言われると、いろいろひっかかる方がこちらに出てくるということですよ。お互いに言葉はある程度抑えてしゃべらぬといかぬ。お気持ちはわかりますけれども、詐欺と言われると犯罪者になっちゃう。詐欺といったら犯罪ですよ。これは犯罪ですかということが私らの言いたいところです。

 そこで……(発言する者あり)

衛藤委員長 総理を指名していますから。

麻生内閣総理大臣 今答弁している最中じゃないですか。時間がありますから。

 道路特定財源の一般財源化に際してはと答えております。そこに書いてありますから。そう書いてあるわけでしょう。一般財源化に際してはという、一般財源化の中からとは答えておりませんですから、一般財源化に際してはという言葉を使っている。これは大事なところですよ。これは物すごく注意してしゃべっていますから。一般財源化に際してはと答えていると思います。そこのところは私ども十分注意してしゃべったつもりであります。これがまず第一点です。

 したがって、今言われたようにいろいろな御意見はあるでしょうけれども、少なくとも、一般財源化をしますというところで、歳入の話だというのが一点。また、歳出に当たりましては、地方の要望、いろいろありました。そういった中にこたえて、私どもとしてはみんなで検討してこういう内容にさせていただいたというのが歳出の内容です。

前原委員 私は、国民をだました犯罪だと思いますよ。総理という一国のトップが約束をしたことをたがえた予算案を出してきているから、やるやる詐欺だと言っているんじゃないですか。全くうそじゃないですか。

 つまりは、道路特定財源を一般財源化します、これは、入るところは今までと変わっていないです、揮発油税とか。しかし、使うところについてはほかにも使えるようにするから一般財源化ということじゃないですか。そして、先ほど申し上げたように、前の年の道路予算とことしの道路予算がほとんど変わっていない。一般財源化をするといったことの中身が変わっていないじゃないですかということを申し上げているわけですよ。

 そういう意味では、際してはというところで切って、そして一般財源化ということを、逃避されるというのは、私はそれは希代の詐欺師だと思いますよ、はっきり申し上げて。国民を欺くという点で、私はこの発言は撤回しませんから。さっきの委員長についてもそうですよ。

 総理、この……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。静粛にお願いします。

前原委員 この道路特定財源の話は、これは国民の皆さん方に約束を総理はたがえた、そして、一般財源化して他にも使うという閣議決定を実質的にほごにしている。つまりは、道路族にひっくり返されて、十一月十九日から十一月二十日にかけて一日だけで、たった一日だけで、百八十度、手のひらを返したように発言が変わっている。全くもって、ぶれたんですよ。そして、自分の考え方を抗弁するために今苦しい答弁をされている。それがわかっただけで、私はこの質問は有効だと思います。それで結構ですよ。

 次の質問に行きます。

衛藤委員長 国土交通大臣。

前原委員 いいです。いいです。全く……(発言する者あり)ごまかしていません。

 天下りの話も同じ構造ですから、次は天下りの話に行かせていただきます。(発言する者あり)何度でもやらせていただきますよ。

 まず公益法人について……(発言する者あり)岩永先生、これからたっぷりと国交大臣に答弁してもらいますから。

 私は、二〇〇六年二月の予算委員会で、会計法に基本的には競争入札に付するという原則があるんですが、公益法人だけは当てはまらない、いわゆる特命随意契約ということがまかり通っていることはおかしいんじゃないかということをこの委員会で取り上げました。そのときの総理大臣は小泉さん、そして財務大臣は谷垣さんでありましたけれども、谷垣財務大臣が、それは変えますということで、ガイドラインもつくられて、そして、本来ならば、競争性の高い入札というものに変わるはずでありました。

 そして、二〇〇七年の十月、またこの予算委員会で私は指摘したんですが、競争性の高い入札に変えたと言いながら、参加資格を過去の受注実績などとすることによって、国土交通省の八地方整備局からの発注は、約九六・三%は結果的に随意契約になっていた。つまりは、特命随意契約をやめます、競争性の高い契約方法に変えますということを言いながら、参加資格、要件などを制限することによって、結果として九六・三%随意契約になっていた、おかしいということを申し上げました。

 私は、この後もまだおかしなことが行われているのではないかという前提で、つまりは、変える変えると言っても結局は変えない、その体質が残っているのではないかということで調べてまいりました。

 パネルはございませんけれども、皆さん方には資料としてお配りをしている、道路関係三十三法人が受注した契約の状況というものであります。

 五十法人、道路関係の公益法人があるわけでありますけれども、そのうち、私どもが指摘をし、駐車場整備推進機構やあるいは各整備局の下にある建設弘済会、建設協会、こういったものについては株式会社化を含めた改革をしていくということになったわけであります。

 この三十三法人の中で見ていただきたいんですが、確かに特命随意契約というのは少なくなりました。でも、逆に言えば、まだ特命随意契約が残っている。後で取り上げる道路保全技術センター、これが突出して特命随意契約がまだ多い。そして、問題は、企画競争、公募というものが多くなっているわけであります。

 次の、「精査中」という国土交通省に出してもらった資料、これもパネルがありませんけれども、言葉で申し上げます。

 平成二十年四月から十二月まで、まだ平成二十年度が終わっていませんので、十二月まで国土交通省に精査をしてもらいました。それで見ますと、全体の金額のうち九三・九%がいわゆる企画競争、公募、特命随意契約が四・三%、競争入札が一・八%、こういうことになっているわけであります。

 さて、問題なのは、この特命随意契約が残っている道路保全技術センターにひとつ焦点を当てて、そして全体像に迫っていきたいと思っているわけであります。この道路関係三十三団体の九三・九%の企画競争、公募が行われているわけでありますけれども、しかし、実際問題、この公益法人が受注をできるところになるための仕組み、条件というのが幾つかあります。

 例えば、業務実績。

 つまりは、今まで特命随意契約であったわけですから、公益法人以外に実績はないんですね。しかし、そういった実績を重視するということがまず業務実績として挙げられて、なかなかほかは入れないというのがいまだに残っています。

 二つ目、監理技術者の要件ということ。

 これは、国土交通省のいわゆるOB、元発注者側である国交省のいわゆる道路管理経験が優位になる条件をつけている。つまりは、公益法人が天下りを受け入れていれば、それだけ監理技術者の要件としてプラスをされて仕事がとりやすくなるということが二つ目の条件として行われている。

 三つ目の条件としては、今度はヒアリングの条件。

 ヒアリングというのは、発注者側から受注したい財団や企業を呼ぶわけであります。ヒアリングをやるんですけれども、いわゆる元上司であるんですよ、天下りをしていますから。公益法人にいる人は元上司なんです、発注者側からしたら。元上司である受注者側の監理技術者に対して、しかもそれは当然ながら密室でヒアリングを行うわけですから、過去の経緯を見たら、大体、財団法人、元OBの方々のヒアリングの点数の方が高いということが出ている。

 それから、四つ目の条件として地域性。これは、例えば、道路保全技術センターに各支部があるんですけれども、国土交通省の八地方整備局の事務所の道路保全技術センターの支部は、歩いて十分以内のところにあるんですね、大体。そうなると、いわゆる地域的にも近いということで、この地域性、発注者のそばにいるというところで、これが有利な条件、地域性条件というものが当てはまるということであります。つまりは、離れているところ、あるいは技術を持っているのにその地方整備局から遠いところは、地域性でのけられてしまうということであります。

 それから、五番目の条件としては、これはいわゆる価格競争をしていないんですね。非価格競争なんです。非価格競争で、結果的には発注するということですから、幾ら財団以外の業者が低い価格で応札したとしても受注できない、こういうような仕組みになっているわけであります。

 つまりは、こういうあらゆる手を使って公益法人というものが受注をされやすいような状況というものが生まれてきているということであります。

 もう一つ、実態をちょっと申し上げたいと思います。これも道路保全技術センターの実際の仕事であります。これも皆さん方には、ペーパー、資料としてお配りをしています。

 これは、「随意契約結果及び契約の内容」と書かれているもので、平成二十年度路面下空洞探査分析業務、つまりは道路の下に空洞があるかどうかということを探査する業務として、これは関東地方整備局の東京国道事務所長が発注しているわけですけれども、これは道路保全技術センターがとりました。契約金額は八千八百二十万円ということであります。

 それで、この仕事をされているある方々に、実際問題、工期と、そしてこの工期の中でどれだけの人数が要りますか、こういうようなことを調べていただきました。そうすると、その方々による調査によると、一日平均して十二・五名の人が必要ですという結果になりました。これは同じような仕事をやられている業者の方々から複数話を聞いたものでありますけれども、そういう話でありました。

 しかし、この道路保全技術センターの関東支部の空洞解析ルームにおられる方は二人しかいないんですよ。つまりは、一日当たり十二・五人にかかる仕事量なのに、この部屋には二人しかその担当の方がおられないということであります。これはどういうことかというと、簡単であります、再委託という、まさにほかの業者に対して丸投げをしているということであります。

 つまりは、天下りを食わせる団体が何だかんだと難癖をつけて、条件をつけて、民間の企業にはとらせない仕組みをつくって、そして結局はこの公益法人が落札をし、しかし、実際仕事をとったけれどもやる人がいない、だから再委託という形で丸投げをするということをやっているということであります。これが道路保全技術センターの実態であります。

 さて、総理、きのう、天下りをなくします、そしてわたりもなくします、こういうことをおっしゃったわけであります。これはまた後で、そして、私も少しはお聞きしますし、長妻議員が主にこのことについてはお伺いをいたします。

 今申し上げた道路保全技術センターの条件のつけ方、そして、人がいないのに仕事をとって丸投げをして、中抜きをしているということについては健全だと思われますか。総理にお伺いしているんです。総理にお伺いしているんです。

衛藤委員長 総理にまずお答えしていただいて、その後、金子大臣にお願いいたします。

 内閣総理大臣麻生太郎君。

麻生内閣総理大臣 今のお話は、一方的なお話だけで、実情を全く承知しておりませんし、事前の質問も私にはいただいていなかったので、正直、内容がわかりませんので、お答えのしようがありません。

 金子大臣から答弁させます。

前原委員 委員長、その前に。

 今のは極めてふざけた答弁ですよ。

衛藤委員長 前原誠司君、ちょっとこちらの答弁を受けてください。

前原委員 質問通告はしているんです。質問通告はしているのに、質問通告は聞いていないからわからないと。そうしたら、総理が出てくる意味がありますか、この委員会に。そんな答弁するんだったら家に帰って寝ていた方がましじゃないか。何というふざけた答弁をしているんだ。一国の総理として恥ずかしいと思わないのか。今話をしていたことを聞いていなかったんですか。税金泥棒だ。

金子国務大臣 先生御指摘のとおり、発注要件として従来いろいろ厳しいものもありました。そこは既に、実績の対象となる発注機関の対象を広げていこうと。

 これは先生既にお調べいただいているようでありますけれども、実績として、国交省だけじゃなくて、都道府県あるいは他省庁、市町村、電力会社等々へのこういう同種の実績があれば対象にするということで、先ほどいろいろお話、勉強された結果を言われていましたけれども、技術監理者の実務要件の緩和等々は既に拡大をしております。

 それから、業務実績の対象となる範囲でありますけれども、積算業務に応募する際、積算業務のほかに土木設計業務の実績でもいいというような、そういう広げをしております。

 確かに反省すべき点もあるということで、そういう対象、それからロットを小さくして発注をする、それから一カ月の準備をかけて入札契約手続を……(発言する者あり)答えているんですよ。手続の期間を広げるとか、そういうことをきちんと応じさせていただくということをやっております。

 これは二十年、昨年の十一月に、これまでのいろいろな御指摘を受けて、工事の積算、道路巡回などの補助業務、民間からのアンケートもとらせていただきました。

 そして、今、まとめになりますけれども、業務実績要件の一層の緩和、発注ロットの縮小などに係る改善策ということで、これはことしの四月、二十一年度新規から実施をさせていただく手配をとらせていただきます。

 それから、さっきの道路……(発言する者あり)いいですか、それじゃこちらの方は。(前原委員「はい、結構です」と呼ぶ)

前原委員 総理、ちゃんと私の質問を聞いておいて答えてくださいね。私は基本的に総理にお伺いしたいんです。一国のトップとしての総理の政治的な言葉をお伺いしたいんです。

 何を私は聞きたいかというと、つまりは、今までの公益法人のあり方を変えていくということ以上に……。

 私、ちょっと総理の答弁でいろいろいつも気になるのは、我々がもちろん前提として質問をしていますよね。いろいろ先ほどの、五つのいわゆる条件をつけてなかなか民間企業が入れないようにしていますねということとか、あるいは積算をした結果、人がいないのに仕事をとって丸投げをしていますということは、それは総理からすれば実際的に調べてみなきゃわからないだろうということは、それはそのとおりかもしれない。しかし、質問通告はしているんです。総理はやはりすべてにおいて答える準備をしておいていただかなきゃいけないですよ。

 そして、一般論として、総理、道路保全技術センターという一つの切り口で公益法人のこの欺瞞性、民間排除、そして天下りの権益保護という体質をどう変えていくかという、きのう、天下り、わたりをなくすとおっしゃっているのであれば、その総理の、そういうものが本当ならそれは改めないかぬね、こんな法人要らないんじゃないかという答弁を聞きたいわけですよ、私は。

 総理、いわゆるこの公益法人、五十の……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に、静粛にお願いします。

前原委員 ちょっと、山本拓議員、黙っていてください。(発言する者あり)黙っていてください。

 五十の道路関連公益法人を、いわゆる道路特定財源にいろいろなものが使われていておかしくなっていたということで、そして、先ほど申し上げた駐車場整備推進機構とか、あるいは建設協会、建設弘済会というものは、これは民営化も含めて改革するということで、しかし、残っている一番大きなものが道路保全技術センターなんですよ。天下りの、いわゆるこのトップにいるのは、国土交通省のドンと言われている人なんですよ。

 つまりは、こういうところを、実際問題、民間でできるようなことをいろいろな条件をつけながら排除をしていって、仕事はとる、しかしながら実際問題は人が足りなくて丸投げをする。こういう法人は要りますか、これが前提であれば要りますかということを聞いているんです。

 総理、お答えいただけますか。総理にお答えをいただきたい。

麻生内閣総理大臣 ちょっと、私もこのことに関して、国土交通省の仕事をこれまで担当したことがありませんので、細目を知っているわけではありません。したがって、今のあなたの言われた話がすべて正しいという前提条件でしか答えようがないんですが、本当かどうかというのはまだ正式に確認がとれていないので、何とも答えようがありません。残った理由というのはそれなりのものがあったんだと思いますので、それなりの理由は、正直、国土交通大臣に聞いていただかないかぬ。

 先ほど税金泥棒と、きょうは詐欺とか泥棒とかいろいろ言われますけれども、一言言わせていただきますけれども、全部知っておいてもらわな困るというお話ですけれども、それはちょっと幾ら何でも、森羅万象すべて知っておくというのはなかなか難しいんだと思います。そのために担当の大臣がいると御理解いただいて、まず、担当でございますので、金子大臣に聞いていただいた上でという話をしていただかないと。あなたにしか聞いていないと言われて、なかなか答えようがない。これがまず第一点です。今後のこともありますので。

 もう一点、その上で……(発言する者あり)あちらのやじもやめさせていただきますか。こちらでもう一点言わせていただければ、今言われましたように、今のようなふざけた話じゃないかというのが事実とするならば、ふざけた話だと私も思います。

前原委員 要は、今から本質的なところをまたやりますけれども、私は質問通告をしているし、これは……(発言する者あり)いや、ちゃんと道路保全技術センターの話だということですべて調べろと。そしてまた、今まで国土交通省にこれだけいろいろ技術の、いわゆる条件で入れないということも国土交通省にはヒアリングしているんですから、前原誠司がどういう質問をするかはわかっておられるはずです、政府全体だったら。総理に対して私は聞いているんだ。何だ、それだったら総理がいる必要ないじゃないですか。

 だから、そういう意味では、総理、細かな数字とか事実関係は聞きませんから、今、先ほどおっしゃったように、最後の言葉を聞きたいんです。前原誠司がさっき言ったことが全部本当ならふざけた話ですね、これの答弁を聞きたかったんですよ。ふざけた話なんです、事実なんです、これは。それを私は答弁していただきたかった。

 総理……(発言する者あり)ちょっと黙らせていただけませんか。

衛藤委員長 諸君、静粛にお願いします。

前原委員 総理、きのう、天下り、わたりをなくすということをおっしゃいましたね。

 道路保全技術センターに見るだけではなくて、他の公益法人、約四千六百あります。これは、言ってみれば、民間企業もできる、あるいは民間企業といわゆる競争入札、特命随意契約をやめて公募式に変えていきましょうということを全省庁でやっているわけですよ。ということは、公益法人が他の民間企業と競争しながら仕事をとろうとしているということですね。

 では、仮に、先ほど金子大臣がおっしゃったように、そういった前提条件をなくして、民間企業と公益法人が対等の立場で競争できるようになったとしても、公益法人というのは税金を納めなくていいんですよ。そして、株式会社というのは利益が出たら税金を納めなきゃいけないんですよ。そういう意味では、そういった条件がなくなったとしても対等な競争ということにはならない。

 それと同時に、民間企業というものに仕事ができるんであれば、しかも、きのう総理が、本気で天下り、わたりをなくすとおっしゃるのであれば、公益法人なんて要らないんですよ。四千六百の公益法人、ゼロベースで見直される考えはありませんか。わたり、天下りをなくすということをおっしゃったら、その受け皿は要らないはずじゃないですか。四千六百の公益法人をなくしましょうよ、一緒になって。協力しますよ。どうですか。

麻生内閣総理大臣 公益法人を、四千六百、はい、即すべてやめるって、そんな簡単になかなかできるかな、現実問題としてはなかなか難しいだろうなと正直思いますね。

 これまでもいろいろ、公益法人というのは少しずつではありますけれども確実に減らしてきているという経緯だと理解をいたしておりますので、今言われたように、公益法人が必要ないかと言われると、私は、それなりの必要性があったからこれまでできてきたんじゃないのかなと。私は、その一つ一つの歴史をすべて知っているわけではありませんけれども、しかるべき理由があったからだったろうと理解しております。

前原委員 きのう、細野議員の質問に対して、農林水産省の官房長がこういう答弁をしたんですね、客観的な事実としてわたりや天下りが行われていることについて、それをわたりと認めるか、天下りと認めるかというと、認めないという趣旨の答弁をしたんですよ。

 つまりは、政府が認定しない限り、かぎ括弧つきの天下り、わたりというのはなくならないんですよ。つまりは、政府が認めたものだけはなくしますと言っているにすぎないんですよ、きのうの総理の宣言というのは。わたりにしたって天下りにしたって、我々が、これは客観的な事実としてわたりじゃないか、天下りじゃないかと言っても、いや、それは天下りではありません、わたりではありません。特に、わたりなんというのはずっと認めてこなかったわけですから。それをなくすと言ったって、政府あるいは各役所が、それは天下りではありません、それはわたりではありませんと言ったら、きのう総理がなくすとおっしゃった天下り、わたりというものについては、極めて狭義のわたり、天下りなんですよ、狭い範囲の。

 本当に天下り、わたりをなくすのであれば、受け皿となる四千六百の公益法人をなくす、ゼロベースで見直していく。しかも、民間の企業と競争し合っているんだったら、民間でもできるということでしょう。天下りを食わせるための公益法人が四千六百あって、十二兆六千億円もの税金が補助金として使われているのであれば、本気で天下り、わたりをなくされるのであれば、公益法人はなくしていけるんではないんですか、全部。

 そういう意味で、ゼロベースで見直していきませんかということを言っているんです。提案をしているんです、提案を。ぜひ見直していきましょうよ。本気で天下り、わたりをなくすとおっしゃっているんだったら、今申し上げた受け皿は要らないはずですよ。

麻生内閣総理大臣 まず、天下り、わたりの話ですけれども……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。静粛にお願いします。総理の答弁が聞き取りにくいので、静粛に。

麻生内閣総理大臣 天下り、わたりの話を言われましたけれども、まず、基本的に、定義がいろいろありますので、客観的なところなんということを言われても、みんな主観的な話になりますので、極めて難しいなとは思いますが。

 役所の、例えば官房長なら官房長がかんでやるというのが天下りとかわたりとかいうものの基本的なところだと思いますが、そこがかんでいなくて、どうしたら、それがわたりだ何とかだと言われると、それは、そこまではちょっと、幾ら何でも行政としては監査のしようがないんだと思いますので、厳密に言えば何とかじゃないかと言われると、どこまでが厳密でということになると、それはなかなか難しい、これは現実問題としてそう思いますね。それが一点です。

 それで、そういったようなあっせんを、少なくとも役所としてしないということを申し上げているのであります。

前原委員 そこは長妻議員が詰めます。いろいろなルートがあるんですよ、天下りというのは。

 きのうおっしゃった、天下り、わたりを本気で廃止する、なくすというなら、私は、その決意はよしですよ。しかし、客観的事実としてこれはわたりに見える、あるいは客観的事実として天下りとして見える、しかしそれは、役所としては、これは役所の天下りの定義ではありません、役所としてのわたりの定義ではありませんと言われたら、きのう総理がおっしゃった、わたりそして天下りというものをなくすというものの中に入らないわけです。

 そこで、この言葉を言い合っていてもしようがないので、私は、受け皿となる公益法人が要らなくなりますね、わたりや天下りを仮に全部なくすと本気でやられるのであれば、受け皿である公益法人は要らないはずですよねということを申し上げているんですよ。

 では、ちょっと理解されていないので、官房長官。

河村国務大臣 前原委員も御存じかと思いますが、今、新しい公益法人制度をつくろうとしている。これは、「民による公益の増進を目指して」という、明治二十九年、民法が創設されて以来の大改革であります。

 これは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、それから公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律と、整備法と、三つの法律によって今、改革をやろうとしております。まさにこれは民の考え方をここにきちっと入れていく必要があるということであります。

 それで、それによりますと、主務官庁による設立許可あるいは指導監督の権限を廃止するということになっております。それにかえて、民間有識者から構成される第三者委員会、これを設置して、国にあっては公益認定等委員会が公益性の判断や監督を行うということであります。そういうことによりまして、公益法人制度改革というのは、民による公益の増進を目的とする新たな公益法人制度において、民間の視点で公益性の判断等を行って、まさに主務官庁の関与を排除される、いわゆる主務官庁という概念をなくしていこう、こういう考え方に立って改革を今やろうとしているわけであります。

前原委員 私が聞きたかったのは、総理、わたりそして天下り、これをなくすことは本気だったかどうだったか。そして、先ほど私が国土交通省の所管の公益法人について申し上げましたけれども、民間でできることを、わざわざ天下りを食わせるために公益法人が存在して、そして、処理できないのに再委託をして物事を処理している公益法人がいっぱいありますね、そういうことですよ。

 それで、委員長、資料要求をいたします。全省庁、公益法人が政府から受注した仕事の再委託をしている資料を全部そろえて、予算委員会に提出をしていただきたいと思います。

衛藤委員長 前原君の申し越しにつきましては、後刻理事会で協議いたします。

前原委員 丸投げというものが実際行われていて、いかにそれがひどい実態で、そして天下りというものがまさに天下りの人を食わせるためだけのトンネルになっているものがいかに多いかということを我々は明らかにしていきたいと思います。我々民主党は本気で、そういう政府定義の天下り、わたりではなくて、すべての天下り、わたりをなくしていく、そのための取り組みを続けてまいります。

 さて、残りの時間で医療の話をさせていただきたいと思います。

 自治体が持つ公立病院、これが一体、数は幾つあるか、九百五十七あります。そして、今この九百五十七の自治体病院の累積赤字、総理、幾らぐらいあると思われますか。二兆円を超えているんですね。二兆円を超えています。

 そこで、これは総務大臣が一番お詳しいテーマでありますけれども、自治体の財政健全化法が四月からいよいよ施行されるわけであります。これは夕張の破綻を一つの例にとって、第三セクターとかあるいは特別会計、公営企業、こういったものが持つ赤字というものを連結決算にしない限りは一般会計、普通会計まで大きな影響が及んでいくということでできたものでありまして、私は、夕張の事例をとってこういった法律ができたということについては一定の理解をしております。

 しかし、これはどういうことになっているかというと、例えば、実質赤字比率というのは普通会計だけで判断をするわけですね。そして、今度は、連結実質赤字比率というものを見るというのは、普通会計とかあるいは国民健康保険、介護保険などの会計と公営企業会計、これをすべて入れたものの連結決算を、どれだけ赤字を持っているかということを見るというのがその一つです。そして、今のにプラスして、ごみ処理や消防などの一部事務組合や広域連合まで含めるのが実質公債費比率、そして第三セクター、地方公社まで入れるのが将来負担比率という幅広い概念になってきて、どれかで、いわゆるここは健全化に向けての努力をしなければなりませんねという話になったときには、この法律に基づいて、自治体は財政健全のための取り組みをしなきゃいけないということになるわけです。

 さて、パネルはここのまま置かせていただいて、皆さん方にお配りをしている資料をごらんいただきたいと思います。

 千葉県の銚子なんですが、昨年の九月の末に銚子市立病院というものが閉鎖をされました。市長をリコールするどうのこうのという話になっている案件でございます。

 皆さん方にお配りをしているものの地図の入っている方を見ていただくと、何が書いてあるかといいますと、この銚子市立病院がなくなったことによって、自治体をまたいで隣の国保旭中央病院、こういったところに救急搬送される方々がふえてきた。そして、左の上の円グラフを見ていただきますと、銚子市内の救急患者の搬送状況というのは、約三分の一以上が他の自治体への搬送になっているということが書かれているわけであります。

 もう一つ、次のページをめくっていただけますでしょうか。

 これは栃木県の地図を書かせていただいておりますが、しかし、ポイントとなる病院は実は栃木県ではありません。栃木県の南側の茨城県の筑西市というところ、この右の下でありますけれども、筑西市民病院の経営状況というのは、医師が減ったことによってどんどん病床利用率も減っているし、外来の収益も減っているし、入院収益も減っているということで、この公営病院というのは御多分に漏れずに経営危機に瀕しているということであります。

 そのことによって、左上を見ていただきたいわけでありますけれども、茨城県の筑西市の市民病院が経営状況が悪くなることによって、隣の県の栃木県内の病院に、今まで受け入れていた患者さんたちが送られるようになってきた、こういうことなんですね。

 総務大臣、私が伺いたいのは、この自治体財政健全化法の趣旨はわかっている、ある程度、一定の評価をしています。つまりは、夕張の例から、隠れ借金のようなものは許さない、連結決算をするということはある程度わかりますけれども、このように自治体病院が経営破綻をする。

 今、九百余り、千近くある公営病院も二兆円以上の赤字を抱えている、そのことによって閉鎖、統合が相次いでいる。そうすると、この連結決算に基づいて閉鎖をしたところは大体隣の自治体の病院にかかるというようなことで、隣の自治体に負担がかかるということになるわけです。しかも、入院ということになれば、厚生労働大臣はよく御存じですけれども、例えば、十四日までのいわゆる診療報酬と、十五日から三十日までの診療報酬、三十日以後の診療報酬というのはどんどん変わってきて、入院が長くなればなるほど病院経営の圧迫になるわけですね、結果的に。

 今、七割の病院が赤字経営なんですよ。ということは、自治体健全化法というのはその自治体の中で完結して連結決算をしなさいということなんですけれども、結果としてその自治体の中の公営企業の一つである病院が破綻をした場合は、他の自治体に迷惑をかけて、他の自治体にしわ寄せが来るという仕組みになっているのを、この自治体財政健全化法というのは想定していませんよね。これは、私は悪循環になる可能性があると思っています。

 自治体の財政健全化法、ことしの四月から導入をされることによって、さらにこの公営病院の整理統合というのは進んでくるでしょう。そうすると、ほかの地域の自治体の病院にしわ寄せが来るということで、この二番の連結実質赤字比率の中で、病院を入れることの問題がこれからより生じてきて、これを厳格に運用すると、さらに市立病院、公営病院というのは破綻をする。

 あるいは、市立病院だけでなくて、この栃木の例にすると、多くは自治医科大学附属病院に送られているわけですよ。ほかのところが負担を強いられてしまうということで、つまりは、ツケ回しがどんどん広がってきて、そして医療の質が結果として低下をするということにつながると思いますが、見直される考え方はありませんか。

鳩山国務大臣 前原議員おっしゃる趣旨はよくわかるわけでございまして、ただ、なぜ公立病院があるかといえば、これはやはりある程度採算性と切り離した概念のもとでつくられてきているというケースが多いわけでございますから、そういう面もあって、四分の三、六百八十八病院が赤字で累積欠損が二兆円ということになっております。

 この四月一日から新しく法律を施行いたしますと、確かに、公営企業である病院というものを含めた連結実質赤字比率というものも厳しい判定基準の一つになってくる。また、公営企業である病院は、その単体としての資金不足比率というものも厳しく見ることになっているわけでございます。

 ですから、そういうようなことで、それこそ病院が破綻をしてしまっては困るわけでありますから、地方交付税措置で、いわゆる過疎地にある、あるいは産科、小児科、救急部門等、不採算部門の医療については、公立病院に関する地方交付税措置、つまり一般会計から入れていくわけですね。これは、平成二十年度が二千九百三十億円でしたが、今度七百億円追加しましたから、二十一年度は三千六百億以上のお金をそういう形で使っていただくというようなことになってくると思います。

 それと、いわゆる公立病院特例債というものの発行を認めて、そうしますと、実質赤字の方が長期債務の方に変わっていきますので、基準をクリアしやすくなるというような、そんなやり方も考えております。いずれにいたしましても、私は舛添大臣でないから専門ではありませんが、拠点病院たる公立病院とそうでないものと、ネットワークでうまく結ぶようなこともこれから考えなくちゃいけないと思っております。

 いずれにしても、病院がやはり特別な意味を持っておりますので、公立病院について、余りに厳しくいろいろな基準を当てはめ続けて、そのことによって、破綻だ、やめなさいということにはならないように工夫する必要はあると思っております。

前原委員 これは、自治体の経営効率という問題は確かにあるかもしれません。それは全くないとは申し上げませんが、しかし、医師のいわゆる新研修医制度あるいは診療報酬の引き下げ、国の医療政策というものが二〇〇六年の骨太方針を特に境にして、あるいは、今までは医師は余っている、医師は余っていて医師はふやす必要はないんだと。

 これは皆さん方にお配りをしている。OECD平均にすると、これだけ足りないわけですよ、実際問題。OECD平均からすると、日本は十四万人医師不足だということが言われているわけです。つまりは、これは自治体の経営効率という問題はあるけれども、大きく言えば、国の医療政策の間違いによって、この実質赤字比率というものをかぶせられることによって、地域の自治体病院の経営というものがさらにおかしくなる。これは国の責任で何とかしなきゃいけない話なんですよ。連結をするような話ではないんです。

 これは総務大臣、今、病院特例債とか、そうおっしゃいましたけれども、病院だけは、あるいは、ひょっとしたら地下鉄もあるかもしれません、でも今は病院の話だけしますが、病院だけは国の施策に大きく左右されるんですよ。診療報酬が変わるかどうか、医師の確保がちゃんとできるかどうか、それによって公立病院が経営できるかどうかというところの、国の方針によって大きく変わって、地域の経営努力では何ともできないところがいっぱいあるわけですよ。それを連結決算に入れて、そして四月から、いよいよぎりぎり締めていくというようなことは、私はあってはいかぬと思うんです。

 病院だけは少し切り離して、そして病院だけの、縦と横が違う、つまりは地域が違っているのに国の施策の中でこれが有効になってしまうということじゃなくて、自治体病院だけは違う指標をつくって、そしてその違う指標の中での健全化、つまりは、ほかの一般会計とか、ほかの支出とは連結決算させないというところでこれを見直していくべきだと思いますが、いかがですか。

鳩山国務大臣 大変な数の自治体がありまして、そこにある四つの指標、これを厳しく適用すると、どれくらいが当てはまってきて、健全化計画を立てなければならないかという問題が出てくるわけだと思います。確かに、病院の場合は他の公営企業と違う要素があると、私、先ほどから申し上げているので、公立病院というのは、もうからなくても、不採算を覚悟でも置かなければならないという需要からできたものがあると思うんです。

 今後はネットワーク化によって大分話は変わってくると思いますから、そういった意味では、今の前原議員の御意見というものは参考にさせていただいて、実際、この四月一日からこれを適用するとどういう事態が起きるかということをよく見ながら、工夫できる点があれば工夫をしていきたいと考えております。

前原委員 鳩山大臣、公立病院改革のガイドラインというのを見させてもらいました。これは総務省が出されているもの。今おっしゃったネットワーク化、これはちょっと、私、問題があると思っているのは、ネットワーク化したときに病床数はすべて減らしているんですね。

 しかし、がん対策基本法をつくった後、いわゆるがんの拠点病院というのができて、このがんの拠点病院というのは、がんを治すための拠点病院で、要は、あなたは治りませんよと烙印を押された人は出ていかなきゃいけない。しかし、療養病床も削減をする、そしてネットワーク化によってもまた病床を削減するということになると、難民患者がどんどんふえますよ、これを本当にぎりぎり推し進めていったら。

 ということは、最後は、日本の医療の費用というものを今のような抑制傾向から変えていかなきゃいけないということに私はほかならないと思っているんです。

 総理、最後に、いわゆる骨太二〇〇六の方針で、社会保障費の自然増を毎年毎年二千二百億円削るということで、ことしは、道路から六百億円とかあるいは特別保健福祉事業資金の清算とか、そういったところを崩して、二千二百億円は一応なしということにしましたけれども、しかし、建前は、二千二百億円の抑制というものは続いているわけですね。

 このようなひどい医療の状況の中で、あるいは介護のマンパワーが足りないという状況の中で、まだ医療費の自然増の抑制傾向というのは続けられますか。私はやめるべきだと思うんです。はっきり明確にすることが大事だと思いますが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 今、二千二百億の話が出ましたけれども、これは医療全体の、いわゆる中福祉・中負担の話全体の中から考えていかないといかぬものだと思っております。

 いずれにいたしましても、今極めて厳しい財政状況にある中、我々としてはいろいろな部分をやっていかなきゃいかぬのだと思いますが、その中で、やはり少子高齢化に伴う部分というのは、これは避けがたいんだ、私はそう思っております。したがって、二千二百というのはかなり、もう限度に来ているんじゃありませんかという話を前々から申し上げたと思っております。

 いずれにしても、社会資本整備というか、いわゆる社会保障の機能の強化を図る、強化を図るというのは、病院の質も上げるとかいろいろな意味で強化を図るということと、あわせてコスト削減、これは両方やっていかないかぬ部分だと思います。いろいろな意味で、二千二百というのを、コスト削減というのをきちんと言わないかぬというところと、傍ら、現実問題としてほころびが出てきている部分をきちんと対応していくということはうまく両立させないかぬところなんだというように私は理解しておりますので、今回は、いわゆる財源の確保という形で、例の薬をやらせていただいたり、医薬品の新しいのを使わせていただいたり、いろいろな形でやらせていただきました。

 しかし、流れとして、今申し上げたように、いろいろ、いわゆる限度に来ているかなというのが私の率直な実感です。

前原委員 これで終わりにしますが、道路特定財源の一般財源化の議論のときに、我々は、日本の制約要因というのが幾つかあって、今おっしゃった少子高齢化、莫大な借金を抱えてくる、人口減少、その中で、今まで道路だけに使っていたものを、まさに社会保障やあるいは環境やほかのものに使いましょうというところから道路特定財源の一般財源化になったはずであります。

 それが全く骨抜きになっているということと、あとは、天下り、わたりをやめられるとおっしゃったけれども、それが本当に、政府の定義であれば全くの骨抜きになってしまう。

 我々は、政権交代で、道路特定財源の一般財源化であれば税金の使い道を大きく変えて、天下り、わたりも政府定義のものではなくて全部なくしていくというところは最後にお伝えをして、私の質問を終わります。

衛藤委員長 この際、馬淵澄夫君から関連質疑の申し出があります。細野豪志君の持ち時間の範囲内でこれを許します。馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 本日、予算委員会の総予算基本的質疑二日目の質疑の機会をいただきました。今、前原議員から、道路特定財源の一般財源化の問題について質疑をされましたが、私も昨年に引き続き、この道路問題についてお尋ねをしていきたいというふうに思っております。

 昨年、この予算委員会の中でも大きな議論となりました、それはこの中期計画でございます。昨年の予算委員会では、この道路の中期計画についてさまざまな議論が行われたわけであります。真に必要な道路の整備を計画的に進める、そのために、今後十年間を見据えた計画的な整備、道路の中期計画、これが平成十九年の十一月に国交省から提出されたわけであります。そして、同じく平成十九年の十二月七日、政府・与党合意によって、その事業量は五十九兆円を超えないものとする、上回らないものとされました。

 昨年の予算委員会では、この五十九兆円の是非、あるいは真に必要な道路とは何かといった議論が行われたわけでありますが、予算の審議を終えて、三月の二十七日でございます、昨年、福田総理が記者会見を開かれました。その中で、福田総理はこのようにお話をされています。十年間で五十九兆円が必要だとしている現在の道路整備計画についても、これまでの国会審議などを通じて、この計画にはまだまだ見直しの余地があると痛感いたしました。

 当時、福田総理は、この中期計画の審議、私も何度もお尋ねをしました、また当時の国交大臣、冬柴大臣にも何度もお尋ねをしましたが、そのたびに、この中期計画についてはぜひ御承認いただきたいという答弁をいただいたわけでありますが、結果的には、福田総理は、これは見直さねばならない、切にそのように感じられたわけであります。

 そして、昨年の五月の十三日、閣議決定で、道路特定財源等に関する基本方針の中で、中期計画を見直すということが定められたわけであります。

 少しパネルを用意しておりますので、その流れだけ改めて確認をしますが、皆さんにはお手元に資料をお渡ししております。

 道路の中期計画、平成十九年十一月に素案が発表される。そして、国会審議が平成二十年、予算委員会等で行われました。福田総理が痛切に感じられた大変厳しい審議だったというふうに思っております。五月の十三日、閣議決定で新たな整備計画へ見直しが確認され、そして中期計画案が定まっていくわけであります。

 さて、麻生総理、先ほど前原議員からも、この五月十三日の閣議決定についてはお尋ねがありました。麻生総理は、この閣議決定を引き継いでいく、継承されていく、この御意思は私も確認をさせていただいておりますが、総理に理解のほどを聞かせていただきたいと思うんです。この閣議決定の中で、中期計画についてはどういう決定がなされているのか、そして総理は、それについてどのような御理解を示されているのか。これについて、五月十三日の閣議決定を継承されることは聞いておりますが、御理解のほどをお聞かせいただきたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 中期計画に関する理解ということですか、閣議決定。これは、閣議決定の中に一から六までずっと書いてあるんですが、支出の無駄を徹底的に是正するというのは基本的なところだと思っておりますが、必要と判断される道路は着実に整備する、また、暫定税率も含めた税率は、環境問題への国際的な取り組み等々、いろいろ先ほど申し上げたとおりで、国、地方の厳しい財政事情を踏まえて今後の税制抜本改革時に検討するということが暫定税率に関する部分です。

 それで、「道路の中期計画は五年とし、」というところ、ここが一番お聞きになりたいところですか。(馬淵委員「はい」と呼ぶ)五年計画とし、最新の需要推計などを基礎に、新たな整備計画を策定する、この計画は、二十年度道路予算の執行にも厳格に反映するという部分でしょうか。(馬淵委員「はい」と呼ぶ)これは読んでおりますので、その部分はやりましたけれども。

馬淵委員 継承され、よく理解されているということを確認させていただきました。

 中期計画は、昨年は十年だったんですね。これが、五年に見直すと福田総理がおっしゃった。見直すといっても、それまでの道路整備計画は五カ年計画でしたから、この中期計画で十年に延ばされたものは、ある意味戻したようなものです。そして、この五年に見直す、五年とするということと、最新の需要推計などを基礎に新たな整備計画、このように決定されたわけであります。

 そこで、この最新の需要推計をもとに新たな整備計画なんですが、中期計画、そして閣議決定、新たな中期計画、この三段階を踏まえて、現在、新たな見直しされた五年の計画がございますが、実は、見直しをしているけれども、一貫して政府が発信しているメッセージがございます。これは、お手元の資料の二枚目をごらんください。パネルの方も用意しております。

 政府が一貫して発言しているのは、新しい需要推計と評価に関する発言でございます。先ほど申し上げたように、十九年の十二月七日の政府・与党合意でも、厳格な事業評価を行うとされています。また、五月十三日の、今総理に読んでいただきましたが、理解もされているということでありますが、最新の需要推計を基礎に、厳格にこれを反映していくと。さらには、十二月の八日、これは昨年の政府・与党合意でございますが、最新の交通需要推計をもとに厳格な評価。新たな中期計画、これは昨年の十二月の十六日に出たものでありますが、最新のデータに基づく交通需要推計をもとに厳格に実施、こう出ております。

 厳格に事業評価を行っていく、これがメッセージであると、私は、こうした一貫した流れを酌み取るわけでございます。

 そこで、国交大臣にお尋ねをしたいと思います。

 厳格な事業評価とは、これは一体何を示すことでしょうか。お答えください。

金子国務大臣 今の事業評価につきましては、まず一番のものは、収益性、BバイCということでありますが、ベネフィット・アンド・コストでありますが、これを、公共事業につきまして、効率性、実施過程の透明性の向上を図っていくという目的のために、災害復旧等に係る事業も含めてすべての事業を対象にして、平成十年度から新規採択時に評価をする、あるいは再評価につきましては、平成十五年度から完了後の事業評価も実施するということで、新規採択時の評価では、新規事業の採択時において費用対効果分析を含めた事業評価の実績、ちなみに平成十九年度は四百三十四事業についてやっております。

 さらに、再評価では、事業採択時から五年経過して未着工の事業、十年経過して継続中の事業について評価を行い、必要に応じて見直しをするほか、事業の継続は適当でないと認められる場合には事業を中止する。平成十九年度は、ちなみに、九百二十六事業を評価して、五事業を中止しております。

 完了後の事業評価では、事業完了後に、事業の効果、環境への影響等、確認を行い、必要に応じて改善措置をとっております。平成十九年度については百十八事業の評価をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 厳格な事業評価とは、これは、国交省の政策評価基本計画に公共事業の事業評価が定められております。今、事細かに、また数字までおっしゃっていただきましたが、大きくは三つある。新規事業採択時評価、そしてもう一つが再評価、三つ目が完了後、事後評価、こういうことでございますね。

 これはどういうことかというと、要は、道路事業を行っていく、新規に行うときに、真に必要な道路、これのみに予算をつけていくために、厳しくその道路を選別していかなければならない。新規事業を決定するときには、当然ながらその費用対効果をはかっていくということで、今金子大臣からもBバイCという言葉がありましたが、いわゆる費用便益の分析。Bは、もう皆さんよく御承知ですが、ベネフィット、便益です。効果とも呼ばれます。費用はコスト。これが一体どうなっているのか。便益が費用を上回っている、すなわちBバイCが一以上になっている等々、こうしたものを確認していく作業、これが事業評価でございます。

 新規事業評価は道路の新設のときに、そして再評価については、これも今説明いただきましたが、新規事業として認められました、そして事業化されます、しかし五年間、ゆえあって着工されない場合、まあいろいろあるでしょう。例えば、道路をつくるときに、土地の収用等々、あるいは地域の反対、コスト高、出てくるかもしれませんが、さまざまな障害で進めることができない。五年間未着工の場合、これを果たして進めていいのかということで、新規事業採択時の評価はオーケーだったけれども、もう一回見直そうということで再評価される。

 再評価のもう一つは、十年間経過した時点でまだ継続中、道路等の場合はあり得るんですね、大変長い時間がかかる。しかし、十年かかって完成しないもの、こういった事業は本当に必要なんだろうかということで、これも十年経過時点で再評価を行う。再評価についてはこうした区分があるということでございます。

 そして、完了後の評価、これが事後評価でございます。

 今御説明いただいたこと、こういう理解でよろしいかと思います。今うなずいていらっしゃいますのでよろしいかと思いますが、この事業評価、先ほどの話に戻りますが、中期計画あるいは政府・与党合意、閣議決定の中で一貫して言われてきたのは、この厳格な事業評価を行うというのは、当然、事後というよりも、むしろ新規事業採択時であったり、あるいは再評価であります、計画を推進するわけですから。

 そこでお尋ねをしますが、こうした事業評価、これは一体いつ公表されるんでしょうか。これは金子大臣、お答えいただけますか。もう端的で結構ですから。

金子国務大臣 通常、三月末から四月初めに公表することになっております。

馬淵委員 三月末でございますね。通常三月末、四月初めとおっしゃっていただきましたが、これは、毎年概算要求時の八月、あるいは予算案の閣議決定が行われる十二月、昨年でいいますと二十四日ですか、こうした時期にも事業評価が公表はされておりますが、その大半は三月ということであります。

 さて、この大半が三月ということで、私も事業評価を調べてみました。平成十五年度から昨年の平成二十年度までの新規事業採択時評価あるいは再評価でございますが、新規事業採択に関しては、八月の段階で五件、六件といった形で公表されているものもございます。あるいは十二月の段階、予算案閣議決定の段階で、これも数件でありますが公表されているものもありますが、九割近く、大半に関しては三月末公表。再評価に関しては、これはすべて三月末の公表と言っても私は差し支えないと思います。

 と申しますのは、昨年の場合は三月末には公表されていません。これは、最終的に再議決によって関連法案、予算が確定したのが五月でしたから、五月の段階で新規事業も再評価も公表されております。これは恐らく、三月末に成立しておれば三月末公表ということだったのかもしれません。そこで、このように三月末公表ということでございますが、これは、三月三十一日、まさに末に公表されているんですね。

 そこで、お尋ねいたします。

 国交大臣、三月末にこの事業評価が公表されて、どうして厳格に予算執行に反映することができるんでしょうか。お答えください。

金子国務大臣 三月から四月と申し上げましたが、もう少し具体的に申し上げさせていただければ、個別箇所ごとに財政当局が予算内示をする事業について、個別箇所が明示される概算要求時点、政府予算の閣議決定時において公表というのが正確な言い方であります。

馬淵委員 大臣、それはもう私先ほど申し上げました。八月や十二月というのも公表がありますが、わずか数件です。再評価に関してはすべて三月末です。

 私がお尋ねしているのは、この年度末、三月末に事業評価が公表されるわけですけれども、どうやってそれを厳格に、事業評価を予算に反映することになるんでしょうか、これについてお答えくださいと私は尋ねているんです。端的にお答えください。

金子国務大臣 予算成立、三月下旬まで、これは全体の予算枠の調整をして決定するということが財政法十七条で定められておって、これに従ってやっております。

 箇所ごとの予算額の調整、決定というのは、今度は財政法三十四条の二ということで、予算執行。ただ、予算執行までにこれが、先ほどのコスト・アンド・ベネフィット、評価に足りなければ、これを下回っておれば、事業の執行を見合わせるということは厳格にやっております。(発言する者あり)

 繰り返し申し上げますけれども、予算の決定でありますので、全体の予算枠を調整し決定する、その目的に資するものであります。

馬淵委員 大臣、私が先ほどから聞いているのは、事業評価を厳格に反映していくということで、そして予算審議にもこれを反映させるということを、再三再四政府側は一貫して我々に説明してきているんですよ。しかし、事業評価に関しては、これは三月末の公表なんですよ。財政法上のお話をされますけれども、要は、今の仕組みは、予算審議にこうした事業評価が反映されない仕組みになっているんです。このことが私はおかしいんじゃないかということをお尋ねしているつもりなんです。大臣、いかがですか。

金子国務大臣 少し誤解があるのかもしれません。

 これは、三月末までに、財政当局と合意して予算をつけるときには事業の評価は行われておりますので、今のは行われていないという言いぶりをされておられるようでありますけれども、これは既に行われておる。連続立体のような大きなものはもっと前の概算要求段階のときに、十二月、公表されるということは、今馬淵委員も御指摘したとおりであります。そのほかの件は、そういうことで、三月まで、公表されるときにはもう既に事業評価が行われているということであります。

馬淵委員 重要な答弁をいただきました。

 金子大臣、確認させていただきます。

 財政当局と予算審議の過程の中で事業評価を行っていると今おっしゃいましたね。これは確認です。

 私は、事業評価は、先ほど来、新規採択時評価、そして再評価、お尋ねしました。今、お話は、財政当局と予算審議の中で事業評価を行っているとおっしゃいました。それで間違いありませんね、お答えください。

金子国務大臣 実施計画を策定するときに財務省当局と協議し、決定しているものであります。

馬淵委員 今、答弁変わりましたよ。財務当局と、今何とおっしゃいましたか。先ほど事業評価を行っているとおっしゃったじゃないですか。今変わりましたよ。確認ですよ。

金子国務大臣 正確に、実施評価であります。

馬淵委員 金子大臣、答弁変わっているじゃないですか。実施評価と事業評価は全然違いますよ。私は、だから確認しているじゃないですか。これでは質問できないじゃないですか。

 大臣、私が尋ねているのは、事業評価をやっているとおっしゃったからもう一度確認なんですよ。ちゃんとお答えください。

金子国務大臣 財務当局とは実施計画を協議して承認してもらう、その前提に事業評価があるのは言うまでもありません。

馬淵委員 その前提に事業評価があるだけであって、財務当局とは事業評価、再度やっているということではないんですよ。そこだけ確認します。いいですか。そして、この問題はまだこの先に出てきます。

 平成二十年の五月十三日の閣議決定、新たな中期計画には、予算審議だけではありません、執行についても明記されています。閣議決定で、先ほど麻生総理に読んでいただきましたね、「この計画は、二十年度道路予算の執行にも厳格に反映する。」こう書かれています。

 そして、昨年の十二月発表された新たな中期計画の中にも、「平成二十年度を初年度とする」として、「交通需要推計結果をもとに、」これは「最新のデータに基づく」です、見直したものです。見直した評価手法、これを用いて「事業評価を厳格に実施する。」こう書かれています。

 それでは、お尋ねいたします。平成二十年度予算の執行には厳格にこの事業評価、反映されたんですか。国交大臣、お答えください。

金子国務大臣 道路事業については、毎年度末までに新規採択事業評価あるいは再評価を実施、公表しておりまして、その結果も踏まえて次年度の個別事業の執行に反映する、これは変わっておりません。このように、この場合に費用便益が一などの無駄な事業は行われないようにしております。

馬淵委員 大臣、質問にちゃんと答えてくださいよ。よくお聞きください。閣議決定にも、「二十年度道路予算の執行にも厳格に反映する。」として、中期計画も、昨年の十二月ですよ、決まったものも、平成二十年度にさかのぼって、平成二十年度予算の執行にもこれは「事業評価を厳格に実施する。」と決定されているわけです。

 そこで、お尋ねですよ。平成二十年度予算の執行には事業評価をどのように厳格に反映したんですか、こうお尋ねしているんです。お答えください。

金子国務大臣 これはちょっと預かって帰ります。二十年度の話ですから、これは担当所管の大臣のときではありませんでしたから。だけれども、預かって帰ります。(発言する者あり)

 事前の御質問が来てないものですから、これは、急にこれを言われても……(発言する者あり)してありません。(馬淵委員「レク、通告してますよ」と呼ぶ)してません。

 お答えします。

 平成二十年度、新規を含む十一区間、これについては現在作業中で、一カ月程度でやる。現在、今とまっています。社会整備審議会道路分科会に諮って平成二十年予算に反映し、事業化するということにしております。(発言する者あり)答えになっています。

 つまり、逆に言えば、厳格に反映しているということであります。

馬淵委員 私は、二十年度予算執行に厳格に反映していますかと聞いているんですよ。今のお話は、今検討中というお話じゃないですか。二十年度事業予算、これはもう執行しているんですよ。だから、執行しているのにどういうふうに反映したんですかとお尋ねしているんです。

金子国務大臣 私の言い方が悪かったようでありますが、現在とまっています。執行されてないんです。この十一区間について、今とまっているんです。新規の部分について、BバイCをチェックする事業について、十一区間でとまっているんです。それをこれから、現在作業中であるということなんです。

馬淵委員 だから、新規事業だけの話じゃないんですよ。私が申し上げているのは、これは二十年度予算の執行全部ですよ。二十年度予算の執行すべてについて、これは厳格に評価、反映すると閣議決定でも決めてきたんです。それはどうなんですかとお尋ねしているんですよ。今おっしゃっているのは新規事業十一本の話じゃないですか。その話じゃないですよ。

金子国務大臣 ちょっと質問の焦点がぶれております。あっちへ行ったりこっちへ行ったりしますが。

 今申し上げたものは、まだとまっている部分について、評価が終わっていない部分について申し上げているのであって、それ以外の案件については、評価を終わり、閣議決定も既に済んで、執行されております。

馬淵委員 大臣、全然私の質問に答えられていませんが。では、さらにもう少し確認しますよ。

 三月二十七日の福田総理の記者会見。このときに、福田総理は記者からこう聞かれているんです。「二十年度につくる道路についても不要なものはつくらないようにしていく、そういうことなんでしょうか。」という問いに対して、福田総理は、「秋にセンサス調査の結果が出るということでありまして、」これはつまり、新しい需要推計、センサス調査の結果が出る。十一月に出ました。「出るということでありまして、そういうことであるならば、そのセンサス結果を見て、」つまり、新需要推計を見て、「その差が今の計画と大きな乖離があるということになれば、それは可能な限り是正していくということは視野に入るというように考えております。」こういうようにおっしゃっているんですね。

 つまり、十一月の新たな需要推計を見て、そして、二十年度執行、これはつくらないこともあり得るんですかという尋ねの中で、これは視野に入ると考えている、是正していくというふうに答えられているわけですよ。

 だから、私が確認しているのは、二十年度予算執行の中でそれがどのように反映されたんですかと聞いているんです。(発言する者あり)

衛藤委員長 静かに。

金子国務大臣 まさに馬淵委員御指摘いただいていることを先ほど来答弁しているつもりなんです。

 十一区間については、まだとまっているんですよ。その話なんですよ。ほかの部分については、閣議決定をし、事業を今執行されているんです。やるかやらないかわからないのも、今の十一区間で事業がとまっているんです。

馬淵委員 先ほども申し上げたように、再評価というのは、これも事業評価としてやっているわけですよ。再評価されたものについては、これもまた続けて執行されていくんですね。十一というのは新規事業の話だけですよ。再評価されたものは、その後、毎年度毎年度予算執行されていくんです。

 これについて、例えば、昨年の二月二十九日の国土交通委員会、小宮山泰子議員が質問しています。これは当時の道路局長、宮田局長が答弁されているんですが、「事業に入る前は、個別の厳格な事業評価をやって決めるということでございますので、個別の箇所をどういうふうにやっていくかというのは、毎年度毎年度の予算審議の中で提出をさせていただくということだろうと思います。」こう答弁されているんですよ。宮田局長は、予算審議の中で出しますよ、そこで議論されていきますというふうにおっしゃっています。

 しかし、先ほどの話、私がお尋ねしたように、評価結果の公表は三月末なんです。もう予算審議は終わっているんです。平成二十年度、昨年の予算の審議もそうだったんです。その段階で、予算審議の中では一切出てこないんですよ。一切出ずに、その後、公表されて、執行されている。そして、それが執行されていく中でいうと、新たな中期計画、これが定められる。昨年の暮れなんです。新たな中期計画をつくるための新たな需要推計を決定したのは、昨年の十一月なんです。

 本来ならば、その数値を使って、二十年度予算の執行が本当に可能なのか、BバイCが一を超えるのかどうか、これを確認するのがまさに反映させるということじゃないですか。それをやっていないんじゃないですかと私は聞いているんですよ。お答えください。

金子国務大臣 厳格に事業評価するという考え方は、引き続きやらせていただきます。

 したがいまして、昨年出ました新たな交通需要推計に従って年度末までに事業評価をさせていただきます。

馬淵委員 これ、話が違うんですが、では、もう一つ別の観点から確認しましょう。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛にお願いします。

馬淵委員 静粛にさせてください。(発言する者あり)何かまだ言っていますよ。

衛藤委員長 静粛にお願いします。

馬淵委員 もう一つの観点からお聞きします。

 現行の国交省の事業評価制度、先ほどお話ありました。再評価、新規事業採択時評価をクリアした後は、五年間未着工の場合、でも、これは実はまれなんですよ。まれにあります、五年間どうしても事業を進められないものもあります。でも、政府側としては、行政としては、決めたものを進めるのが仕事ですから、こんなものがたくさんあったらいかぬわけです。だから、五年間未着工の場合、まれです。

 新規事業が決定して着工されたら、十年間はノーチェックなんです。事業評価は行われないんです。先ほど金子大臣がおっしゃった、当局と実施の評価していますと。実施の評価というのは事業評価とは違うんですよ。この事業評価を一たんやったら、十年間全くノーチェック。それで、この十年間ノーチェックの問題について、昨年この国会で大きな議論になった。つまり、需要推計がこれは乖離しているではないかと。

 そこで、この国会の意思として、新たな需要推計を確定させて、平成二十年度予算、執行予算、事業再評価からその後も五年間はノーチェックですから、新規事業採択時で評価します。十年間、着工していればノーチェックです。十年たった段階で再評価します。そこの再評価でBバイCが一以上であれば、また今度五年間ノーチェックです。

 私が申し上げているのは、平成二十年度予算の執行、ちょうどこの間にあるものについて、昨年、福田総理初め閣議決定で、厳格に二十年度予算の執行に反映するとおっしゃっているんですよ。だから、これはどうなっているんですかとお尋ねしているんです。

金子国務大臣 御指摘のとおり、一定期間が経過している事業、事業採択時から五年経過して未着工の場合、十年経過して継続中の事業、これは再評価する。それ以外に、社会経済情勢の急激な変化により再評価の実施の必要性が生じた事業、これについても再評価を必要に応じて行います。

 それから、その結果として事業の継続が適当と認められない場合には、事業を中止いたします。これについては平成十年度から導入しております。

馬淵委員 必ずしも例外を私は否定しませんよ。そういう場合もありますよ。しかし、昨年の二十年度予算の執行に関しては、BバイC、これを見直さないかぬ、需要推計も新しくなるから、これは厳格に反映するとしていた。その二十年度予算の執行については、わかりやすく言えば、BバイC、事業評価としてこれは全部反映しているんですかとお尋ねしているんですよ。反映されていますか、すべて。

金子国務大臣 先ほど答弁したのでありますけれども、昨年に交通需要推計が新たなものが出ましたので、それをベースにして再評価を年度末までに行う、今その作業をやっている最中であります。

馬淵委員 大臣、二十年度予算ですよ、二十年度予算。これはもう全国に事業として振り向けられているわけですよ。全部反映するのであれば、これは反映させた結果が出てからじゃないとできないじゃないですか。そうやっているんですか、これは全部。違いますよ。大臣、いいかげんなことをおっしゃってはいけない。新規事業に関してはとまっても、この再評価のものについては事業を継続していますよ、事業をやっています、二十年度予算の執行分として行っています。つまり、新たな需要推計のその厳格な反映というのは、これはなされていないんじゃないですか。お答えください。

金子国務大臣 福田総理の見解と全く違っていないんですね。そのまま反映しているんです、二十年度の新規については既に先ほど申し上げているとおり。継続については、昨年の十一月に新たに需要推計が出たところですから、二十一年度は当然やりますよ。

馬淵委員 これはやっていないんですよ。平成二十年度執行のものについては、すべて再評価ができていないんですよ。閣議決定で「厳格に反映する。」としながら、大臣おっしゃったように、十一の新規事業の話ばかりなんですよ。平成二十年度予算執行は、この閣議決定でした「厳格に反映する。」ということができていないんですよ。大臣、お答えください。もう違う答弁はやめてください。お答えください。

金子国務大臣 これはもう先ほど来繰り返し繰り返しですけれども、新規については既に再評価をされている。継続について、先ほど申し上げました、昨年十一月に新規需要が出てきているんですから、これは当然でありますけれども、二十一年度には再評価するということはやります。

 継続事業は相当大きな事業数でありますから、そこは馬淵委員もおわかりいただいていると思うんですけれどもね。

衛藤委員長 馬淵君、質問で具体的にもう一回聞いてください。もう一度具体的に聞いてください。

馬淵委員 大臣、平成二十年度の予算執行の中で、これらに関してはすべて事業評価を実施して反映するということに対して、これはやっていないんですよ。

 さっき大臣は、昨年の十一月だからできるわけないじゃないかというお話をされましたけれども、できるわけないじゃないかじゃだめなんですよ、閣議決定でこれは反映するということが確認されているんですから。大臣、だから、これは閣議決定を外れているんですよ。大臣、お答えください。

金子国務大臣 閣議決定に、反映するということをとって今まさにやっているわけでありまして、新規については、先ほど来繰り返しの答弁になりますけれども、既にやっている。昨年十一月に出た新たな需要予測に対応して、必要なことはこれからやっていくということであります。

馬淵委員 大臣、これは答弁になっていないんですね。だから、私が申し上げたのは、平成二十年度予算執行、今やっていると言っても、平成二十年度の予算ですからね、ことしの三月末までの話ですよ。今、二十一年度予算、これから決まるわけですから、始まるわけですから。

 二十年度予算なんですから、今やっているなんという話じゃないじゃないですか。執行されているんですよ。だから、執行されている予算について、事業評価を反映しているその結果をこの予算委員会の当理事会に提出してください。

 委員長、理事会に提出を求めます。

衛藤委員長 申し越しの件につきましては、後刻理事会で検討します。

馬淵委員 引き続き質問をさせていただきますが、このように、国民の皆さんもこれは驚かれると思いますよ。事業評価をやります、厳格に反映しますと言いながら、最初の新規事業採択時評価を通れば十年間ノーチェックなんです。ずっと予算がついていくんです。そして、十年目にもう一回BバイCをとります。再評価です。これが通れば、今度は五年間ノーチェックなんです。

 福田総理が痛切に感じながら、そして、厳格に反映すると閣議決定までした。だけれども、できないんです。できない仕組みになってしまっているんですよ。

 これが、この国が本当に必要な道路かどうかがわからないままに延々とつくり続けていくという、この社会資本がまさに利権化していくその病巣であり元凶なんです。これを正さない限り、どんなにしっかりと厳格に事業評価を反映すると仕組みをおっしゃっても、これは実現しないんです。このことをよく考えなければなりません。

 さて、こうした事業評価を私はこの予算委員会の中でもしっかりと議論しなければならないと思っておりますが、もう一つ重要な点、この事業評価の原点となる需要推計について少しお話をしたいと思います。

 これも、需要推計は皆さん方に資料をお配りしました。昨年、この当委員会でも出した資料でございます。これは、去年、中期計画の中で出した需要推計、ちょうどこのパネルでいえばオレンジの線、平成十四年の推計値として昨年の中期計画でこれが出たんです。これを見ると、ずっと交通量がふえていく。本当かなと私は思っていろいろ調べていくと、実は国交省の中で調べて検討しておりました。

 平成十九年の三月に、これを、財団法人計量計画研究所から報告書を受けて、この緑線です、需要推計、交通量が減っているということが報告書で上がっている。このことを国交省は把握しながらも、なぜ古い需要推計を使って、これからどんどん交通量がふえるなどという前提で道路をつくろうとしているのだということをただしたのが昨年です。そして、昨年需要推計が出ました。

 このもう一枚目のパネルには載せていますが、現実の新需要推計、これが十一月に出たものです。もっと下がったんですね。先ほどのパネルで示した、資料でお示ししているもの、これと比較すると八・七%下がっているじゃないかと私指摘したんですが、実際に評価手法も改めて検討してみると、一三・一%も下がってしまったんです。これは、将来交通量がこれだけ減るとなれば、当然ながら、先ほど申し上げている費用対効果は大きく変わっていきます。

 この費用対効果が大きく変わっていくという状況の中で、もう一点確認をしたいんですが、高規格幹線道路、これも、昨年の中期計画の中で上がっておりました百八十七路線、いわゆる高速道路ですが、この高速道路についても再点検を行う、このように福田総理はおっしゃっておられましたが、高規格幹線道路、いわゆる高速道路の点検、これは点検を行っておられますか、国交大臣。これは端的にお答えください。もうはぐらかし答弁は結構ですから、端的にお答えください。

金子国務大臣 高規格道路の点検については、今年度内に必要な点検を行う予定であります。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。

馬淵委員 高規格幹線道路、これはやっていないんですよね。今、やっている最中だとおっしゃいますけれども……(発言する者あり)

衛藤委員長 諸君、静粛にお願いします。

 理事の諸君に申し上げますが、理事の諸君の発言は小さな声で発言してください。

馬淵委員 高規格幹線道路の点検、今やっていますという話でした。これは、先ほどの二十年度予算執行に厳格に反映するという話と同じで、結局は、国土交通省、政府は、高速道路も、あるいは一般国道の事業も含めてまだ反映できていないんですよ。こうした状況なんです。

 しかし、現実には、昨年、平成二十年度予算、これはもう執行されています。五月の十三日にこれらの平成二十年度予算というのは関係各所に配付されております。これをそのまま見過ごすわけにはまいりません。

 そこで、私自身、この平成二十年度予算について確認を行っていきました。平成二十年度予算の中で、いわゆる箇所づけと呼ばれる資料がございますが、これは、それこそ全国四十七都道府県それぞれ、一般国道を含め、直轄国道あるいは補助事業も含めて、一体幾らの道路、どの路線、どの区間に予算がつくかというのを決めたものであります。これが平成二十年度予算として執行されています。

 これについて、平成十五年から二十年度、過去のものなんですが、私が、過去の事業、過去のものについて事業評価というものがございますので、これを全部拾ってみました。これも、事業評価、再評価の結果というのが全部公表されていますので、国交省から取り寄せて、細かくこのように出ています。再評価の仕方も出ております。

 これら平成十五年度から二十年度、再評価、さらには新規事業も含めて六百三十路線について、新たな需要推計値、新たな費用便益分析、この方法を用いて、BバイCが一を切る路線は出てこないのか、それは皆さん方は反映していませんからね、私はこれは心配ですから確認をしてみました。

 そして、その中から、先ほど申し上げたように、八・七%下がるんじゃないかと私指摘してきたんですが、実はもっと下がっているわけですから、このように一三%下がるというような状況でありますから、BバイCが一を切るものも出てくるのは当然です。見てみますと、BバイCを切る路線が出てまいりました。

 その中で、現実の予算執行に合致したもの、すなわち箇所づけで全部予算が配られたもの、これらについての照合を行いました。

 これは事務的な数値をお尋ねしますが、平成二十年度当初予算の国の直轄道路事業、ここでは改築費と箇所づけの表では呼んでおりますが、これは一体総額幾らでしょうか、そして何事業ありますでしょうか。これは数字だけで結構です。大臣、数字だけで結構です。

金子国務大臣 済みません。事前要求をいただいていないので、今手元にありません。後でお届けします。

馬淵委員 これは、私、出していますよ。そして、これは国交省からもペーパーをファクスでいただきました。一兆二千九百二十億円、七百六十八事業。確認ですからね、これは大臣から言っていただきたかったんですけれども、これはいただいています。

 箇所づけという、これだけのボリュームで事業が出ています。そして、これだけのボリュームが出ている事業について、先ほど申し上げた新しい需要推計で、果たしてこれはBバイCがどうなのか点検をしなければなりません。

 さて、そこで、箇所づけという言葉ですが、ちょっとこれについて大臣にお尋ねいたしますが、耳なれない言葉であります。よく御存じの方はこれは大変よく御存じだと思いますが、一般の方は余り御存じないと思います。箇所づけと呼ばれる事業なんですが、これはどういうものなんでしょうか。国交大臣、これも端的にお答えいただけますか。

金子国務大臣 箇所づけというのは、事業の推進状況の中で、計画をつくってそこを事業化することであります。

馬淵委員 事業評価がなされて、そしてBバイCが一以上のものについて、これがその路線の中で、区間の中で工事費として実際に予算が執行されていく。先ほど金子大臣の説明にもありましたように、財政当局でいわゆる実施計画書の承認がなされて、そしてそれが予算として、いわゆる支出行為として実行されるということであります。その支出行為が実行される各事業の場所、それを特定するものとして、箇所づけと称されるこうした四十七都道府県分の道路局が出した箇所表というものが出てくるわけであります。

 私は、この箇所表をもとに、さらに新しい需要推計と、そしてさらに新しい事業の費用便益を計算するマニュアルをもとに計算をしてみました。これを計算してみますと、お手元にお配りをしました平成二十年度予算一般国道直轄道路事業の再点検という形で、これは私自身が行ったものでありますが、先ほどありました七百六十八に余るこの事業、これらのうちの五十六区間がBバイCが一・〇を切ってしまう。この総額が、試算だけでも一千十二億ございます。

 この一千十二億もかかるこれらの事業はすべて箇所づけされていますから、平成二十年度予算として執行されています。厳格に事業評価を反映するといいながらも、もう既にこれらについては執行している。しかし、この五十六区間に関しては、需要推計が一三%も下がるという状況の中、明らかにBバイCが一を切る可能性もあるわけです。私の推計だけでも一千十二億分ある。

 これらに対して、政府は、一を切ったものも今後進めていくということをお認めになるということになりませんか。国交大臣、いかがですか。

金子国務大臣 馬淵議員がどういう試算をされたのか細目わかりませんが、今のお出しになった表によりますと、七%程度の事業の見直しが必要だと御指摘をされておられます。

 ただ、一方、平成二十一年度道路予算の直轄事業につきましては、無駄を徹底して排除することによりまして、過去最大の、一割以上、一二%の削減、金額では千五百億円削減としております。ちなみに、平成二十年度が一兆三千二百八十一億、二十一年度が一兆一千七百二十六億円になります。

 具体的にどのように削減していくか、今後実施する点検結果を踏まえて適切に対処してまいる所存であります。

馬淵委員 大臣、無駄を排除することも重要なんですが、私が申し上げているのは、事業評価の反映がしっかりとなされた結果、BバイCが一以上でこれは執行されているんですかとお尋ねしているんですよ。

金子国務大臣 ただいまの質問、評価結果で費用便益が一以下となる場合、平成二十一年度予算どうするんだということでありますが、一以下になる場合には、二十一年度予算においても、当面、当初予算を見合わせる予定であります。

 その上で、二十一年度内に速やかにコスト縮減などの事業計画の見直し、片側一車線にするとかローカルルールを適用するとか、いろいろ地域がありますから、奈良県でも中山間地の三けた国道で非常に苦労されている、災害の多いところもありますので、そういうところも何とかコスト縮減を図りながら事業の見直しを行って、そして、このことについては事業評価監視委員会における審議にかけようと思っているんです。かけて、事業をやるか、継続するか、あるいは中止を判断していきたい。

 そういう地方の自治体の皆さん方からは、地方部の道路、特に学校の通学、災害、病院といったようなことで、単なるBバイCでない部分、BバイCで厳格にやりますけれども、しかし、地方自治体によっては、それだけで判断をされてしまってはやはり地域がやっていけないという非常に強い部分というのが地方自治体の皆さんからありますし、奈良県自身がそうじゃないですか。

 そういう部分をやはり大事にしながら、それはしかし、地方自治体の皆さんがそこはどういうふうに判断するのかというのも踏まえて、繰り返しになりますけれども、事業評価委員会に諮ってもらって、進めていくか中止するかを判断するつもりであります。原則BバイCが一を切ったらできない、こういうことです。

馬淵委員 大臣、私が申し上げているのは、だから、BバイCの再評価というのを平成二十年度予算執行でもこれはやっていないじゃないですかと申し上げているんですよ。すべてについてやっていますかと先ほどから何度も何度も聞いている。反映していますかというのに対しては、今やっている最中です、評価している最中ですと。これは反映していないんですよ。

 だから、そうやってごまかさないでください。BバイCやりますやりますと。それは、新規事業採択時評価か、十年後の再評価か、その五年後の再評価、その数字をもってして言っているだけなんですよ。新たな需要推計での再評価はやっていないんですよ。

 大臣、ならば、平成二十一年度の道路予算すべてについて再評価を行う、このようにここで確認してください。

金子国務大臣 先ほど、やると申し上げたんです。直轄事業については年度末までにやりますから。

馬淵委員 年度末までにやるというのは、これは三月末なんですよ。また同じ話なんですよ。予算の審議に出してこなければ何も意味がないんですよ。昨年もそのことを申し上げました。そして、二十年度予算に関しては、これは執行するものについては十分反映するというのが閣議決定で決まっていたんです。この閣議決定で決まっていたものについても、もう今実行してしまっているんです。

 二十一年度、三月末までにやりますじゃなくて、二十一年度の道路予算についても、すべて再評価をしてこの予算審議に上げてくださいよ。この予算審議に上がってこなければ、新たな需要推計のその評価の反映ができないじゃないですか。

金子国務大臣 予算審議では全体の枠の調整と決定をやらせていただく。しかし、執行に当たっては、先ほど申し上げたように、事業評価と、それから財務省の個別箇所づけの段階で執行のときの評価というのが行われます。

馬淵委員 大臣、執行のときの評価というのは、いわゆる事業評価とは違うんですよ。これは単純に数字を積み上げたもののチェックの話ですよ。私が申し上げているのは、きちっとBバイCの評価を行ってくださいと。そしてそれを、今この予算審議の最中ですから、平成二十一年度分については、三月末に出すじゃ遅いんです。

 平成二十年度分は執行してしまいました。今もう既に予算が実行されています。それを今ごろやっていると言っています。平成二十一年度分については今やっている、三月末に出すとおっしゃっているが、それでは遅いんです。

 実際に、私が昨年分だけ見たって、一千十二億円分はBバイCを切る可能性があるという指摘をしているわけですから、少なくとも平成二十年……(発言する者あり)今、どれという質問がありましたが、お配りをしたこの評価、資料の中に、一千十二億円分ある可能性があると申し上げているわけです。

 このように、本来ならば、これらの道路すべて再評価を行わなきゃならないんですよ。なぜ再評価をやると言えないんですか。先ほど大臣がおっしゃっているのは、財政当局と実施の評価をする、これは見事にごまかしていますよ。実施の評価なんてそんなもの、事業評価でも何でもないですよ。私が申し上げているのは、再評価。この国交省が定める政策評価にのっとった事業の再評価をすべて行って、それをこの予算審議に上げるべきじゃないですかと申し上げているんです。言明してください。

金子国務大臣 この予算委員会というのは、全体の枠の議論をさせていただいておるのでありまして、個別の箇所づけ、これは、事業進捗の状況、予算の全体枠、これを十分に精査した上で当該年度の予算額を確定する。これは今やっている。

 個別箇所づけについては三月までに決定する、箇所づけが行われるまでには、財務省としてそれは評価をした上で、財務省と協議するということを先ほど申し上げているんです。

馬淵委員 いや、何度も申し上げているんですよ。事業評価、これが重要なんですよ。財務省の評価じゃないんですよ。事業評価なんです。これを行わなければならない。個別のものについては予算審議に上げないじゃないんですよ。個別のものでも、これは厳格に実施、反映すると昨年の閣議決定で決めたんです。それを去年やらなかったんです。ことしはどうか。今やっています、三月末に公表します、同じことじゃないですか。予算審議に上げなければ意味がないんですよ。なぜそれができないか。

 だから、大臣、再評価をやるとここで明言してください。(発言する者あり)山本理事、山本拓理事、先ほど来からずっと不規則発言、ずっと続いていますよ。

衛藤委員長 理事の諸君に申し上げますが、発言は小さな声で、かわいい声でお願いします。

金子国務大臣 同じことを先ほど来申し上げているようでありますけれども、箇所づけについては事業評価をやるんです。やった上で、財務省と相談して個別箇所づけを行っているというのを繰り返し繰り返し……。事業評価をやらないんじゃないんです、やるんです、やっているんです。

馬淵委員 だから、申し上げている、それだったらここで出してください。いいですか、予算審議の中で出してください。

 少なくとも、昨年、予算執行に厳格に反映しなければならない状況が起きていたわけです。それもまだ今できていません。ならば、この平成二十一年度予算、大事な予算審議の中で、今おっしゃったように事業評価をやっているということであれば、すべての路線について事業評価を出してください。理事会にこれを出してください。大臣、出してください。

金子国務大臣 この予算委員会は、個別箇所づけを議論する場というよりも、全体の予算の調整を、額を決定するということであります。(発言する者あり)

衛藤委員長 馬淵君、もう一度発言してください。

馬淵委員 いや、大臣、私が申し上げているのは、個別箇所づけをここで決めろとかそんなことを言っているんじゃないですよ。

 昨年も、需要推計が新しくなったからこれは実施に反映しなきゃいけないという閣議決定をしたけれども、やっていないんです。だから、ことしに関しては、少なくともこの平成二十一年度、終わったものについてどうこう言っている話じゃなくて、まさにこれからやろうという審議の中で、すべての事業の再評価をこの予算審議の中に出してくださいよ。でなければ、もうやってしまったものは既に一千十二億、これはBバイCを切ったものをやっている可能性があるんですよ。今後、二十一年度予算でもそれが生まれる可能性があるんです。だから、この審議に上げなければならないと私は申し上げているんです。

 金子大臣、お答えください。

金子国務大臣 これはちゃんとやっています。

 それで、新しい交通需要推計に基づいて、それぞれの関係、これは地方自治体の場合もありますし国交省地方整備局もありますし、それぞれ事業主体がありますが、彼らが今一本一本の路線ごとの推計を、新しく出ましたので、それを含めて今やっております。

 そして、この事業評価が行われますと、これは公表されます。馬淵先生、インターネットでも見られますので。出てくるんです。事業評価がやられているというのが公表されます。

馬淵委員 私は繰り返し申し上げているんですが、結局、やっている、やっていると繰り返して三月末までに出さない。昨年も同じことなんです、二十年度予算も同じこと。そして二十一年度予算もまた同じことをやろうとしているんですよ。

 私は繰り返し申し上げますよ。現に、BバイC、昨年の二十年度に関しては一千億を超える道路が、事業の見直しが必要なものが出ているわけですから、少なくとも二十一年度予算に関しては、二十一年度予算執行されるものというのは、過去再評価をやったものは五年間、間があきますから、ずっとその間予算がついていくわけです、再評価がないままついていくんですよ。それについて、私は、BバイCが一を切るものが出てくる可能性があるから、当予算委員会に出してください、こう申し上げているんです。

 金子大臣、今やっているじゃないんです。出してください。二十年度予算を執行してしまって、一千億近く、これはBバイCを切るものをつくっている可能性がある。見直さなきゃならないこと、これが看過されてしまっているんです。

 大臣、この予算委員会の中での議論、どうか出してください。もう一度答弁を求めます。

金子国務大臣 十一月に出ました新たな道路需要推計に基づきまして、各関係者が今鋭意事業評価を進めております。事業評価が終わり次第、公表されます。

衛藤委員長 もう時間ですから。

馬淵委員 公表されますのは三月末のことです。もう予算案審議終わっています。

 委員長、これも理事会でしっかりと協議してください。予算案が終わった後に出す、これはまさに、厳格に反映させると言って一切やってこなかった政府の詭弁の踏襲であります。

 改めてここでそれを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申し出があります。細野豪志君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 いろいろ各種提言も申し上げますので、ぜひ前向きに御答弁をいただきたいというふうに思います。この予算委員会の議事録というのは百年後の日本人も見ることができますので、ぜひ前向きの御答弁をいただきたいというふうに思います。

 まずは、解決されていない消えた年金問題でございますけれども、一番本当にお気の毒な例は、社保庁のミスで無年金にされてしまっている方がたくさんおられて、それが御本人も気づいておられないし、全然その方に補償がなされていないという問題でございまして、これは社会保険庁からいただいた資料でございますけれども、現在、無年金だ、老後一円も年金がもらえないと確定されておられる方が、社会保険庁の推計資料で百十八万人もおられるということでございます。

 しかし、これは一定の期間、例えば二十五年、例えば二十年、延べで保険料を払わないと、保険料を没収された上、一円も受給できない。こんな厳しい制度を持っている先進国、日本しかありません。二十五年ルール、こういう厳しいルールがある。

 我々民主党の年金制度の案では、こういうルールは撤廃します。非常に冷たいルールで、しかも、社保庁のミスで、そのルールを満たしているのに無年金になってしまっている方が、昨年の五カ月だけで社保庁が調査して六十二人おられたということでございます。その中で十三人の方が基礎年金番号もついていない。ということは、ねんきん特別便も届かない。まず発送をしないわけです。

 そういうような方々がおられるということで、これは、偶然気づかなければ、あるいは社保庁が相談に行ったときにそういう資料をきちっと出してこなければ、永久にわからないという方々でございまして、私は、この百十八万人の方の全員を調査してくれ、当たり前だと申し上げたら、いや、数が多くてできない、できないと、ずっとこの一年間逃げ回っている。

 では、サンプル調査でせめて例えば三千人、そういう方を一人一人戸別訪問して、本当に無年金なのか、社保庁のミスなのか、あるいは別の原因なのか、それをぜひしてくれというふうに、これも何度も申し上げているんですが、できない、できないの一点張りで逃げ回っているということで、これは本当はこの場で言う話じゃないんですよ、社保庁の課長がやる話なんです。課長はやらない、やらない、大臣もやらない、やらない、それで総理まで来てしまうんですね、いつもこの話は。

 ぜひ総理、三千人サンプル調査、お願いします。

舛添国務大臣 今、委員がおっしゃった問題、社保庁のミスで、例えば空期間を通算すればちゃんとなるのに、そういうこともきちんとできなかった、これは厳正に指導し、現場を指揮してやっていきたいと思います。

 今おっしゃった、基礎年金を持っている場合は特別便が行きますけれども、持っていない方々にどうするか。これは、ぜひ届いていない方はお知らせくださいという呼びかけを新聞広告や何かで行っておりますし、それから、住基ネットワークを使いまして、この方は二十五年に達しているな、だけれども何も言ってこないなという方に対しては、年金確認のお知らせという黄色い便をお送りしております。

 そして、私は、今委員がおっしゃったように、百十八というのは、これは六十歳前と六十歳後で若干推計の仕方が違いますが、それはおくとして、そういう方々一人一人を救済する。被害者の救済、これが第一でございますから、一人一人確実にこれは対応していく。サンプル調査じゃなくて一人一人きちんとやっていく、こういう方針でやっていきたいと思いますので、今後とも、いい提案があればぜひおっしゃっていただければと思っております。

長妻委員 それじゃ救済につながらないんですよ。結局、ねんきん特別便が送られてきても無年金の方で気づかない方もいらっしゃいますし、住基ネットと言われましたけれども、住民票がない方、そういう方もおられるわけで、何%ぐらいの方が本当に社保庁のミスで無年金にされてしまっているのかというのを、何でサンプル調査することぐらいやらないんですか。これは、本当に今政府がやっていることは、日本を嫌いになる日本人をふやしている、そういうふうに言わざるを得ないですよ。

 きょうも、傍聴席に宮本さんという方が来ておられます。その方は、男性で六十七歳の方でございますけれども、七年間無年金にされてしまった。七年前に相談に行ったらば、まず足し算を間違えた。それで、あなたは受給の期間が足りないと。足し算のミスと、受給も、宮本さんは延べ二十年払っていれば受給できる方なのに、二十五年だと窓口の方が勘違いして、二重のミスで七年間ほったらかしになった。たまたま……(発言する者あり)ちょっと山本議員、何なんですか、ずっと。この質問をやめろということですか。さっきから何ですか、そのやじは。ちょっと黙ってください。まじめに質問しているんですから。

衛藤委員長 山本理事に申し上げますが、発言、注意してください。

長妻委員 そして、この宮本さんは、基礎年金番号がないので特別便が届いておられないということで、それでいろいろ相談に行こうということで、偶然見つかったということでございます。

 あるいは、お配りした資料の中で、四十五番の女性の方ですね。この方は、五十五歳から本来は年金を受給できる、そういう方だったのに、社保庁のミスで無年金とされて、七十九歳までずっと働きづめです、年金ゼロだから。それで、働き過ぎて脳出血で倒れられて、寝たきりで、今八十六歳でありますけれども、義理の弟さんが我々の事務所にも山井議員の事務所にも御相談に来られましたけれども、記録を探しに探して、そして六年分の記録を見つけて、やっと八十六歳になってお金が戻ることになった。三千三百万円。ただ、まだ全額は戻っていないというふうに聞いていますけれども。五十五歳から月十万円、本来は払われた方なんですね。しかし、基礎年金番号がないから、ねんきん特別便も届かない。

 ここにリスト、社保庁に出させただけで十三人、基礎年金番号がなくて無年金にされておられる方がいらっしゃるわけで、そういうふうに、通知を出して、自分で気づけ、そういうやり方なんですよ、今、舛添大臣の答弁も。

 そうじゃなくて、こちらから、例えば三千人、無年金の方を調査すると、こういうケースもあるんだ、こういう場合もあるんだ、気づかない方もおられるんだということがよくわかるわけでありまして、これは舛添大臣だと同じ答弁ですから、麻生総理、三千人ですよ。これは、二万人の戸別訪問調査は、我々民主党の要求で、消された年金問題、今、社保庁やってもらっていますけれども、この無年金も非常に大きい問題なんです。ゼロなんですよ、天国か地獄かなんですよ。ぜひ麻生総理、三千人、まず調査をする、このぐらいは決断してください。

麻生内閣総理大臣 今厚生労働大臣がお答えした、これが基本的な考え方なんだと思いますが、正確に把握することが極めて困難なんだと思っております。

 したがって、いわゆる五千万件の宙に浮いた年金記録などなど、いろいろ今解明の統合作業を進めているというのは御存じのとおりです。年金の受給資格があるにもかかわらず、長妻先生言われるように、無年金となってしまう方を救済することにもつながるのではないかということを考えております。

 いずれにしても、今お話があっておりましたねんきん特別便の話やら確認作業に加えて、住基ネットが不十分じゃないかと言われるお話はありましたけれども、とにかく記録の解明作業というものを急がせないかぬと思っておりますので、少なくとも宙に浮いた年金記録の統合作業というものにまずは全力を挙げて取り組んでまいらなければならないのではないかと思っております。

長妻委員 いや、本来は百十八万人全員当たって、お邪魔してどういう事情か聞く、最終的にはそういうふうにやっていただきたいんですが、まずは三千人の方をピックアップして調査する、それを申し上げていて、皆さんの答弁は、通知を送るから、それで文句があったら言ってこいと。申請主義なんですよ、ずっと。

 これは、二〇〇七年の七月を思い起こしていただきますと、当時、参議院選挙がございましたけれども、その前に安倍総理がこういうことを言われたんですよ。最後のお一人に至るまですべて年金の記録をチェックして、正しくきちんと年金をお支払いすると。そういう姿勢であれば、せめてやってくださいよ。こちらから働きかけて、どういう事情なのかというのを聞く。何でやらないんでしょう、三千人。意味がなくはないですよ。大きい意味がありますよ。多分、私は、驚くべきいろいろな結果が出てくると思いますよ。

 麻生総理、これはぜひ決断してください、安倍総理のこういう発言もあるわけですから。お願いします、ぜひ。

舛添国務大臣 何が一番大切か、それは長妻議員と私は共通して、被害者を一人でも多く救済する。そのやり方の問題であって、無尽蔵に予算があり、無尽蔵にプロがいればいいですけれども、裁定作業がいかに大変か御存じでしょう。いろいろな地域にあって、福岡にいた、北海道にいた、青森にいた、それを全部やってやるわけです。そういう中で、三千人のサンプル調査をする、そのお金と人があれば一人一人確実に救済していく、こちらの方がいいと思っております。

長妻委員 一人一人確実に救済するとずっと言っていますけれども、それができていないから言っているんじゃないですか。

 これはいつもこういう答弁なんですよ、麻生総理。つまり、人、物、金がないからできないという答弁なんです。

 我々は、国家プロジェクトでやれ、これは国家の危機だ、国に不信感を持つ人を量産している、こういうふうに申し上げているわけでありまして、今、失業者の方がたくさんおられるんですよ。そういう方々に守秘義務をかけて協力いただいて、人、物、金を差配して一気に解決する。

 こういう、人、物、金がないからできない、できない、その言いわけというのはもう容認できないわけで、ぜひ三千人は調査をしてこの予算委員会に結果を出してきて、そしてこの予算を組み替えて、そういう方を補償する予算もこの本予算の中に全部入れる、こういうことが予算委員会のあるべき姿じゃないんですか。

 これは麻生総理、もう舛添大臣は結構です、同じですから。麻生総理、御決断ください、三千人ですから。今二万人の戸別訪問をしているわけで、これはできます、人、物、金を差配すれば。ぜひ三千人やるというふうに御答弁ください。

麻生内閣総理大臣 このサンプル調査に至極長妻先生は前からこだわっておられるのを承知していないわけではありません。

 しかし、舛添大臣から答弁をいたしましたとおり、目下、いわゆる年金の話を、いろいろデータを、今二万人と言われましたけれども、そういったものを含めて、いろいろ人をふやしたりして作業をさせている最中だと理解いたしております。

長妻委員 このリストにお配りした方の中には、記録が見つかったけれども支払いが遅くて亡くなった方もおられますし、亡くなってから無年金じゃないというのがわかった方もおられますし、本当にこれは我々はあきらめませんので。

 漏れ聞くと、サンプル調査をするとまた新たなパンドラの箱があいてしまう、これはやらないようにしようという声も政府の中から聞こえてきますから、まさかそんなことはないと思いますけれども、ぜひリーダーシップでやっていただきたいというふうに思います。

 そして、もう一つは、年金の記録が窓口で戻っても、金の支払われるのが一年先とか、こういうふざけた状態がずっと続いている。山井議員が昨年麻生総理に質問したときに、記録が見つかったらば、せめて、これは麻生総理の答弁です、「基本的に感情としては、だって、わかったんだったら即というのが普通、まあ三カ月、それぐらいのところが常識的かな、」と答弁されておられるので、これは三カ月でも長いんですよ。

 では、まずは三カ月に持っていくというのは、いつ三カ月というのを達成できるんですか。

舛添国務大臣 今委員がお示しになった九カ月、こういう数字は非常に時間がかかり過ぎていると思っています。そういうことで、昨年十二月には、このプロ、これに当たっている人間の数が二百八十人でございましたけれども、この二月から四百六十人、百八十人増員しました。

 一つは、もっと増員できないかということと、フローチャートを全部私の直属の作業チームが今見直していて、少しでも簡素にできれば、本当の再裁定のプロじゃなくてもそこでできるわけですから。それから、先ほど長妻委員がおっしゃった、片一方で職にあぶれている方がおられる、こういう方々を訓練して使えないか、こういうことも今鋭意やっております。

 そして、どれぐらいでできるかというのは、一カ月にどれだけの問い合わせ件数があるかにもよりけりです。今、目標としては、ふやしているのは、月に二十万件は処理できる体制にしたいというふうに思っています。

 そして、テレビをごらんの国民の皆さんに、我々も努力をいたしますが、ぜひお願いしたいのは、例えば、ねんきん特別便をよく見て、私が、特別便どうなさいましたか、あっ、そんなの横に置いたままでまだあけていませんよという方がこの前おられたんです。どうか皆さん、協力していただいて、申請主義が今基本なんです。だから、これの問題点をどうするかは長期的に考えますが、当面は、記録を一日も早くきちんとして被害者を救済したいと思いますので、これはみんなで協力しないといけません。どうか、国民の皆さんにも御協力をお願い申し上げたいと思います。

長妻委員 これは、私も、さっきの無年金の方の補償や、こういう速やかに払うというときに、今のような答弁というのは本当に理解できないのは、なぜ、人、物、金の制約があるからと、四百六十人なんて、これはけたが違いますよ。けた違いにふやさないとだめなんですよ、実際、民間の方の力も得て。だから、経済の、逆に言えば雇用も生み出すことになりますし、二兆円の特別給付金をばらまくんだったら、年金をやってくださいよ。金はあるんだから、ばらまく金は。何でこういうのを、人、物、金が制約があるからといつも逃げるんですか。

 これは国家の威信が傷ついているんですよ、麻生総理。年金というのは、社会保障のかなめで、二つの保障、安全保障と社会保障、国家の礎ですよ。その片方の威信が崩れて、これは国家が衰退しますよ。それにつながるほどの大きい問題なんです。これを重要視してください。

 これは麻生総理が言われたので、三カ月ということを。いつごろ実現しろと指示してください、いつごろやれと。

麻生内閣総理大臣 年金に関しましては、これは、国に対する信頼の礎が揺らいでいるという御指摘は、我々も全く同じ考え方であります。社保庁という役所、いろいろ問題のある役所、いろいろ関係者も、聞いたことがありますけれども、これはかなり問題のある役所ということで、御存じのような経緯をたどったということだと思っております。

 いずれにいたしましても、人数を、簡単に言えば、長妻先生、今平均七カ月ぐらいかかっているという話だったとこの間聞きましたので……(長妻委員「いや、違う」と呼ぶ)もっと、違う。この間、あなたの質問じゃなかったっけ。平均七カ月ぐらいかかっているというお話だったので、それならちょっと常識的じゃないな、山井先生の御質問だったかのときに出たと思いますので。そう言われましたので、それはというので、たしか、三カ月ぐらいが普通じゃないですかというように答えたというように思います。

 それは即金……(長妻委員「いつ実現するんですか」と呼ぶ)ですから、今言われましたように、人数、人数を……(長妻委員「大変な話なんですよ」と呼ぶ)いや、大変じゃないなんて言っていませんよ。大変な話なんですよ。だから、これは真剣なんですから。そういう意味で、人数を、今言われましたように、十万件から二十万件にという話が今出ていましたけれども、それで少なくとも倍にはなるというスピードだと思いますので、単純計算すれば少しは早くなっていく。七カ月がどれくらい早くなるか、ちょっとわかりません。

 ただ、金があるんだったらそれを全部出せと言うけれども、これはかなりのプロの作業、プロの人がやる作業だと思いますので、プロの人にきちんとやっていただかないと、また無責任なことになる。そういった意味では、きちんとした人に対応してもらうために、人数は、とにかく金に任せてどんどん雇えばいいという種類の作業じゃないんじゃないのかなという感じがいたします。

長妻委員 いや、麻生総理、勘違いされておられないですか。これは別に給付じゃなくて、社保庁のミスなんですよ、おわびなんですよ。これは当たり前の金なんですよ、払うのが。

 それでもう一つは、私、きょうはまたがっかりいたしましたのは、元社保庁長官三人を参考人招致として申請しておりましたが、この三人の方は、一人の方は国民年金の紙台帳廃棄命令出したときの、当時の社保庁長官です。国家公務員の年金の記録なんて一枚も廃棄されていないですよ。国民年金の記録は廃棄命令出されて廃棄された、紙台帳が。その当時の社保庁元長官。今、五カ所目の天下り団体に天下って、昨年やめられたそうですけれども、五カ所目を。

 その方と、あとお二人、きちっとこの問題を把握している元社保庁長官の三人の方をお呼びしたんですが、何でこれは自民党、反対するんですか、参考人。鈴木恒夫さん、何で反対したんですか。何で反対……(発言する者あり)これは私は去年からやっているんですよ、去年の予算委員会から。

 この年金の記録の問題はお金がかかるんです、解決するために。人もかかります。それで、責任はだれもとらないけれども解決金だけ出してくれというのは国民の皆さんに筋が通らないということで、責任の議論を予算委員会でやろうと去年も言ったらば、自民党の反対で参考人は拒絶された。今回もこの参考人招致を自民党の反対で拒絶された。どうしてなんですか。何で守るんですか、社保庁を。何でここで実態解明されないんですか。

 もう一つ言わせていただくと、今回私がびっくりするのは、消えた年金問題がこれだけ大きい問題なのに、確認すると、処分を受けた人は口頭注意の人を含めてゼロだというんです。処分受けたのはゼロ、口頭注意も含めて。だれも処分を受けていない。それでこれだけ大変な話で、人、物、金がかかる。そのときに、せめて国会に主要な方をお呼びしてお話を聞くというのは、普通のことだと思うんです、これは。

 では、なぜ耐震偽装のときはどんどん関係者を国会に呼んで、官僚出身者だと呼ばないんですか、そういう何かルールがあるんですか。(発言する者あり)あなたですよ、あるいは鈴木さんですよ、理事だから。何で反対するのかということで、ぜひ……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛に。

長妻委員 ぜひ、委員長、総理に、これは自民党総裁としてちょっと聞きますけれども、自民党として参考人を呼ぶことに同意するというのをちょっと一言答弁いただきたいんです。

麻生内閣総理大臣 参考人の招致というのは、長妻先生もよく御存じのように、これは国会運営上のことであって、少なくとも、今御指摘の点につきましては、私どもの立場でどうのこうの言える立場にないというので、これは理事会で御協議なされる種類の話だ、そういうぐあいに理解しております。

長妻委員 この年金問題、我々民主党としては、全容解明さえできていない、これは絶対あきらめませんので、今後もこの委員会あるいは厚生労働委員会等々で質問をして、対案、提言をしてまいりますので、ぜひよろしくお願いします。

 そしてもう一つは、天下りの問題でございますけれども、こういう資料をいただきました。これは、先月ですね、平成二十一年の一月二十一日にわたりをしたという例なんです。政府の公式見解では、ことしに入ってからはわたりのあっせんはない、これが公式見解です。

 ところが、この方、江崎さんという方が、先月の一月二十一日に、経済産業省所管の団体ですけれども東京工業品取引所、これは昨年の十二月一日に株式会社化されていますけれども、そこの顧問に就任された。ここに出ているリストの方は全員通産省のOBの方でありまして、中澤さん、南学さん、江崎さん、複数を渡り歩いておられます。そうすると、麻生総理が言われた省庁のあっせんをことしじゅうで全部禁止する、こういう話から漏れる方がたくさんあるんではないかという実例なんでございます。

 この江崎さんという方がどうしてここに天下ったかという経緯、これは、あっせんはしていないということなんですけれども、それを聞きましたら、資料の四ページというのが出てまいりまして、これは経済産業省がヒアリングをしたと。南学さんという方に、この方もOBの方、天下りでございますけれども、ヒアリングをすると、この江崎さんという方がここの団体に非常に適任だから自分が呼び寄せたんだ、こういうふうに言われておるんです。つまり、江崎氏が適任であるとの結論に達し、昨年十一月中旬に本人に打診し了解を得たと。つまり、こういうケースは、あっせんがない、政府は全く見えていない天下り、わたりということになりかねないんですね。

 例えば、一番目の方、二番目の方、三番目の方、四番目の方、これはほとんど期間の差がなく、ちょうどやめられた直後にずっと天下っておられるということで、政府が把握していない。きのう、細野議員からわたりの指定席という話がありましたけれども、まさにそうなんです。もう指定席だから、中央省庁の関与がなくても、OBの間でルーチン化して、どんどん誘って、OBが数珠つなぎで天下っていくというケース。こういうケースは、全然政府は手つかずなんですよ。だからこそ、きのうも細野議員が申し上げたように、調査をして、この予算委員会に提出をして、どうやって規制をするのか、それを検討しようじゃないかということなんでございます。

 麻生総理、ぜひ、調査をするということ、いかがでございますか。

麻生内閣総理大臣 今、お話を伺っていると、やめた役人をほかの役人が引き抜いてそっちに連れていくということを政府で規制しろと言われても、それは、一回民間人になっている人の、右から左へ行く話を、引き抜きをとめるというのは、表とか裏とかいろいろな表現はありましょうけれども、少なくとも役所の官房がかんでいない話を天下りとは言えない、基本的にはそうなるんじゃないでしょうか。

長妻委員 いや、麻生総理、公益法人というのは民間ですよ、カテゴリーでいえば。あるいは、独立行政法人だって民間ですよ。まあ独立行政法人は厳密に言うと民間じゃありませんけれども。

 ただ、そういうところに、例えば、これは民主党の予備的調査ですけれども、平成十八年度、四千六百九十六法人に、今、国からだけで二万六千六百三十二人が天下って、一年間に十二兆六千四十七億円税金などが流れている。随意契約というのも非常に乱用されているわけでありまして、補助金、委託費をもらっている団体もあります。そういうところに、当該省庁の、監督官庁であるOBがどんどん天下っていく。持参金型天下りというのもあります。ですから、目に見えているものだけを禁止しても、今の麻生総理の御答弁だと、中央省庁がかかわらなければ何でもやっていいのかと。

 つまり、団体があったときに、では、そこのトップに選ぶときに、何でOBじゃないといけないんだ。公募してもいいじゃないですか。民間にももっとすばらしい人がいるかもしれないじゃないですか。何で指定席になっているんですか。私は、必要な団体もあると思いますよ。そのときに、何で指定席にするんですか、公募しないで。それで、必要性のない仕事をでっち上げてどんどん随意契約で金をため込んでいく、天下りを食べさせるために金を流し込むということで。

 ぜひ総理、そういうことの調査も、見えないものも、中央省庁が絡んでいないものも調査をするということを明言いただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 見えないものというので、それを政府が調査をする。正直申し上げて、今言われている意味に関しましては、先ほど御答弁を申し上げたとおりです。その意味で、それは、既にやめられた人に関して、私はちょっと、かつて役人だったからというだけでそれを全部調査の対象にするのはいかがなものかという形で正直思っております。

 そういった意味で、問題が多いというのであれば、ぜひ監視委員会等々を大いに活用されて、そこでもしかるべきものにされるようにされたらいかがでしょう。

長妻委員 では、午前中は以上で終わります。

衛藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 午前中に引き続いて天下りの問題で質疑をさせていただきます。

 午前中最後の答弁で、麻生総理の答弁が非常に理解できなかったんですが、つまり、水面下に潜った天下りはしようがないんだ、こういうような趣旨であれば問題でありまして、ちょっと麻生総理にそもそも論をお伺いしたいんですが、天下りというのは何でいけないんですか。

麻生内閣総理大臣 基本的に、役所に長くいた人がその役所の、例えば、先ほど、金子先生だったら金子先生のところの国土交通省を例に引けば、国土交通省に長くいた技術屋なり技官なり道路局長が道路に関係する民間の建設業者のところに行く、それ自体は、有能な技術屋であればちっとも悪いと私は思っていませんよ。

 ただ問題は、その人がそこに行くことによって、その会社に対して国の発注がそこに偏って出る可能性というものを考えたときに、李下に冠を正さずじゃないけれども、そういったところは避けるべきではないかというのがその大きな趣旨だと理解をいたしております。

長妻委員 そうであれば、麻生総理、中央省庁がかかわっていない、水面下でOB同士でやられる天下りも、そういう趣旨であれば問題であるわけでありますから、ぜひ調査をしていただきたいということなんです。

 天下りには、今解明されているだけでも三ルートございまして、一つはオモテルートというものでございますが、これは省庁の天下りのあっせんということであります。これは、麻生総理が、昨日ですか、天下りの省庁によるあっせんはことし限りでやめる政令をつくる、こういうような趣旨の答弁をされたというふうに聞いておりますが、では、ある程度ことしじゅうになくなる、一番上のオモテルート、従来型です。

 実は、それがなくなるのを見越して、新オモテルートというのができました。これは、官民人材交流センターというのが昨年の大みそかに設立されたということで、非常にどさくさ紛れに設立になったんですが、この官民人材交流センターというのは、ありていに言えば天下りあっせんセンターです。そういう役割をする。今度はその天下りあっせんセンターで、新たにことしからは、そこから新オモテルートということで天下りは続くということです。

 もう一つのウラルートというのが、午前中質問をいたしました、つまり、一回天下ったOBの方が、後輩をそこに呼んで、そしてその団体に後輩を引っ張っていって脈々とわたりの指定席で、天下り団体に指定席として渡り続けるということで、これは中央省庁は関知しないことになっていますので、あっせんをしていないということで、これはないことになっているウラルートでございます。

 こういう三つのルートがありますが、その意味で、ぜひ麻生総理、午前中、事例を説明しましたけれども、このウラルートの方、OBが引き合ってそこに天下る、そして麻生総理が言われたように、癒着を生じて、受注が有利になったりゆがめられたり、そういうことがある、そういう可能性があるのではないかということで、OBが引き合いにして指定席になっている天下りの実態、これをぜひ調査していただきたいんですが、そして取り締まっていただきたいんですが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 先ほど、午前中、同様の質問がありましたのでお答えしたと存じます。

 長妻先生、退職した人のことに関して、役人だったからということで、もとそこに所属していたOBが、今でも所属している現役がその人をあっせんする、現役なら官房とかそういうところになるんでしょうが、退職した人のお互い同士の人脈に関してもとの役所が介入するということは、基本的にはできないと思いますね。なぜなら、それは職業選択とかいろいろな難しい話にもなるでしょうし、そういったやめた人のことに関して、もといた人、民間人に関して介入するということはなかなか難しいのではないか、基本的にそう思います。

長妻委員 天下りというのは、あっせんを受けていなくても、先ほど麻生総理が言われた、あれは持参金型天下りというんですが、天下りを受け入れると受注が有利になる。もう一つは人質型天下りということで、天下りを監督官庁から受け入れるとその当該監督官庁から監視、監督が緩くなるんじゃないかという下心で受け入れる、あるいは、会計検査院のOBを受け入れると検査が甘くなるんじゃないかという下心で受け入れる、いわゆる人質型天下りというのがあるんですが、それはあっせんを受ける受けないにかかわらず問題なんです。

 そういう意味で、では、あっせんをしなければ、OBの引きでどんどん指定席の天下り団体に天下りオーケーというふうに発言されると、あっせんを禁止してもずっと続きますよ。全く実態は変わりませんよ。これは麻生総理、どう思われているんですか。

麻生内閣総理大臣 今の答えと同じだと思いますが、そういった話があるというのは、私は現場を知りませんので、どのルートがどうあるという先ほどの資料をいただきましたので、そういうのはきっとあるんだと思います。思いますけれども、その方たちが、今既に民間になっておられる方々を、そういったところに行っているというのが、民間同士の、あれは有能だから引き抜いたんだと言われたときに、それはなかなか、ちょっといかがなものかと言えるのは難しいんじゃないかな、基本的にはそう思いますね。

長妻委員 では、持参金型天下りとか人質型天下り、調べてくださいよ。何で拒むんですか。

 それで、二番目の新オモテルートというのは、これは官民人材交流センターというところなんですけれども、これが昨年末設立されて、今後はここで堂々とあっせんをするということで、私もびっくりしたのは、こちらですけれども、官民人材交流センター、天下りあっせんセンターと呼ばせていただきます。

 ここの役割というのは、これは平成十九年の閣議決定の文書に書いてあるんですが、「積極的な求人開拓営業」をしますと、これは閣議決定の文書に書いてあるんですよ。今までの省庁あっせんは押しつけ的ではありません、向こうから欲しいと言われたから情報提供したということなんですが、今度のオモテの天下りのあっせんは、堂々と「積極的な求人開拓営業」をします、売り込みますというのが閣議決定の文書で書いてあるわけでありまして、これが押しつけ的じゃなくて何と言うんですか。こちらから売り込んでやるわけでございますので、こういうことは、オモテのあっせん、せめてこれは禁止をしていただきたいと思うんですが、麻生総理、いかがですか。

河村国務大臣 官民人材交流センターの機能は、御案内かと思いますけれども、いわゆる早期退職勧奨を受けた方々の再就職をやる、これが押しつけ的な就職にならないようにということで、役所の関与を排除して、ここに、官民人材交流センターに統一するわけであります。

 したがいまして、人材交流センターとしては、特に民間等に対しては、こういう経験を持ったこういう人材がいるんだということをやはりアピールしていかなきゃいけない。積極的にそういう情報を持って広報しませんと、いわゆる押しつけ的でない、公平な、本人の能力に応じた採用をお願いしたいということができなくなるということであります。

 一方、企業側は、それに基づいて、今までのように役所から言う、役所から強制的に採られるような形ではないものでありますから、採る採らないは今度は求人側の方の選択権に任される、こういうことになるわけでございます。

 したがいまして、きっぱりこういうことをやめれば、こうおっしゃるわけでありますけれども、これは、勧奨退職者への再就職制度、こういうものがなくなればその必要性もなくなるかもしれませんが、今はそういう制度を持っている。だから、これは、まさに本人の適性、能力に応じて採用していただくことは、やはり情報としてきちっと持っておく必要がある、このように考えます。

長妻委員 これは酷ですよ。官房長官がトップのこういう天下りあっせんセンターで、全国に七カ所支店ができました、既に。一年間に十億円ですよ、運営費。官僚版のスペシャル版ハローワークですよ。政府の官房長官がトップの組織が、どうですか、天下りを受け入れてくれますかと売り込まれたら、民間は断り切れますか。例えば、財団で、補助金を受けている財団は断り切れますか。

 そして、今官房長官言われたように、では、定年まで働く仕組みにしよう、勧奨退職をやめよう、そうしたらばこのあっせんというのはやめるような御趣旨の答弁が今ございましたけれども、これは明確に答弁していただきたい。つまり、勧奨退職制度がなくなって定年まで働けるような状況になったときには、これはやめるということですね、もうあっせんも。オモテあっせん、やめる。

河村国務大臣 この官民人材交流センターの機能は、今御指摘のあったような、いわゆる定年まで働くことになれば早期勧奨退職がなくなりますから、そのことはよくなるかもしれない。しかし……(長妻委員「何。やめるんですか」と呼ぶ)早期勧奨退職制度というものがなくなって定年まで働ければ、これは一つの機能であります官民人材交流センターの機能は働かなくて済むということは一点あります。

 ただ、ほかにもこの機能として考えられることは、組織の改廃によって、社保庁のようなケースがございます、どうしても職を失う者が出てくる、この方々の再就職をどうするかという問題が一つ残っています。それからさらに、官民の人材交流センターですから、やはり官と民との人事交流をしっかりやっていく、そのための情報も要るわけでありますから、この問題については、さらに議論を深めて、御指摘の点も踏まえて、どうあるべきかというのは検討したらいいと思います。

長妻委員 官民の人材交流は内閣人事局でやるんじゃないんでしょうか。これは天下りのあっせんのことを言っているわけでありまして、では、勧奨退職がなくなれば官民人材交流センターのあっせんはやめると工程表に明確に書かれているんですか。

河村国務大臣 工程表には書いてございません。

長妻委員 だから、明文化しないと、毎回毎回、昨日も細野議員から、三十年前からわたりの天下りをやめる、こういうふうに政府が言っているのにずっと続いていると。骨抜きになっちゃうんですよ、明文化しなければ。ぜひ本当にもうやめていただきたい、オモテの天下り。まあ、ウラの天下りもそうなんですけれども。

 これは、先進七カ国を調査いたしますと、国が天下りをあっせんしている、そういう国は日本しかありません。そして、先ほど申し上げたように、天下り団体四千六百団体に国からだけで二万六千人が天下って、一年間で十二兆円の税金が流れている、こういうばかなことをしている国も先進国で日本しかありません。

 年金を削る前に天下りを削れ、消費税を上げる前に税金の浪費の仕組みを削れというのが国民の皆さんの声だと思います。

 最後に、では、ぜひ麻生総理、水面下に潜った、国がかかわっていない天下りの調査はするかしないか、もう一回ちょっと答弁してください。

麻生内閣総理大臣 官民人材交流センターという中で、今いろいろ言われておりますが、民間から来るという例を何となく否定しておられますが、国家公務員制度の中で、きのう呼んでおられた岡本という人も、たしかあの人は民間の人だと思いましたね。きのう呼ばれていましたでしょう。細野さんに呼ばれてここで答弁していた人、あの人はたしか民間の人ですよね。民間からたしか出向している方だと思いました。当然、そういうのは過去を調べておられると思いますので、御存じの上で聞いておられるんだと思いますが、民間の方ですから、あの方は。だから、そこのところを忘れないでくださいね。(発言する者あり)

 だから、そういう例もあるからという具体例を引いてあげているんだから、丁寧に……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛に。

麻生内閣総理大臣 だから、そういった意味で、いろいろ官民交流センターというものは、直ちに、勧奨退職というものが減ってくれば、僕は減少すると思いますよ、当然のことですけれども。減少はするけれども、先ほど言いましたように、なくなるかと言われればなくならない。

 それから、ウラの話をされておられましたけれども、私はそこのウラだオモテだという定義がちょっといま一つわかっていないんですが、少なくとも民間になった人同士の間のいろいろな引き抜きがあったりするということに関して、我々としては、それを政府として、役所として介入するということはいかがなものかと基本的には思います。

長妻委員 麻生総理、本当にこれはぜひ細かく説明を受けていただきたいと思うんです。先ほどもやじが飛んで、では監視委員会で監視すればいいじゃないかと。ところが、一番下のウラルートは、中央省庁はかかわっていないということになっているんですよ。だから、監視委員会は監視しようがないんですよ、あっせんじゃないので。だから、そういう天下りが今後どんどんふえてくると思いますよ。ですから、そこを何で手つかずなんだと。

 しかも、勧奨退職がなくなっても、あっせんをやめる、ここではそんなような趣旨のことを官房長官は言われ、総理はやめないという答弁ですね、今のは。しかも、工程表にも書いていないということで、ぜひきちっとやっていただきたい。

 これはことしの四月から、大げさに言えば、明治以来の官僚制度の人事評価基準を変える大きな改革といいますか制度の変更があります、御存じだと思いますけれども。といいますのは、ここの配付資料にもお配りをしておりますけれども、七ページでございますが、今まではどういう人が昇進するのか、出世するのかという基準を省庁ごとにばらばらに決めていた。これをことしの四月から、初めて全省庁統一で、こういう官僚が昇進できますよ、出世できますよという基準を決めるということなんです。これは私はいいことだと思います。

 ところが、その素案が、ほぼこうなるという案が総務省の案で出てまいりまして、それが今の資料でございますけれども、能力評価、これは一般職の課長級用でございますが、見てみると、非常に抽象的で、特に、コスト感覚というところもありますけれども、それが非常に抽象的なんです。これは非常にもったいない。

 そこで、提言を申し上げたいのは、この統一の人事評価シート、これに加えて、税金の浪費をなくした公務員が出世する、こういう新しい人事評価の仕組みを書いてほしい、これをつけ加えてほしいということを、これは担当大臣が鳩山大臣でございますから、麻生総理にもぜひお願いしたいんです。

 例えば、その項目に、「コスト意識・ムダ排除」という項目を新たに入れて、「天下り団体の業務を見直し、廃止すべき団体は速やかに廃止する。」こういうことをすれば昇進がどんどんできるよ。「必要性の低い規制を廃止し、該当部署も削減する。」「必要性が低く、ムダ遣いと考えられる業務・支出を是正する。」「節約し予算を余らせる。」

 「制度改善」、「現行制度の不備を見つけ、是正する。」これは今役所にはないアフターサービスの考え方です、民間では当たり前ですけれども。そして、「新制度導入前に影響をあらかじめ詳細に予想する。」後期高齢者医療制度、新しい制度をつくっても、保険料が幾ら、何人の人が値上がりするか、値下がりするか、さっぱりわかりません、入れてみないとわかりません。こんなのばかりですので、それを改善する。

 そして最後に、「情報収集・公開」ということで、「国民の生命・財産にかかわる事案については、自発的に調査を実施し、調査結果を速やかに公表する。」こういう基準の国家公務員はどんどん昇進させますよ、こういう基準を四月から設ければ、私は大きく変わると思うんです。

 今の国家公務員の出世基準は、天下り団体をいっぱいつくれば出世する、予算を使い切れば出世する、要らない規制をつくって部署をふやせば出世する、現行制度の不備を指摘すると先輩に迷惑がかかるから、余りそれはしない。こういう、役所が膨張すると昇進できるような仕組みがある。だから、どんどん不必要な支出がふえるんですよ。

 悪いことをしようと公務員になろうと思った人はいません。ただ、自分たちが所属する組織で評価を受けようとすると、好むと好まざるとにかかわらず、どんどん天下り団体をつくらなきゃいけないんですよ。守らないと、廃止なんかできないんですよ。

 ですから、これを、百年に一度の公務員改革として人事評価基準を変える、追加するというのをぜひ御答弁いただきたいと思います。

鳩山国務大臣 おっしゃっている趣旨はよくわかります。今度この人事評価を本格実施、今まではテストでございますが、本格実施をいたしますが、結局、長妻委員がおっしゃっているのは、能力評価の中にそういうものを加えろということだと思います。

 例えば、能力評価というのは業務横断的に、これくらいのすぐれた能力を持った人物であるから課長にする、あるいは局長にと、こういう評価のものだと思うんですね。その場合は、例えば局長級だと、不断の業務見直しに率先して取り組むことができるかどうかという基準があります。今、長妻委員がおっしゃったように、課長級ではコスト意識を持って効率的に業務に取り組むことができるかどうかというのがあります。

 ですから、その点でとらえることができるんですが、人事評価には、能力評価と、もう一つ業績評価というのがあります。この業績評価の場合は、出世する、この人が課長からあるいは部長にということよりは、むしろボーナスや昇給の方に直接かかわってくるのが業績評価であって、業績評価の場合であるならば、まさに長妻委員がおっしゃったように、これは年二回やりますけれども、その最初のときにこういう無駄を削減してみせると宣言して、これを実行すれば業績評価の部分で大きく評価が上がってボーナスがどんと出る、こういうことだろうと思っております。

長妻委員 こういう抽象的なのじゃなくて、せっかく百年に一度の大きな変化があるわけでございまして、今、日本政治の最大の問題は何かというと、私は、官僚の嫌がる政策はできない、官僚の嫌がる分野の予算は削れない、こういう官僚主導政治が最も問題だというふうに思っておりまして、今、総理とか大臣は、役所の中でどういうところに浪費があるんだろう、それは全部わかっていないですよ。だから、それを一番よくわかっている官僚に自発的に申告を促すような、そういう人事評価基準というのが何よりも重要なんです。

 麻生総理、どうですか、これを取り入れるのは。

麻生内閣総理大臣 会社と違いまして、こういったようなものは、役所においては業績評価も難しいし、なかなか人事評価シートというのは難しいものだ、まず基本的にはそう思います。

 その上で、今言われましたように、今回この「人事評価シート(試行用)」と書いた紙を読ませていただくと、「業務運営」のところに「コスト意識を持って効率的に業務を進める。」と、今まででは考えられないことが書いてあるんですが、そこの中でリスク対応とか適切な業務運営とかいうことがいろいろ書いてあります。

 私としては、これは多分初めてこういったものが役所の中で使われることになったんだと思っておりますので、その意味で、まずはこれをやらせていただいて、その上でさらにいろいろなものを、各役所によっても違うでしょうけれども、もっといろいろな、こういったものを追加していくというような考え方の中の一つとして、今言われたようなものも考えるに値する一つのものだと思います。

長妻委員 そういうことであれば、この浪費というのは、日本は先進国でけた違いにあると私は思っているんですけれども、我々は、民主党が政権をとって、最終的には一年間に浪費等々で二十兆円以上の予算の組み替えができるというふうに試算をしているんですが、これはこういう仕組みを入れないとできないんですよ。ぜひよろしくお願いします。

 そして、最後でございますけれども、どうやって経済対策、景気対策をするのか。

 一つの考え方としては、将来絶対に、いずれはやらなきゃいけない仕事を前倒ししてやるというのも基本的な考え方でございまして、そして、一番私が今心配なことは、震度六強の地震で倒壊の危険性がある建物、Is値〇・六未満。これは国交省の公式見解でありますから、震度六強の地震で倒壊の危険性がある建物は、全体の病院の一一%、千十病院もある。公立小中学校、全体の三三%、四万三千百九棟もある。そして、防災拠点となる公共施設、これは一部の病院とか小中学校も含みますけれども、全体の一七%の三万三千五百二棟もある。

 そして、先進国の中で日本は非常に地震の多い国でございますけれども、過去、震度六強の地震といいますのはかなり起こっているわけです。十年間で六回。昨年は、岩手・宮城内陸地震も震度六強でございまして、いつ起こっても不思議でないものがこれだけ大変危機的な状況にあるということでございますが、官房長官、今の三つの事例で、全部の耐震補強工事が終わるのはいつでございますか。

河村国務大臣 公立学校それから病院、いずれも耐震化が急がれるところでございます。

 政府もこの耐震化については重点的に促進方をやっているところですが、ただ、今御指摘の第一点、病院の方でありますけれども、病院の八割強が民間であります。そういう点もあって、これは民間病院の経営も非常に厳しいということもあって、なかなか進んでいない現状がありますが、これは資金をどういうふうに確保するかということもございます。病院の耐震化を今の時点で明確に明示できるというのは非常に難しいわけですが、国としても、財政支援も通じて、できるだけ早く達成できるように努力したいと思います。

 公立学校等については、これは五カ年計画がございましたが、これを前倒しして三カ年で完成するということでありますから、平成二十三年度までに完了できるようにということで今やっているわけで、大体八割ぐらいはできる。平成二十五年までには完全に一〇〇%に行くということで、今前倒しをやっておるところでございます。

長妻委員 非常に悠長な、病院についてはいつ耐震補強工事が終わるかわからないということで、これは国民の皆さんの命にかかわることでありますので、こういうのを前倒ししてどんどんやる。二兆円のばらまきなんかやめて、例えば介護のホームヘルパーさんも四十万人足りないわけですから、そういうところに安心、安全を高めるためにどんどん使う。

 そして、一つ非常に重大な問題は、小学校、中学校の中でも、実はIs値〇・三未満という、これは非常に脆弱なものでございまして、かつて姉歯氏の耐震偽装事件がございましたけれども、そのときに同等の建物を、船橋市という自治体の判断で退避勧告にしているわけですね、Is値〇・三未満。それと同等の小中学校が、今予算がついていないものに限定すると千五百棟もある。平成二十一年度、今予算にもついていないわけでありまして、これはせめてことしじゅうに、本当は退避勧告が出てもおかしくないものであるというふうに推定されますので、これはぜひことしじゅうにやっていただきたい。明言いただきたいんですが。

河村国務大臣 御指摘のようなものについては、最優先でやりたいというふうに思います。

長妻委員 いずれにいたしましても、年金、天下り等々質問をさせていただきましたが、なぜ本当に国家プロジェクトでできないのかということで、結局は、官僚の嫌がる政策はできないという、非常に遠慮がちな、官僚をコントロールできないことが一つの元凶だというふうに思います。

 未来を予想する最もいい方法は未来をつくり出すことだという言葉がございますけれども、未来をあれこれ予想する前に、我々であるべき未来をつくり出すことのできる、そういう政治体制をつくる、そういう政権交代が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、菅直人君から関連質疑の申し出があります。細野豪志君の持ち時間の範囲内でこれを許します。菅直人君。

菅(直)委員 一月の予算委員会に引き続きまして、総理を中心に御質問を申し上げます。

 アメリカではオバマ大統領が一月二十日に就任をされて、大変高い支持率を誇っておられます。私は、オバマ大統領がこれだけ高い支持率を誇っておられるのは、やはり選挙を通してアメリカ国民の信頼をかち得たからだ、このように考えております。

 麻生総理は、私が計算したところ、きょうで就任百三十四日目になりますが、この間、麻生総理は、選挙を逃げまくったために国民の皆さんの信頼を失ってしまった。そういう意味では、オバマ大統領とは対照的な形になっております。

 そこで、十月三十日、麻生総理が記者会見をされて、たしか生活対策等を発表されたそのときだと思いますが、麻生総理は、アメリカ大統領の移行期間に当たる十一月四日から一月二十日までは、いわゆる移行期間なので、世界第一の経済大国と第二の経済大国が選挙などで政治空白をつくるのは好ましくない、だから我が国の総選挙は先送りするんだという趣旨のことを話をされましたよね。

 今、アメリカ大統領は正式に就任をされ、アメリカの政治空白は完全になくなりました。日本の政治空白をこれ以上長引かせないためには、もう第一国は政治空白は終わったんですから、このことを総理が言われたんですから、そのためには一日も早く解散・総選挙を断行されるべきだと思いますが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 まず、今の状況を政治空白という定義をしておられますが、今の状況を政治空白とは思っておりません。

 私は、基本的に、今、景気対策、経済対策、雇用対策、多分国民の最大の関心事はこれ、選挙とは思ったことはありません。私はそう思っておりますので、今の状況におきましては、きちんとした経済対策をお示しし、一次、二次、そしてこの平成二十一年度予算というものをきちんとまずは仕上げることが経済対策の一番だと思って、これが一日も早く上がりますように頑張っておるところであります。

菅(直)委員 政治空白と総理みずからが認めるわけにいかないんでしょうが、ほとんどの皆さん、私を含めて、つまりは、国民の信頼がない政権が何をやろうにもリーダーシップがとれないわけでありまして、そういう意味で私は政治空白だと。

 つまりは、幾ら政策をやったって、麻生総理本人はいろいろ考えておられるつもりかもしれないけれども、国民が信頼していない以上はそれが空回りする、そういう意味で政治空白だと申し上げたわけで、これ以上この問題でやりとりをしても意味がありませんので、次に移ります。

 そこで、ちょっと話を重要な政策課題に移しますが、来年度から国民年金の国庫負担が三分の一から二分の一に引き上げられることになりますね。この国民年金改正法の附則によりますと、「所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、」三分の一から二分の一に引き上げる、こう附則に書いてありますよね。安定した財源は確保できたんですか。

麻生内閣総理大臣 年金制度につきましては、これは平成十六年度の改正だったと記憶しますが、長期的な給付と負担の均衡が確保される仕組みというところが一番肝心なところだったと思います。その柱の一つとして二分の一に引き上げるということになっていたんですが、この年金制度の法案においては、税制抜本改革による所要の安定財源を確保した上で二分の一を恒久化する。平成二十一年度及び二十二年度につきましては、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰り入れにより、臨時の財源を手当てし、国庫で二分の一を負担するということにしております。

 いずれにしても、消費税を含みます税制抜本改革の実施により、年金制度を含む社会保障の安定財源というものを確保していきたいものだと考えております。

菅(直)委員 いや、今まさに総理が答えられたことが安定財源ということになるんですか。つまり、附則では、安定財源を確保した上でと書いてあるにもかかわらず、二十一年度、二十二年度、西暦でいえば二〇〇九年度、二〇一〇年度は、財投特会のいわゆる埋蔵金から使うということを今言われたんじゃないですか。

 私たちが政策を出したときに、埋蔵金を使うと言ったら、初めはないとかいろいろありましたが、恒常的なものに使うのはおかしいと言われたのは与党の皆さんですよ。これは単に言われただけではないんです。法律に、安定的な財源を税制改正で手当てした上でやると書いてある。この二年分は安定的財源と言えるんですか、言えないんですかということを聞いているんですよ。

麻生内閣総理大臣 先ほども申し上げたと思いますが、財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰り入れと書いてありまして、わざわざ特例的と書いたのはそういう背景だと理解しております。

菅(直)委員 ほとんどわかっていないですね、総理は。

 平成十六年の国民年金法改正の附則に特例なんて書いていないんですよ。今回の予算措置としての特例であって、附則に書いてあるのは、「所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、」と。財務大臣どこに行ったんですか。財務大臣、こういう税制の抜本的な改革ができて、安定財源が確保できたんですか。

中川国務大臣 二〇一一年に経済の好転ということを前提にして税制の抜本改正をやる、そのときに消費税についてもどうするかということを考えるということでございます。

 今、委員長と理事の許可を得てちょっとトイレに行ってまいりまして、前半の部分を聞いておりませんので、よろしければもう一度お願いいたします。

菅(直)委員 いや、私が次に聞こうと思っていたことを先に答えていただいたので、ぴったりなんです。

 国民の皆さんにおわかりをいただきたいんですが、西暦でいいますと二〇〇九年、二〇一〇年は、この国民年金改正法の附則の考え方に従わないで、つまり安定財源はないものだから、いわゆる財投特会から二年分は、総理の言葉で言えば特例的に出します。つまりは、法の精神とは合わないことをやります。そして、今の財務大臣の言い方をかりれば、二〇一一年からは税制の抜本改正をやって、消費税を引き上げて、それを二〇一一年度から充てるという趣旨にまさに聞こえたし、今答えられました。まさにこの構造なんですよ。

 しかも、その消費税に関しては、もうよくよく与党の皆さん御承知のように、二転三転して、中期プログラムにおいては「二〇一一年度より実施できるよう、」と書いてあったのを、今度は、所得税等の改正案では、平成二十三年、つまりは二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講ずるで、実施時期は別個に定めると書いてある。

 結局のところは、安定財源が見つからない中で、二年間だけはやります、三年目からは消費税を上げるとも言えない、上げないとも言えない。ということは、二〇一一年から三分の一を二分の一に上げた大体二兆五千億ぐらいのお金はどこから出すんですか。まさか、二年間だけ二分の一に上げておいて、三年目から戻すなんということは言わないでしょうね。どうですか、財務大臣。

中川国務大臣 多分、御質問は二つあったんだろうと思います。

 一つ目は、二十一年度と二十二年度の財源、二分の一にしたときの財源、これは一体どういう意味の財源なんだということ。二点目は、二〇一一年に税制の抜本改正を、景気が好転をしたときに、仮に抜本改正ができなかったときにどうするんだという二つの御質問だろうと思います。

 最初の御質問に対しましては、これは、来年度から国民年金の国庫負担部分を三分の一から二分の一に引き上げさせていただきます。ただし、これについて安定財源というものがございませんけれども、しかし、安定財源として、臨時異例の措置として財政特会からお金を二年間これに充てるということで、今、予算案を御審議いただいているところでございます。

 二点目は、二分の一にするということにつきましては、これは安定財源を前提にして、その安定財源というのは、ことしの、そして来年の、先ほどちょっと言い間違えましたけれども、臨時異例の財投特会からの二年分の財源を充てる。二〇一一年からは、景気回復ができて、そして税制の抜本改正ということでやっていけば、これは恒久財源という形で財源ができるわけでございますけれども、万が一景気の状況等でそれを許さない、つまり景気がよくならなければ税制の抜本改正はできないということになるわけでございます。

 そういう意味で、万が一、二〇一一年におきましても景気回復のめど、あるいは好転というものが成らないときには、二分の一というものはこれはまた維持をする、しかし、そのときの臨時異例の安定財源をどこかから確保するということにならざるを得ません。

 それから、失礼しました、もう一点御質問があったと思います。

 中期プログラムの内容が、意味が変わったのではないか、後退したのではないかという御質問が三点目にあったかと思います。

 これは、結論から申し上げますと、変わったわけでも後退したわけでもなく、より正確な表現に変えたということでございます。つまり、麻生総理は、常に景気回復が最優先であるという、すべての優先事項が、まず、百年に一度と言われておる経済、暮らし、雇用といったこの厳しい状況をよくする、もとに戻す、そして世界の経済の危機を日本が立ち直らせるきっかけをつくるんだというのが最大の今の我々の政治課題でございますので、これを最優先にして、その上で、景気好転したときには恒久的な二分の一への財源としての税制改革の作業というものをやっていくということで、あくまでも景気好転が前提であるということは、最初から総理は一貫して言っていることをより正確に申し上げたということでございます。

菅(直)委員 中川大臣、一方では万が一という言葉を使われましたね。万が一ということは、つまり、万が一、二〇一一年に税制抜本改正によって消費税を引き上げができないときは、また別の異例の措置を続けると。では、万が一ということは、万が九千九百九十九は消費税を上げるということですね。だって、論理的にそうなるじゃないですか。(発言する者あり)ちょっと待ってください、ちょっと待ってください。

 つまり、なぜこんなことを言いたいかというと……(発言する者あり)ちょっとやじをとめてください。

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛に。

菅(直)委員 なぜこんなことを言いたいかというと、言葉の言いかえでごまかしているということを明らかにするために言っているんです。片方では、恒久的な財源が必要だと法律に書いてあったのを、二年間だけ異例、特例だ。ということは、三年目からやるというのが前提だから異例だという言い方ができるので、では三年目から本当に上げるんですかと言ったら、いや、それは景気が好転してからであって、それはとても万分の九千九百九十九なんて言えません。つまりは、言っていることが矛盾しているからです。

 私は、与謝野大臣にお聞きしますが、与謝野さんは比較的、財政再建で消費税引き上げには非常に熱心だと理解していますが、与謝野さんは、国民年金の引き上げの財源に二〇一一年から消費税を充てるおつもりですか。どうですか。

中川国務大臣 先ほど、私の答弁の万が一ということについて菅委員が御指摘をいただきました。より正確な説明の機会を与えていただいたと私は感謝をしております。

 万が一という言葉を使ったのは、万が一、二年後にも景気が悪い状態が続いているということを私は万が一という前提として使ったわけでございまして、そのときには景気はよくなっているはずだという前提ということを、私は、改めてこういうことを言わせていただく機会をつくっていただきましたことを、お礼を申し上げます。

与謝野国務大臣 実は、国民年金法の附則でお約束していることは二つあって、一つは、三分の一を二分の一にする、このお約束が一つ。それから、税制抜本改革をやって安定財源を求めましょうというのがもう一つの約束であったわけです。これは行政府を縛る約束でもあり、また立法府の皆様方にも、こういうことですということを、拘束とは言いませんけれども、一定の考え方の縛りをお与えしているものだと思っております。

 こういう状況ですから、やはり年金の将来について不安を持っている方が多い状況で、この三分の一を二分の一にすることを延ばすことはできないという大事な政治判断があります。一方では、税制抜本改革が今のような経済状況でできるのかといえば、それはできないという判断があります。それでは、税制抜本改革をあきらめるのかといえば、そんなことはなくて、やはり総理が言われますように、三年後に景気回復がなされた後には税制抜本改革をやって、年金だけではなく、年金、医療、介護、少子化対策等の社会保障制度にかかわるこれらの事項の持続可能性をきちんと確保しようというのが中期プログラムの精神でございます。

菅(直)委員 今のことをちゃんと聞いていただいていればわかると思いますが、結局いいところのつまみ食いなんですよ。つまりは、一方では二〇一一年から消費税を上げてその手当てをすることをにおわせながら、一方では、全治三年といったら、私の計算が間違いなければ、三年たてば、九年、一〇年、一一年、一一年度の次からがよくなるのかどうかわかりませんが、二年間でよくなると総理も言われていませんから、そうすると、どうも二〇一一年の予算を組むときに景気がよくなっているということを、少なくとも総理そのものが言っていないわけですから。つまり、そういうことを言って、いいとこ取りをつまみ食いして、何か一枚の絵を責任があるかのごとく出されていますが、私に言わせれば、今申し上げたように論理的に矛盾している。

 そして、その上に一つだけ大きな大きな問題を言っておきますと、税金の無駄遣いをそのまま放置して消費税引き上げの議論に入るということ自体が、まさに天下りから何から含めて大間違いな上に、百年安心といったことを自民、公明がやって何年もたっていないにもかかわらず、恒久的な安定財源を充てるというのは年金ですから当たり前のことなんですよ。それが、当たり前のことができなくなって、そしてつまみ食い的にやっているということを改めて申し上げておきたいと思います。

 その上で、次の、雇用問題が今一番大きな課題になっております。

 まず最初に、雇用保険を来年度に軽減するということが入っていますね。雇用保険が、ことしから、この景気状況、雇用状況を見ると、多分給付が相当ふえるでしょう。この間は何年間か黒字ですが、私が聞いたのが間違いなければ来年度は赤字になる、一年間でですよ、一年だけで。今、五兆近くたまっておりますが。一番厳しくなるときに掛金の率を下げるというのは、こんなちぐはぐなことがあるんですか。審議会においても、労働側の審議委員から、ちょっとこれはおかしいんじゃないのという指摘があったにもかかわらず、今から雇用保険の支出がふえて単年度では赤字になりそうなのにもかかわらず、ここで下げるというのは全くおかしいと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 急速に雇用が悪化しているということの懸念の中で、片一方では、いかにして景気を拡大するかということ、回復するかということがあるわけでありまして、五百兆円のうちの約六割の三百兆円が個人消費でございます。個人消費が活性化しない限りは、これは景気の回復にいかない。特に今は輸出主導型の経済ですから、輸出が落ち込んでいる。そういうことの中で、〇・四%の範囲内で雇用保険料を下げるということは、国民の皆様方にとってはそれだけ御負担がなくなるわけですから、これは要するにそれだけ手取りがふえるということになります。これが消費に向かうということで、片一方で景気回復に資する。

 しかしながら、今委員がおっしゃったように五兆円ということがございますから、我々も強力に、一次補正、二次補正、そしてこの本予算でさまざまな雇用対策を組んでおります。例えば四千億円というかつてない基金を組んでおりますので、こういうものを活用して、雇用も守っていき、景気も回復させる、この方針でございます。

菅(直)委員 いつから厚生労働大臣が景気対策の責任者になったのか。少なくとも雇用の担当大臣である厚生労働大臣、国民の皆さんにちゃんと数字を挙げますから……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。静かに。

 平成四年の段階でこの失業給付等の収支が、積立金が四兆七千億ぐらいあったんですね。それが平成六年から単年度で赤字になって、十四年の段階では四千億、十分の一に減っているんですよね、この間で。それが、平成十五年、十六年、十七年、十八年、十九年と比較的景気がよかったものですからまた積み上がって、四兆八千億積み上がったわけです。しかし、今日の状況は、平成でいうと六年の状況以上に厳しくなりつつある。単年度で、私が聞いたところでは二千億ぐらい赤字になるだろうと言われているんですよ。

 そのときに、いや、景気対策に充てるから、単年度だけ〇・四%、約六千億ほど下げる。それを雇用保険を担当する厚生労働大臣が得々と言われるんですか。少なくとも、あなたの立場で言うんだったら、やはりここは、一時的には確かにお金が積み上がっているけれども、今度の雇用不安はまさに百年に一度の雇用不安なんだから、やはりこれは何とかこのままにとどめてほしいと閣内で主張するのがあなたの立場じゃないですか。いかがですか。

舛添国務大臣 国民の生活をきちんと守り、この日本経済を立て直す、菅さんも私も政治家であって、厚生労働大臣がそのことを考えちゃいけないというのは甚だおかしいことであります。

 しかも、今、我々はきちんと数字を持っていますから、今の雇用保険のプールしているお金でいえば、四年間は確実にもちます。そういう中で、これが、がくっと落とすのではなくて、今言った〇・四%の範囲内でと。国民の負担を減らすためにもっともっと減らせということをやったけれども、総理もおられますけれども、私はそこは、これが限度だとはっきり申し上げている。

 閣内で、雇用も守り、そして経済もよくする、そういう立場でやっているのでありますから、これは御理解願いたいと思います。

菅(直)委員 閣内で、もちろん厚生労働大臣であっても、防衛に関しても外交に関しても何を議論されてもいいことは、私もそう思っております。ただ……(発言する者あり)ちょっとうるさいですよ。

衛藤委員長 静粛に。

菅(直)委員 つまり、もう同じ数字は挙げませんが、景気の悪いときには年間で一兆円以上の単年度の赤字が出ていることがつい数年前あったわけですから、そういうことを考えたときに、政策がちぐはぐしている。いろいろな埋蔵金を使うことは我々も考えていますが、少なくとも、今、雇用が一番厳しいときに、そのときに、この部分のたまっているものをわざわざ少なくするような引き下げをするというのは、政策がちぐはぐしているということを私は申し上げているわけであります。

 そこで、私は今の現状認識を総理なり厚労大臣に聞きたいんですが、三万五千人、八万五千人、十二万何千人とか、つまり、厚労省から発表されるこの間の雇用を失った人の数が急激にふえております。中でも、いわゆる製造業の派遣について、現在、〇七年のデータで四十六万人がおられるということであります。このままいくと、〇九年問題、御承知の方も多いと思いますが、〇七年から一年の派遣期間を三年に延ばしたことで、その前の年の〇六年に契約した人が、三年間の契約の内側でしか契約できませんから、その人たちが大量に契約切れの期間を迎えて、大量の人がこの三月末あるいは今年中に契約切れになってしまうんじゃないか。

 私は、最悪の場合は、四十六万人と言われた製造業への派遣の人が、ほとんどすべて契約切れないし何らかの形で雇用切れに至るような、そういう危険な状況にあるのではないかと思いますが、まず、見通しについて厚労大臣にお尋ねします。

舛添国務大臣 今、菅さんおっしゃったように、この二〇〇九年問題、おっしゃったとおりですけれども、派遣期間が満了したということで簡単に首を切られちゃいけないので、それは、直接雇用、また適切な請負にしなさいということをきちんと言っているわけでありまして、まず派遣元、これに対して雇用調整助成金なんかを使ってきちっとやっておりますし、派遣先に対しても、奨励金を含めてきちんとやっています。

 ただ、よく御理解いただきたいのは、二〇〇九年問題というのは、三年間派遣で働いてきた、その方々を今度正規に雇わないといけないんですけれども、そのためには、その時点において、企業が雇用するという需要がないとできないわけです。

 ですから、本質的に、二〇〇九年問題とこの派遣切りの問題は分けて議論しないといけないということをまず申し上げておきたい。

菅(直)委員 聞いていることを全然答えないのは困りますね。

 私が言っている数字が違うんならちゃんと言ってください、舛添さん。皆さんが出したデータによると、〇七年六月で製造業への派遣が約四十六万人というのはいいですね、舛添さん。(舛添国務大臣「いいですよ」と呼ぶ)ですから、その人たちがこの三月ないしは今年度中にどのくらい、かなり減っているはずですが、減るという見通しなんですかと聞いているんですよ。

舛添国務大臣 要するに、コンスタントに調べていますけれども、八万五千人、これは非正規の方々、派遣も期間工も含めて。三月までに首を切られるだろうという予想だったら、直近の数字で十二万五千になっている。急速にやはり雇用が悪化している、これは大変な懸念を抱いております。

 ただ、そこから先、今三月の末の数字を申し上げましたけれども、二〇〇九年問題との絡みで何年後にどうだということは、細かい点は、それは日々上がってくる情報を精査しないと、予想でどうだということは言えないと思います。

菅(直)委員 国民の皆さん、政策というのは、ある程度予想するから政策を立てるんじゃないんですか。つまりは、どれだけの人が雇用を失うかという見通しの中で、先ほども申し上げた、例えば雇用保険の費用がふえるとかやるわけですよ。

 ですから、私も何回も聞いたんです、厚生労働省のお役人を呼んで。しかし、四十六万人の製造業の派遣が〇七年の六月一日時点であったということは認めながら、そして、これは派遣と請負と少しごっちゃになっているようですが、製造業の派遣が相当減ってきているということは認めながら、ことし三月といったらほんの一カ月、二カ月後ですよ、そのときにどのぐらい減ると思うんですか、見通しはどうなんですか。

 少なくとも、派遣業を営んでいる人たちは、請負も入るかもしれませんが、四十万人が失うだろうということを、当事者である派遣業の人たちが言っているんです。この四十万のうちの相当部分は派遣で仕事についている人ですから。それを含めて、どのくらいの人たちが製造業の派遣で失うのか。私は、さっき言いましたように、最悪の場合は、ほとんどすべての製造業の派遣の労働が失われるんじゃないか。

 私がその見通しを言っているのに対して、大臣は、私はそれは日々のデータでしかわかりませんと言うんじゃ、何だったら、かわりましょうか。

舛添国務大臣 いろいろな労働組合やいろいろな組織が予想を出されることは御自由でありますけれども、どういうデータに基づいてどういうふうにして出したかという根拠は明確に示していただきたい。

 私が申し上げたのは、全国の労働局の集計できちんと調査をして浮かび上がった数字が、八万五千が十二万五千になった、そのうちの派遣が八万五千、製造業が八万四千、そういう数字を申し上げておりますけれども、雇用が深刻な状況にあるということで、一次、二次補正、そして本予算で、かつてないほどの雇用政策をやっているということを繰り返し申し上げている次第でございます。

菅(直)委員 私は現在、別に厚生労働大臣は務めておりませんが、なぜ私がそういう見通しを挙げたかという根拠を、私の見通しの根拠を申し上げれば、たしか〇六年の段階では製造業の派遣は半分ぐらいだったんですね。二十四万ぐらいだったはずです。一年間で四十六万、つまりほぼ倍になっているんです。その後のデータはまだありません、私たちに対しては。

 ということは、〇六年で二十四万あったということは、〇七年に四十六万になったということは、少なくとも、前の年の人がそのまま全員残っていた場合には、二十六万の人たちは三年目を迎えるんですよ。もちろん一部の人は一遍やめて次の年に来ているかもしれませんが、それにしても、〇七年に対しても、さらに倍になっておるわけですから。

 そう考えますと、〇七年の早い時期の人も含めて考えれば、〇六年から〇七年にふえたふえ方を見ても、六月ですから、少なくとも二十万、三十万の人がことしじゅうに三年目の契約切れが来ることは、相当程度この数字のふえ方からして予測ができるんですよ。ですから、私は、その予測に基づいてどうですかと、確かな数字を聞きたかったら、厚生労働大臣はわかりませんと言うんですから、そういう人に厚生労働大臣をやって、雇用政策の責任者をやってもらうのは大変不安だということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、次に、私たちが考えている問題を申し上げます。

 まず、雇用に関するセーフティーネットについて……(発言する者あり)ちょっと土屋元市長、余りやじは飛ばさない方がいいですよ。いいですか、セーフティーネットについて民主党の考え方を申し上げます。

 今までのセーフティーネットは、主に、ここでいいます雇用保険というセーフティーネットと生活保護というセーフティーネットがありました。しかも、それぞれが不十分でした。ですから、私たちは、第一段のセーフティーネットの雇用保険についても、正規労働者から非正規労働の人も、すべてほとんどの人が適用が受けられるように拡大する、これが第一です。

 そして、第三の、現在あります生活保護の場合も、今、母子加算が切られていますが、これを戻すとか、あるいは運用の面で、今回の派遣村はかなり例外的に早く許可が出たようですが、従来は非常にこの適用に実務的障害が強かった、この改善を行うとか、この一段、三段も改革が必要だと考えております。

 それに加えて、第二段に新たな政策を用意いたしました。これが求職者支援法という法律と制度であります。つまりは、雇用保険が切れた場合でも、まだ就職がない場合、あるいは雇用保険に入っていない人も含めて職業訓練をすることをきちっとできるようにした上で、その間は生活についても一定程度の支援をしていく。

 つまりは、新たな仕事、私はこの間も聞きました、それから厚生省もやっておられるのは知っています。例えば、介護の仕事につこうと思っても、介護の仕事につくにはそれなりの職業訓練、経験が必要だ。そうすると、それには半年とか一年とかかかる。そういうことも含めて、単発の政策ではなくて、制度的にそういう職業訓練と生活支援を組み合わせた求職者支援法を、これは雇用保険じゃありません、一般会計の政策としてつくっていく。これはイギリスとかあるいはドイツにおいてもこういう考え方がとられております。スウェーデンなどもあります。

 つまり、どういうことかというと、トランポリン政策なんですね。トランポリンというのは、皆さん御存じですよね、一たん落ちようと思っても、単にセーフティーネットで受けるだけではなくて、そこでちゃんと職業訓練をして、もう一回、場合によったら前にいたよりももっとスキルの高い、もっと付加価値の高い仕事に移っていく、その機会を提供する。

 さらに、もう一つだけ言いますと、今、非正規雇用が一千七百万ですか、働いている人の大体三分の一まで拡大しました。かつての終身雇用的な職業の場合は、入っているサラリーマン、若い人は特にですが、教育するわけですよ。最初の一年、二年は余り使い物にならなくても給料を払って教育するんです。しかし、今のような非正規雇用が中心になりますと、入って一年、二年、給料を払っても教育するような余裕がないというか、そういう雇用形態がなくなりました。つまりは、製造業が弱まっている一つの背景に、そういう技術的な伝承がだんだんと薄れてきているという非常に深刻な問題があるんですよ。(発言する者あり)ちょっと土屋さん、うるさいですよ。

 これまでは会社が受け持っていた……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛に。

菅(直)委員 ちゃんとした政策論をやっているんですから。

 会社が受け持っていたそういう職業訓練とかいろいろなスキルアップをするものを会社が受けとめられない雇用形態になった中では、単なるセーフティーネットじゃないんです、もっと積極的なんです、トランポリンなんです。受けるだけじゃなくて、受けたものをもう一回スキルアップして、能力を高めて、そしてそれを職業に戻していく。二階大臣、どう思われますか。

二階国務大臣 随分以前のことでありますが、当時も、たしか日産でありましたが、大勢の人、約二万人近く解雇されました。そのときに、やはり雇用という面で新たに職業訓練を施して、一万二千人ぐらいの方に雇用の職業訓練を受けていただいて、職場についていただいたことを覚えております。これは相当前のことでありますが、私は、今その方策をとれないかということを経済産業省でも検討しているところであります。

菅(直)委員 厚生労働省といいましょうか、この本予算の中にも、たしか二年間だったでしょうか、大臣、介護の分野でこれに似たようなことをやられるというのが入っているのはよく知っています。ただ、私は、そういう単発の政策ではなくて、恒常的に、今雇用形態が変わった中では、こういうものを入れるべきだということをもう一度申し上げておきます。

 そしてもう一つ、このセーフティーネットに加えて今議論があるのが、いわゆる労働者派遣法をどうするかという問題です。

 ただ、私は、先ほどなぜ舛添さんに人数のことを聞いたかというと、今野党間で、製造業への派遣を認めたことが、この景気悪化と相まって、つまりは切りやすい雇用という形で使われてしまった。つまり、短期的な雇用調整のためというふうに言われたのが、そうじゃなくて、切りやすい雇用として使われてしまった。その反省に立つと……(発言する者あり)ちょっと黙らせてもらえますか。

衛藤委員長 委員の諸君に重ねて申し上げますが、厳粛にお願いします。質問が聞き取れませんので、静粛に。

菅(直)委員 短期的な雇用調整というのは、例えば、四月に引っ越しが多いとかいうときの引っ越しのお手伝いとか、そういうときにどうしても百人、二百人、一時的に必要だというような、そういう調整だと言われていたんですよ、当時は。それが結果として全然違ったんです。

 ですから、私たちとしては、やはり製造業に対する派遣というものが、こういう働いている人たちに対して非常に厳しい状態を生みましたから、それの見直しを今議論しているところです、野党の中で。

 ただ、気をつけないと、皆さん方がよく言うんですが、製造業の派遣について見直しを議論すると、それが原因で切られるみたいなことを言うんですよ。(発言する者あり)ですから、やじが飛んでいるでしょう、そういう可能性があると。だから、さっき言っているんですよ。

衛藤委員長 土屋君に申し上げます。土屋君、発言を慎んでください。

菅(直)委員 つまり、私が申し上げたいのは、舛添さんはわかっているのに答えられないのかもしれませんが、今の景気状況を見ると、どちらにしても、労働者派遣法を改正するにしても、政府が出している今の小さい改正は別ですよ、本格的な改正は、経過措置も要りますから、そんなに半年ですぐ実行なんてことは無理なんです。我が党がやるとしても、やはり二、三年は経過措置が要るだろうと思っています。しかし、二、三年とかの経過措置よりもずっと前に、早ければこの三月、遅くともことしいっぱいぐらいに、一たん製造業に対する派遣はなくなってしまうということを派遣会社の人たちがみんな言っているんですよ、実際に。私は直接聞いているんですから。

 ですから、そういう状況を踏まえて、そういう時間的な長さも見ながら、まず急がなければいけないこと、これはもう以前から厚生大臣にもあるいは経団連にも申し上げました。例えば、シェルターをつくり、総合窓口をつくる、これは確かに一生懸命やってもらっています。あるいは、もちろん中途解雇はさせないとか、いわゆる入社を……(発言する者あり)本当にうるさいね。そういうものをやるとか、それは、緊急なことは当然やります。その上でセーフティーネットをやります。そして、派遣の問題も、もう一回冷静に状況を考えた中で考えなきゃいけない。

 舛添さんは、何度もこの場でも答えられました。自分としては製造業の派遣は好ましくないと思っているということを何度もこの場でおっしゃいましたが、私はあえてそのときも言いました。麻生内閣の厚生労働大臣として、製造業に対する派遣について見直しすべきと考えられているのかどうか。もし考えているんだったら、そのことを麻生内閣の中できっちり主張すべきだと思いますが、いかがですか。

舛添国務大臣 今の菅さんの話を聞いていると、ほとんど私と認識は同じです。

 それで、やはり片一方で、四十六万人の方々、こういう方々、それは労働組合の中で、こういうユニオンは、製造業派遣禁止はやめてくれということを言っていますよ。それから経済界の中にも分かれている。我が党の中にも、それから民主党の中にも分かれています。

 ただ、その前提において、さまざまなセーフティーネットをやっていく。先ほど職業訓練の話も、トランポリンの話もありました。それもやっておりますし、生活保護も含めて、住宅も含めて、相当頑張ってこれはやっておりますので。

 ただ、そういう中で、今御審議していただこうとしているこの日雇い派遣、登録型の派遣、これの禁止を含めるものの中に、例えば派遣から常用雇用へ、非正規から正規へ、こういうことを促進するようないいことがたくさん書いてあるので、まずは最初の第一歩でこれを始め、その中で、菅さんと私はほとんど考え方が同じなんだから、これで議論をしていって、党派を超えていい法律をつくりましょうということでございます。

菅(直)委員 では、麻生総理にあえて聞きますが、舛添厚労大臣はこの分野、先ほど申し上げたような派遣の問題とかセーフティーネットではほとんど同じだと言われましたが、麻生総理は舛添大臣と同じお考えと考えていいんですか。特に製造業の派遣について、同じ考えと考えていいんですか。

麻生内閣総理大臣 たびたび御答弁をこれまでも申し上げてきたと思います。私は、少なくとも製造業の中においては常用雇用というのが最も望ましい、これは確かです。それは技術が蓄積するから、私自身はそう思っております。

 ただし……(発言する者あり)常用雇用の定義は御存じないんですか。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛にお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 基本的に、今私どもは、お答えしたとおりで、舛添大臣も言われたところですけれども、この登録型というものの形はいろいろあろうと思いますが、製造業の中においては、我々は少なくとも、この法律ができたときのことを思い出すと、当時は製造業の拠点がどんどん海外にさらに移る可能性というのが多く言われていたんだと記憶します。そういう状況の中にあっては、こういった形のものを認める方がより多くの雇用を国内に確保できるのではないかというのがあの当時の背景だったんだと記憶をいたしております。

 したがって、今それを直ちにやめるということがどういう影響が出るかということは、今の状況であらかじめ考えておかないかぬ。雇用の場を確保しておくということはいろいろなことから考えておかねばならぬことだと思っておりますので、今舛添大臣も言われましたように、みんな同じ心配をしておられた上での御発言だと思っておりますので、よく審議をしていただく必要があろうかと存じます。

菅(直)委員 よく総理は常用雇用と言われるんですよ。普通は正規雇用と非正規雇用という言葉があります。それから、派遣において常用型とか登録型はあります。総理が言われる常用雇用というのはいわゆる正規雇用のことですか。(麻生内閣総理大臣「そうです」と呼ぶ)

 ということは、正規雇用が望ましいということは、派遣は望ましくないということですね、製造業に関しては。どうですか。

麻生内閣総理大臣 これもたびたび申し上げてきておると思います。今、我々は製造業の中で……(発言する者あり)質問している本人がやじったら話にならぬでしょう。落ちついて、落ちついて。

 少なくとも、今、我々は、正規雇用というものが製造業の中においては望ましい、これはもうずっと申し上げてきたところであります。

 しかし、非正規雇用が望ましくないというのではなくて、製造業の方の方々はそれを望んだわけですから。そして、雇われる側の方も、ずっと一定の企業に奉職し続けるよりパートの方がいいとか、当時はいろいろなことを言われたじゃないですか。それにこたえてこういった形になってきたという経緯をちょっとまず思い出していただかないといかぬのであって、少なくとも、正規雇用がいいと言ったら非正規雇用はよくないということですねという、そんな単純な話じゃありません。

菅(直)委員 総理は、先ほども言いましたけれども、都合のいいところは、つまみ食い的には御存じですが……(発言する者あり)ちょっとうるさいですよ。都合のいいところは御存じですが、構造的に本当にわかっておられるかというと、この製造業派遣は〇四年に決まったんですが、特にふえたのは、偽装請負の問題がまさに大きな問題になったときに、〇六年からなんですよ、さっきも言いましたように。〇五年まではたしか一けたでしょう、何万人で。〇六年のときが二十四万、〇七年が四十六万まで来ているんです。もっとふえているでしょう、その後。がたんと今は減っています。

 つまりは、総理が言われるように、製造業派遣に、ほかの派遣はまたいろいろな要素があります、確かに通訳とか、もともとの専門職はあります。そういう人は必ずしもそれは、派遣の方がいい人もあったでしょう、そういう仕事は。しかし、製造業に関しては、ほとんどの人は、請負的な形から派遣に移ったのがこの〇六年、〇七年なんです。望んだわけじゃありません。多くの場合はそれしか職業がなかったからです。つまりは、今も言われたように、それより高いんだったら外国に行くぞと言われていることは、それより安くなきゃだめだということでなったわけです。

 ですから、望んでいる、望んでいるという言い方を言って、それを正当化することが間違っていたというのが今回の出来事だということを申し上げているんですよ。

 そういう意味で、この議論は総理も、正規雇用が製造業においては望ましいというところまで言われましたので、あえて、その望ましいというところからスタートして、どうその製造業に対する派遣のあり方を考え直していくか。今は、望ましいというふうなところまで行っていませんから。そのことは、野党は野党として案をまとめてそのうち出しますから。今、政府はまだ製造業の派遣については何も案を出していませんから。その中で議論したいと思います。

 そこで、次に移ります。

 政府の景気対策、経済対策について、昨日は、たしか公明党の石井さんが自民党の人よりもっとうまく説明されていましたね、七十五兆円の景気対策だと。これは総理も言われていますね。

 そこで、我が党と比べてみました。政府の景気対策と言われているのは、真水が十二兆円。つまりは、第一次補正が一・八兆……(発言する者あり)ちょっと尾身さん、ちゃんと説明しますから。今説明しているんですから、黙らせてください。

衛藤委員長 静粛にお願いします。

菅(直)委員 政府の案は、第一次補正で一・八兆、第二次補正で約五兆、この予算、平成二十一年度予算で約五兆、合わせて、いわゆる財政出動でいうと、財政支出でいうと十二兆なんです。真水でいうと十二兆なんです。それに与信枠、いわゆる融資の枠が六十三兆で、合わせて七十五兆というのが、総理が言われている、あるいは与党の方が言われている数字なんです。

 我が党は、昨年の秋に小沢代表が本会議でも説明され、そして私が予算委員会でも財源を含めてちゃんと説明したのが、この五十七兆円の我が党の経済政策です。前から申し上げておりますように、暫定税率を引き下げる、これは四年分ですけれども、合わせて十・四兆、高速道路の無料化で四・九兆、子ども手当一人当たりで二万六千円、四年間で十八・六兆、医療改革が六・七兆、農業者戸別所得補償が……(発言する者あり)

衛藤委員長 橋本君、橋本君に申し上げます。発言を慎むように。

菅(直)委員 二兆円、そして中小企業対策などが八・五兆円、合わせて真水で五十七兆円。

 そして現在、私たちは中小企業の信用枠としてまずは三十兆。これは場合によったらちょっとふやすこともあるかもしれませんが、少なくとも今提案しているだけで真水五十七兆の与信枠三十兆で、余り数で勝負する気は実はないんですけれども、中身で勝負したいんですが、少なくとも我が党がこれまで出してきたものを合わせただけで八十七兆。特に真水では五十七兆と十二兆の差があるわけです。この財源については、私が予算委員会でちゃんとやったじゃないですか、パネルまで出して。(発言する者あり)ちょっとやじをとめてください。私は、財源についてはちゃんと予算委員会でパネルまで出してやったのを覚えていないんですか、皆さん。与党の皆さんは物忘れがいいですね。

 そこで、一番ポイントはこれからなんです。一番ポイントは、つまり、こういう金額が多い少ない以上に重要なことは、先ほど同僚議員からも話がありましたが、その財政出動で何が生まれるかということなんです。

 本当に国民にとって役立つものが、例えば、耐震化ができた小学校や病院が残るとか、あるいは、高速道路が無料化して、ゲートがなくなってインターチェンジがどんどん簡単につくれるとか、そういうことが残るのか。それとも、定額給付のように一時的なばらまきの二兆円のようなものが、真水十二兆の何と二割がそういうもので使われているんですよ、そういうふうな効果も薄い、そして、国民的にも役立つものが残るわけでないものに使われるか。

 まさに財政出動というのは、これは与謝野さんはおわかりかもしれませんが、どこかのお金を持ってきてどこかで使うんですから。どこかのお金を持ってくるんです。それが借金であろうが、何であろうが、埋蔵金であろうが。ということは、一番問題なのは、それが本当に意味あるものに使われるかということなんですよ。

 ですから、私たちは、例えばこの中で子ども手当、政府の方の子供手当は幾らでした。たしか、三歳と四歳の子供がいるところに一年間だけ、一回だけ何か給付をする。我が党は、一人について月二万六千円、二人については五万二千円。それだけの金額だから、ここに書いてあるように四年間で十八兆六千億かかると言っているんですよ。

 私たちの提案の方がよほど、私は、日本の将来、国民にとってプラスになる経済対策になっている、自信を持ってこう思いますが、総理、もし御意見があったらお聞かせください。まず総理。

衛藤委員長 委員長が整理いたします。

 まず、経済財政政策担当与謝野馨君。

与謝野国務大臣 数字の競争だったら幾らでもできます。

 ただ、菅議員が言われたように、菅議員のパネルの御説明はあったことは知っておりますけれども、中身は大変不正確のように思います。

中川国務大臣 まず、二つお話をしたいと思いましたが、二点目のことについては今与謝野大臣がお話しになりました。私も、第一次補正、第二次補正、そして現在の来年度予算についても、今も菅委員から、二分の一にするときの財源はどうなっている、二〇一一年以降の財源はどうなっていると、多分三十回、五十回は聞かれたというふうに記憶しております。したがって、ぜひ、この八十七兆円というものの財源を何回でもひとつお示しをいただくことが、ある意味では大事なことではないかというふうに思います。ぜひ財源をお示しいただきたい。

 それからもう一点でございますが、民主党の経済対策(四年)というのは、四年間でという意味かもしれませんが、私どもの政府の経済対策というのは、昨年の補正を二回と平成二十一年度の分でありますから、期間としても十六カ月から七カ月ぐらいでございまして、決して三年ではございません。これは間違っておりますので、御訂正をいただきたいと思います。

 それから、あくまでも百年に一度という緊急対策として我々はやっているということをまず御理解いただきたいと思います。

菅(直)委員 今最後に言われたのは、実は政府の方もいろいろなものがあるんです。二年間のもあったり一部三年間もあったり、いろいろありますから、「三年以内」と書いたのは、私は割と良心的に書いたつもりですよ。我が党は「四年間」と書いて、政府案は「三年以内」とわざわざ書いてあるじゃないですか。

 それから、与謝野さんは不正確というふうに、私が前にちゃんとこの五十七兆の財政支出についての財源をこの予算委員会のこの場所で申し上げたことに対して、与謝野さんはちゃんと覚えていた上で不正確だと言われました。しかし、私が知っている限り、私もその後テレビの番組とかいろいろな番組に出ましたが、自民党の人がこれはおかしいと言ったのは一度もありません。例えば、当時は埋蔵金がけしからぬと言われた人はいました。埋蔵金を我が党も使うことになっておりますから、埋蔵金はけしからぬと言われた人もいましたが、今や埋蔵金がけしからぬと言う人がだれがいますか。与党の案は埋蔵金だらけじゃないですか。

 つまりは、テレビが映っている国民の皆さんの前で、予算委員会でちゃんと説明をしたものに対して、根拠もなく不正確だと言うんだったら、どこかで公開討論会でもやりましょうよ。それもできないで、その後テレビでも何にも反論しないで、不正確。私は、先ほどから申し上げていますように、政府の案こそ、とにかくぶれまくって、最初からいろいろなことを言っているのがぶれまくって、予算委員会では我が党が与党になったら幾らでも質問を受けて立ちますから。

 そこで……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛にお願いします。

菅(直)委員 もう一度だけ申し上げておきます。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に。

菅(直)委員 あえてこの中でもう一点だけ申し上げておきます。

 政府は、たしか二次補正の中で、高速道路料金を五千億円かけて、たしかこれは二年でしたか三年でしたか、引き下げることをやりました。私たちは、大分以前から高速道路の無料化を申し上げています。何が違うか。単に値段が違うんじゃないんですよ。無料化をすれば、ゲートがなくなってインターチェンジがもっと簡単につくれて、ETCは要らなくなるんです。そういう意味では、根本的な行政改革にもなるんです。しかし、それに対して政府が出している五千億というのは、民営化したはずの会社の料金体系に何で政府が勝手に五千億を出す出さないを言うんですか。民営化はうそだったんですか。つまり、そういう矛盾すら考えていないでしょう。

 ですから、そういう意味で、政府の方こそ不正確どころか極めて筋の悪い政策だということを申し上げておきます。

衛藤委員長 国土交通大臣から発言を求められていますから。

 国土交通大臣金子一義君。

金子国務大臣 高速道路無料化ということの問題点についてどういうふうに御認識されているのかということであります。

 今、四十兆の借金があります。これを無料化ということは、料金でない、料金で払わないという民主党の案は、国税で、国民の税金で払うと。そうすると、高速道路の職員の人の給料も税金で払うというわけでしょう。どうなっているんです。民営化したのに、また給料は税金で払う。四十兆の借金を高速道路を利用する人もしていない人も負担しなければいけない。

 宮崎県は高速道路がない、島根も鳥取も高速道路がない、早くつくってくれ、そういう人たちに高速道路の償還財源と管理費を払えという、これは酷ですよ。やはり利用者に負担をしていただくという、精いっぱいやっているのが、今回のどこまで行っても千円というものであります。

菅(直)委員 国土交通大臣がこの程度の認識で道路行政を担当されたら、ちょっとたまらないですね。

 国民の皆さんにちゃんとおわかりになりやすいように申し上げますが、高速道路を使っている利用者は今まで二重取りされてきたということを国土交通大臣はわかって言っているんでしょうね。つまりは、高速道路を走っている車のガソリン税は高速道路建設には使われていないんですよ。高速道路建設には使われていないんですよ。利用料のたしか三割か四割は高速道路ですが、その分は……(発言する者あり)ちょっと黙ってなさい。高速道路を使っている利用者は高速道路料金以外にガソリン税等も払っているわけですが、ガソリン税等は高速道路の建設には一円も使われていません。

 ですから私たちは、かつてアメリカだって、多くの国でフリーウエー、つまり無料なんですよ、高速道路は。そういうものに対して、四十兆円に対して、ちゃんと償還財源も含めて、もう前の前の衆議院選挙のころからこの政策は提案をしているわけでありますから、何か国土交通大臣が本当に都合のいいところだけ覚えて言われることについては、よく我が党の政策を勉強してからまた議論しましょう。

 そこで、もうちょっと夢のある話をつけ加えようと思います。

 斉藤環境大臣、あなたは私の大学の後輩でもあって、技術屋さんですから、太陽光のことなんかは大変詳しいことはよく知っていますし、この間からいろいろと出ています。ただ、私も大分太陽光とか風力とか研究したんですけれども、きのうのいろいろな方の議論を聞いていても、ドイツの普及が一挙に日本の倍ぐらいまでこの数年で伸びましたよね。それはもちろん御存じでしょう。

 この発電の普及がこんなにドイツで伸びた理由は、私が理解している限りは、固定価格買い取り制度、つまりは、ドイツで、個人のうちでもパネルをつけて発電をした人に対して、その電力をかなり高い値段で電力会社が買い取る。では、買い取った差額は税金で埋めるか。そうじゃない。買い取った価格の差額分は料金全体を引き上げるから、税金は一円もかからない。つまり、消費者がお互いにある意味でシェアして負担する。そのことによってこれだけ広がったんですね。

 残念ながら、日本のやり方を聞きました。NEDOとか新エネから聞きました。どうしても補助金を使いたいんですね。私はすべてが補助金が悪いとは言いませんけれども、補助金というのはだれが一番喜ぶか。お役所が一番喜ぶんですよ、簡単に言えば。自分のところに申請に来て、あなたのところはこういう基準だったら出しますよ、あなたのところはこういう基準だったら出しますよと。

 料金体系の場合は、お役所は絡みません。例えば、キロワットアワー当たり五十円なら五十円で買い取ります。一般の相場が二十円としたら、その三十円分に相当するものを全体がならして電力料金に上乗せするというドイツのやり方は御存じでしょう。私は、そういう固定価格買い取り制度を導入することが、日本においても太陽発電を広げて、そして今、太陽パネルはもともと技術的には日本が先頭を行っていたわけですから、それをさらに技術革新をする上で大変有効な政策だと思いますが、いかがですか。

斉藤国務大臣 ドイツが太陽光発電で世界一になったその最大の理由は、今菅委員おっしゃった固定価格買い取り制度です。大体、設置した費用を五年ぐらいで元が取れるという状況になって、五年以降はかえって我が家が発電所になってもうかるという状況。日本も、世界一を奪還するためにはそういう状況をつくらなきゃいけないと思っております。

 日本は今、補助金という方法が一つ。それからもう一つは、RPS法、新エネルギー促進法によりまして、電力会社に、発電の例えば三%は再生可能エネルギーでなくてはならないというRPSを義務づけている。この二つの方法でございますけれども、この二つの方法を拡充しながら、世界一奪還をどうやったらとれるかということをしっかり議論して、太陽光発電世界一奪還を達成したい、このように思っております。

菅(直)委員 これは文科大臣には個別には質問通告をしていないので答えられなければ仕方ありませんが、一九八〇年当時、科学技術庁が、風トピア計画、風力に対しての検証をしたことがあるのは御存じですか。御存じない。いや、いいですよ。これはちょっと事柄としては知っている方が少ないんです。この間、お役人を呼んでも、余り知らないんですね。

 私が初当選したころで、私はアメリカに、ウインドテストセンターというところまで見に行って、国内でも全部調べました。当時、科学技術庁が風トピア計画というものを何十種類か集めて検証したんです。報告書が出ています。ぜひ見てください。その報告書の最後のところはどうなっていたか。経済的に成り立たないという報告書なんです。それによって日本の風力の開発が私はとまったと思っています。

 科学技術庁というのは、私もよく知っていますが、基本的に原子力推進がほとんどで、クリーンエネルギーはどっちかというと端っこの端っこなんですね。しかし、今やヨーロッパでは、太陽エネルギー以上に風力が拡大をしております。

 そういう意味では、私は、実は風力は日本は立ちおくれたけれども、既に一九八〇年にはそこまで、石井式風力発電とかいろいろなものが開発されていたということをあえてこの場所で一つ申し上げておきます。

 もう一つ、農林大臣。農林大臣は、今、持っておられますね。農林三号と呼ばれる、バイオマスから非常に質のいいガス、さらにはメタノールを生産するという研究を今農林省が支援をされているわけです。

 これは、私もいろいろなところを見てきましたが、一般的に言うとバイオマスというと、せいぜいごみ発電のように燃やして発電するとか、あるいはエタノール、つまりは醸造によってエタノールをつくって、簡単に言うとお酒の技術によってエタノールをつくって、それをガソリンにまぜて使うとかということはたくさんやっています。

 しかし、廃材の木を粉状にして高温の水蒸気と反応させて直接ガスにするという技術は、私が調べた限り、その技術しかありません。従来あるのは、変成という技術はあります。これは、どちらかというと、木材等を、石炭等を蒸し焼きにして、CO、一酸化炭素が出たものに高温水蒸気をかぶせて、H2、水素ガス等を含んだものをつくる技術は、これは戦前からあります。これは、ドイツの石炭液化の技術とか、それは全部そうです。

 しかし、木の粉とか、場合によったら、おからとか草とか、そういうものを使って、直接、高温水蒸気と反応させてガス化するという技術は、私が調べた限り、世界でほかにはありません。つまり、そういう新しい種があるんです。私は本当ならそっちの方に仕事は行きたかったぐらいでありますから、今でもそういう思いを持っているわけですけれども。

 ぜひ、きょうは文科大臣と農林大臣に、答弁はもしあればお聞きしますが、あえて申し上げたのは、そういう過去の例あるいは現在の例がある、さらには、環境大臣は素直に答えていただきましたが、私もRPSのものを知っていますけれども、基本的には、RPSというのは上限が余り伸びないし、ほとんどは実はごみ発電などで埋まっていて、この五、六年、私、全部見ていますが、余り効果が上がっていませんから、まさに言われたように固定価格買い取り制の方がよっぽど効果があるんです。

 そういうことを申し上げましたが、もし農林大臣、あれば、どうぞ。

石破国務大臣 委員から御質問をいただきました。

 多分、ほとんどの方は農林バイオマス三号機とは何なんだということを御存じないと思います。こういうものであります。(資料を示す)これは、一ヘクタールの水田で十世帯の消費電力を一カ月賄えるというようなものでございます。食用に供しない稲わらでありますとか、そういうものを使ってそういう発電ができるというものでありまして、資源小国の我が国としては、これを何とか実用化をしてやっていきたいと考えております。ですから、この技術を相当に高めていかねばなりませんが、まだまだ実用化に向けて難しい点がございます。

 ただ、私どもとして、委員が御指摘になったようないろいろな資源を使って、何とかそういうふうに産業を転換できないか、そしてエネルギーというものを自給できないかということで、また委員の御指導、御評価をいただきながら進めてまいりたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

菅(直)委員 実は予算編成のあり方についても少し用意をしたんですが、もう時間が余りないので、一言だけにとどめます。

 実は、我が国の予算編成、経済財政諮問会議がよくも悪くも生まれて後は若干変わりましたが、基本的には、各省庁の下からの積み上げによってだんだんとシーリングがかぶさって予算ができるというシステムになっているのは、もちろん御承知のとおりです。私は昔からこれが非常に疑問なんですね、なぜ下から積み上がるんだと。

 イギリスの場合は、財務大臣、大蔵大臣を中心に、余り税金を使わない役所の大臣が、全部合わせて八名と聞きましたが、閣内に閣僚会議、いわゆる大臣の小委員会をつくって、そしてそこがまず全体の来年度のいろいろな経済見積もりの中で予算の大枠を決める。そして、それを閣議決定に上げていく。(発言する者あり)次の段階で、今度は各役所の枠を決める。最後に、各局、各課の中身を決めていく。つまり、大方針を閣内で決めているわけです。

 今、同じだと物のわかっていない人がやじを飛ばしていますけれども、日本の場合は、全部、私も厚生大臣をやりましたから覚えていますが、現実に、毎年の予算の概算が出てくるときには、プラス三とかマイナス二とか書いてありました。これは何なのと聞いたら、前年度比プラス三%、前年度比マイナス二%、つまり、すべて各課、各局の前年度をベースにした比率が来るわけです。

 私は、予算編成というのは、使う立場なんだから予算編成をその人が中心にやるのは当然だというのは大間違いだと。使う立場だからこそ、逆に使わない立場の人が全体を見なければ日本全体の財政はおかしくなるわけでありまして、天下りにしろ補助金にしろ、例えば国土交通省しか国土交通省の予算は要求できないんだ、実はこんなことは財政法には書いてありません。書類を出すことは国土交通省がやらなきゃいけないけれども、決めるのは閣議で決めるんですから、たとえ農林大臣であろうが、何大臣だろうが、高速道路は無料にするという予算をつくるべきだと主張できるんです。

 残念ながら、今の日本は、省庁設置法とか国家公務員法とか、あるいは財政法の記述とか、すべてが役所単位になっておりますので、少なくとも私たちが政権をとったときにはそういう役所単位の下からの積み上げの予算のつくり方は根本的に改めていくということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

中川国務大臣 菅委員は、日本の法律に基づいた予算の仕組みというものを御存じの上での御発言だと思います。内閣法あるいはまた財政法で、先ほどの、書類を送付するとか、あるいは所掌がどうなっているとかいうことを当然御存じの上でのお話だろうと思います。

 もちろん所管はあります。しかし、閣議では発言は極めて自由でございまして、所管なんというものを超えて自由闊達に議論をし、これは予算においても全く議論はそうでありまして、最終的には総理が御決定、指示をされるということでございます。ですから、先ほど舛添大臣も、厚労大臣でありながら財政のことあるいはまた景気のことも御配慮いただいた御発言をしていただいたわけでございます。

菅(直)委員 これで終わります。

衛藤委員長 これにて細野豪志君、前原誠司君、馬淵澄夫君、長妻昭君、菅直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 日本共産党を代表して、麻生総理に質問します。

 私は、昨年二月、十月の本委員会で派遣労働の問題を取り上げ、その最大の問題点が人間を物のように使い捨てにする究極の非人間的労働であることを明らかにし、抜本的是正を求めてきました。

 今、景気悪化のもとで、大企業が競い合って進めている大量の派遣切り、非正規切りは、人間を使い捨てにする派遣労働の非道さ、残酷さを最悪の形で示していると思います。多くの労働者が突然の首切りで職を失い、同時に住居も失い、大量のホームレスがつくられ、寒空の路頭で文字どおり命の危険にさらされています。

 まず総理にただしたいのは、総理が、こうした事態を引き起こした政治の責任をどう自覚されているかということについてであります。

 派遣労働が急増したことは、もとより自然現象ではありません。財界の求めに応じて、一九九九年に派遣労働を原則自由化する法改悪を行い、さらに二〇〇四年に製造業にまで広げる法改悪を行うなど、一連の労働法制の規制緩和の結果であることは否定できない事実であります。

 この問題について、本会議で私が、今起こっている事態は、政治の責任で引き起こされた政治災害であるという認識と反省が必要ではないかとただしたのに対して、総理は、今回の急激な雇用情勢の悪化は、これまでの改正時の想定をはるかに上回るものだったと述べるにとどまりました。

 しかし、派遣労働の自由化が何をもたらすかは、私は十分に想定できたと思います。一九九九年の派遣労働の原則自由化の際に、我が党は、これが大量の低賃金、無権利の労働者をつくると批判いたしました。現実は恐れていたとおりになりました。想定外という言い逃れは私は通用しないと思います。私は、政治の責任への真摯な反省があってこそ、対応も真剣で本腰が入ったものになると思います。

 重ねて総理に問いたい。政治災害であるという認識と反省が必要じゃないでしょうか。端的にお答えください。

麻生内閣総理大臣 今、労働者派遣法に関連した御質問だったと思いますが、この法律ができた当時のことを考えたり、いろいろ、できた経緯、その時代の状況というのをあわせて考えなければならぬものだ、まず基本的にそう思っております。

 当時、いろいろな意味で、雇用というものが低賃金を求めて海外へという時代にありました。そういった時代の中にあっては、我々としては、国内において雇用を確保するための一つの方法として、たしかそういった議論があの当時なされたと思いますが、雇用の場を確保することということと、もう一つは、労働者の多様な働き方というものに対応するために、終身雇用で同じ会社にずっと一生いるというのはいかがなものかという当時の風潮もありました。

 そういった意味では、我々としては、こういった方々の雇用の確保ということを考えて、私どもはこれは一定の役割を果たしたものだと思っております、特にその時代において。

 ところが、今言われておりますのは、御指摘のありましたとおり、急激な、我々の想定を、少なくともあの当時やりました二十世紀末の想定を上回るような事態が起きたために、多くのところで、いろいろな意味での正規、非正規の格差の話とか、また、いわゆる急激な雇用情勢の悪化に伴って、いろいろな形で我々の予想していなかったところに起きておる。したがって、それに対応をしていかなければならないものだ、私は基本的にそう思っておりますので、今回の日雇いの原則禁止などなど、今いろいろな提案を申し上げさせていただいておりますが、この問題につきまして、改めていろいろな場で、もっとこういう情勢がある、ああいった状態があると、いろいろな議論がなされて結構なものだと思っております。

志位委員 政治の責任ということをはっきりお認めにならない答弁でした。

 雇用の場を確保されるというふうに言われましたけれども、つくったのは、大量のワーキングプア、働く貧困層ですよ。そして、いざとなれば首切り自由の、そういう不安定雇用ですよ。それから、労働者のニーズと言いますけれども、財界のニーズでつくった制度がこの制度だったと思います。私は、これは反省が必要でありまして、反省してこそ対策も本腰を入れたものになるということを重ねて申し上げたいと思います。

 具体的にただしていきます。

 大企業による大量解雇の波は、今拡大する一方です。厚生労働省の調査でも、昨年十月からことし三月末までに約十二万五千人が職を失うとされております。業界団体の試算によると、製造業で働く派遣、請負の失業は三月末までに四十万人に達するといいます。こうしたもとで、職を失った労働者の住居と生活と再就職の支援のために万全の手を尽くすことは、もとより政治の重大な責任であります。同時に、これ以上の大量解雇による被害者を出さない、非正規切りをとめるために、政治が可能なあらゆる手段を尽くすことが今強く求められていると思います。

 それに取り組む上で、総理に確認しておきたいことがあります。

 今、大企業が進めている大量解雇は、全体として、万策尽きた上でのやむを得ないものかどうかという問題です。今、大企業の多くが赤字決算の見通しを出している。しかし、ある新聞にこういう川柳が投稿されました。「赤字だと?黒字の金はどこ行った」。大企業はつい最近まで空前の黒字を誇っていたではないか、その金は一体どこに行ったんだ、これは庶民の当然の気持ちだと思います。

 これは、大企業の製造業の内部留保と非正規労働者数の推移をあらわしたグラフです。この十年間に非正規労働者は千百五十二万人から一千七百三十二万人に急増しています。それと並行して、大企業の内部留保は八十八兆円から百二十兆円へと急膨張しています。この巨額の内部留保のごくわずか、一%を取り崩すだけで四十万人の非正規社員の雇用を維持することができます。大企業には雇用を維持する体力が十分にあることは、私は明らかだと思います。

 私は、本会議で、内部留保のごく一部を雇用を守るために充てることは企業の当然の社会的責任ではないかとただしたのに対して、総理は、「こういう非常時こそ、労働者の雇用と生活をしっかり守るよう、最大限の努力をしていただきたい」と答弁されました。

 この答弁は、大企業には雇用を守るための努力の余地がまだある、すなわち、今大企業が行っている大量解雇は、全体として見るならば、それを行わなければ経営破綻に陥るといったような万策尽きた上でのやむを得ないものとは言えないということですね。そういう認識の上での答弁だと理解してよろしいですね。確認したいと思います。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

麻生内閣総理大臣 お断りをしておきますが、個別企業のことに関しましてお答えをすることはできないのは当然で、まずこれだけは頭に入れておいてください、何回も申し上げますけれども。

 それから、問題は大企業だけではありません。中企業でも同じことが言えると思います。大企業、大企業と言われると、志位さん、好きな言葉で、よく大企業と使われますが、中企業でも結構やっているところはありますので、我々から言わせますと、それは大企業だけの問題じゃない、私は基本的にそう思っております。

 企業の中において、少なくとも、まだ雇用ができる、そういった余力があるという企業は基本的に雇用を支えるようにすべき、これはずっと同じことを申し上げてきたと思います。これはもう志位さんと、総理になる前からこの話はさせていただいたことがありますので、申し上げてきたと思います。

 少なくとも、そういった意味で、人を大事にするというのは、企業経営者として、特に日本の企業経営者はここが一番大事な観点、大事なキーポイントだと記憶をいたしますし、少なくとも、そういった企業というのは、会社が雇用だけは守る、松下幸之助を初めいろいろな方々の逸話が残っているのはもうよく御存じのとおりだと存じます。

 そういった中にあって、今何となく慌てておられるところも認めているところです。とにかくいきなり来ましたので、かなり慌てている。

 それともう一つは、企業として、やはり今までになかったのは、グローバライゼーションと言われるあの時代の中にあって、企業の出す利益の配当率の話、配当性向、配当率、いろいろな言葉がありますが、こういうものに関してきちんとしたものにしないと、株主からの反応が悪く株価が下がる、結果として会社のファイナンスがうまくいかなくなるという難しさが、企業の場合、最近、大きな企業ほど、上場しておられる企業ほどそうなっておられる傾向がある、私はそう思っております。

 したがいまして、今やっておられるのはかなり慌てておられるにしても、もう少し頑張れるところがあるのではないか。ほかの企業がやっているからうちもやっちゃおうというようなことに流れておりゃせぬかということは、私どもの立場として、感じとして言わせていただけることは申し上げられますが、重ねて申し上げます、私どもは単なる行政府、立法府におりますので、いきなり会社の利益の内容について我々が差し挟むというのはいかがなものかと思っております。

 ただ、労働者派遣法の違反に関しまして、平成十九年度におきまして、政府として六千五百件を超える文書指導等々を実施しておりますので、いずれにいたしましても、違反が確認された場合、厳正な指導は徹底していかれてしかるべきだと考えております。

志位委員 全体として見るならば、余力がある、あるいはもう少し頑張れるところがあるということを否定されませんでした。大企業にはその気になれば雇用を守る体力はあると。それならば、政府はあらゆる手段を尽くして、雇用を守る社会的責任を大企業に果たさせる必要があります。

 この議論を進める前提として、ここで労働者派遣法の大原則を再確認しておきたいと思います。これは厚生労働大臣に二つの点を確認したい。

 第一は、派遣は臨時的、一時的業務に限る、常用雇用の代替、正社員を派遣に置きかえることはしてはならない、これが労働者派遣法の大原則だということです。

 それから第二は、この大原則を担保するものとして、派遣受け入れ期間の期間制限が設けられていることです。すなわち、派遣期間は原則一年、最大三年までという制限があり、期間制限を超えて同一業務をさせることは違法行為になる。三年を超えて労働者を使い続けようという場合には、派遣先企業は労働者に直接雇用の申し出をしなければならないということですが、この二点、間違いないですね。確認です。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

舛添国務大臣 労働者派遣法におきまして、臨時的、一時的な労働力の雇用調整制度として派遣制度が位置づけられている、まずこれはそのとおりです。

 それから、派遣可能期間を制限する、今、制限期間、委員がおっしゃったとおりですが、これは派遣労働を常用雇用の代替にしないことの担保のためであります。

 そして、派遣可能期間を超えて派遣労働者を使用しようとする場合は一定の要件、一定の要件というのは、派遣先と派遣労働者があらかじめ派遣元事業主から派遣停止の通知を受けている、こういう条件があれば、派遣先に雇用されることを希望する者に対して雇用契約を申し込まなければならない、こういうふうになっております。

志位委員 基本的に確認いたしました。三年以内ということですね。

 ところが、実態はどうか。私は、この間、全国各地で、派遣切りの被害に遭った多くの労働者から直接話を聞かせていただきました。驚いたのは、四年、五年、六年と同じ工場で同じ仕事を続けながら、派遣先企業から直接雇用の申し出がないまま、突然の派遣切りによって職を失っているケースが大変に多いということであります。

 例えばいすゞ自動車です。いすゞ自動車は、栃木工場、神奈川・藤沢工場で、期間社員、派遣社員、合計千四百人の解雇を進めていますが、労働者の皆さんに話を聞きますと、その多くが、いすゞで四年、五年、六年と働き続けているといいます。なぜそうなっているのか。

 いすゞでは、二〇〇三年ごろから二〇〇五年にかけて請負労働者を使っていました。ところが、偽装請負が社会問題化する中で、いすゞは、二〇〇五年十月、当時千五百人いた請負労働者を一斉に派遣労働者に切りかえた。その結果、偽装請負から通算しますと、多くの労働者が、四年、五年、六年という長期にわたって派遣として働き続けることになったわけであります。

 厚生労働大臣にもう一つ確認しておきたい。偽装請負とは、違法な形での派遣労働ですね。ですから、偽装請負で働かされていた期間は当然派遣期間に通算されることになりますね、この点。

舛添国務大臣 契約の形式にかかわらず、実態として労働者派遣事業が行われている場合は派遣期間として通算するとなっていますので、したがって、今おっしゃった偽装請負が行われていた場合は、偽装請負の期間も通算し、実態として労働者派遣事業が行われている期間により派遣期間を判断するということになっております。

志位委員 通算するという答弁が明確に今されました。そうなると、どういうことになるか。

 これは、いすゞで派遣切りに遭った労働者の典型的なケース、Tさんの職歴をパネルにしたものです。

 Tさんがいすゞで働き始めたのは二〇〇三年の四月、ことし一月に派遣切りに遭っていますが、合計で五年十カ月もの間働き続けています。仕事は、一貫して自動車づくりの心臓部と言われるエンジンの組み立てラインでの作業でした。

 話を伺いますと、二〇〇三年四月から二〇〇五年の十月までは、形は請負だったが、請負元の社員は出勤を確認するだけで、ラインでの作業はいすゞの正社員の指示を受けての仕事であり、明らかな偽装請負でした。

 偽装請負が社会問題になる中で、Tさんは他の請負社員とともに、二〇〇五年十月、派遣に切りかえられました。さらに、二〇〇六年十月には、当時の派遣期間制限一年に達したために、期間社員に切りかえられました。ところが、期間社員の期間はわずか三カ月で、二〇〇七年一月には派遣に戻された。期間社員になっても、仕事場も業務も派遣のときと同じ、寮も送迎バスも派遣会社のものでした。最初から、すぐ派遣に戻すことを予定した名ばかり期間社員だったわけです。

 偽装請負、派遣、名ばかり期間社員、派遣と、合計で五年十カ月働き続けたあげくの解雇ですよ。

 Tさんは、私にこういう訴えをされました。まじめに一生懸命働き続ければ、いつかは正社員になれる、北海道の家族を呼べると夢見て頑張ってきた、休みもとらず、いつも始業時間の一時間前にだれよりも早く出社して、工具の手入れ、仕事の段取りを立てるなど懸命に働き続けてきた、いすゞが好きだった、物づくりが好きだった、もっと働く人を大切にする企業になってほしい。

 これは総理に認識を問いたいと思います。

 先ほど確認したとおり、派遣労働というのは最長でも三年までで、三年を超える場合には、派遣先企業は直接雇用を申し出なければならないわけですよ。偽装請負の時期から、これは通算するということも確認しましたが、通算すれば五年十カ月もの長期にわたり事実上派遣として働かされてきたTさんは、とっくに直接雇用、正社員になっているべき労働者であります。

 ところが、期間制限を超えてもいすゞからまともな直接雇用の申し出もされることなく、突然の派遣切りで職も住居も奪われる、これは余りに理不尽だと思いませんか。総理、どうでしょう。総理の認識です。

舛添国務大臣 個々の、個別の企業については答えませんが、一般的なことを申し上げれば、偽装請負は明らかな労働者派遣法違反であります。違反に対しては、労働者の雇用の安定を図るための措置を講ぜよというように指導しているところでございます。

 ただ、今おっしゃったように直接労働契約をやりなさいということを行政が勧告できる制度を、まさに今継続審議となっている労働者派遣法の中に組み込んでおりますから、一刻も早くこれを審議していただきたいと思います。

志位委員 私は、総理に認識を聞いているんですよ。

 こういう不安定な働かせ方を五年十カ月も続けさせた。これは本来、直接雇用義務が発生しているわけですよ。それで、現行法の精神からいったって、もう常用代替という事態は起こっているわけですから、これは当然正社員あるいは直接雇用にすべき人を、こういう形で働かせて解雇というのは理不尽じゃないかと。認識を聞いているんです。総理、お答えください。

麻生内閣総理大臣 全く同じです。

 これは、基本的には三年以上になった場合はということになっておりますので、それは明らかに違反していますし、極めて有能な社員だったから多分、三年間だ、三年ずっとというのは、雇っている側も、有能だったから五年だったんだと思いますし、間にちょっと期間社員というのを入れてまでやるほど有能な社員だったということを意味しているんだと理解します。

志位委員 今、総理が全くそのとおりだとお認めになったのは、非常に重要な答弁です。これがずっと行われているんですよ、この会社では。違法状態があるんだったら、きちんと是正を図ることを強く求めたい。

 同様の事態は、全国至るところで起こっております。自動車メーカー、マツダでは、広島県宇品工場、山口県防府工場で、昨年末までに千三百人の派遣社員が解雇され、さらに期間工二百人が雇いどめにされようとしております。ここでも、三年を超えて長期にマツダで働いてきた多くの派遣労働者が職を奪われております。

 これをちょっと見ながら聞いていただきたいんですが、これは私たちが直接聞き取りを行った六人の派遣労働者の職歴を示したものです。派遣として働き始めてから解雇されるまで、五年三カ月、四年零カ月、四年十一カ月、三年四カ月、五年一カ月、四年三カ月と、いずれも三年を超えております。青い色の部分が派遣社員の期間です。赤い部分は、マツダがサポート社員と名づけている期間社員となっていた期間で、そのすべてが三カ月と一日です。六人とも、派遣社員として働いていた間に一回から三回のサポート社員の期間を挟んでいますが、同じ場所、同じ仕事を三年、四年、五年と働いているわけですね。

 総理、マツダは何のためにこんな形でサポート社員を挟み込むようなことをやっていると思いますか。

麻生内閣総理大臣 ちょっとそれは、私に聞かれても、聞く人をちょっと間違えておられるんじゃないでしょうか。

志位委員 マツダの工場で派遣会社の管理業務をやっていた方から、次の証言を私たちは得ました。

 サポート社員への置きかえは、三カ月と一日の後は派遣に戻ることを前提に進めた、一斉にやると派遣会社への実入りがなくなるから、業務ごとにサポート期間を四月から、七月から、十月からというように少しずつずらしていた、派遣法逃れだったとはっきり認めました。

 派遣法逃れとはどういうことか。派遣法について、いわゆるクーリング期間、同一場所の同一業務であっても、三カ月を超えて派遣を受け入れない期間があれば、継続した派遣とはみなさないという厚生労働省の指針があります。マツダはこれを悪用して、派遣社員を業務ごとに順次三カ月と一日だけサポート社員という名前の期間社員にして、見せかけだけのクーリング期間を挟むことで派遣期間制限を逃れ、四年、五年と派遣のまま使い続けたわけであります。

 ここで厚労大臣に確認しておきたい。これは一般論としてお答え願いたい。派遣労働者を派遣先が一たん直接雇用しても、クーリング期間の三カ月を経た後はまた派遣元の派遣労働者に戻すということが派遣元と派遣先の間で予定されている場合は、職業安定法違反になりますね。さらに、そういう違法なクーリング期間があった場合は、最初の派遣開始を起点に最大三年の派遣可能期間を超えた時点から、派遣法違反になりますね。これは間違いありませんね。

舛添国務大臣 今おっしゃったように、派遣可能期間の満了後のいわゆるクーリング期間中に派遣労働者を派遣先が直接雇用するけれども、クーリング期間後に再び派遣労働者として派遣就業させることを予定していると認められる場合には、職業安定法第四十四条で禁止している労働者供給に該当し、違反になります。

 しかも、今、二点目でございますけれども、適正なクーリング期間が設けられたとは言えないために、最初の派遣開始時から最大三年の派遣可能期間が経過した時点以降は、派遣を行うことができないということになっております。これが一般的な法の解釈でございます。

志位委員 私が指摘した点をお認めになったと思います。予定されていたということは、私ども現地に行って、先ほど紹介した証言でも確かめてまいりました。

 そうしますと、マツダは、期間制限違反という派遣法違反にとどまらず、偽装クーリングという職業安定法違反までやっていたわけですよ。会社ぐるみでやっていた。会社ぐるみでクーリング期間を悪用した違法な方法で派遣期間制限を逃れ、派遣のままで四年、五年と働かせ続けたあげく、まともな直接雇用の申し出もしないまま、派遣切りを進めている。これは悪質ですね。

 総理、これは悪質なやり方だと思いませんか。総理の見解、認識を伺いたい。

麻生内閣総理大臣 先ほどから何度も申し上げておりますように、個別の案件について自分なりの感想を述べることは差し控えさせていただかないといかぬと思っております。

志位委員 個別の問題について言わないと言っているから増長するんですよ、派遣先大企業が。

 こうした企業に対して、では、政治がどう対応すべきか。いすゞもマツダも、偽装請負やクーリングを悪用した違法行為で期間制限をごまかし、直接雇用の義務を逃れてきたわけです。違法行為によって義務を逃れてきたことが明らかになったら、その逃れてきた義務はきちんと果たさせるというのが法治国家では当たり前じゃないですか。すなわち、派遣先大企業に、派遣切りをやめ、直接雇用の義務を果たせと厳しく指導するのが道理じゃないですか。これはいかがでしょうか。

舛添国務大臣 いやしくも法違反があったときには、厳しい指導を現地の労働局において行っておるところでございます。

志位委員 この明瞭な法律違反について、指導しましたか。

舛添国務大臣 個々のケースについてのお答えは差し控えますが、明確な法律違反の場合には、きちんと厳正に対処をいたしております。

志位委員 現行法でも厳正な対処は可能だと私は思います。期間制限逃れの違法行為によって、期間制限の三年を超えて四年、五年、六年と派遣のまま働かせ続けるという常用雇用代替の状態がつくられてしまっているわけですよ。これは労働者派遣法の大原則を根本から崩す違法状態なわけです。そして、この違法状態をつくり出したのは、派遣先大企業の違法行為じゃありませんか。

 ならば、その派遣先大企業に直接雇用の義務を果たせと厳しく指導するのは当然だと言わなければなりません。それができないというのだったら、派遣切りに遭っている労働者を見殺しにするのかということになる。三月末に向けて四十万人とも言われる大量の非正規労働者が解雇されようとしている。そのときに、派遣先大企業の罪は問わず、被害者である労働者を見殺しにするのか。それはできないでしょう。これは厳しく直接雇用義務を果たさせると、総理、言ってください。

舛添国務大臣 何度も申し上げておりますように、法律に基づいて、的確な指導を厳正に行っているところでございます。

志位委員 そう言いながら、どんどん派遣切りはふえているじゃないですか。あなた方が厳正にやっていたら、もっととめられるはずだ。それがやられていないことを問題にしています。派遣切りをやめさせ、派遣先に直接雇用責任の義務を果たさせるべきです。

 派遣切りに対する労働行政をやっているというので、さらにただしていきたい。

 福井県にあるパナソニックのグループ企業、パナソニックエレクトロニックデバイス若狭工場で三年十カ月にわたって働きながら、派遣切りに遭ったという労働者、Mさんからの訴えがありました。

 Mさんが働いていた職場は、二十五人の労働者のうち派遣は十五人を占め、派遣労働者は文字どおり生産の中核を担っていましたが、その全員が十二月にかけて突然解雇を言い渡されたといいます。早速私ども、現地に伺い、話を聞きました。

 まず驚いたのは、派遣労働者の働かされ方です。この工場は、DVDプレーヤーなどに使われる検知スイッチと呼ばれる電子部品などを製造しています。Mさんはここで、二人一組で十二台から十五台の機械を操作する仕事をしてきたといいます。原材料の補充や交換、トラブル処理など、一日じゅうほぼ立ちっ放し。休憩中も機械を動かし続けるため、トラブルがあればいつでも飛んでいかなければならない。常に緊張状態を強いられる仕事であります。

 私が何より驚いたのは労働時間です。ここでは日勤、夜勤の二直二交代制で、日勤は朝八時三十分から夜八時三十分まで、夜勤は夜八時三十分から翌朝八時三十分まで、月曜から金曜まで毎日十二時間労働であります。休日出勤も常態化しており、月に四、五日の休日出勤が当たり前でありました。Mさんの場合は、三年十カ月のうち最初の四カ月を除く三年半は、ずっと夜勤のまま十二時間労働を続けてきました。

 ここに私、Mさんからいただいた給与明細の写しを持ってまいりましたけれども、この月については、普通残業時間が九十五時間三十分、休日出勤による残業時間が五十九時間十五分、月の残業時間が百五十四時間四十五分ですよ。厚労省が過労死基準にしている八十時間の二倍近い。こういう働かせ方を派遣労働者にやってきたわけですよ。所定内労働時間の百六十時間を加えると、月に三百十四時間四十五分も働かされている。こうした月百時間を超える残業が常態化していたといいます。

 総理に伺いたい。こんな長時間労働、これは余りに異常で、非人間的だと思いませんか。

麻生内閣総理大臣 今の話を聞いて、それが本当かどうかがわからぬのに一方的なことは言えませんけれども、もし今志位さんの言われたところには一点も非の打ちどころなく間違いがないという前提なら、異常です。

志位委員 後で資料を差し上げてもいいですけれども、私が言ったのは、本当に御本人に聞いたし、給与明細もありますし、就業規則全部を見渡した上でのものですから、まさに異常なことであります。

 もう一つ驚いたのは、今度は厚生労働省ですよ。厚生労働省福井労働局のこの派遣切りに対する一連の対応です。

 三年半にわたってこういう働かせ方をさせられたあげくに派遣切りに遭ったMさんは、労働局に、私は三年を超えて働いているけれども、いまだに直接雇用の申し出がないまま、逆に解雇されようとしている、違法ではないかと訴えました。労働局は調査を約束しましたが、二〇〇六年十一月以前は請負契約になっているので派遣法違反にならないと回答してきました。

 そこで初めて、ああ、請負契約だったのかということを知ったMさんは、請負契約というけれども働かせ方は同じだった、偽装請負だったのではないか、調査してほしいと求めました。ところが、労働局は、二年前のことなのでパナソニック若狭に資料要求はできないという対応をしたといいます。Mさんは、やむなく偽装請負の証拠となる資料を自分で集めて、改めて労働局に出向きました。そこで初めて労働局は偽装請負の事実を認定し、調査と指導を約束したとのことでした。

 Mさんにとって偽装請負は過去の問題じゃありません。偽装請負が事実ならば、その期間は、先ほど確認したように派遣期間に通算され、Mさんは派遣期間を超えて派遣で働かされていることになり、派遣先企業に直接雇用申し出義務が生まれるわけであります。にもかかわらず、労働局は、過去の問題として調査もしない、被害者が自分で証拠を集めて立証しなければ動こうともしない。

 全国の労働局では派遣切りに対してこんな対応をやっているんですか。こんなことで労働者の権利がどうして守れるか。

舛添国務大臣 法律違反に対しては厳正に対応しております。個々の企業についてのお答えは差し控えたいと思います。

志位委員 偽装請負の被害者が自分で立証の義務を果たさなければその違法が認められない、そんな怠慢な、怠惰なことでどうして労働者の権利を守れるかと私は言いたいと思います。

 さらにもう一つ、労働局の指導を受けたパナソニックはどういう対応をしたか。

 パナソニックは労働局に、派遣切りを撤回し、直接雇用か請負会社への移行かのどちらかで対応すると回答しました。ところが、一月中旬、パナソニックがこの工場で働く派遣労働者約八十人を集めて提示した直接雇用とは、何と期限つきのアルバイトで、時給はわずか八百十円だといいます。時給八百十円というだけで、何時間、何日、いつまで働けるかもわからない。たとえ一日八時間、週五日働けたとしても、月収十三万円です。これまで派遣労働者として得ていた月収と比べても半分以下に落ち込む。

 本来、パナソニック若狭の派遣労働者は正社員にして当然の人たちです。ところが、偽装請負という違法行為で直接雇用の責任を逃れてきたあげく、逃れられなくなったら、これまでの半分以下の収入しか得られないアルバイトという、だれもが到底受け入れられないような低賃金、劣悪な条件を提示して、これが直接雇用の申し出だと開き直る。

 総理、一体こんなことで天下のパナソニックが直接雇用の申し出義務を果たしたと認められると思いますか。収入は半分以下、期限つきのアルバイトなどというのは、およそ直接雇用の申し出義務を果たすとは言えないと思いますけれども、いかがですか。

舛添国務大臣 何度も同じことを申し上げて恐縮でございますが、個別の企業についてのお答えは差し控えます。

 その上で、一般的に申し上げれば、どういう労働条件で直接雇用するかというのは当事者間の契約であって、それで労働条件の決定があるということでありますが、今継続審議となっています労働者派遣法の改正案においては、今まさに委員が御指摘になった偽装請負や派遣期間制限に違反した派遣先に対して、労働契約を申し込むこと及び賃金その他の労働条件を低下させることのないよう措置すべきことを勧告する規定が盛り込まれておりますので、一日も早くこの改正案の御審議をお願いしたいと思います。

志位委員 当事者間の契約と言いますけれども、こんな労働条件を半分以下に落としちゃうような方法は認められるはずがないです。

 それから、法案を出していると言うけれども、勧告にすぎません。義務づけをしなかったら派遣先大企業は言うことなんか聞きませんよ。

 パナソニックグループの派遣切りは全国各地の工場で行われています。私たちが把握しただけでも、北海道・帯広工場、千歳工場、宮城・仙台工場、静岡工場、大阪工場で働く派遣労働者などから派遣切りの訴えが寄せられています。そこで、パナソニック本社に私は派遣切りの実態を明らかにするように問い合わせをいたしましたが、本社からは、発表しないというのが回答でありました。

 明るいナショナルと言ってきた企業が、やみの中で派遣切りをやっている。過労死水準の二倍もの長時間労働を強制し、景気のいいときは搾れるだけ搾り、三年という期間制限を超えて働かせておきながら、景気が悪くなると平気で派遣切りを行い、違法を指摘されてもまともに直接雇用の責任を果たそうともしない。三・六兆円もの内部留保をため込みながら、雇用への社会的責任を果たさない。これが日本最大の家電メーカーのやっていることであります。

 総理、これは余りに横暴だと思いませんか。どうでしょう。あなたに聞いているんです。

麻生内閣総理大臣 たびたびお断りをして、同じ答えしか申し上げられないので恐縮ですが、個別の企業のことに関しては、パナソニックがどうした、何とかがどうしたと言われても、その個別の企業に関しては答えることはないというのは、これまでもずっと申し上げてきたとおりであります。

 ただ、たびたびこれ以外の場でも志位先生の質問にお答えをしたと思いますが、内部留保というものに関しましては、これは基本的には、個々の会社がどう使うかということに関して行政やら立法府が立ち至る筋の話ではないというのが基本です。(志位委員「委員長」と呼ぶ)まだ答えているんだから、もうちょっと手を挙げるのをお待ちいただけませんか。

 その上で、たびたびこれも申し上げましたが、人というものを大切にできるか否かというのは、その企業にとって物すごく大きなイメージでもありますので、これもこの前もお答えしたと思いますが、こういう非常時のときほど労働者、雇用者というものを大事にするかしないか、それは企業にとってすごく大きな価値なんだ、私はそう思っております。

志位委員 個別のことは答えないということをずっとやっているから、パナソニックは、私たち個別の企業は派遣切りの実態も出しません、こういうことになるわけですよ。

 私、きょうお話ししてきた、いすゞ、マツダ、パナソニックの例というのは、氷山の一角にすぎません。それぞれに直接雇用の責任を果たさせるように指導することは当然でありますけれども、全体の問題をここで提起しておきたい。

 製造業への派遣というのは二〇〇四年に解禁とされましたが、当初は多くの大企業で請負を偽装する形で派遣労働者を活用することが行われていました。しかし、二〇〇五年から二〇〇六年にかけて、御承知のように偽装請負が社会的に大問題となり、請負から派遣への置きかえが一斉に行われました。

 したがって、現在行われている製造業への派遣は、偽装請負の期間なども含めれば、先ほど通算するということも確認しましたが、それを含めれば、既に派遣可能期間である三年をはるかに超えて派遣を使い続けていたケースが私は非常に多いのではないかと言わなければなりません。

 ところが、政府はいろいろ調査の紙を出してきます。しかし、政府の調査は、派遣先企業から派遣切りの数字を聞くだけの調査になっている。これではだめですよ。派遣期間制限の最大三年を超えて派遣を使い続けた事実はないのか、派遣法、職安法などに反した働き方をさせていなかったのかなど、踏み込んだ調査を行い、違法があれば厳しく是正指導を行うべきじゃないですか。そうすれば、かなりの人々が救えるはずです。現行法でも救えるはずです。そういう中身に立ち入った、踏み込んだ調査を厚生労働省に求めたいと思います。

舛添国務大臣 現行法の枠内で、各地の労働局において、きちんと法律にのっとってそういう実態把握をする努力をしております。

 しかし、今最大の問題は、派遣先、派遣元、そして派遣先に対してのお話がありましたけれども、基本的には派遣労働者は派遣元との間の契約を行っているわけで、派遣元企業は極めて数多くて、ここまで、どういうことになっているかを踏み込む努力は今しておりますが、完璧にそこまで今把握しているところではございません。

 しかしながら、今後とも、実態の解明に全力を挙げてまいりたいと思っております。

志位委員 今後やっていくということだったので、実態を踏み込んで明らかにして、派遣切りをやめさせるためのあらゆる力を尽くすことを求めたいと思います。

 委員長に一つ、本委員会の進め方で提案があります。

 今大企業が進めている大規模かつ急激な非正規切り、雇用破壊は、国民の暮らしを土台から壊すとともに、日本経済にも深刻かつ重大な影響を与えています。

 かつて一九七四年、石油危機に端を発した大企業による買い占め、売り惜しみ、狂乱物価が国民生活を直撃したとき、この予算委員会の場に大商社、大銀行、大企業二十社の社長、石油連盟を初め三つの業界団体の会長を参考人として招致して集中審議を行い、大企業が果たすべき社会的責任をただし、その横暴の是正を図った経験を我が国会は持っております。こうした役割が今、国会に求められていると私は考えます。

 史上かつてない雇用危機のもとで、今こそ国会が国権の最高機関として、国民生活を守る責任を果たすために、本委員会に、日本経団連の会長を初め、トヨタ、キヤノン、パナソニックなど大規模な人員削減を行っている大企業の経営者を参考人として招致し、その社会的責任をただす集中審議を行うことを提案いたします。

 委員長、お取り計らい願いたい。

衛藤委員長 志位君の申し出につきましては、後日、理事会で協議いたします。

志位委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、総理にもう一点伺います。日本の企業経営のあり方の根本についての認識と対応の問題です。

 私が大企業による大量解雇の動きについて余りに異常だと感じるのは、少なくない大企業が、この不況下で株主配当をふやしながら労働者の首切りを進めていることであります。

 このパネルをごらんください。これは、この十年間の製造業の大企業の経常利益、配当金、従業員給与の推移でありますが、経常利益を八・二兆円ふやし、配当金を四・〇兆円ふやしながら、従業員給与は二・三兆円減らしております。額に汗して働く労働者よりも、ぬれ手にアワのもうけをしている大株主を優先する、こういう経営でいいんでしょうか。

 これは私は資本主義としても堕落ではないかと考えます。目先の利益だけを追い求め、人間を物のように捨てて恥じるところがない、これでは企業にとっても未来がなくなるのではないかと考えます。

 本会議で私がそうただしたのに対して、総理は、企業の経営者は、株主のみならず、消費者や、従業員やその家族、さらには地域社会に責任を負っている、経営者が従業員を大切にし意欲を引き出すような経営が、結果として企業価値の向上につながるものと考えているとお答えになりました。私、これは同感ですよ。総理の言うとおりだと思います。

 ただ、総理が本当にそう考えるのであれば、行動に移すべきではないか。株主への配当を至上のものとして、従業員やその家族、地域社会に対する責任を到底果たしているとは言えない、経済団体、大企業の代表を集めて、そうした経営姿勢の誤りを道理をもって説き、大量解雇はやめろと正面から求めるべきじゃありませんか。その意思はありますか。

麻生内閣総理大臣 共産党の委員長から健全な資本主義を説かれると、ちょっといろいろ考えるところがありましたし、今また、全く同じでありますと言われると、ううんといろいろ考えるというのが正直な気持ちです。

 ただ、その上で申し上げさせていただきますけれども、たびたび本会議でも、今答弁のところを、私の言葉を引用しておられましたけれども、少なくとも、これは大分前に、いわゆる労働分配率という言葉を御存じだと思いますので、労働分配率の話が、我々がやっております三十年前に比べても今下がっておりますから、こういったのはいかがなものかという話をしておるという話を申し上げた。そのときも賛成をいただいたと思いますが、そういったことを申し上げてきておりますので、だからといって、私が出ていってみんなの前で経営のあり方、個別の企業のあり方について説くというのが、私にはいま一つ納得できないところであります。

志位委員 個別に説けと言っているんじゃないんですよ、経済界みんな集めて説けということを言っているんです。正面から求めろということを言っているんです。私は、これ以上の雇用破壊を食いとめるために、今、政治が知恵と力を尽くすべきときだと思います。

 同時に、日本共産党は、二度とこういう政治災害を起こさないために、労働者派遣法は一九九九年の原則自由化前に戻し、最も不安定な働き方である登録型派遣を原則禁止する抜本的法改正を求めます。その際、現に派遣として働いている労働者が職を失わず、直接雇用に移行できるような経過措置を設けることを提案いたします。

 未来ある若者が、懸命に働きながら、突然仕事も住居も奪われ、ホームレスに突き落とされる、こんな社会は根本から変えなければなりません。日本から使い捨て自由の、首切り自由の労働はなくす、人間を人間として大切にする経済社会をつくるために力を尽くすことを表明して、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて志位和夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は朝から、野党の民主党の皆さん、あるいはただいまの共産党の皆さん、非常に白熱した熱心な御論議が行われております。雇用の問題にいたしましても、年金の問題にいたしましても、また道路特定財源の使い方にいたしましても、やはり与野党がおのおのの考えを出し合ってしっかり選択をしていただくということは、本当に一日も早い解散・総選挙が望まれる今日にあっては、非常に重要なことと思います。

 そして、その一方、恐らくこの時代、この場に身を置く政治家として、与野党を超えてあえて言わせていただければ、今決断をせねばならない大事な問題があると思いますので、私は、本日は冒頭、そうした問題を麻生総理にお伺いいたします。

 麻生総理はせんだって、本当に短い時間の間でもダボス会議に御出席なさいまして、金融危機の問題を初めとして、現下の世界経済のさまざまな問題、あるいは雇用の問題も同じように大変でどこの国でも見通しが暗いという中にあって、いろいろな御意見の表明をなさいました。

 同時に、南米の諸国を中心に反ダボス会議というものも開かれておりまして、グローバル化した経済の中では必ずしも先進諸国の役割のみでは事が運ばないということも時代の反映でありますが、しかし、その分、とりわけ先進諸国が率先して責任を果たさねばならないのが環境分野の問題だと思います。

 環境分野については、究極の目標が、産業革命からの温度上昇を二度以内に抑える。そして、二〇五〇年、これは実は安倍元総理大臣が、クールアース50ということで、二〇五〇年には半減をしましょうということを打ち出されて、その具体的なプロセスはまだ明示されないうちにおやめになり、そして、福田総理も、とりあえず二〇二〇年までに全世界で排出されている二酸化炭素を頭打ちにしようということをお述べになり、おやめになりました。

 ここで、麻生総理には、ぜひその次のステップを、いわば京都議定書を出した我が国が世界の環境問題で真にリーダーシップを発揮するためには、二〇二〇年に本当に世界が頭打ちになるために、先進国、なかんずく日本がリーダーシップをとって、どのような明確な数値目標を持って、また実行のプログラムを組んでこの地球温暖化に対峙していくかということが問われている。それがダボス会議でもあったんだと思います。

 私がその後の報告をいろいろ読む中で、実は、ダボス会議に行かれる前に斉藤環境大臣は、このダボス会議の場で二〇二〇年に日本の削減は少なくとも二五%くらいやらねばいけないのではないかということをメディアでも発表され、それが次の、ことしはコペンハーゲンで環境会議が行われますが、そのときの布石になるであろうという、やはり日本がこれから本当にリーダーシップを持って世界を生きていくための斉藤大臣の御発言であったと思います。

 さて、斉藤大臣、ダボス会議に出られて大臣のお考えはどのように表明されたでしょうか、お願いします。

斉藤国務大臣 その御質問にお答えする前に、私のダボス会議に出席する前の記者会見の発言ですが、正確には、先ほどございました、二度C以内に抑える、そのためには二〇五〇年までに地球全体の二酸化炭素排出量を半分にしなくてはならない、そのためには先進国は二〇五〇年の段階で六〇%から八〇%減らしましょう、これはG8で確認されたことです。日本の閣議でも決められたことです。そして、そのためには、二〇二〇年の中期目標について、科学者の集まりであるIPCCは、先進国全体で二五ないし四〇%の削減が必要であると。この科学者の提言を受けて、我々先進国全体としてはこの科学者の要請にこたえなくてはいけない。その中で、先進国全体がどのように責任を分担するかについてはこれからじっくり考え込んで議論していかなきゃいけないし、その議論をまさにダボスでやってきたい、このように発言をしたものが、非常に短くなってそのような報道になったわけでございます。

 私は、ダボスにおきまして、この科学者の要請にこたえた野心的な目標を、先進国として中期目標として出さなくてはならないのではないか、このように発言をしてまいりました。

 二つの側面がございます。この科学の要請にこたえて現実に温度上昇を抑えること、その科学の要請という側面と、それを実現するためには、アメリカ、中国、インドという主要排出国が入る、実際に参加する枠組みをつくらなくてはいけない。今、この中国、インド、アメリカが入っていないわけでございます。この二つの要素をどう一つの傘の中に入れておいて、世界の枠組みとしてつくっていくかという要請が必要です。科学の要請は大事である。

 中国、インドはどう言っているかといいますと、先進国がこの科学の要請を踏まえた野心的な目標を出さなければおれたちは入らないと言っている。しかし、アメリカはどう言っているかというと、アメリカの中にも二つございまして、オバマさんは私たちは入ると言っていますけれども、中国、インドが動かなければアメリカは動かないと議会は言っている。

 こういう状況の中でどう枠組みをつくっていくか。科学の要請を踏まえて、そして、中国、インド、アメリカという主要排出国を入れ込んだ枠組みをつくるために、日本もリーダーシップをこれから発揮していく、このように発言をしてきたところでございます。

阿部(知)委員 苦悩のハムレットみたいな御発言でありましたが、しかし、まさに科学的に真実とされたことを政治がどのような合意形成プロセスをつくっていくか、これは今までの政治にはなかなかないテーマなんだと思います。

 そこで、麻生総理は、悲観論は気分、楽観論は意思というふうに二回も、代表質問の答弁でもおっしゃいましたし、ダボスでもおっしゃっておられました。こここそ政治はどういう意思を示すかということを明確にしないと、実はこれまでの調整型政治ではなかなか打開できない。お互いの利害があり、何とかがあり、あっちがあり、こっちがありで、ちょうどきのうが節分でございましたが、この間、国民のだれもが、やはり地球は何かおかしいよね、暖かくなっているんじゃないと。そして、殊のほか、この日本は美しい自然と本当の意味で自然を大切にする国民性を持っているからこそ、京都議定書と名のつく議定書もでき、そして、これからの、いわゆるもったいないという言葉だって何だって、日本が感性の中から編み出した非常に重要な世界へのメッセージなんだと私は思うんです。

 そこで、麻生総理、意思としての、やはりあの場で六月に何か合意をとりながらという発言ではなくて、明確に日本がリーダーシップをとっていく。こっちにアメリカがいて、インドがいて、中国がいてと、それは事実です。しかし、その中でも、アメリカもチェンジ、変わってきています。日本の環境問題における役割は、私は非常に重要と思います。

 恐縮ですが、短く御決意のほどお願いします。

麻生内閣総理大臣 京都議定書からスタートしていますが、京都議定書がカバーできたのは三〇%、基本的には実効性は上がらなかった、したがって、歴史的にはこれは失敗だったと言う人もいる。その反省の上に立って、我々はどうするかということを考えなければならぬ。

 今回の場合は、中国、インド、アメリカというものが入らない限りは実効性は上がらない。それをどうするかといえば、これは、政治は意思でありますと同時に、現実も対応しなければならぬというのが我々の置かれている立場です。

 したがって、五〇%、三〇%といろいろな人が勝手なことを言っていますけれども、それの裏づけになる科学的根拠を見せてくださいということに関しては、どなたも明確なものをお持ちの方はいらっしゃらぬという状況で、何となくどんどん数字だけ上げていけばいいというものでは、現実としてはいかがなものか。したがって、我々は、科学的、経済的、エネルギーの上から、みんないろいろなことを考えた上で、有識者も集めた場で、オープンな場できちんとした話をさせていただきたいと。

 我々としては、数値目標というもの、きちんとしたそういうような裏づけたものをぜひ六月までに出したいんだという話をセッションで、いろいろ各国、アル・ゴアだブレアだ、みんないましたけれども、そういったところでみんなで話をして、初めて数値を出したのは日本だけですから、その意味では非常に大きな賛同を得たというところまでであります。

 それが、あなたのおっしゃる意思という意味なのかどうかはちょっと定かではありませんが。

阿部(知)委員 麻生総理は、今、数値をころころ述べただけではと言いますが、ころころではなくて、数値を明確に述べることが環境政策なんですね。これが今までとは違うことなんです。

 それに向けて数値目標設定のない政策は、逆に実効性を持たないんです。はっきり言えば、苦しくてもみんなで我慢するんです。それでなおかつ、私たちの社会が本当に私たちが生きていくための環境をつくってくれるということなんだと思います。麻生総理は、前段に、日本は石油危機からも脱却したと述べられました。だからこそ日本はそうした提言ができるという重要なポジションをぜひお忘れにならずに、リーダーシップを発揮していただきたい。

 もう一つリーダーシップを発揮していただきたい問題が、中東の問題でございます。

 ここに示した写真は、これは一月十七、十八日にイスラエルとハマスがおのおの停戦を、これは合意したというよりは、停戦状態をつくり出した後、日本のNGOがガザに入って撮ってきた写真をインターネットで送っていただいたわけです。画質が粗いので、何の写真ですかと聞かれますが、これはガザにある赤新月社という病院の写真であります。病院もゴーストタウンのようになっている。

 実は、イスラエルによるパレスチナ攻撃は病院や学校やモスクなどを標的にしたということで、国連では、一月の十二日、人権委員会で調査団を出すことが決定されております。私は、ここで日本が果たすべき役割は、あらゆる非人道的な殺りくは許さないという意味で、ここで何があったのかをきちんと調べる、その調査団のいわば実を上げることだと思います。

 もちろん、この間、国連でもイスラエルの非難が随分あちこちで言われていますが、同時に、例えばハマスが人々を人間の盾のようにして使わなかったかどうかということだって、極論かもしれませんが、あり得るんです。戦争は常にそうやって弱い者の犠牲の上に成り立っています。

 今、このイスラエルによる攻撃が、白燐弾を使い、白燐弾は御存じですよね、昔でいえば焼夷弾なんかのたぐいで、空から降ってくるけれども、人の肌を焼いて、まあ、焼き尽くすような兵器です。一九八〇年のジュネーブ条約でもこれは使ってはならないとされているものを、少なくとも二十発は使っただろうと言われています。イラクでも使われ、さきのイスラエルのレバノン攻撃でも使われました。今、世界はしっかりと、本当に、人道への罪は何かということを明らかにして、調査して、繰り返させない意思がここでも必要になります。

 私は、きょうは実はここに子供たちの悲惨な図を提示しようかと思いましたが、余りに悲惨で、ちょっとためらいました、画像ですので。そこで、総理に、ここにアラブ諸国の大使夫人がつくった写真がありますので、委員長の許可を得てお手渡ししておきますので、しっかりごらんになって、こんな殺りくが二度と行われないように、私は、日本が調査団の中で、本当にフェアで、公平で、公正で、人道の立場から成る調査を行う中の重要な役割をしていただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今般のイスラエルによりますガザ地区の攻撃で、子供や、今写真もいただいておりますけれども、民間の方々が大勢被害に遭っている、犠牲になっているということは本当に遺憾なことでありまして、大変心を痛めております。

 私としても、当初から、関係者に対しまして再三、自制とそれから停戦をするようにということで、累次にわたりまして大臣談話を出したり、あるいはイスラエルのリブニ外相に電話を行いまして、働きかけを行ってまいりました。

 日本がリーダーシップを発揮するということは大変大事なことでありますし、ことしは国連の安保理の非常任理事国にもなったということで、できれば今すぐにでも飛んでいきたいようなところなんですが、もちろん予算委員会ということでそれはかないません。そういう意味では、今お話ありました事実調査団、これの派遣を初めといたしまして、国連機関がいろいろな取り組みをやっておりますので、日本としてもできるだけの役割を果たしていきたい、そういうふうに思っております。

 三月の二日には、ガザ復興支援国際会議もエジプトが主催で開かれるわけで、できればこういうものにも出させていただきたいなと。いつも電話会談、電話会談ばかりで、その場に外務大臣がいられない。この間も国連でイスラエルとガザの決議の協議があって、ライス国務長官やミリバンド外務大臣が出ていますが、日本の顔がそこで見せられないというのは大変残念なことでありまして、こういう機会、国会のまた御理解をいただければ、そういうふうに思います。

 なお、白燐弾につきましては、今イスラエル政府が使用の適否について調査を行っておりますが、これは何といいましても、兵器の種類にかかわらず、あれだけ大勢の人たちが本当に悲惨なやけどをしているわけでありますから、極めて遺憾に思いますし、引き続いて、こういうものの使用をやめるように、そして永続的な停戦になるように、我々は働きかけをしていきたいと思っております。

阿部(知)委員 地雷にしても劣化ウラン弾にしても、極めて非人道的兵器ですし、あわせて、今、中曽根大臣がおっしゃったように、この白燐弾も、皮膚につけば本当にいつまでも燃え続けます。私は、イラクで白燐弾の被害に遭った方の写真も拝見したことがありますし、こうした事態は日本がとめねば本当にとまらないと思います。

 大臣がみずから行ってみたいというふうに言っていただいたということを心にとめておきますので、ぜひ日本が、このようなことを繰り返させないために、国際的役割を果たしていただきたいと思います。

 引き続いて、きょうのテーマである子供の貧困問題についてお尋ねをさせていただきます。

 昨日ですか、ちょうど公明党の坂口元厚生労働大臣が、今、日本の社会でも極めて貧困という問題、格差だけではなくて、例えば、格差をあらわすジニ係数というのと、相対的貧困率といって、全世帯の平均所得の半分にしかいかない世帯がふえているということを詳しく御明示くださいました。大変にいい質問でありました。私は、それが同時に子供たちに起こっていることを、きょうぜひ、ここに御参集の与党の皆さんにも本当にわかっていただきたいと思うんです。

 ここにお示しいたしましたものは、OECDという、世界各国のいろいろな統計をとっておりますところがしました貧困率の国際比較でございます。

 きのう、麻生総理は、相対的貧困率って、僕、よくわからないんだよねとおっしゃいましたが、今もう一度御説明しました。世帯の所得の平均の半分しかいかない、例えば二〇〇二年でございましたら、世帯所得平均は五百八十九万くらい、その半分ですから、二百九十万とかの、以下の世帯に暮らす子供です。もちろん、一人親世帯とか、その世帯の人数によって貧困のとり方は違ってまいりますが、簡単な概念を言えば、平均的なお暮らしの、その半分にも満たない所得でお暮らしの方です。

 それが、何と日本の場合は、これは二〇〇〇年段階のデータですが、日本より先進諸国で目立って上にあるのはイギリスとアメリカ。メキシコ等々もございますが、あとは北欧諸国はぐっと低くなり、赤い線が中央値ですから、日本は平均よりも上に、子供たちは貧しい家庭に育っているという数値でございます。

 なお、委員の皆さんのお手元には、この間、一九八四年から今日に至るまで、貧困率の推移をお示ししたものを添えてございます。一九八四年段階では約一〇%。要するに、そうした貧困な家庭に生まれる子供は、子供全体の中の一〇%でした。今はこれが一五%と、九〇年代以降急速に上がっております。このことをお示しするグラフを一枚つけ、そして、これが二〇〇〇年段階だということで見ていただきたい。

 ちなみに、これで日本より上にあるイギリスやアメリカは、おのおのこれを見て対策を急がせました。ブレア首相、あるいはアメリカにおいてすらです。対策を急がせたというもとになるデータでございます。

 そして、これだけお話ししましたので、総理には、子供の貧困という問題は一体どういう問題であるのかということについて少しく御理解をいただけたと思いますが、さて、政治の中で何をしていくべきかということでお考えを伺います。総理にお願いします。

麻生内閣総理大臣 この子供の貧困率のデータの詳細については、ちょっと正直承知をしていないんですが、生まれ育ったとか、そういった環境によって次の世代を担う子供の将来が大きく左右されるということになることはあっちゃならぬのではないか、これが基本だと思っております。

 そういった意味で、児童手当とか保育サービスとか、いろいろなものが今、日本でもいろいろ言われておりますのは御存じのとおりであって、この二次補正予算においてもいろいろさせていただいている、妊産婦健診もそのうちの一つでしょうし、子育て応援支援というのもその一つなんだと私どもは思っております。

 いずれにしても、出産の一時金を引き上げるなど、いろいろなことをさせていただいているんだと思いますが、今後ともこういった体制の整備というものをさらに進めていかなければならないんだという感じがいたしております。

阿部(知)委員 実は日本は、きのうも坂口大臣がおっしゃっていましたが、当初得た収入の後、税や保険料を納めると、さらに子供を持っている家庭は相対的に貧困になっていく、子供を持ったら家庭が貧しくなっていくという国なのであります。

 それをお示ししたのが、このちょっとややこしい、皆さんのお手元にあるグラフで見ていただければと思いますが、六枚目、皆さんが六だと指摘していただいて、総理も六をごらんになっていただけますか。

 総理には、この中ほどに日本というのがあって、右側が所得再分配後、最初が、何もない最初の収入です。所得再分配後、すなわち税や保険料を払った後に、子持ち家族が、簡単に言えば貧しくなっちゃう、そんな国はただ日本だけであります。世界に各国ある中で、要は、税を取ったり保険料を取ったりした後の方が貧しいというのは日本だけであるわけです。

 財務大臣、やはりこれこそ私は、日本が子育て支援とか何だかんだいっても、支援にも何にも実は結果的にはなっていないんじゃないのということなんだと思います。この点は、どうでしょう、この図をごらんになって、中川大臣、これは質問予告してありませんが、ちょっとお考えをお聞かせください。

中川国務大臣 先ほど阿部委員もおっしゃいましたが、昨日、坂口委員の御議論というかお話を伺っていて、やはり、多分同じような御趣旨の中の子供の部分だろうというふうに思います。

 日本だけがなぜ逆になっているんだろうというのは、きのうも、私も本当に初めて聞いて、間違いを恐れずにという前提でお話をいたしましたけれども、再配分前と再配分後が逆になっているということは、つまり、税なり社会保障なりというのはある意味では所得の再配分機能があるわけでございます。累進税なんというのは典型的にそうでございますし、例えば消費税でも、それを全額社会保障に充てれば、これはやはり再配分機能というものも出てくるわけでございます。本来、税というのは、単なる国家が国民や企業からいただいて使わせていただくというだけではなくて、所得、富等々の再配分機能も重要な役割だろう。たしか学生時代の経済学か何かの講義でも習った記憶がございます。

 したがいまして、これが逆になっているということは、再配分機能がひょっとしたら機能していない、あるいは、むしろ逆の機能になっているとすら思えるというふうに、今阿部委員のお話も、この図も拝見しながら思っているところでございます。

阿部(知)委員 きのう坂口元厚生労働大臣も御指摘でしたが、一般に、消費税だけではなくて、所得に累進度をかけるとか、あるいは高過ぎる保険料を何とかするとか、そういうことにおいても再配分は可能ですから、ぜひ、今与党の皆さんは消費税論議ばかり御熱心ですけれども、私は、まず前提として、きょうお示しするような、これは国民健康保険の保険料のお話です。

 皆さんは御記憶におありでしょうか。資料の五枚目につけてございますが、健康保険証を持たない子供が三万三千人出たという報道が去年の秋にございました。それは大変だ、子供は熱も出すし、脱水にもなるし、ぜんそくにもなるし、病院に行けないじゃないかと。これは与野党の迅速な合意形成を得て、とりあえず保険証を取り上げるなんてむごいことはやめようと、当然ですけれども。かわりに、一番下にある、短期保険証というのを出しましょうと。

 一年は期間がないけれども、三カ月とか六カ月は子供だけは使えるよというふうになったわけですが、私は、実はこれは根本解決じゃないと思うんですね。なぜその世帯が、親御さんたちが保険料を払えないのか、そこを手当てしない限り、結局は、例えばお父さん、お母さんが御病気かもしれないし、この間のリストラで職を失って大変かもしれないし、その家庭丸ごと何とかしなければ、そこではぐくまれる子供が幸せになれるはずがないからです。

 そこで、この図をお示しいたしましたが、これは一番上段は、国民健康保険の納付率の滞納状況です。最後にかくんと二〇〇八年に上がっているのは、実はこの年には後期高齢者を国民健康保険からたたき出しました。後期高齢者はよそに行ってくれ、そして残った人たちだけで納付率を見ようとしたところが、滞納率が高くなってしまったんですね。

 どういうことかというと、若い世代ほど滞納しておられるわけです。払えないという中で、滞納率は上がる、資格証明書はふえる、短期証明書も微増ながらふえる。すなわち、無保険状態が結果的には広がっていると言わざるを得ないです。

 舛添大臣に伺いますが、大体、国民健康保険では、子供が生まれてくると、生まれてうれしいんだけれども、今度は国民健康保険の保険料が頭割り、人数割りで上がるわけですね。子供は収入もないのに、働けないのに、負担は世帯にとって上がるわけです。それで果たして本当に子供を育てることに優しい社会と言えるでしょうか。

 私は、せめて十八歳未満の保険料は国が補てんしたって、大臣は、とりわけ国民健康保険をどう維持するかに熱心です、本当に心からそう思っておられると思います。だけれども、このままでは若い世帯の滞納ばかりふえて、その中には子供がいるんですね。子供だけ何とかしたってどうにもならないです。ぜひ、子育ての世帯の中にいる子供の均等割、頭割りの保険料については国がしかるべく対応する、そうしたお考えをとっていただけまいか、お尋ねいたします。

舛添国務大臣 フィフティー・フィフティーというか、おおむね五〇%の公費負担をとることによってこの保険制度を維持しております。

 今、子供の貧困ということから説き起こされて、そういう御提案をなさいましたけれども、ほかの保険制度との比較、それから今の財政状況を見て、これはどうするか慎重にやはり検討を進めていかないといけないというように思います。

 ただ、基本的には、セーフティーネットを張りめぐらす、そのときに、世代について、例えば高齢者世代と若い世代で公平ということをどう担保するかということをしっかり考えながらやらないといけないと思いますし、ある意味でセーフティーネットを張りめぐらすことが社会に安心を与え、それが活力につながる、そしていろいろな問題点を解決する、そういう認識を持ちながら今の点も検討させていただきたいと思います。

阿部(知)委員 ぜひ前向きに検討していただきたい。

 きのうも自民党の議員の皆さんから、後期高齢者の皆さんの保険料をいっそのことゼロにしたらと大胆な御発言で、私は、年金も本当に少ない額の中、保険料を負担したら生活保護以下の暮らしになるという人が多いわけですから、それももちろん検討していただきたいが、とりわけ子供は所得はゼロなんです。子供を働かせたら、これは児童虐待になるわけです。子供はみずから保険料は納められない。家庭の中で子供がふえたら、一人頭二万円平均の保険料を毎年、年間、ふえちゃうんです。

 ぜひ大臣は、今子供たちが大事、本当にこの国の未来ですから、そこの観点に立って、あらゆる知恵、中川財務大臣にも先ほど申し上げました、逆機能しているんだから、ちゃんと社会保障をやってくれということで。私としたら、こちらで若干消費税のお話がございましたが、道路特定財源はたしか医療とか教育とか子供に使うというお話も福田元総理はしておられましたので、そういう部分にしっかりとお使いいただければ、消費税問題はまた別途論議をさせていただけるものと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次々に、ちょっとわかりにくいグラフで恐縮ですが、では、子供の貧困、子供の貧困といっても、一体どの年齢層を抱える御家庭が貧困になっているんだろう、一体子供の年齢が幾つぐらいのところが厳しいんだろうということで分析したのが、この図でございます。年齢分けは、ゼロから二歳、三から五歳、六から八歳と、二歳刻みでやってございます。

 そして、実は一九九八年と二〇〇四年というのを比べてみますと、何とゼロから二歳をお抱えの家庭、すなわちゼロから二歳児の子供の家庭の貧困はどんどん上がっているんです。そして、もう一つピークがありますが、十二歳から十四歳です。

 きのうも、与党の質問、小野寺さんだったと思いますが、高校のお金が何ともならなくて中退されたと。本当に悲しい、花の、社会に出ようとする、つぼみのうちにそんな悲しい思いをさせたということを、私もせつなく思って聞きました。

 この図で私が特に着目したいのは、ゼロから二歳の子供たちの家庭の貧困度がどんどん増しているということであります。一八%近くでございます。これは、実は阿部彩さんという学者のデータをきょうお借りすることができて、こういうデータは今まで日本の中にないですから、私は、政策はやはりターゲットを決めてやらないと、それこそ、よいものでもばらまきと言われてしまうから、どこを一番今サポートすればいいのかという問題としてこれを提案させていただきました。

 実は、文部科学省では、先立って、昨年の十一月、こうした乳幼児期の子供の保育と教育についてという研究会をお開きでございます。塩谷文部科学大臣、問題意識のありかと、そして今後どのようにしていけば、子供たちは実は本当にこの社会に出てきてまだ初々しいできたてです。でも、そこからして貧困の中に置かれるという状況は、将来においても、例えば高校を中退しがちですし、いろいろな問題を起こしがちになるし、もうこれは経験の示すところです。教育にもかかわってきます。

 ちょうどたまたま文科省のいろいろな研究会を読んでおりまして、大変いい研究会をやっておられたので、ここで御披瀝いただきたいと思いますが、お願いします。

塩谷国務大臣 今の御指摘の文部科学省での検討会でございますが、今後の幼児教育の振興方策検討会ということで、多分、阿部委員が御指摘のお話というのは、その中で池本氏が発表された幼児教育の投資効果等についてのヒアリングだと思います。その中で、幼児教育の投資については、一つは、女性の就労の促進、貧困予防、教育の充実などさまざまな社会的効果があるということ、同時に、就学前教育や保育制度改革の期待として、保育料の負担軽減や幼児教育無償化等の公的投資の増額が必要であるという提言があったわけでございます。

 幼児教育については、やはり生涯人格形成の基礎を養う大変大事な時期でありますので、我が省としましても、こういった課題に対して、特に就学前教育の無償化等、貧困に対する検討をして、昨年の骨太の二〇〇八の中でも、歳出改革とあわせて就学前の無償化についても検討するということを明記しておりますので、今後とも幼児教育あるいは保育についての振興を努めてまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 私は、その幼児教育のところの無償化をお進めいただくことは大変に賛成でありますが、もう一歩踏み込んでいただきたいんです。

 問題は、保育のところなんですね。ここで示したゼロから二歳、今、幼児教育は三歳あたりからなるべく広く受けられるようにと、これは北欧諸国でも、フィンランドもデンマークもスウェーデンもそうですが、非常にそこに力を入れ、さらに踏み込んで、実は、今御指摘の貧困対策としても、あるいは女性の就労の率をもっと上げるためにも、そうしたものは当然、ある意味で投資効果があるわけです。それから、それ以上に、子供たちのよりよき生存のために役立つわけです。

 小渕少子化担当大臣、大変な中、お子さんをお育てで、一生懸命お仕事をしておられて、みんなやはり子育て中の女性は小渕さんを見ていると思うんです。あなたが、いろいろなお母さんたちから、特に乳幼児を抱えたお母さんたちから寄せられた意見の中で、今政治に生かしたいと思っている部分は何であるのか、教えてください。

衛藤委員長 時間が来ておりますので、簡潔に答弁してください。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 利用者の方々から保育所につきましてさまざまな御意見をちょうだいしておりますけれども、まず一番多いのが、希望者全員が保育所に入れるように保育所をしっかりふやしてほしいという話であります。また、保育料等の経済的負担を軽減してほしい。また、子供が病気になったときなどにも預けられるようにしてほしい。今、働く親がたくさんおりますので、そうしたニーズに合わせて柔軟なサービスをしてほしいなどのお話がございました。

阿部(知)委員 子供自身にターゲットを置いた政策をぜひよろしくお願いします。

 終わらせていただきます。

衛藤委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 国民がわかりやすい質問をいっぱいさせていただきたいというふうに思っております。

 毎年十月になりますと、こうやって三十ページか四十ページにわたって対日要望書というものが来るわけでありますね。この対日要望書には、金融や、そして医療や通信に至るまで日本に対して、規制緩和をこうすべきだとか、競争力はこうやるべきだとか、その透明性及び政府の慣行に関しては見直しを行うべきだとかと、事細かに出てくるわけです。

 外務大臣にお聞きをしたいんですけれども、アメリカ政府からこうやって要望書が来るわけですけれども、これは日本以外の国にもこういう要望書をアメリカ政府は出しているんでしょうか。

中曽根国務大臣 委員がおっしゃいました要望書というのは日米間の要望書だと思いますけれども、日米の規制改革及び競争政策イニシアチブ、そういうようなフォーラムのもとでこれが毎年、双方で要望書を交換しているわけであります。

 日本以外の国でどうかということでございますが、アメリカは、主要な貿易相手国との間では二国間の経済協議を行っておりまして、締結をされております自由貿易協定のもとで行われる協議など、形式は違うものの、内容的に類似する対話を行っているものと承知をしております。

 なお、すべて承知しているわけではありませんけれども、米国がこの日米間のような要望書の形で規制の改革、競争政策に関する対話を行っているかどうかというのは、はっきりわかりませんが、日本のみである、そういうふうに一応認識をしているところでございます。

下地委員 これは日本のみなんですよ、これだけ事細かに要望書を毎年出してきているのは。

 それで、総理に少しお聞かせいただきたいんですけれども、この対日要望書をもうやめさせるということをお考えになってみたらどうかと思うんですよ。

 私は、やめさせるというのを、四つのことを少し申し上げたいんです。

 この対日要望書の文書を、外務大臣もやられていますから、もうお読みになったと思うんですけれども、一つ一つの項目に、要望する、求める、含まれる、十分な方策をとる、確保する、重要である。まるで押しつけみたいに、一項目ごとに日本に対して、規制緩和をすべきだ、競争の原理にすべきだという要望書が来ているんですけれども、これは対等な外交関係と感じられない。この点が一点ありますね。

 それと、この要望書は一九九四年から出てきているんですけれども、一九九三年にクリントン政権ができて、クリントン政権は、双子の赤字、財政と貿易の赤字を解消しなければいけないという大きな政治課題を持つわけです。その中で、九四年からこの要望書を出し始めるわけです。そのときは、アメリカの貿易赤字の七〇%が日本でしたよ。しかし、今は、アメリカの貿易赤字の、うちはもう一〇%しかありません。三〇%が中国になって、もう日本がアメリカとの貿易において大幅な黒字を出しているという状況にもないということも二点目にはありますね。

 それと三点目には、今度、七十五兆円のアメリカの経済対策をやりましたけれども、そのうちの五十兆円が公共工事です。この五十兆円の公共工事の中では、バイ・アメリカン条項というのが今度成立をされそうになっていました。この公共工事で使う鉄鋼はアメリカの会社のものを使わなければいけない、これをセメントにもほかの産業にも拡大しようとしているわけです。アメリカはグローバル経済の中から脱して、内需拡大、国内投資、こういう方向にアメリカも変わってきているということが三点目にありますね。

 四点目には、オバマ政権はスタッフの大半がクリントン政権の方々が来ていますから、あの一九九四年の対日要望書をつくった方々がいますので、今のことをそのままほったらかしていると、また日本に対してどれだけの要望書を突きつけてくるかわからない。

 そういう意味でも、この要望書、対等なアメリカとの外交関係を築くという意味においても、もうその役割が終わったという意味においても、アメリカにこれをやめさせるというふうなことを総理がきちっとおっしゃると、私は、また景気にも大きく影響してプラス要因になるかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

麻生内閣総理大臣 これは全部知っておられた上で聞いておられるんだと思いますが、例のビザの更新なんか、あれはこっちから言ってひっくり返したものですからね。だから、これは一方的にこっちが要望を聞いただけじゃなくて、こちら側も言ったものも幾つかあるということだけはちょっと頭に入れておいていただかないと、いかにも全部が全部みたいな話を言われると、それはちょっと公平さを欠いておる、まずこれが一点です。

 二つ目は、今言われましたように、毎年、双方要望する、それは訳の仕方もあるでしょうけれども、こっちもいろいろなことを要望していますので、それは双方同じ、言葉の使い方の問題なのであって、それをお願いすると書くか要望すると書くかは、リクワイアだかディザイアか、そこの訳し方の問題だと思いますので、いかにも命令しているような感じでやっているわけではない。これは何回か言ったことがありますので、それが一つ。

 三つ目の、今のバイ・アメリカンの話というのは、この間のダボスの会議で、出られた二階先生、石破先生にその雰囲気を聞かれた方がより正確なお答えが出るんだと思いますが、間違いなく、おかしいじゃないか、今ドーハ・ラウンドをやっている真っ最中に何だこれはというのがほとんどの国の意見だったと伺っております。

 私どもにも同じようなことを、おりましたが、ダボスにはアメリカ側の代表者というのは、例の移行期でありますので、今そういったしかるべき人というのはいませんでしたので、我々、人のいないところでわんわん言うのもいかがかという感じがしましたけれども、それでも、アメリカ人というのは何人か来ておりましたので、それに対しては、基本的な、同じような、バイ・アメリカンの話は、アメリカ製の鉄鋼を買わない限りは橋はつくれないとか何とかかんとかいうような話は、これはちょっと今の時代のWTOには明らかに違反しているのではないか。全く同じような感じがいたします。

下地委員 総理がそういうふうにおっしゃっても、いろいろと情報を収集してくると、その方向に走っているんですよ。間違ったらもっときついことになる。アメリカの国内でできる車を買ったら減税して、外国の車両には減税しないんじゃないかという話も出てくるぐらい。

 今、みずからの金融危機を乗り越える、経済危機を乗り越えるためには、国内投資、総理もおっしゃっていますけれども、アメリカは内需拡大という言葉を、もっと現実的にやろうとしています。国際社会の中でグローバル化した経済を追い求めるブッシュ政権とは違うというような方向に、僕は走っているんじゃないかというふうに思います。

 それと、先ほど、お互い言っていますとおっしゃっていますけれども、やはりこれはアメリカから強い要望で変わってきていることが多いんじゃないでしょうか。

 アメリカは、対日要望書の最大の成果は郵政民営化だと言っているんですよ。郵政民営化、これは、見ていただきたいと思いますけれども、二〇〇四年のアメリカの対日要望書の文書を見ると、日本の総務省がつくったのかと思うぐらい、しっかりと郵政民営化について書いてありますよ。一項目ずつきれいに書いてありますよ。

 私は、そういう意味でも、郵政民営化というのは、日本人が望んだものじゃなくてアメリカ人が望んで、小泉総理がそれを受けて実現した、そういうふうな感じにしか感じられないぐらいの要望書だから、きょうはお話をさせていただいているんです。

 それで、最大の成果だと申し上げましたけれども、そろそろ二年半たってみて、郵政民営化も、さまざまな窓口でサービスに不合理な部分が出てきたり、これからお話ししますけれども、かんぽの宿の問題もあったりして、郵政民営化とは何だったのだろうか、本当に日本国民が望んだのか、それともこの対日要望書でアメリカが望んだのか、もう一回検証してみようという空気は国民の間にもいっぱい出てきましたよ。そして、各政党の中にもさまざまな検証をしてみる委員会はできていることだけは確かなんです。私は、だから、一回この郵政民営化という問題を検証してみる時期に来ているんじゃないかなと思うんです。

 私たち国民新党は、こういうふうに考えているんです。一つは、郵政三事業を再び国営にも郵政公社にもしようという考えは全く持っておりません。現在の株式会社でいいと考えています。一〇〇%持ち株を国が持っていただいて、特殊会社にして、公益性と公共性と利便性がしっかりできることで、官と民のベストミックスと言っているんです。これで国民に対してちゃんとサービスができれば、それでいいんじゃないかと。後戻りをしようと言っているわけじゃなくて、もう一度しっかりとした、国民にちゃんとサービスができる仕組みにした方がいいんじゃないかというのが国民新党の考え方なんですね。

 そういう意味でも、麻生総理が今度施政方針演説でも申し上げている、官から民へとか大きな政府から小さな政府へとか、そういうものだけではもう物事は成り立たないとはっきりおっしゃっているので、これと私は非常に相通ずるものがあるんではないかと思うんです。だから、麻生総理が言ったこの言葉は、小泉改革からの政策の転換と新聞は書いてありますけれども、私も勝手にそういうふうに解釈させていただきました。

 それで、これをもっと、小泉改革から麻生総理の改革に変わったんだよと言うには、二つのことをやったら一番いいんです。一つは、今言っている郵政民営化の修正をする。先ほど言ったように、後戻りはしなくていいですから、修正です。国民のために修正すると言っている。先ほど言った対日要望書を一番活用した小泉さんと決別するには、対日要望書をやめさせる。この二つを総理が決断をしたら、これはもう政策転換をはっきりやった、そういうふうに理解する国民が多いんではないか。言葉の端々で政策転換じゃなくて、この二つをやって政策転換をするというお気持ちはありませんか。

麻生内閣総理大臣 郵政民営化と、二つ言われました。

 民営化、これはもう平成十七年に国会でさんざんやって、いろいろ議論し尽くした話だと思っております。

 ただ、あれはたしか三年ごとの見直しだったかな、何とかいうのがついていると思いましたので、いろいろな意味で、大きな手術をやってみて、痛みが出れば、そこは痛みどめも打たないかぬだろうし、輸血しなきゃいかぬところは輸血もせないかぬ、当たり前の話なんであって、いろいろな意味で改善するというのは企業においては当然のことなんであって、企業の中においていろいろよりよいものに改善されていく、しかるべきものをやっていくのが民営化された会社の経営なんだと思っていますので、その経営能力が問われるということなんだと思っております。それがまず郵政民営化についてのお話なんです。

 もう一点は、アメリカの話をされましたけれども、このアメリカの話は、注意しておかぬと今度はこっちが向こうに言う窓口をなくしますので、これはちょっと注意しておかないかぬ。

 特に、今のアメリカの鉄鋼の話がこれだけ出てきたりなんかしていますと、アメリカばかりが日本の新聞によく載りますけれども、これは今、ことしに入ってというか去年の末ぐらいから関税を上げようとしているのは、ロシア、インド、いろいろ、少しずつ少しずつ上げようとしていますので、これを放置しておくと、かつての一九三〇年代のときと同じように、各国が関税障壁を引き上げたというのがあのとき非常に恐慌になっていく大きな理由ですから、そういった意味では、これはアメリカだけしか日本の新聞には出ませんけれども、ほかの国でも実はちょこちょこやっております。これは、我々は個別には言っておりますけれども。

 そういったようなところを含めて、これはWTOのドーハ・ラウンドをぜひ完成させようということを過日の、十一月のワシントンで言ったのも、ドーハ・ラウンドをやるということは、これ以上関税は、下がらないまでも上げないというための意識であれは言って、全員の賛成を得ておりますので、少なくともその方向で、なかなかみんな勝手に上げにくくなったということは、効果はそれなりにあったものだと思っております。

 この四月、どういった形でそれがフォローができているかというのはこれからの話ですが、今言われたように、アメリカのところは物すごくきつくなってきているというのは現実としてわからぬわけではありませんけれども、少なくとも、今の世界の自由貿易の流れの中においては、明らかに今の状況はいかがなものかという対応が、我々として率直な実感であります。

下地委員 この部分はこれ以上申し上げません。

 ただ、韓国とか中国とかインドとか、いろいろと大使館とも話をして聞いてみましたよ。しかし、これだけ事細かに、関税の話だけじゃなくて、規制緩和の話があなた方のところへ来ているのかと言ったら、来ていませんと言いました。個別交渉だと言っていますよ。まとまって、こうやってどんと置かれているというのは日本だけだと言っていましたね。

 私はそこは、もうこれ以上申し上げませんけれども、やはり対等な日米関係というのが、僕も外交の基軸は日米安保だと思いますよ、そういう私たちでさえもこれを見たらおかしいというふうに思っておりますから、それは、将来の日本の外交のあり方として、外務大臣にも総理にもお考えいただきたいと思います。

 それで、かんぽの宿についてちょっとこれから質問させていただきたいんですけれども、鳩山大臣が、一月九日の亀井久興幹事長の質問において、かんぽの宿の反対のことを申し上げて、四つのことを示しました。

 一つは、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずと申して、とにかく、規制改革・民間開放推進会議の議長でありますオリックスの宮内さんが強力に郵政を進めて、それでみずからのグループ企業で仕事をやるというのは、国民から、できレースではないかと思われることはよくないと一点申した。

 二点目には、百九億円という金額にも問題がありますねと申した。

 三点目には、オリックスに一括譲渡じゃなくて、地域で観光にも地域にも活用できるから、それをやった方がいいんじゃないかというふうなことも言っておられました。

 それともう一つは、私が認可しなければ会社の分割はできないのに、会社分割を含むような話が、少なくとも日本郵政から私に一遍の報告も話し合いも相談もない、大変おかしいんですよ、だから、おかしいものはおかしいと申し上げているわけですということも申している。

 この考えにはお変わりありませんか。

鳩山国務大臣 非常によく私の考えをまとめてしゃべっていただいて、ほとんど変わりはありません。

 きょうは入札についての議論が随分あって、一般競争入札というものといわゆる随契と、いろいろ幾つか、間があるようなことがありまして、結局、入札なのか、提案コンペみたいなものなのか、その辺が全くはっきりしない部分があるものですから、そうした点について、日本郵政株式会社には、これからももっと資料を出すように、場合によっては報告徴求という方法が、日本郵政株式会社法十五条によって、報告を出しなさい、あるいは立入検査しますよという権限が与えられておりますので、そうならないで問題が解決すればいいけれども、なかなか資料が出てまいりませんので、それは、総理もおっしゃるように、国民に疑念を持たれないような形にしなければなりませんから、報告は要求していこうと思っております。

下地委員 鳩山大臣、座る前にもう一言。これは白紙撤回とお考えになっていることでよろしいんですか。

鳩山国務大臣 私は、政治家としての正義感と良心に基づいて行動してきているつもりだと思うのです。

 やはり、疑問に思ったことは率直に表明しなければならない。それは李下に冠、瓜田にくつということだったと思うし、もちろん、自分の正義感と良心だけじゃだめですから、何人かいろいろ連絡をとってみますと、やはりさまざまな意見があって、何かどうもはっきりしない。例えば、三百億とか四百億という金額で買いたいと言っても、あなたのところはだめよといって追い払われたというような、そういううわさも出てくる。

 そうなってくると、これは一体入札なのかな、何なのかな、こういう思いがあっていろいろ申し上げておりますが、私は、日本郵政に対して、契約したものを白紙に戻せと、契約の解除というのかな、民法的にはわかりませんが、しろというふうに言ったことはありません。

 ただ、この問題を進めても、今のような状況であるならば、国民が理解できないような不透明な状況であるならば、会社分割という方法を私は認可しませんから、結果としてはその契約は履行されないということになるだろうと思います。

下地委員 これは結果的に白紙撤回ですね。もうサインをしないということを言っているわけですから。

 総理もその考えを御支持されますよね、もちろん。

麻生内閣総理大臣 このかんぽの宿の話につきましては、総務大臣が担当しておられますので、鳩山大臣に一任をしてあるところであります。

下地委員 鳩山大臣がそうおっしゃって、お任せするということなら、総理も同じ考えということになる。

 それで、きょうは西川社長に来ていただいておりますけれども、西川社長は一月の二十九日の記者会見で一時凍結とおっしゃっていますね。これは、鳩山大臣は、今はサインしないと言っているんですから、白紙撤回の方向ですけれども、政治家としてということもおっしゃっていますけれども、こうやって鳩山大臣は政治決断をなされております。西川社長は、一時凍結、違う考えをずっと貫き通すおつもりですか、それとも、総務大臣が決めたことについて従うというようなお考えなんでしょうか。

西川参考人 お答えいたします。

 これまでに総務大臣から御指摘をいただきました点につきまして、これを真摯に受けとめまして、まずは不動産の売却等に関しまして、我々の考え方を整理し直すために、弁護士、不動産鑑定士など外部の専門家の立場から御検討いただく委員会を設置することといたしております。

 このように原点に立ち戻って検討してまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、大臣の御認可をちょうだいできない以上、この件につきましては一歩も進めることはできないということでございます。この点については、私は十分理解しているつもりでございます。

 相手のある話でございますので、相手様ともよく話をしながら善処してまいりたいと考えております。

下地委員 西川社長の今の御答弁を聞いて、大臣もそういう考えで、大臣のお考えを大事にしなければいけないと。第三者委員会をつくられて、これはオリックスに売るべきだとやっても、大臣はもう納得しませんよ。大臣の考え方を代弁しますけれども、納得しませんよ。もし大臣がお考えを変えるようなことがあったら、大臣の政治生命にとっても大変だし、麻生内閣にとっても大変ですよ。

 今、明確に、これはゼロからおやりになるという考え方、やり直すという考え方は、オリックスという今の契約を見直して調整をするんじゃなくて、全く白紙になった状況からもう一回考えて、入札のあり方や仕組みをもう一回考えて大臣に報告する、そういうようなお考えを示した方がいいと思いますけれども、いかがですか。

西川参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、原点に立ち戻ってということを申しました。これにつきましては、ゼロから検討するということでございます。

下地委員 やはりこれはそのとおりがいいと思いますよ。

 私、李下に冠を正さずということを少し調べてきましたよ。そうしたら、いっぱい出てきますね。

 一つは、この売却ですけれども、一番わかりやすいのは、一万円の売却がありますね。鳥取の岩井簡易保険所の売却、一万円で売却して、レッドスロープ社が購入をして、半年後には社会福祉法人に六千万で売っていますね。これは納得できないですよ、だれも。

 もう一つあるんです、これと同じようなのが。二つ調べている。これは、沖縄の東風平レクセンターというところがあるんですけれども、これも千円で売却しました。そうしたら、その後、これは東急リバブルという会社が買ったわけですけれども、この東急リバブルは、沖縄の学園の理事長のところに三千五百万でどうですかと来て、ファクスを後で西川社長に見せますけれども、そのリバブルが一週間後には、競争相手ができたから四千八百万円にしてくれと言って、四千八百万で契約したんですよ、千円を。契約して、その資料を見ると千円だと見て、この理事長さんは朝から晩まで眠れないそうですよ。郵貯ももう解約して、保険も解約した。それぐらいの気持ちになりますよ、四千八百万では。これを見てもおかしいと思いますよ。

 また、メリルリンチという会社がアドバイザリー契約をしていますけれども、このメリルリンチは、ベーシック・キャピタル・マネジメントという会社をオリックス、メリルリンチ、みずほ銀行と一緒につくっていますよ。二百億円ずつ出して融資をして、日本じゅうで不動産の再生をする会社をつくっていますけれども、このメリルリンチ日本ファイナンスの株式会社は、アドバイザリー契約を受けているメリルリンチ日本証券の一〇〇%子会社ですね。これは情報が行くのは当たり前ですよ。

 それにまた、オリックスの大株主、二番目の株主であります日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社、これは百三十兆円の日本郵政の簡保機構から債券の管理業務の委託を受けて、これはマイナス九億八千万で受注をして、その当時は相当大胆な入札をして驚かれたわけです。この会社もオリックスの二番目の株主ですから、物すごく影響力があることだけは確かですね。これも少しいかがかなというふうに思います。

 また、かんぽの宿の会員というのは百万人いますよ。利用者は一千四百万人いますけれども、このデータというのは物すごい価値のあるデータですね。このデータを、オリックスにはオリックス生命といって同じ保険会社があるわけですけれども、ここにこの個人情報が流れないようにどこまで確認がとれているのか、そういうこともわからない。

 また、大臣、四十億から五十億赤字があるからこれは売却しなきゃいけないというふうに言っていますけれども、調べましたら、平成十五年には百十億赤字がありましたけれども、今はこの赤字規模はどんどん下がりまして、今三十億しかないんです。

 担当者を呼んで聞いたら、先生、あと二年あったらゼロまで持っていけますよ、ゼロまで持っていったら、二千四百億の土地建物は、ラフレさいたまと都内の土地だけでも百五十億、百六十億になります、それが赤字がないとわかったら、全部の不動産をやったら五百億を超えるんじゃないですか、こんなに順調に赤字を解消してきて価値を上げているのに、法律上もあと二年半残っている、何でこの段階で売らなければいけないのかわからない、赤字の段階で売らなければいけない理由があるんでしょうかと言うんですね。

 やはりこの辺のところが、今大臣が言ったように、李下に冠をというふうなことになろうかと思うんですね。

 西川社長は、全部こういう話をお知りになって、準備会社の社長のときからお知りになって、それでも了解してこういう経営判断をなされているんですか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 かんぽの宿の赤字が毎年四十億から五十億ということでございますが、これは、平成十五年度には施設全体で百八十億の赤字があったわけでございまして、十五年度から不採算施設の廃止を続けてまいって、三十四施設を廃止いたしました。さらに、フロント業務の非常勤化による人件費の削減でありますとか、あるいは競争契約の拡大等によります調達コストの削減、飲食部門の直営化の拡大、こういうことによりまして経営改善は図ってきたところでございます。

 その結果、十九年度では五十五億円の赤字ということになっておりまして、これにつきましてはさらなる経営改善を図っていく所存でございます。

 しかし、そう一気に、これはなかなか改善するものではございません。二年というのは少し乱暴な話かなという実感でございます。早く解消したいことには間違いございません。

下地委員 かんぽの宿は、加入者福祉施設というのは簡易保険の経営に入っておりましたから、この簡易保険に入ることで福祉施設を使えて、それで長寿になって、健康になって、それを目的として簡易保険に入るという一つの健康サービス事業でしたよ。日本郵政株式会社に行ったら、それはもう単独の事業で見なきゃいけないんですね。サービス事業から事業そのもので見なきゃいけなくなってくる。そうなってくると、かんぽの宿を何で日本郵政株式会社に移したかもわからないとみんな言っていますよ、本当は、保険事業から外したのを。

 それはおいておきまして、移したということにしても、あとは、そうなってきますと、サービスで経営をしているときと単体で利益を出さなければいけないときとは、経営方針は全く変わるべきだ。まず料金を見直しますね。そして、人事だとかさまざまなもののコスト削減を図る。営業体制も、今までは加入者のみを対象にしていたけれども、一般の人までふえるようにしますね。

 まだそれが弱いというんですよ、日本郵政株式会社の指揮で本当にこれをやりなさいというのが。あらゆるところに電話を入れて聞いてみても、料金の改定も行っていません、そうやって正社員を臨時職員にかえたということもそんなにありませんと返事が来るんですよ。そこまで努力をなされないで、価格が百九億円になるような今の段階でなぜお売りになるのかというのがわからないと言っているんですよ。

 大臣に、ここのところだけもう一度お願いします。

鳩山国務大臣 最初、簡易保険福祉事業団の持ち物だったのかと思いますが、それが郵政公社に移って、今度は日本郵政株式会社に移っているんだろうと、正確ではないかもしれませんが、私は思っております。

 いずれにいたしましても、やはり公的な宿泊施設、規制改革会議がこれはやめろと言ったわけですが、公的な施設ですから、値段を上げるわけにはいかない、簡保に入っていただいた方にできるだけ安く泊まっていただこうということでやってきた。今はもちろん加入者と一般と一緒ですが、私が泊まった日田のかんぽの宿は、一万三千八百円で泊まりました。だから、定額給付金に千八百円足せば泊まれるわけですけれども。

 それは別にして、非常に立派ですよ。だから、おっしゃるようにこれを営利事業として、あれだけの食事、あれだけの部屋、あのすばらしい温泉を使うならば、それは一泊二万円取っても泊まるんだろうと思いますね。

 だから、政策的にそういう簡保の契約者のためということで低く抑えてきたといういきさつがあって、だから赤字が出ている、だから資産価値がないんだと。要するに、利益を生まないから資産価値がないというような理由で売っ払う。だから、一万円で売ったのが六千万というのもそういうところからくるわけで、そういうことがあっては絶対いけない。

 つまり、減損処理、減損会計をしますね。しかし、買った人の使い方によって、二年間はそれは営業を継続するんでしょうけれども、その後は自由でしょう。だから、営利企業がこれでひとつ立派なホテルにしてもうけようと思って買う場合、そういうところに減損会計を適用して減損処理した簿価で売る、簿価よりも高かったからオリックスの価格は正当だなどというのは全く成り立たない理屈だと私は思っております。

下地委員 すばらしい。そのとおりだと思いますね。

 西川社長、大臣のお考えをしっかりと御理解いただいて、ゼロからの出発だと社長みずからおっしゃっているわけですから、国民にわかりやすいように、郵政事業というのは大事なことですから、私たちは政治家ですから人事に対しては触れませんけれども、もっと慎重にこの問題に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 もう時間がないので、もう一点だけ。(発言する者あり)もうよくないんです。沖縄の問題を一つやらなきゃいけないんです。

 総理大臣、一月に不発弾の爆発がありましたけれども、これはまだ解決していないんですよ。

 この不発弾の問題は、私たち、沖縄で多くの方々と話をさせていただくと、これは戦争の被害なんですよ。その当時、昭和二十年の三月から六月まで調べましたけれども、沖縄は異常な雨ですよ。異常な雨だということは、艦砲射撃で飛んでくる弾が雨の中で不発弾になるケースが多かったと言っているんですよね、おじいちゃんの話を聞くと。やはりこの不発弾がずっと残っている。

 こういう中で、この重機のオペレーターの方は、窓ガラスが割れて全部顔を傷つけて、今失明になるんじゃないかと言われておりますね。それでも、この時間までたっても、政府の対応が明確ではない。これはおかしいんじゃないですか。法律があるからとか制度があるとかということは、これは官僚が言うことですよ。政治はそこに、あのときの戦争はだれがやったのか、そして、あの被害は本当に今もって、六十年たっても残っているということを考えれば、私は、総理がしっかりとこの不発弾の問題に関しては、この補償問題に関して、これからの探査の問題に関してもきちんとやられるということを明確に今国民の前でおっしゃることが大事だと思いますね。

 中国の遺棄化学兵器に毎年二百億円出していますよ。何でこの不発弾の処理に関してこういうふうな、五割しか出さないとか補償がこうだとか、今、各工事現場でユンボで掘ることが怖いと言うんですよ、探査していないから。総理、ここを決断して、きちっと答弁してくださいよ。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる御趣旨はよく理解をさせていただいているところでございます。その件に触れまして、先日も知事がお見えをいただいて、総理のところにお伺いをいただきました。総理からの指示等々もございまして、今その点については真摯に受けとめさせていただいて検討をさせていただいておりますので、いましばらくお時間をいただきたいというふうに思っております。

麻生内閣総理大臣 これは、下地先生、沖縄の場合、あの地域から左というか西の方の部分は、特に今言われたような状況になっておる。もう間違いない。上陸のときもそうでしたから、そういった意味では、特に不発弾が多く今でも残っておりまして、これは極めて問題、はっきりいたしております。

 それで、磁気探査というのを、テレビを見ていられる方はなかなかわからないでしょうけれども、とにかく磁気で全部、地雷の起爆装置、発見装置みたいなものですけれども、そういったものをあらかじめ使っていろいろやるんですけれども、これがかなりの金がかかる等々もありまして、工事費が非常に高いものにつく。したがって、それをやらないなんということでいくと、途端に不発弾に当たってユンボ、ユンボというのはサイドダンプローダーみたいな機械のことですけれども、ああいったものがいきなり吹っ飛ぶというような話になっておる、それは事実であります。

 そういった意味で、こういったことは、歴史上の話とはいえ、六十年たってまだこういう状態が続いているというのは、まことに嘆かわしい状態だと思っております。したがって、今佐藤大臣からも答弁をさせましたけれども、少なくとも、国としてできることというのは一体何があるのか、ちょっとよく調査せいと。今までは、こうなっておりますと、時々時々しか出ないものですから、何となく、でも、必ず年に一度とか二度とか、多いときにはもっと出ますから、そういったようなことが続いている。それによって、今回の場合は失明という形になりつつあると聞いていますけれども、そういったような状況になっているのはどう考えても避けるというのは当然なんであって、そのための対策というのは真剣に検討すべきということを指示してあるところであります。

下地委員 前向きに結果を出していくという理解でいいですか。うなずいていますから、大丈夫です。

 最後になりますけれども、総理に少し資料を渡してありますけれども、沖縄振興策というのは一九七二年からやって今三十六年たっていますけれども、米軍基地も、二万五千ヘクタールあったものが二万三千ヘクタール。県民所得も、百九十八万が二百八万にしか、十万しか伸びていない。それで、失業率も七・四%ぐらいあります。そして観光客も、伸びていますけれども一人当たりの単価は下がっている。借金も五千億ぐらいある。

 内閣府の予算も、今度、佐藤大臣、二千四百億は史上最低の予算ですよ。国が八十八兆円の予算なのに、何でこんな沖縄の予算だけ二千四百億で一番少ないんですか。大臣、これはしっかりしないといかないですよ。ほかの予算を分捕ってきても沖縄に入れなきゃ。それぐらいの迫力がないと、この不発弾の問題と同じになりますよ。

 これは時間が過ぎましたから次の機会にやりますけれども、沖縄問題はもう一回やり直さなきゃいけない。今のやり方じゃだめ。私は、もうそろそろ、沖縄担当相といいますか沖縄相も、これはなくしてもいいと思いますね、総合事務局も。もう一回、沖縄の人が自由にできるような行政方法をつくった方が、三十六年たって自立できないのは、やり方に問題があるんです。もう一回やり直しをしなければいけない。改めてそのことに関しては質問させていただきます。

 きょうは終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて下地幹郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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