衆議院

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第5号 平成23年2月3日(木曜日)

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平成二十三年二月三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      相原 史乃君    石毛えい子君

      稲見 哲男君    打越あかし君

      生方 幸夫君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    金森  正君

      川村秀三郎君    吉良 州司君

      工藤 仁美君    郡  和子君

      佐々木隆博君    高井 美穂君

      高橋 昭一君    高邑  勉君

      竹田 光明君    玉木雄一郎君

      津村 啓介君    中根 康浩君

      仲野 博子君    花咲 宏基君

      浜本  宏君    本多 平直君

      三谷 光男君    水野 智彦君

      宮島 大典君    村越 祐民君

      山口  壯君    渡部 恒三君

      あべ 俊子君    秋葉 賢也君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    小泉進次郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      長島 忠美君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      遠山 清彦君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    照屋 寛徳君

      山内 康一君    下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   法務大臣         江田 五月君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄及び北方対策担当) 枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (公務員制度改革担当)  中野 寛成君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (「新しい公共」担当)

   (科学技術政策担当)   玄葉光一郎君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   外務副大臣        伴野  豊君

   外務副大臣        松本 剛明君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            杉山 晋輔君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  吉良 州司君     浜本  宏君

  佐々木隆博君     工藤 仁美君

  城島 光力君     玉木雄一郎君

  中根 康浩君     高橋 昭一君

  小泉進次郎君     田村 憲久君

  菅原 一秀君     秋葉 賢也君

  馳   浩君     長島 忠美君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     佐々木隆博君

  高橋 昭一君     中根 康浩君

  玉木雄一郎君     柿沼 正明君

  浜本  宏君     岡田 康裕君

  秋葉 賢也君     あべ 俊子君

  田村 憲久君     小泉進次郎君

  長島 忠美君     馳   浩君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     花咲 宏基君

  柿沼 正明君     相原 史乃君

  あべ 俊子君     菅原 一秀君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     城島 光力君

  花咲 宏基君     吉良 州司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、政府に一言申し上げます。

 衆議院予算委員会での平成二十三年度予算審議において十分な審議ができるタイミングまでに、地域自主戦略交付金の創設に関する客観的指標の考え方を当委員会に提出することを求めます。

 この際、片山国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山国務大臣。

片山国務大臣 ただいまの予算委員長の御発言の趣旨に沿いまして、適切に対処してまいります。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として外務省アジア大洋州局長杉山晋輔君、水産庁長官佐藤正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、いつも申し上げていることでありますけれども、正論の直球しか質問させていただきませんので、どうか御答弁の方も、関係ないことを長々と話さないで、直球で御答弁いただくよう切にお願いを申し上げます。中井委員長も御差配のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 きのう大変な議論になりました地域自主戦略交付金につきまして、一言、私の方からも質問をさせていただきたいと思います。

 この新規予算は、鳴り物入りの目玉政策でありまして、昨年十二月十六日の予算編成の基本方針におきましても、「歴史の転換点に立つ、日本の経済・社会の新たな有り様を政府は示すとともに、地域の自由裁量を拡大するため、「ひも付き補助金」を段階的に廃止し、一括交付金化に着手する。」と高らかにうたわれているものでございます。「歴史の転換点に立つ、日本の経済・社会の新たな有り様」ですよ。私は、これは大変すごい言葉だと思います。そして、その一括交付金は、客観的指標で配分すると現政権は言っているわけでありますので、その鳴り物入りの歴史の転換点に立つ予算の、しかも、来年度は五千億円という巨額に上っているわけでありますから、都道府県にどう配分するのか、その指標を具体的に国会に示すのは、予算を提案する者として当たり前ではないかと私は思います。大体、政治主導、政治主導と言う民主党の皆さんなんだから、皆さんの方から、政治の場で、国会の場で議論してほしいと提案するぐらいの根性があってほしいと思います。

 さらに言えば、鳴り物入りの一括交付金ですから、国会で当然その配分基準を示せという議論になるということが政府として予想できなくてどうするんですか。そんな甘いことでどうするんですか。私も長いこと行政の立場におりましたけれども、この手のものは当然国会で議論になるということは予想して対応をしてくるものであります。私は、やはり本件は、政府の対応に甘さがあると言わざるを得ないと思います。

 もっと言えば、熟議の国会と言っているのは皆さんの方なんですから、熟議のための材料を出して、熟議のための十分な時間をとって議論の段取りをするのは皆さんの方なのではないでしょうか。今、片山総務大臣からお話がありましたけれども、この客観的指標について、いつ国会に提出いただけるか、その一点をお伺いさせていただきたいと思います。

片山国務大臣 先ほど、中井委員長の御発言を受けまして私が申し上げましたとおり、適切に対処してまいりますと申し上げましたとおり、できるだけ早く、この国会の審議にそぐうように提出をしたいと思います。

齋藤(健)委員 当然、十分な審議ができるタイミングまでに提出していただけるということでよろしゅうございますか。確認のためです。

片山国務大臣 できるだけ早急に提出をしたいと思います。

齋藤(健)委員 もう一回確認ですが、この予算の審議に間に合わなければ意味がないと思いますので、予算委員会のこの予算の審議で十分時間がとれるタイミングで出していただけるということでよろしゅうございますか。

片山国務大臣 その御趣旨にそぐうように提出をしたいと思います。

齋藤(健)委員 総務大臣のお言葉を信じます。

 次に、きのうあたりから大分報道されております大相撲の八百長メール事件について伺いたいと思います。

 今、大変大騒ぎになっているわけでありますが、御案内のように、警視庁が押収した力士の携帯電話の中に、勝ち星を貸し借りするようなやりとりがあった、そういう報道であります。もしこれが事実であるとするならば本当に残念で、私は憤りを感じるところでありますが、これは、事は国技の問題でありますし、私は、我が国の名誉がかかっている問題ではないか、そこまで受けとめております。そう言っても過言ではない問題だと思います。この国のトップであります内閣総理大臣が、本件についてどのような認識を持ち、どう対応されるおつもりなのか、お伺いさせていただければと思います。

高木国務大臣 齋藤委員にお答えをいたします。

 まさに、品格を重んじ、正々堂々と力を競い合う相撲、それが我が国の誇るべき文化であると私は思っておりまして、委員御指摘のとおり、私もその報道を知って本当に残念に思い、深刻な問題と受けとめております。

 したがいまして、昨日、まず全容の解明が必要であろうということから、早急に調査を指示したところでございます。けさ、放駒理事長から事務方に報告がございました。名前の挙がっておる力士などのうち三名が八百長に関与したことを認めている、また、その中で新たに一名の力士の名前が挙がっておる、現在調査中であるとの報告を受けております。

 今、相撲協会としては、弁護士など専門家によって徹底した調査を本日から行うことにしておりまして、八百長に関与しているのではないかと指摘される計十四名の力士については、二月六日の理事会までに中間報告を終えて概要を報告するということになっております。

 私たちとしましては、事の重大性にかんがみ、状況を踏まえて厳正に対処をしてまいりたいと思っております。

齋藤(健)委員 総理、お願いいたします。

菅内閣総理大臣 相撲は、おっしゃるとおり、我が国で大変歴史もあり、また国民的にも非常に多くのファンを得ている、まさに国技であります。そういう中において、本来、正々堂々と全力を出し合って相撲をとって勝負をつけるところにそうした意味があるわけでありまして、これが八百長があったとすれば、大変重大な、ある意味国民に対する背信行為とも言えることであります。

 そういった意味では、今、高木文科大臣の方で、担当大臣として相撲協会の調査を徹底するその方向をしっかりと指導していただいておりまして、そういった結果を見守りたいと思いますけれども、いずれにしても、そういった事実があったとすれば大変残念なことだ、そのことを受けとめて対応していきたい、こう思っております。

齋藤(健)委員 次の質問に移ります。

 これも新聞による報道ではあるんですけれども、きのうの朝、もし事実であるなら看過できない大変重大な記事が目に飛び込んでまいりました。日本外交の信頼性にかかわる大変重大な話でありますので、事実ではないことを祈りながら、まずこの件について、国会の役割としてチェックだけさせていただければと思います。

 こういう記事であります。産経新聞であります。

 昨年十月のブリュッセルでアジア欧州会議が開かれました際に、皆さん御案内のように、菅直人総理と中国の温家宝首相が廊下会談をされました。そしてその際、菅首相が、沖縄尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件につきまして、温首相は日本の立場を御存じでしょうからきょうは言いませんと語って、日本の立場を一切言及しなかった、そういうことが複数の政府筋によって明らかにされたという記事であります。

 菅総理は、この首脳会談の後に、同行した記者団に対しまして、こういう発言をされております。「私も尖閣諸島はわが国固有の領土であり、領土の問題は存在しないという原則的なことを申し上げた」というふうに説明をしていた、これが虚偽だったことになる、これは報道でそう書いてあるということであります。一方で、このときまだ、例のゼネコン、フジタの日本人社員一人が釈放されていない状態でありました。この問題にも触れずに、社員の早期解放を求めることもなかった、こういう報道であります。

 私は、この報道の真偽を確認したく御質問させていただいておりますが、この懇談につきまして、立ち話につきましては、外務省のホームページにも、やはり、菅首相は、「尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領土問題は存在しないとの原則的立場を述べた。」と書いてあるわけであります。

 これは事実の確認でもありますし、外務省のホームページにも記載されている話でもありますので、まず、お忙しいところお越しいただきました外務省の杉山局長にお伺いしたいと思いますが、温家宝首相に対して、菅首相は、その会議の際、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領土問題は存在しないと述べたのは事実でしょうか。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘の温家宝総理との懇談において、菅総理が、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、領土問題は存在しないとの原則的な立場を述べた上で、詳しくは申し上げませんが、既に報道発表しているとおりの三点を確認したというふうに承知をしております。

齋藤(健)委員 ということは、温家宝首相に対して、領土問題についてきょうは言いませんと菅総理が発言したという記事は、全くのうそだということでよろしゅうございますか。

杉山政府参考人 再びのお尋ねでございますので、お答えいたします。

 恐らく、私どもの事務の担当者の立場として、報道機関の報道の一々について、それがいいとか悪いとかいうコメントをすることはしない方がいいと思います。

 ただ、今申し上げましたように、菅総理がどういうふうな御発言をしたかということの内容については、ただいま申し上げたとおりの発表をしているということでございます。

齋藤(健)委員 それでは総理にお伺いしますが、温家宝首相に対して、この尖閣の領土問題についてきょうは言いませんと菅総理が発言したという記事は、うそであるという御認識でしょうか。

菅内閣総理大臣 先ほど御指摘をいただきましたように、私が温家宝総理との懇談で申し上げたことは、尖閣諸島は我が国固有の領土であって、領土問題は存在しない、このことを申し上げました。

齋藤(健)委員 ということは、きょうは言いませんと総理が発言したという記事は、全くうそだということですね。

菅内閣総理大臣 私が申し上げたことは、私は、はっきりと今この場で申し上げました。それ以上でも以下でもありません。

齋藤(健)委員 確認ですが、温家宝に対して、領土問題についてきょうは言いませんと菅総理は言っていないわけですね。

菅内閣総理大臣 何回も申し上げていますように、私が言ったことは、今この場で申し上げたことに尽きております。

齋藤(健)委員 今のやりとりで、私の理解は、きょうは言いませんと発言をしていないというふうに素直に受けとめさせていただきます。もしこの新聞記事が事実だといたしますと、私は大変な、日本の外務省の信頼性を損なうような大きな問題だと考えております。したがいまして、当然のことながら、産経新聞に対して抗議をされますね。

枝野国務大臣 新聞を含め、さまざまな報道、それぞれ言論の自由がある中で、いろいろな報道をされております。その中には、個別の問題は申し上げませんが、当事者として私が例えば知見をした事実と異なっているというような内容が含まれていることがございますが、それに対して、政府の立場として、一つ一つ、すべてについて対応していくということよりも、今お尋ねをいただいて大変ありがたかったと思いますが、内閣としての立場、見解、知見をしっかりとこうした場を含めてお示ししていくことが大事なことだというふうに思っております。

齋藤(健)委員 私は、産経新聞という日本の大きなメディアが、総理が発言していないことを発言したというふうに大きく間違えて外務省が報道しているという、外務省の報道に対する信頼性が揺らぐような記事であるから、もしそれが事実でないなら抗議をするのは当然のことだと思いますけれども、見解の相違ということで、次に進みたいと思います。

 次の質問に移ります。

 一昨日の予算委員会の議論をお聞きしていて、一つだけ確認をさせていただきたいことがございます。

 我が党の野田毅委員の質問に対しまして、菅内閣総理大臣は、社会保障改革の形を四月をめどにまとめる、社会保障改革の形という表現を使われました。当然のことながら、この社会保障改革の形の中には、年金改革の形も、それから医療改革の形も当然含まれるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

菅内閣総理大臣 社会保障の大きな要素は、今御指摘の年金、医療、さらには介護、場合によっては、子供や雇用の問題も広い意味では社会保障にかかわる問題だと思います。そういう意味で、今御指摘のあったものは当然社会保障改革の大きな要素、こういうふうに理解をいたしております。

齋藤(健)委員 そうしますと、子ども手当をマニフェストの中では、恒久的に毎年、中学生以下の子供が一人いれば二万六千円支払うというふうに書いてあるわけでありますが、この社会保障改革の形の中には、年間五兆三千億円もかかると皆さん方が言われているこの子ども手当をどうするかということも当然含まれるというふうに考えてよろしゅうございますか。

菅内閣総理大臣 これは、与謝野大臣に担当していただいて、いろいろな団体等から出ている案も含めて議論をしようということにしておりますので、その中では、子供に対する対応も、我が党、現実に子ども手当を実行しておりますので、当然それも含まった形で議論が行われる、こう理解しております。

齋藤(健)委員 わかりました。年金改革がどうなるかという形や、今総理がおっしゃられた子ども手当がどうなるかというお話も、この四月に形として示していただけるということを確認させていただきました。

 次に、温暖化対策に移りたいと思います。

 きょうは、政府の対応を御質問させていただくだけではなくて、我が党ならこう考えてやる、我が党ならこういう政策立案の仕方をするということをあわせて、皆さんのやり方と対比をさせていただきながら御質問をさせていただきたいと思います。

 早速伺わせていただきます。

 民主党政権は、政権交代直後の一昨年九月、いきなり、一九九〇年と比べて二〇二〇年にCO2等の温暖化ガスの排出量を二五%削減するという目標を国際約束とされました。一九九〇年と比べてといったところで、過去排出してしまったものを後から削減することはできませんから、〇五年から二〇年までに引き直して考えてみますと、十五年間で三〇%削減しなければならないということになります。これは、とんでもなく高い目標であります。

 なぜなら、これまで我が国は、一九九〇年から二〇一〇年までの二十年間でこの温室効果ガスを六%削減するという目標を達成するのに四苦八苦しているわけであります。にもかかわらず、十五年間で三〇%削減するということを世界に約束したわけであります。この間、経済成長もするでしょうし、十五年間で三〇%温室効果ガスを削減するというのは、卒倒するような数字であります。そんなに軽く世界に約束していいんでしょうか。

 でありますから、このとき、当然のことながら、そんな約束をして本当に大丈夫なのか、経済にどんな影響が出るのか、当然雇用にも影響が出るがそれは耐えられるものなのか、国民負担もふえるがどのくらいのものになりそうなのか、海外の排出権を購入しなければならないとしたら一体国富がそれによってどのくらい流出するのであろうか、産業界、学界、そして労働界などなど国民各層から多くの疑問が出されました。当然のことだと思います。

 そこで、総理にお伺いいたします。

 企業経営や、そこで働く皆さんの雇用、日本の財政など、これほど広い分野で影響が出ることが予想される目標の設定をする際に、その影響について全く国民に知らせることなく、いきなり外国に行って国際約束をするというような政策手法で本当にいいと思っているのでしょうか。しかも、国民の生活が第一と言っている政党がです。

 ちなみに、自由民主党の場合でありますが、麻生政権のもとで、一九九〇年比で二〇二〇年までに一五%削減するという目標を設定しましたが、このときは、オープンな場で大議論を重ね、例えば自民党の組織でいえば、ここにおられる野田毅先生の本部で四十回以上会合を開き、政府としては六つの選択肢を国民の皆さんに示し、最後に麻生総理がその中から一つを選択し、なぜその一つを取り上げるのかという理由について、さらにはその目標設定による影響分析についてまで、国民の皆さんに対して三十分にわたって総理自身がテレビカメラの前で説明するという努力をして、そうして決定をいたしました。

 そういう真摯な検討過程を一切とることなく、影響分析について何も国民に説明することなく、いきなり外国に行ってびっくりするような高い目標を世界に約束するというような、そんな無責任な政策手法で本当にいいと思うのか。いいと思うのかどうかという点についてだけ端的にお伺いできたらと思います。

福山内閣官房副長官 齋藤委員にお答えを申し上げます。

 無責任だというお言葉もいただきまして、そんな手法でいいのかというお言葉もいただきましたが、我々が野党時代、この地球温暖化対策については、党の地球温暖化対策本部において三十回以上、それこそ齋藤委員がおっしゃられたように、財界、労働界、NGO、多くのステークホルダーからお話を承りました。また、二〇〇九年のマニフェストにおいては、しっかりと九〇年度比マイナス二五%、しかしながら、それは条件つきだと。当時でも、京都議定書にコミットしていなかったアメリカ、そして途上国として京都議定書に入る義務のなかった中国が入らないことには、この温暖化対策は意味がないと。

 ですから、しっかりと我々は、アメリカや中国を含めて新興国、主要な国が実効性で公平な枠組みを構築する前提の中で二五%を削減する目標を掲げたということでございまして、無責任だという批判は当たらないと思っております。

 もう一方で、自民党の当時の麻生政権が、例の、一九九〇年度比でいうとマイナス八%を発表したのも私は承っております。それは、自民党さんの当時の手法としては、その判断がいいか悪いかは別に、やられたことは私は存じております。しかし、その発表のすぐ後、ラクイラのサミットで麻生政権は、先進国で二〇五〇年、八〇%マイナスという先進国のサミットでの首脳宣言をされました。二〇五〇年、先進国でマイナス八〇%というのは、それも実は大変な数字です。

 問題は、その二〇五〇年、マイナス八〇%と、二〇二〇年と二〇三〇年という中間地点でどのような数字がこの地球温暖化対策のために必要かという議論の中で、我々は、米国、中国が入る枠組みの中で二五%をしっかりと対応していきたいということを決めさせていただきました。

 もちろん、経済に対する影響は我々としては考慮に入れましたが、我々は当時から、経済成長と環境対策というのは両立可能だ、両立しなければいけないんだ、そして、この地球環境問題に対する生態系への影響を最小限に抑える義務が今の時代に生きている政治として、政党としてあるんだということを考えた上で、鳩山総理は国連総会の場で主張をさせていただいた次第でございます。

齋藤(健)委員 私は、福山副長官は大変大好きな方なんですが、今の御答弁は、私の質問に対してすれ違った御答弁になっていると思います。

 私がお伺いをしているのは、政府として、どういう影響が出そうだということを国民に対して説明をしましたか、説明をしなくていいと思っているんですかということをお伺いしているので、三十回検討したか四十回検討したかということを聞いているのではなくて、その検討した結果として二五%削減を掲げた場合にどういう影響が出そうか、今副長官がおっしゃった経済と環境の両立はどういうふうにして可能になるのかということを、少しは説明しなくてはいけないのではないかということをお伺いしているわけです。

福山内閣官房副長官 お答えをさせていただきます。

 これは、政権をとらせていただいた後、すぐに地球温暖化対策法案の策定に当たって、これは私ではなくて、環境省さんと経産省さんも含めて、いろいろな影響については試算をさせていただきました。

 ただし、これは、齋藤先生ですから、私はきょうは建設的に議論をさせていただきたいと思いますので、あえて申し上げますが、当時、二五%だったらこれほど影響があると言われた、政府の、麻生政権時代の試算の中に、三十六万円の負担という数字がありました。あれは実は、可処分所得の減少と光熱費の上昇を両方足し合わせた数字で、過剰に国民に負担を強く求めたというか、誤った数字を出していたということもあって、そういったことを、やはり経済成長も、そして国民に対する負担も、そして将来の生態系に対するリスクも、そういったものを総合的に判断してこの温暖化対策はしなければいけないというふうに思っておりまして、今は経産省さん、そして環境省ともにそのことについてしっかりとやっていただいていると思います。

 だからこそ、我々は、成長戦略の中にグリーンイノベーションというものを掲げさせていただいたというふうに理解をしております。

齋藤(健)委員 自民党政権のもとで出した数字に誤りがあったということは、私も精査をいたしまして、この点については本当に申しわけなかったと思います。思いますが、一方で、現政権が、どういう影響があるかということについて説明をされているとおっしゃいましたが、それは、私がこの一年四カ月ぐらいになりますか、ずっとこの問題をトレースさせていただいた範囲におきまして存在をしておりません。

 福山副長官は、政府としてこういうものだと、審議会でこういうものが出ましたということではなくて、政府としてこういう影響が出そうだというものがあるというなら、一体それは何なのかおっしゃってください。

福山内閣官房副長官 今、齋藤先生のおっしゃられた影響というのは、マイナスの影響なのかプラスの影響なのか、どちらのことを言われているのか教えていただけますでしょうか。

齋藤(健)委員 委員長、今の御答弁どう思われますでしょうか。影響がわからないから出してほしいという質問を恐らく多くの国民の皆さんは持っているんだろうと思います。

 再度お尋ねを申し上げます。

 二五%削減目標を発表されてから一年四カ月もたっておりますが、GDPにどういう影響が出そうか、雇用にどういう影響が出そうか、日本の企業の海外生産は加速するのかしないのか、それから国民一人一人の家計にどういう影響が出そうか、さっき申し上げましたように、排出権を購入しなくてはならないとした場合に、どのくらい購入しなければならないか、そういう説明を少しでも政府としてされたことはありますか。

福山内閣官房副長官 これは成長戦略ですから、玄葉国家戦略担当大臣がお答えいただくのがいいのかもしれませんが、再生可能エネルギーやスマートグリッド関連で、六兆円から十兆円程度の市場ができる、雇用においては十万人から三十一万人程度の雇用を創出する。さらには、住宅・建築物の断熱化や効率機器関連で、十二兆円から十五兆円程度の市場ができる、雇用についても二十六万人から四十九万人。次世代自動車関連、そしてその他の産業部門、低炭素化、資源確保、環境・エネルギー技術、インフラの国際展開、廃棄物、リサイクル等の関連分野でも、市場と雇用に対しては数字を出しております。

 それにあわせて、今回の予算については、低炭素関連企業の立地を推進したり、省エネの設備を推進したり、私どもは、そういった数字については国民の皆さんに御説明をさせていただいているつもりでございます。

齋藤(健)委員 今副長官がおっしゃったようなグリーンイノベーションですとかそういうものは、二五%削減をした場合の影響分析ですか、それとも、これから日本が伸びる分野として試算をされたものですか、どちらですか。

福山内閣官房副長官 もちろん、二五%の削減というのは、当然、毎年毎年の削減を積み重ねた結果です。ということでございますので、もちろん、二五%に向けて我々も既に動き出しているということでございます。

 地球温暖化対策法案を見ていただければと思いますが、公平かつ実効性ある枠組みの構築がまだできていません。できていませんが、現実の問題としては、我々は、それができようができまいが、とにかく、できる限りの環境に対する経済成長と地球温暖化対策を両立するためにしっかりと取り組むということが法案にも明記されていますので、その第一歩として今回の予算には反映させていただいているつもりです。

齋藤(健)委員 今の福山副長官の御答弁は、先ほど御紹介された数字が二五%削減を前提とした場合の国内経済や産業に与える影響分析であるという御答弁に聞こえました。それでまずよろしゅうございますか。そして、それをおまとめになったのは玄葉大臣ですか。だったら、玄葉大臣にそういう認識でいいかどうかということを確認させていただきたいと思います。

 国民に説明したかどうかというのは大変大事な問題だと思いますので、だれが、どこで、どういうふうに説明したか、はっきりさせていただきたいと思います。

松本国務大臣 通告がありませんけれども、ちょっとお話をさせていただきます。(発言する者あり)いいえ、私の方にはないんです。

 COP16が昨年の十二月にありました。それで、中国やEUといろいろ議論をしてまいりましたけれども、私は実は、この法案の作成あるいは地球温暖化に関しては、四、五年前からは余りかかわっておりませんでした。

 今お話がありましたように、世界で初めて……(発言する者あり)ちゃんとしていますよ。

 それで、私……(発言する者あり)

中井委員長 静粛に願います。

松本国務大臣 四年前に、世界で初めて麻生総理が五〇%削減ということを言われました。これはびっくりしました。そして、その次の洞爺湖サミット、G8で福田総理が発表されて、ラクイラ・サミットで麻生総理は先進国で八〇%ということを言われました。

 まさに今、中国で、五省八市……(発言する者あり)いやいや、地球温暖化の問題とか生物多様性の問題とかゼロエミッションとかですね。

 ことしの一月に中国で、五省八市、天津でありますとかアモイでありますとかシンセンでありますとか、そういうところで低炭素社会のモデルづくりをやっているんですよ。そこで日本はコミットをして、経済産業省等々、物すごい勢いで地球温暖化に対して、経済あるいは成長に対して大きな力が今動いています。そこにコミットしていかなければ日本はだめだということを、この四カ月半、環境大臣になって痛感いたしました。

 ゼロエミッション住宅というのを見てまいりました。二年前の家電エコポイント、これは自公政権、麻生総理がよくやられて、これが大きく経済を引っ張ってこられました。まさにそういうところをしっかり見ていきながら、課題を先取りしていく、このことをしっかり見ていかなければならない。そして、資源がない日本という国は、これをしっかり先取りしていくということが課題になってくるというふうに思っております。

中井委員長 政府にお願いをしますが、委員が要求されている質問は、どこでどういう説明を国民に対してなされたかということですから、それがあるのならある、そういうことでやってください。

福山内閣官房副長官 政権交代をして、鳩山総理が国連総会で演説をされた後、タスクフォースをつくりまして影響について調査をしました。

 また、環境大臣は、環境大臣試案としても影響調査をして発表させていただいておりますし、中央環境審議会の中では、環境省はロードマップを発表させていただいておりますが、ロードマップの精査等について実施をして、環境について、GDPへの影響、雇用者への影響について発表させていただいております。

齋藤(健)委員 今の福山副長官が最初に言及されたものは、あれは検討チームの結果でありまして、それを受けて政府としてこうだという説明にはなっていないというのが私の認識ですし、環境大臣試案というものは、あくまで環境大臣の試案でありまして、当時、発表された直後、国会の衆議院経済産業委員会で増子経済産業副大臣が、その環境大臣試案の中にあります風力発電の導入量の見通しにつきまして、こういう答弁をされております。

 率直に言ってなかなか厳しい数字、ただ、これはあくまでも小沢試案なので、経済産業省としても、この数値を我々が認めて達成目標に向けてやっていくということではないとおっしゃっているわけでありますので、当然のことながら政府としての御説明にはなっておりませんし、中央環境審議会のお話もありましたが、それはあくまでも審議会のお話でありまして、私がお伺いをしているのは、政府全体として責任を持って、国民の皆さんにこういう影響が出そうだという説明を少しでもされたことがあるならば、それはいつ、どういう形でやられたのか御教示いただきたいということであります。

 委員長にお願いですが、全然違う答えを長々とされるようですと、質問しても意味がなくなりますので、私は質問を中断させていただきたいと思いますので、そういう御答弁は差し控えていただきたいと思います。

枝野国務大臣 今、福山副長官から、政府のそれぞれの組織で試算をしてそれを発表して、それによってプラスマイナス、さまざまな影響を国民の皆さん、関係者の皆さんがさまざま御判断いただくための情報資料はしっかりと提示をさせていただいているというふうに思っております。

 そして、いずれにしても、この二五%削減も、先ほど国際約束をしたというような御趣旨で御質問をいただきましたが、これは我が国の国益にかかわりますので、ぜひとも共通認識を確認させていただきたいんですが、我が国が一方的にこれをやるというお約束ではございません。福山副長官から申し上げましたとおり、一定の前提で、各国が同様の目標に向かって進んでいくという前提でのお約束でございます。

 そして、そうしたものがどの段階でどう約束ができるのか、そして、まさにその約束、目標を達成するに当たってどういう対応をとるかという政策判断や世界的な経済状況その他によって、試算でございますので、いろいろな見方があり得る。そうした中で、国民の皆さんの判断の材料になるべき資料は順次、政府の機関、政府という意味では、政府のそれぞれのしかるべき機関で発表して国民の皆さんにお示しをしているというふうに思っております。

齋藤(健)委員 先ほど私が引用させていただきました経済産業副大臣の答弁、風力発電の導入量に限って言っても、もう一回読みますが、率直に言ってなかなか厳しい数字だと、これは環境省が出した数字ですよ。それに対して経済産業副大臣が、なかなか厳しい数字だ、ただ、これはあくまでも小沢試案なので、経済産業省としても、この数値を我々が認めて達成目標に向けてやっていくということではないというふうに言うようなもの、環境大臣と経済産業省でこれだけ見解が違うものをばらばらに国民に示して、我々はどう判断するんですか。政府として二五%を掲げている以上は、政府としてこうだという統一見解を示していただきたいと思います。それが委員長に対する一つ目のお願いであります。

 もう一つは、前提条件があると今長官はおっしゃいました。この前提条件は、アメリカと中国がきちんとした意欲的な目標を設定するという前提で日本は二五%を約束するというものであります。それは私も承知しております。それでは、アメリカと中国がこの意欲的な目標に取り組む可能性が今ありますか。もしこの前提条件が満たされない場合に、日本の目標はどうなりますか、何%になるんですか、それをお答えいただければと思います。

中井委員長 前段の齋藤さんの要求に関しましては、理事会で諮ります。

 後段の方について、松本環境大臣。

松本国務大臣 アメリカと中国の関係で言いますと、中国には、ことしの一月に近藤副大臣が、中国の環境の交渉役といいますか、解振華という方と会って、これからしっかり気候温暖化の問題について取り組んでいく、連携をしていこうという話をしてまいりました。私も、ルース大使がお見えになって、ぜひしっかり取り組んでくれという話をしましたし、OECDの環境局長ともこの間お話をいたしました。(発言する者あり)いやいや、私が何をやったかじゃないと、ほかに答えられません。

 それで、COP16でいろいろな方々と話をしてまいりましたけれども、これからは、やはり中国、アメリカの背中を押していきながら、私たち、COP17は大変厳しいですけれども、最終的には法的枠組みをつくってやっていかなければならない、カンクン合意はそこに少し近づいたというふうに私は思っております。

 これを深化させて……(発言する者あり)ちゃんとやっています。

 これを深化させて、私たちはこれから交渉に臨んでいきたい。そして、すべての地球の温暖化をなくすためには、京都議定書だけではだめですから、大きな枠組みに向けてこれから努力をしていきたいと思います。

齋藤(健)委員 私は、この前提条件が満たされなかった場合にどういう数字になるのかという質問をしているのに、それに答えずにほかのことを延々としゃべられたのでは質問する意味がないと思いますので、委員長、ちょっと仕切っていただきたいと思います。

福山内閣官房副長官 齋藤委員にお答えをいたします。

 中国とアメリカがどの程度のものを前提ならば二五%日本が発効するかというのは、これは非常に難しい問題だと思います。

 それはなぜかと申し上げると、これは本当に厳しい国際交渉です。今までのように、京都議定書は……

中井委員長 いやいや、福山君、そういう中国とアメリカが入ってくるか加わるかじゃなしに、入らない前提条件が崩れたときに、日本は、政府はどういう目標で行くのかと。

福山内閣官房副長官 我々は、前提条件が崩れるような交渉をしたいとは思っておりません。中国とアメリカが入ってこそ、初めて有効な温暖化対策ができるというふうに思っております。

齋藤(健)委員 責任のある政府ならば、もしうまくいかなかった場合にどうなるかぐらい考えるべきじゃないでしょうか。

 いいですか。今アメリカがどういう状況になっているか、副長官は御存じでしょうか。昨年の中間選挙以降、もうアメリカが具体的な数字を盛り込んだ法案が達成する可能性は九九・九%ない状況になっているんです。アメリカが意欲的な目標を設定する可能性は、次の選挙まで、つまり二年弱の間までほとんどなくなっているんです。そういう状況であるにもかかわらず、前提が満たされなかった場合にはどこに向かって日本企業は、国民の皆さんは努力していけばいいのかということを示さないというのは、無責任ではないでしょうか。

 委員長に伺います。なぜ示さないのか。

枝野国務大臣 先ほど来、松本大臣や福山副長官から申し上げておりますとおり、今我が国は、我が国の国際約束の目標の前提となっている国際的な合意の形成に向けて、大変困難であることは齋藤委員の御指摘のとおり、困難な問題がたくさんあることは十分承知をしておりますが、しかし、そこに向けて今全力を挙げているところでございます。

 そのときに、その前提条件が整わなかったら我が国はこうしますなどということを言ったら、まさに世界にとっても、人類にとっても、我が国にとっても重要な国際交渉の中で、アメリカや中国を含めて関係諸国の皆さんと合意を取りつけていく外交交渉上も明らかに不利になって、国益も損ないますし、人類益も損ないます。

 私どもの国は、国際約束としては、先ほどのとおり、国際合意が前提となって二五%を目指すということをお示ししている一方で、国内的には、まさに我が国のエネルギー問題とも関連してまいりますので、できるだけ省エネと温暖化ガスの排出の抑制に、国際約束は別としても、我が国の経済や国益に反しない範囲内で最大限進めていくということは同時並行で進めている、こういう状況でございます。

齋藤(健)委員 アメリカの状況を少し詳しくお話しさせていただきたいと思います。

 まず、アメリカは今どういう約束をしているかということでありますけれども、国内で法律が成立をすれば二〇二〇年に一七%削減をするという目標、つまり、自分の国内法が成立をすれば一七%削減するという約束を国連の事務局に提出をしている。だから、これがアメリカの今の正式なスタンスであります。

 そのアメリカの状況でありますけれども、アメリカの立法状況は今、下院の状況でありますが、下院は、二〇〇九年の六月に、ワックスマン・マーキー法案というものが、賛成二百十九、反対二百十二の僅差で辛うじて通過をいたしております。下院は、これまで何回もこの温暖化絡みの法案が出ては、下院というのはどうしても地元の力が強いところがありますので、全然成立をしたことがないんですが、このワックスマン・マーキー法案というもので初めて気候変動絡みの法案が下院を通過したのであります。

 この下院の法案の排出削減目標というものは、二〇二〇年について二〇〇五年比二〇%減というふうになっているんですが、これはあくまでも努力目標でありまして、そういう意味では、対外的な責任は一切負わないものになっております。したがって、日本が求めているものにはなっておりません。下院にある法案は、既に日本が求めているものにはなっておりません。

 その下院も、その後、中間選挙で民主党が大敗北をしまして、共和党が百七十九から六十三議席ふやして二百四十二議席になりましたので、民主党は過半数割れになりました。この法案は、民主党が過半数のときでさえ造反が多くて辛うじて僅差で通ったものでありまして、下院ではこの種の法案が過去通ったことがないことを考え合わせますと、しかも今ある法案でさえ努力目標でしかないわけでありますから、この下院で、あと二年間、日本が求めるような削減目標が通過する可能性はありません。

 そして、上院では今、上院の選挙前にも、上院は二〇〇九年の九月に、ケリー・ボクサー法案というところから始まりまして、調整が始まりました。難航いたしまして、最終的に、国連に提出したときに引用された一七%削減目標は、当初上院の法案に入っていたのがなくなってしまいまして、数値目標がなくなった状況の上院の法案も合意ができていない。

 さらに、その後、中間選挙で上院では共和党が四十一から四十七になりまして、過半数には満たないものの、アメリカでは上院が六十議席を割りますと極端に法案を通しにくくなるという状況になりますが、民主党は六十議席を割っているわけであります。上院民主党は、今でさえ一七%の目標がない法案で合意に苦しんでいたのが、この中間選挙で、まとめることがほぼ絶望的になったわけであります。したがいまして、今、アメリカが条約事務局に提出した、国内法が成立すれば一七%削減をするということは、ほとんど実現可能性がなくなっているんです。

 アメリカは、世界の排出量の一九%を出している国です。この国が、日本が求めている条件が恐らくもう九九%以上満たされない、そういう議会の状況になっているわけでありますから、もしアメリカがこの日本が求めるような前提条件が満たされなかった場合には、日本がこういうふうにするというのをつくって当然だと思います。もし、このアメリカ議会の九九%の、まあ私は不可能だと思いますが、それをひっくり返せる妙案があるというのであれば、どういうふうに日本政府は米国議会を動かしていけるのか伺いたいと思います。

 それから、もう一つ申し上げますと、ヨーロッパやオーストラリアは、世界が高い目標で意欲的に取り組むなら自分たちは何%を削減する、世界がやらないのであれば自分たちは何%やるという二段階の、当然のやり方で世界に交渉に臨んでいるわけであります。なぜなら、国際交渉というのは、満たされるかどうかわからないけれども、満たされなかった場合にはこうするというものがなければ、どうしていいかわからないじゃないですか。

 ですから、なぜ、ここまで前提条件が満たされないということがはっきりしておきながら、今なお出そうとされないのか、そして、もし前提条件が満たせるというのであれば、どうやって満たすような努力をされようとしているのか、その点について明快に御答弁いただけたらと思います。

福山内閣官房副長官 齋藤委員がアメリカの議会の状況についてよくよく御理解をいただいているのは、本当に敬意を表したいと思います。私もアメリカの議会の状況はよくよく理解をしております。

 確かに、法案の状況は厳しい状況ではございますが、しかし、アメリカは御案内のように環境保護庁とかいうのがあって、ここの規制という議論が出てきています。そして、議員の中では、役所に規制をされる状況ならということで、齋藤委員がおっしゃられたワックスマン・マーキー以下の法案に対して修正の動きもあります。

 つまり、アメリカの法案は御案内のようにいろいろな修正が繰り返されるわけですから、原案のままでいけるかどうかということは私も厳しい状況だとは理解をしておりますが、オバマ大統領は、地球温暖化対策についてまだ意欲を失っておりません。議会の状況は厳しい状況ですが、その状況の中で、我が日本がこの前提条件をおろしたときにどうするかという議論を、COP17の、ポスト京都の包括的な枠組みをこれから交渉でつくらなければいけないときにその旗をおろすというのは、交渉上、私は全く意味がないというふうに思っておりますし、中国やアメリカを巻き込んでいくために、最大限、今、議会対策も政府との関係も含めて、各省庁努力をしていると私は承知しております。

齋藤(健)委員 オバマ大統領の二〇一〇年十一月三日の記者会見です。昨年、下院でエネルギー法案が確定した際にも多くの共和党議員が反対した、そのため、ことしまたは来年、再来年に下院で法案が通過することは疑わしいとオバマ大統領自身がおっしゃっているという事実だけお伝えを申し上げます。

 そういう状況の中で、今、中国のお話が出ましたが、中国は、バインディング、要するに強制を伴う大胆な、意欲的な数値目標の設定をする気は全くありませんが、今の日本の外交力でその中国をいかにして説得しようとされているのか、教えていただければと思います。

福山内閣官房副長官 これは前原外務大臣にお答えいただくのが適切かもしれませんが、中国と断続的に我々協議をしておりますし、このコペンハーゲン合意に中国がコミットしたこと自身がコペンハーゲンでの一歩だというふうに思いますし、このカンクン合意でも中国は一定のコミットをしています。

 そして、国内対策をごらんいただければおわかりのように、日本の技術を吸収して省エネ対策を中国が今やろうとしていることは事実だというふうに思っておりまして、中国が外交交渉上、法的拘束力のある交渉はだめだというのは、それは外交上、済みません、中国のポジションですから、それをしっかりと崩していくのが我々外交交渉だというふうに思っておりますし、それが一つ一つ、コペンハーゲン、カンクンと私はつながってきているというふうに思っております。

齋藤(健)委員 成果を期待して待っておりますが、いずれにしても、前提条件が満たされる可能性がほとんどない状況のもとで、国内で、企業やあるいは国民の生活において、何%に向かって努力をしていけばいいかということを示さないでいるのは、私は、見解の相違と言われるかもしれませんが、みんな、どこへ向かって何%削減していいかわからなければ、どういう設備を導入すればいいか、どこまで努力していいかわかりません。それを、前提条件がほとんど満たされない、そういう状況になってもなお、しかも、ほかの国が二段階でちゃんと、みんながやる場合とやらない場合とを示しながら交渉している現状の中で、なぜそこまでこだわるのか私にはわかりませんが、きちんと企業や国民の皆さんに、こういう方向に進んでいくということを早急に示すべきだというのが私どもの意見です。

 自由民主党がまとめた案では、その前提条件がなく、いかなる場合でも一五%、九〇年から二〇二〇年ですが、削減をする。しかも、国内での分をはっきりと明示しておりますので、我々の指標に基づけば、国内企業がどこへ向かっていいか、国際交渉がどうなろうが、国民の皆さん、産業界は明確であります。

 しかし、今この瞬間、産業界や国民は、どこへ向かっていいか、その目標がない状態であります。その目標がない状態でいいという判断をされているわけでありますから、そういう状況のもとで環境関係予算も環境税もつくられているということでありますので、目標がはっきりしていない段階で何でこんな対策が組めるのか、税率が決まるのか、私にはさっぱりわかりませんが、これは引き続き、この予算委員会で熟議をさせていただきたいと思っております。

 最後に、総理に、この前提条件が満たされない状況であってもなお示さなくていいんだという点について総理の御見解を伺って、私の質問を終えたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、地球環境問題、CO2削減問題、大変重要な課題だと私自身も思っております。

 二五%という高い目標を鳩山前総理が国連で全世界に対して提示をされました。今、齋藤さんからお話がありましたように、これにはもちろん、アメリカ、中国といった合わせて排出四〇%も占めている二つの国がまだ参加しない段階で、我が国だけが高い目標を義務としてやるということには、それは応じられないというのが基本的な姿勢であります。

 その中で、それではどういう目標でやっていくかということについて、今、福山副長官含めて、幾つかのこれまでの政府の見解をいろいろな形で示しているということは申し上げましたが、一般的なことでいえば、やはり、今二段階ということも言われましたけれども、そういったことも念頭に置いて一つの方向性をしっかりと定めていくことは望ましいということは、全くそのとおりだと思っております。

齋藤(健)委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて齋藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村憲久君。

田村(憲)委員 おはようございます。自由民主党の田村憲久でございます。

 十一月以来ですか、こうやって予算委員会に立たせていただくのは。きょうは一時間お時間をいただいておりますので、中身のある議論をさせていただきたいというふうに思います。

 冒頭、厚生労働白書、これは平成二十二年版を持ってまいりまして、非常に厚くなったんですよ、二十一年版よりも。これが二十一年版ですから。中身が非常に詰まっていて、長妻大臣、頑張ったのかななんということを思いながらこれをずっと見ておったりなんかしたんですが、そうしたら、ある私の同僚議員、大学で教鞭をとっておるというか学生たちに教えている同僚議員がおるんですが、彼がこれを教材で使ったんですね。そうしたら、何かことしの厚生労働白書、長妻大臣の卒業アルバムみたいだと言うんですよ。何でかと見ると、おととしの二十一年版は写真を全然使っていない。写真は全然ないんですね。一カ所だけ、当時の大村副大臣の写真があるんです。

 ところが、二十二年版は長妻大臣の写真だけで十三ページあるんですよ。これがまたすごくて、あけていくと、イクメンプロジェクト発足で写っている長妻大臣だとか、あと、提案書を受け取る長妻大臣だとか、介護をやっている長妻大臣というのもあるんですね。何だ、これはと。これは、学生さんが卒業アルバムですかと言われるのもわかるような気がする。

 ところが、さらに見ると、びっくりしちゃいました。「厚生労働カルタ」と書いてあるんですよ。かるたがこうやってあるんですね。これは何かと見ると、「イクメン カジメン 惚れ直し」とか、何とか何とか僕イケメンというのがありましたけれども、何かよくわからないかるたがあって、これ、普通そんなに使えないでしょう、薄いから。そうしたら、横にちゃんと、A4サイズの厚紙十二枚、のり、カッター、はさみと。つくってくれというんですね。だれが読むのかなと。

 確かにお金の事業仕分けも必要ですよ。だけれども、これは編集するだけで人件費が当然かかっているわけですし、紙も使えば、いろいろな、のりから何から本当に使うわけです、製本のために。本当、壮大なとは言いませんが、ちっちゃなですけれども、これは無駄やっているんじゃないのかなと。

 どうですか、蓮舫大臣、今私の話を聞いて。写真がばあっと載って急にふえて、何々する長妻大臣だとか、それから、多分ほとんどだれも利用しないようなかるた、こんなものがばあっと入っているんですけれども、こういう厚生労働白書、これは無駄で事業仕分けしようと思われますか。

蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。

 一義的には厚生労働省内でしっかりと見直しをしていただくことが必要だと思いますが、基本的に、事業仕分けで白書を仕分けるという考え方は私は持っていません。

 ただ、今、田村委員がおっしゃったように、写真が多くて見にくいであるとか、あるいは、その写真のところにもっとデータを入れた方がいいとか、読みやすい努力をした方がいいという御指摘であれば、それは厚生労働省内で検討いただきたいとは思っております。

 また、かるたがどうかというのは、これは使う人にとって、主観によるものでございますので、委員がおっしゃった無駄と受けとめる方もおられますし、逆に使いたいという方ももしかしたらいるかもしれませんので、そこは私が仕分けの対象にするものではないと思っております。

中井委員長 細川さん、短く、お金はどれぐらい変わっているか、前年と比べてどうかぐらいちょっと。

細川国務大臣 まず、写真などを入れまして白書をつくったということは、これはわかりやすく親しみやすい白書にしたい、こういうことだというふうに思います。

 それから、費用については、これは余り変わっておりません。具体的に申し上げますと、平成二十二年版は七十八万七千五百円、平成二十一年が八十二万七千四百円で、大体同じぐらい、変わっておりません。

田村(憲)委員 私は、お金どうのこうの言っているんじゃないんです。本当に必要なものがこれに載っているかというところ。お金だけの問題じゃないんですよ。当然、つくるには、編集だとかいろいろな部分で人件費もかかるし、厚生労働省の人間も関与していますから、これは時間がかからなければその分ほかの仕事ができるわけですからね。そういうことも含めて、本当に必要なのかどうか。

 それで、かるた。蓮舫大臣が、かるたを見たい人もいるし、使いたい人もいるし、使いたくない人もいるみたいな話でありましたが、税金でこれをやっているので、そういう意味では、かるたが本当に必要かどうか検証をしてください。どれぐらいかるたを使われたか、これを購入された方々でどれだけかるたを、これはいつも長妻大臣が、何か事業をやるときには検証して、本当にそれだけの意味があるのかどうかというものをちゃんと後から見直す必要があるという話でありますから、その点はやっていただけますか、大臣。

枝野国務大臣 白書のあり方については、一方で、従来、なかなか取っつきにくいという御指摘もあった中で、今、できるだけ多くの人に親しみを持って読んでいただく方向で努力をいたしておりますが、その模索の中で、御指摘のような声もしっかりと踏まえて、これは各省とも共通していると思いますが、親しみやすく、読みやすく、必要なものがしっかり入っているというような白書になるべく各省とも努力をしていただくように、官房の方でしっかりと整理してまいりたいと思います。

田村(憲)委員 こんなことで余り時間をとりたくないのでね。

 そういう指摘をしましたので、まさか来年度の白書がこういう話にはならないと、細川大臣、信じていますから、同じような写真ばかりの白書、細川大臣の写真ばかり写っているような白書はどうかおやめをいただきますようにお願いいたしたいと思います。

 それでは、本論に入ります。

 民主党のマニフェストの話がずっとこの予算委員会冒頭から出てまいってきております。

 たしか、我が自民党の野田委員が、マニフェスト、これは歳入部分が非常に大事なんだと。もちろん、事業、使う側ですね、こちらのマニフェストも、何をやるかという意味では必要ですが、その裏づけの財源、これがちゃんと確かなものでないとそもそもマニフェストなんというものは成り立たないというような趣旨の御質問をされたというふうに思います。私も、実はずっとそれを追いかけてきております。

 パネルを見ていただくとわかるんですけれども、来年度予算において、言うなれば、お金の入り、無駄を省いたりいろいろなことをしてこれぐらいの財源を出すという方です。これがどれだけ進んだのか。この進捗ぐあい、若干この間お話をお聞きしたような気もしますが、詳し目に、あなた方がつくられた鳩山さんのマニフェストに沿って、どこで幾ら財源ができたかということを御説明いただきたいと思います。

野田国務大臣 今御提起している平成二十三年度の予算案では、マニフェストの主要事項、子ども手当とか農業戸別所得補償の拡充とか高校授業料の無償化の継続等々、これで全体として三・六兆でございます。

 その財源の裏づけは、歳出削減が二・三兆、税制改正によるものが一・三兆という裏づけで、今、田村委員の御指摘は、その中で、今の図でいうと、マニフェストの主要事項を例えばどういうような費目というか財源で手当てをしているかということのお尋ねと受けとめさせていただきましたけれども、その二・三兆の歳出削減の内訳を正確に打ち出すのはちょっと難しいところがあるんですね。社会保障の自然増であるとか、その他の、特別枠を賄うための歳出削減とか、いろいろなものがちょっとまざったりはします。

 だけれども、あえて、この図で従っていくとすると、公共事業で一・五兆円の削減、そして人件費等で〇・一兆円の削減、残りは、庁費等、委託費、施設費、補助金で〇・七兆円の削減で賄ったと言うことができるかと思います。

田村(憲)委員 すると、「税金などをため込んだ「埋蔵金」や資産を国民のために活用する。」というところは、これは一切出てこなかった、そういう認識でいいんですか。

野田国務大臣 いわゆる埋蔵金、税外収入でいうならば、今執行中の二十二年度の予算は十・六兆で、これは過去最大の規模で、平成二十三年度については七・二兆円です。基本的には、税外収入はマニフェスト主要事項を実現するための財源にはしないということのルールで対応しています。

田村(憲)委員 いやいや、マニフェストにはそう書いてあるんですよね。マニフェストがうそだったの。ちょっと言っている意味がわからないんだけれども。

枝野国務大臣 歳出削減の努力や埋蔵金の掘り出し努力等は種々行っておりますが、マニフェストをもちろんお約束することと同時に、政権交代以降に生じてきているさまざまな事情に対してしっかりと歳出削減の効果、財源等を充てなければならないという部分がございます。そうしたところにまずは、特にいわゆる埋蔵金などについては充てているという趣旨でございまして、そうしたマニフェストのお約束をいち早く進めたいのですが、さらにそれを優先して進めなければならないところに充てた財源以外でマニフェストの主要項目に充てた金額が、先ほど財務大臣から御説明いただいた金額ということでございます。

田村(憲)委員 マニフェストで約束した事業、十六・八兆円ですよね、約束してやれるかどうかは別にして。要するに、財源の方でもやはり十六・八兆円という数字になっていますよね、パネルを見ていただいたらわかるとおり。

 ここで、「税金などをため込んだ「埋蔵金」や資産を国民のために活用する。」というので、埋蔵金の活用と政府資産の計画的売却、これは埋蔵金が四・三兆円、それから計画的売却が〇・七兆円、合わせて五兆円と書いてある。

 来年度は、これは多分二・七兆円出てきているはずなんですよね、そういう意味合いでいくと。特例法にのっとっての税外収入ですよね。それから、事業仕分け分、これが一・四兆円、特例法上の税外収入が二・五兆円、ただし、鉄運機構のかぶりが一・二兆円あるから、これを引くと二・七兆円。ただし、これは多分、マニフェストの実現のために使わなかった、基礎年金二分の一引き上げのために使ったから、だからここにはカウントしなかったと言われるんだと思うんです。

 ただ、毎年この五兆円、これは私、春も、菅さんが財務大臣のときに質問したんですよ、毎年五兆円を出す。出すというのは、埋蔵金の活用とそれから政府資産の売却ですよ。こういう制度設計にあなた方のマニフェストはなっている。一回売っちゃったら、多分政府資産はなくなるはずですよね、その分だけどんどん減っていきますよね。それから埋蔵金も、毎年四・三兆円、ずっと二十年間出し続けなきゃいけないという話になるわけですよね。

 私が何を言いたいかというと、そもそも民主党のマニフェスト、マニフェストの肝であるお金を出しているところ、財源のところ、ここが偽装なんじゃないですかという質問を私はしているんですよ。つまり、もとから成り立たないマニフェストで政権をとったのがあなた方でしょう。この五兆円、出し続けるんですか。

 総理、これはどうですか。ずっとこの五兆円は、毎年毎年あなた方のマニフェストにのっとって出す、これからも努力をする、いや、出すつもりなんだということでいいんですか。

野田国務大臣 御指名をいただきましたので、まず私の方から答弁をさせていただきたいというふうに思いますが、先ほどの私の答弁、ちょっと誤解を与えたかもしれません。

 マニフェスト上の財源には、これは委員がおっしゃっているような埋蔵金の活用等が入っています。ただ実際の運営は、子ども手当等々を含めて、基本的には安定した財源を確保しながら事業を行っていくという精神で運用をしております。(田村(憲)委員「それは僕が言ったじゃない、説明したじゃないか」と呼ぶ)おっしゃるとおりでございまして、だから要は、埋蔵金というのはワンショットだから、基本的には国債発行を抑制するとか等々に使っていくという精神で今運用しているということです。

 税外収入がさっき言ったように、二十二年度が十・六兆で、そして今、二十三年度予算案では七・二兆です。委員がおっしゃるような特例法による税外収入でいうと、二十二年度が五・一兆、そして二十三年度が二・数兆という形になります。引き続き、これはずっと不断の努力で、確保するべくこれからもやっていくということです。

菅内閣総理大臣 このマニフェストは、御承知のように、基本的には四年間のマニフェストということになっております。この十六・八兆円というのは、四年目のいわゆる財源あるいは支出でありまして、そういう意味では、この埋蔵金の項目も四年目においてこの程度のことは捻出できる、そういうことで盛り込んであると理解しています。

田村(憲)委員 いや、四年間のマニフェストじゃないですよ。ずっと事業ベースでこれは永遠に出続けるお金であって、それでいったら、人件費等々一・一兆円、あなた方は国家公務員の給与二割削減、これは四年だけやって後やめるんですか。四年だけ我慢してくれ、五年目からはまた二割上げてやる、これと同じ話ですよ。わかって言っているんですか。

 与謝野大臣、お聞きいたします。

 この民主党の、政府資産を毎年売って、また、埋蔵金を見つけて毎年五兆円を出し続ける、これから永遠にという意味ですよ。こういうようなマニフェストは、実際問題、可能だというふうに思われますか。

与謝野国務大臣 税外収入というものは限られているものでございまして、やはり恒久政策をやるときには恒久財源をきちんと手当てするというのが財政の基本であると思っております。

田村(憲)委員 大臣、私が今指摘した部分、埋蔵金だとか国有資産の売却、こういうようなものが恒久財源になりますか。どうですか。

与謝野国務大臣 恒久財源というのは、毎年一定の割合で入ってくるであろうという財源を指すのであって、埋蔵金あるいは国有資産の売却等は、私は臨時的な収入であるというふうに思っております。

田村(憲)委員 ありがとうございました。

 多分、これをもってして、無知でしたと大臣はおっしゃられたんだというふうに私は思います。

 ですから、もともと民主党のマニフェストは、その成立の時点から偽装マニフェストなんですよ。恒久財源といって、本来恒久財源じゃないものを挙げて、しかも五兆円というインパクト、これはすごいですからね。十六・八兆のうちの少なくとも五兆円が、これは本来やれない、無理だ、そういう財源であったということでありますが、どなたかこれに対して。では、枝野さん、どうぞ。

枝野国務大臣 若干確かにマニフェストの御説明の仕方がわかりにくかったとすれば、そこはおわびを申し上げなければいけないかもしれませんが、ここのお示しいただいた資料にもあります、マニフェストの工程表の財源のところにございます埋蔵金の中には、埋蔵金としてストックされていたものを使う部分と、従来ならば埋蔵金になっていた、例えば財投特会の毎年出てくる剰余金や外為特会のフローのお金等の一部分を毎年計画的に使っていく、これは毎年出てくるものでございますので、もちろん年度によって上下があるのは御承知のとおりですが、というようなことも含まれています。

 それから、一方で、マニフェストの主要項目、よく言われているような項目については、これは毎年毎年の話でございますが、例えばマニフェストの主要項目の中には、年金記録問題への集中対応なども入っております。それから、雇用対策等についても、これは経済状況、雇用状況が改善をすれば当然支出の額は減っていくということになっておりまして、そういったことをトータルで合わせまして、四年間、そしてそこから先の当面の見通しについて、経済財政状況の中で可能であるという前提のもとでマニフェストをお示しし、もちろん経済社会状況、雇用状況などの見通しは当初のものと違う部分がございますので、そうした中で、できるところからしっかりと前に進めているというのが現在の状況でございます。

田村(憲)委員 与謝野大臣と枝野官房長官でおっしゃられている意味が若干、微妙に違っているというのが私は気になりますが、少なくとも外為特会は債務超過になっているんですから、本来そんな金は使うべきじゃなくて、超過分に入れるという議論もあるんですよ。それを、お金がないから無理やり引っ張ってきている。しかも、物によっては来年度の運用益まで入れているんですよね。こんなばかな話はないですよ。それを延々とやるんですか、これからずっとそんなことをルール化して。(発言する者あり)いやいや、今やると言ったんだから、そういうものもね。ずっとやらないの。どういうこと。はいどうぞ、枝野さん。

野田国務大臣 外為とか財融特会、個別の話は別として、さっき申し上げたように、税外収入でいうと、二十三年度が七・二兆、二十二年度一〇・六、その前が四・二、その前は四です。

 というように、一定程度の税外収入はやはりいろいろな努力をすれば確保できるというこの四年間の実績がありますので、もちろん税外収入はワンショットであることは間違いありません、恒久財源じゃありませんが、そういう努力をこれからもやっていくということでございます。

田村(憲)委員 だから、完全に偽装マニフェストじゃないのと。本当に、偽装のまた上にうそを上塗りして、そんなことをよく言うね。しかも、事実上、出ていないじゃないですか。その五兆円も出ていないじゃないですか。だから、私はおかしいという話をずっとしているんですよ。

 だから、もとから偽装の上に成り立った皆さんの選挙での勝利であったということを指摘しますが、これ以上やったらこれでとまっちゃいますからね、ほかのことをやらなきゃいけないので。

 続きまして、こういうような十六・八兆円の財源が出てこないので、税と社会保障の一体改革だという話になったんだと思うんですよ。といいますのは、マニフェストの方に、今度は事業の方ですよね、本来でいいますと、医療、介護で二十三年度は一・二兆円、医師不足の解消などをやるためにこれは必要なんですよね。そして、二十四年度からは一・六兆円、これだけマニフェストで金を使うと書いてある。

 これは、厚生労働大臣、お金を使っていますか。実際問題、これだけふえましたか。

細川国務大臣 お答えいたします。

 民主党の政権下におきましては、社会保障の二千二百億円の削減など、こういう方針は撤回をいたしまして、医療サービスの充実に向けて国民が安心できるような予算の充実を図っております。

 具体的には、診療報酬体系におきまして十年ぶりのプラス改定を実現して、特に、救急、産科、外科や勤務医の負担軽減のために重点的に評価するなど、医療サービスの確保に取り組んでおります。

 加えまして、医師の確保等の予算を確保するとともに、平成二十二年度の補正予算におきましては地域医療再生基金の拡充を行ったところでございます。

 さらに、新型インフルエンザ等への対応につきましては、平成二十二年度の補正予算におきまして、例えば子宮頸がん等のワクチン接種の公的助成を開始する、あるいはまた、がん診療、肝炎検査の拡充を図るなど、そういう疾病対策の充実を図っているところでございます。

 さらに今後とも質の高いサービスを確保したい、こういうふうに考えております。

田村(憲)委員 答えていないじゃないですか。これだけお金を使ったんですかと聞いているんですよ、マニフェストどおり、一・二兆円。本来、来年度予算で一・二兆円ふえていなきゃいけないんですよ。

 診療報酬が上がったと今大臣言われましたけれども、〇・三%、事実上。事実上は〇・三%。これ、全体で百億円、国費ベースで二十五、六億円ですよ、診療報酬が上がったのは。

 だから、そう考えれば、医療と介護で一・二兆円とあなた方のマニフェストに書いてあるから、調べると、これは上がっていないんですよ。一・二兆円予算がふえると書いてあって、上がっていない。これは財源がないですからね。だから、マニフェストを実現するためには社会保障の一体改革、消費税を上げなきゃいけないねという話に、多分ごまかしで入ったんだろうと私は見ているんです。財源がないですからね。

 本来ならば、消費税は上げないというベースで今まで来たはずですよね、菅さん。なのに、ここに来て、社会保障と税の一体改革、これをやると言うんですが、菅さん、ですから消費税は上げるんですよね。社会保障と税の一体改革というのは、消費税を上げるということを念頭に置いているということでいいんですよね。ちょっとそこだけ確認を、後でそんなことは言っていなかったと言われると困りますから。菅さん、どうぞ。総理からお聞きします。

菅内閣総理大臣 まず、社会保障制度のあり方の根本的なあり方について一定の方向を出し、その上で、社会保障をそういう形で安定的なものにする上での財源についても税等を含めて一体的な改革の方向性を出していく、それにぜひ野党の皆さんにも共同の場で御議論いただきたい、こういうことを申し上げているわけで、今、消費税をすぐどうするこうするということではなくて、まさにこの議論は大変手順、段取りが重要でありますので、今申し上げているのは、まずは社会保障制度についての改革の方向性を出し、そして、それをサステーナブルな、維持可能な形でやっていくための財源についてもあわせて議論をしていく、こういうことを申し上げているわけです。

田村(憲)委員 去年の参議院選挙のときに、もう何度もいろいろなところで言われていると思いますが、我々自民党が消費税議論をマニフェストに載せました。それを見て菅さんが、一つの五%という数字を念頭に我々も考えなきゃならぬ、こういうことを言われた。一〇%までということですよね。そこまではもう消費税を上げざるを得ない、そういう意識はあったんだと思うんですよ。

 私は、今回の税と社会保障の一体改革をやるという話は、消費税を上げることは前提としながら、では、どれぐらい消費税を上げなければ社会保障制度というものがサステーナブルにならないか、どこにどういうふうにその財源を割り振っていくか、こういうことをお考えになるために今回の一体改革をやられるというふうに認識しているんですが、消費税は、では上げないんですか、上げるんですか。上げるということは前提じゃないんですか、それとも前提なんですか、どっちなんですか。総理からお聞きをいたします。総理です。

菅内閣総理大臣 ですから、先ほど来申し上げていますように、私もさきの参議院の選挙のときに一つの方向性を出しましたが、必ずしもそれが国民の皆さんに少なくとも私が思っていた意味ではない形で伝わってしまいました。ですから、党の方でも、そして今回も、まずは社会保障制度のあり方についてしっかり議論していこうと。もちろん、それで今の財源の中で十二分にやれるという結論が出るならば、それはそれで大変結構なことでありますけれども、私の見るところではなかなかそれは難しいだろうということはよく承知をしております。

 そういう中で、まず社会保障制度のあり方をしっかりと議論して、さらには、安心できる社会保障制度を維持するためにどういう税制が必要か、財源が必要かということもあわせて次の段階で議論していこう、このことを申し上げているわけで、私が申し上げていることはそんなに何かあいまいだとは思いません。

田村(憲)委員 消費税を上げることが前提なのか、いや、上げることも上げないこともある、そこは言うなれば前提にせずに、予断を持たずにやるという話なのか、どういうことなんですか。どっちなんですか。前提なのか前提じゃないのか、それを答えてください。もうほかの御託はいいんです。

中井委員長 与謝野国務大臣。(田村(憲)委員「いや、与謝野さんに聞いていないですよ。総理」と呼ぶ)いや、総理は一応答えましたから、担当から答えます。

 与謝野さん、指名しています。(田村(憲)委員「答えていない。質問できないよ」と呼ぶ)質問者がそんなこと決めません。総理は二回にわたって答えました。

与謝野国務大臣 申し上げます。

 田村先生よく御存じのように、社会保障については、社会保障国民会議、あるいは麻生内閣のもとでつくられた安心社会実現会議の報告書等々で、現在の例えば年金、医療の持続可能性についての疑問符がついているわけでございます。

 一方、税法附則百四条では、本会計年度中に消費税を含む税制の抜本改革を行うように法的整備を行えということが書いてありまして、その場合には、消費税は、医療、年金、介護並びに子育ての特定財源、目的税とせよ、こういうことが書いてありますので、そのための作業を開始したということでございます。

田村(憲)委員 与謝野大臣にはお聞きしておりません。

 ですから、前提なんですか前提じゃないんですか。イエスかノーかで総理、答えてください。これは答えてもらえなかったら、私はもう質問できませんよ。

中井委員長 先ほどから答えていると私は思っていますが、たっての御要望ですから、内閣総理大臣菅直人君。

菅内閣総理大臣 私としては本当に丁寧に答えているつもりですけれども、まさにこの問題は議論の順序が重要なのでありまして、先ほど与謝野大臣もお話があったように、そうした社会保障制度をどのような形で維持可能な形で安心できるものにするか、そういう議論がまずあって、その上で、その財源問題を議論する中で次のそういう税制の問題にもなってくる。

 だから、何かそういう議論を全く抜きにして、消費税を上げることだけが前提か、そういう御質問であるとすれば、そうではありません。まずは社会保障制度のあり方を議論するところから始めていこうというのが基本的な考え方であります。

田村(憲)委員 他の政党では、消費税を上げないと言われている政党もおられます。しかし、社会保障というものは、今の日本の国の財政状況ですよ、他のものの支出と比べて、他のものの支出を切って、そこで社会保障財源を見つけていくと主張をされている方々はそういうふうに言われる。しかし、そうじゃない方々は、少なくとも、これから社会保障はどんどん伸びていきますから、そういう中で消費税を上げざるを得ないと考えている。

 ここには、この間、野田先生がおっしゃられたとおり、財政の話は入っていないんですよね。要は、税と社会保障の一体改革という話でやっている。ということは、そちらはおいておいて、これからかかり得るべき社会保障の金額、それと税、入りとをどうするんだ、こういう話になる。そういう会議なんですね、ここは。

 ということは、私は消費税を上げざるを得ないというふうに思っていますが、今の話ですと、そこで消費税を上げなくてもやれるという結論が出たら、消費税は上げないという決定をされるということでよろしいんですね。そこで消費税を上げなくてもやれるというような結論が出たら、消費税は上げないということでいいんですね。これはあなたがさっき言ったことですよ。いやいや、菅さんに聞いているんですよ。菅さんが言っていることの確認なんですよ。だめですよ。

枝野国務大臣 総理も申し上げていたとおり、あるいは与謝野担当大臣からも申し上げているとおり、社会保障のあり方をこれから検討して、四月をめどにその考え方をお示しするわけでございまして、これからの議論が、幅広く国民各界各層の皆さんの国民的合意に向けて議論をしていくときに、こういう結論が出たらこうします、ああしますということをあらかじめ申し上げるのでは、国民的な幅広い議論と合意というものに向けてかえって私は障害になるのではないかと恐れておりまして、まずは社会保障のあるべき姿というものをしっかりとお見せをしていく、そのことをお示しするに当たっては、その財源について当然その段階から議論になっていく、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

田村(憲)委員 再度確認します。

 総理が今、私におっしゃったことです。一体改革の中において、社会保障はどれぐらいお金がかかるか考えた上で、別に消費税を上げなくてもやれるということであれば消費税は上げない、そうさっきあなたは私におっしゃられたんですよ。上げる必要があるような結果が出れば上げる、こういうことでいいんですね。菅さん、どうぞ。菅さんですよ。

菅内閣総理大臣 私は、そんなに複雑なことを申し上げているつもりはありません。

 現在の社会保障にかかっている費用も、結果的には、もちろんお金に色がついているわけではありませんが、赤字国債が相当充当されて現在の予算を組まざるを得ない状況にあるわけでありまして、そういうことはもちろんお互いに頭の中には入っていると思います。

 そういうことは当然ありますけれども、少なくともこの議論の進め方は物すごく議論の順序が重要なわけでありまして、そういう意味で、現在の社会保障制度を将来にわたって国民の皆さんにとって安心できるものにしていく、そしてそれが維持可能なものにしていくということを考えて、まず、あるべき社会保障の姿を提示しよう、そして、それに必要な財源を含む税制について提示をしようというわけであります。

 何か、消費税が前提であるかと言われたから、そういう段取りで考えているのであって、そういう社会保障の議論を全く抜きにして、消費税だけを上げる、上げないということを前提にはしていないということを申し上げたんです。

 また、お尋ねですからあえて申し上げますが、それでは消費税を上げないこともあるのかと。それはもちろん、ちゃんと、安心できる社会保障制度が財源的にも含めてきちんと示すことができるとなれば、それに必要がないものを上げるなんということにはならないわけであります。

 そういうことを含めて、まず順序正しく議論を進めていきたいということを私は申し上げているわけです。

田村(憲)委員 後段だけおっしゃっていただければいいんです。前段は邪魔です。後段だけを聞きたかったから、そこを言ってくださいと私はお聞きした。

 結論はわかりました。上がらない場合もあるし上がる場合もある。それは、社会保障のこれからの制度の一体改革の中において、どれぐらい社会保障の伸び等々、費用としてかかるか、これからの税収の伸びはどうか、そういうことを考えた上で、それでおさまるのならば上げない場合もあるし、おさまらないのならば消費税を上げる場合もある、こういう話だと。だから、そこだけ言ってくれればいいんですよ。

 今回の一体改革の中で、社会保障と言われる限りはいろいろなものが入ってくるんだと思うんですが、子ども手当、これは社会保障ですよね、これは今回の一体改革の中の議題になるんですか。

枝野国務大臣 子育ての支援をどうやっていくのかということも広い意味での社会保障でございますので、そういった意味での議論にはなりますが、マニフェストでお約束をしている子ども手当創設の財源については、これは先ほど御議論になりました歳出削減等のマニフェストでお示しをした財源を使って進めていくというお約束でございますので、その限りにおいては、その部分は議論の対象にはならないだろうというふうに思っております。

田村(憲)委員 すると、子ども手当は議論にならないという認識でいいということですね。

 それはどういう意味かというと、子ども手当をさらに引き上げるという部分においては、財源を、先ほど私が見せた十六・八兆円の財源のマニフェストがありますよね、あちらの方で見出せない限りは、ここでは、引き上げるために他の財源を使う、そういう意味では議論にならないということでよろしいですね。

枝野国務大臣 多分、理解の認識は一緒なのかなとも思いながら、正確に申し上げますが、子ども手当そのものが全く議論の俎上にのらないかといえば、子育て支援のあり方を含めて社会保障のあるべき姿というものも議論をしてお示しをするわけですから、当然、子育て支援の社会保障的側面の大きな要素が子ども手当でございますので、そういった意味では議論の俎上にのりますが、その財源問題についてはマニフェストでお約束をしておりますので、そのマニフェストに従って対応していくというのが民主党としての、あるいは菅政権としての考え方でございます。

田村(憲)委員 わかりました。今回は、子ども手当の増額分は議論の対象にならないというふうに、これからの増額分は財源としては議論にならないという認識で私は理解をいたしました。

 この子ども手当なんですけれども、地方負担分、今、すごい地方から怨嗟のあらしですよね。地方負担分は払わない、そういう方々がどんどんふえてきている。埼玉県知事まで、法律にのっとる事務はやるけれども、しかし、それ以外の事務はやらない、こういう話になってきました。私の地元の市長も、松阪市の市長も、これは地方負担分は受けない。(発言する者あり)いや、だけじゃないんですよ。一緒に何人か同志を連れて、自民党谷垣総裁のところに意見を聞いてくれと来る、こういう話です。

 これは何で怒っているかというのは、去年これを組むときに、ちゃんと来年度に向かって話し合いましょうという約束をされた、その後の話し合いがほとんどされていない、だからこういうことになったと彼らは言うんですけれども、厚生労働大臣、その後、話し合いは何回やられました。

細川国務大臣 地方団体との話し合いでございますけれども、あれは十一月初めだったと思いますが、地方六団体の皆さんと私ども政務三役とがまずお話ししました。

 そのときに私が申し上げたのは、昨年は地方の皆さんとよく話ができなくて申しわけなかった、そういう冒頭のあいさつから私は入ったんですけれども、今回については、政府の考え方を地方六団体の皆さんにもお話しもし、そしてまた個別にその地方六団体の長の皆さんと私もお話しさせていただきまして、また副大臣も個別に話された、そういう話をしてまいりまして、私どもの意見も申し上げまして、そしてまた地方団体の方からのいろいろな要望についてもお聞きもいたしました。

田村(憲)委員 これは、どんどん、今地方の反乱といいますか、怒りが広がっています。これから大変なことになってくると思いますので、またこれは委員会の方でこの法案が出てきたときに、審議はいつになるかわかりませんけれども、しっかりと詰めさせていただきたいと思います。

 さて、社会保障と税の一体改革なんですけれども、きのう、年金の問題がかなり議論になりました。何か、よく聞いていると、民主党案と今回の一体改革の話の中で出る結論と全然違ったものになる可能性があるかのような、そんな発言がございましたが、まさかそんなことないですよね。

 この民主党案、上が民主党案ですよね。幾つか変わったんですが、最終これになったと。上の方に最低保障年金がつく。最低保障年金の税金はどれぐらいなんだ、こういう話がありましたが、これはわからないですよね。ここの面積がどれぐらいになるかというのは、むちゃくちゃシャビーな最低保障年金にしようと思えばできるんですよ、一兆円規模ぐらいにしようと思えばね。逆に、これを二十兆円まで広げようと思ったら広げられないことはない。こういういいかげんな民主党年金案なんですけれども、それは別にして、この面積がどうなるかは別にして、この上の民主党案の骨格、まさかこれが変わるような話ではないですよね。

 つまり、七原則を出されましたよね、去年、長妻さんが。あの中に、最低保障年金をちゃんとつくると書いてあるんです。それから、年金の一元化をすると書いてあるんですよ。この図はそれですよね。だから、これが変わるということはないですよね、総理大臣、菅さん。

菅内閣総理大臣 民主党としての基本的な提案は、そこに示していただいたように、二〇〇九年の総選挙マニフェスト、さらには二〇一〇年の参議院のマニフェストにお示しした、社会保険方式と税方式の組み合わせを基本とするものであります。今後の検討の過程においては、この民主党案をベースとしながら、マスコミとか各団体とか、いろいろな多方面から既に出されている意見や提案を伺い、幅広く議論を重ねて、成案を取りまとめていきたい、こう考えております。

田村(憲)委員 幅広く成案を求めていくということは、この骨格が変わることも場合によってはあるというふうに認識していいんですか、総理。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、民主党案をベースとしながら、他の党や他の団体の意見も十分拝聴して、まさにそういう議論の中から成案を取りまとめたい、このように考えております。

田村(憲)委員 ということは、変わる可能性があるということなのかもわかりませんが、そもそも、きのうも石井委員がおっしゃられたように、議論の対象にならないんですよ。どういう制度設計かがわからない。

 余り金額が入っていないのでよくわからないんですが、いっときこういう議論をいたしました。民主党の最低保障年金の入った所得比例年金ですか、この制度の所得代替率は幾らぐらいを設定されているんですか。

細川国務大臣 所得代替率の点につきましては、この給付水準を検討するに当たりまして、現役世代の収入に対する年金額の比率であります、いわゆる所得代替率をどのような水準にするかは、この問題で一番重要なところでありますけれども、例えば保険料率を幾らにするか等によってそれはいろいろ変わってくるものでありまして、それらのことについてはこれから検討して設計をしていく、こういうことでございます。

田村(憲)委員 比べようがないじゃないですか。どの案がいいかといったって、幾ら保険料を払って幾らもらえるか、これがわからないのに、ほかの制度とどうやって比べるんですか。比較のしようがないじゃないですか。

 大体、あなた方が、我々が十六年度改正のときに、所得代替率が幾らまでといって、五〇・二%、それが守れる守れないといってさんざん攻撃したんでしょう。そのあなた方が、大体、法案をつくってからもう何年たっているんですか、七年も八年もたって、いまだに所得代替率を幾らに設定するかも決めていないようないいかげんな案を、何を考えて出してきているのかよくわからない。

 私、菅総理にお聞きしたいんですよ。

 おとといの質問で、たしか鴨下先生ですか、この質疑の中で、菅さんはこうやってお答えになられた。人口の急激な減少の中で、二〇〇四年度改正でも大変だ、だから我々の案も、そのころから比べて人口が急激に減少しているので変えなきゃいけない、いろいろな皆さんから議論をいただいて、それで変えるんだ、こうおっしゃられた。覚えておられますか、こうやって答えられたことを。首を振られましたね。

 人口の急激な減少というのは、少子化ですよね。二〇〇四年度、このときに人口推計を出しました。それから今もう既に六年、七年たってきた。そのときと今と比べて、当時の年金の前提の人口推計と直近の人口推計と、どういうような状況かわかっておられますか、人口推計というか、子供出生率、どういう状況かわかっておられますか、厚生労働大臣。

細川国務大臣 出生率につきましては、平成十七年、二〇〇五年では一・二六、平成二十一年、二〇〇九年では一・三七でありまして、上昇しております。

田村(憲)委員 つまり、二〇〇四年のときの制度改正の人口推計よりも、今、合計特殊出生率が上がっているんですよ。わかりますか。出生率が基本的に年金の再計算をするときの前提になるのは、多分もう御承知のとおり。厚生大臣をやられましたからね。出生率で年金の再計算をやるんです。

 厚生労働大臣、今の出生率を入れていけば、さあ、年金の財政は二〇〇四年度の改正のときの推計よりもよくなっているのか悪くなっているのか、どちらですか。二〇〇四年の改正のときよりも、今の出生率を入れれば、年金の財政は改善しているのかしていないのか、どちらですか。

細川国務大臣 将来的な設計をする場合に、もちろん出生率も計算の基礎になりますけれども、そのほかに、経済的なものなども当然やらなければならない……(田村(憲)委員「それはいいんですよ。出生率で見たらどうだと聞いているんですよ」と呼ぶ)だから、それは、出生率だけからいえば上がっているわけでありますから、将来的に当然ふえるわけで、よくなるということはありますけれども、しかし、それを支えるときというのはもう二十年先ということになりますから、そういうこともまた考慮しなきゃいかぬというふうに思っています。

田村(憲)委員 総理は、おととい、二〇〇四年の改正のときよりも、要するに、この制度は人口が減ってもう成り立たなくなった、だから変えるんだと言われましたが、そのときの推計よりも、今、実はよくなって、大臣がお答えになられたように、出生率だけ見れば、実は財政はよくなっているんです。ただ、問題は、景気が悪いですから、今、大臣、それを言われようとしたんだと思います。景気が悪いですから、運用利回りが悪くなったりだとか保険料収入が減っている。だから、年金財政は決して改善していませんよ。後ろで首を振っていただいていますけれども。だから、出生率だけ見れば、これは実は年金財政はよくなっているんですよ。

 総理、今……(発言する者あり)いや、厚労大臣、今、そういう認識でいいんですよね。私の認識、合っていますよね。厚労大臣、今そうやって答えたんだ。だから、総理はそういう認識じゃないからとんちんかんだと言っているんですよ。

 総理、この間、火曜日に言われたことは間違いだとここで言ってくださいよ。そこはどうですか。厚生労働大臣と言われているところが違いますよ。総理、間違いだとここで訂正してくださいよ。

菅内閣総理大臣 今、田村委員から言われたことは、私は少し何か違っているんじゃないかと思います。

 つまり、出生率が、それは、悪いときに比べてよくなったというのは、その二つの比較をすれば、前の出生率より上がった出生率になった方が、その比較だけすれば、確かにプラスになるかもしれません。

 しかし、実際には、例えば親の数が減っていますから絶対数としての子供の数は大きく減っていますし、また、平均年齢が相対的には延びていますから年金受給の期間は延びますし、今金利のことも言われましたけれども、まさに金利のこともありますから、そういうことを含めて、単に、しかも、出生率が一・三七というのは決して、人口がふえる、維持するには多分二・一ぐらい必要ですから、そういうことを考えますと、厳しくなる度合いがやや緩和されるかもしれないけれども、厳しくなることについての方向は変わっていない。そういう意味では、私がせんだって申し上げたことを別に訂正する必要は全くない、こう考えております。

田村(憲)委員 だからとんちんかんだと言っているんですよ。当たり前ですよ。だって、前の二〇〇四年の推計だって、将来、一・三九で見ているんですよ、一・三九で。それでちゃんと百年成り立つような設計になっているんですよ。成り立つんですよ。

 それはなぜ成り立たないかというと、それは、デフレで賃金が上がっていないからですよ。今こういう問題が起こってきて、マクロ経済スライドをさらに二〇三八年から引き延ばさなきゃいけなくなっているんですよ。だから、それは経済の問題なんですよ。あなたは人口構成の問題を言ったんだ、おととい。だから、人口構成でいえば実は年金財政はもつんです、今のトレンドでいけば。

 これは、わかっていない人が、枝野さんがいればまだわかるのかもわからないが、枝野さん行っちゃったものだからわからない。総理、そんな認識では、何度年金の改革をやったって、もつ年金はできませんよ。

 最後にお聞きしますが、民主党の新しい年金制度は積立方式ですか、賦課方式ですか、どっちですか。

菅内閣総理大臣 一般的には、積立方式の要素を持ちつつ賦課方式を基本とする仕組みになっている、このように理解しております。

田村(憲)委員 意味がわからずに言われているんだと思いますが、積立方式という形になると、では、こうお聞きしましょう、過去勤務債務はどれだけ発生しますか。

菅内閣総理大臣 過去勤務債務という、過去の保険料拠出に見合った給付を行うために必要な金額をこういう表現をしていると理解しておりますけれども、厚生年金・国民年金平成十六年財政再計算報告書によれば、厚生年金の積立金による財源百六十兆に対して、給付に必要な額は四百三十兆円で、その差分二百七十兆円が過去債務とされている、こう理解しております。

田村(憲)委員 それでは、民主党の年金案では二百七十兆円、過去勤務債務が発生するというふうな認識でいいんですね。

菅内閣総理大臣 現在の、現実に今ある年金制度がこうなっている、こういうことを申し上げたんです。

田村(憲)委員 何を言いたいかというと、完全積立方式にしようと思うと、それだけの過去勤務債務が発生して、それをどう解消するかというのが大きな課題になるんです。賦課方式だとそれは基本的に発生はしない。だから、どちらなのかがよくわからない。

 なぜこんなことを言うかというと、枝野さんが、この間、超党派で勉強会をやって、お互いに違っていた制度をすり合わせて、ほとんど近いものになったと言われたんです。あのときの案は完全積立方式なんですよ。だから、過去勤務債務が二百七十兆円発生するから、それをどう解消するかが課題ですねという結論で終わっているんです。だから、どちらなのかがわからないから私はお聞きしているんですよ。

 賦課方式なのか積立方式なのかというのは根幹ですから、それをちゃんとわかってお答えになられているのかどうかわかりませんが、御答弁をお願いいたします。

中井委員長 田村さん、時間ですから、最後の答弁。

菅内閣総理大臣 民主党が提案をしている所得比例年金というのは、基本的には賦課方式を想定いたしております。

中井委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 まず、高病原性の鳥インフルエンザの感染が、年末以降におきましても、十道県二十二例に及んでおります。面的な広がりは少ないものの、あちこちに飛び火をしております。しかも、野鳥の感染が多い。したがって、野鳥対策がまず求められるものであります。

 そこでお伺いをしてまいります。

 ツルやカモなどの渡り鳥が、夏の繁殖期にシベリアなどで感染をして日本に持ち込んでいるおそれがございます。営巣地であるシベリアなどにおける発生源情報の提供、あるいは関係国との協議といったものが必要になってまいると思いますが、取り組み状況をお伺いします。

松本国務大臣 お答えいたします。

 小里委員には、先般、一月三十日に新燃岳に行きましたときには、霧島、出水等々、御同行いただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。

 昨年の十月二十六日に、北海道の大沼で強毒性のウイルスが発見された。それから、今おっしゃったように、さまざまな地点で今鳥インフルエンザが発生をしております。そういう意味では、私どもも、飛来経路の解明でありますとか、あるいは死亡野鳥の調査、ふん便調査等々を行ってきているところであります。

 今、大変重要な御指摘で、渡り鳥のことを言われましたけれども、私も先週に、極東地域あるいは東アジア地域でしっかり情報を共有できないかということを環境省に言いまして、今鋭意進めているところであります。公明党の井上幹事長も代表質問でその点を指摘されました。まずは、この春に日本と中国と韓国で環境大臣会議がございますので、その時点でそれぞれの鳥インフルの状況を報告し合い、そしてさまざまな研究者、さまざまな学者等の知見をしっかり聞いていきながら、これの情報共有をしていきたいというふうに思っております。万全の体制を尽くしてまいります。

小里委員 動物衛生関係は日本がたけております。ぜひ主導権を発揮して取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、例えば鹿児島県の出水市の場合、殺処分のできないツルの保護区、そして日本一の養鶏密集地帯が隣接をしている、そこにこの難しさがあるわけであります。いわば火薬庫の上に火花が散っているような状況でありまして、今、市あるいは専門農協が主体となって懸命の取り組みで抑えているところであります。

 そこで、環境省や文化庁、農水省とのしっかりした連携が必要になってくる、また、国と県との、あるいは市とのしっかりした連携が必要になってまいりますが、残念ながら、連携がうまくいっているとは言えないという指摘が現地からも上がっております。しっかりやっていただきたいと思います。

 そして、現在のところ、ツルなどの野鳥につきましては、家畜伝染病予防法の適用がないんですね。したがって、法的な裏づけを持った規制ができないのであります。現在のところ、市が自主的にツル観察センターの閉鎖あるいは保護区への道路通行規制の協力をお願いしているという状況であります。今回のような特定野鳥に鳥インフルエンザが発生した場合に、しっかりと規制を行っていくために法的な整備を行っていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 先般、御一緒に出水に参りましたときには、渋谷市長初め一生懸命取り組んでおられることに敬意を表したいというふうに思っております。さらに、法的な整備が必要であるという要望もお聞きをしてまいりました。全国で今鳥インフルエンザが続発をしておりまして、そういう法的な整備が必要であるということもいろいろな方面からお話を聞いておりますけれども、今、現時点において、法的整備をしないと対応が不可能だという事案はまだ発生していないというふうに思います。

 いずれにしましても、今おっしゃったように、上から火花が飛んできているということがありまして、地方自治体、そして関係省庁、しっかり連携をとりながら、県や地方自治体の意見を聞きながらこれからも対策に取り組んでいきたい、検討してまいりたいというふうに思っております。

小里委員 現場の感覚とはかなり距離があると思います。現場は、法的な裏づけがないから今苦労しているんです。そこをしっかりと整備をしていただきたいと引き続きこれは求めてまいりたいと思います。

 発生農場の防疫措置、区域内の発生状況の確認検査あるいは清浄性の確認検査、消毒ポイントにおける消毒等につきましては、家伝法において国が助成をする仕組みがあります。十分な対応を図っていただきたいと思います。あるいは、移動制限等による養鶏農家の被害につきましても、家伝法に定めがありますので、しっかり対応を図っていただきたいと思います。

 その他、自治体や養鶏農家等において要した費用や損失、通行規制等によりまして観光業者等も大きな被害を受けております。

 そういった問題を含めて最大限の対応をお願いしたいと思いますが、これはひっくるめて、総理、お伺いします。

中井委員長 その前に、鹿野農水大臣。

鹿野国務大臣 今、小里委員から申された高病原性鳥インフルエンザの蔓延防止につきましては、消毒ポイントにつきましては、消毒のポイントを設置する場合は、消毒薬の購入費は全額国費で賄う、交付措置をする、こういうふうなことをやっておるところでございます。

 また、どうしても、いろいろと対応する場合に人的支援というものが必要でありまして、臨時職員の人件費というふうなものにつきましては、国費で二分の一助成をいたしております。残りの県負担分についても、総務省におきまして特別交付税という形で措置がなされておるところでございます。

 また、市町村が単独で消毒ポイントを行うというような場合は、これは同じく、市町村負担分の二分の一を特別交付税で措置をする、こういうことでございます。

 このように、野鳥からウイルスが検出され、家禽での発生がない場合につきましても、このような措置を講じておる、こういうことでございまして、また、いろいろな意味におきまして、これから現場の実態というふうなものにつきまして、いろいろと把握をしながら、できるだけの対応をやってまいりたいと思っておるところでございます。

中井委員長 鹿野大臣、恐縮ですが、質問者は養鶏農家の損害についてと言われました。これを具体的にどうするんだという答えを。

鹿野国務大臣 殺処分された場合ですね、家伝法につきまして、疑似患畜というふうに殺処分された場合につきましては、手当金を五分の四交付する、こういうふうなことをやっておるところでございます。また、国と生産者が積み立てた基金から、新しく鶏を導入して経営を再建する場合には、経営支援互助金も交付する、こういうことでございます。また、移動制限区域の周辺農場に対しましては、卵なりあるいは肉なりというようなものが、売り上げが減少する、こういうふうな場合におきましては、県が助成する場合、その二分の一を国が負担する、こういうようなことで対処しているところでございます。

中井委員長 松本環境大臣、観光業者等の話が出ましたから、そこも含めて。

松本国務大臣 観光業者の皆さんとも一月三十日にお話をさせていただきました。今大変な苦労をされていることをそれぞれの関係省庁にお伝えしたところであります。

 鳥インフルエンザ対策の経費については、家禽に係るものあるいは野鳥に係るものを問わず、私ども、一定のルールに基づいてその負担を特別交付税措置をするということで、出水市長の要望もありました、先生の要望もありました、そういう意味で、そういう新しい措置もこれからとろうというふうに考えております。

小里委員 現場の実態を踏まえまして、しっかりした対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、新燃岳の噴火についてお伺いをいたします。

 お話をいただきましたように、新燃岳の噴火に関しましても、防災大臣、また国交大臣、現地に赴いていただきまして、車両等の手配、いろいろお世話になっております。まず感謝を申し上げたいと思います。

 新燃岳の噴火活動が続く中で、周辺自治体においては、地域住民の安全と生活をまず確保する、そのために、災害警戒及び対策に懸命の努力を重ねているところでございます。

 そこで、きょうは、特に急ぐ部分についてお伺いをしたいと思います。

 まず、堆積した火山灰、かなりの量になりますが、これはやがて必ず流れ落ちます。流れ落ちて、土石流や火山泥流となるおそれがある。そこで、一体どのぐらいの雨が降った場合にどの程度の被害がどの地域に及ぶか、この詳細なハザードマップというものがまだ存在いたしません。これを気象庁なりが市や県と連携してしっかりつくるべきだと思いますが、どうですか。

松本国務大臣 一月二十九日に都城に行きまして、夏尾地区というところに行ってまいりました。もう行く途中で、降灰で前の車が見えなくなったり、現地に着きましたら、このくらいの灰がたまっていた。そういう意味では、高原町で避難を余儀なくされている皆さん、あるいは空振でガラスが割れたり、いろいろな被害に遭われた皆さん、牧園町とか霧島市とか、そういうところの皆さんにまずお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。

 今御指摘の火砕流あるいは土石流の関係でありますけれども、これまで、今山ろく斜面に灰が堆積をしておりますけれども、身体への被害もあろうかと私は思います。この撤去作業、皆さん大変な苦労をされております。私どももしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 下流に流下して、雨が発生をして危ないという指摘もあって、これに関しては、十分な観測監視体制をつくるとともに、土石流等を捕捉する施設整備や地域住民の警戒避難体制の整備、あるいはハード、ソフトの両面から早急かつ的確なことをやっていきたいと思います。

 今GPSも、気象庁や国土地理院、今まで十八個でありましたけれども、五個増設をいたしまして、これからの対策に取り組んでいきたいと思っております。また、具体的には、一月二十六日以降の噴火に対して、降雨による土石流のおそれを把握するために、降灰範囲、降灰量を緊急調査しているところでありまして、調査結果は関係自治体に適切に情報提供をする所存であります。また、土石流の発生に備えるため、砂防堰堤に堆積した土砂を取り除く工事に着手をいたしました。

 きょうは、十一時から火山噴火予知連絡会の会合がございます。そういう専門家あるいは学者の意見も聞いていきながら、対策をこれからも一層強めてまいりたいと思っております。

小里委員 ハード、ソフト両面からおっしゃいましたので、特に砂防堰堤なども状況に応じてしっかり対応していただきたいと思います。

 火山性ガスによる健康被害が心配であります。避難勧告の材料とするためにも、定置の計測地点を複数設置して大気調査を実施すべきと考えます。あるいは、降灰対策に関して、降灰除去事業の要件の緩和、路面清掃車の確保、降灰収集袋の調達、集配車両の確保等について、財政面を含めた全面的な支援が求められると思いますが、お伺いします。

大畠国務大臣 小里議員の御質問にお答えを申し上げます。

 ただいま松本大臣からもお話がありましたが、私も、過日、現地に入りまして状況についてできるだけ把握をしてまいりました。

 そのときに、地元の市長さん、町長さんからは、今御質問がありました課題について支援を求めるという要望をお伺いしました。調査用車両の噴石対策、火山噴火に備えた観測体制の充実、道路における降灰状況の調査と路面清掃作業への支援、それから土石流の防災対策としての砂防堰堤の整備等、また住民の安全確保の支援、こういうことを要請されたわけであります。

 ただいま御質問をいただきました火山性ガスの観測に関する件でございますが、気象庁にも指示をいたしまして、観測の強化というものをすると同時に、この火山性ガスの観測を実施しております。一月二十七日に実施した観測結果は、一日当たりの換算で一万トン以上となりました。今後も定期的な観測を行い、火山活動の評価に活用してまいりたいと思います。

 また、御指摘がございました降灰除去事業の支援ということでありますけれども、道路等に堆積した降灰を除去するため、現在、国土交通省の路面清掃車、散水車等十二台を鹿児島県霧島市並びに宮崎県都城市、日南市、串間市及び高原町に派遣をいたしました。降灰の除去については、この事業あるいは災害復旧事業による支援を図るため、一月三十一日には河川局防災課災害査定官の派遣をいたしました。技術的な支援も行っているところであります。今後とも被害の把握に努め、住民の方々が一番大変な思いをされております降灰の除去について、支援を強化してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小里委員 降灰や日照不足によりまして農作物の被害も深刻であります。農水大臣、対応をお伺いします。

鹿野国務大臣 何といっても、現場の状況というものをしっかりと把握するということがまず重要だ、このようなことから、本省から現地に人員を派遣いたしておるところでございます。そして、いろいろと御意見を聞かせていただいているということでございます。

 そういう中で、まず一つは、農作物の被害をできるだけ抑えるための技術的な指導を行っている、こういうことでございます。

 そして、農業共済保険につきましては、迅速なる損害評価と共済金の早期支払いが円滑に行われるように、農業共済団体等に対して申し入れをしているところでございます。

 また、金融面につきましては、いわゆる被災農業者に対する農林漁業セーフティーネット資金等の円滑な融通や、既に貸し付けを、借りておる人たち、既貸付金の償還猶予について、日本政策金融公庫等への依頼をいたしているところでございます。

 そして、地元の要望を踏まえまして、特に畜産農家の人たちがやはり大変な状況になっておるわけでございまして、緊急支援として家畜用の飼料の供給というふうなものも行っており、また、いわゆる小さな地域の家畜市場に避難した牛の飼養管理への人的な支援も行っている、こういうことでございます。

 いずれにいたしましても、非常に大変な今日の状況というものをしっかりと把握しながら、現地の意見というものを聞き、必要に応じて対処してまいりたいと思っているところでございます。

小里委員 特に財政的な支援につきましては、例えば野菜などは農業共済に入っていない農家が多いんですね。そういったところも含めてしっかり対応をお願いしたいと思います。

 なおまた、国立公園内でありまして、規制看板の設置についてはいろいろな制限がある。したがって、まず国における迅速な設置に努める、これは当然でありますが、自治体が設置をする場合も柔軟に対応していただきたいと思います。これは要望申し上げておきます。

 その他、今後、観光事業者などの中小企業対策、避難勧告が出された場合の支援、被害者の心のケア、公共施設の復旧支援等、今後の災害による被害の態様に応じていろいろな課題が出てまいりますので、それぞれ順次要望をしてまいりますので、よろしく対応方お願いしたいと思います。

 そこで、TPPについてお伺いをしてまいります。

 TPPに参加しないと、世界の自由貿易圏から締め出されるんでしょうか。総理、お伺いします。

菅内閣総理大臣 委員御承知のように、TPPというのは、現在九カ国で話し合いを含めて行われております。

 我が国としての対応は、この十年近く、例えば韓国などが非常に意欲的にFTAやEPAなどを進める中で、我が国として二国間あるいは地域における経済連携にやや足踏み状態になった。そういうことで、二国間あるいは地域間のいろいろな経済連携にも積極的に力を入れようと。

 そういう中にあって、特にアジア太平洋地域、先ごろAPECの議長をやらせていただきましたが、FTAAPという大きな枠組みがあります。このFTAAPの推進の一つの要素がこのTPPにもあるという位置づけをいたしております。TPPについては、昨年のAPECの前の決定において、情報収集を含め関係国と協議をするという位置づけにあることは御承知のとおりであります。

 そういった意味で、このTPP参加については、そのいろいろな、ある意味で望ましい問題あるいは逆に難しい問題、それらをしっかりと把握する。一方で、農業の再生については、これはもう待ったなしの課題でありますので、それについても同時並行的に進めていく。こういう姿勢で臨んでいるわけでありまして、今御質問のように、TPPに入る、入らないというそのことについて、今まさに情報収集を含めてしっかりと状況を把握したい、こういう姿勢で臨んでいるところであります。

小里委員 質問に対する答えになっていないわけであります。

 あたかも、FTAAPへの一つのかぎを握るのがTPPであるかのような今の説明でありました。同時に、APECにおいてはASEANの位置づけもなされているはずでありまして、そのASEANで見た場合に、きのうの議論でもありましたけれども、タイとかインドネシアとかはTPPに対してはむしろ否定的である、距離を置いているわけでありまして、むしろ、ASEAN諸国内で固めてから米国に対して対峙というか対応していこう、そういう動きになっているわけでありまして、そこはしっかりと指摘を申し上げておきたいと思います。

 平成の開国、あるいはバスに乗りおくれるなとか、そういう非常に扇動的な表現によりまして国民の皆さんに間違ったイメージが伝えられているということを私は心配するわけであります。

 きのうもありましたように、TPP参加国、九カ国でありますが、そこには中国、韓国は入っていないし、もちろんEUも入っておりません。日本は、TPP参加予定国九カ国のうち、シンガポール、ベトナムを初めとする六カ国とは既にEPAを締結しているか締結しようとしているわけであります。豪州とも、慎重ではありますが交渉を進めているわけであります。実質残るのはアメリカぐらいのものであります。決して、世界の自由貿易圏から日本が締め出される、そういう指摘は当たらないわけであります。

 しかも、アメリカにおける工業品の関税を見ますときに、普通自動車で二・五%、電気・電子製品におきましては一・七%、テレビが〇から五%と、低関税であります。しかも現地生産も進んでいる。むしろ為替変動リスクの方が大きいわけでありまして、TPPによりまして日本の輸出産業が受けるメリットというのは極めて限定的であると言わざるを得ないわけであります。一方で、アメリカは世界最大の農産物輸出国でありまして、そのことにより日本の農業が受けるダメージの方がはるかに大きいのであります。

 そこで総理にお伺いをいたしますが、TPPに参加するメリットというのは何なんですか。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、今TPPに参加するということを決めているわけではありません。いろいろな情報を収集するために関係国と協議をする中で、今言われたように、TPPに入ったときのメリット、あるいは逆に言えば入らなかったときのデメリット、さらに逆に入ったときのデメリット、そういうものを含めてしっかりと検討していきたい。

 多少一般的に申し上げますと、私は、日本の経済を考えたときに、世界の成長、特に現在新興国と呼ばれているような国々との連携を含めて、やはり世界の自由貿易というものは我が国にとっては大変重要なことでありまして、WTOドーハ・ラウンドについても積極的に対応していかなければならない。

 いろいろな仕組みが今並行的に存在するわけでありますので、その中において、TPPについても、今申し上げましたように、そのメリット、デメリット、いろいろなことを勘案する。そういう中での今情報収集のための協議、こういうところにありまして、私が今、結論的にこうあるべきだと言う段階に、そういうことを申し上げる段階にはまだない、このように思っております。

小里委員 しかし、既にもう走っているんですよ。総理はそうおっしゃるけれども、メリットもわからないままに、もう走っているんです。政府のそういった扇動的な表現によりまして、国民の意識もどんどん走ってしまっている。取り返しのつかないことになるんじゃないか、それを私は心配しているんですよ。

 例えば、TPPに参加した場合の内閣府の試算というものも出ております。実質GDPが〇・四八%から〇・六五%の増、二兆四千億から三兆二千億円の増。極めて限定的な数字が出ているわけであります。むしろ、農業の持つ多面的機能、これは三兆七千億円とも試算されるわけでありますが、これがこの試算には入っていない。加えて、食の安保というものは金額にはかえられないということを、ここでは強く指摘を申し上げておきたいと思います。

 そこで、日本はシンガポール、ベトナムを初めとする六カ国とは二国間交渉によるEPAで、とるべきはとり、守るべきは守ってきたんですね。すなわち、工業品はとって農産品等の重要品目を守ってきた。ところが、TPPを進めていきますと、仕切り直しになるんじゃないか、いわゆるガラガラポンになるんじゃないかという懸念がある。したがって、せっかく守ってきたもの、重要品目等が失われる可能性があるんじゃないですか。豪州も重要品目を守るとの国会決議によりまして今慎重に交渉を進めておりますが、そういったことも吹っ飛んでしまうおそれがある。どうでしょうか、総理。

鹿野国務大臣 何遍も申し上げておりますけれども、TPPにつきましては、今総理が申されたとおりに、参加交渉に入るかどうかというようなことの中で、やはり情報を収集しなきゃならない。特に、九カ国とそれぞれ同意を得なきゃならない、こういうふうなことでありまして、それぞれどんな考え方に立っているか。そしてまた、九カ国の間においても二十四の分野においていろいろと交渉をやっている、こういうことでありますから、農産物だけの問題ではなしに、いろいろな分野における、保険とかあるいはまた金融とか、人の交流とか、政府調達の問題とか、いろいろそういうような問題もこの中に含まれてくるのではないか。

 そういう中で、国全体としてどうするかというふうなことは、もちろんそういう意味で国民の人たちにもやはり判断をしてもらうということも大事ですから、情報を国民の人たちにできるだけ提供して、そしていろいろ議論をしながら、六月をめどにして判断をしていきたいというのが菅総理大臣の申しておるところでございます。

小里委員 交渉に入るための検討であっても、その前提として必要な材料、情報、心づもりというものは当然なくちゃいけないんです。全くないじゃないですか。ただやみくもに霧の中に突っ込んでいくような話であって、話にならぬわけであります。

 TPPは、原則として除外、再協議は認めません。したがって、シンガポールとかベトナムとかあるいはマレーシアなんかが、除外したものを戻せと言ってくる可能性は当然あるんですよ。豪州もニュージーランドも、いわゆるガラポン派であるというふうに聞いておるわけであります。

 TPPに参加をしますと、二国間交渉でせっかく守ってきた米、牛肉、乳製品、砂糖などが失われる可能性がある。これを守ってしっかりと自由化も進めてきた、そういった努力を無にしかねない、あるいはWTOに関しまして重ねてきた努力も無にしかねないわけであります。守るべきを守ることを最初から放棄して、無条件降伏をするようなものでありまして、戦略も何もないと断じざるを得ないのであります。

 TPPへの参加が日・EUのEPAを進めることになると政府部内から聞こえてくるわけでありますが、本当にそう考えているんですか。

前原国務大臣 日本とEUのEPAにつきましては、これはTPPの議論とはまた別個に今進めておりまして、TPPと関連をして何か政府から聞こえてくるとすると、私はそれは違った見方ではないかと思っております。

小里委員 例えば経産省の試算では、TPPに入らなかった場合の滅失利益として、EUや中国の分を入れているんですね。明らかにTPPとEUとをリンクさせているわけであります。

 確かに、韓国が米国とEPAを進めた、それに刺激されて韓国とEUが進んでいった面はあるかもしれません。

 しかしながら、国情が違うんですね。韓国においては工業品の関税率は高い。そして、その韓国への工業品の輸出をめぐって米国とEUが競合関係にあるということも言えるんだろうと思います。また、韓国は市場が小さい、技術の蓄積も比較的少ない。したがって、基準をEUに合わせやすいという側面もあったんだろうと思います。

 しかしながら、日本は工業品の関税率はもともと低いんです、平均二%ですね。対日において米国とEUが競合するものは特にありません。むしろ、EU市場で日本の自動車のシェアが韓国の三倍である、そのことがEUにとって日本が脅威にすらなっているわけでありまして、したがって、TPPで日米の自由化を進めても、決して日・EUのEPAを触発することにはならないということを申し上げておきたいわけであります。

 その点は前原大臣に共通するんじゃないかと思います。むしろ、TPPとは関係なく、先に日・EUを進めるべきだと私は考えます。

 そこで、日・EUで何がひっかかっているんでしょうか、総理。

前原国務大臣 まずメリットから申し上げますと、日本とEUのEPAのメリットというか、入らないことによるデメリットと言った方がいいかもしれませんけれども、これは小里委員御承知のとおり、自動車の関税は一〇%、それから薄型テレビの関税は一四%ということで、韓国とEUがEPAを結んだことによって同等な品物については日本の競争力が落ちてしまう、こういったものがあります。

 あと、EUから出されているものについては、かなりが非関税障壁的なものが多くて、その中には、我々も改善を取り組むべきものもあれば、若干認識が違うのではないかと。例えば、私の前の仕事の関係でもありますけれども、羽田の枠の話なんかがありますけれども、あれは、今は三万回で、徐々に上げていく話で、今はないのをEUにみたいな話もありますので、そういう意味では、聞くべきものと、できないものについても要望が来ている、両面あるのではないかと思いますので、できることについてはしっかりやっていく中で、早期にEUとのEPAの交渉を開始してまとめていきたいと考えております。

小里委員 農業サイドでは何がひっかかっているんですか。

鹿野国務大臣 牛肉、乳製品等々は、当然その重要なテーマになってくるものと思っております。

小里委員 そのとおりであります。一部の乳製品、特に畜産の方でいうと豚ぐらいのものでありましょう。また、前原大臣からもお話しいただきました。要するに、農業サイドについては、交渉に入るに当たって問題となるものは、さしたるものはないんですよ。交渉の中で何とか乗り切れるものでありましょう。一方で、問題が、非関税障壁、前原大臣から話のあったとおりであります。これを思い切って譲る、誠意を示すことで日・EUを進めるべきであると私は思っております。

 世界のGDPに占める割合は、アメリカが二五%、EUが二八%。日本の貿易総額に占める割合は、アメリカが一三%、EUが一四%であります。そして、前原大臣の御指摘にありましたように、関税率で見ますと、EUは、自動車が一〇%、テレビが一四%、高関税であります。一方、アメリカは、先ほど申し上げたとおり、自動車が二・五、テレビが〇から五%ということでありまして、工業界にとりましては、むしろ対米よりも対EUでEPAを結ぶメリットが大きいと言えるわけであります。得るものは少ない、失うものが大きな米国との自由化より日・EUとの自由化をしっかり進めるべきである、まず申し上げておきたいと思います。

 農業者一人当たりの作付面積で見ました場合に、きのうも話がありましたが、米国は日本の百倍、豪州は日本の一千八百八十倍であります。コストが格段に違うんですね。その上に、米国などは、例えばマーケティングローンといったような実質的な輸出補助金をもって自国の農産品を強烈に保護して、強烈に輸出攻勢をかけてきているわけであります。食料で世界をコントロールするといったような国家戦略でもって臨んできているわけであります。

 こんな国と同じ土俵に上がって、日本の農業が太刀打ちできると考えますか。総理、お伺いします。

菅内閣総理大臣 まず、現在の日本の農業の置かれた状況というのは、もちろん小里議員よく御存じだと思います。この二十年間で農業生産が二割程度下がっておりますし、農業に従事している人の平均年齢が六十六歳に達しております。

 つまり、日本の農業は若い人がなかなか参入できないということなどから、私は、このままでは今の経済連携の問題を抜きにしてもどんどん衰退の道をたどってしまう、そうならないための改革を今こそやらなければならないと思っております。

 せんだって、土地利用型の庄内の米農家、さらには逆に、土地利用型ではない千葉の野菜農家の六次産業化の進展などを私も視察してまいりました。私は、日本の農業、特に食という見方でいえば、世界の中にも日本食に対する評価が大変高いわけでありますので、そういったことを含めて、十分に日本の農業が活性化して再生していく道はある、このように思っております。

 そういう中にあって、経済連携の問題との関係で、確かに、おっしゃるように、いわゆる国境措置というものが果たしている現在の役割について、それが変わったときにどういう影響が出るのか、逆に言えば、そのときにどういうことを農業に関して支援する形がよりよいのか、そういったことも含めて、現在、積極的に検討を始めている、こういう状況にあります。

小里委員 全く中身のない話でありまして、これまた心づもりも何もないということが明らかになったわけであります。

 生産力が落ちたとおっしゃいますが、生産性はたしか三倍以上に上がっておるんですよね。為替、円高傾向の中で、この十年は自給率を何とか維持もしております。あるいは、担い手対策につきましても、自民党時代に集落営農等を通じて一つの道筋を示してまいりました。あるいはまた、米政策の問題につきましても、新規需要米を初めとする政策で一つの道筋を示してきた。これは農水大臣御存じのとおりであります。そういったかすかな一つの道筋が見えてきたやさきに、政権交代ですべてが今めちゃくちゃな状態になっているわけであります。

 そもそも、TPPをてこに農業の構造改革を進めるという話がまた政府から伝わってまいります。

 そこで総理にお伺いします。先ほどからいろいろ上辺のことをおっしゃっていましたが、では、十年後の農業のあるべき姿、二十年後でもいいけれども、どう描いておられるんですか。あるいは、そのための道筋、予算、財源は、どう心づもりをしておられますか。お聞かせください。

鹿野国務大臣 先ほど委員からお触れになられたとおりに、我が国の一戸当たりの平均農地が一・九ヘクタール、そしてアメリカは二百ヘクタール、そしてオーストラリアは三千ヘクタール、こういうような、いわば国土条件が大きく違う中で、我が国としてこれから貿易の新しい方向づけをする上でどういう施策が必要か、こういうようなことを当然検討していかなきゃならない。特にEPAというものは、これからセンシティブな品目に配慮をしながら高いレベルで推進しよう、こういうことになってきますと、いろいろと国内政策も必要だ。

 そして、当然そういう中で、生産性の向上を図りながら、どうやってこの将来像に向かって構造改革をやっていくか、そういうことからもう一度きちっと、これからの日本の農業というふうなものを魅力ある農業にしていくというような意味も含めて、政府におきまして……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。食と農林水産業の再生本部というものを設けまして、そして実現会議の中でいろいろと精力的に今議論をしていただいている、こういうようなことでございます。

小里委員 きれいな言葉が並んでおりますけれども、相変わらず中身がうかがえないわけであります。

 例えば、総理、米が国際価格まで、国際価格とは大体三千四百円ぐらい、中国産米のMA米で見るとそのぐらいになっておりますが、これまで下がった場合に、米だけでも所得補償をしようとすれば、一兆六千億円前後がかかる計算になります。また、全品目を考え合わせた場合に、今、関税支持額が三兆六千億円、OECDの試算であります。すなわち、所得補償だけでも毎年三兆六千億円がかかるという計算になります。こういった財源をどうするのか、結局何も考えておられないということであります。

 また、日本の土地条件の中でという農林大臣の話もありましたが、だからなんです。限られた土地条件の中で一生懸命努力して品質のいいものをつくった、それが消費者に正当に評価されてこそ、あしたからも、来年も頑張っていこう、そういう意欲がわいてくるわけでありまして、その基本をまず取り違えておられる、そのことを申し上げざるを得ないわけであります。

 そもそも民主党農政は、従来、農産物貿易自由化と所得補償をセットに置いてまいりました。農政全般におきまして、所得補償さえすればすべてがうまくいくとばかりに、所得補償以外の事業を大きく削ってこられたのであります。そもそも農業予算全体を削っております。平成二十二年度予算は、三十四年ぶりに二兆五千億円を割りました。新年度予算では、さらに三十六年ぶりに二兆三千億円を割るわけであります。その上、所得補償に予算を回しまして、例えば強い農業づくり交付金、土地改良事業、あるいは集落営農を進めるための事業、あるいは面的集積を図るための事業、要するに、強い農業をつくるための予算を大きく削ってきたわけであります。

 さらに今後、TPPで所得補償に予算をとられるとすれば、一体、農業の構造改革をどう進めるんでしょうか。総理、改めてお伺いします。

鹿野国務大臣 平成二十二年度の予算編成の中におきましても、御承知のとおりに、今委員が触れられました農業の基盤整備事業、こういうようなことに関しましては、前年に比べて一一三%、こういうふうなことを盛り込ませていただいているところでございます。

 また、当然、これからの農業にいそしんでもらうために、生産性の向上を図るというようなことは、体質強化にとってこれは不可欠でありますから、そういう強い農家というふうなものをつくっていくためにも規模加算をしていく必要があるということで、戸別所得補償制度というふうなものを、畑作物に拡大すると同時に、百億の、概算要求にも入っていなかったわけでありますけれども、そういう政策も盛り込みながらやっておるところでございます。

 そして、今委員が言われますとおりに、強い農業というふうなものを実行していくためには……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。それは、私もかつてこの委員会においていろいろやっていましたが、どうぞひとつ静かにしてください。そして、強い農業というふうなものをやっていくためには、やはり農家の人たちの所得の安定というものが一番大切なことだ、こういうふうなことで、まず、農家の人の所得というふうなものの向上、そして、そのことが再生産につながるわけでありますから、農業者戸別所得補償制度というふうなものをやはりしっかりとこれからも継続していくというようなことが大事だ、こういう考え方をしておるところでございます。

小里委員 所得補償政策につきましては、改めてその是非について議論をさせていただきたいと思います。

 まず、事実として、農業予算がこれだけ削られて、その配分においても大変な矛盾があるわけです。要するに、今は様子を見ておられるということじゃないかなと。農業がTPPによって崩壊してから再生策を図っても意味がないわけでありまして、今、ここからどういう認識を持っておられるか、その点についての説明が全くないわけであります。

 規模拡大、規模拡大とおっしゃる。総理も所信表明でおっしゃいましたが、従来、自民党の規模拡大路線に対して、これは小規模農家切り捨てだと言って強烈に批判を繰り返してきたのは民主党だったんじゃないでしょうか。結局、何も考えていないんですよ、菅総理。あなたはいつもそうだと思うんです。言ってみたけれども何も考えていない、言ってみたけれども何も準備していないというその繰り返しでありまして、バスに乗りおくれるなと言いますが、バスの行き先さえわかっていないんじゃないですか。

 TPPによりまして日本の食料自給率が一四%になる、これは政府の試算であります。農業だけじゃなくて、加工、販売など、農業に関連する産業も大きな影響を受けてまいります。例えば、口蹄疫で畜産農家の足がとまった、これで地域の商工会の売り上げが三割、四割減ったという事例もあちこちに見受けられたわけでありまして、それほど農業と地域の経済はリンクをしておるんです。だからこそ、北海道は経済団体連合会を挙げて先頭に立ってTPPに対する異議を唱えているわけでありまして、全国の三十八の道県がTPPに反対ないし慎重な対応を求める意見書を出しているわけであります。

 農業だけの問題ではない、非関税障壁の問題、いろいろなところに地域経済への影響がはかり知れないものがあるということは、きのうから指摘があったとおりであります。

 もちろん、私たちは、貿易自由化は進めなくてはいけないと思っております。要は、方法論の問題なんですね。TPPと二国間のEPA等との違い。これは、TPPは包括的に一律の厳しい基準を課すのに対しまして、二国間のEPAは個別対応でありますから、だから柔軟な対応がきく、守るべきものは守っていけるかもしれない、そういった違いがあるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、TPPは戦わずして最初から全面降伏をするようなものであります。本来のEPAやWTOを戦略的に進めるべきであると私どもは思っております。

 菅総理は、唐突にしてTPPを言い出されました。その取りまとめを急いでおられるわけでありますが、どうしてですか、総理。総理、お答えください。

菅内閣総理大臣 先ほど来私はきちんと説明をしているつもりでありますけれども、確かに、二国間のFTAあるいは地域的ないろいろな枠組み、それぞれ我が国も努力をしてきました。

 しかし、この十年間を見ると、やや立ちおくれた形になっているわけでありまして、今EUとの関係も、先ほど来いろいろ議論されていたわけですが、日本とEUのEPAについて、何としてもことしじゅうには交渉に入りたいと思っておりますが、まだまだEUの姿勢はかなりかたいものがあります。EUとの間です。オーストラリアとの間では一定の議論が進んできております。アメリカとの関係は、このTPPの問題とも関係しますけれども、これもなかなか二国間というだけで済むことができるかどうかは、そう簡単な状況にはありません。

 そういった一つの経済における問題と、私は、日本自身を大きく、若い人たちももっと海外でも働き、あるいは海外の人も日本で働く、そういうことも含めた第三の開国が日本の元気を取り戻すためにも必要だ、そういう考え方に基本的に立っていることは、そのとおりであります。

 ただ、何度も申し上げておりますように、TPPそのものについては、現在、情報をしっかりと把握をするということで関係国との協議を進めているわけでありまして、最終的には六月をめどにして、その参加のための交渉に入るか入らないかの方針を決めていきたい、このように考えております。

小里委員 若い人たちが海外に留学をするためとかおっしゃいますけれども、留学とTPPというのは関係あるんですか。留学を促進するんだったら、そのための環境づくりを急げばいい話でありまして。

 そもそも、普天間の問題で米国との関係をこじらせた、そこにつけ入るかのようにして尖閣諸島の問題が起き、北方領土の問題も起きました。中国やロシアの強硬姿勢に対して、ただただ慌てふためくばかりで、柔軟というか弱腰の外交に終始をしまして、日本の国益を大きく損ねたわけであります。

 そういった外交の失態を取り返すためにTPPを言い出された、これは事実であろうと思うし、特にアメリカの御機嫌をとるためにTPPを言い出したんだ、私はそうとしか思えないわけでありまして、まさに、きのうからの議論にもありますように、この国の形を変えるような重要な議題を議論するに当たりまして、委員長、前提となる材料も情報も心づもりも何もないんですよ。ましてや、焦点となる日本の農業をどのようにしていくか、全くビジョンも具体策も見識もないんですよ。これ以上議論をする意味があるんでしょうか。

中井委員長 委員長にお尋ねでございましたからお答えいたしますが、災害対策を含めて、お互いかみ合ったいい議論をしていただいていると思っております。

 小里さんの農業に対する見識、深く敬意を表しますと同時に、足りないところをどんどん委員会の質疑で御指摘をいただくというのがいいんだと私は思っています。

小里委員 このままでは議論に値するような材料が全く政府から出てまいりません。ぜひ、今後はそこをしっかりとわきまえてお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて小里君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 この委員会に所属して四年目になりました。毎年の委員会で、子供たちが親の経済的理由によって学業に専念できない、そういう事態にならないようにという観点から質問をさせていただいております。

 きょうは最初に、去年、民主党政権になって、いわゆる高校無償化法案が成立しました。その過程の中で、この予算委員会、そして文部科学委員会の中で、文部科学省の方で、二〇〇九年の十二月十六日、高校授業料の実質無料化に合わせて特定扶養控除の圧縮を実施した場合に、無償化実施前と比べて各家庭ごとにどの程度得をするのかという試算を公表されました。

 お手元に資料を配っておりますが、資料一の色がついていないところ、公立の全日制、一番下の私立というところ、白色の部分、ここはずっと横を見ていただきますと、どの所得層でもプラスになっています。ここがこれだけ得するんですよということで、文科省の方で発表されたんですが、実は文部科学委員会の審議の中で、今お隣にいます中川正春さんが副大臣だったんですが、負担増になる世帯があるというのが出てきました。

 それはまず、子供さんが高校に通っていないケースということで、通学も就労もしないで親族に扶養されている約一万六千人の世帯は負担増になるんだということが審議の中で出てきました。これは政府税調の中でもお話が出たようですが、実は、これだけではなくて、ほかにも負担増になるんだという世帯があるということが文部科学委員会の審議の中で明らかになってきました。

 それは資料六、資料の一番後ろに、皆さんのお手元に配らせていただいておりますが、高校に進学も就職もしていない子供、これは平成二十二年度の学校基本調査ですが、一万六千九十七名。定時制に通う子供さん、十一万二千四百八名。通信制に通う子供さん、八万六千八百四十三人。特別支援学校、国立が千二百九十八人、公立が五万四千八百八十六人。実は、この世帯が全部負担増になるんですね。

 一枚目にちょっと戻っていただきたいんですが、一枚目の淡い、ちょっとピンク色がかった色がついている部分ですけれども、ここの世帯が全部負担増になるという。

 ちょっと閣僚席にないようですから、委員部、資料を配ってもらえますか。

 ここの世帯が全部負担増になるんだということが委員会の審議の中で問題になりました。当時の大臣、中川副大臣初め皆さん、やはりこれは問題だということで、どうにかしなきゃいけないというような議論になりました。制度設計の際には、多分ここが抜け落ちたんですね。特定扶養控除の加算分を縮減しようということは最後の方に出てきましたから、抜け落ちていた。ではこれをどうするんだということで、文部科学委員会の中でも議論になりまして、きちんとしますというふうに大臣初め中川副大臣も言われていました。

 高木大臣、結局どうなりましたか。

高木国務大臣 富田委員にお答えいたします。

 委員もたびたびこの件については取り上げられておることは、十分承知をいたしております。その上で、私どもとしましても、国会の議論を踏まえて、最善の取り組みをさせていただきました。

 特定扶養控除の見直しに伴って、現行よりも負担増となる家計あるいは低所得者の家計に対しましては、各都道府県に設置をされておる高校生修学支援基金を活用して、修学に支障が生じないように必要な措置をとることにいたしました。

 具体的には、奨学金事業を実施する都道府県に対しまして、まず貸与要件の緩和、そして貸与額の増加、これを図る。それで、将来においても、経済的な理由によって奨学金の返済が困難な者に対する返済の猶予やあるいは減免措置を整備するように要請をしております。このような措置を講じた場合に、高校生修学支援基金からの取り崩しが可能な措置を講じることにいたしております。

 いずれにいたしましても、教育に対する額を増額したり、あるいは将来の不安を解消する措置について、奨学金の利用を促進できるように、我々としては、これまで以上に趣旨を十分踏まえながら検討してまいりたいと思っております。

富田委員 今の大臣の答弁は、現状では大臣はそう言わざるを得ないんだと思うんですが。

 資料の五枚目をちょっと見ていただけますか。これは、文科省の二十三年度概算要求のときの要望額の一枚紙であります。ここで、「高校生への支援」ということで一番左側にポンチ絵がありますが、「百二十二億円(新規)」として、「給付型奨学金事業の創設」というのが書いてあります。今大臣が言われた、低所得世帯の生徒への支援と特定扶養控除見直しに伴って負担増となる生徒への支援。

 文部科学省としては、この給付型奨学金を導入することによって、負担増になる世帯を救おうというふうに考えていたわけですね。これは、昨年の文部科学委員会の審議の中でも私たちの方から要望しました。当時の川端大臣も、この給付型奨学金で負担増になる世帯の穴埋めをきちんとするんだというふうに明確に答弁されています。中川副大臣も明確に答弁されました。それで、要望額として百二十二億、要望してくれたわけですね。

 資料の五の前の三と四を見ていただきたいんですが、実は、麻生内閣で、二十二年度の概算要求のときに同じように給付型奨学金を四百五十五億円要求したんですね。ところが、政権交代で残念ながらこれは一たん白紙に戻って、次に資料四を見ていただきますと、平成二十二年度概算要求額百二十三億円、額も対象もかなり減って、去年も出たんですよ、おととしから去年にかけての平成二十二年の予算編成。そのときも、この百二十三億円については、民主党政権はゼロ回答でした。

 今回、一億減らして、少しでも通しやすいようにという配慮だと思いますが、新規事業ということで給付型奨学金の要望が出たのに、残念ながらゼロ回答でした。

 野田大臣、何でゼロ回答なんですか。

野田国務大臣 資料五の平成二十三年度の要望で、枠としては新しい公共の担い手育成というプログラムの中で、これは高校生から大学、大学院生までの支援というトータルな中で、富田さんおっしゃったように、給付型奨学金事業の創設、項目としては出てまいりました。

 これは要望なわけですので、評価会議にかかりました。評価会議にかかった中で、評価がCという形になりまして、全体的には予算がとりにくい状況の中での判断をしたということでございます。

富田委員 大臣にそこで頑張ってもらいたかったんですけれどもね。

 実は、民主党政権になってつくった平成二十二年度の税制改正大綱の中にこういうふうに書いてありますよね。「教育費等の支出がかさむ世代の税負担の軽減を図るために創設された十六歳から二十二歳までの特定扶養親族を控除対象とする特定扶養控除については、二十二年度において、高校の実質無償化に伴い、十六歳から十八歳までの特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(二十五万円)を廃止することとします(平成二十三年分からの適用となります)。」というふうに書かれた後ろに、「これらの見直しに伴い、現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」とわざわざ一行書いてあるんです。皆さんが決めたんですよ、民主党の皆さんが。

 こういうふうに税制改正大綱でちゃんと対応しますと決めた上で、委員会の答弁でも、大臣、副大臣、そして当時、野田さんは副大臣で、私がお呼びしていて、通告外でしたけれども、これはどうですかと聞きましたよ。覚えていますよね。うなずいていらっしゃるから覚えている。(発言する者あり)覚えているというやじが出ました。

 そのときに、野田財務大臣、当時副大臣でしたけれども、野田さんはこういうふうに答えていました。「この負担、影響が出てくるのは平成二十三年の末、年末調整のころでございますので、そのころまでに関係省庁と協議をして、その適切な対応の中身を決めていきたいと思います。必ずしも、それが、だから税であるのかそうでないのか含めて検討をさせていただきたいというふうに思います。」と。私は、文科省の邪魔はしないでくれと申し上げましたよね。ヒールになっているけれども、そう扱わないでくださいというふうに当時、野田さんは答えられていました。

 税制改正大綱で決めて、委員会で約束して、それでもできないことがあるかもしれない。でも、我々公明党がこの法案に賛成するのに、民主党の皆さんといろいろ協議しました。修正できないかということで協議しましたけれども、修正の部分は三年後の見直ししか入れられませんでした。でも、附帯決議の中にこれを入れるから何とか賛成してくれと言ったのは、民主党の皆さんなんですよ。何でそれが政策コンテストでCだったからだめになるんですか。私には全く理解できない。

 附帯決議にはこう書いてあります。「教育の機会均等を図る観点から、奨学金の給付に係る制度の創設その他の低所得者世帯の高等学校等における教育に係る経済的負担の一層の軽減を図るため、必要な支援措置を講じること。」第五項には「特定扶養控除の見直しに伴い、現行よりも負担増となる家計については、適切な対応を検討すること。」これは本当は修正して条文に入れたかった。ただ、条文になじまないということで附帯決議になったんですよ。

 民主党政権というのは、本当に困っている人たちに冷たいですよね。高校で特別支援学校にお子さんを通わせている世帯というのは本当に大変ですよ。小中学校は今は普通学級に行かせて、お母さんが一緒に行ったりして、近くだから行けるけれども、特別支援学校は本当に遠い。どういうふうに送り迎えするか、親御さんたちはそういう思いの中で高校に行かせているわけですよね。何でその世帯が民主党政権になって負担増にならなきゃならないんですか。おかしいでしょう。冷たいですよ。

 総理、私、こういうところを総理や官房長官が目配りして、これは百二十二億ですよ、百二十二億。総理、四百億、科学技術、リーダーシップをとってやりましたよね。総理の出した四百億というのは、実は、平成二十二年の当初予算で経済危機対応・地域活性化予備費一兆円だったのが、この予算案では八千百億になっている、四百億、総理の指示でここから移した。一兆円がなぜ八千百億になるのかといったら、千五百億、子ども手当のつなぎ財源に使っているでしょう。だったら、百二十二億ぐらいここから出したらどうですか。

 総理、どうですか。

菅内閣総理大臣 今、富田議員からの御質問、私も聞いていて、言われていることは大変筋が通っていることだと思いました。何らかの形で、高校修学支援基金の活用という形で対応をされるものと私は理解をしております。

 そのことについて、少し細かいことはそれぞれの担当大臣にお聞きをいただきたいと思っています。

富田委員 総理、今のじゃだめなんですよ。甘いんだよ、みんな。

 高校生修学支援基金というのは都道府県事業なんですよ。だから、大臣はよくわかっていて、要請していますと言ったんですよ。指導もできないんですよ。だから問題なんですよ。文科省はいろいろ考えて、何とかこれで救えないかと考えてくれて、今そういうふうに財務省と多分協議をしているんです。でも、これじゃだめなんですよ。給付型の奨学金は出せない。貸与型なんですよ。本当に困っている家庭の方がこんなものわざわざ借りますか、後で返さなきゃならないんだから。

 文科省はいろいろ考えて、最後に大臣はおっしゃってくれたけれども、猶予して免除する、そういう道筋も描いてくれているんだけれども、都道府県事業だから、そのとおりになるかどうかは都道府県の判断なんだ。国では決められないんだ。国で決められるのは、この百二十二億の給付型奨学金をつくることだけなんだ。だから、どうにかしましょうと提案しているんですけれども、総理、もう一回、どうですか。

野田国務大臣 副大臣のときに申し上げたのは、負担増になるところについては税制改正大綱に基づいて適切な対応をとるというのが私の答弁の趣旨でございました。

 今回の文科大臣の御説明は、私は適切な対応だというふうに思っているわけですが、富田さんおっしゃったとおり、高校生向けの支援というのは基本的には都道府県なんですね。それに対してどうやって国が支援をするかという枠組みを今議論しているところでございまして、当面はこれは私は適切な対応だと思います。

 民主党のマニフェストではなくて、インデックスでしたか、いわゆる議論の集大成のものでは、二〇〇九年のところに、検討項目として、奨学金を給付型に移行することについて検討することになっています。これを引き続きちょっと検討させていただきたいと思いますのは、貸与型のメリットと、デメリットもあるかもしれません。それと、公平性とのバランスであるとか、あとは、何よりも厳しい財源状態の中でどうやって公的な支援をだれに行っていくか、そういう議論を引き続き詰めさせていただければなというふうに思っております。

富田委員 民主党のインデックス二〇〇九を出されたので、そこにこう書いてありますよ。「人的控除については、「控除から手当へ」転換を進めます。」これはずっと皆さんが言われていますね。「子育てを社会全体で支える観点から、「配偶者控除」「扶養控除」は「子ども手当」へ転換します。」この扶養控除のところに括弧をつけて、わざわざ「一般」と書いてある。「一般」で丸した後に、「高校生・大学生等を対象とする特定扶養控除、老人扶養控除は含まない。」とわざわざ書いてある。これは含まないと言っていたのに、含めたんですよ、去年。(発言する者あり)中川さんがやったというわけじゃないんだけれども。

 実は、私が尊敬する中川さんは、当時、文科副大臣として政府税調に出て、こういうふうに言っていますよ。総選挙で高校生以上にはお金がかかるから特定扶養控除には手をつけないと説明してきた、その辺の議論なしに出てきたのは問題だというふうに、やはり中川さんは一番よくわかって指摘しているんだよ。

 もう一人、私の尊敬する渡辺周総務副大臣、見直しをやるなら参議院選のマニフェストで国民に言ってからでないと、だまし討ち的なやり方になる。このお二人は本当に立派だなと思います。民主党の中にも本当に尊敬できる議員さんがいらっしゃると思います。

 それを押し切ってやったんですよ、民主党政権で。それで負担増の、本当に困っているのに頑張っている、定時制や通信制や特別支援学校に行っている子たちに、都道府県でやってくださいと言うのは、幾ら何でも冷たいんじゃないですか。今すぐできないでしょうけれども、ぜひこの予算審議の中で検討していただきたいと思いますし、高木大臣が本当に頑張っていらっしゃるのはよくわかりますから、野田さんももう少し配慮していただいて、総理のリーダーシップで、たった百二十二億ですよ、皆さんの九十二兆円の予算からしたら。ぜひお願いしたいと思います。

 時間がありませんので、次に、ちょっと子ども手当の問題点についてお尋ねしたいと思います。

 先ほども田村議員の方からお話ありましたが、追及しないで終わっちゃったので、ちょっと聞いていて残念だったんですが、細川大臣、子ども手当の地方負担を拒否するという地方自治体がいっぱい出てきていますよね。私は千葉県なんですが、千葉県の三十六市長会が、やはり反対の声明を出すというふうに先週市長会の会合で決められました。政令市の千葉市の市長は国費でやれ、浦安市の市長も国費でやれというふうに言われています。

 政令市、千葉市の熊谷市長は、民主党の市会議員さんから民主党推薦で市長になった方です。こういう方が、やはりこれはおかしい、何でこんなことをやるんだということで、彼がその市長会で言われたのが出ていましたけれども、地域主権と言っている民主党が何で地方に何の相談もしないでこんなことをやるんだというふうに熊谷市長は言っているんですね。

 あと、神奈川県の松沢知事が意見書を出しました。政府の方でこれに対する答弁を考えているようですが、松沢さんからちょっと意見書をもらって、この委員会で使っていいかとお尋ねしましたら、ぜひ使ってくれという話でしたので、松沢さんの意見書をずっと読んだんですが、細川大臣、松沢さんたちがなぜ反対しているか、理由わかりますか。大きく分けて二つ理由を挙げているんですけれども、どうですか。

細川国務大臣 二つ大きな反対の理由がございまして、一つは、全国一律の現金給付については国が全額負担すべきだ、こういうことが一つです。それから、昨年度についての全額国庫負担、初めはそういう方針で子ども手当をやるんだというようなことで始めたのが、途中で地方も負担をする、こういうことになった、そのときに十分な説明も何もなくて国の方が勝手に決めたんだ、これが二つの理由だというふうに思います。

富田委員 ほぼそのとおりなんですが、松沢さんたちの文書を読みますと、これはもともと民主党政権で国の政策として打ち出したものだろう。今、児童手当の上乗せみたいになっていますが、児童手当は、昭和四十二年に千葉県市川市等の自治体の事業から始まったんですね。我々公明党の先輩が取り上げて、四十六年に児童手当法ができて、四十七年の一月から国の方から支給されるようになりました。拡大をしてきて今の規模になって、そこに今度子ども手当が乗ってきたわけですよね。

 去年の衆議院の本会議の質疑等で、谷垣自民党総裁の質問に答えられて、鳩山総理はこういうふうに言っているんですよね。児童手当は、子供が育つ家庭に着目をして、所得制限を設けた上で、子供の年齢や出生の順位によって手当額に差異を設けるもの、子ども手当は、子供に着目をして、子供の健やかな育ちというものをひとしく社会が支援するという観点から所得制限を設けずに、子供の年齢や出生の順位にかかわらず一律の手当額を支給することとしていると言って、「両者はその趣旨、制度の内容が異なっている」というふうにわざわざ答弁されて、この予算委員会で私が聞いたときも同じように答弁をされていました。本来、制度趣旨、制度設計が違うものが、今くっつけてやっているわけですよね。

 きのうの細川大臣の武正さんの質問に対する答弁を聞いていると、何となくずっと児童手当法がそのまま残っていくんだみたいに私には聞こえたんですね。毎年の時限立法で出してきていて、これは本当にずっと続けるんですか。児童手当法が残る限り、児童手当法の中には地方負担分は書いてあるんですよね。でも、子ども手当は、今、鳩山さんの発言を紹介しましたように、制度趣旨が違うんだから、いつまでも児童手当の上に乗っかるというのはおかしいんじゃないですか。恒久法をつくる気があるんですか。

 まず、その点をお聞きします。

細川国務大臣 二十二年度も単年度ということでありまして、二十三年度、来年度も一応単年度ということになっております。それは、どうしてそうなったか。

 私どもとしても恒久法的に法案をつくりたかったのでありますけれども、私どもは控除から手当へという考え方で扶養控除を廃止していったところでありますけれども、それによりまして地方の収入が非常に多くなってまいります。その収入が多くなるのが二十四年度、二十五年度、こういうふうになっておりまして、私どもとしたら、控除から手当へというような、そういう精神で制度設計をいたしておりますので、その控除から手当へと、そのことで地方の収入がふえた場合に、その地方のふえた分についてどのような子供の支援のために使わせていただけるか、こういうことについて地方の皆さんともしっかり相談をしてから決めなければいけないということで、来年度のあれは一応単年度ということに決めさせていただいたわけでございます。

 したがって、二十四年度の子ども手当の法案をつくるときには、地方の皆さんとしっかり協議をして決めていく、こういうこともあらかじめ決めておるところでございます。

富田委員 いや、全然わからないよ。何言っているんだ。恒久法をつくる気がないのかなというふうに受けとめられますよ、今の答弁は。

 それは、所得控除の部分がどんどん圧縮されてきますから、地方税の方で地方の取り分がふえるというのはわかりますけれども、四大臣合意、五大臣合意で、調整すると書いてあるじゃないですか。要するに、巻き上げようということでしょう。地方はそれをすごく不安がっているわけですよ、負担調整すると書いてあるんだから。おととしの四大臣合意、去年の五大臣合意にちゃんと書いてあるじゃないですか。地方はちゃんとそういうのを見ているんですよ。

 民主党の考え方というのは、今のような大臣の考え方でいいんですか。私、ちょっと違うんじゃないのかなと思う。そもそも違っていたんじゃないんですか。(発言する者あり)今のやじは、ちょっと私も反論したいんですが。

 昨年の二月九日の予算委員会で、当時の総務大臣原口さんが、私が、千葉県野田市の根本市長が児童手当の負担分があったら野田市のいろいろな子育て支援全部できるんだというふうに言っているという話を紹介させていただいたら、それに対してこういうふうに言っていますよ。

  大変大事な御指摘だと思います、その野田市長さんのお考え。

  私たちは、基本的に、現金給付は中央政府、それからサービス給付は地方政府。今おっしゃるように、地域の実情、子供たちの実情をわかった人たちがサービス給付をすべきだ、だから、そこをチェンジしようとしました。

  今回はそこまでいきませんでしたけれども、四大臣合意において、地域主権戦略会議において、補助金の一括交付金化や地方が主体的に実施するサービス給付等に係る国と地方の役割分担、経費負担のあり方の議論を行い、その見直しを行うということになっていますので、次の年度は、ぜひ野田市長さんのおっしゃるような形で制度設計をしていきたい、こう考えています。

原口さんはこうやって考えていたんですよ。片山さん、変わっちゃいましたか。

片山国務大臣 基本的に、原口前大臣のお答えになったことはそうだろうと思います。ただ、そうなるためにはやはり幾つかの問題を克服しなきゃいけないと思います。先ほど議員の方から、細川大臣の答弁について御批判もありましたけれども、基本的には、私、細川大臣のおっしゃっていることも、やはり我々としては理解しなきゃいけないところが多いと思います。

 といいますのは、控除から手当へということで、所得税法の改正もしましたけれども、地方税法の改正もして、それによって、所得税法の改正によって地方交付税がふえる分があります。それから地方税法の改正によって住民税がふえます。この増収分をどう考えるかということなんですけれども、恐らくこれは、当時の立法者、国会の意思は、地方財政を豊かにしようということでは多分なかったと思うんです。やはり控除から手当へということで、何らかの形で子ども手当の創設に伴って必要な経費を賄おうという意思が多分あったんだろうと思うんです。それをどういうふうに具現化するかということで今、実は呻吟しているわけです。

 簡単に言えば、子ども手当の中で地方費を明確に位置づけるということも、これは理論的にはあり得るんです。ただ、これはもう現下の情勢で、多分、地方団体はノーと言うと思います。ならば、これをどこかで調整しなきゃいけない。これがさっき言われた四大臣合意の中の負担調整ということで、この負担調整をするには、では、どこでどうすればいいのか、実はここは非常に重大で、かつ難解な問題でありまして、これに今、苦吟しているということであります。

 二十四年度になりますと、地方税の増収もこれからどっと出てきますから、それまでには早急にこれを解決しなきゃいけないと私も思っております。

富田委員 片山さんは全部わかった上で何かごまかしの答弁しているなという印象しかないんですね。

 先ほど細川大臣に、地方団体が何でこんな反対しているんだという理由を二つ言っていただきましたけれども、松沢知事とか浦安の松崎市長たちは、手続違背だということを言っているんですね、明確に。地方財政法の二十一条で、地方公共団体の負担を伴う法律案については、総務大臣の意見を聞けというふうに一項であります。その際に、総務大臣は、地方財政審議会の意見を聞けというふうに規定されています。この手続をとっていないんじゃないかという、手続違背があるというふうに松沢知事や松崎市長は言っているんですね。

 きのう、質問レクの際に事務方から聞きましたら、いや、ちゃんとやっているんですというような言い方をされていました。これは、地方財政審議会が先に意見を出して、その後、四大臣合意、五大臣合意があって閣議決定になっているので、順番が逆に見えるから、多分、知事や市長から見たら、意見を聞いていないじゃないかというふうに思われてそういう意見書になっているんだと思うんですが、実は、地方財政審議会の意見の中にきちんと書いてあるのに、それをやらないのは民主党政権なんですよ。

 ぜひ後で見ていただきたいと思いますが、二十一年十二月十八日の地方財政審議会「地域主権型地方財政のあり方及び平成二十二年度の地方財政についての意見」には、「地域主権の範としての子ども手当等」という項目を設けて、「地域主権の実現の観点からも試金石となるものであり、将来に禍根を残さないためにも、目指すべき地域主権の範たるものとなるよう制度設計を行うべきである。 これらの施策は、国の政策として打ち出されたものであり、行政責任明確化の観点からは国が責任を負うべきものである。」と明確に書いてあるんです。これがあるのに、民主党政権はやらなかった。

 それで、もう一回、地方財政審議会は平成二十二年の十二月十三日にまた意見を書いています。「原則に従った子ども手当に」という項目を設けて、「本来、現金給付は中央政府が責任を持ち、対人サービスの給付は地域の実情にあわせて住民に近いところで決定・実施するという役割分担を原則にすべきである。 この原則を当てはめれば、子ども手当は地方自治体に裁量の余地のない画一的な現金給付であるから、国が全額負担すべきである。」こういう原則を地方財政審議会が明確に書いているのに、民主党政権はこのとおりやっていない。これをどういうふうにしていくかという問題があるということを指摘して、遠山さんに質問を譲りたいと思います。

 引き続き、この質問をさせていただきたいと思います。

 また、質問通告していたのにできなかった大臣、申しわけございませんでした。後の機会にまたやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて富田君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 私、質疑時間が二十分ちょっとでございますので、総理を初め閣僚の皆様には、簡潔な御答弁をよろしくお願いいたします。

 まず、菅総理大臣にお伺いをいたします。

 昨年の十一月にこの委員会に立たせていただいた際に、私は、沖縄県の名護市長御一行が上京された際に政府の政務三役はだれも会わない、民主党の執行部の方もだれも対応されなかったということを取り上げまして、もう少しというか、もっと地方の声に耳を傾けていただくように総理にお願いをいたしました。総理は、丁寧な反省の弁を述べられまして、私の記憶では、民主党、与党全体として、また政府として地方の声に真摯に耳を傾けて誠実に対応されるという御決意を披瀝されたわけです。

 二十三年度の予算審議に当たりまして、やはりこの予算案も地方の国民生活に大変重要な案だというふうに私も認識をしておりまして、まず総理から、簡潔に、総理の地方に対する政治姿勢ということについて伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 昨年の遠山さんからのその御質疑、私もよく覚えております。当時、大変不十分な点があったということで反省を申し上げ、その後については、私自身もできる限り、そういう機会には、時間がとれるところはとるように、また、それぞれの省庁で政務三役ができる限り地方の声を受けとめるような形で対応するようにということを、たしか閣議でも申し上げ、そういう姿勢で努めてきたつもりであります。

遠山委員 今そういうお話の後で申し上げにくいわけでありますが、お配りをしております資料一と二を見ていただきたいと思います。

 本年の一月十四日に沖縄県の石垣市で、「尖閣諸島開拓の日を定める条例」制定記念式典というものが開催をされました。資料二を見ていただきますと、条例、三条しかありません。中身は簡単な、シンプルなものでございますが、明治二十八年一月十四日に、当時の日本政府の閣議決定によりまして、尖閣諸島を我が国固有の領土として編入した日でございまして、その日を開拓の記念の日と定める条例が石垣市議会で制定をされまして、その式典がことしの一月十四日に開かれたわけでございます。

 私も、公明党を代表して出席させていただきました。たちあがれ日本から平沼代表、自民党から下村衆議院議員と島尻参議院議員、そして、みんなの党から柿澤衆議院議員と出席をしておりました。祝辞をそれぞれ述べたわけでございます。

 そして、出席者を出さなかった政党からも祝電が届いておりまして、それはすべて式典の中で紹介をされたわけでございますが、この式典に参列した方、恐らく全員驚いたことに、政府・与党、民主党から出席者もなく、祝電もない。言いかえれば、完全無視の状況であったわけでございます。

 民主党は、この石垣市を地元に含む沖縄第四選挙区で当選をされた代議士の方もいらっしゃいますし、その方から出席も祝電も何もない。党本部に、これは石垣市長の中山市長に私は確認をいたしましたが、岡田幹事長あてに正式な招待状を市長から出している。にもかかわらず、全く何もない。

 これは沖縄の石垣市の式典の話で、政府の皆さんから見たら小さい話と思われるかもしれませんが、去年あれほど注目された尖閣諸島を持っている石垣市の公式の行事でありますし、また、市議会で制定された条例で、中身も資料二のごらんのとおりの中身で、何ら政府にとっても問題がない中身だと私は思いますけれども、そこに祝電も出席者も何も出さないというのは、小事が大事という言葉もありますが、私は、先ほど菅総理は、反省されて地方を大事にしますとおっしゃっていましたけれども、だれのミスかは私あえて問いませんけれども、こういう小さなところにも、参列者はみんなあきれていましたよ、完全無視かということで。

 ですから、これはちょっと時間の関係で、答弁は要りません。こういうことがあちこちでもしあったら、本当に総理が言っている言葉は空虚に響きますよということでございます。それで、では、一言どうぞ。

枝野国務大臣 御指摘を受けまして、党側にも確認をいたしましたし、私も一月十三日まで党の幹事長代理でございましたが、幹事長あるいは党本部で招待状を受領したということは確認されておりませんし、また、党の沖縄県連の方でも案内状の受領は確認されておりません。

 お出しになったというふうにおっしゃっているということも聞いておりますが、党本部、沖縄県連とも案内状の受領が確認されていないというその理由はわかりませんけれども、少なくとも、意識的に、こちらの方で御案内をいただきながら無視をしたというものではございませんので、その点については御理解をいただきたいというふうに思います。

遠山委員 官房長官、私、石垣市長から招待状の送付リストをもらっております。そこに岡田幹事長のお名前、明確に党本部の住所つきで書かれておりましたので、もらっていないとおっしゃるわけでございますから、確認をさせていただきまして、今の事実が虚偽だった場合にはもう一度謝罪を正式に求めたいと思いますが、その点だけ。

 次の質問は、これは総理の、まさに私は、地方重視どころか、地方無視の姿勢の最たることだと思っておりますが、長崎県の諫早の干拓事業に係る訴訟につきまして、地元長崎県、諫早市、雲仙市が、この控訴審の判決が出ましたが、最高裁にぜひ上訴してもらいたいと言っている中、菅総理は上訴断念の決断をしたということでございます。

 総理、重々御承知でしょうし、後で農水大臣にいろいろお伺いしますけれども、農水大臣が、一月二十三日、諫早市にみずから赴かれて説明をされた中でも、たしか農水大臣みずから御説明があって、農水省としては、農水大臣御本人としても、上訴するように総理にお願いをしたけれども、総理の決断で上訴を断念した、こう農水大臣もおっしゃっているわけですから、これは事実だと思います。

 まず総理にお伺いしたいのは、なぜ、これだけ地元が反対をする、農水大臣も反対をしている中で、この開門を命ずる判決を確定させる上訴断念という決断をされたのか、その経緯と理由を具体的に、そして簡潔におっしゃってください。

菅内閣総理大臣 この国営諫早湾干拓事業は、かなり古い歴史がある中で、私がかかわりを直接的に持ったのは、たしか一九九九年、いわゆるギロチンと呼ばれたあの外受け、潮受け堤防の閉鎖事業のころからでありました。何度も現地に足を運び、また、その間、長崎に限りませんが、福岡、佐賀、いろいろな地域の皆さんから、ノリの被害とかいろいろな漁業被害についてもお話を聞いておりました。

 そして、私が総理になった後に、この幾つかの裁判の中で、今御指摘のような、地裁、高裁で、開門して調査するようにという趣旨の判決が出されたわけでありますが、それを上告するかどうかということの判断の中で、それぞれ、農水省はもともとこの事業を推進する責任の立場でありましたので、ある意味、その立場から裁判に対応していたわけですけれども、その判断も含め、また、他の原告の判断あるいは他の自治体の意見も、私なりにはそれ以前から承知をしておりましたし、また、私自身の何度か足を運んだことの知見も含めて協議をした中で、最終的には総理の判断ということになって、私が最終的に、上告をしないという、そういう判断を下したところであります。

遠山委員 総理、全然納得できないんですよ。

 今お話しの中で、他の原告とか他の自治体の方の意見も聞いたとおっしゃったけれども、今回の開門で一番影響を受ける地元は諫早市じゃないですか。諫早市の住民の方々とか長崎県の方々は、私も先週ですか知事さんとお会いしましたけれども、上告断念という重大な決断をする前に相談を受けていないんですよ、決断された話を聞いてもらっていないんですよ、総理から。そこが私は一番の問題だと。それは、技術的なお話をこの場ですれば、相当時間をかけてやらなきゃいけないわけですけれども。

 それで、ちょっと農水大臣、その技術的な問題も含めて、責任者でございますので伺いますが、まず、なぜ鹿野農水大臣ともあろう方が、総理の決断とは本当は反対の立場で、官邸かどこか知りませんけれども総理とお話しになったのに、その方針を貫かずに翻意されたんですか。

 私は、農水大臣を大変尊敬しております。あの一月二十三日、諫早にみずから行かれて、そして地元の方々に、こういう表現を使っていいのかわかりませんけれども、突き上げられて、私も、大臣が意見交換会をやられた様子、全部記録を読みましたよ、テレビでも報道されていましたけれども、大臣にとっては大変痛々しい会合だったと思います。つらい会合だったと思います。

 でも、それは、大臣も現地へ行かれたから肌身でわかっておられるでしょう。大臣がしゃべっている最中も、長崎をなめとるんやとか、そういうやじがずっと飛んでいたじゃないですか。それはなぜかといったら、総理、総理がおっしゃった、ノリの問題とか有明海全体の漁業の影響の問題とか自然環境の問題、いろいろな要素があるんです。しかしながら、地元の人たちが今一番怒っている理由は、地元の意見を聞かずにあの決断をしたということなんです。

 いや、総理、ちょっと待ってください、後でもう一回聞きますから。

 農水大臣、何で総理を説得できなかったんですか。どうぞ。

鹿野国務大臣 地元の方々に、今先生言われたとおりに、何の話もなしに決断をしたということに対しましては、私も、長崎県の知事初め関係の皆様方に、まことに申しわけございませんでしたと、このように陳謝をしたところでございます。

 なぜ総理を説得できなかったかということでございますけれども、基本的に、開門のことにつきまして、高裁判決が出た後にいろいろ農林水産省としても検討したところでございますけれども、最終的には、開門の方法なりあるいは時期なり期間なりというふうなものについて、防災上あるいは営農上、また漁業への影響というふうなものを十分配慮して関係者との間の話し合いを行う、これが一つ。それからもう一つは、今日やっております環境アセスメントを行った上で万全の事前対策を実施する、こういうことを前提として進めていくということが確認ができましたので、私としては総理の方針に従うということにいたしたところでございます。

遠山委員 農水大臣、今、開門の期間とか方法とか時期等についていろいろと対応したいということなんですが、ちょっと昨年の十二月六日の福岡高裁の判決から抜粋して、一番大事なところを引用しますが、判決の確定から三年を経過する日までに、防災上やむを得ない場合を除き、北部及び南部排水門を開放し、以後五年間にわたり開放を継続せよということを命じている判決ですね。

 これ、司法の判断でしょう。しかも、総理が上訴を断念しましたから、確定しちゃったんですよ、控訴審の判決が。これが確定したんです。だから、命ぜられているわけです。もうやらざるを得ない。

 だけれども、今の御答弁を聞くと、あたかも、何か開門の前にいろいろと政府が工夫して地元住民のいろいろな不安に対応できるかのように言っていますが、そもそも、判決が確定した後に、政府として何か重大な変更をする余地というのはあるんですか。どうぞ。

鹿野国務大臣 このことにつきましては、先生御承知のとおりに、実は高裁判決の主文に、常時開門及び例外として閉門が認められる、それは防災上やむを得ない場合という内容が盛り込まれているわけです。

 防災上やむを得ない場合というのは、実は、詰めていきますと、非常に不明確なんであります。そういうことで、三年以内にもう開門しなさいということを命ぜられておるわけでありますけれども、防災上やむを得ない場合はどうなのかということも含めて、これは、防災上の影響なりというふうなものは当然そういう中で検討していき、そして、いつの時点で、どれだけの期間、どういう方法でというふうなことは、当然、今後話し合いをさせていただく中で決めていかなきゃならないことではないかな、こんな考え方に立っているところでございます。

遠山委員 農水大臣、今のようなことをおっしゃるなら、上告すべきだったんです。上告して、裁判の場でそれをおっしゃればよかったんです。

 今回の判決文の一つの大きな問題点は、今、大臣がおっしゃったところでしょう。防災上やむを得ない場合というのは一体どういうときを言うのか不明確だから上訴すべきだと農水省は判断して、総理に進言したはずなんです。

 それで、総理、もう時間が大分なくなってきましたから、本当は高木文科大臣にも一言、私と同じ立場だと思いますから伺いたかったんですが、ちょっと時間がないのでお聞きしません。

 総理、この農水大臣との意見交換会には、調べたら、民主党の長崎県選出の国会議員もたくさん出ているんです。その場にいたんです。それで、読んでいましたら、後ろの方で、大久保潔重参議院議員が立ち上がって、たまらなくなって発言しているんですね。こういうことを言っています。「先般も党」、民主党ですね、「党の両院議員総会で私は総理に意見を述べたわけですね。あれだけ諫早干拓事業に思い込み」、思い込みと言っていますよ、総理のことを。「思い込みを持った総理が、私の質問と意見に対して全く答弁がなかった。大変残念でたまりません。仮に、そんなローカルの個別の案件に答えられるかというような姿勢であれば、これはとんでもない話であります。」と民主党の参議院議員が言っているんです。「私は、地元の選出の国会議員として、一人たりとも生命と財産を脅かすわけにはいかないということで申し上げました。 さらに、今ありましたように、独断の判断だというふうに聞いております。」独断というのは、総理の独断だと言っているんですよ。だれにも相談しない。「そこに今の政権に対する国民の皆さんのやはり不信、不安というのがたくさんつのっているわけであります。ぜひ、農水大臣、戻られましたら、必ず総理にそれをお伝えください。」こう言っています。

 恐らく農水大臣は、このままは伝えられないでしょう、怒っちゃいますからね。だから、何らかの形でお伝えしたんだと思いますが、総理、これは沖縄のときも一緒じゃないですか。結局、身内の議員からここまで、不信だとか不安だとか独断だとか思い込みとか言われて、批判されている。私は、この件に関しては大久保さんは正しいと思うよ。

 要するに、難しい決断をしなきゃいけない場面というのは、私も七年間与党の一員でしたから、わかりますよ。しかし、少なくともこの開門によって、防災上、農業上、営農上、環境上、漁業上、もう資料を説明する時間はありませんけれども、つけている資料にあるように、大きな影響がある当事者の方々の意見を聞かずに決断したということが大問題だと思いますが、総理、どうぞ。

菅内閣総理大臣 まず、決断の時点のことはありますけれども、最終的に、上告期限の直前に長崎県知事初め県の皆さんが来られまして、私、直接お会いをしました。そして、知事や関係市の市長さん初め県会議員の皆さんからも御意見を聞きました。それも含めて、若干の時間がまだ上告の期限までありましたけれども、私としては、上告をしないという判断はお聞きした上でも変えるべきでないと思いましたので、そのことを伝えました。

 それから、いろいろ党の中で議論があるということは、これは各党それぞれの課題であります。

 実は、この事業は、御存じのように、一応完成しております。しかし、完成前には、二〇〇三年の当時の我が党マニフェスト、私が代表でありましたが、この諫早干拓事業そのものを中止すべきだ、そういう立場でマニフェストができております。完成した段階で、それを取り壊せといったようなことはもちろん言っておりません。もう農業の方も入植されておりますし、その方も含めて、きちっと対応をしていかなければならないと思っております。

 その上で、有明海というのは、もちろん、御承知のように、長崎県だけではなく、福岡県あるいは佐賀県にも広がる海でありまして、その中で、特に漁業被害に関しては、従来から、工事の途中からいろいろな議論があり、またいろいろな現実が起きました。私も、何度も、例えば原口議員などとともに海に出て、ノリや他の問題の被害もこの目で見て、話を聞いたことも一度や二度ではありません。

 きょうは、どこまで細かい、ここにいろいろなグラフをかかれていますが、私も、このことは相当程度、私自身、この十数年の活動の中で知っておりますけれども、そういったことも含めて、先ほど農水大臣からもお話がありましたように、決して、現実に営農している方、あるいは外受け堤防を台風が来たときに締める締めないというのは、これはそんなに時間のかかる話ではありませんので、そういう防災に関する影響等々はしっかりと考えながら、三年間という時間もありますので、地元の長崎の皆さんとも十分にお話をしたい。

 先日、私に対して質問状もいただきましたので、かなり細かい質問状でありましたが、私としてお答えをいたしているところであります。

遠山委員 もう時間がありませんので、一言だけ申し上げます。

 総理、今いろいろ具体的なことを申し上げましたが、私は、具体的なことについてもいろいろ議論をしたいところはあります。つけている資料の中に、門をあけて農業用水の代替水源をどうやって確保するのか。数百億円かけて堰をつくるのか、ダムをつくるのか、そういった問題もある。そういうことについて具体的にまだ農水省は答えを出していないわけですから、そこも含めて、また今後とも議論したいと思います。

 それから、総理、最後に一言だけ。答弁は要りません。

 農水大臣は諫早に行って長崎の皆さんに説明されました。総理も行ってくださいよ。この場所でやらないで、長崎に、諫早に行かれて、住民の方に自信を持って説明をしていただく、そういう覚悟を示していただきたいということを要望申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて遠山君の質疑は終わりました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 冒頭ではありますが、霧島山・新燃岳の噴火災害に遭われている被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 宮崎、鹿児島両県では、爆発的噴火に伴う大量の火山灰のほか、飛ばされた大きな噴石や空気振動などによる被害が日々拡大しています。特に宮崎県では、昨年の口蹄疫、今回の鳥インフルエンザ対策に追われる中での被害であり、事態は深刻です。政府においては、被災住民の健康と生活を維持する上で、災害救助法を適用すること、大量の火山灰を自力で処理できない高齢世帯への人的支援を直ちに行うことなど、迅速な対応を求めるものです。

 それでは、質問に移ります。

 昨年、日米核密約や沖縄返還交渉などにかかわる外交文書が公開をされました。公開された資料に尖閣諸島をめぐる文書があります。

 一九七一年三月二十日付、外務省アメリカ局、条約局作成の「沖縄返還交渉全般について」という文書であります。該当部分はコピーをしてお配りをいたしました。1という数字がついております。ここには、沖縄返還協定における尖閣諸島の取り扱いをめぐる日米間のやりとりの一端が記されております。当時の日本政府が、協定の附属書に経緯度線を明記することによって返還地域に尖閣諸島が含まれることを明確にしようとしたのに対して、米側は、尖閣諸島が日本領土であるとのアメリカ政府の見解に変更はないとしつつも、経緯度線で囲む方式によって協定上尖閣問題を表面化することは避けたいとの立場をとったことが明記されております。

 一九五一年のサンフランシスコ講和条約で、日本は台湾と澎湖諸島を放棄する一方、尖閣諸島を含む沖縄は米軍の施政下に置かれました。以来、尖閣諸島の五つの島のうち、久場島と大正島はそれぞれ黄尾嶼、赤尾嶼両射爆撃場として米軍に使われてきました。今も米軍に提供されたままです。

 アメリカは当時、尖閣諸島が日本領土であるとの見解を持ち、米軍の射爆撃場として使いながら、返還地域に尖閣諸島が含まれることを明確にすることをなぜ避けようとしたのか。政府は、アメリカのこうした態度をどのように評価しておられますか。

前原国務大臣 赤嶺委員から出されました資料、これは返還前のやりとりが示されたものでございます。これは委員が先ほど御提示をされたとおりでございまして、結果的に、この経緯度線で囲む方式について、尖閣諸島はすべて囲まれております。一九七二年の五月十五日に返還をされたときには経緯度線として囲まれているということでございまして、これはあくまでも交渉の途中経過の中でこういう議論があったということが示されているだけでございまして、結果としては、経緯度線にも囲まれておりますし、何よりも、これは我が国の問題として、尖閣諸島は我が国固有の領土であり、全くもって領土問題は存在しないということでございます。

 また、それを踏まえた上で、アメリカの立場については、先ほど申し上げたとおり、返還のときには経緯度線もちゃんと含まれておりますし、また日米安保条約第五条が尖閣諸島に適用されるということも、何度もアメリカは明言をしているところでございます。

赤嶺委員 私が聞きましたのは、一九七二年の沖縄返還を前にする沖縄返還交渉の中で、それまで尖閣諸島を射爆撃場として使っていた米軍が、日本の施政下に置くことについて経緯度線で明記することは尖閣諸島問題を表面化することになるといってためらった、交渉の途中経過とはいえ、そういうことがあった、それについてやはり疑問を感じざるを得ないわけです。

 これは過去の問題ではありません。昨年来、尖閣諸島の領有をめぐる問題が議論されてきましたが、こうしたアメリカ政府の態度を放置しておくべきではないと感じたのは、二〇〇三年に公開されたアメリカの外交文書、2として提出をしておきましたが、これは一九七一年六月七日付で、国際経済問題担当の大統領補佐官が当時のニクソン大統領にあてたメモであります。当時、アメリカが日本や台湾との間で進めていた繊維交渉に関するものです。

 このメモによれば、台湾との協議を前進させるためのてことして、また、これは繊維交渉に非妥協的な日本にショック効果を与えるために、沖縄返還協定において尖閣諸島の日本返還を留保し、アメリカが施政権を保持することを選択肢の一つとして検討すべきだと進言をしております。要するに、尖閣諸島の返還問題を自国の繊維産業を守るためにアメリカが利用したのではないのか。この点について、政府の見解はいかがですか。

前原国務大臣 外交交渉事ですので、さまざまな議論がなされたと思っております。しかし、その上で押さえなくてはいけないのは、まず日本の政府の固有の立場、変わらない立場であります。

 一八九五年の一月十四日に、それまでに約十年ぐらい、この尖閣諸島というものが他の外国の影響下に全くないということを慎重に調べた上で、閣議決定で編入をしているわけでありますし、先ほど赤嶺委員がおっしゃったように、サンフランシスコ講和条約においては、台湾と澎湖列島についてはこれは放棄をするということでありましたけれども、尖閣については、これは沖縄と同じような扱いをして、現に一九七二年五月十五日に日本に返還をされているということでございまして、日本の固有の領土であるということについての歴史的な立場は全く変わっておりません。

 その上で、交渉事の中でいろいろな話があったかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、一九七二年の五月十五日の時点においては、経緯度線についても、それをしっかりすべてを含めるという判断をしておりますし、現実においては、日米安保条約第五条の適用範囲に尖閣諸島は含まれるということを累次言っているわけでありますので、さまざまな今までの議論がなされたことはそれはあるかもしれませんけれども、日本の立場と今のアメリカの立場は揺るぎないものであるということでございます。

赤嶺委員 繊維交渉をしたら、それが日本側の態度を変えさせるために領土問題を持ち出してきた経過というのがこの記録にはあるわけですね。

 私があえてこういう問題を取り上げたのは、ことしは、サンフランシスコ講和条約から六十年、沖縄返還協定から約四十年。沖縄がアメリカの外交、軍事と日米安保に翻弄されてきたからです。

 日米安保には隠されたことがまだまだあります。そこを明らかにすることが沖縄問題を考える上で極めて重要だと思ったから、復帰前の返還交渉の際に、こういうアメリカの外交交渉で尖閣列島が使われていた、こういう問題について、やはり、この公開文書も含めですが、これらの問題に対するアメリカの対応を日本政府はきちんと検証すべきだと私は思います。我が国の立場に変わりないという説明だけでは納得できるものではありません。

 そこで、その尖閣諸島の問題に質問を移りますが、外務大臣おっしゃったように、私たち日本共産党も、尖閣諸島の領有権が日本にあることは歴史的にも国際法上もこれは明白だということを繰り返し主張してまいりました。同時に、この立場から、政府は、冷静な、理を尽くした話し合いによって解決すべきであり、そのことで緊張、対立関係にしてはならないと昨年来言ってまいりました。

 それで、今回の中国漁船の衝突事件から酌み取るべき教訓が、それ以外にももう一つあると思います。これは、今回の衝突事件が日中間の外交上、経済上の大きな問題に発展してしまったことです。今後、今回の事件のようなトラブルが起きた場合に、そのことで日中関係を悪化させたり緊張させないことが重要だと思います。東シナ海は、日本と中国と台湾のそれぞれの主張する排他的経済水域が重なって、なおさらそのような姿勢が大事であります。

 そこで、総理に伺いますが、日中両国政府は、二〇〇八年五月の共同声明の中で、「共に努力して、東シナ海を平和・協力・友好の海とする。」と合意しております。まさに、この合意に立って、さまざまな意見の違いやトラブルを話し合いで平和的に解決していこうという姿勢が重要だと思いますが、総理の見解をお聞かせください。

前原国務大臣 まず私から答弁をさせていただきたいと思いますけれども、日中関係というのは、その尖閣の問題で一時期ぎくしゃくをいたしましたけれども、お互いが相互互恵関係というものをしっかり築いていこうということで、今緊密な連携をとりながら関係改善に取り組んでいるところでございます。

 その中において、今おっしゃった東シナ海のみならず、やはり海洋航行の自由というものについてしっかりとお互いが議論するということが大事だろうというふうに思っております。

 ASEANのハノイの会合で、中国とASEAN各国が、いわゆる航行の自由ということでコード・オブ・コンダクトをつくっていこうということで合意をいたしまして、こういったものが普遍的に広がっていくということが我々は極めて大事だというふうに思っておりますし、先ほど委員から御指摘のありました中国あるいは台湾、そういったところとは、例えば台風が起きたときに、あるいは遭難した船が出てきたときにどうするのかというようなことも含めて、やはりお互いがしっかりと協力をするということの議論をさらに深めて協力関係を強めていくということは、委員がおっしゃるように大変重要なことである、私はこのように考えております。

赤嶺委員 総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 まさに中国と日本は一衣帯水の重要な隣国でありまして、そして今御指摘の海も、友好の海であると同時に平和な海でなければならないと思います。そういった点で、今外務大臣からもお話がありましたように、やはりこの地域で周辺国を含めてしっかりとしたルールといいましょうか、そういうものが、お互いに守るべきルールが明らかになってきて、そうした平和な海、友好の海というものが安定的な形で維持されるということが極めて望ましい、こう考えております。

赤嶺委員 私、この漁船の衝突事件が起きた後に、宮古島や八重山、石垣島など、漁民の方々からもいろいろな話を伺ってまいりました。第一の願いは、やはり平和な海、友好協力関係が果たされ、安全に漁業ができるような海にしてほしい、こういうことであります。

 排他的経済水域が画定していないもとでも、日中には漁業協定があります。それから漁場という面においても、水産庁が作成した資料を提出しておきましたけれども、八重山の人たちの漁場は尖閣の周辺ではないんですね。とれる魚は、あるいは魚価の問題や燃料の問題やその他いろいろあって、資源の枯渇もあります。尖閣の周辺よりは、やはりマグロがよくとれる尖閣の南側。いわば中国の漁船は浅い海で、そして日本の漁船は深い海でカツオの漁業をしている、そういうすみ分けもあの海にはあるわけです。何よりも、漁民が安心して漁場で操業できるようにしていただきたい。その意味で、平和な海、友好協力の海という立場は非常に大切だと思いますし、そういう立場を堅持していただきたいと思います。

 ところが、現実には沖縄を軸にした軍事力の強化が進められようとしております。

 一つは普天間基地の問題です。去年の五月の日米合意に基づいて、政府はあくまで名護市辺野古への新基地建設を推し進めようとしております。この間、菅総理を初め、前原外務大臣、北澤防衛大臣、枝野官房長官が相次いで沖縄を訪れ、県内移設受け入れを迫ってまいりました。

 もう一つは自衛隊の増強です。沖縄の南西諸島で、陸海空自衛隊の体制を抜本的に強化しようとしております。与那国に沿岸監視部隊の配備が言われ、宮古、八重山には普通科部隊、那覇基地の戦闘機は倍増、潜水艦もふやす計画です。

 総理に伺いますが、これは沖縄を米軍と自衛隊で軍事要塞化するものではありませんか。これでは、みずからアジアに緊張をつくり出すようなものではありませんか。総理、総理に聞いています。

北澤国務大臣 私の方から先にお答えをいたします。

 ただいまお話にありましたように、新しい防衛大綱をつくり、その中期防の中で、島嶼部に対する我が国の防衛体制をどうするかということは記述をさせていただきました。今、赤嶺議員が言われたとほぼ同じ体制を整えようとしておるところでありまして、一々言わぬでもいいですな。

赤嶺委員 総理、今の防衛計画大綱を含め、そして日米合意の実行を迫る今の政府のやり方は、沖縄を軍事要塞化するものだという厳しい意見も出ています。そして、それは逆にアジアとの関係の緊張を激化させるものにつながると思います。総理の御意見を聞かせてください。

菅内閣総理大臣 新しい防衛大綱では、かつてのいわゆる基盤的防衛力という考え方から、動的防衛力という考え方に転換をし、また、この南西地域について、先ほど赤嶺議員からも御指摘がありましたように、この尖閣のいろいろな課題や、あるいは一般的にも、この地域においての、より平和で友好な地域を維持していく上で我が国としてとるべき対応について考慮して、この新たな防衛大綱に基づいての幾つかの対応をしようとしていることは、御指摘のとおりであります。

 そのことは決して、私は、何かこの地域により緊張を増す、あるいはそのためということではなくて、そうならないように我が国としての対応をしていくということであって、そのことは、我が国としてのしっかりした姿勢を示すことによって、より安定的な関係が維持あるいは拡大できるもの、こう認識いたしております。

赤嶺委員 総理、沖縄本島に米軍が集中しているのは、総理もよく御存じだと思います。陸上だけではなくて、資料の6に出しておきましたが、沖縄の周辺の海域は全部、沖縄本島の面積の四倍以上の広大な海域を持つ訓練水域があります。米軍はそこで自由に訓練をしている。離島は全部射爆撃場になっているんです。尖閣列島にも米軍の射爆撃場があります。

 ここまで、これだけの軍事要塞化しておりながら、なお自衛隊を配備して、平和、友好、安全ということが言えますか。軍事的緊張を高めるだけではありませんか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 今この6の資料を見ますと、この斜線の入った部分を指しておっしゃっていると思いますが、射爆はやっておらないんです、現在は。そのことをぜひ言っていただかないと、今の話の要塞化の論理がどんどんひとり歩きしますので、米軍はそういうことはしないということでありますので、ぜひ御理解をいただきたい。

 それから、島嶼部に対するものは三千万の調査費の予算を計上して、これからしっかりと沖縄の皆さん方の御理解も得ながら検討をしていくということであります。

赤嶺委員 ちょっと北澤大臣、私の質問を先走りして何かとんちんかんな答えがありましたが、射爆撃場で射爆をやっているのは当然じゃないですか。今、斜めの線の質問をしているんじゃないんですよ。

 沖縄本島の四倍の訓練水域の中で、射爆撃場や訓練を自由にやっている。そして、尖閣諸島にも米軍の射爆撃場がある。やっているかやっていないかは別にして、ある。使うといえば使えるわけですよ。現に、ことしには使うという通知までやったわけですよ。

 そういうことがありながら、これだけでも軍事の負担は大変なのに、なおその上に自衛隊を置いたら、これは軍事要塞の島になって、沖縄は平和、友好、協力の島ではなくてアジアに緊張をつくり出す軍事の島になるではないか、こういうことを総理に申し上げているんですが、いかがですか、総理。

菅内閣総理大臣 かつて冷戦構造のときには、ソ連という国と我が国を含む西側とのいわば対立構造があって、それを念頭に置く中で、北海道などに自衛隊がかなり色濃く配備をされたわけであります。

 つまり、我が国の防衛という観点で適切に努力をするということは、私は、平和にとって資することになる。つまり、我が国はまさに専守防衛という基本原則を持っているわけでありますので、そのことで何か緊張を増すとか、何か軍事要塞化するということではなくて、我が国自身の努力として、日本の安全の上であるいは防衛の上で、必要な地域により効率的に自衛隊を配置するというのは、私は、決して平和を求めるということとは矛盾していない、このように考えております。

赤嶺委員 戦後六十五年、軍事に苦しめられた沖縄にさらに自衛隊を置いて強化することが国の防衛だと言う感覚が全く理解できません。私は、そういう自衛隊の配備を即刻中止を求めるものです。

 同時に、皆さんは口を開けば負担の軽減と言っておりますが、さっき防衛大臣が答弁しかけたところの問題ですが、訓練水域は決められていながら、それをはみ出して訓練をしようとしました。

 防衛大臣は、いや、そこはやっていません、爆撃訓練やっていませんと言いましたけれども、去年は、いわば沖縄近海のパヤオの上で自衛隊も一緒になって訓練をやろうとしたんです。漁民が抵抗してそれはちょっと寄りましたが、それでも訓練区域とは違うんです。訓練水域を縮小するのが負担の軽減だ、しっかりやりますと言いながら、実際には、訓練水域を超えて訓練をするようなことが繰り返されている。こんなことは負担の増大ばかりではありませんか。いかがですか。

北澤国務大臣 今お話しの、米軍が計画をしたということでありますが、計画は確かにありましたけれども、米軍がその演習はしなかったということであります。

赤嶺委員 それは、ことし、激しく抵抗されてそういう発表をしたけれども、しかし、米側が出した最初の航行警報、訓練水域外でもやりますというのは訂正されていないわけです。

 そういうことをこれからも、どうするんですか、やらせないということをはっきり断言できますか。

中井委員長 北澤防衛大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

北澤国務大臣 公海上のことを言っておられるんでしょうかね。

 これについては、訓練の実施は、国際法上、沿岸国である我が国の権利及び義務に妥当な考慮を払って行わなければならない、こういうことになっておりますので、日米の間できちんとした協議をしながら、適切に対応します。

中井委員長 赤嶺君、まとめてください。

赤嶺委員 まとめたいと思います。

 軍事を強化するやり方と、それから沖縄の古代から伝わる考え方の問題ですが、首里城の正殿に万国津梁の鐘というのが飾られています。そこには、万国津梁とは世界を結ぶかけ橋という意味であり、沖縄は、南海のすぐれた地にあり、朝鮮からすぐれた文化を学び、中国とは不可分の関係で、日本とも親しい琉球は東アジアに出現した蓬莱島のようである、このように書かれております。

 国境の島に必要なのは、軍隊ではなく、憲法九条だということを強く申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

中井委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 総理は、就任以来一貫して、平成二十二年五月二十八日の日米合意と閣議決定を踏襲して、普天間飛行場を名護市辺野古地区周辺とその隣接水域へ移設すると言明をしております。一方で、菅総理は、年頭の記者会見や施政方針演説で、国づくりの理念として、最小不幸社会の実現や不条理を正す政治を挙げております。

 総理、平成二十二年五月二十八日の日米合意と閣議決定の踏襲に基づく普天間飛行場の辺野古移設は、沖縄県民に不条理を強いるものであり、最大不幸をもたらすものでしかありません。

 昨年末から、総理や関係閣僚らが相次いで来県し、沖縄もうでを繰り返しております。私は、総理、関係閣僚、民主党幹部らが沖縄へのお百度参りを幾ら繰り返しても、普天間飛行場の辺野古移設は不可能だと考えております。

 菅総理は、何が何でも日米合意に基づく辺野古移設を実行するおつもりでしょうか。

菅内閣総理大臣 私は、十二月に沖縄を訪問し、その沖縄での仲井真知事との会談の席でも、ある意味では、沖縄県民の皆さんに対して、私の考え方をその場の発言を通してお伝えしたつもりであります。

 その内容は、照屋先生も御存じだと思いますけれども、沖縄のいろいろな歴史の中で、特に日本に復帰された以降においても、沖縄以外の地域での米軍基地がかなり削減される中で、沖縄の米軍基地が余り削減されなかった、こういういろいろな経緯を見ておりますと、本当に私としてもざんきの念を覚えているわけであります。そういう大きな流れの中で何とか沖縄の基地負担を軽減していくということに全力を挙げたいというその思いは、そのときも申し上げましたし、今も変わっておりません。

 そのことと、昨年になりますか、五月二十八日のいわゆる日米合意、これについて沖縄の皆さんから厳しい御意見があることはよく承知をしております。

 これについても沖縄に、その同じ席で申し上げましたが、つまりは、あの辺野古への普天間の移転というのは、あわせて、約四割の海兵隊をグアムに移す、あるいは嘉手納以南のかなりの基地を、米軍の施設を返還する等がいわば合わさっておりまして、トータルとしては、沖縄の負担を少なくとも今の状態よりは軽減する効果はあるのではないか。特に普天間は、もうよくよく御承知のとおり、人口密集地域にある基地でありまして、その危険性を除去するということでいえば、少なくとも比較という意味でいえば、辺野古は人口密集地域ではありませんので、そういう危険性が軽減することにもつながる。

 そういう意味で、その場でも申し上げましたが、沖縄の皆さんの思いどおりであるとは思いませんけれども、私は、沖縄の皆さんに、普天間基地の危険の除去と基地負担の軽減という中でいえば、少なくとも今の状態よりは、それは一足飛びにもっといい案が抽象的にはあるかもしれませんが、いろいろな現実を考えてみると、今の状態よりはかなり改善するということを含めて、ぜひ御理解をいただきたいと、その努力を続けているところであります。

照屋委員 菅総理、普天間飛行場を辺野古に移して沖縄の基地負担の軽減になる、そう思っている県民は一人もおりませんよ。菅総理は施政方針演説でも、沖縄に米軍基地が集中している、負担軽減がおくれている、こうおっしゃいましたが、私はその原因について総理がどういう認識をお持ちか尋ねようと思っていましたが、今の答弁を聞いてがっかりいたしました。

 それで、菅総理は施政方針演説で、普天間飛行場の辺野古移設について、日米合意を踏まえ、沖縄の理解を求めていくと述べておりますが、総理が沖縄の理解が得られたと判断する根拠、基準を明確にお示しください。例えば、仲井真知事あるいは稲嶺名護市長の受け入れ表明でしょうか。それとも、県議会あるいは名護市議会の受け入れ表明決議でしょうか。明確にお答えください。いや、総理に聞いている、総理。

北澤国務大臣 まず私から御答弁を申し上げますが、今おっしゃったとおり、基準は何かといえば、極めて難しい話でありますが、しかし、議会制民主主義をとる我が国とすれば、市民あるいは県民の代表として、それぞれの市議会、県議会、そしてまた市長、知事とさまざまあるわけでありまして、そういう人たちが民意を代表しているというのは、沖縄県そして政府との間で交渉するには当事者になる、そういうふうに思っていますが、ただ、そのことに一元化して我々は沖縄県民の同意を得たということではなくて、大きく沖縄の皆さんに御理解をいただけるということを柱にしてまいりたい、このように思っています。

照屋委員 私は、菅総理の施政方針演説と関連して聞いている。総理は理解を求めると言ったんだから、何をもって沖縄県民の理解が得られたと総理は判断するんですか。答えてください。

菅内閣総理大臣 今、北澤防衛大臣からもお話がありましたが、行政あるいは議会という意味で、県知事、県議会、あるいは該当する自治体の市長あるいは市議会、そういったことももちろん大変重要な、理解を得なければならない方々でありますと同時に、やはりこれは、沖縄県民の皆さん全体の中でどれだけ理解が得られるかだと思っております。

 先ほど、がっかりしたというお言葉がありましたけれども、私として、本当に何らかのこの前進を図るという意味で、沖縄の皆さんにとっても少なくとも、少しでも前進していくと。もちろん、それじゃ中途半端だからもっと理想的なこういう形ということを言われることは、それはそれとして理解できないわけではありませんが、今のいろいろな社会情勢、政治情勢、安全保障情勢を見ますと、そういう中でできるだけ沖縄の皆さんの負担を少なくしていく一つの大きな一歩、そういう意味での御理解を県民全体の中でいただけないか、まずこのために努力をしたい、こう考えております。

照屋委員 まあ、総理が百年間待っても沖縄の理解は得られぬでしょうね。

 ところで、来年度予算案には、辺野古移設のための環境現況調査費九億円、キャンプ・シュワブ内の兵舎等移転関連工事費七億円、高江ヘリパッド新設工事費一億三千万、沖縄防衛局名護防衛事務所の設置費八千五百万等々が計上されております。これでは到底、私や社民党の理解を得ることはできません。菅総理は、このような辺野古移設関連予算、高江ヘリパッド関連予算を全面削除する覚悟はおありでしょうか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 ただいまお話のあった、名護の事務所は新しいものでありますが、それ以外は昨年も、ずっと継続している事業でありまして、昨年は社民党の皆さん方にも御理解をいただいて、御賛同をいただいたわけであります。しかも、その中身は、一つには、現在もう内陸部で工事が始まっておりまして、その周辺の土地を修理するとか附帯工事をするとか、そういう残余のものを含めておりますので、中途でこれをとめるというわけにはいきませんで、今議員がおっしゃっておりますような辺野古の代替施設の本体工事の予算はここには入っていないというのは当然御存じだと思いますけれども、そういうことでぜひ御理解をいただきたいと思います。

照屋委員 北澤大臣、昨年とことしでは沖縄の民意は変わったんですよ。今では、昨年までは辺野古移設を容認した仲井真知事も、県外へと言っているんですから。こういう民意の重大な変化の中で、昨年、社民党が理解をしたから、今年度、理解するだろうと思ったら、大間違いですよ。

 最近、沖縄振興と普天間飛行場の辺野古移設との関連で、北澤大臣はリンクする、枝野官房長官や前原外務大臣はリンクしないとするなど、閣内不一致の発言が続いております。リンク論について内閣の統一見解を示してください。

枝野国務大臣 いわゆるリンク論とは、基地の受け入れを条件に振興策を展開するかのごときことを意味しているのかというふうに思いますが、そのような立場には菅内閣はどなたも一切立っておりません。これは統一的な見解と御理解いただいて結構でございます。

照屋委員 さて、菅総理は、一月二十七日の衆議院本会議で公明党の井上幹事長の代表質問に対し、日米地位協定は、日米同盟を深化させるよう努める中、普天間移設問題など、ほかの喫緊の課題の進展を踏まえつつ検討していきたいと答弁しております。

 私は、一九九五年の参議院議員当選以来、不平等、不公平の日米地位協定は、この国の主権と国民の人権と環境の視点で、全面的に改正すべきだと主張し続けてまいりました。民主党も、野党時代の二〇〇八年、社民党、国民新党と三党で共通の改定案をまとめ、当時の自民党政権に申し入れております。しかも、民主党の二〇〇九年マニフェスト、三党連立政権の合意は、日米地位協定の改定をアメリカに提起する、このようなことだったでしょう。

 菅総理は、日米地位協定の改定をアメリカに要求する、このことをもう既に放棄したんですか。民主党のマニフェストはどうなったんですか。総理の日米地位協定の改定と、普天間飛行場の辺野古移設リンク論についてもお答えください。

前原国務大臣 このロードマップの話と辺野古への移設の問題と日米地位協定の改定あるいは運用の見直しの問題は、リンクさせてはおりません。また、これからもさせるつもりはございません。

 この事件、事故の問題、あるいは環境の問題、あるいは騒音の問題、こういった問題については、我々も事あるごとに米側と話をしております。私も、今かわりましたけれども、前の四軍調整官に対して、平成八年のいわゆる普天間飛行場にかかわる合同委員会の中身の遵守について申し入れを行いました。ルース大使にもやりましたし、先生が前の臨時国会で何度か取り上げたダイバートについても、先生の御意見も踏まえて、ダイバートについての申し入れもしっかり行っておりますので、その点、基地問題とリンクをさせるということは全くございません。

照屋委員 前原大臣は、地位協定と普天間移設はリンクしないと今おっしゃった。菅総理が井上幹事長になさった答弁を素直に聞けば、総理は外務大臣と反対のことを言っている。だから県民は怒りまくっているんです。

 時間がありませんので、最後に、北澤防衛大臣に尋ねます。

 去る一月二十六日、護衛艦「たちかぜ」の乗組員だった一等海士の自殺と、元先輩自衛官の暴行、恐喝など、いじめとの因果関係が認められ、国と元上官に対して四百四十万円の損害賠償支払いを命ずる判決が横浜地裁でありました。自殺した自衛官は、カナダに留学して習得した英語を生かして自衛隊員として活躍、貢献したいと願い、任官したものであります。

 私は、自衛官の尊厳と人権を守ることは重要であると考えております。北澤大臣は、横浜地裁判決をどのように受けとめましたか。また、御遺族らの無念の思いに対し、謝罪をするお気持ちはありますか。

北澤国務大臣 この案件につきましては、委員からも、こういう場ではない場所でも、極めて真摯なお申し出をいただいております。

 この事案を語るとき、私も悲しい気持ちで胸がいっぱいになります。お父さん、お母さんは既に亡くなって、お姉さんが今はまたその代理をされておるということで、一つの判決が出たわけでありまして、私たち防衛省の中で、こういうことが起こらないように、心の健康チェックということで、二十七万隊員全部にこれを渡して、どんな問題があってもすぐ対応できるところへ声をかけてくれ、こう言っておりますが、なかなかそういう形がとれなくて、またこういうことが起きて、自衛隊を所掌する私とすれば、本当に心がふさぐ思いであります。

 上告するかどうかとか、そういうことは今検討しておりまして、私の立場で申し上げることはできませんけれども、私の胸のうちをぜひしんしゃくしていただきたい。御遺族の皆さんには、心からお悔やみを申し上げたいと思います。

中井委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 ODA予算、経済協力の予算についてお尋ねします。

 総理にお尋ねします。総理は、経済協力、ODAの意義について、どのようにお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 私も、この立場になり、あるいはその少し前から、新興国あるいは途上国のリーダーの方といろいろ話をする機会がこの間数多くありました。そういう国々のリーダーの中で、やはり日本のこれまでの支援、そうしたODAを含めた技術的、文化的、あるいは健康の面での支援というものに対して、大変感謝の言葉を聞くことが多かったというのが、この間の特に強い印象であります。

 そういった意味で、ODAといった我が国の活動は、我が国のある意味での安全保障とか平和にも非常に大きなプラスの影響を与えていると思いますし、もちろん言うまでもありませんが、それぞれの国、あるいはそれぞれの地域にとっても、その国に住む人たちにとっての大変大きな貢献となっている、このように理解をいたしております。

山内委員 今総理から、ODAというのは日本の安全保障にとっても役に立っているといった御発言がありました。

 ODAというのは外交のツールとして大変重要だと私は思っております。外交ツールとしていろいろなツールがありますが、特に重要なツールがODAだと思いますし、日本の場合は、武器を輸出することもしませんし、軍事的な援助もやっておりません。そういった軍事力を外交のツールとして使うことは基本的には日本はないわけですから、そういう意味でも、ほかの国はよく軍事援助や武器輸出を外交ツールに使っておりますけれども、そういうオプションがない日本にとっては、よその国以上にODAというのは重要な意味があるのではないかと思っております。

 お手元の資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、日本のODAというのは、GNI比でいうと非常に少なくなっております。先進国、OECDの平均は〇・三一%がODAですけれども、日本の場合は〇・一八、平均よりもずっと少ない。他方で、ODA、今、日本は五番目か、あるいはこの予算案が通ればもっと下がるおそれがあります。日本よりもフランスやイギリスといったような国の方がたくさんのODAを使っているわけです。フランスもイギリスも、日本よりも人口は半分ぐらい、経済規模もざっくり言うと半分ぐらい。それぐらいの国が日本よりも多額のODAを使って外交のツールとして活用しているわけであります。

 同時に、右の欄を見ていただくと、国防費のGDPに占める割合、これも日本は非常に少ない。先進国の中では少ない部類に入ります。世界の平均よりはずっと少ない。イギリスやフランスは、日本のGDP比でいうと倍以上防衛費に使っています。

 こういう比較を見ても、日本は、軍事的オプションを基本的にはとらない、PKOのような例外はあるかもしれませんが、基本的にはそういう軍事的なオプションを外交に使えない以上は、ODAというのはよその国以上に本当は量が多くてもおかしくないんだと思うんですね。

 そういった中にあって、今度、新しい予算案では、来年度予算案では経済協力費が九・〇%減少、昨年も七・五%減少と、二年連続して経済協力、ODAの予算が減っておりますけれども、こういうODAを減らしている理由について総理にお尋ねしたいと思います。

前原国務大臣 まず、指名をいただきましたので私からお話をしたいと思いますが……(山内委員「前原大臣には後で別の聞き方をしようと思ったんですけれども」と呼ぶ)そうですか。済みません、御指名でありますので、私から答弁をさせていただきたいと思います。

 山内議員はJICAの職員をされていて、まさにこういった分野を志して仕事をされ、また国会議員にもなられたということで、私は、その点非常に敬意を表したいと思います。

 ODAにつきましては、平成九年からずっと減り続けております。確かに、先ほど山内議員がおっしゃったように、予算額では七・四%減りましたけれども、例えば、二つの点で申し上げたいのは、何とかこの凋落傾向をとめなきゃいけない。平成九年というと、ずっと自民党政権でODAを減らしてきて、山内議員も自民党におられて、それはわかっておられると思うわけでありますけれども、今回、外務省予算では十一年ぶりにODA予算をふやしました。これがまず一つです。

 それともう一つは、何でこれが減ったのかということについて申し上げれば、約五百億円の予算が減っているわけでありますけれども、そのうちの四百億円は財務省分です。これは、今までの供与した円借が返ってきておりまして、その部分で新規の事業をなすことができるということの中で、出資などの予算をそれだけ減らした。

 したがいまして、事業量でいいますと、平成二十三年度のODA事業見込みは対前年度比の一・六%増になるということは御理解をいただきたいと思います。

山内委員 外務省予算はふえたかもしれませんが、政府全体では減っております。その点、総理にお尋ねしたかったんですけれども、おいておくとして。

 仮に、少しふえました、一・数%ふえたといっても、GDP比でいうと大した額ではありませんし、前原外務大臣は外交演説の中で、「身の丈以上の外交を展開することは困難である」とおっしゃいました。私も全くそのとおりだと思いますが、日本の身の丈を考えると、一・何%ではなくて、もっとふやしてもいいんじゃないかというふうに考えて質問したわけでありまして、同じことは聞きませんが、もう一回、総理にあえて同じ質問をさせていただきたいと思います。

 イギリス政府は、キャメロン政権になってから歳出削減に大変熱心に取り組んでおります。相当歳出削減に取り組んでいる中にあっても、ODAには手をつけず、むしろODAに関してはふやす方向でやっております。そういった例もありますので、総理の御経験をあえて聞きたいと思いますが、お答えいただけますでしょうか。

菅内閣総理大臣 JICAの緒方理事長ともいろいろお話をする機会が最近ふえておりまして、緒方さんからも、今の山内委員と同じように、やはり日本にとってあるいは世界にとって、そうしたODAというのは極めて重要なので、できるだけ予算規模を縮小しないようにという要請もいただいております。できるだけのことは維持していきたいというふうに思っております。

 率直に申し上げれば、やはり財政規模全体の問題とその中での優先度の問題とがある中で、今外務大臣からもお話がありましたように、事業規模としては決して小さくなっていない、あとはより効果的な形でその財源を使っていくことに一層努力をしなければならない、こう考えております。

山内委員 余り減った理由のようにはお見受けしませんが、別の観点から、ちょっと質問の順番を変えたいと思います、残り時間が少ないので。

 前原大臣の外交演説をお聞きしまして、経済外交ということを非常に重視されております。経済外交が重要な点は私もわかるんですが、ただ、余りにも経済に重点が置かれ過ぎているのかなと。例えば、インフラの輸出あるいは観光、それも大事ですけれども、外務省の仕事ですから、もっと安全保障とか、あるいはODAをどういうふうに使っていくかというところにもう少し割合を割いていただきたいというか、例えばNGOとどうやって連携していくか、そういったところにもっと御意見を聞きたかったわけです。

 去年、岡田外務大臣の外交演説を聞きまして、岡田外務大臣のやられたことの中で私が評価しているのは、非常にNGOを初め民間の意見をよく聞かれた大臣であったなと。NGOの人にちょっと聞いてみたら、前原大臣になってから、余りNGOとの政策対話とかそういったところが持たれていないような空気を感じていると言っておりました。実際どうかはわかりません。ただ、そういう認識を持たれているのは間違いないようです。

 NGOの皆さんが非常に懸念されているのは、余りにも経済に重きを置き過ぎている。昔、日本のODAが批判された時期がありました。皆さん覚えていらっしゃると思います。日本企業の経済進出の道具に使って、余り相手国の民衆の役に立たないようなことをやってしまっていた、そういう反省があります。あるいは、大きな箱物のインフラばかりつくって、貧困層に届かない援助をやっていた。

 そういう反省のもとに、余り経済、日本企業のことばかり、あるいは、余り日本の露骨な短期的な利益ばかり考えるODAはもうやめましょう、そういう国際世論の流れがあったわけですけれども、どうもそういう昔の援助、昔の批判されていたODAに少し戻っているような印象を受けるんですが、その点についてどうお考えでしょうか。

前原国務大臣 先ほど答弁いたしましたように、ODA予算をふやしたいんですよ。自民党政権が平成九年からODAをずっと減らし続けてきて、そして今のような状況になっているわけです。ODAをふやしたい。

 だけれども、委員御承知のとおり、今の財政状況でいいますと、我々の政権は、中期財政フレームということで、七十一兆円、三年間基礎的な支出はふやさないでおこうと。しかし、毎年毎年、社会保障は一・一兆円ずつふえていく、こういう状況ですね。

 では、人口も減っていくし、少子高齢化が進んでいき、こういう社会保障にお金がかかるという状況の中で、しかも莫大な借金があって、九十二兆円のうち二十一兆円余りはいわゆる国債の償還に充てなきゃいけないという状況を考えたときに、経済成長を促した中でパイを広げる、そして、今の財政状況を成長という観点から改善をしていく、そのことによって、ODAを含めたいわゆる成長戦略あるいは必要な政策経費にもっともっとお金をかけられるようにしていくということが、回り回ってODA予算も将来的にはふやすことになるんじゃないでしょうか。

 先ほど委員が引用していただいたように、我々は身の丈以上の施策、外交はできないんですよね。ですから、成長をしっかりと担保する中で、そして日本の税収をふやす、そしてそのODAを、今まで自民党がずっと減らしてきたものを我々はまたふやすような状況をつくっていきたい、こういうようなことを申し上げているわけです。

 ちなみに、NGOとの関係で申し上げると、予算については、確かに、岡田さんのときにはかなりふやされました。自民党政権のときから八・八%増を計上されましたけれども、今年度の御審議いただいている予算はほぼ同じでございまして、このNGOとの連携に係る予算についても同程度を担保しておりますし、私がNGOあるいはその方々が努力されているODAに冷たいということではございません。

山内委員 自民党政権の時代よりふえたということは、その点は認めますけれども、自民党政権でも少しずつふやしてきたものですから、その延長線上にあるんだと思いますが。

 経済発展の結果として貧困層に恩恵が及ぶという、いわゆるトリクルダウンという考え方というのは、国際援助の世界では比較的評判がよくありません。実際には、貧困層に直接届く援助をやらないと、インフラ的な援助だけでは本当に困っている人にはなかなか行かないというのが一般的に言われております。ですから、インフラ援助、経済援助中心だと、どうしても、例えば本当に貧しい人たち、あるいは、もちろん紛争地を初め難民とか、そういう人には絶対届く援助にはなり得ません。

 ですから、経済インフラも大事ですが、そっちばかりお金を使ってしまうと、最貧国あるいは貧困層に対する援助というのがおろそかになってしまいますから、そこはぜひ御配慮をいただきたいと思います。

前原国務大臣 御専門なのでわかった上で言われているんだと思いますけれども、ODA予算はすべてインフラですか、違うでしょう。ちゃんとMDGsにも、保健や教育、貧困の面にも目配りをして、限られた中でも集中と選択をしっかりやっていますよ。そして、箱物にだって、経済成長がなければ貧困は克服されないということで、そういう大事なところ、あるいは環境面、そういったところにも我々はちゃんと目配りをしておりますので、一面的なところでそういった御批判をされるのは、我々としては不本意でありますので、全体を見て評価をいただきたいと思います。

山内委員 私も、バランスのことは、全部がインフラじゃないのはよくわかっております。

 ただ、もう時間が終わりましたので、一言ですけれども、バランスで、ぜひ弱い国、貧困国への割合をふやしていただくことをお願いだけ申し上げたいと思います。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより一般的質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串委員 ありがとうございます。民主党の大串博志でございます。

 予算委員会、きょうから一般質疑の方に入ります。一時間の時間をいただきまして、関係大臣の皆様に対して、今回、私は、今回のこの予算案質疑というものの持つ意味、これをまず一つ。それから、課題となっています社会保障と税の抜本改革の問題、これはいろいろな議論がございました。議論を少し整理させていただきたいというふうに思います。

 さらには、マニフェストの実行問題、そして今後どうするかという問題もございますけれども、これまでマニフェストのやってきていること、どういうふうに変わってきているかということに関して、一つ一つ、確認も含めて議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、今回の予算案の審議の持つ意味ですけれども、私、地元を歩いておっても、今回の予算委員会そして通常国会、非常に国民の皆様が一方ならぬ注目をされていることを感じます。それは、言うまでもなく、さきの参議院選以降、いわゆるねじれ国会となった中で、与野党が、きちんとした話し合いのもとに、国を動かす方向に意思決定をしていけるのかというような観点のように私は思います。

 すなわち、参議院選というのは三年に一回、あと二年半後にしか次の選挙はない、次は五年半後。こういう中で、ねじれというものがかなり見えている中で、与党、野党がどのような話し合いをしていくのか。

 特に、予算案、予算関連法案というものがあって、皆さん、憲法の規定によって予算案というものは衆議院の優越が強く定められていて、自然成立がある、一方で、予算関連法案というものは予算案ほどの憲法上の衆議院の優越が書かれていないがゆえに、この二つは一体不可分の関係に今日的にはあるわけでありますけれども、国会の現場においてはこれがどうなるんだろうというような声、非常によく法律も憲法も国の仕組みも御存じの上での御心配というか御懸念というか、御意見があります。

 そういう中で、今回の国会は、与野党が予算案審議というものの中でどうやって合意をつくっていける国会になり得るのかどうかというところが問われている、非常に新しい、今日的な課題をしょった予算委員会であり国会だろうと私は思っております。

 そこで、財務大臣と少し議論させていただきたいんですが、今回、いわゆる予算関連法案というもの、多々提出もしくは提出予定でございます。

 この中で、当委員会の議論でも幾つか、もう議論は行われてきました。特例公債法案等々、いろいろありました。

 例えば、きのうであれば、子ども手当法案が通らなかった場合には四月以降どうなるかというと、四月一日以降においては児童手当法が復活するんだ、その場合に、引っ越し等々を行われる児童、御家庭の方がいらっしゃるとすると、随時払い、これが児童手当法において行われなければならないけれども、システム等々がないのでどうなるかという心配があるというふうな話がありました。

 さらには、地方交付税に関しては、地方交付税、地方の自由になるお金をふやすということで、私たち、特別な加算をしているわけでございますけれども、この特別な加算をしている部分に関しても、これはいわゆる予算関連法案、約六兆円近くの四分の一、これが四月において交付されない可能性がある。資金繰りに困る可能性が地方公共団体においては生じてくる等々の話もございました。

 少し議論を深めさせていただきたいんですが、特例公債法案の話もございました。歳入の四割を占める特例公債でございます。これが通らない場合には四月以降の予算の執行はどうなるのかという点を、まず、財務大臣に確認したいと思います。

野田国務大臣 特例公債法案、中身は、いわゆる特例公債、これが三十八・二兆円、加えて、基礎年金の国庫負担二分の一を継続するための臨時財源二兆五千億円、合わせて四十兆円を超える額。全体に占める比率は四四%ということでございますので、四四%というのは極めて高い数字だというふうに思います。

 仮に予算が成立をしても、その裏打ちをする、歳入の大宗を占める特例公債法案が通らない場合には、やはり予算執行に支障が出ざるを得ないと思うし、加えて、今、年金の部分も申し上げましたけれども、基礎年金の国庫負担分も入っていますので、これは同様に、国民年金法の改正とも同じ結果になりますが、これが通らないと、年金財政についても不安定感が出てくるということでございます。

大串委員 ちょっと客観的に確認したいんですが、予算が成立し、かつ特例公債法案が成立しないという段階において、即時に予算を執行できないというわけではないんだけれども、執行に支障が生じる可能性がある点が一つあると思います。

 二つお尋ねしたくて、一つは、まず、特例公債法案が通らないということになると、先ほどおっしゃった年金に関してですけれども、基礎年金の国庫負担部分を三分の一から二分の一に引き上げるということができない。すなわち、特例公債法案が通っていないという状況下においては、基礎年金の国庫負担部分に関しては二分の一にならない、すなわち三分の一である。すなわち年金財政に影響を与える状況になっているという理解でよいかというのが一つ。

 あともう一つは、特例公債法案が通らない、通る見込みがなくなったという状況において、予算の執行は可能かという点に関して、いかがでしょうか。

野田国務大臣 余りそういうワーストのシナリオで語りたくないんですけれども、基本的には、年度内に予算とともに成立を期すということが基本姿勢でありますが、お尋ねでございますので。

 仮に、年度内に通らないという事態が生じた場合、直ちに予算の執行に支障が生じるかというと、では、ほかの通った部分、安定的に入ってくる税収であるとか、あるいは建設国債等で予算を執行していくということですが、ただ、それが長期に延びれば、それこそ予算執行ができなくなるという状況が生まれてくるだろうというふうに思いますし、まあそれは個別の事業がどうのというんじゃなくて、国家運営に支障が出るということだと思います。

 年金については、御指摘のとおりでございます。

大串委員 年金に関しては、すなわち国庫負担率が三分の一から二分の一に上がらない、つまり、年金財政に即影響を与える状況になるのが四月一日以降、現出するということでございますので、これをしっかり胸に置いておかなければならないと思います。

 さらには、税法、関税法、これも日切れ、年度末切れのものが多々ございます。

 あわせて、ほかにも予算関連のもので、例えば三十五人学級といったものも今回、予算の中で措置されております。少人数学級というものは、これまで長い間かけて進めてきたものでございまして、ことしやっと、一年生から初めて三十五人学級を実行するということが定められた。私は非常に意義のある課題だったというふうに思います。

 この二点、税法、関税法の日切れの部分、そして三十五人学級に関して、恐らく四月一日から三十五人学級というのは始まるんだと思います。これに関して、予算関連法案が通っていないという場合にどのような影響が出るのか、いかがでしょうか。

野田国務大臣 税制改正法でも、あるいは関税定率法でもございますけれども、適用期限が切れてしまって、そのことによって増税になって国民生活に負担を与えるというようなものも、るるあります。例えば、チーズが上がるとか、牛肉が上がるとか、そういうことはもう無数にいろいろなことがありますが、何よりも、今回の税制改正の中では、そういうことだけではなくて、法人実効税率の引き下げを十二年ぶりに実施するとか、中小の軽減税率を実施するとか、あるいは雇用促進税制とか、いわゆる経済対策のステップスリーに位置づけられている大事なものもいっぱい入っているので、そういうものが先送りをされるということは景気が失速をする可能性がさらに高まってしまうという可能性が大きいということを、まず申し上げたいというふうに思います。

 加えて、三十五人学級、小学校一年生から今回実施しようということでありますが、これも、通常、学級編制等は四月に決まってスタートしなきゃいけないわけで、途中から仮に認められても、学級編制をいじったり、あるいは人員配置をするということは、相当に現場に混乱が生じるだろうというふうに思います。

大串委員 ここで官房長官にお尋ねしたいんですけれども、ある意味、今確認をさせていただいたような法律関係というか予算関係になっているのは事実なんだろうというふうに思います。こういうことが事実としてあるがゆえに、そして国民の皆さんもわかっていらっしゃるがゆえに、今回の予算審議において、与野党を通じた議論の合意が得られるのかというところを非常に皆さん気にしていらっしゃるんだろうというふうに思います。

 私は、この面における与党側の責任も非常に大きいのではないかというふうに思っておりまして、私たち、こういう状況によって、与党あるいは政府としても、先般来の御発言もありましたが、基本的に予算案というものは、マニフェストを実行する等々との観点からベストな予算だ、今の経済状況、生活状況に関してベストな予算だということで出していらっしゃることとは思いますが、何分、この国会の状況を前提とすると、一方一方がおのれの主張だけを繰り返していても成案が得られないということになりますので、我々与党としても、政府側としても、合意が得られるような柔軟性をこの予算審議において持つべきではないかというふうに思いますが、官房長官の御所見はいかがでしょうか。

枝野国務大臣 内閣といたしましては、ベストなものという思いで予算案、関連法案を提出させていただいておりますので、できるならば速やかに御可決いただきたいというふうに思っております。

 一方で、私自身、九八年の金融危機の折、やはり参議院で、私どもが野党で多数という状況の中で金融危機がございました。その折には、最終的に、この場にもおられる、あっ、いらっしゃらなくなっちゃいました、塩崎議員、あるいは今の石原自民党幹事長、あるいは今、たちあがれ日本に行かれた藤井孝男議員など与党の皆さんと私などが、中野国家公安委員長が当時我々のチームのキャップでございましたが、いろいろな協議をいたしまして、その結果として、金融危機に対応するため、当時の菅代表も政局にしないということをおっしゃられて、与野党の合意を得て法律を通して、金融危機に対応することができました。

 その当時の石原幹事長や塩崎議員などの行動、対応ぶりというものを反対側の立場から見させていただいておりますので、その当時の藤井孝男議員や塩崎議員、石原幹事長などの行動を見習って対応させていただくことで、自民党の皆さんの御理解を得られるのではないかというふうに思っております。

大串委員 おっしゃるとおり、国民の皆さんのための予算あるいは予算案審議だと思うんですね。国民の皆さんのために、どこが一番いい予算案かということを見出していくべき生産的な議論を柔軟な立場で臨んでいってほしいし、この委員会の議論もそういうふうに進めていくことができればというふうに申させていただきたいと思います。

 さて次に、社会保障と税の抜本改革の課題に移らせていただきたいというふうに思います。

 与謝野担当大臣の方にお尋ねさせていただきたいと思いますが、今般、社会保障と税の抜本改革というイニシアチブが進み始めております。社会のあり方、地域のあり方、家族のあり方、企業のあり方、経済のあり方がこの数十年間で大きく変わってきた中で、社会保障制度をめぐる安心感、安定感が減殺してしまった。これを取り戻すことによって生活の安心を取り戻し、かつ、それが経済の活力にもつながってほしいという思いでの社会保障改革であろうというふうに思います。

 今般、与謝野大臣は担当大臣となられたわけでございますけれども、これからどのような思いと御所存で社会保障改革を進めていこうと思われるのか、その点をお述べいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 国民は日本の将来にいろいろな不安を持っておられます。経済は大丈夫か、財政は大丈夫か。その中で、やはり国民生活に直接かかわる医療や年金というのは非常に深刻に考えておられます。

 先生御指摘のように、そういう将来不安がまた経済にも影響を与えているということで、今般、社会保障と税一体改革、どういうことをするのかといいますと、一つは、やはり何といっても、これらの制度の持続可能性をきちんと図っていくということ、それから、世代間の公平ということも考えなければならないこと、受益と負担という問題も国民に問うていかなければならないこと、そういう思いでやっておりますが、時間はそうない。やはりきっちりと、総理がお約束しているように、六月までには社会保障、税の両方の案をつくって、そして、国民の方々にも、また国会においても幅広く意見を求め、きちんとした成案として成立させていく。これは、一方では国民の声でもあり、また一方では税法附則百四条が要求しているところでもあると思っております。

大串委員 ありがとうございます。

 今、社会保障自体をこの社会の変化に即応する形でつくり直し、かつ充実強化させていくこと、そして、それを持続可能な形にするということの重要性を指摘されました。この一体改革をするということの重要性をどれだけ強く言っても過言ではないと思います。

 きょう資料を配らせていただいておりますけれども、日本の財政の厳しさ、すなわち、社会保障を支える財政面の厳しさというのはもう皆さん御案内のことだと思いますけれども、若干紹介させていただきますと、資料の一ページ、二ページは、昨年の五月に、国際通貨基金、IMFが日本にミッションでやってきたときに、検討結果を公表し、置いていったものでございます。二ページ目を見ていただくと、今後十年間で、構造的にプライマリーバランスを一〇%改善する必要があるという提言だったです。それが、すなわち、日本のいわゆる貯蓄・投資バランス上、安定的に推移する道筋での必要な政策なんだと。

 これをこの二ページに照らして見てみますと、どういうことをそれのためにしなければならないかというと、消費税率と政策の組み合わせということでここに書かれていますけれども、一四%まで消費税率を引き上げるというレンジから、二二%まで消費税率を引き上げるというレンジ、そして、歳出面で、ここに縦にありますように、1から6までのいろいろな歳出面のメニューもあります。

 この表で見ていただきますように、オーダー感としては大変なオーダー感を少なくとも国際機関においては分析をし、指摘されているというこの現状を、私たちは忘れることはできないんじゃないかというふうに思います。

 先般、昨年の四月に、同じくIMF、国際通貨基金に、私、当時財務の政務官で赴いたときに、リプスキーという筆頭副専務理事と会議を行って、日本の中で国債を安定的に消化していくのにどのくらいの期限の猶予といいますか、期限があり得るかということを尋ねたときに、リプスキー筆頭副専務理事の方からは、ア・フュー・イヤーズであろうという答えが返ってきました。そういうふうな状況下でございますので、やはり社会保障と税を一体改革していくというこの重要性は、どれだけ強く指摘しても指摘漏れはないんじゃないかと思います。

 そういう中で、今般、このイニシアチブを立ち上げられたわけでございますけれども、官房長官にお尋ねしたいと思いますが、議論を整理するために、今般、社会保障と税の抜本改革をめぐるいろいろな役割が各閣僚の皆さんであろうかと思います。その役割を、官房長官、あるいは社会保障改革大臣、あるいは国家戦略大臣等々、どのような役割分担でこのイニシアチブを四月あるいは六月までに進めていこうと考えられているのかに関して、整理させていただきたいと思います。

枝野国務大臣 一月二十一日の社会保障改革検討本部で整理をいたしましたが、与謝野国務大臣には、社会保障の安定強化のための具体的な制度改革案を取りまとめるとともに、必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改正について、関係大臣と協力し、一体的に進めていただく。

 それから、民主党の政策調査会長を兼ねる国家戦略担当大臣には、政府の検討と歩調を合わせながら党内の検討を進めるとともに、党派を超えた協議が進むよう努めていただく。

 私は、両大臣を含め関係大臣の皆さんとの総合調整を含めて統括を行わせていただきまして、総理のリーダーシップのもと、関係閣僚が連携してしっかりと成果を上げてまいりたいというふうに思っております。

大串委員 それでは、官房長官統括のもとに社会保障改革大臣のもとで案をつくられる、そして、国家戦略大臣、政調会長を兼ねられている大臣のもとで党の議論をまとめるとともに、野党の皆さんとのお話し合いもしていくというような役割分担というふうに今お伺いしました。

 本件についても、先ほどの平成二十三年度予算と同様でありますけれども、社会保障のあり方が選挙のたびに変わるようなものであっては国民の本当の安心は得られないという観点から、党派を超えた合意を、社会保障制度、そしてそれを支える税を含める財源に関して得ていくことが、私は極めて重要だろうというふうに思います。

 恐らく野党の皆さんの方にもこのような思いがあられるがゆえに、自民党政権のときにつくられた所得税法附則百四条にもあらわれているのだというふうに思いますし、先般、公明党の皆様からも御紹介のありました、社会福祉ビジョンというものを公明党の皆様の方で十二月十八日につくられていらっしゃいます。その中にも「制度設計にあたって」ということで、与野党の社会保障協議会ということが言われております。

 さらに、自民党の皆様からは、財政健全化責任法というものが昨秋提案され、その中で、与野党の協議を進めるといった条項も書かれておられたところでございます。

 民主党の案をまず出すべしというお話でございますけれども、私たち民主党も、これまでマニフェストにおいて書いてきた医療、介護、年金の改革案とともに、さらにそれを深めていくという観点から、政府においては、与党・政府社会保障改革会議のもとで、十二月に一つの提言を出しました。もちろん、そのもとには、民主党の党の方で、税と社会保障の抜本改革調査会の方で、中間整理ということで、十ページを超え、十一ページにわたるこの報告書をまとめ、これをもとに政府の方でも、社会保障改革推進会議の本部の方で約十七ページにわたるこの報告書をまとめていただき、社会保障改革の抜本改革に向けた、ある意味大枠、道筋、エッセンス、考え方、これはここにきちんと書かれています。

 このものがないと考え方がないというものではなくて、少なくとも、私は、これをもとに議論を進めていくことは大いにできるのではないかというふうに思っている次第でございますし、実際、そういうふうな状況であるがゆえに、この予算委員会でも既にいろいろな、我が党案の社会保障改革案に関して議論が進んできているのではないかというふうに私は思う次第でございます。

 政調会長を兼ねられる国家戦略担当大臣にお尋ねします。

 この社会保障と税の一体改革をめぐる与野党協議の重要性、ここに思う決意、ここに関して国家戦略大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 社会保障と税の一体改革に限らずそうなんですけれども、ねじれ国会、これは、国民の皆さんが、与野党でよく話し合ってよりよい結論を導いてほしい、こういうことなんだと思います。

 その上で、今、大串さんがおっしゃったこの社会保障、少子高齢化社会が世界に先駆けてやってきたこの日本で、抜本的にどうやって持続可能なものにするのか、社会保障制度を維持するのか、機能を強化するのか、その財源をどこに求めるのかというのは、もう言うまでもないことですけれども、国家の最重要テーマでございますから、与野党合意、国民的な合意を得たいと。

 ただ、これまで予算委員会、お聞きをしておりますと、まず民主党の案をできるだけ詳しく制度設計をしてから出しなさい、こういう意見が多かったように思います。もちろん、私たちは、民主党の中でも、また同時に政府・与党の中でも詳細設計をしてまいりますけれども、以前も申し上げましたけれども、完全に固まった案を一つにまとめてしまったら、私は、与野党協議でまとめるというのはなかなか難しいのではないかというふうに思います。

 ですから、私たちも徐々に徐々に固めてまいりますけれども、やはり適時適切な時期に呼びかけをさせていただきますので、ぜひ与野党で、国民的な合意を得ていくという観点で話し合いに応じていただきたい、そういう思いでおります。

大串委員 ありがとうございます。

 この問題に関して国会内で合意を得ていくことの重要性、先ほどから繰り返し述べさせていただきましたけれども、例えば、先般、スタンダード・アンド・プアーズが日本の国債の格付を引き下げました。この件に関してプレスリリースを見ておりますと、もちろん、私たち民主党政権の足取りに関して大変厳しい言葉も並んではおりますが、こういうことも書かれています。民主党率いる連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、民主党政権には債務問題に対しては一貫した戦略が欠けているとS&Pは考えていると。

 実は、この委員会でも出ましたが、一年前にS&Pはこの格付を引き下げるかもしれないという信号を発表してまいりました。そのとき、財務大臣は菅大臣、そして野田副大臣、私は財務政務官。これを非常に私たちは心配し、見続けてきました。それ以降、私たち民主党政権の財政運営に関する一挙手一投足が見詰められている、そういう思いで、非常に緊張しながら一つ一つの政策を丹念に進めてきたつもりであります。

 当時言っていた言葉なんかは、例えば六月に中期財政フレームあるいは財政運営戦略というものを出しましたが、例えば、この内容自体が民主党政権として悪いというふうに評価され、その後に格下げが起こるようなことがあってはいかぬ。なぜなら、去年の一月にアウトルックが下げられたときには、そのインプリケーション、含意は、あと数カ月のうちに、内容を見ながら、状況を見ながら格下げを行うかもしれないというのが当時のアウトルック引き下げの意味だったので、まさか、自分たち民主党政権の踏み出す一歩で、その内容が悪いということで格付が下がるようなことがあってはならぬという思いで、必死の思いで中期財政フレームをつくり、財政運営戦略をつくり、やってきたわけでございます。

 果たして、六月にそれをつくった後には、格付は引き下がりませんでした。それが今回、国会がまさに予算委員会の審議が始まらんとするこのタイミングでの格付の引き下げでございます。

 もちろん、私たち民主党政権の財政運営を厳しく見られている、そのことに関しては、謙虚に、虚心坦懐に受けとめてしっかりしていかなきゃならないと思いますが、例えば、このS&P担当者の小川さんというディレクターの方は、日経新聞の一月三十日の記者会見に答えられて、「なぜこの時期に格下げしたのか」ということに関して、「なぜ政府が社会保障と税制の一体改革案をまとめる六月まで待たなかったのかという声を聞く。いくらいい改革案をつくっても法律にして国会を通せる可能性は非常に小さいというのが正直な実感だ。一体改革を実現できるという確証が出てくれば評価するが、」というようなことをおっしゃっています。

 すなわち、国会で通るかどうか、国会で合意が得られるかどうかというところをマーケットは見ているということではないかということを私たちは覚えていかなければならない。こういう点からしても、与野党協議というのは極めて重要だということは指摘せざるを得ないと思います。

 これで、マニフェストの関係について、政調会長、国家戦略大臣にお尋ねしたいんです。

 私たち、マニフェストは折り返し地点、ことしの夏あたりで検証しようというようなことを考えておるところでありますが、もちろん、このことと、恐らく六月にまとめていこうとしている税と社会保障の抜本改革の案とはある程度一体不可分に、ある意味柔軟性を持って考えていかなければならないのではないかというふうに思いますが、国家戦略大臣にその点の見解を求めたいと思います。

玄葉国務大臣 マニフェストの検証と社会保障分野の見直しの議論との関係であります。

 マニフェストの検証は、昨日も申し上げましたけれども、九月に全体を行うということでありますけれども、社会保障分野に関しては、先行して事実上の検証を基本的には終えたいというふうに思っております。すなわち、四月に私たちの社会保障分野についての考え方をお示しいたしますから、その時点で事実上検証は終えたということになると思うんですね。

 その上であえて申し上げますけれども、基本的には、民主党の考え方、もともと出していた考え方をしっかり深掘りをしていくというのが私はベースであるべきだというふうに思います。その上で、先ほど申し上げたような与野党協議がどのくらい進展しているかによると思うんですけれども、実際に六月の段階あるいは四月の段階で案として出していくときに、絶対これじゃないとだめだと言って、そういう出し方をしたときに、逆に本当に与野党協議ができるのかどうかということも含めて、つまりは、選択肢を幾つか出すことも含めて考えていかなくてはいけないのかなということも今考えているところでございます。

大串委員 ありがとうございます。

 これから党の方でも社会保障と税の抜本改革調査会において議論を進めてまいりますし、政府の方でも、四月そして六月に向けて議論が進んでいくというようなお話でございました。

 民主党案を早く出すべし、ないじゃないかということですけれども、先ほどお話ししましたように、私たちは十二月に一定のものを出しております。そして、マニフェストに示したものもあります。

 例えば年金であれば、論点として残っているのは、例えば、きのうもお話がありました、最低保障年金をどこからどこまでで減額するかというような数量的なもの、あるいは事業主負担をどうするかといったもの、あるいは所得比例の部分に関する事業主あるいは所得比例というものをどうとらえていくかという点、さらには移行期、こういったところが具体的な論点として残っている。ある意味、ここを詰めていけばかなりのものが決まっていくんだというふうに思いますし、聞くところによると、厚生労働大臣に対する指示は、四月までに数字も含めた提案を出していくべし、こういうことになっているということでございますので、議論ができる状況は今も十分あると私は考えておりますし、そう遠くない時期に用意されるというふうに思いますので、与野党協議がきちんと進むように、私は念じ、かつ、私たちもしっかり頑張ってまいりたいというふうに思う次第でございます。

 さて、社会保障の抜本改革と税制の抜本改革をやっていく中において、これは前提があると思うんですね。民主党のもともとの考え方でもありますし、これは十二月の私たちの中間整理にも書いたんですけれども、財政基盤、つまり、社会保障の財政基盤の安定強化には社会保険料もしくは税の引き上げが不可避となる、これへの国民の納得を得るためには、国会議員定数の削減、歳費削減といった国会議員自身の率先垂範した身を削る努力を初め、全般的な税金の無駄遣い根絶に徹底的に取り組むとともに、将来の社会保障がどのような姿になり、それによって個々の国民がどの程度のサービスを受けられるのか、その場合の税と社会保険料の役割分担や国民負担率などで見た国民負担はどの程度になるのかを明らかにした上で国民の判断を得るというふうに、税金の無駄遣い、あるいは身を削る努力というものが前提なんだということをお示ししましたし、これがもともと私たち民主党の考え方であります。

 この点において、公務員人件費の二割削減、これも非常に重要な課題でございますけれども、これに関して総務大臣にお尋ねしますが、取り組み状況いかんということをお伝えいただきたいと思います。

片山国務大臣 これは、おっしゃったように無駄遣いということではなくて、身を削るという、そういう領域の改革だろうと思います。国家公務員の総人件費を二割削減するということで、これはもう政府の方針として決まっております。私が担当をすることになりました。

 先般、関係閣僚の会合を開きまして、これは官房長官が座長でありますけれども、改めて、この方針を具体的に進めるということを確認いたしました。具体的には、一番大きな要素としては、国家公務員の給与の水準、単価の問題があります。当面は、この単価をどれくらい削れるかということが焦眉の急でありまして、関係方面とも意見の交換などを始めているところであります。これについては、閣議後の閣僚懇談会で菅総理の方からも、人件費二割削減の方針を関係閣僚一体となって進めるようにという御指示がございました。

 このほかに、定数の問題でありますとか、地方機関の自治体への移管でありますとか、そういう問題が別途あります。また、退職手当を初めとする諸手当の見直しもございます。

 いずれにしても、この給与法の改正につきましては今国会に提案することにいたしておりますので、その際には、それを基軸としながら、先ほど申しました他の要素も含めて、総人件費二割削減の工程表といいますか、要素がどういうもので構成されるのかというあらましが可能な限り提案、御提出できればと考えているところでございます。

 いずれにしても、非常に重要な課題でありますので、私は当然でありますけれども、関係閣僚の皆さんと協力しながら一体的に進めたいと考えております。

大串委員 工程表を踏まえつつ着実に、マニフェスト事項でございますので、進めていただきたいというふうに思います。

 公務員制度改革担当大臣にお尋ねしますが、この公務員の人件費二割削減の大前提が、当然のことながら、自律的な労使関係制度をきちんとつくっていくということでございます。これも、日本もILO勧告との関係で積年の課題でございました。これに関しても検討を進めていただき、進んでいるところと伺っておりますけれども、どういう状況にあるのか、御説明いただきたいと思います。

中野国務大臣 お答えいたします。

 当面の課題につきましては、今総務大臣がお答えをいたしました。精力的にその作業を私どもも協力しながら進めていきたいと思います。

 ただ、今後につきましては、国民の皆さんにより一層理解が得られる制度を構築していかなければなりません。既に公表いたしておりますが、この通常国会に国家公務員制度改革法四法を提出すべく、今準備をしているところであります。

 よく、タックスペイヤーであるとかタックスイーターであるとかという言葉を使われますし、納税者対公務員みたいな構図で語られることもありますけれども、いずれにせよ、公務員の給与、待遇、定数、それらのことが国民の皆さんの目に見える形で論議をされ、そして、国民の納得のいく制度と規模というものが決定される、それが透明な形で行われるという制度が必要であります。

 今日までは、戦後六十数年間、人事院という存在がありましたけれども、これからは自律的労使関係ということで、その交渉の過程、内容、項目、対応、それらのことがしっかりと制度化され、国民の皆さんの前で当事者同士が議論をしていくという制度につくり上げていきたい、このように今考えているところでございます。

大串委員 ありがとうございます。

 このように、社会保障と税の抜本改革を行っていく大前提として、政治、行政の側も徹底的に身を削ることも含めてやっていかなければならないというのが国民の納得を得るという意味での大前提だと私は思っています。

 ここまでの議論を聞かれて、官房長官にお尋ねしたいんですけれども、党のこれまでの考え方も踏まえ、そして今後の道行きも踏まえ、身を切るという観点からすると、先般来ここで議論がありましたが、定数削減という課題も避けて通れない課題でございます。

 こういった政治、行政側が国民の納得も得られるようにしっかりとした身を切る努力もした上で、社会保障のあるべき形を示し、そして支えられる税財源をつくっていく、このステップに関する考え、決意に関してお聞かせいただけたらと思います。

枝野国務大臣 今、公務員の給与やその制度については御答弁がございました。

 またさらに、行政刷新会議等で進めてきております無駄の削減の努力、これも例えば独立行政法人改革などの法改正を伴うものについてはいよいよ具体的な法制度づくりの作業に入っていくなど、これまでの一年半の積み重ねも踏まえながら、さらにスリムな効率的な行政、そしてみずからの身を削るということを内閣としては最大限進めてまいりたいと思っております。

 また、民主党の方でも、国会議員の定数やその歳費等に関連して、党としての御見解をおまとめいただいているということを承知しております。

 これは、内閣の立場からは、国会で各党の合意の上で進めていただくべき種類のものであるというふうに思っておりますが、内閣としても、そうした各政党間の努力もしっかりと見詰めながら、常に内閣がさらに一歩進む形で努力を進めていくということを肝に銘じて進んでまいりたいというふうに思っておりますので、与党における、あるいは国会における努力もよろしくお願い申し上げます。

大串委員 それでは、社会保障と税の抜本改革の議論から、今話がありましたので無駄遣いの議論に移りたいと思います。

 ここで社会保障改革担当大臣、そして国家戦略大臣は御退席いただいて結構でございます。どうもありがとうございました。

 マニフェストに書いた無駄遣い、今話のありました無駄遣いの撲滅の件ですけれども、この点、私たち民主党においていろいろな意見がございましたけれども、私はかなりやってきていると思います。その大きな原動力は何であったかというと、過去の政権では絶対にできなかった天下り及び天下りのあっせんを絶対なくしていく、これをある意味、私は歴史的な意味としてなし遂げたことにあるというふうに思っています。

 一年半前の政権交代以降、私たちは天下りあっせんを全面禁止したわけでございますけれども、この天下りに関する禁止の状況に関して、公務員制度改革担当大臣から御説明いただけたらというふうに思います。

中野国務大臣 お答えいたします。

 天下りにつきましては、今おっしゃられましたように、民主党政権発足後直ちに、府省庁によるあっせんを禁止するなどの措置を講じ、天下りあっせんを全廃いたしました。

 また、これまで取り組んでまいりました、国家公務員出身者が役員等に在籍する公益法人の徹底的見直し、言うならば、天下りで出す方のあっせんを禁止すると同時に、受け入れる方につきましても、その体質の方がより問題があるわけでありますから、そちらの方についての徹底的見直し、また、独立行政法人の役員ポストの公募、独法自体の抜本的見直し等の措置を引き続き講じるとともに、今後、公務員制度改革の一環として、再就職等規制違反行為に対する監視機能を強化するべく、今国会に所要の措置を講ずる法案を提出する予定をいたしております。

大串委員 ありがとうございます。

 私たちも宣伝不足な点も多々あると思うんです。この税金の無駄遣いをなくすという点において、天下り及び天下りあっせんをなくすということがどれだけ大きな効果といいますか意味を持つか。私も役人として予算をつくっていた立場から、その内実は非常によくわかります。こういったことをやっとやれてきているところがあって、私は、蓮舫大臣御苦労された事業仕分けによる結果が出てきているんだというふうに思います。

 事業仕分けを行うかどうかに関して、いろいろなマスコミの報道も含めて是非の議論はありましたが、私はこれは続けるべきだと思います。なぜかというと、やはり国民の皆様の見える前で、非常にある意味緊張感のある中で予算がつくられる、こういった状況をつくり出すことが大切だと私は思います。これがもしなかりせば、また役所の中の、国民の見えない中での予算編成に戻ってしまうということだというふうに思いますので。

 蓮舫大臣にお尋ねしますが、これまで事業仕分けにおいてどういうふうな成果が上がってきているか。特に、今回議論のなかった中で、特別会計に関しての切り込みもかなり私は行われていると思います。この特別会計を中心としてどのような成果を生んできているか、そして今後これを進めていくのか進めていかないのか、私はぜひ進めていただきたいと思いますが、御所見をいただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 お答えをいたします。

 政権交代を行ってから、事業仕分けは第三弾まで行ってまいりました。一弾目は国の事業を中心として、二弾目は独立行政法人そして政府系の公益法人、そして昨秋には特別会計そして再仕分けを行ってまいりました。すべての情報を公開して、議論のやりとりを公開して、行政の透明化を飛躍的に高めると同時に、無駄の削減につなげてきたことは、私は事業仕分けの大きな成果だったと考えています。

 その中で、今委員御指摘の特別会計ですが、十八会計五十一勘定、これもすべての情報、埋蔵金のみならず隠れ借金というものもすべて公開をさせていただいて、特別会計で行われている事業並びに制度そのものの仕分けを行ってまいりました。例えば事業の廃止、予算要求の見送りは十事業ございました。予算要求の圧縮は三十四事業、事業内容の見直しは二十七事業などのこうした評価結果が得られまして、これらの結果を平成二十三年度予算案に適切に反映をしていただいていると思っております。

 現在、制度仕分けにおいては、社会資本整備事業特別会計の廃止、食料安定供給特別会計とほかの特会との再編など、制度改革の方向性もあわせてお示しをさせていただきながら、特別会計を所管する野田財務大臣のもとで、制度の改革をどのように行っていくのかの御議論をいただいておりまして、行政刷新担当としても、引き続き厳しくフォローアップは行っていきたいと思っています。

大串委員 ありがとうございます。

 私が先ほど申しました、実は去年の夏になりますけれども、私が担当していた財務省のある官僚の一人がこう言いました、事業仕分けを通じて。予算をとることもリスクだということがわかりましたと。妙な言葉のように聞こえますが、すなわち、予算をとるということが説明責任を非常に負うという点において、極めて大きな緊張感がこの霞が関の中に生まれてきている、これが非常にいいことだと私は思います。ですから、ぜひこういった点を前向きにつなげていきたいというふうに思う次第でございます。

 さらに、郵政改革に行きたいと思います。

 蓮舫大臣、片山大臣、そして公務員担当大臣、どうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。中野大臣も結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、郵政改革担当大臣にお尋ねします。

 マニフェストにおいて私たちはお約束しました、郵政改革基本法の成立を目指す。郵政民営化の見直しでございますけれども、この政治状況の中で、これはでも絶対に行っていかなければならない課題でございます。郵政改革担当大臣としての意気込み、決意をぜひ聞かせていただきたいと思います。

自見国務大臣 今、大串委員からお話がございましたように、一年半ほど前に政権交代が起きたわけでございますけれども、その前に、民主党と社会民主党と国民新党の間で、「衆議院選挙に当たっての共通政策」というのをつくらせていただきました。これは八月十四日でございますから、その八月末に、御存じのように歴史的な政権交代が実現した総選挙が行われたわけでございます。

 それで、当時私もたまたま国民新党の政調会長をしておりましたので、大変苦労してこの六つの共通政策、言うなれば、今民主党のマニフェストが大変大きな話題になっていますが、我々国民新党でございますが、これは政権交代のスーパーマニフェストだ、こう思っております。

 まさにその六つの中の一つが、当時大変大きな、二〇〇八年にリーマン・ブラザーズのショックという、リーマン・ブラザーズという会社が破綻されたということは大串先生も御専門でもございますからよく御存じだと思いますが、あのことは、まさに世紀的な曲がり角といいますか、三十年、二十年続いたアメリカを中心とする一強の金融資本主義と申しますか、それがある意味で破綻した歴史的なエピソードだ、私はこう思っておりました。それ以来、世界がまさに非常に不景気、あるいは通貨を含めて非常に不安定になってきたわけでございます。

 そういった中、今お話がございましたように、スーパーマニフェストの一つが、小泉構造改革、この当時、官から民へということで、すべてのことを官から民へすれば富は大きくなるし、人類は幸せになるんだ、そういった大きな流れ、新保守主義的な、五年ほど前はまさにそういった思想が世界を覆っておったわけでございまして、そういったことで、小泉改革の一環として、当時郵政選挙、まさに一丁目一番地、本丸として郵政改革されたわけでございます。

 その結果どうなったかと申しますと、非常に脆弱となりまして、実は、私も十三年前に郵政大臣をさせていただきましたが、ピークのときには二百六十二億通ございました郵便が五十七億通減りまして、今は二百五億通に減少いたしておりまして、郵便残高がピーク時には二百六十一兆ございましたが、約八十五兆減って百七十六兆になっております。

中井委員長 大臣、郵政残高じゃない、郵貯。

自見国務大臣 済みません、郵貯残高でございました。

 それから、簡易保険の契約数は八千四百三十二万口あったのでございますが、実に四千万口減少いたしまして、四千四百六十五万口ということでございます。

 非常に脆弱になってきたということでございまして、それは、やはり真のそういった国民のための郵政とするための改革が必要であるということが、これは国民新党、民主党連立政権の重要な課題の一つであります。そして、このスーパーマニフェストによりまして、株式の凍結処理法は通ったわけでございますけれども、あと郵政改革関連法案、今、昨年の十月に閣議決定して国会に提出しておりますので、時代が大きく変わりましたから、そういったことを踏まえて、やはり三事業一体、そして、どういう僻地でも、あるいは高齢者でも、きちっとやはり明治以来のこの金融のユニバーサルサービスを享受できる、そういった法律に変えていただきたい、こう心から思うわけでございます。

大串委員 自見大臣、ありがとうございます。その決意のもとに、私たちもしっかり頑張ってまいりたいというふうに思います。

 自見大臣、どうもありがとうございました。

 鹿野大臣、お待たせしまして申しわけございません。

 きょう、先ほども話のありました諫早湾干拓の問題でございますが、諫早湾干拓、潮受け堤防に関しては、一九九七年、ギロチンと言われ、締め切られ、その後、この有明海は大変異変を生じました。漁業の漁獲高が激減し、ノリ、漁船漁業、大きな打撃を有明海は受けました。日本一の干潟、極めて奇景でございます。そこに住む漁民の皆さんは非常に影響を受けました。漁業を続けられない、漁村を離れなければならない、若者は漁村を出ていきました。漁業に対する将来への悲観から、みずから命を絶たれた方もたくさんいらっしゃいます。

 漁業者の方々にお話を聞くと、潮受け堤防の工事が始まり、かつ、この潮受け堤防が締め切られた後、顕著に潮の流れが変わった、流れが悪くなった、海の力がなくなっていくのが極めてよくわかったというような流れが過去の十数年間でございました。

 そういった中で、中長期開門調査を求めて運動が起こり、それに対しての裁判活動が行われ、二年半前に佐賀地裁において、開門調査を行うべし、開門調査を行わないことは立証妨害にすら当たるといったことが書かれ、そして今般、福岡高裁において、そのことが再び命じられ、三年猶予の後に五年の常時開門ということになったわけでございます。

 この状況を受けて、沿岸の漁業者を抱える佐賀県、福岡県、熊本県、大変これから有明海の将来を見通していきたいという希望の気持ちが生まれてきているわけでございますので、菅総理の決断にはみんな強く感謝しているところでございます。

 もちろん、このことが、いさかいの海有明海に終止符を打つということが大事でございます。ですから、有明海に住むみんな、すなわち長崎の皆さんも含めて、防災やあるいは農業用水のこと、こういったことも含めた全体的な解決になっていかなければならないという気持ちは、原告団の皆さんもたびたび繰り返しておっしゃっていたことでありますし、そのような解決策になっていってほしいというふうに思っているし、主張してきたところであります。

 今でも時々排水がなされておりますが、例えばことしの冬などもそうですけれども、赤潮が発生しています。過去数年、赤潮が発生し、それによってノリのとれ高が非常に落ちている。これも排水による影響ではないかと非常に心配する向きもございます。

 こういった中で、鹿野大臣にぜひ決意と思いをお尋ねさせていただきたいのは、今般の決断を踏まえ、この湾を取り巻いて住む全県のみんなにとっていいような解決になるように、防災及び農業用水も含めて全般的な解決策にしていくという、その思いを述べていただきたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 この件につきましては、菅総理から、この予算委員会におきましてもその思いが表明されたわけでありますけれども、上告をしない。しかし、このことによって、三年以内に開門をということも命ぜられておるわけでございますけれども、このことは、やはり今後、防災上どうであるか、あるいは営農者にとってどういう影響があるのか、あるいは漁業者にとってどうなのか、こういうことをしっかりと踏まえて万全の策を講ずるように、こういう総理からの指示もありますので、有明海全体のことを踏まえながら、各県、関係の方々と真摯に、そして誠心誠意話をしながら取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

大串委員 ありがとうございました。

 その決意をぜひよろしくお願いしたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、排水による影響かというふうにみんな思う中で、ノリの色落ち等々も連年起こっております。これに対する目くばせ、そして排水のあり方に対するある意味目くばせ、対応等々も万全によろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、最後に一つお尋ねしたいと思います。

 今般、農業政策においては、マニフェストを実行するという意味において、戸別所得補償政策、モデル事業から始まって、二十三年度においてはほぼ達成するという形になってきております。米、そして畑作も含めての導入が平成二十三年度でございます。これによって、どのように日本の農業、米、そして畑作、しっかり支えられる形になっていくのか、その存念のほどをぜひお聞かせいただきたい。これが一点。

 もう一つ。この中で、米の生産数量目標、今回見直しが行われました。これまで減反を行ってきた県に対して、かなり厳しいといいますか、生産数量目標が下がった形になっています。ただ、これも、今般、戸別所得補償政策の中で、産地資金という形で、減反をしっかり行ってきたことに対するインセンティブが与えられるような形になってきておりますが、今回、二十三年度一年で生産数量目標の変更を行われたものですから、ある意味大きな変更となりました。二十四年度以降、漸進的な形にもなっていけるようなことも含めて、戸別所得補償全体が日本全体の農業をしっかり支えるものになっていくように、存念のところをお聞かせいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 先に、佐賀県の農業者の方々も非常に心配されておるこの生産数量の目標についての削減ということに対してどう対処していくのか、こういうことでございますけれども、これにつきましては、今までも産地資金等々ということで対応してきましたけれども、この基本的な考え方は、需要に見合った生産へ誘導していく、こういうふうな原則を踏まえながらも、今後、二十四年産の産地資金取り扱いにつきましても、二十三年度の生産状況というものを見ながら検討してまいりたいと思っております。

 そして、前段の戸別所得補償の成果につきましては、これは政権交代によるところの大きな政策転換の一つであります。今までは価格維持政策、こういうことでありますが、これを所得政策に切りかえる。これは国際社会におけるところの農業政策における一つの流れでございまして、思い切ってその政策を転換して、そしてまずモデルケースとして米から始めました。その結果、どういう変化があったかといえば、これに加入者が百三十三万件、こういうことでありまして、そして過剰作付も八千ヘクタール減少、そして集落営農が千六百件もふえた、こういうことで、一定の成果があったと思います。

 それで、いよいよ来年は畑作物ということで、土地利用型の農業というふうなものについてどう対処していくかということは、これは農業政策の軸になるわけでございますので、引き続きこの所得補償を続けてほしいな、こういう声もありますから、しっかりとそういう農家の現場の声を踏まえながら二十三年度も対処してまいりたいと思っております。

大串委員 さらにしっかりとした対応をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 質問を終わります。

中井委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、郡和子さん。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 きょうも朝早くから、委員長初め閣僚の皆様方、そして委員の皆様、お疲れのことと思いますけれども、最後の質疑でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 二〇一一年の予算の主要政策の一つに、雇用をつなぐ、つくる、そして守るという三本柱を菅総理は声高に挙げられておりますけれども、今労働人口が縮小する中で、内需も大変元気をなくしております。それを変えていくためにも大変大きな政策だと思っております。きょうは、この雇用についてと、そしてまた新成長戦略について中心にお話を聞かせていただきたいと考えております。

 まず、緊急人材育成支援事業についてお尋ねをしたいと思います。

 失業された皆様たちにとっては、まずは雇用のセーフティーネットである雇用保険に入って、そして休業するということでしょうけれども、そこから外れてしまった方々、雇用保険を受給できない方々、受給が終了した方々に関するいわゆる第二のセーフティーネットということで、この事業は大変重要であると思っております。

 私ども民主党は、まず、二〇〇一年の十一月、そしてまた二〇〇三年の三月でございますけれども、雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案を出させていただきました。これは、いわば第二のセーフティーネット、今の支援制度のいわば基本的なところといったものだと思うのですけれども、これを提案させていただいたわけですけれども、いずれも御承知のように否決、廃案になっております。そして、二〇〇九年の三月、百七十一国会におきまして、求職者支援法、これを国民新党さん、社民党さんと共同提案させていただいたわけでございました。しかし、これも審議未了のため廃案となりました。

 そして、そういう中で、自公政権下におきましても、この支援制度の重要性をお酌み取りいただきまして、基金を設けていただきまして、無料の職業訓練と訓練期間中の生活支援を行うための給付を行う事業、これが平成の二十一年七月から実施されております。

 雇用情勢が厳しい中で、仕事を求める皆さんのニーズに合った職業訓練を実施するということ、そして訓練が終了した後にしっかりと仕事についていただくこと、このシステムというのは大変重要だと思っておりますが、細川厚生労働大臣にまずはお尋ねしたいと思います。この事業の実績、目標と対比してお答え願いたいと思います。

細川国務大臣 郡委員にお答えいたします。

 緊急人材育成支援事業の目標でありますけれども、これは、平成二十二年度、本年度の末までに、訓練受講者二十三万人以上、それから就職率六〇%以上、これを目標としてきたところでございます。

 実績につきましては、この事業を始めました二十一年の七月から本年一月の二十五日までの累計で、受講者数が二十五万六千五百四十一人、そして訓練終了後三カ月経過したところで把握しました就職率は六六・三%となっておりまして、いずれも目標を上回っている水準でございます。

郡委員 ありがとうございました。目標を上回る方々がこれに入られて、そして就業率も六六・三%ということでございます。

 この緊急人材育成支援事業、無料で職業訓練を受けて就業するという仕組みですけれども、私の地元仙台で、ある集会で、DVの被害に遭われた女性でしたけれども、命からがらお子さんとともに逃げてこられて、この制度を使って仕事につくことができました、本当にありがとうございますというふうに言っていただいて、私もとてもうれしく思いました。多くの方々が、この制度に入って安心して訓練を受けることができた、あるいはまた資格を取得して再就職することができたと喜んでおられるようでございます。

 しかし、この事業は残念ながら時限的なものでございまして、今後はこれを時限的なものから恒久的なものに変えていかねばならないというふうに思っております。

 新成長戦略や民主党のマニフェストにおきまして、二〇一一年度中にこの求職者支援制度を創設する、恒久的なものにしていくというふうにございますけれども、細川大臣に、この求職者支援制度の実現に向けての意気込みを重ねてお話しいただきたいと思います。

細川国務大臣 お答えいたします。

 今、三人に一人が非正規雇用、そして労働市場も大変流動的でございます。そういう変化の中で、雇用保険を受給できない方々が生活保護に落ちないように、そういう意味でのセーフティーネットをしっかり築かなければいけないというふうに思っております。そのため、雇用保険と生活保護の間をつなぐセーフティーネット、雇用保険を受給できない、したがって、まず職業訓練を受けて、その間、生活資金を支給する、そういう制度をつくりたい。

 そこで、雇用保険の受給をできない求職者を対象に、まず、基礎的な能力から実践的な能力まで一括して付与する新たな訓練実施、二つ目に、一定の要件を満たす場合には訓練中の生活を支援するための給付金、そして三番目に、最終的に就職につながるようにハローワークにおいて強力な就職支援を実施する、そういうような求職者支援制度、こういうものをつくりたい。これは恒久的な制度でございます。

 この法律をぜひこの通常国会に提案いたしたいということで、今、審議会の方から建議をいただいておりまして、これを踏まえて本年度のこの国会に提案をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

郡委員 民主党が、先ほどちょっと御紹介いたしましたけれども、二〇〇一年の段階から、やはり第二のセーフティーネットが必要であろうということで取り組んできた重要な政策だというふうに私も思っております。ぜひ早期実現できますように私も努めてまいりたいと思っております。

 ところで、この春卒業予定者の方々の就職内定率ですけれども、大学生は六八・八%。平成九年の三月の調査以来ずっと見てみましても、過去最悪の状況だということでございます。生産年齢人口が減少して、構造的に内需の縮小というふうなことが起こっているわけですけれども、これをやめていく、阻止していくためにも、抑制する上でも、最も重要なのが雇用だろうというふうに思っています。卒業後に就職先がないという事態は、御本人、御家族もそうですけれども、もとより社会、国家にとっての損失であろうというふうに思っております。

 総理が施政方針演説で、卒業までに何とか就職が決まるようにということで二千人に倍増したハローワークのジョブサポーターの支援で、昨年十二月までに一万六千人の就職が決定したということでありました。そして、今後も全力で支援していくという決意を述べられております。本当に、この春、間近に迫っていますから、喫緊の課題だというふうに思っています。さらに、先般一月二十一日の新卒者雇用・特命チームにおきましても、菅総理は、やれることは何でもやるというふうな強い決意を述べられておりました。

 雇用を主管する大臣として、総理の決意を踏まえて、新卒者の就職支援、どのように取り組んでいかれるのか、また、文部科学省との連携についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、厚労大臣、文科大臣にお尋ねしたいと思います。

細川国務大臣 大学でせっかく学んで、いざ卒業して就職をしようとしたときに就職が決まらない、それも過去で一番内定率もよくない、そういう状況が続いております。

 委員もお話がありましたように、これは、ひとり本人にとって気の毒というような、そういうこともありますけれども、これはもう社会や国家にとっても大きな損失だというふうに思って、私どもとしても、精いっぱい就職の支援をいたしております。

 委員からお話がありましたように、ジョブサポーターを倍増いたしまして、そして就職を支援する、これが昨年の十二月で一万六千人の就職が決まりました。さらには、特命チームをつくりまして、まず卒業三年以内の既卒者を対象に、新卒枠で採用してくれる企業に対しては正規雇用後に百万円支給をする、トライアル雇用を経て正規雇用に移行させた企業に対しては、有期雇用の間には一人十万円の支給、正規に移行後に五十万円支給をする、こういうことも行ってまいりまして、たくさん利用もしていただきました。

 その制度を、今度、今大学生でまだ就職が決まっていない方にも適用するというのが、この二月一日から始めたところでございます。したがって、内定者には、このような、企業にいろいろな経済的な支援をする、こういうことでございます。

 また、大学とも協力をいたしまして、大学の情報をいただいて、内定がされていない方には一人一人ジョブサポーターが電話連絡などをいたしまして、個別に連絡をして支援をしていくというようなこともいたしておりまして、私どもといたしましては、ハローワークを中心にもう精いっぱいの支援をいたしておりますので、まだ内定が決まっていない学生の皆さんはぜひハローワークにおいでをいただいて、御利用をしていただけたらというふうに思っております。

郡委員 今連携をしてというお話がありましたけれども、大学の側にも就職環境を取り巻く構造的な課題というのもあるんだろうというふうに思っています。それを解決していかなければならない状況なんだというふうに認識しています。

 企業サイドの取り組みももちろん大切ですけれども、大学において、学生もしっかりと就業力、学術的なところもそうですけれども、仕事につくということについてどのように取り組んでいったらいいのかということを、大学もしかるべき対応をとらねばならない、そういう時代なんだろうというふうに思っております。

 その辺について、人材育成というふうにも言えるかと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、高木文部大臣にお話をお聞かせください。

高木国務大臣 郡委員にお答えいたします。

 御指摘のとおりで、今大学生などの就職状況は極めて厳しいものがございます。私も、昨年の秋以来、大学関係者、そしてまた主要な経済団体の皆様方と直接お会いをしまして、雇用枠の拡大、卒業後三年以内の新卒扱い、あるいは今大きな問題となっております就職採用活動の早期化、これを是正していく、こういうことで議論をしてまいりました。

 そのときも痛切に感じたのは、やはり、特に経済団体からは、大学における就職活動に対する社会的自立あるいは職業的自立、そういう必要な能力をさらに高める大学教育の充実をしてほしいという強い要求もございました。

 したがって、私たちは、既にことしの四月一日から大学、短大の設置基準を、まさに社会的、職業的自立が図れるような体制を整備する、そういう制度化を含めた対応をしておりますし、同時に、それぞれの大学で就業力、職業力の自立に向けてすぐれた取り組みをしておられるところには就業力育成支援事業ということで取り組んできております。

 委員御指摘のとおり、これからも我々は大学教育の充実についてさらに取り組みを強化してまいりたい、このように思っております。

郡委員 中教審でも職業教育特化の学校をというような答申をこのほどまとめられたというふうに承知しております。ぜひ活発な議論をしていきたいものだというふうに思っております。

 先月二十五日、新成長戦略実現二〇一一についての閣議決定がございました。この中には、「失業率をできるだけ早期に三%台まで低下させるとともに、就業率の向上を目指し、就業希望者が働ける環境を実現する。」というふうに、「雇用」という大きな項目が立てられておりました。

 しかし、失業率そのものは、一週間のうちに一日でも働いて賃金を得た人は失業しているというふうにはみなされませんし、家事手伝いをしている人も入っておりませんし、それから、そもそも求職意欲のなくなった人たちも入っておりません。雇調金で企業内失業となっている人も入っておりません。実際のところは、政府が発表する失業率に入っていない無職の皆さんたちが相当数いるということ。生活保護世帯が急増している問題ですとか、ホームレスの問題ですとか、それから生活困窮者の問題などなど俯瞰して、全体像を見て、現実的なところで自立につながる政策というものを、せっかく総理のもとにさまざまな特命チームをつくられているわけですから、しっかり議論をしていただいて、全体での底上げというのをしていただきたいというふうに思っております。

 居場所と出番のある社会づくり、菅総理が、雇用、福祉、人権擁護、自殺対策の分野で、さまざまな機関や社会資源を結びつけて、だれ一人として排除されることのない社会、一人一人を包摂する社会の実現を目指すというふうに表明をしておられるわけですから、私も、俯瞰した立場で議論を進めてまいりたい、そんなふうに思っております。

 それでは、次に、ライフイノベーションについてお尋ねをしたいと思います。

 ライフイノベーション、革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発の推進ということでございますけれども、少子高齢社会に直面する我が国におきましては、国民の健康と持続的な成長をともに実現していくということが極めて重要な課題であります。

 ライフイノベーションは、昨年の六月に閣議決定されました新成長戦略においても、日本の強みを生かして、健康長寿社会の実現と同時に、成長と雇用創出につながる最重要政策課題と位置づけられております。このライフイノベーションによる健康大国戦略では、日本発の革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発を推進することというのが掲げられているわけでございますけれども、これが実効性のあるものとして働くように、国民の医療、健康の向上と、我が国の経済成長にしっかりと結びつくようなものであるために今御尽力をいただいているというふうに思うわけでございます。

 それぞれの省庁の壁を取り払って連携をすることも重要な課題だろうというふうに思っています。現在、厚労省、文科省、そして経産省が一体となって取り組まれている御様子でございますけれども、とりわけ医療機器、医薬品について、中小企業も含めて国づくりに貢献していただくためにお取り組みいただいているわけですけれども、このライフイノベーション、まずは担当主管でもあります海江田大臣に御説明をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 郡委員にお答えをいたします。

 もう郡委員つとに御案内で、質問の中で基本的な考え方などお話しをいただきました。

 つけ加えるとすれば、今おっしゃったような、やはりこれは産学官の一体化した取り組みが必要でございますから、この一体化した取り組みを強化すべく、特に、去年、十一月でございますけれども、新成長戦略実現会議という司令塔がございますから、この司令塔のもとに、ライフイノベーションの中でもやはり大きな塊が医療でありますので、医療イノベーションの会議をつくったところでございます。これは、議長は官房長官でございます。

 そして、さらに、この医療イノベーション会議ができたもとに、ことしの一月七日になりますが、内閣官房に医療イノベーション推進室を設置いたしました。これは、室長が中村祐輔先生といいましてヒトゲノムの研究センターの長でありますが、この方を室長にしてそうした推進室を設置し、オール・ジャパンの推進体制を構築したところでございます。もちろん、ここには経済産業省からも職員を派遣してございます。

 経済産業省としましては、これも今、郡委員から指摘がございましたけれども、特にやはり、中小企業がいろいろな意味で日本の物づくりの基盤でございますので、中小企業もぜひ積極的に参加をしてもらいたいと思っておりまして、この日本の物づくりの力を競争力の強化に活用すべく、私どもでは医工連携と言っております、医学と工業の連携、これを図ることによって革新的な医薬品、医療機器、この医療機器の中には介護ロボットなども含まれようかと思っておりますが、こうした研究開発や環境整備を進めているところでございます。

 それから、これも御指摘ありましたけれども、私ども経産省だけではありませんで、厚生労働省や文科省など各省連携のもとで着実に進めていきたいと考えております。

 以上です。

郡委員 ライフイノベーション、医療イノベーションというようなお話がありましたけれども、本当に重要な分野なんだと思います。ここをぜひ、エンジンを全開にして盛り上げていくということが重要になってくるんだろうと思います。

 研究開発の推進ということも重要で、文科省でもお取り組みなんだろうと思いますけれども、たとえ基礎研究の分野であっても、例えばがん、うつ病に対応できるというような、出口を見据えた研究というのも重要なんだろうと思います。特に、基礎科学、基礎研究の部分から臨床に結びつく橋渡し研究というんでしょうか、こういうものを重要視すべきではないかというふうに私などは思うのですけれども、高木大臣、その辺の取り組みについてお尋ねしたいと思います。

高木国務大臣 先ほど海江田大臣もお答えしておりましたけれども、ライフイノベーション、まさに、経済産業省、厚生労働省など関係省庁としっかり協調しながらやっていくことが何よりかと思っております。

 せっかく基礎研究がなされても、その成果が出口に結びつくということが極めて重要であろうと思っておりまして、私どもとしましても、社会のニーズが高い、我が国が研究の強みを持っておる、例えば、難病克服のためのiPS細胞等による再生医療の分野、あるいは根本的な治療などを目指す画期的ながん治療、また、うつ病とか認知症などの精神・神経疾患の克服、こういった研究開発を重点的にこれからも実施していかなければならぬと思っておりまして、まさに基礎研究から臨床研究まで一貫した支援を行うことが重要だろうと思っております。

 これからも、ライフイノベーションについて、さらに関係省庁とも力を合わせて取り組みを進めていきたい、このように思っております。

郡委員 ありがとうございます。

 厚生労働省の取り組みはいかがでしょうか。

細川国務大臣 厚生労働省におきましては、来年度の予算案におきまして、元気な日本復活特別枠を活用いたしまして、健康長寿社会実現のためのライフイノベーションプロジェクト、こういうことで百三十一億円を新たに計上いたしたところでございます。

 このプロジェクトは、一つは、難病あるいはがん等の疾患分野の研究成果を実用化すること、二つ目に、日本発の革新的医薬品あるいは医療機器の研究開発、三つ目に、介護ロボットなどの開発、こういうことをプロジェクトとして行うということで、こういうことを推進することによって、健康長寿社会を実現するとともに、国際競争力を強化して経済成長につなげていく、こういうことを目的といたしているところでございます。

 私どもも、経産省、文科省と協力をして、しっかりやっていきたいというふうに思っております。

郡委員 このライフイノベーションの取り組みを進めて、今がんで闘っておられる方々も多いわけですけれども、がんあるいは難病の治療薬等、日本から新しい薬をつくっていく、そういうような取り組みというのが本当に重要になってくるんだろうと思っています。

 ただ、その一方で、世界に先駆けて承認をされましたイレッサの問題でありますけれども、死亡という重篤な副作用がございました。裁判については、国も和解に応じないことを決めたということでございますが、これについては言及はいたしませんけれども、リスクとベネフィット、そのリスク管理をどういうふうにしていくのかということもまた重要なことなんだろうというふうに思っています。つまり、医薬品や医療機器などの安全対策を充実していくことであります。これが、このライフイノベーションをより進める上で、その前提になるものだと私は思っているところです。

 細川大臣に、安全対策の充実についてはどのように図ろうとなさっているのか、お尋ねをいたします。

細川国務大臣 郡委員がおっしゃるとおり、こういう医薬品等を開発していく、その有効性と、そしてその安全性、これをしっかり確保していかなければというふうに考えておりまして、有効性と安全性のバランス、これが大変重要だというふうに思っております。

 したがいまして、そういう観点から、先ほど申し上げました、来年度の予算案に計上いたしております健康長寿社会実現のためのライフイノベーションプロジェクト、この一環といたしまして、より迅速な安全対策が講じられるように、医療情報データベース基盤整備事業というのを盛り込んだところでございます。

 具体的には、全国の五つの大学病院等の協力を得まして、電子カルテ等のデータを活用した一千万人規模の医療情報データベースを構築いたしまして、副作用に関する情報を収集する体制を強化したいというふうに考えております。

郡委員 今御答弁いただきましたように、いろいろな方々の情報が集約をされて、それがいろいろな方々に見ていただけるというふうなことなんだろうと思いますけれども、そういうような充実を図ったとしても、薬というのは副作用を完全にぬぐい取ることはできないものでございます。ですから、市販後においての副作用被害が生じた患者に対する救済制度が設けられているわけです。

 細川大臣、今後、日本発の革新的な医薬品を開発する上で、画期的な医薬品を承認していく上で、イレッサなどのような抗がん剤というのはこの救済制度の中に盛り込まれていなかったわけですけれども、先般の、和解には応じられないけれども救済制度についてお考えになるやの御発言があったかと思うんですけれども、これについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。

細川国務大臣 委員が質問されました、抗がん剤などの副作用によって亡くなる方、そういうような方の救済制度ができないか、こういうことでありますけれども、今の救済制度では抗がん剤は救済対象から外されているわけなんです。

 なぜ外されているかと申し上げますと、一つには、がんがずっと進んでいきますと、ほかに治療方法がない、そういう中で、重い副作用を理解した上で抗がん剤を使用せざるを得ないということが一つある。

 それからもう一つは、不幸にして亡くなられた場合、亡くなった原因が、副作用と死亡との因果関係、副作用によって亡くなられたのか、本来のがんで亡くなられたのか、そういう因果関係がなかなかはっきりしないというようなことで、抗がん剤は適用から外されているわけでございます。

 しかしながら、せんだっても、イレッサの訴訟の判決を控訴するかどうかというようなことで私もいろいろと悩んだのでございますけれども、そういう副作用で亡くなられた被害者の、患者の皆様方の御意見などもいろいろお聞きもいたしまして、今後、やはり国民的な合意も得なければというふうに考えておりまして、十分に議論をいたしまして結論を得たいというふうに思っているところでございます。

郡委員 抗がん剤についても救済制度について考えていきたい、そういう方向なのだろうというふうに理解をいたしました。

 市販後の救済制度については、まあ整っているわけでございますけれども、治験の場では、これもまたお薬を提供する製薬会社が補償制度を持っておりまして、ここは救済の道がある。しかし、治験ではない、臨床試験、臨床研究でありますと、補償制度が実はないんですね。これは抗がん剤だけに限りません。すべてにおいて、ないのですね。

 今、大変重い病気で、がんなどで、リスクを十分に承知した上でも使いたい薬があるというふうなことをお話しになられましたけれども、ぜひ私は、コンパッショネートユースという公的な制度、これは欧米ではもう行われている制度ですけれども、この導入をすべきだろうというふうに思っておりますし、被験者の保護、患者の保護ということがしっかり担保された上で、安全を担保し、お薬を使って、そしてまた開発に結びつけていく、そういうあり方が望まれるのではないかと思っております。

 これまで、私も厚生労働委員会等で何度となくお話をしてまいりましたけれども、日本の研究制度というのはダブルスタンダードになっております。

 欧米を初め世界では、医薬品、医療機器の研究開発、承認制度は、法制度のもとで、あらゆる医薬品、医療機器の臨床研究、臨床試験を一元的に管理しております。しかし、日本は、今申しましたとおり、承認申請をするための、薬事法に基づいて管理されている治験と、そしてまた行政指針の臨床研究なんですね。未承認の医薬品、医療機器や技術を試験するこの臨床研究制度、ここがダブルスタンダードであるためになかなか薬の開発が進んでいかないというような問題点もこれまで指摘をしてまいりました。海外の研究者もこのことに言及をされております。

 今申しましたように、今度はデータの蓄積をしていくのだというお話でしたけれども、臨床研究の段階からデータを蓄積できるようなそういう仕組み、それからまた臨床研究においても副作用被害の救済制度、これは訴訟リスクとも重なってくるものですから、必要なんだろうというふうに思います。この点がまだできていないということ。それから、薬事法五十五条で、せっかく開発をされた未承認薬でありますとか新化合物、これが、研究施設の外からの提供が原則としてできないことになっております。

 これらも含めて、なお一層見直すべき点があるのではないかなというふうに思っているところです。一層の御努力を望みたいというふうに思います。

 次に、これも医療の安心、安全を図るということで多少関連してこようかと思います。診療関連死の原因究明制度についてお尋ねをしたいと思います。

 現在、厚生労働省の補助事業として、患者側でも医療側でもない中立な立場で専門家が医療事故で亡くなった方の死因を調査する、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業が実施をされております。このモデル事業は、医療事故の原因を究明する制度の創設に向け、どのような仕組みがふさわしいのかを検証する事業だ、そんなふうに承知しておりますけれども、昨年の十二月七日、新聞報道で、これまでの院外の中立的な調査委員会を重視する仕組みに加えて、来年度からは、各医療機関が行う院内の調査委員会がまとめた報告書をモデル事業において検証、評価する仕組みが実施されるということを知りました。これに対して、一部の関係者からは、中立性や透明性の確保の観点から問題があるんじゃないだろうかという懸念も示されているところでございます。

 ついては、この新しいシステム、どのように中立性や透明性を確保するのか、厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

細川国務大臣 御指摘の診療・医療行為に関連した死亡調査分析モデル事業、これは平成十七年から開始をされまして、平成二十二年三月、過去五年間の成果を総括いたしまして、これまでの総括と今後に向けての提言というのを公表したところでございます。

 その提言の中で、近年、院内調査委員会活動等が確立された医療機関がふえている、こういうことを踏まえまして、死亡事例について、院内調査報告書を公正な第三者の立場でレビューするという形で調査分析を実施することが提言されたところでございます。

 そこで、今後このような形も調査分析方法の一つとして試行する方向で検討いたしておりますが、第三者の立場から適切に関与することによりまして、調査分析の中立性、透明性が確保されるものと考えております。

 このように、今後とも、御指摘の観点も踏まえまして、医療機関みずからが医療事故を真摯に受けとめ、医療現場における医療安全の意識が醸成されるように促すとともに、第三者の適切な支援と関与を行うことによりまして、我が国の医療の質の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

郡委員 不幸にして医療事故に遭われた場合、その真相が明らかにされないまま、うやむやになってしまう場合もございます。訴訟になると、これはもう、訴えた側だけでなく訴えられた側も、双方に大きな負担がかかるわけでございます。このため、今お話しになりましたモデル事業を初め、医学的に中立的な観点から医療事故の原因をしっかりと明らかにして、再発の防止を図る仕組みを検討していくこと、これは重要なんだろうというふうに思っています。

 その制度化に向けた議論を今進めることが重要なんだと思いますけれども、その際には、患者また医療提供者を含め、幅広く国民的議論を行って、しっかりと検討していく必要があろうかと思っております。

 細川厚生労働大臣に、今後の医療事故の原因究明及び再発防止を図る仕組みの検討方針についてお尋ねをしたいと思います。

細川国務大臣 厚生労働省におきましては、医療死亡事故の原因究明、再発防止を行う仕組みといたしまして、平成二十年、医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案及び医療安全調査委員会設置法案、これを公表いたしたところでございます。

 また一方で、民主党では、医療事故が発生した際には、まず当事者間で納得を得ることが基本であるという認識に立ち、平成二十年に、法律案の骨子案、通称、医療の納得・安全促進法案というのを公表されたところでございます。

 第三次試案及び大綱案のまま成案とすることは今考えてはおりませんけれども、これまでの議論を参考にしつつ、医療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業の内容を見直して、厚生労働省内の検討会におきまして、死因究明に役立つ死亡時画像診断を活用する方法などについて検討を行っているところでございます。

 今後とも、引き続き、医療現場の方々はもとより、医療を受ける患者や国民の方々から広く御意見を伺いつつ、関係省庁とも協議を行って、積極的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

郡委員 今言及をされました画像診断等にも予算がついているということですけれども、これは死因究明制度についても同じように予算がつけられ、来年度も計上されているようですので、同じ人命、人権を守る、政府として見逃せないテーマの一つである死因究明制度についてもお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。

 日本で年間亡くなられる方はおよそ百二十万人いらっしゃいます。そのうち、警察に届け出されます変死、異状死というのがおよそ十七万人だそうでございます。そして、そのうち警察が取り扱う解剖率は一〇%程度だというふうに聞きました。つまり、不審な死者というのは九割が解剖されないままになっているということであります。

 平成十年から平成二十年の間の犯罪死の見逃し、これは発覚しただけでも数多くございまして、あの時津風部屋の事件を含めて三十九件だそうでございます。殺人ですとか事故の見逃しというのも頻発しているのではないかというふうにも推測されるところであります。

 欧米諸国と比べて低い解剖率、それから不十分な医学的調査の中で、死因が十分に究明されないまま、死者に係る権利関係が変更されたり、あるいは時として刑事司法が介在するということになるわけでございます。死因不明あるいは誤認によって権利を侵害されたり、あるいは死因について得心がいかぬまま残された御遺族の気持ちというのは、それはもう推しはかることもできないほどの悲しみではないかというふうに私は思います。この死因究明制度の確立というのも喫緊の課題ではないかと思います。

 今し方ちょっとお話をさせていただいた、予算がついたということでございますけれども、警察庁では、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会というものを設けて検討を重ねておられ、今年度末、つまり三月中には結論を出す方向だというふうに聞いておりますが、検討状況を中野国家公安委員長にお尋ねをしたいと思います。

中野国務大臣 お答えをいたします。

 お答えの前に、周囲にこの問題の先駆者がたくさんそろっておりまして、私がお答えするのは少々おこがましいのでありますが、立場上、答弁をさせていただきたいと思います。

 犯罪死を見逃さないということは、警察に課せられた最も重要な課題の一つでございます。今おっしゃられましたように、昨年一月から、警察庁において、法医学者、刑事法学者等の有識者から成る研究会を立ち上げました。恐らく、その発案者といいますか、その立ち上げに一番御努力いただいたのが、今、予算委員長の中井当時国家公安委員長だと思いますが、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度のあり方について検討が行われているところでございます。

 昨年七月には中間報告がなされ、その中で、例えば、解剖率を一〇%から二〇%へ、やがて将来は五〇%に、そういうことについてのいろいろな御提起もなされていると思いますが、まず、これらを具現化するために、平成二十三年度予算案において、検視官の増員等が盛り込まれた。中井国家公安委員長に続いて、郡先生一番お親しいと思いますが、岡崎公安委員長も大変御努力をいただいた成果だと思います。

 この研究会では、現在、警察における検視、死体見分のあり方、検案や解剖のあり方等について検討を進めていただいておりまして、本年度末には、犯罪死を見逃すことのない死因究明制度のあり方について、最終取りまとめが出されるものと承知をいたしております。

 今後、最終取りまとめを踏まえて、関係省庁、とりわけ、解剖などになりますと、厚生労働省、また文部科学省等々の御協力が必要でありますし、既にこの研究会においては厚生労働省の御協力をいただいているところでございますが、厚生労働大臣も、この問題については、既に法案の提出者として御活躍いただいた経緯もあるわけでありますから、後ほどまた、より一層お詳しい御答弁がいただけるのではないかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、その所期の目的達成のために全力を尽くして頑張ってまいりたいと思います。

郡委員 ありがとうございます。インフラの整備も含めて、重要になってくるんだろうというふうに思います。

 民主党が野党時代に、いわゆる死因究明法案とともに法医科学研究所設置法案を提出いたしました。まさに、今、中野大臣からもお話がございましたように、提案者の筆頭は細川現厚生労働大臣でございます。

 警察庁の七月の中間取りまとめにおきましても、解剖率の向上のために解剖医をふやすですとか、今お話しいただいたようなお取り組みが検討課題として打ち出されたところでございます。そして、厚労省と警察庁との責任を分担して緊密に連携をしていくというような方向性を含めて、法医解剖制度の創設、それから法医学研究所の設置などが検討されているやに聞いております。

 そこで、民主党の法案の提出者でもありました細川厚生労働大臣に、法医学研究所の整備についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、伺わせていただきたいと思います。

細川国務大臣 前、野党にいたときに、死因究明二法案をつくりまして提案をした。そして、あれは法務委員会の方に継続をいたしておりましたので、法務委員会では、法案の審議の前提として、いろいろな有識者を呼んで勉強会をしたり、あるいは海外まで研究に行ったりして、法務委員会でいろいろと研究もしていたということもございまして、それが現実的に、今の中井委員長が国家公安委員長に就任されて、そこで具体的に、死因究明制度をつくるためにまずは研究会を設置されまして、現在相当進んで、もう今年度中にはその報告が出されるというようなところまで、今、中野国家公安委員長のもとで進んでいるというところ。本当に私も感慨深いところでございます。

 その報告に基づいて法律がつくられるというところまでぜひ進めていただけたらというふうに思っております。そのときには、またこの国会での御審議というのが大変重要になろうかと思いますので、そのこともまたよろしくお願いをしたいというふうに思っております。

 私がそもそもこの問題に取り組んだのは、保険金殺人という、保険金を詐取するために、大変多額の保険金を掛けて、そして殺人ではなくて過失で亡くなったようにして保険金を詐取する、そういう事件が多発をした。それに対して、何としてもそれを防がなきゃいかぬ、そういう犯罪を犯すやつを許してはならぬというようなところから、この死因究明制度をつくらなければというふうに思って取り組んでまいったところでございます。

 今は厚生労働省の立場で、異状死の死因究明に関する支援事業とか、あるいは死体検案能力の向上のための講習会とか、警察庁におけるこの研究会への協力というのを厚生労働省は行っているところでございます。

 御指摘の死因究明制度の充実につきましては、医療事故の原因究明、再発防止の観点からも大変重要な課題の一つでございまして、厚生労働省としましても、警察庁と連携協力して積極的に対応してまいりたいというふうに思っております。

郡委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 最後に、障害者基本法の改正が予定をされておりますので、これについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 民主党政権は、障がい者制度改革推進本部のもとに障害者をメンバーとする推進会議を設置いたしました。これまでの障害者に係る制度、政策づくりの仕組みとは全く異なった、当事者による制度、政策づくりという画期的な手法だというふうに思っています。政権交代の意味がここに象徴的に表現されているなと私も深く感動したのを覚えております。

 その推進会議が、これまで本当に活発な御議論をしてくださいまして、昨年の十二月に、障害者制度改革の推進のための第二次意見というのを取りまとめてくださいました。これは、国連の障害者権利条約の批准に向けて、障害者基本法の改正を含めて国内の法整備を行うというものでございまして、この意見、広範な分野にわたっているわけでございます。

 チルドレンファースト、人への投資を重視する民主党としては、インクルーシブ教育について、国内でどんなような整備をするのか非常に注視するところであるのですけれども、高木文部科学大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 御指摘の点については、文部科学省としても、中央教育審議会で特別支援教育のあり方について審議をいただいておりまして、十二月に論点整理がまとまったところです。

 それによりますと、まず一に、同じ場でともに学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある児童生徒に対して、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要。また、就学基準に該当する障害のある子供については、特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改めて、障害の状態、本人の教育的ニーズ等を踏まえた総合的な観点から決定する仕組みとすることが適当だ。その際、本人、保護者の意見を最大限尊重し、合意形成を行うことを原則として、最終的には市町村教育委員会が決定する仕組みとすること、こういう提言でございます。

 いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、体制面あるいは財政面を十分検討を行って、教育現場に混乱をもたらさないように、漸進的な制度の構築に努めてまいりたいと思っております。

郡委員 障害者基本法の改正というのは、今後の障害者の法律や制度の理念、施策の方向性を示すものであります。国内法整備のかなめともなるわけでございます。障害者権利条約の批准にふさわしい改正にしていくというのが民主党政権に一番求められていると言っても過言ではないんじゃないでしょうか。日本政府としての姿勢を内外、とりわけ国際社会にアピールしていくことにもなるんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、これを所管いたします蓮舫大臣、最後になりましたけれども、大変長い間お待たせをいたしましたけれども、決意をぜひ伺わせていただきたいと思います。幾つもの留意点が出されていて、ちょっと心配な点もございますが、その点について、蓮舫大臣の強い決意をぜひお聞かせいただければと思います。

蓮舫国務大臣 障がい者制度改革推進本部副本部長としまして、この会議でおまとめをいただきました、特に当事者の思いが大変詰まっているものでございますから、障害者基本法の改正にできるだけ反映をさせていただきたい。郡委員も、民主党のプロジェクトチームの中で積極的に関係省庁からヒアリングをしていると伺っております。与党、野党ではなくて、この国で障害を持って暮らしている方たち、お子さんから御高齢者の皆様方が本当に幸せになれるような社会に向けて、その第一歩として基本法の改正を取りまとめていきたいと考えております。

郡委員 ありがとうございました。民主党政権になって、当事者の方々に喜ばれる制度設計に努めてまいりたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて郡君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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