衆議院

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第26号 平成21年5月11日(月曜日)

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平成二十一年五月十一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 小島 敏男君 理事 佐田玄一郎君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 田野瀬良太郎君

   理事 根本  匠君 理事 山本  拓君

   理事 枝野 幸男君 理事 菅  直人君

   理事 富田 茂之君

      赤池 誠章君    井上 喜一君

      伊藤 公介君    岩永 峯一君

      小野 次郎君    小野寺五典君

      尾身 幸次君    大野 功統君

      大前 繁雄君    木村 隆秀君

      岸田 文雄君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    坂本 剛二君

      清水清一朗君    下村 博文君

      園田 博之君    中馬 弘毅君

      土屋 正忠君    仲村 正治君

      永岡 桂子君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    林   潤君

      深谷 隆司君    福岡 資麿君

      松本 洋平君    三原 朝彦君

      宮下 一郎君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    山内 康一君

      山中あき子君   山本ともひろ君

      吉田六左エ門君    渡辺 博道君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      川内 博史君    篠原  孝君

      仙谷 由人君    園田 康博君

      高山 智司君    筒井 信隆君

      中川 正春君    長妻  昭君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    渡部 恒三君

      池坊 保子君    江田 康幸君

      古屋 範子君    笠井  亮君

      高橋千鶴子君    阿部 知子君

      保坂 展人君    糸川 正晃君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   外務大臣         中曽根弘文君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   文部科学大臣       塩谷  立君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       石破  茂君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       金子 一義君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 佐藤  勉君

   国務大臣         野田 聖子君

   国務大臣         小渕 優子君

   外務副大臣        橋本 聖子君

   財務副大臣        竹下  亘君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   法務大臣政務官      早川 忠孝君

   厚生労働大臣政務官   戸井田とおる君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   浜野  潤君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   藤田 明博君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   松田 敏明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   片桐  裕君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   田中 順一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   稲田 伸夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            別所 浩郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 樋口俊一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    丹呉 泰健君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 森口 泰孝君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       泉 紳一郎君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        山中 伸一君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          草野 隆彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         瀬戸比呂志君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君

   参考人

   (日本郵政株式会社執行役副社長)         山下  泉君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     清水清一朗君

  大野 功統君     土屋 正忠君

  岸田 文雄君     林   潤君

  菅原 一秀君     安井潤一郎君

  杉浦 正健君     赤池 誠章君

  中馬 弘毅君     山内 康一君

  葉梨 康弘君     山中あき子君

  深谷 隆司君     山本ともひろ君

  大島  敦君     高山 智司君

  馬淵 澄夫君     長妻  昭君

  前原 誠司君     園田 康博君

  江田 康幸君     古屋 範子君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     福岡 資麿君

  清水清一朗君     矢野 隆司君

  土屋 正忠君     大野 功統君

  林   潤君     岸田 文雄君

  安井潤一郎君     菅原 一秀君

  山内 康一君     松本 洋平君

  山中あき子君     葉梨 康弘君

  山本ともひろ君    深谷 隆司君

  園田 康博君     篠原  孝君

  高山 智司君     大島  敦君

  長妻  昭君     馬淵 澄夫君

  古屋 範子君     江田 康幸君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  福岡 資麿君     宮下 一郎君

  松本 洋平君     中馬 弘毅君

  矢野 隆司君     小野 次郎君

  篠原  孝君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     臼井日出男君

  宮下 一郎君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     杉浦 正健君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

衛藤委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房長浜野潤君、内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、内閣府政策統括官藤田明博君、内閣府政策統括官松田敏明君、警察庁長官官房長片桐裕君、総務省大臣官房長田中順一君、法務省大臣官房長稲田伸夫君、外務省大臣官房長河相周夫君、財務省大臣官房審議官樋口口俊一郎君、財務省主計局長丹呉泰健君、文部科学省大臣官房長森口泰孝君、文部科学省生涯学習政策局長清水潔君、文部科学省科学技術・学術政策局長泉紳一郎君、文部科学省スポーツ・青少年局長山中伸一君、文化庁次長高塩至君、厚生労働省医政局長外口崇君、厚生労働省健康局長上田博三君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長石塚正敏君、厚生労働省職業安定局長太田俊明君、厚生労働省職業能力開発局長草野隆彦君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長村木厚子君、厚生労働省社会・援護局長阿曽沼慎司君、厚生労働省保険局長水田邦雄君、社会保険庁運営部長石井博史君、農林水産省大臣官房総括審議官針原寿朗君、農林水産省経営局長高橋博君、経済産業省大臣官房総括審議官瀬戸比呂志君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、経済産業省商務情報政策局長近藤賢二君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君、中小企業庁長官長谷川榮一君、国土交通省大臣官房長増田優一君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長藤田伊織君、環境省大臣官房長南川秀樹君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長鵜飼誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中あき子君。

山中委員 自由民主党の山中あき子でございます。

 きょう、この機会を与えていただきましたことを感謝いたします。

 通告外でございますけれども、新型インフルエンザの新しい展開がございましたので、それについて、一つ提案をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の新型インフルエンザに関しては、日本の対応は大変評価されている点が三つございます。

 まず一つ目は、麻生総理大臣が非常に早い段階でこれに対する対応の会議を開催いたしまして、そして指示を出されたということです。また、BBC、CNNで放送された映像というのが、日本に着陸した飛行機からおりてきた人たちに、サーモグラフィックで体温をはかって、そしてそれによって対応をする、これは大変な驚異的な映像でございまして、そして、メキシコもこの機械が欲しいということを言ったほど日本の技術というのが大変評価されました。

 そしてもう一点は、今度は、メキシコ、カナダ、アメリカからの着陸便に関して、機内において小型のサーモグラフィックで体温を測定し、今回、この件で、二人が陽性であることが確定したわけでございます。

 ですから、その意味で、日本の水際作戦というのは国際社会から見ても大成功であるというふうに思います。

 しかし、今やこの新型インフルエンザは世界各国に広まっておりますので、ヨーロッパ、そして韓国を含めアジアも広がっておりますから、今の便だけの調査でいいかという問題がありますが、しかし、すべての便を調査するということはとても不可能なことです。

 それで、現在、今回の八日に参りましたそのノースウエスト便の中で、日本国内にいる人の三人が連絡がとれないという状況が今あります。私は、今回、ぜひ、生活の安全保障ネットワーク、特に感染症に関して、いつ、どこで、だれに連絡をすれば適切な指示を得られるかというのを、厚労省の電話番号だけではなく、できるだけ、四十七都道府県に必ず一カ所の電話番号、これを早急にネットワーク化いたしまして、そこの都道府県にたまたま滞在する、あるいは住んでいる人がその電話番号に電話をすれば、あなたは習志野に住んでいるならどこどこへ行ってくださいというようなことで、病院にすぐ行かずに連絡をとるということによって感染を防ぐことができるのではないかと思います。

 これは、冬に向けてまた新たな、今の弱毒性が強い毒性を持つこともあり得るということで、今後のさまざまな、こういったパンデミックが起こったときの日本国内のネットワークということになりますので、それをぜひ早急に構築していただきたい。

 そして、同時に、すべての着陸した飛行機に、たくさん書いてもみんな読みませんので、A4一枚に日本語と英語で、十日間このペーパーを携行してください、そして、十日過ぎたら破棄して構いません、ぐあいが悪くなった、発熱がある、せきがあった場合は、病院に行かずに、まずあなたのいる都道府県のこの電話番号に必ず電話をしてください、英語の通じるところはここですということを一つ入れて、四十七都道府県プラス英語で対応できる例えば厚労省のどこかというようなものを一枚紙にいたしまして、数字は万国共通ですのでわざわざ書く必要はないので、今の注意書きだけ日本語と英語で書いておけば、これがひょっとしたら、大変細かなことのように見えますけれども、国内において、まず医療関係者が、あの人が熱があるから来たというのを拒否するというようなことを防げますし、国民も安心して、ぐあいが悪くなった人は病院に直接来ないでしかるべきところに行くんだということがわかる。日本の国内は非常に安定した状況になるというふうに思いますので、ひとつぜひそういった生活の安全保障ネットワークの構築ということをこの際お願いできませんでしょうか。官房長官、恐縮ですけれども。

河村国務大臣 おはようございます。

 貴重な御提言をいただきました。全国ネットワークをもって、どこか一カ所にやれば自動的に自分の居住の地域につながるとか、そういうことを工夫してみたいと思いますし、一枚の、英文等も含めてわかりやすいものをお渡しする、これは貴重だと思います。

 今、水際作戦についても御指摘をいただいたのでありますが、これはこれで徹底をしたいと思いますし、メキシコに対しても、サーモグラフィーを二十五台、既に発送させていただきました。ぜひしっかりその点はやってまいりたい、こう思っております。

 貴重な御提言、ありがとうございました。

山中委員 こういう日本の医療、そして細やかなネットワーク、そして運用能力、これは国際的に大変高いものですので、ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、今、私たちの住んでいる国際社会は非常に不安定になってきております。さまざまな形の紛争が、まだまだアジアにも、そして国際社会全体にも散見できるわけでございますけれども、おかげさまで、私が政務官のときに立ち上げに着手いたしました平和構築の人材育成、このパイロット事業が三年目を迎えることになりました。

 実は、この国会に戻ってくることを決心した一番最初の理由は、ちょうど英国におりまして、日本の顔がどんどん見えなくなってきている。この中で、日本は、イラクへの派遣、アフガニスタンの支援のための給油法案、そして今回はソマリアの海賊対処というのもございますけれども、国際社会における自衛隊の活動、そういったものが、安全保障の活動が大変広がってきている。私は前から両手の外交ということを申し上げているんですが、そういう活動が一方であって、もう一方は、非軍事的な信頼の醸成ということで人を育成するというのが非常に大事であると。

 これは、実は、カナダ、そして北欧、それからヨーロッパの幾つかの国、ニュージーランド、オーストラリアでこういった予防外交、紛争予防、特にノルウェーなんかは非常に人材の育成をやっておりまして、これが国際社会に寄与しているという状況を見て、アジアがぽっかりそれが抜けておりましたので、アジアにこういった人材育成ができるとすれば、そのノウハウもまた財源も、できるのは日本であろうということがありまして、国会に戻ってきた一つの理由なんです。実は、外務省でこの案を提案したときに、正直言って外務省は非常に冷たかったです。

 それで、私は、若手の官僚の方たち十数名と、六カ月間、毎週スクーリングをやりました。六カ月たって、彼らが自然にいろいろな調査をしてきて、やりたいということで物すごく頑張ってくださって、それで一・八億円の予算もつけて、二〇〇七年にパイロット事業がスタートしました。

 このパイロット事業というのが、実は昨年から国連の担当大使、今は高須大使ですけれども、平和構築委員会などで日本の取り組みとして紹介されています。日本の若者と、半分はアジア十数カ国からの若者が一緒に広島大学で二カ月間座学をして、その後、東ティモール、ネパール、ソマリア、いろいろなところがありますけれども、そういう紛争地帯にフィールドスタディーで出ている。これは、国連の関係機関がインターンとして受け入れてくれていますので、そういった若者がアジアの中で日本の教育を受けて、そしてアジアの平和と安定に何か起こったときに、同じかまの飯を食った仲間ということで一緒に活動できる、そういうものでございまして、昨年もさらに広がりました。

 実は大変に、中東などからも送りたい、アフリカからもぜひトレーニングに送りたいという意見が出ておりました。ことし、二〇〇九年度の予算で、麻生総理大臣の重点課題ということで予算も少しふやしていただいたのですが、実は、このパイロット事業のスタートに当たって一番後押しをしてくださったのが当時の麻生外務大臣です。寺子屋という名前をつけて、これを後押ししてくださいました。私は、そろそろ寺子屋からスクール、いわゆる本格的なものに移行していく時期に来ているのではないかというふうに思っておりまして、麻生総理大臣が、総理大臣として寺子屋からスクールに格上げをしていただくという後押しをしていただけないかというふうに思っております。

 その理由の一つはアメリカでございます。オバマ大統領が、先日、プラハで核廃絶ということについて、核爆弾投下の責任も含めて大変勇気ある発言をなさいました。そして、すぐに中曽根外務大臣が、核に関する十一の指標に関して大変すばらしいスピーチをし、総理大臣が、来年日本で核廃絶の会議をしよう、核軍縮の会議をしようというところまで流れております。

 この平和構築の人材の育成というのは、実は、昨年ブッシュ大統領の末期にアーミテージ元副長官たちも力を出されて、アメリカが、軍事、軍事でやってきたことだけでは国際社会の信用を得られないので、平和構築もやりたいということで、平和研究所というのを改めて去年立ち上げまして、トップにはノルウェーのもとの外交官を連れてきました。そして、昨年の秋に十人を一週間トレーニングしたんです。今申し上げた日本の規模とは全然違っておりますので、先日も、ぜひこれから日本と連携したいと。アメリカは、コスタリカにありますピースユニバーシティーと連携をしたいといっております。

 日本はアジアの盟主ですから、ぜひここにある国連大学などを活用して、そして本格的な、例えば博士号、ドクターを取れるような、イギリスのロンドン大学のピーススタディーズ、ウオースタディーズのようなレベルももう一つ足していくことによって、今後、世界第二位の拠出をしております国連への人材の送り込み、こういうもののロースターにちゃんと登録できるような人材も含めて、そういったキャリアパスも含めた本格的なものに格上げしていきたいというようなことです。昨年、日本流平和貢献プロジェクトチームで、一応、私ども提言をまとめまして、総理大臣にお出ししたんですけれども、春にお出ししましたが、秋に総理大臣がかわられました。

 それで改めて、今のアメリカの動きも含めて、日本がアメリカと連携しながらもイニシアチブをとれる、しかも、アジアの中で国連PKOは中国が十五位で日本は八十二位でございますけれども、そういう数字ではなくて、平和構築の方はほかのところがやっておりません。ぜひ官房長官の方でこのことを踏まえまして、平和構築の人材育成に関して官邸で今ちょっと眠っております各省庁の事務局の会議というのがあるはずでございますので、そこを再活動しながら方向性を見出していただくということをこの際お願いすることによって、アメリカの新政権との大変いいきずなが強まるのではないかと思っております。それについて官房長官の所見をお伺いできれば幸いでございます。

河村国務大臣 山中委員がアジアを中心とした平和構築、これは世界の平和構築のためでありますが、この問題で大変な御努力をいただいている、またその成果を上げつつあるということに対して、敬意と感謝を申したいと思います。

 この平和構築分野の人材育成事業、現時点では二年間で約六十名の人材を育成しておるところでございまして、既にスーダン、コソボ、世界各地の平和構築の現場で活躍を始めております。この点については特にアジア諸国から高い評価を得ているわけでございます。この実績をさらに拡大したい、こういう思いでございまして、日本及びアジアから研修員をさらにふやす、あるいはコースを新設していく、そして研修期間も長く延ばす、こういうことで今事業を拡充することにしたところでございます。

 そこで、政府全体として取り組むということが大事でございますので、今御指摘がございました平和構築分野の人材育成に関する関係省庁連絡会議、これで枠組みがございますから、ここにおいてさらに政府全体一体として人材育成に取り組める体制を強化したい、こう思っております。予算も、これは麻生総理のリーダーシップもあって、昨年が一・八億円でございましたが、ことしの予算は三・二億になってございます。これも世界の基金には出すお金もあるわけでございますが、そんなことで本格的に取り組んでおります。

 特に、麻生外務大臣のときの政務官ということもございまして、麻生総理もこのことは十分承知をしております。そしてさらに、今度、寺子屋からスクールへという発想、これも、ぜひそのような形になればいいな、こう思っておりますし、その方向へ向かって着々と進めておると言っていいのではないかと思います。

 また、アメリカも、オバマ大統領のプラハでの演説以降、平和構築に対して力が入っております。この連携もしっかり保つ上においても、日本のやっていることというのはそういう意味で意義がある、このように考えておりますので、一層また御協力もお願いしたいし、御提言もいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

山中委員 大変心強い河村官房長官の御回答をいただきまして私もうれしく存じますけれども、アメリカでは、まだ心の中に、リメンバー・パールハーバーというのが、九・一一の直後に新聞に躍ったということもありますし、あるいは、私たちの心の中に、広島、長崎の原爆のこともあります。ぜひ、アメリカ、日米関係が、真の心の和解も含めて、平和構築のために取り組んでほしいと思いますし、同時に、あす、総理とプーチン首相との会談が予想されておりますけれども、北方領土の問題、シベリア抑留の問題も含めて、また逆に、シベリア開発、そういったことも含めて、隣国との和解、平和、そして国際社会の平和構築のためにともに歩むという姿勢を、ぜひ、日本の外交の一つの柱としていただきたく、お願い申し上げます。ありがとうございます。

 それでは、続いて、財務大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

 今回の補正予算の中で、例えば雇用対策約一・三兆円とか、それから、大変小さな数字ではございますけれども、安心こども基金というのに一千五百億足していただきました。これは、待機児童ゼロ作戦も含めて、お給料が上がらない、あるいはリストラになったとかいろいろな状況で、主婦も働きたいと思ったときに子供を預けるところが非常に難しいという実態を反映しておりまして、この安心こども基金というのを使うと、今までの保育所よりももっと小規模な保育所の設立ができるというようなことも入っております。

 当然のことながら、今回の金融経済危機というのは、一つ日本政府の責任ということよりも、国際的なグローバリゼーションの中で起こっていることです。しかも、IMFの日本の二〇〇九年度の経済予測が、言うたびに変わってきています。先日まではマイナス五・八が、今度はマイナス六・三というぐあいで、大変厳しい状況ですから、できることをとにかくスピーディーにすぐやるという方針で今回のこの補正が組み立てられているというふうに思って、大変私は心強く思っているのでございます。

 しかし、中には、例えば、このツケはどうせ次の消費税で取るんだろうみたいなことを言う向きもございますし、また、もう一つちょっと気になる数字は、これは内閣府の、国民の声を政策に反映しているかという調査で、ことしの一月、八〇・七%の国民が、反映されていないという、これは内閣府の調査で出ております。

 私は、どういうことを考えたらいいかということで、ことしの一月から、自民党の女性議員の方たち中心に、一体どういうことを私たちは目指していくのかということの中で、昨年閣議決定されました中期プログラムの中に、福祉、それから医療、そして子育てに向けて消費税をきちんと活用するという目的化した上で、景気が回復した後、三年後以降に、当時でございますけれども、消費税の見直しを考えるという中で、複数税率の導入も視野に入れてということがございました。一体その中福祉・中負担というのはどういうことなのかということについて研究会で勉強をしてまいりましたところ、どう見ても日本の福祉のあり方というのは、中くらいのところにあって、それでいいのではないかと私ども今思い始めております。まだ研究の途中ですけれども。

 北欧その他、非常に高い福祉、あるいは、子供の手当をどんどん出せといういろいろな意見がありますけれども、そこの負担の割合を見ますと、スウェーデンは六六・数%、それから、デンマークは七〇%近い税金を払っております。日本はまだ四〇%台になるかならないかというところで、アメリカよりはちょっと負担が多いですけれども、アメリカは全く皆保険ではありません。

 そういうことを考えますと、もう少し負担が上がっていて、サッチャーの大きな改革があったとしても、イギリスはある意味では日本よりももう少し福祉を重点化しているという意味で中福祉なんですけれども、租税負担はOECDの二十八カ国のうち日本は下から四番目で、むしろ低負担ぐらいに位置づけられているという現状があります。

 このような現状の中で、私は地元で何十回もミニ集会を開いておりまして、その中で、女性の方々から、医療とか食料とかそういうものに対する消費税のあり方を考えてほしいという意見が随分出ております。そのかわり洋服の方の衣料や何かはもう少し高くなってもいい、だけれども、六〇%、七〇%の税金は払いたくないと。

 私は、この女性の視点、主婦の視点というのをとても大事に思います。なぜかと申しますと、国際比較の中で、家計を握っているのはだれですかというのがありますが、七〇%の国で、稼いできている人が家計をコントロールしている、日本だけがそれと異なって、七十数%が主婦、妻が家計を預かっている、そういう国際比較がございます。

 日本の女性は、ひょっとしたら大変経済観念が発達していて、これは貯金をしよう、これは子供のために、これは住宅ローンというようなことで、随分そういった視点がある。この主婦の人たちが、今回のエコでも、五%の還元で上手に買おう、そういう発想になっている。ぜひ、子育ての最中、高齢者、そして医療関連、例えばDVに遭った女性たちでも子供たちでも享受できるような消費税のあり方を考えてほしいと思っております。

 実は、消費税のあり方というものを調べてみましたら、今、複数税率にすぐできるというシステムの状況になっていないのではないかということに私ども疑問を持ってきたわけです。

 その辺のところ、今後の消費税の方向性と、複数税率ということに対して、ぜひ与謝野財務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 昨年末に閣議決定しました中期プログラムにおいては、社会保障の機能強化、効率化を図るとともに、税制の抜本改革によりまして、消費税を主たる財源としてその安定的な財源を確保する、消費税の全税収は確立・制度化した年金、医療、介護の社会保障給付と少子化対策の費用に充てることに、すべて国民に還元するということを明らかにしたところでございまして、こうした方向性は、少子化、高齢化に伴い、社会保障費の増大が見込まれる中で、御指摘の高齢者や低所得者の方々を初め国民の安心確保につながるものと考えております。

 最後に先生が触れておられました複数税率の話でございますけれども、他の国々で複数税率をやっているところは現にあるわけでございます。消費税率が一定水準以上になりましたときには、当然この複数税率を皆様方でお考えいただくということが必要になる場合があるのではないかと私は思っております。

山中委員 消費税のときに、複数税率にすると言ってすぐ複数税率を導入できるシステム、例えばインボイスのシステムとかそういう形になっていれば、そのときのさまざまな議論、さまざまな方面からの意見で実際何をどうするかということは決まると思うのですけれども、例えばインボイス方式なのかどうか、新しくそういうものを導入するのには、やはり半年とか一年とか時間がかかると思うんです。

 二十年前の消費税を投入したときから見ますと、もう既にコンピューター化も進んでおりますし、それから経済が必ずしも右肩上がりではなくて、昨年のイギリスのようにマイナス二・五ポイント、税を下げるときは省令で下げられるという国もありますから、いろいろなものに適用するために、今回、経済の活性化の一つとして、内需拡大として、新しい形のコンピューターとかそういうものの導入などを早目にきちんと準備しておいて、いざというときがいつになるかは別として、そのときに複数税率も考え得る幅を持たせるというようなことで、ぜひ前もってそういうことを検討していただきたいと思うのでございますけれども、大臣、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 複数税率というのは、実は事務手続が大変な税制でございまして、同じ消費税の中に複数の税率が存在するわけで、どこで区別をするのか、どこで区分経理をするのかという大変難しい問題を技術的に含んでおります。

 しかしながら、ヨーロッパのように消費税が一九%や二〇%を超えるというときは、やはり生活必需品に関しては国民の負担を軽くするというのは当然のことでございまして、やはり将来、消費税のことを考えますときには、複数税率という可能性を我々は考えながら物事を議論していく、そのことは大変大事なことだと思っております。

山中委員 ぜひ福祉、医療、そして子育ても含めて、あるいは国際社会における日本のありようも含めて、温かい思考のできる国であるという国民からの信頼、そして国際社会からの信頼を得るためにも、税制そのものにも温かい視点、そういった家計を預かる者の視点をぜひ取り入れて、今後、日本の国のあり方として進んでいただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

衛藤委員長 これにて山中あき子君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、経済危機対策の中から一人親支援等の質問をする予定でございましたけれども、先週末、国内で新型インフルエンザも新たな局面を迎えたということで、冒頭、幾つかそれに関します質問をしてまいります。

 報道によりますと、新型インフルエンザの感染者は、今、世界各地でふえ続けておりまして、現時点で三十の国・地域、四千六百人を超えると聞いております。特に米国での感染者の数が急増している、メキシコ、欧州でも感染が広がっているということでございます。

 こうした中、先週九日に、カナダから米国経由で成田に帰国した大阪府立の高校の男子高校生二人また教員一人が、国内で初めて新型インフルエンザに感染をしたということでございました。またさらに、行動をともにした男子生徒一人も感染をしているということが確認されております。

 同行者の確認を確実に行っていくこと、検疫官の人員拡充を含めました検疫体制の強化を行っていくこと、また、水際阻止にぜひともしっかりと取り組んでいただきたい、このように考えております。

 また、厚労省は九日、同乗者で健康状態の追跡調査が必要な乗客は百六十三人に上ると発表されています。今回の感染確認がどう波及をしていくか、予断を許さない状況にございます。

 今後、自治体とはさらに連携を強化して、国内発生時の初期対応に誤りがないよう徹底すべきと考えますけれども、舛添大臣のお考えをお伺いいたします。

舛添国務大臣 ついにというか、カナダから帰ってきた子供たちを含めて、先生、四人まで確認されました。今、一生懸命、同乗の乗客に対してサーベイランスを行っているところでありますけれども、まず水際対策として検疫ということをやって、我が省の国立病院機構を含めて動員し、さらに防衛省からも自衛官に来ていただいております。例えば五月六日で五万六千人が帰国する、そのときは、普通は八十人だったのを二百名程度の検疫官にしました。

 今後、もし蔓延国が拡大した場合に、それに応じてまたやらないといけません。そのときには、四空港、これは成田、関空、中部、福岡、それから三海港、港ですね、横浜、神戸、関門などに集中しないといけないので、そのときはそういう体制をとるようにしております。

 それから、先般もそうですけれども、今、簡易検査で陽性になった。それで、結局、前回は高校生なもので、座席をかえたりとかいろいろなことがありましたので、とにかく検疫に基づいて停留ということをやっておりますので、水際対策とともにサーベイランスをしっかりやる、そして国内の体制も整備する、そういうことで今後ともしっかり取り組んでいきたいと思っております。

古屋(範)委員 次に、官房長官にお伺いをしてまいります。

 メキシコから世界へと感染が拡大をしている中、日本においても、今舛添大臣がおっしゃいましたように、空港などの検疫を非常に強化していくということでございました。その意味で、患者の確認は当然でありますけれども、いち早く感染拡大の機会を封じ込めたという点で、今回、水際作戦は成果があったということが言えるかと存じます。ただし、水際での阻止、一〇〇%の効果を期すというのも非常に困難であるということも同時に実感したわけでございます。

 今回心配されますのが、豚が人の新型インフルエンザに感染するという現象が起こっていることであります。五月二日、カナダのアルバータ州の養豚場で二百頭の新型インフルエンザ感染が確認をされております。豚から人へ、人から豚へ感染が繰り返されると、ウイルスが強毒化をする可能性が出てまいります。

 今回の流行、人が免疫を持たない感染症は、一たびどこかの国で流行すれば、瞬く間に世界じゅうに広がっていくということを示しております。スペイン風邪のときのように、第一波よりも第二波に重症者が出るかもしれないということが懸念をされており、秋口をにらみまして万全の対策をとる必要があると思います。

 感染が拡大するにつれまして、発熱外来などの医療分野の未整備、また、マスクをするということが徹底されていなかったり、製造時間のかかるワクチンの開発など、さまざまな課題が今取りざたをされております。来るべき本格的な第二、第三波を迎え撃つ体制を早急に整えなければならないと考えます。

 官房長官、今後の対策についてお考えをお伺いいたします。

河村国務大臣 今回の新型インフルエンザ対策、この問題は国家の危機管理上の重要な課題であるというふうにとらえまして、全力を挙げて今取り組んでおるわけでございます。

 御指摘のように、これが国際化して、まさにパンデミック状況がもう言われておる、こういう中でございますので、まずは水際作戦を政府としては最大力を入れておるところでございますが、国際的な情報の収集、それから国民への迅速かつ的確な情報提供、これも一義的に考えておりますし、また国内の医療体制整備を今進めておるところでございます。

 しかし、今まさに大事な御指摘がありましたように、一度流行が終わって、さらにこの夏を越えて秋に第二波が来る、スペイン風邪のときもそうであったというふうな指摘を受けております。そこで、このための対策を今のうちからきちっと考えておく、非常に大事なことだと思います。

 これからの新しいワクチンの製造等については、また詳細は厚労大臣にお聞きいただければと思いますけれども、いわゆるワクチン株も既にWHOから来ておりますので、そういうことも当然考えなきゃなりません。

 そんなことで、今御指摘いただいた点は大事な点でございますから、国民の安心、安全のためにも、もっと迅速かつ的確な対応、これからの問題にも対応できるような体制づくり、これを今後十分注意して対応していきたい、このように考えております。

古屋(範)委員 ぜひ、国民の生命を守る危機管理、総力を挙げていっていただきたい、このように考えております。

 次に、文部科学大臣にお伺いをいたします。

 今回、日本で確認をされましたインフルエンザの感染は、感染地であるカナダに語学研修旅行に行った高校生の一行でございました。水際で判明したために感染拡大を食いとめることができたとは思われますけれども、米国、カナダでの感染が広がったというのも、集団行動をする学校であったということに注目をしていかなければならないと思います。

 先月二十九日、WHOはフェーズ4から5に引き上げましたけれども、米国やカナダの学校の患者が増加したことがその理由の一つとなっております。米国ではニューヨーク市の高校で四十人以上の集団感染が発生をし、カナダ東部の高校でも集団感染が確認されるなど、学校が一つ感染の媒介の場になっているということが言えるかと思います。

 今回、水際で食いとめることができたわけですが、今後、学校、集団行動、若者と、危惧する要素が重なるほど、感染拡大のおそれが強まっております。学校における感染防止、ここが非常に重要になってくるかと思います。

 この大型連休を海外で過ごした子供さんもいまして、学校が始まり、海外に行ってきたのではないか、もしかしたらそのようないじめも起きてしまうかもしれないということが懸念されます。

 そこで、今後、子供たちがパニックまた偏見に陥らないように、また心の健康を保つために、文部科学省の行動計画では、感染が確認された都道府県はすべての学校に休校を要請することを想定していらっしゃるようですが、今後の方針など、学校における感染防止策について大臣にお伺いをいたします。

塩谷国務大臣 今回のインフルエンザにつきましては、特に若い人がかかりやすいということで、我が国においても初めて確認されたのが高校生であったということで、私どもとしても、改めて緊張感を持って対応しなければならないと考えております。

 そのために、まずは、正確な情報を児童生徒や保護者に伝えて、確実に迅速に周知徹底するということ、また一方で、不確実な情報による不要な不安や混乱を防止して、適切な判断、行動がなされるように指導しているところでございます。

 また、新型インフルエンザから、帰国した児童生徒が学校において風評により不当な扱いを受けることのないように、冷静な対応をとることを指導しております。

 また、都道府県において感染が確認された場合の対応につきましては、まずは、専門家による検討を踏まえて弾力的、機動的に対応する必要があると考えております。例えば、学校の児童生徒に新型インフルエンザが発生した場合と一般の方に発生した場合では、学校の対応も異なると思っております。どうしても、学校の場合は集団ということがありますので、全体でどうするかということも考えなければなりませんし、ただ、臨時休業になると、この範囲については、政府全体の対処方針を踏まえて、各都道府県の保健部局と相談して適切な対応をとるように考えております。一応、原則としては、その県で発生した場合には県内の全校休業としておりますが、ただ、その発生状況、あるいは地域の通勤通学状況、いろいろな状況を踏まえて、ここは具体的にまた相談して決定することになっております。

 いずれにしましても、正確な情報収集をすると同時に、学校関係者が冷静かつ適切な対応をするように指導してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 大臣がおっしゃいましたように、正確な情報提供は非常に重要かと思います。九日の朝、舛添大臣が記者会見をしてくださり、非常に詳細な情報提供をしていただき、国民の側もパニックに陥らず、今、冷静に対処をしてくださっているかと存じます。今後とも、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、生活保護の母子加算の見直しについてお伺いをしてまいります。

 二〇〇六年全国母子世帯調査によりますと、日本の母子家庭の約八五%が働いている、非常に高い就労率でございます。しかし、過半数がパートタイム、派遣など不安定また低賃金であるということ、また二つも三つもかけ持ちをし、働かなければならないという状況でございます。

 母子世帯の平均年収、就労収入が百七十一万、児童扶養手当なども含めて平均年間所得二百十一万ということで、全世帯の四割以下という低い所得となっております。これは、子育てで残業が難しい、あるいは正社員として仕事につくことが難しい、パートなどの不安定な雇用条件であるということが一因であるかと考えられます。

 こうした中で、御心配をいただいていた児童扶養手当、昨年四月の法改正の施行の際には、適用条件を厳格にして事実上その削減を凍結したということ、シングルマザーの皆様からも喜ばれております。

 一方で、生活保護の母子加算につきましては、対象となる母子家庭が受給できる生活保護費が生活保護を受けていない母子家庭の平均収入を上回っているということで、二〇〇五年から五年をかけて減額をし、二〇〇九年、廃止となったわけでございます。

 厚生労働省は、この母子家庭の就労支援を強化して、自立に向けた新たな給付を設けるなどの支援を行っていると聞いております。この問題につきましては、何度も質問がございました。舛添大臣も繰り返し御答弁をされているわけでございますけれども、改めて、この母子加算の見直しの意義、また今後の母子家庭の支援の基本的な方向性についてお伺いいたします。

舛添国務大臣 生活保護の母子加算というのは、昭和二十四年に、生活保護の生活扶助基準自体が低かった時代に、すべての母子世帯について生活費の上乗せとして支給するとして決めたものです。

 その後、生活保護の基準が一般国民の消費と均衡するよう、毎年のように引き上げてきたところでありますけれども、平成十六年に母子世帯の生活費について検証したところ、母子加算を含む支給総額が一般の母子世帯の平均的な消費水準を上回っていたということから、一律に生活費を加算することは適当ではなく、また母子加算を廃止したとしても一般の母子家庭の平均程度の生活を行うことができると判断して見直したものでございます。

 ただ、一方で、母子家庭は自立に向けて多様な課題を抱えておりますので、その支援の方法といたしましては、母子加算のように一律に現金を給付するよりも、被保護世帯の状況に応じて、例えば就労援助、カウンセリングなどによる支援、教育に必要な費用の給付などを行うことが実は母子家庭の自立に資するだろうと考えておりまして、今後とも、母子家庭の自立に向けて多様なニーズに対応した総合的な支援を行ってまいりたい、そのように思っております。

古屋(範)委員 今、母子加算見直しについての理念というものをお答えいただいたわけなんですが、生活保護を受けている方の自立をしっかりと、また温かく支援をしていくということが大事なんだろうと思います。

 厚生労働省はこれまでも、高等学校等就学費の創設、あるいはひとり親世帯就労促進費の支給などを行って、母子家庭への配慮をしていこうと努力をされてきたと認識いたしております。しかしながら、これまで支給を受けていた母親から、苦しい生活を送る母子家庭に配慮してほしいとの声が寄せられております。

 厚生労働省がこれまで母子家庭に向けて実施をされてきた自立支援策、また今回の補正予算案において新たにどのような支援を行おうとしていらっしゃるのか、ぜひ大臣から丁寧に御説明いただきたいと思います。

舛添国務大臣 母子世帯の多様なニーズに総合的に対応するために、平成十七年以降、さまざまな仕組みを充実させてきました。具体的には、まず、高等学校などでの学習に要する費用を支給する、高等学校等就学費を創設しました。それから、一人親世帯の就労を支援するための就労支援促進費というのもつくりました。それから、就労支援プログラムによって、個々の母子世帯の状況に応じた支援、福祉事務所とハローワークの連携による就労支援事業の推進。さらに、四番目として、生活能力や就労能力が低いため就労が困難な世帯に対しては、生活向上の訓練やカウンセリングなどの支援、これは就労意欲喚起等支援事業と言っていますが、これを行ってきました。

 さらに、今御審議いただいていますこの補正予算におきましては、母子世帯などの生活保護世帯全体の子供さんについて、福祉事務所に専門相談員を置いて、生活保護世帯の子供の日常生活習慣の指導や進学相談などを実施するとともに、生活保護世帯の子供、小中高を含めて、家庭内学習やクラブ活動のための費用を賄うために新たな給付を創設することとしてございます。

 これらの事業は、生活保護世帯の子供一人一人の自立に結びつくよう、また貧困のいわゆる再生産ということを招くことがないように、子供の健全育成をきめ細かく支援するためのものでございます。

 このように、厚生労働省としましては、母子世帯の子供に限らず、すべての生活保護世帯の子供の健全育成に関する支援をする政策を、ほかの子育て支援に係る各種施策とあわせて推進して、今後とも生活保護世帯が自立する、そういうことを積極的に支援してまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 私も、この生活保護世帯の子供という部分に着目をしてしっかり具体的な支援を行っていく、このことが重要ではないか、このように考えております。

 私は、先月、四月の二十七日なんですが、港区役所の中にございます、子ども課家庭相談センターというところへ行ってまいりました。この家庭相談センターでは一人親への支援を行っておりまして、NHKなどテレビでも紹介をされまして、私もこの目で確かめようと行ってまいりました。

 担当の若林係長からお伺いしたんですけれども、DVの被害などで相談に来られる方は離婚がきちっと成立をしていないので、そうした法律相談も行っている。この事業が始まりましたのが二〇〇七年四月一日からということで、母子家庭、一人親家庭、DVで悩む女性などを対象に、そういった法律相談、家庭相談、そして就労相談、子供の養育、ホームヘルプサービス、休養ホーム事業、教育訓練給付金、高等技能給付など一貫した支援をここで行っております。年間二百五十から三百件の相談があり、住むところ、それから生活、就労、子供の養育などしっかりここで一括して相談に応じてくれるということでございました。こうした一人親家庭、またDV被害者などは特に住宅がなかなかないということでもございました。

 この相談の中で、個別の就業支援プログラムに行き着くのは全体の三十人ということで非常に少ないわけなんですが、さらにまた、きちっと就職をするというのはそのうち十三人ということで、それは非常に厳しい道のりであるということでございました。私は、このように一人親家庭への支援、これも相談窓口で一括して実施をして、責任を持ってそこまで持っていってあげる、これが非常に重要なのではないかと考えております。

 こうした支援体制を築いている地方自治体に対して助成を充実させていっていただきたい、このように考えますけれども、舛添大臣、いかがでございましょうか。

舛添国務大臣 母子家庭に対する支援は、もう委員御承知のように、四本柱でやっています。子育て生活支援策が一つ、二番目が就業支援策、三番目が養育費の確保、四番目が経済的支援策。

 それで、今おっしゃった自治体との関連でございますけれども、その前に、具体的には、相談から講習会、就業情報の提供までの一貫した支援を行う母子家庭等就業・自立支援センター事業がありますし、また、母子家庭の母の実情に応じた自立支援プログラムを策定してきめ細かな就業支援等を行う母子自立支援プログラム策定事業がありまして、切れ目のない援助をしたい。

 また、母子家庭就業・自立センターの委託先として、母子福祉団体、NPO法人など幅広い主体を認めておりますし、母子家庭の母などが一時的に生活援助、保育のサービスが必要となった場合に派遣するヘルパーの確保が進むような資格要件を緩和しておりますので、自治体にとっても使いやすいような制度としたいと思っています。

 さらに、現在の厳しい経済雇用情勢の中で、今般の補正予算におきましても、地域の企業、NPO法人を活用して職場開発というようなことも考えております。

 いずれにしましても、自治体と連携して一生懸命この問題に取り組んでいきたいと思っております。

古屋(範)委員 今回、補正予算案の中に一人親支援というものが盛り込まれております。母子加算の廃止を補って余りあるものとなるよう期待をしております。

 この内容について、簡単に御説明いただければと思います。

村木政府参考人 それでは、今般の補正予算に盛り込まれた一人親家庭の就業支援等の施策について簡単に御説明をいたします。

 五つほど柱を立ててございます。

 まず一つは、自立に効果的だと思われる看護師等の資格取得に関して、養成校に通う場合でございますが、生活費の負担軽減を行っております。この軽減策につきまして、支給額の引き上げ、それから支給期間の全期間への延長を盛り込んでおります。

 それから二つ目といたしまして、地域の就業支援につきまして、地域の企業やNPO法人を活用いたしまして、相談支援、それから就職活動支援、そして職場開拓等の事業が行えるようにしたところでございます。

 三つ目といたしまして、一人親が職業訓練を受けている際の託児サービスの実施を盛り込んだところでございます。

 また、四つ目といたしまして、在宅就業につきまして、仕事の開拓、品質管理、従事する人の能力開発、それから相談支援等を行えるよう、このような事業に取り組む自治体への支援策を盛り込んでおります。

 また、緊急人材育成・就職支援基金のように、職業訓練や再就職、生活への総合的な支援を行う事業につきまして、母子家庭の母を対象としていただき、雇用対策を強化するというような対策を盛り込んでいるところでございます。

古屋(範)委員 しっかり、この補正予算を一日も早く通し、こうした支援を届けてまいりたい、このように考えております。

 次に、小渕大臣にお伺いいたします。

 母子家庭も非常に大変な御苦労を抱えていらっしゃるんですが、やはり父子家庭も同じようにお子さんを抱えて仕事をしていく、これは父親にとっても大変なことだと思います。今回の一人親家庭対策の強化において、母子家庭のみではなく父子家庭への支援も含まれております。深刻な不況が続いていることを考えますと、やはり父親、母親、どちらも使えるような弾力的な仕組みが必要なんだろうと考えます。

 そこで、子供という視点に立ったときに、どのような家庭形態であったとしても子供の最善の成長が社会的に保障されるようさまざまな面での適切な支援が必要であると考えます。子供の健全育成という観点で、小渕大臣の御見解をお伺いいたします。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 今の厳しい経済状況のもとで、一人親家庭、母子家庭であっても父子家庭であっても、困難を抱えながら子育てをしている家庭の置かれている状況というのは大変厳しいものがあると危惧しておるところであります。どのような家庭環境のもとでも、次世代を担う子供たちが夢と希望を持って、その可能性を最大限に発揮できるような環境を整えていくことが政府の果たすべき使命であると思っております。

 先ほど緊急対策につきましてはお話があったとおりでありますけれども、引き続きまして、年内に策定予定の新しい少子化社会対策大綱に向けて、一人親家庭等の支援のあり方についてさらに議論を深めていきたいと考えております。

 引き続き、家庭環境も含めた一人一人の状況に応じた切れ目のない支援を行い、すべての子供たちの最善の成長の確保に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 今回の支援策の中で在宅就業支援というものが盛り込まれております。ITを使った在宅での就労、テレワークということなんですが、これは私も、ワーク・ライフ・バランスの実現、また母子家庭や子育て世代、また障害を持った方々にも非常に有効な就労形態であると普及に努めてまいりました。

 ぜひとも、このテレワーク、政府を挙げて飛躍的な拡大に向けて環境整備に取り組んでいただきたいと思いますけれども、野田大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。

野田国務大臣 古屋委員が総務省の政務官のときに、リーダーシップをとって、テレワーク推進会議を立ち上げていただいたということを聞きました。

 実は、はるか昔、私も郵政政務次官というのをしておりまして、そのときに、旧郵政省と旧労働省が、平成八年だったと思いますけれども、テレワーク推進会議というのを立ち上げたことがありました。でも、それはすぐに休眠状態になったそうです。

 その事情は、当時はやはりブロードバンドが十分でなかったし、また、当時、テレワークを必要とする人たちがなかなか顕在化していかなかったので、モニターなんかの実証実験をするときに普通の男子社員みたいな人を使ったわけですね。結果的に、それはどうだったかと聞くと、寂しかったという人が多かったんですね。やはり、常にいつも会社で仕事をする癖がついている人が、何の理由もなく、ITがあるから一人で家で仕事をするという環境は、ちょっと当時はだめだった。

 ただ、今、古屋委員御指摘のとおり、母子家庭とか、また高齢者、さらには障害者、多くの人たちが仕事を求める中で、テレワークというのは本当に推進していかなければならない大きな仕事だと思います。

 IT新改革戦略におきまして、二〇一〇年、来年までには、このテレワークに従事する者の人口を倍増しよう、二割にしようということで、現在一五・二%でありますけれども、取り組んでいるところです。

 具体的には、ブロードバンド等の情報通信システムの基盤の整備、または、さまざまな制度環境の整備、普及啓発、公務員自身によるテレワークの実施、また税制支援を延長等々で取り組んでいるところでございます。

 ぜひとも、委員の御指摘のとおりでありますので、私自身も力強い決意を持って取り組んでいきたいと思っています。

古屋(範)委員 ぜひ、リーダーシップをとって進めていただきたい、よろしくお願い申し上げます。

 もう時間でございますが、最後に、難病対策について一問させていただきます。

 今回の補正予算案の中で、一挙に十一疾患を特定疾患治療研究事業に加える、非常に画期的な内容が盛り込まれております。私たちも、先日、この十一疾患の患者団体の方と意見交換をさせていただきました。非常に喜んでいらっしゃる。なおかつ、月数十万の医療費がかかるということでございます。これが現実です。

 その中で、四月の十七日、高額療養費制度等のあり方の見直しに関しまして、医療費の対象となっていない難病患者の家族、慢性疾患等を抱える患者、家族の負担の実情を十分に認識し、適切に対処をすること、そうした高額療養費制度等について、患者の負担の現状や医療保険財政の状況を踏まえつつ、年末までにそのあり方を検討し、速やかに適切な措置を講ずる、こういう与党合意をしたところでございます。

 舛添大臣に、この難病対策については最後、御見解をお伺いし、質問を終わります。

舛添国務大臣 難病の方々、数少ないです。しかし、私は、日本が世界に誇れる国になるためには、そういう方々に対してみんなで支援するんだ、これがなければだめだと思っておりましたので、この本予算で、二十一年度、難病の研究費、今まで二十五億しかありませんでした、これを一気に四倍の百億にふやしました。そして、今度、十一疾患ふやしまして、医療費助成の対象とすることにしました。

 引き続き、今後とも、この難病問題に対しては全力を挙げて取り組んでいって、私たちは本当に高度の社会保障を実現する国にするんだ、そういう意気込みで頑張りたいと思っております。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 閣僚の皆様方、よろしくお願いをいたします。

 私は、今回の十四兆円の補正予算は本当に賢い予算なのかどうか、これまでの無駄遣いを改めるどころか、無駄に無駄を重ねている予算ではないかというふうに分析しております。

 かつて、塩川財務大臣が、母屋ではおかゆをすすっているが、離れですき焼きを食べていると特別会計を評して語られていたことがあるわけでございますが、今回の補正予算は、一般会計でも、補正を理由にあるいは景気対策を理由にすき焼きを役所が食べているのではないか、すき焼きパーティーをしているのではないかというふうに思われる節がある。

 今回、お配りしている資料の二ページ目を見ていただきますと、財政法の二十九条、補正予算を編成できる場合の条件を、財政法の条文を書いてございます。

 内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。

 一 法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合

 二 予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合

というふうに規定しております。

 冒頭、まず与謝野大臣にお伺いしますが、与謝野大臣は、今回の補正予算はこの財政法二十九条に違反するものは全くないというふうにお考えですか。

与謝野国務大臣 全くないと思っております。

川内委員 それでは、今回の補正予算の各項目が、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費に当たるかどうか。財務大臣は当然のごとく財政法二十九条には何ら違反していないのだということを御答弁されたわけですが、私どもは違反しているのではないかというふうな立場ですから、それでは検証をいたしましょうということになるわけでございます。

 今回、私どもは、この補正予算の大きな問題点、四十六基金、天下りの独立行政法人や公益法人などに丸投げをしているのではないか、あるいは将来展望に余りつながることのないであろう農水省のさまざまな基金予算、コスト縮減の原則に反している薄皮まんじゅう方式の高速道路事業を閣議決定に違反して新たに追加する道路予算などについて、今まで議論してきたわけでございます。

 私は、きょう、資料の第一ページ目にまとめさせていただいた各省庁のお手盛り予算、要するに、各省庁が自分たちのさまざまな、項目がまとめてございますが、デジタル対応テレビやあるいは車や太陽光パネルや、さらには箱物にこれだけのものを使っていますねということを、各省から資料を出していただいてまとめさせていただいております。

 これは総額で四千億になるんですけれども、私どもは、これらの財政法二十九条に反する、私はこの四千億は緊要となった経費とはとても思えないわけでございまして、これを撤回して、真に必要な、生活保護の母子加算の復活や、あるいは新生児集中治療室、NICU費用の増額や、あるいは子育て支援の増額などに充てるべきであるということを御提案申し上げたい、編成替えを御提案申し上げたいというふうに思います。

 お手元の資料、一ページ目の表は「川内博史事務所作成」と書いてございますが、これは私が勝手に作成をしたものではなく、一番から五番まで、私が指定した項目について各省庁に資料を提出していただき、財務省にその取りまとめの作業の御協力をいただいた上で、私の事務所の責任ということでつくった表でございます。

 資料を見ていただきますと、一が、地デジ対応テレビの購入。この補正予算で、各省合計で七万九百六十三台、金額が七十億二千八百万円。地デジ対応の期限は二年後である。新品を購入しなくても、チューナーをつければ地デジ対応の放送を受信することはできる。予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費とはとても思えない。

 二は、エコカー等。等とつけているのは、結局、政府が今回、車を買ったら補助を出しますよというのは、新車を買ったら大体すべての車種が対象になるわけでございます、ハイブリッドでなくても。そういう意味でエコカー等とつけてございますが、新車の購入でございます。各省合計で一万五千三百三十二台、合計金額が五百八十七億九千八百万円。各省が自分たちで使う車を購入することが、本予算のときには必要でなかったが補正予算になったらば緊要になったとはとても私どもは思えないわけでございます。

 三は、太陽光パネル。各省合計で三百七十五施設、二百十二億三千四百万。これも、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費では全くないと思います。

 さらに、四は、各省の新築あるいは建てかえの施設整備、いわゆる箱物。新築、建てかえ、いわゆる箱物でございます。これが六十四施設、八百四十九億一千百万円。

 五は、独立行政法人あるいは国立大学法人の箱物施設整備。これは、私どもの鳩山幹事長が代表質問で指摘をさせていただいたアニメの殿堂が含まれているわけでございます。あるいは、細野議員が指摘をした各四十七都道府県に施設整備をされるものが含まれているわけでございますが、これらが百十三施設、二千九十二億六千二百万円。

 いずれも、与謝野大臣は、予算要求の一枚紙の資料の中にあらゆるものが凝縮をされて、しっかりとやりとりをされた上で予算が計上されているのだというふうに御答弁をされましたが、私どもはそうは思わない。補正予算になって緊要になった予算とはとても思えないわけでございます。

 これらのお金は、結局は国民の皆様の懐からいただいて使っているわけですから、あるいは懐から将来いただいて使うわけでございますから。国民の皆さんのお金ですから、右から左にそれを政府が自分たちのことに使っているということに関して、私は、それが果たして本当にこの補正予算の項目としてふさわしいのかどうか、本来、この四千億があれば国民生活に直結することに使えるのではないか、そしてまた、そのことに使うことが政府としての責任なのではないかという観点で御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、今、私が取りまとめの数字を申し上げたわけでございますが、その取りまとめの数字が各省の積み上げの数字であるということで、一つ一つ各役所から、各役所ごとの数字について、そうでございますというふうに言っていただかないと、私が勝手にこの場で言っているだけだという話になりますから。

 まず、第五ページ目の内閣府から始めたいと思います。会計検査院と内閣官房については、資料をおつけしてございますが、きょうはちょっと参考人の方に来ていただいておりませんので、内閣府から始めたいというふうに思います。

 内閣府については、太陽光パネルの設置が二施設で金額的には四千八百万である。そして、独立行政法人の新規の箱物は二カ所、箱物というか新築ですね、新築、建てかえが二カ所、金額としては三十一億五千四百万であるということでよろしいでしょうか。

浜野政府参考人 内閣府におきますデジタルテレビ等の補正予算の概要でございますが、太陽光パネルにつきまして四千八百万円、それから、沖縄科学技術大学院大学に関するもの三十一億五千四百万円でございます。

川内委員 新築は二施設でよろしいですね。

浜野政府参考人 このうち、北方領土問題対策協会の施設整備費につきましては、改修のみでございますので、その点お含みおきいただきたいと思います。

川内委員 きのうちゃんと打ち合わせしたとおり答弁してくださいよ。

 だから、資料に、北方領土二施設については言っていないじゃないですか。内閣府の、沖縄の科学技術大学院大学の二施設については新規ですよね、それをあしたちゃんと言ってくださいね、私は言いますからと言っているじゃないですか。二施設で……(発言する者あり)いや、それは政府の答弁で確認しなきゃ、委員会としては議事にならないじゃないですか。

 新築が、内閣府は二施設で三十一億五千四百万ですね。

浜野政府参考人 そのとおりでございます。

川内委員 それでは、今の要領で各省進めたいというふうに思います。

 次に、警察庁でございます。

 デジタルテレビが、購入台数千百二十台、金額が六千三百万円。車両については、購入台数が八千九百八十一台、金額が二百八十六億二千六百万円。太陽光パネルが、二十二台、金額が十五億二千五百万円。警察庁施設費のうち、新築、改築、それに付随するもの、箇所数が二カ所、金額が四十四億。

 以上でよろしいでしょうか。

片桐政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 次に、七ページの総務省でございますけれども、七ページ、八ページに総務省がついておりますが、デジタルテレビが二百八十七台、千八百万円。太陽光パネルが一施設で十五億円。さらに、施設の改築、新設の数と金額については、一施設で一億八千四百万ということでよろしいでしょうか。

田中政府参考人 間違いございません。

川内委員 ごめんなさい。ちょっと私、独立行政法人、総務省、言い忘れていました。

 総務省は、独立行政法人で三施設、二百六十八億七千八百万というのもありますね。これは箱物。

田中政府参考人 その点も間違いございません。

川内委員 次に、法務省でございますけれども、デジタルテレビが、四万三千二百六十二台、金額が三十四億八千八百万円。車両が、五百二十三台、二十億三千四百万円。太陽光パネルが、八施設、四億九千九百万円。新築、建てかえ、いわゆる箱物が、四十七カ所、七百八十四億七千二百万円。

 以上でよろしいでしょうか。

稲田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 次に、外務省でございますけれども、外務省は、車両が、八十台、三億七千三百万円。太陽光パネルが、四十七施設、五十八億八千百万円。

 以上でよろしいでしょうか。

河相政府参考人 そのとおりでございます。

川内委員 次に、財務省でございますけれども、財務省は、車両が、六十四台、一億二千八百万円。太陽光パネルが、五施設、一億一千三百万円。

 以上でよろしいでしょうか。

樋口政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 文部科学省でございますけれども、文部科学省は、デジタルテレビが、四千台、金額が五億九千二百万円。太陽光パネルが、七十七施設、三十六億一千二百万円。文部科学省所管の独立行政法人、国立大学法人の新築、建てかえ、いわゆる箱物が、九十四施設、千三百九十一億五千七百万。

 以上でよろしいでしょうか。

森口政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 次に、農林水産省でございますけれども、農林水産省は、太陽光パネルが十三施設で十八億二千八百万円。農林水産省自体の箱物、建てかえ、新築、五億二千万円、そして独立行政法人の新築、建てかえ、これが十一施設で百二億七千三百万円でよろしいでしょうか。

針原政府参考人 そのとおりでございます。

川内委員 さらに、経済産業省は、太陽光パネルが七施設で三億三千五百万、独立行政法人の新築、建てかえ、いわゆる箱物が、三施設、二百九十八億でよろしいでしょうか。

瀬戸政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 国土交通省、太陽光パネルが百六十五施設で三十九億四千八百万、新築あるいは建てかえが、四施設、十億八千百万円でよろしいでしょうか。

増田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 環境省、太陽光パネルが、十二施設、一億五千二百万円でよろしいでしょうか。

南川政府参考人 御指摘のとおりでございます。

川内委員 最後に、防衛省でございますけれども、防衛省は、デジタルテレビが、二万二千六十五台、金額は二十八億五千三百万円。車両が、台数が五千六百六十二台、さらに金額が二百七十六億三千万円。そして、太陽光パネルが十五施設で十七億六千百万円。箱物の新築、建てかえが六施設で二億五千四百万円。

 以上でよろしいでしょうか。

長岡政府参考人 一点だけ申し上げさせていただきます。エコカー等への買いかえでございますが、車両数で五千六百六十二台とおっしゃいましたが、五千六百八十二台でございます。

 その他のところは御指摘のとおりでございます。

川内委員 財務大臣、これらを合計すると先ほど私が申し上げた数字になるわけでございまして、合計で三千八百十二億三千三百万ということになるわけです。これがワイズスペンディングなんですか。

与謝野国務大臣 結構な支出だ、ワイズスペンディングだと私は思います。

 それは、先生述べられたテレビ、デジタルテレビにしろ、いずれこれはデジタル時代に移行するわけでございます。また、エコカーにいたしましても、やはり環境に対する対応あるいは燃費の省資源、こういう利口な部分を持っておりまして、先生が御懸念になっているような、穴を掘って埋めるというような有効需要の創出を財政出動を通じて行っているものではない、有効需要の創出も今回はそれぞれ目的と有効性を持っているという意味で、ワイズスペンディングであると思っております。

川内委員 これは全く有効需要ではないですね、財務大臣。

 本来は国民の皆さんが自分が使いたいところに使えるべき、あるいは使うであろうお金を、政府がみずからの車やテレビや太陽光パネルやあるいは施設に使いました、こちらで使うお金をこっちで政府が国民の皆さんに買ってもらいましたというだけの話であって、さすがに政府も自分たちのものを買いますとは恥ずかしくてとても言えませんから、財政演説の中でどう書いてあるかというと、「太陽光発電や環境対応車、グリーン家電の普及促進に取り組みます。」と書いてあって、自分たちのものを買ってもらいますというふうには言っていないわけですよ。

 まあ、いいです。まだあるんですよ。(発言する者あり)いや、民間にまず買ってから、自分たちは最後に。税金ですよ、全部、税金。それで、施策などを厳選いたしましたと財政演説の中ではおっしゃっていますよね。優先順位を明らかにして果断な実施を図る、優先順位を明らかにしてと。

 国民生活が大変に窮乏している。例えば、今回の補正予算の中で、母子家庭の母等の在宅就業拡大調査委託費という厚生労働省の予算が一億ついているんですけれども、これに何と書いてあるかというと、現在の厳しい経済雇用情勢の影響は真っ先に経済的基盤が弱い母子家庭に及ぼされていると。真っ先に経済的基盤が弱い母子家庭にその影響は及ぼされている、こう言い切っているんですね、その予算要求の理由として。

 だったらば、そちらの方の、経済的基盤に傷がついている母子家庭等に対する支援を優先することが、優先順位が高いんじゃないですか。生活保護の母子加算復活よりも、自分たちのデジタル対応テレビや車や太陽光パネルや箱物を整備する方が優先順位が高いのだとする根拠をお示しいただけますか。

与謝野国務大臣 まず、先生の有効需要という言葉の使い方は、我々が知っている有効需要という言葉とは全く違うということを御認識いただきたいと思っております。

 我々は、何もデジタルテレビと福祉のものを優先順位をつけてやろうなどという考え方をやったわけではありません。雇用あるいはこういう経済危機のもとで困る方々に対する予算に対しては、厚労大臣から御説明をいたさせますけれども、私どもは精いっぱいの配慮をしたと思っております。

 もともと財政的刺激というのは、政府がみずから財政出動を行って有効需要をつくり出すということであって、そのところを誤解して御質問をしていただくのは、私どもとしてはお答えしようがない、これだけはわかっていただきたいと思っております。

 細かい、生活保護家庭あるいは母子家庭、その他の、修学が学費が払えないで困難になっている方々、あるいはその他の細かいあらゆる福祉政策については、舛添大臣のところできちんと取りまとめてこの予算の中に出しているわけでして、そこのところをぜひきちんと御理解をいただきたいと思っております。

川内委員 いや、財務大臣、需要はつくり出すかもしれないけれども、こんなものは有効需要ではないですよ。需要はつくり出しているが、有効需要ではないですよ、と私は思います。

 なぜなら、すべて国民の皆さんの税金ですからね、最終的には。本来国民の皆さんが自分が使いたいところに使えるものを、政府が自分たちのものに使いましたということであって、それはGDPで見たときに国民が使うのも政府が使うのも一緒だが、しかし、それであれば、国民の皆さんのために使うことの方がより補正予算の趣旨としては合うのではないですかということを申し上げているわけで、ここで経済論争してもしようがないので。要するに、賢い使い方ではないでしょうということを言っているんですよ。

衛藤委員長 財務大臣。

川内委員 ちょっと待ってください。私は聞いていないですよ。聞いていないのに、そんな、答えたい、答えたい、おかしいでしょう。委員長、いいですか。いいですか。

衛藤委員長 川内博史君、発言を続けてください。

川内委員 今回、生活保護の御家庭のお子さんに対して……(発言する者あり)

衛藤委員長 諸君、静粛に。

 川内博史君は発言を続けてください。

川内委員 生活保護の御家庭のお子様に対して教育費の扶助を行いますということを、厚生労働省が補正で措置していますよね。これは、子どもの学習費調査という文部科学省がやっていらっしゃる調査をもとに、子供の学習費にはたくさんの項目があるわけですね、その中から三項目だけを今回取り出して、それを措置します、月額、小学生で二千五百円、中学生で四千五百円、高校生で五千五百円ですということです。

 子どもの学習費調査では、ほかにもいっぱいいろいろな項目があるんですよ。三項目だけ取り出して教育費の手助けをしますよということが、子供の学習環境を向上させる、特に生活保護の環境にいらっしゃるお子さんに対して学習環境を増進させるということにつながるんでしょうか、それだけで十分なんでしょうかということをまず文部科学大臣から御答弁いただきたい。

塩谷国務大臣 今回の子供の学習支援のための給付につきまして、今、川内委員から三項目だけというお話がございました。

 その項目としては、学校教育費については、いわゆる教科外活動の一項目が今まで支給されていなかった、それをしっかり支給する。これは、クラブ活動とかあるいは学芸会、運動会。ですから、学校内での教育費についてはすべてです。学校外としましては、いわゆる家庭内学習費とそれから図書費、その二つの項目。さっき三つ言った項目のうち二つが学校外活動でございますから、これは今回対象でございまして、しかしながら、その他、塾とかいろいろ項目があります。それは、そこまでやるべきかという議論もまたしなければなりません。

 三項目だけというのはちょっと誤解が生じますので、ぜひその点を全体から見ていただきたいと思いますが、そういった点で、今回は子供たちの、今まで費用外にされていたものを対象にしておりますし、その他は奨学金の事業をしっかりと充実させて、おおむね最低限の経費についてはこれでカバーできると考えておりますが、今後とも、家庭の経済状況によって修学機会が奪われることがないように、都道府県の対策等についても支援してまいりたいと考えております。

川内委員 いや、三項目だけというのは事実ですからね。子どもの学習費調査の中から三項目を取り出して今回教育扶助の対象にしますよという、その事実を私は申し上げているだけで、それだけで果たして十分なんでしょうか、生活保護の環境下にある子供の学習の意欲を増進させるということについて、十分だと文部科学大臣としてお考えになられるかということを聞いているんですが。

塩谷国務大臣 私が申し上げたのは、三項目だけというと何か少ないような印象を与えるので。いわゆる学校内での活動費についてはすべてになりますので、学校外については、今申し上げましたように、最低限の家庭内での学習と図書費等を加えて三項目になっているわけで、それ以外、塾とか、例えばレクリエーション費とか、そこまで出せというのはまた議論を要するところでありますので、最低限のところではこれが賄えると思っているんですが、十分かと問われると、どこまでが十分かという議論をしないとなかなかその返答はできないと思います。

川内委員 それでは、厚生労働省にお尋ねいたしますが、教育扶助でさまざまな項目があるが、基準額としては、毎月必ず出る額としては、小学校、中学校、あるいは高校生の場合は生業費という形でまた別な措置でやられるわけですけれども、それぞれ二千円とか四千円とか五千円だったと思いますけれども、それ以外は、それぞれの費目に応じて対応していますよ、制度としては対応していますよということを御説明いただきました。

 では、実態として、生活保護の環境下にある子供たちが学習費をどのくらい使っているのか、使うことができるのかということの実態についての調査、あるいは、実際、毎年幾ら教育扶助額が出ているのかということについての詳細な調査の資料と報告書というものはありますか。

阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学大臣からも御答弁ございましたように、まず、学校教育費等については生活扶助でも見ております。(川内委員「詳細な資料があるかと聞いているんですから、そのことについて答えてください」と呼ぶ)

 詳細の問題でございますが、一つは、まず教育扶助の基準でございますが、小学校の場合は、生活扶助の教育扶助としては二千百五十円、それから中学校におきましては四千百八十円でございます。それから、高等学校につきましては、基準額が、基本額で五千三百円、そのほか、学級費でございますとか、教材費でございますとか、授業料とか入学料、その他、必要な経費については生活扶助の中で給付をしているということでございます。

 それから、詳細に今どういうふうな経費の実態になっているかということについては、文部科学省の方でされております調査はございますけれども、それ以外に私どもの方として調査をしておるのは、今のところございません。

川内委員 だから、実態もわからないのに、委員長、生活保護の母子加算については、委員長は大変関心をお持ちなわけですよね。今、実態はわからないと言ったんですよ。厚生労働省は調査したことないわけですからね。教育費の扶助が実態としてどのくらい行われているのか。制度としては、いろいろな扶助をしますよという制度はあるんですよ。だけれども、実態としてどのくらい手助けがされているのかということについては、実態はわからないんですよ。

 文部科学省だって、子どもの学習費調査なんというのは年収四百万で区切っているわけですからね、年収四百万から下の世帯、それより上の世帯。そうすると、低所得世帯の子供たちの学習実態の状況というものがどうなっているかなんというのはわからないんですよ、だれも政府で。能書きは、どんな子供たちであっても、どんな環境にあっても、勉強したいと思う子供たちには勉強する環境を与えようねとあらゆる文書に書いてあるじゃないですか。それにもかかわらず、実態についてだれも知らないんですよ。

 そういう中では、まず、この補正予算で生活保護の母子加算を復活して、少しでも学習の手助けになるように、生活の手助けになるように頑張っていこうねというふうにするのが緊要な予算の組み方なんじゃないんですか。厚生労働大臣、どうですか。

舛添国務大臣 先ほど古屋委員にお答えいたしましたように、二段構えというか、二つの施策をやっていまして、一つは、母子家庭について、例えば高度技能訓練促進費、これの支給額を引き上げるとか支給期間を延長する。それから、やはり職業訓練を受けているときに託児サービスが必要ですから、それをやるとか、在宅就業、先ほどITの話がありましたけれども、それを推進する自治体の助成というのをやるとともに、生活保護を受けている全世帯に対して、日常生活習慣の指導とか進学相談とか、それから、小中高を通じて、家庭内学習、クラブ活動のための費用を賄うための支援というようなことをやっています。

 先ほど申し上げましたように、子育て生活支援、就業支援、養育費確保策、経済的支援策、この四本柱を常にやっておりますので、今回の補正予算でもさらにそれを強力に進めるということで御理解をいただき、一刻も早い成立をお願いしたいと思っております。

川内委員 絶対に理解しません。委員長だって理解しませんよね、今の答弁で。全然、国民に対して、私は、今の舛添大臣の説明で、ああ、わかりました、だから、生活保護の母子加算は復活しないけれども、自分たちのデジタルテレビは買うんですね、車も買うんですね、太陽光パネルも自分たちの役所の上に設置するんですね、ああ、そうですか、わかりましたと、国民の皆さん、だれも言ってくれないと思いますよ。

 財務大臣、もう一つだけ指摘をしておきたいというふうに思います。

 この防衛省資料の次のページに新海洋資源調査試験船建造事業という、これは経済産業省の紙ですけれども、海洋資源の調査試験船を建造します、二百九十五億ですという資料をつけさせていただいておりますが、まず経済産業省に確認しますが、財務省への要求資料はこの一枚だけ、この船の絵がかいてある一枚だけで、二百九十五億、予算要求をしたということでよろしいですね。

瀬戸政府参考人 当初予算につきましては、財政法等の定めに従いまして、各省は八月末までに概算要求書を財務省に提出することとされております。

 他方、補正予算につきましては、当初予算と異なりまして、そのような定めはなく、このため、従来から概算要求書は作成しておりません。

 平成二十一年度補正予算に計上しているそれぞれの事項につきましては、経済危機対策を策定する際、限られた時間ではありますが、財政当局とも具体的な調整を行っております。また、対策の決定を受けて必要な予算額を精査するに当たっても、財政当局と必要な調整を行っております。

 しかしながら、最初に申し上げましたように、補正予算につきましては、従来から概算要求書を作成しておりません。今回も同様の対応となっているために、それをお示しすることはできませんので、かわりに、施策ごとに必要な予算額等について一枚にまとめた資料を提出させていただいていることを御理解いただきたいと存じます。

川内委員 経済産業省は一兆三千億ぐらいこの補正で予算をとっているわけですが、経済産業省のこの補正予算の予算要求というのは、すべての項目、すべて一枚紙であるということでよろしいですね。

瀬戸政府参考人 要求に当たりまして、さまざまな調整を財政当局とさせていただいているということでございます。

川内委員 一枚紙かどうか聞いたんですけれども。

瀬戸政府参考人 さまざまな調整をさせていただいているということで御理解いただきたいと存じます。

川内委員 いや、私が聞いているのは、全部一枚紙ですねということを聞いているわけで、さまざまな調整をしているかしていないかは、これから聞くんですよ。

 まず、一枚紙ですかということを聞いているわけですから、そのことについて、そうかそうでないか答えてもらわないと、質問が続けられないですよ。

衛藤委員長 経済産業省大臣官房総括審議官瀬戸比呂志君、明快に、簡潔にお答えください。

瀬戸政府参考人 さまざまな調整をさせていただいているということでございます。

衛藤委員長 川内博史君、再度。

川内委員 委員長、これは不誠実じゃないですか。

 民主党として、経済産業省に対して、財務省に予算要求をしたときの資料を御提出くださいと言って、いただいた資料ですよ、これは。すべての項目が一枚紙で、非常にごくごく簡単な説明だけで何百億とか何十億とか書かれているんですよ。

 それについて、そうなんですか、全部一枚紙ですねということを聞いているだけですからね。

衛藤委員長 経済産業省大臣官房総括審議官、委員長から申し上げますが、質疑者に対しての答弁は、明快に、正確にお答えください。

瀬戸政府参考人 財務省との調整におきましては、必要な資料を適宜使って調整をさせていただいております。

衛藤委員長 総括審議官に申し上げますが、委員は一枚かどうかということを聞いているわけですから、そこを明快に答えなさい。

瀬戸政府参考人 はい。

 一枚ではございません。

川内委員 一枚ではございませんと言ったんですか。では、何で我々が要求したときに、財務省に提出した資料を出してくださいと言ったんですよ。我々をだましたんですか。

衛藤委員長 川内博史君に委員長から申し上げますが、ただいま経済産業省大臣官房総括審議官は、答弁したとおりであります。一枚ではないと明言をいたしました。(発言する者あり)

 川内博史君、質問を続けて。

川内委員 我々は、補正予算の審議をするに当たって、財務省に提出した資料を下さいと。それで勉強させていただいて質疑をさせていただきたい、それが充実した質疑になりますよねと。この補正予算の中身についてしっかりした議論をさせてくださいということで、民主党として提出を求めたんですよ。

 それに対して経済産業省が出してきた資料がこれだから、これについて、財務省に予算要求するときの資料は一枚紙ですねということを確認しているだけですよ。そうしたら、一枚紙ではありませんとは、どういうことなんですか。

衛藤委員長 経済産業省大臣官房総括審議官、再度答弁を求めます。瀬戸比呂志君。

瀬戸政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、補正予算につきましては、従来から概算要求書を作成していないために、要求資料をお示しすることができませんので、かわりに、施策ごとに必要な予算額等についてまとめた資料を提出させていただいたところでございます。

川内委員 まとめた資料を提出させていただいたところでございますというのは、だから一枚紙だということなんじゃないですか。(発言する者あり)いや、内容に入る前に、だって、我々が求めたものがきちんとしたものであるかどうかということが議論の前提じゃないですか。そんないいかげんなことで、質疑できないですよ。委員長、おかしいですよ。

衛藤委員長 川内博史君に委員長から申し上げますが、ただいま経済産業省大臣官房総括審議官、明快に、正確に答弁をいたしました。この答弁に基づいて、委員として質問をしてください。(発言する者、離席する者あり)

 枝野君、自席に戻りなさい。

 川内博史君、質問を続けてください、何かありましたら。(発言する者あり)

 枝野君、自席にお戻りください。枝野君、委員長の議事整理権に従い……(発言する者あり)枝野理事、自席にお戻りください。政府は正確に答弁をしておりますから。枝野理事、自席にお戻りください。枝野君、自席に戻りなさい。菅理事、笠井委員、自席にお戻りください。

 川内博史君、質問を続けてください。

 枝野君、自席にお戻りください。

川内委員 それでは、経済産業省が本補正予算の予算要求をするに当たって財務省に提出した資料で、私どもがいただいたこの資料以外の資料があるんですか。

瀬戸政府参考人 予算の調整をするに当たっては、さまざまな資料を使って説明をしております。

川内委員 それでは、そのさまざまな資料を使って説明をしておりますという資料を、すべて下さい。

 委員長、その上で質疑をさせていただきたいというふうに思います。

瀬戸政府参考人 補正予算につきましては概算要求書を作成しておらず、統一的な資料をお示しすることが難しいため、具体的な項目について御指摘をいただければ、財務省とどのような調整を行ったか、可能な範囲で、資料も含め、きちんと説明をさせていただきたいと存じます。

川内委員 いや、私ども民主党が政府に対してどういう資料要求をしたかというのを読ませていただきますと、各府省が財務省に対して提出した予算要求資料を御提出くださいと。予算要求資料と。それは、別に説明資料は要らないとは言っていないですよ。予算要求に関する資料を下さいと言っているわけです。それで出てきた資料がこれですからね。

 委員長、ぜひ委員会としてしっかり取り計らってください。

衛藤委員長 ただいま経済産業省大臣官房総括審議官が答弁したとおりです。この答弁に基づいて、委員は質問を続けてください。

川内委員 それでは、具体のことについて、質問通告をしてあることについて聞かせていただきますが、この新海洋資源調査試験船建造事業、これは、海洋基本法に基づいて海洋基本計画がつくられ、その海洋基本計画の中で、経済産業省が海洋エネルギー・鉱物資源開発計画というものを平成二十一年三月に策定をしております。平成二十一年三月、ことしの三月ですよ。

 この海洋エネルギー・鉱物資源開発計画の中で、新しい船が必要です、新しい船が要るんですということが文章として書いてありますか。

北川政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員御指摘の海洋エネルギー・鉱物資源開発計画には、常に早期開発を目指した適切な計画であり続けるよう、諸状況を踏まえて見直しを行うとされてございます。船をここでは記載されてございませんが、内容はそのようになってございます。

川内委員 基本計画には、これは三月に経済産業省で取りまとめている文章ですよ、新しい船が必要だとは書いていないんですよ。それが、何で補正予算になるといきなり、私どもがいただいている資料では一枚紙で船の絵がかいてあるだけですよ、二百九十五億という予算がつくのか。これが緊要なんですか。

 二階大臣、これは撤回していただいて、生活保護の母子加算に回そう、そうお思いになりませんか。

二階国務大臣 我が国の周辺に分布する海底のいわゆる熱水鉱床は、開発が可能となれば、御承知のとおり、供給のほとんどを海外に依存している金属鉱物資源の新たな供給源となり得るわけでありますから、我々は機会あるごとに、諸外国はもとより、また国内におきましても、その可能性を含めて、新たなものを常に探査する準備をしておるところであります。

 また、海洋基本法や海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に沿って、海底熱水鉱床の商業化の実現に向けて目下全力を尽くしておるところであります。このため、新しい調査船を整備して、資源量探査及び環境影響評価を強化するということは、重要な国内資源である海底熱水鉱床等に一日も早い商業化の実現のめどをつける、そういう意味で最大限の努力を行っております。

 例えば、川内委員も御承知のとおり、メタンハイドレート等についても、目下、経済産業省では懸命の努力をいたしておりますが、商業化をするまでにはあと十年ぐらい必要ではないかという説もあります。

 そこで、私は、先般、アメリカのチュー・エネルギー庁長官とお話し合いをしている最中に、メタンハイドレートの問題に移りまして、アメリカでもメタンハイドレートの研究を、カナダとかあるいはまたアメリカ独自でもやっておりますので、お互いにこの知見を持ち寄って研究開発をともにやろうという話も出ておりますので、我々は、そういう面においてもこれから共同研究を検討してまいりたい、このように思っておるところであります。

川内委員 二階大臣、こんなことは二階大臣に申し上げるまでもないわけですが、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画には、そのメタンハイドレートについて、それこそ大臣の御地元の和歌山県沖に、我が国の天然ガス使用量の十四年分の埋蔵量が確認されている、今後はそれをどう実用化するかということが先決であると書いてあります。

 さらに、海洋資源探査船については、去年、新造船が一隻就航をしている。その前に、三十年ぐらい前になりますが、第二白嶺丸という船も今動いている。二隻あるということですから、この開発計画の中では、効率的な探査も行っていこうね、やりくりしながらやっていこうねということで、新しい船が必要だということについての言及はないわけでございまして、なぜ二百九十五億もの予算をつけて、天下り独立行政法人である団体にまた船を買い与えなければならないのかということについての十分な説明があったとは私は思えない。

 さらに、きょうは、次にかんぽの宿について総務大臣にお聞きをしなければならないわけでございますが、時間がもう来てしまうんですけれども、途中で何か混乱したんですが、二、三分延びてもいいですか。

衛藤委員長 それはだめでございます。

川内委員 いや、だって、かんぽの宿もめちゃめちゃ大事なんですよ。

 では、最後、一問だけ。委員長、そのぐらい情けをかけてくださいよ。

 総務大臣、郵政公社時代の不動産の売却についても、非常に不透明なものがたくさんあります。今回の業務改善命令は、日本郵政になってからのかんぽの宿の売却についての業務改善命令ですが、郵政公社時代のことについても、しっかりと調査をして分析をして報告をしなければならぬというふうに思います。この業務改善命令に対する業務改善報告を軽々に受け取ってはならないというふうに私は思いますが、総務大臣の御所見を。

 さらに、せっかく西川社長に来ていただいているので、西川社長にも一問。

 今回、総務大臣から、日本郵政は、本来、簡易保険加入者福祉施設として位置づけられているかんぽの宿を収益事業として減損処理を行い、その減損をしてがくんと落ちた金額を基準として売却価格をセットしているのは不当であるというふうに指摘を受けているわけでございますが、日本郵政社長として、その総務大臣の指摘をそうだとお思いになるのかどうかということを聞かせていただきたいというふうに思います。

鳩山国務大臣 まず最初に、法律の第十五条によって報告徴求というのをした。十七箱の段ボールが届いて精査して、十六の問題点としてまとめたんですね。

 この法十五条の報告徴求というのは、残念ながら、日本郵政株式会社になってからのものしか報告を徴求できない。郵政公社時代に、それこそ千円が四千九百万になったり、一万円が六千三百万に化けているのは郵政公社時代のことでございますので、これは法十四条の一般的な監督権限に基づいて報告や材料を出してくださいというお願いをして、それは届いておりまして、今いろいろと精査をいたしている最中でございます。

西川参考人 お答えいたします。

 御承知のように、本年四月に当社は総務大臣から監督上の命令等を受けまして、その指摘事項について改善、是正に必要な措置を早急に講じること、また、講じた措置について本年の六月末までに報告することを求められているところでございます。御質問いただいた事項は、この命令等の指摘事項の一つでございます。

 当社といたしましては、総務大臣の御命令を重く受けとめまして、当社に設置いたしました不動産売却等に関する第三者検討委員会における議論等も踏まえて、改善、是正に必要な措置を早急に講じるとともに、講じた措置について期日までに総務大臣に報告する所存でございます。

 したがって、現在のところ、日本郵政としての見解をお話し申し上げる段階にはございませんので、御了解をいただきたいと存じます。

川内委員 これで終わらせていただきますが、まだまだ質疑をしなければならないことがたくさんございますので、委員長、ぜひ委員会の質疑をさらに充実させていただけるようお願いを申し上げて、終わらせていただきます。

衛藤委員長 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)委員 中川正春です。

 私の質問に入っていく前に、先ほどの川内委員の資料請求にかかわる問題について、もう少しはっきりさせておきたいなというふうに思っています。

 委員長、それなりの裁きをしたおつもりなんでしょうけれども、もう一回整理すると、我々が資料の要求をするという意図は、なるべく、ここで質疑をする話というのはエッセンスにしておこう、その前に共通した知識というのを共有しながら、そんな中で実りのある議論にしていこうということ、それから、皆さんが言っている時間的な経緯を考えたら、なるべく速やかにということに協力するつもりで資料を出してこいよ、こう言っているんですよ。

 それに対して、彼らが、役所の方が出してきたのは一枚ぽっきりですね。これで質疑しろというから、さっきの川内さんみたいに一つ一つ確認をしていかなきゃいけない。これは、今からずっとその作業をしていかなきゃいけないんですよ。それに対して彼らが言っているのは、いや、内々ではやりとりをやっていますよと。

 それでは何でそれをこっちへ持ってこないのかということに対して、内々ではやっていますよということだけで整理してもらったら困るんですよ。しっかり出してきてもらう、それが前提になって議論が進むんだということ、これをもう一回確認させてもらって、その資料が出してこられない、あるいはまだ時間がかかるということであれば、この議論も時間がかかっていくということなんです。

 そこのところを、委員長、ちゃんと整理ができているんでしょうねというのを、委員長に私は確認したいんです。

衛藤委員長 委員長としてできております。

 国会におきまして、私ども国会は国権の最高機関でありますから、当然、政府としてこの国会に提出する資料は、極めて的確また厳正な立場に立って適切な資料を提出してくるもの、このように確信をしております。

中川(正)委員 一枚ぽっきりで的確な資料ということでなかったからこの話が出てきたんじゃないですか。何を言っているんですか、全然わかっていないよね、委員長。

衛藤委員長 いや、委員長として申し上げますが……(中川(正)委員「これは、理事との間でこの資料についてはどんなようにこれから整理をしていくかということをちゃんと合意を得た上でないと進められないんですよ」と呼ぶ)

 中川君、政府としては、常に国会に対して提出する資料は、彼らが最高の判断をして、取捨選択をして最も適切な資料を出してくるものだと思います。それは、立法府と行政府の立場は違うわけでありますから、立法府と行政府の立場が完全に一致ということはないと私は思います。ですから、行政府の立場として資料を提出したもの、委員長はそのように考えております。

 中川君、質問は続けてください。(発言する者あり)

中川(正)委員 こっちの理事からもそれは理事会でやれと言っているから、今から理事会を開いて整理してくださいよ。その上でないと質問できない。

衛藤委員長 本件について御意見がありますれば……。委員長の考えは今申し上げたとおりであります。休憩はいたしません。

 中川正春君、続けてください。委員長の議事整理権に従ってください。(発言する者、離席する者あり)

 席に戻ってください。

 中川正春君、質問を続けてください。

中川(正)委員 立法府としてしっかりした立場をとってくださいよ。役所が資料を隠していたんだよ。こっちへ出してきていないんだよ。それに対して、出せと言っているわけですから、そのように指示してくださいよ。

衛藤委員長 委員長として、立法府としての権威に基づき、その立場をしっかり踏まえておるつもりであります。

 本件について……(発言する者あり)委員の方から、どうぞ質問を。

中川(正)委員 委員長の責任でもって、さっき、我々協議したときに、協議というのは、役所が内々で協議したときにそれぞれ資料の交換はしました、こう言っているわけですから、それを出させる、委員長の権限の中で。これを約束してください。

衛藤委員長 中川君に申し上げますが、いわゆる質疑者と政府、役所の間でいろいろと話し合われたことだと思います。そのことについてそごがあったということは、公党の、御党のいわゆる委員と役所の立場の問題でありまして、私ども、この予算委員会におきまして、行政府が提案してきたこと、あるいは行政府の発言、それは、私ども立法府は、国権の最高機関としてそれを正確に受けとめなきゃなりません。

中川(正)委員 これは個人の話ではないんですよ。公党として、党として予算要求していたはずの話なんです。

衛藤委員長 個人の話ではありません。全くそのとおりです。そのとおりのことを委員長は踏まえて発言しています。

中川(正)委員 それに対して、紙一枚ですよ。

衛藤委員長 それは、今申し上げたとおり、御党と役所の立場で……(中川(正)委員「だから、そこの判断が間違っていると言っているんですよ、委員長は」と呼ぶ)

 委員長は間違えているとは思いません。

 中川君、質問を続けてください。

 理事、席にお戻りください。

中川(正)委員 この問題については理事会でしっかり話をしていただいて、その上で整理をするということでないと、本来は我々も進むことができない、こう言いたいんですけれども、少なくともこの後この問題をちゃんと理事会で取り上げて、委員長、私は正しいんだ、正しいんだと一人だけ言っているだけですから、ここは話し合いですから、ちゃんと理事会で取り上げて整理をしてください。

衛藤委員長 後刻、理事会でも協議いたします。

中川(正)委員 そこで取り上げてください。

 それでは、続けていきたいというふうに思います。

 これも説明責任の話なんですが、まず冒頭、今回の補正予算の規模、それから中身についても、これまでなかった緊急事態ということを認識して、規模的にも、中身についても、非常に異例のことをやっているわけですね。

 それについて、歳出についてこれまでさまざまな議論をしてきました。つけ焼き刃であったり、ばらまきであったり、さまざま指摘をしてきたわけでありますが、逆に、財源の問題ですね。

 与謝野大臣は、民主党の政策を語るときには、いつも財源の問題を提起されます。それは、前提として、私たちが政権をとった時点でリシャッフルするというか、構造的に、予算のいわゆる使い方、無駄遣い、それから機構、全部含めて改めて組みかえて、新しい政治形態として踏み出していくということの中での財源議論なんですよ、我々は。だから、そういうことを前提にしているから、できるかできないか、こう言われると、政権をとったらできる、こういう説明になっていくわけです。

 ところが、与党の場合は、既に今政権、責任政党としてあるわけですよ。その中で、今回はほとんど、ほとんどというかすべて、十兆円は国債ですよ、あと残りの分はあちこちから持ってきますよと言うけれども、あちこちも、もともとは国債を償還するための資金として用意をしてあった分も含めて、結局は全部借金しますよ、こういうことなんですね。ところが、規模的にも、これはこれまでなかったような中身であるだけに、国民は不安なんですよ。

 それだけで財源を説明するという立場でいるんだろうけれども、というのは、それしかできないから。政府は、積み上げた予算をリシャッフルできない立場にある、いわゆる過去との継続の中でしか積み上げられないわけですから、そうなると、借金するよりほかないねという形で、こんな形態になっているわけですね。だから、そこのところを、しかし、借金でやらなきゃ仕方ないんですねと説明して、それで財源を説明したことになるかというと、私は違うというふうに思います。

 これから先、この借金をどう返していくか。あるいは、改めて構造改革、いわゆる予算面での構造改革をやっていくのであるとすれば、具体的に、ここのところとここのところとここは削っていきますという話がある、そういう前提で財源を説明しないと、これは、それこそあなたの方が無責任なんですよ、今回の予算案については。そこを指摘しておきたいと思うんですが、どうするんですか。

与謝野国務大臣 空前の経済危機、金融危機を迎えた政府としてあるいは政治として何をするべきか。これは、私は二つのことを政治は考えるべきであろうと。一つは、やはり資金の流れをきちんとする、すなわち、金融の円滑化という一側面があります。もう一つの側面は、やはり需要を創出するということを財政出動を通じてやらざるを得ない。そうしませんと、失業とか倒産とかといういろいろな社会的悲劇が起きる。そういうことに直面した政治としては、大変残念ですけれども、借金をしてでも財政出動をせざるを得ない。これが今回の経済危機対策の本質であると思っております。

 民主党の方のいろいろな将来の予算の構想は、もちろん一生懸命つくられたには違いないんですけれども、手品のようにお金が出てくるということ、これをリシャッフルとかあるいは補助金の一括交付金化とかいろいろなことを言うんですけれども、どこかの予算を削らないと新しいものは出てこないはずなので、そういう点をやはりもう少し明快にしていただかないと、我々としてはとても理解しがたいものとしてしか受け取れないということは理解をしていただきたいと思うわけです。

中川(正)委員 私が質問しているのは、うちの予算じゃないんですよ、そっちの予算の説明をしてくださいと言っているんですよ。

 今、借金をしますよということだけで、説明はできていないと言っているんですよ。だから、今ここで、将来その借金はどうするんだ、国民に対してどう説明するんだ、そこがないことには、この予算審議も本来は進まないんですよ、こんな無責任な話では。

与謝野国務大臣 簡単に言えば、景気対策をやらざるを得ない、したがって補正予算を組まざるを得ない、財源はありませんから一部は国債に頼らざるを得ない、こういう図式でございます。

中川(正)委員 だから、言っているのは、国債に頼るということはわかった、しかし、将来これは、今、この統計を見ているだけでも八百十六兆円になる、一六八%、このまま発散するわけにはいかないんですよ。だから、大臣の責任として、将来の計画というのを、どういうふうに構造的に日本の財政構造を変えていきながら平衡的なレベルに持っていく、そしてさらに財源の新しいとり口というのを具体化していく、そういう話を具体的に今やってもらわないと。ただ、金がないから借金だ、こんなことはだれでも言えますよ。それはだれが言っても言えるじゃないか、金がないから借金するんだと。だから説明になっていないんですよ、それは。

与謝野国務大臣 ですから、我々としては、昨年の十二月に財政に関する中期プログラムというものをお願いし、その中期プログラムについては民主党の御賛成はいただけなかったわけですけれども、税法の附則の中にきちんと書き込んで、将来の税制改正の方向性、税制の抜本改革、それから消費税のあり方等について書くことを国会で御承認いただいたわけでして、ただ使うことだけに熱心であるというのではなくて、政府・与党は財政をいかにして再建するかということについても心を砕いているわけですが、これはやはり自民党あるいは公明党だけでできる話ではなくて、それは各党の御協力を得ながら財政再建の道筋をつくっていくことはぜひとも必要だということは、我々、十分認識をしているつもりでございます。

中川(正)委員 それは、三年後と言いますけれども、自民党の政権がそこで続いていくかどうかわからないんですよ。だから、使うだけ使って、その後の始末は次の政権でやってくださいと言っているのと同じことで、こんな無責任な話はないということが一つ。

 それからもう一つ、この中期展望に基づいてプログラムをつくったということですが、これは世界の経済の前提が全然変わってきているんですね。だから、いわゆるいろいろなシナリオが幾つも示されました、この示されたシナリオでさえ、当初言っていたプライマリーバランスの達成は無理ですね、だから旗がぼろぼろになったからおろしました、こういう話だと思うんです。

 それに加えて、今回の日本の実体経済の毀損のされ方、GDPがマイナス六%になっていくだろうというふうな予測、そういうことを前提にした中で、本当にこれだけの規模の借金をしていくということにいわゆるカントリーリスクはないのか。

 当初はいいですよ、これは麻薬的効果ということだと思うんですけれども。これから先を考えていったときのカントリーリスクを大臣としてはどのようにはかって、それを前提にして今何を言わなきゃいけないかというのはあるでしょう。過去にこんなふうに計算したんだからそれでいいんですよという話じゃないし、また消費税についても、上げる上げないということを議論したけれども、ただそれだけですねという話じゃないでしょう。そこのところを示さなきゃ、今回の予算にしても私たちは踏み込めないんですよ。

 そこのカントリーリスクをどのように今大臣として評価して、国民に語ろうとしているのか、そこのところはやはり基本になると思いますよ。それが政権政党なんですよ、それが政権政党です。だから、そこのところがなかったら、おりなきゃいけないんです。

与謝野国務大臣 まず、先生の言うカントリーリスクというのは、多分、いろいろな国々が日本に対する信認を低下させるという意味のカントリーリスク、または、それが具体的な発現として長期金利に出てくるという意味のカントリーリスクだろうと思いますけれども、我々もそれを十分認識しております。

 これは、政府や与党の財政再建に対する熱意がなければ、国の信認あるいは円に対する信認というものは低下していくわけでして、今回は非常に大型の補正予算を組みましたが、財政に対する真摯な気持ちも政府・与党は持っていて、なおかつ、そういうものを具体的な計画として国民や国際社会に提示できるかどうか、ここが大事なところだと思っております。

 六月には骨太方針二〇〇九が出ますので、その中では今後の財政再建の道筋、方向性、こういうものをはっきりと御提示申し上げたいと思っております。

中川(正)委員 それはやはりこの補正予算を説明する前提としてあるべきなんですよ。六月を待って説明するといったら、すべて終わっている話じゃないですか。だから、今要るんですよ。そのことをやってください。でないと、これも、これ以上審議を進められないという話になってしまうので。これは当然の話ですよ。他人のことを批判しているんじゃなくて、自分自身の足元が崩れてきているんですよ、今。そういうことじゃないですか。

与謝野国務大臣 ですから、今考えておりますのは、財政再建目標をフローの目標にするのか、あるいはストックの目標にするのかという問題と、プライマリーバランスに到達するときに、非発散型のプライマリーバランスに到達しなければなりませんので、その道筋というのは、歳出削減プラス歳入改革プラス経済の成長率プラス長期金利の今後の動向と、いろいろな複雑なファクターに依存をしておりますので、ここですぐに、こういうことになりますということはお答えできませんけれども、六月までにはその作業を済ませたいと思っております。

中川(正)委員 具体的に聞いていきます。

 プライマリーバランス、この議論は続けるつもりなのか。続けるんだとすれば、今の政府の目標としてはいつまでにプライマリーバランスを達成しようとしているのか。これは、今の予算にかかわってくるんですよ。そんな、六月なんて待てません。

与謝野国務大臣 いずれにしても二〇一一年にプライマリーバランスに到達することは極めて難しくなっているということはわかっておりますけれども、税収の動向、あるいは経済の動向、これは、日本だけではなく、国際社会全体の動向にかかってくるわけですから、いつこれを達成できるかということは、にわかには申し上げられる段階ではございません。

中川(正)委員 だったら、何も責任持てないということでしょう。そういう意味なんでしょう。政府として財政規律に対しては責任持てないと言っているのと同じことですよ。そういうことでしょう。

与謝野国務大臣 昨年十二月に閣議決定した中期プログラムに書いてありますとおり、政府は、財政規律、それから財政全体に対して将来の国民に対しても責任を持っている、その具体的な方法はこうですということを昨年の暮れに決定し、それは税法に書いてあるわけでございます。

 一定の責任は果たしましたけれども、先生、先ほど御指摘になられましたように、その後の世界経済、日本経済、税収の動向、もろもろを考えますと、中期プログラム自体を若干改訂する必要があるというふうに今考えているところでございます。

中川(正)委員 答えは同じで、責任を持っていないということですよ。わからないと言っているのと同じです。財源、わからない、どうやって組み立てるか、わからない、そういうことなんですね。これぐらい無責任なことはないということをひとつ指摘しておきたいと思います。

 それからもう一つは、これまでキャップで、いわゆる歳出を抑えていくという手法で政府は来られました。それがために福祉関連の二千二百億のキャップというのが批判されて、今回は見直していこう、こういうことで新しい予算も組んできたということです。

 この手法、いわゆる頭からキャップをつくっていきながら歳出を抑えていく、それは、基本的な歳出構造を見直していって、私がさっき表現したリシャッフルというか、構造的に変えていくという予算の組み替えというのができないから、どうしても上の方からキャップ、キャップで、財務省の仕事というのは、そのキャップを達成しているかどうかということを見ていくだけで、中身については何もチェックしていない、こういうことがだんだんはっきりしてきているわけですね。

 それをこれからもやっていくとすれば、逆に、これは、今回は補正を組みましたけれども、ある程度バランスをとっていくために、やはりキャップをやっていかなきゃいけないんだろうと思います、その手法が続いていくとすれば。

 そのことについて、具体的にどれぐらいのキャップをかぶせていかなきゃいけないか、これまでやってきた範疇でいいのか、それともそれ以上にキャップをかぶせていこうとしているのか。その辺は、大臣はどういう説明をするんですか、国民には。

与謝野国務大臣 基本的には、骨太二〇〇六の歳出削減方針というのは、これからも維持していかなければならないと思います。

 しかしながら、福祉、特に少子高齢化という社会の中で、果たして機械的な削減方針というのが具体性あるいは妥当性を持つのかどうかということは、少し考え直す必要があるのではないかというふうにも思えるわけでございます。

中川(正)委員 いつもちらっと評論家的に、考え直さなきゃいけないんじゃないかと思うんです、こう言われる、そういう表現が多いんですけれども。基本的にはどうなんですか、考え直していくんですか、いかないんですか。大臣の立場というのはそういうことでしょう、そこをはっきり言っていくということでしょう。

与謝野国務大臣 二千二百億という数字に関しては非常に世間で誤解があって、実際は、社会保障関係費というのは年に一兆円ぐらい伸びていく、これは毎年毎年伸びる、そのうちの二千二百億を節約しよう、こういう発想だったわけでして、何か今ある社会保障費から毎年二千二百億ずつたたき落としていくんだというような誤解が世間に広がったというのは非常に残念でございますが。

 二千二百億という方針は仮に守るとしても、やはり具体的に出てくる社会保障に真に必要なものについては歳出を実現できるようにやってまいるという必要があると思っております。

中川(正)委員 意味不明。だから、これについてもやはり責任政党としての構想といいますか、こうしていくよというその基本が出ていないんですよ。だから、結局のところ何にもわからない、借金するだけという話になっちゃうんです。

 そこのところをもう一つ言えば、私たちが基本的な部分で税金の無駄遣いをなくしていこうというその背景にあるのは、キャップじゃなくて、一つ一つの税の機能というのをもう一回見返していこう、一つ一つ中身で見返していこう、それで切るところは切る、厚みを入れるところは厚みを入れる、そういう手法でないと、頭からキャップではこれは必ず行き詰まりますよということを提起しているわけです。そこのところの財源論が違うんですよ。

 だから、大臣はいつも我々のところに本当にできるのかどうかということを言いますから、だから政権をとらせてくださいよ、とったらやるんですよということを改めて指摘しておきたいというふうに思うんです。

 もう一つ気がかりなのは、さっき大臣も言われました国債の金利ですね。最近の金利の動向を見ていると、ことし、これが発表されたときに、四月の二十八日でしたか、一・四一〇に上がっている。これは手元の資料、皆さんにお配りしてありますが、十年新発債の利回りなんですけれども、一・四一〇に上がってきていますね。それまでに、二十年の六月には一・八八、それから十九年の七月には一・九六〇。こんな形で、一つ一つのエポックをつくりながら、上がって、では大変だということで、また調整して下げてということを繰り返しているんですけれども。

 これまでの国債をどうさばいていくかという経緯を見ていると、最初、銀行でシンジケートをつくって無理やりにでも国債をこれだけ吸収してくださいよというふうなことから始まって、それだけではというので郵貯の方の資金から国債を買い込む、そしてまた日銀も、もう見るに見かねてということだと思うんですが、日銀自体が市中から国債を買い取るというふうなところまでずっと来ているんですね。

 同時に、そのシンジケートが違った形で、今、衣がえをして、強制的に割り振るというのじゃなくて、市場との会話をしながら国債をさばいていこうというメカニズムが入っているということも私は聞いています。聞いていますが、その中の議論を見ていると、昔のいわゆる割り当て方式と同じような圧力をかけて、それぞれ、金利が極端に上がらないレベルで皆さんが引き受けてくれるという環境をつくっているのかな、実質的には変わっていないというふうにも思います。

 この間、その中の議事録といいますか筆記録を点検もさせていただいたんですが、マーケットは非常に危機感を持っているというふうに思います。

 たまたま、今の現状でいくと市中金融の方が不安があるから安定したものに資金が流れるということで、国債がこういう形でもっているんですけれども、時代が上向いていって、金融自体がもっとリスクのあるものへ向いて使っていけるという流れが一たんできてくれば、これだけ膨張し続ける国債マーケットというのは、今でも日銀が持つというのは異常なんだし、それから、財投でそれを調整しなきゃいけないというのは、これも異常なんですね。そんな流れを解消しないまま、ずっとそのまま発散していくということ、それがどこかでつまずいた時点で結局破綻するという懸念、こういうのが私はあるんだろうというふうに思うんです。

 だから、そこのところをけじめをつける話は、今の段階で、この補正を組んだ段階でやはりマーケットにもしっかりしておくべきだし、政府として、その責任というのはここもあるんだろうと思うんです。その話が大臣から出てこないんです。だから、そこを改めてただしておきたいというふうに思います。

与謝野国務大臣 今の段階で国民に負担増をお願いするということはできない。昨年の十月三十日に総理が申し上げたのは、二〇一一年、経済が回復をしていたら消費税をお願いしたい、また税制の抜本改革もお願いしたいというのは、これは財政再建の話をしているわけでございます。

 これは、選挙のある政治家としてはなかなか言いづらいことではあると思いますけれども、やはりこういう財政の窮状は国民にきちんとお話をして、負担していただくものは負担をしていただく、きちんと総理は、三年後という時間限定的ではあったけれども、政治としては、政権としては、責任を果たす御発言をされたと私は思っております。

中川(正)委員 いや、到底納得できません。

 恐らく、この経済危機、今の対応をしていく以上に、今の政府の無責任な財源論というのは、国民に対して不安を与えているんだと思うんですよ。この不安があるから、では年金は大丈夫なんだろうかというふうなことに結びついてきたり、国として本当に成り立っていくんだろうかという、地元で懇談会を開くと、当面の経済対策も大事だけれども、これで本当に国はもつのか、そういう意見が今しっかり出てきていますよ。だから、そこのところを指摘しておきたい。

 何回も言いますけれども、我々の財源論を批判する前に、自分の足元をちゃんと固めるべきですよ。全然説明していないんですよ、あなた方は。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 それから、これと関連して、今度の危機対策というのは、いわゆる当面の麻薬みたいなものなのか、それとも、とらえようによっては、非常に長引いていって、恐らく構造的に世界の経済機構というのは変わってくる、それを見通した形の対策というのがやはり必要なんだろうと。そういう観点で私たちは我々の経済対策というのを出しているんですが、それと比べると、どうもその場しのぎのもったいない使い方、ばらまき的な使い方ということですね、それが我々の論点なんですね。

 そこのところをきれいに表現しているのがイギリスのファイナンシャル・タイムズで、題名はジャパンズ・ディセプティブ・グリーン・シューツということになっているんですが、日本で訳されているのは、日本の銀行危機の教訓というのをどうとらえているか、そういうことで訳されているんです。

 その一部分を読みますと、二〇〇二年からの日本の経済成長というのは、当時の小泉純一郎首相の改革なしに成長なしというお題目で広められた政府の政策のおかげだと誤って考えられている、首相は、外需なしに成長なし、こう言うべきだったんだ、小泉時代の成長のほとんどは米国、中国などの強い需要のおかげであったが、そのような需要は今では自由落下状態であり、日本の経済回復の希望も同じことなんだと。これは、我々もそう認識していますし、小泉改革自体の評価もここで言われるとおりだ、私たちもそう思うんですね。

 そんな中で、日本が再び外需ということを前提にした経済回復のシナリオを書いていくのか、それとも、それとは違った生きざま、生き方というのを本格的に構造的に変えていくという意思も含めて出していかなきゃいけないのかということになると、私は、やはり今の時点で構造改革を言うべきだろうというふうに思うんです。それがなかなか今回の補正では出てこないんですね。

 さっきのファイナンシャル・タイムズの日本のこれまでの歩みの評価、これをどのように受けとめられますか。

与謝野国務大臣 少なくとも、我々がこの予算をつくりましたときの意図は、当面の経済危機プラス日本経済の構造的危機、この両方に対応した予算をつくろう、こういう気持ちでつくったわけでございます。

 これは、アメリカも過剰消費だと批判することは簡単でございますけれども、アメリカの過剰消費に我々も一部便乗したということは事実でありまして、これからはやはり、外需から内需に転換するというのは容易なことではありませんけれども、外需に過度に依存した経済から内需も大事にする経済に転換を図っていかなければならない。これは、例えばドイツもそうですし、中国、東南アジア諸国等も同じような局面にぶつかっているのではないかと私は思っております。

中川(正)委員 いつもそこまでは大臣言われるんですよ。我々もそう言っているんです。その先が大事なんですね。具体的に何をするかということが大事なので、そこのところが一つ出てきていないんですね。具体的に内需というのは何なんだということを、これはやはり、ここも責任政党としてはこの経済対策の中にしっかりと表明をしなきゃいけないということだと思います。そのことをまず指摘しておきたい。

 それからもう一つは、具体的に日本の経済は変わってきているんですね。貿易赤字がことしから始まってきましたけれども、こうした形で従来型の黒字体質というのがどんどんへっこんできて、恐らく貿易赤字を忍んでいかなければならないような局面になっていくんだろうと多くのエコノミストが指摘をしています。

 それが早くなってきて、遠い将来じゃなくてもう今の時点から始まってきているという現状であるとか、あるいは、それに伴って貯蓄率の低下、これも当然、貿易赤字という話になれば貯蓄率も低下をしてくる。その中で、日本に蓄えられている、あるいは国債という形で固定化されている資金も大きく動いてくるんだろうという予測をしていかなきゃいけないだろうし、GDPそのものも縮んできていますねという話になってくるだろう。

 そんな中で、日本の為替レート、これ自体もどのように動かしていくのか、動かしていくのかというよりも、予測をしながらそれに対してどう関与していくのかという、そんな問題が今大臣の口からしっかり出てこなきゃいけないんだろうと私は思うんです。それを説明して、その上で、今回の経済対策の争点、焦点というのはここですよという話になるんだろうと思うので、そこのところを質問していると時間がなくなってくるから、指摘をしておきたい。いずれにしても、しっかりとそうした戦略に基づいた説明がなっていないということをきょうは指摘しておきたいというふうに思います。

 もう一つ、きょうのテーマでは政策金融の話があるんですが、時間的になくなってきたので、また財務金融委員会の方でそっちはしっかりやらせてもらうとして、もう一つ、官房長官を呼ばせていただいたので、ここをちょっととらえていきます。外国人労働者の問題なんです。

 私の地元は鈴鹿市なんですが、きのうも社会福祉協議会の事務局で話を聞いていたら、今、一日に何人もの若い人たちが、鈴鹿市は一時金を支給しているものですから、きのうもおとといも飯を食えなかったんだ、あるいは、子供を連れて三日ぐらいあちこちさまよっているんだけれども、もうどうにもならないんだというふうな形で、社協へ向いて一時金を取りに来る人たちというのが相当ふえてきている、現実はそういう厳しい状況になってきているんですね。

 そんな中で、特に外国人については、それこそ、自動車関連それから電機関連、そういう物づくりのメッカなものですから、全体の就労人口の一割ぐらいは過去にはあったんだろう。それが、派遣という形がすべてでありましたから、切られてきた。恐らく、一般の失業率というのは四%、五%でとどまっていますけれども、外国人だけに限れば、聞き取りをしたところでは失業率自体がもう五〇%を超えてきているんじゃないか、そういう現状になってきている。

 そんな中で、いろいろ対策を打っていただいているのはわかっています。そのうちで、きょうはちょっと一つに絞って聞きたいんですが、海外から来た人たちに、そして行き詰まった時点で、国からお金を支給して、帰ってください、これで一たん帰ったらどうですかという施策も入れたということ、これは評価したいと思うんですよ。ところが、これも地元からの聞き取りの中で大変困っているのは、ニュアンスとして、一たんそれで帰ったら二度と日本に帰ってきてはいけませんよ、そういうとらえ方で今回みんなやっているわけですね。だから、どうするかと迷うんです。

 ということと同時に、何ということだと。必要なときに呼んでおいて、いろいろな形でよくやるね、よくやるねと褒めてもらっていたと思ったら、今度は、こういう経済の状況になったら、もう要らないんだというので帰っていけと追い出される。これは海外のメディアでも取り上げられていますけれども、日本の人権感覚を疑う、何という国だという非常に厳しい批判が海外メディアではありますが、当然だと思うんですよ。そういうふうに受け取られるような発表の仕方と行政的な措置をしているというのは、これは本当に情けない話です。

 だから、ここで改めて大臣の口から、そうじゃないんだということと、それから、当分の間というような表現を使うんじゃなくて、何年と期限をしっかりと明示して、その明示をすることによって彼らにとっても生活設計が立つわけですよ、子供の教育ということも含めて。だから、そこのところをこの際、この予算委員会の機会を通じてはっきりさせてほしいということです。させてほしいというよりも、世界の世論からいったら、はっきりさせないと、こんなもの格好悪いということです。

河村国務大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘をいただいた点でございますが、この帰国支援事業は、外国労働者、特に日系人の皆様方が実際に日本のああした産業を非常に支えていただいている、しかし、このような経済情勢の中で再就職が非常に難しくなった、一度国へ帰りたいというお話も出てまいりました。

 しかし、帰国費用がどうしても工面できないということがございましたので、これに対しては対応を考えなきゃいかぬということで、企業にも呼びかけたりしながら考えた結果、日系人に限ってそういう支給額を出しましょう、本人一人当たり三十万円、扶養家族については一人当たり二十万円ということで、雇用保険受給者の方には一定額を上積み、こういうことで……(中川(正)委員「それはわかっています。その話じゃないんです。それはわかっている」と呼ぶ)はい。そういう形でやったわけでございます。

 ただ、在留資格による再度の入国については、当分の間というのは、この経済情勢がどうなるかわからないではないかということで、またすぐ帰ってこられてもそれはなかなか対応し切れない、こんなこともあって、今後の経済情勢も見なきゃいかぬだろうということでこの条件がついたわけでございます。

 しかし、今、中川委員御指摘のように、ニューヨーク・タイムズ等に御指摘がございました。実は、このことについて最初に強い指摘をいたしましたのは麻生総理でございまして、この外国人の日系人に対応することも指示があってできたのでありますが、これに対して外国からこのような理解をされている、これは日本としてもおっしゃるとおり恥ずかしいことだから、きちっと対応しなきゃいかぬという指示がございました。

 そこで、当分の間ということについては、今御指摘がございましたが、これはやはりある程度はっきりしなきゃいかぬだろうと。このような誤ったメッセージになったということは日本にとっても非常に残念なことだし、こういうことがあってはなりません。

 特に、日系人の皆さん方からもブーイングが出ているというお話を聞きましたものでありますから、私どもの方も、総理からも強い指示もございました。今、中川委員からも御指摘が、現場でそういうことで伝わっている、これを払拭しなければならぬということで、これに対してのお答えでございますが、この期間につきましては、本事業開始から原則として三年をめどにする、今後の経済雇用情勢の動向も考慮して見直しを行い、この事業をそのような形で書きかえる、明示する、こういうことにいたしたわけでございます。

 これが回答でございます。

中川(正)委員 本事業を開始してから三年をめどにするということですか。ということは、人によって解禁が違うということじゃなくて、一斉に。だから、具体的には何年までということなんですか。本事業が開始したというのは何年何月に見るんですか。

舛添国務大臣 私も全く同じ問題意識を持ってニューヨーク・タイムズなんかを読んでいて、これはいかぬということで。

 要するに、今、帰国支援をしています。したがって、今から三年。三年というのは、それまでの間、景気回復しなければ帰ってきても再就職先がございません。だから、今一生懸命働いてくださる方、二つパターンがあって、残る方々にはハローワークで日本語をやる、いろいろな訓練をする、それをやります。しかし、ちょっとこのまま日本にいたんじゃもう職がないなという方に帰国の手当てを、これは旅費を払う。ただ、お帰りになるときに、身分に基づくあれですから、三年というふうに区切って、そして三年目を見まして、非常にまだ景気が悪いな、いや、もうこれはたくさん就職先ができましたねということになれば、そこで解禁をしたいと。

 逆に言いますと、これは経済の動きですから、三年めどということを言っているのは、二年たちますと、二年後に、これはもう非常に景気がよくなったということに仮になれば、それはそこで検討したい。

 ただ、フォー・ザ・タイム・ビーイング、何のことかわからぬじゃないか、この国はどういう国なんだという批判がありますから、今は三年。私の理解だと、たしかスペインがそういうふうにしていますので、そういうことも参考にして三年ということでございます。

中川(正)委員 これは前、実は決算委員会でも取り上げて、そのときには冷たい反応だったんですが、やっとわかってきてくれたのかなという思いがします。

 その上で、もう一つ重ねて聞きたいんですが、例えば、親戚がこちらにあって急用で三年以内の中で帰ってこなきゃいけないとか、あるいは、これは身分によるビザなんですが、それで厄介なんだけれども、目的がまた違った形で、ここで就労するんじゃなくて、緊急事態で日本に戻ってこなきゃいけないとかいうケースも出てくるだろうと思うんですよ。それはきめ細かに見ていくということですか。それとも、一律で身分での見方を、もうそれでだめだったらすべてだめという解釈なんですか。ちょっとそこを、もう一歩進めて確認をしておきたいと思います。

森国務大臣 原則は今官房長官から御答弁したとおりでございますけれども、なぜ三年をめどにというか、当分の間帰国が認められないかと申しますと……(中川(正)委員「それはもうわかっているのです。これまで何回も聞いたんです」と呼ぶ)いや、それと関連しますから。

 それで、再度入国する場合には、個別に入管法に定める上陸のための条件に適合するかどうかを審査することになるわけでございまして、経済情勢、雇用情勢が変わらないとその条件は整わないということによって、おおむね三年は無理だろう、こういうことでございますけれども、もちろん、個別の事情で、それは個別の事情に応じた再入国のための審査が行われることになると思います。

中川(正)委員 わかりました。

 ただ、三年が適当かどうかというのは、もう一頑張り本当はしたいところで、恐らく二年なんですね。そういう素直なみんなの気持ちがあるということをお伝えしておきたいというふうに思います。

 それで、ここにメモがありまして八分までいいと書いてあるので、もう一つ、さっきの財務金融委員会へ繰り越したという話なんですが、いわゆる政策投資銀行の話です。

 今、議員立法で、ここを使って金を流していこうと。特に、大手の企業に対してもしっかり金融政策を打っていこうということだと思うんですが、そこを考えていくと、これは民営化ということでもう完全に終止符を打たれているんですけれども、私は、この際、基本的に、政策金融の手段の重要な一機関として、やはり国が株式をすべて売ってしまうんじゃなくて、三分の一なりあるいは二分の一なり残しながら、政策金融の手段として使っていくということを考えていくべきなんじゃないか。だから、そういう意味では、これも小泉改革が間違っていたんだ、すべて民営化したらそれで事がおさまるということじゃないんだということの一番象徴的なあかしだと思うんです。

 議員立法では、三年間民営化を繰り延ばしますよということ、モラトリアム三年間、こういう話になっているんですけれども、この際、政府として、これは政投銀だけじゃなくて公庫もそうなんですが、公庫も含めて、将来のそうした政策金融の手段として残していくんだというその意思表示、これをすべきじゃありませんか。

与謝野国務大臣 一応、法律では民営化を前提として物事は書かれておりますけれども、私は、政策金融改革は大不況を前提にしていないという点で欠陥がある改革であったと思って、私自身もそれにかかわったことについては反省の念があります。

 したがいまして、これは与野党で話し合われていると伺っておりますので、そういう中で具体的な方向をぜひお示しいただければと思っております。

中川(正)委員 ということは、政府としては意思を持たないということですか。我々に任すということですか。

与謝野国務大臣 政府は、やはりこういう不況なとき、政府あるいは政府の機関が率先して融資機能を担わなければならないときに必要な手段、ツールというものを持っていなければならないというのは、今回の不況を通じて確信に至るような気持ちでございます。

中川(正)委員 だから、はっきり言ってもらったらいいでしょう。もう民営化路線はやめ、国の金融機関として新しく位置づけます、それでいいんでしょう。

与謝野国務大臣 まないたの上のコイでございますから、どうにでもしていただいて結構でございます。

衛藤委員長 中川君、もう時間が来ていますから。

 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として外務省総合外交政策局長別所浩郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

衛藤委員長 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、質問の機会を賜りまして、ありがとうございます。簡潔に御答弁いただければ幸いでございます。

 まず、今、補正予算の審議で経済対策ということでございますけれども、日本はほかの先進国に比べて三つの特殊要因があるんじゃないか。

 一つは、御存じのように借金がGDP比で一七〇%というべらぼうな、先進七カ国一位の借金大国。つまり、長期金利を常に気にしなきゃいけない、こういうジレンマがある。

 もう一つは、個人金融資産が一千四百兆円ということで、これはもう世界トップクラスです。何でこの金が出てこないのか。需給ギャップを税金だけで埋めるというのは無理があるわけですから、そういう金が出ない理由は、我々は、社会保障が不安だから、将来が不安だからこういう金融資産が出てこないんじゃないか。

 三つ目は、少子高齢化。これは類を見ない日本の特徴でございます。だから、我々は、子育て手当、思い切って一カ月二万六千円を中学三年まで全員のお子さんに差し上げる。そして、医療、介護がこれからビッグビジネスになる、そういうときに、そこに思い切って投資をしていく。継続的なもの、これが必要だ。

 そして、もう一つあえて特殊要因をつけ加えるならば、本格的な政権交代が日本は起こっていないということで、逆に言えば、政権交代というのは日本の唯一切り札、世界は切っていますけれども、日本国が持っている切り札だということで、ぜひ政権交代も国民の皆様に強くお願いをするところでございます。

 我々は、家計に可処分所得をふやす、そこに二年で十四・一兆円、これによって生活をよくすれば経済がよくなる、こういう考え方であります。

 さらには、金融資産を消費に迎えるために、社会保障をきちっと下支えする、そのためのナショナルミニマムという考え方が日本は非常にお粗末で場当たり的です。後期高齢者医療制度を導入したらば、反発が来たから微修正しておかしくなってしまった。リハビリの打ち切りも、反発があったからまた打ち切りはやめる、やめない、おかしくなってしまった。療養型ベッドの削減も、反発があってまた場当たり的で、くるくる猫の目のように政策が変わるというのはよくないということで、哲学を持って社会保障を立て直すということも喫緊の課題ではないか。

 その中で、年金の信頼回復というのが全然なされていないということは、これは日本経済にとっても大変なマイナス要因になってくる。つまりは、老後の不安というのが解消されないということであります。

 そこで、財政検証、年金でございますけれども、所得代替率でございますが、これは非常にバラ色の前提数字を置いて、百年安心だというような数字が出てきております。例えば、消費者物価上昇率は百年間一%、賃金上昇率は名目ですけれども百年間二・五%毎年上がる、そして名目運用利回りは百年間毎年四・一%、こういうバラ色の数字であれば所得代替率五〇・一%を維持できるということでございますが、これはバラ色過ぎて国民の皆様に誤解を与えるのではないかということで、厚生労働省に計算をしていただきました。

 名目賃金上昇率を今二・五で置いていますけれども、これを二パーにしただけで、二パーというのも大変な数字ですけれども、二〇三七年には所得代替率が五〇パーを割れて四九・九八パーとなる。政府の公約の五〇パーが割れる。

 そして、配付資料の一ページ目でございますけれども、これは政府につくっていただいたんでございますが、過去二十年間の平均の消費者物価上昇率、賃金上昇率、利回り、これの過去二十年の平均を置いて年金の所得代替率を計算していただくとどういう数字になったか。これも計算していただいたわけでありますけれども、舛添大臣、この見解と、将来本当に年金は大丈夫なのかということをお教え願います。

舛添国務大臣 財政検証については、長妻さんともほかの方々ともこれまで何度も議論をいたしましたけれども、二〇三〇年ということを今おっしゃったように、二十年先、これを見通しているわけですから、経済の専門家が一定の前提を置いて計算する。それで、その一定の前提を低く見積もれば、それは五〇を割ることもあり得る。それで、逆に高くすれば、逆のケースもあり得るということですから、それで一喜一憂するということではなくて、五年ごとにこれを行うことによって必要な修正を行うということであるので、それはそれで一つの意義があるというふうに思っています。わざと何か高目の数字をして、意図的に五〇にしている、そういうことではありません。

 そして、いつも申しますけれども、例えば合計特殊出生率なんかはむしろ低目の数字を使っているわけですから、だから、こういうことの経済のシナリオというのは一定の意味がある。そして、今の……(長妻委員「どうなるんですか、二十年」と呼ぶ)

 ですから、低い数字を置けば、それは五〇にはなりません。したがって、二十年間あるわけですから、その過程において、それはさまざまな微調整をしていくということであります。

長妻委員 ちょっと御説明、計算をしていただいたということを聞いているんですけれども、これは国民年金の積立金が枯渇してしまう、なくなってしまうんじゃないですか、過去二十年の実績のデータで今後百年推移するとすれば。どうですか。

舛添国務大臣 ですから、そういうことがないように、マクロ経済調整をどこでやめるかとか、そういうことを考えていくということであって、これは基本的に、余りに保険料率を上げないよ、給付率も所得代替率、つまり五〇を下がらないよ、積立金も活用しますよというようなさまざまな前提があるわけですから、そういうことを満たすようにする。

 ですから、低い数字を置けば、それは、今言ったような御懸念も起こり得ますよと。ただ、いかんせん、二十年先どうだ、三十年先どうだ、そういう数字ですから、これは一つの計算であるということだと思います。

長妻委員 何で正直に言われないんでしょうか。年金局がきちっと計算をして、過去二十年間の物価上昇率、賃金上昇、利回り、これが百年続くとすればどういうことになるのか。二〇五〇年で国民年金の積立金が枯渇する、こういう結果が出ているんですけれども、これは舛添大臣、真実ですか。

舛添国務大臣 ずっとそういう低い数字で来ればということですから、我々がやらないといけないことは、そういう低い数字でなく、さらに経済を活性化させる、そして経済回復をさらに進めていく、例えば国民年金の率にしてもそうですよ、そういうことを言っているのであって、何にも矛盾しないと思いますよ。

長妻委員 これは、本当に大本営発表のような発想だと思うんですね。つまり、バラ色の前提数字はどんどん宣伝して国民の皆さんに言う。過去二十年間の平均数字の前提で結果が出ているのに、それは国会で答弁しない、これはおかしいんじゃないですか。前提で我々は言っているわけですから。

 では、いつ国民年金の積立金が枯渇するという認識なんですか、過去二十年だったら。それを言わないじゃないですか。(発言する者あり)

舛添国務大臣 しかし、それは、そのままの数値をそのままとしていくと、機械的な試算をすると、物価上昇率マイナス〇・二、名目賃金上昇率マイナス〇・七、名目運用利回り一・五ということになりますと、マクロ経済スライドが機能しないということでありますし、今度は、物価上昇率〇・七、名目賃金上昇率〇・六、名目運用率二・九であると、これは今の形だと、平成六十二年度に五〇・六%ということで、平成六十二年度には国民年金の積立金が枯渇するということであります。ですから二〇五〇年です。

 だから、これはあくまでその数字でいった場合にということであるから、だから、私も既にどこかで言ったと思いますけれども、シナリオA、シナリオB、シナリオCというのは、これからの改善策としてはですよ、高い数字、真ん中の数字、低い数字、その三つだってどれが正しいかわかりませんよ。だけれども、それでやって数字を出すということになるとより幅が出るから、それは次回からそういうことも考えましょう、ただ、あくまでも一つの前提で、これは前提をやっている経済学者たちがやったことですよということです。

長妻委員 今自民党からも、だめだだめだと言うなというやじが飛びましたけれども、本当にだめだったら、だめだということを国民の皆さんに明らかにするのも政府の役割なんじゃないでしょうか。大丈夫大丈夫、わからないわからない、では何でバラ色の数字を前提にするんですか。わからないのであれば、両方の数字をきちっと国会で答弁して、国民の皆様に、かた目の前提であればこうだ、バラ色の前提だったらこうだというのをきちっとやはり出す必要があると思うんですが、そういうマインドで本当にいいんですか。

 そしてもう一つ。私が本当に不思議なのは、今回十五兆円の経済対策なんですけれども、この消えた年金問題に、これは郵送代とかなんとかは補正予算に金額は入っていますが、最大の対策のポイントである紙台帳の照合が何で入っていないんでしょうか。

 厚生年金が、社会保険庁のサンプル調査によると、全体を当てはめると五百七万件が受給金額に影響のある入力ミスがありました。国民年金だと四・三万件です。これは一人一件だとすると五百万人以上の人が、ほとんどの方は気づいておられないと思いますけれども、入力ミスで、その方も気づいていなくて受給額がおかしくなっている。

 これを紙台帳照合をしてくださいと言ったらば、政府はやっと、すると答えましたが、十年以上かかるというわけですね、舛添大臣。これは十年以上かけて……(舛添国務大臣「かかると言っていないよ」と呼ぶ)では、十年以内にできるわけですか。これはやっていただけるわけですね。

舛添国務大臣 まず、毎回、年金関係の閣僚会議のときに正確な数字を出し、正確な方針を申し上げているわけで、今回の補正に入っていないじゃないかと言うが、本予算の中で入っていますよ。

 そして、紙台帳とコンピューター記録の突き合わせは、まず二十一年度中に電子画像データ検索システムを作成する。それから二十二年、二十三年までに集中受け付け期間として受給者、加入者について突き合わせを実施する。それから、お申し出のなかった分についてもやっていく、これを二十二年以降やるわけですから。だれも今までやったことのない作業ですから、それはこつこつやっていく、それが七年で終わるか十五年かかるか、それはやらなきゃわからないでしょう。長妻さんがやるんだって同じだと思いますよ。だから、一つ一つ、ふたをあけてみないとわかりません。紙がもう劣化している。

 ですから、十年でやるとするとどれだけの人が要りますよというような数字は出していますよ。ただ、これは現実に画像システムをつくって動かしてみてやっていかないとわかりませんというのが正直なところであります。

長妻委員 これはちょっと耳を疑う答弁ですね。これは自民党の方、いいんですか、七年かかるか十五年かかるかわからないと。こんなもの、我々は、来年一月から社保庁がなくなって日本年金機構になるから、それまでやれとずっと言い続けて、ずっとやらない、やらない。今度は何ですか、七年か十五年かわからぬと。そんなもの全部一年二年でやってくださいよ、人、物、金を集中投下して。本当にいいんですか、自民党、そんな七年、十五年と言っていて。何で、今仕事が足りないと言っているときに、これを集中的にやってしまわないんですか。これはどう考えても私は理解できない。

 あと、これは全件やるには最大で二千五百億円かかる、こういうふうに政府は言っているんですが、そんなに金額がかかるのかどうか。これは見積もりの明細を出していただきたいと思うんですが、舛添大臣、よろしいですか。

舛添国務大臣 恐らく長妻さんも現物をごらんになったと思いますけれども、紙が劣化している、そして、紙に書いてある、紙台帳とそのほかのデータ、どっちが正しいかわからない、それで昔のあれですから、一生懸命やっているけれども、事業所がどこだ、膨大な作業をやっていて、しかも、これは素人でできるんなら、そんな簡単なことはないですよ。素人でできなくて、プロが要るんですよ。

 ですから、優先順位をつけて、これは、まさに政府・与党が二年前の七月五日に決めた優先順位と長妻さんの優先順位は違うんだろうと思いますけれども、今の方々に特別便を一億、一応送った。そして今、定期便を送っている。その間に、いろいろ皆さん方の御指摘もあって、まださまざまな問題が出てきましたよ。しかし、一つ一つ各個撃破していかないといけない。

 その中で、今長妻さんの御懸念は、やはり高齢者の方が多いですから、なるべく早くしろというのはよくわかります。しかし、それはやるのはやっていますけれども、とにかく優先順位をつけながら、紙台帳については、極端な人は、こんなもの見ないで捨ておいて、目をつぶりなさいという方もおられる。

 だけれども、私は、やはりこれはちゃんとやった方がいいだろうと思って、今、最適な方法を考えてやっているという状況ですから、全力を挙げて努力をしますけれども、今あなたに、来年の何月までにできると言える状況ではございません、大変残念ですが。

長妻委員 これは私は本当に信じられません。確かに、紙台帳がもう読めないようなものもありますよ。ただ、全部で八・五億件あるんですよ。全部読めないわけじゃないわけで、これは、自民党も選挙になったら、七年か十五年かかる、ちゃんとそういうふうに言って戦ってください。うそを言わないでくださいよ。我々は、短期で国家プロジェクトでやるということを言いますから。これはとんでもない話ですよ、本当に。

 私は、これはどうしてもやっていただきたいと思うんです。実務を知らないと言われましたけれども、官僚の説明をうのみにすると今みたいな発言になるんですよ。我々は、自分の目で、自分の足で調べているわけですよ。

 そしてもう一つ、天下りの問題に入りますけれども、官房長官、官民人材交流センターが昨年大みそか、どさくさでできて、初のあっせんが今回三十八人された。つまり、今までは、天下りというのは非合法的にこそこそこそこそやっていたものが、今度は、晴れて天下りというのが合法的になった。この法案、我々は反対しましたよ、とんでもない天下の悪法だと。

 今回、初の、堂々と表玄関の天下りが三十八人ということですが、概要を教えていただけますか。

河村国務大臣 事前にお聞きしておりませんでしたものですから。(長妻委員「私の配付資料の二ページ」と呼ぶ)

 御指摘の資料にございますとおり、厚労省三件ほか、官民人材交流センターの規定にのっとりまして、適正にやっておると思います。

長妻委員 官房長官、三十八人があっせんされたというのは知っていましたか。

河村国務大臣 あっせんについては説明を受けました。

長妻委員 びっくりするのが、二ページ目以降に資料をおつけしましたけれども、本府省課長、企画官相当職以上で三件、大阪労働局の三人が、大阪府社会保険労務士会、社団法人大阪労働基準連合会、社団法人大阪市母と子の共励会。そして、法務省は十一件、厚生労働省が五件、国土交通省十九件、これは全部リストがあります。

 とんでもないと思ったのは、結局、細野議員への二月の予算委員会での答弁でもあったわけですけれども、つまり、一定以上の随意契約をしている団体にはあっせんしませんよと。これは有識者会議でもそういうガイドラインが出たわけですね。ところが、今回、名前を申し上げると財団法人民事法務協会、これは随意契約の規定にひっかかっているんですよ。年間一億以上なんですよ、随意契約。それなのに天下ってしまっているんですよ。あっせんしているんですよ。

 何であっせんしているんですか。

河村国務大臣 一億以上の随契についてはしないということでありますが、一億以上、二年続いたところについてはしない……(長妻委員「これは二年続いているんです」と呼ぶ)

衛藤委員長 法務大臣政務官早川忠孝君。(長妻委員「ちょっと待って。指名してないですよ」と呼ぶ)

 私が指名しているんです。(長妻委員「ちょっと待った。官房長官にちょっと聞きますから」と呼ぶ)

 私の指名です。(長妻委員「いいですよ、官房長官に聞きますから。そういう話じゃないから。センターの話だから」と呼ぶ)

 まず、法務大臣政務官早川忠孝君、答弁をお願いします。

早川大臣政務官 私の方からお答えさせていただきますけれども、既にこの随意契約がないという状況になっているわけでありますので……(長妻委員「二年連続で一億円以上ですよ」と呼ぶ)平成二十年度以降は民事法務協会との随意契約はございません。

 それから……(長妻委員「わかった。委員長」と呼ぶ)

衛藤委員長 ちょっと待ってください。

 長妻昭君。

長妻委員 今の官房長官の答弁ぶり聞いて、私、ちょっとびっくりするんですが、官房長官、民事法務協会は二年連続一億円以上、つまり、やってはいけない法人に該当するんですよ。これは官房長官が許可したことになっているんですよ。官房長官は、自民党の方も御存じのように、官民人材交流センター、我々、天下りバンクと言っていますが、そこのセンター長なんですよ。

 これは怖いですね。官房長官が余りよく理解できないまま、官僚の方がちょちょっと説明して了解とったという形でやってしまっているというふうに理解せざるを得ないんですよ。

 官房長官、よく御存じないんじゃないですか。

河村国務大臣 原則は、今御答弁申し上げましたように、二年以上連続の場合にはしないということになっておりますが、ただ、例外規定がこれについておりまして、高度の専門的能力に着目した就職については、これは副センター長が定める一定の場合について支援対象とする、こうなっておるところでございます。

 今回、今御指摘のような、二年のようなケースがあるという御指摘がございました。これは、財団法人の民事法務協会が高度の専門的能力に着目した就職を求めた、こういうケースでございまして、まさに登記関連事務の高度の専門的経験、知識、この求人に対して、センター長決定に基づいて支援をした、こういうことであります。

長妻委員 さっきの官房長官の答弁ぶりだと、ここは一年だけ一億だから該当しないというふうなこの前の答弁をされましたけれども、これは、官僚の人がするするするする、きちっと説明しないで、今、官房長官、例外規定というのを聞いたわけですよね、今聞いたんでしょう。

河村国務大臣 今質問を受けたときに、なぜ二年だったかなと私も思ったわけでありますが、こういう例外規定があるというのを私は今思い出して。

 説明はもちろんそういうことで受けておるわけであります。

長妻委員 これは、今度表玄関の天下りで、民事法務協会というのは、理事の十五人中五人が天下りで、職員八百四十七人中百二十二人が天下りをされておられる。(発言する者あり)それで、自民党からやじが飛んでいますけれども、本当にこういう天下りを許していいんですか、自民党は。(発言する者あり)よく言いましたね。

 ちょっと今から説明すると、何で日本の謄本をとるときの手数料が下がらないかわかりますか。こういう団体があるからですよ。(発言する者あり)関係ないと自民党からやじが飛びましたが、だれですか、あなた。

 法務省は、実は、過去を振り返ると特別会計がなかったんですよ。一番最後に……(発言する者あり)これは違う席に座っておられませんか。ちょっと、委員外の人はやじを飛ばさないでください。

 法務省の登記特別会計というのは一番最後にできたんです。一九八五年の七月で一番遅かった。自分たちは特別会計がないから天下りも十分にできない、経費も潤沢に使えないということで、中で悲鳴が上がったんですよ。それで法務省の中の有志、幹部が陳情に陳情を重ねて、念願の登記特別会計、一番遅かったんですが、法務省も特別会計をやっと持った。

 そして、この民事法務協会に潤沢な資金が流れ、二〇〇七年度は、この特別会計から百四十九億円が民事法務協会に流れ、二〇〇七年度末に法務省から新規で三十三人も天下っているんですよ。在籍が三十三人というのは私は聞いたことがありますけれども、新規ですよ。二〇〇一年度から二〇〇六年度までは、毎年毎年新規で百人以上の天下りが、新入天下りが毎年入っているんですよ。こんな夢のような天下り団体ができたわけです。

 そして、官民人材交流センターはきれいな天下りをするんだ、こういうわけのわからない理屈で始めましたけれども、結局は例外を使ってこういう団体にこれからも天下って、謄本の手数料は下がりませんよ。こういうことを……(発言する者あり)

 今どんな仕事をしているという話がありましたけれども、これは登記所で、謄本をとりに来るお客さんに対して、謄本はここですよと、謄本を提供する、そういう窓口の仕事などなど。あるいは、この財団はコンピューター化はもう終わりましたから。こういうような、また専門性が高いという話がありましたけれども、民間の方でも入ってちゃんとやっているんですよ。だから、専門性が高いというのは自民党はいつも言うんですよ。官僚と同じなんですよ、その言いわけというのは。

 だから、そういう天下りはもう禁止する、年金、医療を削る前に天下りを削れと言っているんですから。何でセンターができてもこういうことを繰り返すのか、本当に理解できない。

 そしてもう一つ、きょうは佐藤大臣も来ておられるので、これはちょっとサンプル的に、五ページでございますけれども、この団体は、五代続けて天下りの人がトップについている公益法人をピックアップして、一年間の随意契約を調べてみましたら、佐藤大臣が所管の財団法人日本道路交通情報センター、これは一応あっせんできない状況になるんですね。ただ、佐藤大臣、例外規定をここに対して今後使う予定というのはありますか。

佐藤国務大臣 日本道路交通情報センターというところのお話だと思いますけれども、官民人材交流センターがその内規に照らして判断することとなるものと承知をしておりますが……(長妻委員「例外、例外は」と呼ぶ)例外等々はないものというふうに承知をして……(長妻委員「例外はないの」と呼ぶ)わかりません。それは交流センターが決めるということになろうかと思います。

長妻委員 これも例外で流れてしまうのではないかという懸念を持っております。

 七ページを見ていただきますと、改めて今回の補正予算をこういうふうに表にまとめていただきました。そうしたらば、今回十五兆円の補正予算の二割もが天下り法人に流れる。これは平成十八年度の本予算でいうと二割ではないんですね。天下り団体に十二・六兆円流れて、これは、分母が特別会計も合わせて重複を除いた二百五十兆円だとすると二割には及ばないんですが、今回は、三兆円ものお金が百十四の天下りを受け入れている法人に流れ、そこには七百四十七人の天下りが入っている。これは、役員だけの部分もありますが、役職員も合わせると、トータルで七百八十五人の天下りを受け入れているところに金が流れている。

 しかも、これは随意契約がまだされていないわけで、つまり、もう流れて確定している分だけでこれは表をつくっていただいたので、これからどんどん随意契約がふえる。あるいは、基金の設置も、まだ決まっていない場所があるので、それもふえていく可能性もある。

 そして、例えば、この次の八ページ目、九ページ目ですけれども、独立行政法人への支出、上位十法人を出してもらいましたけれども、例の都市再生機構など、これはもう問題山積で、いろいろ言われているものも平気でここに金が流れている。

 九ページ目は、これは公益法人等への支出額の上位十。下の、特別民間法人の中央職業能力開発協会は、七千億円の基金を、天下り団体、十五人が天下っているところに設置をするということです。

 十八ページですけれども、この基金の事務費も全部一覧表で出していただきました。そうすると、この中央職業能力開発協会には七千億円の基金。そして、では事務費は幾らですかと聞いたらば、ここには四十九億円と書いてありますけれども、注三というのを見ると、それ以外に二百八十億円も事務費があるということで、合計で事務費が三百二十九億円もこの天下り団体に入っていくということでございまして、なぜ公募をしたりして最適なそういう事業主体を見つけないんだろうか。機械的に天下りを受け入れるところに仕事をどんどんどんどん流していく、こういうことは、我々は、もう天下り支援費じゃないかと言っているんですよ。こういう天下り団体が肥え太って、天下りの雇用対策に金が使われる。

 与謝野大臣にはちょっと今回の補正予算の借金を聞きますけれども、この借金が今回の補正予算は幾らで、赤ちゃんも含めて、国民一人当たりにすると幾らの借金になるのか。どのぐらいの数字でございますか。

与謝野国務大臣 平成二十一年度の補正予算における国債の追加発行額は、十兆八千百九十億円でございます。したがいまして、これを我が国の人口一億二千七百七十万人で単純に割りますと、国民一人当たりの額は約八万五千円でございます。

長妻委員 今回の補正予算、最大規模十五兆円だけでも、国民の皆さん一人当たり、赤ちゃんも含めて八・五万円の借金、これだけで。定額給付金よりもはるかに多い金です。

 我々は、税金の浪費にメスを入れる、その前に借金するな、こういうことを申し上げているわけでありますけれども、これは今現在、調べてみますと、国に百万円の税金を払うと直ちに三十五万円は借金の元利金に消えます。つまり、今の時代、使えるのは六十五万円しかない。これは、使える金額が、将来、孫子の世代、どんどんどんどん少なくなってくる。

 そして、きょう午前中、民主党の中川正春議員も質問いたしましたけれども、長期金利、これが非常に心配で、GDP比一七〇%の借金大国で、長期金利が一%上昇しただけで国の利払いは初年度一・五兆円増加する、三年後には年間利払いだけで三・八兆円もふえる、これは二〇〇九年度以降金利が上昇した場合でございますけれども。

 ですから、そういう意味では、ほかの先進国と同じように日本もこれだけ積んだ、積んだ、積んだと。私は、規模を大きくするという考え方は、やはりその前に、おかしいところに使われている予算を組み替えて、その新しい実施の予算に金を注ぎ込むということ、そういう発想がないといけないと言っているわけです。

 もう一つの論点としては、社会保障費の削減というのが相も変わらず続いていまして、これに日本国は突き進んでいるという問題でございます。

 一つは、今深刻なのが老老介護ということで、六十歳以上の方が例えば六十五歳以上の要介護者の介護をしている、こういう方々が平成十三年には五四%だったのが、平成十九年には五九%、六割近くになっている。そして、きょう佐藤大臣お越しですけれども、十ページ、十一ページの資料を警察からいただきましたが、介護、看病の疲れによる殺人事件について、被害者がだれかも含めて概要をお教え願えればと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 殺人のうち介護、看病疲れを犯行の動機、原因とする事件の検挙件数は、平成十九年三十件、平成二十年四十八件となっております。これらの事件につきまして、被疑者と被害者の関係を見ますと、被害者が被疑者の実父母または配偶者であるものが大部分を占めております。

 介護、看病疲れを動機、原因とする殺人事件が発生していることは大変心が痛むところでございますけれども、事件の捜査に当たっては、動機等を含めた全容の解明に努めるよう引き続き警察を指導してまいりたいと思います。

長妻委員 平成十九年には介護、看病疲れの殺人が三十件、平成二十年には四十八件ということで、六割もふえている。全体の殺人事件は六・五%の増加ですから、非常に激しい増加になっている。一―三月の最新のデータだと、ことしの一―三月は十四件、前年同期比でいうと十一件から十四件になっているということであります。

 そして、その被害者がどなたかというと、被疑者の実父母が二十年は十七件ということで、その前の年は八件でありましたから、倍増でありますし、被疑者の配偶者は平成二十年二十一件、前の年は十五件でありますので、非常にふえている。そして、実の子というのが平成二十年は七件、前の年は三件ですので、これも倍増している。

 そして、自殺についても、警察の最新のことし三月の自殺者数が出ましたが、三千六十人ということで、もはや、毎日毎日、一日百人の方が日本国のどこかで自殺されておられる。

 自殺率は先進七カ国でワーストワンになりました。十五ページでございますけれども、これは最新のWHOの資料でございますが、アメリカ、カナダの二倍、イタリア、イギリスの三倍。人口十万人当たりの自殺者数でございます。

 そして、私が調査をして驚きましたのが、若者の死因のトップが日本は自殺だ、こういう悲しい現状が今顕著になっております。これは資料を配付しておりますけれども、以前は、二十五から二十九は昭和五十年ぐらいから死因のトップが自殺だったんですが、最近は、平成十九年の数字ですが、二十から二十四、二十五から二十九、三十から三十四、三十五から三十九歳、すべてにわたって死因のトップが自殺。

 国会図書館に先進七カ国を調べていただきました。若者の死因のトップが自殺の国はありませんでした。これも資料をつけておりますけれども。

 こういう非常にやるせない状況があるわけでございまして、これは、政府として、どういう対応、対策、考え方を持っておられるんでございましょうか。

河村国務大臣 確かに長妻議員御指摘のとおり、自殺者の、要因の中で、若者の死因の最も多いのが自殺であるということ、これは非常に私も残念に思います。特に日本の自殺死亡率はG7の中でも高いわけでありまして、そういうことを考えますと、一年間で三万人を超える自殺者がある、そのこと自体が痛ましい上に、特にその中でも若い方が多いということ、この原因というのはさまざまな要件があるんだと思います。

 しかしながら、若い人たち、まさに働いている若い人たちということになりますと、これは失業あるいは長時間労働、こういう社会的要因、こういうものもあるんだろうと思います。こういうことになりますと、制度、慣行の見直し、相談支援体制の整備、こうした社会的な取り組みでもって自殺を防ぐということを考えなきゃなりません。

 平成十九年に閣議決定をされておりますが、自殺総合対策大綱、それから二十年に自殺対策加速化プラン、こういうことを踏まえながら、今後、自殺対策の推進を図っていく。いわゆる生きやすい社会、こういう言い方をしておりますが、生きていくことに望みをなくさない、この実現については考えなきゃなりませんし、特に働く人たちということになりますと、これは企業の協力、理解が具体的に現実にどういうふうなことになっているのか、もう少し詳しく調査して、対応を新たに具体的な問題として考えていく必要がある、このように考えております。

長妻委員 ゲートキーパーなど、自殺予防そのものの対策も重要だと思いますけれども、この間、自民党政権がどんどん派遣をふやしていく、セーフティーネットをどんどん切っていく、私は、こういうことが非常に大きな影を落としているのではないかと。しかも、これがまだとまっていないということでございます。

 この資料は厚生労働省につくっていただいたわけでございますけれども、二〇二五年の社会保障は、本来、今の水準を維持していくと、厚労省は改革前と称しておりますけれども、大きくなってしまうので、今の水準をカットしていきましょうということで、二〇二五年時点で、年金は十兆円カット、医療は八兆円カット、介護などは四兆円カット、端数もありますけれども、合計で二十一兆円カットする、こういうことをいまだにこれはとめていないんです。

 補正予算でちょっと社会保障にお金をつけても、政府の案は一時的なものでありまして、我々は、ナショナルミニマム、最低限の日本人の生活というのはこうあるべきだ、これだということを国、地方自治体が死守する、こういう目標をきちっと決めて、場当たり的な社会保障政策から脱却するということを申し上げているところであります。

 例えば、医療を八兆円削る。私は、医療だって、事務費等々あるいは国立病院の薬の購入に談合体質があるなどなど、無駄な部分は確かにあると思います。しかし、この削る中身を見ると非常に不安になるんですね。

 例えば、医療費を八兆円削りますと言っている中の二兆円の削減はどうやってやるのかというと、二〇二五年に糖尿病と高血圧症の人が、通院患者が半分になると。根拠はというと、モデル自治体が、二つの自治体ですけれども、一生懸命やったら三、四割減ったから、これはそうなるだろうというような、私にしてみると非常にお粗末な形で、糖尿病の通院患者二百万人が一気に百万人になってしまう、高血圧症の通院患者さん、今五百万人が一気に半分になってしまう、こういう前提で数字を当て込んでいる。

 そしてもう一つは、四兆円削減できると言っているのは、これは平均入院日数が、今全国平均が三十六日だから、これを減らすと。では、減らすのは、一番少ないのが長野県が二十七日だから長野県と同じにすると。こういうことで、その実行の道筋も見えてこない。療養型ベッドを削減して反発を食らって、行き場がなくなって本当にお困りの方がたくさん出てこられて、いろいろ政策を変更したりする。

 そして、福祉等の介護などで四兆円削る中の一・七兆円の削減を聞くと、介護予防対策をして介護費が一・七兆円削れるんだと言っていますが、介護予防というのは筋トレ、いわゆる筋肉トレーニングをお年を召した方に課して予防すると。これも非常に、なかなか前に進んでいない。我々も問題点を指摘しました。

 こういう、非常にあるべき論みたいな形で一律に金を抑えていくと、これに基づいて財務省はどんどんカットしていきます、予算を。これは、舛添大臣、きちっと本当にそれが実現する合理的な根拠、今の水準を下げないでこれが削減できるという根拠がきちっとあるんですか。

舛添国務大臣 国の予算が八十八兆円、そういう中で、医療費が三十三兆円です。そのうちの三分の一が老人医療費だ。これはやはり、天からお金が降ってくるわけじゃありません。負担は国民がしないといけないです。したがって、国民全体で無駄を省いていく。

 ですから、糖尿病になぜなるか、それは、先天性の糖尿病の方々で大変気の毒な方もおられますけれども、生活習慣病と言われているように、日々ちゃんと朝起きて運動する、そして食生活を頑張る、そうすると、二〇二五年に糖尿病の患者を半分に減らすぐらいの大きな目標を国民は掲げないといけないと思いますよ。

 宮下さんおられますけれども、長野県、私も非常にゆかりがあって何度も行きますけれども、保健所が相当頑張ってくれている。そのことによって、治療よりも予防なんですよ。予防をやることによって医療費を削減する。そうしないと、最後は、何にもしないで置いておいた場合にはそれはふえるから、やはりこういう一つの案をつくることは結構だし、それが問題があれば御指摘してくださって、御指摘が正しければそれは直していけばいい。

 ただ、めり張りをきかせて、お医者さんが足りないのに余っていると言うようなことはやめて、お医者をふやしていく、それから本当に国民が求めている妊婦健診であるとか女性のがんの検査であるとか、これは女性のがんの検査をやることを今度の補正でもやっているから、みんなやったら、ぐっと子宮頸がん減りますよ。そうしたら、最終的にお金は減るじゃないですか。

 やはり、民主党の皆さんが政権をとられても、そういう国民がみんなで力を合わせて減らすべきは減らすということをおっしゃっていただいた方がいいんじゃなかろうかと思っています。

長妻委員 その道筋が問題なんですよ。

 私も、これだけふえる社会保障費を何とかしなきゃいけないと。いろいろな、介護にも一部無駄はありますよ。ケアマネジャーさんを独立性をもっと高めて、過剰な介護がないように、きちっと適正な介護がなされるようにする等々いっぱいありますよ。でも、そこには余り手をつけないで、生身のところからモデルケースをつくっていく、これはいつものパターンなんですよ。今回が初めてじゃないんですよ。

 こうあるだろう、後期高齢者医療制度やリハビリの打ち切りなども、こうあるべきだ、母子加算も自立すべきだと。ところが、全然実態は違うんですよ。そして、いろいろクレームが上がると路線をその都度変更していく、そして皆さんから悲鳴が上がる、このパターンが繰り返されているから申し上げているわけです。

 政府は本当に生身のところから削るということを言われておるんですが、我々はHAT―KZシステムというふうに申し上げまして、Hはひもつき補助金システム、Aは天下りあっせん仲介システム、Tは特別会計システム、Kは官製談合システム、Zは随意契約システム。これも数カ月間かけて調べました、先進七カ国。こんなばかな仕組みはほかの国にないんですよ。国の中心に、おかしい形で非効率的な分野に予算が使われてしまう、官僚のお手盛りになってしまうというものにメスをまず入れるということであります。

 最後に、年金の個別の件でありますけれども、今、非常に我々のところにもお問い合わせが来ているのは、ねんきん特別便はもう皆さんに配った、郵便で送ったと。それで、おかしい、自分はこの記録は抜けているよ、こういうふうに手紙など、窓口などできちっと通知したのに、今回来たねんきん定期便には全然反映されていない、こういうようなお尋ね、苦情があるわけです。

 それについて、舛添大臣、ことし三月までに受け付けた訂正要求というのは、必ずことしの十二月までに調査を完了して、その方に通知する、これを厳守するということでよろしいのでございますか。

舛添国務大臣 特別便で訂正したのにまたもう一遍来たという方には、白い封筒で、しかも朱書きで、そういうこともあり得るのでということのお断りはしております。

 そして、まさに今この補正予算、審議していただいているのは、この三月までに届いたものは十二月いっぱいまでにやる、そういうことに必要なお金を計上してありますので、一日も早くこの補正予算を成立させていただきたいと思います。

長妻委員 これで質問を終わりますが、もう何度も申し上げているのは、日本国政府の体質ですけれども、年金、医療、介護を削る前に税金の無駄遣いをなくせ、年金、医療、介護を削る前に天下りを削れ、こういうことを申し上げて、質問を終わります。よろしくお願いします。

衛藤委員長 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 まず、弱毒性新型インフルエンザについて何問か質問をさせてください。

 厚生労働大臣に伺いたいんですけれども、今回、新型インフルエンザ対策がスムーズに行われていると思います。どうしてこのようにスムーズに新型インフルエンザ対策が行われているのか、そんなに大きな混乱がなく行われているかについて御所見を伺わせてください。(発言する者あり)

舛添国務大臣 一つは、行動計画。これは、高病原性、いわゆる強毒と言われる、この強毒、弱毒という言葉はやめてくれというのを先般阿部委員から言われて、医学的には低病原性、高病原性と言うんですけれども、わかりやすく言うとそういうことで、H5N1という非常に毒性の強いものを前提にした行動計画をつくっておりました。

 それから、シミュレーションも何度もやりましたし、対策室も早くから立ち上げておりましたとともに、私自身も昨年、中国に行きまして、日中韓の保健大臣の会議をやって、そこで日中韓のシミュレーションも既にやっております。

 それともう一つは、本当に幸いながら、毒性が強くなかったということと、やはり国民の皆さん方が大変よく協力してくださる。検疫も、機内で待たされるというのは大変だと思いますけれども、むしろ安全のためにやってくださいとおっしゃってくださるのはありがたいことなので、そして、もう二週間たちますけれども、自治体の皆さん方も相当頑張って体制を整えてくれたので、こういう闘いというか危機管理というのは、政府だけが頑張ってもだめで、やはり国民の皆さんの協力、みんなが一致団結してやることによって成果が上がっていると思いますので、今後とも国民の皆さんの御協力をお願いしたい。

 特に、マスクをやってくださいと言ったら、本当にマスクをやっていただく。ところが、この前のカナダの高校生も、やれと言われたけれども、周りがやっていなくて恥ずかしくてできない、こういうことですから、私は、今後とも、一致団結して国民とともに、先頭に立って頑張ってやっていきたいと思っております。

大島(敦)委員 今、厚生労働大臣が頑張っているからという御意見を後ろの方から伺ったんですけれども、もともと新型インフルエンザについては、国会での議論は以前はそれほどされていなかったと思います。自分は、国立感染症研究所の一人の女性研究員の方のこれまでの努力によって、与党も野党も、議員がこの問題に本当に熱心になられて、数年前から予算委員会の場あるいは厚生労働委員会の場、経産委員会の場で議論があって、それでここまで対策が整ったのかなと思っているんです。ですから、一人の女性研究者の熱意というのは僕は非常に重いと思っているのです。だから、そのことを知らない方が非常に多いかなと思っているんです。

 自分も今から三年前、平成十八年に初めて、岡田晴恵さんという、残念ながら今国立感染症研究所を離れられたと伺っているんですけれども、彼女の話を、同僚の末松さんが、たまたま駅でお会いをして、大島、この人の言っていることはなかなか傾聴に値するから聞いてみないかということで伺って、それで、当時は鳥の強毒性のインフルエンザについてはそれほどだれも関心を持っていなかったわけです。非常に勇気のある彼女の行動によってここまで準備が整ってきたかと思うんですよ。

 今、パンデミックワクチンの話、あるいはフェーズ1からフェーズ3、フェーズ5、6の話も今でこそ当たり前です。自分も今回、新型インフルエンザの話が出たときに、強毒性か弱毒性かどちらかをまず見きわめて、これは強毒性じゃないからそれほど大きな問題にはならないといいかなという希望を持ったり、この問題というのは、あくまでそういう熱心な方が政治を動かして今あるわけですよ。そのことをしっかり認識しないといけないなと私は思っているんです。ですから、申しわけないんだけれども、まず最初に厚労大臣に伺ったわけです。

 それで、今回の対策について、各論の方に移りたいと思っているんですけれども、今回の中で、陰圧設備といって、これは感染力が弱いとはいえなかなか強いインフルエンザウイルスですから、病室の中を減圧して空気が漏れないようにする陰圧設備をされた病室とか病床とか、あるいは、救急の場合には、テントをお持ちして、発熱外来用の陰圧テントというのがあるかと思うんですけれども、その準備状況について、舛添厚労大臣から御所見を伺わせてください。

舛添国務大臣 その前に、岡田晴恵さんとは、私もずっとすべての書物を読んでいますし連絡もとって、岡田さんのみならず田代さんなんかも非常に警告を与えてくださっているので、そういう研究者の御努力を高く評価したいと思います。

 その上で、もう一つ今大島さんがおっしゃったことで訂正したいのは、感染力が弱いとおっしゃったけれども、感染力じゃなくて、むしろ毒性というか病原性の話です。

 それで、二十一年三月末現在で感染症法に基づく特定感染症指定医療機関、それから第一種、第二種とあります、これが計千六百八十七。うち、陰圧、気圧によってウイルスが外に出ないようにする、これが千二百五床というふうに確認をしているところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 千二百床、多分ベッド数が千二百ということだと思うんですけれども、それで足りるか足りないかということだと思うんです。

 今回のケースですと、国内での二次感染というんですか、まだ広まりないですけれども、今後広まった場合、あるいはH5N1の新型インフルエンザが発生したときは、陰圧設備された病室なり病床、あるいは発熱外来用の陰圧テントというのがさらに必要かと私は考えておりまして、今後あるいは今回の一次補正の中でこの点について設備を多くしていくんだという内容が盛り込まれているのか、そのことについてお知らせください。

舛添国務大臣 新型インフルエンザ対策全体について、これは今まで予算措置をとってきまして、例えば今度三千百億円の地域医療の計画があります。これを援用するというようなことも可能だと思います。

 それから、幸い、いわゆる毒性、病原性が低いですから今のような状況で済んでいますけれども、蔓延したときには、入院病棟を全部使うとかそういうことも考えておりますし、そのほかのさまざまな、どういう形で患者を受け入れるか、これは感染の広がりぐあいを含めてさまざまな手を打ちたいと思っていますけれども、今申し上げたように、ずっと継続して新型インフルエンザ対策費というのを盛り込んできておりますので、そういう一環の中でこれは対処したいと思っております。

大島(敦)委員 午前中の川内さんの質問で、各省庁がテレビを買われるとか、あるいは車を買いかえられるとか、与謝野大臣からは賢い支出であるというお話があったんですけれども、さらに賢い支出は、ここの、陰圧設備された病床を多くしたり、あるいはテントを多く設備することが私はより賢い支出だと思いますので、その点も今回の一次補正の中でしっかり手当てをしていただければなと思うんですけれども、その点についての御所見はいただけますでしょうか。

与謝野国務大臣 医療については、地域医療の再生、新薬の開発等々たくさんの予算をつけてあります。この中には国公立病院の設備の充実ということも入っておりますから、恐らく具体的な予算の執行に当たっては、新しい機材等も、今先生の言われた方面の機材も充実されることになると考えております。

大島(敦)委員 ぜひ舛添厚労大臣にもお願いしたいんですけれども、今回の一次補正の中で、優先順位を、さまざまな優先順位がある中で、まだ一千二百床だとすれば多くはない数だと思いますので、その点に対する配慮というんですか、決意をお願いいたします。

 もう一つ、細かい話なんですけれども、国の予算というのは、一回予算を決めると、全部使わなければいけないということで、大体使う方向に努力をするわけですよ。必要ない使い方もあるかもしれない。例えば人件費の残業代とかを見ると、決められた予算があると、それを上回ってはいけないものですから、なかなかそれについての配慮をしなくなるのかなと。

 今回、検疫官の方、舛添厚労大臣もこの間テレビで、記者会見かで御指摘されていたと思うんですけれども、朝から晩まで、本当に一生懸命、大変な思いでやっていて、今回は弱毒性ですから、御家族の方も、お父さん、お母さん、行かないでくれという話は余り出ないかもしれない。相当危険な仕事に従事されている方だと思うんです。その危険手当をどうするかとか、朝から晩まで働いて、深夜残業もされていると思う、その残業代というのは十分に支払われているだろうなとか、そういうことを気にされている方が非常に多いんです、私の同僚議員の中に。

 ですから、その点について、当たり前のことなんですけれども、しっかりと労働基準法を守るということを御答弁いただければなと思うんです。

舛添国務大臣 私が今一番心配しているのは、ヨーロッパ便とかアジア便、こういうところまで機内検疫を拡大するというときに、どういうふうにして検疫官を確保するか。あれはだれでもできるわけじゃありません。今自衛隊の協力をいただいて、定員八十七人しかいないのを二百名程度で連休の最後の日はやりました。もちろん大変ハードで、一週間働きづめということで、みんなぐったりしています。

 これもまたお医者さんの場合と同じで、労働基準法を正確に守っていると現場が手薄になるというのはまさにジレンマで、私は両方指揮しないといけない、そういう苦労を抱えていますが、ただ、人事院規則に基づいて、残業手当であるとかそれから防疫等作業の特別手当というものがありますので、これはきちんとお支払いして労に報いたいと思っております。

大島(敦)委員 わかりました。

 新型インフルエンザについては最後の質問なんですけれども、検疫法では、今回水際で、おそれのある人あるいはもう発病された人は隔離とか、停留という言い方だそうなんですけれども、停留をしていただいている、とどまっていただいている。まだ潜伏期間中の人は、恐らく検疫ではなかなかうまく発見できないで、国内に多分入られる方がいらっしゃるかなと。

 感染防止法では、これは御承知のとおりなんですけれども、発病してからは隔離あるいは停留ができると思います。そして、濃厚接触については健康観察の対象となっているので、今でもそうだと思うんですが、保健所が毎日電話して確認したり、本人も朝夕に体温をはかって報告するということが義務づけられていると思うんですけれども、このままでいいかどうか。

 これは個人の自由との関係があるので、余り厳しくするのはいかがかと思うんですけれども、今、ここでの濃厚接触したかどうかというのも、本人の申告あるいはその状況を見てからだと思うので、この点についてもう一段踏み込む検討が必要かなと思うんですけれども、そのことについての御所見を伺わせてください。

舛添国務大臣 まさに今回の成田での高校生のケースで、三人目の高校生が、機内検疫が終わってから気分が悪いとおっしゃったものですから、その周りの席の方で十何人か既に外に出られていたということで、この方々は濃厚接触者なんですけれども、検疫法のカバーするところではなくて、法の組み立てが感染症法になってしまいます。そうすると、新型インフルエンザにかかっていると疑うに足る理由があるわけですから、健康状態の観察、今おっしゃった、二回体温をとってくれとか、それから外出の自粛というようなことの感染防止に必要な協力の要請を、感染症法四十四条の三に基づいてやることができます。

 ただ、そこから先、例えばもう一遍身柄を確保して、一カ所に隔離して、成田におられる方と同じことをやるかどうかということまで法が決めていないので、これはむしろどうするかはみんなでちょっと議論をして決めたいと思います。

 それから、逆に、余りに自由を阻害するんじゃないかと。だから、十日間停留しますね、だけれども、これは今具体的に専門家の先生方に見ていただいて、本当に十日必要なのか、それは一日でも早くオーケーが出たら、一日でも早く自由になれるので、そういうことを少し専門家の意見を入れながら、私も同じ懸念を大島さんと共有しますので、ちょっと今検討中でございます。またそして、法律改正が必要なときは、この国会で皆さんとお諮りしたいと思っております。

大島(敦)委員 この新型インフルエンザについては、先ほど私述べましたとおり、岡田晴恵さんに三年前に意見をいただいてから、当時、国立感染症研究所の方に一人で行って、このプレパンデミックワクチンのウイルス株がなかなか日本に持ってこられないということで、文部省なり農林省にも質問したことがございます。

 この問題というのは、経済産業省的には、ある会社は、平成十八年、三年前の時点で、世界的な大流行になったときも自分の会社の指揮命令系統はしっかり確保して世界的な大流行を乗り越えるということをしっかりと書き込んでいる会社もありまして、なぜそういうことを書き込んでいるかというと、いろいろな事態に備えて顧客に対するサービスを確保して、さらに世界的大流行が終わった後も圧倒的なシェアをとるということを宣言している会社があるわけですよ。これは国にとっても僕は言えると思っていて、こういう事態を乗り越えるということ。

 あるいは、ワクチンというのも、アジアの中ですと、つくれるのは日本だけなわけですよ。多くを備蓄しているということは、非常に他国から見ると、こちらとしてもある程度の配慮ができるものですから、ここのところをしっかりと今後努力していただければなと考えております。

 次に、与謝野大臣にお伺いをしたいんですけれども、二月の五日に初めてここで議論をさせていただいたときに、需給ギャップの指摘を議論させていただきました。当時、自分の指摘ですと、大体十兆から二十五兆ぐらい需給ギャップがあるというお話を三カ月前でもさせていただいて、相当経済が大変な状態だなということをまずは指摘させていただきました。

 二月五日、三カ月前に、日本経済は三年間一斉休業状態だと言ったところ、ちょっと暗過ぎるんじゃないのという意見もあったんですけれども、今は三年間一斉休業状態が続くおそれが多分にあるかなと考えております。

 今、景気が底を打ったと言っております。そういう議論が多いんですけれども、私は、二〇〇二年の水準に戻った、これから戻ろうとしている。要は、二〇〇二年の水準があって、二〇〇二年の水準から見れば、二〇〇八年の上期は大体二〇ポイントぐらいですか指数が上がって、これが一月に大体四〇ポイント下がって、今ようやく二〇〇二年の水準まで二〇ポイントこれから戻ろうというところかなと思っているんです。

 ですから、要は相当厳しいL字形の経済運営をしなければいけないなと考えておりまして、悩むところなんです、補正予算で本当にこの十五兆円をまく時期、投入すべき時期かどうかということなんですよ。これは、去年の今ごろ、私も党内の部門会議の中でお金をまけと言っていまして、中川さんから大分僕はおしかりを受けたんですけれども。金をまけと言っていたの、大変だから。でも今は、では本当にまく時期かなということについては非常に私は懐疑的なんです。本当に景気がとことん下がったときに財政出動することによって、多分消費が過度に悲観的になっている状況でどうして……。

 経済が萎縮していて、何かのきっかけで景気が動き始めるタイミングでしたら財政出動も必要だと思うんですよ。今、十五兆円、三年間ですから、多分十五兆のうちの十兆ぐらいを今回の景気回復の一・九%で盛り込んでいて、残り五兆円を来年以降ぐらいに盛り込んでいるのかなと思っているんですけれども、このままいくと、多分今年度の十―十二、あるいは一月、二月にも一回補正とか組まないと結構しんどいのかなと私は思っていて、もう今回の補正予算で大丈夫だと言えるのか、結構これからも財政出動が大変だと思われているのか、その点について御意見を伺わせてください。

与謝野国務大臣 我々この第一次補正が必要だと思いましたのは、昨年の十―十二月の数字、これを見ますと、年率に換算するとマイナス一二%の経済成長だ、その数字を見まして、これは放置できないということで、やはり世界的な経済危機から日本は逃れられない、やはりこの際は、一方では財政出動をする、一方では金融を緩める、あるいは公的な信用保証、資金供与、こういうものをやっていくということをやらなきゃいけないと。

 そのときに、財政出動の適正規模はどのぐらいなのかという問題は当然あったわけですが、二つの作業をやっておりまして、一つは、一つずつの分野でどのぐらい有効需要をつくることができるか、もう一方は、マクロ経済計算的に一体どのぐらいの財政出動が必要か、こういう計算も実はやっていたわけです。

 六%も七%もマイナスになりますと、失業者は非常にふえますし、倒産もふえますし、いろいろな社会的な悲劇が起きる、こういうものを何とか欧米並みの成長率に持っていくには一体どうしたらいいのか、こういうことでつくりましたのが十五兆三千億の今回の補正予算でございます。これによりまして、五%を超えると言われたマイナス成長も一・九ぐらい戻る。内閣府の見通しでは本年度はマイナス三・三、日銀の展望ではマイナス三・一と、大体欧米並みのところまで来たと思っております。

 来年はどうなのかというと、来年もことしの補正予算の影響が〇・八から〇・九ぐらい残ります。残りますが、我が党の中では、来年も同じようなことをやれということを私個人に言ってこられる方がおられますけれども、来年は来年の御相談ではないかと思っております。

大島(敦)委員 今回の十五兆円については、たびたびこの場で我が党の委員から御指摘させていただいているんですけれども、基金で、内容がみんな確かじゃないんですよ。ワイズスペンディングですか、言い切るにはまだ時期尚早だと思っていまして、例えば雇用でも今回七千億円を再就職支援・能力開発対策としてつけているんですけれども、中身が余り決まっていないわけです。ですから、中身が決まって、しっかりと七千億円が有効に使われるようになるとワイズスペンディングかなとは思うんですけれども、今ですとそこまで言い切るだけのことは言えないのかなと思っています。枠取りだけはしましたと。

 ただ、これから舛添さんに質問していきますので、舛添大臣に伺いたいんですけれども、この七千億円のうちで、緊急人材育成・就職支援基金をつくられて、菅委員がよく御指摘されておりますトランポリンの制度について、五千億円だと思うんですが、幾らぐらいの予算をつけて、これは何人ぐらいを対象にしているのか。三カ月とか六カ月とか十二カ月の講座があるんですけれども、すべて通年の十二カ月の講座に置きかえた場合に大体どのくらいの座席が用意されているのかについてお答えください。

舛添国務大臣 この緊急人材育成・就職支援基金ですけれども、委員御承知のように、職業訓練の拡充ということで三十五万人、それから訓練期間中の生活保障を三十万人。この三十五万人は三年間ということでありまして、具体的には、ITスキルを習得するための訓練とか、特に医療、福祉、これは雇用を吸収する力がたくさんありますので、こういうところでの基礎的能力を身につけさせるということで、約四千八百二十億円をこの訓練と生活保障ということに充てております。

大島(敦)委員 私が自分で計算してみました。三十五万人、十二カ月に置きかえるとどのくらいかなと置きかえてみますと、大体十二カ月の講座で二十万人分の規模でございました。大体それを三年間にわたって行っていく。先ほど長妻さんから御指摘あったと思うんですけれども、これはどこに基金を造成するんでしょうか。

舛添国務大臣 これは、中央職業能力開発協会というのが基金の造成先で、御承知のように、職業能力開発促進法という法律に基づいて設立されて、職業能力開発に関する業務を行う、こういう規定であります。

大島(敦)委員 その協会が、今舛添大臣が述べられた今までの職業訓練とは違う領域に講座、要は職業訓練の内容を拡大しているわけですよ。その講座を選び抜く、あるいは、こういう講座でしたらしっかりと将来につながるな、そういう講座を選び抜くだけの知見があるかどうかについて伺わせてください。

舛添国務大臣 この協会だけではなくて、職業能力開発機構、これは廃止するという形で決まっていますけれども、それから全国にハローワークがあります、こういうところのノウハウを総合的に吸収し、データもありますから、そういう中で具体的にどういう形でやるのか。そこは、職業能力の開発に携わってきた人材をそこに充てる。これは、それが天下りじゃないかという御批判もあると思いますけれども、そういう形で対応できればというふうに思っております。

大島(敦)委員 今回のは、新しい試みだと思うんです。この二十万人の座席がしっかり有効に機能するかどうかというのは、日本の中ですとこれまでにない試みだと考えております。ですから、どういう訓練講座を指定していくか、あるいはそれを育てていくかというのは、一つの国家戦略が必要かと思っているんです。以前ですと、雇用基本計画というのが閣議決定でされて、五年ごとにそれが決まっていました。恐らく、今の局面ですと、雇用と産業政策が連動をして、一つの基本戦略に基づいて人材をこれから育てていくというのが必要であると思っていて、そうすると、この協会ですと荷が重いかもしれないなと私は思っているんです。

 私は、前に教育訓練給付について何回か質問をさせていただいたことがあって、教育訓練給付、いろいろな講座があるんですよ。英会話の講座もある、ドイツ語もある、フランス語もある、ワインのソムリエを養成する講座もある等々、いろいろな講座がありまして、役所に聞くと、それは職業訓練に役立っていると言うんですけれども、今までにどのくらいの金額が教育訓練給付として給付をされて、そして、トップテンの会社のうち幾つぐらいの会社が今その教育訓練の対象から外れているかについて、政府参考人からの御答弁をお願いします。

草野政府参考人 お答えいたします。

 教育訓練給付に係ります制度創設以降の支給額、累計でございますが、これは約三千億円でございます。

 それから、五年前トップテンであったもののうち現在指定から外れているものは二社ございます。

大島(敦)委員 一社がNOVA。NOVAには百六十五億円給付額をお渡ししている。もう一つが日建学院で、NOVAが百六十五億で、日建学院が百五十九億円ですか。これも、多分、教育訓練給付も先ほどの協会を通じて給付していたということでいいんですよね。

 ちょっと確認だけさせてください。政府参考人に確認をお願いします。

草野政府参考人 教育訓練給付の支給でございますけれども、これは、現実的にはハローワークの方で支給しておりまして、支給の決定につきましては国の方でやっておるという形でございます。

大島(敦)委員 ただ、講座を決めることについては、多分本省の皆さんと協会の皆さんが携わっているかなと思うんです。

 それで、もう一つは、要はこの三千億円分についての効果の検証が十分にはされていないのかなと思っておりまして、そうすると、舛添大臣、この協会に、要は五千億円分の、トータルすると七千億円分ですか、使い方を決めていいよというのは少し乱暴なのかなと思うんですよ、これは。内閣としてしっかり人材を育成していくという目標があって、どういう人材が必要かと。先ほど介護とかあるいはITとかいろいろなことがありましたが、それは個々にはそうかもしれないけれども、どういう人材が必要かということについて議論はしていないと思うんです。

 ですから、例えば舛添大臣がおっしゃっているモラルハザード、ではどうやってモラルハザードを防止していくかについて、お考えがあれば手短に教えてください。

舛添国務大臣 一つは、昨年四月からのジョブカード制度、これの活用ということはあり得ると思います。それから、四月十七日に未来開拓戦略というのを策定しましたけれども、この中に人財力強化・技術力発揮プランということで、今言ったような問題を経済成長のキーとしてやろうということを言っています。

 ただ、委員がおっしゃる懸念もよくわかるのは、私が先ほどハローワークと申し上げたのは、あそこで徹底的に、あなたは何に向いている、どういう意欲があるか。意欲のない分野に連れていってもそれは一生懸命やりませんから、ですから、そこのところがモラルハザードにならないようにするために、適性の検査。

 そして、ソムリエになって、ソムリエとして生活していくのだって、それは立派な仕事ですから悪くないと思いますよ。それから、外国語の研修にしても、ある程度以上の、二級なら二級の検定を通るということを前提にやるわけで、ただABCからやるのとは違うので、あくまで就職に結びつくということをやると思います。そういうことでやっていくと思いますので。

 協会がそこまでの力を持っているかどうかという御懸念でありますので、それはきちんと監視をし、必要な補強をどうするかということは、これは委員の問題提起を受けて考えたいと思います。

大島(敦)委員 大臣、二十万人分の座席があって、自分のイメージ、自分の考えですと、通うということが必要だと思っているのです。要は、これは自殺対策にもなるんですよ。

 これまでですと、仕事がなくなるとすぐにというんですか、ややもすると生活保護で孤立してしまうわけです。もちろん行政のそれなりのサポートはあるかもしれない。やはりこれから三年間、仕事がない状態がずっと我が国の経済は続いていくわけですよ。

 その中で、通うという行為なんです。同じ時間、九時にそこの場所に行く、通って、社会的な生活をその場で営むということが必要だと自分は考えていて、この間、厚生労働省の皆さんと議論をさせていただいたら、そのときには、今は若干考え方変えているのかもしれないけれども、八割出席率があればいいんだという答えだったわけです。僕は違うと思うんだ。九九%出席率があって初めて給付するような内容かもしれない、病欠をしっかりとって。通うという行為に着目をしてやらないと、個人が孤立をしてしまうと思うのです。

 そういう制度設計とか、人材についても、定性的に言うのではなくて、例えば、これまでこの場で何回も言っているかもしれない、人材としては、そういう産業じゃなくて、社会人としてのいろいろな、コミュニケーション能力をつけたり、あいさつできたり、縦横計算できたりする、名刺の渡し方も含めて、そういうことも物すごい大切なわけですよ。そういうことも含めて、国の人材をどうやってこの五千億円を使って育成していくのかというしっかりとした考え方がないと、賢い支出にはなかなかならないと思うんですよ。

 今回の予算を見ても、野田大臣のところの自殺対策、九千万円から百億円にふえているわけですよ。百億円にふえているけれども、内容を見ると、冗談で五百億円でも通ったんじゃないのと言ったら、そうかもしれないと僕は思うんですよ。要は、百億円ついているんだけれども、内容はまだ決まっていないわけですよ。

 今回は個々の基金をつくるということですから、都道府県に基金をつくって、一応メニューとしてはこういうメニューがあるけれども、これから要相談ということになっているわけです。ですから、今回の予算は、要は、一応配分はしたけれども、その詳細設計を政治の側がしっかりやらないと多分機能しないと思っているのです。これまでどおりかなと思うんですよ。

 だから、その点について、これは舛添さんに聞いた方がいいのかな。舛添さんにはまず、しっかりとこの緊急人材育成・就職支援基金の制度設計について、厚労大臣だけが決めるのではなくて、経済産業省の方もいらっしゃいますし、野党の私たちもいるかもしれません、産業界もあるし、労働界もあるし。どういう人材をこの五千億円を使って我が国の中で育成しなければいけないかについて、厚生労働省は受け身なんです、受け身の役所なんです。問題が起きてから慌てる役所なんです、問題を防止する役所じゃないのです。ですから、なかなかアイデアというのが、まじめなんだけれども、飛び抜けたアイデアがややもすると出てこないところなのかもしれない。

 だから、その点についてぜひ工夫を十分にして、先ほど言っていたモラルハザードというのも、ただ単に通って出席簿をつけて八割やっていればお金を給付するというんだったら、意味ないですよ。どういう人材が必要かという閣議決定までしてしっかり議論をしない限りは、僕は意味ない五千億円になるかなと思っているんです。

 それで、野田大臣に伺いたいんですけれども、今回の百億円、まだ内容は決まっていません、正直言って。この百億円を使って、去年の自殺者数が三万二千人ですか、三万三千人弱ぐらいだと思うんですけれども、これは一つの目標だと思っているの、三万三千人をふやさないということが。一、二年後になって、あのときは景気が非常に悪くなって、失業率がこれまでの五・四を超えて六・五まで行ったから、それに応じて三万五千から四万人にふえたということで説明に来るのは忍びないな、予算を使った賢い出費じゃないなと思っていまして、その点について国としての目標をしっかり立てる必要があるかと思うので、その点について大臣、官房長官でもいいんですけれども、教えていただければありがたいんですが。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 実は、今回基金を創設するに当たっては、大島委員のかねての御質問に沿うような形で取り組んできたつもりなのに、当の御本人がそういう御発言をされて、非常に私は残念な思いがしているわけであります。

 実は、自殺の対策というのはまだ歴史が浅い。法律ができて、そして大綱ができて、ようやく加速化プランができる中で、累々ここでは、それに対する経費がないじゃないかということを厳しく指摘されてまいりました。実際に、自殺対策の予算はあるけれども、それぞれ各省持ち寄って年間百六十億円ぐらいですか、ただ、ダイレクトに自殺対策とうたっているものは大変少なく、今回この基金は、まさに委員御指摘だった、ダイレクトにそういう自殺対策に資する費用が必要だということで、特別に基金という形で設けさせていただきました。

 百億でも五百億でも言えたんじゃないかというのを……(大島(敦)委員「いや、多い方がいいの」と呼ぶ)もちろん多い方がいいのかもしれませんが。

 ただ、これは担い手、使い手は都道府県になります。御承知のように、まだ都道府県では自殺対策に対する取り組みにかなりの格差もありますし、それについてまだまだ取り組みが浅いところもあるので、必ずしもたくさんのお金があるからすべて事足りるということではなく、やはりこの三年でしっかりと都道府県の皆さんには、啓発活動を行って自殺対策の費用をきちっと使っていただくこと、そして、地域のボランティアの皆様方が今頑張ってくださっていますから、そういう最前線の人たちの支援という形でやはりお使いいただくことが基金のこれからのあり方だと思っています。

 何にも決まっていないのではなく、地域の実情に応じてやはり都道府県が知恵を出していただいて、メニュー方式という形で、ハイリスクの地域があればその見回りに使っていただくとか、または電話に使っていただくとか、基本的には、その使い手が自由に、国の命令で動くのではなく、それぞれの実情に応じて使っていただきたいということであります。

 なお、やはり目標を立てておりまして、これに対してもそれぞれ、例えばうつ病対策であったり、または学校教育での取り組みであったり、またはインターネット上でのいろいろな取り組み等々の総計によって数を減らしていくという努力を、これからも大綱の数値目標にのっとって取り組んでまいります。

大島(敦)委員 なかなか時間がなくて申しわけありません。野田大臣、ありがとうございました。

 金額は多い方がいいんです。ただ、官房長官、数字目標は決めた方がいいと思うんです。定性的な発言じゃなくて、三万三千、三万二千をふやさないという決意が必要だと思うんです。その数字を置いたときに初めて具体的な政策が来ると私は思っているのです。ですから、その点をまずお願いいたします。

 そして、二階大臣、質問しなくて申しわけないんですけれども、指摘だけさせてください。

 自分も反省しておりまして、今回、車を買いかえるとか家電を買いかえることによって要は補助をするという政策、私どもも持っているんですけれども、工夫が必要かなと思っているのです。今回、政府案は工夫がない、まあ、もう少しなんだけれども。

 要は、国による値引き販売なんですよ、これは。要は、営業力が大分弱っているの、我が国は。やはり、その商品のよさをしっかりと説明をして営業マンがしっかりと売り込むということのしっかりとした人材をつくらないと、お金が回らないわけ、資金が。これは与謝野さん、そうなんですよ。今回は、いろいろな政策を見るんだけれども、お金をまけばどうにかなるかという政策が多くて、やはり我が国には、営業する人、難しい言葉で言うと能力構築競争というんですけれども、しっかりとそういうことができる方が大分弱くなっているのです。これはひょっとすると……。申しわけない、これ以上は言いません。

 そのことについて、その点をしっかりと二階大臣、今後の経産省の政策の中でまだまだ政治家が求めていいと思うのです。この程度の政策は、まだもう一歩なんですよ。厚労省も、もう二歩ぐらいかもしれない、まだまだなんです。まだまだ役所の人たちは政策が自分のレベルを超えていない、しっかり考え込んだ政策がないんですよ。

 その点について、最後に官房長官と、一言だけ二階大臣からいただければありがたいんですけれども。

衛藤委員長 時間が来ておりますので、官房長官、簡潔に御答弁をお願いいたします。

河村国務大臣 今、御指摘が幾つかございました。拳々服膺させていただきますが、特に人材のところについては、まさに先ほど、冒頭おっしゃいました、あえてお問いになりませんでしたが、これは内閣府のもとにあらゆる関係役所が参集して取り組んでおりますし、また経産省が持っておられます未来開拓戦略、これも十一府省が関係しておりますが、これらを総合的にして、職業訓練、人材育成対策。

 それから、自殺対策についてもまさにそうで、この基金と、それから数値目標ですね、今おっしゃった三万、平成二十八年までに自殺率を二〇%以上減ずるんだという目標を持ってきちっと対応していきたい、このように思っております。

二階国務大臣 大島委員からは、経済産業委員会におきましても、かねてより営業力ということの御指摘があります。私も極めて傾聴に値する言葉だということを思っておりまして、経済産業省においてもこのことを今研究、検討しておるところでございます。

 今おっしゃるように、値引きして物を売る、これはだれでもやれることでありますが、これは、こういう経済情勢の中で社会全体が落ち込んでおるときですから、ここで何か手だてをということから始まったわけでありますが、今おっしゃるように、値引きだけではなくて、もう一歩突っ込んだところ、これは、経営者の皆さんや、またそれにお勤めになっておられる方々、また私ども役所、経済界、一体になってこれからの対応を考えていきたい、そして突破していきたい、この状況を越えていきたい、こう思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 まだまだ質問したいんですけれども、終わります。

衛藤委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂でございます。よろしくお願いします。

 大島議員の後だと、何となくトーンがやわらかくいかないとまずいのかなという気もするんですけれども、少しでも自分のペースを取り戻せるようにやりたいと思います。(発言する者あり)人間性の問題という声もありましたけれども、まさにそうだとも思っております。

 与謝野大臣、最初に、ちょっと通告なかったんですけれども、一点、確認の意味で聞かせていただきたいんです。

 きょうのやじの中にも一部あったんですが、民主党に、予算について対案を出せというやじが飛んでおりました。あるいは、先般のこれは五月七日の予算委員会で町村委員からも、民主党としても国会に「対案という形で、歳出歳入それぞれどういう姿になるのかということを、ぜひ対案として出してもらいたいんですね。出していないんです、彼らは。」という話をしているんですが、この点、テレビの前であそこまで盛大に言われちゃうものですから、予算を出せるのはそうではないんだ、内閣しかないんだ、これは憲法違反なんだ、憲法に触れるんだということをおっしゃっていただけますか。

与謝野国務大臣 憲法の問題は別にしまして、まず、野党の皆さんに対案を出していただきたい、そういう気持ちはあっても、なかなか対案をつくるということは難しいこと、技術的な難しさがあります。しかし、ぜひ国会審議を通じて、例えば民主党の持っておられるいろいろな物の考え方を示していただく、これが日本の政治をよりよきものにしていくものだと私は思っております。

 憲法との関係で、予算の提案権は国にしかないんだとか、いろいろな意見が昔からあります。ありますが、国会で有益な意見が出てきたときには一体どうするのかという問題は、もう一つまだ戦後の日本国憲法のもとで解決されていない問題だと私は思っております。

逢坂委員 その点、これはこれ以上、やめることにしますけれども、憲法の七十三条には予算を提出できるのは内閣というふうになっておりますので、やはりその点を踏まえて、ただし、違った考え方、こういう考え方もあるということを闘わせるのは非常に大事なことだと私も思っております。

 さてそこで、今回のこの補正予算ですけれども、私は、正直申し上げまして、相当に厳しいな、いろいろな意味で危ういなというふうに思っています。失礼ながら、亡国の予算になりかねないのではないか。それは、いろいろな意味でモラルハザードがあったり、財政的に言ってもいろいろな厳しさがあるのではないかというふうに思っているんですね。

 そこでまず、今回のこの経済危機なんですけれども、与謝野大臣、今回の経済危機というのはなぜ日本だけがヨーロッパの諸外国に比べて特に厳しいというふうになっているのか、改めて簡潔に御指摘をいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 日本の経済危機は数字の上では厳しそうに見えますけれども、その原因は非常にはっきりしていて、外需すなわち輸出の落ち込みである。ただ、欧米諸国に比べまして、日本の経済危機は金融危機を伴っていない、こういうところがやはり不幸中の幸いでありますし、また、もとの成長軌道に戻る道筋は実ははっきりしている、私はそのように思っております。

 なぜ今回の世界的な金融危機が起きたか、これはいろいろな解説がされているわけでございます。いわゆる世界的な経常収支の不均衡等のマクロ経済的な背景、あるいは金融機関のリスク管理等の金融部門に起因する問題がある、こういう指摘がされておりますが、いずれのことも実は、多少は関係ありますけれども、基本的には日本にとっては無縁のことであるというのが不幸中の幸いであると思っております。

逢坂委員 外需という言葉がありまして、それが非常に大きいんだという話がございましたけれども、私は、今回の危機は、今後この国というのはどうあるべきかということを考える、逆に言うといいチャンスではないかというふうに思うんですね。

 それで、例えば需給ギャップの問題、後にまた議論したいと思いますけれども、マイナスになったGDPを前のような形へ復活させていくことが今回果たしてすべて正しいのかどうか。

 もちろん私は、これはある一定程度は復活させなければいけないとは思うのでありますけれども、果たして、これまでの成長を前提にした経済社会のあり方、経済がどんどん成長していくと、そこに対して金融が、それにある種ガソリンを注いでいくように金融が暴走していった結果が、今回のまた一つの世界的な経済危機のあらわれでもあると思うんですね。

 それから、地球的に見ますと、地球の資源は限りあるのは、物理的にいって、あるいは科学、サイエンスの面からいってこれは当たり前なわけですから、その中で経済活動をどんどん過熱させていくことでこの地球がもたないというのは、科学、サイエンスの面から明らかなわけですね。

 そういう点でいいますと、今回は、前の状態にただ引き上げるということではなくて、成長を前提にしない社会づくりの入り口に立つような、そういう危機なのではないかという気がするんですけれども、私は、今回の補正予算にそういう思想というものをもっと盛り込む必要があったのではないか。

 その意味では、確かに金額をたくさん計上して、使い道がなかなか決まらないというところもあるかもしれないものも入っているようにこれまでの議論で見えますけれども、そこは慌てずに着実な予算ということも必要だったのではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 まず第一点、これはもう三年ぐらい前の自民党の中の論争でございますけれども、我々は、日本みたいな成熟した経済というのはそんな成長するものではないんだ、だから、そう高い成長を前提にいろいろな物事を考えると間違うという議論を展開しました。一方では、四%も成長するとか五%も成長するなんという人が我が党の中にもいましたけれども、多分これはどちらかというとインフレ頼みの成長なので、我々は到底受け入れがたいところで、まあ一%を超えて二%ぐらいの成長を前提に物事を考えていくことが正しいのではないかなというのが私どもの考え方でございました。

 もう一つは、これを機会に新しい物事の考え方をしたらどうかと。

 これは私はそのとおりだと思っておりまして、今回も予算をつくるに当たって、当面の経済危機、すなわち、失業がたくさん出たり、中小企業の倒産がたくさん出たり、これを何とか防ぐということのほかに、新しい需要をどの地平線に求めるのかというと、従来型の需要、例えば公共事業、こういうものになかなか需要というのは求められない。やはり医療とか介護とか、その他の福祉制度とか、あるいはセーフティーネットとか、そういう分野を重視した経済対策をやらなきゃいけないということが一つ。

 それからもう一つは、やはり将来の社会に備えるような補正という意味で、低炭素社会とかあるいは科学技術の開発とか、そういうことに重点を置きながらやっていこうというのが今回の補正予算であるわけです。

 それは、先生方から見れば、ここが不十分だ、あそこが不十分だという点はたくさんあるということは承知しておりますけれども、我々としてはベストの案をつくったつもりでございます。(発言する者あり)

逢坂委員 ちょっとここ、うるさいですね。

 与謝野大臣のお言葉を、今の、きょうの発言を、額面どおり、私は本当にそのとおりだと思うんですよ。しかしながら、予算の中身がそうなっているかといえば、どうもそうは思われないわけですね。それで、こちら側からもやじが飛ぶんだというふうに思うんですね。

 そこで、今回、この十五兆という規模でありますけれども、これはどういう根拠で十五兆になったのか。これは、例えば各省の政策を、必要な政策を積み上げた結果十五兆になったんだと。いや、そうではないんだ、需給ギャップをある程度公的な支出で埋めようという考えがあって、その総額が十五兆で、それを基本的に各省へ割り振ったんだとか、あるいはその両方でやったんだとか、この十五兆というのはどういう根拠によって決められたんでしょうか。

与謝野国務大臣 マクロ的な計算をしておりましたのは、内閣府と諮問会議でございます。これと別個に個別項目を積み上げていたのは、主計局、各省並びに与党のそれぞれの担当でございます。これは、別に両方が打ち合わせたわけではございません。非常にまじめに積み上げていったということが一つ。

 それから、マクロ的な経済計算は諮問会議の岩田先生が中心になってやっておられましたが、規模として十三兆から二十二兆というような幅のある数字を出されておられましたけれども、たまたま今回は、金融対策を受けまして十五・四兆になりました。これは結果であって、もともと十五兆という数字があって十五兆にしたわけではない。積み上げていった部分と、こっちはこっちでマクロ的な検証をしていた。

 それからもう一方では、国際機関、例えばIMF等が、各国とも二%ぐらいの財政出動をしたらどうかという話をされていたので、たまたまその三つのものが大体同じ幅のところに落ちついたということでございます。

逢坂委員 積み上げも、それからマクロ的にも、国際的にも一致した点が十五兆だということでございますけれども、この予算で、与謝野大臣が常々おっしゃっているのは、二十一年度の実質GDPを一・九%程度押し上げるんだという話をしているわけですね。しかし、本当にこれはその押し上げ効果があるのかというのは、私にはちょっと疑問に思われる点があるんです。それは、予算を幾ら十五兆計上しても、執行しなければ全く何もならないわけですね。

 今回、五兆近い基金造成費が入っているわけですね。だから、その分をやはり取り除かなければ、二十一年度に一部基金造成費も使うものもあるでしょうけれども、そういったものを割り引かなければ、これは一・九になるのかならないのか、それを織り込んだ上での一・九なのかどうか、このあたりはいかがですか。

与謝野国務大臣 もともと今回の予算は多年度で執行する分も含まれておりますから、効果が二十一年度以降に及ぶものもございます。それを差し引いたものが一・九でございます。多分、二十一年度以降は効果は一%弱、〇・八とか〇・九とかは後に残るということでございます。

逢坂委員 今のその話からすれば、ことしが一・九だ、後年度以降〇・八とかというような数字だということを考えれば、それでは、本年支出すべきお金というのは大体十兆ぐらい、大ざっぱに今の比率から判断すれば。支出すべきという言い方は変ですが、基金とかなんとかで事実上機能しないお金の部分がですね、そういう感じがするわけでありますけれども。

 財務大臣、もし仮にそうだとするならば、この時期の補正予算に、いわゆる財政法二十九条で言うところの「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」という観点から見たときに、五兆分を後年度に留保する財源としてあえて今の時期に計上する必要があるのかどうか。これは後の時期でもよかったのではないか。例えば、ことしの税収がもう少し確定した後に、今年度の少し後ぐらいの方にやるとか、そういう考えはなかったのかどうか。いかがですか。

与謝野国務大臣 もともと、総理の御指示が多年度にわたる経済対策にしろということでこういうことになりまして、数字を申し上げますと、今年度支出されるのがおおよそ約十兆、二十一年度以降が五兆でございます。

逢坂委員 そこで、与謝野大臣、もし仮に与謝野大臣のおっしゃるとおり、ことしが十兆で後年度が五兆だというふうにしても、実は、私はことしの十兆も相当厳しいのではないかと思っているんですね。

 と申しますのは、私、一九九八年、小渕内閣の七兆円の補正のときに自治体の現場で首長をやっておりました。あのときは、やはりあの予算を消化するのに、結果的には単年度でできない、二年かかっているわけですね。それで、裏話のような話でございますけれども、霞が関のあるところから電話がかかってきたり道庁から電話がかかってきて、逢坂さん、何とかこの予算を消化してくれ、今使わなくてもいいから、とにかく受けるだけ受けてくれというようなことが本当にいろいろな分野でありまして、あれは七兆の補正予算のときでした。今回仮に十兆だとしても、この十兆を使い切ることすら私は現実的に難しいのではないかという危機感を持っているんです。

 そこで、ちょっと塩谷大臣にお伺いしたいんですけれども、国立メディア芸術総合センターですか、この間、新聞なんかでは、国立だか国営漫画喫茶とか言われているものだそうでございますが、私は内容を承知しておりませんのでそういう言い方が適切かどうかわかりませんが、マスコミではおもしろくそう言っているようです。今回、この関連予算で百十七億円計上されているわけですね。この国立メディア芸術総合センター、国立漫画喫茶は、場所はもう決まっているんですか。それと、土地取得はもうお済みになっておりますか。あるいは実施設計、もう全部済んでおられますでしょうか。いかがですか。

塩谷国務大臣 決して漫画喫茶ではなくて、これはもう昨年来、メディア芸術に対して拠点をつくろうということで検討をしてきたところでございまして、特にアカデミー賞なんかで映画の受賞もしましたし、私もこの前実は、フィルムセンターというのがあるんですが、そこへ行ってみて、この映画も含めて……(逢坂委員「事業の必要性を聞いているのではなくて」と呼ぶ)ごめんなさい。

 今のところ、いわゆる土地は決まっておりません。土地の取得もまだでございます、これからでございます。(逢坂委員「実施設計は」と呼ぶ)実施設計もこれからです。

逢坂委員 今まさに大臣から話がありましたけれども、土地の取得、土地の場所がまだ決まっておらないと。当然、土地の場所が決まらなければ、これは実施設計は不可能です。それで、しかも百十七億……(発言する者あり)今、予算がついていないという話がございましたけれども、ある程度の目星すら、仮にあったとしても、これから事務作業を進めて、土地を取得して、実施設計をやって、しかもこれほどの百十七億もの建物をやるということになれば、私は単年度でやれるなどというふうには到底思われないわけですよ。例えばこれ一つとってみても、年度内執行というのは必ずしも簡単ではないんですね。

 これは、ほかの予算についても実は個別に細かく見てみなければいけないんですが、今回、施設整備予算が相当にふえているというのはこれまでの議論の中でもあったわけでございまして、事実上、私は、執行するというのは相当に厳しいと。それで、既に自治体の現場では補正バブルなんという言われ方もしておりまして、もうこれは予算をさばき切れませんよ、どうしましょうかというような現実が生まれているわけですね。

 ですから、その点を与謝野大臣、どうお考えになりますか。だから、そういうことを考えたら、一・九なんということになるのかならないのか、いかがですか。

与謝野国務大臣 これは、平成二十一年度予算も前倒し執行しなければなりませんし、この予算も、国会で御承認をいただいたら、二十一年度中に使い切るという精神でやらなければならないと思っております。

 ただし、先生が経験された補正バブルというのは小渕内閣のときでございまして、あのときは公共事業中心の、やや地方に押しつけぎみのことがあったんですが、今回はそういうことはない予算にしたつもりでございます。

逢坂委員 今、前回は公共事業中心だったというふうにおっしゃいますけれども、ただ、今回の財源構成を見ると、七兆三千三百二十億円、これが建設国債なわけですよ。ですから、ある種の何らかの、箱物なのか道路なのかわかりませんけれども、ハード系のものをやるんだということはやはり間違いがないのではないかと思うわけですね。そういう意味で、物理的になかなか執行は簡単ではないということをどうしても指摘せざるを得ないというふうに思います。

 そこで、大臣、それはそれとしながらも、もし仮にことし一・九%のその効果があったとする、では明年度以降はどうするんだという話、先ほども出ていました。これは来年の相談だという話を先ほど大臣はされましたけれども、終結のポイントというか、ある種の条件というか、それを見きわめておく必要があると思うんです。具体的には来年の相談であるにしても、どんな状況になったらこういう大型の支出をとめるのか、あるいは平常状態に戻すのか、その条件設定ぐらいはしておかなければ、明年度以降、財政が大変なことになる可能性がある、今ですら大変なのに。その点はいかがですか。

与謝野国務大臣 これは、二十二年度のシーリングをどういうことで決めていくのかということでございますが、今、財務省の考え方は、二十二年度の概算要求のシーリングは骨太方針二〇〇六で決めた方針に沿って行いたいと考えております。

逢坂委員 骨太方針二〇〇六ということになりますと、また財政は緊縮だということになろうかと思うんですけれども、果たしてそれで本当によいのかどうかも含めて、これからやはりもう少し議論が必要ではないかなというふうに思います。

 次に、本年度の税収見通しについてお伺いしたいんです。

 これに関しては、かねてから、平成二十一年度税収については、土台となる二十年度の税収が確定していないこと、二十一年度における課税実績の状況も明らかでないこと、使用可能な経済指標が限られていることなどから、現時点でお答えすることは困難であるというふうに近ごろ質問主意書などでもお答えになっているようですが、私はこれはちょっとおかしいのではないかという気がするんですね。

 と申しますのは、この論法が通るのであれば、例えば、新年度予算、財務省原案が決まる十二月の時点で、それでは明年度の税収見通しなんかつくれないという理由にもなりかねないわけですよ。経済というのは生き物です。常に動いているのはもうこれは御案内のとおりでありますけれども、常に動いている経済のやはりどこかの断片を切り取ってその時点での予測というのをしない限りは、あらかじめ条件設定していても、二カ月たてばまた条件が動きました、また条件が動きましたということにならざるを得ないわけですね。

 そういう観点からいって、やはり税収見通しを今回の補正に合わせてしっかりと出すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 それは大変大事な御主張だと思っております。

 我々としては、経済の断面を昨年の十二月で切って、そこで税収見積もりを出したわけでございます。しかしながら、その後の経済財政の状況というのは悪化の一途をたどっておりまして、それでは現時点で皆様方に得心をいただけるような税収見積もりが出せるのかというと、それはほとんど不可能に近い作業です。

 ただし、ベクトルは下向きですから、税収が必ず落ちるということはもう間違いないことでございますが、どのぐらい落ちるかということを確かな気持ちで申し上げられないというのが、先ほどお読みいただいた、くどくどした我々の言いわけでございますけれども、やはり今確かなことは申し上げられない、しかし税収が下がることは間違いありません、ここまでははっきりと申し上げられる。それ以上はなかなか申し上げられないという苦衷をお察しいただきたいと思っています。

逢坂委員 確実に税収は下がると。そうですね。経済成長見通しをゼロからマイナス三・三に補正をせざるを得ない状況でありますから、税収は間違いなく下がるんだというのは私もそうだと思います。

 正直に今大臣におっしゃっていただきましたが、さすれば、今後、二十一年度予算というのは、税収が下がれば、国債費、新規に発行する国債を場合によってはふやさざるを得ないという局面も想定されているということでよろしいでしょうか。

与謝野国務大臣 当然、税収の見通しと実績に乖離ができれば、その乖離は公債によって埋めざるを得ないと思っています。

逢坂委員 税収は間違いなく下がりそうだ、もし乖離が出たら、それは国債、公債によって埋めるということをそれでは改めて確認をさせていただきました。

 そこで次に、今、国と地方、随分借金が多いという話はかねてから言われております。二十一年度末、来年の三月末にこの借金の額がどの程度になると予測をされているのかということと、あわせて、大臣、いわゆるGDPの一七〇%とも言われるような借金が残った原因というのはどう見ているのか、簡潔にお知らせください。

与謝野国務大臣 委員御指摘のとおり、今回の補正予算を踏まえますと、平成二十一年度末の国及び地方の長期債務残高は、計数は精査中でございますけれども、八百十六兆円程度、これはGDP比で一六八・五%になります。

 なぜここまで借金がふえたのかといいますと、やはり一つは、税制が行政需要に対応していなかった、それから、行政需要自体は特に社会保障関係費を中心にふえた、それから、景気対策等をやって公共事業も大幅にやった時期がある、それから、景気対策として大変大規模な減税もやった等が主な原因であると私は思っております。

逢坂委員 私は、確かに今大臣が御指摘なさったような点もあろうかと思うんですけれども、国会審議が機能していなかったのではないかというふうに思わざるを得ないんですね。それは、支出がふえざるを得ない局面があったことは確かですけれども、どこかの段階でそこに歯どめをかけられるような国会審議の仕組みになっていたかというと、全くなっていないのではないかというふうに私は思うんです。

 今、舛添大臣が首をかしげられましたけれども、ほとんど予算情報は公開されておりません。予算の中身を聞きたくても教えてもらえません。聞きたい分野をターゲットにポイントを絞って一点だけ聞けば、そこだけは教えてくれます。でも、全体像を見せてくれと言っても、それは教えてもらえないのが現実なんですね。私は、そういう意味では、今回の補正は相当な危機感を持っているんです。

 先般の五月七日の菅代表代行の質問にこんなのがありました。ワイズスペンディング、賢い支出とは言えないものがたくさん入っているという指摘を菅代表代行がされたら、私はそうは思っておりませんというふうに総理は答えたんですけれども、与謝野大臣、そうは思っておらないという根拠は何ですか。

与謝野国務大臣 それは、一つ一つの項目を精査する過程で得た確信であると同時に、もともと補正予算を編成するときの思想は、賢い支出にとどめよう、ただ有効需要を創出するための、いわゆる穴を掘って埋める方式のような有効需要の創出は絶対避けようということでスタートしたからでございます。

逢坂委員 それは、確かにスタートはそうであったのかもしれないし、「経済の下支えに必要な施策や将来の成長力を高める施策などを厳選いたしました。」ということで財政演説も言っているわけですが、本当にそうなのかどうかということを、二、三、例を挙げてお伺いしたいんです。

 まず最初に、厚生労働省、政府参考人に来ていただいておりますけれども、今回、医師確保対策ということで三千百億円の予算計上をされていますね。

 これは、財務省に予算要求したときは一体幾ら要求して、結果として三千百億になったと思うんですけれども、要求額と、結果として三千百億になった額に差があるのかないのか。あるいは、予算を厳選するということでございますので、そこの中で財務省からどういう指摘があってこの三千百億に落ちついたのか、この経過を簡単に御説明ください。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 地域医療再生基金につきましては、財務省からの指摘は、地域医療再生計画を策定する都道府県における執行可能性や、計画策定の基本となる二次医療圏において想定される事業規模の精査が必要との指摘を受けたところでございます。

 こういった指摘を受けつつ、必要額の検討を行い、財務省との意見交換等を踏まえ、最終的に三千百億円を計上しております。

 なお、補正予算であるために、概算要求書は作成しておりません。

逢坂委員 聞いたことに答えていただきたいんですが、当初幾ら要求したかというのをちゃんと言っていただけますか。

外口政府参考人 予算要求過程において、この三千百億円の前後での意見交換をしておりますけれども、例えば最初にこれだけ、幾ら必要だ、そういう要求はしておりません。

 ただ、単価として、二次医療圏に必要な額として、高度に必要なところで一単位が百億、それから、ソフトを中心にやるところが一単位が三十億、そういう予算の検討をしておるところでございます。

逢坂委員 次に、農水省にお伺いしたいんですけれども、農地集積加速化事業、二千九百七十九億円を補正予算に計上されていますが、簡潔で結構ですので、政府参考人、要求した額と決定した額を教えてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 この農地集積加速化事業でございますけれども、農業の担い手に対しまして、いわゆる分散錯圃の状態を解消して、ばらばらな状態ではなくて面的にまとまった状態にするということを促進することを目的としているわけでございます。

 これは、先週本院におきまして御可決いただきました農地法等の一部を改正する法律案におきまして、この新たな促進策の仕組みを創設するということで、このような仕組みの創設、法律案の作成過程、それから、それに関しまして必要な議論をやってきたところでございます。

 したがいまして、今回の補正予算の過程におきましては、御指摘の、予算金額について幾らにするかという御議論があったわけでございますけれども、ポイントは、まずこのような集積をどのような形で促進するのかという仕組みを財務省と意見交換をした上で、必要な目的の面積につきまして、現実の集積状況と将来の目標との差であります百万ヘクタールについて、半分の、三年間で五十万ヘクタールを目標とするということで積算をしたものでございます。

逢坂委員 聞いたことに何も答えていないんですけれども。要求した額と決定した額に乖離があるかと聞いたんです。

衛藤委員長 農林水産省経営局長高橋博君、簡潔に。

高橋政府参考人 補正予算でございますので、要求額に対して査定額というようなやりとりを行ったわけではございません。今のような検討過程におきまして、必要な所要の面積をもとにこの金額を決定したというところでございます。

逢坂委員 これはどう考えてみても理解できないんです。私も、自治体の現場ではありますけれども、十五年近くにわたって予算査定の仕事をやらせてもらいましたけれども、要求なしに予算を決めるなんということは普通あり得ない。まあ、それはいいでしょう。

 では、内閣府、世界最先端研究支援強化プログラム、二千七百億円、これはどうですか。要求した額と決定した額。あとはまた議論します。

藤田(明)政府参考人 お答えをいたします。

 内閣府では、世界最先端研究開発支援プログラムにつきまして二千七百億円を計上したいということで、財務省と調整をいたしたところでございます。

 先ほど農水省等からもお話がございましたように、構想の検討段階で財務省と意見交換をしまして、その指摘事項等も踏まえまして、二千七百億円という額が妥当であるということで財務省に要望をさせていただいたところでございまして、その金額を最終的に認めていただいたということでございます。

逢坂委員 これ以上やっても無駄なような感じもしますので。

 はっきり、実は、先週金曜日の段階の事務方からの打ち合わせでは、実際に今回補正予算に計上された額は、要求した額どおり、特段何の変化もなく認められているんだという話だったわけですね。だから、私は、ここに厳選という言葉が入るなどということは、どう考えてみてもあり得ないというふうに思うんです。

 先ほど来やじの中で、補正とはそういうものだなどというやじが飛んでおりますけれども、それはとんでもない話でありまして、特に今回は、十五兆円というのは維持管理費だとか経常経費が入らない、まさに十五兆そのものがもろに事業経費なわけですから、単年度予算にも匹敵するような内容だというふうに思うんですね。それを、こんな不見識な、補正とはそういうものなんだ、要求書なんかないんだみたいな言い方をすること自体が、私は今回の補正予算は大問題だというふうに思うんです。

 だから、この点は、やはり本当に私は不安でしようがないんですよ。こんなことをやっていっていいのかと。実は、八百兆を超える借金がたまってきたのも、こういうことの繰り返しだったのではないか。

 それで、今それぞれの事業について、では、予算の積算の内訳やら支出項目ごとに詳細なものを出してくれと言われても、これは全く出せないというふうに言うんですね。財務省から政府参考人に来ていただいておりますが、財務省にお願いしたんです、予算要求資料と予算査定の中身とどういうことで結果が出たのかというその一連のプロセスの資料を出してほしいと言ったら、財務省は出せないと言うんですから、出せない理由をちょっと言ってくださいよ。

丹呉政府参考人 お答えいたします。

 予算編成のプロセスでございますが、当初予算におきましては、各省が七月ごろに概算要求基準をもとに作成いたしまして、概算要求の資料を八月末までに財務省に提出することが財政法その他の政令で定められておりますが、補正予算におきましてはそういった定めがございません。先般御審議いただきました二十年度の一次補正予算及び二次補正予算におきましても同様でございまして、補正予算におきましては、従来から各省から概算要求書を提出いただいておりません。

 そこで、今回の補正予算の編成について申し上げますと、三月に総理から与党に経済対策の指示がございました。さらに、官邸では有識者の方からのいろいろ意見の聴取がございまして、私どもそれから関係各省も、そういった動きにつきまして十分に情報収集してきたところでございます。

 そして、三月三十一日に政府・与党に対しまして経済危機対策を取りまとめるよう総理の指示がございまして、これを受けまして政府・与党内で検討いたしまして、四月十日に経済危機対策が策定され、それから補正予算の具体的調整に入ったわけでございます。

 私どもといたしましては、その経済危機を策定する中で内閣府を中心に政府部内で調整いたしましたが、関係各省とはいろいろな意見の調整をいたしました。その都度必要な意見を調整いたしまして、さらに正式に対策が固まりましたところで具体的に補正予算の作業に入りました。それの中でいろいろ説明資料をいただいたり、データ等をいただいたりはいたしておりますが、要求資料というのは特に、先ほど申し上げましたような形で、ございませんで、最終的にはそういった調整を経まして予算を取りまとめ、補正予算として提出しているところでございます。

 そういったことで、要求書というのはないということを御理解いただければと思います。

逢坂委員 すなわち、与謝野大臣、要求書がない、法律にないから要求書もとっていない、だから、査定も具体的にどうやったかという痕跡がないわけですよ。調整はしたという言葉はありましたよ。だけれども、それを出せるものがないということなんですね、今の答弁を簡潔に言ってしまえば。そうすれば、厳選したなどという言葉を使えるとは私は思えないんですよ。

 大臣、ですから、これはやはり賢い支出だということは私は全く当たらないというふうに思うんですけれども、ここはどう見ても……(発言する者あり)いや、検証のしようがないんですよ。ですから、こういう予算組みを続けていると、やはりいつの間にか借金が膨らんできているというようなことを認めざるを得ない。これは全く国会のグリップがきかないわけですよ。

 私自身も、今回の予算、どこが不整合なのかということを調べたくたって、これは情報は出ないわ、教えないわで、これの繰り返しなんですね。こんなばかなことがあっていいはずがないんですね。ぜひ大臣、この点は改善をしなければいけないというふうに思います。

 それで、実は、私、予算委員会でいろいろ議論をしていて、やはり日本の予算委員会というのはおかしいというふうに言わざるを得ません。先輩もたくさんいる中で大変失礼だとは思うんですが、もっとこれは時間をかけて、しかも、予算委員会のここの本番の場だけではなくて、細かい小委員会なのか分科会なのか、国会議員の総力を挙げて予算をチェックするようなやり方をしなければやはりいけないのではないかと思うんです。当初予算の分科会も、あれは予算の内容をチェックしているわけではなくて、御案内のとおりの、きょうはここではしゃべりませんけれども、必ずしも予算のチェックになっていないわけですね。

 だから、そういう点において、これからの日本の予算審議のあり方をしっかり直すということに注力をしなければ、この八百兆というのはますますふえていく可能性が高いというふうに指摘をせざるを得ないというふうに思います。

 それと、石破大臣、せっかくお越しいただいて、舛添大臣にもちょっと御答弁いただくチャンスがなかったんですが、石破大臣に一つだけ老婆心ながらお話しさせていただきますと、農地集積でございますけれども、あれは相当大変だというふうに私は思います。私自身も現場で相当やりました。お金さえあればそれは何とかなるというものではないんですね。しかも、土地の状況というのは、同じ一枚の農地であっても実は、あそこが日当たりが悪いとか、ここは石が出るとか、それは地域ごとによって相当違うわけでありますね。

 ですから、大臣、そこは相当緻密なことをやらなければ、逆に予算がマイナスの効果をもたらす可能性があるということはぜひ肝に銘じていただきたい。そして、この内容については、機会を改めて、大臣に、本当に失礼ながら、私なりの経験を踏まえて、どうやらなければいけないかをまた議論したいというふうに思います。

 最後に、与謝野大臣、予算審議について何か考えがあれば言っていただけますか。

衛藤委員長 時間が来ております。簡潔にお願いします。

与謝野国務大臣 私が初当選したときに、予算委員会というのは予算をやるところだと思っておりましたら、予算に関係ないことばかりやっているのでびっくりしたのが国会議員としての初めての感想でございます。

衛藤委員長 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 九日、国内で初めての新型インフルエンザ感染が確認をされました。けさまでの集計で、世界三十カ国、四千四百人を超える感染者、五十三名が死亡に至るという、急速な広がりを示しております。

 この間、ずっと二十四時間体制で対応されてきた関係省庁、また検疫所を初めとする関係者の皆さんの御苦労には、まず心から敬意を表したいと思います。

 同時に、今回、検疫で発見できたことは奇跡的とも言えるタイミングでした。水際対策の限界も指摘され、今後は国内体制の充実と長期化を見据えた対応が求められると思います。

 これまで政府は、新型インフルエンザウイルスは、鳥インフルエンザウイルスが鳥や人への感染を繰り返すうちに変異をして出現すると想定されていました。高病原性鳥インフルエンザは、鳥から人への感染が世界で既に三百三十三人、二百四名が亡くなっております。致死率も非常に高いです。この鳥インフルエンザが、人から人に感染する新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が最も高いと想定され、国民の四人に一人が感染する、最大六十四万人が亡くなる、こうしたシナリオのもとに、新型インフルエンザ対策ガイドラインや行動計画もつくられてきました。

 今回は、豚由来のH1N1であり、弱毒らしいということ、一方、豚由来は、重症度は低いけれども感染力が非常に強いということも言われています。今、何がわかり、何がわかっていないのか。

 また、毒性の強い新型インフルエンザ対策のガイドラインや行動計画を丸々実行する必要があるのか。例えば、どの程度から蔓延期と言うのか、学校は、企業は、集会は。大臣自身が、弾力的にという発言をされておりますけれども、その中身、仕切りについて、まず政府の立場を明確にお答えください。

舛添国務大臣 今、高橋委員おっしゃったように、幸いなことにというか、高病原性ではなくて、いわゆる弱毒と言われている低病原性であるということでありますから、あれはH5N1を前提にした行動計画でした。ですから、今、このウイルスの特性についてさまざまな研究が世界じゅうから寄せられていますので、これを見ながら具体的にどうするか考えます。というのは、例えば臨時休校、これをやるのかやらないのか、それから企業の経済活動の自粛もそうです。

 今喫緊の課題は、成田で今四名ほど出ていますけれども、濃厚接触者、そのそばの座席にいた方々、これは十日間の停留というのをやっていますけれども、今専門家の皆さん方に診察をし検討していただいて、先ほど申し上げましたように、九日でも八日でも、一日でも短くした方がいいわけですから、そういうことも含めてやりたいと思いますので、ウイルスの属性を見ながら、世界じゅうの研究成果を入れながら、柔軟かつ弾力的に、しかしながら、やはり国民の命と健康を守る、この原点を忘れずに対応してまいりたいと思っております。

高橋委員 その点については明確に示していただきたいと思うんですね。

 私が非常に印象に残っているのは、一番最初に感染が疑われた横浜の高校生が実は新型ではなかったということがわかったときに、テレビで、校長先生が会見で一筋の涙を流しましたよね。まさに、極限まで追い詰められていたのではないか。つまり、最初の一人にはなりたくないという思い、自分のところから出したくないという思い、日々絶えず報道がされてきますから、恐ろしさと責められる思いと、そういう中で極限まで行ってあの涙になったのではないのかな、こう思うんです。

 ですから、非常に過剰になって、国民が逆に萎縮して、ぐあいが悪いということを届け出しにくい状況がつくられたり、既に散見されている、医療機関が診療を拒否する、これは一番まずいパターンなわけですね。まずは、きちんと治療すれば治るんだ、日々の予防が効果のあることをしっかり国民に周知することが大事だと思うんです。それをまずやっていただきたい。

 また同時に、医療機関の診療拒否の問題で、大臣は、医師法違反であるということをコメントされました。それはもう十分わかっていると思うんですよ、当事者は。だけれども、万一の、例えば持病のある患者さんにまじって、うつってしまったらどうしよう、自分たちのところで責任をとれない、そういういろいろな思いがあることはやはりわかる気がするわけですよ。

 昨年の一月の読売新聞の調査で、新型インフルエンザが大流行した場合、医療従事者の二六%、特に看護師の三一%が転職を考えると答えています。そうなったら本当に困ってしまうわけですよ。絶対そんなことがあってはならない。いずれは、一般の病院、医療従事者にも当然協力をお願いしなければならなくなるはずなんです。

 そういうことを考えれば、行政として、医療従事者の安全確保は十分留意する、その上で協力してもらいたい、そういう真摯な立場というんですか、それが非常に求められていると思うんですが、いかがですか。

舛添国務大臣 いつも思うんですけれども、メディアの方も、私がAからZまで言ったら、全部とってほしいんですね。

 要するに、海外渡航も何にもない、そういう方がちょっと熱があると言ったのは拒否しちゃいけませんよ、拒否しないでくださいよと。応招義務があるわけです。だけれども、メキシコから帰ってきたよ、そういうような方が来たら拒否していいですよ、発熱センターに行きなさいと言いなさいと。そこまでちゃんと言って、見ている人はわかっているのに、見ていない人は、新聞がいいかげんに、舛添大臣、医師法違反と言った、そこだけ見て、わけのわからぬコメンテーターがワイドショーでぎゃあぎゃあ文句を言っている。

 こういう危機管理体制はよくないと思いますよ。高橋さんが時間をくれたら、今から三時間でも五時間でも、いかにひどい状況かを説明したいぐらいです。

 そして、私が申し上げたことと全く同じことを日本医師会が、お医者さんからお医者さんに、そうしなさいということを言っているわけですから、ぜひ、正しいというか、中途半端じゃなくて、私が言ったことを正確にメディアの方もお伝えいただければ幸いに存じます。

高橋委員 私も、いっぱい時間をもらえれば幾らでもやりたいと思っております。

 ぜひ、医師法の周知だけではなく、本当に医療機関の思いに沿った対応を、メディアだけではなく、直接通知するということもできますので、対応を求めたいと思います。

 そこで、麻生首相も、国内発生を受けて検疫体制の強化について発言をされております。本当ならば、連休を乗り切り、やっと一息つける、そう思いたかった。でも、そもそも三空港で通常百五十三人のところを、最大三百七十八人までふやした体制が一気に戻っちゃったわけですね。そういう中で、やはり忙しい。そこに今回の発生であり、これでは現場がもちません。

 現在、全国の検疫所は、出張所まで含めますと、港湾が八十一、空港が二十七カ所、計百八カ所あります。アジアと直結する地方空港や港湾の対応も重要です。今後は、三百五十八名の検疫官をどう充実させ、対応していくのか、また、無人の検疫所が全国に何カ所あり、その対応はどのように行うのか、あわせてお答えください。

舛添国務大臣 本当に不眠不休で頑張ってくれている検疫官の皆さんに感謝申し上げたいと思いますし、また、自衛隊初め支援していただいている方にも感謝をしたいと思います。

 八十七名の検疫官のところを、五月六日の五万六千人帰ってきた日には二百名程度でやりました。ただ、無人のところというのはどういうところかというと、チャーター便しか来ていないようなところにずっと一人張りつけておくわけにいきません。定期便がいるところには必ず検疫官がいますけれども、チャーター便が来るような地方の空港にはおりません。ですから、今後さらに蔓延したときにどうするかということで、一応、基本的な方針は、成田、関空、中部、福岡に限定するとか、港も特定の港に限定するとありますけれども、ただ、これについても具体的にどうするか。

 つまり、検疫も、水際もしっかりやりたい。国内体制もしっかりやりたい。しかし、お医者さんの数や検疫官の数が限られているときに、上手な資源配分を考えないといけないので、私は、少しずつ国内体制強化の方に移っていく必要があるのかなというように感じていますので、それは、各省庁、そして総理とも御相談しながら、一番いい方法での資源配分を考えてみたいと思っております。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

高橋委員 効率的なやり方と同時に、体制の強化というのをあわせてうまく、あんばいよくやっていただきたいと思うんです。

 例えば、〇七年の十一月に千葉県で行った新型インフルエンザ対策総合訓練、ここでは成田検疫所の実動訓練も行われております。検疫所の訓練参加者十八名に後でアンケートをとったところ、検疫の応援業務に連続何日対応が適当ですかという問いに対して、一カ月という方も二人だけいらっしゃったんですけれども、二日から三日が三人、五日から七日が七人で一番多く、それが最大限度ですよということだと思うんです。非常に緊張し、負担の多い業務であるという意味だと思うんですね。十分これは配慮をお願いしたいと思うんです。

 そこで、一つ伺いたいのは、検疫所と航空会社との連携の問題です。ガイドラインでは、機内でせきなどの症状があった場合、検疫法に基づいて、到着前に機長から連絡を受けて、機内検疫のスタンバイをしておくということが想定されていたと思います。これまでそういう事前通報があったのか、そして、そうしたことがうまくできていけば、機内検疫ももう少しスムーズにいくのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

石塚政府参考人 今お尋ねの件につきましては、いわゆる無線検疫ということで、客室乗務員等が、乗客の中に何か疾病あるいはぐあいの悪いといったような状況をお持ちかどうかということを事前に検疫所の方にお知らせいただくという制度でございますが、今回のインフルエンザのように、熱があるかどうかということを測定することもできませんし、または、軽いせき等であれば、とりたてて無線検疫の対象となるという慣行はございません。

 したがいまして、今回、特に機内検疫をやるということが前提となっております場合には、航空会社にどういう御協力をいただくかということにつきましては、これは国交省の方とも十分連携をとりまして、例えば健康質問紙ですね、これを事前に飛行機に積み込んで、記載をしていただいております。ここには、国内に戻ってきたときの自宅の連絡先であるとか、あるいは、旅行者であればどのホテルに泊まるとかといった情報を書き込んでいただいておりますが、これを、後になって健康観察を行うときに、そこにもし記載漏れがあったりしますと、後で保健所等から追跡していただくときに大変支障を来しますので、必ずそういうことを書き込んでいただけるように、そういう指導をしていただくということを航空会社にはお願いをしているところでございます。

 したがいまして、無線検疫で具体的に事前に通報があったかどうかということにつきましては、現在、この件については特段のものはなかったということでございます。

高橋委員 疑いがあった方たちが実はたくさんいて、そのほとんどがA香港型であったということがあったわけですよね。そうすれば、機内で症状があったりもしたのではないかと率直に思うわけです。今回の方たちだって、乗る前から本当は熱があったということがありますよね。

 正確に、サーモグラフィーとか機材をそろえていなくても、本来なら検疫法でもともとそういうことが義務づけられているわけですから、そういう連携がきちんとできていれば、もう少し、今みたいなどかどかと防護服を着てびっくりさせるということもなく、そして、今後の体制ももう少しスムーズにいくのではないか。一考をお願いしたいと思いますが、舛添大臣、いかがですか。

舛添国務大臣 そのことを含めて、例えば調査票も機内で最初に書いてもらうとか、いろいろあるんですけれども、これも、実効性、効果というのはさまざまな問題があるので、今高橋委員がおっしゃったようなことも配慮に入れながら、さらにいい方法を考えてみたいと思っています。

高橋委員 次に、国土交通省に伺いたい。

 この点について、航空会社との連携、相談などをどのようにやってきたのでしょうか。

 航空会社の乗務員は、例えば感染の疑いのある今回のような乗客が出た場合、サービス担当だった乗務員は濃厚接触者として停留などの扱いを受けることになります。しかし、そうじゃない場合、現在、保健所が、一般の乗客でも対象国から帰ってきたときは十日間の追跡調査を行うことになっています。でも、いろいろな国を飛び回っている客室乗務員の健康管理、追跡調査にだれが責任を持つのかということなんです。

 例えば、日航の乗務員などは、メキシコの便を今停止している中国などでは、これまで、途中でメキシコを経由してきたという、それがあっただけで七日間とめ置かれたとか、三十七度の熱があっただけで病院に強制搬送されたとか、国によってやはりいろいろな検疫があって、そのたびに対応が違うけれども受けざるを得ないということになるわけですね。

 そうすると、私、ぜひ国土交通省に言いたいのは、やはり、もともと客室乗務員というのは、ふだんでも乗客の安全を守る保安要員としての役割が位置づけられていると思うんですね。その上で、乗客全体の様子にも配慮しつつ、かつ、場合によっては検疫の仕組みによって長くとめ置かれる、あるいは濃厚接触者と言われるということでは、大変な労働強化になるであろうということを思うんです。

 そういう航空会社のいろいろな事情をよく聞いて、そして、体制、例えば必要な便の、何というんですか、増員なども配慮することも含めて、航空会社にちゃんと協力をお願いするということが必要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

金子国務大臣 御指摘のように、航空会社が、ある意味、可能性のある乗客に一番接する、狭い場所で接する客室乗務員でありますから、その健康管理については非常に厳しく、あるいは責任を持って取り組んでいただくということ、これは乗客のみならず、客室乗務員について安全にきちんと配慮するように、国土交通省として航空会社には御依頼をしております。

 客室乗務員についても、手洗い、うがいの励行ですとか、あるいは、こういう予防マスク着用。これは、初めのうち全員マスク着用というのをさせていなかったようでありますけれども、やはり非常に危険性も、伝播力も高まっているということで、メキシコ便のみならず、アメリカ、カナダ便についてもマスク着用、それから手袋も着用してもらうようになったところであります。

 それから、疑いがあるというようなことで、停留ということでホテルで一時待機してもらうというようなとき、これはやはり、勤務の一環でありますので当然でありますけれども、通常の有給休暇とは別に会社の業務としてきちんと休暇という対応をとれるような、それぞれの措置を今講じてもらっているところであります。

高橋委員 ありがとうございます。

 航空会社にもいろいろありまして、外国の会社などもいますし、派遣で、派遣切りに遭って、本当に、日本語の通訳ができる乗務員が自分たちだけなのに派遣切りをして、外国人の乗務員で不安な体制をとっているですとか、さまざまなことが今あるわけですね。そういうことにしっかり着目してもらいたいという意味で、あえてきょうは指摘をさせていただきましたので、今後の体制についてしっかりとお願いをしたいと思います。

 さて、次に、国内対策の問題をお話ししたいと思うんです。

 まず、簡潔にお答えいただきたいと思うんですが、季節型のインフルエンザと同じ程度の症状だからという楽観的な観測もある一方で、流行時期が重なればタミフルなどの抗ウイルス薬が間に合わなくなるのではないか、こういう指摘もあるわけです。とはいえ、季節型インフルエンザでも毎年一千万人が罹患し、死亡者も一万人を優に超えているということで、決して軽視すべきではないと思います。

 ここ数年のいわゆる季節型の流行状況、罹患者数、死亡者数について伺いたい。その上で、日ごろのインフルエンザ対策の経験の積み重ねが大事だと思いますが、見解を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 今おっしゃったように、普通のインフルエンザに毎年一千万人ぐらいの人がかかる。十九年度ですと、直接インフルエンザで亡くなったというのは六百九十六人。ただ、ほかの病気とか、体が弱っていて、間接的ながらインフルエンザを死因とする方も数えようによっては一万人を超えるということでありますので、一つは、ワクチンを、今度の新型ワクチンと、やがて来るであろう、冬になればはやる季節性のワクチンをどれぐらいの配合比率でつくるかということが問題であります。

 ただ、基本的に、今回の新型ワクチンは、手洗いの励行とか、うがいの励行、人込みを避ける、マスクをきちんとする、それから体を休めて抵抗力をつけておく、こういうことは全く変わらないと思いますので、その二本立てというか、両方に対して有効な対策、そしてタミフルやリレンザについても十分な備蓄を行っていきたいと思っております。

高橋委員 決して軽視をすべきではないし、また、この積み重ねを生かしていくべきであると思うんですね。

 そこで、資料の一枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、「各都道府県における定期予防接種の費用について」ということで、これは二類疾病と書いている方がいわゆるインフルエンザの予防接種であります。全額公費負担をしているのは、全国で七十五自治体でしかありません。

 やはり、国の補助を復活してほしいという要望が非常に強い、自治体努力をしているけれども、個人負担をお願いしているという中で、非常に要望が多いわけです。この点をどう見るかということと、新型インフルエンザワクチン、今製造に着手したわけですけれども、当然自己負担なしになると思いますけれども、確認をしたい。

舛添国務大臣 今委員が表でお示しくださったように、インフルエンザの予防接種というのは、これは二類の疾病としておりますので、基本的に自治体が接種対象者から実費を徴収できるとされております。その中で、この表にありますように、費用の一部を負担している自治体が九四%、全額自治体が負担しているところが四%です。

 新型インフルエンザについてどうするか、これは、安全性、有効性を検証して、コストなんかも検証した上で、費用負担をどうするかはまだ検討しておりません、今後検討して決めたいと思っております。

高橋委員 鳥インフルエンザ関係では既に検討を始めていたと思いますが、それと連動するのではありませんか。

舛添国務大臣 鳥インフルエンザ、つまりH5N1のときにどうするか、これは高病原性ですから、それと今回のいわゆる低病原性の場合はまた違いますし、それから実際にワクチンの製造にかかったときのコスト、先ほど私申し上げたように、何対何の比率で季節ワクチンと配合するかということがありますので、そういうことをすべて勘案して検討したいと思っております。

高橋委員 現在の検討状況が、公費負担ということで検討されているようだということを伺っていましたので、当然そういう答弁が来るのかなと思っていましたが、弱毒だからということなのかもしれません。しかし、当然、弱毒だと叫んでいる専門家の方たちも、決して警戒は解いていないわけですね。それは、スペイン風邪のように第二波があるかもしれない。そうした中でありますので、ぜひこの点は、自己負担なしということで検討されていただきたいと思います。

 それで、保健所の問題なんですね。発熱したとき、医療機関に行く前に、電話相談をして指示を仰ぐことをまず徹底すべきなんですけれども、今は相談、調整そして疫学調査など、保健所のフル回転がこの間注目をされています。

 資料の二を見ていただきたいんですけれども、保健所の数が設置主体別で下の方に書いてありますが、〇五年から〇八年までの間に、五百四十九から五百十七と、三十二カ所も減ってしまいました。職員はその上ですが、〇五年から〇七年のたった三年間で九百六十九人、医師は九十三人も減っております。

 この間、公衆衛生部門と保健福祉部門の統合などスリム化が進む一方、国の法律改正などに対応して、保健所のやるべき業務はどんどんふえてきたはずではなかったでしょうか。この際、体制を抜本的に強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 まず、各地の保健所の職員の皆さんが今一生懸命頑張ってくださって、例えば航空機に乗っていた乗客のフォロー、これは本当に、十日間毎日のように電話してくださる、大変ありがたいことだと思いまして、この場をかりて感謝をいたしたいと思います。

 そういう中で、集約化、効率化ということで、今、保健所は数が減っております。ただ、基本的には、危機管理の拠点としての保健所の機能は維持ができているというふうに思っております。

 それで、都道府県に対しまして、今、医師、歯科医師、薬剤師、その他保健師初め、その人員の確保、これは地方交付税によって措置をされていますので、その措置の方をしっかりやっていただきたいということを申し上げておりますし、我々も国において、国立保健医療科学院において、所長の研修をやる、そして保健所の職員の資質の向上のためにいろいろなセミナーをやるというようなことをやっておりますので、全力を挙げてこの資質の確保、必要な危機管理拠点としての機能を維持してまいりたいと思っております。

高橋委員 きょうはぜひ総務大臣に伺いたいんですけれども、検疫官はこの間若干増員をいたしました。しかし、輸入食品の対応も必要に迫られたという事情もありますので、今の検疫がそんなにふえたわけではありません。また、今、保健所のお話もいたしました。

 国も地方も、人が足りないというと、総定員法の縛りがあるとか、臨時、非常勤で対応するということがこの間ずっとやられてきました。しかし、本当に必要なところ、国民の安全、安心を守る大事な分野には思い切って人をつけることが今必要だと思うんですが、削減ありきではなく、必要な人はふやすんだということをお答えいただきたいんですが。

鳩山国務大臣 国も地方も行政改革というのはずっと進めてきておりまして、五年間で五・七%減らすんだ、これは数字的には国も地方も同じでございまして、地方の方がより進んでおります。そういう行政改革というのは当然スクラップ・アンド・ビルドでなければいけないわけで、不要なところから削減をして必要なところにはつけていく、こういうことだろうと思っております。

 ですから、いわゆる安全、安心の部門、つまり、検疫所あるいは入国管理、刑務所、消費者行政などは行政需要が増大してくるのがわかっておりますので、国の定員管理でもめり張りのある定員配置をしてきたわけでございます。

 したがって、新しいインフルエンザが発生をする可能性というのを予期しておりまして、二十一年度の査定においても、新型インフルエンザ対策関係として、検疫所に二十三人増員をして、定員が八百六十四人になったわけでございます。それは、おっしゃるように、職員の方の問題もあります。そして、舛添厚生労働大臣の方で、さらに検疫所については省内の振りかえで十二人振りかえておりますから、したがって、検疫所全体では平成二十一年度は三十五人ふえているわけでございますので、これからもそういう部門はふやしていく必要があるという認識のもとで定員管理を行ってまいります。

高橋委員 ぜひふやしていただきたい。

 ただ、ここがふえたよと思ったら、どこかに物すごいひずみが来ているということではまずいんですね。この間はやはり削減ありきという数値目標があったわけですから、めり張りだけで済むかということがございますので、ここはしっかりと要望しておきたいと思います。

 もう一点、総務大臣に伺いたいんですが、私は、国内発生が起きているという以上、前線はやはり地方自治体になると思います。各県の行動計画も急速に整備をされまして、補正予算などで資機材の補助などもされてまいりました。

 私、地元が青森県ですけれども、四月二十五日の発表以来、二十四時間体制で対応しております。相談センターが七カ所、発熱外来は三十カ所の指定病院と協力病院に設置が決まった。しかし、夜間の相談体制をすべてとる必要があるだろうかということで悩んでいるわけですね。どこまで頑張るかということもあります。

 また、今後起こり得る特別の体制あるいは特別の支出に対して、やはり総務省としても財政的に支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 新型インフルエンザに関しても、地方自治体の役割は、まさに最前線として一番重要でございます。

 前に舛添厚労大臣から、中央と地方の連絡が本当にうまくいっているのか、地方に徹底しているんだろうかという御指摘をいただいたこともありますし、きょうも政府・与党の連絡会議がございまして、同様に、地方によって対応が違っていたりしはしないかというようなことがございますので、国と地方の連絡というのを一層密にしていかなければならないだろう、こう思っております。

 先ほどの人員の問題と同じように、やはり新型インフルエンザというものが予測されておりましたから、例えばタミフルとかリレンザという薬については、十八年、十九年に百二十億円ずつ、それから、二十一、二十二、二十三年、この三年間は百三十億円ずつということで交付税措置をしてまいったわけでございます。

 そういう形では物事は進めてきたわけでございますが、これからいろいろな、不測の事態が起きないことを望みますが、地方の負担が大きくふえるような場合は、当然、特別交付税で措置をするとか、地方財政計画でも、いわゆる予備費に当たるようなお金が五千七百億ほど計上されております。追加財政需要額という名前で五千七百億円予備費的に積んでありますから、そういうお金も使っていかなければならない。あるいは、今度の補正予算に計上されておりますいわゆる一兆円、経済危機対策の一兆円も、これも自治体によっては使うことは十分可能と思っております。

高橋委員 しっかりと手当てをお願いしたいと思います。

 そこで、さっき、例えば三十病院とお話ししたんですけれども、そのうち、民間の病院は二つしかないんですね。いざというとき、やはり自治体病院に頼らざるを得ないなということが当局の声でありました。

 ちょっと時間がないので二つを一つにまとめて伺いますけれども、今、特定感染症医療機関というのは国内で三病院、今の成田などを合わせて八床しかないわけです。もちろん、わっと発生しちゃえばもうそんなものは言っていられなくなりますけれども、やはりまだ指定病床でしっかりと食いとめたいという思いが当然あると思うんですね。

 今、それがどの程度手のひらに乗っているのか、指定医療機関と協力機関です。そのうち公立病院というのはどのくらいの割合なのか、舛添大臣に伺います。

舛添国務大臣 この三月末現在で、感染症指定医療機関というのは五百九十あります。そのうち、国立が八十一、公立が二百七十七、日赤、厚生連など公的な医療機関が百三十二、私立が百でございます。

高橋委員 割合で言ってくださると思ったんですが。しかし、断然公立の方が多いと。

 そこで、国立病院機構、日赤病院、労災、社会保険、厚生年金病院などの役割が非常に重要だと思うんですね。例えば、指定病床というときに、必ず、結核病床を持つ医療機関ということを非常に大事に言われます。約一万三千弱あるわけですけれども、ここに大きく頼らざるを得ない。また、結核自体がいまだに、人口十万人中二十人以上が発生する中蔓延国であります。

 そうした中で、例えば仙台の日赤病院は、結核病床は不採算だから来年三月でやめます、九月で新患受け付けをやめると言っています。この結核病床を維持するというのは、もともと不採算というのはわかっているわけですよね。財政措置も含めて、これ以上の結核病床の廃止、統合をむしろ見直し、今こそ必要な整備をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

舛添国務大臣 今御指摘の点も含めまして、不採算であっても、必要な医療、救急医療とか周産期医療もそうですけれども、二十一年度予算におきまして、こういう感染症指定機関、病院への支援、それから、救急医療に対して管制塔機能を備えた医療機関に対する支援、それから、医師を派遣したらそこは逸失利益が生じますから、そういう医療機関に対する支援ということをやっておりますので、これは総務大臣や都道府県ともまた協力しながら、地域の医療の確保に全力を尽くしたいと思っております。

高橋委員 本当に、いざというときは頼りにせざるを得ないと思うんですね。だけれども、今は真っ先に撤退をしていくという状態になっているわけですから、ここを本当にしっかりと維持して、地域の医療を守っていただきたいということを重ねて訴えたいと思います。

 ここまで、新型インフルエンザ対策に関連して質問してきたんですけれども、やはりこの問題だけでも、今までの改革のツケがいろいろ噴き出しているんじゃないかな、こう思うんです。

 例えば、はっきり言って、医師不足で全国から悲鳴が上がっていて、もう今でさえ大変なんだと。こんなときに、インフルエンザ対策というのは今以上の対応、対策が求められる。本当に大変です。例えば、テレビでも紹介されていました。ある感染症指定病院で新型インフルエンザの訓練をしようにも、人手がなくて計画がどうやっても成り立たない、これをテレビで放映していました。

 財政がない、ないといって、毎年社会保障費を二千二百億円も削減し、そのたびに制度をいろいろ直してきたのは何だったんだろうと思うんですね。今十五兆円出てくるんだったら何とかなったんじゃないのかと思っちゃうわけですよ。

 資料の三番目に一覧表を出しました。〇二年から〇八年、社会保障費の削減の合計、一兆六千二百億円。医療費はそのうち九千億円なんですね。診療報酬がこの間四回も引き下げられてきた。医師不足の大きな要因の一つだと思いますが、率直に認めていただけますか。

舛添国務大臣 診療報酬というのは、その時々の賃金や物価の動向を見ながら中医協において決められていくわけですけれども、私も、この医師不足を含めて、高橋委員と同じような問題意識を持っておりますので、二十年度については〇・四二%のプラスということで、八年ぶりにプラスに切りかえたところであります。今後ともです。

 それから、例えばハイリスク分娩加算というのを入れたんです。このことによって、産科の中でも非常に今その分野は赤字が黒字に変わってきていますので、やはり診療報酬というのを機動的に使うということは重要だと思っております。

 今後とも、めり張りのきいた形で、お医者さんの不足につながらないように全力を挙げてまいりたいと思っております。

高橋委員 今、診療報酬をちょっとだけ上げた話をされましたけれども、ほんのちょっとですよね、全体の中では。しかし、それがやはり原因だということをお認めになるからそう言ったのかなということを指摘したいんです。

 ちょっと時間がなくなるから、もう一問聞けませんので、与謝野大臣にもきょうはどうしても伺いたいと思いまして、今の私がお話しした一兆六千二百億円、これをパネルにしてみたわけですけれども、言いたいことは、もう何度も言っていますけれども、この毎年二千二百億円減らすということをやめたらどうかと思うんです。

 この間減らしてきた一兆六千二百億円の制度をもとに戻したらいいのではないか。今回の補正の十分の一です。この厚生労働予算、四兆六千七百十八億円、今回の補正で。これから見ても、わずか三分の一にすぎません。

 しかし、中身が違うんですね。これは、今まで削られてきたのは、診療報酬や介護報酬の改定、あるいは年金です。あるいは、生活保護の老齢加算や母子加算などです。これらが復活すれば、恒常的になって喜んでもらえる。しかし、今回の補正の中身は、たった一回きり、あるいは三年限りのものです。

 先ほど大臣、がん検診で女性に喜ばれますよなんという話をしていましたが、二十歳、二十五歳、三十歳など区切りのいい年齢の人じゃなければがん検診を受けられませんので、そういうこともちゃんと言っておかなければいけないわけです。

 そういうことを考えたときに、こういう一年限り、三年程度の中身のものよりも、たとえその十分の一であっても、これまで削ってきた一兆六千二百億円をもとに戻す方がずっと国民を喜ばせ、景気対策につながるのではないか。いかがですか。

与謝野国務大臣 社会保障については、今後の高齢化による急増への対応に加えまして、国民の安心強化に向けた機能強化が必要であります。したがいまして、社会保障費の抑制については、コスト縮減や給付の重点化等の効率化を進めるとともに、安定財源の確保を図ることが重要であると考えております。

 なお、骨太二〇〇六では、経済が大きく減速する場合には、財政健全化のペースを抑えるなど、柔軟性を持った対応を行うこととされており、現下の経済情勢を踏まえ、当面は、大胆な景気対策を講じ、景気回復を図る一方で、これまでの歳出改革の基本的方向性を維持しつつ、めり張りのある予算配分を行うこととしております。

高橋委員 原稿から一回も目をお離しにならなかったので、大臣、もう少し気持ちの入った答弁をしていただきたいなと思うんですね。

 だって、十分の一なわけですから、これを十年間やってみて、その後、全体の景気がよくなってきて、必要なくなるかとか、そういうことを考えるということだってあっていいじゃないですか。

 このわずかだけれども本当に喜ばれる政策なんだということを、やはり今そのことが、本当に矛盾が突き出していると思うんですよ。介護報酬だって三%上げて、だけれども、それが全然労働者の賃金に行かないから、また今回補正で組むわけでしょう。だったら、基本を上げればよかったじゃないですか。

 手を挙げているので、一言。

与謝野国務大臣 先生以上に、自民党の中で同じことを言う方が多くて、私は実は困っております。

高橋委員 よろしくお願いします。

 終わります。

鈴木(恒)委員長代理 これにて高橋千鶴子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂委員 社民党の保坂展人です。

 今回の補正予算には、三十六億円のソマリア海賊対策拠出金が含まれております。この中に、先日、国際会議で橋本副大臣が二十億円を拠出しよう、こういう費用も入っているわけですけれども、自衛隊や海保の費用を含めれば百八十二億という海賊対策。この根本的な原因は、要するに、ソマリアという国の統治機能が長らくにわたって停止をしているという問題。したがって、これを解決するには、国際社会の支援といわば協力が必要だということは論をまたないと思います。

 ところで、その現在のソマリアで、根本的に民生を安定させるような国際社会の協調あるいは協力をしていくに当たって、九〇年代の日本政府がソマリアに何をして、あるいは国連のPKO等を含めてどのような失敗、教訓があるのかということをつかんでおかなければ議論にならないだろうというふうに思います。

 ところが、この間、私は驚いているんですが、例えば平成五年、九三年なんですが、ソマリアに対してどのぐらいのPKOの協力があったんですかということについて、外務大臣、答弁がころころころころ変わっているんですね。(中曽根国務大臣「変わっていない」と呼ぶ)変わっているんですよ。五年間で外務省は全部会計書類を廃棄してしまうので、今となっては一体幾らあったのかわからないんですと。こういう話ってありますか。

 外務大臣にまず簡潔にお答えいただきたいんですが、外交は継続ですよ。ソマリアも九〇年代初めの混乱が続いているわけですね。とすれば、ソマリアPKOや国際的な支援に日本がどれだけ払ったのかということがわからないというのはおかしいじゃないですか。外務大臣、どうですか。

中曽根国務大臣 委員の御質問は、国連のソマリアのPKOの分担金に幾ら払ったかという御質問ということでよろしゅうございますか。

 これは、国連によりますと、日本が国連に支払った国連ソマリアPKO分担金の総額は、平成五年から七年分にかけて支払いました約二億米ドルである、そういうふうに承知をいたしております。

保坂委員 今、外務大臣が答弁されたのは、外務委員会やあるいは海賊・テロ委員会で私が聞いて、何度も何度も聞いて、ようやくわかってきた数字をお答えになったわけなんですね。

 配っております資料、二ページ目を見ていただきたいんですが、私、この問題に気がついたのは、与謝野大臣にも後で聞きますが、外務省が義務的な経費として国連に分担金を出します。二〇〇一年まで、ここの国連の分担金は、一回は国連広報センターに、国内に一回振り込んで、そしてそこからニューヨークに送金していた。何でそんなことをするのか。だんだんわかってきたのは、要するに、円高基調だったわけです。円高だったので、いわば為替の運用をしてきたんです、外務省予算を節減したんですということは外務省から回答がありました。

 この平成五年というときは二十七億円ですよ。三百六十億円の国連拠出金の予算が組まれて、しかし実際に出したのは三百三十三億円で、二十七億円余ったんですね。余ったら国庫に返納してくれれば話は早いんですが、そうしないで、余ったお金は、国連ソマリアPKO活動等、等というのを入れて、そこに流用した、こういうことがその決算関係の報告から出てきたんです。

 その後、そのことを聞いていくと、外務省から、今言ったように、五年以内で全部捨てているのでわかりませんという変な答弁が出てくる。このことについて調べてくれと言って、実は平成五年には、そのほかにも予備費から百七十五億円、それから補正予算で百七十億円ですか、こういう非常に大きな費用が出ているということがその後にわかるんですね。

 これは、まず、総合政策局長に来ていただいていますが、なぜこういう正確な答弁が国会でできないのか。つまりは、九〇年代のソマリアに日本政府はどれだけのお金を使ったのかと聞かれて、実は私が資料を、それも特別な資料じゃありません、予算の決算書とか予算要求の補助金総覧とかそういうのを引っ張り出して、見て、ようやくわかる。これはちょっとでたらめじゃないですか、外務省は国会をどういうふうに考えているんですか。

別所政府参考人 お答えいたします。

 保坂委員の方から、過去の国会の質疑におきまして私どもの方の答弁が必ずしも的確ではなかった、あるいは迅速に数字が出てこなかったということについての御指摘がございました。そこはまことに申しわけない話だと思っております。一つ、私どもとして引き続き、当然、改善もやっていかなきゃいけないと思っておりますけれども、会計処理の文書自体につきましてはその保存期間が五年ということもございまして、詳細なところについて必ずしもすぐにわからなかったというところがございました。

 ただ、委員御指摘のとおりに、過去、日本が特定の分野についてどういう政策を執行したかといったことについては当然ながらしっかりと、その後の関係にもあるわけでございますので、それを改善していかなければいけないという御指摘についてはそのとおりだと思っております。

保坂委員 今、総政局長に答えていただきましたけれども、資料の四は補正予算の各目の明細書ですよ。これを見れば、いわゆる国連ソマリアPKOなどにどんな予算があったのかというのは、一目瞭然に右方のところに書かれているわけですね。しかし、こういうことは全部、五年の書類保存期間が切れているのでわからないと言って国会で本当のことを言わない。何を一体考えているんだと思いますが。

 総政局長にもう一度確認しますけれども、実は、九三年、平成五年の前の年、宮沢政権のときですが、ソマリア信託基金、これはアメリカ軍を中心とした多国籍軍、ソマリアUNITAF、これに主に充てられた予算として使われたと聞いていますが、一億ドルを使いましたということです。

 資料のいわゆる別と書いてあるところの一ページ目に、これは会計検査院が、外務省にたくさんの信託基金が忘れられていて放置をされていて、ソマリアの分も残っていた、残っていた十一番のソマリア信託基金は、これは日本円にして約四億数千万円ですか、これだけのお金が残りましたので、ユニセフや国連開発計画に振りかえました、こういう書類ですよ。

 そこで、総政局長に聞きたいのは、ソマリア信託基金の一億ドルは、この振りかえた残金を除いて、ソマリアの統一タスクフォース、これに使ったということでよろしいんですね。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、小島委員長代理着席〕

別所政府参考人 まず一言でございますけれども、信託基金につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、アメリカなどが参加しました多国籍軍でございますが、済みません、多国籍軍があったんですが、実際に信託基金で出した金につきましてはアメリカ以外の国に使われているということをまず申し上げたいと思います。

 それから、委員御指摘のとおり、その残高というものがあったわけでございますが、これにつきましては、同じソマリアの関係で復興人道支援などに仕事をしておりましたUNDPあるいはユニセフなどの人道支援の方に振りかえたということでございます。

保坂委員 ちょっと最後の語尾がはっきりしないので。今配った資料を見ていただくと、これは湾岸戦争のときにいわばいろいろ議論があったわけです。湾岸戦争当時は日本は三番目ですね、サウジ、クウェートそして日本と、かなりの金額を出したということで議論になりました。それに引き続いて、ソマリアに対しては、信託基金ということで、多国間で出そうと言いつつも、これはほとんど、日本が一億ドル出して、ほかの国、押しなべて全部合算して五百万ドル、こういうことで、日本が丸抱えの基金だということだったんですね。

 そして、一枚めくっていただければ、これは、九三年十一月の国連安保理で、ソマリア信託基金への拠出金額は一億五百万ドルとなった、そして現在までの支出は五千七百万ドルに上る、こういうふうに書いてあるんですね。

 つまり、これは、残るところのソマリア信託基金のお金というのは、この時点で余っているんですね。その後、どうなったんですか。これは、週末から何度も何度も、ソマリアについて全部調べろと外務省に言って、何度も来ていただいていますので、これは、今手元に資料がないとは言えないはずです。答えてください。

    〔小島委員長代理退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

別所政府参考人 先ほども申し上げた話でございますけれども、ソマリア信託基金は、まさに途上国がそういった人道支援を安全な環境の……(保坂委員「そうじゃなくて、余ったのです」と呼ぶ)余ったのですね。

 残額につきましては、平成十三年に、国連事務局からの要請を受けまして、利子を含む我が国の拠出金残高の四百三十七万ドル、これを、ソマリア信託基金の設立趣旨に基づきまして、国連機関が管理、実施するソマリア関連プロジェクト二件への支出を承認したところでございます。

 一つは、先ほど申しましたけれども、ユニセフが実施する少年司法制度改革、少年犯罪防止関連プロジェクトに三百八十九万ドル、それ以外に、UNDPにも四十九万ドルを出したということでございます。

保坂委員 総政局長、よく聞いてくださいね。いいですか。今言われた、四百三十七万ドルというのが平成十三年に余ったので、ユニセフ等に振りかえたと言ったんでしょう、今。

 私が指摘したのは、この当時、九三年当時は、五千七百万ドルしか使ってない。つまり、十倍余っているわけですよ、四百三十七万の。余っている金額が四千八百万ドル。その要するに十分の九、九割は何に使ったんですかと聞いているんですよ。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

別所政府参考人 ある時点でこれだけの金額が残っているという話でございますけれども、その後、基金が極めてきちんと使われたと私ども認識しておりますけれども、その結果として、今申し上げたような残額があったということだと思います。

保坂委員 だって、ソマリアの、これは映画にもなりましたし、また、いわゆる強襲作戦というのは失敗したわけですよね。平成五年にアメリカ軍が特殊部隊で行って、ヘリが二機撃ち落とされて、そして、もうこれはクリントン大統領は撤退を表明したわけです、ここで。だから、使いようがなくなったわけですよ。適切に使ったというのは、これは残余金でユニセフに回したというのはいいですよ。十分の一の額は報告されていますが、そのすき間の金額がどうなったか、外務省、承知していないということでいいですか。そんなでたらめが通るの。

別所政府参考人 先ほども申し上げましたとおりでございますけれども、この基金の使われた、その実施、執行については、きちんとその趣旨に基づいて執行されたものというふうに理解しております。(発言する者あり)いや、作戦はあれでございますけれども、私どもとして……(発言する者あり)済みません、時系列を詳しく申し上げてもあれでございますけれども、ソマリアの人道支援のために安全な環境を確立するための活動に使ったということでございます。そして、そのためには各国が参加しておりまして、その各国がそれぞれお金が必要だった、国連がそれをしているわけでございます。その中について、その基金から出したということでございます。

保坂委員 これは裏金化したんじゃないの。これは信託基金に一回出したら、我々国会もその後なんか全然チェックしていないんですよ。

 それから、先ほど出ました国連PKO分担金、ことしの一月の二次補正で一千億ですよ、一千億。一千億なんですが、この一千億もどこでどう、どれだけ使ったのかということについては、外務省は五年で書類を捨てるんですよ、だから六年後にこうやって予算委員会でだれかが聞くと、全部捨てたのでわかりませんという、そういうでたらめなことになっているわけです。

 財務大臣、ここまでお聞きになって、一つお聞きしたいんですが、先ほど言いましたソマリア信託基金の問題、ソマリアのお金は不透明だなということについて気づいたのは、国連の分担金をそのまま国連、ニューヨークに送らずに、外務省が独自にFXをやっていたんです。運用していたんです。まさに、グラフをかくと見事に円高のピークのところに、はい、と払い込んでいるわけです、二回か三回に分けて。これはすごいわけですよ。平成五年も二十七億円、いわば利益を上げたわけですよ。それを外務省は、外務省予算の節約のためにやった、こう言っているんですが、これは財務省は知っていたんですか。こういうFX運用というのをやっていたことを、与謝野大臣自身でもいいですよ、御存じでしたか、初耳ですか。

与謝野国務大臣 それは外務省に聞いていただきたいと思います。(保坂委員「いやいや、そんなことは聞いていないですよ」と呼ぶ)

別所政府参考人 今おっしゃった、実勢レートでやるか、あるいは支出官レートでやるかという問題だと思います。

 ルールといたしまして、国内に対して振り込む場合は実勢レートでやる、あるいは海外に送る場合はいわゆる支出官レートでやるという決まりになっております。そこで、従来私どもとして両方のありようがあったわけでございますけれども、平成十三年度からそれを支出官レートに一本化したというふうに承知しております。

保坂委員 では、せっかくだから総合政策局長、九〇年代、十年間で国連PKO分担金というのは総額幾らだったんですか。その払い方はどうやったんですか。いわゆる国内送金、国内送金というのは、実勢レートというのはそのタイミングのレートで送るという意味だよね。そういうふうにやって、円高のときにはいわば差益を外務省が生むということでしょう。国連PKO分担金、九〇年代、十年間で幾らだったんですか、どうやって払ったんですか。それを答弁してください。

別所政府参考人 九〇年代の十年間での国連分担金の総額でございますけれども、国連で示しております数字というのは二十三・一億ドル、全体でございます。それに対して、今どういうふうに振り込んだかという御質問でございますけれども、九〇年代の具体的な送金の方法につきましては、まさに関連する会計文書が保存期間を経過して今ございませんので、お答えすることが困難でございます。

 いずれにせよ、予算の範囲内で適切に執行してきていると理解しております。

保坂委員 これは全部捨てたからわからないと言っているんですよ。今、与謝野大臣もお聞きになりましたよね。

 九〇年代の今言ったのも、国連のデータをただ言っただけなんですよ。日本の外務省が国連PKO分担金を幾ら払ったのか、全部関連書類を捨ててしまったので国会ではお答えできないなんて、こんなことを許せますか。そんな外交ってありますか。こんなことを財務省は認めちゃだめですよ。

 与謝野大臣、どうですかこれは。ちょっと答えてください。

与謝野国務大臣 時間をかければ、数字は足し合わせることができると思っております。

保坂委員 では、財務大臣にさらに聞きますけれども、為替を運用していた。九〇年代、国連に対する常時の分担金以外にもPKO分担金、これを合わせれば、相当の金額になりますよね。まあ、何千億円、こういう単位でしょう。その分担金の支払い方、特に国連に義務づけられている分担金については、FXで、為替運用で円高のときには外務省予算を節約していたということは、もう外務省自身が認めているんですね。

 財政法で予算の流用というのは認められているというのは私も知っていますけれども、それは、与謝野大臣、百億円の予算が、例えば九十億円使ったが十億円余った、それを予算の近い目のところに移動する、これが財務相の承認のもとに認められているわけであって、百億円の予算が、これは全部、百億円分の国連分担金を支払ったけれども、FXで生まれた利益、これも流用できるんですか、財政法上。これはどうですか。与謝野大臣、財務大臣に聞きたい。

与謝野国務大臣 予算で認められた経費の中であれば、為替レートのいかんにかかわらず、それは流用することができるということになっております。

保坂委員 そうすると、これは、実は外務省は今やめているんですよ。やはり不透明だという指摘があった。前回の委員会では、当時の会計課長が、改革の一つだ、このときはいわゆる外務省の不祥事が連発をして、改革委員会だ何だ、そういうときですよ、二〇〇一年ですから。これは、今はやっていない。

 今の与謝野さんの答弁だと、これからもやれるんだと。では、在外公館に予算が振り込まれたら、在外公館ごとに運用して、円高のときはよろしくやってくださいということになっちゃうんですよ。

 外務省にそんな権限はありますか。いかがですか。

与謝野国務大臣 在外公館が手持ちの為替を運用するあるいは運用益を得ようとして投機、投資をするということは、全く想定しておりません。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、総政局長からも御説明いたしましたように、過去においては、国内口座、国内送金の場合には実勢レートに基づいて為替転換をして支払いをしていた、それから、海外送金の場合については支出官レートに基づいて支出をしていたということはございますが、平成十三年四月以降は、支出官レートによる支払いに変更するということで順次移してきているところでございます。これ自身は、当時外務省はいろいろな問題を抱えていて、改革の話をしておりましたが、それとは別の話として、会計のシステムとして、順次支出官レートに基づいた支払いを行うということに変えているわけでございます。

 その前におきましても、いわゆる運用していたということではなくて、予算でいただいた、これは円建てで予算をいただいているわけでございますが、それをドルにかえて拠出をする。これに当たっては、マーケットの実勢レートに基づいてドルを調達して、ドルで払い込んでいたということで、買ったり売ったりをして運用していたということは全くございません。

保坂委員 これは外務省自身が出した文書に、円高基調だったので実勢レート、つまりそのタイミングのレートで支払って、外務省予算を節約していたのでありますと書いてあるんですよ。これは為替の運用以外の何物でもない。

 資料の六につけておきましたが、今、PKO予算全体が幾らだったのかも答えられない。では、九〇年代、十年間どうやって送金していたのか、これは五年の保存期間を過ぎておりますので今となっては全くわかりません、こう言っておるんですね。

 この資料の六を見ると、これは国連広報センター経由の送金に関しての為替手数料、三十銭とありますよね。これは不思議なんですが、なぜか三月十五日から八日間だけ資料が出てきた。八日間だけです。あとはわからない。これは非常に不自然な資料です。

 もう一回官房長に聞きますが、このときの国連PKO分担金の送金は、国連広報センターを通して送金をしていたんじゃないですか。それを否定するものは何かあるんですか。そのくらい答えてください。

河相政府参考人 繰り返しの答弁の部分もございますけれども、お配りいただいている資料で、二〇〇〇年の三月十五日から二十三日までの間の取引、このものの資料というのは、先ほど申し上げたように、外務省の会計文書としては現在保存期間を過ぎて保存されていないわけでございますが、このお配りいただいた資料でも書いてありますように、三菱東京UFJ銀行から得た情報ということで、銀行で調べたところではこういう形になっているということで、この間においてはUNICに払っている、要するに国内口座が払い込んでいるということですので、実勢レートに基づいて予算をドルにかえて振り込みをしたということだと理解しております。

保坂委員 日本の外交とは何なのか。まあ、外務省はいっぱい記録をつくるところなんですよね。余計だなと思うような記録までつくる役所だと思いますが、不思議じゃないですか、PKOに幾ら振り込んだのか、あて先はどうだったのかと。五年たったので一切捨てているので皆目わかりませんと繰り返しているんですよ。それでどうやって外交ができるんですか、外務大臣。外交は継続でしょう。

 ソマリア復興支援、今回の三十六億円、要らないんじゃないですか。あちこちに振りかえすべき貯金があるんじゃないですか。振りかえでやったらどうですか。ちょっとおかしいですよ、このやり方。

 外務大臣、ことし一月に第二次補正で通ったのが一千億円ですよ。この予算も、五年たったら、捨ててしまったのでわかりません、こういうでたらめなことをやるんですか。国会にちゃんと報告したらどうですか。

中曽根国務大臣 先ほどから参考人が御答弁申し上げておりますけれども、まず、支払いレートの変更を行った理由は、委員はそれで運用していたんじゃないかというお話ですが、もうこれはたびたび申し上げておりますけれども、あるいは外務省改革の一環でというような、そういうこともおっしゃっておられますが、円安傾向が生じた場合には不足分も生じるということを踏まえたものでありまして、これは特別のそういう理由があったわけではございません。

 それから、五年間で文書を廃棄するということにつきましては、これは政府各省、いろいろ何年という決まりがあると思いますけれども、支出関連文書を含む外務省の行政文書につきましては、委員も十分御承知のとおり関連法令に従って適切にやっているものでありまして、外務省の場合は五年ということで決めておるわけで、そういうもので廃棄しておりますので、書類がないということは、それはもう事実であります。

 したがいまして、いろいろな調査をするに当たりましては、関連のファイル等から当時の状況というものをもう一度調べて御報告をしているということですから……(発言する者あり)いやいや、役人答弁じゃありません。そういうものがすべてそろわないということもあり得るわけでございます。

 いずれにしましても、委員がたびたびこの件について御質問されておられますが、私としても、こういう支出の概要というものはやはり適切につかむ必要があるだろう、そういうふうに思っておりまして、そういうものを把握できる体制をこれからできるだけ整えていきたい、そういうふうに思っております。

保坂委員 外務大臣も官房長も、実は、当時の会計課長が、今、中東アフリカ局長なんですよ。それで、海賊の委員会で答えたのは、はっきり言っているんですよ、さまざまな会計上の改革とか見直しの一環のことだったかと思いますと。改革のためにこういう不透明なことをやめたと当時の会計課長が今局長で言っているのに、それをつぶそうとしているね。

 会計検査院も来ていただいていますけれども、こんなに不透明な、物すごい金額のPKO分担金や国連への拠出金、あるいは信託基金、これを自由自在に外務省の財布で、余ってもこれを国会にも報告しないで、自分たちの判断で右から左に幾らでも差配できる。これを徹底的に検査してほしいですね。

 要請をして、終わります。

衛藤委員長 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私も、持ち時間の中で幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず金子大臣に、今回の補正予算には公共事業の費用が二・三兆円計上されているわけでございますが、これらの事業というのは、どのような政策テーマ、そしてグランドデザインに基づいて選定をされているのか。そして、あわせまして、整備新幹線の問題で、整備新幹線の未整備区間の整備を今後どういうふうにしていくおつもりなのか。大臣のお考え、そして今後の公共事業のあり方、これを、国家のビジョンというものを国民に示さなければならないと思うので、ぜひ御説明いただきたいと思います。

金子国務大臣 今度の補正予算の中に、長期的に見て我が国が国際競争力をきちっと強めておく必要があるというテーマを一つ大きな柱として取り入れさせていただきました。

 それは、空港。羽田もしかり、成田と一体となった、いわば東南アジアにおけるハブ空港としての機能をもっと強化していきたいということで、羽田、成田の一体化、そして、羽田の、C滑走路といいますけれども、滑走路の延長を今度の補正予算で着手させていただく。

 あるいは、港湾もそうなのでありますけれども、スーパー中枢、スーパー中枢と今まで言われて、何をやっていたんだという御意見をいただいておりましたが、やはり、主に太平洋側、三港湾がありますけれども、本当の意味で、パナマの運河もあきますので、そういうものが入ってきたときにも対応できるようなきちっとした港湾にしていく。

 そして、特に三港湾につきましては、シンガポールと同じ時間で荷おろしができる、それから、シームレスと言っておりますけれども、外貿、外から入ってきたものを国内で仕分けをするといったのに、今までは埠頭を分ける、一たん荷物を揚げて、またトラックで輸送するなんということをやっていたんですけれども、それを同じバース、コンテナでやれるようなことをやるといったような、競争力の強化というもの。

 そのほか、道路でも、外郭環状あるいは名古屋の第二環状と言っておりますけれども、これも名古屋港の機能強化に非常に役立つ。関西空港も同じであります。

 そういういわば主な競争力を強化していくという一つのテーマと同時に、もう一つは、やはり地域の防災ですとか無電柱化、あるいは駅のバリアフリー。駅のバリアフリーというのも、単なる今までのバリアフリーではなくて、大都市等々で地下鉄で押されて亡くなるというような事故も出てきているので、プラットホームに開閉ができるような仕組みを導入していく。これは初めてのケースでありますけれども、新幹線では今入っております。こういうものを通勤電車対策でも入れていきたいといったような、身近な生活、安心、安全の生活、これに相当の予算を組まれております。

 もう一つは、現下の景気対策でありますから当然でありますけれども、住宅ローンについて、今、相当厳しい状況が引き続き続いておりますけれども、特に民間の金融機関が、住宅ローンについても非常に慎重になっているということもあります。九〇%を住宅金融支援機構が貸して、一〇%を民間にお願いしているんですけれども、しかし、その一〇%に非常に慎重になっておられる。それがゆえに、九〇%の住宅支援機構の貸し出しも使えないといったような市場に今なっておりますけれども、やはりこういう時期だからこそ、ずっと継続するわけではありませんけれども、こういう経済対策としてこういう金融の面、個人の住宅それから都市再生が今継続して行われていますけれども、同じように、金融市場の非常に厳しい影響を受けて大きな都市開発事業というものが滞っている、これもやはり対策としていきたい。

 今後の公共事業につきましては、ミッシングリンクですとかあかずの踏切とか、まだまだ生活に密着したものをやっていく必要がある。これは着実にやりながら、一方で国際競争力を強化していく。

 新幹線の御質問がありました。

 少しでも早く前倒しをしたいと思っております。早く完成させれば、その分次のステップができますし、当然でありますけれども、道路と同じように、ネットワークを早く形成すればそれだけ経済効果が大きい。いつまでも時間をかけているのは経済的なロスでありますので、早くやれるようにしていきたい。

 ただ、今、今度の補正予算でも前倒しを進めさせていただきますけれども、残念ながら、函館―青森間の青函トンネルの工事における物理的な理由、あるいはお地元近くの金沢の操車場の埋蔵物発掘みたいなのがありまして、前倒しになるかどうかについては少し時間がかかるかもしれません。

 以上であります。

糸川委員 できればもう少し新幹線のところを突っ込んで話をしていただきたかったんですけれども。整備新幹線の未整備区間をどうするのかという話だったので。大臣、私の福井県も、駅だけつくって、駅だけ完成するんですけれども、線路が来ないという状態なんですよ。そういう状態でほうっておいてどういう効果が生まれるのか。

 無駄な公共事業というのはやはりやるべきではないと思っております。新幹線が無駄だと言っているんじゃなくて、きちっと駅をつくるなら、線路がなきゃ電車は走ってきませんから、そういうものをどういう計画の中でやっていくのかということ。

 もしこの北陸新幹線のことで何か御発言があれば、大臣、この整備のこと、駅だけつくってどうするのかということを聞きたいと思います。

金子国務大臣 二十六年までには富山から金沢まで完成させたい、それ以降については、福井にとりあえず駅を想定させていただきました。その後、資金事情、蓄えを見ながら、必ずやりたいと思っております。

糸川委員 必ずというふうに言われても、駅はできていますから必ず来るんだろうとは思いますが、それを、例えば今回のこの二・三兆円の公共事業を計上しているわけですから、どうやってこれから、その整備新幹線も含め無駄のないように、実用性、そういうものもあわせて検討されているのかということを、また別のときにも聞きますので、ぜひ大臣、そのときにはまた明確な、タイムスケジュールも教えていただきたいわけです。できるだけ早くとか前向きにとかというのは、それは全くわからないんですよね。ビジョンをやはり示していただくというのは、時期を、スケジュールを示していただきたいというふうに思っています。

 私は持ち時間が少ないので次に進みます。今度は鳩山大臣に御質問したいんですけれども、最近、国会でもひもつき補助金とかという話が大分、指摘とかそういうものも多くありました。最近では、直轄事業負担金の地方負担に関する議論、こういうものも盛んになっております。

 今回のこの補正予算、これでは平均して九割の負担が軽減されるというふうな措置がとられておりますが、地方財政の厳しさ、これは改めて指摘する必要もないわけですけれども、今日のこの地方の窮状というものを見ますと、これまでの国と地方を取り巻くシステム、これが地方を縛る、こういうことに主眼を置いていたのではないかなというふうに思います。

 もちろん、地方が必要とする直轄事業というのもあるというふうに思います。それらの事業に財源をとられて、福祉とか教育とか、そういうサービスにしわ寄せが行くことがないようにしっかりと手当てしていかなければならないんですけれども、このような国の形、こういうものを変えるために、解決策というのは、財源と権限を地方に移していく、地方分権というのを加速させる。

 これを着実に実施するためにも、地方の裁量権の枠を広げて、施策に対する自由度を高めていく必要があるのではないかなというふうに思いますが、分権を少しでも前進させるために、ひもつき補助金であったり直轄事業負担金、こういうものを廃止するということを御検討されてはどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 具体的なことを申し上げれば、少なくとも、直轄事業の維持管理の方は速やかに廃止できるように努力をしたい、こう思っております。

 一般論になりますけれども、今、糸川委員がおっしゃった、地方に自由度を与えるというのは地方分権の一番重要な部分であって、例えば、都道府県知事とか市町村長さんたちがその地域のことを一番よくわかっているわけですから、その地域の真の経営者になれるように自由度をふやしていくということは大事だと思っております。そういった意味では、地方公共団体の自主性とか自律性というものを一番大事にしていかなければならない。

 結局は、地方が自由に使えるお金というのは、地方税と地方交付税。地方交付税の場合はいろいろな積算の上にでき上がってくるわけですが、したがって、この地方税や地方交付税をふやす方法を考えなくちゃいけない。本来ならば、権限を地方に移していく、そうすると財源も一緒に移していくということなんだろうと。

 ですから、直轄事業の負担金のことについて聞かれると私が申し上げるのは、本来、国の直轄事業というものを減らして、例えば河川でも道路でも、それは地方が自分の責任でやるような仕組みにした方がいい、そのためには巨大な財源を移していかなければなりませんから、これは与野党を超えてみんなで努力しなければできないことだろうと。よく、国の出先機関の話がすぐ出ますけれども、出先機関はもちろん縮小していくんだけれども、そのためには、もととなる権限を地方に移すということをやらなければいけない、こう考えているところでございます。

 自由度を増すために、いわゆる国からの補助金を一括交付金化したらどうかということをよく言われることがあるわけです。例えば、国から地方への補助金がこの二十一年度予算では十九兆五千億あるんですね。ところが、高齢者医療、市町村国保、生活保護、介護保険、児童扶養手当、障害者自立支援、児童手当、義務教育、つまり、公共事業を除くと、ほとんどがそういうもので占められているわけです。

 では、例えば何を削れるかというと、私学助成、高校以下の私学助成をやめられますかと、これはやめられませんわね。そうなっていきますと、一括交付金化しても案外自由にならない。やはり地方に税源や財源を多く渡す、そういう根本的な治療をしないと、地方分権の方向へなかなか進めないというのが私の考え方でございます。

糸川委員 ぜひ、大臣、この直轄事業負担金をなくすために、その財源、それから権限、こういうものを地方に移すという努力を少しずつ進めていただきたいなと思いますし、財務大臣にも、そういうことをまた閣内でも協力してもらえるように話を進めてもらいたいと思います。

 ちょっと話は飛ぶんですけれども、今度は野田大臣に。何度もこの委員会でも自殺対策の話をさせていただきました。今回のこの補正予算、国の施策の円滑な執行に資するというふうに認められる地方公共団体の造成する四十六の基金について予算措置が行われているんですが、今回のこの基金、この中に、地域における自殺対策強化事業の実施を目的とした自殺対策緊急強化基金、これは仮称ですけれども、こういうものが百億円含まれていますね。

 この基金による事業というのは、地域の実情に応じた対策が重要として、三年間、都道府県ごとに基金を設けて、相談に訪れる人への窓口の対応業務の強化、それから電話による相談体制の充実とか、自殺を考えている人が訪れる可能性の高い場所のパトロール、こういうような五つのメニューを提示して、その中から都道府県が効果的なものを選ぶというようなことであると思いますが、たびたび取り上げてきたこの自殺対策で、自殺者数の公表の迅速化、こういうものを含めて少しずつ前には来ているのかなと思いますけれども、今回予算措置された基金による事業について、その仕組みというものを少し伺っておきたいというふうに思います。あわせて、その仕組みの中で、対策のメニュー、これが対症療法的ではないのかな、根本的な治療になるのかどうかというのがわからない。

 このような基金というのは、補正予算でなくて、本来、当初予算で整備するべきものなんですよ。財務大臣もぜひこれを御理解いただきたいと思いますが、補正ではなくて、当初予算でやらなきゃいけないものなんですよ。

 そして、そもそもこの対策のメニューというのが何で五択なんですかということ。何でそうやって制限をするのか。この対策のメニューを限定すると、やはり、地域の実情に合わせたというんだったら、そこをフリーにしたらいいじゃないですか。フリーにしないで、何で、これか、これか、これか、これかというようなメニューをつくるのかということ。この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 ちょうど二月の予算委員会に糸川委員から自殺対策について御質問をいただきました。

 その折、率直に、自殺対策に直接使われている予算が非常に少なく、法律をつくっていただき、大綱をつくり、そして加速化プランもできたんだけれども、なかなか現実に進まない。例えば具体的に糸川委員からのお話では、シェルターについてもっと取り組むべきではないかとか個々具体の事案をいただきまして取り組んできたわけですけれども、これまでの百六十億と言われる予算ですけれども、正直、直接、自殺、コアの部分に使うというよりも、結果的に自殺対策に貢献するんじゃないかというのも含まれてかなり膨らませてあったので、そうではなく、やはり直接使えるお金が必要だということで、二月の委員会の折に、糸川委員には、与謝野大臣と相談させていただきますということになりました。

 今回、緊急経済対策ということでありましたけれども、やはり、だからこそこの三年はしっかりと自殺対策に取り組まなければならない。その中で、基金という形で、一年だけで終わる補正ではなく、やはり三年、一つには、今この厳しい時期、この三年をしっかりと取り組まなきゃいけない。対症療法的だと言われるかもしれません、その面もあります。

 さらに、実はあれから勉強させていただくに、都道府県すべてがまじめに自殺対策に取り組んでいるかというと、かなり格差があります。地域によって、秋田なんというのは熱心に取り組んでいただきまして、その分やはり効果が出ているけれども、全くそれに関与していない都道府県もあって、さまざまです。

 そういう意味では、やはり自殺対策というのは、国を挙げてそして地域が主体となって取り組むべき仕事、そういう周知徹底のためにこの基金を活用して取り組みたい。そして、三年後からは、できれば皆様方の御理解をいただいて、恒常的に、常に予算がつけられるような流れをつくっていきたいということでこの基金の造成をさせていただくことになりました。

 メニューにつきましては、別に五択ではなく、そもそも私自身が取り組んだわけですけれども、例示として五事業あるわけですが、自殺対策というのはいろいろなことがあります。まだまだ国としても研究不足で、どういうものがあるかとすべてを網羅しているわけではありません。ですから、今まで糸川先生を初め自殺対策、専門的に取り組んできたいろいろな皆様方からの御意見を踏まえつつ、網羅的に、総合的にできるようなメニュー方式にしてあって、例えばこういう事業はどうですかという、全く今までやってこなかったところにはそういうことをやらないとお金をちゃんと都道府県が取ってくれないんじゃないかという懸念があったので、とりあえず五事業というのを出してありますけれども、基本的には、都道府県のその地域の実情に応じて使っていただく、国の関与をほとんどしない、自由裁量で使っていただくという画期的な基金、そういう建前でこの基金はつくらせていただいているところであります。

糸川委員 では、野田大臣、今回の補正予算、いつ採決になるかわかりませんけれども、通過したら、直後からこの予算措置が行われて基金というのができて、各都道府県というのはこの事業を実施することになるわけですが、その体制というのは整っているのかなというふうに思っています。直ちにその事業が始められなければ緊急的な対策にならないと思いますけれども、整っているんですね。どうでしょうか。

野田国務大臣 国の方では、初めて自殺対策に直接使っていただける基金を用意したわけです。ただ、先ほど申し上げたように、都道府県によって差がありますので、従前、真剣に取り組んでいる方は、何に使うかがすぐ地方においてできるわけですけれども、やはり、これまでどちらかというと二の足を踏んでいるような地域においては、こういうメニューを見ていただいて、そういうことに使っていただきたいということで、指導というと大層ですけれども、話をしながら、迅速に予算を使っていただきたいと願っています。

糸川委員 予算が通過をしたら直ちにその事業が始められるような体制を整えるべきだというふうに私は思っていまして、各都道府県で格差があって、まだ始められるか始められないかわからない、ここの県はやれるけれどもここはできないとか、そういうことでは、やはり助けられる命というのを見捨てることにもつながる可能性もあります。ですから、予算だけ積んで制度の骨組みだけ組んでも中身がないと困りますので、その辺は、大臣、今後詰めて、ちょっと次の質問をさせてもらいますので、その辺をまた御検討ください。

 きょうは財務大臣にいらっしゃっていただきました。やはり消費税の問題というのを聞かないといけないのかなと思っているんです。

 どうしても、イメージとして、消費税というのは社会保障とどうもセットだったように思うんですね。目的税化していくのかなというような雰囲気ではなかったかなと思うんですけれども、今後の財政再建のプログラムと、消費税の増税を含めた抜本的な税制改革のあり方、これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思いますし、債務残高の対GDP比の縮小、こういうような財政再建目標、こういうものを設定して、基礎的財政収支とあわせて両面からその達成を目指すというようなことが、この際、財政再建というのは、目標を幾つか設定していって、そういう中で一つずつクリアしていくというような考え方はできないのかなという、ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 今は、プライマリーバランスを二〇一一年に黒にしよう、この目標の達成はなかなか難しいということですから、財政再建の目標を、一体、プライマリーバランスのようにフローの部分で財政再建目標をつくるのか、あるいは、例えば国債発行残高の対GDP比一定というような、いわばストックの目標として財政再建を規定するのか、これはなかなか難しい問題がある。

 それからもう一つは、今、先生は段階的な目標をつくって一つずつクリアしていくというのがいいんじゃないかというサジェスチョンをされましたけれども、それも一つの方法なわけです。

 例えば、日本の例じゃありませんけれども、アメリカの例ですと、オバマ大統領は、自分の任期の最後には財政赤字を半減するという、いわば途中の目標を出している。日本も、どういう目標で進んでいくのかというのは、やはり相当国会でも御議論をいただいて、みんなで決めなきゃいけないことだと思います。

 それから、税制改革の道筋は、税法改正の附則に全部書いてあります。ですから、我々としては、国会で御承認をいただいた税法の附則に書いてあるとおりの道筋を進んでいきたいと思っておりますが、この中でのなかなか難しい目標は、経済回復をした後、こういうことが書いてありまして、その目標がクリアできるかどうかというのが一番頭の痛いところであると思っております。

糸川委員 大臣、経済回復した後というその経済回復、経済回復とおっしゃられたので、経済回復というのはどの水準まで戻ったらというお考えなんでしょうか。

与謝野国務大臣 これもいろいろな説があります。成長率でいくのか、あるいはGDP、物価の動向とか人々の景況感とか、いろいろなことを言う方がおられますけれども、景気が回復したということを政治的に述べるためには、そういう個々の数字だけではなくて、やはり政治判断としての景気回復というものが私はあるんだろうと思っております。

糸川委員 やはり、景気回復とおっしゃられるんだったら、漠としたものじゃなくて、財務大臣なんですから、ここまでこういうふうになったら消費税を上げていくんだとか、そういう数値目標も言っていただきたいと思います。

 きょう、ちょっと資料をお配りさせていただいたんですけれども、目標を立ててもなかなか実績がついてこないものというのが多過ぎるような気がするんですね。きょうは、本当に幾つか出しました。

 せっかくなので、きょうは舛添厚生労働大臣と石破大臣に最後に質問したいと思うんですけれども、厚労大臣の担当しているところですと水道管の耐震化、これも私、何度も質問をさせていただいています。なかなかこれは達成しませんね、このデータですと。非常に難しいところなのかなと思います。こういうところも、公共事業、公共事業と言う中で、今回、公共事業の中で、じゃ、耐震化、こういう問題をそういう補正の中で突っ込めたのかどうかということ。

 そして、あわせて石破大臣にも。なかなか食料自給率は上がっていきません。こういう問題について、政府の目標、やはり立てた以上は結果がすべてですから、結果にあらわれなければ評価されません。ですから、そういうところを今どういうふうに受けとめられていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

舛添国務大臣 糸川さんの顔を見ると水道管をすぐ思い出しちゃうぐらいに、もうおなじみになりましたけれども、これは非常に重要な問題です。

 ただ、二十一年度本予算で百十八億円つけました。そして、今御審議いただいている補正予算でさらに八十二億五千万円つけておりまして、これは前倒しでやるということです。それはもう一刻も早く達成できればいいんですけれども、なかなかこの資源の配分ということを考えたときに、緊急性というのは、何を緊急性と思うかということにもよりけりなんです。ただ、常に糸川先生の顔を思い浮かべながら、補正でもきちんと措置をしております。

石破国務大臣 結果がすべてでございますから、自給率目標は達成しなければなりません。

 ただ、委員御案内のとおり、お米を食べるのをやめてサツマイモを主食にすれば、今ある農地だけでも自給率一〇〇%は可能でございます。食料安全保障における自給率というのはそういう概念ではございますが、そんな議論をしても今は意味がございませんので、何とか今の食生活を維持しながら自給率をカロリーベースで上げていきたいというふうに考えております。

 今回の補正予算で三千億円という、農地の賃貸というものを促進するための予算を組みました。いろいろと御批判はいただいておりますが、要は、いかにしてコストを下げるか、農商工連携とも相まって、いかに付加価値を上げるか、どうやって消費者の望むものを国産で賄うかということに配意をして自給率を達成したい、このように考えております。

糸川委員 舛添大臣、水道事業というのは、確かに市町村がこれからやらなきゃいけないことですけれども、どんどん過疎化が進んでいるところは、その水道事業団体ではもう賄えないところが多いわけですよ。維持管理、更新ができないんです。

 だから、そういうところにしっかりと目を向けていかないと、やはり水というのは、今回のインフルエンザ対策だって水が大事だということをおっしゃっているわけですね。そういうきれいな水というのは我が国の財産だと僕は思っているわけですよ。だから、そういうところをちゃんと維持できるような体制を整えるべきだということを指摘しているわけでございます。

 これで終わります。ありがとうございました。

衛藤委員長 これにて糸川正晃君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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