衆議院

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第10号 平成21年2月6日(金曜日)

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平成二十一年二月六日(金曜日)

    午前九時八分開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    猪口 邦子君

      臼井日出男君    小野寺五典君

      尾身 幸次君    近江屋信広君

      大野 功統君    鍵田忠兵衛君

      木村 隆秀君    岸田 文雄君

      北村 茂男君    近藤三津枝君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      中馬 弘毅君    土屋 正忠君

      仲村 正治君    西本 勝子君

      根本  匠君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    橋本  岳君

      深谷 隆司君    三原 朝彦君

      吉田六左エ門君    渡辺 博道君

      石関 貴史君    大島  敦君

      逢坂 誠二君    川内 博史君

      北神 圭朗君    仙谷 由人君

      田名部匡代君    筒井 信隆君

      中川 正春君    原口 一博君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    渡部 恒三君

      池坊 保子君    江田 康幸君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  甘利  明君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小渕 優子君

   総務副大臣        石崎  岳君

   財務副大臣        竹下  亘君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   会計検査院長職務代行

   検査官          西村 正紀君

   会計検査院事務総局次長  増田 峯明君

   会計検査院事務総局第五局長            真島 審一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  江澤 岸生君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          振角 秀行君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房臨時再就職等監視担当室長)    小林 廣之君

   政府参考人

   (内閣府官民人材交流センター審議官)       平山  眞君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      西原 政雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐々木豊成君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 大谷 泰夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 佐藤 正典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          横山 邦男君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月六日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     西本 勝子君

  大野 功統君     北村 茂男君

  小池百合子君     鍵田忠兵衛君

  坂本 剛二君     土屋 正忠君

  渡辺 博道君     近江屋信広君

  大島  敦君     原口 一博君

  仙谷 由人君     近藤 洋介君

  筒井 信隆君     吉良 州司君

  前原 誠司君     田名部匡代君

  渡部 恒三君     横光 克彦君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     保坂 展人君

  糸川 正晃君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     渡辺 博道君

  鍵田忠兵衛君     近藤三津枝君

  北村 茂男君     大野 功統君

  土屋 正忠君     橋本  岳君

  西本 勝子君     臼井日出男君

  吉良 州司君     筒井 信隆君

  近藤 洋介君     仙谷 由人君

  田名部匡代君     北神 圭朗君

  原口 一博君     大島  敦君

  横光 克彦君     渡部 恒三君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  保坂 展人君     重野 安正君

  下地 幹郎君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     猪口 邦子君

  橋本  岳君     坂本 剛二君

  北神 圭朗君     石関 貴史君

  重野 安正君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     小池百合子君

  石関 貴史君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  楠田 大蔵君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官江澤岸生君、内閣官房郵政民営化推進室長振角秀行君、内閣府大臣官房臨時再就職等監視担当室長小林廣之君、内閣府官民人材交流センター審議官平山眞君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長西原政雄君、総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、総務省情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、法務省刑事局長大野恒太郎君、外務省北米局長梅本和義君、財務省主計局長丹呉泰健君、財務省理財局長佐々木豊成君、国税庁次長岡本佳郎君、厚生労働省大臣官房長大谷泰夫君、農林水産省大臣官房長佐藤正典君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君、防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院長職務代行検査官西村正紀君、会計検査院事務総局次長増田峯明君、会計検査院事務総局第五局長真島審一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。

根本委員 おはようございます。自由民主党の根本匠です。

 私は、来年度の予算あるいは二次補正予算、非常にいい政策が含まれておりますので、現在の厳しい経済状況を踏まえながら、幾つかの論点について議論させていただきたいと思います。特に補正予算、定額給付金だけが補正予算ではありません。さまざまに、生活の安心、経済活性化のための予算が組み込まれておりますので、その辺を明らかにしながら議論させていただきたいと思います。

 まず、二十一年度予算、国民生活と日本経済を守る、生活防衛のための大胆な実行予算、これが二十一年度予算の特徴で、あるいは、三段ロケット、さまざまな重点、力点があると思いますが、中川財務大臣から、二十一年度予算のこれが重点だというところをお述べいただきたいと思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 今根本委員から、二十一年度の予算の重点は何かということでございますが、予算というのは、国が一年間歳出することを決める等々の大事な、毎年大事な御審議でございますけれども、本年度の予算はとりわけ私は大事だろうというふうに思っております。

 世界の経済金融情勢、いまだに欧米では金融機関が破綻をし続けているという状況。また、きょう、先ほど発表になりました一月の前半の貿易統計では、日本の輸出は昨年に比べてマイナス四六%、輸入はマイナス二六%ということで、貿易も激減をしているという状況でございます。これはあくまでも一月前半の二週間ぐらいの話でございますけれども。そういう状況の中で、何としても、日本の経済あるいは暮らし、雇用等々を少しでも、悪化している局面を上向き、そしてよくしていかなければならないということでございます。

 したがいまして、これは二十一年度の予算というよりも、昨年の、物価が急激に上昇しているという状況、あるいはその後の金融経済の状況等を考えたときに、緊急的に一次予算、二次予算そして補正予算、これをある意味では三段ロケットと総理はおっしゃっておりますけれども、緊急的に次々と対策をとらなければいけないという判断をさせていただいたところでございます。

 二次補正予算の方は成立をさせていただきました。次は、四月から間断なく二十一年度予算を発動していくということでございます。

 そういう観点で、とりわけ経済対策、国民生活を守るという観点、雇用対策あるいは医師・救急医療対策、出産支援、防災対策、あるいはまた、一般の予備費だけではなくて経済緊急対応予備費一兆円とか、異例の予算編成をして対応できるようにしながらやっていくということでございまして、いずれにしても、こういう状況でございますので、間断なく二十一年度予算が執行できるように御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。

根本委員 まさしく中川大臣のおっしゃられたとおりだと思います。

 要は、あらゆる政策を総動員する、そして、特に三段ロケット、切れ目なくやる、私はこれが大事だと思います。生活者支援や雇用対策、中小企業、地域活性化支援、そして日本の底力の発揮、成長戦略、あらゆる政策を総動員してやる、これが、今回の一次、二次、そして来年度予算の特徴だと私は思います。ですから、最大の景気対策はこの予算を早期に仕上げる、ぜひ早期に仕上げたいと思います。

 ただ、二段ロケットの二次補正、これは一月十三日に、補正予算、そしてその財源の裏づけとなる財源確保法案、これは衆議院で参議院に送りました。それで一月二十七日にようやく二次補正が成立した。しかしながら、財源確保法案、これは参議院でまだつるしがおりておりません。(発言する者あり)おりたよと。ようやくおりたようですね。今まで審議拒否、引き延ばしされていた。

 今、景気がどんどん悪化していますよ。このお配りの資料にもありますように、小規模企業動向、これは産業全体の業況DI、昨年十二月にはマイナス八〇台。しかも、昭和五十七年調査以来、最低を更新している。私は大変な状況にあると思います。

 これを踏まえて、これは舛添厚生労働大臣にお伺いしたいと思いますが、雇用対策も、一次補正、二次補正そして本予算と、一連の雇用対策を組んでおりますが、この特徴、考え方。そして、二次補正がずっと今成立、財源がおくれておりますが、このおくれた影響がどの程度あるのか、それをお尋ねいたします。

舛添国務大臣 委員御承知のように、アメリカの金融危機とこれに端を発した世界的な経済成長の鈍化ということで、昨年の八月に、まず、安心実現のための緊急総合対策を受けまして、平成二十年度第一次補正予算が成立する。そこにおいて、中小企業が休業、出向等により雇用の維持を図る場合に、賃金の五分の四を助成する、八割まで助成する中小企業緊急雇用安定助成金を創設いたしました。

 また、その後、さらに経済情勢が悪化いたしましたし、特に雇用失業情勢が急速に悪化したことから、昨年十月に生活対策をまとめ、また十二月には生活防衛のための緊急対策を取りまとめまして、これらを受けて、先般、第二次補正予算ということでございます。この中においては、都道府県において雇用確保のために四千億円の基金の創設、さらに離職者の訓練の強化、それから訓練期間中の生活保障給付の拡充、さらに、派遣先や派遣労働者を雇い入れた場合の助成措置などを盛り込んでおります。

 続いて、三段ロケット目の本予算、二十一年度の予算案では、雇用保険制度について、非正規労働者の適用基準の見直しによる六カ月以上の雇用見込みの方への適用拡大。今まで一年だったのを六カ月にする。さらに、契約更新がされなかった場合の受給資格要件を六カ月に緩和して、雇用保険によるセーフティーネットワークの条件の緩和をしておりまして、こういう一連の施策を雇用対策として盛り込んでおります。

 二番目に御質問ありました、財源確保法の成立がおくれるとどういう影響が出るかということでございますけれども、例えば、千五百億円を第二次補正予算で組んでいます緊急雇用創出事業、これは二十三年度までで十五万人の雇用の創出を見込んでおりますので、これは財源確保法が成立しないと執行ができないということでございます。この交付のおくれということは、十五万人の雇用創出を見込む地方公共団体における事業のおくれにつながって、雇用へさらに悪影響が出ると思われますので、参議院における早期の御審議、これは来週から始まるというふうに聞いておりますけれども、一日も早い成立をお願いしたいと思います。

根本委員 続いて、生活者支援の観点からお尋ねをしたいと思います。

 まさに、今、舛添厚労大臣がおっしゃられたように、二次補正の中心は生活対策なんですね。生活支援、これは定額給付金だけではありません。それ以外に、妊婦健診の無料化、これは無料の妊婦健診を五回から十四回まで引き上げる、これは七百九十億円、そして、子育て応援手当三万六千円、介護人材確保、介護報酬引き上げに伴う保険料の軽減対策、こういうものを盛り込んでいるんですね。

 二次補正が今おくれていますけれども、財源確保法案がおくれることによって、例えば妊婦健診も、大変大事な妊婦健診の無料化の回数の引き上げがありますが、どのような影響があるかお尋ねをいたします。

舛添国務大臣 今、年間百十四万人という数の赤ちゃんが生まれています。ということは、百十万人の妊婦の方々、これは、例えば今もう財源確保法等補正予算が成立していれば、すぐにでも妊婦健診は全部十四回面倒を見られるわけですから。やはり、これが一、二カ月とか三カ月ずれ込むということになると、妊娠して、今月からでも行けるお母さん、妊婦の方が行けないわけですから、お金の心配をしないといけない、これだけ経済情勢が悪いときに。これはやはり生活を支援したいという、私は、非常にこれに思いをかけてこの政策を実現したわけですから、ぜひやっていただきたい。

 それから、子育て応援特別手当、これは対象者が百七十万人の子供なんですね。ですから、それで百七十万のお子さんを持つ家庭への支給ができないわけです。だから、これは国民の皆さん、どこに行っても、この話をすると、早くやってください、待っていますよと、特に若い御夫婦なんて言われるんですね。ですから、一日も早く財源確保法の成立をお願いしたいと思います。

根本委員 私もそのとおりだと思いますよ。

 妊婦の方百十万人に影響する、そして子育て応援手当は百七十万人に影響する、そして雇用も、十五万人の雇用創出、これはすぐ動き出せるわけですね、財源確保法案が成立すれば。

 私は、これは審議拒否の政治コストは極めて高い。生活第一というのですから、本当にこれは審議をどんどん促進して、早く成立させるべきだと思いますよ。(発言する者あり)いろいろなやじが飛んでおりますが、次に移ります。

 地域活性化交付金についてお尋ねをしたいと思います。

 地域活性化交付金六千億、これは非常に使い勝手がいいんですね。例えば、私の地元の大玉村、人口八千六百人、ここに大体一億円強の地域活性化交付金が行くんですよ。ここは財政規模は三十二億円ですから、非常にこれはありがたい。こんなに使い勝手のいい交付金でありますが、今、プレミアムつき商品券の財源に充てたい、さまざまなアイデアが自治体から寄せられていると思いますが、その辺の具体的なアイデア、内容について、総務大臣にお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 地域活性化・生活対策臨時交付金六千億円は、私は二次補正の目玉の一つだと思っておりまして、これは、二千五百億円は都道府県に、三千五百億円は市町村に分配をする形になりますけれども、とりわけ財政力指数に注目をしてまいりますので、真に手を差し伸べるべきところに、より多くのお金が行くという仕組みに設計されております。

 しかも、根本先生おっしゃったとおり、極めて使い勝手がいいわけでございまして、例えば、学校の耐震化の話などよく出ます、あるいは障害者の福祉とか医療とかいろいろな話がよく出てまいりますが、これは、実はこの六千億を使ってそうしたこともやっていただける。もちろん雇用促進にもお使いいただけるということでございまして、とりわけ、定額給付金に絡んでプレミアム商品券を発行しようではないかという計画が、この間段階で百二十九団体ですが、もっと数がふえてきていると思うわけでございます。

 例えば、地方自治体が三億円なら三億円のプレミアムつき商品券を発行して、プレミアムが一割であれば三千万、二割というところもあるそうですし、何か、新聞報道によれば、六割、七割というプレミアムもあるというふうに聞いておりまして、そのプレミアム分というのが例えば三千万とか六千万という金額になれば、これは案外負担でございまして、市町村だけで負担できなくて、商工関係団体と二つに折半するとかいうようなところもあるかと思います。

 そういうところにこの六千億のお金を使っていただければ、より有効に定額給付金が消費に回るであろう、そう考えております。

根本委員 定額給付金と組み合わせて地域活性化交付金を使う、私はこれは非常にいいアイデアだと思うんですね。地域活性化交付金の六千億、これは、先ほど総務大臣もお話がありましたが、財政力指数の低いところ、有効求人倍率の低いところには厚目に行く、これは本当に疲弊した地方への応援として、私は非常に使い勝手のいいお金だと思います。

 それから、プレミアムつき商品券と、定額給付金は二兆円これから行くわけですが、これとうまく組み合わせて、定額給付金つき五千円パックとか、いろいろな組み合わせをしていただければ、これは私は非常に景気拡大効果が大きい。しかも、六千億の交付金は地方の発意、創意工夫を生かすということですから、それは道路整備に使ったっていいし河川改修に使ったっていい、耐震改修も、あるいはプレミアムつき商品券、さまざまな使い勝手がいいので、これはぜひ活用してもらいたいと思います。

 ただ、これも、財源確保法案を早く成立させないと、地方議会や行政も混乱する、地方が困るんですね。ですから、早く財源を通してほしいと思います。

 高速道路、これも休日千円でどこでも乗り放題ということになりました。例えば、これは観光地の活性化にもつながる。私の地元に、磐梯熱海温泉あるいは岳温泉というのがあります。土曜日は宿泊代が三千円高くなるんですね。仮に東京都心から岳温泉あるいは磐梯熱海温泉に土曜日に行こうとすると、今まで高速道路は六千円かかりましたよ、そして一万三千円の例えば宿泊費、一万九千円かかっていた。これが、高速道路が休日地方部は千円乗り放題ですから、都心部から二千円しかかからなくなりますから、実はトータルで、今まで宿泊費も合わせて一万九千円、これが一万五千円に下がる。これは、私は、地方の観光地は非常に期待をしておると思います。

 それから、第二次補正予算、私も非常に大事だと思うのは、資金繰りの保証。今までの実績が二十四万五千件、五兆五千億円のところまで来ているんですね、六兆円の枠でしたから。これも二次補正でまた三十兆円まで枠を広げる、こういうものも二次補正には入っております。

 それから、二次補正予算に入っているのは、事故米処理、善意の事業者に対する緊急支援。これも、この予算執行がおくれると、四百社の資金繰りに影響する。

 あるいは、農業。解雇された非正規社員、就職先として農業を希望する場合には就農支援千人の見込み、こういうものも実は第二次補正予算に組み込まれております。

 二次補正予算は、その意味では、本予算とあわせて、国民生活、地域経済に重要な政策を盛り込んでおります。

 これは二段ロケットなんですね。二段ロケットが、点火していても、今飛び出せないでいるわけですよ。早く飛び出してほしい。とにかく、民主党の小沢党首も昨年の年末には、補正予算を早く出せ、可及的速やかに出しなさい、出したら常識的な範囲できちんと結論を得るようにいたしますと言っていたんですから、我々は一月五日から今回の国会を開いているわけですから、しかも一月十三日に送っているわけですから、早くやりましょうよ。これが私は政治の責任だと思いますよ。

 しかも、常識がおかしくなっているのは、予算と入ってくる歳入は一体成立、これが原則ですよ。戦後、当たり前だ。歳入があって初めて歳出が行われる。これが去年、ガソリン税、議長裁定までほごにされて、四月から五月までガソリン税収が引き延ばされた。一カ月、生活は大混乱しましたよ。歳出歳入一体の原則というのは、これは政治の責任として守らなければいけない。

 私が何で第二次補正予算でこの財源確保法案の話を取り上げたかといえば、当たり前のように歳入法案が引き延ばされている、これは絶対におかしいんですね。今までこんなことはなかった。去年一回あった、それを当然のごとく今回の補正予算の財源確保法案でも引き延ばして良心の痛みを感じない、私はこれは政治家としていかがなものかと思います。

 とにかく、いろいろなやじが飛んでおりますが、やじが飛ぶんだったら、早く参議院でこの二次補正予算の財源確保法案を早期に成立させるように、夜なべをしてでもやってくださいよ、夜なべをしてでも。五時までしか審議をしないなんというのはとんでもない。夜なべをしてでも、私はぜひ民主党の皆様には協力を要請したいと思います。(発言する者あり)

衛藤委員長 諸君、静粛に。質疑が聞き取れませんので、静粛にお願いします。

根本委員 やじの前に、しっかりと成立させましょう。

 では、次に、公務員制度改革についてお伺いしたいと思います。

 これは甘利大臣と内閣法制局長官にお伺いいたします。

 政府は、去る二月三日に、今後の公務員制度改革の進め方に関する工程表を策定いたしました。公務員制度改革、これは麻生内閣にとって、また自由民主党にとって極めて重要な政策課題だと私は思います。その中で、甘利大臣、大臣は大胆な改革を内閣主導で推進しようとしておられます。私は大臣の強力なリーダーシップを高く評価しております。

 ただ、他方、連日報道されておりますが、人事院の谷総裁、この政府の方針を真っ向から否定しているんですね。しかも、テレビのワイドショーに出演して、一方的にみずからの主張を喧伝している。私は、マスコミを使って殊さらに対立を際立たせるようなやり方、これは大変残念だと思います。人事院には、今回の改革の本来の趣旨に立ち返って、冷静な制度論をする姿勢を持ってもらいたい、こう思っております。

 今回の改革に関しては重要な論点が幾つもあるんですが、きょうは時間の関係もありますから、内閣人事・行政管理局への人事院の一部機能の移管、中でも級別定数管理機能の移管、これについて取り上げたいと思います。

 私もかつて行政改革担当の副大臣をいたしました。そのときの議論を思い返してみますと、この改革の趣旨、これは内閣主導の理念のもとで戦略的な政策の企画立案、総合調整を行おう、そのためには戦略的な組織、人事配置を柔軟かつ迅速に実施する仕組みが必要だ、内閣がみずから責任を持って人事、組織管理の制度設計、運営を行えるような仕組みをつくろう、こういうことだったと思います。それが、どのような機能を内閣官房に集約するかという議論が今行われているということだと思います。

 その一つとして、論点がありますが、人事院が持つ級別定数の管理機能というのがあるんですね。この級別定数というのは非常に専門的でわかりにくい。一言で言えば、一つ一つのポストがその組織にとってどの程度の重さを持っているのか、これを人事院が決めていくということであります。これは民間では組織の管理運営事項として扱われて、経営者が実はこれは決めております。つまり、これは勤務条件ではないというのが実態なんですが、ところが、人事院はこれを勤務条件的なものとして今まで扱ってきたという、この実態が一方にあるんですね。ですから、この議論をすると、いつも勤務条件性ということが議論になります。

 実は、今行われている議論、これは私も国会に呼ばれて、人事院総裁と私と正反対の答弁をするものだから、随分言われましたよ、正反対だと。しかし、私が当時申し上げたのは、級別定数は勤務条件そのものではありません、しかし、今申し上げたような実態から見ると、基本権の制約がある現状の中では一定の配慮は必要だろう、ただしかし、それは、給与などは勤務条件そのものでありますから、そのものと同じでなければならないというものではない。

 級別定数を下位規範である人事院規則あるいは政令にゆだねる、どちらにゆだねるか、これはまさに立法政策の問題だと私は思います。政令で決めることにして、その際人事院に適切な関与を認めればいいではないか、その具体的なやり方の問題、これはいろいろありますが、少なくとも、内閣に移管すると直ちに憲法違反の疑いがある、これは人事院が言っているようなんですね。これは全くおかしいと思いますよ。

 今進めようとしている大きな改革を進めるには、国民の理解を得ることが私は不可欠だと思うんですね。ただ、人事院総裁が、内閣人事・行政管理局に級別定数管理を移管することが直ちに憲法違反になる、政府が憲法違反の法律をつくろうなどと誤解されたのでは、私は大変問題だと思いますので、この辺を明らかにしたいと思います。

 まず甘利大臣、それから法制局長官にお伺いしたいと思います。

 人事院の級別定数管理機能、これを移管しても直ちに憲法違反になることはないと私は考えますが、甘利大臣の御見解をお伺いいたします。

甘利国務大臣 根本先生には、今日まで国家公務員制度改革に関しまして多大なる御尽力をいただいてきましたことに、まずもって感謝を申し上げます。

 ただいまの御指摘の級別定数機能でありますが、これは組織管理と密接に関連をした人事管理に関する事項でありますが、勤務条件に関連する側面を有するものであると考えております。

 全農林警職法事件判決、これは昭和四十八年の四月二十五日にあったものでありますが、これでは、国家公務員の「労働基本権を制限するにあたつては、これに代わる相応の措置が講じられなければならない。」とされています。

 もっとも、この判決は、労働基本権制約の代償措置について、必ずしも現行の措置以外の措置を否定するものではなく、勤務条件に関連する側面に着目して、現在人事院が担っています級別定数機能を内閣官房に移管すること自体が直ちに憲法上許容されないわけではないものと考えております。

 いずれにいたしましても、今後、工程表に沿って、級別定数機能の移管について法制上の措置を講じていくに当たっては、労働基本権制約の代償措置の確保に十分配慮してまいりたいと考えております。

宮崎政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 級別定数につきましては、現在、一般職給与法第八条第一項におきまして、人事院は「職務の級の定数を設定し、又は改定することができる。」というふうに法律上規定されております。

 今、甘利大臣が御答弁されましたように、現在人事院が有しておりますこの級別定数を定める権能を、法律を改正することにより内閣官房に移管すること自体が直ちに憲法上許容されないということはないというふうに考えております。

 今後立案される法律案の審査に当たりまして、労働基本権制約の代償措置を確保する上で十分適切なものとなっているかどうかということにつきまして、よく説明を伺い、条文審査に当たってまいりたいと考えております。

根本委員 一つの論点についての明確な指針が与えられたと思います。

 甘利大臣には、百年ぶりと言われるこの大きな改革、ぜひともなし遂げていただくように、最後の最後まで頑張り抜いていただきたいと思います。

 それから、先ほどの繰り返しになりますが、第二次補正予算の財源特例法、これは、中小企業の皆さんあるいは地方からも、早く予算を執行してくれと、皆さんそうだと思いますが、私も要請を受けております。

 それからもう一つ、最後ですが、臨時交付金、道路の臨時交付金の減収補てん措置五百七十億円、この臨時交付金の特例法が今参議院に送られていて、これも実は成立していないんですね。そうすると、地方自治体の事業執行にガソリン税の四分の一が臨時交付金として流れていた、それが五百七十億円、今、減収していますから、これも事業執行が行われていない。

 私は、こういうことを冷静に考えて、今こんなに日に日に景気が悪化しているわけですから、私は、これを挙国一致で克服するというのが政治の責任であるということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて根本匠君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、環境、エネルギー、特に日本版グリーン・ニューディールと、地球温暖化対策及び少子化対策について質問をさせていただきます。

 世界は深刻な同時不況に見舞われて、日本経済も大変厳しい状況でございます。この経済危機を乗り越えるために、政府・与党は総額七十五兆円規模の経済対策を打ち出しているわけでございます。予算並びに関連法案の早期成立こそ最大の景気対策、経済対策であるということを強く申し上げておきたいと思います。

 総理は全治三年と言われておりますけれども、この期間は不況を乗り切ると同時に、新しい成長への力を蓄えて、国民の未来への希望をはぐくむ、新しい日本のスタートにしなければならないと思います。

 私どもの太田代表が、先日の本会議の代表質問で、日本を救う希望の戦略として、環境、社会保障、農業、社会資本整備、そして教育、この五分野の将来展望に言及いたしました。本日は、その中で、環境・エネルギー分野を取り上げたいと思います。

 世界各国が厳しい経済状況に直面している今こそ、環境・エネルギー対策を未来への投資ととらえて、新たな産業と雇用の創出につなげていくべきだと思います。グリーン・ニューディール政策を掲げるオバマ大統領の登場によって、いよいよ世界は低炭素競争時代に突入したわけでございます。

 斉藤環境大臣は、総理の指示を受けて、日本版グリーン・ニューディールともいうべき緑の社会の変革について三月までに取りまとめることとされていることは、大変時にかなったことだと考えます。

 我々公明党も、地球温暖化対策本部として、日本版ニューディール、「「グリーン産業革命」への提言」と題する申し入れを総理に行いました。その中では、環境産業活性化のため、三年間で十兆円規模の投資を行って、今後五年間で百兆円規模の市場を形成し、二百万人超の雇用創出を実現すること。そのためにも、政治主導で、太陽光発電など再生可能エネルギー、電気自動車など次世代自動車、省エネ住宅を初めとする、こういう環境の分野で大胆にグリーンシフトを断行すべきであるということを提唱したわけでございます。

 そこで、環境大臣に御質問をいたします。

 日本版グリーン・ニューディールは、単なる景気対策や雇用創出のものではなくて、環境・エネルギー産業を我が国の中長期的な経済発展の原動力に据えると同時に、世界最先端の低炭素社会の構築に道を開くものとすべきであると考えます。これを実現するためにも、三月末に取りまとめ予定の日本版グリーン・ニューディールにおいては、大胆で野心的なパッケージを打ち出すべきと考えますけれども、環境大臣のお考えをお伺いいたします。

斉藤国務大臣 先日、江田委員にもお越しいただきまして、緑の産業革命という提言をいただきました。そういう考え方にのっとって、私たちも日本版グリーン・ニューディールの案を三月末までに取りまとめようと今努力をしているところでございます。

 先ほど江田委員からお話がございました。今の経済が大変厳しい、厳しいからこそ環境を切り口にして雇用と需要を創出していくという側面、これは大変重要でございますが、この側面だけではありません。やはり、今の、非常に大きなことを言えば、文明論的な視点の中で、私たちの社会のあるべき姿は何かということを見据えて、経済対策、景気対策、雇用対策そのものが、私たちがあるべき社会の姿に向かって進んでいく、そういうものでなくてはならないと思っています。

 化石燃料はいずれ枯渇をいたします。これも、人類史的に見れば非常に短い時間単位の中で枯渇をしてしまいます。そういう中で人類がどう生きていくべきか、そして、その中で日本がどうあるべきかということを見据えたグリーン・ニューディール政策というものを取りまとめていきたいと考えております。

江田(康)委員 ぜひ、将来の経済発展の原動力に据えるという大目標のために、大胆で野心的なパッケージを期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。経済産業大臣、二階大臣にお聞きいたします。

 太陽光発電については、世界一の導入量の奪還を目指して、低炭素社会づくり行動計画でも、二〇二〇年に現在の十倍、三〇年に現在の四十倍、こういう目標を掲げて、今回の補正予算や来年度予算では、補助金の復活、そして税制優遇で導入拡大が図られております。この補助金の復活については、私も以前より強く要望してきたところでもございますので、大変機を得たものであると思っております。

 しかし、環境・エネルギー産業が我が国の中長期的な経済発展の原動力になるためには、私は、さらに大胆な目標とその支援が非常に大事かと思っております。そのため、公明党の「「グリーン産業革命」への提言」では、さらに政府目標を前倒しして、大胆な目標を提言したつもりでございます。

 今、各国がグリーン・ニューディールを競う中で、米欧諸国の政府が自国の自動車メーカーを、アメリカでいえばビッグスリーを、融資などで強力に支援し始めております。これは、自動車産業の雇用維持が第一のねらいでございますけれども、さらには、将来的に電気自動車やハイブリッドカーなど次世代の研究開発を加速するためでもございます。

 自動車で使う次世代の充電池というのは、容量の大きさや安全性、耐久性の点で、通常我々が用いるパソコンとか携帯電話などの充電池よりもはるかに高い性能を備えているものでございます。太陽光、風力発電の電気を蓄えて、社会の低炭素化を幅広く進める目的にも応用できるものでもございます。この次世代電池の開発が進めば、電気自動車のコストも今よりも半減してくるわけでございます。四月より三菱から電気自動車が市場に出てまいりますが、その価格は三百五十万から四百万、大変高いものでございます。この価格が半額になってくれば、飛躍的に普及が期待できる。

 一方、我が国の自動車メーカーは、新車販売の落ち込みで大変厳しい状況に追い込まれておって、毎月の資金繰りに苦しんでいる。そういう状況の中で、内部留保の多くはもう設備投資などに回されておって、現金はさほど多くはないというのが状況のようでございます。今は欧米を一歩リードしているこの次世代車の研究開発においてもおくれが出かねない、そういう心配がございます。

 次世代車の開発は、事実上、国家間の競争に突入しているとも言えると思いますが、政府援助を受ける外国勢と国内企業が対等の条件で闘うためには、日本にも欧米並みの支援が必要かと思っております。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきます。

 次世代新技術の開発で中心的な役割を担う産業界が業績悪化で研究開発投資を控える、こういうような傾向がある中で、大胆な研究開発の支援が必須であると考えますけれども、どのような支援を考えていこうとされているのか、経済産業大臣の見解をお伺いいたします。

二階国務大臣 江田議員は、既にこうした面で大変前々から御研究をされておられるわけでございますが、基本的にお考えは全く同感であります。しかし、今日の厳しい経済情勢の中でありますから、我々は、この苦しい時期にこそ、政府が次の成長の芽を生み出すために研究開発に積極的に支援をしていく、また声援を送っていく、一緒にやろうという姿勢が大事だと思っております。

 これまで我が国は、省エネ・新エネ技術の開発に積極的に取り組み、御指摘のありましたような太陽光発電や次世代自動車の分野で世界をリードする立場にあることは間違いありません。これらの我が国が強みを有する分野をさらに一層強化する、産学官の総力を挙げて国際研究拠点の整備や革新的な研究開発を進めてまいりたいと考えております。

 ハイブリッド自動車等の問題については、税制上優遇措置を講ずるなどして、これを奨励しようとしておることは御承知のとおりであります。

 そこで、私は、今から二年半前でありますが、小泉内閣のころでありましたが、アメリカのニューメキシコ州にあります、アメリカ国立のロスアラモス研究所、これは一万四千人ぐらいの研究員がおられる世界有数の研究所でありますが、これと産総研と事業提携をいたしまして、私どもが研究を委託いたしておりますのは、燃料電池、高温の超電導の国際共同研究を進めております。

 昨日も総理にもお願いをしましたが、私は、今後、オバマ新大統領と麻生総理との間で日米首脳会談が行われる際に、こうした問題に対する日米の共同研究、これをさらに拡大し加速させるということについて、両首脳の一層の英断を期待しておるものであります。そこで、今経済産業省としては、産業技術環境局長をアメリカに派遣しまして、現地でこれらに対する取り組みを検討しておるところであります。

 こうした国際研究協力を含め、低炭素社会の実現に向けて、省エネ・新エネ分野を初めとしたいわゆる次世代新技術の研究開発にしっかりと対応してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 従来の支援としても、この次世代自動車との差額の半額の補助、また自動車重量税の減免等を初めとして、またNEDO等の研究開発支援、こういう支援があるわけでございますが、それは十分承知した上で、この質問をさせていただいております。日米の研究協力も大変強く進められていく所存ということでもございます。

 グリーン・ニューディール、これは環境省だけでできるものではございません。これは、二階産業大臣、経済産業省の、また関連省庁の大変強力な、政府一丸となっての政策であるべきであると思っておりますので、この公的な支援についてもさらなる大胆な支援をして、国際競争に勝って、我が国がやはりこの分野で世界一を持つというふうにしていっていただきたい、そのような思いでこの質問をさせていただきました。

 ことしは、この年末の気候変動枠組み条約第十五回の締約国会議、COP15において、ポスト京都議定書、すなわち二〇一三年以降の新たな枠組みに合意をすることになっておりまして、人類の地球温暖化との闘いにとっては極めて重要な年となります。この時期に当たって重要なことは、我が国の従来の交渉姿勢を転換するとともに、交渉の基盤となる国内の体制の整備を大きく進めることが重要かと考えます。

 そこで質問いたしますが、先進国全体の削減目標を示すことが、途上国の新たな枠組みへの参加や削減行動を示す前提となってまいります。国連の作業計画では、本年三月会合におきまして先進国全体の削減幅に合意することが目指されているわけでございますが、この先進国全体の削減幅について、我が国の考え方を早期に示すことで国際合意に貢献することが大変重要でございます。

 また、その上で、我が国が主体的に国際交渉に当たるためにも、我が国の中期目標を早期に定めることが不可欠でございます。遅くとも六月の本格交渉開始までに我が国が目標を発表できなければ、国際交渉の障害になるおそれすらあったわけでございます。

 先日のダボス会議で麻生総理が、この六月の国連会合までに日本の中期目標を発表することを初めて表明されました。公明党は、総理のダボス訪問に先立って、遅くとも六月までに表明されることを強く申し上げておりましたので、今回の表明を大変喜ばしく思っております。

 そこで、環境大臣に御質問をさせていただきます。

 先進国全体の削減幅並びに我が国の中期目標決定の考え方についてお伺いをしたい。また、中期目標の設定には国民の理解を得ていくということが必要でありますが、六月に向けてどのようなプロセス、スケジュールで決定しようとしているのかをお伺いさせていただきます。

斉藤国務大臣 二点御質問がございました。二点目の御質問からお答えさせていただきたいと思います。

 六月の決定までにどのようなプロセスが必要かということでございますが、これは、国民の理解を得るために、広い議論を通じて決める必要がございます。現在、有識者を含めたオープンな検討会で議論をしていただいておりまして、この中で選択肢を示していただくことになっております。このオープンな議論を通じて国民の理解を図っていきたい。その上で、三月二十九日から行われます京都議定書の会議におきまして大きな方向性を出し、そして六月の会議において日本の中期目標を出すというスケジュールでございます。

 もう一つの御質問は、そのときの基本的な考え方はどうかということでございました。

 一つは、ポスト京都の中期目標、大きく、地球を救う、人類を救う、そのためには何が必要かという科学の要請、この科学の要請を根底に置く必要があろうかと思います。他方、中国、インドという途上国、これからの主要排出国の参加を得る、アメリカも当然でございますけれども、この中印を枠組みの中に引き込んでいくという要素もございます。

 この二つを満足させるためには何が必要か。私は、この中期目標で、先進国が、そして日本が野心的な中期目標を出すことが必要であり、そのことが中国、インドの積極的な行動を引き出す大前提になると思います。

 また、この野心的な目標を出すこと自体がグリーン・ニューディール、新たな技術開発を生んでいく。最初に御質問のありました、日本が競争力を持ち日本の社会そのもののあり方を変えていく、その前提になる。技術開発なくしてはそれがないわけでございまして、その技術開発の前提にこの野心的な中期目標が位置づけられる、このように思っております。

 いずれにいたしましても、関係省庁とよく連絡をしながら、科学の要請にこたえる、中印を巻き込む野心的な目標を出す、そしてそのことによって日本の技術開発を促進し国際競争力を増していくというスケジュールでやっていきたい、このように思っております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 私も、野心的な中期目標を示すことが大変重要であるかと思っております。そのことが、大臣もおっしゃったように、グリーン・ニューディール、新しい産業の創出と雇用の創出を生む画期的な新産業の創出につながる。

 また一方で、国内排出量取引制度の試行もなされているわけでございますけれども、やはり、本格的な国内排出量取引制度の導入というものが、そういうグリーン・ニューディール、新産業の創出を引き起こす大変重要なことかとも思っておりますので、あわせて強く検討を進めていただきたいと思います。

 時間が限られておりますので、全く新たな質問でございますが、少子化対策と保育のあり方について御質問をさせていただきます。

 我が国では、急速な少子化に歯どめがかかっておりません。働き方の見直し、子育て世帯に対する経済的な支援、保育所の子育て支援サービスの充実など、子供を生み育てやすい社会の構築が喫緊の課題でございます。

 舛添大臣に御質問をさせていただきます。

 まず、我が国は、保育を初めとする子育て支援の量が私は圧倒的に足りていないと思うわけです。待機児童と言われて久しいんですけれども、いまだ解決をされておりません。保育を必要とするすべての人が確実に安心して良質な保育を利用できる社会を早急に実現する必要があるわけでございますが、こうした中で、第二次補正予算の生活対策では、保育所整備を中心とする安心こども基金が盛り込まれました。

 そこで、舛添大臣に質問をさせていただくわけでございますが、我が国の少子化対策の方向性と、その流れの中におけるこの安心こども基金の位置づけ、意義についてお聞かせをいただきたいと思います。簡潔にお願い申し上げます。

舛添国務大臣 まず少子化対策の方向性ですけれども、二つの車輪を動かしていきたい。一つは、やはり仕事と生活の調和、働き方を見直す。それからもう一つは、今委員おっしゃったように、子育てを支援するサービス基盤を充実する。この二つで動かしていく。

 それで、やはり質は確保しながら量をふやすということが必要なので、そういう意味で、必要な費用を社会全体で支え合うことができるように新たな制度体系を入れる。それから、足元のサービス整備を加速させないとならないということで、この第二次補正では、安心こども基金、これは一千億円の基金を都道府県に造成していただいて、保育所を初めとして認定こども園、放課後児童クラブ、こういうことに整備をしていって、平成二十二年までの三年間を周知期間として、全力を挙げてやってまいりたいと思っております。

江田(康)委員 安心こども基金に関連してお伺いをさせていただきます。

 認定こども園というのは、幼稚園と保育所の制度の枠組みを超えて、小学校に就学前の子供に対して幼児教育、保育を一体的に提供するとともに、地域における子育て支援の取り組みを充実させる新たな選択肢として平成十八年に導入された制度でございますが、制度導入の調査によりますと、その見込み数は当初二千件程度となっておりましたけれども、事務手続が煩雑であること、また認定こども園の保育所機能や幼稚園機能に対する支援がない、こういうような理由から、認定数については平成二十年で二百二十九件と少なく、約十分の一。十分に活用されていないという問題がございました。そこで、この認定こども園の設置促進を図るための財政措置として、今大臣が申された、今回の安心こども基金が準備されたわけでございます。

 厚生労働大臣にお伺いしたい。

 従来は補助の対象となっていない保育所機能や幼稚園機能など、特に運営面について、具体的にどのような支援をすることになっているのか。それと、もう一つ質問でございますが、この四類型の中での地域裁量型というものに関してはこの安心こども基金の対象とすらなっておらずに、依然として財政上の問題があるわけでございます。これについてはどう対処しようとしているのか。大臣の所見をお伺いいたします。

舛添国務大臣 皆さん御承知のように、認定こども園というのは四つの形があります。幼稚園と保育所、これが一緒になったら、それぞれに補助がついていますが、これはオーケーです。幼稚園が保育所機能をやると、幼稚園の補助はあるけれども保育所はない。今度は保育所が幼稚園機能をやると、幼稚園部分がない。この二つをこの認定こども園で今度は支援をする。

 それから、もう一つ、地方の裁量で決めるものがあります。これは今の基金が対応できないんですけれども、これは総務省において地財措置で行う、こういうことになると思っております。

江田(康)委員 特に後半の地方裁量型については、これは自治体の一般財源で支援するということにもともとなっているわけですが、自治体が財政上の問題でなかなか支援することができない、こういう問題があって、全国の十五園の認定こども園の地方裁量型の皆さんから、財政上の支援を強く要望する要望を私も承っておったわけでございます。

 そういう意味で、今回は特別交付税が措置されるということにおいて大変前進であるかと思いますので、総務省と力強く連携をしていただいて、自治体において実質的にこの地方裁量型に対して支援が進むように御支援をいただきたい、そのように強く申し上げて、次の質問に入らせていただきます。

 もう一つあったわけでございますけれども、最後の時間となりましたので、先にちょっと。

 これは質問通告をさせていただいていない問題でございますけれども、マルチ商法の常習犯である円天の波容疑者のエル・アンド・ジー事件で、二〇〇〇年七月以降、七年間に約三万七千人から約千二百六十億円を集めて、返還されるべき元本が約四百二十三億円と、大きな被害のあることが報道されております。

 これについて金融大臣に、質問通告しておりませんが、お聞きをしておきたい。なぜ波容疑者らの逮捕が昨日と遅くなったのか、金融担当大臣の所見をお伺いしたい。

中川国務大臣 円天のことはずっと連日報道されておったところでございますが、昨日、組織犯罪処罰法による組織的詐欺容疑で逮捕されたということは私も報道等で知っております。

 ただ、なぜきのうまで時間がかかって、きのう逮捕したのかということは、これは一に捜査当局の判断でございまして、私としては、ちょっと申し述べる立場にないのではないかというふうに思います。

江田(康)委員 消費者、国民にとっては大変ゆゆしき事態でございますので、これに対しては、金融担当大臣、政府としても適切な対処を迅速に行っていただきたいということを申し上げて、最後の質問を、もう一度保育に返らせていただきまして質問をさせていただきます。

 現在、政府の審議会において保育制度のあり方の検討が進められております。保育に関しては、まず、必要なら必ず、良質で安心できる認可保育所に大きな負担なく子供を通わせることができること、この当たり前のことが日本全国のどこに住んでいても保障されることが第一でございます。

 しかしながら、現実は、認可基準を満たしているにもかかわらず、都道府県の認可が得られないために認可外保育施設とされているところがあると聞いております。この中には自治体から独自の補助を受けているところも一部ありますけれども、それすら受けていないところが大半でございます。このような状況では、質の確保された認可保育所自体が十分ふえないのではないかと懸念します。

 現在、認可外保育施設には約二十三万人に上る多数の子供たちがいるんですよ。この子供たち、そのお母さんたちのことを考えれば、認可基準を満たしており、質が確保されているならば、速やかに財政支援を行うべきであるし、また、認可基準に満たない施設についても、子供たちの健やかな育ちを真剣に考えるならば、質の底上げが図られるように支援していくことが必要ではないかと強く思います。

 そこで、こうした点も含めて、現時点の保育制度のあり方に関する検討状況と、今後の保育制度の姿の案について、大臣からわかりやすく簡潔に御説明していただきたいと思います。

舛添国務大臣 昨年十二月に、社会保障審議会の少子化対策部会で、今の問題点、今委員がおっしゃったことですけれども、二つありまして、一つは、やはり量の抜本的拡充が必要だ、私もこれは足りないと思っています。それから、認可外の保育施設を含めて、やはり保育施設の質を高めないといけない、そうしないと子供が健やかに育たない。そういうことで、第一次報告案では、新たな保育の仕組みとして、やはり効果的な財政投入をやるべきだろうというふうに思っておりまして、子供の健やかな育ちを第一にして、質がちゃんと確保される、それから公的保育が必ず保障される、国が責任を持つんだということであります。

 そういう中で、最低基準を満たしながらも認可されないような現行制度を見直して、参入の透明性、客観性を高めて参入を促す仕組みをするとともに、やはり認可外保育施設の全体の質の底上げが必要だというふうに思っています。

 現場の方々の意見をよく聞きながら、こういう問題点を解決して、国が責任を持って子供たちを育てていくんだ、このことを明記しておきたいと思っております。

江田(康)委員 またこの点については引き続き質問もさせていただきますが、大臣の力強いリーダーシップでこの保育行政を変えていただきたい、そのように思いまして、この質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて江田康幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、仙谷由人君。

仙谷委員 民主党の仙谷でございます。

 きょうは、まず、現在の経済問題等々についてお伺いしたいわけでございますが、日銀総裁にお出ましをいただいております。大変お忙しい、そして厳しい経済情勢の中で、時間をおとりいただいてお出ましをいただいたことに御礼を申し上げたいと存じます。

 そこで、まず、白川総裁にお伺いしたいわけでございますが、この間、日本銀行が一月に展望レポートというのを出されまして、実質GDPの見通しというものを、二〇〇八年度、つまり三月に終わる会計年度について、マイナス二%からマイナス一・七%というふうに変更されました。十月時点では、プラス〇・一からプラス〇・二%、つまり、〇・一、二であるけれども成長をするだろう。ところが、ほぼ二%近くも、一・七ぐらいでしょうか、下方修正をされた。これはどういう認識に基づいてされたのか、この点についてまずお伺いをしたいと存じます。

白川参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、日本銀行は経済の見通しを大変今厳しく見ておりまして、見通しの数字も大幅に下方改定いたしました。この背景にあります最も大きな要因は、世界経済がリーマン破綻以降急速に成長率を落としていっている、それから、その背後に、金融システムと実体経済のいわゆるマイナスの相乗作用というものが強く働いているということでございます。

 もう少し具体的に申し上げますと、まず輸出が、この第四・四半期、急激に落ちました。それから、金融の面でも、企業金融の方が逼迫をしてきて、それがいろいろな形で経済に下押し圧力をかけてくるということになりました。これは日本だけではなくて世界各地で今起きておりまして、この三カ月間の経済活動の低下の程度というのは大変厳しいものでございました。

仙谷委員 今、急速にというお話がございました。

 私どもも、昨年の日銀総裁の同意人事のときに、アメリカの住宅バブル、住宅ローンバブル、それで、サブプライムローン問題は必ずクラッシュというような状況になるだろう、したがって、だからこそ国際的な視野のもとで金融問題を見ることのできる総裁でなければならないんだということを申し上げてあって、そして、白川総裁の総裁人事に同意をさせていただいたという経緯があります。

 ただ、そのときの我々の認識を振り返ってみますと、こんなにスピードが速く急降下する、ここまでは想像の範囲の外であった。それから、ヨーロッパがここまで悪いという認識は私どもにはさすがになかった。アメリカは、ここまでバブルを増幅させ、不均衡を拡大していくと、やはり大きな調整にならざるを得ない。先般の十二月の予算委員会の審議でも、過剰消費、経常収支の赤字、これの調整のもたらす意味というのは大変大きいだろうというふうに申し上げておいたわけでありますが、現にそこのところは当然そういうことになって、その影響も日本は大きく受けざるを得ない。

 きょうのこの質疑に、総裁のところまで渡されているかどうかちょっと疑問なんでありますが、資料は行っていますか。(白川参考人「はい」と呼ぶ)資料1―1、2、3というところが経済問題に関するとりあえずの資料でございます。この資料の1―3というのをごらんください。

 A、B、Cというふうに書いてあって、予想一株利益というのがございます。実は、昨日の日経平均をもとに現時点での予想一株利益を計算すると、二百三十一円十八銭ということになるはずであります。PER、株価収益率は、昨日時点では三十四・〇九という数字になるはずであります。二月四日の時点では二十八・七三。日経平均はそこに書いてございませんが、二月五日では七千九百四十九円六十五銭だった、こういうことになると思います。

 このことの持つ意味というのは、私は大変大きいんだろうと思っております。現に、企業収益が三月末決算について発表されておりますけれども、大変、やはりいい発表というのは割合として少ないと見ております。

 ここで、このことの金融機関にもたらす意味ということをお話しいただければと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 金融機関は本来、預金を集めて貸し出しを行っていくという企業でございますけれども、現実の金融界を見てみますと、抱えているリスクの中で最も大きなリスクは何かと申し上げますと、実は、貸し出しに伴う信用リスクではなくて、株式の保有リスクというものが最も大きいというのが日本の金融界の特徴でございます。株価が下落してまいりますと、さらにこの先株価が下落するのではないかということに対する不安が、どうしても金融機関の経営者にとってこれは大きな不安材料になってまいります。

 つまり、先行きの経済を予測した場合に、平均的な姿がどうかということも、もちろんこれは心配でございます。先ほど委員が御指摘のとおり、経済が下押しをしていくということで平均的な予想も下がっていくんですけれども、それ以上に、今度株価がさらに下落した場合に、金融機関の経営状況がどういうふうになっていくのか、つまり自己資本の状況がどういうふうになっていくのかということに対する懸念が増してまいります。私どもは、そうした金融機関にとっての株式の保有リスクというものが高いというふうに思っております。

 先般、日本銀行が決定いたしました株式の買い入れの措置も、これは異例ではございますけれども、そうした最悪のリスクというものに対する備えとして導入したものでございます。

仙谷委員 そこで、今の総裁のお話を銀行の財務内容からちょっとごらんいただきたいのでありますが、これはまず資料1―2をごらんいただきたいと思います。

 これは、今総裁がおっしゃった有価証券の含み益、含み損を、有価証券報告書、メガバンク三行についてのみ拾い出して、改めて計算をし直したものであります。

 国内株式、国内債券というのをやってみますと、二〇〇七年の九月期には、国内株式が、一番下の段の国内株式というのを見ていただければいいと思うんですが、時価が十六兆五千億、そして含み益は六兆九千、七兆円ぐらいあったというふうに解釈ができます。ところが、昨年九月、このときにはそれが、十六兆が十一兆六千になっているということであります。したがって、含み益は二兆四千にまで、つまり約四兆五千億ぐらいこの一年間で飛んでいるということであります。

 ちなみに、その時点での日経平均を申し上げますと、二〇〇七年の九月三十日は一万七千六百円、二〇〇八年の九月三十日は一万一千二百七十円、現在は七千九百四十九円、こういうことになるわけであります。

 資料1―1に返っていただきたいんでありますが、そうしますと、これは昨年の九月三十日の段階、つまり日経平均がまだ一万一千二百七十円あったときの自己資本、自己資本の欄を見ていただきたいんですが、自己資本がどうなったか、こういうことであります。

 そのときに自己資本は、これは下の方が七年で、上の方が八年、つまり、三菱東京UFJでいいますと、Q三〇八と書いてあるのは八年の第三クオーターということでありますから、九月末ということになるんだと思いますが、一兆五千八百二十億円、一年間で自己資本が減っている、こういう有価証券報告書になっている。あるいは、同様に、みずほも一兆五千億、三井住友は千九百八十億これが減って、三行合計しますと、三兆三千三百六十億円の自己資本が減っている。ちなみに、三行合計の自己資本は十九兆二千六百八十四億円ということになるわけであります。

 今、株価の問題を申し上げましたけれども、こういうふうに、そしてまた細かく見ることのできる人は見ていただければおわかりになると思いますが、純利益が各行とも割と、一年間の間にはまあまあ稼げたのに、自己資本が減っているというのが見てとれると思います。つまり、保有株式の問題が一番大きいのではないかというふうに推測をしておるわけであります。

 そこで、日銀の方で、一兆円ですか、銀行の保有株式の買い取りということをされたのでありますけれども、現在の、きょうお示しした1―2あたりの時価というのを見ていただくと、三行合計で、お持ちの株式の時価は十一兆から、当然のことながら、一万一千二百七十円から七千九百四十九円になっておるわけですから、パラレルな数字でよくわかりやすいと思うのでありますが、これはもう八兆円ぐらいになっているんじゃないか、こういう推定が働きますね。そうすると、この際、もうリスクの多い保有株式を日銀が全部買い取るぐらいのことが必要なのではないか。つまり、一兆円程度ちょびちょびと買い取っても、これは余り役に立たないというか、どうなるかわからないリスクが大き過ぎるのではないか、こんなふうに思うんですが、いかがでございましょうか。

白川参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、金融機関にとって株式の保有リスクというのは大変大きな問題でございます。

 日本銀行は、一兆円を上限として買い入れを再開いたしました。中央銀行は、こうした異例の措置をとるときにいつも意識しないといけないことは、一つは、中央銀行の一つの大きな使命である金融システムの安定をどう維持するかということ、これは当然でございます。だからこそこういう買い入れを行ったわけでありますけれども、同時に、中央銀行の行動それ自体によって市場経済を大きくゆがめてしまうということは、これは適切でないというふうに思います。

 したがいまして、これは二つの意味合いでございまして、一つは、大きく買い入れて、その結果、中央銀行、日本銀行の資産内容を大きく劣化した場合には、これは、単に日本銀行という組織にとってではなくて、国民にとって、最終的に円に対する信認というものに、国民の持っている円に対する信認に対し悪影響が出てくるというものでございます。

 それからもう一つは、個別企業の株式を日本銀行が非常に大きく抱えますと、今度は個別の信用配分に中央銀行が大きくかかわってくる、これはやはり市場経済の原則をゆがめていくということでございます。

 そうしたことのバランスをとりながら、一兆円という限度を設けました。

仙谷委員 十二年間も極めて異常な超低金利を続けてきた、このことが、多分、日本の総資産利益率といいましょうか利潤率を下へ引っ張っている。幾ら上げ潮であろうが、財政規律であろうが、財政出動であろうが、やってもやっても、マーケットの金利の機能というのを殺している限り、経済が成長するなんということを考えるのは浅はかというものだと私は思っておりまして、かねがね、日銀の国債引き受けというものについて、特にマーケットで買っているとおっしゃるんだけれども、毎月毎月一兆二千億買う、このことが市場の原理を、あるいは市場の機能をゆがめている、成長を妨げているというふうに批判をしておるわけであります。

 しかし、異常な事態を十二年続けてきて、この極端なクラッシュ状態といいましょうか状況の中で、さらに異例なことをなさるということであれば、ここは危機管理の問題というふうにとらえれば戦力を逐次投入してはならないと改めて思うんですね。もっと思い切ったことをやらなければ。

 ただ、ここで重要なのは、マーケットをゆがめ、いつこれを脱却するのかという戦略を持っていないと、いつまでもずるずる超低金利を続けたこの失われた十年のように、あるいはもっと悪い状態をつくり出すかもわからない。やるときには逐次投入じゃなくてどんといくということと、それと出口戦略を持ってやっていただきたいと思います。

 御見解だけ伺って終わります。

白川参考人 お答えいたします。

 私ども、今、戦力の逐次投入という御批判がございましたけれども、そういうふうには認識しておりません。現在起きています日本経済の厳しい状況というのは、これはもちろん日本経済固有の要因もございますけれども、しかし、世界経済全体としての金融経済の大きな変動の影響をやはり受けているというふうに思います。

 そういう意味では、まず大事なことは、これは日本銀行もその一つでございますけれども、世界経済全体の立て直しというものがやはり必要になってくると思います。

 その中で、日本銀行の対応ということでありますけれども、金融機関の問題は、実は株式の問題だけではございません。これは、株式は一つのきょうのテーマではございますけれども、こういうふうに金融の機能が低下してまいりますと、今度はそれが実体経済に影響することになります。それは最終的には、委員御指摘の自己資本の問題になってまいります。

 これは、単に日本銀行が思い切って株式を買い入れれば解決するという問題ではございません。先般、政府の方でも、金融機能強化法という法律が提案され、これが通って、自己資本を投入するという枠組みもできております。そういう意味で、株式の下落に伴う自己資本の問題、それに対する政策的な備えという意味では自己資本注入というものがございます。

 いずれにせよ、日本銀行としては、異例の政策を行っている以上、出口をしっかり考える必要があるということはおっしゃるとおりでございます。時間の関係で詳しくは説明いたしませんけれども、CPの買い入れにしましても、それから株式の買い入れについても、その出口はしっかりと意識しながら政策を遂行していきたいというふうに思っております。

仙谷委員 では、白川総裁、私の方はもう結構でございますので、どうぞお帰りください。

 政府の皆さん方に申し上げたいのは、実は、きょうの日経平均から見る一株当たりの予想利益から推しはかる株価、つまり、PERが三十二だったですか、これは異常なんですね。ヨーロッパ平均、アメリカ平均では大体十と言われていますね、予想利益の。日本は大体、今そこにお出ししているデータを見ていただいたらわかりますが、この間十五ぐらいで来ているわけですね。それが三十二になっている。つまり、値打ちが、予想利益から見る限り、今の株価は倍ついているということであります。

 そういう今の企業業績等々を見ても、大変厳しい。つまり、一年で景気回復するかのような話で、その中核たる経済政策が二兆円の定額給付金というのでは、これは方向も間違っているし、金額もほとんど意味のない金額ということになるぐらい、大きい、大不況というふうに言ってもいい。

 つまり、企業業績から見る限りはそういうふうに推測せざるを得ないというふうに思うのでありますが、それを、二兆円の定額給付金の問題と、手柄のように埋蔵金を掘り出してきたことをおっしゃるという、これは一体何なんだというのが私どもの感慨でありまして、何か一生懸命与党の方々がなさるのはいいんだけれども、白けてしまうんですね、これは。おいおいおいという感じでなってしまうということであります。

 私は、きょう、埋蔵金問題では、財政論ではなくて政治論をちょっと与謝野さんと行ってみたいと思います。

 与謝野大臣が「堂々たる政治」で堂々と本を出されておるわけですね。この中で、民主党の議論は、埋蔵金があるという議論は、要するに無駄があって、それをちゃんと無駄をなくすれば相当財源が出てくるという議論は、国民を煙に巻く罪深い議論であると。それから、中川秀直元幹事長については、埋蔵金は存在するという立場で、その埋蔵場所として挙げたのが財政投融資会計や外国為替資金特別会計であると。これは、財投会計が二十兆円で外為特会が十七兆円、合わせて三十七兆円、これが自由に使えれば確かにありがたい、しかし残念ながらこれは幻想にすぎないということをおっしゃっておるんですね。

 資料の2―1と2―2に、これは財務省からいただいた資料をここへつけてあるわけでありますが、これは、皆さん方、定額給付金やそれから国民年金の基礎年金部分の三分の一を二分の一にする恒久的な財源をつくるというもの二兆三千億円に自由に使っている、こういうことなんじゃないんですか。幻想じゃなくて現実に自由に使っちゃった、こういうことなんじゃないんですか。与謝野さん、どうですか。

与謝野国務大臣 もう仙谷先生はよく御承知のことなので、改めて申し上げる必要もないことだと思いますけれども、埋蔵金というのは埋め隠されているというお金でございまして、そういう意味では、日本の財政の中には幾つもの特別会計がありますけれども、この特別会計はいずれも数字が公表されております。

 ただし、手をつけてはいけない特別会計と、手をつけるときにはよほど考えながら手をつけなきゃいけないという特別会計と、私は自分の頭の中では二種類に分けております。

 例えば、年金の積み立てのお金、これは百数十兆ありますけれども、こんなものには決して手をつけてはいけない。それから、いい例かどうかは別にいたしまして、地震保険特会、これは大地震が来たときの準備のお金ですから、容易に手はつけられない。

 外為特会のお金は、一般会計に一兆数千億ずつ入れておりましたけれども、これは、外為特会が円安プラス運用によって一応お金が余っているという、いい状態のときの話でございました。

 今回使いました財政投融資特会は、国が安いお金でお金を借りてきて高い金利でお金を貸して得た、いわば金融収益の塊でございまして、それについては、今までは、ここで余ったお金はストックからストックへという原則で国債整理基金に入れておりましたけれども、こういう非常事態であって財政が苦しいときに、ストックからストックへという原則を変えさせていただいて、これを財政支出に使わせていただくということも、非常事態には辛うじて許されることではないかと私は思っております。

仙谷委員 さらに続けて、「社会保障費という日常の出費に充てていいものではない。」と。これは社会保障ではないのかもわからぬけれども、社会保障的じゃないですか。一生懸命、生活支援だ、生活支援だ、生活防衛だといって二兆円の定額給付金をつくったわけでしょう。それの財源手当ては、この財政投融資特別会計じゃないですか。

 さらに申し上げると、外為特会は「為替変動リスクに備え、為替介入などの原資となるものだ。いわば家計における保険料のようなもの。食費が足りないからといって使っていいものではない。」と。

 きょう提出した資料2―2を見てくださいよ。財務省理財局でも、評価損が二十八兆二千億、二十一年の一月末時点で。為替が、つまり円のレートが九十円になったらこうなるんだと。正味の積立金が、十七年、十八年、十九年度末はプラスなんだけれども、今回はマイナス八・六兆円になる。ところが、ここから一兆八千億を使うんでしょう。

 こういうことをへっちゃらでやりますと、今まで、与謝野さん、私は随分立派な御見識だなと思って尊敬をしていたんでありますけれども、信頼もしていたんでありますけれども、みずからが、いわば総裁選挙に出る前段階に発表されたこの「堂々たる政治」、これの中で言っていることと真逆のといいましょうか、正反対のことを政策担当者としてなさるというのはいかがなものか。

 きのう、総理は、実は私は郵政民営化には反対だったんだ、だけれども法案提出のときには総務大臣としてサインをした、こんな話がどこにあるんだと私は思っているんですね。

 きょうは、この埋蔵金なり、いわゆる特会の剰余金さらには積立金、こういうものを民主党が言うのはこれは幻想であってけしからん、我々は勝手にやれるんだ、こんな理屈がどこにあるんですか。政治家として、もっとけじめをつけなければいけないんじゃないんですか。体を張ってこんなことをやめさせる、それが僕は与謝野さんの役目だったと思いますよ。

 どうして、麻生総理の郵政民営化のときの態度と同じような、こんな緩い、モラルハザードに満ち満ちたことになってしまったんですか。お答えください。

与謝野国務大臣 財融特会の金利変動準備金というのは、金融収益、要するに、安い金利で借りてきたお金を高い金利で人様に貸して得た収益でございますから、これは人からお預かりしたものではない。ただ、今までは、こういうものは国債整理基金に入れて将来の借金返しに備える、こういう原則であったわけでございます。

 しかし、いろいろな一次策、二次策をやっていく上について、財政窮乏の折、この特別会計の中で、国債整理基金に本来は入れるべきだ、そういうふうに考えるのが今までの正しい考え方であったと思いますが、私は先ほど申し上げましたように、こういう異常な時期、財政も窮乏しているというときには、このお金がどこから出てきたということを考えれば、これは辛うじてお許しをいただけることではないかと思っております。

 もとより、原則はストックからストックへというのが私は原則であると思っておりますけれども、異常な事態のときにこのお金を使うということは、現在の経済の状況、財政の状況からして、辛うじてお許しをいただけるのではないかということを先ほども申し上げたわけでございます。

仙谷委員 それでは、「堂々たる政治」のところで堂々と述べたことは、実はこういう留保つきでした、こういうときにはこれは使っていいんですということを言わなきゃいけないんじゃないですか。

 やはり、自民党のこの間のやり方を見てみると、総括がないんですよ、総括が。経済政策にしても金融政策についても。いいとこ取りをする、そして野党の批判をすることに非常なエネルギーをかける、このやり方では国民は信頼を置けないということだと思います。

 今ストックからストックへとおっしゃった、私もそう思います。つまり、いわゆる埋蔵金と称される剰余金や積立金で、もし財政上これを活用できるとするならば、それは正しく処理しなければならない。正しく処理するということは、そのことを表に出して、この財政投融資特別会計のこれは国債整理特会に繰り入れる、そしてお金が必要だったら堂々と赤字国債を発行する、このことを国会にも国民にも示さないと。国債発行額の名目、額面だけを少なくするためにこういうやり方をする。我々は国債をこの程度しか発行していません。同じじゃないですか、結局、借金がふえているのは。こういうB勘定みたいなやり方がよくない。

 そのときには、今まで言ってきたことは間違っていました、今までやってきたことのここが間違いでしたということを謝らないと、国民はわかりませんよ。けじめがつかないじゃないですか。急に消費税の話が出てきたり、あるいは消費税の話を、例えば我々が年金目的税を申し上げたときには相当批判しましたね。与党でありながら、政権の責任運営をしなければならない政党が右往左往する、理屈も論理性もないというのが一番困るということを申し上げたいと思います。

 この問題の最後に、与謝野さんがおっしゃっていること、「積立金にまで手を出すというのは、短期的には良くても、結局「国民の財産を売ってしまう」のと同じである。お金に困ったからといって、働かずに資産を売り飛ばす商家の二代目ボンボンみたいなもので、それではいずれ店は潰れてしまう。」こう言っているじゃないですか。

 この言葉をかりるとすれば、こんな埋蔵金を定額給付金みたいなものに使う、あるいは国民年金の二分の一の国庫負担に使う、これはとんでもない話じゃないですか。二代目ぼんぼんみたいな話じゃないじゃないですか。二代目ぼんぼんそのものが国をつぶしてしまうとあなたは言っているじゃないですか。そうでしょう。もうお答えは要りません。(発言する者あり)答えられますか、そんなことに。気の毒だからやめているんじゃないですか。では、どうぞ。

与謝野国務大臣 要するに、私が申し上げているのは、売り食いをしながら何とか家計のつじつまを合わせるようなことはだめだということを申し上げているわけでして、やはりその根底には、民主党の御協力もいただきながら税制の抜本改革をやらないとだめだ、とりあえず国有財産を売ったりあっちこっちのお金に手をつけるというのは本来の財政の姿ではないという信念は、いささかも変わっておりません。

仙谷委員 そうだとすると、その信念に基づいて政治家として事を処すとすれば、こんな内閣は早くやめなきゃいかぬじゃないですか。それだけの話ですよ。株価をとめなきゃいかぬ、とまらないんだったらやめなきゃいかぬ、それだけの話だと私は思います。

 次、定額給付金の法律問題について、先般、統一見解を出せと言ったら、統一見解を出してきました。資料3―1です。どうぞお読みください。こんなふやけた解釈が私はあるのかと思って、改めて感心したのでありますが。

 鳩山大臣、この「地方財政法逐条解説」というのをごらんになりましたか。読みましたか。つまり、地方財政法のコンメンタールというか解説書、これぐらいしかないんですよ。これは例の石原信雄さんと二橋正弘さんがお書きになっている。つまり、これしかない。いわば総務省のお役人の方々は、多分相当これに依拠して物事をなさっているんだと思うんです。読みましたか、十六条の解釈のところ。どうぞ。

鳩山国務大臣 先生から御質問があるというので、先ほど簡単なレクを受けました。

仙谷委員 資料3―2―2につけてあります。本来、十六条の補助金というのは、奨励的補助金、援助的補助金、こんなものはやめなきゃいかぬという補助金だというのがこの間の分権改革の流れだったわけでしょう。

 見てください。資料3―2―3、このページをごらんになってください。ずっと飛ばして二と書いてあるところの、つまり百七十二ページの後ろの三行を読んでごらんなさいよ。「国が期待する施策であっても、できる限り地方公共団体の自発的な意思に基づいてそれぞれの地方の特性も生かして施行されることが望ましく、すべての施策を補助金により金しばりにして画一的に強行することは避けなければならない」、こう書いてあるじゃないですか。

 次のページをお読みください。「五 本条の規定は、国が地方公共団体に対して補助金を交付できる場合について、いわばその必要条件を定めて限定をしているものであるが、「地方分権推進計画」等の考え方は更に一歩踏み込んでおり、本条に基づく国庫補助金については原則的に廃止・縮減を図るべきものであるとの方向を示している。」a、b、cと書いてあって、「原則として廃止・縮減を図っていくこととされている。これを踏まえ、国庫補助金等の整理合理化をより一層推進し、本条の趣旨の一層の徹底が図られるべきであろう。」と書いてあるじゃないですか。

 地方分権推進計画を資料としてもつけておきました。資料3―2―5。この地方分権改革の流れからいうと、国の施策そのものでしょう、今度の定額給付金というのは。私にとっては反対だけれども、国が経済政策として、景気対策として行うわけでしょう。それだったら、直轄事業でやるか、法定受託事務というのを使わないで、何でそういう根拠も何にもつくらないで地方に丸投げするのか。地方から見れば、年度末に急に降ってわいた、押しつけ的な仕事になるじゃないですか。そして、その基準も、やはり基準に従わないといかぬ、江戸のかたきを長崎で討たれたらいけないという、それだけで、みんな必死になって事務作業を始めているんでしょう、今。

 こんな自治事務というのは、僕は感覚的にもないし、分権推進計画の中でもこんなことは一切予定されていないと思うんですよ。何でこうなるんだと思うんですね。

 十六条でできるなんということを統一見解を出して、うそぶいていて済むような話なんですか。つまり、分権改革の流れを、これも真っ向から逆流させた、逆転させたということになるんじゃないんですか。どうですか。

鳩山国務大臣 この定額給付金は法定受託事務とはしなかったわけでございまして、それは、前からお話ししておりますように、法定受託事務というのは、国が本来果たすべき役割を国がやらないで地方にやってもらうようなケース、ですから、戸籍とか選挙とか生活保護とか児童扶養手当というような形のものになるんだろうと思っておりまして、自治事務という分類に当然なるわけですが、したがって、これは国で根幹を定めますけれども、例えばいわゆるプレミアムつき商品券と結びつけるとか、地方によってさまざまなやり方が考えられるわけでございまして、法定受託事務にするよりははるかに地方分権の精神に沿っていると思うわけでございます。

 先ほどの仙谷先生の御指摘については、私は先生のような法律家ではないものですから、先生の方がはるかにお詳しいとは思いますが、本来、国というものは補助金というものを、どこにも、だれにでも出せるという、もちろん、それは必要があればですよ。政策的に必要があれば、例えばどうしても助けなくちゃいけない川内株式会社というのがあれば、それを補助するということは、それは国は可能だ。

 ただ、国と地方自治体の関係が余りいいかげんであってはいけないという趣旨で、私は地方財政法というのはできているのではないかなと。したがって、地方財政法九条で、国に頼らずに全額自治体でやりなさいという自治体全額負担の原則みたいなものが書いてある。しかしながら、どうしても政策的に必要な場合は、十六条でいわば奨励的補助金として補助できる。

 ところが、今の解説書でしょうか、いただいたものでは、確かに地方分権推進計画で、地方財政法十六条に基づく奨励的補助金についても、国家補償的なもの、あるいは災害による巨額の財政負担、あるいは地方財源的なものを除いて、原則廃止縮小すべきであるというふうに書いてあるわけでございますが、私どもは、十六条の奨励的補助金でこの定額給付金はいけると考えておりますのは、やはり百年に一度の金融災害というか、そういうような大変珍しい経済や生活や金融の危機であるという観点で十六条を根拠にやらせていただこうと考えております。

仙谷委員 十六条でやらせていただくというのは、十六条を根拠にして、しかし、非常事態の国が何かするときには、大統領制の国でも非常事態宣言をして大統領令を出して、つまり政令ぐらいはつくってやらないと、この事業自身について何の根拠もありません。これではどうにもならぬじゃないですか。

 それで、さっきおっしゃったa、b、c、分権推進計画の中に書かれた国家補償的なもの、災害的なものとかなんとかありました。では、これのどれに該当するんですか。

鳩山国務大臣 bの、災害ということが書いてありますが、百年に一度の金融災害というような読み方もできるかと思いますが、この分権計画でも「原則として」と書いてありますので、やはりこういう百年に一度の大変な事態では原則としてということは破られていくのかと思います。

仙谷委員 総務大臣、では、話をちょっと前へ進めます。

 要綱をつくって通知しているんですね。この要綱というのは法律的な位置づけは何ですか。(発言する者あり)

鳩山国務大臣 補助金交付要綱というのは、一般的に補助金を出すときにつくるわけですが、補助事業の目的、対象事業や対象経費の詳細などの実体的な規定のほか、申請等についての様式や提出期日などの手続的な規定を定めているわけでございまして、その法的位置づけでございますが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の定めを補いつつ、議決された予算の趣旨に沿って補助金の交付に関する手続が適正に行われるように、事務執行上の手続を定めた内部の規定であると考えております。

 また、予算執行のルールや手続を補助対象者に明示して、その透明性を高める意義を持つものと考えております。

仙谷委員 今、内部の規定、こうおっしゃった。財務大臣から法律的な根拠はないというような不規則発言もあったけれども。内部の規定というのは総務省内部の規定ですね。まさか市町村の内部の規定にはならぬですね、これは。どうしてこれに基づけとかなんとか言えるんですか。

 やはりここまで問題になってきたら、法律もちゃんと読んでもらいたいんだけれども、地方自治法二百四十五条の規定との関係で、国が、ある種地方自治体の事務に何らかのことで関係する場合には、何かこういうものでないといかぬというのが分権改革の中で決められたというか、定められたというか、合意ができたんじゃないんですか。どうなんですか。

鳩山国務大臣 ちょっと、質問の趣旨をもう一度お願いできますか。

仙谷委員 では、もうちょっと助け船を出しますけれども、二百四十五条の四「技術的な助言」、これは技術的な助言じゃないんですか。

鳩山国務大臣 基本的には、技術的な助言という要素を持っていると私は考えております。

仙谷委員 要素じゃなくて、要綱をつくってこれを市町村に通知する、これは技術的な助言をしている、そういうふうに言い抜けるというか位置づけない限り、こんなもの、市町村に通知して、これやれ、あれやれと言えないじゃないですか。そうじゃないんですか。

鳩山国務大臣 要綱を通知しているわけですね。要綱を通知しているということは、まさに技術的な助言をして、市町村の業務執行上の参考資料としていただこう、そういう提供をしているわけでございます。

仙谷委員 平成二十一年一月二十八日に総務事務次官から、要綱についてというのと、「定額給付金事業の実施について」という通知がなされておるんですね、要綱をつけて。

 あなたが自分で法解釈をしないで今答えているのは、次に私が言うことによってこの定額給付金交付事業そのものの地方自治法違反があらわになることを恐れているから、参考資料とかなんとか妙なことを言う。

 実は、十二月二十日に、総務省自治行政局定額給付金室長、事務連絡というのが、各都道府県定額給付金担当部長、各指定都市定額給付金担当局長殿あてに、ほとんど同じ、補正予算の内容を書き、そして、この趣旨で、こうやってくださいということを通知しているんですね。これは後で出してください、いいですか。

 それで、こう書いてある。「本通知は地方自治法第二百四十五条の四(技術的な助言)に基づくものです。」と書いてある。技術的な助言なんですよ。もうそれしか言い抜けができない。

 つまり、ここに書いてある二百四十五条の助言、勧告、資料の提出要求、是正要求、同意、許可、認可または承認、指示、代執行、これ以外のことは、ここに含まれないことは、国は自治事務であろうが何であろうが関与できないということが書いてあるんじゃないですか、二百四十五条に。それが地方自治だ、分権だということになっているんでしょう。

 だから、最も緩やかなものは助言だと。この助言を具体的に言うと、二百四十五条の四になる。だから、これを助言としてやろうとしたんですよ。そうでしょう。二百四十五条の四の技術的な助言なんでしょう。

鳩山国務大臣 二百四十五条でございますが、今先生おっしゃった事柄は、補助金に関しては除くとなっているのではありませんか。違いましょうか。

仙谷委員 いやいや、あなた方、僕が聞いているのはそういうことじゃない。

 ここにありますけれども、十二月二十日付の「留意事項について」という通知は、技術的な助言だと総務省が言っている。さらにもっと本格的なものも、技術的な助言と言わなくして何にもありません。地方自治法上、この分類の中には一切入りませんなんという解釈ができるかと言っているんですよ。つまり、それ以外の関与の仕方なんかできないことになっているんじゃないですか。それが自治でしょうが。

鳩山国務大臣 したがって、要綱を通知いたしておりますが、その内容すべてが技術的な助言で、これを参考にしてやってくださいという意味合いを持っていると思います。

仙谷委員 そうなりますと、今度新たな問題が発生するんですよ。

 第二百四十五条の二、「普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、」法律またはこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国の関与を受け、または要することとされることはない、関与の法定主義というのがちゃんと書いてあるじゃないですか。「関与の法定主義」と書いてある。

 助言であってもこれは関与だとすると、関与が法律に定められないで、何であなた方が関与したり技術的な助言したりできるんですか。こんな初歩中の初歩が分権改革の中で決められた、地方自治法が改正された、この意味を全然わかっていないじゃないですか。

 だから、分権を逆流させる、正反対に百年昔のいわば太政官制に復帰させるみたいな話じゃないかと僕は言っているんですよ。

鳩山国務大臣 地方自治法に技術的助言ということは書かれておりますので、その書かれている技術的助言として補助金の要綱を通知しているということでございます。

仙谷委員 総務省の解釈では、あるいはこれは内閣官房でもいいんですよ、地方自治法二百四十五条の二の関与の法定主義というのは無視してもいい、あるいはこんなものはいわばほっておいてもいい、これに反しない、こういうふうにおっしゃるんですか。

鳩山国務大臣 ですから、技術的助言というのは法律に書かれておりますから、それをさせていただいているということです。

仙谷委員 だから、それをするのには、関与の法定主義にかかわるから、法律及び政令が要るんじゃないですかという話なんじゃないですか。

 それで、現に、地方自治法をもうちょっと読んでいただくと、二百四十五条の九には、「法定受託事務の処理について、都道府県が当該法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。」と書いてあるんですよ。

 つまり、法定受託事務ですら、法律で基準を定めないと受託できないことになっているんですよ。ましてや自治事務、自主的、主体的に市町村が行うべきものについて、法律によらないで何かできるなんということはあってはならないというのがこの趣旨じゃないですか、法律の。

鳩山国務大臣 地方自治法二百四十五の四に「技術的な助言」という規定があるわけでございますから、ここに定められているものとして補助金交付要綱を通知いたしておるわけでございまして、今、法定受託事務云々という話がありましたが、法定受託事務というのは、国が本来やるべきことを市町村あるいは都道府県にやってもらうという事柄であって、これは、前にも御質問がありましたが、自治事務でございますから、例えば、ある市町村がうちはやらないと言えば、これは強制できないものでございます。

仙谷委員 前回の話もそうなんだけれども、この基準によらなければならないことになっているんでしょう、要綱の。取り消し決定から還付命令までできることになっているんじゃないですか。これが処理の基準でなくして何なのか。そういうことを政治的にこの問題を回避してやろうとするから、こんなことになるんじゃないですか。

 定額給付金事業、こんな法律違反、分権改革と真っ向から反対するようなこういうもの、やめてください。

 これは、一月五日の、毎日新聞の仲畑流川柳というのがあるんですよ。そこに書かれているんです。「下々の皆さんそらよ給付金」と書かれているんです。「下々の皆さんそらよ給付金」、そら、持っていけというんでしょう。「ばらまいて大きく回収するプラン」、これも書かれている。こういう川柳。まさに、庶民から見ていたらそういうことなんですよ。

 我々から見ると、官僚法学でいかにずるずるずるずる抜けようとも、分権改革を行って、地方自治法を改正した後は、こんなことは許されてはならない。改めて強調しておきます。

 何か御意見があれば。

鳩山国務大臣 先ほどの話に戻りますけれども、交付要綱というのは、もちろん技術的な助言なんですけれども、その中には、こういうふうなことをやる場合に補助金を差し上げますという、いわば条件も書かれているわけでございます。

 ですから、例えば幼稚園就園奨励費なども同様の仕組みだろうと思います。それは、実際に幼稚園に就園する人に補助金は出していますが、それをやりたくないという自治体には出していないわけで、こういうふうに、幼稚園の就園奨励のお金を出すならばそれは補助しますというふうになっていますので、私はこれは地方自治だと考えております。

仙谷委員 多分、総務省は、内閣府なのか内閣総理大臣なのか財務省なのか、やはりけじめのついたことをちゃんと主張しない限り、皆さん方が、分権改革を我々は担っている、分権だ、自治だ、そんなことは言う資格のない、つまり、この局面では物すごい歴史的な汚点をつくったということだけは自覚しておいてください。

 では、次の問題に移ります。

 前国会で国立高度専門医療センターというものが独立行政法人化されています。それに先立って、国立大学が国立大学法人になって、国立大学病院も実質上の独立行政法人と同じ存在になっています。これは二〇一〇年から発足させるんですね、がんセンター以下。

 財務面から見てみますと、大変固定資産が高過ぎるんですね。だから、それに対応して長期借入金が高い。もっと重大なことは、減価償却ができていないんですね。資料の4―1、2というところで出しておりますけれども、減価償却ができていないということは、更新投資分が計上されていないということであります。債務の支払い、利息の支払いが多過ぎるんです。

 4―2で出しておりますように、予定人件費率というのをごらんいただくと、がんセンターに至っては二八・六三%、我が事務所で計算したので多少の誤差はあるかもわかりませんが。五〇%を超えているところもありますけれども、循環器センターもこういうことになっている、三五%。

 通常、医療機関というのは、人件費率が六〇%を超えなければ健全体であるというふうに言われているんですね。こんな低い人件費率になっている。なぜなのかはこれからもっと検討してみないといけませんけれども、ここでただ働き同然のドクターやレジデントが相当おるということに原因しておるのではないかと私どもは考えております。

 舛添大臣、まずは国立高度専門医療研究センターでありますが、借入金の合計額は、厚生労働省から渡された資料をもとに計算してみますと、六つの専門医療センター全部で一千六百七十三億円なんですね。おおよそで一千六百億円と言いましょうか。それこそ財政投融資から借りておりますので、これを平均三%とか、そういう金利を払いながらこの残高を払っていくということになると、更新投資もできなければ、ドクターの処遇も非常に悪いものにならざるを得ない。これは六センター全部についてそういうことが共通して言えると思うんですが、いかがですか。

舛添国務大臣 まず、その前に、独法化すること、これのプラスマイナスがあると思いますが、私も国立大学に籍を置いていた者として、やはり、非常な効率の悪さ、それからまじめに働かない者がおるというような、いろいろな問題がありました。そのために独法化で、ある意味でいい点を入れていく。それから、厚生労働省が管理して、その言うことを聞かないと研究もできないということを外して、自由な独立体でやれる、寄附も外から集められる、外国の研究者との交流もできる、こういういい面は残さないといけないと思います。

 しかし、例えば、がんセンターにしても、ナショナルセンターは基本的に最先端の大事なことをやっているわけですから、この機能が損なわれる、そこの研究者がもう勤務が過剰になって仕事ができない、こういうことは絶対に避けないといけないというふうに思っています。

 そして、来年の四月から独法化されますけれども、まず、委員がお示しになりました資料の4―2の償却・設備投資分析でありますけれども、私も、これは民間の財務諸表の見方からして、こういう減価償却のあり方でいいのかと思っております。それで、これは来年度予算の策定までの間に、きちんと財務諸表すべて見直しをする。ある意味で、人件費の問題も、減価償却分がこれだけ少なくなれば経費分がそれだけ少なくなるということになるわけですから。

 それから、これは一般的にですけれども、本当に勤務医の皆さん方は大変過酷な状況にありますから、これは別の手だてでやっていきたいというふうに思っています。

 そこで、そういう中で、資料の4―1の千六百億の負債、その負債をそれぞれ今の形そのままこの六つのセンターに割り当てますと、しかもそれは利子を払わないといけないですから、経営的にうまくいかないということになると、悪循環が起こって経営的にうまくいかなくなる、赤字になる。それで、またそこのお医者さんが減っていく。結局、しわ寄せが来るのは国民であるわけですから、この点については、どういうふうにこの借金というかそれを処理するか。

 これは、法律にも法律の附則にも、このことをきちんと、債務について、この処理をして恒常的に経営が安定するようになってから移行するということが書いてありますので、これは財務大臣とも相談をしながら、きちんとここは対応してまいりたいというふうに思っております。

仙谷委員 私の事務所のつくったこの資料4―1をごらんいただくと、返済可能額のところが全部マイナスになっていますね。ということは、これは、三年とか四年とか五年こんなことを続ければ、内部崩壊をするのか財務的に破産するのかどっちかしかないということになるというのを、企業会計の手法を使って分析すればこうなるということなんですね。

 だから、これは参議院の附帯決議にも書かれておりますように、角を矯めて牛を殺すような話になってはならないということをひとつ留意して、これから独立採算の事業体にして出発させるのであれば、本来の目的が果たせるようなガバナンスをとる。その出発に当たっては、こういう、もともとこれは公共工事だったから建設費が高かったんですよ。大体、普通の病院は一床三千万ぐらいなのに、ここは一床七千万かかっているんですよ。そういうケースがこういう国立高度専門医療センターでもある。

 しかし、新出発をするについては、借金はこの程度にしなければならないとか、あるいは借りかえができて、とりあえずは市中金利で借りかえができるとか、借りかえについては政府が保証するとか、何かしないと、これは財政投融資会計が苛斂誅求、高利貸しみたいな感じになってくるんですよ。そのために病院がぼろぼろになる、あるいは研究センターがぼろぼろになる。こういうことになることは必定でありますから、これはもう、本来こういうものをつくった目的に照らして、どうしたらいいのかということをぜひ真剣に検討させていただきたいと思います。

 きょうの資料で、大学の人件費の資料も出してございますけれども、4―3、4、多分あると思いますが、国立大学法人の附属病院は全部合わせて五十八あるんですか、これが、数字を繰ってみますと約一兆円の長期借入金残高です。大学病院も、この資料の4―3のように、毎年毎年運営交付金は減らされるわ、給料はこんな状況ですから。

 わかりますか、これは差額だけを書いてあるんですね、4―4は。要するに、県立病院や一般医療機関との差額が右側に書いてあって、国立病院機構がありますけれども、そのドクターとの差額、これがこんなになるというんですよ、大学病院のお医者さんは。これでは、幾ら博士号を取るためにとかなんとかいったって、残らない。

 さらには、隠された問題としては、まあ隠されてもいないんだけれども、公にしていないけれども、各大学の大学院生という研修後のお医者さんは、大学院生だからただ働きしている。膨大に医者がおるんですよ、万の数おるんですよ。昔の無給医局員みたいな人が膨大に存在する。

 そういう犠牲というか、むちゃくちゃな状態の上に大学病院は今さらされておりまして、東大病院ですら荒れ果てんとする、荒涼たる砂漠が広がっているみたいな話になっておるわけでありますから、ここは、長期借入金、特に財投からの長期借入金を、旧国鉄がJRになったときのように、あるいは道路公団を民営化するときのように、そのときに借入金の処理をやはり適正にやらないと、全部持っていけ、あとは利息と元本返せみたいな話になると、病院なんというのはもたない。高度医療をするところは特にもたない。

 そのことを考えて、この国立大学病院の実情についても考え直してください。どうですか、文部大臣。

塩谷国務大臣 大変いい御意見だと私は思っておりまして、今、財投の資金の償還についても、運営費交付金で手当てをして、また一方で病院経営に対して二%の削減を要求しているんですが、それだけではやはり厳しいということ。

 それから、医師の給与についても、国家公務員という範囲、独立行政法人ですが、その範囲でなかなか一般の医師との給与の格差があるということは十分承知しておりまして、私も問題意識を持っておりますので、今後しっかりまた対応すべく努力をしてまいりたいと思っております。

仙谷委員 何でこんなことを言うかというと、やはり埋蔵金とか定額給付金問題なんですよ。

 国立高度医療センターの借入金は一千六百億なんですよ。これの処理をうまくすれば、きれいな体でスタートできる。国立大学病院五十八病院も各地域で高度な医療を請け負っている。一兆円をうまく処理すれば、これも再び活性化する可能性が出てくる。そのことを与謝野大臣にもちゃんと認識をしてほしいんです。お互いに一遍は病気になったわけですから。

 これは、日本はWHOに一位と評価されているけれども、中身がそうでない、崩壊しつつある現状というものにもっと危機感を持って、二兆円をばらまくんだったらこういうところに使おうという話になるんじゃないですか。そのことを申し上げて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。

 次に、細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。大臣の皆さん、よろしくお願いをいたします。

 私も、仙谷委員の質問に引き続きまして、埋蔵金の議論から少し入りたいというふうに思います。

 これは与謝野大臣にお伺いをしたいんですが、この埋蔵金の議論で、私がこの経緯を見ておりまして今の内閣の中で非常に奇妙だなと思いますのは、従来、埋蔵金というのは、自民党の中でいうといわゆる上げ潮派の皆さんが言っておられて、こんな財源があるではないかという議論からスタートしたわけですね。今、政権の中枢に座っていらっしゃる皆さんのお顔ぶれを見ると、上げ潮派の方々はどうもいらっしゃらない、そうでない方が座っていらっしゃるんだけれども、財源には上げ潮派の方々がおっしゃっていた埋蔵金を使われている、こういうふうに私には少なくとも見えます。ただそこは、自民党の中のいろいろな議論ですから、私どもが土足で入ってわあわあ言うことでもないでしょうから、これ以上は申し上げません。

 ただ、与謝野大臣、初めに一つだけ申し上げたいのは、与謝野大臣は埋蔵金はないとずっとおっしゃっていたわけですね。ことしの補正予算と来年度の予算を合わせると、与謝野大臣がおられる麻生内閣は八・四兆円の埋蔵金を積み崩されるんですね。

 片や、我々はどうかというと、埋蔵金を当てにしていますよ、当てにしていますが、我々が当てにしている埋蔵金は、特別会計の中から四年間で六・五兆円という計算をして我々はマニフェストを出したんです。それに対して与謝野大臣は、去年、おととしと埋蔵金論争があったわけですが、財政改革研究会という自民党の中の、皆さんの立場、財政均衡派の立場に立たれているレポートの中で、民主党の政策をもって、民主党の財源論は埋蔵金伝説のたぐいだと辛らつに批判されているわけですね。

 我々の財源を批判しておいて、我々よりも埋蔵金をたくさん使って予算をつくっていらっしゃるわけだから、自民党の中の議論は結構ですが、やはりこれは、民主党に対してはこの見解は間違っていましたと言っていただかないと、ちょっとこの議論はスタートしないと思うんですが、いかがですか。

与謝野国務大臣 自民党の財政改革研究会の、いわゆる特別会計の中に含まれているお金に関しての分析は、林芳正さんが座長でやりまして、細野先生にもぜひ御一読いただきたいと思っております。

 民主党のいろいろな政策は、随分一生懸命勉強されてつくられたと思いますけれども、やはり財源のところではいろいろ難点があって、これは自民党と民主党の間で本格的な政策論争をやられたらいいと思いますけれども、私らから見ると、やはりもう少し研究をされた方がよかったのではないかなと思うところが多々ございます。

 もし御参考になれば、私が党にいましたときに民主党の足りない部分を指摘した文書がありますから、必要であればいつでもお届けいたします。

細野委員 それは政策で、財源論争はどんどんやりましょう。我々もそれはやる覚悟はありますし、もう既に何度も提示をしていますから、それは結構です。

 ただ、きょうはその話ではなくて、皆さんの埋蔵金の使い方がどうなんですかということを聞いているんですよ。

 与謝野大臣、まず前提認識として、私はそろそろ埋蔵金の論争に、わけのわからぬ論争には終止符を打った方がいいと思っていまして、どこまで使えるのかという線をしっかり引いていただいた方がいいと思うんですよ。

 予算委員会の初日に自民党の政調会長が質問に立って、こうおっしゃっているんですよ。政府が「埋蔵金を発掘しながら対処をしていった」と。埋蔵金という言葉を御党の政調会長まで使っているんですから。

 例えば、与謝野大臣、今回使っている財投特会の金利変動準備金ですが、これは基準として正しいですか。千分の五十という基準がありますが、かつて、千分の五十が千分の百になって、千分の五十になって、これは基準になっていますか。どうですか。

与謝野国務大臣 質問ですから俗な言葉を使ったと思いますけれども、実際は、特別会計にあるいろいろなお金は、手をつけてはいけないものと、辛うじて使うことが許されるのではないかというお金と、多分分けられるんじゃないかと思っております。

 今回使います財融特会というのは、そもそも安い金利でお金を調達してきて……(細野委員「それはわかっています。よくわかっています」と呼ぶ)わかっておられるんですけれども、高い金利で貸して得た収入ですから、その金融収益を、従来もストックからストックへという形で使っているわけです。それについて今回、財政窮乏の折から、他のところに使うのは辛うじて許されるんじゃないですかということを申し上げているんです。

衛藤委員長 与謝野大臣に申し上げますが、基準について発言を求めています。

細野委員 千分の五十というのは、これは財務大臣もよくわかっていらっしゃると思いますが、上限なんですね。これ以上いったら本当は借金返しに使いますよという基準を、かつて千分の五十、あるとき千分の百にして、今は千分の五十にして、これ以上いったら借金を返しますと言っているわけです。下限はないんですよ。本当は下限をつくらないかぬですね、これだけは少なくとも持っていないといろいろな金利変動に対応できませんから。こういう基準ですという線がないから埋蔵金になっちゃって、結局幾ら使えるかという基準がわからなくなっているんですよ。その意味で、基準がない。

 これは具体的に、ここで論争しても答えが出ないと思いますので、基準をつくってください。では、財政投融資特会の金利変動準備金はどこまで削れるのか。これが下限ですという線を切れば、これは時期によって変動してもいいと思いますよ、そうしたら、この分野についての埋蔵金論争は終わるんですよ。その方が財政再建派の皆さんにとってもいいはずです。

 もう一つ言います。

 今回、予算の中で使われている埋蔵金がもう一つあります。これは与謝野大臣、御存じですか、特別会計から出ている資金、特別保健福祉事業資金というものがあるんですよ。これは何に使われているかというと、与謝野大臣、よく聞いてくださいよ。二千二百億円の社会保障費の削減が今大騒ぎになっていますね。自民党の中でも騒ぎになって、二千二百億円毎年削減するのは無理だということで財源を探した、そうしたら出てきたのがこの埋蔵金なんですよ。主に医療に充てられます。

 いいですか、与謝野大臣。先ほど与謝野大臣が取り崩せないとおっしゃった年金特別会計の中からこの埋蔵金は出てきたんですよ。何でこんなものが年金特会の中にあるんですか。歴史の経緯を私は調べましたが、厚生労働大臣、医療の老人健康保険の関係で、この補てんをするために基金を厚生年金基金の中につくっていたわけですね。

 厚生労働大臣、ここははっきり答弁いただきたいんですが、なぜ、年金特会の厚生年金勘定という、本当は厚生年金のための勘定の中に医療の資金があるんですか。お答えください。

舛添国務大臣 なぜこれが特会に入ったか、どうしてつくられたか。

 これは二つ理由がありまして、一つは、御承知のように、老人保健制度を改革した、そのときに、どういう形でそれぞれの保険者が拠出金をやるかというときに、単純にお年寄りの比率が何%というのを一般化してやりましたから、サラリーマンが入っているのはそんなにお年寄りはいないわけですから過剰な負担になっている、それからそうじゃないところは過小の負担になっている、それの調整をどういうふうにしてやるかというときに、ですから、今でもいろいろな形で被用者、つまりサラリーマンの保険の負担が過剰に出ている分に対する支援をする、そのためが一つ。

 それから、もともと厚生年金に対する国庫負担を繰り延べてきている。いつかは払ってもらわないといけない。では、その財源をどういうふうに確保するかということで、一・五兆円の基金を置いて、そこから生み出す運用益を使う。片一方では、先ほど言った保険者の拠出のインバランスを埋めるために使う。そして将来の、もともとは国庫から年金勘定に入れてもらわないといけないのを、それはやはり金がないということで、そういうところは非常に役人は頭がいいと思いますが、何とかして知恵を生み出して、どうするかということで、それでこれは今言った基金ということをやった。

 それは、そのころに潤沢な財源があれば年金勘定にもらっておけばいいわけですよ。それから、もう毎回そうなんですけれども、まさに老人医療をどうするか、国民皆保険をどうするかというときに、皆さん方に拠出を求めないといけない、そのときの負担のバランス。この二つでもってやったので、これをいわゆる埋蔵金と呼ぶのかどうなのか、私はそれは若干疑問に思います。

 ここまでにちょっととどめておきましょう。

細野委員 私は、この説明を何度も聞いたんですが、よくわからないんですよ。ようやく大体つかめました。(舛添国務大臣「わかったでしょう」と呼ぶ)つかめました。

 ただ、舛添大臣、ここだけははっきり申し上げておきたいんですが、厚生年金のこのお金、厚生年金が本来持っておくお金を医療に回すのはおかしいですね、年金の資金ですから。企業の健康保険組合に入っている人、だから企業の医療の保険に入っている人と厚生年金に入っている人は、確かに近いですよ。近いですが違いますね。別の制度ですよ。別の制度なんだけれども、いろいろ資金の出どころが、そこから出たということもあって、年金特会の厚生年金勘定の中にとりあえず置いておいた。こういう不明朗なお金こそ埋蔵金なんですよ。その証拠に、今回一般会計に戻すんでしょう。戻すんじゃないですか。

舛添国務大臣 それは、不明朗というか、私は役人は知恵があるなという言い方を半分嫌みを込めて言いましたのは、今委員がおっしゃったように、確かにそれは、サラリーマンですから厚生年金に入っている。それから、サラリーマン、要するに被用者、わかりやすいようにサラリーマンの保険。同じわけです、保険者は。余りに過剰な負担になっているから、ある意味で同じ人を対象にするという意味でやったわけです。

 そういう意味では不明朗といえば不明朗だけれども、とにかく国庫に金がないときどういうふうにしてお金を生み出しているか、ある意味で役人の、皮肉を込めて言えば知恵があるなという感じがしておりますけれども、それを埋蔵金と呼ぶかどうかはちょっとこれはまた、余り埋蔵金の定義論争をするよりも、事情はそういうことでしたということを申し上げておきたい。

細野委員 与謝野大臣も今聞いていただいたと思うんですが、不明朗といえば不明朗でしたと厚生労働大臣自身おっしゃっているんですよ。

 御存じのとおり、医療は一般会計でやっているわけですよ。ですから、医療の補てんをするのであれば一般会計でもともとやるべきものを、厚生労働省の、自分の財布じゃないから、この厚生年金勘定の中にとっておいた、年金特会の中にとっておいたというのが実情ですよ、少なくともここまで維持をしてきたのは。

 与謝野大臣、私は一つショックだった。なぜショックだったかというと、私も大分埋蔵金に詳しくなりまして、いろいろなところのいろいろなおかしな資金を調べてきましたが、まさか年金特会の中にこんな使えるお金があるとは思わなかった。なぜなら、年金特会というのは年金の保険料を積み上げてきて、そこは手をつけちゃいかぬというふうに思っていたから我々もこれは見てこなかったのが、実はそこからですらこういう埋蔵金が出てきたというのは、この特別会計の性格というのを極めて端的にあらわした例だ、私はそう思うんですよ。

 与謝野大臣、そこは、本当にこの特別会計の、埋蔵金という言葉を使うか使わないかは結構ですが、こういう性格があるんだということはわかってもらいたい。

 もう一つ埋蔵金について申し上げたいのが、公益法人の埋蔵金なんですね。資料をつけましたので、与謝野大臣も見てください。

 一番最後の資料ですが、先日我が党の前原委員も質問しました財団法人道路保全技術センターです。この団体、去年の予算委員会で私が何度か問題にした団体なんですが、現金を非常にたくさん持っていた。具体的に言うと、この表でいうならば現金預金というところですが、真ん中の前年度のところでいうと、二十四億円近い現金預金を去年の時点で持っていました。これは内部留保の割合でいうと四〇%を超えていまして、公益法人は内部留保の割合を三〇%以上持つのはおかしいということになっていますから、その基準をはるかに超えて、しかも現金で二十四億円なんというお金を持っているのはとんでもないことだということで指摘をしました。

 そうしたら、ことしになって埋蔵金がどうなったかと見たら、実はけたが三つ減っているんですね。ほとんどない、現金預金。どこに行ったのかと思って捜したら、下の方を見てください、真ん中辺ですね、道路保全技術等推進基金、十五億円基金を積んでいるんですよ。

 これは、積んで何が起こっているかというと、現金預金に置いておけば、これは内部留保で、まさにこれを取り崩せという対象になる。基金で積めば、これはまさに特定資産、すなわち固定化されていますから、この財団のもので、内部留保で取り崩しとかいう議論にならないから、こういう基金を積んだんですね。これが典型的な財団法人の埋蔵金です。

 国土交通大臣に聞きます。

 金子大臣、去年の四月に、道路関係の公益法人の改革案が出ていますね。その中で、内部留保については取り崩して国庫にしっかり返してこいということを、これは我々にとっては不十分だと思いますが、こういうことを今まで言ってこなかったから、そういう意味では半歩前進というふうに私はとらえたいと思いますよ。

 そこで、一年たって、こういうものが出てきました。この道路保全技術センターは統合されることになっておりまして、来年はこの組織はなくなります。ということは、この三月の決算のときにきちっとこの内部留保金をもちろん取り崩して、このへんてこな基金をつくっている、まだ使っていないそうです、大慌てでつくったんでしょう、これも含めてちゃんと回収をするということを担当大臣としてきちっとおっしゃらないと、去年の議論の経緯も生かしたことにならないし、まさに持ち逃げになりますよ。どうですか。

金子国務大臣 御指摘ありましたように、昨年四月の改革本部最終報告に基づきまして、必要以上の内部留保や基金を、国に寄附するなど真に公益的な目的に活用するように既に要請をいたしております。

 そして、この三月でありますが、この決算におきまして、今金額を精査しておりますが、今年度中に国庫返納あるいは寄附等の対象額を確定し、二十一年度までに国への寄附等を実施させる予定であります。

細野委員 今前向きな答弁をいただきましたので、これ以上言いませんが、これは与謝野大臣にも聞いていただきたいんです。

 こういう公益法人の無駄遣いは、去年の予算委員会で指摘をして、ようやくこういう報告書が出てきて、やろうじゃないかということになったんですよ。さらに、私は、これは国土交通省に対して少し酷な言い方になるかもしれないけれども、本当に、この財務諸表を見て、ここはおかしいんじゃないかというふうに我々が指摘していなければ、これは持ち逃げされていた可能性もあると思いますよ、こういうやり方を許していたら。

 与謝野大臣、ひとつ御答弁いただきたいんですが、財政再建派として消費税の議論をすることは結構です、我々は反対ですが。ただ、少なくとも、その前に、さっきの年金特会や財投特会の、基準のない、よくわからない埋蔵金の数々、あとは公益法人、これは本当に氷山の一角の一角ですよ、こういう埋蔵金をため込んでいたりする機関というのはたくさんありますから。増税をおっしゃるなら、そこですよ。そこについて何か決意が感じられない。

 さっきは、解決策は抜本的な税制改革だとおっしゃっていましたが、私は違うと思います。やるべきは、歳出の改革と特別会計の改革、公益法人の改革ですよ。そっちが優先だ。これは明確に御答弁いただかないと国民も納得できないですよ。お願いします。

与謝野国務大臣 私は、そんなことは否定するつもりはありませんけれども、やはり行政改革、無駄の排除、財政再建というのを、三つ仕事を同時にやらなきゃいけないという話で、その中で多分順番はないんだろうと思っております。

細野委員 いや、順番はありますよ。当たり前でしょう。埋蔵金も幾らあるかわからない、それぞれの公益法人がこれだけの積立金や埋蔵金をため込んでいて、増税するんですか。順番がないなんて、論外な答弁だと私は思いますよ。これは訂正してください。

与謝野国務大臣 同時にやるということが必要なんで、これが終わるまでこっちは手をつけない、そういうことはあり得ない。重要な仕事を三つ同時にやるぐらいの度量と見識を持っていなきゃいけないということを申し上げた。

 それからもう一つは、こんなお金は持ち逃げされるというような表現を使われましたけれども、財団法人が解散する場合には国庫に納めるか類似の団体に寄附するということになっていまして、持ち逃げなどということはできないことになっております。

細野委員 ここは、大臣、がっかりしました。三年後に消費税を上げるんでしょう、三年後に上げることを検討されるんでしょう。逆に言うと、その間にきちっとやればいいじゃないですか。残念ながら、今の御答弁だと、優先順位をどうも勘違いされているようですから、我々が政権をとってやるしかないなと改めて思いました。この論争はもうやめたいと思います。この話だけしているわけにいきませんので、これで終わります。

 次に私が伺いたいのが、時間もなくなってきましたので、天下り、わたりの問題です。

 これは官房長官に主に答弁いただきたいと思っていますが、まず初めに認識していただきたいのが、天下りには三ルートあるということ。資料をつけております。一応パネルがあるんです。これは先日、長妻委員のときに提示をされたパネルです。一番上に資料をつけています。

 今政府が一生懸命やめようとされているのは、我々に言わすとオモテルート。すなわち、各省がやっているあっせんは、これは一年以内にやめるということを今一生懸命言われている。やり方は私どもと違いますが、そういうことはおっしゃっている。ただ、残るのが新オモテルート。すなわち、官民人材交流センターを通じてのあっせんは、これはこれからやる、今これからやろうとしている、こういう状況なので、この天下りは残る。

 そして、きょう私が一番問題にしたいと思っているのは、このウラルート。すなわち、あっせんによらないけれども、明らかに役所から天下って、そしてそこに税金が使われている例。これをしっかりと、どういうふうに明らかにして、そしてやめさせていくかということについて伺いたいと思います。

 まず、事実関係を指摘したいと思います。

 まずこれですが、このS氏、この間、私、予算委員会で指摘をしました。わたりを繰り返したS氏がどういう形で再就職を繰り返してきたかというリストです。そして、この中に書いてあるのは、そのS氏の前任者であるA氏、B氏、C氏。そして、後任者であるD氏、E氏、F氏、G氏、D氏。それぞれもこれは再就職をしているんですが、では、それぞれがあっせんがあったかどうかを確認してもらいました。そうしたら、官房長官、このA氏についてはあっせんの有無を確認できなかった。ですから、これはいわゆるやみルートになっている可能性がある。D氏についてはあっせんを確認できたそうです。これはまず事実関係として一つ指摘をしたいと思います。

 もう一つ、三枚目の資料をごらんください。

 一番近しい例として調べることができたのが、これはちょっとわかりにくい図なので説明をさせていただきますが、これは二〇〇七年度において厚生労働省が天下りのあっせんを認めた人のリストです。一から五まで、わずか五人しか天下りを認めていないんですね。まずこれが論外。あとは全部ウラです、やみルートです。

 そして、それぞれの五人の方、例えば、一の方が独立行政法人勤労者退職金共済機構の理事に天下っておられるんですが、では、そこの前理事を務めた人がどこに勤めていますかということを聞きましたら、これは右が出てきました。この一の方は民間企業の顧問をされている。これは結構。二の方、財団法人女性労働協会の専務理事に天下った人の前任者は今どうしているかというと、鉱業労働災害防止協会の専務理事をやっている。しかし、この方は、このわたり、再々就職についてはあっせんは受けていないというふうに厚生労働省として正式な回答がありました。その下は、独立行政法人雇用・能力開発機構の理事を務めた方の前任者は、労働関係法人の厚生年金基金の理事長に行っておられて、この方はあっせんありというふうに答えられています。その下の四番の方の前任者は、陸上貨物運送業労働災害防止協会の専務理事で、あっせんなし。その下が、社団法人国際厚生事業団の専務理事。

 三の方だけは、この前任者のあっせんを認めていますが、残りの三人の方については、二と四と五についてはあっせんなしというふうに答えています。厚生労働省の政府委員に一応確認しますが、これでよろしいですね。

大谷政府参考人 御指摘のように、残り三件についてはあっせんの事実は確認しておりません。

細野委員 官房長官、あっせんなしなんですよ。

 ただ、私、実は、かなりわたりのこと、天下りのことを長くやっていまして、ぴんときたんですよ。何にぴんときたかというと、この天下り、あっせんなしとした三つの団体のそれぞれ役職名が専務理事でしょう。おわかりになりますか。秘書官の方、ちょっとわかるように指してください。専務理事ですよね。官房長官、いいですか。専務理事というのは、こういう団体においては、ほとんどの場合に天下りポストなんですよ。

 調べてみました。では、この前任者の方がつく前はどういう方がこの専務理事をやっていましたかと聞いたら、全員厚生労働省OBなんですよ。あっせんなしだけれども、代々厚生労働省のOBが専務理事を務めてきているんですよ。これがウラルートなんですよ。官房長官、明らかに厚生労働省のわたりのルートになっているのはお認めになりますね。

 あっせんはない、こういうのをちゃんと調べて、あっせんはないけれども厚生労働省の再就職先になっているところがあるんだから、調査をする必要があるでしょう。官房長官、お願いします。

河村国務大臣 一つのルートになっているという御指摘、これは、政府として考えてみて、一たん退職をされる、民間の方になっておられる、この方々が、省庁を経ずして人間関係でやられるということ、こういう形から推測して、おっしゃること、指摘されることは、それは現実にそうなっているんだからそうだと言われればそうかもしれませんが、これを調査するということはなかなか難しいんじゃないかなと思うんです。まさに、省庁が関与していない再就職については、元公務員であったという理由だけでこれを規制するような形ということは、私は難しいのではないかというふうに思いますが。

細野委員 河村官房長官は非常に誠実な方だというふうに思いますので、ここはぜひ調査を約束していただきたいと思うんですよ。できます。これは簡単なんですよ。だって、天下りをあっせんするときに、あっせんをしたその先に勤めている理事であるとか専務理事がどこに行くかなんて調査は簡単にできるじゃないですか。だから出てきたんだから。できますよ。

 さらに言うならば、例えば、所管をしているそれぞれの団体で、同じポストにずっと、例えば五代以上OBが続けてついているなんというのはすぐに調べられるわけですよ。それは明らかに、あっせんがあろうがなかろうが、わたりのポストになっているんだから。それを所管団体についてきちっとヒアリングをして調べるということはできるでしょう。それをきちっとやってくださいということを申し上げているんです。それをやらないと、ウラルートは解明をされないし、なくならないですから。

 必要性はわかっていらっしゃると思いますので、そこの調査を約束してください。

河村国務大臣 私は、これからの問題をどう考えるかということが非常に大事だと思うんです。

 したがって、御指摘のような疑念を持たれるようなことにならないようにするにはどうしたらいいか。もっと透明性を高めるとか、これは指導監督基準要領というのがたしかあって、公益法人等においては、公務員のOBを受け入れたときはそれをインターネットで明らかにするようにという方法がありますから、こういうことをやはりきちっとして、まさに透明性を高めて疑念を持たれないような形に持っていくということは、これは一つの、今の御指摘に対してこたえることになるのではないか、こういうふうに思います。

細野委員 官房長官、ここは私こだわります。

 あっせんがない以上、透明性を高めようがないじゃないですか。あっせんがいいか悪いかということを、これからどういうふうにそれを承認するかとか、どういう基準にするかという議論は幾らでもできると思いますよ。ただ、あっせんがないと言っている以上、透明性の高めようがないんですよ。そういうものでおかしなものがあるとすればそれをやめるというのがこのウラルートの解明なんです。だから、これから透明性を高めるという話と現状がどうなっているかという話は違います。

 さらに言うと、この現状を変えられない限り、こういう、あっせんはしないけれどもわたりのルートとなってこうやって渡っていける先というのは営々と残るんですよ。それを政府として認めるんですか。それをきちっと調べてくださいということを申し上げているんですから、官房長官、わかりますね、きちっと調べてください。

河村国務大臣 御指摘のようなわたりが問題にされるのは、こういう雇用の現状ですから、公務員だけが何か特権的な就職をやっているじゃないかという御指摘があることも承知しております。しかし、これが問題になったのは、やはり、予算権限を持ったり、あるいは、まさにこれによって特別な予算がつくとか権限がつくとか、こういうことによってこれが慣行化されているということが非常に問題になっておるわけでありますから、そういうことをいかになくすかということのために、官民交流センターで中正、公正な仕組みをつくっていこうと考えたわけであります。

 これは、おっしゃるような御指摘を踏まえて、どのような形で、そういうまさに権限を持ったり予算をつけたりするような形のもの、疑われるようなものでなければ、いわゆる官僚の皆さん方の体験、能力、これをまた社会に生かす方法というのは、それぞれ自己努力によって積み重ねられていく、努力されて自分の再就職口を見つけていかれる、これは、やはり公務員OBといえども自分たちのそれぞれの生活を持っておられるわけですから、これに対する疑念を持たれないようにするということが私は一番大事だ、その方途については検討してみたいというふうに思います。

細野委員 河村官房長官、この団体をそれぞれ見ていただきたいんですが、それぞれ厚生労働省に何らかのかかわりを持っている団体ですよ。当然、許認可がかかわっていますよ。全部調べ切ることはできていませんが、何らかの公的な資金が行っている可能性もあると思いますよ。それは、あっせんがあろうがなかろうが、喜んで天下りを受け入れるんですよ。だって、そのことによって、あうんの呼吸で、これからもこれまで来ていた補助金がもらえる、これまでと同じように許認可を受けられる、そういうことがあるからでしょう。今大臣がおっしゃった許認可とかお金の使い方に直結しているじゃないですか、この天下りは。そういうことをきちっと考えて、今どうなっているのかと調べるのは、天下りの問題、わたりの問題がここまで大きくなっている以上、当然だと思いますよ。

 では、官房長官に聞きますが、疑念を持たれないようにこういうものを変えていくというのであれば、どうやって変えるんですか、調査もせずに。どうやって、このあっせんのないわたりのルートを変えるんですか。疑念を持っていますよ、明らかに国民は。国民が持っている疑念に官房長官としてどうこたえるのか、そこまでおっしゃるなら、きちっと答弁してください。

河村国務大臣 ウラルートが新たにあるんだという御指摘でありますから、疑念を持たれないようにするにはどういう形でやっていくのか。おっしゃるような、OBの転職先をきちっと把握しろと言われるんですけれども、これは、公益法人のケース、民間企業のケース、いろいろあるのではないかと思いますが、政府がこれを把握する立場にあるかどうか、私はそれに対して疑念を持っておるわけですけれども、今おっしゃるような疑念を持たれないように、一般公開基準をつくるとかこういうやり方があるのではないか、それを検討させてもらいたい、こういうふうに申し上げている。

細野委員 今、大事な答弁ですよ。一般的な公開基準ですね。公益法人のこういう天下りについては、あっせんがあろうがなかろうが全部公開するんですね。一般的な公開基準とおっしゃったんだから、そうですね。これは大事な答弁ですよ。答えてください。

河村国務大臣 監督指導基準的なものでは、特に公職、その団体、公益法人が役員を受け入れた場合にはそういうものをインターネット等で公表するようになっていますから、それは一つの例ですから、そういうことをもっと確実なものにしていくとか、いろいろなやり方があるんじゃないでしょうか。

細野委員 今官房長官が答弁をされたのは、あっせんがある場合の公開の話でしょう。あっせんがない場合についても一般的に公開するとおっしゃいましたね。一般的にということはそういうことでしょう、違うんですか。答弁してください。

河村国務大臣 公務員の皆さん方は利害関係のあるところには行けない、こうなっておりますから、少なくとも二年間はだめだという基準もございます。

 そういう意味で、基本的な考え方、一般論として言えば、公務員をやめられた方は一般人になっておられるわけでありますから、その方々がどういう形で就職をされるかどうか、これはまさに職業選択の自由という問題もこれありますから、そういう点でまた慎重にならざるを得ない部分が一つあるということなんです。

 しかし、公務員であった者を受け入れた場合にそういう疑念があるんだということであれば、それをどのような形で公開してもらうかということも含めて検討してみたい、こういうふうに申し上げたわけです。

細野委員 官房長官は御決断できないようですから、もう時間もなくなってきましたから甘利大臣に聞きますが、この間御答弁をいただいて、こういうのはもうやめますとおっしゃいましたね。こういうわたりを続けていって、その前後にまた同じような形で渡っていくようなことはやめるというふうに私に答弁されたんですよ。覚えていらっしゃいますか。(甘利国務大臣「けしからぬと言ったんですね」と呼ぶ)いや、やめますとおっしゃいました。答弁で残っています。こういうのはもうやめるんですという答弁をされたんです。議事録を見てください。

 この中でA氏はあっせんを認めていません。ということは、あっせんを認めていない者も含めてやめると大臣は責任を持ってテレビの前で答弁をされたんだから、甘利大臣にはこういうのをちゃんと調べる責任があるんじゃないですか。それか、もしくは答弁を取り消しますか。

甘利国務大臣 私は、一般的なモラルの問題として、この水産庁の方ですか、六つも渡り歩く、こんなことはけしからぬことで、総理もそう思っていらっしゃるはずですというふうに申し上げた記憶があります。その延長線上での話だと思います。

 そこで、そもそも天下り自身は私の所管ではないのでありますが、新しい公務員制度をつくって、それを本格稼働させていくことによって、基本的に勧奨退職が少しずつ制度の構築に従って減っていく、そうするとその分に比例して天下りというものはなくなっていく、そういう体制の整備の中でモラルが構築をされていくのではないかと思います。

 あと、官房長官の御答弁は、やはり非常に我々が悩ましいところであって、一般の人になった人がどういう仕事を選択するかということは、憲法上の職業選択の自由というものが一つあります。そういう中で、自身の人脈に頼っていろいろ自分の能力を生かしたいところに進みたいというところを憲法との制約でどこまで遮断ができるかという問題があるんだと思います。これは、私の立場からすれば、公務員制度の改革をつくっていく中でモラルが形成されていくということを期待したいと思っています。

細野委員 聞きたいことは山ほどあったんですが、もう時間もなくなりました。

 大臣、芋づる式ですぐ出てくるんですよ、こうやって出てきているのだから。我々野党が、一つ一つ、ここはどうですか、あそこはどうですかといってさんざんやりとりして、我々は今、政府のアウトサイダーですよ、アウトサイダーでも、こうやって一つ一つひもといていけば、出るんじゃないですか。皆さんが本気でやる気になって、この芋づる式のウラルートを解明しようという覚悟があれば、それはできるんですよ。職業選択の自由とかそういうレベルの話ではなくて、こういうわたりが続くことによって、ウラルートで残ることによって、そこに税金がなだれ込み、そしてそこに税金がため込まれ、そして無駄遣いがされているという構図を本当になくす覚悟があるのかどうかということを示すのが、これを調査するかしないかというところにあらわれているんですね。

 質問時間が終わりましたからこれで終了いたしますが、この問題は、我々あきらめません。この予算委員会のさなかは徹底的にやることを最後に宣言して、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて細野豪志君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十三日金曜日、大分県及び青森県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑を続行いたします。原口一博君。

原口委員 民主党の原口でございます。

 きょうは、大きく、郵政の問題についてまず議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは、日本郵政からも西川社長さん初め皆さんお見えいただきまして、ありがとうございます。

 まず、かんぽの宿の売却に関する問題点についてでございますが、西川社長に伺いたいんですけれども、このかんぽの宿の売却の責任者、これはどなたでございますか。

西川参考人 お答えいたします。

 これは日本郵政株式会社が行うことでございますので、最終責任は私にございます。

原口委員 しかし、西川社長、それぞれ役割を分担して、専務さん、常務さん、お持ちのようでございます。最終的な責任者は西川社長でいらっしゃると思いますが、きょうお見えいただいています横山専務さん、この横山専務さんは、かんぽの宿の売却について専務として責任を持つお立場であると認識をしていますが、それは違いますでしょうか。

西川参考人 役員の担務の件でございますので、私からお答えさせていただきます。

 横山専務は、このかんぽの宿の譲渡に関しましてはサポート役でございまして、直接的には、不動産関係ではCRE部門というものを担務いたしております。

原口委員 横山専務、サポート役ということで御答弁をいただきました。

 きょう、委員長、お許しをいただいて皆様のお手元に資料をお配りさせていただきたいんですが、お許しいただけますでしょうか。

衛藤委員長 どうぞ。

原口委員 一枚めくっていただいて、一をごらんください。平成十九年の十一月八日から二十年の十二月二十六日までの経過をここに書いております。

 中には、この中で、四百億円の札を入れたのに入らなかった、あるいは、本当にこれは競争入札なんであろうかというような疑義が出て、鳩山大臣からも大きく三つの、なぜ今なのか、オリックスなのか等の質問が出ているわけでございます。

 この契約は、そもそも競争入札であったんでしょうか。この契約の性質についてお尋ねを申し上げます。

西川参考人 お答え申し上げます。

 今回の入札につきましては、ホームページによりまして一般に広く公募を行いまして、譲渡価格を含む企画提案を募りました上で、会社として最も有利な提案を行った相手方を選定したものでございます。また、ホームページにおける告知に競争入札と明記の上公募をいたしておりまして、弊社といたしましては競争入札であると考えております。

原口委員 弊社としては競争入札であるという言い方が本当にあるんだろうかと思います。

 いわゆる特殊会社でございますから、それこそ、会計検査院、きょう来ていただいていますが、会計検査の対象となるのではないかと思いますが、院長からお答えをいただきたいと思います。

西村検査官 お答えいたします。

 会計検査院は、院法の二十二条で、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計について検査することになっております。

 日本郵政株式会社は、国が資本金を一〇〇%出資している法人でございますので、本院の検査対象になります。

原口委員 会計検査院の検査対象であるということが明らかになりました。

 そこで、幾つかお尋ねをいたしますが、資料二をごらんください。これは、私どもが総務委員会で日本郵政に対して総務省を通じて開示をお願いした、これは公社時代のものでございます。

 この二の資料、上をごらんいただくと、随意契約というふうになっています。そして、一般競争入札(バルク)という名前がありますが、CAM6というのがずっと続きます。これは、一部を抜粋してきましたので、CAM6、CAM5、CAM7というものが入っていて、そして、リーテックというようなものもあります。中にはピカソという株式会社の名前もございますが。果たしてこのような中身が、この中を見てみますと、千円で売られたものがそれこそ四千七百万円になってみたり、一万円で売られたものが六千万円の値をつけたりということになっておるわけでございます。

 バルクといいながらも、物には価格がございます。路線価格もあれば、固定資産税の評価額もあり、あるいは相続税の対象であれば、相続税の対象としての税の算定元となる数字もございます。バルクだからといって、例えば一万円で売っていいというのであれば、それは税の世界が壊れるというふうに思います。

 きょう、国税の方にもお見えいただいていますが、一般の売買から極端に離れる、そういう売買について税法上どういう扱いになっているのか。それは、個人でそれが移転されれば、移転した方にもあるいは移転を受けた方にも税がかかる。あるいは、会社ではこれは寄附扱いですか、寄附扱いとなるんでしょうが、いずれにせよ税がかかるという認識をしておりますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 一般の法人ということでお答えさせていただきますけれども、法人がその保有する資産を、先生がおっしゃいました、時価よりも著しく低い価格で譲渡した場合の税務上の取り扱いですけれども、まず、売り手側であります法人につきましては、その譲渡価格と時価との差額は、原則として寄附金に該当いたします。損金算入限度額を超える部分の金額は、損金に算入されず、法人税の課税対象となります。

 それから、買い手側についてですけれども、時価と購入価格との差額は、原則として、買い手が法人である場合には益金の額に算入されて、やはり法人税の課税対象となります。買い手が個人である場合には所得税の課税対象ということで、いずれにしろ課税対象になります。

 国税当局としては、個々の事実関係に基づきまして、法令の規定に照らして適正に取り扱っていきたいと考えております。

原口委員 ぜひ国税におかれましては、今まさに景気がこういう状況で、決算を見ておりますと、毎日のように今決算が出ておりますが、各会社、そうですね、もう半分ぐらいが赤字です。来年の法人税どうなるんだろうというような心配までするような経済状況ですが、厳正なる国税の対処を望むものであります。

 ということは、西川社長、六千万円のものを一万円でもし転売をしているということであれば、そこにはやはり税がかかってくるわけです。

 よく、かんぽの宿ということで、四十億円赤字なんだから、この赤字を埋めなきゃいけないんだ、この赤字は何とかしなきゃいけないんだというお話がありますが、ちょっとパネルを。先日、国民新党さんと社民党さんと御一緒しまして、このラフレさいたま、これはすごい施設ですよ。民主党は党本部、非常に苦労しておりますが、本当に、移りたいという人までいたぐらいでございます。

 これは、平成十二年にできた施設で、約三百億円。もう埼玉の方は御存じのとおり、アリーナのすぐ近くで……(発言する者あり)そうですね、小島先生、よく御存じですね。まさに、これから発展しようというところであります。なぜこういうものまで売却の対象になっているのか、私には理解できませんでした。

 そして、かんぽの宿についても、もともと、きのうも御質問があっていましたが、地元から要請をし、公のものだからというので土地を工面して、公のものだからといって地元が便宜を郵政に、当時は民間会社ではございませんでしたが、図っていたわけであります。それを、一言の地元へのお話もなしにどうしてお売りになるのか。実際に私も、埼玉の副知事さんや、知事さんが私たちの仲間でございますので、伺いましたら、非常な不快感をお持ちでございました。

 平成五年に、埼玉県、それからあと三市、浦和や与野市という市、そういう市の皆さんが……(発言する者あり)大宮ですね、ごめんなさい、御提案なさっておつくりになったということでございました。その四つの団体が要請をしてつくったものです。それをこうやってバルクでやっていいんでしょうか。西川社長、お伺いを申し上げます。

西川参考人 お答えいたします。

 今回の譲渡につきましては、かんぽの宿等を一括して譲渡するということでございまして、事業譲渡という考え方でございます。その中にいろいろな施設が入っておるということでございます。

 ただ、入札価格がしかるべきものであるかどうかということを当然検証していかなければなりませんので、我々の方では、売り出すに際して、一件一件個別に鑑定評価をとっております。そしてまた、もちろん、民営化時に承継いたしましたときの価格、これは総務省に設けられました評価委員会において評価をされたものでありますが、その評価も参照しながら検討しておるということでございます。

 以上です。

原口委員 西川社長、恐縮でございますが、私も財務金融委員会でも、そのときは金融会社の社長さんでいらっしゃいましたが、質問を交わしましたが、今私が申し上げたのは、価格がどうのこうのということを申し上げているのではなくて、どうして地元に一言の断りもなくこういったことがやれるんだろうかということを伺っておるわけでございます。

西川参考人 大変失礼を申し上げました。

 私ども、このラフレさいたまに限らず、他の施設につきましても地元への説明等を怠っておったということは事実でございまして、深くおわび申し上げたいと思います。

原口委員 先ほど、前段のお答えでなさったのが、皆さんのお手元の資料四でございます。「かんぽの宿等の不動産価格等の推移」という形で、これのラフレさいたまのところ、ちょうど七十番でございますが、ごらんいただくと、十五億という形になっています。

 事業譲渡というお話でございますが、実際にこれは民営化法に規定された五年以内の、いわゆるかんぽの宿なんだろうか。健康増進施設であります。

 言うまでもないことでございますが、かんぽ会社は世界最大の保険会社ですね。保険会社であるからにおいては、加入者の健康、加入者の福利厚生、これを考えるのが当然であります。そうすると、普通は死差益の何%、それを加入者のために、健康のためにこういう施設に使うというのはほかの生命保険会社でもやっている。ある意味、ビジネスモデルとしては当然なんではないか。そうすると、西川社長がお話しになっているこの四十億というものは、保険会社のビジネスモデルとしたら、それは本当に赤字というとらえ方でいいのだろうか、この論点が一つであります。

 もう一つは、こういう施設は持ち株に持たせているんですよ。本来だったら、保険会社に持たせなきゃいけない。では、世界最大の民営化された保険会社は、今回のかんぽの宿、オリックス不動産への売却案件だけで二千四百億お金がかかっているわけですが、新たにこれから二千四百億円投資するんですか。そんなことがやれるんですか。私はそこに疑問を覚えております。

 ここは指摘だけにさせていただきます。

 そうすると、何をバルクにし何をバルクにしないのか、その分水嶺は何ですか。メルクマールは何ですか。

西川参考人 お答えいたします。

 郵政民営化法によりまして、かんぽの宿等宿泊施設、これを民営化後五年以内に譲渡ないし廃止するということになっております。その中で、宿泊関係でございますが、これはかんぽの宿等がほとんどでございますが、ラフレさいたまもその中に入っております。宿泊事業部の方で一括して管理運営をやっておる施設の一つでございまして、したがって、これも事業としての売却対象、譲渡対象ということになっております。

原口委員 総務省に伺います。

 郵政民営化法における宿泊施設に、ここに七十九の物件、四にその六十から七十九番目を出させていただいていますが、宿舎が入っていますか。ラフレさいたまは民営化法に基づく売却の対象ですか。法の解釈を聞きます。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 宿舎は七十九の中に入っております。

 それからこれは……(原口委員「違う。民営化法の売却対象です」と呼ぶ)宿舎ですか。これは法律的には、加入者福祉施設というふうに書いておりますので、直接的には入りませんが、日本郵政から聞いている説明におきましては、これは付随する施設というふうに聞いておりますので、その辺はちょっと明らかじゃございませんが、いずれにしても、加入者福祉施設というふうになっております。

原口委員 いや、わかりません。大臣が激励の言葉を言ったので緊張されたのかもわかりませんが、もう一回落ちついておっしゃってください。宿舎は売却対象施設じゃないはずですよ。

吉良政府参考人 入っておりません。

原口委員 それをお答えいただきたかったわけです。

 入っていないものをなぜ売るんですか。都心の一等地ですよ。皆さんのお手元の四をごらんください。こういう評価額ですが、本当ですか。私も、念のために不動産の専門の方やあるいは金融の専門の方にお話を伺いました。私が聞いた限りにおいては、この九つだけで百五十億融資もできるんだと言う方もいらっしゃいました。

 私は、今の西川社長のお答えでは納得いきません。ぜひお願いをしたいのは、まず第一点、当委員会に、メリルリンチそれから日本郵政、両方から、アドバイザリー契約をメリルリンチにしていますね、そのアドバイザリー契約の契約書、これを開示していただきたいんですが、いかがでしょうか。きょうは日本郵政だけですから、メリルリンチには後ほどお願いをすることになると思います。

西川参考人 お答えします。

 メリルリンチとの間のアドバイザリー契約につきましては、既にその契約書のコピーを総務省には提出をいたしておりますが、その他一般の開示につきまして、ただいまメリルリンチに了解を求めているところでございまして、了解がとれ次第開示をさせていただきたいと思います。

原口委員 ということは、総務省はこの契約書を持っていますね。持っているということであれば、伺いますが、取引先等の関係しないところ、報酬額は幾らですか。

吉良政府参考人 私ども、提出は受けております。しかしながら、まだこれにつきましては、相手企業のこともございますので、ちょっと今お答えはできません。

原口委員 それがよくわからないんですよ。相手企業がある。これほど大事な、私はこれは一月からずっと求めているんですよ。総務委員会としても求めている。なぜ出さないんですか。報酬額が幾らかなんというのは基本的な数字じゃないですか。相手の話じゃないじゃないですか。どうぞ。

吉良政府参考人 開示するように強く日本郵政にこれから話したいと思います。

原口委員 開示するように強く言いたいということですから、言いたいも何もそこにいらっしゃいますので。

 お答えください。

鳩山国務大臣 ちょっと無責任な言い方かもしれませんが、ほとんど朝から晩まで国会におりますので、役所の中で書類を細かく見るという時間がなかなかなくて困っておりますが、私は、メリルリンチとのアドバイザリー契約についてはやはり疑問に思う点があったものですから、役所の内部の人間に大体どんな契約になっているんだと聞きましたら、月一千万プラス成功報酬、こういうふうに聞いております。

原口委員 大臣、お答えいただいてありがとうございます。

 成功報酬、それは何ですかね。けさの朝日新聞でしたか、白紙撤回するという話がございました。西川社長、これは白紙撤回をなさるんですか。白紙撤回したときに、では今までの成功報酬というのは、月に一千万というのはもう入ってしまったものですし、オリックスとの違約金というのは、もし白紙撤回をした場合には発生するんですか。

西川参考人 お答えを申し上げます。

 私は、白紙撤回ということを明言しておるわけではございません。ただ、総務大臣からいろいろ御指摘をちょうだいし、それを真摯に受けとめて、そして第三者によります、専門家によります委員会を設置してゼロから検討していこうということでございますので、また、総務大臣の御認可が得られない限りこの契約を実行するということは不可能でございますから、白紙撤回ということもあり得ようかというふうに思っております。

原口委員 白紙撤回した場合、違約金は発生するんですか。

西川参考人 ただいまの契約では、違約金の条項はございません。

原口委員 だからこそ契約書を出してくださいと言っているんですよ。ゼロから、それこそ委員会をつくって検証していくということですけれども、鳩山大臣の答弁によれば、一カ月一千万円かかるわけでしょう。では、今の段階も、メリルリンチに対する一カ月の契約のフィーというのは発生しているんですか。いかがですか。

西川参考人 お答えいたします。

 メリルリンチとの契約につきましては、一月末で打ち切りといたしております。

原口委員 それであれば余計に、出せばいいじゃないですか。今まで幾ら払ったのか。そしてこちらは、皆さん特殊会社ですよ。特殊会社で、これはみなし公務員なんですよ。みなし公務員ということは、郵政株式会社法にもございます、そこに不透明なことがあれば、まさにみなし公務員としての罰もあるし、説明責任も持っているんですよ。総務省から言っても出さない、私たちが国会で、理事会で決定しても、相手があるということで出さない、そんな契約がありますか。

 どうぞ、お答えください。

西川参考人 メリルリンチとのアドバイザリー契約につきましては、アドバイザーとしての活動をしていただき始めましたのは昨年の二月でございますので、ちょうど一年ということになります。したがいまして、月一千万の十二カ月分ということで、一億二千万円を支払っております。(発言する者あり)成功報酬は、これは、この契約が成功しない限り発生しないものでございますと理解しております。

原口委員 一億二千万円。私は、西川社長、現場をごらんになっていると思いますが、この民営化の中で現場がどんなになっているか。本当に苦労されておられます。前回、紙芝居を持ってきましたけれども、あんな紙芝居では伝えられないぐらい、国民の皆さんの利便も厳しくなっていますよ。それを、一億二千万円ですか。

 私は、この契約についてはぜひ開示をいただきたい。総務大臣はお持ちですね。当委員会に出してください、総務大臣。

鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は国会に詰めておりますから、いわゆるメモ情報でお話ししましたけれども、合っていたようですね、私が申し上げたことは。したがって、総務省には来ているはずですから、提出させます。

原口委員 そういう話をすると、民主党にもう戻ってきてください、そういう声もふえてくると思いますが、まあ、それは別にしまして。

 私は、その中で、二十七社からオリックス不動産一社に決まるまでの過程は、やはりこれはわからないです。私たちが部門会議で、なぜオリックスに決まったんですかと聞きましたら、雇用ですとおっしゃったわけです。雇用を守る契約がオリックス不動産が一番よかったから、オリックス不動産に決めたんだと言われました。

 ラフレさいたまに行きました。ラフレさいたまの正社員は何人ですか。ああ、あの巨大な施設の社員さんを、埼玉の県民の皆さん、地元の皆さんの雇用を守られるんだったらそれはいいんだろうなと思って行きました。五人じゃないですか。あとは全部委託ですよ。今度、何で宿舎ですかと聞いたら、いや、宿舎に住んでいる人もいるから、事業譲渡だから、それが便利だからと。宿舎の入っている率を聞きました。三〇とか四〇じゃないですか。半分も入っていないじゃないですか。

 私は、日本郵政が私たちに対してしてきた説明が極めて不誠実であったということを申し上げておきます。

 そこで、ラフレさいたまは、これは七五%の宿泊率ですよ。今どき七五%の宿泊率の施設は大もうけの施設ですよ。それをどうして売らなければいけないのか。

 ぜひ総務大臣にお願いをしたいのは、総合評価書類というのがあるはずです、コンペの各段階において。皆さんのお手元の資料の一をごらんください。各段階において、二十七社から一社に絞るためのコンペをやっているはずなんです。総合評価をやっているはずなんです。この書類を開示してください。

 私が得た情報では、最後に二社が残った。一社はオリックス不動産だとわかっていますから実名を挙げますが、もう一社はB社と仮にしておきます。雇用を配慮して決めたということですけれども、私が得た情報では、正社員全員雇用、一年目は給与水準維持というのは両社とも同じじゃないですか。むしろ、B社の方が、二年目からB社の水準に給与を引き下げと具体的に提案しているのに対して、オリックス不動産は、二年目以降調整としているだけじゃないんですか。どうしてこれで、雇用を配慮してオリックス不動産に決めたと言えるんですか。私が得た情報が間違いであったら間違いと言ってください。

西川参考人 お答えをいたします。

 オリックス不動産では、労働協約を含めまして現状の雇用契約が新設会社に承継されるものでございますが、B社では、社員は当社を一たん退職し、転籍扱いとなりまして、現状の労働協約は承継されないということから、雇用という面におきましてはオリックス不動産の方がまさっておるのではないかという認識でございます。

原口委員 私は、西川社長にもお気の毒なところはあるなと思います。西川社長に本当に正しい情報は入っているんだろうかと。

 かんぽの宿の売却額、売却先の決定過程を徹底的に私たちは洗いたいと思います。その中で、一部の人間だけで決めているんじゃないですか。民営化、この民営化の理念は、私は、理念がしっかりしていればそれは成功するかもわからない。しかし、理念なき民営化、分社化ありきの民営化、そして、もっと言えば私物化をしているんじゃないかという疑いが今出ているわけであります。

 もし、そうではないというのであれば、いや、今西川社長がおっしゃったのは二年目以降でしょう。一年目は同じじゃないですか。二年目以降については、オリックス不動産は調整とだけやっているんじゃないんですか。違いますか。

西川参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘のとおり、一年目は同じでございます。

原口委員 そうじゃないですか。皆さん、今お聞きになりましたでしょう。私に最初はオリックス不動産の方がいいとおっしゃったんですよ。一年目同じなんですよ。二年目要調整ですよ、不動産の方は。B社の方は具体的に書いているというだけじゃないですか。どこが違うんですか。どこがオリックス不動産の方が雇用に有利なんですか。私が見た資料が一面的だから、こういう言葉を少し強めて言っているのかもわかりません。私が言っているのが間違いだとおっしゃってください。

西川参考人 お答えいたします。

 二年目以降について、オリックス不動産の場合は、労働条件を変更するという場合は労働組合と協議をするということになっております。そして、B社の場合は、B社の基準に変更をする、こういうことになろうかと存じます。

原口委員 それは要調整ということじゃないですか。

 だから、鳩山大臣、ぜひ、先ほど御英断いただいたように、各ステージにおけるコンペの書類、これを出してください。総合評価書類、これがあれば、今おっしゃるようなことが、私が言っているのが間違いで西川社長がおっしゃっていることが事実だということがわかるはずであります。一次選考の要項の書きぶりもわかりません。一次選考でどのような絞り込みがあったのか。私は、その情報をお出しにならないというのは、恣意的なことをやはり疑われてもしようがないのではないかというふうに思います。

 私たちは日本郵政に対して、今でも情報開示を義務づける法律があります。しかし、これほどまでに、まさに、普通の株式会社だったら、市場に対して株主を通して説明責任を負います。今は一〇〇%の特殊会社であるにもかかわらず、総務大臣が言おうが私たちが言おうが、それが出てこないというのは極めて遺憾であります。

 総務大臣、私が求めたコンペの総合評価書類、これの開示を総務大臣に求めます。

鳩山国務大臣 直接の答えになるかどうかわかりませんが、まだ私はその書類はもちろん見ておりません。私自身の報告徴求をしたその疑問の出発点が、大体、二十七社が最終的に二社になり一社になっていくプロセスが非常に不透明である、どうしてこんなに多くの辞退者が出るのか。

 しかも、これは原口議員も御承知かとは思いますが、二〇〇八年四月一日ですから、ちょうどこの公募をしたころなんでしょうか、メリルリンチ日本証券株式会社投資銀行部門というところが、興味を持っておられる方々、つまり応募しようと考えている方々に対して文書を出しているんですよ。これは、うちは日本郵政より本プロセスにかかわるファイナンシャルアドバイザーとしての業務委託を受けたと書いてあって、私は全部読んではいないんですが、こういうことが書いてあるんですよ。

 日本郵政は、本件譲渡の実行を確約するものではなく、その裁量により、いつの時点においても、理由の有無、内容を開示することなく、本プロセス及び本件譲渡を変更または終了する権利を有し、その単独の意思により、本件譲渡の対象となる施設等の範囲を変更できるものとしますと。こんなものが入札と言えるんですか。進めてきたって、いつでも理由も示さず打ち切れると言うんでしょう。

 そして、その世田谷のレクセンターだか何だかわからないけれども、追加するのか減らすのか、もし施設の範囲を変更したら、例えば、一次入札、二次入札、入札だったとしてですよ、もし変更したら、全部ゼロからやり直さなくちゃいけないはずでしょう。それを何か、約款というのがありますね、よく問題になるのが。それはどうしても、船に乗るときでも飛行機に乗るときでも、何かすごい損害を受けたと思ったけれども、約款によって実は損害賠償が全然得られないように書いてあった。例えば、私は菜園をやっていますけれども、野菜の種を買うときに、幾ら失敗しても種子代金以上の賠償はしませんと書いてある。何かそれと同じような話が書いてある、こんな重要な事柄にですよ。

 私は、そう思うと、だから、直接のお答えになりませんが、ありとあらゆる資料は要求してまいりますし、出せるものは出していくという方向で臨んでまいります。

原口委員 今の答弁は重いですよ。これが契約と言えるのかと。私たちも、これは契約と言えないと思っているんですよ、大臣。こんなものは本当にできレースではないかと思うわけでございまして、西川社長、ぜひ、コンペの総合企画の書類がございますね、コンペするときには必ずあるはずです、それを当委員会に出していただけませんか。

西川参考人 資料の開示につきましては、先方の了解が得られるものについて極力開示をさせていただきたい。了解しない場合はちょっと難しいかもしれません。

原口委員 理由がわかりません。一〇〇%国が株式を持っている特殊法人が、自身がやる契約について、相手の了解を得ながら、そのコンペの書類を出せない、こんなことはありますか。

 会計検査院、特殊法人の随意契約あるいは特殊法人の官製談合を私たちはずっと追及してきました。ブラックボックスですから、そこにさまざまなことが起きてきました。先ほど検査院の検査の対象だというお話がありましたが、契約とも言えない入札、契約とも言えない随意、何と言うんでしょうか、もう言えませんから言葉がありませんが、大臣がこう言うものについて会計検査院はどのような認識を持っているのか、伺いたいと思います。

西村検査官 私どもも、ただいま議論されております契約の詳細については十分把握しておりません。しかし、検査院といたしましては、基本的に、国の出資がある法人等の業務、契約等が適正に行われているかどうか等については十分注意をしてまいりたいと思っております。

原口委員 相手のあることという形で開示を拒むなんということができるわけがありません。西川社長におかれましては、速やかに今の書類をお出しいただきますように。もし速やかにお出しいただけないとすれば、私は、委員長、この場で、この問題について、特に郵政、首相の発言、きょう私は取り上げる時間はございませんが、集中審議を求めたいと思います。その集中審議までにしっかりとした開示をしていただきたい。

 私たちは、国会法百五条、さまざまな手だてを持っています。日本郵政だけがだめだと言うんだったら、その二十七社に対しても開示を求めることだってできます。余り国会や国民をないがしろにすることはやらないでいただきたい。西川社長にはそういうおつもりはないでしょうけれども。

 時間が迫ってきましたので、もう一つのテーマを申し上げます。

 皆さんのお手元の資料を、また恐縮ですがごらんください。資料五でございます。

 旧郵貯勘定、約百三十兆円あったというふうに私は認識をしていますが、この旧郵貯勘定の入札、これを独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が管理し、ここから、いわゆる債券の倉庫と言ってもいいでしょう、信託銀行に対してそれを、入札をしてお任せになっています、日本郵政が。

 この資料五をごらんいただくと、入札で、白三角がついています。つまり、マイナス十億二千万円の、マイナスで入札をしているのが日本トラスティ・サービス信託銀行でございます。これは、手数料が入りますからマイナスの入札もあるんだとは思いますが、余り私たちの目に触れる入札ではございません。

 この経過について御説明いただけますか。

西川参考人 お答え申し上げます。

 約百三十兆円の旧勘定がございまして、それの政府保証に伴います担保差し入れ分でございますね。

 これは安全資産ということになっておりまして、大部分国債でございますが、この国債の管理を信託銀行に委託をしておるということでございまして、それの委託料について入札をしたわけでございます。日本トラスティ信託銀行はマイナス約十億円の提示があったということでございます。日本トラスティ信託銀行の方は日銀から取扱手数料等を入手いたしますので、信託銀行として差し引きマイナスになるということではございません。

 以上でございます。

原口委員 そうですね。これは私たちも財務金融委員会でも問題にしたんですが、皆さん、もう今国債は紙じゃないんですよ。一枚一枚国債の数を数えて、そして利払い料をやっていたときと違って、今は全部電子ですからね。

 資料七をごらんください。「国債の利払・償還手数料の見直し」という資料でございます。

 これは財務省からもらった資料ですけれども、さすがに、やはり国債を持っているだけで手数料をこんなに取るのは、昔は元本の〇・〇九%、償還手数料で払っているわけですよ。昔といっても去年ですよ。それから、利払い手数料として利子支払い額の〇・一八%を取っている。こんなに取っているわけです。

 ですから、今西川社長がお話しになったように、マイナス十億円で入札をしてもおつりが来るわけです。

 国債の金利を、十年間の平均金利を仮に一・五と置いて、そして百兆円を預かったと。これは、郵貯のお金は、旧勘定のお金はだんだん減っていますから、百三十兆から毎月二兆ぐらい減っていって八十兆ぐらいに落ちるという計算を多分している契約だと思います。その中で、計算しやすいように、皆さんにわかりやすいように仮に百兆円預かっていた、二年間で。これは二年契約ですね。横山専務、いらっしゃっていますか。これは二年契約で、これは横山専務がおやりになった契約ですか。

横山参考人 お答え申し上げます。

 確かに二年契約でございますが、私がやりました契約ではございません。

原口委員 これはどなたが責任者なのか後で教えていただければいいんですが、これをごらんいただいてもわかりますように、元本、百兆全部償還するわけじゃありませんから計算がしにくいんですが、これだけで百八十億円来るわけです。利子の手数料だけで二十四億円、これは四半期ごとに来ますからその倍、つまり、これだけで約二百億円のお金がそこに入ったんではないかという、高く見積もってですよ、一体幾らここで払っているんでしょうか。それは情報開示できますか。総務大臣。

西川参考人 お答え申し上げます。

 これは、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が収受をいたしております。これは、我々の方でははっきりいたしません。しかし、契約自体は日本郵政公社において契約をいたしまして、民営化の際にその契約を機構の方に引き継いだという経過でございます。

 以上でございます。

原口委員 ということは、しかし、百三十兆円の運用の責任というのは日本郵政にあるでしょう。ないんですか。

西川参考人 お答えいたします。

 これは、日本郵政と申しますか、ゆうちょ銀行でございますが、ゆうちょ銀行の方でその他の運用と一緒に運用をしておるということでございます。

原口委員 これは社長案件じゃなかったんですか。西川社長がこの機構の方に、ここを使いなさいというようなことをおっしゃったということはないと思いますが、そもそも、マイナスの契約ということをあらかじめ入札のときに言っていたんですか。ほかの二社にも、マイナスの契約もありますよということを言っていたかどうかを教えてください。

西川参考人 マイナスの入札を認めるということにつきましては、調達時の入札公告におきまして明らかにいたしております。

原口委員 その調達時の契約の内容開示を行っていただきたいと思うわけでございます。

 と申しますのも、日本郵政の経営、まあ、ゆうちょ銀行ですね、きょうは証券等監視委員会にも来ていただいていますが、今非常に社会が複雑化して、いっときのITバブルのときやあるいは株バブルのときも起きましたけれども、非常に不透明な取引あるいはインサイダーといったことが起きているわけでございます。

 まあ、信託銀行ですから、ガレージですから、それはトラスティ信託銀行がやったということにはならないかもわかりません。つまり、そこに株が集まれば、西川社長御案内のとおりオリックスの株を買うということになるんでしょうが、お手元の八の資料をごらんください。株価が御案内のとおり下落をし、特定の会社で恐縮ですけれども、これは公表された資料でございますので、資料八、株価はこういうふうに落ちているわけであります。

 そして、ちょうど、これは私たちがこういうことを勘ぐるのはおかしいのかもわかりませんが、先ほど約四十分ぐらいかけて御質問させていただいた、かんぽの宿の売却の案件が進んでいるときから、これは日にちをごらんください、ずっと株を買い増しているんです。そして、日本トラスティ・サービス信託のオリックスの株式保有率は今や一四・〇九、その前の資料六で出していると思いますが、資料六をごらんいただくと、四半期報告書によると、今や一四・〇九という筆頭株主になっておるわけであります。

 つまり、運用の責任を持っている巨額の資金が日本郵政には入ってきます。右手でさまざまなものをあるところに売却をし、左手で株を買えば、そこでさまざまな、倫理観とかあるいは市場に対するしっかりとした考えというものがなければなりません。

 証券等監視委員会、まあ皮肉を言っては申しわけないけれども、これまで金融庁長官の入った会社にはなかなか入ったことがないということでございますが、私は、これが問題だと言っているんじゃないですよ。しかし、金融の世界でいろいろ議論をする中で、ここだけを取り出してみると、いかにも不可思議なことが起きているなと。今まさに多くの企業が株式の額面割れをしようとしている中に、今なお買い増すように指示をするというようなことがもしあるとすれば、それは私たちは重大な関心を持って見なければいけないのではないかと思っておるわけでございますが、証券取引等監視委員会の職責と決意を聞いておきたいと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 証券取引等監視委員会は平成四年の七月に発足したわけですが、それ以来、我々に課せられた使命と申しますのは、市場の公正性、透明性の確保、そして投資者保護、こういったことを使命としているわけでございます。

 そのための職務に専念しているわけですが、やや具体的にその執行状況を申し上げますと、私どもといたしましては、やはり常日ごろから、市場における幅広いいろいろな情報、さまざまな情報を収集する、あるいは資料を収集し、それを分析していくということをやり、そうした中で市場の公正を害するような行為があるというふうに認められた場合には、例えば行政処分あるいは課徴金、こういった勧告をしたり、場合によっては告発をして刑事訴追を求めるというような形で厳正に対処しているところでございます。

 今後も、我々は、そういった考えに基づいて最善を尽くしてまいりたいと思っております。

原口委員 そこで、西川社長に、これで最後になると思いますが、ぜひ、JTSBとの契約で、ゆうちょ銀行とかんぽ生命、それぞれ運用先を指定できる指定単独運用金銭信託、いわゆる指定単と言われるものですね、指定単の割合がどれぐらいあるのかということを教えていただけないかと思います。

西川参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行が委託をしている資金残高は約一千四百億円でございますが、これは指定単独運用金銭信託というものでございまして、ゆうちょ銀行がこれについて指図はできない仕組みとなっております。

原口委員 ちょっと何をもって指図とおっしゃっているのかよくわかりませんが、私は、指図しているとかいうことを言っているんじゃないんです。いわゆる指定単をどれぐらいお持ちなのかという、それだけを聞いているんです。

西川参考人 かんぽ生命の委託は約六千三百億円でございます。これがいわゆる指定単というものでございます。

原口委員 大臣、これは私また後の質疑をさせていただきますが、かなり大きなロットなんですよ。そして、運用の責任というのは、やはりそれぞれの会社が持っているわけです。そのことを指摘しておきます。

 私は、西川社長、今世論が問うておるものをしっかりと受けとめていただきたいと思います。大臣が、これは契約ではないということをこの国会の場で言うということは、もう責任をとっておやめになるということではないかと思います。

 中期経営計画を発表なさらなかった、そして、そこで手数料を八月、九月に足されました。局会社が維持できるというのはとても大事なことです。しかし、その後はどうなっているのか。十月、十一月はもうなくされているんじゃないか。私たちの疑問は尽きません。

 きょうは予算についても議論をしたかったわけでございます。官房長官、財務大臣、この二十一年度予算案そのものが、二十年度予算案からすると、年金の部分をのければやはりマイナスなんですね。景気対策で選挙をやると言ってくださっていますけれども、私は、それは選挙をやられるのは正しいけれども、今の政府は来年度の成長率を〇・〇なんという、小さく見積もって、マイナス三〇で生産が落ちているんですよ。マイナス三〇で生産が落ちているということは、もう企業のキャッシュフローもないということです。半分の企業が赤字決算ということは、来年の法人税はほとんどないということじゃないでしょうか。その中で今のような予算案を出され、鳩山大臣にも申し上げますが、地方財政計画はマイナス一%です。

 未曾有の危機と総理がおっしゃる。しかし、未曾有の危機に対応したことを皆さんがなさっているとは思えないということを指摘して、時間が参りましたので質疑を終えます。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて原口一博君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。きょうはお世話になります。よろしくお願いいたします。

 きょうは午前中、細野委員の方から、天下り、また民主党としてこれを徹底的にやらなきゃいけないという決意がありましたけれども、私もその一人として、天下りの問題を取り上げていきたいと思います。

 しかし、なぜこんなに天下りにこだわるのかということでありますけれども、それはやはり国民の多くの皆様が、これはおかしいぞ、逢坂さん、消費税を上げるぐらいだったらもっと天下りをちゃんとしてくれよ、あるいは、年金とかいろいろなものが削られているようだけれども、もっと天下りをきちんとした上でおれたちがこんな苦しい思いをするのならそれも納得できるけれども、ひどいじゃないか、そういう声があるからなんだと思うんです。

 しかしながら、ここ一連のこの天下りに関する議論を聞いておりまして、今の政府の皆さん、本当にこの天下りに対して危機的な状況をお持ちになっているのかというところについては、私は甚だ疑問にも感ずるところでございます。

 もちろん、公務員にもいろいろな方がおります。いろいろな立場の方がおります。天下りの問題、再就職の問題というのは簡単ではないということは私も承知をしているというふうに思いますけれども、それにしても少し手綱が緩いのではないかなという気がするんですが、まず、そこで官房長官にお伺いいたします。

 なぜ国民の皆様がこんなに天下りに関心を持ち、天下りをおかしい、そう思われているのか。天下りのどこに問題があるのか。わたりのどこに問題があるというふうに官房長官はお考えになっているのか、お聞かせください。

河村国務大臣 この天下りと言われるもの、あるいはわたり、さらにそれを繰り返すことでありましょうが、一番問題点は、予算とか権限があって、これがもう押しつけ的に配られていく、機械的にといいますか、やられていく、これによって、公務が本当に公正的にやられているかどうかというような疑念が生まれている。そういうまた疑念があるということ、これがまず国民の非常に厳しい批判があります。

 それから、わたりはもうやめるという方向を打ち出しておるわけでありますが、これも、早期勧奨退職の中であっせんを各省庁はやってきた。それが、もちろん権限やそういうものに伴っているという疑念があると同時に、また次に行っても高い報酬を得て退職金もたくさんもらっているじゃないかという事実がだんだん明らかになってきた。特に今、現行、雇用の非常に厳しい状況なのに、なぜ公務員があれほど特例的にやられるのか、これを見直してほしいという声があること、そういう点から生まれているんだと私は思います。

 逢坂議員も町の経営をやられたりしていまして、私も県議会からスタートしておりますが、確かに地方行政は大変ですから、いろいろな公社とかなんとかありますけれども、この点はかなり厳しくやっていますね。非常にその点についての目が行き届いていないではないかという厳しい御批判がある。そういう点から批判をされている、このように考えております。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

逢坂委員 今、官房長官からお話がございました。私も、幾つか天下りやわたりに関する文献や本なんかを読んでみますと、いろいろな事例が出ております。例えば、私がメモに用意しましたのは、政策的意義の乏しい天下り受け入れ団体が創出、維持され、そのために無駄な税金が払われる。あるいは、天下った者が現役公務員や外郭団体幹部に影響力を持ち、市場原理や必要性に反した事業に税金が投入される。あるいは、民間水準を逸した処遇、高給、退職金の複数回受け取り。あるいは、そもそも天下り受け入れ団体職員の勤務意欲をそぐ。まあ、そうですね、その団体の幹部になってくるわけですから、せっかくもともとの団体で頑張っていても、自分たちは上には上がっていけないというようなことで。いろいろな弊害が指摘をされている。今の話を聞かせていただいて、このことについては官房長官も多分認識は一緒なんだというふうに思います。

 そこで、官房長官にさらにお伺いするんですが、今官房長官が言ったような弊害、私も例示をしたような弊害ですけれども、これは、あっせんがあるとかないとかにかかわらず、私は、こういう弊害というのは場合によっては出るのではないかというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

河村国務大臣 こういう弊害が言われるのは、やはり税金が投入されている公益法人等々においてそういう問題が指摘されておると思います。ただこれは、民間企業との関係は、これまた行く場合のような規制はありますけれども、これとはやはり国民の見る目は違うのではないか、こういうふうに思います。そういう点で、そういう指摘があるということは私も承知をいたしております。

逢坂委員 そうですね。そういう指摘は承知をしているということでありますので、あっせんのありなしにかかわらず、いわゆる天下りというものには弊害がつきまとっている可能性がある。もちろん、退職した公務員が再就職したからといって、すべてが悪いということではないのは事実でありますけれども、しかし、あっせんされようがされまいが、公務員が再就職していく先には、こういう批判のようなものがつきまとう可能性は否定できないということだと思うんです。

 そこで、官房長官にさらにお伺いをいたします。

 先般、総理が、あっせんに係る天下りについては禁止をするという趣旨の発言をされました。あっせんに係る天下りを禁止して、今官房長官が御指摘になったような天下りに係る国民の疑念というのは払拭されるんでしょうか。どの程度払拭されるんでしょうか。完全に払拭されるんでしょうか。どうでしょうか。

河村国務大臣 冒頭も申し上げましたように、まさに最大の疑念であります、権限を持ち、場合によっては予算権を持ち、そこに公務員が、特に早期退職勧奨を受けた人が行くことによってそこの団体が優位な状況を受けるのではないか、あるいは税金がそこに無駄に使われるのではないかという疑念、そういうものはあると思います。

 しかし、一方、逢坂議員も指摘されましたように、公務員の皆さん方の再就職という問題も、これはやはり大事なことだと思います。それぞれ皆さん生活をかけておられる。そういうものがのべつ幕なしどんどん繰り返されている、あるいは指定席になっている、こういう指摘に対しては我々としても考えていかなきゃいけない課題だ、こう思っておりますから、おっしゃるように、すべて再就職等々が悪だという決めつけ方は私はしませんけれども、できるだけそういう疑念のないような考え方をしていこう。だから、中正、公正な官民交流センターというもので当面の間そういうことを考えていこうというふうなことで法案を提示し、通していただいた、そういう経緯があることは御承知のとおりだと思います。

逢坂委員 さて、さらに続けてお伺いしますけれども、この天下りの問題を議論するときに常に出てくるのが、公務員が勧奨による退職をする、早期に退職をするから天下りにつながるんだ。もちろんそれは否定できないというふうに思いますが、それでは裏返してお尋ねすると、六十歳定年制にしたら、国民が疑念を持つような天下り、わたりというものはなくなるんでしょうか。いかがですか。

河村国務大臣 早期勧奨退職制度といいますか、こういうものに対して、公務員の皆さん方の再就職をどのようにしたらいいかということから官民交流センターが生まれていることは事実でありますが、今、官民交流センターの機能というのはそこだけではないこと、あるいは本当に官民で交流しなきゃいけない問題が今現実に起きている。民の感覚を公務員の中にも入れていただく、また公務員の方も民に行っていただく、こういう問題もありますから、そういうことをやってもらわなきゃいけませんし、あるいは組織再編、改編等でどうしてもそこにおれなくなった人たちをどうするかという問題もありますから、そういう意味の官民交流センターがあるわけであります。

 しかし、それがあればそうした疑念が全部なくなるか。それをないようにしようというのが、そういうところで生まれておるわけでありますから、そのようにしていこうということであります。したがって、私は、この設計がきちっとしたものであれば、国民の皆さん方には御理解をいただけると思います。

 しかし、定年制をきちっとしいていくということ、これも一つの考え方でありますから、この制度についてどうあればいいかということは、これは今、六十歳なのかあるいは六十五歳なのか、こういう問題もございます。

 一方では、公務員の人件費抑制の話とか、公務員削減の問題、こういう問題との整合性もございますから、御指摘の点も踏まえてこれは検討課題である、こう思いますけれども、一つの、定年制をしいて、老後の不安をなくすようにしっかり働いて、わざわざ早期にやめないようにしたらいいじゃないかという議論、これもやはり受けとめていかなきゃいけない課題だ、このように現時点で考えております。

逢坂委員 私は、やはりあっせんをやめても、あるいは仮に定年制、早期退職というのをやめても、先ほどもやじが飛んでおりましたけれども、そこから天下れば同じことだという声もございましたので、国民の疑念を持つような天下りというのはやはりなくならないのだろうというふうに思うわけです。

 それともう一つでございますけれども、官房長官がよくおっしゃいます、公務員OBが御自身の責任において自由に職業選択をしていくこと、これは私は重要なことだというふうに思います。しかし、それであってもやはり国民に疑念が持たれるケースがあるということで、そこをどう払拭していくかがやはりかぎなのだというふうに思うんです。

 そして、さらに加えて言いますと、退職された公務員の皆さんが求めていくポスト、つかれるポスト、それが全国民に開かれたポストであるなら、それは国民の皆様も余り疑念は持たないでしょう。ところが、そのポストが、特定の方にしか権利がなさそうに見えるポスト、そこへ特定の官職にある方がついていく、これがやはりそもそもの出発点だというふうに思うわけです。

 したがいまして、私は、この天下りの問題は、サプライサイドという言い方は変ですけれども、人材の供給側からだけ見て、何とかしてやめよう、やめようと言っても、それはある一定程度の効果はあると思います、しかし、完全にはやはりなくならないんだろうというふうに思うんです。官房長官、このあたりいかがでしょうか。

河村国務大臣 公務員の皆さんは、全体の奉仕者ということで国民のためにずっと頑張ってこられております。そこには、やはり公務員としてのモラルというのが生まれてくる、また生まれてこなきゃいかぬ、こういうふうに思います。最近、李下に冠を正さず、こういう話があります。したがいまして、疑念を抱かれるようなケースについては、道徳観、倫理観、そういうものが働くようなものでなければいかぬと思いますから、それを制度上どのように担保するのか、そういうものが規制できるのかどうか。

 これは、特に公務員が一たんおやめになれば一般人の扱いになっていくものでもございます。しかし、その先がどういうものかということはやはり考えていかなきゃならない問題だ。これは、能力を買われて、民間企業から要請を受けて、みずからの努力でおやりになる、そういうケースもありますから、これはケース・バイ・ケースということを、適当な言葉かどうかわかりませんが、そういう点をしっかり考えていかなきゃなりません。

 やはり公務員の皆さんの人生の再設計というのも非常に大事でありますから、そういう視点に立ってこの制度を今後さらによりよきものにしていくということは大切なことだというふうに考えます。

逢坂委員 そこで、官房長官、これはどうしても、受け皿となる団体側からのチェックに踏み込まざるを得ないと私は思うんです。幾ら供給側の方で、あっせんやめましょう、定年を上げましょうと言っても、職業選択の自由があるわけですから、それを盾にされると何も言えなくなるわけです。受け皿となる団体が一体どうなのかというところをやはりチェックせざるを得ないわけであります。

 そして、この点についてはなかなか難しいという声があるようでございますけれども、私にはそんなに難しいようには思われないんです。例えば、補助金が出ている団体、あるいは事業を委託している団体、あるいは事業そのものを請け負って仕事をしている団体、そういうところへ本当に公務員が天下っていって、そこのポストが反復継続的に、ある一定の占有状態が続いていないかとか、あるいは、そこの幹部職員の人の募集に当たって閉鎖的な中で行われていないかとか、そういうことをチェックしさえすれば済むことなんじゃないですか。

 これは極めて単純なことのように私は思うのですが、なぜ、そういうところへ手を出そうとしないのでしょうか。いかがでしょうか。

河村国務大臣 今御指摘の点につきましては、午前、細野議員からも御指摘があった点でありまして、これは、一般企業というのはなかなか私は困難だと思います。

 しかし、いわゆる公益法人といいましょうか、特に税金が補助金で行ったりとか税金が投入されている、そういう公益法人等については、調査の方法というのはどういうふうにすればできるのか、その道は私はなしとはしない、こう考えておりまして、これはどういう形でやればできるのか。総務省には公務員のそういう調査をする機関等もあるようでございますから、その方法を考えるというのも一つのこれからのあるべき姿であろう、このように感じております。

逢坂委員 官房長官から、今、今後のあるべき姿だという話がございました。

 いみじくも冒頭に、一般企業では簡単ではないだろうというような趣旨の御発言がございましたが、その裏を返せば、まさに御自身が御発言なさったように、公的な団体についてはまずやれるわけですね。ですから、特に公務員が再就職しているような公益的な団体、これらについての事業や資金の流れ、あるいは人員配置、これは早急に精査をする、チェックをするというようなことを、先ほどの御答弁に引き続いて、ぜひ前向きにお考えいただきたいというふうに思います。どうでしょうか。

河村国務大臣 御指摘の点につきましては、どのような形でどこまでどうやれるか検討してみたい、このように思います。

逢坂委員 そこで、次の問題なんですけれども、今回、天下りの問題に関しまして、通称言っている天下り政令といいましょうか、法律の目をかいくぐってといったらいいのでしょうか、多くの人が知らない中で職員の退職管理に関する政令というのが昨年の十二月に成立をしているわけです。

 手元の資料二ページと三ページに、その役所の内部の原議というんでしょうか決裁というんでしょうか、これの写しをつけております。二ページには、内閣総理大臣が最終の決裁権者で、その次に河村官房長官も判を押されております。それから、三ページのところは、総務大臣が花押でこれを決裁されております。

 この政令の中身については、総務大臣、官房長官、それぞれ決裁されるとき、御存じでしたか。

河村国務大臣 もちろん、御案内のような公務員改正法案がいよいよ十二月末をもって施行される段階に来ております、それに合わせて政令をつくっていかなきゃいかぬ、こういうことで説明を受け、決裁していったものであります。

鳩山国務大臣 御指摘の退職管理政令の改正手続の際でございますが、私は、これは官房長官とでしょうか、共同請議の大臣でございまして、決裁文書が回ってまいりまして、この退職管理政令の基本的な枠組みについて説明を受けました。

 そして、総務省は人事・恩給局を持っておりますから、公務員の基本的な制度等について担当いたしておりますから、したがって、実施事務でいろいろ担当することもあるというようなことで、説明を受けて署名をしました。

逢坂委員 そこで、行政手続法第三十九条という規定がございます。これは、意見公募の手続ということで、「命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない。」というのがあるわけですね。

 この政令の改正に当たって、意見公募の手続はどのようにされているでしょうか。政府参考人にお伺いします。

江澤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、平成二十年十一月十八日から十二月十七日までの三十日間、政令案について意見公募手続を実施し、広く国民から意見を募集いたしました。具体的には、電子政府の総合窓口に政令案を公示し、電子メール、郵送、ファクスで意見をいただいたところでございます。

逢坂委員 そこで、私がこれを見せていただきました。四ページをごらんください。これがその意見公募のいわゆる電子政府のホームページに出ているものでございます。二〇〇八年の十一月十八日から二〇〇八年十二月十七日まで意見の募集を行ったというものでございますけれども、こういう結果が出ているわけです。

 官房長官にお伺いします。この行政手続法三十九条の規定というのは、一体どういう趣旨で設けられているとお考えですか。

河村国務大臣 もちろん、これは公務員退職管理政令ではありますけれども、やはり国民に広く意見を求めていかなきゃならぬ。特に、公務員は全体の奉仕者でありますから。

 今回についてはそうでありますが、最近、公職関係については、特に政府がかかわる問題については広く国民の意見を聞いて実施していく、またそれを取り入れよう、こういうことでありますから、こういう趣旨で行われておるというふうに理解しております。

逢坂委員 そうですね。まさに国民の意見を広く取り入れて、政策あるいは政令などにも反映していくということだと思います。

 手元に、これは平成十八年三月二十日に総務省行政管理局長が各府省等の官房長官等に発した行政手続法第六章に定める意見公募手続の運用についてというものを私持っておりますけれども、この中を見ますと、「命令等制定機関は、意見提出期間後に命令等の制定についての最終的な意思決定を行う必要がある。」そうですね、意見提出の期間後に最終決定を行う必要がある。「意見提出期間終了後の命令等を定める時期については、提出意見を十分に考慮するにあたり必要な期間を確保した後となる。意見提出期間終了直後に命令等の制定を行うなどにより提出意見を十分に考慮していることにつき一般からの無用の疑念が生じないよう、留意する。」というふうに規定をされているわけであります。今回の政令の意見公募の最終日は二〇〇八年十二月十七日であります。

 それで、先ほどの資料の二と三をごらんいただきたい。特に三をごらんいただきたいんですけれども、意見公募をしている手続の最中に、実はこの起案が行われております。平成二十年十二月十日であります。しかも、決裁の終了が平成二十年十二月十六日、施行は平成二十年十二月十七日であります。

 これは私は、皆さんどうお考えになるかわかりませんけれども、小さなことじゃないか、逢坂さんと思うかもしれませんが、個々の国民の皆さんが意見を言う場というのは必ずしも多くありません。これは極めて貴重な場であります。しかし、意見公募をやっているこの手続の最中に、もう既に起案をして、意見募集が終わらない日にもう決裁が終了しているということなんです。これは果たして正しい姿なんでありましょうか。官房長官、いかがですか。

河村国務大臣 十二月十六日とおっしゃいましたけれども、決裁は十二月十七日になっておる……(逢坂委員「それは二ページの方。今のは私の資料で三ページの方です」と呼ぶ)

 それは、私や総理が決裁をした日は十二月十七日の、すべての次官が来た後にやったはずですが。(逢坂委員「秘書官、ちょっと資料を渡してもらえますか。そこの横のテーブルの上に上がっている」と呼ぶ)

 これは、総務省のものですね。

鈴木(恒)委員長代理 逢坂君、もう一度説明してください。

逢坂委員 三ページは確かに総務省のものではありますけれども、「職員の退職管理に関する政令については、内閣官房が意見公募手続を実施するものである。」ということで、これは各省にまたがっておりますので、二ページと三ページ、両方これは決裁がついているわけですね。

 それで、たまたま私が今三ページのものを例示に引き出しまして、意見公募期間中に起案が行われ決裁が終了しているということで、こういう実態についてどうお考えですかということを聞いているんです。

 では、総務大臣。

鳩山国務大臣 私の下手な字での花押があるペーパー、確かにこれは決裁終了年月日が十二月十六日となっているんですね、私のこの総務省で決裁したものが。パブコメが十七日なんですね。

 ただ、これはうちの方には来なかったんですかね、コメントが。それで、もう来ないだろうという読みをしたんでしょうが、私はこれはやはり若干フライングぎみだと思いまして、これは今後は注意した方がいいと思います。

 やはりパブコメなんだから、国民の意見をどうぞと言ったんだから、どうぞと言った意見を、いっぱい来たならば、それを精査して、変えるところがあれば変えるためにパブコメをやるんだから。決裁がちょっと一日早いかなという、私、これを見てちょっと反省をします。

逢坂委員 私は、問題意識は、決裁が一日早いのではなくて、起案そのものが早過ぎるんですよ。パブコメをやっている最中に起案できるなんということは、そもそもパブコメなんか全然相手にしないよと言っているに等しいわけですね。これはやはりどうにも、ここの点は直していただかなきゃいけない。

 実は、このパブコメに関しましては、これは十一月の十八日から始めることになっていますが、どうもこれは確証がとれないんですけれども、十一月の十八日の朝にはこれはホームページには上がっておりませんでした。

 そして、そのことを私どもは何度も役所に、実際にパブコメをいつ始めたかわかる資料が欲しいということを言いましたら、内部での意思決定を行わずに職員がある程度コンピューターの端末を自分の机の上で操作をして、パブコメが開始できる仕組みになっているんですね。だから、実際に何月何日にどう始めたのかという証拠を出してほしいと言っても、なかなか簡単に出てこないようなものであるんです。

 それで何度も何度もお願いをしたところ、実は、このパブコメに関しては、十七日の夜までの手続が間に合いませんでしたというような話を伺いまして、十八日におくれて、ホームページというんでしょうかサーバーというんでしょうか、それを管理している業者に十八日にメールを出して、ある種おくれて手続をしてパブコメを開始した。

 しかし、そうやってパブコメを開始したにもかかわらず、実際はそれの中身を見ようともせずにと私はあえて言わせていただきますけれども、十二月の上旬にそれぞれの省庁で起案をしている。だから、全く住民の声、国民の声なんて聞こうとしていないんじゃないか。これは、やはりどうしても改めてもらわなきゃいけない。

 それと、総務大臣にお願いしたいんですけれども、このeガバメントのホームページは極めてわかりづらい。パブコメをいっぱい求めているけれども、あれはよほどあのホームページに注目している人じゃないと、パブコメをやっているなんということはわかりません。でも、行政手続法の規定の中には、電子的手続によってやる、それによって変えるということがされていますから、本当に国民に開かれた政府を目指すのなら、この点は直さなきゃいけないし、特に国民の皆さんの関心の高い天下りの分野でございますので、ぜひこれは改善をしていただきたいと思います。

 総務大臣、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 それは、改善できる点があれば、当然改善しなければならないと思っております。

 ただ、一般に、パブリックコメント、パブコメというものもなかなか難しい面もあります。私、一番難しいと思ったのは、私は環境派ですから、ブラックバスやブルーギルを、やはり日本の生態系に害を与えるから駆除しようと思いまして、そういうことを環境省がやってパブコメをかけると、ブラックバスを釣る方の方々が大量にパブコメに押しかけてくるというような現象があったりして、なかなか難しい面はありますが、確かに、わかりにくいのでは、特に私のようにパソコンなんかを扱うのが下手な人間にはかなり苦労もあるんだろうと思いますから、改善できる点があれば改善しなくちゃならぬと思います。

逢坂委員 それでは、この問題はこれで終了することにして、次に、道路特定財源の一般財源化のところにちょっと移りたいと思うんですが、金子大臣にお伺いします。

 道路特定財源、平成二十一年度から一般財源化されるということでありますけれども、一体幾らの額を一般財源化して、それをどのようにお使いになるということで今いらっしゃるのか、御説明ください。

金子国務大臣 揮発油税収は全額一般財源であります。道路整備として計上しておりますのは、二十一年度予算で言えば、一兆六千六百四十五億円に、今度新たにつくりました交付金九千四百億円であります。

逢坂委員 大臣、続けてお願いしたいんですけれども、その九千四百億円はどのように使われるか、どういう交付の仕方を予定しているのか、お知らせください。

金子国務大臣 八千億を目途に道路に使わせていただき、残り千四百は関連インフラ、ソフトに使わせていただく予定でおります。そして、どのような基準かということについて、予算案ができましてから要綱をつくる、まちづくり交付金等々も同じでありましたけれども、要綱を決めさせていただく予定であります。

逢坂委員 大臣、何度もで大変恐縮です。その交付ですけれども、すべての市町村にあまねく交付されるものなんですか。それとも、要望や申請や、そういうことがあった市町村にのみ交付されるものでしょうか。

金子国務大臣 あまねくではありません。地方自治体に計画をつくっていただき、それを総合的に判断させていただいて交付をさせていただくものであります。

逢坂委員 六ページをごらんください。六ページが、実は国土交通省からいただきました、今回の一般財源化の地域活力基盤創造交付金の内容といいましょうか、どういう方向で考えておりますかというものをいただいたものでございます。これは二月四日の日にいただきました。

 対象は、道路事業だ、それから道路に関連して行われるその他インフラ、ソフト事業だ。経常的な経費や赤字補てんなどには使用しない。交付率は原則五五%ということです。そして、交付対象が、現行の臨交金と同様の扱いというふうに書いてあるわけです。

 私は、これを読んだときに、これは今の臨交金と一体どう変わるのかな、ソフト部分一千四百億がふえただけなのかな、道路以外のインフラにも使えるんでしょうけれども、でも道路が中心かなというような感じで、これで一般財源化というふうに言えるのかなという疑問を持ったわけでありますけれども、金子大臣、これで一般財源化というふうに言えるんでしょうか。

金子国務大臣 今度法律を提出させていただきましたのは、道路に使うと義務づけられておりました道路関係財源、これを、義務づけを廃止するという歳入面での廃止法案が一般財源化であります。歳出については、予算項目を決めない歳出というのはありませんので、河川にしても道路にしても、歳出については項目をつくらせていただく。

 それで、今度、地方道路整備臨時交付金と地域活力基盤創造交付金、交付率は同じであります。

 ただ、地方自治体からいろいろ提案をされてくる。そういう中で、道路だけでなくて、道路の延長で、例えば離島航路、地域によっては、離島航路の過疎地を抱えているようなところは離島航路の船を何とかしたい、あるいは過疎バスを抱えているような地域はその過疎のバスも何とかしたい、あるいは、最近は非常に犯罪も多いですから、学校の通学路を整備したときに防犯カメラをあわせて設置できないか、こういうものにも使えないのかというような御要望が参っております。そういうものにも対応ができるという意味で、道路以外のインフラあるいはソフトということを考えているところであります。(発言する者あり)

逢坂委員 一般財源化の話をする前に、ちょっと今横から、焼け太りじゃないかというやじが聞こえてきましたので、まず七ページをごらんください。

 私の配った資料の七ページをごらんいただくと、「道路特定財源の「一般財源化」による道路向け歳出の変化」という表をつくりました。これは、立教大学の池上先生という方がつくった資料をもとに私の事務所でリメークしたものでございます。これは財務省から発表されているさまざまな数値をもとにつくったものでございますので、公表されている数値です。

 これによりますと、道路特定財源、二〇〇八年、三兆二千九百七十九億、それから二〇〇九年、三兆一千四百十六億、マイナス一千五百六十三億です。ところが、二の道路向け歳出、二〇〇八年、二兆九千五百二十七億、二〇〇九年、二兆九千九十億なわけです。

 それで、中を見ていただきますと、くだんのといいましょうか、ことしまであります地方道路整備臨時交付金六千八百二十五億。ところが、今のいわゆる一般財源化されたというもの九千四百億が入っておりますので、まさに道路の財源は一千五百億も減っているのに、道路向け歳出というのは四百億しか減ってないんじゃないですか、こういうのを焼け太りと言うんじゃないですかと。たまたま今やじに乗って、余りやじに乗るなと先輩には言われているんですが。大臣、いかがですか。

金子国務大臣 やけ食いして太りましたのは私でありました。今委員から御指摘されました資料、どなたかが整理をされたようでありますが、少し分類を違えているんではないかと。

 私の理解では、二〇〇八年、今委員が提出されました資料、合計で三千四百五十二億、このうち、まちづくり交付金が千五百二十五億含まれております。ですから、それを除きますと、二〇〇八年は千九百二十七億なんです。それに対して、それでは二〇〇九年はどうかという御比較なんです。

 本来、二〇〇九年というのは道路財源はないんですから、二〇〇八年を同じベースで比較するというのは、逢坂委員も、変だよなというのは多分おわかりになって聞いているんだと思いますが、ただ、あえてこの先生が提出されたという資料で比較すれば、二三二六となっておりますが、関連インフラ、先ほど申し上げました学校通路あるいはスクールバスあるいは過疎地の船というようなこういう関連インフラ、これは千四百を想定しておりますので、これを逆に足しますと、三千七百二十六。つまり、一般財源に使われる額は、一九二七から三七二六、ふえるという計算が出てきます。

 ただし、これは、繰り返しますけれども、一般財源化されているものですから、一般財源はすべて一般財源なんですよ。そういう意味で、無理した比較に意味がない。

逢坂委員 いろいろ苦しい説明はあろうかと思いますけれども、これまでも道路事業に関連して道路以外のインフラにもお金が使われていたことは大臣も御承知だというふうに思います。道路関連で地下鉄をつくったという話はございませんでしたでしょうか。道路関連でモノレールをつくったという話はございませんでしょうか。駐車場もございました。道路関連のインフラはこれまでもやっていたわけですから、そこの一千四百億を内に入れるか外に入れるかというのは、これまでの考え方でいえば道路関連経費に入れるのが当然であるのかなと私は思うのでありますが、この議論はこのぐらいにしておきましょう。歳入の一般財源化ということについては、百歩譲ったというふうにしましょう。

 それで、八ページをごらんください。八ページをごらんいただくと、今度はこれは地方財政計画です、地方財政計画のことしのものでございますが、「第七表 国庫支出金の内訳」というのがございまして、その一番下の方、九番目に地方道路整備臨時交付金、これが二十一年度ゼロ、当然ですね。それから逆に、地域活力基盤創造交付金、これが上がっているわけです、九千四百億。国庫支出金の中に分類をされているわけであります。

 そして、実は自治体はこれをどういうふうに受け入れるかということでございます。自治体はこの国庫支出金というのをどういうふうに受け入れるかということで、たまたま私、かつて仕事をしておりました自治体の予算書を持ってまいりましたら、自治体では、この国庫支出金を、歳出の区分の中では特定財源国庫支出金という欄に入れるんです。

 それで、私は、これは私がかつて勤めていた役所が少し間違ってやっていたのかなというふうに思って、いろいろ調べてみましたところ、これは十一ページをごらんください。実は、この予算の様式というのは、地方自治法施行規則第十五条の二で定める予算に関する説明書の様式、これに、実は地方自治法施行規則の中に明確にうたっているわけであります。真ん中の歳出のところをごらんください。特定財源というのがございまして、国支出金というのがございます。まさにこれが国庫支出金でございます。だから、自治体の財政、歳入歳出の分類でいえば、これは紛れもない、予算書上は特定財源というふうに扱われるということなんです。

 ですから、国の皆さんは歳入ベースでそれは一般財源化したといっても、自治体の現場レベルでは、これは特定財源だろう、そう言わざるを得ないものだと思うのでありますけれども、鳩山大臣、この辺いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 私も法律の正確な使い方はわかっていないかもしれませんが、いわゆる道路特定財源とか目的財源を一般財源化したという意味と、この特定財源という、先生が町長を務めておられてこういう書類に何度も出会っておられるんだと思いますが、これは地方自治法施行規則第十五条の二で定める予算に関する説明書の様式に、ここに特定財源とありますものは、例えば今度の定額給付金もそうなんです、定額給付金でも、定額給付金として支出する、それに対して十分の十の補助が来るから、やはり特定財源になるわけです。

 例えば、病院債を発行して病院の経費に充てれば、これも地方債ですが、特定財源という見方をされますので、これは言葉の使い方で、目的税か目的税でないということと、この特定財源というのはちょっと言葉の意味が違うんだと思います。

逢坂委員 中川財務大臣にお伺いしたいんですけれども、中川財務大臣の説明で、歳入の一般財源化ということを再度御説明いただけますか。先ほどから発言したがっているようなので。

中川国務大臣 今の話は鳩山総務大臣の地方自治法の話でございますが、本年度までの、例えば揮発油税等は道路特定財源であります。来年度以降の揮発油税等は一般財源であります。なぜならば、財源でございますから、歳入の話でございますから。ですから、先ほど逢坂委員も百歩譲ってというふうにおっしゃっていただきましたけれども、多分御理解いただけると思います。

逢坂委員 これは、実は非常に都合のいいようにやはり国の皆さんがやっているんだなというふうに私は思わざるを得ないんですよ。

 というのは、金子大臣、昨年までの地方道路整備臨時交付金、これは特定財源ですか、一般財源ですか。どうですか。

金子国務大臣 臨交金は、四分の一直入ですから、特定財源です。

逢坂委員 そうですね。これは特定財源なんです。そして、自治体の予算書上も、先ほど私が示した特定財源国庫支出金のところに上がるんです。

 ところが、摩訶不思議なことがあるんです。自治体の決算を総務省に報告するのに、決算統計というのがあるんです。この地方道路整備臨時交付金は、「一般財源と同様に使用される財源を合わせて決算統計上は「一般財源等」と表現している。」ということで、決算統計上はなぜか一般財源に入れるんです。この説明は何も私が恣意的に言っているわけではなくて、地方財政小辞典というものの中から今読み上げたんですけれども、すなわち、皆さんが、皆さんのお立場でどうも都合いいように何か振り回しているのがこの財源問題なんじゃないかなというふうに思うんです。

 では、重ねてお伺いしますけれども、鳩山大臣、自動車重量税は特定財源ですか、一般財源ですか、ことしの時点で。

鳩山国務大臣 自動車重量税は国の税金で、譲与税をいただいておりますが、これは道路のための財源だと思います。

逢坂委員 これは確かに道路のための財源なんですけれども、先ほどの中川大臣的な説明で言いますと、法律上使途が限定されているわけではないんです。慣例上これを特定財源にするということが言われているだけで、実は法に決めがないわけです。法に決めがないものを特定財源とこれまでずっと言ってきたんですね。

 今度はたまたま道路特定財源の法の縛りを外した、だから一般財源になったとは言っているものの、事実上道路にしか使えないわけです。そして、自治体現場での財政の分類でいったら、それは歳出項目の中では特定財源として充当するわけです。

 だから、私には、どうも皆さん、それぞれのお立場で都合のいいように言っているようにしか聞こえないんです。財務省は、歳入として一般財源化しました、国土交通省的に言うと、これは道路に使える財源として、交付金として確保をしましたと。自治体の現場では、道路にしか使えないから、これはどうしても特定財源というところに表示せざるを得ない。

 ところが、ことしのこの新しい交付金も、多分、去年の臨交金と同じ扱いになりますから、これは私の予測ですが、決算統計の上では一般財源等に入れるんじゃないかなという予測をしているんですが、いかにもこれは御都合主義じゃありませんか。国民には全くわけのわからない議論だというふうに思うんです。国民の皆さんが思っている一般財源というのは、そういうことじゃないというふうに思うんです。

 私の資料で十ページをごらんください。十ページに、先ほど私が引用しました地方財政小辞典というところから抜粋をさせていただきました。一般財源の定義が最初の三行に書いてありました。「財源の使途が特定されず、どのような経費にも使用することができるものを一般財源という。」というふうに地方財政小辞典には書いてある。多くの国民の皆様は、福田総理が道路特定財源を一般財源化するというふうに発表したときには、多分こういうことが実現するんだと思ったんだと思うんです。

 ところが、今回の国土交通省の交付金を見ると、道路と道路関連のインフラ、ソフト事業ということでありますから、あくまでも道路にしか限定されていないわけです。これを多くの国民の皆様に、法律上の定義はいざ知らず、これは一般財源ですよと説明するのは、私は相当に無理があるのではないかというふうに思うんです。国土交通大臣、いかがでしょうか。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

金子国務大臣 歳入の面で一般財源化されていると同時に、歳出も、先ほど御質問がありました地方臨交金というのは特定財源でありました。シーリングの外でありました。一般財源化されたことによって、今度は道路予算すべてがシーリングの中に入って、毎年毎年必要なものをつくって予算としてつくり上げていく、そういう意味では大きな仕組みの転換が今回の一般財源化で図られた。国民は、逆にここはわかっていると思います。

 逆に、全国知事会のみならず、市町村長等あるいは議会でつくる全国からの要望、必要な道路は何とかつくれる枠組みをつくってほしいと。福田総理がやったときの閣議決定も、必要な道路はつくるということを……(発言する者あり)すりかえていません。必要な道路はつくる、そういう閣議決定の中に入っているんです、一般財源化とはいえ。

 そういう意味で、地方自治体、首長さんたちからも、今申し上げたような、必要な道路はつくるというきちっとした枠組み、特に道路の場合には期間がかかる。それから、規模の大きなものは地方臨交金等々でつくっておりました。国立の鉄道立体のような大きな工事も臨交金でつくっていました。こういうものはやはり年月がかかる。したがって、道路財源として安定したものを残してほしいというのが地方自治体の声でありました。そういう意味で、一般財源とは……(発言する者あり)いやいや、それとこれとは違うんです。やはり必要な道路をつくるという枠組みはつくって残してほしいと。

 そして、繰り返しますけれども、今度、全国知事会からも、こういう安定した、必要な道路をつくるという枠組みを残したことについては、非常に評価されているというのが実態であります。

逢坂委員 私、今の金子大臣の答弁を聞いていて、一瞬間違えてしまいました。一般財源の説明をしているんじゃなくて、特定財源の説明を延々とされているように聞こえてどうしようもなかったのでありますけれども、大変苦しい答弁だったのではないかなというふうに思います。

 私は、全国の首長さんたちが道路財源が必要だというふうに言っていることは、多分だれよりも本当に身にしみて感じている一人だというふうに思います。

 しかし、全国の首長さんたちが一番望んでいるのは何かというと、道路だけに特化した財源ではないんですよ。一般的に広く使える、いや、もちろん道路の財源があることは大事ですよ、だけれども、道路の財源と色をつけていただいて、先ほど御説明いただいたように、あえてまた要望、申請をして計画をつくっていただくお金よりも、自分の手元に、真っ白で、道路にも医療にも福祉にも使えるお金が欲しいというのが本当のところなんじゃないでしょうか。

 そうして、今、なぜ、道路だ何だかんだ、とにかくお金が欲しいと言っているのかといえば、三位一体改革で、交付税が五・一兆も減らされ、補助金が一・七兆も減らされ、六・八兆も地方財政は削減されている、だから、とにかく財源を確保したい、そういう声が非常に強い、そういうことだというふうに私は理解をしているんです。

 それで、やはり、私は、財源を確保されたということは自治体の首長さんたちは喜んでいると思いますが、これはきのうの朝日新聞の記事です、首相答弁は詭弁ではないかという。前原委員がやるやる詐欺と言ったことに関連して、総理が、「道路特定財源の一般財源化は終わっている」、これは詭弁ではないだろうか、「国民はどれだけの道路予算が医療などに回るか注目していたはずだ。それが、結果は一般財源化前と同じでした、というのでは「だまされた」と思う人が少なくないのではないか。」これが二月五日の朝日の記事でございますけれども、これが国民の今の感覚ではないかなというふうに思うんです。

 金子大臣、いかがでしょうか。

金子国務大臣 真っ白な、何でも使い勝手のいいお金を地方自治体の方が求めておられるというのは、これ自身は事実であります。ただ、そうはいっても、やはり道路はきちっとつくれる予算として欲しい。だから、地方交付税という全く手のつかないもの。

 それからもう一つ、逢坂委員は町長をやっておられましたからおわかりになると思いますが、こういう地方交付税というのを配分するときには、基準が何かといったら、きのう中川先生から御指摘があったじゃないですか、道路の延長に応じて配分するんですよ。だから、道路ができているところ、できていないところ関係なく、道路ができているところの方に余計配分されるんですよ。(発言する者あり)延長で。延長ですよ。それは民主党が言ったんですよ、もちろん。中川正春先生がきのう言いましたから言ったんです。だから……(逢坂委員「きちっと答弁してください」と呼ぶ)

 ですから、したがって、何にでも使えるといったときに、道路需要が本当にある、つくってほしいところに配分が回ってこないというのが、何でも使える地方交付税となった場合には、どうしても、道路需要があるところに回らなくなってしまう。ですから、お地元の函館市長も、やはりきちんと安定した道路がつくれるような財源を維持してくれよなということでありますので、これは閣議決定に反する話でも何でもありません。

逢坂委員 金子大臣、今回のこの交付金が自治体に支出できる根拠の法令を教えてください。

中川国務大臣 法令と同等の価値を持つ、国会で御承認いただいた予算に基づく政府の予算執行権でございます。

逢坂委員 実は、この問題は午前中もいろいろ議論をいたしました。地方財政法十六条に基づくか基づかないかということは午前中議論になったわけですが、予算だけで本当に自治体の自治事務にこの国庫支出金が出せるかどうかということについては、いろいろと午前中の議論でも疑義がありました。

 それで、総務大臣、午前中の議論で、定額給付金、法令に違反しているかどうかはまだはっきりしませんけれども、どうも法令違反臭いという指摘が午前中されたわけですが、それでもこの定額給付金をおやりになりますか。

鳩山国務大臣 午前中のやりとりで申し上げましたように、法律に違反している要素は全くないと思います。

逢坂委員 法令に違反している要素は全くないということで、仮にあったとしても、分権推進委員会のあの計画の趣旨からすれば、地方財政法十六条の補助金というのは極力ふやさない方向だ、けさの段階でa、b、cという類型がございましたけれども、あれに該当しないものは極力ふやさない方がいい、そういう話がございました。

 そこで、総務大臣にお願いをしたいんです。地財法の担当は総務大臣だというふうに思いますので、ことしの二十一年度予算の中で、地財法十六条の規定に基づいて支出をしているその予算、どの種類を各省でやっているかお調べいただいて、御提出いただくわけにはいきませんでしょうか。総務大臣、これは私は分権を考える上で非常に重要だと思うんです。

鳩山国務大臣 そういう整理の仕方ができるならば、やらせます。

逢坂委員 これで最後にしたいと思いますが、私は、この道路財源の問題を議論して、先ほど来やじが飛んでおりました、ならば北海道は道路財源要らないんだな、ならば北海道は道路要らないんだなと。まさに卑劣な、本当に卑劣なことだというふうに私は思います。真っ当に政策を議論しよう、そして財源はこれからどうあるべきかということを議論している。道路のことに関して政府の意に沿わないことを少しでも言おうものなら、じゃ、道路は要らないんだな、こういうやじは私は厳に慎むべきだと。こういうことをやっているから、日本の国の予算が本当に国民が望む方向に変えていけない。ぜひそのことには、私は大きな声を上げていきたいというふうに思います。

 中川大臣、函館にも道路は必要です。渡島にも檜山にも道路は必要です。必要な道路は必要なんです。それはそれだけれども、だからといって、何でもかんでもやみくもにすべてがいいということではない。どうしてそのことがわからないのか。そういうことで国民をある種縛るというのはもうおやめいただきたい、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。

中川国務大臣 逢坂委員、北海道に道路が必要なことは、多分、逢坂委員も私も同じだろうと思います。しかし、その議論、一般財源の議論と、歳出と歳入の議論とはまた別であるということも、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

衛藤委員長 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 私からはまず、余り注目をされませんが大変重要であると私は思っている、それから仙谷委員が、午前中でしたか、個人の経験に基づいてがん対策についての御質問をされていたように、私も個人の経験と思い入れに基づいて重要だと思っております生殖補助医療についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 生殖補助医療、いわゆる不妊治療について国が行っている支援について、簡潔で結構でございます、どちらからお答えをいただくのか、お答えいただける方から、担当している方からお願いします。

舛添国務大臣 生殖補助医療、いわゆる不妊治療でございますけれども、平成十六年度から、不妊治療の経済的負担の軽減を図るために、特定不妊治療費助成事業を実施しておりまして、医療保険が適用されず高度の医療費がかかる体外受精及び顕微授精について、配偶者間の不妊治療に要する費用の一部を助成しているところであります。例えば十九年度の実績は三十億円でございます。また、不妊専門相談センター事業を実施し、不妊に悩む夫婦に対して、専門的知識を有する医師などが医学的な相談や精神的ケアなどを行っているところで、昨年は全国五十六カ所で行いました。

 なお、特定不妊治療費助成事業及び不妊専門相談センターを含む母子保健医療対策の予算につきましては、総額約四十六億円を平成二十一年度予算案に計上しているところでございます。

 以上です。

枝野委員 体外受精と顕微授精に対する支援は、一件当たりとか、回数とかについて教えてください。

舛添国務大臣 支援でございますけれども、その前に、例えば体外受精、顕微授精は、これは一回当たり平均三十万から四十万円費用がかかっております。

 その中で、十六年に創設しましたけれども、これを、十九年度からは支給回数を一回から二回に拡大する。給付の内容は、一回当たり十万円でございます。そして、二回目までで、通算五年支給できます。そして、所得制限、今まで六百五十万円でしたのを、これを七百三十万円に昨年度から緩和したというのがこの事業の中身でございます。

枝野委員 この間拡大をしてきておられることについての努力は一定の評価をしたいというふうに思いますが、今大臣がおっしゃられましたとおり、体外受精で平均三十万円ぐらい、これが顕微授精になると四十万円ぐらいになります。特に年齢的な制約などもあって焦っておられる方だと、これは体の問題もありますから毎月というわけにはいきませんけれども、年に何回も行われるという方がたくさんいらっしゃいます。若い夫婦で、例えば顕微授精ですと、助成を受けても一回当たり三十万円必要になるわけであります。

 私自身、この体外受精、顕微授精の当事者でございまして、私のときには所得制限も超えておりますので助成を受けておりませんが、お互い、国会議員という立場で相対的に大変高い報酬をいただいておりますので、数年にわたって自費で全額払って、そして、時間がかかりましたけれども、幸い子供に恵まれました。

 しかし、例えば、この限度額の、所得制限七百三十万円の方だとしても、一回当たり三十万円を二回で、六十万ですね。そのほかにもう二回、全額自費でやろうとすると八十万円ですね。普通、一般的に、体外受精とか顕微授精されている方は年間百万単位で出ていく、これが実態なんですね。

 これで、子供が欲しい、だけれどもできない、だけれども生殖補助医療を受ければ生まれるかもしれない、授かるかもしれないという若い人たちの声にこたえているとお思いになりますか。これは、申しわけありません、まず少子化担当大臣にお答えをいただきたいと思います。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 子供を産みたくても産めない、でも子供が欲しいという方々が本当に一生懸命努力をされておられるその悩みというものは、本当に深刻なものだと承知をしています。私のところにも、ホームページなどを通じましてさまざまな御意見をいただいていますけれども、少子化対策の中でやはり一番と言っていいほど御意見をいただいているのがこの不妊治療についてであります。

 現段階でどのくらいそうした方々の声におこたえできているかということでありますけれども、まだまだ十分ではない部分があるのではないかと思います。そうした方々の経済的負担を少しでも軽減したいというのが少子化対策担当大臣としての思いでもありますし、また、経済的負担のみならず、やはり時間もかかりますし、女性にとっては心身ともに本当に大変なことでありますので、そうしたことに対する周りの理解を、共通の認識を持っていくということも大切なことなのではないかと考えております。

枝野委員 この国は、少子化という深刻な問題に直面をして、わざわざ少子化担当大臣という大臣を置いて、何とか少子化にブレーキをかけたいと。もちろん、それにブレーキをかけていくための施策としては、例えば、周産期医療の問題もあります、それから保育所の問題もあります。でも、一番最初の入り口のところで、産みたいんだけれども生まれてくれない、でも治療を受ければ生まれるかもしれないという、一番最初の、産みたいと思っていらっしゃる方に十分な支援をするということが欠けていて、それ以降のどんな子育て支援策をしたとしても、国としてやはり少子化を食いとめようと頑張っているという話には私はならないと思います。逆に言えば、この部分にしっかりとした手を打つということが、あ、この国の政府は子供を産みたいと思っている人たちに対しては最大限の努力をしているんだという最大のメッセージになると思います。

 そして、実績から見ても、今のやり方でも助成が年間三十億ですか。例えば二十万にふやしたって六十億、あと三十億しかかからないわけですよ。例えば、所得の低い人に年二回全額やったとしても、百億かからないわけですよ。これぐらいの予算は、少子化担当大臣と厚労大臣双方で協力をしてしっかりととるべきではないでしょうか。それぞれお答えください。

舛添国務大臣 少子化対策、これは国がしっかりやるべきだということで、委員御承知のように、まず国民の皆さん全部がこの対象になるところから、例えば妊婦健診、十四回まで経済的御負担をかけない、それから出産一時金を上げる、こういうところをやって、当然、私は、こういう今おっしゃった点についても、これは六万人ぐらいまでふえていますから、ぜひこういうことを実現したいというふうに思っていますので、今後とも助成の増額ということを努力していきたいと思っております。

小渕国務大臣 お答えいたします。

 女性にとりまして子供を産める時期というのはやはり限られています。そうした中で、やはりスピード感を持って、こうした不妊治療に対しても、どういった支援ができるのか、今まで以上に重要視をしながら考えていかなければならないと思っております。少子化担当大臣として、その責任をしっかり果たせるように、十分に委員の御意見を反映させていきたいと考えております。

枝野委員 重ねて申し上げたいと思いますが、そして、小渕大臣は先ほどの、その前の答弁で御理解をいただいておりますが、仮に全額お金を出してあげたとしても、特に女性の方にとっては、この治療というのは肉体的にも精神的にも大変厳しい、きついものでありまして、お金をもらえるんだったら、では気楽にへいへいやろうか、こういう世界のものでは全くない。それはもう小渕大臣、十分御理解をいただいていると思います。

 ですから、私は、例えば所得制限をつけて、一定所得以下の人は、例えば年三回ぐらいまで全額助成してもいいのではないかと思います、年数はある程度切らなきゃいけないかもしれませんが。こういったところに踏み込めないようでは、この国の少子化にブレーキをかけるというメッセージは、特に子供を産む世代の人たちには私は伝わらないと。

 残念ながら、この生殖補助医療の話というのは、私も、二十年前だったら、私も当事者ですと言えなかったかもしれない。今でもやはり私のところに、枝野さん、うまくいったらしいけれども、どういうところの病院でとか、いろいろな声を聞きますが、だけれども、なかなか外に向かってはおっしゃりにくいという方が多い。だけれども、やはり同世代の子供を生み育てる世代、特に年齢的にそろそろ急がないとという世代の皆さんの間では、やはりそういう声は物すごく大きい。そういうところにやはりメッセージを届けるということは大変重要なことだということを指摘しておきたいというふうに思います。

 小渕大臣、特に頑張ってください。あとは質問はありません。小渕大臣はお帰りいただいても結構です。

 次に、天下りとわたりの問題を、私からも違う角度から改めてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 民主党の要求に基づいて、平成十八年から二十年までの再就職のあっせん件数についてお調べをいただいております。これは総務省がまとめていただいておりますから、総務大臣にお答えをいただきたいというふうに思いますけれども、例えば農林水産省の平成二十年における再就職あっせん件数は何件でございますか。

鳩山国務大臣 農林水産省の、平成何年ですか。(枝野委員「二十年」と呼ぶ)二十年度はまだ終了しておりませんね、十四人でございます。

 トータルはいいんですか。(枝野委員「はい、いいです」と呼ぶ)いいんですね。

枝野委員 では、せっかくですから、トータルといいますか、年次が終了している直近の十九年とそれから平成十八年、それぞれ、例えば農林水産省についてお答えください。

鳩山国務大臣 しつこいようですが、平成十八年度で我々が調べた範囲では、全部が八百十二件、十九年度は四百九件ですが、農水省は十八年度が九十四名、十九年度が二十六名、そして先ほどお話ししましたように、年度がまだ二カ月ぐらい残っておりますが、十四名でございます。

枝野委員 農林水産省の十八年度、十九年度、二十年度、それぞれ二回目以降の再就職のあっせん、つまり、わたりあっせんの件数は何件ですか。

鳩山国務大臣 十八年度二名、十九年度一名、二十年度二名、計五名です。

枝野委員 同じように、二回目以降の再就職のあっせん件数、今の三年度について、厚生労働省と経済産業省、それぞれ何件ですか。

鳩山国務大臣 いわゆる一般にわたりと言われる二回目以降の再就職をやっております件、厚労省でしょうか、平成十八年度はゼロ、十九年度一、二十年度ゼロ。それから経済産業省、十八年度ゼロ、十九年度が四、二十年度ゼロとなっております。

枝野委員 それでは、全省庁をトータルして、十八年度、十九年度、二十年度、それぞれのわたりあっせん件数をお答えください。

鳩山国務大臣 十八年度が四人ですね、十九年度が二十一人、二十年度が六人。

 人事院にもわたりがあるんですね。はい、わかりました。

枝野委員 これで、官房長官にお尋ねをしなきゃいけないんだろうと思います。

 総理がことしいっぱいでやめるとおっしゃっているわたりで、なくなるのは今おっしゃられた件数だけですね。

河村国務大臣 いわゆるわたりといいますか、一度省庁あっせんのもとで行かれた、それがまた次に行かれる、これについてはもう認めない、こういうことであります。

枝野委員 ですから、その認めないことによってなくなるのは、今総務大臣がおっしゃられた、三年間で三十何件でしたか、だけですね。そういう三十数件分だけがなくなる、これで間違いないですね。明確にお答えください。

河村国務大臣 いわゆるわたりと言われるものがこれであれば、これが認められない、こういうことであります。

枝野委員 これであればと、これは内閣の一員である総務省が全内閣の所管官庁分をまとめて、今総務大臣がここで委員会でお話しになったのが三十数件なんです。三年間で三十数件なんです。わたりあっせんをなくしても、そのことによってなくなるのはこの三十一件分だけですね。間違いありませんね。

河村国務大臣 わたりというものがそういう数字として出てきている。それを認めないということでありますから、御指摘のとおりであります。

枝野委員 何か大々的にわたりはやめさせるとかと言っていますが、結局なくなるのは三年間で三十一件でしかない、結局氷山の一角の一角でしかないということを改めて確認いたさせていただきました。

 ちなみに言うと、環境省に至っては、過去三年間、再就職のわたりあっせんは一件もしていないだなんと言っているんですよ。そんなわけないはずじゃないですか。何にも実態と変わらないということじゃないですか。

 それで、ちなみに、二月三日火曜日の本委員会の田野瀬委員の質問に答えて麻生総理は、このわたりとあっせんについて、もろもろもろもろ言って、「三年を待たず、前倒しして廃止したいと思っております。」と言った後に、「具体的には、これを明確にするためには、わたりと天下りをことしいっぱいで廃止するための政令をつくることにしたいと思っております。」とおっしゃられたんですね。

 これが非常に不正確なので、官房長官、訂正していただきたいんですが、わたりと天下りのあっせんをことしいっぱいで廃止する政令をつくるというのが正確だと思うので、訂正していただけますか。

河村国務大臣 御指摘のとおり、あっせんすることを全面的に禁止する、こういうことであります。

枝野委員 ということで、テレビの前で総理が大見えを切った話が訂正をされたという大変重要な話である。

 さあ、その上で、具体的な話をさせていただきたいんですが、総理も官房長官も、このわたりの話について、一たん民間人になられた方のことについては口は出せないというような趣旨のことを何度もおっしゃっておられるんですが、本当ですか。一たん民間人になられた方の再就職について、現行制度においても規制がかかっていませんか。これは、どなたでも結構ですけれども。

河村国務大臣 これは、営利企業等については事前承認制度というのがありますので、そこでチェックを受けることになっております。

枝野委員 そうですね。営利企業に再就職するときには、離職の日から起算して二年を経過する範囲内、現行法だったら、二年を経過していない者は、従来だと人事院、これは四月からは官民人材交流センターになっているんですかね、いずれにしても、離職後二年間については営利企業に就職するに当たって許可が必要なんですね。この離職後二年間というのは、離職直後の就職であろうが、離職後最初に就職したところを一年でやめて、また別のところに行くのであろうが、どっちにしてもこの規制はかかりますよね、官房長官。

河村国務大臣 規制はかかります。そのとおりであります。

枝野委員 なぜ、二年間については再就職だろうと再々就職であろうと規制をかけられるのに、それが、天下りのわたりについてはやめた後は全く規制をかけようがないという答えになるんですか。かけようがありますよ。立法政策等の話ですよ。退職後何年かたった後の再々就職についても規制はかけられるという前例、実際にかけているんだから。違いますか。

河村国務大臣 御案内と思いますが、改正国家公務員法は、いわゆる押しつけ的なあっせんの根絶を図るということでありまして、各府省による職員の再就職あっせんを全面的に禁止して、中立透明な仕組みにしている、これが官民人材交流センターに一元化していくということであります。

 そこで、営利企業への再就職の事前承認制度については、改正国家公務員法に規定されておるとおり、官民人材交流センターに一元化とともに、この事前承認制度そのものはここでやりますから、今の制度はなくなっていく、こういうことになっていくわけであります。

枝野委員 今の制度がどうなっていくかという話をしているんじゃないんです。総理のこの間の答弁、官房長官の答弁も含めて、わたりについて、民間人に一たんなられてしまった元官僚について、民間人になられてしまった以上は、その人がどこかに再就職することについては規制はできませんということを、わたりを規制しろという話についてずっと答弁してきているわけですよ。

 しかし、現に現行法、暫定措置で今も残っているわけですけれども、国家公務員をやめて再々就職するに当たっても、相手先によっては、従来なら人事院、現行法ならば官民人材交流センターの許可をとらなければいけないという規制をかけているんですよ。

 一たん民間人になってしまった人でも、元公務員については、その就職について規制をかけるということは全く憲法の職業選択の自由に反していないですよ。合理的な目的があって、合理的な範囲内であれば、一たんやめた人の再々就職についても規制をかけてきた前例があるじゃないですか。それは認めますね。

河村国務大臣 それは先ほど来御指摘のような承認制度においてかけてきたということであります。

枝野委員 あっせんについてはやめる。でも、あっせんがあってもなくても、従来から人事院の許可が、自分のいた役所、自分の抱えていた仕事と関係ある営利企業に再就職するに当たっては、退職後二年間、許可を要するという制度を今までやってきた。

 だから、これだけわたりの事例がたくさん出てきていて、その多くについてあっせんを認めていないという事例が出ているんだから、あっせんによるわたりを規制するだけではなくて、同時に、自分がいた役所の所管する独立行政法人や公益法人に対する再就職については、例えば退職後二十年間とか、許可を要するとか、あるいは自分が在職した役所から仕事を発注、受注している企業に対する再就職については退職後二十年とか、そういう場合については許可を要するという制度をつくっても、憲法違反、職業選択の自由の問題ではない。まず政策論の前に、職業選択の自由との問題では憲法違反ではない。これは答弁してください、明確に。

河村国務大臣 私の口から、それが憲法違反になるかどうか、即断を私はしかねますが、御案内のように、離職後二年と決めた、これも、営利企業への再就職の事前承認制度は、やはり憲法で保障される職業選択の自由とか勤労権、こういう基本的人権の尊重という意味があって、公務の公正な執行の確保との調和を図る観点から求められておる。

 今おっしゃったように、二十年とかそういうことになりますと……(発言する者あり)例示でしょうが、ただ、我々、総理も民間人のことを申し上げましたが、やはり一般論として……(発言する者あり)

衛藤委員長 静かに。

河村国務大臣 一般論として、公務員が培ってきた能力であるとか経験を退職後広く社会で活用すること自体、このことは非常に有用であると考えておるわけであります。また、今回の改正国家公務員法によって各省あっせんが禁止をされることになる、そういうことになりますと、今度は公務員に元公務員による働きかけの規制が実施をされることになりますから、公務員の再就職、元公務員であった人はこれを過剰に規制するということは、職業選択の自由との関係あるいは公務員の能力活用、こういう面から慎重に対処をしなきゃなりません。

 しかし、立法府の意思として、こうだったらどうだと言われることになれば、それはそれとして、その時点で法に照らして考えなきゃいけない課題だ、このように思います。

枝野委員 今の御答弁でも、例えば二十年がいいのかどうか、これは政策論としていろいろあるかもしれません。

 私は、役所に在職していた年数分だと個人的には思います。例えば、何とか庁に入ったけれども五年でやめちゃいましたという人は五年ぐらい規制をかけておくでいいでしょうけれども、定年まで四十年いた人は四十年間、死ぬまで規制をかけておいた方がいいと思います。

 私があるところから聞いたうわさによると、事務次官経験者は御葬儀のときに現職の肩書を持たせていないと後輩は恥ずかしいんだ、だからそこまで全部、天下り先、わたり先を用意するんだ、こういう話も巷間言われている。本当かどうか知りませんよ。少なくとも、こういううわさも出ているぐらいでありますから。

 その年数についてはいろいろありますけれども、確認をしますが、もう既に民間人になってしまった退職後の再々就職であっても、従来自分が役所時代にかかわっていた仕事と関係するところへの再就職については、前例としても、年数は二年だけれども、民間営利企業に限っていたけれども、しかし、規制をかけることは可能である、したがって、単に、民間になった人の再就職の話ですから手も足も出ませんというのは間違いであるということは確認をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、経済の話を二点ほどさせていただいておきたいというふうに思います。

 最近、政府紙幣という話がちまたをにぎわせておりまして、当然、経済財政担当大臣も財務大臣も論外だと思っておられると信じたいんですが、この政府紙幣発行論についての認識、特に、どうしてこれが許されないのかということを、ここで明確に政府の見解として示しておいていただきたいと思います。

与謝野国務大臣 世間話としてそういう話をされることは自由だと思いますけれども、まず、一国に二種類の通貨というものが存在し得るのかという根本的な問題があります。

 それから、政府紙幣を発行した場合、それが流通をするためには日銀券と交換しなきゃいけないという問題があって、日銀券を発行するのと同じ話になるわけで、いわば無利子の国債を発行するのと同じような話なので、申しわけないですけれども、取るに足らない話だと思っております。

中川国務大臣 理由は、今与謝野大臣がおっしゃったのと同じでありまして、要するに、紙幣でも今の日銀券でもいずれも、戻ってきたときは買わなきゃいけないというか戻さなきゃいけないわけですが、今お話があったように無利子国債的なものだと私も思うわけでありまして、そうすると、最終的には、これはその部分手当てをしなければいけない。あるいはまた、貨幣は政府の権限でできるわけでありますけれども、仮に貨幣的な紙幣だという意味で政府が発行するいわゆる通貨、通貨には貨幣と銀行券とあるわけでありますけれども、その場合には明らかな法律改正が法手続上も必要なわけであります。

 こういう経済状況であって、どうやって市中にお金を出して使ってもらうかということでいろいろ御議論がある中の一つだろうというふうに思っておりますけれども、政府紙幣ですから、多分やるとすれば私の担当になるわけでありますけれども、私の頭の中にはそういう考えはございません。

枝野委員 明確に関係する二大臣がおっしゃられました。この点については意見を全く一にしておりますので、間違ってもこうした暴論が変な議論になっていかないように、必ずそれは両大臣が責任を持って、今の内閣が続いている限りはとめていただきたいとお願いをしたいというふうに思います。

 もう一点ちょっと、これは通告になかったのですが、ですから、こちらから理由を申し上げますが、これと関連して、今の無利子国債、何か相続のときに優遇するという形で無利子国債を発行すればいいんじゃないかみたいな話も一部で出てきているというふうに聞いておりますが、これまた実はまやかしではないかと私は思います。

 無利子国債であったとしても、相続税などで優遇をされるということであれば、その相続税が、将来入るべきものが入ってこないという意味で、結局、利息相当分、国庫はマイナスになる。それを買った方は利息相当分が相続税のところでプラスになるということですから、逆に言うと、利息相当分が相続税でプラスにならなければ、無利子国債で相続税の対象にしないという話も、売れるはずがありませんから。

 ですから、結局これも一緒の話であって、逆に、普通の国債であればどなたでも買えますけれども、相続税で優遇するという無利子国債では、相続税の対象になるような資産を持っている方しか買えない。その方にだけ有利であるという形になるので、これまた飲み屋話のたぐいだと私は思いますが、そういう認識でいいですか、財務、経済財政担当大臣。

与謝野国務大臣 枝野先生みたいなお考えもありますし、また、無利子国債を出すことによって眠っている金融資産が出てくる、これが有効需要の創出に使われるという説があります。

 国債を買った方は、通常は、今ですと一・五%近い利息を受け取れますけれども、それを放棄する、そのかわり相続のときに優遇を受ける、そういう話。この話もいろいろな組み合わせがありますけれども、政府がお金を刷って使うという話とはちょっと違っていて、国民が持っている、まだ活用されていない休眠資産をどうやったら活用できるかという動機もあっての議論ではないかと思っております。

 ただ、これは、個人と国がどっちが得するか損するか、そういうこともよく考えなきゃいけないわけですし、全般的に国民の間での公平性の担保ということもまた大事な視点であろうと思っております。

中川国務大臣 さっきも申し上げましたように、今のこの経済、金融の状況でありますから、どうしたらこの状況を少しでも食いとめ、あるいはまたよくしていくかということで、いろいろな議論があるということは、私はそのこと自体は否定するつもりはございません。

枝野委員 ちょっとこちらは歯切れが悪いなと思うんですが、確かに無利子国債論というのはいろいろなバリエーションがあるようでございますから。

 ただ、一般的に言われているのは、利息がないかわりに相続のときに優遇する。そういう話だとすると、結局は経済ですから、経済的にペイしなければ成り立たないわけで、逆に言えば、国民として国庫に寄与したいから利息がついていなくても買います、それは優遇されなくても買いますといって無利子国債が売れるならそんないいことはありませんが、だけれども、やはりそれでは売れないわけで、経済的に割に合わなきゃ売れないわけです。割に合うということは、結局、相続税のときに利息相当分を国は財政負担するわけですから、そうすると、そういうものを、相続税を多額に払う可能性のある高資産家の人だけが買えるという話が果たしてフェアなのか。

 それから、ちらっと与謝野大臣はおっしゃいましたけれども、一種眠っている資産というのは、相続税との兼ね合いで表に資産として出せないものが、そういう形だったら表に出てくるかもしれないという議論は私もあり得るだろうなと思いますが、だからそれを許してしまうという話は逆で、本末転倒で、そういういわば脱税予備軍のお金はきちっと摘発をするということの方が筋であると思いますので、私はこれについても厳しい視点で、特に財務大臣と経済財政担当大臣にはチェックをしていただければというふうに思います。

 経済財政担当大臣、きょうは以上で結構でございます。

 次は、厚生労働大臣にお尋ねをしたいと思いますが、偽装請負問題についてでございます。

 一貫して厚生労働大臣は、偽装請負の状態が長く続いて、本来ならば、一年または三年経過をして正規雇用、直接雇用への申し入れをしなきゃならない期間はとっくに過ぎていたのに、そうならなかったという人たち、その人たちに対して、結局、派遣法に基づいて適正な派遣にしなさいという指導しかできない、直接雇用をちゃんとしなさい、正規雇用をちゃんとしなさいと言えない、だから今度の法改正案でその勧告権を与えてくれと言っているんですが、私はそれが一貫して間違っているというふうに思っております。

 まず、ちなみに、いわゆる松下プラズマディスプレイ偽装請負事件の去年の四月二十五日の大阪高裁判決は御存じだと思いますが、どういう判決だと認識されていますか。

舛添国務大臣 これはいわゆる偽装請負事件の判決ですが、大阪高裁の判断は、発注者である松下プラズマディスプレイとの請負契約は、民法九十条の公序良俗の規定により無効とした上で、労働者と松下プラズマディスプレイとの間に黙示の労働契約の成立が認められるべきであるとしたものでありまして、これは原告と被告の個別の労働実態を踏まえて判断されたものだと考えます。

枝野委員 もちろん、これは全部個別の事案で、しかも民法九十条のような、あるいは黙示の契約とか、こういった一般条項をどう適用するかというのは案件ごとに非常に違っていますが、少なくとも偽装請負が長期間続いたケースについては、黙示の意思表示があったものとして直接の正規雇用契約が認められるというケースがあり得ることを大臣はお認めになりませんか。

舛添国務大臣 ですから、ここは偽装請負ということで法違反になるかどうかということが問題で、これは法違反を是正しないといけない。大阪高裁については、これは今最高裁で係争中なので、私がどうだということを今申し上げることは避けたいと思いますが、基本的には、偽装請負は違法である、そういう態度で接するべきであって、それは是正してもらわないといけない。しかし、これが何年続いていたから、これはだから、偽装請負であればそれを是正することがまず第一歩だ。まずそこまで申し上げておきたい。

枝野委員 これは最高裁の場で争われていますから、この事件が個別事案として黙示の契約が認定できるケースなのかどうかということはここでは申し上げません。

 が、少なくとも高等裁判所判決で今のような判決が出ているんですから、それから、厚労大臣の認識として、黙示の契約ということで今回の高裁判決が示したようなケースも事案によってはあり得るということについては、少なくとも、民法の解釈として、あるいは一般的な労働契約の解釈として、あり得ることは否定できないんじゃないかと思うんですけれども。

舛添国務大臣 まさに黙示の労働契約だというふうに認定をしたのが大阪の判決ですね。ですから、それは一つの考え方だと思いますが、ただ、先ほど来申し上げていますように、このケースについて云々ではないんですが、こういうケースについて最高裁で係争中ですので、そこでの判決が確定できれば、一つの判決が確定したわけですから、これは判例として考えられますけれども、今おっしゃったことまで私が言うと、最高裁で係争中のことなので、やはりちょっと控えた方がいいんじゃないかなという気がします。

枝野委員 わざとずらしているのか無意識にずれているのかよくわからないんですけれども、個別案件の当てはめということについては、もちろん、最高裁で係争しているわけですから、これに当てはまるかどうかという話についてここで詰めようとは思いません。

 だけれども、民法の一般的解釈として、黙示の意思表示、黙示の契約というカテゴリーが存在して、明確な意思表示がない場合でも、明示的な意思表示がない場合でも契約が成立することがあり得る。これは舛添大臣もちゃんと大学でお勉強されていると思います。まず、こういうことがあり得ることはお認めになりますね。

舛添国務大臣 それは一般的にあり得ると思います。

枝野委員 労働契約も民事契約の一種ですから、労働契約においても、ケースによっては黙示の意思表示、黙示の契約ということがあり得る、これも否定しませんよね。

舛添国務大臣 当然、長時間今のような形で働かせた場合には、そういうことも解釈としてはあり得ると思います。

 ただ、まさにそこで、一般論で申し上げていますが、個々のケースについて細かくそれを見る必要があるということも当然ですが言っておかないと、問題はあると思います。

枝野委員 ですから、偽装請負とされているものが全部黙示の契約で直接正規雇用になっているということまで申し上げるつもりはありません。だけれども、少なくとも法律論としては、労働契約においても黙示の契約が成立することもあり得るわけですよ。

 さてそこで、この松下ディスプレイ高裁判決というのは、最高裁で確定するかどうかわかりませんけれども、少なくとも、有力な法律論として、長期にわたって偽装請負、本来は派遣の実態であったのに、請負という形で偽装されていたがために、一年または三年の直接雇用申し入れの機会を得られなかった、そのことを派遣先は認識をしながら働かせ続けていた、こういうことが長期に続いていたというケースにおいては、これは直接雇用の黙示の意思表示、黙示の契約があったと認めてもいいんではないかという、少なくとも有力な見解、当てはめじゃないですよ、そういう解釈がそういうケースにはできるんじゃないかという有力な法律解釈が少なくとも存在をしていることは間違いない。それをお認めになりませんか。

舛添国務大臣 下級審でもさまざまな判決があると思いますから、判例法理として確立したということではないことを前提にした上で、一つの高裁の判決であるということは認めていいと思います。

枝野委員 ありがとうございます。ここまで来るまで大変だなどとは思わなかったんですけれども。

 さて、その上で、実際に、この松下プラズマディスプレイの話もそうだし、本委員会で何度も問題になっているキヤノン宇都宮工場のケースもそうだし、全国各地で、いろいろなところで指摘をされている偽装請負ケースというのは、いずれも、きのう共産党さんもパネルまでつくって、おとといかな、やっておられましたけれども、まさに三年の直接雇用申し入れを逃れるためとしか見えないようなケース、個別具体的なケースがたくさんあるんですよ、そのすべてがとは申し上げませんが。

 厚生労働省という、まさに派遣法をちゃんと守らせるべきだ、労働者の正当な権利をちゃんと守るべきだという立場の行政機関が、少なくとも今のような有力な法律解釈の考え方があり得るという前提に立つならば、その黙示の意思表示による黙示の直接契約が成り立たないだろうかという見地から、申し立てのあった個別の案件について検討するのが筋じゃないかというふうに私は思いますが、違いますか。

舛添国務大臣 その前に、きちんと法律があるわけですから、偽装請負というのは違法ですから、それに対して立ち入って是正の勧告を、是正しろと言う。そして、だんだん指導を強めていく。そのことによって、各地で、現場で踏み込んでそれを指導したところはほとんどそれで直っていますから、まずそれを徹底するのが今の法の体系のもとでの枠組みだと思います。

 その上で、ではこれから先どうするか。今のように、たくさん事例があります。そして、完璧に、水も漏らさないように全部が指導できているとは、これは目こぼしもあるでしょう。ですから、そういうことについては今のようなこともやらないといけませんが、とりあえずは指導する。例えば、平成十九年で二千件ぐらい、偽装請負ですよと指導を行っています。まずそれが第一歩だということは、これはまず申し上げておきたいと思います。

枝野委員 厚生労働省が直接の所管をしている法律は労働者派遣法であるし、でも、直接所管している法には職業安定法もあります、労働契約法もあります。直接所管していないかもしれないけれども民法という法律があります。

 でも、例えば、労働者派遣契約、形式的労働者派遣契約と見られているものであっても、ベースは民法の特別法、民法の応用です。それから、偽装請負の請負契約、表面上請負契約と見られているのも、民法上の契約の派生形です。

 したがって、労働者派遣法違反であるのかどうかということの前に、民事契約としてこの契約は何であるのかという認定がないと、例えば偽装請負と言われている契約についても、労働者派遣法には反していると同時に、偽装請負で形式的には請負契約の形態をとっているけれども実質は何契約なんだという認定がなければ、指導、是正ができないじゃないですか。

 いいですか、当たり前のように厚生労働省は自分の所管、特に労働者派遣法違反で立ち入っているから、偽装請負だからこれは派遣なんだというふうにしているんですが、しかし、実質契約としての、民事契約としての契約実態としては、請負は偽装だから請負ではないんだけれども、請負が偽装だから請負でないとなった瞬間に、それが派遣契約の実態なのか、それとも黙示の契約による直接、正規雇用の契約であるのかということの認定が先にないと、派遣であるという形にはできないはずです。違いますか。

舛添国務大臣 まず実態を見ます。それで、請負じゃなければ、正規の請負に戻しなさいと、正しい請負の形をやってもらえばいいわけです。それをやらないのならば、派遣という形でやっていることになるんだったら、これは派遣です。

 だから、民法九十条の公序良俗違反というのは、それは広く契約にありますけれども、一般法があって、しかし、個別の特別法で労働の分野に、我々はそういう武器でもって、このツールでもって踏み込んでいるわけですから、現状で問題があればそれを是正する。

 ですから、偽装請負なら正しい請負に戻す、そして、偽装請負を続けるのならば、それは実態は派遣じゃないですか、したがって派遣の形にしなさい、こういう形でまずは対応するということが必要だと思います。

枝野委員 月曜日もこの話をしたいと思いますが、まさにここが厚生労働省の立ち位置の問題だと私は思います。立ち位置の問題が問われていると思います。

 偽装請負というのは、請負契約の形を装っているけれども請負ではない、そこまでは意見一致です。なぜ請負ではないとなった瞬間に、正しい請負にしなさいとか、あるいは派遣にしなさいとなるのかというのは、実は厚生労働省が勝手に言っているだけであって、請負でないとしたら、黙示の直接雇用契約が成立しているかもしれない、その方が有利なんですから。厚生労働省としては、その余地をまず探すのが厚生労働省の立場ではないかということだけ申し上げて、続きは月曜日に座っていただきたい。

舛添国務大臣 請負であれ派遣であれ、働く人たちの権利をしっかり守っていく、それが私の仕事であります。

枝野委員 結果的に守れていないから申し上げているので、また月曜日にやらせていただきます。

 終わります。

衛藤委員長 これにて枝野幸男君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、米軍再編問題について聞きます。

 二〇〇一年以降、アメリカのブッシュ政権が進めてきたアフガニスタンへの報復戦争、そしてイラク戦争は大きな行き詰まりに直面しています。そうした中で、昨年十一月の大統領選挙で当選したオバマ氏がこれまでの内外政策をどうするのか、大変注目をされております。ブッシュ戦略に基づいて、米軍と自衛隊の一体化と基地の再編強化を進めるというのが米軍再編であります。

 中曽根外務大臣に聞きますが、外交演説の中で、我が国から率直かつ具体的な提案を行うことにより、日米同盟を一層強化すると述べておられますが、今月の十六日からクリントン米国務長官の来日も報じられております。クリントン長官との会談の場で、米軍再編の問題をめぐって外務大臣は何を主張されるつもりですか。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

中曽根国務大臣 ヒラリー・クリントン国務長官は十六日に来日をされまして、会談をすることになっておりますが、まだ先方と会談の具体的な内容事項等については調整中でございまして、もちろん、主要な項目等についてはお話ししなければならないことはたくさんありますが、今ここで申し上げることは大変難しいわけです。

 当然のことながら、日米同盟の強化、重要性ということについては長官も十分に認識されておりますので、この米軍再編も含む日米同盟の今後のことについて話し合うことはある、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 これまで政府は、米軍再編は抑止力の維持と基地負担の軽減を図るものだ、こう説明してまいりました。日米両政府が米軍再編のロードマップに合意してから、ことし五月でもう三年になろうとしています。この三年間、基地の現場で何が起こっているか、これを踏まえて、米軍再編とは何だったのかという検証が求められていると思います。

 この間、地元自治体住民の反対の声を押し切って、キャンプ座間への第一軍団前方司令部の移転、横須賀基地への原子力空母ジョージ・ワシントンの配備などが進められてきました。これらに対する地元住民の反対の世論と運動は非常に根強いものがあります。

 一方、沖縄ですが、負担軽減策として、嘉手納基地から本土の自衛隊基地への米軍戦闘機の移転訓練が進められてきました。

 外務大臣、先日沖縄を訪問されているわけですが、米軍再編によって沖縄の負担が軽減されているとの認識は持てましたか。

中曽根国務大臣 米軍再編は、今、委員も十分御承知のとおり、抑止力を維持しながら沖縄の県民の皆さんへの負担を軽減するというもので、私は、これは確実に実行する必要がある、そういうふうに思っております。

 既にロードマップに基づいていろいろなことが実行されておるわけでございますけれども、一つは、委員も御承知のとおり、普天間飛行場の移設、返還に係る環境のアセス調査を今やっておるわけでございますし、それから、海兵隊のグアム移転、これに係る協定の準備も行っておりますし、あるいは、相模総合補給廠の一部の土地、これの返還に合意をしたりということで、まだ幾つか項目がございますけれども、訓練移転もありますけれども、そういうような形で沖縄の皆さんへの負担が軽減されつつある、そういうふうに認識しております。

赤嶺委員 外務大臣は、沖縄に行かれて、負担は軽減されている、このように認識されたわけですね。

中曽根国務大臣 再編は、短期間で、一年とか二年でやれるものではありません。例えば二〇一四年までに普天間飛行場の移転等、そういうようなロードマップになっているわけでありまして、なかなか目に見えないところも多いわけでありますが、最終的に再編というものを実現するということによって沖縄の県民の皆さんへの御負担というものは軽減されるもの、そういうふうに思っております。

 先日沖縄を訪問いたしまして、県知事さんやまた市町村長さん、そして、普天間飛行場、嘉手納飛行場、キャンプ・シュワブ等、私、視察をさせていただきまして、沖縄の県民の皆さんに多大な御負担をおかけしているというものを私自身も認識して帰ってきたところでございます。

 そういう意味では、この再編を進めるということが今後の負担の軽減になるもの、そういうふうに認識をしております。

赤嶺委員 多大な負担をかけているということなんですけれども、防衛大臣、負担軽減の取り組みを進めてきたと思いますが、沖縄の負担軽減策として、二〇〇七年三月以降、嘉手納飛行場の米軍機の訓練移転が実施されてきました。約二年間にわたって実施してきたわけですが、嘉手納の負担はどの程度軽減されておりますか。

浜田国務大臣 先生の御指摘の点につきましては、現実に訓練移転をさせていただいた中で、平成十八年度から実施をしておるわけでありますけれども、嘉手納飛行場からはこれまで七回にわたって実施をしているところでございます。

 訓練移転の実施に伴って嘉手納飛行場周辺における地元負担がどの程度軽減されたかについて、現時点で確たることは申し上げることは困難でありますけれども、嘉手納飛行場において実施されていた訓練が本土の自衛隊施設へ移転して実施されたことから、少なくとも訓練移転した分、航空騒音は軽減されたのではないかと考えております。

 当省としては、嘉手納飛行場周辺における地元負担を早期に軽減するためにも、今後、タイプ1のみならず、タイプ2の規模の訓練も含めて継続して実施していく考えであり、タイプ2規模の訓練がふえていくことによってさらなる負担の軽減が図られることを期待しているところでありますが、他方、嘉手納飛行場周辺の地元から、嘉手納飛行場からの訓練移転期間中に他基地所属の米軍機が嘉手納飛行場に飛来して訓練をしておりまして、負担軽減が実現していないとの御指摘があるということは重く受けとめているところであります。

 当省としては、目に見える地元負担の軽減を図るためにも、訓練移転期間中の嘉手納飛行場における他基地所属の米軍機の訓練の配慮方について米側に対して要請をしてまいるつもりであります。

赤嶺委員 浜田大臣、訓練移転された分は明らかに訓練が減っているから負担軽減になっているはずだ、こんな説明が住民にとって実感できないものであることは大臣がよく御承知だと思いますよ。やはり、そんな官僚の感覚で答弁されては困ると思います。だから、現場では負担の軽減になっていないと言われた、大臣が言う問題も起きました。

 私は、現場の資料をきょう持ってまいりました。三枚つづりです。タイプ2の訓練が行われていないから目に見える負担の軽減になっていないということだったですので、去年、ことしの訓練がどうであったかというのを持ってきました。これは、嘉手納の基地渉外課が今年度の移転訓練期間中の嘉手納の騒音発生状況をまとめたものです。

 これを見ると、平成十八年度、二〇〇六年度、その年は平均騒音発生回数は百九回なんですよ。訓練移転が始まったらどうなったか。軒並みそれを上回る騒音発生回数なんですね。直近の十二月、千歳基地での訓練移転が行われましたけれども、千歳基地で訓練が行われていた十二月八日、嘉手納では百六十三回。十二月九日、百五十一回。十二月十日、百三十七回。十二月十一日、百七十二回。十二月十二日、百五十八回。つまり、訓練移転を行っていない年の平均百九回を、訓練移転が始まったらそれを上回っているんですね。三沢基地の場合でも、休日の日だけ下がっているんですが、あとは全部上回っているわけです。

 二枚目は、先ほど大臣も触れました戦闘機の大量飛来であります。平成十六年、十七年、十八年、十九年、そして二十年と、本当に外来機がこれでもかこれでもかというぐあいにして嘉手納基地にやってきまして、ことしはもう一月の十日から、F22Aステルス戦闘機、これが十二機、約三カ月移駐してくる。

 だから、嘉手納の方ではきのう町議会が決議を上げまして、F22の即時撤去などを求める抗議決議を全会一致で可決したわけです。

 その上に、嘉手納にはPAC3も配備したわけですよ。これでもかこれでもかと。ですから、訓練移転した分減ったというのは、防衛省のデスクワークの中で出てくる数字であって、住民が実感できる話じゃないんですよ。

 これに加えて、米軍だけではないです、自衛隊も沖縄での態勢を強化しようとしておりますが、防衛大臣、どういう内容でしょうか。自衛隊の強化について説明していただけますか。

井上政府参考人 お答えを申し上げたいと存じます。

 米軍の再編の関係でございますけれども、沖縄におきまして、自衛隊との関係におきましては、キャンプ・ハンセンにおきまして自衛隊の活動の共同使用ということを行っているところでございまして、平成二十年三月から、キャンプ・ハンセンの施設におきまして陸上自衛隊が訓練の実施を行っているところでございます。

 また、嘉手納飛行場の航空自衛隊による共同使用につきましてもロードマップで定まっているわけでございますけれども、これにつきましては、嘉手納飛行場から本土への訓練の移転による負担の軽減の効果が損なわれないことを基本といたしまして同飛行場の共同使用開始をすることといたしておりまして、その趣旨を踏まえて、共同使用の内容等につきまして日米間で協議を進めていく考えでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 外来機が嘉手納基地にやってきて、既に効果が損なわれて大変だというのは防衛大臣がおっしゃっているのに、効果が損なわれることのないよう自衛隊も嘉手納基地で共同訓練をやりますなんて言ったら、これはむちゃくちゃじゃないですか、外来機に加えて。

 自衛隊は全体として強化されるわけですよ。ことし一月から、F4戦闘機と入れかえて、那覇基地にF15戦闘機二十機が配備されました。来年度は、与座分屯基地にミサイル防衛のレーダーが配備されようとしています。陸上自衛隊でも第一混成団の旅団化改編が予定され、千八百人が二千百人、三百人増員になります。それで、先ほど局長の答弁したキャンプ・ハンセンで陸上自衛隊による訓練が開始されました。この実態というのは、およそ沖縄の負担の軽減は考えていると言えるような実態じゃないですよ。もうとにかく、外来機も押し寄せる、それから自衛隊機も押し寄せる、自衛隊も強化する。

 外務大臣に先ほどの答弁とのかかわりで伺いますが、米軍再編の着実な実施といいますけれども、ロードマップに基づいて訓練移転をしてきた、これは全く負担の軽減になっていない、現状は。負担は増大しているんじゃないかと私は考えますが、外務大臣はこういう現状をどのように考えていますか。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

中曽根国務大臣 まず、現下の安全保障の環境のもとにおきまして、沖縄にあります米軍は非常に抑止力の維持において大変重要な役割を担っている、これはもう委員も御承知のことでございます。この抑止力を維持しながら、可能な限り地元の負担を軽減するため今後も努力をしていくということで、先ほども申し上げました。

 この点に関しましては、私も沖縄を訪問いたしました際にジルマー在沖縄四軍調整官に対しまして、例えばいろいろ事件とか事故があります、ヘリコプターの事故とか、いろいろありますけれども、そういうものの再発防止等についても強く要請をしたわけでありまして、今般の米軍再編というものは、先ほどからお話ありますように、普天間飛行場の移転また返還、そしてさらに嘉手納以南の施設、土地の返還、そういうものも含めまして、これは負担が軽減をされるもの、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 外務大臣、米軍の四軍調整官に事件、事故の再発防止を申し入れたのは、これは米軍再編ロードマップの負担軽減に定められた方向とは別の話なんですよ。

 だから、事件は頻発する、事故は頻発する、ロードマップで負担の軽減というのが実感できない。しかし、皆さんがこれは絶対に負担の軽減になりますと言って嘉手納から米軍の戦闘機の訓練移転をしたけれども、騒音発生回数は嘉手納でふえている。しかも、外来機は皆さんが許可しているんですよ、外務省が。来るのを拒まないと言っているんですよ、安保条約の目的達成のためにはと言って。それで、その結果、騒音発生回数がふえているわけですよ。

 嘉手納町長は、米軍再編が行われたときに、ロードマップのときに、もう三年も前ですよ、米軍再編が少しでも騒音軽減につながるのであれば、負担の軽減につながるのであれば、それは歓迎だとおっしゃったんですよ。ところが、三年たって、今、嘉手納町長は何とおっしゃっているか。日本政府は負担軽減を主張してきたが、実態は負担増であることは明らか、町民が最も望んでいる騒音負担は実現していない、これは町長がおっしゃっているんですよ。

 つまり、米軍再編ロードマップの中で訓練移転は負担軽減になると言ってきた、なると言ってきたものが、現に今それはなっていない、負担増になっている、そういうことを外務大臣はお認めになりますか。

中曽根国務大臣 航空機の騒音の話が今行われているわけでありますが、米軍の航空機によります騒音の問題など、また、この飛行場周辺住民の負担につきましては、私たちは、もう当然のことながら十分に認識をいたしております。そして、米側に対しましては、周辺住民への騒音の影響が最小限になるようにということで、再三これは働きかけを行っているわけでございます。

 先ほどからありますロードマップでございますけれども、これの着実な実施に向けて今鋭意協議を行っておりますけれども、私たちとしては、沖縄の皆さんの声に耳を傾けながら今後もこれを実施していきたい、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 ロードマップ、米軍再編は日米両政府が合意したことですよ。訓練移転は負担軽減になりますというのも日米両政府が合意したんですよ。合意したことが守られていないのに、その守られていない、負担増になっているということを何で米国に言わないんですか。クリントン長官が来たときにそういう発言もされたらどうですか。いかがですか。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、クリントン長官との間ではいろいろな問題が話し合われます。米軍再編、そして日米安全保障の強化等についても話し合われますが、そういう中で、沖縄の負担の軽減についても、私としては我が方の実情というものはお話をしたいと思っております。

赤嶺委員 それでは、浜田大臣に最後に聞きますが、嘉手納からのF15の訓練移転によって、騒音の負担の軽減はまだ実現していない、負担は増大している、そのことはお認めになりますね。

浜田国務大臣 先生御指摘のとおり、私ども、今、その訓練の回数等を見れば当然のごとく、その負担が目に見えて、住民の方々に対してそれが減っているというふうには思われていないという実態が数字として出ているわけですから、我々とすれば、その点はしっかりとまた米側に対して申し入れをしつつ、負担軽減になるように、住民の皆さん方が実感できるような形をとれるように頑張ってまいりたいというふうに思っております。

赤嶺委員 目に見えて悪くなっているんですよ。負担は増大しているんですよ。

 だから、私、このF15の問題を考えるときに、皆さんは、沖縄の負担軽減になるからと言って、本土の各自衛隊基地に訓練移転を持っていき、関係市町村に押しつけたわけですね、住民に。それで、押しつけて反対をしたら、沖縄の負担軽減のためだ、受け入れてくれ、沖縄だけに負担を押しつけるわけにはいかないだろうとまで言って訓練移転を押しつけた。その沖縄では負担は増大している。沖縄の負担軽減を望んでいる本土の人たちの気持ちを逆手にとって、沖縄でも本土でも基地の強化を進めたということになるというのを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、グアムの問題に移ります。

 海兵隊のグアム移転の問題ですが、クリントン国務長官の訪日の際に協定を締結するという報道もあります。協定の締結、その議論もなさるわけですか。

中曽根国務大臣 政府は、来年度予算案に沖縄の海兵隊のグアム移転等に関する予算を計上いたしまして、これは二十八億円を頭とするものでございますが、協定は、二〇〇六年のロードマップに基づいて、在沖縄海兵隊のグアム移転を実現するために必要なものでございます。

 そして、今お話ありました国際約束でありますが、現在、これの署名及び国会提出の時期等を含めて、詳細については調整中でございます。

赤嶺委員 もう既に予算も計上されているわけですね。これまで国際約束、そういう協定の準備も進めている。

 これまで、米軍再編の負担総額は三兆円と言われてきましたが、日本政府はその中身を一切明らかにしてこなかったわけですね。もう日米間で協定を締結する、国際約束を結ぶ、こういう段階に至ったわけですが、日本の負担額は全体で幾らになるんですか。その全容を明らかにしてくれますか。

長岡政府参考人 お尋ねの米軍再編に伴います日本側の負担の総額についてでございますけれども、再編の内容それからその詳細な計画等について、日米間で検討を進めているところでございます。ということで、米軍再編に伴う日本側の経費負担につきましては、その全体額をまだ申し上げられる段階ではございません。

 今後、検討を進めまして、所要の経費を精査してまいりたいと思っているところでございます。

赤嶺委員 詳細な内容がまだ決まっていないからといって、皆さん、国際約束だといって協定を結ぶじゃないですか。その中には、グアムに出すお金、その上限がおおよそ決まってはいても、それ以外に、ロードマップに書かれていない費用負担は全部日本政府のものになると書かれていますね。それを承知でアメリカの政府高官も、それから守屋前事務次官も三兆円という話が出てきたわけですよ。

 ですから、もう既に、そうであれば、どこにどれだけの米軍再編のお金が必要なのか明らかにすべきじゃないですか。明らかにしないで国際約束を結ぶというんですか。

長岡政府参考人 具体的に申し上げますと、例えば嘉手納飛行場以南の土地の返還、それからFCLPの施設、返還される普天間飛行場の機能代替に係る航空自衛隊の新田原それから築城基地の緊急時の使用のための施設整備、そういった内容につきまして、引き続き日米間で検討中でございます。また、普天間飛行場の移設、岩国飛行場への空母艦載機の移駐といったようなことにつきましても、具体的な施設の仕様、配置といった詳細な内容については、日米間あるいは地元との間で調整をさせていただいております。

 そのほか、再編関連措置の実施に伴いまして負担が増大する地元に対する地域振興策の具体的な内容、こういったものは、今後、再編関連措置の進捗を踏まえて、地元の御意見も聞きながら、関係省庁との間で調整することになります。

 そういった意味で、今後、引き続き所要の経費を精査してまいりたいということをお答え申し上げました。

赤嶺委員 一方では、日米両政府の責任ある立場の人たちが米軍再編の日本側の負担は三兆円になると言いながら、三年たっても明らかにせずに、そして国際約束のための協定は結ぼうとしている。協定を結んだら、国際約束だからといって、毎年毎年、上限が幾らになるかわからないような米軍再編の予算の積み上げをやっていく、こういう仕組みになっていくわけですね。非常に重大だと思います。

 それで、私は、二十八億円のグアムの予算が計上されているということですから、その中身について聞きたいと思います。

 防衛省は、これまでグアムの基地建設に向けた調査を行ってきております。来年度には建設予定地の基盤整備に着手しようということになっています。具体的には、グアムの三地区、米海軍の通信施設があったフィネガヤン地区、それからアンダーセン空軍基地北部地区、米海軍の港湾施設があるアプラ地区、ここで基盤整備の事業に着手しようとしていますけれども、それに間違いありませんか。

中曽根国務大臣 先ほど私、グアム移転の予算の額について二十八億円と申し上げましたが、二十八億ドルの間違いで、訂正させていただきたいと思います。

 それから、国際約束というのは、これはグアム移転に関する国際約束でありまして、内容は、先ほどから申し上げておりますように、調整中ということでございます。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 グアムの関連で平成二十一年度予算案に計上しております真水事業の具体的内容でございますけれども、工事費として、先ほど先生御指摘になりました三つの地区につきまして、約三百三十一億円を計上しているところでございます。

赤嶺委員 真水、三百三十一億円使い始めるわけですね。

 それで、海兵隊司令部八千人、その家族九千人、沖縄の海兵隊をグアムに移転する、そのための隊舎や家族住宅、司令部庁舎などを建設するというのがこれまでの政府の説明でありました。ところが、基盤整備にはアンダーセン空軍基地も入っているわけですね。これはなぜですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 グアムの移転事業につきまして日本政府が負担を行うというのは、沖縄の負担を一刻も早く軽減してスムーズな普天間基地の移設というのを実現するためでございまして、国会でも御議論がございましたけれども、そういう総合的な判断から日本国政府として支出をする、そういうことで決まっているものでございます。そして、その二十八億ドルを上限といたしまして、精査をしながら見積もっていくということでございます。

 今回、日米間でいろいろ議論をしてまいりましたけれども、こういった施設をやる場合に、どうしても基盤整備の事業が必要になります。グアムの事業におきましては、海兵隊の移転に伴いますものだけでなくて、さまざまな事業があるわけでございまして、その中で、日米間の合意に従いまして、最も効率的で、かつ移転がスムーズに進むような負担のあり方というところで日米間で議論をしているものでございます。

 今回、御指摘になりましたアンダーセン空軍基地におきましては、海兵隊の機能発揮ということをやります場合には、それと一体となって運用されます航空運用部隊の所要増大に対しまして施設整備が必要だということでございます。

 こういった運用面での施設整備というのは米軍が責任を持って行うわけでございますけれども、全体的な基盤整備というのはできるだけ早く、集中的に、かつ効率的に行うということでございますので、そういったものの中で、日本政府のお金の使い方としてどういった方法が最もいいかということをいろいろ精査いたしました結果、この地区につきまして、日本政府として基盤整備事業を行うことが適切ではないか、そういう判断に至ったものでございます。

赤嶺委員 当初、沖縄海兵隊のグアム移転のための予算は、グアム移転を急がすためだ、負担の軽減になるからだといって、隊舎や家族住宅、司令部庁舎、これは戦闘施設の予算ではありません、こう説明していた。ところが、進んできたら、アンダーセン空軍基地は海兵隊のいわば戦闘機の運用施設、ここの基盤整備にも日本政府がお金を出す、こういうことになっているわけですね。

 米軍も、アンダーセン空軍基地というのは、グアムで恒久的または一時的に駐留する回転翼か固定翼航空機を支援するため、運用施設、整備施設、管理施設を必要とするなど、航空運用のための候補地はアンダーセン空軍基地北部地区であると。

 まさに、海兵隊の航空運用のための基地であるアンダーセン空軍基地北部地区の基盤整備に日本がお金を出す、真水を出す、そういうことになっているわけですね。こういうのはロードマップに書いてありましたか。皆さんがグアムの上限を決めるときに書いてありましたか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 ロードマップにおきましては、海兵隊の早期移転を実現するための経費として、二十八億ドルを限度として日本政府が支出をするということでございます。

 そして、その具体的な内容につきましては、まさに米側のグアムの全体の計画、あるいは私どもの方から見ての精査というようなこと、いろいろなスケジュール等を勘案しながら、要は、海兵隊の移転がどうしたら最も効率的に進むかと。それで、二十八億ドルの範囲の中できちっとした支出になっているかどうかということを日本政府として精査しながら、二十一年度予算に最小限のものを、必要なものを計上したということでございます。

赤嶺委員 同じように、アプラ港の基盤整備も行われるわけです。アプラ港というのは高速輸送艇や強襲揚陸艦が着岸する場所で、ここで基盤整備をやろうと。これは、海兵隊がグアム、沖縄の間でローテーションで配備され、訓練するための港湾整備なわけですね。

 今までの説明と違うと思いますよ。今までの説明は、沖縄の海兵隊がグアムに移転する、そのために、隊舎や家族住宅、司令部庁舎などを真水で負担する。ところが、もう今では海軍のアプラ港まで、この強化のために予算を出す。これまでの説明と違うんじゃないですか、いかがですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 アプラ港における基盤整備事業の内容でございますけれども、この地区には海兵隊の港湾運用部隊が使用する司令部庁舎が建設される予定でございまして、その意味で、まさに、ロードマップのときからいろいろ議論しております司令部庁舎、私どもが負担するということになっている部分に該当するものでございます。

 それから、もう一つといたしまして、確かにアプラ港というのは船の施設でございますけれども、海兵隊と一体運用になります強襲揚陸艦等が停泊する予定の施設もございまして、そういった実態を考えまして、この二十八億ドルという限度が決まっているわけでございますので、その中で、これまでの考え方に従った精査をして計上しているということでございます。

赤嶺委員 そのアプラ港やアンダーセンというのは、沖縄から移る海兵隊が使う基地なんですか、いかがですか。それ以外の海兵隊は使わないんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもがロードマップに従って努力をしておりますのは、沖縄にあります第三海兵師団、その所要の部隊が、八千人、九千人と言われておりますけれども、それがスムーズに行くためにどうしたら一番効率的で効果的なことができるかということでやっておりますので、まさにそういった観点で、私どもとしては日米間で協議をしている。

 その結果どうするかということと、私どもがもともと海兵隊の移設を実現するためにやっている作業というのは、そういう目的に従ってやっているものだということで御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 アンダーセンでいえば、岩国の海兵航空隊ですよ。アプラ港だって、沖縄の海兵隊に限らないわけですよ。

 だから、あなた方は、沖縄の海兵隊が早く移るために、早く移るためにといって、最初にロードマップで約束していたようなこととは違うようなことをやり始めている。何をやり始めているか。グアムにおける海兵隊の、今、米側が総合的に進めようとしている基地の機能強化ですよ。だから、改めて、グアムを、ハワイ、沖縄と並ぶ新たなハブ基地として増強しようというアメリカ政府の計画の一環を日本政府が担おうとしているわけですね。

 沖縄の負担軽減というのは、嘉手納と同じように、私はグアムでも口実にしているとしか思えません。外国軍隊の基地を海外で強化するために日本国民の税金を投入することは、まず許されないことですよね。かつてなかったことですよ。国民経済が冷え切っている中で、雇用も崩壊している中で、こんな基地強化のために国民の血税を投入するということは絶対に認められない。

 最初は、いやいや、隊舎や司令部庁舎や学校などに使いますと言いながら、だんだんだんだん、グアムにおける海兵隊の拠点基地をつくるためだから、これはいいことだからといって、どんどんお金を出している。基地の運用にまでお金を出している。許されないと思います。

 それで、ちょっともう時間がなくなってきておりまして、辺野古の問題もやりたかったんですが。

 辺野古の問題で一言指摘しておきたいのは、護岸建設の工事費が入っています。しかし、環境アセスの今最中です。しかも、環境アセスに対する知事の意見書は、一年の環境調査では足りない、複数年やってくれと、知事はそのように意見書を出しております。環境アセス法に基づいてです。

 しかも、あなた方が護岸工事を始めようとしても埋め立ての許可権限は知事が持っているわけですから、知事との摩擦が大きい中で護岸の工事をやるということは、あなた方が県民の意思を頭越しに押さえつけて工事を強行する、こういう意思のあらわれであり、これからこの問題をどのようにしていくつもりなのか、ちょっと防衛大臣、答えていただけますか。

浜田国務大臣 それは、先生いつも我々に対していろいろな御指摘をいただいているわけでありますが、地元との協議、話し合いも含めて地元の意見を聞きながら、今後とも知事とも密接な関係を図りながら、意見を交換しながらやっていこうと思っておりますので、その辺のところは、今後の経緯に任せて、私どもとしてはしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 これは「海上ヘリポート案について」という十数年前に防衛省が出したパンフレットなんですよ。この中に、当時は海上ヘリポート案でした、海上ヘリポートは住宅地から離れている沖合につくるんだ、だから安全なんだということをこのパンフレットの中に書いているんですね。遠く陸から離れた沖合につくるからと。

 それで、このパンフレットは最近のパンフレットなんですが、これは、陸地につくるから安全性は十分配慮されているんだと。

 海につくるから安全だと言い、陸につくるから安全だと言い、環境に配慮していると言い、皆さんがやっていることは矛盾に満ちたものなんですよ。沖縄県では基地のたらい回しは不可能である、これは断念すべきであるということを申し上げて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂委員 原口委員に続きまして、社民党の保坂展人、きょうは、かんぽの宿の問題を聞いていきたいと思います。

 まず、会計検査院が日本郵政を検査対象にしているということが明らかになりましたが、その場合、例えば会計法とか予算決算及び会計令などではないと思うんですが、検査のもととなる法規、これは何に基づいて検査をするんでしょうか。

西村検査官 検査院が検査をする場合は、検査院法に基づきまして、検査院法の二十条に検査の観点というのを決めておりまして、一般的に会社、郵政株式会社等もそうでございますけれども、その業務の運営につきまして、合規制とか経済性、効率性、有効性等、そういうような観点から、法令等に従ってきちんとやっているかという面で検査をしております。

保坂委員 総務省に日本郵政も規定を届け出ていらっしゃるということだと思います。それを照らし合わせながら、検査院も必要とあれば検査をするということだと思います。

 財務大臣にちょっと一言だけ伺いますが、国の発注する調達及び例えば国有地の売却などで、競争入札といえば、この場合、一般競争入札だと理解していいのかどうか。

中川国務大臣 国有財産の処分につきましては、原則として一般競争入札で行うことということでございます。

保坂委員 それでは、日本郵政の西川社長に再び来ていただいていますが、私は、この二週間、かんぽの宿の一括譲渡問題の入札経過、ちょっとパネルにしましたが、この入札経過についてずっと日本郵政から聞いてまいりました。

 聞いていくうちにだんだんわからなくなったのは、これは一般競争入札だと思い込んで話を聞いていたわけですね。あるときに、入札日はいつですか、入札日時はいつだったっけと言ったら、いや、入札日はないんですと。入札日がないんですか、そんな一般競争入札というのはあるのかなということで、何回もヒアリングしたところ、一月二十八日の日本郵政からのプリントには、私はこう聞いているんです、公開競争入札ではないと思うけれども、それで正しいかと聞くと、日本郵政は、公開競争入札の同類のものと考えている、公開競争入札と同類のものと。

 それから二月三日には、やはりプリントで、「今回の入札の形態について」というのを出してもらっているんですね。これは、単純な競争入札はなじまないと判断し、今回の手続を選択したとあります。

 また、私の目の前で、伊藤和博部長、この取り扱いの責任者だと思います、保坂議員、これは一般競争入札ではないんですよとついにおっしゃったんですね。民間でいえば企画提案コンペというような感じでしょうかねというお話なんですね。

 これは何回も時間を使ってヒアリングを続けていますので、西川社長、間違いないですね。

西川参考人 お答えをいたします。

 今回の入札につきましては、ホームページによりましてまず広く公募を行いまして、譲渡価格を含む企画提案というものを募りました上で、会社として、雇用の確保等を含めまして、最も有利な条件を提示された相手方を選定したものでございます。

 また、ホームページにおける告知には、一般ではございませんが、競争入札と明記の上、公募を開始いたしておりました。

 そういう意味においては、私どもとしては、競争入札……(保坂委員「そうじゃなくて、一般競争入札でないというのは本当ですかと聞いているんです」と呼ぶ)一般競争入札というものではないと思います。

保坂委員 今、重要な証言が出たんですね、一般競争入札でないと。

 ここに新聞のファイルがありますが、昨年の三月二十八日に、建設通信新聞、ここにはこう書いてありますよ。日本郵政は二十六日に、かんぽの宿などの七十一カ所を一括で事業譲渡する方針を固め、四月初めに一般競争入札で公告し、十月にも譲渡契約を結ぶ、こういうふうに業界紙には出ているんですね。ですから、私が勘違いするのも無理がないと思いますが、一般競争入札ではないというお答えを得ました。

 これを見ていくと、さらに不思議なことがあるんですが、これは四月一日から十五日までホームページで告知をしている。そして、この入札に参加をしたい希望を持つ会社が、百二十数社ですか、来られたということです。それで、募集要項を受け取った。どんどん辞退していくんですね。まず、五社は入り口で、予備審査ではねた。そして、十五社はその後に辞退をしていく。そして、八月十五日に第一次提案は七社。そして、さらに三社に絞られたものの一社がもういいよと。そして最後には、十月三十一日に二社になりますね。

 日本郵政とのヒアリングでは、これは最終入札と言っているんですよ、十月三十一日が。西川社長、どうですか、最終的に十月三十一日が最後ですと今伊藤さんから聞いていると思いますが。

 社長、この最終入札の後に、驚いたことに世田谷レクセンターは外しちゃったんです。私は、日本郵政からもらったプリントを見ていて、一番最後に世田谷レクセンターとあった。ああ、二十年ぐらい前によく泳ぎに行った場所だな、懐かしいなと、だけれども、これはなかったよなとすぐ気づいたんですね。それで聞いた。そうしたら、外しましたと。これは、外したのはいつですか。確認したいと思います。

西川参考人 お答えをいたします。

 世田谷レクセンターを外しましたのは、十一月の下旬でございます。(保坂委員「下旬、理由は」と呼ぶ)

 このかんぽの宿は全国に展開するものでございまして、そのネットワーク性というところに一つの大きな事業価値がございますが、世田谷レクセンターは屋内外のスポーツ設備を中心とする施設でございまして、ネットワーク性との関連性も低いということから、この物件が適正な評価が得られないと判断いたしまして、譲渡の対象外としたものでございます。

保坂委員 きのう我々行ってきましたよ。テニスコートが二十一面あるんですね。二子玉川と成城の間なんですよ。世田谷区で七千五百坪ですよ、七千五百坪。こんな広い土地はもう余りないですよ。しかも、真ん中に体育館とかエアロビのスタジオとかがあるだけなんですね。だから、いわゆる開発をしようと思えばかなりしやすいところで、かなりの目玉物件だったんじゃないですか、ラフレと並んで。社宅とラフレとこの世田谷レクセンター。

 今、西川社長は変なその理由を言いましたけれども、そもそも、月一千万もかけて、メリルリンチが一括譲渡だと。そのスキームの中に入れたんでしょう、この物件を。入札だったら、用意ドンで走り出す、そのリストから、一次、二次が終わって最後に二社になって、では、これはよけましょうかと。こんなの入札と言えますか。どうなんですか、これ。こんなの全くの密室の商談じゃないですか。

衛藤委員長 先に日本郵政株式会社社長西川善文君。次に、総務大臣お願いします。

西川参考人 お答えいたします。

 譲渡対象物件に変動があり得るということにつきましては、応募者の皆様にお渡しいたしました入札要綱にもその旨を記載しておりまして、応募者の皆様からは御理解をいただいておると考えております。

鳩山国務大臣 私が西川社長にとりあえずお会いをして報告を聞こうと、これが一月十四日であったと思いますが、西川社長が私に渡された紙には、五月十五日、入札参加表明応募締め切り、こう書いてあるわけでございます。ああ、なるほど、入札なのかと。

 当時、日本経済新聞、この間、週刊誌を読んでおりましたら、日本経済新聞は別名は日本竹中新聞と言うんだと書いてある週刊誌がありました。これは週刊誌がそう書いているだけの話で。日本経済新聞あるいは産経新聞あるいは毎日新聞だったか、押しなべて私の横やりを厳しく批判する内容であって、要するに、経済行為として入札として正しいものをやって決めたものに後から横やりを入れる、そういう鳩山総務大臣のやり方に逆に文句を言いたいという社説がずらっと並んだわけですね。

 私は、だから、今のやりとりで、いや、一般競争入札とは言えない、少なくとも価格だけで競争入札をやったわけではない、提案のコンペみたいなものだと言うんだったら、私自身、新聞の社説であれだけ批判されたのが非常に悔しいという思いがしてまいりますし、当然私も、さまざまな風評もあるかもしれない、しかし、こういう問題を取り上げれば、ありとあらゆるところからいろいろな情報が入ってくる。一方的に、メリルリンチが来て、あなたのところはもうだめよと言われたとか、四百億とか五百億と言っても全然相手にされなかったとか、いろいろな話が入ってくるから、私はまことに不透明と考えて、いわゆる報告徴求という法律上の手続を今とっているところでございます。

保坂委員 去年は鳩山大臣と大分異なる意見で議論しましたが、今回、横やりじゃなくて、まさに正面から急所をついたんだと思います。

 こんな国民の、しかも、おじいちゃん、おばあちゃんがずっと積み立ててきた簡易保険で、これは無借金なんですね。全部簡易保険の余剰金でつくられたものが、しかも、世田谷レクセンターなんかは多分五十億前後ですよ、七千五百坪というまとまった単位ですからね。そういうものを最終段階になって、五十億というふうに仮定をすれば、例えば百六十億が、ちょっと不動産の状況が悪いから、春と秋と違いますね、不動産の状況が悪いからちょっと外そうやというような裁量がまかり通るんだとすれば、西川社長は何をやっているんだろう、こういうふうに論難せざるを得ないですよ。

 西川社長にこれから聞いていきたいんですが、お配りをした資料の中に、先ほど検査院にも聞きましたけれども、総務省に日本郵政が届け出た日本郵政株式会社契約手続の抜粋、きのうこれは日本郵政から持ってきてもらいました。西川社長の手元にもありますね。

 つまり、ここにあるのは、要するに、契約を一般競争か指名競争か随意契約、このいずれかでよろしいですか、選びなさいと書いてある、選ぶんだと。これは規定なんですね。今回の契約はどれですか。はっきり明示してください。

西川参考人 お答えいたします。

 本件は、事業の譲渡ということでございますので、単純に不動産を譲渡するために入札をしておるというものではございません。

保坂委員 事業の譲渡でも、契約書を締結したのは間違いないんでしょう。契約を締結するには、こうやって、一般競争、指名競争、随意契約、いずれかでやりましょうと書いてあるじゃないですか。そして、一般競争入札ではないのはもう歴然としたわけです。そうなれば、では指名競争入札ですか、違うでしょう。そうであれば何ですか、随意契約ですか。随意契約だったら、これはどういう理由ですか。事業経営上の特別の理由に基づき契約すること、(五)ですか。どうなんですか。

 これは自分の会社で総務省に届けているんですよ。この中で当てはまるものがない、事業譲渡はないんですか、例外なんですか。早く言ってくださいよ。

西川参考人 お答えします。

 この事業価値を入札していただく、純資産をですね。この点については競争でございますが、雇用の確保、事業戦略等については、これは企画提案をあわせ審査をしておる、その混合ということでございます。

保坂委員 とても納得ができないですね。

 先ほど西川社長は、このメリルリンチの応募要項、鳩山大臣が先ほど読み上げて、これは入札なんだろうかと言ったものですよ。つまり、こうやって世田谷レクセンターを外した根拠は、日本郵政がその入札の公告、公示をホームページでします。そして、メリルリンチにとりに来るわけですね。これをとりに来るわけです。百二十余りが行き渡った。

 この中に、日本郵政は、いつでもどこでも、理由を示すことなく、契約を変更、撤回できますよ、それについて異議申し立て、損害賠償請求権はありませんよと。しかも、びっくりするのは、本書面を受領されることにより、第一次入札参加権者は上記の条件及び制限に拘束されることに同意をしたものとみなされることにしますと。つまり、この応募要項を手にしてしまったら、もうここで最後、ここに縛られちゃうという、ウイルス型というか大変な応募要項ですよ。

 ですから、これでわかったはずだというのは通りますか。これで、例えば二十七社が参加表明したわけですよね。そのうち五社を外して二十二社、そのうち最後の二社のところで世田谷レクセンターを外したんでしょう。

 では、二つ聞きます。

 その二社を除く二十社には、世田谷レクセンターを外しましたが御報告しますというお知らせをしているんですか。それからもう一点、十一月下旬に外したという日付はいつですか。

西川参考人 お答えいたします。

 最後に残りましたのは三社でございまして、そのうち一社が辞退をされて二社が残った、こういう経過でございますが、レクセンターを外すと申し上げたのは、その三社に対して申し上げたということです。最後の入札でございますね。(保坂委員「その前は言っていないの」と呼ぶ)申しておりません。(保坂委員「日付は」と呼ぶ)十一月の中旬であったと思います。(保坂委員「さっき下旬と言ったんだよ。委員長、正確に答弁させてください」と呼ぶ)

衛藤委員長 保坂展人君、立って発言してください。

保坂委員 委員長、ちょっととめていただいて、正確に日付を確認してもらいたいんです。

西川参考人 十一月二十日でございます。

保坂委員 十一月二十日に急遽レクセンターを外して、しかも五十億前後の大きな物件、目玉物件です、これを外して、そして十九社には告知もしていない。そうすると、メリルリンチのこの応募要項で皆さんわかっているはずだと言っても、公平な競争、入札とは到底言えません。

 鳩山大臣にもう一回伺いますが、テレビ報道等で、入札の経過を一応日本郵政がまとめて大臣のところに持ってきたと。これは報道によればですが、オリックスが百九億円、ホテル運営会社が六十一億円で、オリックスが高かったとか、その他の経過の報告があった。今満足されていますか、その報告に。

鳩山国務大臣 疑念だらけでございます。

 つまり、保坂先生とは確かに死刑執行をめぐっては余り意見が合いませんでしたけれども、今回は、先生の御理解に非常に感謝いたしております。

 大体、二〇〇八年の四月一日、タイトルが「かんぽの宿等及びかんぽの宿等を運営する宿泊事業部門のスポンサー選定に関する競争入札のお知らせ」。もう競争入札、競争入札で全部染まっているわけですよ。これは、一般的に見れば、価格の競争入札だと思うわけですよ。

 ところが、メリルリンチというところが暗躍をして、先ほどのように対象物件も変わるかもしれないとか、譲渡をするのもやめるかもしれない、そのときに理由なんかこっちは言わないぞ、文句あるかという信じられないような文書が出ている。これは実に全く不透明でございます。

 ですから、私は、今、保坂議員がお示しをされた、二十七社がオリックス不動産に絞り込まれていく過程について、とりあえずの報告は聞きましたが、全くらちの明かないものでございますので、なぜ辞退したのか、理由があるはずですよ、それを全部明らかにするように報告徴求をいたしております。

保坂委員 西川社長、今鳩山大臣も言いましたが、いわゆる一般競争入札じゃないなと思ったのは、公告というのはホームページに出しているこれしかないわけですよ。でも、競争入札と書いてあるから、先ほどの業界紙などは一般競争入札でいわば手続を開始すると書いてあるわけです。各新聞の論説なども……。

 だって、それは常識でしょう。何百億円という値段がつくかんぽの宿を、七十カ所以上でしょう、これを事業譲渡するというときに、それは随意契約であっていいはずはないし、きちっとやっているんでしょう。やっているんだから一々文句をつけるのはおかしいよということで鳩山大臣批判になったんだと思いますけれども、最終的に、御自身の会社がつくった規定のどの類型にも当てはまらない、混合型とおっしゃいましたよ。そして、競争入札ではあり得ない、スタートラインで用意ドンで走り出した人には悪いけれども知らせない、三社にだけ知らせた。これは同じ日なのかどうかも答えていただきたいんですが、こういう、競争入札というふうに付して世の中を欺罔していませんか。

 これは、一千万円のアドバイザリー契約をしたメリルリンチの言うがままにやったんですか。これは、それこそ国民注視の共有財産ですよ、憩いの場だったわけですよ。それが売却をされる手続にいささかの瑕疵があってもいけないじゃないですか。今どう思っていますか。これでよかったんですか。これからも日本郵政はこんなことをやるんですか。

西川参考人 お答えをいたします。

 先ほども申しましたように、単純な不動産の売却ということであれば本当の意味での競争入札ということだけでよろしいかと思いますが、雇用の確保でありますとか、あるいは事業戦略でありますとか、こういったところをよく見ていかなきゃいけない。事業を継続していただかなければいけないというところがございますので、その点は、競争ではございますけれども、こちらの審査をしなければならない。単に価格だけで判断するわけにはいかないということでございます。

保坂委員 それなら企画提案コンペなり、ちゃんと正直に書けばいいんですよ。いつでもどこでも日本郵政は変えちゃうわけですから、大きな物件でもいつでもつけたり引いたりできるわけですから。そんな入札はないですよ。

 最後に一点、西川社長に聞きたいんですが、鳩山大臣も触れていましたけれども、最初の予備審査のところで、ある企業が、きのうもテレビのインタビュー等に出ておりましたが、大体四百億かな、四百億でも安いのかなといって、これはそのときには書式に書くような形式じゃなかったので、メリルリンチの方に口頭でこのぐらいかと、それでも安いかなと思いつつ言ったと。しかし、最初の五社は資格喪失しているわけですね。

 つまり、エントリーできなかった五社のうちにこの人たちのシンジケート、JVは入っているわけですね。これはどういう理由ですか。事実ですか。

西川参考人 お答えいたします。

 最初の段階におきまして、二十七社の応募をちょうだいしたわけですが、そのうち五社につきましては、我々の審査の結果、とても事業を継続していただけるという判断ができないということでございまして、その際には価格については一切こちらから提示を求めているものではございません。

保坂委員 本当に、これは国民の財産を少しでも高くいい状態で譲渡するという意識が日本郵政にあったのか、メリルリンチにあったのか、非常に疑わしい答弁だと思います。

 最後に、西川社長に確かめておきたいんですが、第二次締め切り、十月三十一日の段階で、報道によればそのホテル運営会社は六十一億ですか、オリックスは百九億だと。オリックスが高かったというのは本当ですか。間違いないですか。

西川参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘をいただきました点につきましては、事実そのとおりでございます。

鳩山国務大臣 何か入札という言葉は使いにくくなりましたが、その一回目の審査というのか二回目の審査というのか、先ほどの四百億、五百億のうわさもありますし、少なくとも一回目の入札もどきと二回目の入札もどきについての入れ札の原本を見せるように、私は報告徴求をいたしております。それを見せてくれなければ、これはもう立入調査しかありません。

保坂委員 時間が来ているので、最後に鳩山大臣、ぜひ、日本郵政が提出した関係書類を、国会、当予算委員会にも提出をいただきたい、これが一点。

 委員長には、これだけ重大な局面なので、予算審議の中でぜひ集中審議をお願いしたい。

 以上です。

鳩山国務大臣 私が個人的に総務大臣として二十三の質問をして文書で回答してもらった件につきましては、それほど遅くない時期に、質問と答えは、公開というか、皆さんに開示したいと思っております。

 報告徴求しておる質問項目は十四であろうかと思いますが、これは、答えを見まして、その内容を吟味して、もちろん、委員会等あれば、こういう問題点を感じたというようなことは申し上げますが、これも、いずれ時期が来ればきちんと開示できるものと思います。

衛藤委員長 保坂君の集中審議の申し出につきましては、後刻理事会で協議します。

保坂委員 それでは終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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