衆議院

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第6号 平成23年2月4日(金曜日)

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平成二十三年二月四日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      網屋 信介君    石井登志郎君

      石毛 えい子君    石津 政雄君

      稲見 哲男君    打越あかし君

      生方 幸夫君    小川 淳也君

      大串 博志君    加藤  学君

      笠原多見子君    金森  正君

      神山 洋介君    川口  博君

      川島智太郎君    川村秀三郎君

      木村たけつか君    小林 正枝君

      小宮山泰子君    郡  和子君

      佐々木隆博君    高井 美穂君

      高邑  勉君    竹田 光明君

      玉置 公良君    津村 啓介君

      道休誠一郎君    中根 康浩君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      初鹿 明博君    早川久美子君

      本多 平直君    三谷 光男君

      水野 智彦君    宮島 大典君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      谷田川 元君    山口 和之君

      山口  壯君    吉田 統彦君

      渡部 恒三君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    菅原 一秀君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      石田 祝稔君    遠山 清彦君

      笠井  亮君    宮本 岳志君

      服部 良一君    柿澤 未途君

      山内 康一君    下地 幹郎君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  中野 寛成君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  関  克己君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  石毛 えい子君    初鹿 明博君

  稲見 哲男君     玉置 公良君

  大串 博志君     神山 洋介君

  川村秀三郎君     加藤  学君

  吉良 州司君     網屋 信介君

  佐々木隆博君     川口  博君

  城島 光力君     室井 秀子君

  竹田 光明君     吉田 統彦君

  中根 康浩君     小林 正枝君

  仲野 博子君     小宮山泰子君

  水野 智彦君     笠原多見子君

  金田 勝年君     橘 慶一郎君

  遠山 清彦君     石田 祝稔君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     川島智太郎君

  加藤  学君     川村秀三郎君

  笠原多見子君     水野 智彦君

  神山 洋介君     谷田川 元君

  川口  博君     佐々木隆博君

  小林 正枝君     中根 康浩君

  小宮山泰子君     山口 和之君

  玉置 公良君     稲見 哲男君

  初鹿 明博君     石毛 えい子君

  室井 秀子君     早川久美子君

  吉田 統彦君     竹田 光明君

  橘 慶一郎君     金田 勝年君

  石田 祝稔君     遠山 清彦君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

  服部 良一君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  川島智太郎君     石井登志郎君

  早川久美子君     木村たけつか君

  谷田川 元君     石津 政雄君

  山口 和之君     道休誠一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     吉良 州司君

  石津 政雄君     大串 博志君

  木村たけつか君    城島 光力君

  道休誠一郎君     中野渡詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     仲野 博子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長田口尚文君、国土交通省河川局長関克己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。

佐田委員 おはようございます。自由民主党の佐田玄一郎でございます。

 きょうは、先般、金子議員の方からもありましたが、八ツ場の問題につきまして中心に、これは民主党のマニフェストでもありますので、質問をさせていただきたいと思います。

 先立って、今回、河川局長を呼んでおりますけれども、河川局長に申し上げますけれども、河川局長は細かい数字等のためにお呼びしたことであって、指名するまでは絶対に挙手をしないようにぜひお願いしたい、こういうふうに思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず第一に、一月の十四日に大畠国土交通大臣が就任をされました。当初から、最初に前原大臣、前原大臣は二〇〇九年に就任をされて、マニフェストということで、いきなり、視察も何もせずに、検討もせずにすぐに記者会見の後に中止、こういうことを表明されたわけであります。後にそれは変わってまいりましたけれども、その後に馬淵大臣になった。前原大臣のときは、中止の方向で予断なく検証をしていく、こう言ったんですね。馬淵大臣のときには、中止を前提というか、方向性ということは言いません、こういうふうに言ったんですよ。

 今度の大畠大臣はどういうお考えを持っているのか、お聞きしたいと思います。

大畠国務大臣 佐田議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 私、十四日に国土交通大臣を拝命して、大きな課題として、今御指摘をいただきました八ツ場ダムに対してどうするかということは大変大事な課題だと受けとめております。

 きょうは、佐田議員からの御質問にお答えをしながら、同時に、地域の方々にも私自身の考え方がよく御理解いただけるように、お答えを誠実にしたいと思います。

 確かに、議員から御指摘いただきましたような経緯でございますが、私としては、馬淵前大臣が示されました、中止の方向性には言及せず、一切の予断を持たずに検証を進める、この方針というものを堅持してやってまいりたいと思います。そういう意味で、この検証でありますけれども、透明性、客観性を確保して、ことしの秋ぐらいまでをめどとして検証を進める、それも一刻も早く結論を得ることが大事だと思っております。

 地元の皆様方には、大変この間御心配あるいはいろいろ混乱等をさせておりますけれども、その件については私自身も十分心して、皆様方にも御理解いただけるような結論が出るように、一生懸命努力をしてまいりたいと思います。

 以上です。

佐田委員 大臣、これは地元の、本当に苦しんでいる吾妻地区の、もう五十年以上苦しんでいる方々も聞いておるわけでありますから、しっかりとした議論を私はしていきたいと思っております。

 それと、事前に私申し上げますけれども、今の状況、今までずっと私もこれを議論してまいりました。もう二〇〇九年の九月から、前原さんとも馬淵さんとも議論をしてまいりました。この中において、マニフェストかもしれませんけれども、これは必ず中止の撤回をして、一日でも早くやらなかったら大変なことだということをぜひ御理解いただきたいと同時に、私はそういうスタンスで質問もさせていただきたい。よく御理解いただきたいと思います。

 馬淵大臣は、予断なく、秋までにできるだけ早く結論を出したいと言われておりましたけれども、それにはやはり視察も確かに必要だと思います。今度、視察には十三日と聞いておりますけれども、これは間違いありませんか。

大畠国務大臣 御指摘のように、私も大臣に就任して、この問題について、まずは現地の方々、現場を預かる方々のお話を聞くことから始めたい。政策というものは、地域の方々の理解と協力がなければ推進することはできませんから、まずは現地の方々のお話をお伺いしたい、こういうことを要請しておりまして、今、佐田議員から御指摘の日にちに、私も現地に入ってお話を伺いたいと考えております。

佐田委員 せっかくのお言葉ですけれども、大臣、地元の方々、私は十二月の十九日に、この間視察をやってまいりました。もう何度もやっておりますけれども、そのときには我が党の議連の方々、友党の方々も一緒になって、そしてまた一都五県の知事も含めた、要するに推進議連の県議そして都議の人たちも一緒になって行きました。その中で、その住民の皆さん方との議論の中で、住民の方々は何と言ったと思いますか。大臣が今度来られても我々は議論の場はつくりません、こう言っているんですよ。なぜだと思いますか。

大畠国務大臣 この問題については、大変地元の方々との信頼関係というのが損なわれてしまっていると私も受けとめております。したがいまして、今回、二月十三日にお邪魔をさせていただくわけでありますが、このときには、群馬県の知事、それから長野原町長さん、そして東吾妻町長さん等々と、まず大臣就任のごあいさつを申し上げ、そして率直に私自身の現在の考え方を申し上げながら首長さん等々のお話を伺い、そこから信頼を回復するように努めてまいりたいと考えております。

佐田委員 大臣、知事ももちろん一生懸命推進ですよ。東吾妻も長野原の町長さんもみんな推進ですよ。ただ、一番苦しんでいるのはだれだと思いますか、住民の皆さん方ですよ。

 要するに、どかなくてもいい、湖底に沈む、そういうことで大変に親戚同士も争ってきた。そして、そういう中において、やっとの思いで、やはり一都五県の中において治水、利水というものを考えた場合に、我々が犠牲になってやろうということで、みんな一致団結をした。そして、みんな上の方に、自分の先祖代々の土地を全部捨てて、そして国に供出して、そして自分たちは本当に住みづらい上の方の、要するにダムができたら湖面になる何百メートルの上の方まで移っているわけですよ。そういう人たちが非常に苦労している。

 それと同時に、出ていってしまった人たちもいるんですよ、はっきり言って。千数百人も、もう相当な数の方々が既に、もうここでは暮らせないということで出ていってしまっている方がたくさんいるんです。苦しんできたんですよ、大変に。お墓も移している。

 そういう中において、では、前原元国土交通大臣、馬淵大臣がどういう態度で来たか、勉強されていますか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 この件につきましては、これまでの経緯等々について、私も、休日等も関係者を呼んで、もちろん国土交通省の関係者でありますが、これまでの経緯についてはいろいろとお話を伺ってきたところであります。

 特に、佐田議員がおっしゃいましたように、五十年を超える歴史を持つこの八ツ場ダムの建設の歴史がございました。お墓を移す、あるいは住居を移す。私、茨城県選出でありますけれども、茨城県の中でもダムを幾つかつくっておりまして、ダムをつくるときには、大変な思いでその地域の方々が御協力をしていただいてつくってきた。こういう歴史もわかっているわけでありますが、特にこの八ツ場ダムについては、今、佐田議員からお話がありましたように、さまざまな歴史があって今日に来ている、こういうことをいろいろ学ばせていただいたところであります。

佐田委員 大臣、私がちょっと時間をとって説明させていただきますよ、なぜ怒っているかということを。私は自分で想像して言っているんじゃないんですよ。地元の方々と先日話し合って、その中の苦しい思いを聞いてきたから、大臣にお伝えしているんです。大臣が行ったって話なんかしてくれませんよ、多分。中止撤回という前提において会うのなら会ってくれるというふうに言っているんですよ、はっきり言って。

 その中において、二〇〇九年の九月の二十三日に前原元大臣は初めて視察に行ったんです。この辺も、彼岸の中日に行ったとみんな怒っていましたよ、はっきり言って。もうお墓も移しているわけですからね。全く失礼だと言っていましたよ、みんな。

 そしてその後に、中止と言っておりましたけれども、十月の二十七日、前原さんは八ツ場ダム再検証を表明したんです。中止の方向は変わらないけれども、予断なく検証していきますと。日本語になっていないんですよ。そうでしょう。だって、予断があるんでしょう。中止という予断があるわけでしょう。そんなわけのわからない日本語を言って。

 それでも住民の皆さん方は、前原さんが来るんだからやはりお願いしようよと、行ったんですよ。一月の二十四日、住民との意見交換会、嫌だけれども行ったんですよ。その中でも一切、中止というものを撤回しなかった。撤回というか、中止ということを言い続けたんですよ。

 その後、では前原さんは何をやったか。全くほったらかしですよ。住民とのアリバイづくりで話をしただけ。それで、その後に何をやったか。

 その前に、ちょっと時間は戻りますけれども、十二月三日に、再検証の判断基準をつくるといって有識者会議を開いた。これも先延ばし。民主党は得意ですけれども、先延ばし、延ばしなんですよ、これは完全に。そして、先延ばしをして、要するに、二〇一〇年の夏までにこの有識者会議の結論を出す、こう言ったんですよ、二〇一〇年の夏までにこれを出すと。

 そのときに、一都五県の人たちは怒りましたよ、首長も。そのとき、東京都知事も、うちの群馬県知事も怒りました。何だ、先延ばしじゃないかと。報告書を出したって、では中止かどうか、それからまた検討するという話なんだから。いつまでたったらこうなるんだと非常に怒りましたよ。

 東京の都知事だって、夏に出て、その後いつ結論が出るかわからないなんて、負担金を払っている我々としてはおかしいじゃないかというふうに記者会見で言っておられました。私も、それを見ておりまして、当然だなと。あれだけ住民と議論をしようと言っていて、そしてその後こういうことですよ、夏の。

 そして、その間どうであるか。その間には、温泉街は次々に休業して、そして、何百年も続くようなその温泉街は全部休業ですよ、はっきり言って。休業して、そして生活再建の仕事もなかなか進まない、こういう状況がずっと続いたんです。

 そして、その中で、今でも苦しんでいるんですよ、皆さん。移るというふうに言っているのに、旅館だって移ると言っている。そして、湖底の人たちも移ると言っても、代替地もなかなか進まないんですよ。そうして、そういう中において、そしてみんな苦しんでいる中において、今もそうです。

 だから、要するに、旅館は新しい設備投資ができないわけですよ、移るわけですから。お客なんか全然来ませんよ。でも、固定資産税もかかるし、光熱費もかかるし、もうどうしようもない。全部苦しんで苦しんで、そして、例えば、中の高田屋さんとか柏屋さん、柏屋さんは二〇一〇年の三月に休業しました。先般、二〇一〇年十一月には、高田屋さんというのは二百三十年も続いている旅館ですよ。これも全部もう休業です。

 みんな約束を守ってきたんですよ、五十何年も苦しんできて。それで皆さん、治水、利水のために我慢をしてきて、そしてこの仕打ちなんですよ。本来なら、来年にはもう移って開業できるような状況だったんです。それを平気で中止だ、短絡的に中止だ、こういうふうに言っている。そして、先延ばしだよ。皆さん、考えてください。みんなショックを受けますよ。だって、一月の二十四日に、住民まで集めて、前原さん、アリバイづくりだけやって、そしてあげくの果ては、夏にやる、夏にやると。

 では、聞きますけれども、夏に出た資料というのがあるんですよ、ここに。二十二年九月、これは「今後の治水対策のあり方について」。大臣、これを当然読みましたよね。どういう内容ですか。

大畠国務大臣 その報告書の内容については、私、十分には読んでおりません、現在のところ。

 ただし、これまでの経過等については詳しくお伺いいたしましたが、これからのあり方についてのことについては、先ほどお話がありましたように、有識者会議、あるいは各県の県知事さん等で構成する検討の場、そしてその中で各県の土木部長さん等が開催する幹事会、そして基本高水等を再検証する学者の皆さんのお集まりの会、こういうものの中で検討をして、最終的に今後の進め方については決めたいという、その大枠の流れについては理解をしているところであります。

佐田委員 大臣、これを理解しないと困るんですよ。だって、先ほど言ったことと全然違うんですよ。これに基づいて、中止かやるかどうかというのを国土交通省で検討しているんですよ。にもかかわらず、秋までに検証しますと大臣は何で言えるんですか、これを理解しないで。何で検証するんですか。

 では、どういう要素で中止と進めるか決めるんですか。

大畠国務大臣 先ほどのお話のことでございますが、今後の治水対策のあり方についての中間取りまとめというものの概要の資料は、私も読んでおります。

 この中で、検討主体による個別ダムの検証に係る検討というものを行いながら、先ほど申し上げましたように、有識者会議の意見ですとか、それから知事さんの会議ですとか、あるいは土木部長さんの会議ですとか、そういうものの中で、先ほどお触れになりました基本的な考え方、これを有識者会議の中で方向性を出していただいたわけですが、これに基づいて検討して結論を出す、この流れについては私も読ませていただきました。

佐田委員 大臣、概要なんというんじゃ困るんですよ、はっきり言って。これがメーンなんですよ。これによって国土交通省、役人の皆さん方は検証をして、やるわけですよ。

 では、この要素が何かわからないで、何でこれから検証して一日でも早く結論を出せるんですか。全然おかしいと思いますよ、それは。この書類も理解しないで、これからこれで中止かどうかというのを判断するのに、これも読まずに、先ほどの答弁だと、秋までに検証して一日でも早く検証の結果を出したいと。全然理屈に合わないじゃない。おかしいよ、全然。

大畠国務大臣 失礼します。

 この中間取りまとめの内容については、私も報告を受けております。この中間取りまとめの中身についていろいろと報告は受けておりますが、いずれにしても、この取りまとめの概要という一覧表を私も理解いたしましたが、これに基づいて検証を進める、その方向性については私も理解して、そしてこれに従ってやらせていただきたいと思います。

佐田委員 わかりました。

 では、その概要を読んで、中止かどうかの要するに決定をする要素があるでしょう、いろいろ。その要素は何ですか。

大畠国務大臣 私の理解でありますけれども、基本的に、各都道府県の関係する知事さんの会議、そして土木部長を中心とする幹事会、この中で一つの結論を得ていただきまして、それを国土交通省として受けて最終的な判断をする、こういうことになると思います。

佐田委員 全然答弁になっていないんですけれども、委員長。

 私は、中止かどうかを判断する有識者会議、これは前原さんがつくった独立した組織なんですよ。この資料で出てきた有識者会議の結論の中で、中止にするかどうかという幾つかの要素があるわけですよ。要するに、その要素は何かと聞いているんですよ。それを理解しなかったら、大臣、先ほどの答弁はおかしいですよ。形だけで検証して早くやる、何を検証するんですか、一体。

大畠国務大臣 その判断基準につきましてでありますが、もちろん、コスト、あるいは実現性、そして環境への影響、そういうものを総合的に判断して、七つの評価点というのがあるということで私も理解しておりますが、そのようなものを一つ一つ検証して結論を出す、そう理解しております。(発言する者あり)

佐田委員 全然明快じゃないんですよ、皆さん。

 そして、今言われたように、環境の問題、そしてコストの問題……(発言する者あり)ちょっと黙ってください。コストの問題、そして、今お話がありましたように、住民のことも考えていかなくちゃいけない。それは載っていませんけれどもね。

 大臣、私は、途中で区切れちゃったんですけれども、だから、またちょっと話を戻します。途中で大臣がこれを読んでいないというので、話が途切れちゃったんですよ。

 その中で、要するに、これが出た。出たときに、改造内閣で馬淵さんになっているんです、九月に。(発言する者あり)ちょっと黙ってくださいよ。

 九月に馬淵さんが大臣になっているわけですね。そうですよね、馬淵さんがね。馬淵さんはそのときに何を言ったか。要するに、中止の方向ということは言いません、予断なくやりますと。

 そのときに住民の人たちは喜びましたよ。住民の人たちは喜んだ。中止じゃなくなるのかなといって喜んだんですけれども、ところが、その後すぐに岡田さんが、それは住民と話をするためのことであって、要するに、決して中止の方向を変えたわけじゃないと……(発言する者あり)

中井委員長 それぞれ静かにしてください。

佐田委員 そういうことを言ったんですよ。それでもう住民はかんかんになっちゃった、また。

 九月にやっとですよ、皆さん……(発言する者あり)ちょっと、聞いていてくださいよ、時系列的に話をしているんだから。知らないんだから、どうせ。

 九月に有識者会議、それも大臣は知らなかったけれども、いいよ、ここで今それを言ったからね。その時期に、馬淵さんにかわりましたでしょう、かわった。そのとき馬淵さんは、中止の方向性はなしにする、予断なく検証しますと言った。

 そうしたら、岡田幹事長は何と言いましたか。それは、中止の方向なんか変わっていませんよ、住民の皆さん方と話すための方便だと言ったんですよ。住民の人たちは怒っていますよ、かんかんになって。(発言する者あり)前橋市で言っていますよ、ちゃんと。

 どう思いますか。

大畠国務大臣 佐田議員の今の御質問でございますが、政府の方針というのは、まさに国土交通大臣の判断、そして方針がすべてだと私は考えております。したがいまして、馬淵前国土交通大臣の方針が今の政府の方針と受けとめていただきたいと考えております。

佐田委員 それでは、議院内閣制じゃないんですね。(発言する者あり)だって、内閣が国会に対して責任を負うんですよ。それに与党の中から選ばれているんですよ。

 先ほども言ったけれども、これはちゃんと地元紙の中で、本当に言ったかどうかって、ちゃんと言っていますよ。「地元と話し合うためにああいう表現をとらざるを得なかった。話し合いをするのはいいこと。否定的に考えてほしくない」と。

 地元の話だよ。(発言する者あり)方便なんだよ、これは。

 もう一つ……

中井委員長 佐田委員、引用される場合には、その新聞名と日にちを。

佐田委員 はい、済みません。今のは十一月の十六日です。

 もう一つ。十一月の八日、これは地元紙ですね。

中井委員長 何という新聞ですか。

佐田委員 上毛新聞。馬淵氏の発言について、岡田さんが発言されているんです。

 岡田幹事長は七日、茨城県茨城町の集会で、八ツ場ダムの中止の方向性を事実上撤回したことに関して、地元と話し合う環境をつくるための発言で、必ずしも方向転換ではないと。

 だって、同じじゃないの。馬淵氏の発言については、中止を撤回するとは言っていないと言っているんですよ。こういうことによって地元の人たちは大変に傷ついているんですよ。(発言する者あり)当たり前じゃないか、そんなこと。

 それについて、じゃ大臣、どう思いますか。

大畠国務大臣 ただいまの新聞報道の課題についても、私も報告を受けました。

 その後のことを確認したところ、岡田幹事長も、馬淵前大臣の方針というものを理解した、こういうことで、現在の時点では、馬淵前大臣の方針が、与党も含めて、その方針を幹事長も理解していただいたものと私は受けとめております。

佐田委員 だから大臣、そういうことで非常に傷ついてるんですよ。まだそれで終わらないんですよ、大臣。これがまた問題なんですよ。

 そして、要するに、馬淵さんが視察をしたけれども、このときは住民は結局拒否したんです。そして、しばらくしてこの岡田さんの発言があって、もう地元の人たちはみんながっかりしちゃって、その後に今度は大臣が一月の十四日に就任をされた。そういう中において、今度視察をされる。これは大変なことなんですね。

 先ほど秋までにと言われましたよね、秋までと。これは、一日でも早くやるということなんですか。

大畠国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたけれども、私としては、先ほどの佐田議員のお話のように、五十年を超える歴史があり、その経過があった上で今日を迎えているわけでありますから、できるだけ地域の方々に御理解いただけるような一つの結論を出したい。それは、さまざまな難しい課題もありますので、秋をめどにということを発言させていただいておりますが、できるだけ早く結論は出さなきゃならないと考えております。

佐田委員 そういう中で、うちの方にも相当陳情が来ているんですよ。

 そして、七月の二十七日に、地方負担金、六割あるんですよ、地方の負担分が。それを、完成のめどが立たないということで、負担金の支払いの拒否をしたんですよ。どうしてだと思います。

大畠国務大臣 ただいまの件でありますけれども、これからどうするのか、そういうめどが立たない中で、地元として、自治体の方でも一時留保する、こういうことになりましたが、馬淵前大臣もそうでありますが、生活再建については、地域の方々に対する影響が大きいということで、これを進めようということを同時に表明しておりまして、私もそれを大臣就任のときに表明させていただきましたので、この件については理解をいただいて、現在は、拠出をしていただける、そういう方向になったと伺っております。

佐田委員 大臣、それは全然違うんですよね、はっきり言って。

 要するに、七月の二十七日にこれを表明しているんですね。二〇一〇年の七月の二十七日。なぜこれを拠出しなくなったか。それは、大臣も先ほど読んでいなかった、これに関係あるんですよ。まとめの前に、事前にこういうのが出ているんです、修正の前のものが。

 その中に、大臣は全然これを理解していませんけれども、コストだけの問題じゃない、環境だけの問題じゃないんですよ。この中間報告というのは全くばかにしているんですよ、はっきり言って中身は。ほとんど、タイムスケジュールが全然書いてないんですよ。工期があって、二〇一五年に完成するはずの八ツ場ダムが、そういう工程が全く書いてないんです、これは。それに対して一都五県の方々は怒ったんですよ。だから、そんな完成のめどもないものについて払うわけにいかない、こういうことなんですよ。

 馬淵大臣も、はっきり言って、馬淵大臣いないから、欠席裁判じゃ悪いから言いませんけれども、要するに、これを理解していれば、簡単に、再検証して秋までなんて言えないはずなんですよ。タイムスケジュールがないのに、何で秋までと言えるんですか。

大畠国務大臣 この件につきましては、私も、国土交通省の担当者を通していろいろお話を伺っておりますが、まずは、有識者会議の中で基本的な考えが、先ほどの中間報告の流れ図が出されまして、そして、それを基本として、各県の知事さんを中心とする検討の場、そして関係する県の土木部長さんを中心とする幹事会等々が構成をされておりまして、そして基本高水の検証も、学識経験者の皆さんの検討を同時並行的に進めておりますから、それをピッチを上げてやれば、私は、秋のころまでには結論が見出せる、逆に言いますと、秋のころまでには最低でも結論を導き出さなければならない、私は国土交通大臣としてそう判断をして、今進めているところであります。

佐田委員 大臣、秋までにやる、結構ですよ、それは。だけれども、大臣、では秋までにやったらいつ完成するんですか、八ツ場ダムは。もしも、秋でやれることになって、予算計上できて、やるとしたらいつやるんですか。いつ完成するんですか。

大畠国務大臣 今事務方から聞きましたが、平成三十年には完成をさせたい、そういうことで進めたいということであります。

 以上です。

佐田委員 大臣、これはめちゃくちゃな話ですよ。最初、前原さんのときに夏までと言って、大臣のときに秋までと言って、今度は何、平成三十年。

 例えば、秋までに予算計上して始めたらどのぐらいでできるかと聞いているんですよ。

大畠国務大臣 仮定の話でございますが、もしも建設を進める、こういう判断になった場合には、平成三十年ぐらいをめどにダムを建設するように進めていきたい、こういう事務方の話を聞いております。

佐田委員 平成三十年と言ったでしょう、今。だから、ずっと延びちゃっているわけですよ、はっきり言って。また延びているんですよ。二〇一五年に完成するということになって、基本計画もできているんですよ。それによって特ダム法があるんですよ。

 では、その手続というようなことについても議論はしているんですか。

大畠国務大臣 いずれにしても、ただいまの件は大変大事な問題でありますから、私自身、関係者の話を聞き、そして検証する手順を踏んで、しっかりと秋までにそういうことも含めてすべて明らかにしたいと考えております。

佐田委員 私は、はっきり言って地元の方々に本当に申しわけないと思っていますよ。大体、国交大臣がころころかわって、三人もかわって、地元の人たちもそのたびに期待をして裏切られているんですよ。今度また平成三十年ですか。そんなばかな話ないでしょう、今もこんなに苦しんでいるのに。

 一日でも早くつくってくれとみんな地元の人が言っているんですよ。そういう中において、どうしてそんなに、また住民を裏切るようなことを言うんですか。

大畠国務大臣 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、できるだけ早く、秋までには、どういう方向で進むかということを地域の方々にも御理解いただけるような形で結論を出して、そして、その結論に従ってできるだけ早く対策は進めていきたいと考えているところであります。

佐田委員 だから大臣、これは簡単に、工期を二〇一五年から先に延ばすということはできないんです、基本計画というのがあって。手続のことは議論しているんですか、議論は。これは基本計画を変更していないんだから。

 例えば、地方負担分の問題やら、そして、何年、二〇一五年までに完成するということになっている。それを前提にして負担金を払っているんですよ。何もしていないんですから、その辺の検討はしているかどうか聞いているんです。

大畠国務大臣 私も、佐田議員の御指摘を踏まえてしっかりと検証させていただきますが、いずれにしても、ことしの秋にどのような方向性が、結論が出るのか、それに従ってしっかりと進めさせていただきたいと考えております。

佐田委員 とにかく、大臣、これも全然読まないで、これが基本なんですよ。そして、中止かどうか、要するに頑張りますと言ったって、これは本当に不誠実ですよ、はっきり言って。そして、あげくの果ては、役所に聞いたら平成三十年には完成するでしょうと、もしも順調にいって、今からやって。そんなことでやったら、きょう、私は本当に地元で苦しんでいる人たちに顔向けできないですよ。また先延ばしですよ、民主党の得意な先延ばし。こんなことが許されていいと思いますか、はっきり言って。全然おかしいよ。

大畠国務大臣 ただいまの佐田議員の御指摘というのも私もよく理解するところでありまして、地域の方々の心中というのは考えますと大変申しわけない限りでありますが、私自身として、この問題にしっかりと取り組み、佐田議員の今御指摘いただいたことを踏まえて、秋までにはしっかりとした方針を出し、その方針に従って責任ある形で進めさせていただきたいと考えているところであります。

佐田委員 これでわかりましたことは、やはり、大臣、政治主導なんて全くうそっぱちですね、はっきり言って。要するに、知事さんにお任せ、役所にお任せ、今言っているのはそういう話ばっかりですよ。

 御自分で判断したらどうなんですか。自分の判断基準で、ちゃんとこういうものを勉強して、一日でも早く、こういうことはこうやりなさい、ああやりなさいといって指示してやるのが、大臣が政治主導で役人の人たちに言って、一日でも早くやるというのが政治主導じゃないんですか。そんなのはおかしいと思いますよ。そう思いませんか、大臣。

大畠国務大臣 これについては、一番最初に私申し上げさせていただきましたが、どのような政策も、地域の方々の理解と協力がなければ推進はできません。

 したがいまして、これまでの経過というものを踏まえて、私は、馬淵前大臣の方針というものが私自身も大事な方針だということで、それを受け継いで発言をして方針を決めさせていただきましたが、このことを踏まえて、もちろん今、佐田議員がおっしゃいましたように、政治主導とは何かという御指摘がございましたが、最終的には政府が判断すべきものでありますが、まずは地域の県民やあるいは住民の方々の代表者であります首長さんのお話をよく伺って、そしてそういうものを集積して、検討の場あるいは幹事会等の中で住民の方々あるいは地域の方々の意見というものを集積して、それを踏まえて最終的には政府が判断をする、それが必要だと考えております。

 以上です。

佐田委員 大臣、今大臣が言った人たちは、全部建設促進ですよ。それは御理解していただいているでしょう。

 本来なら、大臣、要するに、一番の可否を決めるこの資料、これを読んでいないで、概要だけで検証……(発言する者あり)読んでいないと言っているんだから、概要だけだもの。

 検証を重ねると。(発言する者あり)ここでとめていいんですよ、はっきり言って。ここでとめていいんですよ、この委員会を。でも、地元の人たちのことを考えると、やはりちゃんと議論していかなくちゃいけないと思っている。

 だから、答弁がおかしいんですよ。知事さんと話し合う、住民と話し合う、みんなそれを裏切ってきているんですよ。だって、それはみんな推進派なんですよ。では、中止撤回するということなんですか。そして、その人たちは、言うまでもなく、みんな推進派なんですよ、大臣。

 せっかくだから、ちょっと局長に一言お聞きしたいんですけれども、それで、結局、地元の方からも相当来ているんですよ、生活再建の方もおくれていると。

 局長、いますよね。そういう中で、例えば、生活再建の根幹となる国県は平成二十一年の完成、JR吾妻線つけかえは平成二十二年完成という説明をしたけれども、国県道未完成。JRは予定どおり完成するのかどうか。八ツ場ダム関連事業による事業用地として買い上げた土地の管理について、現在、本体関連事業は凍結されていて、その事業用地の管理が不適切な状況になっていると。これについて対処しているのか。この二点、ちょっと局長、答えてください。

関政府参考人 ただいまの八ツ場ダム地域のJR等のつけかえ等の状況について御説明をさせていただきます。

 現在、このつけかえ鉄道につきましては、全体で十・四キロメートルのうち、二十二年九月時点でございますが、約九割が完成しております。ただ、一部用地が難航しているために、その用地に関連するところでは現在建設が難航しているところでございます。

 それから、今お話のございました代替地等の用地の管理でございますが、御指摘のような課題に対して、私ども、しっかりとした管理が行えるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

佐田委員 局長、ひとつしっかりやってくださいよ、そういう生活再建につきましては。

 ただ、生活再建というのは、申し上げますけれども、私も、生活再建は与野党挙げてこれをやりますよと言いましたよ、それは。ただ、地元の人たちは、皆さん、行っていない方は行ってもらいたいんですけれども、みんな上の方に住んでいるんですよ。湖面が来なければ湖畔の宿にならないわけです、全部。みんな絶壁になっているんですよ。それをきちっとやらないと、湖面がなくちゃ、要するに湖がなければ生活再建にならないと言っていることもこれは事実ですから、これを御理解いただきたい。

 それともう一つ、ぜひ大臣には御理解いただきたいのは、本当に、一日一日が苦渋の連続なんですよ。生活再建もなかなか進まない、補償も進まない。そしてまた、今言った温泉街もそうですし、歴史のある何百年続いた温泉もおかしくなっている。みんなそういう状況になっている。そういう苦しい状況を一日も早く、平成三十年なんてとても待てませんよ、はっきり言って。

 それともう一つ、もうここからは核心なんだけれども、十分しかないんですけれども、これから核心にまた行きますけれども、基本高水というのは何で検証するんですか。

大畠国務大臣 ただいまの基本高水の検証という件でございますが、これは、平成十七年に策定された現在の利根川水系河川整備基本方針において、八斗島地点の基本高水のピーク流量は、昭和五十五年に策定された利根川水系工事実施基本計画と同じ毎秒二万二千立方メートルとしたところでありますけれども、その際、過去の流量データを確率統計処理すること等により検証が行われましたが、昭和五十五年当時の流出計算モデルにおける飽和雨量などの定数に関して十分な検証が行われていなかったことなどから、改めて基本高水の検証を行うこととしたところであります。

 いずれにしても、利根川の基本高水の検証は、八ツ場ダムの検証と並行して進めていくこととしており、引き続き情報公開を徹底し、透明性と客観性を確保しつつ推進してまいりたいと考えているところであります。

佐田委員 馬淵前大臣も大畠大臣も技術屋だから御案内のとおり、物事をやるときというのは必ず安全率というのが必要ですよね。基本高水についても、これは人の生命財産がかかっていることですよ。このキャサリン台風のときにも、うちの群馬県においては五百九十二人の貴重な生命が失われているんです。大臣のところも五十八人亡くなられていますね。全部で千百人亡くなられているんですよ。大変な災害だったんだ。これはいつ来るかわからないんですよ、はっきり言って。

 その中で、今基本高水の話が出ましたから、大臣、私がなぜ検証するのかと言った理由を申し上げますよ。

 今、東京、群馬、茨城で裁判を起こされているんです。要するに、予算の差しとめのような裁判が行われている。ちょっと判決を読み上げますから、よく聞いていてください。

 まず第一に、要するに、原告側は、ピーク流量は毎秒一万六千立方メートル程度しかならないじゃないか、こういうふうに主張していた。これに対して、東京、前橋、水戸の判決を今読みますから、よく聞いていてください。

  八ッ場ダムが利根川流域で生じる水害の発生を防止するという目的に照らして不必要であることをうかがわせる証拠はない。

  将来起こり得る水害に対し、どの程度まで備えておくかということは、災害の防止と必要経費との比較考量に基づくすぐれて政策的な判断であるが、昭和二十二年九月のカスリーン台風により大きな損害を被った県として、起こり得る大規模な洪水に万全の備えをするという判断も十分にありうる

これだけじゃないんですよ。

  吾妻川流域は、利根川上流域の全流域面積の約四分の一を占め、過去に多くの大雨が発生していること、利根川上流域で洪水調節機能を持つダムは、吾妻川流域には八ッ場ダムだけであり、洪水調節流量六千五百万立方メートルは、利根川水系の既設六ダムの中で最大であること、利根川水系河川整備基本方針において、基準地点である八斗島における基本高水毎秒二万二千立方メートルのうち、毎秒五千五百立方メートルを上流のダム群で調節することとし、八ッ場ダムはその一翼を担っていることの事実が認められる。上記基本方針は平成十七年に社会資本整備審議会において審議された上で定められ、この策定手続に瑕疵があることをうかがわせる証拠は存在しない。

裁判が出たというのに、何で高水を検証するんですか。結論が出ているのに。

大畠国務大臣 ただいまの御指摘でございますけれども、確かに、八ツ場ダムにかかわる住民訴訟において、基本高水のピーク流量毎秒二万二千立米が不合理であるとの原告の主張は採用できないという旨の判決が出ていることは、承知をしております。

 このたび、雨量及び流量のデータを点検した上で、現行の流出計算モデルの問題点を整理し、蓄積されたデータや知見を踏まえて新たな流出計算モデルを構築し、これを用いた基本高水の検証を行うことといたしました。

 この件につきましては、これまでの委員会等でもいろいろ御議論をいただいたということでありますが、いずれにしても、再度この件について検証をして、私どもとしては、明確な判断をする基準にしたいと思うからであります。

佐田委員 だから、大臣、一度出たものを、そういう判決が出たものに対してまた再度国費を使って再検証する必要があるかどうかというのは、疑問に感じますよ。もしも変わらなかったら責任をとらなくちゃいけませんよ、はっきり言って。

 それと同時に、先ほど大臣は、要するに、この資料において、中身はコストだと言いましたね、環境とコスト。コストが大事なんですよね、はっきり言って。もう時間がなくなってきたのではっきり申し上げますけれども、この次またやらせていただきますけれども、この資料で見ていただきたいのは、全部コストと書いてあるんですよ。もう読み上げませんけれども、最初の出だしからコストと書いてあるんですね。そして、後の方も全部コストなんですよ。

 じゃ大臣、要するにコストということを非常に大事にしている。それは、元の前原大臣は、コストということを何度も何度も連発されたんですね。つまり、要するにコスト、これから治水、利水でできるだけダムを使わないで、そして、それに見合う治水、利水をやっていく、こういうふうに言っているんですよ。どういう方法があるんですか。

大畠国務大臣 ただいまの、ダムを使わないで治水をする場合の方法でございますが、雨水を貯蓄する施設をつくる、あるいは遊水機能を有する土地の保全、あるいは宅地のかさ上げ、これは洪水を前提とした形のものもありますし、また、森林の保全ということで山全体に水を含ませて、一気に川に流れ込まないような対策をとる等々、流域を中心とするいろいろな対策というものが提言されているわけでありますが、これらも含めて検討の対象にしたいとは思っております。

 以上であります。

佐田委員 大臣、本当は大臣としっかりと議論したいんだけれども、これはやはり、どう見ても、黒を白に塗りつぶそう、こうやっているのと同じですよ。治水の面から、利水の面から見ても、物すごい無理がありますよ、はっきり言って、大臣。よく勉強してください。次またやりますから。いいですか。

 例えば、今のダム、八ツ場ダムだけ考えたとしても、水特法が絡んでくるけれども、水特法を入れると、要するに、ダムをやらない方が高くついちゃうんですよ、はっきり言って、八ツ場だけで考えても。

 今言った、いろいろな、かさ上げの問題、導水路の問題、しゅんせつの問題、そしていろいろな、スーパー堤防もありますよ。これも非常に大事なことですよ、人の生命財産にかかわる。蓮舫さん来られているけれども、この間失礼だったよね、テレビで。だれかがスーパー無駄遣いと。あそこは避難所でもあるんですよ、はっきり言って。そして、何年も苦労してやっているわけですよ。まあ、それはそれちゃうから。

 それで、そういう中において、じゃ今八ツ場ダムは、あと本体工事だけ。今年度だけで、本体抜かすともう九割近くできていますよ、はっきり言って。九割近くできているんですよ。大臣、よく聞いていてください。

 それで、じゃ治水の面で言います。治水の面でいったら、江戸川区だけで、要するに、治水をするためには、引き堤といって、断面積を広げなくちゃいけない。そのためには、家屋を移転させなくちゃいけない。そして、鉄橋や陸橋も全部つけかえしなくちゃいけない、導水路もつくらなくちゃいけない、しゅんせつもしなくちゃいけない。江戸川区だけで幾らだと思いますか、二兆円かかるんですよ。これは私は、江戸川区でそういうふうに試算しているんですよ。

 群馬県だって同じですよ。この利根水系全体でやったら何十兆かかるかわからないんですよ、はっきり言って。

 その中において、ダムによってかなり治水の効果は出てくる、基準点、八斗島地点で毎秒六百立米から毎秒千五百立米までの治水能力を持っている。そういうふうな、一番の流量を持っているわけですから、かなりの治水能力が出てくるわけですよ。(発言する者あり)六百から千五百と言っているじゃないですか。それで二兆円かかる。何十兆かかるかわかりませんよ。

 こういう治水、利水というのは、いつまでに、例えば、前原さんはいつまでもダムをつくると言うけれども、ダムというのは、あと六百億でできるんですよ、六百二十億で。物すごく安く上がる。コストからいったら、これぐらいだったら中止の理由は全然ないじゃないですか、コストでやるということになったら。

 利水だってそうですよ。暫定水利権なんですよ、今。大臣、埼玉県は、これでもしも本当に特ダム法にのっとって中止にしたら、三割の水がなくなるんですよ。うちの群馬県の藤岡市は、水道水の半分がなくなるんです、取水できないんです。前橋市も二割がなくなるんですよ。

 そういうことを考えて、地元の人たちが苦渋の中で選択してくれているんですよ。埼玉県だって、もしも水が三割なくなったらどうなると思いますか。地下水から掘るんですよ、地下水から。地下水から掘ったら何が起きると思いますか。地盤沈下が起きるんですよ。大臣、こういうことをやはりよく考えていただきたい。

 それで、最後に一つだけ。これは続けますけれども、もう時間になりましたが、大臣、最後に一言だけ申し上げます。

 もしも万一、今二〇一五年に完成予定なんですよ、それからおくれて何年かたって平成三十年にできて、その間に水害が起きたら、これはみんな政府の責任ですよ。だって、裁判で、これは必要だってもう書いてあるんだから、結論が出ているんですから。

 先ほど言ったように、裁判で、これは治水に必要だと言っているんですよ。その結論が出ているにもかかわらず、それを先延ばしして、平成三十年、二〇一五年完成から三十年の間に災害が起きたら、国家賠償ですよ。これは、前原さんから馬淵さんから大臣まで、内閣まで全部、賠償ですよ。このことをよく考えていただきたいと思います。

 何か答弁がありましたら、どうぞ。

大畠国務大臣 きょうは大変、地域の住民の方々の御意見も踏まえながら御質問を賜りました。佐田議員のきょうの御指摘というものを十分踏まえながら、私も国土交通大臣としての責務を果たしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

佐田委員 では、きょうはちょっと優しかったけれども、また頑張ります。

中井委員長 これにて佐田君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 きょうは、民主党のマニフェスト、特にその財源のところについて詰めた議論をしたいと思っているんですが、要するに、民主党のマニフェスト、六月なり九月なりに見直すというような話をしていますが、検証ですか、これは簡単で、財源のところをやっちゃえばもう終わっちゃうわけですね。だから、私、きょうやっちゃいます。

 そこで、お聞きいたしますが、きのう、我が党の田村議員の質問で、財務大臣、今までに幾ら削減できたかということで幾つか数字を述べられましたけれども、ちょっともう一度よろしくお願いします。

野田国務大臣 マニフェストの主要事項である子ども手当であるとか高校の授業料無償化等々の実現のために、三兆六千億の安定財源をつくりました。その内訳は、歳出削減が二兆三千億、そして税制改正によるものが一・三兆という内訳でございまして、二・三兆の内訳については、公共事業が一・五兆、人件費が〇・一兆、庁費等、補助金その他で〇・七ですか、という内訳をきのう申し上げたと思います。

山本(幸)委員 そのとおりおっしゃられたわけであります。したがって、ここで、この民主党のマニフェストの表から見ますと、今おっしゃったのは、公共事業のところで一・三減らすというところを一・五減らした。これは相当減らしちゃったわけですね。私は減らし過ぎだと思うんですが、このことによって地域は大変な影響を受けて、地域と都市の格差を広げていると私は思います。

 後で申し上げますが、民主党のマニフェストというのは、格差を広げる政策なんですね。一つは、公共事業の大幅な削減で地域は疲弊している、地域と都市の格差が広がった。そこは問題が大いにあると思うけれども、削ったというところでは評価しますよ。

 そこで、国土交通大臣に来ていただいているのでお伺いしますけれども、公共事業というのはこれ以上減らせますか。

    〔委員長退席、武正委員長代理着席〕

大畠国務大臣 山本議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 公共事業という概念でありますが、私が理解しているところは、いわゆる地域住民の生活を支える、こういうことで、役場、学校、消防署、警察署、さまざまなところがございます。同時に、道路もございます。国道、県道、市町村道、そういうものは時代とともに劣化してまいりますから、それを更新して、地域の住民の方々の生活の安全を守る、暮らしを守るという観点で大事なものだと思います。

 したがいまして、ただ削減していけばいいという発想には立ちません。必要な公共事業の予算というものは、国土交通省としても、しっかりと確保しなければならないと考えております。

山本(幸)委員 つまり、公共事業はこれ以上減らさないというふうにおっしゃったと理解いたします。

 そこで、皆さん方、このマニフェストのところで、今財務大臣が言ったところ、数字をちょっと書いておいてもらいたいんです。公共事業は一・三のところが一・五、もうこれ以上減らさないからこれで、一・五で決まり。次に、人件費等からは〇・一と財務大臣おっしゃったんですね。そして、そのほかの庁費から施設ぐらいのところで〇・七とおっしゃった。そこをちょっと書いておいてもらいたいんです。

 人件費なんですけれども、財務大臣は〇・一削ったと言われるんですが、私が財務省からもらった資料では、人件費はむしろ、そうか、〇・一か、結構です。そうすると、〇・一。問題は、この人件費、これ以上どれだけ削れるかなんですね。

 国家公務員の人件費二割削減という話をして、きのう総務大臣もいろいろ言っていましたけれども、本当にやろうと思ったら、契約でやらなきゃいけないということを実現して、そして平成二十五年度にその財源を出さなきゃいけないんだから、来年度中にはもうそれが動いていないといけない。そうすると、どんなに遅くたって、法律を通して制度をつくるのは来年の通常国会中にはやらなきゃいけないんですけれども、それでも、それで二割削減までいけるか。私は、絶対いけないと思う、労働組合に支援されている民主党にそんなことできるわけがないと思いますが、総務大臣、どうですか。

片山国務大臣 今議員がおっしゃったのは、国家公務員の労働基本権の回復の作業を今検討しております。それについては、当然、国家公務員法などの改正が必要ですから、ある程度時間がかかります。そうすると間に合わないのではないか、そういう御指摘だろうと思います。

 昨年の十一月の一日に、これは人事院勧告の処理をするときにあわせて閣議決定したものでありますけれども、そのときに、労働基本権の回復の作業をやりますけれども、それに先立って、国家公務員の給与の引き下げについては見直しを行って、それで順次、この通常国会に法案を出していくということを決めております。その作業を今開始しておりまして、そのことを昨日も申し上げたのでありますけれども、関係閣僚会合を開きまして、総理からも指示がありました。

 それで、できるだけ協力をしていただく必要がありますから、共通の認識に立っていただく必要がありますので、労働組合とも内々話をしながら、通常国会に提出すべく、今作業を開始しているところであります。

山本(幸)委員 それでは、もう一度確認しますが、総務大臣は、国家公務員の給与二割削減、ちゃんとやると確約されるわけですね。

片山国務大臣 私は、総理から総務大臣を拝命いたしましたときに、あわせて、総人件費二割削減の担当大臣だという御指名を受けております。そのミッションを受けまして、最大限の努力をしているところでありまして、目下の急務が、いわば単価といいますか、給与水準の見直しのところをやっております。そのほかに、退手、退職手当でありますとか定数でありますとか、それから地方への移管、出先機関の移管の話でありますが、そういうものをあわせまして、民主党のマニフェストが達成できるように、できる限り最大限の努力をするということでございます。

山本(幸)委員 それじゃ、できなかったら責任とってもらいますからね。

 私は、とてもできると思わない。今までの……(発言する者あり)主観ですがね。だけれども、そういう意味では、できるというところもあるし、できないと我々は思う。客観条件からいえば、できない方が大きいと思うけれども、確率的に言えば、それは確率論でいくしかないんだから、フィフティー・フィフティーだから、では、ここは、一・一というところを譲って半分、〇・五ということにしておきましょう。

 次、その後の庁費から始まって施設、ここのところをちょっとやりたいんですが、ここのところで、財務大臣、〇・七減らしたということですよね。これは、減らしたとしても、四・五とか〇・八、〇・八で、ある程度限りがあるんですが、これからもずっと減らし続けることができると思いますか、財務大臣。

野田国務大臣 これについては、事業仕分けなどによる、そういう努力での削減がございましたので、引き続き事業仕分けというのは続くと思いますので、不断の努力で頑張っていきたいというふうに思います。

山本(幸)委員 言葉だけじゃなくて、不断の努力というのは、どれぐらいまで減らせるんですか。

野田国務大臣 二年間で今〇・七兆ということでございますが、ちょっと数値目標的に毎年つくることはできませんけれども、毎年の予算編成の中でしっかり精査をしながら対応していきたいと思います。

山本(幸)委員 いや、それはだめなんだよ。マニフェストは数字を挙げているんだから。数字を挙げたら数字で答えてくれなきゃ議論になりませんよ。

野田国務大臣 最終的な数字は六・一だったと思いますけれども、これは基本的に四年間でやるものですが、これまでの二年の歩みは〇・七なので、それ以上の努力をしなければいけないということは肝に銘じながら対応したいと思います。

    〔武正委員長代理退席、委員長着席〕

山本(幸)委員 努力はするという気持ちがあったって、数字を出してくれなきゃ信用できないので、ここは〇・七で、それは仮置き。

 済みません、国交大臣、もう結構です。削らないと言ったんだから、もう結構。

 そこで、ここのところの最大の問題はこの補助金のところですね。これが大どころですよ。四十九兆円。これを幾ら削れるかによってこの六・一兆円が出るかどうかが決まるんですね。これは鳴り物入りで、事業仕分けでやるんだといって、蓮舫大臣、大変頑張ったんですけれども、この補助金のところは総額としてどれだけ削ったんですか、あるいは、これからどれだけ削れるんですか、蓮舫大臣。

蓮舫国務大臣 これまで、事業仕分け第三弾を通じて、その中には確かに財源由来が補助金によるものもございましたが、私のところでは、その計数を機械的に足し上げてはおりませんので、把握はしてございません。

山本(幸)委員 それはだめだよ。だって、マニフェストで補助金の四十九兆円を削ると言っているんだから。それはどうしたんですか、どうなったんですか。

蓮舫国務大臣 あくまでも、私の所管では、行政刷新という立場で、手段として適正なお金の使われ方に正していくという形で事業仕分けは今まで行ってまいりましたが、結果として、どの項目で幾ら削減、あるいは予算を逆に充当をふやしていったかも含めては、これは財務大臣にお尋ねいただければと思います。

山本(幸)委員 蓮舫大臣はもう職務放棄しちゃったようですけれども。だって、ここは事業仕分け等をやって捻出すると書いてあるんだから。その担当大臣が、ここの部分についてどうなるかというのを全然わかっていないというのはおかしいですよ。

 では、財務大臣、答えますか。

野田国務大臣 数値で申し上げますと、逆に言うと、補助金はトータルではふえていまして、二十三年度の予算額では五十五・三兆円です。これは純計ベースでございますけれども、というのが実情で、では、事業仕分けで補助金の見直しをやってこなかったかというと、そうじゃなくて、事例を挙げればいっぱいあるんですけれども、例えば……(山本(幸)委員「いや、それは結構」と呼ぶ)いいですか、はい。

山本(幸)委員 それはそうですよ。ちょっと削ったところもあるけれども、ふえているところもあるんだよ。それが全体としてどうなったかということが大事なんですよ。それは勉強しておいてくださいよ。(発言する者あり)いやいや、蓮舫大臣、あなた、それを勉強しておいてくださいよ、お願いします。

 そこで、財務大臣がおっしゃいましたけれども、この補助金のところは、減らすどころかふえているんですよ。今四十九兆円が五十五・三兆円になっているんだよ。この補助金の中身というのは何ですか、財務大臣。

野田国務大臣 内訳で申し上げますと、社会保障関係費、これが二十六・二兆で四七%を占めます。続いて、地方財政関係費十八・九兆、三四%を占めます。及び、文教及び科学振興費五・二兆、九・五%、これらで全体の九割を占めているということでございます。

山本(幸)委員 そうですね。

 そうすると、今おっしゃったような社会保障関係費、地方交付税交付金、文教科学振興費、こういうものはこれから減らせるんですか。減らせますか。

 厚労大臣が来ておられるので、社会保障関係費、これから減らせることがあるんですか。

細川国務大臣 社会保障に関するふえる分については一兆二千程度でありますけれども、これは全額認めてもらったんですけれども、この社会保障費については、削るということはなかなか今後難しいというふうに思います。

山本(幸)委員 そうですよね。これは、もうとてもじゃない。ふえることはあっても減らすことはできない。だって、我々自民党政権が減らそうとしたとき、批判して、そうしないといって政権をとったんだからね。

 そうすると、そのほかは地方交付税交付金。総務大臣、これを減らしていけますか。

片山国務大臣 これは、一般論といいますか抽象論でふやすとか減らすという問題ではございませんで、地方交付税法に基づいて、地方団体の基準財政需要額と基準財政収入額との差によって基本的には決まりますので、交付税法が変わらない限りは、意図的といいますか、予算で削減するという問題ではないと思います。

山本(幸)委員 つまり、なかなか減らせるようなものじゃない。これがほとんど大宗だからね。

 そうすると、この四十九兆円を減らして六・一兆円出すなんというのはできない。むしろふえていくんですよ。これは四十九兆円から、二十二年度、最初の予算、皆さん方がつくった、四・七兆円ふえていますよ。それから、今度は約三兆円か。つまり、平均すれば毎年三兆円ずつぐらいふえていっている。そうすると、来年度、再来年度三兆円の六兆円と今までの六兆円、十二兆円ふえる。この間、だから、マイナス十二兆円と書いておいてください、皆さん、ここ。

 そうすると、次の項目というのはその他だ。その他は何があるかわからないから、これも財務大臣にちょっと聞きましょうか。その他の部分は、これまでどうなっていますか。

野田国務大臣 二十一年度から二十三年度で二・五兆から二・三兆ということで、〇・二兆減っているということです。

山本(幸)委員 今までで〇・二兆減らしたというところですね。

 そこで、皆さん、これ以上減らせるかどうか、ぐっと減らせるかというと、もともと、もとがそんなに大きくないからそう簡単な話じゃない。足したってあと〇・一減らせるかどうかですよ。

 そうすると、もうでき上がっちゃったんだよ。今言ったことをずっと足し合わせたらどうなるか。一・五プラス期待値の〇・五、二・〇。それから〇・七、三・二、それから三・九と足して、マイナスの十二なんだから、マイナス八ですよ。もうできないんだ、マイナス。もうここでアウト。

 次、埋蔵金のところへ行きますよ。この埋蔵金のところについては、きのうの質疑応答で官房長官が来られましたので、ちょっと官房長官と財務大臣。蓮舫大臣、もう結構です、ありがとうございました。

 埋蔵金について、これを活用できるかどうかのところでそごがあるような気もいたしましたので、ちょっとお伺いいたしますが、財務大臣、この埋蔵金と資産の売却、ここのところの話は、毎年毎年これぐらい出るというような話で期待できますか。

野田国務大臣 幾ら出るかというのはなかなか言い切れないところがあります。少なくとも、外為特会も財融特会もこれまで随分使ってまいりましたけれども、積立金が枯渇してきているとか等々ございます。

 いわゆる資産の売却についても、これまでも着実に努力はしておりますけれども、例えば株を売るにはいろいろと、持っている会社の財務状況等も勘案しますので、計数的に見込みを立てるということは実は難しいというふうに思います。

山本(幸)委員 つまり、毎年毎年こんな金なんか出ないんだ。だからそれを当てにしちゃいかぬということですよ、財務大臣がおっしゃっているのは。そのとおりだと思いますけれどもね。何かきのう官房長官は、いや、それでも毎年できるみたいな話をしましたが、どうですか。

枝野国務大臣 まず、先ほど、補助金の四十九兆がふえているというような御指摘がございましたが、このマニフェストは、この時点のこの予算額の中からこれだけの削減をして、それをマニフェストの財源に充てる。ただ、そのマニフェスト項目とは別に、当然自然増の項目などがあって、それが別途ふえていくことは、別に財源の手当てをしていくということで組み立てられていますので、マニフェスト項目以外のところで自然増その他でふえている部分があって、例えば、今マニフェストの四十九となっていた数字が大きくなっていたとしても、マニフェストの財源に充てるためにここから幾ら削減をしていたかという、そのマイナスとプラスとの両面をちゃんと切り離して御議論いただくと全く違う数字になるということを御理解いただきたいということ。

 それから、今の埋蔵金のお話でございますが、ここで言っている四・三兆円というのは、四年間で合わせて、過去に堆積をしてきたストックとしての埋蔵金をこの四年間の財源に四・三兆円充てるということをマニフェストで示しているということでございます。

 そして、それを、きのうの御質問では、では五年目以降どうなるのかというお尋ねがございましたので、両面申し上げましたが、一方では、マニフェストでお約束をしている支出項目の中には、例えば年金記録への集中期間の対応に対する予算、これは、年金記録がきちっと整理されればこの予算は要らなくなるような項目もマニフェストの支出項目の中には入っております。

 一方で、きのうちょっと具体的な名前を例示として挙げたことが若干問題だったかもしれませんけれども、埋蔵金というのは、過去にいろいろな、本来は別の形で生かされるべきお金がストックされてきたのが、いっとき物すごく大きな額になってきた。そのストックを取り崩す分と、過去においてもいろいろなお金がたまってきて大きな額になったわけですから、毎年毎年ためないでいわゆる剰余金として活用できるお金、税外収入の部分というのは、一定程度、確定的に毎年同じ金額とは言えませんけれどもある程度の金額が出てくるということで、五年目以降もマニフェストに基づいたことは十分可能であるということを申し上げたところでございます。

山本(幸)委員 全然間違っているんだよ。

 まず、聞いてもいないことを答えたから言いますが、どこかでマニフェスト用の財源を用意して、ほかのところでふえるのはしようがないなんて言っているけれども、そんな議論なんてやっていないんですよ。だって、これは、一般会計と特別会計を全部合わせてそこでどうなるかという話をしているんでしょう。だから、全部込みでやっているんですよ。それが一番大きな議論なんですよ。あなたみたいに、マニフェストの収入のところだけ持ってきて、あとはふえたって仕方がないという議論をしていませんよ、あなた方も。

 ところが、二百七兆が二百二十兆、全部でなっているんですよ。それはふえているじゃないですか。だめだ、そんなのは。まあいいや、そんなことはあなたに聞いていない。

 それでもう一つは、四・三兆円、ストックで今まで出したからいいんですと。そんな話、マニフェストでしていないんじゃないですか。平成二十五年度に行われるマニフェスト全体の財源を賄うんだから、平成二十五年度にこの金額が出なきゃだめですよ。

 ほかの今まで言ったものは、一たん減らしちゃったらその分はずっと減らしたものとして減らし続けていけば、毎年その分は出るという意味で数字としてはいいですよ。だけれども、この埋蔵金のところは、とっちゃったら一瞬にしてもう消えちゃったんだから。平成二十五年、これは出るんですか。出ないんじゃない。だから、あなたの言うような議論はだめなんだ。

 そこでもし変えるとすれば、あなたが言ったように、毎年出てくる剰余金みたいな話、きのうは外為と財投の話をしましたよ。そういうものを使うということをあなたは考えているんですかと聞いている。

枝野国務大臣 ストックとして長年の間に積み重なってきた埋蔵金の担ってきたような種類のいわゆる税外収入の部分のところは、これはきのう財務大臣もお答えになっておられましたが、変動はあるにしても、毎年毎年着実にある程度の額が出てきているものでございます。

 したがいまして、具体的にどこの、例えば特定財源なりなんなりというところについては、まさにこれは特別会計仕分け等も行いまして、ストックとしてたまっている分をどこまで使えるのか。使えるところは使い始めておりますし、さらに言えば、毎年毎年、年によるでしょうけれども、フローで出てくる場合にはどの程度のものが出てくる可能性があるのかということについては、十分考慮をして行っていけば、税外収入としての一定程度の財源を確保するということは十分可能であるというふうに思っております。

山本(幸)委員 では、その一定程度といったら、外為と財政投融資でどれだけ出るんですか。

枝野国務大臣 ここのところは具体的、個別の話でございますので財務大臣にお答えいただいた方がいいのかもしれませんが、お尋ねなのでお答え申し上げますと、例えば税外収入として、平成二十二年度は外為特会の剰余金で二兆五千億、それから二十三年度も予算案では二兆七千億の外為特会剰余金というのを計上いたしております。

山本(幸)委員 その二兆五千億は積み立てたものを取り崩しているんだから、それだったら、全部取り崩すと言うなら……(野田国務大臣「今のはフローです、剰余金です」と呼ぶ)ああ、剰余金の分ね。

 では、あなた方はその剰余金を、これは、財務省の説明では特例的にやると言っているんですよ、今まで。それだったら、法律に一般会計に出していいなんて書いていないんだから、やろうとすれば特例法が要るんだよ。あなた、恒常的にやるんだったら、今回の特例法を引き下げて、恒久立法をしなきゃだめですよ。では、そうするんですか。

枝野国務大臣 過去堆積しているいわゆる埋蔵金の部分のところについて、必要がある部分については当然その都度行っていくことになるかと思いますし、また、昨年、特別会計仕分けを行いまして、そもそもストックとしてたまっている部分をどこまでどう使うのが適正なのか、それから、毎年毎年フローで出てきている部分については、そもそも特別会計という制度そのもののあり方を含めて検証を行って、これに基づいて、必要があれば法改正も含めて、これは行政刷新会議を中心に進めていただけるものというふうに思っております。

山本(幸)委員 そのフローの部分を使おうなんというのは特例的なので、もしこれが毎年平成二十五年度からずっと使おうと思ったら、恒久法にしてもらわなきゃいかぬから、今回の特例法は引き下げてもらわなきゃいけませんよ。

 それから、では積立金を使うのか。外為特会の積立金をこれからも取り崩すつもりでいるんですか。

 財務大臣にお伺いしますが、外為特会は、為替の評価損は、円が何円になったらなるんですか。

野田国務大臣 たしか九十五円だったというふうに記憶していますが、いずれにしても、今、為替評価損が生じている状況ですので、安易に積立金を使うという議論は慎まなければいけないというふうに思っています。

山本(幸)委員 そのとおりだよ。外為で、そんな、もうできませんよ。八十一円だよ、今。それを、またフローでも使いましょうなんという話を官房長官は言っているけれども、財務大臣はそれを認めるんですか。

枝野国務大臣 先ほど外為の例を申し上げたのは、実際にフローで昨年もことしも使っている部分があるということを申し上げたので、今後、まさに制度的にも、どこかの特会などに出てきた剰余金的なものをため込まないで使っていくということについては、昨年、事業仕分けを行いました、それに基づいて、まさに、まして特別会計のお金を、一見埋蔵金のように見えても、それを使ってしまうことがいけないケースもございます。

 そういったことをきちっと精査いたしましたので、それに基づいて、行政刷新会議と財務省を初めとする関係省庁の間で、それをどういう仕組みにしていくのかということを今検討して、そして、それがまとまりましたら、こういう仕組みの中で進めていくということをやってまいりますが、今年度予算については、従来の仕組みを前提にした中で、問題のない範囲内で財務大臣において税外収入として計上されているものと思っております。

 繰り返しますが、外為特会については、実績的にこういうことがあったということで、今後どうするということについて私は申し上げておりません。

山本(幸)委員 ということは、使われない、ないということですよ。

 二十五年度以降に毎年毎年こんな数字は出てこないし、そもそも埋蔵金なり、この性格上、毎年期待できるものじゃありませんよ。しかも、外為はその問題がある。財投で出てくるといっても〇・二ぐらいでしょう、毎年フローとして出てくる。だけれども、これも将来的には金利が今度下がっていくものに並んできたら、その分は減ってきますよ。だから、この分五兆円は期待できないんだよ、ゼロ。だめ。

 そこで、次。(発言する者あり)もうゼロだよ。反論できない。数字出せないんだもの。数字出せるんですか。

野田国務大臣 何兆円という数字を見込みでは出せませんけれども、ただ、税外収入というくくりでいえば、平成二十年度が四兆円、そして二十一年度が四・二兆円、二十二年度、今進行中ですが、これは過去最大で十・六兆、そして御審議いただいている平成二十三年度予算では七・二兆。こういう平均で見れば、言っている数字というのはそんなに遠い目標ではなくて、個別の会計でいうといろいろ問題はありますけれども、今までさまざまな努力をしながら税外収入の確保はしてきているということでございます。

山本(幸)委員 あなた方は話をすりかえているけれども、ここで言っているマニフェストというのは、埋蔵金と資産の売却で新しいことをやりましょうと言っていたんじゃないの。税外収入、それは今までだってありますよ、日銀納付金とかそんなのを含めて。それを全部マニフェストに使おうというわけ。そんなこと言っていないじゃない。

 今までの通常の税外収入というのは当てにしちゃいけないんでしょう。もし新しく当てにするとすれば、これから埋蔵金を持ってくるものと、それからそのフローのものをどれだけ使うかだけれども、もう埋蔵金というのは余りないでしょう。結構頑張ってやったんだよ。もうこれ以上、こんなものを認める、五兆円もいくような数字が出せますか。出せませんよ。(発言する者あり)出せるんならちゃんと私は言ってもらいたいけれども、出せないから、ゼロだな、ゼロ。反証しないから、ゼロ。しかも、これはそういう性格のものじゃない。ゼロ。すると、これもだめ。

 次に、租特ですね。

 租特のところで、いわゆるマニフェストとして使えるとすれば、扶養控除の整理とかやりましたね。そういうところで幾らと見ていますか。

野田国務大臣 マニフェスト主要事項を達成するための財源づくりで、税制改正を通じては、これは控除の見直しが中心でございましたけれども、一・三兆円を確保してきているということです。

山本(幸)委員 その一・三兆円の中には、地方住民税の部分も計算に入れているんですね。

野田国務大臣 国税、地方税を含めております。

山本(幸)委員 この点は大問題なので、後からやります。これは認めよう。

 そこで、これ以上、そういうもので、マニフェスト用で税制改正、増税してやれるようなものがありますか。配偶者控除なんかは考えますか。

野田国務大臣 これは、控除から手当へというのが私どもの基本的な考え方でございますので、さまざまな控除の見直しはこれからも引き続きやっていくということになっております。

山本(幸)委員 では、配偶者控除はやるということですね。

野田国務大臣 二十三年度の税制改正大綱の中では、配偶者控除についての検討をするということが明記してございます。

山本(幸)委員 そうしたら、一・三兆円からちょっとふえるかもしれませんね。ここは全部で二・〇ぐらいでしょう。では、二・〇としておこう。

 そうすると、もうこれだけでアウトだよ。最初の、一番上のところでマイナス八だよ。次のところはゼロだ。最後の租特のところで二を出したとしても、マイナス六ですよ。財源がないんだから、マニフェストなんてできるわけがないんだ。もうこれでマニフェストなんて検証終わり。簡単なことですよ。あとはほかで増税するしかありませんよ。だけれども、それはマニフェストのためじゃないんだからね。よし、もうこれはこれで一応けりをつけます。

 次に、子ども手当について聞きますが、子ども手当というのはいろいろな問題がある。いろいろ問題があって、やることがたくさんあるんだけれども、最初に、きのう公明党の富田先生が指摘されて、私もそこから始めたいと思っているんですが、官房長官はもう結構ですよ、大きな問題は地方自治体との関係なんです。

 これだって、民主党さんがマニフェストで子ども手当をやりますと言って、そして鳴り物入りで始めたんですが、要するに、マニフェストを実現するために子ども手当をやろうと。それは国が勝手に決めてやるわけだけれども、国の一方的な決定でやるので、地方からすれば、どうぞ国費で御自由におやりくださいという話なんだけれども、しかも、そのことはわかっていたから、国費でやりますと言っていたわけだ。だけれども、突然、これは財源の手当てができなかったからでしょうけれども、地方負担を求めることになっちゃった。

 したがって、本当は性格の違う児童手当というのを無理やり組み込む形で、しかし、法形式的には児童手当じゃないんです、子ども手当なんです。そういうふうに、ある意味では、言葉は悪いかもしれぬけれども、ねじ曲げて、組み込んで、そして無理やりやった。これに対して地方の反発は非常に強いですね。

 大体、こういう地方のある意味で意思を無視して国が一方的に地方に義務を押しつける、こんなことができる根拠はどこにあるんですか。

細川国務大臣 昨年の子ども手当を決定したときには、地方の皆さんにはよく相談をしなかったということで、大変失礼なことをして地方の皆さんからおしかりを受けたことはございました。

 したがって、今度の、来年度の子ども手当につきましては、まず地方六団体の皆様方にお集まりをいただきまして、そこでまずはそのおわびから私は申し上げました。そして、国の方といたしましては、財政的な問題もあるので、従来からの児童手当で御負担をいただいていたその分についてはこれまでどおり負担をしていただきたい、そしてまた、控除から手当へ、こういうことで扶養控除を廃止して、そして地方の増収になる、その分についても使わせていただきたい、こういうお願いをいたしました。

 しかし、地方の方からは、いや全額国の方でやってもらいたい、そういう強い希望もございましたし、さらにほかにも、地方からは、給食費とかあるいは保育料の問題などについても子ども手当から支払いができるような、そういう仕組みをもうぜひつくってくれ、これは大変強い要望でございました。

 そういう中で、いろいろ個別にまた六団体の長の皆さん方ともお会いをしたり、いろいろな形で御理解を求めてきたところでありますけれども、最終的には五大臣の決定ということで、これまでの児童手当を負担していただいた分については引き続き地方で負担をしていただく、その他については、増額七千円分についても、三歳未満の七千円ふえるということについては、もうこれはすべて国費でやる、こういうことで決めさせていただきました。

 そして、地方からはいろいろと御要望の強かった、自由に現物給付で子育て支援をさせてもらえるような、そういうことの要求がございましたので、それについては特別な交付金というのを法案の中に入れましてやっております。

 先ほど申し上げました保育料それから給食費、これらにつきましても、子ども手当から徴収をしたり、あるいはそこから引き去りができるような、天引きができるような、そういう仕組みをつくりまして、今回の法案を提案することにいたしました。

 そういうことで、地方の皆さんともいろいろと協議なり御意見の交換をしてまいった、こういうことでございます。

山本(幸)委員 私は、細川大臣は大変人格者だと尊敬しておるんですけれども、大好きな方なんですけれども、きょうは政策論なんでちょっと厳しい言い方になりますけれども、お許しをいただきたいんですが、私が聞きたいのはそういうことじゃない。さっきは数字の話ばかりしたのでもう飽いたと思いますから、これから法律論をちょっとやりたい。法律上、どこに根拠があってこんなことができるんだということを聞きたいんですよ。

 総務大臣、地方財政法第二条二項とかあるいは十三条第一項にはどんなふうに書いていますか。

片山国務大臣 地方財政法十三条は、「地方公共団体又はその経費を地方公共団体が負担する国の機関が法律又は政令に基づいて新たな事務を行う義務を負う場合においては、国は、そのために要する財源について必要な措置を講じなければならない。」というのが一項であります。二項で、「前項の財源措置について不服のある地方公共団体は、内閣を経由して国会に意見書を提出することができる。」三項で……(山本(幸)委員「結構です。あと、二条の二項」と呼ぶ)二条の二項は、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」ということです。

山本(幸)委員 明らかにこの地方財政法違反じゃないですか。どうしてこんなことができるんですか。

片山国務大臣 先ほど地方財政法の関係条項を読みましたけれども、これは、国が新たな事務を行おうというときに、全額国費でなければならないということを書いたわけではないわけです。国費で措置をするということは、それは当然あっていいと私は思いますけれども、例えば、御承知のような地方財政対策といいますか地方財政措置との組み合わせで、地方財政、個々の自治体の財政運営に支障がないようにするということでも構わないわけです。それが一般論です。

 今回のケースをとってみますと、新たな施策というのは、言うなれば、児童手当に対して二階建ての部分、上乗せの部分に理論的にはなると思いますが、その部分についてはすべて国費で対応しております。

 今、自治体の方で問題にしておられますのは、従来からの児童手当の地方負担分についてもやめろとおっしゃっているわけでありまして、そこのところは私は、こういう立場でありますけれども、従来の児童手当の地方負担分については何らかの形で、そのままでなくてはならないかどうかというのは、これはいろいろ議論はあると思いますけれども、やはり何らかの形で負担をしていただいても決して合理性を欠いていないと思っております。

山本(幸)委員 法律にはそんなことは書いていませんよ。新たな事務を行うんでしょう、今度。子ども手当は全く新たな事務ですよ。それには、国は財源について必要な措置を講じなければならない。これがほかで、地方に負担させていいなんてどこに書いてあるんですか。

 それから、二条一項の、地方財政運営のそもそもの基本ですよ。「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と書いてある。もし、この子ども手当を地方に負担させようとするのなら、子ども手当法案にこの地方財政法何条の規定にかかわらずと書かなきゃこんなことできませんよ。どうなんですか、厚労大臣。あるいは、どっちでもいいや。

片山国務大臣 地方財政法の解釈の問題でもありますので、私から御答弁申し上げます。

 子ども手当を導入する際に、児童手当というものを廃止する、一切なくするという選択肢もあったと思います。恐らく、併給するという選択肢はなかったと思うんです。そうしますと、廃止するという選択肢と、今のように便宜上二階建てにするという仕組みをとったわけでありますけれども、仮に廃止するとした場合には、そのことによりまして地方財政に四千数百億円の余剰が生じます。

 従来、その四千数百億円というのは、いわゆる地方財政対策の中で何らかの形で財源保障がされているわけです。したがって、児童手当を全廃するということになりましたら、地方財政対策上、四千数百億円は余剰ができるわけです。ですから、仮に、一切合財全部やめて、従来のものをやめて、新しいものをぱんとつくったりしたときにも、四千数百億は何らかの形で、国との間の調整といいますか、そういう作業がやはり必要だったわけです。

 昨年の、民主党が政権交代以後導入された子ども手当の場合には、そういう方策をとらないで、二階建て方式を便宜上とられて、非常に複雑なという問題はありますけれども、一応、児童手当はおいておいて、それに伴う財源構成というのはそのままにしておこうということでありましたので、先生おっしゃるような、新たな施策を講じることに伴って地方団体に財政負担を押しつけるということは私はないと思います。

山本(幸)委員 全く納得できない。では、地方財政法第二条二項の「いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」これは明らかに違反しているじゃない。

 しかも、あなたは、児童手当と子ども手当の関係について、いかにも児童手当は消えていないみたいな話をしていますが、それは財源のやりくり上やっているだけで、法律構成としては全く新しい子ども手当しかないんですよ。だって、所得制限も全部消えちゃっているんだから、児童手当なんというのはないんだ。だけれども、金目を取るためだけに児童手当法のところを使っているだけですよ。だから、法律上、こんなものはできませんよ。おかしいですよ。

 厚労大臣、どうしてできるんだ。

細川国務大臣 児童手当については、地方の負担もしていただいていた、そういう経験があるわけですね。今度の子ども手当法案の中でも、児童手当法のその仕組みを子ども手当法案の中に埋め込みまして、そこで児童手当法案のときの負担も入れ込んでおりますので、そういう意味では、児童手当法案そのものが、国が決めたのを地方に負担をさすということで認められていたものでありますから、今度の子ども手当法案について、そこを使いながらの子ども手当法案ですから、それは法律上は問題はないんじゃないかというふうに思います。

山本(幸)委員 日本は法治国家なんですよ。法律できちっとこういうことができますということしかできないんですよ。ちゃんと地方財政法に、新しい義務を生じるときは財源は国が全部面倒を見るということと、それから、もっと基本に、むやみに負担を転嫁するような施策を行っちゃいけないと書いてあるんだ。

 それを、新しく子ども手当をつくるということを、法律でつくるのならばそれは結構ですよ、新しいことをやろうとするのは。だけれども、そのときは、全然違うんだから、おっしゃったように児童手当法なりを廃止して、やって、新しくするというのは結構ですよ、だけれどもそれは法律でちゃんとやってください。

 だから、今のこの児童手当法案を見て、どこにこの地方財政法の除外にかかわるというようなことが書いてあるんですか。そんなものは、書いていないとできませんよ。総務大臣がさっき言ったことは全然説得力がないよ。事実上、地方に金目がどうのこうのとかいう話はできるかもしれぬけれども、これは法律制度としておかしいんだ。だめだよ、そんな。法律上、どうしてできると言えるんだよ。

片山国務大臣 さっきおっしゃっていたことの中に、単純に児童手当の上に二階建てをしたわけではなくて、例えば所得制限がないとか、それから中学生まで拡大しているということで、児童手当のところよりもずっと膨らんだところがあります。それについては、きちっと国費でもって交付金を出しておりまして、この面でも転嫁ということはございません。

 それから、去年から始まりましたその二階建て部分の子ども手当、児童手当以外の部分について、それから今回の改正で上積みをするという三歳未満児の部分についての財源についても、これは全額国費でありますので、その点で、みだりにということではなくて、転嫁をしているということには該当しないと私は思います。

山本(幸)委員 全然説得力がないわけです。

 では、今おっしゃったように、金目の話はどこかでけりをつけたかもしれないけれども、法制度上は全くおかしいんだよ。これは法律国家として成り立っていませんよ。地方財政法違反じゃないの。あなた、総務大臣として、地方財政法違反をされておいて、黙っているんですか。こんな、法律上おかしなことを認めるわけにはいきませんよ。

 もしやるなら、この地方財政法何条の規定にかかわるというのが一文入っていれば、法律制度上、それは納得するかもしれませんよ。厚労大臣、どうするんですか。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、二十三年度の子ども手当法案につきましては、地方の皆さん方とも話をしてまいりました。その六団体の皆さんと、まずは政務三役が話をいたしまして、そしてそれぞれの団体の長にも個別的にもお会いをいたしまして、国の方針についての御理解も求めてまいりました。

 その際、地方の方でも、こういうことをしてほしい、次の法案には入れてほしい、こういう要望もあったんです。去年はだめだったけれども、今度の法案にはこういうことを入れてほしいという要望もありまして、保育料とかあるいは給食費などについてそれを子ども手当の方から徴収あるいは天引きできるようなこともしてほしい、そしてまた、現金給付でなくて、さらには現物給付を地方で自由に使えるようなもの、そういうのを法律案の中に入れてほしい、そういう御要望もあったんです。したがって、そういう御要望も取り入れまして、今度の法案を提案させていただいているんです。(発言する者あり)二十四年度は。

 したがって、そういう点もどうぞ御理解もいただきたいということを先ほどから申し上げているところでございます。

山本(幸)委員 地方の人が要望したとか、そんな中身の話はいいんだよ。私は、法律制度の話をしている。法律論をやっている。

 明らかに、この法治国家日本で国が勝手なことをやるときに、きちっと地方自治権を、あなた方は地域主権とか言っているじゃないですか。閣議決定もやっていますよ。地方の自主性を尊重するというのが一番のみその政策じゃないの。それが、地方の意思を無視してばっと国が決めちゃったんだ。そのときに、金まで負担させるということにしちゃった。しかも、児童手当という制度自体を変えて。そのときに、金目だけはそれだけ持ってこいと言った。そんなことは、法治国家日本では法制上許されないんだ。やろうとしたら、その調整する法律の条文がどこかになきゃできませんよ。

 それから、もう一個、大問題もあるんだ。住民税を財源として召し上げるんだけれども、そんな召し上げる根拠なんて法律上どこにもないんだよ。五大臣が決めたといったって、法律上そんなばかなことはできないよ。でも、それをカウントしているんだ。それも大問題。

 つまり、この児童手当法案というのは……(発言する者あり)失礼しました。子ども手当法案というのは、法制度上極めておかしい。全然、地方財政法を無視しているし、それから地方税法も無視している。こんなことを許して、やりたいことをやるなんというのは、とんでもない話でしょう。

 法律を出し直す気持ちはありませんか。地方の意見を聞いているというのは、それはわかる。だけれども、法制度上できなければ、これはだってできませんよ。これは法律上きちっと説明できなきゃ納得できませんよ。厚労大臣、そういうふうにする覚悟はありますか。

細川国務大臣 先ほども御説明をいたしましたように、法律的には私どもとしては適正に提出をいたしているというふうに思いますし、地方の要望も入れまして、今回の子ども手当法案は、私は地方の意見も入れてつくっているというふうに思っておりますから、ぜひこの法案を成立させていただきたいというふうに思っております。

山本(幸)委員 地方財政法上明らかな違反でしょうが、二条一項と十三条と。どうしてこんなことが法律の規定なしにできるんですか。総務大臣、地方財政法を所管していてそう思わないんですか、あなた、二条二項とか十三条とか。思わないというのだったらおかしいよ、あなたは。どうですか。

片山国務大臣 さっきちょっと申しましたけれども、昨年、明けて一昨年になりますか、子ども手当を仕組むときに、選択肢としては、児童手当を一切なくして、もうすっきりと子ども手当でするという選択肢もあったと思います。

 ただ、そのときには地方財政上四千数百億円の財源余剰が生じますので、それを国庫との間で調整する必要が出てまいります。それ以外に、先ほど来出ております住民税の控除から手当へということで、また増収分が数千億出てまいります。ではそれをどういうふうに調整するのかということ、これは非常に困難なことであります。

 といいますのは、国から自治体に対していろいろな形で国庫支出金が出ておりますけれども、それと多分、一般財源化するということで調整することになるんでしょうけれども、それについてまた地方でもいろいろ意見がありまして、なかなかそれがまとまらない、これが現状であります。

 ですから、理想論を言えばそういうことになったのでありましょうけれども、その際も、その四千数百億円が地方の財源として残るということでは決してなくて、それは国庫との間で調整するということでありますから、財源的には私はそんな不合理なことはしていないと思います。

 ですから、地方財政法というのは、一般的に書いてはおりますけれども、私、所管しておりまして、これで負担を転嫁した、そういう解釈にはならないと思います。

山本(幸)委員 もう時間が来たのでやめますけれども、今、総務大臣は全く同趣旨のことをおっしゃったんですよ、本来ならば、児童手当法をきちっと廃止して、きちっと調整をしてやる法律構成が望ましいんだと。そうしなきゃ、こんなものは認められませんよ。そういうふうにするようにしてください。それじゃなきゃ、とてもじゃないけれどもこの法律は認められない。

中井委員長 これにて山本君の質疑は終わりました。

 次に、菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 きょうは立春でございます。しかしながら、日本海側の豪雪に見舞われている地域の甚大な被害、雪害。特に高齢者がいわば屋根の上で雪かきをして、とうとい命を落とす。あるいは、農業を初めさまざまな産業にも多大なる影響が出ている県。そしてまた、御案内のとおり、きのうも噴火がありましたが、宮崎県と鹿児島県の県境、霧島連山の新燃岳の噴火についても、火山灰によって本当にさまざまな国民生活に大きな影響が出ているわけであります。また、再発した高病原性鳥インフルエンザの発生。宮崎県のみならず、各県各市にさまざまな影響が出ております。

 したがって、時の為政者である政府は、予備費を使い、そしてまたそれをちゅうちょすることなく、最大限の努力をしていただきたい、このことを冒頭に申し上げておきたいと思っています。

 まさにそういう意味では、この予算審議というのは、国民の命を守り、また国民の生活を守るための予算の審議である。

 その審議に、きょうで実質的には四日目になるわけでございますが、こういう新聞記事を目にしました。二月二日の東京新聞。予算委員長の中井委員長の資金管理団体、洽和会から、御自身の政党支部へ五百万円の寄附をしていたものの、このくだんの資金管理団体には、収支報告書には支部への寄附の記載が全くなくて、支部の会計担当者は中井氏に陣中見舞いとして五百万円を出した、こういう記事が出ているのを委員長も御存じだと思いますね。

中井委員長 いや、知りません。

菅原委員 これについて委員長にはお聞きしません。きょう、総務省においでいただいておりますから、まず総務省、これは質問すると個別の案件ということで答弁を差し控えられるかもしれませんが、あえてお聞きをしたいのは、この資金管理団体は総務省の所管であります。この記載がなかったというのが事実かどうか、その確認をまずしたいと思います。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 中井議員の資金管理団体である洽和会の平成二十一年分の収支報告書を確認いたしましたところ、民主党三重県第一区総支部に対する寄附の記載はないところでございます。

菅原委員 記載がない、しかしお金が出ている。

 もう一度聞きます。これは法的な問題はないんですか。もちろん、いわゆる資金管理団体から政党支部、政党支部から資金管理団体、そのお金の行き来はあることは合法的だと思います。しかし、記載がないということについて、これはどう法的にとらえておるか、総務省の見解をお聞きします。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 中井議員が代表を務めます民主党三重県第一区総支部の平成二十一年分の収支報告書について、所管の三重県選挙管理委員会に確認いたしましたところ、洽和会からの寄附の記載につきましては、本年二月一日付で訂正され、削除されているところでございます。

 総務省といたしましては、個別の事案については具体的事実関係を承知する立場にないので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

菅原委員 委員長もほっとした顔をされていますが、誤記載、ミスであると。

 しかし、委員長、国民の命を守り、そしてまた国民生活を審議する予算、その行司役である委員長が、まかり間違って、このような国民に不安、不信感を与えるような、そういうそしりはやはり避けていただきたい、こう思います。

 それともう一つ、二つ申し上げたいのは、やはり熟議の国会と言いながら、冒頭から職権で委員会を立てた。ましてや、審議が始まったと思ったらば、携帯電話をそこでごらんになって、写真を撮られて、これが新聞に出ている。写真が新聞に出ているわけですよね。

 それから、塩崎委員の熱心な質問、これに対して何と言いましたか。塩崎教授の陳述、質疑だったらば……(発言する者あり)敬意じゃないよ。質疑だったらばわかるんですよ。陳述と言ったんですよ。この真剣な質疑に対して陳述というのは、やはりやゆしているとしか思えない。

 ましてや、これまでも、御案内のとおり、委員長が大臣の指名、頼んでいない大臣に指名をして、非常に時間が、結局オーバーしてしまう。

 やはり、そういう意味では、熟議の国会、私はこれは熟議の国会ではなくて、あこぎの国会と言いたい。まさにそういう意味では、この運営、しっかりしていただきたいと思いますし、去年の十月の六日、委員長はこう就任のあいさつで言っているんですよ。「いささか議員歴を重ねておりますが、甚だ微力の身です。一生懸命、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりますので、委員各位の御協力を何とぞよろしくお願いいたします。」こうおっしゃっているわけです。そのとおりにすればいいじゃないですか。

 今までのこの言動について謝罪してください。

中井委員長 既に理事会で御指摘を受けて、訂正等の手続をとらせていただきました。

 携帯につきましては、昨日も自民党席で多数携帯をお使いになっている方がおられたことも承知をしておりますが、当委員会で、携帯をどうするか、インターネットをどうするか、これについて議論をする、決めをつくる、こういう形になっているということも御理解をいただきたいと思います。

 私がおしかりいただきました分については、拳々服膺、十分気をつけて運営を図ってまいります。

菅原委員 今、一定の謝罪というふうに受けとめたわけであります。

 早速、予算案についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、財務大臣、直近のタイムリーな話題を二つお伺いしたいと思います。

 まず、先般来話が出ております日本国債の格付、この格下げの問題であります。スタンダード・アンド・プアーズ社の格下げの報道に対して、菅総理の疎い発言。これは本人がどう釈明しても、内外のマーケット、世の中には、やはりこの財政についての、直前の財務大臣だったのに認識が甘い、見立ての甘さがある、あるいは情報管理能力の欠如、あるいは官邸の情報伝達能力の甘さ、こういったものがそのまま内外にメッセージとして発せられた、これはもう厳然たる事実だと思うんですよね。

 八月の十五日、あの夏休みのときも急激な円高が起きた。あるいは十一月の二十三日だったが、北朝鮮の韓国延坪島砲撃。こうしたことについても、官邸の危機管理、情報管理、この甘さというものが本当に今、全日本国民に大きな不安を与えているということは大臣もよく御認識のとおりだと思います。

 菅総理が民主党の幹事長であった二〇〇二年、別の格付会社の調査によって日本の国債の格付が下がった。そのときに、外国に資金が流れれば一挙に国債が暴落する、のうてんきな総理大臣と財務大臣、本当にわかっているのかねというようなブログも菅さんが書いている。今全くその本人に当てはまる、こういう発言であったなと思うわけであります。

 一方、与謝野大臣、鳴り物入りで入閣されました。きょうおいででありませんから、大臣に関しては別途、比例で上がったにもかかわらず今回とった行動について徹底して質疑をしていきたいと思いますが、この与謝野大臣の発言も、塩崎さん風に言えば、たまげたわけでありますね。日本の消費税はたった五%、格下げは消費税増税を早くやりなさいという意味だ、そうコメントしているんですよ。

 これは、自民党の大臣だったら与謝野さん、まだわかるんです。ところが、後でここで議論しますが、この今の民主党政権において、予算編成において、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則が全く崩れてしまっている。その内閣の大臣であるにもかかわらず、このような発言をしている。余りにもお粗末で乱暴である。そういう意味では、もし与謝野さんがあのとき発する言葉は、ここはばらまきはやめるべきだ、それを内外にはっきり発信する、これが本当の正解だったんじゃないかなと私は思うんですね。

 この点について、二人の発言について、大臣の認識を問いたい。

 あわせて、一月の三十一日、小沢元民主党代表が強制起訴されました。これまで大臣も、あるいは総理もそうですが、政治家の出処進退はみずから判断すべきだということを述べてきました。この今被告になった時点で、小沢さん、どうすべきだと大臣は考えますか。これも今の予算審議の足かせになっているわけですよ。この問題、しっかりと明言をしていただきたい。

 二点聞きます。

野田国務大臣 まず、S&Pという民間の会社の格付については、逐一コメントをすることは控えるというのが私の基本的な立場でございます。

 そういう前提の上で、総理の御発言と与謝野大臣の御発言についてのお尋ねでございましたけれども、これはもう総理も何回も御説明をされたと思いますが、疎いという発言は、財政や国債の問題に疎いということではなくて、十分に情報に接していなかったという意味で使われたということで、私はそのまま受けとめておりますし、菅財務大臣のもとで副大臣を務めておりましたけれども、国債の問題については総理もよく御理解をいただいているというふうに承知をしています。

 加えて、与謝野大臣の御発言は、ちょっと私は逐一知りませんけれども、いずれにしても、マーケットの信認を得るために、やはり我々はわきを締めていかなければいけないと思うし、予算のこの審議を通じて速やかに予算が成立をすること、あるいは税と社会保障の一体改革についてもきちっと結論を出すこと、そういうメッセージを常に出しながら、財政規律を守る国であるということを発信し続けることが大事だというふうに思っています。

菅原委員 では、小沢さんの問題は。

野田国務大臣 御本人の出処進退、これはやはり御本人が決めるということに尽きると思います。

菅原委員 前段の話については、疎いという言葉が、どう釈明しても、実態がどうだったかにしても、そのまま内外のマーケットに流れるわけですよ。疎いということは、わかりません、その状況に知識、認識がありませんとそのまま伝わっちゃう。だからこそ、その情報伝達管理体制をしっかりすべきではないかということを申し上げたい。

 それから、今、小沢元代表の件。相変わらず、強制起訴されて被告になった今も、御自身の出処進退は本人でと。これは、民主党の次代を担うリーダーの一人である野田さんがそういう認識では、私は非常に残念ですよ。このことを申し上げておいて……(発言する者あり)何がしようがないんですか。

 それで、次の質問に入ります。

 これまで、総理も、あるいは政府の説明でも、この平成二十三年度予算は、菅内閣によって、三段構えの経済対策のステップスリーに当たるものだ、こういう説明をしてこられておりますが、これは間違いありませんね。イエスかノーかで。

野田国務大臣 イエスです。

菅原委員 お手元に資料をお配りさせていただいておりますが、これは十二月二十六日の日経新聞です。国内のさまざまなエコノミストがこの予算に対して評価をしているわけでありますが、これは、見て一目瞭然、この押し上げ効果のところ、本当に低い、ゼロあるいはマイナス〇・一という状況になっていますよね。

 ますます、こういうのを見ると、民間のエコノミストの判断は、まさにマーケットあるいは市場をよくわかっている方々の判断でありますから、非常に重要に参考にしなければいけない、こう思っているんですが、去年の六月に、民主党で、閣議決定した財政運営戦略には、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則が記載をされている。これは一定の評価をしたいと思うんですね。

 ただ、今回の予算案全般にこのペイ・アズ・ユー・ゴー原則が守られているのか。ほとんど守られていませんね、今までの議論でわかっているように。子ども手当、高速道路無料化、農業の戸別所得補償、そして高校の授業料無償化、いわゆるばらまき四Kを初めとするマニフェストの所要額が、当初十二・六兆円、こう試算をしておった。ところが、これまでの議論でもはっきりしてきたように、菅内閣においては幾ら確保できたかといえば、約三兆円。しかも、基礎年金の国庫負担割合、これは二分の一と法的に定められておりますが、これについても所要額二・五兆円を臨時財源でしか確保できずに、財務大臣御自身がもはや限界と記者会見でおっしゃっていますよね。

 このような現状の上に、さらに法人税の五%の引き下げ。これはペイ・アズ・ユー・ゴー原則を何とか無理やり守ろうと、その意気込みはわかったんですが、結局、やったことは研究開発税制の縮減。結果的には効果を減殺してしまった。野村証券の試算では、法人税率の引き下げで成長率を〇・一五%押し上げるものの、財源確保のための研究開発税制の見直しなどによって、結局は〇・〇七%押し下げてしまう、こういう評価がされていますね。

 また、子ども手当についても、あの一昨年の選挙で民主党の議員が本当に連呼した二万六千円満額支給、これもあっさり、この四月の社会保障の議論とともに、さぞかし旗をおろすんでしょう。

 また、にしきの御旗のもう一つであったいわゆる最低保障年金、この全額税負担、これについても、きのうきょうの議論を聞いておりますと、本当に、四月の社会保障と税一体改革の中で、そこの範疇に収拾させようとしている。

 全くもってマニフェストは破綻しているわけですよね。安定財源がなく、かつまた今申し上げたような経済効果がない。そういう意味では、全くもって、このマニフェスト、あるいはこの予算自体も破綻している、こう私は言わざるを得ない。

 私たちが来週再提出する財政健全化責任法案、これは、予算編成において、財政規律の維持と健全化目標との整合性の確保に全力を尽くすと我々は銘打ちました。

 そこで、大臣に伺いますが、菅総理が一月の十四日の記者会見で、この平成二十三年度予算、これは自信を持って国民の皆様に提示した予算である、こう強弁されていましたが、大臣も今の状況で認識は同じですか。

野田国務大臣 多岐にわたる御指摘をいただきながらの最後の御質問でございましたけれども、予算の評価ですが、民間のエコノミストのいろいろな評価がございますけれども、今回の平成二十三年度予算は、これはきちっと、成長と雇用という観点から、元気な日本復活枠も含めまして、景気をまさに後退させない、前進させるという位置づけの予算でございまして、実質、一昨年の秋以降、四四半期でプラス成長を続けてまいりました。この流れを切らさないように、早く成立をしてほしいと心から願っています。

 加えて、その経済対策の位置づけであると同時に、マニフェストについては、いろいろ御指摘がありましたけれども、これは何回も御説明していますが、三・六兆円の安定財源を確保しながら実現をしてきているということでございますので、これは着実な実施をしているということであって、ばらまきという御指摘は当たらないということでございます。

 加えて、地方への配慮であるとか、あるいは財政規律という観点からも、私はこの予算はベストなものだと思っています。

菅原委員 去年の六月の皆さんの財政の健全化に関する考え方、ここでペイ・アズ・ユー・ゴー原則を明記していながら、今おっしゃったのは三・六兆円。しかし、マニフェストに書かれたものは十二・六兆円ですよ、全部全うすれば。でも、それができていないでしょうということの認識はもう持っているから、ここ数日間のいろいろな議論になって、四月だ、六月だ、税との一体改革だと言っているわけですから、その点、余り強弁すると、後でつじつまが合わなくなるのではないかな、こう思うんですね。

 それで、お聞きをしたいのは、これはプラス成長、しかし、プラス成長というのは、麻生政権の最後のときにさまざまな経済対策を打って、その果実がここのところ出てきているという認識を、国民もよくわかっているはずなんですよ。そういう意味では、この一年半でそれがプラス成長だというのも、果たして、そごが出てくるのではないかな、こう思うんです。

 それで、お聞きをします。菅内閣の経済対策、先ほどのステップスリーで、平成二十三年度予算で、この単年度の予算において、どれくらいの成長率を押し上げられるんですか。ここに民間の数字が出ていますが、政府としてのその数字を示していただきたい。先ほどのエコノミストの評価は極めて低い。子ども手当も、二兆円出して、一兆二千億以上が預貯金に回って、世の中や市場に回っていないわけですよ。全く経済効果がない。まして、四割の家庭で、総額は大体一・二兆円だということは後で調べてください。

 それはいいんですけれども、また、公共事業についても一八・三%、二十二年で削減をして、今年度も五・一%削減。これも、民間のシンクタンクでは成長率を押し下げるとはっきり試算をしているわけであります。

 いいですか。大臣に聞きます。この二十三年度予算で、成長率の押し上げ効果の試算を示してください。

野田国務大臣 政府としては、これは内閣府の方で見通しを立てたのが、来年度の実質経済成長率を一・五%と見込んでいるということで、予算はその中での貢献をするということだと思います。

菅原委員 今、財務大臣おっしゃった一・五%というのは、いいですか、政府の経済見通しの実質成長率の一・五なんですよ。私が申し上げているのは、単年度の二十三年度予算で成長率の押し上げ効果は何%あるんですか、これを聞いているんです。もう一度。

野田国務大臣 予算そのものの効果という観点での調査というか、推計は出しておりません。

菅原委員 いや、質問の趣旨がよくおわかりになっていない。

 第一、第二、第三でしょう。第三がこの二十三年度予算で、三段で成長を促すというふうに言ってこられた。ある意味では集大成の一つだと思うんですよね、一段階においては。そこで、実質成長率一・五%、これには、例えば設備投資だとか輸出輸入、こういったマクロの日本経済全体のものが入っての一・五%。この二十三年度予算、民主党政権の予算でどれだけ成長率の押し上げ効果があるんですか、この数字を出してくださいよ。(発言する者あり)それで予算審議しろというのかよ。(発言する者あり)出していたよ、自民党は。麻生政権は出していた。

中井委員長 委員席で勝手にやりとりをしない。

枝野国務大臣 内閣としては、内閣府において、先ほど財務大臣からお示ししましたとおり、来年度の経済成長の見通しについてはお示しをいたしております。そうした中で、私どもの政権としては、政権交代以来、大きな社会経済構造の変化を目指し、そうした構造の中で三段階にわたる経済対策を進めているところでございまして、そうしたもののトータルの効果として来年の経済成長を見通しているというところでございます。

菅原委員 枝野長官も全く言っていることが合っていません。

 実質成長率が一・五というのは政府の経済見通し、それはわかるんですよ。だけれども、おたく方が、民主党政権の政府で出しているこの予算で、経済の成長、書いてあるじゃないですか、この新聞を見てください。日経新聞の民間の試算によると、例えば三菱UFJモルガン・スタンレー証券、成長率押し上げ効果〇・一、ずっと来て、野村証券の木内さんという方はマイナス〇・一、つまりマイナスだ、こういう数値を出していて、これの政府版がないんですかと言っているんですよ。これが予算の審議の大前提でしょう。

枝野国務大臣 お尋ねですので改めて確認をしてみますが、従来からそういったことを、つまり予算だけでどういう効果が上がって押し上げになるのかということを政府として計算したということはないというふうに今報告を受けております。念のため確認をいたしますが。

 まさに内閣が行う政策というのは、もちろん民間の方がいろいろな立場でいろいろな分析をされていろいろな御見解をお示しになるのは、これは結構なことだと思いますし、内閣としてもそうした見解についてはしっかりとウオッチして参考にさせていただかなければいけないというふうに思っておりますが、内閣として経済対策を打つのは、予算、税制を含めて、全体としての政府の施策の中でトータルとして一・五%の成長を来年見通しているということでございまして、これ以上の分析をするのは、逆に言うと誤解を招いたりするものであるというふうに思っております。

菅原委員 先ほど財務大臣に私が確認したのは、この予算が三段構えの経済対策のステップスリーだ、ステップワン、ステップツーがあって、ステップ三で成長率をしっかり押し上げる、税収を上げるという説明をこれまでしてこられた。だからこそ、パッケージで一・五というのはわかるけれども、単年度の二十三年度予算で何ぼですかと。

 先ほどやじの中で、おまえたちは出してきたのかと言ったけれども、麻生政権では三段ロケットで一%ときちっと銘打っているんですよ。その途中で、道半ばで政権がかわってしまいましたけれどもね。

 こういう、いわば予算の審議に当たっては、この数値を出してくださいよ。事務方もしっかりしなさいよ。これがなければ審議できませんよ。

中井委員長 私も今まで、政府予算で何%というのは余り聞いたことはないようには思っていますが、麻生政権では……(発言する者あり)ちょっと待ってください。成長率を一%というのはわかります。ここは一・五%というのはわかる。調べて大至急返事をさせますから、次の質問へ移ってください。

菅原委員 委員長、御差配ありがとうございます。

 それで、出すとおっしゃっていました。いつまでに出しますか。

中井委員長 野田君。(発言する者あり)いやいや、今まで出したことがあるかどうか調べて。

野田国務大臣 出したことあるというか、先ほど申し上げたとおり、やはり内閣府の実質的な経済成長の見通し……(発言する者あり)

中井委員長 静かに。お静かに願います。

野田国務大臣 予算とか税制とか含めて政府がいろいろな対策をとる、あるいは、世界経済がどうなるのかとか、いろいろなことを分析しながらの内閣府の実質経済成長率の見通しというのが、これは政府としてのあくまで見通しであって、ほかには基本的にはないということだと私は承知をしています。

 三段構えの経済対策については、その都度、例えば追加的な景気対策を打つとき、補正予算などでは、例えば雇用拡大にどれぐらい影響があるかとか、そういう計算はしたことがありますけれども、今回は三段構えの対策の最終的なものなので、ちょっと事前のものはまた確認してみますけれども、私は承知していないということでございます。

菅原委員 皆さん、こういう程度の数値を把握していない状況の中で予算審議しろというのは無理ですよ。おかしいよ、これはやはり。

 委員長、いつまでに数字を出すか、ちょっとはっきり……

中井委員長 いやいや、麻生政権の一%という数値を確かめさせます。(菅原委員「これは出ています。出ているので質問しているわけですよ、私は」と呼ぶ)はい、確かめさせます。昼の理事会できちっと承知をさせます。

 そして、麻生政権で数値が出ておったなら、あなたにもう一度質問のチャンスを与えて、今の続きをやります。

菅原委員 いや、質問のチャンスはこっちの理事にお願いするんだけれども。

 いずれにしても、今のをちょっと政府で出してくださいよ。いつまでに出すか、答弁してくださいよ、官房長官。

枝野国務大臣 委員長の御指示のとおり、麻生内閣当時にどういったものが出ているのか出ていないのか、確認をして、早急に理事会で御報告いたします。

菅原委員 ちょっとここで、いいですか。今の答弁は理解できるんだけれども、では、麻生政権で出したから私たちも出すという話ではないんですよ。平成二十三年度予算を審議する上で、この予算案が日本経済の成長率をどれだけ押し上げるか、その数値を前提にしないと議論できないじゃないですか。

枝野国務大臣 予算だけで経済のどの部分をどういうふうに押し上げるのかということは、内閣としてそういった形でのやり方をしてきたことはないというふうに理解をしておりますし、また、それは実際上なかなか困難であるというふうに思っております。

 全体として、予算、税制、さまざまな予算外の政策も含めて、トータルとして、日本の経済がどういう方向になっていくのかということについて見通しをしっかりと示して、それに基づいて予算案をお示しいたしておりますので、これは過去の例に照らしても、こういった形で御審議をいただいてきたものというふうに理解をしておりますが、今の御指摘と委員長の御指示がございましたので、麻生内閣当時の今御指摘いただいたことについては確認をさせていただきます。

菅原委員 今の論議でわかったことは、民主党政権、今の政府には、この二十三年度予算案における経済の成長率押し上げ効果の数値を持ち合わせていないと。自民党で、麻生政権で一%というのを出している。それを出していれば出すかもしれない、そういうことでありましょうから、まず、いかにこの予算案の大前提が崩れているか、このことをあえて指摘しておきたいと思っております。

 次の質問に入りたいと思います。

 二枚目の資料をお目通しいただきたいと思います。

 自民党の全議員に、ちょうど一昨日に、最近の天下り・渡りの実態に関する予備的調査、この報告書が届いたわけであります。これは去年の十二月の三日に自民党の方から調査局の方に調査を依頼したものでありまして、実はこの中では、民主党政権、政権交代した後に三十三人の公務員が独立行政法人や公益法人の役員に天下りをしているということが明らかになっているんですね。これは役所から出したものだから、明らかになっているわけですね。

 これは、我が党として、先月、一月の末までに回答してくれ、こうお願いしてあったんです。ところが、回答があったのは、宮内庁、公正取引委員会、消費者庁、環境省、そして防衛省、この五つで、あとの十二府省庁、いまだに回答が出ていないんです。

 官房長官、これは極めて遺憾ですけれども、この点、いつまでに回答を出していただけるんでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘の調査は、一昨年の九月十九日から昨年十月一日までの間に、公益法人、独立行政法人、認可法人、指定法人等について、法人を所管する中央省庁ごとに、現役出向者を含め新たに役職員となった公務員出身者に関し、団体名、就任者数、就任年月日等の調査を行ったものと承知をしております。

 国家公務員の再就職については、民主党政権発足後直ちに、問題となっていた府省庁による公務員の再就職あっせんを内閣の方針として禁止をしたところでございます。

 さらに、国家公務員出身者が役員等に在籍する公益法人の徹底的見直し、独立行政法人の役員ポストの公募、独法自体の抜本的見直し等の措置を講じてきているところでございます。

 さらに、今後、国家公務員制度改革の一環として、再就職等規制違反行為に対する監視機能を強化すべく、今国会に所要の法案を提出していくこととしております。

 以上のような措置等により、任命権者である各府省大臣のもとで、今後とも再就職等規制の遵守を徹底してまいりたいと思っておりますし、また、いわゆる府省庁による再就職のあっせんを一切行っていない中で、予備的調査にお答えをするためには、まさに一から調査をしている状況でございますので、できるだけ速やかに各省とも、国会からの御要請でございますので、回答できるように督促をしてまいりたいというふうに思っておりますが、まさにあっせん等はいたしておりませんので、全部一から、個別に、もちろん、独立行政法人など国の関与の大きいところはいつまでに出すとかということができますが、公益法人の中には、まさに純粋民間公益法人もございますので、そういったところに対して問い合わせをかけながら、適切にできるだけ早く対応させたいというふうに思っております。

菅原委員 いろいろと作文をお読みになって、長官らしくないなと思うんですが。

 民主党が野党時代は、四千五百四法人に二万五千二百四十五人が天下りして、十二兆一千三百三十四億円のお金が交付されている、さんざんこのことをプロパガンダして、それは、あっせんがあるなしに限らず、再就職を高級官僚がした場合は天下りだと言ってプロパガンダをして、政権をとったその一助となっているはずですよ。

 ところが、政権をとった途端に、今度は、あっせんがなければ天下りじゃないという論理をどの閣僚もどの議員も振りかざしている。これは国民からしたら、おかしいと思いますよ。これはまた別途議論したいと思うんですが。

 今のお話のように、一月末までに、まじめにやっている省庁五つが出してきて、財務省初め十二省庁、いまだに出してきていない。これはやはり、官房長官、あなたのリーダーシップできちっと出させるようにしてください。いいですか。確認したいと思います。

枝野国務大臣 私どもが野党の当時も類似の調査をお願いいたしまして、回答をもっと早く出せということを申し上げてまいりましたので、御要請をされた側の立場からの、できるだけ早くというお気持ちは、十分わかっております。

 同時に、私も、この手のものについてはできるだけ早く御回答を申し上げるべきだというふうに思っておりますので、各省庁に、最大限の努力をしてできるだけ早く回答するように督促したいと思っております。

菅原委員 長官、できるだけ早くというのは無期延期みたいな話で、きちっと、二月だったら二月、そういうことを答弁してください。

 あわせて、民主党さんが野党時代我々に出してきたものについては、もうありとあらゆることを聞かれてきた。我々のこの調査は、金銭に関しての交付は問うていないんですよ。しかも、公益性の高い団体に限ってお聞きをしているのです。しかも、現役出向も加えての調査をお願いしているわけでありまして、これはやはり、二月だったら二月と。もう一月末に出しているところは出していて、ふまじめな省庁はいまだに出してきていない。やはり、暴かれたくない。

 この点きちっと、いつまでに出すか、もう一回答弁してください。

枝野国務大臣 御要請をいただいている調査対象は、先ほども申しましたとおり、いずれも公益性の高いことはそのとおり、公益法人等でございますが、いわゆる一般の公益法人、公益社団・財団法人、特例民法法人及び一般社団・財団法人を含んでおりまして、これはそれぞれの官庁ごとに所掌しているところは膨大に上ります。その中には、いや、むしろその中心を占めているのは、国等との直接の関係がなくて、もちろん設立、監督については行っておりますが、純粋民間資金で純粋に民間の皆様だけで従来から運営されているところが大部分でございまして、そういったところに対しても、もし漏れがあってはいけませんので、しっかりとお問い合わせをしてお答えを確認していきませんと、国会から御要請いただいたものに対する回答でございますので、法人の数の多いところが若干手間取っているのかなというふうに思いますが、御指摘は、先ほど申しましたとおり、早く出すべきであるという御要請された側のお気持ちは十分わかりますし、私もそうすべきであると思っておりますので、各省庁最大限のスピードでお出しをするようにというふうにお答えさせていただきたいと思います。

 きょうのところでは、具体的にそれぞれの進行状況を個別に把握しておりませんので、無責任にいつまでにということを約束するのはかえって失礼かと思っております。

菅原委員 ここで予算審議をしていて、各省庁のその予備的調査をお願いして、去年からお願いしているわけですよ。出している役所が五つあって、出していないところのおしりをたたきなさいと。

 ですから、この予算審議、採決がいつになるかわからないけれども、その前にきちっと出してくださいよ。答弁してください。でなければ、これはもう審議できませんよ。

枝野国務大臣 各府省においても最大限の努力をしているものと思っておりますが、先ほど申しましたとおり、各府省ごとに所管をしている、特に一般の公益法人については数に相当な差があると認識しておりますし、その数は膨大に上っておりますので、これまでも当然、最大限の努力をしてきていると思いますが、今申しましたとおり、できるだけ早く出すべきであると私も思っておりますので、きょうの御指摘を踏まえて、さらに督促をして、できるだけ早く出すようにさせていただきたいと思っております。

菅原委員 アズ・スーン・アズ・ポシブルということは答弁になりませんから。予算審議の前提でありますよ。そのファクターであるわけでありますから、ここできちっと、でなければ採決できないでしょう、これでは。理事、どうですか。

 だから、ここできちっと答弁、いつまでに出すか。

中井委員長 それはどこの予備的調査ですか。各委員会に出されたものですか、予算委員会ですか。

菅原委員 調査室。各省に行っているから、それを……

中井委員長 それは自民党から。

菅原委員 いやいや、自民党から出して、調査の依頼をしているわけ。それについて、官房長官のリーダーシップをもって、各省庁の大臣なり、当該の役所にきちっと……(発言する者あり)

中井委員長 菅原君、その調査依頼について、ちょっときちっと説明してください。

菅原委員 自民党が去年の十二月三日に各省庁のこの問題に関して予備的調査を依頼して、二月二日に、一月三十一日までにまじめに回答したところの役所の答えは来ているわけ。ところが、十二省庁についてはいまだに答えが返ってきていない。これは、熟議の国会と言いながら、我々の調査権を阻害している行為ですよ。これでは、とてもじゃないけれども審議に応じられませんよ。

中井委員長 それでは、今の菅原君の御提言は、自民党から調査室を通じて、日にちを区切って出した調査票を、数省庁は期日を守って出してきた、ほかは出していない、これについての御指摘で、枝野さんは答えましたが、日にちが入っていないと。そういうことを、予算質疑をしているじゃないか、こういうこともあります。

 きょうの資料要求に入っていますか。(発言する者あり)それなら入れてよ。それも含めて理事会で、きょう、日にちも含めて御返事できるか、検討します。理事会で日にちをやります。それに基づいて質疑をやってください。

菅原委員 では、もう一度聞きますよ。

 いつまでに出しますか。

枝野国務大臣 まじめに出しているところが既にお出しをしたのではなくて、全省庁とも最善を尽くして努力をさせているところでございますが、それぞれの府省ごとに所掌している、特に一般の公益法人の数には膨大な違いがございますので、これまでも最大限努力をしてまいりましたが、しっかりと、できるだけ早くということを私から督促させていただきます。

菅原委員 委員長が先ほどおっしゃったように、きちっと、いつまでに出すか理事会で諮ってください。いいですね。その結論をまた持ってきてください。

中井委員長 きょうの昼、やります。

菅原委員 では、次に行きます。

 官房長官、言いますよ。

 事業仕分けの対象になった、財団法人印刷朝陽会というのがあるんですね。財務省の資料が手元にあるんですけれども、官房長官にお尋ねをします。

 平成十九年度、この財団法人印刷朝陽会は、独立行政法人国立印刷局の発注額が事業収入の六割を占めておったんですね。しかも、その特定資産、印刷製紙等技術調査研究基金、印刷事業普及宣伝基金、印刷製紙等学術図書出版頒布基金、合わせると四億七千七百四十万、この財団が持っているわけなんですね。

 平成十五年に、この財団が、今言った公益部門の財団法人印刷朝陽会と収益部門の株式会社朝陽会の二つに分かれて、この図に書いてあるように、収益部門の株式会社朝陽会と随意契約をずっとしてきたわけですよ。

 ところが、平成十九年に会計検査院が是正改善を求めて、その結果、その後、随意契約をやめたかどうかわかりませんが、この問題は、財団法人から株式会社としたところに随意契約で過剰な利益を出していることを指摘されて、本体の基金も随契の過剰利益の蓄積ではないかという指摘を会計検査院にされて、自民党時代も、当時の渡辺行革担当大臣初め自民党で取り組んで、この随契をやめさせた経緯があるんですよ。

 今なお現存しているということは、当然これは仕分けの対象になってしかるべきだなと思っていたところ、結果的に仕分けの対象になったんですよ。ところが、事業仕分けの第一弾、結論は何ですか。結論は、国の機関化するという、びっくりしました。

 官房長官、聞きますよ。

 あなたは、平成二十一年十一月二十七日、行政刷新会議ワーキングチーム、当時座長であったと思うんですが、事業仕分けの第一ワーキンググループで、その委員が十三名いて、民間が十人、あと三人いて、野田財務大臣は副大臣当時、このメンバー十三人のうちに入っているんですよ。あと二人議員がおられて、十三名のうち一名がこの財団は廃止にしろ、あとの十二名は見直ししろ、こう言ったにもかかわらず、取りまとめた当時の座長の枝野官房長官が、これは残すんじゃなくて、もとのもくあみ、本省に戻せという機関決定をしたんですよ。

 とんでもない話ですよ、これは。本来、廃止するか見直しをするかという仕分けでしょう。仕分けの根幹が崩れるわけじゃないですか。これは、何でこんなことをしたんですか。その理由を聞かせてください。何で国に戻す決定をしたのか。

枝野国務大臣 国に戻すなどという決定もしていないと思いますし、それから、そういう機関決定などもしておりません。

 ワーキンググループの評価結果は、独立行政法人国立印刷局についての事業仕分けでございます。「見直しを行う」「独法の在り方を含め抜本的な見直しを行う」となっておりまして、その中で、「今後の独立行政法人全体の見直しの中で、国への更なる財政貢献のあり方を検討」というような中身になっておりまして、国に戻すなどという決定は、議論の中でそういう御意見があったのは間違いございませんが、そういった結論は出しておりません。

菅原委員 大変失礼しました。もといで、国立印刷局の事業仕分けでありまして、そのもとに財団法人があるということは後で指摘をしたいと思います。

 したがって、この印刷局の国の機関化ということを、当時の座長であった現官房長官が機関決定をした、国の機関化することを最終的に取りまとめたというふうにこの議事録には書いていますよ。どうですか。

枝野国務大臣 議事録は公開資料だと思いますので、同じものをお持ちなんだというふうに思いますが、最終的な私の取りまとめコメントは、

 不要な保有資産売却の促進とか業務改善効率化ということに付けた方の具体的な改善点、勿論その他に付けた方の具体的な改善点を見ましても、現在の独立行政法人の在り方については、大変問題があるということは共通をいたしているということでコンセンサスとしてとりまとめることができると思っております。

  この独立行政法人のままでいいのかどうか、むしろ国が直接やって、その結果、逆にスリム化するということを考える。あるいは、印刷局と造幣局の合併もあり得る。そういったことまで含めて抜本的にこの独立行政法人の在り方を見直し、そのことの中で業務の効率化と不要な保有資産の売却を促進するというとりまとめにさせていただきたいと思います。

というふうに申し上げておりますので、そのような決定は全くいたしておりません。

菅原委員 今みずからがおっしゃった、むしろ、国が直接やって、その結果、逆にスリム化する、こんなロジックというのがありますか。

 だって、独立行政法人というのは、独立行政法人をつくったもともとの趣旨というのは、従来の霞が関の各省庁の事務事業を減量化する、スリム化する、そして高度化する、そのために独法、公益法人等をつくって、いわば外出しをしたわけですよ。これをまたもとに戻すということは、言ってみれば、印刷局の局長のポストが一個なくなったのを国に戻してまた印刷局長のポストを一つふやすようなものじゃないですか。これでいいんですか。

枝野国務大臣 当時のワーキンググループの座長としての知見を申し上げるので、筋からいえば、行政刷新大臣からお答えすることかもしれませんが……(発言する者あり)

中井委員長 お互いに質疑応答が聞こえる範囲でやじをやってください。

枝野国務大臣 私の知見の範囲内でございますので申し上げますが、そのときに議論になりましたのは、国の機関であった当時は、印刷局も造幣局もそれぞれ局長がお一人いて、その局長のもとで全体のマネジメントがなされていたものが、独立行政法人になった結果、局長級の天下りポストが幾つも、正確な数は今覚えておりませんが、幾つもでき上がって、そこに財務省等の局長のOBが天下っていて、そこに本省の局長の給料以上の給与が支払われているなどという実態も指摘をされまして、つまり、外に出したらスリムになるのか。それは、直接の国家公務員給与として支払う額はスリムになるかもしれませんが、その結果、独立行政法人で支払われる幹部の給与についてはむしろ大きくなっているのではないか、そういったいわゆる一種の、本来の趣旨と異なった結果になっている部分があるので、そういったことも考慮に入れて、この独立行政法人がどうあるべきかということを検討しよう、こういう議論であったというふうに記憶をいたしております。

菅原委員 その言質をいただきましたので、また次の議論をします。

 不要な資産、これは仕分けでもそういう方向性を示したと思うんですが、約一千億円、市ケ谷センター、大手町の敷地、虎の門工場、こういう資産の売却を自民党時代は進めてきたんですが、これも現物でいわば国に戻すという考え方、売却しない。これだけ税収が少ない中で、あるいは皆さん方が増税をお願いしようとするなら、まずは、国の資産を圧縮して、それを現金化して国庫に戻すのが当然でしょう。国民の感覚というのはそういうものでしょう。にもかかわらず、現物のまま抱きかかえているということは、結局は、民主党政権は、天下りについても何ら、逆に各省庁の手を助長している。あるいは、この問題等についても、全く売却しない、資産圧縮しない、こういう流れですよ。政権交代というのは、すべてこういうことなんでしょうね。

 あわせて、例えば不要資産を、言ってみれば、売却しない、そこに結局、建物が建って、管理会社ができて、そこに社長がまた天下る。こういう構図を民主党は温存させているとしか思えないんですよ。

 あと時間がないので、ちょっと最後の質問に入ります。

 官房長官、いいですか。官房長官、なぜそんなにこの国立印刷局に甘いのかなということなんですが、平成十九年度において、独立行政法人国立印刷局との一〇〇%の随意契約をしていた財団法人朝陽会、この理事である西坂信さん、評議員である浅野貴志さん、評議員である西坂章さん、この三人との官房長官の関係を教えてください。

枝野国務大臣 西坂信は、私の配偶者の父、義父でございます。西坂章は、妻はおじと呼んでおりますので、済みません、西坂信のことについては想定をしておりましたが、親族でございます。浅野貴志については、西坂信が所属をしております、私も弁護士登録上はどこかの事務所に登録をしなきゃなりませんので登録をしております事務所の弁護士と承知をしております。

菅原委員 官房長官、今言った三人の中で、あなたに個人献金をしている方はいますか。いたとすれば、過去十年でどれくらい受けていますか。教えてください。

枝野国務大臣 西坂信と西坂章については、政治献金をいただいているということを覚えております。浅野貴志弁護士については、事前の御通告がございませんでしたので、確認をしなければお答えのしようがございません。

 金額についても、これも事前の御通告がございませんでしたので、具体的な金額を正確にお答えすることはできませんが、西坂信は私の妻の父でございますし、西坂章も妻のおじでございますので、どうやら、義父は弁護士でございます、それから西坂章はたしか司法書士だったというふうに思いますが、一定の収入があるようでございますので、そうした中で、法で許されている限度に近い、あるいは限度の寄附をほぼ毎年いただいているように承知をいたしております。

菅原委員 これは、政治資金収支報告書を見ますと、この西坂家、政子さんというのは奥様なのかな、信さん、政子さん、章さん、個名を出して大変恐縮ですけれども、十年間で合わせて二千八百二十六万円、これだけ多額の献金を受けているんですね。

 これは合法的だから、それはそれでいいんでしょう。これがもし、鳩山さんじゃないけれども、贈与だったら、政治団体だから非課税、それはわかりますよ、ただ、これが贈与だったらば多分百七十万ぐらいかかってくるのかな。あるいは、これが例えば、前提として、これだけ贈与します、これを分割して払った、その場合には追随的に八百五十万ぐらいの贈与税がかかってくるんですよね。

 こういう中で、ちょっと確認したいんですが、この朝陽会、役員が十人。わずか十人の役員の中に、官房長官の岳父、親戚、そして仲間、三人がこの役員にいるわけですよ。まさに、財団法人印刷朝陽会というのは枝野ファミリー財団ですよ。しかも、この財団の理事長は元大蔵省の関税局長垣水孝一さんという方。まさに、こういう意味では、高級官僚の天下り財団と枝野ファミリー財団が一体となっている。これがまさに朝陽会というふうに私は認識しました。

 それで、ちょっと官房長官に確認します。

 この事業仕分けに関して、印刷局を廃止や見直しをしないで国の機関に戻すというもとのもくあみにして、そういう決定をしておいて、そこのもとで随意契約を今まで受けてきたこの財団法人に三人の親戚がいて、これは偶然といえども、この三人から、独立行政法人国立印刷局の、国の機関にするという、あるいは、いわゆる不要資産、これを売却しないで国に戻せとか、そういう働きかけはあったんですか、なかったんですか。

枝野国務大臣 まず、献金についてのお話でございますが、どなたから献金をいただいたとしても、それが一定額を超えれば、それが献金でなければ贈与税の対象になるというのは、どなたから受け取っている皆さんの御寄附も、それも一緒でございます。そして、私は、義父からいただいた政治献金も含めて、政治資金収支報告書で政治活動に法に基づいて使っていることをきちっと公開いたしておりまして、そこに全く一点の問題もないというふうに思っておりますし、そういった意味では、皆さんがそれぞれいただいている寄附も、その金額が大きい方については、当然、政治献金として使っていなければ贈与税に本来かかるものであるということは共通だというふうに思っております。

 繰り返しますが、すべてしっかりと政治活動に使わせていただいて、政治資金収支報告書にもしっかりと記載をさせていただいています。

 その上で、この財団法人についてでございますが、私の義父も弁護士でございますし、私も国会議員として守秘義務的なところにかかわる部分のところがございますので、お互いの仕事については、従来、家においても会話をしないようにしてきております。

 そうしたことでございますので、こうした財団との関係について一部報道機関から問い合わせがあるまで全く存じ上げませんでしたが、そうした問い合わせがありましたことから、昨年だったと思いますけれども、義父と確認をいたしましたところ、昭和五十年代に、たまたま義父の当時の事務所のそばにこの財団があったようでございまして、そうしたことから、いわゆる外部理事として依頼を受けて、平成十年、非常勤理事となって、きょうはこういうお問い合わせがあるというふうに通告がございませんでしたので、平成二十二年六月時点で、現在まで無償で非常勤理事、外部理事としての仕事にかかわっている、無償でかかわっているということでございますし、また、そのことについては、私はこの問い合わせ等があるまで全く関知しておりませんし、その後も、この財団で何をやっているか等については、広い意味で、近在の弁護士ということで、外部の非常勤理事として無償でお手伝いをしているということでございますので、その詳細について私が聞いたりとか、あるいは何か言われたりということは全くございません。

菅原委員 このポンチ絵にあるように、財務省から独法の国立印刷局に天下りをしている。そこからまた印刷朝陽会、これは随意契約が平成十九年まであった。そこの理事長が大蔵省の元局長である。理事に官房長官の岳父である方がおられ、評議員に御友人の弁護士さんがおられ、また親戚が評議員におられる。十人中三人いて、しかも、この国立印刷局については、野田副大臣も当時メンバーでおられた評価の、十三人中十三人、一人が廃止せよ、十二名が見直しせよといった評価を下しているにもかかわらず、時の座長であった官房長官が国の機関化だという決定をしたわけであります。どう考えたって、これはおかしい。(発言する者あり)いいです。最後にしますよ。

中井委員長 もう時間が来ていますから。

菅原委員 委員長、最後に、この三人が官房長官、当時の座長に対してそういう働きかけをしていないかどうか、これは確認が必要なので、参考人招致を求めます。

 あわせて、天下りと独法、そして公益法人の事業仕分けについての集中審議、これを求めます。

 委員長、答弁ください。

中井委員長 理事会で協議いたします。

 以上で菅原君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 時間をいただきましたので、きょうは何かと質問をさせていただきたいと思います。

 まず、昨年来、豪雪の被害等……(発言する者あり)ちょっと静かにしてくれませんか。

 豪雪の被害等、自然災害が起きております。豪雪でお亡くなりになった方もいらっしゃいます。また、被害に遭われた方もいらっしゃいます。そういう方々に心から御冥福をお祈りし、また、お見舞いを申し上げたいと思います。

 まず冒頭、豪雪被害についてお伺いをしたいのです。

 豪雪被害だけではありませんが、被災された方にお見舞金の制度、また弔慰金の制度があります。私が朝いただいた資料では、今回、豪雪被害で九十六人の方がお亡くなりになっている、こういうことでありますが、この災害弔慰金について現在どういう状況になっているか、今回の災害についてどういうことになっているか、まず冒頭、お聞きをしたいと思います。

細川国務大臣 災害弔慰金についてお尋ねがありましたので、お答えいたします。

 災害弔慰金は、自然災害により不幸にして亡くなられた方の遺族に対して弔意を示すために、市町村が支給をするものでございます。そして、支給の対象となる災害の範囲につきましては、自然災害でございまして、一つ、住居が五世帯以上滅失した災害、二つ目として、災害救助法が適用された災害ということになっております。

 今般の豪雪につきましては、災害救助法の適用が行われた県内において、同じ豪雪が原因で亡くなられたことが確認された方に対して災害弔慰金が支給をされるということでございます。

 今後とも、災害弔慰金の支給も含め、自然災害で被害を受けられた方に対しての適切な支援を行ってまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 大臣、それは災害弔慰金の中身の説明でありまして、それはよくわかっているんですが、今回の豪雪被害等、噴火では今亡くなった方は出ていないわけですけれども、豪雪では先ほど申し上げたように九十六名亡くなっている。こういう状況の中で、災害弔慰金の一般的な話じゃなくて、今回について今どうなっているか、こういうことをお聞きしております。お答えできる範囲でお願いします。

細川国務大臣 災害救助法が適用された当該の県では、同じような災害で亡くなられた場合には適用されます。その県内だけということになります。したがって、県外ということになれば、二つ以上の県で災害救助法が適用された場合に、そのときには全国的に同じような災害があれば適用される、こういうことになっておりますので、今、豪雪では一カ所、一県ではないかというふうに思っております。

石田(祝)委員 今大臣の御答弁のとおり、災害救助法が発動された当該の県、そしてこれが複数になれば、二つ以上になればそれが全国に及ぶ、こういうことでございますから、そこのところ、万遺漏ないようにお願いをいたしたいと思います。

 続きまして、今回の豪雪ではさまざまな要望が上がってきております。特に豪雪被害では、個人で建てられているパイプハウスというのですか、そういうものとか漁船ですね。今回驚くべきは、雪で漁船が転覆をして、四百七隻ですか、そういう被害も出ている。こういうことに対してぜひ応援をしてほしい、こういう要望が出てきております。

 これにつきまして、農業施設被害、被害漁船、この支援策についてお伺いをいたしたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生からの御指摘の大雪の被害でございますけれども、これに対しまして、まず被害状況をしっかりと把握する、このようなことに努めるとともに、迅速な損害評価というものの実施、そして保険金の早期支払いが円滑に行われるように農業共済団体等に対しまして要請もしてきたところでありまして、早いところは、一部でございますけれども、本日中に支払いがなされているというところもございます。

 また、被害に遭われたところの被災者の農林漁業者に対する農林漁業セーフティネット資金等の円滑な融通や既貸付金の償還猶予等について、日本政策金融公庫などの関係金融機関に依頼をいたしておるところでございます。

 とにかく、何としても、今後のことにつきましては、現地の意見をよく聞いて対処してまいりたいと思っております。

 それから、山陰地方におけるところの漁船の転覆、沈没の被害につきましては、二月二日の時点で、島根県におきましては百七十一隻、鳥取県におきましては百四十二隻、合わせて三百十三隻、金額にいたしますと約四億七千万円の被害が生じておるというふうな報告を受けております。

 これに対しまして、農林水産省といたしましては、まず保険金の早期支払い、こういうようなこと等々、また、被害に遭われた漁業者に対するところの資金の円滑な融通等などにつきまして、関係機関に対してこれも要請を行っているところでございます。

 故障した船外機の更新を行うということに対しましては、体質強化支援事業について、今までは五人以上というグループ要件があったわけでございますけれども、今回は、緊急にというようなことから、二人からでも活用できるように、このように弾力的に措置を講じておるところでございます。

石田(祝)委員 特に漁船の場合、今まで雪で転覆するということは私も寡聞にして聞いたことがないんですけれども、今回、山陰の方は、湿った雪ということで、積もって船体が傾き沈没した、こういうことでございます。これについては、今お話しのように、通常の五人以上組んでいただかなきゃだめなものを二人以上でもいい、こういうことでございます。

 また、船外機をつけている漁船がありますね。通常、ツーサイクルからフォーサイクルにかえなきゃいけないとか、何かそういう細かいこともあるようですが、これは燃費が向上するという観点で認める、こういうことでよろしいでしょうか。

鹿野国務大臣 今先生から御指摘の点につきましては、よく現地とも連絡をとりながら、どういう対処の仕方があるかということで検討してまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 続きまして、特に地方自治体はなかなか財政が厳しい、そういう中で、いろいろと声を聞くと、やはり特別交付税を増額して配付してもらいたいと。私は前倒しでどうかということを申し上げていたんですけれども、前倒しされても金額が同じだったら余り変わりない、増額でぜひやってくれ、こういう要望がございました。

 増額ということになると、この特交は全体の交付税の六%ということが決まっているわけですから、これは他の地域に御迷惑、影響も出てくる話でありますが、これは災害ということでぜひ御理解をいただいて、増額の交付税と。これは総務大臣から御答弁をいただけるでしょうか。

片山国務大臣 自治体の除雪、排雪経費につきましては、基本的には普通交付税で、標準的といいますか、一般的にこれぐらいそれぞれの自治体に費用がかかるだろうということで既に算入をしております。その上で、具体の自治体がその普通交付税の算入額を上回って経費を支出した場合には、特別交付税でそれを措置するというルールになっております。

 現在、三月交付に向けて、これは三月十五日に交付をいたしますけれども、それに向けて、最新の資料、データをとりまして、その必要額について特別交付税で措置をしたいと考えているところであります。

石田(祝)委員 これはぜひお願いしたいと思います。普通交付税の方はもう交付が終わっておりますから、特交でやるしかない。そういう中で、限られた予算でありますが、ぜひ全国の御理解をいただいて、そういう被災地域には特段の配慮を私はすべきだ、このように思います。

 引き続きまして、噴火につきましてお伺いいたしたいと思います。

 本日の関係閣僚会議でいろいろと意見交換もなされたようでありますけれども、松本大臣が現地にも行かれている、そういうことも踏まえて、また防災担当大臣ということでお伺いをいたしたいんですが、きょうの関係閣僚会議で何点か確認をされておりますが、その中で私、二つお伺いをしたいんです。

 一つは、この噴火について、いろいろな事態に対し対策を進める、こういうことが申し合わせになっております。そして、あとは降灰防除地域の指定、これなんかも早急にやってくれ、やろう、こういう対応を図る、こういうことが言われておりますが、この点につきまして松本大臣から御答弁をお願いします。

松本国務大臣 石田委員にお答えいたします。

 一月の二十六日に大きな噴火がありまして、二十九日に現地に行ってまいりました。都城の夏尾地区に行きましたら、もう灰が五センチ、十センチ積もっておりまして、まさに、さっき言われました降灰防除地域の指定は、私はこれはできるというふうに思っておりますし、高原町、今避難をされている五百十三世帯がありますし、また、霧島・牧園町でもガラスの被害あるいは被災された方もおられます。

 そういう意味では、お見舞いを申し上げますとともに、今おっしゃられた降灰防除地域の指定につきましては、早急に地元の公共団体の要望を踏まえて取り組んでまいりたいというふうに思っております。現在、桜島と阿蘇山と雲仙岳ということになっておりますので、これは、私はもう一目瞭然だと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 松本大臣、もう一点お聞きしたいんですけれども、きょう、先ほど私お話ししたように、これらの対策を進めるということで、私は、ぜひ現地に応援チームを送るべきであるし、また、できれば現地の対策本部ということもこれは考えてもいいんではないのか、こう思っておりますが、具体的な動きをちょっと教えてください。

松本国務大臣 支援チームにつきましては、避難計画等の作成に当たったり、あるいは地方公共団体をサポートするため、内閣府防災担当職員を初めとして関係府省庁の職員で構成をし、数名程度派遣したいと思っております。来週早々、派遣をしたいというふうに思っております。

 中身につきましては、噴火活動が活発化した場合の避難計画の策定とか、あるいは降灰による土石流を想定した避難計画、あるいは、今おっしゃいました、降灰対策事業の効果的な計画の策定、それぞれを支援してまいるために、今、支援チームを派遣する旨を通達しているところであります。

石田(祝)委員 続いて、もう一点お伺いしたいんですが、これは総務省になると思いますが、災害復旧の特別交付税、これについては、補助事業は八割、しかし単独事業については五割というふうに決められている、こういうことでありますが、これは、補助事業の採択に時間がかかる、そういう場合にはぜひ市が応急対応で単独でやる場合もあります。

 これについて、市の単独は五割だ、こういうしゃくし定規ではなくて、緊急な場合にはやはりそれは認めて、八割ということは私は大事な観点ではないかと思いますが、これについてはどうでしょうか。

片山国務大臣 今議員がおっしゃいましたように、この種の事業、災害復旧で、例えば今回の降灰除去もそうでありますし、それから口蹄疫とか鳥インフルエンザ対策などもそうなんですけれども、国庫補助がついた事業についてはその残りの地元負担の八割、それから国庫補助のつかない単独事業についてはその五割を特別交付税でそれぞれ措置をする、これが基本的なルールであります。

 したがって、今後、補助事業などについての拡充などがあるかもしれませんけれども、それはそれとして、このルールを踏襲しながらやっていきたいと思っております。ただ、今後の降灰の状況とか、自治体の財政にどれほど影響を与えるのかというのは、これはよく注視する必要があると思いますので、それを見ながら、必要がありましたら、その基本的なルールはちょっと変えるわけにいかないんですけれども、その自治体の財政運営に支障がないような措置を適切に講じたいと思っております。

石田(祝)委員 これは、ルールは当然それぞれの自治体もわかっているわけですね。わかっているわけですけれども、こういう場合は、お金が五割しか来ないからちょっと待ってよとか、そういうわけにいかないわけですね。ですから、ここのところは、災害ということにかんがみて弾力的な運用を私はすべきだ、このことだけを申し上げておきたいと思います。

 そしてもう一点、鳥インフルエンザにつきましてお話を申し上げたいんですが、いろいろと御要望が現地からも来ておりまして、大きく分けて、いろいろありますけれども、一つは財政支援、もう一つは風評被害防止、この二つに大ぐくりすればできるのではないか。もっとあるという、当然感染経路だとか防除体制だとかありますけれども、現時点も発生している、そういう中でのお声として、私は、とにかく財政支援をしてほしい、もう一つは風評被害を防いでほしい、こういうことではないかと思いますが、この点につきましてこれからどうなさるのか、お伺いをいたします。

鹿野国務大臣 鳥インフルエンザの対策につきましては、まず、家畜伝染病予防法に基づきまして殺処分された疑似患畜については、手当金五分の四を交付する、こういうふうなことでございます。また、農家が新しく鶏を導入して経営を再建する場合には、国と生産者が積立基金から経営支援互助金というものを交付する、こういうふうな考え方に立っております。

 また、移動制限区域内の周辺農場に対しましては、これも家畜伝染病予防法に基づきまして、卵、肉の売上減少額に対しましての助成が行われる。これも、県が助成する場合はその二分の一を国が負担する、こういうことでございます。

 また、このことにつきまして、家畜伝染病予防法の規定に基づく手当金等については、できるだけ早く支払いができるように検討、調整をいたしているところでございます。

 また、今先生御指摘の風評被害の防止ということでございますけれども、これは農林水産省におきまして、プレスリリース、ホームページなどを通じまして、鶏肉や鶏卵を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも通告されていないということを丁寧に説明いたしまして、消費者が不安を招かないよう努めているところでございます。

 また、食品産業事業者や流通業者に対しましても、鶏肉や鶏卵の安全性に問題があるかのような不適切な告知や、あるいは発生県産であることのみを理由とした取引拒否などが行われることがないように、関係団体へ文書を出したり説明会を実施いたしまして対応しているところでございます。

 さらに、鳥インフルエンザの発生以来、農政局の方から監視担当職員というものを小売店に派遣いたしまして、巡回をしながら、不適切な表示が確認された場合には是正をしてもらうよう、いろいろなところにおきまして措置を講じておるところでございます。

 これからも、消費者や流通業者等に対しまして正確な情報が提供されていくように努めてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 それでは、どうぞ遺漏ない体制でよろしくお願いしたいと思います。

 松本大臣は、もうこれで結構でございます。

 続きまして、TPPについてお伺いをいたしたいと思います。

 これは玄葉大臣が担当ということをお伺いいたしておりますので、まずお聞きをしたいと思いますが、このTPPについては現在のところ結論は出ていない、こういうことでよろしいんでしょうか。確認をさせてください。

玄葉国務大臣 石田先生がおっしゃるとおり、結論を申し上げれば、まだ結論を出しておりません。

 結論というのは、参加するかどうか、つまり交渉に参加するかどうかの結論を出していないということでありまして、現在、情報収集そして協議をしております。その情報を多角的に分析、検討している段階で、国民の皆様の理解の深まりぐあいとかそういったことも総合的に勘案しながら、交渉に参加するかどうかを判断する、こういう状況でございます。

石田(祝)委員 結論が出ていない、こういうことであります。

 それでは、この情報収集及び検討の状況について、これは外務大臣ですか。(前原国務大臣「はい」と呼ぶ)外務大臣が情報を収集なさっていると思いますので、現状をちょっと教えてください。

前原国務大臣 お答えをいたします。

 TPPに参加を表明している国は九カ国ございまして、日本が協議、情報収集をしている国はベトナムを除く八カ国でございます。まだベトナムとはその協議、情報交換ができておりません。

 それで、昨年の十二月にニュージーランドにおきまして第四回交渉会合が行われまして、二十四の作業部会において着実な進展が見られたということでございます。二月には、今度はチリにおいて第五回の交渉会合が行われるということであります。

 FTAの基本的な構成要素は物品・サービスの市場アクセスでありますけれども、それだけではなくて、非関税分野、投資、競争、労働、知財、政府調達等のルールづくりのほかに、新しい分野、環境や労働等を含む包括的協定の作成を目指し交渉を行っていると承知をしております。

 先月、物品貿易の自由化に関するオファーの交換が行われた模様でございます。今後は、大半の作業部会で条文ベースの交渉が行われることが予想されております。条文案の基礎となりますのは、二〇〇六年にシンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、いわゆるP4の間で締結をされた協定及び既存の二国間FTAとなる可能性がございますけれども、アジア太平洋地域における高い水準の自由化を目標としておりまして、これら既存FTAより高い水準の自由化を目指すという情報を得ております。

 物品の市場アクセスに関しましては、センシティブ品目について、原則として除外や再協議を認めず、長期の段階的関税撤廃といったアプローチによるべきだという考え方が基本になっております。ただ、各国の状況によっては個別の対応を考える必要性を認めるとの考えを示す国もあると承知をしております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 今状況をお話しいただきましたけれども、先日もオーストラリアのラッド外相がダボスで記者会見ですか、これで、関税については例外を認めない、こういうこともおっしゃっているようでございます。

 ここでちょっと確認をいたしたいんですが、いろいろな数字が政府の中であると思います。私は農林水産の立場でちょっと確認をさせてもらいたいんですが、国境措置撤廃による農林水産物生産等への影響試算、こういうものを発表されておりますが、これはちょっと時間の関係で申し上げますので、御確認をいただきたいと思います。

 生産減少額四兆五千億円程度。食料自給率が現在の四〇%から一三%程度になる、これは熱量ベースですね、カロリーベース。多面的機能の喪失額三兆七千億円程度。国内総生産、GDP減少額八兆四千億円程度。就業機会の減少数三百五十万人程度。こういうことが農林水産省で発表されておりますけれども、この数字について、農林水産大臣、また玄葉大臣、そして前原大臣、これは政府の中で共有されている認識だと思いますので、それぞれ御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今先生から説明されたこの試算は、農林水産省といたしまして昨年の十一月に出した試算でございまして、この試算は、すべての国に対する国境措置を撤廃して何らの対策も講じないというふうなことを前提とした試算でございます。

前原国務大臣 今、鹿野農林大臣がお答えされたとおりでございます。

玄葉国務大臣 補足をさせていただきますけれども、まさに農林水産省試算は農林水産省独自に行った試算である。一方、GTAPモデルを使って、例えば内閣府なども試算をしている。したがって、政府として統一した試算、見解というのが実はあるわけではありません。しかし、それぞれが出しているということは、基本的に、国民の皆さんに一つの議論の材料を与えるという意味でそうさせていただいているということでございます。

 しかも、農林水産省の試算につきましては、もう石田先生がおっしゃったとおり、関税措置もすぐ撤廃をし、何の対策も講じないという前提でございます。現実にはそういったことは、一般論で申し上げればあり得ないかなというふうに考えているところでございます。

石田(祝)委員 これは、今後いろいろと対策を講じるのは当然だろうと思います。しかし、現状はそういうものをとられていないわけですから、現在の状態は、ではどうですかと。一種のステータスクオというんですか、現状はこうだということの認識はやはり当然必要だと思うんですね。そうしないと、いつもこれは動態的に動いているものだから、常にわかりません、こういうことでは議論ができないわけですね。

 ですから、現在のカロリーベースの四〇%から一三%にこのままいったらなるよ、何もしなければと。それは、それを踏まえて当然何かをするということは次の話でありますけれども、そのことは、農林水産省が出している数字、これは内閣府で説明いただいてもこの数字を持ってきますから、そのかわり農林水産省と書いてありますけれども、この点だけは確認をさせていただきました。

 それで、これはちょっと通告をしておりませんでしたが、去年の三月の段階で大臣をなさっておったのは前原大臣だけですね。去年の三月の段階で、食料・農業・農村基本計画、これが閣議決定をされております。このときには、十年後に食料自給率を五〇%にする、こういうことで閣議で決定された。鹿野大臣もそうでありますけれども、前原大臣以外の方はそのときは閣議に参加しておらない。

 ですから、前原大臣、三月に御自身が閣僚として閣議決定の場にいらっしゃって、食料の自給率をこういうふうにしていこう、こういうことと今回の農林水産省から出た数字、またこれからいろいろと対策を講じるでしょうけれども、これは両立するというふうにお考えでしょうか。

前原国務大臣 今世界の人口が約七十億人、そして二〇五〇年の推計人口は九十億人ということを考えた場合、恐らく、食料増産の可能性を含めますと、これは先生の方がよほど御専門でいらっしゃいますけれども、食料需給は相当逼迫をしてくるだろう。そうなると、みずからの自給率を高めて食料安保ということをしっかりやっていかなくてはいけないという認識を私は強く持っております。

 したがって、この五〇%をまずは目指すということと、そして、農業の体質改善の中でさまざまな施策をとる中で、自由化もあわせて目指していくという両立を図っていかなくてはいけないという認識を強く持っております。

石田(祝)委員 これは我々も、やらなきゃいけないということは、当然そう思っておりますけれども、では、現実の政策手段として、例えば土地利用型農業、これはアメリカが日本の平均で大体百倍とか何百倍、オーストラリアは数千倍という耕地面積を持っている。そういう土地利用型のところ、そういう極端な、二けたも三けたも違うようなところもあるわけですね。そういうところを考えた場合、なかなかこれは言うはやすく行うはかたしじゃないか。もっともっとこれはしっかり考えていかないと、現実には、やりたいということと、現実にできるか、これは大きな乖離が生ずるのではないのか、こういうふうに私は思います。

 それで、このTPPで、日本もバイでチリとかベトナムとかやっておりますよね。もう既にこのTPPの九カ国、参加予定のところも含めて九カ国と、アメリカ、豪州、ニュージーランドとはやっておりませんが、ほかのところとはFTA、EPAをもう結んでいるんじゃないでしょうか。その自由化率は、当然、八〇%台で、九〇%いっていないという自由化率であります。これはタリフラインの数でやっておりますから、貿易の額となるともうちょっと違うかもしれませんが。

 それで、私、たくさんありますから、チリとベトナムとで自由化率が大体八六・五%ぐらいだと思いますが、これがTPPに入ったら日本にとってどういうプラスがあるのか。現実にもうやっているわけですね、EPAでね。それで、センシティブなところを残して結んでいるわけですから、これを、TPPに参加、入って我が国のメリットというのは、例えばこの二つの国を例にとったらどういうところがありますか。

玄葉国務大臣 もう石田先生重々御承知だと思います、今質問をお聞きしていて。

 チリの方はちょっと手元にないんですけれども、例えばベトナムは、おっしゃるとおり締結をしています。八〇%台のタリフラインでの自由化率だということですよね。仮定の話でありますが、TPP参加はまだこれから判断するということでありますけれども、仮にそれで自由化率を高めるということになる可能性はあると思うんです。

 現在、わかりやすい数字があるので申し上げますけれども、例えばベトナムと結んでいるといっても、バイク、二輪車、これは実は九〇%の関税がかかっています。タリフラインが八〇%台なものですから。あるいはトラック、これは八〇%かかっています。バス六〇%、乗用車六〇%ということで、締結はしているんですけれども、残念ながら今までハイレベルEPAとは言えなかったものですから、そのくらいの税率がかかってしまっていると。

 仮定の話で、TPPが高いレベルで包括的に行われる、それに仮に参加をするということになれば、そういった関税も下がっていく可能性があるのと、もう一つ大きいのは、やはり非関税分野ではないかというふうに思います。

 ほかの国々、例えば知的財産でいえば、模倣品とか海賊版とかそういった問題もありますし、ある国に行けば、部品は自国のものじゃないとだめだとか、さまざまな非関税障壁がありますので、そういった取引のベースをそろえる、ルールをそろえるということでのメリットも、もちろんデメリットも一部あると思いますけれども、そういったことも十二分に考えられるのではないかというふうに思います。

石田(祝)委員 それで、続いてお聞きしますが、これは前原大臣にお伺いしたいと思うんですが、前原大臣はこういうことをおっしゃいましたね。いわゆる一次産業はGDPの一・五%だ、その一・五%で残りの九八・五%を犠牲にしていいのかと。これは必ずしも全く正確な、大臣がおっしゃったこととは違うかもしれませんが、これは大臣はどういう趣旨でおっしゃったんでしょうか。これはよくわからないんですね。ちょっとその趣旨を教えてください。

前原国務大臣 事実関係として、第一次産業のGDPに占める割合は一・五%だということを申し上げております。そして、他の産業分野においては、先ほど玄葉国家戦略担当大臣からも話がありましたように、規制緩和とか、あるいは非関税障壁がなくなったりとか、あるいは高関税がゼロになった場合においては、伸び得る素地がかなりある分野ではないかということを私は申し上げたところでございます。

石田(祝)委員 これはGDPの国民経済調査ですか、それには確かに一・五と載っております。しかし、これは大臣がおっしゃるということでまた別の意味合いが持たされたわけですね。ということは、それは一・五ということは見ればだれでもわかるので、しかし、そこで一・五のために九八・五が犠牲になっていいのか、こういう文脈でとらえられているんですね。ですから、そこは農業対他の産業の自由化とのいわゆる二律背反の中での闘いだ、こういうことでとらえられている節がある。節があったでは言い方はおかしいですけれども。ですから、それは大臣は当然そこまで何かお考えがあっておっしゃったんではないのか。ただ一・五ですよなんということは、それは見ればわかることなので、改めて言う話ではないと私は思います。

 そしてもう一つは、関連産業については全然触れられていない。そしてまた、一・五が世界的に大変低いという印象を与えてしまいましたが、では現実に、他の先進国でそれ以上のところというのはたくさんありますでしょうか。私の知っているところでは、さらに少ないところもあると思います。

 ですから、大臣の投げた石が、要するに自由化対農業、農業を守るためにほかのものが犠牲になるのか、こういう文脈に残念ながら落とし込まれております。ですから、それはそういう意味ではないということでしょうけれども、政治家として、また、今アメリカへ行ったら、何か次に偉くなるかもしれないからと非常に大事にされているそうじゃないですか。ですから、これはやはりもうちょっと気をつけていただかないと、思わぬところに波紋を投げかけて、不幸な話になってきているんですよ。

 ですから、それ以上のことでおっしゃりたいことがあったらおっしゃっていただきたいと思いますが、それ以上はないということであれば結構でありますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 まず、私はずっとこの予算委員会のやりとりを聞いていて、アメリカ脅威論みたいなものが非常に強い、あるいは、アメリカから言われてTPPを日本はやらざるを得ないんだ、しかも、ある議員なんかは、普天間の問題の要はしりぬぐいでTPPをやらされるんだ、こういう議論をする人がいる。アメリカは、TPPを結ぶことを、私が知っている限り、今は外務大臣を拝命しているわけですけれども、向こうから言ってきたことは一回もありませんよ。それどころか、日本はいろいろな条件をつけて入ってくるんだったら、逆にそういう条件で入ってくるんだったら勘弁してくれというような慎重論の方がむしろアメリカでは多いということは、事実として申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で二つ申し上げたいのは、一つは、二、三回前の総選挙のときに、私、出陣式で同じような話をしたんです。そのときに、実は第一次産業のGDPに占める割合が三%だったんです。この数年間で一・五%になっているということに非常に私は驚いているわけです。

 つまりは、平成の開国ということを菅さんはおっしゃっておりますね。私は、まだまだ開国が足りないと思っています。なぜかというと、日本の貿易量に占めるFTA、EPAのカバー率というのは一六・五%なんですね。他の国はもっと高い。韓国は三六%、中国でも二二%ということで、非常にそういう意味ではカバー率が低いし、しかも、日本のFTA、EPAというのは、先ほど玄葉大臣もベトナムやチリの例をおっしゃいましたけれども、普通の国のFTA、EPAというのは大体九五%以上なんですよ。だけれども、日本の場合は八〇から九〇とか、非常に低い。そういう意味では、まだまだ開く余地がある。

 守っているのに三から一・五に減っているということでいえば、先ほど委員の御質問にお答えをしたように、私は、食料自給率を上げるべきだと思っていますし、今後は食料需給は逼迫してくるので、その点については力を入れていかなきゃいけないけれども、しかし、実際はそうなっていますねということを申し上げた。

 もう一つ、関連産業の話をされました。これは、例えば、では食料加工はどうなのかとか、あるいは輸送はどうなのかというような議論をされる方がおられます。私はこれを望んでいるわけじゃありませんが、議論のために申し上げると、輸入をしてきたって国内で食料加工はできるわけですね。あるいは、輸入してきたら、その分また輸入をしたものの輸送というものは出てくるわけで、関連産業まで入れて相当な影響があるんだというのは、私は、これは過大な見積もりになってしまうということを申し上げているわけであります。

石田(祝)委員 よくわかりました。

 それで、ちょっと続いてお聞きしたいんですけれども、けさの新聞で、TPPの説明会を二十六日から開く、こういうことがきのう決まったという報道がありました。それで、玄葉大臣、これに行かれるようでありますが、何も決まっていない段階で、これはどうなんですか、何を地方説明に行ってなさるおつもりですか。

玄葉国務大臣 済みません、今手元に資料がありませんけれども、一言で申し上げると、昨年十一月に包括的経済連携の基本方針というのを定めました。そのときに、先ほどまさに先生から御指摘のあったような、二国間のEPA、これをハイレベルにしていくんだと。つまりは、ハイレベルのEPAを結ぶという開国はもう決めたんですね。TPPは決めていません。だけれども、ハイレベルのEPAはもう決めたものですから、その決めた、国を開く基本方針を地方の説明会で説明をさせていただいて、その結果、どういうメリットとデメリットがあって、あるいは、例えば農業関係者の皆さんにもおいでをいただいて、さまざまな懸念も我々は吸収しながら、どういう対策を講じていけばいいのかということを考える、そういう機会にしたい、そういうことでございます。

石田(祝)委員 これは、まだ何も決まらずに行かれるわけですから、ぜひ意見を聞くという形の会に私はしてほしいな、せっかくやるんですから、現場の生のお声をぜひ聞いていただきたいな、このように思います。

 それでは、続きまして、別の議題に移りますが、外務大臣は結構でございます。

 戸別所得補償について少々お伺いをしたいんですが、これはまた、農林水産大臣に関するところはちょっと時間の都合で若干はしょるかもしれませんが、財務大臣には、せっかくですから、いろいろとお聞きをいたしたいというふうに思っております。

 一つは、戸別所得補償の本格実施、こういうことで、二十三年度の事業計画として約八千億、こういうものが決められました。そのうちの千三百九十一億については二十四年度にこれは計上する、こういう形になっております。

 なかなか不思議なやり方をするわけですが、これについて、財務大臣、これは二十四年度に千三百九十一億をつけるというふうに約束できるんですか。

野田国務大臣 石田委員の御指摘は、これは、二十三年産米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合にその差額を給付することとしていることについてのお尋ねだと思いますけれども、この差額部分は、二十三年の九月から二十四年三月までの取引価格に基づき算定し、二十四年度に給付することとしていることでございまして、だから二十三年度予算に計上していないということなんですが、この差額部分については、二十四年度の予算編成の際に、農林水産省の要求を踏まえて所要額を検討していきたいというふうに考えています。

石田(祝)委員 これは、大臣、戸別所得補償の変動部分というのは、いわゆる二十三年度にやる事業と一体なんですよね。ただ、執行時期を、要するに、相対取引の価格を三月までとるから、その年度ではできないので翌年度にやっている。もう一つは、予算の額を膨らませたくない、こういうお考えもあったでしょう。ですから、これは一体としてやるものですから、そのときの予算の状況でという話じゃないんですね。特に、変動部分というのは、さっき申し上げたように、実際のお米の値段と取引されている値段の差を出すわけですから。

 これは実は、二十四年の概算要求を八月にやるわけでしょう、二十三年の八月段階で。そのときにはまだ一切出ていないんですよ。今大臣が答弁したように、二十三年の九月から二十四年の三月までの価格で決まるわけですから、これは当然概算要求の段階、八月末に出ているはずがありません。

 ですから、そういうことをも踏まえて、要するに、二十三年のものと一体として八千億円の事業になっているんですよ。そして、それは農家の方々は、当然、それについては千三百九十一億という予定で変動部分が確保される、こういう前提で、これからまた戸別所得補償に参加をする、しない、こういうことを決めるわけですね。

 ですから、これは農林水産省の予算にも出ている話ですから、それをこれから、要するに予算編成の段階でどうだこうだ言われたら、私は、これは農家の方に対する大いなる背信行為になるんじゃないのかと。ですから、ここは確保するということをおっしゃっていただかないと、戸別所得補償というものの議論は大変おかしなものになる。野田大臣は、そこまでおれはやっていないよということかもしれませんけれども、これはそういうことを認めて戸別所得補償の体系を組んでいるわけですから、ここはしかと御答弁いただかなきゃいけません。

鹿野国務大臣 戸別所得補償制度というものをこれからも継続していくということが農業者の所得安定にもつながるわけでありますから、二十四年度の予算ということを考えたときに、二十四年の概算要求におきまして、私ども要求をしてまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 大臣、それはちょっと違うんじゃないですか。要するに、岩盤のところと変動と一体でしょう。いわゆる二十三年産米なんだけれども、三月まで相対取引でお金をやるから、二十三年度の予算にのせていない。しかし、もう既にこの農林水産省予算の概要には載っているじゃないですか、二十四年度に千三百九十一億やりますと。

 ここのところは、だから、少なくても、私が申し上げたように、二十四年度予算だとしても、二十三年の、ことしの八月の通常の概算要求の最後のところまでには当然間に合わないわけですから、それ以降のお金で計算するわけでしょう。だから、これは少なくても、この言われている金額は財務大臣も責任を持って確保すると言っていただかないと、二十三年産米の戸別所得補償は成り立ちませんよ。

 玄葉大臣は、済みません、もう結構ですから。

鹿野国務大臣 当然のことながら、先生今御指摘のとおりに、定額部分と変動部分はセットでこれから所得補償制度というものを継続していくという考えでありますので、前年の数字というものを参考にしながら概算要求をきちっとやって、そして本予算におきましてもそれがきちっと位置づけされるように、これから財務省、財務大臣とも、その時点におきまして十分理解されるべく、私どもは話し合っていきたいと思っております。

石田(祝)委員 時間もありませんので、甚だ不本意な答弁であります。

 これは戸別所得補償という、岩盤と変動という一体のものをどういうふうに位置づけて、そして農家の方々に戸別所得補償への加入をお願いするときには、これは一体のものである、そういういわゆる保証というんですか、やりますよというところが明確にならないと、変動部分はいつかなくなっちゃうんじゃないか、こういう危惧を持たれたスタートに、スタートというか二年目になるのではないか、こういうことを申し上げたいと思います。これはまた農林水産委員会でしっかりやらせていただきたいんです。

 続いて野田大臣にお伺いいたしますが、今回、これは鹿野大臣にもお聞きしますけれども、戸別所得補償の本格実施で法律を出すということを再三、農林水産大臣、政権交代後もう三人目になるわけですけれども、国会で御答弁がありました。私も何度も確認した。しかし、確認したのは、これだけ国民の血税を数千億円使う事業をただの予算措置でいいのかと。

 ですから、平成二十二年はこれはモデル事業と百歩譲って認めても、二十三年は本格実施だ、こういうことをおっしゃっているわけですから。今申し上げたように八千億かかるわけですね、二十三年産米について、予算で。それを、法律を出すと言っておきながら出さずに、予算措置でございます、予算が通ればできるんですと。これはそんなことを言ったら、法律、予算関連法は要らないんじゃないんですか。

 ですから、そこのところ、国会答弁の整合性と、これは野田大臣にお伺いをしたいんですけれども、それだけの金額のお金、いや、予算措置だからいいんだ、農林水産省の範囲の中で自由にやってくれ、こういうことでいいのか。この二つ、順次お答えください。

鹿野国務大臣 先生が御指摘の点、二十三年度の予算につきましてはきちっと法案を出して、こういうようなことにつきまして、赤松大臣も、そしてまた前の山田大臣も、私も明確に申し上げてまいりました。ゆえに、先生からの御指摘のとおり、なぜ変わったのかということについては、言ってきたことと違うということに対しまして、まことに申しわけないという気持ちであります。

 そこで、決して弁明、弁解ということではございませんけれども、一つは、この戸別所得補償制度というふうなものが着実にきちっと実施される、こういうふうなことが前提になりますので、そのためには、いろいろな国会の状況というものも踏まえて、予算措置が講ぜられることを最優先に考えて、今回は法案を出さないで予算措置でやるというふうな判断に立ったということでございます。

 もう一点は、先生からも、また他党の議員の皆様方からも、この制度についての検証が必要ではないか、こう言われてまいりました。ゆえに、初年度はモデル事業でありまして、そして来年度からは畑作物に拡大をするということでございますので、この二年間、やはりきちっと検証して、そして、そういうものの中で二十四年度におきまして法案も提出させていただきたい、こんな気持ちも持っておりますということを申させていただきたいと思います。

野田国務大臣 法案を出すと言いながら出さなかった経緯については、今の農水大臣のまさに御説明だと思いますが、だから予算補助だけだと問題かというと、予算補助も国会の議決を経て補助を行っているということでございますので、法律があわせて措置されていないからといって直ちに問題が生じるということではないと思います。

 ちなみに、法律に基づかない補助金というのはほかにも幾つかございます。社会資本整備交付金、地域自主戦略交付金、あるいは科学研究費補助金等々ございますので、このことだけが特別ということではないというふうに御理解いただきたいと思います。

石田(祝)委員 野田大臣、国の財政を預かっている方の発言とも思えませんね。ほかのところにあるからいいじゃないかと。だって、これは目玉政策でしょう、民主党の。目玉政策で、政権交代してもう一年半近くになりますよ。そして、モデル対策では、私はそれはそれでやむを得ずと百歩譲って認めても、本格実施のときに法律を出すと言って出さないのもおかしいし、やはり、それで予算措置でも別に問題ないんじゃないかとおっしゃる財務大臣も私はどうかと思いますよ。何千億もお金を使うのに、やはりこれは私は不適当ではないのかと。ですから、今回これで押し通されたら、もう戸別所得補償には法律は要らない、こういうことになるわけですね、当然。

 それともう一点は、もともと、モデル事業でやったら一息入れて、検証をして次の年に進むべきではないのか、こういうことも私たちは委員会で申し上げてきたんですが、そのまま、検証もせずに、五千六百十八億から今度は八千億だ、こういうふうに広げているわけですから、これは私は、ちょっと問題があるのではないのか、こういうふうに言わざるを得ません。

 ですから、この戸別所得補償につきましては、特にお米、そして二十三年度は畑作まで広げる、こういうことを約束した法律も出さずにやられるということは、私は甚だこれは国会軽視だと。国会で答弁していますから、三回、前大臣が。出すと言っております。

 私がさらに重大だと思うことは、そういう、国会で三大臣が出しますと言って、委員会で話をしたことを、副大臣が記者会見でやらないなんということを発表しているんですよ。これはおかしいでしょう。国会軽視でもあるし、大臣が国会で話したことを、副大臣が記者会見か何かでこれはもうできないんだと。そういうことは、これは省内のガバナンスとしてもいかがなものか、こういうことも私は指摘をしておきたいと思います。

 これは、やり出したら時間がもう最後まで行ってしまいますから、あとは農林水産委員会でしっかりとやらせていただきたいと思っております。

 それで、最後にちょっと、この戸別所得補償、お米ではなくて野菜と果樹。

 これは、一昨年の総選挙のときは戸別所得補償、その前の参議院も戸別所得補償とおっしゃっていましたね。当然、農家の方からしたら、野菜も果樹も戸別所得補償だ、こう思われていたら、突然、野菜や果樹はもうやらないんだ、こういうことを閣議で決めたわけですね、食料・農業・農村基本計画で。ですから、これは甚だ、果樹農家、野菜農家の方に対しては、大変な、ある意味でいえば期待を裏切ったことになるんじゃないか、このように私は思います。

 それで、これは提案も含めてですが、特に野菜については、今、指定野菜、特定野菜制度というものがあって、野菜の価格安定制度があります。しかし、この特定野菜、指定野菜に入らないとその恩恵はない。これに入れない野菜はたくさんあるんですよ。

 例えば、私の高知県のことで恐縮ですけれども、ミョウガというのがあるんですね。ミョウガが、あんな小さくて軽いものを、指定か特定に入るためには一万トン要るというんですね。一万トンもなかなか食べませんよ。民主党の皆さんが責任を持って食べてくれれば、すぐ入るんですけれども。ですから、そういうところが安定制度から抜けているんですね。これは何とかしなきゃいけない。

 だから、準指定だとか準特定だとかいうことも考えて、だって、野菜農家はほとんど専業ですよ。お米の場合は、お米の方をどうこう言うわけではありませんが、いわゆる二種兼業農家、主業農家じゃない方も多い。これは大事じゃないとは申し上げませんけれども、それだけで食っている人がいるわけですね、野菜とか果物。これについては、私はもっともっと配慮すべきではないかと。

 それで、特に果樹については、公明党としてまとめておりますのが、いわゆる収入保険。これは、いわゆる災害共済に入っていただいて、その上乗せという形で、御本人も負担をしてもらう、そして国も掛金の負担をする。そして、いわゆる豊作貧乏といって、災害じゃない、質のいいものがとれたんだけれども、豊作で値段が下がっちゃった、そうしたら一家の収入が減っちゃった。そこを何とかカバーする収入保険というものを公明党は今提案いたしております。

 これも、漁業の所得補償のように、積立ぷらす、今、漁家と国が一対三で積み立てができるようになっております。ですから、これも、農家が一、国が三ぐらいで掛金を支払っていただいて、そしてその収入を安定させる。まさしくこれは、農家という戸に対しての補償ですよ。

 残念ながら、今の政権がやっている戸別所得補償は、作物当たりですから、農家全体じゃないですから、戸別補償に偽りありと私は申し上げておりますけれども、この収入保険についての大臣のお考えをちょっと教えてください。

鹿野国務大臣 今先生からの御指摘の野菜の件につきましては、現在、この野菜価格安定制度の対象品目は四十八品目、こういうことでありまして、これは大体、全体の消費量の九割を超しておる、こうカバーしておるところでございます。

 対象品目の追加の問題につきましても御指摘がありましたけれども、その市場の流通量あるいは卸売価格等の動向、さらに交付金額の算定に必要な体制整備の状況などを勘案して検討してまいりたいと思っております。

 また、今もう一点石田先生からの御指摘の果樹のことにつきましては、今回も、この平成二十三年度におきましてもいろいろと検討しておるところでございますけれども、果樹は恒常的に販売価格が生産費を下回ってる状況にはないというようなことから、戸別所得補償制度の仕組みがそのまま適用されるということにはなかなかなりにくいな、こんな考え方も持っておるところでございますけれども、果樹農家の安定を図っていく、このようなことから、平成二十三年度の予算案におきましては、優良品目、そういう品種への改植を促進するために、改植を進めますと何年間かは未収益ということになりますので、その未収益期間に対する支援措置も講ずるべくということで、新しくこの支援措置を創設いたしておるところでございます。

 さらに、御指摘の果樹共済等々の加入促進を図るとともに、今後、現在の果樹共済の加入率が低位に推移しているというようなことも考えながら、より果樹農家の経営安定に資する制度がどうあるべきかということで、御指摘をいただきました点につきましても検討してまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 これは、全国の野菜、果樹農家、私は待っていると思います。それで、農業の生産額についても、野菜、果樹はもうお米を超えております。

 そういう点も踏まえて、これは特に、さっき言ったようにほとんど主業農家ですから、ほかに何かやっていて果樹をやっています、野菜をやっていますというところは少ないです。ですから、まともに収入減が一家の収入に響く、こういうことでありますから、特段のまた御検討をお願いいたしたいと思います。

 また、我が党が提案をしております収入保険、これは御本人にも掛金を払っていただきますから、そういう意味では、私は、合理的な仕組みではないか、こう思っておりますから、よろしく御検討をお願いいたしたいと思います。

 それで、実は、ちょっと変わりますけれども、私、ある人からこういう御相談を受けました。

 それは、病院にかかるときに、健康保険証が一枚しかない。ですから、これは一家に一枚ということで、いわゆる御主人でしょうか世帯主、それから被扶養者、奥さん、子供、全部載っている。だから、順番に病気にかかるというわけではないわけですね。それぞれ病気にかかるときは同じだったり、また、例えばお子さんが修学旅行に行く、そのときはコピーを持たせるとか、コピーを持って万が一ぐあいが悪くなったときに医療機関にかかっても、コピーはだめだから全額払ってくれ、こういうところも現実にあるんですよ。ですから、健康保険証も私はカード化をすべきだと。個人が一枚持つ、こういうことはぜひ進めるべきだ。

 ちなみに、今お許しいただきましたから、これは私の国民健康保険証です。ですから、今、国民健康保険に入っている方、カードになっているところもあります、なっていないところもありますけれども、こういうカードで、我が家では一人が一枚持っている、こういうことになっております。

 それで、資格取得年月日が二十一年の九月十七日。これは政権交代の翌日であります。ですから、私はそれまで農林水産副大臣で、一枚の保険証で家族が使っておりましたけれども、国民健康保険になって、私の住んでいる高知市は個人カード化、こういうことになっておりますから、それぞれ持っております。

 これについて、私は、そういう制度がなくてやれと言っているんじゃないんですよ。これはまず、厚生労働大臣、財務大臣、総務大臣、文部科学大臣の順番にお答えいただきたいと思いますが、それぞれが御関係しているところの保険者のカード化がどうなっているか、これを順次、手短にお答えをお願いします。

細川国務大臣 端的に申し上げますが、厚生労働省の所管しております健康保険につきまして、その進捗状況ですが、協会けんぽの方ではもうすべてカード化しております。それから、組合健保につきましては六割でございます。それから、国民健康保険では八割、そして、後期高齢者医療制度におきましてはすべてカード化されております。

野田国務大臣 私の所管する国家公務員共済組合のカード化の進捗状況でございますけれども、平成十九年にカード化することを可能とし、加えて、一家族一枚の組合員証の発行を一人一枚の組合員証の発行とするように改めました。

 実態は、今二十組合ございますが、そのうちカード化を実施しているのは、日本郵政共済組合と国家公務員共済組合連合会職員共済組合の二つということでございます。

片山国務大臣 私の方は地方公務員の共済組合でありますけれども、地方公務員の共済組合を見てみますと、六十四組合ありまして、そのうち六十一組合においてカード化が実現しております。残る三組合でありまして、今後の更新時期などにおいてカード化を推進されるように要請してまいりたいと考えております。

高木国務大臣 お答えをいたします。

 私どもの私立学校教職員共済制度の加入者証については、平成二十二年の十一月末までに、加入者、家族、全員分について、既にカードに切りかえて終了しております。

石田(祝)委員 こういう形で各保険者があるわけですが、一〇〇%終わっているところもある。また、八〇%、六〇%のところもございます。

 それで、二十のうち二つしかなっていないというのが国家公務員共済組合。これは私は、いかにも遅いのではないのかと。そして、今大臣もお話がありましたが、これは要するに財務省令の第五十二号、財務省が全体の国家公務員の元締めみたいなところでやっているわけですね。そこで、十九年の十月一日ですから、もうことしの十月でこれは丸四年になるわけですね。今は三年半、こういうことであります。

 ですから、このカード化を、本人の利便性、先ほど申し上げました、病気になったり、また子供が旅行に行ったり、そういうときに旅行先に持っていく、そのときに非常に不便をしている。また、持病のある方もいらっしゃいます。ですから、これはカード化を、今から法律、附則を決めてじゃありません、もう三年半前に出ているんですよね。

 ですから、これは、野田大臣、財務省、自分のところで財務省令を出しておいて、何で自分のところでやらないんですか。そして、ほかのところにも、なぜ早くやれというふうに声をかけないんですか。

野田国務大臣 財務省も含めてでしょうけれども、各共済組合においては、組合員の利便性やカード化に伴うコスト、費用、そういうものを総合勘案しながら、カード化するか否かの判断をしているものというふうに思いますけれども、既に実施をしている例、郵政であるとか連合会を含めて、その取り組み状況をぜひ今度御紹介しながら、改めて参考にしてもらうような努力はしてみたいというふうに思います。

石田(祝)委員 財務大臣、現実に十九年の十月一日に財務省令を出して、要するに、これは様式の特例だ、カード化だということを言って、これは厚生労働省が所管している健康保険はもう平成十三年ですよ。そこからやっているんですよ。それで、市町村国保なんて財政は厳しいですよ。そういうところだって営々と努力をして、被保険者の利便性、先ほど私が申し上げたようなこともかんがみてカード化にしているわけです。ですから、出している、法律をつくる大もとの国会の職員がいる国家公務員共済、またそれの、財務省が財務省令で出してどうも全部やるようですから、これは、まず足元の財務省から先にやるべきじゃないですか。そして、お金が云々と言うんだったら、市町村国保なんかはもっと厳しいですよ。

 ですから、これは申し上げて恐縮ですけれども、野田大臣はそういう不便を感じたことはないですか。自分の子供さんがどこかへ行ったら一々コピーをとらなきゃいけない、住んでいるところと現住所が違ったら、例えば野党の時代ですよ、野党の時代と言ったら失礼だけれども、大臣になる前は当然国保ですよね。そうしたら、国保になっていないところだと不便だし、なっていたら、ああ、これは便利だな、こういうことじゃないですか。

 ですから、私はそういうお声を聞いて、現実に困っていると。その方は文部省所管の国立大学法人の職員の方ですよ。ですから、ここだってやってもらわないと、自分たちで何とかしたいと思ったってできる話じゃないんですね。これは文部科学省の管轄でありますけれども。

 野田大臣、ぜひこの点は号令をかけていただいて、お金がないなんということはないと私は思います。実際にお金がないんだったら、そういう御答弁をなさるんでしたら、これはもっといろいろと財務状況について詳しくお聞きしなきゃいけないし、また、この健康保険の国共済の給付が本当にほかのところと横並びなのか、上乗せになっているところはないのか、そういうところにお金が使われていないのか、こういう話になってきますよ。

 ですから、これは、自分たちが省令を出している以上は、やってもやらなくてもいいような省令を出す必要はないんですから、これをぜひ一日も早くやっていただきたい、このことを最後に御答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 省令改正で、加入者ごとにカード様式で交付されることとはしておりますけれども、経過措置というのを入れてあって、従来どおり紙様式で交付することもできるとされている中で、それぞれの共済組合の御判断があるんだろうと思いますが、委員からの再々の熱心な御要請も踏まえまして、既に取り組んでいる事例等については、しっかりそのほかの共済組合にも参考事例として流すようにしてみたいとは思います。

石田(祝)委員 これは私のために言っているわけじゃなくて、困っている人がいるから私は申し上げているんであります。ですから、再三申し上げるように、三年以上前に御自身のところの省令で出しているのに、いや、こういう経過措置があるからなんというんだったら、そういう省令は出さない方がいいんじゃないですか、これは。ですからそれは、やるべくして出しているわけですから、そこのところを頑張ってやっていただきたい。

 なお、申し上げると、各省の保険証の担当者が集まったときに、早くやらなきゃいけないね、こういう話は出ているようであります。どこかでとまっている、こういうことです。

 最後になりますけれども、農業機械の事故について。これはもう時間がありませんので、改めてやらせてもらいたいんですが。

 これは農林水産大臣に答弁をお願いしたいんですが、農作業事故が、実は一九七一年の調査開始以来、一番少ないのが八七年の三百四十七人、そして平成二十年は三百七十四人です。しかし、一九七一年以来、農業の就業者人口は、実は七割減っているんですね。七割減っている中で、ほとんど数字が変わっておらない。そして、その間に一般の労働者災害の死亡者は八割減っております。ですから、いかにこの農業者事故が多いか。それで、今回、農林水産省も予算を大幅にふやして取り組みを強めよう、こういうことであります。

 それで、大臣、三年間で一割減らそうという話ですね。これはもうちょっと踏み込んでやるべきじゃないでしょうか。以前、赤松大臣は、三百人にしようということを去年の四月に言っていますよ。だから、そうすると、二割か三割の話なんですけれども。三年で一割は、人の命を守るという観点からすれば、いかにも目標が小さい、こう思いますけれども、大臣の積極的な御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今、先生からの御指摘の農作業での事故、特に死亡事故、大変痛ましいことにもかかわらず、毎年四百件前後発生している状況でありまして、この死亡事故をいかにして減少させるかということは、お話のとおりに喫緊の課題だと思っております。

 そういう中で、お話をしていただきましたとおりに、農林水産省といたしましても、相当な決意を持って死亡事故件数の減少に取り組む、このようなことから、二十三年度予算におきましても、農作業安全対策予算を大幅に拡充もいたしておるわけでございます。

 三年間で一割以上低減したいということが、目標が小さ過ぎる、こういうことでございますけれども、確かに一面、そういうところもあるかもしれませんが、長年の間横ばいで推移をしてきた死亡事故件数というものを減少に転じさせる、こういうような考え方で、その中に、少しでも減少したいという意欲があるんだというようなことで御理解をいただくことができましたならばありがたいな、こんな思いをいたしながら、先生からの御指摘のとおりに、何としてもこれからこの事故を防止していくべく、一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

石田(祝)委員 大臣、一割以上になっているから、当然、努力して二割、三割ということがあるでしょうけれども、やはりこれは数字を、明確に目標を決めるということが大事なんですよ。一割以上だったら、何とか一割かきついてでもやろうというのがありますけれども、これはやはりもうちょっと、人の命にかかわる話でありますし。

 それで、大臣御存じでしょうか。ハインリッヒの法則という、一つの重大事故の陰には三百の冷やりとしたことがあって、さらに二十九の重傷な事故がある。これはハインリッヒという人が労働災害から調べて提案した、法則とまで言われていることなんです。ですから、一人の死亡事故は、三百の冷やりとしたことがある、はっとしたことがある、また二十九の重傷な事故があるということなんですよ。そして、現状は、そういう事故の情報も上がってこないようになっている。

 ですから、これは、労災の特別加入の問題も含めて、やはり、農林水産大臣が、農業者の命は守るぞ、私はこういう御決意が要ると思います。

 なお、申し上げると、私の友人も、元気いっぱいやっていた人が、あるとき事故に遭って、片腕がすっぽりなくなってしまいました。そういうのも見ておりますから、本当に、この農業事故というのは、一家の大黒柱が亡くなったり大けがをしてできなくなったら、一家はもう仕事できませんよ。

 そういう状況がありますから、ぜひこれは、私は一割というのは甚だ不本意でありますから、どうぞ、予算は野田大臣にお願いしたいと思いますけれども、ぜひ農業事故撲滅、これはもうゼロということが一番の目標ですよ。ぜひ頑張っていただきたいことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

中井委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 首相は、施政方針演説で、雇用を最も重視すると述べました。

 先日発表された、厚労、文科両省による調査では、大学生の就職内定率が昨年十二月一日時点で六八・八%と、三人に一人がまだ就職先も決まっていないという深刻な結果が公表されました。短大に至っては四五・三%と、半分も内定をしておりません。極めて深刻な現状です。

 昨年十月十三日の本委員会で、我が党の笠井亮議員がこの深刻な就活の問題を取り上げて、就職活動の早期化、長期化、過熱化の是正を求めるとともに、生産も利益もV字回復した経済界に新卒者の採用増を強力に働きかけることを求めました。また、これらの問題を協議するための経済界と大学関係団体、政府、三者が一堂に会する協議の場をつくることを求めて、それを受けて、政府は、十一月の二十二日に文部科学省内で、関係省庁と日本経団連など経済四団体、大学団体の代表らが一堂に会する新卒者等の就職採用活動に関する懇話会の初会合が開かれました。

 そこで、まず文部科学大臣にお尋ねしますが、この懇話会は何回開かれたか、何が話し合われ、何が決まったか、お答えください。

高木国務大臣 宮本委員にお答えをいたします。

 御指摘のように、昨年の十一月二十二日に第一回の会合を開きました。今大きな問題となっております就職、採用の早期化、長期化の是正をどうしていくのか、また、大学の就業力の育成をどうしていくのか、また、大企業志向などのミスマッチ問題をどうしていくのか、また、企業が求める人材とは一体何なのか、こういうことについて、率直な意見交換が行われました。

 その第一回の開催以降には、既に御承知のとおり、卒業後三年以内の新卒者での応募受け付けとか、また、採用活動の早期化、長期化の是正に向けて、経済団体の中でも企業のさまざまな動きが見られております。大学においても、就職・採用活動の改善に向けた大学側としての見解をまとめて、これまた経済団体、企業にも要請をしたところでございます。

 第二回については、今月中旬に予定をしておりまして、第一回で議論をされた状況を踏まえて、まずは、学生の大企業志向などの雇用のミスマッチについて、第二に、採用活動の早期化、長期化などの課題について検討状況の把握をし、そして、課題に対しての分析、また、改善策についても出していただいて、意見交換をしたい、このように思っております。

 私たちとしましても、関係省庁との連携をとりながら、さらに努力をしていきたい、このように考えております。

宮本委員 いろいろおっしゃいましたけれども、結局一回しか開かれていないわけですよ。そして、二回目というのは、今おっしゃったように、ミスマッチと早期化、長期化問題であって、今本当に就職先がないという、経済界に対して、しっかり雇用をふやせということを全然この場でも議論されていないわけですよね。

 今、事態は、就職が決まらないというだけの問題ではありません。学生たちに心の傷を与えているという状況があります。

 福岡の新卒応援ハローワークでは、相談に訪れた学生が突然泣き崩れた、こういう報告も寄せられています。また、愛知の新卒応援ハローワークの所長は、大学の相談窓口に行くこともできず、やっとの思いでハローワークにたどり着く学生も多い、面接で何度も落とされたことがトラウマになっている、こう述べているんですね。

 実際私が直接お話を伺った大学のキャリアセンターの方や労働局の方も、連絡がとれる学生はまだいい、いまだに内定が出ていない学生は大学に来る気がなくなり、電話にも出なくなり、家からさえ出られなくなる、こういうふうに言っておりました。

 文科大臣、まさに学生からは、心がもうぼろぼろだ、あるいは心が折れそうだ、こういう学生たちの声が届いているわけですよ。三十社、五十社とあなたは要らないと断られるこの学生たちの心の痛みを本当に認識しておられますか。

高木国務大臣 今、大学新卒者を取り巻く状況については、六八・八%という数字も申し上げられましたけれども、このような就職環境の厳しい状況は私も十分認識をいたしております。

 私自身、経済界の皆さん方とも直接お会いをして、これまでも、採用枠をふやす、このことについてもお願いを申し上げましたし、大学においても、キャリアカウンセラーの増員を図って、親身に就職支援を行ってきたところであります。

 何十社の企業からも不採用になっておる、こういう大変厳しい状況も十分承知をいたしておりまして、我々としては、これからも、特にキャリアカウンセラーの相談の中では、心理的なサポート、これが非常に大事になってきておりますので、きめ細かな相談窓口もきちっと整備をして取り組んでまいりたいと思っております。一人でもまだ多くの学生がしっかりと就職できるように、関係省庁と、これまた厚生労働省あるいは経済産業省、各省連携をとって、一人でも多くの方々がしっかり就職できるように我々としては最善の取り組みをしたい、このように思っています。

宮本委員 心理サポーターというものを配置するということもやっておられるんですけれども、私が現場で聞いた話では、メンタルサポートを受けてはどうかというようなことを、本当に現場では実際学生には言い出しづらいとキャリアセンターの方もおっしゃっておりました。つまり、メンタルサポートを受けたということになると、それこそ内定をとれなくなる。だから、学生自身がそのことにもおびえているということなんですよ。

 なぜそれほど安心できない状況になっているかといえば、これはまさに、大企業を中心に採用がうんと減らされているというところにあるわけですよ。大企業の採用状況がこの間どうなっているか、このことについて厚生労働省はきちっとつかんでおられますか、厚生労働大臣。

細川国務大臣 大企業の採用の件についてお尋ねがありました。

 大企業というのは、規模が五千人以上、こういうことでお答えをしますけれども、ことしの三月の卒業予定の採用する見通しというのが四万三千人でありまして、これも、大企業の方は大体それはもう達成しているんではないかというふうに思っています。正確な統計ではありませんけれども、採用は、五千人以上の規模の大企業は四万三千人でございます。

宮本委員 それは昨年よりもふえているか減っているか、お答えいただけますか。

細川国務大臣 同じ五千人以上の規模でありますが、これは、昨年に比べまして、昨年は三万三千人でございましたから、約三割は増加している、こういうことでございます。

宮本委員 それは随分、どういう調査なのか、私の調査結果とはちょっと食い違うんですね。いいですか。何か言うことはありますか。

細川国務大臣 済みません。私の方から報告を、これはリクルートワークスの研究所での調査の結果でございます。

宮本委員 私が聞いても直接はつかんでいないというお答えでしたよ、リクルートワークスの調査結果だと。

 リクルートワークスの調査結果は、昨年の四月の段階で、一千人未満の中小企業の求人倍率は二・一六倍、千人以上の大企業の求人倍率は〇・五七倍という結果を公表していたわけですね。ミスマッチという議論がそこから出てくるんですけれども、現にこの大企業の採用枠をふやさなければ、先ほど昨年度の対比を言いましたけれども、私は、リーマン・ショック以前の、その前からの経過をしっかり見ないと、この間の就職難の本当の原因には行き着かないと思うんですね。

 それで、大企業、経済界に対して正面から、もっと採用をふやしてほしいということは迫りましたか、厚労大臣。

細川国務大臣 先ほど高木文科大臣の方からもお話がありましたけれども、私どもとしましても、昨年の十月、これは文科大臣、経産大臣、そして私と連名で、主要な経済団体、業界団体に対しまして要請書を出しまして、新卒者の採用枠の拡大、そして追加求人の要請書を出したところでございます。

 そして、十一月には、総理の方から直接、経済三団体の代表も出席をいたします新成長戦略実現会議で、経済界の皆さんに新卒雇用についての積極的な取り組みを要請させていただきました。さらにまた、先月には、総理から企業に対して、未内定の学生がおられるので、追加求人の提出、あるいは積極的な採用についての総理からのメッセージを出させていただきました。

 こういうことをいろいろとやらせていただいております。

宮本委員 いや、具体的に大企業の採用がどういう状況になっていて、それが本当に減らされるとすれば、追加採用も含めて正面から迫る必要があると思うんですよ。

 それで、この文部科学省と厚生労働省がやった調査結果を見ても、地域別で見ると、一番落ち込んでいるのが中部地区なんです。昨年から八ポイント激減して、六一・七ポイントというふうになっております。これは新聞でも、これについての原因は、特に中部の落ち込みがひどくて、トヨタ自動車の関連企業が採用を手控えたことが影響したと考えられる、こういうふうにちゃんと述べているわけですよ。

 こういう点で、トヨタの採用が経年でどうなっているか、厚生労働省、お答えいただけますか。

細川国務大臣 トヨタ自動車の発表によりますと、平成二十二年度の採用計画は千二百人ということになっております。

宮本委員 とにかく、経年で大企業がどういう採用状況にあるかということを厚生労働省に聞いたって、出てこないんですよ。出てくるのは、このリクルートの調査ぐらいしか出てこないんですね。そもそもつかめていないんですよ。

 私は、きょう皆さんのお手元に資料を、これは新聞報道をもとにですけれども、作成したものをつけておきました。

 トヨタは、本体だけで、大学、高校含めて、五年前の二〇〇六年春には三千十四人、新規採用していたわけです。それが年々減って、昨年の春には千百六十三。あなたも先ほど千二百ほどの数を言いましたが、ここまで減った。今春の採用計画ではわずか九百六十人。三分の一以下ですよ。

 ついでに、私の地元、大阪が発祥のパナソニック、松下電器はどうか、これも調べました。三年前の二〇〇八年春には八百人採用していたものが、昨年は五百人、ことしはついに二百九十人という状況になっております。

 日本を代表する自動車や家電の大企業がこれほど採用をぐっと減らしたのでは、内定率が激減するのも道理ですよね。そうは思いませんか。いかがですか。

細川国務大臣 今、大学生の内定率が非常に悪いということで、私もそれは大変心配でございます。せっかく勉強して社会に出るんですから、そのときスムーズに社会に出られないということは、これは、本人にとっても、社会にとっても、国家にとっても本当にマイナスだというふうに思いますので、内定率を上げるということは、私どもとしてもしっかりやっているつもりなんです。

 それはどういうふうな形でやるかといいますと、大企業に就職を望むのも、もちろんこれは自然でしょうけれども、しかし一方で、中小企業につきましては、大卒の人を求人しているのが、求人倍率四倍というような、そういうこともございますので、そこでやはり、その求人と求職、ここがミスマッチもあるのではないかというふうに思っておりまして、そこを解決する、これが私どもにとっても大変大事なことだというふうに思っております。

宮本委員 ミスマッチと言うんですけれども、それは、学生が中小企業を大いに選択していくのは結構なことで、そのことの支援も必要でしょう。しかし、大企業が下請中小企業を本当に冷たく切り捨てたり、やはりつぶれるときには中小企業からつぶれているという現実はあるわけですよ。私たちは、だからこそ中小企業の支援が必要だと言ってきたわけですけれども、それが不十分だからやはりそういうふうになっちゃっている面もあるわけですから、何か学生がえり好みしてそうなっているというふうに見るのは大きな間違いだということは申し上げておきたい。

 同時に、やはり大企業の採用が下がっていることは事実なんですよ。そもそもトヨタとかパナソニックという会社はどういう会社か。この会社は、リーマン・ショックで大変な状況になったときには、エコカー減税あるいはエコカー補助金、エコポイントというような形で支援をされてきた会社なんですね。エコカー補助金は、これは四百五十三万件、五千八百二十七億円出ております。これは、もちろんエコカーを買った人の助けにもなっていますよ。しかし、自動車業界の潤いにもなったことは事実です。エコポイントは六千九百二十九億円、予算措置されているわけですよ。これも同じ理屈で、やはりその業界の支援になっているわけですよね。

 今や、トヨタは世界の自動車販売台数で三年連続世界一と、ついこの間、流れましたよね。また、昨年十一月十六日付の日経によると、上場企業の二〇一〇年上期の連結経常利益は前年同期比で二・四倍となり、金融危機の影響を受ける前の〇八年上期の九六%の水準にまで回復したと。V字回復してリーマン・ショックの前まで戻ったというふうに報じられているわけですよね。

 国民の税金で六千億も七千億も支援をしてもらって、おかげで業績が回復した。しかし、リーマン・ショックの前から三分の一に減らしたまま採用は一つもふやさない、そんなことは僕は許されないと思うんですね。

 今や、一部大企業の中にも追加採用、こういう動きが出てきております。追加募集をやるというところもあるわけですね。今こそ直ちに新卒者の就職採用活動に関する懇話会を開いて、トヨタやパナソニックを初め大企業に追加採用してくださいよと強力に働きかける必要がある。また、政府として、経済界に正面から、追加採用してくださいということを迫る必要があるんじゃないですか。

 これはちょっと文部科学大臣、お答えいただけますか。

高木国務大臣 先ほども細川大臣からもお話がありましたように、政府の中で、新卒者の雇用の特命チームがございまして、御指摘の追加求人など積極的に採用していただけるように、企業に対して総理大臣としてのメッセージを発出いたしております。

 私どもも、もうしばらくでありますが、いわゆる第二回の懇話会においても、その点については、改めて追加採用などの要請をしていきたいと思っております。

宮本委員 ぜひとも強力に追加採用を迫っていただきたいんですね。

 トヨタなどの大企業は、十分過ぎるほど体力が、それだけの体力があるんですね。

 内部留保を見てみますと、政府も二百兆円を超える内部留保があるとお認めになっておりますけれども、個別の会社の内部留保を見ると、トヨタ自動車は、二〇〇九年三月決算では十三兆四千二十六億円という巨額の内部留保を抱えております。自動車メーカー十七社で連結内部留保は二十兆三千五百九十五億円ですよ。パナソニックは、二〇〇九年三月決算で四兆二千百五十二億円。電気機器メーカー十八社の連結内部留保は二十六兆千七百四十八億円に達しております。

 平均的な初任給は、前の笠井質問でも指摘しましたが、約二百四十万円とされておりますから、十万人雇って二千四百億円、二十万人雇っても五千億円程度なんですね。現在、未内定の学生は十二万六千人でありますから、この人たちの雇用確保をやろうと思えば十分できるわけで、日本の大企業の内部留保二百四十四兆円のわずか〇・二%を取り崩せば、すべて一年間の給与を支払うことは可能なんですね。

 例えば、トヨタが、私の示した資料で、ぐんと減る前の三千人まであと二千人雇うとしても、人件費四十八億円。トヨタの内部留保の〇・〇三%ですよ。パナソニックが二〇〇八年春並みに新たに五百人採用しても十二億円。これは、内部留保の〇・〇二八%と微々たるものなんですね。

 これぐらいのことを、日本の若者、学生たちが路頭に迷うというときに正面から迫るのは政府の務めだというふうに思うんですけれども、これは、総理大臣に本来はそういう立場に立っていただくということで総理に聞きたかったんですが、きょうは総理はおられないので、官房長官、そうじゃないですか。

枝野国務大臣 お気持ちは非常によくわかります。

 ただ一方で、大企業といっても、業種、業態、それから個別企業によってそれぞれ、マクロでとらえれば今のように内部留保がたくさんあるということかもしれませんが、それぞれの個社の事情がおありになられます。それから、内部留保がある企業あるいは短期的な利益が上がっている企業においても、今後の事業計画、つまり、これから販売が、売り上げが落ち込んでいくことを想定される企業が人をふやすということはなかなか困難であろうとか、そういった事情も個々あろうかというふうに思います。

 もちろん、内閣としても、新成長戦略を初めとして、日本の国内に投資をしっかりしておいていただき、日本の国内で人を採用して、しかも、採算のとれる事業をどんどんふやしていただきたいという方向で進めているところでもございます。また、マクロで申し上げますと、今申し上げたように、いろいろな形態がございますので、可能なところで、今後の事業拡大計画がある、あるいはそういった方向に向かう余地の十分あって、体力のある企業には、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、できるだけ、この春採用についても、この厳しい状況を踏まえて追加の採用等を考えてほしいということはお願いをしているところでございます。

 宮本委員も、ぜひいろいろなところでそういった声を上げていただければありがたいというふうに思います。

宮本委員 ここは政府の態度、立場が本当に問われるところですから、正面から追加採用を求めるということをぜひとも強くお願いをしておきたいと思っております。

 それで、一方で業績が回復しながら新たな採用を採らないということになりますと何が起こるかというと、これは言わずと知れたことでありまして、今いる労働者の労働が長時間過密になる、こういうことだと思うんですね。

 そこで、厚生労働省にお答えいただきたいんですが、二月の一日に発表した毎月勤労統計調査の平成二十二年分結果速報では、製造業の所定外労働時間の前年比は何%の増になっておりますか。大臣。

細川国務大臣 平成二十二年の毎月勤労統計調査の速報値によりますと、製造業におけます所定外労働時間は月十三・九時間となっておりまして、対前年比で三二・三%の増加でございます。

宮本委員 製造業では、所定外労働、つまり残業は実に三割以上もふえたというのが、この直近の調査の結果なんですね。これは、仕事量はふえているのに新卒採用を抑えて、団塊の世代が定年していけば、労働者の残業時間が延びるのは当然です。この長時間労働を正して、そこをちゃんと雇用をふやせば、例えば、残業代を支払わないサービス残業を根絶しただけでも二百万人の新たな雇用が生まれるという試算も出ております。さらに、ドイツやフランス、オランダなど、ヨーロッパ並みに労働時間を減らせば、さらに何百万人もの新たな雇用が生まれるんです。

 厚生労働大臣、今こそ異常な長時間労働を正して、ちゃんと正社員での採用をふやさせるべきではないか、この点についてもお答えいただきたいと思います。

細川国務大臣 長時間労働の削減というのは、労働者の健康の維持、そしてまたワーク・ライフ・バランスという、その実現のためには大変重要な課題だというふうに思っておりまして、政府の方の新成長戦略でも、週六十時間以上の労働者の割合を半減させるというような目標も立てているわけなんです。このため、労働基準法の遵守というのをまず徹底的にやらなければいけないということで、これは私の方からも労働基準局の方に強い指示もいたしております。

 そして、何といっても労働時間を削減して、そしてワーク・ライフ・バランスを守っていきたいということもありますが、さらには、こういう厳しい雇用情勢の中でありますから、より多くの方が雇用機会を得て正社員になれるような、そういう環境整備をつくっていくということは、これは私どもの方でもいろいろな施策でやっているところでございます。

宮本委員 申し上げてきたように、まさに製造業の大企業が、一方では新卒採用をぐんと減らしながら、そしてエコカー補助金やエコポイントで業績は戻し、しかし、採用はふやさずに現に働いている労働者の長時間労働を生んでいる。これは、こういう大企業に直接だめですよということをやはり政治の側から言わなければ正せないわけですよ。それがやはり言えないとすれば、これは本当に、かつての自民党政権と何の違いもないというふうに言われても仕方がないと思います。

 ぜひ厳しく迫っていただくことを求めて、次の質問に移りたいと思います。

 次に、三十五人学級で聞きたい。

 小中学校の少人数学級ですけれども、国は、一九八〇年から、それまでの四十五人学級から四十人学級に移行したわけですけれども、その後は、三十年間、学級編制の基準を変えないままに来ました。世界は今二十五人以下学級というのが常識であって、日本でも、政府のおくれに業を煮やして、四十七都道府県で三十人学級や四十人以下学級の実施を図ってまいりました。

 例えば山形県では、二〇〇二年から小学校一―三年生で二十一から三十三人学級を実施、その後、学年を広げ、二〇一一年度には、中学校三年まで全面実施で、義務教育段階での少人数学級が完成することになっております。その効果は歴然としておりまして、県の教育委員会は、学力が向上し、不登校の児童数が大幅に減少し、欠席率も低下しているという報告書を出しております。

 我が国の制度としてようやく三十五人学級に踏み出そうとしているわけで、まず文部科学大臣に、この少人数学級の教育効果についてお述べいただきたいと思います。

高木国務大臣 御指摘の少人数学級については、現在、すべての都道府県で何らかの形で実施されておりまして、学校現場やあるいは保護者からの評価も得ているところです。

 既に御紹介があっておりましたように、文部科学省として把握しておるデータでは、ほかの県に先駆けて少人数学級を導入しておる秋田県や山形県においては、全国学力・学習状況調査の結果が学力の向上を示しており、一定の効果があらわれているというふうに思っております。また、大阪府や山形県では、少人数学級導入後、不登校やあるいは欠席率の低下というデータも見られております。

 私どもとしましては、そのようなことから、今回の予算においても少人数学級の推進のために、そのことは何よりも、児童生徒一人一人に向き合う時間、そしてまたそれぞれの個性に従った指導、こういったことからも、少人数学級の推進を図っていきたいと思っております。

宮本委員 少人数学級の教育効果について認めた非常に重要な答弁だと思うんですけれども、文部科学省は、来年度の概算要求で小学校一、二年生を対象に三十五人学級を実施し、二十八年度までに小中学校での三十五人学級の実施、二〇一七年度小学校一年生、二〇一八年度で小学校二年生で三十人学級まで実施する計画を立てて、元気な日本復活特別枠で要望しておりました。ところが、来年度予算では、小学校一年の実施のみで、二年以下の実施は見送りとなったわけです。二〇一八年度までの計画も白紙となって、今後の予算編成で改めて検討するということになりました。

 半分は実現したと思っておられるかもしれませんけれども、今の一年生、この四月から二年生になる子供たちは、永久に少人数学級で学ぶことはできないんですね。しかも、ことしの春、三十五人学級となった一年生は、このままでは、二年生になるとまた四十人学級に戻ってしまうことになるんですね。

 高木大臣、それで本当にいいんですか。

高木国務大臣 私どもとしましては、平成二十三年度予算案においては、小学校一年から三十五人以下学級を実現するために四千人の教職員の定数を措置する。その中で、三百人の純増を含め、二千三百人の定数改善を盛り込んでおります。

 三十五人以下学級においては、小学一年生について義務標準法の改正をする措置をすることとしておりまして、本日、その法案を閣議決定したところでございます。これによって少人数学級推進のスタートが切れる、こういうことで大変意義あるものと私は認識をいたしております。

宮本委員 いやいや、大変意義あるものを二年生までやると言っておきながら、一年生だけになってしまった。

 では、聞きますけれども、もともと、二年生の実施のために教職員をあとどれだけふやす予定だったのか、そして、あとどれだけの予算があれば二年生までやれたのか、お答えいただけますか。

高木国務大臣 小学校二年生で三十五人以下学級を実施するためには、さらに四千三百人の定数増が必要になりまして、その予算は九十三億円の増が必要である、このように思っています。

宮本委員 四千三百人。政府による新たな教員の雇用拡大にもなったわけですね。予算もわずか九十三億円。これだけあれば二年までできたわけですよ。野田財務大臣も聞いておられますけれども、この九十三億円で二年生の実施が見送られた。

 この少人数学級については、国民的な要望が本当に高かったんですね。パブリックコメントを募集しましたが、各省庁から出された全事業百八十九事業のうち、この三十五人学級の実施は第三位だった。期待の高かったこの予算を一体なぜ削ったんですか、文科大臣。

高木国務大臣 御指摘の小学校一、二年における三十五人学級の実現は、今御紹介もありました、元気な日本復活特別枠要望の評価会議におきましてB評価でありました。定数改善の取り組みの扱いについては後年度負担の問題も含めた検討が必要、これは政策コンテストの評価会議の御指摘でございました。

 これを踏まえて、昨年の十二月の予算編成、大臣折衝を経まして、まずは小学校一年生の三十五人以下学級を実現する、そして、小学校二年生以上の取り扱いについては、財政状況も勘案しつつ、引き続き来年度以降の予算編成で検討するということになっておりまして、我々といたしましても、この二十三年度の予算について、何が何でも一年生の三十五人以下の学級に必要な四千人の職員定数が盛り込まれたということでございます。

宮本委員 九十三億円削った結果、今一年生で今度二年生に上がる子供たちは、まさに当初は三十五人学級の予定だったものが受けられなくなった。それから、これから先の計画についても、後年度については改めて検討するということは、まだ決まっていないわけですから、そういう点では、せっかく今度の一年生が三十五人になっても、また来年二年になったら四十人学級に戻るという可能性も残されているわけですよね。その九十三億円は本当に削るべきでなかったと私は思うんです。

 ここで私、日本にある米軍基地にある小学校、中学校について一つ聞いてみたいんです。

 日本の米軍基地にある小学校、中学校が一体一クラス何人でやっているか。これは防衛省に聞いてもわからないという答えでしたよ。外務省に聞いても、つかんでいないという答えでありました。そんなことすらわからないまま、一方で、その学校建設費も含む米軍の思いやり予算をこの予算の中に入れているわけですから、これは本当にひどいなというふうに思うんですけれども、文部科学省や、あるいは総理大臣のかわりにきょうは座っていただいている官房長官は御存じですか、どういうクラスでやっているか。

高木国務大臣 在日米軍施設・区域に所在する小中学校の学級編制の基準については承知をいたしておりません。

枝野国務大臣 なお、防衛省が提供施設整備により小中学校を整備する際は、米側の施設基準に基づき整備をしてきておりまして、この米側の施設基準は一クラス二十名から二十五名を前提としているというふうに承っております。

宮本委員 いや、だから、具体的にどういうクラス編制でやっているかは日本の政府は全然つかんでいないんですね。

 それで私、実は、米軍基地の中の小学校、学校というものを見せていただこうと思いまして、横田や池子など四基地の小学校の視察を外務省を通じて米軍に要請いたしました。そうしたら、案内する人がいない、この時期の立ち入りは都合が悪いなどという理由で視察を断ってまいりました。国会議員の視察も許さないで、金だけ出せ、予算だけ通せ、こんなばかな話がありますか。何か言うことはありますか。

枝野国務大臣 御承知のとおり、我が国は必要な在日米軍駐留経費を負担しておりますが、負担をいたしておりますのは、提供施設整備としての小中学校の整備について提供しているものでございまして、そこで実際に具体的にどういう教育が行われるのかということについては、日本から経費を負担しているものではございません。

 したがって、その施設についてはどういうものであるのかというお尋ねでございますので、それは各省間の調整をいたしまして確認をいたしましたところ、一クラス二十名から二十五名を前提とした米側の基準に基づいて施設を整備しているのであって、そこでの教育については日本からお金を出しているわけではないというふうに御理解ください。

宮本委員 いや、それはさっき聞きましたよ。しかし、どういう教室でどういう教育をやっているかということを私は調べてみました。

 「アメリカンスクールに学ぶ」という、沖縄の米軍基地内の小学校で教師をしてきた人の本がここにあります。これによると、学級単位は十八人ないし二十五人であると書かれております。

 調べてみましたら、きょうは資料三につけました。なるほど、米軍基地内の学校を所掌するアメリカ国防総省管轄の教育活動機関、デパートメント・オブ・ディフェンス・エデュケーション・アクティビティー、これは頭文字をとってDoDEAというそうでありますが、そのホームページには、「DoDEA ディファインズ リデュースト クラス サイズ アズ エイティーン スチューデンツ イン イーチ クラスルーム フォー グレーズ ワン スルー スリー」となっております。小学校一年生から三年生まで一学級を十八人に減らすということをこの教育活動機関は既に決定しているんですね。

 小学校一年生から三年生まで、片や米軍では十八人学級でやっている。日本の子供たちは、三十五人学級、しかも一年だけで、二年生は九十三億円削られてできなかった。これは余りにも、日本の学校と米軍基地内にある学校とでは大違いだと言わなければなりませんね。

 それで、在日米軍の駐留経費のうち、本来ならば米軍が支払うべき費用のうち日本側が負担してやる思いやり予算、その中にはこの米軍の子弟が通う小中学校や高校の建設費が含まれております。また、日本人教員の給与も出されております。来年度思いやり予算の中に、先ほど私が申し上げた池子住宅地域及び海軍補助施設の施設整備の中で小学校の新設というものが含まれておりますが、予算は一体幾ら組まれているか、防衛大臣、お答えいただけますか。

北澤国務大臣 お答えを申し上げます。

 二十三年度予算においては、本体工事及び環境調査にかかわる経費として、契約ベースで約二十八億一千二百万、歳出ベースで五億四千五百万ということで計上いたしております。

宮本委員 二十八億円ですよ。今年度、環境影響調査で二十一億円、来年度、校舎、体育館建設費で二十八億円です。日本の小学校の校舎建設費は体育館も入れて大体九億円から十六億円というのが相場ですから、超豪華版なんです。

 防衛省の提供施設課に聞いたところ、来年度予算で新設される池子の小学校は、幼稚園併設であるが、一教室当たりの広さは八十平米で、日本の教室の六十四平米と雲泥の差です。そこに十八人から二十五人というわけですから、ゆったりとした空間で教育がされることになります。日本の学校には冷暖房設備が設置されていないところが多いですけれども、米軍基地の中の学校には空調設備がすべて整っています。美術、音楽用のスタジオ、コンピューター、科学実験室、各種の特別教室、カフェテリアなどまで置かれております。クラスサイズも施設もクーラーも雲泥の差です。余りにもこれは不条理ではないかと言わざるを得ません。

 誤解しないでいただきたいんです。我が党は決して、米軍の子供たちを日本の子供たちと同じように四十人学級にしろと要求しているわけではありません。十八人学級、いい教育条件を保障することは結構なことです。しかし、それはアメリカのお金でやるべきではないですか。日本国民の税金は日本の子供たちの少人数学級に回すべきではないか。

 当初どおり、小学校一、二年生で三十五人学級に踏み出し、さらに三十人学級に進む計画を直ちに立てるべきだということを最後に文科大臣にお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

中井委員長 もう時間が来ておりますが、高木さん、簡単に。

高木国務大臣 小学校二年生以上の取り扱いについては、昨年の三大臣合意に基づいて、これから検討することになっております。また、本日閣議決定された標準法の中にも、そのことの規定を盛り込んでおります。

 まずは少人数学級を一年生からスタートができるということで、これからも、政府全体の中でしっかり検討していきたいと思っております。

宮本委員 終わります。

中井委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 新燃岳噴火について、社民党は二月二日、福島党首を先頭に現地調査団を派遣し、現地の被害状況を視察してまいりました。広範囲にわたる降灰の被害は、市民生活に深刻な影響を与えています。

 お手元に県の農政水産部が撮られた写真を配付させていただきましたが、降灰による道路の被害、終わりのない市民の清掃活動、農産物の多額の被害、小中学校の休校など先の見えない災害に市民は大きな不安を抱えており、住民と関係自治体は国の支援を強く期待しております。我が党もそういう地元の声をしっかり預かってきましたので、官房長官、政府には緊急の災害復旧事業として万全の体制でやっていただきたいということを冒頭お願いしたいと思います。

 その上で、質問に入ります。

 まず、緊迫するエジプト情勢です。特に、市民の流血はあってはなりません。ここ数日、明らかに現政権が関与したデモ隊への暴力が指摘をされており、今こそ国際社会からの明確なメッセージが必要です。米国、EU、国連、アムネスティなどは、政権の暴力への関与を懸念すると表明しておりますし、同時に、つい先ほど入ってきた情報でも、米国はムバラク大統領の即時辞任を要求と報じられております。

 官房長官、一つには流血事態の回避、二つ目には、即時平和的な政権移行を明確に求める姿勢を、日本としても政府として国際社会に発信する必要があるというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 詳細は、外務大臣も御出席をいただいておりますので、そちらから、必要があれば御回答をいただければというふうに思いますが、御指摘のとおり、エジプトの現在の状況にかんがみ、流血等の事態を避けて平和的な解決をということは、当初から政府としてそうした意思を示し、外務大臣を中心に外交的にもそのことをしかるべく対応してきていただいておる上に、いわゆるダボス会議における特別講演スピーチにおいても、菅総理みずから、エジプト国民が幅広く支持する政権をつくり、政治的安定と平静な市民生活の回復を期待する旨発言をしたところでございます。

 邦人保護の件も含めて、適宜、この間も総理そして外務大臣と連携をいただきながら適切に対応してきておりますし、今後ともそうした対応を進めてまいります。

服部委員 流血なしに平和的に政権が移行されることを私も望んでおりまして、そういったメッセージを日本政府としてもぜひ国際社会に積極的に送っていただきたいというふうに思います。

 お手元の順番とちょっと違うんですけれども、次に、沖縄の基地問題から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 名護市が辺野古の新基地建設に係る環境現況調査を許可しなかったということで、一月二十八日に沖縄防衛局長名で、行政不服審査法に基づく名護市長等への異議申し立て、並びに漁港漁場整備法に基づく農水大臣に対する審査請求がなされております。

 まず、防衛大臣にちょっとお聞きしたいんですが、これは沖縄防衛局長名なんですけれども、当然、大臣決裁、あるいは大臣の指示で行われたという理解でよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 沖縄の局長の方から私に対して、こういう不服申し立てをしたい、こういうことでありましたので、許可をいたしました。

服部委員 大臣も事前に許可をされたということです。

 きょうは、農水及び総務の大臣に私の一問のためにわざわざお出ましいただいて非常に恐縮なんですが、農水大臣にお聞きしますが、漁港漁場整備法に基づき国が審査請求をした事例はありますでしょうか。

鹿野国務大臣 過去に政府機関が漁港漁場整備法に基づき漁港管理者の処分に対して農林水産大臣に審査請求を行った事例はないものと承知しております。

服部委員 それでは、総務大臣にお聞きいたします。

 この行政不服審査法に基づき国が申し立てた事例はありますでしょうか。また、国あるいは沖縄防衛局に不服申し立て適格があるというふうにお考えでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 前者の方でいいますと、不服申し立ての総件数というのは総務省として把握をしておりますけれども、その主体がだれであるかということを承知しておりませんので、国または地方公共団体が不服申し立ての当事者になったかどうかというのは、総務省としては掌握をしておりません。

 それから、後段の部分ですが、行政不服審査というのは、国民の権利救済を図り、そのことをもって行政の適正な運営を心がける、こういうことでありますが、その国民といった場合に国や自治体が入るかどうかということになりますと、国や自治体が私人とは違う立場、特権的立場といいましょうか、優越的地位に基づく場合はこれに該当しないという解釈になっております。ところが、私人と同じ立場で法の適用を受けるという場合が当然ありますので、その場合にはこの行政不服審査法の不服申し立ての主体になり得るということであります。

服部委員 ちょっとわかりにくい答弁でしたけれども、この行政不服審査法は第一条に法の趣旨というものをうたっております。そこには、「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、」「国民の権利利益の救済を図る」とありまして、いわゆる国ではなく国民の権利保護のための法律であるということは、これはまさに明らかなわけですね。

 防衛大臣、こんな法律を使ってまでも防衛省として名護市に異議申し立てをする、これは恥ずかしいと思いませんか。即時撤回してください。

北澤国務大臣 まず先に申し上げますが、国にも与えられている権利として国民のために行う行為を恥ずかしいというような言葉で言われることは適切でないというふうに思いますし、国も一事業者としての立場で、固有の資格ということでさせていただいております。

服部委員 そこは、この法律の第一条を見て、どう読み返しても、これは行政とか国の行政行為に対して国民が不服を申し立てるための法律だ、こういう解釈だと私は思うんですよ。その国がこの法律を使って名護市を訴えるというのは、本当に理解ができない。私は、いずれにしても、こういうことは即時やめていただきたいということを防衛大臣には強く申し上げておきたいというふうに思います。

 官房長官、本件も含めてですけれども、名護市に既に決定済みの交付金が不支給となりました。それから、四十四人体制の名護市の防衛事務所が設置される。あるいは、高江ではヘリパッドを、沖縄はきのう旧正でお正月なんですけれども、こういう中でも工事が強行されて、住民にけが人まで出ているわけですね。

 一方で、菅総理もおっしゃっているように、沖縄の皆様に誠心誠意説明し、理解を求めるというふうに総理自身がおっしゃっていながら、現場では、どう見ても兵糧攻めとか実力行使。これでは永久に理解なんか求めることはできないというふうに思うわけですが、官房長官、恐らく政府としてこの沖縄の基地問題の取りまとめをされていくんだろうというふうに思うんですけれども、政府としてこういう防衛省のやり方に対してどのようなお考えでしょうか。

枝野国務大臣 まず、先ほどの名護市の処分に対する不服申し立てでございますが、これは先ほど来の話でも御理解いただけるとおり、技術的な事項について法令に基づいて粛々と行ったものでございまして、総務大臣からも御説明がございましたが、国であれ、例えば都道府県や市町村というか、公の法人も、公権力の主体として優越的な立場で権限行使、権力行使をするという立場と、それから、普通の経済社会、一般社会の中で一私法人と同じような立場で行動する側面と、両方ございます。

 そして、今回の不服申し立ては、まさに普通の、例えば民間の事業者や個人の皆さんと同じような立場で、同じ手続の中で技術的な事項について申し立てを行ったものでございますので、御理解をいただければというふうに思っておりまして、この手続がいわゆる普天間飛行場の移設問題そのものを、地元の意思を完全に無視した形で強引に進めようという種類のものでないということは御理解をいただければというふうに思っております。

 また、その他何点かの御指摘をいただきましたが、私どもは、もちろん沖縄については、この普天間の問題だけではなくて、それとは全く別に沖縄の振興という問題がございます。それから、普天間の基地の問題を別としても、基地の負担軽減という問題がございます。そうした問題を含めて、そういったことについては基地の問題とは切り離して粛々としっかりと進めてまいりたい。私は、官房長官と同時に沖縄担当大臣を務めさせていただいておりますので、そういった立場でしっかりと進めさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、普天間の基地の移設問題については、繰り返しになりますが、地元の皆さんに繰り返し状況、事情を御説明申し上げて、御理解を得られるよう最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。

服部委員 とにかく、言っていることとやっていることが全然ばらばらなんですよ。ここではきれいごとをおっしゃるんだけれども、もう現地では大変な状況になっているということを官房長官としてもしっかり御認識をいただきたいというふうに思うんですね。

 先ほどの行政不服審査法の解釈についても、私が総務省から事前に手に入れたペーパーでは、国や公共団体はこの行政不服審査法に基づく不服申し立てをすることはできないと考えられます、そういう解釈になっているわけですね。だから、法律の……

中井委員長 ちょっと待って。今のそれが本当なら片山君に答弁させます、なっているというから。

 片山総務大臣。

片山国務大臣 それは、だれがどういう経緯で議員にそういうことを……

中井委員長 ちょっと待って。それは何のペーパーか確かめて。

片山国務大臣 これは、わかりました。

 先ほど私が申し上げたとおりでありまして、先ほども官房長官から答弁がありましたけれども、国は二つの立場があるわけであります。例えば、国民からお金をちょうだいするといった場合に、課税権者として税を強制的にも取り立てる、そういう立場があります。一方では、例えば、国がお金を貸して、それで返していただくという債権債務の処理、そういう立場もあるわけです。そういう前者の立場、国が特権的な地位を持っている、優越的な地位を持っている、そういう立場としては、この行政不服審査法の不服申し立ての主体にはなれません。要するに、国、自治体が固有の立場としてこの法律を使うことはできない。

 ところが、一般私人としての立場もあるわけであります。例えば、土地を持っていて、そこを掘削するとか開発行為をするとかということはあり得るわけであります。そうすると、民間の企業がやる場合と変わらない法的な立場に立つわけです。そういう場合には、行政不服審査法に基づいて、必要があれば不服申し立てをし、その後、訴訟をすることができる、こういう解釈であります。

服部委員 総務大臣、これは名護の辺野古の新基地建設に絡む環境調査の話なんですよ。その背景をやはりしっかり認識していただいて、その上でこの法律が適時適切なものか、これは、ここで今から法律論争する気はございませんので、もうこの話はやめますけれども、現地は大変怒っているということだけを申し上げておきたいというふうに思います。

 一月の十三日にゲーツ国防長官は、普天間問題と日米同盟深化は切り離す、あるいは、普天間問題については日本の指導に従うというような言い方をされています。日米合意の見直しのための対米交渉、あるいは辺野古の関連予算の削減を政府には求めまして、次の質問に入りたいと思います。

 次に、TPPの問題ですけれども、去る二月二日、鳩山前総理が有楽町の外国人特派員協会で講演をされまして、それで、鳩山前総理が記者に、菅総理がTPPと言い出したのはなぜかと聞かれまして、私が菅さんに質問したい、こう前総理が言われたんですね。前総理すらこういう状況ですから、TPPの参加問題というのは非常に唐突感が否めないわけです。

 また、鳩山前総理はこういうふうにもおっしゃっています。菅総理がなぜTPPに傾いたか私にはわからない、かつての小泉・竹中路線、あるいは、アジアよりアメリカを重視する政策に舞い戻ったのかなと。それから、TPPで農業のみならず保険も金融もメディアも一気にアメリカと協調して開くと。

 それで、今外務省で情報収集をされておりますので前原大臣にお聞きするわけですけれども、先日、TPP交渉の二十四の作業部会の内容も明らかになりました。今回のTPP交渉は、今まで日本が締結した二国間FTAや現行TPP協定、P4やWTOの基準より自由化度合いを拡大する方向になるという認識でいいのか。また、農業以外の課題、とりわけ政府調達や保険、金融、医療などのサービス分野や食品安全基準やJAS等の規格基準も対象になるという認識でいいんでしょうか。

前原国務大臣 お答えいたします。

 このTPP交渉というのは九カ国が今参加の意向を示しておられまして、日本としては、現段階においては情報収集をさせていただいているわけでありますが、ベトナムを除く八カ国との情報収集を今させていただいているところであります。

 原則的には十年以内の関税撤廃を目指すということと、同時に、先ほど委員がおっしゃったように、二十四の分野、一つはこれは首席交渉官協議も二十四の中に入っておりますので、それを除きますと二十三分野においての議論が行われているということでございまして、我々参加を表明しておりませんので、情報が限られている中で、できる限り情報を得た段階で国会には情報開示をして、議論に資するように努力をさせていただきたいと考えております。

服部委員 去る一月十五日の日米貿易フォーラムで、アメリカは日本に対して郵政民営化に関する要望とか注文をつけているわけですけれども、今後のTPP交渉で、この郵政民営化問題、これは金融の問題として当然議論になるというふうに考えておいていいんでしょうか。議論になるのかならないのか、大臣。

前原国務大臣 先日の日米貿易フォーラム、これは、テーマとして議論をしましたのは、TPPと、そして郵政もあったということで、TPPの中で郵政を議論したわけではございません。これは前々からあった話でございますので、別個の問題として議論をさせていただいたという認識でいていただければと思います。

服部委員 前、自民党の小野寺さんとの議論の中でも、アメリカが今の日本の郵政民営化見直しの方向についていろいろ注文をつけているという話がございました。そういう意味で、私どもは、この郵政改革法案というものを今国会でしっかり仕上げていかなければならないという立場で、言い方はあれですけれども、アメリカに圧力かけられてふらふらしないでほしいなということを申し上げたいわけなんです。(発言する者あり)郵政改革法案ですね。民営化に歯どめをかける改革法案をしっかり仕上げてほしい。

 それで、六月までに結論を出すということなんですけれども、この六月までに結論を出す中身がいま一つちょっとよくわからないわけなんです。その結論というのは、どういう条件がそろえば参加するとかしないとか、これは前原大臣に聞く話かどうか、ちょっとあれなんですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。

前原国務大臣 本来は玄葉国家戦略担当大臣に御質問いただければというふうに思っておりますけれども、我々外務省の立場としては、外交交渉の窓口を提供するということで、九カ国との議論をできる限りセットしていくという役割を外務省としてはしていきたいと思っておりますし、また、その中で得られた情報については、議論に資するために、さまざまな情報提供をできる限り我々は忌憚なくさせていただきたいというふうに思っているわけであります。

 菅総理がおっしゃっているのは、参加するかどうかの判断を六月までにされるというふうに私は認識をしているわけでございますけれども、それまでにさまざまな確認をしておかなくてはいけないことというのはあると思います。

 例えば、参議院の本会議ではございましたけれども、川田龍平議員が、このTPPに日本が仮に入れば、国民皆保険というものを変えなきゃいけないのではないか、こういうような御質問をされておりました。私はそういう認識はありませんし、先ほどいみじくも委員がおっしゃったように、もし入るという判断をするのであれば、日本にプラスになるものでなければいけません。それはもちろん、でこぼこがある、プラスマイナスがあって、トータルでどうかという政治的な判断は必要だと思いますけれども、押し込まれてやるようなものではない。少なくとも、みずからの判断でこれがプラスになるという判断をするときが、交渉に参加をするということの判断をすることに私はなるのではないか、こう思っております。

服部委員 このTPP問題は、国民に非常に多くの不安や疑心暗鬼を生んでいるように感じておりまして、今後、情報公開も含めて、またしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、三月上旬から規制仕分けを予定されております。小泉・竹中構造改革、新自由主義路線というふうに言われましたけれども、行き過ぎた規制緩和が行われて生活の格差が開き、国民の大きな不満が政権交代に結びついたと私は実感をしているわけです。だからこそ、国民の生活が第一だとか一番とか、生活再建ということが叫ばれたわけです。

 今回の規制仕分けというのはどういう目的で行われるんでしょうか。まず、過去の小泉・竹中構造改革、新自由主義路線に対する大臣自身の評価を聞かせていただいた上で、それとどこがどう違うのかを御回答いただきたいというふうに思います。

蓮舫国務大臣 まず、三月の上旬に行おうとしております規制仕分けですけれども、そこにおいては、今ある規制の現状ですとかその考え方について広く国民に情報公開をして、開かれた場所で議論をすることによって、国民の皆様方も政府とともに一緒に規制について考えていただきたい、理解を深めていただきたいという思いから行おうと思っているところでございます。

 そして、今、服部委員御指摘の、過去のある種行き過ぎた規制緩和についてでございますが、恐らく同じ思いは抱いているとは思うんですけれども、今回私が規制・制度改革を行っていく上で、前段を置きたくはないんですが、規制というのは、その時代時代において意味があったときもあるけれども、時がたつことによって、その規制自体が本当に必要なんだろうかどうなんだろうか、あるいは、緩和するだけではなくて、より強化をするものもあるのではないかという視点もぜひ盛り込んでいきたいと考えています。

服部委員 ちょっとわかりにくい答弁でしたけれども、政府が三月末までに規制改革の結論を出したいというふうにおっしゃっているわけですよね。しかもそれを、TPP参加の条件といいますか、可否を六月末までに、農業分野であるとか検討されるということなんですけれども、そのTPP参加の一つの工程表の中に三月末の規制改革の検討ないし一定の結論が位置づけられているというふうにも見れる部分があるわけですよね、工程表なんかを見させていただくと。

 であれば、それは非常に議論も走り過ぎだと思うし、そこで一体何をしようとするのかということは、やはりもう少しきちんと説明していただかないといけないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 そもそも昨年の十月に、行政刷新会議のもとに設けられております規制・制度改革に関する分科会において、成長戦略の推進に資する分野を中心とする規制・制度改革について検討を行って、本年度末までに政府の方針を決定することを明らかにしておりました。

 その後、十一月に閣議決定をしました包括的経済連携に関する基本方針におきまして、当初の、私どものもともとの三月までの規制・制度改革の政府の方針、その時期と合わせて、非関税障壁を撤廃する観点からの規制・制度改革も行政刷新会議のもとでともに行うことにしたものでありまして、先生御懸念のように、TPPを前提とした規制・制度改革を行うことを念頭に置いたものではないということは御理解いただきたいと思います。

服部委員 最初の出発点が成長戦略に基づいたものであるというのは、私も理解できているんですね。

 しかしこれが、六月までにTPPの結論を出すという一つの工程の中で、やはりそれは明らかに政府としては、当然、TPPということになりますと、今回の二十四の分科会の中身を見ましても、例えば人の移動であるとか、相当の規制緩和的な要素をやはり改善していかないと、入れるのか入れないのかという結論についてもなかなか出し得ないわけですよね。だから、そういう意味では、もうそういうふうに政府としてはかじを切っておられるんじゃないかというふうに私は見えるわけなんですよ。

蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。

 先生の御懸念はよくわかっているつもりです。その部分で、規制・制度改革は何でもかんでも緩和をすればいいと私は思っていません。過去、そういう思いで緩和をしたことによって、国民生活に重大な支障が出た現実もございましたので、私はそこは慎重に、ただ、やはり国民に開かれた議論は常に行うことによって、規制というのは国民生活の安心、安全のために今適切かどうかというのをその都度その都度政府としてはチェックを行っていきたい、その一環として規制仕分けを行っていきたい、そして、年度末までに、政府の、経済成長に資する方向の規制・制度改革の、ある一定の方向性はまとめたいと考えております。

服部委員 私は、規制を仕分けでやるということに対しても非常に違和感を感じていまして、こういう規制の問題、規制とか基準というのは、やはり、安全上の問題であるとか、あるいは技術上の問題だとか、いろいろな背景があるわけですね。税金の無駄遣いを削れみたいな、パフォーマンスとは言いませんけれども、そういったことでいろいろ結論づけられるような性格のものじゃないわけですから、ここはよくよく考えていただきたい。

 しかも、それが過去の、いわば労働法制を規制緩和して、多くの派遣労働者が生まれて、首を切られるような事態にまで行っているわけですから、やはり、その反省のもとに政権交代というのがあったのは事実だと思うんですね。

 ですから、そういう意味で、最後に官房長官にお聞きしますけれども、最小不幸社会の実現を掲げる政権が、小泉・竹中構造改革が引き起こした野放しの規制緩和であるとか新自由主義的な形の、生活を破壊しないという約束ができますか。

中井委員長 枝野君、時間が来ていますので、簡単に。

枝野国務大臣 民主党政権は、菅政権は、最小不幸社会を目指すということでございます。したがいまして、規制の改革はいたしますが、それは、かつてのように規制緩和方向の一辺倒ではない。

 むしろ、環境、安全、労働などの面ではしっかりとした規制を強化すべき部分が多くて、これは量的にどっちが多いとか少ないとかという比較のできる世界ではないかもしれませんが、規制改革といったときには、強化すべき部分の重要性というのを十分認識して、そのバランスといいますか、それぞれの、必要なところは強化し、必要なところは緩和しということでやっていって、安全や環境や労働や、こういった必要な規制はしっかりと強化をしてまいります。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 菅総理のことしの初仕事は、何と、天下りの公認でした。一月四日、資源エネルギー庁の長官が、退職わずか四カ月で電力会社の顧問に再就職をしました。私たちから言わせれば、退官早々所管業界のど真ん中に天下りをしたのであります。

 これについて、一月二十八日の参議院の本会議で、菅総理は、我が党の川田龍平参議院議員の質問に対して、天下りでないとは言い切れないので調べる、こういう答弁をされました。ところが、その後、一週間もたたない二月の二日に、枝野官房長官は記者会見で、経産省が確認したところ、電力会社の社長が本人に直接顧問就任を打診したもので、天下りではない、再就職のあっせんはなく、退職管理基本方針にのっとったものだ、こういう発言をされております。

 官房長官が会見で、経産省が電力会社に確認したということをおっしゃっていますけれども、経産省のだれが、電力会社のだれに、どうやって確認をしたのか。これで総理の言う調査というのはもう済んだ、こういう認識ですか。お尋ねします。

枝野国務大臣 御指摘の件につきましては、国会での総理の答弁がございましたのが一月二十八日の午前でございます。同日、一月二十八日金曜日の夕方、私から経済産業省に事実関係再確認の指示を、これは秘書官を通じてだったと思いますが、いたしました。一月三十一日月曜日、経済産業省の秘書課長から東京電力秘書部長に対して再度の照会がなされ、翌二月一日火曜日、東京電力秘書部長から経済産業省秘書課長あて書面で回答がございました。それを、同日夜、私に書面をつけて報告がございまして、翌二月二日水曜日の朝、私から菅総理に報告をしたところでございます。

 内容についても御報告いたしましょうか。

中井委員長 調査は、これで終わりかね。

枝野国務大臣 しっかりと、関係当事者から経緯を、詳細を具体的に把握いたしましたので、あっせん等に基づくいわゆる天下りではないということは確認をできているというふうに思っております。

柿澤委員 今の話ですと、経産省の秘書課長が電力会社の秘書部長に書面で確認をして、あっせんはなかったですよ、天下りには当たりませんよ、こういうことを書面として確認をした、それで枝野官房長官に御報告があった、それを了とした、こういうことですね。

 要するに、調べた当事者は経産省の秘書課長である。これは、要は、経産省の役人に調査を任せた、こういうことですね。

 役人の方が、あっせんしました、こういうことを省内で認めるということは、やはりあり得ないんじゃないですか。皆さんが強く批判をしてこられた自民党政権時代の天下りだって、同じやり方で調べれば、当時だって、役所に聞けば、いやいや、あっせんなんかしていませんよ、こういうふうに答えていたんじゃないですか。これは茶番じゃないですか。どうですか。

枝野国務大臣 今、総理の答弁のところからスタートしてのことで、私を通じてのところだけお答えをいたしましたが、この間、私から経済産業省への指示は、秘書官を通じてでございますが、政務三役に、そして、政務三役の指示のもと秘書課長が行った、そして、そこに返ってきた回答も、秘書課長から経済産業省の政務三役に報告の上、私にも同時に御報告がなされたというふうに認識をいたしております。

 また、これは記者発表でもいたしておりますが、単にあっせんがあったのかなかったのかということをお尋ねしたのではなくて、業務の内容であるとか、それから採用した理由、それから採用に至る経緯などについてもお尋ねをして、それについて、具体的な日時を含めて、どなたがどういうふうにお願いをして、どういうふうに御回答があったという具体的詳細な、あっせんがないという手続の中で採用されたということについての御報告がございましたので、決して、抽象的に、あっせんがあったのかなかったのかということだけを聞いたものではございません。

柿澤委員 採用に至る経緯を詳しく詳細に調べた、こういうお話がありました。

 では、お尋ねをしますが、電力会社の社長が本人に就任を直接打診したというふうに御説明されておりますけれども、では、就任をしてほしいという要請文書は本人に対して発出をされているんでしょうか。

枝野国務大臣 二〇一〇年十二月九日、東京電力の清水社長がこの当該石田氏を東京電力にお呼びになって、そこで直接就任のお願いをしたというふうに聞いております。

柿澤委員 文書はないけれども、直接お会いをして就任のお願いをした、こういう話ですけれども、これは、要するに、当事者の主張をこういうことだということで受け入れた、こういうふうな調査にも思えるところがございます。

 枝野長官はよくわかっておられると思うんですけれども、かつてから、天下りは、すべて受け入れ先から就任要請というのを出した上で、それを受ける形で天下りが行われているんです。枝野官房長官自身、国会でかつてこう言っている。天下りという問題は、基本的には、天下りを受け入れる側が、役所におけるさまざまな経験や知見がある、だからうちに来てください、こういう大義名分、建前のもとで、天下りを事実上押しつけてきた。平成二十一年一月九日の予算委員会で、枝野さん自身がこうおっしゃっていますね。

 今回のケースは、外部の私たちの目から見れば、まさに、うちに来てください、こういう建前をつくりながら、事実上天下りを受け入れさせている、こういうことが強く推認されるケースだと思うんですけれども、枝野さんともあろう方が、どういう証拠があってこれが天下りではないと言っているのか。ぜひもう一度お尋ねをしたいと思います。

枝野国務大臣 かつて私がそう申し上げたのはそのとおりでございますし、私も一般論としてそういうふうに認識をいたしております。

 ただ、今申し上げたような経緯について、日付なども含めて、かなり詳細とまでは言わないまでも、具体的にこういうやりとりであるということ、それから、実は、東京電力とのやりとりということではそういうことでございますが、例えば、よく言われている指定ポストのような形で、特定の官庁からあるポジションに順番に同じような人たちが行ってというような経緯でも必ずしもないことなどのこともございます。

 こうした中で、確かに、あっせんがあった場合に、あった証拠を見つけるのは可能なわけですけれども、なかったという不存在証明というのは、御承知のとおり、不存在証明は実は不可能ということでございますので、どこまでをもってあっせんがなかったということの認定ができるかというのは、なかなか難しい問題でございます。

 一方で、この政権は、まさに、私だけではなくて、野党時代以来、いわゆる天下りによって、行政が役所のOBによってゆがめられるようなことがあってはならないということを申し上げてきましたし、今もそう思っておりますので、かつてであれば、役所のOBがいることで、何となく、少なくとも気分的には役所との関係でプラスに働くんではないのかなというような思いがあったのかもしれませんが、逆に、この政権においては、役所のOBがいらっしゃるということは、おかしなことがあったら疑いの目で見られるということで、かえって厳しい目で、少なくとも当該役所のOBがいらっしゃる企業等との関係については李下に冠を正さずというような対応を、もちろん、従来我々が言ってきたことの流れからしてせざるを得ませんので、ただ単に役所のOBを入れたらプラスになるんじゃないかというようなことはありませんので、そうしたことの中で、今のようなさまざまな状況等を考えると、あっせんはなかったというふうに判断をいたしました。

柿澤委員 今回のケースを認めてしまえば、同じパターンで省庁幹部の所管業界への天下りが続出してしまうんではないでしょうか。

 パネルをちょっとつくりましたので、事例に即して、一つ一つ聞いていきたいと思います。

 所管業界への天下り全面解禁と書いたんですが、全面はやめてくれというので、全面というのはやめました。

 資源エネルギー庁長官が、みずから直接請われて、退職四カ月後に所管業界のど真ん中である電力会社の顧問になる、これは認めたんだからオーケーですね。

 では、国土交通省河川局長が、今、みずから要請を受けゼネコンの顧問に再就職したら、同じパターンだったらこれはどうですか。枝野官房長官、どうですか。

枝野国務大臣 まず、これは、前政権以来かと思いますけれども、いわゆる関連業界等を含めて、今、OBの再就職について人事院の許可云々という制度はございませんので、どこかでだれかが、これはオーケーだと決めるとか、おれはオーケーでないということの仕組みになっていないということは、委員も御承知のとおりだろうというふうに思っております。

 そうした中で、役所によるあっせんというようなことでの再就職は許されないということでございますので、まさに、あっせんがあればだめだし、あっせんがないということであるならば、制度的にはオーケーでございますが、しかしながら、例えば、私自身、かつて厚生労働省の当時薬務局長と言われていたポジションの方が製薬メーカーにいわゆる天下りをした事案について、薬害エイズ問題でございますが、厳しく追及をいたしました。

 当然、当該関係する省庁のOBを受け入れていると、当該役所との関係で何か問題が生じたときに、むしろ、厳しく当該企業も糾弾をされることになるし、当該再就職をされる方も糾弾されることになるし、この政権としても、そうした目で見られるということを前提に役所のOBがいる団体との関係についてはより厳しい対応をしてまいりたいというふうに思っておりますので、そういったことが逆に行われないのではないかなと思っております。

柿澤委員 いろいろ御答弁されましたが、制度的にはオーケーでございますがというところが御答弁に当たる部分なんだと思います。

 枝野官房長官は、そろそろ記者会見ということだと思いますので、次は、公務員改革担当にお見えをいただいています。

 厚労省の医政局長が同じパターンで、今、退官四カ月後に製薬会社の顧問に就任をする、いろいろ経過を調べてみたけれども、あっせんはありませんでした、直接要請しました、こういうパターンであったとすれば、この再就職についてはいかがですか。端的にお答えください。

中野国務大臣 お答えいたします。

 今、官房長官が河川局長の件についてお答えをいたしましたが、同じケースになると思います。

柿澤委員 これで、ゼネコン顧問、製薬会社顧問、二つとも丸だということになる。

 では、総務省の総合通信基盤局長が、某社長から三顧の礼を受けました、今、退官して携帯の某メガキャリアの取締役に就任した、こういうことがあったとすれば、いかがでしょうか。せっかく蓮舫大臣来られていますので、もしよかったら。

蓮舫国務大臣 お答えいたします。

 詳細について把握をしているものではございませんが、いずれにせよ、私の所管をしているところでは、独立行政法人であるとか政府系公益法人というところに、あっせんがある、ない、どちらにもかかわらず、国民の皆様方から疑念を持たれるような、国からの権限付与並びに税金による交付金、補助金が渡ることによって、それが天下りの人事とともにセットで行うようなことがないように、人事においては透明性を確保していただきたいと各府省に強く要請をしているところでございます。

柿澤委員 では、もとに戻って中野大臣に、このケースはどうだということをお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 お答えいたします。

 いずれにいたしましても、天下りはなぜ悪いのか、あっせんはなぜ悪いのかという原点に返って考えるべきことだと思います。

 よって、制度上は先ほど官房長官がお答えしたのが原則でありますが、当然、ケースによって、それらについては倫理的に考えることもあるでしょうし、法では許されているけれども倫理的にこうだというケースもあるでありましょう。より厳しく判断をしていくという姿勢を貫くことが大切だと思います。

柿澤委員 今、いろいろ前提つきでお話をいただきましたけれども、制度上はできるというところが問題なんだと思うんです。

 結局、これはすべて丸だということになってしまうんです。こんな天下りをやすやすと認めたら、省庁幹部が在任中に退職後の天下りをねらって所管企業に何らかの便宜を図るとか、こういうことが起きてしまうおそれが極めて高いんじゃないですか。それが行政をゆがめて、ひいては非効率な税金の無駄遣いにもつながる、こういうことで、だからこそ天下りはよくないということになっているのではありませんか。こんなことを認めたら、まさに自民党政権よりも後退をした、天下りの全面解禁につながってしまう、このことを申し上げておきたいというふうに思います。

 この夏の人事で、このようなパターンの天下りが横行する可能性がある。閣議決定をして、こういう形の各省幹部の所管企業への天下りを自粛するような、そうした決定をあらかじめしておいた方がいいと思いますけれども、中野大臣、お考えはいかがですか。

中野国務大臣 再就職監視委員会、これが有効に機能するということが大事だということだと思いますし、同意人事の件についても御心配のようであります。

 現在の段階では、いろいろ、我々政権側といたしましても、法案をさきの国会で提出をしたり、時間の都合でこれが残念ながら流れたりという経緯を経ておりますけれども、この通常国会において、私どもは、公務員制度改革の四法案を提出する予定をし、今準備をしているところであります。この過程の中にあって、それらの法案を整えて、そしてあわせて、これが有効に機能するように、同意人事についても提案をする準備をしたいというふうに思っているところでございます。

 その間につきましては、やはり、任命権者であります大臣や他の政務二役が主導をして、必要な調査をし、しかるべき対応をしていくということは当然必要でございます。

柿澤委員 結局、再就職監視委員会を立ち上げていないことに問題があるわけですよ。そうであるにもかかわらず、公務員制度改革基本法の、法にのっとって、所管企業への再就職の禁止期間二年間というこの条項は撤廃をされてしまった、そのいわば抜け穴をついて、こういう形で省庁のトップが自分の所管業界に退職早々天下ってしまう、こういうことが堂々とオーケーですと言われながら行われているわけじゃないですか。こういうことが起きてしまっている。これは、法案をこれから出しますからということでは説明ができない。まさに、法定されている再就職監視委員会を立ち上げていないという、現政権の一年半余りにわたる、いわば法律違反のツケが回ってきている、こういうふうに指摘をしなければならないというふうに思います。

 ちょっと時間の関係で質問を飛ばして、天下り法人への業務見直しについてお伺いしたいと思います。

 民主党政権の基本は、天下り先になっている公益法人は原則廃止ということであると思います。一昨日、江田幹事長の質疑でも、原則廃止のはずの独法が政権交代後に六法人ふえている、どうなっているんだということを指摘させていただきました。

 さて、財団法人民間都市開発推進機構、民都機構ですが、ここは常勤役員のほとんどが建設省、国土交通省初め、官僚のOBで占められています。かつて、事業仕分けでも、常勤役員八人のうち七人が官庁OBで、天下り団体を食べさせるために仕分け対象事業が続いている、こういうことで厳しい評価を受けています。

 にもかかわらず、今年度予算で、民都機構を通して、都市開発事業への新型融資として社債購入など六百億円規模でやろうという、これは国として天下り公益法人に出す仕事をさらに大きくするもので、行政刷新会議の独法や天下り法人改革の方向性と矛盾をするものなのではありませんか。これは民間でできるものなのではありませんか。大畠大臣、また蓮舫大臣、御答弁をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 柿澤議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 きょう、この御質問をいただけるということで、私もこれは調べてまいりました。確かに、冒頭のところの話で、八人の役員のうち、今のところ国土交通省関係で四人の理事、副理事長、常務理事がおりますし、それから元金融庁の方がお一人、元大蔵省の方がお一人ということで、感覚的には多いのではないか、こういうことを私も主張してまいりました。

 同時に、業務の必要性ということでありますけれども、これは議員もお調べになったと思いますけれども、いろいろと都市の開発のプロジェクトというものを行うことについては、いわゆる長期間の資金回収というのが必要でありまして、民間の金融機関においてはなかなか行われにくい。慎重にリスク判断が行われる。いわゆるミドルリスク部分への長期資金の供給というのは、一般の民間の金融市場ではなかなか供給されない、されにくいという状況にありました。

 そういうことから都市再生特別措置法を行ってこの機構というものができたわけでありますが、いずれにしても、新たに市場を政策的に補完し、ミドルリスク部分に限って資金供給を行う業務を民都機構の業務として法的に位置づけ、経済効果の高い優良な都市開発プロジェクトを推進したいと考えているところでありますが、議員が御指摘のように、中身についてはしっかりと見直すことが必要だと私も考えております。

蓮舫国務大臣 お答えいたします。

 まず最初に、柿澤委員よくおわかりで指摘をされていると思うのですが、民主党政権になってから、独立行政法人をあえて六つふやしたわけではないということは、誤解だということはぜひ指摘をさせていただきます。

 もともと行革推進法において、国立ナショナルセンターであるとか、国立の医療系のセンター六つを、国のものではなくて独立行政法人化するということが条文で明記をされていまして、その独法化された機関がたまたま民主党が政権交代をしたところと合致をしているわけであって、あえて我々が不要な独法をふやしたわけではないということは、誤解だとぜひ指摘をさせていただきたいと思います。

 その上で、民都機構の問題意識、私は、柿澤委員の前向きな取り組みは非常に評価をさせていただきたいと思います。ただ、ここでも、もしかしたら考え方に誤解があるのかもしれないのは、事業仕分けにおいて二つ指摘をさせていただきました。

 一つは、第一弾において、この財団法人が基金を持っておりました。それで、この五つの基金を取り上げて、国への返納を求めました。これに対しては、しっかり基金は解散をして返納していただいております。

 また、事業仕分け第三弾においては、この機構を活用した港湾民間拠点施設整備事業、この事業の廃止を求めました。これは、二十三年度予算案においてはその評価どおりの結果になっています。

 ただ、御指摘いただいた、新しい事業が生まれているのではないか、それが民間でもできるのではないかという部分は、今国交大臣からの御答弁にもありましたが、不断の見直しはこれからも私どももさせていただきたいと思っています。

柿澤委員 大畠国土交通大臣が御答弁をされましたが、民間にはなじまないとか、あるいは民間にはやることが難しいとか、こういうことが理由になって独法やさまざまな関連法人の業務が拡大をしてきたというのがこれまでの歴史なんですよ。そういう意味で、この事業が本当に真に民間でできるものではないのか、こういうことを私はいささか疑問に思っているところであります。

 残された時間で、与謝野大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。

 先日の江田議員の予算委員会の質問でも、クリントン大統領時代のアメリカの財政赤字が三十兆円規模、これが五年間で黒字化をした、こういうケースを申し上げました。その当時、クリントン大統領の当時は、名目GDPが平均で五・七%、そういうことで、経済成長による税収増で増税なき財政再建が原則としては図られたということを申し上げました。

 また、小泉内閣当時のプライマリーバランス、〇三年から〇七年にかけて、プライマリー収支が二十二兆円改善をしておりますが、これも、平均の名目一%プラス成長があった、これが大きく寄与をした、こういうお話をさせていただきました。

 この小泉内閣の当時、名目成長率は、実質成長率も一貫して低くなっている。すなわち、実質成長率の伸びをデフレが相殺して、名目成長率を押し下げてきた。したがって、デフレ脱却に小泉内閣が成功していれば、財政収支はもっと劇的に改善をして黒字化していた可能性もあるわけです。この経験からも、財政収支の改善にはデフレ脱却による名目成長率の押し上げが何よりも重要と考えております。

 しかし、日本は、この間名目ゼロ成長で、断トツのびり。下から二番目は、OECD諸国ではドイツ。でも、プラス二・四%成長ですよ。ユーロ諸国の平均は四・一%。名目成長率を上げることに失敗してきたことがこの間の財政収支の悪化の最大の要因だと考えますけれども、与謝野大臣はどうお考えなりますか。

与謝野国務大臣 以前から、名目成長率を上げろ、そうすれば税収もふえるだろう、この説は一面の真理をついておりますけれども、名目成長率だけ上げるというのは、いわばインフレ率を高めるという意味でして、インフレを人工的にあるいは政策的に起こすということはほとんど不可能でございまして、本当の道はやはり日本の実質成長率を上げる、これが私は政策の本質であると思っております。

柿澤委員 かつて与謝野大臣は、名目成長率を高める政策は悪魔的政策だと言ってこられたわけです。これが現政権の経済財政の基本的な大臣の考え方だということになるわけですね。

 このパネルをごらんいただきたいと思いますが、スウェーデン国立銀行のバランスシートとCPIの関係です。黒線がリクスバンク、スウェーデン国立銀行のバランスシート、赤線がCPI。黒線と赤線は一年時間軸をずらしていますけれども、このようにグラフにしてみると明瞭なんですね。リーマン・ショックが起きた二〇〇八年九月以降、非伝統的金融政策をとってバランスシートを三倍まで膨らませたことで、CPIが上昇して、一時はマイナス一・五%まで落ち込んだデフレ状況からの脱却を果たしているわけです。

 一方、こっちは日銀です。日銀のバランスシートとCPIのグラフ。スウェーデンとは対照的に、日銀のバランスシートは、リーマン・ショックを挟んで、この間ほとんど変化していない。そして、CPIはマイナスのデフレを一貫してさまよっているわけです。

 これを見ると、マネタリーベースとCPIの関係性は私は明瞭ではないかと思いますけれども、与謝野大臣は、スウェーデン、先ほどお見せしましたけれども、いわゆる悪魔的手法で景気回復、経済回復を果たした、こういうふうにお考えですか。

与謝野国務大臣 インフレを当てにして政治をやってはいけない、インフレを当てにして財政経済政策をやってはいけない、私はそう思っておりまして、インフレを起こしますと、まじめな方々の貯蓄を目減りさせますし、一定の収入しかない方の生活をも圧迫するわけでございまして、名目成長率を上げろ上げろというのは、いわばインフレを当てにした政策でございます。そういうことは政治は目指してはいけないというふうに私は思っております。

 なお、皆様方は日銀の金融政策を当てにするところが多いわけでございますけれども、本当の経済の力というのは、日本の国際的な競争力、あるいは実質ベースでの成長ということが日本の経済の本当の力であって、ただ見かけだけの成長を求めるということは、私は政策としては間違いであると思っております。

柿澤委員 毅然と答弁をされたわけですけれども、全く拍手が出てこない。

 この二十年間、先進国の実質成長率の平均的水準から見ると、日本の実質成長率はそんなに低い水準ではないんですよ。まさに物価上昇率がマイナスのデフレを続けていることで、先ほど申し上げたように実質成長率を相殺して、ずっとマイナス成長、ゼロ成長になっているんじゃありませんか。ここを正していかない限り、やはり同じ状況がずっと続く。そして、財源不足が中長期的試算で二十三兆円、消費税を九%上げなきゃいけない、こういう試算を出さざるを得ない。これはまさにデフレを前提として、こうした低成長を前提としてこの経済の試算を行っているからではありませんか。

 このような形で幾ら財政再建を目指そうとしても、経済成長がない中で、そもそも所得のパイがふえないわけですから、これで財政再建を果たそうとしても、冒頭申し上げた、アメリカそして日本のまさに歴史的な経験からも、全くこれは夢物語になってしまうのではないかと私は思っております。

中井委員長 柿澤君、時間ですので、まとめてください。

柿澤委員 時間も来ておりますので、そろそろ質問を終わりとさせていただきたいと思いますが、与謝野大臣、最後に何か御答弁がありましたら、よろしくお願いします。

与謝野国務大臣 幾ら財政が苦しいからといって、インフレを当てにするというのは、政治としては私は間違いであると思っております。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る七日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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