衆議院

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第6号 平成22年11月8日(月曜日)

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平成二十二年十一月八日(月曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 岡島 一正君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 小林 興起君

   理事 武正 公一君 理事 中川 正春君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    石田 芳弘君

      糸川 正晃君    打越あかし君

      小野塚勝俊君    大山 昌宏君

      笠原多見子君    金森  正君

      金子 健一君    川島智太郎君

      木村たけつか君    黒田  雄君

      小山 展弘君    近藤 洋介君

      高野  守君    高邑  勉君

      竹田 光明君    橘  秀徳君

      玉城デニー君    津島 恭一君

      豊田潤多郎君    中野渡詔子君

      長島 一由君    浜本  宏君

      早川久美子君    福田 昭夫君

      水野 智彦君    森本 哲生君

      山口  壯君    山田 良司君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      石破  茂君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    棚橋 泰文君

      徳田  毅君    野田  毅君

      馳   浩君    平沢 勝栄君

      山本 幸三君    遠山 清彦君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      山内 康一君    田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   法務大臣         柳田  稔君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       大畠 章宏君

   国土交通大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 馬淵 澄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   岡崎トミ子君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   海江田万里君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (「新しい公共」担当)  玄葉光一郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (公務員制度改革担当)  蓮   舫君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   衆議院法制局法制企画調整

   部長           伊藤 和子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    梶田信一郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    西川 克行君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    山口 広秀君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  糸川 正晃君     小野塚勝俊君

  川島智太郎君     大山 昌宏君

  高邑  勉君     中野渡詔子君

  津島 恭一君     浜本  宏君

  早川久美子君     近藤 洋介君

  水野 智彦君     笠原多見子君

  湯原 俊二君     木村たけつか君

  小里 泰弘君     平沢 勝栄君

  齋藤  健君     徳田  毅君

  馳   浩君     石破  茂君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     糸川 正晃君

  大山 昌宏君     川島智太郎君

  笠原多見子君     水野 智彦君

  木村たけつか君    湯原 俊二君

  近藤 洋介君     早川久美子君

  中野渡詔子君     高邑  勉君

  浜本  宏君     津島 恭一君

  石破  茂君     棚橋 泰文君

  徳田  毅君     橘 慶一郎君

  平沢 勝栄君     小里 泰弘君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  棚橋 泰文君     馳   浩君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十二年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十二年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局長官梶田信一郎君、警察庁警備局長西村泰彦君、法務省刑事局長西川克行君、観光庁長官溝畑宏君、海上保安庁長官鈴木久泰君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 九月まで一年間、経産大臣政務官として政府の中におりましたので、初めて与党として質問に立たせていただきます。

 国民の皆様から預かった大切な税金の使い方、補正予算、経済対策の質疑であります。緊張感を持って建設的に政策議論を進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に総理に伺います。

 総理、この二十年間、日本は全体としていわば緩慢なる衰退を続けてきたと思います。経済の大きさ、すなわち、名目のGDPを見ますと、十五年前の一九九五年と比べ日本は横ばいであります。お隣の中国はこの間八倍となり、ことしGDPで日本を抜き去ります。私たちは、長く守ってきた世界第二位という経済大国の地位を奪われるわけであります。ほかの先進国はどうかといえば、米国は二倍の大きさに膨れ上がりました。東西合併で苦しんだドイツも一・三倍となっているわけであります。日本だけ時計がとまってしまいました。

 総理、この経済失政の根本原因は何だと総括されていますか。また、政策の最高責任者として、今の日本経済の立て直しに最も求められている政府の姿勢というのはどういうものだとお考えですか。お答えください。

菅内閣総理大臣 近藤議員とも一緒に新成長戦略をつくってまいりました。

 私は、昨年の暮れにこの基本方針が出る段階で、第一の道の失敗、第二の道の失敗、そして第三の道が必要だということを申し上げました。今二十年という数字を言われましたけれども、私もほぼ認識は同じで、いわゆるバブル崩壊の後、一九九〇年代に入ってから何をやってきたか。最初のうちは、従来どおりといいましょうか、従来型の公共事業依存でありました。

 公共事業は、例えば一九六〇年代は、東京―大阪の新幹線、たしか二千億円の世界銀行からの借り入れをもってつくったわけですが、その後の大きな成長の推進力になりましたけれども、一九九〇年代の公共事業は、公共事業費そのものである程度潤うことはあっても、でき上がった本州四国やでき上がった数多くの飛行場は、ほとんど経済的な成長をもたらしませんでした。

 そういう第一の道の失敗があって、次にやってきたのが、小泉・竹中改革と称されたもの。これはデフレ下においてより効率的にやっていこうと。一見よく見えるんですけれども、デフレ下でデフレ政策をやった結果、個々の企業の幾つかは確かにいい業績を上げましたけれども、国全体としては、逆に格差が広がり、賃金が下がり、デフレ状況をより強めた。

 その二つが、この二十年間の我が国の経済の低迷の根本にある。もちろん、そのさらにベースには、子供の数の減少、そういったさらに大きな問題もありますけれども、そういうところに原因がある。それをいかに打ち破って成長路線に戻していくかが今私たちに問われている。

 これは議論になると思いますが、端的に申し上げれば、第三の道、つまりは、需要を拡大する、雇用を拡大する、そのために、ライフイノベーション、あるいはグリーンイノベーション、あるいはアジアとともに成長していく戦略、そういったものが必要だ、こう考えております。

近藤(洋)委員 総理がおっしゃったように、これまでの反省を踏まえて、まさに新しい方向性で政策のベストミックスを図る、これが我々民主党政権だ、こう思うわけでありますけれども、これを実行たらしめるためには、やはり何より重要なのはスピード感、そしてそれを実行させるのは総理のリーダーシップだ、私はこう思うわけですね。

 この二十年間、振り返りますと、我が国は十四名の総理大臣を大量生産し、そして大量消費してきたわけであります。この移ろいやすい政治が政治のリーダーシップを失わせて、国際的な信用も失墜させた。

 総理、日本経済の復活のために最低限必要なのは、菅総理が少なくとも衆議院の任期満了まできっちり務め上げて、石にかじりついても必要な政策を実行するという粘り腰の覚悟だと思いますが、いかがですか。

菅内閣総理大臣 まず先進国を見ても、アメリカの場合は、御存じのように、大統領が一たん決まって四年の間にかわるということは、よほど例外的でなければありません。二期八年が一般的になっております。イギリスなどでも、大体五年間は解散をしないで、それを二期続ける人あるいはそれ以上続ける人もあります。

 そういった意味では、日本の今言われた二十年間で十四人の総理大臣がかわっているというのは、私自身のことというよりも、日本の政治のやはり大きなマイナス点であったということは、これは客観的には言えると思っております。

 私自身のことを聞かれたのでなかなか答えにくいんですけれども、個人的にどうこうというよりも、少なくとも、政権を担当したときには、やはり日本でも四年間という衆議院の任期を一つのめどとして、四年間は一方の政党が頑張ってやってみる、そして四年後に解散・総選挙があったときに、それを継続するかしないかを国民の信を問う。そういう四年単位程度の考え方を、与野党が、昨年交代したわけですから、これからはそういうことがいわば政治的な慣例のようになっていくことが望ましい、私はこのように考えておりまして、私自身がどこまで頑張り切れるかはわかりませんが、今、近藤さんに言っていただいたように、物事が進んでいる限りは石にかじりついても頑張りたいと思っています。

近藤(洋)委員 ぜひ、石にかじりついてでも前に前に進んでいただきたい、このように思うわけであります。

 さて、現在の景気、経済状況についてお伺いしたいと思います。

 三カ月間、いわゆる四半期ごとの経済成長を見てみますと、民主党政権が九月にスタートしてから、実質GDPではプラス成長が続いています。自民党時代のマイナスからプラスに転じているんですね。ことし七―九月期の速報値はまだ出ておりませんけれども、間違いなくプラスだ、こう思っております。失業率も、わずかでありますが改善をいたしました。これは客観的な数字でありますが、政権交代は経済にとってプラスだった、こう総括できると思うんです。

 しかしながら、足元の十―十二月期はどうか。私の地元は山形県、地方でありますが、地元を歩くと、景気の悪さというのをやはりひしひしと感じます。製造業であれ農業であれ、大変厳しい。

 そこで、海江田経済財政担当大臣にお伺いしたいと思います。足元の我が国の経済状況、そしてこれから年明けに向けて、どのように分析をされているか、お答えください。

海江田国務大臣 近藤委員にお答えします。

 私の認識も近藤委員の認識と全く同じでございまして、特に十―十二月期に要注意だということは、就任以来一貫して申し上げてきました。

 先生も御高承のとおり、まず十月、これは新車の販売が二〇%マイナスになりました。これは、これまでございましたエコカー補助金がもうこれで打ちどめになったということでございます。あと、鉱工業の生産指数も、十月の予測でございますが前月比マイナス三%ということでございますから、その意味で、私どもは、九月までの月例経済報告は、回復をしつつある、持ち直しをしつつあるという表現でございましたが、十月の月例報告から、そこは足踏み状態に直したところでございます。

 そして、今お尋ねのありました来年以降ということでございますが、私どもの景気ウオッチャーの数字あるいは日銀の短観などでも、やはりこの先行きに対して大変企業の経営者などから懸念をする声が出ておりますので、その意味では、今議論になっておりますセカンドステップのこの経済対策、補正予算をしっかりと通していただいて、息切れすることのないように自律的な経済回復に向けてこれから頑張っていきたい、そのように思っております。

近藤(洋)委員 私も海江田大臣と全く同じ思いであるわけであります。大変先行きに危機感を感じております。

 菅総理、二年前を思い出していただきたいと思うんです。リーマン・ショックが日本、世界経済を襲った時期でありますが、時の自民党麻生政権は、ハチに刺された程度と言って秋の臨時国会で補正予算を組まず、状況を放置したんですね。本格的な景気対策は春に持ち越したのであります。このスピード感の欠如は、決定的な失政でありました。

 政権政党として、そして政権の責任としても、経済対策、第一段の予備費九千二百億円、先般実施をいたしました。そして、今回の第二段の五兆一千億円の措置、この早期実行が非常に重要だ、二年前の愚を繰り返さないためにも極めて重要だと思いますが、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 おっしゃるとおりでありまして、野党の皆さんの中には、このステップワンに当たるところを、同時に補正予算を出せばよかったではないかと言われる方もあります。しかし、御承知のように、補正予算を出せば、やはりある程度国会審議を当然予定しなきゃいけませんが、このステップワンは、既に今年度予算に組まれている、まさに経済危機を、ある意味ではそういう場合に備えて積まれた一兆円の中で残っていた九千二百億円をまず使う。これは、スピード感を持ってやろうとすれば、それが先行することは当然でありまして、それに引き続いて、今御審議をいただいている補正予算を組む、それも大車輪で最終的な予算案をまとめていただいて、今日審議をしていただいているわけです。

 ぜひとも、与野党を超えて、スピード感を持って審議を進め、そして成立をさせていただきたいと心からお願い申し上げます。

近藤(洋)委員 今回の補正予算は相当、野党自民党の方々、公明党の皆様、他党の皆様方の思いを受けとめた補正予算、こうなっておりますので、慎重審議の上、速やかに実行させなきゃいけない、こう思うわけであります。

 私は、総理、経済政策の目的というのは、国民一人一人の皆様に居場所と出番、すなわち自己実現の場やチャンスをつくることだ、こう思っております。その意味では、雇用を軸に経済政策を組み立てている菅総理の考え方はまさに正論だ、こう思います。

 しかし、その雇用が、急激な円高によって脅かされております。国内の製造業が海外に生産拠点を移して、それが一気に加速をしているわけであります。今回の経済対策では、低炭素型の商品、例えばエコカーやエコ家電、こういった製品や部品をつくるメーカーが試作品や製品をつくる、こうした工場の設備投資の費用を最大五割まで補助する新しい制度を盛り込んでおります。民主党は一部の方からアンチビジネス政党だとゆえなき批判を受けておりますけれども、今回の措置は、日本の経済構造をグリーン産業に構造転換する、この措置と雇用の拡大との一石二鳥の措置だと私は思うわけであります。

 これは、総理、どのような思いでつくられたのか。また、さらに、円高でどんどんどんどん海外に出てしまう状況の中で、企業にどんどん国内に研究拠点や工場を呼び込むようなプログラム、国を挙げてつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 本年の八月に、当時政務官であった近藤議員も同行いただきまして、北九州のリチウムイオン電池部品工場などを視察いたしました。そのときにお聞きしましたら、アメリカでもリチウム電池については大変関心があるので、ぜひ自分のところに工場をつくってくれとオバマ大統領のあるプログラムが提起をされ、一つの工場はそちらでつくられたそうであります。二つ目の工場をどうしようかというときに、私の政権でつくっていたこの低炭素型の産業に対する新たな工場設置の補助のそういったプランに対して、いや、日本でもこういうことをやってくれるのならそれを受けてやろう、そうした形で新たな工場が生まれている。それを一緒に視察をしたわけであります。

 特に、いわゆるグリーンイノベーション、低炭素型の産業はこれからの世界戦略とも言える産業でありまして、こういった高度の技術を持った産業を日本国内に残して、そして高い技術を日本国内で発展させることは、私は、まさに雇用の面からも産業の面からも極めて重要だと思っております。

 それに加えて、低炭素型産業立地補助金によってそうした工場が残ったことで、この地域、北九州で、山口県にも関連工場、関連した企業がたくさんありました、そういう皆さんも集まっていただきましたけれども、ぜひともこういったことをどんどん進めてほしいという提案もいただきました。

 本年九月、予備費を活用し、低炭素型産業の国内立地支援を一千百億円計上し、既に公募を始めております。また、国を挙げて投資を促す仕組みとして、北九州訪問の際、日本国内投資促進プログラムの策定を経産大臣に指示をし、国内投資の促進に向けて官民の行動計画を取りまとめることとしており、現在、幅広く産業界などの参加を得た国内投資促進円卓会議で議論を重ねていただいています。

 官民一体となって国内投資の促進とそして雇用の創出に全力をもって当たりたい、こう考えております。

近藤(洋)委員 まさに今、それぞれの地方で、円高で生産拠点が海外にどんどん移ろうとしています。やはり国を挙げて国内の立地を守らなければいけない、こう思うわけであります。

 そこで、大畠経済産業大臣。せっかくのこうした支援策も、これは使い勝手が悪いと意味をなさないわけであります。利用者の企業にとっては、こうした補助金をもらっても、利益が出たらこれは返してくれという従来型の収益納付のルールだと、メリットがなかなか出てこないわけであります。雇用をつくるのが目的でありますから、今後、この政策目的を達成した場合は、こうしたルールは柔軟に見直すべきだと思いますが、経産大臣、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 近藤委員にお答えを申し上げます。

 近藤委員も経済産業省の中でいろいろとこの問題についても取り組んでこられたことは承知をしております。

 ただいま御指摘のことでありますが、確かにそのような観点で見直すことが必要だ、こういうことで、今回、予備費を活用した低炭素立地補助金の充実に際しては、菅総理と北九州に一緒に視察に行ったということも聞いておりますが、そのようなことも踏まえて、金額だけではなく、補助対象要件の見直しや、そして企業の使い勝手の向上のために工夫をすることが必要だと思っております。

 例えば、エコカーや太陽光発電パネルなどの幅広いグリーン分野も対象とするなど、補助金の対象範囲をまず拡大したこと、それから、補助金交付に際し、特に経営環境の厳しい企業に対しては収益の納付を求めないこととし、会計処理にとらわれず補助金を活用しやすくする、このようなことも講じた次第であります。

 さらに、低炭素企業への大規模投資にも対応できるよう、補助上限額を五十億円から百五十億円と大幅に引き上げました。さらには、本事業は現在公募中でございますけれども、企業から大きな反響を得ておりまして、エコカーやリチウムイオン電池など日本が強みを持つ低炭素型産業について、投資促進や雇用創出などの効果が期待されるということであり、しっかりと成果が上がるよう、この問題についての見直しを進めているところでございます。

近藤(洋)委員 強い経済をつくるためには、その土台としての国内の物流網の強化も重要だと私は思うんですね。

 そこで、馬淵国交大臣にお伺いしたいのですが、今回の経済対策では、交通網のミッシングリンクの解消、すなわち、つながっていない高速道路をつなぐということが打ち出されました。菅総理が言った第一の道のような、野方図な、余り戦略性のない公共投資というのは全く意味がない、こう思うんですが、戦略的なこのミッシングリンクの解消というのは私は極めて重要だと思いますし、これは民主党政権として新機軸だろう、こう思うわけですね。

 今回の補正予算でも相当の措置を盛り込んでおるわけであります。既に着手しているもの、例えば、八年かかってできるトンネルを五年でできればそれだけ効果が早く出るわけでありますし、優先順位をきちんとつけた公共事業、これは経済活性化にも極めて有効だと考えますが、馬淵大臣、いかがでしょうか。

馬淵国務大臣 お尋ねのミッシングリンクの解消につきましてですが、これは今年度の補正予算で、私どもも明確に社会資本整備として項目として挙げさせていただきました。国土ミッシングリンクの解消など地域連携の推進ということで具体的な措置を掲げておりまして、国費で総額約一千二百九十六億。

 都市間を結ぶ高規格の幹線道路、これはまさに、近藤委員御指摘のとおり、経済の活性化に極めて重要な役割を果たすと思っておりまして、現に、例えば事例といたしまして東九州自動車道、これらの整備に関しましては、現在これはまだ完成しておりませんが、まさにミッシングリンクの状態でございます。これは経産省で計算したものというふうに聞いておりますが、九州地域全体で約三兆九千億の生産額の増加が想定されるとしております。また、新名神高速道路、これは平成二十年に既に亀山と草津田上でインターチェンジが開通しておりますが、ここでは、開発後、開通後、百六十九社の企業が二年間に進出をしております。

 御案内のように、まさに国土の幹線は日本列島の動脈、静脈であり、これが完成することによって経済の活性化というものが十分に期待できる、補正予算はそのことを目指したものでもございます。

近藤(洋)委員 国内の、やはり強い筋肉質の国土をこれからつくっていかなきゃいかぬ、こう思うわけであります。

 同時に、今回の補正予算では住宅対策も入っております。住宅というのも、リフォームを含めて、やはり国民が求めているもの、これをきちんと進めることが重要だということを指摘しておきたいと思います。

 さて総理、我が国が輸出戦略で韓国や新興国との競争に打ちかつためには、これは、単体の輸出だけではなくて、発電システムや鉄道システムといった、他国ではまねのできない、いわゆるシステム全体を輸出の柱にすることがまた極めて重要であります。こうした分野は、金額も何千億円、場合によっては一兆円という単位でありますから、民間のビジネスであると同時に、国と国との商談であろうかと思います。

 菅総理は先般ベトナムに公式訪問され、日本による原子力発電所の輸出契約の基本合意に成功されました。改めて、その成果とトップセールスの重要性についてお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 今、私なり私の政権に対して、外交的な面でいろいろと批判もいただいております。しかし、私は、政権ができて五カ月になりますけれども、いろいろと活動してきたことがいろいろな面で実を部分的に結びつつある。その一つがインドとのEPAであり、そして今指摘をされたベトナムとの大きな商談の成立だと思っております。

 実は、ベトナムのズン首相とは、私、この五カ月の間で、六月にはトロントのG20でお会いをし、そしてASEMのブリュッセルでお会いをし、そして、せんだってベトナムで行われたASEANの会議に引き続いて、私にとっては初めての公式訪問をいたしました。特にASEMにおけるブリュッセルのバイの会談では、表には余り具体的な中身は公表しておりませんが、ベトナムも南沙諸島の問題を抱えており、我が国の状況もバイの中では詳しく説明をいたしました。そうしたある意味での政治的な関係もあって、今回、政治的、戦略的な決定であるということをズン首相は、ベトナムとの、原子力発電所、さらにはレアアースの鉱山の採掘権のパートナーとしての我が国の受け入れ、これを決めていただきました。

 言うまでもありませんが、今のベトナムは、日本でいえば一九六〇年代ともいえる、まさに、それに加えて新幹線や高速道路や港湾のそういったインフラ整備が必要なときでありまして、そういったことについても相当踏み込んだ議論をいたしました。

 そして、これも今指摘をいただきましたが、従来、原子力発電所は単体の民間企業ではその後数十年に及ぶ管理の責任などが持ちにくいということが過去の幾つかの商談でありましたので、この間、その体制を整え、またJBICなど公的な金融機関の活用も準備をし、そういうことが積み重なってこの成功につながったわけでありまして、国民の皆さんにも、これからそうした地道といいますか積み重ねが次々と新たなアジアの成長を日本の成長につなげていくという戦略として花を開いていく、そのことをぜひしっかりと見守っていただきたい、このように考えているところであります。

近藤(洋)委員 まさに、総理、今回のベトナムの件は、民主党政権が発足して以来総力戦で取り組んできたわけであります。前原外務大臣もベトナムに行かれ、仙谷官房長官も行かれ、それぞれ、各大臣が行かれてチームで取り組んだ成果だ、こう思うんですね。

 やはり、日本は立派な技術を持っていますけれども、技術力だけでは勝てないというのがこうした国と国との商談でありますでしょうし、まさに総理がベトナムのズン首相と個人的な信頼関係も含めて築かれたことが花開いた、こういったことを政府を挙げて引き続き取り組んでいただきたい、こう思うわけであります。

 次に、日本銀行の副総裁、来ていただいておりますが、経済の血液、金融を担う日本銀行の政策についてお伺いしたい、こう思います。

 政府・与党が経済対策を検討していた十月五日、日本銀行は、包括的な金融緩和策として、実質的なゼロ金利政策、さらに資産等の購入として五兆円の基金創設を発表いたしました。お金の流れをよくすることで経済を元気にする、円高対策としての効果もあります。政策総動員が必要な今、踏み込んだ措置として我々も評価をしたいと思っております。

 ただ、各国とも矢継ぎ早に手を打っているわけであります。米国の中央銀行であるFRBは、先週十一月三日、日本円にして約五十兆円の資金を使い米国債の購入をするとの金融緩和策を発表いたしました。日本の十倍以上の規模であります。米国の中央銀行がじゃぶじゃぶとお金を流すことは、結果としてドル安・円高につながると見る人もいるわけであります。

 日銀として追加の対策を考える必要はないのか、この五兆円の基金を積み増すなどの策もあろうかと思いますが、副総裁のお考えを聞かせていただけますか。

山口参考人 お答えいたします。

 まず、私ども、先週末に金融政策決定会合を開催しましたので、そこで決めたことを御説明しておいた方がよろしいかと思います。

 まず一点は、我が国の景気についてということでありますが、私どもの認識としては、現状、回復のテンポというのは一服感が見られる、このように思っております。先行きについても、当面は景気改善のテンポが鈍化する、そうした状態が続くだろうというふうに思っております。さらにその先まで見渡せば、緩やかな回復経路に復していくというような判断に立ったということでございます。これがまず一点目であります。

 二点目といたしましては、そうした情勢判断に立って、金融政策としては、まず、実質ゼロ金利政策を継続するということを改めて決めました。それからもう一つは、私どもも、株式にかかわるような投資信託とか、あるいは不動産にかかわるような投資信託を買うというようなことを決めて、それを金融資産の買い入れ等の基金の中に含めることにいたしました。これについて、総額三十五兆円という規模でありますが、その体制を整え終わったところであります。

 実は、本日から国債の買い入れを早速始めることにいたしております。それから、準備の整ったものから、多分CP、コマーシャルペーパーですとか、それから社債、こういったあたりが先行しようかと思いますが、そういったものからの買い入れを始め、それから先ほど申し上げた株に関連した投資信託、それから不動産に関連した投資信託についても買い入れを行っていく、このような段取りで考えております。

 私どもとしては、十月の初めに決めました包括的な金融緩和策の効果がこうしたことによっていち早く我が国経済に浸透することを期待しているということであります。

 ただ、先生も御指摘のとおり、経済には下振れのリスクがあります。もちろん新興国の経済、あるいは資源国の経済を見渡していきますと、上振れの可能性ということもないではないんですが、やはり米国経済を中心とする不確実性というのはかなり高いというように思っておりまして、私どもとしても下振れリスクに相当注意して臨んでいく必要がある、このような認識に立っております。

 そうした上で、万が一、経済、物価の情勢について下振れがはっきりするというような状況になった場合には、私どもとしては、先ほど申し上げた基金の増額といったようなことを含めまして、機動的、弾力的な対応というのを心がけてまいりたい、かように思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひ副総裁、機動的にこの問題に対応してもらいたい、こう思うんですね。やはり経済政策も国と国との思惑のぶつかり合いであります。どうやって有利な状況をつくるかという競争でありますし、特に市場を相手にする金融というのは、瞬時にして流れが変わるわけであります。

 その意味からも、これは総理そして財務大臣に要請をしておきたいと思うんですけれども、白川日銀総裁とできる限り頻繁に会談をして認識を共有してもらいたい、こう思うわけであります。時には白川総裁と焼き鳥屋で一杯というわけにもいかないかもしれませんけれども、これぐらいの信頼関係をとったら本物だ、私はこう思います。クリントン元アメリカ大統領は共和党員であったグリーンスパンと寝室でも電話をし合った、とり合ったという話もございますので、ぜひ頻繁な連携、ここは要請をしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 さて、財務大臣、円高対策について伺いたいと思うんですが、為替は主要国による切り下げ競争の様相をこれまで呈していたわけだと私は感じます。第二次大戦前もこうした引き下げ競争があって、これは非常に危険な状況だ、こう思うわけでありますけれども、一方で、結果として強い円が生まれているわけでありますし、この強い円を生かす道もあろうかと思います。

 今回の経済対策の中で、八十兆円を超える外国為替資金特別会計の運用の一環として、外為特会から国際協力銀行に一兆五千億円を融資することを盛り込んでおります。海外の資源開発やインフラ投資など、海外での資産運用の円資金の原資になるわけであります。これは今までの政権にはない大きな判断だったと思いますが、野田財務大臣、どのような認識でお決めになったのかお答えください。

野田国務大臣 近藤議員のまず御要請の方の、日銀と緊密な連携をということでございます。これはしっかり受けとめて対応させていただきたいというふうに思います。

 その上で、先般十月八日に閣議決定をいたしました円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策の中で、近藤議員御指摘のように、外為の特会から一・五兆円をめどに、JBIC等が外貨資金調達等で活用できるようないわゆる環境整備をさせていただきました。

 この背景としては、党からの御提言、近藤議員もその取りまとめの中心的な役割を果たされましたけれども、そういうことを踏まえた対応として、円高は確かに輸出産業にとっては大変大きなマイナス要因でございますし、そこにかかわる中小企業、そこに働いておられる皆さん、円高の長期化というのは大きなマイナスです。それはなくすように全力を尽くさなければいけませんけれども、一方で、円高によるメリットということはあるわけでございまして、委員御指摘のように、海外資産を買っていくであるとか、あるいは企業の買収を進めていくとか、こういう事業は大いにこの際積極的に進めていくべきだろうということで、特にJBIC等を活用しながら戦略的に投融資をしていかなければいけないと思っています。

 その一環で、このたび外為特会から一兆五千億円をめどに外貨資金を供与し得る体制をつくらせていただきました。

近藤(洋)委員 この円高メリットの活用というのも極めて大事なことだと思っておりますので、積極的に進めていただきたい、こう思うわけであります。

 そして次に、中小企業対策、ぜひ伺いたいと思います。

 中小企業の経営者にとって、年末、年度末の資金繰り、大変悩みが深いわけであります。今回の補正予算案においても、資金繰り支援として五千六百億円を超える金額が計上されています。

 この補正予算でこうした中小企業の資金繰り需要にきちんと対応できるのか。また、来年四月以降、これまで続けてきた景気対応緊急保証制度、これは一〇〇%保証制度、こういうことでありますが、これを延長しないという声も聞かれますが、来年度以降の中小企業の資金繰りに不安が生じることはないのか。経済産業大臣、お答えいただけますか。

大畠国務大臣 近藤委員からの御質問でございます。

 まず、後半のところから明確にお答えを申し上げたいと思います。

 ただいま御質問がありました、景気対応緊急保証というのは来年四月以降は延長しないのかということでありますが、この件については、今までのさまざまな経緯を見ながら、リーマン・ショック以降の混乱期を初め、中小企業金融の円滑化に大きく貢献してきたと考えておりますけれども、金融機関がリスクを負わない、そういう側面もありますので、来年の三月いっぱいで打ち切るという方針にしております。

 ただ、御指摘のように、年末、年度末を控え資金繰りの需要は高まっている、そういう状況を踏まえて、今回の補正予算では、こうした資金繰り需要にきちんと対応できるような対策をとりたいと考えておりまして、委員からの御指摘のように、総額十五兆円規模の資金繰り支援策を盛り込んだところでございます。

 内容におきましては、借りかえ保証の充実に加え、特に業況の悪化している中小企業向けのセーフティーネットの保証や小口零細企業保証等における一〇〇%保証の継続、そして、日本公庫等による直接貸し付けの充実、こういうものを来年度以降も継続できるという体制をつくるための補正予算を組ませていただいたところであります。

 以上です。

近藤(洋)委員 相当思い切った予算を今回組んでいます。ぜひ早期成立をすることが中小企業の方々の不安解消への大きな一歩だということを申し上げたい、こう思うわけであります。

 次に、経済連携協定について総理にお伺いしたいと思います。

 私たちが何で稼ぎ何で雇用するか、この道筋を示し実行するのが民主党政権の使命だ、私はこう思うわけであります。残念ながら日本の人口が減る中で、医療や年金といった社会保障の財源を得る、そしてふるさと、地域社会を維持するためにも、国内の需要を拡大することに加えて、米国も含めたアジア太平洋という大きな市場を活躍の場とすることを今まで以上に進めなきゃいけない、こう思うわけでありますが、その中で、アジア太平洋各国で、TPP、環太平洋連携協定という動きがあるわけであります。

 内閣は先週末、この協定について、各国と協議をする方針を固めましたが、この段階で協議をするという意義について、総理、お答えください。

菅内閣総理大臣 週末六日に関係閣僚会議を開きまして、農業の再生を念頭に置きながら国を開くという、今後の我が国のあり方にとって重大な決定とも言える包括的経済連携に関する基本方針を策定いたしたところであります。これは、私は、これからの日本の新たな繁栄を築くための大戦略のまさにスタートだ、このように考えております。

 また、この基本方針の策定に当たっては、党の方でも大変多くの議論をいただきまして、提言をいただき、それも踏まえて策定をさせていただきました。

 今、近藤議員からもお話がありましたように、この十年といいましょうか、特にアジアにおいては、歴史のまさに分水嶺とも言える大きな変化が生まれております。そして、多くの新興国が積極的に国を開いて、それぞれが自由な経済圏を形成している中で、どちらかといえばアジアにおいては早く成長した我が国がそうした世界の潮流から取り残されつつある、そういう危機感を抱いてまいりました。

 また、同時に、我が国の農業の現状、私も改めて今いろいろ資料を見ておりますけれども、従事をしている人の平均年齢が六十五・八歳と高齢化し、このままでは、自由化云々ということを抜きにしても、農業がどんどん衰退してしまう状況にあります。そういった意味では、このことも放置をすることはもう一刻も許されない、こういう観点に立って、新たに農業構造改革推進本部を、私が本部長、そして鹿野大臣と玄葉大臣に副本部長という形で立ち上げて、農業の再生に取り組む、そして、抜本的な改革を進めながら、改革、開国をも進めてまいりたい、このように考えております。

 そういった意味で、TPPについては、国民の皆さんにもその実態などについてまだまだ御心配もあるかと思いますけれども、農業の再生と、そして国を開くというこの二つを両立させるために、これからも多くの議論を国民の皆さんとしながら、全力を挙げて取り組んでいきたい。

 かつて日本は百四十年前に鎖国から開国をして近代化を進めたわけでありまして、そういう意味では、それに続く平成の開国は、私は必ずや元気な日本を取り戻す大きな力になると確信をして進めてまいりたい、こう思っております。

近藤(洋)委員 日本の農業はまだまだ可能性がある、こう私も、私の地元も農業県ですけれども、自信を持っております。ぜひ総理主導で、農業再生プログラム、主導していただきたい、こう思うわけであります。

 最後に、松下経済産業副大臣、来ていただいていますが、松下副大臣はかつて自由民主党の農林部会長も務められた農政通であられます。また、九〇年代のウルグアイ・ラウンド交渉では、米輸入拡大反対と、ジュネーブで座り込みもされた武勇伝もお持ちであります。その松下副大臣が、今、TPP参加について検討すべしだということを主張され、また、ウルグアイ・ラウンド対策予算の愚策を繰り返すなと信念を持って御主張されています。

 これまでの経験を踏まえた松下先生のお考えを伺って、私の質問を終えたいと思います。よろしくお願いします。

松下副大臣 私は、国益は、林業、水産業を含めて、農を強くすることだ、そう考えています。同時に、産業界の根本的な改革もなし遂げながら、その力で外に向かっていくこと、これが日本のこれからの生きる道だ、そう考えています。

 私は、平成五年に、細川政権が誕生したその年に初当選しました。そのときはウルグアイ・ラウンドの最終局面でございまして、私は仲間たちと一緒に、米の自由化阻止、絶対これはとめなきゃいけないということで、仲間たちと国会前に、あの正門の階段前に座り込みました。十一月の三十日、十二月一日、寒かったですけれども、一昼夜、徹夜で座り込んだ後、ジュネーブに出かけまして、ガット本部の前で座り込み、農協の人たちとも一緒にデモンストレーションをして、サザーランド事務局長と直接談判をしてまいりました。

 それをきっかけとして、以来、自民党でございましたけれども、日本の農政のいろいろな政策の真ん中にいてかかわってきた一人でございます。今、私はその一人として、痛切に後悔し、反省しておるわけでございます。

 一つは、ミニマムアクセス米を受け入れて、そして七十七万トンの米が今、日本に毎年入ってきています。これからも入り続けます。七十七万トンという米の量は、日本人一千二百万人が一年間食べる米の量に匹敵します。それが十五年間入ってきています。これからも毎年入り続けます。初めの方は少ない量でしたけれども、これから毎年、一千二百万人が一年間食べる米に匹敵する量が入ってくる。

 今、WTOで、九百四十品目の重要品目の打ち合わせをしていますけれども、これを受け入れるとなると、百二十万トンの外国米を受け入れることになります。一千八百万から二千万人の日本人が一年間食べる米の量が入ってくる。それが日本の農政だけじゃなくて、日本社会に重くのしかかっているということなんですね。お金もかかります。

 一方では、農地の半分は耕作していない。その入ってくる米は、家畜の飼料やあるいはせんべいに使われています。日本の農地を使って、余っているのを使って、そっちにつくれないのか。そういう制度改革や体質改善ができなかったのかという悔いがあるわけです。

中井委員長 松下さん、熱弁ですが、時間ですので、短く結論を。

松下副大臣 はい。

 もう一つだけ、ガット・ウルグアイ・ラウンドの六兆円のお金の使い方です。

 これは、通常予算にプラスしてつけたお金でございますけれども、これが役に立たなかった。七割が公共投資。この間、農家一戸当たりの所得は、百五十九万から百八万に減りました。自給率も三%ほど減っています。ここを、もう一度過ちを繰り返してはならないということですね。

 もう一つあります。一緒に闘った、共闘した韓国は、一緒にジュネーブまで行って共闘したんです。その韓国が、十五年間の間に農政を改革し、産業界を改革して、外に打って出ていくということに変えました。やはり我々は、今こそそういうふうな努力をすべきだ、そう痛切に思っています。

 以上です。

近藤(洋)委員 終わります。

中井委員長 この際、打越あかし君から関連質疑の申し出があります。近藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。打越あかし君。

打越委員 おはようございます。民主党の打越あかしでございます。

 質問のチャンスを与えていただきましたことに感謝を申し上げながら、奄美の豪雨災害についての質疑をさせていただきたいと思います。

 総理、今回の十月二十日の奄美の豪雨災害、一八九六年に名瀬測候所ができて以来、足かけ三世紀にわたる観測の中で最大の二十四時間雨量を記録するという豪雨でありました。台風常襲地帯として災害に備えのある地域の方々でもびっくりするぐらいの状況でありました。

 まず、この奄美豪雨災害の早急な復旧支援、あるいは経済的に受けたダメージを取り戻すために、総理の決意を地元奄美の皆さんにお伝えいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 今、打越委員から、地元とも言える奄美について、豪雨のことについての御質問をいただきました。

 本当に、この豪雨で亡くなられた方、そして多くの方が家を失い、あるいは床上、床下浸水ということで大きな被害を受けられました。御遺族並びに被害に遭われた方には心からお悔やみやお見舞いを申し上げたいと思います。

 こうした地域が限定されたところに物すごい雨が降るということが最近のあちこちで起きている現象でありまして、それだけに、その被害を受けられた地域に対しては、政府としては全力を挙げて復興のために努力しなければならない、こう思っております。

 なお、このことは防災大臣がしっかりと取り組んでいただいておりますので、詳しいことは防災大臣にお聞きをいただければと思います。

打越委員 政府の対応でありますけれども、二十日、豪雨が降って、二十一日、二十二日、奄美空港の空港機能がシステムダウンをし、機能しませんでした。この間は海路でしか入ってこれない。二十二日の夕方に、現地の鹿児島県の知事が政府のヘリで現地に入りました。間を置かずに、翌日、この空港の機能が復活した直後に、防災担当の副大臣が現地入りをし、総理や大臣に報告をしていただきました。

 それから、ちょうど二十九日、松本防災担当大臣は、名古屋でCOP10の議長として、名古屋議定書あるいは愛知ターゲットを二十九日の深夜にまとめ上げて、三十日の朝、一睡もせずに現地に入っていただきました。私も一緒に同行して、一度も眠い様子もなく、本当に一生懸命、現地を視察、意見交換をしていただいた、そう思います。

 松本大臣、現地に立たれたときの思い、あるいはこの奄美の災害でもらった教訓、これからの取り組みについて、ひとつお示しをいただきたいと思います。

松本国務大臣 お答えいたします。

 打越委員も、発災からすぐ、何度も現地に足を運んでいただき、事情をしっかり聴取され、あるいは励ましていただいたこと、防災担当大臣として心から敬意を表したいというふうに思います。

 三十日に一緒に入りましたけれども、十日たっておりましたけれども、大変な状況だということを改めて痛感いたしました。そういう意味では、被災者の皆さん、そして亡くなられた皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 すさまじい豪雨の中で、今まで私ども取り組んできた課題といいますと、二十一日、発災の次の日に、関係省庁災害対策会議を開きまして、そういう意味では五回もやらせていただきました。これで十分とは思っておりませんけれども、そういう中で頑張ってまいったところであります。

 被災者生活再建支援法については、住用町があります奄美市、また龍郷町について適用をいたしまして、手だてを講じているところであります。また、激甚の指定につきましては、まだ発災から二十日ぐらいしかたっておりませんから、全体の額がわかりませんから、指定の基準を満たしているかどうかわかりませんけれども、そこは速やかに対応していきたいと思います。中井前防災担当大臣には、このことにつきましては強い意志を持っておられて、その意志を受け継いで私もやっておりますから、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 そして、今回の教訓につきましては、孤立集落があって、そこに通信が途絶えてしまった。携帯の問題等々あります。

 さらには、災害廃棄物の問題もありますし、老健施設とか老人ホームがやられました。そういう意味では、福祉施設に対する施策が必要かと思いますし、また、島々でありますから、なかなか寄りつきができないということで、海上保安庁の活躍は現地の方々に喜ばれました。そういう意味では、負傷者の運搬とかあるいは緊急要員の運搬とか、さまざまな問題が今度新しく課題として出てまいりましたので、このことにもしっかり取り組んでいかなければならないと思っています。

 いずれにしましても、関係市町村、鹿児島県等々と連絡をとっていきながら、一日も早い安心ができるような状況をつくっていくために、政府一丸となって努力をしていきたいと思います。

 以上です。

打越委員 今回の、これは離島の災害であります。二十一日、雨が降り終わった朝に、全島で、国県道だけでも三十九カ所が全面通行どめ、つまり島が四十カ所に分断をされているという状況で、通信がかなわない、固定電話もだめ、携帯電話については、民間の三局を合わせると八十局以上の中継局が電波がとまってしまったという状態が起きました。

 総務大臣、これだけたくさんの中継局が停波をしてしまったということについて、既に民間の方々が一生懸命復旧をされましたけれども、今後どのような形でこういうことが起きないように指導していけばいいのか、ひとつお示しをいただきたいと思います。

片山国務大臣 このたびの被害を見てみますと、予想を超える大雨によりまして携帯電話の基地局の通信設備が水没したとか、それから、基地局と局舎を接続する通信ケーブルが断線したことなどだと考えられます。

 さらに、今回の被害状況でありますとか原因を調べまして、その上で、電気通信事業者が通信設備の設置場所の点検それから見直し等を行いますように、総務省としては必要な指導をしてまいりたいと思います。

打越委員 これは復旧にまず時間をかけないことで原状復旧をしたと思うんですけれども、今後同じ雨が降ったときにはまた同じことが起きるという場所がたくさん出てきます。いろいろな意味でこの点検を指示をして、同じ災害のときにでも、少なくともこれ以上に情報網が確保できるようにひとつ頑張ってほしいなというふうに思います。

 先週、観光庁長官のところに、被害を受けました奄美の観光の皆さんあるいはつむぎ業界の皆さんが、力をかしてくれということで表敬訪問をされました。今回補正予算も組んでおることですし、元気な長官の出番ではないかなというふうに思いますが、この今回の被害を受けました奄美、暖かい島ならでは、これから冬のシーズンが観光のシーズンであります。このシーズンに向けた観光庁長官の支援の思いを述べていただきたいと思います。

溝畑政府参考人 奄美諸島につきましては、風光明媚な自然と、これを活用いたしましたエコツーリズム、グリーンツーリズム、また、大島つむぎに代表されます地場産業、プロ野球やトップアスリートなどのキャンプ地としてのスポーツ観光など、観光が基幹産業として極めて重要であるというふうに認識しております。観光庁といたしましても、奄美諸島の早急な観光需要の回復に向けて積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 具体的には、風評被害の発生拡大を防ぐ応援メッセージの発信、また、予算の議決が前提になりますが、平成二十二年度補正予算におきまして、新たな旅行需要の創出に係る旅行商品の造成支援ということが考えられておりますが、その中で、例えば、二月に行われます奄美桜マラソン、このようなスポーツイベントとの連携などを想定しております。

 今後、国、地方自治体、民間などが一体となった取り組みを通じ、奄美の観光復興に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

打越委員 長官、今から準備をすれば本人が走ることも十分可能だと思いますので、ぜひひとつ、桜マラソン、日本で一番最初の桜が咲く大島のマラソンに参加をいただければありがたいなというふうに思います。

 私も、この災害が起きた直後に島に入りました。一番やはり皆さんに喜ばれたのは、雨がまだ降り続いているときに現地に直行した海上保安庁の船であります。二十一日の明け方には現地に到着をし、道路、通信、さまざまなものが寸断されているところに海上からの支援が行われた。この海上からの支援が、人の移動、あるいは、けが人とか病人とか食料とか、そういったものの物資の輸送にも大変大きな力を発揮したということがあります。

 前々から御要望を続けているわけですけれども、今、鹿児島の本土の方にあります保安庁の巡視船二隻、このうちの一隻、防災ヘリを搭載した巡視船をこの奄美の方に常設配備ができるように、ぜひひとつ御検討をしていただきたいというふうに思います。

 地元鹿児島県は、十月二十日、発生と同時に、まさに災害救助法の適用を決定し、この十一月二日、被災者の方々の生活支援の再建支援法を適用いたしました。あとは、早期に激甚の災害を指定いただくこと、これがまず政府の最大の仕事であろうというふうに思います。どうぞ、この件についてもしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 あと、孤立集落がたくさん出てきたわけですけれども、少なくとも衛星を使った携帯電話等々については、全国では二万を超える集落が孤立化する可能性があると言われていますけれども、一斉にすべての集落が孤立するわけではありませんので、拠点になる地域には、少なくとも幾つか衛星を使った情報機器をやはり持っておいて、そして孤立したところにとにかく届けてやるというような体制を、優先順位の高い順番に進めていただければありがたいなというふうにも思っています。

 今回は、船のことに関しては、保安庁だけではなくて、民間の奄美海運を初め、いろんな海運会社も増発をしたり臨時便を出したりして、当面動けない間の人と車、物資の輸送に一役買ってくれました。また、たくさんのボランティアが現在も、今、復旧に向けて力をかしていただいていますし、島内外からたくさんの応援が来ました。特に、IVUSAという、国際ボランティア学生協会、全国の学生で組織をする、そういった組織も昨日まで現地で黙々と、ボランティア活動で現地の方々と一緒に汗をかいていただきました。この場をかりて、本当に心から支援に当たってくださった皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 それではもう一つ、離島の問題についてお話をしたいと思いますが、鳩山政権から菅政権にかけて、実に、離島の問題、いろいろと話題になっています。ことしの徳之島の問題、あるいは尖閣諸島、今回の奄美大島、いろいろ話題になります。日本はやはり島国だなというふうに感ずることがあります。六千余りの島々があり、その中に四百を超える人が住む島がありますが、この離島とどう向き合っていくか、どういう思いで離島政策を進めていくかということについて、菅総理の思いを聞かせていただきたいと思います。

 まず、島の持つ、無人島であれ有人島であれ、その役割をどう認識しているか、あるいは島の暮らしを守っている方々の悩み、課題というのはどんなところにあるのか、総理のお考えをお聞かせください。

菅内閣総理大臣 私も、個人的には島に出かけるのは大変好きでありまして、奄美大島あるいは屋久島、石垣島、あちらこちらに出かけて、時には水に潜ったりもいたしておりました。

 改めて離島の意味というものを問われたわけですけれども、私は、一つは、離島に限らず国の領土の中にできるだけ国民が、満遍なくという表現がいいかどうかわかりませんが、できるだけそれぞれの地域に人が住んでいることが、一つは国という意味では重要なのではないかなと。スイスなどはかなり山の高いところまで農業をやっているのも、農業政策であると同時に国土政策だという感じがいたします。

 そういう中で、離島においては、もちろん今日のように海洋の重要性がより高まった中では、一つの島が持つ意味が、場合によっては国全体の大きな、資源政策とかあるいは外交政策にも及ぶわけであります。そういうところにあって、それぞれの島でできるだけ生活しやすい環境をつくっていくということが重要だと思っております。

 いろいろと税のことなどもありますが、よく聞かされたのは、山田前農水大臣から、たしか山田さんは「島へ。」という本を出されていると思いますが、フランスなどでは、島ではいわゆる付加価値税が減免されて、補助金のかわりに税を下げることによって多くの企業などが立地して、そこで仕事が生まれるということもよく聞いております。

 いろいろと制約はありますけれども、今申し上げたように、いろいろな島で、生活がしやすい、そういう環境をつくっていくことこそが政治の役割ではないか、このように考えております。

打越委員 離島の皆さんにとって、一番最大の共通している課題は、経済活動を行うことについても、生活をすることにとっても、移動したりすることにとっても、すべてはコストが高いということです。そして、多くの場合、どの離島に住んでいる方々の所得も、全国平均の六割、七割しかないということであります。

 一番簡単な方法はあります。まず、島ではガソリン税を取らないこと、そのことについて私は常々訴えてきていますが、国交大臣……

中井委員長 打越君、時間が過ぎています。締めくくってください。

打越委員 わかりました。

 今、昨年の暫定税率の議論を党内でするときに、百六十円を超えたら暫定税率二十四・三円を下げようじゃないかということが既に制度として決まっています。しかし、日本の離島の中では、小笠原、奄美、さまざまな外海離島においては、とっくの昔に百六十円を超えている地域が現在でもある。ずっとそれ以上の値段で生活をし、経済活動を営んでいる地域があるということを十分に認識していただいて、今回、党の政調の方に離島政策PTを設置していただくことを決定いただきました。ぜひ、いい提言をどんどん政府に投げていきたいと思いますから、しっかりとそれにこたえて実行していただきますことを最後にお願い申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、武正公一君から関連質疑の申し出があります。近藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 補正予算について質疑をさせていただきます。

 今回の補正予算、公共事業の前倒しを含めますと五兆五百億円という予算総額でございますが、一つの特徴として、昨年、政権交代以来、国、地方を合わせると一千兆円と呼ばれる財政の債務、これをやはり何としても政権交代後、民主党を中心とする政権は何とかしなきゃいけない、こういった思いがこの間もあったというふうに思っております。

 そういったことが、この補正予算では借金をしないで財源を捻出したということは一つきちっと押さえておく必要があろうかと思います。やはり財政が大変厳しいこと、前年度であれば九兆円の税収が減であったこと、こういったことがあっての今回の補正予算といった中で、五兆円を超える予算というものをより有効に、そしてまた速やかに実行に移すためにもこの補正予算の審議があるというふうに思っております。

 そこで、今回の中身でありますが、まず真っ先に、新卒者の就職支援などの雇用対策で三千二百億円弱。そしてまた、先ほど来話がある新成長戦略の推進で三千三百億円強。そしてまた、子育て、医療、介護、福祉等の強化、一兆一千二百三十八億円。この中には、各都道府県に子育て支援対策の基金などの創設、こういったものも盛り込まれている、あるいは地域医療再生基金の拡充なども含まれているということでありますが、一番大きな額は、地域活性化、社会資本整備、中小企業対策等、三兆七百六億円ということでございます。

 特に円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策では、地域経済が大変厳しい状況にある、もちろん中小企業環境、新成長戦略支援を含めた地域活性化、これを図っていく、このことによって地域の生活の安心への寄与、そしてインフラ整備、地域雇用を支える中小企業支援といったことを含めた地域活性化を図るということ、地域から日本を元気にする緊急的な措置ということが一番大きな額として盛り込まれているわけであります。

 特に、地域に当たりましては、地域活性化交付金三千五百億円、これはそれぞれの自治体が自由に使える新たな交付金の仕組みということで大変注目を集めております。そして、地方交付税の増額一兆三千億円。

 こういったことで、今回の補正予算の一つ特徴が、地域を元気にする、地域により活力を与える、こういったところにあるというふうに考えるわけでございます。

 この地方分権、最近では地域主権ということでありますが、古くたどると、細川内閣で、たしか、バス停の位置を移すのに、霞が関に、運輸省に日参をしないとそれぞれの地域のバス停の位置を変えることができない、こういったことが、地方分権すべきということで一つ非常に特徴的に挙げられたことを思い出すわけですが、この間もそれぞれ地方分権は進んできたと思います。

 民主党でも地域主権調査会を立ち上げまして、私も会長を仰せつかっておりますが、その中には、今回、昨年当選された多くの議員の皆さんからもいろいろな御意見をいただいております。特に地方の首長経験者の皆さんからは、やはり補助金というもの、これまでも手を挙げて申請をしてきたけれども、実際のところ、本当に必要かどうかというところでははてなというものもたくさんあった。そして、何となく補助金をもらって得したように思えるけれども、実は三分の一なり二分の一なり地方自治体がその負担をしなきゃいけない。こういったことから、いわゆるひもつき補助金、霞が関でその基準をつくり、北海道から沖縄、九州までというと、やはりそれぞれ事情が異なると思うんです。

 北海道でいえば、もう雪も降り始めている、窓やドアは二重ドアである。沖縄、九州に行けば、当然、大変暑い地域であります。さりとて、先ほど奄美のお話もありましたように、台風の被害、こういったものに備える住宅事情。それぞれ地域地域において事情が異なるわけでありますから、そういったそれぞれの地域に合わせた自由にお金を使えるような仕組み、これを一括交付金化ということで民主党はマニフェストでも掲げてまいりました。

 そこで、この間、地域主権戦略会議、担当大臣としてまずお答えをいただきたいと思います。

 義務づけ、枠づけの見直しなども、四百三十六の項目のうち三百六十七が見直しを実施する、あるいはまた条項ベースでも、八百八十九の検討対象のうち六百三十一を実施する、こういったことを決めているわけでありますが、二十一兆円の、今年度の一般会計、特別会計合わせたいわゆる地方への補助金、内訳は負担金十七兆、補助金三兆、委託金〇・三兆、こういったものを総称しての地方向けの補助金。この中で特に投資関係、お手元の方にも資料を配らせていただいておりますが、三兆三千億円、これについて一括交付金化できないですかということを投げかけましたところ、各省庁から出てきたのがお手元の資料でございます。残念ながら、三兆三千億円のうち、一括交付金化しますよと言ったのは、三本、二十八億円にすぎません。

 こういった現状を踏まえて、またさらに再検討をということを求めているようでありますが、この間の経緯と現状、担当大臣、お答えをいただけますでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 私も首長を経験しておりまして、この補助金というものの二面性を痛感してまいりました。非常にありがたいんです、お金がいただけますから。ただ、使い勝手が悪くて、ある事業をやろうと思っても、そちらは補助金がないからできない、ところが、ある事業については、もう予算で満杯つけているのにまた補助金を使ってくれないかという、そういうこともあって、非常に過不足がある、融通がきかないという面がありました。あと、基準が全国一律であるという、先ほど議員がおっしゃったようなこともありました。

 ぜひこれを、大変ありがたいお金をもっと自治体の自由に、自治体の方のニーズに従って使えるようにしてもらいたい。そうすれば、多分節約もできるでしょうし、創意工夫によってより質の高い行政ができるだろうと私も実感をしたところであります。そういう方針で民主党政権が一括交付金化ということを掲げられたのは、私はまことに時宜にかなっていることだと思います。

 それで、私が就任する前からもうこの作業は進んでおりましたが、残念なことに、十月の七日の時点で、それまでに該当の各省から自由化、一括交付金化についての案をということでありましたが、先ほど来お話がありましたように、全体の中ではごくわずかのものしか自主的には見直しができていないということであります。

 これに対して、菅総理からも、非常に厳しい、関係閣僚に対する指示がありまして、自来、各省と見直し作業を進めているところであります。まだ成案を得ておりませんが、これは本当に、党の方針でもあります、内閣の方針でもありますし、自治体にとっても非常に有益なことでありますから、私も担当大臣として全力を挙げてこれに臨みたいと思っているところであります。

武正委員 お手元の資料でございますと、農水大臣、三千二百五十七億円のこの投資的な農水省の補助金、四十八本ということで、この本数からいっても非常に細かい、補助金の補助額も細かく分かれているのではないかということも容易に想像がつくんですが、この回答が対象外ということで寄せられております。

 今の地域戦略担当大臣の答弁を受けまして、今、農水省としての取り組み、お聞かせいただけますでしょうか。

鹿野国務大臣 自分たちの町は自分たちでつくっていく、こういう二十一世紀の国の形を目指していこうというのがまさしく民主党政権の基本であるわけでありまして、そういう意味で、一括交付金、どうしても進めていかなきゃならない。

 そういう中で、今、片山総務大臣から話がありましたけれども、農林水産省といたしましても、菅総理の指示を受けて、改めて私から、この一括交付金の推進について、具体的なことについての取り組みをしなきゃならない、こういうようなことを指示を今出しておるところでございまして、近々、改めて農林水産省としての一括交付金に対する考え方を出していきたい、こう思っております。

武正委員 ぜひ特段の取り組みをお願いしたいと思います。この一括交付金化の考え方については、できるだけ大きな枠組みで、しかも省庁の枠を超えてということなんですね。

 わかりやすく言いますと、私の妻の実家も長野なんですけれども、長野に行きますと、やはり大変広い農道がある、広域農道ですね、こういった広域農道があり、また別途、国交省の道路もある。これはわかりやすい例で、最近そういったものは解消しつつあるという話でありますが、そういった、それぞれ省ごとで同じようなものがないように、できるだけ省の枠組みを超えた大きなものでということを既に決定しているわけですので、お取り組みをお願いしたいと思います。

 そこで、地域戦略担当大臣に再度、国の出先機関、これはもう閣議決定で原則廃止というようなことが決められたわけなんですが、さて、これについては今どういう取り組みなのか、お聞かせをいただけますでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 国の出先機関につきましても、この内閣の方針としまして、民主党の方針として、原則廃止ということが打ち出されております。この原則廃止に基づきまして各省がみずから自己仕分けをして、それを持ち寄るということでありましたが、これについても十分な検討結果が得られておりません。それで、改めて総理の方から再検討の指示がありまして、それを今集めているところであります。

 まだ一部そろっていないところがありますけれども、これは実は、私も途中経過を伺ったりしておりますけれども、非常に真剣に考えていただいている結果まだ出そろっていないという面もありまして、これをできるだけ早いうちに、早急に関係省庁と話を詰めまして、年内にこれらについての改革プラン、アクション・プランをつくりたいと考えているところであります。

武正委員 それぞれの国の出先機関、これについて知事会からもいろいろな御意見がありまして、特に知事会からは、この後触れます国交省の国道事務所、河川事務所、そしてハローワーク、これについてやはり地方に任せてほしい、こういった声が特に強く上がっているわけですが、厚労大臣、ハローワークについての出先機関改革の現状、お聞かせいただけますでしょうか。

細川国務大臣 ハローワークの改革につきましては、私は、失業者、それから雇用する側の事業主、これらの立場を十分に考えて改革は進めていかなければというふうに思っております。

 これまで私どもの方からは、地方と国と協力をして、そこで特に失業の人たちに対する職業紹介、これを協力し合ってやっていこう、こういう提案をいたしたところでありますけれども、さらに、もっと踏み込んでできないか、こういう指示も受けましたので、新しく、地方が主導性を持てるような、そういう改革案をまとめたところでございます。

 その改革案につきましては、一つは、国と地方自治体が一緒になって、職業紹介だけではなくて、福祉の相談なども含めて一体的にワンストップサービスができるような、そういう仕組みを構築する。これは法的にも位置づけてやりたい。そして、地方自治体の一体的な運営には市町村も加わっていただく、こういうこと。そしてもう一つ、非常に大事なところは、これは今までかつてなかったのでありますけれども、自治体の方から、例えば知事さんの方から国の機関であるハローワークに指示ができるという制度を構築する、こういうことを今回改革案としてつくり上げました。

 これによって、都道府県の知事さんがハローワークに対してみずからの考えを指示して、政策を実現することができるようになりますし、また、失業者の皆さんも、ワンストップサービス、国の方からも、それから地方の自治体の方からも、お互いに協力をし合って失業者のためのことができる、こういう制度を提案させていただいたところでございます。

 ハローワークにつきましては、もう武正委員も御承知のように、雇用保険とそれから職業紹介、こういうのを一体的にやらなければいけないということとか、あるいはまた、ILOの八十八号条約などもありまして、私どもとしては、今回は、地方がハローワークに対して指示ができる、そういう思い切った提案をさせていただいたところでございます。

武正委員 私も、二〇〇六年ですか、行革法の質疑の中で、特に地方に、求人情報はもう既に与えるということだったんですが、求職情報、Aさんという方がどういう仕事を探しています、Bさんという方がこういった仕事につきたいと思っています、これは個人情報ということで、厚労省は地方自治体になかなか出せないということだったんですが、それを出すべしということで、勉強しますという時の大臣の答弁は得たんですが、これがずっとできないまま来ている。

 そういった中では、今回、今までの自民党政権時代ではできなかったこうした求職情報についても地方自治体、都道府県に任せるよということで、半歩前進というふうには考えるんですが、もう半歩、もう一歩と、ここはやはり身近な雇用政策を身近な自治体でということで、さらなるお取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 そこで、国交省、道路、河川事務所、出先機関改革についてお答えいただけますでしょうか。

馬淵国務大臣 お答えいたします。

 道路、河川、これにつきましては、もう御案内のように、従前から個別協議を進めておりました。これを平成二十年十月から、都道府県や指定都市と個別協議ということで、道路に関しましては、地域内の交通を分担していただくその道路に関して、また河川に関しましては、一級河川、それが同一の都道府県内でおさまるものということで進めてきたんですが、私も、この一年間、副大臣としてこの問題に取り組みまして、なかなかに、この個別協議という中では、自治体側からは要請されていないといったところで、ある意味、キャッチボールになってしまっているところがあります。

 今般、総理からも、大変強い意思でこれを進めよという御指示をいただきました。現時点で、私どもとしても、個別協議を行いながら進めていくという中では限界を感じております。むしろ、政治主導として、これは地域主権担当大臣であります片山大臣と私自身がしっかりと協議をして、国民の皆様方にわかりやすい出先機関の改革というものをお示ししなければならないと考えておりますので、その方向で今全力で取り組んでおります。

 したがいまして、十月末における提出に関しては若干の御猶予をいただいて、大変厳しい取り組みを全力を挙げて行いたいと考えております。

武正委員 ぜひ強いリーダーシップで取り組みをお願いしたいと思います。間もなく地域主権戦略会議も開かれる、そういったタイミングだというふうに思っております。

 そこで、総理には、今回、所信表明でも、五本柱、総理として、経済成長、財政再建、強い社会保障、地域主権の確立、そして主体的な外交、五本挙げている中にしっかりとこの地域主権の確立を挙げておられる。その思いを踏まえて、今の一括交付金化、出先機関改革についての現状をお聞きになったと思いますが、総理の決意を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 今言っていただいたように、この日本のまさに再生を図る重要政策課題がその五つだと考えて所信表明で申し上げました。中でも地域主権改革というのは、長年、地方分権という言い方でいろいろな制度改正が行われてきたことを私も見てまいりましたが、改正でかなりよくなるかなと思うと、結局何となくもとのもくあみ的になってしまう。結局は、権限や財源を中央が持って新たな制度をつくることでまたその権限をさらに拡大する、それの繰り返しではなかったかと思っております。

 そういう中で、今それぞれ、厚労大臣あるいは国交大臣からお話がありましたように、一括交付金、さらには地方出先機関の廃止、これらについて一たん一つの方向性をそれぞれの役所から出していただいたものが不十分だということで、今出し直しをそれぞれの大臣に指示をしてお願いいたしております。

 大変、まさに肉を切るような場面がだんだんと出てきておりまして、私として、それぞれの大臣に、場合によっては、だれがその問題を取りまとめて判断する担当の官僚なのか、役人なのか、そのことを明確にして、大臣や総理大臣が言ってもできないというのであれば、それは、できない人をそこに置いておくことがそのままでいいのかどうかという政策上の問題にもなりますので、そこまで含んでしっかりやってもらいたい、こういう指示を出しているところであります。

 武正議員も党の方でこの分野の責任者を務めていただいておりますので、党としてもそうした姿勢でぜひ御支援をいただきたいということもあわせて申し上げ、それぞれの大臣にさらなる努力を私からも強く指示をしてまいりたい、こう思っております。

武正委員 総理の力強い決意を伺うことができました。

 改めて国民の皆様には、身近な行政はできるだけ身近なところで意思決定を、あるいは国民の皆さんの声が直接一番届きやすい基礎自治体でさまざまな決定ができるように、これがやはりお金の効率的な使い方、効果的な使い方を生むんだ、これが今、菅総理が進める地方主権改革、地域主権改革であるということをぜひ御理解いただければというふうに思います。

 そこで、外交、安全保障に移りたいと思いますが、まず外務大臣に伺います。

 さきの日中外相会談でこのような報道が流れた。フランスのAFPでございましょうか、日中外相会談で東シナ海のガス田協議について合意した、こういうようなことが流れて、それをとって、その後の日中首脳会談が開かれなかったというようなことが言われております。あるいはまた、中国の外交当局者からは、日本の外交当局の責任者は別の国と結託して尖閣諸島の問題をあおった、こういうようなことの発言もあるということでありますが、さきの日中外相会談、私は、予定をはるかにオーバーする一時間二十分ということで、たしかヨウケツチ外交部長も、終わった後、非常に中身の濃いものであったということを言ったということも聞いているんですが、実際に、その中身について、どういう会談であったのか、どういう成果があったのか、お答えをいただけますでしょうか。

前原国務大臣 武正委員がおっしゃったように、当初三十分の予定が、一時間二十分にわたって話をいたしました。

 まずは、私の方から尖閣諸島についての日本の確固とした立場を申し上げた上で、相手側も話がございました。その上で、人的交流、東シナ海の資源開発、防衛交流、レアアースの問題、そして日中航空協議あるいは反日抗議活動、さまざまな分野について意見交換をいたしました。

 先ほどお話のあった二点でございますが、東シナ海のガス田協議の交渉の再開に合意をしたというのは、あれは誤報でございまして、そういったことを我々からもブリーフはしておりません。あくまでも誤報でございます。

 また、日米の外交当局者がという話でありますが、私がハノイに行く前にハワイに行きまして日米外相会談を行ったのは事実でございますし、共同記者会見の場で、ある記者から尖閣の日米安保適用についての質問がありまして、クリントン長官からそれについての明確な話があったのは事実でありますが、これは別に新しい話ではありません。従来からの話でございます。

 そういう意味においては、日中の首脳会談がハノイで行われなかったのは極めて残念なことだと思っております。今回、APECで胡錦濤国家主席もお越しになるというふうに私どもは聞いておりますし、ぜひ今回は、日中の首脳会談が横浜で行われて、そして、小異は残しても大局に立って、日中の戦略的互恵関係が進むという観点で首脳間が忌憚ない意見交換をしていただきたい、そう思っております。

武正委員 外相会談の内容も触れていただきましたし、いよいよこれから、APEC、それぞれの首脳会談が行われるわけでございます。十五年ぶりの日本での開催ということで、アジア太平洋の二十一の国と地域が集う中で、日本が議長国としてしっかりとリーダーシップを発揮すると同時に、そうした個別の、バイの会談をしっかりと充実していく。そのためにも、中身についてしっかりと言うべきことを言いつつも、お互いの互恵あるいはウイン・ウインの関係を築くためにも、堂々と外交、安全保障の任に当たっていただきたいというふうに思います。

 そこで、今回、尖閣のビデオ流出ということが起きておりますが、海保の長官も来ていますね、海保長官にちょっと伺いたいんですが、まず、改めて、今回の船長逮捕の容疑が公務執行妨害であることを確認したいというふうに思うんですね。

 というのは、外国人漁業規制法違反ということで、よく領海侵犯でなぜ捕まえなかったのかというお話がありましたが、これは、外国人漁業規制法違反ということで、すなわち、外国人が日本の領海内で漁業をしてはいけない、特別に農水大臣の指定を除く、あるいは適法に日本に在留する者で農水大臣の指定を除くということがありますけれども、外国人が漁業をしない、これがそうした法律の根拠ということでありますが、改めてそのことを確認したいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の事件につきましては、当該中国漁船の船長が私どもの巡視船に故意に衝突をさせ、海上保安官の公務執行を妨害したという容疑で裁判所から逮捕状の発付を受けまして、これに基づいて逮捕したということでございます。

武正委員 過去十年間、尖閣領海周辺で外国人の漁業規制法違反での検挙はないということも聞いております。ですから、公務執行妨害での摘発ということが、当該の海保、あるいは当然検察との協議ということもあろうかと思いますが、そういった中で行われたということだと思います。

 そこで、官房長官には、そろそろ記者会見で御退出ということもありますので、まず、今回、海保の船上で撮影されたビデオが流出した真相について、現時点でわかっているところをお聞かせいただけますでしょうか。

仙谷国務大臣 現在、関係機関におきまして、担当官を現地に派遣してビデオの管理状況等について厳しく調査を行っているというふうに聞いております。

 映像が流出した経緯については、現時点では特定はされておりません。さらに調査が必要であるというふうに伺っておりますが、流出した当該映像は、石垣海上保安部が、那覇地検からの要請によりまして、事件当時に撮影した映像から必要な部分を編集して那覇地検に提出した映像とほぼ同一の映像であったと報告を受けております。

 政府といたしましては、本件映像が刑事事件における証拠と同様の内容でございまして、その映像が流出することは、本件の捜査のみならず、今後の同種事件の捜査及び海上警備・取り締まり活動に重大な影響を与える、そういうふうに考えておりまして、可及的速やかに、刑事手続も念頭に置いて厳正に対応してまいりたいというふうに今考えているところでございます。

武正委員 あわせて、これまでも警察情報の漏えいということも起きました。古くさかのぼればイージス艦の漏えいというものも、あのときはファイル交換ソフトということもあったわけでございますが、そういった意味で、政府のこうした機密保持、国家公務員法では百条でしたでしょうか、守秘義務が課せられているわけでありますが、こうしたことで、こういった機密保持で何らかの検討が必要ではないかと思うんですが、官房長官にその対応として伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 結局、昔は文書そのものが持ち出される、あるいは文書のコピーが漏出するというような格好であったわけでありますが、現在のIT社会といいましょうか、要するに、情報そのものが電磁波の空間を通って出ていく、これにどう対処するのかということがいろいろな意味での観点から我々の課題だと思っております。

 情報保全の徹底については従来から政府も政府を挙げて取り組んできているわけでありますが、ネットワーク社会といいましょうかIT社会というものの進み方というのはどんどんどんどん速くなっていって、結果として現在のような事態に立ち至っているということを謙虚に受けとめて、この対応策というものを緊急に考え出していかなければならない。

 ただ、一つ、我が国の秘密保全に関する法令というものが、例えば国家公務員法の守秘義務規定に関する罰則というのは相当程度軽い。この罰則では、現在の罰則では抑止力が必ずしも十分でないという問題を抱えていますし、したがいまして、秘密保全に関する法制のあり方について結論を得るよう早急に検討を進めてまいりたいと思います。

 これに加えて、とりわけ機密性の高い情報を取り扱う政府機関や部署におきましては、機密情報へのアクセスの記録化、文書、データの持ち出し等の制限、データを保存する際の暗号化等、高度なネットワーク社会における情報保全システムにおいて必要と考えられる措置を徹底して情報保全の万全を図りたい、このことを緊急に行いたいと考えております。

武正委員 どうぞ、官房長官、記者会見の方に行っていただければと思います。

 国交大臣に伺いたいんですけれども、既に報道で、ビデオを石垣の海上保安部で研修教材として編集しているというような報道があるんですが、この事実確認。そしてまた、海保が全管区に対してビデオ映像に接触した職員がいるかどうか調査するよう通達したとの報道、これについての事実確認。また、インターネットで流出した映像が石垣海上保安部の閲覧制限のない共用パソコンなど複数のパソコンで閲覧できたとの報道がありますが、それぞれ、その事実関係について伺いたいと思います。

馬淵国務大臣 お答えさせていただきます。

 流出したビデオ、これは、先ほども長官の発言にございましたように、事件当時に撮影した映像から必要な部分を編集し那覇地検に提出した映像とほぼ同一の映像であるというものでありますが、研修教材として編集し、また研修用としてコピーしたことはないと承知しております。

 さらに、このビデオ映像に接触した職員がいるかどうか調査するよう通達したとの報道がございますが、これも、海上保安庁ではそのような通達は出していない、このように聞いております。

 そして、インターネットで流出した映像が閲覧制限のない共用パソコンなど複数のパソコンで閲覧できたとの報道があるが、これに対しての事実関係ということでございますが、業務用のパソコンは、起動時並びにインターネットの接続時にパスワードを必要とします。本来の使用者以外の者が容易にアクセスすることはできないもの、このように聞いておりまして、海上保安庁では、いずれにしても、徹底した調査を現在行っていると承知をしております。

武正委員 加えて伺いますけれども、石垣海上保安部警備救難課には捜査関係者以外も出入りができ、そこから流出したとの報道がありますが、これについてはいかがですか。

馬淵国務大臣 お答えさせていただきます。

 石垣の海上保安部警備救難課、ここには当直の職員もおります。だれにも知られずに部外者が容易に侵入することは困難と考えられます。いずれにしましても、これは海上保安庁にて、詳細、引き続き徹底した調査を行っております。

武正委員 先ほど官房長官は刑事告発も視野にということを言っておられましたけれども、これはグーグルのユーチューブに掲載をされたわけでありますが、このグーグルに対して削除要請など、どういう対応を行ったのか伺えますでしょうか。

馬淵国務大臣 お答えいたします。

 この削除要請につきましては、海上保安庁がユーチューブ、これは管理会社がグーグルでございますが、ユーチューブその他の動画サイトに対し、十一月五日未明から繰り返し削除要請を行っているところでございます。

 なお、グーグルに対して、IPアドレスの照会につきましては、検討した結果、司法手続の中で行う必要があるため、陸上における捜査権限を海上保安庁は有しておりませんので、行っていないということを承知しております。

武正委員 そういった意味で、やはり速やかに刑事告発をしていく、この必要があろうかというふうに思います。グーグルのそのIPアドレスを照会するためには、こうした司法手続の中で行う必要があるという、今の国交大臣のそういった答弁がそこにあるからでございます。

 今回の対応について、先ほど官房長官も触れておりますが、もう一つ、やはりこの間で、尖閣の問題についても、私も外務委員会等で、二〇〇六年から、石垣市長の要請を受けまして、固定資産税の評価についての上陸許可が出せないのか、こういったことを時の自民党政権に求めてまいりました。あるいは、既に報じられておりますセンカクモグラの保護について、環境省として対応ができないのかということを自民党政権時代に求めてまいりましたが、なかなかそれができなかったということがございます。

 今回また、国後へのロシア大統領の上陸、これは極めて遺憾であります。しかし、これも、経済と領土ということで、この間やはり領土問題が置いてきぼりになっていたということは否めないというふうに思います。

 私は、経済と領土以外にも、やはり日ロの間でいろいろな枠組みがあっていいんじゃないかというふうに思っておりまして、アフガニスタンについては麻薬対策、あるいは中東和平について、あるいはAPEC、今度日本が横浜で開催しますが、これが来年はアメリカ・ハワイ、そして再来年はロシア・ウラジオストクということでありますので、そういった意味での協力ということで、日ロのそういった対話の枠組みももっと広げていいんではないかというふうに思っております。

 私も外務副大臣を一年間務めさせていただきましたが、普天間移設については、やはり我々が野党時代、残念ながら、与党と十分、あるいは政府・与党と十分情報共有ができなかったという点が政権交代後の対応に影響を与えたことは否めないというふうに思っております。尖閣も国後も、これまでの外交、安保の課題を先送りしてきた面が露呈してきたことは私は否めないというふうに思っております。今すべきことは、与野党で情報共有をして、国会として政府とも連携をして外交、安全保障の立て直しをすべきだというふうに私は思います。

 今、先ほどお話がありました官房長官の対応でありますが、もう一つやはりすべきことがございます。

 内閣法の三条あるいは会計法の十条などで各省各庁が分担管理をする、そういう条項がございます。今度、国家戦略室も国家戦略局にということで、各省各庁の枠を超えてということが言われておりますが、私は、やはりこうした縦割り行政に横ぐしを入れていくような法改正が必要なのではないのか。今回、海保あるいはそうした検察である法務、国交、法務そして官邸といったことで、そうした各省各庁、これがそれぞれの対応をするのではなくて、官邸、内閣の統括のもと、総理のもと、しっかりと統括できるようなそんな法改正、あるいはまた機密情報の統括をする仕組みもあわせて必要ではないかとも考えるところでございます。

 そうしたことで、今回のこの事件、案件につきましてはしっかりと、政府挙げて、そしてまた国会も与野党の枠を超えて取り組んでいく必要があるということを重ねて申し上げたいと思います。

 そこで、最後、時間にもう限りがありますが、総理には、この間、先ほども話がありました、ベトナムでは二基の原子力発電所の受注に成功しております。また、日本とインドのEPA、包括的な経済連携協定についても、この交渉が完了ということがさきのシン首相の来日でも両首脳間で確認をされております。こうした成長戦略は着実に実を上げているというふうに思うわけであります。

 これについては、新成長戦略で位置づけた在外公館の拠点性の強化、あるいはまた、日本語教育については、三百七十万人の学習者がいるということで、日本語をもっともっと世界に普及しよう、それを通じて日本文化を伝え、当然、日本文化とあわせてまた経済も連携があるというようなことも含めて、新成長戦略の着実な実施が今求められているわけでありまして、今回も補正予算に三千三百億強盛り込まれておりますが、改めて、新成長戦略に対する決意、そしてそれを実行していく総理のリーダーシップを期待して、最後の質問とさせていただきます。

菅内閣総理大臣 外務の副大臣としていろいろと頑張っていただきまして、それぞれ重い質問をいただきました。

 特に、横ぐしという言葉を使われましたが、これは外交そのものにも、今御指摘のあった新成長戦略にも極めて重要で、私もこの立場になって、特に外交面では、外務省と官邸のあり方の中で、外務省がいろいろな現場的な情報を持っているわけですが、官邸自身には直接に、そういうインテリジェンスといいましょうか、そういう情報をしっかり把握する機能がまだまだ不十分で、各党から、そういった横ぐしを入れるというか、あるいはナショナル・セキュリティー・カウンシルのようなものをつくったらという御指摘もあります。

 また、今おっしゃった成長戦略の中では、私は、これはこの間、まだ短い一年間ではありますが、この民主党政権になってからかなり各省庁が連携して頑張ってきたと思っております。その結果、今御指摘のあった、これまで海外での原子力発電所はまだ一度も受注ができていなかったわけですけれども、ベトナムでそのことが可能になり、レアアースの採掘権も得ることができ、また、インドといった大きな国との間のEPAも成立をした。

 これからさらに省庁を超えた連携をしっかりと官邸中心に取り組むことによって、御指摘のあったような海外の成長、アジアの成長を日本に取り込んでいくという新成長戦略を着実に進めていきたい、このように考えております。

武正委員 ぜひ総理の力強いリーダーシップを期待したいと思います。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申し出があります。近藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 民主党の城井崇でございます。

 本日は、質問の機会をいただきありがとうございます。

 まず総理に、COP10の成果についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先月、愛知県の名古屋市で開かれました生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10では、遺伝資源へのアクセスと得られる利益の配分をめぐって各国の間にかなりの意見の相違が見られて、交渉が決裂寸前であったというふうに報じられておりました。

 しかし、会議の最終盤で、議長国である我が国日本の努力によって、各国が歩み寄りを見せて、名古屋議定書の採択、愛知ターゲットの合意など、大きな成果を上げました。

 総理、私は、このことは日本外交の大いなる勝利であるというふうに考えております。COP10の議長でありました松本龍環境大臣を初めとする関係者の皆様の御尽力をたたえるとともに、総理の所感をお伺いしたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 私も、全体としては、今、城井議員がおっしゃるように、大変大きな成果を松本議長のもとで上げていただいたと思っております。

 私も現地に出かけまして、地球の四十五億年の歴史の中で、四十億年前に地球上に生物が発生し、それからたくさんの種類の生物がふえてきた。これは、ある意味では奇跡的なことだ、宇宙の中でも奇跡的なことだ。それが、近年において非常に速いスピードでそういう生物の多様性が失われつつある。しかも、その原因が、多くは人間の活動にある。このままいったら、生物の多様性がなくなるばかりか、最終的には人間そのものもこの地球上に生存できなくなる、そういったおそれさえあり得るんだ、そういう立場であいさつをさせていただきました。

 そういう中で、大変難しい、厳しい議論ではあったと思いますが、夜を徹して行われた中で、議長の松本環境大臣のもと、ぎりぎりのところで議長案が提示をされ、それを多くの国が大きな一歩ということで合意をして、愛知目標、さらには名古屋議定書が決定されたことは大変喜ばしいことであり、大きな成果を上げていただいた、このように改めて感謝をするところであります。

城井委員 ありがとうございます。

 この成果を大きく生かしながら、来るAPECにおきましても、総理の大きなリーダーシップをぜひ発揮していただきたいというふうに思います。

 こうした菅内閣における成果というものをもっともっと発信していきたいわけでありますけれども、我々国会議員が地元へ戻りますと、私どもには国民の皆さんの厳しい声を最近では多くいただいております。

 ここからは、そうした厳しい声を直接伝えながら、幾つか短く質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、個人献金の促進についてであります。

 総理、今、我々の政治姿勢、特に政治にかかわるお金の扱いについて、国民、有権者から、我々が本気で取り組む気があるのかということが問われています。

 最近、民主党で方針を出しました企業・団体献金の再開に関しまして、苦言ともいうべき多くの厳しい声をいただいています。直近の共同通信の世論調査でも、六七・九%がマニフェストに反しており問題と世論は受けとめています。

 もちろん、単純に企業・団体献金イコール悪だと言うつもりはないわけであります。また、衆院選のマニフェストのとおり、三年後をめどに企業・団体献金を廃止する、それまでの暫定的な措置であるということも理解をいたしております。

 しかし、そこに潜む危険性、特に、特定の人と癒着をするという、その政治の陥る危険性というものを考えますと、献金については個人献金中心に切りかえていくことが理想だというふうに考えております。

 とはいうものの、これまではその促進策が過去の政権も含めて十分に図られてはおりません。若手議員の大半も、何とか踏ん張りながらでありますが、やはり苦労しています。

 そうした中で、企業献金に頼らない政治活動を確立している議員もおります。内閣の中では、馬淵国土交通大臣がその方だというふうに聞いております。

 馬淵大臣、個人献金中心で実際に政治活動はどれだけ、どこまでやれるか、御経験をお聞かせいただきたいと思います。

馬淵国務大臣 個人的な政治活動についてのお尋ねでございますが、現実に今日まで、政治家が企業献金を受けてきたという事実がございます。一方で、私自身は会社経営をしておりまして、利益を求める企業が見返りを求めるということは完全には排除できない、こう考えておりました。

 したがいまして、私自身は、政治活動の中で、一切の企業献金を受けない、さらには、企業献金の受け皿となりかねない政治資金パーティーを開かないというその思いで今日まで活動してきたわけです。

 大変恐縮でございますが、私自身は、子供のときから、軍人であった父から、渇すれど盗泉の水を飲まず、熱すれど悪木の下に憩わず、これは中国の猛虎行の漢詩にある一節でございますが、大変厳しく育てられたという思いがあります。

 その中で、個人献金は大変苦労します。インターネットなどの活用もございますが、基本的には、政治家が国民の皆様方、支持者の皆様方に一票を投じていただいたその思いと同様に、自律的な選択として政治を支える、政治を動かすというその思いを持っていただくことに、これは丁寧にお伝えをしていく以外にないと思います。

 私も浪人時代も含めて大変苦労いたしましたが、一人一人に伝えていく努力によって個人献金で政治活動を行うという可能性は私は無限に広がると思っておりますし、現にアメリカでは、オバマ大統領を初めとして、こうした個人献金のファンドレーズというものを進められております。この活動を、私自身は、広く政治家の皆様方に進めていただきたいという思いを個人的には思っております。

城井委員 ありがとうございます。信念に基づく御苦労の話、私自身も強く共感するところであります。

 ただ、仕組みがなかなかについていっていないというふうに思っています。仕組みの工夫が十分ではありません。

 私自身も、この個人献金ということに関しましては、一月一口五百円、毎月個人の皆さんから浄財をいただく、名づけてワンコイン維新という名前で運動を今取り組みを進めています。

 毎月定期的に少額の浄財をいただくという仕組みでありますが、ただ、実際にやってみますと、これは現在の法律では個人寄附の扱いにはなりません。毎月定期的ということでありまして会費の扱いとなってしまいまして、税制上の優遇を受けることができないということになります。本来は、こういう広く薄く支えていただくことが成り立つような、そうした仕組みにしていくことが必要だ、少額寄附の税制上の優遇というものが必要なんじゃないかというふうに思うわけであります。

 また、そうした取り組みを進めていくに当たって、今、ネット献金というものが少しずつ進んでいます。大手のポータルサイトなどの取り組みもありまして、徐々にふえているわけでありますが、まだまだ仕組みのハードルもあって進んでいないのが現状であります。

 こうした少額寄附の税制上の優遇ですとか、あるいはネット献金のハードルを下げるということ、この個人献金の促進の仕組みを進めるに当たって課題等がどうかというところを、それぞれ所管に、総務大臣、財務大臣ということになろうかと思いますけれども、短く、その見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 政治を国民が広く支える、政治家を支えるということは私は非常に重要なことだと思います。その意味で、個人献金、個人による政治家への浄財の寄附などを広げるということは大変結構なことだと思います。

 そういう意味で、一つの手法としてインターネットを活用するということがあります。これについては、現在の法制度では、インターネットによる個人献金を制約するということはございません。もちろん、個人献金一般で、寄附者の氏名とか住所とか職業とか、それから寄附金額とかそういうものがきちっと把握できれば、インターネットでも何ら問題はないと思います。

野田国務大臣 個人が行う政治献金に対しては、国等への寄附と同様に、所得控除、寄附金控除の制度が設けられています。これは平成二十二年度の税制改正で、その適用下限額が今まで五千円だったものが二千円になりました。少しはそれを助長する動きにはなったんだろうというふうに思います。

 また、政党または政治資金団体に対する政治献金については、税額控除制度が設けられておりまして、所得控除と税額控除との選択制がとられているというのが実情でございます。

 私も、去年の総選挙まで民主党の政治改革推進本部の事務局長をやっておりました。三年後に企業・団体献金をなくしていく、あるいはパーティーも企業、団体からお金をいただかないようにするという法律をつくった役割を私は果たしておりますが、今、政府の立場としては、こういう御議論は、さらなる税制上の優遇措置を含めて、公党間での御議論を進めていただくことが何よりも大切ではないかというふうに思います。

城井委員 ありがとうございます。

 やはり、今の御答弁からも仕組みの限界がまだまだあるというふうに思いますが、党は党の方でこれからも議論を進めていきますけれども、ぜひ内閣におかれても、その議論に資する取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 この個人献金の促進に関しましては、総理、クリーンでオープンな政治ということを繰り返し申している我々であります。このことに関して、民主党の代表でもあります総理の御決意をぜひお伺いしたいというふうに思います。

菅内閣総理大臣 国民の皆さんにもぜひお聞きをいただきたいんですが、今もありましたように、個人献金、私もそれが最も望ましいと考えて、できるだけそういう努力をしてまいりました。もう三十年以上前になりますけれども、亡くなられました市川房枝さんの選挙の折に、個人献金だけで千数百万円のお金が集まりまして、その内側でやったことが私の初めての選挙をお手伝いした中でありました。

 しかし、残念ながらといいますか、私も努力をし、かなりの割合は個人献金にお願いしておりますけれども、必ずしもそれが一般的に広がってこない。まして、政党に対する個人献金というものも、残念ながらそれほど広がってこない。そういう意味では、税制上の問題もありますけれども、なかなか難しい。インターネット献金も、私もいろいろやってきましたけれども、制度的には不可能ではありませんけれども、実質的には、そうした、アメリカのような何百万ドルなんという話にはほとんどなっておりません。

 そういった意味で、まずはこれは国民の皆さんに、やはり私たちが活動するのに、確かに三人のスタッフは国から費用が出ますけれども、三人では活動ができないわけですから、そういう費用をぜひ有権者の皆さんにも分担をしてもらいたい。もちろん、そのことのかわりとして政党助成金をいただいているわけですけれども、では政党助成金だけでいいのかという議論もあります。

 そういう中で、今問題となっています企業献金の問題もあって、私も企業献金が望ましいとまでは言いませんけれども、それによって政治が左右されることがあるような政治献金は望ましくない。そういう中で、個人献金が拡大するという期間的余裕を三年と見て、法律改正後三年間の経過措置としてマニフェストにうたったものに今現在従ってやっているということでありまして、百点満点ではないことはわかっておりますが、国民の皆さんにもそういった意味をぜひ御理解いただきたい。

 そして、今、城井さん自身が苦労されていることがある意味で国民の皆さんに理解されて、適正な個人献金が拡大できるように、私もいろいろ制度的な面を含めて努力していきたい、このように考えています。

城井委員 ありがとうございます。

 総理、厳しい経済状況の中で、地方は大変疲弊をいたしております。そうした中で、身銭を切って浄財で政治を応援いただく方々が厳しい目で、また熱い期待で我々の取り組みを見ております。ぜひ、ともに取り組みを急いでいただくことをお願い申し上げて、次の質問に参りたいというふうに思います。

 続いて、対ロシア外交について、総理と外務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 メドベージェフ大統領の北方領土への訪問がありました。日ロ双方の発展を損ねる本当に残念な出来事だというふうに思っています。

 政府でも既にさまざまな対応をしていただいておりますが、お伺いしたいのは、一時帰国をしていた駐ロシア大使からの報告の内容。そして、外務大臣、通告はいたしておりませんが、大使を帰任させたというふうに伺っております。その意図も含めて御説明いただけますでしょうか。

前原国務大臣 今回、メドベージェフ大統領が国後に訪問したということは、国後を含めて北方四島は我が国固有の領土であり、四島の帰属を確定させて平和条約を締結するという我が国の考え方からすると大変遺憾なことでございまして、抗議をしたところでございます。

 今回の背景について、どのような国内的な要因、あるいは他の要因を含めてあったのかということを直接聞くために帰任をいたしまして、一定のヒアリングは終わったということで、きのうモスクワに戻したということでございます。

城井委員 国内的要因という点にも今触れていただきました。ロシアから見ますと国内向けのアピールということなのかもしれませんけれども、これを国内向けということで捨ておくわけにはいかないというふうに思っています。

 今回のことをきっかけにして、北方領土問題への対応において、領土問題が未解決なんだというその前提そのものを修正させるということをロシアにさせてはならないからであります。

 そもそも、このメドベージェフ大統領の訪問について、なぜ事前に察知ができなかったのか。それまでのロシアの言動にも兆しはあったんじゃないかということ。その情報収集やインテリジェンスの能力強化が必要なんじゃないかというふうに思うわけでありますが、外務大臣の御所見をお伺いします。

前原国務大臣 新聞報道等で、あるいは午後の野党側の質問等でも、この問題を普天間の問題やあるいは尖閣の問題に結びつけて論じる向きがあるというのは承知をしておりますし、そのことについては私は否定はいたしません。

 ただ、この分析というものを客観的に、もう少しちゃんと見た方がいいと私は思います。

 先般、外務委員会でも私は答弁をいたしましたが、ロシアの政府高官等による四島訪問は二〇〇五年から極めて多くなっておりまして、今まで、副首相、外務大臣、国防大臣、あるいはサハリン州知事に至っては何度も訪問しているわけでありまして、それが二〇〇五年以降かなりふえてきております。

 なぜそこにそういった背景があるのかといいますと、資源の価格が上がって、石油や天然ガスの価格が高騰して、資源開発国であるロシアが財政的に潤って、今までは手のつかなかった一番端のクリル、千島列島あるいは北方領土、こういったところまでお金が来ることになってきた。

 二〇〇七年に、二〇一五年までの間のクリル諸島社会経済発展連邦特別プログラムということで、予算規模が合計八百十二億円というものが投入されて、第一段階はことしで終了します。第二段階は、来年から五カ年計画で、さらに国後、択捉、色丹を含めたところのインフラ整備、そして漁業資源、観光資源というところにお金がつぎ込まれていって、結果的には、我々が一番心配しているのは、経済的にまだロシアが北方領土に対してそれほどお金が行っていない場合には、そういったものをてこに領土交渉というものは行い得た面もあった。私も、この担当になってから、自民党政権がどんな領土交渉をやってきたのか、全部つぶさに研究をいたしました。いろいろな交渉をしていたということはわかりましたけれども、そのバックグラウンドの根底にはやはり経済的なてこというものがありましたけれども、逆に、北方領土のいわゆるロシア化が進んでいるということは、むしろこれは、領土交渉においては非常に我々にとって難しい局面を迎えつつあるということであるというふうに思っております。

 先ほど委員がおっしゃったような情報収集能力もさることながら、この北方領土のいわゆるロシア化というものがさらに強まっているところを踏まえて、北方領土の交渉そのものを根本的にやはり見直していくということは大事なことであって、私は、そういった観点からさまざまな取り組みを行ってまいりたいと考えております。

城井委員 今ロシア化というお言葉がありましたけれども、むしろ、括弧つきですが、日本化と申しますか、我が国の主体的な取り組み、特にインテリジェンスも含めての不断の見直しというところがやはり重要であります。特に、対ロシア外交ということでいうと、やはり、難しいですけれども、硬軟織りまぜた対応が必要であります。

 トップダウンの国であります。ロシアにおきましては、やはり首脳会談での関係修復というところは欠かせないものになるというふうに思っております。APECなど、あらゆる機会をとらえて、我が国の一貫した抗議の姿勢はもっと発信をしていくべきであります。また、国際社会に訴えかけて、ともにロシアに自制を求めていくという枠組みはやはりつくっていかなければなりません。その上で、我が国は、四島の一括返還を求めるとともに、経済協力の見直しなど、日本が持つ外交カードを最大限使える形にしていくということ。日ごろからの北方領土とのビザなし交流の促進なども含めて、我が国の対応に重みと現実味をやはり与えていかなきゃいけないというふうに私自身は思っております。

 以上を踏まえて、要は、今後であります。今後の対応をどうしていくか。特に、APECという大事なところを迎えます。首脳会談等の取り組みも含めまして、総理、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 ロシア、もともとはソ連と言われた時代に、六十五年前に、八月十五日の終戦の後に軍事的に占領されたところから始まっております。在住の日本人が全部日本に帰されて、そして、新たに別の地域からロシア人がそれらの島に強制的に近い形で移住をさせられたと聞いております。

 今、前原大臣からも背景についてもいろいろお話がありましたが、私も私なりに多少の調査をいたしてみました。そういう中で、ある時期までは、住んでいる人たちも、ソ連政府あるいはロシア政府の中央から見捨てられたような思いがあって、日本の支援に対して非常に意義を高く評価してくれておりました。やはり私が見るところ、橋本内閣のころ、エリツィン大統領でありましたけれども、そのころが、ある見方によれば、大きな変化をもたらす可能性があった時期ではないかという見方もあります。

 つまり、当時、エリツィン政権はスターリン批判的な姿勢をとっておりまして、スターリンがやったことをかなり自己批判いたしました。例えば、あのカチンの森のポーランドの事件なども、ソ連軍がやったことをかつてはナチのやったことと言っておりましたが、そういう意味で、スターリンのやった政策の見直しをやっていた時期に北方四島についての可能性が高まったという見方があったわけですが、その後、残念ながら、また機運がどんどん冷えて、今申し上げたような段階に至っております。

 一方で、資源的にいえば、ロシアは東に非常にウエートを強めておりまして、経済的な面でもこの地域を大変重視しております。

 長々と余り申し上げても、これ以上はやめますけれども、つまりは、全体的な絵の中で、歴史的にも、この六十年、百年の絵の中で今日どういう事態にあるかということをしっかり把握して、そしてこれからの大きな意味での戦略を立てていかなければなりません。

 例えば、中ロの関係においてもいろいろと指摘がありますけれども、しかし一方では、中ロの間でも経済的な問題で、例えばパイプラインを中国国内を通すのか通さないのか、いろいろな選択もあります。

 そうした資源外交の面で、一方では連携しながら、一方では我が国の要求をしっかりと伝えていく、こういったトータルな戦略が必要だと思っておりまして、ぜひ、今度のAPECのときにどういう形になるかということはありますけれども、単に一回の交渉や一回の会談でどうこうなるような問題でない深い問題でありますから、そうした六十五年にもわたる問題をしっかり踏まえて戦略を立てて、四島の返還のために全力を挙げたい、このように考えております。

城井委員 ありがとうございます。

 今後、日ロ首脳会談も含めて、さまざまな機会をとらえながら、厳重な抗議とともに、ぜひ今後についての真摯な話し合いをお願いしたいというふうに思います。

 次に参ります。

 事業仕分けについて、総理並びに行政刷新担当大臣にお伺いをいたします。

 これまでの事業仕分けで、税金の無駄遣いのやり口やパターン、その発生原因、相当に世間に明らかにできたというふうに思っております。そうした中、第三弾の前半戦、十月の三十日に終了を見たところであります。

 特別会計を丸裸にして国民の皆さんの前に明らかにするというふうに言っておりました特別会計の仕分けの成果、行政刷新担当大臣、その成果についてまずお伺いしたいというふうに思います。

蓮舫国務大臣 お答えいたします。

 先日行われた特別会計の仕分けでは、十八の会計、五十一の勘定すべてを対象にして、その保有している資産、中には埋蔵借金というものもございましたが、情報をすべて公開して行ってまいりました。

 成果についての御質問でございますが、まさに仕分け結果を受けて今改革に着手をしたところでございますので、現段階で成果がこれだとは明言はできないんですけれども、行政の透明化を飛躍的に高めた、これは大きな成果の一つだと思っています。

 これからの進め方なんですが、特別会計の中で行われている事業について仕分けを行って、その評価として、予算の圧縮であるとか見直しであるとか事業そのものの見直しと御評価をいただいたものに関しましては、行政刷新会議での審議を経て、各大臣のもとで再度御検討いただき、できる限り、可能な限り二十三年度予算に反映をしていくべく努力したい。制度仕分け、特別会計の仕分けそのものにつきましては改革の方向性をお示しいただきましたので、まさに特別会計法を担当する野田財務大臣、関係大臣と協議をして、検討をして改革を進めていく。

 いずれにしても、この国の限られた財源、税金が浪費されない、そういう国をつくるために努力していきたいと思っています。

城井委員 ありがとうございます。

 行政の中身を見えるようにしていくというところでは今回の前半戦も大きく貢献をしているものというふうに思っておりますが、本番はまだまだ続くというふうに思っています。十一月の十五日からは後半戦の再仕分けの本番が参ります。あの仕分け結果はどうなったのかといった、仕分け結果の反映状況を知りたいという声は国民、有権者の中に大変多い、そのように感じています。その意味では、再仕分けは、事業仕分けをパフォーマンスで終わったとは言わせない大事な仕事であります。私自身も、仕分け人として国民の期待にこたえるべく、ともに頑張りたいというふうに思っております。

 この再仕分け、国民そして納税者の皆様にここを見てほしいという注目すべき点について、行政刷新担当大臣にお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 お答えをいたします。

 これまで、事業仕分け並びに各府省にみずから行っていただいた行政事業レビュー、国丸ごと仕分けというものがあります。いろいろな角度から、税金の浪費があってはいけない、それを改めるための努力を行ってきているところなんですが、来年度の概算要求の中身を見ますと、これまで廃止と評価をされた事業が別事業としてゾンビ的に復活している疑いのあるもの、あるいは、本来削減すべき部分に、そこには手をつけずに、ほかの部分を削減して帳じりを全体的に合わせているといった疑いの例が指摘されております。

 行政刷新の私のもとで、こういうことがあってはならない、関係大臣と協議をして調整を行ってきているところでございますが、まずは、問題があると考えられるものにつきましては、各府省に対し確実な見直しを求めていく。その上で、なかなか見直しが進まない、問題があるのではないか、国民の皆様方の理解が得られない税金の使われ方という事業があるのであれば、再仕分けの対象として来週から行っていきたいと考えています。

城井委員 ありがとうございます。

 総理を初め内閣の皆様には、これまでの行政刷新会議等を通じて洗い出してきた無駄遣いの見直し、ここはきっちりやり切るというところがやはり大きなポイントかと思います。ぜひこの点、お願いをさせていただき、次の質問に移りたいというふうに思います。

 続いて、幼保一体化についてお伺いしたいというふうに思います。

 現在、政府の幼保一体化ワーキングチームでの議論も始まりました。結論が固まっているかのような報道がありますが、私は、これは事実とは異なるというふうに思っています。また、小さなお子さんをお持ちの保護者の皆さんにもこの議論の現状はつぶさに伝わっているというふうには思っておりません。広報の強化も必要であります。

 幼保一体化は手段であるということ、子供第一なんだということ、幼稚園の幼児教育そして保育所の保育といった経験の積み重ねを子供たちのために生かす発展的な見直しにすべきということ、最低基準は国の責任でしっかり守っていくんだということなど、現場の声を十分に踏まえて、基本的な理念、哲学を固めつつあるというふうに伺っています。

 少子化担当大臣、現在の政府での取り組み状況、基本的な考え方をお伺いできるでしょうか。

岡崎国務大臣 幼保一体化を含めました新たな次世代育成支援のための制度、財源、給付の包括的、一元的なシステムを構築するために、子ども・子育て新システムにつきまして、本年六月に少子化社会対策会議におきまして決定した子ども・子育て新システム基本制度案要綱に基づいて、現在、具体的な制度設計を検討中でございます。

 この幼保一体化につきましては、有識者、労使、地方団体、幼稚園・保育所団体、そして子育ての当事者の皆さんから構成されております幼保一体化ワーキングチームにおきまして議論を進めているところでございます。去る十一月一日に第二回目の会合を行ったところでございますが、その際には、委員の皆様たちが意見を持ち寄るための一つの素材といたしまして新しいイメージを指し示しまして、たくさんの御意見をいただいたところでございました。

 幼保一体化は、親の就労の状況にかかわらず、すべての子供たちに対して良質な教育あるいは保育環境を提供するものでございます。

 私は先日、東京にあります四谷のこども園を視察いたしました。この四年間、認定こども園として一年一年努力をしてきたその結果を、職員の皆様あるいは保護者の皆様から懇談をしていただきながら御意見をいただいて、すばらしい提言もいただいてまいりました。

 私は、これからもそうした丁寧な議論を積み重ねていくということ、議論を深めていくということにしっかり心を砕いてこのことを進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

城井委員 ありがとうございます。

 今、検討状況をお話しいただきました。仕組みの具体的なつくり込みはこれからだというふうに認識をいたしております。ただ、過去何十年も、この件に関しては挑んでできなかった。それはなぜかといえば、役所の縄張りの争いがあったからではないか、そのようにも思っております。

 しかし、そのことをあげつらっても待機児童は解消されませんし、少子化で幼稚園の相当な数が統廃合を結局余儀なくされるという状況になります。財政危機の問題も考えますと、保育所も例外ではありません。一筋縄ではいきませんけれども、今だからこそ、幼保一体化の改革、道を切り開いていかなければなりません。

 総理、子育ての支援の今後の方向性、今幼保一体化のお話をいただきましたけれども、それを含めた子ども・子育て新システム、あるいはその裏表になりますワーク・ライフ・バランスの推進も含めて、総理御自身の口から、子育て支援に国は本気なんだということをぜひお示しいただきたいと思いますけれども、お願いできるでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず基本的に、我が国において、比較的高齢者に対するいろいろな福祉的なサービスは、まだまだ不十分な点もありますが、かなり充実をしておりますけれども、子供に対する点では、相対的にまだ水準がそう高くありません。また、私は団塊の世代の生まれでありますけれども、当時は一年間に大体二百万人の子供が誕生しておりましたが、今日はほぼ半分になっておりまして、このままいけば急激な、既に起きておりますが、少子高齢化、さらには人口の減少が起きてくることになります。

 そういったあらゆるところから考えて、やはり社会として子育てを支援するという基本的な考え方、まさにチルドレンファーストという考え方を戦略的にもとっていかなければならないときに、もう遅いぐらいでありますけれども、来ていると考えます。

 そういった意味で、今答弁もありましたけれども、子ども・子育て支援は内閣の最重要課題でありまして、ことしの一月に子ども・子育て支援の総合パッケージ、子ども・子育てビジョンを閣議決定いたしました。その中に、チルドレンファースト、社会全体の子育てという基本の考え方の中で、子ども手当といった現金給付、保育所の待機児童の解消、さらには幼保一体化を含めた新たな次世代育成支援のための包括的な一元的な制度の構築、さらにワーク・ライフ・バランスの実現など、バランスのとれた総合的な政策を講じることといたしております。

 その中で、待機児童に関しては、待機児童ゼロ特命チームも設置をし待機児童についての検討を始めたところでありまして、この子ども・子育てビジョンに基づいて、子供を安心して産み育てられる社会の構築、一方で、待機児童がなくなることによって働きたい女性により大きな可能性を広げるという、一体的に進めてまいりたい、このように考えております。

城井委員 ありがとうございます。

 民主党の側でも、子ども・男女共同参画調査会におきまして、今幼保一体化の議論も進めております。そうした部分の提言も含めて、ぜひ現実味のある子育て支援の政策を一日も早く実現していきたいものであります。

 次に移らせていただきたいと思います。

 続いて、検察のあり方について法務大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 検察の在り方検討会議が設置をされたと聞きました。メンバーも決定したというふうに聞いております。十一月の十日に第一回会議を持つというふうに伺っておりますけれども、問題は、いつまでに結論を得るのか、このことであるというふうに思っています。国民の関心は極めて高い。スピーディーな検討が求められております。法務大臣、いかがですか。

柳田国務大臣 現段階でいつまでに提言を行うか、確たることを申し上げることは控えさせてもらいたいと思いますけれども、この検討会議においてはいろいろなことが検討される予定になっております。そういった意味では、できる限り頻繁に会議を重ねていただきたいし、十二月中には最高検の検証チームの結果も出るというふうに聞いていますので、その結果も踏まえて、できるだけスピード感を持って検討を進めていただきたいというふうに考えております。

 すぐできるものはすぐ結論も出るでしょうし、難しいものは時間がかかるかと思いますので、先ほど申しましたように、スピード感を持ってやるということだけはお答えできるかと思います。

城井委員 ありがとうございます。

 控えたいということでありましたけれども、これは相当に急ぐべきだというふうに私自身は思っています。

 検察の問題点の洗い出しは、正直言って今に始まった話ではありません。これまでにも、民主党内においても相当に議論を尽くしてきている部分でもあります。そして、各地域におきましても、検察の仕事というのは日一日と進んでいくわけであります。その信頼を一日も早く取り戻していくために、一日も早い対応、取り組みというものをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 最後に、政府の機密情報の管理について官房長官にお伺いしたいというふうに思います。

 先ほど、武正理事からも質問のありました尖閣のビデオの件であります。今手元に、本日の日経新聞の記事を持っております。見出しだけを読みますと、「尖閣ビデオ 海保、研修用に編集」などと出ております。総理、こういうことでいいんでしょうか。国土交通大臣、こういう記事がそもそもなぜ出るのか。真偽のほどは先ほどの答弁でありました。しかし、こういう記事が出てしまうきっかけを何かが与えているということは極めて問題だ、本当に大きな問題だというふうに私は受けとめているわけであります。

 特に、今回の問題で極めて難しいと思っておりますのは、いわゆるネット流出に対しての対策、特に先ほどの御答弁でも少し触れておりましたが、いわゆるデジタルデータの管理、この必要性、ここがなかなかに難しい。罰則だけでは踏みとどまらない。物理的な対策を講じていかねば防げない。ネットにつながないパソコンということになるんだろうけれども、そうした部分を含めて、これまでの情報流出を見ますと、例えば、流出した例の警察情報がありました。あのPDFのファイルは、そのデジタルデータの中身がかなり詳細になっているがために、文字でその中身を検索することすらできてしまうような状況であります。

 先ほど、ユーチューブを所管しているグーグルにその情報の提供請求をしたかという質問が武正理事からもありましたけれども、そうした部分も、今起こるというふうに想定された問題ではなくて、以前からこういうことはあるんじゃないか、そういうことを想定した日ごろからの部分とやりとりというところをやはり積み重ねておかねば、いざというときに問題が出てくるんじゃないか。政府の情報管理が怠慢じゃないかというふうに言われることが、我々はやはり心苦しいわけであります。

 そうした部分について、官房長官、このデジタルデータの管理、先ほどのお答えでは少し足りないというふうに思っております。ぜひ一歩、二歩と踏み込んだお答えをいただきたいと思うわけですが、お願いできるでしょうか。

仙谷国務大臣 日々発展するといいましょうか、進歩するといいましょうか、ITの世界の情報技術というものが進んでいっているわけでございまして、当然、このシステムに対する政府情報の管理というものが考えられなければならないと私も思っております。

 平成十八年から、前々政権、前政権でも検討がなされてきたわけでありますが、追いついていない。我々も、政権を預からせていただいてから一年でありますが、そのことについての深刻かつ真剣な検討がやや弱かったのかな、こういうふうに今回の海保の問題あるいは警察の問題を含めて考えているところでございまして、前々、有識者会議等々もございましたので、この成果を総括といいましょうか検討した上で、早急に対応策が確定できるような検討委員会とでもいいましょうか、そういうものを早急に立ち上げたいと考えております。

中井委員長 これにて近藤君、打越君、武正君、城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 与党統一会派、国民新党・新党日本の田中康夫です。

 私の持ち時間は十二時までの二十分間の質問でございまして、NHKの放送は、総合テレビとラジオはお天気予報の関係で十一時五十四分で中継が中断されるそうでございますが、同じNHKでもBS2と、インターネットの衆議院テレビは最後まで放送されます。地デジのさらなる普及に御尽力の総務大臣の片山善博さんにかわって、あらかじめ広報させていただきます。

 さて、日本は、極東、ファーイーストの外れの小さな島国なのではございません。フランスの思想家で歴代政権の知恵袋であるジャック・アタリも述べるように、東にアメリカ、西に中国、アジア、南にオーストラリア、オセアニア、北にロシアが位置する、いわば世界東西南北の要衝の地、交差点に位置するのが、山紫水明の日出る国、日本なのであります。

 であればこそ、攘夷か開国かの不毛な二項対立を超えた、国を改める、すなわち改める国と記す改国のあり方を具体的に国内外に示してこそ、有言実行内閣の面目躍如です。ただし、課題は、内閣総理大臣菅直人さんが抱くべき哲学と戦略と覚悟のあり方であります。

 ところが、残念ながら、中国にとってもロシアにとっても、そしてアメリカにとっても、今や日本は都合のいい国に成り下がっているのではないかと懸念いたします。先ほど来の北方領土も、一九九一年ソ連邦崩壊から、人口流出に対して、それを食いとめるためにさまざまな施策をロシアが行ってきた。その二十年間、日本は指をくわえて見ているだけでございました。

 今や日本は、まさに都合のいい国。フジテレビの奇才で私の知人でもある河毛俊作さんが、かつてバブル期に「都合のいい女」というテレビドラマをつくりましたが、デフレ下の不況下においても我が国は他国に対して貢ぐ君を演じてはいないか、このように懸念をするところであります。

 わずか一カ月前にはメディアも含めてだれも口にしなかった、降ってわいたTPPをめぐる諸問題、時間があれば、八ツ場ダムに象徴される、迷走する治水のあり方を本日は質問いたします。

 まず、一昨日六日に開催された包括的経済連携に関する閣僚委員会で決定した基本事項を伺います。(パネルを示す)

 「アジア太平洋地域における取組」として以下の記述があります。FTAAPに向けた道筋の中で唯一交渉が開始している環太平洋パートナーシップ、TPPに関しては、その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する。

 この最後に記された関係国とは具体的にいずれの国を示すのか、菅さんにまずはお尋ねを申し上げます。

前原国務大臣 お答えをいたします。

 環太平洋パートナーシップに今参加表明をしている国を申し上げますと、豪州、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、米国、ベトナム、ペルー、そして同年十月からマレーシアが交渉に参加をしております。

田中(康)委員 菅さん、関係国とは今、前原さんがお話しになった国でよろしゅうございますか。確認をいたしたく思います。

菅内閣総理大臣 今、田中議員御本人が読み上げられましたように、FTAAPに向けた道筋の中で唯一交渉が開始しているTPPについてという形になっておりまして、もちろん、今、前原外務大臣が言われた九カ国は、既にTPPの交渉の土俵に乗っている国であります。

 同時に、FTAAP自体は、大きく言えば、ASEAN諸国を中心として、将来、こうした構想で経済的な連携を深めていきたいと考えているところでありまして、そういう意味では、この九カ国に加えて、FTAAPというものを念頭に置いた国々も必ずしも対象から排除されるものではない、こう思っております。

田中(康)委員 すると、今後協議をしていくという関係国は、TPPには参加しないと言われております韓国も含まれるというふうにお考えでよろしゅうございますか。

菅内閣総理大臣 ちょっと全文を読んでいただくと、他のところで幾つかの二国間のことも触れられておりまして、そういう全体からすれば、韓国も、例えば二国間で話をする、現在、既に韓国と中国と我が国の間で勉強会的なものを続けておりますが、そういうこともありますので、それらも排除するというふうには考えておりません。

田中(康)委員 すると、先ほど私が降ってわいたTPPと申し上げました。わずか一カ月前には、ほとんど皆さんが口にすることもなかった言葉でございます。

 御存じのように、日韓貿易というのは、ことし上半期、韓国から日本への輸出が一・一兆円で、逆に日本から韓国への輸出が二・六七兆円、日韓貿易始まって以来の最高記録でございます。韓国にとって、輸入額の一五%を占めるのが日本からでございます。

 この韓国は、読売新聞も昨日、国際面の右肩で大きく報じているように、FTA、自由貿易協定こそが繁栄の道だと。韓国は、菅さんと同じ市民運動家出身の盧武鉉政権下で、既に米韓FTAの政府間交渉をまとめ上げているわけでございます。

 また、日本よりも一歩も二歩も先んじて、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、そしてタイ、インドネシア、フィリピンを含む十カ国のASEAN、東南アジア諸国連合やチリともFTAが発効済みでございます。そして、EU、欧州連合、ペルーとも発効待ちの段階。カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランドとも具体的な締結交渉を行っている。

 すなわち、TPP交渉参加九カ国のうち、ブルネイとマレーシアを除く七カ国と既に韓国はFTA関係なわけでございます。しかも、韓国では、FTAとEPA、経済連携協定は同じ意味で使われている。だから、李明博大統領は、APECを目前に控えてもTPPには静観の構えでございます。

 とすると、まさに今、この関係国は、TPPには参加しない韓国も中国もインドネシアもタイもフィリピンも、そしてロシアもインドもEU、欧州連合も、日本にとっては貿易における重要な関係国でございますから、まさに、仮に二国間EPAをこの基本方針にも書かれているように推進するならなおのこと、TPPが万能薬ということではないということでございます。

 確かに、今までの日本の、あるいは政権交代前、しかし、我々も、野党であったとはいえ、国の政策に関しては責任があったわけですが、それが、先ほどの、北方領土を二十年間指をくわえて見ていたのと同じようにおくれをとっていたということはあろうかと思います。

 しかし、基本方針にも、先ほど申し上げたように、「さらに、アジア太平洋地域においていまだEPA交渉に入っていない主要国・地域との二国間EPAを、国内の環境整備を図りながら、積極的に推進する。」と明記されているわけでございますから、なぜこの点が、TPPが先にありきのようなぐあいなのか。

 二枚目のフリップを見せていただきたいんですが、内閣官房が配付をした「経済産業省試算 TPP不参加による基幹産業の損失!?」では、「日本がTPPに不参加のままではEU・中国とのFTAも遅延する」と決めつけているわけでございます。これは私は、科学からはほど遠い試算ではなかろうか、発想ではなかろうかと思います。

 では、何でTPPに参加しない中国が、私は、日本は貿易立国でございますから、攘夷か開国かなどという不毛な二元論を申し上げているのではございません。ただし、国益というものは、この国に暮らし、まさに真っ当に自律的に生きる方々の国民益でなくてはならないわけでございます。ですから、TPPに参加しない韓国が、EUともアメリカともFTA協定にこぎつけたのは、ではあり得ない話かというと現実にそうではないわけですから。共同通信も一昨日、米国が事実上主導するTPPへの参加は、中国抜きの自由貿易圏づくりに加担することを意味する、すなわち、最大の貿易相手国である中国を無意味に逆なでし、尖閣諸島問題でぎくしゃくした関係をさらに悪化させる火種にもなりかねないというふうに書いております。恐らくこれは、冷徹な認識を持たれる経済界の方々も同様の思いではなかろうかと思います。

 確かに、中国という大国は、貪欲に国益を追求するナショナリズムの大国であります。正直に申し上げて、改めていただかねばならない数々の点があろうかとは思います。しかし、アメリカとて、これは同様に貪欲に国益を追求するデモクラシーの大国なわけでございまして、そもそも国益というものは、国家は国益を追求して私は何ぼの存在ではなかろうか、このように思っております。

 ですから、菅さんは先ほど、石にかじりついても政権をとおっしゃいましたが、まさに私たちは、よい意味でのナショナリズムやデモクラシズムの通商国家を目指す、ヒューマニズムやセンチメンタリズムだけでは冷徹な国家運営はできないと私は考えております。

 ですから、貿易立国の日本も、農業にとどまらず、いかなる産業を守りはぐくむかという国家戦略を具体的に示して、同時に議論をしていかなければ、単なる青年の主張としてAPECの前に宣言だけなさるという形では、国民は疑心暗鬼になられようかと私は思います。

 そして、TPPというのは、すべての分野はゼロベースでございます、皆様。ですから、これは農業にとどまる問題ではないということでございます。まさに、金融や保険や医療も、さらには、ただいま放送されておりますが、電波というものも、それは貪欲に国益を追求する国家の究極のねらいでもあります。とするならば、今この質疑をテレビやラジオで見たり聞いたりしていらっしゃる方々のこの放送というものも、いわばルパート・マードックのような人が十人も二十人も諸外国から「開かれた日本」にやってくるというようなこともあり得ることなわけでございます。ですから、日本は、先ほど申し上げたように、交差点外交をするべきでございまして、私は、これは八方美人ではない戦略と覚悟が必要かというふうに思っております。

 実は、一つ苦言を呈させていただければ、菅さんは、政権が何をやりたいか、国民に伝わっていないのではないかと、放送局出身の新しいスタッフと三時間にもわたっておすし屋さんで広報体制の議論を重ねた翌日に、土曜日でございますが、包括的経済連携に関する閣僚委員会が開催されました。しかし、この決定した基本事項は、それから二日間が経過した本日の朝九時過ぎに至っても、残念ながら、首相官邸のホームページにはその全文はおろか骨子や概略すら掲載をされておりません。「菅総理の動き」と題して、その会合であいさつする菅さんの写真のみが載っているわけでございます。

 しかし、すべて、日本経済新聞はこの基本方針の全文を掲載しております。他のメディアも皆、その骨子と内容を載せております。やはり、広報体制というものはどういうものなのかということ、まさに新聞紙上でうかがい知るのみという形では、政権が何をやりたいか、私は国民に伝わるはずもないと思っております。

 ところで、菅さんに改めてお尋ねを申し上げたいと思います。

 焦点となる農業振興策は、来年六月をめどに基本方針、十月をめどに行動計画を策定と、随分と悠長な計画ともメディアは伝えております。

 菅さんは、これは複数のメディアが報ずるところでは、農業者戸別所得補償制度を初めとする関連経費が何兆円になってもおれが責任をとると断言されたというお話です。が、その額は、農業者の自立とは対極の単なる箱物行政と終わってしまったウルグアイ・ラウンド対策の六兆円をはるかに上回る数十兆円になろうかと思います。その財源はどのようになさるおつもりなのか。御自身の私財をなげうたれるのか、国民負担の増税に走るのか。

 あるいは、先般、私も衆議院の本会議で、金融機関は、まさに、お亡くなりになった方等の口座で動きがないものを十年たつと自動的に、毎年九百億円も金融機関の不労所得となっておる。これをイギリスの政権と同じように政府のアカウントにして、しかし、それは政府が無駄遣いをするのでなく、NPOを初めとする、まさにビッグ・ソサエティー・バンクという構想のもと、地域の人々、国民の人々のために活用しようということを考えております。

 どのような形でその財源というものは確保なさるおつもりなのか、あるいは別の形で何か責任をおとりになるのか、その方針のところをお聞かせください。

中井委員長 前半部分については玄葉国家戦略担当大臣、税の部分については菅総理大臣からお答えいただきます。

玄葉国務大臣 田中委員から大変鋭い御指摘をいただいたというふうに思いました。

 つまりは、TPPについては、今回は交渉参加前の協議なんですね。しかし、今回の基本方針の実は極めて大切なポイントは、おっしゃったとおり、バイラテラル、二国間のEPAについて、その締結を加速化させる、その交渉を加速化させる、ペルー、豪州、あるいは日韓、これが実は最大のポイントと言っても過言ではない。

 だからこそ農業構造改革本部を、菅総理が議長、そして鹿野大臣、私が副議長でつくるということになったということでございまして、それらの財源も含めてこれから検討していきますが、当然、一定の財源はかかるものと私も考えております。

菅内閣総理大臣 田中委員はもともと言葉をお仕事とされていたので言葉がたくさん出てくるんですが、なかなか私にはどういう趣旨の質問かがよく理解できません。

 今、玄葉大臣からお話がありましたように、まさに日韓やEUとのEPA交渉などは当然推し進めなきゃいけないということも書いてあるわけでありまして、何かTPPだけを相手にしなきゃいけないなんということは何一つ書いていないわけでありますので、そういう意味では、少しそうしたことも踏まえた御質問をいただければ、時間があれば幾らでも答えていきたいと思っております。

 それから、農業について言えば、これも田中議員御承知だと思いますけれども、この貿易の自由化の問題を抜きにして考えても、例えば平成二年ごろから今日まで、農業生産が約半分近くに減っておりますし、また農業人口も減っておりますし、耕地面積も減っておりますし、そして、就業している平均的な年齢が六十五・八歳と非常に高くなっております。そういう中で、いかにして農業を再生させていくかということを、まさにその根本に立ち戻って議論をする、そういうものを、本部をつくるということにいたしております。

 それには、土地利用の問題を含めて、やはり若い人が三十年ぐらいの展望で新たに農業に参加していくことができるという仕組みをつくらない限り、日本は農業を再生させることはできない、こう思っております。

 今、費用の問題を聞かれましたけれども、そういう根本的なものに立ち戻った中で、一年前からスタートしている農業の戸別的所得補償のあり方も含めて……(発言する者あり)何かやじがたくさん飛んでおりますけれども、二十年間失敗した自民党の政策と変わって、これからは農業再生に向けた抜本的な議論を改めてその本部を中心にして行っていく。そして、農業の再生と国を開くという開国とを両立させていくのが私の政権の責任だ、このように考えております。

田中(康)委員 大変僣越ですが、抽象的な青年の主張では、国民はこの国を一緒に変えていこうと思わないわけでございます。

 私も知事になったときに、一日の利息だけで一億六千万円も返すような借金財政の県でした。しかし、一たび大臣や首相、あるいは知事や社長も同じでございます、ついたならば、前任者のせいなどということにしてはいけないということです。それは前任者たちを選んできた国民自体を愚弄することだと私は思っております。

 最近私は本会議で質問いたしますと、自民党や公明党の方から拍手が出るという不思議な状況でございますが、しかし、私たち国民新党・新党日本は衆参合わせて七人でございます。しかし我々は、時として生煮えのまぜ御飯や、あるいは伸びた煮込みうどんの状態に四百十二人内閣がなっていることがあれば、我々は七味唐辛子であると。与党の方からは小さな声で不規則発言がございますが、しかし親子も兄弟もあるいは恋人も、歩むべき道を相方が見失っているときにはそのことを申し上げてこそ私は真のパートナーだと。我々七人はその覚悟でございます。

 農業者の戸別所得補償というものが、欧米の直接支払いとは違って公務員等の不労所得になっているということは本会議で既に述べましたので、最後に一点、お伺いをいたしたいと思います。

中井委員長 済みません、田中さん、時間がもう終了していますので、そこら辺で打ち切ってください。

田中(康)委員 昨年、二〇〇九年の九月九日の三党連立政権合意書に続いて、二〇一〇年九月十七日にも、菅直人民主党代表と亀井静香国民新党代表の間で……

中井委員長 田中君に注意をいたします。これで質疑を終えてください。時間は過ぎています。

田中(康)委員 了解いたしました。

 郵政改革法案に関しては速やかにその成立を期すと確認書を交わしております。今国会で成立を期す覚悟に変わりがないか、いま一度予算委員会の場で菅直人さんにお聞きをし、私の質問を終えます。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石破茂君。

石破委員 私は、本来、このような形で質疑をするのは極めて不本意であります。我々として質疑ができる環境を整えていただきたいということを再三申し上げてきました。ビデオを国民に対して全面的に公開するべきであるということ、そして、小沢氏、鳩山氏、なかんずく小沢氏の国会における説明、これを求めてきました。どちらも実質上ゼロ回答ということであります。

 我々は、審議に応じないとか、補正予算を人質にとっていたずらにおくらせるとか、そのようなことは全く考えておりません。それは我々として、では、民主党政府の予算に対して我々はこのように考える、民主党の予算というのは規模にして小さい、財源がいいかげんだ、地方に対する配慮がない。それに対して自由民主党はこうである、これは後ほど説明をしますが、我々の予算に対する考え方も用意をいたしました。この場で政府の考え方、自民党の考え方、両方提示をし、どちらが正しいかは主権者たる有権者に判断していただきたい、そのように考えております。

 しかしながら、この場を使わない限り、なぜこのような不当なことが行われるのか、そのようなことは国民の前に明らかになりません。審議拒否をしている、そのように思われることも我々は極めて不本意であります。したがいまして、私は、あえてこの場において、菅内閣、この非を国民の前に明らかにしたい、そういう趣旨から質問いたしたいと思います。

 総理に承ります。

 週末行われた世論調査、支持率はどれも急落であります。十月と比べて、支持と不支持がひっくり返りました。支持をしているのは三割、不支持が五割、六割、そういう状況になっています。一月で支持と不支持が逆転している、これは何によるものだと総理は思いますか。

菅内閣総理大臣 世論調査、いろいろな場合にいろいろな変化をします。私の場合も、政権担当を最初した六月の段階で非常に高くなり、参議院選挙が終わった段階で非常に低くなり、また代表選挙が終わった段階、新しい内閣改造をした段階で高くなり、また今日かなり下がっております。

 いろいろ解説を私なりにすればできないこともありませんが、私自身は、支持率というのは国民のもちろん一つの声でありますから、それをしっかり受けとめなければいけないと思っていると同時に、もう一つは、自分の内閣がやるべきことが進んでいるのか、それともやるべきことが進んでいなくて行き詰まっているのか。

 もちろん、いろいろな問題はあります。いろいろな問題はありますが、私は、全体としては、この内閣として、所信表明演説でも申し上げた五つの大きな政策課題、例えばそのうちの第一は経済成長でありますけれども、そういう問題について、アジアとの関係の中で一定の成果がだんだん出始めている、そう思っていますので、しっかりと国民の皆さんにそのことを伝えることによって皆さんの理解は得られるもの、このように確信をいたしております。

石破委員 私は、なぜ下がったと認識をしていますかと聞いているのですよ。今のはお答えになっていません。

 我々が政府にあったときも、支持率に一喜一憂しない、どんなに支持率が下がってもやるべきことはやる、そのように申し上げました。しかし、なぜ下がっているかということについて明確な認識は必要です。そして、虚心坦懐な反省も必要です。必ず原因がある、原因があるから下がっているのです。国民をなめてはいけません。国民が何で菅さんに対して期待をしていたのがなくなったのか。

 それは私も一緒ですよ。菅さんに質問するのはこれで三回目だ。私は、野党になったのは、民主党がすばらしいということもあったかもしれないが、基本的に、自由民主党しっかりしろ、自民党出直せ、そういう国民のお声だったと思っています。そのことをきちんと反省をし、改善をしなければならない、そのことは政調会長としてよくわかっております。

 では、なぜ菅内閣はこんなに下がったのかということなんです。一つは、負うべき責任を負っていない。果たすべき説明責任を果たしていない。三番目は、なすべき努力をしていない。だから下がっているのだ、私はこのように思っております。

 ビデオ映像、この流出に関してどんな声が与党の中から上がっていますか。クーデターだ、そんな声が与党の中から上がる。クーデターというのは尋常な言葉じゃありませんよ、文民統制に対する全面的な否定ですからね。それが与党の中、ましてや前総理大臣からそのような声が上がる、これは一体何だ。政府の中が統制できていない。

 小沢さん、国会において説明をしてくださいと我々は言ってきた。国会にはおいでにならないで、ニコニコ動画というインターネットにお出になっている。そこにお出になって何と言ったか。三権分立である、これは司法でやっていることである、国会でやることはおかしいと。

 総理、こんな三権分立論というのはありますか。司法は司法、国会は国会、司法でやるんだから国会で説明しなくていいと。政治倫理綱領とは何だったんですか。疑惑を持たれたときは、みずから進んでそれを解明する責任を有する、これを定めたのは小沢さん自身でしょうが。司法でやるからいいんだ、公開になるのはだめだ、こんなものは理由にも何にもならない。

 総理は、三権分立についてきちんとした考え方をお持ちの方だ。こんな三権分立を振り回すような、出ないということはあってはならない。

 そして、一兵卒だと言いながら、仮に軍に例えれば、総理は最高司令官でしょう、幹事長はその次の司令官でしょう、一兵卒が司令官の言うことに従わない、そんなものは組織でも何でもないですよ。それが組織か。仮に軍隊であれば、上官の命令に従わなければそれは軍を除籍になる、当たり前の話だ。命令違反というのはそういうものです。当たり前だ。組織というのはそういうもの……(発言する者あり)軍人じゃない、ほら、またそういうことを言う。組織でしょう。組織が成り立つためには、きちんと命令系統が一貫していることが大事でしょう。軍隊じゃないんだ、そういうようなやじを飛ばしてそういうことを正当化しようとする、これが民主党のやり口ですよ。

 総理がそれをきちんと命じなくてどうしますか。総理が「大臣」という本の中で、そういうことがあったとすれば、これは議会の決めることだといって逃げてはいけない、一国会議員であり代表としてそのことをきちんと措置すべきだというふうにおっしゃっておられるではありませんか。

 組織の統制、これもできていない、そうでしょう。政府も統制できていない、自分の組織も統制できていない。何で日本国がこれで統制できるんだ、そのように多くの国民が思っているのではないですか。総理の御見解を承ります。

菅内閣総理大臣 幾つか今言われましたけれども、私は菅内閣を統制できていないとは思っておりません。

 また、先ほど小沢さんのことについて言われましたが、小沢さん御本人は、国会で決めていただければ、説明といいましょうか、国会に出て説明すると言われておりました。そして今、石破さんが言われたと多分同じ趣旨のことを岡田幹事長が御本人に言われたというふうに私は聞いております。ですから、石破さんが言われたことが間違っているとは思いません。

 そういった意味で、今幹事長がさらなるいろいろな努力をしていただいている、このように思っております。

石破委員 総理、岡田さんに任せる、岡田さんに任せるという、国民をがっかりさせるようなことをおっしゃらないでください。代表は、菅さん、あなたなのです。あなたが代表に選ばれたのです。圧倒的な支持を受けて、あなたが民主党の代表なんでしょう。あなたが岡田さんを幹事長に任命した。その岡田さんがやっているからいいと。岡田さんがやって何が得られましたか、何か明確な回答がありましたか。それがだめであれば、代表たるあなたが小沢さんに対して、出るべきだということをなぜ言えないのですか。

菅内閣総理大臣 まさに私が岡田幹事長を幹事長にということでお願いをして、岡田幹事長、天命だという言葉の中でお引き受けをいただきました。

 ですから、もちろん最終的な責任が私にあることは当然でありますけれども、現在、この問題では、岡田幹事長がさらなる努力をしようということでやっていただいていますので、その岡田幹事長の努力を現在見守っている、そういう段階にあります。

石破委員 では、自由民主党、反省すべき点はたくさんありますよ。ロッキード事件がありました。そして、田中元総理、大変な力を持って、やみ将軍とも言われておった方だ。いろいろな支配をしていると言われておった方だ。そのことをめぐって、昭和五十八年、私はまだ国会議員になっていなかったけれども、政治不信が高まった。そのときに中曽根総理・総裁は何をしたか。みずから田中さんに会って、友人として、出処進退をきちんとするべきだ、中曽根さんはそう言ったじゃありませんか。

 最後はトップが決める、そうでなければ事は動かない。この問題で、国会がきちんとした議論が行えない、政治不信が高まるばかりだ。本当にそれでいいんですか。それが解決できるとしたら、菅総理、あなただけじゃないですか。

 中曽根さんはそのように田中さんと対峙した。あるいは、自民党の古い体質が批判をされたときに、小泉総理・総裁、中曽根さん、宮沢さん、党にとって大きな功績のあった方だ、だけれども、あなた方は引退してくださいということを直接小泉さんは中曽根さんに対しても宮沢さんに対しても言ったのです。リーダーシップというのはそういうものだ、私はそう思います。いかがですか。

菅内閣総理大臣 私は、石破さんより少し早く、昭和五十五年に国会議員となりましたので、その前後の経緯も私自身も議員として見ておりました。

 細かい日程は覚えておりませんが、一審の判決が有罪で田中当時の元首相に出たこともありました。そういう中で、いろいろな経緯の中で、田中総理が、そのときも、党は離れられましたけれども、議員としてはそのまま継続されて、非常に大きな力を持っておられたことも、当時、私自身、そういう場を見てまいりました。

 おっしゃる気持ちはわかります。最後は民主党の代表である私が当然の責任としてしっかり何らかの判断をしろと言われる気持ちはよくわかります。そのことを別に否定しているわけではありません。ただ、先ほど来申し上げていますように、この問題では、私の信頼する岡田幹事長が、現在、いろいろ御本人との間でも話をされて、いろいろ努力をされているわけでありますから、まずはその努力をしっかり見守ってまいりたいというのが私の今の立場であります。

石破委員 見守っている間にどんどんと不信は高まる。補正予算の審議、これをめぐって紛糾する。総理がリーダーシップを発揮なさればいいことでしょうが。なぜそれを忌避なさるのですか。なぜそれを回避なさるのですか。私には全くわかりません。

 もう一度言っておきます。ぜひ、代表としての、トップとしてのリーダーシップを発揮して国民の政治不信を払拭していただきたい。それは、菅さん、あなたの考えでしょう。あなたは、本来そうあるべきだと思っているのではありませんか。私は先回言いましたね。何を恐れているのですかということを申し上げた。恐れないで、はっきりやる、それが菅さんのリーダーシップであります。重ねて求めておきます。

 私は申し上げました、負うべき責任を負っていないと。これは何のことかといえば、今回、映像が流出をした。国内騒然としている。どのような声が寄せられていますか。どんな声が寄せられているか。それは、こんなことやったやつはけしからぬ、犯人を挙げろという声よりは、政府にかわって国民に公開をしたのだ、そういう声の方が強いのはなぜですか。

 本来、こんなことはあってはならない。官房長官が秘密の管理は厳重にするというふうにおっしゃった。これは我々がずっと言ってきたことですね、情報公開をするからには情報の管理をきちんとしなければ情報公開というのはあり得ないのだと。公開、公開、公開というけれども、その後ろには、情報の保全、秘密の保全、それがあるのは当然だというふうに言ってきました。なかなか民主党の皆さん方の御理解は得られなかった。私は、防衛大臣としてそのような経験を何度もいたしました。

 それは、管理は厳格にやるべきでしょう。そうでなければ情報公開は意味を持たないのだ。ですから、管理を厳格になさるのは結構です。秘密保護法、このことについても逃げてはいけない。秘密保護法を制定すべきだということについて、民主党の方がずっとネガティブでしたね。そのようなことはあってはならないとおっしゃっておられましたね。秘密保護法がなくて何で情報公開があり得るのか、私は、もう一度その原点に返って申し上げたい。

 官房長官、おっしゃったとおりにやってください。答弁を求めます。

仙谷国務大臣 石破先生がおっしゃることにほとんど同意をいたします。

 情報公開というのは、市民の権利としてといいましょうか、国民の権利として極めて重要な権利であるというふうに考えております。

 しかし、今回のケースを例にとってみれば、捜査の情報というのは、これは当然、密行性を持たなければ捜査というのはあり得ません。それから、先ほどおっしゃった防衛上の問題も、機密情報をどう管理し、どう使うかということでなければ、何でもかんでもすべて明らかにすればいい、そんな話ではないことは当然でございます。

 したがって、歴代内閣もこのことに多分苦慮をしながら検討を進めてこられたんだろうと推察をいたしますが、いわば日本の戦後の過程では結実をしていなかったということも、私ども過去の記録を拝見してわかります。

 特に安全保障上の問題ということになりますと、同盟国あるいは友好国との関係でも、機密の保護、保全というのは極めて重要だということがありますので、今、石破議員のおっしゃられたこともよくかみしめながら、そして野党の方々のお知恵もいただきながら、この機密の保全、どういうあり方があり得るのか、とりわけデジタル化した現時点において、さらに従来の考え方ややり方以上に我々が考えなければならないことは何なのか、こういうことも含めて検討を早急に進める場をつくりたいと考えております。

石破委員 では、官房長官、伺います。

 それを早急にやりますね。検討して成案を得ますね。

 我々は、同盟というのは、機密の保全がなければ同盟は成り立たないと思っています。アメリカから信用されないようでどうする。日本に教えてもすべてが表に出るということで、本当のことがわかるはずがない、教えてもらえるはずがない。そのような同盟は意味がない。検討をするだけではなくて、早急に成案を得る、成立を目指す、その決意を述べてください。

仙谷国務大臣 というよりも、今おっしゃったこともそのとおりでありますが、そういうふうに思われた瞬間に有効、有益な情報は何も入ってこない、こういうことがあるわけですね。だから、我が国の法制度上も、仕組みの上でも、今、石破議員がおっしゃられたような、制度を早急に検討して、皆さん方の御意見を賜りながら成立を図る、そういう方向で努力をしたいと思っております。

石破委員 そういうことを思われた途端に情報が入ってこなくなるというのは、どういう意味ですか。ちょっとわかりませんので、教えてください。

仙谷国務大臣 ちょっと誤解を、石破先生、ちゃんとお聞きいただけなかったかもわかりませんが、そういうふうに、つまり情報を漏出する国だとか、さっきおっしゃった、そういうふうに例えば他国あるいは他国のどこかの部署に疑いを生じせしめるようなことがあれば、そこから情報が入ってこなくなる、こういう意味です。

石破委員 わかりました。

 そのとおりです。今、日本は、情報の保全ができない国だと十分思われているんですよ。間違いない。だから、機密保護法、秘密保護法をつくろうということで努力をしてきた。立場は変わりました。私たちはそれに全面的に協力をします。ぜひ、ともに成立を期してやっていかねばならない、そのことを申し上げておきます。

 さて、負うべき責任を負っていないということを申し上げました。官房長官とはこの間議論しましたので、今度はぜひ総理にお伺いをいたしたい。

 逮捕する、勾留をする、釈放する、これはすべて検察の判断であって、政治は関与をしていない。これはなぜ正しいのですか。なぜこちらの方がよかったのですか。なぜ政治が判断をしないことの方が正しかったのですか。お答えください。

菅内閣総理大臣 よかった、悪かったという判断ではなくて、あの時点において海上保安庁が公務執行妨害ということで逮捕状を請求されて、そして実際に逮捕したということでありまして、私は、その判断が、基本的には海上保安庁、あるいは逮捕状ということでは最終的にはこれは裁判所ですか、そういう判断のもとに行われた、こう考えております。

石破委員 なぜそれが正しかったかとお尋ねをしているのであって、事実関係を聞いているわけではありません。

 事は領土問題です。我が国固有の領土、領土問題が存在をしていないと我々が考える尖閣、そこに中国の漁船が入ってきた、そして不法操業を行い、公務執行妨害行為を働いた。今までにないことです。今までにないことが行われました。そして、中国です。このことを政治が判断しないでだれが判断をするのかということを申し上げている。

 先回、官房長官とのやりとりでも申し上げました。日本国憲法は、外交権は内閣に属すると定めております。日ごろの日常的なことは、外務大臣を長とする外務省が処理をする。しかし、なぜ日本国憲法が内閣の職務として特に「外交関係を処理すること。」ということを挙げているのかといえば、それは、重大な問題であれば外務省だけではなくて内閣全体で判断すべきだ、責任を負うべきだ、だから、わざわざ日本国憲法はそうしているのでしょう。

 そして、先回、官房長官に承りました。逮捕をしたとき、勾留が決定したとき、このときに、外交関係に発展する、そういう認識はおありでしたかとお尋ねをしたら、あったというふうにお答えになりました。そういう問題なのです。そこから内閣に所掌は移っているのです。検察官が判断をしていい問題ではありません。

 もう一度お答えください。

菅内閣総理大臣 率直に申し上げて、私も、今回のいろいろな事案の中で、いわゆる捜査当局である海上保安庁、あるいは検察、あるいは裁判所、そういうものが判断すべきところと、いわゆる一般の政治と同じように、政策と同じように内閣として判断すべきところと、確かにいろいろな見方はあると思います。

 しかし、今、石破さんが言われたことにおいて、これは官房長官の答弁とも多分共通だと思いますけれども、先ほど逮捕のことを言われましたけれども、それは、海上保安庁が逮捕状を請求して、それを裁判所が認める、また勾留を延長することも、検察から、これも裁判所でしょうかにそういう請求をして、そういう判断をされる、そういう形で行われた、こう認識しております。

石破委員 法務大臣、検察官はだれが任命しますか。

柳田国務大臣 事前にしっかりとお話があれば、だれはだれの任命というふうにお答えできますけれども、検事総長並びに検事長については陛下の認証をいただきます。

石破委員 検察官は法務大臣が任命するのですよ、いいですか。

 何が言いたいかというと、法務大臣、これは民主的な基礎を有するか否かという問題なのですよ。民主的な基礎を有しているかどうか。検察官は国民に対して直接責任を負い得るかという問題を私はお尋ねしているのです。通告がなかったことはおわびをいたします。ごめんなさいね。

 文民統制の議論をしました。なぜ軍、我が国においては自衛隊、この統制は政治家たる内閣総理大臣が行うのかという議論をいたしました。それは、内閣総理大臣が軍事に通暁しているからではありません。別に軍事オタクである必要なんかないんです。通暁している必要なんかありません。ある程度は知らなきゃいけませんがね。なぜそれが責任を負うのかといえば、民主的な基礎を有するからです。行った判断に対して、国民に対して責任が負える、そのことが文民統制の基本なのです。民主的文民統制というのはそういうものです。

 今回、軍の統制ではありませんが、起こったことは大変大きな影響を与える事態です。見ればわかるでしょう。今周りを見渡せば、アメリカとの関係もおかしい、中国との関係もおかしい、ロシアとの関係もおかしい。周りじゅうおかしくて、世論調査によれば、外交に不安を持っている、その国民が九割に達している。異常なことだと思われませんか。外交に対して不安を持っている人が九割、このようなことはいまだかつてなかったことです。

 何でこんなことが起こるのか。それは、検察官というのは、法務大臣が任命するものであって、民主的な基礎を有しない、起こったことに対して責任が持てない。刑事事件を発端として外交事件に発展した事案はごまんとある、外務大臣の答弁です。それはそのとおりでしょう。サラエボ事件のことを念頭に置いておられるのか。私は、ごまんとあるかどうかは知りませんがね。そのようなことはあるでしょう。あるでしょうが、これは行政権の行使の過程で起こったことです。検察というのは司法権ではありません。あくまで政府の中の行政権の問題です。

 そして、外交関係に発展をしてしまった。発展したら、後は内閣が処理する、そういう考え方ですか。発展するまでは検察がやる、発展してからは内閣がやる、総理、そういうお考えですか。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、捜査機関、確かに、今言われたように、海保も警察も検察も広い意味では行政機関です。しかし、一般的に、そういう捜査機関がやること、あるいは一部、特殊ですが、例えば国税庁という、本来は行政機関でありますが、そういうところが判断することに対して、どこまで総理とか大臣というものが直接的にかかわりを持つ、あるいはかわって判断をするのが適切かというのは、私は、一般の行政の、例えばこの予算をつけるかつけないかという種類のこととはやはり性格を異にしていると思っております。

 ですから、先ほども申し上げましたように、全部が、もちろん、検察が日本の外交全体を判断するなんということは、それは当然ですが、あり得ません。ただ、今指摘をされた、例えば逮捕、あるいは勾留を延長する、あるいは釈放するというときに、この間ずっと答弁申し上げているように、法律にのっとってのそうした検察なりの判断に対して、私たちがそういうことを、ある意味では、了という言葉をいろいろ言われましたけれども、そういうものの報告を受けて、それを結果として、そのまま、それでよしとしてきたということでありまして、だからといって、すべての判断を任せたということではなくて、この案件に対するそれぞれの段階の法律的な手続にのっとった判断について、それをまさによしとしてきたということであります。

石破委員 そんなことをおっしゃるからこういう国民世論になるのですよ。外交に不安を感じる国民が九割も出るのですよ。そして、映像を流出させた、それは政府にかわってやった行為は立派だ、そういうような世論が起こってしまうんですよ。今の総理のような御答弁だからそんなことになるんです。

 いいですか、民主的な基盤を負わない、それは国民に対して責任が負えない、生じた結果について責任が負えない。これは外交問題に発展するなという認識がありながら、それを民主的基盤を持たない検察にやらせた、そのことは大きな問題であります。これは憲法の精神をじゅうりんするものとしか言いようがない。

 そしてもう一つ。検察にそのような能力がありますか。恐らく省庁間協力なのでしょう。だれの指示だか知りませんが、外務省の職員が沖縄に飛んでいろいろと話をされたそうですね。そのようなことぐらいでこの外交関係が処理できると思ったら大間違い。これが一体どんな問題を持つものなのか、日中関係にどういう影響を与えるのか、そのことが一日か二日の外務省の職員の検事に対するレクチャーでできるはずがない。できると思う方がおかしい。

 いいですか、本来、民主的基盤を有さない検察はそのような判断をしてはいけない、そういう立場にそもそもない。これは憲法の精神をじゅうりんするものとしか言いようがない。あわせて、検察はそのような能力をそもそも有しない。一日か二日のレクチャーで日中関係が判断できるほど日中関係は甘いものでないのは、総理が一番よく御存じのことでしょう。

 この二つの点において、もし仮に検察に任せたというお話が正しいとするのであれば、それは基本的に考え方が間違っている。そして、そうではないのだ、いや実は、実はいろいろと政治が指示をしたのだということが、そうじゃないとおっしゃいますがね、したのだが、そうじゃないとするならば、実際にやっていたのにそうじゃないと言うのであれば、それは国民に対する重大な背信行為だ。

 いいですか、やったにもかかわらずやっていない、そうだとすれば、こんな言葉は使いたくはないけれども、国民のほとんどが政府が関与したと思っている。そして、我々はそのことを悪いと何にも言っていない。むしろ関与すべきだった、しない方がおかしいというふうに申し上げている。にもかかわらず、したにもかかわらず、していないと言うなら、これはうそを言っている。そして、しないとするならば、これは憲法の精神をじゅうりんするものである。違いますか。

仙谷国務大臣 憲法の精神をじゅうりんするというお話でありますが、その論理はちょっとわかりかねるんですね。

 つまり、憲法上の諸原則の中で検察権の行使が行政上の権限行使であるとしても、しかし、先ほど総理も言われたように、とりわけ刑事司法の分野を政治的な判断で、つまり、政治主導の名のもとにこれを左右するというのは厳に慎まなければならないというのも憲法上の原則だと私は思っております。

 したがって、石破先生のお話は、そもそもこの事件を、例の、谷垣総裁がおっしゃるように、逮捕に進まないで、逮捕手続をしないで、そこで政治判断をして、つまり、日中関係の良好な関係を保つために逮捕をしないという政治判断があるべきだったのか。あるいは、逮捕から勾留、勾留から釈放に至ったわけでありますが、その刑事司法について、刑事司法手続の中で、むしろ政治が政治判断をしながら、いわゆる検察庁法に基づく指揮権を行使して釈放せよと。つまり、刑事司法が、刑事司法の法に基づいた処理をあえて破って、政府が指揮権を行使して釈放させるということがよかった、こういうお立場でおっしゃっておるのか。

 さらに、検察庁が釈放をしようとするときに、これは、先ほどの言で言えば、日本にとっては、領土問題は存在しないけれども、いわゆる、そういう、非常に悩ましい尖閣諸島関連の問題を含むから釈放するな、断固これは起訴をし、そして勾留を続けて裁判をやるべきだ、そういう指揮権を行使すべきだ、こういうふうにおっしゃっておるのか、そのことが定かではありませんけれども、私どもは、刑事司法のある種の相対的な独立性を維持することは、これまた憲法上、法の支配にとって極めて重要な要件だというふうに考えております。

石破委員 起訴便宜主義、いいですか、起訴するかしないかを、起訴法定主義ではなくて、なぜ我が国が起訴便宜主義を採用しているかという議論はこの間法務大臣とさせていただきました。繰り返すことはいたしません。

 なぜ起訴しないことが検事の裁量として許されるのかといえば、一つは、起訴しない方が犯人の更生に資する場合、もう一つは、起訴しない方が社会秩序が保たれる場合、この二つですよね。そして、幾つか事由がございますでしょう。犯人にかかわる事由、あるいはその後の情勢の推移にかかわる事由、あるいは犯罪にかかわる事由、幾つか挙げられております。それは弁護士である官房長官はよく御存じのことだ。その後の社会情勢の変化によって釈放というものは正当化されたというふうに答弁書で述べておられますね。高市議員に対する答弁書は、その後の社会情勢の変化、それは刑事訴訟法の教科書の一番下の方に書いてありますよ。

 ですけれども、起訴便宜主義によって起訴しないことが許されるのは、そちらの方が犯人の更生に資する場合、立ち直りに資する場合だ。中国に帰ってVサインをやって、もう一回やりたいと言っている人が更生しますか。こんなもの更生に資するものでも何でもありませんよ。社会秩序が保たれる。これによって何の社会秩序が保たれるんですか。そうじゃないでしょう。日中関係なんでしょうが、配慮したのは。社会秩序なんか全然保たれていませんよ。そして、更生なんかしませんよ。いいですか。

 そして、帰したことによって、処分保留と言っていますね。何を保留しているか。起訴するかしないかを保留しているんですよ。まだ保留しているんですよ。いつまで保留するんですか、これ。

仙谷国務大臣 石破先生の御議論でありますが、検察官が起訴便宜主義に基づいて処分をする際に、やはり基本は、事案の性質と、そしてその程度だと思います。あの処分保留、釈放する際の文章を拝見しましても、やはり人身傷害が起こっていない。あるいは、あの事件から見られるある種の計画性が薄いといいましょうか、少ないといいましょうか、そういう事案の性質も十分考慮をされたんだろうと私は思います。

 それから、社会秩序といいますけれども、これは、今国際社会の中に生きている我々の社会的な安定性というものを検察官がお考えになったのかなと、私はあの文章を見て、そういう感慨といいましょうか、感想を持ったわけでございますので、石破先生的な見方も、それはおありになるでしょうけれども、あの文章を素直に読む限り、私は、今石破先生がおっしゃったような評価をしているわけではありません。

石破委員 あの映像を見た人が何と思ったか。これが悪質でなくて何だと。前原大臣が最初に見たとき言ったとおりですよ。これが悪質でなくて何だと。

 官房長官は船にお乗りになるかどうかは知りません。私、イージスがぶつかったときに、多くの船乗りの方のお話を聞きました。船乗りにとって一番怖いのは、船がぶつかってくることだと。場合によっては沈むかもしれない、大勢の人間が死ぬかもしれない。あの映像を見て、多くの人が何と思いましたか。海上保安官は本当に命をかけているんだと思いましたよ。そして、中国人の船員たちが対照的に悠然としている。一部においては、追い詰められてやむにやまれず衝突した、違いますよ。見ればわかるでしょう。あの故意性、悪質性、一目瞭然です。何が初めてだからですか。これが重大な公務執行妨害でなくて何ですか。

 あの鈴木さんという那覇地検の次席検事、あれが言ったことは、これは明らかに公務執行妨害が成立する以外の何物でもない、そういうことを言ったんでしょうが。何で処分保留で釈放するんです。犯罪人の立ち直りにプラスになりますか。社会秩序が維持されますか。そうじゃないでしょう。

 いいですか、私が聞いたのは、その後の社会情勢の変化というのは何ですかということをお尋ねしているものであって、それが政府の答弁書でしょうが。今おっしゃったようなことは何にも答弁書に書いてないでしょうが。答弁書に書いてあったのはその後の情勢の変化でしょうが。法務大臣、どういうふうに情勢が変化したんですか。

柳田国務大臣 刑事訴訟法二百四十八条、これは犯罪後の情況を定めているというふうに解されていまして、これは、社会一般の状況の変化、起訴、不起訴等の処分が社会に与える影響が含まれていると考えております。

 本件におきましても、検察当局は、被疑者の釈放に当たって、犯罪や被疑者に関する情状に加え、社会一般の状況の変化や社会に与える影響等として、被疑者の身柄を拘束したまま捜査を継続した場合の我が国国民への影響や今後の日中関係等を考慮したものと承知いたしております。

石破委員 だから、どう状況が変化したのですかと聞いているのです。大臣、答弁書はみんな見るんでしょうが。閣議決定でしょう、こんなもの。どう情勢が変化したんですか。もう一回答えてください。

柳田国務大臣 先ほど申したように、二百四十八条の趣旨でそのように判断したものと私は考えています。

石破委員 ごらんの方はおわかりでしょう。こういう話なんですよ、いいですか。

 どう状況が変化したか、それについて内閣としてお答えになれない。聞いてもお答えがない。そして、検察官が判断した、だからどう状況が変化したか。それを聞いているんでしょうが。(発言する者あり)検察官が判断したことなんかさっきから言っている。余計なこと言うな。そういう話ですよ。

 いいですか、もう一度言います。検察官がそのような判断をしてはいけません。立場は民主的基盤を有さない検察官にそのようなことは判断はできません。そして、そのような能力もない。このことはもう一度申し上げておきます。

 前回、官房長官、事はこれでは終わらないと私は申し上げましたね。ビデオの公開の問題がありますよ、映像の公開の問題がありますよというふうに申し上げた。そのときに、公開とは何ですかという議論をしました。真っ正面からお答えをいただけなかった。

 私はもう一度教科書を読み直してみました。公開とは何か。不特定一般の人に見られるようにすること、これが公開です。それが、文書であれVTRであれ、今回のような電子情報を含んだものであれ、基本的には一緒です。

 ビデオというものは随分昔からありました。私が小学生のころですから、今からもう五十数年ぐらい前のころからビデオというのはあったんですね。そのときからこの議論はあるんです。電子媒体にかわっても、その本質は何ら変わるものではありません。電子媒体にかわったからといって、特別な配慮を必要とするとは本質的には私は思っておりません。それが複写が容易だということだけのお話でございます。

 一般多数人に出すことが公開だ。それを、公判が開かれる前は明らかにしてはならない、公にしてはならないということですね。それで、公判は開かれないんですよ。いつ起訴か不起訴か決めますかということにお答えはいただけなかったけれども、いつまでもこんな状態では済みませんからね。刑事訴訟法の世界に逃げてはいかぬのです。この安全保障の問題を刑事訴訟法の問題に矮小化したことがこのことのすべての発端だと私は思っております。

 それで、なぜ公開をしてはいけないか。公開をすることによってその犯人の人権が侵される、そして公開をすることによって裁判に支障が起こる、この二つの理由で公開をしてはいけないということでしたね。

 今回、国政調査権に基づいて出してくれという話になりました。国民の八割が、国民に公開すべきだと言っています。八割というのは大変な数字ですよ。自民党の支持率と民主党の支持率を足したって八割にならないですよ。自民党の支持者も御党の支持者も、公開してくれというふうに言っているわけですね。そして、国政調査権に基づいて公開をしてくれと言っているわけですね。なぜそれを妨げなければいけないか。

 公判は開かれません。人権というものをこの際考える必要はありません。いいですか。なぜ公開をしないことが正しいのか。総理、どう考えますか。

仙谷国務大臣 ちょっと刑事訴訟法四十七条の解釈が違うんだろうと思います。さはさりながら、捜査で得られた証拠あるいは捜査情報であることもまた、これは、ビデオというのはそういうものの一つであることもまた確かなところであります。

 四十七条は、「公にしてはならない。」という規定になっておることは御存じのとおりでありまして、公益上の必要があって、相当な範囲あるいは相当な理由があればというふうに書いてあると思いますが、ここは、もし公にする場合でも、つまり公益上の必要があって公にする場合でも、その範囲や、あるいは時期や、あるいは対象や方法は、相当な範囲ということは、当然捜査当局の方もお考えになる。

 つまり、今、石破議員がおっしゃっているように、それから新聞等々でも全面公開という言葉がよくありますが、全面公開というのは一体何を指しているのか。ここが、訴訟記録といいましょうか、捜査情報については、全面公開というその概念はなかなか、何というんですか、重なり合う部分はないんだろうな。つまり、公開されるとしても、相当な範囲とか相当な対象、相当な方法ということが重要になるんだろうと私は思っております。

石破委員 では総理、あなた、このビデオを見ました。どこか見ましたか。ユーチューブで映像が出たのを見たということを聞いているんじゃないですよ。この三隻から撮った四台のカメラでしたか、これを総理はごらんになりましたか。

 そして、官房長官にお尋ねしましょう。

 何を出して、何を出さないか、それは政治が判断するべきだと思います。七分弱のものが理事会に秘密で出てきました。では、この部分を出して、この部分を出さないということは政治が判断すべきだと思います。少なくともそこで責任を回避すべきではありません、事はここまで来ているんですから。

 官房長官は、全部をごらんになった上で、いいですか、十時間の大長編じゃないんだから、全部見たとしても四時間か五時間ぐらいのものですよ。それをごらんになった上で、これは出す、これは出さない、これは捜査に重大な影響を与える、あるいは裁判に重大な影響を与える、海上保安庁の手のうちを見せることになる、だから見せるべからずという判断はどなたがなさいましたか。

菅内閣総理大臣 私がビデオを見たのは、国会からの要請を受けて、那覇地検が、刑事訴訟法四十七条、公益上の必要性を判断して衆議院に提出をするというその日の朝、たしか十月の二十七日ですか、午前八時十分ごろ、国会に出すものと同じだというそのものを見ました。

仙谷国務大臣 国会に提出する範囲を政治が判断をしなければならない、こうおっしゃいました。政治だけが判断をしなければならないということではないと思いますし、この種の、そもそも刑事訴訟法四十七条で「公にしてはならない。」ということが原則の捜査情報を政治だけが判断するというのは間違いだと思います。まず第一次的には刑事司法、つまり検察庁が、あるいは海上保安庁と協議をしながら、どの部分であれば、例えば今の予算委員会の方々が関心の対象であり、そして要点をついているか、そういうことで、いわば捜査報告書をつくるような格好で範囲を限定するということが第一次的には捜査当局で行われなければならないと私は考えております。

石破委員 だれが政治だけが判断すると言いました。そんなこと、だれも言っていませんよ。

 前回、議論したでしょう。それは、官房長官、正面からお答えいただけるから、ぜひお願いをしたい。前回、官房長官と議論したときに、第一義的には検察だというお話をいたしました。検察だけで判断をしないときは法務大臣に判断を仰ぐことがある、法務大臣でも判断ができないときは内閣全体、閣議決定に基づく、内閣全体として判断をすることも当然あり得る、そういって、長官、答弁されたじゃないですか。何で今回それをやらなかったの。

仙谷国務大臣 私も、この今衆議院の予算委員会に提出してあるのが相当な範囲だろう、そういう判断のもとに、つまり、内閣として拒否権を行使するといいましょうか、拒否をするということをしなかったわけであります。

石破委員 それは、全部見た上で、こことこことここならよかろうと判断をするならわかりますよ。出たものを見て、これならよかろうというのは、では、ほかに何が映っているか、わからないじゃないですか。何でそんな判断ができるんですか。

柳田国務大臣 衆議院の議長の要請を受けまして、那覇地検が海上保安庁といろいろ相談をし、海上保安庁の手によって七分近いビデオができて提出をしたというのでございます。

石破委員 政治主導というのはこれですか。これが政治主導ですか。

 私は前回申し上げたでしょう、公開しないことによって守られる利益とは何ですかと。公開しないことによって守られる利益の方が公開することによって得られる利益よりも大きい、だから公開しないことが正当化される、そういうものだというふうに申し上げましたね。いいですか。

 総理がおっしゃっておられるのはどういうことですか。国民一人一人が自分のこととして考える外交をやらなきゃいけない、そういうふうにおっしゃったじゃないですか。私はこれにはかなり共感しましたよ。外交は票にならないとか安全保障は票にならない、そういって正面から語りかけてこなかった。それは私どもの責任でもあります。だから、総理が、国民一人一人が自分のこととして考える外交、これをやるんだという言葉に私は大きな共感を持ったのです。

 一人一人が考えるためには、情報を出すことが必要なんじゃないですか。出すことによって得られる利益とは何か。それは、いかに我が国の主張が正しいのか、そしていかに中国船のやったことが間違っているか、それを出すことが大きな利益じゃないですか。このことよりも優先する、守られる利益、出さないことによって守られる利益とは、総理、一体何ですか。

仙谷国務大臣 先ほどのお話で、全記録を見てやったのかどうかというお話がございましたが、那覇地検あての衆議院事務総長の記録の提出要求についてという文章を見ますと、我が国巡視船と中国漁船との衝突事案の映像記録ということでございますので、衝突をした事案のそこがわかるものであれば、その前後、延々と海原が映っておるようなものはむしろ必要ないという判断を地検がした、こういうことだと思います。

石破委員 わかりました。

 中国と渡り合うときに本当にこのようなことで大丈夫なのかということを多くの国民が思っている。だから九割が不安に思っている。

 軍事にも詳しい前原大臣、三戦、三つの戦いという言葉を御存じだと思います。中国において今ドクトリンとして行われている三戦、三つの戦い。どういうことかといいますと、世論戦、世論の戦い、心理戦、心理の戦い、法律戦、法律の戦い。今、中国の軍事や外交は、この三戦という考え方を基本に行われているのですよ。

 世論、すなわち、ぶつかってきたのは日本だ、中国は悪くない、こういうふうに喧伝をするのは世論戦ですよ。心理戦とは何か。レアアースの問題、フジタの社員の問題、会談を拒否するしない、それで心理的なプレッシャーをかける、これが心理戦ですよ。そして、一九九三年、領海法というものをつくって、尖閣は中国の領土なりと一方的に宣言をした。そして、ことし三月には離島保護法が成立をして、離島というものを守る、そのことについてのいろいろな定めが行われた。何で今回出てきたかという一因は、この領土保護法、離島保護法、この成立が背景にあるとも言われています。中国は、この三戦という考え方、こういうものに着実に従ってやってきている、こういう考え方もあるわけですね。

 戦略的パートナーシップって何だ。戦略的互恵関係って何だ。日中関係で何か起こったときに、すぐジョーカーのように出てくる言葉がこの戦略的互恵関係だ。

 今ロシアとの間もぎくしゃくしている。ソ連の時代から通算して初めて、ソ連、後継国たるロシアのトップが、我が国固有の領土である北方領土に上陸、上陸というか視察に訪れ、写真を撮ったということであります。これは大変なことなのだ。国内対策とかそういう生易しい話ではありませんよ。大統領選挙があるから、そんな話じゃないと私は思いますね。

 河野さんを呼んで話を聞きたいというふうに申し上げたが、帰ってしまった。我々国会は、河野さんの、大使の説明を聞く機会を逸しました。いいですか。それは、北方領土はロシアの領土なり、そういうような明確な意思表示だったんです。

 中国とロシアのトップが、ことし五回会談をしているはずです。そして、九月、まさしくこの尖閣の問題をめぐって日中が緊張しているときに、中国とロシアが結んだものは何か。戦略的協力パートナーシップを全面的に深化させることに関する中ロ共同声明、ここにも戦略的という言葉が使われている。

 これは、ウイン・ウインだ、お互いに得しましょうなんぞという生易しい話はしていません。この共同声明に何が書いてあるか。中国、ロシア双方は、国家の主権や統一、領土保全など両国の核心的利益にかかわる問題でのお互いの支持が中ロ戦略的協力の重要な中身であると考える。これが中国、ロシアの戦略的という中身ですよ。そういうものではありませんか。戦略的というのは、そういうことを指しているのではありませんか。

 中国と対峙するときに、本当にこのようなことでいいか、政治が明確な意思を示さなくていいか、これは検察がやったことだ、そういうようなことで本当にいいか、私はそうは思わない。前原さん、どう思いますか。

前原国務大臣 中国とロシアの関係で今お話をされましたけれども、それは、両国の利害が一致しているところについては協力をする、利害が一致しないところについては相反する。それは、どの国だって国益を目指して外交をやっているわけですから、その部分だけ取り出したら協力しようということになっているのかもしれない。

 ただ、我々は、その文脈やあるいは土俵に乗る必要は必ずしもない。なぜなら、中国との間では領土問題はないんです、我々は。東シナ海では領土問題はあり得ない。尖閣は固有の領土である。したがって、我々は、殊さら中国みたいに喧伝する必要はない。実効支配をこれから続けていればいいわけですよ。

 ただ、北方領土については、これは固有の領土でありますけれども、今我々が実効支配はできていない。

 これは午前中の同僚委員にもお答えをいたしましたけれども、いろいろ結びつけてお話しされるのは、それはそれで、そういう論も立つでしょう。しかしもう一方で、我々が考えていかなくてはいけないのは、ロシアがどういう布石を打ってきたのかということも考えていかなきゃいけない。

 これはまた資料が必要であればお渡ししますけれども、二〇〇五年からかなりの高官が四島に訪れるようになっている、頻繁に。そして、二〇〇六年から閣議決定をしたものがクリルの発展計画ですよ。どんどんどんどん、今、一〇年までが第一計画で、そして一一年から第二計画で入ってくる。そういうロシア化が進んでいる。そういうものの中でどう外交を考えていくかということで、今、石破委員のおっしゃったように、私は、中ロはこう考えているから日本はどうなんだという必要は必ずしもない。

 もう一つだけ。先ほど、不安を持っているという国民の世論の調査はそうでしょう。それは中国ともこういうような状況、そしてロシアはこういうものがあって、いろいろ報道がされているから、それは国民の判断としてはそうなるでしょう。しかし、我々は、アメリカとの関係においては、確かに普天間の問題でいろいろと国民に不安を与えた部分もあったでしょう。しかし、先ほど委員がおっしゃったような中ロの動きも含めて、あるいはいろいろな世界環境、戦略環境の変化も含めて、アメリカとはうまく話ができていると私は思っていますし、そしてまた、日米の同盟関係を深化させなきゃいけないというアメリカ側のニーズというものも生まれているというふうに私は思いますよ。

 そういう全体の中での外交をこれからしっかりやっていくということでありますので、一面だけをとらえて、余り何か固定史観で物事をおっしゃるのはいかがか、私はそう思います。

石破委員 判断は国民がします。いいですか、日米同盟は深化なんかしていません。防衛大綱は一体どうなった、防衛大綱はいつ決まる。そして、基盤的防衛力整備計画、このことに対する考え方はどうなる。そして、日米安全保障条約は、基本的に自助というものを基本としている。バンデンバーグ決議というものを大臣は御存じだと思う。つまり、アメリカが何でもやってくれるという考え方は間違いだ。

 いいですか、領域警備については、これはいいです、見解は求めません。ただし、領域警備の概念が、今ある海上警備行動、治安出動、そして防衛出動、そのすき間に領域警備という概念があるのではないか。ここにある法的な問題点を一つだけ挙げてください。官房長官。

仙谷国務大臣 急に御指名をいただきましたので的確なお答えができるかどうかわかりませんが、日本は全く法整備ができていないということを最近つくづく感じます。

 そこで、今おっしゃった領域警備、コーストガードのような、ここの体制ともども法整備を早急に進めなければならない、こう考えております。

石破委員 問題提起だけしておきます。

 海上警備行動も治安出動も警察権です。警察権の行使である以上、警察比例の原則がかかります。警察比例の原則とは何に淵源を求めるかといえば、それは国民の人権の保護です。国民の人権の保護ということであるならば、それは対象は基本的に日本国民です。領土を侵犯し、有害な行為を働く、そういう者に対して警察比例の原則を本当に適用していいか。さはさりながら、急迫不正の武力攻撃ではないのだから、防衛出動をかけるわけにもいかないだろう。これが領域警備の問題なのでしょう。この領域警備ということについて、新たに権限を与えるべきなのかどうなのかということをきちんとしなければ、抑止力にも何にもなりません。このことはきちんと申し上げておきたいと思います。

 ですから、私は、菅内閣に質問するのはこれで三回目です。本当にそうだという得心を得たことが一度もありません。私たちは、やみくもに反対をするのではありません。本当に総理が恐れずに、そして我々が解決できなかった問題にしっかりと挑んでくださるのであれば、それは我々は全面的に協力するということを申し上げました。今、世の中は本当に危機管理の時代に入っているのです。きょう、あすをどうしようかという話ではない。あした何が起こるのかわからない、そういう状況です。

 重ねて、私は、ビデオの全面公開、それは、VTRと言ってもいい、映像と言ってもいい、それが国民にとって得られる最大の利益なのだ、日本の正当性、中国の不当性、そのことを世界に知らしむる、そして、国民一人一人が考える外交、これを行う上において最も肝要なことであり、それにまさる秘匿する利益なんかどこにもない、そのことを改めて申し上げておきます。

 補正予算の審議であります。

 私は、危機管理と申し上げました。財政も危機管理でしょう。財務大臣、何で日本の国債は暴落しませんか。何で日本の国債の金利、これはこういう状態で維持をされていると考えますか。

野田国務大臣 日本の財政状況は、主要先進国の中では、国と地方の債務残高で見れば、これは最悪の水準であります。ですけれども、日本の国債は、基本的には国内消化が多いであるとか、安定性があって、それに対する、むしろリスクよりも選好する、そういう人たちが多いというのが現状を支えているというふうに認識をしています。

石破委員 政府がいつかこの財政状況を改善するだろう、日本にはまだその余力があるだろう、政府はいつか必ずその決断をするはずだ、そういう期待があるから、まだ暴落しないで済んでいるのですよ。国民の貯蓄残高千四百兆円、これを超えたときに何が起こるか。海外からお金を貸してくださいという日本が出るのですよ。本当にそれでいいのかという問題です。

 お父さんがお母さんからお金を借りている、外の銀行から借りているわけじゃない、ましてやサラ金から借りているわけじゃない、だから大丈夫だという論を唱えられる方があります。今はそうでしょう。しかし、これから先もそうだとは限らない。そして、金利というのは本当に一瞬によって変わっていく。そのことは財務大臣が一番御経験のはずです。

 だから、私は、財政も今危機だ、危機管理のモードだということを申し上げ、我々は財政健全化責任法という法律を出している。これは政府の閣議決定と違うところはわずかですよね。国会の関与、三年か五年か、法律であるか閣議決定か、これしか違いませんよね。考え方は一緒のはずです。私は、何でプライマリーバランスの期間が五年というふうになっているのに政府の閣議決定が三年なのか、よく理解ができません。射程が五年であるならば期間も五年であるべきだ、私はそう思っています。

 そして、より強く、私は、民主主義というのは、残念ながら、自己破壊的傾向を持っていると思っていますので、あれもただ、これもただと言っていって、無駄を節約すれば幾らでも金は出てくるなんと言っていって、そういう票をとりたい人がいっぱい出ますから、いつでもそういう誘惑に駆られる。それがうそであることはやがてわかります。そういうような誘惑に駆られる人が多いんだ。だからこそ、法律という形で、いつでも変えられる閣議決定ではなくて法律という形で政府をきちんと把捉しておくことが、どちらが与党になっても大切なことではないかと考えています。

 財政健全化責任法、その考えは、私たちは補正予算にも考えは反映されるべきだと思っている、ましてや二十三年度予算にこれが反映されなくてどうする、私はそう思いますが、財務大臣、いかがですか。

野田国務大臣 きちっと財政規律のメッセージを出し続けなければ、委員御指摘のように、金利に不測の影響が出るということはあり得るというふうに思います。ですから、緊張感を持って財政運営に当たらなければいけないと思います。

 そういう観点から、六月に財政運営戦略を閣議決定いたしました。この財政運営戦略に基づいて、中期財政フレーム、三年間という御指摘でございましたけれども、この三年間は、自民党が提出をされた財政健全化責任法の中身とこの財政健全化の道筋、ゴールは同じでございまして、二〇一五年度までに基礎的財政収支、その赤字を半分にし、二〇二〇年には黒字化していく。

 それは、法律と閣議決定の違いはあると申し上げましたけれども、閣議決定をした上でこれを国際公約としてG20やG7でも御説明申し上げてきておりますので、これは重たい約束だと思っております。したがって、閣議決定でございますが、当然のことながら、これをしっかり守る、そういう観点から平成二十三年度の予算編成に当たっていきたいと思っています。

 さらに、もう少し追加させていただければと思いますが、財政健全化の道筋を目標を持って達成していこう、そうでなければ内外の信認を得られないというところは御党の考え方と基本的には共有をしています。ペイ・アズ・ユー・ゴー原則であるとか税制の抜本改革であるとか、ほとんど中身は似ているところがあります。三年にしているということは、逆に五年後の目標を、これはずっと三年間でとまったままじゃありません、年の半ばに中期計画を見直していくということですから、ローリングをしながら五年後の目標も達成していくという趣旨でございますので、決して緩いということではございません。

石破委員 総理、このことは総理のお考えでもあるはずですよ。閣議決定よりも法律の方がいいに決まっています。ぜひこのことには真摯に臨んでいただきたい、お願いをしておきます。

 補正予算、これから同僚議員がやりますが、何が問題なのかということを申し上げておきます。

 まず、ブレーキとアクセルを両方踏むようなことをやってはいけない、私たちはそのように思っているのですね。

 パネルの一をごらんいただきたいと思っております。

 私たちは、麻生政権時代に四回にわたって経済対策を実施してきました。しかしながら、鳩山内閣、菅内閣で行われてきたことは一体何だったんだろうか。遅過ぎるというふうに私たちは思っております。代表選挙、いろいろなことをやって、何で補正予算の提出が今ごろになってしまったのかということであります。極めて遅いというふうな認識を私たちは持っております。

 そして、いろいろなものを執行停止されましたね。今度の補正予算では、それが何となくさりげなく、もっともらしい理屈をつけて復活していますね。地域医療再生基金なんというのはその最たるものです。七百五十億執行停止をしました。今回こっそり戻っている。つまり、自民党でやらなきゃいけないと思ってやったもの、それをばさばさばさっと執行停止して、地域を本当に不安のどん底に陥れて、今回、そのことに対する反省も何もなく、補正予算でございます、復活させました、そのようなやり方は極めてよろしくない、私はそのように思っております。

 そして、もう一つ、次のパネルをごらんください。

 失業を増大させる、経済の足を引っ張る、そのような政策はすぐにやめるべきだと私たちは思っています。例えば製造業への派遣の禁止、これでどれだけ現場の製造業が悩んでいるか、苦しんでいるか。そういうことであれば、そういう人たちはもう採用できませんよ。正規の雇用なんていったらば、それはそんな賃金は払えません。外国に出るしかない。これが企業の足を引っ張ると言わないでどうする。最低賃金千円が払えるような会社がどこにありますか。CO2二五%削減、これが企業にどんな負担になっているか。そして高い法人税。それは、入りと出を同一にするんだ、租特を外すとか、ほかの税制を引き上げるとか、すそ野を広げるとか、こんなことをやっていて、何で法人の負担が減りますか。このようなことはおかしい。そして円高が続いている。このようなことは続けるべきではない、私はこのように考えております。

 そして、ばらまき四K、これはこれから先もおやりになる。高校無償化、高速道路無料化あるいは戸別所得補償、子ども手当、これは続ける。私、何かのときに言いましたよね。こんなに経済の足を引っ張ることをしておきながら子ども手当を出す、会社がつぶれて、子ども手当をもらって何がうれしい、私はそのように思っているのですよ。

 そのように、経済の足を引っ張ることをやっておきながら、片一方で景気対策でございます、そのような考え方は基本的に間違いだ、私はこのように思っております。このばらまき四K政策、これは撤回をすべきだ、そして、そのことによって、それを担保として財源を生み出していく、そういう考え方であるべきだというふうに私どもは考えております。

 さらに、中身の問題であります。

 税収自然増によって交付税がふえましたね。これを一・三兆円計上しております。そして、補正予算の総額が四・八兆円。どうです、大きいでしょうというふうにおっしゃっておられます。この一・三兆円というのは景気対策ですか。本来これは当然上がってくるべきものであって、これを麗々しく景気対策と言うのは、それは考え方として間違っている。これは水増し、そのように言われても仕方がないものであります。

 私は、そのような考え方をもとに、自由民主党としての補正予算、これを世の中に明らかにしてまいります。これから先、同僚議員、衆議院においても参議院においても、自由民主党が考える補正予算というのはこのようなものだというものを出してまいります。中身が違う、財源が違う、そして使い道。

 地方が自由に使えるお金というものは必要です。地方はこんなことができますよという、地方に本当に活力を見出す政策、これをやっていかなければなりません。補正予算では、これが三千五百億しか上がっていない。何で三千五百億でできるんですか。私たちは、それぞれの地域のアイデア、そのことによって地域を元気にする。

 総理は東京が選挙区でいらっしゃいますけれども、地方の疲弊というのは本当に大変なところがありますよ。私は全国あちらこちらへ行っているけれども、地域の悲鳴というのは大変なことだ。何で三千五百億なのか。私たちは、これを一兆五千億出して地方を元気にすべきだと思っている。そして、ばらまきをやめて財政を健全化させる。そのような考え方のもとに、これから先、補正予算についての考え方を説明いたしてまいります。

 どうか総理におかれては、この国、責任を持ってやるんだ。財政も危機です、地方も危機です、そして外交も安全保障も極めて危機です。人に責任を押しつけないでください。負うべき責任を負ってください。そして、果たすべき説明責任、これを果たしてください。

 TPPだってそうでしょう。ぶら下がりもやられなかったという話じゃないですか。このことについてどれだけ人々が不安に思っているか。このことについてまた同僚議員が話をしますが、これは国民に向かって総理が一時間でも二時間でも記者会見をなさるべきものでしょう。果たすべき説明責任を果たしてください。そして、なすべき努力を行ってください。

 どうか、集中審議、心から私ども要望して、私の質問を終わります。

 以上です。

中井委員長 この際、塩崎恭久君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。塩崎恭久君。

塩崎委員 自由民主党の塩崎恭久でございます。

 いろいろ今、石破政調会長から大所高所からのお話を含めて話がございましたけれども、まず、ビデオの問題について説明をいたしたいと思います。きょうはテレビ入りでありますから、国民の皆さん方にも、我々この衆議院の予算委員会でどういう議論をこのビデオについてやってきたか、多分余り御存じじゃないと思いますので、私の方から少し御説明申し上げたいと思います。

 九月の七日に事件が起きました。そして、九月三十日に当委員会で集中審議をいたしまして、私も質問に立ちました。その日の委員会後、理事会を開きまして、そこで与野党一致して、ビデオを徴求しよう、我が委員会にビデオをもらおうじゃないか、そういうことで意見の一致を見て、全会一致で合意をいたしました。

 ところが、民主党の皆さんは、なかなかそれに対して、この委員会で決議をするということに応じませんでした。結局、決議をしたのは十月の十三日。はっきり言って、逃げに逃げて、いろいろな理由をつけて政府と相談をしている。立法府でありますから、政府と相談する必要なんか何もないんですね。立法府として、この委員会での審議に必要だということで国会法百四条に基づく要求をした、その決議がやっと十三日に行われた。

 そして、そこからまた出てくるまでに、これは政府部内での調整もあったかもわかりませんが、先ほど来お話があったように、政治の介入はないと言いながら、恐らく政治の介入でいろいろ引き延ばしをやったのではないかなと私は思っていますが、最終的に我々委員会の理事だけで、参議院の理事も含めて、そしてその当日の質問者を含めて、やっと十一月一日に見られたというわけであります。

 我々は、まずは予算委員会全員に、そして国会議員にも、そしてさらには国民の皆さんにも公開すべきだということを一貫して言ってまいりました。そして、きょう十一月八日でありますが、私たちは、きょうのこのテレビ入りの冒頭九時から、ここにスクリーンを置いて皆さんで予算委員会で見て、そしてマスコミの皆さんおいででありますから、マスコミの皆さんを通じて、国内はもとより世界の人たちに何が真実なのかということを知ってもらおうじゃないかということを提案し続けてまいりました。しかし、相変わらず、民主党の皆さん、そして委員長も賛成ではございませんでした。

 ということで、きょう、我々は賛成をいたしませんでしたが、昼に、予算委員会のメンバー、そしてきょうとあすの質問者に公開をするということで、秘密会のようにしてこっそりと国会議員で見た、こういうことであります。

 私たちは賛成をしませんでした。マスコミを入れて、国民に全部伝わるようにしてからやるべきじゃないかということを言っており、我々はこういう要求をしながらも、民主党の皆さん方、そしてまた委員長も、なかなか国民の皆様方にはこれを開示しないということをやってきたということをまずもって皆さんにお伝えしたいと思うわけであります。

 そこで、総理、先ほど、この六分五十秒のビデオは見た、こうおっしゃいました。ユーチューブで流れたビデオは全部ごらんになりましたか。

菅内閣総理大臣 直接ユーチューブは見ておりません。報道で流れたもの、それが全部に当たるのか、その中の一部に当たるのか、四十四分全部ではないと思いますが、一般の地上波の放送で流れたものはかなり見ました。

塩崎委員 いや、たまげました。たまげましたよ。私ども自民党でも、あれは全部ダウンロードして、みんながダビングをして全部見ていますよ。

 この間もあなたはビデオを見ていなかったし、ニューヨークへ行っても報告を聞いてすぐぐっすり寝ている。そして、今回もこれだけニュースで流れているのに、自分でちゃんと全部見るというぐらいのことをなぜやらないんですか。一国の大問題でしょう。どうして見ないんですか。

菅内閣総理大臣 最初の段階では、そのときに申し上げましたが、そのときの国交大臣あるいは官房長官から報告を聞きまして、その中身を私なりにちゃんと理解ができましたので、その時点では見ませんでした。

 今回の場合は、いわゆる刑訴法に基づく公益上の必要性で例外的に公にするということと同時に、国会法百四条によって、ある意味では国会から内閣に対して提出を求められたということでありましたので、そのときに、いわば捜査機関の手を離れて国会に提出されたというところでその部分を見たということであります。

塩崎委員 いずれにしても、簡単に見れるものを見ていない。その程度の問題意識しかない総理だということがよくわかったところであります。

 いずれにしても、きょうは、私どもの方、海上保安庁の長官から、もともと海保が持っているビデオであるということがあの流出ビデオについては認められたということでありました。ということは、政府が持っているものが出たということを総理もお認めになるんだろうと思うんですね。そうすると、情報管理、これの不備があったということをお認めになるんだろうと思うんです。お認めになるのであれば、今国民の皆さん方の前で謝罪をしてもらいたいと思いますけれども、いかがですか。

菅内閣総理大臣 ユーチューブに流れたものが、海上保安庁のたしか石垣のところで編集されたものとほぼ同一というか、同一であるというふうなことをきょう午前中の審議でも担当大臣が認められておりますし、私もそういう報告を聞いております。

 そういった点で、本来、政府としては限定された中でこの委員会に提出はいたしましたが、現在ユーチューブに流れ、あるいはそれがダビングされて流れているものについては、政府としては管理不行き届きであったということにおいておわびを申し上げたいと思います。

塩崎委員 ちょっとパネルを見ていただきたいわけでありますが、ここに二種類のパネルがあります。国会法百四条で入手したビデオ、これを六分五十秒できょうもまた昼に流したわけでありますが、これを出すときに、那覇の検事正から議長に対して、そしてもう一つは官房長官から予算委員長に対して要望書というのがございます。

 この要望書の中に何が書いてあるか。これは、「関係者の名誉・人権を保護する必要がある」、それから「海上警備・取締活動の秘匿性が格別に配慮される必要がある」、そして「国際政治情勢への影響も考慮する必要がある」ということなので、最後にありますけれども、「極めて慎重な取扱いに特段の御配慮方要望いたします。」というのが最後に書いてあるわけです。これは仙谷官房長官の要望書であるわけであります。

 つまり、政府は、私たち国会に対して細心の注意をしろと言っておきながら、みずからは、今総理自身が認めて謝罪をされたように、全くこの情報管理もできずに、だだ漏れに出ていってしまったわけですよね。だから全世界にユーチューブを通じて出ていった、こういうことではないですか。

 そうなれば、では責任はだれがとるんだという問題ですよ。担当大臣、法務大臣、国交大臣、そして、ここまで明確に注意をした仙谷大臣、もう仙谷大臣は即刻やめてもらってもいいぐらいですよ。そして、最終的には菅総理が最終責任を負わなきゃいけないはずですよ。任命責任もある。この点についての責任のとり方、どういうふうにするのか考えてもらわなきゃいけないと思うんですけれども、いかがですか。

菅内閣総理大臣 先ほど国民の皆さんに、こうした情報管理のずさんさの結果、情報が流出したことについてはおわびを申し上げました。最終的な責任は、もちろん内閣の責任者ということで私であります。

 と同時に、今どういう形で、直接的な意味でどういう人がかかわって漏れたかということを徹底的に調査をする、既に捜査当局に告発をいたしております。つまりは、国家公務員法違反ということがほぼ間違いないということで告発をいたしております。

 まずは、そうした原因を徹底的に究明して、それを明らかにすることが第一だ、こう考えております。

塩崎委員 この要望書にありますけれども、海上警備活動の秘匿性が云々とか、名誉と人権に影響がある、どうのこうのとありますが、結局、ああやってユーチューブで出た。それで、では、そんなに重大な影響があったのか。大したことないのに、大げさにこれは書いてきたんじゃないかというふうに私は思いましたよ、仙谷さん。

 それから、逆に、秘匿性が高いものがあれに実は出ていたんだと言うならば、ますますもって、これは政府の側から情報が出てしまったということでありまして、責任は重かつ大ですよね。どうですか。

仙谷国務大臣 私どもがこのような要望をさせていただいた捜査情報あるいは証拠が、何らかの犯罪行為と思われる行為によって流出したことはまことに遺憾でございますし、私自身も管理監督に当たる、間接的ではありますけれども、そういう立場におる者としては、国民の皆さん方にもまことに申しわけない思いで、おわびを申し上げたいと存じます。

 ただ、今、塩崎委員がおっしゃいましたけれども、これはいろいろな角度から見て、海上警備・取り締まり活動の秘匿性が、この流出した例えばビデオで分析し、それを、本来は秘匿すべき事項が外へ漏れる、あるいは、この種のものが外に出ることによって、先ほど石破議員の御質問にもありましたけれども、他国との関係あるいは他国の捜査機関との関係等々が果たしてどういうことになるのかというようなこともお考えをいただけると、先生は極めて重要なポジションに立たれたこともおありになりますし、その過程でこういう、本来は秘密にすべき情報が外に出たとか出るとかいうこともありましたのでよくおわかりになっていると思いますが、私はこれは、まあ、ちょっと見れば大したことないじゃないかという見解もおありになるかとも思いますけれども、専門家が見ればそれは、専門性の高い者から見れば秘匿性があるというふうに考えます。

塩崎委員 総理、九月から代表選挙を挟んでずっといろいろな事件がこの尖閣について起きてきましたが、外交防衛上の重大な問題だという御認識はお持ちなんでしょうか。

菅内閣総理大臣 持っております。

塩崎委員 九月三十日の集中審議の際に、この事案は、ビデオは見ていなかったけれども、前原さんからとかいろいろ聞いて、悪質な事案だということを聞いて、その認識は共有しているとおっしゃったんですね、私に対して。

 今回、改めてビデオをごらんになり、そしてユーチューブはニュースでごらんになった。しかし、一番ハイライトのところを見ていますから多分同じだろうと思うんですけれども、悪質な事案であるという認識に変わりはないか。特に、明らかに意図的に中国の漁船が海保の巡視船にぶつかってきている、この認識、明らかに悪質な行動だというふうに考えられたかどうか、そこを明確にしていただきたい。意図的にぶつかってきたと思っておられますか。

菅内閣総理大臣 当初に国交大臣あるいは官房長官から報告を聞いたときも、今、塩崎議員が言われたように、悪質であり、意図的に衝突を、向こうからぶつかってきたという報告を受けておりました。私も見た中で、その認識に全く変わりはありません。

塩崎委員 意図的に中国の漁船が日本の海保の巡視船にぶつかってきたというふうにごらんになりましたかと聞いているんです。

菅内閣総理大臣 今お答えしたように、最初もそういう報告を受けておりましたし、私が見た中でそれと変わらないということは、今、塩崎さんが言ったとおりの認識を同じように持ったということです。

塩崎委員 意図的にぶつけたということを総理も感じられた、こういうことを明確におっしゃったということだろうと思うんです。

 外交というのは、もう言うまでもありませんけれども、お互いの主張を言い合う、ぶつけ合う、こういう中から生まれてくるわけでありますけれども、実は、中国は一貫して我々の主張に対して、例えば五日のユーチューブで流れたとき、その次の日の新聞を見ても、五日に中国の外交部は、真相を変えることはできず、日本側の行為の違法性は隠せない、こう言っているんですね。こういうふうに言っているんですよ。ですから、中国がそうやって、いや日本の方が違法なことをやっているんだということを言い続けている、これに対して、我が国の国益を守らなきゃいけない最終責任者の菅さんがこのまま黙っているわけにはいかないじゃないですか。

 となれば、ビデオを、今、意図的に中国の漁船の方が日本の海保の巡視船にぶつかってきたということを、私もそう思いますとおっしゃったんですから、だったら、このビデオをちゃんと世界に見せて、どっちが本当に正しいことを言っているのかというのをわかってもらわなければ、外交にならないじゃないですか。言われっ放しに言われて、証拠も何もないものだから、世界はだれも信用できませんよ。結局、世界がどう思っているかといったら、何か圧力をかけられたら言いなりになる国、弱い国日本、こうなっているんですから。

 何で、これで世界に真実を示すために公開をしようということをみずからリーダーシップをとっておっしゃらないんですか。

前原国務大臣 中国が言ってきたことに、一々それに反論するという立場はとりません。先ほど石破委員にも申し上げたとおり、向こうの立場を我々は有権解釈する立場にありませんから。

 東シナ海においては……(発言する者あり)

中井委員長 答弁してください。答弁してください。はい、答弁を続けてください。

前原国務大臣 いやいや、場外の方がやじを飛ばされるもので。

中井委員長 大臣がそういうところから物を言わないで、答弁をちゃんとしてください。

前原国務大臣 中国の立場を有権解釈する立場にはありません。

 東シナ海における領土問題は存在しないわけですから、我々の立場ははっきりしている。尖閣は日本の固有の領土である、それでいいじゃないですか。

塩崎委員 領土問題がないというのは当たり前のことですから、そんなことを言っているんじゃないんですよ。どっちがぶつかってきて、どっちが悪かったかということを言っているのであって、それはおかしい。

 次のパネルを出していただきたいと思うんです。

 さっき話題になった刑訴法四十七条。ここに、公益上の必要その他の事由がある場合は開示できるということになっているんですね。さっきそういうことでいろいろ議論がありましたけれども、さっき総理は重大な問題だ、悪質な事案だということを言ったんですから、言ってみれば、四十七条のこの例外規定、「公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」ということで、これを認めたようなものですよ。さっきいろいろ議論がありましたけれども、この法律の趣旨は、被疑者とか被告人の、訴訟関係人の名誉を守るということが一つ。それから、裁判などへの不当な影響を防ぐという、この二つなんですね。

 そうなると、ここでさらに公開をするということで何の、どういうプライバシーが新たに侵害されるのか、新たにですよ。もう既にユーチューブで出ちゃっているわけですから。そして、どのような不当な干渉が懸念されるのか。ここのところを明確にしない限りは、引き続き、今回、国会に出してきたのと同じように、今度は世界に対して公開をするということをやった方がいいと私たちはずっと主張しているわけでありますけれども、この法の趣旨からいっても、そしてまた総理の御認識からいっても、この法に基づいて公開することは何ら問題がないと私は思うんですね。

仙谷国務大臣 この議論、ちょっと誤解があるんじゃないかと私が思うのは、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」という規定は、公判になれば公判廷は公開の法廷で開かれるから、そこは公開されるんだということであります。ということは、要するに起訴、不起訴で起訴にならなかった事件の訴訟関係書類は、捜査上の必要性や合理性あるいは捜査の密行性に伴って収集した書類は、起訴をしなかった事件については原則としてはこれは公開しないんだという規定です。

 先生方、いや、もう不起訴にしたんだから公開していいんじゃないかというのは間違いです。要するに、公開にするのは、公開の法廷で公開するということであります。

 私どもは、伝統的にというか、歴史的にはこの四十七条の「但し、公益上の必要その他の事由」というところが、国会法百四条で国政調査権を行使された場合には、国権の最高機関がそういう行為をされた場合には公益上の必要その他の事由がある場合の典型的な事例だという解釈がありますので、だから国会の予算委員会で先般決議をされたので、では、あと相当な範囲はどうなのかということを私どもも要望をし、国会の方でもそれを考えていただいておる、こういうことになると思います。

塩崎委員 いずれにしても、海保のオリジナルのビデオを委員会に提出していただくように、委員長、お計らいをお願いしたいと思います。

 先ほどこれは、石破政調会長も全体の海上保安庁のオリジナルのビデオを国会に提出するようにお願いするということを提案いたしましたが、私も同じように要求したいと思いますので、よろしくお願いします。

中井委員長 理事会でたびたび議論のあるところでありますが、引き続き御要求のあったことを踏まえて協議いたします。

塩崎委員 先ほど総理は、意図的に中国の船がぶつかってきた、こういうふうにお認めになったわけでありますけれども、そこまではっきりしているならば、なぜ処分保留のままでずっといこうというのか。ここは明らかなわけですから、まだ処分保留であるならば起訴をすべきだ、検察は中国人の船長を起訴すべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

柳田国務大臣 検察当局が適切に判断されるものと考えております。

塩崎委員 先ほど石破さんと議論があったように、政治介入は一切なかった、そして指揮権の発動もなかったという虚構をずっと守り続けるからこういうことになるわけでありますけれども、これだけ外交に大きな影響があり、そしてこれだけ今大問題になっているこの事案について、法務大臣、検察庁法十四条の指揮権、これは本来、刑事の案件に関して正しく政治介入をすることはあり得べしということでああいう法律ができていて、この間、官房長官も私の質問の最後に、これからはよく勉強せないかぬ、こう言っておられたわけです。

 いいですか。ここであれだけ、総理も明らかに意図的にぶつかってきたと。言ってみれば、この国会の前を走っているパトカーに外国人が運転する自動車がどおんとぶつかって、追突してきたと、意図的に、明らかに。そのときには、黙って捕まえて、それも現行犯ですよね。今回は現行犯にもしなかった。それで、起訴をするというのは、恐らく百ケースあったら百ケース全部やるはずですよ。

 ですから、私は法務大臣に聞きたい。官房長官じゃないよ。毅然たる態度で、ここは本来起訴すべしということで、指揮権発動を私はすべきなんじゃないかと。それは、外交当局の前原さんとも相談したら、恐らく前原さんもそうだと言いますよ。ただ、APECが心配だなと言うかもわからない。でも、そんなことで、きょう胡錦濤さんが一応来ることになっているけれども、APECにメンツがそろうことの成功よりも、国益を守って、我が国の領土をきちっと守るということの方が私はずっと大事だと思う。そうであるならば、私は、ここは指揮権を発動してでも起訴すべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。私は法務大臣に聞いています。

柳田国務大臣 今回の事案につきましては、事あるごとに、折々ちゃんと報告を受けておりました。そしてまた、二十四日の朝にも報告を受けました。処分保留、保釈、その理由についても話を聞かせてもらいました。その結果として、私はわかったと申し上げただけでございまして、指揮権を発動した事実はございません。

塩崎委員 いやいや、もうそれで十分です。

 過去の話を言っているんじゃないんですよ。これから指揮権発動してでも起訴をしろということを申し上げているのであって、これはたまげましたよ。

 要は、明らかな証拠がある犯罪が起きているにもかかわらず起訴をしない国だ、起訴をしない内閣だと。こんなので国民の生命や財産を守れるわけがない。もうがっかりですね。それで、起訴便宜主義の陰に隠れて話をはぐらかす。そんなことで我が国の国民を本当に守ることができるのか。だから、さっき言ったように、九割の人たちが菅内閣の外交には心配をしているわけですよ。不安を感じているわけですよ。

 だから、こんなことではやっていられないし、そして今回は、総理が本来とるべきリーダーシップ、ですから、逮捕のときも、そして勾留のときも勾留延長のときも釈放のときも、何らかの具体的な指示をしていなきゃおかしいのに、何もしていないんでしょう、さっきの答弁だったら。そうでしょう。司法がやったものを了としたと。了とするだけのことしかやっていない総理なんですよ。リーダーシップがない。だから、結局、今回、だれかはわかりませんけれども、恐らく政府の中の人がたまりかねて流出をさせた。言ってみれば、その人がリーダーシップをとったんですよ、国益のために。(発言する者あり)そんなことを言っているんじゃないですよ。ここにあるのは、菅内閣の外交に対する不安とそして憤りなんですよ。そのことを一体わかっているのかどうかということをやはり考えてもらわなきゃいけない。

 総理、どうですか。

仙谷国務大臣 総理も後からお答えすると思いますが、私、この事件で、この事案で、この問題で、初めてみずからのポジションをはっきりしながら議論する方にお会いしましたので、大変これは議論を深める必要があると思って出てまいったわけであります。

 つまり、塩崎さんは、今からでも指揮権を発動して起訴すべきだ、こうおっしゃった。これは、もし塩崎さん個人の意見じゃなければ、自民党がぜひそういう議論で総意として出していただきたい。我々もそれを参考にしながら考えたい。つまり、こんな……(発言する者あり)

中井委員長 静粛に願います。静粛に。

仙谷国務大臣 こんな大きな議論を、こんな大きな問題を個人的なお話で出されたのではたまりません。これは自民党も、谷垣総裁以下こういう意見でまとまっておっしゃっているということであれば……(発言する者あり)

中井委員長 静粛にしてください。

仙谷国務大臣 そういうふうなポジションをちゃんと確立してお話をしていただきたい、こう思います。

塩崎委員 いや、そんな、私に対する注文はいただかなくて結構です。私は質問をしているんですからね。(発言する者あり)

中井委員長 静かにしてください。質問者の声が聞こえません。

塩崎委員 質問をしているんですから、説教は要りませんよ。

 それで、総理、総理からまだ聞いていないですよ。総理、簡潔にちょっとお願いします。

菅内閣総理大臣 先ほど石破議員の質問の中でも答えましたけれども、今回の問題は、ある段階から、公務執行妨害という犯罪に対する捜査という問題と、まさにそういう中でいろいろな問題が進みました。

 ですから、広い意味では検察も、それはもちろん海保もあるいは警察も行政機関ではありますけれども、犯罪に関して、個別案件に関して、その判断にどこまで例えば総理大臣やあるいは官房長官が直接的に関与すべきかどうかというのは、私は、率直に言って、その都度常に一つの問題として考えました。今その指揮権発動云々の議論が出ておりますけれども、私は、個別案件の捜査という分野に比重の高いものについては、検察なりそれぞれの立場の人たちが法律に基づいた判断をされている中でいえば、やはりそれを尊重するのが私の態度で、あるいは総理大臣の態度であろうと思っております。

 そういった意味で、何かその結果がそれこそ戦争にでもつながるような重大なことにつながるとなれば、それはストップさせたりいろいろすることもあるかもしれませんが、法律の範囲内でそれなりの妥当性を持って決められたものを、総理大臣といえども、捜査ですよ、個別案件の捜査ですよ、言っておきますけれども。個別案件の捜査に関することを、それは違うと言って反対の結論にするというのは、それはよほどのことでありまして、私はそこは慎重にあるべきだ、このように考えて行動をしてきたわけであります。

塩崎委員 いずれにしても、これまで政治判断を全く入れないでやってきたと言っているけれども、実はそうじゃないということはもうみんなわかっているわけですよ。だから、そこのところを今回カミングアウトして堂々とやってみたらどうですかという、まあ半分嫌みを私は言っているわけですよ。覚えておいてください、それは。

 そこで、次に行きたいと思います。

 尖閣諸島の貸借の現状というのをちょっと見ていただきたいと思うんですけれども、国民の皆さんは余り御存じない方がおられると思いますのでお示しをいたしますが、尖閣諸島は五つの島と三つの岩によってできています。そのうちの四つの島が民間人によって保有をされています。民間人が所有して政府が借り上げているわけでありますけれども、総理は御存じですか。

菅内閣総理大臣 承知をいたしております。

塩崎委員 どういう内容の契約になっているんでしょうか。これは公費でお金を払っているわけですから、当然その内容についてつまびらかにすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

 例えば、貸借契約の期間はどのくらいですか。

片山国務大臣 突然の御質問でありますので、今資料を持ち合わせておりません。後刻、必要な資料を御提示したいと思います。

中井委員長 ちょっと待ってくださいね。

 防衛大臣北澤俊美君。(塩崎委員「わからない人に当てないでよ」と呼ぶ)防衛省の賃借があるでしょう。(塩崎委員「それはもういいです、所有関係だから。時間がもったいない」と呼ぶ)お聞きだから、やってください。

 それでは、仙谷由人内閣官房長官。

仙谷国務大臣 契約は、期間一年間の契約を基本的に自動更新することにより、安定的な賃借権を確保することにいたしております。

 現在は、平成二十二年四月一日から平成二十三年三月三十一日までの土地賃貸借契約であります。

塩崎委員 重要な問題ですから、当然このくらいのことは皆さんおわかりだろうと思って、危機管理の問題だと思って、私はあえて細かい通知はしませんでした。しかし、そんなこともやはりわからない、持ち合わせていない、この程度の危機管理の感覚でおられるということがよくわかりました。

 そこで、財務大臣、今、財政の単年度主義であるがゆえに、実はこれは毎年の契約更新になっているんですね。それで、基本的に自動更新だともおっしゃいました。基本的にということは、基本的にいかないときがあるということですよ。ですから、来年うまくいかないかもわからないということがあり得るわけであって、そうなると大変なことが起きるわけであります。

 そこで、例えば施設をつくることができるのかどうか、これについてもどうかなと思いますよね。どうですか、建物は建てられるんですか。

仙谷国務大臣 現在の契約では、本契約期間中、賃借物件の形質の変更及び立木等の伐採を行わない、あるいは、工作物の取り扱いとしましては、本契約期間中、賃借物件において国の所有する工作物の保守管理を行うことができるというふうになっておりますので、改めてそこに建物等々を建てようとすれば、これは持ち主の了解をいただかなければならない、こういうことになろうかと私はこの契約書を解釈いたします。

塩崎委員 実は、久場島とあと三つの島と分かれているんですが、私は、持っていらっしゃる方が信用ならないとかいうことを言っているわけじゃ決してないんです。ただ、例えばその人に危害が加えられるとかおどされるとか、いろいろなことがあり得るわけであって、そのときに国益に反するような流れになったときにどうするんだということであるわけで、大変な金額で外国の人が買うとか、そういうようなことが起きるとも限らないわけであります。

 私は、基本的に、この尖閣はできれば国有化をすべきではないかというふうに思いますし、何らかの施設を建てることをお勧めいたしたいと思いますし、常時だれか日本人がきちっとそこにいる、今灯台があるんですが、無人です。だれもいないんです。ここはやはり、だれかいるということが私は大事だと思いますので、国として、やはり尖閣を死守するという国としてのメッセージを出すということが私は大事じゃないかなと思うんです。

 もちろん、毎年じゃなくて、三十年、五十年、例えば香港みたいに九十九年契約というのもそれはあるかもわからないんですが、基本的には、私は、他の島と同じように国が持ったらどうだろうかというふうに提案をいたしたいことと、今の契約書を、委員長、この委員会に提出をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

中井委員長 プライバシーの問題もあろうかとは思いますが、理事会で協議をいたします。

 保有についての答弁要りますか、塩崎君。土地を持てというのは、島を持てとか……(塩崎委員「保有というのは、僕のその考えについてね。はい」と呼ぶ)

菅内閣総理大臣 これまでのいろいろな経緯もあり、現在実効支配をしているわけですけれども、いろいろな考え方について、必要なところで、せっかくの御提案でありますから、検討させてみたいと思います。

塩崎委員 いずれにしても、菅内閣の外交、鳩山内閣もそうでした、そして菅内閣になって、もっとひどくなったと私は思います。

 一日一日、何か領土が狭くなっているような気がするんですね。こんなことで我が国を守り切ることができるのかどうか非常に心配であって……(発言する者あり)いや、そうじゃないですよ。じゃ、なぜ世論の九一%が菅内閣の外交に不安を抱いているのかということをよく考えてもらわなきゃいけないし、例えば、今度メドベージェフ大統領と会えるかどうか、胡錦濤さんと会えるかどうか、いろいろ議論していますけれども、ことしは、皆さん、日米安保条約の改定後五十年ですよね。六〇年安保の五十年後ですよ。この五十年の、言ってみれば、何か記念式典をやろうというような話は全然政府からも出てこない。これは大事でしょう。日米同盟の深化、こう言っているはずですよ、菅さんも。だったらば、基本の日米の、この改定五十年たったところで記念式典をやったらいい。

 我々自民党で、あるいは野党でやろうと思っている。アメリカの在京大使を呼んで、何らかの形でこれまでを振り返って、そして、これからも一緒にやはりしっかり強化をしながらやろうじゃないか、そういうことをやろうと思っていますけれども、何の議論も出てこないんですよね。だからみんな不安になるんですよ。そこのところをよく考えていただきたいと思います。

 そこで、次に移りたいと思いますが、きょう、実は経済産業省の古賀茂明審議官を呼ぼうと思いました。残念ながら、議調わず、理事会でオーケーが出なかった。参議院の予算委員会では呼んだんです。ところが、ここでは呼んでくれないということになりまして、臭い物にはふたをする内閣ですから、そういうことでやられてしまいました。

 そこで、経済産業大臣、今地方は非常に苦しい状況であります。私の地元松山も、本当に今厳しい。中央商店街も、空き店舗率一四・四%ですよ。元気だったところがそんなになっている。中小企業が塗炭の苦しみを味わっている状況を、多分、薄々はお聞きになっておられると思うんですけれども。

 実は、経済産業省で、この古賀茂明さんを十月初旬に二週間、地方に出張させた、地域企業の状況、円高による影響について調査をさせたと聞いていますけれども、その出張について大臣は報告を受けましたか。

大畠国務大臣 塩崎議員にお答え申し上げます。

 古賀さんの出張については、報告を受けました。

塩崎委員 いつ受けましたか。正直に。

大畠国務大臣 出張される前に、古賀さんにこのような形で出張を命じますと、こういうお話をいただきました。

塩崎委員 委員長にお願いがありまして、この古賀さんの出張報告書というのをぜひ国会へ提出していただきたい。そして、きょう理事会でも話になりましたが、政府参考人ではなくて参考人として招致をすることをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

中井委員長 書類提出の件につきましては、大至急、与党と役所でお詰めいただきますことをお願いいたします。

 古賀さんの招致につきましては、引き続き御協議を理事会でお願いいたします。

塩崎委員 恫喝という言葉の定義を持ってまいりました。これは、官房長官、御記憶にあると思いますが、参議院で、この古賀さんが来たときに、将来に傷がつくと、こう言ったことが恫喝ではないかということでさんざん議論があって、謝罪をされましたけれども、恫喝であるということを認めなかった。

 将来に傷がつくという言葉は、普通に考えれば、出世の可能性はもうないよとか、転職しようとしてもなかなかもうできないよとか、そういうことを言って、本人の目の前で、国会でそういうことを言うと将来に傷がつくと言ったんですね。これはどう考えたって、恫喝というのは、「おどして恐れさせること。」あるいは「人をおどして恐れさせること。おどし。」ということだと思うんですね。

 二十七日の内閣委員会で、自民党の平議員に、恫喝と受けとめられるのは不本意だというふうにお答えになったでしょうが、なぜ恫喝ではないのか。こんなことを官房長官に言われたら、言われた方は、やはり、恐ろしいなと言うに決まっているというふうに思うんですね。(発言する者あり)これは、今、くだらないというようなやじがありましたけれども、実は、官房長官が、自分たちの都合の悪いことを言う人を封殺する、言論を。民主主義の国家であれば、こんなことがあっていいはずがないわけであって、そして、恫喝は、実はこれは個人に対しての恫喝だけじゃないんですね。政府全体ですよ。ですから、もう今、役人の皆さんは非常にぴりぴりしていますから。

 そして、もう一丁大事なことは、国会に対する恫喝になっちゃって、参議院では呼べたのに、あとはもうみんな、呼んだら官房長官に怒られるぞみたいなもので、全然呼べなくなって。実は、去年の年末に公務員制度改革の事務局が一掃されました。全部、官房長官によってかえられました。そして今、そのときいた三人のトップは、二人は政府の外に行ってしまいました。したがって、あのときの公務員制度改革の状況などを聞くのは、古賀さんに聞くしかないんですね。それできょう呼んでくれと言ったけれども、それでもだめだった。

 そういうことで、国会まで恫喝がよくきいちゃって議論もできない、そういう状況になっているということをまず知ってもらいたいというふうに思うので、仙谷長官、これまでの発言が恫喝だったことを認めて、謝罪をしてもらいたいと思います。

仙谷国務大臣 先日、参議院の予算委員会の冒頭で陳謝をいたしましたように、今御指摘の私の発言が不適切な発言であったということで陳謝をいたしました、今後は真摯な答弁に努めてまいりたいと思いますと。

 私自身は、古賀さんとはどちらかというと親しい方でございました。ただ、官僚の方々が、前職のことを政府参考人と呼ばれて個人的な見解を求められるということをお気の毒だなということで申し上げたので、恫喝というふうに受け取った、予算委員会の先生方はそういうふうにおっしゃいますけれども、私は恫喝というふうなことではないと思います。ただ、TPOとして不適切であると指摘されれば、そうだったなと反省をいたしておるところであります。

塩崎委員 なかなかお認めになりませんけれども、みんながびびって、怖がっているということをよく考えた上で、やはり言論封殺はしないというふうにしてもらいたいと思います。

 ちょっと時間がないので次に移りますが、公務員制度改革であります。

 その中で、前回、河野議員から裏下りと、それから現役出向の問題については大分議論しましたが、きょうは一点だけ、人事院規則の改正についてお示しをしたいと思うんです。

 実は、これは八月十六日に改正をされていて、余り皆さん御存じないと思うんです。国民の皆さんにもよく見ていただきたいと思うんですけれども、要は、今までは監督しているところには行けなかった、それが、官民人事交流と称して、直接、例えば国土交通省の建設関係の仕事をしている人がゼネコンにいきなり天下りができるようになった、こういうことなんです。

 つまり、今までは、部長クラスの幹部は所管企業に人事交流で行くことはできなかった。ところが、今回の改正で、一たん所管ではないところに移って、二年間たったら、官民人事交流として所管企業に行かすことができる、そういう斜めの線で所管企業に行けるようになってしまいました。

 おまけに、そこから一たん役所に戻って、そして、再就職は原則できないようなことになっていますけれども、ただし書きがこの規則にはあって、定年退職なら可能であるとともに、特段の理由があれば退職勧奨も可能だということになって、結局、事実上、役所のあっせんで所管企業に天下りをさせることができるようになっちゃった。

 ですから、定年ぎりぎりまで所管企業に行っておいて、ちょっと戻ってきて定年退職になりましたといって、今度は人事でそこに行っても全然問題がないということになってしまったわけであって、まあ言ってみれば、現役出向で実質天下りをやっているのと同じように、この官民人事交流の制度を利用して、結局、天下りができるようになってしまったということです。

 去年の衆議院選挙のときには、さんざん天下りを根絶すると大声でおっしゃっておられましたけれども、次々とそれを破るようなことをやってくる、まあ言ってみれば、うそつき内閣だということを、私たちは、この間の先国会のときにも官房長官と私は並んで我々の対案を出していますから、今回も実は対案をもう出したんです。同じ対案を、法律をこの間出しました。しかし、政府は、基本法に、去年の六月までに実は内閣人事局を定めた法律を出さなきゃいけないというのに、それをいまだに出していないんです。それで、我々は、それをちゃんと去年の六月に麻生内閣のときにも出しましたし、そしてこの間の通常国会にも出しました。

 そういうふうに着々と、我々はちゃんと法律にのっとってやっているけれども、法律破りをしているのは菅内閣、その前の鳩山内閣、これが次々とやっている。何で法律も出さずにこんなことばかりやっているんだということであるわけです。

 我々は、さらに地方公務員法の改正。実は、能力・実績主義は国家公務員には入りましたけれども、地方公務員には入っていないんです。いまだに、同期は全部一緒に毎年同じペースで昇給、昇格をしていくという古い世界が残っちゃっている。それを私たちはこれから法律を出して、みんなの党と一緒に出す予定でありますけれども、やろうと思っています。

 こんな人事院規則の改正をやっているのは、一体どういうことなのかということを説明してもらいたいと思います。

江利川政府特別補佐人 人事院規則の改正でございますので、私の方からお話を申し上げます。

 官民交流につきましては、公務員制度改革基本法の中でも、促進をするようにと言われているところでございます。

 今回の改正に当たりましては、幾つか注意をしておりまして、一つは、派遣交流実施計画を各省がつくる際に、戻ってきたらどのように活用するのか、その人事方針を明らかにさせる。それから、就職前二年間の……(塩崎委員「実質天下りかどうかだけ、イエスかノーかで言ってください」と呼ぶ)違います。

 二年間前の、それから帰ってきてからも勤務をするということを前提にしております。また、それに反するようなことがあれば、今後派遣交流を認めないというようなことも言っておりまして、法律の趣旨に沿ったものということで制度を設計いたしました。

塩崎委員 いや、実はただし書きがあって、ちゃんと定年退職までいればいいし、特段の理由があれば行けるようになっているんです。そういううそを言ってはいけません。

 次の、あと時間がもうないので続けて言いますが、一つは、まあ言ってみれば、今もうそつきですし、これもうそつき。これも何度も言われているからあれですけれども、人勧を、マイナス一・五%をそのままのんだ。要するに、「人事院勧告を超えた削減を目指すとともに」というのを結局放棄した。これが一つであります。

 もう一つ、次に見てもらわなきゃいけないのは、マイナス一・五を深掘りすると言いながら深掘りをしなかったといううそをついたのと同時に、そもそもこれは、これは菅さん以前の問題なんですけれども、民間給与という定義であります。調査をしていますけれども、人事院調査はマイナス一・五。ところが、国税庁の調査でいくと、何とマイナスの五・五なんですね。

 その人事院の調査の対象企業を見たら、これはごらんのとおり、本当の中小企業と我々がふだん言っているようなところは全然入っていない。五十から五百人、それから五百人以上というのがまあ半分弱、それだけ入って、実は全事業所のうちの五百人以上というのは一%しかないのに、こんなでかいところの企業ばかりとって民間の給与はこんなになっている、それをベースに人事院勧告をやっていたのでは、全く世の中の動きとは合わないことになってしまう。ですから、ここのところをちゃんと直さなきゃいけないと私は思いますけれども、いかがですか。

片山国務大臣 人事院勧告のことですから、また、必要がありましたら人事院の総裁の方から答弁があると思いますが、小規模企業、一人から五十人の企業を対象にしていないというのはそのとおりなんですが、これはもう自民党時代からずっとそういうことであります。それを現在では……(発言する者あり)

中井委員長 静粛に。静粛に願います。

片山国務大臣 これは事実をお示ししているわけであります。

 それから、深掘りの件でありますが、現在は人勧を完全実施するということ、しかし、次期通常国会に、いわゆる深掘りのことを労使でこれから話し合って合意を得て出そうということも、それももう宣言しているわけであります。ですから、そのことはよく御理解いただきたいと思います。

中井委員長 塩崎君、時間が来ていますから、まとめに入ってください。

塩崎委員 わかっています。

 いずれにしても、マイナス一・五では七百九十億しか減らせない。(発言する者あり)

中井委員長 静かにしてください。聞こえません。

塩崎委員 いいですか。公務員の総人件費二割カットをやろうと言っているのにこの程度しかできないのでありますから、そこのところは自民党時代からやっていたからいいというわけじゃないはずですよ。変えるなんという話も余りないし、そこのところをちゃんとやらなきゃいけない。

 いずれにしても、言ったことはやらない、統治能力がない、そして内部の統制能力もない。そういう内閣で、今こうやって国民の皆さんがみんな不安になって、どこに行っても今我々に言われるのは、塩崎さん、このままいったらこの国はつぶれるぜ、こういうことしか出てこないんですから、ここのところは、やはり一日も早く政権をかえてもらわなきゃいけないと私は思って、終わります。

中井委員長 この際、平沢勝栄君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 引き続いて、質問をさせていただきます。

 まず、総理にお聞きしたいんですけれども、きのう、徳島県の吉野川市というところで後藤田正晴先生の御功績をたたえる顕彰碑というのが完成しまして、私も除幕式に行ってきたんですけれども、後藤田正晴先生、御案内のとおり、官房長官当時、危機管理にはすばらしい手腕を発揮されたわけです。伊豆大島の大噴火がありました。それから、大韓航空機の撃墜事件もありました。見事な危機管理能力を発揮されたわけです。

 翻って、今の内閣はどうですか。先ほど来、いろいろ出ていますとおり、本来なら全然、全く譲歩してはならない領土問題でも、何を言っているかわからない。どんどん妥協に譲歩を重ねているじゃないですか。イエーリングという人が「権利の闘争」という本の中で、何て書いていますか。少しの領土を奪われて黙っている国民は全部の領土を奪われる、こういうふうに書いてあるんですよ。国家の主権、領土、こういったものについては絶対に妥協、譲歩をしてはいけないんです。

 後藤田官房長官のときと今の内閣の違いはどこかというと、少なくともあのときは国のことを考えていた、将来を考えていた。今の内閣は内閣のこと、政権のことだけを考えているじゃないですか。そして、何か都合の悪いことがあれば、それを全部役人のせいにしてしまう。政治主導と言いながら、都合が悪いことは役人主導にしてしまう。そんなひきょうなことを後藤田さんが官房長官のときはやりませんでしたよ。

 いずれにしましても、こういう中で、国民の皆さんは危機管理、いつ何が起こるかわからないのが危機管理です、本当に今の内閣で大丈夫なんでしょうかという大変な不安を抱いていると思います。口蹄疫とかいろいろな問題がありましたけれども。

 まず、総理、今までいろいろな問題がありました、中国船の問題、それから口蹄疫、これはまだ続いていますけれども、こういった問題について、内閣として危機管理はきちんと的確にできたとお思いですか。そして、これから起こるであろういろいろな問題、これについて内閣として的確にできると思われますか。

菅内閣総理大臣 私が六月八日に総理大臣に就任して、たしか一週間目ですか、宮崎に入りました。そして口蹄疫の農家を訪れ、また知事や地元の首長さんと集まりました。率直に言って、そこから相当の馬力を出して自衛隊の増派、警察官の増派、そして全頭埋却等を始めて、その後拡大がとまり、現在、一応、終結宣言になりました。わざわざ言っていただきましたが、私は、この口蹄疫に関してはかなり迅速にやれた、こういうふうに思っております。

 そして、尖閣諸島の問題に関して言えば、今、まさに議論をいただいているいろいろな問題が起きております。私は、もうしばらくこれが、何年かわかりませんが、たった時点で振り返っていただければ、冷静にしっかりとした対応をしたものだな、このように必ず言われると信じております。

平沢委員 まあ、あきれました。もう今の段階で譲歩に譲歩、妥協に妥協を重ねてきているじゃないですか。これで国益が守れますか。いずれにしましても、危機管理について、私は対処能力がないと思いますよ。

 それで、なぜこういうふうに対処能力がないかというと、菅内閣、菅総理も含めて、国家観がきちんとしていないからじゃないですか。その基本が国旗・国歌の法案に反対したことなんです。

 ここで、言わせていただきますけれども、この前、私は八月三日の予算委員会で、菅総理がミッキー安川さんの番組で君が代を歌うことを拒否したということを言いましたら、総理はそのとき何と言われましたか。だれがそんなことを言っているのか、あるいはそのテープでもいいですから、ちゃんと出してください、こういうふうに言われました。

 テープはここにあるんです、これ。ところが、出すことを理事会で承認いただけなかったんです。その起こしたことを、ここで今読ませていただきます。

 ミッキー安川さんが何と言っているかというと、聞いてください。だから、菅さんがこの番組に出たんです。さあ歌えよと言ったら、えっ、何、国歌を歌うの、おれ歌いたくねえんだよなと言って、その一言で、すごかったね、もう電話がわんわん。そして、ゲストが、日本の国会議員じゃないんですかねと言ったら、ミッキー安川さん、いや、だから歌いたくないだけなんですよ、国会議員なんですよ、こう言っておられるんです。

 総理、もう一回確認します。総理は歌いたくなかったんでしょう、歌わなかったんでしょう。

菅内閣総理大臣 私個人は全然テープを流してもらって結構ですが、ここに何か今、たしか、これはどうなんですか、平沢さんが言われたのか、ネット上にある番組のものを読みますと、私も八年前のことで詳しいことは知りませんけれども、ここに書いてあるのは、女性アナウンサー、フランスのシラク大統領はサッカーの試合のときに式典でフランス国歌を演奏中、相手方サポーターの方からブーイングが起きると、毅然として席を立って式が二十分近く中断されたと外電が伝えていますと。たった今、菅さんは「私なんかは国歌について別に抵抗なく歌えますが」とおっしゃいました。失礼ながら聞いていて私は菅さんのこの言い方に、我が国のリーダーになるウエーティングリストの一人なのか云々と書いてあって、「私なんかは国歌について別に抵抗なく歌えますが」と、女性アナウンサーが言ったことをちゃんとこうやって起こしてあるじゃないですか。

 もしかしたら、私が、では、後でちゃんとそのテープを下さいよ。少なくともこの私のスタッフが手に入れた、ネット上にあるところでは全く逆のことが書いてあるんです。(発言する者あり)

中井委員長 ちょっと待ってください、平沢さん。

 菅総理に申し上げますが、テープを国会の委員会に資料として使わないということで国会は来ました。したがって、総理が出してもらって結構だと言われたら大変なことになります。したがって、十分言動は国会の範囲の中で、お気をつけいただきたいと思います。

 この後、理事会でまた協議をいたしますが、菅さんには僕は注意をしておきます。委員長として注意を申し上げます。

 引き続いて、平沢さん。

平沢委員 総理が、答弁者がいいと言っているんですから、出したっていいじゃないですか。

菅内閣総理大臣 今、テープについてそういった言い方を、やや私も、荒唐無稽なことを余りにも言われるものですから言ってしまいましたが、やはりこれは委員会のルールに沿って対応していただきたいと、私の今の答弁は訂正をいたしたいと思います。

平沢委員 それでは、総理にお聞きしますけれども、国旗・国歌の法案に反対したのはなぜなんですか。

菅内閣総理大臣 平沢さん、詳しい経緯を多分調べられて言ったんだと思いますが、当時民主党は、たしか国旗法を提案いたしました。国旗の日の丸の法制化の法案を提案いたしました。しかし、残念ながら、当時少数で、それはたしか採決に付されませんでした。

 国旗・国歌についていろいろ議論がありました。当時の我が党は、これは自主投票ということにいたしました。私は、その自主投票の中で、国歌についてはいろいろと議論がありましたので、国旗については提案をいたしましたけれどもそれは採決がされない中で、国歌については政府案には反対をいたしました。

 理由を聞かれるならいろいろ言ってもいいですけれども、それはあくまで国歌に対する、私が国歌が嫌いとかというんじゃなくて、ここでも言っていますけれども、もう少し元気のいい歌だといいなという思いは持っておりました。

中井委員長 たびたび委員長が発言して恐縮ですが……(発言する者あり)静かにお願いします。

 先ほど内閣総理大臣は、平沢議員の質問に対して荒唐無稽という言葉を使われました。理事会は平沢さんがテープを起こしてそれをお読みになるというのは許可したわけでございますから、真摯に受けとめて御答弁をいただきたい。お互い、エスカレートしますから、荒唐無稽とかうそつきとか、そういう言葉を少し慎んでいただきたい。委員長からお願いいたします。

平沢委員 私は全然かっかしていないんです。荒唐無稽とかと言ってかっかしているのは総理の方なんです。

 そこで、今総理はもっと元気な歌の方がいいということを言われましたけれども、国旗・国歌の法案が衆議院で採決されたその次の日の朝日新聞に何と出ているか。菅直人代表の発言、「天皇主権時代の国歌が、何らかのけじめがないまま、象徴天皇時代の国歌になるのは、国民主権の立場から明確に反対した方がいい。」こう書いてあるんです。これは新聞記事が間違っているんですか。

菅内閣総理大臣 それは何年のでしょうか。

平沢委員 衆議院で国旗・国歌の法案が通った次の日の朝日新聞です。(菅内閣総理大臣「何年、何年の」と呼ぶ)一九九九年七月二十三日、朝日新聞です。

菅内閣総理大臣 今から十一年前のことで、先ほど言いましたように、採決については記憶をいたしております、自主投票にしましたから。確かに、当時の党の中で、賛成、反対、余り数が変わらない程度になりました。

 しかし、そういうコメントを私が出したことは、事前に言っていただいておけばもう一回調べるところでしたけれども、率直に言って、全く、急に言われましたから、十一年前ですから、記憶にありません。

平沢委員 新聞に書いてあるんですよ。これは朝日新聞がでたらめを書いたんですか。そういうことなんでしょう。そういう発言をされたんでしょう。ですから、御自分の発言にはきちんと責任を持ってもらいたいと私は思いますよ、一国の総理ですから。

 ですから、そう思っていたけれども、今は総理になって考え方が変わったら変わったでいいじゃないですか。はっきりと、堂々と、正直に言われたらどうですか。

菅内閣総理大臣 この間、例えば沖縄における普天間の問題やあるいは日米安保についていろいろ聞かれた中で、かつて私が主張していたことと政権を担うことになって違うことについては、はっきりと理由を述べて、その違いは言ってきているつもりです。

 私は、率直に言って、本当に、小さいころから別に、この私が少なくとも起こした中に書いてありますからその辺は今入っているんじゃないかと思いますが、小学校とか中学校で別に国歌斉唱を嫌がったことは一度もないものですから、そういう気持ちがあるものですから、何かそういうことを言われても全然ぴんとこないんですよ。

 ですから、先ほどから多少感情的になって恐縮だったですけれども、少なくともそういう事実について私の実感からいえばあり得ないことですので、そのことを申し上げたんです。

平沢委員 総理、途中で変わったっていいんですよ。変わったら変わったで、正直に言ってもらいたいなと思います。

 次に、岡崎大臣、もう既に国会で何度も質問を受けられたと思いますけれども、韓国で反日デモに参加された問題。これは日本の国会議員としておかしくないですか。韓国に行って、そしてそのデモは、竹島は韓国領だと言っているような、そんな人たちと一緒に、日本大使館の前で韓国の人たちと一緒にこぶしを上げて抗議デモを行う。これはおかしくないですか、日本の国会議員として。

 岡崎大臣、もし何か言いたいことがあれば、衆議院議員、当時は参議院議員ですか。(岡崎国務大臣「参議院議員です」と呼ぶ)国会議員なんですから、もし何か言いたいことがあれば、大使に直接、岡崎大臣は言えるじゃないですか。何でわざわざそんな、大使館の外でそういう人たちと一緒にこぶしを振り上げてデモ行進をやらなきゃならないんですか。そこをお答えください。

岡崎国務大臣 お答えいたします。

 私は前日、大使館をお訪ねいたしまして、大使にお会いをして、そして、翌日はこのおばあさんたちの集会に参りますと報告をいたしました。私は国会議員でございますので、国に対して、政府に対して物を言う場合には国会の中で議論をしていく、そのことはわきまえているつもりでございます。

 以上でございます。

平沢委員 何を言っているか、さっぱりわかりません。

 要するに、日本の国会議員なんですかどうですかということを聞いているんですよ。何もわざわざそんなところで、わざわざ大使館の前で、日本の国会議員が日本の大使館に向かってこぶしを振り上げて抗議運動する必要はないじゃないですか。それならば、ちゃんと直接大使に話をしたというなら、それでいいじゃないですか。それを聞いているんですよ。まあいいです。

 もう一つ、岡崎大臣にお聞きしたいんです。

 岡崎大臣はトミ子マガジンというのを出していますけれども、その中でこういうふうに言っているんです。「外国人犯罪が増えていると言いますが、日本人が犯した場合には立件もされないような軽微な犯罪が多いことも指摘されています。もちろん、軽微だからいいということではありませんが、統計を扱う場合には注意が必要です。」こういったことを言っておられるんですけれども、要するに、外国人の場合は軽微な犯罪で日本の警察が取り締まっている、だから外国人の犯罪が多いんだというような趣旨のことを言っておられますけれども、その認識は今でも変わりませんか。

岡崎国務大臣 私はそのことについては、たしか、いろいろな外国の人たちの、留学生でいらした方ですとか、そうした方々に対して職質が厳しいというような訴えがございましたときに、その厳しさについてそうしたことをメルマガに出したことがあったかもしれません。

 しかし、それは軽微だからいいというふうに私も思っておりません。もしその中から犯罪に向かうようなことがあれば、しっかりと取り締まるべきだと考えております。

平沢委員 要するに、私の質問に答えてくれないんですよ。

 日本の警察は、外国人の場合は日本人だったら取り締まらないような軽微な犯罪で取り締まっているというような意見があるけれども、それは統計上のあれには注意しなきゃならないというようなことを、あたかもそういう考え方を是認するようなことを言っておられるんですけれども、そのお考えは今でも変わらないんですかと聞いているんです。

岡崎国務大臣 別に是認しておりません。

平沢委員 これは、文章を見たら、どう見たって是認しているんですよ。その人が今の警察のトップなんですよ。警察のトップなんですよ。おかしくありませんか。まあいいや。

 それから、もう一つ……

中井委員長 平沢さん、それは何年何月かわかりますか。

平沢委員 二〇〇四年の四月一日のトミ子マガジンです。

中井委員長 はい。

平沢委員 次に、これも岡崎大臣にお聞きします。

 革マル派、極左暴力集団、いろいろなテロをやってきた革マル派。革マル派について、民主党内閣は、これは共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団だということを言いました。そして、今はテロをやっていないけれども、いろいろな団体とか組織に浸透しよう、そういうことを今は考えている集団であるということを質問主意書に対する答弁書で答えられたわけでございますけれども、この革マル派の中で、例えばJR東日本労組の委員長等を歴任した松崎明さん、この方は、革マル派の創設者の一人、最高幹部の一人というふうに見ていいんでしょうか。

岡崎国務大臣 幹部の一人であると思っております。

平沢委員 革マル派の幹部の一人ということを今答弁されました。

 大変なことなんですよ。なぜならば、この松崎明さん、今、革マル派の最高幹部の一人ということを国家公安委員長は言われました。その方の運転手をしていた、側近中の側近をしておられた方が、今、民主党の参議院議員の田城郁さんなんですよ。岡崎大臣、それは御存じですか。

岡崎国務大臣 個人の情報に関することでございますので、コメントは差し控えたいと思います。

平沢委員 いや、これは大変なことなんですよ。だって、民主党内閣が、革マルというのは極左暴力集団、大変な集団である、危険な集団であるということを答弁書で言っているわけです。そして、その革マルの最高幹部の一人、それが松崎明さん。その運転手、側近中の側近だった人が、民主党の推薦で、公認で、今参議院議員をやっているんですよ。これについてどう思われるんですか。だったらば、革マルが民主党に浸透してくるということにならないですか。

岡崎国務大臣 国会にいらしている国会議員は、国民の皆さんに選ばれたわけでございます。

 いずれにしましても、警察は、もし違法行為が行われれば、あるいは行われるおそれがある場合には、必要な情報を収集して、法に基づいて厳正に対処することにしております。

平沢委員 こういう問題というのはきちんと、やはり公党ですから、私は説明責任があると思いますよ。もちろん、関係が全くなくなっているならなくなっているでいいんですよ。それはやはり疑いは持たれますよ、今まで側近中の側近だったんですから。

 それから、数年前、警視庁が革マルの関連した横領事件で家宅捜索をやりました。そうしましたら、田城議員、それから先ほど革マルの最高幹部と言われた松崎明さん、一緒になって国と東京都を国家賠償法で訴えているんですよ。一緒にまだ活動しているんですよ。それでも関係ない、国民から選ばれたからいいということを言われるんですか、大臣は。

岡崎国務大臣 その問題につきましては報告を受けておりません。

平沢委員 国家公安委員長、もうちょっとしっかりしてください。国民が不安を持っているんですよ。ですから、関係ないなら関係なくなったでいいんですよ。きちんとやはり国民の皆さんに説明していただきたいなと。よく調べておいてください。

 では、次の問題に行きます。尖閣の問題に移ります。

 この尖閣の問題は、もういろいろと出ました。要するに、国民の皆さんが大変におかしいなと疑問に思っているのは二つありまして、一つは、なぜ船長を途中で慌てて釈放したんだろう、もう一つは、なぜビデオを公開しないんだろう、この二つを大変に疑問に思っているわけです。

 この問題に入る前にいろいろな基礎的なことをまずお聞きしたいと思いますけれども、まず、逮捕と同時に、中国の船だとか、あるいは船員の、船の中にあったいろいろなものについては捜索、差し押さえしているはずでございます。

 船については、十三日に十四人の乗組員と一緒に返したということは聞いています。それ以外に捜索、差し押さえしたものは今どうなっているんですか。教えてください。

柳田国務大臣 個別の案件についてお答えすることは控えさせていただきたいと思います。

平沢委員 それはおかしいじゃないですか。個別の案件じゃなくて、船は返したんでしょう。そうしたらば、船じゃなくて、ほかに捜索、差し押さえしたものがあるでしょう。船の中の、例えば航海日誌とか、いろいろなものを押さえたんでしょう。これらについては今どうなっているんですかということをお聞きしたんです。個別の案件でも何でもないんです。

 では、船は何で返したんですか。

柳田国務大臣 捜査が終了したというふうに聞いております。

平沢委員 捜査は終了したんですか。それならば、今の大臣の答弁は大変なことですよ。捜査は終了したんだそうです。捜査が終了したのならば、もう起訴か不起訴の判断をしなきゃならないじゃないですか。まだ起訴か不起訴の判断をしていないのに、何で捜査は終了するんですか。捜査は続いているんじゃないんですか。

 今のは重要な答弁ですよ。捜査は終了したんだと言うんですよ。捜査が終了したら、起訴か不起訴か、早く決めてくださいよ。

柳田国務大臣 失礼いたしました。

 船についてという御質問だと私は思いまして、船についての捜査は終了したというふうに申し上げたつもりでございました。

平沢委員 そうじゃなくて、本音が出たんでしょう。捜査は終了しているけれども、捜査は終了したということは言えないんでしょう、これは。

 では、次にお聞きしますけれども、国交大臣、石垣空港、二十四日に船長が釈放されて、二十五日の未明に石垣空港から船長が帰っていった。石垣空港というのは、午前八時から午後九時までしか使えないんです。例外的に使うときは、例えば人命救助とかそういったケースに限って使うことはあるでしょうけれども、普通は午前八時から午後九時までなんです。慌てて帰す必要もないのに、何で未明に空港をわざわざあけて船長を帰したんですか。国交大臣。

馬淵国務大臣 御通告いただいておりませんので、恐縮ですが、詳細をちょっと申し上げられないんですけれども、外交ルートで便宜供与を要請されて、そのように扱ったと承知しております。

平沢委員 私が聞いているのでは、外務省からの強い要望、要請があったから、国交省の方では石垣空港を夜間であるにもかかわらず特別にあけたと聞いていますけれども、外務省、なぜあけたんですか。

前原国務大臣 中国側からの要請を受けまして、外務省から国土交通省あてに要請をいたしました。

平沢委員 中国側から要請があったという今のお話ですけれども、次の日の朝まで待てばいいじゃないですか。何で、本来空港の使用時間というのは決まっているのに、それを夜中にわざわざあけて、それで中国の船長を帰すために便宜を図ってやる必要があるんですか。なぜなんですか。それをお答えください。

前原国務大臣 要請を総合的に判断して、申し入れをいたしました。

平沢委員 要するに、中国から言われたら何でもやってあげるということなんでしょう。妥協に譲歩を重ねるということなんでしょう。

 マキャベリが何と言っているか知っていますか。マキャベリは、譲歩に譲歩を重ねたところで相手は満足するわけでもなく、それどころか相手の敵意は、あなたへの敬意を失ったことによって、より露骨になり、より多くを奪ってやろうと思うようになるのが落ちなのだと。ちょっと、マキャベリでも勉強してくださいよ。

 それで、次にお聞きしますけれども、日本の海上保安庁の船は傷ついたわけですよ。この傷ついた損害の算定、これはもうやっているんでしょうか。それから、これから中国側に損害賠償請求するんでしょうか。お教えください、国交大臣。

馬淵国務大臣 これは、損害に関しましては、修繕費等確定をさせて、一般論で申し上げられることで言えば、確定すれば請求をしていくということになります。

平沢委員 一般論じゃなくて、今回のケースでは請求するんでしょうねと聞いているんです。一般論なんかどうでもいいんです。今回のケースでは請求するんでしょうね。

馬淵国務大臣 繰り返しになります。まだ損害額が確定しておりません。確定はしていないという状況でございます。

平沢委員 確定したら請求するんでしょうねと聞いているんです。馬淵大臣、もう一回答えてください。

馬淵国務大臣 繰り返します。損害額が確定しない段階で、請求等々を今ここで御議論すべきではないと思っております。まずは、損害額の確定をしなければならないということでございます。

 また一方で、これに関しましては、損害についてさまざまな第三者機関からの鑑定等も必要だと考えておりますので、そのことも踏まえて、確定し次第、検討すべき課題だと思っております。

平沢委員 請求しないということを言いたいんでしょう。請求しなければおかしいですよ。(発言する者あり)そうしたら、請求するとはっきり言えばいいじゃないですか、請求しないと言っていないのならば。何でそれが言えないんですか、国民の皆さんの前で。先ほど総理も、故意にぶつけてきたと言われました。故意にぶつけてきた悪質なこういう行為であるならば、当然のことながら損害賠償を請求するのは当たり前じゃないですか。もう一回答えてくださいよ。

馬淵国務大臣 繰り返しになります。船艇の損害に関しましては、これはしっかりと確認をしてまいらなければなりません。損害額の確定がまず第一である、このように考えております。

平沢委員 要するに、逃げの答弁ですね。これは大変残念ですよ。もうちょっとしっかり答弁してもらいたいなと私は思います。

 そこで、官房長官もおられますけれども、先ほど来、刑事訴訟法二百四十八条の問題がいろいろと論議されていました。どう考えても、国民の皆さんも納得できないと思いますよ。だって、今まで、捜査当局が捜査をする、刑事処分をする、そのときに国際情勢、国内への影響なんというのを判断材料にしたなんという例があるんですか、そもそも。法務大臣でいいや、法務大臣、例がありますか。

柳田国務大臣 御指摘のような例については、一般的に検察当局から法務省に報告がなされるわけではなく、具体的には承知いたしておりません。

平沢委員 要するに、ないんですよ。ないことを今回無理やりやったんです。

 今まで国会で何百回、何千回となく捜査当局が答弁してきたのは、政府が答弁してきたのは、法と証拠に基づいて捜査はやる、こういうことなんです。

 今回は、法と証拠、この前法務委員会で柳田大臣にお聞きしたら、法と証拠に基づいて総合的に判断してやったと。では、この国際情勢というのは法と証拠のどっちに入るんですか、柳田大臣。

柳田国務大臣 二百四十八条の趣旨で、証拠として採用いたしました。

平沢委員 これは大変な今までのやり方の変更じゃないですか。これから捜査当局は、国際情勢も証拠になると。なぜかというと、証拠というのはだれが見ても動きようがない確実なものだから証拠になるんですよ。ところが、国際情勢というのは、人によって、立場によって見方が違うんですよ。これをこれからは判断材料にするということになれば、例えば沖縄でアメリカ兵が犯罪を犯した、そうしたら当然、日米関係にいろいろな影響が出てくるでしょう。当然、基地問題にも影響が出てくるでしょう。そういうときには、そういうことも判断の一つとして考えるということなんですか、法務大臣。

柳田国務大臣 本件においては、被疑者を釈放するか否かを決定するに当たり、日中関係を考慮したことは承知いたしております。しかしこれは、被疑者を釈放するか否かを決定するに当たって考慮すべき種々の事情のうちの一要素として考慮に入れたにすぎないと承知いたしております。

 また、そもそも、外国との関係を考慮に入れるか否かについても、事案ごとに判断されるべき事項であると承知いたしております。

 なお、米軍事件については、今後とも警察当局において適切に処理されるものと承知いたしております。

平沢委員 九月の十九日に勾留延長が決まったんです。そして、勾留延長が決まってから、実際に釈放が決まるのが二十四日。その間に何が変わったんですか。

 ここにいろいろ書いてありますよ、法務省の資料の中に。「乗組員が負傷するなどの被害の発生はない」「計画性等は認められない」「「みずき」の損傷は直ちに航行に支障が生じる程度のものではない」といろいろ書いていますけれども、こんなことは逮捕する最初のときからわかっていたことじゃないですか。最初の勾留延長のときからわかっていたことじゃないですか。

 勾留の延長をしたわけですよ。延長してから数日間の間に何が変わったんですか。

 ということになると、今大臣は、国際情勢というのはいろいろな判断材料の中の一つと言うけれども、変わったとすれば、それしかないじゃないですか。ほかは何も変わっていないじゃないですか。

 だから、国際情勢とかというようなことが、日中関係というようなことが何でそんな重要な判断材料になるんですか。もしそれが判断材料になるとすれば、これから捜査当局は何でもできるということになりますよ。捜査当局は歯どめをかけなければ暴走してしまうんですよ。だから歯どめをかけなきゃならないのに、一生懸命それを壊そうとしておられるじゃないですか。

 柳田大臣、もう一回答えてください。

柳田国務大臣 捜査が終了したということで処分保留の釈放ということになったと私は聞いております。

平沢委員 捜査が終了したという答弁を今、柳田大臣はされました。捜査は終了したんですか。(発言する者あり)

中井委員長 平沢君、やってください。

平沢委員 捜査は終了したんですか。

柳田国務大臣 ほぼ捜査が終了したということで、処分保留で釈放したものと聞いております。

平沢委員 先ほども、捜査は終了と言った。それで訂正したら、何か船についてだとか言いました。それで今も、捜査は終了したと言った。

 もう相手は中国に帰ったんでしょう。もう相手がいないんですよ。捜査はこれ以上続ける余地はないじゃないですか。

 捜査は終了したんでしょう。もう一回、柳田大臣、答えてください。捜査は終わったんじゃないですか。

柳田国務大臣 二十四日までに必要な捜査がほぼ終結する見込みとなったことに加え、外務省職員の説明結果を踏まえ、これ以上身柄拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断したものと承知いたしております。

平沢委員 早く起訴だか不起訴だか決めないと、検察審査会への訴えもできないじゃないですか。

 きょうの新聞に出ていますけれども、検察審査会に対して、中国人船長の釈放を不服として訴えが出ていたと。それに対して検察審査会は何と答えたかというと、不起訴処分がまだ存在していないと。だからこの訴えを却下しているんですよ。

 だったらば、早く起訴か不起訴か決められなきゃおかしいじゃないですか。これはいつごろ決めるんですか。柳田大臣。

柳田国務大臣 適切な時期に判断されるものと思います。

平沢委員 相手はもういないんですよ。相手はいないんですから、もう捜査をこれ以上続けたって意味がないじゃないですか。もうやるといったってできないんですよ。例えば、起訴したときに、これは送達できるんですか。では、柳田大臣、起訴したときの送達はできるんですか。

柳田国務大臣 事前にいろいろと、こういう質問があるということであれば適切な御判断がすぐできるかと思いますけれども、大変送達については困難が伴うものと思いますが、適切な時期に判断をされるものと思っています。

平沢委員 私が聞いていることは、そんな細かいことでも何でもないんです。基本的なことなんですよ。大臣として当然知っていなきゃならないことをお聞きしているわけですよ。それについて大臣が、事前に質問通告がなかったどうのこうのと言っているのは、私は本当に残念だなと思います。

 いずれにしましても、この刑事処分、早くやっていただきたいなと思います。

 それから、ビデオについては、もういろいろと出たから、余りダブるところは避けますけれども、国民の皆さんは、もうユーチューブに流れたんですから、早く公開したらどうかと思っていると思います。それについて、先ほど来、刑事訴訟法四十七条がどうのこうのといろいろな議論がありました。あれを聞かれた国民の皆さんは、がっかりされたんじゃないかなと思います。

 今まで私は、ユーチューブと、きょう、六分五十秒のも見させていただきました。委員長もおられましたけれども、今まで、六分五十秒以上のものを見せたらば、プライバシーに影響が出る、あるいは海上保安庁の取り締まりに影響が出るとかいろいろ言われていましたけれども、あれを見た限りでは、何にも私は影響なんか出るとは思いません。もし万が一、プライバシーということで中国人の乗組員の顔が出るのがまずいということであれば、そこだけモザイクをかければいいだけのことじゃないですか。全然取り締まりには影響が出ないと思いますけれども、なぜ六分五十秒に短縮したんですか。もっと長くしたっていいじゃないですか。ユーチューブのものをそのまま出したって全然おかしくないと思いますけれども、これは法務大臣、どうですか。

馬淵国務大臣 衝突の事案についての求めに応じて今回御提出させていただいたものと承知しておりますので、今回、その衝突の部分ということでの編集を行ったというふうに承知しております。

平沢委員 そうじゃなくて、ほかの部分を出したって支障になるんですかということを聞いているんです。

 国交大臣、ほかの部分、今六分五十秒以外のところを出したら、どこが支障になるんですか。ユーチューブのものを国民の皆さんは見られたと思いますよ。あれは取り締まりに何の影響もないじゃないですか。

馬淵国務大臣 私どもとしては、海上保安庁で採証用として撮ったものに対して、私どもの意見として、今回提出させていただきましたのは、その捜査の概要あるいは海上警備のさまざまな状況というものを明らかにするのは適切でない、このように判断をして、今回のビデオに取りまとめられた、こう考えております。

平沢委員 いずれにしましても、これは国民の皆さんはぜひ全面公開してほしいと思っておられるはずです。もちろんその中に支障のあるところはあるでしょう。だけれども、ほとんどのところは支障がないと思いますよ。そこは、ぜひ一日も早く私は出してもらいたい。先ほど来ありますように、中国は、日本の船の方がぶつかってきたと言っているわけですから、だから堂々と、もうユーチューブに流れているんですから、出した方がいいんじゃないんですか。余り隠しているから、逆に私は、その意図がいろいろと勘ぐられてしまうんじゃないかなと思います。

 次に、中国の反日デモについて外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、中国では、デモとか集会というのは原則禁止のはずですけれども、何でこの反日デモというのは起こっているんでしょうか、外務大臣。

前原国務大臣 私が中国の国内法を何で解釈しなきゃいけないのかと思いますが、お尋ねでございますのでお答えをいたしますと、中国では、集会デモ行進示威法を根拠に、抗議活動が一定の範囲内で認められているということを承知しております。

平沢委員 原則禁止のはずですよ。

 外務大臣、それで、中国でデモをやって、そして、例えば日系のいろいろな店舗等に被害が出ているでしょう。当然のことながら、逮捕者が出なければおかしいですよ、もし中国の当局がそれなりに取り締まろうとするのであれば。物を投げて自由、壊して自由だとしたら、これはもう国家じゃないでしょう。当然、逮捕者が出てしかるべきだと思いますけれども、逮捕者は出ているんでしょうか。

前原国務大臣 逮捕者が出たとは聞いておりません。

平沢委員 これについて中国側にはどういう申し入れをしたんでしょうか、外務大臣。

前原国務大臣 この抗議、反日デモにつきましては、邦人の保護、そして日本のスーパー等への破壊活動、これについての申し入れというものを我々はしております。

 それと同時に、後で御質問があるのかもしれませんけれども、日本の国旗に対する焼却事案等は、これは国家を侮辱する行為でございますので、これについては抗議を申し入れております。

平沢委員 当然、これは抗議を申し入れるのは当たり前のことなんですけれども、抗議を申し入れたことに対して、中国側の返答はどういうことなんでしょうか。今大臣言われましたように、デモでも何でもいいですよ、中国の国旗を日本国内で侮辱したら、中国は烈火のごとく怒ってきますよ。

 かつて、昔、長崎国旗事件というのがありました。そんなことは日本のデモとかそういうところでは行われておりませんけれども、中国では、日本の国旗に対して平気で侮辱的な扱いをしています。そういったことに対して、今、前原大臣は抗議をしたということを言われました。それに対する中国側の回答はどういうことなんでしょうか。

前原国務大臣 まだ正式な回答はございません。

平沢委員 正式な回答がないというのは極めて残念なので、前原大臣、もっと強く申し入れというか抗議をしてもらいたいなと思います。

 そこで今、日本国民が不思議だと思っているのは、フジタの社員が四人、身柄を拘束されたでしょう、あれは何で拘束されたんですか。まだわからない。要するに、向こうの政府が意図的にやったんじゃないですかという疑いがあるわけですよ。だから、何という法令に違反して、そして、これは逮捕じゃなくて身柄拘束と。これは、身柄拘束と逮捕はどこが違うんだと。そして、この期間が三人と一人で拘束期間が違う、これはなぜなのかさっぱりわからないんです。

 ですから、中国は国家なんでしょう。その国家が何で、そういう私たちがわからないような形で、今中国に十数万人の日本人の方が住んでおられるんでしょう。今、中国に日本から行っている日本人は毎年三百万人を超えているはずなんですよ。その人たちが、何か知らないけれども、わけのわからないうちに身柄を拘束される、逮捕されるということになったら大変なことなんですよ。これは本当に何か理由があって身柄を拘束されたんですか。それとも、まだわけがわからないんですか、どっちなんですか。

前原国務大臣 これは、結論から申し上げますと後者であります。

 なぜ住居監視になったかということを再三再四回答を求めていますけれども、今のところ明確な回答がなく、引き続き、これについてはしっかりと伝えていきたい、どういう理由で住居監視になったのかということについては求め続けたいと思っております。

平沢委員 やはり、もうちょっと強く出ないとおかしいんじゃないですか。だって、日本人が四人、逮捕だか身柄拘束だか知りませんけれども、ずっと自由を奪われていた、そして、それに対して、なぜなのかということがまだ我々にはわからない。

 そして、四人が一緒に行動していたはずなのに、そのうち三人だけ先に釈放されて、そして一人だけが後になる、これもさっぱりわからない。(前原国務大臣「それはわかる」と呼ぶ)それはわかるんですか。では、答えてください。

前原国務大臣 その理由は、高橋さんですか、最後まで住居監視に置かれた方がビデオを回していたということで、その方だけが三人とは別であったという説明は受けております。

平沢委員 では、最初、九月の三十日ですか、三名が釈放されて、十月の九日に一名が釈放されたわけですけれども、この三名と一名の身柄拘束の理由については、きちんとした説明は中国からあったんですか、なかったんですか。

前原国務大臣 ですから、再三お答えをしているように、明確な照会を求めています。なぜ住居監視に置かれたのか、その部分についての明確な返答はありませんので、しっかりこれについては求め続けたいと思っております。

平沢委員 中国は大事な国ですけれども、しかし、こういった法治国家じゃないところがありますから、法律より上に、党とか何かそちらの方の指示が優先するというようなところがありますから、前原大臣、そこはしっかりと対応していただきたいなと思います。

 次に、ロシアの問題について総理にお聞きしたいと思いますけれども、今回、メドベージェフ大統領が国後に行きました。どんどんロシア化が北方領土について進んでいるということが言われているわけでございますけれども、まず、これは見通しを日本の政府は誤ったんじゃないですか。

 これは、ことしの夏から国後で軍事演習が行われたり、九月二日を第二次大戦の終結記念日というふうにロシアは決めたり、それから、九月には大統領が、歴史の歪曲は許さないとかということで、第二次世界大戦の結果として起こったことを全部正当化しようというような動きにどんどん出てきているわけで、そういう中で、九月二十九日にロシアのメドベージェフ大統領は、北方領土は我が国の非常に重要な地域である、近いうちに必ずそこに行くということを明言したわけでございます。

 その九月二十九日、メドベージェフ大統領が明言したときに、総理は何とマスコミの質問に答えたかというと、具体的な趣旨の発言とは受けとめていないと。ですから、行くかどうかというのはわからないというような軽い発言を私はされたんじゃないかと思いますけれども、総理、見通しを誤ったということはないですか。行かないと思ったんじゃないですか。

 いやいや、総理に聞いているんです、総理の発言ですから。総理の発言ですから総理に聞いている。

中井委員長 あと二分しかありません。

菅内閣総理大臣 メドベージェフ大統領のその間のいろいろな発言なり、中国との問題、あるいは戦後の、まさにいろいろな変更を許さないとかいった問題、それはおっしゃるようにいろいろなメッセージがあったと思っております。

 当時、率直に申し上げて、この可能性について私も若干気になりましたけれども、まだその時点では四島に来るという確かな情報はないということでありましたので、その線で記者に対しては申し上げた。

 結果として、確かに今回メドベージェフ大統領が四島に来ましたから、そういう意味では、その時点における見通しが必ずしも正確でなかったということは、そのとおりであります。

平沢委員 ロシア外交をしっかりしてもらわないと困るので、アメリカとの関係もちょっとぎくしゃくしていますけれども、中国、ロシアの関係もしっかりしてもらいたいなと思います。

 河野大使が帰ってきて、すぐ帰りましたけれども、これは抗議の意思を示した、それでその目的は達したということなんでしょうか、外務大臣。

前原国務大臣 先ほどの委員の御質問でありますが、九月二十九日に、これは私、大臣として、駐日ロシア大使にその旨についてはしっかりと伝えておりました。いろいろなルートで伝えておりますということは申し上げておきたいと思います。

 そして、今申されたことでございますけれども、我々としては、とにかく、ロシアの大統領が北方領土に行くということは、我が国固有の領土に行ったということは大変遺憾であり、これは抗議をいたしました。

 これについて、どういう国内的な背景があったのかということをしっかり聞くために、あるいは情報収集も含めて、河野大使を呼んで話を聞いたということでございまして、その一定の目的を達したということでございます。

平沢委員 では、時間が来ましたので、最後の質問にします。

中井委員長 ちょっとその前に。

 岡崎大臣から補足答弁をという申し出がありますので、簡単に。岡崎トミ子君。

岡崎国務大臣 先ほどの委員の御質問に対してですけれども、松崎氏に対して、革マル派創設時の幹部の一人であるというふうに訂正をさせていただきます。正しく申し上げます。

平沢委員 創設時でも今でも変わらないという見方は多いんですけれども、それはもういいです。

 最後に一つだけ。

 六月二十三日、鳩山前総理は、北海道新聞のインタビューでこういうふうに言っているんです。四島一括をいつまで言及しても変わらないので、柔軟性を持って主張するとすれば、日ソ共同宣言の二島がベースになる、二島プラスアルファをどう最初に主張していくかということですと。

 二島プラスアルファということを鳩山前首相は言っているんですよ。これは何のことですか、二島プラスアルファというのは。四島一括返還ということじゃなかったんですか。四島の主権を確認するということじゃなかったんですか。

前原国務大臣 私もこの立場に立って、自民党政権でいろいろな領土交渉をされてきたのをつぶさに確認をいたしましたけれども、この菅内閣、民主党政権としては、四島が日本の固有の領土であり、四島の帰属を確定するという……(平沢委員「いや、鳩山さんのことを聞いている」と呼ぶ)いや、ですから、鳩山さん以降ですよ、今の菅内閣を含めて、四島は我が国固有の領土であり、四島の帰属を確定して、平和条約を結ぶという方針には何ら変わりはございません。

平沢委員 時間が来たから終わりますけれども、いろいろ先ほど来答弁していて、アメリカとの関係もいろいろとぎくしゃくしていますけれども、中国、ロシアとの関係もこれで本当に大丈夫かな、国民の皆さんもそういう大きな危惧を抱いていると先ほどからありましたけれども、私自身もそのことを強く申し上げまして、質問を終わります。

中井委員長 この際、棚橋泰文君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。棚橋泰文君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文です。

 菅さん、この内閣は有言実行内閣ということでよろしいでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、今回の所信表明で、私は、有言実行内閣という、そういう内閣でありたいということを申し上げました。そして、今幾つかのことでこれまで準備をしてきたことが実行されつつある、そういうふうに認識をいたしております。

棚橋委員 まず、菅さん、官僚答弁の棒読みしそうですので、やめてもらえませんかね。先に注意しておきます。

 というのは、私、一切ノー原稿で、しかも質問通告を全部しています。あなたは、私の同僚議員稲田朋美さんが本会議で、官僚答弁の棒読みをやめてほしいと言ったら、質問もノー原稿でやれとおっしゃったじゃないですか。だからノー原稿でやっているんです。先日の参議院の本会議で、官僚答弁の棒読みはしたくないんだけれども、答弁漏れがあるといけないからメモを見るんだ、官僚答弁を見るんだと。一問一答でやりますから、メモを見ないでやってください。

 とことん……(発言する者あり)静かに。

 とことんクリーンな政治、これを菅さんは求めているということでよろしいんですか。

菅内閣総理大臣 少し声が聞こえにくかったんですが、クリーンでオープンな政治ということを代表選の折にも申し上げ、私の考え方としては、それを基本の一つといたしております。

棚橋委員 仙谷官房長官は就任時に、とことんクリーンなという言葉を使っておりますし、鳩山さんも、とことんクリーンな民主党に戻してほしいとおっしゃいましたが、とことんクリーンな政治でよろしいんですね。

菅内閣総理大臣 鳩山さんの言葉は鳩山さんの言葉ですが、私は、クリーンでオープンな政治を目指すということで代表選を戦い、この民主党を中心にクリーンでオープンな政治を目指しておりますし、それでいきたいと思っています。

棚橋委員 では、小沢さんの予算委員会での証人喚問、あなたみずからが小沢さんに会って、証人喚問に応じるべきだと、実行してくださいよ。お願いします。

菅内閣総理大臣 まず、クリーンでオープンな政治というときに、私がまず念頭に置いておりますのは、一つは、党のあり方について、お金に対して透明性を高め、またいろいろな活動に対してオープンな議論をしていこう。現在、党と内閣の間、政策の議論なども活発にやっておりまして、私は、非常にオープンで、そして透明性の高い党運営、内閣運営ができている、このように思っております。

 小沢元代表の件については、何度もこういう場で申し上げていますように、御本人が、国会で決められたらばそうしたことに応ずる、そういうふうに言われております。そのことを含めて、現在、岡田幹事長が御本人とも話をしているところでありまして、その経緯、その努力を見守っていきたい、このように思っております。

棚橋委員 民主党さえオーケーと言えば、この予算委員会に呼べるんでしょう。あなたは民主党代表でしょう。民主党も了解しましたと、小沢さん、証人喚問しますとなぜ言えないんですか。実行してください。

菅内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、御本人も、国会で決められたときにはそれに対応するということを言われております。同時に、今裁判になろうという段階でもありまして、どういう形で、どういう場で話をされるのか、いろいろの、あるいは御本人の考え方もあるわけでありますので、岡田幹事長に御本人とも話をしていただいて、その推移を見守っている、このように申し上げたところです。

棚橋委員 あなたは有言実行と言いながら、岡田さんに任せてある、検察が中国人船長の釈放を決めた、全然有言実行してないじゃないですか。あなたは存在価値あるんですか、総理大臣として。粗大ごみじゃないですか、これじゃ。もうちょっと有能にやってくださいよ。

 もう一度聞きます。あなたみずからが小沢さんに証人喚問に応じるように説得するつもりはないんですか。民主党として証人喚問を決めるつもりはないんですか。御答弁ください。

菅内閣総理大臣 私も、そちらに座ってかなり激しいことを何回も言いましたから、言葉一つ一つについては余り言いたくありませんが、やはり粗大ごみという表現は余りこの場でふさわしいとは思いませんので、お取り消しをいただきたい。まずこのことをお願いしたいと思います。

棚橋委員 お答えがないんですが。あなたみずからが小沢さんに会って説得するつもりがあるのかないのか、お答えがないんですが。

中井委員長 その前に少し、問題外発言を含めて、あるいは粗大ごみというような言葉も含めて、お互いが少し気をつけて討論を、議論をしていただくようお願いいたします。

菅内閣総理大臣 何度も申し上げていますように、私が岡田幹事長を、私としてぜひ幹事長にということで任命し、私にかわって現在、党の多くのことを責任を持ってやっていただいているわけです。最終的な責任が代表である私にあることはもちろんでありますけれども、現時点で岡田幹事長が大変努力をしていただいていますので、その努力を見守っている、こういうことであります。

棚橋委員 残念です。実行する気がないと。どこが有言実行なのか、全く理解できません。

 それでは、もう一点質問いたします。

 今回の尖閣諸島における中国漁船の犯罪事実に関するデータが流出したこと、これは政府の責任ですか。菅直人さん、お答えください。

菅内閣総理大臣 午前中の関係大臣の答弁にもあったように、政府の機関から何らかの形で流出したというふうに判断され、捜査当局に告発をいたしたところであります。そういう意味では、流出の最終的な責任は政府にある、最終的な責任はもちろん政府の責任者としての私にある、このように思っております。

中井委員長 棚橋君、指名する前に立たないように。

棚橋委員 はい。

 では、具体的にだれが悪いんですか。総理大臣の菅さんなのか、当時の所管大臣だった前原さんなのか、今の所管大臣だった馬淵さんなのか、具体的に責任を明確にしてください。セキュリティー、秘密をきちんと守るというシステムをつくっていなかった、だれの責任なんですか。菅さん、お願いいたします。

菅内閣総理大臣 ですから、政府の全体の責任者は私でありますから、政府の全体の責任という意味では、もちろん私が最終的な責任者であることは間違いありません。と同時に、どういう形でそれが流出したものかということを、まさに今解明する、そして捜査当局でそれを捜査してもらうということでありますので、そういう原因なり事実がしっかりと究明され判明した中で、より具体的な責任ということも明らかになってくるだろう、こう考えています。

棚橋委員 今わかっているだけでも、十月十八日までは大したセキュリティーのシステムを張っていないじゃないですか。どう見たって、これはシステム上の、漏えいしてくれ、漏らしてくれと言っているようなものじゃないですか。それなのにまだ責任がだれだと言えないんですか。菅さん、前原さんが悪かったとは言えないんですか。菅さん、答えてください。

菅内閣総理大臣 今申し上げたように、事実関係を含めて、最終的にどういう形で流出したのか、捜査を依頼して告発したわけでありまして、そうした事実関係が究明される前に、私がこうであろう、ああであろうと言うのは、私は余り適切ではない、まさに捜査の一つの結論を待って判断をすることになるだろうと思っています。

棚橋委員 どうも菅さんは、岡田さんの説得を待って、事実関係の究明を待って、時間延ばしをしたいようですが、一体いつまで時間延ばしをするつもりなんですか。

 少し角度を変えて伺いましょう。

 先日、トウカセンさんが来日されましたが、菅さん、あなたは会っていないんですね。

菅内閣総理大臣 新二十一世紀中国委員会のメンバー、日本の方と中国の方を合わせて二十名余り、その団長が日本の西室さんと中国のトウカセンさんで、その表敬訪問を受けました。

棚橋委員 自由民主党の谷垣総裁は、トウカセンさんの表敬訪問を受けたときに、大変静かに、しかし毅然と、日中間には領土問題は存在しない、尖閣諸島は我が国固有の領土であるとおっしゃいましたが、あなたもおっしゃいましたか。トウカセンさんに、尖閣諸島は日本の領土だと。

菅内閣総理大臣 約二十人の方が来られた中でありまして、そのやりとりの中、三十分程度でありましたが、トウカセンさんも一定の発言をされたことに対して私も発言をして、少なくともこの尖閣諸島が我が国の領土であることを前提として、逆に、中国に対しても国際的なルールに沿って行動することを求めると、バイの会談ではありませんので、大勢の人がいろいろな発言をされましたから、そうたくさんのことは申し上げませんでしたけれども、そういう姿勢は明確にいたしたところであります。

棚橋委員 質問に答えてください。言ったんですか、言わないんですか。

 谷垣総裁は、随行を含めて十人弱の方がトウカセンさんとともに来た中ではっきりと言いました、尖閣諸島は日本固有の領土だと。

 あなた、姿勢を示したとか、そういうつまらない逃げ、うそはやめてください。言ったんですか、言わないんですか。イエス、ノーで答えてください。

菅内閣総理大臣 私は、率直に申し上げて、議事録をとっておりませんので、もう一度きちんと読み上げてお示しします。

棚橋委員 あなたは健忘総理ですか。そんな大事なこともわからないんですか。健忘長官という人がいなかったら、あなたはそんな大事なこともわからないんですか。一番大事な領土問題ですよ。トウカセンさんに言ったか言わないかも覚えていないんですか。

前原国務大臣 トウカセンさんは元外交部長、日本でいうと外務大臣、また国務委員でいらっしゃいますが、今はもう、前あるいは元のつくお立場の方で、まさに二十一世紀の新の日中の時代をということで来られた方でございますので、政府の場では、私が一番初めにこの立場についてお会いしたのはヨウケツチ外務大臣でありまして、そういう意味においてはしっかりと、尖閣の日本の立場、確固とした立場についてはしっかり申し上げておりますので、それをベースに御議論いただければと思います。

棚橋委員 逃げると思ったんですよね、トウカセンさんは民間人だという趣旨で。

 では、菅さん、ハノイで温家宝さんと会いましたね。そのとき、尖閣諸島は我が国固有の領土であるとおっしゃいましたか。

菅内閣総理大臣 まず、物事をはっきりしておきたいんですけれども、この新二十一日中の会談というのは、何年か前からかなり有識者が集まられて、その中には芸術家もおられて、いろいろな分野の方がおられて、今回も新潟でたしか泊まり込みで大議論をやられたと。そういうことをベースに報告に来られたのです。その二十人の方がですよ、日本人も含めて。その報告をいただく席であったわけでありまして、そういうバイでの会談をするという立場ではなくて、二十人の皆さんが表敬訪問に来られた中でどういう会話をしたかということであります。

 ですから、今申し上げたように、私がどういう言葉遣いをしたかというのは、きちんとその記録を調べて申し上げますということを言っているわけです。

 それに加えて、ベトナムについては、その前にブリュッセルがありました。ブリュッセルでは、いすに座って、それでも二十五分程度でしょうか、幾つかの話をする中で、尖閣諸島が我が国固有の領土であって、領土問題は存在しないということを明確に申し上げました。

 ハノイの場合は、経緯は御承知かと思いますが、前の日に予定されていたバイの会談がなくなって、次の日は、東アジア首脳会談の直前に、いわば待合室みたいなところに順次入ってきて、私がおりましたら温家宝さんも来られて、そして、本当にもう三言四言、もうちょっとでしょうか、十分弱の短い会話でありまして、そういう場での発言として、最初は正式な会議ができなくて残念でしたねという話から始まりまして、民間交流ができたこと、それから戦略的互恵関係について確認をしたこと、それでもう次の会が始まりますので、それで話が終わったところであります。

棚橋委員 いいですか、領土、領海が侵犯されているんですよ。三言四言の中で一番大事なことじゃないですか。言わなきゃいけないじゃないですか。ハノイで言ったんですか、言わなかったんですか。イエス、ノーで答えてください。時間を使うのをやめてください、そういう白々しい答弁で。

菅内閣総理大臣 ですから、国民の皆さんが聞いておられますから、誤解を受けるような答弁はしたくないから、ちゃんと背景を説明しているんですよ。背景説明をしないで、誤解を受けるじゃないですか。

 ですから、私は、その前のブリュッセルでは、ちゃんといすに座って二十五分程度の中ではそういう言い方をいたしました。しかし、ハノイのときには、立ったままで、しかも、最初は前の日のことがありましたので今申し上げたようなことを申し上げたところです。

棚橋委員 ということは、菅さんはまさに、相変わらず余計なことまでしゃべるんですが、ハノイで立ち話しかしてもらえなかったんですね、温家宝さんに。座っての会談もしてもらえなかったんですね、残念ですが。

 では、もう少しお聞きしますが、APECで胡錦濤さんが来られますが、日中首脳会談がなされたときには必ず、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、日中間には領土問題は存在しないとおっしゃいますか。それとも、仮定の問題には答えられないと言いますか。どうぞお答えください。

菅内閣総理大臣 これまでもバイの会談を何度かやったことがありまして、そういうきちんとした会談であれば必ず申し上げてきましたし、今回もそういう機会があれば申し上げます。

棚橋委員 菅さん、日中首脳会談があれば必ず、尖閣諸島は我が国固有の領土だと言うんですね。言わなかったらやめますね、総理を。

菅内閣総理大臣 私も総理大臣という立場をいただいているわけでありまして、言葉の端々を、これを一々、前もって言うか言わないか、イエスかノーか、そういう議論は、私は答える必要はないと。

 ただ、私としてこの間やってきたこと、私の考え方は、まさに、尖閣諸島は我が国固有の領土であって、領土問題はこの地域には存在しないということをしっかりとこれまでも主張してきたところでありますから、必要な場面では必ず申し上げます。

棚橋委員 話が違うじゃないですか。さっきの答弁だったら、バイの会談があったら言うと言ったんですよ。今は、必要な場面があれば言うかもしれないと言ったんです。どっちなんですか。日中首脳会談がAPECのときに行われたら、言うのか言わないのか。一番大事なことですよ。領土、領海が侵犯された事件が起きた後なんですよ。お答えください。

菅内閣総理大臣 棚橋さんの議論の仕方もなかなかタクティックといいましょうか、そういう私の昔も少し思い出しておりましたけれども、つまり、立ち話という言葉もありましたけれども、極めて、それこそ一言二言しか声を交わせない場面もあり得るし、もう少し長い場面もありますから、必要な場面で、可能な場面で、まさに適切な場面で、当然、言うべきことは言うことは当たり前のことであります。

棚橋委員 委員長、ちょっと菅さんに注意してくれませんか。うそつきですよ。

中井委員長 その言葉遣いはやめてください。

棚橋委員 聞いてください、委員長。さっきは、バイの会談では言うと言いながら、その後、必要なときには言うと言ったんです。答弁が変わっているわけですよ。今は、ハノイでは三言四言話したと言ったのに、今一言二言に変わっているんですよ。あなたは、一と二と、三と四の違いもわからないんですか。もう一度きちんと答えてください。領土、領海問題です。胡錦濤さんに言うんですか。

中井委員長 私、委員長として聞かせていただいて、菅さんの答弁は変わっていないようには思うんですが、念のためにもう一度答弁を。

菅内閣総理大臣 棚橋さんが、言わなかったときにはやめるかやめないかということまで言われて、しかし、例えば、一言しか交わせないときにそんな長いことは言えないですから。(発言する者あり)ですから、そういうつまらない議論になりたくないから、ハノイの場合は本当にごく短い時間で、しかも、それは東アジア首脳会議が始まる前の、時間が決まっている長さではないところで、大勢が集まってきて、順次、おはようございますとか、やあやあといった中での話でした。そういう短いときと、ちゃんとした長さの会談とがどういう形で行われるか。

 私は、今回はしっかりした会談になってほしいとは思っておりますけれども、そういうことも含めて、何か揚げ足取りで、ちょっと会って一言交わしたけれども、そのとき言わなかったのはけしからぬ、そういう揚げ足取りをとられないために、適切な場面においては、必ずしっかりとそのことは申し上げます。

棚橋委員 菅さん、どんどん話が後退してきて変わっていくじゃないですか。あなた、最初は、日中のバイ会談でも尖閣諸島は日本固有の領土だと言うと言ったんですよ。ところが、その後、必要とあらば言うとなったんです。今になったら、一言二言しか話せないこともあるから言わないこともあるようなことを言っているじゃないですか。

 今、日本は、尖閣諸島という領土、領海問題に関して、中国から押し込み強盗に遭っているんですよ。それなのに、何であなた方はそれに抗議をしないんですか。一言しか言えなくても、一番大事なのはここの抗議じゃないんですか。ここの話じゃないんですか。和して同ぜずと言いますが、あなたの場合、和して土下座するじゃないですか。もう一度御答弁ください。

前原国務大臣 東シナ海には領土問題はございません。委員の御指摘は間違いでございます。

棚橋委員 前原外務大臣、済みませんが、そういう白々しい菅さんのフォローはやめてください。私は、東シナ海に領土問題があるなんて一言も言っていません。東シナ海に領土問題はあるかないかということに関して、菅さんが胡錦濤さんに、東シナ海には、日中間には領土問題はない、尖閣諸島は日本固有の領土であるということをおっしゃるかどうか聞いているんです。

 菅さん、言うのか言わないのか、もう一度お答えください。

菅内閣総理大臣 ですから、何回もお答えしているんです。聞いている方がちゃんと聞いていただければ、何回もお答えしているんです。

 ちゃんとバイの会談があって、そしてしかるべき時間の長さがあれば、当然のこととしてそのことを申し上げることは当たり前です。

棚橋委員 何で、必ず言うと言わないんですか。何で、総理大臣やめますかと聞いた途端、急に後退するんですか。

 あなた、内閣支持率がこの一瞬で二〇%近く下がった理由わかりますか。国民は、あなたが頼りにならない、守ってくれないと思っているんですよ。あなたは闘わないんだもの、中国とは。土下座するばかりで。そんなにAPECの首脳会談を、土下座してでも、国益を犠牲にしても成功させたいんですか。

菅内閣総理大臣 少し私の考え方を申し上げさせていただきますが、せんだってベトナムでASEANあるいは幾つかの議論がありました。そして、三度目の会談になりましたが、ベトナムの公式訪問の中で、原子力発電所とレアアースの、我が国をパートナーとして、それの受注が決まりました。そのときに、ベトナムのズン首相は、政治的、戦略的な決定である、つまり、その言葉は、単に経済的な立場で決めたんではなくて、政治的、戦略的にいろいろ判断をして決めたというふうに言われました。

 私は、ASEMに行ったときにバイの幾つかの会談をいたしましたけれども、特にベトナムについては、公表はいたしませんでしたけれども……(棚橋委員「日中の話を聞いているんですよ、委員長。ちょっと委員長、注意してください」と呼ぶ)聞いてください、重要なことですから。

 公表はいたしませんでしたけれども、当然ながら、南沙諸島の問題でいろいろと、当事者であるベトナムとの間で、そうした島、尖閣諸島も含めて、幾つかの問題については話をしっかりといたしました。しかし、それについては表でどうこう言うことはお互い控えようということで、この場でも、いろいろな場でも申し上げてはおりません。

 しかし、そういうことがあって、ベトナムは、日本との関係をこの比較的短い間に急激に進めてくれまして、みんなは来年の一月の党大会が終わるまでは何も決まらないだろうと言われていたのが、せんだって行ったときに、ベトナムの原子力発電所の問題やレアアースのことが決まると同時に、高速道路や鉄道などの問題についても、あるいは港湾についても、大変前向きな話をいただきました。

 そういった意味で、何が国益になるのか、何がどういう場面でどういう関係性を持って日本のプラスになるのか、私として、私なりにそうした戦略を持ちながら、いろいろな国と話をいたしているところであります。

 そういった意味で、例えば日中関係というのは、単に日中関係だけではなく、日米関係やASEANとの関係も含めてどういう形で、この中国のある意味での力の増大をどのような形で国際的なルールの中に乗せていくか、そういう観点からも行動しているということを、この場で国民の皆さんにもお伝えしておきたいと思います。

棚橋委員 質問に答えてくれませんか。私は何度も同じように、胡錦濤さんとのバイ会談では尖閣諸島は我が国固有の領土であると言うか、これ、何回同じことを聞かせるんですか。今あなたが答えたのは、ベトナムとの関係で、中国にはひどい目に遭っているよねと言い合った、そういう話じゃないですか。中国に物を言わずに、全くジャイアンにはひどい目に遭っているねとスネ夫とのび太がそんなこと言ったってどうしようもないんですよ。ジャイアンと闘ってください、あなた。

 では、もう一回聞きますが、胡錦濤さんに言うんですか言わないんですか。何で同じ質問を、しかも、イエス、ノーで答えられることを一言で言えないんですか。イエス、ノーでお願いします。

菅内閣総理大臣 テレビで聞いておられる方がたくさんおられるので。

 先ほど、胡錦濤主席が来られたときの話はちゃんとお答えしたわけですが、その後に言われたのは、何か土下座とかなんとか言われましたから、それは違いますよということを申し上げたので、胡錦濤さんが来られて、ちゃんとした時間バイの会談があったら、当然、尖閣諸島は我が国の固有の領土であって、この地域に領土問題は存在しない、そのことははっきり申し上げるということは先ほども申し上げたばかりで、もしかしたら、私よりも棚橋さんの方が私の答弁を十分に聞いて覚えておられないんじゃないでしょうか。

棚橋委員 あなたは本当に鳩山さんと似ていますね。困ると紙をこうやって丸めながら答弁するの、本当に鳩山さんにそっくりですよ。

 いいですか、本当に簡単なことを聞いているんです。領海、領土を侵犯されかけて、押し込み強盗に遭いかけているんですよ。何でそれに対して抗議しないんですか。なぜ言うつもりはないんですか。

 では、日韓首脳会談があったときには、竹島が不法占拠されていると言いますか言いませんか、菅さん。

菅内閣総理大臣 どうして、私が胡錦濤さんと話をするときに言うと言っているのに、言わないのかというふうに言われるのは、私には本当に、何か日本語が通じていないのかなと思わざるを得ません。

 もちろん、日韓の間でも竹島の問題が存在していることはよく承知をしておりますし、竹島のことは、もともと日本の領土であるという主張も一貫しているわけであります。ただ、何かこう機械的に、李明博さんとはしょっちゅう最近会っていますから、あらゆる場面でその話しかしないなんということはありませんから、そういう話が必要な場面ではするのは当然だと思っています。

棚橋委員 全然議論が進まない。うそばかりついているんですよ。答弁はきちっと言ってください。

 私が聞いているのは単純な話です。まず第一に、APECで日中首脳会談が行われたら、どうしてもあなたは胡錦濤さんに会わないと自分のメンツがつぶれるから、そのためにはこの尖閣の問題を触れないと言っているのか、必ずこの問題は触れると言っているのか、どっちなんですか。それから日韓に関しては、聞きますが、いつも言えとは言っていません。しかし、横浜で行われる首脳会談、日本で行われる首脳会談でこの話を触れるつもりはないのかあるのかと聞いているんですよ。

 あなたは非常にわかりやすいのは、鳩山さんと一緒で、心理的に動揺すると紙を丸めたり手をこうやってするんですけれども、動揺しているのはわかりますが、もう一度お答えください。

 まず、尖閣の問題に関して胡錦濤さんに触れますか。谷垣さんは毅然と言いました。あなたは言えますよね。

中井委員長 棚橋さん、お気持ちはわからないわけではありませんが、たびたび今申し上げますように、うそという言葉をお互い慎んだ方がいい、これが一つ。

 それから、あなたの先ほどの御質問の、日中のことについては総理がたびたびお答えになった。それで、竹島の問題は、韓国に言いますかと言われたのと、今回はAPECの会議のときに言いますかという質問とに変わっています。どっちでしょうか。

棚橋委員 委員長がそこまで総理のカバーに回るなら、私も質問を単純にします。

 もう一度、ではこれだけ聞きます。日中首脳会談が行われたときには、胡錦濤さんに、我が国固有の領土である尖閣諸島は日本の領土であって、日中間には領土問題は存在しない、そういうことを言いますか。言わなかったら総理大臣をやめますか、こう言った途端、急に顔色が変わったんですが、どうですか。お願いします。

中井委員長 韓国のことはいいんですね。(棚橋委員「結構です、もう答弁がこうですから」と呼ぶ)

菅内閣総理大臣 私が紙を丸めたらどうとか手をどうしたらどうとか、大変、何か心理的なことをいろいろと勝手に憶測をして言われますけれども、私は、中国首脳、胡錦濤主席が来られたときにどういう態度をとるかということについて、少なくとも三度ぐらいは今この場でお話をいたしました。改めて聞かれましたので、改めて同じことをお答えします。

 バイの会談で適切な会談があった場合には必ず、尖閣諸島は我が国の固有の領土であって、この地域に領土問題は存在しない、そのことはきちんとお伝えをいたします。

棚橋委員 バイの会談で適切な会談が行われた場合というのは、バイの会談で不適切な会談というのは何があるんです。バイの会談があったら必ず言うんですか。同じことを何度も聞かせないでください。

 要は、あなたが日本の領土を守るつもりがあるのか。あなたは、国民から守らない人だと思われているんですよ、闘わない人だと。自分が政権にいるためには、中国にでもかじりついてでも何でもやると思われているんですよ。もう一度お答えください。

中井委員長 もう一度何を答えるんですか。

棚橋委員 胡錦濤さんと会ったら、尖閣の問題に関して、我が国固有の領土であり、日中間には領土問題は存在しないと必ずおっしゃるか。おっしゃらなければ総理をやめるか。

中井委員長 棚橋さん、大変あなたは頭のいい方で、私もお父さんの代からよく知っておりますが、今の菅さんのお言葉でだめだというのは、バイの会談で適切なと二つあったのがけしからぬということなのか、それとも、答えが十分じゃないということなんですか、もう一度言ってください。

棚橋委員 委員長、余り、総理のカバーに回るのもわかりますね。簡単な質問ですよ。

 何か総理は、最初は言うと言ったんです。ちょっと聞いてください、委員長。最初は言うと言ったんです。ところが、総理大臣をやめますかと言った途端、いや、一言二言しか話せないときもあるから、必ずしもそうじゃないと言い出したんです。今は、バイの会談で適切な会談であること、なぜか前提条件をつけるんですよ。簡単なことでしょう、バイの会談を行えば必ず言いますと言えばいいだけの話なんですから。言ってくださいよ。

菅内閣総理大臣 いや、私も、あなたの話を聞いていると何か揚げ足を後でとられるのではないかという心配があるものですから、しっかりお答えしているんです。

 例えば、ハノイの会談のことも申し上げましたけれども、これは会談というよりも、いわゆる東アジア首脳会談を行う、大勢の人間で行う直前の待合室のようなところで、順番も決まらず人が入ってきて、会って、いよいよ始まりますというときには一緒に出ていったわけでありまして、そういう極めて限られた時間のこともあっても、例えば、それでも最初の一言から言わなかったんだったら総理をやめろみたいなことに、揚げ足取りに使われないようにということで普通の言い方をしているんです。

 つまりは、APECで胡錦濤主席との会談がちゃんと開かれる場合には、必ず、尖閣諸島が我が国固有の領土であって、この地域に領土問題は存在しない、そのことは申し上げます。

棚橋委員 人は自分の発想で他人を判断するんですが、あなたは揚げ足ばかりとってきたから揚げ足取りをされると思うかもしれませんが、私が聞いているのは単純なんです。

 なぜか知らないけれども、あなたは日中首脳会談で、日中間には領土問題は存在しない、尖閣諸島は我が国固有の領土である、これを必ず言いますねと言ったら、ちゃんとした会談であればとか、必要に応じてはとか、必ずそういう話をするんでしょう。あなたは、総理大臣の座をかけてこの国の領土を守るつもりはあるんですか、言うつもりはあるんですか。必ず言いますか。

菅内閣総理大臣 私は、所信表明演説の中でも明確に申し上げましたし、今この場でも繰り返し繰り返し申し上げているわけでありまして、これ以上繰り返す必要はないと思います。

棚橋委員 なぜ答えないんですか。簡単なことじゃないですか。いや、私があなたの立場なら簡単ですよ。胡錦濤さんと会ったときには必ず言いますと言ってください。

中井委員長 棚橋さんに申し上げます。総理にも申し上げます。

 少し議論が行ったり来たり、同じことの繰り返しにもう二十分使われていると思います。総理は総理で答えたと思います。棚橋さんは、棚橋さんの質問は微妙に変わっていることはよくわかりますが、根幹は同じじゃないかと委員長は判断します。

 次の質問にお進みいただきますことをお願いいたします。

棚橋委員 あなたはいつから菅直人さんの弁護士になったんですか、尊敬していたのに。残念ですよ。

 私は単純な質問をしているんですよ。日中首脳会談がAPECのときに行われたら、尖閣諸島は我が国固有の領土であって、日中間には領土問題は存在しないと必ず言うか、言わなかったら総理大臣をやめるか、本当にだれでもわかる、小学生でもわかる質問じゃないですか。答えていないんです。必ず言いますと言ってくれればいいんですよ。どうぞ、お願いします。

菅内閣総理大臣 あえて何回もお聞きになりますので、私も、もう何回目になるかわかりませんが、お答えいたします。

 APECでの首脳会談、最終的に、どなたとどういう時期に行うか、まだ決まっておりません。そういった中で、胡錦濤主席としっかりした会談が持てる機会があれば、尖閣諸島は我が国の固有の領土であって、そしてこの地域に領土問題は存在していない、こういう私が常に申し上げていることを胡錦濤主席にも当然申し上げます。

棚橋委員 何で同じ繰り返しになるんですか。なぜ必ず言うと言わないんですか。なぜか菅さん、必ず、しっかりした会談がなされればとか必要があればとか、前提条件をつけるんですよ。一言二言の会談であっても、今最優先のことじゃないですか、日本の領土を守ることが。あなた、国民から何であなたが見放されているかというと、あなたが国民を守ってくれないからなんですよ。闘わなきゃだめですよ。和して同ぜずと言うんですよ。和して土下座じゃだめです。

 もう一度、簡単な質問です。必ず言います、日中間には領土問題は存在しない、尖閣諸島は我が国固有の領土である、どうぞ、お願いいたします。

菅内閣総理大臣 何度も同じ質問をいただいておりますが、私としては、先ほど御答弁申し上げたとおりであります。

棚橋委員 だから、何度も質問しているじゃないですか。必ず言うかと聞いたところ、あなたの答弁は、必要とあらばとか、しっかりした会談がなされればとか。バイ会談があれば必ず言いますと言えば簡単なんですよ。

 どうぞ、お願いします。バイ会談があれば必ず、まず最優先事項として、尖閣諸島の問題に関しては、我が国固有の領土であると言ってください。言えますか、菅さん。

菅内閣総理大臣 同じ質問をたくさんいただいておりますから、私も先ほど来誠実にお答えをいたしました。答弁は、前の答弁と全く同じであります。

棚橋委員 残念ですね。補正予算の中身に入る前にこの議論をしたかったんですが、三十分同じ質問をしても、結局、最後まで菅さんは、胡錦濤さんに会ったときには、会談がなされれば必ず言うとは言わないんですね。しっかりした会談がなされればとか、必要があればとか言って逃げるんですね。最初はちょっと調子のいいことを言っておきながら、総理大臣やめますかと言われた途端、急に言葉遣いが慎重になって言わなくなった。そんなに中国にかじりついて総理をやりたいんですか。残念としか言いようがないです。

 では、もう少し伺いますが、もしロシアのメドベージェフ大統領と会われたときには、北方領土は不法占拠状態であり、これを解消すべきだということをおっしゃいますか。この間、北方四島にメドベージェフさんが行ったことを御存じですよね。菅さん、お願いします。

菅内閣総理大臣 中国の首脳会談に関して、何か中国に頼って私が政権維持を考えているような、そういう予断を持った質問をいただいておりますが、それは全く根本的な見方が違います。

 私は、日本にとって、中国の関係を含めてどういう形が最も望ましいか、そういう立場から申し上げているわけでありまして、この会談においてもそういう立場で、当然ながら言うべきことは言うということを何度も繰り返し、はっきりと申し上げているところです。

 メドベージェフ・ロシア大統領、基本的には、首脳会談をやりたいという意向を大統領の方もお持ちのようであります。そのときには、北方領土の四島について、この四島が我が国固有の領土であるという、この一貫した主張は明確にお伝えをいたします。

棚橋委員 尖閣諸島に関しては、私どもは、日中関係には領土問題は存在しないという立場ですが、なぜ、今中国やロシアがこういう攻勢に出ているかわかりますか、菅さん、背景は。日米が揺らいでいるからですよ。その揺らいでいる背景は、沖縄でしょう、鳩山さんでしょう。あなたはそのときに、副総理なのに何にもしなかったじゃないですか。鳩山さんが転んでくれれば自分のところに総理大臣が回ってくる、そういう発想だったじゃないですか。申しわけないけれども、前原さんもあのとき、沖縄担当大臣だったけれども何もしなかったですよね。そのときのツケが全部回っているんですよ。日米が揺らいでいるから、中国やロシアに一方的にやられているんだ。

 沖縄の問題の解決のためにきちんとやるという戦略が、菅さん、ありますか、あなたに。菅さんお願いします。菅さんお願いします。菅総理。菅総理。菅さん。総理大臣。あなたが総理であるならばお答えください、菅さん。

菅内閣総理大臣 私が副総理のときに、戦略担当大臣として幾つかの指示を受けておりまして、その中で、雇用の問題や財政の問題は指示を受けておりましたが、外交については、鳩山さんの方から、この分野は、まあ菅さん、ほかのこともあるからいいですと言われて、特に手を出しておりませんでした。

 何か、すべてだれかの、例えば中国を頼って政権維持をしているとか、あるいは鳩山さんが何か失敗するのを待っているとか、そういう見方は、それはまさに棚橋さんの見方であって、私とは全く違っているということは明確に申し上げておきたいと思います。

 そういう中で、沖縄の問題は、ある意味大変難しい問題であることは承知をいたしております。五月二十八日の日米合意を踏まえて、同時に、沖縄の皆さんの負担をいかにして軽減させるか、このために全力をこれまでも挙げておりますし、これからも挙げていくことは当然であります。しかし、この問題の難しさは、私もその難しさをひしひしと感じている中で、きょうこの場でこうしたい、ああしたいということは、時期的にも沖縄の知事選も近い状況でありますので、この場で申し上げることは控えますが、私なりには幾つかの準備をいたしているところであります。

棚橋委員 菅さんと私の見方が違う、当然ですよ。菅さんのような見方はしたくありません。私はそこまで落ちぶれていません。

 いいですか。沖縄の問題に関しては、そもそも、最低でも県外というようなできない約束をして沖縄県民をだましたあなた方から始まるんじゃないですか。そしてあなたは、副総理でありながら、何もしなかったんじゃないですか。少なくとも、うそをついていることをそのまま隠しおおしたんじゃないですか。

 では、聞きますが、この沖縄の基地問題の解決のために、具体的にあなたは何をするんですか。沖縄というのは、ある意味で、中国が膨張しようとするときに、日本にある、まさに日米共同での一番大事な抑止力を抱えているところなんですよ。この問題がここまでこじれたのに、あなたは今まで何もせずに、努力しますと言いますが、具体的にどういう努力をするんですか。

 菅総理、菅さんが総理大臣なら、菅さんお答えください。前原さんが総理なら、前原さんでも結構です。総理大臣、お答えください。

菅内閣総理大臣 沖縄の現在の状況は、棚橋さんもそこまで質問されるんですから多分かなりお詳しいんだと思いますけれども、橋本内閣のときに普天間の危険性を除去するというところからスタートして、自公政権でもいろいろと努力をされましたが、政権交代の時点ではまだ移転はできておりませんでした。

 確かに、この一年間、当初の鳩山政権の中で、御指摘があったように、選挙の折に県外または国外ということを鳩山総理が言われて、その実現のために大変努力をされた。しかし、結果としては、五月二十八日、ある意味ではもとの案でもありました辺野古への移転という形で日米合意ができました。しかし、残念ながらといいましょうか、この合意について沖縄の皆さんの賛同は大変難しい状況にあるわけでありまして、その状況の中でいかにして沖縄の皆さんに理解をいただけるのか。

 私は、今の計画でも、沖縄在留の米軍のほぼ半分近くがグアムに移転をする計画になっておりますし、嘉手納以南の基地の返還、あるいは北部の訓練場の半分の返還も十年ほど前に合意がされておりますが、そういうことも含めて、何とか普天間の危険性を除去しながら米軍の基地の負担を軽減する、そういうことをぜひ沖縄の皆さんに理解していただくよう努力をしていきたい。

 いろいろと沖縄にも出かけたいと思っておりますが、現時点では、近く沖縄の知事選も行われますので、それが終わった新しい状況の中でしっかりと取り組んでいきたい、このように考えております。

棚橋委員 あなた方が最低でも県外と言ったんですよね、公約で。その結果、日米関係が揺らいで、まさに抑止力が揺らいでいる。だから今、日中、日ロでこうやって攻め込まれているんですよ。それを回復しようと思ったら、もう一度沖縄の戦略的位置、地理的状況を考えた上で、ごめんなさい、沖縄県民の皆さん、私たちはうそをついていました、最低でも県外はできませんとわびなければ、沖縄県民はまず話を聞けませんよ。おわびになるつもりはあるんですね。まずわびてください、うそをついていましたということを。

菅内閣総理大臣 マニフェストに書いた書き方としては、たしか、県外というよりは、米軍再編を見直すという形で文章はなっております。ただ、当時の代表でもあった鳩山さんが選挙の運動の中でおっしゃったことでありますから、事実上の民主党の公約と受けとめられるのは、それはそのとおりだと思っております。

 先ほど来経緯を申し上げましたように、そういう努力を、鳩山前総理が大変努力をされた中で、最終的には五月二十八日の日米合意に戻ったわけでありまして、そういう点で、私は、沖縄の皆さんに対して、当初の、少なくとも民主党としての公約というふうに受けとめられたことが実現できなかったことについては申しわけなく思っております。

棚橋委員 今一言も、申しわけなく思っています、沖縄県民の皆様方にと言いながら、全然頭は下げていないじゃないですか。申しわけなく思っていないんですよ。

 最後に聞きます。この補正予算、GDPをどれだけ押し上げますか。ノー原稿で答えられるなら答えてください。原稿を見なきゃいけないのなら結構です。

中井委員長 棚橋さんに申し上げますが、もう質疑時間が終わっています。

棚橋委員 はい。最後の質問でいいです。

中井委員長 最後でいいですか。

 海江田大臣。

棚橋委員 いや、菅さんです。菅さん。総理大臣です。菅さん、お願いします。委員長、菅さんを私は指名していますよ。何で菅さんが無能だということを証明することをそんなに嫌がるんですか、委員長。

中井委員長 時間がもう終わっています。

海江田国務大臣 棚橋委員にお答えいたします。

 〇・六%引き上げるつもりでございます。

棚橋委員 菅さん、それは何兆円ですか、GDPの〇・六%というのは。菅さん、菅総理、お願いします。委員長、委員長。菅さん、GDPを〇・六%押し上げるというのは何兆円ですか。これ、答えられないの。

海江田国務大臣 およそ五百兆でございますので、それに〇・六%掛けていただければよろしゅうございます。わざわざ菅総理にお出ましをいただくまでもないことでございます。

中井委員長 これにて棚橋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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