衆議院

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第7号 平成22年2月8日(月曜日)

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平成二十二年二月八日(月曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    糸川 正晃君

      打越あかし君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    大西 健介君

      岡本 充功君    奥野総一郎君

      梶原 康弘君    城井  崇君

      沓掛 哲男君    黒田  雄君

      小泉 俊明君    古賀 一成君

      田中 康夫君    高邑  勉君

      竹田 光明君    中後  淳君

      津島 恭一君    豊田潤多郎君

      中林美恵子君    長島 一由君

      畑  浩治君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    三村 和也君

      森本 和義君    山田 良司君

      吉田 公一君    若泉 征三君

      渡部 恒三君    あべ 俊子君

      小里 泰弘君    加藤 勝信君

      金子 一義君    小池百合子君

      小泉進次郎君    近藤三津枝君

      下村 博文君    菅  義偉君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      橘 慶一郎君    谷畑  孝君

      徳田  毅君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    野田  毅君

      山本 幸三君    石井 啓一君

      大口 善徳君    斉藤 鉄夫君

      笠井  亮君    志位 和夫君

      阿部 知子君    江田 憲司君

      山内 康一君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       中井  洽君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (公務員制度改革担当)

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   総務副大臣        渡辺  周君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   厚生労働副大臣      細川 律夫君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      階   猛君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   農林水産大臣政務官    舟山 康江君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    山口 広秀君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     阿知波吉信君

  岡本 充功君     三村 和也君

  奥野総一郎君     中後  淳君

  津島 恭一君     竹田 光明君

  平岡 秀夫君     高邑  勉君

  小里 泰弘君     小泉進次郎君

  小池百合子君     徳田  毅君

  菅  義偉君     菅原 一秀君

  谷川 弥一君     近藤三津枝君

  谷畑  孝君     加藤 勝信君

  大口 善徳君     斉藤 鉄夫君

  富田 茂之君     石井 啓一君

  笠井  亮君     志位 和夫君

  山内 康一君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     打越あかし君

  高邑  勉君     平岡 秀夫君

  竹田 光明君     津島 恭一君

  中後  淳君     奥野総一郎君

  三村 和也君     大西 健介君

  加藤 勝信君     谷畑  孝君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  近藤三津枝君     永岡 桂子君

  菅原 一秀君     菅  義偉君

  徳田  毅君     小池百合子君

  石井 啓一君     富田 茂之君

  斉藤 鉄夫君     大口 善徳君

  志位 和夫君     笠井  亮君

  江田 憲司君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     岡本 充功君

  橘 慶一郎君     あべ 俊子君

  永岡 桂子君     谷川 弥一君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     小里 泰弘君

同日

 理事富田茂之君同日委員辞任につき、その補欠として富田茂之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 去る五日の金子一義君の質疑に関連し、加藤紘一君から質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤紘一君。

加藤(紘)委員 自民党の加藤紘一でございます。おはようございます。

 先日、我が方の菅議員が、小沢さん不起訴の後、その責任問題について鳩山さんにお聞きになりました。翌日の新聞によりますと、「小沢氏に政治責任なし」という三段の見出しが出ていますけれども、議事録をよく見ると、鳩山さんは、そんなことを言いたくなかったのか、非常にずらしているんですね。小沢さんに政治責任ありますか、ありませんか。

鳩山内閣総理大臣 加藤委員にお答えを申し上げたいと存じます。

 御案内のとおり、私は、検察は公平公正な立場で、法にのっとって……(加藤(紘)委員「長々との答弁は結構です。だから、端的にお答えいただきたい」と呼ぶ)

鹿野委員長 どうぞ、答弁を。

鳩山内閣総理大臣 法にのっとって処分が下されたと思います。しかし、御案内のとおり、さまざま新聞報道などでもなされているということで、小沢幹事長としてもさまざまな説明をされてこられた、そのように思っています。御自身も、秘書が逮捕されたということでその責任は感じている、そのように思っておりますし、私は、やはり何らか当然、御本人としての話ではありますけれども、責任は当然ある、そのように思っております。

加藤(紘)委員 今、新聞報道、朝日新聞に三段抜きで出ていたのとは違う、政治責任あり、こうなりました。結構なことだと思います。当然あります。

 次に、秘書さんの問題をお聞きします。

 総理は昔、政治家の秘書の行ったことは政治家自身に責任がある、議員バッジを外すぐらいのことをするべきだとおっしゃいました。そして、最近それをおっしゃっていない。

 ユーチューブというのがありますね。それの人気サイトは、この鳩山首相のかつての発言と現在の発言を比べて、どこがこんなに違っていますというのが最大のヒットなんだそうです。私も見ました。

 さて、昔の発言と今の発言はどうして違ったんですか。

鳩山内閣総理大臣 私もかつて、さまざまな政治家のさまざまな行為に対して、政治的な思いの中で発言を申し上げた事実はあります。過去の発言というものを、もう発言したことでありますから、今それを打ち消すつもりはありません。しかし、その中で発言をしたことと、今回、私自身の問題の中で起きたこと、それぞれの立場あるいはそれぞれの状況というものがすべてが同じだとは思ってはおりませんが、発言をしたことは事実でございます。そこに基づきまして、自分自身として今置かれた立場で考えたときに、責任の果たし方というものを自分なりにさまざま思いあぐねた中で、考えたところでございます。

加藤(紘)委員 国民、特に若い世代、主婦、そういう人たちの間に非常にこのユーチューブのサイトは、聞くところによると、二十数万ヒットがある。(発言する者あり)もっとかもしれません。

 今は、それぞれ置かれた立場が違う、そういったならば責任のとり方も違っていい、そういう意味ですか。自分は今、総理になったから責任とらないという意味ですか。

鳩山内閣総理大臣 今申し上げたことは、それぞれの政治家あるいは政治家の秘書さんが行った行為、私の場合、いろいろあろうかと思います。それは、私も必ずしもすべてに対して精通しているわけではありませんが、少なくとも、私の場合に関して申し上げて、自分自身の思いの中に、例えば、私腹を肥やしたりあるいは不正な蓄財をしたというような思いというものは全くない中で、全く知らなかった中で起きてしまった事件であるということで申し上げて、そういった状況の違いというものを認識していく中で、今、自分として置かれた立場を考えたときに、使命を果たすことがその責任のとり方の一つだ、そのように考えて行動しております。

加藤(紘)委員 ユーチューブを必死になって見て、そういうサイトを合成して、そして、ほら、これだけ違っているんだよということをやっている若いユーチューブの使用者、見ている人、それが今の答弁で納得できるでしょうか。

 今のは、自分が総理だから仕方がない、そして知らなかったから仕方がない、突き詰めればそこになります。私は、去年から野党の理事としてそこに座ってほとんど答弁を聞いていますから、九七%答弁を聞いていますから、突き詰めるとそういうことになります。もし、総理だからと言うんだったら、総理だったからと言った場合には、責任が重いということですよ。

 棚橋議員が言いました。総理大臣を起訴するときには、総理大臣自身がサインしないと、それでなければ総理を辞職していなければ、その人の起訴はできないのだと。憲法論から税法上のいろいろな規定を出して言った。彼の質問が若干品がないと言う人もいるけれども、問題の本質をぴたりと当てているじゃないですか。

 ですから、あなたは、自分の秘書の問題だったら、かつて言ったのよりも二倍も三倍も責任をとらなきゃならぬのです。その気持ちはありますか。

鳩山内閣総理大臣 私自身、自分の秘書の問題でありながら、当然その責めは私自身にもある、その自覚はしております。そして、今置かれた立場の重さを考えれば、その責任も重い、そのようにも自覚をしております。

加藤(紘)委員 福島さん、あなたは社民党です。昔の社民党の党首ならば、こういうときに連立離脱します。今はそのあなたの姿は、本当に大臣の席にいたいというだけにしか見えません。普天間の問題でもそうです。どうですか。

福島国務大臣 普天間の問題についても社民党は命がけでやっています。政治と金についても必死でやっています。これについては、石川さん自身もきちっと皆さんに、保釈をされたわけですから、説明をされたらいいというふうに思います。小沢幹事長についても、不起訴になりましたけれども、国民の皆さんがきちっとやはり説明をしてほしいと思う声に私はしっかりこたえるべきだと思っておりますし、社民党はきちっとそのことは申し上げています。

 そして、自民党に申し上げたい。

 私は、何度も何度も何度も何度も過去の総理大臣に対して、自民党はプロジェクトチームをつくりきちっと調査をすべきではないかと言いましたが、一度もありませんでした。社民党は、自分たちで、問題が起きたときはプロジェクトチームをつくり、第三者を入れて報告書をつくり、いろいろなことをやってきました。企業・団体献金について社民党は提案していますが、自民党は反対じゃないですか。この国会の中で、企業・団体献金の禁止を含め、法案をつくるために先頭に立ってやってまいります。

加藤(紘)委員 それでは福島さん、小沢さんと石川さんの政倫審出席要求に賛成しますね。

福島国務大臣 先ほど答えたとおりです。

 保釈をされた石川さんは、この間、報道でしか私たちは問題を知ることができません。ですから、お二人ともそれぞれ別の立場できちっと国民の皆さんに説明をされたらいい、されるべきだと思います。

加藤(紘)委員 それは政倫審出席に賛成するということですか。違いますか。イエスかノーかで答えてください。

福島国務大臣 先ほど述べたとおりです。

加藤(紘)委員 このように、あいまいなんです。

 政倫審出席に賛成ですか、反対ですか。

福島国務大臣 まず御自身で説明をされたらいいと思っております。(発言する者あり)

鹿野委員長 福島大臣、加藤議員の質疑に対してわかりやすくお答えをいただきたいと思います。

福島国務大臣 御本人がきちっとまず説明をされたらいいというふうに思っております。そして、国会の中で決めてください。

加藤(紘)委員 社民党は賛成ですか、反対ですか。

福島国務大臣 国会の中で、議運や国対の中で決めることになると思います。

加藤(紘)委員 逃げの福島党首、そうですね。

 それでは、次の問題に移ります。

 今度の審議で、鳩山さんの問題は、あのお母さんから一千五百万お金が来ていたということを知っていたかどうかが論争になりました。私はどうも、そこが唯一の論点というのはおかしいと思いますよ。

 大蔵省のOBの、かなりしっかりとした人がこう言いましたね。知っていなかったら大丈夫というのだったら、例えば大変なお金持ちの人が、三歳、四歳の孫に、生前ちゃんと彼ないし彼女の口座に数千万入れておきゃいいんだ、それで、成長して、高校になって、ああ、こんなに僕にお金があるんだと思ったときはもう時効であると。だから、これは問題ではないんだと。

 私は、鳩山総理の三百五十万のブリヂストンの株、五十何億か百五十億か知りません、計算不能な多額です。それが幼少の折入っていて、そして税務処理も何か終わっていたらしい。仮にそこが問題になっても、もう時効ですから。これでいいのでしょうか。ここで総理がどう判断するかで、発言するかで、二月十五日から確定申告が始まりますね、全国に影響しますよ。

鳩山内閣総理大臣 それは私の幼少のときでありますから、私が、すべてそのとき逐一理解していたわけではありません。しかし、私を初め石橋の親族が、すべて責任を持って事を行って、必要なことはすべて正当に、法にのっとって行っているわけでありますし、そのことは後で確認はされておりますけれども、私は問題はないと思っておりますし、今お話がありましたように、そのようなおかしな発想を決して国民の皆様方が持たないように、納税意識を十分持っていただくことを心から期待いたします。

加藤(紘)委員 我々の同僚議員が各地で聞いてきています、税務署で異変が起こり始めたと。私たちは今、政権を放棄せざるを得なかった反省を込めて、今自民党の衆参国会議員二百人が、小さな過疎の村、人様の選挙区、そこの代議士さんも行かないようなところを回ろう、ふるさと対話集会というのをやっています。

 きのう、私は、鹿児島の山の奥の奥まで行ってきました。そこで、やはりこの問題を追及してほしいというのと、いや、景気対策を議論してほしい、参加者の間でも議論になるぐらいです。ですから、私はこれを聞きました。嫌だけれども、あなたに質問しました。嫌です。でも、質問せざるを得ない。国民の代表だからです。

 もし、あなたの今の生前贈与の話とかこういうのが、確定申告前後になって全国の税務署の前でいろいろなことが起き始めたら、私なら、総理であるならば辞職します。自分の一言で納税意識が変わったとなったら、それは政治の根本を崩すことになります。そういうときにあなたはどう思いますか。

鳩山内閣総理大臣 私は、先ほど加藤委員からお話がありましたように、母からの資金提供、全く知らなかったことではありますけれども、現実に検察や弁護士の調査によってそれが事実であるということが判明をした時点において、すべてそのことはやはり贈与だとみなすべきだ、そう判断をして、納税を行いました。

 それは、やはり国民の皆様方に、納税の意識というものは、当然これは三大の、大きな義務として果たさなければならない、当然のことだと思っておりますが、ぜひ国民の皆様方には、このようなことが起きないように、すべて三大義務を果たしていただけるように、私としては、できるだけ周知徹底を申し上げることが、その果たすべき役割だ、そのように考えております。

加藤(紘)委員 自分の納税について国民がこれだけ議論しているときに、今総理は、国民の皆さん、国民の三大義務、納税義務を果たしてくださいとテレビの前でおっしゃる。私は、それが民主党政権か、ないし鳩山さんの本質なのかなと、がっかりします。

 思い起こします。今から二十年ぐらい前、あなたはユートピア政治研究会というのをやりました。そのときに私は、当選何回か、かなりの先輩でした。はあっと思いました。その中の一人のメンバーが、地元に秘書が三十八人、事務所十一カ所、年間の費用一億九千万、ああ、こんな一年生がいるんだと。そして、言わんとしていることは、政治に金がかからないような政治をやろうじゃないかと。この矛盾。どこかがおかしい、この話、どこかがおかしいと思いました。その思いがまた今の発言で思い起こされます。

 最後に、国税庁次長に聞きます、一言だけ。

 課税義務については、いろいろなケースがあるでしょうけれども、その人が大臣であったから、その人が大阪、浪花の一商人であったから、そこで個人所得についての脱税かどうかの判断は同じであるべきだと思いますが、いろいろなことを長々と言いますか。同じか同じでないか、それだけ答えてください。

岡本政府参考人 あくまで一般論でお答えいたしますが、納税者であるということで、その人の立場、職業等かかわりなく、我々としては適正公平に取り扱っているところでございます。

加藤(紘)委員 それが正しい。また、そうあってほしいと思っています。国税当局のしっかりとした対応を望みます。

 これだけで時間を費やしていられません。政治と金についての集中審議を我々は要求しています。国会で決めることですけれども、その際、我々の同僚がもっと厳しく議論すると思いますし、確定申告のときに税務署各地で異変が起こったら、それこそ総理大臣としての責任を強く強く感じてくれることをお願いします。それは義務ですから。

 それから、次に経済問題に移ります。

 今、なかなか景気が戻ってきませんね。そして、リーマン・ブラザーズの破綻以降、もう既に一年半ぐらいになるわけです。これから二番底が来るかどうか、これが国民の最大の心配です。

 私は、そのときに考えておかなきゃならぬのは、今回の不況は日本自身が招いたものではありません、アメリカから始まった国際金融のそういった混乱から始まってきたんだと思っています。そしてそれは、リーマン・ブラザーズの破綻以来、それまで静かであった日本経済が極端な大波に見舞われました。そのときに、グリーンスパンさんが、百年に一度の大危機であると。あなただけには言われたくない、全世界の経済に関心がある人はそう思っているはずですよと思いました。

 さあ、そのアメリカなんですが、この間、十一月の十四日でしたか、オバマさんがサントリーホールで演説しました。重要な演説だったと思います。まあ、経済のところについて言えば、今後、アメリカが一生懸命消費をし、そしてアジアの輸出業者たちが一生懸命輸出して、それで経済がだんだん持ち上がっていくということはもうできないのだ、それがこれまでの教訓ですということを言って、これからはアメリカは貯蓄しなきゃならぬと思います、これからアメリカは一生懸命物をつくって売ろうと思っています、そしてアジアの国々の皆さん、どうぞ自分たちがこれまで驚異的な創造性と努力で培ってきたいろいろなものをもうちょっと自分の国内の生活の豊かさに使ったらどうでしょうということを言いました。

 私は、これは要すれば、アメリカは余りアジアの国々、日本も含めてアジアの国々からは買えませんよと。それから、皆さんの生活をもっとよくしたらどうですかということは、人民元高に追い込むという決意であると思います。

 このオバマさんの演説、それからもう一つ、どうも国際金融の世界であぶく銭がまだ膨れたまま漂っているんじゃないでしょうか。

 今から三十年前、サッチャーさんがあの改革をやり、そのときにフリードマンとかハイエクとか、こういういろいろな有名な学者さんたちが理論づけをして、それからマネー経済の世界に入っていきましたね。

 国民がこんなややこしい話を、物すごい勢いで本を買い、読み、NHKスペシャルでは、大変な取材の「マネー資本主義」という題だったと思いますが、それが、一時間物が三夜連続にわたって高視聴率をとっている。国民は必死にここを考えているんです。

 今度、菅さんがG7に行かれましたね。このアメリカの経済、余り物を買わないだろう。それから、世界にまだお金が漂って、その金が時にはドバイで事故を起こし、そしてあるときには、我々が専門の農作物の大豆とかトウモロコシにがんと行って市場を荒らし、そして九州の畜産農家が困る。こんな二つの要因、これをどう見られるか。

 菅さん、どうでしょう。この間行かれて、どういう感じがしましたか、どういう議論をされましたか。

菅国務大臣 まず、全般的な認識、そう違わないかと思いますが、まずは金融危機からスタートをして、その時点ではまだ日本への影響は小さいという見方もあったんですが、それが急激な、日本でいえば輸出の激減ということになり、それに加えて、我が国の場合はかなり長期に成長がとまっている中でデフレ状況が続いている、ここは他の国とも違う、より厳しい状況だ、こういうふうに認識をいたしております。

 G7の中での議論は、特にオバマ演説の金融規制については、多少、最終的な議長報告、議長の説明の中でも、私も申し上げたんですが、金融の状況については、国によっていろいろと違う立場といいましょうか、違う要素があるので、全部の国にこうしてほしいというような言い方については少し注意してほしいということを言いましたら、ガイトナー財務大臣も最終的には国の差を認めた発言をされております。

 そういうことで、いろいろと議論がありましたけれども、必ずしもすべてを表に出すということは控えようということで、議長声明、議長の報告では、先ほど申し上げた金融等についての話がありました。

 また、今ヨーロッパではやはりギリシャの問題が非常に議論されているということを非常に強く感じたところです。

加藤(紘)委員 まず、アメリカのオバマ演説が目指すところはだれでもわかるところで、そうだろうなと。日本と中国が一生懸命アメリカにお金を貸し、そしてアメリカが身分不相応な消費をするということで我々の経済も成り立つ。はっと気がついてみたら、十年前、我が国の輸出依存率はGNPの八%ぐらいでした、それが一八%になっていたんですね。ああ、こんなになっていたのかと。我々も競争力、競争力と言って、そしてある意味ではアメリカを食い物にしていたかもしれぬ。

 そして、中国について言えば、中国が一生懸命輸出しているものの、かなりの製品のブラックボックス部分は、日本経済の高度の技術によってつくられた部品が入っていっているわけだから、間接輸出なんですね。

 などなど考えると、アメリカが自分に分不相応、これを直さなきゃというのは正しい判断だと私は思います。そのかわり、物すごい苦しさをアメリカはこれから受ける。そして今、経済がいいように見えるけれども、住宅は昔に比べると、たしか四分の一に落ちている。こういう中で、アメリカの経済が日本から物を買えるだけの力を今後持つかどうかというのは、全くクエスチョンだと思います。

 問題は、もう一つの部分、国際金融におけるあぶく銭。あのサッチャーさんの三十年前のときから現在まで、ちょっと国際金融の中における金融資産が多くなっていると思いますね。この金融資産というのをどう考えるのか、私もよくわからぬのですが、マッキンゼーの調査とか僕が大変評価する水野和夫さんとか、それからもともとこの問題にかなり詳しく警告を鳴らしていた中前忠さん、こういうすぐれたエコノミストの感覚では、やはり実物経済と金融というのは余りかけ離れない方がいい。そうしないと、犬のしっぽ、つまり金融水膨れしたものが本体、飼い主を動かしてしまう、実物経済を混乱させてしまうという話なんです。

 今から三十年前、一九八〇年、世界のトータルGNPは十一兆ドルでした。そのときに、世界の金融資産は十二兆ドルと言われました。つまり、一%余計金があって、それがふわっと潤滑油に動いていくというのが正常なものだなと。

 ところが、リーマン・ブラザーズの前は、四十五兆ドルぐらいの世界のトータルGNPに対して百六十七兆ドル、つまり三倍の金があった。それの一番簡単なものがサブプライムですね。債権を証券化した。そして似たようなものが、いろいろな金融デリバティブズとか、だれもわけもわからないようなものがどんどんふえていって、そしてこれが世界の経済を混乱させたというのが、NHKスペシャルの最大のポイントなんですね。

 ですから、その状況が、この間のリーマン・ブラザーズの百年に一度の危機である程度おさまったのか、それともまだ漂っているのか。どなたか発言ありませんか。

菅国務大臣 冒頭の加藤さんの発言の中にも、いわゆるマネタリズムといいましょうか、つまりは、ケインズ流の経済から、貨幣ないしはそれに近い債権を膨張させる中で経済を引っ張っていこうという考え方がある時期主流になってきた。日本でも、ある意味、小泉・竹中路線というのはそれに近いものではなかったかと思っております。

 実は、今回、先ほどちょっと御報告した金融規制についてのオバマ演説でも、後の方のオバマ演説ですが、そのことも私、申し上げたのは、確かに今のアメリカの状況の中で、また報酬が過大になる等といったようなことで、リスクの高いそうした商品の扱いを規制しようというのは、それはそれでわからないではないけれども、実はその背景に、過剰流動性を生み出してそれをとめられない各国の金融経済政策が背景にある。それについてきちっとした対応が必要ではないかということもG7の場で申し上げました。

 今、具体的な数字を加藤さんは挙げられましたけれども、私は今でも、場合によっては先進国だけではなくて中国も含めて、そういう過剰流動性といった状況がかなり広がっている。ですから、そういった意味の警戒も必要だ、このように思っています。

加藤(紘)委員 今、G7の総括として何かちょっと矛盾してわからないところがあったんですが、いわゆる金融において銀行業務と証券業務を分けていた、それを一緒にした、過去三十年。それをもとに戻そうじゃないかというのは、私はある意味で、この強烈な過剰流動性で苦しんだ諸国の間では当然出てくる話で、そしてそれが一緒になって、証券にいるトップとかその中のチーフディーラーが出来高払いで高額なサラリーをとっていく、日本円でいえば三十億、五十億、そうなれば、それを規制するのは日本としてもいいことじゃないか、あなたたちの乱暴ろうぜきで我々苦労したんだから。

 とにかく、日本の銀行なんというのは、いろいろ言うけれども最高で一億円とっていないと思いますよ、ビッグ銀行で。向こうは三十億、五十億ですよ。なぜそうなるかというと、そうやれば個人がもうかるから。だから、今G7の最大のテーマは、一人の給料をそんなに多く払っていいか、払えるようなインセンティブを与えるような作業をさせていいのか。

 だから、亀井さんこそ金融大臣としてそれをしっかりやれと言わなきゃならぬ立場なのに、アメリカの言うとおりやっていられないねみたいな話をして、いわゆる世界の過剰流動性の発生の根源とその対応についてちょっと理解がないんじゃないんですか。短くお願いします。

亀井国務大臣 私は、オバマ大統領のこのたびの措置については評価をするというコメントを発表しているんです。

 ただ、日本においては日本の状況があるのであって、アメリカがやったと同じようなそうした規制を今やるというつもりはない、日本のことについてアメリカがどうこう言う前にアメリカ自身がしっかりやってくれ、これを私は言ったんですよ。もっと正確に質問してください。

加藤(紘)委員 答弁をもうちょっと正確にやってもらわなきゃなりません。でも、ちょっと時間がないですから。

 日銀の副総裁に来ていただいています。

 僕は、リーマン・ブラザーズ発生の一週間前、中国にいて、胡錦濤氏と一時間会談する場面があったんです。それで、当時、さっき言ったようなエコノミストから、これは危ないですよ、とんでもないことがこれからアメリカから来ますよと言われて、半信半疑だったんです。日本のこの問題を担当する、国際金融にウオッチしていなきゃならぬある局長、次長に言ったら、えっ、それは何のことですかと言われて、慌てました。そして、大蔵省全体でも、大変だよというメッセージは出ていなかった。あったとすれば、僕は日銀じゃないかなと思うんです、それぐらいの危機感を持っていたのは。

 そして、中国にいろいろ聞いたら、こういう専門的な、ちょっとオタクっぽい質問を胡錦濤さんにしなきゃならぬが、ブリーフィングペーパーを出しておいてくれと言ったら、みんなからわっとやられまして、それは今、中国の首脳部の最高勉強テーマで、毎日のようにそれに集中して勉強していますから、胡錦濤と十分議論してくださいと。そして、強烈な危機感を持って勉強していることがすぐわかりました。

 さあ、それは過ぎたことです。これから二番底が来るか来ないかというのは、これからもう一度、今、国際金融の世界が、そこから大波が来ないかどうか、そういう日本の国益を損なうような政策のミスでそういったものがもう一度来ないかどうかです。日銀の見解を聞きます。

山口参考人 お答えいたします。

 私ども、今年度から来年度にかけての日本経済の成長パスについては、一応持ち直しを続けるというふうに見ております。ただ、ことしの夏までがかなり厳しい状況だろうなと思っております。GDPの成長率で考えると、やはり前期比、そう大きな伸びが期待できない、場合によっては踊り場的な状況というような可能性もあろうかと思っておりますが、何とかそれを切り抜けていけば、来年度にかけて、そして再来年度にかけてしっかりした成長パスに戻っていくのではないか、かように期待しているというところでございます。

 先生御指摘のとおり、世界において、特にアメリカにおいては、企業もそれから消費者も含めてバランスシート調整をしなくちゃいかぬ、こういう状況にあることは事実でございます。したがって、その分だけアメリカの成長率というのは、やはり伸びが非常に低いというものにとどまる可能性は結構あるだろうなというふうに思っております。

 ただ、世界経済全体として見ますと、新興国の成長が思ったよりも強いということもありますので、世界経済全体としての成長スピードということでいえばそれなりの回復ペースを維持できる、かように思っているということでございます。

加藤(紘)委員 日本経済、マクロの歩みを最終的に責任を持つのは戦略担当大臣ですね。手短に、どう思われますか。あなたもかなり当初は、リーマン・ブラザーズの前は深刻な認識を持っていたように、物の本で読むと感じるんですが。

仙谷国務大臣 基本的にはアメリカの過剰消費構造の調整過程ということでございましょうから、多分十年ぐらいは、アメリカ経済は日本が陥ったような状況にならざるを得ない。特に、先ほど貯蓄の話をされましたが、消費から貯蓄へアメリカが変わらざるを得ない。その貯蓄というのは多分過半は借金返しに追われる、家計部門も借金返しに追われ、それから産業部門も借金返しの方が中心になるということなんだろうと思います。

 そういう中では、日本もアジアもそこに依存した、アメリカの消費とほとんど比例線を描いておった日本の輸出も当然のことながら厳しくならざるを得ない。日本はやはりアメリカに対しても、例えばファイナンスをつけてのエコフレンドリーなシステムを輸出していくというふうな戦略、つまり、オバマさんも多分アメリカの経済構造を、改めて投資を呼び込みながら、それも実体投資を呼び込みながら製造業あるいはもう一度インフラ整備というふうなところにかけていくんだろうと思いますので、そこに協調的な輸出といいましょうか提供をしなければならない、そんなふうに考えております。

加藤(紘)委員 リーマン・ブラザーズの後、金融からくる大変な世界経済不況になったわけですが、その中で、アメリカは日本のGNPの三倍の国、約百五十兆円ぐらいの対策、百六十兆円ぐらいのトータルの対策を打ったように思います。中国は我々にもうじき近づくかなと言われるぐらいの、四百五十兆円ぐらいのGNPかなと思うんですが、それでも四兆人民元、ですから、日本円にしますと約六十兆円ぐらいの手を打ちました。我が方も合計、細かいのはいっぱいあるんだけれども、財政措置としては四、五十兆ぐらい打ったんじゃないでしょうかね、我々の去年の第一次補正も入れますと。

 それで、一生懸命みんなやったけれども、ほかの国はそれなりに元気になっているんです。日本だけなっていない。なぜなんだろう。

 私は、政権交代で新たな政策をやるという皆さんの立場がかなり大きく影響したと思いますよ。例えば政府のデータでも、町村さんも茂木さんも、参議院で林さんも全部やりましたけれども、政府のデータで第一次補正を凍結したことによって〇・幾つかの差が出ちゃったということが出ていますね。これは何度も出ている数字だから、内閣府のデータです。その中で私は思うんだけれども、こだわり過ぎるんですよ。こだわり過ぎ。

 例えば百億の地域医療再生プロジェクト、私の地元に適用になりそうだといったら何が起こるか。みんなでうわっと、どこのゼネコンがとるんだろう、そのときにはダクトはどこに注文するんだろう、それから、床はどこに注文が出るんだろう、大手がとって地元は使わないんだろうか、いや、ガラスぐらいは地元から注文する。ガラス屋さんは事前に発注するんだそうですよ。だから、うわっと、やろうぜみたいなことになる、予算が通らなくても。ところが、それが、いざとなると、しゅんとあのとき縮こまっちゃった。それは愛知県でもそうだし、高知県でもそうだし、青森県でもそうだ。

 それで、菅さんに聞きますけれども、大きな六階建ての病院をつくることはいいですか、悪いですか。その地域が本当にMRIでも入れるようないい病院をつくりたいと思っているときに、それは箱物ですか、コンクリート物ですか。

菅国務大臣 病院をつくること、それが非常に大きなニーズがあってつくることは、それは当然やるべきときにはやるべきだ。単純に箱物とか箱物でないというよりも、特に医療の場合は、医療サービスというところの問題も大きいわけですから。

 あえてちょっと言いますと、これはこの後の質問になるのかもしれませんが、政権交代になる前から私もそちらの席で大分質問しましたが、リーマン・ブラザーズ以降、財政出動が必要だという点では、私たちも同感でありました。ですから、一次補正は確かに約三兆円凍結しましたが、その後、二次補正で七兆二千億の、事業規模二十四兆円のものを出しましたし、今審議いただいている来年度予算も、決して昨年の予算に比べて、規模においてそんなに縮んだものにはなっておりません。今のこの緊急状態では財政出動は必要だと思っています。

 ただ、そのことと、中長期に、なぜこれまで日本が二十年間経済成長がとまって、しかも八百兆を超えるような国、地方の赤字がたまったかという問題も見通した中で、歳出の中身を変えるという最初の仕事が一次補正の見直し。つまりは、コンクリートから人へ。しかも、そのコンクリートも、今おっしゃったような医療機関ならいいんですけれども、全国に九十幾つもの飛行場をつくったり、本州―四国に橋を三本建ててほとんど車が通らなかったり、そういうものが長期的には経済的な効果が薄かったという認識の中で、規模は維持したけれども中身を変える第一歩が一次補正の凍結だった、私はこのように見ています。

加藤(紘)委員 青年の菅さんがすい星のごとく登場されて、公共事業はだめだと。何か天野さんという女性活動家がいて、説いて回った。(発言する者あり)そう、天野礼子さんといったかな。そのときから菅さんの議論は変わっていないんじゃないんですか、三十年。

 鳩山さんにお聞きします。

 今、国費で、公共事業関係費と社会保障費、どっちが多いですか。

鳩山内閣総理大臣 それは、はるかに社会保障費の方が多くなっています。

加藤(紘)委員 はるかに。さすがに総理だけあって、認識していますね。

 では、もう一回質問を変えます。

 公共事業のピークというのが何年ごろだったか、そして今、その何割ぐらいまで落ちているか。

鳩山内閣総理大臣 これはもう、自民党中心の内閣でも公共事業費はこの十年ぐらい下がり続けておりますから、多分十年ぐらい前、あるいは十年以上前がピークではなかったか、そのころからすると半分ぐらいに減っているのではないか、そのように思います。

加藤(紘)委員 なかなか正確な認識で、菅さんがおっしゃっておるのと、目指すところと違っておるんですね。

 この間、本予算を審議するときに、本会議でうちの谷垣総裁が、ピークのときに比べると今半減しているんです、こういう演説をしたんです。公共事業費は、ピークのときには、あのとき十二兆かな、十三兆かな、今六兆、七兆に落ちているんですと言ったら、変なことに僕は気づいたんですよ。それまでうわっとやじっていた民主党の一年生席、きょうも似たようなものですけれども、これがしいんとしたんです。しいんとしたんです。えっ、半分まで下がっていたのかということだと思いますよ。恐らく、多分みんなわかっていないんだろうと思う。

 いいですか。一番多いのが、多分平成十年前後ですね。今六兆、七兆ぐらいのところまで来ています。一方、社会保障関係費は、当初は十五兆でした。それが、本年度は二十四、五兆になっていますね。本年度二十七兆じゃないでしょうか。

 菅さん、ことしの当初予算、今提案いただいているものは、皆さんがつくったからこうなったと言うでしょう。二十一年度で公共事業関連国費と社会保障関係費は何対何になっていますか。

菅国務大臣 平成二十一年度で社会保障関係が大体二十五兆円でありまして、公共事業関係が七兆ですから、三分の一から四分の一というところでしょうか。

加藤(紘)委員 ですから、菅さん、もうコンクリートから人へというのは終わっているんです。かなり進んでいるんです。それが当初の半分以下になっていたと聞いて、しいんと静まり返ったあの本会議の雰囲気。私は、事実に基づいてこれをしなきゃいけない。

 私がなぜこんなことを言っているかというと、我々も、いざというときには公共事業で景気刺激を発動しなきゃならぬときが来るから、一般のときには公共事業費を落としておこうと必死の努力で半減させているんですよ。だから、百年に一遍のときには公共事業で景気刺激してもいいようにしてあるんです、百年の計で。それを、あくまでも、すべてのコンクリートでつくった七階建ての病院、これを箱物、コンクリート物なぞという、それで全部ストップしましたね。これが私は大きな問題で、こだわりを捨てて、この国の経済の二番底に備えなければならないということを申し上げておきたいと思います。

 そして、公共事業による建設国債の発行の金額と、それから、いわゆる一般の社会保障や人件費なんかに使う赤字公債の発行の数字は、もう最近では、建設国債の発行残高、自民党時代のツケとあなたがおっしゃるものは、いわゆる特例公債、社会保障関係費に使うお金の残高よりも下がり始めているというこの事実をよくおわかりいただきたいと思います。

 最後に、私は農業のことに一言触れます。

 お米は、日本ではかなり自給はありますね。その次に、自給率向上のために必要な穀物は何でしょうか。大豆でしょうか、麦でしょうか、えさ用の穀物でしょうか。それとも、最近我々がよく言っている、米粉でのパンをつくる米粉用の米なんでしょうか。それは農林大臣に聞いても、正式の、何か役所答弁になりますから、それこそ亀井さん、一言で言ってください。お米の次に日本人がどうしてもつくっておかなきゃならぬ穀物は何でしょうか。

鹿野委員長 農林水産大臣。(加藤(紘)委員「いや、聞いていません。要求していない」と呼ぶ)お座りください。(加藤(紘)委員「答弁はわかっているから。はい、亀井さん」と呼ぶ)

 亀井大臣。

亀井国務大臣 当てていただきたいときには当てていただけませんで、急に当てていただきましたが。

 私は、農は国の基本だと考え……(加藤(紘)委員「答えだけ」と呼ぶ)あなた、聞くだけ聞いておいて、そんな失礼なこと言うもんじゃない。米はまさにその基幹産業でありますけれども、しかし同時に、大豆を初め野菜等、多くのそうした農産物が国民生活にとって基幹的な産業だ、私はこのように考えております。

加藤(紘)委員 総理大臣、今四つ挙げた中で何が大事だと思われますか。

鳩山内閣総理大臣 私は、米はやはり主食ですから一番大事であると思っております。大豆、小麦、どちらを優劣するかという話は、私は必ずしも適当ではないと思っております。すべて大事で、大豆も小麦も、あるいは飼料用作物、すべて大変重要な作物ではないかと思いますが、それぞれ大変自給率が下がっているということは大変大きな問題だと思います。

加藤(紘)委員 外務大臣、どう思われますか。

岡田国務大臣 今の答弁にもかかわりますが、何が一番いいかというのは非常に難しい。米の後、大豆も大事ですし、小麦も大事だと思います。

加藤(紘)委員 非常にナチュラルな、いい答弁だなと思いますね。大体どうも大豆じゃないかなと思うんだが、それを言い切っちゃうと後で笑われるかもしれぬから、ほかでも何だかんだとおっしゃっているんです。

 私は、大豆だと思います。納豆、豆腐だけじゃなくて、みそ、しょうゆ、これは日本人にとって絶対に必要なものですから。その大豆の自給率は、今たった七%なんです。ほとんどアメリカです。アメリカが不作すると、日本でみそ汁を飲めないような状況になっています。ですから、今、農政の中心は、お米はみんなつくりたがるし、そしてなれているし技術もある、だから、自給率七%で、なおかつ最も必要な大豆に向けることなんですね。

 民主党の農政、いろいろやっておられたけれども、今度のときまでは、菅さんとか筒井さんとか平野さんとか篠原さんとか、こういうところは全部それでいくべきだと言っていて、最近、民主党農政、菅さんから始まったらしいんだが、なかなかいいなと思って見ていたんです。ところが今度、小沢さんの農政ですよね、戸別所得補償方式というのは。それで農家に、お米を重視し始めた。一反歩一万五千円つけるようにした。

 私は米どころですから、いいなと思いますよ。ただ、もう何ぼつくってもペナルティーかけないということにしたから、多分、過剰生産になると思います。ですから、今もう既に米の市場で暴落し始めていまして、そして政府がいろいろなことをやっても、お米の値段は、一回下がったものはもとに戻らぬというようなところまで来かねないと思う。

 そして、佐賀県は、我々は大豆に特化しますよ、新潟の人、お米の減反を引き受けてあげるから、一反歩一万五千円つけて頼んでいらっしゃいということを去年、おととしやっていたのが、ことしだめになりましたね、県間調整。それはもう本当に、農政の基本で芽生え始めたいいものを崩しました。

 農村の現場はめちゃくちゃに混乱している。小沢さんに全部、農政の基本までこれでいけと言われてやるような農政は真っ平でありまして、この点については、あした、我が方の宮腰農林部会長が一時間ここでしっかりとやりますから、聞いてほしい。

 それで、最後に……(鳩山内閣総理大臣「委員長」と呼ぶ)答弁なんというのはもうわかっていますから聞きません。

 我々、最後に申し上げます。

 私は、今冒頭、小沢さんの問題も言いましたけれども、民主党の体質というのは、一人の人が全部握っている、そして、それによって政策の議論もできなくなっている。私は、これは小選挙区制度を導入するときに、いい点もあるよと。しかし、最もだめなのは公認権とそれに伴う選挙資金の分配権、おたくの場合だと二百億の公的資金を一人の人が握る、必ずこれは独裁になると言われていました。そして、それがもう既にいろいろなところにあらわれ始めているんじゃないでしょうかね。やはり、選挙制度を直すときにみんな言われたことを思い返してみましょう。

 我々は、自民党時代、いろいろなことがあって、それが自浄作用、あるときにはこれは派閥抗争、党内の足引っ張りなどと書かれたけれども、それによって、だめな人、国民の支持を受けない人は落ちるような仕組みになっていたんです。ところが、今、それはどんなことがあっても続いていく。

 やはり、日本の民主主義を本当に壊してしまうのは、こうやって一生懸命やじるしか自己主張の場がない民主党党内の体質にあるんじゃないかということを申し上げて、終わります。

鹿野委員長 この際、野田毅君から関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野田毅君。

野田(毅)委員 この予算委員会、大事な予算を審議する場なんですけれども、悲しいことに、いつもそれに先立って、鳩山総理なり小沢幹事長の疑惑問題をまずはまくら言葉のように言わなきゃならぬ。本当に悲しいことだし、国民もうんざりしていることだ。だからといって、うやむやにしていいということではないので、やはりきちんとけじめをつけるということが必要だと思うんです。

 そこで、今、加藤さんと総理のやりとりの中で、あれっと思う一言があったんですね。それは、母上からの資金提供について、贈与ということにさせていただいたという言葉を発せられた。ということは、贈与でなかったということも可能性としてあるということだ。これは、事後的に事実関係を操作できるということにつながるのではないか。

 もし本当に贈与であったなら、母上は、息子由紀夫よりも秘書の方をより信頼していたということになるんだ。だって、そうでしょう。贈与の実行というのは家族の中です。しかも、子供のころの贈与じゃなくて、総理になられる直前、七年間、最近の話だ。これを、本当に贈与だったら知らないわけがない。

 ただ、総理が、知らなかった、天地神明に誓って知らないとおっしゃった。うん、そうかもしれない。私もそう思うんだ。なぜだ。贈与ではなかったからなんだ。もし贈与だったら、知らないわけがない。では、何だ。それは、政治団体に対する政治資金としての寄附行為であったということではないか。

 なぜ、寄附行為でなくて贈与という形をとらざるを得ないか。それは、贈与の場合は、贈与をした母上の方はおとがめなしなんだ。贈与を受けた方が贈与税を納めるということになる。脱税をしたのは、贈与を受けた側が脱税をしたことになるんです。もし、贈与ではなくて政治資金の寄附限度オーバーであったということであれば、寄附をした側も罪を問われるんですよ。禁錮もしくは罰金だ。しかも、限度を超えたお金は全額没収だ。足りない場合は追徴金です。

 これは、私は検察も入ってのお取り調べであったかどうかよくわかりませんが、いずれにしても、事実行為が行われた後になって、どっちの経路を選ぶことにするかという選択をされたことになる。もし一般人がその立場であったら、その選択の余地はゼロであります。

 総理大臣というのは、税務執行機関の最高責任者なんですよ。一民間人とは違うんだ。一国会議員でもないんです。現場の税務職員の、現場の長は国税庁長官だ。その上は財務大臣だ。その上は総理大臣なんですよ。国家行政の最高責任者だ。この最高責任者が、贈与に関して幾らおっしゃっても、少なくとも期限後申告をし、少なくとも、知らなかったとはいえ脱税したことは間違いない。でなければ、期限後申告なんかするわけないじゃないか。(発言する者あり)何やじっているんですか。もしこのことが問題にならなければ、期限後申告さえしなかったんじゃないですか。

 私は、この点について、もし総理がみずから恥の心を持っているなら、とてもじゃないが、今この時点で、確定申告を前にして、国民の皆さんに適正な申告を呼びかけるという立場には座っておれないんじゃないかと思うんだけれども、この点についてまずひとつ総理自身が答えてください。

鳩山内閣総理大臣 野田委員にお答えを申し上げたいと存じます。

 これは、恥の気持ちがないわけはありません。結果としてこのようなことが起きていたということはまことに恥ずかしいことだ、そのように思っております。

 私の母からの資金提供に関して、先ほど、私が選択をしたようにお話をされましたけれども、そうではありません。

 そうではなくて、これは、検察の捜査、そして勝場の弁護士と私の弁護士との間の話の中で事実関係が明らかになり、そして検察の捜査の中で判明をして、それならば私が全く知らなかったことであるわけですから貸し借りのような話であるわけがない、ならばどう扱うのが適正だという判断を、検察の話の中で事実が明らかになったものですから、弁護士間の話の中で、贈与だとみなすのが適当ではないか、そのように判断をして、ですから私は、そのようにみなされたということで贈与税を申告して払ったということでございます。私が選択をして、みなしにしよう、みなし贈与だというふうに判断をしたわけではありません。

 そして、最終的には当然これを判断するのは国税だ、そのように思っておりますから、国税がそのことを最終的にどのように判断をするか。

 私としては、国民の皆さんにこのような事実が判明をして、全く知らなかったとはいえ、しかし、何もそのままでおいてはいかぬだろうと。これは、母からの資金提供を私が受けたならば、贈与とみなして申告を、贈与税だとするのがそのときにおいて最も適正だと判断されたと理解をして、そのような行為を行ったのでございます。

野田(毅)委員 まだ税務当局はそれに対して税務調査をどこまでやったかどうかよくわかりませんが、個別案件ですから、ここで国税庁を呼んでも答えられるわけがないので、きょうは呼びませんでした。

 ただ、私も若いころ、国税庁の資産税課の課長補佐をしていたんですよ。現場の一線の相続税、贈与税調査の指導をしていたんだ。その感覚からすれば、この種の問題を、だってその額が本当にそれが適正であったか、あるいはもっとたくさんもらっていたかもしれないじゃないですか。だって、総理が幾らか御存じないんだから。そうでしょう。

 だったら、法のもとの平等においてしっかりとこれから税務調査を徹底してやってもらうということを、これは菅大臣、あなたは国税庁長官のさらに親分ですから、ぜひ指導してくださいよ。

菅国務大臣 御承知のように、歴代財務大臣や大蔵大臣、国税庁長官とは余り会ったりしないという慣例があるようでありまして、私もお会いをしておりませんし、また、この問題で個別に話したことは一切ありません。

 ただ、一般的にはもちろん税において適正かつ公平な扱いがなされるべきだ、私はそのように考えております。

野田(毅)委員 もうこの問題で余り時間をとりたくないんですがね。

 ただ、法務大臣、あなたは横を向いているけれども、今また総理が、検察の捜査で贈与とみなしていただいた、私がみなしたのではないとおっしゃったんだ。おかしいじゃないですか。検察も一緒になってそういうことをやるんですか。

 私は、この点、場合によってはこの問題で、おどろおどろしい言葉ではあるが、事実上、さっき加藤さんから御指摘があったけれども、現職の総理大臣を訴追しようという場合には、少なくとも通常の場合とは違う手続に入らなきゃならない、このことの制約があるから、あえて本来の筋道を横道に分けてしまった、そういう実行行為の後の法の適用を変えちゃったんじゃないのか、この疑惑は、国民の法のもとの平等からしてどう思いますか。答えてください。

千葉国務大臣 検察については、公平公正に、そして法と証拠に基づいて捜査をいたしていると私は承知をしておりますし、そう確信をいたしております。

 その上で、捜査について、捜査の過程で明らかになったことについてはきちっと立件をしたと承知をいたしております。

野田(毅)委員 この問題は、またどうせいずれ集中審議があるでしょうから、その際に譲って、もう時間がだんだん押してまいりますから、予算の問題点に移りたいと思います。

 私は、今度の予算の問題点は大きく分ければ四つほどあるのかな、そう思います。

 一つは、何といってもこの予算編成、これは政治主導ということで言われておりますが、一体その政治主導の実態とはどういうことなのか。まさに露骨きわまりない党利党略予算であったんじゃないか。そして、透明度を一〇〇%からスタートして、結論においては透明度ゼロの予算決定ではなかったのか。

 二つ目。それは、これだけ経済が悲鳴を上げている、こういう状況の中で、これまでいろいろ我が党の質問者から指摘をされてまいりましたけれども、当面の経済対策はおろか、中長期にわたる経済再建への具体的なシナリオ、そしてそれに対して今度の予算がどのように具体的なその改善への道筋を示しているかということについて、できていない。むしろデフレを加速するような結果を招いているんじゃないか。

 三つ目。コンクリートから人へという合い言葉、これは理念じゃないね、この合い言葉のもとに、結果において、本当に必要な、今や人の命を守るための、例えば学校の校舎の耐震化の問題であったり、あるいは災害においては最も必要なのは病院の耐震化を急ぐということだ、あるいは、いわゆる津波あるいは高潮、そういった自然災害をどうやって未然に防止していくか、こういった予算、まさに国民の命を守っていこうという大事な予算について、コンクリートから人へというその合い言葉のもとに今回はばさっと削っている。一体これはどういうことなのか。

 あるいは、最大の問題は、実は先ほども御指摘がありましたが、これからさらに少子化、高齢化が加速していく、さなきだに大変な財政赤字を抱えている。ヨーロッパ、アメリカにおいても、今や出口戦略を一生懸命模索しようとしている。そういう中で、我が国の今回のこの予算は、財政健全化への道筋はない。本来なら中期財政のフレームが同時に示されるはずだ。それを怠っている。だからこそ、国債の格付がネガティブに変更されようとしている。

 そういう意味で、今回の予算は、特に、まだコンクリートは事業ごとで終われば終わりです、しかし、子ども手当やその他のばらまきの予算は恒常的に出さなきゃならぬわけだから、恒久財源の裏づけなしにそういったばらまきをやるということは、財政悪化を加速する予算であるということをまず冒頭申し上げておきたいと思うんです。

 そこで、順次これについて展開をしてまいりたいと思うんです。

 まず、いろいろ経緯がありますけれども、事業仕分けというのはすごく楽しませてくれましたね。そこで、最初はマスコミフルオープン、野球でいえば、一回、二回までは本当にみんな熱中したんだ。しかし、だんだんだんだん途中からおかしくなって、実況中継なしだ。そのうちに、小沢さんが中国から帰ってくるまで、税制改正大綱も予定の時期より何回か延期になりました。決定できない。結局、最後の仕分けはだれがやったんだ。密室よりもひどい、唯一最大の仕分け人だ。ひとり仕分けしちゃったんだ。

 では、それはなぜそういうことを言うか。総理がガソリン税の暫定税率を直前まで、その日の前まで国民との誓約だと言っていたじゃないですか。それが一夜にしてころっと変わっちゃった。あとはおわびをするだけになっています。これは小沢さんが決定権を持っていたということに尽きるということじゃないですか。

 あるいは、そのほかの、今度の歳出問題についても、先日の資料提供の問題にしても、あの資料を民主党の地方県連に提示してこの国会に提示できないという、どうもこれの決定を決めたのは小沢さんの意向があるからという話まで伝わってきている。それは真偽は知りませんよ、真偽は知りませんが、少なくとも今度の予算編成の政治主導ということの実態は、まさに大事なところは全部小沢さんが決めているんだ。

 農業予算でもそうだ。土地改良、なぜ減らされたか。その小沢仕分けの価値基準は何だ。まさに、参議院選挙で役に立つか、応援するか、このことが公然と伝わっているじゃないですか。こういった、まさに参議院選挙を前提にして、それを仕分けの基準にして、そして今度の選挙で独裁を目指していこうとするこのやり方が、鳩山総理、やはりあなたの政治理念に合うんですか。そもそも、政策は政府に一元化するということを公約していたじゃないですか。今回、小沢さんが仕切っているじゃないですか。

 このことについて、どうなんですか。あなたは、小沢さんの言うことに逆らって決定した予算がありますか。具体的に教えてください。

鳩山内閣総理大臣 野田委員は徹底してそのようなイメージをおつくりになろうとされておると思いますが、現実はそうではありません。

 現実問題で申し上げれば、政府が、私どもが一元的に政策、すなわち予算も税制においても、最初から最後まで責任を持って、しかもそのことを国民の皆さんにできるだけわかりやすく明らかにするようにオープンで行ってきた。これは今までの政権とまるで違うところだ、そのように考えているところでございます。

 そもそも私たちは、予算というものを、国家戦略室で骨格をつくり、そして政務三役を初めとする方々が中心となってそれぞれの役所、むしろ、今までは役人がある意味でのリーダーシップで最終的に決めて、形だけ何らか大臣が手を施したように見えるようにされたかもしれませんが、今回は最初から最後まで政治家が予算づくりを行ってきた。税制に関しても、何十回も、国民の皆様方にも見えるような形で議論を行った。そのことは、私は、全く今までの政権ではできなかったことだ、そのように確信を持って申し上げたい。

 そして、暫定税率の話が盛んに出ておりますけれども、その暫定税率、自分の考えはいろいろありました、確かにありました。そして、暫定税率は結果として廃止という形にはなった。

 しかし、その税率をどうするかという議論の中で、これは、財務大臣、あるいは財務大臣のもとで働いておられる政務三役と盛んに私も議論をいたしました。財政が大変に厳しい、そして環境問題もある、かつては高かったガソリンの値段も今は落ちついている、さまざまな状況のある中で、ここは非常に難しいぞという議論を最後の最後まで、これは私の官邸の中で議論を行っていたところであります。むしろ、そういう議論の中に、党の方からの、予算のこういうさまざまな議論、国民の皆様方から伺ったさまざまな御提案をいただいた、その議論も踏まえて最終的に私のもとで暫定税率も含めて決めさせていただいた。

 これが実態でございまして、何も一人の人物が大きくクローズアップされて、そのもとで決めた予算であり税制であるということでは全くないということも国民の皆さん方にも知っていただきたい、そのように思います。

野田(毅)委員 まことに白々しいお話を聞いて、残念です。もう既に今までのことは報道の中で逐一されておりますから、ここでああだこうだというやりとりで時間をつぶしたくはありません。

 そこで、その次に移りますけれども、実は、経済との関係なんですけれども、経済との関係でいえば、先ほども加藤さんからもお話があったんですが、公共事業、これはもう十年前から随分減らしてきているという話がございましたね。

 そこで、このパネルを見ていただくと、右端を見てもらうといいと思うんですね。お手元にあると思うんですが、この右端は、二十二年度予算に基づく政府の経済見通しなんですよ。この表はいろいろなことを含意しております。

 二十二年度、GDPの、これは名目です、この伸びに対して、公共事業というのはどこに表現されるか。下の方です。政府投資です。政府投資は、公共事業だけではなくて、例えば小中学校の校舎の改築、そういった、国、地方あるいは政府関係機関、そういったものがここのところに表現されます。これがどうなっていますか、来年。これだけ大幅な落ち込みになっているんだ。このことが内需を下げて、GDPにマイナス寄与になっているんだ。

 このことについて、菅さん、どう評価されますか。

仙谷国務大臣 先ほどから、野田先生ともあろうお方が何とか陰謀説に基づくような一方的な展開をされておりますので、これは先生、やはり、報道のつくったプロットとか何とか陰謀論は、わかりやすいですけれども、これは決して実態とは違うということで国会では議論をしていただきたいと思います。

 そして、まず、私もこの名目の数値をずっとこの間重視してきたわけでありますが、しかし、このていたらくとは一体何なんだと、これは先生と同じように深刻な危機感を持って見ております。ただ、この間の経済運営をなさったのは、これは基本的に自民党、公明党の政治であったということもまた間違いがないわけであります。

 それから、先ほどの病院の投資の話もございましたが、私、ずっと考えまして、この間やはり箱をつくってシステムなしというふうな、例えば、医療提供体制の方がぼろぼろになっているのに立派な病院を箱物としてつくっても、その立派な病院の中に診療科がなくなっていくという事態をどうするのか。こちらの手当ての方が重要だというのが、我々のコンクリートから人への医療における政策です。そのためには、診療報酬でここをちゃんとしなければそういうふうにならない、そういう解釈であります。

野田(毅)委員 こちらの時間がだんだん制約されるから、答弁で時間をとられたくない。いずれそのことに話は行きますから。

 だから、今私が問題にしているのは、過去のどうのこうのじゃないんだ。来年度の予算と来年度の政府の経済見通しの中で具体的な数字であらわれているじゃないか、このことを確認するのが大事じゃないですか。そうでしょう。それを過去の話に話をすりかえちゃだめですよ。そんなことを言ったからといって、免責の話じゃないんです、責任がどうとかこうとか言っている話じゃないんだから。いいですか。物事を正確に現状把握して進めなければ経済政策は成り立たないんですね。(発言する者あり)ちょっとやじがうるさいね、あなた方。

 ついでに言えば、先ほど加藤さんからも話があったんだけれども、この表を見ていただくと、最初の、下の方の政府投資。これは一九九五年からの数字を出しておりますね。このころに比べて、ずっと右へ行ってごらんなさい、全部三角でしょうが。まさに、コンクリートから人へということがここにあらわされているんですよ。このことがGDPにどういう形に反映しているかというのが上の数字だ。

 ただ、この中で注目してもらいたい。一番下に静かに書いてあるんだけれども、内閣が括弧してあるんだ。(発言する者あり)やじっている人、よく見なさい。村山内閣、橋本内閣、このときに鳩山さんも菅さんも前原さんも、みんな与党だったじゃないか。

 だから、私はそんなことを責めようとも何とも思わないんだ。今日までこれだけの財政悪化を積み重ねてくる中の一つに、公共事業が第一の道で、今はそうじゃないんだということを一生懸命力説するから、決してそうじゃないよ、もう既にコンクリートから人へのこの流れは早くからやっているんだ、今さら民主党の売りじゃないんだよ、このことだけは確認をまずはしておきたい。

 菅さん、どうですか。

菅国務大臣 まず、先ほどのを簡単に申し上げますと、ここにもありますように、実質成長率は来年、名目では〇・四ですが、一・四。公需の寄与率はマイナス〇・二、民需がプラス一・三で、外需がプラス〇・四で、結果として一・四ということです。

 それから、今話をされました、確かに、公共事業といいましょうか政府投資がこの間減っていることは事実です。しかし、残念ながら、この間は、もう少し前からですが、GDPが実質的に余り伸びていない。そして、何が起きているかというと、税収が非常に下がっているという大きな傾向があります。

 その意味で、余り長い時間をとっては申しわけありませんが、単年度のGDP、例えば来年のGDPにプラスになるならないという議論が多いんですけれども、よく国交大臣が言われるように、九十七も飛行場をつくり、三本も本四架橋をつくり、そういうものの効果というのは、単年度でいうと単なる建設費の効果しか出ないんです。しかし、長期で見れば、私が高校のときにできた東京―大阪の新幹線、四千億ですけれども、多分、これは何十倍も経済効果を生み出している。

 そういう長い目での経済効果を生み出さない公共事業がとめられなかったのはなぜかというところ、私は、それが政治のリーダーシップの欠如だ、こう思っています。

野田(毅)委員 もう耳についてきたの。それで、もういいかげん、そういう街頭演説的な言い方はやめてもらいたい。九十七の空港とばかり鬼の首をとったようにおっしゃるんだけれども、では、一体何年かけてそれだけやってきたのか。それぞれの空港について、一件一件、経済的な、今日までの果たしてきた寄与度について検証したことはありますか。そんな感覚的なことだけでやっちゃだめだよ。

 それは、少なくとも単なるBバイCの話じゃないんです。特に地方に住む人間にとって、地域に企業誘致をしようと思うなら、当然、社会資本整備が大前提じゃないですか。その大前提をまるで否定するかのごとき、やはりあなたは東京の選挙区だからね。そんな話じゃないはずだ。私は、そういう思い上がった、目線が上にあって地方を下に見ているような公共事業無駄論というのは、鳩山さん、この内閣の本当の気持ちなんですか。どうなんですか。

鳩山内閣総理大臣 私たちは、野田委員が今お話しされました発想とはまるで逆でございまして、むしろ国よりも地域の方を大事にしたい、そのように思っておりまして、そのための交付税の措置なども当面の措置としては行っておりますが、国と地域のあり方というものを抜本的に変えるということをやらなければこの国はもたないと思っているんです。

 私たちは、今さまざまな、国債のお話もありました、借金のお話もありました、そういう問題を最終的に変えて解決をしていくには、国と地域のあり方を、地域のことは補完性の原理に基づいて極力地域で行うことができるような世の中に変えていくしかない、そのように思っています。当面の公共事業の議論というのはそこにあると思います。

 必要な公共事業は、これからもやはり我々としても、インフラ整備が重要なところはあります。地域の疲弊というものをやはり何としても救わなきゃならないという思いもあります。そういうことも当面行っていきながら、しかし、長期的な視野に基づいた国と地域のあり方というものを抜本的に解決して変えるということを連立政権は考えておりまして、その思いだけはぜひ地域の皆さん、信じていただきたい、そのように考えています。

野田(毅)委員 思いは皆一緒なんですよ。日本人で東京と地方が格差が広がっていいとだれも思っていない、そんなことは当たり前の話です。

 ただ、つい先日発表された中で、これは共同通信のアンケートです。地域企業アンケート、これはごらんになったかどうかわかりませんが、地域の中小企業相手ですが、少なくとも現在の地元の景気が、これは東京、大阪、愛知などは除いておる、ほかの地域が対象ですが、日本全体と比べて地元の景気はどうか。よいと、どちらかといえばよいというのが四だけです。それに対して、どちらかといえば悪い、悪い、両方合わせて九十です。

 その次、今度の鳩山政権の予算についてどう思うか。評価しない、これが評価するよりも圧倒的に多い。どちらかといえば評価しない、評価しない、両方合わせたら百ぐらいある。それに対して、評価する、あるいはどちらかといえば評価するが十六ぐらいだ。その評価しない理由はなぜか。成長戦略が不透明である、家計支援策がばらまき的だ、公共事業削減が地方経済に打撃である、こういうことになっています。

 さらに、公共事業を削減する今年度の予算案の地元への影響について問うております。第一に多いのは、雇用減に伴う消費低迷で打撃を受ける、圧倒的に、これは九十あります、複数選択ですが。二番目は、公共事業に依存しない経済へのシフトが進むだろう。そして三番目は、インフラ整備がおくれて住民生活に支障が出る。

 こういったことが具体的に、私が言っているんじゃないんですよ、やはり地方それぞれの経済、一生懸命、命がけで自分の企業の生き残りをかけて、雇用を守るために頑張っている人たちだ。この生数字をもっと謙虚に受けとめるべきじゃないですか。

 そういう、スローガンとか理念か何かわからぬが、コンクリートから人へというだけで、今度の予算のように、公共事業を一八%削って喜んでいるような国が、一体、世界じゅうどこにありますか。そのことによってどれだけ打撃を与えることになっているかということを、私は、深刻に受けとめてもらわにゃいかぬと。(発言する者あり)

 くだらぬやじにこたえるなというメモが入っておりますから言いませんが、少なくとも、そういう中で、日銀にも来てもらっておりますが、現在の経済状況、いよいよ我々がつくった昨年の補正予算の効果も夏ごろには切れます。さて、その先どうなるんだろう。

 まさに、建設業もさることながら、地方の経済が、あるいは雇用が相当打撃を受けるだろうと予想されております。この点について、日銀はどういうふうなデフレとの戦いをやっていこうというのか、考えを聞かせてください。

山口参考人 お答えいたします。

 まず、私どもの経済見通しですけれども、先ほども御説明したところでありますが、二〇一〇年度につきましては、プラスの成長を予想しております。二〇一一年度については、もう少し成長率が高まるだろうというふうに思っております。

 確かに、来年度半ばといいますか、ことしの夏までというのは、景気の状態は結構厳しい状況が続くだろうと思っておりますが、そこを何とか乗り越えながら二〇一一年度の比較的高い成長へ結びつけていけるのではないか、このように思っておるところであります。

 そうしたことを実現するために日本銀行としてはどのようなことを考えているかということでありますが、デフレにつきましては、やはり二つのことが重要だと思っております。一つは、基本的に、供給が需要を上回る状態でありますので、これを何とかしなくちゃいかぬということであります。それからもう一つは、物価についての家計の見方あるいは企業の見方というのが下振れることがないようにするということがもう一つ重要なことであります。

 私どもとしては、需要が少しでも伸びるように、金融政策面からの対応というのを、昨年末、手を打ちました。それから、物価につきましても、私どもはマイナスの物価を許容しているわけではないということを、はっきりと昨年の政策決定会合後のステートメントで公表したところであります。

 これらの措置が相まって日本経済が持続的な成長経路に早く戻ることを期待している、こういうことでございます。

野田(毅)委員 今非常に大事なことをおっしゃったんですね。物価ということだけでデフレをとらえるということであれば、金融量の問題だけで何とかなるかもしれない。しかし、本質は、やはり需給が崩れておるということだ。このデフレギャップをどうとらえて、それをどのような手順で、道筋で乗り越えていくかということがあわせて出てこなければ、これはできるわけがないんですよ。だから、財政政策というのは、まさにそういったことを頭に置いて運用されなきゃいかぬのですよ。そういう点では、亀井さんが一生懸命言っていたけれども、あれは決して間違ってはいないんですよ。

 だから、やはり今度の予算で、私は、本当にこのコンクリートから人へというもとに、いかに現実にデフレギャップがこれだけある中でそれをたたいているのかということを、その問題点をもう少し真剣に組みとめてもらわなきゃならぬと思うんだけれども、今現在、菅さんは、そのデフレギャップはどれぐらいと認識していますか。

菅国務大臣 一般的には七%、三十五兆円程度と認識しています。

 その上で、先ほど加藤議員の方にも答弁しましたが、私たちは、野党の時代から、リーマン・ショック後の財政出動の規模について反対したことはありません。そして来年度の予算も、ごらんになってわかるように、当初予算でいえば、麻生内閣の当初予算よりもかなり大きな規模になっております。中身が問題だということではいろいろと申し上げました。

 余り長くならないように簡単に言えば、私は、先ほど野田さんが言われた中で、時間の長さの置き方が少し違っていると思うんです。

 例えば、地方の飛行場のことを言われました。確かにたくさんの工事を地方でやることによって、逆に東京と地方の格差は縮まったんですよ。しかし、長期的な投資効果はなかったんです。ですから、福祉政策だったと見た方がより適切だと私は思うんです。

 私は、田舎で生まれて十七年間田舎で育っていますから、別に東京のことだけ考えているわけじゃありません。ただ、残念ながら、一九八〇年代以降の公共事業は、まさに選択と集中が行われなかったために、そういう意味での無駄、つまりは、格差を是正する意味ではプラスになったかもしれないけれども、GDPを大きく引き上げていく成長戦略に日本を持っていくのでは効果は薄かったということを申し上げているんです。

野田(毅)委員 経済への効果について、長期的な問題ですから、必ずしも乗数効果という言葉の中だけでは表現できません、もちろん。だけれども、本気でそう思っていますか。

 それなら、例えば介護。介護の現場をよくしよう、そうであれば、では何をまずやらなきゃいけませんか。介護職の皆さんは、労働の割に給料が、処遇がよくない、大変だ。しかし、実は、ほとんどの人は全部雇われているんですね。雇う側が、経営が破綻するのなら、給料を上げるに上げられないんですよ。まさに、介護を提供するその経営が成り立たなければ、雇用は確保できないんだよね。

 では、その経営はどうやったらよくなるんですか。その経営者の収入はどこから来るんですか。それはまさに介護報酬じゃないですか。介護保険じゃないですか。では、介護保険のその根っこは何ですか。結局は、税金で穴埋めするか、保険料を引き上げるか、自己負担をふやすか、三つしかないんだ。そうでしょう。

 だから、今までその人への提供ができなかった理由というのは何ですか。それは一にかかってその財源が用意できなかったということに原因があるということを言わないで、その責めをコンクリートたたきをすることで代替はできないんですよね。その点は御理解いただくでしょう。

菅国務大臣 今、私は、野田先生に大変いいことを言っていただいたと思うんです。

 まさに、普通は価格が上がれば供給がふえて需要が減退するというんですが、介護の分野では、賃金を含めて価格が上がった方が、供給がふえると同時に、需要は潜在的にあるわけですから、まさに需要がふえるわけです。

 問題は、今先生が言われたように、負担の問題です。ですから、私たちは、まさに個人が負担するのか、保険で負担するのか、税金で負担するのかを含めて、これまでの、そういった意味でも、雇用効果なり長期的経済効果の薄くなったコンクリートから、人というのはまさに介護の保険料を上げることを含めてそちらに振りかえていこうということですから、その点では全く同じじゃないですか。いかがですか。

野田(毅)委員 いや、ですから、私が指摘をしているのはそこなんだ。だから、今ここで急に、今まではコンクリートばかりであるということじゃなくて、これはもう一遍さっきの表を見てみてください。政府投資の上に政府消費があるんですよ。この政府消費は着実に伸びているんだ。介護保険料の支払い、つまり介護報酬の支払いはどこに表現されるか、この政府消費に表現されるんですよ。

 問題は、その財源の調達ができなければ介護報酬の引き上げができないじゃないですか。そこのところをどうするかということがなくて、この財政再建問題というのは道筋が描けないじゃないですか。そのことをまずは、ここは共通認識だろうと思うんですよ。だから、ここはどの党がどうの世界じゃなかったと思うんです。

 それからもう一つ、公共投資について。

 先ほど地方の話をしたのですが、私の地元でも、今度、来年には新幹線が開通するんですね。それに合わせて、ずっと十年以上前から、駅周辺の再開発、鉄道の連続立体交差、合同庁舎の移転、あるいは熊本城の周辺整備、本当に百年、二百年に一遍あるかないかという大事業が、大変な地権者のいろいろな問題を乗り越えてようやく着々と進んできて、いよいよそこまで来たときに、コンクリートはばちんとだめになっちゃうという話になったら、これは全部もとどおりにするんですよ。

 これは全部、決して熊本だけの話じゃないんだ。全国どこでも、基幹的な道路体系というものは地域活性化のかなめですよ。このかなめを今回の予算であちこち削り取ってしまっている。このことは、足元の経済効果を低めているだけではなくて、将来にわたる地方の経済の根幹をおかしくしてしまう可能性があるんじゃないですか。この点について、ぜひ考えてもらいたい。

原口国務大臣 野田先生にお答えいたします。

 そのグラフで、一九九〇年代の終わりに、私は先生に財政と経済運営の基本を教わりました。まさに、先生がお示しのそこに問題点が集約されている。

 この一番上をごらんいただければ、四百九十七兆あったGDPが、今四百七十五兆です。つまり、全体の経済がふえていない。つまり、先生は財源がないとおっしゃいますけれども、GDPがふえないで税収がふえるわけないじゃないですか。この十何年間の無為無策、これが大きい。

 もう一つ申し上げると、社会資本の整備、これは大事です。しかし、先週私は、農水省と国交省に勧告をさせていただきました。それはどういうものかというと、道路橋の具体的な道路台帳がない、それから、四十七道路管理者の中の十四国道事務所、九道府県及び二十四市町村、ここで、改修の、まさに一九六〇年代につくったものが五十年来るわけです。

 だから、先生は道路をつくればいいというお話をされるかもわからないけれども、その補修にもお金がかかるわけですから、私たちは一・一兆円ふやしております。(野田(毅)委員「委員長、そんなこと聞いていないよ。僕の質問時間をとらないでくれ」と呼ぶ)ぜひ、地域経済の全体像について議論をさせてください。

 以上です。

野田(毅)委員 質問時間を奪わないでください。

 もう時間がないから次に行きたいんですけれども、ただ、菅さん、こういうことを知っていますか。

 乗数効果は、用地買収費とか補償費を除くんですね。それでいくと、東京と地方でいくと、地方の方が乗数効果は大きくなっちゃうんですよ。だけれども、逆に、東京の場合、では無駄かというとそうじゃない。

 例えば、四ツ谷駅、それからお堀に沿って防衛省に行く三差路がある、あの二百メーターぐらいの道路。片っ方はお堀ですよ。その道路を二十年かけて改修したんだけれども、あれで幾らかかったと思いますか。計算させたんですよ、私は前に。東京都の街路だと思いますが、八百億ですよ、あの二百メーターだけで。だけれども、ほとんどコンクリートは入っていないですよ。ほとんどは用地費と補償費だ。

 それが、では無駄だったかというと、そうじゃない。移転すれば必ず別のところに新しいお店をつくり、ビルをつくる。つまり、その点についての波及効果ということは、単年度や目先の効果ではないけれども、経済への影響というのはそれだけ多年度にわたるということも、先ほどのお話に添えて、ぜひ念頭に置いて考えてもらいたいということを申し上げます。

 もう時間が大分押してしまったんですけれども、私は、先ほどの加藤さんの御指摘の中で、今日までの財政悪化の原因はだれがしたかといろいろ議論があるが、先ほどのと同時に棒グラフでお示しをしております。これは、一応念のため、前半の四年間部分は、先ほど言ったように、主要なメンバーの皆さんがこの内閣では与党でおられた時代であります。波の後が今世紀に入ってからの政権であります。この中で、下の赤い部分が建設国債だ。青い部分が赤字国債だ。まさに、コンクリートのための借金と人のための借金とはこういうことになっている。

 この数字が、今後さらに高齢化がどんどん進んでいく、しかも、今度は子ども手当をビルトインしようとするということになれば、この赤い部分がどんどんどんどん拡散していくんですよ。これに対して、どうやってこれを是正するだけの展望ができるのかということがセットにされていないということが問題だということを先ほど申しました。これが実はこの予算の最大の問題点なんだと。

 そうであれば、どうやってこれをやるのか。今、この点について、予算総則の中ではっきりと歯どめをかけたいという思いをセットしてあります。

 今、消費税、前提として、あらゆる分野、もう逆立ちしても鼻血が出なくなるほどまでやらない限りやらぬという話があるが、本当にそうか。では、それまで消費税は上げられないのか。そうなったら破綻してしまいますよ。国債、大暴落になるんだ。

 この点について、中期フレームはこれから出すというんだけれども、本来なら、我が党時代は全部ワンセットだったんだ。この点について、消費税を四年間上げないと言っている、鳩山総理は。これで本当に大丈夫なのか。

 総理は、予算総則十七条を読んだことありますか。(発言する者あり)答えられないならいいです。これは、大体、やじっている方がわかっていない。

 要するに、消費税の使い道は、どこにでも使える話じゃないんですよ。使い道は限定してあるんです、予算総則で。いつから入れたか。平成十一年度予算からですよ。入れさせた張本人だから私がそう言うんですよ。消費税の使い道は、基礎年金と老人医療と介護、この三分野以外には国に入った消費税は使わないんですよ、最初から。最初からそれに向けてです。ほかの予算に充てていいということになっていない。

 ですから、問題は、今まで消費税が上げられなかったということについての我が党の責任はあると思います。しかしそれは、少なくとも、今ひな壇にお並びの皆さんも共通の連帯責任じゃないですか、そうでしょう。だって、今、四年間まだ上げないと言うんだもの。

 私は、そういう点で六年前、偉いなと思ったんだ、岡田さん。あのときに、参議院選挙に、岡田代表は消費税を三%引き上げると言ったんですよ。そして、あの六年前の選挙、あなた方は勝ったんじゃないですか。私は、残念だけれども、本当は我が党も、小泉さんのもとで得たりや応で乗っておけばよかった。私はそう思います。それは我々痛切に反省している一つだ。

 だけれども、過去を悔やんでも始まらないんです。これから先どうやって日本の財政を立て直していくかということは、与党、野党の権力争いの話じゃないんですよ。そうであれば、私は、ぜひ両党がしっかりとその点について話し合いをしていくという軌道、これは谷垣総裁からも提案をされました。この点についてぜひお話を伺いたい。

菅国務大臣 御承知のように、短い期間で言えば、まだリーマン・ブラザーズの影響が残りますので、その短い間の問題、今、アメリカも日本も、プライマリーバランスでいうと大体一〇%ぐらいギャップがあります。ですから、そういう状態からどうするかということと、今言われた中長期にわたってどうするか。

 一つは、当然ながら、パイを大きくするという努力が必要になると思います。その上で、税制のことは確かに私たちも考えなければならない問題だと思っております。

 ただ、先ほど触れられましたように、これまで税制の、特に消費税の問題が何度も当時の与党の皆さん、政権の皆さんが上昇されようとしてできなかった理由は、いつも申し上げますが、塩川さんが言われた、いわゆる離れですき焼きというふうなことをやっているのではないかという国民からの厳しい目にこたえられなかったというのが私の見ている目で、我が政権としては、徹底的に特別会計等を見直した上で、その次の段階で、それでもどうしても福祉を維持するためには必要だということになった段階で議論をすべきだ、このように考えています。

野田(毅)委員 もう最後になりましたんですが、ぜひ鳩山総理、今の菅さんのお話、深刻に受けとめてください。政治への信頼がないと、国民にそういう厳しいことを、特に税の上での厳しいことをお願いすることはできないという話なんです。

 そうであれば、鳩山総理がみずからの税金問題でけじめもできないような状況の中で、国民に向かってお願いなんかとてもできない。理解はできない。私は、本当にそういう意味でやろうとするんなら、日本の財政をしっかり立て直そうとするんなら、鳩山総理自身が一大決断しなけりゃならぬのだろうと。そうでなければできないということになるんじゃないですか。

 最後にその点についてだけ申し上げておきます。

鳩山内閣総理大臣 私自身のことに関して、当然、これからも今までも説明は十分に申し上げていきたい。そして、国民の皆さんの政治に対する信頼が少しでもふえていくように最大限の努力をしてまいりたいと思います。

 それからもう一つ、社会保障のことに関しては、先ほど菅大臣から話がありました。また、谷垣総裁からも、一緒にやろうではないかというお誘いもいただきました。大変魅力的なお誘いだと感謝をしたいと思います。

 ただ、年金の問題を中心として議論は大いにしなきゃなりませんが、まず、それぞれの各党で自分たちの思いというものをやはりまとめる必要がありますし、まさに政府の責任として、年金を初めとする社会保障の問題に関しては、我々のフレームというものをきっちりつくり上げていく必要がある。そこと税の議論というものも当然リンクをする話だと思っておりますから、まずはしっかりと国会の中で議論をしていただく中で、政府としても、我々の案というものも用意をしながら皆さん方と御相談をする機会を十分につくり上げていきたい、そのように思っています。

鹿野委員長 この際、加藤勝信君から関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 私は、党の方で厚生労働部会長もさせていただいている、そういうこともございまして、きょうは、子ども手当、これについて中心に議論をさせていただきたいと思います。

 まず、その前に、総理に見解をお聞かせいただきたいと思います。

 子ども手当を含めて、少子化対策、あるいは子供支援の対策と言ってもいいかもしれませんけれども、こうした政策を進めるに当たってのまず基本的な認識について、議論の前提にもなりますので、確認をさせていただきたいと思います。

 私は、そうした少子化対策は、父母その他の保護者がまず子育てについて第一義的な責任を有するという認識のもとで進めていくべきもの、こういうふうに考えておりますけれども、総理は同じ認識でございますか。

鳩山内閣総理大臣 やはり子供に関しては、その親御さん、また保護者が第一義的な責任を持つべきだ、そのように当然思います。

加藤(勝)委員 ありがとうございました。

 そうすると、そこはまず立脚する基本的な認識は一緒であるというところから、それでは議論させていただきたいと思います。

 私自身も四人のまだ子育て世帯ということでございます。そして、当選して以来、当時同期の議員と一緒に少子化に対する研究会を開いたり提言をしたりということで、私自身、少子化対策に大変強い関心を持っておりますし、また、この施策はしっかりと積極的に進めるべきだ、こういうふうに認識をしております。

 また、先般の選挙で民主党が子ども手当を提唱することによって、少子化対策あるいは子育て、こういったことに関して大変国民の関心が上がった、このことは大変高く評価をしていきたい、こういうふうに思います。

 しかしながら、やはり問題は、その中身というか規模ということになります。

 御承知のように、児童手当、現在行われておりますけれども、これは今、支給総額約一兆円ということになります。これに対しまして、御提案の子ども手当、最終的に毎月二万六千円をすべての中学生にお払いになるということになりますと、五兆四千億ぐらい、こう言われているわけでございます。この五兆四千億円という規模、これは全額国費ということになれば、現在の一般歳出の約一割を占めるという、とてつもない規模の予算になるわけであります。そうした規模の予算を、しかも一時的ではなくて、これは恒久的な政策としておやりになるわけでありますから、そういったものについて全く今後の見通し、その財源がない、まずそのことが一つあります。

 それから、他方、これから社会保障そのものはどんどんふえていくと言われます。そして、民主党は、最低保障年金の制度の創設、そして年金制度の一元化をする、あるいは、いわゆる後期高齢者医療保険制度を廃止して医療保険の一体的な運用をする、こう主張されておりますけれども、残念ながら、いまだに具体的な姿はお示しをいただいておりません。これでは今後の社会保障全体がどういう姿になっていくのか全く描けないというのが私の率直な感想であります。

 さらに少子化対策、これについても、子ども・子育てビジョンをお出しになりました。しかし、予算編成が終わってから一月に出される、とても、子育て世帯全体についてバランスよく考えてきたのかな、こういうことを強く感じるわけであります。

 このように、先行きの姿も見えない、十分な議論も全体についてされない、しかし、まずは何が何でも、問題はこの六月です、六月というのは参議院選挙の前に子ども手当を支給したい、このことが大変先行している。私は、このことに強い違和感と、本当にこういうことをやって大丈夫なのかな、こういう強い不安を持つわけであります。

 そして、まさにそのことが如実にあらわれておりますのは、残念ながら、今政府が出していただいている子ども法案の中には二十二年度の話しかないんですね。二十三年度以降は検討します、まさに全く示されていない。こういったことにもはっきり示されていると思います。

 そういう意味で、今私の基本的な問題を申し上げましたけれども、民主党は、マニフェストの中で、「子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援する。」ということでありますから、子供を育てられている世代、世帯、そして今、今回の子ども手当の対象にならない世帯が多分七割以上あると思いますが、そういう世帯についても納得していただけるという内容でなければならない、私は、そういう観点から以下議論をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、所得制限についてお聞かせいただきたいと思います。

 児童手当においては所得制限がついておるわけでありますが、子ども手当については所得制限は設けられていない、こういうことになっております。国民の感情からいたしますと、どうして所得の多い世帯にまで支給しなきゃいけないのかな、率直な疑問があるわけでありまして、マスコミ各社の世論調査でも、七割近い方がつけるべきだ、こういうふうにしているわけであります。また、民主党の小沢幹事長が、党というよりは全国民からの要望なので可能な限り予算に反映してほしいという重点要望の中でも、所得制限に言及していたと思います。

 多くの国民の声が、所得制限をしっかりつけて、収入の多い方まではいいんじゃないか、こういうふうにしているにもかかわらず、どうしてそういう声に反して、所得制限をつけずに今度の子ども手当を支給されようとしているんですか。総理のお考えを教えていただきたいと思います。

長妻国務大臣 お答えをまず申し上げます。

 今御指摘ですけれども、まず、子ども手当の趣旨というのは、これまで日本国では、子供を育てる費用というのは、基本的にはその家庭でそれは措置をする、これが当たり前というような意識でありましたけれども、我々は、子育てあるいは子育ちということについては、社会全体で育てていこうということで、その経費を社会全体で見る、これがまず前提であります。

 そして、所得制限について今御指摘ございましたけれども、我々は、控除から手当へという流れを貫いていきたい、これは子ども手当以外でも今後そういう考え方をしていこう。つまり、控除というのは、これは実は年収の高い方ほど有利になるというようなことでございますので、我々も実は今回、子ども手当を導入と同時に、公表をさせていただいておりますけれども、若年者扶養控除を廃止するということで、基本的に、それもプラスマイナスした実額でいうと、年収の高い人ほどこの金額は少なくなる、こういうような形にさせていただいているところであります。

加藤(勝)委員 最初に認識を一緒にさせていただいたと思うんですけれども、子育てについての第一義的な責任は父母やその他の保護者が負う、ここを私は先ほど確認させていただきました。どうも、その辺と今の長妻大臣の答弁、ちょっと、ちょっとではないですね、基本的にずれがある、こういうふうに思いますが、ちょっと先に進めさせていただきたいと思います。

 その上で、まず一点指摘をさせていただきたいのは、先ほど、すべての子供たち、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、既に厚生労働委員会でも議論させていただきましたが、例えば児童養護施設入所児童等に対しては、これは児童手当ももちろん支給されていませんけれども、今回の子ども手当でも支給されない、こういうことになっているわけであります。そして、子ども手当は所得にかかわらずまた一律に支給をされる、他方で、保育園の保育料は所得に応じてされる。どうもその辺が私にはすっきりと整理されない、こういうふうに思うのでありますけれども、その点について御質問申し上げます。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど、親御さんのおられないお子さん、あるいはいろいろな事情で親御さんが監護できないお子さんがおられる施設について、子ども手当が支給されないというお話がありましたけれども、子ども手当というような法律の枠組みでは支給はなされないわけでありますが、同じ金額を、これは子供の安心基金というのがございますので、その基金から施設に支給をする、こういうような措置を我々は考えているところであります。

 そして、今いろいろ保育所の議論等がございましたけれども、私どもとしては、子供の育ちをはぐくむためには、現金だけではなくて、やはり現物支給である保育所の整備、これも、今までの政権は年に二万人定員を増加ということでふやしてまいりましたが、それでは追っつかないということで、これは福島大臣中心に、今後五年間で毎年五万人ずつ定員をふやしていこう、五年間で二十五万人ふやそうということで、現物の支給もきちっと充実を図って、結果的に少子化の流れを変えられれば、あるいは、結果的にお子さんの生活の質を上げて、教育の質も上げていく、そういうねらいがあるわけであります。

加藤(勝)委員 そこはまた後で議論させていただきたいと思いますが、その前に、先ほどの長妻大臣の所得の控除から手当へということの中で、全体を見れば年収の低い方が手厚い、こういう御発言がありました。しかし、今の児童手当が配られているこの現状との比較で見たら本当にそうなのかどうか、ちょっと私自身が試算をさせていただきました。お手元にも資料がございます。

 今回の子ども手当の創設、そして並行して扶養控除が廃止をされる、こういうことになるわけでありまして、それの家計に対する影響というものを、年収ごとに、そして子供さんの状況に応じて私なりに試算をさせていただきました。

 まず、手当の増加という意味においては、今、三歳未満の皆さん方は一万円の児童手当をもらっておりますから、一万三千円にふえても実質ふえるのは三千円。例えば、小学生でいえば、今五千円の児童手当をもらっておられますから、ネットでふえるのは八千円。そして、支給が年三回ということの事情もあって、平成二十二年度は十カ月分の支給だ、こういうことになります。

 他方で、負担の方は、扶養控除の廃止、所得税については来年の一月からということでありますから、年度で見たら三カ月分がなる。

 そういうことでこの表を見ていただきたいと思います。これは二十二年度におけるものであります。なぜ二十二年度かといえば、二十三年度以降の姿がまだないから、二十二年度でしかお示しができない、こういうことであります。

 まず、初めて子供を持たれた場合、三歳未満の場合、ボードでいうと赤い字のところを見ていただきたいと思いますけれども、年収三百万の方は今と比べて年間で二万五千円ふえる。五百万の方は二万二千円ふえる。しかし、今、児童手当の対象になっていない九百万の方は十一万円もふえる。こういうことになっているわけであります。

 また、小さい子供の場合には、これは青字のところでありますけれども、年収三百万で十万一千円、五百万で九万七千円に対して、九百万では倍の二十二万二千円もふえる、こういうことであります。

 確かに、子供の組み合わせによってそれはいろいろ、試算の結果はまちまちになるわけでありますけれども、小さい子供さんを抱えるそういう世帯においては、少なくとも二十二年度においては年収が明らかに多くなる、こういうことがはっきりしていると思いますけれども、この結果についてどうお考えになりますか。

長妻国務大臣 この表についても、一部の、部分的なところを計算されておられるというふうに思います。

 まず一つは、これは平成二十二年度ということでございまして、先ほど申し上げました、控除から手当へ、控除というのはどうしても年収の高い方に有利になってしまう、こういう問題点が指摘されていますので、我々はできる限り控除ではなくて手当で措置するという意味で、これについては、平成二十二年度の所得税控除は、御存じのように来年の一月からなんですね。二十二年度の中ではたった三カ月だけその控除の廃止というのがきいてきますので、年収の高い方の減というのは二十三年度以降はさらに強くなるということが一点。

 もう一点は、これは、児童手当が支給されている差額をここに今表示していただいている。しかも、これは小学生だけなんですね。中学生でありますと今も児童手当が支給されておりませんので、中学生だけをとると、この表というのは逆転をしていく。かつ、これは小学生の差額ということを、児童手当と子ども手当の差額でここを書いていただいているんですが、我々は、子ども手当という考え方のもと、根っこから計算していただくと、それは、先ほど申し上げましたように、年収の高いところに控除の廃止というのがきいてきて実額は少なくなる、こういうことでございます。

加藤(勝)委員 いや、今の話は、今何をしようかとすれば、現状に対してどう変更するかということでありまして、私は、大臣の言っていることは、そこのところをごまかしている。また後でその点ははっきりしたいと思いますけれども、そういう意味でこれから問題になるのは、多くの方々にとって心配しているのは、では平成二十三年度、皆さんおっしゃっているように二万六千円、こういう話になるわけであります。本当にそういう形になるのかな。この取り扱いについては、四大臣合意という中では今後の検討とされているわけでありますけれども、平成二十三年度の予算の姿をちょっと見ていきたいと思います。

 二枚目の紙をごらんになっていただきたいと思うんですけれども、これは二万六千円支給するということになれば、それだけで二兆五千億必要になります。それから、その他の歳出圧力として、例えば社会保障関係費だけ見ても、基礎年金の国庫負担分、これの財源二兆五千億をこれからどうするかという問題。そして、社会保障関係費の自然増約一兆円。そしてさらに、いわゆる埋蔵金と言われている、平成二十二年度で約十兆円、十兆六千億、この予算を計上しております。しかし、その中の四兆八千億、ほぼ半分を捻出してまいりました財政特会の積立金、二十年度末には十兆を超えたものが二十二年度末にはゼロ、こういうことになるわけであります。

 さらに言えば、前回、二月四日に財務省が示しております平成二十二年度予算の後年度歳出歳入への影響の機械的な試算、これによりますと、平成二十三年度は子ども手当の支給額が一万三千円のままであったとして、税収が一兆三千億ふえる、こうなっておりますが、それでも歳入不足が五十一兆円、今年度に比べて七兆円も増大し、さらに今申し上げた子ども手当、一番上のところでありますけれども、二兆五千億が乗ってくるとなると、十兆円の財源をどうするか、こういう問題になるわけであります。

 こういう中で、鳩山総理は、二十三年度以降についても基本的にはマニフェストどおりやりたい、こう考えているわけでありますけれども、今申し上げたように、平成二十三年度の姿を見て、一体どうやってやろうとするのか、増税か国債など借金増以外に一体どういうことを考えておられるのか、そこをはっきりとお示しいただきたいと思います。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

鳩山内閣総理大臣 今、加藤委員がお話をされましたように、平成二十三年度に関して私の現在の考え方を申し上げれば、子ども手当、やはり二年目からは二万六千円全額支給をしたい、その方向でやりたいと考えております。

 その財源をどのようにして見出していくか、まさに大変厳しい財政の状況であることは加藤委員が御指摘をされたとおりでございます。

 ことしというか去年の暮れ、私どもはいわゆる事業仕分けというものを行いました。時間的なこともございました。それをさらに、私どもとすれば、独立行政法人、公益法人、こういったところも徹底的に見直してまいりたい、特別会計に対して徹底的に行ってまいりたいと思っておりまして、これは行政刷新の部分でこれからの話ではありますが、徹底的な見直しというものを行う。

 そのことによって、国民の皆様方の政治に対する期待感、信頼感というものを取り戻すことができると思っておりますが、そういうような大変厳しい財政状況ということがわかっておりますだけに、我々としても、必死にその作業を進めてまいりながら、先ほど申し上げましたような、基本的にはマニフェストどおりに実施をしてまいりたい、現在そのように考えております。

加藤(勝)委員 今の総理の答弁を聞いていて、私、大変違和感を感じたんです。

 それはどういうことかというと、簡単に言えば、歳出を、その無駄をいろいろまた見直しして捻出していく、こういうことだと思うんですね。

 ただ、今私申し上げているのは二十三年度予算ですから、その場合の前提になるのは二十二年度予算ということになります。無駄の見直しでそれだけ捻出されるということであれば、総理が今お出しになっている一般会計、特別会計の二十二年度予算案という中には無駄が入っているということですか。そういう予算を我々に国会で審議をしろ、こういうことに私には聞こえるわけですけれども、どういうことでしょうか。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

鳩山内閣総理大臣 御案内のとおり、歳出の削減の努力というものを私どもは行ってまいりました。事業仕分け、国民の皆様方に見える形でかなり行ってまいりました。しかし、御案内のとおり、すべての事業を仕分けしたわけではありません。さらに徹底をする必要がある、そのようなことは申し上げてまいりましたし、また特別会計、先ほど申し上げましたように、公益法人などに対して必ずしもすべてというものを見渡した中で歳出削減をしたわけではありません。どこに無駄があるかというところはまだこれからの作業ではありますが、さらに徹底をしてまいりたい、そのように思っております。

加藤(勝)委員 大変申しわけないんですけれども、今のお話を聞いておりますと、先ほど私が申し上げたように、本来、予算案というのは内閣が自信を持ってお出しになるものじゃないんですか。そして、皆さん方は、政務三役が政治主導で責任を持ったといってお出しになったのが今回の法案ではないんですか。それを、提出者の最高責任者である総理が、自信がないなんということであったら、私どもはこの予算委員会で一体何を審議すればいいんですか。

鳩山内閣総理大臣 私は決して自信がないなどというようなことを申し上げているわけではありません。

 御案内のとおり、今までの自民党、公明党連立政権のもとでつくられた概算要求、ただ、それを我々としては、短い時間の中でかなり徹底的に議論をしてまいりました。相当の吟味を行ったと思っております。

 ただ、いわゆる一般会計、特別会計すべてを見渡した、二百兆円を超えるすべてのところに短時間の中で全体を、すべてどこにも無駄がないかというところまでのチェックということまでは至っておらないことも事実でありますが、しかし、その中で、我々としては、最善の努力を申し上げた自信作だ、そのように考えております。

加藤(勝)委員 いやいや、最善の努力という前に、そういうしっかりしたものにするということが政府の役割じゃないんですか。

 我々が先ほど申し上げた、不完全な予算をこれ以上審議しろと言われても、きちんとしたものをまず出していただいて、それから審議をするというのがこの予算委員会の姿じゃないんですか。

鹿野委員長 どうぞ質疑を始めてください。

加藤(勝)委員 いや、こういう不完全なものについて審議することはできないと思いますよ。

鹿野委員長 それでは、鳩山内閣総理大臣。

鳩山内閣総理大臣 私も、不完全な予算などというようなことは申し上げておりません。現在の状況の中でベストを尽くした予算だ、そのように申し上げたところでございます。

加藤(勝)委員 だんだんだんだん何か中身が変わってきた。

 それなら、お聞きをしますが、ベストの予算であれば、そこから一体、先ほど申し上げた十兆というお金をどうやって捻出されるんですか。そこに私の質問のポイントがあったわけであります。ということは、逆に言えば、もう二万六千円を支給するということは困難であるということと裏腹の話じゃないんですか。

 そして、私はまずそのことをしっかりと申し上げておきたいと思いますし、また、そのことはこれからしっかり、これからの審議でも同僚から徹底して議論していただきたいと思いますが、もう一つ申し上げておきたい。ボードの三枚目を申し上げます。

 我々として、単にやめろと言っているわけではなくて、もしそういうことをするのであればということで、幾つか提案をさせていただきました。時間も余りないわけでありますけれども、子供医療費の無料化とか、あるいは幼稚園の無償化、小学校給食費の無償化、それ以外にも、副教材費、いろいろお金がかかります、そういったものの無償化、こういったものをしっかりやっていってほしい。

 同じお金を出すならば、先ほど申し上げた、子ども手当を支給されない皆さん方からは、みんなで応援するその気持ちはよくわかる、しかし、我々が負担をするのであるならば、やはりしっかり子育ての支援に直接つながることをしてほしい、こういう声がたくさんあるわけであります。お金で渡されたらどこへ行くかわからなくなってしまう、それであれば、少なくとも、もちろん保育園や学童保育をしっかりやってくれ、加えて今申し上げたものをやってくれ、こういうことを私が地元で申し上げたら、まさに加藤さん、そのとおりだ、こういう声がたくさんあるわけであります。

 その点についてお伺いいたしたいと思いますとともに、最後の、一番下の段にありますけれども、公立学校施設の耐震化、この問題はこれまで議論もされてまいりました。先ほど私が所得制限のことを申し上げたのは、もし仮に所得制限をつければ、二千億のお金が浮いてくるんです。そのお金があれば、この公立耐震化はできるんです。一番下の、公立学校施設の耐震化であります。

 総理の施政方針演説を聞いておられて、阪神・淡路大震災のお話に触れられました。私はその話を聞いて、当初五千棟の耐震化をするという八月の予算要求になっておりました、それを十月には川端文科大臣の御指導で二千百棟にされてしまったわけであります。そのことを一体どういう思いで大臣はお聞きになっていたかな、こういう思いもいたしますけれども、それ以上に、総理があそこまで施政方針演説でおっしゃったわけでありますから、私はまずそういうことをしっかりやっていただきたい、こういうふうに思いますけれども、総理の所信をお示しいただきたいと思います。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今るる御説明をいただきましたけれども、子供の医療費の無料化について、今多くの自治体で、これは自治体単独でやっていただいている部分もあると承知をしております。

 そして何よりも、子供の医療という意味でいうと、これまで診療報酬がずっとネットでマイナス、マイナスで、特に小児科あるいは子供の出産の産婦人科が非常に痛めつけられている、こういう現状で、我々は十年ぶりにネットで診療報酬をプラスにした。それで、ある意味では、小児科、産婦人科、これをきちっと立て直すということも同時にやっているということを御理解いただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 耐震化の予算につきましては、厳しい財政状況でありますが、二十一年度当初予算の千九百棟という予算に対して、私たちの予算では二千二百棟に積み増しをする、予算額も七百八十三億円から九百十億円に増額するという予算を組みました。

 厳しい状況の中でありますが、地元からのたくさんの要望をいただいていることも現実でありますので、予算をできるだけ早く通していただいて、効率的に迅速に実施、やってまいりたいと思っております。

加藤(勝)委員 最後に総理の答弁もお願いしたいんですが、この後、同僚の下村議員がこの問題についてさらに追及をいたしますので、そちらに譲りまして、私のきょうの段階での質問は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 この際、下村博文君から関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。下村博文君。

下村委員 教育問題を中心として質問させていただきたいと思いますが、今、加藤同僚委員から質問がありました耐震化の問題でございます。

 これは、私は高校無償化法案を中心としてきょうは質問したいと思っておりますが、この予算が三千九百三十三億円、これを確保するためにほかの予算が相当カットされている。実際に、ほかの部分は実質的には八百億円ほどのマイナス予算になっているんですね。その中の一つとして、今、川端大臣が答弁されましたが、これは全く正確ではありません。

 このパネルを見ていただきたいと思うんです。これを見ていただきますと、平成十八年から二十一年まで、公立学校の施設整備費、これはずっとふえていたわけです。そして、これは麻生内閣のときですが、二十二年度の概算要求のとき、地方自治体が二十二年度に五千棟の耐震化事業を計画している、これを踏まえて二千七百七十五億円を要求したわけです。しかし、結果的には、今答弁がありましたが、一千三十二億円、二千二百棟になってしまったということで、実際に地方自治体が予定していた二千八百棟余りの耐震化の予算は確保できない、こういう状況でございまして、平成二十一年度の予算の三分の一弱にとどまっているんですね。

 さらに、昨年の補正予算の執行を停止して、そして私立、公立の学校耐震化についても百九十五億円、この予算の執行停止になってしまっておりまして、今、私立高校三分の二が執行停止の状況のままでございます。

 鳩山総理は施政方針演説の中で、「命を守りたい」と。この命というのは二十四回も言われているんですね。しかし、「命を守りたい」と言っているにもかかわらず、これだけの耐震化対策、二千八百棟削減されているということは、これは相矛盾しているんじゃないですか。どうですか。

鳩山内閣総理大臣 下村委員にお答え申し上げます。

 御案内のとおり、命を守るというのが私どもの内閣のまさに肝の部分でございます。いろいろな形で命を守る、防衛もそうであります、医療などもそうであります。命をとことん守るということで、下村委員の方からは耐震化の御議論をいただきました。

 今まさに、先ほど川端大臣の方から申し上げたところでございますが、先ほどの公立学校施設整備費の当初予算を比べてみますと、耐震化関連の予算を比べれば七百八十三億円から九百十億円、このようにふえてはおりますが、これは当初予算だけの話でございまして、補正で今まで自公政権はかなり耐震化の予算をふやしてこられたというのも実態だと思っております。

 私ども、耐震化、大変重要だと思っておりまして、急がなければならないということも申し上げてきたところでございまして、千九百棟から二千二百棟に積み増しをしたわけではありますが、さらに、これからの経済状況というものも見きわめていく必要がありますが、その中で、当然、二兆円の景気対策枠というものがございます。それをどのようなところに使うかということをまだ決めている段階ではありませんし、経済の状況を見きわめる必要があろうかと思っておりますが、命を守るというところから考えれば、このような耐震化というものも十分に視野に入れて措置をしていくべきものではないか、そのように考えているところでございます。

下村委員 総理、明確に答弁していただきたいと思うんですよ。

 総理は、施政方針演説の中で、キーワードが命を守るでしょう、今回。二十四回も命という言葉を使われた。それだけ、今回、総理が命について意識されておられるわけですね。

 しかし、実際に、概算要求、これは麻生内閣のときでしたけれども、地方自治体から五千棟要求されていたんです。しかし、結果的には補正予算もカットされ、二千八百棟がカットをされるんです。国の補助がなければ単独での事業着工は困難であって、耐震化工事は中断か、それとも延期を余儀なくされる、そういう自治体が実際はほとんどだと思うんですね。

 地方自治体は、緊急性の高い事業ではしごを外されたようなものだ、こういう批判が今沸き起こっているんです。大阪の池田市、この教育委員会においては、阪神・淡路大震災からまだ十五年しかたっていない、鳩山政権はあのときの惨状を忘れたのか、こういう怒りの声も上がっているんですね。

 ですから、明確にこれは、命を守るということであれば、はっきり言明すべきことではないでしょうか。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、当初予算においては、耐震の工事に対しては二十一年度予算よりも増額をいたしました。同時に、お手元の資料の部分は、当初予算に加えて補正予算を含めた予算のグラフであります。

 当初予算に関しては前年より増加をさせた予算にさせていただいたということと同時に、先ほど一次補正で執行停止をしたと言われましたけれども、第一次補正予算においては、新増築事業、公立学校施設整備費負担金のうち平成二十一年度に地方公共団体から申請が見込まれない百二十七億円について執行停止をしたところでありまして、これは新増築事業等の地元から声が上がらなかった部分を停止したものであって、耐震関連の予算を執行停止したものではありませんので、事実確認として申し上げておきたいというふうに思います。

 以上です。

下村委員 総理、地方自治体から二千八百棟に対して要求が上がっているにもかかわらず予算に計上していないということは事実なんですよ、今回。それに対して、命を守るということについて、その地方自治体に対して対応できない、つまり御自分で言っていることと実際の予算は違う、こういうことですね。

川端国務大臣 概算要求と最終的な予算原案の決定については、いろいろなそのときの内閣の方針によって経過がございます。そういう部分で、八月、麻生内閣による概算要求では、経済危機対応等特別措置の枠を利用する中で二千七百七十五億円、五千棟の概算要求をされたことは事実であるというふうに思います。

 私たちの政府としては、トータルとしての予算編成方針の中で、二十一年度予算並みということで当初予算を組ませていただいて、できるだけ早くにこの予算を通していただく中で効率的、効果的に事業を実施するとともに、地方の要望を踏まえた中で最大の努力を検討してまいりたいと思います。

 以上です。

下村委員 結果的には、施政方針演説の総理の命を守るというのは、予算の中には、教育においては全く配慮されていない、そういうふうに理解をいたします。

 時間の関係で、次に、高校無償化法案について議論に入っていきたいと思います。

 これは民主党のマニフェストの大きな目玉の一つであったわけでありますけれども、しかし、実際に、この高校授業料無償化法案、実現するためには、私は、うそとごまかしが結果的に出てきている、そして、公私における不平等をますます増大させている理念なき法案、こんなことしか思えないんですね。選挙のとき、結果的には国民をだました法案、こんなようにしか見えません。

 ですから、一つ一つこれについてはただしながら、しかし、我々もただ批判をするだけでなく、同じ財源を活用するとしたら自民党だったらどうするか、このことを国民の皆さんにどちらがいいかということを理解していただく、比較検討しながら、まず簡単に説明を申し上げたいと思います。

 パネルをごらんになっていただきたいと思います。お手元に資料がありますが、パネルの下が政府案の公立高等学校の授業料の無償化、これは公立のみが視点であります。授業料十一万八千八百円が支給される。そして、私立の生徒、実際は百万人いて、三分の一は私立高校の生徒であるわけですけれども、この加算については、年収二百五十万未満の世帯、対象は五・八万人、約百万人ですから五・八%、二倍の二十三万七千六百円支給する。年収三百五十万未満の世帯、対象六万五千人、やはり約六・五%、二分の一、十七万八千二百円を給付する。両方足すと十二万三千人で、私立高校に通っている生徒の約一割ぐらいでございます。

 一方、自民党の教育費軽減策をごらんになっていただきたいと思います。

 同じように、三千九百三十三億円の予算の中で自民党はどうするかということの中で、年収八百万以上の世帯、約四〇%弱に当たりますが、ここの世帯の所得制限をいたします。そうすると、この十一万八千八百円はそのまま授業料として払っていただく、財源が一千五百二十六億円浮きます。

 この中で、まず私立については、年収三百五十万以下、これは事実上、左のところを見ていただきたいと思うんですが、私立のかかる学費、これはほぼそれに充当する部分を、二十三万五千七百五円を支給することによって授業料がほぼかからないようにする。年収三百五十万から五百万未満の世帯については、授業料の差額の二分の一、十一万七千八百五十三円、そして年収五百万から六百五十万未満の世帯、これは全部足すと約六一・二%に該当しますが、この五百万から六百万の層においても三分の一支給するという形で、私立の生徒においては何らかの形で、六割の生徒に対して、プラスアルファの公私間格差を是正するための授業料のプラス支給をする。

 それからさらに、給付型奨学金を、低所得の世帯の就学を支援するため、公立、私立の区別なく、生活保護、準生活保護世帯、四十一万四千人に給付型奨学金、これは返済不要の奨学金ですが、このような形をとることによって、私立高校に通っている生徒においても、特に、左上を見ていただきたいと思うんですが、私立高校の学校教育費は全部で七十八万二千九百五十三円かかっております。また、公立高校の授業費は、真ん中辺ですが、三十五万六千九百三十七円かかっております。この公私間格差を極力なくす対応をしております。

 さて、ここでお聞きしたいんですけれども、今回のこの財源三千九百三十三億円のうち、十六歳から十八歳までの特定扶養控除、この上乗せ部分の廃止によって、国税一千億円、地方税四百億円、合計一千四百億円を捻出するということを決めたと聞いております。

 しかし、民主党はマニフェストで、この特定扶養控除について存続するということを明記しているんですね。なおかつ、選挙中に当時の直嶋政調会長はわざわざ記者会見を開いて、これは民主党のマニフェストで明記していることだから、特定扶養控除はなくさないと言っているわけです。

 それにもかかわらず、今回は、特定扶養控除を見直して、なおかつ国民にも示されず、国民不在の議論の中で決定してしまった。そもそも公約違反じゃないかと思うんですね。これについて、直嶋大臣、どう責任を感じられますか。

直嶋国務大臣 突然の御質問なんですが、たしか私の記憶では、確かに先生おっしゃるように、十六歳以上の特定扶養控除については残すということでマニフェストは表記しました。

 ただ、今回の措置も、選挙中からさまざまな議論がありまして、それによって、あるいは政権交代後、さまざまな議論があったことは承知しています。今回の措置は、特定扶養控除をなくしたということではなくて、むしろ残した、なくした部分はすべてをなくしたわけではなくて、一部縮減をして残した、こういうことだというふうに理解をいたしております。

下村委員 これはわざわざ選挙期間中に直嶋当時政調会長が、これはマニフェストに本当に明記されていますけれども、特定扶養控除は存続すると言っているんですね。実際に、十六歳から十八歳まで、しかしその部分はカットされているわけです。それで、事実上この高校無償化法案について財源にしている。これは明らかにだまし討ちじゃないですか。

 そもそも、総理、選挙中に、現行制度は維持しつつ新たに家計の教育費の負担を軽減する、こういうふうに言われているわけですよ。現行制度は維持しつつときちっと答えられているんです、発言しているんです。それにもかかわらず、この特定扶養控除を縮小して、そして新たな教育費負担軽減、これはつながらないんじゃないですか。この矛盾について、総理、どうお答えになりますか。

川端国務大臣 民主党のマニフェストにおきましては、「特定扶養控除、老人扶養控除、障害者控除等は存続させる。」とマニフェストに書いてあります。

 そもそも特定扶養控除は、教育費等の支出がかさむ世帯に対して、教育費等がいろいろ支出がかさむということで税負担の軽減を図るために創設されたもので、十六歳から二十三歳未満の特定扶養親族にかかわるものに対してのものであることは御案内のとおりであります。

 今回、高校に行く世代、三年間に関して国で無償化に向けたいろいろな諸施策をとるということで、教育費の負担増のためにという特定扶養控除の上乗せ分に関しては、両方の政策効果が共通するということで上乗せ部分を廃止するものであり、特定扶養控除制度自体は存続させることには変わりございません。

下村委員 これはもう明らかに国民に対してうそを言っているということですね。特定扶養控除については存続するとマニフェストに明記しているわけですから。それにもかかわらず、存続していると言い張っていること自体、なおかつ、現行制度は維持するということも明確に言っているんですね。ですから、国民から見たら、特別会計を含めた二百七兆円の中の予算組み替えによって、民主党の言われている無駄から財源を持ってくるだろうと思っていたわけです。実際にそうではないということが明らかになったわけですね。

 それから、そもそもこの高校無償化法案、これについて、一体何の目的なのか、教育効果は何なのか、教育成果、目的は何なのか、これが全く明らかにされていません。四千億近い税金を投入するのであれば、なおかつ、進学率が九八%に達しているわけでもありますから、実質的には義務教育に準じた教育機関と言えるわけですね。こういう中で、これからどのような目的を持ってどんな内容の教育を行うのか。教育の成果、効果、これは明確に示すべきであるというふうに思うんですね。

 また、特に公立高校においては、授業料無償化ですから、その恩恵を受ける高校生に対しては、当然、それにふさわしい学力を身につけるということが求められるわけで、例えば卒業検定を課す、こういうことも必要になってくるのではないかと思いますが、そもそも、この教育成果、効果、目的、どんなふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 高校進学率が九八%を超えていることの事実は御指摘のとおりであります。

 私たちは、基本的な理念として、高校相当分の教育は社会が支える、望む人は可能な限り、特に公立高校においては、無償化も含めて、社会全体がその授業料を含めた教育費を負担するということで、社会が未来を支える子供たちを育てていく。したがって、そこで育った子供たちは、当然ながら、先生御指摘のとおり、一定のしっかりした学力、見識を備えた中で社会人として行動し、能力に応じた還元をしていただくというのは当然の期待としてあります。

 同時に、世界的な趨勢として、国際人権条約A条約においても、授業料を徴収しない国が世界じゅうほとんどであります。そして、国際人権条約の……(下村委員「いや、的確に答えてください。どんな目的、効果、成果をねらっているか」と呼ぶ)ですから、社会全体が高校に行く子供を支えていくという、この国の子供を教育する部分の大きな理念に基づいて実行するという制度でございます。

下村委員 全然答えていないですね。世界が無償化だから日本も云々というのは、それは教育の目的とか成果、効果じゃないでしょう。結果的に、今回の高校無償化法案について、政府はこれをすることによって日本の高校生の子供たちをどうしていきたいか、どんなような子供たちを育てたいか、これが全くあらわれていないということであります。

 それからもう一つ、大きな問題点として、公私間格差がさらに増大するという問題があります。

 例えば、地方においては、公立高校に入学できなかった生徒がやむなく私立高校に行くケースというのが実際は多いんですね。一般的に、地方の私立高校に通学している世帯の所得は、公立の高校に通っている生徒の家庭の所得より低いと言われています。ですから、公立高校に通える所得の高い恵まれた世帯は授業料が無償である、私立高校に通う所得の低い世帯には授業料負担が残る。かえって格差の拡大につながって、結果的に無責任になる。

 今まで、公立高校の授業料が十一万八千八百円、私立が三十五万四千五百五円、これがゼロで二十三万五千七百五円、これだけ差が出てくるんですね。これは、私立高校関係者に聞いている事実のことであります。

 この問題についてどう考えますか、公私間格差がさらに増大することについて。

川端国務大臣 すべての高校に行く、公立、私立を問わずに、約十二万円の手当を出すということに加えて、私学に関しては、低所得者に対してはその所得に応じて二倍ないし一・五倍の増額をするということでありますので、総額支給においては公私間格差は縮小する手当てをしていると承知をしております。

下村委員 文科大臣、もっと国民の声、現場の実態というのをよく勉強していただきたいと思います。そんなふうに思っている関係者は全くいないですよ。

 その中で、さらに、公立高校は授業料が無償化になる、私立は平均二十三万五千七百五円の学費負担が残る。今おっしゃったように、実際のプラス、かさ上げというのは、私学に通っている生徒の一〇%ぐらいしかいないわけですから。ですから、私学に対するプラスのインセンティブには、生徒たちの立場になったら、なっていない。

 そうすると、親からすれば、当然、公立高校の定数増の要求がますますふえてくる。公立高校に行けば授業料がかからないわけですから。この問題について、どうしますか。

川端国務大臣 現在においても、私学においては、それぞれの都道府県において総額約二百九十億円のいろいろな授業料減免等々の措置が加えられております。

 今回、この制度におきまして国が手当てする分がその分を補完する事態が起こりますので、当然ながら、その上乗せ分として低所得者層に対しての効果は波及するものと思っております。と同時に、定員に関しては、それぞれの地域事情によってそれぞれ地方で判断されるべきものだというふうに思っておりますけれども、トータルとしては、それぞれの都道府県においてきめ細かく、現に高校無償化法案を我々が提案するということを受けて、一部の府県においては、新たに今までやっていた私学に対する奨学金等々、授業料の制度等々を拡充する動きも既に出てきております。上乗せするという意味においては、公私間格差は、くどいようでありますが、縮小される方向になると確信いたしております。

 と同時に、定数の問題はそれぞれ、私学の状況は、国全体では約七〇%が公立、三〇%が私学でありますけれども、都道府県によって随分格差があります。数%しか私学がないところもあります。そういう意味で、それぞれの状況に応じて、奨学金の制度と同時に、定員の問題も、公私の分担を含めてそれぞれ地方で御議論いただくべきであると思っております。

下村委員 都道府県によっては数%しか私立がないということを今引き合いに出されましたが、東京都なんかは私立の方が多いんですよ。都立高校が十四万で、私立が十七万ですからね。だから、少ないことだけで取り上げるというのは危機感がないというふうに思うんですね。

 それから、既に私立高校においては七割が定員割れになっているんです、今。公立高校の無償化によってさらに定員割れが進んで、廃校に追い込まれる私立高校がこれから続出するのではないかという危惧を私は持っております。

 今回の法案というのは、実態として私学の経営を圧迫して廃校に追い込んで、そして、公私間格差がかえって拡大する、このように考えますが、どうでしょうか。先ほどの答弁ではお答えになっていないです。

川端国務大臣 御指摘のとおり、現在、七六%が入学定員未充足の状況にあることは事実でありますし、少子化の影響を受けて私学の経営が大変厳しい状況に置かれていることも事実だというふうに思います。

 それを受けまして、私学助成については、経常費助成と同時に、地方財政措置も含めて、私学が健全に経営できるようにということに対して、国として、地方としてのできるだけの支援は引き続きやってまいりたいと思いますが、公立高校の無償化に伴って経営が一気に悪化するというふうには、生じないというふうに私たちとしては思っております。

 以上です。

下村委員 今、フォローのために都道府県が大変に苦慮しているということをよく調査していただきたいと思います。

 最後に、総理が、すべての意志ある若者が教育が受けられるように、そして教育の格差をなくすための検討を進めるとおっしゃっているわけです。ですから、同じ財源であれば自民党の方がはるかにその視点に立った政策であるということでぜひ御理解をいただき、そして、質問を終わります。

鹿野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、町村信孝君から関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。町村信孝君。

町村委員 自由民主党の町村でございます。

 総理、昨日は北方領土の日でございまして、北方領土返還の全国大会御出席に感謝を申し上げます。御苦労さまでございました。

 金曜日、そしてきょうと、我が党の同僚議員からいろいろな御質問をさせていただきましたけれども、今の鳩山政権あるいは小沢幹事長の民主党、この体質に私は大変心配を持っております。選挙に勝ったから何をやってもいい、あるいは選挙のためなら何でもやる、こういう体質がもう随所に出ているわけであります。総理やあるいは小沢幹事長の検察批判ともとれる発言、知事等の要望は民主党を通さなければだめだとか、あるいは、金曜日の質疑でもございましたけれども、政府の内部文書であるものを与党に渡す、そしてそれが地方自治体にさまざまな形で流出をするというようなこと、これは、まさに権力を持つ者のおごり以外の何物でもない、こう私は受けとめております。

 こういうこともあろうかと思って、私は、昨年の十一月二日、この委員会で冒頭、総理大臣に申し上げたわけであります。例えば、民主党を通さないと知事が大臣に会えない、そして、ある団体などは、その後判明したのでありますけれども、民主党を支持しなければ言うことを聞かないぞというようなおどしまでかける、こういうようなことをやっているというお話をし、総理からは、そういう懸念がないように最善の努力をいたしますという御答弁が十一月二日の日にありました。

 民主党に対し、あるいは小沢幹事長に対して、総理大臣としてどういう最善の努力をなさったか、具体的にお話しいただきたい。

鳩山内閣総理大臣 町村委員にお答えいたします。

 北方領土の件では、自民党を代表して町村先生も御出席をいただいたことを大変ありがたく思っております。

 今お尋ねがございました。もとより、私ども政府が、党等に対して、政策はこれからは一元的に行うよということは申していたところでございます。国民の皆さんの声をしっかり政府に伝えるという役割を党が果たすというのも、これも大変重要なことだ、そのように思っております。

 最終的な責任というものを政府が担うということの確認を行わせていただいたこと、そして、党は党として、国民の皆様方の声を政策に反映させなければなりませんから、そのための役割を果たしてもらいたい、その確認をいたしたことでございます。

町村委員 残念ながら全くまともなお答えにはなっていない。

 官房長官にお伺いをいたします。

 金曜日の日に、同僚の金子議員そして石破議員から、箇所づけの情報が漏えいをした、このことについて、それを漏らした人の処分、そしてどういう資料を配ったか、このことについて、この基本的質疑の終わるあしたの夕方までに必ず出していただく。処分と何を漏らしたか、こういうことで金曜日の日に要求をいたしました。誠実に対応するということであると思いますけれども、もう一度そのことを確認していただきたい。

平野国務大臣 町村先生にお答えをいたします。

 仮配分の資料ということでございますが、先週御答弁いたしましたように、今精査をいたしておりますが、提出については理事会の御判断にお任せをいたします。

町村委員 そうやって逃げるんです、あなた方は。

 理事の数がそれは与党が多いんですから。与党理事がとめたらば出さないんです。そうではなくて、官房長官のみずからの判断において出していただきたいということを申し上げているんです。

 もう一度お願いします。

平野国務大臣 委員会の中での決め事、采配は、もう先生も大先生でございますから十分わかって言われていると思いますが、委員長並びに理事会での合意があってこのことが始まります。したがって、理事会の合意があれば、私は誠心誠意を持って対応したいと思います。

町村委員 私は、与党理事の皆さん方、良識のある方々ばかりだと思っております。そういう意味で、与党理事も、そして内閣も官房長官も、この問題でしっかりとした対応をして、これはやはり国会の審議に対する政府の軽視という大きな問題なんです、立法府と行政府との関係において。そういう意味で、官房長官の速やかなる対応、処分はあなたの判断で出せるんですからね、それをやっていただきたい。あしたの夕方までにそれを必ず出すようにということを申し上げておきます。

 それから、私は、鳩山内閣の致命的な欠陥、きょうの午前中の議論あるいは金曜日の議論でもあったと思います。選挙向けのスローガンはマニフェストでいっぱい並べました。政権をとった後も依然としてスローガンのまま、具体的な詰めも、また国民への説明もない、そしてそれを実行していかない。これを私は、まことに無責任な内閣だな、こう思います。きょうは、幾つかのテーマに即してこれを一つ一つ明らかにしていこう、こう思っております。

 ただ、予算の審議に入る前にもう一つ、これは先ほど菅大臣の御答弁もあったけれども、二十二年度予算は不完全な予算であるとあなたは言ったんです、先ほどの答弁を聞いておりますと。ベストを尽くしてつくったかもしれないけれども不完全な予算だということを総理大臣はおっしゃった。なぜならば、特会その他見直し点がたくさんある、こうおっしゃった。

 それでは、特会を担当している、どなたでもいいです、各省それぞれ特会がありますね。

 例えば直嶋大臣、急なあれで恐縮ですけれども、こうやって特会にいっぱいいろいろ問題があると言われる。経産省にもエネルギー特会等々ございますね。エネルギー特会、どこに問題があるとあなたはお考えで、なるほどここは見直す必要があるんだなとお考えであるか、お話しください。

直嶋国務大臣 突然の御指名でございますが、特に経済産業省でいいますと、エネルギー特会がございます。エネルギー特会のあり方については、もう十年近くになりますか、随分前から議論をしていただいていまして、例えばその中の批判の大きなポイントとして、エネルギー特会の中に税金を直接入れて、そしてエネルギー特会の中で資金をプールして運用しておるじゃないか、こういう御指摘がございました。

 これについては、エネルギー特会のあり方をさまざま議論する中で、現在では、一般会計から必要なものをその都度予算をつけていただいて運用するという形に改めております。

 それからまた、電源開発地域との関係についてもいろいろ御指摘をいただいていますが、これらについても、御指摘を受けて順次運用を見直させていただいておりまして、この特会のあり方については今後とも不断の見直しを継続してまいりたいというふうに思っております。

町村委員 我々の時代にも随分見直しをやってきたんです。特会自体も整理をいたしました。そのことを今、直嶋大臣は言われた。

 では、今の時点で、エネルギー特会のどこに問題があると大臣はお考えですか。それを例示をおっしゃってください。

直嶋国務大臣 今の段階で私が持っています問題意識は、エネルギー特会でさまざまな税金をちょうだいしたりしたものを、例えば電源立地地域の振興のために使うというようなことで行っておるわけでありますが、その使い方が、例えば今後も含めて見直す余地があるのかないのか、そういったことが一つございます。

 それから、そもそも、特会をつくってこうした制度を運用していくことがいいのかどうか、あるいは国の独立行政法人との関係で無駄なくその資金が使われているかどうか、こういったことを今後とも見直しをして検討してまいりたいというふうに思っています。

町村委員 ということは、今回の二十二年度予算のエネルギー特会は、今大臣が言われたことを見直していないんですね。

直嶋国務大臣 御承知のように、昨年の末に事業仕分けがございまして、事業仕分けの際にも、エネルギー特会のあり方についてさまざまな御指摘をちょうだいいたしました。そして、それらの部分については、私どもとして、現時点でできる範囲の見直しをした上で二十二年度予算を作成させていただいたということでございます。

町村委員 したがって、今回の二十二年度、例えばエネルギー特会を例示にとると、これはちゃんとしたものである、こうおっしゃっているわけですよね。そうでなければ、この予算審議自体が成り立ちません。しかし、菅大臣は、大臣着任後早々に、五月、六月にまた仕分けをやると。まさにこれは、選挙向けのパフォーマンスをやりますよということをもう言っているわけですね。

 私は、そんなにいっぱい問題点があるのならば、何でこの予算にしっかりと、菅大臣なら菅大臣、あるいはそれぞれの担当大臣の問題意識で見直しをして、この国会に出してこなかったのか。まことに不十分な予算をこの国会で審議しろと言うのは、私は今後、この委員会の中でさらに同僚議員からも、この問題点を明らかにしていきたいと思っております。

 きょうは、地球温暖化対策それから高速道路の問題、八ツ場ダムの問題、こうした問題について、鳩山内閣の対応の無責任さというものを私は明らかにしていこうと思っております。

 まず、私ども自民党の政権、自公政権の時代からも、この地球温暖化対策、全力で取り組んでまいりました。福田内閣においても長期目標を掲げ、そして麻生内閣におきましても、昨年の夏前だったと記憶をしておりますけれども、このパネルの下から二番目にありますけれども、二〇〇五年比で一五%減という中期目標を掲げました。これも、意欲的過ぎるんじゃないか、実現できないんじゃないかといろいろな批判はありましたけれども、最後は麻生総理の政治決断、もちろんその裏には、さまざまな資料の積み重ね、データの積み重ね、政策の積み重ねがあって、これなら何とかぎりぎり到達できるというものを出したわけであります。

 ところが、鳩山総理は、そうした裏づけ全くなく、とにかくマニフェストに書いてあるからということで、二〇〇五年比三〇%減、九〇年比二五%減というのを、九月中旬の国連総会で早々と国際公約をされてしまった。裏づけないままなんですね。そして、数字だけぽっと言って、その後のCOP15、コペンハーゲンに至る間、この環境分野での日本の外交のイニシアチブは全く発揮をされませんでした。

 表面上は、いや、意欲的ですばらしいという賛辞はもらったけれども、その裏で関係諸国が何と言っているか。どうせできっこないよね、カモだ、これから排出権取引で日本がどんどんどんどんお金を出してくれる、いや、ありがたいものだと、煙をもくもく出している発展途上の国々から、実はそういう陰の声がどんどん出始めている。

 そういうような中で、高い目標を日本が出したけれども国際的な関心はほとんど呼ばないまま、十二月二十日のコペンハーゲン合意が行われました。

 そして、実際どうかというと、一月三十一日までに各国がそれぞれの目標を提示するということで、この三〇%、二五%というのをお出しをされた。ただ、前提があるというんですね。すべての排出国、主要な排出国が公平な枠組みであるということと、また意欲的な目標の合意が前提である、この前提があるからこれだけの数字を言ってもいいんだという説明でありました。

 それでは、抽象的に聞いてもあれでしょうから、これは環境大臣にお伺いいたします。

 アメリカの三ないし五、あるいは四%でしょうか、九〇年比で、これは意欲的な数字と判断をされるのか。あるいは、中国のGDP当たりのCO2排出量、四〇から四五減らす、一見大きそうですけれども、実際、GDPは相当な勢いで伸びるから、二〇〇五年比で中国の排出量が倍ぐらいふえるという数字なんです。これらを意欲的な数字であると環境大臣は判断されますか。

小沢国務大臣 お答えいたします。

 まず、結論から申し上げますと、現在まだ国際交渉のさなかでありますので、政府としての統一的な見解は今の時点で出させていただいておりません。

 環境大臣といたしましては、米国に関しましては、二〇二〇年、二〇〇五年比一七%というのはもう少し上げていただかなければいけないな、こう思っております。しかし、二〇五〇年まで長期の数字を出しているところは、ここは評価ができるのではないか、こう思っております。中国に関しては、これはもう御案内のとおり、実際の量はふえてまいりますので、少なくてもどこかの時点でのピークアウト、頭打ちのところ、反転のところは示していただかなければいけない、こう思っております。

町村委員 要は、意欲的な数字ではない、こう判断をしておられるということですね。

 日米は対等だと総理は言っておられます。オバマ大統領に対して、だめですよ大統領、こんな低い数字じゃ、もっと上げてください、削減幅を大きくしてくださいと言われたことはありますか、鳩山総理。

鳩山内閣総理大臣 まず、町村委員と私は、発想が違うんだと思っています。すなわち、私どもは、地球の命を守りたいというところから発想して、あえて高い目標を掲げて、そして、他の国々も日本と同じように高い目標をしっかり掲げるべきだ、その思いで申し上げているわけでありますから、ただ単に、はったりみたいなことで申し上げているわけではありません。すなわち、地球の命というものを、命を、生命を守りたいという発想からきた。

 私は、まだオバマ大統領とはこの地球環境問題に対して議論をしておりませんし、今、小沢環境大臣があのように申し上げたけれども、背中を押すという意味は、これからやらなければならない話であって、一つ一つの国に対して、それが高い目標かどうかというところはこれからの交渉事でありますから、まだ申し上げている段階ではありません。

町村委員 これは国益をかけた交渉なんです。すばらしい目標を掲げることは、それはいいでしょう。しかし、それにはしっかりとした裏づけがなければいけないということを、総理、まず御認識いただきたい。

 そして、もう一度小沢大臣に伺いますけれども、では、意欲的の判断基準は何かあるんですか。

小沢国務大臣 これも、交渉事でありますから、そこのところは、逆に国際的な基準というものはございません。

 しかし、先ほど総理もおっしゃったように、やはり相手の背中を押していくという意味では、公平かつ意欲的という話は大変有効な条件だ、私はこういうふうに思っております。個人的には、IPCCのいわゆる科学的な論拠、これは一つの基準になり得るものと私は思っております。

町村委員 要するに、言葉の上で言っているだけということがよくわかるわけであります。意欲的の判断基準はないと今おっしゃった。

 それから、公平性。パネルの二をごらんいただきますと、これは、麻生政権下の中期目標の検討委員会とかセクター別アプローチ、これで示した主要国の限界削減費用というものであります。これは公になっているものであります。

 これをごらんいただきますと、日本の限界費用が非常に高い。限界費用というのは、言うまでもありませんけれども、追加的にCO2一トンを削減するのにかかる費用であります。日本は四百七十六ドル、EUの十倍、アメリカの八倍。こういうものをそろえるというのは、一つの公平性の判断基準になる。

 そして、パネルの四には、日本はもう既に世界一の低炭素社会になっているんだということを踏まえたときに、こういうような具体的な判断基準を示すことが、これからの国際的な議論を前進させる一つの有力な手段になる。

 そして、現に麻生内閣のときにセクター別アプローチということで随分市民権を得てきたけれども、岡田さんは必死に首を横に振っておられるけれども、市民権を得つつあった、それを残念ながら皆さん方は、政権がかわったらばぽんとけった。では、かわりに何か公平性の客観基準があるかというと、残念ながら一度も聞いたことはない。

 小沢大臣、この公平性の判断基準を教えてください。

小沢国務大臣 これは委員もよく御存じだと思いますが、まさに今おっしゃったような限界削減費用、これを前政権がセクター別アプローチという中で国際社会に問うたという話は私も承知をしているところでございます。しかし、残念ながら、それがいわゆる国際的な基準になり得なかった、これも事実でありまして、そういった意味では、やはり公平性の一つの基準というのはあるべきだ、こういうことは私は全く同感であります。

 その一つとして、この限界削減費用というのはあり得る。さらにはまた、この委員会等でもさきにも答弁しておりますけれども、例えば、総削減費用のGDP比とか、あるいはまた途上国の方は歴史的削減量、国によっては一人当たりの排出量、そういった話が今国際的には幾つか出されている。

 そういう現状の中で、しかし公平性という条件をつけることによって、日本は大変効率的なエネルギー社会になっているのは事実でありますから、世界各国も頑張ってやってもらって世界全体でCO2を削減していこう、世界益と国益という言葉がありますが、世界益のところで日本は率先して頑張りたい、そういう思いでいるということもぜひ御了解いただきたいと思います。

町村委員 今、小沢大臣が幾つか言われたこと、結構ですよ。ですから、日本はそれを具体的に提案しなきゃいけないんです。

 しょせん日本は、幾ら頑張ったって世界の排出量の四%、これをどれだけ減らしたって、世界全体から見ればごく微々たるものでしかないんです。やはり中国とアメリカをどう参加させるかでしょう。そのためには、やはり公平性の基準というものを早く日本発で示す、そういう作業をやることが私は大切だと思うんですよ。

 ところが、ここ五カ月の間、鳩山政権ができて、私がさっき言った無責任だというのは、皆さん方が何だか一生懸命議論をやっているのは、家計への負担がどうも前政権のは重過ぎるじゃないか、あるいは経済への負担が重過ぎるじゃないか、自分たちの、要するに、民主党を支える人たちだけ集めてもう一度再計算させよう。去年の十一月二十四日、小沢さん、賢明な小沢大臣とも思えない発言をするなと思って僕はびっくりいたしましたけれども、本当にそんな恣意的な人選をやって再計算させているんですか。

小沢国務大臣 賢明な小沢さん、こう言っていただいたのは大変光栄であります。

 その十一月二十四日の発言というのは、恐らくタスクフォースのことだった、こう思います。このときに申し上げたのは、タスクフォースをつくらせていただいて、いわゆる国民負担の計算をしていただきました。

 私どもとしては、閣僚委員会あるいはその下のいわゆる副大臣級検討チームの方でいろいろ先生方にお願いをして、技術革新であるとかあるいは産業構造の転換であるとか、そういった話を中に取り込んだモデルでぜひやってもらいたい、こういうお願いをいたしましたが、しかし、時間的な制約もある中で、そういったモデルができませんでした。今までのいわゆるCGEモデル、一般均衡モデルという形で計算をとりあえず行っていただいて、それが中間的な結果ということで出されました。

 しかし、これはもう委員も御案内のように、これも何度もこの委員会で申し上げておりますが、一般均衡モデルというのは現状がベストで、何をやってもそこからマイナスの数字しか出ない、こういうモデルの性格があって、それではだめだというふうに思っておりまして、先ほど申し上げた技術革新とかあるいは民主党の政策とか、それを取り込んでいただくモデル構築をしてやりたい、そういう意味で申し上げたところでございます。

町村委員 そういうのを世の中的には恣意的だというんです。

 例えば、皆さん方の配下にある国立環境研究所だけは、皆さん方の指示を受けて、家計への負担、このパネルの三番目、確かに下げてきました。随分下げたみたいですね。四十四万円から十六万円に下げさせられたそうでありますけれども、いずれにしても、これだけの家計負担が生ずる。これを全部平均すると、三つの機関、三十八万円。アメリカは一万六千円。仮に十六万としても日本は十倍、平均値の三十八万をとれば二十五倍です。

 これは国際的に見て、さっきの公平、不公平という観点からすると、明らかに日本は不公平な立場に立っている、こういうことになりませんか、小沢大臣。

小沢国務大臣 確かに、その数字だけ見るとそういうふうに感じられるところもあると思います。

 ただ、まず一点だけ申し上げますと、いわゆる日本の数字ということで十六万から七十七万、こういう数字が出ておりますけれども、これは、私どもは正式な発表はいたしておりません。いわゆるパーセンテージで出させていただいておりまして、それを報道等でそういうふうに、ある意味では円換算をしてやっているもの、こういう数字でございます。(町村委員「いや、麻生政権時代に二十二万出していますよ」と呼ぶ)

 麻生政権のときに出した二十二万という話は、それに加えて光熱費も入れて三十六万という数字が出ていて、それは決定的に間違いであったということは指摘をさせていただきましたのと、麻生政権のときのその一番の二十二万も、これは一つのモデルがそれを言っているだけでありまして、それも三つのモデルを回しているんですが、どういう理由かわかりませんけれども、そのうちの一つだけを使っている、そういうことも問題だという話は言っております。

 それで……(町村委員「もういいよ」と呼ぶ)一つだけ、もう一つ。結論だけ申し上げたいと思いますが、そういった、確かに日本は大変エネルギー効率がいい社会でありますけれども、先ほど来申し上げている技術革新とかそういう話をすることによって、コストは圧倒的に下がるわけです。限界削減費用も下げていくことができるわけです。それがまさに新しい時代の成長へのある意味では柱だ、そういうふうに思っております。

町村委員 鳩山総理にお伺いしますけれども、厳しい高い排出削減目標と低い目標とで、経済成長にどちらがどういう影響を与えるとお思いでしょうか。

仙谷国務大臣 時代にもよると思いますが、平成十四年に、例の六都府県、首都圏、近畿圏、中部圏で、ディーゼルの極めて厳しい規制をしたと思います。あのときに、最初の反応は、トラック、バス業界は大変拒否反応があったと思います。ところが、今になってみると、あのことによって、多分トラック、バスの製造業界は大変活況を呈した。つまり、規制とイノベーション、そして生産の拡大とか経済構造の変容というのはそういうことになると私は思っております。

町村委員 そういうのを、最近、私はあるところで聞いたんです、サディスティックエコノミーというそうですよ。私はあなたがサディストだと言っているんじゃないですよ。厳しい規制をかけると経済は成長するというまことに間違った前提を持っているんですね。そういうのをサディスティックエコノミーというそうです。御参考までに。

 そして、もし厳しい削減目標を立てればみんな経済が成長するというんなら、何でCOP15であれだけもめるんですか。みんなもうとてもできそうもない高い目標を競い合って掲げて、もう二五どころか五〇、一〇〇とかなんとか言ってしまって、どんどん高い目標を上げて、みんなお互いに高い成長を、ウイン・ウインでいこうよということになるじゃありませんか。

 しかし、現実は間違いなくこうした厳しい規制がそれぞれの国の雇用にも経済成長にも悪影響が出るとわかっているから、みんな表面はきれいに見せるけれども、実質はいかに影響が少ないようにするのかということできゅうきゅうとしたあげく、あのコペンハーゲンの失敗があったわけでしょう。いいですか。

 したがって、温暖化対策を厳しくすると経済がより成長するという前提はまず間違っているということ。したがって、仙谷大臣、成長戦略目標も、これも何かすばらしい目標だけを掲げて裏づけが何にもない、これも大問題です。ただポンチ絵を描いただけ。

 同じように、この二五%とか三〇%減、本来、鳩山政権ができたら真っ先にその作業をやらなければならなかった。いまだにできていない。少なくとも麻生政権や福田政権のもとでは、関係者を集めて全部フル公開で、学者のデータも研究機関のデータも個人のデータも全部そこに出して公開の議論をやって、そして積み重ねていって、一年半ぐらい議論をして一つの結論に到達した。残念ながら、鳩山政権になってからそうした情報データの公開が何にもない。

 先般二月二日、副大臣レベルの会合があったそうです。それも、二日前に資料を配ってその場で資料を回収した。世の中には何にも出てこない、発表しない。それで、今度三月には基本法を出そうと言っておられるんでしょう。何のデータも示さずに、民間を含めた、あるいは国会での議論もしないままで、どうして基本法になるんですか。

 環境省のホームページを見ると、一月の中旬のホームページにはこう書いてあるんですよ。今の環境基本法、中期目標には八六%の人が反対、あるいは炭素税に賛成する人は一四%、国内での排出権の取引に賛成する人、一二%、こういう環境省の昨年十二月中旬時点での調査結果がホームページに載っているんです。

 何のコンセンサスもないところで基本法だけ出し、しかも、さっき言った二五、三〇の裏づけは何にも示していない。これが鳩山政治、スローガン政治、無責任政治だと私は言っているんです。どうしますか。

仙谷国務大臣 私から申し上げれば、町村理論は現状維持の、全くイノベーションを信用しない、そういう政治を目指している、こういうふうに感じます。つまり、町村さんの理論を前提にすると、七〇年代の日本の公害列島がこういう高効率の、エネルギー効率のいい社会になることはあり得なかったし、世界一の省エネ技術を持つ国にもなれなかったことは間違いないです。

 なお、大事なことは、日本は、現時点で振り返ってみますと、低炭素社会といいますけれども、脱化石燃料の低炭素社会をつくらない限り、原油が十ドル上がったときに三兆円も四兆円も国外に金が流れ出していくという、この構造を変えない限り日本の成長はない。このことが日本が他の国よりも、あるいは途上国という段階ではない日本が先進国の中では、グリーンイノベーションあるいはグリーン・ニューディール、何でも言葉はいいんだけれども、グリーン化する以外にこの国の希望はない、このことを申し上げているんです。

町村委員 仙谷大臣、私は、そういう粗雑な街頭演説のような答弁は、恐縮だけれども、やめていただきたい。もっときちんとした、二五%減ならこれをどう実現するのか、一〇%を排出権で買うんなら、では、あとの一五をどうやるのか、そういう緻密な議論をしっかりと国民を巻き込んで情報公開をしてやって、やれディーゼルの排出のあれがどうしたとか、そんな断片的な話じゃないんです。

 我々は堂々と、福田政権そして麻生政権のもとでやっていた。これは関係者に聞けば、まことに見事な堂々たる公開の議論であったとみんな言っているんですよ。それを知らなかったのは多分民主党の皆さんだけかもしれない。私どもは堂々たる公開議論をやって、その内訳まで全部つくってきた。

 残念ながら、政権をとって五カ月、そういう公の議論すらしようとしない、資料を全部回収してしまう。こういう姿勢で、高い目標を掲げ、そして説明はといえば、七〇年代の石油ショック後の大ざっぱな話、ディーゼルの話、そんなことを言っているんじゃないんです。私どもは、その緻密な内訳をしっかりと国民と一緒に議論をする、そういう中から実際に実現するための手段というものを考えていかなきゃいけない。

 ただ炭素税を導入すればどうだとか、もっとそこをしっかりとやっていただかないと、さっき申し上げたように、排出権の取引で何兆円という国富が、煙がもくもく出ている国、ああ、もうかった、もうかったといって、彼らに無駄な税金をどんどんどんどん払うだけのことになるんです。そうならないようにするために、我が国のために、そして世界のためにどうするのか、もっと真剣なまじめな議論を鳩山政権はやっていただきたいと思います。

 次に、高速道路の無料化のお話をさせていただきたいと思います。

 この高速道路も、まことに人気の悪い目玉マニフェスト商品だと思います。いろいろな世論調査をやっても、大体反対する人が六割から七割であります。たしか選挙中でしたか、福島大臣も、これはやめたらどうかと党首として言っておられたような気がいたします、これは私の記憶違いかもしれません。この政策に自由民主党は反対をいたします。

 前原大臣にこの辺は少し伺っていきたいと思いますけれども、どうぞ、一月二十五日のように余り興奮をしないで、冷静な御答弁をいただきたいと思っております。

 私は、高速道路の無料化の問題点は、四つ、五つの問題があると思います。一つは、今申し上げた地球温暖化政策に明らかに反するということなんです。これはもう論議の余地がないんですね。これをやって、高速道路を無料化して、これが地球温暖化対策に沿った政策であると言う人がいたら、私はお目にかかりたい。この中にいらっしゃるんでしたらば、だれに聞きましょうか。環境大臣、どうですか。小沢大臣。

小沢国務大臣 高速道路の無料化とそれからCO2の削減は幾つかの前提がございまして、例えば、高速道路で、あるいは上と下ですっすっと車が行くようになりますと、当然のことながらCO2の排出は削減されます。しかし、同時に、いわゆる代替交通というんでしょうか、そこでどんどん進むようになると、皆さん電車から自動車の方に乗りかえる、そのことによって交通量がふえるというような話がありますと、これは今度CO2の排出が多くなる、こういう話もございます。

 そういう前提の中でどういう条件で試算をするかということでありますが、国土交通省の方から後ほどお話をしていただければいいと思いますが、今回の試算では減っているという数字、二十五万トン減少という数字を今いただきましたが、それを国交省と環境省とあわせて、これは三月末までに例の実験地域でのシミュレーションを行って発表する予定でございます。

町村委員 今度実験をすると言っているけれども、非常に車の通行量の少ないところですから、ここで幾らやっても、多分この実験には余り当てはまらないんですよ。込んだところでしか意味がないでしょう。込んだところはみんな外しちゃいましたからね。これはおかしな話だ、明らかに地球温暖化対策に反する。

 二番目の大きな問題は、やはり受益者負担原則というのがあるんですよ、どこの世界にも。郵便料だって速達料金は高い、鉄道だって特急は高い。当たり前じゃないですか。受益した者が負担をしない。逆に今度、財務大臣、笑っておられるけれども大変ですよ、これは高速道路を利用しない人にまでこの三十六兆円の借金返済の負担を求めるということになるんですよ。受益者負担の正反対。受益しない人までもが税負担をしなきゃならない。

 毎年一兆三千億とマニフェストに書いてある、この一兆三千億の根拠というのは借金の返済のコストだ、こう私は理解をしておりますけれども、これは受益者負担の原則に反しませんか、前原大臣。

前原国務大臣 発想が違うんだと思いますね。

 恐らく町村委員は、使った人が料金を払うということを受益者負担だとおっしゃっているんだと思いますが、我々は、高速道路の料金を下げる、あるいは無料化をすることによって、物流コストやあるいは人の行き来、物の行き来、そういったものを活性化させる中で日本経済のパイを広げていく、こういう発想に立っているわけであります。

 例えば、これは自民党政権でつくられた試算でございますけれども、三割引きだと〇・五兆円の便益がふえる、五割引きだと年一兆円ふえる、十割引き、つまりは完全無料化すると二・七兆円の経済効果になる。そういうようなところから国民全体に受益が行き渡るという発想での我々は物の考え方をしているということであります。

町村委員 しかし、高速道路が込めば物流コストは高くなるんです。単純な話、今の説明はまことにおかしいんです。

 それから、マニフェストは、二十二年、二十三年、二年間でこの完全無料化をいたしますということが書いてありますね。だから、多分一兆三千億の半分で六千億の概算要求を前原大臣はされたんじゃないかと思いますが、仕上がりはなぜかバナナのたたき売りのごとく一千億円になってしまった。

 これは、鳩山総理、二年間で実現するとマニフェストに書いてありますよね。ということは、二十二年度予算は一千億だけれども、二十三年度予算は一兆三千億フルに計上するということを意味しているんですね。そうでなければマニフェスト違反だということになって、責任をとっていただく。私は、マニフェスト違反したらいいと思っているんです。なぜならば、無料化に反対ですから。どうぞ、堂々とおわびをし、辞職をされた上でこの政策をやめたらいいと思いますけれども、当然、二十三年度には一兆三千億フルにやるということは、マニフェストを守るということですね。

 これはマニフェストだから、総理に。お答えください。

鹿野委員長 前原国土交通大臣。(町村委員「総理に。お答えください」と呼ぶ)まず、前原国土交通大臣。

前原国務大臣 まず、私からお答えをさせてもらいます。

 先ほど町村委員がおっしゃった、込んでマイナスになるということですが、全部含めて二・七兆円の便益が出るということであります。ただし、局部でも込んだり、あるいは全体としてCO2をどれだけ効率的に削減をするかという前提で社会実験をやらせていただくということでありまして、初めから無料化をしていないということは、そのことであります。

 したがいまして、自民党、公明党政権でやられたETC千円の社会実験も参考にさせていただきますし、今回の社会実験も踏まえて、来年度予算というものについてはどれだけの実験をするかということを我々は決めさせていただくということでございまして、今から一・三兆円というようなことを決めているわけではございません。

鳩山内閣総理大臣 前原大臣が申したとおりでありますが、私ども、当然、二年で全部やりたいという趣旨でマニフェストをつくったのは事実でございます。

 ただ、最初の一年目にどういう状況になるか、無料化をしたらどのような混雑になるか、物流が豊かになるかというようなことも含めて考えて、社会的な実験というものを前提として結論を出すわけですから、最初から一兆三千億全部使うということを今決めているわけではありませんが、できる限り二年間で無料化を、そうは言ってもすべてじゃありませんよ、我々は、必要なところにできるように努力をしたいということを申し上げております。

町村委員 要するに、マニフェストを守る意思がないということを今言葉巧みにおっしゃっているな、こう思いました。

 しかも、私は、もっと問題なのは、多分、前原大臣はこれは反対をしておられるんだろうと思うんだけれども、民主党から、高速道路会社に国の金をつぎ込んでどんどん道路をつくらせるべきだという小沢幹事長の要求があり、さらに、地方でどんどんつくりたい場合には地方の支援もすると。

 これは、今まで民主党が言っていた道路政策とまるで違うことを、何か受け入れたという報道もあるし、それに基づいて法律改正をするという話まであるんですけれども、前原大臣、余り心にそぐわない話をやるとストレスが大きくなるから、そういう幾ら小沢さんが言うことでも、あなたはそう小沢さんに近くないんだから、そんな法律出さない方がいいと私は思うんですよ。ここはよく考えて対処をしていただきたいと思います。

前原国務大臣 まず、二つお尋ねがあったと思いますが、地方に任せていくということは、もうこの予算の中で一つクリアをしております。つまりは、社会資本整備総合交付金というもので、今までの補助金というものを地域が使い勝手のいいものにしていこうということ、これをやらせていただいているということが一つ。

 もう一つは、先ほどお答えをした高速道路整備のあり方、先ほど総理がお答えされたように、すべて無料にするなんということは言っていないし、我々は、首都高や阪神高速道路は少なくともこのまま料金は取り続ける、そして社会実験をする中で、どれだけの路線を無料化にする、あるいは料金を低減する、あるいはそのままにするという最終形を決める中で、どういう効率的な高速道路を整備するかということを決めていくわけでございますので、そういった視点から平成二十三年度の概算要求に向けての作業をしていきたいと思っております。

町村委員 結局、旧道路公団の復活になるという懸念が一遍に今広がっているわけですから、そうならないように私どもも民営化したわけですから、私どもも民営化をしてやっているんですから、また旧道路公団に戻るようなことを、よもや前原大臣はなさらないと思うが、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

 余り時間がなくなってまいりましたから、最後に、八ツ場ダムの話を申し上げます。

 これは無駄な公共事業の典型としてマニフェストに書いてあります。私ども自由民主党も、一般的に言うと、反省も含めて申し上げますが、確かに、一つの公共事業に時間をかけ過ぎてきたなと。余りにも丁寧に丁寧にということに時間をかけ過ぎてきた。

 これは皆さん方は御経験がないからだろうけれども、私の地元の当別ダムというのが去年の十月に定礎式を行いました。私が初当選した二十六年前に計画ができておりました。しかし、その間に、そこに住んでいる人たちの生活再建であるとか、私も一人一人の方と話をした、私は必要だと思いましたから。それでも最後たった一人、酪農している方が定礎式に参加されなかった。大変私は心が痛みました。

 でも、そうやって丁寧に丁寧に今まではやってきたんです。だから時間がかかり過ぎたということは反省をしております。もう少しどこかで見切ればよかったな、こういう反省も一つありますし、また、一度始めた公共事業は、途中でやめるということは確かにほとんどなかった。これも反省材料であります。

 だから、そういう反省をしながらの私の意見ではありますが、私は逆に、マニフェストに書いてあるんだからやめます、こんな簡単なことでやめられるんなら、どうぞ前原大臣、別に答弁はこれは求めませんけれども、成田空港の問題も、どうぞ、ばっと、さっとやりましょう、あるいは普天間の問題だって、これはもう大臣が決めたんだからぐっとやる、たしか平野大臣はそんなような趣旨の発言も言っておられたようですけれども、しかし、そういうものではない。やはり地元の、地域の方々の御理解を得ながら進めていく。時として時間がかかることもあるということなんじゃないかと思うんです。

 そこで、もう一度国交大臣に伺いますが、八ツ場ダムをやめるとした一番大きな理由は何ですか。

前原国務大臣 公共事業全般について見直しをしていくというのが我が党、我が政権の柱でございます、コンクリートから人へと。それで、そのコンクリートから人へという考え方の中で河川のあり方を見直していかなくてはいけないということで、できるだけダムに頼らない方針をということを我々はベースに置いております。

 今、二千八百九十のダムがありますけれども、これの更新時期にも来ておりますし、また、今の整備計画を前提にやっていれば相当……(町村委員「なぜ八ツ場ダムかと聞いているんです」と呼ぶ)ですから、八ツ場ダムの説明をするために前振りが必要なんです。

 二千八百九十のダムをつくって、それの更新時期も来ているものがある。つまりは、ダムというのを一遍つくったら、砂もたまってしゅんせつもしなきゃいけないし、砂が流れないために海岸が侵食をされて、トータルの公共事業がそれによってまた生まれてくるという問題もあります。

 そういう意味で、我々は、百四十三のダムをすべて見直す中で、特に時間のかかっている八ツ場と川辺を中止ということにさせていただいたということであります。

町村委員 要は時間がかかっている、その一言だけなんですよね。それだけでいいんです、答弁は。

 そして、今、有識者会議でダムの必要性を検討する物差しを検討しているという報道がありました。実際やっておられるんだろうと思います。しかし、問題は、これも非公開なんです。私は、鳩山内閣は何でも公開、透明性、説明責任と言っておられるけれども、さっきの地球温暖化の会議もそうです、これもまた非公開なんですね。基準をつくるこんな会議まで非公開にする理由は全くないと思うので、早急にこれは公開にしていただかないと、関係する地域の人、自治体等々が非常に疑心暗鬼になっているから、早急にこれは公開すると決めていただきたい。

 その上で、できるであろう物差しを一つ一つに当てはめていって検証します、八ツ場ダムも検証の対象だと言っておられる。検証の対象になっている八ツ場ダムを他方ではもう中止と決めている、これは論理矛盾じゃありませんか。

前原国務大臣 非公開にしている大きな理由は、河川のあり方でダムに頼らない場合は、どこの堤防を強化するのか、あるいははんらん原というものを設けるのかということになると、必ず個別具体の話になります。そうすると、公開にすると、それによっていろいろな意見、問題が起きてくるということで、物差しを決めるまでは非公開にし、そして、決めた上では、当然ながらその百四十三の河川の流域の皆さん方にお話を伺うということですので、透明なプロセスで議論はさせていただきたいと思っております。

 それと、八ツ場についてでございますけれども、検証はいたします。しかし、我々としては、このダムというのは中止ということをぜひ理解をいただきたいと思っております。

 その大きなポイントは何かということでございますけれども、もちろん、再検証のプロセスに乗って予断を持たずにやってまいります。つまりは、八斗島という伊勢崎の基準点があるんですが、それはカスリーン台風を前提にしているんですけれども、一万六千五百立方メートル毎秒なんですね。だけれども、今の基本高水は二万二千立方メートル毎秒なんです。こんなものは、八ツ場をつくったって、あと幾つもダムをつくり続けなければ達成できないような基本計画でいるわけです。

 そういうものを基本的に見直していく中で、どうしていけば日本全体の河川が整備できて、そしてできる限り安全な河川整備ができるかということで物事を見ていくということで御理解をいただきたいと思います。

町村委員 したがって、八ツ場は検証すると言いつつ検証の対象から外しているんですよ、今のあなたの御議論は。だから、八ツ場を対象にすると言うから、地元の人たちは一体何だかわけがわからなくなっているのであって、もう全く今のは答弁になっていないし、かつ公開をしない理由にもなっていません。そのことだけ申し上げておきます。

 それから、このパネルをごらんいただきますと、これは事業仕分けをすればどっちがいいかは明白ですよ。中止をすると、完成する場合と比べると税金が千三百六十五億余計にかかるんですね。いいんですか、財務大臣、こんなことで。無駄な税金がこれだけ使われるということです。このことをまず申し上げておかないと、ダムを中止すると税金が節約できると誤解をしている方々がたくさんいますから、このことも申し上げておきます。

 それからもう一つ、最後に、法律的な問題があるんです。

 今ダムを中止するというやり方は法令違反なんですよ。特定多目的ダム法四条四項に基づいて、知事の意見を聞かなきゃならない、知事は、意見を言う場合には、都道府県議会の意見を聞かなきゃならない、こうなっているんです。

 知事は、昨年の十月、関係一都五県の知事が共同声明を出して、この中止撤回を求めるということを出しているんです。だから、今あなたが中止する中止すると言ったって、このダム法上、これは法令違反の行為を大臣みずからやっているんです。さあ、どうなさいますか。

前原国務大臣 まず、そのグラフは誤りがあります。

 まず、この五百二十五億円というのは必ずしも返すべきものではない、法律的に。それから、一千四百六十億のところは、一都五県の負担額と書いてありますが、これは事実ではありません。国の負担額も入っておりまして、国は五百八十五億円、その分は国に返ってくる話でありますので、五百二十五億円と五百八十五億円は少なくともそこから減らすことができます。

 そしてまた、ダムをつくらないということになれば、生活関連の費用については、ある程度はやりますけれども、七百七十億全部要るかどうかはわかりませんし、また、左側の四千六百も、もともとこれは前政権では二千百億円でやると言っていて、今の段階で四千六百ですよ。本当にそれで終わりますか。そういうことを考えると、その表は必ずしも当たらない。

 もう一つ、法令違反のことについては、これは委員御指摘のとおり、私は、本体工事は中止すると言っておりますけれども、特定多目的ダム法に基づいてのいわゆる法律的な中止は言っておりません。これはいろいろな手続を経てやらなくてはいけませんので、これは最終的には、流域の都道府県と相談をしながら、特定多目的ダム法に基づいて粛々と行っていくということであります。

町村委員 時間がないから細かいことは言いませんけれども、この五百二十五億、法的には確かに負担をしなくてもいいんです。しかし、実質的に自治体がもう負担しちゃっているんですから、必ずこれは国が負担することになるということは前原大臣もわかった上で言っておられる。

 要するに、鳩山総理、民意を尊重する、地域主権という大仰な言葉まで使っておられる。それなのに、今言った法律的な問題、コスト的な問題、そして地域の声、こうしたものを尊重しないで、よりローカルな公共事業について地域の声を無視し、そして、もっと国が責任を負わなきゃならない普天間みたいな問題については地域の声を尊重する。これは明らかな矛盾なんですよ。

 したがって、私は、地元の皆さん方と話し合いをするのであれば、もう一度白地に戻して、白紙撤回をして、そしてすべての手順をやり直していくことが、まさに地域の声を聞くことになるんじゃないんでしょうか。

 そのことを申し上げ、最後に、きょう何か昼間、鳩山・小沢トップ会談が行われた、こういう情報に接しましたけれども、お差し支えなければ、どんなお話をされたか、知りたい方がたくさんいるようでありますから、お話をいただければと思います。

 以上で私の質問を終わります。

鳩山内閣総理大臣 私は今、行政の長としてここで申し上げているわけでありまして、特定の党の代表と幹事長の話の内容までここで申し上げる必要はない、そのように思います。

鹿野委員長 これにて金子君、石破君、棚橋君、菅君、伊吹君、加藤紘一君、野田君、加藤勝信君、下村君、町村君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 総理、まず初めにお伺いをいたします。

 昨年四月、アメリカのオバマ大統領がプラハで、核兵器のない世界を目指そうという演説をされました。総理も、国連総会での演説で、核保有国に核軍縮を促し、非核保有国に核兵器保有の誘惑を絶つよう、最も説得力を持って主張できるのは、唯一の被爆国としてノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキと訴え続けてきた日本、このようにおっしゃっております。

 その広島が、二〇二〇年のオリンピック誘致に手を挙げております。平和の祭典オリンピックを被爆地で行う、これは大変、核兵器のない世界への流れをつくっていく上で、日本として貢献できる、大きなエポックメーキングなことではないかと思います。

 私もぜひこの広島の勇気ある提言を応援したいと思っておりますが、総理もぜひ応援していただけませんか。いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 今、突然にそのようなお話を斉藤委員からいただきました。

 私は、日本にオリンピックを誘致する、その中でも特に、まさに被爆地であります広島でやりたいと思われる、斉藤委員を初め誘致にかかわる多くの方々のお気持ちは十分に理解できるものだ、そのように思っております。オリンピックの政治的利用みたいな話も一部であるとは思いますが、そういうものを超えた中で、大いに私としても背中を押すことができれば、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 総理も前向きに応援していただける、このように理解をいたしました。

 それでは次に、民主党の石川議員の処分の問題についてまずお伺いをさせていただきます。

 民主党の現職議員である石川議員が、容疑者から被告に変わりました。とりわけ、公認した民主党、また総理にも責任がある、このように思います。

 総理は、民主党代表としてこの石川議員に対してどのような処分をされるのか、議員辞職を促すのか、またそのまま放置されるのか、お答えください。

鳩山内閣総理大臣 彼が残念ながら起訴をされたという事実は、やはり重く受けとめるべきだ、そのように思います。

 ただ、やはり、本人の身分に関してのお話は、まずは本人自身の意思、本人自身が決めるべきことだ、そのように考えておりまして、彼自身がどのように自分自身を律するかということを見きわめながら、党としても結論を出してまいりたい、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 総理、それは民主党代表としての、やはり責任放棄ではないでしょうか。

 二〇〇二年にある自民党の代議士に疑惑が生じた、そのときに時の小泉総理は、幹事長である山崎さんを官邸に呼んで、この辞職勧告決議案を採決するように、このように促したと言われております。また、お名前を出して大変恐縮なんですけれども、加藤紘一議員は、自分の秘書の疑惑のときに、みずから、それは私の責任でもあるということで議員辞職をされました。

 この小泉総理や加藤紘一議員の潔さ、この潔さについてどのように思われますか。

鳩山内閣総理大臣 政治家にとっての潔さは、それは評価すべきことだ、そのように思っております。

斉藤(鉄)委員 総理も、今のこの政治的な不信、国民の政治に対する不信を払拭するために、その潔さを発揮されるべきではないでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 それぞれの事象において違いがあることは当然だと思います。

 ただ、私は、石川議員の起訴に際しては、やはり本人自身の意思というものを早く示すことが大事だ、そのように思っておりまして、そのことを見きわめながら党としても判断をしたいと思っております。

 ただ、私は今、行政の長として答弁に立っているわけでありますが、これ以上のことを申し上げるべきではないと思います。

斉藤(鉄)委員 行政の長であると同時に、民主党の代表でございます。民主党の代表としてお伺いをしているわけです。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 今まで、すべて党の代表として申し上げたところであります。すなわち、本人の意思、そしてその後に党としての判断というものを行いたいと思います。

斉藤(鉄)委員 次に、我々三党で出しております辞職勧告決議案についてお聞きしたいと思います。

 民主党の山岡国会対策委員長は、我々が出した辞職勧告決議案について、秘書のときの問題だから、辞職勧告を国会で審議するには当たらない、このように主張をしております。総理も同じ考えですか。

鳩山内閣総理大臣 この問題に関しては、まさに国会でお決めいただく話でございます。

斉藤(鉄)委員 国会でこの決議案を議論しようというのは、民主党の代表として、党に対して代表が指示されることではないんですか。それは余りに他人事、逃げているということじゃないですか。

鳩山内閣総理大臣 国会運営の中でお決めいただくことでございますので、国対委員長を初めとして国対の皆さんがどのように判断をされるかということにすべてかかると思っております。

斉藤(鉄)委員 我々が提出した決議案の中に、政治資金規正法の精神というのは、我々の持っている情報を一〇〇%国民にオープンにして、国民の皆さんに判断していただこうと。その資金規正法の報告を故意にねじ曲げていたということで今回起訴されたわけでございます。そういう人が、ある意味では国民に対しての大きな罪悪だと私は思いますけれども、そういう罪悪を犯した疑いの濃い、起訴された方が国会議員としてこの場にいるということは、我々は自浄作用を国会として示さなくてはいけないと思いますが、民主党党首として、その点をもう一度お聞きいたします。

鳩山内閣総理大臣 起訴された中身、今、ねじ曲げられたとかいう話はされましたが、私にはそのようなことはまだ判断できる状況ではない、そのように思っておりまして、検察が起訴をしたという事実は重く受けとめる必要があると思っておりますが、その後のことに関して、今、推定してさまざまなことを申し上げるべきときではない、そのように思っています。

斉藤(鉄)委員 故意に虚偽記載をしたということは御本人たちももう認められております。そういう意味で、ねじ曲げたと私は言ったわけでございます。

 総理、あなたは、二月五日に記者に対して、国会という場で真摯に議論すべきだ、こうおっしゃっております。議論すべきなんです。ですから、この辞職勧告決議案を国会で議論すべきではありませんか。

 どちらが正しいんですか。議論するに当たらないという国対委員長と、議論すべきだという代表と、どちらが民主党の考え方なんですか。

鳩山内閣総理大臣 それは、国会にお任せしておりますが、国会の中で議論していただきたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 それは、私どもには逃げとしか映りません。

 それから、小沢幹事長の不起訴という判断がなされましたけれども、これまでは、捜査中であるからということで、なかなか説明ということがなされなかったかと思いますが、今回、一つの一定の区切りがつきました。しかしながら、国民はその説明が十分であるとは全く思っておりません。これは各種の世論調査で明らかでございます。なぜ我々が持っている疑惑にこたえようとしないのか。ぜひ国会の場でこたえて、国民に対する説明責任を果たすべきだと思います。政治資金で不動産を次々と購入することの異常さ、また、政党助成金の不透明な処理、それから、ゼネコンからの献金疑惑などでございます。

 また、きょうの資産公開では、小沢幹事長は預貯金ゼロという報告がなされているというふうになっておりますけれども、たんす預金は報告の義務はないということだそうでございますが、しかし、実質的に本人のものである家族の資産については報告の義務があるということだそうでございます。この点についても、政治不信を払拭するために国民に説明責任がある、このように思いますけれども、総理、いかがでしょう。

鳩山内閣総理大臣 小沢幹事長は、検察でも聴取を受けてさまざま話をされたと思っておりますが、その後、必要に応じて記者会見もしているわけであります。別に逃げているというような状況ではないと思っております。それが国民の皆さんにどこまで信頼をいただいておるかどうか、あるいは説明責任を果たしていると思われているか、それはあると思っております。ただ、やはり私は、小沢幹事長は必要に応じて説明責任を御本人としては果たしている、そのように思っております。

 また、国会に関しては、ぜひ国会の中でお決めいただければと思っておりますが、やはり、検察の方で不起訴ということになったという事実も事実として理解をいただければと思います。

斉藤(鉄)委員 まず国民に対して、ほとんど説明責任を果たしていない、このように国民が感じている、そういう状況の中で、まず政倫審に出席をしてその説明責任を果たすということが必要だと我々は考えますが、民主党代表として、そのような国会運営をするべきだ、このように指示されるおつもりはありませんか。

鳩山内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、検察が不起訴という判断をしたというのも、これも事実でございます。その状況を踏まえながら、必要があるかどうか、これは政倫審に臨むのは本人の意思だ、そのように理解をしておりますので、御本人が決めるべき話だ、そのように思いますし、また、国会の中で、必要があれば国会の皆さん方でお決めいただければと思います。

斉藤(鉄)委員 そのように、すべて国会で決めるべきだ、国会で決めるべきだ、それは、私は、民主党代表としての責を果たされていない、逃げの姿勢である、このように断ぜざるを得ません。

 それから、小沢幹事長の不起訴判断がされたその日の夜の会見でございますが、いわゆる形式的ミスということを強調されているんですけれども、逮捕された本人らが、故意による虚偽記載ということをみずから認めているわけでございます。

 政治資金規正法第二条には、政治資金は国民の浄財であるという重要な精神が書かれておりまして、虚偽記載はある意味で最も重い罪、国民に正確な情報を提示しなかった、国民の判断を狂わすもの、過たせるもの、最も重い罪と書かれております。

 そのことは小沢幹事長も監督責任を認めていらっしゃるわけでございますけれども、民主党は、そういう状況の中で、党内で自浄作用を働かそう、こういうお考えはないんでしょうか。民主党代表として、もう一度お伺いします。

鳩山内閣総理大臣 このような小沢幹事長本人の政治資金の問題でありますだけに、当然、第一義的に、本人みずからが進んで説明責任を果たすべきだ、そのように思っておりますし、その思いのもとで今日まで幹事長も説明責任を果たしてきたと思います。

 ただ、残念ながら、国民の皆様方が十分な説明ではないと思っておられるのも実態としてあろうかと思っておりますが、私はやはり、これは第一義的に本人がしっかりと説明をする、そこに基本的には尽きる話であり、また、いわゆる検察の話に関しては、我々が検察の捜査以上の捜査ができようはずもないわけでありますので、ここは検察の捜査にゆだねるべきものである、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 検察は、法と証拠に基づいて行うわけでございますけれども、これは、ある意味で有罪か有罪でないかで、基本的に疑わしきは罰せずという基本精神があろうかと思います。しかし、政治の世界では、やはり疑わしきは国民に説明をするという必要があるわけで、検察がこう判断をしたのだからそれはもういいんだという姿勢は、政治不信を増幅するものだと私は申し添えておきたいと思います。

 それから、鳩山総理御自身の問題ですけれども、検察に上申書を出されました。その上申書を我々国会に提示されるおつもりはございませんか。

鳩山内閣総理大臣 上申書というよりも説明文でございまして、それを、こういう経緯であるという、自分自身の知り得る中でそのことを申し上げた文章でございまして、それはどうぞ国会の中でお決めをいただければと思います。

斉藤(鉄)委員 委員長、我々は、どのような上申書を検察に出されたのか、これは政治不信を払拭するために我々国会が明らかにする必要があろうかと思います。国会でお決めになってという今の総理のお話ですので、国会に、この委員会の場に提出していただきたいと思いますが、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

斉藤(鉄)委員 それから、私は、今回贈与ということになって贈与税を納められた、しかしながら時効分があって一億円以上のお金がまた還付されるのではないか、このように新聞報道で承知をしております。きょうの午前中もございました、これから納税の季節でございます、その納税者の意欲をそぐことがないように、還付されたもの、これは本来、時効とはいえ納めるべきものだったわけですので、例えばこれからもう総理の給与は返上する、これぐらいのことをしなければ国民は納得しない、納税者として納得しないと私は思いますけれども、この還付してくるものについてどのようにされますか。

鳩山内閣総理大臣 還付の話でございますが、これは国税の方で決めるものでございまして、まだそのような状況になっているかどうかは、私は判断できる状況ではありません。

 ただ、私は、勝場の弁護士と私の弁護士との間で判明をした母からの資金提供ということに関して、これは私自身、本人が知らなかったものであるものですから、やはりこのことは贈与とみなすべきだという判断がそこでなされたというふうに理解をして、そのことで贈与と私も判断をして贈与税を納めた。それが必ずしも、ある意味で、五年間でしたか、それより以前のことにさかのぼることではなかったという話もあるかもしれませんが、私は、事実として、贈与だとみなした年のその月から贈与税を納めたわけでございます。

 したがいまして、還付されるかどうかわかりませんが、還付されたときに、これは私自身が当然受け取るわけにはいかないお金ではないか、そのようにも思っておりまして、それをどのように有効利用させていただくか、国民の皆様方にどのようにお返しをするかということも含めて、そのときに判断をさせていただきたいと思いますが、まだ国税がその判断をしておりません段階で、余りその先のことを申し上げるべきではない、そのように思っております。

斉藤(鉄)委員 国会議員は国に寄附をすることができません。ただ、給与の返上はできます。そういう意味で、総理大臣給与の返上ということぐらいしなければ、私は、国民の納税意欲に大きな問題が出てくる、このように申し上げておきたいと思います。

 さて、我が党が提案をしております再発防止のための与野党協議、これは、秘書が罪を犯したときにはそれは政治家の責任である、また、企業・団体献金の禁止、また、秘書が秘書がと言って言い逃れることができないように、ちゃんと代議士、国会議員が署名をする、このような内容の、各党協議で政治資金規正法の改正を行っていこうではないか、このような呼びかけを各党に行っております。

 自民党さん、それからみんなの党さんから、ぜひやろうということで返事をいただいておりますが、ぜひ民主党も参加していただきたいと思いますが、いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 これはぜひ、民主党も、今まさに、企業・団体献金の禁止問題も含めて政治資金規正法のあり方というものも大いに議論して前向きに結論を出したい、そのように考えておりまして、公明党さんの提言に対して、民主党としても、当然今議論しているところでありますので、私どもとしての、ここでの行政の長としての答弁は、ぜひ各党で大いに議論してまとめていただきたい、そのように思っておりますが、党の代表として申し上げれば、ぜひ前向きに判断を申し上げたい、そのように思っております。

斉藤(鉄)委員 きょうは海江田さんがいらっしゃいませんが、海江田さんは政治改革本部の事務局長をされております。この場で指示していただければ、すぐ与野党協議が、各党協議が始まるわけですので、ぜひそのように指導していただきたいと思います。

 国民新党の亀井代表、この協議会への参加、ぜひお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。

亀井国務大臣 私ども国民新党は、政治資金規正法そのものに大変問題がある。木造にプレハブを継ぎ足し、さらにコンクリート、そういうことの中で、ある面でわけのわからないような法律になってしまっちゃっているのが私は現実であると思います。

 政治を浄化するにはどういう政治資金規正法のあり方がいいのかというのを私は各党が真剣に検討すべきであると思います。何か事件が起きれば、現実離れのしたこと、例えば一円までも領収書を求める、ことしからやるわけですよ。委員、こんなこと実行可能だと思われますか。そういうことで、政治家をある意味では犯罪人に追い込んでいくような改正は、政治を浄化していくための改正だとは私は思いません。きれいに金を集めて、きれいに金を使っていく、私はこれに尽きると思っております。

斉藤(鉄)委員 社民党の福島党首、我々のその各党協議にぜひ参加してください。

福島国務大臣 政治とお金の問題に関して、これは長期に取り組まなければなりませんが、今国会においても成果を出したいというふうに思っています。

 これは既に、野党時代に社民党は、民主党、国民新党と共同提案で、一定規模の公共事業を受注する企業から企業献金をもらうことを禁止するという法案をまとめた経緯があります。

 もう思い切って、公共事業の受注の金額は別にして、社民党ははっきり企業・団体献金の禁止をうたっておりますので、そうちまちまとしたことではなく、ばんと企業・団体献金の禁止を法案として出すことを一緒に目指していこうではありませんか。

斉藤(鉄)委員 では、ぜひその各党協議に参加していただきたい。社民党さんにも我々申し入れに行きましたので、ぜひいい返事をお待ちしております。

 原口さん、私は、原口大臣は大変率直な、昔からの友人で尊敬を申し上げているんですが、「総務省顧問 国会議員OB十一人」、これは私は、原口さんらしくないな、このように思っております。

 名前は言いませんけれども、すべて選挙で落選をされた、それも原口さんに近い方々を総務省の顧問、これは二時間で二万円、交通費実費、こういうことだそうでございます。

 私も大臣経験があります。意見を聞きたい、参考にしたいというときには、私が行く、もしくは来ていただく。喜んでいろいろ意見を聞くことができました。

 私は、これは余りに恣意的な人事だ、このように思いますけれども、原口さん、いかがでしょうか。

原口国務大臣 斉藤議員の長い間の友情に感謝申し上げます。

 その上で申し上げますと、このほとんどが地域主権関係でございます。

 確かに、国会には落選された方もいらっしゃいますが、そのほとんどが現役の首長であります。現役の首長の皆さん、この方々は全部無給で私たちの地域主権に手伝っていただいておりますので、御理解をいただければというふうに思います。

斉藤(鉄)委員 現役の首長とおっしゃいましたけれども、例えば、前衆議院議員の亀井久興さん、前衆議院議員の保坂展人さん、それから水島さん、八代英太さん、この方々は、私は、落選をされた議員OB、このように見えます。また、現役の中にも、贈収賄容疑で逮捕された町長さんもいらっしゃいます。

 どういうふうに顧問を選んでいるのか、全省庁出してもらいたいと思いますが、総理、いかがですか。

原口国務大臣 お答えいたします。

 今実名を出していただきましたけれども、亀井久興先生それから保坂展人先生、八代英太先生、それぞれ、総務省の事業仕分け、これにもかかわっていただいておりまして、今私たちは、きょう亀井大臣と一緒に郵政の改革の素案を出させていただきましたが、その当時の鳩山総務大臣によるとできレースと言われているかんぽの宿問題について総括をしていただいておりまして、全く問題はないと思っております。

 また、逮捕をされた、これは山本町長のことをおっしゃっていると思いますが、この方々は、もともと私たち民主党の支持というわけではなくて、町村会の代表ということで私たちの地域主権改革に協力をしていただいているところでございます。

 以上です。

斉藤(鉄)委員 もう時間がありませんのでこれ以上言いませんけれども、私は、いろいろな方の意見を聞く、これが顧問の存在意義だと思いますけれども、余りに恣意的であり、ある意味では間違った政治主導という思いがいたします。全省庁、このデータを、どういう顧問の人を採用しているか出してほしいということについては、総理、いかがでしょうか。

平野国務大臣 斉藤先生にお答えします。

 これはそれぞれの分担する省庁がやっておることでございますし、議会で、理事会で決めていただければいいと思いますので、恣意的にという概念は全くない、適切な人材を選んで顧問になっていただいていると私は思っております。

斉藤(鉄)委員 いや、顧問を選ぶというのは大臣にとって大変重たい仕事でございました。私は、そのような意味で問題がある。

 また、委員会でということですけれども、これは官房長官が全省庁出す、何か出したらまずいことでもあるんですか。出す、この場で言っていただければ出せるんです。いかがですか。

平野国務大臣 極めて出し渋っているようなことを言われますが、私は、ここの委員会、理事会でお決めいただいたら、それに従います。

斉藤(鉄)委員 それでは、委員長、この資料提出についてもお取り計らい、よろしくお願いいたします。

鹿野委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

斉藤(鉄)委員 それでは、次に環境問題と日本経済についてお伺いをいたします。

 今、日本経済が大変厳しい、そして雇用の問題が厳しい、その声を聞きます。私は、この問題は、グローバル経済の進展によって日本の競争力が落ちてきたということに根本的な原因があろうかと思います。そういう意味で、雇用問題、景気対策、長期的には私は日本の競争力を高めるような施策を行っていくしかない。

 日本の競争力とは何か。それは、ほかの国にはできない高付加価値をサービスや製品につけるということしかないと思います。その高付加価値というのは、やはり科学技術であり、また文化芸術です。今回、事業仕分けで、その科学技術また文化芸術がすぐ役に立たないということで切られたのは大変私は残念でございますけれども、その高付加価値をつけていくような経済をつくっていく。特に、科学技術の面では、実は日本が優位にある科学技術分野というのはそんなに多くありません。その中の数少ない一つが環境・エネルギー技術でございます。

 この環境・エネルギー技術をどう日本の経済の発展に生かしていくか。そういう意味で、私は、総理が出された二五%CO2削減目標、これは大変評価をしております。ある意味でこれは日本が発展をしていく大きな力になり得る。しかしながら、一つ間違えると逆に日本が衰退していく道にもなっていく、このように思います。

 ここにちょっとパネルをつくらせていただきました。この野心的目標がすばらしいと言ったのは、二つ意味があります。

 一つは、それは技術革新を推し進めるからです。(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。

 一つは、これが技術革新を進めるからです。もう一つは、日本がリーダーシップをとることができる。私も前々回の予算委員会でここでお話しさせていただきましたが、環境大臣として一つの枠組みをつくっていこうといって世界を回ったときに、特に中国や発展途上国に行ったときに、そんなことを言う前に日本が野心的な目標を出せ、そっちが先だ、こう言われて随分悔しい思いをいたしました。

 そういう意味で、この野心的目標を出した、これは日本がこれからリーダーシップをとるという意味では非常に大きな材料になる、このように思っておりますが、ここで問題は、そのリーダーシップを発揮して一つの国際的枠組みをつくる、そして世界が低炭素地球、低炭素社会に向かって進んでいく、そうなりますと、日本の優秀な技術が世界に役立ってきて、これが日本の経済を大きく飛躍させる、そういう道が一つございます。

 ところが、一歩間違うと、この一つの枠組みができなければ、いわゆる京都議定書がそのまま残り、そしてその京都議定書には、アメリカ、中国、インド等、今一番二酸化炭素を出している国が入っていません。そういう国が別の緩い枠組みをつくる、「京都議定書と他の枠組みの並立」、ちょっと私の独断と偏見で書かせていただきましたけれども、こういう状況になれば、結果として温暖化が進展してしまう、そして日本に過大な義務が京都議定書の中でかかってきて、日本の経済は縮小していかざるを得ない。今、その剣が峰、岐路に立っていると思います。

 そういう意味で、私は、せっかく総理が野心的目標を出された。リーダーシップを発揮して、そしてこの一つの枠組みをつくっていく、このような仕事をされるべきであった、四カ月前から、あの国連で発表された後、そういう仕事をされるべきであったと思うんですが、見ておりますと、その努力をされた形跡がない、私はそのように思えてならないわけでございます。

 今回、コペンハーゲンでCOP15がございました。そのCOP15の目的は一つの国際的枠組みをつくるということだったんですけれども、結果として、その一つの国際的枠組みはできなかった。そして、京都議定書を延長させるプロジェクトであるAWG、アドホック・ワーキンググループKP、KPというのは京都プロトコールです。そのワーキンググループが残って、二番目の可能性もまだ残っている。

 私は、そういう中で、これまでどういうリーダーシップ、せっかく高い目標を掲げたのに、その高い目標を使いながらリーダーシップをどう発揮されたのか。また、そういう状況で、結局コペンハーゲン合意に留意するという形で結論になったわけで、この問題はそのまま今課題として残っているわけですが、今後、この一つの新たな国際的枠組みをつくって、日本の経済を発展させるという軌道に乗せていくためにどのような戦略をお持ちか、総理にお伺いいたします。

鳩山内閣総理大臣 まさに斉藤委員、直前まで環境大臣として御努力をされておられた方だけに、一番の核心的な部分を御存じで何よりでございます。

 私どもが、まさにCOP15で一つの新たな国際的な枠組みというものをつくりたいと思って行動してまいった。そのためには、高いゴールというものを示す必要があった。そして、本来ならば、もうCOP15はできないんじゃないかと。九月のころまでは、これは斉藤委員がおわかりだと思いますが、国際的な雰囲気は、結局COP15は完全な失敗だ、もうやめようみたいな議論もあったところ、そこで日本がかなり野心的な目標を掲げたものだから、これならばもう一回やり直そうではないかという機運になったことも、これも実態として事実でございます。

 最終的に十二月のコペンハーゲンで留意事項がついてしまったことは極めて残念でありますが、この会議の中でも、私の方から、ぐだらぐだらと言ったらいけませんが、一つのペーパーというものもつくらないような議論が余りにも長く続いていたものですから、そういうものではだめでしょう、時間的にはあと一日しかなくなっていく中でこのままこんな議論をしていたら、もうCOP15は失敗に終わっちゃうじゃないか、COP15を失敗に終わらせないためには、やはり議長として提案を出してください、提案を出したものをみんなでたたいて一つのものにまとめていこうじゃないかということを提案した。

 そしてその流れができて、最終的に、やはりコペンハーゲンが、留意事項がついたことは本当に残念ですが、一つの国際的な枠組みをつくろうではないかという方向で結論を見出そうということになったことは、これはよかった、そういう意味でコペンハーゲンは有意義であった、私はそのように思います。

 ただ、御案内のとおり、京都議定書の部分がまだ生きている、これは何らかの形で京都議定書に戻るようなことにさせてはならない、そこは事実でございます。

 つい先週、カルデロン大統領が来られました。メキシコとの間できちっと、我々、先進的に努力しようじゃないか、我々の努力を約束いたしました。協力をしましょう、法的な枠組みをつくれるように、一つの枠組みにしていこうじゃないかということの協力も約束いたしましたし、また、去年のコペンハーゲンのラスムセン首相もまた日本においでをいただくような環境になっていくと思います。

 こういう中で、前と後ろのある意味での責任のある方々との協力をしっかり行っていく中で、私どもとしてまだ前提条件をつけております。それは、他の国々が日本と同じようにもっと高いゴールを目指して努力してもらいたい、その思いがあるからでございまして、その思いを満たしていきながら、先進国と途上国との間の役割分担というものも認めていく中で、今度は失敗は許されない、COP16、メキシコでは絶対に成功させなきゃならないという強い意思を持って、日本としてもリーダーシップを発揮してまいりたい、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 私は、日本経済の分岐点だと思っております。COP16、次のメキシコで、どういう合意、一つの国際的枠組みができるかどうか。そしてその中に、例えば、すぐれている日本の技術、その日本の技術を途上国で使って、その使って二酸化炭素を減らした分が日本の排出枠にカウントされる、こういう枠組みをつくって入れ込んでいくということが、私は、日本の国益を守ることになり、かつ地球の低炭素化を進めていく上で非常に大事だと思います。そういう戦略が見えないんです。そういうものをつくっていこうというリーダーシップが鳩山総理に見えないから、私、こういう質問をさせていただいているわけです。

 特に、私は、これからアメリカとの連携が必要かと思います。アメリカと日本が、そしてEUが連携して、中国、インド等いわゆる中進国、主要排出国をどう説得していくかということが非常に大切かと思いますが、今回のCOP15を見ておりますと、私は、総理とオバマ大統領と信頼関係のもとに連携してやっていこうという姿が全く見えなかった、総理はオバマさんに話をしようと言ったけれども話をしてもらえなかった、こういう非常に心配な面がございます。

 この戦略を進めていく上で、アメリカとどう連携をしていくか、どのような戦略をお持ちでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 私は、コペンハーゲンでも、オバマ大統領からは、中国とインドを中に入れていかなければならない、そのために、これから彼らと大いに議論をして、彼らをうまく引っ張ってくるように努力をする、それを見ていてくれというような話がありました。オバマ大統領との信頼関係がなくなっているわけではありません。こういった、その折その折で、この地球環境問題に関しても、その場でも議論をさせてもらっておりますことは、事実として申し上げておきたいと思います。

 ただ、これからの段階で、やはりアメリカもキーの国の一つであることは間違いありません。先ほど小沢環境大臣が、アメリカの目標はまだ必ずしもという話がありました。しかし、アメリカにもアメリカの国内的な事情というものもあります。むしろ私は、大事なことは、アメリカとの信頼性の中で多くの国々との協力をしていくことが大変重要だと思っております。中国やインド、ブラジルといった国々との間での、彼らをこちら側にというか、一つの枠組みをつくるために協力をさせていくための役割をアメリカとの協力の中でつくり上げていくことは大変重要だと思っています。

 また、科学技術に関してはアメリカとも協力をすることになっておりますが、私もつい先日、住宅のエコの問題の中で、CO2を排出しないエコ住宅というもののあり方も見てまいりました。確かに日本がこういうところで最先端の科学技術を持っているなということに自信を深めたところでありまして、こういう技術力を海外に展開させて、そしてそれを日本の利益に導いていくというやり方は、鳩山イニシアチブというものをつくらせていただいておりますが、その枠の中でしっかりと途上国に向けて努力をしてまいりたい、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 世界に対して説得力を持たないもう一つの理由は、国内対策がまだ全く明らかになっていないからです。

 二五%削減する。では、その二五%のうち、日本の中でどれだけ減らすか。これは真水とよく呼んでおりますけれども、真水分が幾らで、そして海外で協力をして減らしていく分がどれだけかという戦略がまだ全く立っておりません。

 それを早くつくるべきだ、このように思いますが、実は、国立環境研究所が、一五%減らす、二〇%減らす、二五%国内で減らすというそれぞれの試算をして、各省庁に配って議論を始めたという情報がございます。ところが、我が党の地球温暖化対策本部長がその資料を示してほしいと言ったところ、それは示せないと。各省庁には示すけれども国会には示せない、おかしいんじゃないですか。これを出していただけませんか。

小沢国務大臣 情報公開は積極的にやってまいりたい、こう思っておりますので、それは近く出させていただきたいと思っております。

 今、斉藤委員から御指摘の真水の議論でございますけれども、一つだけ申し上げておきたいことは、さきの、例えば京都議定書のときに決まった国際公約、あのときは、たしか十一月ですか京都議定書で決まって、その後いわゆる基本法ができたのは四月です。その後、今度は六月にいわゆる内数の、まさに数字が入った大綱をつくっています。ですから、六カ月かかっているわけです。

 それで、今回のCOP15は、最終的にはまだ国際合意ができておりません。一月三十一日に各国の目標が出まして、それは八割を超える、そういう意味ではほぼ網羅的な数字は出ておりますけれども、前回の京都議定書が決まったあの段階まで至っていないというのが現時点の姿であります。

 しかし、その中で、では真水の議論をどうするかということでありますが、私は示してまいりたいというふうに思っています。それは、各産業界とかいろいろなところに協力要請をしていかなければいけませんから、それを三月までに決めたいという話でございます。

 あと、データを出さないという話は、まだしっかりと議論が詰まらない段階で、この話が余りひとり歩きをしてはいけないということを恐れたわけでありまして、あくまでも私の、事務局長としてのたたき台を前回は示しただけで、それも先週ですから。ですから、もう少し詰めた上で国会の中に出させていただいて、大いに議論をさせていただきたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 麻生政権では、そういう議論は本当にオープンにして、各界の皆さんの議論を聞いて、ある意味では激論になって、私もけんか腰になったこともありますけれども、そういう広いオープンな議論で決めていきました。情報も開示されていたと思います。

 我々も国立環境研究所の試算を見ながら議論をしたい、国会でそういう議論をすることが大事だと思いますので、できるだけ早く開示をしていただきたいと思います。

 それでは、次の課題に入ります。

 さて、子ども手当でございますけれども、今、図をちょっと出させていただきました。これは、横軸はゼロ歳から十五歳までの年齢でございます。縦軸が一人当たりの給付額で、一万円、一万三千円、二万六千円と書いてございます。左下の黄色い部分、これが現行の児童手当です。

 この児童手当、実は公明党が四十年前、当然野党でしたけれども、提案をし、ゼロ歳から三歳まで五千円、この部分まで二十数年かかりました。そして、連立政権に入る前はまさにその状態だったんですが、十年間、安定的な財源を一つ一つ見つけながら、十二歳まで拡充、そして、一人当たり一万円、三歳から十二歳までの第一子、第二子の方は五千円ですけれども、ここまで、総額一兆円というところまで拡充をしてまいりました。

 この間、民主党は、ことごとくこの児童手当の拡充に、やればらまきだとか、いろいろな理由をつけて反対してこられました。今回、二十二年度拡充分、二十二年度の案を見ますと、まさに児童手当をそのまま残して、それにプラスする形で総額二・二兆円の子ども手当となったわけです。これは児童手当そのものだと思いますが、では、なぜ今まで反対してこられたんですか、総理。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 今まで我々、国会の中でも、この御提案のあるような児童手当より以上のやはり給付をしなければならないということは主張をさせていただいたわけです。

 これは、斉藤委員御存じのように、国内総生産、GDP比で見ますと、子供にかける、子育てにかける経費というのは先進国で日本が非常に低い国の中の一つである。当然、現金だけじゃなくて、保育所整備など現物給付、これも経費が非常に低いという大きな課題がある中で、二〇五五年、私が生きていれば九十五歳になりますけれども、そのときには、六十五歳以上のお年寄り一人を一・二人の現役の方が支える、一対一という状況になる、人口も九千万を切る、こういうようなことが明らかになっているわけでありまして、結果的に、この子ども手当がそういう少子化の流れも変えるということで、我々はこのレベルを主張させていただいたところであります。

斉藤(鉄)委員 質問には答えてくださっていませんが、社会で子育てを支援していこう、また控除から給付へという考え方そのものには、我々は反対をいたしません。しかしながら、今回の、与党が出された、政府が出された案、それに対して、今までことごとく児童手当に反対されてきたその関連性がわからなかったから、今質問をさせていただいたわけです。

 そして、二十三年度以降、これはまだ法案も何も出てきておりませんが、マニフェストによりますと、二万六千円、総額五・三兆円、もしくは五・四兆円とも言われております。

 総理、この総額五・三兆円かかる子ども手当、されるんですか。

鳩山内閣総理大臣 まずは平成二十二年度はその半額というものを実施することを決めたわけでありますが、当然、マニフェストの中に、二万六千円、全額というものをうたっています。その二万六千円、全額支給できるように、これはまだ、平成二十三年度のことは、財政の厳しい状況だということも理解をしていく中で、決めてはおりませんが、基本的には、二万六千円、全額を支給できるように、苦労はすると思いますが、努力をしてまいりたい、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 子育て支援には経済的支援と環境整備がございます。この子ども手当、児童手当、これは経済的支援だと思います。この子ども手当に平成二十二年度予算案で二・二兆円、そして来年度以降は、今の総理のお言葉からすれば五・三兆円でございます。

 もう一方の大きな柱が子育ての環境整備でございます。保育所、放課後児童クラブ、地域の子育て支援などの整備や育児休業、ワーク・ライフ・バランスなどでございますけれども、これは約一兆円でございます。

 私は、現場の声は、経済的支援も大切、しかし、同時に、働きながら子育てをするその環境整備も大事。今、二・二兆円対一兆円ということでございますけれども、来年、この子ども手当、経済的支援の方を大きく伸ばすということになりますと、このバランスがある意味では崩れてくる、このように思います。ある意味で、これだけのお金があるのであれば、環境整備の方にもしっかり手当てをすべきではないか、こういう現場の声がございます。

 一つ、保育所でございますが、いわゆる認可保育所に入ろうといたしますと、あなたはどこに働いていますかということを聞かれます。そうすると、フルタイムで働いていないと認可保育所に入れない。こういう現実があります。

 パートタイムの方が、大変景気も厳しいし、私、働きたい、こう言って事業所に行きますと、あなたはそのお子さんをどこに預けるんですかと言われる。いえ、預けるところはありません、まだ決まっていませんといって結局預けられなくて、働けない。先ほどの認可保育所はフルタイムの人がどうしても中心になりますから、パートタイムの人は、探しに探して、結局認可外の保育所に行かざるを得ないという現実がございます。

 つまり、フルタイムの比較的経済的に恵まれた人が認可で、この認可保育所というのは、いわゆる低所得者の方に対してはきちんとした支援の仕組みが整っております。低所得者の人は安いお金で入れるようになっている。認可外はそれがありませんから、例えば一月七、八万円かかる。結果としてそこには預けられない。そのような、いわゆる正規、非正規の格差と言ってもいいかと思いますが、フルタイムとパートタイムの大きな差がございます。

 地方自治体の中では、そういう認可外の保育所を直接支援するというのは非常にいろいろな意味で問題があるから、認可外に行くその個人、家庭を支援するという形で支援をしているところがございますが、これは、東京都のある区など、豊かな自治体に限られております。

 そういう意味で、私はこの環境整備ということが大変経済的支援と同じように必要になってくるのではないかと思いますが、総理、どのようにお思いでしょうか。

長妻国務大臣 私も、おとついも保育所にお邪魔をして、父母の方とお話をしてまいりました。

 今御指摘のとおり、現金だけじゃなくて、保育所等の現物給付、あるいはワーク・ライフ・バランス、仕事と生活のバランスが重要だという御指摘もいただいておりまして、私どもとしては、この一月末に五カ年計画、子育てビジョンを発表いたしまして、保育所については毎年毎年定員を五万人ずつふやしていく、五年後には二十五万人の定員増を目指していくということで、これまでの政権は残念ながら一年間に二万人の増加でありましたので、その増加のスピードを倍に上げるというような措置、あるいは学童クラブ、放課後児童クラブについても、小一から小三まで今までは五人に一人の方の定員があったものを、五年後には三人に一人の定員を確保していくということでバランスよく実行していく。

 そして、先ほど言われた認可外の保育料等の問題について、認可保育所の定員増もきちっと我々行うわけでありますけれども、そういういろいろなもろもろの経費についても、この子ども手当の中で私どもとしては措置をさせていただきたいというふうに考えているところであります。(発言する者あり)

斉藤(鉄)委員 いや、財政的に非常に、絵にかいたもちという今不規則発言もありましたけれども、どういうふうに実行するか、私はそのような財政的な裏づけが全くないと思います。

 もう一つ、小一の壁という言葉、御存じでしょうか、総理。

鳩山内閣総理大臣 はい、小一の壁というのは、まさに伺っております。

 保育所から小学校に入ると、その方々のための学童クラブなどの整備というような話、あるいは放課後児童クラブというのもあると思いますが、そういうところを充実させて、小一の壁というものがなくなるような努力をこれから一生懸命やりたい、そのように考えているところであります。

斉藤(鉄)委員 そのとおりです。保育所では延長保育等ある。お母さんも働きやすい。しかしながら、子供が小学校に入ると、学童保育や放課後子供クラブも大体六時までということで、働くのを断念せざるを得ない。これが小一の壁でございますが、こういう学童保育や放課後子供クラブの延長、延長して見てもらえるということも、私はこの環境整備の中で大きな一つの施策ではないかと思います。

 そういう意味で、経済的支援と環境整備、このバランス、二・二対一、それが平成二十三年度からは五・三対幾つになるのかわかりませんが、このバランスについて、総理、直観的にどう思われますか。

鳩山内閣総理大臣 先ほど長妻大臣からも申しましたように、環境整備の方も力を入れなきゃならない、車の両輪だ、そのように思っております。

 ただ、この経済的支援の部分で、先ほどの認可外の保育の話も含めて、環境整備に資するような、お子さんの方に、あるいは御家庭の方に資するような施策もできるということでございますので、完全に二つを分けるという発想ではないと思っておりますが、これからも環境整備にはさまざまな形でより力を入れたいと思っております。

 放課後児童クラブの時間の延長の話もいろいろと伺っておりまして、大体六時ぐらいで切れてしまうところをもう一時間でも延ばすことで大いに働いておられる方々の環境を整備できるのではないかと思っておりますので、努力をしてまいりたいと思います。

斉藤(鉄)委員 バランスのいい経済的支援と環境整備、バランスのとれた子育て支援をぜひ進めていただきたい、このように思います。

 最後に、介護の問題です。

 公明党は、昨年十一月、十二月と介護総点検、公明党全国の三千人の議員が合計十万件以上のいろいろな立場の方の御意見を伺ってまいりました。その御意見からいろいろな政策提言をしておりますけれども、これまで取り上げなかった一つの声といたしまして、やはり自宅、居宅介護の場合のケアつき住宅、この拡充を図ることが皆様の安心につながる、このことを強く感じたわけでございます。

 国交大臣、ケアつき住宅の拡充について、私は本当はそれがいかに大切かというのを説明する予定だったんですが、ちょっとその時間がなくなりました。今後のケアつき住宅の拡充についてお伺いします。

前原国務大臣 委員御指摘の観点というのは非常に重要でございまして、介護の施設は一人当たりにすると日本はほかの国と比べて遜色ありませんけれども、住宅ということになると極めて少ないということでございまして、昨年できた法律を、しっかりと国が助成をしていくということを進めると同時に、かなりUR都市機構とかあるいは公営住宅なんかは老朽化をしておりまして、それを例えばPPPやPFIのようなもので、厚労省と協力をしながら、ケアつきあるいは病院のサービス、こういったものがついた形でうまく改築をして、今委員のおっしゃったような方向性に向かえるようにさらなる努力をしていきたい、このように考えております。

斉藤(鉄)委員 この介護の問題、これは我々、新しい新介護ビジョンをこれらの意見をもとに提案していきたいと思っております。

 そのことを申し添えまして、同僚議員、石井啓一議員に質問を譲ります。

鹿野委員長 この際、石井啓一君から関連質疑の申し出があります。斉藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 私は、二十二年度政府予算案の問題点を中心といたしまして質問をさせていただきます。

 パネルでお示しをさせていただきます。今配付された資料の一枚目でございますが、二十二年度の予算案、問題点といたしまして三点、指摘をいたしたいと思います。

 一つは、マニフェスト違反、これが相次いでいるということ。二つ目には、国債、埋蔵金頼みの予算になっていまして、一時しのぎの予算になっているということ。三つ目には、経済、財政の展望なし。この三つが大きな問題点だというふうに思っております。順次、具体的な指摘をいたします。

 まず、予算案とマニフェストとの違いでございますけれども、民主党のマニフェストには、工程表として、平成二十二年度から二十五年度にかけてそれぞれ何をやるか、主要事項が明記をされております。このマニフェストと来年度の予算案、税制改正案との大きな違いをここにまとめました。

 一つは、ガソリン税等の暫定税率であります。マニフェストには廃止、二兆五千億円の減税をやるというふうにおっしゃっていましたが、実質的には維持になりました。一部、自動車重量税は廃止されますけれども、維持となっています。子ども手当、全額国費でやるとおっしゃいました。二兆三千億円、概算要求されています。しかし、地方負担、企業負担、存続をさせています。それから、高速道路無料化。これは二年でやるという話で、一年目、六千億円という予算を概算要求しながら、予算案では一千億円にとどまっております。

 マニフェストの主要項目、六兆九千億円、約七兆円に対しまして、実際は三・一兆円しか確保されていない、こういうことであります。

 まず、ガソリン税等の暫定税率、これは総理は相当廃止にこだわっていらっしゃいましたけれども、なぜ最終的にこれを維持するということになったんでしょうか。まずその理由を確認いたしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 暫定税率に関しての議論でございますが、御案内のとおり、財政が大変厳しいという状況がございました。それだけではありません。もう一つは、地球環境問題という問題もありました。それからさらに、ガソリンの値段が、当時、最初にいわゆるガソリン値下げ隊ということで我々が努力をして、ガソリン税を、一時ではありますが暫定税率を廃止いたしたときと比べて、かなりガソリンの値段が下がってきたという実態もございました。

 このような中で、私どもとすれば、これは連立政権でありますから、マニフェスト、マニフェストと言い過ぎますと、こちらの方からいろいろと、やじは飛ばないかもしれませんが、いろいろな声が出てくると思いますので、余りマニフェストということばかり申し上げるつもりはありませんが、しかし、我々として、国民の皆さんと約束をいたしましたマニフェストに対して、国民の皆さんも、必ずしもすべてそれをぎりぎり同じだけやらなくてもいいよ、ある程度の柔軟性があってもいいよということを、暫定税率の議論の中では国民の皆さんからそのお声をいただいたことも事実であります。

 そのような中で、最終的な判断を政府といたしまして、これは、基本的には暫定税率という仕組みは、道路特定財源というものを一般財源化するという過程の中で廃止をすることは事実でありますが、実質的な税率というものは当面の間維持をするということに結論を出したところでございます。

石井(啓)委員 総理はガソリンの値段が下がったとおっしゃっているんですけれども、私、調べてみましたら、昨年の総選挙の直前、マニフェストを発表されるとき、もう既にガソリンの値段は下がっているんですよ。全国平均でいいますと、昨年の七月下旬、リッター百二十五円なんです。もう下がっているにもかかわらず、マニフェストでは廃止するというふうに言ったんですよね。今さら、ガソリンの値段が下がっているから、廃止するというのはおかしいじゃないですか。総理、どうですか。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、この暫定税率の議論を申し上げたときに、三十数年間維持をし続けているという暫定税率のあり方そのものがおかしい、道路特定財源にのみ使われるという話はおかしいから、暫定税率というものは本来このようなときに廃止をするべきものだ、そのように考えたところでございます。

 その議論の中では、やはり一時的にガソリンの値段が大変高かったことも、これも実態としてあります。ただ、おっしゃるとおり、選挙の直前という段階では、ガソリンの値段は、石井委員が御指摘のとおり、それほど高くはない状況であったことも事実でございます。

石井(啓)委員 だから、やはりマニフェストがおかしかったということなんですよ。今、総理の理由は、ガソリンが下がったからやらないというのが一つの理由でしょう。でも、マニフェストの段階でもう既に下がっていたんですから、そういうことはマニフェスト自身がおかしかったということになりますよ、これは。そういうことなんですよ。

 それからもう一つ、総理は国民の声があったと言うけれども、それはだれの声なんですか、どこの団体、どこの自治体からの声なんでしょうか、具体的に教えてください。

鳩山内閣総理大臣 これはさまざま、私も歩いていく中での議論もありましたが、世論調査などで暫定税率にそれほどこだわるなという声がかなりあったということも、これも事実でございます。

 それから、マニフェストをつくらせていただいたのは、その選挙の直前ではありません。かなり選挙の時期が延ばされました。本当はもっと早くに選挙というものがある状況の中で我々とすればマニフェストを用意していた、これも実態として事実でございます。

石井(啓)委員 いや、一昨年の九月にリーマン・ショックが起きてから、ガソリンの値段というのはだだだだっと下がっているんですよ。昨年の春の時点ではもう相当下がっているんですよ。ですから、今のお話はちょっとおかしいと思います。

 それでは、もう一つ聞きますよ。

 子ども手当、全額国費、これは総理、かなりこだわっておっしゃっていたんですよね。十月二十日に横浜市内で街頭演説されまして、総理は、一般会計、特別会計の無駄をなくせば全額国が負担するのは当たり前だ、そのように指導していきたい、こんなふうにおっしゃってきたんですけれども、何でおっしゃったように指導されないんでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 これは、それこそ政府の中でも大変な議論があったのも事実でございます。全額国費で賄うという思いも、当然、私も含めて相当強くありました。ただ一方で、財政が大変厳しい、税の大変な減収というものもあったことも事実でございますが、私どもとすれば、国民の皆様方からすれば一番大事なことは、子ども手当が月一万三千円必ず支給されるという仕組みをつくることが一番大事なことだ、そのように考えたところでございまして、来年、平成二十三年度以降はどのようにするかはまだ決めてはおらないところでありますが、平成二十二年度の、来年度の予算に関しては、地方あるいは企業にも御負担を一部いただくということにしたところでございます。

石井(啓)委員 この全額国費、これは総理は相当こだわっていらっしゃったんだけれども、さっき財政が厳しいからとおっしゃいましたね。ガソリン税のときも財政が厳しいからと。

 ところが、このマニフェストの財源というのは、別に赤字国債でやるわけじゃないんですよ。後で説明しますけれども、皆さんは、今の予算を組み替えたりなんなりして生み出せると言っているんでしょう。その財源というのは財政と関係ないじゃないですか。その財源が確保できたらできたはずなんですよ。おかしいじゃないですか。結局、七兆円近いことをやるというふうにおっしゃっておきながら、三・一兆円しかできていない。これはマニフェストの財源がやはりおかしいということなんですよ。

 次に、財源の方に移りますけれども、お手元の資料の三ページ目ですが、これはマニフェストの財源案です。これは民主党さんのマニフェストですね。左の欄が二十一年度の予算、真ん中の欄がマニフェストに掲げている二十五年度の節約目標、四年後にどうされるか。下の欄を見ると、合計十六兆八千億円節約されると。

 この財源案に基づいて、二十二年度は七兆円を生み出す、さらに二十三年度は十二兆六千億円を生み出す、こういう工程表が成り立っているんです。よく国の総予算を見直すとおっしゃっているのが、一番上の固まりのところですが、一般会計と特別会計合わせて二百六兆五千億円、約二百七兆円から九兆一千億円を生み出す、こういう案なんです。そのほかに、埋蔵金を活用したり、税制なんかを合わせて十六兆八千億円。

 こういう案なんですが、では、二十二年度、一番右ですね、実際にどれだけ節約できたのか。公共事業は確かに一兆三千億円節約できております。ただ、そのほかの経費は、この内訳はよくわからないんですけれども、政府の説明によりますと、事業仕分けで約七千億円、そのほか、土地改良の予算を削ったりいろいろなことをして、予算の節約で一兆円。それから、公益法人の基金等で一兆円。三・三兆円しか生み出されていません。

 総理は、就任会見のときにこの財源についてどうおっしゃっていたかといいますと、財源の問題は、私たちは、少なくとも初年度分、七兆円余りでありますが、十分にめどが立つのだと確信をしているところでございます、こういうふうに大見えを切っていらっしゃいました。

 どうして総理、確信していた七兆円、初年度、生み出せなかったんですか。

鳩山内閣総理大臣 石井委員御指摘の話でございますが、私ども、政権をとらせていただいて、すぐに事業仕分けに取りかかったのでございます。その中で、私どもとしては最大限の努力をいたしまして、三・三兆円という額を捻出することができた。

 まさに石井委員がお話ありましたように、私たちは、歳出の削減というものを徹底的に行うことによって、そのことによってマニフェストの財源を捻出したい、そのように考えておりましたし、基本的に、二十二年度にその額までやりたかったという思いは現実にはあります。しかし、時間的な余裕の中で、かなり努力はいたしましたが、三・三兆円というレベルにとどまったのも実態でございまして、その中で、マニフェストというものを極力政策的に満たすための努力を、先ほど石井委員もお示しされましたが、子ども手当あるいは高校の実質無償化、戸別所得補償制度あるいは高速道路の一部モデル的な実施などというものを行うことになったところでございます。

石井(啓)委員 総理の御答弁によりますと、時間がなくてできなかったということでありますが、では、二十二年度はたっぷり時間がありますね。二十三年度の財源の目標は十二兆六千億円です。このマニフェストの案に沿って、二十三年度は十二兆六千億円確保できますね、総理。

菅国務大臣 御承知のように、九月十六日に鳩山内閣ができまして、リーマン・ショックの後のことを考えると、とにかく年内編成が大変必要だということでやったことは御承知のとおりです。

 来年度といいましょうか二十三年度について、ことし一月十二日でしたか、閣僚懇談会の席でも、私や仙谷大臣の方から、特別会計等について各省庁の担当大臣がしっかり見直すようにということを申し合わせたところです。

 そういった意味で、これからいよいよ、この予算が早く成立させていただきますと、次に向けてのそうした努力に全力を挙げたい、こう思っております。

石井(啓)委員 それでは、ちょっと具体的に聞きますけれども、上の段から三つ目、庁費、委託費、施設費、補助金、二十一年度予算五十五兆一千億円に対して六兆一千億円も削減できるというふうにしています。

 昨年やったあの鳴り物入りでの事業仕分け、たかだか七千億円でしたよね、あれだけ一生懸命やって。ここからどうやって六兆円も生み出すんですか。ちょっと具体的に答えてください。

直嶋国務大臣 マニフェストに関する御質問でございますので、当時マニフェストを取りまとめました私の方から、考え方をお話し申し上げたいと思います。

 まず、先生のその表にありますように、そこにあります九・一兆円、それから五兆円、税制を合わせた十六・八というのは、二十五年度、つまり政権の四年目にこれだけのことを実現したいということであります。

 それから、もう先生もおわかりのとおり、今の御質問の部分でありますが、これは、補助金制度でありますとか、あるいは今、原口大臣のところで、地方への権限移譲を含めた地方主権に向けた政策づくりをいたしておりますが、これは、一つ一つの制度ではなくて、全体的な仕組みを見直す中でこれだけの改善をしていこうということでございます。したがいまして、実行する上では、やはり数年の時間を要するということはぜひ御理解を賜りたいと思っています。

 したがいまして、さっき菅大臣からお話ありましたように、事業仕分けとあわせて、地方への権限移譲あるいは補助金改革、そういったもろもろのものをあわせて実行していくということでございます。

石井(啓)委員 四年後に十六兆八千億円と言っていますが、民主党の工程表によると、もう二年目、二十三年度には、十六兆八千億円の四分の三、十二兆六千億円は確保しなきゃいけないんですよ。ですから、これの四分の三ぐらいできるかという話なんです。

 総理、どうですか。二十三年度、十二兆六千億円確保できますか。総理のお答えをお願いします。

鳩山内閣総理大臣 先ほど菅大臣が答弁申し上げましたように、私どもとすれば、当然、やるという雰囲気、思いの中で努力をいたします。

 ただ、相当厳しい事業仕分けを行わなければならないことも言うまでもありませんが、先ほどもお話がありましたが、独立行政法人あるいは公益法人、こういったところに大いに切り込んでいくということが必要だと思っておりますし、また、補助金の一括交付金化、こういったことを積極的に行っていきながら、最大限努力をしてまいりたい、そのように思います。

石井(啓)委員 総理、やるという雰囲気だとか思いとか、そういうことを言ってもらっちゃ困るんですよ。

 総理は、二十二年度の予算案だって、暫定税率は廃止する、子ども手当は全額国費とすると言っておきながら、最終的にやっていないじゃないですか。だから、総理のおっしゃられていることがだんだん信用できなくなってきちゃっているんですよ、皆さん。

 だから、今こういうふうにおっしゃっても、本当にできるのかどうか。もしできなかったらどうするんですか、その政治的責任をどうとるんですか、総理。

直嶋国務大臣 今総理からもお答えがありましたし、菅大臣からもお答えがありました。私どもは、この二十二年度予算が成立をさせていただいた後、本格的にしっかり取り組んでいくということでございます。

 それから、具体の予算編成でやはりぜひ御理解いただきたいことは、現実の税収が大幅に落ちたということであります。麻生総理がおつくりになった昨年の当初予算では、四十六兆円の税収見積もりだったわけです。(発言する者あり)いいえ、これは大いに関係があるんです。そして、結果は、九兆二千億円、それがショートしたわけであります。したがって、予算は歳入と歳出で組むわけでありますから、税収の落ち込みが全く関係ないということはあり得ないわけであります。

 したがって、来年度の予算編成は、我々がこういう制度の見直しを実行してまいりますが、最終的には、歳入もあわせた中でさまざまな政策を判断していくということに当然なってくるのではないか。最後の部分は、最終的には総理や財務大臣が御判断をされる部分であるというふうに思います。

石井(啓)委員 いや、このマニフェストの財源案は、税収は全く関係ないんですよ。よく見てくださいよ。税収が関係するのは既存の予算ですよ。

 これは、マニフェストで新しくやる財源がどうかということで、国債によらず皆さんがやるとおっしゃったんでしょう。私たちが言ったわけじゃない。あなたたちが言ったのができないんですか。これはおかしいよ。

 では、こればかりやっていると時間がありませんから次へ行きますけれども、今度は、税制の方もまたマニフェストとたくさん違う税制改正案になっている。

 マニフェストの中に明記されている増税というのは、租税特別措置の見直しと子ども手当の財源として、扶養控除と配偶者控除の、所得税ですよ、所得税のみの廃止、これをうたっているんです。ところが、来年度の税制改正案はどうなっているか。扶養控除については、これは十五歳以下の扶養控除だけれども、所得税のみならず住民税も廃止しちゃっているじゃないですか。これは、三十三万円の扶養控除がゼロになって、四千二百億円も増税になりますよ。

 それから、配偶者控除を廃止と言ったのが、これは全く手をつけていない。特定扶養控除を存続すると言っていたのに、高校生の年代の十六歳から十八歳については所得税、住民税ともに縮小している。全く言及のないたばこ税についても、これも引き上げをしている。一本当たり五円、税率はそのうち三・五円ですが、一箱百円ぐらいの値上げになっている。これも一千七百億円ぐらいの増税になる。

 このように、マニフェストに違反する増税案が相次いでいるんですよ。

 まず、どうして扶養控除の住民税を廃止したんですか。この理由を聞かせてください。

原口国務大臣 石井委員にお答えいたします。

 石井委員の公明党も、控除から手当にというのは私たちと同じだというふうに考えております。その中で、今般、所得税については、子ども手当の創設と相まって年少扶養控除を廃止することといたしました。

 住民税というのは、石井委員も御案内のとおり、地域の会費の性格を持っています。個人住民税についても、税体系上の整合性から、地方団体の税源の充実の観点から廃止することとしたものであります。

 税全体の国民に与える影響、こういったものも見ながら私たちは総合的な判断をしたものだというふうに考えておりますので、御理解をよろしくお願いいたします。

石井(啓)委員 総理、おかしいと思いませんか。こんな巨額の増税をやるんだったら、なぜマニフェストに明記しないんですか。これが許されるんだったら、マニフェストに書いていなくても、政府・与党がいいと判断したらどんどん増税するということになりますよ。そういうふうなことになるんでしょうか、総理。

原口国務大臣 石井委員にぜひ御理解をいただきたいのは、私たちは、現実の財政それから現実の国民の生活と向き合っているわけです。その中で、世帯世帯への影響が最も小さく、それから地方の財源も、私たちは第二次補正で三兆円も埋めているわけです。そういったものを総合的に勘案したものだというふうに御理解をください。

石井(啓)委員 いや、今のはおかしい。補正予算で地方交付税の減少分を補てんしたら、住民税を増税していいんですか。おかしいじゃないか、今の答弁は。総理、どうですか、お答えください。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、確かにマニフェストでは石井委員がお話しされたように書いたのは事実でございます。

 私どもが政権をとって何が一番大きく変わったか。これは、九兆円税収が減ったんです、減っているんです。その中で、我々とすれば、当然のことながら、きちんとした予算を編成しなければならない責めを負ったわけであります。

 そこで、今ありましたように、所得税と住民税、まさに所得税に合わせるように住民税も変えなきゃならないという判断の中で、この扶養控除に関しては手当てをさせていただいて、国民の皆様方にもこれから理解をいただくように最大限努力をするんです。

 我々は、やはり政権をとって余りにも減収が、いわゆる税収が見積もった額から大きく減ったものですから、その中でいかにして予算編成をしっかりとつくり上げていくかという判断の中で、やむを得ず、必要に応じて、最小限ではありますが、増税の部分も考えさせていただいたということでありまして、すべてそれを事前から予測してマニフェストの中にうたわなきゃいけないという判断ではありません。ぜひそこのところは、これから予算の議論の中で国民の皆さんに理解をいただけるように最大限努力してまいりたいと思っています。

石井(啓)委員 それは言いわけですね。だって、皆さんのマニフェストでは、住民税の増税はしない、予算の見直しで財源が見直せるという、先ほどマニフェストの財源は示したでしょう。そういうふうに書いてあったのに、それにもかかわらず、マニフェストにない増税をやるからおかしいんじゃないかと申し上げている。

 ちょっと次に行きますけれども、いずれにしましても、こういうふうにマニフェスト違反が相次いでいるんですよ。これが予算の第一の問題で、今度、二つ目の問題の方に行きます。

 国債頼み、埋蔵金頼みということですが、左の方の円グラフを見てください。二十二年度一般会計九十二兆三千億円に対して、税収はわずか三十七兆四千億円、四割ちょっとにとどまっていますね。そして、公債費、国債費が四十四・三兆円、四八%。税収より国債費が上回るのは、昭和二十一年度、敗戦直後の混乱期以来、六十四年ぶりの異常な事態です。その他収入が十・六兆円。ですから、二十二年度予算はまさに、このその他収入というのは、後ほど説明しますが、いわゆる埋蔵金が主ですから、国債頼み、埋蔵金頼みの予算になっているわけです。

 ところが、このその他収入、埋蔵金というのは、この先先細りなんですよ。右の方の欄にその他収入の今年度の主な内訳がありますが、一番上の政府出資回収金、それから下から二番目の弁償及び返納金、ここに独法への出資あるいは公益法人の基金の返納が含まれています。これが約一兆円。だけれども、これは一時的なお金ですから、二十三年度、これは入ってきません。一時的なお金です。

 それから、上から二番目の財投特会の受入金、約四兆七千八百億円。これで実は二十一年度の財投特会の積立金はゼロになっちゃうんです、全部使っちゃうんです。だから、二十三年度はこれは入ってこないんです。

 そういうことを見てみますと、これは財務省の試算ですが、その他収入、二十二年度十兆六千億円に対して、二十三年度は三・九兆円に減ってしまう。六兆七千億円も減ってしまうわけですね。

 また、二十三年度の試算全体を見ましても、このままですと、マニフェストに言う歳出をふやさなかったとしても、国債費が五十兆円を超える、五四%になっちゃうんですよ。まさに財政は危機的な状況。二十三年度は、国債や埋蔵金頼みにいかないということになっちゃっているんですよ。これは総理、どうされますか。

菅国務大臣 早々と二十三年度予算を何か審議しているように思いますけれども、まず、二十二年度の予算について申し上げますと、先ほど、税収減とマニフェストは関係ないようなことを石井議員は言われましたけれども、そうではありません。まさにここに書いたように、四十四兆円で公債費を抑えたんです。

 それから、今、再来年度、五十兆を超えるかもしれないと言われましたが、これもよく御承知のように、二十一年度の麻生政権がつくった予算では、四十六兆円の税収見通しの中で補正を含めて四十四兆円の公債を出していましたから、その九兆円分を公債で穴埋めして、五十三兆円の公債になったことは御存じでしょう。

 つまり、二十二年度からが昭和二十一年以来の税収よりも公債がふえるのではなくて、二十一年度の予算が昭和二十一年度以来の公債費が逆転する、そういう厳しい状態になったということは客観的な事実ですから、申し上げておきたいと思います。

 その上で、確かにそこで言われている数字は大筋そのとおりでありますけれども、いろいろ、外為等の議論は他の議員の方から、野党の議員の方から、あるいは与野党の議員の方から、まだまだあるじゃないかという指摘もあります。ただ、そこは、私たちは、二十三年度の問題でありますから、まずは今年度について、まさに今提案しているところを申し上げたところです。

 それから、一つだけ申し上げますと、マニフェストは十分できていないと言われましたが、さっき二つ大きな項目が除かれていました。つまりは、農業の戸別的所得補償と高校無償化、これも含めて言えば、私は、かなり厳しい中で四十四兆に公債費を抑えながら、このマニフェストのかなりの部分は努力をして皆さんに提案できている、このように考えています。

石井(啓)委員 菅大臣がおっしゃるように、項目としては確かに満たしているかもしれない。ただ、予算は、七兆円やると言ったのが三・一兆円なんですよ。半分以下しか確保できていないんですよ。そのことをしっかりと認識しなきゃいけない、そういうことです。いずれにしましても、やはり国債頼み、埋蔵金頼み、一時しのぎなんですよ。

 では、二十三年度以降財政がどうなるのか、これが全然示されていないんです。それが三つ目の問題点。経済、財政の展望なし。

 これはちょっと指摘だけにしておきますけれども、従来は、予算案の審議のときに中期的な経済、財政の展望を示して、その年度の予算だけでなく、それをスタートとして日本の経済、財政がどうなっていくかという議論をしていたんですよ。ところが、鳩山内閣ではそんな資料は全く出てこない。だから、今言ったように、では二十三年度どうなるのか、五年後、十年後どうなるのか、こういう議論が行われないというのは、私はおかしいと思うんですね。これは指摘だけにしておきます、時間が足りませんので。

 今申し上げてきましたように、今年度の予算案については、マニフェスト違反が相次いでいる点、国債、埋蔵金頼みの一時しのぎだという点、そして経済、財政の見通しがない、こういう大きな問題点がたくさんあるということを申し上げておきたいと思います。

 それから、ちょっとテーマは移りまして、中小企業の金融支援の方に移らせていただきます。

 民主党のマニフェストにおいては、特別保証を復活させるというふうにマニフェストはなっているんですね。

 確かに、二十一年度の二次補正では対象業種を大きく広げました。そのことは私は評価したいと思うんですが、ただ、緊急保証と特別保証との最大の違いはまだ一つ残っています。それは、緊急保証は審査要件がやはり依然として厳しいということなんですね。かなりの数はやっているんですよ。だけれども、やはり地元の中小企業、零細企業、あるいは個人事業主の方からは、審査にすごい時間がかかって、待っていたんだけれども最後に断られてしまった、こういう事例も実はたくさんあるんですよ。そういうところが実は一番資金繰りに困っているところなんです。厳しいところ、厳しいからこそ困っているんですよ。そこに何とか手を差し伸べるのが今の一番重要なこと、亀井大臣、今うなずいていただいているように、ということなんですね。

 では、審査要件を緩和するための最大のネックはどこにあるのか。私は、これは信用保証協会が代位弁済するときの実質負担にあるというふうに思っています。

 ちょっとこれはパネルで示しましたが、中小企業はまず保証を受けるときに保証料、右上ですね、払います。保証料をもとにして、保証協会は日本政策金融公庫に保険料を払います。中小企業が倒産等をして金融機関に返済できなくなると、今度は信用保証協会が中小企業にかわって返済をする、これを代位弁済と言うわけですね。これは3、右にあります。

 代位弁済をしますと、政策金融公庫から緊急保証の場合ですと保険金がおりまして、代位弁済の八割、保険金がおります。残り二割ですけれども、その二割のうち、この青い、左の全国信用保証協会連合会が残り二割のうちさらに八割を補てんするということになっていまして、代位弁済額の内訳が、下の横長のグラフがありますけれども、政策金融公庫の保険金で八割負担される。残りの二割のうち八割、ですから一六%は連合会の補てんになる。信用保証協会の実質負担は四%になります。都道府県によってはここをさらに補助を入れているケースもありますから、これは標準的なケースです。また、中小企業から回収することもありますけれども、それは複雑になるのでここでは省略します。

 この四%の負担ということなんですが、これは、百億円代位弁済すると四億円の負担をしなきゃいけない。一千億円だと四十億円の負担、一兆円だと四百億円の負担をしなきゃいけないんですね。ここがやはりネックになっていて、なかなか、信用保証協会がかたい審査をしてくるわけです。この実質負担を下げてあげるということが、審査要件の緩和につながるわけです。

 そこで、私は提案したいんですけれども、この政策金融公庫の保険金、これはてん補率というふうに言うそうですが、この八割を九割に引き上げる。九割に引き上げますと残り一割ですが、残り一割のうち八割を連合会が補てんしますから、信用保証協会の実質負担は二%で済みます。四%が二%になる。ということは、保証協会は、数字上からいいますと、リスクを二倍とれるということになるんですよ。今の緊急保証の事故率は約一三%というふうに見込んでいるそうです。だから、数字上だけでいきますと、二六%の事故率を見込んでも大丈夫になるんです。

 これをやることが、私は、本当に困っている地域の中小企業、零細企業、個人事業主さんの御希望にこたえることだと思うんですね。

 経産大臣の答弁を求めます。

直嶋国務大臣 特別保証との比較を含めて話がありました。

 一つは、今回の本予算において緊急景気対策保証制度という形にしまして、一つは、さっき先生の御指摘があった業種指定をほぼ全業種に拡大いたしました。これはできるだけ早く実行したいと思っています。そして、その中で申し上げますと、例えば、従来対象でなかった医療関係、介護施設等も対象にするということ。これでかなり幅が広がって特別保証に近くなったと思っています。

 それで、もう一点は、今御指摘の一〇〇%の話なんです。

 ただ、御記憶があると思うんですが、当時の特別保証制度については運用の過程でいろいろなお話がありました。一〇〇%保証にしたために、ややもするとモラルハザード的なことが起きたのではないかという御指摘等もありました。

 したがって、私どもやはり、保証協会をきちっと、保証協会というのは一つ一つの融資先のお話を聞いて的確に対応していくということでありますから、その機能を発揮するという意味では、やはり今の枠組みの中で、できるだけ個別にお困りの中小企業の御相談に乗りながら対応していくということではないかというふうに思っております。

 そういうこともありまして、資金需要に対する我々の準備の方はこれまでの枠を大幅に切り上げまして、今、御承知のとおり三十六兆円まで拡大をいたしておりまして、その中で積極的に対応してまいりたいというふうに思っています。

石井(啓)委員 保証の枠を広げても、やはり審査の要件が従来と同じようでしたら、今まで受けられなかった方は依然として受けられないんですよ。ですから、特別保証のように一〇〇%やれとは言いませんよ。しかし、やはり今困っている方に、本当に困っている方に手を差し伸べるのが私は命を守る政治じゃないかなというふうに思うんです。

 最後、時間ですが、亀井大臣にお聞きしますけれども、中小企業金融円滑化法の実効性を上げてほしいという質問であります。

 帝国データバンクの企業意識調査によりますと、この法施行後に返済条件変更の申請環境がよくなったと答えたのは七・七%にとどまっています。それから、日経新聞の中小企業経営者調査によりましても、利用しない、あるいは利用は難しいという声は八三%に上っているんですね。

 これは実は、私ども、参議院の附帯決議に公明党の主張で盛り込ませたんですが、返済条件変更を行った場合にやはり新規融資が受けられなくなっちゃうんじゃないか、このことがやはり最大のネックになっているようでありますから、ぜひ、そういう懸念を払拭していただきたいと思います。

 それからあわせて、三月末に報告を受けるようですけれども、金融機関が数字上の見た目をよくするような形で数字をつくることのないように、しっかりと検査をしていただきたいと思います。

 最後、御答弁をお願いします。

亀井国務大臣 議員から、今我々も非常に懸念をしておる実態等を踏まえての御質問もございました。

 残念ながら、私どもも、このいわゆるモラトリアム法案をつくって、実施後の状況を見ておりますと、猶予を相談すると新規の融資が受けられなくなるんじゃないか、そういう懸念が働いておるのではないか、我々もそういう心配をしております。

 私は、このテレビでも訴えたいのでありますが、御心配をされずに、どんどん金融機関に対して相談をしていただきたい。今、金融庁は、金融機関に対して厳しくそういう点の指導もいたしております。万一金融機関が不誠実な対応をしておる場合には、これは、業務改善命令を含めて厳しい処置を金融庁としてはとる予定にいたしております。私は、どうぞどんどんとあれしていただきたい、また、不誠意な対応をするような金融機関があればどんどん金融庁に申し出ていただきたい、このようにお願いいたします。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて斉藤君、石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位委員 日本共産党を代表して、鳩山総理に質問いたします。

 経済危機のもとで、国民の暮らしの実態は極めて深刻です。昨年の失業率は五・一%と悪化幅は過去最悪となり、有効求人倍率も〇・四七と史上最悪となりました。日本経済の土台を支える中小企業の年間倒産件数は一万三千件を超え、倒産によって毎月一万人を超える雇用が奪われ続けています。経済危機から国民の暮らしを守るために政治は今何をなすべきか、きょうはこの問題に絞って総理の見解をただしたいと思います。

 重大なことは、日本の経済危機が発達した資本主義国の中でも特に深刻であることです。OECDの経済見通しによりますと、日本の二〇〇九年実質経済成長率はマイナス五・三%と、先進七カ国のうちで落ち込みが最も激しくなっております。なぜ日本経済の落ち込みがこれほどまでに激しいのか。私は、その根本には、日本経済の抱える異常なゆがみがあると思います。

 これは、二〇〇八年秋のリーマン・ショック前までの十年間で、先進七カ国、G7におけるGDP、国内総生産と、雇用者報酬の推移がどうなったかを示すグラフです。(パネルを示す)左はGDPの伸び率ですが、他の六カ国が十年間でGDPを三割から七割ふやしているのに対して、日本の伸びはわずか〇・四%です。右は雇用者報酬の、すなわち働く人の所得の伸び率ですが、これも他の六カ国が二割から七割ふやしているのに対して、ひとり日本だけが五・二%減らしています。

 総理に認識を伺いたいと思います。この十年間、自公政権は、構造改革、成長戦略、このかけ声で、強い企業をもっと強くする、そうすれば企業の利益がいずれは国民の暮らしに回り、経済も成長すると言い続けてきました。確かにこの時期、大企業は空前の利益を上げ続けた。しかし、国民の所得は落ち込み、経済全体も、成長どころか、日本はG7の中でも最も成長力のない国になってしまっています。

 総理、自公政権が成長戦略のかけ声で進めてきた、強い企業をもっと強くすれば、暮らしがよくなり、経済も成長する、この旧来の経済政策からの転換が求められていると考えますが、いかがでしょう。端的にお答えください、総理。総理、総理の認識を聞いているんです。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

菅国務大臣 まず先に一言だけ申し上げますが、基本的な認識は共通部分があります。私はよく、第一の道に加えて第二の道、つまりはサプライサイドを効率化すればよくなるんだといって、結果において格差が拡大し、そして雇用がかなり厳しく失われてきたと。そういう意味では、その部分がかなり大きかったと思います。

 我が政権では、そういった意味では、需要の拡大、特に雇用と需要が同時に拡大するような介護とか医療とか、そういった部分にも目を向けて、今のこの失敗した十年あるいは二十年を大きく変えていきたい、これが基本的な方針です。

志位委員 総理の見解を伺います。

鳩山内閣総理大臣 今、菅大臣からもお話がありましたが、いわゆる弱肉強食型の世の中、市場主義万能というか、市場経済に身をゆだね過ぎた、その政治も大きな原因があったと思います。

 結果として何が起きたか。国際競争の中に生き残らなければならないということで大変大企業も努力をしていく中で、結果として、いわゆる派遣労働者のような方々をたくさん生んだということになり、いわゆる格差が拡大をした。結果として、今そこに書いてありますように、一人一人の雇用された方々の給料はむしろ平均的に下がってしまうというような状況が一方で生まれた。そのように考えておりまして、私どもは、そのように経済の中で人間が歯車のように使われている時代ではなくて、むしろ人間のための経済というものに大転換させていくことが必要だ、そのように認識しています。

志位委員 こういうやり方からは大転換が必要だという点では、共有する方向だと思います。

 大企業が空前の利益を上げながら、暮らしも経済も豊かにならないのはなぜか。

 これをごらんください。これは、この十年間の大企業の経常利益と内部留保、雇用者報酬の推移を示すものであります。

 十年間の推移を見ますと、大企業の経常利益、緑の折れ線グラフは、十五兆円から三十二兆円に大きくふえています。その一方、労働者の雇用者報酬、赤の折れ線グラフは、二百七十九兆円から二百六十二兆円に大きく落ち込んでいます。大企業の利益はどこに行ったのか。巨額の内部留保となって蓄積されました。大企業の内部留保、青の棒グラフは、この十年で百四十二兆円から二百二十九兆円に急膨張しました。

 大企業が利益を上げても少しも国民の暮らしに回らず過剰な内部留保となって蓄積される、このシステムが家計と内需を衰退させ、日本経済の成長力を損なっているのではないか。そうした脆弱な経済に世界経済危機がどんと襲いかかってきた結果、日本の経済危機は世界で最も深刻なものになったのだと思います。

 イギリスの新聞、フィナンシャル・タイムズは一月十三日付で、日本の困難な数十年から何を学べるかと題する論評を掲載しています。

 そこでは、なぜ日本経済が世界規模のショックにこれほどまでに脆弱だったのかと問いかけ、企業が過剰な内部留保を蓄積したことを日本経済の基本的な構造問題の一つとして指摘しております。そして、内需主導の成長のために最も重要な要件は企業貯蓄の大規模な削減であり、新政権は企業の行動を変化させる政策を実行すべきだと述べています。私は一つの見識だと思います。

 総理に伺いたい。国民がつくった富を大企業のみがひとり占めにする、日本経済をまともにしようと思ったら、このシステムを改める必要があると思いますが、いかがでしょう。端的にお答えください、総理。

鳩山内閣総理大臣 確かに、今グラフを拝見させていただくと、内部留保が大変にふえているという実態はあると思います。それをどうするかというのも一つの判断はあり得るのではないかとも思います。

 ただ、一方で、この内部留保そのものに関する話であれば、その規模というものは、事業活動の結果に加えて、またリーマン・ショックとかいろいろな大きな変動、変化に対しても生き残っていくためにも必要だ、そのようにも考えておりますし、また、設備投資の見通しなど企業の経営判断が本来重要だ、そのようにも思っておりますので、政府としてどのようにそれを判断するかということは大変難しい話ではないかなとは思っております。

 また、この内部留保に関しては、企業の持続的な発展とか、あるいはそれを通じた雇用の安定に資さなければなりませんし、取引先企業との関係の維持のためにも必要だ、そのようにも思っておりまして、そういう幅広いもののために活用されるものだということもあるものですから、これを政府として、では一概にどのような政策によって取り崩させればよいかというような判断はなかなか難しいのではないか、そのように考えます。

志位委員 私は、富を一握りの大企業のみに集中する、この仕組みが日本経済を弱くしている、これは明々白々な事実ですから、これは転換が必要だと思います。大企業が利益を上げても、少しも国民の暮らしに回らず、大企業の内部留保となって蓄積される。このシステムがどうしてできたかといえば、労働法制の規制緩和による正社員の非正規社員への置きかえ、リストラと賃下げ、下請単価の買いたたきを初めとした中小企業いじめの上につくられたと思います。

 このシステムを変えようとすれば、私は、次の二つの改革が必要だと思います。

 第一は、大企業に安定した雇用を保障する社会的責任を果たさせる、特に、非正規社員から正社員への雇用転換を進めるルールをつくることです。第二は、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくることであります。この二つの改革を進め、大企業の巨額の内部留保と利益を国民に還元させる、そうしてこそ日本経済の健全な発展の道は開かれる、これは私たちの提案です。

 この立場から、以下、具体的にただしていきたいと思います。

 まず第一に、非正規社員から正社員への雇用転換という問題についてです。

 総理は施政方針演説で、「労働をコストや効率で、あるいは生産過程の歯車としかとらえず、日本の高い技術力の伝承をも損ないかねない派遣労働を抜本的に見直し、いわゆる登録型派遣や製造業への派遣を原則禁止します。」とお述べになりました。

 そこで、労働者派遣法の改正について、二つの問題に絞ってただしたいと思います。

 一つは、製造業への派遣の原則禁止についてであります。

 製造業への派遣が深刻な問題点を持っているということは、一昨年秋以来の派遣切りの引き金を引き、社会的な指弾を浴びたのがトヨタやパナソニックなど世界に名立たる自動車や電機の製造業の巨大企業であったこと、製造業で働く多くの派遣労働者が職とともに住居も失うという非人道的な状態に突き落とされていることなど、既に事実をもって証明されていると思います。

 総理は、製造業への派遣を原則禁止にしますと言われました。これは、これまで派遣労働者を物のように使い捨てにしてきた大企業製造業の工場で、これからは一切派遣労働者を使うことができなくなるようにさせるということなんでしょうか。お答えください。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 私自身も規制緩和というのは一般的に必要なものだと思いますけれども、やはり労働の分野の規制緩和というのは一番慎重に進めなきゃいけない。ただ前政権は、ぱっぱぱっぱと言ったら語弊がありますけれども、日雇い派遣まで野方図に認めてこれほどの現状を生み出したということで、我々はその反省に立って、前政権ではできなかった派遣法の改正案を提出するということでございまして、今の御質問でございますけれども、製造業における派遣といいますのは、一年を超える見込みのない派遣については基本的に禁止するということでございます。

志位委員 一年を超える見込みのないものは禁止するということは、一年以上の雇用の見込みがある、あるいは一年以上働いている、こういう場合は、短期契約の更新を続けている場合でも、これは禁止の例外にするんですか。

長妻国務大臣 これについては、おっしゃられるように、製造業の現場の派遣というのが社会問題と言ってもいいほど大きな問題になったということにかんがみて、やはり、一日、二日、一カ月、二カ月というのではなくて、少なくとも一年を超える見込みがあるということ以外は禁止をする、こういうようなことで取り組むわけでありまして、それだけではなくて、マージン率も派遣会社に公表させる、どれだけ利益を得ているのか、あるいは、違法な派遣があったというふうに判断されたときは、派遣先が直接雇用の申し込みをしたものとみなすというようなことで、雇用者の利益を保護するということを考えております。

志位委員 一年以上の雇用の見込みがあれば、禁止の例外だということをお認めになったと思います。

 具体的にお聞きします。パナソニックが兵庫県姫路市に新たに液晶パネル工場を立ち上げるということで、労働者を募集しています。現地に伺って話を聞きますと、正社員の募集はゼロ、オープニングスタッフとして募集している百名はすべて派遣社員です。契約期間は三カ月、更新あり、最長三年という条件で募集しています。こうした短期雇用が反復継続される派遣社員の場合、これは製造業への派遣は禁止されることになるんでしょうか。

長妻国務大臣 個別の案件にはお答えできませんけれども、先ほど申し上げましたように、一年を超える雇用が確保される、その見込みがあるということが今度の新しい法案の一つの骨子でございまして、この法案というのは我々が勝手につくった法案ではございませんで、これについては、労働側そして使用者側の両者がぎりぎりの中で、時には激しい言葉の応酬もありながら、我々が政治主導で出した諮問について、真摯にぎりぎりの中でお答えいただいた結論だということも御理解いただきたいと思います。

志位委員 結局、一年を超える見込みがあれば禁止の例外ということになりますと、今言ったパナソニックのようなケースも常用型派遣ということになって、派遣法が改正されても使い続けられるということになるわけですよ。

 あなた方は、常用型なら雇用の安定性が高い、だからこれは禁止の例外にするんだというふうに言われるけれども、どういう労働条件で働かされているのか。同じパナソニックで滋賀県に草津工場があります。冷蔵庫や自動販売機を製造している大規模工場です。ここで長期に働いている常用型派遣、政府が禁止の例外にしようとしている派遣労働者の方々からも話を聞きました。

 給料は、時給千五十円の時給制で、全く上がらない。社会保険は本人が希望しなければ入れない。工場の生産計画に合わせて出勤日が決められ、月十二日とか十四日しか働けない月もある。時給制ですから、出勤日が減らされましたら、そのまま給料が下がるんですね。月二十日間働いても給料は十六万八千円、月十四日間なら十一万七千六百円、月十二日ならば十万八百円です。そこから、月五万五千円の寮費、寮といっても六畳一間、隣の部屋のせきまで聞こえてくる薄っぺらい仕切りしかない寮ですが、寮費が引かれ、さらに電気代一万円、水道代二千円、ガス代五千円が差し引かれる。手元に残るのは二万円から九万円ぐらいです。

 派遣先大企業の都合で、ただでさえ低い給与が、月によって五万円から、ひどいときは七万円下がる。これが常用型派遣の実態ですよ。こうした働き方の一体どこが雇用の安定性が高いと言えますか。こんなものを例外としていいんですか。

長妻国務大臣 これは志位委員も御存じのように、前の政権では今回のこの派遣法の改正すらできないわけでありまして、我々は、労働側そして使用者側、それがぎりぎりの中で御判断いただくような、かなりの諮問をお願いして、それにぎりぎり答えていただいたという案でございます。

 私どもも、今お話しいただいたような窮状、これは鳩山総理と一緒に、ことしの元旦に公設の一時宿泊所へ参りました。ちょうどそこには、おととしの秋、製造業の派遣切りに遭った方がたくさんおられました。本当に普通の若者です。これは人ごとじゃありません、前の日まで公園で寝泊まりされておられるというようなことで。我々も、それについて本当に真摯に取り組みたいということで、まず今回、こういう対策を出させていただいた。

 そして、今おっしゃられたことは、これは派遣のみならず、直接雇用でも、例えばアルバイトで雇われている方についても今大変な状況でありまして、今御指摘のことは、それは我々も、すべての方が正社員になるということは理想ではありますけれども、その理想を、何か法律ですぐにそれを措置するということもできないわけで、一歩一歩理想に近づいていくということであります。

志位委員 一歩一歩理想に近づいていくということなんですけれども、さっき話したようなパナソニックみたいな例が野放しにされることを問題にしているわけですよ。

 もう一つ具体的な例を示しましょう。

 キヤノンがカメラの組み立て工場として設立した子会社が大分にあります。私は、一昨年の本委員会の質疑で、キヤノンで正社員から派遣社員への大規模な置きかえが行われている実態を取り上げました。その後、キヤノン本社は派遣労働者をゼロにすると表明しましたが、子会社ではいまだに多数の派遣労働者を使っています。

 大分の子会社でも数百人規模で派遣労働者を使っていましたが、キヤノンの生産調整を理由にして、昨年秋以降採用された約百人の派遣労働者が今次々と解雇されています。時給わずか八百円で社会保険もなく働かされ、数カ月で解雇されていっています。

 解雇された派遣労働者が派遣会社との間で交わした雇用契約書、見せてもらいました。ここに写しがあります。雇用期間の欄には、期間の定めなし、こう書いてありますよ。これも政府が禁止の例外としようとしている常用型派遣になるでしょう。しかし、派遣先企業がキヤノンの生産調整を理由にして受け入れる派遣労働者の数を減らせば、派遣会社との間で期間の定めのないこういう雇用契約を結んでいても、たちどころに解雇されている、これが実態なんですよ。安定性どころか、安定性など全くないのが実態なんです。これをわかっているのか。

 これは、厚生労働省が昨年五月一日、派遣先企業が派遣会社との派遣契約を中途解除した場合、派遣労働者の雇用がどうなったかを調査し、発表したものです。それを表にしたものです。調査の対象となった約三万六千人の派遣労働者の大多数は、製造業で働いていた人たちです。

 派遣先大企業が派遣会社との間の派遣契約を解除すれば、この表にありますように、政府が禁止の例外にしようとしている常用型派遣の場合でも、七六・七%もの労働者が解雇されています。登録型派遣の場合は解雇率七五・八%ですから、違いはありません。派遣先大企業が派遣会社との間の契約を解除すれば、派遣労働者が常用型派遣の契約を結んでいても何の役にも立ちません。四人に三人以上の人たちが直ちに職を失い、収入を失っている。

 常用型派遣ならば雇用の安定性が高いなどという根拠はどこにもないはずです。これは一体根拠はどこにあるんですか。

長妻国務大臣 先ほど個別の事例をおっしゃられましたけれども、個別の案件そのものにはお答えできませんが、一般論として、例えば数カ月で製造業の派遣で解雇されたということでありまして、それについて、今度の新しい法案では、先ほど来申し上げておりますように、一年を超えるということでありますので、それから見て合理的な理由がない場合は、これは違法な派遣だと仮にみなされた場合は、今度は、派遣先の事業主がその派遣の方に対して直接雇用を申し込んだものとみなすということで直接雇用を実質的に保障する、こういうような法案も入れさせていただいています。

 そして、今おっしゃられたこの数字でございますけれども、確かに解雇率というのはこのような数字でございますが、ただ、この調査の時点というのは、リーマン・ショック等々あり、これは正社員の方も含め、あるいはアルバイトの直接雇用の方も含め、大変厳しい状況であるというふうに考えておりまして、私どもとしては、日雇い派遣とか、一カ月、二カ月の派遣とか、そういう製造業の派遣というのは基本的に禁止をする、こういうことで取り組んでいるところであります。

志位委員 聞いていることに答えていないですね。常用型派遣だったらどうして雇用の安定性が高いとあなた方は言うのかと聞いているわけですよ。

 これは経済危機のときの数字だと言われました。しかし、危機のときこそ雇用の安定を保障する仕組みが必要なんじゃないですか。そのために議論を始めているんじゃないですか。

 では、私は大臣に聞きたい。平時ならば常用型は雇用が安定するということを示すデータをあなたは持っているんですか。持っているか持っていないかだけでいいです。

長妻国務大臣 データとして、今、志位委員が示されたデータは解雇率だけでありますけれども、これは自己都合とか解雇でない形でやめた率でいうと、登録型派遣は九一・一%、常用型派遣は八七・二%ということになっておりまして、登録型派遣というのは、これはよく御存じだと思いますけれども、派遣先の仕事がなくなれば即解雇されるというものであります。この常用型派遣というのは、派遣先の仕事がなくなっても派遣元の会社が雇わなければいけない、一年を超える期間までは、こういうようなものでありまして、前政権ではできないぎりぎりの労使の中で合意ができた案ということでございまして、これをぜひ御理解いただきたいと思います。

志位委員 結局、常用型雇用の方が安定するというデータはないんですよ。それで、常用型だったら派遣会社が常時雇用しているからなかなか切られないだろうというふうに言うけれども、派遣先企業から解除された途端に解雇されているというのが実態なんですよ。

 ですから、この問題、総理にこれは問いたいと思います。

 製造業の派遣を原則禁止にするとあなたはおっしゃった。そういうふうに言いますけれども、禁止の例外として製造業への常用型派遣を残したら一体どうなるか。大企業は、今までどおり派遣労働者を使える、今までどおり要らなくなったら使い捨てにできる。大企業の横暴勝手は何らの制約も受けることはありません。一方で、労働者はどうか。常用型といってもまさに名ばかりで、ワーキングプアと言われる低賃金から抜け出せない。いつ首にされるかという先の見えない不安定な状態からも一歩も抜け出すことはできません。

 総理、これでは、製造業の派遣の原則禁止じゃなくて原則容認じゃありませんか。これは見直すべきだと思います。総理、いかがでしょう。今度は、総理、答えてください。

鳩山内閣総理大臣 先ほどから長妻大臣が答弁申し上げておりますように、私ども、製造業のいわゆる派遣は原則禁止をする、これを公労使、特に労使がぎりぎりの交渉の中で決めてきた。

 そこで、一年という状況をどのように判断するかという議論はあると思いますが、いわゆる常時雇用される者の労働者派遣は、やはりこれは例外とするということにしながら、しかしながら、極力、いわゆる大企業のある意味での力関係の中で簡単に派遣切りされていかれないように、すなわち解雇されないような状況というものを見守っていくということが大事であって、そのために、例えばきょうの議論なども大変私は参考になる話だと思っております。

 むしろ、志位委員長からこのようなことを御指摘されることによって、大企業としても節度を持って臨むと私は理解をされますし、そのような状況を我々としてもつくり上げていくことが大事なんじゃないんでしょうか。大事なことは、やはり法案を、提出したものをしっかりとまずは上げて、一歩、二歩前進の状況をつくり上げていくことが大事なんじゃないか、そのように私は考えます。

志位委員 ぎりぎりの合意だ、公労使の合意だと言われますけれども、私は率直に言って、財界のごり押しに屈したものだと言わなければならないと思います。原則禁止と言われますけれども、製造業で働く派遣五十六万のうち、常用型は六三%ですよ。こういう方を禁止の例外にしちゃったら、これは原則容認になります。私たちは、例外なしの全面禁止に製造業の場合は踏み切るべきだということを強く要求したいと思います。

 いま一つ、総理は登録型派遣の原則禁止とも言われました。ところが、労政審の答申を見ますと、事務用機器操作業務などいわゆる専門二十六業務については禁止の例外としてしまっています。専門二十六業務とは、派遣労働者三百九十九万人のうち百万人を占め、その多くは事務系の派遣労働者です。専門業務は、三年を超えたら直接雇用にしなければならないという派遣期間の制限がなく、いつまでも派遣のまま使い続けることができるとされています。

 この二十六の専門業務なるものの中身が問題です。専門二十六業務で働く百万人のうち四十五万人は事務用機器操作業務です。

 これは、厚生労働大臣、事実だけ答えてくれればいいですよ。これを専門業務と決めたのはいつで、ここで言う事務用機器とは一体どういうものですか。厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領で事務用機器として例示されているものを答えていただきたい。

長妻国務大臣 この専門二十六業務という、今御指摘の事務用機器というのが定められましたのが昭和六十年の派遣法制定時でございます。その定めの中に書いてございますのは、電子計算機、タイプライター、テレックス等ということでありますが、当然今の時代はこれはもうそぐいませんので、今の定義というのは、我々としては、オフィス用のコンピューターなどを用いて、ソフトウエア操作に関する専門的技術を活用して、入力、集計、グラフ化等の作業を一体として行う、こういう形で今指導をさせていただいているところであります。

志位委員 オフィス用コンピューターというのは、要するにパソコンのことでしょう。そのどこが専門ですか。これは一九八五年に定められたということです。一九八五年だったらそういうコンピューターは専門業務だったかもしれない。しかし、今やパソコンは普通にだれでも使っています。パソコンを使う仕事がすべて専門業務となれば、事務系の仕事はほとんど専門業務となってしまい、派遣への置きかえが天下御免になってしまうことになります。

 これは総理に伺いたいのですが、現に、専門業務なるものを抜け穴にして、直接雇用から派遣への大規模な置きかえが起こっています。NTT東日本北海道は、ことし一月付で、それまで直接雇用にしていた契約社員全員に対して、同じグループの人材派遣会社への転籍を強要し、派遣社員に変えて働かせています。NTTは、派遣会社にかえた六百四十五人は専門二十六業務だ、だから派遣に置きかえても問題はないと言っています。専門業務だからという名のもとに、本来正社員にすべき契約社員を一層不安定な派遣労働者にするという逆の流れが起こっているわけであります。

 総理は、労働者を生産過程の歯車としてしかとらえない派遣労働を抜本的に見直すと言われました。それならば、この専門二十六業務、これは二十五年前に決めたものもあるんですよ、そういうものを抜本的に見直して、規制を強化する方向にかじを切るべきじゃありませんか。これは総理に伺います。

長妻国務大臣 この専門二十六業務については、私も非常に緩い定義だな、こういう感覚を持っております。

 それで、先ほど申し上げました事務用機器操作につきましても、全く無関係の業務を少しでも行っているケースは、これはもう認めない、あるいは付随的に行う業務の割合が一割を超えているケースは認めないなど、実は、きょうこれから通知を全国に出そうというふうに考えております。これは、全国の労働局あるいは社団法人日本人材派遣協会、経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会に出させていただいて、この二十六業務の中にはファイリングというものもありますので、そういうものも本来の趣旨の定義を厳密に守るということを徹底させるということで、改めて本日通知を出させていただくところです。

鳩山内閣総理大臣 今、志位委員とのやりとりを伺いながら、やはり二十六業務、この中に、それはそれなりのものもあると思いますが、余りにも幅広く、事務用機器操作、パソコンはだれでも使えるような状況になっていると思います。果たしてこういうものをそのままにしておいてよいのかというのはやはりしっかりと検討する必要があるのではないか、私はそのように考えました。

志位委員 大事な答弁が得られました。検討するということですので、ぜひ規制強化の方向で検討をお願いしたいと思います。

 労働者派遣法の抜本改正というなら、製造業派遣は全面禁止にする、専門二十六業務の抜本的な見直しを図るなど、労働者保護法として真に実効あるものとし、その実施を先送りするのではなくて、三年、五年の先送りでなくて、速やかに行うべきだと考えます。それを第一歩にして、雇用は正社員が当たり前という社会をつくる、働く人の所得をふやす、そうしてこそ日本経済の健全な発展の道が開かれるということを強く主張しておきたいと思います。

 第二のテーマに移ります。大企業と中小零細企業との公正な取引のルールをつくることについてであります。

 中小企業は、雇用の七割を支え、付加価値の五割を生み出す、文字どおりの日本経済の主役です。その中小企業がどういう状況に置かれているか。その一つを示すデータがここにあります。大企業と中小企業の製造業で働く従業員の賃金格差がこの十年間にどう推移したかをグラフにいたしました。大企業で働く従業員の賃金を一〇〇%とした場合に格差がどうなっているかの推移であります。

 全体の雇用者報酬が落ち込んでいる中で、大企業と中小企業の格差が広がっていることが一目瞭然です。緑の折れ線グラフ、従業員百人から四百九十九人の企業では、七七・七%から七二・九%に格差が広がっています。青の折れ線グラフ、従業員三十人から九十九人の企業では、六二・七%から五九・七%に格差がこれも広がっています。赤の折れ線グラフ、従業員五人から二十九人の企業では、五四・六%から五〇・五%へと、五割を割り込む直前まで格差が悪化しております。

 これは総理に問いたい。こうした格差は是正されるべきだと考えますが、いかがでしょう。

鳩山内閣総理大臣 当然、それぞれの企業によって企業の状況の差があるとは思っておりますが、基本的には格差というものがなくなる方向に進まれるべきものだ、そのように思います。

志位委員 格差はなくす方向に進むべきだという答弁でした。

 では、格差を是正するためには、格差を広げてきた原因を明らかにする必要があると思います。私は、その原因の一つに、下請中小企業の下請単価が際限なく切り下げられ、社長さんの給料はもちろん、従業員の給料もまともに払えなくなっているという問題があると思います。

 私たちは、この間、東京大田区、愛知豊田市、東大阪市、広島市の四つの地域で、自動車、電機の大企業を支える下請中小企業の経営者から聞き取りを行いました。どこでもまともな単価では仕事がとれないとの痛切な訴えが寄せられました。

 これは総理に基本的認識を伺いますので、お聞きください。

 愛知県内の自動車関連の下請零細企業からはこういう実態が述べられました。

 この企業は四次ないし五次の下請で、自動車のエンジンやシートを据えつける金属部品を溶接加工しています。溶接する長さが部品単価を決める基準になっている。十年ほど前までは一センチ一円が相場でしたが、今では七十銭。この十年で三割下がったと言います。一方、溶接に必要なガスや溶剤などのいわゆる原材料費は一センチ当たり三十五銭から四十銭に上がったと言います。その結果、単価から原材料費を引いた加工賃として会社に残るお金は、一センチ当たり六十五銭から三十銭へと半分以下に下がった計算になります。

 従業員の給料は加工賃から支払うわけですから、それが半分以下に下がったら、とてもまともにやっていくことができません。社長さんは、三人の従業員と話し合って雇用保険も健康保険も年金も払っていない、法律違反だとわかっているが、払ったら従業員が食べていけなくなると率直に話してくれました。

 日本を代表する自動車産業の土台を支えている下請中小企業の社長さんと従業員をここまで追い込むほど、単価の引き下げが進んでいるのであります。

 総理、これは、こうした下請単価の水準は公正、適正なものだとは到底考えられませんが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 個別のことに対する判断は、またこれはゆだねたいとは思っておりますが、今、一般論として申し上げれば、親事業者と中小の零細事業者との間で、力関係の中で結果として賃金が非常に圧縮されてしまうというようなことが行われているのではないか、そのように思います。

 したがいまして、現実には、下請代金法というものがあるわけでありますから、本来こういったものが厳格に執行されていかなきゃならないんだろうと思っておりますが、立場の弱い中小企業の方々にしわ寄せが行かないようにするために、取引対価の決定などに当たっては、本来、市場の動向などを考慮する必要があるわけでありますが、親事業者と下請との間で協議をして決定されることが望ましいわけでありまして、その趣旨は下請中小企業の振興法三条に基づく振興基準に規定されているとおりだ、そのように思っております。

 ただ、必ずしもそれが厳格に守られているかどうかという問題があるものですから、中小零細企業への下請単価の一方的な切り下げなどということを防止する必要がある。そのために、今申し上げたような厳格な下請代金法の執行とかあるいは下請振興法の振興基準の周知、こういったものが大事だ、そのように思っておりまして、今御指摘のありましたことは、大変ある意味で今の厳しい中小企業の現実を言い当てていると思っておりますので、我々としても努力をしていかなきゃならない問題だ、そのように思います。

志位委員 総理から、下請法の厳格な執行ということを言われました。

 そこで、公正取引委員長に聞きたいと思います。

 大企業などの親企業が優越的な地位を利用して公正な取引をゆがめることを防止し是正することを目的に定められた法律が下請代金法であります。その中で、親事業者が著しく低い下請代金を一方的に定める行為を買いたたきとして禁止し、処罰の対象としています。二〇〇四年四月の改正下請代金法の施行以降、公正取引委員会が買いたたきとして是正の勧告処分を行った件数は何件ですか。件数だけで結構です。

竹島政府特別補佐人 お答えいたします。

 下請法違反行為の類型は十ぐらいございますが、その中で、今御指摘の買いたたきについて、平成十六年の法改正以降、公取が勧告を出したのは一件でございます。

志位委員 買いたたきの是正勧告は一件ということでした。

 もう一問聞きます。

 この間、派遣切りとともに、一たん発注した仕事を一方的に打ち切る、いわゆる下請切りが大問題になっております。下請代金法では、下請企業に責任がないのに、下請への仕事の発注を一方的に打ち切ったり変更したりすることを法律違反として禁止しております。二〇〇四年四月以降、これに基づいて是正の勧告処分を行った件数は何件ですか。

竹島政府特別補佐人 厳格な意味で、一方的な契約解除といいますか下請切り、発注打ち切りですか、これについて勧告したことはございません。

 ただ、今前提がございまして、取引は基本的に自由でございます。その上で、契約を更新するしないも自由でございます。そこに、おっしゃったような打ち切りとか作業の見直しとかいう、一回契約したものを一方的に自分の都合が悪いからといって下請事業者に不当なことを要求するといって初めて問題になるわけでございまして、それぞれがお互いよく協議をして定めていただく、これが今の基本的な枠組みになっておりますので、そこは御理解いただきたいと思います。

志位委員 下請切りの是正はゼロだというのがお答えでした。それぞれ協議してやっているといいますけれども、一方的な発注の打ち切りというのが蔓延しているわけですよ。

 もう一問聞きます。

 公正取引委員会は、親事業者と下請事業者の双方に下請取引に関する違法がないかどうかの書面調査をやっているとのことでありました。それでは、平成二十年度に行った下請企業に向けての書面調査票の発送数と回収率はどうなっていますか。

竹島政府特別補佐人 平成二十年度におきます下請事業者向けの調査票の発送数は十六万二百三十通でございまして、回収率は八・二%。

 これは低いというふうに思われるかもしれませんが、十九年度までは約三〇%ございました。ただ、二十年度に事務の効率化、要するに、問題がない企業は答えなくてもよろしいというふうに二十年度から切りかえましたので八・二%に下がっておりますが、それまではそういうことを言わずに調査したところ、約三〇%の回収率でございました。

志位委員 八・二%ということでした。三〇%でも低いですよ。総理、これが実態なんですね。

 これだけ買いたたき、下請切りは一大社会問題になっているのに、この五年半で買いたたきとして勧告処分を受けたのは一件、下請切りとして勧告処分を受けたのは一つもない。下請代金法の規制が全くと言っていいほど機能しておりません。

 なぜそうなるか。公正取引委員会が大企業、親事業者に対する調査、検査に入るのは、書面調査で違法の疑いがある場合、または下請事業者からの申し立てがあった場合だけになっているからです。

 しかし、下請が親事業者の違法を申し立てたり、書面調査で親事業者に不利なことを書くなどということは、よほどの覚悟がなければこれはできません。書けば必ず特定され、仕事がなくなってしまうと聞きました。書面調査票の回収率が八・二%というのは、下請がいかに物言えぬ立場に置かれているかを示していると思います。

 これは総理に伺いたい。ここは切りかえる必要があるんじゃないでしょうか。書面調査だけに頼ったり、下請事業者からの申告を待って乗り出すというやり方を改めなければ、下請代金法を生かすことはできません。大企業、親事業者に立ち入って、下請代金法に基づいた公正な取引が行われているのかどうかを受け身でなく主動的に検査する、必要な抜き打ち検査も行うなど、体制を抜本的に改めて、そのために下請検査官も抜本的に増員する、こういう体制をしっかりとるべきだ。

 ここは転換が必要だと思いますが、総理、いかがでしょう。これは総理です。いや、総理が答えてください。

直嶋国務大臣 今、下請検査官の検査体制の質問がございましたので、私の方から答えさせていただきます。

 現在、国家公務員の増員については大変厳しい状況なんですが、下請代金検査官の定員を、平成二十一年度の六十六名から二十二年度は八十四名、十八名増員することといたしました。

 検査官の検査能力を高めるために、公正取引委員会と連携をしながら、過去の違反事例を題材とした実践的な研修を行いまして、検査手法の改善も含め、下請代金の検査体制を強化してまいりたいと思っております。

志位委員 下請代金の検査官を若干増員したと言いますけれども、数十万の下請を見るにはとても足りませんよ。

 私が総理に聞いたのは、これまでの転換が必要じゃないか、書面調査や申し立てを待っているんじゃなくて、主動的にどんどん調査に入る、こういう取り組みにする必要があるんじゃないかということを聞いたんです。どうでしょう。

鳩山内閣総理大臣 今、志位委員からの御提案もありました。ただ、その前に、法律がしっかりと執行されていないのではないかという部分もあると思います。したがいまして、そこの法の執行、例えば下請代金支払遅延等防止法などというものがありますが、そういったものの執行体制を強化するということがまず求められていくんじゃないか、そのように思います。

志位委員 執行体制の強化ということを言われましたけれども、ぜひ、これまでのあり方を転換していただきたい。下からの申告待ちじゃなくて、あるいは書面調査だけじゃなくて、主動的に入る、そして断固としてこれをなくすという立場に立っていただきたい。

 世界に名立たる自動車、電機の巨大企業は、景気のよいときには、乾いたタオルを絞るというやり方で際限のない単価の引き下げを押しつけて、巨額の富を蓄積しています。不況に陥ったら、単価を一層押し下げながら、仕事そのものを一方的に打ち切って、犠牲を下請中小企業に転嫁するという横暴勝手をやっています。その結果、末端の下請では、全く仕事がないか、利益など全く出ない単価で仕事をとるかという悪魔の二者択一に追い込まれています。政治の責任で大企業、親企業の無法を一掃し、公正な取引のルールをつくることが本当に求められているということを強く訴えたいと思います。

 下請中小企業にかかわってはもう一つ、下請振興法という法律があります。この法律では、「経済産業大臣は、下請中小企業の振興を図るため下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準を定めなければならない。」とされ、具体的な振興基準が定められています。振興基準では、ここに書いてまいりましたけれども、取引対価、取引単価について、次のような大変立派な基準を示しています。取引対価は、「合理的な算定方式に基づき、下請中小企業の適正な利益を含み、労働時間短縮等労働条件の改善が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が協議して決定するものとする。」大変立派な理念が述べられているわけであります。

 この基準で掲げた目標に照らして、実態はどうなっていると認識しておられるんでしょうか。先ほど示したように、下請を中心とした中小企業では、労働条件の改善どころか悪化が進んでいるのが現実です。振興基準から現実がますます乖離していっているのであります。中小企業庁は一定の調査をしているようですが、振興基準で掲げた目標、すなわち、適正な利益、労働条件の改善、協議して決定、こういう基本点に照らして、現実の実態がどうなっているという認識なんでしょうか。端的にお答えください。

直嶋国務大臣 私どもも調査をさせていただいておりまして、例えばさっき委員長が挙げられました取引対価の件で申し上げますと、一方的に親会社から決められるという答えが、二十年度は実は一〇・九%ありました。ただ、これは、例えば五年前の十六年度が同様の答えが一七・四でした。したがって、まだ一割は先ほど御指摘のような実態があるということであります。ただ、この数字全体を見ますと少しずつ改善の傾向をたどっておりますので、できるだけ個別の問題点を把握しながら対処をしていきたいというふうに思っております。

志位委員 改善の方向というのは、これは認識違いですよ。今は本当に深刻にずっとなってきています。

 中小企業庁の調査票を読みましたけれども、労働条件の改善、労働者の賃金の改善がどうなっているかは何にもつかんでいないんですよ。やはりこういうことも含めて、この振興法、立派なものをうたっているわけですから、これを実際に厳正に執行するための総合的な施策を講ずる、そのために実態調査を徹底してやるということを強く求めたいと思います。

 最後の問題です。

 中小企業政策のそういう抜本的な転換を図ることとあわせて、町工場を倒産、廃業の危機から守る緊急の施策を講じる必要があります。今、町工場は、リーマン・ショック以来の底が抜けたような仕事量の激減で、全く仕事がないという状況が既に十五カ月も続き、経営努力も限界を超えております。総理は、私がこういう町工場に対して工場の家賃や機械のリース代など固定費に対する直接補助に踏み出すべきだと言ったのに対して、施策としては適当ではないと本会議の代表質問の答弁で言われました。

 しかし、実態を見ますと、例えば東京の大田区には高度な技術を持った町工場が集積しているけれども、その半数は貸し工場なんですよ。家賃が払えず機械ごと追い出されたり、機械のリース代が払えず機械を持っていかれた、こういう事態が次々起こっているわけです。中小企業で働く労働者の雇用を守るために雇用調整助成金という直接補助の制度があります。しかし、この制度で労働者を守っても、労働者が働く工場や機械がなくなっちゃったら、景気が回復しても働く場がないということになります。

 私は、町工場は日本の宝だと思います。この灯を消してはならない。ぜひ直接の固定費補助に踏み出すべきだと考えますが、いかがでしょう。

鳩山内閣総理大臣 直接の固定費補助はなかなか難しいということは申し上げました。ただ、今、志位委員長からお話ありましたように、町工場は日本の宝であることは、これは間違いありません。その灯を消してはならない、そのようにも思っております。

 まずは景気をよくすることというのが大前提であろうかと思いますが、中小企業に対するさまざまな資金繰りの対策など、万全を期していきながら町工場の灯を消さないようにしてまいりたい、そのように思います。

志位委員 町工場は日本の宝だ、その灯を消してはならないとおっしゃいました。ぜひ固定費補助に踏み込んでいただきたいということを重ねて強く求めます。

 労働者を使い捨て、中小企業を使い捨て、多数の国民の上に一握りの大企業が巨額の内部留保をため込む、この道を続けては国民生活も日本経済も未来がなくなることは明らかです。ぜひ大企業に安定した雇用への責任を果たさせるルールをつくる、中小企業との公正な取引のルールをつくる、大企業の巨額の内部留保と利益を国民に還元させる、これこそが最大の景気対策であるということを私は訴えて、質問を終わります。

鹿野委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 みんなの党の江田憲司でございます。

 総理、御重責、大変お疲れさまでございます。その重圧、身体的、精神的重圧たるや幾ばくかと御推察を申し上げます。

 私も二年七カ月、総理大臣という地位の方におそばで毎日毎日お仕えをいたしました。古くは海部内閣、宮沢内閣でも首相官邸におりました。そういう経験から多少生意気なことを申し上げさせていただくと、総理大臣たるもの、やはり国民のために身を賭するという覚悟、身命を賭するという覚悟さえあれば、総理大臣というのは何でもできると私は確信をしているんですね。

 よくアメリカの大統領と議院内閣制の総理大臣は違うという議論もありますけれども、総理がこれを実行しようといってその身命を賭したら何でもできるし、怖いものはない、小沢一郎さんだって怖くない、私はそう思います。

 なぜなら、総理大臣というのは他人が引きずりおろせないんですね、第三者が。私の理解するところでは、総理大臣が辞する場合というのは大体三つあります。小渕当時総理のように、不幸なことに亡くなられるという場合が一つ目。二つ目には、国会で内閣不信任案が可決、成立する。しかし、この場合は、総辞職を選択せずに解散・総選挙で総理大臣が国民に信を問うという道はあります。最後に、これが一番あれなんですけれども、総理御自身がみずから判断をしておやめになる。

 大体、この三つ目なんですね。私は、それだからこそ重い責任、総理大臣の出処進退の責任というのがあると思っております。仮に国民の信を失ったと考える場合、我この任にあらずと総理大臣がみずから判断をされた場合は、潔く責任をとられる、そういった覚悟も必要だと思っております。

 この二つの覚悟。要は、国民のために身を賭す覚悟と、そして、いざというときには潔く責任をとられる、そういった覚悟、この二つの覚悟が総理大臣という職にある方には必要だと私は思っておりますけれども、総理の御見解いかん、お伺いしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 江田委員がお話をされました、お仕えをされた橋本龍太郎先生は、私も大変尊敬を申し上げておりました。早く亡くなられたことは大変残念に思っておりますが、ある意味でのかがみにしたい、そのように思っております。

 私は、今、江田委員からお話がございました二つの覚悟、当然、総理という前に、政治家になるときにその覚悟を持たなければならないと思っておりますが、特にこの総理という立場の中で、国民の皆様方のために働かせていただくという目的が果たされないということになれば、意味がない話であります。その意味で、私の思いをしっかりと果たすために身命を賭したい、そのように考えております。

 その覚悟は持っておりますし、当然、いざとなって、自分の責めというものがまるで果たされないなどというような状況になったときには、そのときの覚悟も持ち合わせている、そのように自分なりに思っております。

江田(憲)委員 しっかりと承らせていただきました。

 さて、先週、小沢幹事長の秘書三人の方が起訴されるという新しい事態となりました。午前中の質疑では、総理も小沢幹事長が何らかの政治的責任があるということをお認めになったようでございます。また、週末に行われた世論調査では、どの調査も大体七割、八割前後の国民の皆さんが、小沢幹事長はやめるべきだという声を上げておられます。

 民主党は、私の理解するところ、国民の手に政治を取り戻すんだといって政権交代を果たされた。私の理解では、国民の目線というか国民の立場に立って政治をやっていこう、世間の常識にのっとって政治をやっていこう、こういった政権だと思いますので、ぜひこの国民の声を聞いていただいて、小沢幹事長に辞職を求める、総理大臣、党の代表としてそういうおつもりはあるのかないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 私は、国民の皆様方のお気持ちというものは大事にしなければならない、そのようにも思います。

 一方で、今回の、私の問題もそうですが、小沢幹事長の問題も、本人の問題、本人の事務所の問題、すなわち政治家本人の問題だ、そのように思っています。したがって、その意味での責任はお互いにあるということは自覚しなければ政治家としてやっていられない、そのように思っております。

 ただ、出処進退は本来本人が決めるべきものだ、そのようにも思っておりますし、私どもとすれば、今、政治というものを大きく変えてきた、国民の皆様方に、政治を大きく変えなさいという大きな使命を持って登場してきた新しい政権だ、そのように思っておりまして、その責めを果たすということもさらに大きな政治家としての責任だ、そのように思っておりますので、小沢幹事長に今、そのような江田委員からの御要望でありますが、そのようなことを申し上げるつもりはありません。

江田(憲)委員 この場でも累次、政治資金規正法のどこにどう違反しただとか、資金の流れがどうだこうだという話が追及されてきましたけれども、私は、率直に申し上げますと、国民のレベルではそういった問題も重要かもしれませんけれども、やはり一政治家の一政治団体をめぐって、やれ四億円だ、やれ十二億六千万だ、やれ合算して延べで二十一億円だという、国民にとっては途方もない金額が飛び交っているということ自体が、やはり新しい政治を求めて政権交代をさせた民主党政権にふさわしくないという、ある意味での失望感というものが広がっていると思うんです。

 私は、これが本当に政治の絶望につながっていかないか大変危惧しております。もう御答弁は求めませんけれども、やはり国民の間にこういった声があるということをしっかり御認識していただきたいと思うんですね。

 そこで、先ほど鳩山総理がおっしゃったように、私も政治家の出処進退は最終的には個々人の政治家の判断だと思っております。そういう意味で少し、何人かの鳩山内閣の閣僚の方にお聞きをしたいんですけれども、一般論で、例えば自分に仕えてくれている秘書が二人も三人も逮捕、起訴されるという事態になった場合に、皆さんはどういう身の処し方をされますか。

 私は、人に聞くからには、私、江田憲司の身の処し方もここにはっきりさせますけれども、もし私の秘書が二人も三人も逮捕、起訴されたら、即刻議員辞職をいたします。そのときに政府や党の何かポストについていたら、もちろんそれはポストを返上いたしますし、即刻議員の辞職もいたします。

 それはなぜかというと、議員を続けていてもろくな仕事ができないでしょう。議員の仕事、政治をやっていくということは、その大前提としてはやはり国民の信頼が必要なんです。そういった信頼が欠けている状況で幾ら何をやっても、ろくな仕事ができない。やはり、無為徒食で税金で給料をはんでいく、こういったことは大変国民の皆さんに申しわけない、そういった気持ちが私は立ちますので議員辞職をしたいと思いますけれども、福島大臣、福島さんの場合は、一般論として、二人も三人も起訴された場合、どういう身の処し方をされますか。

福島国務大臣 仮定の質問にはすごく答えにくいですね。

 ただ、江田委員がおっしゃるとおり、国民の皆さんが政治とお金の問題に関して本当に失望する、あるいは、こういうことになることそのものは、政治にとって本当に残念だというふうに思っています。

 私は弁護士ですので、この件、今、国会の中で問題になっている個別の件ではなく、一般論として言えば、何の要件で逮捕、勾留されたかということも重要で、多分、私の秘書も、無罪の推定がありますので、それは本当に、正直、ケース・バイ・ケースだと思います。

 ですから、私は、その犯罪の被疑事実の中身や要件や何が問題になっているかによってきっちり私としては判断をいたします。

江田(憲)委員 前原大臣、同じ質問です。

前原国務大臣 一般論ということでありますが、秘書が逮捕されるということは、それは相当重い問題だと思います。

 ただ、それが自分自身どういう問題であったのかどうなのかということを判断しないと、やめるやめないということは軽々に言える問題ではないと思います。

江田(憲)委員 もちろん、みずからの政治活動に関して逮捕、起訴される、これはもう尋常なことではありません。

 岡田外務大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 それは私の秘書が逮捕されたときという仮定の質問だと思いますけれども、そのときの状況をよく見きわめなければなりません。それ以上の仮定の議論にはお答えはしかねます。

江田(憲)委員 本当に、政権交代をして世間の常識が通用する政治、だからこそ答弁も国民の常識に照らしてすとんと胸に落ちるような答弁を期待したんですけれども、仮定、想定をされておりましたけれども、いつもどおりの従来の答弁で終わったというのは残念でなりません。

 ぜひ、本当に期待を裏切らないように、私自身も、これは政治家個々人の、仮定でも、やはりその出処進退をもう少しはっきり言っていただきたいなと思います。

 ちょっと時間もありませんので、天下りの根絶についてテーマを移したいと思います。

 私もこの世界は通暁しているつもりでございましたけれども、聞きなれない裏下りという言葉が施政方針演説に出てまいりました。この定義をお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 私どもでは、政府の職員が次の再就職をあっせんすることを厳格に禁止しておるところでございますけれども、同一府省の出身者が何代にもわたって特定の団体等のポストに再就職をする、どうもそこに省庁と団体の間に我々では見えない関係があって、定期的にそこに再就職する、そういう事例を裏下り、こういうふうに言っております。

江田(憲)委員 それでは、その定義を前提に進めますと、昨年十一月に、社団法人損保協会副会長に元大蔵官僚、国税庁長官が再就職をいたしました。もう何代にもわたって指定席のように元大蔵、財務官僚が座っているわけでございます。これは日本郵政副社長の坂篤郎さんという、私も総理秘書官時代同僚でございましたけれども、彼の後任として行ったわけですけれども、これは裏下りに当たるんですか、天下りに当たるんですか、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 政府があっせんをしておりませんので、私どもにはわかりません。裏下りになるかどうか、これから厳しく調査をしてみたいと思います。

江田(憲)委員 大変理解できませんね。

 この損保協会副会長の人事は、十一月六日に決定をされて、十二日に発表されました。その前の十一月四日の本委員会の答弁で、我がみんなの党代表の渡辺委員の質問に答えて仙谷大臣はこうおっしゃっているんですね。「だらだらと指定席のところに当てはめていくという、ある役所の指定席のところに当てはめていくという場合は、これはもう、まごうことなき天下りであり、あっせんであるというふうに思います」、こうおっしゃっているんですよ。

 この損保協会というのは、五代、六代じゃありませんよ、もっと延々と、もう指定席のように、まさにだらだらと座っておられる。これはまさに仙谷大臣の答弁で天下りだと言えますけれども、お認めになりますね。

仙谷国務大臣 どのような事実関係のもとにそういうふうに行われているのかがわからないと申し上げているんです。

江田(憲)委員 では、松井副長官、答えてください。

松井内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 御指摘のケースにつきましては、官房長官が財務省からも確認をいたしました。その結果、組織としての再就職あっせんを行っている事実はないというのが財務省の、過去の経緯も含めて、それが回答でございました。

 しかしながら、仙谷大臣のさきの臨時国会での答弁、それから先ほどの仙谷大臣からの裏下りと称されるものについての説明、そういうことも踏まえまして、今はこれは金融庁が監督官庁でございますが、昔は大蔵省が監督官庁、その監督官庁と当該団体との関係でどういう関係があったのか。組織的な再就職あっせんがないという御返事ですが、例えば退職したOBがあっせんをしている可能性もあるわけで、そういうことも含めまして、しっかりと事実関係を精査し、判断していきたいということでございます。

江田(憲)委員 これが天下り、裏下りに当たらないんだったら何にもしないということですよ。典型的な例ですから。もう何代にもわたってやっているわけですね。もうこれはいいです、時間もありませんから。

 九月末に高らかに鳩山総理は天下りの根絶を言われて、昨年の党首討論でも、例の五千団体に二万五千人の天下り官僚がいて、そこに十二兆円も税金が投入されているということを指摘されたわけですから、私は本当に天下りの根絶をされると思っていました。そういう意味で、今このパネルをごらんになって、これは何の天下り先かわかりますか、一覧表で。これは、例のスパウザ小田原だとか中野サンプラザだとか、全国に二千施設以上、国民の雇用保険料をじゃぶじゃぶ使って建てて、それを結果的に百二十七億円、二束三文で売っ払ったという、勤労者福祉施設の担当局長の天下り先ですね。これは一部です、ごくごく一部なんですよ。

 こういった結果的に国民に大損害を与えたような局長が今優雅な天下り人生を謳歌しているというのは、国民感情からして許しがたいことなんですよ。本来ならば責任追及をしてもいいような方なんですよね、歴代社会保険庁長官のように。

 こうした方々を、天下りを一掃されるという御決意はありませんか、鳩山総理。

松井内閣官房副長官 御答弁申し上げているとおり、仮に組織的なあっせんがないということが役所の見解であったとしても、その団体との関係、それから、例えば、役所のあっせんにかわってOBがかわりにあっせんをしているようなケースであれば、それは我々がこれからとる措置に対する脱法的な措置ですから、しっかり事実関係を精査して、監視していくと申し上げております。

江田(憲)委員 天下りの根絶というのは、民主党のマニフェストの中でも、私は政権交代の一番の原動力になったと思っております。こうした明らかな事例を示しているにもかかわらず、役人のごとく、四の五の四の五の、奥歯に物が挟まったような答弁をしてもらうために国民は政権交代を民主党にさせたわけじゃないと私は思います。

 こういった歴代社会保険庁長官、この歴代社会保険庁長官だって一番責任があるわけですよ、あの長妻さんが舌鋒鋭く追及していた。この歴代社会保険庁長官ですら、責任が追及されるどころか、優雅な天下り人生をこの民主党政権下において続けられているということ自体が、全く理解できないことですよ。

 総理、これは冒頭言いました、総理が決断すればできることなんですよ。何の遠慮も要りません。これが一番の国民の期待なんですから、ぜひ、総理、最後、御決意をお願いいたします。

鳩山内閣総理大臣 今、江田委員から大変強い口調でお話しされました。すべて、その天下りされた時期は、当然、自民党政権時代であった、そのようには思っております。しかしながら、このような方々が今でも天下り先で、ある意味で優雅なお暮らしをされているということに対しては、我々としては、看過することができるかどうかという議論は十分にあると思っておりますから、これから十分に調べさせていただいて、まさに天下りを根絶するのが我々の役割でありますから、そのために全力を挙げてまいりたいと思っています。

江田(憲)委員 私が何を申し上げるか否かは別として、もうこれは、今テレビをごらんの国民の皆さんが判断することだと思います。もう金輪際、ならば、民主党政権は天下りの根絶なんて言わないでください。もうそういう資格はありません。ですから、看板をおろしてください。ならば、私は納得をいたします。

 以上でございます。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

鹿野委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に富田茂之君を指名いたします。

 次回は、明九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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