衆議院

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第8号 平成22年2月9日(火曜日)

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平成二十二年二月九日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      井戸まさえ君    石田 三示君

      糸川 正晃君    打越あかし君

      小野塚勝俊君    緒方林太郎君

      大山 昌宏君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    梶原 康弘君

      城井  崇君   菊池長右エ門君

      沓掛 哲男君    黒田  雄君

      小泉 俊明君    古賀 一成君

      田中 康夫君    竹田 光明君

      津島 恭一君    豊田潤多郎君

      中林美恵子君    長島 一由君

      畑  浩治君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    森岡洋一郎君

      森本 和義君    山田 良司君

      吉田 公一君    若泉 征三君

      渡部 恒三君    あべ 俊子君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      大村 秀章君    金子 一義君

      北村 茂男君    小池百合子君

      小泉進次郎君    河野 太郎君

      下村 博文君    菅  義偉君

      田村 憲久君    平  将明君

      高市 早苗君    谷畑  孝君

      徳田  毅君    野田  毅君

      宮腰 光寛君    山本 幸三君

      稲津  久君    竹内  譲君

      笠井  亮君    吉井 英勝君

      阿部 知子君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       鳩山由紀夫君

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       中井  洽君

   国務大臣

   (金融担当)       亀井 静香君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   福島みずほ君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   外務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   厚生労働大臣政務官    足立 信也君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (国税庁次長)      岡本 佳郎君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     石田 三示君

  城井  崇君     森岡洋一郎君

  津島 恭一君     菊池長右エ門君

  平岡 秀夫君     井戸まさえ君

  森本 和義君     大山 昌宏君

  小里 泰弘君     宮腰 光寛君

  金子 一義君     小泉進次郎君

  小池百合子君     北村 茂男君

  谷川 弥一君     井上 信治君

  谷畑  孝君     大村 秀章君

  大口 善徳君     竹内  譲君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  阿部 知子君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     平岡 秀夫君

  石田 三示君     打越あかし君

  大山 昌宏君     森本 和義君

  菊池長右エ門君    竹田 光明君

  森岡洋一郎君     城井  崇君

  井上 信治君     徳田  毅君

  大村 秀章君     平  将明君

  北村 茂男君     あべ 俊子君

  小泉進次郎君     金子 一義君

  宮腰 光寛君     河野 太郎君

  竹内  譲君     稲津  久君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  中島 隆利君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     津島 恭一君

  あべ 俊子君     小池百合子君

  河野 太郎君     小里 泰弘君

  平  将明君     高市 早苗君

  徳田  毅君     谷川 弥一君

  稲津  久君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  高市 早苗君     谷畑  孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として国税庁次長岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鹿野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉俊明君。

小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。

 さて、今、日本じゅうの国民の最大の関心は景気、経済にあります。この国民の期待にこたえ、効果的な対策を打つためには、経済の現状を正しく認識するとともに、原因を正しく分析することが不可欠であります。

 私は、この観点から、一貫して、この予算委員会そして財務金融委員会におきまして、小泉元総理そして竹中大臣に徹底的に闘いを挑んでまいりました。過去に盲目な者は未来にも盲目である、こう言ったのは西ドイツのワイツゼッカー大統領でありますが、私は、この言葉は真理であると思います。政権交代を果たした今こそ、あの小泉構造改革とは一体何だったのかということを検証していかなければならないと思います。

 そこで、まず、平成十三年、小泉総理登場以来のここ十年間の経済の現状を簡単に振り返ってみます。

 すると、まさに死屍累々であります。

 データを簡単に読み上げますが、マクロ経済で見ても、GDPが、先進諸国で一カ国だけ伸びないどころか減少を続けています。一人当たりのGDPは三位から十八位に後退をいたしました。税収は減少をし、国債の発行額だけが増大をしております。

 ミクロでは、自殺者はここ九年間で二十九万人、十年間で七万人死亡しましたベトナム戦争の四倍にも上っています。倒産数は九年間で十四万件、破産はここ八年で百五十五万人。犯罪数も、平成十四年に二百八十五万件という史上最高を記録し、平成十三年からの八年間で一千九百万件にも達したわけであります。生活保護世帯も、平成十二年の七十五万件から、九年で一・五倍の百十五万世帯。働く国民の三分の一、一千七百万人もの、特に若い人たちが、あすをも知らぬ契約社員となったわけであります。実収入、可処分所得、消費支出も減少を続けています。

 結果から見まして、この小泉改革は、日本経済、特に地方経済の衰退と中小企業の疲弊と犯罪の増加と国民生活の破壊を招いたとしか言いようがないわけであります。

 それでは、日本がここまでがたがたになった原因は一体どこにあるのか。小泉さんと竹中さんがやったことを振り返ってみたいと思います。

 資料の一をごらんいただきたいと思います。日経平均株価の推移でありますが、二〇〇一年四月二十六日、小泉総理が就任したときに約一万四千円ありました平均株価が、二年後の四月二十八日、約半分の七千六百七円に下がりました。

 皆さん、偶然これが暴落したと思いますでしょうか。あの小泉総理、竹中さんがやったことを思い出していただきたいと思います。不良債権の強制的処理という名のもとに貸し渋り、貸しはがしを行いました。その結果、実体経済の血液であります金融がとまり、株と土地が暴落を始めました。そして、この株と土地が暴落したときにやったことが、時価会計と減損会計の強制的な導入であります。これはもともと、本来、株と土地が上がったときに入れる制度でありますから、この制度の導入によりまして、ますます株価が暴落をいたしました。

 そして、決め打ちが、銀行と企業の株式保有の禁止であります。もともと銀行と上場企業は四分の一ずつ株を持ち合いしておりましたので、この禁止によりまして、大量の株式が市場に放出をされ、株が大暴落をしたわけであります。

 この結果から見ますと、小泉さん、竹中さんがわざと強制的に株と地価を引き下げたとしか私には思えないのであります。

 それでは、一方で株価を下げながら、もう一方で何をやったかということを見てみたいと思います。

 三ページをおあけください。三ページは、小泉総理がやりました為替介入の記録であります。平成十五年一月から平成十六年三月までの十五カ月間で、小泉総理、何と三十五兆二千五百六十五億円という史上最高のドル買い介入をしたわけであります。これは、原資は、政府短期証券そして十兆円の米国債を日銀に引き受けさせ、捻出をしたわけであります。

 それでは、なぜこれほどの為替介入をしたのでしょうか。次のページをおあけください。その答えが載っております。これは、米国債を一体どこの国が幾ら持っているかという記録であります。二〇〇二年末で三千七百八十一億ドルだった日本の米国債保有が、二〇〇四年十一月末で七千百四十九億ドル。この二年間で三千三百六十八億ドル、ちょうど為替介入をしました三十五兆円、米国債を買ったわけであります。これは、言葉をかえますと、三十五兆円の仕送りをアメリカにしたわけであります。

 その結果、アメリカ大統領選挙間近になっておりましたアメリカは、低金利、好景気になりました。そして、この米国債は、外国市場で、国債市場で買ったために、売った方に現金ができる、その結果、空前の株高になったわけであります。

 ところが、これは、三十五兆円という余りにも膨大な仕送りをしたために余剰資金ができました。この余剰資金がどこに行ったかというのが次のページ、五ページをおあけいただきたいと思います。五ページは、日本の株式を一体だれが幾ら買ったかという、平成元年から平成二十二年までの記録であります。

 これを見ていただくと、黒三角というのはすべて売りであります。個人も法人も金融機関も黒だらけで売り越しでありますけれども、ただ一人だけ買い越しをしている人がいます。真ん中の外国人であります。特に、平成十五年八兆二千百三十四億円、平成十六年七兆六千五百二十二億円、そして平成十七年、何と十兆三千二百十八億円。平成十五年から十七年までの三年間で総額十六兆九千億円近く外国人が買い越しをしたわけであります。

 これは、結論を申し上げますと、米国に仕送りをした三十五兆円という巨額資金のうち、その半額の余剰資金が日本に還流をしまして、株が大暴落している最中の日本の株式をばか安値で外国人が買ったわけであります。

 その結果が次の六ページであります。この六ページは、一部上場企業のうち、外国人が何%株式を保有しているかという資料であります。

 ちょっとごらんいただきたいんですが、この右側の「持株比率順位」、第一位は東京スター銀行八三%、十位のオリックスが六六%、あのソニーは二十六位で五二%、そして六十位がアステラス製薬で四三%であります。実は、百位でも外国人に三五%保有をされるようになりました。

 御案内のように、株主は企業の実質的所有者であります。この結果、日本企業の所有権、支配権が外資に移ったわけであります。そして、これで何が起こったかといいますと、巨額な利益配当が無税で外国に流れることになりました。一例を挙げますと、七位の日産でありますけれども、ルノーの全世界の利益の約五〇%が、たった一社、日産の利益配当で賄われています。これはほかの企業も大体似たようなものであります。

 そしてもう一つ、外国人が日本の企業の所有者となった結果何が起こったかということでありますが、当然、利益配当を極大化するために固定経費、経常経費を削りたい。それにこたえて小泉、竹中さんがやったことが、終身雇用制の破壊と人材派遣の規制緩和であります。

 そしてまたもう一つ、後期高齢者医療制度もこの脈絡の中から読むことができます。製薬会社の実質的所有者であります外国人の利益を守るために、製薬、薬価を維持して、そのしわ寄せをまさに高齢者に持っていったというのがこの後期高齢者医療制度の本質であると私は思っているわけであります。

 今述べましたように、この小泉構造改革の真実は何であったか。まず一つに、金の卵を産む鶏であります民間企業の所有権をばか安値で外国人に売り渡した、それも、もとは日本のお金で売り渡したということであります。そしてもう一つ、亀井大臣が一番関係ありますけれども、あの郵政民営化、これも、三百五十兆円もの郵貯、簡保資金をアメリカの財布にするということがその本質だったと思います。

 さて、このような点を踏まえて、総理、菅大臣、そして亀井大臣に質問させていただきますが、この小泉構造改革というものをどのように総括されるか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 実は、昨年の十二月十六日の成長戦略策定検討チームの最初のヒアリングで、竹中、今教授ですが、おいでをいただきまして、議論をさせていただきました。

 今、小泉議員からいろいろ指摘がありましたが、私も、基本的な認識は一致をしております。

 その場でも竹中さんに申し上げたといいましょうか話を聞きましたが、竹中さんの基本的考え方は、まさに企業の効率を高めるために、リストラなど、日産のカルロス・ゴーンさんなんかが一番典型的ですが、それをあらゆる企業が頑張ってやれば日本の経済がよくなると言ったわけですけれども、結果としては、完全雇用状態でない中でそのことをやると、一つの企業一つの企業は業績が上がるかもしれませんが、リストラされた人がたくさん出ますから、トータルしてみると、結局、景気、日本経済をプラスにすることにはつながらなかった。しかも、その結果生まれたのが大きな格差であります。

 そういった点では、その時代にこうした政策をとったことが、今、小泉議員から言われたいろいろな問題を生じた大きな間違いだったと、そのときの議論でも私はあえて御本人にも申し上げたところです。

亀井国務大臣 小泉議員から、今の惨たんたる状況になったその原因、やはり、過去をきっちりと総括しないで前に進んでいくということは、我々政治家は厳に戒めなければならないと私は思う。夢物語では我々の未来は切り開けないわけであります。そういう意味で、私は、小泉議員の指摘はまさにそのとおりである。だからこそ、民主党が、そうしたしっかりとした、過去を総括した姿勢で選挙をおやりになったからこの間大勝されたのかな、このように私は思っておるわけです。

 簡単に言いますと、小泉さん、竹中さんの政治の間違いは、縮小均衡の路線に入られたということだが、そうした中で、しかも富の配分構造を変えられた、産業構造を変えていかれた、そのために、安定的に国民の可処分所得がふえていかなかったという大きな問題が起きる中でこういう状況が起きた。

 簡単に言いますと、自民党席からはまたやじが飛ぶかもしれませんが、小泉・竹中改革と称する路線の逆をやれば日本の未来が開かれる、このように私は思います。

鳩山内閣総理大臣 もう時間も過ぎているようでありますから簡単にいたします。

 小泉委員が御指摘をいただいた、やはり過去をしっかり総括して未来に向けて体制を整える、非常に重要な御指摘をいただいた。今、それぞれの大臣からお答えをいたしましたが、私も、小泉委員の御指摘は基本的にそのとおりだ、そのように思っています。

 結果として株価が下がる、あるいは土地、地価も下がるという状況の中で、小泉委員がかねてから主張しておられる、こういった株価を、あるいは地価というものを、日本のある意味での経済発展の原動力にしていくための政策を一緒に構築してまいりたいと思いますので、御協力を願いたいと存じます。

小泉(俊)委員 政権交代によって、先ほどお話ししたような政治が終わりを告げたわけであります。

 ぜひとも、亀井大臣が言うように、その逆をやるような対策につきましては、次回以降また質問させていただきます。

 ありがとうございます。

鹿野委員長 これにて小泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 私は、安全保障の問題について質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、核兵器の問題であります。

 外務大臣、昨年の九月十七日に、いわゆる核密約の調査を外務事務次官に対して国家行政組織法第十条及び第十四条第二項に基づいて命じたということで、昨年の十一月二十日には、外務省調査チームの調査が終了して、外務大臣に対して調査結果を報告したというふうに報道されております。

 しかしながら、他方で、外務大臣は昨年の十一月二十七日に有識者委員会に検証をゆだねたわけでありますけれども、この有識者委員会による報告書取りまとめが当初の予想よりもかなりおくれているという旨報じられています。

 そこで、まず、この有識者委員会の検証結果はいつごろ提出されることになる見通しというふうに見ておられますでしょうか。

岡田国務大臣 平岡委員には、核の軍縮、不拡散の問題について日ごろからさまざま御関心を持ち、真摯な提言をいただいておりますことを、心から感謝申し上げたいと思います。

 今の御質問についてですけれども、本来、一月末ぐらいをめどに作業をお願いしておりました。

 ただ、検証委員会での検証作業がかなり深いものになりまして、関係者からのヒアリングなども含めて、相当活発にやっていただいております。他方で、物事の性格上、資料などは外務省に先生方に来ていただいてそこで読み込んでいただく、そういう形式で行っておりますので、なかなか時間の制約もあって前に進まないということもあるということでございます。

 座長の北岡先生からは、もう少し時間が必要だということを言われておりまして、外務省の作業ではありませんので余り確定的なことは申し上げられないんですけれども、三月のしかるべきときには結果が出る、なるべく早くしたいと思いますが、余り言ってしまってもまたおくれるといけませんので、三月のしかるべきときには検証結果が出ることを期待しているところでございます。

平岡委員 外部有識者委員会の検証を待たなければいけないということもあるのかもしれませんけれども、最近でいえば、核密約について言うと、二〇〇七年の三月十九日の参議院の予算委員会で麻生太郎外務大臣、あるいは昨年の七月十三日の衆議院のテロ特での中曽根弘文外務大臣が、密約は存在しないという政府答弁をしているわけですよ。

 こういう答弁が本当にこのまま生きていていいのかという意味からいけば、既に外務省の調査結果というのは外相に報告されているわけです、その調査結果だけでもすぐにでも公表すべきじゃないでしょうか。どうでしょう。

岡田国務大臣 外務省としての調査は十一月いっぱいで終了しております。

 ただ、なかなか、一つの結論をどう解釈するかというのはそう簡単ではございません。密約があったのかないのかということについても、いろいろな解釈があり得る。だからこそ、現時点で考えられる最高のメンバーで検証作業を行っていただいているわけです。

 つまり、外務省が自分だけの見解を述べるというよりは、そういった第三者によって、その事実をどう解釈するかということ、あるいは時代背景、どういう時代背景の中でこういうことになったのかということ、そういうこともあわせてまとめて出したい、こういうふうに考えているところでございます。

平岡委員 総理、昨年の九月の国連安保理の首脳会合で総理は演説をされておられまして、こんな中身ですね。我々は核軍拡の連鎖を断ち切る道を選んだ、世界で唯一の被爆国として我が国が果たすべき道義的責任だと信じたからだ、私はきょう、日本が非核三原則を堅持することを改めて誓うというふうに世界に向かって演説されたわけでございます。

 私は、この核密約の調査の結果がどんな結果であれ、我が国が国是としてきた非核三原則を堅持していくという総理の方針が示されたものだというふうにも思うんですけれども、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 御案内のとおり、今、核密約の話は調査中だというふうに理解をしております。

 そのことはそのこととして、私は、昨年の九月に、安保理の首脳会合、今、平岡委員からお話がありましたように、日本の道義的な責任として決して核は持たない、そして非核化に向けて世界に向けて先頭を切って走っていかなきゃならぬ、その意思を示したわけでありまして、その思いのもとで非核三原則は当然のことながら堅持をしていく、その決意でございます。

平岡委員 ぜひ、その決意をこれからも続けていただきたいというふうに思います。

 そこで、実はことしは、五月に、五年に一度のNPT、核不拡散条約ですけれども、再検討会議というのがございます。この会議は大変注目されている会議でありまして、今いろいろな方々がいろいろな行動をしているということで、外務大臣も昨年の十二月に、アメリカのクリントン国務長官、そしてゲーツ国防長官に対して核政策に関する書簡を出しておられますけれども、この書簡を出された意図、目的というのは一体何なんでしょうか。

岡田国務大臣 私のゲーツ長官、クリントン長官あての書簡は、基本的な中身としては、核の拡大抑止、つまり核の我が国の安全のために果たしている役割を評価しつつ、しかし他方で、オバマ大統領がプラハ演説で言われた核なき世界を目指す、その目的を我々も共有し、そのためにしっかりとやっていくという決意を述べたものであります。

 もう一つのこの書簡の意味というのは、一部の報道で、今までの日本政府が、アメリカが行おうとしている核軍縮ということに関してむしろ妨げになっているような発言をしているのではないか、こういう報道がありました。私としては、従来のことはともかく、政権がかわって、我々はそういう意図はない、オバマ大統領と核なき世界を目指す、そういう思いを共有してやっていく、そういう趣旨を述べたものでございます。

平岡委員 私、外務大臣が書簡を出されたことは大変よいことだったと思います。

 それに倣ったわけじゃないんですけれども、今お手元にお配りした「有志国会議員からオバマ大統領宛の書簡(案)」というのがございまして、これは現在、有志の国会議員の方々の署名を今集めていまして、大体二百人を超えたという状況でございます。この書簡をオバマ大統領に私たち有志国会議員から送ろうというふうに私は思っています。

 この中身は、詳しくは触れませんけれども、今言われている核兵器の唯一の役割論というものをしっかりとアメリカの核政策の中にも盛り込んでほしい、それによって私たちは非核三原則を破るようなことはしないんだというようなことをしっかりと述べたものなんです。我々もこういう行動をとろうというふうに思っておるので、ぜひ総理にも積極的なリーダーシップをとってほしいと思うんです。

 今、核密約でちょっと問題になっている佐藤栄作元総理も、非核三原則を確立させたということもあって、一九七四年にノーベル平和賞をもらわれています。オバマ大統領も、昨年四月のプラハでの核なき世界を目指す演説をされたことも踏まえて、昨年、ノーベル平和賞をもらっておられます。私は、鳩山総理に、これからの核軍縮、核不拡散におけるリーダーシップをとることによって、ぜひノーベル平和賞を受賞されるぐらいのことをしていただきたい、こういうふうに思うんですけれども、総理の決意を教えていただきたい。

鳩山内閣総理大臣 大変ありがたい刺激をちょうだいいたしました。

 オバマ大統領あての有志の国会議員からの書簡を今拝読させていただいているところでございますが、私は、大変すばらしい中身だ、そのように評価申し上げたいと思います。

 この唯一目的宣言、すなわち、核兵器というものは核を持っている国の抑止にしか使わない、それが唯一の目的だという考え方は、私は大変関心を持っておりまして、それを注視しているところでございます。

 当然、日本は今、アメリカとの間の安全保障という状況の中でこの日本の安全が守られているという状況があることも、これも事実でございます。その中で、オバマ大統領あるいは全世界に対して、核の廃絶に向けたメッセージをいかにして強力なリーダーシップで発出できるかということは真剣に考えているところでございまして、ぜひ平岡委員などからもいろいろと御教示いただければと思っております。

 ありがとうございます。

平岡委員 それでは、続いて米軍再編問題について触れたいと思います。

 総理、総理はこれまで超党派の議員連盟であります沖縄等米軍基地問題議員懇談会の会長をされていまして、昨年の四月に、厚木基地の空母艦載機の移駐先であります岩国市の住民の皆さんが組織している愛宕山を守る市民連絡協議会からの陳情、これは十一万人余りの署名も一緒についていましたけれども、これを防衛省、外務省に取り次いだということをされているんですけれども、覚えておられますか。

鳩山内閣総理大臣 そのことに関しては覚えております。

平岡委員 実は、前政権が行った米軍再編というものは、あめとむちの手段によって結論を強引に押しつけるというやり方をしたということでありまして、民主党がマニフェストの中で「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」というふうにしたことは、そうした前政権のやり方についての批判も込められていたというふうに私は思うわけであります。そういう状況のもとで、このマニフェストで書かれている「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」ということについて、私はぜひ現政権で積極的な行動をとってほしい、このように願っているわけであります。

 そこで、防衛大臣、お聞かせいただきたいと思いますけれども、マニフェストで示したことは国民の皆さんに対する約束であります。普天間基地問題を含む米軍再編に関して、マニフェストで約束したことを実行するための努力を誠実に行っていかれるようにお願いいたしたいと思いますけれども、防衛大臣の答弁を求めます。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 今お話のありましたマニフェストは、鳩山政権が成立するときに連立合意の合意書の中にもしっかり確認をされておるわけでありまして、したがって、この問題については誠心誠意対応していきたい。特に、防衛省におきましては、抑止力を維持しながら、米軍基地のある地域の皆さん方には、今までも丁寧に御説明をしてまいりましたが、防衛省としては、今後もしっかり御説明を申し上げながら、皆さん方のお気持ちを体して対応していきたい、こういうつもりであります。

平岡委員 ぜひ、しっかりとマニフェストに基づいた活動をとっていただきたいというふうに思います。

 ことしは、御案内のとおり、改定安保五十周年ということであります。一月十九日には総理談話も出されておりますけれども、総理は、昨年の十二月十六日に記者団の質問に答えて、これまで持論とされておられました常時駐留なき安保というのを今封印しないといけないというふうに語ったと報じられているんですね。私も、今の東アジアを含む国際情勢を考えたときに、これを封印しなければいけないということ、理解はできます。

 しかし、日本の安全保障、将来どういう方向に向かっていくのかという大きな大きな国家ビジョンを考えたときには、その常時駐留なき安保というのは、私は大変いい方向性にあるというふうに思っているんです。こういうものをしっかりと踏まえて中期的な安全保障のあり方についても検討されることを願って、私の質問を終わらせていただきます。

鹿野委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 季節は立春を過ぎ、本当は来る春を喜びたい子供たちが、しかし喜べない状況があることについて御質問をいたします。

 私は、新政権が取り組んだ最大の、本当にこの社会を希望のものに変えていこうとする施策は、子ども手当、そして高校の無償化と、大きなかじを切ったと思います。無償化はことし春、四月から始まりますが、現在この段階で、いわゆる授業料の未納、滞納などを抱えているために卒業がままならないという子供たちがおります。

 皆さんのお手元、「増加する授業料滞納者」という一枚目のレジュメをごらんください。上段には私立高校、下段には県立高校のいわゆる滞納者の数が書いてございますが、十九年度、二十年度末、この間、経済状況の悪化によってこの滞納者の数は確実にふえてきております。

 さて、二十一年度末がどうであるかということに関してのお尋ねでありますが、実は前政権において、二十年度末において、私立九千六十七人、県立八千二百四十五人となっておりますが、一昨年は経済状況の悪化、親御さんの失業等が懸念されるということで、先んじて、年度末ではなくて十二月の段階で滞納者の調査をかけました。

 ここに、私立高校、例えば九千六十七人となっておりますが、十二月末段階では二万四千四百九十人おられました。三倍余りが滞納状況になっておりました。恐らく、それを見た前政権の皆さんは、きちんとそこから施策を展開されたものと、私はこの点については敬意を払っております。

 さて、新政権は四月には無料化いたしますが、現に今ここにある子供たちの大事な大事な卒業を控えた時期に何をなすべきか、文部科学大臣にまずお伺いをいたします。

 やはり調査も先んじて、先に先に手を打って、一人でも、お金がないために卒業できないという子たちを未然に防ぐ、社会に送り出すということは、私は、私どもの世代の政治家の使命だと思います。党派を超えた使命だと思いますが、この点について文部科学大臣にお尋ねをいたします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の、十二月末、二十年十二月三十一日での私学の二・七%、滞納者二万四千四百九十人という調査は、文部科学省が行ったものではございませんで、日本私立中学高等学校連合会がおやりになりました。

 政府としては、公立高校については昨年の七月、私立については昨年の五月に取りまとめをいたしました。これは、いろいろな会計上の決算が終わらないと調査ができないということと、今やりますと入試時期で非常に繁忙期であるということの負担も含めてでございますが、実は、私学で十二月三十一日時点で、二十年度で二万四千四百九十人が、その後調査したところでは、先生の資料にありますように九千六十七人と、二・七%が〇・九%というのは、ずっと滞納していても年度末に精算するという人が結構おられるということであります。

 一昨年の二十年から昨年の五月に調べた数字も含めてこういう状況ということで、前政権において、いわゆる基金の創設ということの対処がされました。私たちとしては、実態がこういう状況にあるときにどういう施策が必要なのかということは既にこの調査に基づいてとられているので、これを周知徹底、確実に実行することで対処できるというふうに認識をしております。

阿部委員 私は、残念ながら、その認識はちょっと、本当に残念です。先に手を打てば打つほど、学業を途中であきらめねばならない子供が減るわけです。

 二ページ目の資料をごらんいただきたいと思います。

 これも同じように私学高校の学費滞納問題で、例えば二〇〇六年をごらんいただきますと、このグラフは何かというと、滞納率というものと退学率を比較したものでございます。上が高校、下が中学でございますが、当然ながら滞納率が高ければ退学率も高い。だけれども、二〇〇六年度だけはこのグラフに乖離ができてございます。

 この二〇〇六年は何をしたかというと、いわゆる生活保護世帯について地域活性化・生活対策臨時交付金なるものを拡充して手当てしたために、実際には滞納もありながら納付できるようになり退学せずに済んだという、実際の施策が効果をあらわしたであろうことを結果づけるグラフであります。

 そして、次のページをおめくりいただきたいと思います。

 先ほどの川端大臣の御答弁でありますが、既に二十一年の七月に二十三都道府県から、先ほど御指摘の基金については大変使い勝手が悪いのだと。どういうことかというと、生活保護とか低所得とかの皆さんの上乗せ支給をしようと思うと、簡単に言いますと、自治体が全額負担せねばならない。自治体の会計状況が厳しい中、なかなかそれができない。これらの基金についての使い勝手ももっとよくしてくれというのが二十一年の七月に出されております。

 先ほどの大臣の御答弁は、五月の調査のお話でありました。それ以降に出されている自治体の要望もございます。

 きょう、私の時間が限られておりますので、ここで総理にお伺いいたしますが、例えば、三ページ目には学費滞納と進級、卒業状況についてのグラフがございます。滞納された場合に、そのまま進級するかしないか、あるいは卒業するかしないかで、特に卒業という方を見ていただきますと、そのまま卒業させて学費は卒業後の支払いとする、あるいは、卒業保留として、とにかく卒業式には出席させ、学費納入後に証書を渡す、ここまでで半分です。それ以下の半分は、卒業保留として、卒業式には出席させず、学費納入後に証書を渡すとなっております。半分は卒業がかなわない。

 もちろん、いろいろな事情はあります。しかし、その多くが、例えば親御さんの急な御病気とか、いろいろな家計の不安定状況。そして、子供たちはアルバイトをして家計を補おうと努力もしております。

 私は、このグラフをごらんになって、総理がこの状況を見て、早目の措置と、そして、本当に一番悲しい思いをする子供たちがないように、先ほどの川端大臣の御答弁ではありますが、新政権としてさらに取り組みをもっと小まめに綿密にする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 阿部委員から、高校生の学費滞納と卒業との関係のグラフも拝見させていただきました。切実な問題だと私も理解をいたしております。そういう理解のもとで、これは阿部委員も御努力をいただく中で、高校の授業料の実質無償化というものが決められていきましたから、将来的にはこういう問題は消えていくだろう、そのように理解をしております。

 ただ、その前の段階で、ことしの卒業生の方に対する配慮ということのお話がございました。先ほど川端大臣からもお話がありましたように、生活保護の世帯に対してのお話は阿部委員の方からもございましたが、公立高校などでは授業料減免制度などを利用して卒業が可能になるような場合もありますから、そういったものを周知徹底する必要があろうかと思っております。

 それとあわせて、先ほど一番最初にお話がありましたような、調査を早目に行うことによって未然に防ぐという方法もあるいはあろうかと思っておりますので、極力、心を込めて、授業料、家庭が苦しいから卒業が実質できなくなるなどというようなことがないようにしなければなりませんし、今お話がありましたように、卒業式には出席させないで証書を後で渡すみたいな悲しい話じゃなくて、極力卒業式には皆さんと一緒に出席できるような状況をつくっていくような努力が求められるんではないか、そのように感じたところでございます。

阿部委員 私どもの暮らす今日の社会は、いわゆる貧困と格差が広がっていると言われます。その中で、高校に行きながらアルバイトをしたり家計を助けている子、あるいはその家庭がどうであるかなどについては、今総理の御答弁のように、本当にきめ細やかなサポートが必要なんだと私は思います。学校にも、いわゆる福祉機能をきちんと理解し、支援の手を差し伸べるようなスキル、技術が必要なんだと思います。

 今、小中学校でもスクールソーシャルワーカーというものが配備されて、福祉とのつなぎをしておりますから、これについてもまた追って、別途の時間で私は御質疑をいたしますが、とにかく、新政権が子供たちを春泣かせないということに全力を挙げていただきたい。

 最後に、もう一点お伺いいたします。

 四ページ目をごらんいただきたいと思います。今度の新政権は、学費、就学にかかわる無料化ということを公立も私立もいたしました。その額が十分であるかどうかについてはまだ御議論のあるところとも思いますが、見ていただきたいのは、一体、子供たちが学校に行くときにいかほどお金がかかるかであります。

 上段の二番目が授業料で、大体これは今回手当てされた月一万円でほぼイコールになりますが、そのほかに、制服や教科書、あるいは修学旅行費や、さまざまなお金がかかります。そして、低所得の家庭ほど、学校に行くということだけでも、通学費、制服費あるいは食費、さまざまなものがかかります。小中学生の場合は、いわゆるそうした家計的な困難に対しての就学援助制度というのがあって、教材費や修学旅行費やさまざまな子供の学業にかかわるための支援の仕組みがございます。高校生についてもぜひ、これは格差社会ですので、そうした支援の別建てが必要と思います。授業料はもう当然ですが、本当にこの政権が人を生かす、人を大事にする政権であれば、ぜひ私は高校生における就学援助制度のあり方も検討していただきたいですが、総理にお伺いいたします。

鳩山内閣総理大臣 もう阿部委員御案内のとおり、まずは、高校生、義務教育ということでは必ずしもないという状況の中で、行ける方はぜひ行っていただこうと実質無償化にしたわけでございます。

 ただ、さまざまな御家庭、お苦しい家庭の事情もあろうかとは思います。そういった方々のために、まず一つは、奨学金制度というものを充実強化するというのがあろうかと思っております。

 いま一つは、もうこれは御案内だと思いますが、生活保護世帯の方々に対しては、高等学校等就学費というんでしょうか、平成十七年度から、学用品費とか教材費代、入学料、交通費などを給付しているという制度があるわけでございまして、本当にお困りの生活保護の方々にはそのような制度があると思っておりますが、奨学金制度などを拡充することによって、高校に行きたいすべての子供たちがしっかりと高校に行けるような環境をつくるために、さらに制度の拡充に努めてまいりたいと思います。

阿部委員 人に本当に力を注ぐ政権として、鳩山総理には頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

鹿野委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 私は、きょうは、グアム協定と普天間基地の移設についてちょっとお話をさせていただきたいと思うんです。

 これは、二〇〇九年の二月の十七日に日米両政府が署名をして合意したわけでありますけれども、二月の五日の石破委員の質問で、グアム協定は条約で、法的な拘束力を有しますね、当然グアム協定の改定も含めて合衆国政府が了解するのが五月末だということですねというような質問をして、移転するということについて合衆国政府が同意をすれば、当然協定の改定ということになるでしょうと。

 今申し上げたとおりに、石破さんが申し上げたいのは、五月に現行案を変えたら、同時に、このパッケージそのものを全部見直して、協定そのものをもう一回やり直さなければいけないですねと、そういうふうな意味を質問の中で申し上げているわけですけれども、それに対して総理も、協定も合意もやり直さなければいけないんじゃないかなというような御趣旨の発言をしていらっしゃるんです。

 それで、私は、このグアム協定と普天間基地の移設問題は、全く協定の改定は必要ないというような認識論に立っているんです。

 なぜかと申しますと、これは民主党が、去年の協定ができる前に、当時の麻生内閣に対して主意書を出しているんです。それを見ると、今の日本部長であるメア在沖縄米総領事が日本国政府が普天間飛行場移設の代替施設を建設しない場合協定三条の違反となる趣旨を述べたことがあるが、政府の見解はいかがかというような質問主意書を麻生内閣にやっているわけです。

 そのときに、麻生内閣は、在沖海兵隊のグアム移転に係る協定第三条は、日本国政府として、ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設を完成するという、ロードマップで既に表明されてきた政治的意思を改めて表明する趣旨のものであり、普天間飛行場の代替施設の建設に係る法的義務を日本国政府に課しているものではない。このことは、本協定に係る米国政府との交渉経緯やその交渉結果を踏まえて、本協定第三条において「意図を有する。」となっていることからも明らかである。したがって、仮に日本政府が普天間飛行場の代替施設を建設しない場合であっても本協定第三条の第二文に違反しない。また、本協定第三条の第二文が日本国政府に対して法的義務を課していない点については、念のため、六日、米国政府に改めて確認しており、米国政府も同様の見解である。

 こういうふうなことを、明確にこの麻生内閣でも言っているわけです。だから、つくらなくても協定は改定しなくてもいいというのが麻生内閣の考え方ですね。

 だから、今回、普天間の移設の問題が今の辺野古案じゃなくて別にやっても、ロードマップの改定はしなければなりませんけれども、協定そのものは全くさわる必要はない、そういう認識なんですよ。

 だから、そこを協定までもさわらなければいけないということになってくると、私はちょっと違うのではないかというふうに思っていますから、総理の認識をここではっきりさせるためにも、普天間の移設の問題と協定改定は全く違うんだ、協定改定しなくてもいいんだ、そういう認識を示すべきではないかと思うんです。いかがでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 下地委員の御質問、今述べられたのは事実だと存じますが、私ども、二〇〇六年の再編の実施のための日米ロードマップというものが当然ございますが、その中で、沖縄に関連する再編案に関しては相互に結びついているんだ、そのことが認識をされておりまして、すなわち、沖縄の負担というものを軽減させていくためにも、まずは普天間飛行場の移設問題と、それから沖縄の海兵隊のグアムへの移転問題、さらには嘉手納以南の施設・区域の統合及び土地の返還を着実に実施をする、この三つが基本的には結びついている話だと思っておりまして、したがいまして、私どもとすれば、普天間の飛行場のまず移設というものを着実に結論を出さなければならないという発想のもとで努力をしているところでございます。

 仮にという話がないことを望むわけでございまして、必ず五月末までに新しい移設先を探すという強い意思のもとで努力をしているところだと御理解を願いたいと存じます。

下地委員 外務大臣、どうですか。普天間基地の移設、変更と改定は、やらなければイコールでないという私の考えはどうでしょうか。

岡田国務大臣 グアム協定については、基本的に、海兵隊の要員の八千人及びその家族九千人の沖縄からグアムの移転のための費用の一部として、二十八億ドルを限度とする資金の提供を行うということが書かれているわけであります。

 したがって、委員おっしゃるように、普天間代替基地をロードマップどおりしなかったからといってそれがそのままグアム協定の改定に結びつくものではありませんが、しかし、今総理も御答弁になったように、全体が一体だとすれば、グアム協定の改定ということが必要な場合も生じ得ると。

 いずれにしても、このグアム協定というのは日本だけが決めるものではなくて、日米合意で決めたものでありますので、それは、五月末までにどういう結論になるかということによって状況は変わり得る、そういうふうに言うのが正確かと思います。

下地委員 外務大臣、正確とおっしゃいますけれども、正確は、この新しい代替案を提案しても、アメリカがイエスと言わなければこの協定はあったにしても進めることができないんです。グアム協定そのものは、グアムに対する資金の拠出について書いているんです。

 もう時間がないからあれですけれども、次の質問なんかに関しても、当時の麻生内閣が言っていることは、アメリカがグアムに対して二〇一〇年度の米国会計予算においてグアム移転に係る事業に関する経費を計上しない事態が生じたときも、本協定上違反ではないと言っているんですよ。これは麻生内閣が言っているんです。

 だから、この認識は僕は非常に大事であって、この代替案を決めたら確実にアメリカと協議しなければならないということにはこの協定はなっていない。日本政府もアメリカ政府も、ちゃんとグアムに予算を拠出するということがこの協定の趣旨なんです。当時の中曽根外務大臣は、パッケージだということそのものも言わなかったんですから。そこのところは認識をして、余りこの問題が、この協定そのものまでさわるような発言を政府はしない方がいいんではないかと私は思っていることを申し上げたいというふうに思います。

 それと、二点目ですけれども、今、沖縄は基地問題が相当にクローズアップされておりますけれども、先ほど阿部知子先生のお話にもありましたように、今、基地も大きな問題なんですけれども、経済が非常にダメージを受けているんですね。これは今、三十五年ぶりの最大の経済危機に沖縄は陥っている。年度数からすると、ことしになると百万人観光客が落ちる。百万人落ちると、予算からすると、四千八百億あったものが四千二百億、五百億落ちて、失業率が一%上がる。非常に、観光業界からすると、これは恐ろしいぐらいの沖縄の経済危機になっているというのが今の認識論なんです。

 だから、基地の問題も大事です。しかし、基地を支える人たちが貧しくなることも問題じゃないでしょうか。やはり、安保のためにしっかりと頑張っている人たちはちゃんと生活もできる、そういうふうなスキームをつくるのが政府の役割だと私は思うんです。

 こういうふうな危機的状況がある。そういう中で、前原大臣、どういうふうな観光施策を沖縄に担当大臣としておやりになるつもりなのか。この厳しい認識論と、何をやろうとしているのか、少しお聞かせいただきたいと思います。

前原国務大臣 委員御指摘のように、七年連続で増加していた観光客が昨年は減りました。ただ、これは沖縄のみならず日本全体の状況でございまして、八百三十五万人のインバウンドが六百七十九万人まで落ちている。ですから、アジアをターゲットに、まずはことし何とか一千万人、特に中国、ビザの問題とかさまざまな、PRの予算も三倍にいたしましたし、しっかりとしたことを沖縄も含めてやる中で、国内の旅行客は当然でありますけれども、海外からの旅行客を特に誘致するように、沖縄も含めて頑張らせていただきたい、このように考えております。

下地委員 前原大臣、来週いろいろな方々が危機感を持って沖縄から上がってくるから、ゆっくり会って生の声を聞いてください。

 そして、沖縄政策は大臣しかできないんですから、ぜひ大胆な、県民から見てもわかりやすい、大臣が示した政策で沖縄の観光が少しずつ戻るな、そういうふうな方向性を出していただけるようお願いをさせていただきたいと思います。

 それで、最後になりますけれども、亀井大臣、きょう十二時から非正規雇用の方々との懇談会をやりますけれども、改めて、先ほど小泉改革の話もありましたけれども、二十一万人近くいらっしゃる郵政の非正規雇用の方々にどういうふうな仕組みでやっていくのか、これは前もお話しいただきましたけれども、大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

亀井国務大臣 郵政改革においてユニバーサルサービスをきっちりとやる体制をとりましても、そこで働く方々がうつむいておるようでは改革にならない、このように考えております。したがって、現在の雇用状況を思い切って改革するということが郵政改革の一つの大きな柱であります。

 仕事の内容によってはパートでなければいかぬ分もあるでありましょうし、また、本人がそれを希望されている場合もありますけれども、そうでない仕事についておられて、本人が希望しておられれば、原則としてこれはもう正社員に切りかえていく、これをやりたいと思っておりますし、現に今、齋藤社長とそのことを具体的に話をやっておる最中でもあります。

下地委員 ぜひ実現をお願いします。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、大村秀章君。

大村委員 おはようございます。自民党の大村秀章でございます。

 質問通告に沿いまして質問をさせていただきたいと思います。主に医療、年金につきまして質問をさせていただきたいと思いますので、鳩山総理初め関係閣僚の皆様には、簡潔明瞭にお答えをいただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。

 それでは、まず年金問題についてお聞きをしたいというふうに思っております。

 その年金問題、年金記録問題と言ってもいいと思いますが、これにつきまして、民主党のマニフェストでは、二年間で集中的に取り組むというふうになっております。しかしながら、この二十二年度予算を見ますと、概算要求の半分ということになっております。千七百七十九億円の概算要求をして、そして結果、九百億円ということでございます。

 鳴り物入りで概算要求を出しておいて、すぐ半分になる、そういういいかげんな要求、枠組みだったのか。これでマニフェストのようにできるのか。マニフェストの違反ではないか。そのことをまず鳩山総理、お聞きをしたいと思います。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

長妻国務大臣 今、予算が少ないというお話がございましたけれども、この消えた年金問題についてはこの政権は全力で取り組むということで、これは前の自民党政権の、前年度、二十一年度の当初予算に比べると三倍予算をふやさせていただいて、九百十億円つけさせていただいております。

 当初の概算要求に比べて確かに減っておりますけれども、それは、その後精査をして、紙台帳の照合というのが我々喫緊の課題だというふうに考えておりますけれども、それについて、片っ端から照合するんじゃなくて、紙台帳の中に優先順位をつけられるということがわかりまして、そういう意味では、年齢の高い紙台帳あるいはミスが多い紙台帳から集中的に取り組むということで、紙台帳照合の平準化ということも考え、国民の皆様の税金でありますので、本当に一円でも安く、しかも効率よくこの問題を回復しよう、こういう思いで予算を立てさせていただいているところであります。

大村委員 今、長妻大臣言われましたけれども、私どものとき、当初予算、二百八十四億円ですが、補正で五百億円以上つけておりますので、八百億円を超えております。そういう事実を知らないのか、それともわざと言わないのか、その辺はきっちり申し上げておきたいと思いますが、私が聞いておるのは、あなた方、十月に概算要求を出し直しておいて、たった二カ月で半分になる、そういういいかげんな予算だったのか、要求だったのかということを申し上げているんです。

 それでは、続きまして、概算要求段階で工程表らしきものがありました、四年間でこうやると。私は、マニフェストに二年でと書いてあるから二年でやるものかと思ったら、なぜか概算要求になったら四年ということになっておりました。その中の、四年の内訳らしきものがあったんですけれども、今回、これがありません。もう二年でやるのはあきらめたということでよろしいのでございましょうか。

 これは鳩山総理、お答えをいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これは大村委員もよく御存じだと思いますけれども、我々は二年間集中的に対応するということを申し上げているところでありまして、紙台帳については二年間、優先順位の高いところから集中的に照合しますが、全件照合するのは四年以内に照合するということはかねてより申し上げております。自民党政権では早くとも十年かかる、それ以上かかるということで期限も明確になっていないものを、我々は一枚一枚精査をして、そしてこの数字をお出しさせていただいているところでございまして、工程表にしても、大村委員は既に持っておられると思います、厚生労働省から提出しておりますので。ぜひそこら辺も踏まえて質問いただきたいと思います。

大村委員 事実と違うことを言わないでいただきたいというふうに思います。

 私どもは、選挙の前のマニフェストで、自民党のマニフェストで、昨年ですから、来年中にめどをつけるということを申し上げていたわけでありますから、そのことをしっかりと認識しながら申し上げていただきたい。

 それで、先ほどから私は鳩山総理に答弁をお願いしておるんですけれども、一切お答えをいただけません。鳩山総理は、年金には御関心ありませんか。この予算委員会でもずっと、鳩山総理の政治姿勢についていろいろ御質問がありました。要は、月々千五百万円をお母様からいただいていたということでありますから、そういう年金なんというのはもう関心ない、そんなものは興味ないんだということでございましょうか。それでは非常に私は問題だというふうに思います。

 ぜひ鳩山総理、この年金問題について、二年でやる、二年で集中的に取り組む、やると言ってきた民主党マニフェストと今回のこの予算、たった二カ月で予算の要求が半分になる、そういうことについて本当にマニフェストどおりできるのか、そのことについて、総理、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 大村委員にお答えをいたします。

 私としても当然、年金問題に関しては関心がございます。特に、年金が余りにもぼろぼろにされてしまったという事態、これを早急に直さなければ、特にお年をとられた方々のお暮らしというものがぼろぼろにされてしまうじゃないか、現実にそういう事態が幾つも起きてしまっている。そこから、この長妻当時議員が、また民主党の年金に対して詳しい者たちが中心となって、前政権のもとでぼろぼろにされてしまった、あるいは消えた年金、消された年金の問題を一つ一つ丹念に調査を始めたわけでございます。余りにも大きな、五千万件などというような話になっていったことも、大村委員御案内のとおりでございます。

 そして、このコンピューターと紙台帳との突合の問題でありますが、御案内のとおり、最初は八億件もあると。これは大体四億件ぐらいになったという話ではございますが、そうであっても、これを一年、二年で全部というのはなかなか大変な話だ、しかし、それはわかっているけれども、我々とすれば国家的なプロジェクトでやろうじゃないか、まずは二年間集中してどこまでやれるかやろうじゃないかということに決めました。

 しかし、やはりこれは我々の、今回衆議院が終わった後の四年間でやろうということになって、その二年間をまずは集中的に行う、そして四年間の間でこの問題、またコンピューターも年々、大変ある意味でスピードが速くなっていますから、四年の間でできるという判断の中で、概算の要求の額は下がったかもしれませんが、十分に四年間の間で工程表をつくって結論を出していく、この問題に関しては最終的に四年間でやろうという話になった、私はそのように理解しています。

大村委員 今、四年でやるというふうに言われましたが、マニフェストには二年で集中的にやる、二年間で集中的に取り組むというふうになっているので、四年とはどこにも書いてないんですよ。そのことを総理は御存じないんでしょうか。

 それで、私は今、この二年でやるんだというふうに総理言われましたけれども、そういうふうな予算になっていないから聞いているんです。

 それと、工程表を示されるというふうに今言われましたね。工程表はいまだに示されていないんですよ。昨年の十一月に、四年間、こういうふうにやりますというものがありましたよ。だけれども、年が明けたら一切きれいにそれがなくなっている。要は、予算ががさっと減って、もうできない、そのことをとにかくごまかそうとしているのかというふうに思います。

 もう一度、この二年でやるのかやらないのか、その点についてはっきりと答弁いただきたい。もし二年でやれないというのであれば、そのマニフェストを引っ込めていただけませんでしょうか。はっきりと明確に答弁いただきたいと思います。

長妻国務大臣 大村委員はわかっていながらおっしゃられているのだと思いますけれども、我々は、二年間集中的に対応するということを申し上げておりまして、一万八千人、毎年その体制で紙台帳を照合していく、しかも優先順位の高いところから照合していく。そして紙台帳だけではなくて、今までは第三者委員会に送らざるを得ない、こういうことに関しても、国民年金あるいは脱退手当金、あるいは標準報酬月額の改ざん等について一定の要件をかけて、社会保険庁、今は日本年金機構の事務所で訂正できるような形にするということを我々考えておりまして、四年間で紙台帳は全件照合する、こういうことを我々は申し上げているので、ぜひそこをよく御理解いただきたいと思います。

大村委員 長妻さん、聞いていないようなことを勝手に答えないでください。あなたの言い分を聞く場じゃないんですよ、ここは。私は、二年でやると言っておいて、そういう予算になっていないから聞いているんです。いいかげんにしていただけませんか。

 あなたもちょっと座っていなさい。あなたも座っていなさい。(発言する者あり)

海江田委員長代理 御静粛にお願いします。御静粛に。

大村委員 それで、総理にもう一度お聞きをいたします。

 二年間でやるというマニフェストを、そういうふうな予算になっていない。もうマニフェストは、これは引っ込めるということでよろしいですか。

鳩山内閣総理大臣 私どもは、くどいようですが、国家プロジェクトとして二年間集中的にやる、集中的にやって、私は、実は選挙の前に二年間でやると一度どこかで話をしたことがあります。その直後に長妻議員から、いや、二年間ですべてというのは無理です、実際には四年かけてやるんですという話をされました。

 ただ、二年間を集中的にまず国家プロジェクトとしてやろうじゃないかということになっているわけでありまして、決してマニフェストと矛盾した話ではありません。

 やはりこれは相当の件数があることは、大村委員御案内のとおりでありますから、それを四年間でやることだけでも大した話だなと私は思っておりますし、それも、概算要求よりもむしろ少ない額で全部できれば、それにこしたことないじゃないですか。私はそう思います。

大村委員 開き直らないでいただけますか。そういうのを開き直りというんですよ。どこに四年と書いてあるんですか。二年でやるというふうにしか書いてないじゃないですか。何でそう開き直るんですか。私は非常に、こういう不誠実な対応は極めて問題だということを申し上げたいと思います。

 それでは、これまた後ほど申し上げますが、一月二十五日の厚生労働委員会で私が、四年間の工程表を出せ、昨年十一月に出していたものが今回ないということで、出せということを申し上げました。それはいつ出していただけるのでありましょうか。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

長妻国務大臣 その前に、これは正確にマニフェストを読んでいただければと思うんですけれども、我々が申し上げておりますのは、「「消えた年金」「消された年金」問題への対応を「国家プロジェクト」と位置づけ、二年間、集中的に取り組む。」「コンピューター上の年金記録と紙台帳の記録の全件照合を速やかに開始する。」こういうことを私どもマニフェストで書いてございますので、ぜひそれを御理解いただきたい。

 そして、その工程表については、紙台帳を四年間で全件照合する、これをどれだけ各年度照合するのかというのは、お出ししていると聞いておりますけれども、お出ししていないのであれば、それは速やかにお渡しをしたいというふうに考えております。

大村委員 長妻大臣は役所を掌握されていないんですね。全く御存じないんですね。

 役所が出してきた資料は、私の手元にあるのは昨年の十一月二十五日付というものでございますが、これは、さきの厚生労働委員会にも提出をさせていただきました。その四年間の工程表を見ますと、二十二年度は最初は全体の五%をやる、二十三年度は六五%をやる、あと二十四、二十五で、二〇、一〇%をやるというふうになっておりました。ところが、年明けは一切ありませんでした。二十五日のこの間の厚生労働委員会で私、長妻さんに申し上げました。出すと言われた。そうしたら、役所はこの間、先週、持ってきました。(発言する者あり)

 違う。そういうことじゃなくて、紙は持ってきた。

 その中身を申し上げますと、二十二年度は全体の一割だ、二十三年度―二十五年度は各年度残りを均等に割る、これは計画じゃないじゃないですか。それと、二十三年度に最初の六五%をやって、曲がりなりにも二年間で前倒ししてやるんだよというようなことを去年言っておられた気がいたしましたが、これでいくと、全く残りを均等に、フラットに割りつけるというような話だけじゃないですか。これが本当に二年間で集中的にやるということですか。

 これでもし、この役所の話、事務方の話どおりでいけば、二十二年度が一割、二十三年度が二・五割ですから、二年間で三・五割しかできません。これが二年間で集中的にやるということなんでありましょうか。違うのではないでしょうか。いかがですか。

長妻国務大臣 先ほど、工程表が出ていない、役所を掌握されていないと言われましたけれども、二月三日に大村議員にこの資料を提出させていただいているんですよ。十一月の時点の資料しかないないと先ほど言われるから、私は、十一月時点の資料と同じ、平仄を合わせた形の工程表を二月三日に提出しています。

 そういう意味では、それをぜひ御理解いただきたいのと、ここにも書いてございますように、四年間で全件紙台帳を照合する。しかも、初めの二年間で、これは先ほども申し上げましたが、優先順位の高い紙台帳から集中的に照合していく。集中という意味は、紙台帳だけじゃないんですよ。大村議員も御存じのように、消えた年金問題の対応というのは、サンプル調査、そして第三者委員会に送らないで窓口でこれを訂正する手法、いろいろな手法があるわけで、それを集中的に実施するということでぜひ御理解いただきたいと思います。

大村委員 話をそらさないでいただきたいというふうに思います。あなたはいつもそうやって話をそらす、核心をすべて逃げていく、そのことを申し上げておきたいと思います。

 先週持ってきたこの紙は、工程表でも何でもないんですよ。最初に、二十二年度に一割しかやりません、あとは三年間でやります、三年間で割りつけてやりますと。二年で集中的にとなっていないから聞いているんです。

 それでもって、さらに申し上げますと、事務方に私は聞きました。これは二年間で集中的に取り組む、作業をやるという話になっていないじゃないかというふうに聞きましたら、大臣からの指示は、初めの二年間で回復できる人をふやす、そのためにどういう手順でやったらよいかを検討してくれということであって、二年間でいわゆる作業に集中的に取り組むとか、二年間で作業をたくさんやるとか前倒しをするとか、そういう指示はなかったというふうに事務方は答弁をされました。これは、あなたの言っていることと役所の事務方が言っていることが全然違うわけですよ。

 こういうことで、二年間で集中的に取り組むというマニフェストと全然違うということを申し上げたいというふうに思っております。

 したがって、この二年間で集中的に取り組むというマニフェストをどういうふうにやっていくのか、政府の中で統一見解をお示しいただけませんか。

 それとあわせて、こういうことじゃなくて、去年の十一月に、こういう、四年間で曲がりなりにもこれができるかできないかはわかりませんよ、我々は問題を指摘しました、二十三年度に四万六千人もこんなに一遍に雇ってまた次に減らすなんということができるのかということを申し上げました。ですけれども、去年の十一月に出てきた工程表が今出ていない。

 この工程表と統一見解、あわせて示していただけませんか。そういたしませんと、この年金問題はこれ以上議論ができません。議論ができません。委員長、お願いできませんか、そのことを。

長妻国務大臣 先ほどの大村委員の御発言の中で、私の言い分というような御発言をいただきましたけれども、そういう観点で御理解いただくのではなくて、私の言っていることは、これは厚生労働省の方針です。四年間で紙台帳を全件照合するというのが方針でございます。

 そして、実際に、前の政権では、紙台帳の照合を何度も要求しましたけれども、なかなか、紙台帳の照合は必要ないという姿勢でありました。ただ、御理解をいただいて、我々が野党時代要求したことを前の政権でも、特殊台帳と言われる三千三百万枚の国民年金の紙台帳は照合していただいて、今も照合して、そして、本人が気づいていない、そういう方に、紙台帳で判明して、あなた、年金ふえますよということで、こちらからお知らせするという通知も今出して、実際に、本人が気づいていないけれども紙台帳の照合で統合された方が今何人も出ているところでございまして、そういう意味では、そのピッチも速めていくというのが我々の方針であります。

大村委員 何回でも申し上げますが、話をすりかえないでいただきたいというふうに思っております。

 私が申し上げているのは、あくまでも、この二年間で集中的に取り組むということを言っておきながら、予算がそうなっていないということを申し上げているわけでございます。そのことについて、どういうふうにやるのかという道筋、そしてあなたの言っていることと事務方が言っていることが違うので、その統一見解とその工程表をぜひお示しいただきたい。そうしないと、この年金記録問題はこれ以上議論を深めていけないというふうに思います。

 鳩山総理、いかがでございますか、これは総理の責任でお答えいただきたい。総理、この統一見解と工程表を示していただけませんか。

鳩山内閣総理大臣 長妻大臣が今、大村委員にお答えしているのが、当然、内閣としての統一的な考え方でございます。

大村委員 それでは、もう一度お聞きをいたします。

 二年間で集中的に取り組むというふうに言っておきながら、その二年で集中的に取り組まないという予算になっております。そのことについて、今後どういうふうに進めていくのか。そして、その工程表を、去年示したものが何で今示せないのか。それはまさに隠しているというふうにしか言いようがないと思います。

 そのことについて、それをどういうふうに取り組んでいくかという統一見解と工程表を速やかに示していただきたい。いつまでに示せるのか、それもあわせて御答弁をいただきたいと思います。

長妻国務大臣 これは、二年間集中的に取り組むということは、予算がかからないもの、そういう取り組みもあるんですよ。先ほども申し上げましたけれども、いや、大村委員……(発言する者あり)

 精神論じゃありません。これは今まで判例が積み上がっているんですね。年金の記録がどんどん戻ってきて、こういうパターンであれば戻しても大丈夫だというパターンがわかる。

 これまでは、第三者委員会に送って、大変多くの方々の御尽力をいただいて、非常に手間もかかるコストもかかる形でそういう年金の記録が回復していた。それについて、例えば脱退手当金であれば、一定の要件がある方は、それは日本年金機構の年金窓口で回復させる。そして、六・九万件の標準報酬月額の改ざんに関しては、一定の要件で、従業員の方については年金事務所の窓口で回復していく。国民年金に関しては、一年とか二年とか短期の未納については、前後の関係があるなど一定の要件があれば年金の事務所の窓口で回復するなどなど、紙台帳だけじゃなくて、二年間トータルで集中的に取り組むということを、これはもうよく委員御存じのことだと思います。

 そして、工程表については、先ほど申し上げましたように、二月三日に大村委員に提出をしているということでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 大村君、もう一度説明してください。そして、もう一度言ってください。そして、それに対して、簡潔に厚生労働大臣の方から答弁をしてもらいますから。どうぞ。

大村委員 先ほどから長妻さんが言われていることは、実際に、第三者委員会にいろいろな積み上がってきた、こういうケース、ケース、ケース、事例を積み上げて、社会保険庁の窓口でできるだけ早く職権でやるということは、ずっと我々がやってきました。去年の春からずっとこういうことを積み上げてやってきました。そういったことも含めて、それから、三千万件の特殊台帳についての突き合わせも我々がやってきました。

 そういうことを聞いているわけでも何でもないんですよ。我々がやってきたことをあなたに聞いているわけじゃなくて、私があくまでも申し上げているのは、皆さんがマニフェストに掲げた、二年間で、作業も、これも集中的に取り組むというのはそういうことじゃないんですか。それでもって、十月十六日に皆さんは、千七百七十九億円、ほぼ千八百億円の予算を要求しておいて、たった二カ月で半分になる。それでもって、その工程表も明確に示されないということだから、これではできませんね、言っていることとやっていることが違いますねということを申し上げているのでございます。

 ですから、その後どういうふうに進めていくかという統一見解と工程表、あなた自身がこの間委員会で、厚労委で出すと言われた工程表をぜひお示しいただきたい。

 では、そのことをもう一回簡潔に、簡潔にですよ、一言で言ってください。余計なこと言わないでくださいよ。

鹿野委員長 長妻厚生労働大臣に申し上げます。

 工程表を出していただきたい、このことについて、簡潔に御答弁をお願いいたします。

長妻国務大臣 はい。

 大村委員からは、昨年十一月に工程表を出して、その後がないというお話でしたので、その十一月のと平仄を合わせたものというのがこの二月三日に出した工程表で、私が厚生労働委員会で申し上げたのも、この工程表のことでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 それでは、大村君、どうぞ。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 大村君。

大村委員 もう、何回でも言うのはむなしくなります。

 昨年の十一月の二十五日に出てきたものは、二十二年度、二十三年度、二十四年度、二十五年度に、それぞれに一応数字が割りつけてあるわけですね。全体の五%、六五%、二〇%、一〇%という形で数字が割りつけてあります。ところが、先週、それらしいものを出せと言ったら、出てきたのは、二十二年度に全体の一割、あと、二十三年度から二十五年度は、残りを平均して三等分というような話なんです。だとすると、最初の二年間で、これを足したって三五%にしかならないわけですよ。集中的に取り組むんですかと。

 だから私は、こういう工程表を、去年と同じレベルのものを出していただきたい。二年間で集中的に取り組むということと違うでしょう、そのことを、統一見解とあわせて工程表を出していただきたいということをさっきからずっと言っているんですけれども、長妻さんには不誠実な答弁しかいただけないので、極めて残念であります。

 もし何かあれば、もう一度だけ、簡潔に、一言で言ってください、出すのか出さないのか。出すのか出さないのか、はっきり言ってください。(発言する者あり)

鹿野委員長 御静粛に願います。

長妻国務大臣 工程表について、これは出しているんです。つまり、今、大村委員が言われたのが、これが昨年十一月二十五日に自民党年金記録構造問題等PTに提出した資料です。これが大村委員が言われている工程表ということだと思いますけれども、これと同じレベルのものを二月三日に大村議員に提出をしている。

 ですから、提出していないというのは、ぜひそうではないということを御理解いただきたい。(発言する者あり)

鹿野委員長 御静粛に願います。

大村委員 あくまでも御答弁がいただけないということで、極めて残念だというふうに言わざるを得ないと思います。この年金問題に真剣に真正面から取り組んでいただく姿勢がないと言わざるを得ないというふうに思います。

 この点については、また予算委員会の理事会、理事の先生方にもお願いを申し上げますが、この統一見解、そして工程表を、これは国民の関心事だと思いますから、ぜひこれをお出しいただくように、そしてその上で議論を積み重ねていきたい、そのことを申し上げておきたいというふうに思っております。

 もう時間が参ります。次に、年金通帳についてお聞きをいたしたいと思います。

 昨年の臨時国会で、新年度から、二十二年度から年金通帳をやるというふうに言い切られておりましたけれども、これはどういうふうになったんでしょうか。

長妻国務大臣 年金通帳につきましては、まず、今、概算要求で要求させていただいておりますのは、今まで、IDをとるときに郵便局でやりとりするという非常に煩雑な手続がございましたけれども、インターネット上でIDをとっていただいて、そして、今までは年金の受給見込み額というのは出ませんでしたけれども、これも出るような形にして、しかも、インターネットは、やはり御高齢者の方で御自宅で使っておられない方もいらっしゃいますので、郵便局やあるいは市役所、役所等々の窓口の御協力もいただいて、そこに補助員もつけて、だれでも確認できるようにするというのが第一段階。

 そして、その後、国民的アンケートを実施いたしまして、年金通帳のあるべき姿というのを十分にお聞きして、そして四年以内に年金通帳を開始する、こういう手順になっております。

大村委員 概算要求では五百九億円を要求されておられました。それが、予算は四十億円になりました。昨年、概算要求段階であなた方が言っておられたのは、二十二年度は五百億円、そして二十三年度は八百億円、合わせて千三百億円で、全員の方に年金通帳をお届けし、全国に二千二百台の端末、ハードを置いてやるんですとまで具体的なことを言っておられたにもかかわらず、全く、これが四十億円で、今言われたように、もう通帳じゃないんですよ。そんなの通帳じゃないんです。要は、インターネットでただただ見られるようにするということなんですね。

 あなた方のマニフェストに年金通帳という写真まで掲げておいて、それで、今のお話だと、もうやられないということなんですね。そのことは明確なマニフェスト違反だというふうに思いますけれども、いかがでございますか。

長妻国務大臣 大村委員に御理解いただきたいんですが、年金通帳は、一期四年の中でやるんです。ただ、これは、当初、インターネット、今も実は一部稼働していますので、それの中身を充実させて、そして、お年を召した方でも窓口で確認をできるようにする。その後、国民の皆様に、それぞれ詳細な制度設計、どういう情報を盛るのがいいのか、あるいはどういうところで使うのか、あるいは受給見込み額はどういう形で表示されるのがいいのかなどなどをお聞きして、一期四年の中で実行していくということで、間違いがなく、そして効率的に、少しでも税金が安く済むような形を実行する、こういうことでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

大村委員 年金通帳の問題点については、ずっと昨年も委員会等で私ども指摘をいたしました。そんなものよりは、むしろインターネットを使って確認できるようにする、そういう社会保障カードをもっともっと進めたらどうなのか、年金記録問題もインターネットを活用したらどうなのかということをずっと申し上げてまいりました。しかし、このインターネットの活用については十分なお答えが去年はいただけなかった。ところが、あけてみたら、結局、年金通帳はやめてインターネットでやるんだということになっているわけです。そのことを、私は、言ったこととやっていることが全然違うということを強く指摘したいと思います。

 次に参ります。

 民主党マニフェストでは、年金保険料は給付だけに充当することを法律で定めるというふうにあります。これは二十二年度予算ではどういうふうになったんでありましょうか、お答えをください。

長妻国務大臣 これに関しましては、二十二年度予算では、前政権では年金保険料を年金教育ということにも流用していたわけでありますけれども、この年金教育にはもう流用を一切しないということにいたしました。

 そして、ただ、コンピューターの経費あるいは年金手帳を作成する経費等々については、平成二十二年度、金額を精査した上で、そのお金を使わせていただく。

 ただ、システム経費にいたしましても、これはかなり政権交代後厳しく見直しをいたしまして、百億円以上削減することができまして、少しでも効率的に使っていくという姿勢で取り組んでまいります。

大村委員 年金の、この社会保険事業運営費のうち、年金保険料を使っているのは幾らですか。あなた方は、これをゼロにすると言っていませんでしたか。幾らですか。

長妻国務大臣 平成二十二年度につきましては、事業費の合計が四千四百七十五億円、そのうち税金が二千二百四十四億円、先ほどの合計のうち、年金保険料財源が二千四十六億円ということになっております。

大村委員 二千億円ですね。これは、民主党の皆さんが、ほかの方もあられたかもしれませんが、二年前に年金保険料をこういう形で事務費には充当させないというような法案を出されましたね。そのときに、提案者の皆さんが何と言っておられたかというと、厚生労働省の予算は二十兆円以上あるので、一%節約すれば二千億円ぐらい出てきます、こういうのは一切使いませんというふうに言っていたと思いますけれども、今お聞きいたしました、事務費が四千四百七十五億円で年金保険料から二千四十六億円ですか、これは、二年前皆さん方が言っておられたことと、この点については全く違うということになりませんか。

長妻国務大臣 これにつきましては、先ほども申し上げましたように、我々が考えて、この年金保険料はどう考えても使うのがおかしいと考える年金教育については、一切今後は使わないという措置をいたしました。そして、今申し上げましたような経費について、無駄がないように厳格に使うということでございます。

 そして、御指摘の点につきましては、私どもとしては、いろいろな予算の財源の中で今回こういう判断をさせていただいたわけでありますけれども、その目的を達成するために今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。

大村委員 年金教育に使わないとしか言っていませんか。そうではなかったですね。一切使わないというふうに言っておられましたね。それが何でこういうふうになるんでしょうか。

 これも、厚生労働省の事務方に聞きましたら、運営費、事務費に年金保険料を使うなというような指示は政務三役からあったのかなかったのかと聞いたら、この点については政務三役から一切何の指示もないということでございました。

 要は、この点については、マニフェストに書いておきながら全くやる気がない。まさにマニフェスト違反だというふうに申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。

長妻国務大臣 この件については、我々としても、平成二十二年度予算でそれが実行できるかどうかというのを厳格に考え、そして財政当局も含めて議論をした結果、今回はこういうような措置をさせていただきましたけれども、それについても、国民の皆様方に、本当に無駄がないように透明性を高めていくということで、今後とも、年金保険料の使い方というのを、これを縮減するというような目標に向かって取り組んでまいります。

大村委員 要は、マニフェストに書いたし、その前もずっと言ってきたけれども、これはやらない、できないということなんですね。今、何かそういう御答弁しかいただけないので、極めて残念でございます。

 それではもう一度、今言われたこと、とにかくこれはマニフェスト違反なんです。明確なマニフェスト違反なんです。この点について、四千四百億円のうち二千億円使っている。使わないと言っていたにもかかわらず、使っている。一切、政務三役からは事務方に指示がない。このことについて、もうマニフェスト違反だと認めて謝罪をされたらいかがですか。

長妻国務大臣 これは、先ほども御答弁申し上げましたけれども、年金保険料というのは、これは税金も同じでありますけれども、本当に少しでも無駄があってはいけないということで、我々は、今回はこういう判断をさせていただきましたけれども、この年金保険料を使用するというのを縮減するということを、一期四年の中で努力をしていきたいというふうに考えております。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 大村君。

大村委員 私はもうずっと申し上げましたが、もう一回、明快に答弁していただきたい。

長妻国務大臣 今の年金保険料の流用のお話でございますけれども、これはマニフェストを見ていただくと、これについては工程表の中では、一期四年の中で実現をする、こういうふうに書かせていただいているところで、初年度でそれが実現できなかったというのは私としては遺憾でありますけれども、その一期四年の中でそれに向けて努力していくということでございます、この部分は。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 これについては、マニフェストをお読みいただければ、この工程表には、初年度にやるものの項目、あるいは二年度、三年度、いろいろ項目がございますけれども、この年金保険料の案件については四年以内にやる、こういうふうに工程表で位置づけられているものでございまして、私どもとしては、それに向けて努力をしていくということでございます。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 この年金保険料につきましては、先ほど全体の事業費の中で保険料見合いの分の金額を申し上げましたけれども、二十一年度当初に比べて百四十七億円減少をさせていただいておりまして、私どもとしては、この一期四年の中で、マニフェストにもございますように、その部分を減らすということを努力していきたいというふうに考えているところでございます。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 初年度に達成できなかったことは遺憾でございますけれども、マニフェストにありますように、四年間の中で努力をしていくということでございます。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 今回は遺憾でございましたけれども、一期四年の中で我々はそれを達成するべく取り組んでいくということであります。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 たびたびお時間をいただいて恐縮でございますけれども、マニフェストにも書いてございますように、一期四年の中でそれを実現していくということで、今回実現できなかったことについては遺憾だということでございます。(大村委員「マニフェストに書いてないんですよ。マニフェストのどこにも書いてないんです、どこにも」と呼ぶ)

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 マニフェストの前提として、連立政権ではございますけれども、今民主党のマニフェストの御指摘をいただいておりますので、この年金保険料の件については、この四年間の工程表の中の「財源を確保しつつ、順次実施」ということで、これは平成二十五年度までに実現をしていくということを国民の皆様に御提示させていただいているところでございまして、私どもといたしましても、それに向けて全力で取り組むということでございます。

鹿野委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 大村君。

大村委員 では、一言言います。

 今長妻大臣からたびたびと答弁をいただきましたが、マニフェストに書いてあるように四年間でというふうに先ほども言われました。今も四年間でマニフェストにというふうに言われました。

 でも、私も民主党さんのマニフェストを見ましたけれども、四年間でというのは書いておりません。「年金保険料は年金給付だけに充当することを法律で定める。」インデックスの方には、今でも毎年二千億円もの保険料が事務費、広報費、システム経費として年金給付以外に使われております、社会保険庁事務費への年金保険料流用を禁止し、必要最小限の事務費は国庫で賄いますということしか書いてありません。

 要は、明確に、年金事務費については国庫でやるとしか書いてないんです、四年間とは書いてないんです。この矛盾をどういうふうにお答えになりますか。整合が全くとれていない。もう一度、もう一度答弁をいただけますか。(発言する者あり)

鹿野委員長 静かにしてください。

大村委員 マニフェストに書いてあるように四年間でというのは、全くここには書いてありません。撤回してください。答弁。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 これについては、広く総選挙のときに国民の皆様にお配りしたマニフェストの十八ページ目に、「公的年金制度に対する国民の信頼を回復する。」「保険料流用を禁止することで、年金給付の水準を少しでも高める。」ということで、所要額二千億円程度ということが書いてございます。

 それについて、工程表には、この実施については、この工程表のメーンのところにある表と、その下の方にある「上記以外の政策」ということで、「財源を確保しつつ、順次実施」ということで平成二十五年度までに実施をするということで、こういう形で書かせていただいて、その工程表は、三ページ目以降にございまして、これも、私どもとしては、四年以内、二十五年度までに実現すべく取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。

鹿野委員長 大村君。(大村委員「そんな答弁納得できません。速記をとめてください」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 長妻厚生労働大臣。

長妻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、この工程表にもございますように、平成二十五年度までに実施をしていくということでございます。ただ、これを初年度実施してほしいというような、御期待していただいた国民の皆様に対しては、それが初年度実施できていないということに対しては、私は遺憾であるということで、四年以内で実施できるべく取り組んでいくということでございます。

大村委員 私、先ほど申し上げましたように、このマニフェストのどこにも四年間でというのは書いていないんですよ。それで、「年金保険料は年金給付だけに充当することを法律で定める。」と書いてある。年金制度の方は何か二〇一三年までなんということがちらっとインデックスの方にありますが、この年金保険料については、これは充当することを禁止することを法律で定めるというふうに書いてありますし、このインデックスの方も国庫で賄いますというふうにしか書いてありません。

 したがって、それをあたかも工程表とかマニフェストに書いてあるように四年間というふうに今言われたことは、これは撤回をしていただけませんか。そういう意味で、まさにマニフェスト違反だというふうに思います。

 この点について、厚生労働省だけではなくて、もう長妻さんに何度聞いても同じことしか言いません、マニフェストの違反も認めない。認めたらいいじゃないですか。認めて、もうやれないんだと言ったらいいじゃないですか。

 だとしたら、これは政府としての統一的な見解を出していただきたい。そうしないと議論ができない、そのことを申し上げたいと思います。(発言する者あり)

鹿野委員長 長妻厚生労働大臣。(大村委員「いや、もういいですよ、長妻さんは」と呼ぶ)

長妻国務大臣 これは、連立政権でございますが、今、民主党のマニフェストに基づいて質問がございましたので。

 これは私自身も、民主党、野党時代に政調会長代理ということでこのマニフェスト作成にかかわらせていただいたところでございまして、ここでお読みいただいてもおわかりのように、「財源を確保しつつ、順次実施」ということで、そういう政策がいろいろ入って、全体で、この二千億も足した中で平成二十五年度に実施をするということでつくり、これもここの工程表でお示しをさせていただいているということでございます。

大村委員 もう何回聞いても同じことしか言わない。

 この点について、鳩山総理、民主党のマニフェストには、年金保険料は年金給付にしか充当しないと法律で定めるというふうにしか書いてないんです。このことをやるんですか、やらないんですか。この二十二年度予算に入っていないことは明確なマニフェスト違反だということをお認めになりますね。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 連立政権でありますから、余りマニフェスト論争ばかりやってはいけないと思いますが、私ども民主党としては……(発言する者あり)ちゃんと聞いてください。

 一年でやることは一年というふうにしっかりと書いてあります。それが一年でできないという場合には、やはり国民の皆さんに申しわけなかったと申し上げるべきかもしれません。しかし、今回、年金保険料の話は、一年でやるというふうに明言しているわけではありません。一般的に、私ども、マニフェストをつくったのは、四年間の間に国民の皆さんにこれをやりたい、やりますということをお約束しているものでございます。

 したがいまして、書いてないものは、基本的に四年間の間にやりたい、やりますということを申し上げているのでありまして、年金保険料の問題も、今まで保険料の流用が余りにもひど過ぎた。そこをやはり、国民の皆さんからすれば何とかしてくれという思いがあった。それを我々は受けとめている。したがって、将来的に、できるだけ早く、しかし、四年の間には、長妻大臣が申しているように、年金保険料が流用されないように、しっかり年金のために使われるように、我々としては頑張っていくということをお約束いたしたところでございます。(発言する者あり)

鹿野委員長 大村君。どうぞ進めてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鹿野委員長 速記を起こしてください。

 大村君。

大村委員 この点について、私は納得できませんので、もう一度、鳩山総理、これは政府としての統一見解、お示しいただけませんか。いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 大村委員に先ほど申し上げたとおりでありますが、さらにつけ加えて申し上げれば、私ども、これはマニフェストの工程表の中で、子ども手当とか公立高校の実質無償化、幾つか、八つありまして、それに対して、初年度からどれをやるというのは書いてあります。

 ただ、その中に、今ありました年金保険料の流用の話は、その一番下に、「上記以外の政策」ということでございまして、そこに対しては「財源を確保しつつ、順次実施」と書いてあるんです。したがって、私どもは、これにのっとって行いたい。なかなか財源が確保できないという状況の中で、来年度は、その二千億というものは、残念ながら、これは遺憾だとは思いますが、残したことにはなりましたけれども、マニフェストどおり、私どもとすれば、四年間に、平成二十五年度までには財源を見つけて、この年金保険料の流用がないようにしてまいりたいと思います。

鹿野委員長 大村君の質疑時間が来ておりますので、簡潔にどうぞ。

大村委員 今、総理からお話をいただきましたが、この表に年金保険料云々の話は書いておりません。一方で、マニフェストについては、年金保険料は給付以外に充当しないという法律をつくるんだ、そして、これはやるんだ、必要最小限の事務費は国庫で賄えとしか書いてありません。

 そして、皆さん方は、二年前に法案まで出して、これは直ちにこの年金保険料を使うのはやめるんだ、やめなさいということを延々と言ってこられました。そういったことについての矛盾、マニフェストに対する矛盾、マニフェストの違反、そのことを申し上げて、今の鳩山総理の御答弁、そして長妻さんの答弁では納得できませんので、政府としての統一見解を、これをぜひお出しいただきたい、それを理事会で御協議いただきたいと思います。よろしいですか。

鹿野委員長 後刻、理事会でこの件については協議をいたします。

 これにて大村君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮腰光寛君。

宮腰委員 自由民主党の宮腰光寛でございます。

 きょうは、農政問題について質問いたしますが、本題に入ります前に、赤松大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 大臣は、十一月の六日、大臣就任を祝う政治資金パーティーを開催されました。その前日、小里議員からの、閣僚の大規模パーティー自粛を明記した大臣規範に触れるのではないかとの質問に対しまして、大規模でない、限られた中での開催で、額賀先生を初め各大臣がやった範囲内でやりたいというふうに答弁をされております。

 マスコミをシャットアウトした中でのパーティーでありまして、規模は明らかではありませんけれども、千人収容可能な会場で、会費が二万円、政治資金規正法では収入一千万円以上は特定パーティーとしておりまして、これが大規模パーティーの目安とされております。今回はこれに当たる可能性があります。

 民主党の政調会長であった直嶋経済産業大臣、当時、額賀防衛庁長官のパーティーについては大臣規範に違反すると国会で批判をしておいでになります。政治と金をめぐって、他人には厳しく身内には甘い、民主党のダブルスタンダードの典型ではないかと思いますが、パーティー収入は幾らであったのか、お答えをいただきたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 昨年の臨時国会のときにも申し上げましたけれども、あくまでも大臣規範に従いまして、大規模にならないように、華美にならないように、ごく親しい人たちだけの定例的にやっておるパーティーでございまして、私は、当日、予算委員会がちょうどございまして、五時何分まで会議に出てから、選挙区が名古屋なものですから名古屋に駆けつけました。大分おくれて行ったこともありましたが、見た感じ、いる人が四、五百かなという感じでしたが、会場は、そういう会場しかなかったものですから広いところですが、数としてはそれほど御心配をいただけるような規模ではなかったし、非常にスムーズに終わりまして、そのまままた私はこちらへ、東京へ戻ってきたということでございます。

 収入等については、もちろんそれは正式に、政治資金規正法にのっとって、この三月末だと思いますけれども、当然その中に事業費として計上して公開するということになると思います。まだやっていません。

宮腰委員 本来、定例であってでも、大臣たるもの、規範を守る努力をしなくちゃいかぬというのが筋だと思いますが、政治資金収支報告書を三月末しっかり調べた上で、また委員会で取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 第一番目の問題でありますけれども、民主党農政の変質についてお伺いをいたしたいと思います。総理にお伺いいたします。

 民主党結党以来の農政の基本、これは、平成十四年に公表した「農林漁業の再生こそ日本と地球を救う!」という文書にあります。そこにうたわれておるのは、農林漁業の多面的機能の対価として、一定規模以上の経営体に直接支払いを行う、そういう理念であります。その後、食糧法改正案、民主党農林漁業再生プラン、農政等の改革に関する基本法案という一連の流れの中でも、その考え方は一貫をしてまいりました。

 ところが、参議院選挙の直前の平成十九年になりまして、突如、戸別所得補償法案なるものが出てまいりました。これはばらまき法案であります。

 今回の米戸別所得補償モデル事業、その中身を見たら、財務省が指摘しているとおり、戸別ではなく全国一律であります。所得補償にもなっておりません。仮に法案をつくるとしたら、戸別所得補償法案などという名前の法案はできないはずであります。そもそも、このモデル事業は、価格が下落した場合のセーフティーネットにすぎず、民主党の理念である多面的機能の対価としての性格は持っておりません。

 民主党農政は、前回の参議院選挙を境に、結党以来の理念農政からばらまき農政へ変質をしたと言わざるを得ません。

 民主党創設者として、鳩山総理はこの批判にどうおこたえになりますか。

赤松国務大臣 後で総理は総理としてお答えになると思いますが、事実関係がございますので、私の方から御報告申し上げたいと思います。

 今、日本の農業の実態は、もう先生御承知のとおりに、高齢化は進み、後継者はいない、そして耕作放棄地は三十九万ヘクタールに及ぶ、しかも農業収入は十五年前と比べて約半分になっているということでありますから、地域に何としても、これはもう単に農業を支えるというばかりじゃなくて、地域そのものを支えていく、あるいは環境を支えていく、そういう意味でしっかりと農業に応援をしていかなきゃいけない。

 しかし、今担い手の問題が出ましたけれども、果たして、では日本の農業の実態は、大規模な、そういう担い手と言われるような集落営農だけで本当に支えているんだろうか。実態を見てみれば、約六割は小規模な、中山間地を初めとする、そういう人たちが支えている。もっと別の言い方をすれば、サラリーマン農家が、高齢農家が実は六割以上を支えているというのが実態ですから、そういうところに目を向けないで農業の再生を図ろうとしても、これは無理だということでございまして、私どもは、小規模であっても営農意欲のある人たちを含めて、もちろん大規模化あるいは協業化、集団化をして効率的な農業をやっていただいている方にももちろん応援をしていきますけれども、あわせて全体をやはり支援していく。

 そのためには、少なくとも、農業をやってちゃんと採算が成り立つ、生活できるという岩盤部分をきちっとつくっていきたいというのが今度の戸別所得補償制度でございまして、その意味で、戸別の農業、戸別の農家に対して、それぞれを、生産数量目標を設定して、そして、生産費と販売価格のその差の分、もちろんマイナスになっているわけですけれども、それをきちっと戸別に補てんしていく、そのことによって安心して農業に取り組んでいただけるというのが、この制度の基本的な仕組みであり、考え方でございます。

宮腰委員 この問題は、昨年の臨時国会のときにも委員会で赤松大臣にお伺いをいたしました。だから、鳩山総理にお聞きしたい。なぜ変質をしたのか。

鳩山内閣総理大臣 変質をしたという言い方も私は必ずしも適切ではありませんで、むしろ、農政もそれぞれ実情に合わせて進歩をさせていく、考え方をさらに改良させていくということも重要なことではないか、そのように思います。

 その思いは、私の地元などは、まさに北海道ですからある一定の規模以上の農家の方々ばかりでありますが、必ずしもそういう方々ばかりが農業を背負っておられるわけではない。むしろ、営農して大変努力をしておられるすべての方々に適用させる方が大事ではないかという発想になったことは事実でございます。

 私どもは、そういう思いのもとで戸別所得補償制度というものを創設しよう、そのように考えておりますが、その思い、今、赤松大臣からお話がありましたが、むしろ一律であればこそ、頑張って一生懸命コストを節約しようとするような方々にメリットがある、大きな意欲というものを持つ方々の方にメリットをもたらせるような政策になっている、そのように考えております。

宮腰委員 今、鳩山総理がおっしゃったように、全国で、北海道は大型、ほかにはいろいろな形で多様な農業が展開されている。そもそもそこに全国一律を当てはめることが間違いなんですよ。

 きょうは、野田財務副大臣に来ていただいております。

 予算編成の際に、野田副大臣は、戸別所得補償制度モデル事業について六項目の論点を示しておいでになりました。内容については、米について全国一律で実施することの問題、供給能力が過剰である米について政府がなぜ助成しなくちゃいかぬのか、支援対象農家を全販売農家とする必要があるのか、全額国庫負担で実施することの問題、さらには制度の継続性、あるいは既存の政策支援との整合性などについても指摘しておいでになります。

 私は、野田副大臣のこれらの指摘は極めて常識的でありまして、おおむね妥当な指摘であるというふうに思っております。

 野田副大臣は、今でもこの論点について問題は解消されていないというふうに考えておいでになりますか。

野田副大臣 宮腰委員の御指摘にお答えをしたいと思います。

 昨年の二十二年度予算の編成で特徴的だったのは、予算編成の見える化、透明化を図ったことでありまして、第一に、一番特徴的だったのは事業仕分けだったと思います。同様に、財務省においても、各省庁から出てきている要求について、どのような観点で査定をしていくかということを私の記者会見を通じて公表し、そしてホームページに載せてまいりました。

 農家の戸別所得補償制度については、委員御指摘の六つの観点から私なりに御提示をさせていただきましたけれども、その後、予算編成の過程の中で、特に私のカウンターパートの山田正彦副大臣の懇切丁寧、説得力ある御説明を聞き、納得をさせていただきまして、基本的には要求どおりの予算となりました。

 最終的には、マニフェストの主要事項でございましたので、菅副総理のもとで赤松農水大臣と藤井財務大臣で最終合意をしたという経緯でございます。

宮腰委員 論点は消えたという御答弁ですか。私は消えていないと思いますよ。

 この財務省の論点に対する農水省の反論ペーパーがあります。一つ一つの論点については農水委員会で取り上げることといたしますけれども、特に一番最後の論点、全額国庫負担としたことの説明でありますけれども、自給率向上のための国家的取り組みとコスト割れを補てんする措置、この二つの条件を満たしていれば、農家負担を求める必要はないというふうにしておいでになります。

 しかし、モデル事業の対象になっているお米、これは既に自給率が一〇〇%近くあります。米では自給率がほとんど向上しないこと、これは先週、鳩山総理みずからおっしゃったではないですか。農水省のペーパーは全く反論になっておりません。二つの条件を満たせば、米以外の作物も全額国庫負担で補てんすることになる。これはさらなるばらまきにつながるわけであります。

 このモデル事業が社会政策であれば、負担なしでも国民の理解は得やすいと思いますけれども、産業政策ならば、一定の負担は当然のこととして求めなくちゃいけません。

 このばらまき予算は社会政策なのか産業政策なのか、これは野田副大臣にもう一度伺いたいと思います。

赤松国務大臣 私の方から答弁をさせていただきます。

 宮腰先生はもともと農業は産業政策でやるべきだという御趣旨は承っておりますし、私も、今地域の活性化をやるためには、農業ばかりじゃなくて、水産業、林業を初めとする第一次産業をしっかり支えていかなければ、産業として継続していく、維持していく、そういうことができなければ地域の活性化はないと思っております。

 その意味で、いわゆる産業政策だということはあえて反対はいたしませんけれども、しかし、それだけなのだろうかというと、私は、そうではなくて、まさに産業政策としての農業をしっかりと支えていくことは、今、六次産業なんという言い方を私どもはしていますけれども、その農業が頑張ることが、水産業、林業が頑張ることが、そこに新たな産業を起こし、そして新たな雇用を生み出し、そういう意味で総合的な地域活性施策あるいは社会政策的な側面も持っているということも事実だと思っておりますので、そういう意味でこれをとらえております。

 それから、先ほど自給率の問題もありましたので、あわせてお答えをさせていただきたいと思います。

 今までの自民党農政は、お米をつくる、そして減反政策に従って忠実にそれを守ってきても、その守ったことに対するメリットは何もなかったわけですね。それが、転作して、転作奨励金はありますけれども、減反したことだけについては何のメリットもなかった。

 しかし、だからこそ、今までそれに従わない人がたくさん出て、おれは減反には反対だ、おれはつくりたいだけつくるんだという人がどんどんどんどんいるものですから、年間でも三十万トンから五十万トンぐらい米がだぶついちゃって、きちっと生産数量目標、減反に従ってやっている人たちが、そういう自由にやる人たちが米余りを生じるものですから米価がむしろ下がって、そして、おれたちはちゃんと守っているのに実際には安くなって収入が少なくなり、何のために農業をやっているんだということが今までの実態で、それがどんどん農業離れを起こしてきたということでございます。

 したがって、今度は生産数量目標をきちっと守る。きのう、加藤紘一先生の御質問の中で、幾らつくってもそれにペナルティーを与えないから過剰生産になるんだというようなお話がありましたが、そうではなくて、守らなければ交付金は出ないんですから。戸別の農家に、決められた生産数量目標を守った人には十アール当たり一万五千円がきちっとつく。

 しかも、その余った水田を利用して今度は戦略作物やあるいは米粉、飼料米等をつくれば、それぞれ三万五千円だ、あるいは二万円だ、八万円だというお金がプラスでまたついてくるということで、努力すればするほど、また頑張れば頑張るほど、その頑張り度合いが収入として返ってくるというすばらしい制度で、決してばらまきではない、自給率も十分上がるということを申し上げておきたいと思います。

宮腰委員 ただいまの赤松大臣の御発言の中に三点誤りがあります。

 一つは、生産調整を守らない人がどんどんふえてきているということについては、これは第一の誤りであります。ここ三年で、過剰米の作付面積は七万ヘクタールから四万九千ヘクタールまで低下をいたしました。

 米をつくらせない政策、違います。昨年の一次補正予算で、米による生産調整というものをつくりました。しかし、今の政権と違うのは、生産調整のルールを守る人が米によって生産調整ができるということであります。

 それから、ルールを守らなければ支援がもらえないという仕組みだとおっしゃいましたが、そうではありません。今度の水田利活用自給力向上事業、これは、主食用米のルール、生産調整のルールを守らなくても、ちゃんと十アール当たり八万円の新規需要米対策が受けられるじゃないですか。間違いですよ。

 幾つも間違いがあるということを指摘しておきたいと思います。

 土地改良関係について申し上げたいと思います。

 モデル事業の予算、当初要求した別枠とはなりませんでした。その上に、農水省全体では、三十四年ぶりに二兆五千億円を割り込むという大幅な予算の減額になっております。この所得補償というのは、別枠で予算が確保できて初めて継続性が担保できる仕組みであります。毎年ふやしていかなければいけません。

 今回の予算の減額によって、二十三年度からの本格実施に赤信号がつきました。特に大幅削減となりましたのは土地改良予算であります。概算要求四千八百八十九億円。前年の五千七百七十二億円に比べまして八四・七%。これはまだいい。しかし、実際の予算二千百二十九億円、前年対比三六・九%。

 小沢仕分けで、削減対象として個別事業名と削減割合を具体的に示しているのは土地改良事業だけであります。まさにねらい撃ちということだと思います。これは土地改良団体に対する政治的意図を持った報復にほかなりません。こんな乱暴なことが日本の政治で行われていいのか。総理から御答弁をお願いいたしたいと思います。

 予算編成の責任者は総理ではないですか。総理そのものが自分の意思で決めたとおっしゃっているわけでありますから、このことについて総理から明確にお答えいただきたいと思います。

赤松国務大臣 先ほどの委員御指摘の点につきましては、私が申し上げているのは、例えば自給率の問題にしても、今までは、麦や大豆をつくる、それを一生懸命にやっても、こちらの生産数量、昔で言う減反ですね、これを守っていない人はお金が出ないわけですね。ところが今度は、今までそういう生産数量目標を守っていなかった、しかし、おれも余った水田で麦や大豆をつくってみたい、部分的にまずちょっとやってみたい、あるいは今度は全面的にやってみたい、そういう人にも、ペナルティーをなくしたことによって新たにつくることができるようになったんです。だから自給率が上がるんです。

 今までは、幾らそれをやりたいと思ったって、おまえは米の方で違反しているじゃないか、減反に従っていないからだめだ、そっちをやったってお金は出ないぞということでやっていましたから、意欲が損なわれていた。

 そういう意味で、今回は、そういう麦、大豆等についても、新たに部分作付をやりたいという人たちについても大変後押しになる制度だということでございます。

 それから、全然それは、つくらせない農業なんというのは誤りだというお話でしたけれども、むしろ私どもは、今度は積極的につくる、つくらせる農政に変えていこうということでやっておるわけでございまして、では、先生がもしそのように御指摘をされるんだったら、なぜ三十九万ヘクタールも耕作放棄地がどんどんどんどんふえているんですか。毎年毎年ふえているじゃないですか。

 そういうことを申し上げながら、質問のポイントは、農業土木の前年度比三六・九%、本当にこれで大丈夫なのかというお話だと思いますので、それについて考え方を申し上げたいと思っています。

 もともと、私どもは、事業仕分けどうこうの前に、本当にあるべき農業土木、あるいは農業にかかわる公共工事については、今までのままでいいんだろうかと。例えばダム一つとっても、今、農水省の所管するものは全国で百九十あります。つくりかけのものもあります。しかし、その百九十のダムは、ほとんど、あってもその水が全く使われないとか、あるいは満杯にしたらダムが崩れちゃうから満杯にできないとか、あるいは中からどぼどぼどぼどぼ漏れてしまうとかいう大変問題の多いダムも残念ですけれども多い。

 しかし、それについては、これからしっかりとまた、負の遺産としてこれを受け継ぎながら、私ども、改修、補修等はやっていきます。しかし、本当にダムが必要なのかどうかということを判断する中で、私どもといたしましては、新体制になってから、ダムの新たな建設はしない、脱ダムということも正式に農水省としては決めさせていただきました。

 それからもう一点、土地改良の予算額が減ったことは事実ですが、一方で、新規に一千五百億円の、それにかわるものという言い方がいいかどうかわかりませんが、農林水産あるいは林業にかかわる公共工事に、地方が創意工夫を持って本当に必要なものをそういうものに充てられる、そういう農水予算を一千五百億円用意いたしまして、今それぞれの地域から、地方から、全国から、ぜひこの排水をやりたい、この工事、農道をつくるのをやりたいとか、そういうところについてはどんどんそこから希望を出してもらうようにしております。

 そういう意味で、今、少なくなりました予算を有効に使いながら、一方では新たなこうした一千五百億円も使ってしっかりやっていきますので、御心配の向きはない、このように思っております。

宮腰委員 今の話は、先ほど質問したのとちょっと違う話がまじっておりますよ。

 まずは何よりも、鳩山総理に、政治的報復ではないか、このことについての御答弁を求めたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 政治的報復の意味など全くありません。

 そういうものではなくて、私ども、農業予算というものは毎年かなりつけられていた、にもかかわらず、農家の皆様方がどんどんおやめになってしまったり、あるいは生計も大変厳しいままでいる、これはおかしいのではないかという発想の中で、農業予算全体を大幅に見直す必要があるのではないか、むしろ、農業土木中心の予算ではなくて、農家の皆様方のやる気を起こすための予算に変えていこうではないか、そういう発想のもとで大きな転換をしたことは事実でございます。

 ただ、その中で、今、赤松農水大臣からお話がありましたように、本当に必要な土地改良の事業などは継続できるように仕組むことも大事だと思っておりまして、本当に大事なものか、必ずしもそうではないかというような仕分けというものはやはり必要ではないか、そのように考えております。

宮腰委員 休憩の前にもう一問だけ質問の続きがありますので、お願いいたしたいと思います。

 昨年、北海道で低温、長雨被害が起きました。私も七月に北見、常呂、湧別、この被害地を視察してまいりました。タマネギや小麦などの畑が乾かないので、コンバインがまず入れない、収穫をあきらめてすき込みをやろうと思ってもトラクターが入らない、値段が高い農薬しか病気に効かないので、収穫がないにもかかわらずコストは例年以上にかかる、こういう状況でありました。総理も被害の状況をご存じだと思います。

 被害の最大の原因、農地の排水ができていないことにあります。今年度、北海道で実施されている国営の土地改良事業、かんがい排水事業、農地再編事業、農地防災事業、この合計で四十九地区、七百二十九億円に上ります。北海道だけですよ。排水対策が完了した斜里では、近くでありますけれども、ほとんど低温、長雨被害に遭わなかった。このことを見ても、畑作地帯でも排水対策は必要不可欠であります。この土地改良事業というのは決してコンクリートではありません。基本は土です。そこを間違っちゃいかぬ。土なんですよ。

 地元の総理として、北海道の土地改良事業はもう必要ないんだ、あるいは国営事業のスピードを三分の一に落としても構わないんだ、今後も、今回の農政転換で土地改良予算を大幅に減らしたことによって農業被害が起きてもやむを得ないんだ、こういうふうに考えておいでになりますか。

鳩山内閣総理大臣 私の地元でも、天候の不順によって長芋が全くとれなかったというような被害などを伺っております。

 今、宮腰委員から、北海道だけではないと思いますが、このような畑作も、十分に排水など整備ができていないと大変な被害をこうむることがある、そのとおりだと思います。したがいまして、これは重要度あるいは緊急性というものの程度を見きわめる必要があるとは思っておりますが、本当に重要な地域、すなわち、今早急にこのような土地改良を必要としている地域というものを見きわめながら、そのようなところには十分に配慮をしていく予算が必要ではないか、そのように思います。

宮腰委員 土地改良事業というのは、それぞれの地区で長年にわたって話し合いを続けてきて、ようやく話がまとまって申請をする、そういう種類の事業です。役所が上から決めて、ことしはここに箇所づけをいたしました、そういうたぐいの話では全くありません。手が挙がってきているところは基本的に必要不可欠、早くやらなくちゃいかぬ、そういうところばっかりですよ。なぜ今回、国営事業を三分の一に減らしたのか、国営だけではありませんが。

 その現場で苦労しておいでになる農家の方々の思いが今の政権に届いていない、このことを申し上げておきたいと思います。

 休憩があるそうですから、あとは午後からやらせていただきます。

鹿野委員長 宮腰光寛君の残余の質疑は、再開後の委員会で行うことといたします。

 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十分開議

鹿野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 宮腰光寛君の残余の質疑を行います。宮腰光寛君。

宮腰委員 米戸別所得補償についてお聞きをいたします。

 赤松大臣初め農林水産省政務三役は、これまで、戸別所得補償を導入したとしても米価は下がらないと何度も明言をしておいでになります。ところが、昨年十月二十一日の食料・農業・農村政策審議会で、このモデル事業の事務方の責任者は、定額部分を厚くすれば、それだけ買いたたきの対象となる可能性があると発言をしております。

 既に、二十一年産米では需給のバランスが大きく崩れつつありまして、前年同期に比べて米価が四百円近く下がっております。その原因は、第一に、二十年産米の民間在庫が大量に残っていること、第二に、二十一年産米の民間流通の契約や販売が前年同期の半分しか進んでいないこと、第三に、これは総務省の直近の家計調査でありますけれども、昨年十一月の一世帯当たりの米の購入量、前年同期比でマイナス一八%、十二月、マイナス一四%、ここに来て米の消費が大幅に減少しているという事実が挙げられます。新米が出回る出来秋のころには、大量の民間在庫が発生をして、買いたたきと相まって米価下落が起きる可能性が極めて大きい、私はそう思っております。

 定額部分一万円が一万五千円になりました。農家には、この先何年続くかわからないばらまきに期待するよりも、米価下落が固定化することに対する不安の方が大きいわけであります。

 総理も、このモデル事業で米の需給が引き締まると答弁をしておいでになりますが、何を根拠に米余りも米価下落も起きるはずがないというふうにおっしゃっておいでになるのか、お伺いをいたしたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 先ほど、委員からは過剰作付面積が減っているというお話がありまして、確かに、おっしゃるとおりに、二十一年度は二十年度に比べれば少しだけ落ちております。しかし、この間、十六年以降を見ますと、過剰作付面積は二万五千、三万七千、六万八千、七万、五万四千、四万九千ということで、ずっとやはり過剰作付をやってきているわけですね。

 これは、前政権の責任とは言いませんけれども、今までのやり方でもってやっていけば、減反政策に従わない方たちがいて、その人たちが、悪い言葉ですけれども、勝手に従わないでつくってしまった。それが市中に出て、過剰の米が米価の低迷を招いているというのが実態だと思います。

 だからこそ、私どもは、きちっと生産数量目標に従った数量に抑え込まなくてはいけない。今まで参加していなかった人たちにも、自主的に、強制ではなくて自主的に、この魅力ある制度にぜひ入りたいという形で参加をしてもらわなければいけないということで、今御指摘の、十アール当たり一万五千円という大変魅力のある中身を示して、そしてこの四月から、モデル事業ではありますけれども、これを始めようというふうにしておるわけであります。

 現に、象徴的に、反減反、反農政ということで、四十年間この制度に従わずに独自にやってこられたあの秋田県大潟村の方たちにつきましても、全員ではありませんけれども、今まで常に四十年間反対し続けてきていたグループのおおよその方たちが、ぜひこの戸別所得補償制度に参加をしたい、そして、ちゃんと生産数量目標を守って、余ったところでは米粉をつくりたいということでやっていただいております。

 全国的にもそういう傾向ということで、今までと違って、しっかりと米の需給は引き締まって、米価についても、よっぽどの、作況指数が一〇八とか一〇九とか、特別にそういうことがあれば別ですけれども、そういうことがない限り安定的に推移をしていくのではないか、大幅な下落はあり得ないというふうに私は判断をいたしております。

宮腰委員 今のお話ですけれども、まず、秋田県の大潟村のお話がありました。

 強制的な生産調整から自主的に参加というお話でありますが、秋田県の現実は、秋田県知事が泣く泣く国の指導に従ったと。極めて強制的な、押しつけ的な今のやり方をやっているわけであります。脅迫もありました。地元にとっては脅迫と受けとめられる、そういうやり方。秋田県が国の言うことを聞かなければ、米の戸別所得補償モデル事業は秋田県丸ごと対象とせずという発言まで大臣がおっしゃったわけであります。自主的ではなくて脅迫的なやり方をやっているということを申し上げておきたいと思います。

 それから、米の問題、需給が必ず締まる、だから下がらない。大臣は需給が締まるとおっしゃいましたが、下がらないとは明確におっしゃっておいでになりませんよ。市場は、需給が締まっても下がることもあります。

 特に、今度のモデル事業、市場はそんなに甘くありません。定額部分の十アール当たり一万五千円の助成金、米一俵につき千七百円に相当いたします。販売価格が下落した際に支払われる変動部分の予算一千四百億円、これは一俵につき千二百円に相当いたします。一俵につき何円というふうに、これらの補助金はいとも簡単に価格に翻訳できる補助金であります。市場が敏感に反応しないわけがありません。お金の使い方としては、一番稚拙なやり方である。大幅に米価が下落すれば予算が不足をし、さらに差額補てんのための予算を積み増ししなければ制度が継続できない仕組みであります。まさに欠陥商品と言わざるを得ません。

 そもそも、総理や赤松大臣は米価が下がらないというふうに主張されているのに、なぜ米価下落の備えに一千四百億円も必要なのか。これを矛盾と言わずして何を矛盾と言うんだ。それ以上予算が不足したときはどう責任をおとりになるのか、赤松大臣。

赤松国務大臣 まず、今お話ありました大潟村のことにつきましては、これは私は別におどしたわけでも何でもありません。

 先ほど来言っていますように、この制度は強制的に入れとか従えとかいう制度じゃないんです。この制度はよいと思う方たちはどうぞ入ってください、この制度は嫌だ、おれは自分の好き勝手にやりたいんだという方はどうぞそういうふうにやっていただいてもいいですよと。しかし、今まさに先生が言われたように、非常にわかりやすい仕組みなものですから、自分のところでとれる米は何俵だ、掛ける幾ら、ああ、こんなに今までと違っておれの収入になるのか、これは入らなきゃ損だなということで、今まで横を向いていた人たちも自主的にどんどんどんどん入ってきたんです。

 ところが、秋田県というのは、問題だったのは、事前に地域で話し合ってやってくださいと申し上げたら、片や、おまえたちは今まで従ってこなかったんだからペナルティーがあって当たり前だと。この制度はペナルティーがないんですよということを大前提条件として申し上げたにもかかわらず、君たちは造反してきたんだから、本来一〇〇だけれども、そのうちの三八%でいいんだ、おれたちは君たちの分をもらって六五%もらうよ、これでいこうやなんということであれば、三十何%といったら、もう君らは入るな、来るなということと一緒ですから、これは本来私どもが、国の制度ですから、国の制度として国民の皆さんにお示しした中身とは明らかに違っている。

 話し合って、地域のいろいろな事情を加味しながらやっていただくことは結構だけれども、基本的な姿を大きく変えることはだめですよ、本来、ペナルティーはなしでいくんですということが大前提なものですから、そういう制度のもとではおれは入るのは嫌だというんだったら、これは残念ですけれども仕方ありませんねと。しかし、よく話し合って決めてみてくださいとやったら、率直に、それぞれ知事さんも本当にお骨を折っていただきました。

 そして、今までこの減反に従って、本当に余りいいことがなかったにもかかわらず一生懸命に国の政策に協力していただいた、そういう方たちも含めて、そして造反していた人たちも含めて全部で率直に話し合って、ではお互いに歩み寄ってこの辺でいこうよということで、円満解決の中で多くの人たちの参加が決まったということですから、ぜひそれを御理解いただきたいと思います。

 それから、変動部分の話ですけれども、私どもは、過去七年間、最高と最低を取った間五年の平均値をとって、それから片方は、三年の平均をとって、販売価格と生産費の差額を埋める固定部分を決めました。

 しかし、先ほど申し上げたように、例えば台風があると思っていたら、ことしはいい天気がずっと続いて、晴天の中で夏も無事に過ごした、みんな、数量、畑の面積は守っているんだけれども、十アール当たりの単収が台風も何も来なかったら上がるという思わぬことがありますよね。

 そういう中で作況指数が上がって、例えばさっき言ったように一〇六とか一〇七とかそういうことだってあり得るわけですから、当然それは米の量全体が多くなりますから、そういう場合には、これは特異な例で二十年に一回しか今まで過去ありませんけれども、そういうときのことも含めて、従ってやっていただいた方たちに損をかけちゃいけない、その場合は、ちゃんと変動部分も加算をして、お百姓さん一人一人には損をさせませんよということでそういう制度にしたということでございます。

宮腰委員 ちょっと長過ぎるんですね。委員長、お願いしますよ。

 大潟村の件については、農水委員会が始まりましたら、しかるべき先生に改めて質問をしていただくことにしたいと思います。

 今の過剰米対策、実は、過剰米対策として仕組まれているのか、いや、価格下落対策として仕組まれているのか、全くわかりません。過剰米対策、出口対策、仕組みの上では全く講じられておりません。ありません。

 民主党マニフェストで、食料安全保障の観点から米の備蓄方式を棚上げ方式に転換をし、国産米を含む三百万トンの備蓄体制を確立しますということをうたっておいでになります。つまりは、三百万トンの棚上げ備蓄であります。

 我々がこれまでやってきたのは、最大百万トンを限度とした回転備蓄ということで、その規律をしっかり守ってまいりました。三百万トンの棚上げ備蓄、これはどういう意味か。米の所得補償を実施して、そのことによって米が余って、三百万トンの棚上げ備蓄をすれば、大量に政府在庫があることでさらに米価が下がります。負の連鎖が始まるということなんです。

 過剰米対策をどうするかということを全く講じずに、千四百億円のお金があれば過剰米対策になりますよと。しかし、それが過剰米対策なのか米価下落対策なのか、今の御答弁では全くわかりません。そして、その場合、米については二重、三重の納税者負担になります。納税者負担については、もっと謙虚になるべきではないか。

 我々、食管法の時代に、膨大な政府在庫米を二兆円もかけて処理せざるを得なかったことがありました。国民負担の余りの大きさに、当然のことであるが大きな批判を受けまして、その反省に立って、生産調整を初めとする米政策が構築をされてきたということがあります。

 今回、行おうとしている民主党農政では、一面、食管法時代に逆戻りをいたしまして、同じ轍を踏むことになるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 御質問の趣旨は二つだと思います。

 一つは、変動部分については、これは過剰米対策なのか、あるいは農家に対する所得補償なのかということですが、基本的には農家に対する、まあ、万が一にも使わないことが一番いいんですけれども、所得対策、所得補償対策であるというふうに思っております。

 それからもう一つ、それに関連して、直接はつながらないんですけれども、例の政府買い入れ米のことで御質問がありました。私どもは確かに、マニフェストで三百万トンということは先生今御指摘のように書いてはいますけれども、しかし、私どもが現実に政権を担い、しかも、国民新党、社民党との三党連立の中で、今のこの時点で、これはあくまでも備蓄対策ですから、備蓄対策として一体どれだけのお米を持つことがいいのかということを考える中で、例のWTO関連の七十万トンプラス、年間、独自に持つ備蓄米としては百万トンということで、合わせて百七十万トンぐらいを持つことが現時点では適当なのではないかという結論に達しております。

 しかも、その方式は、今までは回転方式で、古い、買ったものから市場に出していくという方式でしたけれども、そうではなくて、一たん持ったものはそのまま、回転方式ではなくてやっていく、棚上げにしてやっていくということの基本的な考え方でやっていこう、まだ始まったばかりですから、そういうような考え方で今おります。

宮腰委員 出口対策あるいは棚上げ備蓄の具体的な数値、今初めてお聞きしましたけれども、走りながら考えておいでになるという感じだと思います。所得補償を打つときに、出口対策も講じずに、米価下落対策なのかよくわからないような一千四百億、これは不安になりますよ。

 最終的に、今でも米価が下がり続けている。そして、四月、五月段階で栽培面積が明確になる。当然、その中には主食用米以外の新規需要米の栽培面積も具体的に明らかになる。流通段階がブラックボックスなままで、チェックをやっていくということは当然のことでありますけれども、米は中身はそんなに変わらない。一昨年の事故米のときにも、ただ同然のお米でありますから、十二段階の流通を経て消費者に回った。十二段階です。そういう中で、いわば新規需要米が生産調整とのリンクを外されたことによって流通段階でどのようになるかわからない、こういう懸念も強いということを申し上げておきたいと思います。

 さらにもう一つ言えば、今度の政府米の買い上げの問題、安いお米から銘柄を問わずに買っていきますと。これについても、政府みずからが米価を引き下げていくということにつながりかねないということも申し上げておきたいと思います。

 水田利活用自給力向上事業について入ります。

 今回の仕組みは、産地確立交付金にかわる仕組み、しかし、基本的に全国一律単価にいたしました。これに対して、全国からブーイングが起きております。そもそも、この全国一律単価、十五年まではそうでありました。しかし、十六年からは単価設定を地域の話し合いにゆだねてきたわけであります。今回の自給力向上事業、先祖返りしたとの批判が全国的に根強い。特に、地域特産に力を入れてきた産地ほどそうであります。もとの仕組みに戻すべきではないかと思いますが、具体的にトキとチューリップについてお尋ねいたします。

 山田農水副大臣、今度の仕組みの説明会で、転作作物の助成対象として富山のチューリップが入っていることに疑念を持っている、今回の制度の目的は自給率の向上に重きを置いている、チューリップや家庭菜園まで税金を使っていいのか、本格実施の二十三年度以降については検討させてほしいと発言をされております。

 チューリップ、富山が産地でありますけれども、この富山のチューリップ栽培は、大正八年以来九十年の歴史があります。畑では不良株を徹底排除をし、収穫後は一球一球目で見て手で触れて球根のすれ合う音を聞いて優良球根を選抜、徹底して細やかな手作業が行われておりまして、いわば、水田転作による地域特産、この分野では全国の草分けであります。

 このチューリップを対象から外すというような話がある一方で、ビオトープとして特別天然記念物のトキのえさ場に活用している佐渡市の調整水田、これについては、食料自給率の向上には寄与しないけれども、こちらは助成対象になる。

 トキとチューリップの判断基準の違いは何ですか。

赤松国務大臣 順次お答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど、米が現実に余っているじゃないかと。それはそうでしょう。二〇〇八年米の米ですから、今までの制度でやってきたんですから、余っているのは当たり前です。さっきも言ったように、三十万トンから四十万トン余っているんです。(宮腰委員「今聞いたことにお答えください。時間がありません」と呼ぶ)いやいや、一応きちっと説明しておかないと、それが正しいと思われると困りますから。

 それから、チューリップのことにつきましては、実は、それぞれの地域地域の特産、あるいはそこの地域が今まで努力していろいろ工夫をされて取り組んできたこと、これは富山に限らず、各県にございます。現に富山の県とも地域とも農水省の方で話しまして、ちょうどさっきお昼休みに打ち合わせしてきたところですけれども、チューリップについても具体的な金額をもう決めました。球根一つどうこうということですね、決めました。ですから、転作のあれから外すということはありません。

 ただ、こういう場ですので、金額を個々にずっとまた言うというのはあれですが、とにかく、そういう形で加算をして、額まで決めていますよ、御安心くださいということだけ申し上げておきます。

 それから、トキの話というのは、トキというのはこのトキですか。(宮腰委員「そうです」と呼ぶ)ちょっと僕、聞き取れなかったので、もう一回質問していただきたい。

宮腰委員 この話を申し上げたのは、対象作物、地域特産、これをどう評価するかということと、具体的に何を対象とするのかについて、実はその場しのぎなんですね。基本的な考え方が、国の方針が定まっていない。だから、出たとこ勝負で決めていくという今のやり方なんです。

 自給率の向上はとても大切ですけれども、農業は食料ばかりではありません。花もあります。そういうものを地域特産として努力をしてつくってきた。そういう基本的な考え方、地域にあったやり方にしていくというところが欠けているということが一番問題なんです。

 次の、担い手、集落営農の問題に入ります。もう余り時間がなくなりました。(赤松国務大臣「トキ、いいですか。トキの答弁しなくていいですか」と呼ぶ)

鹿野委員長 どうぞ、質疑を続けてください。

宮腰委員 実は、先日、鳩山総理、公明党の井上議員に対しまして集落営農の組織化を後押しすると答弁されましたけれども、事業仕分けによって担い手アクションサポート事業が廃止になった。担い手や集落営農という表現が事業の名称から徐々に消えつつある。農水省の説明資料などでは、小規模農家を含めた意欲ある農家という表現に置きかわりつつある。こういう状況でありまして、実際の予算は総理がおっしゃったのとは違った方向に向きつつあると思います。

 三期目の食料・農業・農村基本計画の策定時期は来月に迫っております。担い手や集落営農をどのように位置づけるかの議論、審議会の企画部会では昨年十月十七日に若干議論があっただけで、その後議論された形跡は全くありません。さらに、審議会の正式な議題にはまだ一度もなったことがありません。

 そもそも、担い手あるいは集落営農、これはコンクリートではなくて人であります。人をどう育てるかという農政の核心部分がお粗末な状況では、とても期待できるような計画にはならないのではないか。担い手や集落営農を基本計画にどう位置づけるのか、米モデル事業と同様にすべての販売農家と同列に扱うのかどうか。大臣、お願いします。

赤松国務大臣 先ほどのトキの件は、非常に天然記念物としてあれなものですから、それはそれで認めるということにしています。

 それから、今の農業・農村政策審議会の方ですが、今、三月に向けて精力的にそれぞれの部会で、特に企画部会を中心にして御議論をいただいております。

 まだそれが出ていないのに、私がそれを待たずに確定的なことを言うのはいかがかと思いますが、お願いをしておりますのは、特に日本の将来、これからの農業を考えるときに、こうした土地の集約なり担い手の育成、集約農業、こういうことは必要なので、ぜひそれもきちっとこの計画の中に位置づけてほしいということはお願いしていますので、そういう方向は出てくると思っています。

宮腰委員 今まで一度も議題になったことがない、議論もほとんどされていないということで、三月末までに、人の部分、一番肝心な部分、担い手、集落営農をどうするのかということについて、しっかり議論ができるはずがないと思うんですよ。本当に詰めた議論をこれからしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、トキの話は、決してこれがよくないと言っているわけではありません。ただ、水田利活用自給力向上事業で助成するのは本筋ではないということを申し上げておるんです。生物多様性の維持あるいは保全という機能に着目をし、生産とは切り離して堂々と評価すべきだということを申し上げているわけであります。

 最後に、日米FTAについて総理にお伺いをいたしたいと思います。

 民主党、選挙前のマニフェストで、アメリカが求めてもいない日米FTAにつきまして、当初は交渉の締結と明記し、その後、交渉の促進と書きかえられました。農家ならだれでも知っている事実であります。戸別所得補償につきましても、これはEUの政策と同じように、諸外国からは貿易自由化の備えではないかと見られております。民主党の平野達男参議院議員も、昨年、和歌山県における民主党農政キャラバンにおいて、自民党農政には自由化に対する備えがないと批判をしておいでになりまして、民主党の戸別所得補償なら備えになるという趣旨の発言をしておいでになります。戸別所得補償は貿易自由化の備えになるのかということが、まず一点。

 もう一つ。隣国韓国、前の盧武鉉政権、政権末期になって、韓国側からアメリカに対しFTA協定の締結を申し入れ、政権交代前に急いで合意を取りまとめました。みずから悪化させたアメリカとの関係を修復するためでありました。しかし、締結から三年たった今でも、米韓両国とも批准はされておりません。現政権の不手際でさらに日米関係が悪化したときに、韓国の盧武鉉政権と同様に、アメリカとの関係修復の手段として国内農産物を犠牲にした日米FTAの締結を日本側から持ち出すことはないのかどうか。

 この二点について、総理からお聞きしたいと思います。

赤松国務大臣 日米FTAについてお答えする前に、先ほど、トキのあれは僕の言い方がちょっとまずかったのかもしれませんが、お金を直接出す助成対象とはしないんです。ただ、調整水田としてはその面積は認めますよ、そういう意味でございますので、先生が御指摘のように、トキをもしやるんだったら環境対策で、環境の貴重生物ということでやるべきだというのは、私もそのとおりだと思います。

 今のFTAの問題でございますけれども、私も、カークUSTR代表とかビルサックさんとも、今度も四月にまたお見えになりますけれども、会談をしながら、日本の事情をよくお話ししております。

 ただ、政権としてはあくまでも、アメリカに限りませんけれども、より多くの国々と貿易・投資の自由化を進める、そのための交渉を促進するというのが大前提でございますので、そういう趣旨でその促進に努めていきたいと思いますが、ただ、その際は、「食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。」ということを私どものマニフェストでも明記をしておりますし、衆参のそれぞれの委員会での、日豪のFTAにかかわることとして、当時の決議、これはアメリカの文言も出てきますけれども、そういう決議もございますので、そういうことを体して、それをしっかりと胸に持って交渉に当たっていきたい、このように思っております。

鳩山内閣総理大臣 今、赤松大臣から話がありましたけれども、私ども、まず、戸別所得補償制度というものを創設することによって農家の足腰が強くなるということは事実だと思いますから、そのことによって阻害要因になるということはない、そのように思います。

 それから、日米のFTA交渉は、それこそ現在、アメリカから望まれてもいないという話がありました。現実にそのような状況であります。そのようなときに無理押しするつもりは決してありません。しかし、一般論として、アメリカのみならず他の国々とも貿易の自由化促進というものを行うということは、お互いの国の国益につながるという状況が基本的にはあるわけであります。したがいまして、そのようなことも視野に入れる必要はあると思っておりますが、何か日米関係が悪化することを避けるためにみたいな発想で行動するつもりは毛頭ありませんから、御心配は要りません。

宮腰委員 終わります。

鹿野委員長 これにて宮腰君の質疑は終了いたしました。

 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明でございます。よろしくお願いをいたします。

 昨日、予算委員会の質問通告をした後に、あるニュースが飛び込んでまいりましたので、それについてまずお伺いをしたいと思います。

 まず、総理にお尋ねをいたします。

 きのう総理は、この予算委員会の中で、我々同僚の加藤紘一委員の質問に答えて、小沢幹事長の政治責任は当然あると答弁をされました。そのお考えは変わりはありませんか。

鳩山内閣総理大臣 これはそれぞれ、小沢幹事長の政治資金の問題で秘書が起訴をされたという事実があるわけですから、当然、そのことに対して、自分の元秘書がこのようなことになったということに対する責任というものは感じている、本人みずからもそのように申しておりますし、そのようなことだと。ただ、その責任のとり方というのはいろいろあろうか、そのように思います。

平(将)委員 変わりはないということだと思いますが、しかし、総理は、政治責任は当然あると答弁したわずか三時間後に、総理が野党のときは、舌の根の乾かぬうちにという言葉をよく使われておりましたけれども、三時間後に官邸で小沢幹事長と会談をして、小沢さんに言わせれば、頑張ってくださいとまで言って幹事長の続投を認められた。言っていることとやっていることが全く矛盾しているんではないでしょうか。一体、小沢幹事長にどのような政治責任があるとお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 小沢幹事長には、私から頑張ってくださいという言葉は申し上げなかったと思います。御本人の方から、このまま続けてよいかということがありました。幹事長をという意味だと理解をして、はいということで、その後、さまざま、参議院の議論などを申し上げたところであります。

 今申し上げたように、責任のとり方というのはいろいろあろうかと思っております。その基本は御自身がお考えになることだ、基本的にはそう思っておりますが、一方で、政権交代をこのような形で果たした、その思い、すなわち、国民の皆様方から、日本の政治を立て直してほしい、そのために力を注げという思いも一つの責任のとり方だ、そのように思っておりまして、その意味で、私は、幹事長をそのままお願いするというのが妥当だと判断をいたしたところであります。

平(将)委員 世論調査では、七割の国民が小沢さんは幹事長を辞任すべきだと答えています。さらに、五割の国民が幹事長のみならず国会議員もやめるべきだと言っております。

 総理はいつも国民の声に耳を傾けてということをおっしゃられますけれども、そういった意味からは、今回の、今の総理の御説明は非常にわかりにくい。責任があるとおっしゃった。でも、責任とけじめというのは私は一セットなんだと思います。これを不問にするということは、本当にわかりにくいんじゃないかなと思います。

 さらに言えば、私は、民主党という政党は政治と金の問題については非常にクリーンで、そして厳しい対応をとる、そういう政党だと最近まで思っておりました。国民の皆さんも、多分そういう思いがあったんだと思います。今回、政権交代をされた一つの要因には、やはり自民党的なものから新しい政治に変えたいという思いがあって、その中には、政治と金に対して、今までずっと野党のときに皆さんがおっしゃってきた政治と金に対する厳しさ、クリーンさ、そういった国民の期待があると思うんですね。それに対して、総理はどのようにおこたえをいたしますか。

鳩山内閣総理大臣 今委員のお話でございます、世論の声、すなわち国民の皆さんの声というものはやはり耳を傾ける必要はある、そのように思います。一方で、小沢幹事長には幹事長としてのというか、小沢一郎という個人としてのイメージというものがかなり先行されている部分もある、そのようにも思っています。

 したがいまして、一番大事なことは、小沢幹事長、いろいろと説明を記者会見などでされています、さらに、国民の皆様方の意識と、小沢幹事長、御案内のとおり、検察におきましては不起訴ということにはなった、しかし秘書が起訴されているという事実もある、このような状況の中で、御自身のことをさらに丁寧に説明されるということによって、その努力で、そのギャップというものを埋めていく必要があるのではないか、そのように思っておるところでございます。

平(将)委員 今総理も言われましたけれども、小沢さんは不起訴になりましたが、秘書をやっていた方が、現職の国会議員も含めてですけれども、元秘書も含めて三人も逮捕、起訴されたんですね。しかも、それに対して何のおとがめもない。そのことに対して、私は、国民はがっかりしているんじゃないかなと思います、正直申し上げて。

 そういった中で、私は、去年の夏の選挙は、まさに国民の皆さんは新しい政治を望んだんだと思います。ですから、皆さんが全力を傾けてやることは、その国民の声にこたえて、有権者の皆さん、皆さんを支持した皆さんと約束をしたことを一つ一つ確実に実行していくことであって、小沢さんのリスクを政権内に取り込んでしまって停滞をするということではないと思うんですね。

 ここは小沢さんにけじめをつけさせて、まさに国民が期待していることをやったらいいんじゃないですか。総理、いかがですか。

鳩山内閣総理大臣 まず、石川議員のことに関しては、本来、これは起訴をされたという意味でありますから、本人が判断をされるべきものである。党のこと、党務に関しては、幹事長に指導してもらうことになっておりますので、幹事長と石川議員との間で早く結論を出すべきだ、そのように思っておりますし、さらに、本人自身の身の処し方ということが十分でない、あるいは必ずしも国民の皆さんの思いとは違うということになるときに、党としての判断というものも当然出てくることだと思っております。

 私は、小沢幹事長にはむしろ、先ほど申し上げましたように、この問題に対して、当然大いに、国民の皆様方にもっと、説明が足らぬ、そのように思っておるところであろうかと思いますから、説明を尽くすことが大事だと思います。そして、できる限り国民の皆様方との意識のギャップというものを埋めることが大事である、そのように思っておりまして、あとは、国民の皆様方から負託された責任というものを大いに果たしていく、そして国民の皆様方のある意味でのお暮らしというものを守るためにもっと全面的に指導するという立場で努力をされることが政治家としての職分ではないか、そのように考えております。

平(将)委員 今、総理も、小沢さんの、もっと説明を果たすべきだといったお話もありましたので、ぜひ国会でしっかりとそれに対応していただきたい、代表として対応していただきたいと思います。

 また、政治と金について、本当にそういうことに対して厳しく追及をしてきた民主党に対して期待を寄せた国民の失望は大きいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 私は、東京四区、大田区選出でありまして、中小企業、特に物づくりの中小企業が集積をしているところでございます。そういった関係もあって、日々中小企業の経営者の方々とは頻繁に意見交換をさせていただいているところであります。そういうこともあって、また、私は今自由民主党の経済産業部会長という立場でもありますので、中小企業政策について、また金融政策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まずは総理、今、中小企業は大変厳しい環境にあるかと思いますが、総理の御認識をお伺いいたします。今、中小企業を取り巻く環境はどういうものか。

鳩山内閣総理大臣 私も、平委員の御地元であります大田区にも住んでおるものでありますから、そちらの中小企業の方々のところを何回かお邪魔したことがございます。

 大変苦しい状況である、一言で言えばそうだと思います。その原因などはもうこの予算委員会でさまざま議論されておりますから、そのことの原因は申し上げる必要はないかと思っておりますが、中小企業がこの国のある意味で礎であるにもかかわらず大変厳しい状況に追い込まれてしまっている、そして倒産の憂き目に遭う方々もかなり大勢おられるということも事実だと思っております。そこを何とか、やはりこの国の礎としてこれからも頑張っていただくために政府として何ができるかということを我々としても真剣に考えてまいらなければいけないと思いますし、前政権から私どもも引き継がせていただく中で、中小企業の問題も頑張っていきたいと思っています。

 中小企業の資金繰りの問題、金融的な支援の問題も一つあると思いますし、また、景気を根本的によくするというのが一番大きな話ではないかと思っておりますし、その中で企業の新たな雇用の創出というようなことにも力を入れることも大変重要なことではないかと思っております。町場の方々の思いというものをできる限り政府も酌み取って、それをある意味で使い勝手のいい形の支援策に高めていくことが肝要ではないか、そのように考えております。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

平(将)委員 今、総理もおっしゃられましたけれども、さまざまな要因が企業の倒産にはあるわけでありますが、直接の引き金は資金繰りが詰まるということなんだと思います。売り上げが落ちても赤字が続いても、資金繰りさえついていれば中小企業はつぶれません。例えば、毎月一千五百万円キャッシュが入ってくる、そうなれば、売り上げが幾ら落ちようと赤字が続こうと、会社はつぶれないんですね。ただ、そういうことは一般の社会ではありません。鳩山ファミリーの中ではあるかもしれませんけれども、一般の社会ではないんです。引き続いて一千五百万ものキャッシュを銀行が出す、そういうこともあり得ない、出資者が出すということもあり得ないんだと思います。

 ですから、金融機能がフリーズをした、機能不全になったときは緊急避難的な金融政策というのは極めて大事になります。それと同時に、やはり、ただただお金を出し続けるという政策もあり得ませんから、そこには一定の経済合理性が求められるんだと思います。

 そういった面からいろいろ議論をしてまいりたいと思いますが、まずは中小企業の予算について。

 これはマニフェストではありません、民主党のインデックス二〇〇九ということでありますけれども、中小企業の予算を三倍にします、中小企業の研究開発費を五倍にしますという記述があったかに思います。これは今回の予算はどうなっているでしょうか、経産大臣にお願いします。

直嶋国務大臣 お答えいたします。

 厳しい財政事情にあるわけですが、二十一年度補正予算と二十二年度予算を合わせまして、中小企業予算については一兆三千億円を超える額を確保するということで、優先課題として手当てをさせていただいております。

 今、民主党の政策集とマニフェストについての御質問がございましたが、私どもがマニフェストでうたいましたのは、中小企業向けの法人税率の話はマニフェストでうたわせていただきました。今の予算三倍と研究開発の強化は政策集ということで、これは誤解があるといけませんので御説明しますと、政策集というのはあくまでも民主党の考え方を政策としてまとめたものでございますが、その中から重点的な項目をマニフェストという形で、国民の皆さんとのお約束ということにさせていただいたという整理をいたしております。

平(将)委員 そうすると、このインデックスに書いてある中小企業予算三倍、中小企業研究開発費五倍といったことは、もう期待しないでくれ、そういう理解でいいのかということと、もう一つは、今大臣おっしゃられたマニフェスト、中小企業の法人税減税、一八%から一一%にする、これはマニフェストだと思います。これはどうなったのか。

 というのは、選挙のときに、私の選挙区は中小企業が多いものですから、物すごくこのマニフェストを評価した中小企業の経営者は多かったんですよ。だから、今まで自民党を応援してきたけれども、民主党のこの法人税減税はすばらしいといって、民主党に入れた方もたくさんいるんですよ。そして、ではこれがどうなるのか、今後どうやって実現していくのか、いつまでにやるのか、教えてください。

直嶋国務大臣 まず、中小企業の法人税率の引き下げでございますが、これだけで民主党に投票されたというわけじゃないと思っていますが、そのことは別にしまして、私どもは、このことはマニフェストで掲げさせていただいたことは事実でございます。

 それで、例えば来年度についてもどうするかという議論をしたわけでございますが、財政状況等もございまして、二十二年度の税制改正大綱において、「課税ベースの見直しによる財源確保などと合わせ、その早急な実施に向けて真摯に検討」するという旨を閣議で決定いたしておりまして、今申し上げたような議論をする中で、できるだけ早く実現をしてまいりたいというふうに思っております。

 それから、けさ方議論になりました工程表との関係で申し上げますと、これは朝の年金の保険料の流用禁止と同じで、財源を確保した上で四年のうちに実現をしていく、その政策に該当するということを申し上げておきたいと思います。

 それから、政策集の方の話は、これもやはり、やらないということではなくて、まさにそのときの状況を見ながら対応していきたいというふうに思っています。

 今、実は中小企業憲章をつくろうということで、中小企業をどのように位置づけて、これからどういう理念を掲げて取り組んでいくかということを、この不況を乗り越えた後、やはり一つの目標として提示をしながら政策を実行していきたいと思っていまして、そういうものとあわせて、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

平(将)委員 今、課税ベースを拡大して真摯に検討していくという、まさに役所の答弁みたいなことで。

 今マニフェストで、それはこれだけで選んでいない人もいますよ。ただ、マニフェストというのは意外と、マニフェスト集で自分に関係のあるところをよく見て、それで投票の判断基準にするという方が多いのも事実なんですよ。特に中小企業経営者は、ここに物すごく期待をしたんですよ。ですから、そんな課税ベースを拡大して真摯に検討するじゃなくて、マニフェストに載っているんだから、やりますと言ってくださいよ。

直嶋国務大臣 役人言葉で申しわけございませんでした。これは、税制大綱で取りまとめた文章をそのまま読ませていただきました。

 したがいまして、もろもろ財政事情等との問題はありますが、これは実行していきたいというふうに考えております。

平(将)委員 ぜひこれは実行していただきたいと思いますし、実行できないときは責任をとっていただきたいと思います。

 続きまして、中小企業金融についてお伺いをしたいと思います。

 中小企業等金融円滑化法案というものが年末にできました。私も中小企業をやっていましたので、やはり銀行が本来の役割を果たしていないじゃないか、そういう思いは亀井大臣と共有をしています。その上で、では具体的にどういう政策がきいていくのかといったところも含めて、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 当初、亀井大臣が、これは大臣御本人が使われたかどうかはちょっと私確認しておりませんが、モラトリアム法案だということがマスコミも通じてかなり話題になりました。私も、選挙区の羽田の中小企業の社長から、亀井大臣に頑張ってほしい、これをやればしばらく返済が猶予されるんだ、そうすれば経営も一息つくんだという電話をいただきました。しかしながら、モラトリアムというわけにはなかなかいかないから、社長、そんな期待しない方がいいよと私は言いました。

 今回、最初に出てきた、亀井大臣ががんと打ち出したいわゆる金融モラトリアム法案というイメージと、実際に出てきた法律、いわゆる努力規定を盛り込んだリスケジュール支援法案みたいなものになったと思うんですが、これは、亀井大臣、当初から、こういう法律でオーケーだ、こういう法律をイメージして出されたんですか。(発言する者あり)

亀井国務大臣 余りおかしなやじは飛ばさない方がいいよ。

 今、議員から質問がありましたが、私も、ある意味では、本当に言葉というのは難しいなと思った。モラトリアムというのは、これは猶予ということなんです、御承知のように。一編の法律で貸借関係をパアにしてしまうなんてことをやったら、資本主義社会だけじゃなくて社会生活が成り立たないのは当たり前でありますが、議員も御指摘のように、銀行が社会的責任を残念ながら果たしていない現実において、それをやはり果たさせていく、思い切って背中を押していく。

 残念ながら、金融庁の金融行政自体も、金融業務のいわゆる健全化、そういう面から、貸し付けが不良債権を抱えておるような、そういう状況を助長するようなことがないかどうかということにどちらかというとウエートを置いた検査監督になっておったために、本来であれば融資ができるのにしない、そういう状況が蔓延をしておりましたので、そういう意味で、思い切って背中を押す。

 それで、監督、検査マニュアルも同時に変えたわけで、相当思い切ったことを今度はやりまして、そうした社会的責任を果たしていない、いわゆるコンサルタント的な役割を貸付業務等の中で金融業が果たしていない場合には、それを実行している職員、社員、この勤務評定まで、これはきっちりとそれを取り入れて評価しようという、内部干渉と言ってもおかしくない、そこまで踏み込んだことをやったわけであります。これは本来、いいことではありません。しかし、現実が現実でありますから、そういうことをやった。

 ただ、これは、質問されたことにちょっと外れるかもしれませんが、残念ながら、猶予を相談すると新規融資をしてもらえないんじゃないか、そういう危惧も生まれてなかなか予定どおりな状況になっていないので、私は今度テレビで、きょうはテレビは入っていないんだろうけれども、国民の方に訴えたいのは、思い切って相談してくださいと。それに対して、金融機関も今は適切に対応するという気持ちにもなっていないから、ある意味では金融庁を怖がっているから、もしそれをやらない場合には、検査監督、今本当に厳しくやっておりますから、場合によっては業務改善命令、さらにその先まで行くということをやっておりますので、ぜひひとつ、どんどんと相談をしていただきたい。

 ちょっと先まで言っちゃいましたけれども、そういうことであります。

平(将)委員 先まで言ってもいいんですけれども、ちょっと答弁を短目にお願いしたいと思います。

 問題意識は、やはり本来、銀行が社会的役割を果たしていないということと、我々自民党政権でも緊急保証というのをやりました、かなり思い切って。さらに、公的金融のセーフティーネット貸し付けというのをやりました。多分、私は、亀井大臣の問題意識は、信用保証、緊急信用保証と公的金融機関のセーフティーネット貸し付けだけではカバーし切れないところがあるから、今回のいわゆる民間銀行と民間企業の間の融資、債権のいわゆるリスケジュールを支援する、そういう法律で穴を埋めるという意識があったと思うんです。

 しかしながら、これからちょっと細かい政策論に入りますけれども、まずは、中小企業等金融円滑化法は、努力規定と報告義務、あと検査監督だと思います。それとあわせて、信用保証協会が、今回の法律のスキームにのっとってリスケをした場合、四割保証するということになっていて、銀行に対するインセンティブを与えているんだと思うんですね。

 しかしながら、では、この信用保証協会が四割保証するという企業、この企業はどういう企業が対象になるんですか。その保証協会から緊急保証、お金を借りている企業、公的金融機関からセーフティーネット貸し付けを受けている企業が、民間銀行からお金を借りていて、そこでリスケをしたいといったときに、この信用保証協会の四割の保証はつくんですか。経産大臣。

直嶋国務大臣 今お話があったように、信用保証協会の保証を使っているとか、あるいは、おっしゃったセーフティーネット貸し付け等を利用しているというケースは、いわゆる今の公的機関の方で既に保証はつけていますので、それのリスケの相談ということになりまして、これは例えば商工中金を初めとする公的金融機関でかなり対応しておりまして、昨年末あたりは前年に比べて大体三割ぐらいの金額的な増加をしたという報告を受けています。

 それで、御指摘の部分は、公的金融機関を使わずに民間金融機関のみから融資を受けている方のリスケということになります。(平(将)委員「いや、そこしか対象にしていないんじゃないか」と呼ぶ)今そうです。ただ、今お話ししたように、それ以外のところはかなり、既に我々の方の公的金融機関の方で手当てをしている。

 したがって、その穴のあいている部分について、今回、金融円滑化法で手当てをした、こういうことでございます。

平(将)委員 ちょっと話が行き違いになっていると思いますけれども、ある会社がありますね、それで資金繰りが詰まります、そうしたときに何をするかというと、では、信用保証協会、緊急信用保証があるから、ここは一番お金が出やすいです、ここからお金を借ります、もしくは公的金融機関からセーフティーネット貸し付けを借ります。お金に色はありませんから、どこでも多分経営者は借りたいところから借りてくるんだと思うんです。

 しかしながら、そういうところからお金を借りていたけれども、今までよくあるのは、緊急保証から借りた金を、今まで取引をしている銀行がここぞとばかりにそれを回収に入ったりする。さすがにそれはだめだということになったけれども、今度はその会社が、信用保証や公的金融機関からお金を借りたんだけれども、長年つき合っている民間銀行ともリスケをしたいと。リスケをしたいといったときに、そこに対して四割の保証をつけられるのか、つけられないのか。

 だから、今大臣の答弁は、それは、信用保証協会や公的金融機関とはリスケの交渉はできますよ、やれと言っていますよと。それはわかりますよ。それはわかるんだけれども、それとあわせて、民間の金融機関とリスケの交渉をしたときに、今回のスキームの四割保証が使えるかどうかをお尋ねしています。

直嶋国務大臣 これは民間金融機関と公的金融機関との融資の比率の大きさによって変わってくると思っています。今我々が言っていることは、そうやって併用されているところについては、できるだけ御相談に乗るようにしなさい、こういう指導をさせていただいています。

 ただ、おっしゃったように、民間金融機関の部分について、公的金融機関がそれを肩がわりするような形での保証をつけるというのは、これは一種のいわゆる旧債振りかえのような形になりますので、好ましいことではないんです。

 ですから、そういう手段にならないんだけれども、しかし、公的な資金繰りの枠も手当てをしておりますので、その中で御相談に乗って、対応できるところはできるだけ対応していく、こういう指導を今しています。

 あとは、民間のみからのところについて、さっきおっしゃったように四割をつける、こういうことです。

平(将)委員 では、できるということでいいですね、今の私の言ったこと。できるでいいですね、亀井大臣、うんうんとおっしゃっているから。

直嶋国務大臣 ですから、これは一〇〇%できるとは……(平(将)委員「いや、それはわかります」と呼ぶ)ええ。ですから、可能であるので、個別に窓口でぜひ相談していただければいいと思います。

平(将)委員 亀井大臣、できるでいいですか。

亀井国務大臣 この法律をつくるときに、経済産業省との間も、ある意味では一体となってつくったということがあります。

 今議員がおっしゃいました点がまさに一つのポイントでありまして、そういうことに対してすき間をきちっと埋めていく努力をしていくということで、経済産業省においても強い指導をしていただいておりますし、私どももそういう形で対応しております。

平(将)委員 両大臣、これは本当にありがたい話で、私、担当の役所と何回もこの話をしました。できない、このスキームではできないと三回も四回も私に説明しています。

 でも、今、両大臣が約束していただいたから、これはできるということで、政治主導でやってください。役人呼んで、どういう説明をしているんだと確認をしてください。そうすれば全部埋まるんですよ。効果が生まれるんですよ。ぜひお願いします。

 今回のこの法律のスキームの一番の問題はここなんですよ。官僚は、私に対してできないとずっと言った。でも、両大臣はできると言ったから、これはお願いいたします。

直嶋国務大臣 ですから、さっき申し上げたとおり、この類型について一〇〇%できるということでは……(平(将)委員「それはわかります」と呼ぶ)ええ。ですから、御相談いただいて、可能なものはとにかくやっていくという姿勢で臨んでおります。

平(将)委員 しつこいようですけれども、金融ですから、一〇〇%できるというのはないので、ただ可能だということは間違いないですね。はい、では、わかりました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 それはそれで、中小企業にとっては助かる話ですが、今度は金融の側からして、やはりある程度経済合理性がなきゃいけないですね。政府がこれをやれと言った以上は、政府がリスクをとってやるから民間は一歩踏み出せるということだと思います。

 ですから、今回、そういったことでは、経営改善計画の提出を一年間猶予した。これは中小企業にとってはいいことかもしれません。しかし、本来リスケジュールをするというのは、その企業が再生可能だからリスケをするわけですね。しかしながら、この経営改善計画一年猶予ということは、経営改善計画が出ない前に貸すということですね。

 では、それはどうやって担保をとるのか。それで、現場の銀行の人に聞いたら、売り上げが上がる予想があるとか、経営者がやる気がある、ガッツがある、そうしたら貸すんだというんですね。

 ここに私は経済合理性はないんだと思うんですが、これはどうやって、逆に、お金を貸す方のリスクとして、どう担保するんですか。

亀井国務大臣 残念ながら、金融庁の検査自体も、そういうことについて厳しい要件を求めておったために、すぐ不良債権区分に入れてしまうというようなことをやっておるために、そうしたちゃんとした貸し付けが行われなかった。おっしゃるように、これは改善計画等がぴしっと出た上でというようなことで要求しておりますと、実際はなかなか融資が行われないんですね。

 そこは、特に信用金庫、信用組合あたりになりますと、長い間、貸し手と借り手の間の人間関係、信用関係、いろいろな状況もあるわけでありますので、そういう意味で、金融庁の検査がそういう関係を無視して四角四面なそれを金融機関に対して求めておった、そういう弊害を除去するという意味においても、そういう処置をとらせました。

平(将)委員 これは、まあ確かにそういう側面があって、緊急的に融資をしないとつぶれちゃうということもあるんだと思いますが、それとあわせて、今、中小企業の経営支援というのを恐らくこれから政府は拡充していくと思うんです。ですから、それは経産省の管轄だと思いますが、こういった経営改善計画の作成を支援する、そういうところに補助を出していくという強化をして、余りこれはずるずるでやるとモラルハザードが起きますから、そういうのとあわせてやっていただきたいと思っております。

 そこでまたもう一つ、今回のこの法律で懸念をするのが、四割信用保証協会が負担をするということでありますけれども、私の埼玉の知り合い、青年会議所の先輩の経営者から電話があって、そこは優良企業でリスケをする必要はない、しかしながら、いつものパターンですよ、銀行から電話がかかってきて、リスケつき合ってくれというような話が来たと。そういうことがよくある。

 あともう一つは、銀行サイドに立ってみれば、基本的には、さっき両大臣はやられると言ったけれども、信用保証協会の保証とは別にプロパーで銀行と取引をしている企業を対象にしていたのがメーンですから、四割保証するんだけれども、信用保証協会にその企業のデータとかデータの蓄積がないんですね。そうすると、信用保証協会の目ききがほとんどきかないケースがほとんどなんですよ。

 そうしたら、では、銀行は、リスケをしなくてもいいようなところにリスケをお願いしたり、本来デフォルトするんだけれども、どうせ保証する信用保証協会にはその企業のデータの蓄積がないから、四割信用保証協会におっつけられるから、ではこれをやってしまえということで、本来守らなきゃいけないところではなくて、やらなくてもいい両わきをやっていく懸念があるんじゃないかと思いますが、その辺は、金融大臣、どうですか。

亀井国務大臣 今現実に起きている悩ましい問題の一つを議員は指摘されたわけでありますけれども、金融庁もこの実施状況の報告も求めますし、監督検査を行う中で、いわば点数稼ぎみたいな、そういうことをやるためにやるという金融機関もないわけではなかろうと思いますけれども、しかし、今、おかげさまで、私どもとしては、金融機関のある意味では経営姿勢そのものの変換を我々は強く求めておるわけでありまして、この法律の趣旨をきっちりと踏まえた、そうした融資活動をやってくれるように、我々は強く求めております。

 金融機関も、私は、そういう意味では、楽観的に言うわけではございませんが、相当姿勢が変わってきておることも事実であろうと思います。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

平(将)委員 あと、あわせて、今回、このリスケをする法案で、では、リスケジュールをしました、信用保証協会が四割を負担しますと。それで、銀行から見れば、亀井大臣ににらまれるのが怖いから、それをどんどんやろうという話になると思いますよ。そのときに、では、時限立法が切れた、そのころには返済が終わるのかどうかわからないけれども、それまでお金を借りていた、信用保証協会の四割の保証はなくなるわけですね、その時点で。

 そうすると、その切れ目ですね。時限立法としてこれを緊急避難的にやりました、では法律切れました、そのときに、亀井大臣が怖いからいっぱいリスケをしましたと。これが、債権が劣化をして、では次、借りかえは民間ではリスクとり切れませんよということになりかねないと思うんですね、その時限が切れたときに。それに対する対応は何かお考えですか、亀井大臣。

亀井国務大臣 このたび時限立法にした理由というのは、一つは、いつまでもこんな金繰りが厳しい状況が続くんだというようなメッセージを私は与えたくない。鳩山政権は、皆さん方に希望を与え、実現をしていく政権だ、私はこのように考えておりますから、そういう意味で時限立法にしたわけでありますが、状況によっては、まさにこれはあってはなりませんけれども、延長する場合も当然あると思います。

平(将)委員 まさにそれまでに経済をよくしなきゃいけないという話だと思います。経済成長戦略も十二月末に出されたから、これはどんどん議論をしていきたいと思います。

 それと関連して、これはちょっとだれか答えられる方でいいんですが、この法律のスキームで、ではリスケジュールをしました、返済猶予なりスケジュールを変更したとなると、本来、金融の世界ではその債権の格は落ちますね、リスクが大きいんだと。ただ、今回の法律の仕組みでやると、それは落とさない、この法律のとおりやれと。そうしたらリスケをしても債権の格は落としませんよというのが多分金融庁の判断だと思います。

 しかし、片や銀行は民間企業ですから、監査法人の監査を受けなきゃいけないと思います。監査法人は、役所はそうはいったって、経済合理性でちゃんと監査をして、これが正しいのか正しくないのかということをやるし、この企業は存続するかしないのかという判断をしなきゃいけないんだと思うんですね。そうしたときに、金融庁の判断でいけばこの銀行はオーケーだけれども、監査法人の監査でいったらこれは存続不能じゃないかというような、また裂き状態になるようなことは起きませんか、亀井大臣。

亀井国務大臣 そういう評価をやる監査法人がおるとすれば、その監査法人が私はおかしいんだと思いますよ。

平(将)委員 いや、これはさすが亀井大臣だと思いますが、かなり問題の多い発言だと思いますよ。

 これはどうも民主党政権全体に言えるんだけれども、やはりグローバルに動いているところもあるんですよ、好き嫌いに限らず。それで、ある程度経済合理性を持った財務諸表をつくらないと、その財務諸表は信頼ならぬとなるわけですよ。

 今後、銀行はやはり資本増強していかなきゃいけないと思うんですね。そういったときに、どうも金融庁の言っていることと会計監査法人のやっていることが違う。だったら大臣、責任持って会計監査法人の実務指針を直してくださいよ。

亀井国務大臣 今私どもがやっていますそうした方針は、現在の金融の情勢、経済の実体を押さえた上で私どもとしては行政をやっているという自信を持っておりますから、そういう意味では、監査法人が間違った判断をしていくことにはならないと思います。

 残念ながら、かつて、不良債権処理至上主義みたいなものが横行をしたことが、本来であれば存続していける企業まで店を畳まなきゃいけなかったという状況が起きてきた。そういう状況に対して、残念ながら、恥ずかしながら金融庁の金融行政も間違っておった。我々としてはそういう認識があるわけでありますから。今は金融庁の人は優秀ですよ、金融庁の職員は。過去は間違ったことをやりましたけれども、今は一生懸命やっていますから、御心配要りません。

平(将)委員 大臣、私なんかみたいな若い議員もやはり亀井大臣は怖いんですよ。多分、監督されている側はもっと怖いと思いますよ。

 それで、この間も言ったでしょう、亀井大臣、金融モラトリアムをやると言ったら銀行の株が下がった、そんなのは銀行の営業をしている資格ないんだと。でも、私は監督大臣としては不適切だと思いますよ。

 ですから、やはり経済合理性で動いているところはあるわけですよ、当然銀行もそう、会計監査法人もそう。亀井さんがどなってああと言ったら通っちゃうような世の中じゃ困るんですよ。だから、なおさら慎重に、亀井さんだろうが、だれかほかの大臣がやっていようが、なるほどそういうことかという制度設計を慎重にやってもらわなきゃいけないので、だみ声でだあっとどなって通しちゃうようなことはやめていただいて、慎重にやってくださいよ、その辺は、亀井大臣。

亀井国務大臣 これ以上慎重にやったら、私は政治家をやめなきゃいかぬのじゃないかなというように思います。

 あのときも言ったのは、金融機関が本来その社会的責任を果たしながら商売をやっていくのは当たり前の話であって、それをやらない場合は商売をやっている資格がないなんて当たり前のことを私は言ったわけで、そのことでもし株価が下がるとすれば、ああ、じゃ、その銀行はそれにたえるようなちゃんとした銀行じゃなかったということになるわけでありますから、投資家にとってもいいことじゃありませんか。

平(将)委員 大臣、そこまで言うなら、その銀行に対して指導しなきゃ。業務改善命令を出さないと。出したんですか。

亀井国務大臣 具体的な業務改善命令は、それはうちの金融監督、まさに業務そのものの中でこれはきちっとやっておることでありますから、もしそういう事態であれば、業務改善命令を出すこともあり得るし、免許取り消しをする場合だってあると思います。金融庁は今自信を持ってやっておりますから。

平(将)委員 だんだん政策論争から気合いの話になってきましたので、もう次に行きます。

 それでは、じゃ、どうしたらいいかという話をちょっと幾つか提案をしたいんで、ぜひ検討してください。与党の皆さん、内閣の皆さん、お願いをしたいと思います。

 まず、リスケよりは、やはり今信用保証やセーフティーネット貸し付けが、用意をしている、額はふやした、業種はふやしたと言っていますが、やはり政府のリスクをとる率を上げざるを得ないと思いますよ。それで、政府がリスクをとれるようにして、どこまでやるかは議論の余地があると思いますけれども、そうしない限り、なかなか今の状態は打破できないと思います。

 二つ目は、私は、預貸率。預金と貸出金の比率、分母が預金、分子が貸出金。要は、預金をいっぱい集めて、それを実際の本来業務の貸し出しにどれだけやっているかという預貸率という数値があります。これがめちゃくちゃ低いんですよ。

 それで、なぜ銀行は預金を集めていいか。銀行以外が預金みたいなものを集めたら出資法違反で逮捕されるんですから、銀行だけに与えられた特権なんですね。それは、企業にお金を貸すから預金を集めていいということになっているんだけれども、実態はそうなっていないですよ。預金を集めたけれども企業に貸さない。今はリスクが大きいから、国債を買っておこうといって国債をいっぱい買っている。それで、地方の金融機関は外資にだまされて仕組み債を買って大損したりするわけですね。

 であれば、例えば預貸率の数値目標を持つ。信金、信組だったら何割、地方銀行なら何割、メガなら何割という数値目標でいいんですよ、数値目標で。それが達成できなかったら、ちゃんと金融庁に説明してこいというような数値目標を持たせる。そうすると、これは貸さなきゃいかぬ、安易に国債を買っているとまた大臣に説明しなきゃいかぬとなれば、頭はまさに、コペルニクス的転回と言ったけれども、どうやったら銀行にいるその人間に、お金を貸すかという頭の切りかえをさせなきゃいけないと思うんです。

 そういうチャレンジをしている金融機関に対しては、例えば、金融機能強化法の増資のハードルを下げてやるとか、リスクをとって難しい金融商品を開発したら、チャレンジングな取り組みをしたら、そこに利子補給をしてやるとか、そういうやり方をやった方が私はきくんじゃないかと思いますけれども、どうですか、大臣。

亀井国務大臣 今委員御指摘の、本来、金融機関がやる業務をやっていないじゃないかという批判は、まさにそういう面があると私は思います。今、国債とおっしゃいましたけれども、そうした、楽にとは言いませんけれども、知恵も使わないで楽なそういうことで稼いでいくということをやり過ぎていると私は思います。

 ただ、問題は、産業活動をもっと活発化させていく、経済を躍動させていくということがなければ、金融機関も貸付先がないんですよ。そういう意味においては、やはり経済全体を躍動させていくという国の政策が基本的に必要である、私はこのように思っております。

 あとのことについては、今、金融庁はいろいろちゃんとやっているんですよ、委員も御承知のように。ちゃんとした中小企業、零細企業に対しての融資等をやって、そういう結果、万一、万一ですよ、資本が脆弱化するような場合には資本注入、これなんかについても思い切って予防的にさえやっていこう、そういう姿勢で今対応しております。

平(将)委員 もう時間もなくなりましたけれども、まさに金融でできるところというのはやはり限界があって、経済を成長させていかなきゃいけないと思います。

 菅大臣のところで、成長戦略を出されて、今まで成長戦略はいっぱい出てきたけれども、一個もうまくいっていないじゃないかと。では、どうするんですか、政治のリーダーシップですと。まさにそのとおりだと思いますよ。

 ただ、政治のリーダーシップを発揮するからにはいろいろな、処方せんというのは大体決まっているんですよ。ただ、政治的にハードルが高い、難しいということは結構あります。だから、そこはまさに総理の政治のリーダーシップで突破してもらわなきゃいけないんだけれども。でも、リーダーシップを発揮するには、やはり信用されていなきゃだめですよ、政治が、総理が。しかしながら、またさっきの政治と金の問題じゃないけれども、そういうところが、何だ、言っていることとやっていることが違うじゃないかということになると、これは、菅大臣のおっしゃった成長戦略、政治のリーダーシップだ、それがまさにキーワードだと思いますけれども、なかなかうまくいかないんだと思います。

 質問、三分の一も終わりませんでしたけれども、時間が来ましたので、あと続きは経済産業委員会でやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて平君の質疑は終了いたしました。

 次に、河野太郎君。

河野委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 国交省の馬淵副大臣にまずお伺いをしたいと思います。

 ここのところ大変問題になっております道路保全技術センターという天下り団体が行ってきた道路の空洞化調査でありますけれども、これは、全く調査をする技術がなかった団体が技術があると偽って行った、いわば詐欺的なでたらめな調査であるということでよろしいでしょうか。国交省の見解を。

馬淵副大臣 河野委員にお答えをさせていただきます。

 これは、財団法人道路保全技術センターが平成二十年度に実施した路面下の空洞調査につきまして、技術がない、ずさんなものだったということの御指摘である、このように承りますが、これにつきましては、東京国道事務所発注業務の検証を行いました。そして、その報告書で、私どもとしては、これは粗雑である、過失による粗雑業務であると判断をいたしました。

 以上でございます。

河野委員 ちょっと待ってください。単に調査が雑だったということなんですか。

馬淵副大臣 具体的に河野委員にお答えをさせていただきます。

 これは、粗雑であったというこの中身に関しましては、委員がよく御存じだと思いますが、報告すべき空洞、これらの異常信号、これは未報告であります。また、空洞の可能性がある箇所で調査を未実施、実施していなかった。また、空洞ではない箇所を空洞と判定していた。さらには、業務報告書で誤記等の多数の誤りがあった。現地調査の結果、見逃された空洞を、これも新たに確認したということであります。

 これは、私どもとしては業務は大変粗雑であるということで、今私が粗雑という表現を使いましたのは、私どもとしては、こうした検証の結果を踏まえて、関東地方整備局でこの財団法人道路保全技術センターに対しては二月五日より五カ月間の指名停止措置を講じました。この指名停止措置を講じた理由が、私どもで定めております指名停止措置要領、これに基づくものでございまして、措置要件としては過失による粗雑業務に該当するということでございます。

河野委員 今副大臣がおっしゃったこの道路保全技術センターの調査は、東京管内、東京都内の国道十五号線、短い区間で三十カ所の空洞をすべて見逃した調査であります。品川駅周辺あるいは八ツ山橋では、まさに崩落寸前のものが第三者委員会で発見されて、修復をされました。つい先日、静岡県静岡市清水区では、高さ一・六メーターの、人間が歩いて通れるぐらいの大きな空洞が道路下にあるのが再調査で発見されました。

 今、副大臣は粗雑な調査とおっしゃいましたけれども、このセンターにこの調査をやる能力がないことは国土交通省は事前にみんなわかっていたんです。

 なぜならば、私がこの問題を取り上げたきっかけは、国道事務所からの内部告発だったわけです。今まではこのセンターが随意契約で受注をしていたけれども、すべてこのセンターが事業にタッチせず民間の企業に丸投げをしていた。国道事務所は民間企業と直接打ち合わせをやっていた。随意契約がいかぬと言われたので競争入札になって、今までやっていた民間企業が入札に入ってきた。しかし、国土交通省は、何かわけのわからぬ点数方式だといってこのセンターに全部受注をさせて、その結果、ほぼ、ありとあらゆる調査で空洞が見逃されている。それだけではない。空洞が見逃されて数が少ないじゃないかと指摘されている区間で、ない空洞をあるかのごとく報道をして捏造をしたんですよ。

 きょう予算委員会でこの質問をやりますということを申し上げましたら、いろいろな地方整備局や国道事務所の方から直接間接に、頑張ってください、そう言われました。今の国土交通省は、現場がそういう問題を抱えて直面しているにもかかわらず、その問題が真っすぐ上に上がらないじゃないですか。総理が一生懸命、命を守るんだと力説をされても、副大臣まできちっとした情報が伝わらないじゃないですか。

 副大臣、これが本当にセンターの粗雑な調査だと思いますか。それとも、センターに能力がないのにもかかわらず、国土交通省がわざわざここに受注させた調査だと思いませんか。

前原国務大臣 私が野党のときに質問をしていたことと全く同じ質問をされております。おっしゃるとおりです。

 それで、私は野党のときに、この道路保全技術センターは自分たちで仕事ができていない、そして丸投げをしていて、能力のある民間企業にこれをゆだねていた、こういうことでありまして、先ほど馬淵副大臣が言いましたのは、報告書が粗雑である、業務には瑕疵があってめちゃくちゃだ、こういうことであります。

 そして、私の判断で、この道路保全技術センターは解散をいたします。これはもう記者会見をいたしました。そして、空洞化調査はやらせない。そして、MICHIというデータシステムもやらせない。そして、去年の末に天下りの理事長は解任をする、やめるということでございまして、三年以内にこの財団法人は解散をいたします。

河野委員 初めて国土交通省がこのセンターには能力がなかったということをお認めいただきまして、ありがとうございます。最初に指摘をしてから、昨年の五月から一年近い歳月がたっております。

 それでは、このセンター及び理事長に対しまして刑事責任を問う告発をするのか、あるいは損害賠償を求めるのか、お答えください。

馬淵副大臣 河野委員にお答えをいたします。

 損害賠償ということでございます。

 まず、損害賠償につきましては、道路保全技術センター、ここに対しまして、当然ながら、今日までこの調査についてさまざまな問題が起きております。これを改めて再調査を行う等、余分な費用もかかっております。こうしたものに関しましては整理を行って、当然ながらに損害賠償等の準備を進めているということでございます。

 そして、その責任者の理事長にということでありますが、この理事長は発注者の代表ということになりますので、当然ながら民事上可能な対応ということを現時点において検討しているということでございます。

河野委員 各地方整備局がこのセンターの指名停止をすることになる、幾つか指名停止が行われたと思いますが、指名停止の期間が五カ月でございます。談合でも六カ月というところなのに、なぜ、こうしたでたらめな調査をやり、命を危険にさらして、その結論が放置されているままのセンターの指名停止がわずか五カ月なのか、御説明ください。

馬淵副大臣 河野委員の御指摘のように、大変危険な状況を見過ごしたその責任ということで、これは十分に私どもも理解をしておりますが、一方で、この道路保全技術センターの行った業務、これに対する指名停止等の措置を行う場合に、私どもとしては、一定程度これを規定する要領を定めております。指名停止措置に関しましては、指名停止措置要領というものが定められておりまして、そこに、過失による粗雑業務と先ほど私申し上げましたが、これが認定をした日から一カ月以上、六カ月以内という定めがございます。今回、この指名停止、非常に重大なものであると言わざるを得ないというところから、私どもとしましては、これを五カ月間ということで定めさせていただきました。

 今、河野委員からは、六カ月、こういったものもあるではないかという御指摘もございますが、現在、検証もまだすべて終わってはおりません。私どもとしては、粗雑の程度が大きいということから、三カ月を基本として、報告内容の検証作業に膨大な時間を要しているということから一カ月加算、さらには、センターの分析力を疑わざるを得ないということから、センターに補修そのものを請求することができないということから、別途再発注が必要だ、こうした必要性を生じさせたことによって再度さらに一カ月加算、このように計算をし、五カ月間の指名停止といたしました。

 しかし、今申し上げましたように、まだすべての検証は終わっておりません。すべての検証が終わる中で、これらが改めて問題であるとなれば、当然ながら、この最大期間の指名停止ということも十分に可能性があるということを申し上げさせていただきます。

河野委員 このセンターの理事長ら、昨年の十二月に解任をされておりますが、この理事長が、同じ国土交通省が所管をする幾つかの公益法人の役員に横滑りをしております。トンネル技術協会の会長であったり道路協会副会長であったり、あるいは名古屋で行われる舗装アスファルトの国際会議の実行委員長であったり。

 これだけの責任のある人間が、しかも国土交通省が民事的な措置を講じようと準備をしている人間が、国土交通省の所管をする公益法人の役職に横滑りをしているのを見逃しているのはおかしくありませんか。

前原国務大臣 先ほどお答え申し上げたように、十二月末で退任をしております。そして、今委員がおっしゃった役職については、その前から、自民党政権のときからずっとついているものでありまして、横滑りではありません。

 これから我々は、千百十三の公益法人、仙谷大臣のところでもされるかもしれませんが、我々自身で全部仕分けします。そして、民間と争っているところはゼロベースで見直す。民間でできることを公益法人がやる必要はありませんから、そういう観点でやっていきますので、そういう横滑りをしているところにももはや必要がないということになります。

 それから、先ほどの指名の話でありますけれども、私が先ほど申し上げたとおり、何カ月であろうと、もう空洞化調査はやらせません。三年以内で解散をする、こういうことであります。

河野委員 幾つかの、この人物のついた役職は、十二月に再任をされております。そして、ほかの公益法人と違って、このセンターが行ったことは明らかにでたらめな詐欺まがいの調査であって、しかも民事的な措置を国土交通省が講じようとしてるときに、ほかの公益法人と同じときに措置をするというのはおかしいんじゃないでしょうか。少なくとも、この人間に対しては何らかの形で役職から外すことに国土交通省が動かなければおかしいのではないでしょうか。

前原国務大臣 今、十二月の末以降で再任されたと言われましたか。それは違いますね。我々が今得ている情報では、平成二十一年五月二十七日、これは社団法人日本トンネル技術協会会長、それから社団法人日本道路協会の副会長には平成二十年五月二十七日再任、そして社団法人日本道路建設業協会理事、平成二十年六月一日理事再任ということで、やめられた後に再任ということはございません。

 いずれにしても、おっしゃっていることは我々が野党のときに申し上げていたことであり、天下りはなくします、そして民間と競合している公益法人はゼロベースで見直す、その第一歩としてこの道路保全技術センターというものは解散するということでありますので、天下りも含めて徹底的にこの点はやらせていただくということを皆さん方にお誓いを申し上げたいと思います。

河野委員 そうすると、この人物はしばらくの間、公益法人のトップであったり、副会長であったり、理事であったり、実行委員長であったり、あり続けるわけですか。

前原国務大臣 きのうも、みんなの党の江田議員が同様の趣旨をおっしゃって、民主党は天下りをなくしていない、公約違反だというふうにおっしゃいましたけれども、再任の時期が来たときに全部そういったものについては見直しをして、そして再々任はしないということでやっております。

 それまでにやめろという御趣旨かもしれませんけれども、再任が来たときにやめさせていただきますし、これは言い過ぎかもしれませんが、河野議員がそうおっしゃるのであれば、何で自民党のときにやっておかなかったのかな、そういうことだと思います。

河野委員 自民党のときに本来ならやらなきゃいかぬという御指摘は、そのとおりでございます。私もじくじたる思いで、事業仕分けその他、ずっとこの問題を昨年の五月から言い続けてまいりました。そういう意味で、前原大臣、馬淵副大臣の御努力には感謝を申し上げたいと思いますが、やるならばやはり徹底的にやらにゃいかぬというふうに思います。

 この問題は、国土交通省の道路局長が、先般の仙谷大臣の指揮下で行われた事業仕分けの中で、センターが一つ二つ空洞を見逃していたかもしれないがというような趣旨の発言をされております。

 この問題が問題として存在をすることは、平成二十年の発注当時からわかっておりました。昨年の五月にこの問題を指摘して、当時の金子副大臣が銀座で視察をしていただいて、明らかにこの問題があるねということがわかってからも、国土交通省はずっと隠ぺい工作をしてまいりました。少なくとも道路局長までこの話は御存じであって、道路局長以下、隠ぺい工作に加わってきたわけであります。

 国土交通省の政務三役は、この道路局長以下、隠ぺいをしようとしてきた官僚に対してどのような措置をとられますか。

馬淵副大臣 河野委員にお答えをいたします。

 まず、局長の、一つ二つという発言でございますが、これは事業仕分けの現場で局長が発言したものであります。

 これについては、局長の発言、一つか二つあってちょっと問題だったかなというところもございますという発言でありますが、これについては、専門家委員会の検証の結果の中で述べたものでありまして、これは事実、委員会での立証、その検証を行った中で、その時点において確認されたものというものが空洞二カ所ということで、事実とこれが違っているということではないというふうに理解をしています。

 しかしながら、河野委員が御指摘のように、果たして国土交通省の中で、再三、野党時代に我が省大臣も質問をされておりました、また河野委員からも指摘をされてきたこの問題について、隠ぺい、隠匿の事実があったか否かについては、私どもとしては、それを正確に今把握はしておりません。

 この問題については、これは当然ながら大臣と御相談をして、政務三役の中での議論も必要でございますが、隠ぺい、隠匿の事実があるのか、これは外形的にも客観的なエビデンスも含めて隠ぺい、隠匿の事実があるのかということについては、今後省内で調査も含め検討させていただくことが必要かというふうに私は個人的には思っております。

 以上でございます。

河野委員 今の最後は、個人的な御意見ですか、役所の方針ですか。

前原国務大臣 河野委員おわかりだと思いますけれども、役人が悪いのではなくて、政治がしっかりグリップできるかどうかということが私は大きな問題だと思っておりまして、そういう観点から、民主党政権では、政務三役、しっかりとグリップをしながら、我々の方針に従って仕事をしっかりやってもらうということであります。

河野委員 ということは、隠ぺい工作をしていた役所の人間は見逃されるということですか。

前原国務大臣 それについては、先ほど馬淵副大臣から答弁をさせていただきましたように、内部で調査はいたします。

河野委員 ぜひ、きちっと調査をしていただいて、対処をしていただきたいと思います。

 千葉法務大臣もいらっしゃいますが、実は法務省でも同じ問題がございます。我々、与党時代に直せなかったことで、これもじくじたる思いがございますが、法務省傘下の民事法務協会というところが全く同じような天下りに対する受注をやり、それを役所が一体となって発注をしている、この問題がございます。ぜひ、法務大臣を初め、この問題にも手をつけていただきたいと思います。

 もう一つ、国土交通省関係の話を伺いたいと思います。これは国土交通大臣。

 昨年末、新しい観光庁の長官が任命されました。大臣が任命をされたと思いますが、この新しい人物のどこを評価して任命をされたんでしょうか。

前原国務大臣 溝畑観光庁長官を任命させていただきましたけれども、我々、今観光行政は三つの点で飛躍をしていきたいというふうに思っています。

 一つは、海外からのお客さんを飛躍的にふやしていくということ。二つ目は、休日の平準化というものをしっかりとやる中で、国内の観光需要を大きくしていくということ、パイを大きくしていくということ。そして三つ目は、他省庁と連携をしたあらゆるツーリズム、例えばメディカルツーリズムとかアグリツーリズムとか、そういったものをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

 この溝畑さんという方は、自治省におられて、大分県に出向されて、そして大分県庁から、いわゆるサッカーチームをプロサッカーチームにしていくということで、ゼロから大分トリニータというものを育て上げて、そして社長になられた方でございます。当初三人ぐらいのサポーターが、平均二万人の観客数を誇るところまで、みずからセールスをして築き上げられた方でございまして、その馬力、手腕、開拓力、こういうものに期待をしております。

 恐らく河野議員が指摘をされているのは、去年、このトリニータが経営的に落ち込んで、その失敗の責任をとってやめられた人間をということだと思いますけれども、今までの経歴と馬力と、そして今観光行政を飛躍的に大きくしていかなきゃいけないというところで、その爆発力を期待して任命をさせていただきました。

河野委員 この人物は、今大臣がおっしゃった大分トリニータというJリーグのクラブを極めて莫大な債務超過の状態に陥れ、しかも粉飾決算まがいのことが行われていて、債務超過の額をしばらく確定をさせることができなかった。今やこのクラブは、存続が風前のともしびという状況になっております。

 大臣は、この人物を任命するときに、そのクラブがそういう状況にあったことを御存じで任命したんでしょうか。

前原国務大臣 経営的に大変厳しい状況だということは存じ上げておりましたし、その粉飾決済まがいというのが本当なのかどうなのか、それは確かではありません。

 しかし、先ほど申し上げたように、たった三人から、平均二万人の観客数に育て上げて、そして、ナビスコ杯ですか、優勝をするというチームに育て上げられた。そういった、言ってみれば、みずから開拓しながら育て上げた経験、実績というものを期待して任命をさせていただきました。

河野委員 サッカークラブの経営者の最大の責任は、安定した経営基盤をつくり、そして強化をきちっとできる、そういう土壌をつくるのが経営基盤であります。

 役所から、しかも自治省から天下って県に行った人間が、県知事のバックアップをもらって、なおかつワールドカップを大分にも誘致するんだという動きに乗って莫大なお金をもらってやったことが、どうしてゼロからのスタートなんでしょうか。

 そして、一度ナビスコカップで優勝したからといって、莫大な借金を抱え、しかもそれを返す当てもないままに、大臣から観光庁長官の打診を受けて、一人だけパラシュートをつけて、落ちていく飛行機から飛びおりた。そういう人間が観光庁長官ですといって、本当に観光庁という組織が信頼されるんでしょうか。

 もし大臣が仮に大分トリニータの経営者で、十億近い債務超過になって、このままいけばクラブは消滅をする、Jリーグの各チームがなけなしの金をはたいて積み上げた基金の大部分をここが使わなければいけないというときに、パラシュートをオファーされたら、大臣、そのパラシュートを受け取りますか、それとも別の道を選びますか。

前原国務大臣 二つの点で、言葉、事実認識が違うと思います。

 大分県に天下りではありません、出向したわけです。天下りというのは、例えば、定年前に早期勧奨退職で、そしてポストにつくというのが天下りであって、自治省にいて、そして大分県に出向された、こういうことであります。

 もう一つは、事実関係として違うのは、助け船を出したのではありません。責任をとってやめられた溝畑さんに私が声をかけたということでございまして、助け船を出した、パラシュートを手渡したということではありません。(発言する者あり)

河野委員 この人物は、Jリーグの最後の試合の後、大臣からオファーをいただいた。つまり、大分トリニータが存続できるかどうか、いわば危機の真っ最中にあるときに大臣から声をかけられて、その何日か後にやめてこのポジションをとっています。

 もし大臣がその人物で、観光庁長官をやらないかと言われたら、債務超過で存続が危ぶまれている大分トリニータを捨てて、観光庁長官ポストを大臣ならとりますか。

前原国務大臣 先ほど議席から幼なじみじゃないかという話がありましたけれども、京都の人ではあるけれども、幼なじみでは全くありません。私は、国会議員になって十年ちょっとたってからその方を知ったということで、全くそういった勘ぐりは、議席からでもやめていただきたいと思います。

 それと、今のお話でありますけれども、私は、観光というものになぜこれだけ力を入れていくかというと、財政を使って……(河野委員「大臣、まず質問に答えてください」と呼ぶ)その前提で今お答えしています。

 財政を使ってなかなか景気刺激というのはできないけれども、観光というのは、インバウンドをふやしたり、あるいは平準化をしたりということは、これは財政に頼らない景気刺激策、成長戦略にも柱の一つとして入れてもらいました。

 こういうものには、私は、今まで本保長官というのは一生懸命やっていただいたと思いますよ、評価をしています。一部の新聞では更迭かという話がありましたけれども、更迭ではありません。民間のそういった力で、頑張られた方の力を私はかりようとしたわけであります。したがって、やめられた後に私はオファーをしたということであります。

 私がそのときに呼ばれて、逆の立場だったら受けるかどうか。それは、私がそういう立場に立ったときに判断をすることだと思います。

河野委員 後ろめたいと思っているから答えられないんじゃないんですか。もし自分が大分トリニータの社長で、トリニータの存続が危ぶまれているときに観光庁長官のポジションをオファーされて、私は大臣が行くとは思いません。

 要するに、その程度の人物を、幼なじみかどうか、そんなのは知ったことではありませんよ、やじに一々答えないでください。適している人物かどうかというのをどうやって判断したのか。一つの企業すらまともに経営できない人物が、日本の観光産業のトップをとれると大臣は思っているんですか。

前原国務大臣 まず観光庁長官の任期は二年間、結果を出すということで頑張っていただきたいと思っております。

河野委員 この人物が大分トリニータを辞任したのは十二月十二日です。インタビューの中で、最後の公式戦の後、大臣からオファーをいただいた、十二月五日です。やめる前に大臣から声がかかっているじゃないですか。大臣から声をかけてもらってからやめているんですよ。結局、おっこちていく飛行機の中でパラシュートを渡されたから、自分一人それをつけて飛び出したんです。そういう過去のある人間が、本当にこれからの日本の観光産業をしっかりと立て直そうとするんだったら、その人間が人間として本当に信頼に足るんだということをどこかできちっと示してもらわなければならないんだと思います。

 私は、失敗した人間だからだめだと言うつもりはありません。失敗した人間がどこかできちっと再チャレンジをして成功するチャンスが与えられるべきだというふうに思っております。しかし、極めて不可解な企業経営をやり、天下りか出向か裏下りか、それは何だかよくわかりませんけれども、役所の威をかりて自治省から県に行って、知事の威をかりて金を集めて、結局その企業を債務超過にした、やはりその責任は重いんだと思いますよ。だから、そのポジションになったときにあなたはどうしますか、そういう質問に答えられないじゃないですか。

 結果を出せというなら、この二年間の任期、この長官に何を達成してもらおうというんですか。そして、この長官以外にどういう人が長官としての候補になったのか、それもあわせてお答えください。

前原国務大臣 ぜひ大分へ行ってお話を聞いてください。

 知事の威をかりて、大分はまだまだ経済的には、大きな企業、工場もありますからそれなりの経済発展はしておりましたけれども、やはり一地方都市で、いかにお金を集めて、スポンサーを集めて、平塚ベルマーレをやっておられるからわかるでしょう、そういうもので大変だったか。それを、ナビスコ杯まで優勝させる、その馬力を私は買っているわけですよ。

 そして、我々は、ポリティカルアポインティーですから、結果を出して何ぼの世界ですから、どうやって溝畑さんがそういった批判、それは批判が来るのはわかっていましたよ。それは、おっしゃるとおりに、いろいろな批判は今までありました。しかし、先ほど申し上げたインバウンド、平準化、他省庁との連携の中で、観光行政、予算もふやさせていただくように予算のお願いをしておりますので、どう結果を出すか、これが溝畑長官の私は手腕が問われていると思います。

 いろいろとほかの長官も模索をしましたけれども、名前を言うことは差し控えたいと思います。

河野委員 具体的に、この二年間何を達成してもらうのか、目標をきっちりお答えください。

前原国務大臣 先ほども申し上げましたように、インバウンドにつきましては、二〇一六年に二千万人、そして二〇一九年に二千五百万人、そして近い将来、その先でありますけれども、三千万人にするための道筋をつけていただくということと、そして平準化については、来年度社会実験ができるような段取りというものを、溝畑長官の二年目でありますけれども、してくださいということをお願いをしておりますし、それから他省庁連携については、さまざまな役所との連携の中で具体的なプロジェクトを立ち上げていただきたいというお願いをしております。

河野委員 任期二年なのに、なぜ二〇一六年の二千万人という数字が出てくるんですか。マニフェストだって、四年間でやるからマニフェストなんでしょう。最初の任期二年の中でこれを達成してくださいというお願いがないんですか。

前原国務大臣 自民党さんの目標は、二〇二〇年までに二千万人だったわけであります。短期的な目標はありませんでした。

 しかし、我々はこの一年で、六百七十九万人まで落ちていますけれども、何とか一千万人を達成しようと、二年ではありません、ことし、今年度何とか達成しようということで頑張ってもらおうと思います。

河野委員 きちっと、この人材登用が正しいものだったのかどうか、これからもしっかりと見てまいりたいと思っております。

 政治任用するのは、それは大臣の御判断でありますけれども、やはりこの人間をそのポストに任命する、そのときに周りがなるほどな、そう思うというのは、これは大事なことだと思います。何でこんな人間がそんなポジションになるんだという人事では、やはり物事はうまくいかぬでしょうし、痛くない腹を探られることにもなりかねないと思っています。

 私は、やはりきちっと適材適所を、何が適材適所なのかということをきちんと説明ができるように、終わってみてやはりだめでしたというのでは、これは取り返しがつかないことになります。この人間がやってだめだったのだったら、それはしようがなかったのかもしれませんが、この人間がやってもだめだろう、やはりだめだったというのでは、この二年を失うことになってしまいます。

 私は大臣が、意見は違いますけれども、八ツ場の話やJALの話や一生懸命努力されていること、その姿勢を評価してまいりました。しかし、この件についてはきちんとした説明を大臣はされてこなかった。批判があるのは覚悟しているとおっしゃいましたけれども、あえて説明をきちっとしてこなかったように私には思えてなりません。きちんと、この人事が正しかったんだということを二年後に思えるように、この人物には努力をしてもらいたいと思います。

 次に行きたいと思います。

 財務大臣、平成二十二年末に金利変動準備金はゼロになる、そういう予算だと認識してよろしいでしょうか。

菅国務大臣 そのとおりです。

河野委員 ありがとうございます。

 自民党の事業仕分けのときに、この準備金は要らないんだということを再三再四申し上げてまいりました。自民党内閣でできなかったのはまことに残念でございますが、そういう御判断をしていただいたことを素直に感謝申し上げたいと思います。

 その議論の最中に、モンテカルロ・シミュレーションによれば金利変動準備金が必要になる可能性もあるんだということを再三再四財務省は言っておりました。モンテカルロでもラスベガスでも構いませんけれども、万が一そういう状況になったときには、我々は国債を発行すればそれで対応できるではないかということを申し上げましたが、菅大臣の万が一のときの対応は、国債発行で切り抜けられる、そういうふうに思っていらっしゃるでしょうか。

菅国務大臣 結論は同じです。河野さんと同じ意見です。

 ただ、若干申し上げさせていただきますと、この財投特会を今回ゼロにしたのは、毎年生み出すものの少し先読みも含めてゼロにしたんですけれども、ある程度ここにお金をプールしておくことが財投特会のある種の信用を維持する上で必要ではないかという議論があります。財務省の事務方からもそういう話は聞いております。

 いずれにしても、私は、特別会計全般を今見直すということで、特にことしはその正念場だと思っておりますので、そういう意味では、その議論の中で、本当にそうしたある種のたまり金が必要なのか。今、河野委員が言われたように、余ったときには一般会計にかなり出しましたから、どうしても足らなくなったようなときには一般会計から繰り入れる、それには場合によったら国債を発行してでも繰り入れるということで対応できるのか、これは特別会計全般を見直す中でしっかり議論をしていきたい、こう思っております。

河野委員 その特別会計を見直すんだとおっしゃっている中で、先般の補正予算のときに、厚労省の雇用保険特会に三千五百億円を投入いたしました。これは極めて不可解でございます。

 平成二十一年度末に五兆円の残高が残っています。平成二十二年末に残高は四兆円。そして、雇用調整助成金に四千四百億円の繰り入れまでやって、まだ四兆円のお金が残るというところに、なぜ三千五百億円、補正で入れなければいけなかったのか。厚生労働大臣、お答えください。

長妻国務大臣 これについては、第二次補正予算で三千五百億円、国庫負担等にお認めをいただきましたけれども、これは過去、例えば同じ四兆円も積立金があったにもかかわらず、三年、四年後には本当にそれが枯渇をして、四千億円まで急に減少をした。そのときには、年度の途中ではありましたけれども、保険料を引き上げざるを得なかったということや、あるいは給付の期間を短くせざるを得なかったというようなことで、大変国民の皆様に御迷惑をおかけしたということでございまして、ある意味では、この特別会計というのは失業に備える一種の危機管理的要素もあるというふうに考えておりまして、私ども、今、雇用が大変厳しい中でこういう判断をした。

 と同時に、これは本来は四分の一が国庫負担、そういうルールがありましたけれども、一時期非常に積立金が高まったときに、四分の一のルールを変えて、それを例外として、もうちょっと国庫を減らそうということがありましたので、今回は、その四分の一のルール本来のものに戻すというようなこともあって、このお金をお願いしたところでございます。

河野委員 自民党の補正予算の中で、例えば基金というのがありました。数年間にわたるんだったら、そのときに一般会計から入れればいいじゃないかという議論で凍結をされたんだと思います。

 失業の状況が極めて厳しいのは現実でありますが、それでもこの二、三年でこの特別会計が枯渇するわけではありません。片や、金利変動準備金を一般会計に繰り入れるということをやっておきながら、なぜ三年も四年も先に足らなくなるかもしれない特別会計に三千五百億円を、今この国債を乱発している中で三千五百億円を入れなきゃいけないのか。そのわけを厚労大臣、教えてください。

長妻国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、大変雇用情勢が厳しいということで、過去のある意味では失敗だった、非常に予想外に積立金が急速に枯渇をして、年度の途中で保険料を上げざるを得なくなった、こういうことはあってはならないということと、国民の皆様にそういうことはないんだということを御安心いただくということも非常に重要な論点でございます。

 そして、先日法案の提出をしたところでございますけれども、雇用保険の加入要件というのが、これまでは六カ月以上の雇用見込みの方ということに限定されておりましたけれども、今後は三十一日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に入ることができる、こういうようなセーフティーネットの充実というのも考えているところでございます。

河野委員 厚労大臣、何年後に枯渇するという推計なんですか。

長妻国務大臣 これはいろいろなシミュレーションをさせていただいておりまして、ケースA、ケースB、ケースC、これはもう既に公表させていただいている資料でございますけれども、最悪の事態でいうと平成二十六年度に二千八百億円ということで、かつては四千億円まで下がったときに緊急事態だということで保険料を年度途中で上げるというような措置もお願いをしましたので、それより以前にやはりいろいろな措置が必要になっていくということで、これは最悪のケースでございまして、そういう意味では、A、B、Cというようなケースをシミュレーションさせていただいているところであります。

河野委員 菅大臣なのか仙谷大臣なのかわかりませんが、今度の特会の見直しは、最悪の事態が四年続いたらなくなるようなものの埋蔵金は認めるんですね。

仙谷国務大臣 まだそういう一般論、一般基準を立てているわけではありません。

 ただ、河野議員にちょっと申し上げたいと思うんですが、この景気の局面、経済の局面、そして雇用の問題というのは、今議員が想定になっているよりも危機管理的な要素を持って我々が臨まなければならないのではないか、そういう思考も腹のどこかに持っていなければいけないのではないかということを私どもとしては考えまして、ある種の念には念を入れた措置でございます。

河野委員 厚労大臣、四年後に枯渇するものに三千五百億円入れておいて、足らなくなるかもしれない雇用調整助成金にはここから四千四百億円繰り入れるわけです。なぜ素直に足らなくなるものにお金を入れないんですか。

長妻国務大臣 これは御存じのように、雇用保険特別会計というのは二つの勘定がございまして、今三千五百億円投入するというのは雇用保険の本体の勘定でございます。そして、今御指摘の雇用調整助成金といいますのは、雇用二事業というまた別の勘定でございまして、これはすべて事業主負担のお金で賄われている。そして、今回、雇用調整助成金の要件緩和というのを大幅にいたしましたので、それに伴って財源が必要になるということでそういう措置をした。

 そして、一般財源というか税金をなぜそこに直入しないのかということでございますけれども、これまでも雇用調整助成金については事業主負担のお金でやってきたということで税金は使っていない、こういう一つの原則がございますので、納税者の御理解が得られるのかどうかということもあり、そういう措置をした。

 そして、今回、今御指摘のように、本体部分からお金をお借りするというようなことについては、これは労使の中でも御理解をいただいて、事業主負担と従業員の負担ということも入ったお金としてそこで使わせていただく、こういうことになったわけでございます。

河野委員 仙谷大臣、特別会計のほかの勘定から来るのは税金じゃなくて、一般会計から入るのは税金、そういう仕分けなんですか。

仙谷国務大臣 雇用保険に関しては、従来から甚だ複雑なこういうやり方がなされています。

 これは、さっき長妻大臣が言った千分の三・五の、事業主だけが負担する、昔は雇用三事業と言っていましたか、この事業の資金をどのように使うのか。これは特別会計仕分けといいましょうか、あるいはいわゆる独法仕分けといいましょうか、大変専門的だけれども大胆に私どももやらなければならない、そして、事業主を初め国民の皆さん方にも判断をしてもらわなければならない領域だと考えています。

河野委員 もう一つ今度の予算でおかしいのが、JICAに対して九百五十億円の政府保証をつけております。これは財政投融資特会であります。しかし、JICAは利益の剰余金を五千九百億円持っております。これは金利の変動に対応するためだといろいろと役所は言うんですけれども、今まで過去を振り返っても、最大損失額は、一九八三年、二百九十五億円です。純損失が出たのは十一年間ですけれども、十一年分の純損失を合計しても千二十四億円にしかなりません。JICAが持っている五千九百億円の利益剰余金というのは明らかに大き過ぎます。

 また、JICAは千四百億円もの株式を保有しています。これは三十年前に、恐らく輸銀、JBICが投入をしたものだと思いますが、この千四百億円の株式をJICAが保有しているところというのは、日本のかなり大きな企業が株主になっている企業であって、今さらJICAがこの株式の保有をし続けるかどうか、これは恐らくその必要はないと皆さんおっしゃるんだろうと思いますし、逆に、JICAが株式を保有している、こういう企業にかつてのJBICから、これこそ天下りで役員が出ております。

 九百五十億円の政府保証をJICAにつけるんだったら、まずこの千四百億円の株式を売却し、そして五千九百億円の利益剰余金を取り崩して充てるのが先なんじゃないんでしょうか。国債発行高がこれだけ大きくなっているというときに、予算書を一目見てわかる、こういうものをしっかり取り崩してやるというのが正しい対処方法なのではないでしょうか。

岡田国務大臣 今、二つのことを御指摘いただいたと思います。

 最初は、JICAの有償資金協力勘定の五千九百億円の準備金の話であります。これについては、委員おっしゃるように、基本的には金利変動リスクに対処するものということでございます。

 今、過去には余り損失が出たことはないではないかということを言われましたけれども、JICAの円借款というのは最長四十年。現在、非常に低金利でありますから、もちろん、これは固定金利で最長四十年間貸すわけで、金利上昇局面になれば、それはかなりの損が出るということは十分に予想できるわけであります。そのことをどう考えるかというのが一つ。

 それからもう一つは、このお金は別に埋蔵金としてどこかに埋めてあるわけではなくて、実際に円借款の原資として使われている、現に使われているということであります。したがって、この準備金を取り崩してしまうということは、それだけJICAが自己調達を別の形でやって、そして貸し付けるという必要が出てくる。そのことと現在の準備金を使うということで、どう違うのかということだと思います。私は、公平に見て、現在のやり方を変える必要はないというふうに基本的に考えております。

 もう一点の千四百億円の株式の保有については、私はなかなかいい御指摘だというふうに思っております。

 JICAにJBICから移すときに一度株の評価をしておりますが、その評価に基づきますと、全部売ったとしても、そう利益が出るわけではない、まあ、ほとんど利益が出ない、最初に出したお金と余り変わっていない、これはプロジェクトごとにもちろん違うわけですけれども。しかし、利益が出るものもございます。そういったことをもう一回一つ一つ見直して、そして売却可能なものは売却する、そのことについては、その可能性を追求してみたいというふうに考えております。

河野委員 なれないものですから、時間配分がうまくいかずに質問を余してしまいました。古川副大臣を初め、申しわけなく思っております。

 どうもありがとうございました。終わります。

鹿野委員長 これにて河野君の質疑は終了いたしました。

 次に、高市早苗君。

高市委員 自民党の高市早苗でございます。

 まずは、閣僚の皆様、長時間お疲れさまでございます。そしてまた、この予算委員会で質問のチャンスをいただきました同僚議員の皆様にも感謝を申し上げます。

 きょうは、私は、外国人参政権の問題について総理とじっくり議論したいなと思っていたのですけれども、これまで、総理のお母様からの資金提供に関して、この予算委員会で質疑をされました我が党の所属議員から、どうしても総理の御答弁に納得がいかないという声が上がっておりますので、冒頭に数点確認をさせていただきます。

 これまでの予算委員会で、我が党の委員の質疑に対します総理の御答弁ですが、「検察の方が、すべての資料のもとで判断を下して、基本的に結論を出した。母からの部分に関しては基本的には違法性がないということも、基本的にそのように判断がされたと私は理解をしております」というものでございました。また、総理は、「脱税をしているなどという意識が全く起こるはずもなかったわけです。これは捜査の中でそのような贈与があるということが判明をしたわけであります。当然、贈与税、税が発生するわけでありますから、申告を申し上げ、納税を行ったわけでございます」、こう答弁されております。

 これに対しまして、何か検察の名を使って、みずからの行為は法的に全く問題ないということと、それから、すべて処理が終わっているということを主張されているようにも聞こえてしまいます。

 私は、検察が政治資金規正法の問題と贈与税の問題の両方に対して法的に全く問題がないと判断したとは考えにくいと思います。ただ、総理の答弁を聞かれた国民の皆様は、税務調査も終了し、納税額も確定し、そして納税も終わったと判断されていると思います。私自身も、御答弁を聞いてそう感じました。

 総理は、税務調査を、いつ、どこでお受けになられましたでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 高市委員にお答えさせていただきます。

 私の母からの資金提供に対して、まだ必ずしも釈然としていない部分があるというお尋ねだと思います。この前提のところは、いろいろと何度もお話を申し上げましたので省略をさせていただきたいと思いますが、国民の皆様方にはなかなか御理解をいただけていないものもあろうかと思います。

 勝場という、もとおりました秘書の弁護士から私の弁護士に対して、調べたところ母からの資金提供があったという話がありました。そして、そのことが検察のお調べの中でも判明をしてきたということでございます。

 そのことに関して私は全く知らなかったことだということでございましたが、しかし、そのような資金提供というものが事実だと判明をしたというわけでありますから、そのことに対して、これは贈与だ、私が借りたとかそういうことでは全くない、知らなかった話だということでありますので、これはやはり自分自身としては申告をして納税をするべきだということで、判断をそのような形でいたしたわけであります。

 税務調査そのものは今国税の方で行っているわけでありますので、最終的にそのことに対してどのような判断がされるかというのは、そこの調査を待つということでございます。

高市委員 税務調査は、今国税の方で行われていると。しかし、納税額は確定して、既に納税はされたわけですか。

鳩山内閣総理大臣 私は、この秘書の弁護士を通じて総額というものが、二〇〇二年から昨年の夏までということが判明をいたしました。それならばということで、これは早く国民の皆様方にも、自分自身として納税をすべきだという判断をいたしたわけでございまして、それはやはり贈与ということにみなすべきだと思ったものですから、そのことを、私としては自分の母から受けた提供の額に対して申告をして納税を行ったということでございます。

高市委員 では、税務調査の方はまだ続行中ということで確認をさせていただきます。だから、本件がすべて検察の捜査で何の問題もなく終了したということではなく、まだ調査が続いているということだと理解をさせていただきます。

 ただ、総理が御自分は知らなかったと繰り返しておられるのは、私は大変残念です。実際に御存じなかったのかもしれませんけれども。

 ただ、政治資金規正法というのはこんなに軽いものだったのかと思います。税に関してもそうです。国民は生前贈与を受けようと思ったら、本当に少しずつ、いろいろ苦労しながら、税理士さんに相談されたりなさりながら対応しておられます。もしも、これから納税者の間に、親が勝手にやったんだとか、自分は知らなかったんだとか、ばれたら、明らかになったら払えばいいんだ、そんなモラルハザードが起きてしまったら、これは大変でございます。

 私自身も、政治資金の収支報告、これまでは、自民党支部の代表も私自身ですし、政治資金管理団体の代表も私自身です。ほかの国会議員もみんなそうです。だから、自分を代表者として提出する書類についてはやはり自分が責任を持たなきゃいけないんだと思って、秘書に案をつくってもらった後、税理士が費目を分けてくれるんですけれども、最後は自分で夜中に電卓をたたいて検算してから、そしてまた自民党の奈良県連でさらにチェックしてもらい、奈良県の選管でもさらにチェックしてもらい、それで初めて出していたんですね。

 ところが、今回、総理の件も、それから小沢幹事長の件もそうですけれども、何か自分が知らなかったらそれでもういいんだということになると、そうやってみずから調査をしようという責任感が損なわれる感じがいたしますので、ぜひとも日本国のリーダーとして品格と矜持を持って行動していただきたい、それをお願い申し上げます。

 それから、我が党委員から提出を要求いたしております今回のお母様からの贈与に関する一連の資料も、一日も早く提出をいただきますようにお願いをしたいと思います。

 さて、私がとても楽しみにいたしておりました外国人参政権についての議論を総理とさせていただきます。

 まず、総理が代表を務めておられます民主党の基本政策は、「定住外国人の地方参政権などを早期に実現する。」と掲げております。

 また、総理御自身も御就任前から、「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」「外国人参政権は愛のテーマだ」「仏教の心を日本人が世界で最も持っているはずなのに、何で他国の人たちが地方参政権を持つことが許せないのか」と、外国人参政権の付与には積極的なお立場で発言をされております。

 さらに、先月一月十六日の民主党大会で、総理は、政府として法案提出を検討すると意思表明されました。また、二月一日の衆議院本会議でも総理御自身の積極的な思いを伺ったところでございます。

 私自身は、外国人参政権というのは、愛のテーマや仏教の心の問題ではなくて、日本国憲法と国家主権にかかわる問題だと考えておりますことから、きょうは反対の立場から質問をさせていただきます。

 まず、総理に憲法との関係について伺います。

 総理は、昨年十一月五日のこの予算委員会で、我が党の稲田朋美委員とこの問題について議論をしておられます。そのとき総理は、「主権は日本国民にあります。主権者としての国民の権利というものはしっかり守らなければなりません」とおっしゃいました。「しかし、外から外国人が来られて生活をされている、その方々の権利というものも当然守らなければならない」、こう答弁をされました。

 まず、「主権者としての国民の権利というものはしっかり守らなければなりません」とおっしゃいました。当然のことでございますけれども、憲法第十五条一項は、国民主権の原理に基づいて、「公務員を選定し罷免することは国民固有の権利である」と規定したものでございます。

 憲法というのは、そもそも日本国民を名あて人といたしております。憲法に定められたさまざまな権利の中でも、特にこの参政権というのは国家の存立、これを前提とした権利でございます。私は、その権利の性質上、参政権は国家の構成員にのみ保障されるべきものだと考えております。

 また、最高裁判決が、「地方公共団体は我が国の統治機構の不可欠の要素をなすもの」だとしておりますから、地方参政権も、日本国民たる住民にのみ保障された権利だと考えております。

 まさに参政権こそ、総理が「しっかり守らなければなりません」と言われた、主権者としての国民の権利そのものだと私は思うんですけれども、総理はどうお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 まさに、高市委員からお話がありました憲法十五条は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」ということで、いわゆる国民主権、選挙権に対する考え方が述べられているわけでございます。

 私は、今行われている、あるいはきょう行われる、永住外国人のいわゆる地方参政権、選挙権に関して申し上げれば、当然、国政に対しての選挙権というものまで付与するべきかどうかということにはまだ大きな問題がある、そのようには認識をしております。

 ただ一方で、先ほどお話がありましたように、平成七年の最高裁の判決、永住外国人に地方選挙権を付与することについてでありますけれども、我が国に在留している外国人の中でも、特に永住者で、その居住する区域の地方公共団体と特別に非常に密接な関係を持つに至ったと認められる方々に対して、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上においては禁止されているものではないと解するのが相当であると述べられているわけでありまして、したがいまして、まさに国の立法政策にかかわる事柄であると思っております。

 したがいまして、まさにこの場で、永住外国人の地方選挙権に関して、必ずしも私どもとすれば憲法に抵触するという話ではないという状況の中で、それを付与するか付与するべきではないかという議論は、国会の中で大いに議論をされて結論を出されるべきものだ、そのように考えております。

高市委員 最高裁判決、これの傍論を引いて、それで憲法に違反していないとおっしゃるのはとんでもない話だと思いますし、その傍論部分の根拠を主張されておりました長尾教授も、最近、それは間違いであるということを認めておられます。芦部教授が長尾さんの論文を読まれた上で、地方参政権は問題がないという立場でございましたけれども、そのもともとの根拠というものが今違った状況にあるということだけ申し上げます。

 それから、稲田議員への御答弁、二つ目のパラグラフですが、「外から外国人が来られて生活をされている、その方々の権利というものも当然守らなければならない」という御答弁でございましたけれども、私は、日本の国というのは、日本に住んでおられる外国人の権利も十分に守っているすばらしい国だと思っております。例えば、外国人も、日本に居住しておられる限り、生活保護を受ける権利も持っています。

 この問題は長妻大臣の方がお詳しいので、長妻大臣にお答えいただけたらと思うんですけれども、日本国内で生活保護を受けておられる外国人、大体何人いらっしゃいますでしょうか。それからまた、東京都区部に住んでおられる外国人の方が生活保護を申請されるという場合に、標準三人世帯、例えば夫婦と四歳のお子さんがいらっしゃる、こういう御家庭が生活保護を受けられるような場合に、生活扶助基準額は幾らでございますか。

長妻国務大臣 突然のお尋ねですので、生活保護の件については、御指摘のように、外国人の方でも、一定の要件があればそれは受けられるということになっております。その方が何人かということは、後日、数字をお出ししたいというふうに考えております。

 そして、その具体的な基準、水準でございますけれども、東京都内で、例えば、ちょっと今御指摘の数字はすぐには出ませんけれども、単身の高齢者で十数万円ということになろうかと思います。

高市委員 生活保護を受けておられる外国人、私が把握している範囲では五万千四百四十一人おられます。夫婦と四歳のお子さんが一人いらっしゃるというような三人標準世帯でいいますと、これは日本人と基本的に条件が一緒でございますから、十六万七千百七十円、生活保護を受け取れるんじゃないかと理解をいたしております。

 最近、鳩山内閣では、生活保護を受ける母子家庭の母子加算も復活されました。東京都区部に住む外国人の母子家庭で、お母さん一人と幼児二人、四歳、二歳といったお子さんがいらっしゃるような御家庭への生活扶助基準額というのは十八万二千九百円でございます。

 そしてまた、鳩山内閣肝いりの子ども手当、これも日本に住んでいらっしゃる外国人にも適用されると伺っております。

 それから、高等学校無償化、これも基本的に、各種学校の認可を受けている外国人学校には適用される方針だと伺っております。

 また、難民認定を外国人が受けられたような場合でも、外国人の御夫婦と中学生、小学生四人家族であったら、生活費と宿舎借料ということで月額二十一万七千五百円保護費が受けられるということです。

 ですから、私は、日本は、日本に住んでいらっしゃる外国人にも、特に生きていく権利ということでは十分に対応している、すばらしい国だと基本的には考えております。

 ただし、先ほどから申し上げているのは憲法の論議でございます。憲法の名あて人というのはさっきも申し上げましたとおり日本国民でございますから、憲法が保障する権利は日本国民に保障されております。今申し上げましたような生存権を保障する憲法第二十五条、これも基本的に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」といたしておりますので、この二十五条の生存権も日本国民のみを対象としたものでございます。

 ただ、さっきからお話し申し上げました生活保護、これはこの二十五条の生存権を根拠といたしております。しかし、生活保護法も、法律としては日本国民のみを対象としているものでございます。ところが、社会的、人道的な観点から、予算措置としての生活保護法を準用しているということになります。予算措置として準用している、こういう扱いで外国人にも受給できる道を開いているんですね。

 ですから、総理が守るべきだとされている外国人の権利にどうしても国民固有の権利である参政権というものを加えたいのであれば、参政権というのは、生活保護のように何か予算措置として法律準用を行える、そういう種類の権利ではございませんので、憲法改正を堂々と行った上で対応されるべきだと思いますけれども、どうお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 今、高市委員から、憲法改正が必要ではないかということではありますが、私どもの解釈では、必ずしも憲法を改正しないでも、すなわち憲法に抵触はしないという判断を有しております。

 ただ、高市委員から盛んに、どうしてもやるみたいな話でおっしゃっておりますが、私どもとしては、政府として、政府の内部、内閣の内部でまだ必ずしも考え方が一つにまとまっているわけではありませんし、これはまさに選挙のことでありますだけに、各党でも意見を一致させていかなければならない話だ、そのようにも思っておりまして、余り強引に行い過ぎてもいけない話だ、そのようには理解をしております。安全保障上の議論その他もあろうかと思っております。

 したがいまして、私どもとしては、今、政府の中で案がまとまればという話は考えてはおるところでありますが、その状況まではなってはおりませんし、そのときに憲法の改正まで必要だという認識ではないことを申し上げておきます。

高市委員 憲法の解釈について私と総理では随分大きな開きがあるということは、今理解させていただきました。

 さて、引き続き総理に伺うんですが、政治資金規正法第二十二条の五、「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」こう規定しております。

 昨年十一月十八日の外務委員会で、我が党の平沢勝栄委員が「この規定の趣旨は何ですか」と質問したところ、総務省の大臣政務官の答弁は、「我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しよう、そういう趣旨から設けられたもの」というものでございました。

 この政治資金規正法は、外国人からの寄附については地方政治家に対しても禁止をいたしております。なのに、なぜ、寄附以上に直接的に日本の政治に影響を与える選挙権は外国人に与えてもいいと総理が思っておられるのか、これを伺います。地方政治というのは、政務官が答弁されました「我が国の政治」には当たらないものでしょうか。総理にお願いします。

原口国務大臣 今お話しのように、政治資金規正法第二十二条の五は、外国人からの寄附を禁止しています。この趣旨は、おっしゃるように、外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨で設けられたものでございます。

 永住外国人に地方選挙権を付与することについては、先ほど総理がお答えいただきましたように、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であるというふうに考えておりまして、さまざまな意見がある。だから、国会で慎重に審議をしてほしい。

 ちなみに、今までの、自自公連立合意、ここでは地方参政権が合意の中に入っています、また民主党が出したもの、それから公明党さんがお出しになったもの、そういったことからすると、憲法との関係あるいは安全保障上の関係、さまざまな関係で私たちは論点整理をしますが、これを御議論いただくのはやはり国会であるというふうに考えております。

高市委員 今、原口大臣から御説明がありましたけれども、あくまでも「国会で」「国会で」と総理も振られるわけなんですけれども、そもそも鳩山内閣でこれを実現するということを過去に総理は御発言になっていると私は理解いたしております。

 仮に我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織から影響を受けるということをよしとされるのであれば、整合性を持たせるために、今後、政治資金規正法も改正をして、外国人や外国法人からの寄附も解禁するべきだ、このように総理はお考えになりますか。

鳩山内閣総理大臣 今、原口大臣から御説明がありましたとおりに私も考えているところでございます。

 確かに政治資金規正法は、これは、外国人、外国の組織あるいは外国の政府などの外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止したいという発想があるというのは事実だと思います。

 そのことと、一般の外国人と、いわゆる日本に長くおられる、そして、今先ほど高市委員からもいろいろとお話がありました、日本人と同等のさまざまな待遇も受けているという話がありました、そういった永住外国人というものをどういうふうに区別するのか、一緒なのかという議論があろうかと思います。

 したがいまして、こういう議論もありますだけに、永住外国人の地方参政権の付与に関しては大いに国会の中で議論していただきたいと思いますし、こういう問題をどのように判断するかということも一つの基準になろうかと思っております。

高市委員 日本国民固有の権利を外国人に与えるという重要な判断につきまして、総理は、前から積極的な発言をされていたにもかかわらず、「そういうこともあるので国会で御議論いただきたい」、そういう御答弁ばかりです。

 私は、総理自身の価値観をお伺いしたいと思います。その御発言によって、これから出される法律案の内容を縛るというつもりは私にはありません。総理が率直にどう思っておられるか、大切な、国家の基本の話だと思いますので、総理の率直な御感想をお伺いしとうございます。

 私自身は、「我が国の政治また選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止する」というこの政治資金規正法の精神は正しいと考えています。

 在日本大韓民国民団、いわゆる民団という団体のホームページには、昨年の総選挙の真っ最中だった八月、次のような記載がございました。

  第四十五回衆議院総選挙が公示された十八日、全国民団は支援候補の当選を目指して始動した。日本記者クラブが十七日に開いた主要六政党の党首討論会で、民主党の鳩山由紀夫代表が永住外国人への地方参政権について、「もっと前向きに考える時が来ている」と改めて言明、民団の支援活動は勢いづいている。民団中央本部の鄭進団長が本部長を務める参政権獲得運動本部も担当者を各地に派遣し、運動のテコ入れを図る。

こういったリード文に続きまして、各地の民団支部の活躍ぶりも紹介されております。

  民団支部事務所で支援候補の事務所からこの日預かったばかりのビラ二万枚に証紙を貼った。

  同支部が派遣した専従支援要員の二人は選挙事務所に張り付き、他の選挙スタッフとともに公設掲示板や支援者の自宅、店舗へのポスター張り出し、支援者名簿の回収などに汗を流した。

などなど、ずっと期間中を通じまして、このほかにも、推薦はがきを書きましたよとか、一生懸命応援された様子が紹介されております。

 赤松農水大臣が一月十二日の民団中央本部の新年パーティーで、「民主党中心の政権で地方参政権が解決するとの思いで応援してくれたと思う。その意味で公約を守るのは当たり前だ。本当にあと一歩。感激でいっぱいだ」と発言されたというように産経新聞に紹介されております。

 また、民団のホームページにも赤松大臣のごあいさつが掲載されています。

  公約を守ることは政党、議員として当たり前のことです。必ず通常国会で地方参政権法案を成立させ、皆さんの期待に応えていきたい。日本の民主主義が本物かどうか、日本が本当に共生社会になっていけるのかが問われている。日本国民の良識、議会の良識を信じながら、その実現へ先頭に立って頑張ります。

こんなふうに紹介されております。

 赤松大臣、このように発言をされた事実はございますか。

赤松国務大臣 お答えします。

 全くそのとおりでございます。

高市委員 わかりました。

 赤松大臣の御発言の中で、「日本の民主主義が本物かどうかが問われる」、これはどういう意味なんでしょう。外国人に参政権を与えていない国というのはたくさんあると思いますが、それらは民主主義国家ではないのでしょうか。

赤松国務大臣 私どもは、共生社会ということを常々言ってまいりましたし、私自身が幼いときから身近にいろいろな差別問題等を目の当たりにして、ぜひそれは、どういう国籍であれ、どういう肌の色であれ、やはり、ひとしく地域に住む人たちはお互いに信頼し合い、仲よくやっていくべきだ、そういう自分自身の政治信念もございまして、こういう問題にも一生懸命に昔から取り組んできた。

 ちなみに、旧民主党の時代からもこういう法案を出しておりましたし、先ほど総務大臣からも話がありましたように、自自公でもそういう三党合意もございます。公明党も独自に出しておられます。

 そういう意味で、国会議員の皆さん方がこの問題に熱心に、それぞれ党派は違うとはいえ取り組んできたという事実もございますので、そういう機が熟してきたということで、私自身は大変喜んでおります。

高市委員 地域で仲よくなさることと民主主義というのは、また別物だと思うんですけれども。

 もう一つ、「日本国民の良識、議会の良識を信じながら、」というのは、どういう意味でしょうか。例えば私のように外国人参政権に反対する国会議員ですとか反対されている日本国民には、良識がございませんでしょうか。

赤松国務大臣 お答えします。

 まさに政党間で合意をし、三党合意、あるいはそれぞれの政党が法案まで出して審議に付しているわけでありますから、そういう意味で、自分たちが言ってきたこと、そしてまた行ってきたこと、これが口先だけでなくて本物なのかどうなのか、これがやはり問われている。それからもう一つは、口では共生社会なんということはどの政治家も言いますけれども、それは本当に真からそう思って行動しているのか、その人の行動が本当にその言と一にして行われているのかどうか。

 そういうことは国民が判断することですけれども、私はその意味で、政治家自身もあるいは日本の政治も問われているという意味で申し上げました。

高市委員 では、外国人参政権を認めない政治家は、共生社会という言葉を使っちゃいけませんか。

赤松国務大臣 言葉を使っちゃいけないとかいいとかいう問題ではありません。

 ただ、そういうことは、政治家の場合は選挙を通じて有権者が、日本の国会議員としてそれにふさわしいかどうか、それは当然判断するということでございますから、別にそういうことを私が思うから人に強要するとか押しつけるとか、そういう意味ではありません。

高市委員 はい、よくわかりました。

 それぞれ国会議員は自分の持っている良識、価値観に基づいて発言をいたしておりますし、すべての日本国民が外国人参政権に賛成ではございません。それぞれ反対される方も、みずからの信念、良識に基づいて発言をされ、行動されているということを申し上げておきたいと思います。

 さて、総理に伺います。

 今の赤松大臣の答弁、そしてまた民団での御発言を伺っておりますと、与党第一党の民主党が国民への約束であるマニフェストにはこの問題を盛り込まずに韓国人団体に対しては公約をされていたというのを、私は非常に残念に思います。この参政権というものは、冒頭に申し上げましたとおり、憲法解釈にも係る非常に重要な問題でございます。国政上の問題であると考えております。既にそういった国政上の課題について韓国人団体が大きな影響を及ぼしているというのは、赤松大臣の民団での御発言からもおわかりだと思います。

 ちなみに、公職選挙法は、百三十五条から百三十七条までの間で、公務員ですとか、教育者ですとか、選挙犯罪者ですとか、未成年ですとか、一定の職業や立場の方々の選挙運動を禁止いたしております。

 私自身は、外国人参政権にも絶対反対でございますけれども、さらに一歩進んで、公職選挙法の改正を行い、外国人の選挙運動も禁止するべきだと考えております。この考え方について、総理はどう思いますか。

鳩山内閣総理大臣 私は、今即答は必ずしもできないかもしれませんが、そこまでやる必要はないと思っておりますし、外国人でも、特に長く日本にお住まいになっていろいろと厳しい環境の中で努力してこられた方々、自分たちの命、生活を守りたいという方々がどういう人を自分たちのために応援するかということは当然許されるべきことではないか、そのように考えております。

高市委員 総理のお考え、確認させていただきました。

 それでは、外国人参政権の範囲ということでちょっとお伺いしたいんです。

 先ほど総理は、国政参政権については大きな問題があるというふうにおっしゃいました。まず、この大きな問題というのはどういうことかということと、それから、総理が最終的に目指される外国人参政権というのは選挙権と被選挙権の両方であるのかどうか。以上、二点をお伺いいたします。

鳩山内閣総理大臣 私が申し上げております永住外国人の地方参政権、これは基本的に選挙権でありまして、被選挙権まで指すものではありません。すなわち、投票する権利というものが認められてよろしいのではないかということでございます。

 そしてまた、国政にまで永住外国人の皆様方に選挙権、被選挙権を与えるということは、先ほどの国民主権というところも考えてみれば、私は必ずしも適当ではないという判断をしているところでございます。

高市委員 では、地方参政権であれば国民主権にかかわりないか、つまり、地方参政権であれば、割った話、国益というものには関係ないと総理はお考えですか。

鳩山内閣総理大臣 いろいろとそれは国益につながる議論というのはあると思います。地域における、例えば基地の問題とか安全保障の議論というのがあるいはあるかもしれません。したがって、そういうところで当然、地域の選挙権というものにかかわる中で国益の議論というものは十分にあり得る話だ、そのようには考えております。

高市委員 だから、地方参政権であっても国益に係る、例えば基地の問題とかかわる、そう総理は今、答弁されました。

 それでは、なぜ地方参政権ならよくて国政参政権はだめなんでしょうか。もう一度整理してお願いいたします。

鳩山内閣総理大臣 ですから、その辺の議論をしっかりとこの国会の場で行っていただく必要があるのではないか。その地域、地方の選挙権を付与することによってどのぐらい国益に影響を与え得るのか、そのようなことは余り現実としては考える必要はないのか、そういうところもあわせて徹底的に議論をされる必要があるのではないかということを申し上げているのであって、私は、それは自分自身の思いというものはいろいろあります。ただ、今、行政の長という立場で、慎重に申し上げることが必要だということで申し上げているところでございます。

高市委員 既に、地方の選挙であっても国益に影響が及ぶ、そういう事例というのはたくさんあります。

 例えば原発誘致の是非を問うたリコールというのがありましたよね、これは総理も御承知だと思います。また、神奈川県でも池子の米軍家族住宅、これはリコールが不成立でしたけれども、その受け入れの是非を問う投票がございましたよね。まさに原子力発電所の問題ですとかまた米軍住宅の問題というのは国益に係る問題だと思いますよ。総理はそう思われませんでしょうか。

 それから、今年一月の名護市長選挙、ここで落選された島袋前市長、日経ビジネスの今年の二月一日号にインタビューが掲載されておりました。その中には、国策である基地問題を地方選挙の争点にされてしまった悔しさを述べておられます。ちょっと紹介します。

 それまでの自民・公明政権は米国政府と、米海兵隊基地「キャンプ・シュワブ」がある辺野古の沿岸部に、普天間基地を移設することで基本合意していたのです。鳩山政権はこれを再検討すると言い出しました。

 実は地元では基地問題に関心を持たない市民も少なくありません。それが、「新たな移転先を探す」という新政権による方針転換で、選挙の大きな争点になってしまいました。

  基地などというのは、そもそも迷惑な施設なのです。ですから、受け入れるか、受け入れないか、改めて問われたら、誰だって反対するに決まっています。普段はどっちでもいいと思っている人の多くが、市長選では反対に傾き、敗北につながりました。

選挙戦は基地一色となって、御自身が主張された経済振興策がかき消されてしまったという無念さがにじみ出たインタビューでございました。

 私は、この名護市長選挙というのは、明らかに普天間基地移設の是非というのが最大の争点であり、地方選挙でも国政に係る問題というのが選挙の争点になり得るというのは事実だと思っております。

 総理によく御理解をいただきたいと思うんですけれども、この委員会でも小池委員が触れられましたよね、沖縄県与那国の話。これは、中国艦船への不安から自衛隊誘致を防衛省に要望された、与那国町長選挙は自衛隊誘致が争点となった、当選した方と落選された方の票差がわずか百三票しかなかった、こういった問題。

 それからまた、対馬の問題もこの委員会で取り上げられていると承知しています。ここは、主に韓国資本による防衛施設周辺の土地取得などへの不安から、防衛省に自衛隊の増強要望を提出された。昨年、やはり対馬でも市議会議員選挙が行われた。最下位の方と次点の方の票差、わずか二十七票でございました。

 中国から来られた方、韓国から来られた方、日本にたくさんお住まいです。例えば在日中国人、これは永住中国人ということで十四万五千三百六十一人おられます。わずか百三票差の与那国の町長選挙、もしも中国政府が声をかけて何か組織的な住民票異動がわずかでも起こったらひっくり返る結果ですし、そしてまた対馬、これも対馬は韓国領土だとされる韓国人が地方参政権を持った場合に、もしも対馬に一万人の韓国人の住民票異動があったとしたら、市議会の過半数は自衛隊増強に反対する議員で占めることも可能でございます。

 友好というのもいいです、愛だというのもいいです。しかし、国益が対立する国際社会の中で、特に国際政治、ネバー・セイ・ネバーという観点で考えますと、起こり得ること、特に今日本に住まわれている外国人の方々の祖国と日本の国益が万が一対立することが地方選挙の争点になった、そういったことが起こったときに、必ず日本の国益に資する政治行動がなされるのかどうか、こんなことも含めて総理には慎重に御判断をいただきたいと思っております。

 防衛大臣に伺いたいのですけれども、防衛大臣は外国人参政権には賛成でしょうか。

北澤国務大臣 先ほど総理が御答弁されましたように、私は、地方参政権であれば、しかも、それは被選挙権を除いて選挙権だけということであれば、賛成をいたしたいと思います。

高市委員 防衛大臣は賛成ということでございます。大変残念でございます。

 例えば、防衛大臣に最後の一問、ちょっと御見解を伺いたいのですが、在日本大韓民国民団、ここには韓国政府から年額八億円の支援金が補助されていると伺っております。これは民団本部予算の八五%に相当いたしますので、民団というのは韓国政府の影響を強く受けている団体だと考えてもいいと思います。

 そして、この民団の綱領、ここには「韓国の国是と憲法を遵守する」と明記いたしております。韓国憲法の第三十九条は「国民の国防義務」を規定いたしております。つまり、不幸にして日韓で軍事対立が発生した場合、参政権付与を要求されている民団の方々は、徴兵こそ免れているものの韓国側の国防義務を負う方々です。

 中国。中国が戦略的に日本、各国への移民を進めているということは防衛大臣も十分御承知だと思います。外国人登録者数で見ますと、日本国内における中国人の増加というのは急激でございます。平成十年に二十七万二千二百三十人だった中国人が、平成二十年には登録者数で六十五万五千三百七十七人、急増いたしております。この中国も、中国憲法の第五十五条で、国民に「国防と徴兵の義務」を課しております。日本に住む中国人も残念ながら中国の国防義務を負う方々でございます。

 防衛大臣は、ネバー・セイ・ネバーといった感覚をお持ちなのか、今私が申し上げたようなことで、地方参政権といえども、日本の安全保障に影響が出るようなことは皆無だとお考えなのか、最後に伺います。

北澤国務大臣 私はちょっと世代が皆さん方より上でして、在日の方々あるいは中国から来た人たちが、戦前、戦中、どんなひどい目に遭っていたかというのをいささか承知をしておるわけで、高市議員はそういう情緒的なことを外して国家そのものということでお考えである気持ちはよくわかりますが、私は今回の衆議院選挙で民団の皆さん方とも随分と接触を県連の会長という立場でいたしておりまして、先ほどお話しになったようなことからは随分と考え方が、民団の皆さん方の考え方は違ってきておるように思います。

 法は法としてありますけれども、私はそういう意味での危険性はないというふうに思っております。

高市委員 国防を預かる大臣の御答弁がそのようなもので、大変私は日本の安全保障に不安を感じました。残念に存じます。

 過去の歴史的な経緯を理由に参政権の付与を考えておられるのであれば、これはまた、私自身、次の機会にしっかりと大臣と議論をさせていただきたいと思いますし、中国、韓国ということでおっしゃいましたが、民主党の方で実現をされようと思っている参政権の対象は中国人、韓国人に限定されていないはずでございます。そうしますと、そういった歴史的経緯のない方々に関してはどう考えるのか、こんな議論もまた改めて続けさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鹿野委員長 これにて高市君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 私は、まず子ども手当について、総理初め関係大臣に御質問をしたいというふうに思います。

 昨日も我が党の斉藤政調会長、また自民党の加藤勝信議員から子ども手当について何点か御質問がありました。その中で、子ども手当と児童手当の制度設計はどう違っているんだというような指摘がありました。私もここは大変関心がございます。

 二月一日の衆議院の本会議、谷垣自民党総裁がこの点を総理に質問されました。

 「子ども手当と児童手当で制度設計がどのように異なり、それによっていかなる政策効果の差異が生じるのか、総理に改めてお伺いいたします。」と谷垣総裁が聞かれて、総理はこのように答えられておりました。

 児童手当は、もう御案内のとおりだと思いますが、子供が育つ御家庭に着目をして、したがいまして、所得制限を設けた上で、子供の年齢や出生の順位によって手当額に差異を設けるものでございました、一方の子ども手当は、子供に着目をして、子供の健やかな育ちというものをひとしく社会が支援するという観点から、所得制限を設けずに、子供の年齢や出生の順位にかかわらず一律の手当額を支給することとしておりまして、両者はその趣旨、制度の内容が異なっているところでございます、このように答弁をされました。

 児童手当法の第一条には「目的」として、「この法律は、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的とする。」という規定が置かれています。

 一方、今回政府が提出の平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案の第一条、「趣旨」と書いてありますが、「この法律は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために、平成二十二年度における子ども手当の支給について必要な事項を定めるもの」というふうにされております。

 この条文だけ見ると、総理がおっしゃるように、家庭に着目と子供に着目というふうに確かに違っているんですが、だとしたら、なぜ親のいない子供、親に監護されていない子供にこの子ども手当が支給されないのか。ここが問題なんじゃないかということで、参議院の本会議等、またいろいろなところで質問がありました。それに対して長妻大臣等から御答弁がありましたけれども、実は、私のところにも、里親の会の会長さん、お子さんを預かって里親として養育されている方の集まりです、その会長さんからこんなメールが来ました。

 一月十八日に厚生労働省で行われた自治体に対する説明会において、子ども手当の概要が明らかになった、子ども手当は子供を育てる親に支給する手当であり、子供に支給する手当ではないとの児童手当の原則から、一として、親がいない子供には支給されない、二として、支給対象とならない子供は推定五千人程度だ、三として、児童養護施設、乳児院、里親家庭で育つ子供の養育者に支払われるのではなく、養育していなくても実親に支払われるなど、残念な実態が明らかになりました。

 これに続いて、こういうふうに言われています。「親が育てられない子どもを育てる施設職員や里親の立場からも、親がいないというハンデを負っている子どもに対し、さらに差別的な扱いをすることは、断じて承認できるものではありません。」

 児童手当は、家庭への支援と条文にありましたので、確かにそういうことですけれども、今回、政府は子ども手当と児童手当の目的と趣旨を変えて提出されたわけですから、こういう一番大変な中で生き抜こうとしている子供たちに手当を支給するのが本来の目的ではないのかというふうに思うんですが、これは児童手当法の上に乗っているものですから、なかなかそれが、今、総理、ちょっと手を挙げられている。私の今の里親の会長からのメール、どう思われますか。

鳩山内閣総理大臣 富田委員の御指摘はもっともでございまして、私どもは、子供に着目をして、子供の育ちを社会全体で支援しようという趣旨で子ども手当を出させていただくということになりました。

 当然ながら、この子ども手当という言い方になるかどうかは別として、親御さんがいない、里親の方が頑張っておられるところも多いかと思いますが、あるいは施設に入っておられる方もおられるかもしれません、そういった方々にも何らかの形で支給されるようにこれはしていかなければならないことだと思っておりますし、そのようにしたいと思いますが、長妻大臣の方から、より詳細にお答えを申し上げたいと思います。

富田委員 長妻大臣も、いろいろなところで答弁でしっかりお答えをしていただいております。

 二月三日の参議院の本会議で、大臣はこんなふうに答弁されました。今、総理がおっしゃってくださったように、子ども手当は、すべての子供の育ちを社会全体で支援することを趣旨としております、したがって、本来、施設内の親のいない子供たち等に対しても子ども手当の恩恵が行き渡るべきであると考えておりますと、総理と同じ考えを述べていただきました。

 しかしながら、平成二十二年度においては、施行までの期間や市町村の事務負担を考慮すれば、子供を保護し、見守る、監護する方に手当を支給するという現在の支給要件を法律上変更することは困難である、そういったことから、別途、例えば安心こども基金の活用により、施設内の親がない子等について、施設に対し子ども手当相当額が行き渡るような措置について現在検討をしております、こういうふうに長妻大臣、答弁していただきました。

 きのうも、この委員会での質問に対して、子ども手当と同額を支給したいんだというふうに答弁していただきましたけれども、今、私が読み上げた里親の会の会長さんからのメールも聞いていただいたと思うんですが、この皆さんに子ども手当と同額が間違いなく支給されるというふうに思っていただいて大丈夫ですか。御答弁いただけますか。

長妻国務大臣 お答えをいたします。

 話を整理いたしますと、今御指摘をいただいたように、施設に入っておられる、親御さんがいらっしゃらない方、あるいは何らかの事情で施設に入られている方につきましては、安心こども基金から同額を支給する。一部、親御さんが不詳の方は支給しないというような話もありましたが、それは間違いでございまして、すべての方に、施設へ支給されるということで、今言われたのは里親のお話でございまして、この里親の方についても、別に監護権を持っておられる方がいらっしゃる場合はそちらの方に支給をされるというようなこともあろうかと思います。

 その点については、二十三年度の制度設計の中で我々としては検討課題であるということは認識をしております。

富田委員 長妻大臣はよくわかっていらっしゃるので今のように答弁していただいたと思うんですが、私が聞いたのは、安心こども基金の中から手当てするというふうにおっしゃっているんだけれども、普通の子供さんと同額の月一万三千円が間違いなくその施設にいる子たちに安心こども基金の中から支給されるんですかということを確認したいんですよ。年間十五万六千円、厚生労働省の調べだと、五千人そういうお子さんがいる。

 今大臣がおっしゃってくれたけれども、きょうの毎日新聞で、親がどうなっているか不詳だという方が二千人いる。その子たちにも厚生労働省としてはきちんと手当てしたい、今大臣がそうおっしゃってくれました。この子たちに年額十五万六千円ちゃんと支給するんだと約束してくださいよ。

長妻国務大臣 これは、もちろん約束をいたします。

富田委員 約束をしていただきましたので。

 これは、五千人に支給しますと七億八千万、そして、不詳だという子供さんたちもどちらかの分類に厚生労働省はきちんと入れてくださるということですので、その方たちが約二千人で三億一千二百万、この金額ですので、ぜひ安心こども基金の中から間違いなく行くようにしていただきたいというふうに思います。

 今の答弁は大変ありがたいんですが、そうだとすると、今回の子ども手当というのは、やはり、きのうもうちの斉藤政調会長が質問していましたけれども、児童手当の制度の上に乗っかった児童手当拡充法案じゃないか。

 二月の五日に厚生労働省の局長さん以下に公明党の厚生労働部会に来ていただきまして、この法案について勉強会をやりました。幾つか質問が出まして、児童手当と別建てで子ども手当の構成をするようなことが考えられなかったのか、民主党のマニフェストの柱中の柱ですから、今までの児童手当とは違ってそういう別建ての構成が制度設計できなかったのかという問いに、児童手当の枠組みを使わないと成り立たなかったというふうに当局の方は答弁されました。また、では今後、子ども手当法が恒久化していって児童手当法を廃止していくのか、そういう質問をしましたら、児童手当法が廃止される予定はない、こういうふうに事務方は答弁されています。

 大臣、この点どうですか。

長妻国務大臣 これは今御指摘をいただきましたように、私も過去の経緯を詳細に見ますと、公明党が昭和四十七年から、あるいは平成四年、平成十二年、平成十三年、平成十六年、平成十八年、平成十九年と本当に児童手当をいろいろな意味で拡充をしていただいて、私はそれは本当に社会的に大きな役割を果たしたというふうに考えておりまして、それに、我々は子供の育ちに着目するということで、子ども手当を今回創設するということでございます。

 そして、今の御指摘の点におきましては、私どもといたしましては、これをさらに拡充して、そして、二十三年度における、四大臣合意というのを持っておられると思いますけれども、「平成二十三年度予算編成過程において改めて検討し、その結果に基づいて平成二十三年度以降の支給のための所要の法律案を平成二十三年通常国会に提出する。」こういうふうに考えております。

富田委員 二十三年度に向けて児童手当をどうするのか、検討していただくようになると思いますけれども、やはり地方負担とか事業主負担がしっかり組み込まれていますので、ここの部分をもしなくして制度設計するということになると、国の負担は大変なことだと思います。

 きょう、野田副大臣がそこにいらっしゃいますが、野田さんがなかなか難しいと一度言われました。でも、政府として目指すんだというふうに変えられましたので、その質問はしませんが、やはり制度設計は大変だと思うんですね。

 そういった意味で、私どもの党がどういうふうに児童手当に取り組んできたのか、なかなか御理解いただけない。今、長妻大臣は本当に詳しく経過を理解していただきましたけれども、ちょっと資料を用意しましたので見ていただきたいと思います。

 これは、ちょっともう色が落ちてきたパネルですが、二十年前かというやじが後ろからありましたが、実は四十年前、昭和四十四年の公明党の政策ビラでございます。「教科書無料。今春から中三まで!!」、中三まで全部できるようになる。「公明党十四年間の主張、遂に実現!!」。

 昭和三十一年に我々の先輩が初めてこの国会に議席を得させていただいて以来、憲法に義務教育は無償とすると書いてあるのに教科書を買えない子供がいる、そういった子たちにこたえて地道に実現してきて、昭和四十四年の春から中学三年生まで全員に教科書が無料で行き渡るようになりました。そのときにつくった政策ビラが、実は三年ほど前に文部科学省の倉庫から出てきました。こういうのがあるんだということで、当時の太田代表に文科省の役人さんが教えてくれまして、私どものところにこのコピーがあるわけです。

 これは教科書無償を宣伝しようと思って持ってきたんじゃありません。実は、一番下、資料がありますので見ていただきたいんですが、「教育費をたすける児童手当実現もあと一歩です!」と。今、文科大臣、うなずいていただきましたが、このときにもうこうやってやっていたんですね。児童手当が大事だと。

 昭和四十二年に、千葉県市川市等を初めとして地方自治体で児童手当が始まりました。これを国政にもきちんとやるべきだということで我が党の先輩たちが取り上げて、当時の与党の皆さんに御理解いただいて、昭和四十六年に児童手当法ができて、四十七年の一月から支給されるようになりました。一生懸命積み上げてきましたけれども、なかなか現在のような形になりませんでした。

 自由民主党の皆さんと連立を組ませていただいて、それまでの遅々たる児童手当の拡充から一歩でも踏み出そうということで我々は取り組ませていただきました。

 実は、自由民主党の皆さんと連立を組む前に、児童手当の拡充と奨学金の大幅拡充ということでいろいろ勉強会をやらせていただいたんですが、そのときには、まだ自民党の先生方も、何で児童手当とか奨学金を拡充するんだという先生が多うございました。私、こういうふうに言われました。富田、子供にお金を上げて何するんだと。まだ当時はそういう認識だったんですね。大人の方なら、いろいろ手当をつければ票になって返ってくる、でも、小さな子供さんに児童手当とか奨学金をつけて、一票も入れてくれないんじゃないか。

 でも、自民党の皆さんも変わって、本当に協力してくれて、ここに「最近の児童手当制度の改正経緯と民主党の対応の変遷」、ちょっとテレビで映しても小さくて見えないかもしれませんが、皆さん、お手元にきちんと資料がございます。

 これは調査室につくっていただいたんですが、十一年度までは、三歳未満の第一子、第二子が五千円、第三子以降が一万円、所得制限もあって、なかなか、当時二百四十万人のお子さんにしか支給できませんでした。十二年改正から法律改正を四回やりまして、十二年の改正、そして十六年、十八年、十九年と、それぞれ四回の改正の経緯が書いてあります。

 この資料は、改正したときにきちんと財源も手当てしたということを書いてくれました。財源もきちんと決めた上で法律案を出して国会を通していただいて、それぞれ拡充に努めてきた。二百四十万人の支給児童が千二百九十万人にまでなった、国費負担が一千五百八十七億から一兆円を超えるまでになった、ずっと書いてあります。

 一番右に民主党の対応が書いてあります。民主党は最初、十八歳まで、第一子、第二子一万円、第三子以降二万円ということで、この児童手当の大体倍額ぐらいを考えていらっしゃったんですね、かなり大きな金額だなと思うんですが。十一年に法案を提出されたんですが、十二年の法律改正に民主党は反対されました。「改正法案に反対」と書いてある。

 きのう、我が党の斉藤政調会長が、なぜ反対したんですかとお聞きしたんですが、どなたも答えてくれませんでした。十二年の法律改正のとき、総理は民主党代表でした。なぜ反対したんですか。

鳩山内閣総理大臣 私ども当時野党でございまして、特に今日まで富田委員初め公明党の皆さん方が長年にわたって、三十八年間御努力されたこと、敬意を今申し上げたいと思っておりますが、当時の状況を思い出してもなかなか思い出せないところがございます。

 しかし、あえて申し上げれば、額の問題と、それからもっと大きなというか、十八歳とか中学卒業までとかいうところに対して、まだ足りないんじゃないかという思いのもとで反対したというように記憶をしております。恐縮です。

富田委員 次の十六年改正、菅副総理が代表でした。菅さん、覚えていらっしゃいますか。覚えていないということですので、聞いてもしようがない。次の十八年法律改正、前原国土交通大臣が代表でした。覚えていますか。首をひねられている。

 こういう経過で反対をされちゃ困るんですよ。やはり野党でも、一歩でも、自分たちと同じような方向を向いている政策だったら、少しでも国民のためになる、子供たちのためになる政策に賛成すべきだったんじゃないですか。私は本当に、方向が同じなのになぜ反対されるのかな、当時残念でたまりませんでした。そういった意味で、今回の子ども手当、方向性は一緒ですからともに議論をしていきたいんですが、いろいろ問題があります。その問題点をこれから指摘させてもらいたいと思います。

 今回も児童手当を残した関係で地方負担が残りました。長妻大臣が地方自治体の皆さんに説明されて、今回この制度設計を残さざるを得なかったので申しわけなかった、御理解を得たいということで、六団体とか、いろいろお話をされたというのを伺っています。ただ、それでもやはり地方自治体の首長さんたちは、子ども手当、全額国費負担というふうに聞いていたので、今年度の予算を組むときに地方負担分がなくなると思っていたんですよ。

 ちょっとそこのところで一つ御紹介をしたいんですが、私は千葉県の出身ですので、千葉に野田という市があります。人口十五万七千人です。この野田の根本市長がことしの新年、根本さんは毎年一月の初めに、市長ですけれども市政報告会というのを開いて、市民の皆さんに自分がこの一年間どういうことをやっていくかということをかなり丁寧に説明されます。ことし、私、たまたま伺いましたので根本市長のお話を聞いていたんですが、市長はこんなふうにおっしゃっています。

 少子化対策は、子供を生み育てたい人がそうできる社会をつくること、そのためには、子育て家庭への経済的支援、保育所整備などの保育サービスの充実などの現物給付、働きながら子育てできる働き方の見直しなどがバランスよく進められることが重要だ。これは、総理も長妻大臣も、本会議とか委員会答弁で同じように言っていただいています。認識は同じなんだと思います。福島大臣もそういうふうにおっしゃっています。

 ただ、その後、こういうふうに根本市長は続けられたんですね。

 国がマニフェストどおり子ども手当を全額国費で負担し、児童手当を廃止することになったとき、私は、児童手当の市負担分を子育て支援の特定財源として、いまだ不十分な現物給付の充実のための施策に使う予定でいた、具体的に言えば、保育所、学童保育所、地域子育て拠点の整備等のハード事業や母子家庭等の自立支援や要保護児童へのきめ細かな対応など、ソフト事業の充実の財源に使いたいと考えていたんだと。

 児童手当の市負担分は約三・二億円、野田市では六十人規模の保育所をもう一カ所つくれば待機児童が完全に解消する、過密学童保育所は十一カ所の施設を新設すれば解消できる、保育所一カ所の建設費が一・七億円、学童保育所は既存施設を活用するので四十人規模で市の持ち出しは約一千六百万円、両方つくって三・五億円弱、建設費は一回で済む、問題はランニングコスト、保育所が約六千三百万、学童保育所が一カ所約二百五十万、トータルでも一億円弱の維持管理費だ、三・二億円は今進めたい子育て支援策を実施するに十分なお金だと。

 これはすごく大事なことだと思うんですね。現場を一番わかっていらっしゃる首長さんたちがちゃんと自由に使えるお金で、現場で何が一番困っているかということをきちんとやってもらいたい。

 市長は、こういうふうにも言っています。

 私は今回の子ども手当と児童手当の組み合わせによる子ども手当の支給の仕組みに反対である、そもそも児童手当の市負担分の多くが市の自己財源である、子ども手当の財源がないというなら支給額を減額すべきである、今申し上げたように児童手当の地方負担を地方が自由に使える財源になれば、子育て支援の現物給付がさらに進むことになる、それがバランスよい子育て支援につながるのだと確信している。

 地方負担三・二億円でこんないろいろなことができるんですね。子ども手当が野田市でどうなるかというと、二十二年度が三十二・九億円、二十三年度が満額支給だと六十五・二億円。余りにもバランスが悪いじゃないかというのが根本市長の主張であります。もっと現場に任せてくれと。

 そういう意味で、二十三年度の制度設計をする際に、こういう地方自治体で頑張っていらっしゃる首長さんたちの声も参考にしていただいて、地方に何を任せたらいいのか、ここをきちんと考えていただきたい。

 お二人手を挙げているので、では厚生労働大臣と総務大臣、少子化担当大臣も、手短に言ってください。

長妻国務大臣 今、いろいろな御意見、地方の御意見もあるいは親御さんの御意見も聞きながら、平成二十三年度、きちっと取り組むということと、あと、私どもは幼保一元化ということも今後法案を提出するということで、そういう全体の中でよく検討していこうと考えています。

 そして、これは、現物支給、保育所の整備、そして現金支給、そしてワーク・ライフ・バランスということで、三つがバランスよくならなければならないということは認識しております。

 そして、あと一点、先ほど言われた法案に反対の件でありますけれども、ここに今議事録がございますが、平成十八年の民主党の反対討論で、抜粋を申し上げますと、児童手当も、今のレベルでは家庭における生活の安定に寄与することはできないというような理由、不十分だということでございます。

 そして、平成十九年の反対理由の民主党議員の討論では、「財源が限られているからその範囲までしか支給しないのだということでしょうが、政治が本当のリーダーシップを持って、子供、子育てを応援するのだと内閣の意思を示せばいいのではないでしょうか。」ということで、私どもは、もうちょっと拡充をした方がいいのではないかということで反対をさせていただいたということでございます。

原口国務大臣 富田委員にお答えいたします。

 大変大事な御指摘だと思います、その野田市長さんのお考え。

 私たちは、基本的に、現金給付は中央政府、それからサービス給付は地方政府。今おっしゃるように、地域の実情、子供たちの実情をわかった人たちがサービス給付をすべきだ、だから、そこをチェンジしようとしました。

 今回はそこまでいきませんでしたけれども、四大臣合意において、地域主権戦略会議において、補助金の一括交付金化や地方が主体的に実施するサービス給付等に係る国と地方の役割分担、経費負担のあり方の議論を行い、その見直しを行うということになっていますので、次の年度は、ぜひ野田市長さんのおっしゃるような形で制度設計をしていきたい、こう考えています。

福島国務大臣 ありがとうございます。

 児童手当のすぐれていたという部分は、自治体の負担部分もあるが、事業主の負担部分もあるということだと思います。事業者の皆さんが子供のためにお金を今まで出していた。これは、フランスでは、子供金庫の部分は六五%事業主負担部分なので、将来制度設計するときにはいろいろなことも考えるべきだと思います。

 おっしゃるとおり、今度の子ども手当の部分と現物支給と、これは車の両輪で、国も責任を持って保育所や学童クラブをきちっとやるべきだというふうに思っております。

 子ども・子育てビジョンを少子化担当大臣としてつくりました。これは、両方大事だという考え方になっております。

 今御審議いただいております予算の中で、保育所運営費の確保三千五百三十四億円、受け入れ児童数五万人増ということを考えています。また、先日、総理にも言っていただきましたが、放課後児童クラブの充実で四十億円増加、二百七十四億円、これは予算に入れております。二万四千八百七十二カ所、私も娘がお世話になりましたが、学童クラブに充てたいと思っております。

 どうか、現物支給、保育所や学童クラブ、保育ママさん、そういうところを応援するという内閣であることもぜひ御理解いただきたいと思います。

富田委員 福島大臣の今の答弁は、ことしの予算に関して数字を言っていただいたんですが、一月二十九日に発表された今の子ども・子育てビジョン、きのうもちょっと長妻大臣の方から御答弁ありましたけれども、保育所等を年五万人のペースで二〇一四年までに二十六万人のサービスをふやす、放課後児童クラブも八十一万人を百十一万人にする。数値目標は出してもらいました。

 保育所の方は三千億円必要ですね。放課後児童クラブの方も三百億必要だということは書いてあるんですね。そのお金をどこから持ってくるんだ、また、国と地方がそれをどう負担するんだということが、残念ながらこのビジョンに書いてないんですよ。数値目標と必要な額がわかっているのに、そこの部分が抜けているビジョンというのはちょっとおかしいんじゃないかと私は思うんですが、原口大臣、一生懸命うなずいてくれているので、どうですか。

原口国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 いろいろな計画は、その財源があって初めて成り立つわけでございまして、福島大臣が大変意欲的におつくりいただいたものを、私たち総務省としても交付税や地域の独自財源でしっかり支えてまいりたい、こう考えております。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 長妻大臣、きのうちょっと御答弁の中で、斉藤政調会長の質問の中で、答弁ミスじゃないかと思うんですが、保育所とか今の放課後児童クラブ等を全部やっているんだというお話をされた後、「先ほど言われた認可外の保育料等の問題について、認可保育所の定員増もきちっと我々行うわけでありますけれども、そういういろいろなもろもろの経費についても、この子ども手当の中で私どもとしては措置をさせていただきたいというふうに考えているところであります。」子ども手当の中でと言われたんですね。私、それは安心こども基金じゃないのかとやじったら、何か「(発言する者あり)」と書いてあって、そのやじの中身は書いてないんだけれども、これは安心こども基金から出すということで理解していいんですか。

長妻国務大臣 措置という言葉が誤解を与えたのかもしれませんけれども、今の御指摘は、私もこの前の土曜日、保育所にお邪魔して、親御さんの方から、認可外の保育料は今非常に高いんだということを申し上げて、私がその中で、認可保育所をさらに我々はつくってまいります、今のところは、子ども手当が支給されますので、その中で何とかそのお支払いも緩和できれば、こういうような趣旨で答弁させていただいたところであります。

富田委員 わかりました。

 では、次の質問に参ります。

 学校の耐震化について何点か確認をさせていただきたいんですが、平成二十年の六月に地震防災対策特別措置法を、私たち、まず自公で議員立法をやろうと思ったんですが、民主党の皆さん、共産党の皆さん、社民党の皆さん、これは大事だということで、全党共同提案という形でこのとき特別措置法を改正させていただきました。四川の大地震があって、学校の校舎が物すごく倒壊して子供たちが犠牲になったというようなことを反映して、これはやはり政治の責任としてきちんとしていかなきゃいけないということで、倒壊等の危険性の高い公立小中学校の建物、特にIs値〇・三未満について、それまでの補助率二分の一を三分の二にかさ上げ等をさせてもらいました。

 この結果を受けて、耐震化の補強工事が、数がずっとふえてきたんですが、この法案の改正の中で、公立小中学校の建物については、市町村に対し耐震診断の実施と耐震診断の結果の公表を義務づけました。各市町村は一生懸命これをきちんとやってくれて、どこの小中学校の建物が危ないかわかっているわけですね。

 わかっている中で、実は、二十二年度の概算要求、麻生内閣だった八月の段階では、五千棟、地方から要望が出てきた。でも、鳩山内閣になって十月に概算要求したときには二千百棟に減って、総理もこの前御答弁されていましたけれども、耐震に重点化をして二千二百棟にして、当初予算としても額も上乗せして一千三十二億にした。これは大事なことだと思うんですけれども、では、残っちゃった二千八百棟はどうするんだ。

 これまでも、自公政権でも、当初予算はぎりぎりのところで積み上げて、あとは補正でやってきたんですが、今現実に二千八百棟、工事をしたいという要望があるわけですよ。これは今回の予算の中に入っていない。ではどうするんだといったときに、参議院等のいろいろな御答弁で、一月二十七日の参議院予算委員会で、菅財務大臣が、平成二十二年度予算において経済危機対応・地域活性化予備費一兆円を計上しています、今御指摘のあった耐震化といった公共事業にも利用ができるというふうに答弁されました。また、総理も、同じ参議院の予算委員会で、この予備費の一兆円、貴重に使わせていただきたいと思います、子供の命というものの重要性は十分に認識しております、耐震化、おくれていると言われています、したがいまして、十分に適用できるよう配慮してまいりたいというふうに話をされたんだけれども、この二千八百棟分、この一兆円の予備費から本当に出すんですか。

 菅大臣、どうですか。担当は総務大臣ですか。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

中井国務大臣 お話ございましたように、御努力いただきまして、二十一年度中に〇・三までのところはほぼ工事を終えさせていただいていると考えております。

 今回、〇・三から〇・五の間で御要望をお聞きしましたら、お話のとおりあった。いろいろな予算の状況の中で、総理特別の御配慮で少しふやしたという形で、〇・三に近いものからということで手当てをいたしましたが、残りにつきましても、総理や菅大臣が御答弁いたしましたように、二兆円の中からできる限り重点的に対応していきたい、防災担当として精いっぱい頑張っていきたい、このように申し上げておきます。

富田委員 中井大臣が出てきてくれたので、鳩山内閣の中でリーダーシップをとってやっていただけるんだと思いますが、この二兆円なりあるいは一兆円の枠を使ってやっていただくのは結構なんですけれども、学校の耐震化の工事というのは夏休みにやるんですね。今回の予算できちんと措置されている分については、多分六月までに事業化されて、八月の工事に間に合うと思うんですが、残りの二千八百棟分について、予備費から出すといっても、どの段階で出して事業化するのかがはっきりしないと、地方自治体は結局ことしはできない。

 今、中井大臣、〇・三から〇・五、〇・三に近いところからできるだけ今回はやったんだと。でも、その周辺が残っているわけですね。この部分をやはり早急に額を決めて、きのうの加藤勝信議員の資料の中にありましたけれども、二千八百棟分は、八月の概算要求から今回の予算案を引いてみると一千七百四十三億円、ほぼこれでできるんだろう。

 この一千七百四十三億円という具体的な数字を、本予算、これは成立した後の話ですけれども、二千二百棟と一緒に予算の支出ができるような配慮をするのが内閣の仕事だと思うんですけれども、中井大臣、そこをもう一回、どうですか。

中井国務大臣 数値的なこともございますが、例えば、東海地震に関して非常に危険性の強い地域というものは、ほぼ九十数%耐震化ができております。ところが、東南海・南海ということになりますと、六〇%台という県もまだあるわけでございます。

 ここらの数値も十分見ながら、文科省、関係省と十分相談して、今お話をいただいたようにいくかどうかわかりませんけれども、夏休みの工事に間に合わせろ、こういう強い御要望があったことをわきまえて、精いっぱい頑張ります。

原口国務大臣 中井大臣がお話ししたとおりですが、それに加えて、先日通していただきました第二次補正予算、この中の地域活性化・きめ細かな臨時交付金、これがもう出ております。この五千億の中を、まさに学校の耐震化も地域が要望されれば使える、こういう形にしておりますので、よろしくお願いいたします。

富田委員 二人の大臣がああいうふうに言っていただいたので大丈夫だと思うんですが、総理、最後にちょっと、この件ですけれども、やはり総理も命が大事だと言っているんですから、お二人の大臣ときちんと連携をとっていただいて、六月にきちんと事業化できるものには予算をきちんと配分していただくと約束していただけますか。

鳩山内閣総理大臣 今、中井大臣、原口大臣からそれぞれ答弁がありました。その趣旨にのっとって、できる限り行ってまいりたい。時期の問題というものが重要だという話も学校のことですからよくわかりますので、そのような対応ができるようにできる限り努めてまいりたいと存じます。

川端国務大臣 予算措置については、今、内閣で最大限努力するという御答弁をさせていただきましたが、お触れいただいたように、六月が夏休みにできる一つのリミットです。

 ただ、実は、麻生内閣で特段の補正も組んでいただいた中で、予算措置上は、〇・三未満は全部できる予定の予算措置だったんですが、実は、地元の財政負担ができないからとか、あるいは幾つか棟があるのをまとめてやりたいからということで残ってしまったという経過があります。あるいは、まだ耐震の審査ができていないというところもあります。そういうものが、最終的にはこの数字が六月に出てくるという状況もあります。そういうようなものを踏まえながら、最大限早くできるようにという努力をしてまいりたいと思います。

 以上です。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 次の質問に移らせていただきます。

 先日の委員会で、公設秘書の兼職問題について取り上げさせていただいて、総理からも、党代表として、やはり原則が大事じゃないかという御答弁をいただきました。今、議院運営委員会の方で、各会派でまず総点検しようというような方向になってきたようであります。ここで質問したことがきちんといい流れになっていってほしいなと思いますし、我が党もしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 その中で、直嶋経済産業大臣が、私が、直嶋大臣の公設秘書さん、組合と兼職されていて問題じゃないですかというふうにお尋ねしましたら、こんなふうに答弁されました。それぞれの組合で、特に政策の問題でありますとかさまざまな制度について組合の活動として、例えば研修会をやったり政策提言を取りまとめたりということをしております、それに関して私の秘書が情報を提供したりとか相談に乗ったりという形で具体的に業務をしている、私の方が秘書業務に影響はないという判断をした上で許可した、そういう意味ではさっき例に挙げられたような極端なケースとは異なるというふうに思っておりますというふうに直嶋大臣は答弁されました。

 二〇〇九年十月二日付の朝日新聞によりますと、直嶋事務所の回答ということで、この秘書さんたちは秘書が主な業務で、時間外に労組の政策的な会議に出ることなどに対する報酬だというふうに新聞社のインタビューに答えています。

 ちょっとお手元にも資料が行っていると思うんですが、私の事務所の方で調べた、直嶋大臣の秘書さんの労働組合等から支給されている報酬額を表にしてみました。

 一番下に、第一秘書さん、第二秘書さん、第一秘書さんは年間六百九十万から、年齢や経歴で給料が上がっていきます。第二秘書さんは五百二十二万から上がっていきます。秘書さんの給料が一番下に書いてありますが、直嶋大臣のところの秘書さん、今大臣秘書官をやられている方は、去年の九月十六日に大臣秘書官に就任されてからは兼職はされていないんですが、その前は、ここに書いてあるような年額合計七百三十二万。今度、この方が大臣秘書官になったら、第二秘書が第一秘書に繰り上がって、やはり月十六万五千円を二カ所から、また月十万を二カ所からもらって、年収、別に六百三十六万。第二秘書が第一秘書に繰り上がったので、ほかから、どこから来られたか知りませんが、新しく第二秘書になられた方がこのようにもらっている。年収六百万。

 これはちょっと、公設秘書としてきちんとお仕事されてお給料をいただいているのに、この方たちは、大臣、どんなところで、いつ、どのぐらい働いてこれだけの報酬をいただいているんですか。

直嶋国務大臣 一月に御質問があったその続きということになるのかもしれませんが、今のその表で、一番左はもう今私の大臣秘書官をやっていますので、兼職はありませんということをまず確認させてください。

 それから、仕事の内容なんですが、前回もちょっとお話ししましたが、今、労働組合で、例えば税制でありますとか、この数年間、年金制度とかあるいは医療制度など、さまざまに議論をされてきました。それらについて、労働組合の活動として、例えば研修会を行ったり組合員の間で討論会を行ったりと、さまざまな活動をしております。その際に、どういう議論をしたらいいのかとか、アドバイスとか、あるいは、公表されているものですが、政府が出しているさまざまな資料を提供してあげたりとか、そして、運び方等についても相談をしたりとか、そういうことをやっています。

 前回もお話ししましたように、それぞれの秘書業務が中心でございまして、その他のものについては、公設秘書としての仕事に差し支えのないところで行うということでございます。

 現実には、電話とか、今メールが発達していますからメールを使ったりとか、あるいは向こうからこちらへ来たりとか、たまにはこちらから行っているということもありますが、いずれにしても、これは私の事務所の仕事ではなくて、それぞれの組合の仕事のお手伝いをしているということで、その報酬についても、先方が決めた報酬であるということでございます。

富田委員 今、私の事務所の仕事じゃないとおっしゃったけれども、政治家にはいろいろ支援していただいている方がいらっしゃるので、その人たちに国の情報を提供したりいろいろなことをやるというのは、ある意味、議員として、また議員の秘書として、その活動じゃないんですか。

 今、大臣、報酬は組合が決めていると言ったけれども、ここに書いてある報酬は、幾ら何でも、片手間にメールで答えたりとか、何か会合があったら行ったりでもらう金額じゃないですよ。

 大臣はやはり、経済産業大臣ということで、自動車業界も監督官庁になりますよね。そこの業者直接じゃないにしても、そこに関係する労働組合のところにこれだけ秘書さんが、何か天上がりか天下りか知らないけれども、あくとまた来て、そこの方がやるわけでしょう。

 これはやはり、大臣の職務に対する透明性とか公平性ということにも疑念が出てくると思われませんか。どうですか。

直嶋国務大臣 私が議員として当選しました後、今もお話ししましたように、それぞれの組合において、さまざまな政策についてしっかり議論をして、そして、その内容について例えば連合等にも意見を言いたい、そしてまた民主党にも政策として要請をしたい、こういう活動を積み重ねてきたということでございまして、確かに、私も率直に見まして、秘書給与以外の部分というのは、金額的に言いますと多いとは思います。それはもう、相対的に見て、そういうふうに御指摘を受けることはやむを得ないと思います。多いとは思います。

 しかし、それぞれの組合の活動の中で、これだけの報酬ということでお決めいただいたものですし、現実に、私の秘書としての、事務所としての仕事も、今は経済産業大臣ですから経産省でございますけれども、例えば、大臣になるまではしっかり国会でも質問もさせていただいていましたし、当選以来十八年間、参議院の同じ会館の事務所でございますから、近くの議員の方、富田先生のお仲間もいらっしゃると思います。直嶋の事務所、仕事ちゃんとしているかどうか、ちょっと聞いていただければおわかりはいただけると思います。私はその点は自信を持っております。

富田委員 大臣、私は、大臣と新進党でも御一緒に活動させていただきましたし、大臣は本当にすばらしい方だというふうに尊敬申し上げています。でも、今、経済産業大臣で中小企業政策の担当ですよね。この不況の中で頑張っていらっしゃる中小企業の経営者の皆さんが、これを見たときに何なんだと思うと思いませんか。

 私はやはり、せめて大臣在任中は、秘書の兼職は原則禁止なんですから、原則に戻って、大臣をやられている間は公設秘書の皆さんも兼職はやめて、承認しない、そういうふうにされたらどうですか。直嶋大臣ならそうすべきだと思うんですけれども、どうですか。

直嶋国務大臣 今もお話し申し上げましたように、私自身は、その部分は、大臣としての業務は公平中立に行っているというふうに思っております。実際、そういう今御心配いただいたようなことは生じていないと思っていますし、これからもその姿勢は貫きたいというふうに思っています。

 ただ、長年仲間でやってまいりました富田先生の御指摘でございますから、確かに御指摘のような点はあろうかと思いますので、少し考えさせていただきたいと思います。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

富田委員 ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 あともう五分しかありませんので、最後に、公共事業の箇所づけについて何点か確認をしたいと思います。

 箇所づけの資料の問題がこの委員会でも大分問題になりまして、この夕刻の理事会までに何とか提出してもらいたいということで、理事間で協議をしております。

 そういう中、先週の土曜日、二月六日の毎日新聞にこんな記事が載っていました。

  政府が五日、十年度予算案の公共工事の実施場所(個所付け)を示す資料の国会提出を拒否したのは、民主党が野党時代に掲げた「情報公開」に逆行する事態だ。自民党が「民主党に渡した資料をなぜ国会に出せないのか」と批判する一方、資料を受け取った民主党議員の多くは、いち早く地元自治体に予算の配分状況を伝えた。情報を内輪で独占し利益誘導を図る姿勢は、国民が政権交代に期待した「清新さ」を政府・与党が失いつつある状況を浮き彫りにした。

こういうふうに報道がされました。これを見て本当に残念です。

 行政刷新会議の議員で、前の鳥取県知事の片山善博慶応大学教授の話というのがここに載っています。民主党の皆さんもぜひ聞いてもらいたいけれども、「政府の対応は姑息で情けないほど低レベルだ。」と。

 自民党の皆さんはちょっと耳が痛いですが、自民党の方がまだこそこそと節度を持ってやっていた、情報公開は万人に平等でなければならず、お気に入りの人だけに提供し、他の人に提供しないのは公開の精神に全く反する、堂々と国会に提出して箇所づけの理由を答弁したらいい、国会に出せない資料を人に渡したなら機密漏えいだ、こんなレベルの低いインサイダー政治をやめようというための政権交代だったのではないのか、刷新するはずが余計悪くなっている、前原国土交通大臣の公開拒否の理由も詭弁だ、新政権だから錯誤も間違いもあるが、それは直せばいい、強弁を張ってはいけない、こういうふうに片山先生も言っていただいています。

 前原大臣、どうですか、この片山先生の意見を聞いて。

前原国務大臣 その記事は読んでおりませんので詳しくはわかりませんが、情報漏えいではないかという御指摘については、それに当たらない。

 国家公務員法第百条第一項において漏らしてはならないとされている職務上知ることのできた秘密とは、一般に知られていない事実であって、ほかに知られていないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実をいうと。

 これについては、もう既に事業計画というものでお示しをしておりますし、また地方にも今お示しをしているところでございまして、秘匿をするものではないということで、いわゆる国家公務員法上の情報漏えいには当たらない、こういうことでございます。

富田委員 前原大臣、情報漏えいに当たるかどうかというより、片山さんが言われている、民主党政権に期待した国民の声を裏切っているんじゃないかと言いたいわけですよ、片山さんは。そこはやはりよく考えていただきたいと思います。

 時間がないのでこれで最後にしますが、菅財務大臣、G7に行かれる前の閣議後の記者会見で、この件に関してこういうふうに言われました。

 私の立場からすれば、箇所づけというのは予算が成立した上で、たしか実施計画でしたか、そういうものをそれぞれの省庁が決めて、それを財務大臣がいわばオーケーを出すという手続があって初めていわゆる箇所づけというものになるというふうに認識していますので、今の段階でそういう手続はもちろん一切とられていませんから、箇所づけと呼ばれるそういうもの自体まだ存在しないというふうに思っています、ですから存在しないものを出せと言われてもそういう正式な形での存在でないわけですから、それはいたし方ないのかなというふうに言われています。

 多分これは、財務大臣は、財政法三十一条一項、予算の配賦がされて、それを受けて、三十四条で、「各省各庁の長は、第三十一条第一項の規定により配賦された予算に基いて、政令の定めるところにより、支出担当事務職員ごとに支出の所要額を定め、支払の計画に関する書類を作製して、これを財務大臣に送付し、その承認を経なければならない。」この規定のことを言われたんだと思うんです。

 条文上はそのとおりなんですけれども、今民主党の皆さんがやられたということは、財務大臣が本当はこの条文に従って財政法上の規定どおりにやらなきゃいけないことを、財務大臣を無視して民主党がやったということじゃないですか。

 菅さん、どう思いますか。今言われている、箇所づけの書類が民主党の幹事長室を通して各都道府県本部に行って、そこから自治体に流れてしまった、まだ箇所づけなるものはできていないからで済む話じゃないと思うんですが。財務大臣を民主党自体が無視してやったんじゃないかと私は思いますよ。最後、どうですか。どう思われますか。

菅国務大臣 まさに富田議員が言われたように、財政法上の私なりの解釈をそのときに申し上げたわけです。

 率直に申し上げて、片山先生、私は懇意にさせていただいておりますけれども、やはり公開するときは全部の皆さんがわかるように公開した方がいいだろうと一般的には思っております。

富田委員 一般的じゃなくて、やはり予算の審議の場にきちんと公開していただいて、堂々と議論をすべきだというように思います。ぜひ今夕刻の理事会に資料が出されることを期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 鳩山総理は、本会議でも、命を守りたいということを何度もお話しされましたが、そこで、命という問題にかかわって、今、安全が非常に大きな問題になってきていると思います。きょうは、最初に、トヨタのリコールの問題について聞きたいと思います。

 アメリカではアクセルペダルがリコールとなり、きょう、先ほど、プリウスのブレーキペダルのシステムにかかわってのリコールの届け出がありました。それで、この問題については、実は二月四日の日に、トヨタの横山常務の記者会見、ずっと記録を見ましたが、保安基準には合致している、フィーリングの問題だという話であったわけです。

 国交大臣に伺っておきたいんですが、きょうリコールを出したということは、これは保安基準に合致しているというあの発言というのは誤りであったということを、まず最初に言わなきゃいかぬと思うのですが、伺います。

前原国務大臣 リコールを届け出たということは、必ずしも今おっしゃることには当たらない。つまりは、企業の方で、改善措置をとるのか、サービスキャンペーンするのか、あるいはリコールという形をとるのかということの中で判断をされたことだというふうに思っております。

 もちろん、我々は我々の判断の中でリコールに該当するかどうかということは判断をさせていただきますけれども、必ずしもおっしゃることには当たらないと思います。

吉井委員 大臣、リコールとサービスキャンペーンは全然違うものですから、そこをまず、ごっちゃにして理解しておられたら、とんでもない話だというふうに言っておかなきゃいかぬと思います。

 それで、実は私も、昨年九月に、私を乗せていた車が運転中、一たんエンジンを切って動き出そうとすると、三メートルほど走って道の真ん中でとまってしまって、大変危ない思いをしました。そういうことがあるんです、ハイブリッドカーだったんですが。後でわかったんですが、サービスキャンペーンの対象車だったんです。ところが、修理して返ってきたら、これは実はリコールの対象に当たっていた油圧関係のポンプの修理が行われていたんですよ。

 実は、二月三日の日に佐々木副社長が大臣に会ってはりますね。ここでは、一月から制御系のプログラムを変えて生産しているんだという話だったんですが、サービスキャンペーンだったらこれは通知だけでいい話なんですよ、問題になればそれでそっと修理してしまう。このやり方というのは、これはリコール隠しということになってしまうんじゃないですか。

前原国務大臣 リコール隠しに当たるかどうかというのは、なかなか判断が難しいところだと思いますけれども、私も、佐々木副社長さんから話を聞きましたのは、これはブレーキの設定の問題である、フィーリングの問題であると。これは吉井委員が先ほどおっしゃったとおりでありますけれども。それは会社の言い分であって、使う方が、抜けたように感じて制動距離が伸びる、そして、それが原因であったかどうかわかりませんけれども、事故も発生しているということからすると、顧客の立場に立った対応が必要だったと思いますし、会社の設定の問題であったという言い方は極めて遺憾である、私はこのように考えております。

吉井委員 リコールというのは、保安基準に不適合か不適合のおそれがあるものはきちんと届け出をして、公表をして、修理をするというものですね。サービスキャンペーンというのは、通知だけでいいんです、公表の話じゃないんです。

 だから、仮に、サービスキャンペーンをやって戻ってきた車があれば、わからない間にちょちょっと修理して、本当はリコールでやらなきゃいけないものを直して出したってわからないんですよ。だから、このやり方ではリコール隠しになってしまうということを、やはり国交大臣としてはきちんと押さえてもらわなきゃならぬというふうに思います。

 次に、資料一、配付させていただいておりますのをごらんいただきたいと思いますが、これは、九四年以降のトヨタ自動車の海外生産比率の拡大と、国交省の方からはリコールの件数をいただきましたので、それをあわせましてグラフにしたものです。

 海外生産比率というのは、九〇年代前半は少なかったんですが、九五年の日米自動車合意の後、トヨタを初め各社が競うようにして北米市場などへ出かけていきました。中でも激しかったのがトヨタなんですが。

 昨年の予算委員会でもこれを取り上げましたけれども、トヨタの海外売り上げと海外生産比率を大体約二倍、それから海外生産台数で約四倍伸ばした中で、海外工場での現地調達、開発期間の短縮、熟練した正社員を非正規に置きかえる、下請単価をアジア並みの価格に引き下げさせるなど、かなり無理をした生産の急拡大というものがありましたけれども、リコールを見ても、二〇〇〇年代の初めごろと比べても大体四倍から十倍ぐらいに急増しているんですよ。

 だから、私はこの点では、生産の無理な急拡大路線、これがリコールと非常にかかわりが大きいということをきちんと国交省としても見ていかなきゃいけないと思うんですが、大臣に伺います。

前原国務大臣 製造物に対する安全性というものはきっちり担保されなきゃいけないというのはもう当然のことでございますけれども、それを前提として申し上げると、リコールがふえるということ自体、私は悪いことだと思っておりません。

 なぜかといいますと、今回が該当するかどうかは別にして、問題なのはリコール隠しなんですね。つまりは、リコールに該当するあるいはそのおそれがある、それは先ほど委員から御指摘をいただいたとおりですけれども、そういう、隠して結果的にユーザーに対する、不利益をこうむり、安全性を低下させるということが大問題であって、私は、このリコールがふえるということについては、もちろん安全性が損なわれているのであればそれは問題でありますけれども、リコールがふえるということは必ずしも私は悪いことではないと思っております。

 なぜなら、日本では、二〇〇〇年にある自動車会社でリコール隠しがございまして、それから徹底して安全措置をとるように、そして周知徹底するようにというような対応をとらせていただきました。

 北米市場のことにつきましては、これは議員も御承知のとおり、車両の安全については基本的には各国がそれぞれの国内法により担保するということでございまして、トヨタという日本の会社であっても、北米でつくったものについては、ローカルコンテンツ法、あるいはそれに基づく、またアメリカのリコールなどの法律に従うということでございまして、私は、生産拡大が必ずしもリコールの増加につながっているというふうには思っておりません。

吉井委員 えらいお話をされると思うんですね。

 これはグラフを見て一目瞭然のように、無理な生産の急拡大とリコールとはきちんと対応しているんです。生産の拡大以上にリコールがふえているんです。国交省のデータに基づいてグラフに載せました。

 それで、鳩山総理に伺っておきますけれども、リコールというのは、道路運送車両法上はメーカーの届け出制度ということになっているんですね。だから、これはメーカー任せなんですよ。メーカーが保安基準にこれは明らかに問題ありとなって届けることがなければ、保安基準上問題があっても、こっそり修理して直してしまったらわからないんです。だから、国の方がユーザーの安全を守る立場に立っていない、あるいは立場に立つのかどうか、今このことが問われているときだと思うんです。

 国に通知さえすればいいだけのサービスキャンペーンで、それにゆだねておいたのでは、リコールのように公表しなくてもいいというやり方で済むわけですから、私は、こういうやり方がこれだけ世界的に問題を起こした根底にあるというふうに思うわけです。やはり、国としてもきちんとユーザーの安全を守るという立場に立って臨むということが大事だと思うんです。

 総理は、命を守りたいということを何度もお話しされましたが、今回のプリウスのリコールの問題の教訓として、やはりすべてのトラブル情報を公開して、原因と対策を明示させて、命と安全を守る、この立場に立ち切るということが私は今政治の責任において必要になっていると思うんですが、総理、どうですか。

鳩山内閣総理大臣 吉井委員がお話をされたことは、私は一理あると思っております。すなわち、リコールに至らないケースであっても、人の安全、命にかかわるような事件、事故というものはたくさんある可能性がある、そのように思っております。

 したがいまして、基本的にこのような、リコールはもちろんでありますが、リコールに至らないケースであっても政府として情報公開をする、求めるということは大変重要な観点だ、そのように考えておりまして、今でも既に国交省のホームページ上で、リコールに至らないケースであっても、ユーザーやメーカーから報告された車両のふぐあいとか事故、火災、こういった情報が公開されているということにはなっておりますが、さらにこれを徹底して情報公開をしていくことが求められているのではないか、そのように考えます。

吉井委員 次に、経産大臣に伺っておきたいと思います。

 トヨタ北米工場の部品メーカーのアクセルペダルでリコールが大量に発生しました。これは、現地調達と称して急拡大路線と徹底したコストダウンの考え方が、やはりこうした設計、製作上、品質管理上の誤りとか緩みを起こしてリコールにつながってきているというふうに思うわけです。

 教訓とすべきことは、これは物づくりの基盤的技術を重視するということだと思うんですよ。自動車の約三万点の部品の一つ一つが精度が高くて品質のすぐれたものであってこそ、ドライバーの安全が保証されます。

 ところが、トヨタの場合は、これは一昨年の夏ですが、中小下請企業に生産の拡大の予定だから設備投資をやれと言っておきながら、秋のリーマン・ショックで需要が落ち込むと発注をぴたりとやめて、下請に補償しないのが現実ですよ。業者は、機械のローン、工場家賃などの固定費も出てこない。これでは、高い技術力を持っている基盤的技術の集積地が壊れてしまって、今度景気がよくなってもまともな物づくりをやっていくのは極めて大変だ、リコールが起こり得るような部品が出てくるのを解決できないことになってしまいますよ。

 そこで、経産大臣に伺いますが、三次、四次とか、要するに下の方の下請、そういうトヨタなどのメーカーの下支えをやっている基盤的技術の集積地をこの不況の中でもきちんと守り抜くんだ、この決意があるのかどうかを伺います。

直嶋国務大臣 今、トヨタについて、例えばアメリカのリコールのアクセルペダルの件などについてもお触れになりましたが、詳細な理由はトヨタに確認していただければいいと思うんです。ただ、経緯は、私が聞いている話は、今の吉井先生のお話とは少し違うというふうに思います。

 ただ、今先生が御指摘になりました、特に品質管理とか中小企業の集積地の問題でございます。これは、例えば生産が拡大しても品質管理をしっかり徹底していくというのが物づくりの生命線でございますから、やはりそれはおろそかにしてはいけないというふうに思っていまして、今回の件に関しても、私は、トヨタに対しては、リコールの要因を踏まえ、また迅速な対応を行って、消費者の信頼をぜひ回復、確保してほしい、このように思っております。

 それから、今御指摘のとおり、今の不況の中で、中小企業の皆さんの状況を見ますと、おっしゃっているように、例えば、大田区とか東大阪の中小企業の集積地もそうでございますが、やはりくしの歯がこぼれるように企業数が減っているというのが実態でございます。これに対しては私も大変大きな危機感を持っていまして、日本の物づくりの最も基盤と言っていい中小企業の集積地については、経産省としてもしっかり政策的に実行して守っていきたいというふうに思っています。

吉井委員 一つ一つの部品をつくって供給しているのは、文字どおり町工場なんですよ。それは今大臣もおっしゃったように、基盤的技術の集積地と言われるところの物づくりの力なんです。そこを失ってしまうと、三万点の部品から成り立つわけですから、安心できる車というのはつくれないんです。

 そういう点では、私は鳩山総理にも、大体、一人前の技術者を育てるのにやはり五年、十年かかるんですよ、町工場の経営の実態の中でどんなに大変か、どういうふうに苦労して育てていっているかということをぜひ学び取ってもらいたい、現場を見て知ってもらいたいと思いますし、リコールを出さない部品を生み出すだけの基盤的技術の集積地を支援するために二つのことがあると思うんです。それは、親企業なり大企業の社会的責任を果たすことと、もう一つは、国も、基盤的技術の集積地を守る、そのことに対しては、固定費補助などを含めてきちんと支援を行っていくということが大事だと思うんです。

 総理のその点についての決意を伺っておきたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 中小企業、特に物づくりの重要性というものは私も認識をしているつもりでございますし、私ももともとはそちらの方で生きていた人間でもございます。品質管理などというようなものを手がけていたときもございました。

 そういう意味で、日本の誇るべき基盤的技術というものが失われないようにしていかなきゃなりませんし、そういうことで、その技術を、いろいろな税制とかあるいはさまざま財政のところで政府としても支えていくということが重要な観点ではないか、そのように私も思います。

吉井委員 次に、武器輸出三原則の問題について伺いたいと思うんですが、昨年七月十四日に日本経団連が出した「わが国の防衛産業政策の確立に向けた提言」で、武器輸出三原則等の見直しを求めております。これについての防衛大臣の考え方というものを伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 武器輸出三原則につきましては、これは国際紛争の回避という平和国家としての基本理念でありまして、鳩山総理もたびたび委員会で答弁をしておりますし、また私も、そのことについては、これを厳守していくという立場を表明しております。

 そこで、今お尋ねの経団連の提言でありますが、これは経験則から出た統一的な見解であろうというふうに思っておりますし、一月二十一日に防衛関連企業との懇談会も防衛大臣として行いまして、ほぼ同じような立場で要請といいますか提言がなされておるわけであります。

 既に御存じだと思いますけれども、三木内閣のときにこの三原則をかなり広げて厳格なものにしたわけでありますが、その後、たびたび官房長官談話とかそういうもので特例をつくってきた。最近ではBMDの共同開発というようなこともありまして、そういうものをずっと見てくる中で、防衛大臣として、装備の円滑な調達をするのにどういう問題点があるのかというようなこともこれあり、この提言については真剣に検討をしてまいりたい。

 ただ、先ほど申し上げましたように、三原則の精神はしっかり守った上での検討、こういうふうに御承知おきをいただきたいと思います。

吉井委員 資料二をごらんいただきたいと思うんですが、これまでの武器輸出三原則等についての考え方、政府見解、主な例外措置について上段に入れておきました。それから真ん中の段には、一月二十二日に予算委員会で北澤大臣は、この際いろいろ検討する余地はあるのではないかと一月十二日の日本防衛装備工業会の会合で発言をしたことを認められたこともここに載せておきました。

 これは、昨年八月の、前政権時代の安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書の、武器輸出三原則の修正というのに沿った発言ではないかというふうに思うんです。その点について、大臣にまず伺います。

北澤国務大臣 安防懇の中身については承知はいたしておりますが、それと連係して私が申し上げているということではなくて、私が防衛大臣として予算編成をしていく中で、先ほど申し上げましたように、原則を時々特例で認めていくというやり方よりは、産業界からもいろいろ意見があるので、根本的に議論をする必要はあるのではないか。ただし、それは、鳩山内閣とすれば、武器三原則の基本理念というものはしっかり守った上で実務的な議論はあってもいいのではないか、こういう気持ちで申し上げたわけであります。

吉井委員 今のお話は、少なくともこれまでの例外措置とはちょっと違うと思うんですよね。武器輸出三原則に関する立場というのは、八三年の後藤田官房長官が、日米安保条約の観点から米軍向けの武器技術供与を緩和することを武器輸出三原則の例外とするというふうに発言して以来二十七年になりますが、これは官房長官に伺っておきますが、少なくとも現役大臣の発言として武器輸出三原則の見直しとか検討という発言というのはなかったと思うんですが、これは初めてじゃないですか。

平野国務大臣 吉井先生にお答えをいたします。

 過去の事例ではございません。ただ、これは報道というベースでございますが、平成十六年の一月、石破長官、あるいは十九年の久間大臣等の発言は、報道ベースでございますが、ありました。しかし、いずれにしても、武器輸出三原則等については、その後、内閣官房長官談話を出すことにより政府の方針を明らかにしてきている、こういう事実でございます。

吉井委員 ですから、北澤大臣の発言というのは初めてなんですよ。現役の大臣として、武器輸出三原則について見直すとか検討するとかいう発言は。

 総理に伺っておきますが、安防懇の報告書の立場をやはり否定して、そして、武器輸出三原則は変えないんだ、このことをきちんと明確に言われる必要があると思うんですが、その点が一つと、時間が迫ってきたようですから、また、北澤大臣の発言というのは、かつての自民党政権の時代であれば、これは罷免物でしたよ。鳩山総理は、北澤大臣について、そういうことを認めておくというお考えなのか。この二点、総理に伺います。

鳩山内閣総理大臣 御案内のいわゆる安保懇の報告書というものは、私どもも当然理解をしているところであります。その報告書が出たものですから、そのことの内容に対しては勉強するということは北澤大臣が申されたのではないかと思っておりますが、ただ、私どもは、武器輸出三原則は堅持する、そのように考えておりまして、国際紛争などの助長を回避するという平和国家日本をこれからも守っていくという趣旨で、我々としては大変重要な原則だと認識しております。したがいまして、今後とも武器輸出三原則というものは引き続き守らせていただきたい、そのように考えております。

吉井委員 時間が参りましたので、最後にもう一度だけ、そこだけ繰り返して聞いておきたいんですが、安防懇の報告は鳩山内閣は否定して、きちんと立場を貫くということでいいですね。

北澤国務大臣 否定とか肯定とかということではなくて、鳩山内閣とすれば、新たに有識者懇談会を設立して、その中でまた議論をしていく。

 それから、先ほど来私の発言について、いかにも武器三原則を見直すんだとか、そういう論調でお話しになっておりますけれども、再三申し上げておりますように、これは厳守をした上で、むしろ瑣末な議論をしている中で、BMDの共同開発みたいな大きなものがぽんと官房長官談話で特例扱いをされる、そういうびほう策のようなものをもう少し根本から議論したらどうなのかという問題意識を持ったわけであります。

吉井委員 終わります。

鹿野委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 ODA予算に関して鳩山総理にお尋ねします。

 鳩山総理は、世界の命を守りたいとおっしゃいました。「世界じゅうの子供たちが飢餓や感染症、紛争や地雷によって命を奪われることのない社会をつくっていこうではありませんか。だれもが、衛生的な水を飲むことができ、差別や偏見とは無縁に、人権が守られ、基礎的な教育が受けられる、そんな暮らしを、国際社会の責任として、すべての子供たちに保障していかなければなりません。」と鳩山総理は訴えられました。大変結構なことだと思います。

 しかしながら、そのお言葉に反して、今回の予算では、ODA予算が七・九%もの大幅な減額になっております。例えば、子供たちの命を守る国連のユニセフ向けの拠出金は九・七%削減です。それから、難民の命を守るUNHCR、国連難民高等弁務官事務所、こちらに向けた拠出金は七%減っております。

 世界の命を守りたいというお言葉と実際のこのODA予算に反映されている予算額とのギャップについて、どうお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 JICAで大変頑張ってこられた山内委員から、ある意味で政府の理念と予算案が必ずしも同じじゃないではないかという御指摘をいただきました。

 ある意味で、私ども厳しい財政の中で、今私が理念的に申し上げたことがすべて満たされているとは必ずしも思えない予算になっていることは事実として認めなければならないと思っています。すなわち、例えばODAの予算も対前年度比七・九%減、六千百八十七億円だということでございます。

 ただ、これから大事なことは、ある意味で限られた財政の中でいかに集中と選択によって本当に必要な事業を行っていくかということだと思っておりまして、私どもは、日本の皆様方の命も国内であるいは海外でも守らなきゃいかぬ、また海外の子供たちの命も守らなきゃならない、そのような思いは持たせていただく中で、例えばめり張りをつけて、アフガニスタンとか、あるいはアフリカとか、そういった方々、あるいは地球環境問題、気候変動問題、こういったところに私どもが重視をするような予算をつくらせていただいたということでございまして、山内委員が御指摘をされましたように、予算そのものから見れば必ずしも大きくふえたということではないと申し上げなければなりません。ただ、事業そのものからすればふえている部分もかなりあるということもあわせて申し上げておきたいと思います。

山内委員 事業量自体はふえているというのは、恐らく円借款をふやしたりということだと思うんですが、どうしても円借款のような事業というのは、ハードのインフラとか、あるいは返済能力のある国が対象になりますので、一番貧しい国や紛争の起こっている、真っ最中のアフリカの国、そういう国にはなかなか借款は行きません。やはりどうしても借款以外の贈与ベースの無償資金協力や技術協力、そういった贈与ベースの援助はある程度維持し続けることが重要ではないかと思います。

 ちょっと順序を変えますが、最後の五番目の質問にします。

 日本のODAはここ数年だんだん減ってきまして、今、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスに次いで五番目になりました。アメリカよりODAが少ないのは何となくわかりますが、人口も経済規模も半分ぐらいのイギリスやフランスよりも今や日本のODAは額的に少なくなってしまいました。あるいは、対GDP比でいうと日本のODAはもう最下位から数えた方がいいぐらい大変少ないわけでありますが、この現状について、鳩山総理、どのようにお感じでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 山内委員御指摘のとおりの数字であることは認めざるを得ないと思っております。

 かつては、日本はODA総額、世界の中でも一番頑張っていると評価をされていた時期がありました。しかし、近年になってODAの予算が財政の厳しい状況の中でどんどんと削られてきてしまっているというのも、実態として事実であろうかと思います。我が国のODA支出純額で申し上げれば、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスに次いでまさに第五位になってしまっているということでございまして、また、対GNI比はアメリカと並んでDAC加盟国中最下位だという低迷をしているところでございます。

 ただ、ODAの支出純額、今、円借の方も含めての話を申し上げれば、円借と無償をいかにうまく使いこなすかということになろうかと思っておりまして、最貧国のようなところにはやはり円借は難しいということだと思っておりますが、円借で十分な発展途上国あるいは新興国もあるわけでございまして、そういったところをうまく使い分けていくことによって、限られた予算の中で最大限の効果を上げていくことが求められているのではないか、そのように考えております。

山内委員 ちょっと時間が短いので、途中、質問を幾つか省かせていただいて、やはり一つ、総理にお尋ねしたいと思います。

 総理は新しい公共ということを提唱されておりまして、NPOに対する寄附とかそういったものに対して前向きに取り組んでいただけるものと思っておりますが、今の認定NPO制度というのは、大変使い勝手が悪いとNPOの皆さんの間で余り評判がよくありません。三万九千のNPOのうち、寄附金の控除を受けられる認定NPOというのは百十六団体しかありません。国税庁もこれまでそれなりに改善の努力はしてきたんですけれども、どうしても、制度自体を抜本的に切りかえなくては、寄附文化を根づかせるあるいはNPOにもっと寄附を出してもらえるような、そういう仕組みづくりというものが必要ではないかと思います。

 そういった寄附金税制について、これからどのようにお考えなのか、お尋ねします。

鳩山内閣総理大臣 山内委員がお話しいただいたとおりでございまして、私も全く認識を同じにするものでございます。新しい公共、これが、この国をこれから新しく支えていくある意味で主役になるべき考え方だ、そのようにも考えております。

 そのような中で、NPO、あるいはNGOでもいいんですが、NPOに対する寄附税制が余りにもまだ、使い勝手が悪いというか、使われることができにくくなっているという実態があろうかと思います。

 私は、この寄附税制に関しては、抜本的に変えていくことが必要ではないか、そのように思っておりまして、いかにしてその仕組みをつくるか。政府の税調の中でも議論が始まっているところでございますが、できる限り、これは山内委員にもある意味で御協力をいただく中で、いろいろなお考えをお述べいただきながら、我々として、寄附税制に大きな活路を見出していけるような新しい公共に仕立て上げてまいりたい、そのように考えております。

山内委員 今度は財務省にお尋ねします。

 認定NPO法人制度、特にパブリック・サポート・テストと言われる部分が非常に評判がよろしくない。なぜかというと、寄附金の割合が一定以上じゃないと税の控除が受けられないんですけれども、介護とかあるいは教育とか障害者の作業所みたいなところは、寄附金よりも事業収入の割合が大きくなりがちなので、どうしても寄附金控除の要件を満たせない、そういう弊害が出ております。

 それについて、財務省として何らか改善の具体策はありますでしょうか。

峰崎副大臣 山内委員にお答えしたいと思います。

 今御指摘になった点、先ほど総理が新しい公共ということで、本当に寄附税制を含めて大々的に見直していくということの作業に今従事しております。

 そうした中でも、パブリック・サポート・テストというのは、かつてこの比率を、三分の一だったのを五分の一まで下げたんです。ただ、それでもやはり介護だとかそういう事業収入をたくさんやっているところは、実は比率がなかなか、ウエートが高いものですから下がらない。そういう意味で、これをどうやったらいいのか。

 特に、公益の認定のあり方をもう一回見直ししたり、あるいは介護収入だとかそういう事業収入の比率をどのように考えたらいいか。これはしっかり検討して、本当に使い勝手のいいNPO法人にして、そして新しい市民が新しい公共を支えていける、こういうものにしていきたいと思っておりますので、どうぞ御協力よろしくお願いしたいと思います。

山内委員 寄附金税制に関しては、これまでの制度を手直ししたり改善するんじゃなくて、もう抜本的に考え方、哲学自体を大きく切りかえることを政治主導で、政権交代がありましたので、やっていただきたいと思います。

 以上、要望を述べまして、時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十六分散会


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