衆議院

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第11号 平成21年2月9日(月曜日)

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平成二十一年二月九日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 岩永 峯一君 理事 小島 敏男君

   理事 佐田玄一郎君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      井上 喜一君    伊藤 公介君

      石田 真敏君    猪口 邦子君

      上野賢一郎君    臼井日出男君

      小川 友一君    小野寺五典君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      岡部 英明君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      木挽  司君    佐藤ゆかり君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      関  芳弘君    園田 博之君

      中馬 弘毅君    土屋 正忠君

      仲村 正治君    永岡 桂子君

      根本  匠君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    深谷 隆司君

      藤田 幹雄君    三原 朝彦君

      吉田六左エ門君    渡辺 博道君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    仙谷 由人君

      筒井 信隆君    中川 正春君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    渡部 恒三君

      赤羽 一嘉君    池坊 保子君

      江田 康幸君    笠井  亮君

      佐々木憲昭君    阿部 知子君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       中川 昭一君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣         小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   財務副大臣        竹下  亘君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 舘  逸志君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    井上 裕行君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     猪口 邦子君

  大野 功統君     関  芳弘君

  杉浦 正健君     小川 友一君

  園田 博之君     藤田 幹雄君

  中馬 弘毅君     永岡 桂子君

  葉梨 康弘君     岡部 英明君

  三原 朝彦君     土屋 正忠君

  吉田六左エ門君    上野賢一郎君

  江田 康幸君     赤羽 一嘉君

  笠井  亮君     佐々木憲昭君

  阿部 知子君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     井上 喜一君

  上野賢一郎君     木挽  司君

  小川 友一君     佐藤ゆかり君

  岡部 英明君     葉梨 康弘君

  関  芳弘君     大野 功統君

  土屋 正忠君     三原 朝彦君

  永岡 桂子君     中馬 弘毅君

  藤田 幹雄君     園田 博之君

  赤羽 一嘉君     江田 康幸君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  日森 文尋君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     吉田六左エ門君

  佐藤ゆかり君     杉浦 正健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成二十一年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。

 公聴会は来る二月……(発言する者、離席する者あり)公聴会は来る二月十六日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

衛藤委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

衛藤委員長 次に、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官舘逸志君、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官井上裕行君、総務省統計局長川崎茂君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 本日は、景気・雇用についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。

佐田委員 甚だ野党の皆さん方の理不尽な態度に困惑をするところでありますけれども、先ほど理事会で委員長の方から裁定をしていただいたということもこれは事実でありますので、この辺は決して委員長の横暴ではないということを申し上げたいと思います。

 まず最初に、きょうは雇用と景気の問題でありますけれども、その前に一度、一つ総理にお聞きしたいのであります。

 先日、私も地元の郵便局長さん、特定局はありませんから郵便局長さん方と話をしておりまして、前から、ネットワークをきちっと守って、地方をしっかりと守っていくためには、やはりユニバーサルサービスと郵便局のネットワークは守っていかなくてはいけないし、私としては、今四事業でありますけれども、金融事業とそして郵便事業はやはり、前は兄弟でありましたけれども、ある程度のしっかりとした関連がなければ、これはやっていけないんじゃないか、二万四千五百の郵便局がやっていけないんじゃないか、非常に不安になっている。私も当然のことだと思っています。

 そういう中におきまして、先般、総理は、私は郵政民営化に反対であったというふうな発言があったというふうに聞いておりますけれども、私は、そういうことは、ちょっとニュアンスの問題だったと思いますけれども、総理は先般のその発言についてどうお思いでしょうか。お願いします。

麻生内閣総理大臣 これ、どかしてくれませんか。この前に立っている人、どいてくれませんかね。(発言する者あり)

衛藤委員長 総理、答弁をお願いします。

麻生内閣総理大臣 それでは、今、佐田議員の方から郵政民営化についての質問がありましたが、これはもう御存じのように、平成十七年、今から約四年ぐらい前になりますが、四年ぐらい前に議論をし尽くしたものでありまして、これに従って推進をしているということであろうと思っております。したがって、私は国営に戻すなんということは一回も言っておりませんので、少なくともあそこにはいろいろ見直し規定もありますので、何といっても、これは、佐田議員、一番大事なことは、民営化されて利便性が悪くなったというんじゃ話になりませんから、利便性をきちんとやる、利便性がむしろ向上するのが望ましい。

 それから、これは民営化しておりますので、民営化している以上、経営の効率化というのを考えるのは経営者としては当然ですから、したがって、三年の見直し規定がありますので、たしか、ことしの三月が民営化の、いわゆる見直しの三年目ということになっていると思いますので、今、検討委員会でいろいろ検討されておられる最中なんだと思っております。

 そういった進捗状況等々につきましては、私どもはお話を受ける立場にいるということだけであって、私どもとしては、改善すべきものは十分に改善をされてしかるべき、それは経営委員会としては当然で、どんどんやっていかれるということなんだと理解をいたしております。

佐田委員 私も総理の言われるとおりだと思いますし、利便性、そして地域が、今もう農協もすべて合併等、そして市町村の合併等もあるわけでありますから、その利便性も含めて、やはり郵便局のあり方、そして重要性というのはこれからまた増してくるんじゃないか、こういうふうに思っております。

 そういう中におきまして、総理がこういうことを発言することはまずない、私もこういうふうに思っておりました。また、そういうことに対する批判に対して右顧左べんすることなく、ぜひ、総理の一番大事であります景気回復、まず景気だということと、そして雇用を大事にしていく、こういうことに邁進していただきたいと心からお願いを申し上げる次第であります。

 それで、今の現状を申し上げますと、十二月に四・四%、過去と比較しても最大の悪化幅〇・五%となるほか、有効求人倍率も大幅な低下が続くなど、雇用情勢は急速に悪化しております。特に、世界的な需要不足の影響を受けまして、欧米向けの輸出に依存していた製造業を中心としまして多くの雇用が失われるという現状があるわけでありまして、大変憂慮すべきことが到来している、こういうふうに思っております。また、いわゆる内需関連である非製造業においても、建設業などで大きく利益が落ち込んでいる。

 こういうふうな危機的状況につきまして、まず最初に厚生労働大臣の御認識をお聞きしたい。

舛添国務大臣 まず、全体の雇用失業情勢でございますけれども、昨年十二月の完全失業率が四・四%、前月より〇・五ポイント悪化した。これはたしか、私の記憶が正しければ昭和四十二年以来のひどさだと思います。また、有効求人倍率も十一カ月連続で低下して、〇・七二倍と極めて厳しい。

 その中で、では、今製造業というようなことをおっしゃいましたが、産業別の雇用者数で見ますと、昨年十二月は、製造業で前年同月比十三万人の減少、七カ月連続の減少でございまして、次に、建設業におきましては十万人減少している、そして六カ月連続の減少となっております。

 さらに、倒産件数をちょっと御紹介いたしますと、昨年十二月の倒産件数は、十二月としては六年ぶりに全国で千三百件を上回る中で、製造業は二百二十件、これは前年同月比で五〇・六%の増加、建設業も三百七十五件で、やはり二〇・九%の増加となっております。

 急速の悪化というのは数字であらわれておりますので、全力を挙げて雇用対策を行いたいと思っております。

佐田委員 今まで外需に依存していたものを内需拡大に転換する、まさに構造改革を逆にしていかなくちゃいけない、こういう時期において非常に憂慮すべき問題であろう、かように思っています。

 また、総理にちょっとここは御確認したいんですけれども、先般、生活対策として、地域における安定的な雇用機会の創出、基金二千五百億、年長フリーター支援につきまして二百二十億、これで二十万人。そして、地域における一時的な雇用機会の創出、これが千五百億の基金でありまして、また、住宅確保に二百九十五億、派遣労働者の雇い入れ支援八十九億、これで二十七万人。そして、今回の本予算におけます地方交付税雇用創出特別枠で五千億、これが十万人ということで、二十一年度末までに五十七万人の雇用を期待しておる、そして、二十二年、二十三年を含めますと百六十一万人の雇用を期待している、これを御確認したいと思います。

麻生内閣総理大臣 今言われました数字というのは、基本的に、我々が過日、百六十一万人ということの数字を申し上げた背景として、この中で国、地方分といろいろ分かれておりますけれども、今言われました最初の前半の部分の四十七万人が国の実施する部分、そして、地方交付税によりまして約十万人、それが地方分と、分けて考えていただかないかぬところではあります。いずれにいたしましても、平成二十三年度末までに合計百六十万人以上の雇用を実現できるものと我々としては見込んでおるという数字の裏づけが、今言われた数字であります。

佐田委員 この件につきましては、また後で御確認をさせていただきますけれども、いわゆる百年に一度と言われる世界的な金融経済危機に直面している中で、今、テレビを見ておっても、派遣切りであるとか内定取り消しなど、正規、非正規を問わず、雇用に関する問題が、先ほど厚生労働大臣の方からもありましたように、本当に深刻化しております。

 そういう雇用の創出、これは喫緊の課題になっておるわけでありまして、雇用創出という観点から、私は、一番大事なのは公共事業、前にもこのお話がありましたけれども、公共事業の果たす役割というのは非常に大きいのではないか、こういうふうに思っております。

 先月、大統領に就任したオバマ氏は、政権前半の二年間で二百五十万人の雇用を生み出すためのプラン作成を指示しておったところでありまして、その大部分を占めるのが公共事業である。そして、これはいわゆるグリーン・ニューディールというんですけれども、これを見てみますと、投資が五千五百億ドル、減税が二千七百五十億ドル、全部で八千二百五十億ドルでありますけれども、日本円にすると七十五兆円。そしてまた、なおかつ、きのうの新聞でありましたけれども、上院で十日にこれを採決していく、こういうお話になっております。

 この中身を見てみますと、中身は、高速道路の建設、または政府等の公的インフラの近代化、清潔な水確保、洪水管理、環境回復への投資、交通渋滞やガソリン消費を減少させるための輸送対策と、非常に公共事業が多いわけでありまして、こういうことを考えたときに、要するに、この担当でもあります国土交通大臣はどういう御見識をお持ちか、お尋ねを申し上げます。

金子国務大臣 委員御指摘のとおり、公共事業も雇用を確保する一つの大きな分野であると思っております。一方で、住宅というのも内需を拡大していくすそ野の広い分野でありますので、ともどもに伸ばしていく分野であると思っております。

 公共事業については、また特に、当面、雇用ということと同時に、アメリカもそうでありますけれども、我が国が将来的に国際競争力をつけていくということを念頭に置きながら対象を考えていくということも大事であると思っております。

佐田委員 こういう大事な時期に内需拡大を図っていく、今までの外需依存から内需拡大に移っていくという大事な時期ではありますけれども、皆さん方御案内のとおり、先ほど建設業の話も出ましたけれども、内需の方の仕事が非常に少なくなっておりまして、皆さん方も地方に帰れば、疲弊していることは事実だと思います。

 農家の方々が昔、農業収入プラス、例えば製造業の工場に農閑期は行ってみたり、また、建設事業に携わってみたり、そういう中で豊かな生活があったにもかかわらず、大変な状況になっているということは事実であります。私のところの県でも、中小零細企業は大変苦しんでいる、こういうことであります。

 公共事業が半分になってしまった。実際問題として、平成七年からは五三%減でありますから。そしてまた、建設の就労者数というのはピークから一九%しか減っていないということ。つまり、所得が相当に減って、会社の経営も困難になってきている、こういうことであります。ただ、その中において、建設業の波及効果というものは非常に大きいものですから、ぜひともそれは国土交通大臣にも御理解をいただき、今後とも力を入れて、要するに地方に仕事が出るように頑張っていただきたい、かように思っております。

 仕事が少なくなってきた、そういう中において、今度私、実は、景気・雇用創出ニューディール推進プロジェクトチーム、これを自民党の政調で立ち上げました。この後は、来週には与党として公明党さんにも話をしていきたい、かように思っています。今、数回か会合を開かせていただいておるんですけれども、各部会からもいろいろな意見が出てきまして、私はそれは頼もしいことだなと。

 そういう中でも、やはり今、公共事業の話でちょっと恐縮なんですけれども、将来やらなくてはいけない事業、これを前倒しですべきだと。私も昔現場へ行ったことがありますけれども、例えばそこで工事があれば、いろいろな、床屋さんから何から全部使うわけです、八百屋さんから何から全部使うわけです。そういうことを考えると、かなりの波及効果もある。したがって、前倒しして、やれることは早くやっていく。例えば耐震の工事であるとか、道路であるとか、災害対策。災害もこれは大変なことですから、国民の生命財産を守るために災害対策。あと、環境のための下水。こういうものは前倒しでやっていかなくちゃいけない、こういうふうに思っています。

 ただ、国土交通大臣、一番の問題は、地方負担が大変なんです。地方も大変な状況です。直轄三分の二で、また、普通のときに二分の一でも、耐震なんかも多分二分の一ぐらい地方が負担しなくちゃいけない。これを前倒しで進めるといったって、なかなかできるものじゃないんですよ。

 ですから、このニューディールの推進PT、私は座長をやらせていただいているんですけれども、この中でこういう話が出てきました。もっと国の負担を上げて地方負担を減らすべきだ、今総理は全治三年だと言っているんだから、時限立法でもいいから、地方の負担をできるだけ減らして、工事をどんどんどんどんやってくれと。

 これは内容的には、例えば法律で変えなくちゃいけない問題、政令で変えられる問題、こういうことはあるのでありますけれども、これはかなり大胆な発言であろうかと思いますけれども、早くしないと地方が大変な状況になりますので、この辺につきましての国土交通大臣の御認識をお聞きしたいと思います。

金子国務大臣 佐田委員が座長として今お進めいただいているというお話は承らせていただきたいと思います。どういうふうにおまとめになられるのか、またお話を伺わせていただければと思います。

 今回、政府として提出をさせていただいておりますのは、第二次補正で、地域活性化・生活対策臨時交付金、六千億。これは地方自治体、全く裏負担なく地方で事業ができる。あるいは、総理が非常に強く御主張された地方交付税別枠一兆円。これも地方でいろいろな、雇用も含めて、公共事業も含めて対応できるというメニューを用意させていただいております。

 今さらに、これからどういう議論をPTとして、佐田委員会としておやりになってくるかというのは、我々はまた承らせていただきたいと思います。

佐田委員 質問がたくさんあったんですけれども、野党の理不尽な態度で私の持ち時間がかなり減ってしまいました。残念に思っております。

 それで、国土交通大臣、答えなくても結構なんですけれども、例えば、これから裏負担をできるだけ減らして、地方の負担をなくして、そして国がどんどんやっていく、主導でやっていく。去年とことしは違いますから、国が主導でもってやらなくちゃだめなんですよ。そういう中において、例えば地方に仕事を出しても赤字で倒産したなんというのがたくさんあるんですよ、はっきり言って。それではだめなんです。

 金子国土交通大臣はもうよく知っておりますから申し上げますけれども、お答えはいいですけれども、例えば単価の見直し。非常に単価が厳しくて、労務費なんかは低過ぎて、みんな仕事をやっても赤字なんですよ。こういうことを時期は関係なしにすぐ始めて、単価の見直しをやる。それとか、例えば、中小零細の企業が大変になっているわけですから、事業の大きさを小さく、いわゆるロットを小さくしていく、こういうことも大事です。それと、ダンピング。ダンピングが非常に横行していますから、こういうことの禁止であるとか、大臣もよく御存じのとおり入札制度の見直し、こういうことも含めてしっかりとやっていっていただきたい、こういうふうに思っております。

 次にまた移ります。

 実は先ほどの道路の話なんですけれども、いわゆる道路財源につきましては、昨年五月の閣議決定、十二月の政府・与党合意に基づき、二十一年度から廃止。加えて、一般財源に伴って廃止される地方道路の整備臨時交付金、そして、それに新たになった地方活力基盤創造交付金、こういうものができてきたわけでありますけれども、これは非常に使い勝手はいいんですね。先ほど、地方の負担が少ない、これは地方の財政に合わせて、今まで四五、国が五五だったものを七、三でやれるんですよ。七と三にできるんです。

 この交付金につきまして、どこが変わったか、ちょっと質問させていただきます。

金子国務大臣 一番変わった点は、今までは、道路財源のありましたときには、地方臨交金は道路財源のそのもの、揮発油税四分の一直入。それが今度は完全に外れた、一般財源化でありますから外れたということ。

 それからもう一つは、地方自治体から要請がありました場合、今佐田委員からお話がありましたとおり、道路以外の、例えば通学路に、改修したらば、子供の安全のために上にテレビカメラをつけて子供を監視できるといったような、あるいは離島の場合、離島も一つの道路、延長だということで、さらに船を改修する、改善するといったようなものにも使えてくる。地方自治体の要請に応じてかなり利便性を広げたというところが大きな違いだと思っております。

佐田委員 要するに、新たなる交付金でありますけれども、これはこういうことで、大臣であるとか我々はわかっているんですけれども、なかなか地方では御理解いただけない部分もあります。よく私、地元へ帰りますと、今度道路財源は一般財源化されるからもう道路はできないんじゃないのと、非常に心配しています。

 我々田舎の方は非常に道路が重要性を持っておりまして、うちの方でも、上武国道であるとか北関東横断道であるとか、椎坂峠のトンネルであるとか新三国トンネルだとか、その地域の人たちがみんな望んでいるんですよ、はっきり言って。これができれば、例えば病院にも早く行ける、学校にも安全に行ける、こういうことが非常にあるんです。

 先般、BバイCの議論がありましたけれども、BバイCだけでは、便益と費用だけでは割り切れないものがあるわけです。これを単純にやっていったらば、はっきり言って地方切り捨てですよ、こんなことを続けていったら。これは指摘をさせていただきたい、こういうふうに思っています。

 だんだん時間がなくなってまいりましたけれども、やはりこれから内需拡大に向けて、それと、先般、減税の問題もありますけれども、減税におきましては、住宅ローン減税六百万、そしてまた、なおかつ投資減税、これはリフォームについての投資減税でありますし、また、ローンが組めないような五十、六十の方々に対しても投資減税を入れる。

 この効果は、ローン減税で二十万八千人、投資型減税で六万九千人、こういうことがあるわけでありまして、この波及効果は、直接的には十九兆円、そして、例えば畳だとか家電だとか全部含めますと三十七兆円ですから、そういうことを考えたときに、ぜひともこれも進めていただきたい。

 時間がなくなってまいりましたけれども、これは農林業の話なんですけれども、私どもの景気・雇用創出ニューディール推進プロジェクトチームで、もう一つ大きな問題があったんですよ。どういうことかというと、これも厚生労働大臣に聞きたかったんですけれども、例えば、今、失業給付もない、そして住むところもない、そういう方々が若い人たちに物すごいいらっしゃるんですよね。こういう人たちを私は国が救っていかなくちゃいけない。

 例えば職業訓練ですね、オン・ザ・ジョブ・トレーニング。そういう中において、緑の雇用であるとか、農林関係もそういうスキームがあるんですけれども、要するに、訓練をしているときにはちゃんと住むところも、ある程度のお金も与えていく、そして、プロになったらそこでしっかりと働いてもらう。

 私は、農林省がやっている緑の雇用であるとか農の雇用につきましては、非常にすばらしいシステムだと思っています。これをどんどん広げていただきたい。基金の範囲内だけで人数を入れるんじゃなくて、どんどん国の予算で入れて、こういうミスマッチをなくして、若い人たちが出ていけるようにしていきたい、こういうふうに思っておりますので、その農林大臣の意気込みをひとつよろしくお願いします。

石破国務大臣 ありがとうございます。

 食料の場合に自給率が四割であります、木材の場合二割であります。ということは、残りの部分に内需拡大の余地がたくさんあるということであります。

 委員が御指摘いただきましたように、問題は、一つはマッチングであって、森で働きたいな、そしてまた田んぼで畑で働きたいなと思っても、だれに相談したらいいんだかわからない。そして、来てほしいなと思っても、どこにどんな人がいるんだかわからない。このマッチングをきちんとやりましょうということ。

 そして、農でも林でも水でもそうですが、いきなり来て仕事ができるわけじゃないでしょう。オン・ザ・ジョブ・トレーニングということを委員が言っていただきました。それをやらなきゃいかぬでしょう。では、その間の費用はだれが持つんですか、それは事業体で持ってくれ、自分で負担してくれ、それは無理でしょうということでありまして、委員が御指摘いただきましたように、林の雇用、緑の雇用の場合には九万円をお支払いしておるということであります。そして、農の雇用ということも言っていただきましたが、これは九万七千円をお支払いしたいというふうに考えております。

 緑の雇用の場合に、今までオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやってきましたが、定着率が八割ということで、非常に高い効果を上げていると思っております。これは、今あるお金を使い切ったらそれでおしまいということではなくて、もっともっと、需要も供給もあるということであれば、いろいろな工夫をしながらやっていきたいと思っております。

 今、若い人たちはインターネットを使いますので、委員言っていただきましたように、緑の雇用なら緑の雇用、農の雇用なら農の雇用、それをクリックしていただければ情報が全部出るということで、スピーディーにやっていかねばならないし、国として全力を挙げて支援をしていきたいと思っております。どうぞこれからもよろしくお願いを申し上げます。

佐田委員 繰り返しになりますけれども、例えばテレビでも、インターネットカフェで泊まってみたり、そして家、住むところもない、そして失業給付もない、そういう本当にお困りの人たち、これは、将来に向けて希望を持てるような仕事を国が責任を持ってやはりつくっていかなくちゃいけない。私は、それこそが雇用の原点だ、こういうふうに思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、先般、〇八年第二次補正予算は急激に悪化する景気や雇用をどれほど下支えするかということで、第一生命経済研究所の試算によると、地方自治体の緊急雇用創出事業などの対策効果がフルに発揮されれば、雇用者数を最大十六万人ふやし、実質経済成長率を最大〇・六ポイント押し上げると見込まれる、こういうふうに第一生命経済研究所が試算しております。内訳は、定額給付金が三万一千人、高速道路料金の引き下げは二万四千人の雇用創出につながり、学校の耐震化や地方自治体の一時雇用対策も含めると最大十六万人になると試算されている。

 第二次補正でもこういうことでありますから、関連法案を早く通していただくと同時に、本予算、三段ロケットの三段目も早く発射して、雇用、景気を国民のために何としてでも回復させていただきたい。野党の皆さんにもぜひ協力をお願い申し上げまして、質問にかえさせていただきます。

衛藤委員長 これにて佐田玄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日のテーマは景気対策と雇用問題、まさに国民生活にとりまして大変重要な、深刻な問題でございます。限られた三十分間という時間でございますけれども、私も現場を歩いてきた生の声をぶつけさせていただきたいと思いますので、どうか、総理大臣初め関係大臣の皆様におかれましては、決意のこもった、また具体的な答弁をお願いしたい、こう思うわけでございます。

 実は通告をしていないんですが、各課題に入る前に、きょうの質問に臨んでちょっと思ったことは、今回の世界同時不況というか大変な状況の中で、まさに我々はよく百年に一度ということが言われるわけです。しかし、百年に一度と簡単に言いますけれども、百年間を振り返るといろいろなことがあったわけです。

 私が生まれる前に第二次世界大戦があり、敗戦があり、まさに焼け野原になって、本当に皆、大変な状況の中から立ち上がった。私自身は、神戸ですから、十四年前の阪神・淡路大震災に遭遇いたしました。自分の住む家を失い、知り合いの多くの人を亡くし、そして本当に修羅場のようなところから、何十日もふろにも入れない、体重も一週間で十何キロやせた、そんなところから命がけでやってきたわけです。あのとき、あの地震は五百年に一度と言われていますけれども、やはり、百年に一度に立ち向かう、私は、その意気込みというか、なりふり構わない真剣さというのが今我々政治家には求められている、こう思うわけです。

 その決意がはっきりあらわれない限り、国民の多くの皆さんが、これからの一年間を考えると職を失う人も出てくるでしょう、大変な中で、職を失うと簡単に言うけれども、職を失うということは、家庭もおかしくなる、自分の人生設計も全くだめになる、こういった大変なことなので、そのときに、国会議員は何なんだと。このときに、ああ、国会議員も大変だ、みんな頑張ろうという気持ちがないと、どんなさまざまな対策をとったって結局は国民の皆さんの心に届かない、私はそう思うわけです。

 ですから、国会議員として何ができるのか。もう総理も言われておりますね、定数の削減だとか歳費の削減、どんどんやるべきだと思います。しかし、定数削減というのはいろいろな政党の意見もありますから、これは時間をかけてやるべきだ、これは私は否定していません。しかし、今全治三年間、こう言われている以上、今すぐできることは何か。本当に我々がやっても大変だと自分自身が思っていることは何かと、きのうつらつら考えたときに、例えば歳費だって半額にしたらどうか、それは三割だとか五割だとか何がいいかというのは、これはいろいろなことがあります。しかし、やはり、自分自身がそれをしたら大変だということをまず政治家がやってこそ、国民だって頑張ろうという気になるんじゃないか。

 だから、その先頭に立っている麻生総理、そういう思いがあると思いますが、どうか、そういったことをぜひ総理のリーダーシップでまずこの場で発信をしていただきたい、こう思うわけでございますけれども、御答弁をいただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 百年という歴史、今言われましたとおりに、それは何といってもこの百年間を振り返れば実に多くのことが起きております。

 二十世紀初頭に日露戦争に始まり、そして二十世紀の半ばに第二次世界大戦、これは敗戦ということになり、その後、石油で食っていた日本がいきなり一バレル二ドルから六ドルに三倍、どんどんどんどんやっていたら公害でばたばたという騒ぎになって、それも克服し、そして、通貨が、一挙に二百四十円から百二十円までドルが暴落などなど、これは数え上げますと、当時を振り返れば日本にとってえらい問題だったことは数々あったのが、いずれも我々は、何だかんだ言いながら、時間をかけ、きっちりそれに対策を立てて今日まで頑張ってきたんだと思っております。

 おかげさまで、少なくとも石油の今回の状況、今回というのは例の七月、八月ぐらいに起きましたあの騒ぎのときも、我々はおたおたわたわたすることなく、取りつけ騒ぎが起きたりトイレットペーパーがどうたらというような騒ぎもなく、少なくとも我々はその経験則に学んでこれまでやってきた。はっきりしていると思います。したがって、そういった経験を大いに生かした。

 今回の金融危機の中におきましても、欧米先進国の中で多くの投資家が資産を失いなどなど、数え上げれば切りがない話が海外の新聞やら情報を見ていると幾らでも出てくる中にあって、少なくとも日本においてはそういった金融破綻または証券業界の破綻ということもなく、これまで我々はきちんと対応できてきたというのは、これまでの経験則に日本が学んできたがゆえに、我々は、これだけの騒ぎにもかかわらず、それなりの対応ができているんだと思っております。

 しかし、今置かれております状況は、それらのときの状況と違ってきた部分は、いわゆる雇用とかいう失業の問題が新たに起きてきております。それに対応するためには、何といっても企業というものは倒産させないようにするのが一番。倒産させないようにするためには、その多くを抱えておりますのは中小・小規模企業ですから、その企業の資金繰りがきちんとということが、何といってもさらにふやさないための大事なところだ、私どもはそう思いましたので、いわゆる年末の資金対策などなど、いろいろやらせていただきましたし、年を越しましてからも、今、年度末に向けてさらに対策をさせていただいております。

 加えて、いろいろ、少なくとも雇用促進事業団の建てた住宅に、いきなりそれをあけて貸すなどというのはこれまでに全く例がありませんし、また、新たに、中長期的に見れば、新エネ、省エネなどというものを考えたときにおいては、そういったものに対して新たに設備投資をしていただけるところに対しては、償却を前倒しするのではなくて、即時、一年で一発償却ということを認めるなどというのも、過去全く例がないと思います。

 そういった例を数えれば幾つも出てまいりますが、そういったようなことをやって、少なくとも我々は、今回世界的な同時不況、これも過去六十年間ぐらいで同時不況というのは初めてですから、この同時不況の中にあって、我々は、今回は最初に日本がこれから脱却していくんだという決意を持ってこれに臨んでいく。したがって、全治三年、そのためには全治三年間は景気対策だということを申し上げている背景がそれであります。

赤羽委員 総理、私が言いたかったのは、まず百年に一度、この百年間、さまざまなことを乗り越えてきた、その乗り越えてきたときのリーダーは、やはり国民と同苦してきた、同じ立場で、同じ気持ちでその痛みを受け入れてきた。

 まさに今、百年に一度と言っている以上は、これからどんなことが起きるかわかりません。具体的には、今総理言われたように、緊急経済対策にしても雇用対策にしても、さまざまとっているというのは与党の一員ですからよくわかっています。しかし、その前提として、隗より始めよ、まず本当に、国民が見て、国会議員だって大変なんだな、こういったことが大事だと私は言っているんです。それがないと、いろいろなことをやったって、結局、国会議員は何だ、歳費は人より取っていて痛みがないじゃないかと。上から目線じゃだめだということを私は言いたいんです。

 これまで成功してきた日本のその時代その時代のリーダーは、上から目線じゃなくて、やはり命がけで闘ってきたんだろうと。その決意を、そこの部分だけ総理に御披瀝いただきたいという質問なんです。

麻生内閣総理大臣 これは、一月の私ども自由民主党の党大会でも一部披瀝をさせていただきましたけれども、きちんとした対応というものは、歳費の部分にしても、またいわゆる議席の数にしても、これは我々としてきちんとすべきではないかという案を、あのとき、自分の決意の一端なり気持ちの一端として披瀝をいたしております。

 ただ、これは国会の中で論議をしていただかなければならぬ部分なんであって、こちらの思いだけでなかなかさようなわけにはまいりません。したがいまして、私どもとしては、いろいろな機会をとらえてこういった問題を今後議論していただくというのは大事なことだ、私どももそう思います。

 赤羽先生の御意見というのは全くそのとおりなんであって、今話題になっておりますアメリカでも、政府から資金をもらった証券会社、銀行などの給与、ボーナスがそのままというのはいかがなものかというオバマという人の意見が出ていましたけれども、あれは一つの例です。ほかにももっとあるんだと思いますが、そういったものはやはり経営者とか政治家とかいう立場にいる人間にとっての姿勢として極めて大事なものだ、私もそう思います。

赤羽委員 繰り返しになって恐縮ですけれども、本当にこれからの大波を乗り越えるために、やはり先頭に立って、ノーブレスオブリージュですから、政治家が先頭に立ってその痛みに直面していくということをぜひひとつ総理のリーダーシップとして発揮していただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。

 その観点からいきますと、まさに今は、第二次補正予算は成立しました、しかし、関連法案が参議院でようやくきょうから審議が始まるというのは、さまざまな党の言い分はあるかもしれませんが、私は、それは本当に政治の勝手だと思います。国民にとってみれば、本当に今どうなるんだと。いろいろな立場でいろいろなことを言う。きのうのNHKの討論会を見ましたよ。第二次補正の予算の出し方が遅かったと。遅かったというのは言い分かもしれないけれども、しかし、出た以上は、一月五日からやっているんですから、何で一月もたって、いまだに関連法案で出口が見えないなんという。

 その一方で、悪いけれども、一月六日の衆議院本会議で、民主党の鳩山幹事長は、「自民党、公明党の皆さん、失業者にとっての一日は長く、中小零細企業にとって一日の空白が命取りになっていることは、皆さんだっておわかりのはずです。」、こう言われているんですよ。そう言っているんだから……(発言する者あり)文句を言うな。私は、だからこそ早く決着をつけるべきだと思いますが、総理、どうですか。いかがでしょう。

麻生内閣総理大臣 我々は、既に結論は得たんだと思っております。第二次補正予算は衆参で可決をされておりますから、可決をされております以上は速やかにそれを実行できるようにすべき、それが当然なんだと思います。それが結果として雇用問題につながり、失業問題につながっていくのであって、その文章を見るまでもなく、当たり前のことなんだと思いますので、きょうから審議、なかなか御事情がおありなんだとは思いますけれども、国民の立場に立ったら、何とも言えず理解がしがたいところだ、私はそう思います。

赤羽委員 もう一言言えば、定額給付金の問題で審議を進めなかったなんというのは、私は言いわけだと思うし、庶民の暮らしがわからな過ぎると思いますよ。

 私は一軒一軒回りましたよ。(発言する者あり)聞いてください。静かにさせてください。いいですか。一軒一軒、国民の生活が第一と言うなら、庶民の暮らしがどうかというのをわかってほしいと思いますよ。それは、一軒一軒行く。多くの主婦の皆さんはどんな買い物をしているかというと、スーパーマーケットには夕方六時以降に行っているんですよ。生鮮品が三割引、五割引になっている、そこから買い物に行っているんですよ。給料は上がらない、年金は上がらない、しかし、食料品を中心とした生活用品が上がっている。結局、どの家庭でも使える金額が少なくなっているんですよ。

 これは世界じゅう一緒ですよ。だから、世界じゅう大減税をやっているんじゃないですか。それを、我々は定額減税をやるべきだと言った。しかし、非課税世帯もあわせてということで定額給付金という、皆さんから以前納めていただいた特別会計の中で、金利変動の分でためていた分を皆さんに使っていただこう、消費の下支えをしていただこうということですから、何がこれが悪いんですか。

 私は、それを、そんなことしなくていいんだ、ほかに回せみたいな言い方とか、それを削っている……(発言する者あり)世論というのは、調査の仕方で幾らでも出るんだよ。我々、歩いている限り、百人を前に話していて、七割、八割が反対なんていう会場はどこにもありませんよ。どこだって、いつもらえるのか、どうなったんだ、何で早く出ないんだ、こういうことですよ。

 我々は、少しおくれたお年玉として、ささやかな戻し減税をしたかったわけでしょう。それが全然できないということは、いまだにそれを理由にもしこの関連法案を通さないなんというのは、私はけしからぬと思いますよ。総理の言うとおりだと。同じですね、その意見。どうでしょうか。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

麻生内閣総理大臣 きのうも、福井県という北陸の地方を一部回らせていただきました。そこにおいて、現場のいわゆる商工業者の方々、また商店街の方々、もちろん市長さん初め商工会議所、いろいろ出てこられて個別にいろいろお話をいただきましたけれども、赤羽先生の言っておられる話とほぼ同じだ、私もそう思います。

赤羽委員 それでは次に、雇用の問題にちょっと移らせていただきたいと思います。

 これは、一昨日だったかと思いますが、NHKのスペシャル番組で報道されていましたが、デンマークの事例が言われていました。デンマークは、結構離職という場面がたくさんある、終身雇用なんという制度はございませんので。しかし、離職した人が不安感を持っているかというと、全然不安感がないというんですね。それはなぜかというと、失業給付が現役の所得の九割保障される、それも四年間。しかし、それはただし条件がありまして、国が指定している三百の業種の資格を取るとか訓練をする、それをしっかりやったら九割の保険を出す、また四年間出す。こういったことがあるから安心なんですというふうにデンマークの方たちは言っていました。

 まさに、日本とちょっと状況が違いますから、私は思うんですが、この雇用問題というのはどこまで行っても、正規であろうと非正規であろうと、さまざまな形態があると思いますが、やはり大前提としては、安易に首は切らない、企業として抱えていく、大事にする、これが大前提です。二つ目は、万が一、離職、リストラになったとしても、そのセーフティーネットを厚く張る。そして同時に、三つ目は、再就職できるような、ステップを変えるようなことをしっかり充実させていく。やはりどこまで行ってもこの三つがあればいいということだ、こう思います。

 それで、まず、派遣切りの問題に移りたいと思います。(パネルを示す)

 これは、よくわかっている方ばかりだと思いますが、テレビを見ていると、いろいろ、わからないという方も多いので、簡単に言います。

 一番下の派遣労働者、派遣される人がいる。その派遣元、派遣会社と契約をする。これはまず有期労働契約ということで法的な力がかかる。しかし、この派遣会社と派遣先の企業との契約は、これは民間の民事契約、労働者派遣契約というよりも企業間の契約だ、民民の契約だ。だから、今は法的な力は及ばない、指針で書かれてあるだけ、こういう現状です。

 ビジネスの世界ですから、本当は何百人必要だったんだけれども、事業の発注が少なくなったからといって派遣先と派遣元の民事契約が切れる。切れると何が起こるかというと、切れたことによって派遣会社と派遣労働者の間の労働契約にも必ず影響するわけです。今は、ペナルティーというか、三十日前の通告で三十日間分の給料を払えば基本的には合法となっているんです。

 しかし、私は、ここはつらつら考えると、派遣元と派遣先の企業の間の契約が中途解除されたときに、その被害をこうむる、不利益をこうむるのは、その契約の当事者じゃなくて派遣されている当人が被害をこうむるというのは、私はやはりこれはおかしいと思いますよ。いろいろな言い方もあるし、いろいろな法案も、閣法も出ているし対案も出ているのかもしれないが、私は、そこの部分を直さない限り、結局そこは、大臣、いろいろなことがあるかもしれないが、派遣先と派遣元のそれぞれの契約の当事者のやはり責任というのを明確にするべきだ、これが第一点。

 そして、二つ目は、派遣元、派遣会社というのは、いざ何かというときには当然派遣労働者に対する責任を負わなきゃいけないんだから、その派遣会社がいいかげんなところじゃ困るわけですね。資産もないようなところじゃ困るわけです。そこについての、派遣会社という業を起こせるだけの水準というか基準をやはり明確にしてあげるべきだ。

 この二点について、結論的じゃなくてもいいけれども、大臣の思いを聞かせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 労働者の雇用の維持について、まず第一義的には派遣元がしっかりしないといけない。だから、派遣先との契約が切れても派遣元が次の就職先にあっせんすればいいわけですから、これがまず第一なんです。

 そして、私企業間の契約ですから、なかなかこれは公的な介入ができませんけれども、ただ、今委員がおっしゃったような派遣先の責任はどうなるのかね、そういうようなことの問題も含めて、これは与党のPTで今こういうことを御議論いただいているので、その行方も見守りつつ、いかにして労働者の権利を守るかということは考えないといけない。

 派遣先に対しても、安易に首を切ることはやらないでくださいとか、中途解除はやらないでください、契約の解除はそう安易にやらないでください、そして、やる場合には再就職先のあっせんも協力してください、こういう指導を行っているところでございます。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽委員 大臣、ありがとうございます。

 思いはこもっているんだと思うんだけれども、私、一点だけ気になっていて、厚労省の役人と話していて、民民の契約には民事介入できない、これは当たり前なんですよ。しかし、それは法律家の世界だというんですよ、私に言わせれば。民事介入できないがゆえに困っている方たちがいるということは、やはり政治家としての決断というのが絶対必要なんですよ。そんなの、それがなかったら別に、全部弁護士とか法律家にやってもらえばいいわけでしょう。そういう話じゃないんだと思うんですよ。

 これからの経済見通しをすると、やはり需要というのはなかなか出てきにくいから、派遣元の責任を明確にするというのは大事だけれども、もちろん大事なんです、だけれども、なかなかそう簡単じゃないと思うんですよ。そうなると、僕は、雇用の流動性を低くしようというんじゃないんですよ。派遣という形態を全部切れとかということになると、結局は自分たちの首を絞めることになるという前提で話しているんだが、しかし、契約をした以上、中途解除というのは何らかの制度改善が究極的には求められる、それはやはり大臣の決断だと私は思います。

 ちょっとその部分だけ、今ここでどうというんじゃないんだけれども、思いだけ答えてください。

舛添国務大臣 派遣先も、たとえ派遣元から派遣された労働者であれ、その人たちの労働の上に成果が上がっているわけですから、例えば中途解除というのをやるときには責任の一端を負うべきだ。どういう形で負わせるか、これは法理論上もいろいろ難しい問題がございます。ぜひ与党のPTでしっかりとした御議論をいただきたい、私はそういうふうに思っております。

赤羽委員 与党のPT、私もメンバーですので、必ずそこに踏み込んだ結論を導きたいと思いますので、そのときはぜひ呼吸を合わせていただきたいと強くお願いしておきます。

 次に、私、この問題でやはり問題だと思うのは、高校生、大学生の新卒に対する内定取り消しの問題。これは、千二百十五人ですか、ちょっとこの数字もあいまいなんだけれども、千二百十五人に対する、今どうなっているんですか。私、大変心配しているんです。

 それはなぜかというと、やはり日本というのは今、新卒主義なんですね。去年卒業しましたという人は、もう実質的には相当ハンディを背負わされるわけです。だから、私、本当に不思議だと思うのは、就職が決まらなかったら留年するわけでしょう。こんなおかしな話なんですよ。大学の履修が終わっているのにわざと二単位だけ残して、就職のために留年するなんて世界に日本しかないですよ。本当にこれはおかしいんですよ。新卒至上主義だから、氷河期に当たっちゃうと、その世代というのは若年フリーターになる可能性が強いんですよ。だから、最近、高学歴のフリーターの人がふえているんですよ。

 これは根本的に変えなきゃいけないんだけれども、まず直近の話は、もう二月だから、三月三十一日までに、この千二百名以上の内定取り消しされた方というのはどうするつもりなのか、どうなっているのかということを、現状の御報告を大臣からいただけますか。

舛添国務大臣 最高裁判所の判決にもありますように、内定の取り消し、これは違法であります。そのことをきっちり私ももう経済団体には何度も申し上げて、しかるべき、まず内定取り消しをしないでください、やむを得ない場合には再就職先のあっせんその他の努力をしてくださいと。そして今、余りに悪質なケースの場合には企業名を公表する、そういう形で、全力を挙げてこの内定取り消しをやらせないように努力をしているところでございます。

赤羽委員 それはぜひフォローしてあげてほしい。それは、国がそんなことできないというんじゃなくて、やはり千二百人は責任を持ってやっていただきたいということを強く求めるのと、内定取り消しというのは、あいまいなことを言うんですよ、内々定だったとか。今やっている内定取り消し、つぶれた会社はしようがないけれども、内定取り消しを撤回しろと具体的にやった方がいいと思いますよ。

 内定取り消しはけしからぬでしょう。だって、契約の一方的破棄ですよ。何にも懲罰を受けない。受けられた新卒の学生さんたちは、生涯、人生のスタートにつまずいてしまうわけでしょう。何か、どうなったんでしょうねみたいな厚生労働省のレクを聞くと、本当に歯がゆいんですよ。どうなっているんだ、自分の子供がそうだったらどうなっているか真剣に考えてくれと。

 内定取り消しをした会社には、大臣みずから呼びつけて、どうなっているんだと、それをやるべきだと思いますけれども、いかがですか。

舛添国務大臣 経済団体全体に対して厳しく指導をしているところでありますし、先ほど申し上げましたように、余りに悪質なところは公表するという形で、さらに指導を強めていきたいと思っております。

赤羽委員 役所というのは、余りに悪質だったらと言うんですね。これは物すごい、いろいろな理屈がつくんですよ。それは資本主義の社会の企業ですから、採用できなくなったといえば、それがやはりやむを得ざる理由かどうかというと、何とも言えない。

 僕が言っているのはそうじゃなくて、大臣じゃなくてもいいですよ、副大臣もいるんだし政務官もいるんだから、内定取り消しをした会社なんて二百事業者ぐらいでしょう、全部説明に来い、やはりそこからやらないとだめだと思います。私はそれは、大臣が今言った、内定取り消しは違法だというんだったら、それを所管している厚労省としてそのぐらいやって当然だと思います。どうですか。

舛添国務大臣 個々の企業に対してどこまで具体的に指導できるか、これは今の委員の御意見も賜った上で、しっかり考慮して、さらに一歩進めることができるかどうか、前向きに検討したいと思います。

赤羽委員 舛添さん、ぜひ、舛添さんが大臣になられた意味というのは、従来型の大臣じゃなくて、はっきり物を言うんだから。

 舛添さん、失礼だけれども、舛添さんがそんな答弁をしていたら残念ですよ、皆さん。舛添さんだからこそしっかり答弁できないはずないので、もう一度言ってください。

舛添国務大臣 しっかりやりたいという決意はありますけれども、例えばこの企業名の公表なんかについても、労働分野は労使が入った労働審議会できっちりと議論をしていただかないといけないので、私が一人で勝手にというわけにはいきません。

 ですから、そういうさまざまな審議会の御意見も賜りながら、そこにかけないと、例えば企業の公表は決めることができないんです。そういうプロセスをしっかりと尊重しながら、しかし、しかるべきときに政治的なリーダーシップを発揮したいと思っています。

赤羽委員 私の言い方が多少というか相当乱暴だったかもしれないけれども、しかし、やはり一人の人生を大事にするということは政治の原点だと思いますよ。それを、いいかげんなことをやっていて、その企業が内定取り消しなんてけしからぬです、私に言わせれば。何なんだと。

 だから、僕が言いたいのは、今、就職協定は平成八年からなくなっているんですよ。我々のころは、十月一日解禁、十一月一日で内定が出された。当時は、青田買いがだめだと言われた。ところが、今はどうですか。大学三年生の春休みになる前から行くわけですよ。理科系にしようか文科系にしようか迷って、大学に入った。教養が終わった瞬間の冬休みから、二年生の冬休みから、就職カードが送られてくる、求職カードが送られてくる。三年生になったら、入学時にしかきちっと着なかったスーツを着て就職活動をやるわけですよ。

 それで、三年の夏に決まっていれば、実際に入社するまで一年半かかるんだから、当然、経済変動リスクがあって、内定取り消しなんてまだまだ出てきますよ。私、大学四年間のうち二年間も就職活動をさせるということ自体、極めて異常だと思います。

 だから、これは、労使協定を絶対もう一回復活させるべきですよ。そこを明確にしないで、自主ルールだとか言っておいて、結局内定取り消しみたいなことをやり、そこについて何の法的な措置もできないというのは、私はどう考えてもおかしい。就職協定の復活を目指していただきたい。

 これは、時間もないからあれだけれども、では塩谷大臣、最後の答弁ですから、気合いを入れて決意のほどを示してください。私はそれで終わります。

衛藤委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

塩谷国務大臣 就職協定、平成八年から行われていない。学生にとっては、本来の学業の時間をしっかりとって、その後、就職ということで、また協定ができるような状況を私も基本的にはつくりたいと思っておりますので、またよろしくお願いします。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。おはようございます。

 質疑に入る前に、この委員会冒頭、混乱をしまして、私たち、委員長に対するふんまんやる方ない気持ちを今持っております。そのことをベースに、ちょっとただしておかなきゃいけないというふうに思うんです。

 委員会の進行というのは、理事会という形で、与野党の理事が出席をして、それぞれが話し合いをした上で日程を決めていく、あるいは論議の中身を決めていくということ、このことがあって初めてお互いが信頼感を持ちながら議論が進められるわけでありますが、今回、この予算委員会、冒頭から委員長職権でどんどん一方的に委員会が立てられてきた。このことに対しても非常に私たちは憤りを持っておりまして、一体今回どうなっているんだという思いを重ねながら、ここまで来たわけであります。

 きょうも、中央公聴会、国民の皆さんにとってはこの中央公聴会の意義というのはもう少し説明しておかないといけないと思うんですが、さまざまに、この委員会のメンバーだけじゃなくて、識者、有識者の話、関係者の話を聞いていこう、そういう機会を持っていくということなんですが、実はこれは、採決へ至っていくプロセスの中で、これまでの慣行として、この中央公聴会が日程が決まっていくということは、与党の立場からいえば、野党ではない、与党の立場からいえば、もうそれは採決の出口を決めていくスケジュールにも連なってくる、そういう意味合いを持っているわけですね。

 我々は、今回、ずっと議論を進めてきて、参議院が与野党逆転をしている、だから、これまでの一方的な強行採決だけのやり方ではこの国会は進まないんだというのはみんなわかっているわけですよ。だから、どこかで話し合いを持たなきゃいけない、修正をしなきゃいけない。さっき赤羽さんから定額給付金の話が出ていましたが、これだけ国民が、あれはばらまきだ、使い方をもっと考えよう、そうした世論が出ている中で、もっと話し合いをしたらいいじゃないかというメッセージを我々出しているんですよ。だから、やろう、もっと議論をしなきゃいけないじゃないか、そういう流れの中の国会でもあるんです。

 にもかかわらず、話し合いを前提にせずに、委員長が一方的にここで強行採決して、出口のことを意識しながら中央公聴会を決めたということ、これは横暴ですよ。これでどんどん与野党の信任というか信頼感が崩れていって、国民から見たら、本当に国会はどうしているんだというような形になっていってしまう。その原因は、あなたがつくっているんですよ、今。

 そのことを含めて、どうですか。もう一回原点に返って、与野党の筆頭理事が話し合っていけるような形に一たん戻していくということ、このことが大切だと思うんですよ、再出発をしていくのに。そのことを、委員長、改めて見解を聞かせていただきたい。

衛藤委員長 委員長として申し上げます。

 委員長は、常に理事会の協議をしっかり踏まえまして、また、特に筆頭間協議等、重い協議でありますから、こういうものを踏まえた上で、委員長としての判断をいたします。

中川(正)委員 考えていたら、今回のような強行採決にならないんですよ。何を言っているんですか。あなたはただ、国対から言われて、それで、どうしてもこの委員会を早く片づけてしまわなきゃいけない、やればやるほどぼろが出てくるから早くやれと言われて、言うことを聞いているだけじゃないですか。そんな委員会の運営というのは、私は委員長にとってもよくないと思います。国民にとってもよくないと思う。

 だから、一度昼の間の時間にでも理事会を改めて開いていただいて、今回の強行採決についてはもとに戻していただきたい、このことをお願いします。

衛藤委員長 重ねて申し上げますが、委員長は常に、理事間協議あるいは理事会の協議、そういうものを大変重く受けとめて委員長としての判断をいたしてまいります。これからもそのようにいたします。

中川(正)委員 まともに議論しましょうよ。そんな、よろいかぶって、そこで一歩も出てこないんだというふうな姿勢は、委員長、よくないですよ。

 だから、一度、昼の理事会の中でどんな結論が出てくるか、そのことを見ながら私たちの国会対応も決まってくると思いますので、理事会で議論をしていただくということ、これだけでもしっかり確認をさせていただきたいと思います。

衛藤委員長 昼の理事会はセットされておりますので、この理事会におきましても十分協議をいたします。

中川(正)委員 それでは、質疑に入っていきたいと思います。

 先ほど総理からも、今回の経済の、それこそ未曾有の危機、百年に一度の危機と言われるこの状況に対しての議論がありました。

 たまたま、きのうですか、福井のあわら市に行かれたというお話が出ておりました。その中で、実は、きょうのニュースで早速に報道されているんですが、日本経済の現状について、そんなに大変じゃないというふうに演説の中でしっかり皆さんに述べて、大変だ大変だと言う割には先進国に比べたら大したことないんだというふうなコメントがここではある。もう一方では、これは未曾有の危機だ、百年に一度の危機だと。こういうメッセージの出し方というのをさっき赤羽さんも問題にしていたんだろうというふうに思って、私もそう思います。

 これは今、政治がそこのところにしっかり入り込んでいくよ、セーフティーネットと、それから金融に関しての資本注入、そして新しい形の需要創出、これは政治がやっていくよというメッセージを出すためにも、今の状況というのをもっとしっかりとした形で頭の中を整理してもらわないと、片方では、大変だ大変だ、もう片方では、いや、そうじゃないんだというような、こういう中途半端なメッセージが続くようでは、これは日本自体が大変なことになるというふうに思うんです。

 そこのところを、もう一度改めて総理の認識を聞きたい。どういう根拠をもって百年に一度なのか、どういう根拠をもって日本が未曾有の経済危機の状況になっているのか、そのことも含めて具体的にしっかり説明してください。

麻生内閣総理大臣 まず、景気の話を二つに大別されておられますけれども、基本的には、先進国の中で比較すればという前提部分はたびたび申し上げてきたとおりであります。少なくとも、先進国の中で、アメリカを例に引きますれば、日本は今回の場合、銀行の倒産などということはない、今の段階、少なくとも銀行倒産はありませんから。また、今、自動車の大会社で直ちに政府の資金がなければこの三月は倒産します、年は越せませんなどというような自動車会社も日本にはありません。したがって、そういう意味では、世界の先進国の中に比較すれば、我々の経済状況は他国に比べたら傷は浅い、これは事実として申し上げております。

 傍ら、日本において百年に一度というような、これはグリーンスパンという人が引いた例を私も使わせていただきました。この例を引かせていただければ、少なくともこれまで、戦争以後を見まして六十数年間たびたび不況はありましたけれども、今回、我々はこれまでにない不況というものをやっております。それは、インフレ下での不況をやったことはありますが、デフレ下で不況をやったことはありません。それから、世界が同時に、先進国漏れなく同時に不況になったということも過去に例がない。

 加えて、日本の場合は、多く外需に依存している部分が多かった。その外需の部分が落ちますので、そういう意味では、それを克服していくためには内需拡大というものが極めて大きな要素になるというようなことは、いずれも過去に例がない。我々は多く外需でこれまで回復してきたというのが歴史ですから、そういった意味では、我々としては大いにこの状況をきっちり、全体と同時に国内とを踏まえて考えなきゃならぬと申し上げておりますので、雇用の面を見ましても、我々としては、過去に例がないようなことが起きているというのは事実ということを申し上げているんだと理解しております。

中川(正)委員 認識は甘いと思います。

 実は、一般企業に対しても日本が資本注入していないかというと、実質的にはやっているじゃないですか。日銀が株を買い入れているじゃないですか。株の買い取り機構が既に直接の買い取りをやっているじゃないですか。これはみんな、直接これまでやったことのなかった話ですよ。日銀のバランスシートを毀損していく、そういうリスクを経てでもやっていこう、そういう金融当局というのはもう腹をくくったんですよ。これは未曾有ですよ。これまでやったことがなかったことをやり始めているんですよ。そのことの認識が総理にはなかったのかということを改めて驚くところですよ。

 それから、もう一つは、金融の中で、たまたまサブプライムに関連するものがしっかりと日本の企業で買い込まれていなかったという幸運はあったにしても、やはりCPや社債、このマーケットというのは本当に深刻に縮んでいます。それを受けて株価が沈み、そしてアメリカの需要というのがこれだけ落ち込んだ中で、日本の輸出企業を中心にして、初めてトヨタも赤字を出したという報道がなされている。これはまだ入り口でありまして、ここから先の深刻な日本の実体経済に及ぼす影響というのをしっかり把握しておかないと、これで大丈夫だというふうな認識には私は到底立てないというふうに思うんです。

 その中で、それぞれ対策というのが、これからどういう起点に立って立てていくかということが、これからの論議の対象にしていかなきゃいけないというふうに思うんですが、その中で、一つは財政出動、それからもう一つは金融対策、この二つに大きく分けられるわけでありますけれども、今、予算が出てきています。三段ロケットで対策をやりました。政府の総額というのは三段ロケットで七十五兆円だと聞いています。これで十分だというふうに思われますか。

中川国務大臣 経済というのは生き物ですから、一年前、今の世界の状況あるいはまた年末の日本の急速な経済の悪化というのは予測できなかったわけであります。したがいまして、第一次補正予算というのは、どちらかというとその前の物価上昇に対する生活対策というものが中心でございましたが、その後リーマンの問題があり、あるいはまた実体経済が世界的に悪化した中で輸出産業等が厳しくなってきた。そしてまた、中川委員が今御指摘のように、そういう中で、大企業、中堅、そして中小企業の資金繰りが今非常に、きちっと見ていかなければいけない状況になってきたということでございます。

 そういう中で、第一次、第二次、そして本予算というふうに間断なくやっていくことがまず大前提だと私は思います。そういう中でやれるものをやっていく、これは予算、あるいは法律で対応できるもの、それから先ほど御指摘があったように、日銀の方でいろいろな対策をとっていただいておる。あるいはまた、与党の方を中心にして、議員立法で、銀行等保有株式の買い取りの再開、拡大というものもやっていただいている。あらゆる政策手段をとることによって、今やるべきことをやって、そして対応していくことが私は最優先の課題ではないかというふうに考えております。

中川(正)委員 これは、中身の使い方、分析をしたんですけれども、この七十五兆円の中身というのは二つに大きく分かれるんですね。一つは、具体的に税を使って、歳出をすることによってそれが需要につながっていく、いわゆる真水と言われる、金を使うから経済を興していく、そういう真水の部分と、それからもう一つは金融対策でありまして、中小企業、大企業、さっき指摘があったように、これから金が詰まってくる、それに対しての枠組みをつくろうと。これだけの分は信用保証できますよ、これだけの分は資本注入できますよ。これは、できますよ、できますよ、全部枠組みですね。実際に金が動くわけじゃない。これからやろうと思ったらできますよという決め方です。

 これは中身を見てみますと、真水と言われる実際に金が動く部分というのは、日本の場合十二兆円なんです。枠組みで、やろうと思ったら金融機関に対して金がこれだけ、枠組みつくりましたよというのが六十三兆円なんですね。この中身から見ていると、これは実際はそういう形だけでいいのかどうか。特に、後でこれはまた申し上げますが、二つとも有効に働いているのかどうかということも含めて、私は、非常にこれは危ない状況にあるというふうに思います。

 アメリカと比べて日本はましだというけれども、これから実体経済はアメリカ並みに、あるいは、ひょっとしたら、一部の、例えば自動車とかあるいは電機関連の輸出に傾斜をしていた企業というのは、日本の場合は下請のすそ野が広いですから、中小企業を中心にして非常に大きなパニックが起こってくる、そういう可能性もある。

 そういうことを控えた中で、この枠組み、金融政策が本当に働いているのかどうかということ。これについては、三重県の鈴鹿、四日市、亀山、物づくりの中心です、ホンダがあって、シャープがあって、東芝があって、ここでの実感からいくと、到底そんな状況にはなっていない。危ないという予感がしていまして、そこのところを、改めてなぜかということを指摘していきたいと思うんです。

 その上で、真水が十二兆円なんですが、これは到底これでいいという数字ではない。例えばアメリカでいくと、アメリカは七十五兆円をちょっと削って七十兆円ぐらいにという議論でまとまっていきつつあるんですけれども、アメリカの場合は七十兆円が全部真水なんですよ。それだけ深刻に考えているんですよ。これは、アメリカのGDPの六%が全部真水なんです。日本の場合、十二兆円というのはGDPのたったの二%ですよ。片方がそういう形で腹をくくっているのに、日本はどうもこれでお茶を濁しているんじゃないか、こういうことを思います。

 改めて総理に聞きます。十二兆円、真水を今からでも修正をして、この経済対策、もっと真剣に、大きな額で突っ込んでいくという気持ちはありませんか。

中川国務大臣 今、中川委員からいただいた表の御説明はそのとおりでございます。

 アメリカで真水を何兆円使ったか。この真水の使い方が問題であるわけでありまして、例えば、どうにもいかなくなってしまった銀行の金融不良債権を買い取るでありますとか、あるいはまた、日本の金融機能強化法と全く逆の趣旨で、危ない金融機関だから、倒れそうだから、その銀行のために資本注入をするためにあのTARPから莫大なお金が出ているとか、確かに財政から大きなお金が出ていることは事実でありますし、FRBからも出ておりますが、これはすべて、ほっておくと金融機関が倒れてしまう、あるいはまた自動車会社が倒れてしまうということに対しての緊急対策でございます。

 日本の場合の十二兆円というのは、確かに生活支援とか住宅支援とかいろいろございますけれども、何といっても、それをてこにして暮らしや経済をよくしていくというための一つのスタートラインといいましょうか、コアであって、学校の耐震化でありますとか子育て支援であるとか、あるいはまた中小企業のためのいろいろな減税対策でありますとか、これは、同じ真水あるいは金融を使って、アメリカと日本どっちが多いかと言いますけれども、この質が全く違う。ほっておけば倒れてしまう、ほっておけば捨て金になってしまうということに対しての対策のお金と、これを日本は、そんな危機的な状況じゃないけれども、ここで一踏ん張りするために支援をして、さらにここから、さっき総理がおっしゃったように、日本の経済や暮らしを一刻も早くまた上昇させていくためのスタートラインとしての三段ロケットだという位置づけとは、私は全く違うというふうに考えております。

中川(正)委員 民主党は、五十七兆円、真水でやろうと言っているんですよ。そのことを申し上げた上で、さっきの大臣のお話を聞いていると、それでは、これ以上やる必要はないという見解なんですね。ということは、今、与党の中から、改めて補正をやらなきゃいけないじゃないか、そんな議論が出ているということを新聞紙上で私は散見しています。もしそんな議論があるんだったら、補正をやるんじゃなくて、今からこれは修正したらいいじゃないかというふうに、だから私は提案しているんですよ。

 では、補正やらないんですね。与党、やらないんですか。

中川国務大臣 第一次補正のときに必要な対策をとり、第二次補正、特に年末対策を中心にして、これは補正予算とも関係なくというか、その範囲以外で今やれることは年末やったわけでございまして、今やるべきことは、平成二十一年度予算を早く、四月からスタートできるようにする。御承知のように、二次補正予算は成立をいたしましたけれども、財源がまだない、四兆八千億円を使うための財源がないという状態で、今、地方は非常に困っております。関係者の皆さんは非常に困っております。

 ですから、第二次補正予算のための財源法、きょうから参議院で御審議いただきますが、これも早くやっていただき、そして四月一日から、もう一刻たりとも中断しないように予算と関連法案を通していただきたいというのが私のお願いでございます。

中川(正)委員 だから、さっきから言っているように、だったらかたくなに、もうこれだけしかないんだ、ばらまきしかないんだといってそれにこだわっているばかりじゃなくて、話し合いをしなさいと言っているんじゃないですか。そんな、話を切りかえてはだめだ。

 私が聞いているのは、この本予算に対して、修正をしない、これは私たちは修正を求めますよ。真水が十二兆円というのは、これは足りない。このままではだめだという形で修正を求めていきますよ。そのことに対して、やらないと言うんだったら、では、もう、三次補正、この後に続く三次補正もないんですねということを確認しているんですよ。

中川国務大臣 現在のこの状況において、平成二十年度第三次補正予算というものを現時点では考えておりません。第二次補正予算の財源がないからこれが執行できない状況で、どうして第三次補正予算の議論が出てくるのか、私には理解ができません。

中川(正)委員 だったら、もう少し腹を決めて、今の予算に対して、これではだめだという前提で話し合いを詰めるべきだと思います。同じことです。これはまた、参議院に行ったらその話し合いをしていかなきゃいけないんですよ。だから、そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 同時に、これは歳出の方でやる真水の話でありますが、もう一つ、金融の枠組みが本当に生きているのかどうかということ、このことを確認していきたいというふうに思います。

 これまでのそれぞれの指摘あるいは議論の中で、最初に、信用保証協会の信用保証枠をトータルで三十兆円に広げました。これまで八割の保証から一〇〇%保証にしました、枠組みも広げましたということから始まって、さまざまに、資本注入の話であるとか、あるいはそれぞれの株式を買い上げていく、あるいはCP、社債も買い上げていく、さまざまな金融対策がとられております。

 そんな中で私が一番気になるのは、中小企業に対して本当に金が届いているのかどうかということなんです。救済できているのかとか、どういう構造になっているのかということなんです。私は、これは金が届いていないというふうに認識をしているんですが、これは経産大臣になるんですか。

二階国務大臣 景気後退の中で、我々はやはり中小企業に対しての金融という問題を最重要に考えておるわけでありますが、今、議員御指摘のように、緊急保証、セーフティーネット貸し付け、三十兆円規模で実施しているところであります。二日前も、実は全国の経済産業局の、出先を集めまして、現状についての調査をしたところでありますが、私どもは、いろいろな窓口での御意見とか、あるいはまた、既往の債務があるためになかなか貸し付けに応じてもらえないとかというふうな一般的な御意見を耳にすることはあるわけでありますが、それは実態として一体どこのだれだ、どこの金融機関でそういうことに出会ったかということを具体的にお示しください、我々は直ちに対応しますということを言っているわけです。

 暮れも、実は、御承知のとおりでありますが、十二月の三十日まで窓口を開いてやるべきだ、私はもっともだと思ったんです。休みであろうが何であろうが、金融でお困りになっておられる人たちは夜も眠れないような気持ちでこの時期を過ごしておられるはずでありますから、我々は休みを返上して大いにやらせていただきましょうと。やりましたところ、やはり五百億円の信用保証の貸し付け実績が暮れの三十日にございました。

 そういうことを考えると、やはりそういう対応は真剣にやっていかなきゃいけない。ですから、中川議員御指摘のようなことで、やらなきゃいかぬことがありましたら、どうぞ具体的な御指摘をいただければしっかりした対応をやってまいりたいと思っております。

 ただ、この資金繰りの円滑化に我々は努力をするわけでありますが、中小企業の金融の八割はやはり民間の金融機関に担っていただいております。そこで、中川金融担当大臣とも常に連携をとって、中小企業金融の円滑化、条件変更等への柔軟な対応に常に働きかけを行って、金利の引き上げ等についても要請をし、今それを進めておるところであります。

中川(正)委員 お手元の資料の四を開いていただきたいというふうに思います。

 このパネルでもありますが、これは企業別の、いわゆる企業の規模、大企業と中小企業に分けた形の貸し出しの残高を示したものなんです。だから、現実に貸し出しの残高が前年比どれだけふえてきているのか、どれだけ減ってきているのかというグラフを示したものであります。

 これではっきり出てきているんですけれども、赤いのが大企業ですね。大企業の場合は、五年から一気にふえてきておりまして、去年の暮れからことしにかけて一二・三%、毎年毎年前年よりも伸びているんですよね。もともと大きなパイのものがこれだけ伸びるわけですから、非常に大量に資金が大企業へ向いて流れているということがこれで見てとれます。

 中小企業の場合はどうか。これは緑色のグラフでありますが、六年、七年、特に七年では前年よりもピークをつくっておりまして、ここでしっかり金を借りているんですね。これは何で借りているかといったら、輸出関連企業が特にそうなんですが、十年、十五年前のバブル以上に海外の貿易の中で稼いだ。もっともっと増産しなきゃいけないということで下請関連をたたいて設備投資を高めていった、その山がここにありまして、それが八年からずっと下がり始めて、今もさまざまな枠組みだとか信用保証というのを重ねているんですけれども、実質的には中小企業というのは残高は下がっているんです。金は届いていないんですよ。ことし一月に入っても、これではあらわされていませんが、速報が届いていますけれども、これは伸びていません。下がり続けているんです。

 これはどうしてこういう形になるのか。資金の供給全体としては、確かに伸びているんです。資金全体では、運転資金だとか設備資金に分けると、特に運転資金の中では、使途別というのはまたこの大きなグラフにはありませんが、私の手元では、日銀から報告されているのに、四・七%の伸びを一カ月だけでしているんですね。そういう急激な伸びがあるにもかかわらず、実際のところは中小企業というのはこんな形で細ってきている。

 これは現実としてどうしてこういう形になっているのか。ということは、政策効果が出ていない、リスクをとっていないということにつながっていくと思うんですが、どうしてこういう形になっているんですか。

中川国務大臣 中川委員からいただいた資料、これは両方見る必要があるんだと思うんですね。要するに、右の方で設備資金が急速に一年前ぐらいから下がっている。これはもう御指摘のとおりだろうと思います。そういう中で、運転資金がここに来て急速に伸びている。つまり、つなぎ資金みたいなものの需要が伸びている。その結果、全体として貸し出しが伸びているわけですが、左の方で大企業の方がぐんと伸びているのは、やはり大企業におきましても設備資金需要というのは急激に減ってきて、そして運転資金、つなぎ資金のニーズが高まっているということは事実だろうと思います。

 中小企業の方も同じだろうと思いますけれども、そういう中で、中小企業の資金ニーズにきちっと対応するために、先ほど二階大臣がお答えになったような緊急的な信用保証、あるいはセーフティーネット貸し付け、そしてまた金融機能強化法によって健全な金融機関を通じて貸し出し余力を高めていただきたいというようなこと等々、さまざまな形で中小企業金融対策というのを今まさにとっているわけでございますから、私は、先ほど二階大臣がお答えになったようなニーズに対して、十分な額の資金、あるいはまたきめ細かい相談というものをやっていくことによって中小企業のニーズにこたえていると思いますし、さらにこたえていかなければいけないというふうに思っております。

中川(正)委員 私は、認識が間違っているというふうに思います。

 現実は、私も各企業に聞き取りをした。どういうことが起こっているかといったら、調子がよかったときに、大企業に言われて、どんどん発注するから設備投資しなさいということで設備投資をした、そのときに借り入れをした資金というのがしっかりたまっているわけです。それで突然、去年の暮れからことしにかけて、いや、実は約束していたけれどもそんなわけにいかなくなった、半分にカットします、あるいは三分の一にカットしますということで、発注額がカットされてくる、その中のつなぎが要るわけですよね。

 実は、そのことを含めて去年の暮れに銀行に相談に行ったら、銀行としてはどうしたかというと、設備資金で詰まっているものを、では条件変更したらどうですかと。新たに貸すというよりも、それを条件変更して、それでならした上で資金繰りをしていくということ、その枠組みの中に、新たに緊急対策支援としてほうり込んだ保証枠、これを切りかえていく。だから、これまで普通の借り入れをしていたのを、新たにこちらは緊急枠ですよという形で枠をつくったものに銀行はリスクをヘッジしていく。リスクを回避しながら、もっと国が保証している分へ金を切りかえているだけの話なんですよ。それを先にずっとやってきて、今になってきているんですね。

 ところが、現在の状況というのはどうかというと、それでも次の見通しが立つかといったら、まだ売り上げが下がってくる可能性がある。従業員の首をつなごうと思ったらここでやはり資金を借りなきゃというので、もう一回金融機関に行く。金融機関に行ったら、いや、もうあなたのところは条件変更しているよ、いわゆる手形のジャンプしているよということ、この状況からいったらこれ以上は貸し出すことはできないんですよ、そういう状況じゃないんですよ、条件じゃないんですよというふうな形で断られてきました。この後どうしたらいいんですかという状況で、今詰まってきているということ、それがこの〇・八%なんです、伸びないという。

 だから、結局のところ、トータルのボリュームでしても、リスクが国の保証でヘッジされているだけでボリュームは伸びないんだという現状がここにあるんだということを認識した上で政策を入れないと、これ以上このままの枠組みの中でやっていったって中小企業には金が流れない、銀行からは流れないということ、これがみんなの実感なんですよ。

 さっきの大臣の話は、全く上から物を見ているだけで、現場の話がわかっていないじゃないですか。そのことについてどういう手だてを打ったらいいのかということ、これを改めて聞いていきたいというふうに思います。

中川国務大臣 今の中川委員のお話を前提にしてあえて申し上げますと、中小企業にも、大きく分けて二通りの分類がある、非常に雑駁な言い方かもしれませんけれども。大企業、輸出企業中心の、大企業の下請関連としてやってきている中小企業。それから、輸出とは直接関係ないですけれども、地方でいろいろと頑張っておられる中小企業。今の御質問に答えるには、私はある程度二つに分けた方がいいのではないかと思います。

 後者の、輸出とは直接関係ないですけれども地域でやはり景気が悪くて困っているという中小企業に対しましては、これは単に中小企業サイドだけではなくて、地域の経済をよくしていく、あるいは雇用をよくしていくということと総合的に考えることによってこの問題に取り組んでいかなければいけないし、そうしていくことによって、地域の、地場の中小企業あるいは商店街は、みんなでよくなっていこうという、その一つの重要な担い手としての役割を果たしていくということになろうと思います。ですから、雇用対策とか減税とか、そういうものと総合的にやっていく取り組みが必要だと思います。もちろん、金融のシステムそのものは、別に、輸出向け中小企業だからとか、地域向け中小企業だからという区別はございませんけれども、あえてそういう仕切りをさせていただきます。

 問題は、大企業で輸出企業中心のところはここ数カ月の間に急速に悪くなってきているということについては、実は、その大企業あるいは仕入れ先の企業そのものも急速に悪くなってきている。先週の指摘で、大企業が一困っていれば、中小下請はその何倍も困っているというのも事実だろうと思います。

 ですから、そういったところに対しても、我々としては、経済産業省とよく相談をしながら、貴重な技術を持っている、何といっても、日本の自動車が世界一だというのは、品質が世界一、そして、中小企業が持っている技術あるいはまたノウハウが世界一だから日本の車は世界一でございまして、その状況は変わっていないわけですから、それを守っていくということも大事でございますので、そこは産業政策でございますから二階大臣の方でいろいろとお考えいただいていると思いますけれども、トータルでとにかく、金融だけではなくて雇用とか景気対策、いろいろなことをやりながら、何としても大事な大事な中小企業を我々は最大限守っていく必要があるということは、多分、中川委員と認識は私は同じではないかというふうに思っております。

中川(正)委員 認識は同じなんだけれども、具体的な政策は出してこなきゃいけないんですよ。今の話だと何にもない。これまでどおりやりますという話だけじゃないですか。

 私が言っているのは、これまでどおりのスキームでは中小企業には金は届きませんよ、事実届いていないでしょうということを指摘しているんですよ。だから、そこのところを創意工夫していく、これまでのやり方ではこれは解決ができないということ、このことを指摘しておきたいと思います。

 さらに言えば、国の関連の直接の金融機関がこのリスクをとることもできるんですよ、やろうと思ったら。でも、とっていない。国の、日本政策金融公庫、これは国民生活事業と中小企業事業、二つの貸出機関があるんですけれども、ここの残高も、みんな報告しているのは、新しく枠組み、ほうり込んだ一兆円、二兆円というこの貸し出しについては、これだけ急激に貸していますよという報告はしているけれども、残高としてどうなんだ、ボリュームとして、本当にそこへ届いているのかどうかという報告は出ていないでしょう。

 これを見ていると、十七年から二十年十二月末までの報告があるんですけれども、十七年度末で、例えば国民生活事業で七兆八千四百四十億円、これだけのものを貸していたんですけれども、二十年の十二月末では六兆七千二百七十五億円。これは中小企業事業についてももっと下がっています。七兆円台から、今、五兆五千五百三十三億円ですよ。政府系の金融機関はみんな下がっているんです、残高が。リスクをとっていないんですよ。何という指導をしているんですか、これは、ということを指摘しなきゃいけない。

 このことについて改めて求めていきたいと思うんですが、このままのスキームで中小企業に貸しなさい、貸しなさいと言っていても金は流れないんだから、ひとつ新しいチャネルというのをやはり考えていくべきだろうというふうに思います。

 さっき財務大臣が指摘されたように、これは二通りあるんですね。先に来たのは、不動産関係とか建設関係とかといった、地場に密着した形の中小企業がばたばたやられてきた。これは大企業が外需で潤っていたときに地方の格差ができて、地方がどんどん、ぼろぼろぼろぼろと欠けていった、この一番の欠けていった業種というのはこの辺だったというふうに思うんです。それに対する対策、これはトータルで、さっきのお話のように、もう一回、町の再生、地方の再生から含めたトータルなものが必要なんですよ。これは地方分権の、本当の意味で、東京から本社を地方に振り分けていくという、国の形を考えていく根本的な話も含めたものが必要なんだろうというふうに私は思います。

 もう一方で、これは緊急対策の、自動車あるいは電機関連の下請、親会社があってそれから下請に来る、そういう流れをつくっていっているような企業に対しては、私は、親会社と一体な形で資金繰りは考えるべきだというふうに思うんです。そのチャネルが実は一番生きているチャネルじゃないか。親会社の方は、今倒産してしまったら困るんですよ、今度起き上がってくるときに。だから、それなりのリスクは、金融機関がとらなくても親会社がとっていくというふうに私は思いたい。

 そんな中で、経産省が直接注入するという話がありましたね、これは何か中途半端になっているようですけれども。さっき総理大臣は、日本はそうした一般企業に対しては資本注入はやるところまでいっていないと言うけれども、実は経産省はしっかり考えているんですよ。アメリカと同じことを考えているんですよ。

 そういうような議論があったんですけれども、それは、日本の場合は、親会社そのものを救済していくというよりも、CPの世界だとか社債の世界が今もう起き上がってきている、いわゆる生き返ってきていますから、そこの金融に頼っていくとして、中小企業に親会社から金融政策として回していく、これは生かさなきゃいけないんだというところにリスクをシェアしながら回していくというような、そんなスキームを考えていったらどうか。いわゆる、発注はこれだけカットするけれども、資金繰りについてはこれだけ保証するよというような、これは日本型のそれこそ下請関連の企業との形態だと思うんですが、そういう資金の流れもあっていいというふうに私自身は思っているんです。

 そんなことの提案も含めて、今の形では、今の政府のやり方ではだめだということを指摘しておきたいというふうに思います。経産大臣。

二階国務大臣 先ほど中川議員から御指摘のありました点につきまして、直接資金を投入するのかということでありますが、今我々は、あらゆる可能性を探ってこの事態に対処しようと思っておりますが、その一つとして、産業活力再生特別措置法、いわゆる産活法と言われているものを改正し、民間の金融機関による出資を円滑化する制度を創設したいと考えているところであります。

 詳細にわたって今内容を詰めているところでありますが、具体的には、金融危機の影響があると認められる間に限り、いわゆる産活法の認定を受けようとする企業のうち、先ほど中川議員からも御指摘がありましたが、雇用規模が大きい等の要件を満たす者に限定して、民間金融機関が行う出資について生じる損失の一部を日本政策金融公庫が補てんする制度を検討するわけであります。

 なお、この際申し上げておきたいことは、検討中の制度は、民間金融機関が行う出資を円滑化する制度であり、企業に直接公的資金を注入するものではありません。

 そして、先ほどの中小企業に対する種々の御指摘がございましたが、ある意味でそういう点に我々も十分配慮していかなきゃいけないことは当然でありますが、地域に活躍していただいております商工会議所、商工会等にも御協力を願って、資金需要の問題についてしょっちゅう我々は連携をとっております。今のところ、中川議員から大変な御指摘をいただいた、それほどの地域ごとの要請というものは届いておりませんが、今御指摘のことを受けて、さらに十分注意をしてまいりたいと思います。

 なお、先ほどの答弁の中で、私は金利引き下げを要求しておると言ったつもりでありますが、金利引き上げと聞こえたという一部の話がありましたから、引き下げをお願いしたい、こういうことでありますので、訂正させていただきます。

中川(正)委員 大分、質問の項目を残してしまったんですけれども、最後に一つだけ聞いておきたいというふうに思います。

 もう一つの観点からいくと、経済対策に対して大きな政策の失敗が政府にはあるんだと思うんです。それは何かというと、定額給付金と消費税、これの打ち出し方であります。

 定額給付金が消費の喚起だ、これは経済対策なんだという形で理由をつけて、そのつもりで国民にメッセージを発するんだったら、どうして総理は、自分でそれをもらって私も大いに使うよと素直に言えないのか。これは言わなきゃいけなかったんですよ。もう今となっては遅いわ。もう国民は、結局は白けているという状況になってしまっている。これが一つ。

 それからもう一つは、消費税について。これは、片方で、減税だとか給付金を出すという政策がある、住宅ローン減税なんかやろうと言っているんです。こういうふうに言っておきながら、もう片方で、消費税を上げて増税するというメッセージを具体的に出しちゃう。これは本当に支離滅裂であります。需要拡大への政策効果というのは、これでまた完全に打ち消されてしまったということ。

 こういう形の、しっかりと練れていないといいますか、戦略的に何をしたいんだということを国民に対してしっかりメッセージを出していくということが全くできていないというこの経済対策に対して、私は非常に憤りを感じておりますし、それに対しての恐らく撤回を要求しなきゃいけないんだろうと思うんです。すっきりしなさいよと。消費税の前には税金の無駄遣いを徹底的になくしていくというその腹づもりと、それから我々に対する国民の信頼感、それを得てからの話じゃないですかというふうなこと。こんなはっきりしたメッセージをどんどん出したらいいんですよ。それを何をもたもたしているのかということ。このことを一つ指摘しながら、質問を終わりたいというふうに思います。

 以上です。

衛藤委員長 この際、筒井信隆君から関連質疑の申し出があります。中川正春君の持ち時間の範囲内でこれを許します。筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 私は、今の未曾有の経済危機、これに対する対策として、どうしてもやらなければいけない二つの前提条件がある、こう考えております。

 一つは、小泉・竹中路線からの決別でございます。

 小泉構造改革の名前のもとで行われたいろいろな改悪、施策、これは国民生活を非常に苦しくして、個人消費が全く冷え切ってしまった。あの分割・民営化の郵政、これは利便性も悪くしたし、また経営も非常に厳しくした。タクシー業界に関する規制緩和は、これもいろいろな弊害を出している。労働者派遣制度についての規制緩和、これこそまさに今全国で、派遣切りで、国民生活が本当に苦しくなって、住む場所さえなくなっている、こういう原因をつくりました。

 社会保障に関して、医療、年金、介護、障害者自立支援制度、いずれも小泉構造改革の名前のもとで改悪をされました。窓口負担とか保険料を上げて、要するに国民の負担を上げて、そして国からのサービスを削減する。これが生活不安を大きく呼び起こして、個人消費のために自分たちの財布のひもを開くなんてことはできなくしたわけですよ。

 三位一体改革といって、地方自治体に行く金を六兆円も年間で削ってしまった。(発言する者あり)六兆八千億も削ってしまった。

 農業の問題に関して言えば、これも小泉内閣時代に品目横断的経営安定対策というのをやって、四町歩以下の農家、二十町歩以下の集落営農は農家ではない、支援の対象にしない、こういう間違った方向性を出して、農業のまさに危機をさらに深めてしまったわけでございます。

 先ほど与党の議員が、今は国民生活が大変なんだ、だから定額給付金を支給して、そして個人消費をふやしてもらうんだというふうに言いましたけれども、その国民生活を苦しくしたのは一体だれなんですか。まさに今の与党じゃないですか。将来の生活不安をますます増したのはだれなんですか。与党じゃないですか。

 それをやって、そして、生活が苦しくなったから一年限り、一回限りのばらまきをする。こんな政策に国民が反対するのは当たり前なんですよ。そういう将来の生活不安を、きちんと、そうじゃないという方向に変えなければいけないんです。

 政府の役割というのは、市場に任せればいいというのではなくて、そして、強い者も弱い者も、大きい者も小さい者もみんな同じ基準で同じ土俵で自由に競争させるなんということをするんじゃなくて、きちんと弱い者、小さい者に政治の光を当てる、これが政府の役割じゃないですか。だから政府は、きちんと、社会保障や中小企業や教育や農林業や、これらのまさに国民の生活部門に一生懸命大きな役割を果たす、これが必要なんですよ。それが民主党の言う生活第一だというスローガンの趣旨なんですよ。

 そして、その政府がやはり官僚主導でなされていちゃだめなんです。これが二つ目にやらなきゃいかぬことなんです。

 この前の木曜日の予算委員会でも私、指摘をいたしましたが、官僚は、閣議の事前機関として事務次官会議を規定している。それに対して与党はずっと何の問題にもしてこなかった。閣議の前の事務次官会議でもって全部決まってしまって、閣議はそれをなぞらうだけだ。ただサインするだけだ。花押を毛筆で書くお習字の会に終わっている。だから、麻生内閣で四十回の閣議をいたしましたが、その閣議の平均時間が十八分、案件は二十二件。二十二件の案件を十八分で済ますのは、要するに署名、サインするだけに終わっているからですよ。

 私は、日本の政治の最大の課題の一つ、先進国と全く違うところは、官僚政治、官僚の無駄遣い、天下り、これを全面的に廃止するということが必要なんです。その官僚の政治をなくして、天下り、官僚の無駄遣い、これを全廃して、新しく出てくる財源を国民生活の分野に回す。これをしなければ景気回復はおぼつかない。やはりその財源を、先ほど言いました社会保障や教育や中小企業や農林漁業の、国民生活の分野に回す、これが必要なことなんです。

 そして、前回の予算委員会での質問でも、その第一の小泉構造改革のまさに象徴的なものとして、郵政民営化、分割・民営化のことについてお聞きをいたしました。そのことについて、きょうは野田大臣にも来ていただいておりますので、まず確かめておきたいと思います。

 前回のところで、麻生総理はこういうふうに答弁をいたしました。目下進行中の民営化を全部やっちゃえばいいというのは間違い、四分社化が本当に効率としていいのかどうか、もう一回見直すべきときに来ている。

 野田大臣も、この麻生総理の認識と全く一緒でございますね。

野田国務大臣 成立している郵政民営化六法がありますけれども、そのうちの一つの郵政民営化法の中の第十九条に、民営化委員会は三年ごとに見直しをするという規定がございまして、それは総合的に今の社会の状況を踏まえて見直すということになっていますので、どれを特定して見直すとかいうことでなく、四分社化も含めてすべて総点検をするということだと理解しております、民営化の枠の中で。

筒井委員 私の質問は、そんな法律の制度を、規定がどうなっているかを聞いているんじゃないんです。私が言っているのは、四分社化は見直すべきときに来ている、そして目下進行中の民営化を全部やっちゃえばいいというのは間違い、こう答弁された麻生総理の認識と一緒ですか、それとも違うんですか、これを確認しているんです。

野田国務大臣 所管外でございますので、総務大臣が本来なら御答弁されるお答えだと思いますが、私が郵政大臣のときは十年前なので、今コミットしている立場にありませんが、私が内閣特命大臣として、麻生内閣の一員として思うのは、すべてに聖域を持たずにありとあらゆることを検証して、よりよき民営化をつくっていくということでは、総理のおっしゃっているとおりだと思っております。

筒井委員 私の質問に答えていないんです。総理が先ほどから何回も強調した点、この点に賛成という認識なのか、反対なのか、違うのか、これを確認しているんですよ。野田大臣自身の見解を確認しているんですよ。ちゃんと答えてくださいよ。それを何か、どうするかこれから検討するみたいなこと。

 今時点で、四分社化を見直すべきときに来ている、こういう認識を持っておられるのか、そうではないのか、それをはっきりお答えください。

衛藤委員長 野田聖子大臣、答弁は明快にお願いします。

野田国務大臣 私は所管でありませんので、四分社化をするかどうかについて詳細なデータとか、さまざまなデータがございません。ですけれども、総理は総理でそういう御発言をされているので、本来、今民営化委員会が、法律に基づいて三月末までにそれなりの意見具申を本部長である総理にされるということですから、それを踏まえてこれからまた検討すればよろしいことではないかと思っております。

筒井委員 全く質問に対する答弁を拒否している。

 そうすると、四分社化を見直すべきときに来ているかどうかは今わからない、そういう答えですか。

野田国務大臣 四分社化を含めて、すべてにおいて今民営化委員会で検討され、三月末までに意見具申がされるということであります。それを受けて総理が御判断をされる中で、私も意見をさせていただきたいと思っております。

筒井委員 そうすると、今は意見を言えないという今の答弁でしたね。

野田国務大臣 くどいようですが、私は所管、担当しておりません。さまざまな皆さんの意見を踏まえて三月末には民営化委員会の意見具申が本部長にありまして、そこでいろいろと検討がされるものだと思っております。

筒井委員 総理が言ったことについて、今、野田大臣は意見を言えないという答弁でした。

 それで、総理についてお聞きします。

 麻生総理、総理は前回の予算委員会で、解散にも反対でえらい騒ぎだったが、最終的には署名した、こう言っておられます。この署名をした理由として、その後の記者会見で、内閣の一員として当然だったというふうに答えておられますが、内閣の一員として当然だという理由から署名したということですか。

麻生内閣総理大臣 総務大臣というのは内閣の一員であります。内閣総理大臣の最終決定ということが出ましたので、内閣の一員であります総務大臣としてその詔書にサインしたというように御理解いただければと存じます。

筒井委員 そうすると、そのときに島村農水大臣はその署名を拒否して罷免されました。この島村農水大臣のやり方は、これは異常だったんですか。

麻生内閣総理大臣 異常、私は、異常というのは少々失礼かと思いますが、それぞれの政治家の自分なりの政治判断だったと思っておりますので、その島村先生の判断を異常などというような失礼なことを考えたことはありません。

筒井委員 内閣の一員として署名するのが当然だったと言われるから、それと反対は異常でしょう。だから、直接言葉として言っていなくても、総理が言っていることは異常だったということなんですよ。

 私は、逆に、島村農水大臣の方は当然のことだったと思いますよ。島村農水大臣は、自分の信念に基づいて、自分の考えに基づいて、それを一貫させたわけですよ。一貫させて署名を拒否したわけですよ。そっちの方が当然じゃないですか。麻生総理の方が、自分の考え、自分の信念を曲げてそして署名に応じた、政治家としては、この方が異常じゃないですか。

麻生内閣総理大臣 私は、人それぞれの考え方があろうかと思いますので、政治家として、そういう考えもあろう、私みたいな考え方もあろう。どちらが正常でどちらが異常だと、私は、内閣の一員としてサインをすべきだと。

 これまでの話は、いろいろずっと長い間討論を二人で、二人というのは、小泉総理を含めていろいろさせてきていただいた経緯がありますので、その経緯に基づいて最終的に自分で判断をさせていただいたということだと理解をいたしております。

筒井委員 そして同時に、麻生総理は、私は郵政民営化に反対だった、それがわかっていたから私だけ外された、竹中大臣が担当相になった、私にぬれぎぬをかぶせられると甚だ、私にじゃない、おれにだ、おれにぬれぎぬをかぶせられると甚だおもしろくない、こういう答弁もされております。もうわかっていた、反対だったと。

 この郵政民営化、当時の小泉民営化に対して反対だった理由は何でですか。その理由を述べてください。

麻生内閣総理大臣 基本的に、その当時どういう立場にいらしたか存じませんが、この郵政民営化の中に関しましては、財政投融資の話から始まって、長い長い話があります。これはもう本当に、小泉当時郵政大臣のころにさかのぼってのお話ですから、長い長い話があります。私どもはかなりの部分それを知っておりまして、いろいろな部分という点に関して多々問題があるという御意見もありましたし、いや、これはと。当時大いに意見が分かれたというのは、どの程度御存じかどうか存じませんけれども、当然のことだと思っております。

 したがいまして、私どもは、そういった部分を踏まえていきますと、郵政民営化をすれば確実に効率がよくなり利便性が上がり経営の効率が上がるかというようなことを考えていった場合、いろいろ問題点があるのではないか、また、オンラインシステムなどなど、いろいろまだ難しい問題があるのではないかというような意見も当時ありましたし、いろいろな意味で、今、時期尚早ではないかというようなことを申し上げた記憶があります。

 いずれにしても、私は反対ということを申し上げてきた立場の者が総務大臣ということになりましたので、郵政民営化担当は私ではありませんでしたけれども、少なくとも総務大臣という郵政業務の所管を預かる立場の大臣になりましたので、私はその中で、精いっぱい自分なりに、これが民営化された場合はいかに経営が効率化されて利便性がというようなことをいろいろ当時意見を具申したというのが私の立場であります。

 したがいまして、どこが問題点かといえば、先ほど申し上げましたように、利便性の話、利用者の利便性の話ですよ、利用者の利便性の話と経営というものをした場合の効率化の話、この二点についてはいろいろ問題点がある、したがって、あのときはたしか、見直しの規定というのは随分もめましたけれども、三年に一遍ですということを申し上げて、三年に一遍に最終的になったと記憶します。

筒井委員 そうすると、当時、反対で外された、その反対の理由は、利用者にとっての利便性がどうも悪くなる可能性もある、経営も効率性も必ずしもよくなるとは言えない、こういう理由から反対だった。まとめると、今の答弁はそういうことですか。

麻生内閣総理大臣 細目を挙げたらいろいろ出てくると思いますけれども、少なくとも、当時、いわゆる組合の話もありましたし、また特定郵便局の話もありました。いろいろありました。

 いろいろありましたけれども、民営化された以上という前提に立って考えた場合は、国民のというか利用する方の利便性、これが確実によくなるという問題点は確かかという点と、四分社化して皆それぞれちゃんと利益が出なければなりませんから、そういった意味で、利益が一部だけ出てあとの三社は出ないとかいうのではなく、それぞれ皆理由があってそれぞれの会社に所属することになりますので、そういう意味では、各会社に所属する人たちの給与、いろいろなことを考えたときに、そこに働く組合の人たち、もしくはそこに働く従業員の人たち、そういったことを考えていった場合に、これは間違いなく経営の効率化として正しいのかという点などなどは、今後実際にこれがスタートしてから起きてくる話ではないかというようなことも申し上げた記憶があります。

 いずれにしても、大別すれば利便性と経営の効率化、この二点について、毎年とは言いませんでしたけれども、何年かに一遍きちんとそれについてのチェック、検証をすべきだということを申し上げたと記憶しています。

筒井委員 私は、だから、反対の理由を今聞いていたんです。反対の理由が今言われました。

 その郵政民営化で解散された当時、小泉総裁の立場ですかは、当時の自民党の公認候補全員に、公認を出す条件として、誓約書に署名を求めました。

 その誓約書によれば、きょう配っているかな、まさにその中では……(発言する者あり)三年後の見直しなんて全く入っていません。そこでは、読んでみますが、ちょっと中略しますが、今後、党員として政権公約の実現に邁進いたします、特に郵政民営化に賛成し、小泉構造改革を支持します、自民党及び有権者に対して誓約するものであります、この誓約に違反した場合は政治家としての良心に基づき議員を辞職いたします、本誓約書が公表されても異議ありません。

 まず、この誓約書に麻生総理も署名されて公認を得られましたね。

麻生内閣総理大臣 知っていて聞いておられるんだと思いますが、時間も限られていると思いますので、私としては、サインをしていなければ公認にはならなかったわけですから、当然これにサインしておったということであります。

筒井委員 そうしますと、この郵政民営化に反対だった、ここでそう明確に答弁したこと自体、この誓約書に違反する。

 それともう一点、この小泉郵政民営化の核心、根幹、心臓部分というのは四分社化ですよ。四分社化がまさに根幹なんです。この四分社化を見直すというのは、この郵政民営化総体を見直すのとイコールなんですよ。

 この二点においてこの誓約書に違反するんではないですか。

麻生内閣総理大臣 全く見解を、もしくは、歪曲もしくは誤解をしておられるんだと存じます。

 少なくとも、我々としてあのとき問うたのは、郵政民営化で問いました。四分社化ですか三分社化ですかなんて問うたことはありませんよ。民営化で問うたんじゃないですか、民営化で。それで、我々はそのとおり民営化したわけですから。

 そして、我々としてはきちんとそのとおり民営化をさせていただいたということだと思いますので、その民営化の内容について見直すということに関しては規則に書いてありますので、法律に書いてある、ちょうど三年目が、ことしの三月で三年目だと理解しております。

筒井委員 確認しますが、小泉構造改革としての郵政民営化、この郵政民営化の根幹部分、心臓部分は四分社化ではないですか。これは単なる派生的な問題ですか。根幹であり、心臓部分であり、核心である。それは四分社化だ。これをやめるんだったら、これはもう郵政民営化、小泉郵政民営化の否定なんですよ。私たちはそれに賛成なんですよ。私たちは、四分社化はだめなんだ、これを見直さなきゃいかぬのだと。

 しかし、四分社化を完全に否定して見直さなきゃいかぬ、それは小泉構造改革の延長線上であるんだなんという、そんなあいまいな態度をとってやっていたら、そんな四分社化の見直しはできないですよ。明確にはっきり小泉構造改革路線と対決、対立するんだ、あの四分社化、分割・民営化は否定をして三事業の連携をきちんと図るんだ、そのことによって郵政の利便性も経営の効率性も上げていくんだ、これを明確に打ち出さない限り、そんな四分社化の見直しができるはずがないじゃないですか。

 だから、もう一度確認しますが、小泉郵政民営化の根幹部分、核心、心臓部分、これは四分社化ではないですか。

麻生内閣総理大臣 全く違うと思います。

 民営化かそのまま存続かで、あのときは争われたんだと存じます。

筒井委員 この問題は、まさに先ほど申し上げましたように、経営の効率性は四分社化によって悪くなっているし、利便性も悪くなっているし、地方を疲弊させている。だから、今のまさに景気対策としても、これは早急に見直さなければだめなんですよ。

 そして、今四分社化について何か派生的な問題みたいに言っていますが、根幹部分なんですよ。だから、根幹部分が間違いだから、多くの自民党議員の人も反対をして、今、国民新党に行っている人たちはその信念をまさに果たしたわけでしょう。そして、あるいは自民党を除名されたり離党を強要されたりして、まさにこの四分社化を根幹とした郵政民営化が間違いだという確信のもとに、その信念を貫き通したんですよ。

 民主党もまさにそうですよ。だから、この前の総選挙のときに、この四分社化を核心とする郵政民営化に反対をして、それでこの前の選挙で結果として仲間が死屍累々たる状況になって、今も落選中で苦労している。血のにじむような、そういう努力をしているわけですよ。四分社化が大した問題ではないとすれば、何でそんな除名とか離党とか、あるいは、中にはこの郵政民営化問題に賛成とか反対の問題でもって自殺した議員も出たでしょう。物すごい、みんな血のにじむ努力をしているんですよ。

 それを麻生さんの場合には、反対だったとあっけらかんと言いながら、しかし誓約書に簡単に署名して、それで公認をもらって、大臣の地位も守って、そして当選をしている。まさに物すごい、政策についての一貫性が全くない、信念に殉ずるという姿勢が全くない、それがはっきりしていると思うんですが、どうですか。

麻生内閣総理大臣 全く見解を異にしていると思います。

 私どもは、何回も申し上げます。最初から見直し規定というものがあります。三年以内の見直し規定というのが入っております。それについて我々は、その法律に書いてあるとおりに、ことしの三月を目指していろいろ検討委員会がなされております。法律に従ってそのとおりにやっておるというのが第一点です。

 そして、みんな、三年の規定があるから、やってみていろいろ問題があるんだったら検討すればいいじゃないかということがありましたから、多くの方々がこの問題については賛成をされて、あのとき投票を入れられた。私はそのとおり理解をいたしております。

 また、我々としては、少なくともこの問題に関して、多くの国会議員と同様に、私も閣僚として、やってみて、もしだめだったら改めるのにやぶさかでない、法律にそう書いてあるんだから、そのとおりやります。

 しかし、少なくとも、何回も申し上げますが、これは国営化か民営化か、もしくは現状か民営化かというので……(発言する者あり)しかし、我々としては、効率性を考えて、これは民営化というのが一つの方法ではないかという多くの御意見に合わせて民営化をしていったということでありまして、今見直すときに、民営化を国有化にしようなどと言う人は、あのときに反対票として青票を入れた方々の中でも、今国有化に戻そうと言われる方、少なくとも私の知っている範囲では一人もおられないと存じます。

筒井委員 四分社化、核心部分をそんなふうに、三年後に見直せばいいんだというふうに考えていたら、何であれだけの除名者が出て、離党が出て、刺客まで送り込まれたんですか。分割・民営化、これにどうしても信念から応ずるわけにいかないといって、みんな反対をしたわけでしょう。こっちだって、今、国営化せいなんて言っていないですよ。

 分割・民営化が、分割が一番の問題なんですよ。分割を、四分社化を見直さなきゃだめなんですよ。それが基本的な大きな問題なんですよ。四分社化を見直さなければいけない、今はもうそれが成立しちゃったから、一刻も早くやらなきゃいかぬ、総理は今はそう考えているということですか。

麻生内閣総理大臣 今は、三月めどになっておりますこの検討委員会において目下検討がされつつあるのか、今いろいろな議論がなされているんだと思いますが、私どもはそれを受けてどう判断するかという立場にあります。

 それが三分社化になるのか四分社化になるのか、それとももとに戻す、それはいろいろな意見があるんだと思いますが、基本は、何回も申し上げましたが、あのときは民営化で争ったんですから、その点が一番肝心なところだった、私はそう理解をいたしておりますので、ぜひその点で、今どう考えているのかといって、今私の段階で、いろいろな案があるんだ、一つの案として三分社化もあるんだし、ほかの意見もあるんだそうですが、私どもとしてその意見の一つを、私として聞いた範囲だけ申し上げただけなんですけれども。

 いずれにいたしましても、今はどう考えているかといえば、今は、先ほど何回も申し上げましたように、いかに利便性を高めるか、経営効率化をよくするか、この一点が一番の問題だと思っております。

筒井委員 そうすると、今答弁されましたが、当時は民営化に反対したんですか。四分割化、四社化に反対したんじゃなかったんですか。総理が、反対だ、そういうふうに答弁しているその反対は、それは民営化に反対したんですか、四分社化に反対したんですか、どっちですか。(発言する者あり)

麻生内閣総理大臣 これは雇用に関係があるんだと思って答弁しているので。

 私の反対の理由というものは、いろいろの問題というので、このときの問題は数々ありました。これをオンライン化して、果たして当時のITの技術でこれを全部カバーできるのかという話に始まり、いろいろありましたので、経営効率上多々問題があるのではないか、私どものあの時点における物事の考えの一番の基本はそれです。

筒井委員 さっきからやじで言っていますが、これはまさに経済対策の問題、地方の生活上の問題、これに大きな影響を与えるから、私、今質問しているんです。

 それで、今総理は私の質問に答えてはおりません。反対だったと言っているけれども、それは民営化に反対したんですか、四分社化に反対したんですか、どちらですか。

麻生内閣総理大臣 私は、あのとき、民営化することに関しては賛成をしておりました、民営化に関しまして。まず、これだけはっきりしておきましょう。

 ただ、少なくとも経営効率上多々問題がありはしませんか、これを現実問題やっていったときには。したがって、そういったときには民営化の話やら何やら、最終的には、民営化はのみます、ただし、その内容についてはいろいろあるんじゃないかという話は、総務大臣になってしばらくしてからいろいろ話をし、当時、総裁が生田さんだったと思いますが、生田総裁と何度となくこの話をさせていただいて……(筒井委員「いや、そんなの聞いていない」と呼ぶ)だって、自分で正直に答えて、その経緯をしゃべっているんだから。

 だから、そういう話を我々としてはきちんとした上で、民営化というのはわかりましたけれども、それの経営のやり方については、四分社化に限らず、いろいろ、今の時期ですか、こんなに早くやらなきゃいかぬものですか、もうちょっと時期がというようなことは何度となく申し上げたということだと記憶します。

筒井委員 そうすると、今、民営化には賛成だったという答弁でしたね。四分社化には賛成だったのか反対だったのか、これを答えてください。

麻生内閣総理大臣 私は、最初は、話を持ち込まれたときに、民営化に対してそんなに賛成だったわけではありません。私はこの問題にそんなに詳しくありませんでしたので。(筒井委員「詳しくなかった」と呼ぶ)詳しくなかったんです、私は全然、郵政相として。担当じゃありませんでしたから、全然詳しくなかったんです。

 しかし、これは最終的にやらないかぬというから、二年間かけてこれは勉強させていただいて、だんだん詳しくなって、そして、経営としてはこれは民営化というのがより効率がよくなるであろうということは、私なりに、うまく経営をやればできるだろうと思いました。ただ、その中に当たっては、当時のITの技術は今ほどじゃありませんから、そういったときにはネットワークの話やら何やらいろいろあった状況でしたので、私どもとしては、今の時期でしょうかとかいうことを含めていろいろ意見を申し上げたということを言っております。

筒井委員 全然答えていないんですよ。

 当時、郵政民営化に私は反対だったと。だから、それがわかっていたから外されたというふうに答弁しているんですよ。だけれども、きょう聞いたら、民営化には賛成だったと。

 では、どこに反対だったか、それを聞いているんですよ。

麻生内閣総理大臣 郵政民営化の話というのは長くやっておられましたので、その前の政務調査会長を二年半ほどしておりましたので、そのときから郵政民営化に関してはいろいろ意見を申し上げてきております。したがって、私が郵政民営化に直ちに全面的に賛成でないということは、任命された小泉総理自身が御存じだったと記憶をいたします。(筒井委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)だから、前提で私は採用を、採用というか言われたんだと理解をいたしております。したがいまして、私は郵政民営化ということになりましたときには反対ということが前提だったものですから、その上でお採りになったんだと。採用しております。したがって、民営化担当大臣が外されていたんだ、私はそう理解をしております。(発言する者あり)

 だからその意味で、それから二年間ありましたので、その間いろいろ、生田総裁初め多くの方々と話をし、組合の方とも何度となくお目にかからせていただきました。その結果、我々としてはそのお話をさせていただいたというように理解をしておるので、途中から意見が変わったって、私、郵政民営化に関しては最初から詳しいわけじゃなかったので反対というように、政調会長のときにそう思われているというのも、向こうがそう思っておられましたから、それで二年の間、私どもいろいろ話をさせていただいて、最終的に経営効率を考えて民営化がいいという結論を出したというのがそのときの……。

 ただ、その内容につきましては、いろいろ、もっとということを申し上げてきた、そう理解しています。

筒井委員 ますますわけがわからなくなってきた。

 郵政民営化に反対だったから、反対だとわかっていたから外されたと、先週そう答弁されたばかりなんです。だけれども、先ほどは民営化には賛成だったと言われる。では、一体何に反対だったんですか、それを明確に答えてくださいよ。

麻生内閣総理大臣 郵政民営化というものに賛成ではなかったということに関しましては、これは間違いなく政務調査会長のときからの経緯からして御存じだったと存じます。したがって、反対というように思っておられたと。思ってもおかしくない。

 しかし、先ほど申し上げましたように、二年の間にいろいろ多くの方々と話をさせていただいた結果、私としては、これは民営化して経営効率を上げられる可能性がある、こっちの方がいいかなというように二年の間に自分なりに判断をさせていただいたということだと思いますので、私は、その結果、最終的に民営化というものに賛成をした、内閣の一員として。別におかしくないんじゃありませんか。

筒井委員 いや、だから、何を言っているんですかね。これは重要な問題ですよ。郵政民営化に反対だったと言っていたけれども、きょうは民営化には賛成だったとまさに変わる。じゃ一体、反対だったのは何に反対だったのか、四分社化に反対だったのか、それを確認しているんですよ。

麻生内閣総理大臣 郵政民営化に賛成だった、二年の間に私が最終的に閣議でサインするのは、郵政民営化に賛成したから。

 二年の間にそれが、ぶれたという表現に使われたいのかもしれませんけれども、私は少なくとも、先ほど申し上げましたように、採用になりました、郵政民営化担当大臣というのではありませんでしたけれども、総務大臣として、総務大臣として。そのときは、言われたときには、郵政民営化に対しては、それまでずっと賛成の意見を述べていませんでしたから、政調会長として。いろいろ意見があったんだろうと思って、最初から違うと思った上で採用されていますから、私の場合は。それが二年の間に、自分なりに勉強させていただいて、最終的に民営化には賛成をしました。

 ただ、民営化の効率の問題について、さっきから言っているじゃないですか、経営効率の話とか利便性の話については多々考えるべきところがあるのではありませんかということを申し上げたんだと。そういうことです。

筒井委員 解散の詔書にサインするときにえらい騒ぎになった、こういうふうに言っていますよ。まさに、その解散されるその際まで明確に反対だった、そういうふうに前回も言っている。だけれども、きょうは民営化に賛成、民営化には賛成だったと言われるから、小泉郵政民営化のうちのどの部分に反対だったかを聞いているんですよ。それを、もう全く意味がわからなくなっているから確認しているんじゃないですか。利便性だとかあるいは効率性だとか、それがよくならなきゃいかぬと。どの点が利便性や効率性に疑問を持たせた点なのか、これを明確にしなきゃ、どこに一体反対だったのかわからないでしょう。

 前回は反対だった、今回は民営化に賛成だったと、きょう、こう言っている。どこに反対だったのか、何回も聞きますが、はっきり答えてください。

麻生内閣総理大臣 何回も申し上げますが、民営化に反対だった、間違いなく賛成ではなかった。(筒井委員「民営化に」と呼ぶ)民営化に賛成ではなかったんです、最初のときに。わかりますか。指名されたときは反対だったの。だから私は、民営化賛成という話ではなかった方の部類に入るわけ。しかし、二年の間にいろいろ勉強させてもらって……(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に、静粛にお願いします。

麻生内閣総理大臣 これは、郵政民営化というものは、経営のことを考えたら十分に、長期的なことを考えたら民営化した方がいいというように、最終的にそう思いました。

 ただし、ただし……(発言する者あり)同じこと言っているよ。ただし、解散のときに、今のこの原案というのがいろいろ当時言われていましたから、個別に。個別に、当時文書にはありませんでしたが、いろいろ二人で話すときが何回もありますから、そのときに話した内容の中で、この内容ではかなり問題が起きるのではありませんか、経営効率化の面からいって、給与に差が出てきやしませんか、もうかる会社ともうからない会社と出て給与に差が出てくることになりはしませんかというようなことを含めていろいろ申し上げて、私は、今のままの案ではいかがなものかということだったんですが、民営化か否かでということで言われましたので、民営化だったら、民営化ということには賛成ということで、あのとき最終的にサインをさせていただいたんだと思います。

 それは二年の間、自分なりに勉強して、民営化というものはそれなりに、やり方次第によっては十分に採算が合うことになり得る、そう思って、多分、多くの方がそれで賛成。もし問題があったら三年ごとに見直すというお話もありましたので、それが出されましたから、それならということはありましたということだと思います。

筒井委員 今のままの案ではいかがなものか、そう申し上げたと。だけれども、民営化には賛成と言われているんだから、今までの案でいかがなものかというのは、どの部分を指しているんですか。それを……(発言する者あり)ちょっと待ってください。

 それで、委員長、今、自民党席から物すごいやじですが、大体、もう早く次に進めというやじですが、この郵政民営化問題は、まさにあの国論を二分した、これをまさに最大の争点として、この前、解散・総選挙をやったんでしょう。物すごい重要な問題でしょう。自分たちが都合のいいときはそのために総選挙をやって、そして今、三百議席をそのおかげで持っている。それを今、その問題を明確にするために一生懸命質問していたら、もうやめろみたいな、そういうやじが自民党席からいっぱい来ている。これはまず、委員長、とめてください。

 そして、先ほどの……

衛藤委員長 諸君、質疑が聞き取れませんので、静粛にお願いいたします。

筒井委員 そして、麻生総理に対する質問に戻りますが、今の案ではいかがなものか、そう申し上げた。今の案ではいかがなものかというのは、どういう意味ですか。どの部分が効率性や利便性に障害になるというふうに考えられたんですか。

麻生内閣総理大臣 幾つもありますが、当時のインターネットの技術で同時にこれだけのものを処分できるかなどなど含めて、いろいろ申し上げたと存じます。

 その中の一つに、分社化をするという話を今盛んに例を引かれますが、分社化されたときにその四つの会社の社員の給料は今後とも均一になり得ますか、そういった点は問題なんじゃないですか、組合員は何十万とおられますが、たまたまそのときにいた会社によって給料に差がつくということは、それがうまく、経営の効率、一体化ということを考えたときには、それは配慮されてしかるべきじゃないですかというようなことを含めて申し上げたということです。

筒井委員 四分社化したら給料の均一性の方で問題が起こってくるのではないか。さっきの、四分社化したら利便性も悪くなるのではないか、四分社化したら経営の効率性も悪くなるのではないか、こういう趣旨での反対だったということですか、今の答弁は。

麻生内閣総理大臣 民営化をされた場合、起き得る可能性、起き得る難しさ、そういったものに関して私なりの意見を申し上げて、その中の意見として今申し上げた点があったということだということです。

筒井委員 総理、逃げないでくださいね。私は先ほどから言っていますが、郵政民営化に反対だったから外された、私にぬれぎぬをかぶせるな、こう明確に言われた。しかし今、民営化については賛成だったと言われるから、では、一体どの部分なんだと。四分社化に対して反対だった、こういう趣旨しかないでしょうという質問なんですよ。

麻生内閣総理大臣 時系列の話をよく理解した上で聞いておられるんだと思いますが、少なくとも、政調会長のときの経緯からいって賛成ではなかった。はっきりしております。その上で、その二年の間に私どもいろいろ話をさせていただいて、最終的に民営化ということに関しては、私はそれをのんだ上での話だというように……(発言する者あり)だから、二年の間の変化の話をある程度時系列で考えていただかぬといかぬのだと思います。

筒井委員 私が先ほどから、きのう、この前も聞いているのは、解散の際のことを聞いているんです。時系列で、何年かの間に考えが変わったとか何か聞いているんじゃないんです。解散の際に、解散の詔書にサインすることを総理が拒否してえらい騒ぎになった。自分で言ったんですよ。しかし、それも、自分の考えを曲げて結局サインしたんですよ。だから、罷免されなかったんですよ。

 解散の際に郵政民営化にも反対だった、前回そう言った。ところが、きょうは民営化については賛成だったと言われるから、何回もしつこく聞いていますが、では、反対だったというのはどの部分なんだと。先ほどからの答弁を聞くと、給料の均一性、それから利便性、経営の効率性、これからいって、四分社化をするとそれらの点に問題が起こってくるから、そこに反対だった、こういう趣旨のことをどうも言っているようなので、そのことを確認しているんです。

麻生内閣総理大臣 違うと思います。

 基本的に、民営化の中に、三分社化もありました、いろいろ会社のやり方を分けたんです。東西に分けるとか、当時いろいろあったんだ、あの中には。三分社化もありました、四分社化もありました、東西に分ける案もあった。そういったいろいろな意見がある中で、私どもは、まだこの話は、民営化ということは賛成ですよ、最終的に。ただ、その内容については多々疑念があるというので、今のこのままの原案でやられるのはいかがなものかと言われたら、三年後の見直しというお話があったから。多分、多くの方がそうだと思っております。

筒井委員 まさに全然おかしな、逃げた答弁ですが、前回からぶれてしまったことははっきりさせましたので、きょうは時間が来ましたので、ここで終わります。

衛藤委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申し出があります。中川正春君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 川内でございます。よろしくお願いいたします。

 百年に一度の経済危機である。昨日、テレビの番組では、与謝野大臣はワイズスペンディング、予算の賢い使い方が必要であるということも発言をされていらっしゃいます。そこで、政府の予算案が本当に賢い使い方になっているのか否かということを、お時間いただきましたので、議論をさせていただこうと思いますが、その前に緊急保証。

 二階大臣には大変御努力をいただいて、緊急保証の枠を拡大し、中小零細企業の資金繰りに役立てていただこうということで頑張っていただいているわけでございますが、ちょっとパネルを見ていただきたいと思います。先生方にはお手持ちの資料の一枚目を見ていただきたいのでございます。

 この緊急保証の制度には業種指定というものがございます。産業分類番号、全千二百六十九業種のうち、昨年十月三十一日以降、二度拡大をされておりますが、それでも六百九十八業種でございます。昨年十二月の企業倒産件数も過去最高を記録し、そしてまた負債総額もどんどんふえ続けている。

 総理、他の諸国に比べれば大したことはないと総理はおっしゃるかもしれませんが、今、日本に生活をしている、あるいは日本で経済活動をしている中小企業の経営者の皆さんや生活者の皆さんは、アメリカと比べてどうだろうかとかヨーロッパと比べてどうだろうかとか、そんなことは考えないんです。

 きのう、私がきょうの予算委員会の準備のために自宅の外に出ましたら、五十七歳の男性の方が、仕事を首になった、住む家もない、何とかしてくださいということで、家の前に私を待っていらっしゃいました。これは今までなかったです。タクシーに乗っても、こんなに売り上げが落ちたことは今までなかった、今までも少なかったけれども、大変な状況になっているんだというふうに皆さんおっしゃいます。

 そういう状況の中で、中小零細企業の皆さん方にどう資金を供給していくかということは、政府としても百年に一度の対策をとらなければいけないわけでございますが、今見ていただいているとおり、千二百六十九業種のうち六百九十八業種が指定をされている。その指定を受けなければ緊急保証が受けられないわけですね。ところが、農林水産業とか医療福祉とか教育とか、経済産業省所管以外の業種では業種の指定が受けられていない。すなわち、各省の縦割りで、農林水産業については農水省がやるからというようなことで抜け落ちているわけです。

 ところが、この前、私が地元の養殖業をやっていらっしゃる方々と話をしましたら、漁協も既にあっぷあっぷで、漁協に申し込んでも全然お金が出てこない。しかも、養殖の場合は、魚が育つまで一年、二年、三年、時間がかかるわけですね。その間ずっと、毎月えさ代がかかるわけです。出荷して初めてお金が入ってくる。その間、今の時点ではお金が全然出ない。そうすると、魚がちっちゃいうちに、魚が細っているうちに出荷しなければならなくなる、あるいは安くで買いたたかれるということになる。これはもうどうしようもないという状況に追い込まれつつあるということなんでございます。

 ぜひ、これは百年に一度の危機なんですから、百年に一度の危機には百年に一度の対応をしていただく。すなわち、千二百六十九業種のうち、大企業が分類されている業種を除いてほとんどすべての業種、九百業種ぐらいあるわけですけれども、業種指定を、この際、大企業を除くすべての業種ということで拡大すべきじゃないか。

 大体、このタイトルも、原材料価格高騰対応等緊急保証制度と、去年の八月のときですけれども、今は原材料価格高騰対応じゃないわけですよ。今はもう百年に一度の危機対応じゃなければならないわけで、これは二階大臣、ぜひ、大企業を除くすべての業種に緊急保証を拡大する、省庁の枠を乗り越えるという御答弁をしていただければ、全国の中小零細企業が大変に喜ぶというふうに思いますが、どうですか。

二階国務大臣 川内議員はたびたび、農林水産業やあるいは介護事業等を入れてはどうかという御提言をいただいております。

 我々は、その都度、そのことにも耳を傾け、検討しておりますが、全業種を対象とした場合のことを考えますと、新しい業種、業態の事業を十分チェックすることなくてこれを何でも対象にするということに関しては、やはり考えなくてはならない。そして、既に対象となっております先ほど御指摘の業種に対して、これを継続的に私たちはチェックしていかなくてはならない。

 我々の指定した業種の中で、二けたの数字で、一件も保証を申し込みにおいでにならない業種も実際はあるわけです。私は、こういう場所で、どういう業種だ、どういう業種だと公表することは適当ではないと思うんです。そして、今のように、もっと新しく拡大したらどうか、こういう御意見でありますが、これらに対しても、なぜできないんだということを一生懸命説明すること自体がそういう業種に対していろいろ影響を及ぼすものですから、できるだけ慎重にやっておるわけであります。

 例えば、農林水産業の場合であります。これは議員も御承知のように、農業というのは、季節的ないわゆる収益性、そして担保評価にいたしても特殊であります。これは、経済産業省の者あるいはその出先が審査をするといったって、田んぼの評価を経済産業省が評価するよりも、農林水産省の御専門の知見に基づいて対応するということが適当でありますし、既に農林水産業におきましては、農業信用基金協会などといって、それを専門に保証する、いわゆる借り手にとっても利益になるような団体が存在しておるわけですから、私は、それはそこでやったらいいんじゃないかと。

 これは、縦割りだ横割りだというような、そんな単純なことで我々が判断しているんではなくて、それの方がより借り手にとっては優遇できるんではないか。しかも、御意見を十分聞いてあげることができるんではないか。

 ウナギの養殖の話だって当然ありました。ありますが、それは水産庁を持っておる農林関係がこのことを担当するのが適切ではないかというふうに考えておるところでありますが、たびたびの御意見をいただいておりますから、我々は、農林水産省あるいはまた舛添大臣のところともよく相談して、介護の問題等について行き届くことができるように、どうすればいいか考えてみたいと思います。

川内委員 ぜひ考えていただきたいと思います。

 総理、業種の指定というのは、百年に一度の危機に対応するために全業種を指定する、個別の融資については、保証協会が審査をし、あるいは金融機関が審査をするという対応がとれるわけでございますからね。

 昨年の九月以降、がけを落ちるような景気の悪化、急速に悪化しているという日銀の発表もあるし、内閣府だってそういう判断をしていらっしゃるわけですから、この急激に短期間に悪化している状況の中では、百年に一度の危機の対応ということでは、私は、全業種を指定し、個別の審査については保証協会やあるいは金融機関がそれを担当するという対応が正しい対応ではないかというふうに思いますが、総理、どう思われますか。

麻生内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、私は、ヨーロッパや欧米に比べて日本がということを申し上げておりますが、日本自体だけを、外を見ないでここだけ見れば物すごく大変、去年に比べて、おととしより今の方が大変、はっきりしています。当然のこととして、カーブの落下速度はけたが違いますから、角度が全く違いますので、そういった意味では、百年に一度という表現も決してあながちうそではないほど、これだけ急激に、過去、不況線の下降カーブがこれだけ鋭角に落ちたことはありません。

 したがって、そういった意味では、今急激に枠を経産省がやっておる最中なんですが、小規模企業のいわゆる資金繰りに関して、一般保証とか、また、セーフティーネットの貸し付けが基本なんですが、これらは対象基準を限定していないのはもう御存じのとおりです。これは全然限定していませんから。

 その上で、緊急保証制度というものは、業種全般の業況が悪化しているという企業に保証協会の一〇〇%保証で重点的に行っているというものであります。今、六百九十八業種と言われておりますけれども、それで全国約四百二十万社のうちの約三百十四万社をカバーしているということになりますので、大体八割ぐらいの企業はこれでかなりカバーをされておるというのも事実です。

 ただ、今言われましたように、介護事業とか農林事業とか言われても、いきなり例えば金融業とか言われても、経産省としてはそれを審査するいわゆる目がない、目がないというか審査能力がない。そういった意味で、ほかの制度がありますので、そちらの方と連絡をとりながらということにするのが現実的ではないかな、私もそう思います。

川内委員 農水省とかあるいは厚労省とかのそれぞれの独自の制度もあるということでございますけれども、そこでなかなからちが明かないから、そういうお会社の方たちが、緊急保証何とかならないだろうかという御相談があるんだということを、ぜひ二階大臣、御認識をいただいて、農水省やあるいは厚労省と御相談をいただきたいというふうに思います。

 そこで、日本郵政に提案をさせていただきたいと思いますが、現下の危機的経済情勢によって地域の金融機関も相当傷んでおるようでございます。さらに、この間、地方の金融機関の預貸比率は低下をしている、中小零細企業への貸出比率は低下をしている、そしてまた、貸出額も減っているという状況の中で、地域の経済あるいは地域の金融状況というものをしっかりとサポートしていくためにも、私は、日本郵政が政府の保証枠を使って地域経済に貢献をしていくというのは、ぜひとも考えなければならないことではないかというふうに思っておりますし、また、日本郵政にとりましても、融資のトレーニングということになろうかというふうに考えておりますけれども、日本郵政として、可及的速やかに、政府保証とマッチングさせた地域の中小零細企業への融資業務へ進出するということをぜひ御検討いただきたいと思いますが、どうでしょうか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行といたしましては、現在政府が取り組んでおられます経済の活性化、金融の円滑化という課題に対しましても、積極的に貢献していきたいと考えているところでございます。

 ただ、緊急の対応といたしましては、システム面、人員面での対応等の課題もございますので、その他の手段、例えば商工中金の金融債の購入やシンジケートローンの活用などを含めまして、幅広く検討していきたいと考えております。

 御指摘の信用保証制度の活用につきましては、制度の内容等を研究しつつ、関係御当局ともよく御相談しながら、実行可能性について考えてまいりたいと存じているところでございます。

川内委員 実行可能性について検討していきたいと。私は、可及的速やかにという言葉をつけてもらいたいんですけれども、どうですか。可及的速やかに。かんぽの宿の売却は可及的速やかにちゃっちゃかちゃっちゃかやっておいて、本当に大事なことを可及的速やかにやれないようじゃだめでしょう。どうですか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 中小企業融資につきましては、将来これを実施してまいりたいと考えているところでございますので、しっかりと準備をしていきたいと考えております。

 ただ、緊急の対応につきましては、先ほどのような問題点もございます。ただ、御指摘もございますので、実行可能性についてしっかりと考えてまいりたいと考えております。

川内委員 何かすごい、役所みたいな人ですけれども。

 それでは、かんぽの宿について、この際日本郵政に質問させていただきます。

 先週の金曜日、二月六日の本委員会での答弁で、日本郵政の西川社長は、昨年十月三十一日の最終締め切りまでに三社のうち一社が辞退をした、十一月二十日に世田谷レクセンターを除外したというふうに御答弁になっていらっしゃるわけでございますけれども、この三社というのは、きょう、何か報道でも、オリックス、それからホテルマネージメントインターナショナルという会社、それから住友不動産、この三社だと。辞退したのは住友不動産だというふうに報道で出ておりますけれども、それが事実かどうか。

 さらに、十一月二十日にレクセンターが外れるということを通知したということでございますけれども、三社に、それぞれに通知した日が十一月二十日なのか。

 さらには、オリックスともう一社が最終的に金額を提示したのはいつなのか。レクセンターが外れましたよという後、最終的に金額が提示されたのはいつなのかということを教えていただきたいと思います。

衛藤委員長 時間が来ますので、簡潔にお答えください。

米澤参考人 先生の御質問にお答えする前に、去る六日金曜日、弊社の西川が、原口委員の、指定単の割合がどれくらいかという御質問に対しまして、ゆうちょ銀行が委託している資金残高は約千四百億円でございますが、これは指定単独運用金銭信託というものでございますと、また、かんぽ生命の委託は約六千三百億円で、これがいわゆる指定単と御答弁申し上げましたが、指定単独運用金銭信託、いわゆる指定単は誤りで、特定金銭信託が正答でございます。

 また、同じく保坂委員の、世田谷レクセンターを外したが御報告しますというお知らせをしているのかとの御質問に対しまして、このレクセンターを外すと申し上げたのは、その三社に対し申し上げたと御答弁申し上げましたが、三社は誤りで、二社が正答でございますので、おわびして訂正させていただきたいと存じます。

 御質問でございますけれども、今ほど申し上げましたけれども、最後に残った二社に対しましては十一月二十日に通知をいたしました。既に辞退いたしました一社につきましては通知をしておりませんでした。申しわけございませんでした。

 それから、お尋ねの、最後辞退した一社というのは住友不動産でございます。

 それから、いつかということでございますけれども、本件は一般的な事業譲渡の進め方と同様の進め方で進めてきたわけでございますけれども、二社に対しまして、十一月二十日に、世田谷レクセンターを外すこと、譲渡価格をより引き上げることを求めたものでございます。その結果、十二月三日にオリックス不動産から新たな提示を受けたところでございます。残る一社については、お願いをしていたわけでございますけれども、新たな提示をいただけなかったところでございます。

 以上でございます。(発言する者あり)

川内委員 今、総務大臣が、今のは怪しいなという御発言があったわけですが、総務大臣、どの部分が怪しいのか、ちょっと御答弁いただけますか。

鳩山国務大臣 私も不正確なことを言うべきではないから。ですが、やはり大体入札であるかどうかがはっきりしない。入札と言ってみたり、何か提案のコンペみたいな話だったり。正直言って、私は、だから法に基づく報告徴求というのをしているので、入れ札を見せなさい、入札という言葉を使っていいかどうかわからないけれども、一次でも二次でも入札の札を見せなさいと言って今報告徴求しているわけで、これは十六日までには出てくると思いますから。

 だから、提示がなかったとかわけのわからないことを言いますが、競争するなら両方提示がそろわなければ競争ではありませんから。

川内委員 午前の部はこれで終わりますので、午後また日本郵政に残っていただいて、もうちょっと引き続き聞かせていただきます。

 どうも、終わります。

衛藤委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 中央公聴会の日程につきまして、本朝、私が若干判断を急ぎ過ぎた面があったと思います。御容赦を願いたく存じます。

 午前に引き続き、景気・雇用についての集中審議を行います。

 質疑を続行いたします。川内博史君。

川内委員 午前中に引き続き、よろしくお願いをいたします。

 まず、午前中の積み残しの部分を若干やらせていただきたいと思いますけれども、政府の緊急保証つきの融資を、日本郵政、ゆうちょ銀行が融資のトレーニングを兼ねて、そしてまた地域経済の活性化あるいは地域金融の活発化のためにも取り組むべきであるということを申し上げましたらば、日本郵政の方からは、実行可能性についてしっかりと考えると。実行可能性について考えるということで、生ぬるいな、地域に喜ばれる郵政であるためには、しっかりと検討をし、取り組むという御発言がなければならないはずであるというふうに思いますが、監督官庁として、総務大臣の前向きな御答弁をいただきたいというふうに思います。

鳩山国務大臣 私は、郵便という郵政の歴史とか文化というのがとても大事だと思っておりまして、郵便局長さんたちというのは、地域の共同体、とりわけ心のつながり、ゲマインシャフトの中心におられた方々が多い。そうしますと、地域、地元の中小企業については、その実情も、あるいは厳しい状況も一番よくおわかりな方々ではないか。そういう前提で、郵便局がゆうちょ銀行の代理業務をいたすわけでございますから、地域のことがよくわかっているゆうちょ銀行が中小企業に対する融資をやる、一〇〇%の信用保証ということにタッチするということは非常に意義深いことだというふうに思っております。

 これは、移行期間中は総務大臣と金融庁、これは本当は総理大臣なんですけれども、両方の認可が要るということになっております。それからまた、郵政民営化委員会の意見も聞かなければならない、こう思っておりますが、私は、かんぽの宿の売却の方は認可はしない方向でございますが、こっちの方は認可できるような状況になってもらいたいと願っております。

川内委員 かんぽの宿は認可しないが、絶対認可しないが、絶対とは言わなかったけれども、融資については認可できるようになってほしいということですから、これは前向きにぜひとも取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 さらに、かんぽの宿についてもう一点確認をさせていただきますが、十月三十一日にオリックスさんとホテルマネージメントインターナショナルさんから金額の提示があった、これはレクセンターを含む金額の提示である、八十施設である。そして、十二月三日に、レクセンターを外して七十九施設について最終的な金額の提示がオリックスからあった、ホテルマネージメントインターナショナルは金額の提示をしなかったというふうにおっしゃいました、午前中。

 そこでお尋ねいたしますが、私どもは七十九施設で百九億円というふうに思っておりましたが、それでは、十月三十一日にオリックスさんから提示をされた八十施設の金額は幾らだったんですか。

米澤参考人 お答え申し上げます。

 十二月三日にオリックスから提示を受けましたのは、事業評価額百十九億四千万円。これと、負債の方の引き継ぎというのがございます。これが、BS調整額とも申しておりますけれども、それが十億五千四百万円でございます。差し引きまして、百八億八千六百万円でございます。

 一方、今お尋ねがございました十月三十一日の提示額でございますけれども、事業評価額が百二十五億円、負債の引き継ぎが十九億七千八百万円、この負債の金額につきましては、昨年の三月末のBS、そこの中から引き継ぐべき流動資産と流動負債の差額でございます。これはマイナスになります。これを差し引きますと、百五億二千二百万円と相なります。

 以上でございます。

川内委員 世田谷レクセンターという七千五百坪の東京の一等地を含んで百五億円、評価額が。そこを外すと百九億円に、四億円値段が上がったということを、今、日本郵政から御答弁があったわけでございますが、これはますますなぞが深まった。いよいよこれはしっかりと解明をしていかなければならぬ問題であろうというふうに思います。

 それでは、引き続いて次のテーマに移らせていただきますが、総理、二十一年度の予算案は、私は、資源の最適配分をしなければならない予算であろうというふうに思います。有効需要をしっかりと創出していくということでございまして、これは総理が行政支出総点検会議から報告を受け取っていらっしゃる。この報告にも、「日本経済に対する不安感が高まる今日、選択と集中を図ることにより強い日本をつくることが求められている。不適切な支出を是正し、行政全般に対する国民の信頼回復を図る」、さらに、「多額の不用が発生した事業については、精査の上で、事業の廃止・予算額の縮減等をするべきである。」というふうに提言を受けていらっしゃる。

 この報告を踏まえて二十一年度予算案が編成をされているわけでございまして、中川財務大臣からは、歳出歳入の両面にわたって最大限の努力をしたんだというお話もあったわけでございますが、そこで、では、平成二十一年度予算案を編成するに当たって、内閣府の経済財政担当のセクションで、マクロではなくて、どの分野にどういう投資をしたら乗数効果が高いんだ、あるいは雇用創出効果が高いのであるというような調査あるいは研究をした成果物というものが、内閣府として、経済財政担当としてあるかということを教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えいたします。

 経済社会総合研究所の短期日本経済マクロ……(川内委員「手短に」と呼ぶ)はい。内閣府で持っております経済研究所のモデルにおきましては、政府の公共投資や所得税の減税等の効果について乗数を公表してきたところであります。

 ただし、このモデルでは、政府支出につきまして医療や教育といった各分野の仕分けをしていませんことから、政府支出の内訳ごとの乗数効果を示すことは困難ということになっております。

川内委員 そういう乗数効果や雇用創出効果について研究をされたことがないと。

 私は、政府として選択と集中を図るんだ、あるいは最大の有効需要を効果的に創出していくのだということであれば、どの分野への投資が最も乗数効果があり、雇用創出効果があるのだということを、各省が我田引水的に研究をするのではなくて、やはり内閣府の経済財政担当の分野がそれをしっかりと研究すべきであるというふうに思いますが、与謝野大臣の御見解をいただきたいと思います。私どもが政権をとったときに使いますから、ぜひ今から始めておいてください。

与謝野国務大臣 現時点では、いろいろな特定の分野についての乗数効果については発表しておりますけれども、さらに細かい案件に関する乗数効果を判定するのは技術的に大変難しいというふうに聞いております。

川内委員 難しいからやりませんとかできませんとかではなくて、政府として、百年に一度の危機にいかに、きのう与謝野大臣もテレビで、有効需要を創出するんだ、ワイズスペンディングが大事なんだということを繰り返しおっしゃっていらっしゃったわけで、どの分野に投資することが最もGDPに反映していくのかというのは、これは研究としてやらなければならないことであるというふうに思います。

 私がなぜこういうことを申し上げるかというと、先生方のお手持ちの資料でいうと二ページを見ていただきたいんです。これは財務省におつくりをいただいた資料でございますけれども、国の一般会計あるいは特別会計、そしてまた政府関係機関予算の平成十八年度、十九年度における不用額、要するに、天下りをたくさんしました、あるいは無駄遣いもしました、それでも予算を使い切れずに残った金額がこの不用額である。平成十八年度が十二兆八千三百五十億、平成十九年度が十三兆一千四百八十五億、不用額が生じている。

 使い切れなかった、残りましたというのがこの不用額でございますが、財務大臣、これでよろしいですか。

中川国務大臣 私の持っている数字と同じでございます。

川内委員 要するに、これだけ当初予算を組んだけれども、使えずに残りましたと。使わずに残ったんじゃないんですよ、使えずに残ったんですね。

 そこで、ちょっと教えていただきますが、行政支出総点検会議の指摘ではどういうふうに出ているかというと、不用が出た事業については事業を廃止あるいは縮減すべきであるというふうに書いてございます。

 そこで、お尋ねいたしますが、平成十八年、十九年、二カ年続けて五十億円以上の不用が生じた事業の数というものが幾つあるかを教えていただきたいと思います。

中川国務大臣 一般会計及び特別会計におきまして、十八年度及び十九年度の二年連続して五十億円以上の不用が生じている事業は、一般会計では十九項、特別会計では四十六項。これを単純計算いたしますと、ダブりはございますけれども、六十五項でございます。

川内委員 その六十五項の事業のうち、行政支出総点検会議の指摘どおりに廃止した事業というのは、廃止した項というのは幾つございますか。

中川国務大臣 項としては、この指摘を受けて廃止したものはないということでございます。

川内委員 私は、総理、こういう予算を余らせてしまうということではなくて、今百年に一度の危機であれば、何がどう余ったのかということを、それこそこの会議が指摘しているように、予算が余ったものについては削って、それを例えば介護であるとか医療であるとか環境であるとか、そういうところに集中的に投資をする。そしてまた、投資をするに当たっては、内閣府が、経済財政担当の分野が、どの分野が乗数効果が高いのか、雇用創出効果が高いのかということをしっかりと研究した上で戦略的に投資をしていく姿勢というものが、最大限の努力という言葉の裏返しではないかというふうに思いますが、全くここまでの議論ではそういうことがやられていないということがはっきりしたわけです。

 財務大臣、歳出歳入において最大限の努力をしたとおっしゃっていらっしゃるわけですが、これが最大限の努力なんですか。

中川国務大臣 もちろん、行政支出総点検会議の御指摘も踏まえて予算編成をさせていただきました。

 ただ、これは川内委員も御存じだと思いますけれども、約十三兆円のうちの大半は国債費、予備費、外為特会の利払い費等の外的要因によって左右されるものについての不用、あるいは社会保障関係費の見込みを下回ったことによる不用、あるいは財投特会の貸し出しが見込みを下回ったことによる不用等々で八割ほど占めているわけでございます。

 いずれにしても、行政支出総点検会議の御指摘も踏まえて、本当にぎりぎりの予算、そしてまた歳出を適正かつ効率的に使用して、こういうような点検会議の御指摘をしっかり踏まえて予算編成をしていかなければならないというふうに考えております。

川内委員 財務大臣、いろいろ言いわけはあると思うんですけれども、最大限の努力をしたんですかと。

 要するに、政府は、私どももそうですけれども、百年に一度の危機だ、これは大変な状況だとみんなが思っているわけですね。そういう中で、何にどのように投資をすることが最も国民の皆様方の雇用を支え、仕事を支えるのか、生活を支えるのかということについてしっかりとまず研究があり、その研究の成果に基づいて投資をするということがなければ、ただ、こうじゃないかなと思ったからこういう予算を組みましたというのでは、全くこれは有効需要を創出することにつながらないから私は申し上げているわけで、今、現に提案されている平成二十一年度の予算案では、そういう手続あるいは努力というものがなされていませんね、だから、最大限の努力というには不足をしているのではないかということを申し上げているわけですけれども、最大限の努力をしたんですか。

中川国務大臣 これは百年に一度と言われる中での二十一年度の予算編成に限らず、常日ごろ、国民の税金を有効に使うということは当たり前のことでございまして、そういう中で、とりわけ会議からの御指摘については重く受けとめなければいけないと思っております。

 そういう中で、百年に一度だからこそ、必要な対策として、生活あるいは雇用、地方対策あるいは中小企業といった例の三段ロケットというものが、これは効果として非常に重要だという判断をして、だからじゃぶじゃぶ使っていいというものでは決してございませんけれども、しかし、それが今のこの景気対策等々に効果があるということで編成をさせていただいたわけでございます。

川内委員 先ほども財務大臣が御答弁されたとおり、行政支出総点検会議から指摘を受けて廃止された項はありませんと。大体毎年十二兆から十三兆円、不用額が出ています。平成二十一年度の予算案も、大体同じような要求額で予算が編成されているわけですね、もちろんシーリングでカットはされているけれども。しかし、結局これだけ余るのであれば、もうちょっと工夫をすればもっと有効需要を創出できる予算案になったのではないかというのが私の問題意識でございます。私どもが予算を組むとすれば、こんな不用額が生じるような予算案には恐らくしない、絶対にしないということになろうかというふうに思います。

 ただ、この問題については今後またこの予算委員会の中でしっかりと、真水で十二兆、事業規模で七十五兆、金額さえ積めば景気対策になるのかというと、私はそうじゃないと思いますよ。金額の中の中身、何が有効需要の創出につながるのかということをしっかりと吟味しなければならない。もちろん政府としても、雇用対策や生活対策をやっているとおっしゃるけれども、それ以上に、これだけ不用額が出るのであれば、まだまだ雇用対策や介護対策、医療対策に積み増すことができたのではないかというのが問題意識です。

 きょうはそこまで申し上げておいて、次の話題に移らせていただきたいというふうに思います。

 麻生総理、私は昨年十二月に鹿児島市内のハローワークに行きまして、総理も十二月、渋谷のハローワークに行かれた。先日、御感想をお聞きしたら、パソコンの求人検索画面が明るくなっていたというふうにおっしゃられたわけでございますが、実は、ハローワークの求人検索画面は、フルタイムとパートタイム、この二つしかクリックする項目がないわけでございまして、正社員という項目がないんですね。正社員というのがないなということに、総理、お気づきになられましたか。

麻生内閣総理大臣 あのとき、明るくなっているな、タッチパネルになっているな、字が大きくなっているなというのが率直な感想で、フルタイムとパートタイムとあって、正社員の項目があったかどうかということに関しては記憶はありません。

川内委員 総理は、昨年十月の衆議院本会議の答弁で、「正社員化を行う中小企業への助成の拡充」というところで正社員という言葉をお使いになられたわけでございまして、総理がお考えになられる正社員とはこういうものだということをちょっと教えていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 正社員の概念と言われるとあれですけれども、正社員というものは、常用雇用と言われるとか、いろいろな表現はあるんだと思いますが、少なくとも、正社員というものは、その会社に属し、雇用形態がきちんとした、労働基準法に基づいてきちんとそこの会社に所属し給与が支払われる等々、いわゆる正式にそこに会社の社員として正式雇用されている人、難しく言ってもまあそういうような、いろいろな言い方はあるんだと思いますけれども、きちんとその会社に正式に採用されている人ということだと理解しております。

川内委員 就業規則に定められた所定労働時間をフルタイムで働き、かつ、定年まで期間の定めのない、そして、社会保険がしっかりと完備した労働契約で働く社員を正社員というふうに呼びたいなと思うわけですけれども、総理、どうでしょうか。

麻生内閣総理大臣 基本的に、期間の定めのない、フルタイムで雇用されている労働者であるということはそこまでは正しい、私もそう思っておりますが、この正社員につきましても、期間の定めがなくて、いわゆる所定労働時間が同じ事業所で働く通常の労働者で、ある程度同じ程度の方であっても正社員じゃないという場合がありますので、私自身としては、雇用のあり方としては、きちんとした、今申し上げたような形で、期間の定めなくフルタイムでというものが望ましいというときに私は正社員とか常用雇用とかいう言葉を使わせていただいたと記憶します。

川内委員 期間の定めのない、フルタイムで働く労働者。

 では、今回、派遣切りされた人たちも、あるいは雇いどめに遭われた方々も、正社員で働きたいんだ、正社員になりたいということをおっしゃる方々はたくさんいらっしゃるわけですが、今、非正規雇用がどんどんふえて、だって、ハローワークへ行っても正社員という項目がないわけですから非正規雇用もふえていくでしょうけれども、では、非正規雇用千七百万人のうち、どのくらいの人たちが本当は正社員で働きたいんだというふうに思っていらっしゃるかということについて、舛添大臣に教えていただきたいと思います。

舛添国務大臣 平成十九年の調査ですが、まず、正社員以外の労働者のうちに、今後の働き方として、ほかの就業形態にかわりたいとしている人が三〇・六%、その中で、ではどういう形態がいいかといったら、正社員と希望した人が九〇・九%。それから、派遣労働者については、ほかの就業形態にかわりたいという人が五一・六%、その五一・六%の中身で、正社員を希望する人が九一・九%。これが数字でございます。

川内委員 それを単純に人数に引き直すことはなかなか難しいでしょうが、非正規雇用千七百万人のうち、今おっしゃられた、三〇・六%のうち九一%が正社員になりたいと思っている。派遣社員の五一・六%のうち九一・九%が正社員になりたいと思っている。これは具体的に、人数でいうと大体何人ぐらいが正社員になりたいというふうに考えていらっしゃるか。

舛添国務大臣 単純に計算すると、五、六百万人という数字が出ますでしょうか、千七百万人を基盤にすれば。そんな感じだと思います。

川内委員 舛添大臣、私は、ハローワークというのは働く人たちのための施設である、雇用対策法や職業安定法というのも働く人たちのための法律である、安定した雇用の機会を確保していくというのはこれからの政府の大きな、これまでもそうだし、これからも大きな役目であろうというふうに思いますが、しかし、働く人たちのための施設のハローワークがフルタイムとパートタイムの二つしかない。

 それで、私、実際に自分でずっと検索してみましたけれども、最後まで正社員というのは出てこないんですよ。正社員になりたいなと思って行っても、これは委員の先生方のお手持ちの資料には全部検索画面をつけておりますけれども、どこまで行っても正社員というのは出てこない。最後、会社が出した求人票の画面になって、片隅にちっちゃく、契約とか期間とか、あるいは派遣とか正社員とかちっちゃく書いてあるということで、正社員になりたい、正社員で安定して働きたいんだと思っていらっしゃる労働者の皆様方にとっては、やはり最初からきちんと選べるというふうにすることが物すごく大事だと思います。

 そこで、私の方から提案ですけれども、正社員をど真ん中に置く、やはり国の雇用政策というのは正社員がど真ん中になければならない、正社員がど真ん中にあって、そして、非正規フルタイム、パートタイムというこの三つで検索してくださいと。そうすると、優秀な人は正社員になろうとする。お会社の方も……(発言する者あり)いや、みんなが優秀なんですから、だって日本人は優秀だ、みんながそう思っているわけですからね。そうすると、お会社の方も、正社員で求人を出さなければいい人材は採れないよということになっていくということだろうと思うんですね。

 私は、ハローワークのシステムをこういうふうにすぐにでも変えるべきであるというふうに思いますが、舛添大臣、どうですか。

舛添国務大臣 私も、ハローワークでいろいろそういう操作をしてみたり、例えばお子様を持たれたお母様が来られて、マザーズハローワーク、こういうところをやっているのを見ました。

 ただ、委員の御提案、一つの御提案としてお受けいたしますけれども、普通仕事を探しに行くとき、自分の時間の都合でフルタイムがいいかパートタイムがいいか、それからやはり勤め先がどこにあるか、場所ですね、それからどんな職種がいいか、どれぐらいの給料ならいいか、休みは日曜日以外の休みだとか、こういうものを選択して、最終的には、委員おっしゃるように、最後、求人票には雇用形態が出てくると思います。

 ただ、それで相当の成果が上がっていますが、全国のハローワークのシステム改修は莫大な費用がかかりますし、来年度から変えていく、その中で今後の検討課題とさせていただきたいと思っております。

川内委員 何か軽く言われると、私は非常に重大な問題だと思うので、私どもが政権をとったらこういうふうにすぐ変える。ねえ、菅さん。ここは物すごく大事ですよね。正社員を国の雇用政策のど真ん中に置かずして何が雇用政策なのかということを私は思います。

 あと一分三十秒時間がありますので、最後、総理にお聞かせいただきたいと思います。

 総理は、二月五日のこの予算委員会の質疑で、郵政民営化に賛成だというふうに言われるのはぬれぎぬであるというふうにおっしゃっているんですけれども、どういう意味でぬれぎぬという言葉をお使いになられたか、御答弁いただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 あの郵政民営化というものを、最初に政務調査会長のときに話題になり、それからその後総務大臣ということを拝命を受けましたときに、私は郵政民営化担当大臣ではありませんでしたので、総理、郵政民営化に最初から賛成だったじゃないかというようないろいろお声があったものですから、私は、郵政民営化は最初からではなかったと。それは政務調査会長のときから、総務大臣のときから。

 それで、先ほどどなたかの御質問にお答えしましたけれども、その後、総務大臣を二年間やらせていただいている間に、いろいろな話をよく聞かせていただいた上で、総務大臣として、民営化ということによって利便性が、もしくは経営効率がということを考えたら、十分に対応できる可能性があるなと最終的には自分でそう思いました。したがって、その段階でサインをしたという話につながっていく。

 最初のぬれぎぬの話は、どなたかの御質問で、最初から担当だったじゃないかという御質問があったので、いや、郵政民営化の担当は外されていたんですよということを申し上げたかったということであります。

川内委員 かわります。

衛藤委員長 この際、枝野幸男君から関連質疑の申し出があります。中川正春君の持ち時間の範囲内でこれを許します。枝野幸男君。

枝野委員 民主党の枝野でございます。

 午前中の質疑でも取り上げられましたが、私からもまず冒頭、この週末に麻生総理が福井でおっしゃられた講演での発言、経済危機の大変さの度合いが、欧米に比べ、日本はそんなに大変か、大変だ大変だと言う割には、ほかの先進国と比べ、そんなに大変じゃないという御発言をされたことから、切り口で話をさせていただきたいというふうに思います。

 確かに、今回の事態は、アメリカ、そして次にヨーロッパの金融機関から問題が発生をしておりますので、その点についての経緯ということについては総理の認識と違いません。しかし、今、日本が置かれている状況というものが欧米と比べて楽観できる状況なのかといえば、日本の主軸産業あるいは日本の経済の中心を占めている輸出関連産業が、アメリカの消費が落ちているということによって、結局アメリカの消費が落ちれば日本からの輸出も落ちるわけで、結局は、アメリカよりはましだとかというレベルではなくて、同じように日本も深刻な状況にあるという認識をすべきではないかと思いますが、総理、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 当然そうだと思います。御存じの上で聞いておられるんだと思いますが、少なくともこの八年間ぐらいの輸出統計、またGDPの中に占めます外需の比率などなどを見れば、今言われたことは当然のことなのであって、私どもは、これが実物経済、実体経済というものに大きな影響を与えないようにするために、いかにこれをということをずっとこの数カ月間申し上げてきているということであります。

 日本の経済は全然大丈夫、それは比較対照の話でありまして、少なくとも、日本で直ちに銀行が倒産しそうだというような十年前のような状況にはございません。少なくとも、アメリカのように大自動車会社が政府の金がなければ立ち行かなくなるのではないかというような状況にもないというように思っておりますので、比較の対照の問題としてということを申し上げました。しかし、現実問題としては今言われたとおりだ、私もそう思います。

枝野委員 比較の問題として、落ち込み方のスピードが、あるいは順番がアメリカが先である、あるいはヨーロッパが先であるということについては私も同感でありますが、では、このまま事態が進行していった場合の深刻さが、相対的にいいんだというような認識で果たして正しいのかということを議論させていただきたいというふうに思っているんです。

 今、アメリカの景気の後退、消費の後退、当然、輸出が減っていくということによる実体経済、実物経済の落ち込みをまさに何とか支えるための施策は今いろいろとやっている。十分であるかはどうかとして、やっておられる。例えば企業に対する信用などを支えているようなことがあるのは理解します。では、例えば、全治三年とおっしゃられておりますが、どういうプロセスでここから日本の経済が立ち直っていくとお考えになっているんでしょうか。

 つまり、どういうことかというと、例えば、今まで日本は、対米輸出あるいは間接的対米輸出、中国などに向けての輸出の比率がふえてきましたけれども、結局は中国で完成品をつくってアメリカに輸出をしているということですから、日本の輸出の伸びというのは、基本的にはアメリカの消費の伸びとこの間連動してきています。このアメリカの消費が大幅に落ち込んでいるという状況の中で、全治三年、アメリカの消費などが回復をして輸出がもとのペースに戻るという方向に期待をして、景気が回復するとお考えになっているんでしょうか。それとも、やはり大きな世界的な経済構造の転換の中で、今まで輸出に依存をし過ぎていたから、内需を拡大させるということによって何とか全治三年とお考えになっているんでしょうか。どちらですか。

麻生内閣総理大臣 枝野先生、基本的には物すごく大事な御指摘なんだと思います。

 ただ、今の状況で、それがどっちの方向に行くのかというのを今の段階で確実に申し上げるわけにはまいりませんが、従来のような、外需に依存して輸出に依存した比率が極めて高い形での景気回復というのは難しいのではないか、私は基本的にそう思っております。したがって、そのためにどうするかという施策を今いろいろやらせていただいております。

 基本的背景、基本的な考え方は、内需というもののいわゆる刺激、内需の拡大、そのために、住宅投資減税、いろいろ言わせていただいておりますが、そういうものをやらせていただく。そして、中長期的には、日本の技術力によっていろいろな分野で新しい産業を組み立てていくというのが大事なのではないかというように考えております。

枝野委員 内需を拡大させていかなければいずれにしろこれからの日本の経済は成り立たない、私も同感でございます。

 まさに、この間、本来日本がやってこなければいけなかった、ずっと言われ続けてきた内需拡大ということが十分に行われずに、特に、昨年まで、あるいは正確に言うとおととしで終わっていたと言うべきなのでしょうか、この間の景気回復と称するものが、結局、外需依存である、輸出依存である。そのことは、実はおととしのこの予算委員会の審議において私は指摘をさせていただきまして、内需拡大策を強化しないと、結局、景気回復というのは一部分にとどまった底の浅いものにとどまってしまうということを、おととしの予算委員会で私は指摘をさせていただきました。残念ながら、今そのとおりの結果になっております。

 問題は、どうやって内需を拡大するのかということでございます。

 内閣府が統計をとっているようでございますが、その内閣府の統計は総理や財務大臣にはきちっとお渡しをくださいとお願いをしておきましたが、国民経済計算における家計のさまざまな計算。家計における、つまり御家庭の、日本じゅうの御家庭のそれぞれの収入であるとか支出であるとかそういったものをトータルした家計部門の可処分所得のピークは、一九九七年、平成九年がピークで、日本全体で三百八兆でありました。これが直近、平成十九年、二〇〇七年では二百九十四兆円に、約十四兆円マイナスになっております。

 この間、それでも、可処分所得が減ったにもかかわらず、実は、九七年の最終消費支出、御家庭の皆さんが消費に使ったお金というのは二百七十九兆であったものが、二〇〇七年には二百八十四兆まで五兆円最終消費はふやしています。可処分所得が十四兆円も減ったにもかかわらず、最終消費を五兆円ふやしている。その結果として、貯蓄率は一〇・三%から三・三%へ、かつて日本は、高いときには一五%を超えるような貯蓄率を誇っていたわけですけれども、三・三%まで下がっております。

 こうした状況で消費は拡大しますか、総理。

麻生内閣総理大臣 基本的には、可処分所得というものがこういうような形で減ってきておるというのは、私どもにとって、これは人口が同じという前提に立ちますと、可処分所得が減っているということは、イコール消費に回せる余裕がなくなってきている。または、貯蓄に関しましても、御指摘のように約七%ぐらいのものが減ってきております。それで、こういったような数字は明らかに実入りが少なくなってきているということを意味しているんだというのは、数字の上ではそういうことになるんだと存じます。

枝野委員 ですから、この数字の中で、これは平成十九年までのデータです。昨年から景気は後退期に入って、先ほど来の質疑にも出ておりますとおり、派遣切り、雇いどめ、正社員すらリストラ、とても賃金が上がるような状況ではないということで、家計部門における賃金収入というのは到底プラスになっている状況とは思えません。そして、日本の主軸産業である輸出産業は、今のところアメリカの消費の落ち込みにブレーキがかかる見通しが立っておりませんので、当面、この可処分所得がふえるという見通しは残念ながら立っていない。

 そうした中で、貯蓄率もここまで下がってきている、どうやって消費を拡大して内需を拡大させようとしているのか、そのプロセスというか、その目標というか、それが全く見えていないというふうに思うんですが、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 御存じのように、個人消費というのは、日本のGDPに占めます比率は約六〇%ぐらいだというように言われております。したがって、消費の促進というものは景気の回復には極めて大きな影響を与える、その御観点からの御質問だと思います。

 こうした観点から、政府としては、過去最大の住宅ローンのいわゆる減税を実施してみたり、いろいろな形で、今一千五百兆とも言われております個人金融資産というものが少なくとも消費、投資に回っていくように、そういった意味では、個人でお金を持って、自分で持っているお金で住宅を建て直す方にもそういったお金というものは減税の対象にしますとか、また、基本的に雇用というものの維持ができませんと、これは生活の糧という意味においては最も大事なところです。その維持されるために、少なくとも、大量のいわゆる就業者というものは中小・小規模企業に属しております。そこの部分が倒産するなどという形になると、そこの失業者がふえて、結果としてまた消費にということになりますので、そこの維持ができるように、また定額給付金を含めまして、いろいろな形で今総額七十五兆円の経済対策をやらせていただいているということです。

 少なくとも、個人消費の下支えというのは非常に大きなところだと思いますし、これまでもいろいろ、景気、不景気のときに、デフレのときでもそれなりの一定の額を維持できましたので、こういった意味では、この不況から脱出していくためにも、個人消費というのが急激に落ちていくというようなことのないように最大限配慮されなければならぬものだと思っております。

枝野委員 余り何を言っているのかよくわからないところがあるんですが、少なくとも、今の御発言の中で私も同感だと思うところが一点あります。

 それは、国民金融資産、一千五百兆円と言われている金融資産を切り崩していただくことがまず最初にないと、それを消費に回していただくことがないと、少なくとも今の局面で、家計の賃金等がふえて、そのことによって可処分所得がふえて消費がふえるということは、短期的にはほとんど期待できないという局面にあるのは間違いない。したがって、そうした中で消費を拡大できるとすれば、一つは、幸いなことにこれまで蓄積した貯蓄がありますから、その貯蓄が消費に回ってくれれば、それは消費の拡大、内需の拡大につながるだろう。その点については私は理解をいたしますが、では、そのための施策が打たれているのか。

 今いろいろなことをおっしゃいましたが、それが、この国の貯蓄の構成を前提としたときに、果たして正しい施策であるのかということをお尋ねしたいわけであります。日本銀行総裁においでいただいていますが、細かいデータまでは通告していないと思いますので、傾向の認識が間違っていないかどうかだけ確認させていただきたいんです。

 私が日銀などのデータで調べてみたところによると、いわゆる国民金融資産を、資産から負債、個人の御家庭で持っている預貯金から、例えば住宅ローンなどの借金を引いた純金融資産は、例えば一九九八年の六十歳以上の方の金融資産は五百五十二・四兆ですか、全体の六〇・六%を占めていました。直近、二〇〇七年では九百十五・二兆、七九・五%を占めている。この間に高齢化率の増加というものはありますが、しかし、二〇%も高齢化率は上がっておりません。六〇%から約八〇まで、五百五十兆から九百兆まで六十歳以上の高齢者の純金融資産の額がふえているし、国民全体の金融資産の中に占める六十歳以上の方の持っているシェアがふえている、この傾向は間違いないですよね。

白川参考人 お答えいたします。

 正確な数字は記憶しておりませんけれども、高齢者は一般に貯蓄率が高い、あるいは金融資産保有比率が高いということでございますから、高齢者比率が上がりました場合に、今議員御指摘のような事実が生まれてくるというふうに思っております。

 そういう意味で、認識は、私どももそのように認識しております。

枝野委員 同じように、日銀などからいただいたデータによると、例えば三十歳以下の方の純貯蓄、貯蓄から負債を引いた、預貯金から借金を引いた額というのは、一人当たりマイナス一千三百二十万円。借金の方が多いんですね。三十歳から三十九歳、マイナス一千九百二十万円。四十歳から四十九歳、私の世代ですが、ようやくここで……。失礼、百でしたね。三十歳以下が百三十二万のマイナス。三十代が百九十二万のマイナス。四十代でようやく百八十三万のプラス。五十代で一千百三万円のプラス。そして六十歳以上で二千二百八十九万八千円のプラスというのが、日銀などからいただいたデータに基づいて計算をした数字。

 つまり、国民金融資産といっても、貯蓄を持っておられるのは圧倒的に高齢者の方、しかも、六十歳以上の高齢者の方が持っている純金融資産の比率というのが、全体の約八割を占めています。

 この皆さんに貯蓄を切り崩してでも使っていただかないと消費は伸びないと思うんですが、いかがですか、総理。

麻生内閣総理大臣 基本的に僕は、今言われたその数字がちょっと、最初に言われたのは、千万の借金ということはないでしょう、百万でしょう。(発言する者あり)一けた間違えたのか。失礼した、済みません。えらい多いなと思った。

 今伺った傾向値としては、高齢者の方が貯蓄をお持ちという理由というのは、今、現状としてどうしてそうなったか、経緯はいろいろあるんだと思いますが、大事なところは、高齢者が先行き不安というものなんであれば、その貯蓄はなかなか切り崩せないと思いますね。やはり、今後ともきちんとした先行きのことが見えてこないと何となくという話が出てくるんであって、そこのところは今後いろいろな、これは心理面も関係すると思いますので、そういったものを含めて考えていかないかぬ大事なところだと思います。

枝野委員 そこまでわかっておられるのに何でやらないのかというお話になるんですが、厚生労働大臣、現在、日本の特別養護老人ホームの入所者数は何人でしょうか。

舛添国務大臣 平成十九年十月現在で、約四十万七千人でございます。

枝野委員 一方で、入所申し込みをしながら入所ができていない方の数は何人ですか。

舛添国務大臣 この数字を申し上げる前に、ちょっと留保をつけておきたいのは、複数の施設に重複申し込みをしている方がおられたり、既に例えば老健に入っていて特養に申し込むという方々もおられますので、直ちに正確な数字ではございませんが、十八年三月に全国の特養で入所申込数について数字をとりまして集計したところ、三十八万五千人であります。

枝野委員 留保があることは十分認識をいたします。

 ただ、その一方で、今の入所待ちの、つまり裸の数字でいえば、四十万人入っているところに三十八万人待っているという数字上のデータで出ているわけですから、今お話あったように重複とかいろいろなことはあるでしょうが、逆に、こんなに待っている状況ですから、とてもじゃないけれども申し込んでも無駄だといってあきらめておられる方などもおられるでしょうし、逆に、貯蓄の切り崩しとの兼ね合いからいえば、こうした公的な特別養護老人ホームをあきらめて自助努力で何とかされている方も少なからずいらっしゃるのではないだろうかというふうに思います。

 もちろんこれは、在宅介護のことまで考えれば、日本じゅうの介護にかかわっていらっしゃる方から人手不足の声が上がってきている、こういう構造にあります。

 一刻も早くこういう状態を解消して、介護保険というこの一割負担についても、基礎年金が国民年金の満額をもらっていないような人にとっては大変厳しいわけでありますけれども、それでも、一割負担で必要があればちゃんとすぐに特別養護老人ホームに入れる、一割負担で必要があればすぐにホームヘルパーさんが来てくれるという仕組みが確立をしていない中で、高齢者の皆さんに、貯蓄を切り崩して消費に回してくれ、例えば減税したから子供たちや孫のために家を建ててくれ、こんな話が通用しますか、厚生労働大臣。

舛添国務大臣 セーフティーネットの一つとして、この介護保険制度、特に在宅か施設かといったときに、御本人は在宅であっても、なかなか家族の介護力が足りないというようなことで施設にということがあるので、個々の事情はたくさんある、さまざまあると思いますけれども、今委員が御指摘のように、セーフティーネットをきっちり張りめぐらしておるということが、例えば今おっしゃったような、子供たちのために家をつくるというような形での消費のインセンティブになることは、それは確かだと思います。

枝野委員 介護政策として、社会保障、社会福祉政策として介護の施設を充実させなければならない、これは私自身もずっと申し上げてきていることですが、経済対策ということで考えたときには、いろいろな事情、つまり、特別養護老人ホームに入りたいとおっしゃっている方のいろいろな事情、入りたいのに入れない、家族がいるんじゃないかとか、あるいは家族がいるんだからホームヘルパーはちょっとこれぐらいで我慢しろよ、人も足りないんだからというような状況の中では、介護保険には頼れないから、自分の老後、万が一寝たきりになったときに惨めな思いをしたくないと思ったら、キャッシュをできるだけ持っていて、いざというときには介護保険以外のところでそのお金を使って何とかしようとなるのはやはり当たり前ですよ。

 こうしたお金を使ってもらいたい、経済のためには使ってもらいたいと思うのであるならば、大丈夫ですよ、いろいろな御家庭の事情、御本人の事情に応じて、もちろん寝たきりでもないのに特養に入れてくださいというのはそれはないでしょうけれども、ある程度の幅の範囲内で希望をすれば特養に入れますよ、ホームヘルパーさんが一割負担で来てくれますよ、そういうことを充実させることこそが、例えば高齢者の皆さんの貯蓄を切り崩して消費に回してくださいと言うためには、まず最低限、大前提として整えておかなければならないことだし、我々はそういったことを整えておかないと内需拡大しませんよと言ってきたのに、外需が落ち込むまでおくれてしまったわけですよ。

 今からでもお金をここに集中的に注ぎ込んで、お金を注ぎ込むということは、後で申し上げますが、そのこと自体が内需の拡大につながるわけですから、施設をつくるとか、それから雇用が生まれるとか。そのことをやるべきではないですか。

 これは総理にお尋ねしたいと思います。経済の話として、総理。

舛添国務大臣 私は、介護保険はそれなりにかなりうまくいっていると思っていますのは、要介護認定五を受けますと、やはり四十万近くのうちの一割負担で済む。それで、施設でやるか、例えば施設に入れなくても、在宅でヘルパーさんが来てくださる、夜、ナースさんが来てくださる、こういうことが可能なわけですから、これ自体は、今委員が御指摘のようにさまざまな問題点は今から改善する努力はしないといけないですけれども、一つのセーフティーネットになっているというふうに思っております。

 その上で、特に介護従事者、こういう方々が離職率が高い、賃金が安いというようなことがありますので、今回、介護報酬、三%を補正でアップさせる、そういうことをやっておりますので、それからミスマッチの解消のために二万六千人の介護職を無料で、国庫のお金で訓練する、こういうこともやっておりますので、ぜひそういうことも御考慮に入れていただきたいと思っております。

麻生内閣総理大臣 今、介護の話に関しましては舛添大臣から答弁があったとおりですが、いろいろ今の状態で少し手おくれになっているのではないかということに関しましては、少なくとも外需の依存がずっと高く行き過ぎていた部分というのが、今回、外需がとまった分だけ内需の落ち込みが激しく、その分が結果として全体の景気の足を引っ張っておるではないか、私もその意見に関しては賛成であります。

 ただ、現実問題として、それにどう対応していくかということを考えていった場合、今言われたように、雇用のミスマッチと言われる部分に関しましては、傍ら、医療、介護、そういった分野では、いわゆる人に対して求人難でありますから、そういったところにいろいろな方々が回っていっていただけるようにうまくきちんとした形で誘導する、そのためには、給与、所得等々考えねばならぬ、そういったものに関しましても、今舛添大臣の方から一部答弁があったと思います。

 そういったものを含めまして、方向としては、きちんとしたものをさらに充実させていくという努力は今後とも必要だと思っております。

枝野委員 やはりちょっと認識がずれがあるのかなと思います。

 先ほど来の話の流れのとおり、内需を拡大しなきゃならない、内需を拡大するためには消費を拡大しなきゃならない。消費を拡大させるときに、短期間で賃金を上げるということは一般論としては不可能です。後で申し上げますが、やるべきだと思いますが、それこそ介護の報酬のようなところで。

 とにかく、だけれども貯蓄があるんだから、貯蓄を切り崩して消費に回してもらう。確かに、これは一番短期的に有効です。でも、その貯蓄を持っている多くの方が高齢者で、その高齢者の方が安心して使える条件が整わなければ、幾らほかの、例えば住宅減税の減税策を打ったとしても、例えば介護保険の、特別養護老人ホームなどに万が一待たされて入れなかったとしても、これだけ金をため込んでいるから、これで自分で、自力で何とかできるよねぐらいまで金を持っていてさらに余っているような人だったら、住宅を建て直そうかということになるかもしれません。

 しかしながら、多くの高齢者の皆さんが、本当にいざというとき、特別養護老人ホーム、何カ月待たされる、何年待たされるの、高齢者同士のネットワークではそういう情報というのは早いと思います。いや、それどころか、今、きょうは個別でも取り上げたいんですけれどもそこまで取り上げませんが、例えば脳溢血などで倒れて、病院で、病院から追い出されるんだよ、病院にまだ十分完治もしていないのに追い出されるんだよ、こういう話は高齢者の間ではばあっと広まっているわけですよ。

 追い出されちゃったら困るから、せめて現ナマを持っていないとそういうとき困るよな、こういう状況が、少なくとも減ってはいない、むしろ拡大をしているような状況のもとで、どうやって貯蓄を切り崩して消費に回っていくという消費刺激策になるんですか、経済政策の観点からどう考えますか総理、と聞いているんです。

麻生内閣総理大臣 経済政策として、僕はこの高齢者の話というのを経済政策の面から正直言って余り考えたことがありませんで、社会政策として考えてきております。結果としてそれが経済政策になる部分だというのはわからぬわけじゃありませんが……(発言する者あり)そのとおりなんじゃないの。僕は老人問題を経済問題として余り考えるようにはすべきじゃないんじゃないかなと思ったので、私はちょっと、考え方が少し違うんでしょうけれども、それはそれで結構です。(発言する者あり)

衛藤委員長 静粛に、静粛にお願いします。

麻生内閣総理大臣 ただ、少なくとも高齢者が、住宅というものを言わせていただければ、御自分の資産で住宅をリフォームされるというようなことは、今回無税ということにいたしております。少なくとも住宅取得税というものに関しましては、ローン減税同様に、自分のお金を使ってやられる方も、きちんとそういったものに対しては減税の対象にしますということを申し上げてきております。

 いろいろな御家庭がありますので、そういったものを使って自分はリフォームをすると言われた方も一人二人、私が既に聞いているところでもありますので、そういったところも一つの例としてあるんだと思っております。

枝野委員 総理御自身が百年に一度の経済危機だとおっしゃっておられるんですよ。まさに従来型の経済の運営、経済の構造が通用していなくなっているということについて、私は認識は共通をしているのかと思っていました。

 そして、確かに十年前、二十年前、例えば高齢者の介護であるとか、これから申し上げるお子さんの保育であるとか、こういったいわゆる厚生労働省、厚生省関連の問題というのは経済とは別の話であって、むしろ、どちらかというと経済の足を引っ張るというような印象もあった世界でありました。

 しかしながら、まさに日本社会が少子高齢化が進んで高齢社会になって、なおかつ、他方では、これは国土交通大臣には恐縮ですけれども、日本の例えば交通網を初めとしてインフラは、三十年前と比べてもべらぼうに整備をされている、あるいは国民一人一人の生活を考えても、例えば自動車の普及率、一家に一台ほぼ行き渡っている、テレビだって、一家に一台どころか一人一台ぐらいまで行き渡っている。こういう構造の中で消費が拡大する余地があるとすれば、まさに高齢者の皆さんが年をとったところでどうやって安心をするかというところ、まさに高齢化対策問題こそが消費を拡大するポイントじゃないですか。その問題とは経済は関係ないというまさに時代おくれの認識では、この今の経済危機に対応ができないというふうに私は思います。

 その上で、もう一点、介護を支えている皆さん、私は厚生労働省から資料を取り寄せましたが、この資料は、どうも私が介護の現場に実際に仕事をしておられる現場で聞く実感として、ちょっと違うなと思っておるんです。ホームヘルパーの方や社会福祉施設の介護員の方の平均年収が、男性でホームヘルパーが三百万円余り、女性で二百七十九万円というようなデータが出ているんですが、まあ、実はこの方たちはみんな正規雇用、先ほどの正社員の皆さんであって、むしろパート等の方が現場を支えていたりと。

 多くの介護の現場に従事をしている方が、介護の仕事にはやりがいを感じているんだけれども、これだけの重労働で、なおかつこれだけの報酬しか得られないということでは、とてもじゃないけれども長く続けられないといって、現実に、昔、寿退社という言葉があったらしいです、私の世代では余りぴんときませんけれども。昔、専業主婦が普通であったという社会情勢の時代には、仕事をしている女性が結婚を機に退職をされる寿退社という時代があったそうでございますが、最近、介護の現場では、逆寿退社があると。

 つまり、特に男性が、介護にやりがいを持って仕事をしてずっとやってきたんだけれども、結婚をして家族を持って、さあ子供をこれから生み育てていこうと思ったときに、この安い報酬の介護の仕事では、とてもじゃないけれども家庭を構えられない、結婚を機に介護の現場を離れるというような話も聞いております。

 この介護の人件費というのは、事実上の公定価格ですよね、厚生大臣。

舛添国務大臣 これは、介護報酬というのは、診療報酬と同じように決められるものです。ただ、それがそのまま個々の介護の現場で働く方に行くわけではなくて、事業者に対する形で行きますから、そこからは経営者がどういう配分をするかというワンクッションがありますけれども、基本的には今おっしゃったとおりと考えてよろしいと思います。

枝野委員 つまり、もちろん、今は人手不足ですから、事業者の方も出せる範囲なら出したい、でないと人が集まらない、こういう雇用の需給バランスですから、事業者の方が中間搾取が多過ぎるという状況というのは、一部あるかもしれませんが、全体の傾向としては少ないだろうと思います。

 という中で今のような現象が起こっているというのは、つまり介護報酬の決め方、実は一割負担の自己負担分の比率とかかわってくるんですが、その自己負担のことを別に置いておけば、客観的に考えてみて、やはり安過ぎるんじゃないですか。仕事の重要性、仕事のニーズの高さ、こういうことから考えたら、安過ぎると思いませんか、厚生大臣。

舛添国務大臣 私は大臣就任以来、今と同じ、これは少し問題が多い、つまり、まさに安過ぎる、上げないといけないということで努力をしてまいりまして、三%上げるところまで行きました。

 ただ、今回は補正で手当てしましたけれども、将来的には、今委員が冒頭おっしゃったように介護保険料との見合いがありますから、そのバランスも考えながらこの待遇の改善に努力をしたいと思っております。

枝野委員 そもそもその三%というのは、現場から見ると三%になっていないよという意見、声もいただいておりまして、これはむしろ厚生労働委員会で詰めるべき話かなと思いますので、指摘だけしておきたいと思います。

 それにしても、三%上がったとしても丸が一つ違うんじゃないのと、現場の実態としては。三〇%上げてもらっても、需要があるんですからね。経済原理からいえば、需要があって供給が不足している分野なんですから、その分野は人件費が上がって当たり前なわけですから。にもかかわらず、介護報酬という国が決めたルールに基づいて、事実上、事業者は安くしか払えない。その結果として供給が不足をしていて、そのために、需要がありながらそこにサービスが生まれていないという構造があるわけですよ。

 供給をふやして、需要をふやして、消費を拡大させたいわけですよね、公的消費かもしれないけれども。そのときに、ここは思い切ってこの介護の報酬というか、少なくともいろいろなやり方がありますよ、例えばダイレクトで別枠で人件費についての補助を出すとか、我々もいろいろなやり方を提案していますよ。そういったことの努力を最大限するべきではありませんか。

舛添国務大臣 医療や介護の分野での負担というのをどういうふうに見るのか。これまでは、とにかくこれで財政負担が大きくなって大変だということ一本やりで来た面がありますから、例えば医療の分野では、医師不足の解消ということで、今回七百人近く、最も多い数字を入学定員ふやしたわけでありますので、今委員の持っていらっしゃる問題意識、私は全く同じ問題意識を持って、セーフティーネットをきちんと張ることがある意味で安心のもとになり、それが消費を刺激する、それは全く同じだと思います。

 そういう中で、今、克明に各介護事業者を調査しております。やはり、片一方では、介護保険料にもはね返りますから、無駄や何かは、非効率なところは改善していかないといけない。しかし、そういう中で、ある程度、これだけ過酷な大変なところで求められている仕事をやっておられるわけですから、こういう方たちに対してきちんと手当てをしたいというふうに思っていますので、今後ともそういう努力を続けたいと思っております。

枝野委員 まさに危機意識の深さの違いなのかなというふうに思うんですけれども。やっています、やっています、それは、ちょっとずつは変えて、確かに三%、少なくとも表向き三%、介護報酬改善でしょう。しかし、今の景気の落ち込みの中で、大幅に落ち込みますよ、これは。

 本当はこれも詰めたいところなんですが、いろいろな民間の調査機関などによると一〇%落ち込むんではないかという深刻な経済状況ですよ。総理が、欧米と比べて相対的にいいだなんて言っている状況じゃありませんよ。この間に失業が大量に出かねない状況ですよ。それだけ実体経済が悪くなれば、今、株価がぎりぎりですから、これ以上株価が大きく下がれば、日本の金融機関も含み益がなくなってしまう、含み損になっていくという話は、もう既にこの予算委員会で何度も我が党の同僚議員からやっていますよ。

 そうしたときに、では、そこに消費を拡大させて内需を拡大させる余地がどこにあるのか。高齢者の皆さんを中心に持っている金融資産を使っていただきたい。そのためにも、高齢者の皆さんの安心のために、例えば介護とか医療とかというところを急速に、急いで充実させなければならない。

 そしてこれは、目の前の雇用政策というか、これからの日本の雇用政策全体を考えても、日本の産業でこれから大量の雇用の受け皿になる産業は、高齢化対応のサービス関連産業と少子化関連のサービス関連産業以外に、実は、少なくとも大量の雇用を抱えてくれる余地のある産業はないと私は思うんですが、総理、いかがですか、その認識は。

中川国務大臣 枝野議員のお話の進め方というのは、今、要するに、預貯金がまだある、それを個人消費にどうやって使っていくかということ、これは私もそのとおりだろうと思います。そして、その中で、百年に一度という中で、緊急的にこの個人消費をどうやってよくしていったらいいのか、それは我々も頭を悩ませ、ある意味では二十一年度の予算の一つの大きなポイントだろうというふうに思っております。

 そのときに、高齢者の方々がいっぱい預金、金融資産をお持ちになっていらっしゃるから、何とかそれを、福祉でも介護でもいいんですけれども、一割負担か何かで、それを引き出すために、施設等の社会保障関係を整備して、そしてそこに多少の負担で参加をしていただくことが内需拡大につながるのではないか、それはそれで私も否定はいたしません。

 ただ、問題は、高齢者の方の医療とか介護等々もお困りでありますけれども、でも、子育て世代の方々とか、あるいは住宅をこれから欲しいと思っている方々に対する支援というのも、それは結果的には消費拡大につながるということも踏まえまして、子育て支援であるとか、あるいはまた家計支援、あるいはまた住宅ローン減税等の支援によって結果的には消費にもつながっていくわけでありますから、お金を持っているのがお年寄りだから何とかそこを活用して内需拡大というのもわからないではありませんけれども、でも、それ以外のところでも内需拡大をやるということがやはりバランスのとれた景気拡大、消費拡大策であって、そのために二十一年度の予算でいろいろなところに気配りをして編成をさせていただいたということをぜひとも御理解いただきたいと思います。

枝野委員 まず、今の財務大臣のお話なんですが、例えば子育て世代、僕は、子育て支援というのも消費の拡大につながるとこれから申し上げようと思っていますが、しかし、そもそもとして、現役世代の皆さんの賃金が上がる見通しが今のところ当分ないわけです。むしろマイナスで、雇用が悪化するという状況なわけなんですよ。少なくとも、雇用が悪化していて失業者がふえる状況で、賃金が下がっている状況で、この人たちがマクロでの消費を拡大する余地というのはほとんどないんですよ。マクロで見たときには、賃金水準が下がったとしても消費が拡大するとすれば、貯蓄のある人に消費してもらうしかないじゃないですか。

 もしもそうでないならば、それぞれの可処分所得をふやす政策をやらなきゃいけないわけです。可処分所得をふやす政策もやるべきである。むしろ、これも両輪で、もう一つの柱だと思います。

 では、可処分所得をふやす政策。現に、中小零細企業の労働分配率は限界まで高どまりしていますよ、中小零細企業は物すごく高いですよ。大企業は、これは内部留保をたくさんため込んでいるという問題はありますが、これをキャッシュに今できない状況になりつつあって、とても内部留保を切り崩して賃金を上げられるかという状況ですよ。むしろ大企業でも雇用を絞っている状況ですよ。

 どうやって所得の再分配をするんですか。どうやってその人たちの賃金を上げるんですか。逆にそのことを教えてくださいよ。

中川国務大臣 まず、言葉じりをとるつもりはありませんけれども、子育て世代の人たちが可処分所得が少ないから自分の子供たちのために消費を抑えるということは、これは大変つらいことだろうと思いますので、ですから、今までの子育て支援に加えまして、三歳から五歳まで、年間三万六千円お支払いをさせていただきましょうとか、あるいはまた住宅が必要になったときにローン減税をやりましょうとかいうことが、私は、これもある意味では生活支援であると同時に景気刺激策、消費の拡大だろうというふうに思っているわけであります。

 その上で、やはりこれからどうやって可処分所得をふやしていくかということについては、減税もありましょうし、あるいは必要な公共事業というものも、やはりインフラ整備という観点からも必要でありましょうし、また、この際、省エネあるいはまた環境に配慮した形での、いろいろな活用に対しての支援というものも、今回の景気対策あるいは内需拡大策に貢献するというふうに私は考えております。

枝野委員 当事者なので、こんなことを余り自分で言うのもなにかなと思ったんですが、一回ぽっきりの子育て支援、三歳から五歳。うちの子供は二歳半なんですけれども、何で二歳半はもらえなくて三歳がもらえるのかという合理的説明はどこにもないんですよ。しかも一回ぽっきりなんですよ。いいですよ、もちろん我々は国会議員としての報酬をたくさんいただいていますから。だけれども、まさに同じときに生まれていて、それが半年前に生まれたお子さんのところはもらえて、何で三歳ならもらえて二歳ならもらえないのかと、どう説明を聞いても全く理由がわからないし、なおかつ、子育てのときにお金がかかる、それを支援してもらったら、当然子育てのために消費しますよ。しかし、それが何で一回ぽっきり、ことしだけ出てくるのかという話は、私は全く理解不能です。

 むしろやらなきゃならないのは、子育ての支援を充実させることによって雇用や経済をよくしようと思うならば、例えば、これは保育所だから厚生労働大臣かな、保育所の待機児童、調査によるとどれぐらいいますか。

舛添国務大臣 昨年の四月一日現在で、保育所の利用児童数が二百二万人でありますけれども、保育所待機児童数は約二万人でございます。

枝野委員 文部科学大臣、この件だけのためにお呼びをしたので。いわゆる学童保育というのは文部科学省ですね。学童保育、入りたいけれども入れないと待っている人、どれぐらいいますか。

舛添国務大臣 平成二十年五月一日現在で、学童保育、つまり放課後児童クラブを実施している市町村で、登録児童数が約八十万人でございますけれども、定員超過などによってクラブが利用できなかった児童数は約一万三千人でございます。

枝野委員 少ないと見るのか多いと見るのか、いろいろな評価がありますけれども、この保育所の待機児童数とか学童保育の待機児童数というのは、実は、少子化にブレーキをかけるためにもゼロにしなきゃいけないんです。

 つまり、どういうことかというと、子供を生み育てたいと思っても、保育所が待たされると思うから、例えばお子さんをあきらめたり、あるいは一人目のお子さんのときに保育所で待たされた、あるいは小学校へ入ったけれども学童保育ではねられた、そういったことが積み重なるから、結局二人目のお子さんをあきらめるとか、こういうケースがたくさんあるんですよ。必要があれば、お願いをすれば、それは所得によって保育料の差があってもいいですから、間違いなく入れるという状況をつくったら、そのことによって少子化は相当程度ブレーキがかかると、私は子育ての当事者として今思います。

 そして、別に経済のために子供をたくさん産んでいただくわけではありませんが、現実に少子化にブレーキがかかればかかるほど、そのことで内需の拡大は間違いなく実現をします。こういうところこそが一番に集中的にお金をかけるべきじゃないですかということを私は申し上げているんです。どうですか、総理。

舛添国務大臣 総理がいつもおっしゃるように、第一次補正、二次補正、そしてこの本予算、三段ロケットでやるということで、例えば一次で七十九億円、これは新待機児童ゼロ作戦の集中期間としてやります。

 それから、先般不妊治療の話が出ましたが、これはぜひ来年度でも実施するように努力をしたいと思いますが、妊娠してからの妊婦健診、五回までを十四回と、公費負担を拡充いたしました。これは、一回、都会だと八千五百円から一万ぐらいかかりますから、十万近く浮きますから、そういう意味では可処分所得をふやすことにもなります。

 それから、安心こども基金、一千億円積みました。その他、この二十一年度の今御審議いただいている予算では、少子化社会対策関連予算の厚生労働省分だけで一兆三千九百二十二億円あります。これは、今おっしゃった第三子目以降の保育料の無料化、それから保育ママの大幅な拡充、こういうことをきちんと対応しておりますので、ぜひ一日も早く予算の成立をお願いしたいと思います。

枝野委員 まず、大体、今、経済の全体の構造としてどうするのかという話をしているのに、今のような細かい項目を厚生労働大臣がお答えになってもしようがないですよ。全体の話として、子育て支援とか、あるいはふえていく高齢者の皆さんに対するサービスとか、先ほど実は財務大臣が私のお尋ねにはお答えをいただいていないんです。

 これからこの国の雇用は厳しくなっていく。厳しくなっていく中で、しかも、従来のように輸出関連産業の製造業が私は日本の経済の中心にこれからもなってもらわなきゃいけないと思います。しかしながら、雇用の受け皿の中心として従来のような役割を担い続けることができるのかといえば、これは残念ながら、今回の事態で、あるいはこの十年ぐらいの事態の間で、私ははっきりしているというふうに思います。

 なぜならば、圧倒的な人件費コストの差があるからです。中国や東南アジアの国々、新興諸国などは、私たちの国と比べて人件費十分の一とか二十分の一とかと言われていますね。現地でもつくれるようなもの、規格大量生産品であったら、どんなに国内努力をしたって、賃金に十倍の差があったら国内の努力ではどうにもなりません。そういう意味では、大量の雇用を必要とする規格大量生産分野はどんどんどんどん新興諸国にとられていく、これは避けられない、少なくとも自由主義経済をやっている限りは。

 日本の国内においては、そうした中で、でも、付加価値の高い、競争力の高い最先端分野について常に最先端を切り開き続けていくことによって、日本の物づくりというものは日本の経済の中心になってもらわなければならない。

 でも、今までのように、特に日本がアメリカに対して人件費が安いということで高度経済成長してきた昭和三十年代や四十年代のように、大量の雇用の場としての、受け皿としての物づくりということでは、これからはとても困難だ。これからの時代、雇用の受け皿になり得るのは、まさにふえていくのは、お年寄りの皆さん、介護や医療、間違いなく人手がたくさん必要になるんです。そして、少子化に少しでもブレーキをかけたい、子育て支援のサービスを供給すれば供給するほど、当分はそれに応じて需要が掘り起こされる。つまり、お子さんの数がふえることが期待できるんですよ。

 この二つの分野を雇用の受け皿として成長させることがなければ日本の雇用を守っていくことはできない、私はそう思います。違いますか。本当は総理なんですけれども、これは。

麻生内閣総理大臣 所信の中でも述べたと思いますので、あの騒々しい中で聞こえておればの話ですけれども。今申し上げた新たな成長戦略の一つとして、効率的な医療・介護サービスを実現する健康長寿ということを申し上げております。

 今言われましたように、こういった分野というのは、今、人が人に対するサービス、高齢者が高齢者を介護サービスするような年齢構成になりつつある、そういった家庭というものがふえつつある中にあって、我々は、今若い人で介護の仕事に対して大いに意欲を燃やしておられる方々がおられるということを知っております。

 そういった方々に対して、今言われたように、給与の面、賞与の面、そういったいろいろな点を今後配慮していくということによって、そこに多くの介護に従事する人の雇用がふえる。いわゆる需要と供給の問題ですから、そこに需要があれば、当然のこととしてその人に対する給与が上がることになりますが、それに参加する人が今度は多くなる、つまり、供給がふえれば今度は逆にそれが減ることになる、当たり前のことですけれども。そういった形になって、今新たにそういった分野に多くの方々が向いていかれる、また、そこにはそういう需要があるというのはおっしゃるとおりだと私も思いますので、そういう分野をより充実させていく必要があるのではないか、そのとおりだと思います。

枝野委員 百年に一度の危機と総理はおっしゃっているんですよ。それに対してどう対応して、例えば雇用の場をつくるのか、消費を拡大させるために何をするのかというときに、今のように何か横並びの一つの中に出てくるような話のめり張りのつけ方で果たしてこれに対応できるんでしょうかということを申し上げているんですよ。

 逆に、先ほど、例えば公共事業とかということを財務大臣がおっしゃいましたよ。確かに、我々も公共事業を一切やめろと言うつもりはありません。しかし、例えば公共事業が雇用や経済にどれぐらいの効果を与えるのか。

 例えば、国土交通大臣、道路がいろいろ問題になっておりますが、国が発注者となっている道路工事のうち、土地の取得費にかかっている経費はどれぐらいですか。

金子国務大臣 全国平均では約一割であります。

枝野委員 例えば介護や、例えば保育や、もちろん、介護施設をつくるとかあるいは保育所をつくるという初期インフラは要るかもしれません。でも、初期インフラの話も、実は、これから建物は日本は余ってくるんです、全体としての建物数は。人口が減っていくんですから。それは、改修、改良で幾らでも応用できる余地はたくさんあります。

 そうすると、基本的に、例えば介護のサービスを充実して提供するために中心になって必要なのは人件費です。まさに給与として支払われる、雇用の場として生まれる部分です。保育についてもそうです。例えば医療だって、もちろんでっかい病院の建物も必要だというところがあるかもしれませんが、医師や看護師の人件費です。つまり、出ていった公的資金は給与という形で大部分が国民の皆さんの懐に入って、それはその人たちの可処分所得をふやすことにつながって、それが消費につながっていくんです。

 ところが、もちろん土地の取得費だって日本の国民の皆さんの懐に入るわけですが、たまたま土地を持っていたという人にどんと入るだけで、それが使われる保証はありません。

 それから、さらに言えば、建築とか土木とかというところの資材のかなりの部分は、これは実は、時間があれば国土交通省に調べていただいて、きょうお答えをいただこうと思ったんですが、週末からちょっと時間がなかったので出てこないようなので、きょうはあきらめますけれども、恐らく、公共事業予算で使われている中のかなりのパーセンテージを輸入資材に頼っている部分もあるでしょう。これは、公共事業費として、例えば景気対策として支出をしても、それは外国に出ていってしまうお金です。国内の消費につながっていくような、国内で循環をしていくお金にはなっていきません。

 これだけの少子高齢社会で、必要なニーズが、高齢化対応と少子化対応のサービス、そこの人件費というところにお金を注ぐ需要がこんなに一方ではあるんです。そこに出たお金は国内で循環をするんです。

 さて一方で、これはこの間、野田先生だったでしょうか、自民党の議論の中でも、高齢化の中で、高齢化に対応して予算がどんどん必要になっていく、だから消費税が必要だみたいな話になっていましたが、これから人口は減っていくんですね、この国は。日本列島を走る自動車の台数は減っていくんですよ。日本国民の皆さんが消費する水道の水の量は減っていくんですよ。日本の国内に建っている建物は余っていくんですよ。そういった部分に今までと同じ発想でお金を使い続けることの効果というのは、圧倒的に少なくなっているんじゃないですか。

 例えば、私も、団塊世代や団塊ジュニアではありません、その合間ではありますけれども、小学校の教室が足りなくて校庭にプレハブ校舎を建てている、こういう世代ですよ。プレハブ校舎での授業を小学校のとき受けましたよ。でも、これから、少なくとも、少子化がこれだけ進んでいて、学校の教室が足りないという話はないです、耐震強化はしなきゃいけませんけれども。この人たちが大人になっていったら、どんどんその人たちが必要としている施設が減っていくわけですよ、従来に比べて。

 新しい道路は全く要らないとは言いませんよ。だけれども、今までと同じペースで道路工事する必要なんか全然ない。今までと同じペースでダムをつくる必要なんか全然ない。今までと同じペースで建物をつくる必要なんか全然ない。その分の金をそっくり、例えば介護のサービスや保育のサービスという、少子高齢社会の中でふやさなきゃならないサービス関連の人件費に回せば、直接雇用がふえるんですよ。そして、この人たちは、自分たちでもらったお金を国内で消費するんですよ。このことによって、高齢者の皆さんは、安心が高まるほど貯蓄を切り崩してくれる可能性が高まるんですよ。

 こういう大きな時代の転換に合わせて税金の使い方の転換をするというのが、百年に一度の経済危機だったらやらなきゃならないことじゃないんですか。それが全くそういった方向性が見えない、みんな横並びだということを指摘しているんです。総理、どうですか。

麻生内閣総理大臣 セメント屋から言わせていただくと、一〇〇%日本製なものですから、ちょっと異議があるところではありますが、今のお話でいきますと、我々としては、今の時代、少なくとも、日本の国際競争力というものは今後とも維持し続けなければならないという点は同じような御意見だったと思います。

 しかし、現実に、例えばインフラを例に引きます、公共事業を例に引きますれば、港から高速道路までの距離が少なくとも三十分以上かかる大きな港または高速道路は一体日本じゅうに何十あるのかといえば、これは極めて大きな部分であって、その部分は今後ともよほど効率化しなければやっていけない、よく言われているところでもあります。

 したがって、公共事業は全く必要としないとは言っていないとおっしゃいますので、私もその点に関しては安心しますけれども、公共事業も含めて我々は総合的に考えていかねばならぬというのは確かです。

 しかし、今おっしゃったように、これからの大きな人を使うところにおきましては、先ほども申し上げました、所信でも申し述べました、健康長寿という言葉を使わせていただきましたが、そういった厚生行政というものにかかわる部分というものは非常に大きな人というものを雇用する確率、パーセントが極めて高いということに関しましては、私も全くそう思いますし、それに対して、しかるべき人が入るためにはそういったところに雇われる人の給与というのにも十分配慮する、全くそう思います。そういった点を配慮しながら、今予算を編成しなければならぬということであろうと思っております。

枝野委員 繰り返しますが、百年に一度の経済危機である、私も全くそう思います。百年に一度の経済危機ということは、一般的には、一九二九年の大恐慌、世界恐慌、あれ以来の危機だ。あのときも、世界のさまざまな経済構造は変わったわけですよ。ポンド本位からドル本位へとあれを境に大きく変わっていったわけですね。それから、植民地を拡大することによって市場を拡大していくという路線が破綻をした、終わった、その終わりの始まりになったのが一九二九年の大恐慌ですよ。

 今回の事態も、あれに匹敵するような大きな事態だという危機意識まではお持ちになっているならば、あのときに大きく世界の国々がそれぞれ政策を大転換しなきゃならなかったのと同じぐらいの転換をしなきゃならない。その転換の方向についていろいろな意見があるかもしれません。私の意見だけではないかもしれません。

 少なくとも、総理、例えば、きょうも引用された所信表明演説にしても、この間の予算委員会などでの答弁にしても、結局今までの延長線上で、あれもやります、これもやります、こっちもやっていますからそちらに配慮をしていますという、全体に目を配って、そしてまあぼちぼちと、私は、この路線の延長線上で今の状況を乗り切ることはできない、このことだけははっきりしているということを指摘して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、渡部恒三君から関連質疑の申し出があります。中川正春君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡部恒三君。

渡部(恒)委員 麻生総理、御苦労さまと申し上げたいんですけれども、私は、予算委員会、あなたが総理になってからずっと出席しております。本当は、我が党の若い皆さんが質問するアドバイザーで出てきたつもりなんですが、この質疑のやりとりを聞いていると、何か気の毒だな、かわっていって、あなたにかわって答弁してやりたいな、そういう思いで、残念ながら、あなたは、人柄は非常にいい、私は大好きな男だったんですが、総理大臣にはならない方がよかったなと。あなたの不幸でなくて、今、この百年に一遍という大事なときにあなたを総理大臣にしてしまった国民は不幸だなと、本当にしみじみ考えさせられる。

 答弁……(発言する者あり)いや、あなた方も恐らく心の中では、しまった、損をしたなと思っているものと思うんですが、残念ながら、答えていない、答えても、四分五裂、何かあっちに行ったりこっちに行ったり、何を答えているかわからない。

 きょうは、民主主義の基本について、何も資料がなくても何でも答えられることを私はお聞きしたいと思う。

 安倍内閣、福田内閣、麻生内閣、これが続いたが、一遍も国民の信頼を得ない、選挙を経ないでこれは続いている。憲法の原点は、主権在民で進むんだ。国民が決める。(発言する者あり)今、議院内閣制と言ったけれども、アメリカと日本の違いは、アメリカは直接民主主義で大統領を国民が選ぶ、イギリスや日本は議院内閣制で国会議員を、衆議院議員を、参議院議員を国民が選んで、その国会議員が総理大臣を本会議で指名してできる。

 当然のことながら、だから、やはり内閣ができたら、解散して、私はこういう考えでこの国をやりたい、国民の皆さん、どうですかと。これが民主主義だ。それを、安倍君が総理になってもやらなかった、福田君がなってもやらない、せめて麻生君、あなたはやるかと思ったら、これもやらなかった。これが今もやもやと国民の皆さんの政治空白になっておるので、このことについてどう考えるか、お聞きしたい。

麻生内閣総理大臣 まず最初に、御登場いただきましてありがとうございました。長い間の、もう二十何年のあれですので、こういったときにこういった話をしていただきましてありがとうございました。まず最初に、率直にお礼を申し上げます。

 その上で、議会制民主主義、大統領制のお話をいただきましたが、少なくとも、日本において、議会制民主主義という、アメリカとは全然違うルールでやってきております。

 今我々は政権を担っておりますけれども、少なくとも私のときに、九月の二十何日になりましたけれども、御存じのように、急激な世界経済の変化というのが起きて、私どもにとりましては、これは本当に大きな騒ぎになっております。そういったのに対応するためには、我々としては何としても、きちんとした経済対策、失業対策、景気対策、そういったものをやる。すなわち、政策が政局に優先すると、私自身、自分で判断をし、結果として今のような形になっております。

 いずれ信を問うことになります。その上で、きちんとした政策の違いを明確にして信を問いたいと思います。イギリスの例を引かれましたけれども、イギリスのゴードン・ブラウンも総理になって大分長くなります。いまだ解散をしておられないというのを見られてもわかりますように、これはいかにも違反というわけではありません。それぞれの選択の問題なんだと思っておりますので、私の選択が間違っているかもしれませんけれども、いずれ、きちんとした時期を見て、私なりに判断をさせていただきたいと思っております。

渡部(恒)委員 昨年、文芸春秋等に書かれているように、あなたは、最初は内閣をとったら施政方針演説をやって解散しようと考えておったんじゃないですか。ところが、ここから先は伝え聞く話ですけれども、自民党の選挙の世論調査を見たら、今解散すれば惨敗する、負ける、困ったと。が、そのときアメリカから、この百年に一遍という我々国民に対する厳しい不況が来た。これは困った、これはみんながこう思うもの。ここからはうそか本当かわかりませんよ、伝え聞くところによると、何か神風だという。

 それで、政局よりも政策、景気対策、景気対策と言って選挙を見送った。が、その発信地であるアメリカは、その厳しいときに堂々と大統領選挙をやって、オバマが……(発言する者あり)聞きなさい。あんたらも、今本当にこのまま選挙になったら負けちゃうんじゃないかと困っている。きょう予算委員会でまじめに聞いた皆さんだけは当選するようにおれが考えてやるから。静かに聞きなさい。

 これは、だから、やらなかったといううわさがある。なら、我々が全面的に協力して予算が通ったということになれば、すぐ解散しますね。

麻生内閣総理大臣 九月の初め、私ども解散をということを、私自身が、この日、この日に必ずやると一〇〇%決めていたわけではありませんよ、正直に申し上げますけれども。ただ、解散ということを常に思っておりましたことは確かです。これは総理大臣はみんな思っていますよ。私は、そういうものだと、この立場になって、ああなるほどというのがよくわかりますから。したがって、私としては、きちんとした対応をせねばならぬと自分なりに考えておりました。

 しかし、現実問題としては、あの後のアジア・ヨーロッパ会議に行きましても、アメリカはこれで大統領がかわって、約数カ月間は世界一の経済大国の指導力はがたんと落ちる、その間、第二の日本もいなくなっちゃうというようなことはいかがなものか、勘弁してくれ。これは正直いろいろな個別の会談のときに言われて、はあ、世界からそういうぐあいに見られているんだなとは思いました。率直なところです。

 したがって、その後急激な景気の落ち込みというようなものがありましたので、私自身、景気対策、経済対策が最優先すべきものだというように考えて、自分なりの判断をさせていただいたというのが経緯であって、今うわさの話がいろいろありましたけれども、選挙につきましては、もう渡部先生の方がよく、何回も経験をしておられるのでおわかりと思います。これまで、負けると言われた黒い霧解散のときは圧勝しましたから。よくわかっておられる。こっちは全然わからぬところだと思いますが、渡部先生ぐらいの世代になるとわかっておられると思います。

 あのときのことを思い出していただければ、それは、世論調査とかいうもので選挙というものがきちんと予測できるわけではない、私はあのときつくづくそう思いましたので、ぜひ、そういった意味で、私どもにとりましては一番の判断が要る。自分なりの判断で決めさせていただきたいと思っております。

渡部(恒)委員 そのとおりなんだ。負ける、勝つなんというのは結果が出なきゃわからない。あなたは去年の十月、解散していれば、あなたは勝って、吉田茂さんより、吉田茂さんは解散して負けて、しかし、それが結果的にはその後の長い長い吉田政治をつくったんだから、勝とうと負けようと、あのときやはり解散していれば、麻生という政治家も、おじいさんよりも大したものだ、こう残ったんだろうし。それから、今、国民の皆さんも非常にはっきりした気持ちで、これからこの百年に一度と言われる不況を打開して日本の未来は明るくいくんだという気持ちになれたので、本当に解散しなかったことは残念でたまりません。

 そこで、その前、小泉内閣のとき、これは丸々逆だった。政府が百本近い法律を出しておったんですよ。そのうちのたった一本、郵政民営化の法案、それも衆議院で否決されたんじゃないんだよ、衆議院では通って、参議院で否決された。それも、参議院で野党の反対で否決されたんじゃないんだよ、自民党の内輪げんかで否決されたんだよ。そして解散した。あの解散は正しかったかどうか。

麻生内閣総理大臣 正しいとか間違っているかとか言われると、私どもは、基本的に総理大臣が解散権をお持ちですから、その解散権をお持ちの総理大臣の決断ですから。それが常識を外していると、もともと余り常識的じゃないというのが売りで来ておられた方ですから、余り常識的なことを期待する方が間違っておられるんだ、私はそのときそう思いましたから。率直に申し上げて、奇人変人としては正しい行為だと私は思いますけれども。いかがなものかと申し上げましたよ、一大臣ですから。

 だから、正しいかと言われれば、渡部先生、これは法律的に見まして別に間違っているわけではありません。ただ、常識的じゃないなと思ったのは、それは先生も思われたでしょうし、多分日本じゅう皆思ったんですが、結果としてあの選挙は勝ったんです。私はそこのところが一番肝心なところだと思いますので、私は、正しかったか間違っているかと言われれば、決して間違ってはいなかったと存じます。

渡部(恒)委員 あなたの今までの答弁、あっちに行ったりこっちに行ったり、何か四分五裂、何言ってるんだかわからなくて非常に残念だったけれども、きょう初めて明確な答弁をいただいて、ありがとう。

 そこで、その常識外れの奇人のあの選挙、官から民へ、いわゆる規制緩和、今思い出すと何が何だかわからないことで。しかし、勝ったことは間違いない。与党が三分の二の議席をとったために今めちゃくちゃな政治が行われておる。三分の二以上をとって、自民党だけでは三百とれなかった、公明党と合わせると衆議院で三分の二の……(発言する者あり)間違ったこと言わないんだから、もっと静かに黙って聞きなさいよ。三分の二の議席をとったことは間違いない。そして、その三分の二の議席にあぐらをかいている。参議院で否決された法律をまた三分の二で可決したりして……(発言する者あり)規則は規則。実際、国民の皆さんが今本当に苦しんでいる。農家の皆さんも中小企業の皆さんも、今や大企業で働く皆さんでも雇用不安で苦しんでいる。頼りにするのは政治だ。そして、この予算委員会を見守っているんです。

 だから、やはりすばらしい総理だ、もう心配ないぞというような答弁を期待しておったのに、ところが、あなたの答弁をいろいろ聞くと、郵政民営化についても、この前何だ、反対だったんだか賛成だったんだかわからない。やはり政治家は信念だ。あのとき、郵政民営化の法案、これが国民のためにならないと思ったら、これはだめですと反対すべきだったんだ。これがやはり国民のために大事だと思うなら賛成すべきなんだ。それを何か、心では反対だったけれども、大臣の職を離れたくないから賛成したとか、何かよくわからないけれども。

 しかし、あのとき、大臣をやっておった者が、みずから罷免されても反対だ、こういう政治家も、やはり自民党にもいい政治家はいるんだよ、この前の渡辺美智雄さんのせがれもそうだけれども。私は、だから自民党の将来にも期待しているんだから。その中にもこれから、渡辺美智雄さんの息子や、郵政民営化のときに反対した、何といったかな……(発言する者あり)ああ、ああいう人がいっぱいいるんだと思って期待している。

 しかし、あなたのこの前の答弁は男らしくない。賛成なら賛成、反対なら反対。だけれども、おれは反対だったけれども、民営化の方はいいけれども、三分割が、四分割が、そっちはどうでも、何か心が進まなかったとか、わけわからないんだな。おれの方が頭が悪いのかな。

 あのときはどういう考えだったか、国民の皆さんにわかりやすく、しっかり答えてください。

麻生内閣総理大臣 うるさい席でしたので、なかなか正確に聞こえられなかったところもあるでしょうし、何となく分析、記憶力が大分ずれておられるというところも含めて、私どもとして……(発言する者あり)失礼なことを言われているんだから、そのとおりきちんと答弁して……

衛藤委員長 静粛に。諸君、静粛に質疑をお聞きください。

麻生内閣総理大臣 お考えを申し上げております。きょうも申し上げたところであります。

 私が政務調査会長のころからこの話はありました。そのときに、郵政公社というものの民営化についてはいかがなものかということをずっと申し上げてきておりました。先生にも一回言ったことありますが、政調会長のときに。二年半の間ずっと同じことを言ってきておりました。

 それが、担当の総務省所管の大臣ということになりました。そのときに、郵政民営化はされるというお話でしたので、民営化担当大臣は竹中にということで、私はその他の総務省の所管ということになりました。そのとおりであります。

 二年間、総務省にいて、いろいろな形で、民営化その他、あのときは四分社化、三分社化、二分社化、いろいろあったんです、御記憶かと思いますが。そのときに、いろいろな意見の流れがあった中で、この方が少なくとも効率性は上がるということを確信したものですから、最終的に民営化というのには賛成しました。

 ただし、私どもは経営者をやってきましたので、その時代に合わせていろいろ会社というものは変えてくるものですが、役所というのは一回決まっちゃうとずうっとになりますので、この郵政民営化の話についてはいわゆる修正条項というのをきちんと入れていただかないと、やってみたけれどもうまくいかなかったということにもなりかねませんので、そういった意味では、三年に一遍という見直し条項はきっちり入れていただきますということを申し上げたんです、全然入っていなかったけれども。

 それで、結果的にそれが入って、郵政公社というものが民営化されて、その中に今言われた三年目が、この平成二十一年三月で三年目を迎えるというので、今、民営化検討委員会でいろいろ案が出されているという状況を受けて、私どもはその答申を受けて判断するのが私の立場です。

 もう一回、きょうは静かに聞いていただきましたので、きちっと整理ができていることだと思いますが、今申し上げたとおりであります。

渡部(恒)委員 これは解散・総選挙までやった、国民に大騒ぎさせ、国論を二分する大変な法律が通ったわけだ。その法律がいいか悪いか、これから議論しますけれどもね。

 しかし、そのとき、内閣総理大臣とその副大臣にも匹敵する総務大臣でそういういろいろな食い違いがありながらあの法律が通った。しかも、これからこれは悪いから直すという話だね。これは同感だ、おれもそう思っているから。だけれども、これはやはり大きな問題だね。

 そのとき小泉さんと麻生さん、しかも前の総理大臣と今の総理大臣だからね、それがどういう話を交わしたのかというのは我々やはりしっかり聞きたいので、委員長、ぜひその法律を通すとき内閣の中で担当大臣の麻生さんと総理大臣の小泉さんがどういう……(発言する者あり)そんなことちゃんとわかっているんだ。これも男らしくないんだ、そういうことを言うから。ぬれぎぬを着せられちゃって、担当は竹中だ、これも男らしくないな。(発言する者あり)

 では竹中も、小泉前総理と竹中担当大臣を、この委員会で聞きたいので、参考人に呼んでくれるように、委員長、取り計らい願います。

衛藤委員長 渡部君の申し出につきましては、後刻理事会で協議いたします。

渡部(恒)委員 その後、小泉改革は、大体あんたらみんな、間違いだったと思っているんじゃないか。選挙区に帰ると、言っているんじゃないか。そういうのはいっぱいいるよ、それを言って投票をとりたいと思って……(発言する者あり)いや、もう少し聞け。

 小泉改革は、郵政民営化だけじゃない。あの地方切り捨て。六兆八千億も地方交付税を削って、地方をこんなにひどくしちゃった。地域格差。そして、今この不況というと、私も宮沢内閣の通産大臣のときに、バブルが崩壊して一番厳しい不況に通産大臣として対応したけれども、首切りの話はあのときなかったよ。まして、大企業で一番最初から首切りになるなんという話は全くなかった、厳しい不況だって。しかし、それが一番先に大企業が首切り、こういうことになった。

 いろいろこれは、あのときの小泉改革、あれはおれは特に迷惑しているんだ、コウゾウ改革、コウゾウ改革だなんて。名前を変えてもらわないと困るんだけれどもね。あの小泉改革に対して、あなたはどう考えているか。

麻生内閣総理大臣 小泉構造じゃなくて渡部恒三、よくわかっております。全然意味が違う。今ひっかけられて、何の話だと言われる方もきっといらっしゃるんだと思いますので。

 今、小泉改革についての話が出されましたけれども、私は、あれは二〇〇一年が就任されたときだったんですが、あのころはかなりバブルの崩壊した、いわゆる土地バブルの崩壊、九二年、失われた十年と言われたあの時代の最後は二〇〇一年なんですが、あの時代はやはり閉塞感が随分漂っていたというのは間違いないと思っております。

 その中にあって、自民党をぶっ壊すと言う勇ましい人が出てこられて、私はそのとき対抗馬に立って負けた方ですから、そのときに、自民党をぶっ壊すと言う人を自民党が当選させるんだからすごい政党だな、私自身はそう思いました。悔しいばかりじゃなくて、率直にへえという感じがあのときです。そして、それは多くの方々が、自民党以外の方も、多くの方の支持を受けてきちんとされたというのは事実です。

 しかし、その結果、三兆円の補助金というものが地方税に変わったりしたというのは、あれは間違いなくこちら側ではできなかった、地方に言わせて、やった。それが結果ですから、その意味では成功した部分もありますけれども、いろいろひずみが出てきた部分というのは今後直していかねばならぬところで、それを私どもは改革を進化させていかねばならぬと思っております。

渡部(恒)委員 時間が来てしまったので、最後に。

 先ほど枝野議員からいろいろ質問があった。しかし、それに対して全く的確な答弁がなかった。それは、この前、野田毅議員からもあったけれども、今、悪い話ばかりだけれども、我が国の希望は、千四百兆という個人……(発言する者あり)千五百兆、個人資産がある。これはすばらしいことだ。この一〇%を使ってくれれば百五十兆、一%でも一兆円……(発言する者あり)十五兆。なぜ使われないのか。やはり政治に対する不信感なんだ。お年寄りの皆さん、年金もらえなくなるんじゃないか。後期高齢者医療で、金がないと医者にかかれないんじゃないか。息子は首になっちゃうんじゃないか。この不安が、金を使わないんだ。

 だから、この人たちにお金を使ってもらって景気を回復する道はたった一つ、政権がかわることだ。もう自民党の長い政権は終わった。三十年自民党におったおれが言うんだから間違いない。国民の皆さんのために、一分でも一秒でも早く政権が交代して景気がよくなることを願って、私の質問を終わります。

衛藤委員長 これにて中川正春君、筒井信隆君、川内博史君、枝野幸男君、渡部恒三君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 最近、名立たる大企業が何千何万という単位で次々と派遣切り、非正規切りを行っておって、国民の中に大変な不安が広がっております。

 厚労省が一月三十日に公表した調査によりますと、非正規雇用の雇いどめで、昨年十月からことし三月までの間に十二万五千人が仕事を失う、大変な事態であります。業界団体でも四十万人、こういう数字も出されております。

 資料を見ていただきたいんですが、政府の調査によりますと、愛知県が一番多いわけです、二万人。東海四県では二六%、つまり、派遣切りに遭った四人に一人が東海地域に集中しております。

 まず、総理にお伺いしますが、派遣切りがこんなに東海地域に集中しているのは、これはなぜだと思われますか。

麻生内閣総理大臣 ここは基本的には、主たるものとしては、工業として自動車、航空機、また精密、精機と言われるようなものを含めまして、陶器、この四種類の企業が多く集中しているところだと思います。その中で、自動車産業の比率が最も高く、その自動車産業が、今回のいわゆる世界的な不況を受けて、輸出面で不況のあおりを受けた部分が非常に多かった。その企業群が愛知県に多く集中しているというのがその影響かなと、正確な分析じゃありませんけれども、大体そんなところじゃないかなと思っております。

佐々木(憲)委員 この派遣切りに遭った労働者の多くは、工場の近くの寮に住んでおられるわけです。解雇されると同時に寮から追い出される。しかし、年収二百万前後という状態ですから、蓄えがありません。次の住居を確保したいけれども、それもできない。しばらくはネットカフェで寝泊まりをして職を探しているけれども、見つからない。そのうちに所持金を使い果たして、背広を着た若者が何日も食事をとることができずに相談に来られるわけです。

 それが今名古屋に集中しておりまして、このパネルを見ていただきたいんですが、もともと名古屋市というのは、ほかの大きな市と同じようにシェルターがありまして、ホームレス対策を行っておりました。しかし、今回はその能力をはるかに超えまして、中村区役所だけ、区役所に毎日百人前後の相談者が押し寄せているわけでございます。これは本当に大変な事態でありまして、市外から来ている人が約半分。名古屋市内が四八・六%、市外がそのあと半分以上を占めておりまして、県外が三分の一を占めているわけです。

 中村区役所には私も何度も足を運びましたけれども、ほかの区役所から応援も得て職員は必死になって相談に乗りまして、宿泊所を確保したり生活保護の手続に当たったりしているわけです。しかし、深夜まで仕事をしても書類が毎日積み上がっていく、こういう実態であります。

 なぜ名古屋に集中するのか。周辺の自治体の姿勢にも私は問題があると思っております。もう職もない、住むところもない、それで自治体に相談に行くと、相談に来た労働者に自治体の側は電車の切符を渡して、名古屋に行きなさい、そういう事例があるわけですね。

 鳩山大臣にお伺いしますけれども、自治体というのは一体何のためにあるのか。派遣切りに遭った住民から相談を受けたら、その自治体がやはり親身になって対応する、これは基本でなければならぬと思いますが、いかがですか。

鳩山国務大臣 雇用問題に関して言えば、今、佐々木委員がおっしゃるようなことが起きているのはまことに残念でございます。

 私は、昨年末に、全地方自治体はもちろん、市区町村長あてに、あるいは議会議長あてに手紙を送りまして、地域住民が安心して暮らせるように積極的な対応をとってくれ、雇用問題も、こちらもしっかりやるから頑張ってくれというので、財源について、地方自治体が雇用の促進あるいは新しい雇用を生むために、できる財源をいろいろ用意しているわけです。例えば特別交付税、三月に配る分がまだ六千七百億ありますが、これも雇用に大いに使ってほしいということであります。

 総理から、一兆円の地方交付税、これは本予算ですが、積み増していただいたうちの五千億は雇用に使う。これは、都道府県、市町村、二千五百億ずつですが、いわば条件の悪いところ、つまり有効求人倍率とか財政力指数が悪いところ、あるいは一次産業率が多いところに多く配分するわけですから、ある意味でいうと、雇用をふだん生みにくそうなところに雇用が生まれるように手配をしている。今度の二次補正で六千億の生活対策臨時交付金を出した、これも雇用に使える。

 ですから、早くこの関連法案を成立させていただければ、区市町村が元気になって、もう名古屋へ行きなさいなんて言わないで、おれのところで引き受けると変わっていくと思います。

佐々木(憲)委員 予算の話をされましたが、私は、その前に自治体の姿勢を聞いているんですよ。これだけ大変な事態になっているのに、うちの自治体では窓口でほかの自治体に行きなさい、そういう話ではだめだという話をしているわけです。

 舛添大臣にお伺いしますが、生活保護の申請の際、住居がないからといってこれをはねつけない、受け付けた上で、住居を探し給付をする。これは年越し派遣村や名古屋市でも行っておりますが、これはすべての自治体の基本方針にすべきだと私は思うんです。いかがですか。

舛添国務大臣 例えば日比谷公園のようなところに寝泊まりしておられるような方でも、これは基本的に申請は可能です。その上で、きちんと自治体の助けをかりてアパートを借りられる、そうしたらそこが住所になりますから、その段階できちんと給付ができますので、これは全国同じようにしていきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 私は、名古屋市の担当者の話を聞きました。市が単独でやっている緊急宿泊援護施設の費用は、昨年の予算の六倍に膨らんでおります。緊急事態なんですね。これらの費用に対して、国がやはり財政援助をすべきだというふうに私は思います。

 舛添大臣にお聞きしますが、今まで派遣労働者が住んでいた寮は、追い出したらがらがらになっているわけですよ。その一方で、自治体が必死になって宿泊所、住居を確保している。大規模に派遣切りをした大企業は、それを見て涼しい顔をしている。非常におかしいと思うんですね。この寒空のもとに寮から追い出すのか。解雇されたからといって、すぐに出ていく必要がないと私は思いますが、労働者に向かって、はっきりこの点、寮からすぐ出ていく必要はないよと言っていただきたい。

舛添国務大臣 すべて基本的に、その企業と労働者の契約関係がどういうことになっているかということによりますけれども、しかしながら、まず我々がやっているのは、解雇したからすぐ出ていけと言わないで、社員寮にそのままとどまり続けられることをやる企業主に対しては、四万円から六万円の家賃の補てんをいたします。それから雇用促進住宅、もう三千八百件ぐらいのあっせんをいたしました。

 それから、日比谷の場合もそうでしたけれども、五百人ぐらいの方々に対して、求人票、住み込みで、すぐ働いてすぐ住居もあります、これを四千人分持っていきました。

 今、全国のハローワークで、住居の相談も含めて、昨年の十二月十五日から全面的に皆様方の御支援をしておりますので、どうか、問題あればすぐにハローワークにいらしていただければ、私たちが一生懸命お手伝いをさせていただきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 寮から追い出された後ハローワークに行く、あっちに行け、こっちに行け、これはなかなか大変なんですよ。寮にいる段階で、今後の仕事、住まい、生活保護、こういうものの相談に総合的に乗るということが今求められていると思うんです。

 総理に聞きます。

 二月から三月にかけまして深刻な事態が想定されております。緊急の宿泊施設を各地に設置する、各自治体に総合窓口を併設する、必要な資金と人は派遣切りをした大企業や国、自治体が責任を持つ、一人も路頭に迷わせない、この姿勢で私は取り組むべきだと思いますが、総理の決意を聞きたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今、厚生大臣からも御答弁をいたしましたとおり、雇いどめ等によって住居がいきなり喪失する、なくなるという離職者、退職者を支援することは、これは今お話がありましたように、昨年の末からハローワークなどなど、いろいろ今までにないような対応をずっとしてきていると思います。住居の入居あっせんとか雇用保険二事業、御存じのとおりで、ああいったものを活用して住宅政策支援の資金融資ということもやらせてきていただいておりますのは、先生よく御存じのとおりです。

 一方、寄せられます相談の多くは、再就職の援助から住宅の確保、また福祉制度の利用などまで、実に幅広い問題にわたっておりまして、ここを担います地方自治体と連携をしないと、厚生労働省だけでどうにかできるものでもございませんので、今後とも、地方自治体との間の連絡をきちっとやっていかなければいかぬところだと思っております。

佐々木(憲)委員 次に、派遣労働の問題ですが、派遣というのは臨時的、一時的業務に限る、これが原則であります。最大三年を超えて同一業務をさせることは違法です。三年を超える場合、派遣先企業は労働者に直接雇用の申し出をしなければならない。ところが、実際はそれが守られていない。

 具体的な例を挙げたいと思います。三菱電機名古屋製作所の例であります。

 仮にCさんといたしますが、この方は、二〇〇三年十二月から五年間、偽装請負から派遣に変わったけれども、同一業務で仕事をしてまいりました。この方は母子家庭で、娘さんと二人暮らしであります。こういうふうに訴えているわけですね。

 十二月十九日に突然担当者に呼び出され、解雇を通告されました。ついに私もかと、ショックと怒りでわけがわからなくなってしまいました。派遣会社が話した解雇の理由は、今後、自分の働いているラインは回復の見込みがないからというだけでした。十二月だけで、私の班だけで二十人ぐらい切られています。娘に電話で、お母さん来月から仕事がなくなっちゃったと伝えると、娘は電話口で無言になり、泣き出してしまった。本当につらかった。親子ともども首をつらないといけなくなる。こういう訴えであります。

 契約期間途中の解雇なんです。この五年間必死に働いてきたのに、派遣先企業は労働者に直接雇用の申し入れを一度もしておりません。

 同じ工場のMさんの場合ですけれども、二〇〇二年五月から偽装請負時代も含めて六年半、派遣が繰り返されてきました。この方は、低圧電気と高圧電気の免許を取り、正社員に仕事を教えるほど能力の高い方であります。契約更新が三十六回、この間の時給は千百円から千百二十円に、たった二十円上がっただけです。家族を抱えて頑張ってきました。この人は、四月三十日までの雇用契約があるにもかかわらず、十二月二日に十二月末で解雇だと言い渡され、本人は大変なショックで、このように訴えております。

 解雇だと告げられ、目の前が真っ暗になった。三年以上働けば直接雇用じゃなかったのか。六年半も頑張って、いとも簡単に首か。五、六月が過去最高の利益だったのに、たった一回受注が減っただけで、なぜこの年末の十二月に全員解雇するのか。いろいろな感情が込み上げ、その後一カ月の仕事は本当につらいものだった。こんなつらい気持ちで残り期間働いているのに、その神経を逆なでするかのように、また正社員に仕事を教え、引き継ぎまで頼まれた。いいようにこき使われ、ほぼすべての作業を一生懸命覚えてやってきたことを利用され、裏切られたんだとはっきり気づいた。こういうふうに言っております。

 このような声は今、多数寄せられております。私は三菱電機の本社に問い合わせました、一体どうなっているんですかと。しかし、それは答えないことにしていると、非常に冷たい対応でありました。全くこれはやみからやみに葬るようなものですね。

 厚労大臣にお聞きしますけれども、三年を超えて働いていた労働者はすべて正社員にするというのが原則だと私は思います。実態を直ちに調査するということをぜひやってください。

舛添国務大臣 まず、個別の案件についてのお答えは差し控えますが、一般論として申し上げますと、この三年というのはいつから来るかということは、派遣元の会社が、派遣先と自分が抱えている労働者に対して、三年切りましたという、抵触日というふうにいうんですけれども、これの通知を受けたときからしかカウントできません。

 それで、そういう問題があれば、各県の労働局に特別の窓口がありますから、ぜひそこに飛び込んできてくださって、こういうひどいことをやっているんだよと言ってくだされば、必ずこれは立ち入って必要な指導をやっていきますので、そういう制度があるということを、全国で働いている皆さん方にぜひお知りおきいただきたいと思いますし、そして、我々は、法律に基づいて厳格な指導をやり、正していきたいと思っております。

佐々木(憲)委員 派遣労働者の多くは、職場の中でも差別的な扱いを受けております。賃金が低いだけではありません。社員食堂に行きますと、食費は正社員と比べて倍の値段を取られる。作業服代にも差別がありまして、作業用の帽子、正社員は十円、派遣社員は千円から二千円取られる。自転車置き場も違う。その上、危険な作業に従事させられることが多いわけです。

 先ほど紹介した三菱電機のCさんの場合、有機溶剤を扱う部署だけれども、初めにつけていた防毒マスクを外すように言われて作業させられた。Mさんは、一日じゅうモーターのシンナーふき取りと塗装作業をし、終了後は噴霧器と作業室内の洗浄、掃除をさせられた。八月の猛暑の中、防毒マスクをつけ、暑さのせいで揮発の激しいシンナー、有機溶剤を毎日吸い込み、頭痛、のど、鼻の痛み、目まいなど、体調を悪化させた。このままではもたないと訴えたけれども取り合ってもらえず、二カ月も作業を続けた。

 この作業は、正社員はやらないで、派遣社員に押しつけている。私は、安全衛生上も重大な問題だと思うんです。派遣先は、労働者を生きた人間としてではなく物のように扱う、物のように使い捨てていると言わざるを得ません。

 総理、これは余りにもひどい扱いだと思いませんか。総理の見解を。

麻生内閣総理大臣 重ねて申し上げますが、今の話がすべて事実かどうかを確認することができないので、佐々木先生の話だけをもとにして、それがいいとか悪いとか言うのは極めて、私の立場として言える立場にありませんということをまず大前提で聞いておいていただいた上で、今のような状況がもし事実であるとするならば、甚だ遺憾、ちょっと労働基準法の点から問題かなという感じがします。

佐々木(憲)委員 三菱電機では、労働者に対して、五年たっても六年たっても、正社員になりませんかということは一度も言っていないんです。

 トヨタ車体は、この予算委員会でも志位委員長が取り上げて問題になりました。私は、直接その会社に行きました。話を聞いたところ、派遣労働者をまず期間社員にしたい、こう言っていました。ところが、その後何をやっているかというと、一人一人派遣労働者を呼び出してふるいにかけ、どんどん派遣切りをやっているんです。問い合わせに対してもまともに答えがない。こういうやり方が蔓延しているんですよ、今。

 舛添大臣にお伺いしますけれども、厳正に対処する、すべての会社の実態を調査して、根絶するというのを明確に答えて、やっていただきたいと私は思います。

舛添国務大臣 原則一年、そして最大三年という派遣期間を超えた労働者派遣を続ける派遣先は、直接雇用ということの申し込みをする義務が生じているわけです。まずそれをしっかりした上で、そして、やはり偽装請負とか今の派遣期間制限で違反したこういうものに対して、今申し上げたような直接雇用の申し込みをしなさいというようなことを勧告できる、しかも、それは賃金を下げたりするともっとひどい状況になりますから、賃金を下げないでということ、このことをまさに含んでいるのが今の労働者派遣法の改正案でございます。一刻も早くこれを成立させていただくと、私にとってももっと強い武器が出てくると思います。

佐々木(憲)委員 法律の話がありましたけれども、何百万人という労働者を無権利状態に陥れたのは、労働法制の規制緩和に根本問題があります。

 ここにパネルがありますけれども、もともと労働者を派遣して上前をはねるような労働者供給というのは、職安法四十四条、労働基準法六条によって禁止されていたわけです。この上の部分ですね。ところが、下のように、一九八五年にできた労働者派遣法、この法律に例外を設けて、この上の関係に穴をあけたわけです。一九九九年には、我が党だけが反対しましたが、これを原則自由にし、二〇〇四年からは製造業にまで広げた。これは、労働者が望んだのではなくて、財界がこういうことをやれという要望を出したからです。

 派遣先の会社は、自分の会社の指揮命令下で実際には働かせているわけですね。しかし、労働契約は結んでおりません、派遣元である派遣会社と民事上の契約を結んでいるだけで。だから、これは物件費扱いなんですね。

 総理に聞きますけれども、先日、解雇通告を受けた派遣、請負労働者が十二月に大分キヤノンに交渉に行ったんですけれども、門前払い。キヤノンの言い分は、生産台数で発注しているだけだ、雇用関係にないから話す必要はない、こういうことで、けんもほろろであります。みずから失業の前提、原因をつくっておきながら、労働者とは一切関係ありませんと。しかし、そこの会社の中で働いているんですよ、この人たちは。これはおかしいと思いませんか、総理。

麻生内閣総理大臣 派遣先と派遣元、わかった上で聞いておられるんだと存じます。その方の雇い主は基本的に派遣元であります。その派遣元が派遣先の会社と契約をしておられる、そういう契約なんだと理解しております。したがって、派遣先の大企業が、派遣元との関係がどういったような契約になっておるのかというのが一番肝心なところ、これが一つです。

 二つ目、その派遣されている方は派遣元の会社にどういった形で雇用されているのか。常用雇用なのか。そこから派遣されているわけですから、もとはこっちですよ。

 だから、そこのところをきちんとされておかないとなかなか難しいので、感情論だけで言っても、なかなかさようなわけにはいかない。したがって、相手側にしてみれば、派遣元が言ってくるならともかくもという形になったんだ、今そういうような感じがいたしますので、感情論としてはいろいろ申し上げたいことはありますけれども、ただ、そこのところは、派遣元と派遣先と混線されたような話をされるとちょっといかがな、難しくなっちゃうんじゃないでしょうかね。

佐々木(憲)委員 これは全くキヤノンの説明と同じですよ。自分で契約を切って、雇用を喪失させるような状況をつくっておいて、その労働者が申し込んだ交渉に対しては一切受けない。大体、そういう関係にあるというこの法律が私は問題があると思います。今は、派遣先の大企業は労働者に対して直接指揮命令下で働かせているわけです。実態はそうなっているわけですから、雇用に対する責任も当然負うべきなんですね。当面、少なくとも、三年以上同一業務で働かせたら全員正社員に切りかえるよう指導する、これは当然であります。

 私は、戦前、小林多喜二が「蟹工船」で描いたあの労働者の奴隷的な実態、そういう状況というのは現在の新しい派遣法のもとで繰り返されている、それに対して多くの労働者が怒っている、こういう状況を直してほしい、ともかく今の法制でできることは全部やってほしい、すべて救済してくれ、抜本的な法改正も私は当然必要である、こういうことを申し上げまして、時間が参りましたので、以上で終わります。

衛藤委員長 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森でございます。

 雇用問題を中心に質問させていただきたいと思います。

 総理が、欧米に比べて大したことはない、こうおっしゃった話、何度も出されました。金融や自動車を中心に、つぶれないから大丈夫なんだというようなことをおっしゃったわけですが、これはとんでもない勘違い、見込み違いだ、こう言わなければいけないんですが、同時に、国民の暮らしにとっては極めて重大な影響を及ぼしている、さらにこれは深刻化するんだという認識をぜひ持っていただきたいと思っております。

 きのう、与謝野大臣、テレビで、成長率についての議論がおありになったようですね。ほとんどシンクタンクなどがマイナス成長ということを言い始めておりますし、これは二年続けて、連続してマイナス成長になる可能性もかなり指摘をされているわけです。

 ちょっと考えてみると、今からちょうど十年ほど前ですか、九七年、九八年、戦後初めて二年連続でマイナス成長という時代があったはずなんです。十年たってもう一度こういう深刻な事態が今起きているわけです。

 何が暮らしにとって違うのかというと、十年前と現在を比較して、例えば、勤労者世帯の収入、支出、これは一〇%前後マイナスになりました。まさに貧しくなっているわけです、十年前と比較をして。

 非正規と言われる労働者、これは六百万人以上ふえました。これは後で触れますが、労働者派遣法の規制緩和が大きな問題になっているわけですが、ふえました。

 年収二百万円以下、この世帯が一千万人いる。これは十年前から比べて二百万人ふえました。

 さらに、こうした状態をまさに反映しているんですが、若年層を中心に所得ゼロの世帯は二二%。十年前、一〇%でしたから、これは一二%もふえてしまいました。

 これだけ家計が、実態が痛めつけられて厳しくなっているときに、今のような大津波が襲ってきているわけですから、これは大したことはないということでは絶対に済まない。大変な状態が生まれていると思うんです。本来こうした事態に対応すべきセーフティーネット、これはどうなったでしょうか。

 奇人変人という話がありましたが、その方が、構造改革、あ、構造改革と言っちゃいけないか、小泉改革をやって、雇用保険、これは厳しくなりました。働く者を救うような条件から、網の目が広げられてぼろぼろ落ちちゃう。給付率は引き下げられた。期間が短くなった。基準も厳しくなった。実際、失業者の中で保険の受給資格を知っている人は四分の一ぐらいしかいないという推計もあるわけですよ。

 さらに、生活保護。これはもうぎりぎりの、支えるところの生活保護、これはどうなっているか。これも、例えば老齢加算が廃止をされちゃった。母子加算、これは縮減されたというような状況ですね。これは本当にセーフティーネットになっているんですか。

 しかも、これはもう厚生労働大臣は御存じだと思いますが、受給対象者中、生活保護をもらっている人、今、ふえましたけれども、百五十九万になったとかという話がありますが、これは恐らく二〇%ぐらいしかいないんじゃないか。こんな状態になっているわけですよ。

 そうして考えていくと、今まさにこうした社会保障制度、雇用をきっちりと再建していく。構造改革で、いや、小泉改革でぶち壊されてしまったこの社会保障の制度、これをきちんと再構築していかないと消費マインドなんというのは高まっていかないわけで、先ほど来議論になっている、消費を拡大して内需主導の経済に転換していく、こういう展望が出てこないんじゃないかというふうに思うんです。

 総理は、二十一年度予算、これは生活防衛のための大胆な実行予算であり生活や雇用を守ることを目的としているんだ、こうおっしゃっているわけです。しかも、内需拡大ということもおっしゃっているようです。であるならば、可処分所得をふやしていく、これは賃金、最賃の引き上げもそうなんですが、それと、とりわけ雇用の安定ということが、個人消費を拡大して内需を拡大していくための大きな課題になっているというふうに思うんですが、改めて総理のお考えをお聞きしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 予算というものから言わせていただければ、少なくとも、今言われましたように、我々の置かれている状況というのは、他の欧米先進諸国と比べればという大前提をまずつけ足していただいておる、何回も言わせていただきます、そこだけネグられると話が込み入りますので。そういうところに比べて、日本の場合は痛みは少ない。ただ、それが結果として、そこだけネグられて、では日本は大したことないのかという話に、日森先生、それは全然違う話ですよ。

 そこのところは十分に踏まえた上で、我々が今置かれている状況は、特に輸出を中心としてこれまでずっとやってきたこの十年ぐらいですから、その分が一挙に厳しいことになったために与えられる影響は極めて大きいというのは、はっきりいたしております。

 したがって、先ほど愛知県の話が出ましたけれども、それは、場所的にも非常にわかりやすく、象徴的なところだと思っております、輸出産業の多いところでしたから。そういった地域において非常に大きい。

 したがって、いろいろな大きな変化に合わせて内需拡大の方向を考えねばならぬのではないかということで、我々としては、今最も傷んでおりますのは、雇用の面からいきましたら、中小、小規模企業と言われるところです。先生よく御存じの雇用調整助成金。今、中小企業の経営者なら多分この話を一番最初にすると思いますよ。経営者でこの話をしない人はいないと思います。これが一番大きな効果を上げているというようによく言われますから。

 もう一つが資金繰りであります。

 企業としては黒だけれども、残念ながら資金繰りがつかないために倒産、結果として失業というのにならないようにするためにどうするかというようなことを、我々は補正やら本予算やらで多く考えているところであります。

 今後、先ほどのどなたかの御質問がありましたように、我々としては、少子高齢化などいろいろな面で多くの部分が変わってまいりますので、健康長寿ということも言わせていただきましたけれども、そういった部分でいろいろ雇用に対するニーズがある。傍ら、こっち側では職がないという人とミスマッチしているわけですから、そういった部分がうまくいくようにしていかねばならぬ。また、将来のことを考えますと、やはり今の目先だけの対策ではなくて、先行き伸びる可能性の大きい成長産業を育てていくというのも大事なところだと思いますので、そういった部分に関しましては減税するとか、いろいろな形で今対応をさせていただきつつあるということであります。

日森委員 中小企業はもちろん厳しいわけですが、同時に、最近問題になっているのは、大企業が内部留保をため込みながら、もちろん現金で持っているわけじゃありませんからいろいろ問題があるんですが、しかし、どんどんと非正規の人や、首を切っているという状況があるわけです。

 恐らく総理もこの問題については大変憂慮されたんでしょう。昨年の十二月に、日本経団連の御手洗会長以下幹部の皆さんに、雇用問題だけではないと思いますが、何か御要請をされたという話を伺いました。これはどんな話をされたのか、ちょっともう一度教えていただけますか。

麻生内閣総理大臣 企業が基本的にその内部留保をどのような形に使うか、それは、その企業を経営している経営者の経営判断によります。したがって、それを雇用の安定に使うか、また配当に使うか、設備投資に使うか、それはかかって経営者の判断です。しかし、今こういう状況になって、一番早く、自分の給与も下げない間に、何もしない間にまず目先から、正規社員からというのはいかがなものかというような感じが私の率直なところです。

 私は、正規社員と派遣労働者との間に契約上かなり差がありますので、組合をやっておられますのでよくおわかりのとおりだと思います、そういう意味ではここのところは別に考えなきゃいけませんが、正規社員まで手をつけるということは、少なくとも、日本の企業というのは総じて人の関係、和というものを猛烈に大事にしてやってきたのが日本の企業の特徴だと思っております。したがって、そういうところにおいて一番最初に人の和が崩れるようなことになりかねない、そういった対応というものはなかなか理解がされがたいのではないか。

 今悪いからまだわかる、しかし、よくなってきたときにその企業の信用はどうなるんですか。私は、そういったことも考えて経営をしないと、雇われ経営者とわけが違って、長いこと経営者をやっている意識があるんだったらそういったところも考えてやらないといかがなものかというような話を、もうちょっと柄は悪かったかもしれませんけれども、もうちょっと言い方は激しかったと思います。

日森委員 解雇だとか、正規、非正規に限らず、これは慎重にやってほしいという恐らく総理の意思だったと思いますよ。新聞報道でもそう書かれていました。しかし、総理が御手洗さんに慎重にと言った三日後ですよ、三日後ですよ、大分キヤノンで千二百人の首を切ったんです。総理が三顧の礼を尽くしたか、蚊の鳴くような声かわかりませんけれども、慎重にと言った三日後に千二百人を首切ってみせる。これは恐らく総理もじくじたる思いはあったんじゃないですか。とんでもない話だというように思うんですよ。

 それで、私が委員長に要求したいのは、そういう財界のトップの一人である御手洗さん、日本経団連会長。我々も経団連にいろいろな要望をしてきました。しかし、今の派遣切りや雇いどめや、正規の従業員まで首を切っていく。歯どめがかからないんじゃないですか。それでいいんですかということを国会でぜひ聞いてみたい。

 御手洗さんを参考人としてこの予算委員会に招致をしていただきたいということを要求したいと思いますが、ぜひ委員長のお取り計らいをお願いします。

衛藤委員長 日森君の申し出につきましては、後刻理事会で協議いたします。

日森委員 与謝野大臣に。

 大臣はかつてこういう発言をされたという報道がありました。予算委員会の中での発言ですが、何兆円にも及ぶ内部留保を持つ企業が時給千円足らずの方の職を簡単に奪うことが本当に正しいのかという発言をされたというふうに聞いているわけです。

 そういう立場でお考えになっていることは我々もまさにそのとおりだと思いますが、今現在、これだけひどい派遣切り、雇いどめ、正規職員まで手がついているという状況について、与謝野大臣の見解を改めて伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 世の中には、体力のある企業もありますし、体力のない企業もあるわけでございます。雇用というのは人の人生にとって最大のものでありますし、体力のある企業は、やはりみずから企業責任というものが多分雇用の維持に関してはあるんだろう。体力のない企業にそういうことを要求しても無理ですけれども、体力が十分ある企業は、それぞれの企業の社会的な責任としての雇用の場の確保、維持、こういうことをやっていただかないと、やはり企業としての価値はないだろう、そのように思っております。

日森委員 私は全く同感で、雇用に対する企業責任、それから社会的責任でもあるわけですから、これはきっちり果たしてもらえるような、そういう環境も整備をしていかなけりゃいけないと思っているわけです。

 埼玉県上尾市に日産ディーゼル工業というのがあります。これは、昨年の十二月に、二百人の派遣労働者の派遣の中途解約、それから退寮通告というのを行いました。もちろん、一方的に解雇をされたわけですから、そこの労働者の皆さんは、全部ではないですけれども、労働組合をつくって、そして派遣元会社と交渉をしてきました。

 この派遣元会社は、むしろ当然といえば当然なんですが、中途ですから、派遣会社も解雇と退寮通告というのは撤回をして、この三月まで何とかしようという話になりました。それで、我々も含めて、行政にもその支援を要求しました。埼玉県も、それから所在地である上尾市も、これはできる限り支援しましょうということになったんです。

 ところが、実際に解雇した日産ディーゼル工業は、法令上関係ありませんと、御答弁のとおりなんですが、こうおっしゃって、話し合い、団体交渉にも応じないわけです。実際ここに働いていた労働者の皆さんは、たとえ派遣とはいえ、この日産ディーゼル工業の付加価値をつくるために貢献をしてきた方々ですよ。この方々の生存権にかかわるかもしれない問題について、法令上関係ありませんと言って、団体交渉、説明すらしようとしない、こういう事態があるわけです。これはいろいろなところで起きているわけです。

 これは、今与謝野大臣がおっしゃいましたけれども、企業として何らかの社会的責任を果たすんだとか、あるいは最低限のモラルをちゃんと維持しようとかいう気持ちすらないですね。こんな状況があるわけです。これはディーゼルだけじゃありません。いろいろなところでこんなことが全国各地で起きているわけですよ。

 これほど人間扱いをされていない、こんな現実があるわけですが、これは何とか企業責任を果たせるようなことを検討しなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますが、これは舛添大臣、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 個別の案件についてはお答えを差し控えますけれども、今の法制度のもとでも、派遣先が労働時間の管理とか安全衛生教育を行う義務も課せますし、それから、中途解除の際に、どこか再就職先をあっせんしなさいとか、こういうこともできるわけでありますので、これをきちんとやりたいと思っています。

 もう委員御承知のように、基本的には派遣元とその労働者の間の関係で、これは団体交渉権その他ありますけれども、派遣先とまでというのは、今の法的には非常に難しゅうございます。

 ただ、基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるという判断がもし下せれば、場合によっては団体交渉の義務も生じ得るということをつけ加えておきたいと思います。

日森委員 時間がなくなりました。

 ともかく、現行制度の中でもきちんとできることはあるわけですから、これは徹底して労働局なんかを通じて指導していただきたい。ということでないと、泣き寝入りになってしまうというところがたくさんあるわけですから。何度も申し上げますが、これは本当に生存権にかかわる問題ということですから、これはしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、もう時間がなくなりましたけれども、ちょっと要望だけ申し上げておきたいと思うんです。

 これはもう大臣御存じのとおりですが、今まで派遣の労働者たちが正規の労働者と比べてどれだけ差別的、劣悪な条件で働かされてきたかということは、もうこの委員会の中でも随分明らかにされました。ヨーロッパでも七〇年代中葉に派遣制度が入ったわけですが、これは懸案事項で、やはり同じような状態で働かされてきた。

 これは、イギリスが反対したりと大変だったんですが、昨年の十月に欧州議会が、派遣労働者の均等待遇、これを求める派遣労働指令というのを採択しました。これは中身にちょっと触れられませんけれども、つまり、賃金も含めて差別的待遇をしちゃいけないということを決めたんです。さっき、食堂がありましたけれども、社員食堂の利用も正社員と一緒にしなさいということですよ。そういう均等待遇の指令を採択した。三年以内に加盟国は法制化するわけですね。

 確かに、我が国も、先ほどから舛添大臣言っているとおり、改正派遣法が出ていますが、そこで均等待遇の問題も触れられているんですが、残念ながら、重要な課題については全部努力義務なんですよ。努力義務だったらやらなくてもいいわけですから、ここは、ヨーロッパの、EUのこの指令をきちっと受けとめていただいて、この派遣労働の問題は今や国際的な問題でもあるわけですから、改めてきちんと取り組むような、そういう努力をお願いして、質問を終わりたいと思います。

衛藤委員長 これにて日森文尋君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、景気・雇用対策について六時間の審議をしてまいりまして、私が最後の質疑者でございます。

 まず、総理に現状の御認識をお伺いしたいなというふうに思っております。

 一月三十日に発表されました平成二十年十二月の労働経済指標、これによりますと、鉱工業生産指数というものが過去最大の下げ幅ということでございます。下げ幅は前月比九・六%ということでございます。完全失業率も前月よりも〇・五%高くなっている、これは四・四%ということでございます。有効求人倍率も悪化をしている。いずれも悪い状態になってきているわけでございますが、特に、本来、景気の実態からおくれて動く遅行指標というものが、完全失業率の悪化のスピードが速まってきているんじゃないかなというふうに思っています。完全失業率が速く高くなってきているんじゃないかなというふうに思っているわけでございます。

 景気悪化に伴う雇用調整の動き、こういうものが、これまでよりもどんどんスピードが速まってしまっているんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点について、まずは、どういう御認識かお伺いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これは、数字の方は舛添大臣の方が正確にお持ちなんだと思いますが、少なくとも、今の段階で、有効求人倍率も一を大きく下回って〇・七とか〇・七一とかそういう数字にまで下がってきているんだと思っております。

 いずれにしても、今の状況というのは昨年に比べてさらに急激に悪くなってきている。特に、輸出関連の製造業というものにおいてそれが極めて顕著なんだというように理解をいたしております。

糸川委員 ただ一方で、将来への不安、特に年金記録の問題、こういうものも影響があったのではないかなというふうに思っておりますけれども、社会保障制度全体に対しての信頼、こういうものが現在低下をしている。国民の生活に対しては不安が高まっているというのが今の現状ではないかなと。

 特に、将来の我が国を支えるべき若者、若年層、こういう人たちの年長に当たる二十五歳から三十四歳、私も今三十四ですから、そのぐらいの層では、昨年十二月の調査で、男性の完全失業率というのも、四十三万人ですか、これは前年よりも十万人多いということでございます。女性においても完全失業者数が三十万人ということで、これも前年同月比よりも四万人も高いという水準になってきているわけです。

 この二十五歳から三十四歳の層において失業者が現在ふえていっている、将来の生活が不安であるというような人たちに対して、こういう現状があるんだということをしっかりと御認識されているのかどうか、確認をしたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 今言われている世代というのは、御存じのように、今から約十年前に大学を出られた世代に当たるところなんですが、そういった世代のところぐらいからいわゆるフリーターとかいろいろな言葉が出てきた、あの時代だったと思っております。正確には九二、三年ぐらいから出てくるんですが、こういった時代のところが、今、年長フリーターとかいろいろ言われている層に一番当てはまる世代に属しておられるんだと思っております。

 いずれにしても、こういうところが、今新しく企業が雇用を開始するようになったとしても、その世代よりもう一つ若い世代が採用されるので、その世代は飛んでこっちへ来るということが一番の問題点なんだというように、私自身はそう思っておりますので、その世代をどうやっていくかというのは今のあれとは全然別の違ったものなのであって、別の違った、これまでの対策とは少し違ったものを考えないといかぬのではないか。

 そこが、何に行きたいのかというところがよくわからないんですよ。私どもも、これはいつもいろいろなところで、あなたは何をされたいんですかというのに対して一番正確に答えないのがその世代だと。これはいろいろな調査でそう言われておるところなので、ここのところはちょっと今から一生懸命研究せぬと、両方でやらないと、これはなかなかうまくおさまらないかなと思っております。

糸川委員 この世代の人たちが何をやりたいかということもですけれども、今本当に失業者がどんどんふえていってしまっている。

 非正規雇用者に陥ってしまったりとか、正社員だった方が首を切られて非正規雇用になったり完全失業になったりというような現状があるということを、総理、ぜひ御認識いただいた上で、私の地元の福井県に昨日いらっしゃったということでございますけれども、そこで総理は、大変だ大変だと言っていると本当に大変になっちゃうというような発言をされたのではないかなというふうに思っていますけれども、総理、これはどういう背景で、大変だ大変だと言っていると大変になってしまうと。

 私は、今もう非常に大変な状態になっているのではないかなと。きょう、六時間の景気・雇用対策のこの集中審議を聞いていまして、今が大変な時期なんじゃないかなと。

 大変だ大変だと言っているとまだ大変になってしまうよという意味で言われているのか、どの辺の認識でこの御発言をされているのか、確認をさせていただけますでしょうか。

麻生内閣総理大臣 基本的に、糸川先生、ちょっと一緒になっていられると思いますが、私は、大変だ大変だと言うけれども、欧米先進国に比べて、日本の今の現状は欧米先進国ほどひどくありませんよというのがまず第一点です。もう一点は、国内だけ見た場合において、過去に例がないほど急激に景気が落ち込んだことも確かです。これは、下降線カーブを見ましても、ありとあらゆるものがそういう数値を示しておりますから、そこは大変なんです。

 だから、私は、ちょっと一緒の話を、みんな混線されますけれども、何だ、おまえ、大変じゃないと言っているじゃないか、そんなことを言っているのじゃないのであって、欧米先進国と比べてという話が一点。国内だけ見ました場合においては、これまで特によかったと言われております輸出を主体とした製造業関係の仕事というものは、いわゆる下請関連がすそ野の広い産業分野が非常に多いこともあって、この部分は今までに比べて、過去の日本の不況と言われた中に比べてもかなり大きな打撃を受けております。

 しかし、これが輸出に頼って再開をというのであれば、輸出先は日本よりきついわけですから、そういった状況は簡単には直らないから、日本の場合でいきますと、輸出に頼ってこういうぐあいに上に上げようと思ってもなかなかそうはいきませんよ、だから、大変だ大変だと言うと本当にもっと大変になりますよ、しかるべき対応というものを考えないといかぬのではないか、私自身はそう思います。その部分はどうやって振り分けていくかというのは、ちょっと別の話だとは思いますが。

糸川委員 総理、そんなに大変ではないという現状認識ではないというふうに思っていますけれども、もう今本当に大変な状況になっているというふうに認識をされていると思いますが、ぜひ、講演会等での発言に誤解がないように、誤解をされて聞いていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんので、しっかりと誤解のないようにしていただきたいなというふうに思って、次の質問をさせていただきます。

 これは舛添大臣にお尋ねをさせていただきたいんですけれども、製造業の派遣労働者の状況につきまして、一月末の厚生労働省の発表では、三月までに職を失う人、これが十二・五万人ということでございますが、業界団体におきまして、四十万人が失職する可能性があるというような試算を出されております。

 実情というものを考えますと、行政の認識の方が甘いのではないかな、実際は、業界団体の言っているような四十万人、こういう失職をするのではないか、この方が正確なのではないかなというふうに思いますが、認識が甘いと対策も後手に回ることになるわけでございます。

 今後、大量の失業時代、こういうものが到来したときに、セーフティーネットを適切かつ効果的に用意するためにも、労働局とかハローワーク、こういうところの体制整備も含めて、雇用失業情勢の実情把握というのをしっかりと行うべきではないかなというふうに思っておりますけれども、その点いかがでしょうか。

舛添国務大臣 我々が世の中に公表する数字は、全国の労働局、それからハローワークを通じて実数を集計したものであります。ですから、業界団体がどういう根拠で四十万人の失業ということをおっしゃったかということは、これはいろいろな推計の仕方で差が出ると思いますけれども、やはり、委員おっしゃったように、極めて深刻な状況、特に落ち方のスピードが速い、これを大変深刻に受けとめております。

 というのは、十二月段階で数字をとったときは八万五千でした。ところが、もう今は十二万五千という予測に変わっていますから、そういう意味で、きちんと情報を入手し、情勢を分析し、対応を考えていきたいと思っております。

糸川委員 この十二・五万人というデータそのものが、私もどこから出てきたのかなと。厚生労働省の認識というのは、このスピードにしっかりと対応して予測をして集計されているのかどうか、それに対しての対応策というのもやはり立てていかなきゃならないわけでございます。

 もう一点、ちょっと舛添大臣にお伺いしたいんですけれども、総務省の平成十九年の就業構造基本調査、こういうものがありまして、これによれば、平成十四年の十月から平成十九年の九月までの五年間に初めて職についた人の四三・八%の方、この人たちが非正規労働者であるというデータが出ております。また、過去五年間の転職状況、こういうものを見ますと、非正規雇用から正規雇用へ転換できた方というのは二六・五%である。さらに、平成十四年の十月からの一年間で非正規労働者になってしまって四年以上そのままの状態が継続してしまっているという方、これは五一・四%の方がいるんですね。

 こういうデータというのは、一たん非正規労働者になってしまうと、なかなか正社員への転換が困難であるということを示しているんではないかなというふうに思います。

 これらの非正規労働者の将来、こういうものを展望したときに、実際、生活を維持していくことができるのかどうか。総理も先ほど、ニート、フリーター対策というものもしなきゃいけないということをおっしゃられましたけれども、実際、生活を維持することができるのかどうか、こういうところにも心配な点があるわけでございます。

 もちろん、今の対策というのも必要ですし、この先の未来について考えていかなければならないんではないかなというふうに思います。それこそ、これが政治の今の役割だというふうに思いますが、舛添大臣でも、総理でも、御答弁いただきたいと思います。

舛添国務大臣 どういうセーフティーネットを張るかということで、まず、働いている方々に対しては雇用保険のセーフティーネットがあります。これをまず拡充する。そして、最後は生活保護、こっちのセーフティーネットがあるわけです。

 雇用保険のセーフティーネットを拡充するということは、要するに、派遣労働者とか有期契約とか非正規の方々、これは一年以上の雇用見込みがないといけないのを六カ月という形で、非常に条件を緩和することによってそういう方もカバーする。雇用保険でカバーされていない方々についていうと、貸付制度をやる。それから、例えば、新しい資格を取るため、介護福祉士、こういうことをやりたい方は、二年間授業料が全部無料でありますし、そして、その間の雇用保険での生活をきちんと見る。

 生活支援、再就職支援、職業訓練、これをきちっとやっていきたいと思いますので、今後、必要に応じてセーフティーネットの拡充ということはやっていきたいと思います。

糸川委員 今御答弁いただいたんですけれども、私が言っているのは、今非正規の方がやはりなかなか正社員になれないということであったりとか、そういうことの対策なわけですから。もちろん、介護の資格を取られるとかそういうことも大事なんでしょうけれども、これはちょっと次に質問させていただきますけれども、今の現状をもう少しよく把握をしていただいて、私は、今の喫緊の課題の対策というのも必要だけれども、十年後、今の彼らがまだ非正規雇用者でいる現状があった場合、やはり今後の、今から老後の質問もさせてもらおうと思っていますけれども、老後に対しての不安も残るんじゃないのかということで、ぜひセーフティーネット、こういうものも構築していただきたい、これは総理はやはり筆頭になってやっていただきたいと思います。

 もう余り時間もないので、質問させてもらいたいと思うんですけれども、金融広報中央委員会というところが昨年の十月末に発表した家計の金融行動に関する世論調査というものがございまして、これによりますと、あなたの御家庭では老後の生活費として毎月最低どれくらい必要だというふうに思いますか、こういう問いがあるんですね。

 総理、これは通告していないんですけれども、国民の皆さんが平均で老後の生活費として大体どのくらいあったら安心できる生活を送ることができるというふうに御認識されていらっしゃいますでしょうか。これは、全然通告していないので、感覚でお答えいただければと思います。

麻生内閣総理大臣 それは、糸川先生、家のある人ない人、同居している人、独居老人、いろいろ差があるので、一概には言えないんじゃないかね。勘で十万円、家があればまた全然別よ。だから、それはちょっと突っ込みとしてはかなりむちゃな前提条件だと思いますけれども。

糸川委員 このデータでは二十七万円というような回答が出ているわけでございまして、これは世帯ですね。

 また、老後の生活資金として、主に家計を支えている方の年金支給時に準備しておけばよい貯蓄残高、これは最低どのくらいかという問いには、二千七十二万円というような回答が出ているわけでございます。少し古い資料……(麻生内閣総理大臣「二千万」と呼ぶ)二千万、二千七十二万円ですか。なかなか今の若い人たちには、これを用意するというのは非常に大変な金額になってきているわけです。

 総務省の、平成十四年、ちょっとこれは古いデータですけれども、個人年金に関する市場調査、こういうものでも、一カ月生活するのに必要な金額は二十七・四万円、こういうデータも総務省は出しているんですよ。

 国民はおよそ二十七万円くらいであれば一カ月生活することができるというふうに考えていると思いますけれども、総理、先ほどからお話ししているときに、やはり非正規雇用者にどんどん陥っていってしまっているという現状がある、それから完全失業率が高くなってきている。そういう中で、きょう、枝野先生の質問でしょうか、そういうところでも、高齢者の方は貯蓄があるけれども、若い人たちは貯蓄に回すお金がない。それから、年金を掛けることも、非正規雇用者の場合は国民年金ですね、こういう方たちというのは多くの方が国民年金に掛けていらっしゃると思いますけれども、掛けることすらできない現状がある。

 そういうことになってきますと、今言っている二十七万円というようなデータには遠く及ばなくなってくるんじゃないかな、二十七万円という人たちというのは、恐らく厚生年金をいただいていらっしゃる方じゃないかなというふうに思うわけです。

 そうしますと、長期間、非正規労働者を続けてしまった場合、老後の生活費というのを準備することができなくなってくるんじゃないか。今後、社会保障費の議論をしなきゃいけないことにもなってきますけれども、これはぜひ、非正規労働者の人たちの老後の生活という点も含めて考えたときに、準備ができるのかどうか、これは舛添大臣で結構でございますが、御答弁いただきたいなというふうに思います。

舛添国務大臣 非正規労働の方々についても、これは常用化のための努力をみんなでやらないといけない。そして、今、労働者派遣法の改正において、そういう方向での勧告ができるようになっておりますので、今委員がおっしゃった問題意識もしっかり踏まえた上で、今後対応したいと思っております。

糸川委員 ぜひそれは、対応を考えるといっても、今もう既に非正規雇用者がどんどんふえちゃっているわけですから、その現状を放棄しないで、しっかりと政策として出していただきたいなというふうに思っております。

 以上で終わります。

衛藤委員長 これにて糸川正晃君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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