衆議院

メインへスキップ



第24号 平成21年5月7日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十一年五月七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 小島 敏男君 理事 佐田玄一郎君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 根本  匠君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      赤池 誠章君    赤澤 亮正君

      新井 悦二君    井上 喜一君

      伊藤 公介君    岩永 峯一君

      臼井日出男君    小川 友一君

      小野寺五典君    尾身 幸次君

      大野 功統君    大前 繁雄君

      木原 誠二君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      杉浦 正健君    園田 博之君

      中馬 弘毅君    土屋 正忠君

      仲村 正治君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    広津 素子君

      深谷 隆司君    町村 信孝君

      三原 朝彦君   吉田六左エ門君

      渡辺 博道君    小川 淳也君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    仙谷 由人君

      津村 啓介君    筒井 信隆君

      寺田  学君    中川 正春君

      西村智奈美君    細野 豪志君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      渡部 恒三君    赤羽 一嘉君

      池坊 保子君    江田 康幸君

      福島  豊君    笠井  亮君

      阿部 知子君    糸川 正晃君

    …………………………………

   内閣総理大臣       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (防災担当)       佐藤  勉君

   国務大臣

   (規制改革担当)     甘利  明君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小渕 優子君

   内閣官房副長官      松本  純君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   内閣府副大臣       増原 義剛君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   総務副大臣        石崎  岳君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        竹下  亘君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   農林水産副大臣      近藤 基彦君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   総務大臣政務官      坂本 哲志君

   総務大臣政務官      中村 博彦君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   財務大臣政務官      三ッ矢憲生君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (消防庁長官)      岡本  保君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (国立感染症研究所長)  宮村 達男君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     土屋 正忠君

  大野 功統君     広津 素子君

  木村 隆秀君     小川 友一君

  下村 博文君     新井 悦二君

  葉梨 康弘君     町村 信孝君

  大島  敦君     西村智奈美君

  逢坂 誠二君     津村 啓介君

  細野 豪志君     寺田  学君

  馬淵 澄夫君     小川 淳也君

  池坊 保子君     赤羽 一嘉君

  江田 康幸君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  新井 悦二君     赤澤 亮正君

  小川 友一君     木村 隆秀君

  土屋 正忠君     小野寺五典君

  広津 素子君     大野 功統君

  町村 信孝君     葉梨 康弘君

  小川 淳也君     馬淵 澄夫君

  津村 啓介君     逢坂 誠二君

  寺田  学君     細野 豪志君

  西村智奈美君     大島  敦君

  赤羽 一嘉君     池坊 保子君

  福島  豊君     江田 康幸君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     赤池 誠章君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     木原 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     下村 博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長門山泰明君、消防庁長官岡本保君、厚生労働省医政局長外口崇君、厚生労働省健康局長上田博三君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君、厚生労働省老健局長宮島俊彦君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、国立感染症研究所長宮村達男君、中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。

町村委員 自由民主党の町村でございます。

 きょうは、五、六年ぶりに予算委員会で質問に立たせていただく機会をいただいたこと、まず感謝を申し上げます。

 私は、多分五月一日からこの委員会が始まるのか、こう思っておったところでありますが、諸般の事情から本日からスタートになったということでございますけれども、現下の経済情勢を見たときに、スピーディーな予算委員会における審議というものが実現できますように期待をしているところでございます。

 きょうは、主として、私と園田議員、またその後、伊藤公介議員、葉梨議員、それぞれ補正予算案についての質疑をするわけでございますけれども、それに先立ちまして、特に総理には、この連休中、中国そしてドイツ、チェコですか、外遊をされたということでございます。積極的な麻生外交を展開された、極めて多忙なスケジュール、大変に御苦労さんでございましたが、その外交の成果の一端を御披露いただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

麻生内閣総理大臣 私は、五月の三日から五日まで、チェコのプラハで開催をされました、数えて十八回目になります日本、欧州の首脳会合、会議に出席をし、同時に、日本、チェコの首脳会談を行っております。また、帰途、ベルリンにおきましては、日独の首脳会談を行っております。

 EUに関しましては、もうこれは御存じのように、EUは統合されまして後、安全保障やまた外交の分野等々でその重みを増してきておるのは確かだと存じております。同時に、EUとは基本的価値観を共有しておることもありまして、環境問題、経済問題からアフガニスタン・パキスタンの問題まで、幅広い分野で協力をしている戦略的パートナーだと存じております。

 そういった中で、EUの議長国のチェコのクラウス大統領、またバローゾ欧州委員長との間で、世界の金融経済危機の問題、景気変動問題、新型インフルエンザの問題、海賊問題、それから地域問題として、中国・北朝鮮、アフガニスタン・パキスタン、加えてイランなど、いろいろ国際社会が直面をしております喫緊の課題に関しまして、日本とEUが一層協力して対応していくということで合意をしております。

 ドイツとは、御存じのように、アジアと欧州における最大の経済大国でもありますので、その責任は極めて大きいと思っております。

 メルケル首相との間では、経済金融危機、また新型インフルエンザなどへの対応を含めまして、今、日独両国が世界の平和と繁栄に向けて一層強化していくことで一致をしておりますし、国連の安保理改革の件につきましても、これは町村先生、外務大臣のときから取り組んでおられるところでありますけれども、この早期実現に向けた連携を確認しておりますし、北朝鮮、アフガニスタン、パキスタンなどの地域情勢につきましても意見交換を行っております。

 チェコのトポラーネク総理大臣との間では、今、チェコには二百四十社を超えます日本企業が進出をいたしておりますので、多くの自動車部品、いろいろ工業製品の部品をここでつくっておりますので、科学技術の分野での交流というのをさらに推進していくということで一致をしております。

 また、政策のスピーチとして、ベルリンのフンボルト大学、昔はベルリン大学ですが、ここにおいて、日本と欧州が今後やっていくべき、グローバルな諸課題を克服していくべきという自分なりの考えを述べる機会をいただいております。

 一連の協議を踏まえまして、日本とEU、そしてドイツ及びチェコと、国際社会でいろいろ直面しております問題に対して、ともに、これらの主要課題の解決に向けて、これまで以上に連携を密にしていく必要があるということで一致をさせていただいております。

町村委員 歴史のある日本とEUとの首脳同士の交流、大変に有意義であったと思いますし、日独、特にドイツと、国連安保理改革ということで同じ志を持って動き始めた仲間でもございます。大変密接な意見交換をされ、特に日独は地球温暖化対策で世界のリーダーとして努力をしている、そういう位置づけであるわけでありますので、大変に有意義な海外訪問であったということを高く評価させていただきたく存じます。

 この後、補正予算に入りますが、その前に二つほど。日本のいわば危機管理、これは私は、自民党・公明党政権、非常に危機管理はしっかりと今までもやってきたし今もやっていただいている、こう思いますが、特にその中で国民の今大きな関心を呼んでいるのが新型インフルエンザの問題、それともう一つは、一カ月ほどたちましたけれども、北朝鮮のミサイルの問題、この問題を二つ簡単に触れた後に補正の話に入っていきたい、こう思っております。

 まず、新型インフルエンザ対策でございます。

 これは主として舛添厚生労働大臣にお伺いしたいと思いますけれども、四月二十七日にフェーズ4、そして四月三十日にフェーズ5というぐあいにレベルが上がってきております。

 何とはなしに、これからどういうことになるんだろうかということで、けさもNHKのニュースを見ておりますと、十五分間このニュースばかりでありました。今、日本の緊張感と比べていささか奇異に感じたのは、ヨーロッパも、あるいは本家本元のメキシコも何かのんびりし始めたな、こんな印象を持っているのに比べて、日本では海外に出発する前からもう皆さんマスクをしているという、この著しい違いがあるのはなぜなんだろうか、そんな思いもしておりますが、これまでの日本政府の取り組み、対応、現状というものについてどのように認識をしておられますか、舛添大臣にお伺いいたします。

舛添国務大臣 基本的に、備えあれば憂いなしということなので、危機管理というのは過剰なぐらいやっていいものだというふうに思っております。

 国民の皆さん方も大変御協力してくださいまして、今は、空港における検疫、これは自衛隊の力もかりまして増員しましたので、一時間以内で済ませていますけれども、最初は三時間、五時間、それでもじっと我慢をして、そして、出てこられた方も不満をおっしゃるわけじゃなくて、むしろ、よくチェックしてくれてありがとう、こう言ってくださる。やはりこれは国民が団結して対処すべき危機だというふうに思っています。

 それで、まず、フェーズ4が出されましたので、新型インフルエンザだということを私が宣言いたしました。その後、フェーズ5に上がりましたので、これは非常に国家の危機管理上重要だということで、まずやはり一番大事なのは情報の的確な把握と、それを国民に知らせる。ですから、今A型だと判定された段階で既にお知らせしているのは、隠しておくことよりも、少しでも正しい情報は明らかにした方がいい。そして、判定した結果、新型インフルエンザじゃなければこれほどいいことはないわけですから、仮に、隠匿して、これがA型だった、しかもその方が既に横浜なら横浜に五日間も滞在しておられた、さあどうするということになりますから、そういう意味で、まず正しい情報を、できれば私の口から直接国民の皆さんに今後ともお伝えしたいということであります。

 そして、もう一つの柱は、やはり水際対策。これは、幸いなことに今まで功を奏してきました。それは限界があります。しかしながら、水際対策をしっかりやる、これを今後とも続けたいのは、実を言うと、水際対策というのは、早晩入ってくることを想定したときに、時間稼ぎなんですね。これで十日ぐらい稼いだために、自治体、いろいろな病院が態勢が整ってきている、発熱相談センターも全都道府県に行き渡りました、そういうことをやりたいというように思いますし、既に、危機管理態勢としては、仮に国内で患者が発生した場合にどうするか、それは対処マニュアルをつくっております。

 ただ、これはH5N1、非常に毒性の高い鳥インフルエンザを想定したマニュアルですから、そこは弾力的に運用して、そこまでやると国民の自由、経済活動、学校、こういうことに問題があれば、それは緩和する。こういうことは、政府全体、総理が対策本部長でおられますので、総理の指示を仰ぎながらやっていきたいというふうに思っています。

 やはり、国民の生命と健康を守る、これは我々の、政府の第一の仕事でございます。全力を挙げてやりたいと思いますので、そして、これまでどおり各省庁の皆さん方にも御協力をいただくとともに、国民の皆さんに御協力いただいて、いや、メキシコの人もマスクをはめていない、アメリカもみんなはめていない、だからいいのではなくて、我々は、断固としてこの危機に対応して、国民が団結すれば必ず勝てる、そういう認識で頑張っていきたいと思っております。

町村委員 備えあれば憂いなし、大変いい言葉だと思いますし、ぜひ、その心構えで、しっかりとやっていただきたいと思います。

 きょうは、国立感染症研究所の宮村達男所長さんにお越しをいただいております。宮村先生はこの分野の日本のプロというか権威でもいらっしゃいますので、厚労大臣ももう大変お詳しくなられただろうが、そうはいってもやはり素人であります、私も素人でありますので、きょうは、国民の皆さん方が多分このテレビを見ていただいているとすると、極めて初歩的な部分の質問を宮村先生にさせていただきまして、それについて、できるだけわかりやすい言葉で、国民の皆さん方に注意を喚起していただくと同時に、過度な心配をしていただかないようにするという、冷静な対応をする基礎として幾つかお伺いをしたい、こう思っております。

 まず第一点目は、だれしも人間、今でも、風邪ぎみになったり、ちょっと熱があるという症状が出る方も、日本国じゅうたくさんいらっしゃいます。こういう中で、どういう症状が出たときに連絡センターに行って相談をしたらいいか、電話をしたらいいのか。あるいは、余りのこのこと歩いて車に乗って病院に行って、かえって危険であるという見方もあるわけでありまして、いやいや、一刻も早く病院に行った方がいい、いろいろな説があるわけでありますが、どういう症状のときにどういう対応をしたらいいのかということについて、まず宮村先生にお伺いをしたいと存じます。

宮村政府参考人 それでは、昨今の新型インフルエンザの症状について、まず説明させていただきます。

 発生国からの情報では、季節性のインフルエンザ、私たちが普通に冬かかります通常のインフルエンザと同様に、急性の呼吸器症状、すなわち、三十八度以上の高熱、あるいはせき、鼻水、鼻詰まり、それからのどの痛み、こういうものが主症状であります。それから、米国等の情報によりますれば、下痢などの消化器症状もこのインフルエンザにはあると言われています。それぞれを総合いたしますと、今までの季節性のインフルエンザとそう変わった症状でスタートするのではないということが一つのポイントであります。したがって、御質問いただきました、医療機関に行った方がいいという一つの判断は、今の国内の発生の状況、時期に応じまして二通りのお答えがあると思います。

 まず、現在のような、まだ国内の発生がない状態、あるいは発生してもまだわずかである状態の場合には、新型のインフルエンザの拡大をできるだけ阻止するということが一番大切であります。したがいまして、このような症状を持った人たちが全員、医療機関等においてまず検査を受けて、新型インフルエンザであるという感染の有無を判断することが一番大切であります。そして、感染が確認された場合には、他の人と接触を避ける目的で、軽症であっても入院することが求められると思います。

 ただし、この段階では、感染の機会、すなわち発生国に行っていたとか感染者と接触したというような事実が一つの大きな尺度となりますので、こういう人たちが新型インフルエンザになっている可能性が高いわけでありますから、インフルエンザ様の症状があったからといって、すべての人が即大急ぎで検査を受けるという必要はないと考えられます。

 次に、国内での感染が拡大してきた場合、これは感染した人から他の人への感染拡大をできるだけ防ぐということがとても大切でありますので、これが軽症の場合には、できるだけ外出をせずに自宅等で療養して他の人との接触を避けることが必要だと考えます。

 しかし、重症の場合、すなわち高い熱があり呼吸困難があるとか、あるいはぐったりとして脱水症状等の全身状態が悪いとか、あるいはもともと免疫能の低下をしていたり基礎的な持病がある人、こういう人たちの場合は速やかに医療機関に連絡をして受診する必要があると考えられます。

 そのときに非常に大切なことは、このような医療機関を受診する場合には、新型インフルエンザを疑う場合は症状が軽症であろうと重症であろうといずれの場合でも、今政府が言っておりますことは、まず保健所等に連絡をとって、その指示に従って適切な医療機関に行くという方法を示しております。これが非常に大切なことでありますので、国民の皆さんにもしっかりと認識していただくことが必要だと思います。

 いずれにいたしましても、国立感染症研究所や厚生労働省のホームページでわかりやすく、症状、こういう基準でということを掲載しておりますので、これらの情報も十分活用していただき、冷静な対応をお願いしたい、そういうふうに思っております。

町村委員 どうも御丁寧な説明をありがとうございました。

 それで、どうもよくわからないのは、仮に発生をしたときに、どのくらいの期間注意をしていなきゃいけないのか、人と接触をしない方がいいのか、あるいは入院していた方がいいのか。もちろん医師の指示が必要なんでしょうけれども、何カ月も何カ月もということでもないんだろうと思いますが、さりとて一日二日ということもないんでしょう。どのくらいの期間、注意を十二分に払っていたらいいものか、その点についてお伺いいたします。

宮村政府参考人 今着々と、この新型インフルエンザの症状あるいは経過という情報が集まってまいりました。

 この新型インフルエンザに感染してから症状が出現するまでの期間、潜伏期、これは通常インフルエンザと同じように一から四、あるいは長くても十日というふうに考えられています。したがいまして、接触している方が新型インフルエンザに感染しているということがわかった場合でも、その人と接触した直近の時点から十日たっても発症しなければ、それは感染していなかったと判断してよいと思います。

町村委員 一日から四日、最大十日ぐらい、十分よく注意をした方がいいという御意見でございました。

 最後にもう一点だけ。余り強い毒性のものではないから、そんなにばたばた亡くなるというケースにはならないのではないかという意見。しかし、当初メキシコでは百数十名亡くなった方がいるという話があり、その後、何かだんだん訂正されて人数がどんどん減って、今は二十数名ということで、メキシコと日本の公衆衛生の状況の違いとか、あるいは栄養状態が違うとか、いろいろ違いがあるんでしょうけれども、そんなに強毒性でばたばたと死者が出る性格のものなのか、あるいはそうではないのか、この辺についてもお教えをいただければと思います。

宮村政府参考人 おっしゃるとおり、今の分離されているウイルスがあります、それは決して強毒性を物語る情況証拠はありません。

 二つのファクターがあります。一つは、今までの流行状況を見て、強毒性と言われるためには、感染した人、病気を発症した人、その中で実際に亡くなった人を全感染者の数で割るわけです。これが致死率でありますが、その致死率は二%とか三%というようなものでありまして、今まだこの感染状態がはっきりと把握されていませんが、恐らくもっともっと大勢の人が実際には感染しているというふうに思われます。それが一つ。

 それからもう一つは、分離されたウイルスの遺伝子構造を解析いたしますと、これは強毒性を示すようなエビデンスが全くありません。これは、季節性のインフルエンザと同じような毒性を持って人々の間ではやり始めたウイルスだというふうに考えられます。

 しかし、これはまだこの病気が発生したばかりの状態でありますから、これが人の間で広がっている間に変異を起こすということは十分あり得るわけで、それが強毒になっていく可能性もあるわけです。その辺についてこれから厳しい監視と把握が必要であると思われますが、強調したいのは、今広がっている、確かに広がってはおりますけれども、皆さん大勢の人がちょっと心配をした強毒性の新しいキラーウイルスであるというようなエビデンスは全くありません。

町村委員 強い毒性ではないという今の時点での状況だという御説明でありました。しかし、だからといって安心をしてはいけない、途中で変異をするかもしれない、そういう意味で、先ほど舛添大臣からは備えあれば憂いなしだ、こういう話でございました。ひとつ総理以下政府を挙げて、関係する機関も多いと思いますので、全力で日本の国内での蔓延というものに十二分な対応をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと存じます。

 次に、危機管理のもう一つの問題。これは一カ月前のことでありましたけれども、四月五日に北朝鮮のミサイルが日本の上空を飛んだという事件があったわけでございます。自衛隊、イージス艦、PAC3等々、しっかりとした準備をしておられたことと思いますし、実際には、確かにミサイルは飛んだけれども、日本に直接的に被害はなかったということではありましょう。ありましょうけれども、北のミサイルというのは、現実に日本の脅威であるということは間違いがないことであります。

 甚だ不愉快なことに、この北のミサイルは、西の中国にも北のロシアにも南の韓国にも飛ばない、東のアメリカまではまだ届かないというと、現実的にこの北のミサイルの標的は日本しかないという、まことに不愉快な状況が生まれつつあるわけであります。しかも、そこに核兵器開発が並行して行われているということでありまして、言うならば、戦後、日本国民が初めて現実の脅威としてミサイルというものを受けとめたのではないだろうか。

 そういう意味で大変衝撃的な事件であったと私は受けとめておりますけれども、日本政府の対応というものについて、振り返ってみてどうであったか。何か反省すべき点があったかどうか、国民への情報伝達でありますとか、あるいは空から見る衛星のシステムを含めて、ミサイル防衛というものが我が国において十分であったのかどうなのか、さらに改善する点があるかどうかなどを含めて、総合的に官房長官の方からお答えいただければと思います。

河村国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の北朝鮮によるミサイル発射の件でございます。

 政府の対応といたしましては、ミサイルが我が国領土内に落ちる可能性は非常に少ない、通常起こらないはずであるという判断をいたしました。しかし、その上で、国民の安全、安心を確保する観点から、今町村先生おっしゃいましたように、このミサイルが我が国領土を通過するという現実があるわけでございます。そのための万全のために、万々が一、事故等によりミサイルが落下するというケースにやはり備える必要があるということで、自衛隊法第八十二条の二の第三項の規定に基づきまして、防衛大臣が破壊措置命令をまず発出いたしたところであります。

 政府としては、そうした万全の体制を整えた上で、私からは国民に対して、さはさりながら、しかし平常どおりの生活を送っていただくように、このような呼びかけもいたしたところでございます。

 なお、実際の発射に当たりましては、エムネットを活用いたしまして、官邸から地方自治体に、テレビ・ラジオ局、大体約一分間で情報を発信できました。発射三分後には発射情報の国民への提供が完全にできたわけでございまして、通過の時間は極めて短い中で、この点は適切に実施できた、このように思っております。

 また、対外的には、日本といたしましては、アメリカを初めとする関係国との連携をしっかり持ちながら、国連安保理が一致して強いメッセージが発出できるように外交努力を重ねたところでございます。その結果、日本が主張いたしておりました内容が十分に反映された安保理議長声明が採択され発出された、こういうことでございます。北朝鮮に対する国際社会の一致した強いメッセージを発することができた、このように考えております。

 御指摘のように、今後の課題でございますが、対処に時間的余裕のない、極めて緊急情報を国民に瞬時にお伝えする、この体制をより充実させなきゃいかぬと感じたところでございます。

 そこで、今回の補正予算につきまして、Jアラート、これを全市区町村に全額国費で整備する経費、約百十二億円を計上させていただきました。さらに、より多くの自治体に迅速、確実に、また一斉に情報を伝えるというエムネット、この整備が約七割だ、約三割の地区、自治体においてはまだできていないということでございますので、現在未整備の自治体に対しましては、五月末までに整備を行うように、このことを要請いたしました。

 また、もう一方、我が国の弾道ミサイル防衛、BMDシステムでありますが、日本の安全を確保する上で、やはりこれは不可欠なものであると考えておりまして、現在、計画を持っておるわけでございますが、これを確実に進めたい。

 このあたりの整備につきましては、今後、こうした発射事案における自衛隊の対応あるいは今後の技術的な動向、こういうものも勘案しなきゃなりません。防衛計画の大綱の修正や次期中期防衛力整備計画、これに係る議論を踏まえて、この点についても検討していきたいと考えておるところでございます。

町村委員 自治体への連絡体制の充実、あるいは次の大綱をことしの年末までにお決めになるという政府のお考えだと思いますから、その中でしっかりとした対応というものを検討して、ぜひこれを実施していただきたい。先ほど舛添さんからは、備えあれば憂いなしという話がありました。今の官房長官のお話もまさにそういうことであろうか、こう思っておりますので、政府におかれましては、万全の体制をしいていただきたいと思います。

 国連の議長声明発出への御努力、私はこれは結構大変だったんだろう、こう思うのでありますが、内容の面でいい内容が出された、私はこれも評価をしているわけでございます。それを受けて、その後、国連の中での制裁委員会の動き、あるいは北朝鮮、あるいは六カ国協議の議長国であるところの中国の対応等につきまして、現状、その後どうなっておりますか、外務大臣にお伺いいたします。

中曽根国務大臣 ただいま委員や官房長官からもお話がありましたけれども、四月五日の北朝鮮によりますミサイルの発射を受けまして、四月の十四日に国連の安保理が、我が国や米国、中国、ロシア等関係国、安保理国の総意といたしまして、議長声明を発出したところでございます。

 内容はもう十分御存じのことと思いますが、北朝鮮によるミサイルの発射は安保理決議の一七一八号違反である、そしてこれを強く非難するとともに、北朝鮮がこの一七一八号を遵守するように求める、さらに、今後さらなる発射を行わない等々、大変内容のある声明を発出したところでございます。

 さらに、この声明におきまして、安保理は、六者会合を支持し、そしてその早期の再開を要請する、また、二〇〇五年九月の六者会合の共同声明及びその後に合意された文書の完全な実施のための努力を強化することを求める、そういうふうに議長声明では明記をしているところでございます。

 また、安保理のこの議長声明を受けまして、国連の北朝鮮制裁委員会が四月の二十四日に、中国あるいは米国等を含む関係国が全会一致によりまして、これは対北朝鮮禁輸対象となります大量破壊兵器の関連品目及び資産凍結対象となる北朝鮮の三団体を指定したところでございます。

 このような国連における動きに対しまして、北朝鮮は、御案内のように、六者会合には今後参加しない、そういうような立場を表明いたしましたり、また、核実験の実施を示唆したりするなど強く反発をしております。しかし、我が国やアメリカ、また中国等関係国といたしましては、四月十四日の安保理の議長声明を受けまして、六者会合の再開に向けて引き続き努力を傾注するということで今働きかけを始めているところでございます。

 先日、麻生総理が温家宝国務院総理と会談をいたしました際にも、温家宝総理からは、六者会合を通じて朝鮮半島の非核化を実現したいとの発言があった、そういうふうに伺っているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後とも、北朝鮮が今回の安保理の議長声明を重く受けとめて、そして地域の平和と安定を損なうような行為を慎んで、また安保理決議を遵守するよう求めるのと同時に、北朝鮮をめぐる諸懸案、すなわち核の問題、ミサイルの問題、拉致の問題等の解決のために国際社会が一致して、特に米国や、また議長国であります中国と緊密な連携をとって我が国としても取り組んでいく、そういう考えでございます。

町村委員 四月七日の日に、ミサイル発射を受けて、衆議院は、抗議をするという国会決議を行いました。私は、当然全会一致であるか、こう思ったんでありますけれども、社民党さんは棄権、共産党は反対という、まことに不可解な行動をとられました。それはそれなりの理由がきっとおありになったんだろうと思いますが、私は、民主党が政権をとれば社民党と連立を組むんだと言っておきながら、こういう重要な、かつ極めて簡明な話において外交安全保障政策の一致がないところに連立政権をつくると言っているんでありますから、いかにこれがいいかげんなものかということを私は強く感じたわけでございます。

 この際に、私はあわせて申し上げておきたいのでありますけれども、民主党は、海上自衛隊のインド洋派遣にも反対、海賊法案にも反対、沖縄県民の負担を軽減する沖縄海兵隊のグアム移転にも反対。全部反対ばかりなんですね。一体どうするんでしょうか、この人たちが政権をとって。

 そして、もっと驚くのは、小沢さんはこういうことを言っているんですよ、アメリカの第七艦隊だけあれば十分で、あとは全部日本がやりますと。米空軍がやっていることも米海兵隊がやっていることも日本の自衛隊を強力にすればそれでいいんだという、私も若干安全保障のことをかじった人間でありますけれども、まことに無知な発言をしておられる。

 こういう人が我が国の内閣総理大臣になってもらっては本当に困るなと。この辺については、きっと民主党の議員の方々から何らかの御意見の開陳も後ほどあるのではないかと思いますが、期待をして、私はぜひ聞かせていただきたい、こう思っているところでございます。

 麻生総理、やはり北朝鮮というのは、いろいろな意味で危険な国ではあるけれども、極めて近い国であることもまた間違いがありません。大分色あせたとはいうけれども、小泉総理が訪朝されたときの平壌宣言というものに準拠して、やはり拉致、核、ミサイルの問題を一括して解決した上で平和条約の交渉をやっていく、こういうことなんだろうと思いますけれども、今後、この北朝鮮外交というものについてどういうお考え、どういう決意で臨まれるのか、この辺についてお伺いをいたしたいと存じます。

麻生内閣総理大臣 今御指摘がありましたように、拉致、核、ミサイルという、よく出てきます三つの懸案ですけれども、この諸懸案を解決して、かつ、不幸な過去というのがありますので、その過去を清算した上で日朝国交を正常化するというこの基本方針は、これまで全く不変というように御理解いただければと思っております。

 日中の首脳会談におきましても、この点に関しましては私の方から申し上げてきたところでありますけれども、この北朝鮮の問題を解決する上で今最も現実的な案としては、少なくとも日朝を含みますいわゆる六者協議、この枠組みというのは最も現実的であろうと思っておりますので、とにかくこの六者会談を通じて、北朝鮮というか朝鮮半島の非核化を実現したい。

 この問題は極めて複雑な話でありますけれども、少なくともこの問題に関しましては、これは最も被害を受ける確率が高いのは日本ということにもなりましょう。そういった意味では、冷静にこれは対応をしていく、かつ、核の問題については粘り強くやっていかにゃいかぬところだと思います。アメリカ、韓国、日本、この三カ国は極めて連携を密にしていっているというところは、このところ、李明博大統領にかわり、オバマ大統領にかわった今日の米韓の関係におきましては、この問題に関しましては極めて連携が密になってきて、前、外務大臣をしておりましたときに比べましたら今の方がまだ連携が密になった、私はそのような感じがいたしております。

 いずれにいたしましても、六者会合というものを通じまして、日朝会談というものもございましょうし、米朝というものも、六者協議を通じた上でやるという話はアメリカもしておられるところであります。いずれにいたしましても、こういったきちんとした枠組みの上に立って北朝鮮側と粘り強く交渉し、国際社会の世論というのは過日の国連の議長声明でも極めて明らかであろうと思いますので、この辺の方向に沿って北朝鮮側の動きを引き出すべく、努力を引き続き行っていきたいと思っております。

町村委員 朝鮮半島の非核化、日米韓の協調、非常に重要なポイントだと思っております。

 加えて、日朝間には拉致の問題があります。連休中にも、テレビのニュースを見ておりましたら、拉致の家族の方々が悲痛な叫びをやはり上げておられる。この声を私どもは忘れてはならないし、そのインタビューの中で家族会の方々が、麻生政権になってこの拉致問題への取り組みが少々弱まっているのではないか、疑問を感ずるというような発言をしておられました。私は、そんなことはない、こう思っておりますけれども、この拉致問題を含めてしっかりと取り組んでいただきたい、こう考えております。

 また、中国との首脳会談に触れられました。安倍総理そして福田総理のもとで戦略的互恵関係というものができ上がり、それの延長で麻生総理もしっかりやっていただいていることを評価いたしますが、他方、東シナ海の資源開発の問題でありますとか、あるいは毒入りギョーザの問題とか、やや一年以上たつのでありますけれども、これは何ら進展がない。事務的な協議にゆだねるというようなことで、どうも私どもとしては釈然としない思いが強まっているということを中国側もしっかりと認識をしなければいけない。

 特に最近は、IT製品に対する強制認証制度というものを中国が一年後に導入するということを言っているようであります。どうも、表現はどうかよくわかりませんけれども、国を挙げてIT関連の企業秘密を全部入手してしまおう、何かそういうようなたくらみがあるのではないかというような感じもするわけであります。これは関係する大臣も多いんでしょうが、二階経産大臣、この点についてどういうお考えで今後臨まれるのか、この点はしっかりと強く、中国にこういうことをやらせないんだという方向で御尽力をいただきたいのでありますが、御所見を伺います。

二階国務大臣 中国は、御案内のように、二〇〇八年の一月、ITセキュリティー製品への強制認証制度を本年五月一日から導入するということを公表したわけであります。このような強制認証制度は国際的にかつて例がなく、貿易上の障壁となることは間違いありません。

 したがって、制度の詳細があいまいであったことから、アメリカ、ヨーロッパとともに、WTO関連会合等で、あるいはまた二国間の協議におきまして、中国政府に懸念を表明しながら、制度の詳細についての説明を求めてまいりました。

 昨年の秋以降はさらに働きかけを強化し、WTO関連会合では、アメリカ、ヨーロッパに加え、韓国やカナダとも連携して強い懸念を表明し、また、私自身も閣僚レベルでの対応が必要と判断し、昨年の十一月並びに本年の四月に、陳徳銘中国商務部長、私のカウンターパートでありますが、再考を強く求めてまいりました。四月二十九日の日中首脳会談におきましても、麻生総理からも強く御発言をいただいたことは御承知のとおりであります。

 ちょうど同じ日でありますが、四月二十九日に中国は、強制認証制度を、対象を政府調達に限定した上で実施日を一年延期し、来年五月一日から実施する旨、改めて公表したところでありますが、我々にとりましてはこれは極めて不満であり、今後交渉を続けてまいるつもりであります。

町村委員 きょうの本題とは余り関係がないのでありますけれども、これは相当強い姿勢で臨んでいただかないと、中国は一度やると言ったらなかなか変えませんから、ぜひ、これはもう総理以下関係大臣、ありとあらゆる機会に強く撤回を求めるということで御尽力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、本題の一番の経済危機。これに対応して今この補正予算が出されようとしているわけでございます。こうした極めて異例であります、三月末に予算が通った、それから一カ月後に補正予算を出すということになったわけでございますが、そういう判断に至った背景、すなわち、もうよく報道されているから簡単で結構でございますが、世界経済の様子あるいは日本経済に関する認識につきまして、これは一括して与謝野大臣の方から、政府の内外の経済情勢の認識、特に、政府は四月の二十七日ですか、政府経済見通しを改めて暫定見通しというものをお出しになったという報道がございましたが、そうした点も含めて御説明をいただければと思います。

与謝野国務大臣 世界の金融危機と世界同時不況は深刻度を増しております。輸出市場は急速に収縮をしております。そのため、昨年十―十二月期が大幅なマイナス成長になるなど、景気は急速に悪化し、これまでの動きは、政府経済見通しで想定しておりました成長経路を大幅に下回っております。

 このような危機に対処するために、政府・与党は経済危機対策を決定したところであり、これに関しましては町村議員が大きな役割を果たしてくださいましたが、対策の着実な実施は、景気の底割れリスクを回避するに当たり、大きく貢献することが期待されております。

 こうした内外情勢を踏まえまして、日本経済の先行きの姿を率直に明らかにするため、内閣府として、経済危機対策を織り込んで政府経済見通しを暫定的に見直したところ、平成二十一年度の実質GDP成長率は、前年度比マイナス三・三%程度になると見込まれております。

 なお、世界にはまだいろいろなリスクがございまして、世界金融システムの安定化の帰趨や世界経済の動向は非常に不透明感が強いことから、日本経済に働く下押しの圧力には注意をしていかなければならないと思っております。

町村委員 麻生総理にお伺いしたいと思いますけれども、今、与謝野大臣が言われたような下降局面といいましょうか、しかも急速であるということ、二十一年度の実質成長率がマイナス三・三%ですか、大変大きなマイナスになるであろうと。これは、経済対策織り込み済みでございましょうから、経済対策なかりせば五、六%のマイナス成長になったかもしれない、こういうことだろうと思います。

 そういう意味で、私は、一刻も早いこの補正予算の成立が必要だ、そういう思いで総理も今回補正予算をお出しになったんだろうと思いますが、相も変わらず野党の諸君は慎重審議を必要とすると。結局、そういう慎重審議の名のもとにいたずらに成立をおくらせるという姿勢がまことに遺憾なことだ、私はこう思っているんです。国民生活第一と言いながら、実質はこの予算を人質にとって麻生内閣の足を引っ張ろうとする、まことに、こういうことがないであろうということを、私は、よく民主党の諸君も国民の……(発言する者あり)まあそういらいらしないでください、菅さん。私は、民主党の諸君が、万が一にも予算をおくらせるというようなことはないと思いますけれども。

 この補正予算、早期成立に向けての麻生総理の決意というものを私はお伺いしたいと存じます。

麻生内閣総理大臣 今、与謝野大臣の方からも話があっておりましたように、経済の落下、悪化速度というものは、過去に例を見ないほど急激に数字の上では落下、悪化をしております。

 そういった状況の中にありましては、やはり、我々はこの状況にあって、予算を編成したときに比べまして、一―三の状況はさらに悪くなってきておると思っております。したがいまして、本予算というものを成立させるために当たりましては、まず景気の底割れを防ぐという点と、安心、活力を実現するということと、そして、未来の成長力の強化につながっていく、そういった施策というものを織り込んでおりまして、我々としては一刻も早い成立が極めて重要であろうと考えております。

 なお、昨年度御審議をいただきました定額給付金、高速道路料金引き下げといったいろいろな施策というものが、現在、順次実施をされているところであります。これらは国民生活にとって大きな支えになっていると私どもは考えておりまして、本補正予算というものを早期に成立させるということによりまして、さらに、景気の不安を嘆いておられます国民に対してよりよいメッセージが伝えられる。一日も早い成立というものを心から期待いたしております。

町村委員 自由民主党では、三月十日に日本経済再生戦略会議というものを立ち上げました。私が、僣越ではございましたが会長に就任をし、自民党の関係する部会、調査会、また各個人、あるいはいろいろなグループの方々から貴重な提言を出していただきまして、それらを取りまとめたものでございます。三月三十一日の日には中間報告を出し、今、未来に向けて投資すべき内容は主要な三分野であるというようなことを取りまとめたわけでございます。

 そして、公明党さんの御提言も受け、政府・与党で四月十日の日に経済危機対策というものを発表し、それを補正予算化して、国会に四月二十七日に御提出をいただいた、その概要がこのパネルの一番目に載っているわけでございます。

 全体規模、一般会計ベースでは十四・八兆円、それに労働保険特会の雇用調整助成金の拡充等〇・六兆円、六千億円が入って、大体規模としては十五兆四千億ということになっております。こういう中身のものを、自由民主党、そして政府一体、公明党さんも一体となって取りまとめたところでございます。

 この一番目と二番目に書いてあります緊急雇用対策、緊急の金融対策、これは現下の状況からして当然のことでございますけれども、今総理からもお触れをいただきました、中長期的に見て、これから日本経済が進むべき三つの大きな方向性というもの、成長分野というものを示した。それを私どもは向こう三年―五年の計画として取りまとめたものを、この三、四、五と書いてあります、グリーン経済社会、二十一世紀型インフラ整備、健康長寿・子育てという三つの柱に取りまとめたところであります。

 これは、ちょっとパネルの二番目をごらんいただきますと、どういう成長分野かということを改めてお示しをしてございます。これが私ども自由民主党戦略会議が日本経済再生への戦略プログラムとしてまとめた柱でございます。別に単年度の補正予算だけを考えたのではなくて、三年から五年のこうしたプログラムを講じていく、そのうち早く取り組んだらいいという分野は何かということで、この中から補正に必要なものをピックアップしていったということでございます。

 一番目は、地球温暖化対策、低炭素社会をつくるというグリーン経済社会システムの構築。太陽光発電であるとか、低燃費車、省エネ製品の普及というのが一番目の柱、これに必要な補正予算を一兆六千億組んでおります。

 二番目が、二十一世紀型のインフラ整備をしようではないか、そのためのシステム開発もやろうということで、最先端の技術開発であるとか、農業の充実強化によって食料自給率を向上させていく。あるいは、国土のミッシングリンクと呼んでおりますけれども、例えば、東京の外郭環状道路の練馬の方から東名への間がまだ抜けているので、これを早く結ぶことによって首都中心部の渋滞解消につながっていくであろう、そういったものを大いに進めていこうではないか。こうした分野で補正予算を二兆六千億。

 さらに、健康長寿と子育て。この分野、地域医療の再生であるとか介護のことであるとか、あるいは安心こども・子育て対策、こうしたもので補正予算を二兆円。これが私ども自由民主党がまとめたプログラムでございまして、こうした中期的な成長戦略というものに基づいて今回の補正予算を編成していただいたということでございます。

 そして、大切なことは、これは単年度の措置ではなくて複数年度にまたがる措置ということで、与謝野財務大臣にもいろいろ工夫をしていただきました。基金をつくって、それを何カ年間で使っていくとか、あるいは、スクール・ニューディールというのは一年ではとてもできませんので、一応私ども自由民主党の方では三カ年計画ということで仕組みを考えたわけでございます。

 そうした複数年度にまたがる対策であるべきだという御指示はあらかじめ総理からもいただいておりましたが、具体的にどういうものが今回の補正の中に複数年度にわたるものとして取り組まれているか、財務大臣からお答えをいただければと思います。

与謝野国務大臣 多年度を視野に入れた対策にせよとの総理の御指示がございましたので、今回の対策は、基金を設けることによりまして複数年度をカバーする政策が盛り込まれております。

 具体的には、例えば、人材育成・就職支援、三年間で七千億。介護職員の処遇改善、三年間で三千九百七十五億円。地域の実情に応じた地域医療再生、おおむね五年で三千百億円。世界先端研究の支援、これは三年から五年で二千七百億。保育サービスの充実、母子家庭対策等、これは二、三年間でございますが、一千五百億。住宅やオフィスへの太陽光パネルの導入、これは二年間で四百七十億。また、複数年にわたるプロジェクトとしては、例えば、東京外環道の整備、十年、羽田空港滑走路の延伸、五年、スクール・ニューディール、三年、こういう複数年度のプロジェクトを入れてございます。

町村委員 そういう中期的な取り組みの必要性というのはかねてから言われておりました。しかし、予算の単年度主義というものがありまして、なかなか、国庫債務負担行為等々限られた分野でしか認められておりませんでしたけれども、今、与謝野財務大臣からのお話のとおり、先端科学研究から医療の分野から介護の問題、人材育成等々、非常に幅広く、こうした中期的なプログラムあるいは基金を設置するという形で、それをまず二十一年度の補正でやっていこうという点は大変重要なポイントでありまして、野党の諸君はまた例によってばらまき、ばらまきと言いますが、決してそういうことではない、このプログラムをごらんいただければ、ちゃんと中期的な戦略を持って、その中でやれるものを初年度何をやるかという姿勢で取り組んだという点を国民の皆様方に御理解をいただければ、こう思っているところでございます。

 そこで、もう一点与謝野大臣に伺いますけれども、先ほども少しお触れをいただきましたこの補正予算の経済効果、二%ぐらい成長率が持ち上がるというお話がありましたが、それに加えまして、雇用面の効果でありますとか、あるいは単年度ではなくて平成二十二年度、二十三年度、これから日本経済がどのようなシナリオを描いて回復過程をたどっていくと見込んでおられるのか、そうした点につきましても、経済財政政策担当大臣の方からお答えをいただければと思います。

与謝野国務大臣 今回の対策には、低燃費車、省エネ製品の普及促進など、民間消費や設備投資の増加に寄与する施策、スクール・ニューディール構想などを実施するための公共投資等が盛り込まれておりまして、これらの施策により、二十一年度の実質GDP成長率を一・九%程度押し上げる効果があると見込んでおります。

 また、雇用創出効果の方でございますけれども、需要拡大に伴う経済波及効果、公共投資の増加、雇用対策による効果を総合的に勘案しますと、二十一年度平均で二十万人程度、今後一年間で四十万から五十万人程度の雇用が創出されると見込んでおります。

 なお、本補正予算、平成二十一年度以降発現する分を含めますと、実質GDP比二・九%程度の効果があると見込まれております。

町村委員 その関連で、この対策規模、十五兆四千億、こういうことでございますけれども、過去最大規模ということで、パネルの三つ目、これまで小渕内閣以降、折に触れて必要な補正予算というものをやってまいりました。

 パネルの三をごらんいただきますと、今回の十五兆四千億の補正予算、そして事業規模としては五十六兆八千億という、今まで、小渕内閣のもとで見たものと比べますと、補正で七・六兆、事業規模で十七兆ですから、相当思い切った対策になっている、こう私も受けとめているわけでございます。

 他方、この十五兆円は大き過ぎるんだ、何でこんなに要るんだという意見も一方ではありますし、他方では、現在の需給ギャップ、五%とか六%とか言われておりますが、GDPが約五百兆とすると四十兆以上が必要なのではないかというような見方もあるんですね。

 大き過ぎるという人と小さ過ぎるという人がいるから、中をとってちょうどいい規模なんじゃないか、アバウトな意見でいえばそういう気もいたしますけれども、こうした対策の規模が適切であるのかどうなのか。需給ギャップを全部公共的な支出で、政府の投資で賄うという考えも私はいささか乱暴だと思っておりますが、この問題について、与謝野経済財政担当大臣、どのようにお考えでしょう。

与謝野国務大臣 日本経済の落ち込みは、日本の金融システムが危機を迎えたからでもございませんし、何か日本経済の内部で問題が起きたわけではありません。これは専ら、輸出が落ち込んだことによる不況であると我々は考えております。

 しかしながら、その輸出が落ち込んだ分を全部内需でカバーできるか、全部財政需要でこれを補うことができるのかといえば、なかなかそれはできないわけでございまして、我々としては、落ち込んだものの約半分ぐらいを財政出動でカバーしよう、することによって、なるべく失業とか倒産とかという悲劇を極小にする、そういう思いで補正予算をつくったわけでございます。

 十五兆ですと、これは対GDP比で約三%に当たりまして、国際的な声としては、各国、できれば二%ぐらいの財政刺激をするのが適当ではないかという国際的な声にも多分こたえ得る数字ではないかと思っております。

町村委員 どうもありがとうございました。

 国際的な観点から見ても適切な規模であろう、また、国内の対応からいってもこの規模でよかろう、こういう与謝野大臣の御判断だと、私もそのように受けとめさせてもらいました。

 こうした対策の財源ということでございます。

 改めて、パネルの一の、最初のところに出ておりますけれども、私どもは、この十四・八兆円のうち、公債で十・八兆、うち建設公債が七・三兆、特例公債、いわゆる赤字公債が三・五兆ということであります。税外収入、財政投融資特会からの積立金の取り崩し、三兆一千億。これに経済緊急対応予備費、あらかじめ当初予算で一兆円の予備費を組んでおきましたが、それを八千五百億円取り崩して今回の対策に充てるということで、十四兆八千億という規模ができ上がったわけでございます。

 さはさりながら、十兆円を超える公債を発行するというのは、大変厳しい、難しい判断であった、こう私は思うわけでございます。しかし、とにもかくにもこういう形で私どもは財源をつくっていったわけでございます。

 この関係で、先ほど来からそばで大変熱心な御発言をいただいております民主党の皆さん方にもお願いをしたいのでありますが、私どもはこういう案をつくりました、政府・与党で。民主党もぜひ修正案を国会に出してもらいたいんですね。修正案という形で、歳出歳入それぞれどういう姿になるのかということを、ぜひ修正案として出してもらいたいんですね。出していないんです、彼らは。

 そして、それはなぜかというと、出せないんです。なぜ出せないのか。なぜ出せないのか、非常に……(発言する者あり)ちょっと、もう少し静かにしてください。

衛藤委員長 諸君、静粛にお願いします。

町村委員 なぜできないかというと、まさにこの財源、歳入予算の方を彼らは組めないんです。

 私は民主党さんのホームページを珍しく見てみたんですけれども、民主党の、二年間で二十一兆円のものを出す、こう言っているんですね。中身は何かなと思って見ると、私は唖然としました。

 天下り廃止による公共調達コストの削減。いいですか、天下りの廃止をやる。いいでしょう、仮に全部やめたとしましょうか。では、団体の理事長に民間人を充てたらば、もっとお金がかかるんですよ。なぜかというと、民間人、今の低い給料ではなかなか来てくれない。私も官房長官をやって苦労したんです。民間になったらばもっと実はかかるよというのが、この「天下り廃止等による公共調達のコスト削減」なんです。

 二番目、「独法・特殊法人の原則廃止」、こう書いてあるんですね。これは、私が官房長官時代に福田総理の御指示をいただいて、百一の独法を八十五まで減らしました。これによって二十年度予算だけでも千数百億円の削減をしたんですね。これで原則廃止とおっしゃる。何を廃止するかというのを、補正予算の財源を示すときには民主党は示さなきゃならないんです。ところが、これはできないんですね。

 例えば、国際協力をやっております国際協力機構、緒方理事長のところですね。これを全部やめられますか。やめたらば、日本の国際協力、ODAもなくなります。無償資金も技術協力も全部なくなるんです。こんなことができるんでしょうか。(発言する者あり)いや、原則廃止と書いてあるからね。

 それから、例えば理化学研究所とか新エネ機構、こうした先端技術開発をやるところもやめると言う。では一体、日本の先端技術開発、それは全部民間とか大学がやってくださればいいです。なかなかそうもいかない。こういったものは必要不可欠なんです。

 さらに、例えば、これからは海外の資源開発も大いにやらなきゃいけない。もう世界の競争になっている。その先兵に立っているのが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構というのがあるんです。例えばこういうのも全部原則廃止だと民主党は言っている。

 だから、補正の財源を示すことによって、どれを廃止するのかというのを明示してもらうことが、これは非常に意味があるんですね。ぜひ皆さん方からその具体論を示していただくと、初めて建設的な議論になってくるんです。

 そして、これらは今各部会ごとに事業の仕分けで着手をしていますと言って逃げているんです。

 では、具体的に二十一年度の措置は何をやるかというと、民主党さんは、緊急対応予備費の活用、これは私どもも八千五百億やっているから、それはいいでしょう。あとは埋蔵金だとおっしゃる。私どもも財投の特会から三・一兆出しておりますから、これはこれでいいでしょう。

 あと、外為特会に十九・六兆あります、こう言っています。これは確かに二十一年三月末に積立金が十九・六兆あります。それを全部使おうというお話なんでしょう。しかし、現実には、この二十一年三月末、一ドル九十八円ですから、評価損が二十・四兆出ておりまして、実際にはネットの積立金は八千億円のマイナスなんです。大体一ドル九十九円でこれがイーブンになるんですね。

 したがって、民主党さんの言っております埋蔵金の活用ということで、どうやって二十一兆円、二年間ですから、一年で十兆だとしても、こんなもの出せるはずがないんです。

 私は、ぜひこの財源をつまびらかにし、どの特殊法人あるいはどの独法を廃止して、これだけの予算を浮かしますということを出していただくことによって、初めてこの予算委員会の審議のどちらに責任があるかということがはっきりしてきます。

 私どもの、自民党、公明党、そして政府の責任感のある提案と、全く無責任にばらまきだけやりますと言っている民主党の違いというものを、ぜひ私はこの予算委員会で明確にしていく必要がある、こう考えているところでございます。(発言する者あり)今みたいに、官僚につくってもらった、こういう無知な人がいるから、さっき私はパネルの二で、自由民主党の議論でつくったものですよということを申し上げたので、よく聞いておいてくださいね。私どもが積み上げをやりました。

 その積み上げの詳細をお知りになりたいなら、どうぞ、私どもがつくりました最終報告書のこの附属資料一、二というのを見ていただきましたら、数字が全部入っているこの数字をごらんいただければ、私どもの自由民主党の政権担当能力、政策形成能力がいかにあるかということを御理解いただけるんだろう、こう思っております。

 しかし、私どもは、他方、この財源で十兆円を超える公債を出すということに何らのためらいがなかったかといえば、それはうそになります。私どもも、この財政の健全化、あるいは社会保障財源をしっかりどうやってつくっていくのかという問題というのは、大変重要な問題だと実は考えております。

 私個人のことを申し上げて恐縮でありますが、私は文部大臣を二回も務めさせていただきました。教育問題に一生懸命取り組んできたつもりでありますけれども、やはり次の世代にどういう日本を残すのかということを常に考えながら、私自身も取り組んできたわけであります。

 そこで、このパネルの四をごらんいただきますと、確かに与謝野大臣御心配のような国債の残高が中央、地方で累増していって、確かにここ四、五年は小泉内閣あるいは安倍内閣、福田内閣でそんなにはふえておりませんが、現在は中央、地方合わせて八百十六兆円という巨額に上っておりますし、これらの対GDPの国際比較を見ますと、日本はGDPの一・七倍、諸外国と比べ、例えばイタリアは一・一四倍、アメリカが七八%、イギリス、カナダ等は大体六割強というぐあいで、非常に我が国の財政の状態というのが不健全であるということ、これは認めざるを得ない、こう思っております。

 そういう意味で、私は、今回、三月末に通した税法の附則、これは自民党あるいは公明党を含めて、政府も含めて大議論をやりました。しかし、この附則の中で、私たちは、景気がよくなれば税制抜本改革をやって、消費税率も上げ、法人税率は多分下げ、所得税の税率は多分上げ、資産課税はより強化をする、そんな方向で抜本改革をやりましょうという附則、これは精神、訓示規定ではあるけれども、景気がよくなったらやりますよということを述べました。これが私どもの責任政党の責任感のあらわれだと思って、この附則を入れました。

 これに反対をした民主党の諸君は、全く責任感がないということを自白したようなものでありますが、この思い切った財政の出動と財政健全化という、やらなければならない課題のバランスをどうとって考えたのか、これは与謝野大臣、後ほど麻生総理にも伺いたいと思いますが、まず与謝野大臣から御所見をいただければと思います。

与謝野国務大臣 この経済対策があろうとなかろうと、財政をどうやって立て直すかということは、これはもう麻生総理が昨年十月三十日、記者会見で国民に広く言明したとおり、財政を立て直すということは内閣の責任であるということを申し上げたところでございます。

 これは、どの政党にとっても、税の話を国民に申し上げるということは大変つらいわけでございます。しかしながら、手品のような話をしていて、国民に対して責任を果たさないということは、これは許されないことであると我々は考えております。

 したがいまして、今回、この国会で通りました税法の附則で、中期プログラムが書いてあります。そこには、やはり、二〇一一年には景気が、経済が回復したということを前提に税制全体を抜本改革いたします、中でも消費税については、社会保障並びに少子化に使うという目的税化をすることによって国民の理解を得るということをきちんと書いてあるわけでございます。

 これは、政府に対して課せられた責任だけではなく、国会が立法をしたわけですから、立法府に対しても一定の責任を課していると解釈することが相当であると思っております。

 民主党のいろいろな政策も、一生懸命つくられたには違いないわけでございますが、やや幼いところが目立つのではないかと思っております。

町村委員 文学的表現で、幼いところがあると。私は余り文学的表現が得意じゃないので、今ぎりぎりと具体例を挙げてお話をした、それを一括して言えばそういうことなんだろうな、こう思っております。

 麻生総理にお伺いいたしますが、基本的な、今、与謝野大臣のこれから先に向けての財政のあり方についてのお考え、もちろん同じお考えだろうと思いますが、この六月には骨太二〇〇九という、来年度の、あるいは来年度以降の経済財政運営の姿、考え方というものをお取りまとめいただかなきゃならない、こう思っております。

 その中で、我が党内にも、先ほど与謝野大臣言われた、二〇一一年、平成二十三年に基礎的財政収支は黒字化するというのを決めた骨太二〇〇六というのが、小泉内閣の一番終わりのときにできたわけであります。これとの対比で、この二〇〇九、どういうふうな考え方でつくるのかなと。

 先ほど来私がお尋ねしたように、向こう二年、三年の思い切った財政出動をしましょう、こういう発想が一つあります。しかし、景気が回復したらば、当然、財政の健全な姿、社会保障の財源をしっかり調達するということも必要になってまいりますが、そこのところをこれから六月に向けて御検討いただくので、今検討中ということかもしれませんけれども、非常に多くの方々がこの骨太二〇〇九に注目をしておりますものですから、この点、総理としてどのようなお考えであるのか、お教えをいただければと思います。

麻生内閣総理大臣 これはやはり、極めて大胆な財政出動ということをやるからには、中期の財政の責任もきちんとしておかなければならぬというのは、政府として、与党としての原点なんだ、私はそう思っております。

 したがいまして、今、よく百年に一度と言われるような異常事態に対しては、我々は、異例な対策ということで、今回このような対応をさせていただいております。

 したがいまして、二〇一一年にはということを申し上げてきておりますが、この対策が当たって景気がある程度浮揚してくるということになった段階で、我々はその対応をしていくことになろうと思いますので、これは、基本方針の二〇〇六年において、歳出改革とともに、経済が大きく減速する場合には柔軟に対応する旨というのが二〇〇六には書いてございますが、いずれにしても、政府といたしましては、今回の経済財政の運営の基本的な考え方というものをこの二〇〇九でお示ししなきゃならぬというのを、我々、目下検討中のところであります。これが外国の経済情勢と多分に密接するところがありますので、日本だけよくなっちゃうなどということは常識的には考えられませんけれども、我々としては、いろいろな国々と一緒に上がっていくということを考えていくためにも今いろいろな検討をしておるという段階で、今、これだということを申し上げる段階にはございません。

町村委員 どうもありがとうございました。

 それでは、少しくそれぞれの対策の中身に入っていきたいと思います。主要な部分は後ほど園田議員の方からお尋ねをすることと思いますが、私は一点だけ、金融対策について、冒頭、まず政府の今回の対策について、国民の関心が強いものですから、お伺いをしておきたいと思います。

 パネルの五番目ですが、特に中小企業向けの資金繰り対策、あるいは、最近は中堅企業、大企業についてもこうした資金繰り対策が必要になってくるということで、今回の補正予算には相当思い切った対策が盛り込まれておりますけれども、この資金繰り対策について、一括して二階経産大臣の方から簡単にお話しをいただければと思います。

二階国務大臣 ただいま町村議員からお話がありましたとおり、長引く不況の中で、中小企業の金融問題、これが極めて大きなウエートを占めておるわけでありまして、我々は、この厳しい資金繰りに対して積極的な対応を講じようとしてまいりました。

 経済産業省としては、かけ声としては、一社でも多くの資金繰りを支援する、こういう方向で、半年間に、緊急保証そしてセーフティーネット保証を合わせて十二兆円を超える資金供給を行うとともに、既往の債務への柔軟な対応や貸付金利の引き下げなど、現場の資金需要にこたえてあらゆる政策を講じてまいりました。

 今回の経済危機対策でも、量と質の面でさらなる支援を打ち出しております。緊急保証を十兆円、貸し付けを七兆円追加しまして、合計四十七兆円の事業規模としております。また、リスクの高い案件への対応やさらなる金利引き下げが可能となるように一兆五千億円を計上するとともに、いわゆるマル経融資の拡充、緊急保証、元本据置期間の延長等において、八千万円を超えた無担保保証への対応など、中小・小規模企業の関係者の皆さんの御要望を踏まえて、また、町村議員を中心とする与党の御意見等も十分配慮しまして、運用面の改善を盛り込んだ次第であります。

 引き続き、日本公庫や商工中金、各地の信用保証協会や商工会、商工会議所など、関係機関が一体となって中小・小規模企業の資金繰りに全力を尽くしてまいりたいと思っております。

町村委員 今、二階大臣言われたように、中小企業向け資金繰り、保証二十兆、セーフティーネット十兆、計三十兆、これは非常によく活用されているということで、私も、地元の中小企業の皆さんとお話をすると、いや、あれで助かりましたという声を折に触れて耳にいたします。

 そういう意味で、私は、これをさらに拡充するということはまことに時宜を得ている対策だ、こう思っておりますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 また、住宅・土地金融、これについてはちょっと時間がなくなったので、金子大臣、申しわけありませんが、相当充実をする、税制面、金融面、住宅投資が進むようにということでさまざまな手を打っていただいておりますこと、私は大変有効だと思っております。

 きょう、日銀総裁にもお越しをいただいております。日銀総裁にちょっと伺いたいのでありますけれども、民間銀行の貸し渋り状態といいましょうか、これがなかなか解消しない、まだまだという問題を結構耳にするんですね。日銀としては、資金供給を潤沢にしたり、CPの買い取りをしたり、社債の買い取りをしたり等々、相当今までにない意欲的なお取り組みをしていただいていることは承知をしておりますが、本当にそれらのことが実行されているのかどうだろうかという気がしてなりません。

 民間の銀行あるいは信用金庫等々の人に話を聞くと、いや、実は金融庁の検査が厳しくてといって逃げるんですね。金融庁の方に聞くと、いやいや、私どもはどんどん貸すようにと言っておりますといって、どうもそのはざまに落ちてしまうようなケースがあるんです。

 日銀として、現在の金融情勢、特に貸し渋りというのは本当にないのかどうか、どういう御認識でおられるのか。また、今後どういう金融政策をとろうとしておられるのか。お伺いをいたします。

白川参考人 お答えいたします。

 まず、企業の資金繰りでございますけれども、昨年秋以降の景気の急速な落ち込みを背景に、厳しい状況が続いているというふうに認識しております。

 四月初に発表しました三月の日銀短観でも、企業の資金繰り判断あるいは金融機関の貸し出し態度について、厳しいとする回答が増加をしております。

 一方、銀行貸し出しの計数を見てみますと、過去十数年の中では、実は伸び率は今一番高い伸び率を続けております。このところ、数字で申し上げますと、前年を四%超える伸びを続けております。中身を見てみますと、昨年秋以降、資金需要が急速に高まりました大企業向けの貸し出しが増加したことが主因でございますけれども、中小企業の資金需要につきましても、金融機関は、信用保証協会の緊急保証制度を積極的に活用し、対応しているということでございます。

 先ほどの企業の実感、つまり、非常に企業金融は厳しいとする実感と、それからこの貸し出しの伸びをどういうふうに整合的に理解するかということでございますけれども、やはり、一番大きいことは、昨年秋以降の景気の落ち込みが非常に急速かつ大幅であったということでございます。その結果、全体として企業業績が悪化し、倒産も増加の傾向にございますけれども、金融機関としては、貸し出しの審査、運営はおのずと慎重にならざるを得ないというふうになっている面があると思います。このため、企業サイドから見ますと、金融機関の貸し出し態度が厳しく感じられるということが実態ではないかというふうに思います。

 日本銀行としてどういうふうな施策をとっているかということでございますけれども、これは三つ。一つは政策金利の引き下げ、二つ目は機動的な流動性供給による金融市場の安定、三つ目は企業金融の円滑化支援ということでございます。

 多少、数字に即して申し上げたいというふうに思います。

 まず、CPの買い入れ、それから担保の受け入れ、それから企業金融特別支援オペ、こうしたもの、数字は申し上げませんけれども、大変に増加はいたしております。ただ、こうした措置は、足元、効果も発揮してきてはおりますけれども、先ほどの回答結果にも示されたとおり、まだまだ厳しいということでございますので、日本銀行としては、これからも政策金利の引き下げ、それから市場の安定、企業金融の円滑化支援という三本柱でしっかり対応していきたいと思っております。

町村委員 日銀総裁、今までにない取り組みをしていただいていることは評価をいたしておりますので、さらに一層積極的に、市場金融が円滑に回るようにお願いをしておきたいと思います。

 時間がそろそろ参りましたので、最後に一点だけ、地域の活性化という問題について質問をさせていただきます。

 第二次補正の中で六千億円の地域活性化の臨時交付金というものを麻生総理のイニシアチブでつくっていただきました。これは大変に使い勝手がいいということで自治体に好評であります。今回、補正予算の中には、地域活性化・経済危機対策臨時交付金一兆円を創設されたということで、これへの期待が大変大きゅうございます。都道府県四千億、市町村六千億ということでございまして、これをぜひ各自治体も活用していただきたい。

 それともう一つは、こうした交付金を初め、あるいは公共事業等をできるだけ地場の中小企業、地域の企業に発注をしてもらいたいという、発注方法の改善という話があります。この点は、麻生総理に最後もう一問だけ、恐縮ですが伺いますけれども、自由民主党として、政調会長の方から、例えば少額随契の上限を引き上げるであるとか、あるいは指名競争入札の上限を引き上げるとか、公共事業以外にも総合評価というものを取り入れたらどうかなどなど御提案をしております。できるだけ地域の中小企業の皆さんに実際の受注がふえるということによって地域の活性化がもたらされると思うのでありますが、この点の方針につきまして御検討の状況をお聞かせいただければと思います。

 私の質問は以上で終わります。

麻生内閣総理大臣 今のは、これは御指摘のとおり、一括購入して一括に支給をいたしますと、その分だけ安くなる、そういうことから、中央で一括して購入してあとは全部地域にという方が絶対額が安くなるという話ですが、逆に言えば、地域で購入した部分が減少するという部分と、両方の点が今一番問題になっているところだと思っております。

 したがって、地元企業とか地元の中小企業に対して受注引き合いの確保をするという視点から検討せねばならぬという御意見があっておりますので、予算の執行に当たりましては、地域の中小企業等々の活用などにつきまして、発注をいたします機関に対しましては周知徹底するということで、可能な限り対応していかねばならぬところだとは思っております。

 その他、少額の随意契約の基準額の話とかいろいろありますけれども、これは随意契約の縮小をずっと図ってきたこれまでの経緯もこれあり、そういった意味では、これまでの取り組みにいきなり、全然別に、逆行するということはなかなか難しいところという点もちょっと御理解をいただいておかねばならぬところかなと思ってはおります。

町村委員 以上で私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

衛藤委員長 この際、園田博之君から関連質疑の申し出があります。町村信孝君の持ち時間の範囲内でこれを許します。園田博之君。

園田(博)委員 私、自民党の現在の政調会長代理という仕事にいつついたのか、ちょっと忘れてしまったんですが、とにかく常に予算づくりをしてきたんですね。ここに書いてありますが、四回目の予算づくり、去年の夏からですね。

 去年のお盆のころに、当時は福田内閣でございましたが、原油が急騰いたしまして、その影響が食品その他物価にはね返ってきました。これでは、生活する側も、あるいはお仕事をされる特に中小企業の方々も大変だというので、緊急的に二十年度の第一次補正予算を組みました。ところが、その後、内閣がかわりまして麻生内閣になるわけですが、この総裁選挙の最中に、かねてから心配されていましたアメリカのサブプライムローン、この影響でアメリカの金融システムが打撃を受けるんではないかということはもう以前から言われていたことなんですが、九月の下旬になって、リーマン・ブラザーズという金融会社が破綻をして、一気に今日の世界経済の状況をつくり上げてしまうわけですね。

 これでは、緊急的に、アメリカ経済がだめになるということは、EUもあるいは中国も、その他のアジアの国々も相当の打撃を受ける、したがって、輸出関連と、それからもう一つは、何といったって、もともと基盤がそれほど強くない中小企業を営む方々の金融それから雇用、こういうものを政府が先頭に立って補っていかなきゃならないんだということで、麻生総理から御指示を受けて、秋から第二次補正予算をつくることに専念をいたしました。

 そうしている最中に、今度は年末になりますと当然通常予算を組まなきゃならぬわけで、この通常予算も、今いろいろ議論がございましたが、基本的にはやはり財政規律をきちんと守らなきゃいけない、しかし、この緊急事態では、何らかのやはり特別対策を特別に加えてつくれと総理から御指示いただきまして、これも金融と雇用を中心に、今までのシーリングの外で特別な予算を組んで対応してきたわけです。

 これでまあ日本経済は、まだまだこれから大変な打撃を受けるだろうけれども、当面落ちつくのかなと思っておりましたら、先ほどから議論がありますとおり、昨年の十月から十二月までの日本の実体経済に与える影響が予想を超えるものだった。それぐらい日本の経済というのは、ある意味では特定の輸出産業に依存してきたということがやはり言えるんじゃなかろうかと思うんですね。しかも、その影響度が、毎日のように、ある会社が何人やめさせたとか、もう次から次に出てくるわけですね。こういうことに対する、職場を失うという不安、それから同時に、そういう輸出関連産業の中小企業の方々の仕事が一気になくなってしまう。

 私は余り経済のことを知らないんですが、私が知る限り、景気というのは、上がるときも下がるときも大体緩やかなものじゃないかと思うんです。緩やかに上っていって、ある頂点に達するとまたどこかで下がってくるというのが景気だろうと思うんですが、小泉内閣時代の、長く続いたという意味で言われるイザナギ景気を上回る景気だと、まさに緩やかだったんですね。あるところまで行ったかと思ったら、少しずつ下がってきた。それで、このリーマン・ブラザーズ事件が起きてからどんと落ちるんですね。これは私も、社会人になってからこういう経験をしたことは全くなかったんです。

 かつてオイルショック、あるいはバブル崩壊というのもありましたが、それぞれにやはり自分の国の中でできることがまだあって、むしろ、日本経済というのはそういう経過をたどってさらに強くなってきたんですね。今度ばかりは、まさに外的要因で、しかも日本経済というのはできる限りの努力をしてきている最中だったものですから、これには我々も慌てざるを得なかった。

 総理も直ちに、通常予算の審議の最中ではありましたが、私どもに、準備だけはしておけ、いろいろなことを対応できるように準備だけはしておけという御指示をいただきました。その際、総理から言われたことは幾つかございましたが、特に総理は、日本経済がこれから、落ち込んだところを財政だけでどんと穴埋めできるものではない、日本の国内の経済力が地道でも何年間かでやはり力をつけていかないと、輸出だけに頼っているとこういうさまに遭うんだ、そこをちゃんと力をつけるようにしようじゃないかということで御指示をいただいたんですね。

 特に、最初にお聞きしたいのは、幾つかのキーワードがありましたが、一つは、多年度で、こう言われました。この多年度という考え方は、どういう考え方で我々に御指示なさったのか、総理と与謝野大臣からそれぞれお聞かせいただきたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 御存じのように、日本の場合の予算の組み方は単年度というのが基本で、単年度末になりますとそれで全部帳じりを合わせることになっているんですけれども、少なくとも今の状況というものは、当面の景気回復が終わった先のことを考えておかないと、世界の中のいろいろな経済の枠組み自体が大きく変わるという時期にあろうと存じます。

 したがって、多年度というか、先のことを考えて今のうちにやっておかないとということで、例えば自動車の景気が悪くなって、じっと耐えていればまたというような種類の話ではなくて、自動車というものがガソリンから電気にかわるとか、やれ水素にかわるとかエタノールにかわるとかいうような話になってきますと、これはもう全然違った話になろうと思いますので、そういった意味では、我々としては、単年度でどうにかするという話ではなくて、新しい自動車に向かって、いわゆる環境に適応したような車をつくっていくというようなことに対する配慮、それには人材やら何やらももちろんのことだと思いますが、そういった意味での問題点は考えておかないかぬ。

 また、住宅やらオフィスなんかで、今後、重油、火力発電にかわって太陽熱を利用したソーラー発電やら何やらというものが出てくる、そういったものも考えて最先端の技術支援というようなものをやっていこうと思えば、これは単年度ではとてもできませんので、複数年間が要るのではないか。

 また、先ほどからお話が出ます東京外環道を含めまして、いろいろ、道路ができているにもかかわらず途中でとまっているところ、設計図も用地買収もほとんど終わっているが残りの予算がついていないためにとまっている、結果として物流がなかなかうまくいかないというところを、物流の速度を上げる、イコール景気に非常に大きな影響を与えますので、外環道は一つの例ですけれども、ほかにもいろいろ各地域にございますので、そういったところをつなぐようなことをしてやるというのは、これはいずれも単年度でできる話でもありません。

 そういったことを、一回限りというだけではなくて、中長期的なことを考えてやっていくということを考えておる。それが、今回の景気対策もしくは不況に対応して次の世代を考える、次の時代を考えるという意味においては非常に大事なところだと思っていましたので、複数年度というものを頭に入れて我々は考えていく必要があるのではないか。

 学校にパソコンやら何やらの普及とか、スクール・ニューディールとかいろいろな言葉を申し上げておりますけれども、基本的には中長期のものを考えてやっていかねばならぬというのが、我々が今回補正を組むときに考えた、やはり、今おれたちはやれるけれどもそれから先はどうなるというのが国民にとっては不安というように感じておりましたので、複数年度の必要性を申し上げたところであります。

与謝野国務大臣 考え方は、今総理が述べられたとおりでございます。

 複数年度をカバーする施策を幾つか挙げて御説明申し上げたいと思いますが、例えば基金を設置するものとしては、人材育成・就職支援、これは三年間。それから、地域医療の再生、これも基金を設けておりますが、これは五年程度。それから、保育サービスの充実や一人親家庭への支援、これは二ないしは三年間。それから、世界最先端研究の支援、これは三年から五年。もう一つは、プロジェクト自体が複数年にわたるプロジェクトとしては、東京外環道の整備、十年。羽田空港滑走路の延長、五年。全国での無電柱化事業、五年。スクール事業、三年。幾つかあります。

 そこで、多年度というのは、多分、園田議員のお尋ねは二重の意味を持っておられると思います。例えばこういう複数年度にわたる事業もそうだけれども、一体来年はどうするのかという問題があると思います。

 これはこれからの御相談でありますし、これからシーリングを決めなきゃいけない。あるいは、六月には、いわゆる骨太方針の中で、歳入歳出一体的な道行きもここで決めなきゃいけない。そういう中で、総理が三年後に何とか経済を回復させたいということもあわせ、また財政の健全化もあわせて、また多年度という考え方もその中に入れて、全体としてその六月の時点で一定の結論を出す必要があるのではないか、そのように思っております。

園田(博)委員 私は、幾つかの意味でお聞きしたんです。

 一つは、総理がおっしゃるように、継続性ですね。今度の補正予算というのは、いろいろな方の御意見を聞いて、そして、今までの常識だとこういうことはやらないということまでやっているんですね。それは、瞬間的なことだけじゃなくて、これから例えば低炭素社会をきちんとこの際つくっていく、そういう構造をつくるんだとか、あるいは、地域をきちんと活性化させるんだ、そのためには一次産業でも少しでも所得が上がるような構造をつくっていくんだ、こういうものにはやはり継続性というのが必要なんです。そういう意味で、瞬間的に一発どんとやったから日本の経済がどうとなるものじゃないよ、これからやはり丹念に丹念にそういう政策の継続性をずっと延長させながらやらなきゃだめだということが一つ。

 もう一つは、与謝野大臣がさっきおっしゃったように、これでも本年度の経済成長はマイナス三・三なんですね、見込みが。これを何とかして、少なくとも二〇〇八年度分ぐらいは二〇一〇年度にやはり到達できるようにしなきゃいけないと思うんですね。これは、財政出動だけではだめだと思います。そういう構造をつくったことが本当に民需として生きていくかどうか、これが問われるんだろうと思います。

 しかしながら、平成二十二年度、経済状況を見ながら、もちろん財政との御相談もあります、基本的には財政規律というのを守らなきゃいけません、そういう範囲内でやるべきことをやるということはやはり念頭に置いてやらなきゃいけないんじゃなかろうか。そうじゃないと、この対応で、役所だとか地方団体だとか、急にこんなことをやったけれども来年は大丈夫かということに必ずなるんですね。だから、そこはきちんと、我々は継続をしてやっていくんですよということをあらかじめ言っておいて、それでみんなで協力してやるという仕組みが必要なんじゃないか、こういう意味でお尋ねをいたしました。

 それから、今度の補正予算で、規模も大きいし、私は規模の大きいことを威張る必要は全くないと思うわけですね。やはり中身だと思うんです。問題は、どんと出しますと、役所が出したものを合計したものなんだろうとか、金額を無理やり膨らますために無理やりつくったんじゃないかとか一部にはございましたが、総じて見ておりますと、新聞もテレビも今度の補正予算案に大きな批判というのはやはりないんだろうと私は思っている。それだけ的を射て、しかも、ある程度効率的に考えたものだ、つくられた案だと私は思うんですね。

 我々が気をつけたのは、総理から、一つは、いろいろな人の意見を聞けと言われました。議員も、それから経済活動に当たっておられる方々、いろいろな団体、どんな小さな団体でも意見を全部聞けと。何が効率的で何が助かるのか、それで将来の日本を見据えろ、こう言われました。総理御自身も、官邸で何か百人ぐらいの方々をお集めになって、いろいろな意見を何回も聞かれたそうでありまして、そういう意味では、私は、過去四回つくった、実務に当たった予算編成の中では、これは異例の予算編成だったと思います。したがって、また自信もあります。

 ただ、私は、これだけ巨額の補正予算をつくったからには、本当に人々の生活や仕事に好影響を与えるようなことをやはり実施していかなきゃならないと思うんですね。そういう意味では、まだまだ私はこれからだというふうに思っております。

 今度の補正予算のキーワードが幾つかあるんですが、私は、一つは雇用という問題、それから低炭素社会づくりという問題、それから地域の活性化等々について、まず最初にお尋ねをしたいと思っております。

 まずは厚生労働大臣、雇用ですね。新型インフルエンザで大変な対応をしておられますが、その前、やはり雇用不安が出てきて、当面の対応をされまして、それで私は、極めてその影響を少なくできる対応がやはりできたと思うんですね。

 今回の補正予算ではどのような考えで、雇用を失う方々あるいは雇用に責任を持たれる方々に対策を打たれたのか、簡単にお述べいただきたいと思います。

舛添国務大臣 園田委員おっしゃったように、やはり経済、雇用失業情勢が厳しい中で、雇用を守る、生活を守っていく、これは極めて重要だと思って取り組んでまいります。

 そして、今回の補正予算では、まず雇用調整助成金、これは実はもう二百三十万件を超えています、使っていますのが。これを、派遣労働者も含めて労働者の解雇などを行わない場合の助成率を引き上げました。今まで中小企業は五分の四でしたのを十分の九、つまり八割を九割に上げたということでありまして、利用者の増加、今申し上げましたようにふえていますので、それを踏まえた必要額の確保、約六千億円を今回、今御審議いただいているこの補正予算に盛り込んでおります。

 また、もう一つは、次の仕事を見つけていただかないといけませんので、失業者を対象としました職業訓練の拡充、それから、その訓練期間中生活を保障する、それから、そういうことのために企業が行う実習雇用とか雇い入れに対する助成、それから、住居、生活支援などの総合的な支援を行おうということで、緊急人材育成・就職支援基金、この額は七千億円に相当しています。これを盛り込んでおります。

 そのほか、派遣労働者保護の強化、それから内定取り消し対策、こういう施策をこの補正予算の中に盛り込みまして、雇用、生活の不安を解消する、そういうことのために今後とも全力で取り組んでまいりたいと思っております。

園田(博)委員 それでは次に、低炭素社会づくりの具体策の一つでございますスクール・ニューディール対策というものですね。時々舌をかむんですが。

 これは文科大臣にむしろ御自分の口で、どういう対策をしたのか、御説明をいただければありがたいというふうに思っています。どうぞ。

塩谷国務大臣 今回のスクール・ニューディール構想につきましては、今までできなかった厳しい財政状況、あるいは、将来に向かって低炭素社会を目指すといったような方向で考えたわけでございます。

 特に、耐震化もここ数年しっかり充実をしてやっているわけですが、いかにも学校施設等が古いという感覚はだれもが持っているわけでございまして、そういった中で、一方、日本の社会が大変近代化のビルがどんどん建っている。これから二十一世紀にふさわしい教育環境をつくることが一つの方向性だと思っておりまして、今申し上げました耐震化、それから太陽光パネル、あるいはエコ改修、さらにはICT環境設備を整える等々、これを総合的に一体的に推進しようということで、四月の十日に政府・与党で決定した中で、このスクール・ニューディール構想が盛り込まれたわけでございます。

 具体的には、耐震化につきましては、Is値〇・三未満、これは約千五百棟まだ残っているものを予算完結をして、また、〇・三から〇・五につきましては約一万四千四百棟があるわけですが、そのうちの、ことしは六千五百棟。さらに、Is値〇・五以上の施設を含めた耐震化も含んでおるところでございます。

 また、エコ化につきましては、公立小学校施設の太陽光パネル設置について、早期に現在の十倍となる一万二千校の設置を目指すとともに、省エネ改修や校庭の芝生化も含んでおるところでございます。

 ICT化につきましては、デジタルテレビや電子黒板、さらには教育用、校務用のコンピューター、校内LANの設備など、特に教育用につきましては、目標の三・六人に一台ということを目指しております。また、校務用につきましては、教員一人に一台ということで考えておるわけでございまして、それぞれを推進してまいりたいと考えております。

 また、公立学校の設置者でございます地方公共団体がこれらの事業を実施するに当たっては、地方向けの臨時交付金の活用によって地方の負担の軽減を図る等、地方公共団体の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

園田(博)委員 では次に、経済産業大臣にお聞きしたいと思っています。

 エコカーとグリーン家電というものですね。こういうことは私が知る限りやったことないんですね。何でこんなことをするのかといったら、さっきから申し上げているとおり、この際、低炭素社会というものを、これですべてではないんですが、国民のお一人お一人が意識して、これを動機としてCO2削減に協力する仕組みを自分自身で実践してほしい、こういうことをやるんですね。

 ただ、私は、何せ車と家電ですから、どちらかというと、産業別に見ていくと今まで日本経済の中で非常に潤ってきた産業だったものですから、果たしてそういう理由だけでもこういうことはできるのかなという心配をしておりました。

 まだ実施はしておりませんが、一部、もし法案が通れば、車の方は四月十日からさかのぼります、家電の方は五月十五日から実施をしますということにしておりますから、車にはその動きは見えますし、家電の場合はちょっと実施まで買い控えた方がいいという動きもあるようで、今の時点ではまだ効果は出ないんですが、恐らく、五月、予算が通ってしまえば相当な効果が出てくると思うんですね。そういう意味で即効性がある。

 私は、もう一つこれをやらなきゃならぬ理由は、さっきから申し上げている雇用だと思うんですね。車も電機もすそ野が広い産業ですから、そこに関連する職場を求めておられる方々が大勢おられるわけで、今のような減速状態だったら、自分の職場がまたいつ侵されるかわからないという御心配があると思うんですね。そこをやはりこういう対策で防いでいく、そういう職場をちゃんと守っていくということが必要だと思うんです。

 問題は、こういう産業を営む方々がそういう意識を持って、自分たちがやはりできるだけ雇用の場はちゃんとつくっていくんだ、失わないようにしていくんだという意識がなければ、これは政府挙げてこういう対策をやる意味が半減してしまうわけですね。

 私は、経済産業大臣に各社と契約を結んでもらいたいと思ったぐらいなんですが、これはWTO違反なんだそうですね、そんなことをやると。それはできないんですが、経済産業大臣として、こういう産業の方々に対して、雇用についてどのようなことをこれから言おうとなさっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

二階国務大臣 私は、ただいま園田自民党政調会長代理の御意見をずっと伺いながら、全く同じ思いを持っております。

 したがいまして、先般からずっと与党の皆さんのバックアップをいただきながら中小企業等の金融の問題等に取り組んでまいりましたが、その際にも、これは政府の資金を活用してこういうことをやらせていただいておるわけですから、このことで融資を受けた皆さんは、雇用の面については十分考えていただきたい。金融を受けた瞬間に、企業の中を整理しなきゃいかぬといって、政府の融資をした後に雇用者が迷惑をこうむるようなことがあってはならない。これは、今WTOの問題もお話しなさいましたが、我々の方としては極めて強い願望をお伝えするということにすぎないかもしれませんが、しかし、その都度我々は申し渡してまいりました。その他の経済産業省の施策を打っていく場合には、必ず雇用の問題については十分な御配慮をいただきたいということを申し上げてまいりました。

 今回、今、園田議員からもお話のありました自動車・電気製品業界、極めて我が国にとっては重要な役割を果たしておられる業界ではありますが、ここに政府が思い切った対応をする上においては、多くの雇用を抱えておる、このことに対して我々は配慮をしておるわけでありますから、企業の側はそれなりの責任を感じてもらいたい、これは私は再三申し述べてまいりました。

 自動車でこれだけの税金を安くしてもらうとこれこれの効果があるというふうな御説明は、関係者はしょっちゅう述べられるわけですが、それでは雇用に対してどれぐらいの新たな確保をすることができるか、あるいは、整理をしなきゃいけないと思っておったのを、それをしなくて済むようになるか、そういうことをやはり数字でお示し願いたいということを各業界の皆さんに申し上げてまいりました。

 今回、自動車業界は、与党・政府一体となって対応してまいりましたことに対して、今後も雇用の維持に全力で取り組むということを、書面で感謝の気持ちを添えてお話がありました。私は、これは重大な決意をお示しいただいたものと思っておりますが、政府としても、そのことに対してさらに御協力をいただくように努めてまいりたいと思っております。

 自動車・電機産業界を活性化させるということは、イコール雇用の安定に必ずつながる、こう確信を持ってこの対策を進めさせていただく以上、業界の皆さんにもそれなりの決意をいただきたい、このように思っております。

園田(博)委員 大変結構だと思いますね。経済産業大臣のそういう御意思でこれからもやっていただきたいというふうに思っております。

 それから次に、地域活性化という問題なんですが、私は長年国会議員をやっておりますが、これほど地域活性化を特定して取り組んでこられた総理大臣は、私の記憶する限りいなかったと思うんですね。つまり、内需拡大基盤づくりのためにも、地味であっても、やはり地域に元気になれ、それから、元気になるためには地方財政も今までの仕組みだけで考えていたのではだめだと。

 それは確かに地方財政も合理化をして再建しなきゃならぬけれども、しかし、使えるお金に国以上に限度があるというのでは、地域の活性化への取り組みをそれぞれの首長さんがやろうとしても、かなりの範囲で限界があるんですね。そのことを御承知いただいた上で、麻生総理は、実は四回の予算の中に常に地方財政のことを組み入れて指示されました。それで、今回は特に、公共事業、施設整備費、これの地方負担分の九割は臨時的に国が持ちます、したがって意味のある事業をきちんとやってくださいと。それから、地方交付税は就任以来御執心をされて、地方交付税は予算を通常予算の中で特別に確保いたしました。

 こういうように、総理大臣、地方財政を大いにてこ入れしてこられたんですが、私が今申し上げた以外に、総理として地方に対する思いというのがございましたら、お述べをいただきたいというふうに思います。

麻生内閣総理大臣 冒頭にも、最初のころに申し上げていたんですが、園田先生、やはり日本が元気になるには地方が元気にならないと、東京とか大都市だけが元気になっても日本全体は元気にならない、基本的にそう思っております。随分大都市に人口は集中しておりますが、地方を活性化するということを考えたときに、やはり地方の元気のもとというのが大事なんだと思います。

 地方で元気のあるところというのを逆に見ますと、これは、ある程度資金に余裕があるとかいうことももちろんありますが、やはり中心になるような人がいて知恵を出しているところというのが、もう一つ我々が忘れちゃいかぬところだと思っております。

 ただ、そういった人たちに会って聞きますと、やはり基本的には、政府として予算がつくけれども、それにつける地元負担分の金すらないと。そこが結果として新しい事業に取り組めないということになってきておりますので、そういった意味では、今言われましたように、地域活性化・公共投資臨時交付金というような長い名前がついておりますけれども、これで一兆四千億、また、経済危機に対応するためのいわゆる臨時交付金としてさらに一兆円を創設するなど、いろいろさせていただいております。

 国が公共工事というのを仮に出した場合でも、地元負担が半分あったり何割かあったりすると、その負担分が補えない。したがって、我々としては、その地方で出す分を国で、今回に限りとか、ある程度時間を限って肩がわりしますと。

 したがって、今、全部設計図もでき、土地の用地買収も終わって、ここからここまであと四キロつながらないために効率が落ちておるというようなところが全国を調べますと幾つもありますので、大きなところで東京の幹線道路の話ばかりが出ますけれども、実は地方にはもっと細かいのが幾つもございますので、そういったところをきちんとやっていくというのが一点。

 もう一点は、やはり、一次産業というものを考えていった場合に、農業というものの担い手を考えたときに、その担い手が担えるようにするためには、ある程度農地を集積してやらぬと効率が極めて悪いということになりますので、そういった意味で農地の集積。また、いわゆる農地を引き受けようにも、借りていると、貸した方が自分の農地がなくなるのではないかというようないろいろな思いがありますので、そういったのをきちんとしてやるためには、ある程度相続のところをきちんとしてやらないかぬとか、いろいろなものを考えたところであります。

 林業に関しましても、多くの、エコとか地球環境とかいうときに、日本の場合は先進国の中では国土の緑化されている比率は高いところでありますけれども、それでも林業をやる後継者が育っていないために、国有林は言うに及ばず、私有林におきましても、間伐、伐採が行われていないために木が育たない、逆に言えば二酸化炭素を吸わないということにもなりますので、そういったことを考えますと、人材を育成する、もしくは、短期間とはいえある程度人を貸してやる。そういった機会を持ってもらうと、これは一種の雇用にもなりましょうけれども、そういった機会を得ることによって地方とか林業とか農業というものに対する理解もふえる。

 いろいろなことを考えて、今、やはり各地域において政府でいろいろ用意をした財源というものを使ってもらって、中心となる人が出ていろいろ知恵を出してもらって、それを使いやすくしてやる。使いやすくしてやらないと、細かく細かく言うと全然うまくいきませんので、ぜひそういった形をうまく利用して、地域が元気が出るようにしてもらいたいというのが率直な気持ちであります。

園田(博)委員 全くそのとおりであります。

 さて、総務大臣、総理のそういうお考えに基づいて数次の予算で地域に、財政上のことだけではなしに、みずから元気を出して、そしてそういう中でも独創性を持って対応していけるような、一応構造にはなっていないんですね。臨時的なんですね、こういう措置というのは。次年度以降どうなるのかということをやはり首長さんは心配されるんです。

 構造的なものはやはり時間をかけてつくっていかなきゃならないんですが、その間、総務大臣として、地方に対して、財政その他、当面どのようにしたいと思っておられるのか、お述べいただきたいというふうに思います。

鳩山国務大臣 園田先生おっしゃったように、私が総務大臣に就任して以来、常に総理が、地方が元気にならなければこの国は元気にならないという発想でずっとやっていただいて、一次補正のときに、小さかったけれども二百六十億というお金が安心実現の交付金としてやってきて、それから、二次補正のときには六千億の生活対策臨時交付金という非常に使い勝手のいいものができて、今回まさに史上最大の作戦と言われる、規模だけではだめだとおっしゃいましたが、史上最大の作戦と言われるこの経済対策において、今総理からお話があったように、公共事業関係で一兆四千億円、それから自由度のあるものとして一兆円、総額二兆四千億円を地方へ与えることができる。これは地方は大変喜んでいるし、大いにありがたいので、自由度がありますから自由に使っていただいて地域活性化に役立ててもらおう、こう思っていますが、地方財政の仕組みを根本的に変えるまでの間に、では来年はどうなるということでございますと、これは、この間どういうふうなつなぎがあるかということになりますと、正直言って今多くを語ることはできないと思います。

 ただ、地方交付税がこの経済危機の中で、平成二十一年度本予算、絶対減るだろうというときに、総理が一兆円増額をしていただいたので、結局は四千百億円ふえたわけですね。この一兆円ふえたもののうちの五千億は、雇用に使ってくださいといって地方にお渡しした。これは、先生御承知のように、来年も同じように積んでいただけることが約束されている。もう残りの五千億円は地方のさまざまな財政需要に全部組み込んでもらいましたから、これは未来永劫続くということで、この分はかなり大きな効果が発揮できると思うわけでございます。

 ただ、今回の二兆四千億円については、これでとにかく地方が元気になっていただこうという史上最大の作戦でありましょうから、これを使って元気になっていただいた後、その結果を見てまた与党にもいろいろお考えいただくことになるだろう、こう思っております。

 最終的には、中期プログラムでいろいろな仕組みを根本から変えていこうというときに、消費税の議論をなさるような場合には、ぜひ、地方消費税の充実ということで、あるいは地方交付税率というのは決まっていますよね、国税五税の割合が何%と決まって地方交付税が計算されておりますが、このパーセンテージを上げて、地方財政が根本から充実できるようなそういう仕組みをできるだけ早くお考えをいただきたい、我々も考えていきたい、こういう思いでございます。

園田(博)委員 まあ、消費税に具体的に取り組むにはまだ時間がありますから、総務大臣としてはいつもどおりもっと元気に、私としてはそれはその間は地方財政を守るために頑張ってやりますよ、こう言わないと安心しないと思いますよ、首長さんは。

 さて、これはお答えいただかなくて結構なんですが、総務大臣に一つだけ申し上げておきたいのは、今度の補正で、地方財政のことだけじゃないんです、地方がよっぽどしっかりしないとこれは生きてこないと思ったんですね。

 例えば、後で厚労大臣にお聞きしますが、地域医療を再生させるために、中核医療施設を二次医療圏にきちんとつくろうじゃないか、それから、専門医が来てくれないので大変苦労しておられる首長さんがいっぱいおられますね。それでリコール運動があったりなんかして大変苦労しておられるわけですよ。そういうのを基金としてつくったんですね。これは厚労省がつくるわけじゃないんです。基金はつくりましたけれども、地域が自主的に自分たちの二次医療圏でどういうことをやったらこれがきちんとできるかという案はつくらなきゃだめなんですね。

 介護施設もそうです。介護施設は大幅に増強することにしました。これは実は、国が臨時的に措置しましたけれども、介護施設というのは地方に権限が移譲されているんですね。したがいまして、お金は用意しましたけれども、地方それぞれで、では特別養護老人ホームを幾らふやすとか、そういうのは全部決めなきゃだめなんです、ほうっておけば何にも来ませんから。

 したがって、地方の知事さん、首長さんはきちんと今度の補正の内容を吟味していち早く地域のために取り組んでいくという体制をとらないと、何にもなかったということも地域によっては起こり得るんですね。そういう御指導を総務大臣に特にお願いしたいというふうに思っております。

 次は、地域活性化に関連して、農林水産業の今後について大臣にお伺いしたいというふうに思っています。

 これは地域活性化だけではなしに、もう一つは、食料自給率を十年間でとにかく一〇%上げなきゃだめだ。世界の人口と食料の動向を見ておりますと、必ず苦しんでくるんですね、自給率がやはり今のままだと。したがって、何としてでも自給率を上げようということで、大臣が一つの構想をつくってこれから進めていこうと思っておられるんじゃないかと思う。

 そういう意味では、農業対策も常に補正、通常、補正とそれぞれ対応してきたんですね。これからどうあるべきかということをやはり大臣としてお話しいただきたいということ。

 それからもう一つは、特にその中で林業を、今総理からもお話がありましたが、これは地域の活性化だけではなしに、低炭素社会づくりという意味では非常に大事なんですね。これを何とかして、地道でもやはりここでCO2を吸収できるような森林をきちんとつくっていきたい。そのためには、間伐も進め、そして植林が進むようにしたいということもあります。

 それと同時に、もう一つは、やはり木材を本当に有効にもっと利用できないのか。国産材をもっと安定した価格でお使いいただけるような仕組みができないのかどうかということも、これは長年の課題なんですね。

 こういうことも含めてちょっとお答えいただければと思います。農林水産大臣、お願いします。

石破国務大臣 今回の補正で、一兆三百二億円という今までなかったような予算を出させていただいております。それは、まさしく委員御指摘のように、例えば、農産物でいえばカロリーベースで自給率四〇%です。林業の場合には国産材が二〇%です。ということは、農業でいえば六〇%、林業でいえば八〇%、内需拡大の余地がそこにあるということだと思っています。外需依存から内需型経済に転換するときに、まさしく農林水産業というのはその役割を果たしていかなければなりません。

 そして、金さえあれば大丈夫だよという人がいないわけではありませんが、かつて、七〇年代に穀物が少しだけ不足になった、そのときに穀物価格は三倍になりました。かつて、日本が米が不作になったときに、米の値段は国際市場で物すごく上がりました。自動車はつくられるものの五割が貿易に回りますが、農産物の場合には二割も回りません。そういうような市場特性を考えたときに、自給率を上げる、自給力を上げるというのは、我が国経済のためにも、そして雇用のためにも、世界のためにも、次の時代のためにも必要なことでありますので、この補正予算を有効に使わせていただきたいと思っております。

 それは、ばらまくのではなくて、いかにコストを下げるか、いかに付加価値を上げるかということを、農業、漁業、林業それぞれについてきめ細かくやっていきたいと思います。

 必要なのは、農林水産省の政策は何が何だかよくわからぬ、何かやろうと思うと書類を十枚書かねばならぬというようなことではなくて、書類の枚数を可能な限り減らす。そしてまた、農業者であれ、漁業者であれ、林業者であれ、私ども農林水産省にとって大切なお客様だと思っております。政策がわけがわからなくてはしようがないので、一目見て、そうなのか、これであればコストが下がるのか、これであれば付加価値が上がるのかということを、それぞれの農家の方々の心に響くような、一兆三百二億円の予算を有効に使って、国内経済のために、そして自給力を上げるために使ってまいりたい、かように考えておる次第であります。

 林業についての御指摘がございました。まさしく委員おっしゃるとおりで、日本の林業の問題はコストが高いというところにあるんだろうと思います。いい材がやたらと高く売れた時代がありますので、それに頼ってしまったのではないか。林道網もまだ密ではありません。いかにコストを下げるかということと付加価値を上げるかということをやっていかねばならないのですが、それが一朝一夕にできるものではございませんので、その間にどうやって林業者の経営安定を図るかということを考えていかねばならないものだと私どもも考えております。

 衛藤予算委員長が党におかれましてそういうプロジェクトチームの責任者をお務めで、座長をお務めで、私どもいろいろな提言をちょうだいいたしております。

 どうすれば林家の木材価格の安定が図れるかということを考えますときに、やや日本の林の場合には供給過剰の面がございます。それを念頭に置きながら、どういうような政策を仕組んでいくか、どうやって林家の経営の安定を図るか、制度の仕組みをつくっていかねばならないと思っておりまして、来年度予算の編成に当たりまして、そのプロジェクトチームの御意見もよく踏まえながら、私どもとしてきちんとした政策を組み上げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

園田(博)委員 国土交通大臣、予告していませんでしたね。忘れたんです。済みません。でも、お聞きしたいことがありまして、それは道路なんですよ。

 道路は、これからの道路の考え方、幾つかあるんですけれども、一つやらなきゃならぬことは、しかかって完成しない道路、やはりこれを早く完成させなきゃいかぬ。これほど税金の無駄遣いは、私もかねてから思っていたんですけれども、ないんですね。

 したがって、新しい道路はともかくとして、しかかって早く完成させるということをこの数年間でやろうじゃないかということにしたわけですが、なかなか国交省の道路局もその準備がなくて、急につくれと言われたってつくれないという問題は起きてきたんですが、今後の道路建設について、国交大臣として、どんな考えで何年間でどうやるとか、そういうお考えがあればお聞きしたい。

 それから、何か、先日、BバイCというんですか、一・〇以下は一時凍結しますということをお決めになったんですね。十八路線か何かあるらしいんですが、これは今後どうなさるのか。心配して、聞いてくれと言う人がいるものですから、お聞かせいただければと思います。

金子国務大臣 この予算委員会におきましても、道路財源一般化、そういう中で、事業の評価について改めて見直しをすべきではないか、あるいは、将来の道路、需要推計が下がってくるのではないか、そういうものを受けて新たに評価をすべきではないかという累次の国会の議論をいただきまして、評価をやらせていただきました。

 直轄国道について、十八路線について事業評価、費用便益という点で一を下回るという結果が出まして、とりあえず今留保をさせていただいております。地方自治体の皆様方には、また地域の皆様方には非常に御不安を与えております。

 ただ、費用便益という中には、命の道、病院へのアクセスですとかあるいは災害のときの迂回路といったような問題等々が入っていない、そういうものをどういうふうに組み込んでいくのかということは、我々もよく考えなければいけない。地方自治体あるいは議会の皆様方、地方代表の皆様方からさまざまな意見を今いただいております。そういう御意見をいただき、なるべく早く再評価手続を済ませて、これが実現できるようにしてまいりたいと思っております。

園田(博)委員 今度の経済対策では、景気対策だけでは実はございませんで、こういう経済状況下で生活に苦しんでおられる方々、特に高齢者とか、それからお子さんのこととか医療のこととか、これだという決め手のあるものはなかなかつくれないんですけれども、通常予算に補って対応をしてまいりました。

 これらについて厚生労働大臣から、どういう対策を組んだのか、お話をいただければと思います。

舛添国務大臣 先ほど地域の話が出てきましたけれども、やはり自分の住んでいる地域で病院の確保それから介護施設の確保、介護人材の確保、これが御高齢になった方々にとって非常に安心の材料になる、また健康を守るために役に立つということで、ひとつ介護の分野について御説明させていただきたいと思います。

 二つニーズがあると思うんです。一つは、やはり施設が足りない。これは特養であれ老健であれグループホームであれ、こういうものについて一気に施設の拡充を図りたいということで、先ほどお話がありましたように、市町村は小規模の施設、都道府県が大規模の施設、それぞれに交付金や補助金を出すという形でこれの拡充を図るということが一つであります。

 それからもう一つは、やはり介護の現場で働いている人たち、これは待遇を改善しないと、先般三%上げましたけれどもなかなかそれでは十分ではあるまいということで、丸い数字で一万五千円ぐらい月給が上がるような形での補助をするという形で人材の確保、そして、離職率が非常に高うございますから、こういう点についての配慮もしたいと思っています。

 事業規模ですけれども、例えば介護拠点の整備の方が三年分ですけれども約三千億円、それから、先ほど申し上げました人材の確保が約四千億円。それから、先般「たまゆら」という介護施設で大変不幸なことがございました。そういうこともありますから、約三百億円措置しましたスプリンクラーの設置、こういうことをやりたいと思っています。

 安心して住める地域にするための介護の施設、人材の拡充、こういうことにこの補正予算で取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ御審議の上、一日も早く成立させていただければと思っております。

園田(博)委員 さっきも申し上げましたけれども、この介護、きちんとできれば、高齢者で施設に入りたくても入れないという待機しておられる方々がいっぱいおられまして、それと同時に、介護に当たる方々の待遇も改善されて、職場もふえてということになります。

 地域医療についてはさっき申し上げたとおりでありまして、これから大事なことは、厚労大臣として、地方の県それから首長さん、こういう方々との連携をうまくとって、本当にそれが生きるようになれば、今社会問題化しているものが相当解決すると私は思うんです。そういう意味ではこれからが大事でございますから、よろしく御指導と連携をとっていただくようにお願いしたいというふうに思っています。

 小渕大臣、大丈夫ですか。小渕大臣は九月に出産予定、二人目のお子さんだそうですね。選挙のときに出産じゃなかろうかなんて心配するんですけれども。でも、この方はやはり強い母親だと思います。私は、質問するまではどこかに出ていてもいいと言ったんですけれども、こうやってずっと座っているんですよね。

 小渕大臣には健やかな出産と子育てができるように祈っていますが、しかし、少子化担当大臣として、この少子化というのは我が国にとって最大の課題ですよ。これは多方面で対応しないと、なかなか大臣一人ではできないというジレンマに陥っておられると思うんです。

 今回も幾つかの対応はしましたけれども、これからのことも含めて、小渕大臣として、我が子のためにも、あるいは日本の多くのお母さんのためにも、どうぞ語ってください。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 まず、今回の補正予算でありますけれども、待ったなしの状況にある少子化を少しでも解決していくために、子育て創生&安心プランということで、総事業費一兆円規模の、かなり大胆で積極的な子育て支援策を盛り込むことができました。

 具体的には、安心こども基金を一千億円から二千五百億円に大幅に拡充するということとともに、地方負担に配慮して創設された交付金も活用することにより、やはり地域などで、それぞれの地域の実情に合わせた、自治体やNPOやボランティア、さまざまな形で子育て支援を行っていただいていますので、そうした支援の取り組みを国としても全面的に強力にバックアップをしていきたいと考えています。

 あわせまして、もう一つのポイントとしては、さまざまな困難を抱えながら子育てをされている方々が大勢おられます。そうした方々が安心して子供を生み育てられるように、真に必要な層への効果的な対策として、保育所の待機児童対策、あるいは一人親家庭、社会的養護等への支援の拡充、子育て応援特別手当の拡充、低所得者世帯への支援、不妊治療への経済的支援の充実、仕事と家庭の両立支援など、かなりきめ細やかな緊急支援を実施していきたいと考えております。

 今回の補正予算につきましてですけれども、これまでに例のない積極的な規模の総合的な緊急対策をまとめてまいりました。しかし、子育てというものは短い期間で終わるものではなく、やはり恒久的に考えていかなければならないことであるかと思っております。

 これからも少子化担当大臣として、多くの皆様の声を聞きながら、皆さんが安心して子供を生み育てられる環境をしっかりつくっていけるように全力を注いでまいりたいと考えております。

園田(博)委員 おっしゃるとおりで、相当総合的に、息長く、地道に環境をつくっていかないと、この問題を我々は克服できないと思うんですね。そういう意味で、大臣としては、当然でございますが、ひとつ頑張ってその道筋をやはりつくらないかぬと思います。

 最後に、財源についてちょっとお話をしたいと思っています。

 前に、二次補正のときでしたか、定額給付金で我々は大分言われました。あのときに、テレビなんかを見ておりますと、議員の中でも、これは野党の方々なんですが、てんどんをごちそうになったと思ったら後で一万円の請求書が来ますなんて言った人がおりまして、つまり、後で消費税で取り返されるんだよ、こう言うんですね。ただで給付金をもらったと思ったら大間違いなんだよということを言う専門家の方もおられたんです。

 それで、さっきも与謝野大臣が言っておられましたけれども、消費税というのは経済対策をやろうがやるまいが関係ないんですね、この消費税議論というのは。大臣が言っておられるのも我々が言っているのも、今、この表をよく使うんですが、この表は歳出の部分の二八%を社会保障に使っているというグラフなんです。歳入に、現在十兆円余りの消費税をいただいておりますというグラフなんです。

 つまり、小泉内閣時代から歳出削減をずっとやりまして、相当厳しいことをやってきました。それでも借金は全然返せなかったんですね。何でかというと、二つの理由があって、一つは、借金が多過ぎて利子を払わなきゃいかぬということ。もう一つは、ほかの歳出項目、例えば公共事業だとか文教だとか防衛費だとか、その他の経費を毎年削減してきたんです。幾ら削減しても、どうしてもふえちゃうものがあるんです、それが社会保障費なんです。それは、少子高齢化社会ですから、当然のように、医療も介護も年金も国が負担する分はどんどん制度上ふえちゃうんです。この自然増分を、ほかの費目をどう削っても賄うことはできない。

 それで、せめて社会保障制度以外のところで二千二百億削ってくれないかといったのが、小泉内閣時代から続いている社会保障費の削減計画だったんですね。しかし、これは二千二百億減っているんじゃなくて、それでも全体では八千億ぐらいふえているんです。これは、恐らく来年度から毎年一兆円ずつふえます。

 この社会保障だけは、我々の国民生活の安心、安全のためにどうしても必要だから維持しようじゃないか、しかも、できれば、さっきから申し上げている少子化対応も、いろいろな方面でできるようにしようじゃないか、それをすべて消費税でお願いしたらどうだろうかと。つまり、消費税をこれからもし上げるとしたら、一円たりともほかのものには使いません、社会保障に全部充てますから、これだけは社会保障と消費税でバランスをとれるようにしてほしいというのが多分考え方ですよね、後で確認しますけれども。

 それで、もちろん消費税の枠と社会保障の枠とは相当差がありますから、一遍でこれを埋めるというわけにはなかなかいかないと思います。しかも、総理が言っておられるように、まずは景気を直して、日本経済がもとへ戻ったら考えようじゃないか、相談しようじゃないか、こうおっしゃっているわけでありまして、金を使ったから消費税をくれと言っているんじゃないんですね、借金したから消費税をくれというんじゃないんです。

 借金は長い間、社会保障だけきちんとしてくれたら、あとの費目を厳しく歳出削減しながら借金を返してまいりますということを前にも私ここで言ったことがあるんですが、何回言ってもなかなか理解されないので、こう申し上げたかったんですが、総理と与謝野大臣、時間がないんですが、間違いないかどうか、それぞれお答えいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 そのとおりでございまして、我々としては、仮に将来消費税をお願いすることがある場合、これは、年金、医療、介護並びに少子化対策に全部使う、一銭一厘たりとも行政の肥大化には使わせない、それであるならば国民の皆様方は理解をお示しくださるのではないか、これが総理が申し上げた趣旨だと我々は理解をしております。

麻生内閣総理大臣 昨年の十月にこの話を切り出させていただきましたときの話をいろいろ、当時財政担当大臣をしておられましたので、その基本方針でやりたいという話を申し上げて、今、与謝野大臣から御答弁のあったとおりです。

 少子高齢化は避けられぬ流れですから、したがいまして、社会保障関係の漸増、激増とは言いませんけれども、漸増は長期的に間違いないという前提で今後考えなきゃならぬといったときには、今申し上げたようなものを基本哲学として置いて対応すべき、当然のことだと存じます。

園田(博)委員 ありがとうございました。終わります。

衛藤委員長 この際、伊藤公介君から関連質疑の申し出があります。町村信孝君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。

伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。

 私は、関連質問でありますので、まず公務員法の問題、特に天下りの問題、そして社会保障の問題について、限られた時間の中で質問をさせていただきたいと思います。ちょっと順序が変わりますけれども、よろしくお願いいたします。

 総理、私の地元の東京町田市の鶴川に、武相荘という白洲次郎さんの御自宅があります。御存じですよね。総理が小さいころには、ここに遊びに行っていたそうであります。この白洲次郎さんという方は、もう皆さん御存じのとおり、吉田首相の側近で、日本の通産省をつくった人でもございます。そして、当時占領下でマッカーサー元帥に日本人としてただ一人堂々と物を言ったということで、最近大変評価されています。

 実は私の自宅のすぐ近くなんですが、この連休中も観光バスが随分来るようになりました。私は、その光景を見ておりまして、白洲次郎さんが六十年以上たって今多くの皆さんに評価される、やはり我々の政治というのは、五十年とか六十年とか百年たって評価されるような仕事をやらなければいけないということを痛切にこの光景を見て感じてまいりました。

 私は、そんなことを前提に、総理に質問をさせていただきたいと思います。

 きょうのこれまでの委員のやりとりの中にも、また各大臣の答弁の中にも、徹底した経済対策、雇用にも支援をする、次世代にも応援をする、新しい環境時代に大きく私たちはかじを切る。しかし、大胆な財政出動をして将来の国債がふえたことも事実です。あるいは、社会保障の負担は年々ふえていきます。日本の人口は逆に減少していきます。生産労働人口は八千万台から将来は四千万台になるというわけであります。いずれ、そう遠からず、財源をどうするかという議論になると私は思います。

 そのときに必ず問題になるのは、国民の皆さんは、政府は、国は無駄遣いをしていないか。特に、その一丁目一番地ともいうべき、長く議論をされてまいりました、あの高級官僚の天下りや、次々とわたりをして、自分たちはきちっとやっているのに、官僚は想像を絶するような退職金をもらっているではないかという御批判が随分ございました。

 実は、この問題で、ことしの一月の二十六日、私は官邸にお伺いしました。総理と対で、約四十分間にわたって協議をさせていただきました。そのやりとりの一部を申し上げるわけではありませんが、私は官邸を出るときに、総理はこの問題に対してきちっと決断をされるという確信を持って私は官邸を後にしました。それから数日して、総理は明快に、わたりについては申請があっても絶対に認めない、そして天下りあっせんについては、当時は三年ということでありましたけれども、三年を待たずに、平成二十二年の一月ですから、来年以降は禁止をすると。そのための政令を既に制定されました。

 総理のこのスピーディーな決断には、私自身も高く評価をするものです。そして、この天下り根絶に向けた制度をさらに完璧にするために、私は、さらに総理にここで詰めておきたいと思います。

 現在の公益法人の監督基準では、理事のうち、主務官庁からは三分の一以下にするという規定があります。しかし、昨年の十二月に公益法人制度改革関連法案が施行されました。つまり、新しい制度においては主務官庁といういわゆる概念がなくなるわけですね。そうすると、これまでの三分の一規定というのは現実にはなくなるわけです。ですから、私は、過去数年間にわたって特定の官庁や一定の契約関係にあるそうした公益法人については何らかの規制を設けるべきだと思います。

 そして、少し小さな議論になりますけれども、現行でも、三分の一のルールというのは、これは非常勤の理事も含めての話です。私は、そんなことはないと思いますし、しないと思いますが、万に一非常勤の理事をふやせば、三分の一の数はふえるということになります。ここも私はきっちりと、三分の一は常勤の理事だとすべきではないかと思いますが、この天下りあるいはあっせんの問題にさらにしっかりとしたけじめをつけるという意味で、総理のお考えを伺っておきます。

河村国務大臣 私の方から基本的な答弁を申し上げたいと思います。

 伊藤委員も既に今御指摘がございましたように、昨年の十二月一日から新しい公益法人制度が導入されたわけでございます。これまでの主務官庁の広範な裁量権に基づく許可、設立許可の不明朗性等が指摘をされ、また、そこに税金が無駄遣いされているのではないかというような御批判もあったところでございます。

 今お話しのように、主務官庁の設立許可あるいは指導監督の権限は廃止されております。そこで、今度は、法人の設立を登記することによって可能になってきておるというふうになりました。一方、民間の有識者から構成される第三者委員会、国では公益認定委員会がございますが、ここで公益性の判断や監督を行う。もちろん、民による公益の増進に寄与という大きな目的があるわけでありますから、これはきちっとやっていかなきゃなりません。

 それによって、このような形になりましたので、公益法人の認定、監督による主務官庁の関与が排除されるということになって、公益法人の設立、監督に関する許認可権限の及ぶ対象法人への再就職という形のものはなくなっていくわけであります。

 現実に、ただ、公益法人と役所との関係がございますので、ここを徹底しなきゃなりません。随意契約の徹底した見直しをやる、無駄な支出の根絶をする、それから公務員の再就職については官民人材交流センターに一元化する、こういうことをやってきておるわけでございます。このような形でありますから、役所と新制度の公益法人との、公務員出身者を押しつけるような恣意的な関係はなくなっていくと考えます。

 新制度の公益法人の理事のうちに、これは御指摘のように、旧主務官庁出身者が占める割合を総理事者数の三分の一以下、このことも建前上はもうなくなっていくわけでございます。しかし、今御指摘ありましたように、これは十二月一日に施行されたばかりで、この状況はやはり注視していく必要はある、このように考えておるところでございます。

 一方、常勤理事のことの御指摘もございました。

 これは、理事そのものは、常勤理事であろうと非常勤理事であろうと、これは法令上の権限は同一でございます。また、どのような常勤理事を選んでいくかというのは、これはまさに理事会が法人自治の原則に基づいて決めていくということがございます。そういうことでありますから、非常勤の理事長が強い権限を持っているケースも幾らでもあるわけでございますので、こんなことを考えますと、常勤理事をある程度限定しなきゃいかぬということが容易なことかどうか、私は、法律的に考えたときにはなかなか難しいのではないかと思います。

 先ほど申し上げましたように、新しい法人制度において、この点についても注視をしながらも、一方では御指摘のような無駄、あるいは無駄なお金が使われているんじゃないかとか、あるいは随意契約によって行われているのではないかとか、このようなことは徹底するわけでございます。そういうことによって、政府としてもこの取り組みをきちっとやることによって国民の皆さん方の信頼の確保はできる、このように考えておるわけでございます。

麻生内閣総理大臣 不信感の払拭というのに最大の関心が寄せられているんだと思いますので、御趣旨を踏まえて徹底していかねばならぬところだと思っております。

伊藤(公)委員 総理も外遊されておりましたから、細部にわたってお考えいただいたかどうかわかりませんが、ここは非常に大事な問題ですから、私は、また時間があれば官邸に行きますから、いずれ詰めさせていただきます。

 官房長官に御答弁いただきましたので、もう一点伺います。官民人材交流センターについてであります。

 これは平成二十三年からは、今度は人事院の制度が新しい制度になります。つまり、今までのように五十二、三歳で肩たたきをして天下りをするということはなくなります。つまり、日本の公務員は定年まで、六十歳まできちっと働けるという制度になるわけですね、若干給与が下がるということもありますけれども。将来は六十五歳ということもあり得る。

 そうなったときに、一般の国民の皆さんは普通のハローワーク、上級の公務員の人たちは官民人材交流センターという特別ハローワーク。私は、どう考えてもこれはおかしいと党内でも発言をしてきました。私は、六十歳まで定年まで働けるようになったら、この上級官僚のためのハローワークは同時に廃止すべきだと思います。

 しかし、官民の人材交流は必要だと私は思っているんです。それならば、実際にある今日のハローワークに官民人材センターの機能というものを生かしていったらいいんじゃないですか。どう思いますか。

河村国務大臣 確かに、官民人材交流センターの主たるねらいは、早期退職勧奨、公務員の数を減少させていかなきゃいかぬという方向がございます、それで再就職の形がとられてきた、これを本格的に一元化していこうということで生まれたものでございます。一方、御指摘のように、官民の人材交流あるいは交流採用、こういうことも必要でございます。そのことをどう考えていくかということだろうと思います。

 今後、このセンターをどのような形で活用していくか、廃止をするのか活用するのか、そういう視点が必要だろうと私は思います。ハローワークでいわゆる職業紹介的なものと、この人材交流センターの果たす交流派遣等々の、あるいは国と民間との人材の育成、相互理解、このような人材交流、ハローワークがそういう機能を持つのがいいのか、この官民交流センターがこういうことをやるのがいいか、私は、これはもっときちっと考えていかなきゃいけません。

 いずれにしても、今、定年の延長によって早期勧奨退職制度をなくしていく方向をこれからの重要な課題として考えていくべきだ、このように考えております。

伊藤(公)委員 麻生内閣が、明治以来続いてきた日本の霞が関の改革ができる九合目まで来ていると思います。私は、今申し上げたところは非常に大事な点ですから、まだ若干の時間がありますから、ぜひ政府として検討をしてしっかり結論を出していただきたいし、私も党内でもしっかりこの問題はウオッチしていきたいと思っています。

 時間が経過しましたので、介護福祉の問題、先ほど園田委員からもいろいろ御発言がありましたが、社会保障の問題について御質問させていただきます。

 まず一点、年金制度の問題です。

 この連休中にも、実は国民年金の保険納付率が過去最低の六二%になったという報道がありました。

 年金制度は、定年になってからの最大の私たちの支えです。私は、これまで福田内閣のときにも、実は社会保障国民会議で最終結論が出ています。そして、マスコミの主要な新聞社の皆さんも、将来の年金制度を既に発表されています。なかなか野党が国会の中の議論に応じていただけないということはありますが、政府の責任で、この年金制度については、将来の年金制度というものをしっかりと示す必要がある。そして、こういう問題こそ、まさにいずれ近く来る衆議院選挙のような国政の、国民に信を問うという問題だと私は思いますが、総理の年金問題に対するお考えを聞かせていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 これまでもこれはいろいろ議論がなされてきたところではあります。

 問題は、この長い間頼りにしていた年金がかなり信頼が足らないのではないか、信頼に足らない、足り得るものではないのではないかというのが多くの議論のもとにあるんだと存じます。

 したがいまして、社会保険庁のこれまでのかなりいいかげんな仕事を含めまして、ここらのところをきちんと対応していかないと、幾ら口先で言ってもということで、ねんきん特別便やら何やら、いろいろ手間暇かけながら、きちんと時間をかけて対応していくということが大事なんだと存じます。

 傍ら、少子高齢化という大きな問題を抱えておりますので、この今の年金の問題というものが、当時設計したころと今の人口構成に大きな違いが出てきたということはあわせて考えておかなければならぬことだとも思いますが、しかし、今、目先、とにかく信頼性というものを回復させない限り、制度を回復してもなかなかうまくいかぬのであって、我々としてはそこのところに最大の眼目を置いて、手間と暇と、そういったものに時間をかけてきちんと対応していくという姿勢が一番大切なのであって、今すぐ答えが、これが答えというものが今ここにあるわけではない、そう思っております。

伊藤(公)委員 いずれにしても、一日も早く政府の責任において、我々も党も協力をいたしますので、年金制度の将来あるべき姿を国民に示す必要があると私は思いますので、ぜひ、少なくとも来るべき衆議院選挙前に、我が党の、そして政府の年金制度を国民に示していただきたいと思います。

 もう最後の質問になりますが、実は昨年の予算委員会で私は、介護や障害者施設に働く人たちの待遇を上げてほしいということを舛添厚生労働大臣に質問させていただきました。大臣は、できるだけ早くこれを見直すということでございました。このそれぞれの皆さんの平均給与を見ますと、全産業に働く皆さんの平均給与は三十三万円です。ところが、ホームヘルパーや福祉施設の介護員、こういう皆さんの平均の給与は二十一万円です。

 先ほども質疑がございましたけれども、二十一年度の予算、この中で、介護には三%、そして障害者の報酬単価は五・一%上げていただきましたし、また、今審議をされているこの予算の中でも、先ほどお話がありましたように、トータルをして七千億の予算を確保していただきました。このことによって、全国で働いている介護やあるいは障害者の福祉の現場の人たちは、自分たちの報酬も少し上がる、かたずをのんでこの国会の審議を見られていると思います。大体一万五千円から二万円上がるということですが、障害者の現場はどうなるのか。

 そして、あわせて伺っておきますが、ちょっと各論ですけれども、大臣、訪問介護の場合には、身体介護は三十分までは確かに上がります。ところが、三十分を超えた場合には、その分はカウントされないんですね。私は、どんなケースも三十分の見直しをされた部分を適用してもらいたい、ここはぜひ見直しをしていただきたいと思います。

 私の両親も今、福祉施設でお世話になっておりますけれども、全国では、三十八・五万人、約四十万人の方々が介護の施設に入れないで待っています。保険料は払うけれども施設に入れない。多くの皆さんが、介護施設がこれからどうなるかということを待っているわけであります。

 大臣のこれからの対応について、お伺いしておきます。

舛添国務大臣 今、伊藤委員がそこに示されていますように、ほかの産業と比べて、介護の現場で働く方々など、非常に待遇がよくない、処遇がよくないということで、今、全力を挙げて、先ほど御質問ありました福祉施設の介護員も含めて努力をしているところでございますけれども、今回は直接国費でやっておりますが、最終的には介護保険料で長期的に見るということになると、これの上げ幅との絡みがありますから、そういうところを、国民の御理解をいただいてきちんと対応していきたいと思っています。

 それから、さまざまな介護報酬についての報酬改定でいろいろな議論がございますけれども、今、短時間の報酬のみが引き上げられている、これを何とかならないかということで、御承知のように三十分未満については変えておりますけれども、これが一番利用が多いということで、大体三分の二ぐらい短時間のものですから、こういうことをやっておりますけれども、今後、今委員がおっしゃったことについても検討させていただいて、改善できる点があれば、これはよく、広く国民の御意見を聞いた上で、そういうことができるか、そしてまた、やるとすればどこに問題があるか、検討させていただきたいと思っております。

伊藤(公)委員 人間を大事にする、それが私たちのこの国の伝統だったと思います。年金や医療や介護を含めて、社会保障の充実に一層の御協力をお願いして、質問を終わります。

衛藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として厚生労働省医薬食品局長高井康行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑を続行いたします。

 この際、葉梨康弘君から関連質疑の申し出があります。町村信孝君の持ち時間の範囲内でこれを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 自由民主党の葉梨康弘です。

 今回の大型補正予算、これで景気の底割れを防いだにしても、やはりまだマイナス成長というのが予測されています。我が国は今、この経済危機、さらには北朝鮮、新型インフルエンザ、多くの困難に直面している中で、国民一丸となってこの難局に対処するためには、早期の予算の成立に加えて、政治、行政が庶民感覚を大切にしながら、政治家が襟を正す、公務員が民間と痛みを分かち合う、公務員の国民に対する背任行為に対してはけじめをつける、こういうことによって国民の一体感を醸成しなければならないと思います。そうしなければ、税金の無駄も撲滅できないと考えます。本日は、こういう観点から質疑をさせていただきます。

 さて、去る四月の三十日でございます。私は、与党・政党助成金の返納逃れ行為の防止に関するプロジェクトチームの座長代理として、政党助成法の改正案を提出させていただきました。政党が解散をして政党としての活動を行わなくなった場合に、税金を原資とします政党助成金は国庫に返納しなければならないと聞いています。法律関係について伺います。

 また、政党が解散を決定した後に、政治家個人や政治家の後援団体に対してこの政党助成金の残金を寄附して返納を逃れるような場合、事後にその政治家などが国庫にそのお金を返そうとしても、現行法では公選法の寄附の禁止違反に当たるというふうに聞いておりますが、この二点について総務大臣から伺います。

鳩山国務大臣 政党が解散をして政党としての活動を行わなくなった場合ですが、これは合併するから解散したというようなケースで、所定の手続で、存続政党やあるいは新しくできる政党に引き継ぐ場合はございます。しかし、それ以外の場合は、残余金は政党助成法第三十三条の返還命令の対象となりまして、国家に返納しなければなりません。この場合の返納というのは、今までもらっていた政党助成金のストックとその年の使い残し、全部でございます。

 それから、もう一つの御質問でございますが、現行法では、今、葉梨委員おっしゃったようなケースでは、当該選挙区内にある者には寄附をしてはいけないということになっておりますので、国や地方公共団体も当該選挙区内にある者に含まれますから、一般に公職の候補者あるいは後援団体が任意で国へ金銭を返還するというような形になれば、これは国に対する寄附に当たりまして、公選法の寄附禁止に触れることになります。

葉梨委員 企業・団体献金の問題も今議論されているようですけれども、(パネルを示す)政党助成金というのは、この仕組みにもあるとおり、もともと国民の血税なんです。本来、国庫に返さなければいけないお金を政党が解散するときにほかの団体に移しかえるということが、政党助成制度の趣旨を没却したものじゃないかということで、たびたび話題になっております。

 実は、過去にもこのような例がございまして、報道されているものとしては、平成十五年の九月二十六日、自由党の解党当日に、約五億六千万円のお金が、現在、小沢一郎氏の関連団体とされている改革国民会議に対して寄附をされておりますが、実は、官報を調べてみますと、同種の行為がほかにもどうも複数あるような可能性がございます。

 ただ、このような過去の行為について、今答弁があったように、政治家が良心をもって、おくればせながら国庫に返そうということで財政再建に協力しようといたしましても、違反になってしまう可能性がございます。

 このため、与党の我々のプロジェクトチームでございますが、政党の解散が決定した後に、選挙に関するものを除いて、政党助成金を充てて寄附することを禁止する。つまり、政党が解散すれば政党活動に使う必要性はなくなるわけですから、選挙に関するもの以外は、これは寄附なんということはできないだろうというふうに思います。これをやはり禁止していこう、そういう脱法行為を禁止していこう。そして、おくればせながら過去の行為についても返納するという良心的な方については、これが違反にならないように公職選挙法の寄附の禁止規定を解除するという法案を四月の三十日に提出をさせていただきました。

 やはりこれは、政治家がまず襟を正すということが大切だと思います。ぜひ与野党で協力して成立にこぎつけたいと思います。そして、少しでも財政再建に協力するという姿勢を我々政治家自身が示していくべきだということを訴えさせていただきたいと思います。

 そして、次の問題に移りますが、国家公務員の給与改定についてです。

 残念ながらですけれども、今、ことしの民間のボーナスはがたがたな状況でございます。トヨタが二六・五%減ということだけじゃなくて、夏季のボーナスだけについても、連合の調査で一三・七%、それから労務行政研究所の調査で一四・四%、これだけの減になります。

 私は、今現在、与党で国家公務員給与の検討に関するプロジェクトチームというのがありまして、その座長を務めております。臨時の人事院勧告が早期になされなかった場合には国家公務員の夏季のボーナスを概算的に引き下げるという議員立法を検討してきました。

 これはどういうことかといいますと、去年の人事院勧告は八月の十一日に出ました。そして、給与法の提出は十二月の二日でした。ところが、ボーナスを下げる、あるいは上げるためには法律が必要です。給与法の中でいうと、六月のボーナスの算定基準日は六月一日、十二月のボーナスの算定基準日は十二月一日ですから、夏のボーナスであれば六月一日より前、冬のボーナスでしたら十二月一日より前に給与法の改正が行われていなければ、下げも上げもできないということなんです。

 昨年の人事院勧告と法律の流れでいうと、十二月のボーナスでも六月のボーナスでも一切調整ができません。そうなりますと、民間がこれだけボーナスが下がっているのに公務員は一切去年のままという形になってしまう、この危機感から我々は作業を進めてまいりました。

 やはり公務員も民間と痛みを分かち合うべきだと思います。そして、例えば夏季のボーナスを一割カットするだけで、国家公務員だけで四百億円のお金が浮きます。これはもう税金の無駄遣いの撲滅の第一歩だというふうに私は思います。

 ただ一方で、人事院に頑張っていただいて、五月の一日に臨時の人事院勧告がなされました。ですから、私は、給与法の改正は政府提案で行うべきだというふうに思います。五月の初めにでも政府提案で法律を出していただいて、何とか五月の最中に与野党協力してこれも成立にこぎつけたいと思うんですけれども、このような人事院の動きについて、例えば、日教組ですとか自治労などの連合系が加盟している公務公共サービス労働組合は、五月一日付でこんな文書を出しております。

 「人事院は、本年夏の一時金のうち〇・二月分の支給を凍結することを求める勧告を行いました。この勧告は政治からの圧力を受けて、精確性や信頼性に欠ける調査結果に基づいての凍結勧告であり、人事院勧告制度に対する信頼を損ねるものです。」「精確性、信頼性に欠ける臨時調査をもとにした夏季一時金の一部凍結の勧告を行わないこと。」というような文書が出ております。

 このように、五月一日の人事院勧告について、一部労働組合から、政治的圧力に屈したなどの指摘がありますけれども、今回の勧告、政治的圧力を受けてなどという性質のものではないと私は信じております。そして、人事院の独自の判断で行われたものと考えますけれども、谷総裁から見解を伺います。

谷政府特別補佐人 今回の勧告に至る経緯について申し上げますと、本年三月十八日の民間春季賃金改定の集中回答日以降明らかになりました民間の夏季一時金の決定状況から、過去二十年以上にわたって見られなかったほどの大幅なマイナスとなることがうかがわれましたので、その決定状況を早期に把握することが必要と考えまして、四月に入って緊急に特別調査を実施したところでございます。

 この調査の結果、民間における本年の夏季一時金は前年に比して大きく減少していると認められましたので、国家公務員に対し本年六月に支給すべき期末・勤勉手当につきましても、民間の状況を可能な限り反映させるなどの観点から、何らかの抑制的な措置を講ずることが適当と考えました。

 ただ、この時点では、夏季一時金を決定しております民間企業の従業員の全体に対する割合は約二割にとどまっておりますので、全体の状況を把握、確認できるようになりますまでの間、暫定的な措置といたしまして、本年六月期の特別給の支給月数の一部、約一割を凍結する特例措置を講ずることが適当であると判断したところでございます。

 以上、申し上げましたように、今回の特例措置の勧告は、社会一般の情勢に適応するように、随時給与を変更することについて怠ることなく勧告する責務を担っております人事院として、責任を持って判断したところでございます。

葉梨委員 麻生総理や甘利大臣の言うことも聞かないと言われている谷総裁でございますから、私などの言うことは聞くはずもないわけでございまして、官公労の言い分は言い分として、しがらみを断ち切って、野党の皆さんにもぜひ積極的に協力をしていただきたいなというふうにお願いを申し上げます。

 次に、社会保険庁改革について。

 まず、社会保険庁は、やみ専従の問題や年金記録の不正処理など、今までも数多くの不祥事がありました。でも、来年一月には、新しい組織である日本年金機構が発足してしまうんです。年金記録の適正化のための膨大な事務処理もある中で、ことしじゅうに、あの伏魔殿のような社会保険庁の不祥事のすべてを調査し終わるなんということは、そして処分を終わるなんということは到底不可能じゃないかというふうに思います。

 厚労大臣から簡単にお願いをいたします。

舛添国務大臣 今、さまざまな不祥事に対しての調査を行っております。やみ専従の問題あり、それから標準報酬などの不適正な遡及訂正これあり、また、最近では、国民年金保険料の時効後の納付について便宜を図ったんじゃないかということがありますけれども、今委員御指摘のように、本年中にすべてを終えることは極めて困難だと思います。

 ただ、今、鋭意調査を続けておりまして、調査を行った上で、職員の関与が明らかになった場合には、法と証拠に基づいて厳正に処分をしたいと思っております。

葉梨委員 実際、私も昨年来この調査に当たってまいりましたけれども、この委員会でも、泥棒が泥棒を調べているんじゃないかというような表現も使わせていただいたところですが、この年金記録問題の方もあるわけで、ことしじゅうにあの伏魔殿のような社会保険庁の不祥事を全部明らかにするということは物理的になかなか困難だと私は思います。記録の問題はしっかりやっていただきたいと思うんですが。

 でも、そういうこともあるわけで、私、与党の日本年金機構法改正検討プロジェクトチームというのがありまして、その座長をやっております。それで、四月の二十四日、日本年金機構法の改正案を提出させていただいたんです。

 その改正案の中身というのは、やみ専従にかかわった職員、幹部などについてはみんな欠格職員にしましょう、そして、分限回避の努力をした後には、公務員として、あるいは日本年金機構の職員として、当然ですが、居座らせないようにしましょう、そして、社会保険庁の在籍時の不祥事が事後的に発覚した方々についてもやはり解雇をいたしましょうということによって、人を入れかえることによって私たちの年金を守ることを目指す、そういうような法案を提出させていただきました。

 この改革の方向性というのは、このパネルにもありますとおり、民主党の方向性とは全く異なるということでございます。

 昨年十月六日も質問をさせていただきましたけれども、民間への再就職のあっせんなど、国家公務員法上の分限回避の努力はしなければならないと思います。しかし、それでも残った問題職員には毅然として対応して、分限免職とすること、さらに訴訟のリスクは受けて立つということを、総理から再度御確認させていただきたいと思います。

麻生内閣総理大臣 日本年金機構に採用されないという者につきましては、分限免職回避の努力というのは行っておりますが、犯罪行為を行ったことが明らかになるなど、公務員としての適性を欠く者ということが明らかになった場合は、これは分限免職をしていくということだと存じます。

 仮に分限免職を受けた職員から訴訟が起こされたという場合を聞かれているんだと思いますが、主張すべきは法に基づき主張していくのは当然のことだと思います。

葉梨委員 問題職員は分限免職にする、訴訟のリスクは受けて立つということです。

 そして、今回提出をした議員立法も活用して、不良職員は徹底的に排除して、国民から信頼される組織体制、これを確立していただきたいと思います。総理から御所見を伺います。

麻生内閣総理大臣 御指摘の法案については、葉梨先生御存じのように、議員立法でもありますので、これは国会で御議論いただくべきものだと考えております。

 政府としては、日本年金機構が、法を守って、そして職務に誠実な人材によって構成をされ、国民の信頼に足るような組織となるよう、これは全力で取り組んでいくということが基本だと考えております。

葉梨委員 労働組合活動をやって税金から給料をもらう、そういった行為というのは税金の無駄遣いのまさに最たるものだと思います。この一事に厳しく対処できないようだったら、民主党の皆さんの言うような無駄の削減による財源の捻出、こんなことはできません。ぜひ民主党さんにも協力をお願いしたいと思います。歳入庁といったって、来年の一月から日本年金機構が始まるわけですから、現実的に対応していただいて、我々の議員立法に対して協力をしていただきたいなというふうに思うわけです。

 いずれにせよ、国民の皆さんには、政治家が襟を正して、公務員が民間と痛みを分かち合って、公務員の不良行為にけじめをつける、そういう改革案がどうして我々与党から提案されて野党から出てこないのかということをよく考えていただきたいと思います。過去に行った行為をかばったり、公務員労働組合の既得権益を守るというような発想は、これは排さなければなりません。一緒にしっかりやってまいりましょう。

 さて、最後に、日本郵政、お願いいたします。

 かんぽの宿の問題など、ことしはこの国会でも、郵政のあり方が問題になりました。ただ、私は、上層部の方もちょっとやり過ぎじゃないかと思うところがあるんですが、上層部は民営化を過激に推し進める、そして特定局長等の管理職は民営化に公然と異を唱える政治活動を行う、これもちょっとやり過ぎかなと思います。何か会社自体が分裂しているような感じを持つわけです。

 平成十七年に、あれだけ国民の圧倒的な支持を受けて発足した郵政民営化です。西川社長、来られていますが、特定局長さんとも胸襟を開いて、同じ方向へ向かっていくことができるようにしっかりと話し合いをしていただきたいと思いますけれども、社長から一言お願い申し上げます。

西川参考人 お答えいたします。

 国民、利用者の利便に資するよりよき民営化の実現のためには、グループ全社員が一丸となって取り組むことが極めて重要であると認識をいたしております。このためには、最もお客様に近い現場の声を聞いて、経営の改善に生かすことが重要と考えまして、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。

 私自身も、全国各地の支社、郵便局を積極的に訪問いたしまして、多くの郵便局長と意見交換をしてまいりました。このような取り組みの中で、現場からの意見を取り入れ、例えば昨年の三月から三回にわたりまして……(葉梨委員「短くていいです。時間がない」と呼ぶ)はい。郵便局活力向上宣言を出しまして、業務フローの簡素化や過剰な検査、監査項目の削減などの施策を実施中でございます。

 今後とも、現場の管理者を含め、社員全員とできるだけ意思疎通を図りまして、取り入れるべき意見は積極的に取り入れ、一致してよりよき民営化の実現に邁進してまいりたいと考えております。

葉梨委員 本日は、この難局に対処するためですから、政治家も襟を正しましょう、それから既得権益、ここら辺のしがらみを断ち切って少しでも無駄の撲滅に当たっていきましょう。そして、日本郵政も、国会もそうなんですが、中で足の引っ張り合いをやっているように国民に見られちゃいけません、しっかりとまとまっていくことが必要だ。そういうことで、我々も襟を正し、一体感を持って国民一丸となって、内閣とともに難局に対処していきたいということを訴えさせていただきまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて町村信孝君、園田博之君、伊藤公介君、葉梨康弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、まず三十五分間、四月二十七日に国会に提出をされ、また、本日ようやく審議を開始することができました平成二十一年度の補正予算案につきまして、限られた時間でございますが、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の補正予算、いろいろな御意見もあるようですけれども、私たちは、その中身、三つの柱があるというふうに考えております。ちょっと小さいんですが、パネルで。

 一つは、生活を守るという意味で、地域医療の再生ですとか、介護の現場の職員の処遇改善ですとか、また子育てとか、こういった、生活を守っていくんだ、国民の暮らしを守っていくんだというのが一つの大きな柱。

 もう一つは、これは昨年の十月三十一日から断続的にやっているわけでありますが、雇用を守る。雇用を守るという中小企業の皆さんの資金繰りを最大限に応援する、また雇用調整助成金を改善して使っていただく、これは相当結果が出ているのをさらに拡充する。

 そして三つ目は、仕事をつくる。低炭素社会の実現をするとか、また、これまで我が党も取り組んでまいりました、高齢社会に対応するためのバリアフリー化のまちづくり、また、最近のゲリラ豪雨に対する災害対策、河川整備、下水道整備、こういったものが、私は、大変さまざまな分野に対して効果的な予算案が組まれているというふうに認識をしております。

 しかし、四月二十八日の、先日の本会議、野党の皆さんの意見を聞いておりますと、それぞれの施策が三年間という時限だ、三年間という限りがあって永続的ではないとか、ばらまきだとか、こういった批判があり、反対されるような質問が続いたわけでございますが、私に言わせると、そもそも補正予算というのは時限的なものであり、緊急かつやらなければいけないといったことで予算を組むわけですから、それが恒久的なものでないからといって反対するというのは、まさに反対をするための理由ではないかというふうに感じておるわけでございます。

 加えて、今まで振り返っておりましても、私たち公明党が連立与党に入ってからの十年間を見ておりましても、例えば、児童手当の大幅な拡充ですとか、あとは学校の耐震化ですとか、これも、かつて補正予算で予算化され、それが翌年以降継続化していった、いわゆる恒久的な制度化をしていった。こういうことはよくあることでありまして、これを一概に頭から、三年間の時限でしかないからとか、ばらまきだとか、無駄遣いだとかと言って反対するのは、私は、いささかどうなのかなというふうに思うわけでございます。

 まさに、大変厳しい経済状況から、日本の、我が国の経済を再生していかなければいけない、脱出しなければいけない、こう考えるときには、一番重要なことは、この補正予算を一日も早く早期成立をさせ、まさに官民挙げてこの難局に立ち向かっていくことだというふうに私は考えておるところでございます。

 今、地元を歩いておりますと、やはり高速料金の引き下げですとか定額給付金の給付、それに伴って、各商店街も、私たち神戸の市の商店街連合会も、買うと一〇%得する、こうべ買っ得商品券なんというものを出して、阪神・淡路大震災以来長らく元気がなかった商店街も、今回の二次補正予算に含まれている案で、さまざまな知恵を出して頑張ろうとする。私は、大変すばらしい施策だったと思います。

 世紀の愚策と言った政党もありましたけれども、これはとんでもない的外れな話で、今これだけ町が元気になっている政策があるということを私は高く評価するべきだというふうに思いますし、もっと早くやってもらえばよかったという声の方が圧倒的に多いですよ。ですから、そういった意味で、早期成立して難局に立ち向かうということが大事だ、これは党派を超えての共通の意識であるべきだというふうにまず申し上げておきたいのでございます。

 それでは、中身に入らせていただきます。

 仕事をつくる。今回、低炭素社会の実現ということで、エコ三本柱、ここにもあります。これは私たちが考えたフレーズでありますが、「ニッポンまるごと太陽光」、これは太陽光パネルの設置、スクール・ニューディール構想。二つ目は「ニッポンどこでもエコカー」、省エネカーに転換していこう、スクラップインセンティブを導入しようということでございます。三つ目は「ニッポンだれでも省エネ家電」、グリーン家電にかえていってもらおう、こういったことをやる。

 しかし、このことについても、ばらまきだ、こういった批判がありますが、これはとんでもない話であって、ぜひ斉藤環境大臣から、まず、この低炭素社会の実現が今なぜ必要なのかということを、斉藤さんらしく、知的に、わかりやすく、簡潔にお答えいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 ばらまきという批判がありますけれども、全く当たらない。我々が目指すべき社会をつくり出していくためにぜひ必要な予算だというふうに考えております。

 今回、太陽光、エコカー、それから省エネ家電、新しい三種の神器と呼んでおりますけれども、これらは非常に短期的に雇用や需要を創出するだけではなくて、消費を変えていく。環境に配慮した製品が売れるということで消費を変えていく、消費の変革を生み出し、消費の変革は、ではどこに投資しようか、研究開発しようかという投資の変革を生み出し、最終的に社会の変革を生み出していくものだ、このように考えております。

 したがって、今回の「ニッポンまるごと太陽光」「ニッポンどこでもエコカー」「ニッポンだれでも省エネ家電」というのは、大きくこれから日本の構造を変えていく一つのきっかけになる、このように考えております。

赤羽委員 昨年来の世界金融危機に端を発しまして、世界の経済というのは大調整が始まると思います。まさに世界的な経済分野での構造改革が始まる中で、日本も従来型の分野だけに専念しては今後の世界の経済の中で立ちおくれてしまう。今こそ国を挙げて将来につながる投資をしていくというのは、今斉藤大臣の御答弁にもあったように、私も大変重要なことであり、本当に推進をしていくべきだというふうに考えるわけでございます。

 この中に、スクール・ニューディール、午前中からも出ておりますが、聞きなれない言葉かもしれません、これをちょっと絵にしてまいりました。私、このスクール・ニューディール構想というのは、実は教育面で少し深い背景があるというふうに考えております。

 近年、教育の格差というものが指摘をされる。これは何とかしなければいけない。家庭的に裕福で、あたかも私立の学校に行かなければいい将来が描けないということであるとするならば、それは国の衰退につながる。私は、まさに公立教育の再生というものが本当に大事だというふうに考えております。

 そういった意味で、今このときに、未来につながる投資、やはりOECDの中でも、教育に係る国の予算、日本はまだまだだという統計も出ておりますので、ぜひここに注力化をしていただきたい。

 太陽光発電についても、私はよく一石四鳥の効果があると言って、党内で私は部会長ですので提案をさせていただきました。

 それは、もちろん太陽光を張るということは、そこの時点で省エネの効果がある。また、小学生、中学生から身近なところに太陽光パネルというものを見ることによって、環境教育の効果がある。三つ目は、これは阪神・淡路大震災のときもそうでした、大きな災害では学校というのは避難所になるわけです。避難所が停電をしているというのは大変被災者にとっては心細いことでありまして、そこの避難所となるべき学校で自家発電できる太陽光パネルを持っているということは、大変災害対策にもなる、三つ目の効果です。加えて、言うならば、太陽光パネルの設置という工事は地元の建築関係の皆さんにとって具体的な仕事になる。これは、未来への投資をしながら現状の危機対策にもつながる、まさに一石四鳥の効果だというふうに考えております。

 加えて、公明党が数年前からお願いをし、補正予算で予算化した耐震化も、計画どおりやりますけれども、ここで一気に進めていこうということを、一緒にあわせて工事をする。それに加えてICT化、情報通信の技術化も進めていこうと。

 私は、公立小中学校でも、よりよい、質の高い教育を受けられることをやはり目指すべきではないか、だれでも公平に良質な教育を受けられる国というのは、やはりあるべき国だというふうに思っておりますので、これはぜひ頑張っていただきたい、こう思うわけでございます。

 このICT化について、ちょっと気になる本会議でのやりとりがありました。民主党の鳩山幹事長の発言で、一台約七十万円もする電子黒板を全小中学校に購入させる必要があるのでしょうか、こういう提起でありました。加えて、コンピューターにつきましても、小中学校には既にコンピューター室があるのに、なぜ二百万台のパソコンを新たに購入させるのですかと。これは大変な無駄遣いだという批判がありました。

 しかし、パソコンについても、ここにちょっと書いてありますけれども、今は児童生徒七人に一台の割合でありまして、これは世界水準から見ても明らかにおくれているわけであります。パソコンといっても、昔入れたパソコンが経年劣化するというのは当たり前の話で、そこを批判されるというのはよくわからない。

 恐らく、電子黒板というのを御存じないんだと思います。ですから、電子黒板について、これは大変すぐれものなので、私、一校に一台というのは本当にもったいないな、文部科学省も、一クラス一台ぐらい入れていただけるようなことを目標に掲げていただきたいんですが、本会議を見ておりますと電子黒板がわからない人が多いみたいなので、ぜひ電子黒板の効用について御説明をいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 スクール・ニューディールについては、今赤羽委員がおっしゃったように、我々としても、未来への投資、そして将来の子供たちに二十一世紀にふさわしい教育環境をつくりたいということで進めているところでございます。

 そういう中で、電子黒板の質問があったわけでございますが、今おっしゃったように、なかなかすぐれものでございまして、これは二つのパネルの写真がありますが、例えば、一つのいろいろな写真とかそういうものを拡大したり縮小したり、まずはそういったことが自由にできる。要は、こういうものを自由自在に大きさを変えて、見やすくしたりできるわけですね。それからまた、下のパネルでいきますと、子供たちがこの写真にいろいろな言葉を書き込むことができる。この写真も、切り取ったりなんかして大きくできる。

 例えば、授業中によく先生が、文章を読んで、ここに線をしてみましょうとかいろいろな指示がありますが、多分、全員がそうやって正しく指示を受けてやっているとはなかなか限らないですね。ですから、見やすく、ここへ文章を書いて、ここへ線を引くんだよと一言やれば、間違いなく指示が伝わったりする。それから、新しい教材を使いたいときには、例えばこういうペーパー、これをすぐとってここへ映し出すことで、これがすぐ教材になるんですね。

 ですから、自由自在にこれが使えるということで、コンピューターのいろいろな使い方をやるより、これを使っていろいろ教えることがいかにわかりやすく子供たちに教えられるかということで、私もこれを見てびっくりしたわけでして、既に全国で一万台ぐらい普及をしておりまして、大変わかりやすい授業ができる。

 また、先生方も子供たちも、いろいろな発表のときにも楽しくできるということで大変いい結果が出ているわけでして、これをあと三万台、とにかく各校に一台ということで、できれば各教室にも目標を持っていきたいわけですが、当面、このよさをわかってもらうために各校に一台普及をして、子供たちがしっかりとまたこういった授業に親しめるようにと考えているところでございます。

赤羽委員 今回、全教室のテレビを地デジにかえるわけですから、地デジ対応のテレビにつけ加えると、一台七十万円もせずに電子黒板化ができるというふうにも聞いておりますので、ぜひ、公立の小中学校でも本当に良質な、トップレベルの教育が受けられるような、そういった政権であっていただきたいと強く思うわけでございます。

 一方、施設整備だけではなくて、こういったニュースが出ておりました。

 最近、昨今の経済的な理由で私立高校を中退した生徒が過去最高の五百十三人に上るということでございます。また、三カ月以上学費を滞納する生徒を抱える学校も、実は私立学校の三分の二ぐらいになっているということであります。

 我が党としても、経済大国日本で、たまたま父親がリストラになったからといって子供が私立高校をやめなければいけないというのは、これはもう相当時代錯誤の話で、こんなことは何としても守っていかなければいけない、こう思い、今回の経済対策の中に、こういった親の経済的な事由で学校を中退するような状況の中で、授業料の免除、または奨学金の拡充ということで学業が続けられるような措置をぜひとるべきだと強く要求をしてきたわけでございますけれども、今回の補正予算の中、それなりの対応ができていると思いますが、ぜひ大臣から、この対策について簡潔に、そして一人もそういった学生を出さないんだという決意を伺わせていただきたいと思います。

塩谷国務大臣 文部科学省としましても、経済的理由によって生徒が学業を断念せざるを得ないというような状況を決して許してはならないと考えているところでございまして、昨年の補正予算から、また今回の予算についてもその予算を計上しているところでございますが、公立高校については授業料の減免あるいは奨学金制度、それから、私立高校が行う授業料減免の措置に対して、文部科学省が私学助成の形でその一部を補助しているところでございます。

 こういった支援策につきましては、やはりできるだけといいますか、周知徹底が重要でございまして、親、生徒に徹底してこの周知をして、都道府県がこういった対策ができるように、また報道機関あるいは我が省のホームページにも掲載しているところでございます。

 また同時に、こういった状況がある程度多年度にわたるということも考えまして、今回は多年度を視野に入れた支援策が必要であり、補正予算においては、高校の奨学金事業や私立高等学校への授業料減免措置への補助について、新たな交付金によって基金を設置して緊急支援をしているところでございまして、こういった支援を周知徹底して、一人として学業をやめることのないようにという意気込みで頑張ってまいりたいと思っております。

赤羽委員 これは各都道府県の教育委員会の制度に準じたというような御説明もございました。ですから、現状の制度で授業料の全免措置みたいなものがないとなかなかしにくいということが危惧されますので、今はこれまでの状況とは違うんだということで、ぜひ、大臣の御決意として、一人もこういったかわいそうな生徒を出さないんだ、子供の未来を大切にしていくんだという決意で、今の制度がどうあれ、全部救っていくんだ、基金創設というのはそういう思いだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。よろしいですか。

 次に、子供の未来を大切にするということの延長ではありますが、最近というか、前回の予算委員会でも取り上げました、ことし卒業した学生の就職問題でございます。

 これまで内定取り消しということが盛んに言われておりました。三月二十三日の厚生労働省の調べでは、四百四社で千八百四十五人の内定取り消しがあった。これが、最近の四月を越えたデータでは、内定取り消しは四百二十七社で二千八十三人。わかりますか、二千八十三人、二百人以上ふえているんです。三月二十四日という最後の週から四月を越えて、二百人以上の内定取り消しが出た。

 これは、総理、内定取り消しじゃないんだと思うんです。これはまさに、入社を予定されていながら取り消しになった。内定取り消しという報道をしていますけれども、これは内定取り消しではなくて入社取り消しなんですよ。

 入社取り消しに加えて、入社日の延期というのが三十八社で二百六十八名。初日からの自宅待機、五十四社で七百五十五人。ですから、入社日の延期ですとか自宅待機だとかされているのは千二十三名いる、これも報道があったとおりでございます。

 これは、私は、我が国の企業としてはいささか人を大事にしなさ過ぎるんではないか。いきなり入社待機して、給料、六カ月だからといって、いつまでも待機させてよいわけではないですね。それでよしとする社会であっていいのかどうか。入社日を延期するとか入社を取り消すなんというのは、私はまさに、これは労働契約の一方的な変更とか破棄であると思うんですね。

 これはやはり、解雇するときには解雇なりの手続を踏まなければいけない、このことは当然私は訴訟の対象になるというふうに考えておりますけれども、しかし、卒業する学生、二十二、三歳の子たちがいきなり訴訟をするというようなこともなかなか起こりにくい、容易なことじゃないわけです。これをどうしていくのか。

 私は当然、入社取り消しをしたとか、悪質な入社日の延期、自宅待機とかということについてはもっとしっかりと、該当企業に対して補償の支払いを行政指導するとか、また簡易な手続でできる労働審判を働きかけるとか、こういったことでやはり一人一人を救っていく。

 これまでも、私もここで質問をし、そういった企業の実名を公表すると。実名公表というのは、ある意味でのダメージを与えられるということで、企業がそういうことをしないという抑制効果にはつながるかもしれませんが、そういう実名公表をしながらこういった数字が出ているということは、やはりもう一段踏み込んだことをしなければいけない、私はこう思うわけでありますが、舛添厚生労働大臣、御見解をいただきたいと思います。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったように、内定取り消しとか、それから入職時期の繰り下げ、こういうことはあってはいけないことなので、私も経済団体に対してたび重なる要請を行ってきておりますし、かつ、学生から補償の要求があったときには誠意を持って対応しろということを事業主に対して繰り返し指導を行っているところであります。

 それから、ハローワークにおきまして特別の相談窓口を設けておりまして、学生さん、そこにぜひ相談に来てくださいということで、この相談に応じています。

 ただ、どうしても希望する場合に裁判所とか法テラスとか弁護士会などの情報は提供しておりますけれども、やはり裁判とか労働審判でありますと、一定の時間とお金もかかるので、なかなか、学生さんに勧めるというのも一概には正しいことではないと思いますので、そこの御判断は学生さんの御本人の判断によるべきだと思いますけれども、政府としましては、事業主に対して、あってはいけない内定取り消しであり入職時期の繰り下げだ、これはやめてくれ、撤回ということを今後とも力強く働きかけてまいりたいと思っております。

赤羽委員 やはり、その企業が倒産してしまうというような状況であるならばいざ知らず、そうでないのにこういったことをするというのは、私は、企業としてのモラルがなさ過ぎる、当然それはちゃんと正規雇用をして、それからの対応をするべきだというふうに考えますので、ぜひ、今、厚生労働大臣の御答弁どおり、一つ一つの企業、平気で悪いことをやっているところにはしっかりと行政指導をするということでお願いをしたいと思います。これが一つの話なんですね。

 実は、直前の入社取り消しというのは別の問題をはらんでいまして、昨年年末ぐらいまでの内定取り消しの学生は、その多くは再就職活動ができた。実は、再就職ができなかった方は、いろいろな大学側からの配慮もあって、卒業を一年保留して、大学五回生として新規卒業予定者ということで来年の就職活動に臨むわけであります。私はこれも変な話だな、こう思いますが、そういう現状がある。

 しかし、三月の最終週で急に入社取り消しになった二百名以上の方たちというのは、実はもう大学は卒業してしまっているんですね。既卒業者なんですよ。今大臣が言われたように、フォローしてどこかの会社に就職できればいいけれども、それができないとなると、来年の入社のための就職活動に入らなければいけない、こういうことになるわけです。

 しかし、この来年の就職活動、彼らは公平に受けられるかというと、現状はそうじゃないんですね。今、千名以上従業員がいる大手の企業の来年度の募集要項を見ていますと、その中に、約半数の企業が、来年、平成二十二年三月大学卒業見込みの者に限る、こういう新規卒業であるべきという縛りがかかっているんですよ。これはやはりちょっとおかしいと思います。

 大体、雇用対策法十条を何年か前に改正して、雇用のときに年齢制限をしてはいかぬという法改正をやっているんですよ。年齢制限をしてはいけないという就職活動に対して新規卒業条件をかけるというのは、私はそもそも脱法的な行為だと言わざるを得ない。年齢なら何歳でもいいですよと言いながら、実は来年の三月に卒業予定の者じゃなきゃだめですよというのは、年齢制限をかけた意味を骨抜きにしているとしか私は思えないんですね。

 だから、そこは、特に企業の一方的な都合で入社を取り消しになったとか、本当に気の毒な人たち、しかし、大学はもう卒業してしまっている、既卒になる、その人たちが来年の就職活動に向けて、まず大手の半数のところに門戸を閉じられるということは余りにも道理が通らない、私はこう思うわけでありますけれども、その点について大臣の御見解をお願いいたします。

舛添国務大臣 平成十九年の十月に施行しました改正雇用対策法、これの十条を今引用なさいました。ただ、個々に、この十条における年齢制限と、いわゆる新卒者のみを採るということは、法的に矛盾しないという解釈がなされております。

 実を言うと、これまでの日本の雇用、採用の慣行は、ほとんど新卒者を採る。それは、企業にとって、新卒者をずっと鍛えて自分の会社の社員として鍛え上げる、だから、働く者もそれを雇う者もその伝統でずっときたものですから、それは一定の合理性がある。なかなかこれを一気に変えるというのは難しゅうございます。

 しかし、今まさに委員が御指摘のように、内定取り消し、しかも会社がつぶれたというようなことになったときに、好むと好まざるとにかかわらず、既卒者になってしまうわけですね、一年待つということで。

 ですから、これは経団連を含め、既卒者に対しても採用の門戸を広げてくれということを何度も要請しておりますし、指針においても、そこは既卒者に開放してくれということを言っておりますので、今後、これは事業主、そして国民の皆さんのコンセンサスを得ながら、そういう方向にさらにもう一歩かじを切っていきたいというふうに思っていますので、今後とも努力はしてまいりたいと思っております。

赤羽委員 新規卒を採って、それを終身雇用で抱え込んでいたという日本のこれまでの企業のやり方というのは、それはよかった点もあると思います。それは、やはり終生抱えるという結末がないとだめなんですね。今、四十歳になって、いきなりリストラになったりするわけですよ。それをしておきながら新卒じゃなきゃだめだみたいな話というのは、私はそもそも論としておかしいと。大学を卒業して一年間留学していた人間が何でハンディを背負わなきゃいけないのかとか、全くおかしいんですよ、この新規卒業制限というのは。

 ここは、やはり政治として、特に困った学生がいるんだから、学生というか卒業者が。そこは、この事件を契機に、経済産業団体にもそれを受け入れさせる取り組みをしていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 この質問を、前回、二月の予算委員会で取り上げました。なぜ内定取り消しが起こるかというと、それは、今の就職活動が早期化、そして長期化するからだと。三年生のときから通っていると。私も大学の先生に聞きましたら、就職活動があるからといってゼミを休める理由になっているんですよ。こんなおかしな話ありますか。専門に進んで、三年、四年とゼミの授業に全然出ないで就職活動をやっていて、それで卒業せざるを得ない。そんな専門課程も踏まないような人たちを集めていいのか、私はこれは大変大きな問題だと思いますし、四年間の大学生活で二年間も就職活動をやらされたあげくに採用が決まらないなんていったら、そんな社会に、世の中に元気いっぱい出ていこうなんという気にならなくなると思いますよ。

 ですから、私がこのことを指摘したら、塩谷大臣は、就職協定の復活も含めて、よりよき制度のあるべきことを前向きに進めていきたい、こう御答弁いただきました。

 経済団体にも随分働きかけていただいているというのは伺っておりますが、その点について、方針と、いささかも変わらない決意であるかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 就職・採用活動については、赤羽委員が今御指摘のとおり、また前回の予算委員会でも質問があったわけでございますが、私どもとしては、生徒にはしっかりと学業を修めてもらう、一般的に最近は学力低下とかいろいろ言われているだけに、四年間すべてとは言わないまでも、少なくとも四年の夏ぐらいまでは勉強して、その後就職だというような気持ちでおるわけでございまして、この点について、私も直接経済団体と話し合いをして、これは三月でございますが、四月にはそれぞれ主要経済団体に厚生労働省とともにしっかりと申し入れをしているところでございます。

 具体的にどのようないい方策があるかというのは、まだなかなか難しいところでございますが、いずれにしましても、例えば就職活動をやるにしても、平日は企業訪問をしてはいけないとか、そういうことを最低でも決めたい。かつての就職協定ということに近づけたいと思って、その決意は変わらないわけでございまして、今後、大学側あるいは経済団体側、両者に向けて、具体的な実効性のある方策を検討していただくよう、強くまた申し入れを続けてまいりたいと考えております。

赤羽委員 ぜひ、このことは文科大臣だけではなく、経済産業大臣また厚生労働大臣におかれましても、本当は麻生総理のリーダーシップでと言いたかったのですが、ちょっと今席を外されたようですので、本当に政府一丸となって取り組んでいただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 次に、中小企業の資金繰りの支援についてでございますが、これは、去年の十月三十一日から、緊急保証、セーフティーネット貸し付け、それぞれ大変な勢いでやっていただいて、現時点で六十二万社に十三兆円の融資が実行できたということでございます。

 まさに、現下の経済状況を考えますと、この枠を今回補正予算で大幅に拡充するということは正しい措置だと思いますし、一日も早く実現をしていただきたいというのが中小企業団体からの声でありますことをまず報告しておきたいと思いますが、一方では、地元を歩いておりますと、本当の零細、リスクの高いというか、逆に言えば本当の意味で資金が必要なところの企業ほど、やはり銀行の貸し渋りに遭っているという話がございます。

 金融庁としても、昨年十一月に金融庁のマニュアルを変えて、例えば既存の債権について、返済条件を変更してもそれを不良債権化しないということになったので、いわゆるリスケがしやすくなっていると思いますが、現状どうかというと、ここのグラフに出ております。見ていますと、信金、信組は結構一生懸命やってくれているんですね。地元の神戸の中小企業の皆さんも、やはり信金、信組が頼りだ、こう言っていただいていますけれども、メガバンク、主要行は、明らかなように、貸し出し条件緩和をほとんど行っていないんです。中小企業向けの貸出残高も、主要行、メガバンクは相当低いはずです。

 これは、大手企業がまさに直接自分たちで資金の調達ができなくなった、ですから主要行からお金を借りていく。そういった意味では、大手企業に対する貸出実績を残せば、口は悪いですけれども、主要行にとっては、中小企業へリスクの高い資金供給をすることはちゅうちょされているんだろうな、こう思うわけでありますけれども、我々は国の制度として、やはり九九・七%も産業界を支えている中小企業に、本当に今この難局を乗り越えるための資金供給をしなければいけないということをやっているわけですから、金融機関としては、当然、政府の政策に合わせて現場の企業のサポートをするのが当たり前だと思うわけであります。

 金融庁も個別の審査に入られるということでありますけれども、ぜひこの貸し出し条件の緩和と、また、緊急保証とかセーフティーネット貸し付けの返済が実は始まるころになっているんですね。ですから、この元本の返済猶予。政府系金融機関では認められていることなんですから、民間金融機関にも協力をするようにということをぜひ行政指導しながら、中には悪質な例もあるんです、三月三十一日に貸し出して四月一日に返してもらう、こんなことも実の話として聞いていますので、ここはしっかりと取り締まらなければ、金融庁の検査は意味がないと思います。その御決意と御方針を。

与謝野国務大臣 主要行においても、中小企業の経営実態や特性を踏まえたきめ細かな対応を行っていくことが重要と考えております。

 各金融機関においては、融資先企業に対する目きき能力を高め、貸し出し条件の緩和に対する取り組みを含め、適切かつ積極的な金融仲介機能を発揮していくことを期待しております。

赤羽委員 どうも、最終的に民間と民間の契約だからという一線があるという話がよく出るんですが、ここは本当に大事なことなので、金融機関は企業をサポートすることが本職なんだということの本分に立ち返って、ぜひきっちりとした検査をしていただきたい。

 最後に一点だけ、高速料金の引き下げの問題で、平日三割をやっていただいているんですが、百キロ以上になると、これが百一キロになると百キロ分も全部割引ができなくなる、これはまことに不合理なんですよ。ですから、トラック事業者なんかは全くこれの恩恵が受けられていない。九十何キロでわざわざ一回おりてやるとか、こんな、日本の行政として少し恥ずかしくないですか。この不合理を直していただきたいと強くお願いしたいんですが、どういう取り組みなんでしょうか。

金子国務大臣 プログラムがおくれている上で実現できておりませんでしたが、七月上旬から、平日三割というのも百キロを超えても実現できるようにさせていただくスケジュールで今進めております。

赤羽委員 以上で終わりにしますが、この補正予算、私は、二次補正予算と関連法案の過ちを繰り返してはいけない、こう申し上げておきたいんです。

 一月五日に提出をされたあの補正予算と関連法案が、最終的に決着のついたのは三月四日でありました。二カ月間、それも参議院に行って五十日間でたった三日しか審議しなかった。審議を重ねるべきだという主張はそれでいいと思いますが、時間だけただ過ごしていく、それはまさに国民生活不在の対応ですよ。本当にこの愚を繰り返すと国ごと沈没する危険性があるというふうに思いますので、その一点だけ最後に御決意を聞いて、よろしくお願いしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 今回提出させていただきました補正予算、GDP比で約三%になろうと存じます。今、国際社会の中におきましても、財政出動によって今回のこの危機をということを、各国、全部ではありませんけれども、アメリカとかイギリスとか、いろいろそういった説を述べ、日本もこれまでなかなかできませんでしたけれども、改めてここは、きちんと対応できる、日本もほかの国に対して堂々と我々もきちんとしていますということが言える状況ができ上がりつつありますので、一日も早い成立、心から願っております。

赤羽委員 以上で終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 この際、福島豊君から関連質疑の申し出があります。赤羽一嘉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。福島豊君。

福島委員 今回の補正予算、四月に提出をされる、まことに異例のことでありますけれども、安心と活力、この二つの大きな目的を掲げていただいて、現在のこの日本の経済、苦境を脱出していくためには、一日も早い成立を図る必要があると思っております。

 この安心という言葉、厳しい経済状況の中で国民の生活をいかに守っていくのか、このことは極めて重要な課題であります。この点を中心に私はお聞きいたしたいと思っております。

 おととい、五月五日、こどもの日でありました。それを目前にいたしまして、五月四日に総務省が子供の推計人口を発表いたしました。十五歳未満の子供の推計人口は千七百十四万人、八二年から二十八年間連続減少しております。総人口に占める比率は一三・四%と、三十五年間の連続減少であります。人口、割合ともに過去最低を更新いたしました。新聞各紙が、少子化対策が重要だ、こういう指摘をいたしました。

 また、単に数が減るだけではなくて、児童虐待、先日、大阪市では小学生女児の死体遺棄事件が発生をいたしました。大変痛ましい事件でありますけれども、児童虐待も四万件を超えている。この国会におきましては、予算委員会、子供の貧困という問題も取り上げられました。

 子育てにさまざまな問題が起こっている、それに対して国を挙げて取り組んでいく、これは実は経済の再生ということにも直結してくる、私はこのように思っております。

 実はきょう、私は地元の方からメールをいただきました。派遣労働であったけれども、雇いどめに遭って仕事を失ってしまった、四人の子供がいる、何とか子供だけはしっかり育てたい、こう思っていると。こういう状況の中で国がしっかりと子育てを支援していく、非常に重要なことだと思っております。

 今回の補正予算の中では、昨年の第二次補正予算に続きまして、子育て応援特別手当、これは第一子まで拡大をして実施させていただく、こういうことにいたしました。

 厳しい経済状況の中で子育てを支援していく、こういう国の姿勢を示すという意味から極めて重要な意義があると思いますけれども、この点についての厚生労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 今、福島さんからメールの御紹介がありましたけれども、やはり非常に厳しい経済雇用情勢の中で、子育て世代、これは直撃されております。その中で、幼稚園とか保育園を問わなくて、小学校に入る前の三年間、満三歳から五歳、ここの子供たちを支援するということは、非常にやはり経済的な負担を軽くするのにつながります。それで一人当たり三万六千円支給する、こういうことを今御提案申し上げているわけでありまして、やはり子供たちというのは日本の未来ですし、宝ですから、こういう子供たちを健全に育てる、親が今のように派遣切りに遭ったとかいうことがあってもきちんと育っていく、そういうための重要な施策だと私は思っております。

福島委員 現在、総理のもとで、安心社会実現会議、将来の国家ビジョンを策定するために検討を進めていただいております。その中で、少子化対策の強化ということが一つの重要な柱として盛り込まれる方向である、このように伺っております。

 ただいま舛添大臣の方からも、子育て応援特別手当についての意義についてお話しいただきましたが、私どもは、今回の経済危機の中で子育てを支援する、こういう枠組みと同時に、将来に向かって我が国が国を挙げて子育てを応援していく、その大きな流れの一つのステップに位置するんだろうというふうに思っております。

 これは、(パネルを示す)二〇〇五年に内閣府で行っていただきました少子化対策に関する女性の意識調査、少子化対策で望ましいと思う経済的支援策は何か、幼稚園費等の軽減六七・七%、医療費の無料化四五・八%、児童手当の引き上げ四四・七%。幼稚園費等の軽減ということについて非常に多くの方が要望を持っておられる、こういう実態がうかがえるというふうに思っております。公明党としては、幼児教育また保育の無償化、こういうことを国として目指すべきである、このように今までも唱えてまいりました。

 これは、就学前教育費の公費負担割合であります。フランスでは九五・五%、イギリスでは九二・九%、OECDの平均では八〇・二%、何と日本ではその半分の四四・三%と、極めて就学前教育に対して公的な支援が少ないということがうかがえるわけであります。もちろん、保育の分野での財政的な措置ということもある、こういう指摘もあると思いますけれども、我が国の教育ということを考えたときに、特に子供の貧困、家庭を通じて格差が拡大している、その中で教育を充実していく、公教育と同時に就学前教育に対してもっと光を当てるべきである、このように私は思っております。この点について、文科大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

塩谷国務大臣 幼児教育につきましては、ただいま福島委員御指摘のとおり、就学前の教育として大変重要であるということで、私どもとしても、この無償化について今まで検討してきたところでございます。

 お示しのグラフで、希望が多い、あるいは国の公財政支出が大変少ないということ、そういったことを考えて、また、家庭においてはいわゆる教育費負担の軽減、そういったことも含めてしっかりと今後も進めていかなければならないと思っているところでございます。

 特に、無償化につきましては、骨太方針二〇〇八あるいは教育振興基本計画において、幼児教育の将来の無償化について、歳入改革にあわせて財源、制度等の問題を総合的に検討しつつ、当面、就学前教育について保護者負担の軽減策を充実するなど、幼児教育の振興を図るというふうにされております。

 また、文部科学省において、昨年五月に設置した今後の幼児教育の振興方策に関する研究会におきましては、諸外国の状況や幼児教育の無償化の制度のあり方等について調査検討を行っておりまして、今後、研究会における検討結果を踏まえて対応をしてまいりたいと考えております。

福島委員 よろしくお願いいたします。

 実は、出生率というのは、経済状況が悪くなると低くなる、これはヨーロッパでもそうです。厳しい状況の中で産み控えるということが起こる。今の経済状況の中で、日本の少子化というのはさらに悪化をする可能性があるというふうに私は思っております。

 ですから、今こそ、国を挙げて子育てを支援するんだ、こういう姿勢を示すということが大事でありますし、そしてまた、将来に向かってのビジョンをつくるということが大事だというふうに思っております。

 今、安心社会実現会議を主宰しておられます総理の御決意をお聞きしたいと思います。

麻生内閣総理大臣 安心社会実現会議というのを始めさせていただいた背景というのは、この国の、今、雇用の話を含めて、安全保障の話、いろいろございますけれども、やはり安心できる社会というのは大事なことの一番、余り人は言いませんけれども、すごく大事なところだと思うんですね、安心して暮らせるというのは。それは、将来に関しても、また町を歩いても、治安の面に関しましても、国の防衛に関しましても、いろいろな意味で。

 そういった意味では、安心社会というのは非常に大きなところだと思っておりますが、その中で、余り言われないのが、子供とか少子化という話に関しては、余り将来のことに関しては、子供が少なくなっていく先というのをちょっと考えますと、薄気味悪いような話で、すごく将来的には、このままずっといくとは思いませんけれども、異常にちょっと、何となく寒いなという感じがいたしております。

 そういった意味では、少子化対策というのは、子育て支援というのは、やはりこれは、真剣に考えないでわあわあ言っているだけじゃだめなんじゃないか、そういう極めて重要な課題だと思うので、待ったなしの課題の一つがこれなんだ、私はそう思っております。

 この少子化対策というのをやるとき、この安定財源の確保ということもあわせて考えておかないと、言うだけじゃだめだと思っておりますので、ぜひ、出産とか育児とかいうことが安心してできるというところも含めまして、きちんとこういう方面の予算の配分なり、またそれをできるようにするための安定財源確保を含めて考えていただくというようなことを最初にお願いしたところであります。

福島委員 どうもありがとうございました。

 その安心には、さまざまな要素があります。次は、介護の問題についてお尋ねしたいと思います。

 四月二十日、女優や歌手として活躍した清水由貴子さんが、長年にわたっての介護の疲れのためか、お母さんを傍らに残して自殺をされました。まことに痛ましい事件であり、何とかならなかったのかな、こういう思いを抱いた人はたくさんいるだろうというふうに私は思います。

 現在、六十五歳以上の高齢者がいる世帯の中で、親と未婚の子だけという世帯は、八六年の一一・一%から二〇〇七年の一七・七%へとふえました。いわゆるシングル介護、こういう世帯がふえているということであります。また、高齢化の進行とともに老老介護ということも大きな問題になっております。

 介護のために転職や離職を余儀なくされる方もふえております。総務省の調査では、年間十四万四千八百人にも達すると言われております。介護を理由として転職をすると、仕事の収入も減ります、介護の負担もふえます。そういう意味では、家計にとっては二重のパンチになる、こういった状況もあるようであります。

 三月十九日には、群馬県の渋川市で無届け施設の静養ホーム「たまゆら」の火災事件が起こりました。十名の高齢者が亡くなりました。まことにこれも痛ましいことでありますけれども、都内の生活保護を受けている高齢者が入居していた実態が明らかになり、問題になりました。

 介護保険制度は平成十二年からスタートいたしましたけれども、さまざまな出来事が今起こっている。今、こうした出来事を踏まえて、介護保険制度というもののあり方そのものをもう一度見直すべきときに来ているんじゃないか。将来に向かって安心できる介護の体制というのは一体どういうものなんだろうか、こういうことを考えてみなければいけないというふうに思っております。

 ただ、目の前にある問題をしっかり解決しなきゃいけません。例えば介護従事者の方々の処遇の改善、これは、二十一年度の予算、三%の介護報酬の引き上げをさせていただきましたけれども、加算が中心であることで、なかなか従事者の方々の処遇の改善には直接つながっていない、また事務処理だけが煩雑になったじゃないか、こういう指摘もあります。

 今回の補正予算は、こうした声も十分踏まえて、介護従事者の方々の処遇が確実に改善されるようにということで予算を盛り込ませていただきましたが、この点について厚生労働大臣から御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 介護の現場で働く人たちの待遇を改善する、これは喫緊の課題でありますので、今回の交付金は全額を介護職員の賃金の引き上げに充てる。大まかな数字でいうと、月額一万五千円ぐらいのアップにつながるだろうというふうに思っております。

 それからもう一つ、介護職員の方々が離職率が非常に高いのは、キャリアパスができていない。このままよわいを重ねていって、例えば五十歳になる、子供も大学生になる、では学費が出るんだろうかというときに、不安だから途中で離職する、まさに男の寿退社なんという言葉があるように。ですから、キャリアパスの見直しということ、これも要件に二年目から加えて、この点も改善したいというふうに思っております。

 それ以降については、これらの施策を検証した上で、さらにどういう手が打てるのか。今おっしゃったように、私もやはり介護保険制度全体の見直し、今例えば四十歳以上の方が保険料を払っていますけれども、ドイツのようにすべて成人にするのか、さまざまな大きな課題もあります。

 そういう中で、私が母を介護していたときはまだ介護保険制度はありませんでした。残念ながら母親が死んでしまったのは介護保険導入直前でした。ただ、今振り返ってみると、介護保険制度はそれなりに定着して、一定の効果があっていると思います。私のときは月四十万かかっていました。今、一割の四万円で済んでいます。

 ですから、せっかく定着した介護保険制度、さまざまな問題もありますけれども、一つ一つ改善して、さらに国民にとって使い勝手のいい、いい制度に変えていきたいと思っております。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

福島委員 しっかりと大臣のリーダーシップで頑張っていただきたいと思います。

 今回の処遇の改善にいたしましても、補正予算ということでございますから、二年半ということになります。ただいまも御発言がありましたので重ねて質問いたしませんけれども、引き続いて、その改善された処遇が継続していく、そしてまたキャリアパスの展望が開ける、こういう対応をしていただきたいというふうに思っております。

 「たまゆら」の火災事故の問題、この背景には、引き受け手のない高齢者の方々、とにかくどこか入所させるところはないか、こういう行政の一つの苦悩があったんだろうというふうに私は思います。その中で、介護基盤というものはやはりもっと充実させていく必要があるんじゃないか、都市部では特にこういう指摘があるのではないかというふうに私は思います。また、特養の待機者の方々、これも非常に数が多い。そしてまた、先般もテレビの報道でもありましたショートステイについても、なかなか希望しても使えないんだ、こういう実態があるという話もお聞きしました。

 施設から地域へということで、小規模多機能という施設を整備していく、こういう流れをつくってきたわけでありますけれども、こうした待機者の状態や小規模多機能といった施設の展開がどうなっているのか、現状について簡単に御報告いただきたいと思います。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 まず、特別養護老人ホームの待機者でございますが、これは全国で三十八・五万人ということでございます。なお、特別養護老人ホーム、現在、整備箇所数は四十一万床、老健施設三十一万床、療養型病床群、介護療養病床十一万床ということでございます。また、ショートステイについては、十九年度で年間五十六・七万人の利用があるところでございます。また、小規模多機能、現在二万七千人の利用でございますが、前年に比べて一万人ふえている、そういうような状況でございます。

福島委員 着実に整備は進んできておる、しかしながら待機者も実はふえ続けているというのが実態じゃないかというふうに私は思うんです。

 今回の補正予算におきましては、こうした介護基盤の整備ということでこれについても対応していただきました。具体的に今回の補正予算でどのように対応が進んでいくのか、大臣に御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 介護基盤の整備、これは具体的には、一つは小規模の特別養護老人ホーム、それから認知症高齢者グループホーム、それから小規模多機能型居宅介護事業所等に対する施設整備への助成を拡充いたしました。それから、特養ホームなどを新たに開設したいという方、開設準備に関する経費に対する助成、これを二本柱としてやっております。

 先ほど午前中にもお話ししましたように、市町村と都道府県、それぞれ規模によってこれは担当が違いますが、きめ細かく両方について助成をする。これらを通じまして、第四期介護保険事業計画において、これは二十一年から二十三年度ですけれども、既に整備が計画されております特養、老健、グループホームなどの合計約十二万人分に加えまして、さらに一年分の四万人分を上乗せするということで、三年間で合計十六万人分の施設等を各地方で整備していただく。

 三十八万五千人待っているのに、そんな悠長なという声もあるかもしれませんが、三十八万という方は、重複して申し込まれたり、既に施設に入っていて、老健なんだけれども特養へ行きたいというのがあるので、そのままの数字ではありません。ですから、十二万が十六万になるということで、相当程度ニーズにはこたえられると思って、この助成を拡充しようということであります。

福島委員 大切なことは、しっかりとそれぞれの地方自治体で、こうした今回の補正予算、国として万全の対応を組ませていただきました、それに呼応して、しっかりと仕事をしていただくということだろうというふうに思っております。

 そしてまた、先ほど「たまゆら」の火災事故のことを申し上げましたけれども、根っこにあるのは、やはり入所、利用できる施設というものは限られている、この問題だと思いますが、現にある無届けのこうした施設、これについてもきちっと対応しなければいけません。そしてまた、火災に対しての備え、運営の適正化、こういったことも図っていかなきゃいけませんけれども、現在までの厚生労働省としての対応、御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 渋川のこの「たまゆら」という静養ホーム施設、大変悲しい事件でありました。

 それで、現在、有料老人ホームに該当し得る施設で届け出が行われていないもの、三月二十七日現在で五百七十九施設もございました。

 今、消防庁、国土交通省とも我々も連携した上で、未届けの有料老人ホームに該当する施設については早急に届け出を行ってくださいということを言っておりますし、スプリンクラーを含めて防火安全体制の点検、それから入居者に対する処遇の状況、こういうことについて、四月三十日締め切りで厚生労働省に報告せよということで、今、その結果が来ておりますので取りまとめております。それはまた公表したいというふうに思っています。

 そして、今回、今御審議いただいている補正予算では、先ほども申し上げましたけれども、消防法施行令の改正ができましたので、平成二十一年四月から新たにスプリンクラー設置が義務づけられた施設などに対して、約三百億円、二百八十三億円ですけれども、措置いたしまして、スプリンクラーの設置に要する費用を補助したいというふうに思っておりますので、消防庁、国土交通省などと連携をとりながら、やはり、施設に入ってああいう火事でお亡くなりになる、こういうことは絶対あってはいけませんので、今回のこの補正予算、一日も早く成立させていただいて、こういう防火施設の整備にも使わせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

福島委員 非常に多面的な取り組みをいただいているということで、感謝を申し上げたいと思います。引き続き万全を期して地方との連携、そしてまた各省との連携を図りながら頑張っていただきたいというふうに思っております。

 また、この四月から要介護認定方法の見直しということで、要介護認定が軽く出るんじゃないか、要介護度が軽く出るんじゃないか、こういう懸念が起こっておるわけであります。これは四月の十七日に通知を発出していただきまして、検証期間の間、経過措置を講じていただいて、そして申請によって要介護度が下がらないようにする、こういう対応をしていただいておりますけれども、こうした見直し全体について、高齢者の方々の御不安もあります。この点について、どういう経緯で見直しをし、そしてまた、この経過措置ということについて今後どういう形で続けられるのか、こういったことも含めて、大臣から御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 新しい認定基準につきましては、さまざまな御批判がありました。

 これはやはり、役所として反省しないといけないのは、どうしても、事前の審査をやるときに、いわば身内の役所に対して余り厳しいことを言わない人たちの審議会で決めるようなことがありました。

 私も見て、ああ、ちょっとこれは文言的にもわかりにくいなというようなこともありましたし、この国会でもさまざまな批判をいただきましたので、これはきちんと対応しないといけないということなんですが、もともとは、介護の技術も上がってきた、それに認定基準も合わせないといけない、それからやはり、国全体でやっていることですから、どの町に生まれたかによってその認定基準が違っていればこれは不公平になります、そういうことのばらつきを直そうと。

 意図は非常にいいんです。ただ、やる過程において、自立なのか、介助なしなのか、何なのかわからないという、これは役人言葉の、悪いことの典型なので、こういうものを全部改めようということとともに、むしろ非常に批判的な方々を入れた形で私の直属の検討会を設けました。そして改めるところは改める。

 そして、これは軽くなったり重くなったりするんです。この機会に申し上げたいのは、軽くなったら喜ばないといけないんですよ。要介護度五だったのが、うちのおばあちゃん、四になった、三になって、おお、万歳なんですよ。ところが、逆に言うと、今、要介護度四でこれだけ見ていただいているのに、三に軽くなったら、今まで見てくれていたサービスが減るじゃないの、困るじゃないの、その声にも配慮しないといけません。

 ですから、そこをバランスとった見方にして、今検討会で、これも公開の場で行って、検証が終わるまでの間、御本人が希望あれば、三に軽くなったんだけれどもやはり四にしてくださいという方は認めましょうということで柔軟に対応して、やはりお年寄り、そして介護をなさる家族の皆さん方が一番困っておられるわけですから、そういう方の声を体して柔軟に変えていっているということでございます。

福島委員 いずれにしましても、サービス利用が制限される、後退する、このことは要介護の高齢者の方々の生活に直結しますから、十分に配慮していただきたい、このように思っております。

 次に、今回の補正予算では、がん対策ということでも大変御努力をいただきました。

 現在、がんによる死亡者数、平成十九年、男性二十万二千七百四十三人、女性十三万三千七百二十五人、合計三十三万六千人であります。また、がんの罹患者数、男性三十四万人、女性二十五万人、合計五十九万人。一生の間に日本人のがんにかかる可能性、男性では二人に一人、女性では三人に一人です。

 この中で、日本の場合には、世界のがん患者に占める比率は二%だが、がんの死亡者に占める比率は四%だ、なぜ死亡者に占める割合の方が高いのか。これは、本来、早期発見、早期治療によって治るべき人が、必ずしも日本の現状の体制の中ではそのようになっていない可能性があるんじゃないか。

 特に、今回の補正予算におきましては、女性のがんの問題、これに着目をさせていただきました。がん検診の受診率、乳がん二〇・三%、子宮がん二一・三%。欧米ではこれは八〇%程度の水準であります。こうした検診の受診率が低い、そして早期発見がおくれる、このことががんの進行を許す、そしてそれによって治療も十分な効果を上げられず死亡者がふえる、こういう悪循環があるんだろうというふうに思っております。

 がん対策基本法の成立に私も携わらせていただきました。その中で、がん対策推進本部、舛添大臣が本部長でありますけれども、二十一年度からがん検診受診率を五〇%に引き上げよ、そういう取り組みを政府と一生懸命やろう、そして、がん年齢調整死亡者数は二〇%減少させよ、こういう大変大きな目標がありますけれども、これをどう具体化するかということが問題であります。

 そこで今回は、がん検診を無料化するための助成ということをこの補正予算の中で行おう、こういうことが入っておりますけれども、この点について大臣の方から簡単に御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 今、福島委員おっしゃったように、検診率が非常に低いんですね。子宮頸がんであれ乳がんであれ、これは早く検診すれば治る。そして、特に子宮頸がんなんというのは二十代の若い方がかかられる。それで、治療しないと子供を産めない体になっちゃうんですよ。ですから、何とかしてこれをやりたい。

 そのために、今回、補正予算で、今のような女性特有のがん検診に対して、一定年齢に達しました女性に対して検診の無料クーポンを交付する、お金はかかりませんから行ってください、それから検診手帳、これに細かく必要な情報を入れます、これをやっていきたいというふうに思っておりますので、これは市区町村とも連携しながら、ぜひ女性の皆さん方にこれを御活用いただいて、がんと闘っていきたいと思っております。

福島委員 若干、通告した質問をはしょらせていただきたいと思います。

 今回の補正予算は、さまざまなメニューが入っております。それを一通りお聞きするだけでも相当時間がかかってしまう。そういう意味では、本当に中身の濃い補正予算だと私は思っております。

 次に、安心の一つのかなめであります雇用の問題についてお聞きをいたしたいと思っております。

 直近の非正規労働者の雇いどめの状況、三千二百五十三事業所、二十万七千三百八十一人と、二十万人を突破いたしました。先般の予算委員会で、私は、雇用保険を補完するような第二のセーフティーネットをつくるべきである、現在の雇用の多様化が進む中で、必ずしも雇用保険の対象にならない、そうした失業者の方がふえていると。

 今回の補正予算では、そうした声を受けて、訓練・生活支援給付という新しいセーフティーネットを盛り込んでいただきました。これについて、大臣の方から簡単に御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 まさに、雇用保険でカバーされていない方をどうするか。これは皆さん、セーフティーネットを拡充したいわけでありまして、それで、雇用保険を受給していない方でハローワークの勧めによって職業訓練を受講する者のうち、主たる生計者であること、世帯の年収が一定以下であることなどの条件を満たしますと、職業訓練期間中の生活を保障するために、単身者は月額十万円、扶養家族がある場合は月額十二万円を支給いたします。

 どうすればいいかというのは、ぜひハローワークの窓口に来ていただければいいんですけれども、職業訓練や相談、そういうものをきちんとやった上で、どういう職業があなたに向いているか、コースを決めてそこを受けていただく、そして、給付金の申請をやっていただくということで、これはもう全力を挙げて、今度の新しいこの案を使って、単身者十万、扶養家族がある方は十二万ありますから、ぜひ、新しい仕事を見つけるということが大事なので、職業訓練をやっていただければと思っております。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

福島委員 そうした新しいセーフティーネットを整備する、こういう役割も今回の補正予算は担っております。そういう意味からも、一日も早い成立を図る、このことは国民の求めるところである、このように私は思っております。

 次に、雇用調整助成金を約二百万人の方に利用していただいている。昨年の暮れから、その拡大に努めてまいりました。しかし、まだまだ御要望はあります。

 実は、大阪では、梅田というところがありますけれども、梅田のハローワークに窓口が限られていたということで、これは、本日から大阪府下全域のハローワークで専門の窓口を設けていただく、こういう柔軟な対応をしていただきましたが、こうした体制の整備を全国的にもっと進めていただきたい、こういう声が一つあります。

 また、中小企業の場合には、就業規則や労働協約等がない会社が多く存在して、そういった点も含めて幅広いサポートをしてもらえないとなかなか使えない、こういう御指摘。

 そしてまた、助成金の最高限度額というのがあるわけです、基本手当日額の最高額。中小企業については、従業員を解雇しない場合は休業手当の九割まで助成することになっているけれども、上限があるのでなかなか九割ということになりません、何とか引き上げてくれないか、こういう御指摘もあります。また、運輸業など休業のスケジュールが事前に組みにくいところがあって、ここのところは柔軟にやはり評価してもらえないか、こういう指摘もあります。

 また、つなぎ資金の問題。雇用調整助成金が実際に企業にお支払いされるまでの間に何とか融資をしてくれないかと。これは、私ども、一生懸命申し上げさせていただいておりました。これは、政策金融公庫も対応してくれる、こういう話になっているんですが、実は、労働の現場では逆に、こうしたことを意外と知らない、そういう話もしてくれない、こういう指摘もあります。

 こういったさまざまな点について迅速に対応していただきたいと思いますが、政府の御見解をお聞きしたいと思います。

渡辺副大臣 委員御指摘のとおり、休業等実施計画の届け出件数がふえているわけでございます。

 このようなことを踏まえまして、補正予算におきまして約一千七百人の相談員等の増員を盛り込んだところでありまして、これにより、助成金の窓口体制の拡充、そして強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

 また、この千七百人の中には、専門性の高い助成金支給申請アドバイザーが約五百人含まれておるわけでございまして、中小企業等の皆様に対しても、よりきめ細かい相談支援が可能となる見込みでございます。

 それから、計画届けに関しましては、柔軟に対応しまして、負担を軽減していきたいということで検討を進めてまいりたいと考えております。

 つなぎ融資に関しましては、助成金リーフレットに記載をしておりまして、都道府県の労働局等に配付しているところでありまして、今後も引き続き周知に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて赤羽一嘉君、福島豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)委員 百年に一度と言われるこの景気、経済の落ち込みの中で、十四兆を超える大型の補正予算が提出をされて、いよいよ本格的な議論がスタートいたしました。野党のトップバッターとして、私、菅直人、質問に立たせていただくことを大変うれしく思っております。

 まず、喫緊の課題として、新型インフルエンザについて少しお聞きいたしたいと思います。

 我が党の中にもこの対策本部をつくって、私、本部長になりまして、その都度、関係官庁、さらには、個人的にはいろいろな専門家の方からも話を聞いております。

 今のところ、厚生労働省も頑張っておられて、あるいは他の部門も頑張っておられて、水際作戦が成功といいましょうか、何とか食いとめておられることは大変喜ばしいことだと思っております。ただ、時折、舛添厚生労働大臣、横浜市とのやりとりなどを見ていると、ちょっと肩に力が入り過ぎているのかなと思わないでもありません。

 そこで、今の行われている対策についてはかなり国民的に伝わっていると思いますが、これから秋にかけて、いわゆる季節性のインフルエンザに加えての今度の新型インフルエンザがどういう展開になるのか。もちろん、はっきり、一〇〇%の確率で読めるわけではありませんが、そういう両方の関係なども含めて、秋に向けての対策、冷静な対策について、大臣から見解をお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 まず、今回の新型インフルエンザのウイルスがどういう特性を持っているか。これは、アメリカのCDC、WHO、それから、けさ国立感染研の所長がお話ししましたけれども、我が国の専門家も今、一生懸命研究しているところであります。

 ですから、今、委員がおっしゃったように、これから日本は特に高温多湿、つまりウイルスが一番嫌な環境になりますから、その意味では若干安心材料でありますけれども、秋になって冬になる、ちょうど今この状況が南半球ですから、南半球の状況もウオッチしないといけません。しかし、この秋以降、第二波が来たときの準備はしないといけないというふうに思っています。

 けさも申し上げましたけれども、幸い、きょう、今時点で、私のところには国内患者が発生したということは報告されておりません。しかし、水際対策というのは、これは今のところうまくいっていますけれども、あくまで時間稼ぎだというふうに私は思っています。入ってこなきゃそれにこしたことはありませんけれども、それまでに体制を整える。

 そういうことをやりながら、状況を見ながら、そして一番の問題は、CDCから先般ワクチンの株が参りましたけれども、これは検体を確認するための株であって、それ自体が新たなワクチン製造のために最適かどうかというのはちょっと、もっと見ないといけない。もっといい株が後で来ると思いますけれども、しかし、季節性のインフルエンザワクチンと今回の新型ワクチンをどれだけの比率でつくるのか。製造ラインが限られております。そういうことも含めて、これは専門家の意見も聞きながら、しかし、余り待つわけにもいきません。ある程度のところで決断をしていこうというふうに思っています。

 そういうことも含めて、ゆめゆめこの秋からの対策についても怠りがないように、全力を挙げて、先頭に立って、全身全霊を傾けてこの新しい新型インフルエンザと闘っていきたいと思っております。

菅(直)委員 この点はまさに危機管理で、それこそ党派を超えた問題だと思いますので、私たちも協力すべきところは全力を挙げて協力したい、このことを申し上げておきたいと思います。

 さてもう一点、これは多少微妙な問題でありますが、衆議院の任期があと四カ月ちょうどになろうといたしております。この間、我が党小沢代表の秘書の大久保秘書に対する起訴がありまして、一カ月半が経過をいたしました。また、その前後には、西松建設からの献金をめぐって、与党関係者に対する捜査があるのではないかという報道もたくさん流れました。しかし、現在のところ、それは行われていないようであります。一方、小沢代表に関する捜査も終わったということなのかどうか、まだはっきりいたしておりません。

 私は、個々の捜査のことについて、こういう場であれこれ言うつもりはありません。ただ、総選挙が少なくとも任期満了までに行われる、つまりは九月までに行われるということを考えますと、こうした中途半端な状態を一体いつまで続けておくのか。意図的であるのか否かを問わず、検察が政局をもてあそんでいると言われても言えない状況が私は現在の状況ではないかと思っております。

 そういった意味で、法務大臣に、答えられる範囲で結構でありますから、法務大臣として、国民が政権を選択する時期が少なくとも四カ月の間にあるというこの迫った段階でこういう状態が続いているということについて、個人的でも結構ですから、御見解があれば聞かせていただきたいと思います。

森国務大臣 今、菅委員がいみじくも質問の中でおっしゃいましたように、捜査機関の活動内容にかかわる事柄についてはお答えを差し控えさせていただきます。

 また、一般論として申し上げれば、検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨として、その捜査の対象がどなたであっても、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、これに適切に対処するものと承知をいたしております。

 また、申すまでもなく、検察当局において、政局に影響を与えようとするなどの政治的意図を持って捜査をすることはあり得ないことであるというふうに確信をしているところでございます。

 また、一般論としてまた重ねて申し上げれば、捜査の見通し、捜査の進め方等と同様、捜査の終結については、これを公表すべきか否かも含めまして捜査当局において判断すべき事柄であって、法務大臣として答弁することは差し控えたいと思います。

菅(直)委員 ですから、質問でも申し上げたように、意図的にやっているかやっていないかとまでは言いませんが、結果として政局をもてあそんでいることになるのではないか、このことを申し上げておきたいと思います。

 そこで、いよいよ本題に入ってまいりたいと思います。

 麻生総理、あなたが総理大臣になってまだ半年余りにしかなりませんが、これで四回目の予算提出ということですね。私が知る限り、半年間に同じ総理が四回予算を提出されたというのは、私の記憶には、率直なところ、ありません。本来なら、平成二十年のあのときの補正予算、第一次補正予算を短期で通したわけですから、そこで解散に踏み切っていれば、どなたがなるかは別として、新しい総理のもとの政権で本格的な対応ができたはずだと今でも私は思っております。しかし、一次補正は我が党も協力をしてすぐ通ったにもかかわらず、二次補正を出されたのが何と年明け一月、そして、ほとんど同時期に本予算を出して、そして、本予算が通ったら、わずか一カ月で第四回目に当たる今回の予算を出す。

 私は、こんなに半年間に次々と予算をつくる、午前中、園田さんも言われていましたけれども、予算をつくるのに追われたと言われていましたが、目先目先に追われて本当の先行きを見通した対策が逆におくれてきた結果が、今回の四回目のこの大型補正予算につながっている、こう思いますが、総理、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 昨年の八月以降、総額七十五兆円の三次にわたる経済対策というのが取りまとめられて、その実施というのに全力を挙げて、着実に成果は上がっているんだと思っております。

 昨年九月に解散しておったらこんな政策はなかったんじゃないかと言われますが、解散しておって自民党が圧勝していても、そちら側が圧勝した場合はわかりませんが、こっちが勝ちました場合は多分同じことになり得た可能性は十分にあろうと思いますので、選挙のあるなし関係なく、経済対策というものは、我々としては、政局より政策と申し上げてきたところであります。

 我々はいろいろやってきましたけれども、世界経済の急激な落ち込みというのは、どの国もその予想をはるかに上回っておりまして、我々としても予想をはるかに上回るほど経済の落ち方が激しかったということだと思っております。

 こうした中で、目先の景気対策、同時に、我々としては、今回の補正を出させていただきましたのは、緊急経済対策と申し上げましたように、十―十二、一―三のこの六カ月間の落ち方はかなり激しいと思っておりますので、我々としては、景気の底割れというものを防ぐというのが一点。安心と活力というものをきちんと実現する。同時に、未来への投資というものをあわせて考えておかないと、将来の成長力強化というものがないと安心していくということにならないと思って今回の経済危機対策を出させていただいたところです。

 いずれにいたしましても、この補正予算を早目に、なるべく早く成立させていただくことによって、今いろいろ言われております不安、また雇用対策などに十分な効果を発揮させていきたいと考えております。

菅(直)委員 政局的なことをこれ以上申し上げませんが、それは、麻生総理が解散をして勝っておられれば同じことをやられたかもしれません。しかし、私たちが勝っていればこんなばかなことはやっていませんから、それだけははっきり言っておきます。

 そこで、ばかなことであるかどうかをこれから内容を検証していきたいということで今から議論をいたしますから、よく聞いていてください。いいですか。(発言する者あり)

衛藤委員長 諸君、静粛にお願いいたします。

菅(直)委員 私は経済は本格的に勉強しておりませんから、もしかしたらこれは私のうろ覚えかもしれませんが、ケインズという経済学者がこんなことを言ったと言われています、一般に。景気が悪くなったときには、穴を掘った人に例えば千円渡して、その穴を埋めた人にまた千円渡す、それでもお金がどんどん流れていけば景気対策になるんだ、こういう考え方が一般的に言われていることは多分一般の常識の中にあると思います。

 しかし、私は、それは必ずしも正しくない。つまりは、千円で穴を掘って千円で穴を埋めたのでは何も価値を生まないわけですから。確かに、千円、二千円はお金が流れますから、それはそれとしての効果はありますが、穴を掘って埋めたのでは何も意味のあるものは残りませんから、意味のあるものが残るか、価値のあるものが残るか、それは有形無形を問わず、そこが、ワイズスペンディングなのか、ワイズでない、つまり、賢い支出なのか、そうでない支出なのかの差が出ると思うんです。

 私は、今回の十四兆を超える補正予算の中身を見ると、とても、ワイズスペンディング、つまり賢い支出とは言えないものがこんなにたくさん入っていると思いますが、総理、いかがですか。

麻生内閣総理大臣 我々としては、今、見解を異にしておるというだけなんだ、答弁はそれだけになるんだと思いますが、それはちょっといかがなものかと思いますので。

 我々として考えておりますのは、例えば、これまで、補正予算でありますと、従来の補正予算ですと公共工事は約五割、これがこれまでだったと思いますが、今回はその半分以下になっていると思っております。また、単年度ではなくて複数年度にしたところなどなど、いろいろ我々としてはこれまでとは違った形になっております。

 ワイズではなくてあほだと、いや、あほだと言わないでばかだと言われましたか、そういったようなことを言っておられましたが、私はそう思っておりませんので。少なくとも、今回、これによってGDPを一・九%押し上げ得ると我々予測しておりますし、これによって一年間で四十万から五十万の雇用にもつながる、そういう意味で効果があると思っております。

菅(直)委員 そこで、幾つかの例を具体的に挙げてみたいと思っております。

 先ほど来、子育て支援について、たしかこの補正予算では千三百億円のお金が積まれております。これについては、また後に同僚議員が詳しく指摘をすることになると思いますが、私は大まかなところだけ申し上げておきたいと思います。

 この補正予算では、三歳、四歳、五歳の子供を持つ親御さんにでしょうね、一度だけ三万六千円を給付する、そういう内容ですね。我が党は、従来から、ゼロ歳児から十五歳までの間の子供について、一人について月二万六千円の子育て支援を行う。

 これを、小渕大臣の例をとってみますと、まだ今はお一人しかおられませんから、まだ三歳になっておられないはずですから、今の補正予算では一円も小渕大臣のところには行きませんが、我が党の案でいえば、年間に三十一万二千円が給付されることになります。もう一人お生まれになりますと、我が党の案では年間に六十二万四千円給付されることになりますが、残念ながら、政府の案では、三歳未満の人には一円も、一度も給付はなされません。

 私は、特に申し上げたいのは、子育てというものは、三歳だけの子育てとか四歳だけの子育てというのはあるんですか。子供は、生まれたら、ゼロ歳から、元気である限りは十歳、二十歳とずっとつながるんじゃないですか。それをぶつ切りにして、三歳だけ、四歳だけ、五歳だけ、一回こっきり三万六千円。これが子育て支援という言葉に値するのかどうか。私は、国民の皆さんに、これが賢い支出なのか、それとも単なるばらまきにしかすぎないのか、これを判断していただきたいんです。

 どうですか、大臣。

与謝野国務大臣 子育て応援特別手当については、現下の不況下で全体の個人所得が減少しつつあることにかんがみ、幼児教育期の子供を抱える子育て世帯を緊急に支援するため、平成二十一年度限り、第一子まで拡大して実施することにしたものでございます。

 したがいまして、今回の措置は、現下の厳しい経済情勢を踏まえた単年度の特別措置であり、こうした経済情勢のもとでの子育て世帯への支援として一定の効果を期待しております。

 なお、例えば民主党の子ども手当のように、このような施策を恒久的に行うことについては、目的や効果、財源確保などの観点から十分な検討が必要であると考えており、また特に、仮に安定財源を確保せずに実施すれば、将来世代に負担を先送りすることになり、施策の持続可能性や効果の観点からも、かえって問題が大きいのではないかと考えております。

菅(直)委員 今の財務大臣の答弁は、かなりの部分、天につばするものがあることをもう皆さん御存じですよね。ほとんどの財源は将来に対する借金で賄っているのが政府案そのものじゃないですか。私たちが何か言うと将来への負担だと。自分たちが借金をしたら、それは将来への負担じゃないんですか。まさにそういう意味で天につばするものであるということを一つ申し上げたいのと、もう一つです。

 いいですか。(発言する者あり)これは直前まで麻生総理も言われていました。

衛藤委員長 静粛にお願いします。

菅(直)委員 私は、国内の政策といいましょうか、今、いろいろな社会現象、行き詰まりの中で最大と言っていい問題は、やはりこの少子化だと思います。出生率が、私が今住んでいる東京は、一時期、一を切りました。私は、それ以来、大都市に地方から人が集まってきて、地方はまだ出生率が一・三とか一・五とかあるのに、東京では一を切るような状況だ、これでは日本は本当になくなってしまう、そこで、私も、農業政策とか林業政策について民主党の中で本部長になったりしてやってまいったつもりであります。

 つまり、今、与謝野さんが言われたことは、目先の景気対策とか困った人に対する一時的な三万六千円という効果については言われましたけれども、少子化という本当の意味のための子育て支援、フランスで少子化に対してどういう対応をとられたかというのは一般の方もかなり御存じでしょう。私も概略ですけれども、手厚い子育て支援を行うことによって出生率が回復してきたというのが一般に言われていることであります。

 確かに財源も重要ですし、それは大変な負担になります。しかし、逆に言うと、それだけの負担をしてでもやるべき政策はまさに本当の意味での少子化対策につながる子育て支援であって、それを一時的な景気対策の上に乗せたような、それも子育て支援という紛らわしい言葉を使っているのは、私は、とても賢い支出とは言えない、こういうふうに申し上げているんですが、間違っていますか。

与謝野国務大臣 今、菅先生は、財源も大事だが、こうさらりとおっしゃったんですけれども、財源こそが実は大事なんであって、例えば民主党の言われているような手当を創設すると何兆円もかかる、一体これはだれが負担するのかということもあわせておっしゃっていただかないと、何か手品のようにお金が出てくるということはあり得ない話なので、政策を御提言になるのであれば、やはり財源についても責任ある御表明をしていただかないとつじつまが合わないんではないかというのが我々の立場でございます。

菅(直)委員 討論としては、こういう討論は大いに、どこかでやっても結構ですし、私も何度かこの予算委員会の場に出て、昨年でしたか、私は昨年中の選挙があると思っていましたから、そのときの我が党がマニフェストに盛り込むであろう提案をいたしまして、その財源についてもその時点でこの場で説明を申し上げたのを多分、財務大臣もおられましたから、聞いておられると思います。

 ですから、私たちは、財源のことを議論しなければいけないときはもちろん幾らでもいたします。ただ、今議論しているのは、私たち野党は、きょう午前中、町村議員が、民主党は予算を出さないじゃないかと言われましたが、残念ながら、現在の憲法上の規定の理解では、野党は予算提出権がないという扱いになっているんです。ですから、私たちはそれを対案の形でお示ししているんです。(発言する者あり)

 そこで、もうちょっと先まで聞いてください、いいですか、後に、財源といいましょうか、財政の問題については……(発言する者あり)

衛藤委員長 聞き取りにくいので、諸君、静粛にお願いします。

菅(直)委員 今の子育て支援については、詳細は後ほど西村智奈美議員からまた補足があると思いますが、もう一、二例挙げてみたいと思います。

 たくさんの基金が今回つくられますね。幾つ基金がつくられ、それには幾らのお金が積まれるのか、お答えください。

与謝野国務大臣 主な基金について申し上げます。

 人材育成・就職支援、三年間、七千億。介護職員の処遇改善、三年間、三千九百七十五億。地域の実情に応じた地域医療再生、おおむね五年、三千百億円。世界最先端研究の支援、三年から五年、二千七百億。保育サービスの充実や母子家庭対策等、二年間から三年間、一千五百億円。住宅やオフィスへの太陽光パネルの導入、二年間、四百七十億でございます。

衛藤委員長 大臣、基金の数。

与謝野国務大臣 全部で四十六基金、四兆三千六百七十四億円であり、そのうち、新規の基金の造成は三十基金、三兆五千百三十三億円であり、既存の基金への上積みは十六基金、八千五百四十一億円でございます。

菅(直)委員 今度の補正予算で四十六の基金が積まれ、総額にするとたしか四兆円をかなり超える、今ちょっと聞き取れなかったんですが、そういう数字が言われたと思います。

 私は、すべてがまずいとは決して言いません。中には、単年度ではできないから二年度、三年度にわたってする、私たちからいえばもっと恒久的にやるべきものも含めて、そういうものが入っていることは確かにあります。

 しかし、一方で、とりあえず基金をつくって積んでおこう。つまり、三月末まで本予算で精いっぱいやってきて、さあ、四月になった途端に補正予算を組めと言われて、一般的に言われているのは、皆さんも聞いておられるでしょう、役所は、本予算のときに予算要求したけれども、けられた問題を全部取り集めて、ホッチキスでとめてどんどん出してきた。どんどん通っちゃったと言っているじゃないですか。しかも、それを実際に実行するだけの体制づくりがまだ間に合わないから、とりあえずは基金に積んでおこう。

 私は、この四兆数千億の基金、四十六基金の中でそういうものが相当部分入っている、こう思いますが、どうですか。

与謝野国務大臣 私どもとしてはもう少し物事を素直に考えておりまして、多年度を視野に入れた対策にすべきであるという総理の御指示を踏まえまして、今回の補正予算においては、複数年度をカバーする施策が盛り込まれており、それらの施策を円滑に実施するために基金が設けられているところでございます。

 例えば、国が地方公共団体等の基金の造成に要する経費を助成することについては、その基金造成によって実施される特定の事業が国の政策目的にかなったものであり、第二に、毎年度その特定の事業に対して助成するよりも、特定年度において基金造成に対して助成する方が国の施策の円滑な執行に資するものである場合に限って、その目的及び運用等を精査した上で行っており、対策の規模を単に大きくするためにいろいろやっているわけではありませんで、もし一つ一つの基金に対して御疑問があれば、一つ一つの基金の中身、その重要性については、各省大臣がきちんと御説明できるところでございます。

菅(直)委員 私は、財務大臣、今のは大変いい答弁をいただいたと思うんです。

 四十六の基金について、我が党は、他の野党の皆さんと一緒に、各省大臣に一つ一つの基金について聞きたいと思いますから、委員長、それだけの審議時間をきちんと確保してください。それを約束してください。

衛藤委員長 しっかりと委員長として審議をいたします。

菅(直)委員 この中で、これから、本当に多くの疑問があります、国民の皆さんも疑問を感じているんですから。それを私一人が一時間の間に四十六もできません、一分もありませんから。ですから、今委員長にも申し上げたように、しっかりとこれは質疑をしたいと思うんです。

 一つだけ国民の皆さんに申し上げておきたいんですが、一般予算は八十兆円と大きいですが、これは固定経費がたくさんありますから、自由度がある部分というのは、全体の中ではそのうちの二割程度です。補正予算というのは固定経費がほとんどありませんから、逆に言うとほとんど自由に何にでも使えるという形になるわけで、それだけ議論をきっちりしなきゃいけないという意味で、今財務大臣が言われた答弁は大変に重い、しっかりやらせてもらいたいと思います。

 そこで、もう一つ、少なくとも私が見ると、余りワイズスペンディングと言われないな、もうちょっとワイズなやり方があるんじゃないかと思ったのが、今回の高速道路のいわゆる土日、休日だけの、しかもETCを搭載している車だけの値下げというやり方であります。

 御存じのように、民主党は、平日も含めて、ETCをつけない車も含めて無料化することを数年前から提案をいたしております。その経済効果がどれだけあるかというのは、逆に、今回の一時的な値下げでもこれだけの効果があったんですから、これが平日が無料になれば……(発言する者あり)ちょっとうるさいですよ。

衛藤委員長 静粛にお願いします。

菅(直)委員 平日が無料化になったときにだれが一番効果を上げるか。これは輸送にかかるコストが下がるんですよ。今トラック業者の皆さん、大変ですよ、競争で。確かに自家用車も重要です。しかし、輸送にかかるコストが下がるんですよ。しかも、輸送をする大きなトラックは、コストを少しでも安くしようと思って深夜に普通の道路をどんどん走って、しかも夜中寝ないで走っているようなことで事故がたくさん起きているじゃないですか。

 こういうことを考えると、私は、中途半端な、ETCを積んで、そのETC推進機構の天下りにお金がどんどん流れるようなことばかりやらされている今の内閣のやり方ではなくて、思い切って無料化した方がよほど賢い支出だと思いますが、いかがですか。

金子国務大臣 財源が幾らでもあれば無料化するという考え方もあると思いますが、財源に我々は責任を持たなければいけないということで、乏しい財源の中でより効果的に、少しでも効果的に使っていただきたいということで、今回、休日千円、トラックについては平日三割、今度は百キロを超えても七月上旬からは三割引きになる。

 繰り返しますけれども、財源の問題で、少しでも有効に使いたいというのが今回のねらいでありまして、今度のどこまで行っても千円というのは、国民に非常に喜ばれて経済効果が上がっているように感じさせていただいております。

菅(直)委員 金子国交大臣は、先日の我が党の馬淵議員との議論を忘れられたのかもしれませんが、経済的効果ということでいえば、三〇%の値下げよりも一〇〇%の値下げの方がかかった費用を超えて効果があるというのを、国交省の関係シンクタンクが発表していたということを認められたじゃないですか。それを忘れられたかのように、効果効果、まさに、小さなお金でもっと小さな効果しか上がらないのか、多少かかったとしてもそれを超えた効果が上がるのかという意味で、私は、民主党の主張している無料化の方がよほど効果があることを国交省のシンクタンクが認めたということを、改めてこの場で申し上げておきたいと思います。

 そこで、次に、一つ具体的なことで、これはどちらかといえば私の方からも求めてきたものについて取り入れられた、あるいは我が党が求めてきたものについて取り入れられたことについて、少し触れておきたいと思います。

 これは、緊急人材育成・就職支援基金七千億円、我が党は他の野党の皆さんと一緒に求職者支援法、いわゆるトランポリン法というものを提出いたしました。残念ながら、与党はまだ衆議院では賛成をしていただけていないようですが、ほぼその趣旨と共通のものを今回の補正の中に盛り込んでいただいたということは、私たちがまねられたとかなんとかということは抜きにして、私は一つの前進だと率直に認めたいと思います。

 ただ、ちょっと心配なことがあるんです、舛添さん。これまでにもやや似たような政策があったんですね、たしか生活支援貸付金とかですね。これは端的に答えていただきたいんですが、平成二十年、二十一年、幾ら予算がついて、何件実績として貸し付けが行われましたか。

舛添国務大臣 残念ながら、貸付件数ですけれども、平成二十年度で三十五件、平成二十一年度で三十件、六十五件しかこれは利用されておりません。ですから、そういうことの反省も踏まえてどうするかということで今回の補正につながったというわけであります。

 ちなみに、六十五件で二千三百六十万円の貸付金額の実績がございます。

菅(直)委員 予算が幾らだったかというのを私から言いましょう。二十年に五億、二十一年に十三億、合わせると十八億円の予算をつけていながら、二千三百六十万円しか使われなかった。この最大の原因がどこにあるか。

 私、派遣村とかいろいろな関係者の皆さんから聞いてみました。そうしたら、周知徹底がされていない。一般のこういうものが必要とされている人が、そういうものがあることを知らない。偶然ああいう派遣村とかなんとかに行けば、詳しい人がいて、いや、こういう制度もありますよ、ああいう制度がありますよ、じゃ連れて行きましょう、短期貸し付け、短期給付ありますよと。そういういわば営業活動をやらないんですよ。つまりは、ありますよ、来てくださいと。せっかく五億円も積んでも千万とか、十三億積んで千二百万。今度は七千億円積むんですよ。けたが違うんですよ。この七千億円を一体だれがどういう審査をして給付をするのか。

 あわせて、三年間で三十五万人の方を職業訓練をする。私は、いいことだと思いますよ。しかし、三十五万人の人の職業訓練といえば、相当の体制がなければできませんから、果たしてそれがきちんと準備ができているのか。これからやろうとするとすれば、どういう段取りでやろうとしているのか。

 今の十何億ですらほとんど使えなかったこの制度を、七千億の巨額の費用を使ったときに、本当にこれが一年、二年たったときに、私たちが言うように、トランポリンのように、職を失った人が新しい職業訓練ができてよりいい仕事につけたという効果になるなら、七千億、私は少なくともこの七千億については反対しませんよ。しかし、もしその七千億が結局のところは半分も三分の一も使われないで残して、何のことはなかったということになるとすれば、これはまさに賢い支出とはとても言えない。どうですか、厚生労働大臣。

舛添国務大臣 まず、その前に、こういう制度を入れることについてはさまざま議論いたしましたけれども、やはりモラルハザードとの闘いという面も一つあることを忘れてはいけません、貴重な国民の税金でやるわけですから。

 それで、周知徹底、これは御指摘のように、ホームページや何かでやっていますけれども、今後、さまざまな周知徹底を図っていきたいと思います。

 先ほどの、もう一つ、なぜ利用されなかったかというと、周知徹底の不足等もありますよ。だけれども、これは、十万借りますね、そして、きちんと就職したら十万返還免除になるんです。つまり、そこでモラルハザードがかかっている。逆に言うと、本当に一生懸命やって資格を取ってコースをちゃんとやって就職しないと、結局、貸付額は戻さないといけない。その面もあるんじゃないかと思いますので、今回は十万、十二万、これは単身かどうかで、給付をするわけです。

 ですから、逆に言うと、物すごい利用し勝手がありますけれども、やはり私は、国民の税金ですから、我々も努力をしますけれども、有効に使っていただいて、そしていい職を身につけていただいて、必ず就職していただければというふうに思っています。

 そして、今度は訓練機関が必要です。したがって、この訓練機関をきちんとやっていく方々について、例えば、民間教育訓練機関で三月の訓練をやられる方には初期費用として百万円、六月の訓練で二百万円、一年訓練は三百万円ということで、訓練機関への初期費用の助成も行うつもりでございますので、やはり、そこは菅さん、物の考え方で、私も皆さん方の考え方はよくわかります。こういう厳しい状況ですから、若干甘くしてもそれは助けてあげたいと思います。だけれども、原点は、一生懸命働いて皆さんに払っていただいている税金なんですから、これは有効に使わないといけない。その点も忘れずに、私はバランスのとれた施策を前に進めたいと思っております。

菅(直)委員 いや、私は、別にインチキな人にまで払えなんてことも一切言っていませんよ。これまで五億とか十三億の予算をつけたのは皆さん方なんですからね。当然きちんとした形でそれが支給されるだろうと思ってやったら、貸し付けで最後に返還免除という制度をつくったけれども、できなかったんでしょう。

 原則と例外を逆にすればいいんじゃないですか。今回はそれに近いことになっていると思いますが、つまりは、インチキでもらった人が後でわかったら当然返してもらう。これは今の、たしか中小企業が退職する人をとめたときの九割のものもそういうやり方になっているはずです。つまりは、初めは貸しておいて、ちゃんと終わったら免除にするというんじゃなくて、初めは給付しておいて、ちゃんとやらなかったら戻してくれと。これは中小企業の支援の場合はやっているわけですよ。

 ですから、私は、モラルハザードを起こしていいなどと一言も言っていません。逆に、七千億ものお金を積んだんだから、モラルハザードを起こさないで、しかも効果があるように、せっかく三十五万人の人たちがそういう給付なり訓練を受けられるのを、実際にやれる体制があるんですかと。ハローワークがやるからいいとか言われていますが、たしか、求職者総合支援センターというのを今から設置してやろうとか自治体が言われているじゃないですか。実質上、これからでしょう。

 ですから、私は、もうちょっと素直に、いや、七千億もの事業というのは大変だ、かつての労働省の一般会計よりもっと大きいんですから大変だ、それをしっかりと体制を組むように頑張ります、せめてそういう答えはいただけませんか。

舛添国務大臣 バランスをとりながらしっかりやるというのはそういう意味でございます。それで、ハローワークに来られても、菅さんだって、どの仕事も向いているとは思いませんよ。やはり菅さんの特性に向いた職業訓練をやらないといけないので、そういうこともきちんと体制を整えます。

 だけれども、百年に一度の未曾有の経済危機、雇用情勢の危機だというから、全部体制が整うまで何もしないんですか、一刻も早くやりましょうと皆さんがおっしゃるから一刻も早くやる。つまり、動きながら改善していかないと間に合いませんよ。それは、菅さんにも協力していただいて、派遣村のときは、正月、みんなで一生懸命やったじゃないですか。だから、どうか協力して、一緒にやりましょう。

菅(直)委員 別に協力しないとは言っていませんから、先ほどから。

 だから、走りながら考える、考えながら走るのはいいけれども、七千億という巨額なお金だということの認識を、十億、二十億でもかなり大きなお金だったのが、七千億という巨額なお金ということでいえば、私は、横から見ていて、体制づくりがこれで大丈夫かなと率直なところ思ったものですから、背中を押す意味で言っているんですよ。そういうことを理解していただきたい。

 そこで、少し先ほどの話に戻りたいと思います。

 今度の補正予算の中で一つだけ私おかしいなと思うのは、経済成長に関して、たしか見通しを年初から変えられましたね、マイナス三・三%に。しかし、税収見通しについては今回変えられていませんね。税収見通しは本予算で四十六兆一千億でしたか、それに対して今回の補正で国債発行額が四十四兆を超える、その差は二兆円弱になっているとたしか説明を受けました。

 しかし、経済成長率がマイナス三・三そのままでいったとしても、当初の税収見通しはかなり下がるはずでありまして、下がった税収は、昨年の例でいえば国債で穴埋めする。一兆下がれば、一兆国債がふえて、税収が一兆下がる。そうすると、私が知る限りで初めて国債の発行額の方が税収総額を超えるという、危機を通り越してまさに財政破綻そのものの予算になる、これがもう目の前だ、いや、事実上確実だと私には見えますが、大臣、どうですか。

与謝野国務大臣 二十一年度の税収見込みでございますけれども、直観的には必ず落ちるということは、これは政府だけでなく、与党、野党を問わず、税収は必ず落ちるということは考えておられると思っております。

 ただ、どのぐらい落ちるかという二十一年度の税収見込みは、政府経済見通しで一義的に決まるものではなく、この補正に当たっては、土台となる二十年度の税収の決算、二十一年度の課税実績など、さまざまな要素を踏まえながら検討を行う必要がございます。

 税収をめぐる厳しい状況は認識しておりますけれども、これらがそろわない現時点においては確度のある見積もりは困難であり、今般の補正予算では税収補正は行わないこととしたところでございます。

菅(直)委員 これは国民の皆さんによく聞いてもらいたいんですよ。つまりは、下がるのは確実だと財務大臣みずから言われた。しかし、確実な数字がわからないから今回は出さなかった。つまり、下がらないままに置いているんですよ。しかし、現実には下がることは確実だと。

 ですから、見通しとしては、税収が下がって国債をそれだけ出せば逆転することもほぼ確実だと思いますが、どうですか。見通しですよ。

与謝野国務大臣 そのときにならないとわかりません。

菅(直)委員 この答弁の判断も国民の皆さんに任せたいと思います。

 つまり、一方では確実に下がると言いながら、一方ではそのときになってみないとわからないと。支離滅裂な答弁だから、これはほっておく以外にない。

 そこで、一枚目のパネルを。これは国だけではありませんが、きょう、他の与党の委員の皆さんも同じようなグラフを出されていました。いわゆる国、地方の債務残高が八百十六兆円、今年度末の見込みになっております。GDP比で一・七倍、これは他の国で一番高いとされるイタリアの一・一倍をはるかに超え、ほかの国よりは二倍近い差が出ている。まさに危機的な状況であります。

 そして、もう一つ、私はここがポイントだと思うんです。

 今回は確かに、景気の落ち込みで、その需給ギャップを埋めるためにある程度の財政出動が必要だということは、私たちもそう考えております。ただ、これまでの二十年、三十年の国債発行と経済成長率のグラフをずっと見ておりますと、経済成長率が下がったから国債を出して、そして上がったら国債を出さない、あるいは償還する、当初の、少なくとも赤字国債の発行をした、たしか福田大蔵大臣のときでしょうか、そういう考え方であったと思いますけれども、これを見る限りは、必ずしも成長率が下がったから出して上がってきたら出さなかったということではなくて、ずっと出しっぱなしに出してきて、今回さらに出している。これが国、地方の八百十六兆を招いている。

 特に、この時期、与野党いろいろな時期がありましたけれども、一九九〇年代にアメリカにたくさん物が売れたときに、貿易のインバランスが日米間であるから、これを埋めるために十年間で四百三十兆の公共投資を行うべきだといって、またどんどん国債を出した。

 私は、今考えてみると、当時の自民党とやはり霞が関は、とにかく使う金をふやすことが自分たちの仕事だ、少なくとも自分たちが使う金をふやすためには、それこそ行政改革ではなくて、増税ができなきゃ借金でいくんだというその路線を一貫してとり続けた結果がこうだ、こう思いますが、どうですか、財務大臣。

与謝野国務大臣 現在の日本の財政の状況をもたらしたのは一体何か。一つは、やはり何といっても、歳出に見合うような歳入を確保できなかったということに尽きると思っております。

菅(直)委員 一つ抜けているんじゃないですか。歳出に見合う歳入が確保できなかったと。逆に言うと、歳入に見合う歳出に削減できなかった、そういう言葉が出てこないんですか。これだけ無駄な公共投資、公共事業が積み上がったということを見ても、歳入に見合う歳出に抑え切れなかったというふうにも見えますが、片方しか言えないんですか、片方しか。

与謝野国務大臣 これは、菅先生が日本の社会保障制度の現状をヨーロッパの諸国あるいはアメリカ等と比べていただきますと、明らかに日本は北欧とアメリカの中間ぐらいの福祉の水準に行っておりますけれども、負担の方はやや低負担になっている。一つは、やはり社会保障制度を維持するための経費というもの、これについての給付と負担の関係が確立されていないということが私は最大の原因であると思っております。

菅(直)委員 ここが、似て非なるものという言葉もありますが、与謝野財務大臣が言われることは全くわからないわけではないんですけれども、考え方としてかつてからあったんです。いろいろな時代がありました。いわゆる増税なき財政再建という言葉もありました。つまり、国民に理解してもらうには、たとえ増税というものを考えるとしても、それだけ本当に無駄な経費をぎりぎり抑えているのかということに対する国民の信頼がなければ、それができなかったという歴史がこの間じゃないですか。そして、今も続いているんじゃないですか。

 きょうも与党の、たしか公明党の方でしたか、伊藤公介さんでしたか、つまり、無駄遣いをそのままにして、確かに福祉の負担が大きいことは確かです、しかし他の部分の負担が、相変わらず無駄遣いをどんどんやりながら、それはそれで認めておいて、こっちがふえるから増税してくれといったって、こっちを削ればいいじゃないか、もっと変えたらどうじゃないかというその片方が、私、与謝野さんの答弁をいろいろなところで聞いておりますが、書かれたものも読んでおりますが、片方が全く抜け落ちている、私はそう思いますが、いかがですか。

与謝野国務大臣 第一ラウンドは行政改革、第二ラウンドは無駄の抑制、第三ラウンドが歳入確保と。これは、何にもやらないことと一緒になる可能性があります。

 というのは、無駄の排除というのは不断にやっていかなければならない。それから行政改革も、行政効率を高めるために不断に努力をしていかなければならない。それと同時に歳入改革もやる。この三つのことを同時並行にやらないと、結局は、これができないから次ができないという言い逃ればかりになってしまう可能性があって、そういうことをやっていると、永久に日本の財政的な危機から脱却できない。無駄の排除とか行革による効率化ということが政党や政治家の言い逃れに使われるようでは、やはり政治としての進展はない、私はそのように思っております。

菅(直)委員 答弁そのものは、私たちに対する答弁以上に、与党の皆さんがよく聞かれた方がいいんじゃないですか、今の答弁は。つまりは、言いわけばかりしているのが与党だということの意味だと私は受けとめましたね。

 そこで、一、二確認しておきたいと思います。

 二〇一一年にプライマリーバランスを黒字化するという目標を歴代自民党内閣で掲げてこられたはずですが、この目標は、もう旗は下げられたんですか、それともまだ旗があるんですか。旗があるとしたら、それをどうやって実現するのか、道筋を示してください。

与謝野国務大臣 世界的な金融危機と経済悪化を受けて、基礎的財政収支を黒字化させることの目標の達成は困難になりつつあります。しかしながら、財政規律の観点から、現行の努力目標のもとで景気回復を最優先としつつ、財政健全化に取り組んでいるところでございます。

 いずれにしろ、財政の中期的な持続可能性確保に向けた考え方を国民にお示しする必要があり、六月の基本方針に向けて検討してまいりたいと考えております。

 一口に言えば、旗は相当傷んでおりますが立てております。

菅(直)委員 率直に聞けば、もう旗はとてももたなくなっているというのが率直な今のお答えだったと私は理解します。

 そのときに、与謝野大臣、私も考えてみたんですよ、ではどうやれば変えていけるかと。今の根本的な国の形や内閣の形のままで、いろいろな不断の努力をしたことによってできるのか。場合によったら、それこそ明治維新じゃありませんが、本質的なある種の国の形、内閣の形を変えなければできないんじゃないか。

 そこで、私たち民主党の中で議論され、私はこうやったらいいんじゃないかという案をお示ししますから、ちょっと聞いてください。

 今の日本の国の形と内閣の形というのは、皆さんの手元にもありますから見てください。内閣の形は官僚内閣制、つまりは、予算にしろ何にしろ、課長から積み上げ、局長が積み上げていって最後に内閣が決めるという、予算を含めて官僚が基本的な政策原案を全部つくって、そしてそれを与党がいわば注文をつけて出していくという官僚内閣制。そして、国の形は中央集権、つまりは、自治体はすべて霞が関にお伺いを立てないと道路一本、何一つやれないというこの中央集権。これが現在の官僚集権国家という現実だ、私はこう見ています。(発言する者あり)

 やじばかり飛ばしている元の市長もいますけれども、私が住んでいた市は幸いにして財政が市長のもとでよかったですから余り国の支配を受けませんでしたが、多くはこういう現状があったことは、私は多くの人が認めていると思うんですよ。それをどう変えるかということなんです、問題は。

 これをどう変えるか。官僚内閣制というものを、国会内閣制という言葉はちょっと奇異に感じるかもしれませんが、この場でも何度か申し上げました。国会というのは内閣の親なんですよ。議院内閣制という立場からすると、国会の多数を握った党派が、政治集団が母体になって総理大臣、リーダーを決め、そのもとに内閣をつくるんですから、議院内閣制というのは本来は国会内閣制のはずなんです。

 しかし、残念ながら今までの内閣は、国会議員が例えば閣僚になると、あなた方は立法府で私たちは行政府だから、行政府のことはお役人に任せてください、立法府のことはどうぞ自由にやってください、つまり二元制でやっているんですね、ここでも。内閣と与党が二元制で運営されてきているのが今の自由民主党の長年の内閣のあり方なんです。(発言する者あり)ちょっとうるさいですよ。

衛藤委員長 静粛にお願いします。

菅(直)委員 前向きな話をしたら一生懸命やじを飛ばす人がいますけれども、後ろ向きな話をした方がいいんだったら後ろ向きな話をしますけれども、そんなことはしたくないので。

 ですから、そういう意味で、官僚内閣制を国会内閣制にかえて、国会議員とそれの任命したポリティカルアポインティーのスタッフと、そして官僚の専門職の人たちの力をかりる。ある種のモデルを言えば、イギリス型の内閣を想定しています。

 そしてもう一つは、中央集権を地方分権と書きましたけれども、もっと言えば、国がやるべき仕事は限定すべきじゃないか。

 例えば、江戸時代に徳川幕府がやっていたような、外交とか防衛とかは国がやる。しかし、私の生まれた長州とか、薩摩とか会津とか、そういう藩がやっていたようなことはすべて地方自治体がやる。全部変わります。財源も移ります。権限も移ります。人材も、東大法学部を出た人が全部霞が関に来てもやることは余りないから、それなら山口県庁に入ろうか、いや武蔵野市に入ろうか、いろいろなところにそういう形で人材も戻ってきます。

 つまり、国の形を官僚集権国家から地方主権国家に変えることによって、日本の国を変えることによって、今の行き詰まった、いろいろな意味で行き詰まっています、子供の問題から経済の問題から財政の問題から、そういうものを大きく根本的に変える一つの方向性。

 つまり、明治維新というものが、かつての分権的な国の形が、そのままでは植民地化されかねないという時期において緊急避難的に中央集権化した。これは司馬遼太郎さんがある本の中で指摘されていたと思いますが……(発言する者あり)ちょっとうるさいですよ。

衛藤委員長 諸君、静かにしてください。(発言する者あり)

 各委員に申し上げますが、妨害的かつ意図的なやじは慎んでください。

菅(直)委員 そういう意味で、いろいろ考え方はもちろんあっていいんですけれども、そういうふうに国の形を、集権化した明治維新の流れを、百四十年たった今日、ある意味では、小さくて強い中央政府と、そしてそれ以外のことはすべて自治体に任せる、そういう地方主権型の国家に国の形を変えていく、その変えることの中で財政のあり方からすべてを変えていく、こういう道筋がとるべき姿だと私は思いますが、麻生総理、やはり総理のお話を聞きたいと思います。

麻生内閣総理大臣 最初のころから申し上げていると思いますが、その国会内閣制という言葉を私は全然聞いたことがないので、済みませんけれども、議院内閣制だという前提で考えておりますが、少なくとも、地域主権型の国家というものが将来の方向なのではないかというのは、最初のころ申し上げたと思っております。

 これは、菅先生、地方の定義もまた難しくて、県ですか、市町村ですかというのもかなり分けて考えないと、これは将来の考え方として難しいところだと思っております。少なくとも、住民に身近な行政は市町村にゆだねるべきなのではないか、私は基本的にそう思っております。

 いずれにしても、できる限り地方自治体にゆだねることが基本という、流れとしてはその方向で、地域分権一括法とかいろいろな法律を、この十数年間の間、少しずつではありますけれどもやってきたと思っております。また、これをやるにはいわゆる金がかかる話にもなりますので、その意味では、税金の話を、地方税というものに随分移しかえていったというのもまた事実だと思います。権限の移譲というのは今後とも進めていかねばならぬことだと思って、第一次分権改革においても機関の委任事務制度を廃止したりいたしておりますし、三位一体改革のときも三兆円たしか移譲したと思います。

 いずれにしても、事務権限の移譲というものを進めて、国の出先機関の抜本的統廃合を行うなど、いろいろ国と地方のあり方を今後とも進めていかなければならないと思っております。

菅(直)委員 もう少し時間がありますので、麻生総理が先月の八日に発言された中身についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 麻生総理は国家公務員合同新人研修会で訓示をされて、私は公務員の優秀さを疑ったことはない、問題は使いこなせない政治家の方にあると。私は、これを聞いて、後半はなかなかいいことを言うなと。つまりは、自民党の政治家は官僚を使いこなせなかった、こういう意味ですか。

麻生内閣総理大臣 菅先生自身も大臣をやっておられた経験がおありですから、御自身のことも含めて言っておられるんだと理解しますが、いずれにいたしましても、私は、使えた政治家と使えなかった政治家といたと思います。

菅(直)委員 つまり、ここでも、官僚内閣制という言葉をあえて申し上げたのは、官僚の皆さん、私も個人的には親しい人もたくさんいますし、私にとっても相談に乗っていただける人もたくさんいます。

 ただ、政治家が官僚を使いこなせなかったという言い方がありますが、私は逆だと思っているんですよ。どう逆か。官僚が政治家を使いこなしてきたんじゃないですか。どうですか。

麻生内閣総理大臣 今お答え申し上げた答えと同じになりますが、官僚に使いこなされた政治家もいた、しかし同時に、きちんと官僚を使いこなした政治家もいたということだ、私どもはそう思っております。

菅(直)委員 例えば、地方整備局の全廃を我が党は言っております。先日、ちょうどテレビを見ていましたら、これは本予算にのったのかもしれませんが、そういう中央省庁の地方における総合庁舎を、一たんは総合庁舎はやらないことに、たしか丹羽さんの委員会で、麻生総理のもとにつくられた委員会でそういう案が出ていたそうですが、また本予算の中にそういう総合庁舎を次から次に建設する。そして、先日、これもちょっとうろ覚えで、正確でないかもしれませんが、年金問題で舛添さんが、いや、それは何とか等の「等」の中に入っているんですなどと答えておられたのをテレビで見ましたけれども、結局はお役人が国民をだますためのシナリオをつくって、それをしゃべらされているのが多くの閣僚じゃないですかということを申し上げているんです。

麻生内閣総理大臣 極めて礼を失した発言だと私は思いますね、今の発言は。

 私どもは、そういった指摘を常に我々は謙虚に受けとめなきゃいかぬのですが、テレビの前でいかにもここにいる人はすべて無能かのごとき話をされると、それは選ばれた人たちですから、その人たちを選んだ国民に対しても失礼な話だ、私はそう思いますけれども。

菅(直)委員 先ほどから申し上げましたように、私は公務員の優秀さを疑ったことはない、問題は使いこなせない政治家の方にあるというふうに、こういうことを発言されているから、その真意を聞こうと思ったんです。

 私も、いろいろな経験は、短い厚生大臣のときでしたけれども、いたしました。余り個々のことは言いませんけれども、私が記者会見で言ったことと記者に配られた紙が違っていて、質問が、当面の間というのはどの間ですかと聞かれたから、いや、私は当面の間などと言っていませんよと言ったら、そっちの紙とこっちの紙が違っていたこともありました。それは意図的だったかどうかは知りませんが、それがわかりましたから、当然かえさせました。ですから、いろいろな場面を私も多少は経験をいたしました。だから、私は全部画一的にどうこう言うつもりはありません。

 だから、あえてここに官僚内閣制。つまりは、官僚の皆さんがおぜん立てをして、それに乗って政治をやって。私、うまくいった時代があると思うんですよ、本当に。戦後の約四十年間は、ある意味で目標がしっかりしていたんです。ですから、城山三郎さんの書いた「官僚たちの夏」じゃありませんが、そういう方向に向かって、場合によっては、政治家は目の前のことしか考えないのに対して、官僚は十年、二十年、三十年先の、傾斜配分などを含めてやった時代もあったと思うんです。

 しかし、それが、高度成長が成功して日本が世界第二の経済大国になったあたりから、目標がなくなることによって、逆に、自分たちの組織や自分たちのリタイアした後の、退職後のことを考えて法案や予算をつくり出した。そういう側面があるということは、みんなも感じているわけじゃないですか。

 ですから、私は、そういう意味では、戦後の四十年間の成功とその後の二十年間の失敗を考えたときに、官僚主導のこれまでの内閣のあり方を変える。どうやって変えるのか。いいんですよ、市長さんとか知事さんは、直接選ばれるから。しかし、総理大臣というのは直接国民から選ばれません。国会の多数派によって、自分たちのリーダーが総理大臣になるんです。そのもとに内閣をつくる。

 与党という言葉は、私はマスコミの人に言うんですけれども、これは間違っていると。政権党と言うべきです。与党というのは、くみするという言葉ですね。だれにくみするんですか。政権というのを持っているのが、国会の多数派の政党が政権を持つのがまさに議院内閣制なんですよ。ですから、そういう内閣を、本物の内閣をつくろう。

 それぞれ副大臣とか政務官とかおられますけれども、私が見る限り、それがチームとしてそんなに機能しているとは率直に思えません。私が大臣の当時も政務次官というのはおられましたけれども、必ずしも政務次官と大臣が相談をして物事を決めるという場面は、私が記憶している限り、私についてはほとんどありませんでした。

 ですから、そういうことを含めて、内閣のあり方を根本から考えて、そして、今いろいろな知事が言われているでしょう、それこそ直轄負担金の問題から、ありとあらゆる問題。簡単に言えば、霞が関に行かなきゃ何一つ決まらないという今の国の形を変えてくれというのが共通の提案じゃないですか。

 それをきちんとやった中で、今麻生総理は、それにはお金が要ると言うけれども、まさに国の財源の相当部分を地方に移す、権限を移す、場合によったら人材も移す、そういう形をとって国の形を変えることでこの難局にある今の日本を変えていくことが、再生していくことが必要じゃないか、この趣旨で申し上げたわけでありまして、もう一度、もし総理の御意見があれば、聞かせてもらいたいと思います。

麻生内閣総理大臣 ちょっと具体的じゃないので、なかなか反論が難しいところなんですが、基本的には地域主権型の国家になっていくということは、これはずっと申し上げてきたところだ、私自身はそう思っております。

 今、官僚の話が出ていますけれども、私どもは官僚というものは、少なくとも政府といたしましては、もしくは国家の、シビルサーバントという英語がありますが、公僕ですから、当然のこととして国家国民のために仕えるという公僕なんだ、私は基本的にそう思っております。それを選挙で選ばれたいわゆる国会議員、政権与党というものがきちんと使いこなせるかこなせないかは、かかって国会議員の責任によるところが極めて大きいんだと私は思っております。

 だから、私どもとしては、地域分権、地域主権、いろいろな表現がありますけれども、そういった流れに中央集権から少しずつなっていく部分が今出てきているのはいいことなんだと思っております。

 何でもかんでもみんな中央で決めた、全部一律という時代ではなくて、地域によって格差が出てくる、差がある、当然のことなんだと思いますので、そういった意味では、今の流れとして、少しずつではありますけれども、確実にそういう流れが出てきているというのはいいことなんだ、私自身はそう思っております。

菅(直)委員 同じ繰り返しになりますので、もうこれで最後にしますけれども、私は、最後に麻生総理が言われた感覚は、以前はそう思っておりました。つまり、分権というのはだんだんと進むのかなと思っていました。特に機関委任事務の廃止を自社さ政権ができるときの合意に盛り込んだとき、私はさきがけの政調会長でしたが、機関委任事務の廃止というものまでやればかなり分権が進むのかなとその当時は思っていました。

 しかし、残念ながら、機関委任事務が廃止され、自治事務とか法定事務になってみたけれども、相変わらず財源を握り、いろいろな権限を霞が関が握っている。そういう実態を見ていて、私はだんだん、国の権限を地方に移すという意味での分権化は不可能だというのが私の結論です。

 そうではなくて、まさに明治維新がやったと同じように、国の権限を逆に限定する法律でもつくって、これ以上やっちゃいけませんといったら、あとは県がやるのか、市がやるのか、県と市がいろいろなところで議論すればいいんです。それを国が、これもやります、あれもやります、いや、これだけ一つ上げますという形では、歴代の地方制度審議会とかいろいろな審議会の答申も、私、当時からよく読んでいましたけれども、百年河清を待つではないですが、それこそ分権は残念ながら進んでいないというのが私の見方です。

 ですから、私たちが政権をとったときには、根本的な意味での国の仕事を限定して、それ以外はすべて、補完性の原理という言葉もありますが、地方に移していくという形で国の形を変えていきたい、このことを申し上げて質問を終わります。

衛藤委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。菅直人君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 まず、この補正予算の哲学といいますか、平成二十一年度の本予算そして補正予算を合わせますと百兆円を超えるわけでございまして、これはかなり大きな金額を使うということになります。

 昨年の第四・四半期、GDPは、年率換算をいたしますとマイナス一二・七%、こういった落ち込みをする。そして、政府、日銀でも三・一とか三・三のマイナス。また、IMFでは、日本のマイナスは、予測でありますけれども六・六というふうに言われている状況を考えると、すべてだと言うわけにはいきませんけれども、ある程度の財政出動をして、そしてGDPギャップを埋めるということの意味において、私は、この補正予算の量的なものについてはある程度賛成をするわけであります。

 要は、中身が問題だと思います。(パネルを示す)

 日本の主な制約要因ということを少し考えますと、自民党が政権を持ち続けようが、民主党が政権をとろうが、この制約要因の中で我々は与党を運営していかなくてはいけない、政権を運営していかなくてはいけないということになります。莫大な財政赤字、人口は減っていく、そしてまた少子高齢化が進んでいく、そして今は百年に一度の津波が来ている、こういう状況であります。したがって、ある程度の財政出動はよしとする中でも、では、それに対してやはり哲学が必要だろうというふうに私は思います。

 一は、先ほど申し上げたとおり、ある程度のGDPギャップは、すべて財政出動とは言わないけれども、景気のいわゆる底が抜けないような財政出動を適宜にやっていく。でも、大事なのは、ここから下の二、三、四だと思います。

 総理に伺いたいわけでありますけれども、この二番目、つまりは、ばらまきでない投資分野の戦略化、日本の弱点を克服し、そして日本の長所をさらに強化するというところにやはり集中的にお金は使うべきである。私が考えたその戦略分野というのは、医療、介護、食料、環境、省エネ、教育、先端技術、海洋、宇宙、こういったフロンティアも含めて、弱点を克服し、長所をさらに強化するというところにしっかりお金を使うべきだということが大事なポイントだと思います。

 それから、大事なポイントの二つ目は、先ほど与謝野大臣は菅委員のところで、行財政改革を言っていたらいつまでもできないということをおっしゃいましたけれども、私は違うと思っています。財政出動をしても、たゆまぬ行財政改革の努力が常に行われていなくてはいけない。

 我々民主党がそのポイントと思っているのは三つありまして、一つは、先ほど菅委員が最後に申された、究極の行革は地方主権化であると。今の、国があって、国の出先機関があって、都道府県があって、そして市町村という基礎自治体がある、こういった多重行政を簡素化していく中で無駄を削っていくということ。それから二つ目は、天下り、その受け皿となる公益法人、またその財布となる特別会計というものにメスをしっかり入れ続けていくということ。そして三番目は、公共事業の見直しということで、後でお話をしますけれども、まだまだ公共事業には無駄がある。

 財政出動をすれば、この三番の、たゆまぬ行財政改革の努力というのはどうしても鈍りがちでございますけれども、ここもしっかりやっていくということが必要である。

 最後に、成長戦略の具現化。

 四つの制約要因がある中で、これはナローパスでありますけれども、日本が成長し続けようと思ったら、予算の入る出るだけではなくて、税制の抜本的な改革も含めて、成長戦略をいかに定めて、それをまさに日本の経済のエンジンとして強化していくか、こういったところもなければ日本の再生というのはあり得ないんだろうというふうに私は思っております。

 この方向性について、麻生総理、どういうふうに思われますか。

麻生内閣総理大臣 基本的な考え方として、主な制約要因四つ、確かだと思います。これが制約要因であることは間違いないと思っております。加えて、日本を取り巻く国際環境というのも、これは制約要因として考えておかないといかぬ大事なところかなとも思ってはおりますが、いずれにしても、この四つが私どもの考えております中に入ることは確かでございます。

 次に、この中で、あらゆる政策動員を時限的にやるべき、この意見も我々とそんなに違っていないんだと思っております。そして、ばらまきではない投資分野の戦略化、ここのところも、我々の今回の補正予算の中に書いております中に、省エネとか先端技術とか全部含めて努めてやらせていただいておりますので、そこのところもそんなに違っていないところだと思っております。

 いずれにいたしましても、今回、こういった形でやらせていただく一番大きな背景は、急激な景気もしくは経済情勢の悪化、しかも日本に限らず世界じゅうで同時に悪化した。今まで不況というのはどこか悪くてもどこかいいところがあったんですが、今回は、国連加盟百九十三カ国か、これが全員悪いみたいな形になっておるのは異常だと思っておりますので、こういった状況にあっては、やはり我々も異例な対応をやっていかねばならぬと思って、私どもとしては、これまでにない対応でいかない限りは、当面、目先の景気対策はできないと思っております。

 同時に、おっしゃるように、その先どうなると言われれば、こういったものに投資していくということをきちんと申し上げなきゃいかぬ。そうじゃないと国民は不安になると思いますので、我々としては、低炭素革命等々いろいろ言わせていただいておりますけれども、先生の意見とそんなに基本的なところで違っているという感じをしません。

前原委員 恐らくそういう御答弁をされるだろうと思っておりました。総論では多分それほど大きな違いがないと思いますけれども、各論に入ると、私は今回の補正予算は玉石混交だと思っております。

 特に、我々は、これから少子高齢化社会を迎える中で、やはり一番大事なセーフティーネットというのは社会保障だと思います。医療、年金、介護、こういった社会保障、あるいは障害者の方々の福祉、こういったものがしっかりなされていかなくてはいけないわけでありますけれども、しかし、今ここは実は日本の弱点なんですよ。医療崩壊とか介護崩壊とか、そういうことが言われている。

 では、この補正予算によって、あるいは平成二十一年度の本予算によって、そういったものがちゃんと克服をされたのかどうなのか。これは全部議論してみたいですけれども、全部議論したら一時間では時間が足りませんので、私は、この医療、介護が果たして、政府が弱点の克服と言っているけれども、そうなっているのかということは、なっていないということと、あとは、たゆまぬ行財政改革の努力で公共事業の見直しはできていない、そういうことを少し具体的な話をもってお話をしたいというふうに思います。

 まず、医療の話で少しお話を聞いていただきたいと思います。

 これは舛添厚生労働大臣がよく御存じのことだと思いますけれども、東京都港区の愛育病院というのがあります。これは、総合周産期母子医療センターと言われるものであります。二十四時間、重症の妊婦が運ばれてきたときには対応できる病院、これがいわゆる総合周産期母子医療センターと言われるものなんです。

 東京港区の愛育病院というのは、その総合周産期母子医療センターに指定をされていたのでありますが、労働基準監督署が是正勧告をいたしました。どういう是正勧告かというと、要は、二十四時間急患を受け入れるということでありますから、常勤の医師が、産科医が二人、当然ながら四六時中いなきゃいけない、こういうことなわけでありますけれども、夜は宿直扱いになっているということなんです。

 宿直というのはどういうことかといいますと、労働基準監督署の基準では、定時の見回り程度の仕事で睡眠もとれる、これがいわゆる宿直というものであって、宿直手当というのは平均大体二万三千円ぐらい出る、低いところでは八千円ぐらいしか出ないというようなところもあるようでありますけれども、そういった宿直扱いにしてきた。

 しかし、これは総理も御承知のとおり、今の周産期医療センターのみならず、救急外来を受け付ける病院というのは満杯の状況でありまして、四六時中救急車がやってくる、そして急患が運び込まれてくるということで、宿直のはずのお医者さんが、定時の見回り程度の仕事で睡眠もとれるということにはなっていない。つまりは、宿直に当たる時間も本来的な勤務をしているにもかかわらず、宿直という形で夜間勤務をしているのはおかしい、したがって、この是正勧告を労働基準監督署から受けた、こういうことなんですね。

 それからもう一つ、奈良県の県立病院の産婦人科のお医者さんが二人、裁判を起こされたんです。つまり、同じようなことでして、宿直だといって安い手当しかもらえなかったけれども、実はほとんど寝ずに、そういった二十四時間体制で患者さんを診ていた。それなのに、超過勤務手当やあるいは残業代というのは一切もらえずに、いわゆる宿直手当しかもらえていなかったということに対して、奈良地方裁判所に裁判を起こされた。そして、第一審の奈良地方裁判所では、そのお医者さん方の訴えというものを認める、こういうような司法判断を下したわけであります。

 今、周産期医療センターというのは全国で七十五カ所あると言われています。七十五カ所のこのセンターに対して、全国周産期医療連絡協議会が二〇〇八年に実施した調査では、約九七%に当たる七十三施設が夜間勤務を正規の労働時間に当たらない宿直とみなしていた。つまりは、奈良県立病院や愛育病院と同じように宿直手当で、しかし、産科のお医者さんというのはほとんど寝られない状況で急患を診ていた、こういう状況になっているわけですね。

 通常勤務とあわせて、通常勤務というのはお昼の勤務とあわせて、昼の勤務から宿直に入る、当直に入る、三十時間以上、一睡もせずにそういった労働をされている方々も出ているということなんです。

 これは、実は産科のお医者さんに限ることではないんですね。二〇〇〇年前後から労働基準監督署への申告が相次いだことを受けて、二〇〇二年に、当直勤務の適正化を図るための、全国の医療機関に対する、当直勤務の実態を自主点検するように各労働局に通達を出した。二〇〇七年には、立入調査をした病院や診療所など千八百五十二の施設のうち、約八割に当たる千四百六十八施設で法違反が見つかった。

 つまりは、本来であれば残業とかあるいは超過勤務手当が支払われなければいけないのに、宿直という安い手当でこき使われていた。それが、周産期母子医療センターでいうと七十五のうち七十三、そして、二〇〇七年の全部のこういった施設、病院、診療所などでは千八百五十二のうち千四百六十八でこういったことが常態化されていた、こういうことなんですね。

 つまり、私が何を言いたいかというと、医師や看護師などの残業とか超過労働時間を、実質ボランティア勤務あるいはサービス残業として、いわば搾取して今の医療費というものが成り立っているわけですね。本来ならば払わなきゃいけない、そういった実態の仕事をしているにもかかわらず、産科でいうと九七%、そして一般の病院でいうと八割、これがこういった違法な、労働基準法違反の仕事をさせられていたということであります。

 総理、今のお話を聞かれて、これは実際、厚生労働省も発表している数字をもとにしてお話をしていることでありますので事実でありますけれども、こういったことは是正されるべきだと思われませんか。

麻生内閣総理大臣 当然、勤務医などの状況が厳しいというのはかなり認識をしております。これは、特に看護師の方がもっとしんどいかなと思うぐらい、しんどいことになっているのが現実だと私自身もそう思っております。

 したがって、今まで累次の対策をしておられるのだと思いますが、細目は舛添大臣に聞いていただいた方がいいと思いますが、財政支援というのを産科とか特に小児科とか急患になり得る可能性の多いところ、いわゆる救急とか産科とか、そういったところの財政支援に新たに九十億だか九十二億だかこれをつけたり、また、手術をできるということと事務作業ができるということはかなり別になりますものですから、その事務作業の補助をやるべきだったということで十億、いろいろな形で補助をつけたりなんかしておりますが、現実問題として、今起きているような状況に各地でなっております。僕は京都はよく知りませんけれども、少なくともあちらこちらでそういう話を聞くところです。

 これは是正されるべき、当然です。されるべきだと私自身もそう思って、予算との関係なんだと思いますが、いずれにしても、これはなかなか難しいところが一個ありますのは、きちんとやれと言うと、じゃ、もう救急はやめますと言われるとさらに困るということとの物すごい難しいバランスがそこにありますので、その救急をやめない程度にきちんとある程度やるというのが大事なのかなと思っております。

前原委員 先ほど申し上げたように、二〇〇〇年ぐらいからこういった労働基準監督署に対する通告が相次いできて、二〇〇二年に是正指導して、二〇〇七年に調べたらまだ八割が違法だった、こういうことなんですね。

 つまりは、そういった、今総理がおっしゃった、看護師の方も含めて医師の残業、でも、看護師はかなりこういう超勤手当というのは出されておりまして、ほとんどただ働きをさせられているのは医師が多いということなんですけれども、看護師も一部ある。こういった方々の言ってみればただ働き、サービス残業というものを前提に、今まで七年ぐらいずっとやってきたわけですね。

 ただ、そのときに、まさに小泉政権ですよ、そのころは。小泉政権のころというのはどういう状況だったか、医療について言えば。二〇〇六年の骨太方針というのはどういうものだったかというと、とにかく社会保障費も削ろうということで、医療費も含めて毎年毎年二千二百億円の自然増というものを削っていこうと。そして、二〇〇六年には、まさに過去最大の診療報酬のマイナス改定、三・一六ということでマイナス改定がなされてきていたということですね。

 このような、医師が不足をしている、にもかかわらずマイナス改定をし、そして、二〇〇六年の骨太方針に見られるように、むしろそういったものを看過して、医療費も含める社会保障を削ってきた。それが今の医療崩壊や後で話をする介護崩壊というものの現状につながってきたということを考えれば、小泉政権下の社会保障政策、特に医療政策は間違っていたということが言えるんじゃないですか。

 全体の話ですから、総理。

衛藤委員長 まず、厚生労働大臣舛添要一君。

舛添国務大臣 前原さん、一つ例を挙げますと、お医者さんの数です。ずっとこれは、もう十分あり余るほどあって、偏在しているだけだと言ってきた。しかし、その統計のとり方からして、私が大臣になって、これはおかしい。要するに、医師免許を取っている人だけを数に数えたんじゃ、医師免許を持っていたってやっていない人もいるわけです。だから、やはりこれは十一年ぶりに閣議決定を変えて医師をふやす。この四月一日から過去最大規模の六百九十三人定員増をしました。

 その他さまざまな施策を打ってきておりますけれども、基本的には私は、今前原議員がおっしゃったように、財政の負担になる、要するにコストの側面ばかりが強調される。それは確かに、医療費というのは三十三兆円ですから大変なコストになります。しかし、安心して医療を受けられる、介護を受けられる、そして、何かあったときにたらい回しじゃなくて救急の病院ですぐ診ていただける、こういうことがあってこそ初めて国民の生活が安定し、安心をもたらすことができるわけですから、私は大きな哲学の変更が必要で、医療や介護というものは、これは将来に対する投資、国民の安心への投資であって、必ず倍になって戻ってくるようなものだ、そういう哲学で、今一つ一つ間違っていたと思われるところは変えていっています。

 後ほど御議論になるかと思いますけれども、例えば公立病院の問題を見て、これは地域の拠点として非常に重要であることはわかります。ただ、医療や介護の分野についても、やはり効率化とか国民のための改革というのはやらないといけない、このバランスをとる必要があろうかというふうに思っております。

前原委員 私の質問に答えてもらおうと思った総理がちょっとおられなくなったので、舛添厚生労働大臣、かわりに答えていただきたいんですが、今御自身でおっしゃいましたね、今まで政府は医師が余っていると言っていたと。しかし、舛添厚生労働大臣になられてから、医師は不足をしている、今まで偏在、偏在と言っていたのが不足をしているということを言った。つまりは、小泉内閣のときには、医師は余っている、偏在だと言っていたのを変えられたわけですね。つまり、医師不足も前提として全然違ったわけでしょう。

 そしてまた、今申し上げたような、労働基準監督署が長らく是正勧告を出しながら、総理は先ほどそれは是正されるべきだということをおっしゃったけれども、それがずっと野ざらしになって、そういったもののサービス残業というものを前提として医療費の抑制がなされてきて、しかも、二千二百億円の抑制と、そして三・一六という過去最大の診療報酬の引き下げということをやってきたということは、今のトータルでは、もう短くて結構ですよ、厚生労働大臣は、小泉政権のいわゆる医療政策というのは間違いであった、前提からして間違っていたし施策も間違っていたということを言えるんじゃないですか。

舛添国務大臣 小泉政権云々というより、例えば十一年間にわたって医師は余っていると言い続けていたわけですから、歴代のそういう考え方が今まさに問題になってきていると思います。そして、労働基準監督署、これはなぜ入れるかというのは、是正するために入れました。先ほどの愛育病院も二人体制にして周産期が指定できるように、四月二十三日にきちんと都と話をして動くようにする、つまり、是正してよくするために入るわけです。

 そして、厚生大臣と労働大臣が一緒になったことのメリットも少しはないと忙しいばっかりで大変なんですけれども、メリットの一つは、労働大臣としてこの労働基準法を使って、勤務医の過剰な勤務についてもう一つ武器を持って切り込むということで、今回それをやっていっているということでございます。

前原委員 総理、先ほど是正をされるべきだということをおっしゃいました。これは非常に大きな答弁だと私は思うんですね。是正をされるべきだと。つまりは、労働基準監督署が是正勧告をして、今まで払われなくてサービス残業していたことについては、それはしっかりとお金は払われるべきだということですね。

麻生内閣総理大臣 基本的に、今兼務をしておられるメリットがあるという話がありましたけれども、私は払われてしかるべきなんだと思います。

 ただ、前原先生、重ねて言いますが、これをぱっとある日やると、県営とか市営とかいろいろありますけれども、そういったところで、とても急患はやれませんからと言って受け入れをやられるときに猛烈に困るのは患者ですから、患者というか病人ですから、その意味では、そこのところのいわゆる資金の手当てをきちんとしないと極めて危ないことになる。私は、そこのところは十分に行政側として注意をしてやらないと難しいかな、それはそう思っております。さじかげんなんと言うとえらいいいかげんに聞こえますけれども、これはすごく難しいところだと思っております。

前原委員 超勤手当は出す、これははっきり国会の場でおっしゃったわけですから、今までのサービス残業は絶対になくしてもらう、これは私は大変大きなプラスだと思います。

 ただ、超勤手当が仮に出たとしても、医師や看護師の過労というのは解消されないんですよ。先ほど申し上げたように、三十時間以上一睡もせずに働いておられる方々がおられる。昨今、医師や看護師の過労死、過労自殺、そして過労による精神障害が数多く見受けられますが、二〇〇六年七月に日本病院会が実施した調査では、二割以上の勤務医の当直を除く労働時間、これは当直を除くです、当直を除く労働時間が週六十四時間以上となっている。法定は四十時間です。二割が六十四時間以上、つまりは、これを一月に直すと、九十六時間以上が超過勤務。これは二割いるんですよ、二割の方が。これは二〇〇六年七月に日本病院会が実施した調査。

 これは、厚生労働省の労働基準局が定めた過労死の労災認定基準、脳血管疾患及び心疾患に該当する。つまりは、これだけ、九十六時間以上も超過勤務をしていれば過労死に相当しますよという人が勤務医では二割以上いるということなんですね。

 しかも、今申し上げた話は、当直、宿直が入っていないんです。当直、宿直が入っていないということでありますが、日本病院会がした同じ調査によると、一カ月の夜間当直の回数は、三回から四回の人が四〇・八%、五回以上が一七・一%。つまりは、三回以上の人が五割を超えている。

 先ほど申し上げた、寝られないのにいわゆる宿直ということで仕事をさせられて、そして、普通の勤務だけでも九十六時間以上の超過勤務の勤務医が二割以上もいるということですね。先ほど、超過勤務の部分にはお金を出すということではなくて、これは労働基準法違反なんです。

 つまりは、そういう意味では、これをどう解消していくかということが大事なことでありますけれども、では、先ほど私が一番初めに申し上げた、いわゆる日本の弱点というものを克服していく、医療や介護という、医療崩壊、介護崩壊というもの、こういった過酷な勤務医の状況というものは、今回の補正予算あるいは平成二十一年度予算で、先ほど若干数字をおっしゃいましたけれども、本当に解消できますか。

麻生内閣総理大臣 細目は舛添厚生大臣の方がきちんと知っておられると思いますが、今回の補正予算では、都道府県に、地域医療再生基金という名前になっていると思いますが、これで三千億ちょっとを設けさせていただいたと思っております。

 今言われましたように、金さえ払えば解決するといっても、人数の絶対量が足りていないではないかという御指摘なんだと思っておりますので、医師の養成数につきましても今後ふやさないかぬ。また、この間、日野原先生の御提言もありましたけれども、今、医師の絶対数が不足しているときに、今から七年もじっと待っておられぬ、そのためにはどういう手口があるかを考えるべきだと有識者会議で言われましたのも、我々としては参考にさせていただかねばならぬと思っております。

 いずれにいたしましても、今後とも、勤務医の負担が今大変なんだというお話だったので、負担の軽減とか、また、特定の地域におきます医師の不足という問題を解消していくためには、これは地域格差がかなりありますので、その意味では、地域においての医療というものを考えるときに、一医院が幾ら頑張ったってとてもできませんから、こういったのは。ある程度連携をしてやっていかない限りはできるものじゃないというのははっきりしておりますので、ぜひ、そういったものも含めて、この基金を使っていろいろ横の連携をやっていただく。

 それですべて即解消するかと言われると、そこまで自信があるわけではございません。

衛藤委員長 大臣はいいですか、答弁は。

前原委員 はい、結構です。

 これは、よく言われている、一人当たりの国内総生産と人口千人当たりの医師数。二〇〇四年でちょっと古いんですけれども、日本というのは、一人当たりのGDPは高いんだけれども、それに対して言えば、極めて医師数が人口当たり低いということになっています。OECD平均でいいますと十四万人不足をしているというのは、パネルにはありませんけれども、お手元に配った資料で皆さん方にお渡しをしているとおりです。

 総理、これは厚生労働大臣でも結構ですが、要は、今私が申し上げたのは、この労働基準法違反のようなサービス残業についてはそれはなくさなきゃいけないということから、総理が払うとおっしゃった。それは私はかなり進歩の発言だと思います。それは労働基準法違反というのは認めないということですから。それは払う、サービス残業は認めないんだということをおっしゃったということは大きい。しかし、実際問題、二割以上のドクターの方が、いわゆる過労死判定にひっかかるような超過勤務をされている。これは是正していかなくてはいけない。

 そして、日本全体、OECD平均でいうと十四万人の医者が不足している。今の総理のお答えは、今回の補正予算で都道府県に基金を積みますと。新たな基金、これも先ほど議論の出た基金でありますけれども、三千百億円。私、以前厚生労働省からもらったんですよ。これはそれぞれの都道府県のいわゆる医療計画というもので、地元の京都と千葉と広島のものをもらいました。こういうものは実はあるんですね。あって、なおかつ、この三千百億円の基金を積んだから、今の医師不足というものが本当に解消できるのかどうなのか。

 これは、私が一番心配しているのは、地方に任せた、都道府県に基金をつくって都道府県に任せて、国は関与しない。都道府県のこのビジョンを見ても、あるいは医療計画を見ても、詰まっている自治体もあれば、非常に漠然とした自治体もありますよ、まだ詰まっていないところもある。そうすると、この医師不足を診療科ごとにどうやって地域の偏在というものも含めて正していくかということのトータルのまとめ役というのは、国がちゃんとするのかどうなのか。地方に任せて丸投げをしてしまえば、恐らく今の議論で終わっちゃうと思うんですよ。

 つまりは、地方に丸投げをするんではなくて、国が、トータルの医師の増加、そして地域ごとの、どの診療科が足りないのか、そして、都道府県が立てた二次医療圏の医療計画というものが本当に着実に実行されているかどうか、そのチェックをするかどうかというのは極めて大事なことなんですけれども、基金をつくるだけじゃだめですよ。どうですか。

舛添国務大臣 今回の三千百億円の地域医療再生計画より前、つまり本年度の本予算それから二十年度の補正や何かで、さまざまな施策を打ってきました。

 その中で、例えば、勤務医の方々が、緊急医のお医者さんが来たときに手当てすると、診療報酬からじゃなくて、直接的な財政支援をやる。それから、今、女性の医師、小児科なんかはもう半分女性ですから。産科もそういうことになっている。そうすると、自分がお産したら家庭に戻っちゃうわけですね。復職をどう支援するか。それは院内保育所もありますけれども、一番求められているのは、短時間労働させてくれと、自分は夜勤はできないというようなことで。でも、これは戦力になりますから、そういうことをやっていく。それから、メディカルクラーク、まさに先ほどおっしゃっていた、事務はほかの人がやって、手術、こういうことをお医者さんがやるということであります。

 それで、例えば、前原さん、研修制度の見直しというのが今度大きくありました。文科大臣とともにやって一定の結果が出ましたけれども、私が大体、弾力化を求めて、地域に偏在がないように、医師不足の県が極端にないようにしようと言うと、お医者さんの卵から物すごい不満で、職業選択と住所の自由があるじゃないか、おれは京都に行きたいんだ、東京に行きたいんだ、岩手は行きたくない、こういうのがありますから、例えば、地域で……(発言する者あり)いや、岩手の県立病院は非常によくやっているんです。そして、そのメンバーの中に岩手の方がおられるので、他意はありません。

 そこで、例えば岩手県なんかは奨学金を出すんですね。奨学金を出して、地元に定着してくれる学生には奨学金を出す。だから、私は、パニッシュメント、罰じゃなくて、インセンティブ、来てくれれば、例えばアメリカ留学は君から先にさせてあげるよというようなことをやりたいと思います。

 だから、おっしゃることは非常によくわかるんですが、余り私が規制で中央がこうと言うのもあれなんで、やはり基本は住んでいる都道府県なんです。ここを支援はいたします。だけれども、イニシアチブはどうぞ都道府県知事に頑張ってやっていただきたい、こういうことです。

前原委員 地方が主体的に計画を立てるというのはいいと思います。これは、国が地域の細々とした二次医療圏まで全部目を通すなんて無理ですから。ですから、都道府県がそういった計画を立てるのはいい。

 しかし、私が申し上げているのは、私がばらっと見た三つの府県だけでも、全然詰まり方が違うんですよ。三千百億というのは物すごく大きな額ですよ。三千百億という大きな額を投じて、本当に今申し上げたような、二割の勤務医がまさに過労死寸前以上のところで仕事をされているわけですね。そのために三千百億円を投じて医師をふやし、そして、特に不足をしている、偏在している診療科というものをふやしていく。だけれども、地方に任せただけであれば、これは選挙のマニフェストと一緒ですよ。これは知事さんの選挙のマニフェストで問うべきものかもしれません。

 ただ、国が三千百億円という基金をつくるわけですから、そこでのトータルのマネジメントで、ちゃんと地域が計画どおり、計画もあやふやな地域は早くおしりをたたく、そして、どの時点までに今の医師不足というものを解消する、あるいはさまざまな施策、地域の連携クリティカルパスみたいなものもしっかりやりながら、それをうまくやっていく。それはやはり期限を決めないと、三千百億というお金を使ったからそれでもうあとは大丈夫なんですよということにはならない。これは私が申し上げるまでもないと思うんですよ。そういったトータルのマネジメントをしっかり国としてやる意思を持たないと、このお金というものは本当に無駄金になってしまいますよということを申し上げているわけです。

 そこの、今でなくてもいいですから、どのタームで、つまりはどの期間で、三千百億という投資、あるいは他の予算に応じた、今の医師不足、そしてこういった二割を超える人が過労死以上の超過勤務をしているようなところが是正をされるのかということは、国会で示していただきたいと思うんです。いかがですか、厚生労働大臣。

舛添国務大臣 この補正予算を通していただいた暁に、そういうことも検討したいと思います。

 ただ、何度も申し上げますけれども、私も今の前原さんの言うのはよくわかるんです。でも、全く反対の意見がとにかく現場から上がって、口を出してくれるな、こっちは自由にやるんだと。この前、名古屋の先生方が、自分たちはこんなにうまくいっているのに、厚生労働大臣が、名古屋は医者の数が多いからそれを田舎の方に持っていけ、何たることかと言うので、いや、そこは弾力的にということで、むしろ名古屋の意見を言って、幅をつけました。

 だから、非常に難しい問題ですが、どれまでにということも今御質問ありましたから、少し検討させていただいて、ある程度の答えが出ればそれはお示ししたいと思っております。

前原委員 ぜひそれは示していただきたいと思います。

 総務大臣、厚生労働大臣、総理、少し質問させていただきますのでしっかり聞いていただきたいと思うんですが、先ほど総理もおっしゃった自治体病院、公立病院の件で議論をさせていただきたいと思います。

 公立病院というのは、本予算のときも若干議論をさせていただきましたけれども、累積で二兆円を超える債務を抱えていますね。二兆円を超える債務を抱えている。そして、公立病院に関する財政措置のあり方検討会ということを踏まえて、交付税措置を七百億円増額するということとか、あるいは、五十二団体に対しては病院特例債の発行を認めるということはやられているということは認識をしております。

 では、しかしそれで根本的に解決をするのかというところを、少しこの地図を踏まえて、問題意識で申し上げたいと思うんです。

 自治体財政健全化法というのがありますね。これは、夕張がさまざまないわゆる公営企業、公営事業をやって、そこは隠していて、トータルでは物すごい赤字を抱えていた、したがって、一般会計、普通会計だけではなくて、こういった公営企業会計というものをまとめて財政健全化の指標にしようというものであります。しかし、自治体で完結しているのかという問題点を申し上げたいと思います。

 ここに、下の方に、総務大臣、見えにくいかもしれませんが、筑西市民病院というのがありますね。これは茨城県にある病院でありますけれども、ここの病院が、右側の経営状況を見ていただきたいんですが、これは公立病院、市民病院によくありがちなケースなんですけれども、経営が悪くなった。経営が悪くなって合理化をするということになると、病院長やあるいは医師の給与カットに走って、結局、医師がみんなやめちゃう。さっき申し上げたように十四万人足りないわけですから、ほかのところにいっぱい就職先があるということでやめていってしまって、結局、医師が不足をし、そして病院としての機能が果たせなくなるということで、銚子などに見られるように、閉鎖をしてしまうということが出てきているわけです。

 では、この筑西の市民病院に今までかかっていた人たちはどこに行っているのかといえば、これは上を見ていただきたいんですけれども、この表の二番目の自治医科大学附属病院、これは栃木県にあるわけですよ。つまりは、茨城県の筑西市の病院が今経営状況が悪くなってきて、なかなか救急患者も受け入れてもらえないということで、県をまたいで、自治医科大学附属病院という栃木県の二十四時間救急救命センターに運ばれている。それが今、比率は二二・一%ですよ。そして、救急患者数というのは今三万一千、十五年前の六倍になっていて、もうパンク状態。

 つまりは、財政健全化法という、市民病院、公立病院の財政状況をぎりぎり締めていって、結果的にはもうそこが成り立たなくなるということで、自治体を越えた病院にしわ寄せが行って、そこもまたおかしくなるという悪循環を繰り返すような状況が生まれてきているわけですよ。

 私が言いたいことは、自治体の財政のいわゆる健全化だけでやると、ほかの自治体に飛び火をし、そして結果的にそこの経営も苦しくなって、救える命も救われない、病院のたらい回しというものが恒常化する、こういう事態が生まれてきている。それを考えると、この自治体財政健全化法というものが果たして、事公立病院に限って言えば、これを入れることが本当にいいことなのかどうなのか。

 しかも、診療報酬の引き下げ。先ほど舛添厚生大臣がおっしゃったように、今まで政府は、医師は余っているといって医師不足対策には全くタッチしなかった。これは国の責任ですよ。そして、結果的に医師のいわゆる過酷な勤務条件も放置してきた。

 そういった国の政策の失敗によって、もちろん市民病院などの自助努力も足りない部分もありますよ、管理コストが高いとか。私立病院より経営状況が市民病院は悪いわけですから。そういう意味においては、市民病院、公立病院が経営改善をしなきゃいけないところはあるけれども、国の施策によってそういった悪循環が生まれて、そのとばっちりが他の自治体に飛び火をして、他の自治体の病院経営が圧迫をされる、そして救われる命も救われない。

 公立病院を自治体健全化法に含めることは果たして正しいんでしょうか、総務大臣。

鳩山国務大臣 人の命を救う病院の問題であって、もちろん全国にある公立病院の状況はそれぞれさまざまだと思いますが、やはり公立病院は特別の要素があると思うんですね。

 つまり、救急とか産科、婦人科等、あるいは僻地医療等、採算がとれなくても引き受けなくちゃならない、あるいは、その地域ではその公立病院以外一つもないというような、そういう使命を帯びているわけだし、私は医療のことは詳しくありませんが、やはり、私立の病院の場合は採算がとれるような方向で物を計画できても、そうできない部分というのがあるわけですから、私は、公立病院が負っている使命というのは格別のものがあると思うんです。

 したがいまして、この四月一日から始まりました地方自治体の財政健全化の割合を示す法律、その指標みたいなもので公立病院を全く同じに見てしまうと、私は、それは問題があると正直言って思います。ですから、人の命を助ける公立病院の使命ということでいえば、若干別の扱いがあってもいいのではないかというのが私の基本的な本心です。

 ただ、今、この法律ができている以上はこれは適用せざるを得ませんが、いわゆる実質赤字比率というのにならない、そこでイエローカードだとかレッドカードにならないでいいように、例えば病院債の発行を認めて、いわゆる返さなくちゃいけないものを長期債務の方に振り分けていく、将来負担比率みたいなところにはどうしても絡んできます。あるいは、地方独法に切りかえていこうというときに、地方独法、病院が地方独立行政法人になるわけですが、赤字をそのまま持っていかないでいいように、これはまた起債を認めるという法律改正はことしやっていただいたわけですね、地方交付税法の改正の中で。

 そういう意味で、私は、おっしゃることはよくわかりますから、だから、なるべくレッドカード、イエローカードに結びつかないような手だては随分してきているとは思うんです。

前原委員 何か中途半端な御答弁ですね。

 要は、今おっしゃったように、国の施策の失敗によって、あるいは間違いによって、すべて公立病院がいいわけじゃないですよ、さっき申し上げたように、自助努力の部分も足りない部分はあるし、管理コストが高いという面はありますよ。しかし、今は、公立病院というのは、五百九十九の病院中、五百五十九病院が赤字なんです。九三・三%が赤字なんです。六・七%しか黒字がないんですよ。そして、連結決算することによって、この筑西と栃木の例を申し上げたように、ほかの病院に、つまりは自治体を越えて飛び火をするんですよ、結果的に。

 先ほど総務大臣がおっしゃったことというのは、公立病院の改革プランでしょう、独法にするとかそういう話は。あるいは指定管理者制度にするというのはそうでありますけれども、それでも結果的に、私もこの公立病院改革プランの中身を見せてもらいましたけれども、地方独法にするとか指定管理者制度にする、あるいは統合する中で、全部病床数を減らすんです、大体。

 そうすると、今でも病院が足りない、あるいは病床が足りない、患者がたらい回しをされる。しかし、片や自治体の地方財政健全化法というものがあって、そして連結決算になっているから、公立病院というものは赤字を何とか解消しなきゃいけないということで、どんどんまたじり貧になっていってやめちゃう。そして、銚子の例なんかは、それでリコールが起きて市長選挙がまた行われる。

 国の施策が間違っている、あるいは国の施策の問題点から地方の公立病院にしわ寄せが行く。そして、地方の、ある自治体の病院がうまくいかなかったら、他の自治体、自治体を越えて問題が発生するということから考えれば、当然ながら、これは地方自治体健全化法の範疇から外すべきでしょう。

 明確に答えてください、あのかんぽの宿のときみたいに明確に。あのときは歯切れよかったですけれども、明確に答えてください。

鳩山国務大臣 ですから、これは自治体健全化法で、それは公営企業として、自治体病院というか公立病院は公営企業会計として特別会計になっておりますから、この法律の仕組みとしては、普通にこれはいろいろな基準を当てはめていかなければならないけれども、簡単にイエローカードが出ちゃいそうなケースも正直言ってあるわけですから、その辺は、起債をして長期債務に切りかえる、あるいは地方独立行政法人に切りかえることによって実質赤字比率等にはひっかからないようにしたということを申し上げたわけです。

 根本からいえば、私は、医師不足の問題というのは、今先生、OECD平均と日本の平均が十四万人差がある。ずっと開いているじゃないですか。私は、あの間に文部政務次官とか文部大臣とかをやったけれども、医師が不足しているという意見はだれからも聞いていないわけですから。医師不足については、国策上の誤りというのは、見通しの誤りというのはあったんだろうと、これは率直に思いますが。そういうことと診療報酬の関係で、自治体病院も苦しくなったんでしょう。

 ですから、私は、特別の使命というのか、つまり、もうけを考えちゃいけないところは、あのかんぽの宿と似ていますけれども、もうけを考えないでやらなくちゃならないという公立病院のつらさを考えたら、やはり、基本は自治体の一般会計から助ける、十分に繰り出しできるような地方財政の財源の拡充を図っていくのが正しい。だから、二千九百億円をことしは三千六百億円にして、ベッド単価も上げて、これは繰り出せるようにしたわけです。

前原委員 そんな一時的なことでしのげるはずないでしょう。だって、一般会計本体そのものが地方自治体は大赤字なわけですから。だから、補正予算である程度上乗せしたって、そんなものはすぐ切れちゃいますよ、燃料が。

 つまりは、国の施策として、病院というのは、医療というのは大事なことじゃないですか、人の命を扱うことだから。それを、先ほど申し上げたように、国の施策という縦の線のラインで間違いが起きていて、そして地域的な問題が起きたらほかの地域に飛び火をするんですよ、こういうことのように。なのに、その地域の中で自治体病院の経営というものを連結決算にしてぎりぎり締めていくのはいかがなものか。本体の自治体もほとんどが赤字でしょう。総務大臣がおっしゃるような、そんな余裕のある自治体なんてないですよ。

 総理、今申し上げたことと、そして、先ほど申し上げた公立病院改革ガイドラインというのは、これは、私、中身を見ましたけれども、ほとんど病床数を減らすという話なんですよ。つまりは、そういった合理化をしないと経営的に成り立っていかないということなんですけれども、医師不足が深刻化をし、そして、言ってみれば、先ほど申し上げたような過酷な超勤や、そして宿直などと称して結局はサービス残業をしていた、そういうものを削りながら、医療の現場の人たちは頑張ってきているわけですよ。

 これは、私は、この合理化という地方の財政健全化というものに離して、医療というものだけはしっかりと国として面倒を見るということが大事だと思いますけれども、総理のお答えを聞かせてください。

麻生内閣総理大臣 これは長い間積み重なってきた話なので、前原先生、今すぐこれが答えですというのがあるわけではないと思います。

 ただ、基本的に、今言われたように、これは結構、これは真岡市ですから栃木県か、栃木と群馬とどこかその辺のところの県境にあるところなんだと思いますので、今言われたような話が現実なんだと思いますが、多分、他県にもきっとこういう話はいっぱいある、私はそういう感じがします。やはり言われたように、これは今すぐ、これで三千百億出したから解消するなんということじゃないだろう、全くそう思います、そこのところは。

 ただ、基本的にそういったものをやった上で、これは合理化をしていかないかぬところなんですが、先生、一つだけ、ちょっとこんなところで言うのはいかがなものかと思うが、合理化しますと、さっき言われたように、いろいろ問題が出てくるんですよ。例えば、赤十字が薬は一括で買いますと。一括で買いますというとどんと安くなるんですよ。現金で買いますとさらに安くなる。そうすると、今度は、足利なら足利にある薬屋は、売り上げが全部東京に持っていかれちゃうという話が必ず出るんですよ。そうすると、ちょっと待てといって栃木県からわっと、栃木県に来るからとか、いろいろなものがある。これは現実の問題。

 医者というのは経営者じゃありませんから。お医者さんと経営者とはかなり違う。有能な医者が有能な経営者とは限りませんから。だから、そこのところが現実問題なんですよ。病院をやったらよくわかります。

 だから、そういう意味では、ぜひ経営者というものを、また、役人が経営者をできるかと。僕は、金もうけの才能がない人が役人になっているべきだと思っていますから、そういったものをきちんとできる人を連れてきてやらないとうまくいかないという面も、現実問題としてはあるんです。

 したがって、いろいろな意味で、私はそういったようなものを考えて、今すぐ答えがあるわけではありませんけれども、このまま放置していくといろいろ問題になる。私どもはそういう感じがいたして、これは今すぐ答えを持っているわけではありませんけれども、真剣にこれは検討していかないと、さらに事は厳しいものになっていくだろうという危惧は私もあります。

前原委員 今、ちょっと、随分問題発言されたと思いますよ。医師がすばらしい経営者とは限らないと。医師でもすばらしい経営者の方はいっぱいおられますよ。まさに、ドクターの資格を持ちながら立派な経営をされている方はたくさんおられますよ。

 先ほど申し上げたように、私は、自治体の病院が全くもって救われるべきだということを言っているわけじゃないんです、一〇〇%救われるべきだとは言っていないんです。ただ、今の医療制度の問題の中で、では、先ほどおっしゃった、役人が果たして立派な経営をできるのかというような話でいうと、いわゆる私的な病院についても赤字比率は今五四・五%ですよ、もうかっているところは四五・五しかない。公的病院は六三・四。そして自治体病院は九三・三。

 そういう意味では、自治体病院は赤字のところが多いでしょう。ただそれは、私立病院、私的な病院というのは、結構もうかるところ、あるいは中核的なところにあるところはあるけれども、自治体病院というのは、人口が少なくて、まさにそこしか行くところがなくて、そこを頼っている過疎の地域の方々というのもたくさんいるわけじゃないですか。ということを考えれば、自治体病院が経営が全部だめで私的病院だといいということにはならないわけですよ。

 先ほど申し上げたように、私的病院でも五四・五%が赤字。ということは、今の医療制度に問題点があるということで、そこを改善するために、先ほど栃木と茨城の話をされましたけれども、これは一例です。またいで救急搬送されているようなところはいっぱいあります。だから、私が申し上げているのは、自治体ごとの財政健全化でくくってしまったら、そこでぎゅうぎゅうやったらほかのところに救急搬送の患者は逃げてしまって、押しつけられたところがまた大変になる、悪循環が起きるということを問題だと私は申し上げているわけですよ。論点はそういうことを申し上げているわけです。

 ちょっと時間がなくなってきまして、介護のところを少しやって、たゆまざる行政改革の話はまた時間があればさせていただきたいと思います。

 今回の補正予算で、私は、後で西村智奈美議員が言われる子供手当もそうでありますけれども、一年ぽっきりで三歳から五歳まで、介護の職員の人たちに対する給料アップも何で三年なのかなと。よくわからないんですね。

 介護報酬の改定で三%プラスになった。これで、介護の方々というのは、自分たちの給与が大体二万ぐらい月額で上がるんじゃないかと期待をされたわけですけれども、結局、施設の取り分等もあり、五千円ぐらいしか上がらない。今回の一万五千円というのはその差額を埋めるようなものであって、合計して二万円上がる、しかも三年間だけ。これで本当に介護の方々の今の苦しい生活状況が変わると私は思いません。

 これは福祉人材センターの有効求人倍率ということでありまして、ある時点を契機に、この福祉人材センターの方々の有効求人倍率は、不況下にもかかわらず極めて高いということが傾向として出てきているわけです。

 下の表を見ていただきますと、福祉施設介護員あるいはホームヘルパー、あるいは介護支援専門員、ケアマネジャー、こういった方々の給与は一般のサラリーマンの方々よりもかなり低いわけですね。目的意識を持ってこういった仕事につかれても給与が低い。一般のサラリーマンの方々と比べて、半分とかあるいは三分の二とか、そういう状況ですよ、年収で見ても。

 ということは、月に二万円上げても三年間でしかそれが見てもらえないのであれば、では、本当に介護の方々がふえていくような状況になりますか。総理、どうですか。何でこれは三年間だけなんですか。

麻生内閣総理大臣 この四月から、今言われましたように三・〇%ということで、これが月にすれば大体五千円ぐらいになると言われておりました。しかし、今言われたような問題が多々あるのでということで、今度の補正予算で交付金というのを設けて、介護職員の賃金引き上げをやります事業者に対しては平成二十三年度までの三年間だけ一万五千円ということになりました。

 これは平成二十四年度以降はどうなんだという点は全くもっともな御指摘なんですけれども、今の段階で、介護職員の処遇の改善などを見きわめた上で、介護保険制度についても持続可能で安定的な運営が確保されないと、これはとてももつわけはありませんので、そういったことも含めて、介護報酬はもちろん、いろいろな介護制度のあり方について検討した上でなければ、なかなか今、二十三年、四年も五年もやらざるを得なくなるにしても、きちんとした対応、制度というものをつくっておかなければならぬと思っております。

前原委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、一番初めに私が申し上げたのは、財政がかなり借金がふえていく中で、しかし、GDPギャップが二十兆とか言われている、一説には三十兆、四十兆あるんじゃないかと言われている、そして補正予算を組む、またさらに借金がふえる。そういった経済対策をするのであれば、日本の弱点をいかに克服し、それが、この百年に一度という霧が晴れたときには、日本がほかの国よりもよりぬきんでて、競争力が高まるようなところにどう投入していくかということが私は大事だというふうに思います。

 そういう意味では、きょう議論をさせていただいた医療にしても、まあ、主に医療をさせていただきましたけれども、この補正予算の方向性では、一つは、この超勤については解消するということを明確におっしゃったことは、これは私は一定の進歩だと思いますけれども、しかし、実際もって人が足りない、そして今の医療の窮状というのは救えないということを考えれば、さらにこういったものに施策をしっかり投じて、そして日本の弱点を克服する。

 そしてその財源は、きょうはできませんでしたけれども、公共事業や天下りや、あるいは分権というものをしっかりやっていく中で、安易な増税には頼らないということをしっかりやっていくことが大事だということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 この際、西村智奈美君から関連質疑の申し出があります。菅直人君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党・無所属クラブの西村智奈美です。

 私は民主党の中で子ども・男女共同参画調査会の事務局長を務めておりますので、きょうは、少子化問題について絞って質問をしたいと思います。

 先ほど来、子育て応援特別手当について、菅委員そして前原委員から質問があったところであります。私もそのことについて伺うつもりなんですが、まずその前に、少子化についてどう考えるか、そしてまた子育て支援策というのがいかにあるべきか、この二点について財務大臣と総理から、それぞれどういうふうにお考えなのか伺いたいと思います。

 少子化については、今、日本の合計特殊出生率は一・二六とか二七という数字をさまよっております。日本の人口構造や産業構造を維持するためには少なくとも二・〇八が必要だと言われていたにもかかわらず、一・五八を切ってからは、もう本当に坂を転げるようにこの出生率が下がってきております。

 この原因は何なのか。いろいろな人がいろいろな研究をしておりますけれども、やはり、日本の社会全体が子育てに対して余り優しいとは言えないのではないか、そのことによって女性たちが子供を産み控えているのではないかということが指摘をされておりますし、私も肌感覚で感じているところは、まあ、そういったところなんだろうなと思っております。

 この点について、財務大臣と総理の見解を伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 明治維新のときの日本の人口は三千万、昭和二十年、日本が戦争に敗れたときの人口は七千万、現在は一億二千五百万でございますから、まあ、この百何十年かの間に随分人口はふえ、今、少子化が叫ばれている段階でございますが、私の直観ですから余り根拠はないんですが、多分、日本という国は五、六千万の人口だと大変快適な国じゃないかと私は思っております。

 ただ、そういう五、六千万の平衡状態に至るまでの間、どうやって日本の福祉制度を支えていくのか、こういう話になりますと、その移行期間、過渡期の間は物すごく大変なことが起きるということがあります。

 それで、政府が少子化について、たくさん子供をつくりなさいというようなことを言う立場にはないので、政府や政治ができることは、産みやすく育てやすい社会を用意しておく、あとは女性、御夫婦の間で自主的に御判断いただくということに尽きるのではないか、私はそのように思っております。

麻生内閣総理大臣 やはり、西村先生、子供を産んだらいい、楽しいという話を余り言わないんですな、この国は。違うかしら。そういう、子供を産んだらこんなにすばらしいよという話をあなたにしてくれる友達というのはどれくらいいらっしゃいますか。産んだら大変よという話ばかりしませんか。僕は正直そこが今一番問題なんじゃないのかなと思っております。これは正直なところです。

 したがって、私は四十三で結婚して、ちゃんと子供は二人産みましたから、一応最低限の義務は果たしたことになるのかもしれませんよ。なるのかもしれませんけれども、しかし、今、現実問題として、子供を産んだら成長を見て、私自身は、もう娘も二十になりましたし、その上のも二十三にもなりましたから、今は見ていて結構おもしろいです。成長は、嫌なところばかり親に似たりして、全然おもしろくないところもいっぱいありますが、私自身は正直言って楽しくやらせてもらっていると思っています。

 だから、子供を産んだらいいことがありますよという話も、正直、今から結婚する人には結構言っている方だと自分自身は思いますけれども、いつも、そう言われるのは麻生さんだけですよと言われたりすると、よっぽどほかの人は大変だ大変だという話しかしていないんだなと、私はそう思ってしまうんです。しかし、フランスやらイギリスにいたころ、みんな子供は楽しいという話をイギリス人もフランス人もしていましたから。

 その意味では、私は、日本は一コンマに特殊合計出生率が下がってきておりますけれども、まあ韓国より高い、中国より高い、台湾より高い、香港より高い。よく比較すれば、もっと低いところはいっぱいありますので、そういったところの話をよくされますけれども、私どもとしては、そういった合計出生率の話という数字の話よりは、子供を産んだら楽しいという話と、やはり子供を育てやすいような経済環境とか、また社会環境というものが非常に大事なのではないのかなと思っております。いずれにしても、子供の声が聞かれない地域というのはかなり寂しいものだと、私自身はそう思います。

西村(智)委員 私も、合計特殊出生率というその数字だけを取り上げて、それが高いからいいとか低いからよくないとか言うつもりはありません。また、日本の人口が減っていくということも受け入れるというのは、これは我が国の選択する道のうちの一つだろうと思います。ですけれども、問題は、先ほど財務大臣も総理もおっしゃいましたけれども、やはり産み育てやすい社会をつくるということに尽きるのではないか。あとはカップルの判断に任せるということだと思うんです。

 総理、イギリスとフランスで子育てが楽しいという話を聞くのは、それは理由があることだと思うんですよね。日本でなぜ子育てが楽しいという話ばかりではないか。もちろん、子供が社会に出てくる、たくさんいるということは、これは本当に社会のにぎわいになりますし、明るくなる。子供は未来への投資、社会全体の宝だと言われておりますから、それは非常に子供がいること自体が社会の財産であるわけですけれども、しかし、イギリスやフランスでなぜ子育てが楽しいと言われているかといえば、やはりそれなりの子育て支援策を国としてきちんとやっているから楽しいと思える、そういう子育てが可能になっているからだと思うんです。そこのところをまず一つ御認識をいただいておきたいと思います。

 そこで、今回の補正予算の中で、子育て応援特別手当、三歳から五歳まで、三万六千円、一回こっきり、これを支給するということになりました。第一子からということになるんですか。これは今回、政府の補正予算は約十四兆円ということですけれども、子供ですとか教育関係の対策費は大体三千六百五十一億円、全体の中でも二・六%と非常に小さいわけなんです。その中でも、政府の方は今回、この子育て応援特別手当を一つの目玉だというふうに言っておられるようです。

 財務大臣に聞きますけれども、この子育て応援特別手当によって見込まれる経済効果、これはどのくらいでしょうか。

与謝野国務大臣 まず、民主党の言っておられるような子ども手当ができたら、お金があったらそういうこともやったらいいと思うんですけれども、民主党の言うとおりやられますと、それだけで五兆円以上かかりますので。

 今回の子育て応援特別手当というのは、現下の大変な不況下で、個人の所得がそれぞれみんな減っている、特に子育て世帯は大変でしょうというので、年に三万六千円というのは決して大きい額とは言えませんけれども、何とか支援策になるだろうというので、予算に計上したわけでございます。

西村(智)委員 そうしますと、経済政策というよりは、子育てのための手当ということで支給されるということですか。そういうことでありますと、果たしてこれが本当に子育て支援になるのかどうかということを伺っていかなければなりません。

 先ほど、三歳から五歳までというふうに年齢制限が区切られていると財務大臣が答弁しましたら、枝野委員が、二歳児で二人いる場合はどうなるんだ、それも大変だというふうにおっしゃいましたけれども、それぞれのその根拠ですね、つまり、なぜ三万六千円なのか、あるいは、なぜ三歳から五歳までなのか、そしてなぜ一回こっきりなのか。

 これは、何度役所に聞いても私は納得できる答弁というのは一度も返ってきたためしがないんですけれども、一つ一つ伺いたいと思います。なぜ三万六千円という額なのでしょうか。

舛添国務大臣 これは、住民税の非課税世帯の保育所の基準額が月額六千円でありますので、その半分、つまり月額三千円を補助するということで、三千円掛け十二カ月、三万六千円、こういう計算でございます。

西村(智)委員 その説明、私は初めて聞きました。

 この六千円、住民税の非課税世帯における保育所の料金が六千円、その半分だから三千円。なぜ半分なんですか。なぜ全額じゃないんですか。

舛添国務大臣 国会の場でも、その説明を私は何度かしたことを記憶しております。これは議事録をよくごらんになればどこかに書いてあると思います。

 そして、全額というのも一つの考え方かもしれないですけれども、補助をする、やはりみずからの努力にも頼らないといけない、そういう意味で半額ということを決定させていただいたと。

西村(智)委員 幼児教育期の子育て世帯を支援するということですから、六千円の保育費の半分を補助対象としている、手当の額としたということについては、これは合理的な説明では全くないというふうに思います。

 また、三歳から五歳までということについてでありますけれども、これはなぜ三歳から五歳までなのでしょうか。

舛添国務大臣 小学校に入る前の三年間、これは保育園に通おうと幼稚園に通おうと、ここに焦点を当てたというのは、それは、赤ん坊のとき、乳飲み子のとき、それから小学校へ入ってから、さまざまな補助があります。そういう意味で、一番、全体的に見て、特に、お父さん、お母さんの立場で子育てをやっていると、ここ足りないなというところがこの年齢層なので、そこに焦点を当てたということでございます。

西村(智)委員 今のが明快な説明ですか。いや、とてもそうは思わない。聞いている方々も、これで納得だというふうに思われる方は極めて少ないのではないかと思います。

 保育所でしたら、三歳から五歳までではなくて、三歳未満児だって通園をしておりますよね。なぜ、ゼロ歳から二歳は対象に含まなかったのでしょうか。

 また、幼児教育時における公的助成が少ないんだというお話も午前中の委員の質疑の中でありましたけれども、これとて見れば、実際、日本が公教育において支出している公的な部分は非常に少ない、全体的に、日本が子育てに対して、あるいは教育費に対してかけているお金というのは少ないわけですから、なぜここだけを対象にしてやったかというのは明確な説明はなかったというふうに思います。

 なぜ、ゼロ歳から二歳、そして小学校就学期などは含まなかったのですか。

舛添国務大臣 私は、今まさにその年の子供を、孫じゃないですよ、私の子供ですよ、子育て中でありまして、上の女の子は今小学校三年です。下は幼子、要するに幼稚園の年長さんです。ですから、二人をずっと赤ちゃんのときから育ててきて、やはり、うちの場合は幼稚園ですけれども、三歳、四歳、五歳、つまり年少さん、年中さん、年長さんとくるわけです。ここは本当に補助も何もないんですよ。めちゃくちゃお金がかかりますよ。赤ん坊のときは抱いて行ったりできる。それで、結局、じゃ、幼稚園にだれが送るんだとか、めちゃくちゃ金がかかりますよ。

 ですから、それは、それぞれの家庭の選択はありますけれども、私の子育て体験からいっても、三歳から五歳までの期間というのは非常に相対的に大変だということも改めてつけ加えておきたいと思います。

西村(智)委員 これは、後で厚生労働省にきちんと調査したものを出していただきたいと思います。ゼロ歳から二歳までの子供にかける保育費ないし教育費と、それから、三歳から五歳までにかかる教育費、保育費ですね、どちらでもいいですけれども、それがどのくらいの比較になっているのか。私は、決して三歳から五歳だけがゼロ歳から二歳に比べて重たいなどということはないと思っています。その辺は実態をぜひ調査していただきたい。要求をしておきます。

 また、今回の三万六千円、三歳から五歳についてでありますけれども、所得制限は課さないということになっているわけですね。

 今ほどの答弁でも明らかになったように、なぜ三歳から五歳か、なぜ三・六万円か、なぜ一回限りかということは明確な答弁はなかったと思います。なので、この補正予算の中で、子育て応援特別手当ということを実施する緊急性というのは一体どこにあったのだろうか。すべてのお子さんに対してやるということでありますから、中には、年収二百万円の親御さんもいらっしゃるでしょうし、年収二千万とか二億とかいう方もいらっしゃると思うんですね。全員にこの手当を給付するということの緊急性、補正予算ですから、緊急性はどこにあったのでしょうか。

与謝野国務大臣 所得制限をかけるかどうかというのも当然議論をいたしましたが、恐らく、三歳から五歳のお子さんを持っている方というのは、舛添さんみたいな例外的な方は除いて、おおむね二十代から三十代ぐらいではないかと。その方々はそんなに高い所得の方はおられないはずなので、所得制限をかけるという実質的な意義はない、こういうことで所得制限をかけませんでした。

西村(智)委員 これは補正予算の財政規律という点からしても極めて問題だと思うんですね。補正予算は、財政法上は、緊急性のあるものにつける、編成するということになっています。

 今の経済状況は大変だということは、これは私も認識を共有しておりますけれども、とかく、この点については、先ほど来、こちらの方から、民主党も全員にばらまくんじゃないかというような話が出ていましたが、全く理念はこの政府の言っている子育て応援特別手当とは異なります。後でこれはちゃんと説明をいたしますけれども。

 私は、今回のこの子育て応援特別手当というのは、やはり補正予算の中に盛り込むのは極めて無理筋なものだったのではないかなというふうに思うんですね。

 厚労大臣と財務大臣にずっとお伺いをしておりましたので、ちょっと少子化担当大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 やはり、今回のこの手当は、理念がなかなか明らかになっていないということですので、選挙向けのばらまきではないかというふうに言われているんです。これは本当にゆゆしき問題だと思っておりますけれども、少子化担当大臣として、この子育て応援特別手当、本当にこれでいいんでしょうか。一回限りの、三歳から五歳までの三・六万円、これでいいんですか。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 少子化対策を考える上で、経済的な負担を軽減していくということはやはり大事な対策の一つであると思います。その面で、幼稚園や保育所に通う御家族の御負担を軽減するということから、一定の効果があるものと思っております。

 ただ、ちょっと、今回の補正予算について、ぜひとも全体を見ていただきたいのですけれども、子育て支援に関しては、この子育て応援特別手当だけでなく、困難を抱えた家庭ですとか、あるいは地域のさまざまな子育て支援に対する国としての支援ですとか、もちろん保育サービスの拡充ですとか、かなり総合的にやっております。子育て支援というのは、経済的な支援だけでなく、やはり総合的にやっていくことが大切ではないかと思っております。

 ただ、一回限り、これで十分かと言われれば、なかなか十分でない部分も確かにあると思います。子供については、やはり将来への投資ということで、中期プログラムの見直しなども含めながら、抜本的な少子化対策というものを考えていかなければならないと思っておりますが、今回のこれは、それへの第一歩になると思っております。

西村(智)委員 十分ではない部分もあると、非常に正直な御答弁をいただいたと思います。

 そして、この子育て応援特別手当ですか、これをまた給付する作業がスタート、まあ、この補正がどうなるかわかりませんけれども、スタートするというときには、また自治体にその給付の事務作業をお任せすることになるのでしょうか。総務大臣、確認します。

鳩山国務大臣 同じように、自治体を通じてという形だと思います。

西村(智)委員 総務大臣、覚えておられることと思いますが、私は、総務委員会で鳩山大臣と、定額給付金のドメスティック・バイオレンス被害者への給付について質問をしたことがありました。

 ドメスティック・バイオレンスというのは、配偶者や恋人による身体的または精神的な暴力や暴言も含むというものでありますけれども、この件数は、DV被害防止法の改正などもあって、被害件数がどんどんふえてきております。

 これは大変悲惨なケースが多くて、夫の暴力によって、本当に着のみ着のまま子供と一緒に逃げてきた、住民票を移せば、そこで新しい自治体で住民サービスがいろいろ受けられるんだけれども、なかなかそれができないケースというのがあるんです。やはり追いかけられてくるのが怖いとか、また、住民票が、実際には総務省からのいろいろな通知もあって、加害者である男性には渡らないようにという手はずにはなっているんですけれども、そこをちょっとミスがあって渡ってしまったりということもありました。現住所で給付されないということで、そうすると、逃げてしまったDV被害者や子供さんの分も定額給付金はその世帯主のところに入るんですね。

 私は、このことを大変懸念をいたしました。いろいろ問題が起きてくるのではないか、法的にも問題になってくるのではないかと思っておりましたら、案の定、DV被害者への給付金が世帯主のところに振り込まれるのを差しとめてくれという差しとめ請求が出されております。

 というような問題が起きてきておりますけれども、今回のこの子育て応援特別手当も、その支給事務を自治体に任せるということになると、これはまた定額給付金と同じ問題が起きるのではないかというふうに懸念をいたしますけれども、その点についてどうお考えでしょうか。また同じことが起きるかもしれないとわかっているのに、自治体に給付事務を任せるということになるのでしょうか。

鳩山国務大臣 私は、今の三歳、四歳、五歳の三万六千円の件については、自治体を通じてお配りするということで、それ以外の配り方がないからそういうやり方をするんだと思っておりまして、DV被害者の方の定額給付金の件については、西村委員とは随分やりとりいたしまして、実際に、そっちの話をいいですか、ちょっと。もうその話は必要ないんですか。(西村(智)委員「いいです、もう」と呼ぶ)

 仮処分命令の申し立てが六人、六件あっているんですね。これはまだ審尋をちょっとやっている程度ですから、結論が出るのは時間がかかるかもしれませんが、もちろん、この結果が出れば、法治国家ですから、仮処分の結果については従わなければなりません。

 ただ、定額給付金は世帯主に配るということでやってまいりましたから、したがって、DV被害者が、支援措置で、ちゃんと住所を新しく移しておいてくださればいいんですが、そうでない方々も大勢おられるのはわかっておりますので、DV被害者に対して独自に給付をすることを決めた都市が全部で二百八十七団体あるわけでございまして、これは指示はできませんけれども、技術的な助言はできますので、こうした団体がふえていくことを期待いたしておりますし、その場合に、今度、一兆円、この補正予算に入っておりますいわゆる地域活性化、経済危機の克服のための一兆円を使っていただこうと思っております。

西村(智)委員 その基金も非常に使い勝手がよくないし、締め切り時間は過ぎてしまっていたということもありましたので、これはやはり、また同じことを繰り返すことになるのではないかと私は懸念をしております。

 実際に、ある自治体の中では、DV被害者に対して定額給付金を支給するというところも出ているようでありますので、ぜひこれは、そういった自治体も出てきているということも含めて、今からでも遅くはありません、この手続等については考え直していただきたいと思います。

 そして、もう一回この子育て応援特別手当について伺いたいと思います。問題は、年齢も額もありますけれども、一番の問題は、一回限りということだと思うんです。

 子育ては一年では終わりません。政府・与党の都合に合わせて、子育ては一年では終わりません。これから先もうずっと続いていく、恒常的な仕組みだということがあって初めて子育てにおいて安心感が生まれるのではないか。そういう点からすると、この一回こっきりというのは全くナンセンスだと思います。この仕組みは、恒常的にやるというのであれば私もそれはいいなというふうに思いますけれども、なぜ一回だけなんですか。一回限りで本当に子育て支援になるんでしょうか、財務大臣。

与謝野国務大臣 毎年出すのなら賛成する、一回限りだと反対する、この理屈もなかなか難しい理屈だと私は思います。

 財源が豊富であれば毎年やってもいいわけですが、苦しいお台所の中からせめてものことをやろう、そういう発想であるということも御理解をいただければと思います。

西村(智)委員 これは最初、与党の中では、子育て応援特別手当は三年以内という話も聞こえてきていたんですね。それが、とりあえず一回になったということなんですけれども、そうしたら、では、来年も続けるんだとどなたかが明言してくださるんですか。(発言する者あり)では、やじらないでください。

 三年以内で行うということが与党の中からも出てきていた。ところが、決まったときには、この説明では、子育て応援特別手当は臨時異例の措置だとわざわざ明記しているんです。臨時異例の措置ということは、これは、では、もう来年からはやらないということを政府は宣言しているに等しいと思います。定額給付金に次ぐばらまき政策ではありませんか。

与謝野国務大臣 ばらまきの批判は当たらないと思います。

 臨時異例と書いたのは私自身でございまして、来年これが続けられるような財源が別に当てがあるわけではありませんので、やはりそういう御要望に関しては、一年限りであるならばこれは認めてもいいだろうということで政府・与党で合意したというのが本当のことでございます。

西村(智)委員 一回限りのばらまき子育て応援特別手当をやって、そして将来世代にまた、今回の補正で四十四兆円ですか、国債が発行される、そのツケ回しが行くということになるわけです。

 私たちは、こうした政府の一回限りの政策、安心感を全く生み出さない政策とは百八十度方向性が異なっていまして、私たちが主張している子ども手当というのは、これはもう恒常的な政策です。年間三十一万二千円の子ども手当を支給する。

 この財源についてはどうなんだと、まあ、またあちらの方からいろいろ声が飛んでいますけれども、財務大臣、それは財務大臣がやれば、これは財源はどうなんだというふうには聞かれない。野党がこういう提案をしたときだけ、なぜか知らないけれども、自民党の側から、財源はどうなんだというふうに集中砲火を浴びるわけなんです。

 ですけれども、私たちは、この財源の手当てということについてはきちんとやるとマニフェストに書きますから。マニフェストに書いて、予算の組み替えをしっかりと行う。それは恐らく政府・与党にはできないことだと思います。天下りも容認する、特殊法人特別会計の改革は中途半端、十二・六兆円の天下り団体に対する随契や補助金、こういったものにしっかりとメスを入れていくことによって予算の組み替えを行うということを、これは明確に主張しているわけであります。

 さて、この子育て応援特別手当のほかに、実はいろいろ、今回の政府の子育て支援については非常に時限つきのものが多い、二年とか三年で終わるものがとても多いわけですね。妊産婦の健診費用ですとか、または出産育児一時金の積み上げ、これも三年たったら減っちゃうんです。こういったことでは、とても安心して子供を産み育てようというふうに、なかなか安心感は生まれてこないだろうというふうに思います。

 時間がなくなってまいりましたので、ちょっと質問を途中はしょりまして、一人親世帯に対する支援制度について伺いたいと思います。

 資料でお配りをしておりますが、我が国の子供のいる世帯の貧困率は極めて高いものがあります。OECDのデータ、よく引き合いに出されるものですけれども、私は、今回は、子供のいる世帯で、働いている一人親、働いていない一人親のデータがわかるものを持ってまいりました。

 これは委員の皆さんのお手元にしかないんですが、左側には二〇〇〇年前後の子供のいる世帯の相対的貧困率が書いてあります。これによりますと、働いている一人親というところをごらんください、働いている一人親の相対的貧困率は、日本が六割をちょっと切るという数字になっております。このときはトルコが一位でした。一位というのは不名誉な一位でありますけれども、六割を超えていた。ところが、これが経年変化いたしまして、左側が二〇〇〇年のデータ、右側が二〇〇〇年代中盤のデータ。ごらんいただきますと、日本が有業の一人親で相対的貧困率の一番高い国ということになっております。

 さて、そこで、私は、この母子世帯については、やはり経済支援と就労支援、これがセットで行われなければならないというふうにずっと考えておりまして、生活保護の母子加算の削減や児童扶養手当の削減には反対をしておりました。

 この生活保護の母子加算についてでありますけれども、これは恐らく骨太方針の二〇〇三とか骨太方針の二〇〇六、このあたりで、社会保障関係費を五年間で一・一兆円削れ、削るんだ、そういう方向性が示されたことの影響であろうと思います。また、三位一体改革によって児童扶養手当の国庫負担率が引き下げられて、自治体により重い負担が行くようになってしまったからということもいろいろあったりいたしまして、特に生活保護の母子加算でありますが、これは物すごい削減をされて、平成十七年から段階的に減らされてきて、ことしの四月にとうとう全廃されてしまったんです。

 さて、厚労大臣にお伺いをいたしますが、この生活保護費の母子加算の廃止によって、総額幾らの縮減になっているのでしょうか。

舛添国務大臣 生活保護の母子加算につきましては、平成十七年度から三年間かけて、まず十六歳から十八歳の児童に係る母子加算を段階的に廃止したところでありまして、その総額は約二十億円となっております。また、十五歳以下の児童に係る母子加算につきましては、平成十九年度より三年間かけて廃止することとしておりまして、その額は三年間で約百八十億円と見込んでおります。

 ただ、さまざまな就労支援プログラムや何かでふやしている部分もあるということもつけ加えておきたいと思います。

西村(智)委員 合計で約二百億円の削減ということなんですね。これは、私は非常に問題なのではないかと思っております。

 何が問題かといえば、生活保護の母子加算が削減されたことなどもあって、さらに母子家庭の、あるいは一人親と言ってもよろしいでしょう、一人親、特に母子の方ですけれども、その親の自立がさらにおくれているということになっているのではないかということであります。

 私は、この母子加算の約二百億円、これは、今回の政府の補正予算の約十四兆円のばらまきに対して、非常に額は小さいというふうに考えました。母子加算のお母さんが大変な状況だということは、舛添大臣、御存じですね。委員会の中でも何度も質疑をしておられますので、この状況については十分御承知のことだと思います。十四兆円の今回の補正予算のばらまきをやるくらいだったら、二百億円の母子加算の復活はどうしてできなかったんですか。

舛添国務大臣 なぜこの母子加算について削減ないしは廃止という手をとったかということは、一番大事なのは就業支援、お母さんが一人親であっても一生懸命仕事をして子供を育てている、そういう状況をつくり出す。

 ですから、お母さんが、例えば看護師さんになりたい、そういうときにはきちんとこれは手当てをしております。それから、就学手当、つまり、子供が高校生になるよ、ではそこに、学校に入る費用を手当てしようということでありますから。就職の支援をやる、それから生活の支援をやる、それから養育費確保の支援をやる、それから経済的支援をやる、この四本柱で我々のこの一人親家庭への支援のあり方を決めています。私は、そういう理想はいいと思います。

 ですから、母子加算についてなぜ厳しいことを言っているかといったら、働く能力がありながら働こうとしないような方はだめですよと。働く能力がなくて、それは病気とかそういう事情の方はきちんと生活保護を含めてやりますよと。ただ、そうじゃない方に対して、どうインセンティブを与えて、働いて自立してもらうか、この理想も追求しないといけない。そういう中での政策であって、本当に困った方々には、それはさまざまな手できめ細かい御支援を、自治体を含めて我々もやっていくということでございます。

与謝野国務大臣 補正予算全体をばらまきであると断ぜられるのは僣越ではないかと思っております。

 なお、一人親家庭への支援については、念のためでございますが、民主党の経済対策には盛り込まれておりません。

西村(智)委員 先ほど舛添大臣は、就労支援もしっかりとやっているというふうにおっしゃいましたけれども、この就労支援もほんの四十億円程度なんですね。ですから、母子加算が二百億円削減されているのには全く足りません。

 また、例えば母子家庭のお母さんが働いてもらえるようにと、それは私も労働に付随して得られる賃金で生活するというのは基本的な形だろうというふうに思いますけれども、しかし、日本の母子家庭のお母さんは、既にもう八五%が働いております。

 日本でなぜこの就労支援ということが言われてきたのか。私は、やはりアメリカ型のワークフェア、働かなければ一定の扶助は受けられない、そういう考え方が入ってきたことが一つの原因であろうというふうに思いますし、また、その働いている八五%のお母さん方、どういう働き方をしておられるか、舛添大臣も御存じでしょう、約半分がパートや臨時ですよ。それがこういう雇用環境の中でますます厳しくなっている。

 こういうパートや臨時などという働き方を余儀なくされている中で、幾ら働け働けというふうに言っても、これはなかなかうまくいかない。やはり、男女間の賃金格差というものもなくしていかなければなりませんし、また保育所などのサービスもきちんと充実をしていかなければならないと思います。

 そういったことを総合的に含めて、この母子家庭への支援というものは考えているわけでございまして、先ほど財務大臣は民主党の中にそういった案は含まれていないというふうに言いましたけれども、私たちは、今回の補正には入っていないかもしれませんけれども、総合的にこういうパッケージとして、母子家庭の母を支援していくということをきちんと考えております。

 最後にもう一回お伺いをいたしますけれども、この二百億円の母子加算の復活、これは、もう毎日毎日ダブルジョブをして精神的にも肉体的にも困難な状況にあって、子供と向き合う時間がないという悩みを抱えている方には本当に復活すべきものだというふうに思いますけれども、もう一回、総理、お答えいただけませんか。

舛添国務大臣 生活保護における母子加算をなぜ考え直したかというと、そうじゃない、生活保護をいろいろもらっていない母子よりも収入状況がよくなっている。相当福祉政策を頑張ってやっていますけれども、片一方では、生活保護を受けないで一生懸命母子で働いて税金を払っている方々がおられるわけです。こういう方に対する声なき声もあるんです。

 ですから、そういう声にも耳を傾けて、先ほど菅さんに申し上げましたように、バランスのとれたきめの細かい総合的な政策をやっていきたいと思っております。

麻生内閣総理大臣 今、舛添大臣から答弁がありましたように、これはいろいろその地域性もありますし、また周りであったというところも、これは私ども、生活保護世帯率がかなり高い筑豊というところが私の選挙区ですから、今言われるところは、私、新潟より現場というものがかなり身近にあるところにおりますので、今言われましたように、働くということを、やはりある程度きちんと働いている方からの不満というのが出ていることも一部確かですので、その点も考えておいていただければと思っております。

 もう一点だけ修復させていただきます。

 先ほど、二人子供を産んだので義務は果たしたという話をちょっと申し上げましたけれども、これは正直、産みたいと思っても産めない、もしくはいろいろなことがあって、肉体的な理由で産めないとかいろいろな理由があろうと思いますので、義務という言葉は不適切だと思うので、撤回いたします。

西村(智)委員 生活保護を受けないで頑張っているお母さんがたくさんいるから母子加算を復活しないという、この根拠づけは全く的外れだということを最後に申し上げて、質問を終わります。

衛藤委員長 次回は、明八日午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.