衆議院

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第12号 平成22年2月16日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十二年二月十六日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      石津 政雄君    糸川 正晃君

      打越あかし君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    大山 昌宏君

      岡本 充功君    奥野総一郎君

      城井  崇君    沓掛 哲男君

      黒田  雄君    古賀 一成君

      田中 康夫君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    中野  譲君

      中林美恵子君    長島 一由君

      畑  浩治君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    森本 和義君

      山田 良司君    吉田 公一君

      若泉 征三君    渡部 恒三君

      小里 泰弘君    加藤 勝信君

      金子 一義君    小池百合子君

      下村 博文君    菅  義偉君

      田村 憲久君    谷畑  孝君

      野田  毅君    山本 幸三君

      大口 善徳君    笠井  亮君

      重野 安正君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   原口 一博君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   厚生労働大臣       長妻  昭君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国務大臣

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   総務副大臣        内藤 正光君

   外務副大臣        武正 公一君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  梶原 康弘君     中野  譲君

  小泉 俊明君     石津 政雄君

  森本 和義君     大山 昌宏君

  谷川 弥一君     加藤 勝信君

  阿部 知子君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     小泉 俊明君

  大山 昌宏君     森本 和義君

  中野  譲君     梶原 康弘君

  加藤 勝信君     谷川 弥一君

  重野 安正君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城井崇君。

城井委員 おはようございます。民主党の城井崇でございます。

 本日は、私にとりましては、初めて予算委員会での質問をさせていただく機会をちょうだいいたしました。本当にありがたいことだと思っております。ありがとうございます。

 我が国日本のこれからに大きくかかわる我が国経済、この我が国経済においては、与党、野党ということで争っている場合ではない、対応を急ぐ課題が多くあると思っております。そうした課題の中でも、本日は、新しい民主党政権の中でもつくってまいりました新しい成長戦略、この中でも大きく位置づけられております、海にかかわる政策を中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、港湾強化の方向性、特に拠点港湾の重点整備化についてであります。

 海洋国家であります我が国日本におきましては、船舶そして港湾が我が国の未来に果たす役割は極めて大きいと思っております。人の流れ、物の流れの大動脈としての役割、また、モーダルシフトを担う、環境に優しい輸送手段。あるいは、災害時、緊急時における陸上ルートの代替機能、特に船ということで申しますと、もう十五年がたちましたけれども、阪神大震災の折には、陸上ルートが使えなかったがためにということで、フェリーが、例えばおふろフェリーといった形で、災害に遭われた方々の生活を支援したという実績もございました。そうした多くの役割をこれからも担っていただくことを念頭にいたしまして、船舶の振興、あるいは港湾の強化を一層進めていく必要がある、そのように思っております。

 しかし、旧政権の現行政策、例えば港湾で申しますと、スーパー中枢港湾政策、あるいは地方港に目を転じてみますと、地方港への投資は分散をしたままという状況があり、そうした結果、何が起こったかといえば、結果として、世界の各港と比べた場合には、周回おくれと言っていい状況になってしまっているのではないか、このように感じています。

 きょう、皆様のお手元にも資料をお配りしております。資料の一をごらんいただければと思います。

 この資料一にありますように、アジアの主要港におけるコンテナ取扱貨物量、あるいは我が国港湾とアジア主要港との欧米基幹航路寄港便数の比較というところを見ましたときに、我が国の港の地位は相対的に低下をしているということ、また、我が国に寄港する基幹航路の便数が著しく減少しているということ、一目瞭然であります。

 この中で、二〇〇七年のコンテナ取扱量を見ると、日本の地盤沈下ははっきりとわかるわけであります。日本は、例えば東京港の二十五位というところを最高にいたしまして、首位のシンガポールと比べれば、ほんの七分の一にすぎないという状況にある。

 海の現場の話をこれまでも政治浪人の四年間伺ってまいりましたけれども、こうしたこれまでの政策と、今、海の現場が置かれているその実感とが相当にかけ離れてしまっているということ。この厳しい実態を踏まえて、いかに将来像を描いていくかということが新政権に課せられた役割である、そのように思っています。

 現行政策の検証、そして将来像の提示、また具体策の詳細な検討について、順次お伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 まず、現行政策の検証と将来像であります。

 特にスーパー中枢港湾、この政策についていかに総括をしていくかということが非常に大事であるというふうに思っています。これまでもこの政策が実行されて以来、さまざまな問題点が指摘をされてまいりました。個別の港湾の整備にとどまっており、面としての対応がとられていないのではないか、あるいは、メガターミナルオペレーターが設立されたものの、結局、港、港で事情は違うものの縦割りが残っているんじゃないんですか、あるいは、いまだに箱物整備が中心で、本来の港そのものを取り回していく部分の工夫が足りないんじゃないか、あるいは、政策の一貫性に疑問が残るという声もあります。

 そうしたスーパー中枢港湾についての指摘を踏まえての総括、その総括を踏まえてでありますけれども、これからの港湾整備のあり方、特に将来の我が国港湾の姿をいかに描いていくか。最近では、国際ハブ港湾を目指すことを我が政権として発信していくということを聞いております。

 国際ハブ港湾を目指すにしても、近隣諸国からフィーダー船でコンテナ貨物を集積して基幹航路へ、その母船へと、中継地点を目指していくにしても、地政学的に不利な状況にある我が国ということを考えましたときに、この国際ハブ港湾を本気で目指していくときにどんな形で新しい戦略を描いていけるか。このことは、先ほどの厳しい現状を踏まえたときにはなかなかに大変な部分があるというふうに思っています。

 そうした厳しい情勢認識を踏まえてのこれまでの政策の検証と、そして将来像の提示について、国土交通大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

前原国務大臣 城井委員にお答えをいたします。

 城井委員がお示しをされましたグラフでも明らかでございますけれども、一九八〇年には、日本の東京湾、大阪湾を含めまして、かなりのアジアの雄という地位でございましたけれども、今や完全に他国の港湾に抜かれているというのが現状でございます。

 前政権の政策でございますが、スーパー中枢港湾というものを三つ指定しておりまして、目標は港湾コスト三割の削減、現在においては二割削減できると聞いておりますし、また、リードタイムにつきましても、目標が一日ということでほぼ達成できているということで、それなりの成果は上げられてきたのではないかと思っております。

 しかし、さらに国際競争力を強化していかなければならないことがたくさんあります。例えば、パナマ運河がこれから拡張されますけれども、拡張されましたら、拡張されたパナマ運河を通れる船の大きさというのが世界標準になってくるわけでありますが、それが停泊できる港というのは、日本にはほとんどありません。そういったものをどうやって整備していくかということも大事でございますし、また、集中をさせるためには、三百六十五日二十四時間化というものが必要でございます。

 そして、先ほど城井委員がおっしゃったように、先般、私も名古屋の港の視察に行ってまいりましたけれども、それぞれの埠頭でいわゆる運営主体が違うということで、ばらばらでございまして、効率的な運用が一体的にできていない、こういった問題点というのが指摘をされているわけであります。また、やはり荷物をどう集めていくか。先ほど委員がおっしゃったような内航フィーダー、こういったものも強化をしていかなくてはなりません。

 そういう意味では、今、国土交通省の成長戦略会議で、五つの成長分野の一つに、海洋国家日本の復権ということで、港の強化というものを考えております。二つございまして、このスーパー中枢港湾を含めまして、国際コンテナ戦略港湾あるいは国際バルク戦略港湾、こういったものをさらに絞り込む形で集中的に投資をしていくということをする中で、日本全体の底が上がるような港をつくっていくということをやらせていただきたいというふうに思っております。

 それと同時に、重要港湾というのが今百三ございますけれども、これを総花的にさまざま投資していくというのは、もはや、今の少子高齢化そして人口減少、莫大な借金を抱える等限界でございますので、四十程度までに絞らせていただいて、新規投資をやっていくというのはそういったものにしていく。

 これから現政権では選択と集中というものを掲げさせていただく中で、国としての競争力をどう高めていくかという観点に立った港湾政策を進めてまいりたいと考えております。

城井委員 ありがとうございました。

 スーパー中枢港湾に関しては、先ほど、それなりの成果というところでの港湾コストの削減、リードタイムの一日化ということに触れられました。この点は、海の現場から申しますと、スーパー中枢港湾というのは主要港の中でも一部じゃないか、つまりそこの成果だけでとどまるわけにはいかないというところをやはり厳しく指摘させていただかねばならぬというふうに思っています。

 では、続きまして質問させていただきたいと思います。今のお話を踏まえてになります。国際戦略港湾の選定についてお伺いさせていただきたいと思います。

 先ほどの海洋国家日本の復権という政策のど真ん中に位置するのが、この国際戦略港湾の選定になろうかと思います。二月の十二日の公募開始、六月をめどにということで、報道によりますと、最大二つの港を重点整備港としてというふうに伺っております。恐らくは、これを東アジアの物流の拠点としての国際ハブ港ということで位置づけしていこうということであろうかと思います。

 先ほどの御答弁にありましたように、選択と集中ということでは理解をするわけでありますけれども、そのやり方、選定方法というところで現場からも懸念が出ております。港湾管理者それぞれに手を挙げていただきたいということを、これまでも大臣も繰り返しおっしゃっておられましたけれども、スーパー中枢港湾あるいはその前の政策のときにも、例えば私の地元であります北九州市もそうでありました。港の整備に関しては、環太平洋という構想を持ちながらということで国際ハブ港湾を目指すという取り組みがあったわけでありますが、結果として、これまでの施策の中では、その成果実らずという形で半端な形になっているのではないか、そんなふうに思っています。

 その意味では、地域の自治体側の努力はあるというふうに思いますけれども、国の主体的なかかわりは一体どこにあるのかというところはやはり地域に対してしっかり示していかねばならぬと思いますし、また、具体的な選定基準ということで申しますと、先ほど、パナマ運河を通る船舶について言及がありました。恐らくそれが念頭にあってのことかと思いますけれども、水深が十八メートル級のターミナルあるいは航路の整備ということかと思いますけれども、そうした、ある意味でハードの部分での基準をかなり強く押し出されているように感じております。

 このハードに偏り過ぎているような印象が今現場にあるとするならば、いかがするか。本来でしたら、例えば規制の改革やあるいはコストの低減などといった、ある意味でソフトの面、施設整備以外の面で、既存の施設を活用しながらいかに工夫ができるか、国の面でも工夫ができるところがあるのではないか、そんなふうに感じています。そうした部分を踏まえて、選定方法や具体的な選定基準、もう既に十二日段階で公開をされているものもありますけれども、その点について多くの声が上がっております。そうした部分を踏まえての御見解をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 先ほど言及をいたしましたが、先般、名古屋港に行ってまいりました。名古屋の港湾関係者の方とお話をしておりまして、若干あきらめムードみたいなものが初めはございました。つまりは、既存の量からすると東京湾や大阪湾にはかなわないということで、手を挙げても無理なんじゃないかというお話がございました。

 もちろん、今の規模というものも一つの判断材料にはさせていただきますけれども、それだけではない、私が重視をしているのはこれからの伸び代だということを申し上げたわけです。

 城井委員が、ハードの面に重きが置かれているのではないかという御指摘がありました。もちろんハードも大事だと思いますけれども、私は、ハード以上に大事なのはソフト、運営主体やあるいは経営方法、これが極めて大事だと思っております。

 例えば、ポストパナマックス級の船が泊まれる港に整備というのは、集中していたところを、それは例えば国がお金を入れてやればいい話であって、それが条件ではないと私は思っているんです。つまりは、どれだけの荷物を集められますかということとか、あるいは、今でもやはり基幹航路というのは豪州とか北米なんですね、そういったところの航路がどれだけありますか、あるいはこれから発展可能性のあるアジアについてどれだけの営業努力や量を見込んでいるのかということ。つまりは、日本のコンテナの集約、今コンテナのお話をされているので、集約と、基幹航路をどれだけ維持し、また成長のかなめになっていくアジア航路でどれだけのものを見込めるかということ。

 それともう一つは、先ほどお話をしました、港の運営の仕方を変えてくださいと。私は、民の力を入れてもらいたいということを申し上げています。民営化の視点というのは大事ですね。ばらばらな運営主体ではなくて、統一された民の力をどう活用していくか。そして、三百六十五日、二十四時間化というものに本当に努力をしていただけるんですかというようなことを踏まえて、大事なことは、民の視点による戦略的な港湾の運営をする意思がその港を統一してあるかどうかということが極めて大事だと思っております。

 したがって、今の量、規模に安住をして手を挙げて、自分のところは大丈夫だろうと思っていたら、それは選定をされない。むしろ、これからどういう、前向きな経営の中で飛躍的に伸ばしていって、アジアの拠点港湾となり得るのかということが大事なポイントだということを改めて申し上げたいと思います。

城井委員 ありがとうございました。

 今るるお話をいただいた部分、いわゆるハブを目指してというところ、極めて重要だというところはよく理解をしたところでありますが、そのハブがハブとして機能するためには、やはりハブ・アンド・スポーク、つまり、そこからつながる船、航路、そしてその先にある、国内で申しますならば地方港ということになろうかと思います。そのスポークの部分について、幾つか伺おうと思います。

 今、地方港に対しては、先ほどのハブを目指してというお話に比較いたしますと、その整備の方針というところでは、国からまだ、新しい政権のもとでは明確な方針が示されていないのではないか。だからこそ、この年末にかけての各地域からの、港にかかわる要望の部分の中身を見たときには、旧来と変わらない形でしか出てきていなかった。優先順位が見えないからではないか、そのように思っています。

 総花をやめるというところには賛同するわけでありますが、では、そうしたこれからの、国際ハブというところを念頭に置きながら、地方の港をいかにして整備していくかというところ、その地域とのかかわりの部分について、一言お答えをいただければと思います。

前原国務大臣 これから分権の時代になります。今回の公共事業におきましては、二・二兆円の社会資本整備総合交付金という形にして、地域がより使い勝手のいいものにさせていただくという仕組みを取り組ませていただきました。一括交付金への過渡期の施策と考えていただいたら結構であります。

 そして、港を抱えておられるところについては、道路もあるでしょうし、ほかのインフラもあると思いますけれども、そういったものを使っていただいて、いかにみずからが主体的に整備をしていくかということも大事な点だと私は思っております。

 先ほど申し上げましたように、重要港湾だけで百三ございますけれども、今までのように、すべて国がそれについてお世話をしていくということはもうほぼ無理だろうと私は思っています。公共投資がそれだけできない。今御審議いただいている予算案の半分以上が社会保障という現状を考え、また莫大な借金があるということを考えれば、相当選択と集中というものをやっていかなくてはならない。

 これも繰り返しになって恐縮ですが、百三の重点港湾のうち、新規事業を継続する港は四十程度を絞り込んでいきたいというふうに思っております。そのときに、やはり、地域が本気でこの港を活用して、先ほど城井委員がおっしゃった、日本海側に面しているのであれば、アジア経済圏というものをしっかりにらんだ施策を地域としてもやってもらえるかどうか。すべて国頼みではなくて、地域自身がやはり荷物を集めて、そして企業誘致も含めて、工場誘致も含めて、戦略的にその港を活用していくという視点が大事でございます。

 そういったことをやはりしっかりやっていただくということが大事でございまして、社会資本整備総合交付金、そして地方の港も、百三から重点港湾四十程度に新規事業継続は絞らせていただくという中で、地域がいかにアピールをしていただくかということが大事でございまして、これからそういうものを見させていただく中で絞り込みをさせていただきたい、このように考えております。

城井委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣の御答弁にもありました、貨物を集める、荷物を集めるということをする場合には、地方港は極めて大事だというふうに思っています。その意味では、真の地域主権が実現するまでの間は、国とのかかわりはやはり大きなものがあると思っておりますので、その点、目配りいただければというふうに思います。

 続いて、お伺いをさせていただきます。

 高速道路料金の引き下げ並びに上限制にかかわる輸送機関への影響についてお伺いさせていただきたいと思います。

 これまでも、委員の皆様にも多く御要望等来ておると思いますけれども、トラック、バス、鉄道、旅客船、多くの輸送機関への大きな影響を与える政策であります。この中でも特に、本日は、内航フェリーの対策の必要性について一言御質問したいというふうに思います。

 先ほど海の重要性については申し上げました。フェリーはその中心を担っているというふうに思っています。しかし、業界からは悲痛な叫びが上がっております。

 資料をごらんください。資料の二と三であります。実際に、これまでのいわゆる一律千円という政策でもそうでありましたし、また、現在検討中と聞いております上限五千円ということになりますと、その経営自体が成り立たないという声が多く伝わってきております。大臣のもとにも要望が伝わっているというふうに思っています。

 フェリーの運賃収入の約七割はトラックからの収入であります。特に大型車や特大車であり、トラックの運賃収入が失われますと、航路の維持存続はできません。もう既に赤字の料金で経営に突入しているところが多くある中で、そうした状況をかんがみ、フェリーとの競争条件にも配慮したきめ細やかな上限設定というものが必要だというふうに思っています。

 そのあたりを踏まえての御見解をお伺いいたします。

前原国務大臣 前政権で行われておりました高速道路の割引、料金体系は極めて複雑でございまして、わかりにくい。そしてまた、ETC土日千円、また、ETC限定による不公平感、いろいろな課題がございます。

 きのうも、城井委員からフェリー業界の方々に会わせていただきまして、現場の厳しいお考えを聞かせていただきました。貴重な経験をさせていただきましたことを御礼申し上げたいと思います。

 そういった声も踏まえて、そして、我々が目指す、高速道路の料金を下げることによって物流コストを下げていくということの整合性をどのようにとっていくかということを、今後、委員からも御指摘いただいた点も踏まえて検討をさせていただきたいと考えております。

城井委員 事は既にかなり切迫をいたしております。失われる雇用の確保等も含めて、迅速な対応をお願いできればというふうに思っています。

 最後に、有線ラジオ放送事業の改善について総務大臣にお伺いをさせていただきます。

 特に本日お伺いしたいのは、有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律の届け出義務に違反をし、本来国庫に入るべき道路占用使用料あるいは税金が何十年にもわたり未納のまま放置されている件であります。

 資料の四をごらんください。この有線ラジオ放送事業、現在大手二社、具体的にはUSENという会社とキャンシステムという会社、一〇〇%近いシェアを二社で占めております。四十年前から長らくにわたって違法状態が続いておりましたけれども、平成元年に違法状態にあった両社に対して正常化の要請がなされました。その後、USENにおいては平成十三年四月にすべての届け出をし、正常化を終えておりますけれども、一方、問題なのは、キャンシステムの方であります。資料にあるとおり、正常化要請からは二十年余り、現在に至るまで正常化は行われてはおりません。

 総務省から伺いましたら、百六十二万本の電柱や電話柱を使っていると報告されているんですけれども、実際には八万本しか届け出がない違法状態となっております。しかも、国道の占用使用料の未納分は、単年度と過去五年の精算分を加算して四千三百五十万円、また、本来電柱や電話柱を所有するところが上げるべき使用料による売り上げに対する法人税の未納は、過去精算分、単年度を含めて十四億三千万円にも上っています。

 こういう状況を四十年間も放置して多大な損害を与えている行政の不作為とも言える責任は極めて大きいと思いますし、また、それを見逃してきた旧政権の責任も重いというふうに思っています。この会社については、政治家の影も見えております。

 総務大臣、この違法状態を今後どのように是正されるおつもりか、伺いたいと思います。

原口国務大臣 城井委員にお答えいたします。

 業界大手二社のうち、大阪有線放送、現株式会社USENについては、平成十二年に正常化を完了というふうに聞いております。

 他方、もう一社のキャンシステムについては、大阪有線放送の正常化後、総務省において定期的に同社の正常化の進捗について報告を受けてきたものの、いまだに正常化が完了していません。

 政権をとって、さまざまな今までの行政について再チェックを指示いたしました。その中で浮かび上がってきたのがこの部分についての早期正常化に向けた総務省の対応でありまして、この対応は極めて不十分であったと私は考えておりまして、問題があったことは事実だと思います。

 省内に調査チームをつくりまして、なぜこのような違法状態を長きにわたって続けさせてきたのか、そして同社の違法状態の早急な解消に向けて、有線ラジオ放送の運用の規正に関する法律に基づき厳正に対応していく。これはダブルスタンダードがあっては、城井委員、だめだと思います。

 そして、政治家の影というお話がございましたが、特定の方からの総務省に対する働きかけ、これもあったのではないかということで、今調査をしているところでございます。

城井委員 徹底した調査と是正、正常化への努力をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、若泉征三君。

若泉委員 民主党の若泉征三でございます。

 本日は、釈迦に説法になるかもしれませんが、岡田大臣に、外交についてのあり方と、また非核三原則に対しますことを御質問し、そしてあと、私は町長を十六年務めておりますので、地方行政ということで原口大臣また前原大臣にお聞きしたい。よろしくお願いを申し上げます。

 一九八九年の十二月三日に、御存じのように米ソのデタント、力の均衡の崩壊、いわゆるマルタ会談でございますが、ゴルバチョフとブッシュの会談によって崩壊し、そして国際情勢は非常に幅広く多極化しまして、政治、経済、軍事、あらゆる面で多極化してきた。

 そういうときに、私の恩師である故若泉敬京都産業大学教授がこのように話をいたしておりました。国家間の信頼関係をつくるのは、国家と国家のいろいろな、外交だけじゃなくて、一番大切なのは、人と人の信頼関係をいかにたくさんつくっていくかということが大事だというようなこと、これは当然のことだと思います。儀礼的な外交の必要性もあるが、外交官があるいは日本人の多くが個人的な友情関係を持つことが大切であると、常々私に申されておりました。

 当時、若泉敬教授は、クリスマスのときにはクリスマスカードを毎年数百枚出してきて、そのつながりというもの、人間関係、信頼関係がずっと継続して続いてきたというようなことを言っております。もとより吉田茂元首相の門下生でありまして、きょう加藤先生もいらっしゃいますが、池田内閣の宏池会、または佐藤内閣、福田内閣の外交ブレーンとして活躍をしてまいりました。

 私はその当時町長をいたしておりましたが、私の町にも、マンスフィールド元駐日大使、そして歴史学者のアーノルド・トインビー、キッシンジャーが二回来られまして、イスラエルの大使ということでちょっとごまかされまして、私はイスラエルの大使さんだと思って御案内していましたが、実はキッシンジャーだった。こういう関係と、また、世界各国から三十人か四十人が若泉敬氏を訪れ、ともに福井の片田舎を散策した覚えがございます。そういうことは今までの外交にやはり幾らかの影響があったのではないか、このように私は若泉敬教授を評価しております。

 そういう中で、後ほど御質問申し上げますが、同時に、昨年、ダライ・ラマ氏と会う機会がございまして、ダライ・ラマ氏が私の質問にお答えされましたが、今、日本は、日本の国土の上に建物と人が立っているように見えます、もっともっと人と人の交流、特に語学が大切ですが、その交流がなければ日本というものは世界各国に理解されないというようなことも言われました。まことに私は大切な言葉だ、こういうふうに思っています。外交というものはにわかづくりでは非常に困難であるということでございます。

 総理大臣が日米同盟を基軸に東アジア共同体構想を提案されておりますが、私も賛同するものでございます。世界の多極化に向かう構想の中で各国がリーダーシップを発揮するのは当然であり、総理も、気宇壮大なCO2二五%の削減と同時に、東アジア共同体の一極化の中でのリーダーシップをとっていこうという積極性のある外交が打ち出されたわけでございます。

 先般、私も長城計画としまして中国へ行きまして、向こうの、中国の、いわゆる日本の外務省のようなところでございますが、そこを訪れまして質問いたしましたときに、胡部長代理が言われました。ASEAN十カ国プラス三カ国、中国、韓国、日本、これは六〇%のドル通貨を保有しておりますが、この三カ国が中心に経済活動をする、そしてFTAもこの三カ国でやりたい、人的交流もやりたい、このように強調されておりました。非常にいい、いわゆる日本の東アジア共同体構想に共鳴するというような力強いお話をいただきました。

 そこで、御質問を申し上げたいと思います。

 実はここに、「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という、これは若泉敬氏が、ニクソン、佐藤栄作、キッシンジャー、若泉敬の、この本が出ているのは御存じだと思います。

 何回か手紙が来ておりますが、この本を書いているときに私に本人の書いたこういう手紙が来ております。平成六年十二月九日、若泉敬氏からの手紙ですが、

 私は憂国の念に駆られながらわが国の歴史に遺す“証言”を為すための“義務”に吾が使命感を燃やし、著作の完成に心魂を傾けてきました。

  先般公刊しました沖縄返還日米首脳外交の拙著「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」は静かな衝撃を内外に与え、アメリカ側でも反響は深く英訳の話が進みはじめました。

 沖縄返還後、すべての活動を若泉敬氏はやめまして、十年の歳月をかけましてこの本を編集いたしました。このころ私に敬氏が申されたことは、有事の際には沖縄に核を持ち込む密約があった、事実だということ、これは本にも記してあります。沖縄の県民に再び悲惨な思いをさせるのは申しわけないということで、沖縄の慰霊塔の前で割腹自殺を図りました。

 つまり、大事な極秘文書を暴露することが目的じゃないんです。佐藤栄作氏が非核三原則でノーベル平和賞をもらった、この事実に関して若泉敬氏は、日本国の平和のアピールとして、長崎、広島を見てもそうでございますが、一つの経験をもとに、大きな平和へのアピールはやはり非核三原則だという願いが込められたと思います。

 そこで御質問申し上げたいのは、非核三原則の堅持について、「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」で知られるこの若泉敬氏には、私は若いころからけいがいに接してまいりました、非核三原則は平和国家日本の姿勢を対外的に示す上でも重要な政策であると考えますが、民主党政権において、非核三原則を堅持するとの方針について、岡田外務大臣の決意をお伺いしたい、このように思います。お願いいたします。

岡田国務大臣 今委員がお触れになった若泉敬さんの「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」、私もこの本が出たときに読みまして、あえて書かれたことに大変感動いたしました。

 そして、最も印象的な部分は、ホワイトハウスでニクソン大統領と佐藤首相が、一連の沖縄返還手続を終えた後、隣の小部屋に入って、そこでサインをした、中身は今委員がおっしゃったとおりでありますが、そういうくだりがあって、果たしてその文書があるのかないのか、あるいは出てくるのかどうか、今、四つの密約のうちの一つでもあるわけですけれども、外務省の中で調査をし、そして有識者でそのことについてさらに深めた議論をしていただいているところであります。

 そういう過程の中で、佐藤首相の次男の信二氏から、こういうものが自宅の机の中にあったということで、出てきたということで、私も、多分出てこないだろうと思ったそういった歴史的な紙が出てきたことに非常に印象を深くするとともに、佐藤信二氏の勇気にも敬意を表したいというふうに思っているところでございます。

 さて、そういう中での非核三原則についての御質問でありましたが、非核三原則は堅持をする、これが鳩山内閣の基本方針であります。

若泉委員 ありがとうございます。私どもも、これからもこの日本の非核三原則をしっかり守っていかなきゃいかぬ、このように思っております。

 もう一つは、東アジア共同体構想でございます。

 先ほど申しましたように、中国へ行きましたときに、外交部の胡部長代理が、東アジア共同体構想についてどのように考えるかを私が質問しましたときに、共同体構想について共鳴すると述べた上で、日中韓がアジアの中で中心になり、ASEANプラス三カ国で、これは中国と日本と韓国でありますが、進めていくことが重要であると述べると同時に、日中韓の三カ国は、世界の外貨準備、いわゆるドルの六〇%を保有している、経済分野でアジアが中心になって活力を発揮すべきである、人的交流もやっていきたいと。

 今後の日本が、多極化する世界の中でリーダーシップを発揮すべきであり、その際に強固な日米同盟を基軸としたアジア外交を進めていくべきだと常日ごろ思っておりますが、胡部長代理の東アジア共同体に関する見解に対して、日本政府としては東アジア共同体をどのように進めていかれるのか、そのお考えをお伺いしたい、このように思います。

岡田国務大臣 私の外交演説の中でも東アジア共同体について言及をしておりまして、これは一つは、長期的なビジョンである、そして具体的には、貿易・投資、金融、環境、エネルギー、開発、災害救援、教育、人の交流、感染症などの分野で開放的で透明性の高い地域協力を推進していく、こういうふうに述べているところでございます。

 今、委員、日中韓というふうに言われました。私は、日中韓は経済的には非常に大きな存在だというふうに思いますが、それと並んで、やはりASEANというものの重要性も強調しておきたいというふうに思います。

 そもそも、東アジアにおいてそういった共同体の構想が現実味を持ってきたのは、ASEANがまずしっかりと共同体的な発想で今まで進めてきた、そのことも大きいわけで、ASEANプラス3、これが共同体の、すべてではありませんが大きな構成要素というふうに思っております。

 日米同盟というのは、これは安全保障を中心にした幅広い同盟でありまして、これは日本の外交政策の基軸である、そのことと東アジア共同体というものは両立するのだ、そういう前提でさまざま考えているところでございます。

若泉委員 時間がありませんので。

 先ほど話しましたように、若泉敬氏またダライ・ラマ氏が、民間の外交というものは人と人のつながりが非常に大切だと言っておりました。

 私が今こういうことを言うと岡田外務大臣はちょっと嫌がることなんですが、あなたのお父上が、自分の会社のお金を一部、世界の青少年のために寄附されているんです。こういう民間的な外交というのも必要だと思いますが、政府として、昔、財団法人世界青少年交流協会というのがありまして、私も数回これで派遣されて行きました。そのときには自民党の川崎秀二さんが会長でありました。その前には松村謙三さんもいろいろな活躍をされていました。そういうつながりの中で、あの世界青少年交流協会の活動というのは非常に意義のある、価値のあるものであったと私思います。今は、いろいろな不正があって、解散したのかどうかは知りませんが、なくなっております。

 民間的な外交、これはどういうふうにお考えになるか。あれはたしか文科省でありましたが、外務省としてどういうふうにお考えになるか。どうですか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、人の交流というのは非常に重要であります。

 二〇〇七年以降、毎年六千名規模の東アジアの青少年を招聘するプログラムを政府としては実施しております。それに加えて、さきの総理の施政方針演説の中で、東アジア共同体の中核を担う人材育成の観点から、今後五年間で、アジア各国を中心に十万人を超える青少年を日本に招くということについて言及したところでございます。

 委員御指摘のように、やはり基本的には人と人のお互いの理解というものがあって初めて共同体構想というものが現実味を帯びてまいりますので、しっかりそこは鳩山政権としてやってまいりたいというふうに思っております。

若泉委員 時間がありませんので、総務大臣に引き続きお伺いしたいと思います。

 平成大合併以来、三位一体改革、私はこれを地方貧権と言うんです。財源がなくして権限だけあるので、地方貧権、貧しい権限だと私は言ってきたんですが、過疎債の廃止、さまざまな悪影響を及ぼしています。

 例えば、二〇〇六年の六月に夕張市が財政破綻いたしましたのもその一つでありますが、あのときには、一万二千人の人口で六百億円の債務超過だったんです。北海道の管理下に置かれましたが、当時、国はどうだったかといいますと、一億二千万の人口で六百兆円の国債発行で、まさに夕張市はその縮図とも言えるわけですね。夕張が破綻したら、実は国ももう破綻しているということになるわけです。それぐらい厳しいものであった。

 さらに地方においては、二〇〇八年十月に、国交省発表で、限界集落が七千八百七十八になった。中には、神社仏閣を燃やして集落を出ていったという話も聞いております。これによって地方の集落の文化、歴史、伝統、また先人の築いたものはなくなってしまった、こういう事実があるんです。

 私は、合併を反対しておりません、推進しておりますが、非常に急いで急速にやったということがこのような形になったんじゃないか。

 総務省は二〇〇八年に、特例債はゼロ、基礎自治体三十万人人口に及ばないので合併は廃止をした。もとより、地方自治体債務に対して、長期返済に関しましては交付税算入で補おうと指導されてきました。夕張市においても、自治体が過剰債務に責任があるが、五年に一回は総合計画書を出させて指導してきたんですから、わかっていたはずなんですね。私は、その指導がまずかったんじゃないか、このように思っております。

 それで、お聞きしたいと思いますのは、平成の大合併によって、中心部が栄えまして、限界集落の問題を含め周辺部が寂れてきております。また、これまであった住民団体のネットワークが壊れ、地域のコミュニティーに問題が生じている地域が存在しているなど、多くの問題点がありますが、総務大臣はどのように支援をされるつもりですか。お願いします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 若泉委員におかれましては、全国最年少の町長として当選されるなど、地域の発展のために大変な御尽力をくださいましてありがとうございます。

 そのことを踏まえた上で、まさに委員がおっしゃるとおり、急速な合併、そして三位一体改革による地方の切り捨て、これが地域を大変疲弊させているというふうに思います。合併をそろそろ総括し、地域みずからが持っている文化や、あるいはきずなや伝統、そして地域の資源をどのように生かしていくかということで、総務省としては、今回、交付税を一・一兆円ふやさせていただきましたし、きめ細かな交付金によって地域の創意工夫ができるような、そういう制度で下支えをしていきたい。

 さらに、今、過疎法の御議論をいただいていますが、しっかりとした過疎対策、これもあわせて支援させていただきたい、このように考えています。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

若泉委員 もっと質問したいんですが、時間がありませんので。

 今回、いわゆる合併特例法の改正案が出ます。今後合併はだめだというんじゃなくて、今後の合併にもまた引き続き支援をしようという内容が今回改正されます。

 そしてまた、地域主権を推進するに当たりまして、私はこの提案を以前からしておりましたが、いわゆる国と地方の協議の場を設けられるということでございますが、このことについてもぜひお願いしたいと思います。

 また、これは私の提案でありまして、地域主権推進担当大臣としてお聞きしたいんです。国家公務員の天下りを批判されておりますが、国づくりにかかわってきた国家公務員が、ふるさとの国づくりに携わることができるような事業や制度ができれば有意義ではないか。五十八で肩たたきになったら、あと二年は、では、国づくりをやってきたんだからふるさとの国づくりをやってみようじゃないか、そういう一つの制度ができるといいんじゃないか。

 地域主権改革を担当する原口大臣の見解をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさに、国、地方の協議の場、三回目を今度二月十八日に行います。そして、法制化に向けてほぼ詰まっています。

 そして、委員がお尋ねの国家公務員のふるさとづくりですが、大変大きな志、能力そして識見を持った方々が、御自身が生まれ育った地域のためにさまざまなお力を発揮できるように私たちも考えてまいりたい、このように考えております。

若泉委員 総務委員会にて詳しいことはまた原口大臣に御質問申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 時間がございませんので、次に、前原大臣にぜひともお願いしたいと思っています。

 一つは、私は前から、町長時代からそう思っていましたことは、全国画一的な道路の規格、設計というものは、地方におきましても都会と同じように、または国道並みの、または高速道路並みの道路が地方道の中にもあるわけなんですね。こういったものは、幅員を減らすとか、そういった規格、設計の改正によって、今仕分け事業ということがなされておりますが、相当無駄をなくすことができるんじゃないか。道路が必要じゃないということじゃないんです。

 次に、道路の必要性を私は申し上げたいと思います。

 高速道路とか国道は、生活道路であり産業道路であり防災道路であり防衛道路というふうに私は位置づけております。そういう意味におきましては、縦断は大分完成はしておりますが、ただいまのような理念の中で、日本海側と太平洋側、さらに高速道路また国道は必要であると。

 ただし、一つ私が言えるのは、原口大臣も地域主権ということを強く言われておりますが、こうやってずっと北海道から九州まで見ますと、横断道路が少ないんです。日本海側と太平洋側を結ぶ道路は数えましたら十六本しかないんです。私は、この横断道路をさらに広くすることによって、地域主権の生活圏、経済圏というもののブロック、道路によってブロックがつくられている、将来の道州制には非常にこれは大きな影響を与えると思います。

 私は、そういう意味で、道路の整備に対しての一つの、無駄なところもあるんじゃないかというのは今度道路法の改正で提案されるのは存じ上げておりますが、前原大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

前原国務大臣 首長を御経験された観点から、建設的な御意見、ありがとうございます。

 今、若泉委員がおっしゃったように、道路構造については道路構造令という政令がございますが、このたび、我が鳩山政権になりまして、平成二十一年十二月十五日に閣議決定されました地方分権改革推進計画におきまして、都道府県道や市町村道の技術的基準については条例に委任する、こういう形で道路法の改正をさせていただき、今委員がおっしゃった方向で取り組ませていただきたいと思っております。

 また、高速道路については、先ほどおっしゃったように、地域の活力、成長力に資するものとして大事なものについては、地域の要望や費用対効果を含めてしっかりと皆さん方の御意見を伺いながら、必要なものは着実に整備をしていくということでございます。

若泉委員 最後に、もう答えはいいんですが、先日、自民党の福井委員が質問されました中に、阿久津副幹事長が、八王子南バイパスの沿道の地権者に、おれは政治力があるから国交省の予算が幾らか調べてきたと、八王子バイパスの地権者ですよ、こういう質問がありまして、その後、一月二十三日のTBSの報道特集、野党転落、直面する壁の中で、八王子市内を通る国道の整備計画について、前自民党衆院議員さんが次のような発言をされました。こんな大事な道路だからどいてくれと、どいてもらっておいて……(発言する者あり)静かにしろ。

 特にテレビで、あとはつくらない、どうなるかわからないと言うのは、これは本人として皆さんに申しわけないと。実はこれについて……

海江田委員長代理 若泉君、申し合わせの持ち時間を経過しておりますので、御協力願います。

若泉委員 はい、わかりました。

 これに対して阿久津議員は、根も葉もないということを言っております。

 以上でございます。

海江田委員長代理 これにて若泉君の質疑は終了いたしました。(発言する者あり)御静粛にお願いします。

 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野です。

 きょうは、時間をいただきまして、二十分という短い時間でありますが、質問をしたいと思います。

 まず、原口大臣に質問します。

 大臣も既に御存じだと思いますが、ことしの三月三十一日にKDDI国際オペレータ通話が廃止される、こういうことになっています。これはKDDIが独占的に行っている業務であって、KDDIがこの業務を廃止すれば、日本と海外の間での日本語のオペレーターを介した国際電話がかけられなくなる、こういうことになります。

 G8でこのサービスのない国というのはほかにはありません。九・一一のアメリカの同時多発テロの際にも、あるいはスマトラ沖の地震の際にも、現地滞在者から日本の家族に安否をこの国際オペレータ通話でつないだんですね。海外で事件や事故に遭った際の重要な命綱なんだ、この国際オペレータはその役割を果たしている。高く評価しております。

 今回の廃止は、この制度が小泉改革により届け出制になった、そこに起因していると私は思うのでありますが、唯一のサービスであり、公共性が非常に高い、国民の命や財産にかかわるものを自由に廃止していいものかという疑問を持っています。

 一月二十八日、参議院の総務委員会において我が党の又市議員が質問をし、原口大臣から前向きな答弁をいただいておりますが、自来、時間も経過をし、三月末が迫ってまいりました。

 そこで、私の質問に対する大臣の見解を聞いておきたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 重野委員におかれましては、日ごろから、総務行政万般、またさまざまな政策決定について大変な御指導をいただいておりますことを、まずお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、今の御質問でございますが、委員御指摘のように、国際オペレータ通話が災害時における通信手段としても大変重要な役割を果たしている。そして、これはまさに命綱というか、ライフラインでございます。また、海外における、例えば北朝鮮における日本人妻の連絡の手段としても大変重要であるという認識をしています。

 現在、KDDIにおいては、国際オペレータ通話の重要性等を踏まえて、今後の対応、これはサービスの継続を含めて再検討しているというふうに聞いておりまして、総務大臣としては、やはり通信行政に責任を持つ立場としては、日本の国民の命、あるいはさまざまなライフラインをしっかりと守ってほしい、このように考えておるところでございます。

重野委員 これを廃止するというKDDIの説明を聞いてみますと、経営的な問題がある、この事業で赤字が累増していると。いかほどかと聞いてみますと、二〇一二年度、推計でありますが、六千四百万ぐらいの赤字が出るということであります。

 NHKの国際放送に対する国の補助という制度も一方にはあります。そういう視点から、このKDDIの国際通話が今後とも担保されるようにぜひ総務大臣として決断をしていただきたいな、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさに委員がおっしゃるとおりだと思います。中央政府がどのような権利を保障するかということは大変大事なことでございまして、委員の御指摘を踏まえて、総務省としてもしっかりと下支えができることを検討させていただきたい、そのように考えています。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

重野委員 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。

 次に、赤松農水大臣にお伺いいたします。

 数点ありますが、まず、森林・林業再生プランについて聞きます。

 農水省は、昨年の十二月二十五日に森林・林業再生プランを公表しました。これまでも森林整備の加速化、あるいは林業技術労働者の確保、国産材の活用などが取り上げられて、緑の雇用による新規の労働者も増加していると承知しております。

 しかし、山村は、依然として疲弊の傾向が続いている。高齢化という状態も改善されない。そこには幾つかの原因があると思うんですが、若者の中には山村で働きたいという意思を持つ人もこのごろあらわれてきております。ところが、働きたいんだけれども所得が低い、あるいは不安定な雇用、将来を見通せない、労働災害の発生率が高いなどなど、問題がまだまだ山積みされております。同時に、定住しようとしても、住宅や子供の学校、病院がない、こういうふうな問題も一方にはあります。

 こうした課題に対応していくためには、これまでの施策の見直しを図る必要があるのではないか。雇用の受け皿となる地域の林業事業体の育成、林業技術労働者の確保と並行してそういうことも行う必要があるんだろう。そのことを通してしっかりとした職場をつくっていくこと、山村の定住化条件を高める、山村の活性化に結びつく施策の検討を行うことなどが必要だと考えるんですが、そういう視点について、赤松農水大臣の見解を聞いておきたい。

赤松国務大臣 重野先生にお答え申し上げたいというふうに思っております。

 先生御指摘のように、今、森林・林業を取り巻く極めて深刻な状況は御指摘のとおりだというふうに思っております。

 その意味で、林業事業体というものをしっかりと育成して雇用の場を確保していくことは大変必要だと思っておりますし、私どもも、昨年十二月に再生プランを発表いたしましたけれども、この時期、戦後植林をいたしてまいりました人工林がちょうど五十年、六十年たつ。それ以上たっても、今度はCO2の吸収源としての役割はどんどんと落ちていくということになるわけで、そういう意味で、こうした戦後植林した人工林資源が利用可能な、今ちょうどそういう段階だという中で、不在森林所有者も多い中で、みずから伐採、搬出することが困難であるとすれば、こうした所有者から受託を受けて林業事業体がそのかわりの役割を果たしていくということは極めて重要だと思っております。

 そんな意味で、林業就業者能力向上対策事業という、約二千九百億円ですが、新規のこうした事業も今予算でお認めをいただいておりますので、こうしたものも使いながら、今先生御指摘のような形で事業体の育成にしっかりと努めてまいりたい、このように思っております。

重野委員 次に、大臣に聞きますが、国有林について聞いておきたいんですけれども、森林・林業再生プランでは、「国有林の技術力を活かしたセーフティネット」として、「国民共通の財産である国有林の技術力の活用。」というのを具体的に挙げております。「そのために組織・事業の全てを一般会計に移行することを検討」、このように書いております。

 今後の検討に当たって、国有林野として地球温暖化の防止に貢献することもありますし、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等、多様な公益的機能を高度に発揮することが国民の期待にこたえることだというふうに認識します。

 このような国有林野は、森林経営の条件としては不利な地域に数多く存在している。国民の安全、安心を確保するためにも、森林の保全、整備を行う必要があることは言うまでもない。これらのことから、公益的機能をより発揮させるためにも、現行体制をより充実させ、債務処理も含め一般会計において管理、経営することが結果的に効果的であり、効率的であるのだろうというふうに私は思いますが、その点について、大臣の認識をお伺いいたします。

赤松国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほど、私、ちょっと数字を読み間違えまして、二億九千万と言ったつもりなんですが、二千九百億と発言をしたということで指摘がありましたので、これは二億九千万の間違いでございますので、訂正させていただきます。

 国有林野の一般会計化についてでございますけれども、今、森林の、三割を占めているのが国有林でございます。その意味で、まさに地域の水、緑、環境を守っているのは、また国民の安心、安全、先生今御指摘のとおり、また地域の活性化ということも含めて支えている森林の役割は極めて大きい、このように思っております。

 そんな意味で、国有林野にとどまらず、民有林の施業集約化への支援や、あるいは新たな大口需要に対応した木材の安定的な供給ということを考えたときに、私どもといたしましては、森林は国民の財産、環境のためにも国が責任を持ってやっていくべきであるとの視点も織り込みながら、組織、事業のすべてを一般会計に移行することを検討するよう指示を今しておるところでございます。

重野委員 次に、亀井郵政担当大臣に三点ほどお伺いいたします。

 まず、ユニバーサルサービスの確保についてという点です。

 郵便局の最も大きな存在理由の一つは、全国一律のユニバーサルサービスの維持にあると考えている、一貫してそのことを我々は主張してまいりました。

 私の地元では、例外なく過疎地域でありますけれども、集落で唯一の金融機関が郵便局、こういう形であります。郵便局が収益の向上のみに集中すれば、当然この過疎地域の郵便局は消されていくのではないかという懸念を持っております。

 幸い、政権交代によって郵政民営化の見直しが決定され、今、その具体的な法案がこの国会に出されてくると承知しております。その際、ユニバーサルサービスの確保というのは最重要課題と考えます。党としても、先般、大臣に申し入れを行ったところでありますが、私は、このユニバーサルサービスはどんなことがあっても守っていかなければならないと考えますが、大臣の決意のほどをお聞かせください。

亀井国務大臣 社民党が郵政事業の現在の実態を踏まえて抜本的な改革について取り組んでおられることを、この場をかりまして感謝を申し上げたいと思います。

 おっしゃるように、残念ながら、現在の実態はもうずたずたになっております。これを再活性化していくという立場で、今、最終的な案を考えておる最中でございますが、なかなかこの問題、地域においては信金、信組が存在し、これもまた地域社会を同じように守ってくれておる、大事な仕事をしてくれております。そのあたりとの、やはり間違った民業圧迫にならない、かつ郵政事業が活性化していくという、これを今一生懸命考えておりますので、議員の方からまた具体的ないろいろな方法についてお教えをいただきたいと思います。

重野委員 次に、社員などの労働条件について聞いておきたいと思うんですが、先日の予算委員会で大臣は、非正規社員で正規を希望する人は正社員化していくんだという答弁をされております。私も全く同感であります。

 日本郵政は日本を代表する企業なんですね。その代表する企業が率先して雇用のモラルを守るというのは、これは小泉改革以降久しく日本では聞かれなかった言葉になっている。新しい郵政が、雇用の安定と企業の繁栄が両立し得るものだということを示すことを期待しております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、非正規問題とあわせて問題になってきたのは、私も、この予算委員会でも総務委員会でも、いわゆる過度なノルマの設定ということを何回も指摘をしたんですが、前の内閣においては、そのことについて、言葉では言うんですけれども、しかし、実態としてそういう状況が改善されずに来ているという現実がございます。

 今、調べてみますと、正規の職員と非正規の職員が大体半々ぐらいなんですね。これはやはり私は正常な姿ではないということを考えますし、法令遵守はもちろんでありますが、前政権時代にまかり通ってきた郵便局の姿というものを現実変えていく、そういう決意と、やはり労働者に思いをいたして、そして、それを受けとめて労働者が郵政のために全力を挙げて働くという、よき循環をつくっていかなければならぬというふうに私は思うんですが、その点について、大臣。

亀井国務大臣 委員が御指摘のとおり、雇用関係も、この十年来続いた、人を道具扱いにしてコストを下げていく、そうした経営が日本郵政についても残念ながら相当蔓延をしております。

 私は、改革の一つ大きな柱は、やはり職員も人間として大事にして、自主、自発的に一生懸命仕事をしていただく、そうした状況に思い切って変えます。これは現在もう齋藤社長と具体的な話もしておるわけでありまして、現在の日本郵政の雇用関係は私の目で見ると極めて異常だ、このように考えておりますので、責任を持ってこれは変えていきたい。

 それともう一つ、年賀状のノルマ等を含めて過重なノルマが課せられておる、そういう経営は健全ではありません。自発的に職員が業績の向上のために頑張っていく、そういう状況にしていきたい、このように考えております。

重野委員 ありがとうございました。そういう方向で、大臣、ひとつ精いっぱい頑張ってください。よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

鹿野委員長 これにて重野君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 菅財務大臣にお聞かせをいただきたいと思うんですけれども、消費税論議を来月から始めるというようなことが新聞で出ておりますけれども、消費税の論議については、これまで財務大臣・副総理が申し上げてきたように、無駄の削減をしながら、無駄の削減をもう鼻血も出ないほどやってから消費税の論議をする、そういうふうな理解を私たちはしていたわけであります。

 今回、予算委員会の最中にこういうふうな御発言をなされて、財源論についてもう一回論議をしなければならないというようなことは、一つの提案としてはいいのかなというふうには思いますけれども、この時期、消費税というのは物すごく政治にとって大きなもので、私の政治の師であります山中貞則先生は、消費税の発言で、あれだけ選挙が強かった方が落選をしたり、選挙に対しても政局に対しても、税制というのは大きな意味合いを持つ。

 また、経済においても、消費税を上げるというようなことが出ますと経済の足を引っ張ることもありますし、また逆に、財政再建をするんだというので評価をされる場合もある。両面あろうかなというふうに思うんですけれども、この時期に、これまで言っていたこととは少し違った形で、消費税論議を三月から始めるというようなことをおっしゃった菅副総理の思いというのはどこにあるのか、そのことをぜひ詳しく教えていただきたいと思います。

菅国務大臣 一つは、私、昨年までは、税調は、会長代行という立場にはありましたけれども、全体の責任者ではありませんでした。今回、私が税調の責任者になりまして、いよいよ来年度の予算の審議が進んで、これが衆議院を通過したあたりから、いずれにしても税調の議論を、再来年度といいましょうか、に向けて始めなければならない時期に達しております。

 昨年の税調の大綱の中でも、そうした議論はやっていこうということで、しかも今回、御存じのように専門家委員会というものをつくりました。つまりは、神野教授を初めとする専門家の皆さんに、過去のいろいろな税制の変化も含めて検討していただいて、今後の税制についての参考意見を出してもらおうということであります。

 確かに新聞紙上には消費税という言葉が躍っておりますが、私の発言は、所得税、法人税、そして消費税とか環境税を含めて全般についての議論を、来年度予算の衆議院の通過後の三月に入った段階で本格化していく時期に来たのではないか、こういう表現をいたしました。ですから、決して、消費税を上げるとか下げるとかということをあらかじめ方向づけて言ったわけではなくて、すべての税制についての本格的な議論をそろそろ、年が明けた三月ぐらいから始めなければならないという趣旨で申し上げました。

 もちろん、いろいろな議論があります。極端に言えば消費税はゼロにすべきだという、御党に近い方の意見の本も私はよく読ませていただいています。

 結局のところは、どうやれば日本を成長の道筋に持っていけるか、そのときの財政出動をどういうところに持っていくか、こういう、ある意味で成長戦略とも大きな意味では絡む問題だと思っておりますけれども、いずれにしても、今申し上げたように、そろそろそういう議論を始める時期に来たという意味で申し上げたのであって、消費税を上げなければどうだから議論を始めてくれということで申し上げたつもりは全くありません。

下地委員 これまでの論議の中では、まずは無駄の削減をしてから、それから税制の論議に入る、そういうふうなことを申しておりましたけれども、その方向は変わらないと思うんです。

 そういう意味でも、この無駄を省いていくという、これからの菅副総理の、どういうふうな方法でやっていくのか、そのことも、今新聞では消費税を上げる話はしませんよと言ってもこうやって書かれちゃったわけですから、そういう意味で、この無駄を省くというのが何かおろそかになるような、順番が変わってくるような話が新聞紙上でまた出てくるので、そこのところはきちっと否定をされた方がいいと思うので、無駄に対してきちっと菅副総理のお話をお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 御指摘いただいたことはそのとおりだと思っています。

 御存じのように、一月の十二日でしたか、閣僚懇談会の席で、特別会計を含めて、すべての省庁について徹底的な見直しをやろうと。また今回、枝野幸男議員が行政刷新担当として就任をされて、この問題についても、内閣全体として、あるいは与党全体として手を抜かないでやっていくというこの姿勢は変わりはないし、私もその気持ちを変えるつもりは全くありません。

 逆に言えば、そういう体制もだんだんより力強い形で組み始めたものですから、一方での議論も始めても大丈夫かなということで申し上げたところです。

下地委員 今ここにいる皆さんも、選挙区に帰ると、なかなか生活が厳しい、経営環境が厳しいという経営者にお会いするというケースが多いですね。失業率もなかなか下がらない、可処分所得もなかなか上がらない、こういうふうな状況の中で、税の論議というのはなかなか難しい部分があると思うんです。

 この税の論議をより具体的に国民に納得をしていただくためには、私たちがここで財政再建という言葉を大きな声でお話をするだけではなくて、もう一回、私たちみずからも大きなスケジュールを国民に見せなきゃいけないと思うんです。一つには政治改革、二つ目には公務員改革、そして無駄を省く作業、そして今言った税制の抜本改革という、この四つのスケジュールをきちっと示す。

 政治改革のところでは、やはり衆議院、参議院の定数の削減についても私は触れるべきだというようなことをこの前からも申し上げておりますけれども、その方向性も国民に見せる。そして、間違いなく、公務員改革では、公務員の天下りもやめるし、数の是正も行うし、給料も、頑張る者と頑張らない者の上下動くような仕組みもつくるし、こういうふうなことも見せる。今度、枝野大臣が新たに誕生したわけですから、枝野大臣にしっかり頑張って無駄を省いてもらう。

 こういう一つの、一括したスケジュールを三月に見せてから税制の論議を始めた方がいいと思うんですけれども、そのことについて、こういうスケジュール表を発表するつもりはないのかどうなのか、副総理のお考えを聞かせてください。

菅国務大臣 今、下地委員が言われたようなことも、場合によれば、そろそろ関係閣僚の中で相談をしなければいけないのかなという意識はあります。

 例えば、社会保障及び税の共通番号についての議論の場も生まれました。また、成長戦略についても、年がかわって改めて再スタートの場もつくられました。近いうちには年金の抜本改正の問題も話し合いの場をつくりたいということで、今、関係閣僚が相談をしていただいております。

 そういうことと、この予算審議の進行ということと、そして六月に予定している中期財政フレーム、さらには八月には一般的に言えば概算要求ということになっていきますから、そういう日程をにらみながら何らかの一つの日程的な方向性も考えなければならないかなという、御指摘のことは私の問題意識にあります。

 そこもどの時期に御相談するか。少し、この予算の衆議院における通過というのが一つのめどになるのかなというふうにも思っているところです。

下地委員 このスケジュールをつくられるときに、しつこいようですけれども、政治改革、やはり衆参の議員の定数の削減、このこともこの内閣でお示しいただいて、しっかりと国民の理解を得ていく。そのことが消費税論議をより国民に理解いただくことになると思いますから、私たち国会議員にとっては厳しいことでありますけれども、ぜひそのこともスケジュールの中の大きな柱に入れていただきたいと思います。

 枝野大臣に聞かせていただきたいんです。

 枝野大臣の役割というのは、税収がなかなか伸びない中で、来年度の概算要求を決める大きな柱を担う。枝野さんのところで、どれだけの無駄を省いて、どれだけの特別会計の見直しをできるか、これで予算編成の数字が決まるんじゃないかと。この後、三年間、四年間、税収は伸びないと政府は言っているわけですから。

 そういう意味では、これからどういう方向でお仕事をやろうとなされているのか、そのことを、ぜひお気持ちをお聞かせいただきたいと思うんです。

枝野国務大臣 ありがとうございます。

 再来年度予算編成に向けて、そしてこの国の財政の立て直しに向けて、行政のあり方、税金の無駄遣いを抜本的に見直さなければならない、その仕事を担当させていただいている責任は大変重いというふうに思っております。

 ただ、ぜひ御理解をいただきたいのは、行政刷新というと常に事業仕分けばかりが注目をされますが、事業仕分けですべての財源が出てくるわけではございません。事業仕分けで、国民の皆さんの前で税金の具体的な使い方を明らかにし、問題点をえぐり出す、そのことを踏まえて、事業仕分けに取り上げなかった事業も含めて同じような視点で見直す、こういう作業も重要です。

 それから、事業仕分けだけでは実は財源が出てこない。つまり、そこで明らかになった問題点を法改正や制度改革につなげていくことによって無駄を削る、財源を生み出す、こういった部分が、実は多分金額的にはこういう問題の方が多いのかな、昨年十一月の経験を踏まえてもそんなふうに思っております。

 そうした前提のもとに、特に、国民の皆さんから見ても疑義が多く、関心が多く寄せられている、また、十一月の事業仕分けでも問題点が多く見受けられた独立行政法人とそれから政府系の公益法人、ここの行っている事業を中心に、しかも、制度や組織のあり方の見直しにつながっていくような、その流れが見えやすいような形で整理をして、四月以降に事業仕分けの第二弾を行っていきたいというふうに思っています。

 同時に、特別会計についても、国民の皆さんの関心も大変強いというふうに理解をしています。

 ただ、これは独立行政法人などもそうなんですが、特に特別会計の場合は、個々の事業を仕分けていくという観点からしますと、一つの事業の中に特別会計経由であったり一般会計から直接であったりとか、お金の流れが大変複雑で、特別会計だけを取り上げてという形では、なかなか事業仕分けというやり方では整理がしにくい。

 したがって、この事業仕分けなどの手法と特別会計の抜本的な見直しという目標とをどうつなげていくかということがこれから重要になると思っておりまして、菅財務大臣が予算委員会で大変忙しくていらっしゃいますので、その合間でどこかお時間をいただいて、財務省も菅大臣も特別会計についてはしっかりとやっていかれるというふうに、私の大臣就任前ですけれども、伺っておりましたので、そこのつなぎ方、連携のさせ方というものをできるだけ早く整理して、またお示しをしたいというふうに思っております。

下地委員 今、この国の予算編成をするとき、税収と、そして間違いなく国債の発行、建設国債と赤字国債と、こういうふうな二つといいますか、国債の発行で予算を組み立てているわけでありますけれども、それにもう一つ、私たちは一般会計と特別会計の一体運用というのをずっと申し上げてきたわけでありますけれども、そういうふうな仕組みをつくっていく。

 これまでの予算を見ても、今年度の予算を見ても、自民党政権のときから十兆円とか九兆円とか、ずっと特別会計の予算は予算の中に入っているんですね。しかし、これは特別会計の中で入ってくるだけの話であって、一体運用で初めから決めているわけではない。だから、予算というのを全部特別会計も一体にしてつくるんだという構造改革みたいなものも大胆にお考えになった方がいいと私は思うんです。そのときには、余剰金だけじゃなくて積立金までさわって、そしてその積立金をちゃんと運用して景気がよくなることを、その積み立てをしている方々の不安にならないような状況をつくる。

 こういうふうな物事をつくらないと、余剰金だけではもう限界に来ているのかなというふうに私は思っていますけれども、こういう積立金まで大胆に切り込んでいって景気対策をやって税収をふやしていく、そういうふうなこともお考えになったやり方を今後やろうと思っているのかどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 私の立場の仕事は、あらゆるところに聖域なく、例外を設けず、すべての事業、すべての予算の使い方について、あえて言えば白紙で、ゼロベースで見直すという観点でございますので、今御指摘をいただきました積立金等についてもしっかりと俎上にのせるというふうに考えております。

下地委員 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。

 きょうから確定申告が始まったわけであります。全国の第一線の税務署長は、大変困惑して今回の確定申告の作業をやっているわけですね。なぜならば、政権与党のナンバーワンとナンバーツーについて脱税疑惑がある、総理については平成の脱税王とまでやゆされた、そういう問題があるときに、税務署の職員は納税者からいろいろ言われて大変困るわけですね。このことを少し考えていただかなければいけません。

 ところで、最初にお伺いしますけれども、確定申告書というのを、きょう三大臣に来ていただいておりますけれども、御自分で書かれますか、それとも税理士さんに任せられますか、それぞれお答えください。

菅国務大臣 税理士の方にお願いいたしております。

川端国務大臣 お答えいたします。

 必要書類は私が集めまして、公認会計士にお願いをしております。

長妻国務大臣 必要書類は私が集め、そして妻がやっております。

山本(幸)委員 長妻大臣は奥さんがやっておられるということでありますが、私は毎年自分で書いて出しているんですね。それをやるとよくわかるんですよ。

 確定申告書というのをなぜ出さなきゃいけないかというと、日本の税制は申告納税制度というのができているんですね。申告納税制度というのは、そのエッセンスは何ですか、菅大臣、本質。

菅国務大臣 山本委員はそういう専門の分野が長かったわけでありますが、私は、申告という言葉は、まさに自分が自分の税についての申告をする、それがエッセンスという意味に当たるかどうかよくわかりませんが、そこが一つの中心じゃないかと思っています。

山本(幸)委員 大臣ですから、ちょっとそれぐらいはっきり認識しておいてもらいたいんですが。

 申告納税制度のエッセンス、本質というのは、自分の所得というのは自分の責任において正確に把握して計算して、そして税務署に申告するというのが申告納税制度の本質なんですよ。だから、自分の所得について知りませんなんというのは言えないんです。(発言する者あり)総理は言っているじゃないか。言っていますよ。自分の税金、自分の所得について、知りませんでしたなどと言えないんですよ。それは申告納税制度というのを理解していないんだ。総理大臣がそういうことで、税務行政ができると思いますか。できませんよ、そんなのは。

 確定申告書の中には、退職所得以外の所得で二千万円以上の所得を得る人は、財産及び債務の明細書というのを出さなきゃいけないことになっています。これは自分で書いたらわかりますよ。国会議員はみんな二千万円以上あるんだから、出さなきゃいけないんだ。これを見れば、すぐわかるんだよ。

 財産及び債務の明細書に総理がどう書いていたかを出してもらえば、すぐわかりますよ。そこに借入金と書いて、そして貸付金と書いていたのか。そうしたら仮装だよ。書いていなきゃ隠ぺいだよ。重加算税の対象である悪質である仮装、隠ぺい、ぴったしじゃないか。私は税務署長もやったし、国税局の直税部長もやっていたんだよ。一発ですよ、これは。重加算税の対象だし、しかも、脱税の容疑が一億円を超えるんだったら、各国税局では査察案件ですよ。査察を入れなきゃ。

 ところが、税務署長や国税局長は困っているでしょうね、総理大臣と与党の幹事長だからね。この税務署長なり……(発言する者あり)幹事長だって、贈与なのか、あるいは実質認定だったら、政治資金団体からやっているのが実質課税だったら、課税の対象になるんですよ。あるいは職員にやっているのだって、それは家賃を取っているのか。いろいろあるんです。

 だから、これは査察案件としてやらなきゃいけないんだけれども、税務署長や国税局長は困るんだ。

 この場合には、大臣が政治的リーダーシップを発揮して、やれと言うか、あるいは、総理にしろ幹事長にしろ、どうぞ査察してください、そして徹底的に調べてください、払うべき税金があったら払いますよというのが本来の姿であって、そうしないと、日本の税務行政は、申告納税制度は崩れますよ。

 それについて、大臣、どう思われますか。

菅国務大臣 まさに国税庁で仕事をされてこられたわけでありますから、よくおわかりだと思いますが、確かに財務大臣は税のそういった面での責任者ではありますけれども、個別のことについて、特に国税庁に関して、個別の案件について財務大臣がこうしろああしろと直接指揮をとることはしないでいるというのが従来からの慣例であったというふうにも聞いておりますし、歴代財務大臣あるいは大蔵大臣もそういう姿勢で臨まれたと思っております。

 ですから、私も、個別の案件でこうしろああしろということを私からやることは控えております。そこは適正公正に国税庁長官を中心にしてやっていただいているものだ、このように認識をしております。

山本(幸)委員 だから、本来は御本人たちがやってくれと申し入れてやるのが一番いいんですね。これは、表向きはそうだろうけれども、ちゃんとやれという指示をやるのが、あなたの本当の政治的リーダーシップですからね。そうしなければ、日本の税務行政は崩れちゃうんです。

 次に、税務行政の第一線も混乱していますが、教育現場も混乱している。

 きょうは文科大臣に来ていただいていますが、きのう、札幌地検が北海道教職員組合の事務所を捜索いたしました。これは、民主党の衆議院議員小林千代美さんに対して、組合員のカンパを集めてそれを裏金として不正提供した疑いである、政治資金規正法違反の疑いであるということであります。

 この小林千代美さんというのは、選対委員長代行が選挙違反をやって、先般、十二日に有罪判決が出たばかりですね。本来ならば連座制に問われるはずでありますが、上告すると言っているようであります。そこにまた上乗せしてこういう疑惑が出てきた。

 この問題は、実は、教育現場については非常に大問題、大きな問題だと私は思います。つまり、先生方がカンパをして、それを裏金にして政治献金をする、それも裏で処理した。しかも、特定の候補者をそういう丸抱え的に応援している。一体これは何なんだ、教育現場はどうなっているんだという話です。

 文科大臣、教員の政治的中立性の確保に関する法律に照らしても大変問題があると思いますけれども、これについてどう思われるか。これが第一。

 それから次に、恐らくこれは氷山の一角じゃないか。山梨県教組でも同じような話があった。こういうことが全国の教職員の間で行われたら大問題ですよ。教育、どういうふうにして子供を教えるんですか、自分たちが裏献金して、違法な政治行動をして。

 ついては、全国的に教職員組合でこんなことをやっていないかどうかきちっと調査して、そして国会に報告してもらいたいと思いますが、これについてどうですか。それが第二です。

川端国務大臣 お答えいたします。

 一番初めの、報道されています北海道教職員組合が家宅捜索を受けたという案件に関しては、捜査の手が入ったということは承知をしておりますが、それ以上の情報はございません。個別の案件についてはコメントは差し控えたいと思います。

 同時に、教育現場においては、法に基づいて、政治的中立は確保されるべきであり、確保されているというふうに思います。この事案に対して、問題が起これば、状況の把握に努める中で当該県教委とも連携して、法に違反する事案があれば適切に対処してまいりたいというふうに思います。

 今の資金の流れのお話でございましたが、資金の流れ等々を把握することは、こういう団体は、県の人事委員会に登録されている、いわゆる交渉団体であるとかいう資格をするために、登録する要件として資金の流れを把握する仕組みにはなっておりませんので、どういう状況で資金がどうあったかということを調査する立場にございません。

 したがいまして、この資金の流れを制度的に解明するということは、今私たちは調査することができないということは御理解をいただきたいと思います。

 仮に公務員として法にそぐわない問題があることに関しては、当該教育委員会と連携をして、今までもこれからも適切に、厳正に対応してまいりたいと思います。

 以上です。

山本(幸)委員 全く答弁していない。やる気がない。こういう問題がもう既に出ていることがはっきりしているじゃないですか。山梨県でもあった。それについて、こういう問題が起こったら文科大臣としてどう考えますかという一般論でもいいですよ。それ自体もないんですか。

 それから、資金について調べる立場はないなどと言っているけれども、そんなことで文部行政は成り立つんですか。どうなんですか。

川端国務大臣 警察当局が資金の流れ等々を捜査していることは報道で私は承知をしておりますが、このお金がどういう性格であるか等々は、まだ事実は私は承知をしておりませんし、わかりません。そして、これを文部科学行政の中で、このお金はどうだったかということを調べることはできません。

 それを申し上げているのであって、教育現場において、何度も申し上げますが、政治的中立はどうしても守らなければいけないし、守られることに対して全力でしっかりと対応していくということを申し上げていることでございます。

 以上です。

山本(幸)委員 私は、その資金の流れ等について調べられないというのは納得できない。こういうことが公然と行われていれば、先生方は、カンパと言って集めて、裏金で政治活動をやるんですよ。それは教員の中立性に反することは明らかだ。それをちゃんと文部科学行政でやらなかったらどうするんですか。できないんだったら、できるようにしたらいいじゃないですか。どうですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 まず、カンパだとか裏金とかいうふうにおっしゃいますが、その事実関係は私どもは承知していませんので、そのことに関しては対応できません。

 そして、政治的中立という意味での教育現場においての部分は、これは、法に基づいて、今までも、いろいろな事態に対しては、問題があった部分は適切に対処し、教育委員会とも連携をして対応してまいりましたし、これからも引き続きその対応をしていくということ以上に申し上げることはございません。

山本(幸)委員 十二日の有罪判決の中に、連合の裏金を使ったとちゃんと認定されているんですよ。

 この北教組というのは、連合の傘下で、その関係者が選挙の担当もやっていたんでしょう。だから裏金なんですよ。これをちゃんと調べて報告してもらわなければ、我々は文部行政に信頼を置くことはできない。

 大臣はああでもないこうでもないと言いますから、委員長、これはぜひ理事会で、そういう調査、報告をやってもらうように協議願いたいと思います。

鹿野委員長 理事会で後刻協議をいたします。

山本(幸)委員 それでは、本題に入りますが、きょうは日銀総裁に来ていただいていますので、しっかりやりたいと思います。文科大臣、結構です。

 私は、日本経済の最大の問題はデフレだと思っているんですね。デフレがある限り、何をやってもうまくいかないんですよ。これは菅さん、後でちょっと具体的な質問をしますけれども、成長戦略もうまくいかない。これが今日の日本を悪くしている元凶だ。

 デフレが起こると、企業はリストラせざるを得なくなる、円高も進む、工場を海外に持っていく、失業がふえる、賃金が下がる、ローンを持っている人は負担が極端に上がってくる。これが格差を広げ、地方を疲弊させた最大の原因だと私は思っていて、このデフレをなくすために、デフレをなくせるのは日銀しかないんですよ、そのために私はずっと政治家として執念を燃やしてこれまでいろいろやってきたわけでありますが、残念ながら、まだできていない。

 ぜひこれは、菅大臣が政治的リーダーシップを発揮するんだとおっしゃるなら、やってもらわないと困る。この問題についてやっていきたいと思います。

 まず、新経済成長戦略、これを菅大臣は一生懸命自画自賛しているんですが、私はこれを読んで、単なる役人の作文で、いつもながらの話だな、できもしないような数字も並べて、作文をいろいろ書いて、自画自賛しているなと思いますが、唯一評価すべきだと私が思っているのは、最後のところでデフレ克服というのをはっきりうたっている、それから名目成長率を最優先課題だと言っている、これだけは私は評価したい。あとは評価できないね。

 それについてはどうですか、菅大臣。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

菅国務大臣 デフレが非常に重要だというか、それの克服が大変大きな課題だという認識は、私も共通にいたしております。

 そういう中で、この新成長戦略、まだ基本方針の段階ですけれども、これは目標でありますが、名目成長率三%、実質二%、つまりはインフレ率一%程度を目標として二〇二〇年までにこれを実現したい、そういう案を出したわけであります。

 もちろん、この肉づけ、工程表は、これから六月に向けての作業となりますけれども、何とか日本の経済をこの成長戦略に乗せて、そして、もちろん日銀の皆さんにも御協力をいただいて、デフレ状況を脱却し、財政に対しても、あるいは日本の経済全体に対しても、何とか成長路線に戻していきたい、このように考えております。

山本(幸)委員 そのデフレのところ以外は評価できないというのは、例えばグリーンイノベーション、環境分野で、これによって二〇二〇年までに五十兆円超の新規市場をつくる、百四十万人の環境分野の新規雇用をつくると言っていますね。これはちゃんとできるんですか。

菅国務大臣 読んでいただければわかると思いますが、それなりの方向性を示して、これから具体的な工程表、どういう制度をつくり、どういう形でやっていくかということのより具体的なものは六月に向けてやるわけですが、目標としては、そこに挙げた数字を目標に何とか実現にこぎつけたい、そういうことで提示をしたわけであります。

山本(幸)委員 これがどういうことを意味しているかというのはわかっていますか。五十兆円の付加価値をつくるというわけだ。

 では、五十兆円のうち労働者の手取りは幾らだ。通常の労働分配率で見ると七割、三十五兆円ですね、労働者の取り分が。三十五兆円を百四十万人で割る。つまり、一人当たりの手取り、一人当たりの所得は幾らになるか。どれぐらいになると思いますか。ぱっと、これは計算すればわかるんだけれども。

 計算すればわかるので意地悪はしませんが、三十五兆円を百四十万で割ると二千五百万円なんですよ。二千五百万円の所得というのは、今の通常の労働者の五倍から六倍だよ。二千五百万円の高額所得者を百四十万人もつくれると思いますか。

菅国務大臣 所得という表現をしていましたか、していないんじゃないですか。つまり、市場全体としてそれだけの生産を上げるということであって、それが所得というふうになっていないはずですが、いかがですか。

山本(幸)委員 もちろん、それは所得になっていないけれども、付加価値が……(発言する者あり)違う、違う。計算すればそうなるんだよ。付加価値が出て、そして新規雇用が出れば、それは手取りが幾らになるかという計算じゃないですか。そういう計算になるんでしょう。どうですか。

菅国務大臣 ちょっと今十分聞き取れなかったんですが、つまりは、所得が先ほどの三十五兆円上がるということではなくて、そこに新しいマーケットとして生産あるいは需要がそれだけふえる、そういう認識だと思いますが。

山本(幸)委員 いやいや、市場がふえるというのは付加価値がふえるということなんでしょう。違うんですか。新規の市場というのは付加価値がふえるということじゃないんですか。

菅国務大臣 ここに具体的に書いてあるものがありますが、新規市場五十兆円超、新規雇用百四十万人、さらにはCO2排出減を、これは世界全体にわたる影響によって十三億トンの削減。これがこの新成長戦略の環境・エネルギー、いわゆるグリーンイノベーションの二〇二〇年までの目標です。

山本(幸)委員 だから、付加価値をこういう雇用者で割るとそういう取り分になるんじゃないですか。そんなことができるんじゃないですか。

 では、そうじゃない、私の解釈がおかしいというのなら、それを証明してくださいよ。どう解釈したらいいんですか。

菅国務大臣 つまり、新規市場が五十兆円というのは、もちろん付加価値も含まれていますけれども、それ以外のいろいろな要素も含まれるというのは当然じゃないでしょうか。

山本(幸)委員 では、付加価値以外で何ですか。

菅国務大臣 私は大学では経済をやっておりませんけれども、普通に言う場合には、付加価値以外に、例えば材料費とか、中間的ないろいろなものが入っているんじゃないでしょうか。当然じゃないですか。

山本(幸)委員 コストになるようなものが入ってそうなるというわけですね。

 では、それはまあいいや。これは、要するに、そういうきちっとした分析までできていないということがはっきりわかったので、今度詳しくやるということですから、ちゃんと示してください。詰めたことをやっていないということですよ。大したことないという話だ。役人の作文だ。

 そこで、もう一個聞きます。一番大事なところ。名目成長率三%なんですね、目標が。これは、そう簡単に達成できるものじゃないんです。

 例えば、名目成長率の来年度の見通しは〇・四%ですね。その後どうなるかというと、これはこれから出るんだろうが、菅大臣が提出した、二十二年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算、財務省が出した。大体、去年のマクロモデルからきているんだけれども、そこに一応のものが書いてあります。それを見ると、二〇一〇年度は〇・四、二〇一一年度は一・七、二〇一二年度は二・〇、二〇一三年度は二・二と見てある。これは、財務大臣、あなたが出したんだからね。

 これを見ると、名目成長率の当初四年間の平均は何%になるかというと、一・五八%です。そうすると、十年間の平均で三%を達成するためには、残り六年の平均で四・四三%の名目成長率がないとできないんだ、毎年平均で。

 四・四三%の名目成長率がどうしたら達成できるか。実質、潜在成長率が今非常に低い。これについては言いません、詳しく今度、別途やりますが、実質成長率、まあ二%ぐらいがせいぜいでしょう。そうすると、物価で二・四%、つまりGDPデフレーターで二・四%ないとできないんだ、これは。GDPデフレーターと消費者物価の関係はいろいろ動くんだけれども、大体、GDPデフレーターの方がちょっと下。そして、消費者物価指数の方が上に行くことが多い。今回みたいに、があっとショックが大きいと反対のこともありますが。

 そうすると、私のラフな計算でいえば、これを達成するためには消費者物価指数は三%以上にならないとだめだ。こんなこと日銀が受けると思いますか。こんなことできますか。菅大臣、どうですか。

菅国務大臣 いろいろある種の仮定を置かれるのは結構なんですが、後年度の影響というのは極めて機械的にその数字を延長して出されているということは、もちろん、山本議員もそういう職責におられたからおわかりだと思います。

 例えばの話、過去の例でいえば、税収見通しなども後年度がかなり高い水準に書かれていたわけですけれども、現実は、御承知のように、二十一年度も見通しよりも大変下がりました。逆に言えば、私たちは、その機械的な計算の値は、予算の審議の中で出すようにと言われましたから従来の方式で出しましたけれども、まさにそのままいったのでは三%の成長にならないということはそのとおりですよ。

 ですから、そのままいかないようにするには何をすればいいかということで、成長戦略を出し、またこの予算も含めて、こういうことを実行する中でそういう機械的な延長上にならないようにしていきたいという中で、目標値として三%を掲げているわけです。

山本(幸)委員 全く答えになっていないんだけれども、それは機械的な試算ですよ。だけれども、あなたは、もうすぐ六月までに出すんでしょう。これとそう違ったものを出せますか。そんなもの出せませんよ。(発言する者あり)

 私は、言葉の遊びなんかどうでもいいんだよ。私が信頼するのは緻密なロジックと数字なんだ。(発言する者あり)だから、数字で言っているんだよ。簡単なことじゃありませんよ、四・四三%、残り六年でやらなきゃいかぬのだから。

 このためには、大事なことはデフレの克服ですよ。マイナスがずっと続いていたら、こんなことできないんだから。日経センターの試算では、十年間デフレだと言っていますよ、十年間デフレだと。(発言する者あり)何もわからないのが何か言っているけれども、そう出ているんだよ、数字が。数字しか僕は信用しない。(発言する者あり)間違えていない。

 そこで、デフレ脱却が大事なんだけれども、あなたは去年の十一月にデフレ宣言をやりましたね。菅大臣、デフレとは何ですか。定義してください。

菅国務大臣 先ほども申し上げたように、私はそういう言葉の定義をすべて知っているわけではありませんけれども、通常を言えば、物価が下落をしていく状況をデフレだ、こういうふうに認識しております。

山本(幸)委員 物価が下落していく状況。一度だけ下落したものをデフレと言いますか。

菅国務大臣 これを当時事務方にいろいろ聞きました。基本的には、たしか二〇〇一年当時にもデフレ状況に入ったということを言い、その後、デフレ脱却の宣言がないまま一時的にはデフレの状況がやや緩和したわけですけれども、この二年ほどの中で、たしかQEで二度三度続けてデフレ状況、さらには先の見通しとしてもその状況が続くという中で、デフレ状況にあるということを申し上げました。

 つまりは、一回こっきりの物価下落でデフレ状況というふうに言う必要はないでしょうが、ある程度継続的な中でそういう宣言をした、宣言というかそういう状況認識を申し上げたということです。

山本(幸)委員 デフレ宣言をするんだったら、デフレの定義ぐらいきちっと理解してからやってくださいよ。

 デフレというのは物価の継続的な下落をいうんですね。そこで、継続的というのはどれぐらいの期間をいうんですか。(発言する者あり)

海江田委員長代理 御静粛にお願いします。

菅国務大臣 いろいろな見方があるということも聞いております。二年程度ということを言う人もありますし、国際的に。

 しかし、必ずしも、それこそニュートン力学のように、あるいはアインシュタインの定義のようにE=mc2なんというほどしっかりした定義があるとは認識しておりませんが、意見としてはそういう意見がある、二年程度の継続を一つの定義としているところもある、こう認識しています。

山本(幸)委員 それは結構だと思います。まさにデフレを、定義がぐらぐらしたら議論できなくなるんですよ。だけれども、ある人はデフレと言い、ある人はデフレじゃないと言ったら、議論にならないじゃないですか。そこで、一応の定義をきちっとしておかなきゃいけない。それからいうと、おっしゃったように、IMFは最低二年以上続かないとデフレとは言わないんだという定義を与えて、私はこれで結構だと思うし、そういうことでいく。

 次に、では、物価の下落なんですが、物価は何を指すんですか。

海江田委員長代理 山本委員、もう一度質問を明確におっしゃってください。

山本(幸)委員 物価の下落、継続的な下落をいうんですけれども、物価とは何を指すんですか。

菅国務大臣 通常は、ここに山本議員が出されている消費者物価指数、これが一つの物価のまさに指数じゃないでしょうか。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

山本(幸)委員 これがというのは何ですか。消費者物価指数のことを言っているんですか。

菅国務大臣 通常は消費者物価のことだと思います。

山本(幸)委員 そこはちょっと注意しておかなきゃいけないんだけれども、物価には基本的に三種類あるわけですね、消費者物価指数とGDPデフレーターと企業物価指数、この三つを大体見るんですが、消費者物価指数だけを見ているとデフレじゃないというような状況になっていることもあるわけですね。本当は、一番いいのはGDPデフレーターでしょうね、全部入れているんだから。だけれども、これは速報性が欠けるからね。だから、通常は消費者物価指数をまず使う。

 これで見ますと、一九九一年から企業物価指数は下がっている。それから、九四年からGDPデフレーターはずっとマイナスだ。そして、消費者物価指数は九八年十一月から下がり出して、そして二〇〇八年に一%を超えますね、一年だけ。

 この消費者物価指数をもとにして議論するときに注意しておかなきゃいけないことが一つだけある。それは、消費者物価指数の上方バイアスというものであります。これは御存じですか、大臣。

菅国務大臣 私自身はその言葉の意味は知りません。

山本(幸)委員 わかりました。

 ぜひ知っておいてもらいたいんですが、消費者物価指数というのは、消費者物価三千幾らの品目を集めてやるんですが、五年に一回しか改定しないんですね。そのようなバスケットをつくっているわけです。それを五年に一回しか改定しないから、その途中の年次では本当の経済の実勢はもっと安いものに移っているんですよ、例えばプライベートブランドとか。だけれども、それは消費者物価指数のときには途中では全部完璧には追いかけられないんだ。その結果、消費者物価指数で出てくる数字というのは常に実体の経済よりも上に行くんですよ。だから、消費者物価指数でプラス何%といったって本当はデフレなんだ、そういうことが起こる。

 問題は、これは非常に重要な話だから、ぜひ頭に入れておいてください。これがどれぐらいあるかということについてはいろいろ議論があるんですが、実証研究が少し出ていまして、アメリカの場合は大体一・一%ぐらい、日本の場合は日銀の白塚さんというのがかつてやって、〇・九ぐらいあると言われています。ところが、日銀はずっとこれが小さいんだ、小さいんだと言いまくってきて、そして失敗を重ねたんですよ。だから大問題なんだ。

 二〇〇六年三月の量的金融緩和解除、七月の金利引き上げをやったときに、私はあのときに、その年の八月にこの改定が行われることになっていた、改定をやるんだからそれを待ってからにしないと、二月、三月の段階ではプラス〇・一とか〇・二ぐらいになっていたわけだ、それは間違えるかもしらぬよと言ったんだけれども、日銀は、いや、上方バイアスは〇・一か〇・二ぐらいしかありませんよと言って強行したわけですね。結局、八月に改定されたら最大〇・六%違っていた、つまり、プラスと言っていたのが全部マイナスになっちゃったんだよ。

 つまり、あのときに量的緩和解除をやる条件というのは、消費者物価指数がゼロ%以上になってもとに戻らないということが確認されたということを言ってきたのに、それが全部崩れちゃったわけだ。そこから株がどんどん下がり出したんですよ。それから、翌年になってその影響が来て中小企業がだめになって、二〇〇八年になって大企業がだめになって、それにリーマン・ショックが後追いしたわけだ。

 だから、日銀が失敗を犯す最大の理由がこの上方バイアスにあるんだから、ぜひ頭に入れておいてくださいということであります。

 そこで、ちょっとデフレの問題を、せっかく厚労大臣に来ていただいているので。デフレの問題は雇用と関係するんですね。大臣、フィリップス・カーブというのは御存じですか。

長妻国務大臣 デフレになると失業率が上がる、インフレになると失業率が下がる、こういうカーブだと思います。

山本(幸)委員 おっしゃるとおりで、この日本の関係を過去三十年間さかのぼってとってみたら、実にきれいなフィリップス・カーブができ上がるわけですね。つまり、雇用対策で雇用調整助成金とかをふやすとかなんとかいろいろやっていますが、根源的な失業対策というのはデフレを解消することなんですよ。これがなくて失業対策なんていろいろやったってだめなんだ。

 それからもう一つ、大臣がせっかくいらっしゃっているのでお伺いしますが、デフレは年金生活者に対して非常に厳しくなるんですね。年金の物価スライドというのがありますね。それは大体どんなものか、ちょっとお願いします。

長妻国務大臣 年金については、これは御存じのように、特例法というのがございまして、通常、デフレになって物価が下がると年金額もスライドして下がるということなんですけれども、この特例法がありますので、本当はマイナス改定すべきところ、今はそれをしていない、こういう状況でありますが、一般的には年金の受給額に影響するというものです。

山本(幸)委員 そうですね。インフレ率に応じて、消費者物価指数に応じて、年金というのは、消費者物価指数が上がれば上がるし、下がれば下がるんです。過去三回、もう既に年金は下がったんですね。本当はもっと下がっているんだけれども、ちょっとそれを特例でとめているわけだ。だけれども、今度は上がるときにその分は返すまで上げないんだから。つまり、年金生活者というのはこのデフレによって年金が減っているんですよ。

 最大の被害をこうむっているのが年金生活者だということをしっかり理解しておかないとだめだということでありまして、長妻大臣、もう結構です。

 そこで、いよいよ本題、日銀総裁とやりたいと思います。

 日銀総裁へまずお伺いしますが、あなたの年収は幾らですか。

白川参考人 山本議員の御質問をずっと拝聴しておりましたけれども、広範な論点を扱っておられますので、日銀総裁の見解いかんというのは、デフレについてどういうふうに思っているかという基本認識だという……(山本(幸)委員「そんなことは聞いていない、それは後から聞くから。年収は幾らですか」と呼ぶ)

鹿野委員長 山本君、改めて質疑を行ってください。

山本(幸)委員 その議論はこれからやりますから。

 まず、日銀総裁、あなたの年収は幾らですか。

白川参考人 私の年収は、日本銀行のホームページで公表しております。私も含めまして、役職員の報酬の決め方につきましては、これは政策委員会で決定して、決め方も公表しています。それから、その数字も公表しております。

山本(幸)委員 公表しているならちゃんと数字を答えてもらいたいと思うんですが。

 各年収は、総裁は三千四百九十二万、アメリカのバーナンキの倍ですよ。副総裁二千七百五十九万、審議委員二千六百四十六万、理事二千百三十二万。理事でも国会議員より高いんだね。大変な高額ですよ。それだけ、アメリカのバーナンキの倍もらっていて、デフレがいまだに解消できないというのは何なんだということですよ。(発言する者あり)ちゃんと仕事をしてもらいたいということですよ。

 そこで、きょうお配りしていますが、この表は尊敬する池田元久先生が出したものと同じであります、あるいは渡辺喜美さんが出したものと同じでありますが、リーマン・ショックから一年間、あの百年に一度という危機に対して各国の中央銀行は危機感を持って物すごい対応をしたんですね。つまり、イギリスの中央銀行は一四〇%以上資産をふやした。FRBは一三〇%ぐらい、一時期は一五〇%ぐらい行ったけれども、ふやした。欧州中銀が二十数%。それで、我が日銀はほとんどふやしていない、五%。何もやらなかったということですよ。出口戦略などと言っているけれども、入り口にも入っていないんだ。

 その結果、景気は大幅に落ち込み、ようやく今輸出で持ち直しているけれども、物すごい景気後退を起こして、デフレが深刻化したんです。何で各国並みのことをやらなかったんですか、日銀総裁。

白川参考人 お答えいたします。

 一昨年秋のリーマンの破綻以降、米欧の中央銀行のバランスシートが大幅に拡大したということは、山本先生御指摘のとおりであります。

 ただ、これは、例えばアメリカを考えてみますと、アメリカの資本市場、これが大きく機能を低下した、もうほとんど取引が成立しなくなったということをそのまま反映しております。アメリカの場合、資本市場での調達が民間の調達の約八割を占めております。このマーケットがほとんど機能停止になりました。その結果、アメリカの中央銀行は、不幸にしてもう中央銀行が信用の仲介をやるしかない、そういう状況に追い込まれてしまいました。

 それで日本は、もちろん大きな問題に直面しましたけれども、これは、前回の金融危機の後さまざまな努力をした結果として、今回は相対的に金融機関の、あるいは金融市場の傷みは小さかったわけであります。むしろこれは、日本の金融システムが相対的に健全性を確保した、その良好なパフォーマンスがここに出ているというふうに私は認識しています。

 ただ、そう申し上げた上で、中央銀行として、一昨年のリーマンの破綻以降いろいろなことを行いました。これは、日本の金融市場の状況に即してさまざまな施策を打ちました。

 二、三例を申し上げたいと思いますけれども、一つは、他の中央銀行と協力しましてドルの資金供給オペレーションを行いました。これは、グローバルに活躍する企業にとっては、金融機能を回復する上で大変大きな効果があったと思っております。それから、CP、社債の買い入れを行いました。それから、ほかの中央銀行が行っていなかった金融機関の株式を買い入れるということを行って、何とか金融機関の信用仲介機能の低下を防ぎました。

 したがいまして、私としましては、日本のこの状況に即して、中央銀行として最大の貢献をしたというふうに思っております。

 最後に、先生が中央銀行のバランスシートの大きさということに焦点を当てて御質問なさっていますので、それに即してお答えいたします。

 日本銀行は、実は、今回の金融危機以前から、既に中央銀行のバランスシートを大きく拡張しておりました。その結果として、どうもその拡張の仕方が目立たないという傾向がございますけれども、GDPに対する比率で申し上げますと、リーマン破綻以前は、日本は二〇%程度、アメリカは六%、欧州は一六%でございました。昨年十二月時点では、日本は二六、米国は一六、欧州は二一でございます。

 このように、日本銀行のバランスシートは、先生お尋ねの中央銀行のバランスシートの比較でいきますと、実は現在でも主要国では一番大きな中央銀行に現になっているということでございます。

山本(幸)委員 今の日銀総裁の説明について、菅大臣、納得されますか。

菅国務大臣 私も、何度か政府の経済対策を打つ中で、例えば十二月の一日には、政府の方針が出た日の午後に日銀の臨時の政策決定会合が開かれまして、一定の金利、三カ月物の金利を〇・一にする、そういう措置もとっていただきました。

 バランスシートの問題について、今総裁が言われたことの大きい方向性は私は納得できます。つまりは、日本の金融市場というか金融の分野は、かつて土地バブルの後に、私も当時、それこそ池田議員とかいろいろな議員とともに金融再生法を野党として提案したときの代表か幹事長をやっておりましたけれども、そのときに比べれば、今回のリーマン・ショックは、日本の金融という制度に対してのダメージは相対的には諸外国に比べて低かった。しかし、そのことが、その後の特に輸出に対して与えた影響は、場合によってはどの国よりも逆に大きい、そういう中での今日の状況だと。

 ですから、そういう意味で、先ほど日銀総裁が、ある意味で金融に対するダメージが欧米に比べてそれほど大きくなかったという認識を専門的なことも含めて言われましたが、その部分については、私は私なりにある程度納得をしているところです。

山本(幸)委員 納得しちゃだめなんだよ。これから議論しますから、よく聞いておいてくださいよ。

 まず、バランスシートが比率が小さい。これはどうして小さいんだよ。

 それは、名目GDPが二十年前から全然ふえていないからですよ。日銀の政策でデフレがずっと続いて、二十年間GDPがふえなきゃ、分母が小さければ比率が上がるに決まっているじゃないですか。それを、ほかの国は順調に三、四%成長していたんだ。だから、GDPの分母がふえているから、そのバランスシートの比率が小さいだけの話で、バランスシートの比率が大きいというのは日銀の政策の失敗だということなんですよ。それがわからないんですか、日銀総裁。

白川参考人 まず、日本銀行の金融政策の運営でございますけれども、金利とそれから量に分けて御説明いたします。

 金利については、既に、短期金利は〇・一%ということで世界で最も低い金利水準を維持しております。

 量につきましては、日本銀行はいつでも資金を潤沢に供給する用意があるというふうにいつも申し上げていまして、そういうふうなオペレーションを行っております。したがいまして、金融機関が量が制約になって貸し出しができないという状況はつくらないようにしておりますし、現実に金融機関からもそういう声は聞いておりません。

 それから、中央銀行のバランスシートをもって判断するという議論でございます。

 現実に、日本銀行のバランスシートは、これは、名目GDPだけではなくて、バランスシートそのものも拡大いたしました。その上で、バランスシートをもって金融政策を議論するという議論の仕方についてでございます。これは、確かに、かつては山本先生がおっしゃったような議論も一部にございました。ただ、今回のこの経験を経て、そうした議論は随分変わっております。

 例えば、FRBのバーナンキ議長が、繰り返し、FRBのバランスシートのサイズでもって、規模でもって自分たちの政策を判断しないでほしいということを全く同じように言っております。それから、かつて日本銀行を批判した海外の有名なエコノミストの中には、かつて自分はそういうふうに言ったけれども、実はそういう話ではなかったというふうに今は自分は反省しているというふうに言っている方も随分いらっしゃいます。

 そういう意味で、私自身は、もちろん量について潤沢に供給する用意はございますけれども、量だけでもって判断するという議論については必ずしも納得しておりません。

山本(幸)委員 サイズで議論すべきじゃないとかそんなことはいい。だから、最初でそんな、比率が大きいからといって威張る話じゃないでしょう。それを言いなさんなというんだ。(発言する者あり)それはこれからやりますから、心配しなさんな。

 それで、次に、これはちょっと大臣の指摘したことなんだけれども、これは非常に重要な問題ですが、日本銀行は、各国、欧米では金融システムが崩壊状態にあったのでああいうことをやった、日本では金融システムというのは比較的安定していた、だから何もしませんでしたよという話なんですね。これは、いわゆる日銀流理論というところに入るんだけれども、非常に問題がある。つまり、日銀というのは、自分の相手にしている銀行、短資会社、まあ金融機関だ、そこしか見ていないんだよ。そこのところが安定して問題がなければ動きませんよと。

 ところが、大臣がおっしゃったように、実体経済は大きく傷ついたんですよ。輸出も激減した、失業もふえた、デフレが深刻化した。この金融機関以外の実体経済のところを全然見ないで金融政策運営をやるというのは非常に問題があるんですよ。ここについてどう思いますか。

白川参考人 山本先生御指摘のとおり、金融政策を運営するに当たりまして、金融機関だけを見て判断するということは、これはもちろん適切ではございません。私どもは、金融機関だけではなくて、一般の企業、それから個人も含めまして、民間の経済主体全体がどういうふうに現在あるのか、今後どういうふうになっていくのかということを、細心の注意をもって情報を集めております。

 その上で、金融政策をどう運営するかということでございますけれども、主としてこれは、資金の量をコントロールすることを通じて金利に影響を与える、あるいは量に影響を与えるということによりまして金融機関が主たる経路になるということは、そのとおりでございます。

 ただ、今回は、先生御指摘のとおり、その先の企業の問題が大きな問題だということも、我々は十分認識しております。その結果、ふだんは日本銀行は行わない、例えば、先ほどの金融機関の株式を買い入れるということをしたのも、実は、この株式のリスクが大きいがために、大きいと認識しますと金融機関自身が貸し出しをしにくい、最終的にお金が回りにくくなるという状況になることを懸念しまして、こういう措置も行いました。したがいまして、金融機関だけを見ているわけではございません。

 最後に、民間の企業あるいは個人に幾らお金が回っているかという、これはマネーサプライというふうに呼んでおりますけれども、このマネーサプライの伸びは、実は、日本、それから欧州、それからアメリカで、リーマン破綻前後、この一、二年でどういうふうに変化したかといいますと、日本は、むしろこの間は、他の国と違って上がっております。

 そういう意味で、日本銀行の金融政策は、もちろん金融機関を中心に運営するのは、これは仕組み上そうでございますけれども、その先についても十分注意して行っております。

山本(幸)委員 見ていると言っているけれども、本当はやっていないんだよ、見ていないんだよ。株を買ったとか、社債、CPを買ったとか、微々たるものじゃないですか、アメリカに比べれば。百年に一度の危機、これは昭和恐慌に匹敵するというぐらいの危機。昭和恐慌だって、輸出ががんと落ちたから恐慌になったんだからね。それに対して、全然日本銀行は危機感が足らない、やっていないんですよ。

 次に行きますが、では、あなたは金利は世界で一番低いと言った、〇・一%。本当に金利が低いんですか。それは名目金利が低いだけじゃないか。金利というのは、あれは企業が投資をするかしないかを決めるのは実質金利ですよ。実質の、正確に言えば、予想実質資金調達コスト、実質金利プラス、リスクプレミアムを考えなきゃいけませんが、簡単に言って、実質金利は物すごく高いんだ、日本は。だって、デフレになっているんだから。企業の実績、これは本当は期待で、期待実質金利をしなきゃいけないが、それはなかなか計算できないからね、実際に起こったもので簡単にやっただけでも。

 では、企業は、企業物価上昇率で考えるとすれば、企業の平均約定金利一・六から企業物価上昇率マイナス四・九を引くと、プラス六・五だ。では、家計はどうか。家計は、住宅ローン金利二・四から最新の消費者物価上昇率マイナス一・七を引くと、四・一ですよ。投資をするとき、一番恐らく意味があるだろうなと思うのは、それは、国債の、財政の資金でもいいんだけれども、長期国債利回り一・三から、きのう発表されたGDPデフレーターで見ればマイナス三でしょう、四・三だ。これはバブルのときと同じぐらい高いんですよ。アメリカは非常に低いんだね、あるいはマイナスですよ。どこが世界一低いんですか、金利が。

白川参考人 山本先生が御指摘のとおり、名目金利とそれから実質金利を区別して議論することが大事であるという点はそのとおりでございます。

 ただ、金利は、これはマイナスにできない以上、中央銀行としては、この非常に低い金利を粘り強く続けることによって、経済を刺激し、その結果、物価も上がり、その結果、実質金利も下がっていくという道筋を目指す以外には方法がないということでございます。そういう意味で、日本銀行としては、金利は下げられるところまで下げて、かつ、この現在の低い金利情勢、極めて緩和的な金融情勢を粘り強く続けていくということを明確にしております。

 その上で、今度、実質金利の比較でございます。最後に山本先生が長期の金利についてお話しになりましたけれども、現在、日本の長期金利は、もちろん変動しておりますけれども大体今一・三%、欧米は大体三%台の後半でございます。つまり、金利差、長期金利の差が二%以上あるということでございます。同じように、物価も今、日本と欧米では二%あるいはそれよりも若干多い差があるということでございます。

 そういう意味で、もちろん、予想インフレ率を正確に計算することは難しいわけですけれども、しかし、現実の長期金利を見てみますと、実質金利において日本だけが低いということでは必ずしもございません。

山本(幸)委員 それは納得できない。だって、アメリカは物価はプラスなんだからね。では、三・五で、僕はちょっとアメリカのGDPデフレーター知らないけれども、消費者物価指数を見たら二・五ぐらいだ、三・五から二・五を引けば、一じゃないか。あるいは短期だったら、ゼロから〇・二五でやっているんだからマイナスですよ、短期の実質金利は。日本はプラスじゃないか、デフレなんだから。一番高いんですよ。

 実質金利が高くて需要が起こるなんというのは無理なんだ。こういうときは、思い切ってお金の量を欧米並みにがんとふやすということをやるしかないんですよ。だけれども、日銀は名目金利に固執するから、それができないんだよ。〇・一%、何で固執する必要があるんだ。かつてのゼロ金利にして量的緩和にしたらいいじゃないですか。どうしてしないんですか。

白川参考人 まず申し上げたいことは、日本銀行として、現在のこのデフレ状態から脱却し、できるだけ早く物価安定のもとでの持続的な経済成長、そうした軌道に日本経済を戻したいというふうに強く願っております。そのために、先ほど来申し上げていますような金融緩和政策を粘り強く展開していくということでございます。

 少し敷衍して申し上げますと、短期の金利、これは日々の金利、オーバーナイトの金利と呼んでいます、これは今〇・一でございますけれども、三カ月の金利について、これを固定金利〇・一で資金供給を行うというオペレーションを始めました。

 それから、現在のこの緩和的なスタンスを続けますということを、見通しを照らし合わせながらこうした政策を続けていくということもはっきりさせていますので、これは先々の金利形成にも影響を与えるということでございます。

 それからさらに、現在はそうではございませんけれども、万が一また金融市場が混乱するということがあった場合には、日本銀行として果断に行動をするということも繰り返し申し上げております。

 その上で、今度、量的緩和ということでございます。

 量的緩和という言葉で先生がおっしゃったのは、かつて日本銀行が行ったように、当座預金に目標を設定して、この水準を引き上げていくという政策をなぜとらないのかという御質問であると思います。

 日本銀行は、確かにこの政策を二〇〇一年三月以降、二〇〇六年まで採用いたしました。この五年間近くの経験にかんがみまして、この量的緩和政策は、金融システムの安定を維持する上では大きな効果があったというふうに評価をしております。この点は決して過小評価すべきではありません。内外のデフレの歴史を振り返ってみますと、ほとんどは実は金融システムが不安定化したときにいわゆるデフレの怖さが顕在化しております。その意味では、量的緩和は大いに効果があったというふうに思っております。

 ただ、これが人々の支出活動を刺激し、その結果物価が上がっていくということになりますと、この効果は非常に限定的だったというのが私どもの評価でございます。これは私どもが量的緩和をやめたその翌日の各新聞の例えば論説を見ても、今私が申し上げたのと同じような評価を各論説が行っておりました。

 今回、アメリカが、確かにバランスシートは拡張しておりますけれども、バーナンキ議長は量的緩和政策という形での評価はしておりません。バランスシートの拡張は、これはあくまでも、先ほど申し上げたような、いろいろな資本市場に対して中央銀行が代替せざるを得ない状況になった結果としてバランスシートが拡大している、当座預金の量がふえているだけであって、これが経済に対する刺激度を示すものではないんだということを繰り返し繰り返し言っております。

 そういう意味で、日本銀行だけが何か特殊なポジションをとっているというわけではございません。

山本(幸)委員 全く納得できません。

 海外は、それは量的緩和という言葉は使っていませんよ。信用緩和と言っているんだな。それでいいんですよ。だけれども、マネタリーベースを物すごくふやしているんだよ。これをふやさなければ、しかも貨幣乗数が非常に小さい場合にはよりふやさなきゃ実体経済に行かないんですよ。マネーサプライがふえないんだ。大体、日本も歴史的に、マネーサプライが四・四%を切ればデフレになるという歴史的なあれがあるんだから、あなた、ふえたといったって、だってまだ二、三%ぐらいしか出していないじゃないか。

 量的緩和について、あなたは確かにあなたの書いた本で、このでっかい本を読みましたよ、それで、要するに、量的緩和は金融システムの安定化には資したけれども、そのほかに余り効果はなかった、それが日銀の公式見解だというんですね。本当にそうか。

 実は、この問題について新しい研究成果が出まして、これは大阪大学の本多先生が、黒木さんという人と立花さんという人と一緒に実証研究をやった。これは初めての量的緩和の効果なんですが、これは英文しかないのであれなんだけれども、こういうのをやるときは、いわゆる多変量変数回帰分析というのでやるわけだな。それを丁寧にやっていますよ。

 従来、日銀が、あなたの本にも引用されていたけれども、効果がなかったという研究成果の問題点は、古いデータも一緒に入れている、一九八五年からのデータを入れているからだめなんだと。

 これは、二〇〇〇年からの、本当に量的緩和をやったというときからのデータでやっていまして、テストもやって、いろいろな検証をやっているんです。そこで言われているのは、そこではっきり結果が出ているのは、量的緩和というのは明らかに効果があったと。それは、GDPに行く生産を拡大することに効果があった、チャネルは株価の上昇を通じてだと、その回帰分析から出ているんですね。

 量的緩和をやると、一カ月して株価が上がり始める、それで六カ月後にピークになる、そういう線が描けます。生産の代替である鉱工業生産をとっているんだけれども、これは二カ月後から効果があらわれ始めて、そして八カ月にピークになる、この結果がはっきりと出ていますよ。もう報告されている。

 ただし、おっしゃったように、物価にはなかなか時間がかかるんだね。それから、物価もちょっと上がる、為替レートもちょっと下がるんだけれども、統計的に意味があるまでには、まだこのデータでは出ない。だけれども、統計的に有意に、株価等のチャネルを通じて生産には確実に効果があると出ているんですよ。

 こういう結果が出ていて、ちゃんとやればいいじゃないですか。今、だってGDPギャップがあるんだから、株価を上げて生産させるのが一番いいんじゃないですか。

白川参考人 今御指摘の本多先生の研究でございます。

 たまたま本多先生は留学時代の友人で、私は非常に親しくしていまして、実は、この先生の研究、その論文のもとの発表をたまたま先生がされた場に私は、これは京大時代ですけれども、出ておりまして、先生の研究も勉強させていただきました。

 私自身は、現在は大学の教師ではなくて政策当局者ですから、自分がかつて正しいと思ったことも含めて、ある特定の理論にドグマティックに臣従するということは決して望ましくない。私は、最終的に、実務家、政策当局者ですから、そこはオープンにいつも考えていきたいというふうに思っています。

 その上で、私もいろいろな、スタッフにお願いしまして、実証研究について目を配っております。確かに、本多先生はそういう研究を出されています。ただ、私どももまた、量的緩和の時期以降に限定した形で、先生がおっしゃったそういう形でのいろいろな分析を行っておりますけれども、そうした分析結果も踏まえて、私は先ほど申し上げたようなことを申し上げています。

 これは、日本だけではなくて海外の中央銀行にとっても、実は今回、量的緩和を採用すべきかどうかということが大きな議論になりました。したがって、日本の研究は実は格好の研究対象になっております。そうした海外の中央銀行の分析結果を見ても、今先生がおっしゃったような研究結果を出しているものは、私は寡聞にして、もしかしたらあるのかもしれません、ないとはもちろん申し上げませんけれども、そういう研究が多いということは少なくとも聞いておりません。

山本(幸)委員 あなたは学者ではなくて実務家で、ある一つのものに従えないと言っているけれども、私から見ると、あなたはこの本に書いたことしかやっていないんですよ。

 この本には、量的緩和というのは金融システム安定化に効果があった、それは時間軸効果というのだけはあった、こう書いてあるな。だから、時間軸、いつまでもやりますからというある程度の約束をするものだから、それでみんなが安定して経済行動をやったという、その効果だけはあったといって、時間軸効果だけだというのは量の大きさというのは余り関係ないから、だからゼロ金利にする必要はないんだ、金利はプラスの金利で持っておいて構わないんだということで、あなたは〇・一%というものに固執しているわけでしょう。あなたが言っている自分のドグマに、それを維持しているだけじゃないですか。

 それからもう一個は、こう言っているんだ。デフレスパイラルにならなければいいんだ。デフレが起こっても景気後退というのが一緒に起こらない、つまりデフレスパイラルというのがなければデフレでもいいんだという議論をしているんだね。それで、だれかの成果を言って、デフレというのは経済後退というのと一緒になることはほとんどないというような話をしていて、それは大恐慌のときは例外だ、そういう研究成果を引用して、だから、景気後退がなきゃデフレでもいいんだということでずっとやっているんですよ。つまり、あなたは自分の理論に固執した政策しかやっていないんですよ。おかしい。

 だって、この量的緩和、世界じゅうがやって、デフレにしていないんですよ。日本だけだよ、デフレがずっと続いているというのは。それで、これが続いている限りは、菅さんの成長戦略なんてあり得ないんだからね。これを一年か一年半で解消しなかったらできませんよ、三%成長なんて。だから、気違いみたいに金を出さなきゃいけないんです、今。

 今、GDPギャップが三十五兆円ぐらいあると言われていますね。物の世界で三十五兆円の超過供給の状況だ。そうすると、お金の世界ではどうなるんだと。ワルラスの法則というのがありますね、ワルラスの一般均衡。これは、あなたは御存じでしょうけれども、どういうことになるかわかりますね。

白川参考人 先ほども申し上げましたとおり、私は、決して自分の理論にこだわっているというわけではございません。自分自身は理論を編み出すほど頭もよくありませんので、内外のいろいろな学者あるいはエコノミストの声を、研究を総合して、自分なりに判断していきたいということでありますから、これからも常に経済の動きを虚心坦懐に見て判断していきたいというふうに思っています。

 こういう席でワルラスの法則という言葉をちょっと申し上げるのはあれですが、ワルラスの法則は基本的には経済が完全雇用の世界での話ですから、今先生が議論されているこの不完全雇用、つまり大きな需給ギャップが問題になっているもとでワルラスの法則を当てはめてというのはどうかなという感じはいたします。

山本(幸)委員 私はそう思わないんだけれどもね。だって、ワルラスが言っているのは、ある分野で超過供給があったら、他の分野では超過需要が起こっているということを言っているわけでしょう。それで、全体を見れば均衡しますよ、そういうふうに価格が調整しますよと言っていると私は理解しているんですよ。それからいうと、財の世界で三十五兆円の需給ギャップがあるんだ、つまり供給超過ですね。そうすると、お金の世界ではその分だけの超過需要があるんですよ。そうしないと、均衡しない。

 つまり、世の中の人は、今、一番安心で安全なキャッシュが欲しいんですよ、現金が。そういうふうにみんな動いているから、何か物を持っていたらそれを売って、あるいは、買いたいものがあろうとそれを買わないで、とにかくキャッシュあるいはキャッシュに近いものを持とうとする意欲が強過ぎるんですよ。だから、お金の超過需要が起こって、その逆が、物の世界で超過供給になっているわけだ。これが原理じゃないですか。

 だから、安心、安全なキャッシュというものをそんなに欲しがっているんだから、これを十二分に供給してやらない限り、動かないんですよ。これが量的緩和のやるべきことですよ。

 マッカラムという人がいまして、マッカラム・ルールというのがある。これは、必要なマネタリーベースでの、名目成長率でどれだけのマネタリーベースが要りますかというのを計算するのがあって、欧米で参考にしていると言われているわけですね。これでいうと、例えば、これは流通速度の平均を何年でとるかによるんだけれども、一年でとると二〇%、二年で一五%、三年だと一〇%。少なくとも一〇%以上はマネタリーベースをふやさない限り、名目三%成長というのは達成できない。

 それから、本多先生の研究は一つだと言いましたが、別の、これは文科省の数理統計研究所でやったものがあるんだけれども、どうしたらデフレをなくせるか、どれぐらいマネタリーベースを出したらなくせるかという研究があって、ちょっと古いんだけれども、それだと、まず三〇%一気にふやせ、そして半年続けろ、それからその後一年半、一五%ふやしていけば、そうすると二年後に物価はプラスになりますよという成果も出ているわけです。

 こういうマッカラム・ルールとかあるいはそういう研究成果を無視して、そして、リーマン・ショックの後、三カ月も四カ月もたってからようやく金利を下げたり、一回やめると言ったものをもう一回形を変えてやり直したり、ちょぼちょぼとやって、何をやっているんですか。デフレを本当に解消しようとする気があるんですか。どうですか。

白川参考人 まず、一番最初におっしゃいました、安全確実な資産である中央銀行の当座預金、これを潤沢に供給すべきだという議論でございます。

 まさにリーマン破綻直後はそういう状況が生じました。つまり、みんなだれもが信用できない、したがって安全確実な資産で自分の金を運用したい、まさにそういう状況でございました。そのときに、日本銀行は潤沢に資金を供給いたしました。デフレを防ぐ上でこれが最も重要だという点については、その点については私は議員と全く同じでございまして、そういう不安があるときに、まさに金融システムに不安がある、そういうときにたっぷりお金を供給する、これがデフレを回避する最大の要諦だというふうに私は思っております。

 その上で、今度、マッカラム・ルールということについてお話がございました。先生、これは欧米で参考にされているというふうにおっしゃいましたけれども、私が知る限り、欧米で参考にされていることはないように思います。

 これは繰り返し今申し上げましたけれども、欧米の当局者が、リザーブ、当座預金の量でもって判断しないでほしいということを言っていることにあらわれていますとおり、これはむしろ、金融システムの不安が高まるときには、みんなのその不安の度合いをあらわすようなそういう指数でございます。そういう意味で、これに依拠して政策をやっているということは、私はないと思います。

 それから、デフレ脱却に向けて日本銀行は本気かと。これはもちろん真剣に取り組んでおります。これはなかなか時間のかかることでございますけれども、デフレの脱却というのは、日本銀行だけでできることではございません。しかし、日本銀行でできることはしっかりやらないといけないというふうに強く思っております。これは、愚直に、粘り強くやっていきたいというふうに思っております。

山本(幸)委員 当座預金の量じゃないと言っている、それはそうですよ。だって、目標は物価の安定だからね。そうなると、では、物価の安定目標をつくってもらわなければいけない。

 それから、デフレの脱却は日本銀行だけでできないんだったら、日本銀行総裁をやめてくださいよ。日本銀行ができなかったら、だれができるんですか。デフレというのは、物とお金の関係で決まるんだから。各国の中央銀行総裁で、デフレとかインフレをちゃんとコントロールできませんなどと言う人はいませんよ。デフレには絶対しないということを宣言してバーナンキなんかやっているんだから、キングだってやっているんだから。

 そこで伺いますが、そういう意味では、インフレターゲット、いわゆる物価の目標というのをしっかり持って、それに向けて日銀は、ちゃんとやらせます、できなかったら責任とらせますというスキームが一番いいんですよ。これを早く導入して一年か一年半でやらせないと、名目成長率三%行きませんよ。

 そのときに問題になるのは、日銀が巧妙に言っているのが、この前、物価の安定の理解というのを、ちょっと解釈を変えますなどと言いましたね。マイナスは認めないんだということだけつけ加えた。しかも一%ぐらいが一番いいと言っているんだ。

 そうすると、透けて見えるのは、日銀は、ちょっとプラスだけれども〇%に近いか、せいぜい〇・五%ぐらいまでなら、それぐらいにしたいというふうに思って金融政策運営をやろうとしているんでしょう。そうじゃないですか。

白川参考人 まず最初に、インフレーションターゲティングについての御質問からお答えいたします。

 日本銀行の金融政策の枠組みというのは、今先生も御指摘のとおり、一つは、中長期的な物価安定の理解ということを、これを明らかにしまして、それを念頭に置いた上で、いわゆる二つの柱という形で経済、物価情勢の点検を行いまして、これを踏まえて政策を決定していくというものであります。

 金融政策の枠組みとして今先生インフレーションターゲティングということをおっしゃいましたけれども、G7を構成している国でいきますと、確かに英国とカナダは、これはインフレーションターゲティングを採用しております。しかし、日本を含めほかの国はインフレーションターゲティングを採用しておりません。

 ただ、私はここでインフレーションターゲティングの採用の有無について何か反論をしたいということでは必ずしもありませんで、今インフレーションターゲティングを採用している国もそれから採用していない国も、実は金融政策のやり方は非常に似通ってきているということでございます。

 どういうふうに似通っているかということですけれども、第一に、物価安定に関する何らかの目標あるいは定義を、これを数値的に示しているということ、これが第一点でございます。

 第二点は、金融政策の効果が発揮されるには、これはラグが一年半から二年近くかかりますので、先行きの経済、物価の見通しを公表するということでございます。

 三番目は、その上で、金融政策の運営に当たっては、足元の物価だけじゃなくて、中長期的に経済、物価が安定的に望ましい状況になるかどうか、経済が安定的に推移するかどうか、そうした中長期的な観点を重視しているということでございます。

 この三点において、実は、どの中央銀行の金融政策も非常に似通っているということであります。

 日本銀行の金融政策の枠組みは、そういう意味で、インフレーションターゲティングを採用しているところのいいところとそれからインフレーションターゲティングを採用していないところのいいところ、すべてを包含した上で、日本のこの環境の中で一番ふさわしいという政策運営の枠組みをつくっているというふうに自負しております。

山本(幸)委員 逆で、一番悪いところだけをとっているんですよ。

 だって、G7で、イギリス、カナダは確かにインフレターゲットを持っている。では、ほかの国は持っていないと言うんだけれども、EUはもうちゃんと持っていますよ。二%で、二%に近いところを目指すと言っているんだ。アメリカは、これは物価と雇用と二つの目標を持たなきゃいけないと法律で決められているものだから、物価だけというわけにはいかないんですね。だけれども、それでも長期的には一・七から二・〇がいいよと、ちゃんと数字を出していますよ。

 日本の場合ははっきりしないんだよ。理解であって目標じゃないんだ。これじゃだめなんだ。しかも、その目標がずっと〇%台というのを、つまり、ゼロインフレをやろうとしているのが日銀なんですよ。

 ここが、さっき言った上方バイアスとの絡みで非常に問題になるんです。上方バイアスで、〇・五以下などというのは実態はマイナスなんだから。少なくとも〇・五以上のCPIコアでいかせないと、デフレから脱却したことにならないんですよ。

 だから、大事なことは、ああでもないこうでもないと言っているのは、日銀はとにかく何でも責任をとりたくないんだよ。無責任であることについて雄弁なんだ、物すごく。それじゃだめなんです。

 これは、前回の日銀法改正のとき、私は、失敗したと思う。これは自民党の失敗だ。これは認める。それは、中央銀行の独立性というのは二つあるんだ、目標の独立性と手段の独立性と二つあって、各国が独立性と言っているのは、手段の独立性を中央銀行に与えましょうと言っているんだよ。目標は政府が決めるんですよ。そうじゃないとおかしくなるんです。そうじゃないことをやっちゃったから、日銀は常に自分の無責任さを正当化する日銀流理論にガードされて逃げるわけですよ。

 だから、菅大臣、最後に、あなたが本当に政治的リーダーシップを発揮しようとするのなら、きちっと日銀に、最低、できれば一だな、一から三ぐらいのインフレターゲットをちゃんと政府が目標を設定して、それを一年か一年半で達成しろと。本当は日銀法を改正してそれをするのが一番いいんだけれども。でも、やろうと思えばできるわけでしょう。これをやらない限り、あなたは政治的リーダーシップを発揮したことにならないし、名目成長率三%というのは達成できませんよ。それをやる覚悟はありますか。

菅国務大臣 いろいろな議論、大変参考になる議論をしていただいて、ありがとうございます。

 この間も日銀との間でいろいろなコミュニケーションを図っているつもりです。そういう意味で、私も、今言われたいろいろな目標を達成するための手段については、やはり日銀は日銀としての独立性というものを認めていくべきだろうと思っています。しかし、政策の方向性とか目的という点では、政府と日銀がある意味で共通の目標を持って進めることが望ましい、こう思っております。

 そういう意味で、先ほど一パー、二パーという数字、あるいは上方バイアスという私にとっては大変参考になる御意見も聞きましたが、この間の経緯で聞いているのは、プラスゼロから二%の間、つまりはプラス一程度が望ましいという形で日銀がたしか何月でしたかその態度を示されている。一パーが十分かどうかは別として、私どももやはりその程度を政策的な目標にすべきだと考えておりますので、私の認識は、目標については、一パーそのものの数字が固定化されているわけじゃありませんが、大体そのあたりから、もうちょっとかなと個人的には思わないでもありませんが、そのあたりではほぼ目標としての認識は一致している、こういうふうに私は考えています。

山本(幸)委員 非常に大事な答弁だったので、ぜひ、しかも一というのは、日銀がずっと低いことをやっていたから、今まで低かったからそれをベースにしているんだけれども、本当は足らないんだ、危ないんだ。だから、一から三ぐらいのものに行かないと間に合わないし、IMFはもう四ぐらいにしろと言っているんですね、今。だから、ここをやって、それを政府が、いつまでに達成しろ、この間については達成しろとしっかりたがをはめないと、日銀は無責任であることについての説明能力は抜群だからね、だまされないようにしてくださいよ。そのことについて菅大臣の政治的リーダーシップを期待して、質問を終わります。

鹿野委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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