衆議院

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第14号 平成22年2月18日(木曜日)

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平成二十二年二月十八日(木曜日)

    午後三時一分開議

 出席委員

   委員長 鹿野 道彦君

   理事 池田 元久君 理事 岡島 一正君

   理事 海江田万里君 理事 伴野  豊君

   理事 松原  仁君 理事 山口  壯君

   理事 加藤 紘一君 理事 町村 信孝君

   理事 富田 茂之君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      打越あかし君    小野塚勝俊君

      緒方林太郎君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    笠原多見子君

      城井  崇君    黒田  雄君

      古賀 一成君    近藤 和也君

      田中 康夫君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    中林美恵子君

      長島 一由君    野田 国義君

      畑  浩治君    平岡 秀夫君

      三谷 光男君    水野 智彦君

      山田 良司君    吉田 公一君

      若泉 征三君    渡部 恒三君

      金子 一義君    小池百合子君

      下村 博文君    菅  義偉君

      田村 憲久君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    谷畑  孝君

      山本 幸三君    石田 祝稔君

      大口 善徳君    笠井  亮君

      宮本 岳志君    吉泉 秀男君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   総務大臣         原口 一博君

   外務大臣         岡田 克也君

   文部科学大臣       川端 達夫君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (金融担当)

   (郵政改革担当)     亀井 静香君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     仙谷 由人君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   財務大臣政務官      古本伸一郎君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     野田 国義君

  梶原 康弘君     今井 雅人君

  沓掛 哲男君     近藤 和也君

  黒田  雄君     水野 智彦君

  平岡 秀夫君     磯谷香代子君

  森本 和義君     笠原多見子君

  小里 泰弘君     橘 慶一郎君

  谷川 弥一君     谷  公一君

  大口 善徳君     石田 祝稔君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  阿部 知子君     吉泉 秀男君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     平岡 秀夫君

  今井 雅人君     梶原 康弘君

  笠原多見子君     森本 和義君

  近藤 和也君     沓掛 哲男君

  野田 国義君     打越あかし君

  水野 智彦君     黒田  雄君

  橘 慶一郎君     小里 泰弘君

  谷  公一君     谷川 弥一君

  石田 祝稔君     大口 善徳君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

  吉泉 秀男君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

鹿野委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算、平成二十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、時間をいただきましたので、何点かお伺いをいたしたいと思います。

 きょうは、質問の順番として、最初にシーシェパードの件をお聞きいたします。それから、学校の耐震化についてお聞きをする。それから、過疎対策についてお聞きをします。最後には、赤松大臣と農林水産の政策について少々議論させていただきたいと思います。

 ですから、終わりましたら、順次当該の大臣は退席をしていただいて結構ですから。お忙しいと思いますので、また申し上げますので退席をしていただきたいと思います。

 まず最初に、シーシェパードの件をお伺いしたいんですが、これについて、私から見てもちょっと目に余る。これは皆さんの実感もそうだろうと思いますが、二〇〇五年から毎年調査捕鯨を妨害している、それもだんだんとエスカレートしてきているのではないか、こういう感じがいたします。

 ですから、これについて、これは海洋政策ということもあろうかと思いますので、きょうは前原大臣に来ていただいております。総合海洋政策本部の副本部長、海洋担当大臣ということで来ていただいております。ですから、まず前原大臣、そして赤松大臣が水産庁の担当ということで、今回の事案についてどういうふうに認識をされているのか、概要を含めて順次お答えをいただきたいと思います。

前原国務大臣 石田委員にお答えをいたします。

 シーシェパードによる我が国の調査捕鯨への妨害行為は悪質かつ危険であり、極めて遺憾でございます。非常に憤りを感じております。

 このため、シーシェパードの主要船舶の旗国でありますオランダに対して、鳩山総理からはバルケネンデ首相、私からはアーリングス運輸大臣に対しまして、対応を果たすように要請をしてまいりました。

 また、シーシェパード船舶による危険な妨害行為に備えて、調査船団の船舶、乗組員の安全を確保するための自衛措置を強化したところでございます。

 また、政府として、不法に第二昭南丸に侵入したシーシェパードの活動家について、現在、本邦に搬送している最中でございます。着き次第、厳正に対処をしていきたい、このように考えております。

赤松国務大臣 石田先生にお答えしたいと思います。

 石田委員も農林水産省の副大臣として、この間、これらの問題についてもいろいろと具体的に対処されてきたことで、いろいろな経過や事情については御存じだと思いますけれども、今も国交大臣からお話ありましたように、ことしは、旧来の妨害活動に増して非常に過激な活動になっている。

 先日も、ランチャー銃で酪酸の入った瓶を撃ち込むとか、あるいは今の、第二昭南丸に乗り込んできた船長については、さくをナイフで破って、そして乗り込んできて三億円を請求するだとか、とんでもないことをやっているわけです。

 そういう意味で、今関係省庁ともしっかり相談をしながら、司法捜査権については私どもにはございませんので、ただ、船に入ってきたときには、これは船員法でもって拘束はできるということになっておりますから、その侵入してきた船長の身柄を確保しながら、ただ、人権問題にもちゃんと配慮をして、食事その他もきちっととらせるようにしてやりながら、日本への帰国を、第二昭南丸、調査活動が一船なくなるということは非常に障害もありますけれども、しかし、証拠の保全とか身柄の確保等のことも含めて、できるだけ早く、今、日本に戻らせる、そしてその後は、身柄等を海上保安庁にお渡しをして厳正な捜査をしていただく。

 その結果、場合によっては送検ということもあり得ると思いますけれども、そういうことを、あとは、捜査権をお持ちの海上保安庁にお任せをしたい、このように思っております。

石田(祝)委員 この問題は、私も副大臣をやっているときにも当然起きておりましたし、二〇〇五年から起きている。冒頭にも申し上げましたように、だんだんとエスカレートしてきているんじゃないか。そういう中で、率直な思いとして、なぜこれを防げないのか、そして、その船籍のある国や母港としている国はこういう問題について一体どういう対応をとられているのか。

 日本として、今回は乗り込んでこられたので、いわゆる船の中はその旗国の一種の領土だ、そういうことで船員法で拘束している、こういうことですね。ですから、何か起きてもできない。向こうが乗り込んできて、その時点で初めて拘束をして、今、日本に連れてきている。これは私は、ある意味で考えたら、シーシェパードとして調査捕鯨を妨害する一番効果的な方法じゃないでしょうか。一隻日本に帰ってきているということで調査に参加できないわけですから。

 そういうことを考えたときに、これは私も、当該の担当の省におりましたので、じくじたるものもありますけれども、結局、今までどういう対応をとってきたのか。そして、対応をとってきたけれども現在のこの状況に至っている。では、今までのことは、はっきり言えば効果がなかった。

 この調査捕鯨というのは、これは大臣、認められているわけですね。そういう中で合法的にやっている。それを、我々から見たら非合法な一種の暴力的な妨害活動をしている。しかし、長年にわたって関係国に協力を要請してきても、現在の結果になっている。

 そういうことを踏まえて、これからどうすべきか、今まで何をやってきたのか、このことについて、これもやはり前原大臣、航行の、海洋の自由とかそういうこともありますし、また赤松大臣も、捕鯨という観点から、担当だと思いますので、それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、これは国際捕鯨取締条約第八条に基づく正当な調査でございまして、資源の持続的な維持ということで、こうした活動をずっと続けておる、認められた行為でございます。

 それに対しての妨害活動ということですので、先ほど前原大臣からもお話ありましたように、今三隻の妨害船があります、一つは今壊れちゃいましたけれども。それぞれの旗国でありますオランダ、ニュージーランドそれからトーゴ、それからまた、給油等でオーストラリアが非常に大きな支援の役割を果たしておりますので、それぞれの国々に対して、捕鯨に対する考え方の違いはいろいろあるとしても、そのこととこういう行為とは全く別物だ、非常に財産生命に危険を及ぼすようなこういう行為については断じて許すことができないということで。

 これは、この間のダボスで行われましたWTOの会議でも、私の方からオーストラリアの貿易大臣に直接、昼、さしで話をしまして、とんでもないことだ、ああやってぶつかってくる、あれを見たことがあるかと言ったら、いや、それは本当に向こうがぶつかってきたのかみたいなことを言うので、では、すぐビデオを送るから、ちゃんとあなたの個人あてに送るから、ちゃんと見てくれというようなことも話をしまして、早速送らせました。

 また、今回の第二昭南丸に対する乗り込みについては、乗り込んだということが判明した同日、水産庁長官のところにニュージーランドの大使に来ていただきまして、強い抗議を、申し入れをしました。あわせて、オーストラリアの代理大使に対しても同様の申し入れを、農林水産省としてもあるいは水産庁としてもさせていただいたというところでございます。

 どちらにいたしましても、捕鯨をどうこれからやっていくかということについては、ことし六月にIWCの総会もありますので、もし議会のお許しがいただければ、私自身が乗り込んでいって、きちっと日本の主張をしてまいりたいというふうに思っております。

 そのことと、今回のこうした犯罪行為とも言えるとんでもない行為については、これは全く別のものとして、それぞれの国も大分、オーストラリアの新聞も見ていますけれども、向こう側の世論の動向も変わってきておりますので、ぜひ、情報は直ちに向こうに流しながら、そういう事案があったときにはビデオで必ず撮れ、撮ったものをすぐまたマスコミを通じて、日本の国民の皆さんばかりではなくて海外に対しても、向こうがぶつかってきている、向こうがこんな不法なことをやっているんだということをすぐ示せということで、そんな対応を今させていただいております。

前原国務大臣 過去の経緯については、農水副大臣をされた委員の方がよく御存じだと思いますが、平成十九年度には三人の海上保安官を乗せております。ただ、現地で仮に捕まえても日本まで連れてこなくてはいけない、結果的に同じではないかということで、二十年度から乗っておりませんが、今回のように悪質な行為をした人間については、しっかり日本まで連れてきて、日本の国内法で取り締まりをするということでございます。

 ただ、いろいろ議論がありますのは、国連海洋法条約の海賊行為に当たるのかということについては、必ずしもすぐ当たるという認識にはなっておりませんし、それを前提でやった場合には日本が批判を受ける可能性もございます。また、公海上の管轄権というものもございませんので、なかなか今の場合取り締まるのは大変だ。

 では、仮にそういう状況であっても、昔の与党の中には議論があったと聞いておりますが、海上保安庁の船を出すということも選択肢の一つであるかもしれませんが、小回りのきくような、そういった船も出しておりますので、実質的に捕捉できないというようなこともございます。

 そういったことから考えると、やはり、先ほど農水大臣からお話がありましたように、関係各国と連携をしながら、シーシェパードの活動についての批判が国際的に高まっていくような努力をしていくと同時に、先ほどお話をしましたように、オランダにおいては、これはシーシェパードの船の船籍を持っているところでありますが、今、政府が、公海上で不法行為を行った船舶からの船籍剥奪の法案を出してもらっています。

 そういうような外交的な努力の中で、外堀を埋めていって、やはり国際世論の批判を高めていくということが最も、遠いようで、しかし近道ではないかということで、また委員のアドバイスもいただきながらしっかりと対処をさせていただきたいと思っております。

石田(祝)委員 これはぜひしっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 この活動は、二〇〇五年から続いて、だんだんとそれなりの応援隊もついているわけですね。ですから、どうも活動資金も豊富にあるのではないか。私は、そこには、それぞれの国の食文化、これに対するやはり偏見というんでしょうか、鯨のような哺乳類、大きなものを食べるのはけしからぬという考えがあるんでしょうか。

 私は高知県の出身なので、土佐湾が自分くの池だ、そこで魚が泳いでいるのは鯨なんだ、こういう、歌にもありまして、歌はきょうは歌いませんけれども、それだけ親しく、しかし、日本は、昔から鯨を本当に、ひげの先まで利用して、ある意味でいえばその存在に対して尊敬を払いつつ食べさせていただいていた、こういうことだろうと思います。ですから、委員長も、ひょっとしたら給食のときに鯨の竜田揚げなんか食べた経験があるんじゃないでしょうか。どうも、そのおかげで委員長も立派な体格ではないかと思いますけれども。

 この問題は、そういう食文化の問題と同時に、やはり、そういうことはもう許さないと。ですから、迂遠なようであっても、オーストラリアまたオランダ、そういう国の理解を得て、国際条約で認められた正当な活動である、これが無事に行えるように私たちはさらに努力をしていかなきゃいけない、このように思っております。

 では、前原大臣、結構でございます。

 続きまして、耐震化の問題でお伺いをいたしたいと思います。

 きょうは、川端文部科学大臣に来ていただいておりますので、耐震化でも学校の耐震化についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、学校の耐震化について、大臣の基本的なお考えをお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 地震が多発する日本であり、阪神・淡路の震災を含めて悲惨な状況もあり、あるいは世界的にも大地震が起こっているということであります。

 未来を支える子供たちが昼間の大半の時間を過ごすのが学校でもありますし、不幸にして万一そういう地震が起こったときに地域住民の避難の場所の拠点でもありますので、学校の安全確保は優先して取り組まなければいけない大変重要な課題であると認識をしております。

石田(祝)委員 それで、まず公立学校、いわゆる小学校、中学校、また特別支援学級、そういうところの耐震化の問題で少々お聞きをしたいんです。

 実は、前の政権のときに、概算要求の段階で、学校の施設費が二千七百七十五億円であって、そのうちの耐震化分が千九百三十八億円ございました。それが、政権交代をして十月に概算要求をもう一度やり直す、こういう段階で、一千八十六億円、そして耐震化分が八百九十三億円、ここまで減ったわけですね。それで、最終的な予算の政府案としては、耐震化分が九百十億円、こういう形になりました。

 私たちの政権のときに、四川の大地震で本来安全であるべき学校がつぶれてしまった、そして多くの未来ある子供たちがその下にある意味でいえば犠牲になっている、ですから安全であるべき学校は安全でなきゃならぬ、こういうことで、二十一年度の補正予算を含めてしっかりと予算を組もう、こういうことでやられたんですが、大臣、なぜこんなに、まあ政権交代したから変えるんだということではあるかもしれませんが、耐震化については、別に、政権がかわろうが変える必要のないことだろうと私は思います。

 なぜ、この耐震化分だけでも千九百三十八億が九百十億まで減ったのか、ここはどういう御説明をいただけるでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 委員の御指摘の比較は、概算要求ベースの比較というので御指摘をされました。確かに、昨年夏の自公政権での概算要求額が二千七百七十五億円、五千棟分を見込まれたことは事実でございます。

 ただ、例年、予算の消化をどうするかということは、それぞれのそのときの概算要求時における予算編成方針というものと、最終的に予算を確定するときの査定を含めた最終の分では、一定のそれぞれ乖離が起こることは現実にあります。そういう意味で、私たちの政権の概算要求に関しては、マニフェストの重点方針を踏まえつつ、その他の予算はいわゆる二十一年度予算を一つの基準にしながら概算要求する。したがって、これは概算要求といいながらも、事実上、最終ゴールとほとんど乖離のない予算編成をするんだという方針が示されました。

 そういう意味で、耐震要求に限って当初予算でいいますと、私たちの予算は、現在行われています平成二十一年度の耐震予算、小学校、中学校の耐震予算の千九百棟分、七百八十三億という現在の予算に比べて、二千二百棟分、九百十億円と、結果として、当初予算比較でいうと増額をさせていただきました。

 ただ、以前の四川の地震を含めて、意欲的に概算要求に取り組まれたことは事実であります。私たちの予算編成方針の結果としては、当初予算としては今年度よりはふやしたとはいえ、地元のニーズを含めては、まだしっかりやらなければならないことが大きな優先課題として残っていることは事実でございます。

石田(祝)委員 これは、今数字でおっしゃったのは大臣のおっしゃるとおりなんですが、これを私たちもやはり補正で大変積み上げてきたわけですね。それはそのとおりです。しかし、二十二年度に関しては、やはりそういう地震の問題もあり五千棟分、これは正確に五千棟になるかというのは、予算をこれから配分していって、現実に幾らかかったかということで上下するかもしれませんけれども。

 ここで、十月に概算をやり直したときに、要するに、こういうふうに私のいただいた資料に書いてあるんですね、マニフェスト工程表に掲げられた主要事項を実現するため二十一年度当初よりも減額した要求を行うこととされた、こういう記述もございます。

 ですから、これについてはこれから大臣がどういうふうになさるのか、この二十二年度の当初の予算だけでいいと思っていらっしゃるのか、それとも、二十二年度の補正でぐんと積み増そう、こういうふうにお考えになっているのか、それはいかがですか。

川端国務大臣 先ほど答弁いたしましたように、地元のニーズ、数字的には、六月の耐震検査の報告や地方自治体の財政状況にもよりますけれども、当然ながらまだ相当数、手当てをしなければいけない地元のニーズがあることは現実に承知をいたしております。

 そういう意味で、今二十二年度予算の御審議中でありますので、補正云々ということを当面考えられるわけではありませんが、先般来、参議院の山口代表の御質問や先般の富田理事の御質問にも、総理からも、いわゆる二兆円の経済枠も、命を守るという意味では視野に入れていくことも考えなければならないという可能性も言及をされたところでございます。

 私の立場といたしましては、この来年度予算を通していただいて、できるだけ早くに効率的、効果的にたくさんの棟数がこの予算の枠の中で執行できるように、そして、それと同時に並行的に、地方のニーズが出てきた分に関して、いろいろな手だての中でこの耐震化ができるだけ早くにしっかり対応できるように、財源に関しても、内閣の中での連携をとりながら、理解を得ながら取り組んでまいりたいという覚悟を持っておりますことを申し上げます。

石田(祝)委員 それでは、ちょっと私、私立学校の方もお聞きをしたいんですけれども、私立学校は、耐震化関連予算が二十二年度で十五億四千五百万、これが前年度より二億五千三百万減っております。公立小中学校の予定している耐震化の棟数と予算を比べると、平均しますと大体四千二百万ぐらいになるんですが、そうすると、私立学校は四十棟分しか予算を組んでいない、こういうことになるわけですね。

 ですから、これは公立の小中学校を重点的にやるということかもしれませんけれども、現実には私立学校も教育の重要な部分を担っているわけですね。ちょっとこれは、大臣、どうでしょうか。私は、私立学校の耐震化の予算が少ないと。こういう御意見は省内では出ておりませんですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 ちょっと私学のデータを今持ってきませんでしたけれども、私学の方からの御要請はいろいろな形で、ほかも含めて、経営も厳しい中で耐震化になかなか手が回らないのでという声は聞いております。限られた予算の中でありますけれども、これからも引き続き、そういう人たちの声を真摯に受けとめながら対応してまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 大臣、これはまた私学の方もよくお調べをいただいて、ちょっと乖離が大き過ぎるのではないかと私は率直に思いますので、ぜひ私学にも目を向けていただきたいな、このように思います。

 では、大臣、結構でございます。

 では、引き続いて、私、過疎対策について、きょう、原口大臣も来ていただいておりますので、少々お伺いをいたしたいと思います。

 この法律は、今まで十年刻みで新法でずっと参りましたが、今回、与野党でしっかり話し合いをいたしまして、一定の結論を出すに至りました。六年間延長する、そしてそういう中で、今までできなかったソフト対策、こういうものにもお金が使えるように工夫をしようじゃないか、こういうことになりました。

 過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案、こういう形で近々国会でも、これは衆議院を通していただくようになると思いますけれども、今回は議員立法ということですから、原口大臣の対案、閣法にはなりませんでしたが、現実的には、原口大臣が大臣になる前には民主党のある意味では代表として過疎法についての御議論を熱心になさっていたということをお聞きいたしております。ですから、今回こういう形で議員提案として各党が合意をして法律案ができた、こういうことについての大臣のお気持ちをまずお伺いいたしたいと思います。

原口国務大臣 石田委員にお答えいたします。

 本当にこの過疎法の一部改正案については、各党各会派、特に実務責任者の皆様で大変御熱心に協議を重ねていただいて、せんだって、過疎法を拡充、延長するという案を取りまとめてくださいました。中でも、石田委員は公明党の実務責任者として大変なお力をいただいたというふうに聞いておりまして、この場をかりて感謝を申し上げたいと思います。

 また、今回取りまとめられた改正案では、平成十七年の国調、国勢調査の結果に基づく過疎地域の要件の追加、大体これで五十八ぐらいの市町村が新規に追加される見込みだというふうに承知していますが、過疎地域のニーズにこたえた内容、そしてソフト事業にも使えるということで、大変趣旨を踏まえた有意義な、大事な法案をまとめていただいたというふうに思います。

 特に過疎地域は、財政状況も、それから高齢化、農林水産業の衰退、移動といったところでも大変厳しい状況を抱えています。そういう意味でも、この平成二十二年の三月末で失効をするということで、過疎地域からは延長を求める声が大変強うございました。この声に真摯におこたえいただいたものと、重ねてお礼を申し上げたいと思います。

石田(祝)委員 この過疎法、ことしの三月で切れることはもうわかっておったわけです。

 それで、当初、民主党か政府の方針で、議員立法は認めない、閣法でやるんだ、こういうお話もありましたが、報道によると、原口大臣が随分汗をかいていただいて、今までも議員立法でやってきたから今回もそれでいいのではないか、こういうことで党内をおまとめいただいて、私たち野党も入って各党が知恵を出し合ってやった、こういう結果になって私は非常によかったと思います。

 それで、私たちも、実は、平成十九年のときに過疎集落実態意識調査、こういうものを全国で行いまして、それを取りまとめたのが、今回私が各党協議の中で我が党の主張としていろいろと申し上げた基盤になっております。ですから、公明党としては、三年前の時点から全国調査をして、過疎集落の実態はどうか、こういう全国調査が一つのベースになっている、こういうことでございます。

 これは我が党の地方議員にも大いに協力をしていただいて、そういう調査をして当時の福田内閣総理大臣にも申し入れをした。今回のいろいろな、医師不足の問題それから交通の確保、こういうこともその中に実態として要望もたくさんあった。こういうことも一つ私たちの意見のもとになっております。

 それで、今回特に、大臣もお話がちょっと今ありましたけれども、拡充をしたと。これは、一つは、私たちの議論の中でも、過疎、ここの卒業生は今回出さない、入学生だけだ、こういうことでいろいろ工夫もさせていただきました。

 本当は、過疎に指定をされるということがいいのかどうか、喜ぶべきことなのかということを私ども率直に考えますと、これはどうかなと思いますけれども、現実には過疎債という形で元利償還の七割まで地方交付税で見てもらえる、こういうことで、過疎に指定されてよかったという正直なお声も実はあるんですね。それは、本当は私たちにとっては政治の責任としては残念なことなんですけれども、現実はそこまで至っている。

 そういう中で、今までハードしか使えなかった過疎債もソフトに使えるようにしよう、こういうことで、今回、一つは認定こども園、図書館、自然エネルギーを利用する施設、こういうものを追加した。そしてさらに、過疎地域の自立支援のための事業、この基金の積み立ても含む、こういうことで、地域医療の確保、そして集落の維持及び活性化、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、こういうことが例示的に今回も出されております。

 実は私も、高知県大豊町という、大変山ばかり、こういう地域の東庵谷というところに行ってまいりまして、住民の方々といろいろと懇談をさせていただきました。やはり御高齢の方ばかりです。そこで一番困っているのが、病院に行かなきゃならない。そのときに、山ですから、みずからは運転ができない、最寄りのJRの駅に行くにもタクシーを呼ばなくちゃならぬ、そこから例えばJRに乗って高知市まで行く、それから高知市からまたタクシーで病院へ行く、行けば帰ってこなきゃならない。それで交通費が幾らぐらいかかりますかとお聞きをしたら、一万円ぐらいかかる、こういうお話でして、それはお金が幾らでもあればいいんでしょうけれども、年金生活、そういう乏しいお金の中で、病院に行くのに一万円もかかっては大変だ。まず、交通の足を確保したい、確保させてもらいたい、こういう率直なお声もございました。

 それで、大臣、これから委員会でやっていただくのでまだ答えにくいんでしょうけれども、特にこの三点、地域医療の確保、集落の維持及び活性化、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、こういうことが例示で出ておりますので、これがこれから通りましたら、総務省の方で具体的な例示をこれはしていただかなきゃいけない。

 これは実は予算の関係もあって、各該当の過疎に指定されている市町村は、一日も早くこのソフト事業の中身が知りたい。どういうことが自分たちの地域でやって過疎債の対象になるのか、基金の対象になるのか、これをぜひ知りたい、こういうお声はあるわけです。

 ですから、大臣、これは例示もされておりますので、今のところでお答えできる範囲、どういうところで使えるか、それはぜひ知りたがっていますから、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。

原口国務大臣 お答えいたします。

 まさに委員がお話しのように、きめ細やかに地域の声を、たしか公明党さんの議員団は三千人以上地域におられる、そういうお声を三年も前からしっかりと踏まえていただいた成果だというふうに思っています。

 その上で今の御質問にお答えすると、今の三点、例示ですね、地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持及び活性化、まさに住民の命と暮らしを守るためのソフト事業、こういったものをできるだけ幅広に総務省としては対象にして、そして支援をしていきたいと思います。

 具体的には、有識者による研究会を設置し、ソフト対策に意欲的に取り組んでおられる過疎地域の市町村長、先日も岩手県の遠野市に行きました。そこはお医者さんが非常に少ないところでしたけれども、遠隔医療でちょうど日本橋の先生と結んで、日ごろから健康を大事にするという健康相談、これをなさっていました。

 そういう事業や、あるいは具体的な取り組みをされているものに積極的に支援して、そして、今回、来年度予算の地方交付税は一・一兆円増額しましたけれども、中でも財政力の弱い地域、過疎地域に重点配分できるような、そういう取り組みをしてくださいということをお願いしておりますので、予算が通りましたら真っ先にその地域に届けられるように頑張ってまいりたい、あるいは法律が通りましたら真っ先にその作業を進めてまいりたいというふうに思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。

石田(祝)委員 これは、大臣、お答えはきょうは求めませんが、地域の足ということでは、まず思い浮かぶのが生活バス、こういうことであろうと思いますけれども、それと同時に、JRが経営を移譲して、地元も経営に参画をして、そして路線の維持をしてくれ、こういういわゆる地方路線もあるんですね、鉄道の。ここなんかも、私は、バスと同様、地域の交通の手段だと。結局、最寄りの駅まで行っても、線路がなくなっていたらどうしようもないわけですから。

 だから、こういうものも相まって過疎地域の方々の交通の足の確保、こういうことであるということをぜひ最後に私は申し上げておきたいというふうに思います。

 では、ありがとうございました。

 それでは、農林水産大臣とちょっと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず大臣、今回、米の戸別所得補償制度、これをモデル事業としてやると。ですから、法律は出さずに、まず予算措置だ、こういうことでやられる。法律を出さない割には金額が大きいんですね、五千六百十八億。これは大変な金額でございます。

 ですから、私も再三申し上げているんですが、これはモデル事業だから、まずかったら来年直せばいいや、私はそれはよろしくないと。五千六百億ものお金を予定してやる事業ですから、それなりの、私たちから見たらこれは違うかもしれないけれども、農林水産省としては精いっぱいやって成功した、こういうふうなことにしていただかないと困るわけです。

 それで、特に、十アール当たり一万五千円を生産数量目標に協力した人には出す、この定額部分は期待をしている人が多い、これは私は間違いないと思います。ですから、我々はまだ評価を下すところまでは行っておりませんけれども、そういう期待をしている方がたくさんいるということは私は事実だろうというふうに思います。

 そういう点を踏まえてちょっと御質問いたしたいんですが、実は、けさの新聞に、大臣が、自給率を二十年後ですか六〇%にするぞ、こういう記事が載っておりました。六〇%にするというのは、今四一%だと思いますが、五〇%も、私たちは目標にしてやってまいりましたが、なかなか難しい。これをやられるということですから、当然、米の戸別所得補償制度というのがその自給率の回復に大いに役立つ、こういうことだろうと思います。

 まず、お米で戸別所得補償をやられると御判断なさったのはどういうお考えでしょうか。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 もともと、今政権は三党連立でございますけれども、私ども民主党の立場でいいますと、マニフェストの中で、ことしはモデル事業として、二十三年度からの本格実施に向けてまずとりあえず一番主要な基本のところからやっていこうということで、米というよりも水田作を中心とした事業でやっていこう。

 それから、もう一つ考えましたのは、やはり今まで、前政権時代、いろいろなことをやってこられて、別にそれはすべて否定するものではありませんけれども、一つ言えることは、いろいろな補助制度があってわかりにくい、使いにくい、そういうところがございました。

 そういう意味で、米に直接交付をする部分と、それから、その結果、生産数量目標がありますから、余った水田を利用して、その水田作でもって、今多くを輸入に頼っている麦だとか大豆だとか、あるいは飼料についても毎年四千億円トウモロコシ等で輸入しているわけですから、それにかわる形で、より安全で、そしていいと言われている飼料米に転換をしていく。そのための自給力向上の制度を、今まで幾つかあった補助制度を一つにして、わかりやすくシンプルにやっていこうということでございます。

 では、なぜ米なのかということになると思いますが、それはもう委員御存じのとおり、日本の農業ということを考えたときに、百五十万と言う人もあります、百八十万と言う方もありますけれども、やはり主要作物としてのお米を抜いたモデル事業というのはまず基本的には考えられませんし、それからもう一つは、やはり米作、主要米についてはいろいろなデータも改めてとらなくてもそろっているというところから、まずは主要作物である米、そして水田作を中心にしたモデル事業をきっちりやってみよう。

 その上で、今度は、二十三年度の本格実施からは、もちろんこれは法律に裏づけられたという形になると思いますけれども、では、あと畑作の麦や大豆をどうするのか、あるいは、中には水産業とか酪農も入れてほしいとか、今いろいろな御希望、御意見も聞いていますし、では果樹や野菜をどうするのかみたいな御意見もございますので、そういうことを総合的に勘案しながら、二十三年度の本格実施に向けて、まずはとりあえずこのモデル事業を五千六百十八億円できっちり成功させて、その上で、足らざる点は、あるいは範囲を広げる点、もっとほかの要素を加味したところがいいというようなことについては、次年度以降、それを組み入れて、約一兆円と言っておりますけれども、その規模で実施をしていきたい。このように考えております。

石田(祝)委員 お米ということで始める、こういうことでございますが、私が一月にいただいた農林水産統計、ここの平成二十年農業産出額というのがあるんですが、農業の産出額というのが八兆六千五百九億円、その中でお米が一兆九千三百十二億ということですから、産出額の中で四分の一も率はないわけですね。これは、ほかのものも当然いろいろありまして、例えば野菜なんかだと二兆一千億。産出額では野菜なんかの方が多いわけですね。これについてはいろいろなデータがそろっているから、こういうお話でございました。

 ですから、ここで私は、最初に申し上げたように、この定額部分十アール当たり一万五千円すべての販売農家に出す、こういうことですから期待をしている方がいらっしゃるのは間違いない、こういうことを申し上げました。しかし、なお、その期待を持ちつつも心配をしている方も多いんですね、正直なところ。私もあちこち参りましたけれども、一つは、どのようになるかわからない。そのわからないということが、一つは説明が現場におりてくるのが遅いということと同時に、本当にこれを、二十二年度だけで終わるんじゃないか、二十三年度以降も大丈夫か、こういう心配も実はしているわけなんですね。

 例えば、今現在だって経営所得安定対策の途中ですね。そういう中でまたこういう形になっている。ですから、これは、特に今回は予算措置で二十二年度だけでやる、法律もできていない、そういう中で来年一万五千円は本当に出るのか、こういう心配もされているわけです。

 大臣、私はきょうは心配をされている点を幾つかお聞きをしたいと思っていますので、まず、二十三年度以降については一体これはどうなるか、間違いなく続けていけるのか、この点についてはどういうお考えでしょうか。

赤松国務大臣 お答えをいたしたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、ことしはモデル事業でありますからまず米からということで、先ほどもお話ございましたけれども、価格、生産費について客観的なデータがある。それからもう一つは、価格が生産費を恒常的に下回っている。それからまた、そのコスト割れを補うための政策的支援が講じられていない。その視点から、お米を主にしてこの制度をまず考えてみた。

 それからもう一つは、先生は四国がお地元だと思いますけれども、例えば、中国四国地方はだれが一体農業を担っているのかということを調べてみますと、実は、中四国と私の地元の東海ですね、ここは、六五%から六八%、高齢農家とサラリーマン兼業農家が六五%以上を担っている。東北とか北海道は違いますけれども。そうすると、ある意味でいえば、採算が合うとか合わないとかは別にしても、年金をもらいながら、あるいは出稼ぎに出ながら、サラリーマンとして兼業をしながら何とか地域を守っている、何とか農業を守っているという方たちに負って今まで日本の地域は、あるいは水や環境は守られてきた。

 こういう要素があるものですから、確かに先生御指摘のように、額でいったら野菜がこんなに多いじゃないか、果樹だってこんなに多いじゃないか、あるいは花卉類ですね、花みたいのもこんなに多いじゃないか、これも事実だと思います、そういう額の問題はもちろん大切ですけれども、それとあわせて、やはり食と緑、地域をどうやって守っていくのかという視点からも、これは小規模のそうした農業者であってもきちっと支えていけるような、まずその岩盤部分をつくっていこうという視点でこれを始めさせていただいたということでございます。

 それから、二十三年も本当に続くのかと。二十二年、いい制度だと思ったけれども、単年限りで終わっちゃったという御心配だと思いますけれども、これは、私どもマニフェストでもきちっと示してありますとおり、二十三年度からが本格実施ということで額も明示をして皆さん方にお約束していることでありますから、さらに、例えば土地の集約をしていくその規模加算だとか、あるいは環境加算とか、そういうことが入ってくるかもしれませんけれども、ふえること、範囲が広がることはあっても、この制度がより小さなものになるということは全く想定をいたしておりません。続けてやっていきます。

石田(祝)委員 続けてやるという御決意でございます。

 それで、これはたくさんの方がお聞きになっているかもしれません。私もモデル対策の資料集をちょうだいいたしまして、ここのところで、この一万五千円という金額ですね。これは、生産経費、経営費と実際の販売額、金額、この差が一万五千円だ、こういうことですが、これは大臣、私がちょっと不思議に思うのは、この生産費のところのとった年数が、過去七年間のうちの上と下を外して五年の平均だ、それで販売金額は過去三年だと。ですから、比べるところを違うところから数字を持ってきているんですね。

 これはやはり、比較をするというときになると、当然、同じところから持ってくるのが本当じゃないのか。違う数字を持ってきて、この差が一万五千円ですよというのは、これはちょっとなかなか理解しがたい。

 大臣のお地元の東海の方の物価と、例えば私の住んでいる高知県の物価を比べてどっちが安いか、これはいろいろ土地の問題もありますから、できないと思うんですね。比べるんだったら同じところで比べる、これが当然ですから、どちらかにそろえて、生産費と販売額の差、これがこうだと。

 こうしないと、いろいろな議論も今までございました。この米の戸別所得補償をするときのいわゆる岩盤部分、これを幾らにするか。当初、一万という話がありました。それから、与党の中、特に民主党の中でしょうか、それじゃ少ない、一万五千円だ、こういう声が先にあって、そういうことが結構流布した後に一万五千円というのが出てきまして、それで、その数字のとるところが、私から見たら違うところを持ってきている。

 これは、大臣、いかがですか。数字そのもの、何十何円ということは聞きませんけれども、そういうふうに比べるところを違うところを持ってきているということをどう説明なさいますか。

赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 確かに、どこからどの範囲で数字を割り出してくるかというのは、正直言っていろいろな議論があるところでございました。私どもも、では五年でとって中三年をとるのかとか、いろいろやってみましたし、その結果、額に対する期待もあって、それは低い数字ばかりじゃなくて、いやいや一万八千円ぐらいやるだとか二万円とかいう話もございましたし、しかし、それを言ったらもう大変な財政負担にもまたなってしまう。

 いろいろなことがありましたが、基本的に、なるべくわかりやすく、だれもが納得できる数字でもってやった方がいいということで、特に生産費については、この七年ぐらい、中を見てみるとかなり大きく動いてきたものですから、これは少し幅広くとって、一番高いところと一番低いところを除いた真ん中五年でいこうと。

 では、今度は販売価格の方。コストはそうやって見たのはわかった。では、販売価格も七年で、間、高いところ安いところを除いて五年でとればいいじゃないかという論理だと思うんです。私どもでこれもいろいろ検討してみたんですが、米の価格センターというのがございまして、前は取り扱いの数量も大変多くて、そこを参考にしてやっていくのが本当は一番いいだろうと思っていたんですが、ただ、今、取り扱いの数量が極端に激減をいたしまして、正直言って余り参考にならないということで、その結果、実勢価格の把握を国がデータを保有している過去三年間の平均をとってやってみる方が公平なのではないかということで、その差を見て今回の十アール当たり一万五千円ということを決めさせていただいたという経過がございます。

石田(祝)委員 ちょっと、なかなかそうですかというわけにはいきませんね。やはり比較をするんだったら同じところをとってきて比較をしないと、違うところから引っ張ってきて、その差がこれだ、だからこれを全国一律だというのは、ちょっとわかりにくいと思いますよ。これは普通、科学的というんでしょうか、比較をするときは同じところから比較をするというのが普通の話でございます。これはこれ以上ここでは申し上げません。

 それで、もう一つ、全国一律ということ。これは前にも農水委員会で私はお聞きをしましたけれども、これも実際資料をいただきまして見ますと、生産費が物すごく違うわけですね。それを私も、これは農林水産省からいただいたんですけれども、二十年産の米のブロック別生産費、十アール当たり、これで、資本利子・地代全額算入生産費、ここまでを見ますと、一番高いところは私の比例の選挙区の四国なんですね。これが十九万四千六百九十九円。北海道は十一万二千六百六十五円。これは、今にわかに割り算できないんですけれども、一・七倍から八倍違うんじゃないか。

 それを今回は全国一律でやる、こういうことですから、これは私、大臣、四国の方は米づくりをやめろということなんでしょうか。これだけ生産費が違うのに、同じ金額、岩盤だ、岩盤だと言われてやって、その上の変動部分も全国平均でしょう。変動部分をそこで見てくれるんだったらいいんですけれども、それもない。

 ですから、ここのところは全国一律にするということで単純にするんだ、今までの農水省の予算は複雑過ぎる、こういうお話だろうと思いますが、ここは予算委員会の議論でありますから、ぜひいま一度、どうして全国一律なのか。これだけ生産費が違う、これは私が勝手に言っているんじゃないんですよ、農林水産省から出てきている数字で私は申し上げていますから、ここはどのようにお答えいただけますか。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 旧来から私は、北海道と中四国なんかを比べると、それは土地の大きさも違いますし、それから協業化、大規模化、機械化の度合いも違うということで、生産性が違うのは十分承知をいたしております。

 しかし、私どもは、先ほども申し上げましたように、あくまでも全国のこうした食料自給プラス、水、緑、環境をしっかり支えていただいているのは小規模のこうした兼業農家や高齢農家なんだ、こういうところがしっかりやれるように、まずそこを基本にして考えようということでございます。

 かつてのような地域別というか、そういう考え方もあるのも十分承知をいたしております。ではそのときに、言葉はちょっと申しわけありませんが、四国は生産性が悪いからこの辺のところで線を引こう、北海道は大規模化して協業化もしているからこの辺でレベルを置こうというと、場合によっては、生産コスト削減努力せずとは言いませんけれども、そうしなくても一定のものが懐に入ってくる、こっちはもともと高い水準になっちゃっているものですから、頑張って頑張って頑張り抜いてもわずかなところしかまた利益が出てこないということになる。

 むしろ、私どもは、小規模経営であってもきちっと岩盤部分は約束できる、ただ、あとはどれだけ上に増すのか、これを考え方として、大規模化して生産性を上げて、協業化も図り、また機械化等も集団でどんどん進めていく、そこは、少なくとも私どもが見たコストよりも、もっと生産性が上がればコストは安くなっていくわけですから、利益は頑張れば頑張るほど大きくなっていく、それによってさらに大規模化や協業化や機械化が自然と進んでいくことになるだろうということで、そういう仕組みにしたと。

 両方の考え方があるのは十分わかります。わかりますが、私どもは、あくまでもそういう意味で日本のこれからの農業の一つの方向ということでこういう方式をとらせていただいたということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

石田(祝)委員 時間が余りなくなりましたので最後にしたいと思いますが、大臣、最初におっしゃったように、四国は大変高齢化している、そういうところで頑張ってくださっている、それを応援したいと。私は、それは大変結構なありがたいことだと思います。

 しかし、生産性を上げれば上げるほどもうかるんだよと。これはちょっと、四国の山に来ていただいて、どれだけ山深いところで、天に届くばかりの段々畑というんですか、田んぼを耕しているか、棚田というんですけれども。生産性を上げろと現地で言ったら、多分石が飛んでくるようなことじゃないでしょうか。ですから、生産性を上げれば上げるほどもうかるんだよ、もっと努力しろ、これはちょっと難しい議論だろうと私は思います。

 ですから、小さなところにも、自家米の分を十アール除いたところを、十アール当たり一万五千円出すんだよと。これは、期待している方はおりますけれども、その結果、やはり自分たちの地域では生産費を賄えるところまではお金が来なかった、こういうことになりはしないか。そうすると、それを続けられると、どんどんどんどんとこれはやめていかざるを得ない。結果として水田がもとの山に戻っていく、こういうことになりやしないか、こういう心配をいたしております。ちょっと大臣、もう最後ですから。

 それで、今回、いろいろな形で生産数量目標をそれぞれの農家に配分しなきゃならない。これは大臣、私は、きのうはあえて農林水産省の職員の方に申し上げませんでした。これは大臣が政治家としてお答えをいただきたいと思った件ですけれども、大臣は全中の会長さんにお会いになっておりますか。就任以来、もう五カ月過ぎますが。これはいかがですか。

赤松国務大臣 二点、お答えしたいと思います。

 一つは、先ほど先生が四国の例をとられまして、こんなに頑張っても、こんなに一生懸命やっても、もともと基本的な生産、耕作条件が悪いところは頑張り切れないんじゃないかというお話がありました。確かにそういうことはあると思います。

 したがいまして、この戸別所得補償制度とは別の制度として中山間地に直接支払いというのは、ことし二十二年度の予算ではたしか二百六十三億だと思いましたが、前年よりも三十億円ふやして、もともと不利な生産条件のもとでやっていただくところについては、そういう直接支払い、こういう制度もまた生かしてぜひ支えていこうというふうに考えております。(発言する者あり)三十億円ふやしました、ことしは。

 それから二つ目。先ほどの全中さんの話で、さっき、実は、きょうは麦作の表彰式がありまして、これは全中主催なんですけれども、会長に会えるかなと思って楽しみにしていましたら、僕が行くから避けられたわけじゃないと思うんですが、急に専務さんがお見えになって、専務さんとも親しくお話をして帰ってきたということで、私の方は、別に全中だろうが全農であろうが、農業会議所の方もお見えになっていましたし、いろいろな考え方の違いがあったり、政策的な差異があったり、これは立場や団体が違うんですから、構いません。

 ただ、そういう会える人たちと大いに議論をしながら、よりいいものに、よりいい方向に向かっていければそれでいいと思っておりますので、そういう意味でのわだかまりは私自身は全く持っておりません。

石田(祝)委員 今回、生産数量目標の各農家への通知というか配分ですか、これは基本的には、役人だけでできないわけですね。これはやっちゃいけないわけでしょう。役人が全部やっちゃいけないわけですから、水田協議会の力もかりなきゃいけない。

 ですから、これはぜひ、会合のときに会えるかなというんじゃなくて、今後の農政の問題もありますから、私は、しっかりと時間をとってお会いいただいた方がいいのではないか、このことを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鹿野委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、教育の無償化と教育格差の問題をお聞きしたいと思っております。

 総理は、施政方針演説で、すべての意志ある若者が教育を受けられるよう、高校の実質無償化を開始しますと述べ、国際人権規約における高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とし、教育の格差をなくすための検討を進めますと述べられました。これは当然のことだと思っております。

 国際人権規約、すなわち、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、A規約を、我が国は一九七九年に批准いたしましたけれども、その十三条の2の(b)と(c)については批准を保留したまま今日に至っております。(b)というのは中等教育の無償教育の漸進的な導入をうたったものであり、(c)とは高等教育の無償教育の漸進的な導入をうたったものであります。

 既に、国際人権規約のA規約については百六十カ国が批准をしているはずでありますけれども、まず、確認の意味で外務大臣に、この十三条二項の(b)、(c)の批准を留保している国はどの国か、お答えいただけますか。

岡田国務大臣 委員御指摘の、いわゆるA規約十三条の2(b)及び(c)の規定でありますけれども、ここを留保している国は日本とマダガスカル、二国のみであります。

宮本委員 これまで長く、ルワンダ、マダガスカル、日本の三カ国がこの条項を保留してきたんですけれども、ついにルワンダが一昨年十二月に留保を撤回いたしまして、残るは日本とマダガスカルのわずか二カ国のみとなりました。二カ国で最下位争いをしているという、経済大国と言われる日本が非常に恥ずかしい限りだと言わなければなりません。

 この人権規約の所管は外務省でありますけれども、総理が、「留保撤回を具体的な目標とし、」こう施政方針演説で述べた以上、外務省として具体的にいつまでにこの留保を撤回するのか明確にすべきだと思いますけれども、外務大臣に、留保撤回に向けての具体的なめどをお尋ねしたいと思います。

岡田国務大臣 まず、十三条2の(b)に規定する中等教育のうちの後期中等教育、すなわち日本で言う高校教育でありますけれども、この点については、鳩山内閣として高校実質無償化法案が提出されておりますので、外務省としては、そのことを受けて、同法案と我が国が規定上負う義務との関係について現在精査しているところであり、本件規定に付している留保の撤回につき検討しているところであります。

 具体的には、やはり法案が成立するということを見定めた上で、留保について働きかけといいますか、撤回を行いたいというふうに考えているところであります。

 それからもう一つの大学教育につきましては、現在、これも鳩山内閣として経済的負担軽減策を文部科学省が検討しておりますが、そのことが、同規約十三条の2の(c)に規定する義務との関係について精査の上、本件規定に付している留保の撤回の可能性について検討していきたいというふうに考えているところでございます。

宮本委員 この人権規約の留保撤回については、昨年の臨時国会でも議論がございました。昨年の十一月の十八日、文部科学委員会で川端文部科学大臣から、私は留保撤回に向けて検討を進めるという御答弁をいただいた。数日後には外務委員会で、岡田外務大臣からもそういう御答弁がございました。

 ところが、昨年の年末に外務省が国連に出した政府報告を見て私は驚いたんです。この問題についての国連に出した政府報告では、「無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保していると、実は、自公政権時代と全く変わらない回答を昨年末の時点でしたわけですね。

 今お話をお伺いし、総理の施政方針演説を聞きましたら、これは去年の年末の時点の話であって、今やこの立場ではないと。つまり、この報告の状況はもう既に否定されていると私は理解をするわけですけれども、それでよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 今委員御指摘の件については、昨年の十二月二十二日に、いわゆるA規約の第三回政府報告を国連事務局に提出したところでございます。

 この報告につきましては、第二回政府報告提出後の一九九八年八月から二〇〇九年四月時点のことについて報告をしておりまして、同時に、この報告をするときに、二〇〇九年九月に新政権が成立しており、同報告の幾つかの項目について再検討を開始しているというふうに明記したものでございます。

 二〇〇九年四月以降の新たな動きにつきましては、今後、政府報告審査のためにA規約委員会から出される質問事項への書面回答、あるいは、来年以降に予定される政府報告審査において追加的に説明するという予定にしております。

 よって、そういった、期間が限定されて、それに関しての報告ということでありましたから、今御説明申し上げたようなことになっておりますけれども、先月、鳩山総理の施政方針演説があり、その中で、国際人権規約における高等教育の段階的な無償化条項についても、その留保撤回を具体的な目標とするというふうに明確に述べられました。

 現在の政府の考え方はこの鳩山総理の施政方針演説でありますので、そういう方向にのっとってさらなる努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

宮本委員 この報告書を見せていただくと、実は、新しい政権成立後に文言が変わったものもあるんですね。例えば二十ページに、年金について同じように国連に答えた文面があるんですが、「最低保障年金については、二〇〇九年九月の「連立政権樹立に当たっての政策合意」において、最低保障年金を含む新たな年金制度を創設することとされている。」とちゃんと書き込んだものもあるんですよ。ところが、この漸進的無償化条項の留保撤回については、旧来の政権のまま、何ら変わりがないわけですね。

 これは私、各省庁とも相談の上で外務省は作成したというふうにお伺いしましたけれども、ちょっと文部科学大臣、なぜ教育の無償化条項だけはこういうふうに最低保障年金のように書きかえなかったのか、お答えいただけますか。

川端国務大臣 今、外務大臣が答弁いたしましたように、最終的には、この国のそのときの政権の状況を判断して、外務省の責任において精査の上報告されたものと承知をしております。

宮本委員 やはり総理がそういう施政方針演説ではっきりと示されているわけですから、これは直ちに留保撤回の意思をしっかり表明すべきだというふうに思います。

 そもそも、国際人権規約の十三条二項(b)、(c)という規定は、これは漸進的無償化条項と呼ばれるものであって、つまり、段階的に、徐々に無償化を目指すということを定めた条項であって、岡田外務大臣が御答弁のように、既に高校無償化法案については今国会に提出をされました、もちろん成立はまだですけれども。ですから、(b)項を留保しておく理由はもはやないと言わなければなりません。そして、高等教育の(c)項についても、総理が施政方針演説で高等教育の段階的な無償化を目指すと明言したわけですから、これは留保は撤回できるはずだと思うんですね。

 外務省にも確認しましたけれども、何か国連から問われたものに対する報告の機会にだけ撤回できるんじゃなくて、撤回しようという気になれば、いつでも日本の政府が国連に申し出ることはできるんだということでありますので、今国会中にはやはり踏み出すべきだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 これは、どのぐらい厳密に物事を考えるかという問題でもあると思います。ですから、法案とか予算というものが、まさしくこの予算委員会で予算が審議されており、そして法案もこれから国会の中で議論されるというときに、それを先取りして言うべきかどうか、そういう問題でもあると思うんですね。

 この国会中にというふうに委員言われましたが、この国会中にそういった予算が成立をし、そして法案がきちんと成立をするということになれば、これは直ちに撤回について求めることはできるというふうに考えております。

宮本委員 ぜひそういう方向で踏み出していただきたいということを申し上げたいと思います。

 それで、漸進的な学費無償化に向かう上で、おっしゃるとおり、問題は大学なわけです。今、日本の大学生は世界一高い学費に悩まされ、学問よりアルバイトに追われるという生活を余儀なくされております。学生生活が深刻だという話をよく聞くわけであります。

 川端文部科学大臣は、私の質問に対して、留保撤回に向けた施策について検討を進めたい、こういう御答弁をいただきました。学費の免除の拡大や返済の必要のない給付制奨学金の導入、こういうことが抜本的な対策として求められると思うんですけれども、ひとつ、高等教育、大学の留保撤回に向けての具体的な施策、これは川端文部科学大臣にお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 先ほど来出ておりますように、総理の施政方針演説においてこの撤回に向けて検討を進めていくということの中で、具体的な対応として、私たちは、いわゆる大学授業料の減免と、それから奨学金事業の拡充ということを二つの大きな施策と考えております。

 具体的に申し上げますと、この御審議いただいている二十二年度予算においては、一番目としての授業料減免措置は、国立大学では、対前年比十四億円増の百九十六億円を計上し、免除人数を約五万人から五千人増の五万五千人、免除率が五・八%から六・三%に拡充、私立大学は、対前年度二十億円増の四十億円を計上し、約二・八万人から約三万人に拡充、合わせて八万五千人に拡大。そして公立大学は、地方でございますので、地方財政措置を通じて支援をしていきたいと考えております。

 また、大学の奨学金に関しては、対前年度五百八十億円増の一兆五十五億円の事業費を計上し、貸与人員で三万五千人増の百十八万人に拡大を予定いたしております。

 諸施策を拡充する中で、この(c)項の留保が撤回されるように、外務省の精査を待ちたいというふうに思っております。

 以上です。

宮本委員 しっかりと進めていただく必要があるんですが、やはり、奨学金について言いますと、日本は給付制のものが本当にないんですね。返さなきゃならない。しかも、圧倒的に有利子ということになっておりますので、ぜひ給付制の奨学金を実現するために全力を尽くしていただきたいと思っております。

 それで、次の質問に進みますけれども、義務教育については無償とする、これは言うまでもなく憲法二十六条の規定であります。先ほど(b)項、(c)項の留保について問題にしましたけれども、この十三条2の(a)項というのは義務教育の無償化、これは国際人権規約に定められておりまして、これについてはもちろん我が国も批准を既にしているわけです。

 ところが、この義務教育の無償というものも、実は、無償といいながら、実態的には無償ではないという現状があるわけですね。

 先日、文部科学省による平成二十年度の子どもの学習費調査というものが公表されました。きょうは、資料一におつけしてございます。この資料を見ますと、これによると、公立の小学校で学校教育費が平均で年間五万六千二十円、公立中学校で平均十三万八千四十四円かかっていることが明らかになっております。

 この学校教育費というものは何を指すのか、具体的に文科大臣にお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 学校教育費の内訳の項目を申し上げますと、修学旅行・遠足・見学費、学級・児童会・生徒会費、PTA会費、その他の学校納付金、寄附金、教科書以外の図書費、学用品・実験実習材料費、教科外活動費、通学費、制服、通学用品費、その他の十二項目でございます。その他とは、今申し上げた学校教育費の内訳のいずれにも属しない経費で、学校の記章・バッジ、上履き、卒業記念写真・アルバムの代金等というふうにしております。

宮本委員 これは、給食費を除いた、今おっしゃったような学用品、教科書以外の図書費などですね。

 ここに、山口県のある小学校五年生の学級会計報告を持ってまいりました。資料二におつけをしてあります。

 四月の集金として二千円、五月集金分として二千円、六月は別紙で、社会見学集金として千四百円、そして七月はもとの会計報告に戻って千二百円が徴収をされているわけです。それで、支出の部を見ると、国語テスト二百八十円、社会テスト二百八十円、算数テスト二百八十円、漢字ドリル三百三十円、社会科資料集五百九十円、音楽ワーク三百七十円、粘土三百九十円、夏休み帳三百九十円、家庭科実習費百円、色画用紙九円、画用紙等々となっております。

 教育活動がこうした学校教育費の徴収によって成り立っているということがはっきりとわかります。

 大阪の八尾市のある小学校では、教材費として、一年生から六年生まで八万七千七百九十円徴収されている。その支出内容を見ると、副読本、歌集、ドリル、市販のテスト類に加えて、アサガオセットとか土、肥料、苗、種、工作キット類、実験セット類、調理実習材料、調味料、版画用インク、ニス、はけ類、ざら紙、半紙にまで支出をされております。そして、積立金が四年生から始まって三万一千九百円が徴収され、修学旅行費やアルバム代や卒業制作費となっております。

 高校の授業料の無償化を進めて、実質無償化だと言うんですけれども、現実には義務教育ですら実質は無償でなく、こういう大きな父母負担によって成り立っているわけですね。文科大臣、この実態をこのままでよいとお考えかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のように、憲法第二十六条で「義務教育は、これを無償とする。」と規定されておりまして、国公立学校における義務教育については、授業料を徴収しないこととしております。また、義務教育諸学校においては、教科書を無償で貸与しております。そういう中で、いろいろ費用がほかにかかることは現実としてございます。そして、学校によっても違います。

 そういう中で、学校教育法第十九条において、経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は必要な援助を与えなければならないという法的な保障を定めておりまして、そういう意味での低所得者層に対しては、保護者による私費の負担の軽減を図っております。

 この規定に基づいて、市町村が主体でございますので、要保護及び準要保護児童生徒に対して、学用品、修学旅行費、学校給食費等の援助を実施しているのが現状でありまして、国においては、この要保護者に対して市町村が就学援助を行う場合に二分の一の援助をするという仕組みでありまして、今の仕組みの中ではこういう実態であるということを申し上げたいというふうに思います。

宮本委員 八尾の事務職員の方に聞きましたけれども、毎年、市の配分予算にマイナスシーリングがかけられてくるので、できる限りこういった教材費も公費負担をしたくても難しい、毎年、未納家庭が多くなるのに市の予算が減らされては悪循環になるばかりである、何のための義務教育無償なのかわからない、そういう声をお聞きいたしました。

 私は、国立国会図書館で調べていただいたんです。諸外国ではこうした教材や教育活動にかかる費用は無償なんですね。イギリスでもアメリカでも、ドイツやフランスでもカナダでも、皆無償ですよ。学力世界一のフィンランドでは、給食も含めて無料で行われております。

 我が国の現状は、子どもの貧困白書、こういうものを見てみても、入学時に必要な義務的経費は、小学校一年生で十三万三千四百八十五円、中学校一年生では約二十五万六千円かかるというデータが示されております。

 こういう私費負担をやはり軽減する方向で努力すべきだと私は思うんですが、文部科学大臣、もう一度お答えいただけますか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、今の制度としては、家計の厳しいところに一定の応援をさせていただくという仕組みで動いております。

 このことを通じてには一定の限界があることも、ニーズがたくさんあることも承知をいたしておりますが、そういう中で、トータルとして、学校教育ということの肩がわりという意味ではなくて、加えて応援するという意味での施策としての子ども手当等の考え方で手当てするということも、総合的な内閣の政策としては実施しているところでありまして、今のところ現行の制度でやらせていただいている、現状は承知をいたしておるというのがお答えでございます。

宮本委員 先ほど就学援助についても触れられましたし、今も答弁がございました。そういった大変な保護者の負担を救う命綱ともいうべきものが就学援助であります。ところが、その命綱も切られようとしているという現状があるということを、これは残念ながらお示しせざるを得ません。

 こうした教材費などが払えない家庭に対する就学援助、これが、もともと国庫負担金の対象だったものを一般財源化して、どういう事態になっているか。資料三にグラフをつけましたので、見ていただきたいんですね。

 就学援助の受給者は、この間の経済危機の中で、このグラフに示されたように、どんどんふえてまいりました。しかし、現在の経済危機にもかかわらず、最近、つまり平成十七、十八、十九というあたりになりますと、伸びが鈍化をしてきております。

 ところが、次につけた資料四をごらんいただけますか、これはパネルをつくってまいりましたけれども。今伸びが鈍化したという話をしましたけれども、驚くべきことに、その中で、大阪、山口県、東京、兵庫、この四つの都府県では受給率がこの数年下がっているという結果が出ております。実は、これらの県では就学援助の支給抑制を行っている。自治体による審査基準が厳しくなり、対象者が減らされた結果であります。

 文部科学省、こういう現状をつかんでおられますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の状況に四つがあることは承知をいたしております。それで、御指摘でございますので、私ももう少し詳しく調べてみました。

 そういう中で、まず一つは、そのグラフにもありますように、全体という一番下の赤い線から比べると、今御指摘の四都府県はもともと非常に水準が高いんですね。それがどういう背景かは実はまだよく分析できておりませんが、一般の給付率というか、対象割合が非常に高いという四つにそういうことが起こったということであります。

 それで、東京都が二・〇三%、十七年から二十年で減ったのでいきますと、東京都内において、この援助対象の基準とか単価を下げたところがないんです。ないのに下がっているということで、ちょっとまだ詳細を把握できていませんが、何か基準を下げたからとかいうことではない。それから、山口県が微減、〇・〇三%ということは、単価を下げたのが岩国市という市が一市下げましたが、あとはそのままでありますので。そして、あとは大阪府は四市で基準を若干下げた。

 市町村がこれはどういうふうに実態把握して対応するかということは市町村にゆだねておりますが、数字的にわかったのは今申し上げたまでのことしかわかっておりませんが、毎年そういう調査を行ったところで現実にそういうことが数字として起こったことは事実でありますし、背景は正確にはまだ把握し切れていないのが現状でございます。必ずしも基準や単価を下げたからということではない面もあるのかなというのが、今のところの現状です。

宮本委員 東京の例を挙げられましたけれども、私、大阪の例を調べてきましたよ。基準の切り下げが明確に行われております。

 大阪市では、二〇〇五年で収入目安が四人世帯で三百二十八万円以下とされていたものが、二〇〇九年度には三百九万円以下へと十九万円も認定基準が下がりました。柏原市では、二〇〇五年度三百四十六万四千四百三十三円だったものが、二〇〇九年度には二百九十二万八千四百三十三円にと、何と五十三万六千円、基準が切り下げられております。八尾市では、生活保護基準の一・二倍から一・一倍に切り下げた。泉佐野市では、生活保護基準の一・二倍から一倍へと、ほぼ生活保護基準並みになっております。

 岡山県岡山市でも、二〇〇〇年には四百二十万円の認定基準だったものが、二〇〇九年には三百八十七万円と、これも三十三万円も引き下げられております。不認定となった世帯は借金でしのいでいるというふうに聞きました。

 経済危機の中で、この就学援助など就学を保障するセーフティーネットが、逆に命綱が切られようとしている、こういう実態については問題だと私は思うんですが、文科大臣の認識をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 大阪は四市そういう状況があるというのは、私も承知をしております。

 一つは、要保護者の認定基準ははっきりしておりまして、国が助成をするということ、二分の一補助するということも決まっているんですが、準要保護者の認定基準は市町村に任されております。そして、先ほど申し上げました学校教育法十九条の規定も含めて、主体は市町村でありますので、基本的には市町村でできるだけ実態に合わせてしっかりやっていただきたいというのが私たちの立場であります。

 二十一年の一月に、市区町村の教育委員会に対して、準要保護者の認定基準の変更をしたかどうかということを調査させていただきました。その中では、調査を行った千七百九十五市区町村等のうち、平成二十年度に準要保護児童生徒の認定基準や支給内容の変更を行った自治体が百七十、千七百九十五のうち変更を行ったのは百七十市町村であり、そのうち認定基準の引き下げあるいは支給内容の切り下げを行った市町村が九十市町村、認定基準の引き上げや支給内容の拡充を行ったところが七十四という状況でありまして、まあ、でこぼこはあります。

 そういう中で、基準自体は市区町村が主体的に決められるものでありますので、実態に合わせて、できるだけ大変な人が救われるようにという趣旨が生かされるようにということを私たちとしてはこれからもお願いをしていきたいと思いますが、最終的には市町村等が判断をされているというふうに思っております。

    〔委員長退席、海江田委員長代理着席〕

宮本委員 実態調査も、私たち再三にわたって求めてきたわけですけれども、平成十七年と平成二十年、この二回やっただけで、その間の十八、十九というものはつかんでいないわけですね。傾向をつかむだけにとどまっているわけです。

 それで、私、こういう切り下げの中身も聞いてきましたけれども、例えば大阪の学校では、昼になると教室から抜けていく生徒がふえている、弁当を持ってこられないから、ひとりバスケットに向かって球を投げて腹が減るのを紛らわせている、こういう報告、本当に貧困に苦しむ実態、子供たちが苦しんでいる実態を聞きました。本当に涙が流れてとまりませんでした。こういうことを本当になくさなければならぬというふうに思います。

 憲法二十六条及び教育基本法第四条は、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、」「経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」としております。これは、国及び地方自治体の責任の問題だと思うんですね。

 それで、就学援助を一般財源化するときに、こういうことが起こるんじゃないかということが国会で議論になりました。当時の中山文部科学大臣は、市町村における事業が縮小することはない、もしそうじゃないところがあれば指導していきたいと。これは会議録にはっきり答弁が残っております。

 実態をつかんで、やはり縮小に向かっているところについては縮小しないように指導すべきではありませんか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 当時の中山大臣がそういう御答弁をされております。そういう懸念があったことは事実であります。

 総額として、国とそれから市区町村があわせて財政措置をした要保護者、準要保護者に対する総額はふえているんですが、それは実数がふえている現状という部分もあるかもしれませんから、今御指摘のような、基準が下がったところがあることは現実であります。

 そういう意味では、私たちとしては、毎年、実績について今後とも把握をする中で、適切にこの趣旨が生かされるように、都道府県等を通じて市区町村に対して就学支援が適切に行われるようには促してまいりたいと思っております。

宮本委員 やはり地方自治体の財政の大きな困難がこの背景にあるわけなんですね。

 それで、どうしてこういうことが起きているか。これは表にもつけましたしパネルも持ってまいりました。これは、私の地元、大阪の泉佐野市の事例、生活と健康を守る会の皆さんが調査した事例ですけれども、実際、地方自治体が支出している就学援助費に対して、国庫負担と交付税交付金は一三%から一八%というような非常に低い水準にしかなっておりません。本来、二分の一国庫負担をしていたはずなんですが、この間、一般財源にした結果、実態は二〇パーから三〇パーしかカバーできていないという状況です。

 昨年、文部科学省は、教育安心社会の実現に関する懇談会報告というものを出しました。これは資料六につけております。

 この昨年の懇談会報告書では、一般財源化した結果、「市町村の財政力の格差が特に準要保護者に対する就学援助の支給の格差につながっている」という指摘を認めて、この問題を放置すると市町村による就学援助が適切になされないという社会不安につながるおそれがあるとして、国が差額分である六百二十一億円を出せば、各市町村の財政力に左右されず児童生徒の就学機会を保障することができる、去年、既にそういう報告書を出しているんですね。

 ですから、これは大いにやるべきだ。六百二十一億円を出すべきだし、もしくは、もとの二分の一の国庫負担に戻すべきだ。これは財政の仕組みの問題ですので財務大臣に、やはりこういうことはきちっとやるべきだと思うんだけれども、財務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 若干ダブりますが、この制度は、もう文科大臣からお話がありましたように、生活保護の受給対象者に就学活動を行う市町村に対して国がその経費の二分の一を補助する一方、要保護者に準じる者への就学援助を行う市町村に対して国が補助をしていたものについては、平成十七年から廃止をいたしたわけであります。

 これは、準要保護者の場合は、要保護者よりも困窮度が低く、その認定は各市町村の判断によるものであることから、地域の実情に応じた取り組みにゆだねることが適当という考え方に基づいた改正だと理解しております。

 しかしながら、今おっしゃったように、「市町村の財政力の格差が特に準要保護者に対する就学援助の支給の格差につながっている」との指摘もあり、二十二年度については、総務省において、市町村における援助の状況等を踏まえ、地方交付税の配分に当たり、準要保護者への支援が拡充されるよう適切な配慮を行うこととしている、このように承知をいたしております。

宮本委員 自治体などでは、子ども手当の支給を機に、さらにこの基準を引き下げるんだみたいな議論が出ていると聞きました。先ほど文科大臣からも、子ども手当の趣旨とこの就学援助というものは全然別の制度だという御答弁もありましたから、そのようなことが断固ないように、しっかりと就学援助の制度を守っていきたいというふうに思っております。

 官房長官がお見えですので、官房長官にお伺いをしたいと思います。

 少人数学級の実施なんです。世界では、二十から三十人学級が標準になっております。日本でも、各自治体では、国民の声に押されて少人数学級の実施が広がってまいりました。三十人学級など少人数学級の実施を認めてこなかったのは、この間、国と東京都だけになっておったんですが、その東京も、部分的少人数学級、小一、中一で三十九人基準というものに踏み出しましたから、もはやこれに踏み出していないのは国だけということになりました。

 平野官房長官は、二〇〇一年、民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合共同提出の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案の賛成者であり、当時、衆議院文部科学委員会の筆頭理事として、この実現のために御尽力されたと伺っております。

 この法案は主に、四十人学級を三十人に引き下げる、こういう内容であったと思いますけれども、官房長官、政権交代した今こそこれに踏み出すべきだと思いますが、官房長官の御見解をお伺いいたします。

平野国務大臣 宮本委員の方から九年ほど前のお話をちょうだいし、今頭の中で描いているんですが、私どもは、いわゆる先進諸国の中で、教員の持つ生徒数をやはり少なくとも先進国の平均ぐらいまでに下げるべきである、こういう考え方のもとに、少人数学級、その当時の法案ではいわゆる三十人学級を推進する、こういう考え方で法案を出したことも承知いたしておりますし、珍しく共産党さんと一緒にやれた法案だったと思っております。

 今、現実におきましても、私どもは、少人数学級、これは川端文科大臣のもとでそういう考え方のもとに検討をいただいている、こういうふうに理解をいたしております。

宮本委員 既に鈴木文科副大臣がことし、来年度の概算要求に向けて、学級編制基準についての検討を行うということもおっしゃいました。かつてだけでなく今もそういう方向での話であれば、私たち、力を合わせてぜひとも実現するために頑張る思いでありますけれども、文科大臣、ひとつこれについてお答えいただけますか。

川端国務大臣 お答えする前に、先ほどの部分でちょっと数字の誤りがありましたので。東京都は、二十三区はゼロでしたけれども、東京都の市は二つ条件が下がっているということ。大阪は、四と申し上げましたけれども、六でした。兵庫県は三でした。訂正させていただきます。

 学級編制については、昭和五十五年以降、第五次の定数改善計画以降四十人ということで推移して、御案内のとおり、東京都を除く四十六道府県においては独自の少人数学級を実施してこられましたけれども、文部科学省としては、総理指示でも、教育の質と量を充実させるというのが指示でもございます。そういう中で、今回の予算では、四千二百人の定数増ということを何年ぶりかに実質増で手当てすることになりましたけれども、平成二十三年度以降の学級編制のあり方、あるいは教職員定数の改善のあり方について本格的に議論をしようということで、ちょうどきょうの三時に、今やっているところだと思いますが、第一回の関係者のヒアリングを開始いたし、このことに対して着手をいたしました。

 今後、教育関係団体、有識者の方々あるいは国民の皆様の御意見を幅広くいただきながら、八月の概算要求までに文部科学省としての一定の結論を取りまとめていきたいというふうに思います。御理解をいただきたいと思います。

宮本委員 時間ですので終わりますけれども、定員をふやすといっても、行革推進法の五十五条をやはり廃止しなければ本当に正職員として教員をふやすことはできないわけですから、私どもは三十人学級の実施と行革推進法の見直しを改めて求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

海江田委員長代理 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤でございます。お疲れさまでございます。

 日本の株価は、年初から見ますと若干持ち直しておりますけれども、依然として低水準が続いています。昨年の日本株は他国のパフォーマンスを大きく下回り、主要国中最下位でした。特に秋口からのパフォーマンスが悪く、民主党政権下での経済政策運営を不安視した海外投資家が逃避したのが一因との説明もなされております。

 そうした中、十二日の予算委員会で鳩山首相から、優遇税制のあり方は見直すべきときが来る、政府税調でしっかり議論されるべきだという発言がございました。また、鳩山総理はきのうも、証券優遇税制の見直しや大企業の内部留保課税を今後の税制改正で前向きに議論をする、こういうニュアンスのお言葉をおっしゃっております。こうした鳩山総理の御発言は、依然として低迷が続いている日本の株式市場において、またしても悪材料視された模様であります。

 菅大臣もこれについて同じ見解をお持ちなのかどうか。まずお尋ねをしたいと思います。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 株価はもちろんマーケットで決まることであります。ドバイ危機のころには九千円をわずかに上回る程度まで低下しておりました、その後かなり回復して、また、この間いろいろな動きがありましたが、少し持ち直してきている、このように理解をいたしております。

 今の証券優遇税制について、これはもう御承知のように、現在は、分離課税に適用される二〇%の本則税率を一〇%に軽減しているわけですが、これは、現下の厳しい経済金融環境にかんがみて優遇措置を講じているものであります。時限措置でありますので、このままいけば、平成二十四年分からは二〇%の本則税率が適用されることになります。

 実は、この点についてはいろいろ、与党の中あるいは民主党の中でも議論があります。昨年末の税制大綱においては、「本来、全ての所得を合算して課税する「総合課税」が理想ではありますが、金融資産の流動性等にかんがみ、当面の対応として、景気情勢に十分配慮しつつ、株式譲渡益・配当課税の税率の見直しに取り組むとともに、損益通算の範囲を拡大し、金融所得の一体課税を進めます。」こういう表現にとどめております。

 この問題も、そろそろ本格化する来年度の税制を議論する税調において議論したい、まだ、確実にこういう方向でということはこれからの議論による、このように理解しております。

柿澤委員 これからの議論による、議論のテーマにはのせていくというお話でありましたけれども、一国の総理の御発言というのはやはり大変重いものがございます。

 きのう以降、私も知り合いの、マーケットにいる方々に少し聞いてみましたけれども、やはり海外の投資家から、これについて多数の問い合わせが来ているということであります。

 ある海外のファンドマネジャーからは、証券優遇税制の廃止、内部留保課税などをしたら、株価が大幅に下落するのは目に見えている、昨年、日本株は他国をアンダーパフォームしたのに、ことしはそれを取り戻す動きが起こるということが期待をされている中で、政治の側からこのようなネガティブな材料が出てくると、ことしもだめということになりかねない、海外の投資家にとっては、日本は幾多ある投資対象の一つにすぎないわけで、二年連続で他国を大きくアンダーパフォームしたら、日本株への投資は当分戻ってこないのではないか、こういうことを言っている海外のファンドマネジャーがいたというふうに聞きました。

 また、内部留保の多い会社について、これをショートする、そういう投資戦略を考えてもいいかもしれない、これは、やはり海外の証券会社の方がそのようなことをおっしゃられていたというふうなお話もあります。

 そういう意味で、こうした議論はぜひ慎重に行っていただきたいというふうに考えます。

 今回の件を含めて、現政権は、経済における金融業の役割というのをややもすると軽視しているのではないかととられかねない言動が見受けられるように思われます。例えば、昨年末に公表された新成長戦略の基本方針を見ておりましても、金融市場を活性化するような施策は含まれていないように思われます。もちろん、世界的な金融危機の後、金融業のあり方についてはさまざまな反省がなされているわけですけれども、中長期的な観点に立つと、日本のような成熟した先進国にとって、金融市場の活性化は成長力を高める上で不可欠なのではないかと思います。

 イギリスについて見れば、一九九〇年代以降、英国病を脱して高成長を取り戻したわけですけれども、一九九〇年代以降の英国の成長に対する寄与を見ますと、製造業の寄与度がほぼゼロと言われているのに対して、金融業の貢献が約五〇%と言われております。

 そういう意味で、中長期的な成長戦略として金融市場を活性化させることの必要性について、担当大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

仙谷国務大臣 イギリスのロンドン市場のイギリス経済における牽引ぶりをおっしゃられたんだと思いますが、残念ながら、一回転して、ロンドンのマーケットも大変なことになっている。つまり、リーマン・ショックというものがどうも、育てる資本主義から売り抜く資本主義へ、過剰なレバレッジ金融資本主義というふうなものをつくり上げて、バブルがはじけて、今はイギリス経済、財政、そしてロンドン・シティーのあの活況を呈したイギリスの金融業が、ちょっとこの先に疑問符がつき出しているということのように私は今見ております。

 改めて、金融業あるいは金融とは何なのか。直接金融、間接金融というものをこの資本主義の中で、特に成熟した社会あるいは先進国の中で、金融業をどう位置づけるのか。

 今、世界的な反省の中で出てきているのは、やはり改めて、産業創造のために信用が創造されるという原点に一度立ち返らなければいけないんではないか。つまり、実体経済、産業とかけ離れた金融、金融が実体経済を振り回すような、リーマン・ショック以前の数年の構造というのはやはりどこか間違っているのではないかという、ここから改めて始めなければならないというふうに私も思っています。

 そういう目で、今、日本の間接金融の世界も直接金融の世界も見てみますと、株価そのものは、これはドル換算で見てみなければ、日本の金額がリーマン・ショック以前の何十%回復したかというだけの話ではなくて、株価換算で見ればそれほど悲観するに値しないと私は思っておりますが、ただ、出来高が大変収縮しているというところが日本の証券市場の最大の問題ではないか。

 それから、間接金融に至っては、やはり預貸率をここまで落とす金融業というのは、一体どこで皆さん方はお稼ぎになって、預金者に金利をつけてお返しになるんですか。このことの原点が少々ないがしろになっている。

 そして、官業の民業圧迫を許さないという大声で始まった、官から民への、特に公的金融をなるべく小さくするという小泉内閣以来の方向性で、確かに官業としての公的金融の融資残高というのは大きく減らしています。大きく減っている。減っているけれども、それで一体日本の産業界が、中小企業を含めて、大企業もどうなっているのか。あるいは地域のまちづくりにかかる金融をだれが柱になってやるのか。ここが、今みんなたじろいで、シュリンクしているような状況になっているんではないかという心配をしておりまして、その辺、元気が出るような、エンカレッジするような金融論を、ひとつ皆さん方の御意見も聞きながらつくっていきたい、こういうふうに思っております。

柿澤委員 大変長い答弁をされましたので、ちょっとつづめてまいりたいと思います。

 元気を出すような、エンカレッジするような金融政策をというお話でありましたけれども、やはり市場で金融に携わっている現場の方々から見ると、残念ながら、今の政権の経済政策、金融政策というのが必ずしも彼らの期待しているような、エンカレッジされるような方向には行っていないというふうに感じている人が多いのも現実ではないかというふうに思います。哲学としては、仙谷大臣のおっしゃること、大変賛同できる部分もあるわけですけれども、生き物としての経済にかかわっている皆様方として、そうした意見があるということをぜひお受けとめいただきたいというふうに思います。

 次の質問に参ります。

 日本がアジアの内需を取り込んでいくということは、成長戦略として非常に大きなかぎを握っていると思います。例えば鉄道。日本のように一分も狂わず、こうした鉄道のダイヤを運行しているというのは、ほかの国には例がないというふうに思います。あるいはごみ処理、あるいは水処理、こうした、まさにインフラ産業の海外でのプロジェクトの受注というものを進めていくことが、日本の経済成長を達成していく上で非常に大事な要素というふうに思いますけれども、まず見解をお伺いしたいと思います。

直嶋国務大臣 今、日本の成長を考えていく上でアジア諸国のインフラ整備に積極的に対応していく、こういうお話がございましたが、まさにそのようにあるべきだというふうに思っています。特に、成長するアジアを中心にした、あるいは中東もそうですが、それらの国は、今後の経済成長を実現していく上でも、より高い成長を求めていく上でも、国内インフラの整備に迫られておりまして、着実にそうした需要を取り込んでいけるような、政府と民間で一体となった取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

柿澤委員 ところが、このところ気になるニュースが相次いでおります。

 日本が官民を挙げて受注を目指したベトナム中部の原子力発電所建設をめぐって、ベトナム政府がロシア国営の原子力企業ロスアトムに発注するという方針を固めたというニュースが今月に入って報道されております。これは、第一期の総事業費は七千五百億円。日本はフランス勢と当初しのぎを削っていたわけですけれども、その両者ともロシアに出し抜かれる形になりました。

 また、それに先立つ昨年末の十二月二十七日には、中東のUAE・アブダビで、アラブ諸国初となる原子力発電所の建設が、韓国電力公社を中心とする韓国企業連合に発注されることになった。日立とGEを中心とする日米企業連合は敗退をしてしまったわけであります。これは発注額が一兆八千億円。連敗をしてしまったわけであります。

 一部の報道では、他国に比べて日本の政治的交渉力の差は歴然としているなどと論評されてしまっております。この二つの敗因というものを、今、日本政府としてどのように総括しているのか、お伺いをしたいと思います。

直嶋国務大臣 今、アブダビの原発とベトナムのお話が出ました。これは状況がちょっと違うと思っています。ベトナムの方は、まだ正式に決まったという報告は受けていませんが、恐らく、今お話しになったような、ロシアの方向になるんだろうと思います。これは、ビジネスとは別の要因が絡んでいるのではないかというふうに思っております。

 ただ、今お話しになったアブダビの原発の受注活動を経て、価格の問題もあるんですが、それ以上に私どもがやはり反省をしなければいけない点はあるというふうに思っています。一言で申し上げますと、日本のこうしたインフラ受注のいわゆるビジネスモデルに問題があるというふうに思っています。

 従来の日本は、プラント建設といいますか、要するに、ちゃんとした品質のよい発電所をつくるということでやってきたわけでありますが、やはりそれだけではなくて、原発の場合は特に、今後長期間にわたって安全に運転をしていく、メンテナンスをしていく、あるいはいわゆる発電燃料を着実に手当てしていく、こういった、今後長期にわたる、言ってみれば運営といいますか、そういうものも評価されるのではないかと思っていまして、こうした点もあわせて考えますと、やはり日本のやり方は限界に来ているんじゃないか。

 むしろ、今お話あったように、韓国なんかは、韓国電力公社という、いわば国営企業が中心になって、そしてプラントメーカーとタイアップをしながら対応していったということでありまして、私どもも、こうした将来の運営を含めた、システム全体としてきちっと提案をできる、そういうシステムをつくっていかなければいけないというふうに思っていまして、既に産業界ともさまざまな話し合いをしておりまして、今後、これまでのビジネスモデルとは異なる、いわば一体的なビジネスモデルとしてさまざまな提案をできるような、そういう仕組みをつくってまいりたいというふうに思っております。

柿澤委員 ビジネスモデルに問題があるんだというお話でありましたが、一方で、このベトナムとロシアのケースあるいはアブダビと韓国のケース、双方とも首脳外交が最後の決め手になったのではないかというふうな意見もあります。

 ベトナムのケースは、いろいろな要因があるというお話がありましたが、例えば、潜水艦の供与ということについてプーチン首相とベトナムの首相の間で覚書が交わされたことが大きな逆転の決め手になったと言われている。アブダビのケースでは、受注の直前に、韓国の李明博大統領が年末にもかかわらずアブダビまで飛んで、それで結果として、大きな驚きを持って受けとめられた受注をかち取ったというふうに言われている。まさに首脳外交の差があらわれたというふうな論評もあります。

 岡田外務大臣、今まさに、国会の合間を縫って海外を飛び回られる、弾丸外交といいますか、そういうことをおっしゃられています。大変すばらしいことだというふうに思います。

 私の父親も長く外交にかかわってまいりまして、国会日程などに縛りつけられてなかなか外国に、日本の大臣が首脳外交をしに外に出ることができない、こうしたことが日本の外交的なプレゼンスを国際舞台の中で低めているということをたびたび申しておりました。

 そういう意味で、大変厳しい日程の中でありますけれども、私たちも、与党ではありませんけれども、これからもぜひ世界に打って出る岡田外務大臣を初めとする首脳の皆さんの活躍というのを応援していきたいというふうにも思っておりますので、ぜひこれからの御決意をお尋ね申し上げたいというふうに思います。

岡田国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど、ベトナムそしてUAEの話が出ましたけれども、若干、ロシアのような国と日本とは違うところもありますね。言われているような、例えば武器と結びつけるとか、そういうことはなかなか日本にはできないことでありまして、そういう限界もございます。

 ただ、委員おっしゃるように、首脳外交というのは非常に重要で、もちろん、例えば、ベトナムの首相が先般日本に来られました。副首相兼外相も来られました。そういうときにはこういう原発の問題や新幹線の問題も議論しているわけですけれども、おっしゃるように、必要なときにさっと行ける、そういったことが非常に大事だというふうに思います。

 今回、私も、あすの晩立ってオーストラリアに行くことにしております。帰ってくるのは月曜日の早朝六時でございます。そういうことをやらないとなかなか行けないというのは非常に残念なことで、ぜひそこは関係者の皆さんに御理解をいただいて、首相や外務大臣や経産大臣や、必要に応じて海外に出られるような、そういう仕組み、御理解をいただくと大変ありがたいことだというふうに思っております。

柿澤委員 時間が来てしまいました。大変残念でありますけれども、岡田外務大臣には、大変体力的にも厳しい中でありますけれども、ぜひこれから日本の顔として世界じゅうを回られて、そして日本のプレゼンスを高めていっていただきたいというふうに思います。

 ここについては、私は、党派的な利害を超えていかなければならないというふうに思います。日本がこうした足の引っ張り合いにとらわれている間に国際的な競争力を低下させる、金融の問題を取り上げたのもそういった危惧を私は抱いているからでありまして、ぜひ、そういう意味で、これからも、いろいろな日程を差し繰っていただくのは本当に大変なことだと思いますけれども、頑張っていただきたい。期待を申し上げまして、質問を終わりとさせていただきたいと思います。

 担当大臣、大変失礼をいたしました。申しわけありません。

鹿野委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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