衆議院

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第4号 平成22年11月1日(月曜日)

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平成二十二年十一月一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 岡島 一正君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 小林 興起君

   理事 武正 公一君 理事 中川 正春君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 大口 善徳君

      阿知波吉信君    石田 三示君

      石田 芳弘君    磯谷香代子君

      糸川 正晃君    打越あかし君

      金森  正君    金子 健一君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    黒田  雄君

      阪口 直人君    高野  守君

      高邑  勉君    竹田 光明君

      橘  秀徳君    玉城デニー君

      津島 恭一君    豊田潤多郎君

      長島 一由君    早川久美子君

      平山 泰朗君    福田 昭夫君

      三宅 雪子君    水野 智彦君

      森本 哲生君    山田 良司君

      湯原 俊二君    横粂 勝仁君

      渡部 恒三君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    菅原 一秀君

      田村 憲久君    平  将明君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      赤松 正雄君    遠山 清彦君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      阿部 知子君    服部 良一君

      浅尾慶一郎君    山内 康一君

      田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   法務大臣         柳田  稔君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       大畠 章宏君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 馬淵 澄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   海江田万里君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (公務員制度改革担当)  蓮   舫君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   外務副大臣        伴野  豊君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務副大臣        櫻井  充君

   厚生労働副大臣      藤村  修君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    西川 克行君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     平山 泰朗君

  橘  秀徳君     磯谷香代子君

  早川久美子君     櫛渕 万里君

  水野 智彦君     石田 三示君

  山口  壯君     木村たけつか君

  湯原 俊二君     横粂 勝仁君

  小里 泰弘君     田村 憲久君

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

  馳   浩君     平  将明君

  遠山 清彦君     赤松 正雄君

  富田 茂之君     大口 善徳君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     水野 智彦君

  磯谷香代子君     橘  秀徳君

  木村たけつか君    阪口 直人君

  櫛渕 万里君     早川久美子君

  平山 泰朗君     竹田 光明君

  横粂 勝仁君     湯原 俊二君

  田村 憲久君     小里 泰弘君

  平  将明君     馳   浩君

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  赤松 正雄君     遠山 清彦君

  大口 善徳君     富田 茂之君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  服部 良一君     阿部 知子君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     山口  壯君

同日

 理事富田茂之君同日委員辞任につき、その補欠として大口善徳君が理事に当選した。

同日

 理事大口善徳君同日委員辞任につき、その補欠として富田茂之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十月二十九日

 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(国民生活等)

 記録提出についての報告


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に大口善徳君を指名いたします。

     ――――◇―――――

中井委員長 この際、御報告いたします。

 去る十月十三日、本委員会において、予算の実施状況に関する件の調査に関し、本年九月七日の尖閣諸島沖での我が国巡視船と中国漁船との衝突事案をめぐる問題について、那覇地方検察庁に対し、本年九月七日の尖閣諸島沖での我が国巡視船と中国漁船との衝突事案の映像記録の提出を求めることに決し、翌十四日、議長を経由して要求いたしました。

 本件につきましては、去る十月二十七日、当該映像記録が提出されましたので、御報告をいたします。

     ――――◇―――――

中井委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、国民生活等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長西川克行君、海上保安庁長官鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部勤君。

武部委員 まず、十月二十日未明、奄美大島で集中豪雨がありまして、三名の方が亡くなりました。道路も電線も、すべてのライフラインがずたずたになって、島民の方々は生きた心地がしなかったであろう、こう思います。亡くなられた方々に改めてお悔やみを申し上げ、そして被災された皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 我が党は、小池総務会長を団長に、現地に調査団を派遣いたしました。長島災害対策特別委員長、そして地元の徳田毅君であります。

 この災害の対応を見まして、私は、地元の佐呂間町で十八年十一月に竜巻災害がありましたときのことを思い出します。当時は、溝手防災担当大臣が数時間後に関係者と一緒に現地入りしてくれました。これが地元民にとって一番大きな勇気になったと思います。さらには、数々、あえて超法規的と言っていいと思いますけれども、かなりの重厚な対策が打たれました。

 そして、今度の奄美大島の大災害に対しましての政府の対応でありますが、東防災担当副大臣が現地入りしたのは三日後だということですね。宮崎県の口蹄疫での対応、私はあえて政府に申し上げておきますけれども、こうした災害などに対しては、迅速に万全の体制をとるということが被災地の皆様方のみずからが立ち上がろうとするその勇気をサポートすることになりますので、ぜひ今後、十分注意を喚起し、徹底して指示を関係者にしていただきたいと思います。

 それから、国会が不正常な形になろうとしておりますが、先週金曜日、野党が抗議する中、民主党が議運委員長の職権で、一方的に補正予算の審議入りを強行しました。私は、民主党は冷静さを取り戻して国民に謝罪し、勝手に決めた日程を撤回した上で、自民党初め野党と再協議すべき、このように申し上げたいと思います。

 そもそも、十月一日に召集された国会でありますが、なかなか補正予算が出てこなかったんです。やっと先週の金曜日、二十九日に提出されて、これは菅内閣の、民主党の努力不足、準備不足で提出が大幅におくれたということでありますので、このことを指摘しておかなければならない、このように思います。

 そして、小沢元代表の政治と金の問題。北海道五区の選挙結果をどのように認識しておられるのでありましょうか。民主党がどうしてこの問題に対して誠意を持った対応ができないのか、不可解であります。

 しかも、この問題は、三月二日、鹿野道彦当時予算委員長が、証人喚問、国会招致等については重大な問題でありますので、適宜適切なときに対応したいと考える、与野党各党の御協力を願いたいというような発言もあったんですね。だから、きのうきょう始まった問題じゃないですよ、これは。

 私は、小沢元代表も証人喚問に潔く出てくるべきであろうと思いますし、国民の皆さんも、小沢さんは国会で説明責任をしっかり果たすべきだと言っているじゃないですか。なぜ民主党は結論を出さないのですか、出せないのですか。

 菅総理、あなたは党の代表として全くリーダーシップを発揮していません。岡田幹事長も、この小沢問題が補正予算審議に影響を与えるということを懸念している、こう言っているわけであります。

 この点について、簡潔に総理大臣の考えをお聞かせください。

菅内閣総理大臣 昨日夜、ベトナムから戻ってまいりまして、きょうは早速予算委員会ということで、ちょうどベトナムでのいろいろなことについても御質問いただければありがたい、このように思っております。

 また、奄美大島で亡くなられた三名の方を含めて、本当に大変お見舞いを申し上げたいと思います。

 何か今、内閣からの現地入りがおくれたようなことをおっしゃいましたけれども、私の記憶が間違っていなければ、飛行機など、飛行場などが大雨のために入れない状況で、入れるようになってすぐ東副大臣が出かけ、私もそのときも報告をいただきました。また、昨日は、名古屋の会議の終わった松本担当大臣がやはり現地入りをして、ベトナムの方にも電話で報告をいただいたところでありまして、決して内閣としての対応がおくれたというふうには思っておりません。全力を挙げてやっているということを国民の皆さんにもお伝えしたいと思っております。

 そこで、今、小沢議員についてのお尋ねであります。

 小沢議員御本人、国会で決めた決定には私はいつでも従うということを記者会見でも表明されており、何らかの形で国会で説明されることは私は必要だし、またそのことは御本人も了解をされている、このように理解をいたしております。

 いずれにしても、政治家の説明責任については本人の意思がまず第一であり、現在、岡田幹事長を中心として、本人の意向の確認などを行う努力を行っている最中であります。

 そして、今、与野党でのいろいろな場面での議論が行われていると思いますが、そうした幹事長の努力をさらにお願いしておりますけれども、その上で、この国会でも申し上げましたように、何らかの形で最終的に判断をしなければいけない段階になれば、私もそうした党としての最終的な判断をいたしたい。もうしばらくといいましょうか、岡田幹事長の方に御努力をお願いいたしているところであります。

武部委員 政府の対応についてですけれども、地元の徳田毅代議士は翌日現地入りしていますよ。そういう言いわけがましいことを言うことが国民の信頼を損ねるんですよ。

 それから、小沢さんの問題につきましても、これは今の話だとしばらく時間をくれというような話ですけれども、民主党というのは、幹事長が所属国会議員に何度声をかけても会えない政党なんですか。そういう政党は、私は世界じゅうで珍しいんじゃないかと思いますよ。私は、非常に不誠実だと。これは小沢さん個人の問題だけじゃないんですよ。まさに国民は民主党の自浄能力を疑っているんですよ。私はこのことを強く申し上げます。

 それから、今ベトナムのことを聞いてくれという話でありますが、今回、日中首脳会談が中国側が突然拒否してできなかった。いわゆるドタキャンというんですかね。何が原因だったんでしょう。中国は日本側に責任があると発言しておりますけれども、総理はその非難を受け入れるんですか。中国に反論する考えがあるんですか。

 さらに、今回の首脳懇談というんですか、十分間の立ち話的な懇談。こんなことでうれしそうな顔をしちゃいけませんよ。正式な会談ができなかったことは残念なのでまた話し合いましょう、今度はもう少し時間をとってやれればいいですね、そんな気持ちで、雰囲気で一方的に中国から会談を拒否された。私は、日本国の総理大臣の態度とは思えませんね。菅首相が温家宝総理に対して尖閣諸島の我が国の立場、漁船事件の我が方の正当性、反日暴動の損害賠償など、こういったことを話したんでしょうか。お聞かせください。

菅内閣総理大臣 ベトナムに十月の二十八日に参りまして、昨日の夜帰ってまいりました。

 この間、メコン五カ国との会談、ASEAN十カ国との会談。さらには、ASEAN十カ国に日本、韓国、中国を交えたASEANプラス3の会談。さらに、インド、オーストラリアなどが加わったASEANプラス6の会談。さらには、東アジア首脳会談、これには今度からアメリカとロシアも入るということで、両国の国務大臣あるいは外務大臣も出席された会談。さらに、その後、改めてベトナムへの公式訪問を行いまして、そうした幾つかの会談の結果、ベトナムにおける原子力発電所さらにはレアアースの開発などで我が国をパートナーとして決めるという決定をいただきました。

 そういった中にあって、日韓中の三カ国会談も行いました。その席では、李明博大統領あるいは温家宝首相と私と三カ国でいろいろな課題についてはしっかりと話し合うことができました。ただ、残念なことは、日中の二カ国で会談を行うことにその日の外務大臣会議の席でそれを進めようという話になっていて、一たん日程がその日韓中の三カ国会談の後にやりましょうということになっていたんですが、残念ながら、その三カ国会議をやっているときに何か事務方からそれが難しくなったという中国のことがあったということであります。

 私としては、残念なことではありましたけれども、翌朝、その東アジア首脳会議の前のいわば正式な会場に入る前に集まる場所がありまして、そこで各首脳と立ち話をしていたときに、温家宝首相もその部屋にやってこられまして、そして私のところにも来られて、そこで私の方から残念でしたねと申し上げ、温家宝総理も残念だということを言われました。

 短時間の会議ではありましたけれども、その中で、まずは、ブリュッセルで会ったときに民間交流は大いにやりましょうということを言っておりまして、現実にもその後、民間交流、例えば上海の万博に七百名の日本の若者が行くとか、いろいろなことが進んでおりまして、それはよかったですねという話をお互い確認いたしました。また、引き続き戦略的互恵関係の推進に努力したいということを申し上げ、温家宝総理からも同じような趣旨の話がありました。そして、そういう場面でありましたので、もう少し時間をとった会談を今後行いたいところですねということで、その点も同じようなお考えを表明されました。

 そういったことで、正式な二国間会談ということにならなかったことは残念ではありますけれども、私たちから見ると、それは中国側の何らかのいわば理由があって直前にやめられたことで、残念ではあるけれども、しかし我が国としてはこれに対して冷静に対応してきている、このように思っております。

武部委員 総理、あなた一人で今五分しゃべっているんですよ。言うべきことを全然言っていないじゃないですか。

 国連で中国の温家宝首相が、国家主権と領土保全については一切譲歩しないと演説しました。これは、聞きようによっては、何が何でも尖閣を奪ってやるというふうに言っても過言でないんじゃないですか。そうでなければ、わざわざ国連で、こんな時期に、領土保全に関して一切譲歩しないなんて言わないでしょう。

 同じ国連の場で、菅総理は尖閣諸島についてどんなスピーチをしましたか。

菅内閣総理大臣 まず、私が尖閣諸島の件でどういう言い方をしているかについては、本会議の席の所信表明で明確に私のこの問題に対しての姿勢ははっきりといたしております。

 言うまでもありません。尖閣諸島は我が国固有の領土であって、ここにおいて領土問題は存在しない、これが我が国の立場であります。

 逆に言えば、どこかでこの問題を言うときに、領土問題であるかのような誤解を、それが残っているかのような誤解を招くようなことを言うことそのものが、私は今の我が国の姿勢としては間違っている、このように思っております。

 せんだっての国連の総会では、いわゆるミレニアム開発の問題など、そういった課題があったわけでありまして、そういった意味で、私からそうした場面で他のことを言うことは、逆に領土問題が存在するかのごとき誤解を招くことになると思いましたから、その中で課題になっている問題について発言をいたしました。

武部委員 何をあなたはとんちんかんなことを言っているんですか。意図的にそういう発言をしているんですか。許しませんよ、あなた。

 国連でどういうスピーチをしたかということを聞いているんだ。それは、何もしなかったら、しなかったと答弁すればそれでいいじゃないか。しかも、国会で演説している、そんなことで一体、尖閣諸島が我が国の領土だとアピールできるんですか。

 国民の皆さんが思っていることは、私から申し上げましょう。尖閣諸島が我が国固有の領土であるというならば、そして、そこでの犯罪行為を中国は認めず、逆に自国の領土であるかのように宣伝しているんですから、ここは、実態を明らかにするためにも、また世界にアピールするためにも、ビデオを公開すべきですよ。ビデオを公開すべきです。あなたは何を言っている。(発言する者あり)大体、飛んでいるとかなんとかと言っているけれども、のうてんきも甚だしい。

 当予算委員会において全会一致で決議しまして、国会法百四条に基づいて国政調査権によりビデオを提出要求し、私はけさ見ました。(発言する者あり)笑い事ではないぞ。笑い事ではないぞ。国民がどういう思いで見ているか。わずか七分弱の、編集したものですよ。

 ビデオテープの提出に当たりましては、那覇地検及び官房長官からは、刑事訴訟法第四十七条の趣旨にかんがみ、慎重に取り扱えとの要望書が出されました。刑事訴訟法四十七条は、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」とされています。

 検察当局が国政調査という公益上の必要があると判断されたことについては多とします。ただ、公判の開廷前は公にしてはならないというんですが、捜査当局は、それでは、この中国人船長を起訴するんですか。中国人船長は帰国しており、仮に起訴するのであれば起訴状を送達しなければならないでしょう。送達できるんですか、刑事局長。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、この衝突事件については、那覇地方検察庁で処分保留ということになっておりまして、今後、適切な時期を見て那覇地方検察庁で処分がなされると考えておりますが、起訴、不起訴は決まっておりません。

 それから、起訴するに当たりまして送達ができるのかどうかということでございますが、起訴状の送達が必要ということになります。これにつきましては、仮定の話ということになりますけれども、中国当局の協力が必要ということになろうと思います。

武部委員 送達できないでしょう。できないことは、はっきりできないと言った方がいい。

 処分保留で中国に帰した時点で、検察は、はなから起訴処分することを放棄したんじゃありませんか。起訴するつもりのないのに、刑訴法四十七条を挙げて慎重に取り扱えという要望書自体は、ナンセンスですよ、これは。国会、国民をばかにしているとしか言いようがない。もう一度答えてください。

西川政府参考人 処分関係については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 今回の那覇地検の要望書につきましては、刑事訴訟法四十七条に基づいて、衆議院からの提出に基づいて、公益上の必要性があると考えたということと、これを公にした場合の今後の海上保安庁の海上警備・取り締まり活動の秘匿性、関係者の名誉、人権への配慮という種々の要素を総合考慮して提出をさせていただいたものであり、かつ、要望もさせていただいたということでございます。

武部委員 官房長官は先般、我が党の石破君の質問に対して、事実上そういうことになるだろう、つまり、公判はできないと述べているんですよね。認めたんですよ。国会の発言をしっかり重視して、踏まえて対処してください。

 きょう私はビデオを見ましたけれども、これはもう明らかに悪質そのものの事案だ、それはわかりました。特に、「みずき」に体当たりしたときは、これはまさに意図して体当たりした、急にぐっと回り込んで。前原さんが前に言ったとおりですよ。

 これは、なぜ国民に見せてはいけないものか。そして、接舷したのは領海を出てからですね。領海を出てからです。その間二時間。私は、このことを公にすべきだと思います。

 今、菅総理は、声高にこの尖閣問題を叫べば、取り上げれば、逆に領土問題が浮上すると言わんかのような、そういうふうに聞こえる発言をしておられる。私はそれは逆だと思いますよ。これは、国民に今度の実態をしっかり知らしめた上で、国民の皆さん方と今度の尖閣諸島をめぐる問題をしっかり共有する、事実関係を共有するということが私は主権国家として非常に大事なことだ、このように思います。

 ところで、政府の外交失策を憂える国民は非常に多くなっていまして、きょうも世論調査では、外交が理由で菅内閣の支持率が下がったという解説も聞きました。国内で抗議デモも行われたことが報道されております。

 そして、中国人漁船に対する刑事告発は、那覇地検に九件されていると聞いています。しかし、本日まだ告発は受領されていないと聞いておりますが、それは事実ですか。

西川政府参考人 告発がなされているという事実については承知をしておりますが、その告発を受理したかどうかということにつきましては、捜査機関の活動にかかわる問題ということですので、答弁を差し控えさせていただきます。

武部委員 ここに告発状の写しがあります。法律家に見てもらう限りによりますと、要件に欠けるところはないということです。要件が整っている以上、検察官は告発を受理しなければならない義務があるんじゃないですか。この告発がなされてから既に半月以上も受理されず、たなざらしにされている。告発人らが地検に尋ねたところ、受理するか否か今協議中だということです。

 中国人船長が公務執行妨害を行ったことは、海保が逮捕し地検が勾留してきた以上、客観的に明らかではないですか。今さら何を協議するのか、御答弁ください。

西川政府参考人 告発状の告発の要件がなされているかということについて部内で協議をしているものと承知をしておりますが、要件が整っていればいずれ受理するということになろうというふうに思っております。

武部委員 それはいつですか。あすですか、あさってですか。何日たっているんですか。普通は一週間程度と私は聞いておりますけれども。もう一度答弁してください。いつですか。

西川政府参考人 現在協議している最中ということで、いつというのは決まっていないというふうに承知しております。

武部委員 これは本当におかしいですね。このまま時間がたてば風化する、そう疑われても仕方ないですよ、これは。私は、まことにその対応について許しがたいものを感じます。しっかり、一日も早く受理するように求めます。

 次に、総理に伺いますが、九月二十九日、細野議員が尖閣諸島中国漁船衝突事件に関連して訪中したことは知っていますか。

菅内閣総理大臣 承知しています。

武部委員 細野議員は、中国側とどんなことを話してきたんですか。

菅内閣総理大臣 私の指示で出かけたわけではありません。そして、帰国後も直接に話は聞いておりません。

武部委員 それでは、私の知る限りのことを申し上げましょう。

 細野議員は、官房長官の密使として訪中し、同席したコンサルタントや中国外務省幹部らと足かけ七時間、関係改善の前提について会談したんです。官房長官、間違いありませんね。

仙谷国務大臣 武部先生がどういう御調査でそういう事実を挙げられているのか、私はその根拠もわかりませんし、そういう事実はありません。

武部委員 また新聞を根拠にと言うと、低劣な質問と官房長官はおっしゃるかもしれませんが、細野議員は、大変なことを戴秉国国務委員と約束したんですよ。一つは、衝突ビデオは公開しないということ。二つ目は、沖縄の仲井真知事の尖閣視察の中止要請。そうですね。細野議員が屈辱的条件を日本に持ち帰った後、それまでビデオ公開の話も出ていた政府・民主党が、急に非公開を主張するようになった。また、沖縄の仲井真知事の尖閣視察も取りやめになったということです。

 官邸から密使として細野議員が派遣され、中国に行って性急に屈辱的条件を整えて、それに沿った解決が図られた。外務省は、細野合意をよかったと思いますか、外務大臣。

仙谷国務大臣 後から外務大臣にお答えいただきますが、どこからそのような事実が、武部先生ともあろうお方から口に出るのか、私はさっぱりわかりません。

 私が今お聞きした話は、細野さんは独自に中国に行かれましたけれども、そんな話があったとかなかったとか、これこそ想像をたくましゅうした、何とか師見てきたような何とかを言いということ、そういう事実になると思います。

前原国務大臣 細野議員は個人の資格で行かれたと思っておりますし、それについて外務省が、あるいは外交政策が決められたという事実は全くございません。

武部委員 何とか師ということをおっしゃいましたけれども、これは読売新聞の記事に詳しく出ていますよ。それでは、これは間違いだと。これは重要な外交問題ですよ。政府は抗議しましたか。

前原国務大臣 今の武部議員の前提条件が私は間違っていると思いますので、抗議のしようもございません。とにかく、細野議員は個人の資格で中国に行っておられて、そして、それについて外務省あるいは外交政策がそれに従ったということは全くございません。

武部委員 これはいずれ明らかになってくることです、いずれ明らかになってくることですよ。官房長官、うなずいているが、そのぐらいのことをやる官房長官じゃないですか。しかし、いずれにしても、今問われているのは、我が国の二元外交ですよ。前原外務大臣、しっかりしてください。

 それから、次に質問を進めますが、今、NHKのニュース速報で、ロシアのメドベージェフ大統領が国後島に到着したと。これは旧ソ連時代を含め初の首脳の北方領土訪問です。このことについて、総理、今どういうお考えをお持ちですか。

前原国務大臣 NHK等で報道がなされていることは承知をしておりますけれども、事実確認はまだしておりません。

武部委員 総理、領土問題には触れない方がいいですか。総理の考えを聞かせてください。

菅内閣総理大臣 私も、NHKによれば、ロシア大統領が国後島に到着をしたという知らせは受けております。

 北方四島については、我が国としては、我が国の領土であるという立場をずっと一貫してとっておりますので、その地域に大統領が来られたというのは大変遺憾なことだと思っております。

武部委員 遺憾。それは遺憾なことでしょう。これは厳重抗議をしなくちゃいけないですけれども、どういう対抗手段をとりますか。

前原国務大臣 北方四島は我が国固有の領土であるのは、武部委員も御承知のとおりでございます。仮に、報道どおり今回メドベージェフ大統領が国後島を訪問されたとしたら、日本の原則的立場と全く相入れずに、また我が国国民の感情を傷つけるものであり、全く極めて遺憾でございます。

 とにかく、まだ事実関係がしっかり精査されておりませんので、事実関係を精査させていただきたいと思います。

武部委員 先ほどビデオを見まして、私が率直に感じた疑問を一つ申し上げて答えをいただきたいと思いますが、これは海上保安庁に聞くべきなんでしょうかね。なぜ現行犯逮捕しなかったのか、ああいう悪質な事案であるにもかかわらず。それを答えてください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 私どもの巡視船は二度当てられまして、その後、この中国漁船を追跡いたしまして、二回目の衝突から約二時間後に強行接舷をし、六人の保安官が当該漁船に乗り移ってこれを停船させておりました。

 ただ、その時点で現行犯逮捕をしなかったという御指摘でありますが、被疑者の特定に慎重を期す必要がありまして、これは操船責任者がだれであるか、船橋には何人かおりましたので、どれが船長なのかということをきちっと、しかも中国語で問いただして明らかにする必要がございました。それに慎重を期したということで、通常の逮捕手続で逮捕したということであります。

武部委員 また、私はこれは政治判断が働いているんじゃないか、このように懸念されます。(発言する者あり)邪推じゃない。こういう問題は、あなた、邪推なんというようなことで済ませちゃいけないんですよ。事実関係をしっかり検証しなくちゃいけないですよ。

 先ほど、新聞はいいかげんな記事を書いている、そうとれるような発言がありましたけれども、どうも菅内閣は、オープンな政治と言っているけれども、都合の悪いことはすべて知らない。国旗・国歌も領土のことも、あるいは朝鮮学校に対する無償化問題や外国人参政権の無理強いなどもすべて、これは日本国と日本国民をないがしろにしているということではないですか。そういう疑問を国民が持っているんですよ。国民は持っているんです。あなたたちは国民目線と言っているけれども、全く国民目線じゃない。国民は黙って言うことを聞け、大事なことはこっちでこっそりやるんだ、そういう印象を国民が持っているということを私は指摘しておきたいと思いますね。

 とにかく、尖閣諸島の事件ではだれも責任をとらない。さらに、奪われそうな領土についてどうやって世界にアピールするか、これもはっきりしない。これが柳腰外交の本質なんですか。戦略性もない、責任感もない、国家観もない、言行不一致の鈍感内閣、国民はそう思っていると私は思います。

 以上申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 きょうは、数多くの閣僚の皆さん方、お忙しい中、おいでいただいておりますけれども、新しい問題も出てまいりまして、全部を質問できないかもしれません。しかし、聞いてもらうことが非常に大事な問題を提起したいと思いますので、その点は御配慮いただきたいと思います。

 ここに一冊の本があります。「大いなる不安定」。これはニューヨーク大学のルービニ教授でありまして、リーマン・ショックを言い当てた方だと聞いております。

 その中に、日本についてこういう記述があります。「日本はどこへ」。

 二〇〇九年、野党の民主党が政権の座に着いた。この政権交代で日本は改革に向かうと思われたが、すぐにそうでないことが明らかになった。民主党は野心的だが矛盾した政策を掲げた。予算の制約を認識して、非効率で無駄な国家支出の削減を約束した。同時に、人間のための経済への転換を提唱し、多額の補助金や記録的な財政赤字に依存する政策をとった。この結果、ここからが大事ですからよく聞いてください。日本は極めて危険な立場に立つことになろう。財政赤字の急増と経済の硬直化で想像を絶する事態、つまり、政府債務危機やインフレ率の高騰、そして、かつて世界経済を支配すると思われた国の決定的な衰退を招きかねないからだと論じております。

 既にニューヨーク大学のルービニ教授がこう警告しておりますが、菅総理の認識を伺います。

菅内閣総理大臣 長い目でいえば、まさにそういう危機的な状況にあるからこそ、それをどうやってその道に行かないようにするかが、私の政権、さらに言えば昨年の政権交代で国民の皆さんが期待されたことだ。つまりは、この二十年間、私は、今、一部ですから、その本を読んでおりませんけれども、少なくとも、財政の問題や経済の低迷というのは、一年前から始まったわけではありません。約二十年前からそういう状況が続いていて、これを根本的に変えるために、私は、この国会の冒頭に五つの根本的な政策課題を挙げて、それを先送りしない、そのことの決意を申し上げたわけであります。

 そういった意味で、ぜひ武部先生にも、もうどちらの責任とかという段階は過ぎておりますので、いかにしてそうした道に日本が陥らないかということで、建設的な御意見をいただければありがたいと思っております。

武部委員 私は、政治主導というのは内閣主導じゃなくて国会主導だと思っておりますから、それは協力すべきは協力しますけれども、何といっても総理大臣のリーダーシップが一番問題なんですよ。

 総務大臣、あなたは、ことしの六月二十日付の、富山県で発行されている北日本新聞の「時論」というコラムに署名入りで投稿されていますね。間違いありませんか。間違いありません。

 その中で、前国会で提出されたいわゆる郵政見直し法案について、次のように述べておられます。「国会ではごく少数の議席しか占めていない国民新党に無理やり引きずられて出来上がった。」この見直し法案のことですね。「将来性に不安のある郵便事業の赤字を、郵便貯金の収益で埋め合わせようという構想に合理性と持続可能性はあるのか。」と。さらに、「郵便貯金預け入れ限度額の引き上げには現総理も現官房長官も強く反対した経緯がある。この法案に肩入れした首相と幹事長は」、これは鳩山さんと小沢さんのことです、「既にいなくなったのだから、民主党にとってこの際、頭を冷やしてもう一度考え直してみるいい機会ではないか。」と主張されていますが、それは今も変わりませんか。

片山国務大臣 富山の北日本新聞だったと思いますが、そのほかの新聞にも出たんですが、私が文章を書いたことは事実であります。

 そのときは、一連の経緯を見まして、一つの政策というものはいずれにしても両面あるわけでありまして、完璧な政策、それから、全くだめな政策というのは珍しいわけでありまして、一つの政策というのは物事の両面があるわけで、その段階では、私は当時政府とは関係ないところにおりましたので、どっちかというと批判的立場で負の面を強調した、そういうことをそこにまとめて書いたということでございます。

武部委員 あなたのこのコラムを見まして、偉いものだ、いい大臣を選んだものだと、私はそのように感じたんです。

 しかし、今、負の面があるとか、両方あるようなことを言っていますけれども、あなたの論調はそんなものじゃないんですよ。手厳しいですよ。日本の未来にとって、郵政見直し法案は改悪法案だからよくないと批判されたんじゃないですか。閣僚になったら、自分の信念も日本の未来もどうでもいいんですか。それでは、あなたが大臣をやっている意味がないですよ。そんな腐った考えなら、今すぐおやめいただいた方がいい。

 本心ではどうしようもない内容のものを、なぜあなたは再び提案することに同意したんですか。教育者として、また評論家として、あなたは責任を感じませんか。立場が変わったら信念を曲げて間違ったことをしてもいいんだよと、あなたは教え子に面と向かって言えますか。

 もう一度、総務大臣の信念をここでしっかり吐露してください。

片山国務大臣 先ほど物事にはいい面とそれから負の面もあると申しましたが、一つの政策、これも一つのパッケージの政策でありますから、いい面もあるわけであります。例えば、私は鳥取県で知事をやっておりましたけれども、鳥取県で郵便局のサービスというものはどうなるのかというのは、これは非常に県民にとっては重要な関心事項でありますが、そういう意味で、全国一律のユニバーサルサービスが展開されるということ、これは必要なことであります。

 それから、私は、大臣になりまして一つ感じましたことは、今非常に懸念されることがあります。といいますのは、郵政といいますか、郵便の組織というものが、いわば将来方向というのがちょっと宙ぶらりんになった状況でありまして、経営陣も、それから現場についても、やはりこれから早く確たる方針を固めてあげることが必要なのではないかと思います。これが私は政治の責任だろうと思います。

 いろいろな物事には両面がありますけれども、ぜひ早くこの法案を成立させて、一つの将来方向というものを定めるということが必要ではないかと私は思います。

武部委員 あなたの品格を疑う答弁ですね。これで、国民はあなたがどういう人物かということをよくわかったんじゃないですか。いいかげん過ぎますよ、答弁が。

 さて、前原外務大臣、あなたは、十月十九日に開催された、日本経済新聞社、米戦略国際問題研究所共催のシンポジウムで、私はTPPに入るべきだ、日本の国内総生産における第一次産業の割合は一・五%、一・五%を守るために九八・五%のかなりの部分が犠牲になっているなどと発言したと聞いておりますが、本当ですか。

前原国務大臣 事実でございます。

武部委員 農業というのは、経済的な価値だけではないんですよ。命の源である食料の安定供給、環境、国土の保全、地域社会維持などの多面的な機能を果たしております。外務大臣の発言には見識を疑います。

 ちょっとパネルを見てください。私は北海道の出身でありますので、「農業が地域の雇用・経済に果たす役割」、これは畑作地帯のA町としておきましょう。これは道東のある町です。ここで、ごらんのとおり、農村は、農業を中心に運送業、卸売業、小売業などの多くの仕事と人が関連して成立しています。農業の衰退は地域の雇用、経済に大きなダメージを与え、地域の崩壊につながりかねない。

 この町は、農業従業者二千二百人、二一%。町内全従業者一万七百人おりますが、農業は二一%。卸売、小売業の農業関連従事者は三〇%、運送業の八〇%、製造業の五四%、サービス業、公務の一六%、建設業の二〇%。つまり、直接的な農業関係従事者は五千人、四七%もいるんですね。農業関連産業従事者は二六%。第三次産業従事者の四七%。この中で間接的な農業関係従事者は千八百人、一七%。つまり、この町は、一万七百人の六四%、六千八百人が農業に関連した仕事についているんです。

 農林省や経済産業省や各省が、いろいろこのTPPの影響の計算をしておりますけれども、私は、このように北海道は、農業のことだけ、農業を守れ、農村を守れということを言っているんじゃないんですよ。専業的な農業経営が地域の食品産業と結びついた日本最大の食料供給地域が北海道です。特に、米、小麦、砂糖、乳製品などの重要品目を生産し、カロリーベースで全国の約二割を担っているんですね。私は、TPP参加によって北海道農業や地域に及ぼす影響というものをどう見ているのかと。もう時間がありませんから、答えは要りません。後でまとめて答弁を求めます。

 TPP交渉に参加するとなれば、民主党の基本政策はどうなるんですか。民主党が国家戦略と位置づけている食料・農業・農村基本計画、これはことしの三月、閣議決定したものです。食料自給率を五〇%以上にするというのは民主党のマニフェストですよ。これは、政府・与党間ですり合わせもしていないこのTPP、参加ありきでは、ブレーキとアクセルを一緒に踏むようなものじゃありませんか。これはむちゃくちゃですね。むちゃくちゃです。

 それから、十月十三日の予算委員会の質疑において、宮腰委員の質問に対して、篠原副大臣が韓国の状況について、韓国では、二〇〇四年のウルグアイ・ラウンド対策として八兆三千三百億円、米韓FTA対策で一兆四千二百八十億円の対策を講じていると答弁しております。菅内閣においても、FTA対策として同様の財政支出を覚悟しているんですか。日本の農業総生産は韓国の約三倍でありますから、韓国の九兆円に対して二十七兆円以上になるということですよ。そのくらいの覚悟を持っているのか。

 私は、とても今の菅政権、こうした問題に的確にこたえられるような、そういう努力をしていない。現に、予算を削減しているじゃないですか。削減しているんですよ。実際に、民主党政権になってから農林水産政策は、生産性の高い強い農業実現のために、農業農村整備の予算、強い農業づくり交付金、これは大幅削減ですよ。

 パネルを見てもらって説明いたしますが、二十二年度の農林水産省農業農村整備予算は、対前年比三六・九%、北海道においては対前年比四六・九%、約半分以下にしてしまったんですよ。そして、この金が戸別所得補償の財源になっている。

 私は、このTPPやFTA、EPAについて、特に農業の担い手、前原さんは六十五歳以上とか、総理も言った。それは経営者が六十五歳以上。北海道は違いますよ、北海道は五十六歳ですから。まだ跡をとっていない後継者は、みんな三十代、二十代、四十代ですよ。そういった担い手に対して非常に冷たい。担い手が、食料供給やあるいは環境、国土保全に希望を持って貢献しよう、そういう決意を持っているのに、完全にその心を打ち砕いているんですよ。

 このことについて、もう時間がありませんからまとめて質問したんですけれども。

中井委員長 だれに。

武部委員 総理、外務大臣、農林水産大臣に。

中井委員長 それでは、まず農林水産大臣鹿野道彦君。

鹿野国務大臣 今、武部委員から、非常に農業者に冷たい民主党ではないかということでございますけれども……

中井委員長 済みません、答弁者に申し上げますが、三人で答弁されて、武部さん、もう一つぐらい質問するんだと思いますから、短くお願いします。

鹿野国務大臣 はい。

 決して私どもは、第一次産業、農林水産業を軽視しているわけではございません。

 予算につきましても、御承知のとおりに、公共事業につきましては確かにコストの縮減等によりまして予算を減らしましたが、地域の創意工夫によって農山漁村地域の総合的な整備を支援するところの農山漁村地域整備交付金一千五百億、これも創設をいたしておりますし、戸別所得補償制度のモデル対策といたしまして五千六百十八億円、農業者に直接支援する事業というふうなものも予算を配分しているわけであります。

 そして今回、農業整備に関しましては、予備費からも、また補正予算におきましてもしっかりとこの対応策をその中に盛り込ませていただいておりますし、また、来年度の予算におきましても、関連予算を含めますと一八%の伸びというふうな予算の要求もさせていただいているということを申し上げたいと思います。

前原国務大臣 先ほどの私の講演の発言について、全体を見ていただきたいんです。農業を切り捨てろなんて一言も言っていないんです。つまりは、自民党の今までの農政が一・五%、そして今の農業従事者の平均年齢は六五・八歳になって、もうじり貧の状態だ、TPPに入る、入らないにかかわらず、農政を大転換しないともうだめだ、それについてはしっかりやりますということは申し上げた上で、私は事実関係を申し上げたわけです。

菅内閣総理大臣 武部先生からこの町の構造を見せていただいて、まさにこういうことが大変重要だと私も思っております。

 そういう意味で、鹿野大臣初め我が党でも最も農業に精通されている皆さんに農林省を担当していただきました。何とかして日本の農政をもう一回活力あるものにどうやればできるか、このことを第一に考えなければならないと思っております。

 と同時に、今の世界のグローバルなマーケットの中で日本がそうした経済の自由化に立ちおくれることも、これは日本の将来にとって大変厳しいことになりかねませんから、いかにしてその二つを両立させるか、これがまさに考えなければならないことであり、また、御党でもこの予算委員会でもそうした二つの考え方が示されておられますから、ぜひとも皆さん方も、こういうやり方で両方ができるんだという建設的な案を、特に武部先生には出していただくとありがたいと思っております。

武部委員 WTOでは、多様な農業の共存と言っているんですよ。(発言する者あり)

中井委員長 静粛に。

武部委員 こんな、農業予算、大事なところを削っていて両立なんというのは不可能ですよ。そんなことはみんなわかっている。信用していない。そんなきれいごとで済まされないですよ。FTAだってEPAだって時間をかけてやってきているんですよ。TPP、両立なんてどうやってやるんですか。

 その根拠を私は聞きたかったけれども、これは同僚議員がまた後ほど質問すると思いますが、最後に、二宮尊徳の言葉を閣僚の皆さん方にお贈りしたいと思います。

  田の草はあるじの心しだいにて米ともなれば荒れ地ともなる

 田の草は、あるじの心次第にて、米ともなれば荒れ地ともなるんです。今の菅政権の言行不一致、国民の気持ちを逆なでする鈍感さには、私は心から警鐘を乱打して、質問を終わります。

中井委員長 この際、田村憲久君から関連質疑の申し出があります。武部君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 きょうは、八月以来ですか、菅総理含め皆様方と議論をさせていただきたいということで、ここに立たせていただきましたけれども、まず冒頭、総理に申し上げたいことがあります。それは何か。

 きょう、委員長職権で本会議を立てる立てないという話があるようでございます。財務大臣の財政演説、こういうような話でありますが、多分時間がないから、これは、国会も残すところ、もう終盤にこれから入ろうとしていますから、予算の審議を早くやってほしい、こういう話なんだと思うんですよ。しかし、根本的なところをあなた方は間違えています。

 景気が悪くなり出した、円高が始まった、これはもう八月からなんですね。いろんな、エコカーの割引補助金、こういうものがなくなるというのがわかっていて、どうも十月以降は厳しいんじゃないかというようなことは既にわかっていたんですよ。にもかかわらず、補正予算を、出たのがいつですか。先週の金曜日ですよ、二十九日ですよ。それまで何をやっていたんですか。

 これは、私、八月時に総理に申し上げましたよね。代表選があるみたいだけれども、ついこの間あなたは選ばれたんですから、絶対に次もあなたですよ、間違いありませんよと私は申し上げましたよね。無駄な代表選をやられたんですよ、選んでから三カ月で。この三カ月間、もし日本の国のことを考えて補正予算の準備に入っていれば、もっと早く臨時国会も開催できたでしょうが、しかし十月の一日に始まっているんです。冒頭に出せたはずなんですよ。そうしたら十分に議論ができて、今ごろは通っていたかもわかりませんよ。まあ、どうかはわかりませんけれども、内容次第ですが。

 それを、今まで党内の争い、無駄な争いですよ。これをずっと続けてきて、補正予算が出るのがおくれた。国民生活は大変な混乱です。まず、これに関して、総理、国民の皆さんにおわびください。

菅内閣総理大臣 私が六月の初めに今の総理に就任いたしまして、現在まで約四カ月が経過いたしました。その中で、まずやったことは、ことしの四月の予算に加えて、予備費を活用するステップワンとしての経済対策を実行いたしました。そして今、補正予算を出す中で、補正予算を含むステップツーの経済対策を国会で審議をお願いすることにいたしております。そして、来年度予算の編成も既に本格化していて、ステップスリーの来年度の予算。

 これらを切れ目なく実行することによって、今のデフレ状態を来年には何とかいわゆる物価上昇がプラスになるように、そして成長が促進されるように、そういう一連の政策を次々に打っているわけでありまして、まだまだ予断は許しませんけれども、一刻も早く補正予算を成立させていただいてその方向にアクセルを踏む、それについて、自民党、野党の皆さんにもぜひ応援していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。

田村(憲)委員 別に、ステップワンとステップツーを切れ目なくすぐにやられてもよかったわけでしょう。結局、補正予算を出せなかったのは、あなた方が代表選を二回もやっちゃったところですよね。無駄ですよ、はっきり言って。私はよくわからない。あのときに、一年後に次の代表選を延期すればよかったんでしょう。党内でそうやって決めればよかったんですよ。権力争いでしょう、民主党の中の。その権力争いが国民生活を大変な状況に落とし込んでしまったんですよ。その反省がない、まずあなた。総理、その反省がないところからこの予算の審議をしろと言われても、まず入り口から間違っているということを指摘せざるを得ません。これは指摘しておきます。

 さて、次の質問に移ります。

 B型肝炎訴訟の和解協議が始まっております。これは御承知のとおり、最高裁で二〇〇六年に国の責任が認められて、賠償しろというような、そういう判決が出た案件。そして、その一連の流れの中で全国じゅうでいろいろな訴訟が起こってきておりまして、和解協議が今始まりつつある、こういう状況であると認識しております。

 この中で、十月十二日だったと記憶しておりますが、初めて政府が和解金額、これを提示された。金額の内容もありますけれども、まず第一に、その金額が提示される前から、財務副大臣の櫻井副大臣が、これは原告団の言うとおりになれば五兆円以上全体としてお金がかかる、増税も視野に入れなきゃいけない、このような発言をされた。これは金額が出る前ですよ。とんでもないこと。私は、当然、野田大臣がこれに対してはおしかりをなされたんだろうなと思います。

 しかし、もっととんでもないのは、今度は、十月の十二日に金額が出ました。そのときに、国の試算でいけば合わせて二兆円、また、原告団の要望を聞けば八兆円以上のお金がかかる、これもかなりいいかげんな数字ですね。言うなれば、推計に推計を掛け合わせ、そして一定の仮定を置いて、しかも対象者が全員申請をしてくる一〇〇%申請という極大値をもって、最大の費用といいますか、かかるお金を、賠償の金額を出したということですね。

 これに対して、やはり、まあ新聞のことだからとまたおっしゃられるのかもわかりませんが、朝日新聞、十月十六日付。ここで、野田大臣が十五日の記者会見で、国民に負担をお願いせざるを得ないとおっしゃられた。そして仙谷官房長官は、国債を発行して解決するのではもたない部分があるというふうにお答えになられたとなっています。

 これは、両大臣、事実でありましょうか。

野田国務大臣 委員に御指摘いただいた点についてお答えしたいと思いますが、B型肝炎訴訟については、一つの観点は、一刻も早い解決を願う原告団のお気持ち、それにしっかり我々も思いをいたすということと、もう一つは、これはやはり予防接種によって便益を得たということもあると思うんです。残念ながら感染をされた皆さんもいらっしゃいますが、国民全体では便益もあったということの中で、どうやって国民に合理的な範囲で御理解をいただき、御協力をいただくかという姿勢の中で説明責任を果たしていくというのも政府の役割だろうというふうに思っていまして、最終的には、これは和解協議については厚生労働省を中心に進めておりますけれども、一定の救済範囲が決まり、額が決まったとなるならば、最終的には税負担か国債かということもあり得ます。そういうことも含めて記者の御質問にはお答えをさせていただきました。

仙谷国務大臣 私自身、一病息災といいましょうか、それほど心理的な不安がないわけでない日常を送っておりますので、肝炎を今罹患しているというか患っていらっしゃる方々がどういうお気持ちで、あるいはどういう生活条件の中で苦闘しているというか生活しているかというのは、少々の想像はできます。

 そこで、私どもは、裁判所から和解勧告があった。従来、国が受けて立つ訴訟の場合というのは、なかなか、一審の段階から和解に応じるというのは過去ほとんど例がなかったと思います。C型の場合も判決が出てからでございます。本件の場合は、既に最高裁、ケースが違うとはいえ、最高裁判決が、つまり……(田村(憲)委員「委員長、ちょっと長過ぎます。私は簡潔にお答えをいただきたいんです。言われたか言われていないかだけお答えください」と呼ぶ)ただ、これはちゃんとお答えしないと。

 最高裁判決が出ているということもあって、そして一刻も早い、予防接種を起因とする患者さんの療養生活あるいは現状が救済、改善されるということが必要だと。しかし、その和解解決が大変望ましいけれども……(発言する者あり)いや、丁寧に説明しているつもりなんですよ。

 和解解決が必要だけれども、その解決には国民の御理解が必要な、絶対的に必要な事案である。つまり、この広がり、そして予防注射自身は我々も全員と言っていいほど受けているわけでありますから、その中で、百四十万人と推定される潜在的な患者さんがいらっしゃる。そして、もしここで和解がなされるとすれば、今訴えられている方々のみならず、潜在的な方々もやはり救済対象にする必要があるだろう。

 そして、今、田村先生おっしゃったけれども、一体、我々が、どの範囲の方々が救済対象になるのかというのは、確かに推定といえば推定です。ただ、これは推定でも、そんなむちゃくちゃな推定をしているわけではありません。

 だから、私どもは、この解決はやはり国民の御理解があらゆる面で必要だということで、私は記者会見で……(発言する者あり)物すごくまじめにやっているつもりですよ。(発言する者あり)

中井委員長 御静粛に願います。

仙谷国務大臣 国民の御理解を得られるとすれば、国民の皆さん方にもお願いをしたいし、そして、きょうの田村先生のお話も、ぜひ、これは自民党全体の御意見なのか、自民党でも議論していただきたい。我々も、野党の方々とも議論をして、この問題について一刻も早い解決を望みたいと思っております。

田村(憲)委員 官房長官の記者会見じゃないんですから、言いたい放題するのはやめてくださいよ。私が質問している時間があるんです。

 それから、ここにいる川内委員に申し上げます。質問の仕方が悪いと。何ですか、あなた、それは。質問者に対して、関係のない理事がそういうことを言うこと自体、失礼だ。

 委員長、ちょっと注意してください。

中井委員長 お互いのやじについては別に余り気にする方ではありませんが、質問者の質疑の邪魔にならないようにお願いいたします。

 なお、ただいまの官房長官の答弁に対して、長いというお話がありましたが、田村委員の質問は大変大事な質問である、そして、政府は対応に非常に苦悩しています。これを正直に答えておったと考えております。

田村(憲)委員 私が申し上げたいのは、そういう話じゃないんです。要は、これから和解協議が始まって、初めて金額を提示したときですよね。そのときに、入り口から、こんなにお金がかかる、しかも極大値は示す、しかし極小値は示していないんですよ。一番高い金額だけ示して、いかにも国民の皆さんに、これは増税しなかったら原告団が言われているような主張は通りませんよとおどしをかけたような、そういう言い方をされること自体、本当に和解をされるおつもりがあるのかどうか疑問だから、私はお聞きしたんです。

 そして、私は前回、厚生労働委員会でもやりました。きょう、細川大臣がお見えになられています。非常に誠実な大臣ですよ。何とおっしゃられたかといいますと、それは、原告の皆様も、税という話を出されれば気分を害されると思う、田村委員から言われた野田大臣や仙谷大臣の発言、これの不適切だという話に関しては私から伝える、そういうお返事をいただいたんです。大臣、お伝えいただけましたか。

細川国務大臣 田村委員の厚生労働委員会での質問をいただきましたので、先ほど言われたような御答弁をさせていただきました。そのことは、私もお伝えはさせていただきました。

中井委員長 仙谷官房長官、極小値を答えてください。

仙谷国務大臣 極小値は、我々はわかりません。それはだれもわからないはずであります。

田村(憲)委員 いや、極大値が出ているんだから極小値も出るんだと思うんですけれども、全くおっしゃっておられることが論理的に成り立っていないと私は指摘をいたします。

 今、厚生労働大臣がおっしゃられたのが普通の日本人の感覚だと思いますよ、国民の皆さんの。いきなり入り口から、こんなにお金がかかるからあんたの主張はのめないよみたいなことを、空の財布を見せて、それで何か頭をどついているみたいな、そんな話ですよ、これは。余りにもひど過ぎる。そして、原告団もこのことに関しては大変憤りを感じておられるんです。

 菅総理は、薬害エイズのときに、先頭に立ってこの問題の解決に御尽力をされた総理です。ですから、この問題に関しても思いはあられると思いますよ。今の自分の内閣のそれぞれの大臣の発言を聞いて、本当は、おなかの中では、この人らはとんでもないことを言っているなと思っておられるんだと思う。

 私は、民主党らしくないと思いますよ。民主党は弱い者の味方だと私は思っていた。だけれども、今は全然違う。与党になっちゃったら立場が全く変わっちゃっているんですよ。どうなったんだよ、この政党はと。

 そんな思いで私は仕方がないですが、総理、薬害エイズ問題の解決に尽力した総理として、この問題に関してどのようにお思いなのか、そして、早期和解に向けてこれからどのような行動をされるのか、お答えください。

菅内閣総理大臣 私は、今の田村議員の論理立ては、やや国民の皆さんに誤解を招くのではないかという感じがいたしております。

 これは鳩山政権のときからでありますが、B型肝炎について、現官房長官中心にいろいろと相談をする中に私も何回も入っておりました。

 御承知のように、薬害エイズの場合は、血友病患者さんという、ある程度人数が限定されていました。C型肝炎はもうちょっと広いですけれども、これもある程度の人数が、それほど、何百万という単位ではありませんでした。

 このB型肝炎については、今も数字がありましたが、上限値とかいろいろな表現がありますが、まさに予防接種ということで、多くの国民がその予防接種を受けた中で、場合によっては百万人を超える感染者があり得るということがありましたので、そういう点では、従来のいわゆる裁判という中で対応できることだけではなくて、政策的な対応も並行してやらなければならないという議論もいたしております。

 ですから、最大限しっかりしたことをやらなければならないという前提の中でいろいろな試算も必要になってくるわけでありまして、そういう点で、お金がかかるから救済をしないというのではなくて、場合によってはお金がかかっても、しっかりした救済をするためには国民の皆さんにそのことを理解してもらわなければならないという意味で各閣僚がいろいろな試算を申し上げているのであって、そこは余り、田村議員に、抑え込むためというふうにだけおっしゃるのはやや誤解を招くのではないかと、私の見方を申し上げておきたいと思います。

田村(憲)委員 私は、試算をするのがだめだとか言っているわけじゃないんです。冒頭からこういうようなものを出して、交渉を有利に進めようなどというような裏が見えるようなやり方は遺憾だと言っているんです。

 それと同時に、出すのであるならばやはりちゃんと第三者を入れて、あなた方は当事者なんですから、当事者がぼんと高い金額を出しちゃったら、何なんだという話になる。ですから、そういうような根拠の数字を出すのならば、ちゃんとそれなりの正当性というものをそこに入れるようにしなきゃならぬのだろうと思います。

 もうこれはいいです。とにかく、これからもこの和解の問題、この協議については我々もチェックをしていきますし、早期の合意を望んでまいりますので、その点はよろしくお願いいたしたいと思います。

 次の質問に移ります。もう結構です、長いですから、あなたは。いいです。

 続きまして、事業仕分けについてお聞きをいたしますが、第三弾が始まって、きょう蓮舫大臣にお越しをいただいております。民主党の数少ない目玉事業だというふうに私は認識をいたしておるわけでありますけれども、その中で幾つか、今回、事業仕分けで問題が出てまいってきております。それはどういうことか。党内でといいますか、内閣の中でもいろいろと割れている、そういう案件が出てきておるということであります。

 自民党の影の内閣というのをつくっておりまして、私、それの厚生労働担当をやっておるものでありますから、その中でいろいろとチェックをしておるんですけれども、まず細川大臣にお聞きをしたいんです。

 ジョブカード、こういう事業がありますよね。ジョブカード制度普及促進事業、そして、これをもとにやっておりますキャリア形成促進助成金、こういう制度がありますよね。私は、これはそれなりに意味のある事業だというふうに思っております。フリーターを初め求職者の方々がオン・ザ・ジョブ・トレーニングを、つまり働きながら訓練をして、そして就職につなげていく。実効性もありますし、実績も上げていますよね。この事業について、来年度予算に関しても概算要求で計上をされておられると思います。

 大臣、この事業の必要性あるやなしや、どのような認識ですか。

細川国務大臣 私といたしましては、ジョブカード制度については、非正規労働者、とりわけフリーターの皆さんなんかが職業訓練を受けながら、そして正規の社員になっていく、そのためにジョブカードの制度そのものは、ツールとしては大変重要な制度だというふうに私は思っております。

 ただ、この間の仕分けの中でこれについて、ジョブカードについては無駄ではないかというような形で判断されたわけでありますけれども、それはそれで仕分けの趣旨といいますか、それについては私どもも真摯に受けとめて、ジョブカードをどういうふうにするか、こういうことでありますけれども、これは成長戦略の中でもジョブカードというのはこれからも必要ということで、将来、イギリス型の国家資格制度、これに合うような形のことも含めて検討をしていきたいというふうに思っております。

 仕分けは仕分けで私は真摯に受けとめてやらなければいけないと思っておりますけれども、ジョブカード制度の趣旨は、私はいい形のものだと思っております。

田村(憲)委員 必要性があるというような御認識であられたと思います。

 そして、今厚生労働大臣の方からお話がありましたが、新成長戦略、これはこの政府が菅総理のもとでおつくりになられたというふうに思いますが、この中においても、このジョブカード、今三十一万人なんですけれども、これは理事会に提出していないので出せない資料なんですが、こういう事例のものがあるんですね。ジョブカードはこういうものですよというのがあるんですけれども、これを三十一万人から三百万人にふやそう、それぐらい意味のあるすばらしい事業だというふうにおっしゃっておられるんだと思います。

 これは玄葉大臣にお聞きをした方がいいんだろうと思います。この三百万人にジョブカードを普及させるというのは、これは今も必要だというふうにお思いですか。

玄葉国務大臣 田村委員おっしゃったとおり、新成長戦略では、今お示しになられたジョブカード、今三十一万人、いずれ三百万人にというふうに書いてあるのは間違いのないところであります。

 蓮舫大臣のもとで事業仕分けが行われましたけれども、これについては、率直に申し上げて、結果を正式にまだ報告を聞いておりませんけれども、私の見るところ、政策目的そのものは否定をしていないのではないか。つまり、使い方が適切ではないということなのではないかというふうに想像を今しているところでありまして、仮にそういうことであれば、幾ばくかの見直しを行うことは当然やぶさかではない、そう思っております。

田村(憲)委員 それでは蓮舫大臣にお聞きをいたしますが、この間の仕分けで、廃止というような決定であったというふうに思います。今両大臣がおっしゃられたいろいろな趣旨を踏まえて、事業仕分けをやられた結果というものは実行されるのか、それとも見直されるのか、どちらですか。

蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。

 このジョブカード制度、たしか安倍内閣のときにつくられまして、私どもの政権でも引き継がせていただいている。

 このジョブカードの目的というもの、十分な職業訓練の機会を持てなかったフリーターやニートの皆様方に対しまして、その就職を支援するために雇用型、OJT型の職業訓練は有効で、そのためのツールとしてこのジョブカードを使うことによってその方たちの就職をしっかりと後押ししていく、この政策目的は私どもは全く否定をしておりません。今両大臣が答弁したとおりでございます。

 ただ、仕分けの中で議論をさせていただいたときに、これは田村委員もよくおわかりだと思いますが、現行の履歴書とこのジョブカード制度の違い、やはりここはもうちょっと改善する余地が相当あるのではないかという議論が行われました。

 また、それ以外にも、予算の執行率が現在五〇%程度なんですね、移行しているのが。なぜこれは予算が執行されないのか、そのカードが本当に使い勝手のいいものに、企業側が評価できるものになっているのかどうなのか。

 あるいは、そのジョブカードの事業を見ますと、どちらかというとカードの普及が目的化されているのではないか。本来、このジョブカードが事業で目的としているのは求職者の支援ですから、カードの普及ではない、こういう議論が行われたところでございます。

 具体的な事業も横並びで見直しをさせていただきましたが、企業のための助成金制度の側面が強いのではないかという意見等もありまして、これは具体的に御質問いただいたらお答えをさせていただきたいと思いますが、その意味では、ジョブカードの普及、その目的を否定するものではございませんが、今の事業のお金の使われ方としてどうなんだろうか、この中身をもっと有効的なものにするべく改善する措置があるという意味で仕分けを行ったところでございます。

田村(憲)委員 そんなことは毎年やっていますよね、厚生労働大臣。この事業が有効に活用されているかどうかというのは、それはやっているんですよ。これは廃止と出てきているから、私は、おかしいんじゃないか、パフォーマンスなんじゃないかというふうに思っちゃうんです。

 だから、今言われていることとその事業仕分けの結果が違っているので、今の御答弁の仕方は、廃止ということにはならないというふうに私は受けとめさせていただきました。もう結構です。

 ほかにも質問がございます。といいますのは、ほかにもいろいろな事業仕分けをされているんです。

 介護関係も、例えば、介護未経験者確保等助成金でありますとか介護雇用管理改善等対策費でありますとか、いろいろなものが事業仕分けにひっかかりました。そもそも、介護、これはこれから雇用の受け皿になって、まあ成長産業だと私は思いませんけれども、雇用対策にはなるし、介護を受けられるお年寄りの皆様方には幸せなことでありますから、こういうものは必要だと思っているんですが、それを実際問題、事業仕分けで事業の縮小また廃止、こういう話でありますから、では、一に雇用、二に雇用、三に雇用と言われた菅総理の言っていることと全く違うことが起こっているな。

 さらに申し上げれば、若年者等正規雇用化特別奨励金というのもあるんですよ。これも予算を圧縮しようという話なんですが、今回の補正予算で、皆さんが出された補正予算、これで対象年齢を引き下げにして、これを既に活用すると決まっているんですよね。あなた方、これをやろうと思っているんですよ。やれなくなっちゃいますよ。

 ですから、わかっていて事業仕分けされているのか。あなた方政府が、今からどういう補正予算を組んで、また、来年度どういう予算を組んで、どういう雇用対策を組むのか、景気対策を組んでいくのかということを、仕分けされる方がわかっていてやっておられるのかなと不思議で仕方がないんです。蓮舫さん、何か言われることはありますか。

蓮舫国務大臣 事業仕分けそのものは、政策の理念ですとか目的ですとか、菅内閣がまさにこの国を考えて推進していこうと思っている政策を否定したことは一回もございません。ただ、その政策を達成するための手段としてより有効な方法があるんだろうか、あるいは税金の浪費というものが見受けられないか、この視点から仕分けを行って、その途中経過の見直しを行えばより有効な目的達成手段ができるという意見のまとめを行っているものでございます。

田村(憲)委員 何の法律的根拠もなく民主党の議員の方々が入られたりとか、そして事業仕分けをされておられる。そこに公費が入っているんです。やるのなら、我々自民党が以前やっていたように党の中でやってください。党のお金を使ってやってください。税金を入れてやられるというのは、私は全く納得ができない。

 そもそも、政府がいろいろな政策を組んでおられるのならば、その組むときに無駄を省いてお出しをいただければいい。そして、無駄があるのならば、それは総務省がやっていただいてもいいわけでしょう、それをチェックしていただいても。いろいろなところがチェックできるわけですよ。国会には、いろいろとチェックできる決算委員会もある。今でもあるんですよ。それを活用すればいい話であって、どうしてもやられたいのなら、民主党の中で税金を使わずにやってください。我々自民党はそれでやってきたんです。

 これ以上はもう申し上げません。まだほかにもあるんですよ。というのは、そもそも、マニフェストに書いてきた年金記録問題、これは長妻大臣のころ、いや、もっと言うと、長妻さんが野党の委員だったころに、人、物、金を使って、これを集中して、八億五千万件ある年金記録、これを全部突き合わせをして、結果的には、今のところ、一・四%だとか一%ぐらいしか間違いがないというような、これはサンプル調査で結果が出てきていますけれども、膨大なお金をかけてやれという話になって、そしてこれが始まったわけなんです。それさえも今回、事業仕分けで仕分けをしちゃおう。

 さらに申し上げれば、ねんきんネット、これも意味がないんじゃないか。いや、意味がないというのは、例えば郵便局でプリントアウトをしたりだとかする、年金の加入者の方々が、自分の年金額は幾らだろう、番号を持っていって、郵便局でそれを言えばプリントアウトで紙が出てくる。一枚当たり六百四十円かかるなんというようなことで高過ぎるじゃないか、こんな話があった。

 しかし、そもそも、民主党は年金通帳をやろうと言われていたんですよ。もっとお金がかかる。これがどうやらお金がかかりそうなので、ねんきんネットでごまかそうかなんというので、実は予算も、五百九億円年金通帳にかけると言っていたのが、調査だけで四十億円というふうな形になっているわけですよね、今年度。そして、ねんきんネットの方に今ずっと移動しようとしているんですよ。それさえも事業仕分けだということで、全く長妻大臣がやられてきたことを全面否定をされる。

 あえてまだ申し上げれば、この間の消えたお年寄り、百歳以上の高齢者の方々が所在がわからない、でも年金だけもらわれているという例がある、年金の不正受給じゃないかというような話もありました。そこで、これをしっかりと調査しようということで、長妻大臣が所在不明高齢者対策ということをやり出された。これさえも、これは自治体対策だから事業仕分けすべきだ、こういう話になってきたわけですよ。マニフェストから、またついこの間始めた事業まで、すべて事業仕分け。何か仕分け人のパフォーマンスでやっているんですかという話になっちゃうんです。

 だから、我々は、もう事業仕分けも種が尽きた、もうおやめになられたらどうですか、やるんならば党内でやってください、こういうことを申し上げているんですけれども、最後に、蓮舫大臣、どうぞ。

蓮舫国務大臣 消えた年金、消された年金問題は、長妻前大臣のときから、とにかく一日も早く解決をしなければいけないという思いで臨んでいることは否定はしておりません。

 ただ、今の田村委員の言い方ですと、どんな膨大なお金をかければいいんだということでありますが、ほかにより効率的なお金の使い方ができるやり方があるのであれば、経費を節減するのは政府としては当たり前のことだと思っております。

田村(憲)委員 そんな話は、我々ももう十分に今までやってきました。しかし、長妻大臣が、とにかく人、物、金をかけろ、集中しろ、これ一点張りだったんですよ。議事録を読んでください。そして、その結果こうなったんですよ。お金がかかりますよと言ったら、お金がかかってでもやれという話だったんですよ。それがころっと変わっちゃったんで、お金をかけなくなれば当然その分だけ正確性がなくなっていく、こういう発言もございました。とにかく、このことは指摘をさせていただきたいと思います。

 次に移ります。時間がございませんから次に参りますが、実は、いろいろな議論をしていく中で、この間、子ども手当、ちょっとパネルを見ていただきたいと思いますけれども、民主党が先般の参議院選挙で出された子ども手当のマニフェストの中に、上乗せ分は現物でも現金でもいいというような書き込みといいますか、これがございました。

 私、現物は子ども手当とは言わないんじゃないかというふうに素朴な疑問を持っておりまして、厚生労働委員会で、これは細川大臣じゃなくて、生みの親と自称されておられる小宮山洋子副大臣にお聞きをしたんです。そうしたら、いや、田村さんのおっしゃるとおりだ、子ども手当ではありませんと。現物は当然現物で、これは基盤を整備するものであって、どうも子ども手当、民主党の中で勘違いが起こってそんなふうになったんですねというような御答弁でございました。すごいな、副大臣、いきなりカミングアウトしちゃったななんて思っちゃったんですけれども。

 これは、総理、それでいいんですか。マニフェストは違っていたということをお認めになられるということでいいんですか。

玄葉国務大臣 マニフェストの質問でありますので私の方からお答えいたしますけれども、参議院選のマニフェストの子ども手当の上積みという概念でありますけれども、率直にこれも申し上げますけれども、そのときの思いは、例えば一万三千円から仮に一万六千円に上積みをする、そのときに、地域の裁量によって三千円の差額分については現物にもかえられる、そういう発想があってもいい、つまりは現物も含んだ概念ということで参議院選挙のマニフェストは書かれたというふうに私としては記憶をしています。

田村(憲)委員 ということは、生みの親の小宮山副大臣とは認識が違うということでよろしいですか。簡潔に。

玄葉国務大臣 ただ、これから、まさにこれからなんですね。例えば、地域の負担をどうするか、実際に現金をどのくらいまでにするかとか、そういった議論はこれからなんでありますが、そのときに、子ども手当は幾ら幾ら、そのときのいわば定義の仕方だと思うんです。結果として、定義の仕方が小宮山さんと同じことになる可能性はかなり高い。つまりは、子ども手当と言われる部分についてはいわゆる現金のみをいうというふうになる可能性は非常に高いというふうに思っています。

田村(憲)委員 何かよくわからないんですよ。

 すると、二万六千円子ども手当を配るというマニフェスト、これは現金として二万六千円を配るということだというふうに今の御発言だと認識をしますので、子ども手当が二万六千円まで、上限まで行くというマニフェストの公約はまだ生きているということでいいんですか。

玄葉国務大臣 基本的には、いつも申し上げますけれども、衆院選マニフェストについては、その実現はできるだけそれを目指していくということですが、改めて申し上げますけれども、参議院選挙のマニフェストの位置づけは、衆議院選挙マニフェストに書いてあってさらに強調したいこと、もう一つは、修正すべきことについて参議院選のマニフェストについて書いたんですね。

 子ども手当部分はある意味修正をしておりますから、そういう理解をしていただければと思っています。

田村(憲)委員 八月でしたっけ、菅総理と議論をしたときに、マニフェストは変わっていないと言われたんですね、この表を見せて。子ども手当は一緒です、マニフェストは変わっていませんとお答えになられたんですよ。修正をされたということはやはり変わったということなので、そこで多分発言のそごが生じてきておるんだろうなと思います。

 それと、もう一点申し上げれば、認識の中で、生みの親の小宮山副大臣ははっきりと、現物は現金での子ども手当とは違うんだ、子ども手当の範疇に入っていない、こういうことをおっしゃられました。これは議事録に残っておりますから、お読みください。

 ということは、現金で上限まで行くとすれば二万六千円。これはできるかできないかわからないというような、今そんな発言のように私はお聞きをしました。できないとなれば、マニフェスト違反という話になるんだろうと思いますけれども、もし現物と現金とを合わせてなんて話になったときに、マニフェストで民主党は二万六千円子ども手当と言われているけれども、そんなに国は今お金がありませんね、ですから、子ども手当をそんなに上げるぐらいならば現物サービスを充実した方がいいんじゃないかと、我々はもう去年からずっと主張しているんですよ。そのたびに、あなた方に、そんなことない、そんなことないとはね返されてきた覚えがあるんです。それとこれとは別よという話だった。

 ですから、もし我々に考え方が歩み寄ったのならば、まず国民の皆さんに、ちょっとマニフェストでいいかげんなことを書き続けました、選挙に勝ちたいがためにとおっしゃられるかどうかわかりませんが、まずおわびを申し上げてから方向を転換してください。

 これは総理だと思いますので、そういうことでよろしゅうございますね。

玄葉国務大臣 ですから、田村委員、だからこそ参議院選挙のマニフェストで、ことし組む予算で二万六千円、つまり、来年度予算で二万六千円を実現すると言っていたのが衆議院選挙のマニフェストですよ。それは、国民の皆さんの意見あるいは皆さんとの議論を踏まえて、確かに、その財源の一部は現物サービスに使った方が有効ではないか、そういう考え方が民主党の中でもかなり出てきました。だからといって、一万三千円は全く否定されませんよ。だけれども、一部はやはり現物サービスの方が有効である、だからこそ参議院選挙のマニフェストでそういう表現をさせていただいたんです。そういう意味では修正してきているんです。

田村(憲)委員 参議院のマニフェスト自体を生みの親の小宮山副大臣は間違っているというような趣旨の御発言をされたわけですよ。

 ですから、何を言っておられるのかがさっぱり私は理解ができないので、この議論をしていても多分ごまかしばかりになっちゃうと思いますから、今度、機会があるときに小宮山副大臣もお呼びして、玄葉大臣とおられるところで議論をしっかりとさせていただきたいと思います。(発言する者あり)私の発言権でございますから、ちょっと静かにしてください。

 続きまして、片山総務大臣もお越しをいただいております。お聞きをいたしたいと思います。

 子ども手当は全額国費で見るべきだ。地方が負担すべきではない。今概算要求において、総務省として、地財計画の中に子ども手当というのは国庫でやるべきだという方針で計上されておられますか、それとも地方負担をありとして計上されておられますか。

中井委員長 政府に申し上げますが、ただいまの田村さんの御質問は、私はそのとおりだと思います。ひとつ、きちっと見解を統一して、次の予算委員会でお答えをいただくように委員長から要請をいたします。

 片山総務大臣。(発言する者あり)

片山国務大臣 よろしいですか。

 総務省の概算要求については、子ども手当の部分だけを取り出しますと、地方負担がないことを前提に仕組まれていると思います。

 ただ、実は問題がありまして、子ども手当を創設した際に、例えば税制を変えております。そうしますと、住民税の方で、扶養控除が変更になったことに伴って、一種の増収が生じます。これをどうするのかというのはまた別途の問題がありまして、仮に子ども手当を全額国費にしたとした場合にも、その増収分というもの、まあ不当利得と言うとちょっと言葉は悪いかもしれませんけれども、地方団体に生じますその増収分をどこかでつじつまを合わせなきゃいけない。他の分野で、例えば国費と入れかえなきゃいけない、こういう作業が残るのであります。

 だから、全体として見ればそんなに矛盾はないんですけれども、単体として見れば厚労省の要求との間にそごが生じている、そういうことだと私は理解しております。

田村(憲)委員 地方税の部分があると言われましたが、それも入るのは多分留保財源分だけしか入らないと思いますので、全額が入るわけじゃありませんよね。それは、不交付団体は別にして、交付税との調整になると思いますので、全額浮いたものが入ってくるという話にはならないと思います。そのとおりだと思いますけれども。

 いずれにしましても、厚生労働省は、これは地方に負担しろ、そして総務省は、これは地方は負担しない、国が面倒を見ろ、こういう話になっているんです。去年ならば私はわかるんです。子ども手当がいよいよ入る、途中までは自民党政権だった、民主党政権ができた、そして予算をつくり直すような形で子ども手当を入れていく、こういう話になりますからね。しかし、来年度に向かっては、これは民主党政権で来ているわけですよ。この方針が一貫していないものですから、地方は大混乱をしているんです。これは、これに限らず、ほかの部分もたくさんあるんですよ。

 例えば、後期高齢者医療制度。これは、今見直しを細川大臣、やられていると思います。これはなぜ変えられるのかがよくわからない、国民の皆さんはそうやって言われるんですよ。やはり、相変わらず七十五歳以上で一応区切っていますよね。保険者は一緒でも、制度は違っていますよね。これは今の後期高齢者医療制度とどこが違うんですか。六十五歳から七十四歳までも、同じようにやはり区切られていますよね。そこで財政調整していますよね。これは後期高齢者医療制度と一緒じゃないですか。

 そうであるならば、細かいところを変えるのならば、今の制度のまま問題点だけ変えれば、そうすれば、地方自治体はシステムをそんなに大幅に変えずに済むんです。しかし、今出してきたような案、保険者自体が変わるんですから、また地方は制度の組みかえをしなきゃいけない。

 そして、後期高齢者は収納率九九%。国保になると、今平均八八%ですよ。収納率まで落ちてしまう。すると、どうなるか。保険料は上がるんですよ。大臣、わかっておられるかわかりませんが、七十五歳以上の方々は保険料は上がるんです。全体で取る金額は一緒ですけれども、収納率が下がった分は一人当たり金額が上がる。そういうことをわかってこれをやられておられるのか。

 まず、認識として、保険料は上がるということで正しいかどうか。そして、もう一点は、もうこの制度、新しいのをやめて、今変えようと言われている部分はマイナーチェンジで、今の制度の中で変えるという私の提案、これに賛成か反対か、いかがでございますか。

細川国務大臣 後期高齢者医療制度は、七十五歳になった途端に制度がかわって別の制度に入るという、これは年齢によって差別をされるということで、これに対しては大変不満も多いわけです。そこで、我々としては、こういう年齢によって入るのではなくて、これはもうもとに戻して、被用者保険とそれから国保の方に入っていただく、こういうことです。

 そこで、国保に変える方が八割くらいになるんじゃないかと思いますが、その際に保険料が高くなるんではないか、こういうことで、そこで、それは保険料が高くならないようにしなければということで、いや、保険料が高くならないように、後期高齢者医療制度ができたときに保険料が下がった方たちが多かったわけですから、そうしますと、もとに戻ると高くなるわけですから、そういうところでは、ないような形にしていかなければというふうに思っております。

 そこで、地方の皆さんが、制度が変わるといろいろなところで混乱もあり、不満もあるということ、私どもも、これはいろいろと地方の皆さんのそういうこともよく考えて、私は、今回、いろいろな制度を変える場合には地方の皆さんの意見も十分よく聞いてやっていかなければというふうに思っております。

田村(憲)委員 大臣に御認識がないようですけれども、今言われたように、保険料は上がらないような仕組みをつくったんです、今回は。ところが、総額が一緒でも収納率が下がるんですよね。

 九九%という後期高齢者医療の収納率は、これはマックスですよ。一〇〇%なんというのは小さな市町村しかないでしょう。国保になれば収納率ががたっと下がるんです。下がったら、同じ金額を九九%で取るのと八八%、まあ七十五歳以上はもうちょっと高いかもわかりませんが、九十何%で取るのと、下がった分は一人当たりの保険料は上がるのは当たり前でありますし、これは厚生労働省の担当のお役人の方々と話をして、確認をいたした話なんですよ。

 ですから、保険料は今の制度設計では上がるという話なんです、移行時に。そこは認識があられるんですか、ないんですか、どっちなんですか。

細川国務大臣 だから、徴収率が異なってくるので変わっていく、こういうこと、そこは認識はいたしております。

田村(憲)委員 時間が来ましたので終わりますが、最後、保険料が上がるということをお認めになられたということを確認いたしまして、私の質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、平将明君から関連質疑の申し出があります。武部君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 質問通告しておりませんけれども、先ほど、武部さんからの質問に関連しますけれども、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土に入ったという報道が入ってまいりました。

 民主党政権誕生から、どうも中国に甘く見られているなと思ったら、ロシアにまで甘く見られている。私は、この背景には、民主党幹部の皆さん、また民主党政権ができてから、例えば、普天間の問題、普天間は最低でも県外だと言ってみて、結局、迷走を重ねて、できませんでした。また、領土や領有権に関する問題で非常に不用意な発言を元総理や閣僚の皆さんがされた。また、民主党の中には小沢一郎さんという実力者がいますが、第七艦隊だけで存在感は十分だという発言をしてみたり、多分、外国から見ると、ああ、この政権は領土に対する意識が低いんじゃないか、国防に対する意識が低いんじゃないか、私はそのように思われているんじゃないかと思うんですね。だから、次から次へとこういうことが起きるのであって、菅総理、そういう反省をお持ちですか。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、メドベージェフ大統領が北方四島、我が国が領有権を持っております、そこに訪問されたということは、大変遺憾なことだと思っております。

 ただ、今おっしゃったように、何か、その背景について、いろいろ見方はあると思いますけれども、しかし、私は、そうした政権交代後の政権運営の中に原因を求めるというのは、やや偏った見方ではないかなと。余り時間をとっても恐縮ですけれども、ソ連が崩壊しロシアになり、当初、西に向かっていたいろいろなエネルギーがだんだん東に向かってきて、ある意味のインフラ整備なども極東地域にかなりロシアが力を入れてきている、そういう大きな背景もありますから、私は、ちょっと見方がやや偏っているのではないか、こう思います。

平(将)委員 総理、後ろを見られても、仙谷長官は四十分間帰ってきませんので、よろしくお願いします。

 今、総理の認識、私は甘いと思いますよ。確かに、いろいろな要因はあるんですよ。いろいろな要因はあるけれども、すきを見せるから、わきが甘いから、そのすきにつけ入れられるんですよ。そういう意識はないんですか、総理は。(発言する者あり)ちょっと理事、静かにさせてください。総理。

菅内閣総理大臣 ですから、今申し上げたように、いろいろな見方があるということは承知をしております。しかし、そこに何か重点を置いて見られるのは、やや偏っているのではないかと。

 先ほど少し申し上げましたが、私も、ソ連が崩壊した後のロシアのこの間の変化を若干担当者から聞いたことがあります。

 当初、人口もかなりの部分がソ連から離脱しましたので、半分までは行きませんが相当減りましたし、軍事費も相当ある時期減っておりました。当初は、西の、つまり欧州の中にもっと連携できるということで力を入れていたわけですが、それが難しくなった中で、改めて自前の力をつくり出そうということで、東のシベリア開発等をやって、そして、当初、北方四島についても、非常にインフラ整備などがおくれていた中で、そこにこの数年間の間で力を入れてきているわけでありまして、ですから、そういった背景も含めて判断するのがバランスのとれた判断ではないかということを申し上げているわけです。

平(将)委員 そういうさまざまな要因があるのはわかっています。わかっていますが、民主党自身が招いている、民主党政権自身が招いている認識は全くないということで、今の発言はわかりました。

 もう一つ、今の田村さんの質問で、ちょっと続きをやらせてもらいますが、玄葉大臣が、二〇一〇年参議院マニフェストを書いて、出して、修正したんだという発言をされました。そういう認識だと思うんですけれども、菅総理はそれでいいですか。もう二〇〇九年の衆議院マニフェストではなくて、二〇一〇年に出した参議院マニフェストで、二〇〇九年の衆議院マニフェストはもう変えたんだ、修正したんだと。でも、皆さん、頑張ってやると言っているじゃないですか、二〇〇九年の衆議院選挙のマニフェスト。これはどうなんですか、総理。

玄葉国務大臣 今の平さんの御質問でありますけれども、何度か繰り返しになりますけれども、ぜひ聞いていただきたいんです。

 〇九年の総選挙のマニフェストは基本的には生きているんですね。ただ、その中で、参議院選挙のマニフェストというのは、〇九年の総選挙マニフェストみたいに網羅的にすべてを書いたわけじゃないんですね。その中で強調したいことと修正したいことを書いたんです。それが、例えば子ども手当であったり戸別所得補償の一部表現を変えたりとか、一部あります。

 その部分については、説明しますけれども、残念ながら我々負けたんですね、参議院選挙のマニフェストで。だから、どういう位置づけになるんだということで、我々は党内でも相当議論しました。その上で代表選挙もありました。それで菅総理がその選挙で勝ったわけですから、その部分については修正する、そういうふうに理解をしていただきたい、そう思っています。

平(将)委員 それでは、何が生きていて、何が修正をされたのか。それについて、総理、何が生きて、何が変わったんですか。

玄葉国務大臣 ちょっと通告がなかったので、今、詳細にわたっては申し上げることができませんけれども、先ほど申し上げたように、いわゆる税の部分以外で、税というのは消費税の部分以外で、子ども手当の部分、そして戸別所得補償制度の表現を一部変えてあります。そういった幾つかの部分について変えるということでございまして、そういう部分では、まさに一部修正をしたというふうに理解していただいて結構だと思います。

平(将)委員 では、その部分については、二〇〇九年の衆議院議員のマニフェストは破棄をした、参議院の方が正しい、そういう認識でいいですね。ちょっと、はいと言ってください、大臣。

玄葉国務大臣 まさに、参議院選挙で一部修正した部分については、それをもとに我々は来年度の予算編成をする、そういうふうにお考えいただいて結構です。

平(将)委員 では、それはわかりました。国民の皆さんにわかりやすいように、ぜひその対照表を出していただきたいなと思います。

 それでは、ちょっと質問の順番を変えていきたいと思いますけれども、まず、事業仕分けについてお伺いをします。

 事業仕分け、いろいろな議論が出ておりますが、私は、事業仕分けの手法というのは有効だと思います。ただ、発展途上ですから、いろいろな仕組みを変えていく必要も同時にあるんだと思います。自民党は、影の内閣をつくって、事業仕分け担当影の大臣、副大臣を置いておりますので、自民党に政権が戻っても、こういう事業仕分けの手法を使ってしっかりやっていきたいということをまずは申し上げたいと思います。

 その上で、きょうは質問がいっぱいありますのでちょっと短くお願いしますね、蓮舫さん。まず、事業仕分けの目的を簡潔に教えてください。

蓮舫国務大臣 事業仕分けの目的でございますが、これまで第一弾、第二弾、それで第三弾の前半を終えたところでございますが、事業の理念やあるいはその目的は否定しているものではなくて、その目的に到達するための手段として適正な税金の使われ方が行われているのかどうなのかを議論させていただいているものでございます。

平(将)委員 財源捻出に関する機能はどうですか、蓮舫大臣。

蓮舫国務大臣 結果として、事業仕分けを行うことによって、税金の使われ方として、情報公開をしておりますので、国民の皆様方の到底納得が得られないと思われたものは、各府省の、政治主導でまさに予算の見直しを行っていただいておりますので、その結果、財源というものが新たに生まれてきているところでございます。

平(将)委員 二〇〇九年のマニフェストがここにあります、懐かしい顔が載っていますが。これはメーンの民主党の公約だと思いますが、「国の総予算二百七兆円を全面組み替え。」ということで、さまざまな項目が載っておりますけれども、財源を十六・八兆円出すと言っております。これに対応する民主党の政策の支出は毎年毎年かかってくるものですから、この十六・八兆円は基本的にフローでなければいけないんだと思います。

 そういった中でお尋ねをいたしますが、今回の事業仕分けは、ちょっと役所から、金曜日に質問予告だったので詳細を聞いておりませんが、今までの時点で、仕分け第一弾、第二弾、行政事業レビューをやってきました。この間で、フローとストックでどれだけの財源が出たんですか、大臣。

蓮舫国務大臣 事業仕分け第一弾につきましては、その評価結果や横断的見直しの観点を踏まえまして、平成二十二年度予算編成において、すべての歳出において徹底した見直しを行いまして、フローでいいますと約九千六百九十二億円の歳出削減を実現するとともに、評価結果等を踏まえまして、公益法人等の基金の国庫返納等によりまして、こちらは約一兆二百六十九億円の税外収入を確保し、これに概算要求段階の歳出削減額を合計いたしますと、約三兆三千億円の成果がございました。

 また、ことしの四月と五月に行われた事業仕分け第二弾でございますが、これは、独立行政法人及び政府系公益法人が行う事業を取り上げまして、徹底した無駄の削減を図る観点、あるいは制度や指導監督のあり方の見直しにつなげるなどの成果を上げてまいりました。その評価結果のうち、予算措置に係るものについては、二十三年度政府予算案へ反映させることを基本に政府内で調整を行っております。

 また、この事業仕分けと直接関係があるものではございませんが、行政刷新という観点で、各府省で、「国まるごと仕分け」と題して行政事業レビューを進めてきていただきました。点検対象となった平成二十一年度の五千三百八十五事業がございました。このうち、ほぼ半数の二千六百八十一事業について廃止あるいは改善が行われまして、平成二十三年度概算要求への反映額は一・三兆円を上回るものになってございます。

平(将)委員 今すごい額が出てきておりますけれども、例えば今おっしゃった第一弾、予算に反映をされた部分というのを、中身を見てみますと、自民党時代につくった予算から、民主党政権になって、マニフェストの大きい部分は除いて、自民党時代の予算から一兆円削りましたね。そこから国庫返納、いわゆるストックの部分で一兆円戻してもらいました。あとは、それは事業仕分けの結果がどうかは別として、さらに一兆円を切り込んだ。合計約三兆だという話です。

 最初の一兆、自民党の予算から、マニフェストを除いて、マニフェストを足すと大きな金額になりますから、一兆減らしたというのは、御承知のとおり、サブプライム問題があって、世界同時不況で、これは世界じゅうが大変なことになるというところで組んだ麻生政権の予算でありますから、普通のときの、通常の予算よりもかなり膨らんだものになっています。ですから、それを民主党政権になって減らしましたというのはちょっと理屈が合わない。

 もう一つは、一兆円はストックですから、ストックですよね。皆さんの話は、フローで十六・八兆をどうするかという話。しかも、ストックで一兆円を戻したということは、大体、事業仕分け結果で、では基金を返してください、そのかわり毎年毎年予算を措置しますというお約束を、お約束というか、そういう話をしているんだと思うんです。そうしたら、一兆円を、では、ストックとして召し上げました、こっちに返してもらいました、そのかわり、毎年一千億円出ていく話になるわけですよね。それは間違いありませんね。

蓮舫国務大臣 確かに、独立行政法人ですとか公益法人にある種たまっていた一兆円をお戻しいただきました。その中には、逆に、基金を積んでおくことによって、その基金から出た利益によって事業を回しているものもございましたので、その事業の中身も相当程度精査をさせていただいて、一度お戻しいただいた上で、その事業の大切さというものを認めたものに関しては予算措置で対応するものもございますが、一兆そのものすべてを戻していただいて全部認めるというものではございません。

平(将)委員 それでは、この週末に特別会計も事業仕分けをされて、これで一通り大きいところをやってきたということだと思うんですが、これも含めて、フローとストックで合計幾ら出ていますか、財源捻出効果。

蓮舫国務大臣 特別会計の仕分けにおきましては、先週の土曜日に四日間の日程で行ったものが終わったばかりでございまして、その結果を各府省にいま一度お渡しをして、そして、それは精査をしていただくことになっておりますので、大変申しわけございません、現段階では数値でお答えすることは不可能でございます。

平(将)委員 それでは、その数値も出していただいて、先ほど玄葉さんもいろいろなお話をされていますが、そろそろこのマニフェストと突合していただいて、何ができるのか、何ができないのかを示していただきたいと思います。

 その上で、幾つか質問したいと思います。

 例えば、事業仕分け、私もやっていましたから、よくある結果が、一般会計、いわゆる政府の政策を、事業仕分けで、これは中央政府がやることじゃありませんね、地方がやることですねと言って、仕分けます、仕分けましたというのがよくあるんですね。そうすると、マスコミの方は、では、この何百億なくなったねと言って、それを積算してしまうんだけれども、よくよく見たら、それは交付金化されて地方にお願いをしていた。こういうのは当然、削減効果がないんだと思います。

 それと、いろいろな仕分け結果を各省庁から聞きました。仕分けられちゃって現場はどうしているのというと、各役所の人で、それは全員じゃないですけれども、いや、大丈夫です、ほかの政策メニューを最大限活用して、現場には迷惑がかからないようにしていますと。ということは、事業仕分けしたんだけれども、ほかの政策メニューで余っているところがあるから、そのお金を使ってやりました、こういうケースがあります。

 三番目は、事業仕分けで切りました、そうしたら、基金があって使える余裕があるから、基金を活用して事業をしています。

 こういうものは、皆さん行政刷新会議でどんどん事業仕分けをやっても、現場の役所がこういうことをやっているんだったら効果がないんですね。こういうことに対する認識、さらに対策はお考えですか。

蓮舫国務大臣 冒頭で平委員が、事業仕分けはまさに発展段階にあって、よりよいやり方があれば、私はそれは質が変わっていっていいものだと思います。その意味で今、平委員からいただいた御指摘は、まさに傾聴に値する、非常にありがたいものでございました。

 私も同じような視点と問題意識を持っておりまして、基本的に、事業仕分けの評価結果は閣議決定等により各府省の概算要求あるいは査定当局による予算編成に反映させることになっているんですが、来年度の予算要求の中身を精査しましても、過去の事業仕分けあるいは自民党時代の無駄撲のときにも再三指摘をされているものが姿形を変え、ゾンビ的に復活してきているものがあるわけです。これにおいては、ヒアリング等を通じて、もう一回措置を講じることができないんだろうか、あるいは各担当大臣に直接御提案を申し上げて、何らかの形で違う形で政策効果を上げることができないんだろうかというやりとりは、実は繰り返しているところでございます。

 十一月の中旬に、事業仕分け第三弾の後半、これは再仕分けという形で、本当にこの事業を復活させる意味があるのかどうなのかも含めて、開かれた場所で仕分けを行っていきたいと考えています。

平(将)委員 事業仕分けの結果が出ました。その後に、私がさっき言ったような、役所サイドで手をかえ品をかえいろいろなことができるんです。その対策として、今再仕分けというお話をされましたが、本来であれば、我々が限界があったのは、党でやっていたんですね。皆さんは政府でやっているんですから、であれば、その仕分け結果を各省庁にちゃんと落とし込んで、政務三役がしっかりフォローして、実現をするのかしないのか行政刷新会議とやるべきであって、再び、再仕分けだと言ってお白洲に引き出して、また同じことをやって役人をいじめてみたいなのは、それこそパフォーマンスじゃないですか。やった結果に対して政務三役でしっかりやってくださいよ。

 もう一つは、やはり情報交換というかコミュニケーションがとれていないと思いますよ。各省庁から、仕分け結果をちょっと僕に説明してくれ、来るでしょう。それで説明をするわけですよ。そうすると、これは何でこういう理屈になるんだと言うと、役人は何と言うか。いやいや、何か仕分け、上の方でそういうふうに決まったんですと言う役人もいれば、私は現場の議論を聞いていませんからわかりませんなんということをしらっと言う官僚がいっぱいいるんですよ。

 ですから、ばっさりばっさりやるのもいいけれども、本当に大切なのは、それを予算に現実に落とし込む、テレビの入っていないところの地道な作業でしょう。蓮舫さん、どうですか、その辺は。

蓮舫国務大臣 御指摘は全くそのとおりなところがあると思っております。

 やはりこれは平委員も自民党時代に党内で仕分けをして恐らく同じ思いを持っていると思うんですが、最も大事なのは、税金を扱って事業を行っている官僚の意識、本当に浪費はもう二度と起こさないんだという意識をどこまで浸透させることができるのか、それは政務三役がしっかりと省内を把握していただいて、もうこの仕分け結果が二度と指摘をされることのないような公金の使い方をしていただきたいと思っています。

平(将)委員 事業仕分けをしっかり実効性あるものにしていくためには、やはり地道な作業が大事だ、謙虚さが大事だ。先ほど私が申し上げたような役人のわけのわからない理屈を認めないということが大事だと思うんですね。

 そういうような中で、蓮舫さん、この間、国会の中で写真撮影をしましたけれども、本来は商業目的では使っちゃいけませんと言われた中で、いやいや、これは議員活動です、議員活動の記録ですと言って結局やったわけです、撮影を。だから、同じ理屈じゃないですか。蓮舫さんもその辺、ちょっと気をつけた方がいいんじゃないですか。

 次の質問に行きます。

 それでは、事業仕分けの件でお伺いしますが、私は、事業仕分けを定期的にやるべきだと思います。それで、日程的にもちゃんと、いつはこういう事業仕分け、いつはこういう事業仕分け、そしてそれがちゃんと予算に組み込まれるように、ビルトインをすべきだと思います。

 そこで、皆さんが問われるのは、来年、皆さんのつくったことしの予算についての事業仕分けはされますか。

蓮舫国務大臣 通年をとって定期的に何月に事業仕分けというのは、現段階では考えておりません。ただ、今、平委員の問題意識は私も共有をさせていただいております。

 現段階では、来年度の予算編成の透明化という形で、どういう事業にどういう新規あるいは継続も含めて税金が組まれるのかというのを仕分けしているところですが、やはり決算的な観点からも、その時々の政策課題として大切だと思ったときには、仕分けは行うべきだと思っています。

平(将)委員 そもそも、事業仕分けが国政、いろいろなところに入った、問題意識としては、どうしてもやはり議員というのは予算をつけろつけろというベクトルが強く働いて、この予算を減らせとか、一回つけた予算をもうやめろという力が働かない。だから、事業仕分けみたいな手法を使って、外から揺さぶるという言い方はおかしいですが、そこで外部の目を入れて、現場の人の目を入れて、オープンにすることによって国民の目を入れて、それで議論をするというのが大事だと思うんですね。

 そういうような中で、ビルトインをするのは非常に大事で、やはり予算に対してしっかり、この間の長妻さんの事業も、そのやり方については事業仕分けされたと思うんだけれども、やはり民主党予算全体に対して民主党はやるんだというのを出すことが、私は信頼につながると思います。ぜひ、それはそのようにやっていただきたいと思います。

 それで、自民党さん、一緒にやりましょうよなんてよく言われるんですけれども、河野さんも言っていましたけれども、声がかかったことがないですよね。だから、そういう社交辞令はやめてください。

 最後、もう一つですけれども、今、事業仕分けはやはり発展途上の段階にあるんだと思います。それで今、衆議院の決算行政監視委員会で、大村委員長が、国会でもやろう、事業仕分け的なものをやっていこうという提案がありました。自民党の理事は河野太郎と私ですから、私もその意見には賛成ですけれども、自民党さんも一緒にやりましょうよということが、公の場ではなかったかもしれませんけれども、よくいろいろなところで発言がありますが、蓮舫大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 国会におかれましても、行政みずからにおいても、税金の浪費はあってはならないというのは当然のことですから、さまざまな手段を通じて二重、三重に無駄がないのかどうなのかをチェックする仕組みは、当然必要だと考えています。

平(将)委員 それでは、次の話題に行きたいと思いますが、経済財政の中長期試算と民主党マニフェスト、財源についてということで議論をさせていただきたいと思います。

 ここにお示しをしたグラフは、「国・地方の基礎的財政収支(対GDP比)」ということで、ちょっとテレビをごらんいただいている方にはわかりにくい資料かもしれませんが、プライマリーバランスの黒字化をどうやったらできるのか、どれだけのギャップがあるのかというグラフであります。

 ちなみに、プライマリーバランスが収支とんとんになると、借金は若干ふえますが、GDP比ではふえない。ですから、債務残高がコントロールされる。今、日本の財政は大変厳しい状態にありますから、まずはこのプライマリーバランスを黒字化もしくはとんとんにしていこうというのが目標になっているわけであります。

 下に年数が入っていて、縦軸にはパーセントが入っております。そして、上の方に〇・〇がありますから、この線より上に行くと黒字、下に行くと赤字ということであります。このパーセントはGDP比でありますから、ざっくり五百兆ぐらい掛けていただくと、幾ら足りないかがわかってくる。

 国と地方の基礎的財政収支を見ていただくと、二〇一〇年、マイナス六・四%、三十・八兆円足りません。そして今、政府の財政健全化目標は、五年後にこの二〇一〇年で半減、十年後にプライマリーバランスとんとんに持っていくというのが政府の財政健全化計画であると承知をしております。その政府の財政健全化政策は、赤い点々で示されたところが政府の財政健全化計画であります。

 そして、下のグラフでありますけれども、二〇一〇年より前は実績、二〇一〇年以降は財政が今後どのようになっていくかというのを試算したものでありまして、いわゆる慎重シナリオというものを使ってやっております。

 今のままでいけば、二〇一〇年が三十・八兆円お金が足りません。二〇一五年も二十一・八兆円足りません。そして、二〇二〇年でも二十一・七兆円足りません。これは国と地方の数字です。

 国の数字はもっと深刻でありまして、下に「国のみ(慎重シナリオ)」と書いてありますが、二〇一〇年度で三十二・九兆円、二〇一五年で二十五・七兆円、二〇二〇年で二十六・四兆円ギャップがある。これをどう埋めていくかということが重要な政治課題でありまして、これはもう与党だ野党だということなくやっていかなければいけないということであります。

 この数字の責任大臣は海江田さんでよろしいんですか、玄葉さんですか。玄葉さんですか、玄葉さん、二〇二〇年度のギャップが大変大きなものになっておりますけれども、これに対する感想があれば簡単に。

玄葉国務大臣 平さんにお答えいたしますけれども、全く御指摘のとおりだというふうに思います。だからこそ、自民党も全く同じ目標を掲げている。つまりは、二〇二〇年において、単年度の政策的経費はその年の税収で賄えるようにしようじゃないか、まずこれが第一歩だろうということで、我々も十年計画の財政運営戦略をつくり、かつ、自民党は五年ですけれども、民主党は三年ですが、三年計画の中期財政フレームをつくって、何とかそれを実現すべく今推進をする。

 その前提は、まずはやはり経済成長ですね。ですから、三本の矢、同時に三段ステップのそれぞれ経済対策、金融、税制、それぞれの分野で対応していくということになります。

平(将)委員 この数字を見ていただくと、結構大変なギャップを我々は今後埋めていかなければいけないということになるわけであります。

 もう一つお伺いしますが、皆さんが二〇〇九年で約束したマニフェスト、十六・八兆円の新たな政策をやると書いてあります、子ども手当や高速道路無料化、戸別補償。今このグラフにはその十六・八兆は入っていますか、入っていませんか。

玄葉国務大臣 この中には入っておりません。

 つまりは、財源捻出もマニフェストなんですね、先ほどから議論が出ていますけれども。つまり、財源捻出に見合う形で民主党の新しい政策、新規政策は実現をする。逆に言えば、だからこそ先ほどのような議論になるんですけれども、財源が捻出できなければ当然その分はできないというふうにしないと財政運営戦略並びに中期財政フレームは実現できない、こういうことになります。

平(将)委員 であれば、特別会計の事業仕分けも終わったわけです、まだちょっと詳細を私は見ていませんけれども。そういった中で、では、この十六・八兆円、出るんだと言っていました。当時、鳩山さんも、財源のことについては全く心配していないと選挙のときにおっしゃっておりました。

 そろそろ現実を直視して、何ができて何ができないのか。一部の民主党の議員の皆さんは、いやいや、去年の夏の衆議院選挙のマニフェスト、あきらめていません、頑張ってやるんですというのであれば、財源が見つからなければ、ここにプラス、十六・八兆丸々とは言いません、フローで何兆出せるかわかりませんから、でも十数兆円これに乗っけてこないと計算が合わないんですよ。ですから、その辺を精査して、計算し直して出してくださいよ、大臣。

玄葉国務大臣 計算し直して出せということでありますが、十六・八兆そのものは四年間で行うということでありますから、今、途中段階です。

 ただ、先ほど申し上げたように、それでも私は率直に素直に、途中段階であっても厳しい部分があるから先ほどのような参議院選挙のマニフェストになっているということですから、そこは御理解いただきたいなと。

平(将)委員 それで、必ず四年でやるというんですね、四年でやる。でも、皆さんは政権与党ですよ。政権与党の大きな仕事の役割として、国家の歳入歳出をしっかりマネジメントしていく、資金繰りをしていくということですね。

 しかも、皆さんのこのマニフェストを見ると、懐かしいマニフェスト、まだ一年二カ月前ですよ、これを見ると、どうもこれは無理なんじゃないかという項目も入ってきているし、特別会計だって、埋蔵金活用だけで四・三兆、これはフローですよね。政府の資産の計画的売却が、何でストックがここに入っているかわかりませんが、四年でやるといっても、あと、事業仕分けだけじゃないんです、公務員の人件費も二割削減するんです、そうすると一兆円出ますと。

 でも、雇われている人たちの給料を減らしたり、その定員を減らしたりするのを、今の時点で計画ができていなくて、できるんですか、来年、再来年。そんなむちゃなことはできないし、特別会計の方だって、法律が出てくるのも二年後だか三年後と大臣はおっしゃっていたけれども、そろそろ誠実な試算を出してもらわないと、信じている国民がかわいそうじゃないですか。大臣、どうですか。

海江田国務大臣 委員にお答えをいたしますが、私どもは、昨年の六月に中長期の試算を出しましたけれども、これから来年度の予算をつくります。その来年度の予算をつくったところで、またその時点での中長期的な見通しも、もちろんこれはお示しをいたします。ですから、そういう形で、来年度の予算をつくるときにお示しをする中には、まさに来年度の予算に盛り込んだそのマニフェストの中身を具体的に反映させるということでございます。

 それからもう一つ、これはぜひ御理解をいただきたいのでございますが、やはり財政の事情が大変厳しいということは、これは当たり前のことでございます。

 しかし、私どもは、では今のこの財政の状況が厳しいからといって、まだできることはあるんじゃないだろうかということで、これは私どもの、内閣府でございますが、国が持っております資産が、先ほど委員は売却というお話をしましたけれども、売却は確かに一回限りでございますが、フローの形でお金が入ってくるようにこれは有効活用する。証券化をするでありますとか、あるいは定期借地権をつけて、そして収入を得るとか、そういう努力も今、内閣府で研究会を立ち上げてやっているところでございますから、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

平(将)委員 そのボリューム感が全然ずれているんじゃないかなと思うんですよ。いろいろな努力をされるのは、それは評価もしますし、一生懸命やっていただければと思います。

 四年間でやりますと。今の時点ではまだこれだけだけれども、例えば、十六・八兆のうち十兆円ぐらいは何とかめどが立った、それはこういうタイムスケジュールだ、あと残りの何兆円はこうやっていくというのはわかりますよ。でも、十六・八兆で、皆さんの話を聞いていると、フローで出てくるのは一けた前半じゃないですか。そろそろ誠実にそういうことを明らかにして議論をしないと、これから財政再建に向けて与野党で話し合おうとしているのに、できないことを前提にして野党に協力してくれと言ったって、できませんよ。十六・八兆ですからね。

 それで今、川内さんが、自民党だからできないんだ、民主党ならできるんだと言うんですね。この稚拙な議論。二百ccのコップに民主党は四百cc入れてみせると言ったんですよ。どうやったらできるんだと言ったら、自民党だからできないんだ、政権交代をしたらできるんだと言ったんですよ。そういったことをそろそろ誠実に言っていただかないと、具体的な、何で幾らを出す……(発言する者あり)

 ちょっと委員長、この理事、黙らせてくださいよ。

中井委員長 委員同士での議論の場ではありません。御静粛に願います。(発言する者あり)

平(将)委員 黙らせてください。ちょっと時計をとめてくださいよ、黙るまで。

中井委員長 平君、政府に対して質疑してください。

 委員の皆さんも、質疑者の足を引っ張るような言動は慎んでください。

平(将)委員 済みません。わかりました。

 それでは、もう一度申し上げますが、民主党は、皆さん、国民から期待を受けて政権をとったんですよ。皆さんは誠実な政党だと思って入れた人がたくさんいるんですよ。だから、確かに約束をしたけれども、一年たって、事業仕分けもやってみて、結果はこうです、だからここはできません、ここはできます、そういう議論をそろそろしようじゃありませんか。

 どうですか。菅総理、ちょっと一言言ってくださいよ。

菅内閣総理大臣 平委員の方から現在の状況についてのいろいろな見方を言っていただきました。私も率直に申し上げて、昨年のマニフェスト、それは、いわゆる使う部分と、それから財源として生み出す部分との両方があって、必ずしもそのとおりにいかないところがあった中で、例えば暫定税率などはそのまま残すとか、先ほど玄葉大臣からは修正という言葉も出ましたけれども、一部をマニフェストどおりではない形で進めるという、そのことは、率直に幾つかの点は認めておきたいと思います。

 その上で、大変厳しい、もちろんこの数字、そのとおりだと思いますが、どうすればいくのかと。やはり日本の成長をいかに回復するかというところに大きな力を入れなきゃいけない。もちろん、いろいろ節約をする、あるいは増収を図るということもあるわけですが、その根本の根本は、やはり成長がとまっているところに一番問題があると思っております。

 そういう意味で、新成長戦略、昨日、ベトナムでの原子力発電所の受注を事実上決めていただいたことも含めて、世界の中でやはり日本が成長していくことにまずは大きな重点を置かなければならない、そういったことも含めて、ぜひ与野党を超えた議論をさせていただく機会があればと思っております。

平(将)委員 それでは、成長戦略の話が出ましたので、一言触れて、あとちょっと、きょうは時間がありませんので次に行きたいと思いますが、政府の成長戦略、需給ギャップを埋めた上で見ると、十年間で、ここ十年、二十年、ずっと低成長だと言われても、大体一%ぐらい成長しているんです。皆さんの成長戦略、実現をしても、需給ギャップを埋めた上で、毎年〇・七%成長を伸ばす、そういう成長戦略なんですね。これは低成長戦略だと思いますので、これはまた議論をさせていただきたいと思います。

 最後に、TPPについて少し議論をさせていただきたいと思いますが、先ほど武部先生からもいろいろな指摘がありましたが、国内だけを見れば、人口は減っていく、少子高齢化だ。やはり日本は海外に、生きる道というか、国を開いていかなければいけないと当然私は思います。ですから、EPAとかFTAとか、積極的に取り組んでいかなければならないと私は思います。

 その反面、やはり農業に対するダメージはかなり大きいと思いますので、ここはしっかりとしたパッケージを打ち出さないといけないと思うんです。

 鳩山さんが総理になってすぐ国連に行ってCO2のものをやりましたけれども、やはり国民的コンセンサスはまだとれていない段階、具体策についてもなかった段階でやって、その後どうなったか知りませんが、私は、これは大事なことであるからこそ、下手に何の準備もなく裸で突っ込んでいったら、逆に玉砕をして、国際的には信頼を逆に失うと思いますよ。これは、トータルなパッケージでどうやるか。その上で、このTPPに対する取り組みを総理にお伺いします。

菅内閣総理大臣 おっしゃるとおり、まさに農業をいかに活性化するかというこのことと、そして、経済の自由化におくれをとらないという、まさにその両方が両立できるパッケージこそが重要だ、それは全く同感であります。

平(将)委員 最後に、仙谷長官が来られたので、あと残り時間一、二分ですが、先般、私は衆議院の内閣委員会で仙谷官房長官に、参議院で答弁について謝罪をされた件で質問をさせていただきました。特に、経済産業省の古賀さんに対する発言が恫喝だという認識はないのかと言いましたら、仙谷官房長官は、いや、ビデオを見てもらっても議事録を見てもわかるとおり、そんなことはないと。しかし、私は知りませんでしたが、その二日前の参議院の予算委員会で、政府参考人に、これは古賀さんのことですね、圧力を加えたと思われても仕方がないという答弁をされているんですね。だったら、これは恫喝じゃないですか。

 それともう一つ、時間がないから、言って、後で答弁ください。古賀さんを、内閣委員会でぜひ話を聞きたいと言って、実現できません。これはまあ、議会と政府は違うかもしれませんが、恫喝されたのは古賀さんだけじゃなくて、民主党の理事も恫喝されちゃって、びびっちゃっているんじゃないですか。出してくださいよ。お願いします。

中井委員長 仙谷官房長官、時間が来ていますので、簡潔に答えてください。

仙谷国務大臣 先般、参議院予算委員会の冒頭で陳謝いたしましたが、これは、今後二度と不適切な答弁がないように、真摯な答弁に努めるということを申し上げたわけであります。圧力と受け取られかねないというふうにも申し上げたと思いますが、それと恫喝と思われるとか考えられるというのは、これは全く私の頭の中では概念が違います。

 それからもう一つ、何をおっしゃいましたか、内閣委員会ですか、これは、国会で政府参考人あるいは参考人のあり方はお決めいただくことでありますから、私といたしましては、くちばしを入れるつもりはありません。

平(将)委員 これで終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて武部君、田村君、平君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 さて、私は、かねてから機会あれば菅総理に一言聞きたかったんですが、菅総理は日本初の市民運動出身総理だとか市民派総理の誕生とか言われましたが、総理自身は今、市民派と言われることについてはどうお考えですか。

菅内閣総理大臣 私の政治経歴が、社会に出てから市民運動に参加をし、また、そうした関係の方の応援などをしてきたので、市民派と言われることは私にとっては大変自然なことであります。

 今、総理大臣という立場で物を考えるときに、そういう個人としての思いというものは私自身は今でも変わっていないつもりでありますが、ただ、自分が思いの濃いところだけをどんどんやっていいというような役割ではなくて、今、日本が置かれた状況の中で何をやるべきかということを考えた中で行動していますので、それがいわゆる市民派という範疇を、当然ながら、その範疇を超えたというか、そういったこともしっかりやっているつもりであります。

服部委員 私がなぜこのようなことをお聞きしたかといいますと、私自身も長年市民運動にかかわってきましたし、総理と同じ団塊世代の一人です。同世代の人や菅総理を昔から知っている人は、菅さんが総理になったら日本は変わると思ったと言う方が多いんです。しかし、今は言い方がみんな過去形なんです。変わると思ったんだけれどもなと。

 私にとって市民派の定義は、一つは、財界や団体やアメリカのひもつきでない自由な目線、二つには、生活者、庶民目線、三つには、豊かな環境で平和に生きたいという願望ではないかというふうに思うんです。

 最近の菅政権の政策は、企業献金は再開、消費税を上げて法人税を下げると言い、農業など第一次産業切り捨てのTPPへの参加は前のめり、武器輸出三原則の緩和を検討、普天間基地の辺野古移設は推進、米軍への思いやり予算は削減しない、原子力発電所を輸出する。どう見ても私には庶民目線、市民目線の政策とは見えないんですね。

 そこで、菅総理にお聞きいたします。

 鳩山前総理の命を大切にする政治という言葉も、もう今さっぱり聞こえてきません。菅総理も最小不幸社会という言葉も最近お使いになりませんけれども、総理は日本をどういう社会にしたいんですか。端的な言葉でお聞かせください。

菅内閣総理大臣 私は、市民派という言葉にストレートにイコールかどうかは別として、国民主権というものを軸にした政治ということをこの間ずっと言ってまいりました。

 特に、自治体の場合は市民が自分たちの町の首長を選ぶわけですけれども、国政においては、直接には総理大臣を選べませんので、政党を通して自分たちの総理を選ぶ、そういう意味で私は、二大政党による政権交代が必要条件だ、そのように考えてきました。また、政策的にも、情報公開などを含めて、国民が政治に参加することができる、より大きな道筋をつくっていくことがそうした政治につながると考えてまいりました。

 そういった中で、今幾つか、TPPの話とかいろいろな話を挙げられましたけれども、私は必ずしも、例えば、先ほど来議論がありましたけれども、農業を活性化するということと同時に経済の自由化に乗りおくれないで頑張っていくということは両立できると思いますし、そのことがいわゆる市民派というものと矛盾するとは全く思っておりません。

 逆に言えば、何か一部にこだわって頑張る、市民運動であればそれでいいと思うんです。自分がこだわったところを、有機農業なら有機農業で頑張る、大変立派なことです。しかし、日本全体を、責任を持って内閣を運営する中では、その問題も重要だけれども、場合によってはそうした貿易の自由化に乗りおくれないということも重要であるわけでありますから、そこを両立できるかどうかがまさに問われている、そういう覚悟で臨んでいるつもりであります。

服部委員 私は、政策をお聞きしたというよりかは、首相の理念といいますか、もっと端的な言葉で実はお聞きをしたかったわけです。きょう、ちょっと総理、お元気がないことはないですか。政策の前に、やはり情熱といいますか、理念というものがあると私は思うんですね。

 それで、私は、国会議員として目指したいことは、突き詰めてみると二つなんです。格差や貧困が広がる社会でなく、みんなが飯が食える社会にしたいということと、それと戦争だけは絶対あかんでということなんですね。

 さて、そこで次の質問ですけれども、私は、二〇〇九年一月四日、日比谷公園の年越し派遣村で、菅さんの、政治の責任を問う怒りのこもった演説を聞いていました。もうあれから二年、今国会でせめて労働者派遣法改正法案は成立させるべきと思いますが、いかがですか。でないと、期待を裏切ることになりませんか、総理。

細川国務大臣 服部委員の御認識と私ども政府の認識は一致していると思いますが、労働においての規制緩和が進みまして、そこであの派遣村ができたように、派遣労働者が派遣切りに遭って路頭に迷ったというような社会情勢が出てまいりました。

 そういうことから、私どもとしては、この規制緩和について歯どめをかけて、そして、そこに規制を入れて労働者が安心して働ける、そういうふうにしなければいけないということで、労働者派遣法の改正案を国会に提案いたしておるところでございます。その中身は、登録型派遣の原則禁止、製造業務の原則禁止というような内容を含んだものでございます。

 これは、前国会、通常国会に提案をいたしておりまして、衆議院では継続審議になっておりますので、ぜひ、審議をお進めいただいて、これを成立させていただきたい、こう願っているところでございます。

服部委員 いや、私、その中身の問題より、今国会でこの改正案を成立させるその菅総理の決意についてお聞きをしたかったんですけれども、総理、どうですか。

菅内閣総理大臣 私も、この法案の作成に細川大臣とともにかかわってまいりまして、いろいろな経緯を経て、ある意味で、労使を含む審議会でもぎりぎりこれでいこうということが合意されましたので、何とか成立させたい。

 ただ、現在いわゆるねじれの状況もありますので、野党の中でも社民党の皆さんはもともと一緒のときからつくったので賛成をしていただけると思いますが、他の野党の中でやはり賛成をいただけるような、そういう努力をしていかなければならない、その努力をして成立を図っていきたい、このように考えております。

服部委員 もう一つ、決意があるのかないのかちょっとよくわかりませんでしたけれども、あの日比谷公園での演説の初心をお忘れなく、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、次は外交、安全保障の問題ですが、日本は、過去の戦争への反省から、戦後、平和国家として歩む決意をしてきました。非核三原則と武器輸出三原則は、被爆国である日本が軍縮や核兵器の廃絶を訴える、国際社会や紛争当事国から大きな信頼を受けてきた最も重要な政策の柱であり、日本の誇りだというふうに考えております。

 まず、非核三原則ですが、今被爆者の皆さんが法制化の運動を大々的にやっておられます。総理、総理自身も八月九日、長崎での記者会見で私なりに検討していきたいとおっしゃった。沖縄返還時、佐藤総理の沖縄への核兵器再持ち込み日米密約もあり、また、一九六九年、日本が核武装を検討していたということが最近西ドイツの機密文書からもわかり、今外務省が調査をしています。もう危なくてしようがない。総理、ぜひ非核三原則を一緒に法制化しませんか、どうですか。

 さらに、武器輸出三原則についても、菅総理、発言がぶれていませんか。市民運動出身総理である菅総理の今までの政治姿勢からしてもおかしいんじゃないですか。総理、いかがでしょうか。

前原国務大臣 お答えいたします。

 菅内閣として、非核三原則を堅持する方針には何ら全く変わりはございません。また、非核三原則につきましては、内外に十分周知徹底されていると考えておりまして、改めて法制化する必要はないと考えております。

北澤国務大臣 武器輸出三原則につきましては、再々答弁を申し上げておりますけれども、国際紛争を助長するようなことのないようにという平和国家としての基本理念はしっかり踏まえながら、状況の変化に対応できるように今検討をいたしておるところであります。

服部委員 ちょっと総理の決意もお聞きしたいわけですけれども、総理、武器輸出三原則とか、自民党時代もやらなかったようなことをやらぬといてほしいわけですよ。非核三原則にしても、もう密約だらけで、外交への信頼がなくなっているじゃないですか。どうでしょう。

菅内閣総理大臣 今、外務大臣、防衛大臣から答弁ありましたように、非核三原則について、それを守っていくという点において我が内閣は一致しておりますし、それは変わっておりません。

 武器輸出三原則についても、今も防衛大臣からありましたように、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家の基本理念に基づくもので、その基本的理念は全く変わっておりません。

 ただ、これから先は防衛大臣の御答弁の方がいいかもしれませんが、PKO活動とかいろいろな活動の中で、今でいう原則の例外がどうしても必要なことについて、官房長官談話などを発出して例外措置をとってきたという経緯がありますので、そういったことについては、そういう例外措置を続けるのでいいのかどうかという議論が行われている、このように承知しております。

服部委員 ちょっと時間の関係もありますので、次に沖縄の基地の問題に入ります。

 九月の沖縄県名護市議選で、普天間基地、辺野古に反対する移設反対派が圧倒的に勝利をいたしました。自民党政権下では、名護市長も賛成、議会も賛成、県知事も賛成して、十四年もできなかった辺野古の新基地建設ですよ。今は、名護市長も反対、議会も反対、沖縄の県議会もすべての政党が反対ですよ。だれが考えても前より難しくなっていますよね。

 総理、自民党政権のときと比べて、今とどっちが難しいと思われていますか。

北澤国務大臣 市議会でも新たに決議をされたということは十分承知をいたしておりまして、沖縄における厳しい政治環境であるということは十分承知をいたしております。

 しかし、五月二十八日の日米合意を達成するために、沖縄の皆さん方に誠実に御相談を申し上げながらやっていく。基本は、一番危険な普天間の基地をなくすということが私たちの原点でありますので、私たちは誠実に努めてまいりたいと思います。

服部委員 質問にぜひお答えいただきたいのは、私も、単純な質問でありまして、自民党時代の政権のときと比べて、今とどっちが難しいですかということを総理にお聞きをしておるわけですけれども。よろしくお願いします、総理。

前原国務大臣 沖縄の皆さん方には、一九七二年の本土復帰以来、過大な基地負担をお願いしてきたこと、また、先般の総選挙では、少なくとも県外、できれば国外ということを言いながら、五月二十八日の日米合意ではまた辺野古に戻ってきたという意味においては、二重の意味でおわびを申し上げなくてはならないと思っておりますが、先ほど北澤大臣が答弁をいたしましたように、沖縄全体の負担軽減につなげていきたい、また、一番危険な普天間飛行場の返還というものを何とかやりたいということで、難しい状況だとは認識をしておりますけれども、真摯に、沖縄の皆さん方に御理解をいただくようにお願いしてまいりたいと考えております。

菅内閣総理大臣 自民党時代と比べてという御質問ですけれども、自民党時代にも大変御苦労されたんだと思います。その間の経緯の中で、より厳しい状況が生まれているということは、率直に認めなければならないと思っております。

 ただ同時に、これも防衛大臣からもお話がありましたけれども、普天間飛行場の、ああいう人口密集地域にある基地を、その危険性を除去するということの必要性は、これは全く変わっていないわけでありまして、同時に、広い意味でのこの日本をめぐる国際情勢、安全保障情勢は、残念ながらといいましょうか、決して緩和されている状況にはありません。

 そういうことを考えながら、私も、総理になって、この普天間の問題が頭を離れたことはありません。何としても、何らかの形で沖縄の皆さんに御理解をいただけないかという思いは今でも強いわけです。それは、結果として、グアムに移転をする、あるいは嘉手納以南の基地を相当程度返還する、あるいは北部の演習場の返還などを考えると、確かに、新たな基地を辺野古に建設することに対する大変な反発が強いこともよく承知をしておりますけれども、あわせて考えていただくことができれば、全体としては、相当程度、在沖縄米軍の人もトータルとしては減ってまいりますし、基地の面積も相当程度減ってまいりますし、あるいは基地が人口密集地域にあることによる危険性もかなり緩和されることになるわけでありまして、そういったことが理解をしていただけるかどうか、これからしっかりと努力をしてまいりたい、このように思っております。

中井委員長 時間が来ていますので、まとめだけ簡潔にやってください。

服部委員 沖縄県民の理解を求めるというふうにおっしゃいますけれども、沖縄県民の意思はもう明快です。不可能なことをいつまでもできる、できると言っていないで、どこかのタイミングで見直しの議論をされたらいかがでしょうか。厳しいとアメリカにはっきり伝える決断が必要ではないですか。

 菅総理、市民派として活動を始めた原点を忘れずに、しっかりと庶民目線で政治をやっていただきたい、そのことを申し上げて、私からの質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 菅政権のスタートから四カ月余り、一言で言えば、菅政権、菅民主党政権は迷走を続けている、このようにも断言せざるを得ない、そんなふうに思います。何を総理がしたいのか、全く伝わってこない。

 先ほど、午前中の最後の同僚委員の質問に対して、菅総理は、目指している政治は、こう聞かれて、国民主権を軸にした政治、そして二つ目には、二大政党による政権交代は望ましい、正しい、こういうふうに思っている、こういう答弁がございました。

 揚げ足をとるわけじゃありませんけれども、国民主権を軸にした政治、憲法三原理を軸にすると言うならわかりますけれども、その中で国民主権だけ取り出す。非常にわかりづらい。天皇主権に対する国民主権、そんなふうなことも想起させるわけです。

 また、二大政党制による政権交代、正しかった、これは、そのように皆さんは思いたいのかもしれませんけれども、やはり今は、少数政党の意思をどう酌み取るかというふうなところに対する反省というか思いというものが出てきている段階ではないのか。

 そんなふうな観点から、私は、総理の午前中のさまざまな答弁を聞いておりまして、やはり迷いがある、こんなふうに思いました。

 昔から、今もそうなんでしょうけれども、最小不幸社会の実現だとか、あるいは消費税の導入、さらに最近は、トランス・パシフィック・パートナーシップ、TPP、こういうことを言われたり、さまざまなことを言われておりますけれども、私は、やはりこの場面は、あれもこれもではなくて、しっかりと焦点を定めた姿勢というものが大事、原点に立ち返るべきだ、そんなふうに思います。迷ったときは原点に、これは人生の教訓であります。迷ったときは原点に。

 では、菅政権、菅民主党政権にとっての原点というのは何なのか。私は二つだと思います。二つ。菅政権の立つべき原点、二つ。

 それは、とりもなおさず、鳩山前総理大臣がおやめになったとき、やめざるを得なくてやめられたときに、あのときに何でやめたのか。二つですよね。一つは、政治と金。この問題で、御自身が御自身の母親から約十二億円ものお金をもらわれて、それに対する言いわけ、秘書がやった、自分は知らなかった、こういうことに象徴されるような、そういう政治と金にまつわる極めていいかげんな、欺瞞に満ちあふれたそういう姿勢。そして二つ目は、普天間問題で、最低でも県外、こういうふうに言われたことも、最終的には前政権の結論と同じような、もとのもくあみになってしまった。

 この二つ、政治と金、そして普天間問題に代表される、それこそ、先ほど来、午前中の議論でもありました主権とそして領土保全、この問題に深くかかわる外交案件、つまり、言葉をかえれば日本の国益を守るための平和外交の展開、この二つが私は菅政権のスタートにあって確認されるべき原点であった、そんなふうに思います。

 つまり、今、菅政権のありようを見ていると、あたかも長期に政権を菅さんはずっとやっていこうとされているかのごとく、さまざまなテーマに手をつけられる。それはいいです。多くの有能な閣僚がおられるから、それはそれぞれの閣僚に任せてやってもらえばいい。しかし、総理大臣御自身のスタンスというのは、自分が総理大臣になった、もとをただせば前の政権の副総理大臣、ナンバーツーだったんじゃないですか。本来なら責任をとってやめるべき人であった。ところが、その肝心かなめのナンバーツーの人が受け継いだ。受け継いだからには、先ほど来申し上げておりますように、政治と金、そして普天間に代表されるいわゆる主権、そして領土保全、こういった問題に関して、自分はどんなことがあってもこの二つだけはやり遂げると。それ以外のことは、もちろん考えるなという意味じゃありませんけれども、それはやはり二つにしっかりと両足を置いた、そうしたかじ取り、政権運営というのが少なくとも総理大臣には必要だ、このように思います。

 そのスタートに当たっての原点の確認について、総理大臣に答弁を求めたいと思います。

菅内閣総理大臣 かなり認識が率直に申し上げて違います。

 私は、昨年の九月の政権交代は、国民の皆さんが今の日本の状況、特に二十年にわたる閉塞状態、それには経済の低迷を含め、財政の破綻を含め、多くの課題が先送りされてきた、これに対する、国民が何とかそれを変えようと。その二十年間の多くは自公政権であったわけでありますけれども、私はそれぞれ頑張られたと思います。それぞれの時期にいろいろな経済対策もやられたと思います。しかし、結果としてこの二十年間、そういったものが実らなかったということも事実であります。

 ですから、確かに、政治と金の問題、さらに普天間の問題はそれぞれ極めて重要な課題であり、受け継いだ立場としてそのことを念頭から外したことはありませんけれども、それをやればこの政権が歴史的な使命を果たしているとは思いません。

 そこで、私はあえてこの国会で、先送りをしないで今やらなければならないことについては次の世代に引き継ぐようなことはしない、その大きな政策課題を五点挙げたわけであります。一つは経済の成長、一つは財政の再建、一つは社会保障、一つは地域主権、そして一つはまさに国民の手による外交。これらを立て直してこそ、日本が二十一世紀においてしっかりとした国に立ち返る、私はそのことが我が政権の目的、やらなければならないことだと、せっかく御質問をいただきましたので、私の基本的な原点を話をさせていただきました。

赤松(正)委員 総理大臣、それは違うんですよ。おのずと、民主党全体が今言われたそういう五つのことを念頭に置くというのはいいでしょう。しかし、総理大臣菅直人が目指すべきテーマ、原点、これはさっき言った二つ。これは、副総理大臣、前の総理大臣から受け継いだその副総理大臣としての宿命のようなものなんですよ。だから、私はその五つがどうでもいいとは言っていませんよ。まずはその二つだ、こういうことを言いたいわけであります。

 きょうは、私はその二つのテーマ、いわゆる政治と金、言いかえれば、政治と金という言い方をすると何か手あかにまみれたような言い方、聞き方に聞こえるので、もっと鮮明に問題の焦点を絞ると、政治家と秘書という言い方ができると思います。このテーマが一つ。それからもう一つは、後で申し上げます尖閣等中国にまつわる外交の案件、これが二つ目。そして三つ目は、福祉、恵まれない社会的弱者に対する福祉。この三つの点、これをきょう、私はいただいた時間の中でこの三点について、私は、では何を言うのかというと、この三点について総理大臣は肝心かなめのことをやっておられないということを言いたい。

 何か。それは、要するに人に会うということであります。問題は、事の核心になる一番大事な人に会う、会って直截に話を率直に交わす、これが大事だということをこの三つの分野に分けて申し上げたい。

 今申し上げた清潔な政治、そして平和外交、そして福祉、この三つは公明党の原点でもあります。公明党は新しい時代の進化とともに、もちろんさまざまなことを考えています。さっき総理大臣が五つと言ったと同じように、我々もさまざまな解決すべき政治課題を抱えています。しかし、やはり中核に置くべきは、今、これから申し上げるクリーンな政治、そして平和をもたらす、戦争ではない、平和をもたらすという外交、そして三つ目が福祉である。

 このように申し上げて、まず一点目、政治と金。先ほど言いましたように、政治家と秘書というふうに言ってもいい関係、この問題についてまず質問をしたいと思います。

 まず第一点目。何回もこの場でも出ておりますけれども、小沢元代表。小沢元代表に何で会わないのか、会えないのか、このことであります。

菅内閣総理大臣 政治と金のことに関連してのお話だと思います。

 私は九月の代表選挙で、クリーンでオープンな政治ということを、党内の選挙ではありますけれども、小沢元代表と二人の候補者の中でこのことを申し上げました。そして、結果として、私が多くの支持をいただきまして代表に再選をされたわけであります。そういった意味で、新たな執行部、新たな政権、内閣改造しての内閣含めて、このクリーンでオープンな政治を目指して現在やっているところであります。

 そういった意味で、もちろん過去のいろいろな経緯のことはありますし、そのことを無視するつもりはありません。しかし、少なくとも私の政権と内閣において、この問題についてしっかりとやっているわけであります。

 何か、小沢元代表に会わないのかと言われましたけれども、私は、会いたいときには会いたいということを申し上げ、しかし、相手が会われないこともありましたし、代表に再選された後は、お会いをしたいと言えば、本部においでをいただいてお会いをしたこともあります。ですから、これからも必要があればお会いをしたいということを申し上げますが、現時点では岡田幹事長がこの問題にしっかりと取り組んでいただいておりますので、岡田幹事長の努力を多としているところであります。

赤松(正)委員 総理大臣、岡田幹事長が非常に苦渋に満ちた記者会見をしていましたよ、会いたいと言っても会ってもらえないんだと。会う必要があればって、今こそ会う必要があるんですよ。何言っているんですか。必要があれば会うって、今必要なんです。

 補正予算の問題にしてもあるいは中国の問題でも、小沢さんは百四十人ほど連れて中国に行かれたじゃないですか。中国の問題でもかぎを握っている人ですよ。補正予算でもかぎを握っている。これぐらいの、そして何よりも、今日の民主党を築いたのは小沢さんが大きな役割を果たしているじゃないですか。ある意味で恩人じゃないですか。そういう人に会わない。どう考えたってこれはおかしい。私、地元にこの週末帰って、みんなそういうふうに言っています。総理大臣が、一党の中で一緒に築き上げたその相手と腹蔵なく語り合うことができない、これにすべて集中されている、そんなふうに言う声が強いです。これ、小沢さんの問題。

 そして二つ目は、鳩山さんであります。

 鳩山さんは、先ほど申し上げました問題についての資料提出拒否の理由に挙げていたコピーが出てきたじゃないですか。コピーが出てきた。そういうものはとらないで検察に出しちゃったと言っておられたのが出てきた。これを提出して、しっかりと、国民に自分が言っていたことは誤りだった、こんなふうに話を持っていくようにされるということは、先ほど、菅さんが立っておられる原点にふさわしい行為だと私は思います。何で、かつて鳩菅と言われたような、そういう親密な関係にあった鳩山さんにこうしたことが言えないんですか。

 さきに私どもの同僚委員の質問、こういう趣旨の質問をしたときに、総理は、総理辞任で政治責任をとった、こういうふうに言われました。総理辞任で政治責任をとった。私はとっていないと思います。未来において、自分がしたことが恥ずかしいから人前に出たくない、そういう意味で総理大臣をやめたのかもしれません。しかし、自分がされた行為についてしっかりと責任をとったというふうには言えない、そういうふうに思います。総理大臣、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 赤松さんの議論が、私にはやや理解ができないんですけれども、小沢さんと会う会わないということについて、私の恩人だというふうにも言われました。確かに、党にとって大変大きな貢献のあった方であります。しかし、今言われているのは、補正予算という言葉が出ました。つまり、補正予算の審議を進めていただくためには小沢さんについてしっかりとした対応をしろということで、何を言っているのか。つまりは、私が小沢さんに会って何か中国のことを頼めともいうようなことにも受け取られることを言われましたが、それはちょっと違うんじゃないでしょうか。(赤松(正)委員「そういうのを揚げ足取りと言うんですよ」と呼ぶ)いや、本当に違うんじゃないでしょうか。

 つまりは、補正予算のことであればちゃんと補正予算のこととして今理事会等で御議論いただいているわけで、まさに岡田幹事長に御苦労いただいているのでありまして、中国のことであれば、それは必要であればお願いをいたしますけれども、現時点で中国のことで私は相談をするつもりはありません。そういった意味で、若干何か話が混乱しているように思います。

 鳩山前……(発言する者あり)

中井委員長 総理、答弁を続けてください。

菅内閣総理大臣 鳩山前総理のいわゆるコピーの問題については、私は、鳩山総理御自身が報道などの中で、報道官に対して、自分自身そういうものの存在といいましょうか、そのコピーというものを自分は持ってはいなかったし、また、あるということも知らなかったということを言われ、それはたしか岡田幹事長に対してもそういう説明をされた、このように聞いております。

赤松(正)委員 私が言っているのは、あなたは質問に対して揚げ足をとられましたけれども、要するに、はれものにさわる、はれものにさわらないかのごとく、やはりこの国をどうしていくのかという問題を含めて、小沢元代表としっかりと語り合うことができないということを私たちは不思議に思っているということを言ったわけであります。その例として、補正とかあるいは中国ということを言ったわけであります。

 総理、さらに、十月二十六日の民主党の企業・団体献金の再開決定、この問題について、野党からは明らかな公約違反だという主張が出ております。それに対して民主党からは、よく読め、マニフェストをよく読め、違反していない、マニフェストどおりだ、公約どおりだ、こういう反論が出てきておることは私も承知をしております。

 これは、公約を超えた自制、みずから民主党の皆さんが自制をしていた、自分で自分を戒めるということを。そうしたのを外したということで、私は、明らかに民主党に多くの国民が失望を抱いている。方向性が違うじゃないか、逆行していると。衆議院選挙やあるいは参議院選挙のマニフェストでみんな国民が思ったことと違う流れの方向になっていっている、これは大変に私は問題だと思います。

 この点について前原外務大臣がいろいろ感想を述べておられる。それを拝見しましたけれども、前原外務大臣はどのようにこの問題を考えておられるでしょうか。

前原国務大臣 私は、政治活動は二十八歳からやっております。京都府議会議員に二十八で当選をさせていただいて、さまざまな企業から浄財をいただいてまいりまして、企業献金が悪だという考え方には立っておりません。

 しかし、党として、企業・団体献金をなくしていく、法制化もするという考え方を持っていたにもかかわらず、こういう、一部であれ再開をしたというのは、国民からすれば今までの民主党の考え方と逆行してとられるのではないか、私はそう思っております。

赤松(正)委員 前原外務大臣の答弁は、非常に率直な考え方を述べられたと思います。やはりそういう受けとめ方をされている、こういうことをしっかりと銘記された方がいい、そんなふうに思います。

 大体、菅総理大臣は、総理大臣に就任されるときに、金にまみれたこの日本の政治というものを変えたい、このようにもおっしゃっていたわけであります。そういう点から見て逆行している、このように指摘をしておきたいと思います。

 この問題の最後に、公明党は、先ほど、いわゆる政治と金というよりも政治家と秘書、こんなふうに言いかえた方がより問題の本質を突いているんだということを申し上げましたけれども、私たちは昨年の十一月に、政治資金規正法の改正をしようということで出しました。これは、選挙のときに私どもが国民の皆さんにお約束したことであります。政治資金収支報告書の不記載あるいは虚偽記載、こういうことにまつわる違法行為があったときに、秘書のせいにしてしまうというふうなことではなくて、政治家が監督責任というものを負うべきだ、このような観点からの法案であります。ぜひともこの法案の成立を私たちは期していきたい、このように思っておりますけれども、現在は棚上げ状態になっている。このことについて総理はどう考えられるのか。

 この問題についての考え方と、先ほどの前原外務大臣の答弁に対する総理の考え方、この二つについてお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、金にまみれた政治という言葉について、やや今の議論とは違う思いを持っております。

 私が初めて国政選挙に出たのは、ロッキード選挙と言われた選挙でありました。当時は、どういうことかといえば、特に自民党が中心でありましたけれども、派閥単位、個人単位で大きなお金をいろいろな企業から受け取って、それによって政策が左右される。ロッキード事件、いろいろありましたけれども、場合によっては、そういうものを国あるいは企業が買うのに対して、それにお金がまつわって政策が左右される。それは中選挙区のためにお金がかかるからだ、そういうところからスタートして、いろいろなその後の改革がなされたわけであります。

 そういった意味では、今問題となっている、我が党が企業からの献金を再開することになったということは、これは私も、個人献金が望ましいという立場でいえば、一〇〇%それでいいとは言いませんけれども、少なくとも金まみれの政治というものの、いわゆる政策がそれによって左右されるといったようなこととは違うと思います。

 個人献金だけに絞るのか、企業・団体献金を認めるのかというのは、党も含めていろいろな意見があるわけです。今企業の皆さんの中では、ある程度社会的責任としても適切なる支援はする方がいいということで、政党を超えて献金をしようという動きもある中で、率直に申し上げて、我が党だけが受け取らないと自民党にも出しにくいとか、そういうような御意見もありました。(発言する者あり)率直に言ってありました。

 そういう中で、先ほど申し上げましたように、我が党のマニフェストでは、政治資金規正法を改正し、その三年後から企業献金及びパーティー券購入を禁止するというのが我が党の昨年のマニフェストであります。この三年間はなぜこうなっているかといえば、個人献金を拡大して、それでちゃんと党の運営が成り立つようにという、その経過措置としてこういうことを我が党のマニフェストに述べているわけであります。

 残念ながら、まだ個人献金は党のレベルではわずかであります。そういった意味では、この間は、ある程度暫定的な対応をしながら、法改正の後、今個人献金といいましょうか、いろいろな個人の寄附控除も広げる方向で議論しておりますので、そういう中で、これはぜひ国民の皆さんにも、個人献金を拡大するという中でよりクリーンな政治を実現していきたいというのが我が党の考えであることを改めて申し上げておきます。

 御党が出されているこの法案に関しては、私、従来から申し上げておりますように、大変傾聴に値する内容になっている。ただ、これもほかの委員会で申し上げたと思いますが、連座とは若干違いますけれども、こういった政治家の身分にかかわる問題について、どのような関連性を持たせることが適正なのかというのは十分に議論をさせていただきたいと思っておりまして、議論をしないのではなくて、大いに議論をするという姿勢で法案に対しても臨んでまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 議論をしているうちに菅さんの運命は終わってしまうかもしれませんよ。

 先ほど民主党の政策の展開について自民党の例を挙げられた、これは国民の皆さんが聞いておられて本当にがっかりする答弁だと思います。自民党との違いというものをはっきり出して、民主党らしさを出してくれると思って国民の多くは期待したはずであります。それが全く逆流している。これは非常におかしい、残念だと私は思います。

 では、次に二点目、外交の問題であります。もっとこの問題について長くやりたいんですけれども、時間がありません。外交の問題に移ります。

 総理大臣は外交の分野でも肝心かなめの人に、こっちは会おうとするんだけれども会えない、こういう問題が起きてきているわけであります。温家宝さんと会って話がしたい、こういう観点で今回のハノイでの会談に臨まれたわけでありますけれども、ドタキャンになっちゃった、十分だけの会見になった。これについては、朝の質問に対する答弁の中で、何らかの理由でと、あるいはまた、残念であった、しかし冷静に対応する、こういうふうな答え方をされておりました。

 この中国の温家宝首相の対応、これに対して総理大臣は、この間の、私、直後のテレビでの会見、記者に対する答え方を見ておりますと、戦略的互恵関係を確認できた、このようなことを述べられて、非常にある種満足したような表情で語っておられましたけれども、このあたりの、今申し上げた、なかなか会えなかった、そしてその理由はさっき二つ述べられた、まあ、これはもういいです。戦略的互恵関係を確認した、このことについてどのような背景があるのか、どのように思っておられるのかを聞きたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、国民の皆さんに誤解をいただいてはいけないので、ちょっとだけ申し上げますが、ベトナムに私が伺ったのは、ASEANを中心とする幾つかの会議への出席であります。その中には日韓中の三カ国の会議もありました。そういう公式的な会議はすべてしっかりと議論ができました。また、それに加えてベトナムに対するいわゆる公式訪問を行いまして、これも原子力発電所やレアアースの問題で我が国をパートナーとするという大変大きな決定をしていただき、満足する結果が出たと思っております。

 そういう中にあって、さきのベルギーで行われた、ブリュッセルで行われたASEMのときに私と温家宝総理が廊下にあるいすに座っていろいろ意見を交換した中で、今お話もありました、その段階でも同じ言葉でありましたが、戦略的互恵関係を進めていこう、また民間やハイレベルの交流も進めていこう等々のお話をいたしまして、少なくともそれらについては、今回も短い時間ではありましたけれども、確認をされたわけであります。そして、今回は極めて短い時間でありましたので、もう少しゆっくりした時間をとって話し合いたいですねということでも、お互い、そうですねということを言いました。

 そういった意味で、もちろん、もっと長い時間しっかり話ができることの方が望ましいわけでありますけれども、この間のいろいろな経緯の中で、私の方というか日本側の方ではそうした用意は十分あったわけでありますけれども、突然、直前になってお断りになられたのは中国側に何らかの理由があったのではなかろうかと。しかし、それをあれこれ取りざたしても余り生産的ではありませんので、冷静に対応をしてきているというのが今の私の立場であります。

赤松(正)委員 総理大臣は、中国の問題になると冷静になられる。ふだんはいらいらとされるのに、中国の問題にはいらいらされないように聞こえますね。

 今、私が聞いた戦略的互恵関係についての答弁がありませんでした。では、角度を変えます。戦略的互恵という関係を中国はどれぐらいの国と結んでおると総理大臣は承知しておられますか。

前原国務大臣 事前に御通告いただいておりません。ほかの方の答弁のときには資料を持っていたときもあるんですけれども、かなりの数と戦略的という冠で二国間で進められておる。二十、三十は優に超えていたんではないかと思います。

 ちゃんとした数は、またお伝えしたいと思います。

赤松(正)委員 いや、外務大臣、この間私が外務委員会で質問したときに資料を出したんですね。済みません、総理大臣には資料を出していなかった。

 私が何を言いたいかというと、戦略的互恵という、この中国が使う言葉というのは、今現在、私が承知している限りでは、日本を含めて三十六カ国あります。要するに、戦略的互恵という言葉が、あたかも何かお互いの、日本と中国との関係だけに特殊に使われているかのごとき、そういう雰囲気が漂っておるように私は思いますけれども、これは、中国の研究家によりますと、こういうふうに戦略的互恵という問題を定義しているんです、中国の国家利益を最大限に実現すること。中国の国家利益を最大限に実現すること、これはかなり強引に引き寄せた言い方だ、こういうふうに思われるかもしれませんけれども、要するに、戦略的互恵というのはメード・イン・チャイナの言葉なんです。

 そういう意味で、私は、この戦略的互恵という言葉の中に持っている含みというのは、やはり、商売というか経済というか、お互いが経済関係でよく言われるウイン・ウインの関係になる、お互いが得をする、こういうことが非常に深くビルトインされた言葉であるということに私たちは注意をしなくちゃいけません。

 やはり今回の尖閣の問題を通じて、私たちは先般、外務委員会で前原外務大臣ともいろいろ議論をいたしましたけれども、この問題が提起しているのは、日本が今日までこの領土の問題、いわゆる尖閣という問題で、日本と中国の間には領土問題はないんだ、こうしてきて、いわばあうんの呼吸のように、見えざる合意のような形で、この問題について余り正面立って議論をしてこなかった、こういう経緯があった上に立って今回の衝突がある。

 先ほど私も、予算委員会の委員長以下、皆さんと一緒にビデオを見せていただきました。これを見た思いは、明らかにやはり中国側の悪意を非常に感じる場面を二つ見せていただいたわけでございます。そういう点で私が何を感じたかといいますと、このビデオを見たときに私の頭をよぎったのは、中国という国は、国境観というものが日本とは違うということであります。中国の国境意識というものは、日本の国境意識と全然違う、ほかの国とも違う。

 こういうふうに私がなぜ言うかというと、かつて、日本は二〇一〇年に中国にGDPで抜かれると予測した学者の一人、一人だけじゃありませんが、何人かの学者の一人に、元京都大学教授の野田宣雄先生がいます。この人が、今から十三年前の九七年に、ある雑誌の四月号に、中国にはもともと国境という観念がないんだという矢野仁一という東洋史学者の言を引っ張って、中国は世界すべてが自分の領土と心得ている、こういう言説を紹介した上で、中国人の言う辺境、これは日本的に言うと暫定的な境界というものを説明して、事情が許せば常に前進すべきものとして中国的国境観というものを示唆しているんだ、こういう記述があったことに、私、当時非常にショックを受けたといいますか、強い印象を受けてこれを記憶しておりまして、今回この場で言わせていただいておるわけでございます。

 中国の漁船が日本の船に対してぶつかってきた場面を見たときに、その船長の頭をよぎっていたのはそういう国境観じゃないのかということさえ、私は思いました。こういう相手と今日本は外交をしているんだという、その他者意識、これは菅総理大臣におありでしょうか。

菅内閣総理大臣 中国の国境観について、私も多少そういう話を最近新聞等で読んだことはあります。

 国々、いろいろな歴史の中で、いろいろな考え方があるいは若干の違いがあるかもしれません。我が国の場合は、島国でありまして、いわゆる陸続きによる国境というものが基本的にはありませんので、そういう意味では、国境という考え方と物理的な陸と海という非常にはっきりしたものとが重なっておりますので、あるいは逆に言えば、日本のような国境というイメージの方が、大陸の中でせめぎ合っている国々からすれば非常に安定的といいましょうか、国境というものが自然発生的に認識されている国は、もしかしたら比較的数少ないのかとも思います。

 そういった意味で、尖閣諸島に関連してはもう何度も各大臣、表明されておりますけれども、正確な年月はやめますが、約百年以上前から我が国の領土ということであって、そして中国が主張し始めたのは、海底ガス等がいろいろ言われ始めた一九七〇年代からであって、どういう観点から見ても、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは明らかでありますので、そういうことに関してはしっかりと、そうした領土の考え方を私自身持って対応いたしているつもりであります。

赤松(正)委員 今の総理大臣の、日本の方の国境観というものがかえって珍しいというふうな言い方をされたのは、私が先ほど言った、中国の国境観というものの異常性というものをすりかえる答弁だと思います。総理大臣、そのような甘いことを言っていると、非常に厳しい事態が起きてきます。

 今、日本は国難だということを言う人がおります。きょう十一月一日にロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問したという話が、きょうの朝もこの場に出ました。私は、このロシアの問題、あるいはまた先ほど申し上げました沖縄の問題、そして今の中国の問題、日本が国境を接している、太平洋を隔ててのアメリカ、そして中国、ロシア、この代表的な、韓国はこの際ちょっと横に置いておきますけれども、この国々のいわゆる国境といいますか、というよりも領土保全、そして主権、国家の主権というものに対する飽くなき姿勢というものを私たちはしっかりと銘記しないといけないと思います。

 在日米軍基地、沖縄に全国の七五%が集中している。地位協定というものは、沖縄の人々にとって非常に厳しい現実というものがある。こうした事態を踏まえてあの九五年の、今日の普天間の問題の最初のきっかけが、あの九五年の沖縄の米兵の少女暴行事件が発端であったということを私たちは断じて忘れてはならないと思います。沖縄とアメリカと日本、これは、沖縄はアメリカが戦後日本に返しました。しかし、だからといって日本人の主権というものが、沖縄が日本に返されたことによってアメリカによってしっかりと守られているかということについては、今申し上げた例を見ても、甚だ問題点はいっぱいあるということを認識しなくちゃいけない。

 中国においては、先ほど言ったとおりであります。

 そしてロシアにおいては、北方領土にきょうメドベージェフさんがやってきた。私は、このことを、かねて十一月一日と言われていて、実際に来たということをニュースで聞いて、そのときに思ったのは、この夏読んだ「終わらざる夏」という浅田次郎さんの小説であります。「終わらざる夏」、小説というよりもノンフィクションに近い話でありますけれども、この「終わらざる夏」というのは、あの大戦が八月十五日に終わったというのが、通常、終戦記念日は八月十五日ですからみんなそう思うわけでありますけれども、現実には、あれから約十日間、この北方領土をめぐってのソ連の日本侵攻というものがあったということに由来した小説であります。

 これを読んで私がつくづく思ったのは、終わらざる夏、ロシアとの間の先ほど申し上げたこと、あるいは沖縄との、日本との、アメリカとの関係、そして中国との関係、言ってみれば、終わらざる夏イコール終わらざる戦争、こういうことを私は意識するわけであります。戦争は続いているんだ。

 現実に、アメリカは、私たち、総理大臣と同世代でありますけれども、朝鮮戦争、あるいはベトナム戦争、そして最近のイラク、アフガン戦争に至るまで、ずっと戦争を続けておる国家であります。ロシアも中国も、いわゆる国境紛争というものが後を絶ちません。

 こういう国家が日本の周囲にあるという格好の中で、日本が言ってみれば奇妙な平和を満喫している。こういう状況の中で、日本の命運を担った立場におられる総理大臣は、しっかりと、この今の日本の国をいかにして守っていくのか。この日本の国家主権とそして領土保全というものをしっかり守っていく、こういう外交、安全保障を展開していかなくちゃいけない、そういう重要な役割を持っているんだということについて、簡単に答弁を願いたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、メドベージェフ大統領が国後島に入られたということは、大変遺憾なことだと思っております。既に、前原外務大臣がベールイ駐日ロシア大使を招致して、抗議をしているところであります。

 今るるいろいろな話をされましたが、私は、領土という問題が主権のまさにかなめであるということはしっかり認識をいたしております。その中で、この領土という問題によって多くの問題が歴史的にも引き起こされているだけに、我が国として、まだ幾つかの点で、今もお話がありました、一九四五年八月十五日以降、当時のソ連が侵攻した地域について、我が国の領土であるというその一貫した姿勢を持って、今後ともその返還に向けて全力を挙げていきたい、このように考えております。

赤松(正)委員 時間がもうなくなってまいりましたので、三点目の問題に移ります。B型肝炎の患者の問題であります。

 これは、同僚委員、自民党の委員が午前中に質問されましたので、私は一点だけに絞りたいと思います。

 総理大臣は朝の答弁の中で、お金がかかるから、救済をするには国民に理解をしてもらわないといけない、少し誤解があるのではないかということを最後に述べられました。

 この問題については、私は、肝心かなめのポイントは、これも人と会うことだと思います。やはり問題の解決というのは、その当事者、一番それで苦しんでいる人と率直に意見交換をすることだと思います。私も毎週、B型肝炎の原告団の皆さんとお会いしておりますけれども、そういう人たちときちっと、全部を言わなくていいです、まだ今検討している最中だということでもいいです、やはり私は、国家の最高責任者である総理大臣が、このB型肝炎で苦しまれている人たちに対して国家の責任の一端を、謝罪を述べるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も、幾つかの薬害に関連して、その当時は、野党の立場であったり、あるいは厚生大臣の立場であったりしましたけれども、かかわりを持ったことがあります。そういった意味で、今御指摘があったように、患者であり、被害者である方にお会いをするということは、私は必要に応じてやるべきだと思っております。

 この件についてだけ申し上げれば、きょう午前中の質疑でも申し上げましたように、我が党、我が内閣、決して消極的だとは思っておりません。

 ただ、これまでの薬害の場合は、多くは薬メーカーと、例えば薬害エイズの場合は国そのものにも大きな責任があったわけでありますけれども、今回の場合は、いわゆる予防接種という形で、広い意味の責任はありますけれども、いろいろ法律的な対応が違っているのと、感染者の数が非常に大きいということがありまして、そういう関係者の努力をしっかり待ちながら、今御指摘のあったように、しかるべきときにはお会いをしてちゃんと話を聞きたい、こう思っております。

赤松(正)委員 ポイントは原点に立ち返って人に会うこと、これを申し上げて私の質問を終わります。

中井委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 質問の冒頭に、私は、今回の奄美豪雨災害で亡くなられた三名の方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 私は、十月の二十五日から二十六日にかけて、奄美の現地に入り、被害に遭われた住民の方々と懇談をしてまいりました。

 そこで、政府に求めたいことは、一つは、住宅の修理や土砂の除去など、災害救助法を全面的に活用して、法に基づく救助を直ちに実施すること、そして取り組みを強めることであります。

 二つ目は、激流とおぼれるほどの水位にさらされた被災住宅は、見た目には大丈夫に見えても、壁や床、天井などがだめになり、悪臭で大幅な改修や建て直しが必要になる場合があります。住宅の被害認定は、住宅としての機能、つまり、住み続ける上でその機能がどの程度失われているかを基準にすべきであり、現場でそのことが徹底されるようにすることが必要だと考えます。

 三つ目は、被災者の中で高齢者の占める割合が多く、住宅の修理や建てかえはもちろん、当面の生活に最低限必要な家財の買いかえも、年金生活者にとっては負担が重過ぎます。

 新たな支援策の検討も含め、政府に万全な対応を求めるものでありますが、大臣の認識を伺います。

松本国務大臣 お答えいたします。

 このたびの奄美地方の豪雨に際しましては、今先生もおっしゃられましたように、三名の方々が亡くなられました。私も御冥福をお祈りし、御遺族の皆さんに、本当に悲しみに暮れておられると思いますけれども、お悔やみを申し上げたいと思います。また、被災された方々にもお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

 私も、先生がいち早く現地に行かれて、しっかり皆さんの意見を聞いておられることを聞いておりまして、心強く思っておりました。

 まず、状況から御報告をしたいと思いますけれども、現在までに判明したところでは、亡くなられた方三名、負傷者二名、行方不明者は今はございません。住宅の全壊が七棟で、半壊四棟、床上浸水六百十三棟、床下浸水八百八十九棟、土砂災害等が今四十三件あっております。

 政府としても、十月の二十三日に東副大臣に現地に赴いていただいて状況を把握して、私も報告を受けてまいりました。私自身も、二十日の夜のすさまじいときに防災の部屋に参りまして、鹿児島県に電話をしたり、いろいろなことでお役に立てないかということも言ってきたところであります。二十一日の日に関係省庁の災害対策会議を開き、今現在、四回にわたってさまざまな、今できること、そして状況把握に努めているところであります。

 私も一昨日、奄美に参りまして、状況を見てまいりました。十日たって行きましたけれども、本当に被害のすさまじさをこの目で見て、しっかり政府としても対応していかなければならないなというふうに思っているところであります。早く家に帰りたいという高齢者の方々もおられました。

 そういう意味では、激甚災害の、きょう中井委員長もおられますけれども、しっかり後を受けて、これから何ができるか、まだすべてが見えておりませんので、どういうことができるか、まだまだこれからのことだと思います。また、被災者生活再建支援法等々もしっかり役に立つように努力をしていきたいと思いますし、関係省庁とこれからも連絡をとり合って、政府一丸となって頑張っていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

赤嶺委員 先ほど三点、具体的な要望を申し上げたんですが、ぜひ早急にその対処をとっていただきたい。

 それで、今度奄美に行きまして非常にびっくりしたのは、今回の災害の教訓でもありますが、通信手段が寸断をされて、孤立集落の被害状況の把握に時間がかかったという問題があります。国は孤立集落への対策を検討してきたわけですが、今までどんな手だてをとってきたのか、そして、今後、自治体任せにしないで、さまざまな事態を想定した情報収集、連絡の体制を責任を持って確保すべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 お答えいたします。

 先ほど言われました、今回の豪雨の課題としては孤立集落対策、あるいは老健施設であるとかグループホームであるとか、去年もありましたし、ことしもそこに大きな被害がありました。亡くなられた方もおられました。

 そういう意味では、そういった災害弱者のこともしっかりこれからの課題としてやっていかなければなりませんし、通信手段も、衛星と結ぶ通信があるわけですけれども、中越地震のときからの教訓で、孤立した集落にどうやって通信が復活するようにできるかということもやっておりますけれども、なかなかそこのところが予算の関係等もありまして、さまざまこれから今おっしゃったことに対しては手だてを講じていく覚悟でありますので、よろしくお願いいたします。

赤嶺委員 災害の被害は予算と抱き合わせに論じられる性格のものではないと思います。しっかりした対処を求めるものであります。

 次に、私はきょうは、今後の沖縄県民の暮らし、そして経済振興にとって中心課題でもあります米軍基地と経済の問題について聞きます。

 まず総理に伺いますが、沖縄には戦後六十五年たった今日でも広大な米軍基地が存在をしております。県土の一〇・二%、沖縄本島の一八・四%を米軍基地が占めています。陸だけでとどまらず、広大な米軍の訓練空域、訓練海域が設定されており、日本の領海、排他的経済水域であるにもかかわらず、漁業者が自由に操業できない状況になっています。総理、戦後六十五年たった今なおこれだけ広大な米軍基地が存在していることについて、まずどのようにお考えですか。

菅内閣総理大臣 沖縄において、まず、あの太平洋戦争の折に、大きな県民の皆さんを巻き込む陸上戦が行われ多くの皆さんが亡くなられたこと、そしてそのことは、歴史の中でも大変大きな出来事であり、私たちも忘れることができないことだと思っております。

 また、戦後長く米軍の施政権下にあり、日本に復帰をした後も多くの米軍基地を抱え、全国の七割を超える米軍基地が沖縄に集中している。極めて大きな負担を沖縄に負わせてしまっている現状について、そのことを何とか軽減していかなければならない、そういう思いをずっと持っております。

赤嶺委員 沖縄の米軍基地は、国際法に違反して、住民の土地を強制的に奪って建設したものであります。基地が置かれている場所は、地域の中心部の平たんな土地や眺めのよい場所を奪ってつくられました。基地の町では、住民は狭隘な土地にひしめくようにして暮らすことを余儀なくされております。

 嘉手納町では町の面積の八二・五%、金武町では五九・三%が基地に占められています。広大な土地を米軍に奪われているために、役場や学校や公園などの公共施設や道路、上下水道など、まちづくりの基礎すら十分に確保できない状況になっています。米軍普天間基地のある宜野湾市は、市の面積の三三・二%を基地が占め、市のど真ん中に基地が存在しているため、市の消防署も、本来、中心部に一カ所あれば全域をカバーできるのに、三カ所の配置を余儀なくされているとか、地域間の道路交通網も遮断され、生活道路も交通渋滞が慢性化をしております。上下水道はすべて迂回させて整備しなければならないため、管の距離が長くなり、自治体の財政負担も過重になっております。

 総理は、米軍基地がもたらすこうしたまちづくりへの影響、これについてはどういう認識をお持ちですか。

馬淵国務大臣 今先生の御指摘のとおり、まちづくりに対しても大変大きな制約要因となっているということを私ども十分承知しております。その上で、だからこそ、この社会資本整備をいち早く、私どもは沖縄振興の最も基礎の部分として取り組まねばならないと考えておりまして、これはもう先生よく御承知の、私どもが今日まで行ってまいりました振興の特別措置法、これによりまして社会資本整備を重点的に行ってきたものでございます。

 特に、今、下水の問題も御指摘がありました。給水などの水資源開発におきましては、今日までの取り組みによりまして、過去、給水制限日数、これは昭和四十七年から平成三年でございます、二十年間で一千百日あったものが、平成四年から平成二十年の十七年間で三十一日と短縮をされた。一定の成果を上げつつもありますが、まだまだまちづくりに大きな制約を与えていることも承知しております。

 引き続きまして、課題として、私ども、今御指摘のような今後のまちづくりに向けての対応というものを、この特措法の期限が切れますのが来年度末でございますので、それにかわる整備を行ってまいらねばならない、このように考えております。

赤嶺委員 まちづくりも米軍基地優先の社会なんです。

 まちづくりだけではありません。米軍基地は、沖縄の産業振興にとっても重大な障害となってまいりました。もともと、戦後の沖縄経済はアメリカ軍の余剰物資の配給から始まりました。県民は、沖縄戦と米軍による土地強奪で生活手段の一切を奪われ、米軍基地からの物資に頼らざるを得なかったわけであります。

 私の出身地は那覇市ですが、合併前は小禄村。その小禄村で、当時米軍のちり捨て場があり、米軍は、少しでも容器に傷がつくと、肉の缶詰や食料品、材木など相当の量を毎日のように廃棄しておりました。それを当時の村長が基地司令官にかけ合い、管理を村に移管するよう頼み込んで、物資を入札制にして一般の業者に払い下げて、村の財政の再建につなげていったという歴史があります。私の体験でも、当時養豚が盛んになり始めましたけれども、それは米軍基地から流れてくる残飯などによって支えられていたわけです。

 当時の米軍は、沖縄を施政下に置きながら、沖縄の産業の振興策は全く持ち合わせていませんでした。大規模な基地の建設の工事、駐留する数万人の米軍へのサービスの提供など、県民の収入は米軍基地の需要に依存せざるを得なかったわけです。これが基地経済の始まりであります。当時の沖縄の法定通貨は、米軍が発行するB円という軍票でありました。また、その後ドルにかえられ、基地への依存はますます深まりました。基地依存の経済から抜け出すということは、私たち県民の悲願でありました。

 ところで、総理、沖縄経済は基地なしではやっていけないとよく言われます。沖縄経済の基地への依存の割合、おおよそでいいんですが、どのくらいだと思いますか。総理の認識を聞かせてください。

馬淵国務大臣 お答えいたします。

 基地経済と呼ばれるその割合でありますが、県民総所得に占めるその受け取りの割合でいいますと五・四%。これは平成十八年度の数字でございますが、五・四%となっております。

赤嶺委員 五%台なんですね。丸ごと米軍基地に依存していた沖縄の経済が今は五%台です。復帰のときには一五・五%でした。一等地を奪われながら、優良農地を奪われながら、本土との交流を初め、県民が農業や水産業、観光産業に努力した結果、県の経済規模が大きくなり、基地への依存は今や五%まで低下をいたしました。最近出されました沖縄県の報告書の中でも、今やその動向が県経済全体を大きく左右することはなくなっている、このように指摘をしております。

 ところが、県経済の五%を占めるにすぎない米軍基地が依然として沖縄本島の二割近くの面積を占めております。米軍基地はもう経済で依存する対象ではなくて、基地の存在はもはや沖縄経済の発展にとって障害となっている、総理はそういう認識をお持ちですか。

中井委員長 北澤防衛大臣。(赤嶺委員「防衛大臣では答えられないですよ、沖縄経済の障害だと聞いているんですから。防衛大臣、答えられるんですか。答えられないでしょう」と呼ぶ)

北澤国務大臣 委員長はこの委員会の主宰者でありますので、御指名をいただきましたので、私も、今の赤嶺先生の質問に私が答えるのが適当かどうか、ちょっと迷ったところであります。

 以上であります。

菅内閣総理大臣 先ほど、馬淵大臣の答弁あるいは赤嶺委員のお話、五%程度ということまである意味では低下をしてきていると。

 ここにもいろいろな数字が出ておりますが、観光収入なども、昭和四十七年の三百億台から現在は十二倍になっている等々、そういったいろいろな分野での経済の発展によって、基地への依存が小さくて、それなくしても自立した経済が可能になりつつあるということは、私も今のお話も含めて認識をいたしました。

赤嶺委員 それだけじゃないんです。この九月には、沖縄県議会事務局が、県内すべての米軍基地が返還された場合の経済効果について独自に調査した結果を公表いたしました。

 これによりますと、今現在、基地がもたらす経済効果は四千二百六億六千百万円、すべての基地が返還された場合の経済効果は九千百五十五億五千万円、二・二倍です。雇用者の数でいえば二・七倍です。この数字は、返還後の跡地利用のインフラ整備を予測困難として含めていないなど、控え目の数字であります。

 私は、米軍基地が沖縄経済の最大の障害だということは、この調査でも明らかになったと思います。もちろん、基地が返還されて、その跡地利用を成功させる事業は並大抵ではありません。六十五年間、広大な米軍基地の存在によって沖縄の社会構造がゆがめられてきたわけですから。しかし、それでも試算をすると、基地がない方が二倍以上の経済の活性化につながる。もちろん、私たちはそういう道を切り開いていきたい。

 基地返還後の沖縄経済発展に新しい条件を基地の返還が切り開くのは間違いないと思いますが、総理、いかがですか。

馬淵国務大臣 基地に占められているその土地を活用することによって経済が活性化するのではないかという御指摘は、私もおっしゃるとおりだと思います。

 しかし一方で、沖縄の振興として、今日までに、現行使えるさまざまなリソースを活性化させていくということで、先ほど来お話ありますように、観光あるいはITという情報集約型の産業の移設ということを進めてまいりました。いわゆる高付加価値化ということであります。こうしたIT、観光、またこれらに続く新たな柱というものも考えていかねばならないとしまして、バイオやあるいは医療福祉といった分野の育成も取り組んでまいりました。人材の育成も十分に必要だと思います。

 私どもは、このように基地経済をこれから徐々に徐々に変えていく、いわゆる自立型の経済というものを沖縄の振興の中で中心に据えていかねばならないと考えておりまして、御指摘の部分も十分承知しながらも、一方で、我々が取り組むべき課題というものは先送りせずにこれは進めていく、そういった姿勢で今日も取り組んでおります。

赤嶺委員 馬淵大臣、たとえ沖縄本島の二割近くが広大な米軍基地に占められて産業の振興の最大の障害になっていても、振興策を内閣府が取り組むのは当然なんです。しかし、米軍基地が撤去した後の経済の展望、新たな条件を切り開くものになっているというのもまた事実なんです。

 ところが、政府は、米軍基地の縮小、撤去に取り組んでおられるか。SACO合意のときも整理縮小を言いました。米軍再編のときも、整理縮小、負担の軽減と言いました。

 例えば普天間飛行場の返還の問題でも、その移設先は辺野古であります。負担の軽減という場合に、必ず移設の条件がついてくるわけですね。辺野古は、海上ヘリポート案から始まり、軍民共用空港案、沿岸L字案、V字案、計画は何度も変更されました。この八月には日米両政府の専門家会合の報告書が出されたが、今度はI字案。十四年間一歩も進まないのは、それが県内基地のたらい回しだからなんですよ。

 そのよい例が、総理が民主党の代表選挙の出馬のときにも、最近も、それから、仙谷官房長官もこの間の沖縄県との政策協議会の中で触れている北部訓練場です。過半を返還する。ところが、過半を返還する場合に、その過半の地域にあるヘリの着陸帯、これも移転先に移せと。移転先は高江という集落ですね。そこには既に十五カ所のヘリの着陸帯があるわけです。ここに、もとの場所から六カ所を移したら、高江の集落は周りをぐるりとヘリの着陸帯に囲まれてしまう。夜間飛行もある。そして、人がロープでおりてくる訓練もある。

 恐怖におびえて反対運動をしたら、政府はその反対運動の座り込み、一時は八歳の少女まで裁判に訴える。沖縄県民が米軍基地の新たな建設に反対したら、国家権力がこれを裁判に訴えてこの是非を問おうとする。ここまでしてたらい回しを追求して、沖縄の基地が絶対に減ることはあり得ないと思います。

 県内移設を断念すべきだと思いますが、いかがですか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 沖縄の実情は赤嶺先生がおっしゃったとおりで、大きな負担をかけさせておるということは事実であります。

 私どもとすれば、普天間の基地をまず返還してもらうということと、それに付随して、グアムへ八千人、そして家族が九千人、さらには訓練移転を県外へ、さらには海域の返還、さまざまなもので実質的に負担が減るということを努力させていただくということで、今後もお話を申し上げていきたいというふうに思っていますが、我々も、代替施設が沖縄の中でたらい回しだという感覚ではなくて、より危険性の少ないところへ移転をして、その中で沖縄の皆さん方の負担を減らす、そういうことでこれからも努力をしていきたいと思っています。

赤嶺委員 ヘリパッドの、ヘリの着陸帯の問題にしても、十五カ所ある場所の高江の地域にあと六カ所つくったら比較的負担の軽減なんて、だれが認めますか。反対運動に立ち上がるのは当然なんですよ。防衛大臣、あなたが裁判に訴えているわけですから、この裁判を直ちに取り消していただきたいと思います。

 SACOの合意以降、政府は基地を受け入れさせるために、名護市を中心に莫大な振興策をつぎ込んできました。しかし、地域経済を無視した振興策は、経済を改善するどころか企業倒産が増大し、そして失業率も市の財政も悪化するだけでありました。名護市民はことし一月の市長選挙で、海にも陸にも基地はつくらせないと主張する稲嶺市長を誕生させました。市議選でも与党が圧倒的多数になりました。

 沖縄県建設産業団体連合会の前の会長の呉屋さんは、会長当時、基地絡みの生産額は県民所得の五%、基地あるがゆえの日常的な不安、危険など……

中井委員長 赤嶺議員に申し上げます。

 質疑時間が終了していますので、まとめに入ってください。

赤嶺委員 デメリットを総合的に勘案すると、普天間基地問題を契機に米軍基地を整理縮小していく道筋に大きく変えるべきだと思う、県民の危険や苦労を売り渡すような野卑な団体には成り下がりたくない。これが、経済界も含めて沖縄県の県内移設断念を求める一致した世論であるということを申し上げまして、質問を終わります。

中井委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 質問の冒頭に、防衛大臣がいらっしゃいますので、きょう海上保安庁のビデオが公開されましたけれども、同時に防衛省の方でもP3Cから船を撮っていた、ビデオを撮っていたというふうに私は聞いております。そして、防衛省は捜査当局ではありませんので、そのビデオについてぜひとも公開をしていただきたい。

 そのビデオがあるかどうかという事実と、そして公開する意思があるかどうかの事実について伺いたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 従来、防衛省がどういう態勢で監視をしているかということについては、我々の態勢を外部に知らしめるという意味で、お答えしないことにしておりますが、たまたまこのときは、P3Cはこの時点では飛行しておりませんでした。

浅尾委員 それでは次に、官房長官に伺いたいと思います。防衛大臣は結構でございます。

 私は、この中国との問題について、やはり日本側としてもとれることはやっていかなければいかぬというふうに思います。その中で、日本側に仮にミスがあったとすれば、それはどういうものだったかということも調べなければいかぬだろうなというふうに思っておりますが、深夜十二時に丹羽大使が呼び出しを受けました。当日、午後八時に来てくれという知らせがあって、政治主導だということで、官邸に、行っていいものかどうかとお伺いを立てたというような話を聞いておりますが、官邸に対して何時に中国大使から連絡があって、何時に行っていいという連絡をしたのか、その時間的な経緯を教えていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 官邸にお伺いを立てたという話があるがと、こうおっしゃいましたが、事前に中国大使館の方から官邸に、直接もしくは間接にそのような伺いは来ておりませんでした。我々は、丹羽大使が深夜呼び出されたということは、その後に知ったわけであります。

浅尾委員 今の御発言、もう一度確認いたしますが、間違いないということでよろしいですか。

仙谷国務大臣 少なくとも私との関係ではそのとおりでございます。

浅尾委員 確認ですが、私との関係、私の質問は、官邸にそういう連絡があったかなかったかということであります。

仙谷国務大臣 私が一応、総理を除いては、そういう意味での責任者でございますので、私が知らないということは官邸も知らないということだ、そういうふうに思います。

浅尾委員 私が質問するのは、丹羽大使がそういうことを伝えた人から聞いた話でありますので、いずれわかるだろうと思います。

 次に、人事院勧告の深掘りについて総理に伺いたいと思いますが、菅総理は、民主党の代表選挙の最中に、人事院勧告をいわゆる深掘りをするということを公約として掲げておりましたが、この点について間違いはございませんか。

菅内閣総理大臣 深掘りという言葉を使ったかどうかは別として、人事院勧告を超えて行うことを目指す、そういう表現だったと思います。

浅尾委員 国会図書館に御協力いただいて、菅さんの公約集も取り寄せて、確かに御指摘のとおり、人事院勧告を超えて深掘りを、深掘りというのは通称でございますから、「国家公務員人件費の二割削減に向け、人事院勧告を超えた削減を目指す」というふうに書かれております。人事院勧告を超えた削減というのは、当然ことしの人事院勧告ということになりますが、もう一度、仙谷官房長官に伺わせていただきたいんです。

 実は、代表選挙の投票日の前に、正確な日付もちょっと確認がとれておりませんが、九月の三日とか九月の六日とか、それぐらいの日付だったのではないかと思いますが、連合の古賀会長と会われたときに、仙谷官房長官は深掘りはしないというふうにおっしゃったということを、そのときの会談の模様から私は聞いておりますけれども、そういう発言をされた事実があるかどうか、あるいはどういう発言をされたのか、伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 九月六日に連合の古賀会長が私の部屋に午前九時にいらっしゃっておりますが、人事院勧告あるいは深掘りの話をしたかどうか、私は今記憶しておりません。

 もしその種の議論になったとすれば、従来から私が展開をしております議論、すなわち、組合員資格のある一般の職員、つまり管理職以外の者については、当然のことながら、代償措置である人事院あるいは人事院勧告、ここを無視して、労働組合と、あるいは職員組合との協議なくしてそのような労働条件の変更ができるという理論は、私は持ち合わせていない。つまり、労働基本権を付与して協議をしない限り、その種の、つまり、憲法上の権利を制約するための代償措置を吹っ飛ばすようなことができないということは、かねがね私は申し上げているわけでありますから、そのような議論になった可能性はありますけれども、ただ、そのときに古賀さんが来られたのが、今、浅尾さんが言われたような、人事院勧告問題が中心、あるいは人事院勧告問題で来られたかどうか、全く記憶がありません。

浅尾委員 私がこのことを取り上げるのは、確かに菅さんの民主党代表選挙での公約は「削減を目指す」と書いておりますが、人事院勧告というのは当然ことしの人事院勧告でありまして、それを将来の人事院勧告で削減を目指すというのでは、公約にも何にもならない。

 その菅総理の公約を受けて、民主党の中でも勧告を超えた削減に反対の人たちもおられるということは承っておりますが、そういう中で、一方で仙谷官房長官が、代表選の前に、それはなかなか難しい、あるいはそういうことはしないという発言をしているということが、表で言っていることと裏で言っていることと違うのではないかという意味で申し上げたわけです。

仙谷国務大臣 記憶が間違っていたので、訂正いたします。

 九月六日は、これは官邸で行われた連合との定期協議でございます。それから、私が先ほど申し上げた古賀連合会長との官邸における朝九時からの私との二人の会談は、これは九月二十七日月曜日の九時から約三十分弱、こういう時間であったことを改めて申し添えます。

 つまり、今、代表選挙云々かんぬんというのがありましたけれども、代表選挙が終わって二週間ぐらいたったときに、古賀連合会長と私の長官室で会った、こういう時間系列になるということを改めてここでお話ししておきます。

浅尾委員 きょうはテレビも入っていますから申し上げておきますと、私は、代表選の前にそういう話を聞いたという人から直接聞いていますから、その点は申し上げておきたいと思います。

 なぜ公務員人件費のことについて申し上げるかというと、具体的な数字で申し上げた方がいいと思いますが、資料はお手元に配付されておりますでしょうか。年金の官民比較あるいは一人当たりの人件費というのを、政府が出した数字に基づいて私どもの事務所でつくらせていただきましたが、今年度の当初予算に基づく、これは人事院勧告前ですね、国家公務員一人当たりの平均の人件費は一千二十二万円、地方公務員は九百十三万円。

 これは何でこんなに高くなるのかなと思っていろいろ調べたら、いろいろな理由があるんですが、一つは年金が、これは報酬比例部分だけの比較ですけれども、月額で厚生年金が七万六千二百九十七円。報酬比例ですね、基礎年金を除きます。国家公務員共済は十四万一千四百三十四円。月にこれだけ差がある。地方公務員共済は十六万五千百二十七円。

 だから、こういうところにメスを入れていかないと、全体の人件費にメスが入らないんじゃないか。既に確定した年金についてはなかなかメスが入れづらいと思いますから。

 きょうは、片山総務大臣、退職手当債は出さないということを言われた。総務大臣になられたのであれば、いわゆる退職金の調査対象から企業年金を一時金でもらったものを外す。これは法律改正は要りませんから、総務大臣が決めれば、それを人事院が調査に入る。退職手当債を鳥取県知事のときは出さないとおっしゃった。それは二重支給だから企業年金分の一時金を外すべきだと私は思っていますが、総務大臣、どういうふうに思われますか。

片山国務大臣 私が鳥取県知事時代に退職金の資金手当てのために起債を発行しなかったという問題と、今浅尾議員がおっしゃっていることとは、直接は関係ありません。

 議員がおっしゃっているのは、民間で、退職時に払うものと、それから、あと分けて何年間かで払うもの、このことをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、これはやはり、国家公務員と民間の企業の皆さんと制度が違いますので、同じ条件で調査をするということになりますと、民間の場合に、退職時に払うものと、それから、あと数年かけて払うものを合算して、国家公務員の場合は退職金は一回しか払いませんから、それと比較してどうかという調査をするのが公平ではないかと私は思います。

浅尾委員 いかにもわかったような御説明をされておりますが、今の説明を簡単に言いますと、民間の場合は、退職金の一部を月々の年金でもらいますというのが企業年金なんです。これを一時金でもらってもいいんだと。

 確かに、そういうふうにもらっておられる方は、先ほどお配りした厚生年金に加えて三階建て部分の企業年金というのが乗るから、国家公務員と数字が余り変わらないかもしれない。しかしながら、国家公務員、地方公務員というのは、そもそも民間と比べて八万円とか九万円とか月平均が多いんだから、企業年金分を一時金でもらったものを調査対象から外せばいいんじゃないかということを申し上げておりまして、これに対する答えを求めると時間がなくなっちゃいますので、そのことだけ指摘をさせていただいて、総務大臣、ぜひ検討をしていただければと思います。

 減らそうばかり言っていると夢がありませんので、少し夢が出るような話もさせていただきたいと思いますが、日本の株、大変落ちてきておりまして、そういう中で、企業が投資もしない、配当もしないというようなことで、キャッシュフローを抱えているのが一つの問題だというふうに私は思っております。

 先般、海江田経済財政担当大臣に、実は日本国はNTT株の三分の一、JT株の半分を株主として持っているわけでありまして、それぞれで配当金を今の倍とか、JTはもうちょっと配当をふやせるだろうと思いますから、もう少しふやせば、総額で国に入るお金は一千億円ぐらいふえるんじゃないか、NTTとJTが配当をふやせばほかの企業も追随するのではないかということを申し上げさせていただきました。

 先般お邪魔させていただいたときは、ぜひ検討したいということでありましたので、その考えについて海江田大臣に伺った上で、株を持っているのは野田財務大臣でありますので、財務大臣か総理に、その考えを聞いた上で感想を聞きたいと思います。

海江田国務大臣 先日は、御多忙のところわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。

 その席上、今お話のありましたように、政府がNTTの株それからJTの株を持っているから、この株の配当性向を高めれば国に対する収入がふえるのではないだろうか、こういうお話がございました。私もその場で検討するということをお伝え申し上げましたので、私なりに検討をさせていただきました。

 結論を申し上げますと、これはもう委員つとに御案内でございますが、まず、上場しております他の企業がどのくらい配当性向を実際にやっているかということをやはり調べなきゃなりませんので、平成二十一年度で調べますと、大体大手の三十社を調べた数字でございますけれども、三五・一%ということでございます。NTTの同じく二十一年度の配当性向を調べますと、三二・三%。ですから、大手の三十社の平均よりは少し低いということでございます。JTの方は、これより少し高くなりまして、四〇・一%ということでございます。

 ですから、その意味でいうと、やはり、まず国の持っている株に対して株主としての権利を行使してということだろうと思いますが、私の考え方では、当面、NTTなどはもう少し配当ができるのかなと思ったりしております。

 ただ、先ほど委員御指摘のありましたように、これは、株主権を行使できますのは財務大臣でございますので、財務大臣からしっかりとお話をお聞きいただきたいと思っております。

 ただ、先生がそうやっていろいろなアイデアを御提供いただきますことは、本当に……

中井委員長 海江田さん、短くして。

海江田国務大臣 はい、わかりました。感謝を申し上げております。

 以上です。

野田国務大臣 浅尾委員にお答えをいたします。

 NTT、JTの株式については、法律に基づき政府が保有義務がございます。その配当金を政策的に必要な産業投資の財源に充てる、こういう位置づけになっております。

 これに加えて、海江田大臣に何かつけ加えることがあるかというと、余りつけ加えることはないんですが、少なくとも、さっきお話があったとおり、他社の配当性向に比べると特に遜色があるというわけではございません。仮に、ほかのところに比べて遜色があるならば御指摘のような考えもあると思いますが、今のところ遜色はございません。

 いずれにしても、NTT、JTの設備投資等の必要性とか財務状況を勘案して、適切な配当を求めていきたいと思います。

浅尾委員 他社と比べれば遜色がないのは当たり前なんです。日本の会社自体が、今、投資もしない、そしてリーマン・ショック以降、銀行から大企業でもお金が借りられないかもしれないということで現金を持っているということなので、他社も配当していないし、投資もしていない。

 だから、そういう中で、国が元気を出せるのは、唯一、株主権を行使したらどうかということで提案をさせていただいたので、他社と比較してやっていませんということではちょっと残念だなということを申し上げさせていただいて、時間の関係で、多分、残念ながら最後の質問になってしまうと思いますが……

中井委員長 済みませんが、ちょっと、呼ばれた大臣で当たらない人に一言お断りしていただけますか。

浅尾委員 最後の質問で当たるようになると思いますので、御安心いただければと思います。

 最後の質問の中で、政府のTPPについて伺わせていただきたいと思いますが、内閣としての方針が固まっているのであればそのとおりですということだと思いますし、そうでないということであれば違う答えになるんだろうと思いますが、外務大臣はTPPをぜひやりたいということであります。

 私は、まず最初に伺いたいのは、農水大臣に対して、これは所得補償というものが入っていれば、市場価格が落ちたとしても何ら農家そのものに対しては、市場価格が落ちてもその同額が補償されている限りにおいては、生産された部分は全額補償されるということになりますので、要するに、TPPに参加した結果、市場価格が落ちても、農家そのものは影響がないのではないかというふうに思いますけれども、この考えは正しくないのか。正しくないとしたら、なぜ所得補償ではそれができないのかということを伺った上で、仮に市場価格が落ちた場合には補償されるということであれば、TPPに関連される大臣は、それについて異論があるかどうかだけ伺いたいと思います。

鹿野国務大臣 現在、モデルケースで米に対して戸別所得補償をいたしておりまして、来年度からは畑作物に対象を拡大していくという、これはあくまでも現在の国境措置を前提としておりますから、その前提の中で、農業者の人に再生産をしていただくというようなことで、そしてそのことによって、農村、農業の振興も図っていくし、自給率の向上にも資してもらいたいということなんです。ただTPPに参加というふうな問題とは全く違う一つの形でありますということだけは、御理解をいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 TPP全体の取りまとめを私の方でさせていただいております。十一月の上旬を目途に包括的経済連携に対する基本方針を取りまとめたい、そう考えております。

 一つは、アジア三十五億人、アジア太平洋で四十億人、このアジア太平洋のボリュームというのを我々はどう考えるのかということだというふうに思います。日本人の特質、日本の地政学的な位置づけ、そういったことを考えたときには、私たちは、このアジア太平洋のボリュームに打って出るということが改めて通商国家として宿命づけられている、そう考えておりますが、問題は、TPPは事実上三月にアメリカが参加をしてそこからの議論だという、この国民的な議論の時間的な問題というのが一つあります。

 それともう一つは、まさに今、浅尾委員がおっしゃったように、何としても、農業、農村の持続可能性というのは日本の懐の深さだというふうに私は思っています。ですから、これらを、二十年後、三十年後、あるいは五十年後を長期展望しながら、どうやったら持続可能な農業、農村をつくれるのか、そういうことをきちっと勘案しながら総合調整をし、総合的な判断を国益、国民益に基づいてしていかなければならない、そう考えております。

中井委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたします。

     ――――◇―――――

中井委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に富田茂之君を指名いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十七分散会


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