衆議院

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第2号 平成22年1月21日(木曜日)

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平成二十二年一月二十一日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    石津 政雄君

      糸川 正晃君    打越あかし君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      岡本 英子君    岡本 充功君

      梶原 康弘君    金子 健一君

      河上みつえ君    城井  崇君

      沓掛 哲男君    熊田 篤嗣君

      黒田  雄君    小泉 俊明君

      古賀 一成君    佐藤ゆうこ君

      田中 康夫君    高橋 英行君

      高邑  勉君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    中林美恵子君

      長島 一由君    野田 国義君

      畑  浩治君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    森本 和義君

      山田 良司君    吉田 公一君

      若泉 征三君    渡部 恒三君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      北村 茂男君    小池百合子君

      小泉進次郎君    柴山 昌彦君

      下村 博文君    菅  義偉君

      田村 憲久君    橘 慶一郎君

      谷垣 禎一君    谷畑  孝君

      徳田  毅君    野田  毅君

      山本 幸三君    大口 善徳君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       中井  洽君

   国務大臣

   (金融担当)

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十一日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     高橋 英行君

  岡本 充功君     岡本 英子君

  奥野総一郎君     阿知波吉信君

  黒田  雄君     金子 健一君

  小泉 俊明君     石津 政雄君

  古賀 一成君     野田 国義君

  平岡 秀夫君     高邑  勉君

  若泉 征三君     河上みつえ君

  小里 泰弘君     徳田  毅君

  谷川 弥一君     北村 茂男君

  谷畑  孝君     柴山 昌彦君

  阿部 知子君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     奥野総一郎君

  石津 政雄君     小泉 俊明君

  岡本 英子君     佐藤ゆうこ君

  金子 健一君     黒田  雄君

  河上みつえ君     若泉 征三君

  高橋 英行君     打越あかし君

  高邑  勉君     熊田 篤嗣君

  野田 国義君     古賀 一成君

  北村 茂男君     谷川 弥一君

  柴山 昌彦君     小泉進次郎君

  徳田  毅君     谷垣 禎一君

  中島 隆利君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     平岡 秀夫君

  佐藤ゆうこ君     岡本 充功君

  小泉進次郎君     谷畑  孝君

  谷垣 禎一君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     小里 泰弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十一年度一般会計補正予算(第2号)

 平成二十一年度特別会計補正予算(特第2号)


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原委員 民主党の松原仁であります。

 予算委員会での二次補正についての質問をいたしたいと思います。

 冒頭に総理にお伺いいたしますが、昨今、政治と金の問題についていろいろな議論があるわけでございまして、内閣として、また鳩山総理として、この問題に対して真摯に取り組みながら、既にいろいろとおっしゃっておりますが、そして国民の理解を得る努力をしていただきたいと思っております。

 答弁をいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 松原議員から御指摘をいただきました政治と金の問題、特に民主党、また連立与党、私たちは、新しい政治を起こしていきたい、その思いのもとで政権交代を実現してまいりました。その意味において、また同じ、政権のお金の問題かと、国民の皆様方にいろいろな意味で疑いをかけられてしまうということは大変遺憾なことだと思っております。

 私自身の問題に関しても、これは昨年の末に一応検察が結論を出したとは思っておりますが、国民の皆さんに大変御心配また御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げたいと思います。

 このようなことが起きないように、私どもとしても切磋琢磨しなければなりません。また、政治資金の問題に関しても、さらに、各党各会派、特に与党の皆様方にも御協力をいただく中で、このような問題が二度と起きないように一生懸命努力をしていきたいと思っておりますので、ぜひ御協力を願いたいと思います。

松原委員 今回、特に国民の皆様が最も期待をしているのは、この補正予算を緊急に仕上げていただいて、今の日本の経済の悪化の中で多くの呻吟をしている人たちを助けてほしい、国民の生活をよくしてほしい、そういった思いが強いわけであります。

 私の非常に親しい友人の中にも、昨年の十一月に会社を解雇され大変に厳しい環境になっている、子供もいて路頭に迷っているのは実は私一人ではない、八人のこちらの事業所の人間が全員解雇された、こんな大変につらい、悲痛な叫びも聞いているわけでございまして、私は、補正予算の仕上がりが一日おくれれば経済が一日悪化をし、多くの苦しむ国民がさらにふえるというふうなことも含めて、ぜひともそういった思い、危機意識を総理にも共有していただきたいと思っております。

 今の厳しい不景気で多くの国民が苦しんでいるということに対しての、総理の共有する思いを述べていただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 松原議員がまさに御指摘をされましたように、特に松原議員の御地元は、中小企業の方々が大変頑張っておられる全国でも有数の地域でございます。その方々が、年末年始、大変厳しい中で汗をかきながら頑張っておられる、しかし、なかなかうまくいかない、仕事がない、今お話があったような現実の前に、松原議員も大変お苦しみになっておられることだと思います。

 こういった問題を解決するためにも、私ども、まさにお話ありましたように、二次補正予算、しっかりと仕上げたものだと思っておりますので、何としても、早く皆様方に結論を見出していただいて成立をお願い申し上げたいと存じます。

 特に、中小企業の皆様方に信用保証協会を通じて融資をより今まで以上に十分にできるような仕組みをつくらせていただいたり、あるいは雇用調整助成金、御案内だと思っておりますが、仕事が今まで十あるところが六になってしまった、だから四の分解雇しなきゃならぬ、そういう思いの方に、ぜひ待っていただきたい、その分を国が面倒見ますからぜひ頑張っていただきたい、そういう意味での雇用調整助成金をできるだけ幅広く適用できるように考えたつもりでございまして、予算も十倍組むというぐらいのことも頑張っております。

 どうぞ、そういう意味で、皆様方に御協力をいただいて、特に働いておられる方々のあすのためにも、二次補正予算を一刻も早く成立していただけるように御協力を願えればと思います。

 ありがとうございます。

松原委員 それでは、財務の担当であります菅大臣にお伺いいたしますが、こうした二次補正、成長率の押し上げ効果ということに関して御見識をお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 今、松原委員の方から、大変厳しい状況の中で二次補正が急がれているという認識が示されまして、私からも、まさにそのとおりだということで、皆さんにもそのことをよろしくお願いしたいと思っております。

 今、今回の第二次補正によって、経済に対して、景気に対してどうした効果があるのかという御質問でありました。

 まず、明日の安心と成長のための緊急経済対策は、歳出規模では七・二兆円になっておりますけれども、事業規模では二十四兆円という形になっております。そういう中で、今後一年程度の間に実質GDPが〇・七%程度押し上げられるもの、このように見込んでいるところであります。

松原委員 その中身に関しては、俗に三本柱というふうに聞いております。雇用、環境、景気ということでありますので、それぞれの所管の大臣からもう少し詳しくこの部分についての議論を深めていきたいと思います。

 まず冒頭、先ほど総理の発言にもございました雇用調整助成金を拡充し要件緩和をする、こういうふうなことがあるわけであります。

 このことは、失業率をこれ以上高くさせないためにも極めて重要な施策であると認識しておりますが、具体的に、これはどういう中身で、どういう効果があるのかということをお伺いいたしたいと思います。長妻大臣。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 松原議員におかれましては、外交のみならず、中小企業問題にも精力的に取り組んでいただいておりまして、敬意を表するところでございます。

 この雇用調整助成金でございますけれども、今おっしゃられましたように、休業等の方々に対して一定の賃金見合いを国が保障するというものでございます。昨年十一月の対象労働者数は百八十六万人の方々がこれで支えられておられるということで、今回、昨年の十二月に要件緩和をいたしました。

 今までは、最近三カ月の生産量が、さらにその直前の三カ月、または前年同期と比べて原則として五%以上減少という、つまり前年と比べてということだったんですが、前年はかなり落ち込みましたので、前年と比べてもさらに大変だということでありまして、前々年と比べて落ち込みが一〇%以上減少していれば雇調金、雇用調整助成金の対象にするということになったわけでございます。これによって、今年度は十六万人、平成二十二年度は約八十万人の方が、この要件緩和をしなければそこからこぼれ落ちた方が、今回は要件緩和したことで十六万足す八十万人の方々がこの支えでなる、こういうようなことでございます。

松原委員 これが十分かどうかという議論もありますが、まず、これを第一歩として行って、いわゆる失業者をこれ以上ふやさない、働く意識がある人が職場で働ける環境を創出していただきたいと思います。

 二つ目の、雇用創出のための、これは地方自治体を通して行う重点分野、介護、医療、農林、環境部門に対するもの、また、新卒者支援というものがあるわけであります。

 私は、言ってみれば人のための公共事業、人を雇うということ、そして、そのことによって人というものを育成するということを含めての、新しい民主党ならではの、人に対しての公共事業と高く評価をするものでありますが、この雇用創出の具体的な内容、そして新卒者支援、これについてお伺いいたしたいと思います。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今回、第二次補正にも盛り込んでおります新しい事業といたしまして、重点分野雇用創造事業というのがございます。

 大きく二つございますけれども、まずは、成長が見込まれる六分野、介護、医療、農林、環境・エネルギー、観光、地域社会雇用という六分野に特化して、地方自治体等が必要な仕事を企業やNPO等に発注する、そのときに雇用も着目をしていただくということで、それを支援する事業。そしてもう一つが、企業も、人を採用したときに即戦力としてなかなか使えないということで採用をためらっておられる企業に対しては、企業内研修をしている時期にも賃金等も一定の部分を保障していく、こういうような二本立ての新規事業を始めさせていただこうということで、今回の第二次補正予算でも予算を措置しているということです。

 新卒に関しましては、これはもう御存じのとおり大卒者の内定率が、残念なことでありますが史上最悪の内定率になったということで大変憂慮しているところでございまして、これらに関しては、新たに新卒者の体験雇用事業ということで、新卒者の方を雇用していただく。体験的に一カ月、体験雇用ということでまずは採用していただくと、一カ月八万円を助成する。あるいは、全国のハローワークに、新卒者の方向けにジョブサポーターという方を倍増して、千人近く配備をして、そういうハローワークの職員が企業にも訪問して新卒者の受け入れを要請する等々、きめ細やかにやっていきたいと考えております。

松原委員 今の部分に関して言えば、まず、前段の雇用創出では省内でも当初議論があって、これは、人件費分を二分の一以上とする、こういう議論でありました。私は、これは決まったことでありますし、二分の一以上ということで、二分の一以上の五一%である必要はないので七割でもいいわけでありますが、できれば、本来であれば、これは二分の一ではなく六割七割という数値が、むしろ一人でも多くの方に対する新規雇用創出でいいのではないかということも申し上げておきます。

 また、先ほど大卒ということをおっしゃいましたが、高卒に関しても七割の就職率というのは極めて厳しい環境でありまして、そういった部分に関して既に措置がなされておりますが、問題は、従来は、例えば四万円掛ける三カ月だったのが、八万円一本勝負ということで、試算をしますと、大卒については約五千人前後ではないかという議論であります。五千人でどこまで安心が見込めるのかという議論は依然残っておりまして、やはりこれは万の単位にいかないと厳しいのではないかというふうにも思っているわけであります。

 もし、そのことに対して御所見があれば、若干でもお答えいただければと思います。

長妻国務大臣 今おっしゃられたように、新たに始める新卒者体験雇用事業、これはこの第二次補正を通していただくと直ちに始めさせていただくわけでありますが、まずは五千人の枠ということを確保したわけでございます。

 まずこの実施状況を見て、今後どういう展開にするかというのを考えていくということでありますが、これだけではございませんで、それ以外にも、今、未就職卒業者向けの職業訓練も新たに強化をしていくということ、あるいは、今度、介護等の大変雇用を生み出す、雇用を必要としている分野について大規模就職面接会というのを、新卒者の方等向けにもこれは厚生労働省が随時実施していく等々、高卒の新卒者の方も含めた重点的施策の中で新規事業を打ち出すということでありますので、今後とも、この部分については非常に神経を払い、必要があれば拡充をするということも検討してまいります。

松原委員 これは私からの言いっ放しでありますが、先ほど、雇用創出の方は二分の一以上という人件費でありますが、ぜひこれは少しでも人件費に充てられるような努力を、また、それぞれの地方自治体に御要請を賜れればということを付言してこの質問は終わり、次に移りたいと思います。

 次に、環境ということで、これも三本柱の一つになっておりますが、これはエコ家電、エコカーということで設定されております。

 エコカーは二十五万円までということで聞いておるわけでありますが、このことによる昨年来の効果が今現在どのようになっているのかも含め、お答えをいただきたいと思います。

 これは直嶋さん。

直嶋国務大臣 おはようございます。

 今、エコカー補助金とエコポイントについての御質問でございます。エコカー補助金、エコポイント制度ともに、国内需要を支え雇用を下支えするという意味で、景気対策として大きな効果を上げているというふうに思っております。

 その効果について若干申し上げますと、例えばエコカーの場合は、新車販売が昨年の九月以降前年同月を上回っておりまして、特に十二月は前年比二割ぐらいのプラスになっておる。また、その内容も、エコカーの販売比率が四月時点は四割でございましたが、十二月には七割を超える水準にまで上昇いたしております。

 家電販売についても、エコポイント制度を開始した昨年五月以降、対象となるテレビ、エアコン、冷蔵庫の三品目の平均で、前年と比べて売上額が二割程度増加をいたしております。

 したがいまして、現下の厳しい雇用情勢等、景気の先行きリスクが大きい中でございますので、今般、この制度を両制度とも延長するということで引き続き景気を下支えしていきたいということで、期待をいたしているところでございます。

松原委員 同様に、環境分野で住宅エコポイントというものがなされているわけでありますが、上限三十万というのがどこまで有効かという、これは新築のケースでありますが、議論があります。

 この住宅エコポイント、上限三十万でやりますと三十万戸ですね、ぎりぎり使って。実際そんなことはあり得なくて、二十万戸とかになると思いますが。例えば窓、大きな窓、小さな窓、さまざまなそういうケースですと、上限十五万ということでいろいろな助成があるということでありますが、この効果に関して、特にエコという点からどのような御認識かを、まず前原大臣にお伺いいたします。

前原国務大臣 今回、この所要経費一千億円と計算をしておりまして、今松原委員がおっしゃったように、一つは省エネの新築の住宅、エコ住宅と言われるもの、それからリフォーム、この二つの柱でございます。

 それで、では、一千億円で全体の事業費は大体どのぐらいなのかということになると、我々の試算では、三兆四千億円というふうに試算をしております。

 特に、このエコリフォームというのは、窓の断熱化、それから外壁、屋根、天井、床、こういったものの断熱化、そしてそれに伴うバリアフリーというものをやることによって、もちろん景気対策としても大きな効果はございますけれども、鳩山総理がおっしゃっているCO2削減というものを将来的に大きく考えていく場合には、これをてこにCO2削減というものを前倒しでやっていくという意味でも大きな意味があるのではないかと考えております。

松原委員 そうした中で、私は少し深めた議論をしていきたいと思っているわけでありますが、実は住宅・建築物省CO2推進モデル事業採択プロジェクトというものが行われているわけであります。その中で、改修ですね、既存の古いビルディングを改修する等いろいろなケースがあると思うんですが、ここにいろいろなデータがあります。そのデータによりますと、最終的にCO2削減に約三五%効果があるという資料がこのモデル事業採択プロジェクトで挙げられているわけでありますが、このことを踏まえて私は質問をしていきたいと思うんです。

 つまり、ビルディングを古いものから新しいものに改修するだけで三五%のCO2削減になるということは、大きなビルディングを全く建築し直すことになれば、これは専門家に聞けば出てきますが、CO2の排出量は激減する。つまり、新しいビルディングにすることによってCO2の排出量が激減するということ、これが第一点であります。私はエコの部分から必要だというふうに思っております。

 そうした中で、前原大臣は先般、羽田空港二十四時間化ということをおっしゃいました。私は二十四時間化は妥当であると思っておりまして、人、情報、物が集まるところにやはり一つのお金、経済が集まり活性化する、これは歴史が証明するところだと思っております。

 かつて、東京には世界から人や情報や物が集まってまいりました。しかし今、情報も集まりづらい、世界の金融市場は東京からほかのところに行ってしまった。さらに、例えば世界の大企業のアジアにおける中心拠点は東京から上海やほかのところに行ってしまった。大変寂しい状況で、これが経済の足を引っ張っていると私は思うわけでありますが、二十四時間空港をつくった思いを簡潔にお伝えいただきたいと思います。

前原国務大臣 今、松原委員がおっしゃったように、人や物それから情報、これをどう日本に集め直していくのかという観点が私は大事だと思います。もちろん、国土の均衡ある発展ということも大事でございますけれども、拠点というものをつくっていかなければ、すべて日本の空港、港湾、そういったものがローカルになってしまう、世界規模で見れば。

 したがいまして、空港では、まずは羽田の二十四時間国際空港化ということでハブ化をして、例えば仁川で乗りかえて地域の空港から海外に行かれる方を羽田経由というものに組み直していくとか、あるいはコンテナにいたしましても、釜山にまず行って、そしてフィーダーで日本の港に行くというような形に今なりつつあるのを、もう一度選択と集中で拠点の港をつくって、そこに荷物が集まって、中継地としても日本の役割がもう一度高まっていくような、そういう環境をつくって、それが日本全体の経済にいい影響を及ぼすような、そういった状況をつくり出していきたいと考えております。

松原委員 港湾等に関しても、かつて世界のベストテンに入っていなかったアジアの他の港が、既に国土交通省の資料もいただいていますが、取扱量でもベストテンにどんどん入り、神戸はぐっと落ち込み、横浜もかなり落ち込む。そういったことで、まさに人、物、情報そして組織の東京離れが進んでいるわけでありまして、それは羽田空港二十四時間化も大きな起爆剤になると私は思っております。

 同時に、私は、そうした中で、それだけでは不足だと。やはり、東京という活力都市を若々しい都市によみがえらせる、若返りをしなければいけない。例えば、首都高速道路の老朽化に伴い、ある民間の団体が大深度でそれをやろうと。つまり、地下の大きなところを使って、それで、西ドイツ等では成功事例があるからやろうというふうな議論もしております。

 そんなことに関して、御所見があればちょっとお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 首都高も、今、国土交通省の内部で話をしていますのは、七百円、一定の料金でございますが、今の償還計画と同時に、今委員の御指摘をされた老朽化、更新というものを考えたときに、それをしっかりと織り込んだ料金体系にする中で、安全、そして首都の高速道路網をしっかり維持発展させていくという観点も必要だと思いますので、そういうことはしっかりやっていきたいと思います。あわせて、先ほど委員が御指摘をされた東京の建物、まだまだ国際競争力では東京は上位にランクはされていますけれども、ビルの約三割は三十年以上たったかなり古いビルでございまして、そういう意味では、それの建てかえを促すようなさまざまな仕組みというものが、大胆な規制緩和を含めて必要だと考えております。

 現在、国土交通省の成長戦略会議において、そういった考え方を六月までにしっかりまとめて、平成二十三年度予算あるいは税制改革、そういったものにしっかり盛り込まれるようなスピード感を持って、今、委員の御指摘のあったことも踏まえて取り組ませていただきたいと思っております。

松原委員 委員の御指摘あったことということに、当然、この大深度の都市高速のあり方も俎上にぜひ上げていただければと思っておるわけであります。

 実は、先ほど、都市の競争力ということで二十四時間空港もありましたが、例えば、ここにデータがありまして、一人当たりの床面積、先ほど、世界の大きな企業が来たときに、東京からニューヨークやそしてさらには上海やどこかに去っていってしまったということがありますが、一人当たりの床面積、東京もふえてきています。平成二年の十六平米から七年二十一平米、今二十三平米、汐留はもっと高いんですが、ふえています。しかし、ニューヨークは三十九平米、パリは三十三平米、ロンドン二十七平米、資料はありませんが、どうも上海も三十平米近いという議論があります。巷間伝わっております。

 そうしたことを考えると、オフィスを変えなければ世界の人も戻ってこないというのが、これは数値として使い勝手が悪いオフィスになっている、CO2の問題だけではなくということも指摘をさせていただきます。

 そうした中で、建てかえによるGDPの押し上げ効果も、ある民間機関のデータですと、これだけで一・二〇%上がるというふうなデータもありますので、きょうは時間がありませんが、これも指摘しておいた上で、要するに、今、緩和と言いました、容積率の問題に最後はなると思うんです。

 容積率の問題に関して言えば、これは他の都市というのは極めて容積率は緩和されておりまして、フランスでは容積率に関しては、これは規制が、イギリスでは容積規制なし、ニューヨークは最高一五〇〇%、パリは三〇〇%、上海なんかはやはり九〇〇%、三〇〇%等々の数字で、とにかく東京の容積率というのは他の都市に比べて極めて弱い。さまざまな都市を開発する方にお伺いすると、容積率の緩和をすればみんな建てかえをしたい、そうすれば世界の人が戻ってくる、一人当たりのオフィス面積も確保できる、CO2排出もこれは乗り越えられる、そしてGDPの経済の浮揚効果もある、こういうふうなことを言っているわけですね。

 仁川なんか、韓国の場合は国家プロジェクトであの都市整備をやった。イギリスのドックランドもある。ぜひとも、大臣、そういったことに関して国土交通省として考えていただきたいわけでありますが、そういった中で、都市を若々しくすることを通してCO2削減と経済の活性化ということに関して、ぜひとも総理大臣の思いも聞かせていただきたいと思うわけであります。

鳩山内閣総理大臣 松原委員、大変いい御指摘をいただいたと思います。

 すなわち、今、日本がやらなければならないのは、一つは地域をもう一度再生させるということ、それと同時に、選択と集中、個性ある大都市をもう一度再生させる、この両方をやらなければいけないと思います。

 その意味において、東京をアジアにおいてもっと魅力的な都市に変えていくための大深度地下の利用という話がありました。これも大変重要だと思います。そして、むしろ容積率を緩和していきながら、一方では地上には緑地をふやす、結果としてエコ化が進む、しかも耐震化が進んでいくということになると思っていますし、その意味で、魅力ある日本をつくるために、魅力ある東京をもう一度再生させなければならない。

 その意味において、私は、新しい政権で大変重要なプロジェクト、東京という大都市の再生問題を扱わなきゃならない、そのように考えております。

松原委員 中小企業対策について、これはもうさまざまな保証枠の拡大ということがありますので御答弁はいただきませんが、ぜひとも中小企業も大切にしていただきたいと思います。

 最後になりますが、私は、松下幸之助さんというのは経営者としてすばらしいと思っております。彼が、危機の状況こそ変革のチャンスだというふうに言っております。危機の状況こそ、大きな変革をすることに国民の同意が得られるということであります。したがって、そのことを有効に活用していただきたいわけであります。幸之助さんがおっしゃっていたのは、命がけで、夜も眠れないぐらい考えて考え抜く、その魂があったときに危機のときの大きなチェンジが可能だというふうにおっしゃっておりますので、ぜひとも、総理大臣はそのことを胸にして、とにかく国民の生活が第一ということで頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 この際、海江田万里君から関連質疑の申し出があります。松原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。民主党の海江田万里でございます。

 今、松原委員からもお話がありましたけれども、日本の経済、大変厳しい状況にございます。特に、今、私ども新年会のシーズンでございまして、地元を回っておりますと、中小企業の経営者でありますとか、あるいは働く人々でありますとか、大変呻吟をしています。生活に苦しんでおります。やはり、こうしたときこそ政治がしっかりと仕事をしなければいけない時期だと思っております。

 まず、菅副総理にお尋ねをしたいと思いますが、今、政府として、現在の景気の状況を、昨日、一月の月例経済報告も出たところでありますが、どのように認識されているのかということをお話しいただきたいと思います。

菅国務大臣 御承知のように、月例経済報告、六カ月続いて表現を大きくは変えておりません。つまりは、世界経済、特にアジア経済など好転の兆しもかなりあるわけですが、一方では、雇用情勢など大変厳しい状態が続いており、また、海外情勢も下振れの懸念も残っている、残念ながら自律的な回復という路線にはたどり着いていない。そういう点で、まさにこの二次補正を含めて強力な経済的なてこ入れが必要だ、このように考えております。

海江田委員 今、菅副総理からのお話にもありましたけれども、持ち直しはしてきているが自律性に乏しいというのが現況だろうと思います。

 私は一つ、世の中一般にございます間違ったと申しますか、あるいは誤解と申しますか、例えば鳩山不況などという言葉がございます。あるいは、政権交代が景気後退につながったなどという言葉があります。

 しかし、私は、これはよく聞いていただきたいわけでございますが、実際にデータを見てみると、鳩山総理が誕生してからデータ的に景気が後退したなどというデータはございません、はっきり申し上げまして。今の月例経済報告は、まさにこの一月の時点で経済がどうなっているかということですが、既にあらわれています、政府が発表しております、例えば、一月に入りましてから、一月の八日に景気動向指数が発表になっておりますけれども、これは去年の十一月ですから、鳩山政権が誕生してから二カ月、三カ月たったところでございますが、この景気動向指数の一致指数というのがございますけれども、前月と比べて一・六ポイント上昇をしています。これは八カ月続けて上昇をしているわけでございます。

 あるいは、これは経済産業省が明日、二十二日になるわけでございますけれども、十一月の全産業活動指数というものを発表いたします。今、一日前でございますから経産省からこの数字がどうなっているのかということをお尋ねはいたしませんが、いわば全産業の生産活動をこれは供給面から見た数字でございますけれども、明日発表になりますからはっきりすることでございますけれども、四月からずっと毎月毎月前月を上回ってきて、恐らくこの十一月の数字も前月を上回ることになるだろうというふうに思っているわけです。

 あるいは、もう少しわかりやすいお話をさせていただければ、私はよくテレビのスポット広告がどうなっているかということをテレビ局の関係者でありますとかあるいは広告の関係者に聞くわけでありまして、テレビのスポット広告というのは、やはりこれから景気の悪くなるときは少し先取りをして落ち込みをいたしますし、景気が回復をしてまいりますと、まずこのスポット広告から持ち上がってくるわけであります。このテレビのスポット広告を見ましても、これはまさに十一月ぐらいから広告がたくさん集まり出しているということ、こういう発表もございます。

 こういうことを考えますと、実は、去年の三月期ぐらいですね。やはりおととしのあの九月に、まさに百年に一度の大きな経済危機がございましたから、急激に落ち込んだ。それが、一月、二月、三月と、このあたりが底になって、そこから徐々に回復に向かっているということは事実です。もちろん私どもの政権が交代をしたから回復をしたということではありませんよ。これは、ここのところは大事なところですから。旧来の政権のときから回復の基調が、実は四月ぐらいから始まっていまして、そしてそれが、政権交代がありましたけれども、その回復の基調というものは基本的に続いているということ。このことはぜひ、この鳩山内閣、民主党の皆様方も自信を持っていただいて私はいいと思うんです。

 ただ、もちろん、その中に幾つかの懸念事項はございます。先ほどもお話がありましたけれども、私が冒頭にお話をしましたけれども、中小零細企業がまだ依然として温まっていない、あるいは個人が温まっていないということ、このことは厳然たる事実でありますから、ではどうやってその個人の人たちあるいは中小零細企業に対して、この景気を政治が後ろ支えをして、どうやってここのところを温めていくかということが、まさにこの第二次補正が果たすべき役割でございますから、そこのところを私どもはこの第二次補正の中で力を入れて行っている。

 それからもう一つ、確かに外需の頼りでございますけれども、この外需の頼りについても、私は、菅副総理が財務大臣に就任をして円安の発言をした、これは経済人が円安を期待しているという発言をしたわけでございますが、それについていろいろな声がありましたけれども、私はある一種の、一種のというよりも見識だというふうにこれは思っております。

 それによってやはり、まず輸出が伸びていくということと、それから、それこそ後で詳しくお尋ねもしたいと思っておりますけれども、やはりアジアの成長とどういうふうに日本が結びつこうかということにおいては、これから二月というのは、アジアはやはり旧正月を利用している国々がたくさんございますから、そういう旧正月を利用して日本に来る人たちがたくさんいる。それから、日本の冬のシーズンは、オーストラリアなどからスキーのお客さんたちが来る。こういう人たちにとってみればやはり円安の方が好ましいわけでありますから、そういう需要に対してはっきりとこれは、なるべく円安の方が好ましいということを明らかにしたということで、私はそれなりの意味があるというふうに思っております。

 そうしたことを踏まえた上で、やはり今度の補正の中で一番考えなければいけないのは、中小零細企業に対する手当てと、それから個人に対する手当てだと思いますので、特にここのところで、この第二次補正でこういうふうに力を入れているというお答えを、先ほどの松原委員の質問に対してもございましたけれども、改めて御説明をいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 では、私の方から特に中小企業の部分について御説明をしたいと思います。

 一つは、中小企業の倒産の状況でございますが、昨年一年間約一万五千件でございまして、おととしほどではありませんが、それにかなり近い高水準でございます。したがいまして、当面は、倒産防止ということも含めて資金繰り対策をしっかりやっていくということでございます。

 日本政策金融公庫等によるセーフティーネット貸し付けという制度と、信用保証協会によるセーフティーネット保証という制度がございます。これらを活用していくということと、それから、融資について、緊急保証融資、これは本年三月末までのものをさらに来年の三月末まで拡大をして、景気対応緊急保証制度という形で新たな保証制度に拡大をさせていただきます。また、資金的にも潤沢なものを用意いたしまして、特に年度末の資金繰りに万全を期していきたい。

 それからもう一点は、倒産防止という面でいきますと、いわゆる連鎖倒産を防止するということも非常に重要でございます。これについても、中小企業基盤整備機構による倒産防止共済制度等の支援措置を現在実施いたしておりますが、この国会に法案を提出させていただく予定にしておりまして、この中で、倒産防止のための貸付限度額の引き上げあるいは対象の拡大ということも織り込ませていただいておりまして、今御指摘の中小企業に対する手当てとして、できるだけ万全を期していきたいというふうに思っております。

海江田委員 個人の方につきましては、これは鳩山総理が前から言っております、特にサプライサイドからディマンドサイドの方にということがその中身になろうかと思います。それから、これから本予算で議論をします子ども手当、あるいは高校の授業料の実質無料化などがその中身になろうかと思います。

 特に今度の補正では、個人がそうやってお金が入ってきても実際に使えない、やはり雇用の不安があれば使えないわけですから、雇用の問題について重点的に力を入れたということで、これは先ほど松原委員の質問にお答えがありましたのでここでは重ねて質問はいたしませんが、やはり、今度の補正予算というのは、その意味では、個人、特に個人に結びつく雇用と、それから中小企業、零細企業に力を入れたということは非常にはっきりしていると思います。

 それから、実は、今回どうしてもこの補正予算をつくらなければいけなかった理由というのは、景気を何とかやはり政策的に、自律的な回復になっていないから、これはやはり政策が後押しをしてこの回復基調を本格的な景気回復に結びつけていかなければいけないという目的が一つ。

 それからもう一つ、やはりもう一つ隠された理由と申しますか、私はあると思っています。よく民主党の補正がおくれたとかいうことを言っていますが、実は、これは税収が大幅に落ち込んだ、旧政権でつくりました二〇〇九年度のこの予算について税収が大幅に落ち込んだ。ではその税収の落ち込みが一体どのくらいになるのかということがわからなければ、つくれないわけですよ、これは。

 ここのところは、これは去年の旧政権もそうでありましたけれども、やはりこの税収の落ち込みが、しかもそれが五%とか三%とかという話ではなしに二〇%近く落ち込んだということでありますが、ここは改めて、どのくらい税収が当初の見込みより落ち込んだのか、そしてその理由は何なのかということをお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 平成二十一年度の税収については、今、海江田議員が言われるように、大変大きな落ち込みがありました。もちろんこれは世界同時不況の影響ということで、当初の予算見積もりを行ったのは一昨年の十二月当時であります。結果として、法人税、所得税を中心として、当初の見込み額は四十六・一兆円でありましたけれども、結果的には九・二兆円の減額補正をやむなくされたところであります。

 若干中身を見てみますと、所得税が当初十二兆八千億と見込まれましたけれども、二・八兆円減少いたしました。法人税に至っては、失礼しました、所得税は、二・八兆円下がることによって十二・八兆円に下がったということであります。法人税は、当初よりも五・四兆円下がって、五・二兆円にまで税が下がりました。

 そういったことで、今申し上げましたように、トータルいたしますと、法人税の五・四兆円の減額を含めて、九・二兆円の大幅な減収、減額になった、これが二十一年度の税収でありました。(発言する者あり)

海江田委員 まず、合計をしまして九兆二千四百二十億円の落ち込みということになったわけでございますが、結果的に、補正予算で、その落ち込んだ分、これは国債を発行しなければいけないということになるわけでございますが、ことしの年初から第二次補正までの間、合計をしましてどのくらいの国債の発行額になるのかということを改めてお示しをいただきたいと思います。

菅国務大臣 先ほど言い直したと思いますが、法人税額は、結果として五・四兆円下がって、下がった結果五・二兆円になったということを申し上げました。

 国債についてでありますけれども、麻生政権における当初予算がたしか三十三兆円の国債発行でありましたが、一次補正によって四十四兆円の国債発行になりました。そして今回、先ほど申し上げたように、九・二兆円の税収減に相当する分も国債発行で賄いましたので、結果的には四十四兆プラス九兆円、つまりは五十三兆円余りが実質的な今年度、つまり麻生政権からこの鳩山政権に引き継いだわけですが、今年度の国債発行になった、こう承知しております。

海江田委員 おっしゃるように、五十三兆四千五百五十億円という本当に巨額な公債の発行を余儀なくされたということでありますが、それから、先ほど与党席の方から法人税がたった五兆円かということでお話がありましたけれども、まさに五兆円になっちゃったんですよ、これは。従来でしたら、法人税は大体十兆円ぐらい。そのことをむしろ与党の席が……(発言する者あり)野党の席が知らなかったということ。本来だったら十兆ぐらい入るわけですよ。それが本当にその半分に落ち込んでしまったということ。これはやはり、これまでの大変大きな失政のツケがここへ来て来ているということを、これはおのずから語っていることだというふうに私は思います。

 ただ、私どもは、これはどっちがどっちということではなしに、やはりこの五十三兆四千五百五十億円という重みをかみしめなければいけないということ。これは実は質問の通告は出してございませんでしたけれども、前の予算委員会でもお話をさせていただきましたけれども、この国債が、きょうの新聞を見ますと、個人に売れなくなったというニュースが出ております。

 当初でしたら、個人の国債、これから議論になります本予算でも、個人向けに国債が大体一年間に二兆円ぐらい売れるのではないだろうかという計画を立てているわけですけれども、この二〇〇九年について言えば、二兆円ぐらい売れるはずが一兆三千億円になってしまった、これも四〇%ぐらいの減ですね。

 そうなりますと、結局、国債が個人に売れなくなるというと市場に回っていくことになるわけですね。個人が買ってくれる分には、そこで、市場には出ないで引き取られるわけでございますけれども、市場に回ってくるということになると、やはりこれは市場の金利を上昇させる懸念が出てくるわけであります。ですから、やはりこの国債の政策ということ。

 これは御返事はいただかなくてもよろしゅうございますけれども、私は、従来、前回の臨時国会のときの予算委員会でも質問をさせていただきましたけれども、やはり個人に国債を買ってもらう努力をしなければいけないんではないだろうかと。そこで、例えば無利子国債、利子はつかないけれども、それを何らかの形で、例えば相続税の評価などで減額をするとか、そういうような工夫もあってしかるべきではないだろうかということをこれまでも主張させていただきましたので、ぜひそれは政府としてもお考えをいただきたいというふうに思っております。

 それから、これは新しい本予算のときにももう少し詳しくお話をさせていただきますけれども、これから菅財務大臣が、いわゆる私どもが、民主党がマニフェストでお約束をしました、国の歳出全体で二百七兆円ぐらいあるだろう、これはまだ精査しないとなかなかわからないわけでございますから、およそ二百七兆円ぐらいの一年間の歳出の中、この歳出全体の見直しをして、そこからマニフェストで約束をしたさまざまな施策についての財源を見出そうというのが私どもの基本的な考え方でございますが、残念ながら、本予算でもなかなかそこまでいかなかったということ、これは私どもも大いに反省をしなければいけないわけでございますが、その反省の理由の一つに、やはりこれは特別会計に対する切り込みがまだなかなかできていなかったというような認識がおありかと思いますが、それでよろしゅうございますか。

菅国務大臣 まさにおっしゃるように、マニフェスト作成の段階で、一般会計、特別会計、重複分を除いて約二百七兆円の中から、これを全面的に見直して財源を捻出しようという形で予定をいたしておりました。

 確かに、事業仕分け等でかなり進んだ部分もあります。しかし、九月に政権交代をした中で、年内編成というものが、やはり景気のことを考えればこれはどうしても実現しなきゃいけない、つまりは、三カ月余りしかない中での編成ということの制約もありまして、制度の変更、さらには組織の改廃という、そこまで進むには残念ながら十分な時間の準備ができなかったと思っております。

 そういった意味で、これから、まさにことしが正念場だと。さきの閣議、閣僚懇の議論の中でも、各省庁において、この二百七兆円に相当するものを精査して、今度は制度の問題、組織のあり方の問題も含めて、まずそれぞれの省庁の中で何が見直すことができるのかということの検討を開始してもらいたい、このように総理からも指示をいただいているところであります。

海江田委員 それから、これも、民主党に対して、民主党は成長戦略がないなどというようなことが巷間言われておりますが、昨年の末に、実は民主党が、新成長戦略、輝きのある日本へという基本方針を発表いたしました。

 これは、私、大変残念なことでありますが、発表の時期が年末、十二月の三十日だということもありまして、せっかくいいものができながら、これがなかなか人々の間にまだ知れ渡っていないということがありますので、ぜひこの新成長戦略というものを、これは恐らく与党の皆さん方もお読みになっていないかもしれませんけれども、お目通しをいただきたいというふうに思います。

 先ほど松原委員からお話のありました都市の再生というようなポイントもこの中に出ております。都市の再生、もちろんこれはただ大きなビルを建てればいいということでは全然ございません。そうではなくて、やはり住民参加の形の都市づくりをしなければいけない。そして、しかも環境に優しく、それから東京などの場合は地震の問題もありますから、この地震に対する備えということもやらなければいけないというふうに思いますが、そうした都市政策。

 ただ、これも、時間がございませんから答弁は結構でございますが、やはりこの都市の再生にもお金がかかるんですね。金融の問題なんですね。この金融の問題を一体どこがきちっと責任を持っていくのかということは、やはりこれはお考えをいただかなければいけないと思いますので、ぜひ、それは国土交通大臣あるいは財務大臣などと御連絡をいただいて、金融の問題もお願いをしたいと思います。

 あともう一つ出ておりますのは、アジアの成長を内需に取り込もうという考え方であります。これは鳩山総理が最初から提案をしましたアジア共同体に向けての一つのステップになろうかと思いますが、ところが、基本方針でありますから、これから来年の六月に向けてこの具体策を練っていくということであります。例えば、アジアの国々、アジアの国々といっても、鳩山総理が主張しておりますアジア共同体の中に、私は、当然、ASEAN諸国だけじゃなくて、あるいはASEANプラス3だけじゃなくて、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ここが入るということは間違いありませんね、鳩山総理。よろしゅうございますね。

 そうしますと、例えば、オーストラリアとのEPAの問題。オーストラリアとの間では我が国はEPAという言葉を使っておりますが、あるいはインドとのEPAの問題、あるいはお隣の韓国とのEPAの問題などが私は多少足踏み状態かなというような気がしているわけでございますが、現在の進捗の度合いといいますか、どういう形でこれを推し進めていこうと考えているか、お示しをいただきたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、私は、EPAの締結がかなりおくれをとった。特に韓国などを見ておりましても、非常に積極的に進めておられます。それと比べるとかなりおくれた、そういう思いを持っています。

 今、インド、韓国、豪州について委員は言及されましたが、インドですと、二〇〇七年一月に交渉開始をいたしまして、これまで十二回の交渉を開催しております。韓国は、二〇〇三年十二月に交渉開始、しかし、二〇〇四年十一月以降、実質的に中断。現在、二〇〇八年六月から交渉再開に向けた事務協議を四回開催。豪州は、二〇〇七年四月に交渉を開始して、これまで十回やっております。

 それぞれ何が問題かということはおおむねはっきりしてきております。各省庁の担当者レベルになりますと、どうしても、今までの考え方から、それを守らなきゃいけない、全体でEPAを締結することの大きなメリットというよりも、具体的、個別的な、今を守るというところにどうしても重点が行きがちで、それを乗り越えていくためには、やはり政治主導ということが非常に重要だと思います。

 内閣の中にもEPA・WTO閣僚委員会を設けまして、定期的に会合を持ち、どの交渉について何が問題かということを明確にしつつ政治主導で進めることにしておりまして、できるだけ早くこれらの三つの国につきましてもEPA締結に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。

海江田委員 ぜひここは、EPAの締結というのが、遠い東アジア、東はつきませんね、アジア共同体ですね、ここへ向けてのやはり最初の具体的な第一歩となりますので、ぜひこの協定を加速化させていただきたいと思います。

 それから、もう時間でございますが、鳩山総理以下閣僚の皆様方、この日本の経済の立て直しのために、ぜひ元気を持って、そして自信を持って取り組んでいただきたいということを切にお願い申し上げまして、やはり国民生活は本当に皆様方の双肩にかかっているんだということをぜひ御自覚いただきまして、より一層御精進いただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鹿野委員長 この際、吉田公一君から関連質疑の申し出があります。松原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉田公一君。

吉田(公)委員 民主党の吉田公一でございます。

 私は、ずっと十数年前から野党として質問してまいりましたので、与党での質問は初めてでありますから、時々こんがらがる場合もありますが、そこのところは野党として聞いていただいて、どうぞ御答弁をいただきたいと思っております。

 今まで、私は野党のときに質問してまいりましたけれども、答弁はいろいろありましたよ。ああでもない、こうでもないという答弁でしたが、結局のところ何でもないというのが多かったので、今度は与党でありますから、ぜひひとつ、これはと思ったことは実行に移していただきたい、そう思って一生懸命質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、今話題となっております日本航空の問題についてでございますが、負債総額の見通しもどうなっているのか。そして、今まで日本を代表する航空会社として五千二百五十万人を運んでいる、なおかつ、四万八千人の社員を抱えて、そしてリストラ約一万人、あげくの果てに負債総額が二・三兆円、こういうのですが、こういうものをすべてクリアして再生ができるのかどうかということを懸念しているわけでございます。

 まず総理に、日本航空の再建というのは、ビッグ企業でありますから、一航空会社ではありませんで、なかなか四万八千人の従業員を抱えている会社なんというのはそうざらにありませんから、これが万が一、事実上倒産ですけれども、事実上倒産しちゃって再建をするということは大変なことだと思うんですが、いかがでございますか。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

鳩山内閣総理大臣 吉田委員にお答え申し上げます。

 御案内のとおり、大変なビッグ企業、JAL、日本航空であります。まず一番求めなければならないのは、JALの皆さん、日本航空の皆さん、社員の皆さんには生まれ変わってもらわなきゃならないということでありまして、今までの体質に安住してしまうというようなことが決してあってはならないということでございます。そのためには、トップのリーダーシップのもとで、生まれ変わることの大きな力というものをよみがえらせなければならない、そのようにも感じております。

 それを前提としながら、一番大事なことは、やはり空を使っておられるお客さんのために、彼らがこれからも努力を続けていくために、我々に不便を与えない、お客さんに不便を与えないようにできるだけ全力を尽くすということであります。

 それを前提として、私ども政府としては、支援機構が、そしてまた政策投資銀行を通じて、必要な資金というものを提供申し上げたい、そしてできるだけ早く立ち直って黒字企業に変わっていただかなきゃならぬ、そう思っておりまして、まずは、日本航空の全力を挙げて生まれ変わる力をよみがえらせてもらわなきゃならない、そのように思っています。

吉田(公)委員 事実上倒産ということは、要するに負債が多くなって倒産ということだと思いますし、原因は、従業員の数もあるでしょうし、それから会社経営の怠慢性もあると思うし、大体、昔、国策会社として出発したものですから、親方日の丸方式の経営感覚だったということについて、原因が幾つかあるわけですね。

 その原因は、大臣、何だと思いますか。

前原国務大臣 さまざまな要因があろうかと思います。今、吉田委員が御指摘をされた経営の中身の問題、甘えの問題、親方日の丸の体質、高コスト体質、さまざまございますし、また、今世界じゅうの航空会社が苦しんでいるのは、リーマン・ショック以降の世界同時不況、あるいはインフルエンザ、こういったものの影響も多いと思います。

 我々としては、前向きにJALを再生させていくということになれば、国土交通行政としてやり得ることは、例えば、九十七、もうすぐ八になりますが、空港をつくって、不採算の路線も飛ばし続けることを強いてきたということをどのように見直していくのかということと同時に、空港整備勘定というものの、いわゆる着陸料、公租公課、こういったものの見直しとか、あるいは観光立国、需要をいかにふやしていくのか、さまざまな観点からの外的要因をバックアップするような形で再生を果たしていくということを国土交通省としてもやっていかなくてはいけないと考えております。

吉田(公)委員 大きな原因は、この四十年間で、五十七カ所あった飛行場が今九十七カ所ですよ。こんな小さな日本の国で、新幹線と競争して飛行場をつくっているわけです。新幹線が通っているのに、今度は飛行場の建設がまだ間に合わないと一生懸命やっている。そういう効率性というか税金の使い方について、私は問題だと思うんですよ。

 しかも、一日一回しか飛行機がとまらないなんという飛行場を、九十七カ所もつくっているでしょう。(発言する者あり)一回しかとまらない空港だよ。(発言する者あり)そんなこと知らないよ、おれは。

海江田委員長代理 委員は質問をちゃんとしてください。

吉田(公)委員 要するに、一回しか飛行機がとまらないところは無駄な空港なんだよ。そうでしょうよ。何百億円かけて一日一回しか飛行機が来ないなんというのはだめなんです。

 飛行場建設も実は問題がある。新幹線が行っているんだからいいでしょう。こういう効率の悪いことが……(発言する者あり)だって、つぶれたんだから効率が悪かったんだよ。

 それからもう一つは……(発言する者あり)

海江田委員長代理 御静粛に。

吉田(公)委員 日航の人事を見ると、全部役人の天下り先になっているんだ、日本航空は。例えば、航空庁長官、運輸事務次官、総務事務次官、国土交通、運輸省航空局、海上保安庁。みんな、海の人が何で空へ行かなきゃいけないんだ。そういうところが問題なんだ。そうでしょう。だって、海上保安庁長官なんというのは、飛行機がおっこちたときだけ飛んでいけばいいんで、そうでない平常時に何でこんなところにいるんだというんだ。

 こういう天下り先が実にいいかげんだから、つまり、経営をしてやろう、きちっと日本航空を立ち直らせてやろう、やってやろうという気構えがないんじゃないの、この人事を見ると。何でもいいから、適当なポストがあいたから、おまえ、ちょっと、海で一生懸命働いて御苦労さま、たまには空へ行った方がいいんじゃないかなんといって、それで日本航空へ。

 こういうことが結局は日本航空を倒産に追い込んだ。そこが原因ですよ。私はそう思っています。どうぞ、そういう意味で……(発言する者あり)それは八つの組合があると言うけれども、組合もちゃんとしなきゃいけないと思いますよ。一家総ぐるみで反省しなきゃいけない。

 最後に、公的資金を注入するのかしないのか、その点を、大臣。

前原国務大臣 公的資金というその範疇をどのように考えるかということでございますが、日本航空の再生のために、日本政策投資銀行、これは株式会社でございますが、国が一〇〇%株を持っているところでありますけれども、そこのつなぎ融資、そして半官半民の企業再生支援機構、こういったところが資金提供を行うと同時に、機構については出資も行うということで、しっかりと更生計画を立ててそれを実行できるような体制にし、しかし、せいぜい企業再生支援機構が支援できるのは最長三年でございますので、今まで民間企業等がメーンバンクも含めて支援をしてきた、そういったものがしっかりと支援をできるような形にこの三年以内でどうつくっていくのかということが大変大事なことだと思いますし、先ほど吉田委員がおっしゃったような天下り、こういった体質は、関連企業も含めてやはり払拭していかなくてはいけない。すべてそういう意味でリセットして、新たなスタートを切ってもらうということをしっかりとやっていきたいと思います。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(公)委員 二兆三千億円の負債を抱えて、事実上倒産。この二兆三千億円を具体的に公的資金でなくしていくのか。よくある例ですよね、一般会計に算入させちゃったり、いつの間にか借金減らしちゃったり、しまいには税金にかぶせちゃったり。そういうことが今後ないように、あくまで日本航空の自力再生で、国民に負担が向かないように。これはしようがないですよ、日本航空の怠慢なんだから。そういう意味で、ぜひ大臣、そういう方向で自立再生をしてもらいたい。

 税金で、公的資金、公的資金と、銀行のときにも、私は当時、宮沢大蔵大臣にも言ったんだけれども、公的資金なんというのはないだろう、どこにあるんだそんなもの、税金じゃないかと言ったことがあるんだけれども。公的資金というと、要するに何となくほかからお金が出てくるような気がするけれども、全然出てこないんだよ、税金だから。その点はきちっと認識をしていただいて、大臣、再生に当たっていただきたい、こう思います。

 それから、日本国有鉄道でございます。日本国有鉄道は、当時から国鉄清算事業団として発足をいたしましたが、その際に借金を棚上げにいたしました。国鉄清算事業団、二十二兆円ということで旧債務を引き受けたわけであります。

 では、その借金はどうするんだということになったらば、国鉄用地を売り渡しましてその二十三兆円の借金を返済してまいりますと十年前に言ったんです。ところが、その当時ちょうど土地のバブルで、今国鉄が持っている土地を売るとバブルに拍車をかけるから、今は売れないんですという答弁があった。

 だけれども、今バブルじゃないんだから、どんどん売って、そしてやるべきだ、私はこう思っているんです。国鉄清算事業団というのはそういう借金を返済するために設立された事業団ですから、それが債務がどんどんどんどんふえていくというのはどういうわけになっているのか、役所のやることはちっともわからないね。

 どうですか、国鉄債権の処理について現状はどうでございますか。

前原国務大臣 今、吉田委員の質問を伺っていて、私が、十年前ですか、橋本龍太郎総理だったか大蔵大臣だったか忘れましたけれども、同じ質問をしたことを思い出しております。つまりは、国鉄清算事業団でJRの株、あるいは清算事業団が引き取った土地、これをうまく売っていれば、これだけ膨大な借金にはならなかったのではないか、こういった質問をしたことを思い出しておりました。

 いずれにいたしましても、もともと三十七・一兆円の債務があって、JR各社が引き受けたもの、それから新幹線ですね、こういうものを引いて、そして国鉄清算事業団として引き継いだものが当時二十五・五兆円でございました。

 それを、今度は、平成十年度はちょっと金利がプラスされて二十八・三兆円でございましたけれども、これを六十年かけて返済していく、こういう仕組みになっておりまして、これについては、六十年ですからまだまだということでありますが、そのスキームにのっとって返済計画がなされて、それが今実行されているという段階でございます。

吉田(公)委員 六十年で返済ということは民間じゃあり得ないことなんですよ、もう役所独特の返済方法でして。あげくの果てに、金利から何から一般会計へ繰り入れちゃうという手もあるし、その都度法律をつくって、うまいぐあいに債務処理を逃れてしまうというようなこともたびたびやっているんです。切りがないですよ、これは。

 国鉄清算事業団というのは、たばこ消費税を二十円上げというのを導入したんだ。私がそのとき質問したのは、何でニコチン中毒者と国鉄清算事業団と関係があるんだと言ったんです。関係ないよ。しかも、このごろ新幹線まで喫煙車廃止、切り離しちゃうっていうんだ。そんなサービスの悪いことで、我々一生懸命煙を吐いて、一生懸命肺がんにかかりそうになって、それで協力しているのに、今度はたばこを吸っちゃいけないというので一両だけ残したんだ、最後に。それを今度は要らない、こう言うんだ。そんなばかな話ないでしょうよ。

 それで、たばこも、御都合主義によって何度もたばこ消費税を上げられちゃうんだよ。これで三回目だよ。子ども手当に上げるのはいいですよ、いいことだから。だけれども、国鉄清算事業団に、だれがどこで気がついたんだか知らないけれども、あれはニコチン中毒の連中は二十円ぐらい上げたってどうってことないからと。絶対いいんだと。もう相当金が入っているんじゃないの、国鉄清算事業団に。一兆二千億ぐらい、もう国鉄清算事業団に入っているんじゃないかな。

 そういう意味で、また後で時間があったらたばこ消費税をやろうと思ったんだけれども、ここでたまたま国鉄清算事業団で思い出したものだから。たばこ消費税、ああ二十円導入した、やったなと思ったわけですよ。

 国鉄清算事業団は、法律を変えて、都合のいい法律をつくるものだ、借りかえなんていって。それで法律をつくっておいて、今度は一般会計に入れちゃうんだと。一般会計に入れるということは負債を入れちゃうことだから、税金に降りかかってくることですよ。だから、そういうこともよく考えて、これから公益法人をやろうと思っていますが、公益法人のところで言いますけれども、要するに、全部、利益の上がっている公益法人なんか一つもない、二万五千あるけれども。

 そういう意味で、国鉄清算事業団が最終的に返済できるという、国鉄清算事業団が土地を売って返済できるという自信が大臣はありますか。国鉄のものがまた国民の税金として、公的資金なんてうまいことを言って返させるなんということはないでしょうね。

前原国務大臣 先ほど吉田委員がおっしゃったたばこでございますけれども、六十年間返済で、そのときにたばこの値段を上げたということで、一本当たり〇・八二円、八十二銭のお金を今でもずっとたばこを吸っておられる方は国鉄の債務の返済に充てられているということでございます。

 いずれにいたしましても、六十年で返済をするというスキームがございます。これを着実に実施していって、先ほど吉田委員がおっしゃったように、新たに損失が出たからといって一般会計の中から繰り入れるということのないように、しっかりとこのスキームというものをマネジメントしていかなくてはいけないと考えております。

吉田(公)委員 大臣、六十年で償却すると。道路公団だったかな、四十五年で返すという話は。今度は六十年というものもあるし、もう一つ、林野庁かな、四十五年で返すというのがある。だから、民間企業じゃとても考えられないような返済、再度なんですよ。

 そのうちに、長い返済だから、きょういる国会議員だって六十年後なんかだれもいないじゃないか。だれが検証するの。そういうような無責任な話はないと思うんだよ。六十年なんていったら、私はもう三回忌を迎えちゃうよ、本当に。そんな無責任な借金はないと思うんだよ。そんな三回忌を迎えないうちにみんなが責任を持たなきゃおかしいんだから、特に閣僚の皆さん方は。

 大臣、幾ら若いといったって、六十年は容易じゃないよ、百歳になっちゃうんだから。そういうように責任を持った年限で借金を返済するというルールをちゃんとつくってくださいよ。六十年だの五十年だの四十五年だのなんて、まるで無責任きわまりない償還期限じゃないですか。もう返さないと言ったと同じことですよ。(発言する者あり)高速道路をただにできないって、順番があるんだよ、それは。

 そういう意味で、今ちょうど話が出ましたけれども、高速道路だって無料化は一遍にできませんから、三割ぐらいちゃんと払わせてやったらどうですかね。大臣、ついでの質問で悪いですけれども。

前原国務大臣 その質問も、私は野党時代、何度もここの国会で取り上げたことがあります。

 つまりは、本来であれば、例えば名神とか東名とかは、あのときはコストも安かったですから、つくって、そして償還できれば順次無料化していくという形で考えられていたのが、自民党政権のときには、どんどんどんどん全国各地につくっていくんだということで、採算のとれないところもつくるということで全国一律プール制というものでやっていって、そして、採算のとれないところ、本来ならば名神や東名のようにもうとっくに償還できているところもそのプールの中に入れて、その利益を道路の建設に充てていたということであります。しかも、今おっしゃるように、償還を三十年からどんどんふやしていって、大変莫大な、マネジメントできないようなほどの大きな借金をつくってしまったということであります。

 これは、先ほどの空港、先ほど申し上げた、弟子屈というところが閉港になりましたので九十七、しかし今度は茨城もできますし、九十八、そして高速道路、新幹線、この国土の中にどんどんどんどん地域のためだといって公共投資をやり続けてきて、莫大な借金を残してきた、そのツケをどのようにこれから直していくのかということが私は民主党政権の大きな役割だというふうに思いますので、トータルのそういった交通体系、そして、先ほど海江田委員の、私に御質問いただけませんでしたけれども、税を使わなくて必要な社会資本の更新をやっていく、PFIとかPPPとか、そういった新しい方式を導入してインフラの更新もやっていくということをしっかり民主党政権ではやっていきたいと考えております。

吉田(公)委員 次に、恐らく永久的に赤字だろうと思うのでありますが、国有林野特別会計というのがありますね。これは特別会計になっているから、こういう予算委員会で余り審議されないんだけれども、こういう特別会計で赤字垂れ流しみたいなところはたくさんあるんです。だから、この間、区分け処理というのは民主党でやったけれども、あれは事業別にやったんだろうけれども、今度は特殊法人や公益法人の事業仕分けをしていかないと、予算なんか、効率のよい予算、流動性のある予算はつくれませんよ。

 だから、そういう意味では、国有林野会計の赤字処理について、農林大臣、どう考えていますか。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 これは前政権のときに国有林野事業の改革のための特別措置法というのができておりまして、それに基づきまして、そのうちの一兆円については国有林野事業特別会計において五十年かけて返済をしていくということ、それから、さっきたばこ特別税の話も出ましたけれども、これは一般会計に継承した分の利子払いについて、このたばこ特別税の一部を使わせていただくということで仕分けをしております。

 なお、少し御認識いただきたいと思いますのは、戦後一斉に植林が始まりまして、ちょうど今五十年、六十年たってきている。伐採して、製材をして、住宅等に使うのに一番適した、今ちょうどそういう時期でございますので、そういう意味でいえば、収穫量の増大等が十分見込めるということで、債務の返済に向けて、効率的な事業の実行など収支両面にわたる努力をしていく考え方に変わりはございません。

吉田(公)委員 林野特別会計というんですけれども、これは特別会計に余り値しない。年じゅう赤字だ。それはそうですよ。材木なんか売ったって、今幾らにもならないんだ。千五百円と言ったかな、杉三十年物が。先が曲がっていれば七百五十円ぐらいだと言うんだ。それじゃ合うわけがない。

 それで、返済の見込みが立たないんじゃないかと思うのは、ここに資料がある。つまり、平成九年度に三兆七千四百億円の赤字になっていた。そうしたら、そのうち二兆八千四百二十一億円というものを一般会計に繰り入れちゃったんです。そうすると、一兆二千七百億円残しちゃったわけだ。これは当たり前の話だ。ところが、平成九年度に一兆幾らに減らしてやったのに、税金で払ってやったのに、今度、まだ平成二十年度ではふえているんだよ、借金が。おかしな話じゃないですか、大臣。減っているならともかく、ふえているんだから。大臣、どうぞ。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今申し上げましたように、前政権時代に、これは一般会計で継承するもの、これは林野特会としてやっていくもの、そういう区分をされました。

 そして、今御指摘のあった約一兆三千億円ですけれども、この一兆三千億円については、特会の中で、一応五十年と言っておりますけれども、その中できちっと返済をしていこうということで、特に今、年末に緊急経済対策の中にも織り込んでいただきましたけれども、木を切り出そうと思っても路網の整備がされていない、作業道がないから切り出せない、そういう中で、木を切り出してもまたそれを住宅産業等が使ってくれないといけませんから、そういう整備を一気にやっていこうと。

 それから、基本的には鳩山内閣は環境対策ということで、森林は国民の財産ですから、CO2の唯一の吸収源としてそれをしっかりやっていこうということで、路網の整備等についてはドイツの十分の一ですから、そんな整備でうまく木が切り出せるわけがないということで、それをしっかりやっていこうというのがこの政権の大きな政策の柱の一つだということを考えておりまして、先生の御指摘は御指摘としてしっかり受けとめながら、できるだけこうした木を売ることによって、あるいは木材産業を活性化させることによって、借金をできるだけ早く確実にこの計画に従って返済をしていけるように努力をしてまいりたい、このように思います。

吉田(公)委員 大臣、努力は大変結構なんですけれども、今までの見通しからいくと、努力の限界を超えている。したがって、私は、農林水産予算の中に入れて、もともと農業や林業というのは要するに国が守ってやらなければ立ち行かないんだから、農林水産予算の中に入れて、要するに農水の補助金として、今やっているように特別会計にしないで、特別会計にするとほったらかしになっちゃいますよ。だから、毎回、こういうような予算委員会で審議ができるような、そういう制度に直した方がいいんじゃないか、そう思っております。

赤松国務大臣 大変示唆に富んだ御指摘をいただいたと思っております。私も吉田委員と同じ認識でございまして、今省内に、林野庁に、今まさに言われた、森林は国民の財産、環境のためにもこれは国が責任を持って財政的な支援も含めてやっていくべきだ、そういう視点も織り込みながら一般会計化できないかどうか、それについて今省内で検討させているということでございます。

吉田(公)委員 時間がありませんが、最後に。

 たばこを百円上げる、三百円を四百円にする、種類によって値上げ幅が違うようでありますが。実は、国民の健康増進のためになんて言って、そうじゃないんだ。税金が欲しいんだよ。だから、国民の健康増進というのはまくら言葉であって、必ず値上げするときに国民の健康増進と言うんだよ。そんなの大きなお世話だというんだよ。要するに、そういうように、たばこの消費税も安易に、もう金がなくなるとたばこ消費税になっちゃうんだ。

 それで、千円だなんて、前原大臣は千円でもいいとかなんとか言ったそうだけれども、とんでもない話だ。では、貧乏人はたばこを二、三本しか吸っちゃいけないみたいな話になっちゃう。金を持っているやつは一日三箱吸っていいと。ないやつは二、三本で我慢しろ、所得の少ないやつはしようがないだろうなんて言われてね。だけれども、やはりこれは庶民の本当の嗜好品だから、仕事の途中で一服する。何もそんなたばこを目のかたきにすることないんだよ、千円にする、五百円にするとか言って。本当におれはそう思うんだよ。私は、自分がたばこを吸うからそう言っているわけじゃないんだけれども。だって、吸わない人が言うんだから。

 私は酒を飲まないよ。では酒税を上げたらいいじゃないかというんだよ。酔っぱらってけんかしてみたり道路で寝たり、警察の御厄介になったりしているのがいっぱいいるんだから。だから、煙も肺がんによくないというのなら、お酒を私は全然飲まない、だから酔っぱらったこともないし、道路で寝たこともない。だから、そんなことを言ったら切りがないので。

 大体、これは飲まない人が言う話じゃないんだ。飲む人が言って初めて正当性がかち取れるという話だから。今後気をつけてもらいたい。

 以上です。終わります。

鹿野委員長 この際、伴野豊君から関連質疑の申し出があります。松原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 松原筆頭を初め、海江田先生、吉田先生、特に吉田先生の後は非常にやりにくいんですけれども、質問がダブらないように気をつけて質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十一年度補正予算について質問させていただきたいと思いますが、その冒頭、大変恐縮でございますが、この委員会中に入ってきた情報を、これは非常に重要な情報でございますので確認をさせていただきたいと思います。通告しておりませんので、突然で大変恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 昨日の夕刊の読売新聞、非常に大々的に載っておりますが、これが誤報であったということを法務省刑事局がお答えになっているということでございます。この事実関係について千葉法務大臣にお聞きしたいと思います。もし誤報であるならば、正式に読売新聞に対して抗議をしていただけないのか、そんなふうに思っております。よろしくお願いします。

千葉国務大臣 御質問をいただきました。

 この件について私の承知をしているところは、問い合わせに対して誤報だというようなことを御回答したということはないと承知をいたしております。

伴野委員 いずれにしましても、ちょっと当局にしっかりと調査させていただきたいと思います。

 では、まず、順番に、重ならないように質問をしていきたいと思っております。私は、とにかく地元の現場の事実に基づいた事象について、これから各大臣に質問をさせていただきたいと思っております。

 我が同期の出世頭の長妻大臣、ちょっとお聞きいただきたいと思うんですけれども、出世頭ということで、この世界はねたみもありますから、どうぞ御注意いただければと思いますけれども、事実としてあった事柄。

 まず、私の地元の知多市というところで、私がある会合に出て帰ろうとしていたところに、後ろをとんとんとされて、まず年金世代と思われる妙齢の方、御婦人から、とことこっと来て、伴野さん、ぜひ今度長妻さんに会ったらお礼を言ってください。いや、ぽかんと最初は思ったんですが、何のことですかと思ってお聞きしていますと、その方がおっしゃるには、以前から私の消えた年金をずっと問い合わせていたけれども、なかなか答えが出なかった、しかしながら、政権交代をして長妻大臣になった途端に、その抜けていたところがありましたと言って回答をいただいて、今、増額した年金をいただいているので、本当にありがとうございますという事実のお話がございます。

 私は、これこそ、もともとその方にあった年金記録でありますから、もともとの当然の権利をかち取った、回復しただけでございますから、それほどお礼を言っていただくことではないんですが、しかしながら、まさにこれが政権交代だ、そんなふうに思ったんです。多分、長妻大臣のもとにもたくさんそういうお話が来ているんじゃないかと思いますが、御感想も含めてお答えください。

長妻国務大臣 大変ありがたいお話をいただきました。ただ、その一方で、まだ記録が戻ってこない、待たされておられるという方もたくさんいらっしゃいますので、全力を尽くしていきたいと考えております。

 その中で、政権交代した後に、毎週毎週、どういう状況になっているのかを発表するようにしております。例えば直近の数字でいいますと、先月、十二月の第三週分、一週間で一万二千件が記録がくっついて、一年間に増額された年金が五・六億円ということで、一万人ぐらいの方が一年間だけで六億円近く受給額がふえる、そういうような成果も上がっているところでございます。

 今後とも、特に紙台帳の照合というのに力を入れまして、これまでは、年金の記録を皆さんに送って確認をしていただいたわけでありますけれども、今後は、それを続けると同時に、こちらからも、紙台帳を照合して、気づいていない方に対しても、あなた様、済みません、間違えておりましたので年金を増額しますとこちらから言えるような体制等々、全力で取り組む所存でございます。

伴野委員 大臣、実際に私のところに言ってきてくださった人の、これは個人情報にもなってしまいますが、またお伝えしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、続いて、前原大臣、先ほど松原筆頭からいろいろお話があった中で、住宅に対してさまざまな拡充政策を行うと。フラット35ということで、これで、私の地元のちょうどこれからおうちを建てようとする主婦の方から……(発言する者あり)ちょっと静かにしていただけませんかね。ちょっと静かにしてください、聞こえないですから、本当に。

 そういう主婦の方がこれからおうちを建てようと。だから、まさに効果がもう既に私の周りでは出てきていると思っているんですが、実際にどんな感じになるのか。できたら具体的な数字で、大体平均的なおうちを建てられる方がどれぐらいの効果があるのかというのを、具体的な数字でちょっとお答えいただけませんか。

前原国務大臣 今回の補正予算でフラット35の金利を下げさせていただくということになっているわけでありますが、今、伴野議員から具体的にというイメージで御質問がございましたので、申し上げます。

 例えば、今の金利で、市場動向でお金を借りれば、当初の十年間の金利は一・七八%ということになります。ですから、十一年目以降の金利は一%上がって二・七八になる。三千万円の住宅ローンを例えば組まれたとしますと、当初十年間の支払いというものは毎月約九万六千円ということになります。そして、金利引き下げのない支払い額、つまりはもとに戻るということになったら月々の支払い額は十一万二千円ということですので、今回の十年間の引き下げによって、一%下げることによって、毎月毎月一万六千円の支払いが三千万円のローンを組んだ場合は減ることになるというイメージでございます。

伴野委員 ありがとうございます。

 そうやって具体的に言っていただけると、多分主婦層の方なんかもわかりやすいと思いますので、ぜひそういったアピールを広げていただければと思います。

 では、続きまして、我が郷土からもお二人大臣が出ていらっしゃるので、本当はお二人に聞かなきゃいけないんですが、時間もなかなかございませんので、赤松農水大臣、これは菅大臣もかねがね第一次産業、林業のお話なんかもよくされていたと思いますが、その林業再生のために今回もいろいろ心を砕かれたと聞いております。どんな点に心を砕かれたのか、ぜひできたら具体的にお話しいただければと思います。

赤松国務大臣 年末に菅副総理のもとでそういうチームをつくりまして、いろいろ検討させていただきました。

 その中に、地域が自由に使っていただけるものをしっかりつくろうということで、地域活性化・きめ細かな臨時交付金ということで五千億円、これをつくりまして、この五千億で一体何をやるのか、おおよその目安を示さなければいけないということで、橋としてあるけれども渡れない橋だとか、あるいは電線の地中化だとかいうような四項目の中に、森林を整備していく、特に路網の整備をしていくということもこの四項目の一つに掲げていただきまして、そして、それぞれの地域が、明示された四つの項目を中心にしながら、そういう有効な形で資金を使っていただこうということを決めさせていただいており、これがまた第二次補正予算の中にも入っておるわけでございます。

 言うまでもありませんけれども、先ほど吉田委員の御質問にもお答えしましたけれども、やはりこれからの環境対策を考えるときに、森林・林業の整備なくしてはあり得ませんし、余りにも日本の森林・林業がドイツを初めヨーロッパ各国、その他の国々と比べておくれをとってきたというのも事実でありますから、そこに新たな産業を生み出していく、新たな雇用、そして地域の活性化のための大きな産業として育てていく、そういう考えのもとに、今一生懸命農林水産省としても林野庁としても取り組まさせていただいておるというところでございます。

伴野委員 ぜひ我が国の第一次産業をいま一度基幹産業にすべく、御検討をこれからも続けていただければ、そんなふうに思います。

 では、ちょっと毛色を変えまして、いろいろな報道やいろいろないわゆる有識者という方で、今回の第二次補正の内容について批判的なコメントを出していらっしゃる方がいろいろいらっしゃるんですが、それについてぜひ適宜的確な反論をしていただければと思います。

 一つ目は、この補正予算は経済対策というより社会政策であり、成長と税収増に結びつかない、今ある不安を和らげ、当面の需要を支える効果はあったとしても、経済の自律反転までには至らない、また、雇用調整助成金の要件緩和等の雇用対策や中小企業向け金融の強化はセーフティーネットとしての一定の役割は果たすけれども、景気の牽引役にはならないとの批判がありますが、これについてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 今、伴野委員の方から、一般的な中で出されている批判について、逆に言えば、ちゃんと反論する機会を与えていただいたと思っております。

 確かに二次補正には二つの要素があると思っております。一つは、セーフティーネットの強化であります。それに加えて、実はこの中で雇用の創造とか成長戦略の推進の中身もしっかりと盛り込まれております。今指摘をされた雇用調整助成金の支給あるいは中小企業への保証枠の拡大等は、セーフティーネットであると同時に、もしこれをやらなければさらなる景気の後退が招かれ、失業率が上がっているわけですから、そういう点ではセーフティーネットであるだけではない効果もプラスされていると思います。

 しかし、それに加えて、積極的には……(発言する者あり)ちょっと、少し……(伴野委員「聞きましょう、聞きましょう」と呼ぶ)緊急経済対策の中には、具体的に雇用の創造、成長戦略を推進するために、例えば、介護、医療、先ほど議論のありました農業・林業、環境・エネルギー等の分野での雇用拡大の政策が盛り込まれております。

 例えば、介護に関して言えば、これは前の政権からやっているものを継続するわけでありますけれども、いわゆる人材育成、我が党の言い方で言えば求職支援のような形で、トレーニングを受けながら生活支援を受けながら、それが終わった段階では雇用につながっていくというプログラムがあります。

 また、林業は、先ほどお話がありましたように、これから公共事業が減ることが予想される中では、転業支援を、これは国交省とも相談しながらお願いしておりますけれども、例えばそういう地場の土木事業から、森林の中に路網、つまりは作業道をつくるところに転換する。こういったことについては、一朝一夕でできる仕事ではありませんけれども、そこにつなげていくための仕組みを想定して、この予算の中でも組んでいるところであります。

伴野委員 あと二つぐらいあるんですが、一緒にお聞きしたいと思います。

 そのほか、こういう御意見もあります。

 七・二兆円の補正予算のうち三兆円は地方交付税の減税分の穴埋めであり、実際に投資や消費につながるのは約五千億円程度の公共投資や一千億円の住宅版エコポイントなど一部にとどまるという御批判もあります。さらに、エコポイント制度、エコカー補助金は需要の先食いにすぎなく、期間終了後、がくんと落ち込むおそれもあるのではないかという指摘もありますが、これについても御反論いただきたいと思います。

菅国務大臣 おっしゃるように、七・二兆円の補正予算の中の約三兆円は地方交付税などが減額された分の穴埋めであります。しかし、これも、なければ大変なことになるわけでありますので、意味は大きかったと思っております。

 それを除いた中での経済効果を計算いたしますと、いろいろ除いたもので約三兆円程度の支出によって、今後、一年程度の間に実質GDPで〇・七%程度押し上げる効果がある、このように考えております。

伴野委員 ぜひ、効果を高めていただく、後追いのさまざまなソフト、ハード合わせた施策も今後もお考えいただければ、トレースをしていっていただきたいと思います。

 では、この後、財務大臣に私の日ごろの問題意識を少し尋ねさせていただきたいと思います。

 今回も事業仕分け等々の中でさまざまな切り込みがされたと思いますけれども、私の問題意識の中に、一般会計と特別会計はできるだけ一体化、統合できるものは統合してできるだけシンプルに、国民の皆さん方がわかりやすいようにしていくべきではないかと思っております。慶応大学の土居先生などは、特別会計ができていく、その経緯の中でどうしても所管官庁の価値観が色濃く反映されていく。あるいは、透明性を高めるために、できるだけ統合し、数の少ない会計の中で透明化を高めていく方がいいのであるという北沢先生の御指摘もあるやに伺っております。

 今後、一般会計、特別会計に対してどういう改革をなされていくかという、意気込みも含めてお聞かせいただけませんでしょうか。

菅国務大臣 基本的には私も伴野委員と同じ問題意識を持っております。

 年が明けて、先日の閣議の後、二時間余りの時間を使った閣僚懇談会を開いていただきまして、その中で、それぞれの省庁が管轄する特別会計などについてしっかり把握をして、そして、その中の見直しをしていこうということを話し合ったところであります。

 もちろん、特別会計を組む理由を役所に説明を求めると確かにいろいろな理由は挙がるんですけれども、必ずしもその理由が、どうしてもなければならないのか、何か会計を別にすることによって明確にすると言いながら、かつて塩川先生がおっしゃったように、逆に、明確になるのではなくて、何か離れでそれこそしゃぶしゃぶを食べているのが見えないようになっているというようなところもありますので、そういった意味では、本格的な見直しは、まさに鳩山政権としてはことしがそれこそ正念場だ、このように認識しております。

伴野委員 特別会計については、とりわけ国民の期待も大きいと思われます。ぜひ、菅大臣らしく鋭く切り込んでいっていただきたいと思います。

 続いての問題意識として、菅大臣も御存じかと思いますが、私は国鉄を経験しておりまして、それからJRに行きました。つまり、旧組織から新しい新会社というのを現場で目の当たりにいたしまして、成功した例として、三つその原因があると思うんです。一つは、職員、社員の意識改革があった。二つ目は、投資を回収できるものと、そうでないいわゆる過去債務というものに分けてきちっとやった。さらには、幾つかの会社に分けて競わせた。いつまでも中央、国鉄の本社は丸の内ですが、丸の内でいつまでも権限を持って決定している、とりわけ予算等について各社に分けて競わせたというようなことが幾つか考えられるんですけれども。

 その応用として、例えば、公営企業金融公庫が廃止されたときも新勘定と旧勘定に分けて処理をしていったとか、あるいは道路関係四公団が民営化されたときも、やはり同じように、機構に持たせる非常に返済しにくいものと各会社がしっかりと徴収をして返していけるものに分けたと記憶しております。

 国鉄は先ほど申し上げたように最たるもので、なかなか処理ができない債務については国鉄清算事業団というところで処理をさせていき、少しずつ返していくという姿勢を見せつつ、そして各会社は利益を上げて、そこで回収していく。当然、税金ということでも返ってくるわけですから。

 国においても、確かにこういう話をしますと、会社とは違うんだよ、伴野君、会社はリストラということが考えられるけれども、国民をどうこうということはできないんだよという論理に立たれる方もあるんですが、私は、責任の所在を明確にする意味でも、鳩山民主党新政権がつくってしまった債務と旧政権が今までためにためてきた債務というのは分けて考える、そういう考え方もしていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 この考え方は、ある意味では大変魅力的な考え方だと私も受けとめております。

 つまりは、どこで切るかはあるにしても、大きな政権交代というものがあった中で、これまでのいろいろな中で累積した債務と、これからももちろん、例えばことしなどは、あるいは来年度予算などは、この景気の低迷の中ではある程度債務がふえる部分もあるにしても、少なくとも新たな政権のもとでの債務とを分けて考えるという考え方は、私は政治的にはあろうか、このように思っております。

 ただ、もちろんでありますけれども、過去の債務だから現政権は責任がないというふうにはこれはいかない仕組みになっておりますので、そういう意味では、結果としては過去の債務も含めて責任を負うという姿勢を明確にしながら、しかし政治的には、今話をされた考え方を私は国民の皆さんに知ってもらう努力はあっていいのではないかと思っております。

伴野委員 まさに菅大臣がおっしゃるようで、国として、日本国としてあるわけでございますから、旧政権下においてどれだけつくったといっても、そんなことは知らないよというわけにはいかないということはそのとおりだと思います。しかしながら、私は政治家というのは歴史が評価するものだと思っておりますので、やはり後世に伝える意味でも、どの政権下においてどういうものが発生したかということは、責任の所在を明確にする意味でも、私はあってしかるべきではないかと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 続いて、公会計についても少しお聞きしたいと思います。

 地方自治体の浜松市なんかは率先して最近はこれを考えているということも聞きます。

 御案内のように、現在、財務省財政制度等審議会が設定している省庁別財務書類作成基準では、財務省の予算編成権限を維持するため、約二年おくれの決算情報に関する財務書類が作成、開示されるのみでございます。また、公的年金債務を過小評価するなど、国の財政の実態を正確に反映しないと考えられる場合があります。

 一般会計、特別会計を合算、連結した財務諸表、予算、決算双方の作成、開示に関する新たな公会計基準を設定する時期に来ているのではないか、あるいは試みてみるだけでも随分違ってくると私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 これも大変傾聴に値するお話だと思っております。

 その中で、公表の時期については順次努力をいたしておりまして、まだ一年半程度かかっておりますけれども、さらに、コンピューター等の利用を含めて、抜本的に、できれば一年以内というぐらいにまで下げる努力を今しているところであります。

 それから、公会計基準の中で、今御指摘のありました、決算においては合算、連結というものが進んでおりますが、予算についてはまだそうしたことができておりません。ただ、予算については、企業でも必ずしも、見込みという形で出すわけですので、そういった意味では決算ほどに確実な形にはならないとも指摘があります。

 それから、公的年金債務が過少計上されているのではないかという指摘は大変重い指摘でありまして、今回、JALの問題などの処理の対応も、私も若干かかわっておりますと、そういうものが、決して他のことではなくて、国の年金のあり方にも十分そういう心配があるということを認識しなければならない。

 そういう意味で、機械的にできるところと、まさに基本的な政治の考え方としてどうするかというところが両方含まれていると思いますが、今の御意見を十分生かした形で対応していきたいと思っております。

伴野委員 御理解の深い御発言、ありがとうございました。

 では、時間もあとわずかになってまいりましたので、最後に、総括的な決意として総理にお尋ねしたいと思います。

 先ほど、私どもの松原筆頭から、政治と金についての基本姿勢について、改めて総理からみずからの口で語っていただきました。そうした中で、昨日、我が党の小沢幹事長も、近々に国民の皆様に理解してもらえるような状況をつくりたいと申しました。ここはひとつ冷静に推移を見守ることが国民の皆様方の御期待にこたえることになると考えます。

 多くの国民の皆様方の今国会への期待は、昨今の世論調査でも明らかなように、国民の生活を第一に考えた政策論議であると思っております。総理、今我々は、あの夏の暑い日、歴史が動いた日をいま一度思い起こそうじゃありませんか。結党の原点に立ち返り、わき目も振らず、今こそ国民の生活第一の政治を実行しなければなりません。そのためにも、焦眉の急であるこの補正予算を一刻も早く成立させて、そして真水として国民のところにお届けしなければなりません。その決意をぜひ最後にお聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 政治資金の問題に関しては、当然改めるべきところは改めてまいります。そして、全党挙げて、今お話ありましたように、身を粉にして国民のために働かせていただく、新しい内閣、政権の姿を国民の皆さんに信じていただくしかない、そのように思っております。

 新しい政権として、まず第二次の補正予算を組ませていただきました。その中身に関しては、今、伴野委員初め与党の議員の方々からもお話がありました。大変意味のある雇用問題、あるいは景気対策、さらには環境の問題、こういった視点から、大きな国民の皆さんの命を守る第二次の補正予算だ、そのように理解をしておりまして、ぜひ皆様方のお力をいただいて、一日も早く成立をしていただくように心から期待をいたしております。

 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

伴野委員 私も、その総理の言葉を信じております。一緒に国民の声にこたえようじゃありませんか。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて松原君、海江田君、吉田君、伴野君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 昨年の九月十六日、新政権が発足して、そして本日が私、阿部知子にとって初めて迎えるこの通常国会の質問でございます。

 私は、今の社会が経済的にも低迷し、また政治と金の問題等々、国民のいろいろな疑惑、不安が生じている中、本当にこの社会が次のステップに向けて一歩大きく歩み出せるように、社会の希望としての子供の問題をまずきょうはすべての時間を使って取り上げさせていただきます。

 皆様のお手元に資料でお示ししました、またテレビ等々のためにはここにグラフでお示しいたしましたが、きょう私が伺いたいのは、保育と、そして、大変に待機児童がふえていて、そのことが、働きたくても働けない、あるいは本来保育を必要とする子供たちの十分な受け皿になれていない状況について、新政権がどう真に答えを出していくかということでございます。

 このグラフには、平成十四年から平成二十一年までにおきます保育所の入所定員と、そして一方で、入りたくても入れない待機児童数の推移をかいてございます。

 平成十四年、二・五万人が待機、そして、一たんは平成十九年にかけて待機児童が減少したやに見えますが、昨今再び二・五万人の待機児童数となっております。保育所定員の方は、一方、この間微増で二百十三万人。しかし、これはいわゆる認可保育園でございますので、無認可等々はこの数値には入ってございませんが、いずれにしろ、少しずつは保育所定員はふえておりながら待機児童がさらにふえておるという図でございます。

 まず冒頭、長妻厚生労働大臣に伺います。

 このグラフをどのようにお読みになり、問題はどこにあるとお考えでしょうか。

長妻国務大臣 今お示しいただいておりますように、直近の数字を申し上げますと、昨年四月一日現在の数値で二万五千三百八十四人の方が待機児童であるということでございます。

 今、少子化ということが言われておりますけれども、お子さんの数は減っておりますけれども、やはり景気等の影響で、働くお母様方がふえているという事情でそれがふえているということで、恐らく定点観測の昨年十月一日時点の数値もさらに増加をするということで我々考えております。

 そこで、これは一月末めど、今月末めどに、福島担当大臣を中心に、子育てビジョンということで、数値目標を入れた保育所整備も含めたものを、五年後こうあるべきという形でお示しをしていきたいというふうに考えておりまして、何としても、この子育て支援、現物給付ということと、現金給付では子ども手当、あるいはワーク・ライフ・バランス等々、バランスよく施策を講じていきたいというふうに考えております。

阿部委員 実は、このグラフから二つの問題が読み取れると思います。

 一つは、平成十四年の待機児童数二・五万人となっておりますが、実はこの年は、二〇〇一年になりますが、待機児童ゼロ作戦というものが前政権のもとで開始された年であります。このとき、前年度、平成十三年度の待機児童は三・五万人でございました。一年間であっという間に一万人が減ったやに見えるのですが、十三年から十四年、このグラフの端にある見えない部分には、実はここで切り捨てられた潜在的待機児童というものがございます。

 潜在的待機児童とは、例えば、お母さんが求職、仕事を求めていらっしゃるとか、それから、本来入りたい保育園に入れないから御自身の近くで何らかの、かわる、とりあえずのところに入っているけれども、本当は、自分が経済的負担も軽く、また勤務等に便利なところに移りたい。前政権では、これを、とりあえず措置されているから、とりあえず何かの対応があるから、あるいは、保育は働いている人のためのものであるからいわば仕事を探している最中の方は数に入れない、お母さんが求職中であれば待機児童にはならないという形で、数値をあえて表面上で操作いたしました。

 ここで一万人減り、そうやって操作してなおかつ、ちょっとは減ってきた、だけれども平成十九年度から二十一年度にかけては、実は平成二十年度に再び新待機児童ゼロ作戦なるものをつくり、いろいろなところで微修正いたしましたが、一向有効ではありません。

 私は、さきの臨時国会で長妻厚生労働大臣に、政府は果たしてこの潜在的ニーズについてどのように把握なさっていますかと伺い、それが先ほどの御答弁の、ことし一月にお答えが出るということでしたが、私は現下の経済情勢などを考えると、仕事につきたくても今は働けない、働いていないから子供も預けられない、仕事にもつけない。もう悪循環をしております。そこで、政府の側のデータがきょうの段階で出ないのであれば、私が入手し得る自治体のデータを少しきょうは御披瀝させていただきます。

 私の選挙区は、神奈川県の藤沢市という、人口約四十万余りの、一つはベッドタウンであり、あるいは商工業のバランスもある程度よく発達し都市型の農業もあるという、比較的生活空間としては恵まれた立地をしておるところでありますが、ここの藤沢市における待機児童数の推移というものを、今ここで、上から四段目にはいわゆる表に出ている待機児童数、そして一番下段には潜在的待機児童数というものを比較して挙げたものでございます。数値の参考にしていただければと思います。

 この待機児童数、先ほどのグラフに出てくる待機児童数の約三倍余りが潜在的待機児童数としてここに出てまいります。このことをとっても、実は保育のニーズを早急につかまえるということはこの新政権の何よりの仕事であると私は思います。

 もう一つデータを示させていただきます。

 今お示しいたしましたこの推移は、実は、四月段階での潜在的待機児童数と、六カ月後の十月段階での潜在的待機児童数が二倍にはね上がっておるということであります。経済状況がなかなか改善していかない、それで、働きたくて申請をするけれども入れない人がもうどんどんどんどんたまっていっているという状況であります。

 ぜひ長妻大臣には、先ほど一月に発表されるとおっしゃいましたが、旧政権が基準を変えてあえて潜在化させてしまった保育園の待機児童、真の待機児童の数を把握していただきたいと思います。

 そして、まずその数の把握と同時に、もう一つやっていただきたいことがございます。例えば、この待機児童と呼ばれる方たちの家庭の所得でございます。

 私どもの市でとりますと、待機児童のうち、これは潜在ではありません、待機児童のうち、年収四百万円以下、生活保護やあるいは住民税非課税などの御家庭が四〇%余りあります。となると、現実には、低収入でお母さん、お父さんは働いて何とか収入を上げようとするけれども、保育がなくて先に進めないという状況が浮かび上がってまいります。

 長妻大臣にお伺いいたしますが、今の保育のニーズの調査にはそうした所得の問題は組み込まれておりますでしょうか、お伺いいたします。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今の調査というのは、今、待機児童数のお話が冒頭ございまして、私も同じ問題意識を持っております。非常に不十分な指標であるというふうに考えておりまして、各市町村、自治体に調査をお願いして、今もう調査票が上がってきておりまして、今取りまとめの状況です。

 それは、この藤沢市でお示しをいただいたように、各自治体が、今後五年間、今までの経験に基づくとどのぐらい需要があるのかというのを自治体ごとに集計をいただく、こういうようなことで正確な現状認識をしていきたいというふうに考えておりまして、所得の階層別の待機というのは今とっていないというふうに承知しておりますので、これも、今後、例えばサンプル調査的にやることができるのかどうかということも検討していきたい。

 本当に、働きたいんだけれども保育所がないから働けない、だから申し込みもしていない、これは言われるように待機児童数に入っておりませんので、こういう方が一番深刻だと考えておりますので、我々もそういう情報を把握していきたいというふうに考えております。

阿部委員 今、サンプル調査であれ、やっていただけるということでしたので、大変前向きだと思います。

 と申しますのも、昨年、厚生労働省の方で、いわゆる相対的貧困率といって、家計の世帯所得が平均世帯所得、平均の世帯の半分以下の家庭がどんどんふえておる、子供についても一四・二%という数値で、アメリカに次ぐ貧困化であるということであります。

 貧困を解消していくには、一つには現金給付、子ども手当等もございますが、実は一番望まれることは、働いて所得を得ていきたい。そして、その働き方が実は次の問題でありますが、現状、保育園に入るに当たっては、いわばきちんとした仕事があって、そして産休等もとれてという正規の職員のお子さんの方が多く入れて、不安定雇用でしょっちゅう失業の問題を抱えながら、しかし家計の収入も低いという方が入りづらいという条件があります。

 このことは恐らく長妻大臣も認識しておられますでしょうが、では、どうしてそうなるんだろうということをお考えになったことがおありでしょうか。なぜ非正規の人の方が入りにくいんでしょうか。あるいは、そのような実態については御認識はないでしょうか。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今おっしゃられたことは実は政令にございまして、児童福祉法施行令というものでございますが、一つの条件といたしまして、「昼間労働することを常態としていること。」こういう文章がございます。

 実際、運用上はどうなっているかを調べますと、例えば、これは神奈川県のある市の事例でありますけれども、そうすると、多くの方が待機されておられて、どういう方を優先的に入所させようかというのを自治体ごとにいろいろなガイドラインをつくっておられて、やはり、例えばこの市では、月二十日以上かつ一日八時間以上働いているという方がAランクということで優先的に入所をいただく、働く時間が短い方、あるいは月の働く時間、日数が短い方がどんどん下のランクになってお待ちいただく、こういう優先順位になっています。

 ただ、これは、本当に根本的な問題はやはり待機児童を解消するということがありまして、その中で各自治体も、ではどなたに早目に入所していただくか、非常に頭を悩ませて、そして、やはり長くお子さんを見られない方を優先しようという判断をなされているんだと思います。

 いずれにいたしましても、本当に、その方の困窮度というか、必要性が高い順番に入れるということと同時に、やはり根本問題として保育所の拡充ということで、実は、今回の第二次補正予算の中にも二百億円の予算を入れさせていただいておりまして、これは保育所の分園というような形で、空き教室や公民館のあいている部屋、あるいは公営の住宅であいているスペースを使って、少しでも保育所を拡充しようという予算も入っておりますので、ぜひ速やかな成立もお願いを申し上げます。

阿部委員 私のきょうの冒頭の質問が待機児童という、待っておられる方を何とかしようという、いわば受け身的な設問で開始しましたが、実は、この少子高齢社会にあって、そして貧困化が進む中にあって、保育にはもっと積極的な意味が課せられているんだと思います。

 そこで、潜在的な待機児童のニーズ把握という場合にも、もしも、例えばこの十年間、今の団塊ジュニアの世代がお子さんを産むというこの十年間に、望めばどんな方も預けられて、自分の仕事と子育てを十分両立していけるような、そういうビジョンを政権が明らかにして、そして、さっき言ったように、自治体には枠が少ないからどうしても優先順位で非正規の人が後になるような状況を起こさせないようにすれば、実は、少子化対策のみならず、本当の子育ち支援、子供の健全なる保育ということとあわせて、私は大きな転換ができると思うんです。

 ぜひともそこは、総理もお聞きいただいていますけれども、この政権が保育を、後ろ向きの、待機を何とか片づけようという政策ではなくて、より積極的に、そこを充実すれば、諸外国、スウェーデンも、この前少子化担当の福島大臣が行かれたフランスでも、今やドイツでもです。実は、ドイツは日本と同じように家庭的保育を重要視する国であります。私も小児科医ですから、その重要性は否定するものではありません。と同時に、しかし、この社会の大きな転換点だという認識に立てば、保育は量的な拡充がまず第一になると思います。

 そして、もう一つ目的があると思います。今までは、お母さんが働くかどうか、あるいはお父さんが働いているかどうかで、例えば八時間、二十日とか、親側のニーズで決まってきた保育を、子供がより健全なトータルな発達をできるもの、子供自身が育つことの保障として位置づけていくことだと思います。

 ここで、福島大臣にお伺いいたします。

 少子化担当大臣として、近く子ども・子育てビジョンというものを策定されると伺いました。この中では保育の位置づけはどのようになっておるか、また、そのことを十分に保障するためには何が必要であるとお考えか、二点、お願いいたします。

福島国務大臣 お答えをいたします。

 少子化担当大臣としては、すべての子供の成長を応援しなければならない、保育サービスについては利用者への例外ないサービスや多様なサービスをきちっとしていくというふうに考えています。

 今、御質問いただいたとおり、一月末に子ども・子育てビジョン、子供の笑顔があふれる社会のためにというのを発表したいと考えています。

 今、阿部さんが質問していただいたとおり、保育というのが実はやはり非常に根幹の問題で、私も少子化担当大臣と男女共同参画担当大臣とワーク・ライフ・バランス担当をやっていますと、それがリンクしているというふうに思っております。

 一つ目、今度の成長戦略の中で、保育の問題に関しては女性の就労支援を大きな成長戦略として位置づけました。ですから、保育をきちっと充実すること、あるいは保育という労働を女性の就労支援として、男性もいらっしゃいますが、望めば、働いて、子供を産み育て、給料もちゃんと確保できる、そういうことをこの内閣の中で全力でやっていきたいと思っています。

 保育についても、それは子供の保育の受給権というのもあるわけですし、お母さんの、お父さんの働く権利というのもあるわけですから、それをしっかり保障いたします。

 この子育てビジョンでは、数値目標をきっちり挙げて、一つは、保育サービスもさることながら、病児・病後児保育あるいは放課後児童クラブ、私もお世話になりましたが、学童クラブなどの充実をしっかりやってまいります。

 フランスは出生率が二・〇二で、日本は一・三七。出生率を上げることだけが仕事ではもちろんありませんが、子供を産み育てることで労働市場から女性が排除され、M字型雇用になり、かつ女性の本当に活躍ができない社会から、しっかり子供も元気に社会で支えていく、社会全体が子育てを支えていくというための予算と工夫をしてまいります。

 先ほど長妻大臣からありました、補正予算で二百億円つけていただいておりますが、空き教室やUR住宅、それからさまざまな部門におけるところで、望む人が保育ができるような形で、質の確保をしながら、とにかく子育てのための全力的な応援をこの内閣で即座にやってまいっているところです。よろしくお願いします。

阿部委員 お二方に、長妻厚生労働大臣と福島少子化担当大臣に数値目標を伺います。

 十年後、保育はどのくらい拡充したらいいと思われますか。十年で、目標。どちらからでも結構です。

長妻国務大臣 これは、先ほどの繰り返しになって恐縮ですけれども、私は、厚生労働省という役所に不足しているものの一つに現状把握能力ということを申し上げておりまして、そういう意味で、やはり実際に具体的に調査をして、市町村に五年後どれだけの潜在的需要があるのかというのを、今調査票が戻ってきておりますので、それを見きわめて一つの数字を、まずは五年後を出していきたいというふうに考えておりまして、これは基本的に、従来、前の政権で言われていたベースよりもかなり高いペースになるというふうに考えておりますので、一月末めどでございますので、きちっと発表していきたいと考えております。

福島国務大臣 五年後のことの発表を今準備しています。年間五万人ぐらい増ができないか、あと、充実したいのが病児・病後児保育、阿部さんも小児科医ですが、約七倍の増ができないか、あと、放課後クラブ、いわゆる学童クラブが四割増し、五年後ぐらいにできないかということを考えております。

 阿部さんの質問は今、十年後でしたので、これはもちろんもっとふえていると思います。今、三歳未満児の保育所を利用している子供たちが二四%です。フランスは四〇%なんですね。五年後はこの利用率、現在二四%を三五にしようと思っていて、ですから、十年後でしたら、まあ半分ぐらいはどうかわかりませんが、四割は超えていると思います。

 働いているお母さんも働いていないお母さんも、お父さんも含めて保育所を利用できるような形に将来なれば、私は実は、保育所が子供を育てる中心地区になっていくと思っております。

阿部委員 これは前政権から引き続く社会保障審議会少子化対策特別部会の中でも、いろいろなデータが出て論じられております。十年後で百万人、すなわち一年で十万人、スウェーデン並みの数値であります。さっき福島大臣のおっしゃられた、四割くらいが保育のそこでカバーされると。これを急がねばならない理由は、先ほど申しました団塊ジュニアが今三十代であります、そこのニーズをきちんと補てんできるように。

 長妻大臣には、もちろん現状調査も必要ですが、先ほど申しました、保育をより積極的に位置づけてこの政権ではぜひやっていただきたいです。そうでないと、日本は今、人口減少ということと、さっき言った、働きたくたって働けないという両側面を持っております。政治主導でやることです。調査はやはり向きを定めてその中できちんと、私はニーズの把握の仕方も違ってくると思います。ぜひ、長妻大臣には期待いたしますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、鳩山総理に伺います。

 総理は、昨日の参議院の本会議におきましても公明党の松あきらさんの御質問に対して、このたび新政権では本予算の方で子ども手当を出していく、これは大きなやはり政権の政策転換です。子供たち自身に向けられる手当であるということで、このことの一方で、こうした保育や教育や医療などの現物の給付、行き渡ることも大変重要だというふうに御答弁でありました。

 私も、今後、本当に子供のための政策が進むとしたら、あるいは国民が多く望んでいるのは、現金給付もさることながら、こうした実際の受けられるサービス、例えば子供を無認可に預ければ、正直言って保育料は五万円から八万円かかります。そうなってくると、子ども手当は必要です、これは否定いたしません。ただ、バランスの中で、本当に子供たちが健全に育っていける、このことを新政権は全力を挙げてやるんだというお考えと思いますが、もう一度お伺いをいたします。

鳩山内閣総理大臣 阿部委員から大変熱心に保育の情勢のお話を伺いました。

 昨日、私も本会議場でもお話を申し上げました。子供をどのような形でこの日本が社会の中で育てていくか、一方では、いわゆる子ども手当という現金の給付も大変大事だ、そのことは多くの国民の皆さん、若いお母さんたちが認めてくださっている。ただ、それだけではない、やはりある意味でのインフラというか基盤整備が大変重要だ、その中心は保育であるということでございます。その保育の基盤整備をもっと急いで充実させなければいけないという阿部委員の御指摘は、まことにもっともだと思います。

 今お話を伺って、待機児童ゼロ作戦という言葉がありました。しかし、必ずしもそれが表だけの話ではないということもよくわかりました。行きたくても、行かせたくても職業が見つからないお母さん、だから預けられない、だから潜在的な待機児童はもっと多いんだと。ある意味では、さらにその外に、この申し込みさえ行けないようなお母さんたちがたくさんおられるということを考えたときに、もっとしっかりとしたデータを私たちも入手させていただいて、できるだけ早く、本当の意味での、潜在的も含めた待機児童がもういなくなりましたね、みんな行きたい方が保育所で、保育園で楽しく遊べますね、社会で健全に育ちをつくることができますね、そういう世の中にしていきたい。

 その意味で、今、阿部委員がお話しされたように、車の両輪だとは思いますが、保育の充実に努めてまいりたい、そのように思います。

阿部委員 総理には物の本質をよく御理解いただきました。そして、さらなるリーダーシップを心より期待いたして、終わらせていただきます。

鹿野委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 一月の十三日にハイチで発生した大地震について、我が国の対応についてお聞かせをいただきたいと思います。

 岡田外務大臣の方でも早々に援助金を決めたり、昨日は防衛省の方でも、緊急援助隊を百名規模、医官を中心にして支援をするというようなことをお決めになったようでありますけれども、防衛省について、きょうも朝のニュースを見ますと、また震度六の地震があったということでありますから、継続的に支援をしていかなければ、なかなか経済的に厳しいところなので難しいのではないかと思います。今回もおやりになりましたけれども、今後もどうするつもりなのか、北澤防衛大臣にひとつ御答弁をお願いします。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 御案内のように、十三日の大地震がありまして、翌日、外務省、JICA、そして防衛省、それぞれ二名ずつの調査員を派遣いたしました。

 たまたま防衛省のC130が米国本土で訓練をいたしておりまして、帰国する寸前でありましたので、タイミングよく、これを帰国を中止させてマイアミへ回送させて、そしてまた、たまたまそこに援助物資を経由させてありますので、そこから輸送をさせていただきました。

 また、外務大臣から、米国から、運んだ飛行機が空で帰るのではなくて、米国人の避難民を米国へ送ってほしい、こういうことで調整をいたしまして、三十四名を米国本土へ送った、こういうことをいたしました。

 その後、マイアミからハイチ間へ二十五名の第一隊を差し向けまして、既に、御案内のとおり医療活動をいたしております。

 そしてまた、今お話のありましたように、昨日、防衛会議を防衛省で行いまして、ほぼ百名の部隊を出発させるということで、きょう小牧を離陸して、成田から出発をするということでありまして、御質問のさらなる事態については、先遣隊が行っておりますので、この情勢報告を聞きながら対応していきたい、このように思っております。

下地委員 外務大臣も何かありますか。

岡田国務大臣 今回のハイチの地震ですけれども、いろいろ御意見もいただいております。もっと早くできなかったか、調査隊を出すのではなくて最初から緊急支援隊を送るべきではなかったか、こういう御意見もございます。そのあたりについて十分これから検証しなければいけないというふうに思いますが、ただ、一つ申し上げておきたいことはハイチの現状であります。

 つまり、PKO部隊が大量に派遣をされて、そして平和維持活動を行っている、そういう状況にある、そこに日本の緊急支援隊を送り出す。御存じのように、緊急支援隊は閣議決定によって武器の携行は認められておりません。丸腰の緊急支援隊を出すときに、いきなり送って大丈夫か、当然そういう御心配はあるというふうに思います。したがって、最初、調査団を出しまして、状況をよく把握した上で出させていただいた、こういうことでございます。

 このあたりについて、ほかにやり方がなかったのかということについてよく検証する必要があるとは思いますが、しかし、緊急支援隊の安全ということも同時に考えなければいけない。これは閣議決定されていることですし、附帯決議もあることですから、そういうことも含みながら、今回のことをひとつよく検証してみたいというふうに考えているところであります。

 政府としては、でき得る限り迅速に送らせていただいたというふうに考えているところでございます。

下地委員 ニーズをよく見きわめて、相手の国が何を必要としているのかということをしっかり見据えて頑張っていただきたい。早いか遅いかよりも、効果が出るようなことをきちっとやってもらいたいというふうに思いますね。

 それで、総理に御質問をさせていただきます。

 今度、七・二兆円の予算を組んでいただきましたが、この予算の特徴というのは何でしょうか。

鳩山内閣総理大臣 これは、先ほど菅大臣からも若干お話がございましたが、まずは、今切れ目なく、例えば二番底などに決してなってはいけない、景気を回復に向けて導いていくために最も必要な予算だ、そのように考えております。

 その意味で、まず、年末年始大変厳しい状況でお過ごしになってこられた中小企業の方々のための中小企業の支援策、これが一番だと思います。

 また、雇用対策のためには、雇用調整助成金というものを拡張させていただいて、より幅広くその調整金を利用していただけるような環境をつくったということがございます。

 また、今度エコの話が、三つの柱の一つでありますが、そのエコの中でも住宅のエコだ、エコポイントというものを新しく創設をいたします。このことによって、いわゆる二五%、チャレンジ25というのを我々は目指しておるわけでありますが、こういう世の中を目指していきながら、それが成長にも導いていける、そしてお暮らしの便利さにも導いていける、そういった発想を我々は持たせていただいておりまして、その意味でも、でき得る限り、一日も早くこの第二次の補正予算、皆さん方の御審議をいただいて成立をしていただきたい、心からそのことをお願いいたします。

下地委員 景気対策が一番でありますから、この景気対策に向けて、今総理大臣がおっしゃったことを、ぜひこの予算を通して頑張ってもらいたい。

 それで、この予算の中で私の考えておるところによると、七兆二千億円の予算があるんですけれども、そのうちの三兆五千億円が交付金とそして臨時交付金の二つで成り立っているわけでありまして、補正予算の五〇%に近い分が地方の交付金や臨時交付金になるというのは、この二十年間で初めてなんですね。非常にこの予算を地方に回したというのは、今までの中ではなかなかどの政権もやらなかったことであります。(発言する者あり)まあ、数字見たらわかるからね。

 しかし、なぜこういうふうにして地方に予算を回さなければいけなかったかということをやはり考えてみなきゃいけない。

 これは、小泉改革で三位一体改革をやりました。そのことで地方交付金が五兆一千億削減をされたというのが一点ありますし、また、十八日に出ました日銀の地域経済報告書などを見ますと、設備投資は、東海地区が三三・一%、九州、四国、北海道が二〇%。これは首都圏が三・九%ですから、地方が経済的に元気がないことだけはもうはっきりしているんです。

 また、税収を見ても、今度も、来年度も三・七兆円の税収不足が起こるということは、税収が集まらないということは、もう地方の経済が厳しい状況。そして、そのままの状況でいけば地方債に依存するのが一六・四%もあるし、そして、債務残高は二百兆円を超える。これは総理、地方の経済も財政もがたがたになっているというのがこの数字を見てもおわかりだと思うんです。

 だから、今回総理が七・二兆円の補正予算をつくって、そのうちの五〇%近くを地方に充てるということをおやりになったことは、間違いなく国民視点で正しい政策決定だ、私はそういうふうに思うんであります。

 そういう意味でも、これまでみたいに強いところが頑張るんではなくて、地方の遠いところから一歩一歩一歩一歩上げながら日本経済をつくっていくという今の総理のお考えを、これからも自信を持ってお進めをいただきたいなというふうに思っているんです。(発言する者あり)

 それで、今後ろでも非常にやじが飛びますけれども、地方がこうやって弱くなって、七兆二千億円の予算を組んでやっても、この予算は穴埋めをする予算で全く経済効果がない予算だとよくおっしゃるんですよね。

 しかし、地方が使えるような臨時交付金五千億円、これは間違いなく地方の首長が、中央が使うんではなくて、地方で自分で決めて使えるような予算もやって、税収の穴埋めもやって、そのことが首長の皆さんの地域での思いをどんどん活性化していく。こういうようなものをやることは、もう私は経済政策だと思うんです。

 そこで、もし、この地方へのお金を埋めないでそのままの形で、日本経済をそのままやった、小泉改革の中でひずみが出たものをそのままにしておいたら、この補正予算を組まなかったら日本経済はどうなったか。そのことについての総理の認識をお伺いしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 まさに今、下地委員がお話をされましたように、地域は大変に疲弊をしているということ、その原因が、小泉改革、まさに本物ではない三位一体改革で国から地方へのお金がいつの間にか圧倒的に減ってしまった、地域で自分たちで見出しなさいという部分はほとんど工面されなかった、結果として地域は大変悲鳴を上げてきた。その現実が、今回、もし三兆円がなかったらどうなるか。もう火を見るより明らかだと思います。

 私は、これは税収の穴埋めだと、いろいろな御批判もあるいはあろうかと思います。しかし、九兆円という税収が減っていく中で、その三割の三兆円がもし地方から奪われたとしたら大変な話になっていた、そのように思っています。

 したがって、私たちは、緊急的な措置として、この三兆円は十分に地方交付税措置をさせていただいた、さらにその上乗せで五千億円、地域の皆様方、首長さんたちの発想の中でお使い立ていただくことができる交付税というものを工面させていただくことができたので、ぜひそれを知恵を絞ってそれぞれの地域の活性化のためにお使いいただければ、やはり地域を守る政府なんだね、そのように多くの国民の皆さんが理解していただけるんではないか、そのように思っています。

下地委員 これは財政の投資だけではなかなか難しいので、金融政策もやりながらやらなければいけないですね。

 そういう意味では、金融円滑化法案を亀井大臣の方でおつくりになって、今、法案が通って、ことしから本格的に動いていくと思うんですけれども、これから金融庁としてどうやってこの法案を地域の中で浸透させて、企業の皆さんが自信を持って使えるようにしていこうとしているのか、亀井大臣のお考えをお聞かせください。

亀井国務大臣 下地委員から御質問がありました件でありますが、昨年の末に、地方の中小零細企業、商店、またサラリーマンの皆様方の状況に対して、少しでもそういう状況をよくしたい、そういう一心から緊急にこの処置をとったわけでありますが、現在、金融庁が把握しております状況では、それなりに新規融資また金繰りについては効果を上げておると思います。

 しかし、問題は、金繰りがよくなっていく環境を幾らつくっても、仕事が出ていかなければこれはどうにもならないことでありまして、そういう意味で、この補正予算が早期に成立し、直ちにこれが実行されていく、また、新年度予算がそうなっていくことが極めて大事であろうと思います。

 また、報告を聞いておりますと、特にサラリーマンの住宅ローン、これについての申請が物すごく出ておる状況でありまして、これも、ある面ではこういう処置をとってよかったと思うのでありますが、問題は、サラリーマンの方が職を失うことがなく給与が上がっていく、そうした経済にしていく、そういう努力が今は大事だ、このように考えています。

下地委員 麻生前政権のときに、九月に発足してから、十月に一兆円の補正予算を組んで、それで二十一年の一月に五兆円組んで、そして八十九兆円の本予算を組んで、四月に十四兆円の補正予算を組んで、八カ月に四回予算をつくっているんですね。

 今回も、先ほど後ろの方でありましたけれども、私ども国民新党は、補正予算も十一兆円でやるべきだというお話をさせていただきましたけれども、七・二兆円です。今度の本予算も、九十五兆円でやるべきだという話をさせていただきましたけれども、九十二兆円でありました。六兆円の違いが、妥協したわけです。

 しかし私は、麻生内閣のときも思っていたんですけれども、早目に一兆円じゃなくて四月にやった十兆円規模を、先に大型の予算を組んでいけば、最終的には国債の発行額も抑えられたんじゃないかと僕は思うんです。

 だから、こういうふうな中で、今予算を組んでいますけれども、菅副総理にお聞きをさせていただきたいんですけれども、今、この補正予算を論議しながら、本予算をこれから論議しようという中で、四月にまた補正予算を組むんじゃないかという声が聞こえてきているんですよ。私は、こういうふうな、組むという声が聞こえてくると、今の補正予算と本予算の効果が出てこないと思うんです。

 だから、効果を出すためには、私は、この予算に自信があります、今度の補正予算の七兆二千億円と今度つくる九十二兆円の予算に自信があるから、これで景気をよくしますから、四月以降は補正予算なんか組まなくていいんです、組まないんです、これで頑張るんです、そういうふうに言い切ることがこの予算の効果を上げることだと思っているんですけれども、副総理が、財務大臣がそのことについてどういうお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 私のところには、本予算の後、すぐに補正を組むというような話は全く入っておりませんし、私の頭の中にも全く、そのかけらもありません。そのことだけは明確にしておきたいと思います。

下地委員 私は、この答弁でこの予算の効果がいっぱい出てくると思いますね。やはり、八カ月間に四回も予算を組むというのはおかしいですよ、これは。自分がつくる予算、一回一回つくる補正予算、本予算は、これでちゃんと国民生活をよくするんだという自信がなきゃ組んじゃいけませんね。そういうふうな同じ轍を踏まないように、一回一回の予算を自信を持っておやりになる。今大臣がおっしゃったように、絶対に組まない、これでいくんだ、この姿勢を私は貫いていただきたいなというふうに思いますね。

 それで、今度、普天間基地の問題を少しお伺いさせていただきますけれども、総理、五月にお決めになるということをお話しなされています。五月までには絶対決めますね。もう先延ばしはしませんね。必ず普天間基地の代替地は五月までにはお決めになって、外交交渉をやって決める、そういうふうに国民と約束して大丈夫ですか。

鳩山内閣総理大臣 これは、私は約束をいたしましたから、五月までに普天間の移設先を必ず決めさせていただきます。

下地委員 私は、この普天間基地の移設問題を決めるに当たっては、三つの視点が大きく必要だと思うんです。日米同盟も重視しなきゃいけませんし、それに抑止力、海兵隊が我が国にいて、その抑止力の役割というのもちゃんと私たちは認めなければならないところがある。それともう一つには、沖縄側の思いもしっかりと私たちは考えなければいけない。この三つのバランスをちゃんと持って物事を決めていかなければいけないと思うんです。

 それで、この三番目の沖縄側の思いということについて少し総理のお考えを聞かせていただきたいんですけれども、今週の日曜日に名護の市長選挙があります。これは、普天間の問題からすると、最大の民意というか、立候補なされている稲嶺さんと島袋さんは、島袋さんは公約に堂々と辺野古移設だという、稲嶺さんは辺野古にはつくらせないというふうなことを言って、それで今市民の民意を問うているということになっているわけですから、この選挙結果が私たちが今決めようとしていることにどういう影響を及ぼすのか。

 私の考え方を申し上げさせていただければ、それは、今ゼロベースで話をしていると言っていても、名護市民が、辺野古移設を言っている島袋さんが勝てば、それはゼロベースではなくて、辺野古の今の現状案もこれは私たちは大きな影響を持って考えなければいけなくなってくると思うんです。

 もう一つには、稲嶺さんが勝って、ここはだめだと言う人が勝てば、これは間違いなく、もう辺野古移設は、民意だからだめになる、これは当たり前の民意のとらえ方だと思うんです。

 そういう意味でも、総理は、この選挙における名護市民の民意をどういうふうにとらえてこの決断を、辺野古の問題を決めていこうとお考えになっているのか、そのことをお伺いさせていただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 下地委員のお気持ちはわかります。やはり、新しい移設先を決めるためには、一番大事なことは、今日まで大変苦労されてこられた沖縄県民の思いというものを重視する、言うまでもありません。ただ、それとともに、私どもは、前政権のもとで行われた日米の間の合意というものも、これも重く受けとめなければならないことである、そうも理解をしております。

 それだけに、この五月までに、時間をいただいて、その間にしっかりと、平野官房長官を中心として沖縄基地問題検討委員会をつくらせていただきました。そこで十分に検討して、結論を出させてもらうということに決めたのでございます。

 今、御案内のとおり、名護で市長選挙が行われている、そのことも十分に理解をしております。そのことも含めて、私どもとして、最終的にやはりこれは国が責任を持たなきゃいけない話でありますから、国が責任を持って、ゼロベースで議論をして答えを出させていただくということでございます。

下地委員 国が決めることは、もちろん総理が今の内閣総理大臣としてこの問題をお決めになるということは大事なことだと思います。しかし、民意ということは私は大きいと思うんです。だから、そのことは決して無視して決めることはできない。国が決めるからといって、ある意味民意が一番わかりやすくて重要視しなければいけない選挙結果を無視して物事を決めるということはあってはならないというふうに思いますね。このことをしっかりと踏まえて決めてもらいたいというふうに思います。

 それで、この前、十二月の二日に橋下大阪府知事と会ってまいりました。そして、十四日にも大村市長とも会ってまいりました。

 橋下知事とお会いさせていただいたら、この前予算委員会でも論議しましたけれども、関西空港の活用についてお話をさせていただいたら、沖縄の地上戦で多大な負担をかけた、本州の人間は配慮しなければならない、このことについては全国知事会でも議論したいと明確におっしゃるし、大村の市長さんとお話をしたら、自分ができることは何があるのか、過重な負担を沖縄にだけ背負わすんじゃなくて、私も何ができるのか、政府から正式に要請があれば考えていきたいと市長さんもおっしゃっておりました。

 それで、私は、総理に、こういうふうに今全国の市町村長の間で、この過重な負担は沖縄だけじゃなくて全部で少しずつでも負担していこうじゃないかという空気が出てきていることだけは確かなんです。私は、そのチャンスを見逃さないで、総理が近く行われるだろう全国の知事会で沖縄の過重な問題について総理みずからお話しになって、全国の市町村長、知事さんに、この基地問題について五月までには私は決断をします、決断するときにいろいろな決断の方法があるかもしれませんけれども、そのときに皆様にも御協力をいただかなければならないことがあるかもしれないし、ないかもしれない、しかし、あったにしてもなかったにしても、基地の負担を全国で背負うんだという思いをぜひお互いで共通の認識にしなければならないということを知事会でお話しすることは大事だと思うんですね。

 そのことをおやりになるおつもりはありませんか、総理。

鳩山内閣総理大臣 知事会で話をするかどうかという思いは、今、下地委員から伺いました。検討はいたしますが、私は、大事なことは、時間との闘いということもございます。大きく広げ過ぎても、必ずしもすぐに答えを出すということにもならないと思います。むしろ、必要な知事さんあるいは首長さんには、余り、これも公表すると、すぐにこの場所がどうのという話になると結果がうまくいかないという懸念も大変強く感じております。

 それだけに、ある意味では、これは十分に水面下でも含めて検討をしなければならない、そのようにも考えておるわけでございまして、今、全国知事会の皆さんに、それこそある意味での負担は全国にお願いする、私は、当然の思いだ、そのようには理解をしておりますが、むしろ五月までに結論を出させていただくために必要なことは、この委員会をうまく使わせていただいて、その委員会の中で必要な首長さん方にもお会いさせていただく中で結論を見出していきたい、そしてアメリカにも理解を求めることができるものにしていきたい、そのように思っています。

下地委員 この前も官房長官を中心にして小委員会をやったんですけれども、小委員会の中で資料を出してきて、いろいろなものを見ると、政府と沖縄県が合意をしていない。十三年間この問題をやっていて何か結果は出ているみたいだけれども、合意をしていない。前の稲嶺知事も、V字案に対して私は賛成していないということを明確にして、知事をおやめになった。そして、今の仲井眞知事も百メートルずらしてくれといって、今でも仲井眞知事と政府との間で覚書も成立をしていないんですよ。

 また、この前の六月に出たグアムの協定においても、あのときの中曽根外務大臣の答弁は、この問題は、普天間の移設とグアム移設は関係ない、パッケージじゃないんだということを明確におっしゃる。しかし、今まではこの問題はパッケージだとおっしゃってきて、そしてアメリカ側は、この前党本部に来ていただいてお話を聞くと、あのグアムの協定そのものが普天間のものとパッケージなんだと言って、アメリカ側と日本政府とでもちぐはぐだ。

 総理、もうここは時間をかけてもいいから、今までの政権と同じようなちぐはぐにならないことが大事ですよ。きちっと物事を決めていく、そういうふうなことをやらないと、ここの考え方と向こうの考え方が違う、そういうようなことにならないようなこの問題の仕組みを丁寧におやりになることが大事だと思いますから、そのことをまずお話をさせていただきたい。

 最後になりますけれども、沖縄は、復帰当時二万八千ヘクタール米軍基地の面積があって、今でも二万三千ヘクタールあるんですね。兵員も、当時四万二千人だったんですけれども、今でも四万人いるんですよ。沖縄の基地の負担は全く変わっていないんです。

 しかし、私がこの前から申し上げているように、この十年間で沖縄の予算はもうがたがたに減っているんです。きょうは前原大臣もいらっしゃいますけれども、今度も二千二百億ですから、前年度の予算より二百億減っているんです。これは、全国の公共工事が一八%減ったけれども沖縄は一〇%だとか、そういう論理じゃなくて、私は、基地問題でこれだけ背負わされているのにこの十年間予算がずっと減っていくというのは、やはり異常だと思うんですね。

 そろそろ沖縄の、総理がおっしゃったように、基地を受け入れるから予算をつけるという考え方じゃなくて、だから北部振興という考え方じゃなくて、沖縄全体で振興を考えたら北部がよくなるというやり方をやった方がいい。今度も、糸満から本部までの鉄軌道の調査費をつけましたよ。この調査費は物すごく評判いいですね。これをやるだけで、北部地域と那覇の地域がちゃんと一つになったら北部の経済は変わるといって、みんな評判いいんです。

 こういうふうなことをもう一回、大きな視点で、基地を受け入れる地域に局地的に予算を入れるんじゃなくて、沖縄全体の振興策を考える、そういうふうなものを、この五月にこの問題を決めるより、前政権の中でもこの前もやっていた沖縄の経済を考える振興委員会を、協議会をつくって真剣に考えるということも、この普天間の結論を出す前に、知事さんをお呼びし、議長さんをお呼びし、そうやって相談をするという協議会をつくった方が私はいいと思うんです。

 その方が、ある意味理解が深まると思うんですけれども、その協議会をつくるお気持ちはありませんか。そのことをお聞きをさせていただきたい。

平野国務大臣 下地さんの今の御指摘、ごもっともな点が多うございます。現実に、今の協議会は前政権にありますし、四年間ほど開かれていない、こういうことでございます。したがいまして、私は、改めて有識者あるいは沖縄の首長の皆さんを含めて議論を進めていきたい、このように思っております。

 また、普天間の基地問題につきましては、与党の一員として下地議員も検討委員会の委員として検討の中にお加わりをいただいております。いかんせん、下地先生は発信力の強い方でありますから、委員会の中でももっと発言をいただきまして、積極的に五月までにしっかりと結論を導いていきたい、このように思っておりますので、御協力をよろしくお願いします。

下地委員 総理、先頭になって頑張って経済をよくする、その役割を果たしていただきますよう期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 質疑を続行いたします。谷垣禎一君。

谷垣委員 いよいよ、鳩山政権ができまして初めての通常国会、予算委員会が始まって、総理も血沸き肉躍る思いでいらっしゃるんじゃないかと思います。これから長丁場、御苦労さまでございます。

 それで、質問をする前に、一月の十三日、ハイチで大変大きな地震が起こりまして、大勢の方が亡くなられたり、負傷を負われたり、災害に遭っておられます。心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 それと同時に、政府にお願いをしておきたいわけですが、五百万ドルを上限とする援助もお決めになりまして、十八日には国際緊急援助隊チームがハイチに到着をされて、作業に入っておられる。これは、聞きますと二週間ということのようでございますが、そのころから疫病や何かの心配もあるんだと思いますね。その後どうするのかということも、政府の中で鋭意御検討をいただきたいと思います。これはお願いでございまして、御答弁は必要ではございません。

 それで、きょうは、私は午前中の質疑も聞かせていただきました。

 現下のこの経済情勢を見ますと、確かに二番底も心配される、それから雇用等もなかなか厳しいものがある、何とかしなければと総理も思っておられると思います。それから国際関係も、ことしは日米安保改定五十周年でございますが、後ほども伺いますが、いろいろ難しい問題があるわけですね。

 こういうことを私は総理と大いに論戦をしたいと思っておりますが、まあ、昔から言われることでございます、論語にもございますが、民信なければ立たずという言葉もございます。今こういうことを申し上げるのは甚だ残念でございますが、総理の周辺あるいは与党幹事長の周辺で起訴が相次いだり逮捕が相次いだりする。まことにこれは異様な事態、遺憾なことと申し上げなければならないと存じます。まず、このことから伺いたいと思うんですね。

 総理は御記憶だと思いますが、本院の本会議場でさっそうと、秘書の行為は政治家の責任であるという趣旨のことをおっしゃったことがございます。これは御記憶でいらっしゃいますね。

鳩山内閣総理大臣 谷垣総裁とこのような形で議論ができることを大変ありがたく思っております。

 まず、最初にハイチの件のお話がありました。

 自民党さんからのさまざまな御要望もいただいております。私どもも、しっかりと政府として万全を期していきたい。お亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げ、また、被災された方々に当然お見舞いを申し上げながら、政府としてできることを、期間限定ではなくて、本当に必要なだけ、必要な間、また十分だと思っていただけるような支援を行ってまいりたいと思います。

 今、お尋ねがございました。私も確かにそのようなことを申したと思っております。そのことを否定するつもりはありません。まさに言葉というものの重さは理解をしているつもりでございます。

谷垣委員 そうおっしゃったことは御記憶である。そうしますと、それについて今どのようにお考えでいらっしゃるんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 私は、さまざまな国民の皆さんが、特に政治家がいろいろな事件を起こしたとき、それによって国民の不信感を買う、そのようなことがあったと思いますし、これからはないようにしていかなきゃならないことも言うまでもありません。肝に銘じなければならないことだと思います。

 前言は前言として、当然、私が言ったことの責任は持たなきゃならぬということは肝に銘じております。

 ただ、さまざまな事象があって、私の場合、少なくとも私腹を肥やしたというようなことではない、不正に利得を得たという思いではないということだけは申し上げておきたい。

 そして、今一番大事なことは、国民の皆さんが、このような鳩山に対しても選挙のときに応援していただいた、政権交代をしろ、少なくとも今までの政治を変えろと大きな力をお与えいただいたことも事実でございます。

 したがいまして、まずは、当然、改めなければならないことは言うまでもありません、改めさせていただきます。その上で、私の身を粉にして、国民の皆様方の御期待にこたえるために、国民の皆さんの命を守る政治というものをしっかりとつくり上げていきたい、そのように思っておりまして、そのことで責任を果たしてまいりたい。

谷垣委員 総理がこれから頑張って仕事を続けていくぞという意欲は伺いました。しかし、私は、今の総理のお言葉の意味、もう一つよくわからないところがあるんです。

 前に本会議でおっしゃったお言葉は間違っていた、いろいろなその後の状況から見ると間違っていたので、今はそのことを否定するとおっしゃっているのか。それとも、あのとき言ったことは間違いではないけれども、諸般の事情から残念ながらそれは実行できないとおっしゃっているのか。もう一度その点をお答えいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 私が申し上げたいのは、当然、秘書の責任で、すべてそれは政治家には責任がないと言うつもりはありません。やはり政治家としても責任を感じる、当たり前のことでございます。

 特に、一生懸命ある意味で私のために働いてくれていた、本当に私のために頑張ってくれていた秘書がそのようなことを行ったということは、私にとっても大変つらい経験であったことは言うまでもありません。その責任は当然感じております。

 その責任の重さというものをしっかりと受けとめていきながら、しかし、さらに、国民の皆さんに大きな政権交代という力をお与えいただいた、そのことも大きく私の胸の中にしっかりと受けとめさせていただいて政治活動を行い、国民の皆様方の御期待にこたえることがその責めを果たすことだ、今そのように感じております。

谷垣委員 前の御発言が正しかったのか、それを実行しない今が正しいのか、このことについて明確なお答えはいただけないのを大変残念に思います。

 それで、私は、ではもう一つ伺いますが、恐らく本会議場でああいう発言をされたときに、政治家は秘書に対する監督責任があるんだという思いでああいう言葉を吐かれたんだと思います。総理は御自分の秘書に対する監督責任は十分果たされたんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 谷垣総裁にお答えいたします。

 私としても、これは一〇〇%監督ができたというふうに胸を張れる状況ではない、そのように思います。

谷垣委員 そうしますと、秘書に対する監督責任において欠けるところがあったということをお認めになった。では、それはどう今後その責任を果たしていただけるのか。きょうは、問うのはそこまでにいたしたいと思います。

 それで、次に申し上げたいことは、今、総理の行為を多くの国民がどう見ているかということでございます。

 報道によりますと、お母様から勝場秘書との間で、二〇〇二年以降、十二億六千万の金銭の授受があった、このように報道されているわけですね。それで、私のところに来られる多くの方々は、これは総理が前におられて言いにくいのですが、大変資産家である鳩山さんの相続問題なんじゃないか、こういう見方が非常に強いですね。自分たちもいろいろ相続や何かで苦労するんだけれども、我々の場合だったら、ああ、知りませんでしたということで後から税を払ったんじゃ済みませんよ、重加算税か何かの問題になるんじゃないか、こういうことをおっしゃる方が多いんですね。

 総理は、こういう論評と申しますか意見があるのはどのようにお受けとめでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 それは、当然、多くの国民の皆様からすれば、こんな多額の寄附というものを知らぬはずないだろう、そう思われていると思います。しかし、これは天地神明に誓わせていただきますが、本当に恥ずかしい話ですが全く存じ上げていなかった。これは全くうそ偽りのない事実でございます。

 したがいまして、私には、そのような意味において、相続税対策だとかあるいは脱税とか、そのような思い、全く、全く知らなかった話でありますから、当たらないと思っております。

谷垣委員 先ほど私が申しました総理に対する多くの人たちが抱いている疑念、今総理は天地神明に誓って知らなかったとおっしゃった。ここが一番わかりにくいところなんですよね。

 要するに、二〇〇二年から十二億六千万、毎月千五百万、一日に直して五十万というお金です。これがお母様から、総理のところに直接か勝場秘書のところか私はよく存じませんけれども、渡っていたということを全然御存じない、これが、総理も今までの御答弁の中で、なかなか理解してもらえないだろうけれどもというまくら言葉をつけておっしゃっておられる。ここが一番わかりにくいんですね。

 ここをもう一回、総理としてはどう御釈明になるか、お答えいただけますでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 釈明とかいう話ではなくて、私は事実を事実として申し上げる責務があると思って申し上げているのでございまして、全く知らなかった、これは事実でございます。

 ただ、まさに今、谷垣総裁が申されたとおり、いや、普通の御家庭であれば、こんな多額のお金をもらっておきながら母から息子に対して一言もない話はないだろう、そう思われていると思います。だから、私に対して、どこかでうそをついているに違いない、そのように思われるのが自然かもしれません。

 でも、くどいようですが、天地神明に誓って全く知らなかったのでありますから、そのことを改めて申し上げておきます。

谷垣委員 知らなかった、こういうことですね。

 私は、政策を議論する前に、政策を議論する方の信頼を問いたいと思っているんですね。

 それで、私が心配しますのは、確かに総理自身もわかりにくいと自認しておられる。一日五十万、一月千五百万、これは大変なお金ですよ。私が今一番心配しますのは、一つには、なるほど、政治は我々と関係のない極めて資産家のセレブたちがやっているんだ、こういうふうに多くの国民が思うことが非常に心配なんです。総理は国民目線でということをよくおっしゃいますが、普通の国民が、やはり、なるほどそうだったのかというようなことがおっしゃれないようでは、今のような疑惑、今のような政治に対する見方、こういうものが蔓延してくるんじゃないでしょうか。どうぞその点をお答えください。

鳩山内閣総理大臣 おっしゃるとおり、私自身のこのようなことで、国民の皆さんに、政治家にはやはり金持ちしかなれないんだねみたいな話になられたらまことに困る、申しわけない、その思いは強く持っております。

 ただ、申し上げたいのは、私は民主党という党をつくって今日までやってまいりました。それは、お金がなくとも青雲の志があれば政治の道を進めるよ、そのような思い、これは、細川元総理のもとで、ある意味で自民党を離れて行動を起こしたときから、そのような思いを強めて行動してまいりました。

 おかげさまで、私はそういう意味では資産を持っている人間だと思いますが、そのような資産を必ずしも持ち合わせていない、しかし青雲の志、政治を志したいという多くの同志がこの民主党の中にも集まってきてくれているということには私は誇りを感じておりまして、そのことがこのような私の一件で失われないように努力をしてまいりたいと思います。

谷垣委員 総理が自民党をお出になるころ、私は総理と一緒に議運委員会の理事で仕事をしておりましたので、若いころの総理の姿勢もよく存じ上げているつもりでございます。ぜひ、あのころの青雲の志さえあれば政治ができるんだという理想を見失わずに歩んでいっていただきたいなと私は思っているわけであります。

 そして、この問題は引き続き私ども議論させていただきますが、最後に一つ、この問題で総理にお問いかけしたいことがございます。

 総理は、天地神明に誓って自分は知らなかった、こういうふうにおっしゃった。ここがポイントなんですね。もし、総理がこのことを承知しているということが証明できたら、総理は責任をおとりになりますね。ということは、総理大臣をおやめになりますね。

鳩山内閣総理大臣 天地神明に誓って申し上げたことですから、そのことがもし違うという事実が出てきたら、当然バッジをつけている資格はない、そのように思います。

谷垣委員 それでは、次の問題に移ります。(発言する者あり)オーケーじゃないんですが、次の問題に移ります。

 次は、小沢幹事長の周辺で、秘書だった方、あるいは元秘書だった方、こういう方の逮捕が何人も行われているわけでございます。それで、総理は、小沢幹事長の続投を認められるに当たりまして、総理から小沢幹事長に闘ってくださいとおっしゃった。御自身もそういうふうに言明しておられますね。このことは今までも、本会議の質疑でも取り上げられたところでございますが、私は、まことにこれは腑に落ちない、総理大臣のお立場の発言としてふさわしくなかったと思うんです。特に、小沢幹事長を信ずることが同志としての基本、こういうふうにおっしゃいました。

 他方、検察も行政機関でございますから、そして検察は捜査機関として中立の立場で行動しなければいけない機関である。ですから、総理が直接政治的な指示を与えるということはできない機関ではありますけれども、捜査機関の権威というものも、最後は行政府の権威によって支えられる、バックアップされるという面が私は大きいと思います。そして、その検察という組織が法秩序を維持し、それからいろいろな悪を摘発するという役割を果たしているわけですね。

 その長が、検察と現に闘っておられる、事を構えておられる方に対して、頑張ってください、闘ってくださいとおっしゃるのは、いかにも不適切。このことをもう一回、どうお考えなのか、お答えいただきたいと存じます。

鳩山内閣総理大臣 私は、検察は公平公正でなければならない、そう思っておりますし、そうあってほしい、そうであると信じたいと思います。

 そして、私の言葉は、決して検察に対して圧力をかけるなどという思いで申したわけでもありませんし、そんなものではありません。

 私は党の代表であります。そして、党の幹事長が、自分はこのようなことになっているが身の潔白を信じて闘うんだというふうに私に申したわけであります。したがって、当然、今日まで、ある意味で政権交代をともに実現してきた同志でありますだけに、その言葉よしだ、そのように感じたわけでございまして、どうぞ頑張ってくださいという趣旨で申し上げたわけでございまして、何もそのことによって検察に対して圧力をかけるなどというようなものでは全くない、そのように御理解を願いたい。

谷垣委員 同志としての信頼を強調されるのは、それは結構だと思います。しかし、私が申し上げたのは、比重がそっちの方にかかり過ぎてやしないかということを申し上げたわけであります。先ほど申し上げましたように、検察という機関の最後は行政府の権威によって支えられるということをどうお考えかということを私は申し上げたかったわけであります。

 それで、私は、あの鳩山総理のお言葉を伺ったときに直ちに思ったことは、あれ、総理は指揮権の発動ということまで意識されたのかな、このように感じました。私のように感じた者は決して少なくなかったと思うんです。この点について、どうお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 そのような思いは全くありません。

谷垣委員 普通でしたら、総理が指揮権の発動なんということはお考えにならないだろうと、普通は思いますよ。だけれども、このように私が申し上げますのは、総理が野党の幹事長でいらした時分に小沢さんの西松事件が起きました。そのときに、総理はたしか国策捜査ということをおっしゃっているはずでございます。

 それで、あのとき民主党の中で、ちょっと名称ははっきりいたしませんが、検証チームをつくられまして、報告書を出されたはずでございます。その中に、国策捜査であるから指揮権の発動を示唆するかのごとき表現がございました。私は、そういうことを踏まえて考えますと、これは総理はそこまでお考えになったのかなという想念が頭をよぎるのを防げなかったわけでございます。そういう前提があってこういうふうに物を言ったわけであります。

 だけれども、総理は指揮権発動は考えておられない、こういうこと、先ほどお答えがございました。

 国策捜査という点についてはいかがでございましょうか。

鳩山内閣総理大臣 私は、今回の件、決して国策捜査だというふうに認識しているわけではありません。

谷垣委員 今、総理に指揮権発動のことを伺いましたけれども、指揮権発動は本来法務大臣のお仕事ですね。法務大臣はこの点についてどうお考えでしょうか。

千葉国務大臣 お尋ねがございました指揮権につきましては、もう谷垣委員が御承知のとおりでございます。

 一般論として、検察庁法で指揮権というものがあるということは私も承知をいたしております。ただ、それ以上のことはお答えをすることは差し控えさせていただきたい。一般論としてはございます。

谷垣委員 法務大臣、今までの法務大臣は、こういう議論がありましたときに、多くは、指揮権の発動は考えていない、こういう御答弁をされることがほとんどの場合だったと思います。確かに政権がかわったからかもしれません。

 私は、千葉さんのことは昔からよく存じ上げておりますけれども、今の御答弁は一般論だけおっしゃって、指揮権の発動は考えていないということはおっしゃらなかった、そこに相当ニュアンスがあるんでしょうか。

千葉国務大臣 具体的な指揮権にかかわることについて、前提がないままに何かお答えをする、そういう立場にはございません。

 一般論として、指揮権というものが法務大臣に付与されている、これを承知している、こう申し上げているところでございます。

谷垣委員 私は、今、千葉法務大臣のお答えは、具体的な答弁はできない、こういうふうにおっしゃったんだと思います。

 そこで、どのような場合であれば指揮権を発動されるのでしょうか。

千葉国務大臣 どのような場合ということを具体的に申し上げる、そういう性格のものではないというふうに私は思っております。

谷垣委員 具体的な議論はおっしゃらない、こういうことですね。きょうのところはそのぐらいにしておきましょう。

 それで、次に、もう一つ伺いたいことがございます。

 民主党におかれましては、小沢幹事長の続投を異論なく決められた党大会がございました。私の感想を申し上げれば、大政翼賛会的大会であった、このように思います。

 そういう党の中で、例えば情報漏えい追及チーム、あるいは同期の方々から石川議員の逮捕を考える会、こういうものをおつくりになって、率直に言えば、検察と闘う小沢幹事長をサポートしようという態勢をつくっておられる。

 特に、この石川議員の逮捕を考える会には政府の中の方もたくさん参加しておられるわけですね。これについて総理はどのようにお考えでしょうか。

平野国務大臣 政府の一員として、二期生の方がそういう会合に参加をしたということは聞きつけましたが、これはあくまでも二期生が同窓会的に集まった、そういう仲でありましたから参加をした、こういうことでございました。そういう、今、谷垣委員の趣旨で集まったということではない、こういうことでございます。

谷垣委員 今、官房長官のお答えですけれども、御注意をなさったんじゃないんですか。これは総理がなさったのか官房長官がなさったのかわかりませんけれども、余りはね回るなというようなことをおっしゃったんじゃないんですか。

平野国務大臣 誤解を招くことについては控えるように、こういうことだけを申し上げました。

谷垣委員 政府の中にも多少、こういうことがどんどん進んでいくのはまずいという御判断があったんでしょう。

 もう一つは、この漏えい追及チーム、これについては、私はいろいろな議論があると思います。特に、報道の自由、言論の自由、取材源の秘匿、こういうような問題と大きく関連する議論ではないでしょうか。私は、やはり与党を挙げて検察と闘う小沢幹事長をバックアップしようという態勢にこれは見えると思いますよ。

 このチームについて、党の代表として解散をお命じになったらいかがでしょうか。

平野国務大臣 まさに情報の漏えいであるとか、いろいろなマスコミの報道に影響される部分が、いろいろなところで多々あると思います。しかしこれは、政府がそれをやらせている、こういうことではありません。それぞれの有志議員が独自にやっておられる、こういうことだと理解をいたしております。

谷垣委員 今、官房長官、有志議員とおっしゃいました。これは党の、与党としての正式のプロジェクトチームといいますか、そういうものではないんですね。

平野国務大臣 私、政府の立場でそれが正式であるかどうかは承知しておりませんが、私が理解しておりますのは、有志議員がやっておる、こういうことでございます。

谷垣委員 以上申し上げてきたことは、やはり与党あるいは政府全体として、こういう検察が出てくるような場合に、権力の抑制、自制という観点が極めて弱いんではないかということを私は強く感じまして、こういうことを申し上げているわけであります。そのあたりを十分注意して、私は、今後、権力の自制ということをよくよくお考えいただいて臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 まずその前に、先ほど党大会が大政翼賛会的だというふうにおっしゃったのは、ごらんになってもおられなかったと思いますから、私は大変失礼な話だなと。極めて民主的に党の大会を行ったことだけは申し上げておきたいと思います。

 そのもとで、当然、検察は検察としての権力を公平公正に扱わなければならない。これは言うまでもありませんし、むしろ、政府の中にいる人間として、私としてはそのことを求めたいと思っております。

谷垣委員 どうも総理はこの点では大変強硬でいらっしゃるので、私はもう一回法務大臣に伺います。

 現時点では指揮権発動は考えておられませんね。

千葉国務大臣 先ほど御答弁を申し上げたとおりでございます。

谷垣委員 それから、もう一つ伺いたいんです。

 石川議員が逮捕されたということは、甚だ残念なことでございました。この院の同僚議員が強制捜査の対象になり、逮捕される、まことに遺憾なことだと思っております。

 そこで一つ伺いたいのは、今までも本院議員が逮捕されるというような例が何度かございました。しかし、私の記憶する限りは、逮捕された場合、例外なく離党されるか、あるいは除名をするか、こういうことで今まで来たと思います。今度の石川議員の場合には、離党もされていない、除籍もされておりませんね。これについて、民主党の代表としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 石川議員が逮捕されたという事実に関しては、大変遺憾に思っております。そのことは当然だと思います。

 今、これは検察が捜査をしている最中でありまして、その中身はまだ判然としておりませんので、私どもはそこの行方を冷静に見きわめることが大事だ、そのように思っております。

谷垣委員 現時点ではそのような処分は考えておられない、こういう御答弁だったと思います。

 今私が申し上げたのは、今まであったのは例外なく、離党ないし、離党の場合には御本人の意思、党にそれ以上迷惑をかけられないという御本人の意思、そうされない場合は除名、除籍というようなことが例外なく行われてきたと思います。今回はそれとは違う扱いをなさろうということですね。お答えください。

鳩山内閣総理大臣 それはいろいろな状況によって当然対応も違ってしかるべきではないか、そのように思っておりますから、まずは冷静に判断をすることが重要ではないか、そのように思っています。

谷垣委員 ケース・バイ・ケースだということでおっしゃったわけですね。

 だけれども、我が党も今まで、過去、傷がありました。御党も、この十年ぐらいの間に恐らく三名ぐらいの方がこういう逮捕ということにあって、離党ないし除籍ということになっていると思います。

 そうしますと、今回は新例を開くということなんでしょうか。あるいは、今までとは全然意味が違うとおっしゃっているんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 まだこれは状況が必ずしも判然としないということで、今まだ対応を行っていないということであります。

谷垣委員 そうしますと、しばらく事態の推移を見守られて判断をされるということでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 そのとおりであります。

谷垣委員 今の総理の御答弁は、少なくとも今までと違う新例を開かれる御覚悟と承りました。

 それで、今申し上げたことは、要するに、ケース・バイ・ケースだと、今までと違うことをお始めになっているということすべてが、党を挙げて検察と闘う、こういうお気持ちが非常に濃厚にあるように私は受けとめさせていただきます。

 それから、報道等によりますと、小沢幹事長は、近々理解が得られるような行動をとられるというようなことをおっしゃっているようでございます。ぜひともやはりその行動は国会において、国民の代表である国会においてきちっと釈明をされる、説明をされる、こういう道をとっていただかなければならないと存じます。党の代表としてもその点に配慮されることを私は強く求めたいと思います。いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 小沢幹事長が、私もこれは聞くところ、また新聞報道によれば、近々聴取を受けるということであります。そこで事実関係が判明する。すなわち、御本人が潔白であると信じている、だからそのことを説明するということでありますから、まず、当然のことながら国会のことは国会でお決めいただいて結構でありますが、私としては、小沢幹事長が聴取を受けるということであれば、そこで真実が明らかになるものだ、そのように思っております。

谷垣委員 この問題は、今まで議論してきた問題は多様な側面があると思うんですね。特に、もちろん、今、検察が動いているのは、やはり犯罪ということを視野に置いて動いているんだろうと思います。それはまだ、総理も今までおっしゃったことの中に含まれておりますが、まだ捜査が遂げられているわけでもなく、事実が確定しているわけでもないわけですね。

 しかし、そのほかに、そういう事実以外の、政治倫理をどう考えるかという問題があるわけです。これは国会固有の責任があるわけでございます。ぜひ、その国会の固有の責任を果たすような行動をとっていただかなければいけない、私はこういうふうに申し上げているわけであります。今後も、この問題については議論を続けさせていただきます。

 そして、委員長にお願いしたいことがございますが、私どもは、この政治と金の問題、きちっと解明をしなければ、先ほど申し上げたように、国民の政治に対する信頼をつなぎとめるのに問題がある、こういうふうに思いまして、この補正予算の審議が始まる前に集中審議をお願いしたいと申しておりましたけれども、これは受けとめていただかなかった。ぜひ本予算の審議の始まる前にこの集中審議をしていただきたい、強く要請をいたします。

鹿野委員長 後刻、理事会において協議をさせていただきます。

谷垣委員 次に、天皇の憲法上の地位について総理にお考えを伺いたいと存じます。

 習近平さんがお見えになるときに、天皇との会見をセットするかどうかでいろいろな議論があったわけですね。それで、宮内庁長官は、三十日ルールがあるという前提の中で甚だ遺憾だという異例の記者会見をなさいました。これに対して小沢幹事長は、これは天皇の国事行為で、内閣の助言と承認があればできるんだと、宮内庁の長官ごときが言うことではないと言わんばかりの記者会見をなさったわけでございます。

 私は甚だ後味の悪いものを感じているわけでございますが、個別の事件は別としまして、天皇が外国要人を接遇される。小沢さんの論理は、国事行為である、だから内閣の助言と承認があればできるんだという論理ですが、総理はこの点についてどうお考えでしょうか。

平野国務大臣 谷垣さんは国事行為ということでございましたが、私は、今回の件についてのあれは公的行為、こういうふうに理解をいたしております。

谷垣委員 総理も公的行為ということでよろしいですか。

鳩山内閣総理大臣 天皇陛下と外国の元首などとの会見、これは必ずしも憲法に定める国事行為ではなくて、公的な行為である、そのように考えております。

谷垣委員 これが今までの本院における法制局長官の御答弁でもあったと思います。公的行為なんだと。

 そうしますと、国事行為であれば、申し上げるまでもありませんけれども、憲法三条で、内閣の助言と承認のもとに、内閣の責任のもとに行う。それから第四条において、天皇は国政に関する権能を持たない。こういう中で国事行為は行われるわけですね。

 公的行為だと、どうなるんでしょうか。

平野国務大臣 もちろん、天皇の公的行為は国事行為ではございません。憲法に言う内閣の助言と承認は必要はございませんが、しかし、内閣はこれが憲法の趣旨に沿って行われているかどうかの責任を負っている、こういう考え方でございます。

谷垣委員 憲法の趣旨に沿っているというのは、どういうことでしょうか。

平野国務大臣 いわゆる国事行為あるいは公的行為。国事行為につきましては、先ほど谷垣先生がおっしゃられたように、憲法の七条に個別に決めておるものを国事行為と申し上げております。それ以外の外国の要人の方との接見云々含めて、これは公的行為として、国際社会の中で各国との友好親善、こういう立場で会われることについてのことを申し上げているわけであります。

谷垣委員 今のところがよくわからなかったんです。国際関係の友好親善、先ほど憲法の趣旨にかなうようにというのはそういう意味ですか。

平野国務大臣 少し理解が私と違うわけでありますが、私が申し上げましたように、憲法の中で決められている部分を言っているわけであります。すなわち、天皇が象徴天皇という立場においてどういう行為を行われるか、このことをしっかりと決めている、このことを申し上げているわけであります。

谷垣委員 しっかりと決めるという意味はどういうことでしょうか。

平野国務大臣 決められているということであります。

谷垣委員 決められているというのは、何が決められているんですか。主語がはっきりしません。

平野国務大臣 申し上げます。

 天皇の公的行為は、憲法上、明文の根拠は具体的にはありませんが、象徴たる地位にある天皇の行為として当然認められる、こういう概念で申し上げたわけでございます。

谷垣委員 認められる根拠を先ほどから伺っているのではなくて、どういう要件でと言ったらいいでしょうか。先ほど、憲法の趣旨に合するようにというふうに官房長官は答弁されました。その場合の憲法の趣旨とはどういうことなんでしょうか。

平野国務大臣 答えます。

 国政に関する権能が含まれてはならない、すなわち政治的な影響を持つことがあってはならないとされておる、こういうことでございます。内閣は、天皇の行為がこのような憲法の趣旨に沿って行われるよう配慮すべき責任を負っている、こういうことでございます。

谷垣委員 今の御答弁、私、もっとすっと出していただきたいと思うんですよ。

 私が言ってはなんですけれども、要するに、先ほど官房長官がおっしゃった憲法の趣旨というのは、国事行為も最後は内閣の責任だ、公的行為も内閣が責任を負うんだと。そして、象徴としての天皇の性格と相反するようなことは天皇はなさってはいけない。そして、それと同時に、国政に関する権能も持たないんだ。こういうのが多分、天皇の、先ほど憲法の趣旨と合わせてと官房長官はおっしゃったけれども、その憲法の趣旨の中身を考えるとこういうことになるんじゃないでしょうか。

平野国務大臣 谷垣委員がおっしゃるとおりでございます。

谷垣委員 そうしますと、官房長官、国事行為に関しては天皇は拒否権を持たない、これが確立された解釈だと私は思っています。つまり、解散というようなときに、天皇が不当な解散だから拒否するなんということはおっしゃれない。これは確定された解釈です。

 公的行為についてはいかがでしょうか。

平野国務大臣 今の件について、法律的な観点でしっかり答えなきゃいけませんので、後刻、今の点についてはお答えさせていただきます。

谷垣委員 これは、昨年の習近平さんのときもさんざん議論になった点でございます。私も、天皇の憲法上の地位ということで質問するということを申し上げているわけであります。それで、従来でいえば、法制局長官がおられて、こういうものもぽんぽんぽんと答弁してくださったんです。

 私は、こういう今のような天皇の憲法上の地位の問題については、やたらに政治的な争いにするんではなくて、冷静に議論していかなければいけないと。今伺っておりましても、国会は政治家同士の議論だとおっしゃるけれども、こういう問題は冷静な議論が必要で、今までの蓄積等々については、やはり法制局長官が出てきてきちっと整理してくだされば物事がスムーズに進んでいくんですね。そのことを私は問題だと思います。

 それで、改めて答えるとおっしゃっているけれども、時間が無駄だから私から先に答えます。

 公的行為というのは、性格がさまざまです。要するに、外国要人との接遇もございます。それから、新年にある講書始とか歌会始をやられるというのも公的行為です。あるいは、非常に水害があった、大きな地震があった、こういうところを陛下がお見舞いされるのも公的行為です。いろいろなことがあるんです。ですから、国事行為のように、単純明快に拒否権はないと言うことはできないんです。裁量の余地が非常にあるんです。

 だからこそ、先ほど官房長官おっしゃいましたね、天皇が政治的な行為に巻き込まれるようなことがあってはならないと。そうだとすると、これだけ裁量の余地のある行為については、その都度その都度便宜的に判断するのではなくて、きちっとしたルールをつくっておく必要があるんじゃないか、私はこのことを申し上げたいわけであります。御答弁いただきたいと存じます。

平野国務大臣 便宜的に使う、こういうことではないと私は思います。

 先ほど後刻と申し上げましたが、いま一度申し上げますが、公的行為には国政に関する機能が含まれてはならない、これは先ほど申し上げたところでございます。したがいまして、天皇の公的行為は、憲法に言う内閣の助言と承認は必要なく、自然人として行動する以上は天皇の意思をもとにして行われることになる、こういうことでございます。

 今、谷垣さんがおっしゃられましたように、いろいろな行為がある、こういうことであり、その行為の性格に応じて、先ほど申し上げました観点から、皇室の関係の事務をつかさどる宮内庁、場合によっては最終的な責任を負う内閣が必要な意見を申し上げ、そのようにしていただくこともある、こういうことでございます。

谷垣委員 官房長官がお答えになる前に私がお答えしてしまったこともございます。それで、私の法律書生としての見解がすべて正しいかどうかということもあろうかと思います。

 ですから、先ほど申し上げた、特に天皇の公的行為は裁量の余地があって多様だから、天皇が政治的ないろいろなものに巻き込まれるようなことがないようにきちっとしたルールが要るのではないか、このことを私はさっきからお問いかけしているわけです。これについて、きちっとした政府の統一見解を出していただきたいと存じます。

平野国務大臣 改めて統一見解を出せということであればお出しいたしますが、今までもそういう考え方に基づいてやっている、こういうふうに理解をいたしております。

谷垣委員 それならば伺いますが、この間のあの習近平さんのときの御対応は、今まで私が申し上げたようなルールに従って行われたんでしょうか。

平野国務大臣 お答えをいたします。

 今日まで、各国に平等に適用されてきた、いわゆる一カ月ルールというルールがございました。今回、中国副主席に対しての特例を認めた、こういうことになるわけですが、これは、宮内庁と外務省との間で、外国要人との会見は一カ月前に打診するとのルールを設けたものであると理解をいたしております。

 同ルールの例外を認めることが、すなわち天皇の先ほど来御議論になっております政治的な利用、こういうことになるわけではないと私は思っております。当該会見が実質的に政治的影響を及ぼすということになるかどうかということが、私、それの方が問題であるというふうに思います。

 外交上の諸問題を話し合うために今回会見されたものではなく、純粋に国際親善のために行われたもので、政治的な意味合いを有するものでなく、憲法上の問題は生じないと思います。

谷垣委員 今の官房長官の答弁は納得できませんね。

 先ほどから私が申し上げているのは、天皇が政治的行為に巻き込まれるようなことがないように、だから厳格なルールが必要だというふうに申し上げている。

 統一見解、お出しになるのか。まだ出すというお答えはいただいてないんですが、先ほど官房長官は、そういう厳格なルールが必要だということを一たんは同意なさったように私には聞こえたんです。でも、今おっしゃったことは、例外を設けたとおっしゃいましたね。例外を設けたとおっしゃったと思うんですよ。そうしますと、例外があるということになれば、これは厳格なルールになるのか、例外なら例外できちっとした例外のルールがおありなのか、そこのあたりが非常にあいまいなんですね。そのことを私は問題にしているわけです。

岡田国務大臣 天皇皇后両陛下への外国賓客の謁見については、謁見を希望する外国が外務省に申し入れを行った後、外務省から宮内庁に対し謁見を願い出る、願い出が提出されるという手続がとられております。これは、宮内庁と外務省の間のルールでございます。

 しかしながら、過去において御日程調整に支障を来す例があったことから、平成七年度以降、原則として謁見希望の日の一カ月以前に外務省から宮内庁に謁見願を提出することとする、いわゆる一カ月ルールが設けられたものであります。

 一カ月ルールというのは、そういうものでございます。政治的な意味合い、これを排除するために設けられているものではございません。

谷垣委員 今、陛下が政治的な行為に巻き込まれないように設けたルールではない、こういう外務大臣の御理解でしょうか。

 そうしますと、先ほど申し上げた陛下の公的行為というものを、いろいろ政府としてもお考えにならなきゃならない場合があると私は思います。そういうときの、天皇が政治的行為に巻き込まれないルールというのは、では、政府の中に今ないんでしょうか。

平野国務大臣 それは、前政権にはございましたでしょうか。

谷垣委員 私は、前政権の時代にこの問題に関与したことがございませんので、十分には承知しておりません。しかし、今岡田外務大臣がおっしゃったルールは、陛下をそういう政治的な行為に巻き込まないようにという考えで運用されていたというふうに私は理解しております。

岡田国務大臣 もう一度。先ほどの御質問ですから。

 いわゆる一カ月ルールは、天皇陛下への謁見の願い出が謁見希望日の間近に行われること自体が望ましくなく、さらに、御日程調整にも支障を来すということのために設けられたものであり、天皇陛下の政治利用の問題とは直接的な関係はないというふうに認識をしております。

平野国務大臣 今外務大臣が御答弁された、そういう流れでやっておりまして、天皇陛下の政治的利用云々ということではございません。

谷垣委員 今の官房長官の御答弁も納得できないんですね。

 そうしますと、こういう言い方はいい言い方かどうかわかりませんが、天皇が政治的に利用されてしまう、こういうことを防ぐルール、こういうものは何か今の政権でお考えなんでしょうか。

 問い方を変えましょう。ないんでしょうかというふうにお問いかけしましたが、先ほど、前の政権ではどうだったのかというような御反論といいますか、そういうのもありましたね。では、なくてよいとお考えなんでしょうか。

平野国務大臣 そういうことがないように周知を徹底して運用をしなければ、運用というよりも、そういうふうに取り扱わなければならないということでございます。

谷垣委員 衆知を集めるというのはいいですよ。衆知を集めるのはいいけれども、私が危惧するのは、そのときそのときの衆知で場当たり的に運用されるということを恐れるわけです。やはりきちっとしたルールが必要だ、これは私はお認めになった方がいいと思うんですよ。いかがでしょうか。

平野国務大臣 改めて申し上げますが、政治的な影響を持つことがあってはならない、こういうことでありますし、あくまでも個別の問題としての判断にゆだねる、こういうことであります。

谷垣委員 そこが納得できないんですよ。個別の問題として整理しようとされると、そのとき、個別個別でいろいろなことが出てくるんですよ。

 私は、ここで申し上げたいのは、やはり天皇と政治の関係をもう少し歴史的に見ていただく視野が必要だと思うんです。場当たり的な解釈というのは、そのときそのときの流れの中で、あのときに天皇の政治利用の先駆けをつくってしまった、こういうようなことにもならないとは限らないんですよ。

 それで、私は、改めて政府の統一見解、これは、率直に申し上げますと、官房長官にもお問いかけするのはお気の毒だなと思うんですよ。つまり、これはある意味では、そういう憲法や何かのある意味でのきちっとした文理的な解釈というようなものを踏まえた上で、ルールになるようなものをつくらなきゃならないわけでしょう。

 私は、だから二つ申し上げたいんですよ。

 一つは、やはり問題によって、政治家がお答えになった方がきちっとお答えになれる問題と、それから内閣法制局長官が問題をしっかり整理された方がみんなが納得して先に進みやすい問題と、それぞれあるじゃないですか。やはりそのことは柔軟にお考えになったらどうか。だから、法制局長官も、場合によったらきちっと、出さないなんということではなくて、使われたらいかがでしょうか。これが一つ。

 それからもう一つ。先ほどおっしゃったような、場合場合で個別に判断するのか、それとも一つのルールをつくっていくのか、そういうことに関して法律的な検討も加えた上で、内閣の統一見解を出していただきたいと存じます。

岡田国務大臣 今委員のおっしゃった第二点についてお答えしたいと思います。

 委員御自身も言われたように、公的行為というのは非常に多様な内容を含むわけでございます。今議論しているのは、そのうちの、外国賓客の謁見についての議論でございます。

 この外国賓客の謁見につきましては、どなたと会っていただくかということは、これはまず決めないといけないわけです。これを決めるのは政府であります。基本的には外務省ですが、政府として責任を持って決めた上で、宮内庁に対して謁見願を出すということでございます。

 したがって、それをルールと言えばルールですけれども、それ以上に具体的なルールというのは考えにくいことで、委員がどういうことをもってルールとおっしゃっているのか。ルールとしては、政府が責任を持って謁見すべき人を決めて、そして宮内庁に対して謁見願を出す、こういうことが、あえて言えばルールかと思います。

谷垣委員 今、外務大臣は、外交案件の立場からお答えになった。しかし、外務大臣もおっしゃいましたように、公的行為というのは決して外交案件だけではないですよね。それは、広くそういうものにわたって、やはり何か考え方の基礎というのはあるんじゃないでしょうか。個別個別に、ケース・バイ・ケースで考えるんだということで本当にいけるんですか。

 その点をきちっと、いや、あくまでそういくんだというなら、その政府の統一見解を出してくださいよ。それで、そうではないんだ、やはり一つのルールを持って考えるんだというなら、政府のそういう統一見解を出してくださいよ。そのことを私は求めたいと思います。いかがでしょうか。

鹿野委員長 先ほど、官房長官の方から、後日、内閣としての考え方を出させていただきます、こういうことでございますので、今の谷垣委員の御趣旨を踏まえて、内閣としてきちっとお答えをするようにしていただきたいと思います。

谷垣委員 委員長からそういうお裁きをいただきました。官房長官、それでよろしいですね。

平野国務大臣 理事会で御協議いただいたことに私は従いたいと思います。(発言する者あり)

鹿野委員長 重ねて委員長として申し上げます。

 先ほど、官房長官みずからが、後日お答えをします、こういう発言がございましたので、それを受けて委員長として、内閣としての考え方を官房長官が申されたとおりにきちっとお答えをするように、こう私、委員長として要請をいたします。

平野国務大臣 委員長が申されましたので、そのことを踏まえてお答えを出すようにいたします。(谷垣委員「ちょっとよく聞こえません」と呼ぶ)委員長の御指示のとおり、政府としての見解、考え方を出します。

谷垣委員 では、きちっとした政府の見解をいただけるということで、次に進ませていただきます。

 それで、総理、ことしは、日米安保が昭和三十五年に改定されてちょうど五十年ですね。日米安保にとっても一つの節目だと思いますし、岡田外務大臣も先般いろいろな、これは防衛大臣も先般いろいろ日米安保の協議をなさったわけでございますね。

 しかし、一番やはりこの日米安保のコアにあるのは、沖縄の米軍の存在だと私は思うんですね。これに対して、普天間の移転はどうするのかという問題が政権発足以来いろいろ、大変失礼ながら、私は議論が迷走したと思います。各大臣がおっしゃることも随分違った。

 だから、私どもも見るに見かねまして、昨年十二月には総理のところに伺って、やはり普天間の負担を解決するためには、年内ということは昨年ですね、年内に従来どおりの方針で進まれた方がいいんではないかということを申し上げた経緯がございます。

 総理もあのときいろいろお答えになりましたけれども、今の結論は、それは五月までに結論を出す、五月に結論を出すということです。五月の結論というのは、どういう方向の結論をお出しになるんでしょうか。つまり、十二月は先延ばしということでございましたが、五月はきちっとお決めになるわけですね。

鳩山内閣総理大臣 私はむしろ、あの十二月に強引に決めてしまったとしたときに、沖縄は大変な混乱に陥って、結果として、新たな普天間の移設先、また逆に迷走を深めてしまう、その危惧を強めておりました。

 それだからこそ、むしろ私は、五月まで延期をする中で、最終的に沖縄の普天間の基地の移設先を必ず五月末までに決めます、そしてそれまでに、アメリカとの間も当然交渉して理解を求める、沖縄の県民の皆様方の御理解もいただく、その作業を進める。そのためにはやはり連立与党三党の結束が必要だということで、平野官房長官を長とする沖縄基地問題検討委員会をつくって、その中で議論をして結論を求め、そしてアメリカと沖縄の皆様方にも理解を求め、結論を出したい、そのように考えておりまして、移設先に関しても、五月末までに必ず結論をつくらせてもらいます。

谷垣委員 今の御答弁の中で、去年の時点で強引に決めたら、かえって混乱が深まって収拾がつかなくなるという趣旨の御答弁がございました。

 私はそれに対してあえて申し上げれば、鳩山総理御自身が県外移転ということに大きく期待を沖縄の方々に持たせて、そのことが問題の解決を難しくした面があったというふうに私どもは考えております。

 私どもは、確かに長い時間がかかったわけでありますが、二〇一四年に普天間の基地を移転してキャンプ・シュワブ沖に持っていく、それから海兵隊も八千人削減する、そのようなことであの大変難しい普天間の負担を軽くしよう、こういうふうに考えてきたわけでありますが、今、総理は、いろいろな可能性も含めて、五月にはきちっと結論を出すとおっしゃいました。必ずその結論を出していただくことを心から私は要請したいと思います。

 それで、この問題はまだこれからもいろいろ議論をさせていただきますが、次にお伺いしたいことは、ことしは日米安保五十年、この日米安保や日米間の関係、あるいは、特に中国の関係も含めて議論をするときに、正三角形という議論がしばしばございますね。御党の山岡国対委員長も、先般中国へ行かれまして、日米中関係は正三角形だというふうにおっしゃった。

 三角形か何だというのは、例えですから十分正確なこととは思えませんが、総理はこの点はどうお考えなんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 私は必ずしも、その三角形の辺の長さが同じだ、そのようには認識しておりません。

 やはりその背景を考えれば、日米安保、日米同盟が基軸である、そのように考えております。そして、日米同盟というものを基軸にすればこそ、私は、ある意味で、日本がアジアの一国として、例えば東アジア、アジア全体でも結構です、さらに太平洋全体を入れても結構ですが、そことの間の協力関係を安心して高めていくことができる。その一国として、そして重要な一国として中国も存在する、そのように考えています。

谷垣委員 今、総理の御答弁を伺いまして、私はある意味でほっとしたんです。

 実は、私もこの間、随分アメリカの方とこの問題で議論をしまして、総理がそう考えておられないんじゃないかという心配が色濃くございました。(発言する者あり)いや、杞憂なら杞憂で結構なんです。

 今、総理がおっしゃった中で、やはり日本は日米安保というものを基軸にしていて、そして恐らく、今の総理の御表現と同じかどうかわかりませんが、日本とアメリカが同盟関係を結んでいるのが周辺諸国にとっても平和と安定の公共財なんだ、私の表現でいえばそうなるんですが、多分、総理のお考えもそうだったんだろうと思います。そして、それに加えて、やはり日本とアメリカは、体制的にといいますか、共産、社会主義をとっている国でもない、そういうこともある。

 その上に立って、総理が今おっしゃりかけたこと、あるいはおっしゃったかもしれませんが、やはりアジアとの関係をきちっとつくっていこう、そういう基本認識に立たれているということを今伺って、私は安心いたしました。ぜひこういうことで、きちっと今の沖縄の基地の問題も詰めていただきたい、このように思います。

 それで、大分時間が少なくなってきましたけれども、話をかえまして、マニフェストの問題を伺いたいと思うんです。

 総理は、マニフェストについて、これは国民との契約だというふうにおっしゃいましたね。この認識は今もお持ちでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 マニフェストは、民主党があの昨年の暑い夏の総選挙のときに国民の皆さんにお誓いをした契約だ、そんなふうに考えております。

谷垣委員 契約だということになりますと、契約は守らなければならない、当然のことだろうと思います。

 しかし、契約というものはしばしば債務不履行があったり、履行不能があったりするわけでございます。これは、もしおできにならなかった場合はどうされるのか。

鳩山内閣総理大臣 これは、ここに戦った同志みんながおるわけでありますが、みんなが共通して申し上げたのは、マニフェストというのは、私たちが政権をとれば四年間の間に実現をしたい、その大きな政策の契約集であるということであります。

 契約をするんですから当然相手がおるわけで、相手は国民の皆さんだということでございます。国民の皆様方が、私どものマニフェスト、これをやってくれという思いでおられる限り、その思いをしっかりと持たせていただきながらその実現を図っていくということでございまして、国民の皆さんが期待しているマニフェスト、国民の皆さんから見て、四年たって全然できていないじゃないかというようなおしかりがあれば、当然、その責任をとることはやぶさかではありません。

谷垣委員 当然、契約違反は責任を問われなきゃならぬ、こういうことですね。

 途中でこれができなくなったことが判明したらいかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 仮定の話にお答えする必要はないとは思っておりますが、丁寧に申し上げれば、当然のことながら、マニフェストというもの、先ほど申し上げた契約であって、国民の皆さんが、いや、契約をしたけれどもこちらの方がもっといいぞという思いになれば、国民の皆さんとの契約なんですから、その思いを大事にしなきゃならぬ、そのようにも考えております。

谷垣委員 ある意味では随分、契約ということで法律的に表現されましたので、そうしますと、その合意の変更はどういう手続で行われるんですか。ちょっと法律的に伺います。

鳩山内閣総理大臣 必ずしも法律的な意味で契約という言葉を使ったわけではありません。国民の皆様方に対する強い約束事だ、そのような思いで申し上げたところでございます。

谷垣委員 今度も随分、年末、予算編成は御苦労が多かったと私も思います。

 しかし、その中で、やはりお約束されたことが必ずしもできなかったことがおありでしたね。特に、ガソリンの暫定税率等を廃止するということはおできにならなかった。これについてはどうお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 暫定税率に関しては熟慮に熟慮を重ねました。そして、これは御案内のとおり、私どもが暫定税率を廃止する、形の上では廃止にはなりました、しかし、税率はそのまま据え置くということになりました。したがって、そのことは国民の皆さんにおわびをしたところでございます。

 私が申し上げたいのは、なぜ、熟慮を重ねた結果こうなったか。当時、すなわち我々が約束をしたとき、例えばガソリン値下げ隊などで頑張ったときは、ガソリンの値段が非常に高かった。これは谷垣総裁もおわかりのとおりで、百六十円から百八十円、さらにそれを超えるぐらいの大変高いガソリンの値段だった。これはやはり国民の皆さんの命を守るためには何としてもガソリンの値段を下げなきゃいかぬ、それには暫定税率を撤廃させるしかないな、その思いを強めて申し上げたところでございます。また、ある意味で、一般財源として使うということも大事だという思いも含めてこのような発想を持ったことも事実でございます。

 したがいまして、またこのガソリンの値段が百六十円とかさらに上がっていくような状況になったときには、ガソリンの暫定税率分を撤廃するというところもつけた中で皆様方に提出をしてお決めいただきたい、そのように考えているところでございまして、我々とすれば、大変に税収が減ったということもありますが、国民の皆さんの命、暮らしを大事にするという発想の中で、今回、暫定税率に関して、形の上では廃止をいたしましたけれども、税率としては据え置くということに結論を出したわけでございます。

谷垣委員 今の総理の御答弁の事実認識も、私は随分違っているところがあると思うんですね。

 マニフェストを出して選挙をやられたころと現在と、ガソリン価格はそう変わっておりますでしょうか。

直嶋国務大臣 ガソリン価格が随分変動しています。それで、さっき総理からもお答えがあったように、値下げ隊という、要は、道路特定財源の問題が国会で議論になった当時はガソリン価格が非常に高騰しておりまして、一時百八十円にも達したというふうに思っております。

谷垣委員 経産大臣、御答弁いただきましたけれども、マニフェストを掲げられたころと現在とそんなに変わっているわけじゃないんですよ。だから、今、いささか無理なことをおっしゃったと思いますが、むしろこれをおできにならなかった。

 私が指摘申し上げたいことは、政府税調でも随分この問題は議論されたと思います。議論されて、相当総理も思いがおありだったと思うんですが、党の方から、小沢幹事長から、この暫定税率は残すんだとぽんと指示が来たら、ぽんとそれで決まってしまったというふうに私どもは受けとめているわけでございます。

 その背景には、やはりなかなかそれができないなということがおありだったと思うんですね。それで、私は、この問題がなかなかおできにならなかったのには構造的な背景があるんじゃないかと思うんです。

 要するに、マニフェストのみそというのは、ここにマニフェストをコピーしてまいりましたが、ここのところに書いてございますが、マニフェストを実現するのに平成二十五年で十六・八兆要ると。では、そのコストはどこで賄うんだというと、全部で二百七兆まである特会を整理すればそのぐらいの原資は出てくるぞ、これが民主党のマニフェスト全体の一つの仕掛けだろうと思うんです。

 私どもからしますと、それは非常に無理がある、これが私どもの見方でございまして、なかなかこのマニフェストの実行は、ことしは何とかしのがれた。特に、しのがれた中には、苦しい無理も随分なさったと思うんですね。いろいろ、特会の中から出すということで、いわゆる埋蔵金を出すということでも、本当に空っけつになるぐらいおやりになったという面はありますね。来年からどうされるかということは、実は、菅財務大臣、非常にお悩みなんだと思うんです。

 それで、先ほど、午前中の答弁を承っておりますと、ことしは時間がなかったからできなかったけれども、二十二年度予算ではできなかったけれども、次の予算ではきちっとやるぞと。自信はおありですか。

菅国務大臣 一つだけ。前に暫定税率のことを言われましたけれども、大きな背景の一つは、これはもう谷垣総裁もお認めになると思いますが、やはり九兆円以上の税収見通しがもともと、二十一年度も下がりましたし、さらには二十二年度も残念ながらそれほど大きな回復が一遍には見込めない、こういうことが背景にあったことは事実であります。

 加えて、鳩山総理が政権を担当されてから二五%のCO2カットということも言われまして、環境税の議論をするにしても、やはり一年間でというか数カ月で環境税云々ということまでいきませんので、そういうものも勘案して、実は私、当時、国家戦略担当として、マニフェストについてはそれぞれの関係大臣とは調整をかなり進めておりました。もちろん党から来たことも一つのきっかけになりましたけれども、中にいた、担当した私としては、相当程度は煮詰まっていたのを、最終的に党のあれもあって決めましたので、よく見ていただければわかりますけれども、十二月二十五日という、本来考えた中で一番早い日程で政府案が決まったということは、それはちゃんとした段取りが省庁間で相当程度できていたからできたということを、少なくとも担当した私の立場から申し上げておきたいと思います。

 その上で、今最後に言われた、来年度のというか再来年度になりますが、二十三年度の予算で自信があるかと言われますと、自信というよりは、やらざるを得ないという覚悟があります。

谷垣委員 その意気やよしと申し上げたいと思います。これは本予算の議論でもありますので、また機会を改めて、総理とも菅さんとも議論させていただかなきゃならぬテーマだと思います。

 ただ、一つ気になりますのは、そういう議論の中で、二百七兆を組み替えればそのぐらいの財源は出てくるはずだという前提にお立ちになって、消費税については四年間いじらないんだ、こういう御議論も同時にあるわけですね。

 ところが、伺っておりますと、消費税の議論はそろそろ入らなきゃならないという御認識も閣内にはあるように思うんです。私は、先ほど申し上げた皆さんのマニフェストの前提自体が無理だという前提に立っておりますから、閣内でそういう議論が出てくるのも、それはそうだろうと思うんです。

 そうしますと、伺いたいのは、これは昨年の税制改正の附則に、今後の中期を展望しまして、経済を回復するとかそういうことが前提になっておりますが、平成二十三年度には消費税を含む税制の抜本改革を出す、こういうことが法律の条文に書き込んでございます。

 これは、この前の大島幹事長の質問では、現状ではいじる考えがないという総理の御答弁がございました。それは、いじる考えがないということは、このままこれを、附則に書かれている条文を維持していくということなのか、それとも、もう少しいろいろ検討を加えて、そうしてこれをいじることがあるということなのか、御答弁をいただきたいと存じます。

菅国務大臣 まず、消費税の議論でありますけれども、私は、総理も何度も言われていますが、今のこの連立政権において、四年間、消費税の引き上げをやることはしないと。議論をしないとは、総理も含めて言っておられないし、私も言っておりません。

 その上で、あえて言えば、過去に消費税の議論、いろいろありました。九四年ですか、細川政権のときもありましたし、それ以降の議論を見ていて、率直に申し上げて、谷垣総裁だから率直に申し上げますと、私は、これまでの政権の方もいろいろ苦労されたけれども、できなかった理由があるんですね。なぜできなかったか。結局は国民が、こんな無駄遣いをやっている政権に増税をさせたらもっと無駄遣いで使うだろう、その不信感が、できなかった最大の理由だと私は思っています。

 そういう意味で、私たちとしては、確かに大変厳しい状況にあることはわかっていますが、あえて、先ほども申し上げましたように、ことしになった閣議の後、閣僚懇談会の長いものを開きまして、二百七兆円の特別会計あるいは公益法人、独法などを含めて、各省庁で徹底的に見直しの作業に入ってくれと。

 その中で、何とかやり終えた中で、もうこれ以上は逆立ちしても鼻血も出ないというほど完全に無駄をなくしたと言えるところまで来たときに、それでも福祉の水準を維持し、あるいは上昇させるためには負担との関係でどうするか、そういう議論になった段階で、議論を行って、必要であれば必要な措置をとる、そういうことが必要で、今の段階から、まだ無駄遣いが十分になくなっていない中でやることは同じ失敗を繰り返すと思いますので、私としてはそういう覚悟で臨んでいきたいと思っています。

谷垣委員 今の菅さんの御議論を伺っておりまして、かつて小泉さんが、自分の内閣では消費税は上げない、まずこれだけ無駄を削って、これだけ削ったらもう削るのは我慢してくれというふうにまでいかないと消費税はできないんだとおっしゃっていた話を思い出します。

 ただ、一つ申し上げますと、今G7の国の中で財政を比べますと、非社会保障、社会保障以外の部分の支出のGDP比が一番低い国は日本でございます。それからもう一つ、毎年毎年猛烈な社会保障の支出増の圧力があることは、菅大臣よく御承知のとおりでございます。

 そうしますと、もうこれ以上は鼻血も出ないというところまでやるとおっしゃっても、それを、今の状況からさらに国民がわかったというところまでおやりになったとしたら、相当血が流れる、このことを私は申し上げておきたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

鹿野委員長 この際、柴山昌彦君から関連質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。

 今回の二次補正予算において、実に九兆三千四百二十億円の公債の追加発行をすることとされています。それにより、平成二十一年度の公債発行額は五十三兆四千五百五十億円となり、公債依存度は実に五二・二%となるわけです。

 無論、緊急の景気対策は必要です。しかし、現政権は、一度麻生内閣の緊急経済対策のための補正予算を一部執行停止した上でこの予算を組みました。この是非については後ほど同僚議員から質問していただくとして、私からは一点だけお伺いします。

 これまで、自公政権では、プライマリーバランス、すなわち、一般会計における国債発行収入を差し引いた歳入と国債費を差し引いた歳出のバランスを二〇一〇年代初頭までに回復しようという目標を立てておりました。

 鳩山内閣においては、このプライマリーバランスをいつまでに回復しようとお考えでしょうか。

菅国務大臣 柴山議員の方から、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスをバランスさせたいということを前の政権で言っておられたと。私も、何度もその話は聞かせていただき、この場でも議論させていただきました。

 しかし、残念ながら、麻生政権のもとで既に第一次補正で四十四兆円の国債を発行され、さらに九兆円税収見通しが下回った中で、今言われた五十三兆の国債発行になったわけでありまして、もちろん、すべてが前の政権とは言いませんけれども、五十三兆の中身でいえば、大部分は前の政権から引き継いだ財政でありますので、プライマリーバランスは大きくギャップが開いたわけであります。

 私たちは、決してプライマリーバランスを軽視しているわけではありませんけれども、少なくとも、これまでできなかった原因をしっかり踏まえないで単にプライマリーバランスをいつごろまでにこうしたいということを言っても、それは従来の失敗を繰り返すと思いましたから、例えば新しい経済成長戦略などを十二月の末に発表いたしましたが、そういう歳出の中身あるいは成長戦略、そういうものを組み立てる中から、ことしの五月、六月には中期財政フレームというものを国家戦略室を中心に出していただくことになっておりますので、その中で財政再建の道筋も打ち出していきたい、このように考えております。

柴山委員 それでは、ことしの五月あるいは六月に示される財政健全化の目標の中において、プライマリーバランスをいつまでに回復されるか、その見通しも示していただける、そう約束されたという認識でよろしいですか。

菅国務大臣 今聞いていただければわかったように、確かにプライマリーバランスというのは一つの客観的な数字でありますから、それを無視するということを言っているわけではありませんけれども、それによって、それをいついつまでにこうするという形で、これまでやられたことができていないわけでありますから、私たちはそういう形で数字を示すことになるのか、そうではない形で示すことになるのか、今、御存じのように、新成長戦略では、これは見通しではなくて目標ではありますけれども、例えば目標としては名目成長率を三%、実質成長率を二%、つまりは物価上昇率を一%という目標を掲げておりますから、そういう掲げ方も例えばあり得るということで、必ずしもプライマリーバランスだけにこだわったものを出すという約束をした覚えはありません。

柴山委員 財政健全化は待ったなしであります。今御説明をいただきましたが、ぜひとも国民が納得するような財政健全化の目標をお出しいただくことを強く期待を申し上げて、次の質問に移ります。

 総理大臣と与党第一党幹事長がともに政治資金問題について会計担当者の刑事手続に発展し、果ては現職の衆議院議員に逮捕者が出るという前代未聞の展開となっていることは、異常としか言いようがありません。

 そのような中で、まず鳩山総理の問題についてお伺いします。

 総理は、昨年十二月二十四日、政治資金規正法違反で元秘書が起訴されたのを受けて記者会見を開催され、その中で御自分の政治資金問題について説明されました。私は、このことはよかったと思っております。これからその会見の内容について若干お伺いいたします。

 総理は、秘書について、父親の代から手伝ってくれておりました勝場、そして私が議員になる前から手伝ってくれた芳賀、二人とも非常にまじめで、きちょうめんで誠実に仕事をしてくれてきているという信頼感が前提にございましたと述べておられます。間違いありませんね。

鳩山内閣総理大臣 確かにそのようなことを申したと思います。

柴山委員 一方、二〇〇二年九月十三日付の北海道新聞によれば、当時、総理の届け出られた政治団体には、総理の資金管理団体である友愛政経懇話会のほか、北友会と鳩山由紀夫後援会というものがありました。そして、後の二つは実はペーパー団体であるにもかかわらず、個人献金をこの三つの団体に分散させて、実態として一つの団体が個人から受けられる年間百五十万円の政治献金の上限額に関する規制を免れていたことを問題としています。

 この献金の上限規制は今回の事案でも問題となるべき規制です。鳩山事務所は、当時、この事案について法の抜け道と受け取られても仕方がないと釈明しています。総理、この当時の友愛政経懇話会の会計責任者、そして北友会と鳩山由紀夫後援会の代表者はだれだったんですか。

鳩山内閣総理大臣 これは御通告がなかったのでわかりませんが、後で調べてお答えします。

柴山委員 今回刑事処分を受けた芳賀大輔さんなんです。つまり、総理は、このような問題があることを御存じでありながら、芳賀大輔氏を友愛政経懇話会の会計責任者として再任されているんです。

 このパネルをごらんください。

 このパネルの上から二つ目の段落、政治資金規正法の代表者、つまり鳩山総理が、会計責任者、つまり芳賀大輔氏に対する選任及び監督義務を怠った場合、五十万円以下の罰金刑が科され、それが確定した場合は公民権停止となり、議員生命にもかかわるという規定を載せてあります。

 総理、このような問題のある人物をなぜ頼り続けたんですか。

鳩山内閣総理大臣 柴山議員にお答えいたしますが、先ほどの二つの政治団体を一つにいたしました。その当時、私は、疑われても仕方がないという思いでありましたが、法に照らしては違法ではなかったという認識をしております。したがいまして、しかし疑われてはいかぬという思いのもとで一つにまとめたと記憶をしております。

 その行動自体、私は間違ったものではないと思っておりますし、したがって、私は、私の芳賀秘書は大変、その意味でも、多くの同僚議員にも理解をしていただけると思っておりますが、有能な秘書であると思っておりますので、私は、その意味での、例えば選任の責任などというものがあるとは思っておりません。

柴山委員 当然のことながら、一つにまとめたことはいいことです。問題は、献金を分散していたときの当時、この三つの政治団体の責任者がこの芳賀大輔氏だったということを私は問題としているんです。

 そして、総理、ここに一通の商業登記簿謄本があります。北海道の有力なコンクリート会社である株式会社ホッコンについてのものです。この謄本の日付はことしの一月十三日、最新のものです。

 これによると、芳賀大輔氏は同社の取締役となっており、代表者としては、会長の芳賀昭雄氏と社長の芳賀俊輔氏が登記されています。

 総理、この芳賀昭雄氏と芳賀俊輔氏は芳賀大輔氏とどういった身分関係にあるのですか。

鳩山内閣総理大臣 芳賀アキオではなく、あの字でテルオと読みます。

 それで、親子関係でございます。

柴山委員 失礼いたしました。芳賀テルオ氏と芳賀俊輔氏と訂正させていただきます。

 そして、その芳賀昭雄会長から、友愛政経懇話会は、二〇〇三年から二〇〇八年まで毎年、上限ぎりぎりの百五十万円、計九百万円を、そして芳賀俊輔社長から二〇〇八年に百万円の寄附、計一千万円の寄附を受けています。

 総理、私は、この献金がいけないものだと申し上げるつもりは毛頭ございません。ただ、みずからが応援してもらっている企業の役員だからといって秘書に対する監督に影響があったとすれば、それこそ、あなたたちが最も嫌うしがらみの政治につながってしまうと指摘したいのです。

 ちなみに、罰金及び公民権停止の処分を受けた芳賀大輔氏は今どうしているのですか。

鳩山内閣総理大臣 私は、今でも芳賀秘書を秘書として、ただ、公設の秘書ではなくて私設の秘書として仕事を行ってもらっています。大変有能な男だと思っています。しかし、寄附をしてもらっているということで、私の監督責任とか選任責任に影響があるとは全く思っておりません。

柴山委員 繰り返しますが、今でも芳賀大輔氏は総理の秘書である、そう今答弁をされたということで間違いないですね。

鳩山内閣総理大臣 そのようでございます。

柴山委員 総理、そうした扱いでよいのか疑問を留保しつつ、次の質問に移らせていただきます。

 総理は、年末の会見で、お母様の巨額の献金について、何に使われたかわからないとおっしゃいました。それを受けて弁護士が、東京地検が恐らくいろいろお調べになった中で、この使い道については問題なかったのだろうと理解しているとおっしゃいました。

 ただ、地検がまだ立件していないだけで、別に問題がないことが明らかになったわけではないはずです。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 私は、その政治資金規正法の問題、いわゆる虚偽記載の問題に関しては、昨年の暮れに検察が捜査を終了した、終結をした、そして処分を決定した、そのように考えております。したがいまして、そのように判断をいたしております。

柴山委員 この巨額の献金について、地元でこのお金を使ったり、あるいは同僚議員に配ったりされたことはありませんか。

鳩山内閣総理大臣 私にはそのような思いはありません。

 ただ、この件に関して先ほどお尋ねがありました。母から私に対していわゆる贈与があったということ自体を私自身が知らなかったわけでありますだけに、それがどのようなところに使われているかということもわかるはずもないわけでございます。

 しかし、私として、政治家に対してお金を例えば配るような話はありませんから、どうぞそこのところは御理解をいただきたいと存じます。

柴山委員 総務大臣に一般論としてお伺いします。

 もし金銭が選挙区で使われた場合、公職選挙法上の問題が生じることはありませんか。

原口国務大臣 柴山議員にお答えいたします。

 個別の事案については、具体の事実に即して判断されるべきものであって、総務省としては、具体の事実関係を承知する立場にないので、答弁は差し控えさせていただきます。

 今、一般論ということでございましたが、公職選挙法上、公職の候補者及び後援団体は、当該選挙区内にある者に対し、一定の例外を除き、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないとされているところでございます。

柴山委員 一月二十一日号の週刊新潮によれば、総理の後援会主催のパーティーに出席された地元の教師が、自分は会費の千円など払っていない、鳩山さんの後援会の婦人部の女性から来てくれといってチケットをもらって行っただけだ、ほかにもただで入っている人がたくさんいたと話していることが紹介されています。同じく、そのチケットには三枚のビール券がついていたが、実際は飲み放題、食べ放題であって、量が多いから、主婦の中にはタッパー持参の人もいたと地元漁師が証言をしているとのことです。こうしたチケットは町内会や商店会で、一括して売られたこともあったそうで、私たちの取材でも似たような事実が判明しています。

 原口大臣、一般論として、飲食物の提供は先ほどおっしゃった寄附行為に該当いたしますか。

原口国務大臣 柴山議員にお答えします。

 これはあくまで一般論ですけれども、飲食物の提供はその対価を等しく取る、これが原則でございます。

柴山委員 明快な御答弁、ありがとうございました。

 続いて、総理にお尋ねいたします。

 総理は、お母様からの資金提供を贈与として税務申告された根拠として、自分、つまり総理のために提供され、政治活動や個人活動の支出のために使われているからと答えられています。借用書などもなかったと伺っています。間違いありませんね。

鳩山内閣総理大臣 その前に、先ほど、あたかも何かただのビール券のようなものがたくさん配られたというような印象を与えかねない発言がありましたが、私は、そうではありません、そのようなことはしていない、そう信じております。すなわち、だれかがある意味で、例えば町内会のだれかが一括しているということはあるいはあるかもしれません、私はわかりませんが、しかし、決してそのような不正なことは行っていない、そのように信じております。

 その上で、今お尋ねでございますが、母からの、何でしたか、済みません。

柴山委員 お母様からの資金提供を贈与として税務申告された根拠として、御自分のために提供され、政治活動や個人活動の支出のために使われているからと答えられていますが、借用書もなかったと伺っています。間違いありませんね。

鳩山内閣総理大臣 母からの贈与であることも、すなわち私は全く知らなかったわけでありますだけにそれは贈与という判断になったわけでありまして、したがって、借用書などというようなものも存在しておりません。

柴山委員 この寄附を処理していたのは、総理の会計実務担当の勝場啓二元秘書でした。しかし、同じ勝場秘書が総理御自身のお金を六幸商会から引き出し、あなたの政治活動に使った部分については、総理から友愛政経懇話会への貸付金として訂正処理されているのです。なぜこのような違いが生じるのでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 これは、母から私に贈与があった、そしてその分も含めて、例えば政治活動に使う、いわゆる政治資金規正法にのっとった収支報告の中で使うお金に関しては、借用ということで、私のお金ということになるわけですから、それを貸し付けという形にしたということでございます。

柴山委員 質問を繰り返します。

 お母様のお金に関しても、あなたは会見で、政治活動や個人活動の支出のために使われていたというようにお答えされています。そして、総理御自身の六幸商会から引き出したお金についてもあなたの政治活動に使った部分があります。一方は贈与、一方は貸付金。なぜこのような違いが生じるのですか。

鳩山内閣総理大臣 もう一回繰り返しますが、母からのは私は存じ上げていない話でありました。したがって、これはすべて私に対する、個人に対する贈与である。そして、そのお金が、私の出したお金と含めて、例えば政治活動に使う部分もある、あるいは個人の議員活動、あるいは個人自身の活動に、生活に使うというお金である。そこからという、一度私の資産というものになった中で使われているということでありまして、政治資金のために使われている部分に関してはいわゆる貸し付けという形になったわけでございます。

柴山委員 とすれば、お母様からのお金に関しても政治活動に使った部分は貸し付けという形で処理をされたということですか。

鳩山内閣総理大臣 繰り返しますが、私の、要するに母からの贈与ですから、そこで私のお金になっているわけであります。したがいまして、そこから使ったものに対しては、必要に応じて必要なところに、貸し付けるものは貸し付けという形をとったということであります。

柴山委員 今出したこのパネルをもう一度ごらんください。

 上から三段目におきまして、政治資金規正法では、資金管理団体の代表者であっても、個人からの献金が年間一千万円を超えたら刑事罰に問われると、量的規制が定められています。

 総理に伺います。

 先ほど御説明になった総理からのお金については、友愛政経懇話会との間に借用書があったのですか。また、返済の事実はありましたか。

鳩山内閣総理大臣 それは私には今答えるすべがありませんが、多分、必ずしも存在していないかもしれません。

柴山委員 貸し付けかどうかわからないということをおっしゃったんでしょうか。今総理は貸し付けということで明確に御答弁をされたはずです。貸し付けのためには返還の合意がなければならないはずです。

鳩山内閣総理大臣 私の資金を貸し付けるという形で処理をしたわけでございます。

柴山委員 だから、貸し付ける、つまり、返還の合意というものが友愛政経懇話会との間であったのですかという御質問です。

鳩山内閣総理大臣 それは、本来ならば、多分、何年かかってという話になるのかもしれませんが、そこの部分に関しては、必ずしも、いつまでに返すという話になっているとは思っておりません。

柴山委員 総理は、昨年十一月四日の予算委員会での私の質問に対して、寄附金の上限規制を超える分については貸し付け処理されると思っていたと御答弁されています。私も記憶しております。

 では、勝場秘書などに、実際に、そのように上限規制を超える分について貸し付け処理されているかどうか確認をされたことがありますか。確認書で逐一あなたは資金の流れをチェックしているはずです。その過程で、秘書に貸し付け処理を適正に行っているかどうか確認をされたことがあるのでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 これは、当時の勝場秘書にすべて任せておりましたから、そのようなものは存在しておりません。

柴山委員 とすれば、総理が本当にこの資金を貸付金だとこの指示書を出した時点で考えていたとは到底思えません。事後的に貸し付け処理をしても、量的制限違反の疑いは消えません。そして、同じように、総理は、お母様からの献金を貸付金と事後処理し、年間百五十万円の量的制限規制違反を逃れようとしたものの、お母様との打ち合わせやほかの御兄弟との整合性がとれず、やむを得ず一般の贈与を受けたという道を選んだのではないですか。

鳩山内閣総理大臣 そういう認識は全く持ち合わせておりません。

柴山委員 そもそも、総理はお母様からの資金提供を御存じなかったとおっしゃっています。しかし、十二億円もの巨額の資金を受けながら、一切それを御存じなかったというのは、到底一般の感覚から納得できません。

 総理は、これまで、選挙に立候補されるときや御結婚のとき、あるいは人生の節目節目でお母様から資金提供を受けたことはなかったんですか。

鳩山内閣総理大臣 そういう記憶はありません。確かめたこともありませんが、現実に母からもらったという記憶はありません。

柴山委員 二〇〇〇年以降、お母様と会食するなど、お母様と接触した事実はありますか。

鳩山内閣総理大臣 たしか、正月とか、あるいは年に一、二回だと思いますが、やはりもうかなり年老いておりますから、母を見舞いがてら伺った思いはあります。一年に一度も行かないような、大変親不孝をした年もあったかと思いますが、一度、二度は顔を見ていた、そのように思います。

柴山委員 それでは、総理、お母様にお金が足りなくて困っているとおっしゃったことはありませんか。

鳩山内閣総理大臣 私は、そのようなことは一切申しておりません。

柴山委員 これは事実関係の確認であります。

 国税庁にお伺いします。

 これまで、贈与税の申告漏れで今回のような巨額の案件はありましたか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 記者発表資料でございますけれども、十年間さかのぼりまして、平成七年以降の税目別の、贈与税ということで、脱税の告発件数というところでは贈与税に係る脱税はございませんでした。

柴山委員 大変珍しい案件だということを確認させていただきました。

 そろそろ確定申告の時期を迎えます。一般の方が汗水垂らし不備がないように書類をつくり、親子間の資金移転についてもおかしなことがあれば調査や査察がある中で、このような巨額の案件について、指摘されれば払う、上申書で済ますということでよいのでしょうか。税務調査や刑事手続の余地はないのでしょうか。

岡本政府参考人 一般論でお答えいたします。

 国税当局といたしましては、納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合は税務調査を行うなどして、適正公平な課税の実現に努めているところであります。

 また、特に脱税事件として検察官に告発し刑事訴追を求める場合には、国税犯則取締法に基づき査察調査を行う必要がございますが、この場合には、逋脱犯の法律上の構成要件に該当することを立証する見通しがあるかどうか、悪質な脱税事件であるかどうかを慎重に検討した上で要否を判断することといたしております。

柴山委員 そもそも納税義務は、国民の基本的な、かつ本人に帰属する義務であり、御本人が課税原因を知っていてもいなくても、当然のことながら果たさなければいけないはずです。ぜひ、総理大臣だからという理由で、今おっしゃった扱いと不公平なことのないようにお願いしたいと思います。この財政の厳しい折、私たちの税に対するモラルが損なわれかねない案件だからです。

 ちなみに、総理は今回、二〇〇二年にさかのぼって贈与税を納付されたということですが、重加算税や延滞税の関係はどうだったんですか。

岡本政府参考人 個別にわたる事項については差し控えさせていただきまして、あくまで一般論として申し上げさせていただきます。

 平成十五年分以前の年分の贈与税の徴収権は、法定納期限から五年間行使しないことによって、時効により消滅することとされています。贈与税の徴収権の時効は、納税者による援用を要せず、また、納税者は時効の利益を放棄することができず、絶対的な消滅となります。したがって、贈与税の徴収権が消滅している平成十四年分、十五年分の贈与税に係る期限後申告は何ら効力を有しないことになりますので、その贈与税が納付されたとしても、その納付された贈与税は還付されることになります。

 なお、偽りその他不正の行為により贈与税を免れていた場合の贈与税の徴収権は、法定納期限から二年間は時効が進行いたしませんので、法定納期限から七年間行使しないことによって消滅することとなります。

 いずれにしましても、国税当局としては、納税申告書が提出された場合に、その消滅時効の成立の有無など個々の事実関係に基づき適正に取り扱うことといたしております。

柴山委員 今の御指摘のとおり、重加算税あるいは延滞税についても国税庁当局がしっかりと事実関係を認定した上で処理をしますが、この二〇〇二年にさかのぼって納付した行為であっても、今の御指摘のとおり、徴収権が消滅をすることによって総理の手元にまた戻ってきてしまう、そういう可能性があることを今御答弁いただいたということを再度確認させていただきます。

岡本政府参考人 十四年分、十五年分については、期限後申告は何ら効力を有しないこととなり、その贈与税が納付されたとしても、納付された贈与税は還付することになるということでございます。

柴山委員 今の扱いが本当に国民の皆さんが納得できるものなのか、ぜひ疑問を呈させていただきたいと思います。そのような手続になるということは、私も認識をしております。

 さて、総務大臣、本件偽装献金について架空の寄附金控除の証明書が発行されていたことは、私からの前回の質問で指摘をさせていただきました。

 では、平成十七年以降の収支報告書から削除された寄附金に関する控除証明書で鳩山氏側から返還されたものは何通ありますか。

原口国務大臣 柴山議員にお答えいたします。

 今の御質問は、平成十七年分以降の収支報告書から削除された寄附者にかかわる寄附金控除のための書類に対して返還された証明書は何通かと。

 友愛政経懇話会に交付した寄附金控除のための書類については、その後、総務省においては確認をしておりません。

 なお、政治資金規正法上、寄附金控除のための書類の不正取得や破棄に関して特段の規定は設けられていないところでございます。

柴山委員 今、後の質問を先にお答えいただいたわけですけれども、証明書を不正取得すること、あるいは破棄することに問題がないかどうか。今、原口大臣は、これについて、特別法として特段の規定はないというように御答弁をいただいたかと思います。

 しかしながら、公印の押された証明書を不正取得し、あるいは破棄するということについて、それでは、千葉法務大臣、何の問題も生じないのでしょうか。

千葉国務大臣 個別の問題についてはお答えを差し控えますが、一般論として申し上げれば、一定の犯罪類型構成要件に該当するということはあり得るのかと思います。

柴山委員 次の質問に移ります。

 総理、総理は、再三にわたって御自分の、私は政治家と秘書は同罪と考えます、政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば、あれは秘書のやったこととうそぶいて、みずからの責任を免れようとしますが、とんでもないことです、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのですと述べた御発言について、その発言から逃げるつもりはないけれども、自分は私腹を肥やしたのではないから、過去の事例とは違うとおっしゃっています。

 総理、税金の負担を免れることは、私腹を肥やしたとは言えないのですか。また、一般社会で部下が不祥事を犯して上司が責任をとってやめるのは、必ずしも部下が私腹を肥やすことを目的とする事例ばかりではないはずです。総理のお考えは余りに一般社会とかけ離れているのではないでしょうか。お答えください。

鳩山内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、天地神明に誓ってと申し上げましたけれども、母からのこのお金は全く知らなかった話であります。したがって、贈与ということになったわけでありますが、私は脱税をしたという認識は一切持っておりません。そこだけはぜひとも御理解を願いたい。

 したがいまして、今お話がありましたように、秘書がやった行為というものに対しては私としても反省をいたします。当然それなりの責任、責めというものもあろうかと思います。その責めをどのように考えるかという中で、先ほども申し上げたとおりであります。

 先ほど、私腹を肥やすような行為ではなかったということを申し上げました。そのことは当然皆様方にも御理解を願いたいと思っておりますが、少なくとも今までの行為と今回の事件、私はいささか違う部分もあるという思いのもとで、したがいまして、今大事なことは、そういう中でも多くの国民の皆様方に御期待をいただいて、しっかりやれ、政権交代をだから認めてやったぞという思いを大事にさせていただいて、身を粉にして国民のための政治に努めてまいりたい、そのように思っています。

柴山委員 国民の信頼にこたえてということをおっしゃいましたけれども、総理、有権者は決して総理の偽装献金問題の全容やあるいは今回の小沢氏の資金問題の全容を把握した上で投票したわけではないということは、ぜひ御認識をいただきたいと思います。

 続きまして、民主党小沢幹事長の問題についてお伺いします。

 先ほど議論にあったガソリン税の暫定税率の問題や、質問のあった天皇陛下の政治利用の問題だけではなく、外国人参政権の問題を含め、小沢氏の物議を醸した言動についても、一体どれだけ民主党の中で民主的に議論をされたのでしょうか。民主党は今や小沢独裁政党と言われても仕方がないのではないでしょうか。

 ちなみに、今月十七、十八両日に実施された共同通信社の世論調査によれば、内閣支持率は前の週の五〇・八%から四一・五%に急落、不支持率は三三・二%から四四・一%と、初めて不支持が支持を逆転しました。小沢氏の進退については、幹事長をやめるべきだという意見と議員辞職すべきだという意見を合わせれば実に七三・三%となっています。私たちも、仮に今報道されているような内容が事実であれば、小沢氏には議員辞職をしていただくしかないと思っています。

 総理、このような状況でなお小沢氏に幹事長を任せるしかないとおっしゃるのはなぜですか、明確にお答えください。

鳩山内閣総理大臣 小沢幹事長は、私が代表そして小沢幹事長の体制の中で国民の皆様方の御信頼をいただいて政権交代の道筋をつけることができて、そして今、このような形で政権運営を行っている、その同志であることは間違いありません。

 私は、むしろ、代表と幹事長として、幹事長の潔白を信じて、だから闘うんだ、その思いを信頼しているのでございまして、だからこそ、今幹事長には幹事長として堂々としていただきたい、もし必要ならば、訴えるべきところを堂々と訴えるべきところへ行って訴えていただきたい、そのような思いで、むしろ潔白を証明していただきたい、そのように願っているところでありまして、そのことを大いに期待しているということでございます。

柴山委員 仙谷大臣にお伺いします。

 大臣は、昨年春、当時民主党代表だった小沢氏の公設第一秘書がいわゆる西松建設事件で逮捕、起訴された際、刑事処分がまだ下されていないにもかかわらず、小沢氏の代表辞任を唱えられました。

 今回、それより深刻な事態に立ち至った今、今の総理と同じ御意見でしょうか。

仙谷国務大臣 当時は単なる野党の一代議士でございます。私の今のポジションは、個人としての、あるいは弁護士経験者としての立場、そういう思いは当然のことながらあります。

 だから、弁護士の立場であるとするならば、当然、すべての捜査官憲の行為については、うのみにするというふうなことはあり得ないということになりましょう。そしてまた、野党の一政治家の立場とすれば、当然のことながら、当時の民主党が選挙に勝つためにいかなる政治判断をすべきか、こういう観点から私が発言し行動することは当たり前でしょう。

 今は、もう一つ、官邸に極めて近い立場で、行政府の一員としての立場もあるわけでありますから、これは当然のことながら、そういうことも踏まえてみずからの発言を律しなければならない、こう考えているだけでございます。

柴山委員 今、大変重要な御答弁をいただいたんです。野党の時代は選挙に勝つために行動した、ところが、今は官邸に近い場所にいるので自分の信念を抑えなければいけない。

 仙谷大臣、あなたには、今の政権のあり方に納得がいかない場合、大臣としての地位を投げ出すという選択肢はないのですか。

仙谷国務大臣 柴山先生、大変お若いので、一直線の部分でお話しされておるようでありますが、一人の人間の中にいろいろな立場があるわけですね。そのどの立場に比重を置くかは、その時々の判断をしなければならないと思います。政治家である以上、ある種の政治的なポジションのためにあるいは判断で行動することもあるでしょう。

 例えば、今私の判断で戦争の火ぶたが切られるかどうかというときに、私がそのある内閣の一員としての判断でそれに賛成するのか、それとも最も原理的な個人としての、自分の人間としての判断でそのことに反対するのか、それはそのときになってみないとわかりませんし、ぎりぎりの判断が迫られる、こういうふうに思います。

柴山委員 それでは、今お答えをされた内容を前提として、閣僚の一員としての前原大臣にお伺いします。

 前原大臣は、一月十八日、小沢氏の政治資金疑惑について、潔白だというなら国民の疑念が晴れるよう説明すべきだとおっしゃっていたと報道されました。間違いありませんね。

 そして、福島大臣。福島大臣も同旨の発言をされていますね。お二人に確認をさせていただきます。

前原国務大臣 おっしゃるとおりです。

福島国務大臣 おっしゃるとおりです。

柴山委員 総理、総理も今の前原大臣や福島大臣と同じ御意見はとれないのでしょうか。小沢氏に説明責任を果たさせるために、国会での参考人質問あるいは証人喚問に応じてもらうという民主党代表としての決意は示せないのでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 今、前原大臣方が申した言葉は、近々小沢幹事長自身が事情を、すなわち自分が潔白であるということを示したい、そう申しているんですから、しかるべき場でしかるべき発言をされる、そのように思っておるわけでありまして、今まさに検察からそのような話があると仄聞しておりますから、そのような状況になることが望ましい、私もそう思っております。それがまず先の話であって、後は、個人の判断もありましょうが、国会のことはどうぞ国会の中でお決めをいただきたいと存じます。

柴山委員 これまであなた方が野党時代に捜査中の案件についてとことん当時の与党に説明責任を求めていたことと今のスタンスは、私は余りにもかけ離れていると断じざるを得ません。そして、記者会見あるいはそれ以外の方法、特に検察庁での説明などでは私たちが小沢氏に質問する機会は与えられず、小沢氏が十分な説明責任を私たちの前で果たす担保はありません。与党の方々の質問あるいは意見を述べる機会もないわけです。

 小沢さんは、これまで東京地検による任意での事情聴取を拒んできたのを確かに一転させて聴取に応じる構えを見せていますが、通常国会が始まって、議員の逮捕に所属する院の許諾が憲法上必要となり、今のように与党民主党所属議員が反対すれば小沢さんは逮捕されないわけですから、安心して当然のことながら出頭できるわけです。

 総理、もし総理が捜査に支障が出ることを憂えておられるのであれば、小沢問題に関して逮捕された石川知裕議員と同期の民主党議員十三名が、この中には政府に入っておられる方も含まれているとお聞きしていますけれども、この十八日に勉強会を結成して、石川容疑者の逮捕は不当として、近く法務省から担当者を呼んで事実関係を聞くとともに、釈放要求の発議を検討することも決めたというのは捜査に対する支障にはならないのでしょうか。

平野国務大臣 先ほども議員からの御質問、同じ質問がございました。政府の関係者がいたことも事実でございますが、それは、その会合の目的が同期会、こういうことであって出席をした、こういうことでございますので、それについては、私は、そういう趣旨でないならば、慎重に対応し遠慮してもらいたい、こういうことを申し上げました。

柴山委員 それでは本題に入ります。

 まず、このパネルをごらんください。

 これは、今回の資金問題についての全体図です。小沢氏の資金管理団体である陸山会が二〇〇五年一月七日に東京世田谷区の土地を買ったと登記及び収支報告書上記載されていたのですが、実は、前年、二〇〇四年の十月二十九日に購入されていたことが読売新聞の報道から明らかになりました。小沢氏は、この問題につき、単純なミスだとされています。

 そして、この購入の原資は、こちらの資料の左半分にあるとおり、二〇〇四年十月二十九日付の、みずからの銀行からの借入金をさらに陸山会に貸したものであるというのが従来の御説明でした。しかしながら、陸山会に四億円が入金したのは二〇〇四年十月二十九日の午後だったのです。一方、実際に不動産屋に三億四千万円で代金の決済がされたのは同じ十月二十九日の午前中でありまして、この時点では、陸山会の資金残高はわずか二億数千万円でした。ここで、不動産購入に巨額の帳簿に載っていない金が故意に使われ、収支報告書に虚偽の記入がなされた疑いが浮上したのです。

 この部分は、報道によると、小沢氏の元秘書で今月十五日に逮捕された民主党の石川知裕議員が、虚偽記入の事実を認めて、小沢氏個人から四億円を借りたと述べており、仄聞するところによると、小沢氏も十六日の民主党大会で、原資は積み立ててきた個人の資金であって、何らやましいことはないと説明されているということです。

 しかし、そうすると、小沢氏は、御自分の積み立ててきたお金で不動産を買うことを石川議員に一方で指示しながら、同じ金額を銀行から借り入れて不動産の購入原資とすることを了承し、対外的にもそう説明していたことになります。どう考えても、小沢氏自身が、御自分の積み立ててきたお金が収支報告書に記載されないことを御存じだったとしか思えません。

 きのう、折しも、石川議員が、小沢氏が不記載を了承していたと供述していることが報道されています。

 そこで、原口大臣にお尋ねします。

 政治資金規正法上の虚偽記入罪を犯すことを了承していた場合、政治家本人にその共犯が成立するのではないですか。

原口国務大臣 柴山議員にお答えいたします。

 個別の案件についてはお答えする立場にございません。

柴山委員 そして、この購入原資が個人資産だという小沢氏の御説明にも疑惑が持たれています。

 けさの報道では、購入原資には奥様や三人の子供さんの名義のものが含まれ、合わせると七億円を超えるので不足はないと小沢氏が主張される見通しだということが報道されました。しかし、小沢氏がこれに先立って明らかにした資産の大半は、お父様からの遺産を信託銀行に預けていたのを引き出したものであると報道されており、その金額は約三億円であって、石川議員が小沢氏から受け取ったという四億円には足りません。御家族の方々には、ぜひ、しっかり事情を検察庁に御説明いただきたいと思います。

 一方、三重県の中堅ゼネコンである水谷建設株式会社の元幹部が、くしくもこの不動産取引と同じ二〇〇四年の十月十五日の金曜日に小沢氏側に五千万円を持っていったと供述していることがテレビ報道で取り上げられています。そして、水谷建設側の供述では、その後の土日を挟んで翌銀行営業日の十八日月曜日に、石川氏の陸山会口座への五千万円の入金がされたということなのです。そして、先ほど申し上げたとおり、そのわずか十日ほど後に、東京世田谷区の土地を陸山会が購入しました。購入資金にこの資金が使われた可能性は本当にないのでしょうか。

 まず、菅財務大臣、または国税庁に確認します。仮に、この購入資金が建設会社などの企業から小沢氏個人に寄附されたものであった場合、それを表にしないと、小沢氏に課税上の問題が生じるのではないですか。

岡本政府参考人 あくまで一般論として申し上げさせていただきます。

 政治家個人の方が受けた政治活動に関する寄附金は、雑所得の収入金額となります。雑所得は、総収入金額から政治活動のための支出を含む必要経費の総額を差し引いた残額が課税の対象になります。残額がない場合には課税関係は生じないということでございます。

柴山委員 政治資金とされる部分を含めた経費を控除した上で雑所得となって、それに税金がかかるという御答弁だったと理解いたしました。

 それでは、お伺いします。もしこれが政治資金であった場合に、政治資金の収支報告書にもあらわれていないというのみならず、企業から個人あるいは資金管理団体への献金があったことになりますが、これは政治資金規正法上、今回容疑がある虚偽記入罪のほかに何か問題は生じないのでしょうか。

 総務大臣にお伺いします。企業から個人あるいは資金管理団体への寄附があった場合に、政治資金規正法上、問題は生じないでしょうか。

原口国務大臣 柴山議員、一般論としてお答えいたします。(発言する者あり)

鹿野委員長 はい、座って。

 どうぞ答えてください。

原口国務大臣 政治資金規正法についてお答えをいたします。

 第二十一条第一項において、会社等は、政党及び政治資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされており、何人も、この規定に違反してされる寄附を受けてはならないこととされています。同法第二十二条の二でございます。

 いずれにしても、柴山議員、総務省としては、個別の事案については実質調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にないので、個別の案件についてはお答えすることができません。

柴山委員 政策の質問をしろという御指摘がありましたが、企業、団体からの献金禁止は、民主党が昨年の総選挙のマニフェストで訴えていたことであることを付言させていただきます。

 続きまして、水谷建設は、小沢氏のおひざ元にある岩手県胆沢ダムの工事を国土交通省からジョイントベンチャーで下請受注しており、同社の元幹部は、資金提供は受注の謝礼だったと供述していると報じられています。あわせて、供述の中で、元請の大手ゼネコンが工事費に上乗せして後から穴埋めしてくれるというから提供したと話しているとのことで、現に、鹿島など他の建設会社にもことし一月十三日に東京地検特捜部の強制捜査が入るなど、同じく土地取引の原資に関する捜査が進められていると見られます。

 そこで、千葉法務大臣にお伺いするのですが、このように、公共工事を受注する会社から国会議員が見返りとして寄附を受ける行為があっせん利得罪などの刑罰に触れる可能性はありませんか。一般論としてで結構ですので、お答えください。

千葉国務大臣 一般論としては柴山議員も御承知のとおり、条文をそのまま引用して、読んでいただければわかることだと思いますけれども、あくまでも一般論では、あっせん利得処罰法上の公職者あっせん利得罪は、公職にある者が、国もしくは地方公共団体が締結する契約または特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、またはさせないようにあっせんすることまたはしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受したときに成立する。これが構成要件でございます。

柴山委員 大変明確に御答弁をいただき、ありがとうございました。

 先ほど来、報道ベースで物をしゃべるなという御指摘が多々ありました。しかしながら、今申し上げてきたことを裏づける話をする人物がいます。昨年七月まで約一年、石川議員の私設秘書をしていた金沢敬氏で、ことし一月十四日に自民党本部で実施された勉強会において、昨年三月に小沢事務所の大久保秘書が西松建設事件で逮捕された際、石川議員とともに、鹿島や西松建設、西松建設の政治団体の名刺、ゼネコンからの陳情ファイル、鹿島からもらった胆沢ダムのファイルなどを隠したと述べておられました。この発言と同趣旨の記事がことしの文芸春秋二月号にも記載されています。また、石川議員が証拠隠しの指示を小沢氏から受けたとも発言しています。

 これらの発言が信頼できるものなのか、それとも、与党の皆さんがおっしゃるように、全く信頼の置けないものなのか確かめるべく、委員長に金沢敬氏の参考人招致を求めます。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

柴山委員 この不動産購入の原資には、あわせて、旧自由党が解散した際に、同党の政治資金団体である改革国民会議に流れた多額の政党助成金が用いられた可能性も指摘されております。しかしながら、この後、同僚の小里議員からこの件については質問をしていただきます。

 最後に、前原大臣にもう一度お伺いいたします。

 群馬県の八ツ場ダムについては、マニフェストに書いたからという理由で、さしたる手続もなく建設中止を表明する一方で、小沢氏の地元岩手県の胆沢ダムについては、ゼネコンから業務受注の見返りに巨額の裏献金が小沢氏に流れた疑惑が発生し、そして建設予算が計上されている。

 これで本当に予算やマニフェストの公平性に対する自信が、あるいは信頼が図れると前原大臣はお感じになっておられますか。明確に御答弁ください。

前原国務大臣 百四十三のダムについて、何をもって再検証するのかしないのかということについての一線は、本体工事に入っているかどうかということでありまして、胆沢ダムは本体工事に入っておりましたので、継続をしております。

柴山委員 私が申し上げたかったのは、予算やマニフェストの公平性に対する信頼が図れるとお考えかどうかということでございました。

 時間がなくなりましたので、以上をもちまして私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鹿野委員長 この際、小里泰弘君から関連質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。昨年十月に引き続きまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まずは、小沢氏関連の土地購入疑惑についてお伺いをしてまいります。

 今回の事件は、このパネルを見ていただきたいと思います。

 まず、1の部分でございます。二〇〇四年十月、小沢氏の資金管理団体である陸山会が土地を購入し、この土地代に小沢氏から提供された四億円を充てましたが、これを収支報告書に記載していなかったほか、多数の不記載、虚偽記載が見られるものであります。

 続いて、2の部分でございます。一方で、小沢氏側は、銀行から四億円の融資を受け土地代に充てたとしてきましたが、融資を受けた時点で既に土地代金は払われており、これは小沢氏からの資金を隠す隠ぺい工作であった疑いがあるものであります。

 さらに、小沢氏から提供された四億円の原資については、同時期に水谷建設から小沢氏側に渡ったとされる五千万円を初め、公共工事に絡むゼネコン側からの資金等の存在が疑われているものであります。3のところであります。

 まずは、政治資金規正法違反容疑によりまして、民主党の国会議員である石川知裕氏を初め、小沢氏の元秘書が三人逮捕されたものであります。鳩山総理は、総理であると同時に、民主党の代表であります。まず、小沢氏に対して、説明を尽くし捜査に協力をするよう指導すると同時に、党を主導して疑惑を解明し、責任の所在を明らかにして国民の信頼回復に努める、これが第一義であると思います。

 ところが、総理は、真相解明に努めるどころか、小沢氏のことを二度と出てこない個性の政治家と評価をし、幹事長続投を決め、あまつさえ検察と闘う姿勢を示す小沢氏に対して、どうぞ闘ってくださいと激励をされたわけであります。多くの批判を受けて、総理は先ほども釈明をされましたが、一般国民の受けとめ方とは大きく乖離するものでありました。

 総理が検察に求めるべきはまず迅速かつ公正な捜査であり、小沢氏に求めるべきは説明責任であり、そして、総理が闘うべきは国民を欺く巨悪であると認識をいたします。この点、まず確認をさせてください。

鳩山内閣総理大臣 小里委員にお答えをいたします。

 まず、私自身、行政の長として、検察には公平公正な捜査を当然望んでおりまして、これからもそのようにぜひ行ってもらいたいと強く願うものでございます。

 また、小沢幹事長が力いっぱい闘って、この国をもっと政治主導、国民の思いが伝わる、そういう社会に変えようではないか、その思いで、みんなの……(発言する者あり)国民の皆さんの御協力のもとで政権交代ができた。これも事実でございます。

 その小沢幹事長が、御案内のとおり、石川議員の逮捕というその翌日に私も面会をいたしました。これは自分自身はまさに潔白である、そのことを証明したい、強くそのことを私に申しました。したがって、大いに頑張ってくださいということを申し上げたのも事実でございます。

 同じ闘った同志として当然の思いではないか。潔白を証明するということであれば、当然のことながら、しかるべきときにどうぞ地検で自分自身の思いを、すなわち潔白であるならばそのことを証明してもらいたい。そのことも強く願っているところでありまして、それがまず最初ではないか、そのように思っておりまして、そのことを我々もすべて望んでいるというところでございまして、そのことを申し上げます。

 闘いは、当然のことながら、政治家であります、さまざま、いろいろなところに悪があると思います。それをしっかりと見詰めながら、むしろそれをなくす世の中にしていくためにこの連立政権としても闘っていくことは言うまでもありません。

小里委員 引き続き、この事件に対する総理の認識というものをお伺いしてまいります。

 まず、政治資金収支報告書は、政治家の政治資金に係る収支を国民の前に明らかにすることで政治活動の透明化を図り、政治に対する国民の判断材料とするものであります。

 そもそも、四億円もの収入を記載せず隠していたことは、政治に対する国民の判断を大きく誤らせるものであります。過去においても、同様の容疑で坂井隆憲衆議院議員や村岡兼造元官房長官等が起訴、逮捕されているものであります。

 小沢氏は、事件の経緯について具体的に説明しようとせず、検察の事情聴取にも、きょうの時点まで応じておりません。秘書の逮捕は当然であり、既に石川容疑者は、単なる記載ミスでなく、故意であったことを認めているとされているものでもあります。

 先ほどの質問に対して総理は、こういった事態にもかかわらず、慣例に反してまで処分をしないという方針である旨伺いました。これまでも小沢氏、石川氏を擁護する発言を繰り返してきておられます。

 今後、捜査が進展し、新たな展開があった場合、総理はどのように責任をとられるのでありましょうか。

鳩山内閣総理大臣 御案内のとおり、今検察が捜査中であります。捜査が進められているという状況でございまして、いずれそのことが、事実がどこにあるか判明をされるということになろうかと思います。

 したがいまして、仮定のことに関して今これ以上申し上げる必要はありません。

小里委員 総理は、自分の言葉、自分の行動に対してしっかりと責任を果たしていく、そのことをまずお願いをしたいと思います。

 引き続き、この事件に対して総理の認識がどんなものか、随分甘いんじゃないか、そんな感じを持っておりますが、お伺いをしてまいります。

 今回の事件では、多くの疑惑や疑問が指摘をされております。くだんの土地代が払われたのは平成十六年十月二十九日の午前中でありましたが、銀行からの融資はこの日の午後でありました。

 そこで、総理、極めて素朴な質問でありますが、午後に得た資金でもって午前の支払いに充てることができるんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 具体的な事案に関して、それが事実かどうかもわからない中でお答えをする必要はなかろうかと思っております。

小里委員 私はただ素朴な普通のことをお伺いしているわけでありますが、当然、午後に得た金は午前には使えないのであります。

 すなわち、銀行からの借入金は土地購入に充てられず、実際には小沢氏からの資金が使われたものの、これが収支報告書に記載をされず、隠されておりました。これは、小沢氏からの資金を隠すための偽装工作であったと思うのが自然であろうと思います。

 さらに、総理、これも素朴な疑問でありますが、小沢氏からの資金四億円は、一たん陸山会の七つから八つとも言われる複数の口座に分散して入金された後に一本化をされ、支払いに充てられたといいます。普通、こんなことをするものでしょうか。不可思議な資金移動だと総理は思われませんか。

鳩山内閣総理大臣 そのような個別の話に関して、事実関係もまだ明らかではありませんので、これ以上、私から答弁は差し控えます。

小里委員 これも小沢氏からの資金の存在をわかりにくくする偽装工作だと推定をするのが当然であろうと思います。

 また、土地購入に係る支出は購入の翌年にあったものとして収支報告書に虚偽記載をされており、また、小沢氏からの資金四億円は二〇〇七年に小沢氏に戻されておりますが、これも収支報告書には記載をされておりませんでした。

 陸山会は、預金があるにもかかわらず、これを使わず、担保として借り入れをした結果、金利負担により多額の損失を出したとされます。過去にも、不動産を購入する際、同じような手法で不自然な借り入れを何回も繰り返しております。

 また、小沢氏側は、土地購入資金の原資についても説明を二転三転させております。当初は事務所費であるとしておりましたが、その後、銀行からの借入金となり、さらに直近では、個人資産を信託銀行の口座に積み立てていたものと説明をしております。

 ここまで一連の金の流れを見ていきますと、小沢氏からの資金は、銀行融資を隠れみのにして不動産となり、最後は資金管理団体からの表の資金として小沢氏に戻ったと見られます。いわゆるマネーロンダリング、資金洗浄ではないかと指摘をされているところであります。

 なお、公共工事の受注に関して、小沢事務所が天の声を発していると公判で検察が指摘をしておりますが、小沢氏の資金の原資として、ゼネコンから集めた多額の資金の存在や、旧自由党、旧新生党時代の政党交付金などの存在が指摘をされているところであります。これにつきましては、後ほどじっくりお伺いをしてまいりたいと思います。

 以上述べてまいりましたように、小沢氏周辺に多くの疑惑や疑問が存在をいたしますが、この場に小沢氏がいないことがこの疑惑の解明を困難にしているのであります。そこで、小沢氏の証人喚問ないし参考人招致の要請があった場合、総理はその実現のために指導力を発揮していただけるか、お伺いをいたします。

鳩山内閣総理大臣 まさに、小里委員、何が真実かわからない、だからこそ検察が、その検察の権力の中で事実を明らかにしようとしている。そこに小沢幹事長も、わかりました、近々事実を説明に参りましょうという状況が近づいていると思っていますから、まずは、小里委員、ここでやるよりも、まさに検察で事実関係をしっかりと説明して判明をすることが必要なんじゃないんでしょうか。

小里委員 何が真実かわからないから解明をしようというわけであります。

 小沢氏はよく議会制民主主義を口にされておりますが、議会制民主主義の基本は徹底して説明責任を果たすことにあります。ここは、この場は国民の信託を受けた国会であります。国民の代表が集う国会であります。国会議員に係る不始末は、まずこの国会において解明をし、けじめをつけるのが国会の自浄作用であろうと思います。総理におかれては、これ以上国民の期待を裏切ることのないように、しっかりした対応を望みたいと思います。

 さて、土地の選定を指示し、資金を準備し、偽装融資の手続書類にサインをしたとされるなど、一連の疑惑の核心において小沢氏の関与が疑われております。

 また、西松事件に関連して、石川議員の秘書だった金沢敬氏が述べております。すなわち、昨年三月三日、西松事件で特捜部が陸山会の事務所を家宅捜索する直前の午後二時半ごろ、石川議員から金沢氏に電話があり、小沢先生からまずいものがあったら隠すように指示があったと石川氏が述べたと明らかにしているわけであります。さらに、その日の夜中十二時近くにホテルで関係者が合流をした際に、同じく小沢氏の秘書だった樋高衆議院議員が、この資料が表に出れば小沢先生を含めて全員逮捕だと語ったと金沢氏は明らかにしているわけであります。

 石川氏や金沢氏の供述どおりであれば、小沢氏主導のもとに関係者で証拠隠滅を図ったことになります。その場合、小沢氏はどのような罪に問われるか、法務大臣にお伺いします。(発言する者あり)

鹿野委員長 小里議員にお聞きします。どなたにお答えをということですか。

小里委員 法務大臣に。

千葉国務大臣 全く私はそういうことを承知もしておりませんし、お答えをする立場にはございません。

小里委員 まさに事件の核心でありますので、ぜひ公正な捜査をお願いしたいと思います。

 続きまして、先ほど柴山議員からも触れておりました、民主党から自由党への寄附、改革国民会議への資金移動の問題についてお伺いをしてまいります。

 パネルBをごらんいただきたいと思います。平成十五年九月、自由党解散の二日前に民主党から自由党に約三億円が提供され、また、自由党から所属議員三十五名に五百万円ずつ支出されたことが収支報告上明らかになっております。さらに、自由党の残金から十三億円が自由党の政治資金団体であった改革国民会議に支出され、うち五億六千万円余が政党交付金でありました。

 自由党は解散をし、民主党と合流、合併をいたしましたが、二日後に解散する自由党になぜ民主党から三億円近い支出をする必要があったのでありましょうか。政党を金で買うような意味合いでもあったのでありましょうか。

 菅大臣、あなたは当時民主党の代表でありましたが、その後、小沢さんにだまされたとあなたが語ったとも報じられております。真相はどうか、なぜ自由党に支出をしたのか、あわせてお伺いいたします。

菅国務大臣 まず、小里議員、私が言ってもいないことをこの場で言ったと言われるのであったら、どこでどういうふうに言ったか、ちゃんと証拠を出して、私の発言ですから、証拠を出して言っていただきたい。それでなければ後ほどの発言で取り消していただきたい。まず冒頭、そのことを申し上げます。

 二〇〇三年に、当時の民主党と自由党が合併をいたしました。当時、私が代表で、主な合併手続は幹事長であった岡田現外務大臣にお願いをいたしました。その中で私もきちんと把握をいたしておりますので、これは政府の立場というよりも、当時の民主党代表としてお答えをしておいた方が誤解を招かないでいいと思いますので、お答えをいたします。

 当時、二〇〇三年、もう既に総選挙が間近という状況にありまして、民主党と自由党の合併が決まった中で、いろいろな選挙資金、組織対策費等の清算をどうするかという話し合いが行われました。その中で、自由党から、次の政党助成金を当てにして既にいろいろな選挙についての資金手当ての支出をしてしまっている、そして、次の政党助成金は合併してしまえば民主党一本になるので、その既に支出した分については、それをあらかじめ清算といいましょうか処理をしてほしいというお話がありました。

 そういう意味で、合併に伴うそういういろいろなそれぞれの党の中での事情を考慮して、確かに次の政党助成金の支出のときは民主党一本で、自由党の皆さんが合併した人数分も含めて入ってくるということがありましたので、それに見合った形で、寄附という形で処理をさせていただきました。

 まさに政党と政党の合併のときの正常な交渉による処理だと私は考えておりまして、そのことをきちんと説明申し上げたところであります。

小里委員 この時点での自由党には十三億円以上の金が残っていたということをまず申し上げておきます。

 先ほどの証拠の話につきましては、きちんと報道の記事を……

鹿野委員長 小里君、ちょっとストップしてください。

 小里君に申し上げます。

 憶測ではなしに、事実に基づいた、確認をした点について、できるだけそういうことで質疑をやっていただきたいと思います。

小里委員 私は、報じられていると申し上げたわけでありまして、その報道の記事をまた後日お持ちしたいと思います。

 さて、この問題について、当時の政調会長だった民主党の枝野議員は、平成十九年十月に出演したテレビ番組で、こう述べております。枝野議員はこう述べております。自分は何一つ相談を受けていなかった、三億円からの大きな資金を勝手にどこかの判断で寄附をしたということになり、これは党員に対する背信行為だ、当時の代表か幹事長かが説明責任を果たすべきだと枝野議員は述べているわけであります。事実であります。

 先ほど菅代表は、話し合いでこれを決めたということでありました。確かに常任幹事会で重要事項は決めるとなっておりますが、政調会長だった枝野さんが知らなかったわけでありまして、民主党内の手続がどうなっているか、ここも疑問に思うわけであります。

 そこで、自由党の解散直前……

鹿野委員長 小里君に申し上げます。(発言する者あり)

 御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。(小里委員「自由党の解散直前に……」と呼ぶ)小里君、ちょっと待ってください。

 重ねて申し上げます。

 憶測とかそういうことで質問するのじゃなしに、きちっと事実確認のもとに質問してください。

小里委員 これはテレビで述べたことでありまして、ちゃんと残っておりますから、これはまた後ほどお持ちしたいと思います。

鹿野委員長 どうぞ、そういうことを踏まえてやってください。ちゃんと私が申し上げたことをきちっと受けとめて質疑してください。どうぞ。

 これはもう委員長の言うとおりにしてください。どうぞ、小里君、続けてください。

小里委員 そして、自由党の解散直前に、自由党から改革国民会議に、政党交付金を含む十三億円もの資金が寄附をされております。

 政党助成法では、国民の税金たる政党交付金について、解散時に残金がある場合は、総務大臣は国に返還を命じることができるとあります。

 原口総務大臣、一般論としてお伺いをいたします。

 政党の解散時に巨額の政党交付金が残っていた場合は、あなたは返還を命じられますか。

原口国務大臣 小里議員にお答えします。

 あなたのお父様は、新幹線の小里さんといって、本当に国土の均衡ある発展に尽くされた方でございました。この場をかりてお礼を申し上げたい。

 その上でお答えをしますが、法律に沿って行います。そして、政党助成法においては、政党交付金の使途については、政党の政治活動の自由を尊重し、制限は設けられておりません。したがって、使途報告の公開を通じて、その是非は国民の判断にゆだねられているところでございます。

小里委員 国民の税金でありますから、残っていた場合は国庫に返還するのが当たり前であろう、当然であろうと思います。解散直前に駆け込み的に巨額の資金を他の団体に移動させたことは、返還逃れと言われても仕方ないと思います。

 改革国民会議は、自由党解散後も政治団体として存続をし、小沢氏の金庫番であった八尋護氏や小沢氏の側近が代表を務め、西松事件における検察の冒頭陳述では、元秘書の話として、改革国民会議は小沢氏の財布である旨述べられているのであります。

 改革国民会議に行ったその資金が、その後、だれにより、どのように管理をされ、どのように使用されているのか、政府・与党として解明をすべきと考えますが、いかがでありましょうか。鳩山総理にお伺いします。

岡田国務大臣 先ほどの発言について一言申し上げたいと思います。当時の枝野政調会長の発言であります。

 常任幹事会におきまして、自由党と民主党の合併に関しましては、当時の代表である菅さんと幹事長である私に一任をするという手続を経まして、その上で合併交渉を行ってまいりました。

 合併を行う上で最後まで大変調整を要したのは、候補者の重複の問題が一つですね。同じ選挙区から両党から候補者が出ている、これをどう調整するか。もう一つが今問題になっております資金の問題で、政党合併に際する選挙資金、組織対策費の清算をどう行うかという問題でありました。これについて、民主党から自由党への寄附という形でそれを行ったものであります。なお、民主党は、その寄附等に際して政党助成金は一切充当しておりません。

 それから、先ほどお話がありましたが、自由党として立候補準備をしていた候補者が、例えば自由党という看板を掲げております、それを民主党にかえなければなりません、そういったことに伴う諸費用ということも含めて清算をしたということでございます。

小里委員 自由党解散時に改革国民会議に行った資金には政党交付金が含まれている、これは事実であるということは指摘をさせていただきます。

 続きまして、平成十四年、自由党解散の前年、小沢氏が自由党の代表時に、自由党の政党交付金から、当時民主党幹事長であった藤井前財務大臣に十五億円が支出をされております。(発言する者あり)失礼しました。当時は自由党の幹事長であります。

 ところが、藤井氏個人にも、藤井氏の資金管理団体にも、政治団体にも、政党支部にも、調査したところ、入金された形跡はなさそうであります。その後、この金がどう使用されたか不明であります。これも藤井氏の名前を使った政党交付金の返還逃れではないかと疑惑がわいてくるわけであります。

 また、これはあくまで新聞報道でありますが、この資金が実際には小沢氏の関連政治団体の改革フォーラム21に流れていたということであります。このとおりであれば、国から政党に支給された税金が横流しされ、小沢氏の管理下に置かれたということになります。

 本来であれば、これが事実であるかどうか我々もわからないんですよ、わからないからこれを解明しようとしている、そのために、それを解明するために、藤井氏、小沢氏本人にお伺いしたいところでありますが、この場におられません。

 そこで、総務大臣、国民の税金である政党交付金がどこへ行ったのか、小沢氏に私物化されたものではないのか、徹底調査をすべきであると思います。総務大臣、いかがでしょうか。

原口国務大臣 総務省としては、個別の事案については実質調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にございません。

 そして、報道にあったからどうのこうのとおっしゃいましたけれども、私もこの予算委員会で理事をさせていただいておりました。そのときの申し合わせは、その一つ一つの報道をもとにするのではなくて、事実あるいは具体的な証拠をもとに議論をしようじゃないか、それがこの委員会の申し合わせであったと記憶をしています。

小里委員 先日は、藤井財務大臣の突然の辞任でありました。真相を知っておられるであろう藤井氏の突然の辞任はこの問題と関連があるんじゃないか、そんな憶測もあるわけであります。

 細川政権下、政治改革を実施し、政党交付金制度を導入したのは小沢氏であります。小沢氏がつくったこの制度を知り尽くしているわけであります。

 政党助成法では、政党交付金は国民の信頼にもとることのないよう適切に使用されなければならないとあります。国民の税金たる政党交付金がどこへ消えたのか、政府・与党の責任において明らかにされるべきであるということを申し上げておきたいと思います。

 ここまで見てまいりましたように、政党をつくっては壊してきたと言われる小沢氏でありますが、そのたびに政党の資金が小沢氏の周辺に行ったんじゃないかという疑惑がここで出てまいるわけであります。

 ここで委員長にお願いします。小沢氏と藤井氏の参考人招致をお願いしたいと思います。

鹿野委員長 もう一度……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。どうぞ、重ねてどうぞ。

小里委員 以上、小沢氏に係る政治資金の原資についての疑惑をお伺いしてまいったわけであります。

 委員長、この小沢氏、藤井前財務大臣の参考人招致をお願いしたいわけでありますが、どうですか。

鹿野委員長 後刻、今の件については協議をいたします。

小里委員 予算委員の先生方にお願いをいたします。

 今ごらんになったように、委員長と私とのやりとりさえ聞こえないんです。どうか、議員の皆さんには、この審議に御協力をお願いしたいと思います。

 さて、小沢氏関連の疑惑について、昨年十一月十日、我が党の西田参議院議員が予算委員会におきまして、党として調査する気はありませんかと総理に尋ねました。総理は、検討をさせていただきたいと思いますと答弁をされました。

 その後、どう検討をされたのか、どう対応されたのか、お伺いをいたします。

鳩山内閣総理大臣 今お話を伺いながら、かなり揣摩憶測で話をされているな、そんなふうに強く感じたところであります。

 それだからこそ、私は、先ほどから申し上げているように、小沢幹事長の問題に関しては、検察のところでその事情をしっかりと、身が潔白であるということを証明するために説明をしに行くという話でありますから、そこですべてが判断されて、そして身の潔白が証明されれば我々の望むところである、そう思っておりまして、まずそれを実現したいと思っておりまして、そのために、今お尋ねではありますが、党として行動するということにはなっておりません。

小里委員 御答弁にありましたように、調査するどころか、自分の御判断で検討せず、放置していたことになります。

 総理は、御自分の偽装献金事件、巨額脱税疑惑において説明責任を果たしておりません。小沢氏の問題への対応の甘さは、御自分の問題があったからではないでしょうか。

 総理は、金のかからない政治、クリーンな政治を標榜してこられましたが、みずからが金のかかる政治、偽装献金で汚れた政治をやってきたことで、既に党内でのリーダーシップを失っているんじゃないか、そんなふうにも思うわけであります。政党として何ら自浄作用を発揮することなく、こういった事態に至った、その責任は極めて重いと思います。

 先日、中井国家公安委員長が記者会見で、特捜部にも説明責任があると述べられました。検察は既に被疑事実として公表をしているし、本来、検察は公判でもって説明責任を果たしていくものと考えます。

 民主党の方針によりまして、原則として大臣が答弁し、国会での説明責任を果たしていくものとなっております。ここは、検察を管轄する千葉法務大臣にお答えをいただくしかありません。

 法務大臣、検察の説明責任をどのようにとらえておられるか、また、この捜査は当然公平公正に行われているものと信ずるものでありますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。法務大臣、お伺いします。

千葉国務大臣 お答えいたします。

 今御指摘がございますように、検察の行動につきましては、基本的には公判遂行を通しましてそれが明らかになっていくものだと承知をいたしております。

小里委員 捜査は公平公正に行われているということでよろしいんですね。

千葉国務大臣 当然のことだと思います。

小里委員 全くそのとおりでございます。

 先ほど、私の話が事実に基づかない話であるということでありました。枝野議員の話については、テレビで述べられたと私は申し上げました。これは平成十九年十月七日「サンデープロジェクト」で述べられたものでありますので、どうか御確認をいただきたいと思います。

 さて、今御答弁がございましたが、中井国家公安委員長以外の閣僚からも、検察の捜査に圧力をかけたと受け取られかねない、あるいは小沢氏を擁護する発言が相次いでおります。

 昨年六月、総理の献金偽装事件が発覚をし、いよいよ衆議院選挙を前にして、民主党幹部は、総理の説明責任は果たされたとして早々に幕を閉じようとされました。その後、新たな疑惑が噴出をしても、民主党内から鳩山総理に疑惑の説明を求める声はほとんど聞かれず、予算委員会での集中審議も党首討論も拒み続けてきたわけであります。今回の小沢氏をめぐる事件でも、これを問題視し、小沢氏に説明を求める声はさらに聞かれないのであります。

 そして、先日、民主党内で配付をされた文書でありますが、ここに、アンケートには適切かつ慎重に回答をするようにという内容の文書であります。これは事実上の箝口令ではないかと思うところでございます。さらには、民主党内に、石川議員や小沢幹事長を擁護する議員による会が次々と発足をしておる、先ほど同僚議員から指摘があったところでございます。そして、きょうのこのやじといい、本当に組織ぐるみで疑惑隠しをやっているとしか思えないわけであります。

 政治改革を標榜して生まれた政権が、政治と金の問題で、総理と最大与党の幹事長の周辺に捜査が及ぶという異常事態であります。みずからの不始末はみずから解明をし、けじめをつけるのが、せめてもの新しい政治の姿なんじゃないでしょうか。民主党内には改革の理想に燃える議員はいないんでしょうか。小沢さんによる独裁恐怖政治にそれぞれの皆さんが口を閉ざされているのでありましょうか。民主党の体質や自浄能力に問題があると言われても仕方ないと思います。

 総理、いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 まず、私自身のことを申し上げれば、昨年の暮れにあのような事態になり、私自身が、二度目でありますが、記者会見を行って、記者の皆さんのあらゆる御質問にお答えをいたしました。そこで基本的にすべて、私は、自分自身、説明すべきところ、わかっている限りのことを述べたところでございまして、それはすべて公になっているところでございます。

 説明責任を果たしていないという御意見でありましたが、それは国民の皆さんがどこまでそれで理解をいただいているか、やはり母からのということになると、額が大きいものであるので、知らないわけないだろう、そんなお気持ちがあることも、それも私も常識で考えればわかります。しかし、事実は事実として、私はすべてを申し上げたつもりであります。やはり、その意味で、国民の皆様に向かって、事実を信じていただけるかどうかは別として、しっかりと説明を申し上げることは政治家として必要ではないか、そのように思います。

 そこで、小沢幹事長にも同じように、地検において、これから自分で、自分の判断としてしっかりと説明をしたい、潔白を証明したいということを申しておりますから、と仄聞をしておりますから、その方向になることを心から願っております。

 その意味で、しっかりと説明をすることがやはり一番重要だ。この国会でなさることはどうぞ国会でお決めいただいて結構でありますが、私どもとすれば、今正確に、正しく、検察が公平公正に捜査をしている、そのように理解をしておりますし、そのようであるべきだと思っておりますから、その中で事実が判明されれば一番よろしいのではないか、そのように考えておりまして、決して小沢幹事長のもとでみんな無言だなどという民主党ではありません。民主党として、極めて公明正大に、民主的にルールを決めて行動している政党であることを改めて申しておきます。

小里委員 総理の説明責任のお話は、外でやろうというばかりであります。

 繰り返して申し上げますが、国会議員の不始末については、国民の代表たる議員の皆さんが集うこの国会においてしっかりとその疑惑を解明し、説明をし、責任の所在を明らかにしていく、そして国民の信頼回復に努めていく、それが国会の自浄作用であるということをぜひとも御認識いただきたいと思います。

 さて、総理、今回の小沢氏の疑惑は、どうも総理の献金偽装、脱税疑惑と構図がかなり似ていると思うんです。

 小沢氏のケースは、銀行借り入れを装うことにより、本来の資金の出所、すなわち小沢氏からの資金を隠し、ゼネコン等のやみの金を表の政治資金に組み込んだ疑惑であります。総理のケースは、寄附者を偽装するなどにより、本来の資金の出所、すなわち母親からの資金提供を隠して、長年にわたり贈与税を逃れてきたものでありまして、巧妙かつ大胆な巨額脱税疑惑であると指摘をされているところであります。

 ともに、やみの金、あるいは相続財産となるべきものを偽装により表の金にかえ、利益を得た、いわゆるマネーロンダリングとも言えると思いますが、総理、いかがでありますか。

鳩山内閣総理大臣 何をもってそのようにお話をされているのかわかりませんが、先ほどから申し上げているように、確かに偽装の献金があったということは事実であります。そして、その入りの部分に関しては、検察においてしっかりと調べていただいた、私もすべての書類などは提供を申し上げて、今はまだそちらにあるわけでありますが、その協力のもとで結果が出た、そのように考えております。

 そして、その中で明らかになったことは、これも皆様方にはなかなかまた信じてはいただけないんですが、母からの贈与というものを私は全く知らなかったということであります。知らなかった以上、これが巨額な脱税だと言われることに関しては極めて遺憾な思いだけ申し上げておきます。

小里委員 毎月毎月千五百万円もの母親からのお金が何十回も目の前を過ぎていったわけなんですよ。これに気づかないわけがありません。一般家庭であれば親の援助を知らなかったというような言いわけは到底通用いたしません。私的な支出も含めて全部秘書任せだったとは信じがたいし、鳩山家の資産が関係した時点で既に秘書が勝手にやったということはあり得ないのであります。

 そもそも献金問題が発覚をしたのは、ことしの六月であります。(鳩山内閣総理大臣「去年」と呼ぶ)昨年の六月であります。問題発覚を受けて秘書から事情を聞き、弁護士に調査までさせておられます。少なくともその時点で十二億円余もの資金提供に気づかないはずがないと思うんですよ。折からの衆議院選挙を前にして、ひたすら隠していたのではないかと思うところでございます。

 なおまた、総理は、六幸商会から資金を引き出す際に、総理みずからその指示書にサインをしていたと答弁されておりますし、総理自身がこの資金処理にかかわっていたことを一部認めておられるわけでもあります。

 本当に知らなかったのか、自分の政治生活の中で収支報告書を一度も見ていなかったのか、だれに寄附金をもらっているのか一度も確認していなかったのか。総理、お伺いいたします。

鳩山内閣総理大臣 まさに一度も確認をしていなかったということの自分自身のずさんさを皆様方におわび申し上げたところであります。まるで見ていなかった。しかし、私の目の前を母の金が通っていったみたいにお話しされておりますが、まさにそうではなかっただけに気がつかなかったのでございます。

 そして、今、小里委員からお話がありましたけれども、私のお金を引き出すのは、当然私が署名をしておりますから、そこはよくわかっていたつもりでございますから、そこのところはどうぞ御理解ください。

小里委員 総理は、裕福な家庭に育ったものだからとか、周りが全部やってくれていたからわからなかったとか、そんな答弁を何回も繰り返してこられました。あたかも金持ちだから悪質性はないと言わんばかりの総理の姿勢であります。

 もし百歩譲って本当に知らなかったとすれば、これは国民が不幸であると思います。そこまで浮世離れをした総理に、国民の暮らしや現場の痛みがわかるんでしょうか、国民の大事な税金を預かり運用していくことができるんでしょうか。総理の言われる国民目線の政治というものが、まさにむなしく聞こえてくるわけであります。

 では、引き続き総理の疑惑に移ってまいりたいと思います。総理の株式売却問題でございます。

 総理は、一昨年株式を売って得た七千二百万円余もの所得がありながら、税務申告をしていなかったことが発覚しております。巨額の申告漏れ、脱税疑惑であります。これをきっかけに、どうも資産報告をしていない株式等があるんじゃないか、そんなことをこの場で私が追及しましたところ、たしかその五日後でありましたが、総理は、資産報告を、株式を中心として五億円分以上もの訂正をされたわけであります。

 そもそも資産報告は、政治家が地位を利用して不当に財産を形成することのないように、国会議員に厳格に義務づけられているものであります。訂正すればいいというものじゃないんです。資産公開法違反あるいは巨額の資産隠しにも通じかねない話であります。

 どうしてこのような事態が発生をしたのか、率先してルールを守るべき総理としてお答えをいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 この御質問に関しても昨年、国会で国民の皆さんにおわびを申し上げたところでありますが、株券の電子化に伴って、長期間所有しておりました株が、これはこのまま持っていると無効になるということであった。そこで、無効にならないように売却などをいたした際に、源泉分離課税と勘違いをして、昨年の三月に申告すべきところ、それを怠ってしまいました。

 売却の際に証券会社からもその説明がなかったものですから、何の疑問も実は感じておらなかったのでありますが、昨年、報道機関から保有株式について質問を受けて、改めて点検したところ判明をいたしましたものでありまして、直ちに修正申告をいたしたところでございます。

 また、この指摘を受けて点検した際に、国会議員の資産報告においても報告すべきところを報告が漏れておった部分があったということでもあり、資産の報告の訂正も行ったところでございます。

 税務申告の問題はまさに株式の電子化に伴う整理に際する錯誤によるものであって、資産報告の問題は株式の分散管理による手違いによるものであり、先ほど申し上げましたように、昨年、国会の場でも国民の皆様におわびを申し上げたところでございます。これがいきさつでございます。

小里委員 総理は、この株式について、二十代のころから持っていた、寝かせていたたんす株のようなものであった、そう答えておられます。五億円分以上ものたんす株がありながら、それに気づかないのでありましょうか。

 売却所得七千二百万円につきましては、所得等報告書にも記載をされておりませんでした。所得等報告書もまた政治活動の透明性を確保するために厳格に国会議員に義務づけられたものであります。そして、今総理は、源泉分離課税されていたと勘違いしていたとおっしゃいました。ということは、売却所得があったということは認識をしていたということになります。これはまさに故意じゃないですか。新たな資産公開法違反ということにもなるわけであります。

 そもそも、政治資金収支報告書の大改ざん、大粉飾に始まった今回の事件であります。さらに、資産報告書、所得等報告書と、総理の報告書はすべてにわたってでたらめであったということになります。国民に対する前代未聞の大がかりなうそではなかったか。これをどう説明されますか。

鳩山内閣総理大臣 したがいまして、資産報告の補充の追加の報告など、訂正可能なものはすべて訂正を行ったところでございまして、くどくど申し上げて恐縮でございますが、そのようなことを行ってしまっていたことをおわび申し上げたところでございます。

小里委員 七千二百万余の株式売却所得、そのもととなった株式の銘柄は何か、いつ、どのように取得をされたか、お伺いをいたします。

鳩山内閣総理大臣 国会議員の資産報告は、選挙の後について、投票日における保有の銘柄を報告して、その各年の補充報告は、その年に増加した資産について報告をするということになっておりまして、資産報告ではそれ以上の報告は求められていない、そのように承知をしております。

 今、この売却した銘柄を、私もここに持ってはおりますが、しかし、今ここで、もし皆様方が提出をしろということであれば提出をいたしますし、調べればすぐに調べられる話でございまして、ごらんになっていただければと思いますが、あえて国民の皆さんの前で、テレビの前で申し上げる必要もないものではないか、そのように思っています。

小里委員 ぜひ、この資料を提出いただきたいと思います。

 あくまで、総理は、二十代のころから持っていたたんす株のようなものとおっしゃっていましたから、その趣旨に沿う銘柄であることを信じておりますが、ぜひ資料請求をお願いしたいと思います、委員長。

鹿野委員長 後刻、協議をいたします。

鳩山内閣総理大臣 すべてが二十代からということでは必ずしもないと思いますが、二十代から持っていたものも当然あります。

小里委員 また総理の発言が微妙に変わってくるわけであります。そもそも、七千二百万円余の株式を、この売却所得を隠していたというところからこの話は始まったのであります。ぜひ、その全容の解明に向けまして、疑いを受けることのないように、しっかりした資料をお示しいただきたいと思います。

 総理の偽装献金疑惑あるいは脱税疑惑、極めて重大であると思いますが、引き続きお伺いをしてまいります。

 総理の献金偽装事件及び脱税疑惑について、身内の金だからいいじゃないかという話が特に民主党内から聞こえてまいります。認識すべきは、今回の事件は前代未聞の政治資金規正法違反であると同時に、巨額脱税疑惑であるということであります。

 総理、起訴状などによりますと、総理は、母親から提供された資金を個人献金やパーティー券収入として偽装したものが三億五千九百万円、寄附者として無断使用した名義は延べ二百七十人、実名献金分の実に八割が偽装されていることになります。さらに、匿名献金分を人数換算いたしますと、三千五百二十人分の偽装が最低でもあったということになります。

 また、総理の政治団体、北海道友愛政経懇話会の収支報告書でも、総理の母親と姉からの献金一千二百万円を記載せず、パーティー券収入も約三千万円を水増ししていたというものであります。まさに前代未聞の収支報告書の改ざんであります。

 さらに、違法献金の原資に関しまして、総理の母親から十二億円余りもの資金が提供されまして、これを総理は贈与税の税務申告をしていなかったという事実が明らかになったわけであります。

 以上三点について、総理、これは事実でありましょうか。

鳩山内閣総理大臣 小里委員にお答えいたしますが、その件に関して、すべて地検で捜査が終結をして、その判断のもとで、私は、細かく一人一人の、一人一人というか、数に関して今ここでデータを持ち合わせてはおりませんから、正確かどうかということに関しては申し上げられないかもしれませんが、私が十二月の末に地検の処分のときに伺ったものとして考えれば、それは事実でございます。

小里委員 政治資金規正法のねらいは、まず、政治に係る金の流れの透明化を図り、国民の信頼を確保することにあります。今回は、政治資金収支報告書の大半を改ざんし、国民を欺いたこと自体がまず大きく問われるものであります。

 さらに、政治資金規正法は、政治家本人から資金管理団体への寄附は年間一千万円以内、個人からは年間百五十万円以内という量的制限を定めております。これは、お金持ちしか政治家になれないとか、資産のある人が政治を左右することに歯どめをかけようというものであります。現に総理は、母親からのこの量的制限をはるかに超える資金提供を受けておったわけでありますが、この資金がなかったら、総理は総理大臣になれたのでありましょうか、あるいは国会議員になれたのでありましょうか。

 今回の事件は、まず、政治資金規正法のその理念に真っ向から背くものであります。ましてや、母親から十二億円余もの贈与を受けながら税金を払っていなかった巨額脱税の疑いが濃厚な事件であります。総理には、重大事件、重大疑惑であるという認識はあるんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 今お話しの中で、少なくとも母からの贈与に関して申し上げれば、贈与でありますから、量的制限とかいう議論ではありません。何か、全部一緒にするものですから、母からの量的制限を超えたお金が政治資金に使われたみたいに聞こえるような発言をされましたけれども、そのようなことではありません。そこだけはしっかりと申し上げておきたいと思います。

小里委員 今の、贈与か、あるいは政治資金か貸付金か、その辺の議論は、先ほどの柴山議員の話において、この疑惑が、この問題提起がなされたわけでありました。その点は引き続きまたこの場においてお伺いをしてまいりたいと思っております。

 国民から税金を徴収し、税金の使い道を決めることが政治の本筋と言っても過言ではありません。その最高責任者たる総理が六億円もの税金を逃れようとした疑いがある。修正申告をして済む問題ではありません。国民の義務としての納税を怠り、わからなかったら知らぬ顔をしようという、これは典型的な脱税行為にもつながりかねない大きな疑惑であるということは、改めてここに提起をしておきたいと思います。

 今回、事件が発覚をしなかったら、総理は巨額の税金を逃れていたわけであります。総理は先ほども、私腹を肥やしたとか不当な利益を得たものではないとおっしゃったわけでありますが、まさに払うべき税金を払っていなかったことは、これは不当な利益にほかならないものでありまして、何より、この資金を使った結果、総理は、あるいは国会議員になられ、権力を手中にされたわけでありまして、もしそうではないというのであれば、総理、ここは一円までその使途を公開されるべきであると思います。いかがでありましょうか。

鹿野委員長 内閣総理大臣、今の小里議員についてのお答えをしてください。

鳩山内閣総理大臣 まず、自分自身が国会議員になれたか、あるいはこのような身分になれたかどうか、それはわかりません。事実として、私は母からのこのような贈与に関して全く知りませんでしたから、もし知っていたらなどと思ったらぞっとする話であります。多分、その道はとらずに、自分自身のお金ですべてを賄っていたのではないか、そのようにも感じておりますが、それはまるで仮定の話ですから意味がないと思っております。

 今大事なことは、与えられたこの使命をしっかりと果たしていきたい、そこに自分の一身をささげてまいりたい、それだけでございます。

小里委員 全く説得力のないお話でありました。ぜひここは、国民の皆様の疑惑を晴らすためには、使途を明らかにしていただきたい、このことを改めて御要望申し上げておきます。

鳩山内閣総理大臣 この使途に関してでありますが、私は、検察が、御案内のとおり、収入、入りの部分に関していろいろと疑惑があった、そしてそのことが明らかになった、昨年の暮れのことであります。しかし、そのときに、支出の部分に関しては基本的には一切問題がなかった、そのように承知をしているところでございます。

 ただ、そうではあっても、今すべて資料というものが検察に渡っております。検察に渡っている。公判が終わりましたら、そのすべてが終わった暁に、私は弁護士に既に調べていくようにということは申しておりまして、できる限り皆様方にわかるように御説明ができれば、そのようには考えております。

小里委員 委員長に申し上げます。使途について資料請求をいたします。

鹿野委員長 小里君に申し上げます。ただいま総理大臣から答弁のとおりであります。(発言する者あり)

 それでは、後刻理事会で協議します。

小里委員 これは国民注視のもとで行われた資料請求であります。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、虚偽記載額も、申告漏れ額あるいは脱税額も巨額でありまして、寄附者を偽装し、パーティー収入を水増しするなど、はかりごとの限りを尽くして、母親からの贈与を隠して、長年にわたって贈与を逃れていた巧妙かつ大胆な脱税の疑惑であります。悪質性は高いと思います。

 それにもかかわらず、今回、お金を出した人、受けた人という張本人への事情聴取がなく、上申書で済まされたのであります。上申書は言いっ放しであって検証ができません。本人を聴取せず、事件の全容が解明できるとは思いません。普通の人が検察に疑いを持たれた場合は、聴取を受けずには済まされません。

 また、これほどの申告漏れであれば、先ほど指摘がありましたように、税務調査はあって当たり前であります。親子間の資金移動は特に厳しいものであります。毎年きちんと申告をしている企業でも定期的に税務調査が入ります。法人税の場合は、一億円以上は強制調査の対象であるとも伺っております。相続税が発生するような場合などは九割方が税務調査の対象になると伺っております。

 これだけの資金移動がなぜ表に出なかったのか。お金の流れはどうだったのか。例えば、銀行口座を見るのは基本中の基本であろうと思います。税務行政の公平性というものを疑わせるようなことがあってはならぬと思います。

 ここは、国民が納得できるように、しっかりと調査しろと総理みずから申し入れられるべきではないでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 先ほどもお話を申し上げましたように、この問題に関しては、昨年の末、検察の方が、すべての資料のもとで判断を下して、基本的に結論を出したわけであります。そして、その部分において、母からの部分に関しては基本的には違法性がないということも、基本的にそのように判断がされたと私は理解をしております。

 したがいまして、今お尋ねのようなことを私は行う必要はない、そのように考えております。

小里委員 総理は、一方では、国策捜査だとかつて批判をされ、今回は、検察の捜査があったから決着済みだと、あたかも検察からお墨つきをいただいたようなことを言われます。まさに御都合主義だと言わざるを得ないわけであります。

 さて、借用書もない、金利もない、返済の実態もない、催促のないものを、総理は貸付金だったと主張をされました。

 今、これからは贈与でも何でも貸付金ということにすればいい、ばれたら払えばいいんだという声を聞きます。あるいは、巨額の脱税がありながら、検察の聴取を受けない、政治的道義的責任をとろうともしない総理を見て、ある年金暮らしの方は、総理は私の十年分の収入を一カ月でもらって税金を納めていなかった、もう税金は納めたくないと言われました。ある子供は、総理大臣は、自分は脱税の疑惑がありながらたばこ税を上げるのか、そういった声も聞きました。この国の申告納税制度が大きく揺らいでおります。

 最高の課税権者である総理の無責任な感覚は、まじめに納税をしてきた国民の気持ちを踏みにじるものであります。国民の納税意識や国全体のモラルの低下につながりかねないものであります。知らなかったでは済まされない。少なくとも、側近の犯罪を見過ごした監督責任、先ほどの指摘にあったとおりであります。国民の信頼を裏切った政治責任、道義的責任は免れないものであると思います。ここは、しっかりと指摘を申し上げておきます。

 さて、委員長に申し上げます。

 政治への信頼なくして政治は成り立ちません。疑惑を解明し、責任の所在を明らかにし、信頼回復に努めるのが、まず今次国会に求められると思います。政治と金の問題についてここまで議論をしてまいりましたが、この疑惑は深まるばかりであります。

 私どもは、この補正予算の審議が議了後に、本予算の前に集中審議を行うことを求めております。

 あわせて、この疑惑解明のために、参考人の聴取を改めて求めたいと思います。

 その対象は、鳩山総理の関係では、鳩山総理の母親であるところの安子様、そして姉上であるところの井上和子さん、六幸商会社長の小野寺重穂さん、友愛政経懇話会会計責任者の芳賀大輔さん、同じく事務担当者の勝場啓二さん、北海道友愛政経懇話会会計責任者の佐々木勉さん、日本友愛青年協会常務理事の川手正一郎さん、そして小沢幹事長本人の疑惑におきましては、小沢幹事長御本人、樋高剛衆議院議員、藤井裕久前財務大臣・元自由党幹事長、そして石川衆院議員元私設秘書の金沢敬氏であります。

 以上、参考人招致の要求を申し上げます。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

小里委員 時間となりました。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 次回は、明二十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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