衆議院

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第18号 平成21年2月23日(月曜日)

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平成二十一年二月二十三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 小島 敏男君 理事 佐田玄一郎君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 根本  匠君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      赤澤 亮正君    井上 喜一君

      伊藤 公介君    石田 真敏君

      猪口 邦子君    岩永 峯一君

      浮島 敏男君    臼井日出男君

      小野寺五典君    尾身 幸次君

      大塚 高司君    大野 功統君

      岡部 英明君    亀岡 偉民君

      木村 隆秀君    岸田 文雄君

      北村 茂男君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    坂井  学君

      清水清一朗君    下村 博文君

      菅原 一秀君    杉浦 正健君

      園田 博之君    高鳥 修一君

      仲村 正治君    葉梨 康弘君

      原田 憲治君    深谷 隆司君

      藤野真紀子君    馬渡 龍治君

      三原 朝彦君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君   吉田六左エ門君

      渡辺 博道君    大島  敦君

      逢坂 誠二君    川内 博史君

      仙谷 由人君    田名部匡代君

      筒井 信隆君    中川 正春君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    松本 剛明君

      渡部 恒三君    池坊 保子君

      江田 康幸君    石井 郁子君

      笠井  亮君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    辻元 清美君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       与謝野 馨君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  甘利  明君

   国務大臣         野田 聖子君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   内閣府大臣政務官     宇野  治君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  古賀 茂明君

   政府参考人

   (内閣官房郵政民営化推進室長)          振角 秀行君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局長)      立花  宏君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局次長)     松田 隆利君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局次長)     岡本 義朗君

   政府参考人

   (内閣府自殺対策推進室長)            松田 敏明君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  巽  高英君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            小林  光君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          藤本 栄助君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     北村 茂男君

  小池百合子君     猪口 邦子君

  斉藤斗志二君     馬渡 龍治君

  坂本 剛二君     藤野真紀子君

  下村 博文君     岡部 英明君

  菅原 一秀君     安井潤一郎君

  中馬 弘毅君     清水清一朗君

  葉梨 康弘君     矢野 隆司君

  吉田六左エ門君    赤澤 亮正君

  細野 豪志君     松本 剛明君

  前原 誠司君     田名部匡代君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  阿部 知子君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     高鳥 修一君

  猪口 邦子君     小池百合子君

  岡部 英明君     下村 博文君

  北村 茂男君     臼井日出男君

  清水清一朗君     原田 憲治君

  藤野真紀子君     浮島 敏男君

  馬渡 龍治君     亀岡 偉民君

  矢野 隆司君     大塚 高司君

  安井潤一郎君     菅原 一秀君

  田名部匡代君     前原 誠司君

  松本 剛明君     細野 豪志君

  吉井 英勝君     石井 郁子君

  辻元 清美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     坂本 剛二君

  大塚 高司君     葉梨 康弘君

  亀岡 偉民君     斉藤斗志二君

  高鳥 修一君     吉田六左エ門君

  原田 憲治君     坂井  学君

  石井 郁子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     中馬 弘毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算、平成二十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官古賀茂明君、内閣官房郵政民営化推進室長振角秀行君、国家公務員制度改革推進本部事務局長立花宏君、国家公務員制度改革推進本部事務局次長松田隆利君、国家公務員制度改革推進本部事務局次長岡本義朗君、内閣府自殺対策推進室長松田敏明君、警察庁生活安全局長巽高英君、総務省行政管理局長橋口典央君、総務省情報流通行政局郵政行政部長吉良裕臣君、外務省北米局長梅本和義君、文部科学省初等中等教育局長金森越哉君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君、資源エネルギー庁長官石田徹君、国土交通省都市・地域整備局長加藤利男君、環境省総合環境政策局長小林光君、環境省地球環境局長寺田達志君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。

仙谷委員 仙谷です。おはようございます。

 前回に引き続いて、きょうも、いよいよこの政権、国民の信が全くなくなっていて、あれやこれやのびほう策をやる、あるいは追加の補正予算を組んで経済対策をやらなければいけない、自民党のそういう声が大きくなっておるわけでありますが、この内閣ではそういうことをやってはならないというのが国民の声であるという前提でお話を聞きたいと思います。

 前回、法人税が十兆円の予算を組んでおるわけでありますが、これが多分大きく減ることになるだろうという指摘をさせていただきました。

 それで、与謝野大臣にお伺いしたいわけでありますが、例えば、法人税が十兆円見込んでいるうち、これが四割しか入らなかったということになると、六兆円が税収不足になるわけであります。今三七%の公債金の比率になっておるわけですが、もし単純計算でそういうふうに考えますと、租税及び印紙収入が四十六兆円が四十兆円になる、こういう話になるわけであります。公債金が三十三兆円が約四十兆円になる。租税収入と公債金収入がほぼフィフティー・フィフティーになる。その他収入が九兆円見込んでありますが、これがどうなるかでありますけれども、さらにこの上に赤字国債なのか建設国債なのか発行して景気対策をやろうとすれば、十兆円やればほとんど総予算のうちの公債金収入と税収その他の収入が五割、五割になるわけであります。

 こういう財政にならざるを得なかった。まあ、いろいろなここ十年来の施策、そして経済変動あるいは経済成長に対する見込みの誤りだと私は思いますけれども、今の時点でこういう、経済対策と称して巨額の経済対策をやることができるのか、あるいはこの内閣がそういうことをやるのにふさわしいのかという点について、今、新聞、テレビ等々では、いわばこの内閣の屋台骨を全部しょって立つかのように評価をされております与謝野経済担当大臣、財務大臣、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 私は、国会、与党及び内閣総理大臣の指揮に従って動いているだけでございます。

 税収がこれからさらに落ちてくるということは、仙谷先生が予想されているとおりであると思います。補正で一応減額するということを天下に明らかにいたしましたけれども、さらにそれが落ち込む可能性はあるのではないかと思っております。

 いずれにしても、この内閣は追加の経済対策をやる資格がない、そう断定されますと、我々としては動きようがないわけでございますけれども、十―十二月に続きまして、一―三月の経済状況というのは、統計の端々に、またさらに落ち込みがあるということを示唆しております。だれがやるにせよ、何かしなきゃいけないということをやはり皆さんで考えておいていただくということが重要な段階になってきたと思っております。

仙谷委員 今の、だれがやるにせよというのは大変意味深な御発言だと思いますが、昨日、麻生総理大臣、これは欠席裁判になってもいけないわけでありますが、青森に行かれて、民主党の統治能力がないということを口をきわめて激しく批判されていらっしゃったようであります、私もテレビのニュースで見ましたが。

 昨年の十二月の多分二十八日だったと思いますが、読売新聞に佐々木毅前東大学長が「地球を読む」というコラムをお書きになりました。いろいろなことを書かれているわけですが、そこで書かれておることは、何よりも、統治能力のないことを決定的に露呈した麻生内閣といいましょうか自民党政権があるいは自民党内閣がいかに民主党を統治能力があるとかないとか非難をしようとも、そんなものは国民にとってはどっちでもいいことなんだ、まず自分の統治能力のなさを、あるいはこのような人材しか生み出せなかった自民党という政党の来し方をちゃんと振り返ってみるべきじゃないか、この政党のガバナンスといいましょうか経営こそが問題で、小選挙区制に変えたにもかかわらず、絶えず親の地盤を継いで出てくる人を持ち上げていく、この政党のありようこそが問題なんだ、こういう議論をされていたのが鮮明にいまだに私の頭の中に残っておるわけですが、私どもは、自民党やあるいは麻生さんからどのように非難されようとも、それならば一遍かえてみてくれ、かえて実績を見ていただきたい、それ以外にはこの局面はないわけであります。

 つまり、きょうの毎日新聞を見ても、今すぐ辞任は四割近い、こういう世論調査の結果というのはなかなかないわけであります。つまり、内閣支持率もそうでありますけれども、今すぐ辞任をというのが三九%もあるというのは極めて異常であります。

 このことは、自民党がどうの、民主党がどうのということ以上に、今すぐおかわりいただかないと、国民あるいは日本人にとっては極めて不幸だということであります。つまり、みずからが選択をした政治権力でない権力によっていろいろなことがなされるけれども、それはうまくいかない。これは、今、与謝野さんがおっしゃったように、だれがやろうとも大変困難な局面であるということは、これはもうこの半年の推移を見ておりましたらはっきりしておるわけでありますが、やはりこの局面は、麻生内閣が総辞職をする、そして憲政の常道に従って、一度野党に政権を渡して選挙をする、その手で選挙をする、これが、憲法は変わりましたけれども、明治憲法下で議会政治というものが原敬内閣以降徐々にでき上がってきたこの日本において、日本の民主主義を、あるいは議院内閣制をより実体化あらしめるといいましょうか、魂を入れる、そういう方策だと私は思っております。

 このことについて、直ちに総辞職をして、改めて権力をつくって、そして、そこで議論をしながら新しい日本のこの困難な局面からの脱出の方向、未来をつくる、そういう政治をやろうではないかということでやってみてはいかがかと思うのでありますが、与謝野大臣と鳩山総務大臣にお伺いをしたいと思います。

与謝野国務大臣 総理に聞いていただかなければならない部分は私はお答えできませんが、民主党の主張していることでちょっと憲法上の規定としてはひっかかる御主張があって、それは直近の世論という概念なんですけれども、衆議院は四年の任期を持っておりますから、一たび選ばれれば、四年間は国民はその正当な選挙で選ばれた国会議員に物事をゆだねているということであって、そういう意味では直近の世論という議論は成立しないのじゃないかと思っております。

 それから、それは当然、その間に参議院の選挙がありますから、民主党として、参議院に勝てばそういう御主張をすることは政治的には私はあり得ることだと思いますが、憲法を厳密に解釈すればそんなことはないのであって、世論というよりは、やはり憲法上規定された四年間の任期、また憲法上規定された六年間の任期というのが議員に与えられた職務を遂行すべき有効なる期間である、私はそのように解釈しております。

鳩山国務大臣 大変大きな質問でもあろうと思いまして、正直、これが答えだというものが思い当たるわけではありません。特に、私もかつて民主党にいたことがございますし、仙谷先生に高級なおすしをごちそうになって随分語り合った懐かしい日々も今思い浮かべておるわけでございます。

 私は、今、二大政党的な形になってきたことは決して悪いことではないと思います。しかしながら、我が国の二大政党と、例えばアメリカの二大政党というのも非常に不思議な形で、最初はフェデラリストとアンタイフェデラリストというところから出てきたものが、いろいろ交差しながら今の民主党、共和党になったというふうに聞いておりますけれども、すごく歴史があるんですね。もちろんイギリスも同様で、日本の場合はまだ歴史は浅い。

 そういう中で、二大政党が話し合って国家の危機に対して何かいい方策を見つけようというのがこういうときは大事だと思うのですが、政権をとるかとれないか、あるいは政権を守るか守れないかということが全面的に出てきてしまって、そうなりますと、百年に一度という危機の中で、進むべきものも進まないということが実際に起きているのではないか。むしろ、百年の危機だったら、外交は水際でとどまるという言葉ではないですが、一緒に話し合って、大連立ではないにしても、一緒に話し合って経済回復の方法を考える、何かそういう方向に少しでも転回、転向できないかな、そういう希望を持って私は今の政治を見ているわけでございます。

仙谷委員 余り歯切れよくないですが。与謝野大臣のおっしゃられた憲法論に一言反論をしておきます。

 与謝野さんがおっしゃられた憲法論は、これは形式的解釈、形式論的解釈というものでありまして、四年間の任期はあるけれども、その前提としては、この人が首班候補だ、そして行うべき政策の基本政策はこうだということで選挙をして、その政治権力をつくるというのが衆議院の総選挙であります。

 四年前、二〇〇五年の九月十一日の選挙を思い浮かべれば、当然のことながら、小泉・竹中路線のもとでの、小さな政府、官から民へ、そしてその象徴たる郵政民営化ということを掲げてこれほどの大多数をとられたわけでありまして、ここから四人も総理大臣がかわるということは、一票一票を投じた国民もとても予測をしていたわけではない。

 そして、今この状況下で、実は、麻生さんも鳩山さんも与謝野さんも、実質的にはじりじりとこの小泉・竹中路線を変えようとしている。これは実は、基本的な政策を変える場合には、ちゃんとここまでの政策とその執行についてのプラスマイナスを評価して、そして大きく変えるのであればなおのこと、総括をして、そのことを選挙で問うということなしに首班だけをかえるというふうなことは、実質的な議会制民主主義、議院内閣制論としては許されていいことではないんですね。そのことに対して国民がおかしいなと思っているからこういう支持率になる、私はそういうふうに考えております。

 つまり、完全に信をなくし、そして個別いろいろ見てみましても、この間の出来事というのは統治能力をほとんど喪失している、欠如しているというところからもっとさらに踏み込んで喪失している、こういうことだと私は思います。

 どうぞ、閣議の後の懇談会でも何でも結構ですが、真剣に日本の行く末を考える、あるいは日本の民主主義に魂を入れるという観点から、ここはやはり一たん清算をする、国民に信を問う、そのことなしには次の政策展開はできないという議論を真剣にしていただきたいと思います。石破さん、どうですか。

石破国務大臣 これは、私が農林水産大臣の立場でお答えすべきことではありませんが、小選挙区制というのは、ここにいらっしゃる多くの方々と一緒に議論をしてきた制度であります。総理を選ぶ制度である、そして政権の枠組みを選ぶ選挙である、そしてそれが仮に誤っていたとしたら主権者の手で政権交代を行うというのが小選挙区制の趣旨であったというふうに思っております。

 その趣旨は、その趣旨どおりに運用されなければならないということだと思いますし、支持率が高くないということはそれはそれなりの理由があるのであって、なぜこのようなことになったか、支持率だけで政治はすべてではありませんが、この参議院の逆転現象を考えれば、支持率がなければ政策遂行ができないということも事実だと思っております。

 内閣として、それは総理の御判断でありますけれども、私は一閣僚として、なぜこれだけ国民の支持が高くないのかということは虚心坦懐に議論をして、きちんと改めるべき点は改める、それが国民のためであり、自民・公明連立政権の使命であると考えております。(発言する者あり)

仙谷委員 今、菅代表代行からも言われましたけれども、改めるというレベルの話ではないのではないか、そういうやわな話ではないんじゃないかと思います。

 ちょっと個別の中身に入ってまいります。

 昨日、一昨日の新聞で、一昨日の土曜日には、「家も失った失職者へ「緊急提供」 国の官舎入居まだ二人 丸投げ、自治体準備整わず」という記事がここに出ています。それから、昨日の毎日新聞では定額給付金について、「ネットカフェ難民らへ届かない 自治体九割対策なし 三億円宙に? 総務省「仕方ない」」こういう記事も出ました。

 実は、私が定額給付金の法律問題ということで提起した問題は、国が、国策としてこういう政策が今の時期に必要なんだというときに、そういうのを打ち出して責任を持ってこれを遂行するというときに、どういう仕組みを今考えなければならないのかということを含んで、直轄事務でやるべきではないか、あるいは少なくとも法定受託事務にすべきではないか。つまり、法律を制定してちゃんと執行ができる体制をつくらないと、丸投げをするとどこかで雲散霧消するというか、いいかげんになる、こういうことを心配してといいましょうか懸念をしてといいましょうか、あるいはそういうことが余りにもこの国は多過ぎるから申し上げたわけであります。

 つまり、この政策に、定額給付金なら定額給付金という政策に、どのぐらい執行について思い入れがあるのか、どういう優先順位をつけているのかというのが非常に大事だ。そのためには、国のエネルギーといいましょうか資源を総動員するのか、それとも地方政府に丸投げして任せてしまって何とかなるものか、こういう観点から聞いたわけであります。

 一つ、今、ネットカフェ難民、あるいは派遣切りで職を失った人、住居まで失うという、いわば相当所得も低いし社会的な扱われ方も低いという人のことが大問題になっていますが、二年前を思い出していただきたいんです。二年前、何で大騒ぎしたか。大騒ぎというと語弊がありますが、大きく論点になったか。サラ金であります。多重債務者問題であります。安倍内閣の再チャレンジ方針と相まって、実は内閣総理大臣官房に多重債務者対策本部、本部がつくられたんですね。そこで多重債務問題改善プログラムというのがつくられた。さあ、これがどのように実施をされておるか。

 これについて、どこが責任部局なのか私もよくわかりませんけれども、多分、内閣府あるいは金融庁なんだろうと思っております、本部の独自の事務局でも結構なのでありますが、二年経過をしつつあるこのプログラム、どのぐらいの実施がなされているのか。どうか、どなたかお答えになれる方がいらっしゃいましたら、どうぞ。

与謝野国務大臣 多重債務問題の解決のためには、改正貸金業法の円滑な施行を図るとともに、多重債務者の支援を効果的に実施していくことが重要であると考えております。

 このため、政府の多重債務者対策本部、本部長は金融担当大臣でございますが、ここにおいて多重債務問題改善プログラムを決定し、相談窓口の整備、強化、顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供等の施策を進めておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、相談窓口については、すべての都道府県、各財務局等において多重債務相談窓口が整備されております。また、顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供については、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度などの公的な取り組みに加えまして、地元の自治体と信用生協が協力し、生活再生貸付事業を行うなどの取り組みが行われております。

 このような取り組みについては、多重債務者対策本部のもとに置かれている有識者会議においてフォローアップがなされているところでございまして、今後とも、このようなフォローアップを踏まえ、関係省庁、自治体及び民間関係団体の間で連携して、多重債務問題改善プログラムを確実に実施していくことが重要であると考えております。

仙谷委員 実績を聞いておるのであります。

 どこか、とりわけ、借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティーネット貸し付けの提供というものが、どのぐらい実績が上がっていますか。私が聞いたところでは、東京都では、せっかく十五億円のファンド、基金を予定して張りつけたけれども、三件分しかできていないと聞いておりますが。

与謝野国務大臣 先生の御質問、生活支援貸し付けの具体的な実績を把握しているのか、こういう御質問だと思いますが、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度などの公的な取り組みについては、多重債務問題改善プログラムの実施状況のフォローアップの中で、貸付件数及び貸付残高等の実績について関係省庁から報告がなされているところでございます。

 例えば、平成十九年度のフォローアップにおける報告例として御答弁申し上げますけれども、生活福祉資金のうち緊急小口資金の貸付実績、これは平成十九年四月から十一月でございますが、これは貸付件数九百八十二件、貸付決定額六千五十四万円となっております。

 また、民間における取り組みについても、有識者会議においてセーフティーネット貸し付けの実施の主体に対するヒアリングを実施するなど、具体的な取り組みの実績の把握に努めているところでございます。この報告例を御報告申し上げますと、例えばグリーンコープ生協ふくおかの生活再生貸付の実績は、平成二十年六月二十日まで、貸付実行件数百四十七件、貸付金額一億四千八十三万円というようになっております。

仙谷委員 福岡と、それからグリーンコープがやってくれている熊本、それから、二十年前から行っている岩手県の消費者信用生協の活動、これは私も伺って知っておるわけでありますが、このほかに、つまり、今出てきたのは、早い話が四十七都道府県のうち三県。

 平成二十年六月十日の多重債務者対策本部、ここで出されたペーパーを見ましても、こう書いてあるんですよ。高リスク者の受け皿となる消費者向けのセーフティーネット貸し付けは、各地域において、顔の見える融資(丁寧な事情聴取、具体的な解決方法の相談、事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、問題の解決に資する場合に限って、低利の貸し付け)を行う、いわば日本版グラミン銀行モデルを広げていく。

 つまり、当時は、岩手県の消費者信用生協がいわば日本版グラミン銀行である、だから、このやり方を広げていくんだ、そのためには都道府県が、そういうことをやってくれるNPOなり生協なりに信用を付与するあるいは保証する、都道府県がするんですよ、ということを広げていく。そして、多重債務で大変悩んでおって日々の仕事も手につかない、毎日毎日どこかに払いに行かなければならないとか、あるいは、金利も高いものですから、給料、収入のうちの半分以上がそこに消えていく、そういう人に、例えば生活を再建するための相談、丁寧な相談をして、そしてモニタリングもすることにして、そういう丁寧なやり方で一括して振りかえの融資なんかを受けられるようにしようじゃないか、こういう話だったと思うんですよ。なぜ、これが進まないのか。

 私は、今の時点でもこのことは大変重要だと思います。つまり、中産階級といいましょうか中流の、多分最も底の部分で、この間の公述人の質疑からうかがえることは、いつ滑り台から滑り落ちるか、その滑り台から滑り落ちる直前でとどまっている人たちというふうに考えればいいと思うんですが、そこに顔の見えるセーフティーネット貸し付けをちゃんとしようというのが二年前ですよ、これは。まだ景気がそれほど落ち込んでいなかったときだけれども、だからこそ、多分そこが問題になったんだと思うんですね。再チャレンジの中でこういうスキームができた、できたけれども、実態としては何にも進んでいないじゃないですか。

 つまり、新たに参入していただいたのは福岡と熊本だけ。あとは都道府県が、要するに、この財政状況の苦しい中でそんなファンドをつくったり信用保証をしたりできないということで都道府県がネグるものですから、金融庁も、まあ、あれはあのときのことだ程度にしか考えていないんじゃないかと思うんですが、要するに、あれほど力を入れた多重債務者問題、一年たったらもう熱が冷めて、あるいは、これは余り票にならないと考えたのかどうか知りませんけれども、全く進まない。

 さっき大臣がおっしゃった生活福祉資金の緊急小口資金というのはちょっとレベルの違う話なんですよ、この福祉貸し付けというのは。つまり、サラ金問題というか、多重債務者の、これで苦しんでいる人たちの再生、生活再建というのは、やはりどこかで新たな融資をつけて、これは企業でも同じじゃないですか、融資をつけて、低金利で、あるいはより低い金利で、一括のまとめた肩がわり融資でもしてくれるところがあれば再出発できるんだけれども、それができないから何とかしようという話だったと思うんですよね。

 これは今後どうされるおつもりなんですか。今まで実態として、四十七都道府県のうち、本当に三県ぐらいしかこんなことができているところはないんですよ。だから、地方に丸投げをするとこうなるという見本のような話じゃないですか。いかがですか。

与謝野国務大臣 多重債務者問題というのは、もともと非常に難しい問題を含んでおります。それは、みずからお酒やばくちに夢中になって多重債務者になったようなケース、それから、本当に例えば母子家庭で生活が苦しくて、また、貸金業者の甘い言葉に乗って次々とお金を借りて多重債務者になった場合、そういう具体的に救っていいのか救うべきでないのかという問題があって、多重債務者全部、これはかわいそうだから救うという話ではないということは、私はそう思っておりますし、多分先生もそう思っておられます。

 ただ、救うべき人をタイミングよく救わないと泥沼に入っていってしまうということは事実でございまして、そういう意味では、前回、金融商品取引法が成立したときに、多重債務者の問題を解決しようという、これは与野党共通した考えで取り組んでこられたわけでございます。これはフォローアップをしているわけでございますけれども、どういう施策がどの程度効果があったかということ、また、効果については、やはり定性的な話ばかりでなく定量的な効果もちゃんと報告しろという課題も御指摘されたところでございます。

 こういう御指摘を含めまして、やはり我々あるいは地方がやっている多重債務者問題の効果は定性的、定量的にどの程度実効的な成果を上げているか、これはやはりもう少し丁寧にフォローアップする必要がある、これが仙谷先生の多分御指摘の一つではないかと思いますので、そのことは改めまして周知徹底させるようにいたしたいと思います。

仙谷委員 おっしゃられた福岡のケースを見ても、全部を助けるなんという話ではないんですよ。だから、顔の見えるセーフティーネット貸し付けということになっておって、相談を受け付けて、生活をこんなやり方でいいのかということをちゃんと相談して、モニタリングまでする、こういうことになっておるわけですね。

 だから、例えば前々年で見ますと、福岡でも、家族単位で貸し付け希望をされた人から見ると約三分の一、百六十七件の貸し付け希望があったけれども、六十件しか貸し付けはしていません。あるいは、昨年、〇八年度は七百九十件の貸し付け希望に対して六十九件、つまり一割ぐらいしか貸し付けができていません。それはそのとおりなんです。

 ただ、今の傾向で、特に若い世帯の大問題は、基本的に家賃なんですね、あるいは住宅ローンなんです。つまり、自分たちが育った生活水準といいましょうか、特に住居にまつわる生活を一挙に落とすということが感覚としてもできないから、収入から見ればちょっと過分の家賃を払うような家を借りている、あるいは住宅ローンを組んで家を買っているという、このケースの場合に、いっときしのげば何とかなるというこの気持ちというか動機が、いわば高金利のサラ金のところに走っていくということになるわけですね。一月や二月だったら返せるというふうに思ってしまうから行くわけですね。次、それを返すために次のサラ金に行ってしまう、このケースが相当多い。半分とまでは言わないけれども、二〇%や三〇%おるんですね。

 こういう人たちは、生活の仕方の、つまり相談から含めて再建、再生方法をちゃんと丁寧に示してあげれば、改めて四つ五つある借り手を一まとめにして払いやすくすれば生活再建できているというのが、今までの、例えば岩手の消費者信用生協なんかのケースではっきりしているものですから、だから日本版グラミン銀行とまで多重債務者対策本部も書いたんじゃないですか。

 だから、そういう丁寧なことができる仕組みをつくらないと、こういうやり方をすると、まるでやりっ放しの世界なんですね。これでは、かゆいところに手を届かせないでもいいわけでありますけれども、せっかくスキームをつくってやるやると言っても、結局やっていないのと同じということになる。

 これは、地方公共団体といいましょうか、都道府県、市町村にこの間お金がないということも関係しているんでしょう。そうだとすると、国が、中央政府がその保証ぐらいはするということを考えなければいけないのではないか。つまり、ファンドをつくるその資金保証をするということぐらいは考えないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

与謝野国務大臣 今の最初のケースの、高い家賃、高いローンの家を借りて、それで多重債務に陥ったケースは、余り実は私の同情は引かないわけです。ただ、母子家庭やなんかで生活が苦しくなるとか、そういうケースは私はきちんとやらなきゃいけないと思うんですけれども、多重債務の問題は、自己責任の問題と公で助けるという問題、やはり個別のケースで考え方というのはどうしても違ってきちゃうんじゃないか。多重債務に陥った方を一律に救済するような制度というのは、事実上あり得ないと思っています。

 ただ、この前変えました金融商品取引法は、サラ金が一つのコンピューターで全部ネットでつながるわけですから、借りに行った人がどことどこに残高があるかということはすぐわかるので、そういう意味では、あと数年すれば、貸し手側の方で多重債務ということを押さえることができるような状況になります。

 ですから、本当に公としてこれはやはり助けに出なきゃいけないというケースと、それは本人の責任でやっていただくしかないよというケースと、それはやはり分かれてしまうんじゃないかなという気持ちが私はあります。

仙谷委員 申し上げたいのは、だから、今まで高い家賃あるいは住宅ローン、収入からすれば過分の住宅ローンを設定している人たちに、ちゃんと生活相談までやって、そしてローンの総額もどのように設定すればいいのか、サラ金も含めてですよ、それから家賃はどういうところへ住めばいいのか、あるいは、このローンを一遍組んでいるけれどもそれは高過ぎるので撤退するかとか、そういうことを含めた相談が重要だということを申し上げているわけですよ。そして、なおかつ融資をつけるということが重要なんじゃないですかということを言っているんです。

 余り同情をしないというふうにおっしゃったんだけれども、実はここは、同情じゃなくて具体的な施策が必要なところじゃないかと思うんです。

 というのは、国土交通大臣、この間、住宅金融支援機構で、旧住宅金融公庫から借りた住宅ローン債権について、いわゆるリスケ、つまり支払い猶予とか分割支払いの組みかえをしたというのはどのぐらいありますか。

金子国務大臣 今の推計で、繰り上げ償還を行った件数、フラット35でありますが、平成十九年で約二万五千件あります。

仙谷委員 返済条件の変更はどのくらいありますか。

金子国務大臣 今申し上げた十九年度でいきますと、返済条件の変更というのは、償還期間を最長十五年延長する、あるいは失業あるいは会社都合、収入が減ったといったような方について据置期間を最長で三年、支払い猶予する期間、据置期間を三年設定するといったようなケースでございますが、十九年度、先ほどの数字に合わせて言えば、一万件について適用されております。

 ただ、こうした措置を活用された方は、幸いにして七割弱は延滞なしの御返済をされておられ、一定の居住安定確保の効果は上げていると思っております。

仙谷委員 与謝野大臣、民間金融機関では、こういう住宅ローンの返済条件の変更あるいは返済期間の延長等ということが今できておるでしょうか。そしてまた、そういうことをした場合には、その債務者といいましょうかお金を借りた人は、どのような取り扱いを受けることになっていますか。

与謝野国務大臣 もともと、日本の銀行が住宅ローンを設定するときには相当の審査をやっておりまして、借り手側が無理なく返せるようなところで物を決めております。したがいまして、住宅ローンの代位弁済率というのは日本の場合は〇・一ぐらいという、大変低いわけでございます。

 ただ、場合によっては職場の環境が変わるということがあり得るわけですから、やはり日本の銀行も、突然自分の職業環境や何かが変わった人に対応した親切な融資態度というのは当然ながら私は必要だと思いますし、失業であっても、これはそんなしょっちゅう起きる話じゃなくて例外的な事情ですから、やはり銀行としてはきちんと対応すべきだと考えております。

 必要であれば、そういうことについて、金融庁が金融機関に対して物を申し上げるということはやってまいりたいと思います。

仙谷委員 実は、いろいろな住宅ローンをめぐる環境が変わっているんですね。平成元年では、民間金融機関の住宅ローンのシェアが六〇%ぐらいだったんですね。平成十九年度末には七六%ぐらいになっていますね。つまり、官から民への流れの中で、住宅金融支援機構は、保証あるいはMBS化する、証券化してそれを民間から引き取ることに業務を特化すべきだ、直接住宅金融公庫がやっていたような貸し出しをすべきでないという流れの中で、民間部分が多くなっているんですね。ここが一つです。

 この現在の景気の状況をごらんになって、住宅ローンを借りている若い世代というか中堅どころの世代がことしの夏のボーナス支払いをどのようにクリアしていくのかということを現時点で思いをいたして施策をとらないと、私が先ほど申し上げた、滑り台から滑り落ちる人が大量に生まれるんではないかという懸念、心配を私は持っているわけであります。

 つまり、稼働率が何%ぐらいになってしまった、売り上げが何%ぐらいになってしまった、在庫調整をしなければいけない、こういう状況下では、まず一番に派遣の人が切られたということはあるでしょう。正規であろうが契約社員であろうが、住宅ローンを組んでいる人にとって、ここは多分、まず一番には残業手当、超過勤務手当が減ってくる。さらに次には、ボーナスが減額もしくはないのと同然になってくる可能性が日本の企業会計上は大いにある。そうすると、ことしの夏のボーナス支払い、これを相当多額で組んでいるというのが普通はサラリーマンの住宅ローンでありますから、ここがちょっと足りなくなってサラ金に手を出すということは容易に見てとれるわけですね。

 さっき国土交通大臣に聞きましたけれども、住宅金融支援機構、旧住宅金融公庫は、いわゆるリスケジュール、返済条件の猶予あるいは変更に応じておる。ところが、民間銀行は基本的には応じない。そのリスケジュールに応じた瞬間に、今度はこれをブラックリストに載せてしまう、こういう機械的な悪循環が今始まっていると言われているんですね。

 一昨日ですか、大きく新聞に取り上げられましたオバマ政権の住宅借り手救済策、きょう資料をつけてありますが、今、日本でここまでやるべきなのかどうなのか、やる必要があるのかどうなのかというのは、もう少し具体的に見てみないといけないとは思います。しかし、旧住宅金融公庫が行っているような住宅ローンのリスケジュール、返済条件の猶予、これを官民挙げて、民間金融機関、とりわけ、公的資金の注入を受けてまだ残しているような機関はちゃんとやるように、これは金融庁の方で何らかの方策をお考えになった方がいいんじゃないんでしょうか、この局面。いかがですか。

与謝野国務大臣 オバマ政権の住宅ローン対策は、やはり日本では現時点では全く適用すべきではない。むしろ、そのことによって大変不公平が生ずる可能性があるし、モラルハザードも発生する可能性がある。アメリカはアメリカの実情に応じて適切な政策をとっていると思いますけれども、我が国の状況はその段階までには至っていないと思っております。

仙谷委員 日本の、先ほどコンピューターで一律にわかるようになるというんですが、実は、このブラックリスト、ネガティブリストと言われておるのは、三つのグループで今もう始まっているんですね。

 ここに載せられたら、金融機関がリスケジュールに応じたというふうなことで、そのことを登録するとカードも使えなくなるという状況なんですよ。カードも使えなくなるし、ほかからも借りられなくなる。要するに、サラリーマンとしてというか勤労者としてちゃんと働いて月給をもらって生活をそれなりにやっているんだけれども、カードも使えないし、新たに、子供たちが学校へ入ったからどこかで借り入れをしたいなと思っても借り入れできない。そういう極めて形式的な連動の中に落とし込まれている人が約二百万人とか二百六十万人ぐらいおるのではないかというふうに言われておるんですね。海外にも、カードを持てないからなかなか行けないとか。

 こういう連動についてももう少し詳しく調べていただいて、ここはちゃんと支払っておるんだったら、そんなに形式的な、ネガティブリストに載せて一切の信用取引に応じないというふうなことをやるべきときではない。できれば、そういう人について、企業に行った緊急融資枠というふうなものは三十兆円でしょう、個人レベルに、この種の人たちについてちゃんと保証枠でもつくったらどうですか。そうしないと、サプライサイドには保証するけれども、生活サイドといいましょうか、消費者サイドには保証枠も何にもない。君たちは市場経済というジャングルの中でこういう不始末を犯したんだからしようがないじゃないかということになってはいけないのではないか。

 この局面は、生活サイドにも何兆円かの融資枠をつくって、先ほど申し上げた、都道府県の窓口できめ細かな対応をさせる、融資をさせる。あるいは、ネガティブリストに掲載しようとする人たちも、一定の人たちはネガティブリストに載せない、そのかわりその分については政府が保証する、住宅ローンのリスケについても保証する。このぐらいの政策が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 私は、自分の責任でなく自分の経済状況が危殆に陥った方に対しては公がいろいろやるということは必要だと思いますけれども、やはり、自分の見通しを誤った人に対してまで公が責任をとるというのは、社会としてはやり過ぎなんじゃないかと思います。

 今先生が話をされたケースというのは、多分それの境目にある話でして、それをどうするかというのは今後の課題であるということは強く認識をいたしました。

仙谷委員 ちょっと角度を変えて聞きますが、総務大臣、ゆうちょバンクは、資産が二百十二兆円、貸し出しが三兆八千億、ただし中小企業と個人向けが百五十一億円。要するに、貸出残額の〇・四%しか貸し出しができていないんですね。この時期、二百十二兆円の資産が、百五十七兆円国債保有をしているだけで、この金が回っていない。この危急存亡のときというかお金が全然動かないというときに、ゆうちょバンクがこのお金を国債にかえて抱えたままじっとたたずんでいる。いかがお考えですか。

 つまり、この金が、政策投資銀行への緊急融資の枠組みであるとか日本政策金融公庫であるとか商工中金であるとか、いろいろなところにもっと自由に貸し出せればいいんじゃないでしょうか。あるいは、今申し上げた住宅金融支援機構が住宅ローンをMBS化する、そのMBSを買い取って、郵貯のお金としてたまっているものを回す。

 これは、どうも法律上調べてみると、総務大臣と実質的には財務大臣、総理大臣、ここが認可を与えればできることになっているようなんですよ。これは、総務大臣、どうですか。

鳩山国務大臣 仙谷先生御指摘のとおりでございまして、総理大臣となっておりますのは、金融庁長官というか、実質、私と与謝野大臣とで認可すればできる話で、この間、川内委員から、地域の経済をよくわかっているゆうちょ銀行が、少なくとも信用保証がついているものぐらいは貸したらどうかという御質問があって、そのときに私はかなり前向きのお話をしたわけでございます。

 仙谷先生と与謝野大臣のやりとりをずっと聞いておりまして、多重債務者の場合、非常に難しい境目のような方が大勢おられると思いますけれども、移行期間が過ぎたときはどうなるかは別にいたしまして、現在基本的な与信行為というものをほとんどしていないわけです。住宅ローンをやっていますのは、これはスルガ銀行の関係の仲介にすぎないわけでございます。

 それから、ゆうゆうローンというのがありますが、これは貯金の範囲内で貸すだけですから、昔からあります。クレジットカードの場合がほんのわずかな与信にはなっているようでございますが、本来、ゆうちょ銀行は国民生活の向上に貢献することが民営化の趣旨からして非常に重要でございますので、これはゆうちょ銀行でも十分検討してもらいますが、我々、認可申請があった場合はできる限り前向きに考えたいと思っております。

仙谷委員 ゆうちょバンクがリテール、つまり小口、中小企業とか個人に貸すというノウハウがまだ蓄積されていない、あるいはそういう陣形もないというふうに私も薄々感じているんですね。その場合には、公的な金融機関的な、今はもうほとんど公的な金融機関は許されないということのようでありまして、去年の十月一日に出発進行をしてしまった、ここもまた、この状況下では、私、極めてちぐはぐな話になっておると思うのでありますが、しかし、政策投資銀行なり日本政策金融公庫なり、そして住宅金融支援機構、残っているわけですから、こういうところを相手に固まったものをお貸しして、それでお金を回していくということをお考えになったらいかがですか。緊急措置としてでも、いかがですか。

鳩山国務大臣 私からゆうちょ銀行に対してそうしろという指示命令ができるものではないとは思いますけれども、今のお話は非常に有意義な面がございますから、検討していきたいと思います。

仙谷委員 終わります。

衛藤委員長 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 民主党の中川正春です。

 これまで、突発事件というのがいろいろ起こりまして、その都度の質問で、特に財務金融委員会では落ちつかぬ形での質問が多かったんですけれども、きょうは、こういう機会を与えていただいたということで、しっかり落ちついた基本的な問題について、私の課題を質疑していきたいというふうに思っておりました。

 最初に、先ほども政権の運営についてお話が出ました。私は、参議院が与野党ひっくり返った時点で、恐らくこれまでの安定した与党のいわゆる絶対多数というか、そういう形で国会が運営をされてきた、その前提はしっかりと転換をしていくということでないと、逆に、今の状況はまさにそうだと思うんですが、与党の、麻生政権の話だけじゃなくて、国会の機能そのものが国民にとっては非常に不安定なものになって、いわゆる信頼を失ってしまうということになっていくのではないか、そういう危惧を抱いております。

 去年から私も、財務金融委員会それから予算委員会、両方兼ねて、現場で理事として担当をしてきたんですけれども、例えば税の関連、租税特別措置法であるとか、去年の場合は道路特定財源が問題になったわけでありますけれども、こういう議論をしていくときに、今回の場合は特定の給付金、いわゆる一万二千円の給付金の課題でありますが、与野党が話し合いをしていきながら解決をしていかなければ、両方の立つスタンスが初めから違っているんだということがよくわかっている、そういう課題がある。

 それにもかかわらず、与党の出し方といったら、租税特別措置法なんかはまさにそうなんですが、七十本も八十本もある法律、それを一つ一つ見ていたら、反対、賛成、これはそれぞれあるんですね。それで議論はしていかなきゃいけない。にもかかわらず、全部パッケージで、一本で賛成か反対かという出し方をしてくるわけです。去年の道路財源もそうであった。ことしは、定額給付については、これは切り離されているんです。それでも話し合いという形になっていかない。

 とにかく、パッケージの場合は、一つ一つ議論するんじゃなくて全体で賛成か反対ですから、その中に一つでも二つでも異論のあるものがあれば、これは反対していかざるを得ないという形で議論が進んでいくわけです。

 そういうことですから、一〇〇%思うようにいかないとさっき話が出ましたが、だから話し合いが必要なんです。話し合いをしないことには、これはどこまでいっても、三分の二でまた戻ってきて、とんでもない形で、本来は憲法がそこまで規定をしていない、話し合いをしなさいよ、そういう前提の中で本当に非常手段として三分の二を使いなさいよという前提になっている、その形が日常茶飯事として繰り広げられていく。その過程の中で、本当にいわゆる建設的でない空虚な議論というのが国会で繰り広げられていくのではないか。このことが問題なんだろうというふうに私は思うんです。

 その上で、ここまで来たら、私は、政府はどっちかで判断しなきゃいけない。話し合いをしていくのか、妥協点を見出していくのか。言いかえれば、野党の出してきた案というのを丸のみしながら新しい修正をしていって成案としていくのか。それとも、どこまでも政府が、いわゆる今の自民党が自分たちの思いどおりにやるということであるとすれば、それはもう一回国民に信を問うて、解散・総選挙という形で整理をしていくということになるのか。どちらかをここで選ばないと、私は、これは与党の麻生政権だけじゃなくて、国会そのものの権威、国会そのものの信頼というのが問われてくる、今そんな状況にもなってきているんだろうというふうに思うんです。

 そういう思いを込めて、官房長官、この局面をあなたは総理にどのように今進言しているんですか。当然、解散しようよと言ってもらっていいところなんですけれども、どういうふうに今の状況を考えていますか。

河村国務大臣 昔から、信なくば立たず、こう言われておりますので、政治の信頼を失うということはやはり我々としても一番悲しいことだし、いかに信頼を得ていくかということにすべてを尽くさなきゃいかぬ、こう思っております。

 今、中川委員、いろいろ御指摘のあった点は、既にこれまでも随分議論をされたところでございますし、その都度麻生総理もお答えをしておると思います。

 今この局面で、こうおっしゃるわけでございますが、私はずっと見ておりまして、どうしても、ここまでこういう形で来た、その一つはやはり、解散というものが九月までにという一つの目の先に見えてきた中で、我々としては、これは政局より政策でなきゃいかぬという思いで続けてきたわけでありますが、どうしても政局が表に出てしまう。このようないろいろな課題が国対当局者でいろいろ議論をされるわけでありますが、どうしても尽くるところ政局絡みになってしまう。その点がいろいろな議論を呼んでおる点が大きいのではないかと私は思います。

 しかし、いずれにしても国民のための政策を進めていかなきゃならぬわけでございますから、この経済状況の中で何を政府としてやらなきゃいけないか。これは、やはり予算を通すという大きな課題に向かって国民のためにこたえていく、これが最大の景気対策になるんだというのが麻生総理の最初から申し上げておることでございます。そういう視点に立って話し合いをするということであれば、それはやぶさかでないのでありますが、どうしても、政局、すぐ、さあ解散だ、こうなりますと、本来の政策、今必要なこと、これができなくなるんじゃないか、こういう思いもあるかと思うわけでございます。

 今の当面の難局をどうやって乗り切るかということは、これは国民の皆さんがどう考えておられるか。

 生活給付金のことにしてもそうであります。あのガソリンが大変に上がったときのスタートということと確かに時点は変わっておりますけれども、しかし、あのときのスタートの思い、そして、消費が冷え込んでいる、こういうような思い。そういうものはやはり政策で解決していくほかないのではないか、こういう強い思いで総理としては政権の運営をしている、私はこのように確信をしておりますので、まずは景気だという総理の思い、これを貫くことが国民の期待にこたえることだ、このように考えております。

中川(正)委員 意味しておられるところがもう少しわからないんですけれども。

 では、今の景気対策、経済対策が国民に本当に支持されているのか、国民は納得しているのかといったら、結論は出ているんですよ。定額給付金の使い方については、ほとんどの人たちが、あれはばらまきだと。本来、例えば若い人たちが耐久消費財を中心にしてローンを組んで、あれで自動車のローンを組めるか、あるいは住宅ローンを組めるか、それで将来に対して安定した形で新しい需要喚起というものが起きてくるかということとは、あれは関係ない話でしょうという世論です。

 そんな中で、私たちは、だから同じ二兆円を使うのであれば、もっと緊急対策的なものに使い方を一遍考えてみようと。雇用という部分、あるいは、先ほどお話が出た、これからローンが切れてくる人たち、あるいは外国人の労働者のいわゆるそこに集中された問題、こういう危機対応的な部分もたくさんあるじゃないか、そんな中で両方が知恵を出し合って一つの使い方というのを考えていったらいいじゃないか。これは何回も私のメンバーが皆さんに対して提案をしてきた、そういう過程があったんです。

 それにもかかわらず、いや、一行たりとも、あるいは一円たりとも予算は変えないよ、こういう形で押し切っていこうとしているのが皆さんの今の姿勢なんですよ。それに対して、改めて世論調査というのをやられた。やはり、これはもう支持率が一けた台になってくるのは当然だと思うんですよ。

 そういう意味合いで、しかし、ここで話は整理をしておかないと、我々自身、政治のリーダーシップ自身が今問われているんだというところにやはり原点を持っていってもらわないと、これは日本自体が大変なことになってくるということだと思うんです。そこのところを改めて指摘しておきたいというふうに思う。

 これは、本来は総理が出席のもとに、総理の頭の中をしっかり整理してもらわなきゃいけない問題でありますので、閣僚の皆さんもその思いでひとつ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 官房長官は時間に限りがあるということでありますので、この提出した順番を変えていきまして、官房長官にかかわる問題を先にお話ししていきたいというふうに思っています。

 まず、外交の関係、特に北朝鮮の問題でありますが、クリントン長官が日本あるいはインドネシアから韓国、中国ということで歴訪をされた。そこでそれぞれの国がアメリカとの関係の中で、一つの課題といいますか、これから将来を見据えた形で意思を表現していっています。アメリカとこういうことをやる、あるいはアメリカにとってこうした問題を解決していきたいと。

 これは一つ一つ特徴がありまして、中国の場合は、やはり米国債を持ち続けるということ、このことを意識しながらそうしたメッセージの発信をしています。これは、中国がアメリカにとってどれだけ大事な存在になってきているかということと同時に、中国としても、元のいわゆる価値といいますか、こういうものを為替政策の中で巧みに活用しながら、恐らく彼らなりの国益というのを追求する中での一つの表示だというふうに思います。

 韓国の場合は、北朝鮮が今ミサイルの発射準備をしているという情報がある。それから、北朝鮮の中の権力構造が、次の後継者がどういう形になっていくのかということで揺れているという状況がある。そんなことをとらえながら、アメリカと一緒に軍事演習をやっていく、そういうスケジュールを前提にして、北朝鮮のそうした特にミサイルの動きに対して、大きく牽制をしながら、そんな挑発をしてもだめだというメッセージをクリントン長官と一緒に出しているということですね。

 翻って、日本の場合はどうだったのかということだと思うんですが、残念なことに、具体的な話、それから大事なメッセージを発していくということのかわりに、中川財務大臣のそれこそスキャンダルというか退陣の話がもう表に出てしまって、この大事な外交日程というのをうまく使えなかったということもあるかもしれないけれども、それにしても、何が具体的に日米間の中で大きく取り上げられて、新しい関係構築というのをメッセージを発信できたかというと、私は、結果的には何もなかったんだ、それを日本も活用できなかったということに尽きるというふうに思います。

 そんな中で、ちょっと改めて聞いておきたいんですが、さっき、韓国が非常に大きなメッセージとして出している北朝鮮のミサイルの問題です。これはそんなに、挑発されて、こちらもその挑発に乗る、そういうことではなくても、それなりのいわゆる情報の認識というものと、それから、それを分析した上で日本としてどういう対応をしていくべきかというのは、しっかりとメッセージとして発していくべきだというふうに思っています。

 それを探していましたら、麻生総理の二十日の日のぶら下がり会見というのがありまして、ぶら下がりというのは、こういうコメントを見ていると本当によくないですね。十分に練り上げられた国の戦略が本当は総理大臣の口からは発信されなきゃならないんですけれども、とんでもない、そんな形になっていないんですよ。

 どういうことかというと、記者が聞いたのは、米国の複数の有力紙が、クリントン国務長官が北朝鮮の権力の継承問題について、仮に平和的な継承でも一層の先行き不安が生まれ、それから、さらに挑発的な行動が誘発される可能性があると。ミサイルなどの脅威もある中、日本の政府の認識を問いたい。こういう記者の問いに対して、麻生総理、ここにコメントが出ているんですが、これは産経新聞のウエブなんですけれども、少なくとも外国の外務大臣が言った言わないという話を、外国の報道機関を通じて入ったそのことに関して、裏もとれない間にコメントすることはありませんと。それから、北朝鮮、これは北朝鮮の行動について引き続き注意深く見ていきますよと。

 どう思われますか、このコメント、長官。

河村国務大臣 これは、直接私もその場にいたわけではございませんから、なかなか言いようが難しいのでありますが、ただ、総理大臣として申し上げる場合には、確実な事実に基づいて、そして、やはり政府としての統一的な考え方、練り上げたものを発表するというのが建前になっておりますので、北朝鮮のそうした動き、特にインテリジェンスに関するようなことを総理の口から、そういうことを確認せずに申し上げることはまずないのではないか、このように思いますが。

中川(正)委員 これは当然、総理に、こうした問題について事実はどういうことになっているのか、いわゆる日本の情報機関としては伝えていなきゃいけないことでありますし、それに対して政府の姿勢というのはもう既に定まっていなきゃいけない話なんですよ。それを今さら、これは二十日の時点ですよ、二十日の時点で、総理の口から、いや、私は聞いていないんだ、海外メディアがそうやって騒いでいるようですね、そういうコメントなんですよ、これは。これで危機管理ができるかということですよ。

 そのことをまず指摘しておきたいのと、改めて聞きたいんですが、日本政府は、今、これをどのように認識されているのか、あるいはまた、その情報源というのはどういう形で日本は確認をしているのか、そこのところを答えてください。

河村国務大臣 北朝鮮のミサイルの関連動向につきましては、御指摘のとおり平素から情報収集、分析に努めておるところでございます。もちろんさまざまな情報があることも事実でございますけれども、これはやはり、個々の具体的な情報については、事柄の性質上、コメントすることは、これまでもそうでございますが、差し控えさせていただいております。

 ただ、いずれにいたしましても、これは地域の安定にも大きな影響を与えるような問題でありますし、国連のこれまでの安保理決議等もございます。そうした安定を損なうような行動については自制を求めていかなきゃいかぬ、この方針は変わっておりません。

 クリントン国務長官も、六カ国協議の中できちっとやっていきたいという強いメッセージが出ておりますし、御案内のように、いよいよ総理はきょうから、夜、アメリカに立ってまいりまして、大統領との会談も行うわけでございます。当然、この北朝鮮問題についても協議をすることになる、このように考えておるところであります。

中川(正)委員 日本の国民は、いつも、それこそ海外発の情報でしかこの問題は理解ができないわけですか。さっきの話だと、政府としてはコメントできない、そんなばかな話はないでしょう。やはり日本の国民に対して、事実関係はこうだ、こういうふうに我々は認識をしている、それに対しての対応はこういうことだというのは、少なくとも日本政府はしっかり情報を発信しておかないと、我々はどこを探してもさっきの答弁になるんです。いや、それぞれの国と話し合いをしていきますよということでとまっているだけの話なんですよ。それでは政府にならない。政府の機能として、いわゆる統治機能とよく言われますが、統治していないんですよ、そんな話は。ということを指摘しておきたいというふうに思います。

 その上で、防衛省の方を急遽お呼び立てしましたけれども、実はこの問題なんですが、米韓は合同して通常の軍事訓練を周辺でやっていこうというふうな体制をとっています。日本としては、防衛省としては、実際に発射があったときにどこまでの対応ができるのか、あるいはどういう形でこれに臨んでいこうとしているのか、答えてください。

浜田国務大臣 我々とすれば、今まで、弾道ミサイル防衛の体制をとるために、BMDシステムの整備を着実に推進しておるところでございますし、今先生の御指摘のように、いろいろな情報等も我々も収集をしている最中でございます。そしてまた、この警戒活動等も常日ごろからやっておるものですから、そういう意味では、情報収集体制を充実させているところでもございますし、今後ともその体制をしっかりと堅持しつつやっていきたいというふうに思っておるところでございます。

中川(正)委員 ということは、ミサイル防衛システムを稼働させるということですか。

浜田国務大臣 基本的に、今整備を着実に推進しているところでございまして、またその運用等についてはいろいろな御議論があるところでございますので、今後、議論を進めていきたいというふうに思っているところであります。

中川(正)委員 いや、それをどのように活用するのか。例えば、追尾だけしてどこへ落ちたということを確認していくんだという話になるのか、実際に撃ち落としてしまうのか。そこのところは対応の仕方によって相当変わってくるんだろうと思うんですよ。どうですか。

浜田国務大臣 今先生のお話によれば、そういった、飛んでいったところを確認するだけかということでありますが、いずれにしても、我々とすれば、周辺水域においての常続的な警戒監視活動、そしてまた情報収集活動をしているということでございますけれども、今先生のお話しになったような件に関しては、お答えできるところとできないところがありますが、しかし、こういった今の仮定のお話に関しましては、今の体制については、この今我々のとっているものを含め、お話しできないこともあるわけでございますので、御理解いただければと思うわけでございます。

中川(正)委員 私が期待するのは、先ほどの私の問いに対して、具体的に、撃ち落とすとか撃ち落とさないとかいうようなそういう答えではなくて、断固とした体制をとっていきますよ、私たちは、絶えず、そのことを前提にした体制を組んでいきますよ、アメリカとの話し合いはこうなっていますよ、そういう情報を政府から出さなければ、外交にならないということだと思うんですよ。

 国連ではやるなと言っているわけですから、各国そろって、そんなブラフみたいなおどしをかけてもこれは話にならないよというメッセージをつくろうとしているわけじゃないですか。それに対して、さっきのような官房長官の答弁だとか防衛相の答弁でしゃくし定規なことを言っていたら、日本の国家としての意思があらわれてこない。断固、戦うときは戦うよ、そういうメッセージも出しながら、挑発には乗らないよという話をしなきゃいけないんじゃないですか。

 そのことを期待して私はこの質問をしたんですが、皆さんは何か内にこもっちゃって、しゃべり過ぎちゃだめなんだと。官房長官、しゃべり過ぎちゃだめなんだと。だから、防衛相も、いや、志を言っちゃだめなんだという形で、内にこもっているだけの答弁じゃないですか。もっと戦略性を持っていただきたいというふうに思うんです。そのことを指摘させていただいて、次に移りたいと思います。

 引き続き北朝鮮の関係なんですけれども、実は、拉致の問題、これはしっかり新しい切り口も含めて日本が対応していかなければならないことだと思っています。

 私は、今、六カ国の作業部会の中で切り離して二国間交渉でやっていますけれども、これは韓国でも体制がかわって、拉致あるいは脱北者、人権ということについては、ハンナラの政権というのは非常に厳しい対峙をしていこうとしております。それだけに、本当は、本当はというよりも、日本はぜひ、二国間協議という形じゃなくて、韓国も巻き込んで、あるいはアメリカ、もっと言えば、タイやほか十二カ国、拉致被害者というのがはっきりしているわけですから、こういう国際的な関連も巻き込んだ形での交渉の舞台、いわゆるテーブルの設定というのをしていくべきだということ、これを従来から主張し続けているんですけれども、韓国の政権がかわってスタンスが変わっただけに、ぜひそういう形に持っていっていただきたい。

 その中で、一つの手がかりとして、そのテーブルをつくっていく一つの形として、実は人権問題があって、そこに脱北者だとかあるいは北朝鮮の中の人権侵害、そういうことがある。そういうことを全部包括的にして、実は、何年か前に北朝鮮の人権法というのを議員立法でつくりました。その中には、拉致問題の解決はもちろんのこと、あるいはそれに対する支援体制というのはもちろんのこと、脱北者についても、あるいは北朝鮮の中の人権侵害についても同じような形で支援をしていく、そのことを政府に義務づけているというか、そうした努力をしていかなければならないということを規定しています。

 ところが、実は、ここで聞きたいんですけれども、拉致については拉致対策本部で窓口ははっきりしているんですが、脱北者だとかほかの人権の関連について、どこが窓口になって具体的に何をしてきたのかということについて、今これは形がないんですね。そこのところはこの法律の趣旨に従った形で政府が組み立てをしていないということなんですけれども、どうですか、対応してください。

河村国務大臣 御指摘の脱北者の保護の問題につきましては、いわゆる北朝鮮人権法の趣旨がございます、これにのっとって、これは、関係省庁、外務、法務、総務、厚労、国交、文科と、直接的に関係がある省庁だけでも多岐にわたっております。この連携はまず第一に非常に必要でございますし、これまでも定着支援のための施策も進めてきております。

 これは、個別のケースで、生活保護の受給の問題であるとか、あるいは職業相談、精神的なケアの実施等々、また日本語教育機関への紹介、このようなことを行ってきております。

 その上で、今おっしゃったように、どこが司令塔になってやるか、こういうことでありますから、これは必要に応じて内閣官房が調整をやってきております。官房副長官補室のところで対応いたしておるところでございまして、より一層政府一体となって進めていくことは非常に大事なことだ、こう思っておりますので、今の御指摘も踏まえながら、内閣官房が中心になって調整をしていく、こういう方向で進めてまいりたいと思っております。

中川(正)委員 これについて予算はどれだけついてきましたか。支援団体を政府が直接どれだけ支援してきましたか。

河村国務大臣 ちょっと、予算までここにはございませんので、調べて御報告させていただきます。

中川(正)委員 私、調べたんですよ。予算はついていない。さっき言われたいろいろな事業というのは、政府がやっているんじゃなくて、それぞれの関係団体、NGOを中心にした関係団体がやっている事業がそういうことなんです。

 法律の趣旨としては、そうしたところに限界が来ているので、また、北朝鮮からつけ込まれている。つけ込まれているというのは、電話がかかってきて、おまえが脱北したためにこれだけ家族は苦労しているんだ、帰ってこいと言って、日本人妻の場合なんかでも、だまされて帰っていって、日本のメディアに対して、日本国は私たちをだましてこっちへ連れてきたとかいうような、そういうキャンペーンを今張りつつあるということがはっきりしているので、そういうことに対するしっかりとした対応をしていくためにも、これは制度的にシステムとして整備をしていかなきゃいけない。

 いわゆる脱北者が百七十人以上、今超えてきているわけですけれども、その人たちが日本の社会に定住をしていくための一番最初の入り口の制度ですね、ちょうどベトナム難民が日本に定着をしていくその過程で使ったような手法をつくっていかなきゃいけない。そのときの課題だったんです。これが全部今なおざりになっているんですよ。だから、いろいろなところで混乱が起き始めてきているということなんです。

 官房長官、しっかりこれはもう一回点検をしていただいて、どこが窓口で予算をつけていくのかということをもう一回はっきりしてください。

河村国務大臣 御指摘の点も踏まえまして、これは内閣官房が調整機能を果たしていかなきゃなりませんので、きちっとした司令塔になり得るような形についても考えてまいりたいというふうに思います。

中川(正)委員 さらにこの問題に関連してですが、実は、こういう人たちというのは、一つの情報源といいますか、北朝鮮の内部の権力構造、あるいは何が起こっているかということを、拉致の問題も含めてしっかり取り込める情報源になっています。これは前も指摘をしたことなんですが、体系的にこの情報をとっていく。韓国では一万人以上の脱北者が戻ってきていて、特に軍事政権の中に入ってきた人たち、この人たちについては特別な保護をしながら体系的に情報をとっているという体系をつくっております。

 日本の場合は、余りにもそこがお粗末、これも私も調査をしたんですが、全くそうしたことをシステム的にやっていない、体系的にやっていないということがありまして、官房長官、ここについてもしっかりとしたメスを入れていただきたい。

 その上で、何年か前に、日本としても例えばファン・ジャンヨプ氏を国会に招致して証言を聞いていこうということを、私が外務委員会にいたころに努力をしたことがありました。そのころは、韓国の政権がなかなかそうした形にはなってこなかったということで実現しなかったんですけれども、今、政権がかわりましたから、恐らく日本でそうしたことが可能になってくるだろうと思う。ファン・ジャンヨプ氏だけではなくて、今さまざまな情報を持っている人たちというのが日本に招致ができる環境になってきたというふうに思っています。

 これを政府としても、あるいは国会としてもぜひやっていきたい、政府もやってほしいというふうに思うんですが、そのことについては、外務大臣の方がいいのかな、どのように考えられますか。

中曽根国務大臣 一般的に、政府といたしましては、これまでも、脱北者から話を聴取することも含めまして、北朝鮮内部の状況あるいは拉致被害者に関する情報の収集には力を尽くしておるわけでございます。

 その上で、例えば今御指摘のございましたファン・ジャンヨプ氏の国会への参考人招致、こういうことにつきましては、国会でこういうことは御判断いただくべきことだ、そういうふうに考えております。(中川(正)委員「政府はどう思うかということです」と呼ぶ)はい。

 これにつきましては、韓国政府との調整などが必要でございますし、政府がとるべき対応につきましても、これはやはり国会で御判断いただいた上で検討したいと考えますけれども、この件の検討に当たりましては、同氏の置かれている立場、それから本人の希望、また韓国政府の意向等をよく踏まえて慎重に政府としては検討すべきこと、そういうふうに思っております。

中川(正)委員 どうしてやりましょうと言えないのかね。こんなものは当然積極的にやったらいい話なんですよ。

 官房長官、さっきの答弁をどう思いますか。

河村国務大臣 御指摘のような脱北者等の情報収集、これはもうずっとやってきているわけであります。

 ただ、それぞれ脱北者の皆様方にはいろいろな事情もあって、これが表に出るということについてはいろいろあるわけでございます。また、日本の脱北者の方々は中国経由の方々が多いわけでございまして、対中国との関係、いろいろなそういう要因がございまして、表に出してどうこうという性格のものではないのではないか。

 そういう点が非常に多いということもあって今日に来ておりまして、今外務大臣が答弁されたのもそういう視点に立っての御答弁だ、このように思います。

中川(正)委員 過去の金正日体制のナンバーツーとかナンバースリーとかと言われていて、あの国の体系、チュチェ思想を体現しているような、そういう象徴的な人を日本に招致して証言をさせるというのは、ただ情報を収集するというだけの話じゃなくて、そこに外交的な思いというのがあるんですよ。戦略的にそれをどう使うかという、その前提に立ってこの話をしているんですよ。ただ情報収集はやっているんだというような話はやっていません。

 これは、私、韓国に行ってそれぞれ関係者に話を聞きました。そうしたら、アメリカはしっかり情報収集来ているよ、だけれども日本はないねというのが大体皆の証言だ。こんな中で日本の体系が今進んでいるということについては、非常に私は憤りも感じていますし、どこで立ちどまって足踏みしているんだ、何で戦略的な外交というのを展開できないんだということ、これに対して本当に憤りを感じております。

 外務大臣、心変わりしましたか。ファン・ジャンヨプを呼びますか。

中曽根国務大臣 今委員が、情報収集していないんじゃないか、そういうお話ですが、ファン・ジャンヨプ氏に対しましては、これまでも我が国政府といたしましては接触を行いまして、そして、拉致問題を含む北朝鮮に関するいろいろな問題、また北朝鮮情勢等について、その知見や意見を聴取してまいりました。

 もちろん、こういう内容については、先方との関係もありまして、ここで明らかにすることはできませんが、先ほどから申し上げておりますとおり、相手の立場とか、韓国政府の考えとか、いろいろありますので、それ以上はここではちょっとお答えできないことは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

中川(正)委員 いや、ファン・ジャンヨプさんにこだわっているわけじゃないんですよ。一般的に、今相当の数の、いわゆる政府の内部で諜報活動だとかあるいは軍事的な指揮だとかとっていた人たちが韓国に渡っている。そういう人たちの情報収集ということを言っているんですよ。だから、ファン・ジャンヨプさんは当然のことですし、さっきの話、相手の気持ちもありますのでというような話をしていないで、日本政府としては呼びます、あるいは国会としては呼びますという、その意思表示をまずすべきことなんです。

 その上で、その意思を持って韓国政府と話し合いをしますというような答えが出てくれば、我々も、ああ、そうした戦略的な使い方をしているんだなという理解ができる。しかし、それがないままに、評論家的に、いや、相手の話を聞いてみないと来てくれるかどうかわからないんですというようなことでは、これは政府の意思にならないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 外交についてはそういうところできょうは終わっていきたいと思うんですが、まだ、日米関係あるいはASEANプラス3、それぞれ新しい動きが出てきていますので、金曜日のときも与謝野大臣に指摘をしたように、チェンマイ・イニシアチブというのが、大臣がいない間に向こうで新しい展開が出てきている。これは本当にもったいないですよ。大臣行って、日本がイニシアチブをとってこれぐらいのことはやっていくんだ、特に、ドルだけじゃなくて円というものの流通というのをこの際アピールしていこうじゃないかというような、そんな新しい提案もあってもいいというふうに思うんですが、非常に残念なことです。

 そんなことも、きょうは指摘だけをさせていただいて、外交はひとまず終わっていきたいと思います。

 実は、今度は国内問題なんですが、さっきの仙谷委員の、派遣あるいは雇用どめ、こういう非常に厳しい状況にもかかわってくるんですけれども、その中で特に外国人の労働者の問題について、これを、一つ焦点を当ててただしていきたいというふうに思います。

 やはり自動車の関連あるいは電機の関連で派遣が切られる、あるいは、期間工というのが、この契約の更新ができない。また……。

 いやいや、あなたのところでしょう、この外国人労働者の総合的な関連というのは。また戻ってこられますか。何時に戻ってこられますか。(河村国務大臣「記者会見が十一時からございますので」と呼ぶ)十一時、何時に戻ってこられますか。(河村国務大臣「記者会見の状況によります」と呼ぶ)残念ですけれども、どうぞ行ってください。戻ってきていただいたら、また聞きますから。

 そうすると、これはどなたに聞いたらいいのかな。まず基本的なところでお聞きをしていきたいんですが、非常にこれは深刻であります。恐らく、いろいろなことが言われている、まだ調査がはっきりしていないんですが、こうして三月、四月、さらに派遣切りというのが極端な形で進んでくるという予想がされているんですが、そんな中で、外国人労働者のコミュニティーというのは、一体どれぐらいの割合で失業という形になるのか。日本の中で失業率が四%とか五%とかというレベルと、外国人のコミュニティーとしての失業率というのは全く違ってきているんですね。それをどのように把握しておられるか。

舛添国務大臣 外国人労働者に特化した統計というのはこれまでとっておりません。しかし、今委員がおっしゃったように、非常に外国人の失業者というのはふえております。特に、外国人の方々が集まっている地域、例えば、太田市、浜松市とか豊田、こういうところにつきまして、地域のハローワークから、どれぐらいの失業があるかというのは、今数字を取り寄せておりまして、そういうところだけでございますけれども、一月までに報告があったものを集計しますと、年度末までの約半年間で五千六百人が雇用調整の対象となっているということでございます。

 これは、日本語の問題があったり、それから雇用慣行に不案内だったり、職務経験不十分だったということであって、非常に厳しい状況になっているのが今の状況だと思いますので、引き続き、各地のハローワークを通じて、特に集中してそういう方がおられるところの情報を今後ともとってまいりたいと思っております。

中川(正)委員 私の地元の四日市市、鈴鹿市、あるいは亀山市も、そうした意味では、集住都市会議のメーンのメンバーでありますし、本当に凝縮された形で今その問題が出てきています。

 例えば鈴鹿市でいくと、生活保護が従来の申請の三倍から四倍のレベルで今膨れ上がってきておりまして、従来から予定した予算がそれこそもうはるかにオーバーをしてきて、どうするか。恐らく、三月から四月にかけて、もっとそれは大きな形になってくるだろうということだと思います。

 そんなことを受けて、市長会からだったと思うんですが、ブラジルに帰国をしたいという人たちについて、これはなかなか、家族全体で帰国するということになると、突然切られた話ですから、お金がない、そのことを手当てをしてもらうという形でこの急場をしのぐということが必要だ、そういう前提で、国に対してその支援をしてほしいという話が今出てきているんですが、このことについてはどのように受け取られておりますか。

舛添国務大臣 仕事を失った方々で、今委員がおっしゃったように、帰国したいという方々がおられる、ないしは引き続き日本にとどまりたいという方がおられる。

 これは、法務省や関連の各省との関連がありますので、内閣府に先般、定住外国人施策推進室というのをつくりまして、今おっしゃった、帰国を希望する方に対してどういう帰国支援ができるか、例えば、飛行機の切符代をどれだけ援助ができるか、それから、その前段階として、雇用対策とか住宅対策、生活保護を含めての生活支援対策、そういうことを今検討しているところでございます。

 厚生労働省としても、各省と連携のもとに、内閣府にこれは設けられておりますので、政府全体で今問題意識を共有しておりますので、どうするかということを検討中でございます。

中川(正)委員 参考に一つお話をしておきたいんですが、これは、それぞれケアをしておられるNPOの皆さんが保見団地で、二百五十人の外国人労働者の皆さんで失業をしてしまったという人たちにアンケートをとったらしいんです。そのうち、帰国で支援をもらえるなら、お金をもらえるなら帰りたいという人たちは、わずか八分の一ということだったらしいんです。その他八分の七は、やはり日本にいたいんだということなんですね。

 今、私の地元でも、どちらかというと地方自治体が非常に頑張っておりまして、そのコミュニティー自身も、外国人労働者の皆さんに何とか生活の基盤というのをつくっていきたい、新しい雇用というのもつくり上げていきたいということでいろいろな工夫をしている。そういうこともあり、かつ、うちはホンダの鈴鹿製作所なんですけれども、ここは、トヨタは大型車で極端にカットされた、そういう地域と比べると、まだ少なくとも持ちこたえてきたわけです。

 しかし、臨時雇用とか期間工というのはもうこの三月、四月で打ち切られる、正社員だけになってしまう、そういうことは見えているんですけれども、しかし、まだそれは現実のものになっていないということもあって、NPOの皆さんの話を聞いていると、どうもこっちへ集まってきているんじゃないかなと。そうなると、それぞれの一つの団地に何軒もが助け合いながら、一つの二DK、三DKの団地の中に五軒、六軒分の家族が助け合いながら生活をしていくというふうなことが本当に耐えながらやられているということ、そんな現実も皆さんにお話を伺ったところなんです。

 その上で、さまざまなここで解決をしていかなければいけないことがあるんですが、一つは、恐らく生活保護に頼っていくということをせざるを得ない状況というのはまず基本的には出てくるんだろうと思うのですが、これに対する国の対応としては、どうですか、しっかり地方自治体に対して資金を流すという準備はできていますか。

舛添国務大臣 日系人の方のような定住の外国の方々、これは身分に基づいて日本におられるわけですから、雇用関係にしろ、今の、最後のセーフティーネットであります生活保護にしろ、全く日本人と変わらないように手当てをしていきますので、全力を挙げて厚生労働省としても各自治体のバックアップをしたいと思っております。

中川(正)委員 もう一つは、新しい雇用の創出ということになるわけですが、今うちの地元でも一つの試みとしてやっているのが、介護、ヘルパーなんですね。これへ向けて病院の方で受け入れが始まって、試行錯誤的にというかモデル的に一遍やってみようという話であるとか、あるいは学校法人の中で、ブラジル人を対象にいわゆる介護の資格を取れる、そういう講座をつくっていこうというふうなこと等々、新しい職場へ向いて転換をしていくということがあります。

 このことについて、私は、ちょっと戦略的に体系をつくっていく必要があるんだろう、これは自治体の事業というよりも、国の事業としてひとつ取り組みをしていく必要があるというふうにここも思うんですね。それについての対応はどうですか。

舛添国務大臣 実は、国としても、これは二万六千人の介護関係の方々の雇用を創出するということで、さまざまな訓練をやっていますし、失業なさった方、例えば介護福祉士というのは二年間で取れますから、それまでずっと雇用保険を適用する、生活支援も行う、雇用保険のネットワークにかからない方にも融資をする、そして免除申請のシステムをやっている。

 ただ、委員御承知のように、問題は、工場の組み立てと違って、介護の場合は人が相手ですので、日本語の問題というのが一つあります。したがって、この日本語の訓練を徹底的にやるための施策というのも今考えておりますし、今おっしゃったようなことも含めて就労支援をやりたい。

 そして、今、これまでもさまざまなことをやってまいりましたけれども、二次補正予算で、例えば千五百億円の緊急雇用創出事業がございます、それから、もちろん二千五百億円の地域の基金もあります。これをぜひ御活用願って、そして、今おっしゃったような自治体がこれを上手に使えるようにしたいと思っておりますので、まさに、さまざまな分野での全体としてのミスマッチ、それから外国人労働者の方に対しても、新しい就職訓練を全力を挙げてやりたいと思っております。

中川(正)委員 さらに申し上げれば、恐らくきめの細かいことを相当やっていかなきゃいけないと思うんです。

 これは外国人だけじゃなくて、日本の中で派遣切りされた人たちに対しても、例えば宿舎の問題も、公的な宿舎を確保するということだけじゃなくて、大手企業の社宅というのはいっぱいあいているわけですから、これを借り上げていきながら緊急避難的にそこへ向いて入居ができるような制度をつくり上げていくということであるとか、それ以外にも、通訳の配置について、ハローワークだけじゃなくて、今、税の関係もそれぞれ関連していますけれども、その窓口あるいは警察の関連の窓口等々、非常にきめの細かいそうした施策が要るんだろうと思うんです。

 それについて一つ申し上げるなら、こっちが補助金を出して、このプログラムでこうしなさいよ、ああしなさいよと言うよりも、実は自治体の方がしっかりわかっているんですよ、何をしなきゃいけないかということは。だから、できる限り、外国人対策というその枠組みだけはつくっておいて、それで丸い金でしっかりやってくださいよというようなおろし方をしていくということ、これが大事な点だろうと思うんです。

 かえって、これしなさい、あれしなさいと言いながら、では地元でそれに見合う金をつけてくださいよということになると、これは、外国人問題というのはどうしても全体の枠組みの中ではマイナーなものになってしまう、ほかにも社会の要求がいっぱいありますから。だから、それは国の方から枠組みをつくって、それを自由に使える形で流すということ、こういう仕組みが要るんだろうと思うんですよ。

 今回の予算を見ていると、それに該当するようなものはないんです。さっき、ふるさとのような話をされましたけれども、あれはほかに使われてしまう。外国人というと一番最後になっちゃうんですよ。ところが、そこは、社会的なこれからの安定感ということから考えると、実は特定の市にとってはそれが一番大事な部分になってくるということなんですね。そのことを念頭に置きながら新しい予算を組んでいただきたいというふうに思うんですが、どうですか。

舛添国務大臣 形の上では、雇用二事業を使った二千五百億円のふるさとの雇用創出もございます。今委員がおっしゃったような問題もあろうかと思いますし、千五百億円の緊急雇用創出の事業もございますので、使い勝手のいいようにしたいというふうに思っています。

 それからまた、委員がおっしゃったように、自治体の方でこういういいプランがあるということであれば、どんどんお上げいただいて、それに対してどういう支援ができるか、積極的に検討してまいりたいと思います。

中川(正)委員 この問題、最後に子供たちのことなんですが、これは、今ブラジル人学校というのがそれぞれありまして、日本では、ただの私塾という形で定義をされておるところもありますし、特別の学校だということで定義をされておる、さまざまな形であるんですけれども、ここの授業料が払えなくなって、ここから相当の子供たちが流出をしています。

 この問題について、これもそれぞれ地域から今緊急課題として上がってきておることだと思うのですが、助成金をこの学校に流して、それぞれ授業料を減免していくという緊急措置が必要なのではないかということの指摘があるんですけれども、これは文科省でいいんですか。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 ブラジル人等の外国人の子弟がその学校の授業料が払えないという状況があることに対して、子供たちに対しての授業料減免措置ということで、これを交付税措置で行うということを二十一年度予算で今検討しております。ブラジル人学校等へ直接の支援が今の法律の範囲内ではなかなか難しいということで、子供たちに対する授業料の減免を検討しているところでございます。

中川(正)委員 ぜひそうした措置を入れていただきたいと思います。

 いつからそれは間に合うんですか。

塩谷国務大臣 授業料については、二十一年度の予算の中で、特別交付税措置ということで今審議をしていただいているところでございます。

中川(正)委員 交付税措置の中でということですね。特別の交付金じゃなくて、交付税措置でやるということですか。

塩谷国務大臣 特別交付税措置で行うことにしています。

中川(正)委員 これは、後から交付税の問題を議論しようと思っているんですが、交付税措置はまやかしなんですよ。こんなものでやっても、実際に必要なところに向いては金が届きません。交付税措置ではなくて、いわゆる交付税とはバランスオフして、具体的な国の事業として直接支給をする、そのようにぜひ変えていただきたい。

 これは、それでないと本当の効果は上がってこないし、必要な自治体、これは絶えず人口は動いているんですよ、変わってきているんですよ。そういう形の中での交付ですから、こんなもの、一たん決めたからもうそのとおりだよというような話にはならない、非常に流動的なことでもあるので、これは出し方が間違っているというふうに思いますよ。

塩谷国務大臣 国から直接というお話でございますが、日本人の場合も、授業料を払えなくなった子供たちへのいわゆる授業料減免措置等の制度もあって、それもやはり地方の交付税で補助等をしているわけでございまして、そういうことから考えて、外国人も同じように措置をしたいと考えております。

中川(正)委員 ぜひそこは工夫の余地がある、そうしないと実際に金が生きないということを指摘しておきたいと思います。

 同時に、実は、そこから出てきた子供たちが、ある程度の部分は日本の公立学校で受け入れがあって、その数がどんどんどんどん今膨らんできているんですね。それに対する対応というのも必要になってくるということでありまして、ここについて体制が不十分だ、これまでも不十分だったのが、また本当に大変な状況になっているということが報告をされております。これに対しての対応を改めて聞きます。

塩谷国務大臣 委員の地元でもかなりの状況だと思います、私の地元も同じように、浜松でございますので。

 これについては、公立学校で受け入れるということで今それぞれ現場では努力をしていただいておりまして、本当に国の対応がおくれていることも私も感じております。

 したがって、地方で、今それぞれの集住都市で行っている受け入れ体制、これに対して、日本語指導のための加配教員、あるいは日本語指導や適応指導のための教材や指導資料、さらには外国人児童生徒の指導に当たる教員への研修等を充実させて、子供たちが公立学校で十分に学習できるような体制を整えるよう努力しているところでございます。

中川(正)委員 そんな一般論ではこれは解決しないというか、対応ができない状況になっています。それを指摘しておきたいと思うんですよ。

 緊急対策で今やらなきゃいけないことは、ここ来月、再来月で対応ができるという体制に持っていかないと、本当に現場が混乱していますし、大変な状況だということであります。

 このことを今やりますと言えるんだったら、緊急対策ですぐやります、こう言うんだったらいいですけれども、それでなければもう答えは、そういうことで指摘をしておきたいと思います。やれますか。

塩谷国務大臣 現場の状況をしっかりと把握して現在も実行しておりますので、特に集住都市の自治体の皆さん方とは直接そういった対応についてやっておりますので、今後とも充実させていきたいと思います。

中川(正)委員 余り具体的な話にならなかったので、引き続き私もしっかりとここの問題については指摘をしていきたいと思いますし、政府の方も頑張ってもらいたいというふうに思います。

 最後に、この問題について提起をしておきたいんですが、単純労働について三等親まで、これは日系だからということ、日本人の血が流れているからということで規制緩和をして九〇年に受け入れてきたということ、それから技術研修の中の研修、実習事業ということもあります。これはみんな大義名分は、単純労働で日本に労働力として受け入れるということじゃないんですね。そうじゃなくて、別の定義の中でみんな受け入れてきている。

 それは、その当時の経済の状況、日本の経済構造、海外を向いて工場が出ていくということから比べると、どういう枠組みであっても、外国人の単純労働を日本の国内で何らかの形で導入をしていく、そういう財界の必要性ということをその当時の政府が勘案しながら、これは法律にも書かずに、この国会で議論もされずに、なし崩し的に、この条項といいますか、この定義を使って規制緩和をしてきたというのが現在の状況につながってきているということなんです。ここが問題なんだと思うんですよ。

 これは、一遍国会でも、あるいは国民的な課題としても、外国人をどのような形で日本に受け入れていくのかという、いわゆる基本法的な問題ですね、移民ということも含めて。あるいは、それぞれ、学生の中で留学を通じた形での移民というそのルート等も含めて、一度、基本法を整理していく、その時期に来ているんだろうと思うんです。

 隣の韓国は、これまで日本のやり方というのを踏襲しながらやってきて、やはり行き詰まって、基本法に切りかえてここ一年、二年やり始めておりますが、日本もそういう時期に来ているんだろう。そこのところの整理ができていないから、今なし崩し的な状況の中で地方自治体が、苦労してその部分というのを担いながら、国は無責任だ、無責任だ、こういうふうに言っているわけで、この構造を一つ考えていかなきゃいけないねということだと思うんです。

 基本法の制定を私たちも考えていきたいというふうに思うんですが、政府の方でその用意があるかということですね。ここが一つ。これは厚労大臣じゃないんだろうな。本当はこのメンバーでいったら官房長官が出てこなきゃいけないんですが、それは後で聞きますね。

 それからもう一つは、では、今回のような問題が起きたときに、だれが最終的にこのコストを負担していくのかということがあると思うんです。今のところ、税でやろう、あるいは地方自治体でやろうと。それで、一番多くを担ってもらっているのは、NGO、NPOの皆さん、それから地域のボランティアで、頑張ってその中に入って多文化共生の社会をつくり上げていこうということで努力をしておっていただく皆さんですね。

 単純労働として受け入れたメリットというのは、メーカーを中心に、今それこそ危機的な状況でどん底にあるメーカーの企業というのが一番のメリットがあって、間接的には、下請の企業が多くの外国人労働者を取り入れながら派遣という制度の中でやってきたということなんですね。

 だから、では、それに対する社会的コストはだれが払うのか。子供たちの教育、それから地域での多文化共生に向けての社会的な仕組み。それから、もっと言えば、将来この人たちが、出稼ぎに来たというつもりで来たのが、最終的には日本人になっていくんだという心構えの中でだんだんそれが変質してきているわけですから、移民に変わってきているわけです。そういう形の中で、この社会的な定着をどのように仕組みとしてつくっていくのか。そのときに、だれがそのコストを負担するのかという議論があるんだと思います。私は、これは企業もそうした意味ではこの負担に対して参加をすべきだ、一緒につくり上げていく制度というのが必要だというふうに思うんです。

 そうした意味で、地元で県が中心になってひとつ基金のようなものを企業と一緒に造成しながら、この子供の教育の問題、コミュニティーの問題に対してしっかり資金が回っていくように、あるいはNPO、NGOの皆さんに活動資金として提供ができるように、そんな組み立てをしたらどうかという提案をしているんですけれども、これは本来は国が率先してそうした基金造成というのを、企業の中にも協力をしていくという機運をつくりながら、やっていくべきだというふうに思うんです、この危機対応に対しても。

 そういう意味では、政府の方でひとつ立ち上がってもらえませんか。

鳩山国務大臣 この答弁、私が適役ではないんですが、今の先生のお話、そのとおりでございまして、私は昨年法務大臣をやっておりました。そのときに、先生お話があったように、移民政策をとればいいじゃないかということもさんざん言われたことがある。しかし、逆に、やはり外国人の入国管理というのは徹底して厳しくやるべきだというので、さまざまなバリエーションがあるわけですね。景気がいいときはもう単純労働でも何でも全部受け入れて、移民でもいいんだと。しかし、こういう百年に一遍の危機になれば、同じ人が全く違うことを言うようになるというふうに、すごく難しい問題がある。そうなると、そのコストはだれが負うかというのも大問題だと思うんです。

 ですから、この問題については、私は、与野党の垣根を越えて、やはり基本的な方針というのを絶対につくっておくべきではないかな、その上で考えていきませんと、議論がぐちゃぐちゃになる。

 とりわけ、研修・技能実習、研修一年、技能実習二年という形になっておりますが、実際はその技能実習の方が単純労働のような扱いになっている。本来の技能の移転という本旨から外れている場合が多い。そうやって技能実習をしておられる方がこのような経済危機であぶれていくというのはまことに情けない事態でございますから、やはり基本法というか基本方針の制定が何よりも必要だと私は思います。

中川(正)委員 時間に限りが出てきましたので次に進ませてもらいますが、官房長官は帰ってくるのかな。

衛藤委員長 まだ記者会見中でしょう。記者会見が終わり次第、帰ってもらいます。

中川(正)委員 最初にちょっと残した答弁を、ぜひ機会をいただきたいというふうに思います。

 次に、今回の経済対策を施行していく過程で地方公共団体との関係をどうしていくか、どういうふうに巻き込もうとしていくのか、それとも責任分担をどのように考えていくのかということについて、ちょっと議論をしていきたいというふうに思います。

 今回、一次、二次補正、それから新しい二十一年度の当初予算なんですが、この中で、地方自治体に独自の負担金、だから、こちらが補助事業としてこれだけ経済対策でやりますよと。この中で、緊急雇用創出事業、子育て支援とか、それから妊婦健康診査臨時特例交付金とか。例えば、さっきの最後の臨時特例交付金というのは二分の一ですよ、助成は。あとは地方公共団体で持ってくださいよ、それを経済対策にしますよ、こういう設計でやられているわけです。

 そうした意味で、今回の経済対策で地方自治体に負担を強いる、地方自治体も半分持ってくださいよ、あるいは三分の一持ってくださいよ、それで経済対策をやりましょうということで負担を強いる額、総額というのは幾らですか。通告してあるんだけれども、それは。

鳩山国務大臣 先生おっしゃるとおり、学校耐震化でも何でも地方の負担があるわけですが、一次補正で地方の負担となりますのが三千百億円です。二次補正では千六百億円でございます。

 これは、一〇〇%地方債でいい、元利償還等は将来の交付税、実は将来の交付税の先食いという問題ではありますが、一応そういう形をとっております。

中川(正)委員 例えば、私の地元の鈴鹿市は、二十年度の一般財源が四百三億円なんですね。いわゆる自動車産業が中心ですから、ことしから来年にかけての税の落ち込み等々を考えていくと、五十億円ぐらいは財源がへこんでしまうだろうという状況が今予測をされているんです。

 これも交付税といえば交付税なんですが、では、交付税がそれだけふえているかというと、トータルで全然ふえていないわけですから、中でやりくりしているよという形の中でごまかしているだけで、実質は非常に財源としては減少してくるということが目に見えているんですね。その中で、恐らく次に財政出動をしていかなければならないという議論があります。

 本当は、今の本予算の中で、中身を変えて、次のステップとしての財政出動を念頭に置いた経済対策というふうに持っていかなきゃいけないんでしょうが、皆さんはまた新たな補正を考えていくという議論まで今出ているようですから、こんなことをずっと続けていくと地方がもたなくなってくる。もたなくなってくるというより、もうもたないということは目に見えているんです。経済対策へ向いて地方は割り込んでいく、これについてどう考えておられますか。

鳩山国務大臣 非常にスケールの大きな御質問でございますので、どうお答えしたらいいのかちょっと迷ってしまいますが、実際、国税五税の一定割合で基準財政需要と収入の間を埋めるというのが地方交付税の本来の姿だと思うんです。

 しかしながら、国税五税の収入の一定割合の見込みが、例えば、二十年度と二十一年度では、これは三兆円ぐらい減ってしまう。ことしの国税の収入がどれくらいになるのかと先ほど仙谷先生からお話がありましたが、例えば法人税ががたっと減りますね。再来年度というんですか、二十二年度の地財計画をどう立てるかと考えただけでも、正直言ってぞっとする思いがするわけでございます。

 そういう意味で、結局は、地方交付税をどんな形であれふやしていくことが必要なわけであります。

 先ほども申し上げましたように、例えば、地方債を充てる、それは臨財債を充てる場合もある。ところが、いろいろ将来の交付税で見てやるということになれば、確かにその事業はできる、事業はできるけれども、将来地方交付税で見てあげるというときに、地方交付税がふえていないわけですね、今は。ふえていかないと、結局ほかの使うべき需要の方を減らしていくということになって、何かタコが食料不足で足を食っていくようなことになってしまうわけでございます。

 正直申し上げれば、地方交付税の増額のためには、いわゆる何%という一定割合が入っていますが、そのパーセントの変更とか、あるいは安定感のある新しい財源、税源というものを考えていかざるを得ない時代になってきていると思います。

中川(正)委員 次の議論に移る前に、先に答弁が来たような感じでありましたが。

 ちょっと資料を見ていただきたいんですね。二枚あるんですが、一つは地方交付税の総額、平成十二年から二十一年までの推移があります。平成十二年のころは二十一・四兆円であったものが、現在では十五・八兆円。これだけ下がり続けてきている。これは、何回も何回も、あの三位一体が間違っていたということを立証するというか証明する一つのデータですよ。

 実は、さっき大臣もたびたび言及された、こうした経済対策に政府が特別に交付をしていく資金、これは、特にこれまでは補正予算という形をとって、公共事業を中心に、これだけ緊急的に公共事業を出すからそのつき合いを裏打ちしなさい、そこで地方が借金をした分については将来の交付税で返しますという約束をずっとしてきた。今回も、さっきの話で、トータルで四千五百億に及ぶ資金について、将来、国が交付税の中に、基準財政需要額の中に算定をしていくから、それでつき合いをしてほしいという構図で来ているんだろうと思うんです。

 次のページをめくっていただくと、基準財政需要額への元利償還費の算入額、これが、これまでそうやって約束をしてきたものを私たちはこうして返していますよという総額なんですよ。毎年毎年、約束してきた分を返していますよと。その中身というのは、さっき申し上げたような公共事業等の関係、地域改善・過疎辺地等、災害関係、それから財源対策、これを含めて、何と二十年度では八・一兆円なんですよ。

 片方、交付税が十五・八兆円しかないんですよ。そのうち、これまで積もり積もってきた借金分を、八・一兆円、国は返していますよ、こう言うんですよ。ところが、もらっているのは十五・八兆円しかないんです。そのうちの八・一兆円は借金を返してもらう分ですよ、こういう計算になっているんですよ。

 これで本当に返してもらっていることになっているのかということになったら、これはだれが常識的に考えても、いや、地方はやはり国にだまされているな、最終的には国が持つ持つと言いながら、基準財政需要額というそれこそわけのわからない算定基準の中で、あっちからこっち、あっちからこっちと理屈を立てられているだけで、実際の金額というのは返ってきていないということだと思うんです。これが、国の方が景気対策という形で出していく予算、このことによって地方がどれだけ財政的に自由裁量をなくしてきたか、そういう基本になっている部分だと思うんです。

 これを見られて、大臣、これではだめだと当然危機感を持たれるはずなんですが、どうですか。

鳩山国務大臣 まず申し上げたいのは、先生の資料の元利償還費の算入額八・一兆円というのは、これは不交付団体も含めたものでございますから、交付税十五兆強のものの八兆円がそこに消えていってしまうわけではないわけです、不交付団体も借りていますから。

 でも、それにしても大きな額であることは間違いが……(中川(正)委員「では、交付団体にはまるでうそを言ったんだ、返さないんだから」と呼ぶ)いや、ですから、要するに、先ほど地方交付税の先食いというふうに申しましたけれども、例えば、こういう事業をやります、地方の負担は自前は幾ら、あるいは起債が幾ら、起債の何割は交付税で見てあげますと。交付税で見てあげますという起債がすごく多いわけですね。

 それで見てくれるということは基準財政需要に積むということなんですけれども、そのときに、結局、交付税がふえていけばいいわけですが、三位一体の影響もあってむしろ減ってきておりますから、他の需要というか他の政策用途に充てるべきお金がどんどん減ってきてしまうわけでありますから、何が何でも地方交付税の総額がどんどん上がるように手当てをしていただきたいと私は与謝野大臣にもお願いをしたいつもりです。

 というのは、海外では、大体地方の借金を国がしょってくれている方がヨーロッパでは多いようでございます。

中川(正)委員 大臣、その答弁は無責任ですよ。大臣がもし答弁されるとすれば、こうした方法はやってもらったら困るんだと。いや、将来交付税で還付するからというふうな約束はしちゃだめなんだと。それを約束できるのは、オフバランスでその分交付税がふえてくるという前提でしかできないんですよ、この約束は。それを、交付税がこれだけ減ってくるというのを知りながら、毎年毎年やっているんですよ、同じようなことを。

 それで、地方はその話に乗って、それだったら大丈夫だろうといって、うちの市長あたりも議会に説明をして、借金はこれでできるんだ、国が後はふいてくれるんだから大丈夫だとやって、やったあげくの果てに、これは全然返してないんです。だから、総務大臣の立場として言うのは、交付税をふやしてくれという話じゃないんですよ。

 与謝野さん、ふやさないでしょう、あなた。できないでしょう。できるんですか。

与謝野国務大臣 国と地方との関係は、例えば三位一体改革は、今は地方の方が御不満に思っておられますけれども、三位一体改革をやった当時は、我々は地方団体の御要望どおりにやったわけでして、その点を不満に思っていただくのは、ちょっと困るんじゃないかなと思っております。

中川(正)委員 合併のときでもそうだし、この経済対策でもそうなんですが、国が後まで補てんするんだから、あなたのところはやらなきゃ損だよという形でニンジンをぶら下げるんですよ、これはみんな。

 そうすると、地方は、それだったら、それは自分にリスクがないんだから、BバイCが全く出てこなくてもこの道路をつくろうかとか、本当は、保育園の雨漏りの修理をするよりも、人材確保してしっかりと将来役に立っていくようなシステムをつくり上げていくということが大事なんだけれども、国はこれは借金しても後でふきますよという形で金を出してくれるんだから、こっちの方にしようかとかという形で、自分たちの資金も持ち出ししているんですよ。そういうふうにゆがめているということを理解しなきゃいけない。

 同時に、さっきの話で、これは交付税がオフバランスでそれを給付しますよ、戻しますよというんだったらいいけれども、それができないんだったら、こうした形で地方自治体を巻き込んでくるのはやめなきゃいけない。国は独自で、一〇〇%国の事業で経済対策をやらなきゃいけない。地方は地方で、自分たちの裁量の中でしっかりと優先順位を決めてやっていくということにしなきゃいけない。それが地方と国の中でしっかりと金が生きて経済対策ができていく基本だと思うんです。こんな中途半端なことをやっているからおかしくなってくる。

 このことを指摘させていただいて、本当は官房長官にいっぱい話が残っているんですが、またの機会にさせていただいて、質疑は終わっておきます。引き続きやります。

衛藤委員長 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、環境問題を中心に質問をしたいというふうに思います。

 それで、最初に政府参考人の方に伺っておきますが、インドとか中国、日本、アメリカ、EUで、二酸化炭素の一人当たりの排出量が幾らなのかということを、まず最初に伺っておきたいと思います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 IEAの資料によりますと、二〇〇六年における一人当たりの二酸化炭素の排出量は、まずインドが一・一三トン、中国が四・二八トン、日本が九・四九トン、EUが八・〇七トン、アメリカが十九トンということになっております。

吉井委員 そこで、私、外務大臣に伺っておきたいと思うんですけれども、人口の多いインド、中国、アメリカが総排出量で多いというのは当然としても、人間として考えたときに、一人一人の文化や便利さを享受する権利というのは、これは世界じゅうで平等だと思うんですが、外務大臣にまず伺います。

中曽根国務大臣 委員がおっしゃいますとおり、一人一人、そういうような文化、文明のそれを享受するということは大切だと私も思います。

吉井委員 斉藤環境大臣に伺っておきたいと思うんですけれども、試算しているかどうかだけまず伺うんですけれども、アメリカは消費大国ですから、自分のところでもいろいろ生産していますが、自動車にしても家庭電気製品にしても大量に輸入している国であります。だから、生産国での排出量のうち、アメリカへの輸出品にかかった排出量には、それぞれに本来アメリカの排出量にカウントすべきものが含まれているわけですね。

 そうすると、途上国の場合には、概略でいいんですが、総生産量に対する対米輸出品量の比率、それに総排出量を掛けると、その分は本来アメリカの排出量に加算されることになると思うんです。そうなってくると、アメリカの一人当たり約二十トンというのはふえてくるわけですね。そういう試算というものをしておられるのかどうか、伺います。

斉藤国務大臣 輸入品を含めたその国の二酸化炭素排出量の試算というのは行っておりません。

 理由はよろしいですか。(吉井委員「結構です」と呼ぶ)

吉井委員 いろいろ精緻な数字を置いて試算をしなきゃいけないということはあるにしても、実際に、概略でいくと、アメリカの一人当たり約二十トンはもっと大きな数字になっていくんですね。

 ですから、まず先進国が一人当たりの排出量を大幅に削減する。インド並みとまではいかなくても、インドに排出抑制を求めるからには、インドの約一トンに近づけるとすると、アメリカですと二十分の一ですから九五%削減、日本は九〇%削減。中国並みにするとしても、アメリカは五分の一ですから八〇%削減で、日本は六〇%削減ということが必要になってきます。

 COP13、14でも確認されておりますが、IPCCの二〇二〇年目標の二五から四〇%削減に照らしても、日本は相当な努力が必要だと思うんです。気候変動枠組み条約において、共通だが差異ある責任の原則が確認されております。途上国より日本は二酸化炭素削減目標を高く掲げて取り組む必要があると思うんですが、これをまず伺います。

斉藤国務大臣 先進国が途上国よりもより重い責任を持って取り組むべきだという今の吉井委員の御指摘は、全くそのとおりだと思います。

 我々、基本的な考え方として、IPCC等、国連の科学者の集まり、この科学の要請に基本的にこたえなくてはいけない。そして、途上国が国際的な枠組みに入ってくるためにも、先進国が野心的な目標をまず掲げなくてはいけない、このように基本的に考えております。

吉井委員 それで、主要な先進国ですが、二酸化炭素排出削減目標を既に発表していますね。日本は、去年の四月の経産委員会なんかでも、当時の甘利経産大臣の答弁の中で言葉は出てきますが、「先進国でいえばアメリカ、途上国でいえば中国、インド、主要排出国が入っている枠組みで合意をしていく」、そういう言い方でもって、結局、日本自身は二酸化炭素削減目標値の発表をしていないんですね。

 これは、途上国の間に新興国と発展途上国という分断を持ち込んで、先進国と途上国の間の差異ある責任原則を否定するものではないか。国際的に、日本が地球温暖化対策に対して真剣じゃないじゃないか、先延ばしをしているじゃないか、足を引っ張っているじゃないかという非常に厳しい批判があり、今不信を受けることになっています。

 そこで、外務大臣の方に伺っておきたいんです。

 日本が、京都議定書の約束目標を実現していない、まだ達成していないだけじゃなくて、それどころか逆にふえているんですが、二〇二〇年の中間目標の数字もまだ出さないことで、こういうことをやっておったのでは国際的に不信を食らうことになるのではないかと思うんですが、外務大臣の考えを伺います。

中曽根国務大臣 IPCCが二〇〇七年に発表いたしました第四次の評価報告書は、大気中の温室効果ガスの濃度レベルにつきまして、委員御承知と思いますが、三つのシナリオを掲げまして、そして、それぞれの場合に先進国が全体として二〇二〇年までに求められる温室効果ガスの削減幅を示しております。御指摘の二五から四〇%という数字は、このうちの一つでございます。

 世界全体の排出削減を実現するためには、もう先ほどからお話ありますけれども、先進国が大幅な排出量の削減を達成することによって世界全体の取り組みを主導していく、そういう必要がもちろんあるわけでありますが、同時に、特に排出量の多い主要途上国、主要途上国の中でも排出量の多い国があるわけですが、そういう国々も削減のために行動をとる、そういう義務を負う必要があると考えております。

 そういう観点から、先進国の削減幅というのはあくまで途上国の行動の内容と一体的に検討されるべきだ、そういうふうに考えております。

 現在、我が国は我が国自身の中期目標を今検討しているところでございますけれども、そういう国際交渉の状況等も踏まえまして、遅くとも六月までには中期目標を発表することとしております。この中期目標は、裏打ちのない宣言ではなくて、経済面でも実行が可能で、かつ地球全体の温暖化対策に貢献すべきものだ、そういうものであると考えております。

 こうした取り組みも含めまして、すべての主要経済国が責任ある形で参加をする、公平でまた実効性のある枠組みづくりに貢献すべく引き続き我が国としてはリーダーシップを発揮していきたい、そういうふうに考えております。

吉井委員 外務大臣、そういうことを言っているから、この間のCOP14でも、日本はまたまた環境問題の取り組みが後ろ向きの国だ、悪い国だということで贈られる化石賞を連続してたくさんもらっているんですね。

 斉藤環境大臣は昨年八月のインタビューに答えて、これは朝日新聞の八月十五日付に出ておりますが、日本の中期目標は「温暖化問題でリーダーシップを発揮すると宣言した日本として、最低二五%の中期目標は当然だ」「来年のしかるべき時期に明らかにしたい」と発言をしておりましたけれども、そうすると、今六月前というお話があったんですが、COP15、その前の三月、五月の会議とか、七月のサミットとか、どの時点で発表するのか。それは、最低二五%、それ以上なんだろうと思うんですが、斉藤大臣に伺っておきます。

斉藤国務大臣 私のそのインタビューでございますけれども、趣旨は、IPCCが求めております地球全体そして先進国への要請に対して、これは当然こたえなきゃいけない、先進国間で全体として二五ないし四〇%削減をする、その中でその義務を先進国間でどう分配していくか、責任を分担していくかということについては今後先進国間でしっかり議論しなくてはいけないけれども、しかし、その最低限を先進国全体として守らなくては途上国がついてこないのではないかという趣旨のものでございます。

 今後、この中期目標をどう議論していくか。少なくとも、三月の終わりから開かれます京都議定書の会議におきましては、国内での検討状況を報告することになっております。現在、日本は、検討委員会、福井前日銀総裁を座長とする検討会を設けまして、やはりこれは社会全体の仕組みを変えていこうという大きな目標でございますので、しっかりと議論をし、国民の皆様にも選択肢を示して御議論に加わっていただき、決めていくべきものと考えておりますけれども、六月の作業部会において日本の案を提示するということを先日ダボス会議で総理がおっしゃったところでございます。

吉井委員 斉藤さんの記者会見は、割とはっきり言うてはったんですよ。あの中では、日本として最低二五%の中期目標は当然だと。だから、世界じゅういろいろ調整してああなるこうなるの話じゃないんです。日本としては二五%だというのは、あなたの発表なんです。

 もう一遍繰り返し聞いておきますが、最低二五%が中期目標に、最低ですからね、少なくともそれでいくというのが大臣のお考えですね。

斉藤国務大臣 中期目標については、今後、検討委員会で選択肢が示されます。その上で政府として決定なされるわけでございますが、その時点で環境大臣としての意見は私申し述べたいと思いますけれども、現在の段階で、こうなるべきだということを私の立場で今申し上げるということは不適切だと思っております。

吉井委員 これは検討委の話じゃないんですよ。昨年八月には、大臣は、最低二五%は当然だと明言したわけですよ。京都議定書のもとのAWGで、日本も参加して、二〇二〇年までに一九九〇年比で二五から四〇%の削減を検討する必要があるとしたわけですね。これはCOP14でも再確認したんでしょう、大臣、違いますか。日本は反対したんですか。

斉藤国務大臣 昨年十二月にポーランドで開かれましたCOP14で、先進国全体として最低二五%以上削減しなくてはいけないということは各国間で認識をされたということでございますので、その基本的な認識のもとで今後我が国の中期目標を決めていかなくてはならない、このように思います。

吉井委員 先進国間での話にすりかえてしまって、あなたは、昨年八月には、日本として最低二五%だとはっきり言っているわけです。先進国であいまいにするんじゃなくて、先進国でいうんだったら、いや、日本は四〇%にするんですとかですね。だから、最低二五ですから、それ以上できちんと物を言うべきだし、それは日本の政府としてやはりとっていかないと、国際的に信頼されないことになるんです。

 これは、最低二五以上にするんですね。

斉藤国務大臣 先進国全体で二五%以上削減しなくてはいけないというのは、今、基本的な世界の合意でございます。そういうことをIPCCが報告し、その要請に基づいて我々は先進国間で議論をしなくてはならない、そういう状況だと思います。

 そういう中で、この中期目標について政府部内で今検討しておりまして、その中で私自身の考え方も申し述べたいと思いますけれども、現時点で、こうあるべきだというのを環境大臣という立場で今申し上げるところではございません。

 昨年八月のそのインタビューは、先ほど申し上げたような趣旨の中で、私の個人的な意見として申し上げたものでございます。

吉井委員 日本は、京都議定書以降、ずっと日本経団連などの自主行動計画任せで、まず、本来ならば、総量を幾らに削減するのかを決めて、その目標に向かって、どういう経済産業構造にしていくのかとか、それがないと解決できないんですよ。ところが、その数字さえ、去年八月に口にしておった数字さえ出せないというところに、明らかにできないというところに、私は、今の日本の環境行政の後退というものを極めて憂慮せざるを得ない事態だというふうに思います。

 そこで、今度は、排出抑制の中で重要な柱になってきます再生可能エネルギーの問題について伺いたいんですが、きょうは、風力、小水力とかその他はちょっとおいておいて、太陽光発電について伺っておきます。

 環境省が検討しているグリーン・ニューディールでの太陽光発電の導入計画は、発電電力量で年間幾らにふやしていくのか、それでCO2削減量は年間何トンになるのか、伺います。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省においては、現在グリーン・ニューディールということで取りまとめをしようと考えておりますけれども、これは三月中に取りまとめたいということでございまして、個別具体の目標量その他詳細なところはまだ決定していないという段階にございます。

吉井委員 今、経済対策で政府の方は環境問題、太陽光発電などを掲げているわけですが、補正予算で九十億円、それから二〇〇九年度分合わせて三百二十八億円ぐらいだったと思います。昨年十二月三日の経産委員会でも私は取り上げたんですが、もともと電気代で国民は電源開発促進税というのを負担しているわけですね。年間約三千五百億円です。これに比べると余りにも、今度の太陽光発電の補正と本体合わせての分の三百二十八億というのは、十分の一以下ですから、小さいんですよ。

 政府がこの三百二十八億で考えているのは、住宅でいえば何戸に設置するのかというのを伺ったら、十三万五千戸というわけですから、電促税の三千五百億円を本気で使って本気で取り組むとすれば、それだけでも約百四十万戸の設置が、これは一年間ですけれども、できるんですね。十年続ければ一千四百万戸の既存住宅は太陽光発電所に変わることになります。その発電電力量は五百十二億キロワット時で、これは東京電力柏崎刈羽原発の一号機から七号機全部で生み出される電力量、五百億キロワット時を超えています。

 これは、十二月三日に石田エネルギー庁長官が答弁で認めていらっしゃるところですが、日本の年間発電電力量、約九千億キロワット時のおよそ六%に当たるんですね。柏崎が事故で停止して、逆にそのことによって年間三千万トンの二酸化炭素の排出量がふえておりますから、逆に言えば、太陽光発電で五百億キロワット時を生み出すと、三千万トンの二酸化炭素の排出削減ができるということになってきます。これは、現在の日本のCO2排出量、十二億二千万トンの大体二・五%ぐらいに当たってきます。

 これは既存住宅の議論なんですけれども、既存住宅の設置補助を考えただけでもこういうことができるんですが、学校を初め公共施設や民間施設、あるいは工場等のビルの屋根、壁面など含めて、太陽光発電だけでもそのさらに何倍もの二酸化炭素排出抑制が可能となります。

 私は、この点では、大臣就任時からのお話が大分違ってきているように思うんですが、環境省が検討しているものは余りにも志が小さいんじゃないか、もっと大きく伸ばすことを考えていくべきだと思うんですが、これは環境大臣に伺っておきます。

斉藤国務大臣 御激励、本当にありがとうございます。私もそのとおりだと思います。

 今後、大きな、新しいあるべき社会の姿をつくっていくための経済対策が必要でございまして、太陽光発電の導入促進はその柱になると思っております。そのために、学校や公共施設に導入をしていく、そして家庭の設置も爆発的にふえるように導入していくということが不可欠でございまして、公共施設への導入に向けて、より一層努力をしていきたいと思います。

吉井委員 次に、経産大臣にお伺いしておきたいんです。

 設置補助金を受けることで既存住宅一戸当たりの費用負担が、これが爆発的に進んでいくには、大体百万円を切るぐらいの負担に、やはり目標を持って取り組むことが大事だと思うんです。それから、太陽光発電で生み出した電力を電力会社が固定価格で買い取る制度、これを実現して、設置した家庭で大体五年から十年で元が取れるようにするというふうな目標を持って取り組むことが、設置しようという需要側にインセンティブを与えることにもなっていきますし、再生可能エネルギーの爆発的普及と二酸化炭素排出削減を実現する確かな取り組みになっていくと思うんです。

 ドイツ、フランスなどヨーロッパでは、再生可能エネルギーが進んだ国では買い取り制度になっているんですね。イギリスも二〇一〇年から、今までの制度から買い取り制度導入に切りかえるという予定です。

 そこで、経産大臣に伺っておきたいのは、補助金の充実とともに、やはり固定価格買い取り制度を日本でも実現する、それが大事だと思うんですが、お考えを伺っておきます。

二階国務大臣 第一次の補正予算に盛り込んだ住宅用太陽光発電の導入補助金は、キロワット当たり七万円の導入補助を講じております。これは、平均的な住宅一軒当たり約二十五万円に相当しております。

 そこで、地方自治体から、補助金や電気代の節約分などを考慮すれば今回の国の補助金額は決して小さいものではないという評価でありますが、ただいま吉井議員が御指摘のようなことを考え合わせれば、もっともっとこの補助金の問題については検討していく必要があるというふうに考えております。

 実際に、先月の十三日でありますが、それぞれの補助金の応募受付を始めましたが、今日、既に一万件を超しております。したがって、太陽光発電の導入について国民の皆さんの大変な理解が進んでおる、こういうときでありますので、この際、国民の皆さんの御協力をいただきながら、いかに対応するかということを考えなければならないときに至っておるというふうに思っております。

 我が国では、ドイツのような高価格での長期間買い取りを義務づけるという固定価格買い取り制度ではありませんが、電気事業者に対して一定量の新エネルギーの利用を義務づけるRPS法に基づく導入促進を図っています。

 そこで、このRPS法の着実な実施が重要でありますが、同時に、議員御指摘のような諸外国の例なども十分参考にしながら、新エネルギーの導入、拡大に向けて、改革的なといいますか革命的な対応をしていく、その必要は十分考えておりますので、今後において、関係者の御意見等をよく聴取した上で、将来を見通してはっきりした方向をできるだけ早い機会に打ち出していきたい、このように考えております。

吉井委員 固定価格買い取り制度については、革命的な手法をお考えということですから、これは速やかに取り組んでもらいたいと思います。

 環境省は雇用効果を挙げているんですが、太陽電池生産とか太陽光発電設備設置などで、年間百四十万戸に設置するとして、工務店や電器屋さんなど地域中小企業に仕事が回ってくるようになるわけですが、それによる雇用効果の増加はどれぐらいと見込んでおられるのかを伺います。

寺田政府参考人 ただいま委員御指摘の問題でございますけれども、恐らく、先般私どもの中央環境審議会地球環境部会に学識経験者の検討会からの報告書が一つ出されておりまして、その関係の数字であろうかというふうに考えております。

 なお、この報告書の中では再生可能エネルギー全体の数字が挙げられておりますけれども、その内訳といたしましては、太陽光発電について、二〇二〇年まで、大ざっぱな数字でございますけれども、四十六万人の雇用効果があるのではないかという試算が行われております。

吉井委員 経産省の方では以前既に確認をやっている話ですが、在日米軍基地を仮に撤去して太陽光発電に、これは別に平地でなくても、駐車場の屋根でもビルでも工場をつくって上でも何でもいいんですけれども、面積は一千平方キロメートルの基地ですから、一千平方キロメートルを超えますから、メンテナンススペース二〇%を除いて計算しても、発電効率を一〇%と低目に仮定して試算すると、発電電力量は約一千五十億キロワット時程度になる。これがエネ庁長官の答弁で明らかにされたことです。つまり、在日米軍基地ぐらいの規模で柏崎刈羽原発の二カ所分、十四基の原発をつくったということに相当する発電電力量が生み出されます。

 それで、柏崎刈羽級の原発十四基の建設費はどれぐらいかかるものか。これは資料もいただいて試算すると、目の子勘定で建設に約四兆円。ただ、核燃料費とか年間運転のランニングコストとか、それから処理コスト、最終処分問題などを全部合わせますと、大体これが年間三、四千億円かかるということで、十年で三兆から四兆円かかるという、原発というのは決して安いものでもないわけなんです。しかも、太陽光発電の場合は燃料費はただなんですね。設置費で一千平方キロメートル分で比べれば、これは太陽光パネル設置メーカーの試算でいっても十二兆円余りということですから、最初の建設費はかかっても、燃料費、運転コストは全然違ってきますから、燃料費はただですから。

 ですから、こういう点では、太陽光発電というのは、環境対策の面でも、それから、これは町の工務店とか電器屋さんがチームを組んで取り組めばうんと仕事ができるわけですから、地域経済の面でも大きなプラスになります。

 ただ、こういうときに、私、政府として、全体として考える必要があるなと思っておりますのは、太陽光発電を設置しようということで電器屋さんなどにお願いするにしても、ここは河村官房長官にお答えいただくところなんですけれども、今、太陽光は経産省の補助金、それから耐震補強は国交省の補助金、あわせて、老後のことを考えて、介護、福祉を考えたリフォームとなってきますと厚生労働省の補助金とか、補助金の出口がばらばらなんです。しかし、施主は一つなんです。それを全体として扱う工務店は一つなんです。

 やはりそれが、現在、環境対策の上でも、また中小企業対策、雇用を伸ばす上でも、地域経済の上でも、ここは政府としてきちんと整理して、実際にお願いする施主さんの側、既存住宅にお住まいの方とか、あるいは工務店の方にとっては、これをもっと使えるものにしていく工夫というものが必要だと思うんです。これを政府全体として検討されるかどうか、河村官房長官に伺っておきます。

河村国務大臣 御指摘の点は一つの視点として、役所の縦割り行政がそういうところに出てはいかぬと私も思っておりますが、ただ、補助金というのはそれぞれの政策によって出ております。また、金額も形もいろいろ違うというようなこともあって、一括するということになると、これは相当工夫が必要になってくるだろうと思いますが、それ以前の問題として、まず、施主がこういうことをしたいと言われたときに、それを受ける工務店側がその情報をしっかり持っておかなきゃいけないわけでございます。

 そこで、国土交通省側も工務店等に対して、今度新しい税制も生まれる、これは、ぜひ早く予算を通していただいて、本予算の成立と同時に、関連法案が出ますと税制改正が参りますから、執行できるわけでございますが、この情報をやはり知らせるために、講習会等を持って熟知していただくことがまず必要であろう、このように思っております。

 既にそういう形で具体的な動きをいたしておるところでございまして、あとは、一括補助金ということになりますと、これは補助金のあり方そのものの体制にもなっていくだろうと思いますが、使い勝手のいいということのためには、その情報を持って、それをどのように活用したらいいかということが相談できる窓口等を一本化することがまず必要だろう、私はこう思いますので、その一番の最先端にある工務店がまずそのことを熟知していただかなきゃならぬ。どこに行けばそれがわかるかということもきちっとしなきゃいかぬ。

 こういうことについては、やはり市町村等の窓口も必要だと思いますし、既にこういうような、国土交通省等もこういう支援制度でこういう形になっているというパンフレットもつくっておりますし、また、それを管轄する各種団体も、いわゆる工務店をサポートする工務店サポートセンターというものをつくっておるようでございますから、そういうところで補助金が使い勝手のいいものになるように徹底をしていきたい、このように思っております。

吉井委員 これで終わりますけれども、ばらばらにやっている、その御説明はみんな知っているんです。しかし実際、今、経済対策として、雇用と中小企業対策、環境対策も挙げて一緒に前進させようというときなんでしょう、政府として言っておられるのは。ところが、あとは全部現場の施主さんや工務店で適当にやってくれというんじゃ、うまくいかないんですよ。そこをきちんと解決する、このことを政府としてやはりやっていかないと、これでは進まないということを申し上げて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松本剛明君。

松本(剛)委員 きょうは、公務員制度改革について幾つか実務的なことを御質問させていただきたいと思っております。

 甘利大臣、けさ、朝日新聞にも公務員制度改革のことが出ておったのをごらんになったかと思います。

 まず、ちょっと細かいことで、通告を申し上げていないことなんですが、官民人材交流センターというところが自己都合の方を、退職者も対象にしているかどうかというのは御存じでしょうか。もし御存じなければ事務方にお聞きしますが、事務方で御存じの方はいらっしゃいますか。これは、直接は多分内閣官房の再就職監視室だと思いますけれども。いや、そうしたら結構です。

 申し上げたかったのは、実は、自己都合で退職をする人とか定年で退職をする人というのも、制度設計についての報告のイメージでは含まれるように、官民人材交流センターですからイメージされていたわけですけれども、業務運営要領という、これはセンター長が決定をされたんですけれども、これの中では「当分の間、対象としない。」というふうに書いてあるんですね。

 きょうは、大臣にも、幾つか事務方にもずっとお聞きをしますけれども、一つ一つの細かい規定で結構実は中身が変わってくることになりかねないということをぜひ申し上げたくて、今ちょっと一つ例に挙げさせていただきました。

 それでは、早速お聞きをしてまいりたいと思います。

 昨年、国家公務員制度改革基本法ということで、私もその協議に携わらせていただいて、閣法を修正する形で成立をいたしました。この中で、私どもは、幹部人事の内閣一元化ということを修正の中でも一つの大きな柱に、これは与野党認識は一致をしていたと思うんですけれども、進めさせていただきました。

 そこで、この幹部職の範囲というのを今回どのようにお考えになっておられるのか。工程表の中にある幹部職というのをどういうふうにイメージしておられるのかをお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 基本法におきましては、幹部職員は「事務次官、局長、部長その他の幹部職員(地方支分部局等の職員を除く。)」とされているところでありまして、工程表におきましても、この基本法で規定をする幹部職員と同じ趣旨で用いているところであります。

松本(剛)委員 工程表に言うところの幹部職というのは、いわゆる地方支分部局を除く本省の指定職は全部入るという理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 指定職というくくりは、これは給与法上の処遇上のくくりでございます。でありますが、指定職と完全に一致するものとは限らないと思いますけれども、大体そういうところですかね。

 いずれにいたしましても、今後、基本法の趣旨に沿って、法律さらには政令で明確に定義をすることとしたいと考えています。

松本(剛)委員 一致をしない点というのはどの辺をイメージしておられるか、事務方でも結構ですけれども、お答えをいただけますか。

甘利国務大臣 私どもは、この工程表をつくるに当たりまして、基本法とそれから基本法に基づく審議、それは先生御自身の発言も含めて、これを精査いたしました。

 そこで言えることは、イメージとしては、かなりというか相当部分、指定職とオーバーラップをしてくるんだと思いますが、その中でも、国会の質疑の中でも完全にイメージが一致するまで絞り込まれていないと思うんですね。

 というのは、先生御自身の御答弁も参考にさせていただきました。六月の三日に参議院において、内閣委員会で松本先生御自身が修正提案者として答弁に立たれています。

 そこでの御発言は、「基本的には、給与法上の指定職というものの枠を取るかどうかということはいろいろ議論があると思いますが、実質的にはその範囲を想定をしているものと理解をしております。」こういう答弁をされているんですが、その後の同じやはり先生の御答弁で、「給与法上の言わば枠組みというか、区切りではなく、これはやはりこの法の趣旨に従った区切りが設定をされるべきだというふうに考えておりまして、」云々とありまして、その中で大使とか主計官もあるいは含めるのかもしれないと。

 御自身の御答弁の中でもいろいろと範囲について完全にフォーカスが絞り切れていないのではないかと思いまして、私どもも、今後、この基本法の趣旨に沿って法律や政令で明確に定義することとしたいと考えている次第であります。

松本(剛)委員 お読みをいただいたところに加えて、幹部職というもの、これは新たな幹部職の制度を創設するということで考えておりましたので、新たな幹部職というものをどういうふうに定義するかという中で、おっしゃったように、かなり長い答弁でいろいろなことを申し上げているわけでありますが、一つは、やはり政治主導の趣旨にのっとって内閣の人事局でお決めをいただくべきものである。その延長線の中で、例えば司法的な要素を有するものであるとか、また、病院とか研究所の運営に携わっているとかいうものは入らないのではないか。今まさに大臣おっしゃったように、逆に、予算編成に直接かかわるような主計官といったようなものは、管理職、幹部職といった、言ってみれば境目を見直してでも、幹部職ということで考えるべきなのではないかという趣旨のことを私自身も御答弁を申し上げた記憶があります。

 その意味で、今回の工程表でも、特に詳しい定義が工程表の中にはないわけでありますけれども、この幹部職をどの範囲でどういうふうにイメージをするのかというのは実は非常に大事な部分でありまして、ぜひここで、大臣との議論の中でイメージを共有させていただきたいと思ってお話をさせていただいているんですが、大臣の御見解、今私が申し上げたような部分、幹部職というものを政治主導できちっと一度御定義をいただかないと先へ進めない性格ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 私が基本法並びに基本法に関する質疑を拝読させていただいた範囲でいいますと、給与法上の指定職と相当重なるというふうに理解をいたしております。

 主計官まで入れるということは、恐らく与野党合意にはなっていないはずでありまして、与野党合意になっている部分を引き出して具体的な工程表に書き込むということに注意をしてきたつもりであります。

 私自身のイメージは、冒頭申し上げましたように、給与法上の指定職の部分と相当重なる。それ以外の大使とか公使、これがどういう扱いを受けるか等々はあるかと思いますが、イメージとしては指定職と相当重なると私は思っております。

松本(剛)委員 まさに今大臣がおっしゃって、実はこの工程表の公務員制度改革の議論については、大臣のお耳に直接達していたのかどうかわかりませんが、昨年秋に工程表の議論をお始めになった段階で、ぜひ、私ども修正実務者、担当者の話を与党、野党ともに直接聞いていただきたいということを事務方の方にはお願いを申し上げました。そのときがなかなか実現をしないものですから、それが実現をしないことについてお聞きをしましたら、法律と答弁を見ればわかる、こういうお話でありまして、残念ながら、私どもの話を直接お聞きいただく機会がありませんでした。

 そこで、きょう、こういう形で、ある意味では工程表ができて大臣と初めてお話をさせていただくことになってしまうわけでありますが、例えば今の主計官の話も、ぜひやはり与党の修正の担当者の方にもお話をお聞きいただきたいと思います。

 実は、主計官というアイデアは、むしろ与党の担当者の方から出てきたお話でありまして、私どもも、なるほど、それは確かにそうだな、予算編成の根幹にかかわる部分で、政権のいわば中枢にかかわる部分であるということからすれば、幹部職と位置づけて、ある意味で政権の意向を反映する人事ができるというものであってしかるべきなのかなと。その議論を踏まえて、私もここで、答弁で、幹部職というのが指定職に近いとすれば、従来の幹部職、管理職、その部分の範囲を、ある程度線を引き直してきちっとするべきではないかなというふうに申し上げたわけであります。

 そういうことも含めて、幾つかやはり協議の議論もありましたものですから、ぜひ直接話を聞いていただきたいということを申し上げてきたわけであります。

 これまでも国会の議論の中でも、私以外の同僚議員で、やはり携わってきた議員が何度か大臣にお聞きをさせていただいた中でお話を申し上げてきたと思いますが、そのあたりも、外務公務員、これはどう扱うかということも議論をしております。政治主導という部分から考えていけば、幹部の範囲というのをきちっと定めていくことができるのではないだろうかというふうに思います。

 そこで、私どもは、新たな幹部職制度を設けていただきたいということを基本法に書かせていただいたわけでありますが、お手元にも資料をお配りさせていただいておりますけれども、工程表の中で、この幹部職の新たな制度というのはどういうものをイメージされておられるのでしょうか。

 お手元の、お配りをしている資料1―1の工程表のところに少し線を引っ張らせていただきました。これを拝見すると、幹部職員については、「能力・実績主義の人事管理を推進する。」という延長線にあるのかなと思ってお聞きをしているんですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 幹部職あるいは管理職を対象とした新たな制度をつくるというのは、修正協議で入った部分であります。この修正当事者が、幹部職員に関する新たな制度とは何ぞやという質問を受けておりまして、その中で御党の修正当事者から答弁があります。

 この幹部職員に対する新たな制度とは、適格性審査、候補者名簿の作成、内閣総理大臣及び内閣官房長官との任免協議といった一元管理プロセスを実施すること、二点目として、国の行政機関の内外から多様かつ高度な能力及び経験を有する人材を登用すること、三として、任用、給与その他の処遇について、その職務の特性並びに能力及び実績に応じた弾力的なものとすること、四として、各府省ごとの定数を設定することといった項目が挙げられているわけであります。これは答弁の中でございます。

 工程表におきましても、このような国会における審議を踏まえまして新たな制度を設けることとしておりまして、一元管理プロセスの導入に加えまして、幹部職員に係る公募の仕組みづくりや、幹部職員の任用、給与の弾力化等についても記載をしているところであります。

松本(剛)委員 今お読みをいただいた馬淵議員の答弁のところは、新たな制度を措置しなければならないということが一番先にあって、その上で今の五点の話をさせていただいています。

 先ほど、少し定義の話もさせていただきました。今のお話は、例えば公募のやり方とか、そういうものについて幾つか、新しい任用のあり方とかということですが、この基本法で求めているものは、幹部職というものを定義して、そして幹部職についてきちっとした一つの新たな人事の制度を設ける、新たな幹部職制度、そういうふうに読むのが素直な解釈だというふうに思うんです。今のお話だと、公募の部分とか、幾つかのいわば動きの部分で新しい形をとっていく、こういうふうなお話のように理解できるんですが、新たな幹部職制度というものを改めて設けるという御予定はないんでしょうか。

甘利国務大臣 私どもは、何度も申し上げますが、基本法と基本法の審議にのっとって工程表を作成しているわけであります。

 議事録を詳細に調べてみてわかることは、基本法五条二項の中の一に、幹部職員を対象とした新たな制度を設ける、それから二として、管理職員を対象とした新たな制度を設ける、その制度とは五条二項三号以下のことですと明確に答弁をされているわけです、御党の修正提案者は。その三項が、幹部職員の任用について云々、それから幹部職員、管理職員の任用について云々、それから幹部職員等というのは管理職員も指しますけれども、この任用、給与その他の処遇について云々ということが書いてあります。それから五条四項の一、これは中身の問題ですね。それから五条四項の五、これもその中身の問題ですけれども、これらを指しますという提案者の説明であります。でありますから、それに従ってそういう制度をつくる。

 なお、幹部職員については、先ほど申し上げましたように、対象はどういう対象かというと、審議の中では、ほぼ指定職であろう。それにどういうものが加わるかどうかについては、これから詳細に詰めていくということであります。

松本(剛)委員 まず、範囲について、先ほどの話にもありましたが、昨年の十一月だったと思いますが、参議院の内閣委員会で、大臣のおられるところで、松井議員と修正に携わった宮澤副大臣との議論があったかというふうに思います。十一月何日かだったと思います。そのときにもかなり議論が出ておるんですが、幹部職の範囲については、どのぐらい狭いか広いかということについては、多少は与野党で認識の違いはあったかもしれないという話がありました。

 しかし、その中で意味するものは、いわば従来の指定職ということではなく、かなりダイナミックに、政治主導にかかわる部分についてしっかりと範囲を改めて定めていこうということであったというふうに、その議事録を私も精査をいたしました。審議も伺っておりましたが、改めて精査をしても理解をできるわけであります。

 今のお話ですと、新たな制度を創設ということで、基本法の、おっしゃったように五条二項の一に書いてありますけれども、これは三、四、五のことなので、三、四、五をやれば一の新たな制度は要らないというのが今の工程表の解釈だということでよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 質問者が、新たな制度とは何ですかということに対して、御党の修正案提案者、つまりそこの部分を書いた方が、新たな制度とは以下三号から書いてあることでありますという答弁をされているわけです。それを我々は尊重したいと思っております。

松本(剛)委員 ということは、基本法の三、四、五はやるけれども、一はやらないということでよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 一とは、つまり新たな制度とは何をつくることですかという質問に対して、新たな制度をつくるとは以下のことなんですというお話だったんですね。それを素直に受けて工程表をつくっているわけでございます。

松本(剛)委員 繰り返しになりますが、新たな幹部職というものをまず設けて、そしてそれは政治主導を対象とするものであって、その中身として三、四、五もあるということを私どもの答弁では申し上げてきているわけであります。

 それでは、少しお伺いの仕方を変えますけれども、そうしますと、今回の幹部職の方々も、一般の管理職、それからその他の国家公務員と同じ国家公務員法上の一般職の方々に位置づけられるという理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 幹部職、管理職は一般職であります。

松本(剛)委員 幹部職、管理職、その他の一般職、これを区分した制度を設けるというお考えはありませんか。

甘利国務大臣 類推しますと、松本先生のお考えは、特別職と一般職がある、一般職の中に指定職と一般職員とありますけれども、その一般職と特別職の間の職を設けたいという御趣旨なんでしょうか。

 私は、この法、それから国会審議の中から読み取れるのは、一般職であって、その一般職の枠の中で基本法の趣旨に沿ったいろいろな仕組みができるというふうに理解しております。

松本(剛)委員 そこの解釈がまさにおっしゃるようなことであるからこそ、早いうちに直接お話をさせていただきたいと事務方に何度もお願いをさせていただきました。

 かつて、たしか武村大蔵大臣のときだったかもしれません、事務次官の更迭ということをお考えになったときに、今の仕組みではできないというふうに言われたという話を私どもも漏れ聞いたことがあります。事務次官といえば、企業でいえばCOOですね、最高執行責任者だと言ってもいいと思います。いわばCEOである、経営責任者である大臣がそれをある意味では自分で決められないということは、大変大きな問題があるんだろうというふうに思います。それをどう変えるかというのが今回の一つの大きなテーマだったんだろうというふうに思います。

 一般職であるということになると、給与法の適用を受ける、号俸、給与法による細かい規定の適用を受けるという理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 もちろん、給与法自体を新しいもの、二十一世紀を担う公務員制度に見合ったものにするべく変えていくわけであります。

 今までは、つまり能力、実績によって昇進する、あるいは給与が弾力化するということの範囲が限定をされていたと思いますけれども、今まで以上に幅を持たせて、昇進、降任、昇給、降給というものを、その能力、実績に見合ってさらに弾力化できるように給与法も変えていくということでありますから、今までの制度とは、さらに弾力的な制度に当然なっていくと思います。

松本(剛)委員 資料の1―2をごらんいただきたいと思うんですが、工程表の中に「幹部職員、管理職員の任用・給与の弾力化」ということで書いてありますが、ここでは、「「新たな制度」を設ける必要がある。」ということが二行目から書いてあって、その中で、「勤務実績等を勘案した上で、幹部職員の範囲内で弾力的に降任することができるような措置を講ずる」ということが書いてあるわけであります。

 この一番最初の部分の能力・実績主義との関連から読み解くと、平成十九年の国家公務員法の改正で、私どもは官民人材交流センターについては異議ありということで反対をいたしましたが、能力・実績主義については、議論をさせていただく中で一定の理解をさせていただいてきたつもりであります。

 この文章を読むと、幹部職についても能力、実績を評価して降任をする、こういう理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 十九年国公法改正で、能力主義の徹底というものはもう既にうたってあるわけであります。それで、現在も、この十九年国公法改正に従って能力主義をきちんと織り込んでいくという作業を進めているわけであります。

 基本法、改正によりますとどういうことが起きるかといいますと、普通にやっている限りポジションや待遇が下がることはないということにさらに踏み込んで、普通にやっていても、さらに能力のある人が来ればそのポジションから押し出されるということが可能になるということであります。

松本(剛)委員 大臣が時々引用されておられる六月三日の議論でも何度か出ているんですけれども、国家公務員制度改革基本法のもとでも、基本理念として、「議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすこと。」ということがあります。

 これは、私どもも、いわば政権にどうこたえていくのか、そういう人材を一定の範囲でやはり確保するという仕組みが必要なのではないだろうか、それを幹部職ということに定めようではないかというのがこの趣旨であるというふうに、少なくともあの時点では与野党の関係者は一致をして理解していたというふうに私は思っています。

 きょう、私だけ申し上げるのもあれですから、ぜひ大臣に与野党の修正協議者の話を早いうちに両方それぞれ聞いてほしい、こう申し上げてき続けたわけでありますが、今のお話でいきますと、あくまで、能力によって、さらに上の能力の人がいればそこに任用されるということであって、幹部職の基準もやはり能力が基準になる、こういう理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 これはもちろん恣意的な基準ではなくて客観的な基準であります。どういう人を採用し、どういう人を昇進させるかについては、成績という客観基準が必要であります。

 つまり、能力と実績、もちろん職務等の適性というのは当然あろうかと思います。それはすべて客観基準で、恣意的なものにならないようにする。そういう中で、能力の高い者は能力の低い者を追い越していくということでありますし、当然、高いポジションにつけば給与は上がるし、追い越されてポジションが下がれば給与は下がるということであります。

松本(剛)委員 恣意的であってはならないというのは私どももそう思います。しかし、まさに大臣が御苦労されているように、公務員の場合、公平中立という言葉が出てくると政治家が手を出せないということになりやすい。この能力、実績というのも、当然、全体の能力、実績については、恐らく、評価表であるとか評価基準であるとかそういったものを、能力、実績を評価するに当たっても、これから詳細に定めていく中で、能力、実績の評価をするということになってくるだろうというふうに思います。

 先ほど、事務次官の例を一つ申し上げました。これを、いわば政治家側がこの人をかえようと思ったときの、裁判で言うところの挙証責任を負うような形になるわけですね、この完全な能力・実績主義に該当するという形でいくと。

 私どもとしては、この幹部職という仕組み、政権のニーズにこたえるためにということでは、今までの一般職の基準の延長線ではこういったものが結局骨抜きになるのではないか、であれば、区分して新たな制度を設けるべきではないか。

 大臣おっしゃったように、この間の議論でも、特別職という言葉がいろいろな意味で使われております。秘書官のように、いわばボスと運命をともにするといったような意味で、政治的な要素が極めて強いという意味で、どちらかというと、この間の議論では特別職を使っているケースが多かったのが実態であります。ただ、実際には、一般職でない人は法律的には全部特別職扱いですね。ですから、そういう意味からいけば、その後者の意味からいけば、新たな制度を設けるということイコール特別職をつくるということにもなるかもしれません。

 ただ、私どもとしては、公務員の、しかも役所の執行を預かる、企画立案にしても、預かる方々が、秘書官のように大臣がかわるたびにかわるということまで必要かどうかということもあって、新たな幹部職制度という言葉を使わせていただいたわけで、その意味では、大臣がおっしゃったように、間のものをお考えなのかと言われれば、そうだということになろうかというふうに思います。

 ですから、そういった私どもの趣旨、そして、そのときに与党の担当者の方々も、新たな制度ということは私はそういう理解をしていたという議論の経緯の中で確信があるものですから、ぜひそのことを聞いていただきたかったわけであります。

 ところが、今、この工程表では、今おっしゃったように一般職であり、そして降任はできるという言葉は入りましたけれども、その基準は能力で、実績である、こういうことになります。

 この能力、実績は恣意的でない、能力、実績は正しいんだというのは一見そのとおりのように聞こえますけれども、能力、実績がどう劣っているのかということを、大臣が就任をされて、この事務次官、この局長とやろうといったときに全部証明をしなければいけないということが、本当に議院内閣制の政権の公務員の幹部のあり方なのか。

 少なくとも基本法は、そうではないことをイメージしたからこそ、新たな幹部職人事制度というのを設けていただきたいというふうに書かせていただいたということをぜひ大臣に御理解いただきたいと思うんですが、この工程表を詰めていく中で、改めてそのことを踏まえて御検討いただけませんでしょうか。

甘利国務大臣 釈迦に説法でありますけれども、幹部職に関しては、官房長官がリストをつくるわけです。そのリストに掲載するには適性の審査というものがあるわけであります。これは客観基準に基づいて審査をされて、任を負っていくにふさわしい人物であるか、能力であるか、これは客観基準なのであります。客観基準に従ってスクリーニングをされて、そこに載っている者が初めて名簿に掲載される資格を持つわけであります。でありますから、それらを称して新しい制度というわけであります。

 大臣が、一人一人が全く個人の見識で、これは優秀だとか担っていく資格があるかとかいう判断をするわけではなくて、どの人を選んでも大丈夫ですよというリストが上がってくる、その中から、大臣の側から見て、よりこちらが適切であるという人を、どの人を選んでも職務にたえ得るという人の中から任免協議をするわけですね。主務大臣と官房長官と総理とするわけでありますから、全く白地の中で大臣が当てずっぽうにこれだということではありませんから、そこは信頼に足るものというふうに思っております。

松本(剛)委員 そこは大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 ですが、例えば、甘利大臣が御就任されたときに、この国家公務員制度改革推進事務局も既に人は配置されているわけですね。常に大臣が御就任になったときに幹部を全く白紙から決めるのであれば、今おっしゃったようなことができるんだろうというふうに思いますけれども、現実には幹部の方はおられるわけですよ。それを例えば入れかえる必要があると大臣がお感じになったときに、今のお話だと、能力、実績をきちっと、それより上であるということを何らかの形で証明した者をその後任に充てることでない限りは、実際にはかわることがないということになるわけですね。

 客観基準で幹部職になるべき人の一定の適格性、適性をするべきだというのは、私どもも異議ありません。納得いたします。その中から選ぶに当たって、逆に言えば、我々は、一定の適性があれば、そこから中を選ぶのは大臣一人ではありません、内閣の責任で、しかし、政権としての意思で選んでいただいていいのではないか。

 ところが、この中では、今、能力、実績という一つのハードルが事実上かかるんですね。これがかかるということは、能力、実績をきちっと証明しなければいけないという形になってくるというのは、実は、実質的にかなりのことができなくなるおそれがある。

 我々は、今おっしゃったように、従来の一般職に置いたままであれば、平成十九年の国家公務員法改正もありますから、能力、実績の範囲から逆に言えば逃れることはできないわけであります。だからこそ、新たな幹部職の制度というものを設けて考えていただきたいということをお話しさせていただいていますが、もう一度、よろしいですか、要請をさせていただく。今のままでは私どもと大分、実は似て非なる道を歩んでいることになるというのが私自身の理解なんですが。

甘利国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、能力、実績において幹部職を担うに足るというのは客観的な審査で上がってくるわけです。それから先について、だれを任命するかということは、任命した者がどういう能力があるということを立証する責務は私は負わないんだと思います。

 例えば、大臣から見て、適性はこっちの方があるぞという、ある種のそこは主観的判断というのも当然入ってくると思います。だれを選んでも大丈夫な人ということで、スクリーニングをかけて上がってきて登載されるのは客観基準ですから、このうちからだれを何局長に、あるいは何次官にしても、その任を負うに足るだけの能力がある。それから先は、もちろんその大臣との相性もあるでしょうし、大臣の感性もあるでしょうし、それは政権が任命した、内閣が負うわけでありますから、そこについては、まさに、それから上はある種政治任用の世界の感覚が入ってきていいんだと思いますけれども。

松本(剛)委員 私もそのとおりだと思うんです。政治任用の感覚とおっしゃいました、政治的任用というか。政治任用という言葉もいろいろありますから、今のおっしゃったようなイメージで私も全くいいと思います。

 ところが、先ほどもちょっと資料の1―2でお示しをさせていただいたように、勤務実績等を勘案し、幹部職員の範囲内で弾力的に降任をすることができる。この言葉はどういう言葉ですかということを私どもが事務局にお伺いした限りでは、能力・実績主義だ、従来の国家公務員法、一般職であるんだからそれが適用されます、こういうお話でありました。

 まさに、おっしゃったように、主観と言ったらあれかもしれませんが、やはりトップのいわば感性というか主観と、そして、それを内閣としてチェックする官房長官の承諾と、こういったものをかける中で、政治的にまさに任用することが可能な仕組みをつくるべきだと私どもも思っています。それをしようと思ったときには、やはりその部分は多分切り離して新たな仕組みにしないと今おっしゃったようなことにならないのではないかということを懸念するから、この議論をずっと続けさせていただいています。

 先ほど一般職だとおっしゃいました。一般職でありますと、恐らく今の能力、実績の縛りがかかってくるおそれが極めて大であります。大臣が御認識をいただいているものと、この工程表の文章を細かく、いわば逐条のように読んで行き着くゴールとが、ひょっとすると、今の御議論を聞く限りでは、ずれていることになりかねないのではないかということを懸念いたしますので、ぜひ一度、中でも御議論をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 実は、顧問会議から上がってきた原案の意味する中に、例えばこの省の何とか局長はこの中からという、物すごく縛りが限定的にかかっているイメージがあったんです。私は、それはまさに政治主導に反するものじゃないんですかと。ですから、局長とか審議官とか部長という中で、どれをどう適性を考えるかというのは大臣の仕事じゃないですかということで、この省の何とか局長はこの中からということは、それは私の判断で、正しいことではないとしたわけであります。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

松本(剛)委員 大臣、一度、また機会があれば御質問させていただきます。

 今お話しいただいたように、私どももそんな狭いところから選べなんというのは言っていないということは、私どもの同僚議員がお話をさせていただいている。

 今お聞きをする限り、大臣のイメージしているものと我々がイメージしているものとはかなり近づいているというふうに思います。ところが、この公務員制度改革の工程表を、逐条で私どもも何時間も、事務局においでをいただいて質問をいたしました。

 さっき申し上げたように、例えば資料の1―2の、四ページのところの、勤務実績等を勘案した、幹部職員の範囲内で弾力的に降任をするというのはどういうことなのかということを申し上げたときに、これは一般職の公務員ですから能力・実績主義でやるんですという回答がありました。恐らく、論理的に法律的に、一般職のままに置いておけばそうならざるを得ないのではないかというふうに私は思っているわけであります。

 ですから、一度、御答弁をいただくよりも、ぜひ大臣の頭の中で御検討いただきたい。これは工程表ですから、ここから先へまた進むわけでありますから。

 申し上げているのは、大臣がイメージしておられるものとこの工程表の文章一つ一つで縛っているものとがちょっとずつずれてくると、行き着くところは全然違うところに行きかねないということを私は大変懸念しておりますし、そのためにも、ある意味では、政治家同士いろいろな機会で、きちっと私どもも修正協議の担当者として意見を申し上げたいというふうに申し上げてきましたし、私どもだけではなくて与党からもお聞きをいただきたいというふうに思います。

 それでは、組織の方に参りたいと思います。内閣人事・行政管理局についてお聞きをしたいと思っております。お手元にこれも資料をお配りさせていただきました。

 私どもは、内閣人事局を法律ではつくっていただきたいとお願いをしたんですが、どういう経緯で内閣人事・行政管理局になったんでしょうか。

甘利国務大臣 基本法の一条に、社会経済情勢の変化に対応できる公務員制度とするというふうに書いてあります。

 私が一番この制度の趣旨をしっかり受けとめなければならないと思うことは、国内外の状況の変化によって政府が取り組むべき課題というのが変わってくると思うんです。昔は重要な問題が、今はむしろ、そっちよりもこっちの方が政府として取り組むべき課題は重要なんだと。しかし、組織は相変わらず旧態依然として、古い組織がそのまま残っているとか、新しい組織ができないとか、新しい組織のポジションを上げようとしても手続が大変だとか、いろいろなことがあると思うんですね。そこで、国内外の変化に機動的に対応できるような組織、人員の再配置ができる、そのことが非常に重要だと思うんです。

 そこで、行政需要に見合った組織と人材の再配置を内閣のもとに機動的にできるようにする、これがやはり、世の中の変化、国内外の変化、時代の変化に対応できるような機動的なものにしていくということだと思いまして、組織管理と人事管理のいわばシナジー効果を上げていくようなことができる、そういう内閣人事局にすべきだと思いました。

 これは総務大臣ともよく政治主導でお話をさせていただきまして、そこで、組織管理と人事制度の管理、制度管理自身がシナジー効果を上げられるという意味が外にわかるような名前にしてはという議論になりまして、仮称でありますが、内閣人事局から内閣人事・行政管理局という仮称にさせていただいたところであります。

松本(剛)委員 組織管理ということであれば、財務大臣もおいでですけれども、例えば公務員の人件費に関する予算であるとか、そういうものも全部一つにまとめるという考え方もあるだろうというふうに思いますが、行政管理の部分だけとられた理由というのは何かあるのでしょうか。とられたというのは敬語です。おとりになった、行政管理の部分だけとった。

甘利国務大臣 ごめんなさい、ちょっと質問の趣旨が……。

鈴木(恒)委員長代理 もう一度どうぞ。

松本(剛)委員 組織だけではなくて、財政とかそういったものも、公務員の人件費の全体の枠であるとか、そういうものもすべて入るというのも一つの一元の管理だと思いますが、行政管理局の所管の部分だけ持ってきた理由というのが何かありますか、こういうことです。

甘利国務大臣 これは、冒頭申し上げましたけれども、人事制度管理と組織管理というのは表裏一体の関係にあるという判断をいたしました。

 例えば、ある省の課長なり課長補佐のポストというのは、各省は、まず総務省の行管局と協議をして、一つ一つのポストの必要性を査定されるわけですね。そして全体の数が決まる。その中で、次に人事院と協議をして、その決まった数の中での重要度の色分けをするわけであります。そして組織が決まる。そこに適正な人事を配置していくということでありますから、一条の「目的」を達成するために組織の部分と人事制度の部分が密接に絡んでくるという判断で、総務大臣と協議をしてこういう形にさせていただいた次第であります。

松本(剛)委員 さて、それでは、その内閣人事・行政管理局というのがどんな組織になるんだろうかということであります。

 資料をごらんいただきたいと思いますが、実は、資料の2―3にあるのは、これは下に書いてありますように、一月二十七日の日経新聞に出た記事であります。こういう組織になるんだろうと。まさに今おっしゃったようなことが形になっているのではないか。

 一枚めくっていただきまして、これは出典松本剛明事務所ということになっていますが、私どもが、ちょっと入手先は申し上げられませんが、入手をいたしました。もともとの出所は公務員制度改革推進本部の事務局だというふうに理解をしております。このことで二月の十七日の日に御質問させていただこうと思っていたんですが、この2―4の紙は、大臣、ごらんになったことがありますか。

甘利国務大臣 見たことがあります。

松本(剛)委員 総務大臣、ごらんになったことがありますか。

鳩山国務大臣 与党とか、党の御了解をいただいたとか、そういうものではありません。一つの案としてこのペーパーは見たことがあります。

松本(剛)委員 金曜日でしょうか、私のところに、これに大きくバッテンをつけたファクスをいただきました。これは、お聞きをしましたら、紙はあるけれども公式なものではないというお話でありました。今まさに鳩山大臣がおっしゃいましたけれども、総務省としては、これはごらんになったことがありますか。バッテンがついているんですね、もう今。

 これは、でも、よくできているんですよ。もう一度繰り返しになりますが、工程表の中に書いてあるシナジー効果、ファイアウオールといった言葉を表現すると、確かにこうなるんです。

 これがバッテンということは、これは白紙に戻ったという理解でよろしいんでしょうか、甘利大臣。

甘利国務大臣 先生おっしゃるように、シナジー効果、それからファイアウオール、個別人事によってポストが新設されたり、そういう肥大化を招いてはいけないということでファイアウオールが必要なんですが、それを体現するとこういうイメージ図になることは確かだと思います。一つの考え方です。

 バッテンがついたのは、我が党の方で、行政の肥大化については、きちんと肥大化しないという担保をとれという意味で、局長クラスとか次官クラスとか書いてありますけれども、このままでは行革の趣旨に反しないかという意味で、もう一度行革に反しないということを担保するためにバッテンをつけられたんだと思います。

松本(剛)委員 参考までに、この紙はどなたがおつくりになったんでしょうか。岡本次長はごらんになったことがあるとおっしゃっていたと思いますが、どなたがおつくりになったか教えていただけますか。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 今、先生が御指摘になりました紙でございますが、当初、お二人の大臣の政治主導のもとで内閣人事局をどうするかという話になった後で、事務方の方で、我が方、大臣と我が事務方、あるいは総務省の総務大臣、鳩山大臣と総務省のお考えをお伺いいたしまして、私どもの方で作成いたしました。

 それから、バッテンの方も、さように誤解なき趣旨という意味で、私の方で作成いたしました。

松本(剛)委員 おつくりになったのは岡本次長ですか。

岡本政府参考人 パソコンを動かしたという意味、今まで先生がおっしゃっている意味でございましたら、私が手を動かしたわけではございませんが、私の指示のもとでつくっていただきました。

松本(剛)委員 これは普通は、本来であれば、古賀審議官が岡本次長のもとで折衝に当たっておられたんだろうというふうに思いますが、古賀審議官の所管ではなかったということでよろしいんでしょうか。

古賀政府参考人 今お尋ねの件ですけれども、組織間の機能移管につきましては、事務局の中で審議官レベルでは私が担当ということでございまして、その上に行きますと、岡本次長にいろいろお願いをしていたというところでございます。

松本(剛)委員 この紙自身は御存じですか。おつくりになった経緯に携わられましたか。

古賀政府参考人 もちろん紙の存在は今認識しておりますけれども、その詳しい経緯につきましては、今はもちろん説明を受けましたので知っておりますが、その時点では存じ上げておりません。

松本(剛)委員 松田次長は御存じですか。

松田(隆)政府参考人 お答えいたします。

 私は、役人出身であり、かつ総務省出身であるということで、立場上いろいろ問題がありますので、事務局としての対外的な意思表明とか折衝には従事しておりません。専ら事務局内部の指導を担当しております。

 御指摘の資料につきましては、岡本次長が専ら総務省当局と調整をされていたということを承知しております。

松本(剛)委員 では、松田次長は御存じない話だった、こういう理解でよろしいんですね。

松田(隆)政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう調整の結果については承知いたしておりますけれども、事前には承知しておりませんでした。

松本(剛)委員 資料の最後をごらんいただくとわかりますが、この紙のとおりいきますと、まさに自民党の御指摘があったということですけれども、非常にポストがふえるということになります。お手元の資料の後ろから二枚目でしょうか、ごめんなさい。

鈴木(恒)委員長代理 2―5ですね。

松本(剛)委員 2―5です。差し引きでポストがふえることになります。

 松田次長、ごらんになったときに、総務省の行政官僚に携わってきた者として、これでは肥大化になるのではないかと注意をされなかったんですか。

松田(隆)政府参考人 お答え申し上げます。

 この図につきましては、議論にございましたような人事運用と組織管理の関係のファイアウオールとか、あるいはシナジー効果をどう出していくかというような考え方を整理するものだと受けとめておりましたので、その時点で、この案につきましてはそういうものかという受けとめをさせていただいたわけでございます。

 もちろん、関連の行政組織をスクラップ・アンド・ビルドする等、可能な限り効率的な体制にしていくということが当然必要でございまして、組織のスリム化は図っていかなければならないと考えております。

松本(剛)委員 大臣もよく御理解をいただいていると思うんですけれども、一つ前の2―4のバッテンがついた紙に戻っていただくとお感じいただけると思うんです。

 これは、内閣人事官と人事制度部、これについても申し上げたいことはたくさんあるんですけれども、機能についてはかなり細かく右側に書いてあるんですが、行政管理部にだけは現在の行政管理局が丸ごと来ますと。内閣人事局という新しいものをつくって、この国家公務員制度改革基本法についても、必要な範囲で移管するという言葉が書いてあるんですね。ところが、ここだけは丸ごと、内閣人事局、内閣人事・行政管理局にお入れになる、こういう仕組みになっています。

 実際にこの工程表を見ても、独立行政法人の審査、行政情報システム、こういったものも全部、この工程表もしくはバッテンのついた表、こっちのバッテンのついた表はバッテンがついていますから引用しないことにしましょうか、工程表を見ても全部来ることになっていますが、これは基本法の必要な範囲での移管というのを超えているというふうに私は思いますけれども、いかがですか。

鳩山国務大臣 この件は、基本的に、甘利大臣と私の間で話し合ってまいりました。もちろん、省庁の組織を移すということであれば、総務省で人事・恩給局がございますが、人事局が移ることになります。行政管理局をどうするかということで私は甘利大臣と話し合って、内閣官房に強力な総合調整、総合的な戦略機能を与えるという意味で、それでは行政管理局を丸ごと移しましょうというのが私が甘利大臣に返事をしたことでございます。

 そこには独法とかいわゆるe―Japan関係が含まれているわけでございますが、これらもすべて、外へ出た独法が非効率化してはいけないということもありますし、e―Japanと電子政府ということは行政の効率化でございますから、一緒の行政改革の問題。私は、初めて内閣に入りましたのが行政管理庁の政務次官でありましたから、行政改革、組織管理、定員管理の重要性というものを非常に強く感じておりましたので、そういった意味では、独法関係も一緒でいいだろうというふうに結論を下しました。

 時々、焼け太りではないかというような批判を受けることがありますが、私が抱いたイメージというのは、正直言って、このバッテンの図と大体同じイメージを描いているわけでございまして、人事管理の中で、例えば何とかさんという優秀な者がいる、そのことが、では、こういう組織をつくろうかということには絶対影響してはならない。これは行政の肥大化につながるということで、ファイアウオールは絶対必要だというふうに考えました。

 確かに、この図を見ますと次長とかいろいろあるんですが、こういう強力な内閣官房にでき上がる新組織によって、びしばしと行政改革をやる、定員・組織管理をやるということであれば、得る今後の成果の方がはるかに大きいだろう、こう考えております。

松本(剛)委員 時間がなくなってまいりましたので、総務大臣と公務員制度改革担当大臣にお願いを申し上げておきたいと思います。

 新たな幹部職制度については、先ほど少しお願いをさせていただきました。これについても、あえてここを取り上げたのは、この行政管理局だけ丸ごと移るということは非常に不自然だと私は思っております。

 今おっしゃったように、独法の話について、私のところに来られた事務方もそう説明されました。であれば、特殊法人だろうと、また、一部の公益法人なども全部見ていただかなければいけないということになるが、それはどうなのか、それはもともと行政管理局になかったから入りません、こういう話でありました。

 今のお話ですと、この内閣人事・行政管理局は行政改革もここで推進をするということになるわけでありますが、少なくとも内閣官房で、またこれは今大臣もいろいろ御苦労いただいていますが、内閣官房の所管の業務は、例えば副大臣、政務官も基本的には置かれないわけですね。ですから、そういう仕組みの中で内閣官房の中にこうやって何もかも入れてしまうということが、本当に機動的で政治主導のことを実現できるのかどうか。

 また、小さな字でありますけれども、このバッテンのついた中には、組合対応というのも実はこの人事制度部の中に入っております。これでいきますと、公務員制度改革担当の大臣を置かれるのかどうかわかりませんけれども、最終的には、きょう官房長官にもずっとお聞きをいただいたのも、これは官房長官のところに全部集まってくる形になります。もちろん官房長官は全体の総合調整ですから、すべてにかかわりがあるといえばあるわけですけれども、いわば官房長官の真下のところに組合対応も、行革も、そして内閣官房という範囲の中に、副長官、官房副長官補の範囲の中にこれが全部入ってくる。

 私ども、内閣人事局を官房のもとに置かせていただいたのは、幹部職の、まさに政権が直接見ていただくべき人をしていただくその範囲。我々も、行政改革もぜひ進めていただきたい。そして、全体の財政の改革も、天下りも含めて私どもも言ってきました。ただ、それをやるのが最も強力にできるのが本当にどこなのかという議論をもう一度きちっとしていただきたい。

 総務大臣も、断腸の思いでこれを出したということを冗談半分に、すれ違ったときにおっしゃっておられましたが、出していただいた先で、犬死にとは言いませんけれども、効果の発揮できるところでないところにもし行ったとすれば違う結果になりかねないわけでありますから。

 幸いにしてバッテンがつきました。ぜひ、全面的にこの内閣人事・行政管理局については見直していただきたい、考え方をもう一度整理していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

鈴木(恒)委員長代理 これにて松本剛明君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 質疑に先立って、委員長にお願いがございます。

 と申しますのは、今、百年に一度と言われる世界的な経済危機であります。かつまた、今の麻生内閣が、秋のつるべ落としのように支持率が一けた台に急落をする、あるいはまた、不支持率は夏の入道雲のようにどんどんどんどんと八割台まで高まっている、あるいはまた、先般、日本の信頼を損なうような行為を海外で現職の大臣がやってしまったというようなことで、今まさに日本が危機にあるというふうに私は思っているところであります。

 そうした中におきまして、けさからのこの予算委員会の雰囲気を見ておりますと、何となくまったりとした空気が漂っているわけであります。国権の最高機関である国会の、衆院のこの第一委員室で行われる委員会が、このまったりとした雰囲気でよいのかどうか。そうではない、もっと緊張感を持ってやるべきだ、そういう御指導をぜひ委員長からも、私ども委員にもお願い申し上げたいし、叱咤激励を、大変僣越ながらお願い申し上げます。

鈴木(恒)委員長代理 承りました。真摯な議論を続けていただきたいと、改めて申し上げます。

逢坂委員 大変僣越でございます。

 それで、きょうはまず最初に、舛添大臣にお伺いをいたします。

 舛添大臣には、先般香川県で発生した受精卵移植の取り違え問題、これについてお伺いをしたいと思うんですが、これは極めて重大な問題であるというふうに思っております。

 そこで、まず事実関係ですね。現在、体外受精というのは、日本で全体の出生率のうちどの程度行われているのかということと、あと、今回の事件の経緯について、今厚生労働省として把握している範囲で構いませんので、お知らせを願いたい。それから、それを踏まえて今後どういう対応をしようとしているのか。この点、お伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 まず、冒頭の、不妊治療の比率が幾らかというのは、ちょっと今手元に数字がございませんので、後ほど、わかり次第お知らせいたします。

 大変残念な事件でございますけれども、香川県及び高松市から聞き取ったところによりますと、香川県立中央病院におきまして、不妊治療中の患者が昨年秋ころに体外受精により妊娠したが、誤って別の患者の受精卵を移植された可能性が高いことから、患者にこの事実を説明し、人工妊娠中絶を行ったという報告を受けております。

 今回の事案を受けまして、厚生労働省としては、二月の二十日に自治体や関係学会に向けて通知を出しました。そして、不妊治療を実施する医療機関において、受精卵等の取り違え事故防止のため、ダブルチェックを実施するなど、医療安全上の適切な措置を講じるように周知したところでございます。

 今後、さらに実態をきちんと把握した上で、いろいろな指導を行っていきたいと思います。

 具体的には、こういう不妊治療を行っている機関に対する緊急アンケートを実施して、聞き取りを行う。それとともに、産科学会等の関係団体に対しても、例えば、あれはたしか一人のお医者さんがやっていた、二人でやるとフェールセーフできるわけなので、そういうマニュアルというのはやはり徹底した方がいいと思いますので、それはやはり関係学会や病院の関係者の方々の意見も聞いてと思っています。

 二度とこういうことが起こらないように、厚生労働省としても全力を挙げてまいりたいと思っております。

逢坂委員 大臣、大変ありがとうございます。

 実は、けさになって体外受精の数について厚生労働省の方にお願いをしたものですから、手元に資料がもしかしたらなかったのかもしれませんが、私の方からしゃべらせていただきますと、十八年の数でいきますと、年間に百九万二千人ほど新生児が生まれている、そのうち体外受精の出生数が一万九千五百八十七人ということで、全体の約一・七九%というふうに伺っているところであります。これは、全体の一・七九%ということになると、例えば、小学校三クラスあればお二人は体外受精の子供だということですから、小学校三クラスで二人いるということは、これは結構な比率だというふうに感ずるわけですね。

 そこで、大臣にもう一つお伺いをしたいんですけれども、今回このような事案が発生する以前の厚生労働省のこれまでの対応について、反省すべき点はなかったのかどうか、このあたり、大臣、いかがでしょうか。率直なところをお伺いします。

舛添国務大臣 基本的には医療関係者の方々にしっかりやってもらわないといけないわけですので、事前にこういうマニュアルだというのは、国がつくる話ではなくて、むしろ産婦人科学会などを中心にきちんとやらないといけないので、どういう反省がと言われると、なかなかそれは、どこまでの規制をやるかということもあります。

 ただ、やはり体外受精の実態についてもう少しいろいろな情報を把握し、そういうことがあり得るような状況であれば、自治体とも相談をしながら、何らかのガイドラインをつくるということもあると思います。

 ただ、私は、規制をする、ガイドラインをつくる、それで医療提供者の方々、お医者さんや看護師さんの手を余り縛るというのもいかがなものかなと思います。できればそういう医療関係者の方が自主的にきちっとやっていただくということであるので、なるべく公権力の発動というのは避けたいという気持ちがありますが、いろいろな意味で、もっともっと情報を入手して、今後万全を期したいと思います。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

逢坂委員 制度設計するときに、制度設計というのはすべてを厚生労働省がやるわけではないことは私も理解をいたしますけれども。

 実は、かつて私がよく読んでいた本に、きょう、たまたま原本がなかったものですから表紙だけをコピーして持ってまいりましたけれども、「人は誰でも間違える」という本がございます。アメリカの本でございますけれども、「トゥー・エラー・イズ・ヒューマン」という本ですね。これは「より安全な医療システムを目指して」ということで、人間はだれでも間違うんだから、間違うことを前提にしたシステムをつくりましょうということで、これは米国医療の質委員会というところが著している本なんです。

 大臣、ぜひこういう発想に立って、これから不妊治療、体外受精の問題に取り組んでいただきたい。これから、比率は高まることはあっても低くなることはない、少子化対策の上でも重要なポイントだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、そこで、二十一年度予算案について与謝野大臣の方に多少何点かお伺いをしたいと思うのですが、私、与謝野大臣を尊敬申し上げております。と申しますのは、この予算委員会の質疑など、ほかもそうなんですけれども、質疑者がいろいろ話していることについて余り御関心がないという大臣の方がおられる割合が結構高いように私は思うんですけれども、その中においても与謝野大臣は、質疑者の言葉を、たとえ自分に余り関連のない質問であっても、よく耳を傾けておられるなという印象を持つ。あるいはまた、これは私が言うのもあれですけれども、答弁に非常に安定感があるというんでしょうか、内容についていい悪いは考えの違いがありますからいろいろありますけれども、そういう点で非常に私は尊敬を申し上げる政治家の一人でございます。

 そこで、来年度の予算のことについてお伺いをしたいんですが、その前提となることを何点かお伺いしたいんです。

 昨年の九月二十四日に麻生総理が就任をしたわけであります。そうして、あのころ麻生総理は実は衆議院を解散しようと思っていたということが後にいろいろなことになってわかってきたわけでありますけれども、私はあの時点でやはり衆議院を解散しているべきではなかったかなというふうに思うのですが、なぜ解散しなかったのか。あるいは、この解散しなかったことについて、与謝野大臣の見解というか思いをちょっとお聞かせいただけますか。

与謝野国務大臣 私も、東京一区、新宿区の四谷に十月から事務所を借りて、十一月になってから、秘書に聞きましたら、日割りで高い家賃を取られているというので、計四十日間の家賃を無駄にいたしました。

 あの当時は、多分解散があるだろうというのが半ば国会議員の中での常識であったと思いますが、なぜ解散を延ばされたかということについては、わかりません。

逢坂委員 解散をしなかった理由はわからないということでありますけれども、私は、あの時点で解散をしていれば、今のこの状況はもっと別な展開になっていた、もっと力強い政策の展開が、それは仮に、今の与党の皆さんがそのまま政権をお続けになるか、あるいは我々の方に政権がかわっているかどうかは別にしても、そういう状況だったのではないかと。私は、あの時点の判断はやはり適切ではなかったというふうには感じております。うなずいていただいておりますので、与謝野大臣もそうお考えなのだと思います。

 そこで、何点かまたお伺いをしたいんですが、昨日、与謝野大臣はテレビに出られまして、テレビで、麻生さんは言葉に関しては落第点をつけざるを得ないという話をされているんですけれども、これは一体どういう意味の発言でしょうか。

与謝野国務大臣 それは民主党の方がよく御存じなので。我々が点数をつける前に、多分民主党の方が大変厳しい点をつけておられると思うので。

 政治家の発する言葉というのは国民に対するいわば政治としてのメッセージでございますから、やはり言葉一つ一つが大事なものであるという心構えを持って、与野党を通じて政治家はすべてそういうことは考えなければならないと思っております。

逢坂委員 そうですね。いろいろなところで私も僣越ながらいろいろな方の話を聞くと、政治家の言葉は政治の命であるみたいな表現をよくされるところがございます。

 それから、先般あるものを読んでおりましたら、コロンビア大学のジェラルド・カーティスさんという方が、これはインターネット上での発言を拝見したんですけれども、民主主義国の政治家の武器と言えるのは言葉なんですというふうに言っているわけです。まさに言葉が民主主義国家の政治家の武器なんだということを言っているわけでありまして、そういう点からしますと、総理の言葉に落第点をつけてしまったわけでありますので、まさに今の麻生総理は戦う武器を失ってしまったというふうに言わざるを得ないのかなと私は感ずるわけなんです。

 これにはいろいろな見解があろうかと思いますけれども、そういう意味でいいますと、やはり今のこの窮状を抜け出していくためには、解散をするのか、あるいは内閣が総辞職をするのか、あるいは、先ほど来の議論にもありましたけれども、憲政の常道に従って下野をするというふうなことをやらざるを得ないのではないかというふうに感ずるわけですが、財務大臣としてどうお考えになりますか。

与謝野国務大臣 言葉は、少し気をつければ及第点になると思います。

 ただ、言葉のほかに、やはり、国民に対する責任感とか、物事を善意にとらえて解決していこうとか、政治家に要請されているのは、言葉だけでなく、少し大げさに言えば日本の運命を背負って立つという気概というものもまた必要でして、ただ、世の中には上手に言葉で表現できる方と、言えば言うほど下手な表現に行ってしまう方といろいろあるわけでして、一概に言葉だけで人を責めるということはできない。

 ただ、とてもじゃない、及第点はつけられないと思ったのできのうの発言になったわけで、改善の余地はあると思います。

逢坂委員 ここでこの議論をいつまでも続けていても仕方がないのでありますけれども、例えば、試験の点数五十点の学生を六十点に引き上げて、不可を何とか可にしようということは、これは割とやりやすい。私も家庭教師などをしたことがありますので。ただ、十点の方を六十点に引き上げるというのはなかなか、十点かどうかもわかりませんけれども、そんな気がするわけであります。

 さて、そこでちょっと予算のことについてお伺いをしたいのであります。二十一年度予算でございますけれども、非常に経済の変化の度合いが激しいということでいろいろな声が出ている。今、一部聞こえてくるのは、もう既に二十一年度予算の補正をした方がいいんじゃないかという声も巷間聞こえてきているわけです。あるいはまた、野党、我々の側からは組み替えなんという話も聞こえているのも事実かと思うんですが、そういう中で、また与謝野大臣が、きのうのテレビで、学界も経済界も野党も参加意識を持って政策をつくるのが大事だというような話をされているわけですね。これは一般論としてはまさに当然のことだと思うのでありますけれども、二十一年度予算に対しては、この点、どうお考えでしょうか。

与謝野国務大臣 二十一年度予算に関しましては、昨年の夏の概算要求基準を作成した時点から一歩ずつ積み上げてきて、年末の経済見通し、これに基づきまして最終的に決めたわけでございます。我々としては十二月の時点で予算案を決めざるを得ない、またその責任があるわけですから、その根拠として一定の経済見通しを立てる、これもやらざるを得なかった、そのように思っております。

 これは、予算の修正とかそういうことをお考えの方はおられる可能性はあるんですけれども、我々としては、まずはこの二十一年度当初予算を国会で御承認いただいて、それで、経済指標なんかもいろいろな指標が出てきておりますので、やはり、政府だけとか与党だけとかということではなくて、与野党を通じて日本の経済をどうするのか、そういうことをやはりお考えいただきたいと思うし、私は、民主党の提案されている数多くの政策、いいものもいっぱいあると思っておりまして、野党が提案したからだめだということではなくて、むしろ内容次第であると思っておりますので、そういう意味では、こういう経済危機に当たってはスピード感を持って物事を決めていくという点からも、与党も野党もなしにこの国会で大事な政策を議論して決めていく、そういう姿勢は各党を通じて持っていただいた方が国民は幸せなんじゃないかなというふうに私は思っております。

逢坂委員 真摯な御答弁、ありがとうございました。

 私もまさにそう思っておりまして、私も、幾ばくかの期間、自治体の首長を務めさせていただいて、その立場にまた立ち返って考えてみますと、やはり国の予算の成立は、しっかり年度初めから執行できるようになっていなければまずいというふうに思っているわけであります。

 したがいまして、いたずらに議論を引き延ばすということはやはりやるべきではないことなんだろうと、一般論としては感じているところであります。そこで、話し合いが大事だというのはまさに私も同感でございますので、ぜひその姿勢を持ってこれからも臨んでいただきたいし、もし仮にその姿勢が二十年度の二次補正のときにあるのであったならば、私はもっと別の展開になったのかなというふうに思っているんです。ぜひこの点、大臣、これからもよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、もう一つ、けさの議論で、衆議院は任期が四年だという話がございました。そういう憲法上の規定がある、これはだれしもが知っていることでございます。これは当たり前のことであります。だから、解散ということをいたずらにしゃべるんではなくて、任期四年全うするということも、もちろんそれはあり得べしだというふうに私も制度上思うのでありますが、一方で、衆議院には解散という形式上の力も与えられている。それから、もう一方で、参議院は六年の任期ではあるけれども半分ずつ三年で選挙をする。こういう形式上のルールもあるわけでありますね。

 これは、もう釈迦に説法でありますけれども、参議院は、要するに国会に対する安定感ですね。議員が全部一度にかわるなどということがあっては国会の運営が混乱するから、半分ずつ任期をかえていこうということ、ある種の安定感を求めるもの。それから、衆議院においては、社会や経済の情勢に応じて変化に即応できるというような側面も衆議院にあるのだというふうに思うわけです。

 そういう観点からしますと、二〇〇五年九月十一日の選挙のときから、今の時点はもう大きく環境が変わっているわけです。政策の方向感も違います。経済の状況も違います。国民生活のあり方も違う。そして、政治の中身も随分変わってきている。大勢も変わってきている。まさに今が、この衆議院に与えられた、与謝野大臣が指摘する任期四年以外のもう一つの形式要件である解散の時期だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 実は、解散権というのは政府が国会に対抗するために与えられた権限であって、本来は、国会の方が解散しろ解散しろと言うことは余り憲法は想定していないんじゃないか、私はそういうふうに思っておりまして、むしろ、不信任案を突きつけられたときとか、そういうときの対抗上の力として内閣に与えられた権限で、国会の方が解散しろ解散しろと内閣に迫るというのも憲法では余り予想されていないこと、現実の政治では起こり得ること、そういうふうに考えております。

逢坂委員 いろいろなとらえ方はあるというふうには思いますけれども、私ども、少なくとも私個人は、今の日本の置かれている状況を思えば、予算について与党と野党がしっかり話し合いをして、合意できるところは合意をして、直せるものは直して、相違点は相違点として明確にして、そして次のステップ、解散なのか何なのか、政治の潮目、局面を変えていくということが必要だということを申し上げさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 さて、そこで……(発言する者あり)ごちゃごちゃうるさいですよ。そこで、かんぽの宿問題についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 かんぽの宿問題、手元に資料を用意させていただきました。かんぽの宿等の不動産価格の推移というのを、総務大臣、用意させていただきました。取得、建設価格が二千四百億だというものが、簿価が随分推移をしてきて、最終的に平成二十年度中間の簿価が百二十四億。これを、先般の段階では契約は白紙に戻ったとはいいますけれども、百九億で売られるということで、随分国民の皆さんも、これはちょっとおかしいんじゃないかというような思いを持っておられる。そして、このことに対して鳩山大臣が昨年の十二月の末からいろいろ発言をされて、そこにある種のストップをかけたわけでございますけれども、この問題についての現時点での大臣としてのお考え、今後の方向感をちょっとお示し願えますか。

鳩山国務大臣 とにかく一日も早くすっきりとした形にしたい、こう思います。そして、かんぽの宿がそれぞれ立派に運営をし、現在残っている七十施設は客室稼働率も七割を超すところが多いわけですが、客室稼働率が八割を超してもなお赤字という施設があるなどという報道に接しますと、これは加入者福祉施設ではありましたけれども、幾ら赤字を出してもいいというものではありませんから、この間、前原委員の御質問だったでしょうか、やはり人件費の問題、人員が多過ぎる問題等もございまして、これを一日も早く黒字化する努力をしてもらいたいと。

 そして、五年以内の売却という基本方針を変えないとするならば、これは、それぞれ黒字化した立派なものを、まずそれぞれの地方公共団体、自治体に相談をして、おたくで買いますか、使いますかという相談をする。しかるべく相談をしながら、また、地域の観光の目玉にしたいというような観光協会等も随分多数あるようでございますので、そうしたところに売っていくというのが正しいのではないか。

 いずれにいたしましても、今先生からいただきましたように、二千四百二億円が百九億円になるというのは、二重三重四重のマジックがかかっているとしか言いようがないと私は考えております。

逢坂委員 できるだけ早くすっきりとした形にしたいというのは、まさに多くの国民もそう願っているというふうに思います。

 しかし、大臣、私は、今回の入札が不透明であったかどうかとか、あるいはできレースであったかどうか、そういう問題とは別に、また幾つかの問題があるというふうに思っているんです。

 一つは、やはり総務省内部のガバナンスの問題というんでしょうか、特に官僚と政治家の問題というんでしょうか、このあたりがどうも必ずしもうまくいっていないのではないかという気がするわけであります。

 それから、もう一つが法律上の問題ですね。法のしつらえが必ずしも十分ではなかったのではないかという気もしているんです。

 それからもう一つ、これは鳩山大臣には大変僣越なんですけれども、総務大臣としての監督責任の問題、これもあるような気がするんです。ですから、鳩山大臣は、この問題についておかしいおかしいと言えば言うほど御自身の責任ということもある種考えなければいけないのかなというふうに思うわけですが、このあたりについて、きょう、少しの時間ですが議論をさせていただきたいと思います。

 まず、日本郵政からお越しいただいておりますけれども、私が用意しました資料の一枚目、日本郵政が承継をしたときの簿価が千七百二十七億。それが、日本郵政が閉鎖するとき、平成十九年の九月三十日で百二十九億というふうに簿価がなっているわけですが、こういうふうに簿価が下がってきた経過、なぜこういうふうに下がるのか、このあたりについて説明願えますでしょうか。

藤本参考人 お答えいたします。

 かんぽの宿でございますが、その損益が継続して赤字でございました。

 平成十七年度から、上場会社と同様に減損会計の強制適用があったわけでございます。減損会計の適用によりまして、これらの施設の帳簿価額は回収可能価額まで減額をするわけでございます。その回収可能価額は、外部の専門家、具体的には不動産鑑定士でございますが、専門家による客観的な不動産鑑定評価を採用し、減損損失を計上してございます。減損損失につきましては、公社時代の平成十七年、十八年、十九年、三度適用いたしてございます。ごらんいただきますと、先生御提出の資料のように下がってきてございます。

 そういうふうに順次不動産鑑定評価が下がっておりますのは、基本的に、不動産鑑定評価の方法といたしまして収益還元法が重視されている、そういうふうなことが原因であろうと思っております。

 以上でございます。

逢坂委員 減損会計ということはわからなくもないのでありますけれども。

 かんぽの宿の公社時代の位置づけでございますけれども、これはもう何度も言われているとおり、加入者福祉施設との位置づけなわけですね。これに減損処理を適用するということは適切なことなんでしょうか。日本郵政、いかがでしょうか。

藤本参考人 かんぽの宿への減損会計の適用ということでございます。

 減損会計におきましては、独立のキャッシュフローが生じ、継続的に収支の把握のなされている単位ごとに減損会計を適用する必要があるところでございます。

 そういう面から見ますと、加入者福祉施設についても、今、個別に収支を把握しておりまして、その個別の施設ごとに減損会計を適用する必要があるものでございます。それは、加入者福祉施設という位置づけにおきますのと、あるいは一般のホテルという位置づけにおきますのと、変わることはございません。

 そういうことでございます。

逢坂委員 そこで総務省にお伺いしたいんですけれども、日本郵政がこの減損会計をやってきたということは、政府参考人、総務省としてはこれは適切だというふうに考えていたんでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 加入者福祉施設については、やはり不採算事業であるというようなこともありまして、公社の方でこれをやってきたことについては適切だというふうに考えておりました。

逢坂委員 次に、日本郵政にまたお伺いしたいんですけれども、日本郵政公社が閉鎖されて、その次に日本郵政株式会社になるわけですが、ここへその百二十九億のかんぽの宿の資産が承継されていくときの簿価というものは、どういうふうに決められたものでしょうか。

藤本参考人 済みません、公社の承継のときでございますか。(逢坂委員「公社から株式会社」と呼ぶ)

 今申し上げましたように、三回にわたりまして減損会計を適用してまいりまして、そのことを受けまして、資産の評価委員会がございます、ここで、公社から民間になります各社に承継する際の価額を決めていただいたということでございます。

 その前提といたしましては、それぞれどういった前提で評価をするかについても、あわせて決定をされております。

逢坂委員 日本郵政株式会社に移るときは、資産評価委員会というものがあって簿価を決めているということでございます。

 そこで、総務省政府参考人にお伺いしますが、資産評価委員会というのは、どういう議論が行われてこの最終的な価額を決めたのか、お知らせください。

吉良政府参考人 承継財産評価委員会、三回開かれまして、その中で、日本郵政公社から各承継会社に承継される財産、資産、負債でございますが、これにつきましてその評価方法を審議、決定したわけでございます。

 それで、実際の個々の財産に係る価額の評価につきましては、この委員会が決定しました評価方法に基づきまして公社が行いまして、評価委員会としてその評価の結果を了承して、承継財産の価額を決定したものでございます。評価委員会の方で決定したということになります。

逢坂委員 ということになりますと、内容の是非はともかくとして、二千四百億が百二十六億になるまでのプロセスというのは、手続上はきちっとした正当性のある手続だったのではないかというふうに、内容はちょっとともかくとして、とりあえずは思わざるを得ないのではないかと思うのですが、総務大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 企業が所有する土地建物等の固定資産については、固定資産の減損に係る会計基準により、平成十七年度から減損会計が義務的に適用されている。

 日本郵政公社の会計は、企業会計原則によるものとされているため、かんぽの宿を含む固定資産について減損処理を行い、これに簿価を算定してきたものというふうに考えられるわけでございます。そうやって簿価を決めてきたんでしょうけれども、まずその算定の仕方が、いろいろな外部に評価させたにしても、こんな勢いで減るものかという数字を示していることが大きな疑問があります。

 それから、郵政民営化承継財産評価委員会というのは、日本郵政公社を閉じて日本郵政株式会社に変える日ですから十月一日というのかな、閉鎖するのが九月三十日というのかな、そのときの継承する財産の評価をする委員会だと思うんですね。大体三回開かれて、いつも三十分ぐらいで終わっちゃうというものですが、そこの三回目の文書にこう書いてあるんですね。

 「土地 原則相続税評価額(路線価)をもって評価し、」「(路線価)のないものについては鑑定評価額をもって評価」する。「ただし、簡易生命保険加入者福祉施設等の譲渡等を予定しているものについては、他と同様の評価方法を適用した場合、譲渡等する際の価額と大幅に乖離する可能性が高いと考えられること、」つまり、相続税の路線価がうんと高く出ちゃう。本体は、土地は公示価格か路線価か、路線価は公示価格の七割ぐらいでしたか、八割ぐらいが固定資産税、間違って逆かもしれませんが、この辺を根拠にしようということになっているけれども、この場合は、そうすると高く出ちゃうから、「減損会計を適用して事業価値に見合う評価が既になされている」、何回か出ていますね、減損した安いものが。「公社の最終事業年度の期末日時点の価額をもって評価」、つまり、減損処理したもので評価しますと。普通の土地の評価をすると物すごく高くなるから、こういうふうに安く減損処理したものでやりなさいよと。

 こういうようなことで基本にやってきていますから、このときのものではないかと思いますが、一万円が六千万円になったり、千円が四千九百万円になるんだろう、こう思います。

逢坂委員 今大臣の方から話がありましたけれども、まさにこれ、譲渡などを前提にして減損処理ということをやったわけですね。

 そこで、また政府参考人の方にお伺いをします。民営化法の附則第二条に、「譲渡又は廃止」という言葉が書かれているわけでありますけれども、まず、総務省の政府参考人、この「譲渡又は廃止」というのはどういう意味なんでしょうか。これは、事業をやりながら譲渡するということなんでしょうか。それとも、不動産をそのまま渡すという意味なんでしょうか。この「譲渡」というのは、これはどういう意味なんでしょうか。

振角政府参考人 答えさせていただきたいと思います。

 附則二条の「譲渡」の件でございますけれども、事業をしつつまた譲渡するということも含まれているんだと思っております。(逢坂委員「も含まれている」と呼ぶ)はい。廃止、あるいはその事業を継続しながら譲渡ということもあるんだと思います。

逢坂委員 今の答弁に見られるように、私は、この附則第二条の「譲渡又は廃止」というところが、必ずしもその内容が十分に吟味されていなかったのではないか。「譲渡」というのは、事業をやりながら本当に譲渡するのかというところは、そこは本当にみんながそうだというふうに思っていたのかどうか。いや、いろいろ議論をさかのぼればわかることなのかもしれませんけれども、あるいは単に不動産として渡すのかというようなところで、随分、特に減損処理の部分については意味合いが変わってくると思うんですね。だから、ここの議論が不足したまま突っ走ったところに一つの問題があろうというふうに私は思うんです。

 それともう一つは、日本郵政公社が発足した当初は加入者福祉施設でよかったのかもしれないけれども、十七年に民営化の法律が通った段階では、本当に福祉施設のまま日本郵政公社に残しておいてよかったのかという議論をやはりきちんと整理しておくべきだったのではないか。この点をあいまいなままにしてきたことが、今回の一つの法的な問題ではないかなというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 基本的には逢坂先生と同じような疑問を持っております。

 すなわち、かんぽの宿とかあるいはメルパルクをやめようということで書かれたわけでありましょう。しかし、それが、「譲渡又は廃止」となっておりますから、これを全部もうやめようというのだったら、廃止して不動産として売る、もう事業をやらないというふうに明確な方針を出すというのも一つの手だったと思うし、いいものは全部事業を継続して、だれか別の人にやってもらうというのであれば、そういう趣旨で書くということもあり得たのか。これは「譲渡又は廃止」でございますので、実際それに基づいて、特に不採算性の高いところは随分廃止をされていったんだろう、そういうふうに思います。

 それから、もともと簡易保険加入者福祉施設であったわけですが、民営化と同時に旧簡易生命保険法というのも廃止をされたわけでございますから、正確には、現在は簡易保険加入者福祉施設とは言えないと思うのでございます。例の日本郵政株式会社法附則二条において「廃止前の簡易生命保険法第百一条第一項の施設」というふうには書かれてはおりますけれども、そのもとの法律である簡易生命保険法が廃止されている以上は、現在は簡易保険加入者福祉施設ではないという位置づけだと思います。

 しかしながら、それは、一つの郵政という文化の中で国民が営々と積んできた簡易保険のお金でできたものですから、非常に公的な色彩が強い。現在は日本郵政のものでありますが、日本郵政の株式は国が一〇〇%保有しているという中で、宣伝もせず、価格も抑えて簡易保険加入者福祉施設的運営がなされてきて、客室稼働率が高くても赤字が出てきたという実態はあると思います。

逢坂委員 まさに大臣から、私が指摘しようと思ったことを御自身の口から言っていただきましたけれども、日本郵政株式会社法の附則第二条、この議論がやはり足りていなかったんだろうというふうに思うんですね。ここにやはり法的な問題がある。特に、加入者福祉施設というものを、内容を十分に吟味せずに、単にもとの法律の条文を指し示すだけでここに指定してしまったところに一つの法的な課題があるというふうに私も思っております。だから、これから先の議論というのはなかなか容易ではないのかなというふうにも思っているところでございます。

 そこで、次でございますけれども、今回のかんぽの宿の売却にかかわって、これは、日本郵政は独自でやったということでは多分ないはずなんですね。

 そこで、私が用意しました資料の二枚目、これは日本郵政から民主党の総務部門会議に提出をいただいた資料でございます。平成二十年の一月二十五日から昨年の十二月二十二日まで、総務省とのやりとりというものを日本郵政にまとめていただいたものでございますけれども、これは日本郵政が出した資料ということで、日本郵政、間違いないでしょうか。

佐々木参考人 私どもでまとめさせていただいた資料でございます。

逢坂委員 さて、そこで、十二月二十二日のところに、「契約内容について説明(十二月二十六日(金)開催予定の日本郵政(株)取締役会の承認が前提)。」という記述があるわけでございます。

 日本郵政にお伺いしますが、今回のこのかんぽの宿の売却に関して、日本郵政のルールの中ではこういう手続というのは必要なことなんでしょうか。

佐々木参考人 私どもといたしましては、監督官庁の総務省さんの方に御説明をさせていただきながら進めてきたということでございます。

逢坂委員 今の答弁、ちょっと私の聞き方がまずかったのかもしれませんが、取締役会での承認が前提というふうに日本郵政の出された資料の中にあるんですが、この取締役会での承認がなければ日本郵政としてはこのことを決定できないのですか、かんぽの宿を売り払うという最後の契約の段階のところを決定できないんですかということなんです。取締役会をやらなくてもこれは決定できるものなのかどうかということをお伺いしたいんです、一般的なルールの中で。

佐々木参考人 厳密に言いますと、取締役会の決議がないとできないことではない。ただ、非常に大きな事案でございますので、経営会議を経て取締役会の承認を得たということでございます。

逢坂委員 そうなんですね。お伺いしますと、取締役会の決定がなくても日本郵政の意思決定としてはできるわけであります。

 そこで、なぜこの取締役会の決定というものが前提というふうに日本郵政の資料に書いてあるのかということなんです。この点、もし日本郵政の方で何か、これはなぜこういうことになったのか、説明できることがあればお話しください。

佐々木参考人 今ほども申し上げましたように、私どもの経営に関しまして非常に大きな事案であるということで、経営会議のみならず取締役会の承認を得てという判断をした次第でございます。

逢坂委員 次に、総務省にお伺いします。政府参考人にお伺いしますが、総務省はこの件に関して、例えばですよ、これは私は事実はわかりませんけれども、日本郵政に対して、本来は取締役会の決定事項ではないけれども、日本郵政さん、取締役会で決定したらいいですからねというようなことを話したという事実などはございますか。話した、指導した、それに言及したというような事実はございますか。本当のことを言ってください。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 会社法上は必ずしも決定は要しませんが、事の重大さからすると取締役会が必要ではないかと事務方の方で申し上げました。

逢坂委員 すなわち、私がここで何を言いたいかといいますと、事務方レベルでは、先ほどのあの内容でほぼいいのではないかというふうに、これは推測ですよ、あと取締役会の承認さえとってもらえばオーケーですよというような話になっていたのではないかと推察されるわけですね。すなわち、全くこれは、官僚主導と言うと少し言い過ぎかもしれませんけれども、事務レベルで淡々と話が進んでいて、実は、本来の決定権者であるべき政治家、大臣のもとへ正確な情報というのは必ずしも来ていない。まさにこれは、私は総務省のガバナンスの問題であるというふうに思うわけです。こんなことがどんどんどんどん続いているから、私は日本の政治がおかしくなっていくのだというふうに思うんです。

 それと、さかのぼって話をさせていただきますと、先ほどの評価の価額でありますけれども、平成十七年から減損処理をしたということでございますが、これももう大臣には釈迦に説法でありますけれども、日本郵政公社の決算に関しては、これは大臣の承認が必要な事項になっているわけです。

 それで、これはたまたま十八年の決算書を持ってまいりました。これを大臣が承認したということで国会にも報告をすることになっている。そして、この中に、まさに減損処理をしているということを大臣が認めている、認めるというか、この中に減損処理をしているという損益計算書が載っているわけですから、認めているわけですね。さらに言うならば、だから、公社時代の価額が下がってきていることは公式にはオーソライズされているんだというふうに一般的には思うということなんです。

 それともう一つが、評価委員会ですか。評価委員会に関しても、評価委員会で決めましたら、実は財務省に、国の財産としてこれを報告しなければならないわけです。

 これは、例えば平成二十年の二月十八日に、総務省郵政行政局長名で財務省理財局長に、「郵政公社が解散したため、下記のとおり通知する。」ということで、その簿価を含めて通知をしているわけです。そうなれば、やはり省内の事務方の手続としては、ある種納得をしてやっていたものではないかなというふうに思うんです。

 ただ、何度も言いますけれども、問題は、そのことと政治の判断とが随分離れているといいましょうか、官僚主導で物がどんどんどんどん進んでいっているというところに私はガバナンスの問題というのを指摘したいんです。大臣、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 先生御指摘のような経緯はあろうかと思います。危なかった、もうすんでのところでたたき売られてしまうところではなかったかと、今はそう思っております。

 例えば、先ほど先生が示された資料に対しまして、つまり総務省のガバナンスとおっしゃったが、私は事務方に、総務省側はどうであったか、こういうふうに言いますと、平成二十年一月に譲渡または廃止の考え方、一括譲渡の方針を説明したとのことだが、説明というのは日本郵政が総務省に、これは日本郵政株式会社の経営会議で決まったこととして情報提供が行われたものであって、打ち合わせや総務省の了解を求める、または相談するというたぐいのものではなかった。

 また、平成二十年三月に手続を開始することを説明したとしているが、四月一日にホームページに掲載する文案を示しての情報提供であって、これも総務省の意見を求めるものではなく、日本郵政株式会社が行おうとしているものについての単なる情報提供にすぎなかった、こういうふうに言っているわけですね。

 それから、平成二十年八月に会社分割スキームを説明したとのことだが、この時点で会社分割方式を採用するとの方針が日本郵政株式会社の内部で固まっていたとは思えず、また、仮に会社分割を行おうとすればとの認可申請資料の質問があったにすぎないと。

 要するに、日本郵政対総務省事務方の間のやりとりは、言い分を聞くとこういうことになるわけでございますが、実際問題として、本来、総務省が日本郵政をきちんと指導しなければなりませんし、総務大臣には認可権限や監督権限があるにもかかわらず、私もそれを十二分に使うことができなかった不明は恥じなければいけないと思っております。

 それで、先般、松野頼久代議士から総務委員会での質疑がございまして、これはこういう内容でございました。つまり、事業計画は総務大臣が認可いたします、当然四月一日からのもの。それを、かんぽの宿等は年度内、つまりこの三月三十一日までの間に売却しようと思うという事業計画の変更認可の申請が出ていた。それが出ていたのが九月の十二日か何かだと思います。決裁をしたのが十八日で、増田大臣。ところが、九月三十日に認可しておりますから、その名前は鳩山邦夫になっておるわけです。ですから、形の上では私がそれを認可した責任があると言って総務委員会で謝りましたら、松野頼久議員は、あなたは全く謝る必要がない、こういうふうに言っていただきましたけれども、これは非常に微妙な問題でございます。

 ただ、そこには一括で譲渡するとか七十何施設をどうするとかいう具体的なことが書いてあったわけではなくて、かんぽの宿等について年度内に売りたいということが書いてあっただけなんですが、それにしても、形の上では私が事業計画の変更申請を認可しておるわけですから、形式的な責任は負わなければならない。実際には文書を見たこともありませんでしたし、事態を知らされたのは十二月二十六日の朝でございました。

逢坂委員 大臣からお話をいただきましたとおり、日本郵政株式会社法の十四条に「監督」ということが書いてございます。十四条、「会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」という法律の文言になっているわけです。でも、よくよく読むと、どうもこの法律の文言も若干意味不明かな、日本語として余り適切じゃないなというふうには思うんですが、調べてみましたら、NTTなどのときもこの「監督」という言葉を使ってやっているようであります。

 まさに大臣おっしゃられるように、この問題がおかしくなればなるほど、実は大臣のその監督という責任も問われなければならない。それはいつの時期にどの大臣がやっていたかということは、もちろんそれは事実としてはあるのでありましょうけれども、それはやはりなかなか、立場としては言うべきことではないのかもしれないなという感じがするわけであります。ただ、多くの人たちは、それを言わなくても、鳩山大臣がちょうどかわり目だったねということは、きっとそれはわかるというふうに思うんです。

 そこで、ちょっと総務省にお伺いします。

 総務省でいいのかな、これは。いずれにしても政府参考人にお伺いするんですが、日本郵政株式会社法の十四条の規定、「会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」というのは、これはどういう意味なんですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 「総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。」というのは、この法律に定まっている規定の範囲内でということでございます。

逢坂委員 今の答弁だと私は理解できませんけれども。もう少し何か踏み込んだ答弁というものはできないんでしょうか。総務大臣、今の答弁じゃどうにもならないような気がするんですが。

鳩山国務大臣 郵政民営化の基本理念というのがあって、それは、いわゆる民営化するわけで、もちろん、その移行期間中とその後とは違うんだと思いますけれども、経営の自主性、創造性、効率性を高めるということが入っているわけですから、総務大臣が日本郵政株式会社を監督するに当たっても、やはり原則として経営の自主性には配慮しなければならないんだろう、プロ野球の監督みたいに一々出てきて、ピッチャーの交代だ、代打だ、代走だというものではないんだろうと思いますが、監督と同時に認可という権限が与えられておりますから、今回のように会社分割の認可というような形で、これをする、しないという権限も与えられておりますので、監督というのは、どうなんでしょう、ある程度は抽象的なものであろうかとは思います。

逢坂委員 この条文についていろいろ調べてみましたら、やはりここについて余り言及している形跡がないんですね。あるいはコンメンタールなどもないんです。したがって、この点においても、やはり法のしつらえが私は十分ではなかったというふうに思うんです。

 これほどといいましょうか、あれほどといいましょうか、二〇〇五年前後にあれほどの大騒ぎをしてやった郵政の分割・民営化であるにもかかわらず、法の決めが必ずしも十分ではない中で、随分やはり急ぎ過ぎたんだなという感を持たざるを得ません。この法の不備は指摘をせざるを得ないと思いますし、ある方に聞きますと、いや、実は逢坂さん、NTTのときもそうだったし、別のときも同じ条文だからいいんだよという話があったんですが、まさにその姿勢がよろしくないんだというふうに思うわけです。この点は、やはり指摘をしておきたいと思います。

 それから、もう一つが、大臣のある種の監督責任ということは、一般論としてこれはあろうかと思いますので、大臣がこの問題について一生懸命おやりになるということは、それはそれで私はすばらしいことだというふうには思うのでありますけれども、一方で、天につばをしている可能性も否定できないということも、ちょっと若干失礼な言い方かもしれませんけれども、その思いをお持ちになって、あるべき方向へすっきりと解決をしていくということが大事ではないかと私は思っております。

 それと、もう一点です。最も問題なのは、やはり私は、組織の問題というかガバナンスの問題だというふうに思うわけです。先ほど来の話の中で、事務方同士はいろいろなやりとりをしていたはずだというふうに私は類推いたします。しかしながら、先ほど大臣の手元にあった想定問答、答弁の文章でも、必ずしもそうではない、ある種言いわけのようなことが書いてあるわけです。そして、官僚を使いこなさなければいけない政治家に対して、実は本当の情報を上げていない。そして、そのことによって最終的に大臣が、こういうある種つらいお立場になるというところは、やはり日本の官僚の大きな問題点だというふうに思うわけです。

 だから、これは実は、金子大臣にも本当はきょう質問したかったんですが、やれなかったんですが、そのことも実は金子大臣への質問で明らかにしたいと思っておりました。それはまた金子大臣、きょうは申しわけないんですが、次回またやらせていただきますので、お願いしたいと思います。

 鳩山大臣、そういう三つの点を含めて、最後、どうこれから向かっていかれますでしょうか。

鳩山国務大臣 私の監督責任は九月二十四日から発生をしているわけでございますから、それは私もその責めは負わなければいけない、こう思います。

 また、ガバナンスの問題を御指摘されますと、確かにそういうものが世の中には、あるいは日本の官庁の中には存在をしているかと思っております。ただ、私は結果が大事だと思っておりまして、いろいろ天につばをする形になるかもしれませんが、私は正義のために闘い続けてまいります。

逢坂委員 正義のために闘うという姿勢、それは非常に私も尊敬申し上げたいと思います。

 しかし、大臣、最後に申し上げたいことがございます。それは、なぜこういう状況になるのかということであります。それは、やはり長期に同じ勢力が政権の中枢にいるということで、ある種のなれ合いというものが生まれてきた、これもまた一つの理由ではないかというふうに思うわけです。それは、政治家の側にも官僚の側にも、ある種の安心感がある。そういう中で、あるいは、官僚も政治家のコントロール手法みたいなものを覚えてしまうというようなことがある。やはりこれは、柔軟に政権交代ができる、ある種、勢力の範囲が変わっていくというようなことが、一つこの問題を解決していくきっかけになるのかなというふうにも思っているところでございます。

 きょうはありがとうございました。

衛藤委員長 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、筒井信隆君。

筒井委員 民主党の筒井信隆でございます。

 最初に、与謝野大臣に確認をしたいと思います。

 先ほどの逢坂議員の質問に対して、麻生総理が解散をしなかった、解散を延ばした理由はわからない、こう答弁をされました。しかし、麻生総理は、解散しない理由は、百年に一度の経済危機、この景気対策をしなければならない、一次補正、二次補正、そして本予算、さらには今はその次のまた補正予算まで言っているという、この緊急の経済対策をしなければいけないことが解散をしない理由だと、何回も何回も麻生総理は言っております。

 与謝野大臣は、その麻生総理の言っていることは本当の理由じゃないんだ、これは信じていない、こういう答弁だと思うんですね。もしそれを本当に信じていたら、まさに解散しなかった理由は景気対策なんだと先ほど答弁されるはずですから、それを正直にわからないと言われたのは、麻生総理の言っている理由は本当の解散をしない理由ではないんだというふうに考えておられるからですね。

与謝野国務大臣 その当時わからなかったということを申し上げて、その後、総理からは、経済対策が選挙より大事だという説明は、党員にもされましたし、国会でも説明されましたから、それはそのとおりだと思っております。

筒井委員 その当時からもう麻生総理は、景気対策が必要なんだから解散しないんだと初めから明確に言っているじゃないですか。初めそれを不明確にしておりましたか。

 その当時というのはいつのことを言っているんですか。

与謝野国務大臣 解散については、本当のことを言うかどうかということは、これは保証はない。私は、多分解散されるだろうと思って、事務所まで借りて準備までしたんですけれども、なぜか当てが外れた。その当時は理由がわからなかったというのは、正直なところでございます。

筒井委員 今の答弁は全く逃げた答弁ですが、解散に関しては総理は本当のことを言わない、今の景気対策が解散しない理由なんだと言っていることも、その本当のことを言わない一つの例だという今答弁の趣旨ですか。

与謝野国務大臣 解散について本当のことを言わないと言ったことが、その逆がまた真かという御質問だと思うけれども、そうはいかないというわけでして、先生のような弁護士で、法廷で人様にいろいろ追及されるときのような厳しい追及は、ぜひよしにしていただけないかなと思っております。

筒井委員 今の答弁が本音が出ていたので、武士の情けというか、ここで次の質問に移ります。

 今の麻生内閣はもう完全に行き詰まっている。この行き詰まっていることは、だれから見てもはっきりしていると思います。支持率が物すごく下がっている。世論調査によっては一けた台のものもある。そして、みずから反対だったと言うあの郵政分割・民営化、これに基づいて得た三分の二の議席を活用しなければどうにも前に進めなくなっている。そして、その三分の二の議席をとった当の張本人の当時の首相が、三分の二による再議決のときは欠席すると言っている。もうめちゃくちゃですよ。

 その上に、麻生総理の言っていることは、もうぶれにぶれている。郵政民営化の問題に関してもそうですし、定額給付金の問題に関してもそうですし、道路特定財源の問題についてもそうですし。数え上げていたら切りがないので途中でやめますが、要するに、最初は元気よく言うんですよ、最初は脱兎のごとく言うんですよ。だけれども、自民党の中から批判されると急にしおらしくなって、まさに処女のごとく。最初は脱兎のごとく終わりは処女のごとくというのは、わけわからなくなるというのは、ことわざの逆なんですけれども、麻生さんの法則はそうなんですよ。ぶれにぶれているんですが、その点、ぶれにぶれているという点では一貫しているんですけれども、ぶれていないという言いわけも一貫しているんですよ。

 もう完全に麻生政権は行き詰まっている。行き詰まった段階では野党第一党に政権をバトンタッチすべきだ。それで、野党第一党が直ちに解散・総選挙に打って出る、こういう方向しかないと思いますが、これも与謝野大臣、お願いします。

与謝野国務大臣 支持率なんか見れば低くてという気持ちはありますけれども、別に行き詰まっているわけではありません。

 こういう中であっても、やはり国民に対して責任を果たすための予算を通し、関連法案を通しということを国会でお願いしているわけでして、ぜひ民主党の皆様方にも、国民生活のために予算関連法案に御協力をいただきたいと思っております。

 なお、麻生総理に関することは、麻生総理がおられるときにぜひ言っていただければと思っております。

筒井委員 野党第一党にバトンタッチすべきだと思いますが、少なくとも、自民党の中の首のすげかえ、これの繰り返しをまたやるなんというのは、国民に対する信頼を完全に失わせることになる。そのことは完全にやめるべきだと思います。

 そして、日本では、先ほど逢坂議員も言われましたが、憲政の常道というものがある。政権政党が政権運営に行き詰まったら野党第一党にバトンタッチする、これは憲政の常道ですよ。

 日本で政党政治が確立したのは昭和の初めですが、それ以来、政権政党が行き詰まった場合には直ちに野党第一党に政権運営をバトンタッチする、これが繰り返されてきているわけです。

 それは御存じだと思いますが、例えば、第一次若槻内閣が田中義一内閣にバトンタッチした。それから、その次に田中義一内閣が浜口内閣にバトンタッチをした。その次に第二次若槻内閣が犬養内閣にバトンタッチした。その次に犬養内閣が斎藤内閣にバトンタッチした。斎藤内閣は岡田内閣にバトンタッチした。

 それから戦後ですが、戦後、第一次吉田内閣が片山内閣にかわったのは総選挙に敗北したことが原因ですが、しかし、吉田さんの自由党は第一党だったんです。だけれども、連立政権の協議をしないで片山内閣が成立した。一部バトンタッチの要素も含んでいるわけです。それからその後、片山内閣が今度は芦田内閣にバトンタッチした。政党が違う政権にバトンタッチした。そして最後に、この芦田内閣が第二次吉田内閣にバトンタッチをした。

 いずれも、まさに野党にバトンタッチをして、そして政権運営がなされてきた。これが繰り返されてきた。まさに麻生総理のおじいちゃんの吉田第二次内閣自身がそのバトンタッチによって成立したんですよ。だから、日本で政党政治が成立して五五年体制に至るまでの間、こういう繰り返しがなされてきたから、これは憲政の常道として日本の政党政治に確立している、こういうふうに言われているわけですが、これも与謝野大臣、そういうふうな御認識でございますか。

与謝野国務大臣 自民党の総裁が次々にかわってきたことは事実でございますが、民主党も割に、党首の方はここ十年間ぐらいでかわっておられるので、まあ、その点はどっこいだなと私は思っております。なぜ、あんないい党首の方がかわるのかなと思ったこともたびたびございますので。

 政権については、国民が選択するものであると私は思っております。

筒井委員 野党の代表の選任がどう繰り返されてきたかと政権がどうバトンタッチされてきたか、これは全然本質が違うこと、こんなのを一緒にしないでください。

 それから、いずれにしろ国民が選挙で決めることだと言われました、まさにそのとおりでしょう。それが、この前の郵政選挙から何代かわりましたか、全然選挙しないで。国民が選挙しないで、もうその後、安倍総理、福田総理、それで麻生総理にかわったんじゃないですか。まさに選挙していないじゃないですか。

 政権はやはり、国民の意思に基づく政権でなければいけない。それを、あの時点で自分は反対だったと言っていたこの三分の二の議席に乗っかって今の麻生政権が成り立っている。全然選挙していないわけですよ。

 だから、私が先ほどから言っているのは、そういうこれからの与謝野大臣の方針を聞いているのではなくて、日本の政党政治において、五五年体制に至るまで、憲政の常道として、政権政党が行き詰まった場合には野党にバトンタッチする、これが慣例として成立していた、このことは認識されておりますかという質問なんです。

与謝野国務大臣 弁護士であられる先生に憲法の条文を申し上げるのは行き過ぎかもしれませんけれども、日本国憲法というのは、衆議院に関しましては、一度選挙をやりましたら次の四年間はその議員にすべてを預ける、そういう思想で成り立っていると私は思っております。

 解散は、実際はなされてまいりました。しかし、これは政府の方が国会に対抗するためにやってきたことで、条文としてはそういう条文になっておりまして、四年間の任期を否定するような憲法解釈は、多分おかしいんじゃないかと私は思っております。

筒井委員 自己矛盾であることは与謝野大臣も自覚されておりますが、何で今私が言ったことが憲法を否定することにつながるんですか。四年間が保障されていることの否定につながるんですか。

 四年間の任期はありますよ。しかし、解散があり得る、これは憲法ではっきり認めていることでしょう。それは、途中で解散をしなきゃいかぬ時期があるんだということを前提としているわけでしょう。(発言する者あり)最終的にそれは国民が決めるんですよ、最終的に。

 だから、私の方の問題点は今言っていることとは違うんですが、今言っていることも自己矛盾だと思います、与謝野大臣のは。

 しかし、私が先ほどから聞いているのはそれを聞いているんじゃないんですよ。政権政党が行き詰まったら野党第一党にバトンタッチする、これが憲政の常道として日本の政党政治に確立していた、この事実は認識されておりますか、こういう質問なんです。

与謝野国務大臣 戦後の政権交代しか知りませんけれども、野党第一党に渡した例というのは、私の知っている限りはないわけです。

筒井委員 戦後も、先ほど言った三代のものは戦後ですよ。吉田自由党ももちろんそうですし、片山内閣もそうですし、戦後もそうなんです。五五年体制まで、その憲政の常道が確立して実行されていたんですよ。

 しかも、その後、伊東正義さんという政治家がおられました。この人が首のすげかえに完全に拒否をして、表紙だけかえてもだめなんだというふうに言って拒否をされました。まさに、この人の姿勢が大政治家としての姿勢ですよ。それに対して今度は宇野さんが引き受けて、物すごい不名誉な形でもって辞職に追い込まれた。それで、その後に今度は安倍さん、それから福田さん、この人たちも不名誉な政権放棄に追い込まれた。憲政の常道に従わなかった場合に、まさについ最近まで、不名誉な辞職に追い込まれるという状況にあるんですよ。やはり、今また改めて何か麻生さんのポスト麻生、こういう議論がされているようなので私は聞いているんですが、そんなことをまた繰り返したら、日本の政治はおかしくなってしまう。

 大体、この前、与謝野大臣が認めていただいたあの視点は非常にいいと思うんですが、今まさに文明史的な大転換期に入っている。この大転換期において、それにきちんと対応をした政治をしなければいけない。しかし、今の官僚主導に従っている自民党政治では、大転換期に対応した政治なんかできっこないんですよ。だから行き詰まるんですよ。たとえ個人的にどんなに能力があった人が出てきたところで、やはり行き詰まっちゃうんですよ、大転換期に対応した政治が今の官僚主導政治でできるはずがありませんから。だから、今は、完全に野党の方に政権をバトンタッチして、大転換期に対応した、本当に新しい、官僚主導の政治でないものをきちんと打ち立てなければいけないわけなんですよ。

 それで、これは石破さんにもお聞きしたいんですが、まさか与謝野大臣は、その首のすげかえの張本人に手を挙げるつもりはないでしょうね。

与謝野国務大臣 今は、予算を国会に御承認いただきたいということで、すべての閣僚はそのことに集中してお願いをしているわけで、余計なことを考えている暇もありませんし、考えてもいけないんだろうと思っております。

石破国務大臣 全く今の与謝野大臣と同じ考えであります。それは、総理に任命をされて閣内におる人間として、その政権が国民のためになるように全身全霊を尽くすのが当然のことであって、それ以外のことは考えるべきでもないし、考えてもいないということだと思います。

 それから、委員がおっしゃることに関連して申し上げれば、今の小選挙区制というのは首相公選ではございません。公選ではございませんので、政権の枠組みをどうするのかという選択を国民にお願いしているという意味が強かろうと思っております。そうしますと、例えば、政権の枠組みが全く変わりましたみたいなことも今までなかったわけではありません。そういう場合と異なりまして、自民党、公明党の政権というものが多数をいただいておるという状況は何ら変わっておらないわけでございます。

 そのように考えてみますと、先生がおっしゃいますように、すぐそれは政権の交代だということには直結をしないのではないかというふうに愚考する次第でございます。

鳩山国務大臣 議院内閣制のもとで総理大臣が、首班が指名される。麻生総理が指名をされて首班となったわけで、この国を何とかしようというお気持ちで総理は大変張り切っておられるわけでございまして、私どもはその麻生総理から閣僚として任命を受けておりますので、とにかく全力を尽くして、予算も一日も早く上げて景気を回復して、そして官僚主導でない国家をつくろうという気持ちで我々も頑張っていけると思っております。

 なお、政権が行き詰まったときには野党第一党に渡すのが憲政の常道だと言うんですが、具体的にどういうシーンがあったのかは、私はよくわからないわけでございます。そして、もし仮にそういうことがあったとすれば、もし本当に行き詰まって渡したことがあるとすれば、渡しても大丈夫だなと思われる野党が存在したことがあったのかもしれませんが、今はそういう時期だとは思いません。

筒井委員 自民党は政権担当能力を失っていますから、その目から見ると、真に政権担当能力がある政党がどこかというのがわからなくなっているんですよ。だから、今みたいな答弁が出てくるんですよ。民主党にはきちんとした政権担当能力がある、このことを申し上げて、次の質問に移ります。

 私は一貫して、今の日本の政治の……(発言する者あり)ちょっと自民党席が、やじがうるさ過ぎて、しかも品の悪いやじを言う。これをやめさせてください。

衛藤委員長 諸君、静粛にお願いいたします。

筒井委員 適切なやじなら私も歓迎ですが、しかし、私の声が聞こえないように邪魔するやじなんですよ。しかも中身がないやじなんです。これは委員長、ぜひ制止をしていただきたいと思います。

 そして、私は一貫して、日本の政治の最大の課題の一つとして、小泉・竹中路線からの決別、これを訴えております。麻生総理も、実際に、あの施政方針演説で抽象的にはそのことを宣言いたしました。民営化ばかりがいいものではない、小さい政府だからといってうまくいくわけではない、市場に任せればうまくいくというわけではない、こういう形で明確にされました。

 しかし、この前も申し上げましたが、小泉・竹中路線との決別を抽象的に宣言するだけではなくて、本当に決別するためには、小泉・竹中路線が行った具体的な施策、これからも決別をしなければいけないわけでございます。その一つの例としてこの前、郵政民営化の問題をお聞きしましたが、それも後でちょっとお聞きしますけれども、きょうは、一つは農業政策、農林漁業政策について石破大臣にお聞きをしたいと思います。

 あの小泉・竹中時代に品目横断的経営安定対策というものを導入いたしました。四町歩以下の農家は農家じゃない、二十町歩以下の集落営農は農家じゃない、支援の対象から外す。まさに、新自由主義に基づく大規模効率化路線なんですよ。あんなのが日本の農業に適合するはずがない。

 だから、おととしの四月に導入されましたが、その年の十二月には、物すごい農家からの悲鳴や全国からの批判が集まって、大幅な見直しをせざるを得なくなった。市町村特認という独特な制度をつくって、四町歩以下の農家も二十町歩以下の集落営農も支援の対象にしますといって、本当に当初出した理念とは全然違うものを出したんですよ。だけれども、そう言いながら、理念はもともと全然変わっておりませんといって、まさにわけのわからない農政に今なってしまっているわけなんです。これも小泉・竹中路線の大きな弊害の一つだというふうに思っております。

 石破大臣は抜本的な改革を叫んでおられますが、こういう路線も大きく大転換されるわけですね。

石破国務大臣 委員はすべて御存じの上でおっしゃっておられると思いますが、この水田・畑作経営所得安定対策、これは、もともと制度をつくったときから、農地が少ない場合、複合経営、そういう特例を設けておりました。選挙の結果によって、そういう特例をばたばたと慌ててつくったというものでないことは、委員よく御案内のとおりでございます。

 ただ、地域の実態はより反映をされねばならないということでございます。特に、熱意を持って営農に取り組む担い手については加入の道を開く必要があるというような強い要請があったところでございます。そのようなことで、さらに制度を細かくして丁寧にしたものでございまして、委員がおっしゃいますように慌ててばたばた入れたというようなものだとは全く考えておらないところでございます。

 政策の基本方向性、すなわち、小規模、高齢農家も含めて、地域農業の担い手を確保し、土地利用型農業の体質を強化する、このような政策の基本方向性は変わっているものではございません。

 ただし、なぜおととしの参議院選挙で評価をされなかったのかということは、これはよくよく反省をしてみなければいかぬだろう。政策の中身もそうですし、そしてまた、プレゼンテーションのやり方もそうだと思っております。選挙のときに御党がお配りになりましたもの、これをよく拝読いたしますと、なるほどねと。問題意識は共通するところもないわけではありません。というよりも、恐らく多くを共有していると思っております。

 ただ、そこに対して何をするかということについては、本当に我が党も御党も、農業の持続可能性というものに最大の重点を置いて、真摯に議論をしていかねばならないと思っております。

筒井委員 品目横断的経営安定対策が、ばたばたと慌てて見直したなどと私は一言も言っていませんよ。今、大臣が言っているんですよ。ただ、私が言ったのは、おととしの四月に導入された制度が十二月には大幅に見直しせざるを得ない状況に追い込まれたと言っただけなんです。

 だけれども、今まさに石破大臣が言ったように、ばたばたと慌てていたんでしょう、実際は。だけれども、大幅に見直したにもかかわらず、理念は変わっておりませんなどと言っているものですから、わけがわからない制度になっているんですよ。

 この品目横断的経営安定対策を含めて今の農政を抜本的に改革する、こういう意向ですか、石破大臣。その点を先ほどもお聞きしたんです。

石破国務大臣 かねてから申し上げておりますように、例えば平成二年から十七年の間に、北海道から九州、沖縄までを含めて農業の全所得というものは半分に落ちた。農業全体の売り上げはもうパナソニックに及ばないのだということ。それを見て、これは何らかの原因がなければこんなことになっていないという思いは持っております。

 そしてまた、所得補償というものをどう考えていったらいいのかという思いも持っております。ですから、そこにおいて、どのような方を対象とするのかという議論を避けて通ることはできないだろうということだと思います。

 すなわち、御党のビラによれば、「世界の先進国並みの所得補償制度を導入します。」と。だれに対してですか、どのような方に対して所得補償を行うのですか。そこが最も重要なのだろうと思っております。そこのところをきちんと議論していかなければ、すべての人、すべて農業というものを営む人に対して補償するのか、いや、そうではないのかということについて、ここはきちんとした議論が必要なのだろうと私は思っております。

筒井委員 石破さん、論客と言われているけれども、石破さんらしくなく逃げていますね。

 私が聞いているのは、今の与党の農政、品目横断的経営安定対策、これを含めて、これに対して抜本的に改革する、こういう方向ですね、こう考えていますねという質問なんです。それ以外答えなくていいですから。

石破国務大臣 ありとあらゆる観点から検証した上でということを申しております。ありとあらゆる点から検証しなければ、抜本的に改革するといっても、その中身は何ということになるはずであります。つまり……(発言する者あり)委員長、恐縮ですが、質問者の方だけおっしゃっていただければと思います。

衛藤委員長 大臣は余りやじを気にされないでください。

石破国務大臣 はい。

 そうしますと、では、新しい農業・農村基本法というものがあって、そしてそれを実行に移すためにいろいろな政策を打っております。それを実際に実行に移すための実施法というものについて、また御党もいろいろなお考えが議論されているのだろうと思います。

 私は、いろいろな点から検証した上で、これが持続可能性を確保するために必要だということでありとせば、それは政策を抜本的に転換する必要性というものが出てこようと思っております。

 ただし、そのときに、どういう状況になって、どういう数字を当てはめれば何がどうなるか。特に、消費者の考え方、嗜好というものをどのように考えるかです。すなわち、何で日本の自給率がこんなに下がってきたのかという根本的な原因は、それは、米から肉類あるいは油脂類にシフトをしたということが自給率が下がった根源的な原因です。そこをどのように考えていくか。消費者の嗜好というものをどのように考えていくかということによく配意をしながら、政策というものは転換する必要があると思っております。

筒井委員 石破さんも麻生さんと同じように、最初は脱兎のごとく、自民党の中で農林族から物すごい総スカンを食って批判されるとしおらしくなって、まさに終わりは処女のごとく、今の答弁はそういう答弁ですよ。

 そこで、確認しますが、石破さん自身が、抜本的な構造改革、農政についての構造改革をしなければ日本から農業をやる人がいなくなる、今改革するかどうか考えるみたいな答弁をされましたが、改革をしなければならない、こう断言されましたね。断言したことがありますね。

石破国務大臣 間違いなくいたしました。

筒井委員 だから、私が一つ資料として持ってきているのは、経済財政諮問会議での石破さんの発言ですが、「抜本的に構造改革を行わなければ、日本から農業をやる人がいなくなる。」まさに改革すると言っているでしょう。さっきみたいに、これから検証して改革するかどうか決めるんじゃないんですよ。改革すると言っているんです。だから、その改革の中身を確かめたいんです。

 今石破さんが言われた所得補償については、私たちの方でも確立した方針がありますから後で申し上げます。それについての意見もお聞きします。だけれども、今お聞きしたいのは、石破さんが改革をやると言っている、やると言っている限り中身がある程度あるでしょう、その改革はどういう中身なのか、これをここで示してほしいというふうに言っているんです。

石破国務大臣 それは、人、金、物、すべての観点からやらなければいけないのであって、スローガンだけ先行させ、幻想をばらまくようなことは、私ども行政に当たる者として、してはならないと思っております。

 では、どうするかということになるわけですが、やはり持続可能性、すなわち基幹的農業従事者の六割が六十五歳を超えているということは、同じ年代層がずっとスライドしているということですので、どのように新しい農業主体を導入していくかということについては相当に抜本的な規制の緩和を行う必要があるだろう。

 そしてまた、農地がどんどん転用されているということは、これは決してあっていいことではない。農地法の趣旨というものをきちんと徹底すればそのようなことは起こらないはずなのであって、農地転用というものについてはもっと厳格であるべきだというふうに考えております。

 そしてまた、自作農主義から耕作者主義というのに移ってきているわけですが、これは今国会において法の改正をお願いしておりますけれども、利用というものに眼目を置いた、一種、利用者主義というようなものに転換をしていかなければいけないと考えております。

 そしてまた、農業の主体というものも、もっと多様であるべきだと考えております。

 ですから、人それから物という点においてはそういうことになるでしょう。

 では、金をどうするのだということについては、本当に広範な議論をしていかなければなりません。農政改革の歴史というのは、ずっと小農切り捨てということに対してのいろいろな議論から起こってきたものでございました。そうしますと、どの方にどのようなやり方で所得を補償するべきなのかという議論は、農業の持続可能性ということによく配意をしながら、真剣な議論が必要だと思っております。

 この場合には、いろいろなシミュレーションをしていかなければ、この方向性ということになりません、他律的な意味も相当に含んでおりますので。たとえ一俵五千円になってしまったとしても、中国からどんなに安い野菜や果物が入ってきても、すべての販売農家の所得は補償され、農業を続けるということになったとしたならば、それは御党がおっしゃっておられることですが、そのことによって農業の構造はどうなるのか、そのために必要な財源をどう確保するかということは、あらゆる観点から検証しなければ、今政権にある行政としては極めて無責任だと私は思っております。

 その検証を行いました上で、改革の方向性というものは、もちろん与党の中の議論もきちんと踏まえた上で、ちゃんとした数字の裏づけを持ってやらなければならない。今その方向性をここで軽々に私が申し上げることをしないのは、そういう意味に基づくものでございます。

筒井委員 今挙げられたのは、参入規制についての一定の緩和と転用規制の強化、それから所有から利用への転換、これは争いがないことなんですよ、農林族の中でも。そのことだけ挙げていて、重要な問題に関しては避けて、何か今言ったような争いのないことだけ言っているのなら、それで抜本的な改革だとか、抜本的な構造改革の中身だと言えるんですか、そんなものは。まさにそれこそスローガンだけじゃないですか。改革する、改革するというスローガンだけじゃないですか。もっと具体的に、たとえ農林族の反対を受けても、本当に必要だと思うならばそれをやるべきなんですよ。

 それを、当初はいろいろなことを挙げていた、アドバルーンを上げたけれども、非常な反発を受けたとなると引っ込める。この点じゃ、私は、中身的には小泉さんと反対。全部あれは間違っていると思いますが、小泉さんのやり方は、まさに反対があっても徹底してやる。かえって反対が出たら喜んで、抵抗勢力と闘うんだと言って支持をこうやって広げたわけですよ。まさに今の麻生内閣は、麻生総理から各大臣に至るまで全く正反対。批判をされると引っ込める。

 そして、冒頭問題になりました選択的減反制度についてお聞きします。これも何か農林族の中で物すごい反発を受けているようですが、あの趣旨がよくわからないのでお聞きします。

 今だって、実質上、選択制じゃないですか。減反に参加している人がいれば、参加しないで自由につくって販売している人がいる。だけれども、その双方に不公平があるから今いろいろな議論がされている。

 私たち民主党の所得補償政策、これも選択制ですよ、結果としては。生産数量目標に従う販売農家に所得補償を支給いたします。生産数量目標に従いたくない、特に主食米の需給調整に従いたくない、こういう人は参加しなくていいんですよ。だけれども、所得補償はゼロになるんです。所得補償の補てんがゼロになることを覚悟した上で生産数量目標に従わないことを選択する、こういう農家はあり得るでしょう。別にそれに罰則をかけるわけではないんです。刑罰を付すわけではないんです。

 だけれども、所得補償の対象になって、そして生産数量目標の設定に従って生産活動する、この人たちには補てんをいたしますから、その人たちには明確なメリットがあります。今みたいに、与党のようにメリットが低いものじゃないですから、だから参加者は大幅にふえるというふうに私たちは予測しています。

 だから、実質的に今も、政府の減反は米をつくらないことに対して奨励金を払うんですが、私たちは、生産数量目標を設定して、米も含めて、主食米も含めて、いろいろな農産物をつくることに対して所得補償するんですよ。そういう点で、全く政府の減反とは本質が違いますが、主食米については需給調整はするんです。しかし、それも選択制でしょう。

 選択制については石破大臣はどう考えておられて、これに対してどうして反発があるのか、それをちょっと説明してください。

石破国務大臣 選択制という言葉がいろいろな新聞に躍っておりますが、これは私の記者会見を全部見ていただければわかりますが、私は、選択制にするとか、選択制を軸に検討を進めると申し上げたことは一度もございません。そこは確認をしておきたいと思っております。

 それで、いろいろなやり方があるでしょう。私は農水大臣になるずっと以前からこの議論をしているのですが、それでは、一、二の三で減反をやめたとして、何もしなければ何が起こるか。米価はジェットコースターのように下がっていくだろう、そうなるとすれば五千円とか四千円とかいうことになるだろう。そうすると、大規模で何十町歩もやっているところは本当にお米だけで生きていますから、そういうところが一番最初に打撃を受けて壊滅するだろう。高コスト構造は何ら変わることがないだろう。一、二の三で減反をやめということはこれは選択肢としてとり得ないということは、私は以前から議論をしておりました。それは今も変わっておりません。

 では、今のまま続けていいのかといえば、委員がおっしゃったような、一生懸命まじめに減反をして価格を維持している、その上に乗って例えば庭先で売っている、そういうような人たちは大変なもうけをするわけであって、この不公平感というものはあるということはどうしても払拭できないところでございます。

 これをどうやって解消するのかということで、選択制ということをおっしゃる方も世の中にはおありになる。その場合に、どれだけの方が選択をなさるか、それによって米はどれぐらい生産をされるか、それによって価格はどうなるか、需要との関係はどうなるか、その場合に在庫はどのようにして保管をし、だれがその費用を見るべきか、そこまできちんと議論をしなければ、それは政策の名に値しないと私は思っております。

 加えて、御党がおっしゃいますように、これは米だけではありませんね。まさしく、いみじくもおっしゃいましたように、麦もそのやり方にする、大豆もそうする、トウモロコシもそうする、畜産物もそうする。ということは、すべてのものに対して生産目標を定め、そのとおりに生産をさせるということでございますが、それは相当に計画経済というのではないだろうか。そこにおいて、消費者の意向とか消費者の嗜好とか、そういうものをどのように判断していくかということも考えていかなければなりません。つまり、一生懸命創意工夫をした人たちが伸びていくということはやはり配意をしていかねばならないことだというふうに考えています。

 他方、稲作は特にそうですが、水が相当のファクターになっておりますので、集落として水を管理する、つまり、一人、二人がいいかげんなことをしますと集落全体が影響を受けるわけでございます。その米の、水田の特性に配意をして、そこにはどのような手当てをするかということもあわせて考えていかねばなりません。

 選択制に決めたということを私は一回も申し上げておりません。何が一番日本の水田稲作というものが発展をしていくかということについて、もちろん民主党さんの御見解も承りながら、政治家のためではない、本当に農業者のための農政をよく議論をして確立したいと思っておるところでございます。

筒井委員 生産数量目標を設定する、これは民主党の方針です。そしてそれに従う農家に所得補償する。

 生産数量目標は、主食米とそれ以外では質が違います。主食米については今需給調整をせざるを得ない状況です。消費量が八百万トンで以前よりは二分の一になったんですから、主食米については生産数量目標は上限として設定をする。それ以上について、意識的にそれに従わないとか、そういう人は所得補償から外れてもらう。しかし、主食米以外の、米粉や飼料米や小麦や大豆を含めて、一応目標は設定していただきますが、これは上限としてではないんです。いっぱいどんどん収量を上げて生産してもらえばいいんです。

 この生産数量目標の設定が社会主義的だと今言われましたが、そうしたら、与党もずっとそれをやってきたんですね、今まで。まさに民主党が今言っていること以上に社会主義的ですよ。

 そして、この所得補償の支給は全国平均の数値で支給いたします。生産費と販売価格との差額を基本に支給をいたします。生産費も販売価格も全国平均で決定をいたします。だから、全国平均よりも生産費、コストを切り下げる努力をしている農家はもうけが上がるわけですよ。そして、全国平均よりも販売価格をより高く販売している、流通経費を削減したりして販売している農家はよりもうけが上がるわけですよ。だから、努力がきちんとこの所得補償の金額に反映できるように仕組みとしてもう成り立っている。

 これに対して、今や自民党の農政は、その場限りの対症療法ですから、例えばこの前みたいに、農業とか漁業で燃料費が上がった、これに対する仕組みがきちんと成り立っておりませんから、だから補助金をどうするかといってあんな大騒ぎして議論して、その都度、一年限りのものを決めているんですよ。そんな一年限りの補助金とか何か決めたって、農家や一次産業者としては将来的な展望がわかりませんから、もらったときはありがたいですよ、定額給付金みたいなものでそのときはありがたいですよ。だけれども、将来的な生産計画なんか立てられないでしょう。

 だけれども、民主党の生産費と販売価格との差額を支給するというのは、生産費が上がった場合にも販売価格が下がった場合にもきちんと対応できる仕組みがその中にもう組み込まれているんですよ。だから、そういうふうに一々対症療法的に今の自民党みたいな形でやる必要がないんです。だから、石破大臣の本音は、もう所得補償したい、これしか方法はない。ヨーロッパもアメリカもとっくにやっているわけですから。

 所得補償の理論的な根拠は多面的機能ですよ。経済財政諮問会議で石破さんも強調しておられます、農業の多面的機能は年間八兆円であると。林業は七十兆円である。漁業は十兆円である。これは、年間の多面的機能も経済的価値ですから、これを無償で一次産業者は全国民に提供しているんですから、その無償で提供している多面的機能のほんの一部の対価として所得補償する。理論的にも明確であるし、今後の農業を考えた場合に、もうこの所得補償制度しかない、これをやりたい、これが石破さんの本音ではないですか。

石破国務大臣 好むと好まざるとにかかわらず、我が国は自由貿易の恩恵を最も受けてきた国でございます。では、WTOにおいて黄色の政策ととられかねない不足払い的なものは、導入は控えるべきだと思っております。そうすると、どのような政策が一番望ましいのだろうか。

 例えば、スイスの場合には、農業予算の相当、七割とか八割が補償に充てられているということはよく承知をいたしております。フランスにおいても同様の政策であります。ただ、対象をどうするかということについては相当の議論がございました。(筒井委員「ございましたというのは、外国で」と呼ぶ)外国でございました。私は、そこのところは本当に徹底してお話をしていかねばならないのだと思っております。

 つまり、仮に直接補償ということになったときに、どのような主体に対してお支払いをするのか、そしてまた、それはいかなることに対する対価としてお支払いをするのか。

 スイスの場合には、環境に適合した農業のやり方というのを物すごく厳密に定めて、そのとおりの農法をやらないというところに対しては直接補償を行わない。ドイツ語をどうやって訳すのかよくわかりませんが、査察みたいなこともしょっちゅう行われておるんだそうです。本当にここは補償に値するような農法をやっているかということについて、そういうような査察が行われている。

 あるいは、これは中途半端な知識のものを申し上げてはいけませんが、私は、アメリカとかオーストラリアとかと日本の農業を同列に論ずることはそもそもナンセンスだと思っております。土地利用型についても同様であります。

 問題は、ドイツでありますとかフランスでありますとかイギリスでありますとか、そういうところでどのような政策がとられてきたか、規模拡大がどのように図られたか、同時に、農地がどのような値段、資産的な価値を持っているかということ、そして、フランスにおいては農業をリタイアされた方には年金が加算されるとか、そういう制度がいろいろと組み合わさって、自給率が非常に高いという状況が現出をいたしております。私は、本当にそこのところをきちんと精査した上で、金、人、物、何が一番いいのかということをきちんと考えてまいりたいと思っております。

 ですから、消費者負担型から納税者負担型へということが世界の潮流であるということもよく承知をいたしております。そのときに、本当にそれが納税者の理解がきちんと得られるものなのかということ。そして、農業が持続的に発展をするものなのかということ。そして、農地というもの。そんなのみんな一致していることだと委員はおっしゃいましたけれども、私は、農地政策というのは、補償政策と同時に、日本はほかの国と相当異なった体系を持っているという認識を持っております。本当にこの農地がやる気のある人にどれだけきちんと集まるか、そして、本当にやる気のある方、能力のある方に農地と資金がきちんと集まっていくという仕組みも同時につくっていかなければならないのだと私は思っております。そういうことを総合的に勘案しながら政策というものを打ち出していきたい。

 それで、我々に、少なくとも私に残された時間というのはそんなにないと思っております。農政担当者という意味ですよ、私個人ということを申し上げているわけではありません、そこはもういろいろなことで決まることですから。我々にとって残された時間は少ないのだ。そして、政策選択の幅というのはそんなに広くない、これは農林水産委員会でも申し上げたとおりであります。ですから、委員とここで、全く違うんだということで対立しようと思っておりません。いろいろな立場で議論をしながら、いい政策というのは与野党ともに打ち立てていくべきものだと考えております。

筒井委員 価格支持政策を今与党はやっていますが、それはまさに消費者負担なわけですよ。今それを批判された。所得補償政策は納税者負担なんですよ。世界はまさに今、石破大臣が言われたように、そっちの方向に行って、先進国で日本ぐらいなものですよ、消費者負担で価格支持政策ばかりやっているのは。

 これは変えるという方向性を今言われましたし、そして今、補償の対象者をだれにするか、根拠をどうするか、これを検討しなければならないと言われました。根拠は、まさに石破さんも強調されておりますし、私も先ほど強調しました、農業が持つ多面的機能、無償で果たしている多面的機能、空気、水、土壌の維持、浄化機能、これが所得補償の根拠ではないですか。

石破国務大臣 私は、世界がその潮流にあるということを申し上げたわけであって、政府としてその方向に大きくかじを切ることを決定したということを申し上げているわけではございません。ただ、そのことはよく認識をしなければいけないということを申し上げました。

 そして、何が根拠かといえば、委員がおっしゃることがほとんど当たると思います。ただ、そのときに、本当にそれは厳密に厳密にやっていかなければ、納税者の理解が得られないだろうと私は思っているんです。正直言って、納税者、消費者の現場と農の現場が近いところにあるだろうか、意識が共有されているだろうかということであります。

 そして、何かスイスの例ばかり挙げて恐縮でございますが、先般、副大統領のロイタードさんという方がいらっしゃいました。私はダボス会議でもお話をしましたが、例えば、スイスの卵というのは一個六十円するのです、外国から入ってくる卵は二十円なのです、しかしながら、スイスの国民はみんな、だれから強制されたわけでもないがスイスの卵を買うのです、それは一体なぜでしょうかと。それは、きちんとした農法でつくられている、スイス国民がそれを買うことによって、スイスの農民の生活が守られる、スイスの国土が守られる、だから高くてもこれを買うんだということなんだそうです。

 ですから、一体の議論というのが必要なのであって、納税者の負担に値をするものか、そして、それはどのように検証されるかということもきちんと議論をしなくてはなりません。

筒井委員 大体、経済財政諮問会議でもそうだし、いろいろなところで抜本的な改革をすると断言されている人が、中身を聞くと、今検討中だ、方向性も決まっていない。しかし同時に、解説的な今の現状認識のときには、今のままだと五年先、十年先でもう日本の農業はつぶれてしまうかもしれない、そういう危機感も表明されているんですよ。

 そんなもの、今の段階で抜本改革の中身を、方向性を明確にできないでどうするんですか。それなら農業はつぶれちゃいますよ。方向性も今決まっていないということでしょう。所得補償の対象とか根拠とか、そういうものは検討するんだけれども、そっちの方に行くかどうかわからない。そういう状況だから、日本の政治はだめだと言われるんですよ。

 それで、官僚が主導しているとそうなっちゃうんですよ。もう調整、調整で、物すごい時間がかかっちゃって、抜本的な改革を一気に大転換する、そういう決断ができないんですよ。石破さん自身はそれができるかと思ってちょっと期待して、その論争をしたいなと思っていたんだけれども、石破さんもそれができない。

 決めつけたら間違いですか。では、ちょっとそれを言ってくださいよ。

石破国務大臣 小泉改革というものの方向性は正しいと私は今も思っています。私は、この場で郵政の特別委員会の理事も務めておりました。本会議で代表質問にも立ちました。だけれども、大きな改革をやろうとすれば、それは大きな外科手術と一緒で、思わぬところから血が出たり、思わぬ臓器を傷つけたり、そこにちゃんと手当てをしていかないと、手術自体がうまくいかない。手術は成功しましたが患者は死んじゃいましたみたいな話をしても仕方がない。

 私は、改革をやるときに、どこにどういう影響が出るのかということをきちんと見定めてからやらないと、時の雰囲気にわあっと乗っかってやると思わぬことになりかねないということは反省をしなければいけないことだと思っております。

 ですから、農政改革は細々とした調整をやっておったら時間がかかる、そんな時間は我々には残されていない、そのとおりです。この間、農林水産省の改革チームから出ました提言は、まさしく委員がおっしゃいましたように、従来の調整型プロセスの政策決定から脱していかねばならないということが改革チームの提言の中にございます。私は、その思いを共有いたしておりますので、いろいろなデータを出していきながら、委員と議論をしていきたい。

 ただ、我が党は、自由な議論、そして民主的な議論を重んじる党でございますので、党内にいろいろな議論がございます。それはよくよく承りながら、党として、そして政府として、一体でございますので、政策は出していかねばならない。そのことを申し上げておるわけでございます。

筒井委員 もう時間がなくなりますので、今の国民が消費者として物すごい関心を持っているのに、食の安全の問題があります。

 この点でも、与党、農水省は極めて対症療法的。まさに今の調整、調整で、時間がかかってどうしようもない状況の典型が、一つはトレーサビリティー。トレーサビリティーの義務化というのは、どこでだれがつくってだれに売ったか、これをきちんと記録に残す、このことによって、事故が起こった場合でも、今までいっぱい食品事故が起こっていますが、どこに原因があって、どこで問題になったのか、これがはっきりわかる。トレーサビリティーの義務化をしなければいけない。

 それから、加工食品の原料原産地の表示義務。今例えば、中国の野菜とか肉とか、これを原料として日本でギョーザをつくった、その場合、製造地は日本だということだけしか書かれない。原料が中国からのものであるというのが全然書かれない。

 あらゆる食品、あらゆる加工食品に関してそうなんですよ。そういう状況で消費者に食の選択を迫っているんですよ。こんなのはおかしいじゃないか。民主党は、全食品に対するトレーサビリティーの義務化と全加工食品に対する原料原産地の表示義務、これを法案として提出いたしました。

 しかし、与党・政府の方は、今まで全くトレーサビリティーにも原料原産地表示義務にも反対をしてきたわけですが、しかし、今度、事故米問題が起こったものですから、米に関してだけトレーサビリティーを義務化する、米に関してだけ原料原産地表示義務を課す、こういう法案を出してきた。その前には、BSEの問題が起こったときに、牛肉についてだけトレーサビリティーの義務化をした。まさに、問題が起こるとその点だけをやる。

 先ほど申し上げた、いろいろな業界との調整とか、官僚内部の調整とか、政治家との調整とか、そういうのを全部一生懸命やって、なかなかそこで一致しないものですから、そんな小出しのことをやっているから、日本の食の安全というのは国民からも信頼を得られないんですよ。

 だから、今度、米に関してのトレーサビリティーと原料原産地表示義務を出してきましたが、これは、それだけに限定するのじゃなくて、全食品、全加工食品に広げるべきではないですか、石破さん。

石破国務大臣 それが一番望ましいことは確かでございます。できればその方向に向けてあらゆる努力が払われるべきだと思います。

 他方、これも委員もう十分御案内のことですが、生鮮食品については、それはすべて今義務づけられておるわけでございますね。

 しかしながら、加工食品についてはどうなのだろうか。そのときそのときに仕入れ先が違うというものはいっぱいございます。法定義務化をしたときに、それをどうやって実効あらしむるかということをきちんと確立しなければ、法定義務化をしてもそれにたえられる状況になりません。そして、食品加工業者というのは極めて零細な事業者が圧倒的多数を占めておりまして、そこの負担をどうやって軽減するかという議論もしていかねばならぬでしょう。そしてまた、国際的にすべての原料原産地表示を義務づけておるということはないわけでございまして、輸出国の立場というものをどのように考えるかということも議論をしていかねばなりません。

 消費者の安全のためにすべてが表示をされるべきだということは、べき論としてはそのとおりでございます。それに向けて、どのような問題があり、それをどのようにして解消していくかということをまた委員と議論させていただきたいと思っております。

筒井委員 そういう除外規定の問題とか例外規定の問題とか技術的な問題は当たり前でしょう。原則をきちんと打ち立てるべきなんです。そして、家族だけで、夫婦だけでやっているお店とか、そういうのは除外規定、例外規定の問題ですよ。そういうことがあるから全食品にトレーサビリティーを義務化できないなんということは全く言えないんですよ。そんな例外規定は当たり前。こっちも認めていますよ、今度の法案で、そういうのは例外規定、除外規定として。そんなことを理由に、難しいからなかなかできないんだと言っているところに、まさに今の自民党の政官業癒着というか、官僚政治の象徴的なあらわれが出ているわけなんですよ。

 大体、今、EUは実際にもう何年も前からやっているでしょう、トレーサビリティーの義務化を。それで何の問題も起こっていないし、かえってそれが食の安全に対する評価を高めているわけですよ。

 理想は全食品のトレーサビリティーの義務化だ、しかしなかなかできないから将来の問題だ、そういうふうに先送りばかりしているところが問題なんですよ。今すぐできるでしょう。今度、米のトレーサビリティーの法案をもう国会に出したわけですから。早急にこの国会で全食品のトレーサビリティーの義務化、加工食品についての原料原産地の表示義務化の法案を出すつもりはないんですね、それはもうあきらめているんですね。

石破国務大臣 それは、EUで委員がおっしゃるような制度がすべて行われていると私は承知をいたしておりません。仮にEUですべてのものについて委員がおっしゃっているようなことが可能であるとせば、それは我が国において不可能だと言うことは難しいと思っております。そこはよく研究をさせてください。(筒井委員「研究」と呼ぶ)いやいや、研究をさせ、よりよい法案をつくっていかねばならぬのですから。

 それから、私は、御党に限らず、多くの方が委員がおっしゃるようなことを御指摘なさいます。そうあるべきだと思います。そこへ向けてなおできることがあるとするならば、それは消費者の安全のために、安心のためにやっていかねばならぬことだろう。

 他方、では除外規定を設けますということが本当にそんなに軽々しく行われていいのか。どういう場合に除外をするか、その場合に責任はだれが負うのかというところまで、委員は法律家でいらっしゃいますからよく御案内と思いますが、そこもよく詰めていかねばならないことでございます。(筒井委員「詰めて法案を出してくださいよ」と呼ぶ)ですから、そのときにどういうような責任を負うのかということについて、私、まだ十分得心をいたしておりません。政府として今回出します米のトレーサビリティー法案が最善のものと考えておりますが、これから法案の審議の過程において、よく委員の御意見は承りたいと存じます。

筒井委員 時間がありませんので、鳩山総務大臣にもお聞きしたいものですから、そっちの方についてお聞きをいたします。

 鳩山大臣は、この前の予算委員会で郵政民営化についてこう答弁をされておられます。「郵政民営化というものの改革の全面的な見直しというものはまた聖域なくやっていこう」、中略しますが、「国に戻す、郵政省がやるとか郵便事業庁がやるというのでなければ、聖域なく、光と影の影の部分を除去するためにはどんな見直しをやってもいい、こういうことで私は対処しようと思っております。」つい最近の話ですからもちろん御記憶はあると思いますが、要するに、国営に戻すものでなければどんな見直しをやってもいい、そういう形で対処しようという方向を明確にされたわけでございます。

 四分社化になっておりますが、この四分社化が一番の害悪ですよ。四つに分けちゃった。窓口会社と郵便事業会社と分けちゃった。あれで窓口会社が原則としては郵便物を取り扱えなくなっちゃった。物すごい不便ですよ、郵便局に行ったって。そして、以前から、田舎の郵便局というのはみんな赤字なんですよ、それを貯金、簡保の全国的な利益からそっちの赤字の方を埋めていた。あれはしかし、全く四分社化をしていってしまえば、もうそういうことも完全に不可能になる。そうしたら、地方の郵便局はどんどんなくなるのが当たり前の話でしょう。

 あの当時、竹中平蔵さんが何と言いましたか。過疎地の郵便局は一局たりともなくしません、ますます今までよりも利便性が向上します、経営の自由度も増します、従業員のやりがいも強まります、こういううそを言っていたんですよ。ところが、どうですか、もう集配局は千局も廃止ですよ。それは前もって予測が当然できるわけですよ。田舎の郵便局は赤字で、分割して株式会社になれば、赤字の部分はリストラするのが当たり前の話でしょう。だから、四分社化が一番の間違いなんです。

 これを、例えば、窓口会社と郵便会社とを統一させる、他の貯金会社、保険会社との連携を強化する、三事業の連携強化、一体化の方向で見直す、これが必要だと思いますが、そういう方向も今度の見直しの対象には選択肢として入っているんですね。

鳩山国務大臣 郵政に関しては、かんぽのこと以外は余り言うなと言われることがよくあるんですけれども、率直に申し上げて、郵政民営化という巨大な改革があった、私も賛成をした。ただ、私が一番不安に思ったのは、郵政というのは国民がつくってきた一つの文化ではないか、地域コミュニティーの中心には大体特定局長さんたちというのがおられたのではないか。私は、効率も大事だけれども、そういう文化が破壊されるようなことがあってはならない、そのことばかり考えてまいりました。

 巨大な行政改革でありましたから、当然、光も強ければ影もかなり強く出てきていると思いまして、その影の部分を取り払うために見直しをやる。郵政民営化委員会の皆様方にもるる御議論をいただいておりますし、また私の仕事でもある。その場合に、見直しの範囲というのは何も限定する必要がない。どこかに影があれば、この影を薄くする、あるいはなくすために努力をするわけでありまして、国営に戻す、郵政省に戻す、郵政事業庁に戻す、郵政公社に戻すということはしませんが、それ以外のことについては、聖域なきというんでしょうか、ここは触れちゃいかぬということはなく見直していきたいというのが私の基本的な方針でございます。

 したがって、四分社化ということで進んでいるわけでございまして、そこでもいろいろな影が出ていますね。例えば、郵便局長さんたちが知り合いでも集荷できないとか、配達員の方が貯金を預かることができないとか。私もいろいろな郵便局を見てまいりますが、これは、壁をつくってあったりつくっていなかったり、いろいろ複雑な様相も示している。

 そういう中で、土曜日も小郡郵便局に参りましたら、集配の方が一生懸命、土日なしに頑張っておられる姿を見ると、まことに皆さん頑張っているなと思いますので、そういう方々が働きやすい職場でなくてはならないと考えますと、それは今後の会社の形態をどうするかということも当然見直しの範囲内ということになります。

筒井委員 その方向で検討しなければ、郵便のネットワーク、国民の財産でありますが、それが崩壊をしてしまうというふうに思いますので、それをぜひ進めていただきたい。鳩山さんは郵政見直しの担当大臣ですから、鳩山大臣は間違いなく担当大臣ですから、それを進めていただきたい。

 ただ、今言われました四分社化について手をつけるとなると、法律の改正が必要なんですね。だから、その法律の改正も選択肢の一つであるということでよろしいですね。

鳩山国務大臣 それは、法律の見直しということであれば、国会がお決めになることでございますから、幾ら提案をしても国会に認めてもらわなければいけないわけでございまして、会社形態も法律でありましょうし、あるいは、例えばですよ、例えば十年間の経過期間が切れますと、日本郵政は、かんぽ、ゆうちょの株を全部売ることになっていますね。全部売って、完全に、表現は悪いんですけれども、糸の切れたたこというのかな、その状態になっていいのか。そのときに、ゆうちょやかんぽが局会社に今までのような委託をしてくれなくなったら局会社はどうなるということもありましょうから、そういうことももちろん法律の中身でありましょうから、当然、法律を含めて民営化の議論を進めていくということだろうと思います。

筒井委員 もちろん、法律を国会に出されて、国会の方でどう決めるかは国会の問題ですが、担当大臣として、その法律の見直しを含めたものを提出することも選択肢の一つだ。

 そして、今の株の売却の問題を言われましたが、株を完全に四社全然関係なくしちゃうと、まさに今度のかんぽの宿みたいな問題が起こっちゃうわけですよ。まさに、オリックスの宮内さんなんというのは一部の関係者ですが、関係者があのことによって譲渡を受けるという、これはおかしな形です。

 私たちが危惧したのは、例えば、貯金株式会社、保険株式会社、これが外資によって買収される危険性もある、こういうのも防がなきゃいかぬ。だから、そのためには、やはり今大臣言われました、三事業連携を強化していく見直しをしなければいけないし、そして株の売却も、全部それぞれ完全に別個にしちゃうんじゃなくて、関係を持った、株式上の関係も維持した形にしなければいけない。これも法律の改正が必要だ。その方向性を今言われたんだというふうに私はお聞きしましたが、それでよろしいですね。

鳩山国務大臣 例えば、よく言われる意見に、外資規制がかかっていないんじゃないですかということをよく言われますね。それは、もちろん、郵政民営化委員会の中で議論になるかどうかはわからない、国民の意見も聞かなくちゃならない。そういう事柄だって、当然、見直しの範囲内にはなります。

筒井委員 今、総務大臣はやはりはっきり言う人で、はっきりそれを言っていただきました。

 ただ、これは小泉分割・民営化の根幹にかかわることでございまして、この前、私は麻生総理とここで質疑をしたときに私の間違いが一つありまして、民営化の根幹が四分社化ではないかというふうに言いましたが、麻生さんはそれを否定されました。それは、そういうふうに言ったら麻生さんが正しいので、小泉民営化の根幹は四分社化なんですよ。それを、今見直すことも含めた検討をするということを言っていただいた。だから、根幹を変えることなんです。ただ、民営化そのものと四分社化は別なんですよ。それは麻生さんの言われたとおりなんですよ。民営化したって四分社化をしない、三事業一体のままでの民営化というのはあり得るんですから。

 だけれども、小泉・竹中の行った要するに小泉民営化路線というのは、その根幹というのは四分社化なんです。この四分社化を見直すということは、これは小泉改革を郵政問題に関しては根幹から見直すことになるんだ、これをやらなければ郵便事業の再生はあり得ない。

 それはいろいろな抵抗もあるだろうし、反発もあるだろうと思います。民主党もその方向で頑張るというふうに決めております。ぜひ総務大臣もその方向で頑張っていただきたい。このことを申し上げて、ちょっと時間があるかもしれませんが、きょうはこれで終わります。

衛藤委員長 これにて筒井信隆君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 きょうは、まず、採用内定取り消し問題についてお聞きをいたします。

 ことし一月二十三日に厚労省が発表した新規卒業者の採用内定取り消し状況によりますと、二百七十一事業所で、高校生から大学生まで、千二百十五人が内定取り消しされています。過去最多だった九七年は千七十七人でしたから、年度途中でありながら大きく上回っている。これまでの最高なわけです。

 同じく厚生労働省が発表した昨年十一月二十五日現在の内定取り消し状況は、八十七事業所、三百三十一人でしたから、事業所で三・一倍、人数で三・七倍、急激にふえているわけでありまして、これは文部科学省の調査でも、調査を行うほどに数がふえていくということで、大変事態は深刻だと思います。

 厚労省が出しています新規学校卒業者の採用に関する指針というものを見ますと、「採用内定取消しは労働契約の解除に相当し、解雇の場合と同様、合理的理由がない場合には取消しが無効とされる」とあるわけです。

 そこで、まず厚労大臣にお聞きします。内定取り消しに遭いながら、その後、就職先の確保ができたのはどれだけありますか。合理的理由がなく取り消しを行っている事業所、すなわち取り消し無効となったのは何件ありますか。また、内定取り消しによって、再就職活動を余儀なくされた人、留年を決意した人など、何名になりますか。御答弁ください。

舛添国務大臣 先ほど石井委員が引用いたしてくださった一月二十三日現在の二百七十一事業所、千二百十五名の事案ですけれども、この一月二十三日現在で、内定取り消しの理由を見てみますと、倒産によるものが四十三事業所で三百二十一名、経営の悪化によるものが二百十八事業所で八百八十一名となっております。その内定取り消しからまたもとに戻ったということについては、これは最終的には司法の手続を経ないといけませんので、今のところ件数の把握が困難でございます。

 今後とも、さまざまな施策を講じまして、内定取り消しがないように、またそして内定を取り消された学生の皆さん方の就職支援に全力を挙げて、これは文部科学省とともに取り組んでまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 私がお尋ねしたのは、採用内定取り消しのうちどれだけ就職が確保できたのか、そしてまた、対策が必要な学生はどれだけいるのか、そういうことをお聞きしたんですが、つかんでいないということですね。私はこれは大変問題だというふうに思います。それでは何のための取り消し調査なのかと言わなければなりません。

 大事なのは、そういう数字がない場合に、では、厚労省として具体的に就職を確保ということでは、対応できない、していないということになるわけですね。結局、今、具体的には、その対応というのは各大学や高校任せになっている、あるいは企業にお願いをする、そういうことにとどまっているわけです。これで一体、内定取り消しに遭った生徒学生の就職保障とかあるいは生活支援ということができるのかどうかということが問題だと思うんですね。

 厚労省の見解を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今すぐ数字が出せないということを申し上げましたけれども、実は、就職先の確保ができているかどうかを含めて、この一月の十九日に職業安定法施行規則の改正を行いまして、これによりまして企業指導の強化を図る、そして今現在実際どれぐらいの就職先の確保ができているかを確認作業中でありますので、これが出次第またお伝えをいたしたいというふうに思っています。

 そして、とにかく、冒頭委員がおっしゃったように、内定取り消しというのは最高裁の判例で見てもこれは無効ですから、絶対やらないでくださいと。

 そのために、新規に採用された方を内定取り消ししないでちゃんと採用していただく。そして、例えば休業とか教育訓練に出させていただけば、これは雇用調整助成金の対象となりますから、八割までは国が見ます。それから、仮に、企業が倒産したので内定取り消しになってしまったというケースの学生さんがおられれば、そういう学生さんを採用してくださった企業に対して、一人につき百万円という助成金を出すというようなこともやっておりますし、それから、企業名の公表も含めて徹底的な指導の強化をしたいということで、我々も今後ともそういう努力を続けていきたいと思っております。

石井(郁)委員 厚労省の指針にはこういうふうに書かれています。「特に、採用内定取消しについては対象となった学生及び生徒本人並びに家族に計り知れないほどの打撃と失望を与えるとともに、社会全体に対しても大きな不安を与えるものであり、決してあってはならない重大な問題です。」私は、今の御答弁を伺っても、重大問題と言いながらも、政府はこの重大問題にふさわしい対応、取り組みになっていないと言わざるを得ないと思うんです。

 では、伺いますけれども、内定取り消しを行った企業については公表するということが言われていますが、どういう基準で公表されますか。また、いつ公表されるんでしょうか。

舛添国務大臣 こういう問題については労働政策審議会がきちんと答申を出します。一月の七日にその答申をいただきまして、関係省令の改正を行い、一月十九日に公布、施行したところでございまして、その中身について、どういう企業について公表するか。

 まず第一に、内定取り消しが二年以上連続して行われたもの、二番目に、内定取り消しの対象者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除き、同一年度内において十名以上の者に対して行われたもの、第三に、事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに行われたもの、第四に、内定取り消しの対象者に対して内定取り消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったときや就職先の確保に向けた支援を行わなかったときのいずれかに該当する場合については、学生生徒等の適切な職業選択に資するよう、その内容を公表することができるとなっております。

 こういうことで抑止効果が期待されると思っておりますし、公表の時期につきましては、遅くとも大学生の採用面接など実質的な選考活動が始まるまでにはということでございますので、三月中に公表することを検討してまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 二年連続とか十名以上ということになると、本当に極めて甘い基準と言わざるを得ないんですね。九名では公表にならないということにもなるわけです。指針というのは一人の取り消しもあってはならないということではありませんか。私は、この基準も現状に合わない、見直すべきだというふうに一つ思います。

 そして、公表の時期ですけれども、三月中にはという話ですが、やはり早く公表すべきだというふうに思うんですね。今出ているケースでいいますと、来年四月以降の仕事がなくなったからということで、一片の通知で内定取り消しを行う、こういうことも言われています。また、学校の進路指導部から職安、県教委に報告したら次の日には撤回された、こういう事例も出ているわけですね。だから、いわばこれほど安易に取り消し、撤回等々が現場では行われているということがあるわけです。調査をすればするほど内定取り消しというのはまた拡大もしているという問題です。土曜日でしたか、高校生の取り消し状況は一・四倍にもふえているということもありました。

 ですから、それにストップをかけるためにも、政府は確固とした姿勢を示すべきだというふうに思うんですね。早く公表して、そして就職確保のために全力を挙げるべきだと思いますが、この二点、いかがですか。

舛添国務大臣 先ほどの答弁で強調して言ったことは、いずれかに該当する場合、したがって、たった一名の内定を取り消ししても、それが例えば事業活動の縮小を余儀なくされているとは認められなかったら公表されるわけですから、これはきちんと審議会の専門家の皆さん方に議論をしていただいてまとまったことであって、一名であろうと、そういう要件が一つでもかかれば厳しくやるということであります。

 それからもう一つは、公表時期について、これはかなり厳しい指導をやっていますので、指導をすることによって内定取り消しをしそうなところはとめるということになれば、むしろそちらの方がいいわけですから、そういうことも総合的に考えてということで期間の設定をしております。

 そして、私自身が経団連に対して、内定取り消ししないでくださいと直接お願いをしてありますし、ハローワークにおきましても、内定取り消し事由を確認する、内定取り消しの撤回をやるということで徹底的に指導して、先ほど委員おっしゃったように、本当にこれは若者や家族に大きな打撃を与えますので、強力に指導していきたいと思っております。

石井(郁)委員 決してあってはならない重大問題だ、法律違反だ、こういうふうに言いながらも、これまでのところ、厚労省、文科省の対応というのは私は極めて甘いものがあると言わざるを得ません。企業への指導をもっと強化するということと同時に、やはり本腰を入れてこういう生徒学生たちの就職保障、生活支援にもきっちり取り組むべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 次の問題ですけれども、高校生の学費の問題です。

 経済不況、雇用情勢の悪化に伴って、高校生が卒業を目前にして授業料が払えず卒業できない、あるいは中途退学をする、深刻な問題が全国で起きております。これは大きな社会問題ともなっています。

 まず、高校教育の意義について、これは今官房長官がいらっしゃいませんので、ぜひ文科大臣に御答弁いただきたいと思いますけれども、確認をしておきたいと思います。

 子どもの権利条約の第二十八条、教育への権利というところがありますが、そこで中等教育について述べています。これは日本では高校教育というふうに読みかえていいわけですが、「種々の形態の中等教育の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。」と。

 官房長官がいらっしゃいましたのでお願いしますけれども、通告をしておりましたので。これは日本の政府も批准をしている国際条約ですから、遵守の義務があるわけですね。憲法もひとしく教育を受ける権利を保障しているところでありますから、経済的理由で高校教育から排除される子供を出してはならないということだと思いますが、官房長官の認識を伺いたいと思います。

河村国務大臣 今、高校教育に関する基本的な認識を聞くというふうなお話だったと思います。

 教育の機会均等というのは、日本の教育の考え方の一番基本にあるところでございます。どうしても義務教育だけを考えるわけでありますが、当然、高等学校教育等についても、その考え方は広く日本政府としてとっていかなきゃいかぬと思います。特に、家庭の経済状況等によって修学の機会が失われるということは、何としても避けなきゃいかぬというふうに考えております。

 御指摘がありました児童の権利に関する条約の第二十八条の1(b)の規定は、締約国に対しまして、中等教育の発展を奨励して、すべての児童に対して、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるようにするために、締約国はその裁量によって適当な措置をとることを義務づけておるところでございます。そのような措置の例示として、無償教育の導入、あるいは必要な場合における財政的援助の提供というものを示しております。

 日本の高等学校教育については、御案内のように、必要な場合における財政的援助の提供として、すべての都道府県におきまして、経済的理由によって修学が難しい高校生を対象に、公立学校の授業料の減免であるとか、あるいは授業料などの減免を行う私立高校への補助を行う奨学金事業制度、これを実施しておるわけでございます。特に緊急的なものについては、それをきちっと対応するようにというところをやっておるわけでございまして、こうした支援を通じて、高校生、子供たちの修学の機会の確保ということについては最大の努力をしてまいりたい、このように思っております。

石井(郁)委員 高校教育がもう世界では無償導入という原則で行われていますように、やはり社会の発展にとっても、個人の社会への参加にとっても極めて重要だし、すべての高校教育を受けたいという子供たちに保障するというのは、私は政府の責任だと思いますし、日本ではとりわけそれが重要になっているというふうに思うんですが、今起きていることは、そういう高校教育から経済的理由で排除される子供たちが多数生まれつつある、この現実なんですね。

 これは、二月十日に日本私立中学高等学校連合会が調査をいたしました、私立高校における授業料滞納状況についてということでしたけれども、十二月三十一日現在の時点で、授業料滞納者が二万四千四百九十人に上っている。生徒に占める割合、全生徒数の二・七%にも及んでいる。十九年度末の滞納者の三倍です。これは驚くべき数字だと思うんですけれども、ブロックごとに見ますと、九州ブロックでは五・七%です。北海道東北ブロックでは四・五%に上っているんですね。昨年九月に全国私立学校教職員組合連合会が行った調査では一・四七%でしたから、この時点のほぼ二倍であります。急激にふえています。

 私、グラフにしてみたんですが、二〇〇〇年からの分なんですけれども、大体一%の前半だったんですが、二〇〇八年の十二月、年末には三%近い、こういう急激なふえ方なんですよ、二・七。これは大変なものだと思うんですね。

 私は、この状況に対する対応というのは政府としてどう取り組まれるかということがあるんですけれども、一つは、私立中学高等学校連合会の調査でも、経済的理由による高校中退の数というのが入っていないんですよ。中退の数が入らないでこれだけの数字になっている。滞納者二万四千四百九十人ですよ。

 私は、まず、文科省として、国公私立の経済的理由による高校中退を含めた学費の滞納状況の緊急調査を行うべきだ、そして対応を考えるべきだと思いますが、いかがですか。

塩谷国務大臣 お答え申し上げます。

 ただいまの私立中学高等学校連合会の調査につきましては、滞納状況が今回示されたわけでございまして、中退者は含んでおりませんので、おっしゃる点を検討して、中退者といわゆる滞納者という形で今後どう調査ができるか、また検討してみたいと思っております。

 やはりかなりの、今回の今お示しいただいた滞納者の数がふえておりますので、その点を注意深く検討して、対応していかなきゃならぬと考えているところでございます。

石井(郁)委員 実は、文科省はこういう基礎的なデータ、調査というのをこれまでしてきていないんですよ。私は大変問題だというふうに思っているところです。でも、今調査するという御答弁でしたから、ぜひそれは文科省としておやりいただきたいと思います。

 現場はどういう状況か、ちょっと二、三例を申し上げたいと思います。

 これは北海道の私立のA高校の場合ですけれども、学費の滞納者、平成十九年度は三十二人でした。それが、平成二十年度は四十五人。全生徒数の一三%から一七%に上っている。その中で、生活保護世帯は、平成十九年度十一名だったのが、二十年度では二十人と約倍ですよ。生活保護世帯については、保護費から直接家庭に支払われている就学費九千九百円をそのまま学校に納入してもらうということにしていますけれども、その分が滞納だ。つまり、就学費が生活費に回っているんですね。

 神奈川県のB高校の場合、聞いてみました。

 前年度三〇%増しの百六十一人が学費未納です。未納額も、学校として千八十万円に上っている。経営上も大変ですけれども、卒業間際の三年生で滞納している人が六十五人もいる。卒業させるために学校として対応に追われる、何かしなければいけない、こういう状況であります。

 公立高校も同じような実態をいろいろ伺うことができるわけです。

 そこで、文科省に伺いますけれども、授業料未払いによって卒業できない生徒をなくす、こういう緊急施策、緊急対策をとるべきではないかと思いますが、この点いかがですか。

塩谷国務大臣 経済的理由によって修学困難な高校生に対しては、現在、すべての都道府県において、公立学校授業料の減免を行うとともに、奨学金事業の実施をしているところでございます。

 また、都道府県による私立学校が行う授業料減免措置への補助に対して、文部科学省が私学助成としてその一部を補助しております。

 雇用状況が大変悪化している昨今でありますので、一人でも多くの高校生ができるだけ授業料減免措置や奨学金事業を活用して学業を継続していくようにする必要があるわけでございまして、この点については、文部科学省から、これらの施策について生徒や保護者に周知すること、これはなかなか知られていない点があって、本人あるいは家族もこれを知ってそういう措置をとっているところがありますので、まずは周知させるということで、昨年の十二月二十二日と本年の二月十三日に周知したところでございます。

 また、平成二十年度の第二次補正予算において地域活性化・生活対策臨時交付金が計上されておりますが、各都道府県による私立学校が行う授業料減免措置への補助の財源としても積極的に活用されるよう、文部科学省から各都道府県に対して情報提供を行ってきたところであります。

 また、二十一年度予算では、都道府県による私立学校が行う授業料減免措置への補助について、国庫補助の予算額を増額するとともに、授業料減免事業に係る新たな地方交付税措置が講じられることになっているわけでございます。

 文部科学省としても、学ぶ意欲のある高校生が経済的理由によって修学を断念することのないように、支援に努めてまいりたいと思います。

石井(郁)委員 生活の実態は本当に厳しいものがあると思います。

 これもお聞きしましたところ、昨年十一月、単身赴任の父親が突然リストラで解雇、母親は幼い弟妹の世話で仕事をしていない、現在住んでいるアパートの家賃もめどが立たない状況だ、だから学費の支払いも絶望的になり、自主退学をしたという生徒です。

 公立高校でも、父親が派遣切りされ、母親の派遣の収入で暮らしているけれども、家族六人十万円の生活だ、高校生二人の授業料が何とかならないかという相談が出てくる。

 また、父親の会社が倒産する、自分もアルバイトをしているが授業料を払えない。今は高校生がアルバイトしているんですね、家計のためにアルバイトしている。そういう状況です。

 また、家計を支える母親が昨年末パートの契約を更新してもらえず無収入になって、勉強が続けられない。

 挙げればいろいろございますけれども、こういう実態に、今の御答弁で減免があると言われましたけれども、どうですか、きちっと対応できますか。

塩谷国務大臣 大変厳しい状況の中で、授業料減免等については、我々としては、先ほど申し上げましたように、都道府県等、あるいは学校、個人に周知するようにお願いしておりますので、対応はできると思っておりますが、それ以上に、経済が厳しい中で、授業料だけじゃなくて生活費のこともあると思いますので、もう少し総合的にこの点は考えていく必要があるとは思っております。

石井(郁)委員 減免は、各都道府県、自治体によって行われておりますけれども、実は、その基準もいろいろあるんですね。

 そこで、文科大臣に最初に報告していただきたいんですが、自治体の条例によって公立、私立学校、高校の授業料免除が行われていますけれども、その現状というか、どうなっているか、把握していらっしゃるでしょうか。

塩谷国務大臣 今委員がおっしゃったように、この減免の基準につきましては、各都道府県が地域の実情に応じて条例等によって定めているわけでございます。

 基準の例としては、それぞれあるわけですが、例えば父、母、高校、中学校、四人の世帯のモデルケースで、収入額で決めているところがあります。北海道の場合は四百三十万円以下。あるいは、所得額が二百五十万円以下という、これは千葉県の例でありまして、また、住民税所得割非課税額以下としている県ということで大阪府があるわけでございまして、それぞれの条例で規定をされております。

 そういう条例については把握をしておりますが、大体押しなべて、現状を見ると、そう極端な差はないと感じておりまして、いずれにしましても、この授業料等は、設置者が授業料を決めることになっておりまして、それに基づいて都道府県が決めておりますので、そういう状況を一応把握する中で、私ども、授業料減免あるいは奨学金の事業を行っているところでございます。

石井(郁)委員 今、幾つかの県の減免の基準額をおっしゃっていただきましたけれども、実は、これはすべての都道府県の基準を文科省としては把握すべきだと思うんですが、これまでしてこなかったんじゃないですか、この点も。

 実は、今お示しいただいたのは、私がぜひ、どうなっているか、サンプルでもいいから、モデルケースでいいから調べてほしいということを強く要求をして、幾つか出していただいたということなんですね。

 しかも、これは公立の一部ですよ。私立の場合はどうなっているのかというのはわかりません。ですから、この点も、文科省としてきちんと、やはりすべての都道府県についてのデータを出していただきたい。それもないというのは、私は余りにも国の教育行政としては怠慢だと言わざるを得ないわけであります。

 問題は、大臣は御答弁でそんなに差がないとおっしゃったけれども、これはちょっと違うんじゃないでしょうか。答弁いただきましたように、減免基準には大変なばらつきがあります。北海道は四百二十七万円以下で、減免者が実は一四・六%あるんですね。それでも申請には厳しい、漏れる生徒がいらっしゃるわけです。千葉県の場合は二百五十万円以下のことですから、これは余りにも厳しいんじゃないでしょうか。実際、減免者は六・八%しかありません。

 そのもとで、去年、皆さんも思い出していただきたいんですけれども、ある高校では、入学金を払わないので入学式に入れないということが大変大きな問題になりました。

 私学の場合、私費負担が数倍ですから、私学はもっと実は深刻なんですね。

 神奈川県では、授業料減免というのは、授業料平均四十万六千三百十一円で、減免額は十六万二千円。これは到底おぼつかない。二十五万円も足りません。

 私学も地方によって大変なばらつきがございます。先ほど、私立中学高等学校連合会の調査で、平均は二・七%だけれども、九州のブロックでは滞納率五・七%という結果をお示しいたしました。九州各県の私学授業料助成というのは極めて少額なんですよ。全国では均等割非課税世帯に対して全額補助というところもありますけれども、九州の場合は、ある県で十一万五千二百円ぐらいの補助です。全額とこれぐらいの差がある。北海道東北ブロックでもそうです。北海道では、三十三万円の授業料に対して十八万円しかありません。こういうばらつきなんですね。

 私は、こうしたばらつきというのは、やはり授業料補助に対する国の責任ということを長いこと放置したからではないのかと言わざるを得ません。国の責任で、こうした授業料滞納など経済的理由で卒業できない、こういう生徒をなくすべきだと思いますが、この点では、大臣、いかがでしょうか。

塩谷国務大臣 大変、今いろいろな例をお話しいただいたわけですが、個々の高校の場合、例えば私立高校等、それぞれ授業料はその法人で決めるわけですし、また、地域において、各都道府県で条例で決めておりますので、確かに、先ほどちょっと申し上げました、そんなにばらつきはないというのは、基準的には、例えば、先ほど収入と所得の差が四百三十万と二百五十万とありましたが、収入の場合は税引き前の話でありますので、そう考えてみると、数ではそう差がないということをちょっと申し上げましたので、ちょっと誤解を生んだかもしれません。

 ただし、かなりいろいろな状況があります。そういった点では、委員の主張としては高校の無償化ということだと思いますので、したがって、そういうことも、今後私どもも、いわゆる教育費に対する家計の負担というのはどうあるべきか、そういった基本的な考え方も入れながら、私ども、検討してまいりたいと思っております。

石井(郁)委員 一言だけですけれども。

 年度末に向けて、ある調査によれば、二千五百人から三千人くらい卒業できない生徒が生まれるんじゃないかということもございます。私は、すぐ無償化ということをしてほしいんですけれども、今、差し当たり、国が授業料の助成をする、こういう施策をとるべきだというふうに思うんですね。年収、いろいろ限ってでもいいんですけれども、私どもはそういう提案をしたいと思っています。

 学びたい、高校を卒業したい、こういう子供たちの意欲と希望にこたえるのは、これは政治の責任だというふうに思いますので、強く求めて、質問を終わります。

衛藤委員長 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 きょうは、財務大臣それから外務大臣、防衛大臣に御質問をしたいと思います。

 まず、財務大臣だけと違いましたですね、三つあって長いからちょっと割愛させていただいて、まとめて与謝野大臣とお呼びさせていただきたいと思います。

 大臣、昨日、私も朝のテレビの報道、御出演なさっているのを拝見いたしまして、その中で大臣がインタビュアーにお答えになりまして、消費税ゼロにすることも検討に値するんじゃないかという質問をお受けになりまして、それで、検討してみるというようなお答えをされたんです。

 これは大臣がよく御存じの学者の方もおっしゃっているというようなお話でございましたけれども、検討するということを拝見いたしまして、どこで、どのように検討されるおつもりか、まず最初にお聞きしたいなと思います。

与謝野国務大臣 私、直観的には多分だめであるであろうというお答えをして、しかし、田原さんが言っておられるので、一応検討はしてみましょうということですが。

 直ちにわかりますことは、五%の消費税をやめたといたしますと、大体、国、地方を通じて十四兆の減収になります。まず一つは、財政に大きな影響がある。それからもう一つは、十四兆が仮に個人の手に残ったとして、一体幾ら消費に回るのか、そういう問題がありまして、経済、景気に対する効果からいって、田原提案をうのみにするわけにはなかなかいかないという問題もあります。

 それから、日本は租税法定主義ですから、税というのは法律で決めなきゃいけない。仮に、消費税をゼロにしますというようなことを決めたとしますと、決めるまでの数カ月間は買い控えということが起きて、実際は、経済に対して極めて大きなマイナス効果が生ずるということで、あの御発言は、経済効果としてという限定つきですから、経済効果はそうはありませんとお答えせざるを得ないと思っております。

辻元委員 最後にまた、でも検討するんですねと言うと、はい、検討いたしますと公言されたわけですよね。それで、きょうも、言葉一つ一つは大事なものであると、与野党超えて。私、ちょっと驚いたわけですよ。大臣は消費税を上げなきゃいけないとおっしゃっていたので、検討するという思い切った御発言をされていたと。

 今、御見解は伺ったんですけれども、検討するとおっしゃったわけですから、検討は続けるということでよろしいんですね。

与謝野国務大臣 直観的にはだめだと私は思いますということは正直に申し上げたんですけれども、そういう御主張をされるのでしたら、一応、問題としては引き取って、検討しましょう、こういうことでございます。

辻元委員 テレビでのリップサービスだったのかというような印象も今のお答えを聞いていると受けるんですけれども、それぐらい日本の経済は、あらゆる選択肢を検討しなければいけない事態になっているという大臣の御決意かしらというように私は思ったわけです。

 さて、そういう中で、大臣は十日の参議院の財政金融委員会でこういうようなことをおっしゃっているんですね。この十年間の自民党の政策は、外国から輸入したものを無理やりに移植してきたのではないか、そして、この十年間の経済界の動きは、決して我々が目指している社会ではないと指摘されたようなんです。このおっしゃる外国から輸入したという外国というのは、どこのことを指していらっしゃるのですか。

与謝野国務大臣 特定という国ではなくて、新古典主義と申しますか、フリードマンのマネタリストの流れをくむ人たちの考え方を、余り批判的な精神なしに日本に持ってきたんじゃないかなという印象を持っております。

辻元委員 この十年間とおっしゃっているわけなんですけれども、大臣の御経歴を拝見しますと、小泉内閣でも経済財政担当の大臣を務められました。そして、安倍内閣では内閣官房長官をお務めになり、福田内閣では経済財政政策の御担当、そして麻生内閣では三大臣を兼務されるということで、私は、やはりきょうの閣僚の皆さん、いろいろ出入りされていますけれども、同じような人たちがこの十年、席がえだけしてやってきた十年だと思うんですよ。

 ですから、私は、大臣は評論家ではありませんので、そのうちの大きな責任を担っていらっしゃると思います。ですから、この十年間の御自身の責任をどのようにお考えか、そして、どの点を反省されているのか、お聞かせください。

与謝野国務大臣 私も自民党の一員でございますし、その間閣僚も経験しましたし、また、党の政策責任者をやっておりましたから、いろいろな出来事を人のせいにするというような立場はとりません。みずからの責任がある、そのように思っております。

 私が通産大臣時代に、やはり三つの過剰を解消する必要があると。一つは債務の過剰、あるいは人員の過剰、設備の過剰、こういうことを、三つの過剰ということで供給サイドの改革というものを非常に促したわけでございます。その結果、労働のフレキシビリティー、労働市場の流動化ということは確かに図られましたけれども、やはりその間、労働のセーフティーネットというものが失われてしまった。

 特にその中でも、これは北大の宮本太郎先生という方が指摘されているんですけれども、日本の社会が持っていたセーフティーネットの中で一番大きなものの一つは、やはり終身雇用だ、こういう指摘もされているわけで、我々としては、労働市場のフレキシビリティーということはある程度は進めましたけれども、そのセーフティーネットの部分で足りないところがあったのではないかということは、やはり政策をやっていく上で一つ省みなきゃいけないことだろうと思っております。

辻元委員 私は、今の御指摘もその一端だと思うんですね。トータルな政策のバックボーンになる理念がやはり違っていたんじゃないかなというように思っております。その理念から派生するさまざまな政策が結局行き過ぎたということだと思うんです。

 その中で、大臣が今回最初に本会議場で演説されたとき、経済有事だとおっしゃいました。そして、この有事を乗り切るためには、国民皆さんとの信頼と協力が大事だということをおっしゃったんですね。

 私は、今、支持率がどんどん下がっていますけれども、もう国民との信頼が今の政権は壊れちゃったんじゃないかというように率直に思っております。それはやはり、この十年間やってこられたけれども、席がえではもう無理だという一つの国民の皆さんの審判が下っていると思うんですね。ですから、このおっしゃっている信頼というのは壊れていると思います。

 私は、与謝野大臣が出てこられるときはいつも非常時で、安倍政権も崩壊直前にお出ましになって、またそういう感じかしらというようにちょっと思ったりもしておりまして、御就任になったばかりなんですけれども、率直におっしゃって、信頼は壊れているなと思っていらっしゃるんじゃないですか。いかがですか。

与謝野国務大臣 私は、正直言って、麻生総理のやっておられる政策は、間違った政策はないし、いい政策をやっておられると思いますし、与党も真剣にやっておられると確信をしております。

 まあ、言葉足らずのこともあったりして、御批判を浴びていることは正直に認めます。

辻元委員 私は、政策を運営する土台に信用がないんだと思うんです。結局、政権と国民のきずなが切れているんだと思うんですよ。この政権と国民のきずなは何かと言ったら、たった一つだと思うんです。自分たちの手で選んだということだと思います。

 経済有事で、これはだれが政権運営をしても、はっきり言うと非常に難しいと思います、今の経済を立て直すのは。しかし、国民の皆さんが、一緒に頑張ってくれというのならば、自分たちの手で選んだから一回この政権にやらせてみよう、それは失敗するかもしれぬけれどもという。そこがないから、どんな政策を打ってももうきかない。例えば、御夫婦でも友人関係でも、信頼関係が壊れちゃったら、何ぼプレゼントを上げても甘い言葉を言ってももう修復不可能という、あの状態に来ていると思います。

 ですから、信頼と協力ということを言うのならば、私は、やはりもう解散・総選挙をして、国民の皆さんに選んでいただくしか方法がないと思っているわけですよ。いかがですか。

与謝野国務大臣 今やれば皆様方が勝利すると思われているからそういう主張をされるのか、あるいは、本来そろそろ解散の時期であるべきだというふうにお考えなのか、また、ほかにいろいろお考えがあってのことか、どの立場で辻元先生がそういう質問をされているかわかりませんので、なかなかお答えしづらいということでございます。

 そして、一連の質問は、ぜひ、私にではなく麻生総理にしていただけないものかなということを思っているわけでございます。

辻元委員 残念ながら、きょうは総理がいらっしゃらないので。

 私は、ねじれ、ねじれと言われますけれども、衆参のねじれじゃなくて、政権と国民のねじれだと思うんですよ。ですから、そこを解消しない限り、私は、与謝野大臣は非常に御見識も御能力もお持ちで、どこが政権をとっても迎え入れたい人だと思いますよ。私たち野党がとっても、ぜひ来てくださいと。違いますか。しかし、土台が、国民の手で選んだというところがないから、大臣が一生懸命三つ兼任して走り回って頑張られても、届かないですよ。

 それで、もう一つ私、一度大臣にお聞きしたいと思っていたんです。これは一般論でも結構なんですけれども、やはり政治には緊張感が必要ですよね。やはり政権交代がある国の方が、私は政治がしっかりすると思うんですよ。いかがですか。

与謝野国務大臣 政権のありようというのは国民の御選択なので、どういう政権がいいか。我々は、自民党、公明党の与党としては今の政権を続けたいと思うのは自然な気持ちですけれども、しかし、それは自分たちの考え方であって、最終的には国民の御選択にゆだねる、それが本来の民主主義だと思っております。

辻元委員 国民の御選択にゆだねるとおっしゃって、きょうは、政権は国民が選択するものという御発言もされました。

 この間、いろいろな人が参加意識を持って、自分も一緒に日本の経済を立て直す、いい国にしていくんだという参加意識を持ってということも強調されています。その参加意識の基本がやはり自分たちの手で選んだということだと思うんです。この間、麻生総理の政策は御立派だとおっしゃるわけですけれども、国民を締め出してきたわけですよ、総理大臣を決めるのに。国民を締め出して、自分らだけで席がえをやってきたわけです。そこが根本の問題ですよ。

 ですから、私は、きょう総理はいらっしゃいませんけれども、与謝野大臣は今かなめになっていらっしゃいますので、そこの御認識をしっかりお持ちだと思いますけれども、うんと首を振られたんですか、そこの御認識を深めていただきたいと思いますが、いかがですか。

与謝野国務大臣 間接民主主義というのはこういうものであるのでございます。

辻元委員 苦しい答弁だと思うんですが。

 政権がかわると政策が変わる、これは当たり前だと思います、どこの国でも。オバマ政権でも変わっておりますね。ですから、経済政策も基本の理念が変わる。きょうは外交もやりたいので、一たんちょっと外交に移りたいと思います。外交の政策も変わって当たり前だと思います。

 そこで、先日、ヒラリー・クリントン国務長官がいらっしゃったときの、在沖縄アメリカ海兵隊のグアム移転に係る協定について、これを例にとって、政権がかわったら政策が変わり得るのかということをちょっと議論させていただきたいと思います。

 これは、日米のロードマップがありましたけれども、これの確認だということで、今こちらに協定を持っておりますけれども、一つは、グアムに海兵隊が移転するときの費用負担の問題、そして、グアムに移転する以前に、普天間の基地の移設を、辺野古沖に基地をつくるということに実質的な見通しをつけるという、それを全部パッケージで協定にしたという理解でよろしいですか、外務大臣。

中曽根国務大臣 内容については委員がもう十分御承知なわけでありますけれども、これは、二〇〇六年五月に日米間で決められましたロードマップにおける関連事項を確認して、そして、我が国と米国が実施をいたします在沖縄海兵隊のグアム移転の実施のあり方について定めたものでございます。今おっしゃいましたような普天間基地の移転の問題、それから嘉手納以南の土地とかあるいは施設の返還の問題等を含んでいるものでございます。

 このグアム移転そのものの協定にはそういうことは書いてありませんが、ロードマップそのものに基づいて、今回のグアム移転の協定を行ったものでございます。

辻元委員 ということは、まず、順番からいいますと、普天間の移転で、ロードマップに示されている辺野古沖の基地の建設に着手する、これが一番ですね、外務大臣。そして、それが着手されない限り、海兵隊もグアムに帰らないという理解でよろしいですか。

中曽根国務大臣 もう一度申し上げますけれども、二〇〇六年五月のロードマップに記載しておりますように、このグアムへの海兵隊の移転事業というものは、普天間飛行場の代替施設の建設を初めとする沖縄に関連するほかの再編案と相互に関連をしているものでございまして、二〇一四年までの在沖縄海兵隊のグアム移転の完了、それから普天間代替施設の完成の双方を達成するためには、それぞれの事業に係る所要の措置を同時並行的に行っていく必要があるというものです。

辻元委員 今、同時並行的と。これはいわゆるパッケージ論というものだと思うんですが、それではなぜ協定にする必要があったのかという点なんです。

 この協定というのは、国内法との関係でいえば、外国との取り決めで、憲法の九十八条に「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」ということを根拠にして、条約やその他の国際法規については国内法に優先するという解釈でよろしいですか。

中曽根国務大臣 憲法におきましては、今委員のおっしゃるようになっております。

辻元委員 ということは、この協定をお結びになったということは、いわゆるロードマップに規定されているようなことの中身に関する国内法が幾つかあります、環境アセスとか、それから知事の許認可権などがありますけれども、これよりもこの協定の方が、国際約束が優先するという理解でよろしいですか。

梅本政府参考人 法的な側面に関する御質問でございますので、政府参考人の方から御答弁を申し上げます。

 二〇〇六年五月のロードマップにおきまして合意をされたこととして、普天間の代替施設の建設及び普天間の返還、それからグアムへの海兵隊の移転、それから嘉手納以南の施設・区域の返還というものが、いわば先生がおっしゃったようにパッケージとしてあるわけでございます。

 この協定は、その中の海兵隊のグアム移転に関する部分について、しかもさらに、これは我が国が財政資金を出すわけでございます。そこについての法的枠組みを定めるものとして、この協定があるわけでございます。

 そして、憲法第九十八条の規定で、国家間の条約は国内法よりも上位であるというようなことはございますが、まさに今御説明いたしましたとおり、この協定は、我が国が財政資金を出すというところについての協定でございます。その適正な管理とか、そういうことを決めておりますので、ほかの環境影響評価であるとか公有水面埋め立てというような法律との関係というのは生じないということでございます。

辻元委員 防衛大臣にお聞きします。

 今、環境アセスをやっていますね。この環境アセスの結果いかんでは、辺野古沖に普天間の代替施設、新しい基地をつくるということがゼロベースも含めて不可能になる可能性もありますね。

 例えば、これはちょっとびっくりしますけれども、この埋め立てをしようとしているのが二千百万立方メートルなんです。これは十トントラックにしましたら土砂がどれだけ要るかといいますと、五百二十五万台分要るわけです。この五百二十五万台分の土砂をどこからとってくるかということがまだ示されていないわけですね。それについての環境アセスもされていない。

 そして、サンゴやジュゴンへの影響も強く言われているわけですから、防衛大臣、環境アセスメントの結果いかんでは、基地建設もここの場所には難しいなというゼロベースも含めて、そういう結果が出る可能性もあると考えていいわけですね。

浜田国務大臣 今、先生のお話は環境評価のというお話でありますが、今回の協定に関連しては、我々とすれば、合理的な理由がある限り、ロードマップというのはたどってやっていくということは変わりがないわけでございますので、そういった意味においては、まだ環境評価は出ておりませんので、今この時点で明快に御答弁することはできないということでございます。

辻元委員 何を言いたいかというと、協定は結んだわ、しかしアセスでこの地につくれないとなると、これはパッケージになっていますから、そうしたら、グアムにはお金を払っている、しかし海兵隊は帰らない、予算だけつけて払っている、しかし海兵隊は帰らない。そして、基地がつくれないから海兵隊が帰れないとなると、ここに基地がまずつくれなかったら、パッケージですから、海兵隊は帰らはれへんわけですから、お金は戻ってくるんですか、外務大臣。

中曽根国務大臣 政府といたしましては、今後、今委員がおっしゃいました環境影響評価、この手続を進めていくに当たりましては、現在もそうですけれども、地元と誠意を持って協議を行っておりまして、そして、ロードマップに基づいて普天間飛行場の移設、返還を着実に進めていく考えでありまして、普天間飛行場の代替施設の完成が不可能となるような事態は私どもは想定をしておりません。

 したがいまして、我が国政府のグアム移転事業のための資金提供がまた無駄になる、そういうことも生じることは想定しておりません。

辻元委員 防衛大臣はもう結構です。どうぞ退室してください。

 想定していないのは今の政権なんですよ、結局。これは、民主党さんも含めまして、地元の声をよく聞いて、辺野古に対しては非常に反対が多いので、県外移設を含めて検討するというふうになっているわけですね。これは地元の御意見をと、麻生総理も沖縄など地元の声に耳を傾けてとおっしゃっていますね。

 沖縄の地元の状況も変わったことを、外務大臣、御存じですね。沖縄で与野党逆転したわけですよ、県議会が。そして、沖縄では、ちょっと言います、社民党が野党第一党なんです。第二党が共産党、第三党が民主党。沖縄の次の知事の結果もわからないわけですね。そうしますと、この間、沖縄の県議会では、野党が辺野古への移設の反対決議を上げました。今、大臣が、地元の声をよく聞いて、辺野古沖に基地が建設されないというような事態は想定されないというのは現政権のお考えであって、これは選挙いかんではどういう政権ができるかわからないわけです。

 ですから、皆さん、お手元のお配りした資料を見てください。沖縄では、「頭越し」とか、この新聞記事ですね、東京中心の新聞には余り報道されなかったんですけれども、「県民の意向「封殺」」とか、物すごく大きく出ているわけです。これは結局、いろいろな新聞で論調が出ていますけれども、民主党が与党になったことを想定して、民主党というか野党がですね、「政権交代が現実味を帯びている。その前に移転協定を締結し、国会で成立させることで、新政権にたがをはめようとの意図も見える。」とか、「県民の声を無視するだけにとどまらず、自民政権末期に駆け込みで移転協定を締結することは、多くの国民への背信行為と言わざるを得ない。」これは琉球新報が言っております。そのほかも、選挙があってどういう政権になるかわからないから、この際たがをはめておこうかということで協定を結んでいるという論調がたくさん出ているわけですよ。

 一方、御存じでしょうか、グアムでどうなっているか。海兵隊を受け入れると言われているグアムで、グアムも今環境アセスをやっております。この環境アセスを終えることになっているんだけれども、その結果によっては沖縄の海兵隊の受け入れの状況が変わってくるというように、このグアムの環境アセスについてアメリカの会計検査院がかなり厳しい警告を、今こちらに私、会計検査院のレポートを持っておりますけれども、アメリカでもグアムに対しての移転について出ているわけですね。

 そして、これはつい先日ですけれども、グアムでも、この沖縄からの海兵隊を受け入れるかどうか住民投票をするということが、グアムの議会に提出されたと聞いております。これは副議長が提出されたと書いてあります。この人に私は先日お会いしました。グアムでも環境の問題、世界じゅう、今環境の問題が非常に重要になってきているわけです。ですから、新しい基地、山を切り開く、海兵隊を受け入れるということに非常に大きな、グアムの中でも、それから会計検査院も指摘を始めています。

 これで、日米の協定を現政権が先週サインされましたね。私は、非常に政治判断として軽率だと思いますよ。大臣、いかがですか。

中曽根国務大臣 まず、今、政権は自民党、公明党の与党によって担われているわけでありまして、私ども、将来の政権がかわるようなことを想定して、今政策をいろいろ実施しているわけではございません。今、責任を持って我々としては政策を実施しているわけであります。

 それから、この協定、私が確かに十七日にクリントン国務長官と署名をいたしましたけれども、これは、重ねて申し上げますが、あくまでもグアム移転事業の実施のあり方について規定をしたものでありまして、普天間飛行場の代替施設の建設については、ロードマップの内容を改めて確認したものにすぎないわけで、何ら新しい内容を規定するものではないわけであります。

 この点に関して、仲井眞沖縄県知事も十七日には、今回署名された協定はあくまでも日米両政府のロードマップの内容を再確認したものであるという認識である、そういうコメントを発出したと承知をしているわけでございます。

辻元委員 終わりますけれども、外交方針も、これをどうしていくかということは非常に重要なんですけれども、経済も外交も、沖縄の県議会の状況も変わっているわけです。与野党逆転があちこちで起こっているわけですよ。知事もこの間山形でかわりましたね。

 そうすると、今の民意はどこにあるかということを見て、先ほど与謝野大臣がどういう意図で政権交代の質問をされたのかとおっしゃいましたけれども、私はやはり、国民の方を見たときに、きちんと選挙で問い直して経済も外交も進めていくことが、日本にとって、日本を再生させていく上での一番重要なことだと思っておりますので、きょう質問いたしました。引き続きまた委員会で行いたいと思います。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて辻元清美君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は四十五分というお時間をいただきましたので、じっくりと議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 きょうは、自殺対策問題について議論をさせていただきたいと思います。

 最近の、経済情勢がどんどん急速に悪化してきている中で、これから雇用失業情勢の悪化というものが自殺の増加につながっていってしまうのではないかな、こういうことも懸念をしておりまして、今回の質問をするに当たりまして、月別の自殺者の最新データというものを検索していたんですけれども、内閣府の自殺対策推進室が今月公表したデータが平成二十年九月のものということで、経済が急速に悪化する前なんですね。こういうものが最新の情報だということでした。

 五カ月前のデータでは、今の現状というものを正確に把握して具体的な対策を打つということができないのではないかなというふうに思っています。私は、前回の集中審議のときに製造業の派遣労働者の実情把握について指摘もさせていただきましたけれども、やはり同じことが言えるんじゃないのかなというふうに思います。

 社会全体に警鐘を鳴らして、そして危機感を共有することによって、この具体的な対策を実行することが効果的な対策の土台になるのではないかなというふうに思うわけですけれども、きょう野田大臣にお越しいただきました。

 大臣、まず、自殺の実態、こういうものを早く公表することについて今どのようにお考えなのか、御見解をお聞かせいただけますか。

野田国務大臣 私は、昨年八月に自殺対策の担当大臣をさせていただいておりまして、まさに糸川議員がおっしゃったことを、自殺に対して一生懸命取り組んでおられるNPOや団体の皆様方からも御指摘があり、実態を本当に早期に把握して、そしてその実態を踏まえた対策というのを実施しなければならないということは重要だと受けとめています。

 先日、閣僚懇談会の場におきまして、それを踏まえて、関係閣僚に対して、その取り組みの強化と対策の一層の推進を依頼いたしました。具体的には、警察庁そして厚生労働省に対して、都道府県別の、月別の自殺者数の集計や早期の公表を要請しました。

 この要請を踏まえて、警察庁において、本年一月以降の月別の自殺者数の暫定値を可能な限り早期に集計し公表することを検討しているということを聞いているところでございます。

糸川委員 これは、大臣、もっと早く出すんだという意思表示をもっともっとしてもらいたかったわけで、警察庁が来月からですか、来月からですと、きょう佐藤国家公安委員長にもお越しいただきましたけれども、実際、自殺者数の把握ということに関して、都道府県別の自殺者数、これは来月に一月分の男女別内訳が発表されるというふうにも聞いています。

 では、佐藤大臣、今回こういう依頼を受ければすぐに発表できることを、なぜ今までは五カ月後に発表されていらっしゃったのか、ちょっとお尋ねしたいんですけれども。

佐藤国務大臣 今までの比較ということでございますけれども、警察庁といたしましては、プライベートな部分もございまして、なかなか、それを公表するという雰囲気といいますか、そのところまで考えが及ばなかったということでございます。

 今回のいろいろなことにかんがみまして、先生おっしゃるように、経済の状態等々も含めましてそれを把握するということが大切だということにかんがみて、今いろいろなことで早急にそれを公表する方向にあるということでございまして、一概にこれだということを申し上げるところまではいきませんけれども、何が原因でというところまでは、何がと言われてもちょっとお答えようがないのでありますけれども、そういうことも含めていろいろやらせていただくという方向にございます。

糸川委員 佐藤大臣、プライベートな問題なのかもしれませんけれども、そういうことを言っていたのでは、今、年間三万人の自殺者がいらっしゃるんですよ。この人たちの対策を打たなきゃいけないと言っているのに、プライベートな問題だからなかなかその実数が把握できないとか公表できないとかではなくて、やはり、どれだけの対策を打っていくか、後手後手に回らないようにするということが必要だというふうに思っているんです。

 では、警察庁として、自殺者対策として具体的にどんな対策をお考えなのか、もう一問お聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 今おっしゃられたように、少し仕組みを変えさせていただいて、各県に取り調べの条件等々を見直させていただきまして、早急にそういう数字が上がってくるような方法をとらせていただきました。

 したがいまして、先生おっしゃられるように、月別の対策についてもなるべく早く皆さんにおわかりになれるようなシステムに今変えたということでございまして、なるべく正確な数字が早急にお示しできるような対策をとらせていただいております。

糸川委員 大臣、これは私たちがその実数を把握したいからではなくて、やはり政策に、具体的な対策として打っていかなきゃいけないから、この数字を正確に把握する必要があるのではないのかということを言っているわけです。

 今、倒産件数を見ましても、非常に急激にふえているわけですね。非正規労働者の派遣切り、こういう問題もふえていっているわけですから、例えば、今喫緊の課題としてやはりこういうことの対策も打たなきゃいけないのではないかとか、そういうことの把握をしてくださいということでお願いをしているわけです。

 では、野田大臣にお尋ねします。

 我が国の自殺者は、今、十年連続して大体三万人を超えているという現状がございます。内閣府の資料によれば、平成二十年の九月までの累計で、自殺者全体では前年より千二百八十七人減少している、平成二十年九月までですからね、減少しているんだけれども、三十歳未満の自殺者というのは百十六人増加しているんですね。若い人がふえている。

 こういう状況を受けて、自殺対策基本法の成立以降、自殺の原因として言えるのは、個人だけの問題ではなくてさまざまな社会的要因というのがある、こういうことを踏まえて、社会的な取り組みとして対策を実施するという考えが少しずつ浸透してきているというふうに思いますけれども、今の我が国の自殺の現状についての大臣の認識と、今警察庁の方からも話がございましたけれども、これまでの自殺対策の評価ですね、十年間、三万人を超えているわけですから、この自殺対策についての評価というのを、大臣の今の御認識をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 平成十年以降、三万人以上、十年続いているわけでありまして、これは本当にまことに痛ましいことだと率直に思っています。

 ちょうど平成十年というのは、例のバブル、いろいろ経済破綻があった年であります。そこから急速に自殺される方がある中で、十八年に法律ができるまでは、国内、国民の中において、自殺というのは非常に個人的なもので、我々が携わってはいけないようなムードというのがあったと思います。しかし、十年以降を見ますと、今議員が御指摘のように社会的要因が非常に多く、とりわけ失業や倒産によって死を選ばなければならなかった方々がいるということをやはり事実として受けとめ、それへの対策を急がなければならないと思います。

 私は、この間、対策推進会議に出まして、その相談相手になっている方からこういう話を聞いたんです。二つあります。

 自殺をしたい人はいない、だけれども自殺をしたいときがあるんだと。このときというのが、やはり社会的要因であったり病気からきていることもあり、これをしっかりと分析し、それに応じた対策をとることが大事ということ。あともう一つは経済的な要因。その方がおっしゃるには、その方の調査によりますと、中小企業の経営者の自殺数と貸し渋りの件数はほぼ連動している、そういう報告も受けたところであります。

 ですから、そういうことを踏まえて、先ほどの閣僚懇で申し上げたとおり、大変な危機感を持って具体的な対策に当たっていきたいと思いますし、私どもの方では、民間の皆さんが非常に前線で頑張っていただいているので、その方たちがスムーズに、円滑にそういう活動ができるような後押しをしていくために、地方自治体や関係行政機関に対して連携強化について取り組みを要請したところであります。

 いずれにしても、今お話がありました大綱に基づいて、生きやすい社会というのを、しっかりこの際もう一度皆さんと力を合わせて取り組んでいきたいと思っています。

糸川委員 大臣、自殺したいときがあるということでしたけれども、それは私もそう思います。

 平成二十年度版の自殺対策白書というのがありますね。そこにもやはり「自殺は追い込まれた末の死」であるというふうにも書いてありますし、白書では「自殺は防ぐことができる」というふうにも書いてありました。

 制度、慣行の見直しとか、相談とか支援体制の整備、こういうものも社会的取り組みとして進めていくことが重要だと思いますけれども、例えば派遣労働者の問題もそうでしたけれども、やはり行き詰まったときに避難場所というかシェルターというんでしょうか、そういうものをしっかりと確保していくということが必要なんじゃないかな。

 例えば倒産、それから失業が急増すると、中高年の男性、こういう方たちの自殺を防ぐためにも、今はそういう方たちの避難所というのはないですよね、何でこういう対策を打たないのか。打てるじゃないですか。打っていないということに対して、例えば仕事も住む場所も失ってしまった、今のこういう未曾有の経済危機の中で仕事も失った、家も失った、そういう方たちが家族と一緒に一時的に避難できるところ、避難場所というのを確保すべきではないかなと思いますけれども、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

野田国務大臣 今まさに経済的な要因、失業とか倒産によって時が訪れてしまうことを防ぐんだという話でありまして、実は、自殺対策とは銘打っていないんですが、今回の現下の経済危機に対する緊急の対策として、例えば緊急融資制度とかそういうのがあるわけですね。それは、昨年末の資金繰り対策が急務だということで立ち上げている融資制度ですけれども、これが間接的には、資金繰りに行き詰まって時を選ばないようにしていただくための一つのセーフティーネットとして理解していただきたいと思います。

 とともに、非正規雇用の問題が起きたときに、やはり住む場所を確保しなければならないということで、住居の支援の強化をしているところでありまして、あえて自殺予防とか自殺対策と銘は打っていないものの、結果的に、そういうところを利用していただいて、きちっとしたプロフェッショナルなシェルターではないけれども、やはり住まいを確保するということで、そちらの方で、例えばハローワークとか多重債務の窓口なんかを通じてそういうところをしっかりと利用していただいて御自身の命を守っていただければという思いで、これからもさまざまな、あえて自殺対策と柱を立てていないものの、結果としてそういう方たちを救えることができるようなものの対策強化について、各省庁と協力して強力に推し進めていきたいと思っています。

糸川委員 大臣、では率直にお伺いします。

 今の、例えば緊急的に融資制度がある。先ほど大臣は、自殺をしたい人はいないというふうにおっしゃられましたね、そういう現場の声として。そして、ただ、したいときがあるということで、それはもう突発的なものですよね。心の中でふっと起きてしまう、魔が差すというんでしょうか、そういうときに自殺というのが起きているのかなと。例えば融資制度を受けようとか、こうやって段取り的に、こういう制度があるんだ、こうなんだということをしっかりと理解されて、そういう制度を利用しようという方というのはなかなか自殺まで、至ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんけれども、大臣、今おっしゃられていた答弁を聞いていまして、今の対策で大臣自身は御納得できるんですか、この対策に。例えば、やはり避難所を含めてつくっていくということが必要なんじゃないかな。

 例えば、一例を挙げますと、私の地元に東尋坊という場所があるんですけれども、ここは大体毎年二十五名から三十名ぐらいの方が自殺をされています。最も自殺の多い、同じ場所で亡くなる方の最も多い場所です。

 最近は、テレビそれから新聞等でも取り上げられるNPO法人で、心に響く文集・編集局、これは去年もここで話をさせていただいたんですけれども、代表の方が、元警察官の方で茂さんという方がいらっしゃるんですけれども、昨年こういう本をこの方は出されまして、大臣も御承知だと思いますが、恐らく面識もあるんじゃないかなと思います。

 こういう方が、この国は経済一本でした、しかし、バブル経済の崩壊などで働く場所がなくなったりする人がふえた、岩場から見ると、ここへ来る人は豊かな生活を求めてなんかいない、命をつなぐ場所、そして再出発までの食事と住まいを提供してくれるところがあればいい、でも、現実にはその場所が余りにも少ない、こういうことも現場の声として聞いて、そしてそのことをおっしゃっています。

 茂さんによると、景気が悪化した昨年の十一月以降の三カ月弱で、保護された方というのが十六人いらっしゃる、そして、しかもそのうちの七人が派遣切りに遭ったということでございます。

 今の大臣のお気持ちとして、こういう方たちの避難場所となるような、確保という、私は今この必要性を訴えているわけですけれども、大臣、今のようなこういうことを現状として見ても、必要じゃないかなと私は思うんですけれども、どうでしょうか。

野田国務大臣 心ある議員の方たちによって法律ができまして、平成十八年、ようやくこの国で自殺対策という柱が立ったわけですね。私で担当大臣は三人目です。それまではやはり蓄積もなく、今ようやく推進会議、そういう自殺対策の専門家の人たちの会議を経て、さまざまな加速化プランとかつくらせていただく中で、不十分だということは私自身実感しております。

 ですから、これから、シェルターも含めてすべてにおいて、自殺ということを個人の問題と片づけるのではなく、私たちの国のひずみの中で犠牲になっている方たちがいるという自覚のもとで、やはりさまざまな取り組みをしていかなきゃいけないということは同じ思いでいるところであります。

糸川委員 大臣、その思いがあるならば、大臣はこの問題のトップにいらっしゃるわけですから、変えてくださいよ。すぐにでも、例えばシェルターだって、つくるというんだったらできるじゃないですか。ですから、そういう意味で今ここでまた提案をしているわけですから、お願いします。

 今の例えば茂さんの場合も、これはNPO法人なんですけれども、どうしても、自殺対策ということになると、政府だけに任せたり行政だけに任せたりというわけにはいかないんですよ。周りの地域の方たちも一緒になって手を差し伸べていく必要があるわけですが、このNPO法人とかそういうところに対しての、この二十一年度予算、このような団体への財政支援、助成制度についてはどういうふうになっているのか、お答えいただけますか。

野田国務大臣 自殺総合対策大綱に基づいて、総合的に自殺対策に取り組むための必要な経費として百五十八億九千二百万円、対前年に比べて十四億四千五百万円増ということで要求をさせていただいています。

 その中で、新たな取り組みとして、先駆的な自殺の防止等に関する活動を行う民間団体を支援する自殺防止対策事業に一億二千二百五十九万円を、そして、自殺対策従事者への情報提供等を行う自殺予防ワークショップに千十四万円を計上しているところであります。

 それと、来年度予算に計上された厚生労働省の自殺防止対策事業が効果的に活用されることを期待しております。これは、自殺対策について先進的な取り組みを行う民間団体に財政的支援を実施するということで、平成二十一年度予算は補助率十の十ということでございます。

糸川委員 大臣、今のこの予算で、大臣の考えていらっしゃる自殺対策というのは満足でいらっしゃったんでしょうか。今、財務大臣も目の前にいらっしゃいますけれども、この要求をされた中で、大臣はこれで満足だというふうにお考えなんでしょうか。

野田国務大臣 恐らく、どの大臣も、満足する額というのはなかなか得られないと思います。

 ただ、今回は、新たな取り組みで、国がというよりも、やはり専門性の高いNPOの民間の人たちがしっかり取り組んでいただける応援という素地をつくらなければなりませんし、国としては、幾らお金をつけても、自殺の相談というのは極めて専門的で、電話一つとっても、はいはい、はいはいというわけにいかないわけですね。相手の心に寄り添って命をもたせるということで、かなりの専門性を必要とするので、やはりそういう人材育成の支援というのも国は民間の人たちの後ろから応援していかなきゃいけないと思っていますから、ぜひ今後とも、予算をとるに当たっては御支援をよろしくお願いしたいと思います。

糸川委員 今、大臣、電話でということを言われたんですけれども、一九七一年に日本で設立された、いのちの電話というのがございますね。これは、ちょうど一年前の二月の十五日に、今そちらにいらっしゃる岸田先生に、そして舛添大臣にも質問させていただきました。

 この最新のデータによりますと、いのちの電話への相談件数は、二〇〇七年で七十万二千九百五十七件、うち、自殺をされようとしていらっしゃる方の件数というのは五万一千件ということでした。比率からしますと、一九九七年は二・七%ぐらいだったんですね。電話をかけていらっしゃる方の自殺志向というのでしょうか、そういう方たちは二・七%だった。今は七・三%ということで、非常に大幅にこういう意味では増加をしているわけですけれども、まず、この統計について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。野田大臣で。

野田国務大臣 いのちの電話については、実は岸田大臣とのやりとりも読ませていただきまして、番号がわからない人が多いとか、そういう御質問もございまして、できれば統一がいいんじゃないかというようなやりとりが前回あったやに拝見させていただきました。実は、全然関係ないんですけれども、消費者庁もそんなようなことを言っていて、やはりすべての人が本当に簡単にアクセスできる番号でないと実際に役に立たないんじゃないかということで、糸川議員のその御提案というのは本当に一考しなければならない。

 ただ、いのちの電話自体は民間の方がやっておられるので、何か私たちが強制的にできないというところもあるので、うまくこれから議論していかなきゃいけないと思っていますけれども、統計につきましては、やはりいろいろな予防として、電話でのやりとりというのは極めて大切だということを裏づけてきているのではないか。だから、もっともっと大勢の人たちがアクセスできるような利便性というのを、いのちの電話やほかのボランティア団体でやっている方に対して提供していかなきゃいけないのかなということは感じているところであります。

糸川委員 本当だったら、与謝野大臣いらっしゃるから、当時も聞いたんですけれども、与謝野大臣に別に答弁していただこうと思っているわけじゃなくて、その場でお答えいただければと思いますけれども、いのちの電話の番号わかりますか。やはり答えにくいですよね、大臣。では、塩谷大臣、わかりますか、番号。わからないですよね。全部違うとおっしゃられた、今。まさにそうなんですよ。電話番号がわからないんです。だから私は当時も、統一したらどうですかと言わせていただいたんですよ。そこにお座りの大臣方がわからない。国民の皆さんがわかるんですかと私はその当時も言ったんです。

 だから、例えば、検討なさっているというふうには聞いています、電話番号を統一することも検討するということは聞いているんですけれども、どこまでこれが進捗していくのか、そういうこともわかりませんし、全国で今、四十九カ所ですか、全国の都道府県の中で。四十九カ所でいのちの電話というのは取り組んでいるんですけれども、番号がそれぞれ違うんですね。ちょっと先の質問かもしれませんけれども、これは〇一二〇―七三八―五五六という番号なんですよ。ココロというのが最後ついているので、ぜひココロという番号にしていただけませんか、五五六だけでどうですかと。

 そして、大臣、これは、きょう持ってきたんですけれども、ホームページからプリントアウトして、「自殺予防いのちの電話」というのを持ってきました。これは毎月十日だけですよね。今もって、フリーダイヤルは毎月十日、一カ月に一日だけ、そういう形でいのちの電話というのはされているんじゃないでしょうか。やはりそこに対しての予算というのがしっかりとついているのかどうか。

 昨年度の予算では、いのちの電話、八千万円ですか、大臣、予算がついていたのは。これは昨年度のみで、本年度予算については、一億二千二百六十万円というのはちょっとぼやっとしているんですね、いのちの電話には幾ら使っているのかなということを思うんです。

 これは野田大臣、では、いのちの電話には幾らの予算を計上していらっしゃるんでしょうか。厚生労働大臣でもいいです。

舛添国務大臣 これは、枠を一億二千万円とっておりますけれども、NPOの方々が公募で手を挙げないといけないので、その中で振り分けるという形でございます。

糸川委員 このいのちの電話に、先ほど私、事務局長とちょっと連絡をさせていただきまして、自殺予防いのちの電話、二〇〇八年の四月十日から二〇〇九年の三月十日まで、つまり来月の三月十日までは、毎月十日にフリーダイヤルにて電話相談することができますと書いてある。私は、それ以降というのはどういう連絡になっているんですかと聞いたら、国から助成金のため一年間で区切っている、四月以降もやる、だけれども、予算はいただけるものと考えていますというぐらいなんですよ。何で、去年は八千万円とっていて、ことしは、ほかの団体との兼ね合いもあってとれるかとれないか、それはどういう形になるのか。

 これは、舛添大臣、後援として厚生労働省と入っているんですよ。だったら、その支援団体選定の評価方法とか基準というのはどういうふうになっているのか、お答えいただけますか。

舛添国務大臣 いろいろな民間の方々が自殺対策を行ってくださっているので、いのちの電話も、これも非常に重要なことはわかっています。

 そういう中で、その民間団体にいかに限られた予算を公平に配分するかということが問題になるわけですけれども、一つは、基準としては、支援対象としては、夜間、休日も含めた二十四時間の電話相談など、行政がそこまでできないことをやってくださっているという活動をやる方々、それから、民間ならでは、これはとても官が考えつくことじゃないよというような、創意工夫による先駆的な活動などが考えられるわけですけれども、民間団体から公募をして、そして有識者による評価委員会でこれを評価して予算の配分を決めるというのが今のプロセスでございます。

糸川委員 今は舛添大臣の所管なんですが、健康日本21というのがありますね。そこでは、自殺者の目標、これは平成十二年の三月に厚生省が策定したものです。目標が二〇一〇年で二万二千人以下、これは昨年も私は聞かせていただいたんですけれども、そのときの御答弁は岸田大臣だったと思います。

 舛添大臣、今おっしゃっているような、例えばいのちの電話をしっかりと予算をつけて、そして厚生労働省が、舛添大臣、例えば、国民の皆さんは悩みを持ったときに一番最初にどこに電話をしたらいいんですか。インターネットで調べるんですか、それとも電話帳で検索するんですか、一〇四に電話するんですか。これを大臣、お答えいただけませんか。

 そして、大臣の所管である厚生労働省が、二〇一〇年に二万二千人以下にするんだと。恐らく、今のままいったらこれは厳しいですよ、大臣。到底この数字に到達するには厳しい。だったら、やはりこういうところに対策、もうちょっと費用を使ったり取り組みをする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 十九年六月の自殺対策の総合的な対策方針の中に、先ほど委員が言われた電話番号の標準化ということも書いてありますので、これは、例えば総務省の協力も得ながら鋭意前に進めていきたいというふうに思っています。

 確かに、健康日本21の二万二千というのは非常に厳しい数字で、健康日本21自体の全体のプログラムは二〇一二年までありますけれども、二〇一〇年にここに至るというのは今の経済情勢で非常に厳しいと思いますが、全力を挙げて、ゴールはゴールとして努力をしていきたいというふうに思っておりますし、関係閣僚とも、この自殺対策の総合的な方針が決まったわけですから、それに基づいて頑張っていきたいと思っております。

糸川委員 大臣、このいのちの電話も含めて、今回、「平成二十一年度自殺対策関係予算案について」というのをいただきましたけれども、「都道府県及び政令指定都市が実施している自殺防止に資する電話相談事業に、全国共通の一つの電話番号を設定し、その月額使用料及び工事費を負担する。」こういう予算がついていますね。これは内閣府がついています。内閣府ですから野田大臣なんですかね。

 これは、予算、昨年五百十九万八千円、ことしは五百二十三万六千円、これは国家予算ですよ。全国の都道府県のですよ。これは何にそのお金を使っているんでしょう。「全国共通の一つの電話番号を設定し、」というのは、何番なんですか。

野田国務大臣 先ほども申し上げたんですけれども、民間団体がなさっていることであります。

 番号を統一するかどうか、やはり民間団体がしっかりとスクラムを組んでいただかなければならないということで、例えば会議とかをなさるときのそういうことには、調査とかには今着手ができるんだと思います。

 ただ、議員に申し上げたいことは、仮に一気に番号が統一されて多くの人たちがアクセスできるようになったとしても、先ほど申し上げたように、電話でお買い物をするような、そういうコールセンターじゃないんです。やはり一人一人それぞれの思いがあるわけで、そういうことに対して寄り添っていく、専門性の高い、そういうカウンセリングができる人がまずいてくださらないと、一気呵成に番号が広がっても、それに対応できなければ元も子もないわけでございまして、そういうことを踏まえて調査をしっかりさせていただいて、非常に少ないことで申しわけありませんが、少ない中でも知恵を出して頑張っていきたいと思っております。

松田(敏)政府参考人 今大臣からも御説明申し上げましたが、ナビダイヤルの設定につきまして、使用につきまして、工事費と月額使用料自身は余り経費を要しませんで、そういって……(糸川委員「だって、まだ番号を持っていないんでしょう」と呼ぶ)全国で十カ所、こころの健康相談統一ダイヤルというのを、〇五七〇―〇六四五五六、それから県に行きまして、県で受けていただく。その県がまだ、結局、受け入れ体制が、電話をとる体制ができていないということで、まだ十県しかないという状態でございます。

 理屈上はできるんですけれども、その体制が追いつかないということでございまして、いかにその相談の受け入れ体制をこれからとっていくか、充実させていくかというところが課題となっております。

糸川委員 毎年五百万ずつかけていくのは、少額で、わかるんですけれども、ではいつになったらこれは全国共通の一つの電話番号というのを設定する、大臣の思いとして、いつこれは。

 全国、今、例えば相談をすると、三百六十五日、二十四時間対応の活動ができる方というのは非常に少ないわけですし、ではそういう相談を受けられる相談員の方たちというのがどのくらい、例えば教育をしたり、いろいろなプログラムの中で育てていかなきゃいけないんだろうと思うんですけれども、現状、やはりこういう五百万で、いつになったらそういう全国共通のダイヤルができるんだろうかとか、例えば地域のボランティアの方と民間団体との連携を強化するということで、「国の施策に関して、地方公共団体に周知するとともに、地方公共団体における自殺総合対策への取組を促進するために開催する都道府県担当者等会議を開催する。」費用というのは七十四万三千円とか、少な過ぎるんじゃないのかなと。本当に周知できるんですか、ちょっと少ないんじゃないかなという思いがあるんです。

 今の現状、非常にボランティアの人たちとの連携というのは難しいというのもわかっています。ただ、最初に大臣に意気込みを聞いて、今のままでは足りないんだということならば、やはりふやしていったり、全国のボランティアの人たちを何とかして使っていかなきゃいけないわけですね、連携をして。そういうところに対して、これで私は足りているとは思えないですね。

 ですから、その辺、今の大臣の気持ちというのを、余りもう時間がないんですけれども、ちょっとお尋ねしたいなというふうに思います。

野田国務大臣 財務大臣の前で恐縮ですけれども、やはりなかなか自殺対策には大きな予算がいまだつけづらい状況にあります。やはり大きな枠組みの中で、十八年にようやく基本法ができたばかりでありまして、具体的に事業もなかなか、実績がこれからできてくる中で、できれば引き続き超党派で応援をいただきまして、皆さんで自殺対策の予算をふやしていただきたいなと。

 今、現状は本当に厳しいわけですけれども、前に進むしかありませんので、こういう実態を逆にこういう委員会で皆さんに御理解いただいた上で、御支援をいただきたいと願っているところであります。

与謝野国務大臣 野田大臣とよく相談をさせてください。

糸川委員 死因別ということで、きょう、これは参考までなんですけれども、国家公務員の方で見ました。職員十万人に対してというのが自殺率ということで出てくるんですけれども、非常にやはり高いですよ、二十三・一という死亡率。これは死亡者数が、これが最新なのかどうかわかりませんけれども、平成十八年度で七十一人の方が国家公務員の方で亡くなっているんです。自衛隊員も七十名の方が亡くなっているんです。これを合わせると相当な数になってきます。

 それで、がんに次ぐ死亡率なんです。がんの方が死因のナンバーワンですね。そして二番目に自殺なんです。三番目に心臓病なんです。もちろん、健康に対してお金を、予算をかけていくということは、これは大事なことですよ。だけれども、自殺も二番目ですからね。二番目の死因ですから、ここにしっかりとやはり大臣、予算をかけていただかないと、国民のとうとい命ですからね。

 きょうは文部科学大臣にもお越しいただきましたので、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、今、小中高生の自殺者数というのは非常に多くなっていますね。平成十九年で二百七十四人ですか、毎年三百人前後なんです。この児童生徒の場合、周囲に親とか教師がいる時間、こういうのが長い。ですから、子供たちが苦しみの中で声にならない悲鳴を上げていても気づいてもらえなかったりということで、これは絶対気づかなきゃいけないんですよ。周りにいる人たちや周囲の人たちが気づかなきゃいけない。

 文部科学省が教師向けのマニュアルをまとめられるというふうに聞いていますけれども、その進捗状況と、作成するに当たって当然、野田大臣とさまざまな留意点についてお話をされていると思います。また、そのマニュアルというのは、親に対してというのもつくっていくお考えがあるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

塩谷国務大臣 児童生徒の自殺につきましては、平成十八年で三百十五名、そして十九年、二百七十四名と、依然と相当数の数があるわけでございまして、この自殺防止に対して、私どもとしては、今お話にあった、教師が知っておきたい子供の自殺防止ということでマニュアルを作成しているところでございます。

 これにつきましては、昨年三月、調査研究協力者会議を設置して、学校の現場における自殺防止方策等について、専門家あるいは学校現場の関係者による調査研究を実施して、本年二月上旬にまとめて、現在、配付に向けて製本、作成中でございます。

 これにつきましては、特に、今自殺のサインというのがございましたが、これに対する対応の原則、あるいは自殺防止のための学校の体制づくり、さらには医療機関との連携のあり方、不幸にして万一自殺が起きてしまったときの場合の対応等、そういった内容にしておりまして、この配付先につきましては、今のところ、各学校に二部ずつ四万冊、そして各教育委員会に、全教育委員会として十二万部、さらに、このマニュアルをまとめたリーフレットをつくって全教員に配付するところでございまして、今のところ御父兄のところにという計画はありませんが、今後ちょっと検討をしてまいりたいと思っております。

糸川委員 もう時間がありません。

 きょう文部科学大臣にもお越しいただいたのは、例えばスクールカウンセラーとかそういうものの利用の仕方とか、そういうこともしっかりと周知をしていくということは、これは大事なことだと思うんですね。現場の先生にリーフレットを渡すだけじゃなくて、やはりさまざまなところで、学校に二部置いておくとかそういうことだけじゃなくて、講習会なりなんなりで、子供に接する現場ですから、やはり子供たちが三百人も自殺するというこの現状をほうっておいたらだめですよ。これは、少子化対策の観点からも絶対だめですよ。

 そういう意味で、とうとい命というのを守っていただきたいなと思いますし、舛添大臣、もうきょうはこれは質問をしませんけれども、やはり過疎地域というのは、例えば精神科医がいなかったり、カウンセリングを受けるにも受けられる場所がない。そういう人たちのためにも、いのちの電話も含めてボランティアのいろいろなところの電話がありますから、きょう、電話番号が統一されていないということで、さまざまな電話番号は大臣もわからない、皆さんわからないんですから、国民の皆さんがわかるように、そういう環境づくり、これはやはり取り組んでください。

 そういうことをお願いして、終わります。

衛藤委員長 これにて糸川正晃君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十四日午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時一分散会


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