衆議院

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第8号 平成23年2月8日(火曜日)

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平成二十三年二月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      石毛えい子君    稲見 哲男君

      打越あかし君    生方 幸夫君

      小川 淳也君    緒方林太郎君

      大串 博志君    加藤  学君

      金森  正君    川村秀三郎君

      吉良 州司君    郡  和子君

      佐々木隆博君   斎藤やすのり君

      城島 光力君    平  智之君

      高井 崇志君    高井 美穂君

      高邑  勉君    竹田 光明君

      津村 啓介君    道休誠一郎君

      中根 康浩君    中林美恵子君

      仲野 博子君    初鹿 明博君

      本多 平直君    三谷 光男君

      水野 智彦君    宮島 大典君

      村越 祐民君    森山 浩行君

      山口  壯君    渡部 恒三君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      金田 勝年君    小泉進次郎君

      齋藤  健君    菅原 一秀君

      棚橋 泰文君    野田  毅君

      馳   浩君    茂木 敏充君

      山本 幸三君    坂口  力君

      遠山 清彦君    笠井  亮君

      高橋千鶴子君    宮本 岳志君

      阿部 知子君    浅尾慶一郎君

      山内 康一君    下地 幹郎君

      田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   法務大臣         江田 五月君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣         松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中野 寛成君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   外務副大臣        松本 剛明君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     森山 浩行君

  小川 淳也君     平  智之君

  大串 博志君     高井 崇志君

  川村秀三郎君     道休誠一郎君

  佐々木隆博君     初鹿 明博君

  津村 啓介君     緒方林太郎君

  山口  壯君     中林美恵子君

  小里 泰弘君     茂木 敏充君

  佐田玄一郎君     加藤 勝信君

  馳   浩君     棚橋 泰文君

  遠山 清彦君     坂口  力君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     津村 啓介君

  平  智之君     小川 淳也君

  高井 崇志君     大串 博志君

  道休誠一郎君     加藤  学君

  中林美恵子君     山口  壯君

  初鹿 明博君     佐々木隆博君

  森山 浩行君     稲見 哲男君

  加藤 勝信君     伊東 良孝君

  棚橋 泰文君     馳   浩君

  茂木 敏充君     小里 泰弘君

  坂口  力君     遠山 清彦君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     斎藤やすのり君

  伊東 良孝君     佐田玄一郎君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤やすのり君    川村秀三郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 本日は、社会保障などマニフェストの財源問題等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 おはようございます。民主党の泉健太です。

 きょうは、社会保障などマニフェストの財源問題等という集中審議ということで、総理に心からの質問をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、総理、私は予算委員として、また民主党の国会議員として、この通常国会が始まって、各党の幹部の皆さん、あるいはこの予算委員会の議論というものをずっと聞いてまいりました。あえて言えば、正直言いまして、さや当てやあるいはお互いの立場を引きずった攻撃と防御、そういうやりとりの繰り返しのような側面もやはりまだまだあるのかなと思います。

 国民からすれば、正直言いまして、議論はいいけれども、結論を得るべき時期までにちゃんと結論を得てくれ、じゃないと、国民生活に影響がある。これは実は、野党が攻撃をし過ぎるからだめだとかいう話ではなくて、私は、与党も野党も本当に国民の側に立って、どんな影響があるのかということを考えながら国会審議をしなくてはいけない、このことを改めて感じます。

 そういう意味で、先日の愛知県の選挙の結果、これは各党の幹部の皆さんが、まさに既成政党の閉塞感、まあ既成政党の中でも比較的新しい政党も候補者を立てたわけですが、すべての党がある意味惨敗をしたという結果だと思います。

 ぜひ、この国会を現在振り返って、この議論を総理はどう見られているか、まずお答えいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、この予算委員会、確かにさや当てとかある程度はありますけれども、かなりしっかりした議論を野党の皆さんからもいろいろ提示いただき、政府としてもしっかり丁寧に答えていると思っております。

 その上で、今、泉議員が言われましたように、この国会の審議というのは、そういう審議を通して問題点を明らかにすると同時に、特に現在はねじれと言われる状況でありますので、与野党を含めて何らかの合意を得て、そして物事を決めていく。やはり、国会というだけではなくて、場合によってはこの十年、二十年、重要な問題がなかなか前に進まなかったということに対して国民の皆さんもいら立ちや不安を持っておられる。

 今、愛知県のことも言われましたけれども、そういったことを考えますと、やはり国会そのものが問われているという意識も与野党を含めて持ちながら、真摯に議論を続けていきたい、このように考えております。

泉委員 今真摯に議論を続けていきたいという言葉がありました。ぜひとも、その真摯な委員会の審議を政府の側にも私は要求をさせていただきたいというふうに思います。

 こうして国会議員を続けていますと、お一人お一人の議員の方というのは、これは与野党を超えて本当にいい方がたくさんおられるということを私は実感しております。有能な方も本当に多いというふうに思います。一方で、党の衣を着ると、途端に立場を前提とした発言に変わってしまう、なかなか折り合いがつかない、過去にとらわれてしまう、こういうことがやはり多いのではないかと私は思います。

 そういう意味で、特に、今ねじれ国会ですね、ねじれ国会。衆議院で民主党が与党をとっているわけです、多数をとっているわけですが、一方で、参議院では、これは自民党を中心とした野党が多数をとっている。ある意味、両方それぞれ民意を得て、多数を持っているわけですね。そういう意味では、双方が今同じぐらいの責任を持ってこの国会審議に臨んでいる、私はそういう状態だというふうに思います。

 そういう意味では、先ほど申しました、議論はいいけれども、しっかりと決めるべきときには結論を出して、そして国民の生活に影響が出ないようにする、こういうことをぜひとも与野党を通じて考えていかなくてはいけないというふうに私は思っております。

 かつて、あえて申せば、例えばガソリン国会、議長あっせんというものが当時はありましたけれども、ある種、それは前提条件が変わったということで無実化をしたということもありました。あるいは、国会質問の中でさまざま政権に対して打撃を与える、そういう手法もかつてはありました。しかし、もうそういうことを本当に乗り越えなければいけないというふうに思うわけです。

 しかし、残念ながら、これは、今、民主党側から国会改革を呼びかけても、私は、なかなか野党はすんなりうんと言えるような、そういうものではないと思います。やはり真剣にまずは過去のことをしっかりと総括、反省をしながら、国会運営について本当にルールをつくりたいということであれば、私は、野党の側からの提案をまず受けていただきたい。与党の側が今の段階で国会改革を呼びかけるというよりかは、やはり野党の側が、まず野党としてお考えになられることをすべてお出しをいただいて、それをしっかりと政府また国会が真摯に受けとめるべきだというふうに思います。

 もちろん、国会は国会のルールでありますけれども、総理、私はそういう新しい国会のルールづくりということについてはぜひ与野党を超えて取り組むべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 私は、泉議員より多少古くから国会にいる関係で、古く言いますと、たしか一九八九年、参議院で与野党が逆転をいたしました。その後も何度か与野党逆転がありまして、私が特に思い出すのは、たしか一九九八年ですか、小渕内閣のときの金融国会の折も、これは私たちが野党という立場で、参議院で野党を合わせると過半数を超えておりました。そういった意味で、この何年間かは、政権交代も起きましたし、ねじれという状況も何度か繰り返して経験をいたしたわけであります。

 そういう意味で、今おっしゃるように、まずは野党の皆さんの要望をというのは、私もそのとおりだと思います。少なくとも、さきの臨時国会においては、できる限り野党の皆さんの要望というか要求に応じて、国会運営についてそういう姿勢で臨んだつもりであります。

 と同時に、この国会で少し私たちの方からも提案を申し上げたのは、そういった積み重ねをお互いがしてきたという中で、そろそろ、どちらが与党、野党になっても、共通の一つのあり方をもう少し進めてもいいんではないだろうかと。

 率直に申し上げて、海外になかなか閣僚が出にくい、これは私たちも野党時代のことを反省しなきゃいけません。または、熟議ということを進めるためにも、できればもう少し準備期間を答弁の方もいただけないか、これも私たちも反省しなきゃいけないところもあります。

 そういった意味で、そろそろ共通の土俵をつくることができないかということで、さきに岡田幹事長の方からの提案をさせていただいた、それも御理解をいただければと思っています。

泉委員 ぜひ、そういった新しい国会のルールづくり、これを野党、与党を超えてするべきだと私は思います。

 ただ、きょうもこれからいろいろな各党の質疑があると思うんですけれども、私は、恐らくいろいろな野党の皆さんの質問もあると思いますが、今までの議論を聞いていますと、例えば社会保障あるいは年金、これは、政府、案を出せ、案を出せ、こういう御主張が多いと思いますね。しかし、予算、これはもう案が出ているわけですね。案が出ているのであれば、なおのこと、本当に真剣に与野党は協議をしていかなくてはいけない、そういうふうに思います。いつまでも反対、反対ということでは、これはあってはならないことだというふうに思います。

 そういった意味で、今、予算あるいは予算関連法案、日切れ法案、これは成立が非常に危ういというふうにも言われております。

 きょう、ちょっとパネルを持ってまいりました。いわゆる、予算が期日までに成立をしなければ、あるいは予算関連法案が成立をしなければ、どんな影響が国民生活にあるのかということをきょう改めて挙げさせていただきました。これは読売新聞からの出典であります。

 まず、主要なものですけれども、上からいけば、特例公債法案、これが三十八兆円なわけですけれども、この特例公債法が成立をしなければ、国債が安定的に供給をされないということで、金利の上昇、日本の信頼の失墜にもかかわるという問題ですね。

 子ども手当は後ほど扱いますけれども、税制改正関連法案、これはまさに経済界が国際競争のためにも必要だと言っている法人税の五%減税というものもあります。そして、中小企業の税制だって、やはり優遇がある。そういったものをしっかりと考えていかなくちゃいけない。

 関税暫定措置、これは牛肉グラム十一円、税金が上がってしまうということ、チーズ等々含めて。これはもう毎年言われていることであります。

 さまざまな税金の優遇措置がなくなってしまう。

 そして、実は現場で大きいのは学校。小学校一年生、三十五人学級がようやく今回できるんだということで多くの皆さんに喜んでいただいているわけです。そして、今現在何が起こっているかというと、学級編制をずっと進めている状況なんですね。各学校で先生を確保して、新しい三十五人学級に合わせてクラス編制をしていく、こういう状況にあるわけですが、この法案が通らなければ、クラス編制を場合によってはもとに戻さなきゃいけないかもしれない、あるいは一度採用した先生、働くクラスがなくなってしまうかもしれない、こういう混乱がまず起きます。

 そしてさらには、ではということで、年度を明けてこの法案が仮に通ったとしたら、今度はそこから編制をまたかけなきゃいけないかもしれない。そうすると、新しい先生の確保はできるのかという話になってくるわけですね。やはり、しかるべき時期に先生を採用しなければなかなか新しい先生の確保はできない。都市部であれば先生はいても、地方、僻地、そう簡単に先生が採用できるわけではないんですね。こういうことをしっかりと我々は考えて、まさに今こうしていろいろ御意見が出ています。与党と野党が一緒になって最終的な案をまとめていかなくてはいけない、私はそう思います。

 国民年金にしても、基礎年金の国庫負担割合五〇%、これは果たせなければ当然大きな影響があります。そのほかにもさまざま、地方に対する交付金だとか、そういったものがすべて滞ってしまう可能性がある。これはやはり地方の財政にも大きな影響を与えるわけです。

 そのほかにも、農林漁業の、いわゆるA重油と言われる、今農業も厳しい中であるいは漁業も厳しい中で、重油の金額が変わってしまうかもしれない。さまざまなそういう影響があるわけです。

 私は、こういうものを見たときに、やはり政府は、今まで、予算の成立というものを政府の実績あるいは与党の実績というふうにとらえてきた面があるのではないのかなと思うんです。しかし、私は、もうそういう認識はやめていただきたい、変えるべきではないかと思います。

 こういうねじれ国会、参議院と衆議院、与野党、それぞれ多数をとっているという状況の中でいけば、私は、この二十三年度予算というのは、与党と野党の共同の成果物なんだ、与党と野党の共同の成果物としてこの予算が恐らく国民の皆さんに提供されるんだというふうに理解をしています。それがもし年度をまたいでも提供されないということであれば、これはやはり国会に責任があるというふうに言わざるを得ないと思います。総理、いかがお考えですか。

菅内閣総理大臣 私も、このねじれという状況の中では、今、泉議員が言われたように、国会として、予算さらには予算関連法案、いずれにしても、予算は衆議院の優位はありますけれども、関連法案に関しては衆議院、参議院での成立が必要でありますので、そういう意味では、ともに、まあ全く同じだけの責任という言い方がいいのか悪いのかわかりませんが、少なくとも、ともに責任を分かち合っている。その分かち合う度合いが、衆参とも一つの党が、あるいは一つの連立政権が多数を占めているときとは全く違った意味で、与野党がともにある意味での責任を分かち合っているというのは、そのとおりだと思っております。

 その上で、今お示しをいただいた大変重要な幾つかの項目について、私たちも、この予算委員会でまさにしっかりと議論していきたいと思っておりますので、そういう中で、ぜひ野党の皆さんにも御理解をいただきたいし、場合によれば、それでは、どういう形であるならば合意ができるのか、そういう形の議論に進んでいくことを期待いたしております。

泉委員 ありがとうございます。

 そして今、ここでお話しさせていただいた子ども手当、厚生労働大臣、私はこれは本当に心配をしています。新たに給付を受けることになった中学生、これだけでも四百万人ということになっております。やはりこれまでの児童手当にも私はよさはあったと思うんですね。これまでの児童手当にもよさはありました。それが子ども手当という形になって、今は両方の制度がくるまった形になっています。

 それはそれとして、国民の側から見れば、やはり一定ずっと給付が続いてきているという状態はあるわけですね。国民の立場に立ってみれば、どっちの制度であれ、やはり給付というものは基本的に継続をしてもらわなきゃ困る、私は、今こういう国民の考えはあると思います。

 そういう中で、今この子ども手当法案が通らなければどうなってしまうのか、その現状を教えていただけますか。

小宮山副大臣 仮に子ども手当法案が成立をいたしませんと、これは児童手当法案に戻ることになります。しかし、この場合、例えば今御指摘がありましたように、中学生には支給ができないなど、減額をされたり廃止をされたり、これまでお支払いをしてきた子ども手当よりも減ることになります。そして、多くの市町村で、ほとんどの市町村で、子ども手当のシステムに電算システムをかえておりますので、これはそのシステムが間に合わなくて六月に支払いができないということになってしまいます。

 また、昨年の国会審議で御審議をいただいた多くの点を可能な限り今回の法案では改善をしております。施設の子供に手当を支給するとか、国内居住要件、あるいは、地方から御要望の多かった給食費や保育料の徴収なども、これが成立しないとできなくなってしまいます。

 厚生労働省といたしましても、丁寧に御説明をし、建設的な議論ができるように努めてまいりますので、ぜひ皆さんの御理解をいただきたいと思います。

泉委員 今ほどお話がありましたが、随分と、前回の子ども手当の議論のときに論点となった外国居住の子供の件、これについては改善をした。あるいは、施設で暮らす子供たち、そして別居中の子供、そういうことについても、同居の親に、子供に支給が行くようになった。そして、給食費あるいは保育料の天引きということについてもやったということですね。厚生労働大臣、どうぞ。

細川国務大臣 この二十二年度の子ども手当法案、このときに大変な議論が起こった、何点かございます。

 一つは、外国に居住する子供にその手当が行くんだ、これに対しては本当に厳しい意見がありました。今度の法案では、外国に居住する子供には支給しないという国内要件を定めたところでございます。ただ、留学中は例外といたしております。

 さらに、地方の皆さんと協議をしたときに物すごく要求があったことがございます。それは、保育料とかあるいは給食費、こういうものの未納の方がたくさんおられるんだ、これを何とか子ども手当で徴収できるような、そういう仕組みを考えてくれ、これが強い要求でございました。したがって、今度の、保育料については強制的に徴収、そして、給食費などについては親の同意を得て納付をすることができる、こういう仕組みも入れたということであります。

 もう一つ、先ほど話がありました、施設に入っているお子さんについても、これもしっかり子ども手当を支給するということを今度この法案には取り入れているところでございます。

泉委員 ありがとうございます。今そういう改善はあったということですね。

 これもよく議論になっておりますけれども、昨年の十二月二十一日、国の方針を受けて、そういった、今大臣がおっしゃられた改善点については評価をしたいというような地方六団体の共同声明というものもありました。

 私は、今現在の子ども手当の姿、これがマニフェストでお示しをしていたものの、完璧なものではないというふうに思っております。今それを段階的にマニフェストで訴えてきたことに近づけているその最中、さなかだというふうに思っておりますが、とにもかくにも、国民の側から見れば、給付が次は六月、これがもし来ないというのは物すごい影響なんです。それは、どうか与党、野党を超えて、政府の責任だという野党のやじがあるのであればしっかりとその野党の声を受け入れていただいて、しかし、現実可能な案というものにしなきゃいけない。

 今、小宮山副大臣からお話がありましたけれども、残念ながら、児童手当に戻ってしまっても、所得の把握が今全くできないという状況では六月の支給ができない。これが、人間の固まりである行政が一生懸命仕事をしても、そういう現実が目の前にあるということ。だからこそ、国民のことを考えて、政府にはぜひとも今後とも御努力をいただきたいというふうに思います。

 私は、この子ども手当、よくばらまきだ云々というお話がありますけれども、よく冷静に改めてどれぐらいの給付があるのかということを考えてみたいなと思うんですね。

 これは、「子ども手当の実質手取り額の試算」というものを持ってこさせていただきました。

 私たちは、控除が下がる、控除が廃止になることと子ども手当、トータルで手取りがどうなるかということを常々考えてきました。

 例えば、平成二十三年度、これは一万三千円の場合ということになります、まだ二万円の増額にしていないときの表で恐縮なんですけれども、例えば、ずっと黄色で色をつけているところがありますけれども、すべての所得のところとその合計金額というところを見ていただきたいと思うんですね。要は、所得が少ない家庭であるほど給付の額が大きい、そういう状況になっています。済みません、給付の額は一緒なんですが、手取りの額でいうと所得の少ない家庭ほど大きくなっている。

 例えば、二十三年度でいえば、三百万世帯で三歳未満、一・一万円、それが五百万世帯では一万円、八百万世帯では七千円、一千万世帯では七千円、そして一千五百万円世帯では三千円という形で、全体のトータル、手取りということでいけば、しっかりと段階になっている。

 やはり、控除から手当へというのはそういうことを指しているわけですね。できる限り所得の低い大変な生活の方々に手厚くしたい、控除がなかった方々にも手当という形で行き渡るようにしたい。そして、高額所得者の方は、実は控除で引かれるので、毎月の手取り額はそうは多くないんだということがこの姿なんですね。

 今、二十三年度のパネルをお見せいたしました。さらに、二十四年度に入ります。

 二十四年度に入りますと、今度は、年少扶養控除の廃止、これは住民税にも影響してくるわけですね。見てください、とうとう、千五百万の年収の方は、申しわけないかもしれないんですが、子ども手当が給付をされても、所得税の控除の分のマイナス、そして住民税の方のマイナス、実質的には、一千五百万円世帯は、控除も含めると事実上手当がないという状態になる。

 申しわけないんですけれども、それぐらいをしながら、子ども手当というのは子供に対するお金だから差はつけないけれども、しかし、所得に応じて家庭に対してはしっかりと、高所得者からはお金をいただいて低所得者には手厚くしますよ、こういう制度設計でずっと進んでいる。これが今の子ども手当の設計なんですね。

 ですから、ぜひとも私は、野党の皆様にもお願いをさせていただきたいのは、野党の皆様が所得制限のことを常におっしゃられるわけです。私は、その趣旨もよくわかります、その思いもよくわかります。しかしながら、それはいろいろな表現の仕方があって、トータルで、控除も含めて手取りという形で見た場合にはその趣旨はしっかりと果たすことができるんだというふうに私は思っております。どうか、そういう意味で与党、野党を超えて真摯な議論、そして、決して子ども手当が、あるいはそういった給付が途切れることがないように、このことを改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、続いてもう一つ、子ども・子育て支援ということについてであります。

 今、保育制度改革というものが進んでいますけれども、この子ども・子育て新システム、保育制度改革と幼保一体化というものが進んでいると言われています。総理、今このシステム、これが何を目指そうとしているのか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 一言。先ほどの二つの表は大変わかりやすくて、確かに、高い所得の方は、控除がなくなることによって所得税が少しふえることで、事実上、高い所得の方には、ネットでいえば、これでいうとゼロになっている。つまりは、高い所得の人には払わないというその所得制限を結果としては入れたのと同じようになって、逆に所得の低い人たちには手厚い子ども手当になっている。この点は、非常にわかりやすく説明をいただいたことを私もお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、子ども・子育て新システムについて、これは特に子育て世代あるいは子育てということ自体を、基本的にはこれまでは個人個人の家庭とか親が責任を持ってきたわけでありますけれども、やはりしっかり子供、子育てを社会としても支えていこう、こういう考え方が基本でありまして、いわゆるチルドレンファースト、子供が主人公という理念に基づいて、社会全体で子供、子育てを応援するシステムを考えております。

 具体的には、生涯にわたる人格形成の基礎である質の高い幼児教育、保育の一体的提供、いわゆる幼保一体化というものを一つ目標とし、また、特に都市部において深刻な待機児童の解消を図るということにいたしております。待機児童については、この子ども・子育て新システムがスタートする前にもより急いでやらなければいけないということで、今私のもとに、これの前でもスタートできるということで特命チームをつくって、来年度予算には二百億円特につけたことも補足しておきたいと思います。

泉委員 もう余り時間がありませんけれども、今問題となっているのは、例えば応諾義務、あるいは権利保障、あるいは利用保障ですね、あるいは公定価格、こういったものが、幼稚園と保育所が一体となる中で、しっかりと子供たちが安心して過ごせるような環境、また施設に入れるような環境ということをぜひとも取り組んでいかなくてはいけないというふうに思っておりますので、政府にはその御努力をお願いしたいと思います。

 そして、さらに次の質問に移りますけれども、私は、今この子育て関連については、やはりまだ国民は多くの不安を持っていると思います。そういった意味で、ぜひ確認をさせていただきたいのは、財務大臣、この社会保障と税の一体改革、その中にこの子育て支援が入るのか入らないのか、やはりその点、端的にお答えをいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 端的にお答えをしたいと思います。

 今回の税と社会保障の一体改革においては、子育て支援についても検討対象となっているものと認識をしています。

泉委員 私は、この子ども・子育て新システムを今策定するに当たって、やはりそこに求められているのは財源の確保だというふうに思っております。ぜひとも、検討対象ということではなくて、さらに明確に位置づけをするということをお願いしたいと思います。

 そして最後に、年金の問題を一点だけ。

 今、国会審議の中で、年金の一元化に番号制が必須とした上でその実現の困難性というものも一方では言われているわけですけれども、この年金の一元化を政権として今どう考えているのかということは、大変国民は関心をお持ちだと思います。玄葉大臣、そのことについて一言お願いいたします。

玄葉国務大臣 結論から申し上げれば、一元化という議論はあきらめておりませんし、生きております。

 それは、今働き方が多様化をしています。非正規労働もふえています。雇用も流動化をしています。したがって、この一元化という考え方は非常に大切な考え方だと。ただ、御存じのように時間がかかるし、ある意味ハードルが高いのも事実でございます。したがって、民主党の考え方を今後ベースにしながらも、さまざまな選択肢をこの社会保障制度の検討についてはしっかり考えていきたい、そう考えております。

泉委員 ぜひ与党と野党共同でいい予算というものを仕上げていただきたいということを改めて私はお願いさせていただきたいと思います。

中井委員長 泉君、時間が来ていますから。

泉委員 もはやこの国会は、与党、野党共同責任だというふうに思っております。どうか真摯な政府の対応をお願いさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 田中康夫です。

 古今東西、増税で景気浮揚した国家はどこにも存在しません。増税よりも増収をもたらすのが政治家の使命であります。これは一月二十七日、衆議院本会議の代表質問で私が申し上げたとおりであります。このとき、与野党問わず、期せずして議場で拍手がわきまして、民主党席も大半の方が賛同され、逆に私の方が驚くところでありました。

 すなわち、古今東西、税金は高いよりも低い方がうれしいわけです。だから、スイスのプライベートバンクにお金持ちが口座を開設し、カリブ海のケイマン諸島に大企業がペーパーカンパニーの現地法人を設立して財テクする動きがいまだになくなりません。

 しかも、民主党はマニフェストで、国家総予算二百七兆円の全面的組み替えと、徹底した無駄削減で新規政策の財源を捻出し、消費税率を引き上げないと約束して政権交代をなし遂げたわけです。与党統一会派の国民新党・新党日本も、その大前提のもとに連立政権を組んだわけです。

 ところが、菅直人さんは先週末、官邸で開かれた会議で、国民の理解は高まっているとおっしゃいました。すなわち、社会保障を見直すには増税が必要だという趣旨での御発言です。仙谷由人さんに至っては、同じ場で、給付を受けるよりも税を負担する方が幸せと考える社会をと発言する始末であります。これはちょっと待っていただきたい。欲しがりません勝つまではみたいな、いつか来た道な精神論になってしまうわけでして、これではほとんど説教強盗でございます。

 仮に、鋭い認識なのは政府の側だとすると、では、私の発言に拍手をしてくださった国会の側は鈍い、あるいは疎いのでしょうか。そんなはずもありません。国民に約束したことをやろうとしないで消費税率の税率を語るのは、まさに労使のベア交渉のような本末転倒でございます。この点は、一月二十一日の、官邸で開かれた政府・与党社会保障改革検討会議でも申し上げたところです。

 ところで菅さん、法人税を一円も払っていない企業はどのくらいの割合に上るか、御存じでしょうか。お答えください。

野田国務大臣 全体の七割でございます。

田中(康)委員 法人の七割が法人税を払っていないということですね。すなわち、七一・五%、七割を超える企業が法人税を払っておりません。これは中小の零細企業に限った話なのではないわけです。資本金が一億円を超える企業でも、過半数の五一・五%が一円も法人税を支払っていません。これは連結決算対象の総法人数を除いての数値ですから、現実には、日本経団連や経済同友会に加盟上場企業の約六割もが法人税を払っていないということです。

 この国会中継をテレビやラジオあるいはインターネットでお聞きの皆さんは、本当かとキツネにつままれているかと思います。具体的事例で、私の経験でお話ししたいと思います。

 私が知事を務めていた信州の諏訪湖のほとりに、コンピューターのプリンターで有数のシェアを誇る企業が本社を構えておりました。もともとはクオーツ腕時計で世界的に知られたメーカーで、資本金が五百億円、売上高が一兆円を超える企業です。

 今お話ししていることは、一企業の事例ではなく、ほとんどの企業に該当するということです。

 この会社は、私が知事に就任した翌年に赤字転落をいたしました。表向きはITバブルがはじけたのが原因と言われましたが、実際には、債務超過が続く電気機器メーカーを計画的に買収し、親会社となられたわけです。これが理由です。

 連結決算に組み入れますから、一時的に本体も赤字になります。その結果、どういう事態が生じたかと申しますと、まさに皆様が御存じのこの一兆円の売上高の企業は、法人税がゼロ、法人事業税がゼロとなったわけです。住民税に当たります法人県民税を法律の規定に基づきわずか年間八十万円お支払いになっただけであります。ある意味では、財政が極めて困難な県政を運営する中で大変に私も苦慮をいたしました。

 このような事例は全国で、まさに大きな企業がジェットコースターのような法人税のぐあいになっている。その間も、こうした企業が著名な方を起用してテレビCMを膨大に流しているわけでございます。しかも、一回赤字に、欠損になりますと、最大七年間、法人税の支払いを免除されるわけです。これは、公的資金を注入された都市銀行、メガバンクが十年以上にわたって法人税を支払っていないのと同じであります。

 しかし、住民税に当たる法人県民税が年間八十万円というのは、これは私や皆さんが納めている住民税よりも低い額ということになるわけですから、ある意味では、同時に、この間、納税していない間も、国道や県道といった社会的共通資本を無料で使ってトラックで製品や部品を運搬しているわけでございますから、こうした矛盾がなぜ生じるのか。

 この理不尽な状況というのは、これはやはり法人税が利益に関して課税する仕組みだからであります。

 しかし、今、国民の側は、支出に対して課税をされているわけです、消費税という形で。とするならば、税は広く、薄く、公正に負担をしていただくという原則にのっとり、利益でなく支出に課税する法人税の外形標準化というものを速やかに導入すべきと私は以前から唱えておりますが、この点に関して、社会保障・税一体改革担当大臣の与謝野馨さんにお聞きいたします。

与謝野国務大臣 先生の御質問は、社会保障と税の一体改革に向け、法人税について、法人の支出を課税ベースとする法人税の外形標準課税、キャッシュフロー税制を導入すべきではないか、そういう御質問と承りましたけれども、法人は、法人の活動から生み出される利益、すなわち所得に着目して課税を行っており、諸外国においても法人の所得に課税するのが一般的であると承知をしております。

田中(康)委員 しかし、国民に理解される、(パネルを示す)フェア、公正で、オープン、透明で、そしてシンプル、簡素な税制というものが必要であろうと思います。五原則を記しております。今申し上げているのは四番目の、企業の利益ではなく支出に課税をする外形標準化であります。

 諸外国ではという言い方をしますが、まさに日本は、超少子超高齢社会で、歴史に類を見ない中に真っ先に入っていくわけですから、日本の物づくり産業も、ファーストワン、オンリーワンであるからこそ世界で評価された。とするならば、この点を、ぜひ、今のような後ろ向きでない形で、あるいはメモをごらんになりながらの御発言でなく、社会保障と税の一体化のプロフェッショナルでありますから、私は、英断をしていただきたいと。

 でありませんと、税金も支払わぬまま、資本の論理で際限なく企業買収を繰り広げていくということが許されるということであります。これは、逆に、規模を広げずに、顧客を大切に、身の丈を守って黒字経営をするしにせは律儀に税金を払い続けるという形になってしまいます。

 ところで、菅さん、最初は、税と社会保障の一体改革という言葉を御使用であったかと思います。ところが、いつの間にか、社会保障と税の一体改革と、順番が逆になってしまったわけです。これは、皆さん社会保障を充実してほしいでしょう、ならば、まず税の負担をふやしましょうということでは、先ほど申し上げた説教強盗や朝三暮四の欺瞞になってしまいます。ここに記したように、フェアでなくてはならない。

 既に二年前の段階で、最低賃金が生活保護を下回る逆転現象が全国で十二都道府県、すなわち、四県に一県は生活保護の方が最低賃金よりもよろしい。

 現実問題、夫婦と子供一人の三人の生活保護世帯は月額二十四万円の支給です。二十代の単身者も月額十四万円支給されております。しかも、医療費は全額無料で、住民税等の税金はすべて無税ということです。

 障害があって同じスタートラインに立つことが困難な方、こうした方を支援するのは当然です。しかし、その陰に隠れて、先ほどの法人税同様、ここでも、働く者食うべからず、働かざる者食わせますという不条理が横行しては、国民は政治を信用するようになりません。現実に、生活保護世帯は今百四十万世帯でして、生活保護受給者は二百万人ですから、政令指定都市が丸々二つ分生活保護者であるという形であります。そして、最低賃金よりも高いということです。

 ですから、私は以前から、北欧で取り組みが進められているベーシックインカムのようなもの、すなわち、生まれたばかりの赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで分け隔てなく、世帯単位でなく個人単位で毎月一定額の基本所得をお渡しする、こうした制度を導入すべきだと申しております。これはまた追って議論させていただきたいと思いますが、こちらに記しましたように、増税ありきの複数案提示では、労使のベア交渉と同じ隘路でございます。

 それで、インボイスを書きました。これは、日本の消費税は、唯一、先進国の中で消費税ではない。

 インボイスというのは、例えば、素材を買った企業が部品をつくって、そして大手の企業に納めるというときに、かかった費用プラス消費税分五%をきちんとつけて納める、これは伝票があればできることです。しかし、力関係において小さな会社は、その消費税分をきちんと明記して納められないという形になれば、これは損税になります。そして、最終財メーカーは大手でありますから、その消費税分をきちんと上乗せしていれば、これは損税ならぬ益税になってしまいます。ですから、日本の消費税というものにまずインボイスを導入することは不可欠であります。

 同時に、与謝野さんや菅さんは、中福祉・中負担というイギリス型を目指されているというふうに私は思います。しかし、イギリスの消費税というものは付加価値税でございます。

 イギリスにおいては、医療や教育や福祉や金融、保険というものは、消費税はゼロであります、非課税であります。あるいは食料品というようなもの、あるいは公共交通や書籍や住宅建築もゼロでございます。そして、軽減税率の五%というものがございまして、これが電気やガス、あるいはきめ細かいのは女性の生理用品といったようなもの。そのほかが一七・五ですから、これは、全部ならしますと、既に試算が各機関から出ているように一〇%弱であります。

 与謝野さんは、プライマリーバランスを黒としていくという中においては、日本はさらに八から九%の消費税の引き上げという御趣旨の発言をされていると思います。すると、これは、まさに一三から一四でございますから、中負担・中福祉のイギリスよりも高い。そして、中負担・中福祉でございますということになれば、これはすなわち、政権交代前に私どもが申し上げていたように、行政のシステムや執行の中に無駄があるのではないかということであります。この部分を隠したまま今のような議論をされてはならないと私は思います。

 最後に、昨日、北方領土返還要求全国大会であいさつに立った前原誠司さんにお聞きします。

 前原さんは、返還させるため政治生命をかけると明言されました。しかも、できる限り早くとおっしゃいました。すなわち、外交問題を所掌する外務大臣在任中にこれは実現するという意味であられようと思います。それが政治生命という言葉の重みであります。

 残された任期中に実現するという覚悟を、口さがない方々がおっしゃる、口先番長などと言われぬためにも、ぜひこの場で宣言をいただきたい、このことを思います。お願いいたします。

前原国務大臣 きのう北方領土返還運動の全国大会で申し上げましたけれども、私が政治家を志した一つの原点が、この北方領土の問題でありました。松下政経塾にいるときに末次一郎先生にもいろいろと教えていただき、この問題を解決しなければ戦後は終わらないということを私も強く思いまして、政治家になった一つのきっかけがこの問題でありました。政治家として、この問題の解決に努力をしていきたいという思いを述べたものでございます。

中井委員長 田中君、時間ぎりぎりですから。

田中(康)委員 でも、政治生命をかけるということは、通常、その職にあるときに行うということであります。今のお話ですと、生涯、御臨終なさるまでに政治生命ということになれば、これはやはり政治の不信になります。

 今こちらに掲げたインボイスの導入、付加価値税への転換、納税者番号、これは既に起きております。そして、外形標準化、あるいは給与所得者にも、納税をするということの大切さ、政治への関心を持っていただくために、一たん得た収入を、確定申告をすべての人間が行うことで、税というものがフェア、オープン、シンプルでなければならないということが理解できようかと思います。この五原則をぜひともこの政権において実現するため……

中井委員長 田中君、時間を超過しております。

田中(康)委員 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、茂木敏充君。

茂木委員 自由民主党の茂木敏充です。

 平成二十三年度の予算、そして民主党のマニフェストについて質問をさせていただきたいと思います。

 政府の経済財政の中期試算によりますと、二〇二〇年度には、公債の残高、名目成長率が三%以上の成長シナリオでも一九三%、名目成長率が一・五%程度の慎重シナリオでいいますと二二〇%を超える、こんなふうに試算をされております。慎重シナリオでは、二〇年度には政策財源が二十三兆円不足していく、消費税にすると九%を超える、こういう大きな額であります。

 そこで、国債の発行についてまずお聞きをしたいと思います。

 民主党政権になって、平成二十二年度、二十三年度と連続で四十四兆円を超える過去最大の国債を発行しております。四十四兆円、これは総理の指示ですから、なぜだか端的にお答えください。総理の指示ですから、総理がお答えください。(菅内閣総理大臣「何を答えるの」と呼ぶ)二十二年度、二十三年度と連続して国債の発行が四十四兆円、過去最大となっております。この理由がなぜか、これをお答えください。

菅内閣総理大臣 御承知のように、政権交代一年半前の時点、リーマン・ショックのまさに直後というか渦中でありまして、一方では税収が非常に下がった中で、一方では景気に対しては一定程度刺激的な政策を維持しなければならない。しかし、さらに言えば、今御指摘もあったように、日本の財政の健全性というものはかなり厳しいところにある。そういうところを考えて、来年度予算に関しては、昨年の政権運営戦略の中で、一般的な歳出については七十一兆円以内、そして国債については約四十四兆円以内という、そういうことをあらかじめお約束いたしましたが、そういうぎりぎりの中で組ませていただきました。

 御指摘のとおり、決して税収よりも国債が多いということが普通の姿とは思っておりませんが、今の経済の情勢を考えますと、ぎりぎりのところ、健全性と同時に成長、雇用の拡大に向けていくためにこうすることが必要だった、このように考えております。

茂木委員 何をおっしゃっているのか全くわかりません。お答えの中で唯一あったのは、税収が不足した、こういうことだと思うんですけれども、図の一をごらんください。

 確かに、平成二十一年から二十二年にかけまして税収は九兆円落ち込んでおります。しかし、公債の発行、これは十一兆円ふえているんですよ。プラス二兆円ですよ。そして、二十二年から二十三年、税収の方は四兆円上がっているんですけれども、国債の発行額は一緒じゃないですか。六兆円違いますよ。どうなっているんですか。

野田国務大臣 いわゆる税収よりも新規の国債発行が多くならざるを得ないという事態は、委員も御指摘のとおり、決算ベースでは平成二十一年度から出てまいりました。その後、必死に努力をしながら、その差を埋めるべく努力をさせていただき、平成二十二年度では七兆差、そして平成二十三年度は三兆差まで縮めてきていますけれども、その要因というのは、やはり国債がずっと蓄積をされてきたことによる国債費がふえること、あるいはやはり社会保障の自然増等で兆単位でふえざるを得ないという形になっています。

茂木委員 総理も財務大臣も財政の基本のことが全くおわかりになっていないんじゃないかな、答弁を聞いてそんなふうに思いますけれども。何の財源が確保できて、何の財源が確保できていないのか、全く今の答弁じゃわかりません。もう少し具体的に聞いていきますね。

 まず、平成二十三年度の予算案では、一部マニフェストの施策も含む元気な日本復活特別枠、二兆一千億円だと思いますが、つくっております。その財源の一部として、事業仕分けの反映等による予算要求後の歳出削減一兆円が充てられる、こういうふうになっておりますけれども、この歳出削減一兆円の内訳はどうなっていますか。総理がお答えになれなきゃ財務大臣でも結構です。

野田国務大臣 事業仕分けでたしか〇・三兆だったというふうに思います。そのほか……(茂木委員「資料の四ページですよ」と呼ぶ)資料の四ページ。(茂木委員「財務省の資料の四ページ。財務省の資料を持ってきてあげたら。四ページに出ているから」と呼ぶ)ちょっと待ってください。

茂木委員 お時間がないようなので私の方から申し上げます。

 一兆円の内訳、確かに三千億は無駄の削減なんですよ。ところが、残りの七千億、これは無駄の削減とは全く関係なくて、国の地方交付税負担金、これが減っているんです。つまり、地方税収がふえたために、交付税特会の方から国に入れるんですけれども、地方に行く分が七千億浮いている。これを全体で無駄の削減と言っているわけですよ。明らかに水増しじゃないですか、それは。水増しでしょう。事業仕分け等による無駄の削減一兆円と言いながら、無駄の削減は三千億、そして七千億は、何にも政府は努力していないけれども、たまたま浮いた額が七千億、こういうことじゃないですか。

 もう一つ聞かせていただきます。

 ちょっと図の二をごらんください。これは、去年、平成二十二年度のマニフェスト工程表の主要事項の財源確保という財務省の資料であります。

 平成二十二年は、財源確保の内訳が、一つが、公益法人等の基金の返納、これが一兆円。そして二番目に、要求段階からの歳出の削減が一兆円。そして三番目に、要求段階での削減が一・三兆円。非常に大きく書かれているんですよ。ところが、二十三年のものを見ると、財源確保については、パネルにできないぐらい小さく、脚注に書かれているだけなんですよ。脚注にどう書かれているかというと、二十二年度実施分の財源三・一兆円は歳出削減等により確保、二十三年度拡充分〇・六兆円は歳出削減〇・四兆円及び税制改正〇・二兆円により確保、こういうふうに書かれているんです。

 ここで問題になりますのは、一番上の、一年限りの公益法人等の基金の返納です。平成二十二年は確かに一兆円ありました。ところが、平成二十三年は二千億を切っているんですよ。そうすると、財源の捻出が三・三兆でなくて三・一兆であっても、六千億円穴があきます。この六千億円をどう埋めているんですか。

野田国務大臣 平年度ベースでいくと、年少扶養控除の平年度化で六千億が埋まるということです。

茂木委員 後ろからきちんと答えていただいたようで。

 つまり、扶養控除の廃止なんですよ。家計への増税を、家計へのばらまきの財源にしているわけですよね。だから、今回は、大きく堂々と書かないで、小さく脚注にしている。例えば、交付税で浮いた分を無駄の削減のように言ったり、家計への増税を埋蔵金の活用のように見せかけたり、財源確保の偽装、言ってみると、財政という国の屋台骨の偽装なんですよ。

 小さなところは確かに、財務省が知恵を出して、つじつま合わせ、小さな数字はしています。しかし、一番大きな矛盾、冒頭申し上げた、財源が確保できたはずなのに、なぜ、二十二年、二十三年と六兆円以上の国債の発行となったのか、つじつま合わせ、説明ができないんですよ。

 どうすれば一番わかりやすいか。図の三をごらんください。

 図にありますように、平成二十二年度と二十三年度で、税収を上回って、五・八兆円の国債を増発して、ほぼ同額のマニフェスト、六・六兆円を実施しているということなんですよ。つまり、家計への直接支援を柱としている民主党のマニフェストの財源は、将来への借金のツケ回しということじゃないですか。マニフェストをやめていれば、国債は増発する必要なかったじゃないですか、いかがですか、総理。総理、いかがですか。

中井委員長 野田財務大臣、少し数字の面をきちっとして答えてください。

野田国務大臣 今の図三で御説明をいたしますと、平成二十二年の二・三兆の国債増発額、これの裏づけは、社会保障の自然増が一・一兆、国債費増が〇・四兆、決算不足補てん繰り戻しという事例がありました、これで〇・七兆、合わせて約二・三兆ということです。

 加えて、その上の平成二十三年の三・五兆ですが、これは、平成二十二年に比べて税外収入が減りました。平成二十二年度が、あの過去最大規模の十・六兆だったんですけれども、二十三年度、御提起したのが七・二兆です。その差額分が、約三・四兆という形で出ています。

茂木委員 税外収入まで入れて言うのでしたら、平成二十二年度、税外収入が一・五兆ふえています。一・五兆ふえています、平成二十二年度は。そうすると、国債の発行分二・三兆と一・五兆を合わせると、三・八兆はどこに行ったんですか。

野田国務大臣 三・八兆でありますけれども、社会保障の自然増、さっき申し上げた一・一、国債費増〇・四、決算不足補てん繰り戻し〇・七、交付税増〇・七、税外収入でつないだ歳出増、プラス一・一ということで三・八でございます。

茂木委員 税収だけで見ても、税外収入を入れても、今の答弁を聞くと、例えば、社会保障の自然増のお金が出ない、それからまた国債費の増加の部分が出ない、それから特定財源から繰り入れが減っている、こういう財源が出ないから借金をしました、一方で、マニフェストの財源は確保しましたからばらまきました。順番が逆じゃないですか。

 本来やるべき社会保障の自然増であったりとか国債費の増、これについて政府としてしっかりした財源を確保した上で、さらに財源が確保できるんだったら、マニフェストをやることは何の問題もないですよ。ところが、本来の仕事ができていないのに、マニフェストの財源だけ出たような形でばらまく、全く本末転倒じゃないですか。総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 マニフェストの財源についていろいろ御指摘がありますけれども、私どもが理解をしているというか申し上げているのは、いろいろな無駄の削減などを含めて、捻出した範囲内でマニフェストを実行しているというのが基本的な姿勢であります。

 その具体的なことを申し上げますと、事業仕分け等で、平成二十二年には二・三兆、二十三年には〇・三兆、これは上乗せになりますので、合わせて二・六兆。さらには、税制改正等で、二十二年度が一・一兆、二十三年度が一・二兆、合わせて、ですから一・三兆。これを足したものが三・六兆で、これがマニフェストの主要事項の財源に充たっているのであって、今、茂木さんが言われたような構造にはなっておりません。

茂木委員 総理、財政の基本というのが全く御理解されていないんじゃないかなと。与謝野さんも苦い顔で聞かれていますよ。これからいろいろ教えていただいたらいいんじゃないかなと思いますけれども。

 私が申し上げているのは、先ほどからの答弁を聞きますと、社会保障の自然増、毎年一・三兆出てくるんでしょう。それからまた、国債費の増、これがことしは〇・九兆ですよ。こういった財源が確保できていない、だから借金をしました、国債を増発しました、その一方で、マニフェストについては財源を確保したから、三・一兆、三・六兆とやりましたということなんです。

 逆じゃないですか。国としては、まず、社会保障の自然増とか国債の増、こういった基本的なところに財源をつける、そういうことができた上でマニフェストをやるということだったら文句は言いません。こっちの基本的な部分ができていないのに、マニフェストの財源だけ確保できたからマニフェストはやった、しかし借金はふえています、こんなことじゃ説明にならないでしょうということを言っているんですよ。

 もう一回、説明してください。

野田国務大臣 まさに、純粋な財政論としては、茂木委員のおっしゃるとおりだと思うんです。国債費にどう手当てするか、社会保障の自然増にどう手当てするか。一方で、財政とそして成長の両立、そういう観点から、マニフェスト部分で、国民生活を重視し、そして成長に資する分野にお金を充てていくという、そういう判断の中でのバランスをとった対応ということでございます。

茂木委員 財務大臣の方が率直ですね。財務大臣の方が率直ですよ。基本的に、やはり本来のことが、残念ながら、この一年半、政権交代してからできていなかったということを認められています。総理は、やはり、国の財政という基本的な部分に対する責任感というのが全くないんじゃないかな、私はそんなふうに考えるところであります。

 この部分までで、いかに民主党の財源確保策がいいかげんか、そしてまた、財政に対する取り組みが責任感が欠けているか、こういうことははっきりしたと思います。

 また後でやりますけれども、少し、歳出の方に、歳出の議論に……(発言する者あり)

中井委員長 御静粛にお願いします。

 質疑者の質疑や答弁が聞こえる範囲で発言をしてください。

茂木委員 委員長、ありがとうございます。

 歳出の議論に入っていきます。

 民主党のマニフェスト、ちょっと、図の四をごらんください。実施面でも非常に大きな問題があるんですね。ただ、民主党のマニフェスト、その構造というのを見てみると、一見もっともらしいんですよ。

 この図の四は、民主党のマニフェストをわかりやすくグラフ化したものなんですけれども、まず四年間で、マニフェストの十六・八兆円、一番右下の数字をやる、完全実施すると。ただ、最初から全部できませんということで、年度ごとの実施額、一年目が七・一兆、二年目が十二・六兆、そして十三・二兆、順次ふやしていく。

 そして、マニフェストにもありますとおり、また昨年、鳩山前総理が国会答弁でも明確に言っているように、必ず実施する主要八施策、例えば、子ども手当であったりとか高校の無償化、そして暫定税率、高速道路の無料化、こういった、必ずやる、いわば絶対公約。この絶対公約と、その他の施策として、財源を確保しつつ順次実施するもの、努力目標。こういった形で分けているんだと思うんですよ。

 努力目標ができないことについては、私は申し上げません。では、絶対公約がどうなっているかということで、図の五をごらんください。

 この必ずやるはずの絶対公約八項目の実施状況、これを見てみますと、平成二十二年度が、七・一兆円やるというのに対して三・一兆円ですから四四%、二十三年度に至っては、十二・六兆円に対して三・六兆円と、わずか二八%の実施にとどまっているわけですよ。

 努力目標ならまだわかるんですね。ところが、毎年必ず実施すると言った絶対目標すら守られていない。総理、これは明らかに公約違反じゃないですか。

菅内閣総理大臣 まず、マニフェストについて、主要な項目についてはかなり実施されておりますし、また着手をされているものもたくさんあります。

 今お聞きになりませんでしたので個々には申し上げませんが、その上で、金額的におっしゃった点は、我が党のマニフェストで、当初、平成二十二年度で七・一兆円の財源を捻出してということで考えておりましたが、確かに結果としては、三・三兆円のうちから三・一兆円を実施をいたしました。しかし、それによって子ども手当についてもスタートいたしましたし、農業の戸別所得補償もスタートしましたし、高校の無償化もスタートしましたし、それぞれ、私は、これまでの政権ができなかった大変画期的な政策がスタートをし始めたと、このように思っております。

 そういった意味で、平成二十三年についてもそういった方向で進んでいるわけでありまして、私は、基本的な方向としてはマニフェストは進んでいると。

 ただ、そろそろ衆議院の任期の半ばがことしの秋には来ますので、その中でも、できたもの、あるいはこれからもしようとしているもの、あるいは、中にはこれはなかなか難しいというものも含めて検証を行って、そういったものについては国民の皆さんにきちっと説明をしていきたい、このように考えております。

茂木委員 具体的数字で申し上げました。初年度が四四%、進んでいると言うんだったら、二年度目は四四%より上がるんじゃないですか。それが二八%、ペースダウンですよ、明らかに。これでかなり進んでいる、国民の皆さんはとてもそういうふうには思えないんじゃないかなと私は思います。

 さらに心配なのは、来年以降どうするかということですよ。例えば、無駄の削減と予算の組み替えによる財源の捻出、もともと十兆でも二十兆でも出ると言ったんですけれども、平成二十二年が二・三兆、それが二十三年は〇・四兆に大幅にペースダウンですよ。事業仕分け、蓮舫さんは頑張っているかもしれませんけれども、二十二年は〇・六兆がことしは〇・三兆、半減しているんですよ。それから、埋蔵金も枯渇してきている。個人増税にしても恐らく限界、一兆から一・二兆。そうなると、もう二十四年はできないじゃないですか。

 明らかにこれはマニフェストの限界、財源面でも実施面でもマニフェストそのものが破綻しているんじゃないですか。総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 いや、今申し上げましたように、マニフェストについて主要項目幾つか御指摘もありましたけれども、子ども手当については、御承知のように、初年度月一万三千円を来年度は三歳児まで二万円という形で実行しておりますし、農業の戸別所得補償も初年度に比べて拡大をしておりますし、高校の無償化も進んでおります。そういった意味で、基本的な方向としては、マニフェストを順次実行しているわけであります。

 ただ、先ほど来申し上げているように、初年度もできなかったガソリン税のいわゆる暫定税率を引き下げることができませんでしたし、そういったものについて、ことしの秋ごろまでにはもう一度全体を検証した上で、さらに進めるもの、そして今実行中のもの、中にはどうしてもこれは難しいもの、それらをきちっと国民の皆さんにお伝えしたい。そういう方向でありまして、いずれもこのマニフェストに掲げたものは従来の政権ではなかなか取り組めなかったものでありますから、そういうものを進めているということはぜひ御理解をいただきたい、こう思っております。

茂木委員 一年半前の夏、皆さんは、マニフェストは国民との約束、四年間で必ず実施します、こういうことを言っていたはずです。それに期待をした国民の皆さんも多かったと思います。そして、マニフェスト、私も改めて全部読み直しましたが、折り返し地点で見直しをする、こんなことは一言も書いていないんですよ。途中で見直しをする、そのこと自体がマニフェスト違反なんですよ。

 では、先ほど子ども手当とか暫定税率、お話をされましたので、具体的に見てみましょう。マニフェストの所要額の大きいものを三つ、図の六ですけれども、とってみました。具体的に見ましょう。

 まず、子ども手当。今の段階で、予算面での実施率は四〇%です。満額支給するはずが、断念する。そして、児童手当は廃止するはずだったんでしょう。そして新しくつくるはずだったのが、児童手当に接ぎ木をする。さらには、地方負担なしですよ、国で全額やりますよと言っていたのが、一方的に、地方に相談もなしに、地方に負担を押しつける、こういうことになっています。

 それから、ガソリン税。この暫定税率を廃止して、減税をするという話だったんですよ。ガソリン値下げ隊はどこへ行っちゃったんですか。それから、その一方で、マニフェストには全くない消費税の議論まで始める、検討を始める。

 高速の無料化。高速の無料化も、原則無料化。原則無料化といえば、国民の皆さんは、自分の地域の高速道路も無料になるんだろうな、そういうふうに考えたと思いますよ。ところが、実施率八%、一部の区間だけと。

 四年間ですよ。全然できていないじゃないですか。全く、これが公約違反じゃなくて何なんですか。きちんと答えてください。

菅内閣総理大臣 私は、同じ答弁を余り繰り返しても申しわけないと思いますので、少し言い方を変えますけれども、つまり、子ども手当が必要である、ないという議論をぜひお願いしたいと思うんです。

 私は、これまで確かに高齢者について、医療、年金、介護、いろいろと手当てを高めてまいりましたが、少子化対策を中心とした、あるいは子育てを中心としたことには、必ずしもこの十年、それほど大きな力が入れられなかった。児童手当はありました。そこで、そういったものにもっと力を入れようということで、この政策をマニフェストに掲げたわけです。

 また、農業についても、この二十年でかなり農業の生産の額が減っております。また、六十六歳という平均年齢になっております。こういう形をどうやって再建していくかということの中で、農業戸別所得補償という、ある意味では我が国にとっては画期的な政策を導入したんです。つまり、質的に全く違う政策を導入したんです。

 確かに、リーマン・ショック後、九兆円の税収が、麻生内閣が当初予算と見込んだ中でも九兆円の減収がありましたから、そういう制約がある中で、そういう本当に変えなければならない新たな政策を次々と打ち出し、それと同時に、景気のことを考えたときにはやはり財政出動を、余り緊縮財政にするのは、出口政策をとるのは早過ぎるという判断で、これだけの規模の予算を提案しているのでありまして、決して何か部分部分を取り上げて指摘をされるのではなくて、この政策がおかしいのかどうかという中身のことをぜひ御議論いただきたいと思います。

茂木委員 テレビでこの議論をお聞きになっている方は恐らく、質問と答えが全くかみ合っていないな、こういうふうにお聞きになっていると思います。

 私はまじめに、具体的なデータを示して、例えばマニフェストの実施率が、一年目の四四%が二八%に下がっていますね、どうしてなんですか、おかしいじゃないですか。さらに申し上げると、具体的な項目についておっしゃったので、子ども手当はこんな状況ですよ、約束したことと違いますね、暫定税率もそして高速道路も違いますね、どうなんですかと聞くと、全く違った答弁をされる。苦しくなると逃げる。こういう逃げ菅というのはもうやめていただきたい、こんなふうに思います。

 こういう状況、こんなふうに、絶対やると言った絶対公約も守られない。民間企業だったら契約不履行で解約の対象ですよ。間違いなくそうですよ。

 では、菅さんが子ども手当のお話をされました。子ども手当について具体的にお聞きしましょう。

 子ども手当について、民主党は一昨年の選挙では、これまでの供給サイドの景気対策ではなく家計への直接支援の目玉、こういうふうに訴えてきたはずです。間違いないですね。ところが、菅さんも、昨年の予算委員会で、消費性向と乗数効果、この関係について答弁に詰まると、いや、家計への直接支援、消費拡大だけじゃないんだ、中長期的には少子化対策にも効果がある、こういうふうに答弁を変えているんですね。

 そこで、菅総理もこの一年、消費性向についてはよく勉強されたと思います。昨年、財務大臣当時、菅さんは、子ども手当の消費性向について、三月の二日、財務金融委員会で私が質問をさせていただきました。質問は、例えば子ども手当のように追加的に収入が入ってくる、追加的に所得が入ってくる、こういう限界消費性向については、一般的な消費性向〇・七と比べてかなり低くなるんじゃないですか、こういうふうに私が質問させていただいたのに対して、菅さんの答えはこういう答えだったんですね。限界消費性向も消費性向〇・七とほぼ同等になるというのが内閣府のいろいろなモデルの中で推測している数字だ、こういうふうに、菅さん、当時の財務大臣はお答えになっています。

 ところが、その後明らかになったことなんですが、図七を出してください。

 内閣府が一昨年の十一月に子ども手当の使い道についてアンケート調査を行っています。発表はなぜか何カ月かおくれるんですよ。子ども手当の法案が通ってから発表、こういうことになるわけです。内閣府の調査、図の左側の方なんですけれども、これによりますと、子ども手当で消費に回るのは七割どころか五割いっていないんですね。しかも、子育て関連の支出は四割を切っている。さらに、厚生労働省、昨年九月の調査、右側の円グラフでありますけれども、消費に回るのは三五%、子供関連の支出は二割を切っているんですよ。

 こういった内閣府そして厚生労働省の調査結果を見ると、限界消費性向、これも間違っていますね。それから、子ども手当が景気対策と子育ての支援につながる、そういった当時の菅さんの答弁、間違っていると思いますが、訂正して撤回されたらいかがですか。

菅内閣総理大臣 まず、基本的に、マニフェストに子ども手当を盛り込んだ……(茂木委員「質問に答えてください」と呼ぶ)子ども手当を聞かれているんですから、その原則をまずは申し上げているんです。(茂木委員「原則はわかっていますから」と呼ぶ)いやいや、ちゃんと申し上げますから。

 子ども手当を盛り込んだのは、必ずしも景気対策を中心に考えたというよりも、まさに福祉のあり方として、先ほども申し上げたように、子供について、あるいは少子化の状況に対して、やはりしっかりとした対応が必要だというところからこのことの政策が出てきたわけであります。

 確かに、それに加えて、そのことによる経済効果について議論があったことはよく覚えておりますけれども、この政策の基本のあえて第一を言えと言われれば、それは、子供を育てることに対して社会でやっていこう、あるいはそれを広げて言えば、少子化対策ということも含めてやっているわけでありまして、それが第一の目標であって、それに加えて、結果として経済にもプラスになる、こういうことで申し上げたわけで、決して私は、何か経済がこうだからというだけでこの政策を打ち出したのではないということは明確に申し上げておきたいと思います。

中井委員長 数字、いいですか。

茂木委員 委員長もよくおわかりのように、全くお答えになっていないんですよ。全く答えていないんです。

 もう一回言います。質問に答えてください。

 限界消費性向が〇・七とおっしゃった。ところが、このアンケート調査を見る限り、限界消費性向はそんな高い数字にはなりません。それから、子育ての支援にきくということですけれども、内閣府の調査でも子育て関連の支出は四割を切っています。厚生労働省のものでは二割を切っています。明らかに違うじゃないですか。この二点についてお答えください。

中井委員長 特に〇・七云々のことについてお答えください。

菅内閣総理大臣 この消費性向に関して、一般的には、この平均消費性向が当時お答えしたのは〇・七であって、それがほぼ限界消費性向と一致をするということが一般的に言われていた、そういう、学者やあるいはこれまでの官庁エコノミストの中で言われたことでありましたので、そういうふうに当時お答えしたことはそのとおりであります。

 確かに、この数字からすると、そこまでまだ出ていない、こういうアンケートが出ておりますが、もう少し長い目で見ないと、確かにまだ初年度でありましたし、率直に申し上げて、これが継続されるかどうかということに対しても、もしかすれば国民の皆さんがまだある意味で不安を感じておられるかもしれません。そういった意味で貯蓄の方に回っているかもしれませんが、安定的にこれが支給されることになれば、私は、もっと子供のために使っていただけるんじゃないか、このように思っております。

茂木委員 総理みずから、子ども手当を将来的に続けられるか続けられないか不安がある、国民もそう思っていると今お認めになったんだと思います。

 もう一度言います。もし消費性向、限界消費性向が〇・七だ、〇・五ではない、そういう数字、データをお持ちでしたらお示しください。違うんでしたら、間違っていたと素直に認めてください。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたけれども、平均的な、いわゆる平均消費性向が七割程度で、当時私が申し上げたのは、それ以外の限界ということについては特にストレートにはありませんでしたので、この平均消費性向を限界として考えているということを申し上げたんです。

茂木委員 当時はそういう答弁をされていません。議事録も私はもう一度精査をしました。限界消費性向についても、平均的な消費性向〇・七とほぼ同等だと認識をしております、こういう答えです。ですから、一緒だと言っているんです。一緒じゃないじゃないですか。ですから、違うなら違うと正直に認められたらどうですか。

菅内閣総理大臣 今茂木さんが言われたような表現をした、しないを細かくは覚えていませんが、そういう答弁をしたとして、何か問題がありますか。つまりは、私が当時そういう認識をしていたということを申し上げたわけでありまして、現在この調査の結果が違っているということは、先ほど申し上げたように、ほかの要素が入っているのではないかということを申し上げたんです。

中井委員長 総理に申し上げますが、数字を言っていますから、この数字に対して総理がきちっと答えてください。

菅内閣総理大臣 では、もう一度、若干整理をしてお答えしますと、平均消費性向が〇・七であって、一回目の子ども手当について、私は限界消費性向もそのくらいになるのではないかと言いましたが、確かに現在そうなっておりません。

 ただ、その理由は、先ほど申し上げたように、これが安定的に継続されることになれば、これをある程度当てにして、場合によったらもう一人子供さんを産んで、そこに費用を使おうということになるので、最終的にはこの平均消費性向に近づくというふうに私は見通しとしては考えております。

茂木委員 総理、消費性向についてもう少し勉強されたのかと思ったんですけれども、毎年きちんと入ってくるから一般的な消費性向なんですよ。追加で入るから限界消費性向なんですよ。だから、あえて、一年目は限界消費性向でしょうと。だから、その限界消費性向はどうなるんですかと私が聞いたのに対して、限界消費性向も一緒だというのがあなたの答えだったんですよ。そして、ほぼ同等と。それが〇・七が〇・五に下がっている。

 だから、限界消費性向は明らかに総理の言っていた数字と違うじゃないですか。数字が違うんですから、認めてくれれば結構なんですよ。それ以上突っ込みませんから、間違っていました、訂正をしますとおっしゃっていただければ結構なんですよ。

菅内閣総理大臣 茂木議員がおっしゃっているのは、この表で、貯蓄が四八・二ということを指摘されて、つまりは、約半分が貯蓄をされたんだから半分しか使われていない、それが限界消費性向という意味で〇・五でなかったか、そういうふうにおっしゃっているとすれば、このデータそのものからは確かにそういう結果だということは、私そう思います。

 ですから、そのことを別に否定しているわけではありません。このデータを否定しているわけではありません。ただ、今後の二年、三年、四年になった場合についてのことを申し上げたわけで、このデータそのものは、おっしゃるとおりです。

茂木委員 私は思うんですけれども、やはり一国の総理というのは真摯な姿勢が必要だと思います。人間ですから間違いはあります。そして、間違ったときには改める。それを、言い逃れをする、言いくるめようとする、そういうところがやはり国民に見透かされるんじゃないかな、私はこんなふうに思います。

 申し上げているように、この数字を見る限り、これは内閣府の数字です。そして、厚生労働省の数字です。私がつくった数字でも何でもありません。だから、ほかに違うさらに信憑性の高い数字があるならお示しくださいとまで言っているのに、それはないと。恐らくないんでしょう、言えないんですから。ほかにあるのならお示しください。ないのならお認めください。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、この二つ表を出して、データを出していただきましたが、一方は、内閣府の平成二十一年十一月ということは、これはまだ実施前の調査で、その次に厚生労働省が二十二年、昨年の九月ということで、ほぼ貯蓄の比率は同じようになっております。そういう意味で、おっしゃったとおり、私として、平均消費性向程度になるかと当初は思っておりましたが、少なくともこの厚生省の調査によってはそこまではいっていないということはおっしゃるとおりです。

茂木委員 四回質問をさせていただいて、ようやく非をお認めいただいたようであります。それはそれで結構です。

 さらにひどいことがあるんですね。

 こんなに政策効果がはっきりしない、消費にはつながらない、子育ての支援にしても二割から四割ですよ、こういった子ども手当に、これからは消費税増税のお金をつぎ込むとまで、責任ある立場の厚生労働副大臣が言い出しています。

 本当に消費税増税のお金をこの子ども手当に突っ込むんですか。総理、お答えください。

与謝野国務大臣 税法の附則百四条は、消費税を目的税とするということが書いてありまして、その中に列挙してありますのは、年金、医療、介護、そして子育て、これが税制改革の対象となる、そういうふうに書いてありますので、子育ては当然入るということになります。

茂木委員 子育ては入るということであっても、もう一回思い出してください。国民の皆さんから見ると、この一年半前のマニフェスト、選挙で民主党が当時強く全国で主張されていたのは、供給サイドの景気対策じゃないんだ、家計を直接刺激をする、支援をする、そしてその目玉が子ども手当なんだ、そういう話をされていたんですよ。

 そうすると、子育てではなくて、この子ども手当に消費税を突っ込む、しかも最終的には五・五兆円ですよ、それだけのお金を突っ込む、こういうことが問題なんじゃないか、こういうことを私は指摘しておきたいと思います。

 そこで、これまで財源確保の話をしました。結局、何でこれだけの国債の増発があったのか、どこに使ったのか、こういう議論になると、基本的なところは財源は確保できなかったけれども、マニフェストは財源を確保できたからばらまいた、でも結局、社会保障のお金が足りないから借金ですよと、本末転倒であったりとか、マニフェストについても、先ほど見たように、一年目で四四%、二年目で二八%、三年目以降はどう考えたってそれより低くなっていく。要するに、これまで何ができて何ができていないのか全くはっきりしない、答弁を聞いて。そして、これから何をやって何はできないのか、こういうことが全くはっきりしません。

 そこで、委員長に二点要求させていただきます。

 まず一つは、マニフェストについて、何ができて何ができていなかったのか、今後は何をやって何をあきらめるのか、政府としての検証結果、統一見解を今週中に出していただきたい、そんなふうに思います。今後のスムーズな予算審議の大前提だと私は思います。これが第一点です。

 もう一点は、これまでの議論を聞いて、きょうは五時間の集中審議、そういう時間をとっていただきましたが、まだまだ議論は尽きない、そんなふうに思います。主な論点をカバーするだけでも相当時間が要るな。熟議の国会、熟議の国会、こういうふうにおっしゃるんでしたら、マニフェスト、それから財源問題について改めて集中審議をすることを求めます。

中井委員長 ただいまの件は、後刻理事会で十分協議をいたします。

 なお、集中審議については、幾つかの点で御要求があり、それについては協議が始まっていると承知をいたしております。

茂木委員 それで、総理のお好きな第三の道にちょっと入っていきたいと思います。

 総理は、第一の道、第二の道、第三の道という中で、二〇〇〇年代に入って、第二の道で日本は過度な雇用調整を進め、それにより経済は低迷を続けた、このように説明をされています。

 例えば、昨年六月の所信表明演説では、二〇〇〇年代の十年間、供給サイドに偏った生産性重視の経済政策を進めたが、この政策により、多くの人が失業する中で、経済は低迷を続けたと。

 また、先週、二月一日の予算委員会、塩崎委員の質問に対しまして、生産性の向上といっても、本当の意味でのイノベーションによる生産性の向上と、第二の道で進められたリストラによるコストカットの生産性の向上の二つがある。コストカットと称してリストラをやっても、マクロ経済的に見れば経済は全く拡大しなかった、このように答弁をされています。覚えていらっしゃると思います、自分の答弁ですから。

 本当に総理の言うとおりなのか。実態はまるで違うんですよ。

 図の八をごらんください。

 二〇〇〇年代に入って、二〇〇四年から我々が政権にあった二〇〇八年までの五年間、雇用は実際百二十万人ふえているんですよ。確かにその後リーマン・ショックはありましたが、その後、二〇〇九年から一〇年にかけて、民主党政権の時代ですよね、雇用は十万人減っています。さらに、政権交代後、新卒者の内定率が大幅に落ちているんですよ。

 総理、間違った認識で過去の政策を批判するんではなくて、雇用や地方経済、今が一番深刻なんだ、こういう反省に立って景気対策、そして雇用対策を見直したらどうでしょうか。総理の御主張はよくわかっています。そして、私が要約をさせていただきましたから、御主張ではなくて、私の質問にお答えください。

菅内閣総理大臣 私が第三の道と申し上げたのは、茂木さん、よくおわかりの上で言われていると思いますが、まずは、一九八〇年代以降……(茂木委員「だから、それは結構だと言っているんですよ」と呼ぶ)ちょっと待ってください、ちゃんと言いますから。

 公共事業を中心とした景気刺激策が、結果として、日本の大きい意味での成長には、八〇年代に入ってつながらなかった。そして、二〇〇〇年代に入って、いわゆるコストカットというのはいろいろあります。しかし、主に当時やられたコストカットはリストラでありました。その結果、決して失業率は下がりませんでしたし、また、結果としてGDPが、では成長は伸びたかというと、その時代もそれほどは伸びておりません。そして、格差が拡大し、非正規雇用が極めて大きくなったことは、これはだれもが否定できないことだと思っております。

 そういった意味で、今日の状況がまだまだ厳しいことはそのとおりでありますが、やっと、先日のデータでは、失業率が五%を切って四・九%になりましたし、株価も若干上がってきましたし、日本の経済は、リーマン・ショックを経て、今日かなり回復しつつある。まさに、政権交代以降の一年半を見ていただくと、客観的に言えば、景気は少なくとも緩やかなりとも上昇しているというのが客観的な事実じゃないでしょうか。

茂木委員 客観的な事実は、私がお示しをしております。

 二〇〇八年までは雇用が百二十万人ふえている、そして、二〇〇九年から二〇一〇年にかけては雇用は十万人減っています。

 そして、右側をごらんください。よくなっていると。今の就職内定率、この状況でよくなっていると。今まだ就職が決まらなくて本当に毎日会社回りをやっている、こういう大学生がいるんですよ。それを心配している親御さんがいるんですよ。それで、今の状況がよくなっている、こう言うこと自体が国民感覚が全くわかっていない、こういうことになるんじゃないですか。もう一回答弁してください。

中井委員長 茂木質疑者が数値を挙げて質問をされていますから、できる限りその数値に対しても答えるようにしてください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、雇用については、一般的にはまだ失業率が高い水準にあって、ただ、四・九に下がったということは、雇用全体としては、データとしては出されているわけです。その中で、新卒者についての厳しさが、これまで以上に厳しいということは十分理解をいたしております。それで、全力を挙げて、例えばジョブサポーターを倍増するとか、いろいろな形で、特命チームをつくって、中小企業とのミスマッチの解消などを今全力を挙げて進めているところです。

 そういった意味で、決して新卒者についての雇用状態の厳しいことをわかっていないわけではなくて、全体の中では少し上向いてきているけれども、新卒者については特に厳しいということで特別な手当てを打っている、それはぜひ御理解をいただきたいと思います。

茂木委員 きちんとした根拠を持たずに自分の思いつきで発言をされる。何か、鳩山総理の、国外、最低でも県外と言いながら迷走したのと全く同じような状況だ、こういう思いを持ったところでありますけれども、もう少し具体的に聞かせてもらいます。

 総理は、先週の予算委員会で、我が党の塩崎委員、そして甘利委員との議論の中でこう言っているんです。小泉、竹中さんの時代にやられたことは、ある自動車会社のように徹底的なリストラをやってV字回復した、こういうふうに答弁されています。間違いないと思います。

 そこで、お聞きします。

 徹底的なリストラ。菅さんにとってリストラというのはどういうことなのか、その定義を教えていただきたいと思います。

 さらに、リストラによるコストカットでなぜ生産性が向上するのか、その点も説明してください。

菅内閣総理大臣 リストラという、普通の意味でいえば、過剰であるかないかはいろいろありますけれども、人員を削減していくということを一般的にはリストラ、あるいは、場合によったら正社員からいわゆる非正規社員に変えることも、人件費を抑えるという意味で広い意味でのリストラという概念に入るかもしれません。

 それと、もう一つは何と言いましたか。(茂木委員「リストラによってコストカットをして生産性を上げるというのはどういうことか」と呼ぶ)

 生産性に関して言えば、実は私は、これは第三次産業と第二次産業で生産性の考え方がかなり違っているのではないかということを言っておりますけれども、私、いろいろ調べておりますが、製造メーカーの場合は、例えば年収五百万円の人が一人で一台の車ができるとしたときに、それは、年収二百五十万円の人で同じものが一台できたとすれば、それはコストとしては安くなりますから、生産性が上がることになります。

 しかし、そのことが、私が申し上げたのは、その会社にとっては確かにそのとおりなんですけれども、では、二人でやっていたものを一人でやれるようになったときに、その余った一人の人が同じだけの給料をもらえるほかの会社で仕事があればいいんですけれども、その仕事がない状態で失業状態が続く、あるいは極めて給料の安い非正規になってしまう。そういう状況が広がっていくと、日本全体としてのGDP効果ということでいえば決してプラスにならないという意味で、私は、企業が一つの単位で生産性を高める努力をすることは、企業としては正しい選択だけれども、しかし、日本全体としては、やはり失業率が高い段階では、逆に言えば、そのことによってマクロ的には日本経済にとって必ずしもプラスにならなかったのがあのときのいわゆる小泉・竹中改革だった、このように申し上げているところです。

茂木委員 恐らく、総理がおっしゃっていることは労働生産性の話だと思うんですね、資本生産性とか全要素生産性ではなくて。ただ、生産性についてここでレクチャーしてもしようがありませんから、端的に申し上げます。

 ある自動車会社がリストラによってV字回復をした。全然実態が違うんですよ。

 図の九をごらんください。

 これは、総理が言うリストラでV字回復した自動車会社の業績です。有価証券報告書からとったから間違いない数字です。新社長のもとで業績のV字回復をしたのが二〇〇一年から二〇〇四年ですよ。確かに売り上げも収益も伸びていますけれども、社員数、これもふえているんですよ。ふえています。総理のおっしゃっているリストラとは違うじゃないですか。民間会社の経営にかかわる問題ですよ。陳謝の上、撤回してください。

菅内閣総理大臣 余り個別企業のことをどこまで申し上げていいかわかりませんが……(茂木委員「御自身がおっしゃったことで、自分で言ったことなんじゃないですか」と呼ぶ)いや、答えますから。

 そういう個別的なことをどこまで申し上げるべきかわかりませんが、私が理解していることでいえば、例えば下請に対して相当のコストカットを厳しく要求する、あるいは、従来のような比較的温情主義的と言われたそういう関係を、ドライに割り切ってコストが安いところにどんどん下請をかえていくということも含めて、かなりのリストラが行われたということを、私は、もちろん報道ベースですけれども聞いております。

 ですから、必ずしも私は、この数字がどういう数字か、正社員の数字なのか、そういう下請まで含めた数字なのか、さらには下請企業に対するコストカットについても含まれた数字なのか、今見ただけではわかりませんけれども、私は、一般的に言えば、その某有名会社は相当程度のコストカットのためのリストラをやったというのは、一般的な評価ではないかと、こう思っております。

茂木委員 いや、具体的な数字、有価証券報告書でとってありますから間違いありません。そして、総理の言ったリストラ、途中から下請と。総理、民間企業の問題、それも私から持ち出したんではなくて、総理がある自動車会社は徹底的なリストラでコストカットをやってという話をしたんです。間違っているんですから、訂正をされた方が私はその会社のためにもいいと思います。

菅内閣総理大臣 今初めていただいた資料ですので、一つは、ここに臨時雇用を含まずというのが入っているのが一つと、この数字を見ますと、これは人数が〇三年と〇四年の一年間で一・五倍になっていますね、十一万九千と十六万九千ですから。

 ですから、私は初めて見ましたので、この数字についてはもう一度私の方でも確かめさせていただいて、もしそれは、大きく間違っているということで、私の方の理解も間違っているということであれば、またそれなりの対応をさせていただきますが、臨時雇用の問題とそれから海外の雇用とかそういうものを含めてどういう形になっているのか、海外雇用までこれは含んでいるのかどうか私にはわかりませんので、それを含めて……(発言する者あり)言い逃れではなくて、初めて見たデータですから、きちんと確かめてお答えをさせていただきます。

茂木委員 本当に、総理の言葉、この一時間の中でも全く信じられない。これは、私だけじゃなくて多くの国民が持っている気持ちだと思います。

 それで最後に、総理が政治生命をかけると言った税と社会保障の一体改革についてお聞きしたいと思います。

 政府は、五日の土曜日に社会保障に関する集中検討会議の初会合を開いて、社会保障と税の一体改革の検討をスタートさせたわけであります。四月に社会保障改革の基本方針を、六月に税制などを含む一体改革の実施時期を明記した工程表を取りまとめる、こういうふうにされております。

 最近はやっている川柳があるんですよ。自民党らしくなったね民主党と。原作はどうも隣にいる進次郎さんのお父さんじゃないかということなんですけれども。確かに、会議のメンバーを見ますと、与謝野大臣が入っている、柳沢元厚生労働大臣が入っている、そして、福田政権時代の社会保障国民会議、麻生政権時代の安心社会実現会議の中心メンバーも入っている。これまでの議論の積み上げもあるわけでありますね。

 こういった最終報告、二つきちんと出ております。これだけのメンバーだったら、社会保障についての取りまとめ、今までの議論もあるので、その基本方針をまとめるのにそんなに時間かからないんじゃないかな、そういうふうに私は思います。

 四月に基本方針をまとめるということなんですけれども、ことしの四月、統一地方選があります。最初、四月の十日が県議選の投票日です。国民の判断材料のためにも、四月の末なんて言わないで、年度内、三月末にきちんとまとめて、国民に判断材料を提供してはどうかと思うんですけれども、総理、いかがですか。

与謝野国務大臣 選挙の時期とか、そういう世間で起きる事柄を考慮に入れながらやっている作業ではなくて、国民のためにどういうものがベストかという視点から、純粋な気持ちでやらせていただいております。

茂木委員 純粋な気持ちということは、四月に統一選挙がある、大変重要な選挙だと思います。そうすると、その前に基本方針をお出しいただけますか。

与謝野国務大臣 作業のことですから、きちんと、純粋な気持ちというのは、これを出して選挙に有利になろうとか、これを出したら不利になるだろうとか、そういうよこしまな考えは全く持たないで、国民の年金とか医療はどうあるべきか、そういう一点で議論をしていただきたいと思っております。

茂木委員 最後に、図の十をごらんいただきたい、こんなふうに思います。

 きょうはいろいろな議論をさせていただきましたが、マニフェスト、これも大きく変わっているわけですね。そのマニフェストについて、当初、民主党マニフェストで言ってきたこと。これは、マニフェストは国民との約束だから四年間で必ず実施する、こういうふうに言っていたのが、今は、主要八施策、絶対公約についても財源が確保できた分だけ、子ども手当は満額支給しない、暫定税率は維持。そして、書いていなかった中間見直しまでやると。

 そして、財政についても、マニフェストの財源は無駄の削減と予算の組み替えで捻出する、四年間は消費税増税の必要はなしと言っていたのが、ことしの六月に消費税を含む税と社会保障の一体改革を取りまとめると。

 そして、経済政策についても、供給サイドからディマンドサイドの家計への直接支援に転換をする、そして、行き過ぎた規制緩和というのを批判したはずですよ。ところが、供給サイドの新成長戦略をつくって、平成二十三年度の予算では、元気な日本復活特別枠の重点項目にしている。そして、TPPへの参加の検討、行き過ぎた規制緩和と言いながら、二十四分野の市場開放を検討すると。

 マニフェストを見ても、財政を見ても、経済政策を見ても、百八十度の転換じゃないですか。消費税を上げるとか大きな政策転換があったときには解散・総選挙で国民に信を問う、これがぶれない菅総理の言葉だと私は思うんですけれども、そうだったら、即刻、解散・総選挙をすべきだと思います。何も決められない、何も進められない、こういった今の状況から、解散・総選挙で国民に信を問うて、決める、進める、新しい政治、こういう方向に持っていったらどうですか。菅さん、お答えください、総理。

菅内閣総理大臣 まず、この表でありますが、特に最後の新成長戦略について、私もこの取りまとめの最初の段階から担当しておりますが、やはり、日本の経済の低迷の、二十年間続いたものをいかに回復するかということで、まさに、第三の道を含めて、潜在的な需要のあるところに資金を投じる、あるいはアジアの成長を日本の成長につなげていく、そういうことを申し上げてきたのは最初からでありまして、決して何かマニフェストと矛盾したことを申し上げているわけではありません。

 それに加えて申し上げれば、今、社会保障と税の一体改革あるいは経済連携と農業改革、まさに、これまでなかなか進まなかった問題を、本格的に取り組もうといたしているわけでありまして、今、この段階で解散とか、そういったことは全く考えておりません。

中井委員長 先ほどのA社の数字につきまして、考えをまとめて、昼の理事会にまで提出するように私の方から要請をしておきましたので、御理解ください。

茂木委員 一時間十分質問させていただきましたが、残念ながら、私なりに、きちんとデータを示して、事実に基づいて真摯にお聞きをしたつもりですが、逃げの答弁に終始をされたな、極めて残念だ、こんなふうに思っています。

 最後の点については、私は、税と社会保障の一体改革をやることが悪い、そんなことを申し上げているんじゃないんです。それが一年半前と明らかに変わっているじゃないですか、言ってきたこととやっていることが変わっているじゃないですか、ですから、解散・総選挙で信を問うて、オールクリアにして、新しい時代をつくったらどうですか、こういうことを申し上げているわけであります。

 きょうでは時間が足りませんから、改めて集中審議、お願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中井委員長 この際、棚橋泰文君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。棚橋君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文です。

 菅さん、資料を見るのも忙しいんでしょうが、こちらを少し向いていただけませんか。

 まず、マニフェストについて質問いたします。

 これは、今パネルで示しておりますが、二〇〇九年、民主党が総選挙で政権の座に着いたときのマニフェストの中身ですから、党首である菅直人さんがお答えください。

 五つ、特に主要なお約束がございます。

 企業・団体献金、禁止する。禁止したんでしょうか。

菅内閣総理大臣 企業・団体献金を禁止するという基本的な考え方は変わっておりません。具体的にその方向で、他党との御議論もありますが、我が党としては法案を出す準備をいたしております。

棚橋委員 当然のことながら、では、民主党の議員は、あなたも含めて、企業・団体献金をもらっていないんですね。

菅内閣総理大臣 企業・団体献金の禁止の法案の私たちが考えている中身は、禁止をすることを決めて、暫定的な三年間の経過措置を設けて、そしてその間に個人献金が拡大できるような、例えば税制的な議論をやっていこうということで、そういう意味では、現在はまだ法律ができておりませんし、また、できたとしても経過措置がやはり必要だという考えでありまして、現在は企業献金はいただいております。

棚橋委員 このマニフェストには、三年間は抜け道で企業・団体献金をもらっていいなんというのは書いていませんが、あなたは二〇〇九年のこの総選挙のときに、団体献金、JR総連から小沢さんと同額の献金を受け取っていますか。御存じでしたらお答えください。

菅内閣総理大臣 あらかじめ質問通告があれば調べてきておりますが、今突然お聞きになられても、ちょっと私自身の記憶で、どうなっているかをこの場でお答えする資料を持ち合わせておりません。

棚橋委員 私の調査では、あなたは小沢さんと同金額の、少なくともJR総連からの団体献金を受け取っていらっしゃいます。JR総連は、枝野官房長官が、いわゆる革マル派との関係での献金に関してこの委員会で何度も聞かれて、菅さんはあのときここにいらっしゃったのに調べていないんですね。

菅内閣総理大臣 ですから、私もかなり多くの個人ないし団体から、余りそう一挙に大きな額はもらっていないと私は認識しておりますが、かなりの団体あるいは個人からいただいておりますので、ちゃんと調べろと言われれば、ちゃんと調べて御報告します。

棚橋委員 語るに落ちるとはこれなんですが、かなり多くの団体からもらっておきながら、企業・団体献金禁止といったら、それはひどいですよ。(発言する者あり)静粛に、静粛に。

 もう少し聞きますが、このマニフェストの第一の約束には議員定数を八十減らすとありますが、いつ減らしたんですか、衆議院の定数八十。

菅内閣総理大臣 民主党として、衆議院の定数八十削減ということの方針を持っていて、今も持っております。

 そのことについては、やはり、政府が出すべき種類の法案ではないと思いますので、与野党間でしっかりと議論をいただいて実現を図っていきたい、こう考えています。

棚橋委員 あの総選挙からもう一年半たちますが、出てきていないじゃないですか、民主党から。なぜ出さないんですか。議員定数八十削減と言っているんでしょう。なぜ出さないのか、なぜ一年半も出てきていないのか、教えてください。

菅内閣総理大臣 今申し上げたように、民主党の考え方はまとまっております。

 ただ、それを、民主党が他の野党の皆さんあるいは他の与党の皆さんともきちっと話をしないで、一方的に法案を出すのがいいのかどうか、そこは私は与野党間での協議があるというのが自然なことではないかと思っております。

棚橋委員 本当に民主党はまとまっているんですかね。民主党の議員の中で、比例代表の定数八十削減には賛成できないという人は本当に一人もいないんでしょうかね。

 その上でもう一度伺いますが、菅さん、民主党の考えはまとまっているのに、何で各党各会派に呼びかけないんですか。もう呼びかけたんですか。話し合いはもう始まっているんですか。教えてください。

菅内閣総理大臣 私たちとしては、党の方針はきちっと固めております。その議論について、これは参議院のこともありますし、参議院は一票の格差の問題もあり、議長もいろいろと提案をされておりますので、そういうことについては与野党間で、やはり党の立場でいろいろと御議論をいただくということで、現在は幹事長を中心にこの扱いをお願いいたしているところです。

棚橋委員 ほら、話し合っていないじゃないですか、各党会派で。やるやると言いながら、話し合っていないじゃないですか。菅さん、今、野田さんに話し合っていないのと聞く、その程度の認識なんですか、議員定数八十削減と公約しながら。やるやると言いながらやっていないから、やるやる詐欺じゃないですか。まさに前原さんじゃないですか。

 二つ目に行きます。

 この民主党のマニフェスト五つの提言の中で、第二番目、子ども手当二万六千円出すという話ですが、これはどうなりましたか。

菅内閣総理大臣 前の問題も、自民党の方からちゃんと話し合いを、定数是正ですが、議論しようというふうに言っていただけるなら、ぜひ始めさせてもらいたいと思っております。

 子ども手当については、御承知のように、来年度の予算案の中で三歳児までの二万円の上乗せを提案させていただいています。

棚橋委員 議員定数削減は、あなた方が国民に約束して政権の座に着いたんじゃないですか。あなた方から各党各会派に呼びかける話でしょう。なぜ自民党、呼びかけてくれなんですか。やる気ないんでしょう。おかしくありませんか。

 その上でもう一回聞きますが、二万六千円は出すんですか、出さないんですか。

菅内閣総理大臣 私が理解しておりますのは、この定数の問題あるいは政治資金の問題、各党いろいろな考え方をお持ちで、できるだけ、まず政治資金の問題なども、どの程度フォーマルかインフォーマルかは別として、話し合いたいという姿勢を持っておりますが、残念ながらまだそういう状況になっていないというのが今の党の方の認識だと理解いたしております。

 棚橋さんがそこまで自民党もしっかりやるということを言っていただけるなら、さらに努力をするように、私の方から幹事長に伝えたいと思っております。

中井委員長 二万六千円のやつは、菅さん、子ども手当。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、来年の予算に関しては、三歳児まで二万円に上乗せをした。今後については、地方自治体等との議論も含めて、どのようにしていくのか。実は、そのマニフェストでしょうか、参議院のマニフェストにおいても、一万三千円から上乗せをすると。上乗せをするときに、それを現物給付でいくのか現金給付でいくのか、それは選択の余地があるという趣旨のことを申し上げているところであります。

棚橋委員 議員定数削減に関しては、各党各会派へということでやるつもりがないことがよくわかりました。あなた方は、結局、自分の身を削ることは絶対やらないんですよね。

 その上でもう少し聞きますが、二万六千円と言いながら、参議院では一万三千円プラスに変えたからもういいんだと。では、このマニフェストを信じて、二年前、二万六千円もらえると思って民主党に投票した有権者はどうなるんですか。お答えください。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、この二万六千円ということについて、初年度が一万三千円で、来年度については三歳児まで二万円というところまでは具体的に既に提案をいたしております。

 これから先のことについては、先ほど申し上げたように、さらに上乗せをしていきたいということの方向性を先ほど説明したわけでありまして、これからもできるだけマニフェストに沿って実現を目指して努力したい、こう思っております。

棚橋委員 私は子ども手当の枠組みに関しては基本的に反対ですが、二万六千円もらえると思って投票した有権者がいるんですよ。ところが、あなたは、一万三千円プラスアルファで、上積みできるようできるだけ努力する。これが約束なんですか。約束というのは、約束しておきながら、できるだけ努力しますからよろしくでいいんですか。では、すべての約束が成り立たなくなりますよ。

 できるだけでいいんですか、二万六千円出すんですか、教えてください。

菅内閣総理大臣 この間、いろいろ議論をしてきていることは御承知のとおりでありまして、ことしの秋に衆議院の任期の折り返し点を迎えますので、そういった意味で、これまで実行できているもの、さらに着手をして道半ばのもの、あるいは一部まだスタートができていない、あるいは難しいものなど、検証をした上で、どうしても難しいというものについてはしっかりと国民の皆さんに説明をしていきたい、こう考えております。

棚橋委員 ちょっと待ってくださいよ。二十三ページにもなるこの分厚いマニフェストの中の最後の要約の五つの約束、その部分だけ私は聞いているんですよ。これが、できるだけでいいんですか。検証するも何も、やれるからマニフェストで約束したんじゃないんですか。やれないのにマニフェストを約束したんですか。約束じゃないんですか。教えてください。

菅内閣総理大臣 同じ答弁になって恐縮ですが、今申し上げたように、相当部分は既に実行し、あるいは着手をいたしております。まだ幾つかの問題では最初のマニフェストどおりにできていないものもあることは事実であります。

 それも含めて検証し、それに関して国民の皆さんに、どうしても難しいものについては理由を含めてきちっと説明をしたい、こう申し上げているんです。

棚橋委員 相当部分が実行できていると言いますが、今質問したのは全部実行できていないじゃないですか。

 では、今度は三番目のお約束の件を聞きます。最低保障年金七万円、出すんですね。

菅内閣総理大臣 年金についてお答えしますが、その前に、一般的に私たちが、特に当時注目をされたのは、先ほどの子ども手当、そして農業における戸別所得補償、さらには高校の無償化、高速道路の無料化、あるいはガソリン暫定税率の問題でありました。

 そういった意味で、先ほどの議論でも申し上げましたように、それぞれの政策はこれまでの政権とはかなり質の違う、思い切った政策転換を行おうとしているわけでありまして、そういう点で、例えば農業の戸別所得補償といった考え方は、欧米では従来からあったわけですが、残念ながら日本では必ずしもやられていなかったわけで、そういったことをやってきたということをまず申し上げておきたいと思います。

 最低保障年金について七万円ということを申し上げておりまして、それについては、これからも実現に向けて、これから制度設計も含めて議論をしていきたい。

 それを見ていただくと、年金のところは、二年間はまず消えた年金等の対応を集中的に行って、二十四年度からそうした制度設計に入るということを、その工程表の中でも申し上げているところであります。

棚橋委員 ちょっと、菅さん、勘弁してくれませんか。口パク人形じゃないんですから、武正理事が言うことをそのままなぞって言うのはやめてください。自分の言葉で話してくださいよ。私はマニフェストの基本的なことを聞いているんです。そもそも官僚答弁を読む必要もない話ですよ。

 最低保障年金はやるのかやらないのか。制度設計するじゃなくて、やるんでしょう、約束なんですから。財源はどうするんですか。やるんですか。お答えください。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、マニフェストの中で来年度からきちんと制度設計も含めて議論しようということを申し上げております。

 と同時に、御承知のように、社会保障と税の一体改革についての議論の中で、まずは社会保障制度のあり方についての議論を、今、与謝野担当大臣を中心にして始めているところでもありまして、そういうこともあわせて、マニフェストで申し上げた考え方は我が党の基本的な考え方でありますので、それも含めて議論をしていきたい、こう考えております。

棚橋委員 なぜ、これから制度設計をしますが最低保障年金七万円は必ず実現しますと言えないんですか。言ってください、お願いいたします。

菅内閣総理大臣 ですから、今申し上げたように、最低保障年金七万円という基本的な考え方に基づいた制度設計について、二十四年から議論を始めたいということをこのマニフェストに申し上げている。その線に沿って進めたいと思っております。

棚橋委員 私は、菅さんが前に同僚議員に言ったように、質問を原稿を読まずにしろとおっしゃるので、原稿を読まずに自分の言葉で、しかも全部質問通告した上で聞いているんです。何で武正さんの口パク人形をやったり、後ろの細野さんの操り人形なんですか。

 その上でもう一回聞きますが、何で最低保障年金七万円は実現しますと言えないんですか。だって、ここには最低保障年金七万円と書いてあるんです。制度設計して実現しますと言ってくださいよ。菅さん。

菅内閣総理大臣 最低保障年金七万円ということを申し上げているので、それを含めた制度設計をきちんと手順を追ってしていきたい、こう申し上げております。

棚橋委員 私は単純な質問をしているんです。お約束された最低保障年金七万円、制度設計をきちんとやって実現しますと、約束なんですから、言ってくださいと言っているんです。言えないんですか。

菅内閣総理大臣 私は素直に言っているつもりですが、民主党の考え方の中に最低保障年金七万円というものが入っておりまして、それをどういう形で制度として組み立てるか、これについて議論をしていきたい、こういうことを申し上げているんです。

棚橋委員 なぜ同じ質問を何度もしなきゃいけないんですか。簡単なことです。最低保障年金は実現するんですか、しないですか。イエス、ノーでお答えください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、まず、現在同時に、社会保障のあり方について、四月に向けて、いろいろな党あるいはいろいろな団体の御意見も聞きながら議論をするということでスタートしているところです。民主党として、そのベースになる民主党の考え方は、今申し上げたように最低保障年金七万円ということでありまして、決して私は、何か答弁は逃げているとは思いません。

棚橋委員 もう勘弁してほしいんですが、では、やるんですね。

菅内閣総理大臣 棚橋さんもおわかりの上で質問されているんでしょうけれども、つまりは、この年金の問題は、最低保障年金の額だけではなくていろいろな大きな要素があります。一元化の問題、あるいはどの範囲でそれを保障するのか等々ありますので、そういうものも含めた議論を今一部始めておりますし、党としてもやりたいし、そこまでおっしゃるなら、できれば与野党の協議にもぜひ参加をいただければと思っております。

棚橋委員 今、民主党席から勉強と思わず失笑が漏れましたが、勉強せずに約束したんですね。

 では聞きますが、仮に最低保障年金を実現するなら、国民年金の保険料は納めない方が得なんですね。菅さん、どうぞ。

菅内閣総理大臣 ちょっとその質問の意味が必ずしも私には正確にわからないんですが、私たちが申し上げてきているのは、これまで掛けている人たちの基本的な権利は当然勘案しなければならないということを前提として制度設計を考えておりますので、何か、掛けない方が有利なんですねという御質問には、ちょっと趣旨が私にはよくわかりません。

棚橋委員 では、国民年金の保険料を納めていない人は七万円、国民年金の保険料を例えば二十五年、四十年後納めた人は、その分もプラスと。

 財源はどうするんです。財源は幾らですか。

菅内閣総理大臣 ですから、そういう御質問につながると思ったから、先ほど来、ちゃんと制度設計を二十四年度から始めるというのがこのマニフェストに……

中井委員長 二十三年度だろう。始めるのは三年じゃないの。四年か。

菅内閣総理大臣 いやいや、制度設計は二十四年からということを申し上げているわけで、その制度設計の仕方によっていろいろな形が、あるいは負担があり得る、このように理解しています。

棚橋委員 つまり、何にも考えずに最低保障年金七万円と、二年前に何にも勉強せずに、何にも制度設計せずにやっていましたというような話じゃないですか。よくわかりました。

 次に、マニフェスト、四番目を伺います。

 自分から高速道路無料化とおっしゃいましたが、東名も名神も無料化されるんですね。

菅内閣総理大臣 現在、御承知のように、社会実験をやっておりまして、首都高、あるいは関西の、大阪の阪神については、もともとそれには入っておりません。

棚橋委員 読ませていただきます。ここには「高速道路は段階的に無料化し、物流コスト・物価を引き下げ、地域と経済を活性化します。」と、まとめのところ、高速道路の無料化、やりますと書いてありますが、東名、名神除く、首都高除くとこれに書いていないですが。

菅内閣総理大臣 東名に関しては後ほどあれですが、私が理解しているのは、首都高のように、ある意味で別の理由で、つまりは、余り都心に車を入れるべきでないという理由で無料化をしない方がいいというものは外しております。その上で、現在、社会実験を行っております。

 もし詳細が必要であれば、国交大臣に答弁させます。

棚橋委員 まず、社会実験に税金をつぎ込まれたら困るんですよ。高速道路の無料化をおかしいと思っている人の税金を、あなた方の実験でやられちゃ困るんです。実験は自分のお金でやってください。

 私が聞きたいのは、ここには高速道路無料化と書いてあるんですよ。首都高だめ、東名、名神だめと書いていないんです。しかも、首都高、東名、名神だめ等々なら結構ですが、それ以外は全部無料化するんですね。

 マニフェストに関することですから、菅さんがお答えください。もし菅さんに答弁能力がないようであれば、総理大臣になる方がお答えください。

中井委員長 事実関係を検証しますので、東名、名神について……(発言する者あり)御静粛に。東名、名神について当時のマニフェストやインデックスにどう書いてあるかの事実関係だけを国交大臣から答弁させて、その後で菅直人さんに答弁……(棚橋委員「マニフェストはここにあります」と呼ぶ)マニフェストに、ちゃんとインデックスを活用してもらうんです。

 大畠国交大臣。(棚橋委員「委員長、何でそんなに総理をかばうんですか」と呼ぶ)かばっていない。いい質疑をするためです。

大畠国務大臣 棚橋委員にお答えを申し上げたいと思います。

 ただいまの高速道路の無料化の話でございますが、マニフェストの中にも示してございますけれども、無料化することによって混乱が生ずるということが予測される、例えば東京都内あるいは大阪等々については、この無料化の範囲から外してございます。

 東名の件につきましては、マニフェストについては明記してございませんが、そういうことも考えながら、いわゆるまず社会実験を行って、その社会的な影響、それと並行する公共機関に対する影響、あるいはユーザーの皆さんの声を聞きながら、段階的に計画をして実施する、こういうことで進めているところでございます。

棚橋委員 まず、菅さんに私は質問いたします。

 今、大畠大臣からもお話がありますが、東名等については明記していないと言われますが、国民はこのマニフェストを見て民主党に投票したんですよ。だまされたんじゃないですか、それじゃ。菅さん、どう思いますか。菅さんの御答弁をお願いします。党首。

菅内閣総理大臣 まず、これは国民の皆さんが聞いておられるので、もう少し正確に申し上げます。

 なぜこの議論が出てきているかといえば、もともと高速道路というのは、法律上、償還が終われば無料化することになっているわけです。それをプール制という形で、結果的に、例えば東名などは、もうそこだけ見ればとっくの昔に無料化してもおかしくない収益が上がっていたわけですが、それを逆に、プール化して、どんどんつくろうと。

 その結果、もちろん、すべてがまずかったとは申し上げませんが、例えば、本州四国に三本の橋ができ、そして何千円という通行料になって、事実上、ほとんど車が走らない。あるいは、今は安くなりましたが、アクアラインも別扱いになって、当初がたしか片道四千円だったでしょうか。

 そういう形で、つまりは、私たちからいえば、橋をつくったり道路をつくること、それが日本の経済全体を引き上げることになるのであれば、私はそれは大きな効果がある。しかし、単に橋をつくるため、単に道路をつくるためだけに、それだけの経済効果を考えて何兆円もの工事をやるのでは、それは余りにも効果が薄いのではないかということも含めて、しかし、つくられた橋や道路を使わないでそのままにしているのがいいのか。あるいは、それを値段を下げる、あるいは無料にして使うようにすることによって、これまで、例えばアクアラインでいえば、木更津の地域は横浜まで十五分で行くわけですけれども、しかし、それが余りにも高過ぎたために、木更津は期待で土地が上がりましたが、その後、暴落をいたしております。

 そういうことを考えると、料金を引き下げる、あるいは無料化することで、国土の、もっと地方の発展が望める、そういう考え方からこの政策を打ち出してきているわけでありまして、まさにその効果について社会実験するというのは、私は大変適切な政策だ、こう思っております。

棚橋委員 高速道路を使わない人の税金を高速道路の無料化に使うというのはおかしいと思いますがね。実験ならば、あなたのお金でやってください。

 では、五つのお約束のうちの五番目。

 中小企業の法人税率は一一%。今度の税制改正で中小企業の税率は一一%になるんですね、あるいは、今一一%なんですね。教えてください。いや、菅さんに聞いております。

野田国務大臣 私の方からお答えして、補足があれば総理にお願いしたいと思います。

 二十三年度の税制改正で、中小の軽減税率は一八%から一五%という措置をとるということでございます。

棚橋委員 菅さん、中小企業の法人税率一一%とここに書いてありますが、どうなりました。教えてください。いや、菅さんに聞いているんです。委員長、だめですよ、菅さんの弁護人やっちゃ。

野田国務大臣 御指名をいただきましたので、お答えさせていただきたいと思います。

 一八から一五にした理由というのは二つあります。

 一つは、一般の法人税率とのバランスでありまして、今回、法人税率を三〇%から二五・五%に引き下げることになりました。ということは、三〇%のうちの四・五%ですから、約一割五分の減です。同じ意味合いで一八から一五におろしているということと、あとは……(発言する者あり)いや、結果論ではありません。一般の事業主との、個人の所得税との関係で、八百万円以下とのバランスが崩れるということもあって、一五%以上今回引き下げることは見送ったということでございます。

棚橋委員 まず、それでは、菅さん、お答えください、御存じでしょうから。

 平成二十六年度以降は一一%になるんですね、今の税制改正では。野田さん、メモを見せてくださって結構ですから。

 だって、今、一八から一五まで下がったんでしょう。一一にするんでしょう。だから、次は一一にするようになっているんじゃないんですか。

野田国務大臣 先ほど申し上げたとおり、今回は、個人所得税との関係と、あるいは一般の法人税とのバランスで一八から一五という形のおさめ方をしました。

 これから、法人含めて、あるいは資産課税、消費課税、所得課税、税制の抜本改革を考えていく中で判断していきたいと思います。

棚橋委員 おかしいじゃないですか。これから考えていきますと言ったって、ここには「一一%に引き下げます。」と書いてありますよ。

 済みません、菅さん、お答えください。これは民主党のマニフェストです。あなたが党首です。一一%にするんですか、しないんですか。

菅内閣総理大臣 中小企業について一一%に引き下げるというこのマニフェストについて、今回、今、野田大臣からありましたように、一五%まで引き下げたわけです。

 今後については、他の税制の関係、景気の関係を含めて、これを目指すという姿勢には変わりはありませんが、これから検討していきたいと思っております。

棚橋委員 今、菅さんは全部、目指すとか努力するとか。マニフェストでは、やると言っているんですよ。そうすると、五つの約束を検証すると、全部バツがつくんですよ。いいんですか、こんなことで。

 ちなみに、私は、このパネル、文字にバツをつけようとしたら、民主党の理事の反対で、バツかクエスチョンじゃないとだめだということになりましたが、さすがに民主党の理事も、この五つの約束にマルをつけるとは言っていないんですよ。

 菅さん、この五つの約束、全部バツじゃありませんか。

 そして、その上で伺いますが……(発言する者あり)静かに。委員長、静粛にさせてください、声が聞こえませんから。

 菅さん、こっちを向いてお聞きください。

 あなたは、なぜ今総理大臣の席に座っていられるんですか。

中井委員長 どういう質問ですか、少し……

棚橋委員 簡単なことです。

 なぜ今、菅さんが総理大臣でいられるんですか。御自覚を聞きたい。あるいは法的な意味、憲法上の意味でも結構です。

菅内閣総理大臣 その前に一言だけ申し上げますが、先ほど高速道路の無料化に関して、高速道路を使っていない人の税金を使ってと言われましたが、実は、高速道路を使っている人も、今税制が若干変わりましたが、ガソリン税は払っているんです。一般道の人もガソリン税を払っているんです。しかし、高速道路を払っている人は、ガソリン税はかつては道路特定財源でしたが、当時から、高速道路の建設には一円も充てられてこなかったんです。

 ということは、高速道路を走っている人は、道路特定財源であったガソリン税を払った上に、道路の使用料を二重取りされていた、これが客観的な事実でありまして、そのことを逆に、高速道路を使っていない人の税金を使ってというのは、若干正確でないので、そこだけは申し上げておきます。

 それから、私が総理大臣の席にいるのはなぜか。それは、皆さん方に衆議院で首班指名をいただいたからであります。

棚橋委員 高速道路の件は、使っていない人間の税金も使われることは間違いありません。そこは言っておきます。

 その上で、まさにおっしゃるとおりなんですよ。あなたが総理大臣の席に座っているのは、民主党の衆議院議員が選んだからです。

 でも、今申し上げたように、五つの約束は全部うそだったんですよ。二年前の衆議院選挙は、あなた方、サギフェストで国民をだまして、議席がこの衆議院議員にあるんです。それであなたは座っているんですよ。

 しかしながら、だましたことがばれたんですから、あなたは、その席を一回退いて、選挙をやり直して国民に選んでもらうべきだと思いませんか。これが常識じゃないですか。だましていたんだったらそうすべきです。お答えください。

中井委員長 申し上げますが、インチキだとかあるいはうそだとか、断定するのはおやめください。やじも含めて聞き苦しいところが時々ありますから、十分お言葉にはそれぞれお気をつけください。

 菅直人内閣総理大臣。(棚橋委員「ちょっと委員長、お待ちください。委員長、委員長」と呼ぶ)お座りください。指名していません。指名していません。座ってください。

菅内閣総理大臣 まず、マニフェストについては、基本的に四年間で実現をするという基本原則で今進めているところであります。

 その上で、私は、政権交代というものが、完全な形であったかどうかは別として、九三年とか何回かありました。私も、他の国の政権交代、イギリスなどを見ていると、やはり一たん政権交代した場合は、新たに政権を担当した政権が、少なくとも、イギリスでいえば五年、大統領の国であれば四年はやって、その結果を国民が、改めて、ちゃんとできたか、いや、やはりできなかったか、それを判断していただくのが次の総選挙だと思っております。

 そういった意味で、現在の段階で、今道半ばで、さらに大きな課題もありますので、今解散をするといった発想は全く私にはありません。

棚橋委員 まず、委員長に御注意申し上げます。だますとか詐欺とか、やるやる詐欺という言葉を使ったのは、失礼ですが、前原さんあなたでしたよね。民主党の方がそういう言葉を使っているんですよ。しかも、全部実現していないんですから、詐欺じゃないですか。

 その上であえて申し上げますが、このマニフェスト、四年間で必ず実現するとあなた全然言わないんですよ。それなのに四年待ってくれというのは、どう見たって、この国の判断能力がなくなるという状態があと二年以上続くということじゃないですか。

 国民は、総理大臣がころころかわることを望んでいませんよ。私もそうです。しかし、今多くの世論調査で、総選挙をやるべきだという声が一番多いんです。なぜか。無能な総理よりは、一カ月ぐらいの政治空白の方がまともだ、国民はそう思っているんです。解散して、国民の信を問うて、あなたがその席に座る資格があるかどうかをきちんと国民にもう一度問うことを強く要求して、私の質問を終わります。

中井委員長 この際、小泉進次郎君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。きのうの一時間の質問に引き続き、きょうも二十分の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど、茂木議員と菅総理とのやりとりの中で、子ども手当がまず取り上げられました。その中で総理は、子ども手当がばらまきかばらまきじゃないかじゃなくて、子ども手当が要るか要らないかの議論をやりたい、そういうふうにおっしゃいましたので、きょう、その議論をやらせていただきたいと思いますので、総理、よろしくお願いします。

 私は、民主党の子ども手当は要らないと思っています。

 一つ目の理由は、やることはいっぱいあるのにもかかわらず、例えば保育所の増設、学童など、そういったことがあるにもかかわらず、現金をばらまくことに余りにも莫大なお金をかけるのは、私は正当だとは思えない。

 二つ目は、借金に苦しんでいる今の国家の現状で、所得制限もない、一律にお金を配るのは、私は結局、次の世代に借金を、ツケを回す、これにつながると思います。そして、所得制限がないことで、私たち国会議員で中学三年生以下の子供を持っている国会議員でも子ども手当をもらっている。私は、これは国民の理解を得られるとは全く思えない。

 そして、三つ目の理由は、地域主権と民主党が言いながら、地方の声を反映しないで、子ども手当を全額国庫負担でやると言ったにもかかわらず、地方に一部負担をさせることを、昨年は暫定的にやると言ったのにもかかわらず、ことしもそれを継続していること、これは全く地方の理解も得られない。

 だから、私は、子ども手当は、今の民主党のやり方で要らないと思っています。総理は、要ると思っているんですから、国民の皆さんに要るということで説得してください。

菅内閣総理大臣 大変建設的な議論をいただきまして、ありがとうございます。

 三点を挙げて、私たちが提案し、あるいは実行している子ども手当は要らないということを言われました。

 しかし、一つ一つ、なるべく簡単にお答えしますが、まず第一に、社会保障全体の中で、子育てなどに関するこれまでのいろいろな政策の手当てが私は不十分だったと思います。そういった意味で、確かに保育所の増設も必要であり、今、全力を挙げて、私は特命チームをつくって、待機児童ゼロ作戦も進めています。それも必要でありますけれども、所得の低い人たちも、ある意味では高い人たちも含めて、子供を育てることを社会として支えていくという意味で、私は、この制度は大変必要だ、このようにまず第一点で思っております。

 第二の点で、借金であって、特に所得制限がないことを指摘されました。しかし、先ほど泉議員のリストをごらんになったかもしれませんが、少なくとも、例えば千五百万円の収入以上の人は、控除がなくなることによる税の結果的な負担が重くなるのと、これでいただくお金がほぼツーペイでゼロになる。事実上、所得制限があるのと同じ効果。つまりは、低額の収入の人に重点的に当たって、所得の高い人からは外れるというのが先ほどの泉議員の具体的な数字にもあらわれていて、そういうことも含めて、私はこの制度は必要だと思っております。

 それから、第三番目は地域のことでありますが、これも国民の皆さんに誤解がないように申し上げておきたいんですが、決して新しい負担をお願いしているということではありません。つまりは、これまであった児童手当というものの中では、地方と国と事業主の三者負担であったわけですけれども、それに上乗せをして、子ども手当という枠の中では、これまで地方で負担していた分だけは従来と同じように持っていただきたい。これはおわかりだと思いますが、そのかわりに、逆に、控除が外れることによって地方税も収入がふえるわけです。ですから、将来この問題をいろいろとどうするかということは、地方とちゃんと議論すれば、私は理解が得られると。

 そういう三つの理由で、この子ども手当はぜひ必要だ、ぜひ小泉議員にも御理解をいただきたい、こう思っています。

小泉(進)委員 一点一点返答をいただきましたが、私は理解ができません。

 特に三つ目の、地方のことに対してですが、これは総理のすりかえですよ。もともと、新しい負担は地方に負わせていないと言いますが、児童手当の部分を継続して負担をさせること自体がマニフェスト違反なんですよ。その理解を総理はしていませんよ。

 では、総理、これは先ほど通告だけさせていただきましたが、今、日本全国で、全国の地方自治体で、幾つの地方自治体が予算の中での地方負担分を国費の計上、それでやっていますか。つまり、地方が、全額国庫でやってくれ、そういう声を上げているのは幾つの地方自治体ですか。

片山国務大臣 これは二月二日現在の調査でありますけれども、全額国費で計上すると報道された自治体が一県と四十八の市町村です。

小泉(進)委員 ということで、合わせて四十九の地方自治体が民主党の方針はおかしいんじゃないかと言っているんですよ。そして、これからも幾つか、私はそういう方針で国に対して主張をする地方自治体があると聞いています。

 総理は、なぜこういう地方の声が上がってくると思いますか。いや、総理、総理。

片山国務大臣 御指名をいただきましたので、とりあえず私の方から御答弁をさせていただきます。

 地方の自治体と意見交換していないんじゃないかとか意見を聞いていないんじゃないかとおっしゃられますけれども、確かに……

中井委員長 なぜその声が上がっているかということをお答えください。

片山国務大臣 はい、ちょっと待ってください。

 二十三年度に向けては、細川厚生労働大臣が随分苦労をされて、いろいろなところを行脚されました。

 それで、知事会とか市長会は、遺憾だとか残念だとかといういろいろな表現はありますが、総じて賛意を示していただいてくれているわけです。ただし、自治体は千七百数十あります。したがって、さっきの一と四十八市町村は確かに全額国費でということで予算計上されていますけれども、他の大半のところは大体国の方針、今の政府の方針にのっとってやられているわけです。

 理由はいろいろあります。それは、例えば昨年、一昨年ですけれども、そのときに全額国費の議論があったじゃないかとかいろいろありますけれども、これについては、私は幾つかの団体でそういうことがあってもそれはしようがないと今の段階では思っております。

小泉(進)委員 私は、総理大臣がしたいと言うので議論をやっているんですから、総務大臣のことは指名していません。総理大臣にお答えいただきたいと思います。

 地方から反対の声が上がっているのは、どういう認識でこういうことが起きていると思いますか。

菅内閣総理大臣 実際に地方自治体の皆さんとしっかり協議をいただいているのは担当大臣でありますので、担当大臣から今詳しい答弁をしていただきましたが、私の理解しているところでは、今大臣からも話がありましたけれども、かなりの部分は理解をしていただけているんだと思うんです。

 つまり、児童手当のときに負担をしていた。長い目で見れば、数年たてば、それはそのままであっても地方税が増収になるような控除が現実に動き出すわけです。ですから、地方……(発言する者あり)ですから、聞かれたから、これは説明せざるを得ないんです。

 つまりは、児童手当のときの負担を自治体の皆さんにそのままお願いしたとしても、実は、控除の制度が変わることによって住民税が増収になりますから、自治体はふえるんです。

 実は当初から、それならばふえる分を何らかの形で調整して全体を国にする、そういう提案なり議論もありました。しかし、かなりこれは制度的な問題でいろいろと議論が必要なものですから、今申し上げたように、自治体の皆さんと、初年度はまず理解をいただいて、二年目も、これは単年度の形になっているのは、その後についてはそういう恒久的な税制も動き出しますので、その中でしっかりと協議をしたい、そういう思いで私は、相当程度の自治体は御理解をいただいている、しかし、一部の自治体はそれでも納得いただけていないというのはそのとおりだと思っています。

小泉(進)委員 総理の説明は全く心に響かない。

 なぜ地方で反対の声が上がっているかといえば、簡単ですよ、民主党がやると言ったことをやらないからですよ。最初、民主党は、全額国庫でやる、地方の負担はない、そういうふうに言っていたんでしょう。だから、地方は反対の声を上げたんです。

 そして、これは皆さん言いませんけれども、なぜ児童手当部分を残して子ども手当の部分を上積みしたかといえば、結局お金がないからですよ。十六・八兆円のうちで子ども手当の財源もあると言ったけれども、それがないから地方に負わせるしかない。その仕組みとして児童手当の一階部分を残したんじゃないですか。

 そして菅総理は、地方の声も聞いている、そういうふうに言いましたけれども、きのう片山総務大臣と長くやらせていただきましたが、きょうも理事会の方で、きょう出すときのう言った資料を出していただきました。これは、地方財政審議会、簡単に言えば総務大臣が地方の声を聞く場ですよ。そこで聞いたのは一月の十八日。しかし、五大臣合意、これは十二月の二十日ですよ。つまり、地域主権、地域主権と言いながら、五大臣合意で合意ができた後に、一月十八日に地方に対して、もうこれは決まっていますと。つまり、地域の声を聞いているという形だけを繕ったアリバイづくりじゃないですか。そういうものじゃないですか。

枝野国務大臣 総務省の方から御提示をした審議会も、地方の声を聞く場としてちゃんとお聞きをいたしましたが、同時に、先ほど総務大臣からお話ございましたとおり、厚生労働大臣を中心にして、それに先立って地方の代表の皆さんと、あるいは地方のさまざまな声を、御相談しながら、協議をしながら五大臣合意へと至ったというものでございますので、御納得いただけない地方自治体があることは大変残念でございますが、しかし、多くの地方の皆さんの声を踏まえた上で二十三年度の措置として、恒久ではなくてこういう措置をとらせていただいたということを御理解いただければと思います。

小泉(進)委員 地方の声を踏まえてというのは全然うそですよ。

 この地方財政審議会で、きょう出してくれた資料の中でも、「地方財政審議会は、子ども手当は全額国費とすべき、との意見を出している。」これを反映してこそ、地域の意見を反映しているというんじゃないですか。しかも、地域の意見を反映している理由の一つに、子ども手当から給食費を引ける、徴収できる、合意のもとに、こんなことを言っていますけれども、給食費を滞納している人、払えないんじゃなくて払わない人もいるじゃないですか。もともと地方が合意をとれるものだったら、子ども手当から徴収をする前に簡単にとれますよ。だから、これを地方の声を反映していると言うことが私は言い繕いだと思っている。

 厚労大臣、何かありますか。

中井委員長 簡単に。

細川国務大臣 地方の代表の皆さんといろいろとお話をしました。そのときに、一番地方で困っているのは、保育料の未払いがある、給食費の未払いもある、そして徴収するのに大変だというんですよ。これはずっと前から懸案の事項で、ぜひこれを子ども手当の法案のときに、これも向こうからの強い要請があったから、私どもそれを入れたのでございます。

小泉(進)委員 その保育料の部分も、私の地元に限って言えば、一万三千円をそこから引いたって、それ以上高い保育料の部分、個人個人でその差額を調べなきゃいけないことも大変な事務ですよ。こういうことも言っていますよ。

 だから、地域の声の最大のものは何かといったら、結局、最初に言った全額国庫負担をやってくださいということなんですよ。これをできないことが今の地域の反発の声になっているんじゃないですか。

 そして、民主党は今のままの子ども手当を続けることで、一丁目一番地の地域主権、これも侵すことになりますよ。なぜかというと、内閣府の地域主権改革のホームページに、最初にこう書いてありますよ。「地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる活気に満ちた地域社会をつくっていくことを目指しています。このため、国が地方に優越する上下の関係から対等なパートナーシップの関係へと転換する」。この地方財政審議会と先ほどの五大臣合意の手続のあり方、これが果たして本当に対等なパートナーシップの手続だと思いますか。私はそうだと思えない。

 そして、今回、控除の廃止に伴って地方の税収がふえる、そのふえた税収分を子ども手当に充てるということですが、住民税は地方が行政サービスのために使う財源じゃないですか。そこに国が手を突っ込むことは、地方の自主財政権の侵害に当たりませんか。

菅内閣総理大臣 今やっとお認めいただいたと言っていいのか、結局、国が全額出すというのを自治体に押しつけるのはけしからぬという表現でよく言われますけれども、自治体に新たな負担をお願いしているのでは、金額的に、お金の面では、ないんです。

 つまり、児童手当のときに負担をしておられるのをそのまま残していただいて、二年間やって、さらに、今、小泉議員御本人から話がありましたように、住民税の控除を少し少なくすることによって自治体に対する税収がふえるわけでありますから、その自治体がふえるお金の中で、例えば国と地方はいろいろな形でやりくりをやっているわけですから、そういう形でやるやり方もそれはあります。

 ですから、それは来年を経て、再来年の段階で、場合によってはその部分のやりくりの中でもっとすっきりとした形がとれるかどうか、それは地方の皆さんとしっかりと議論をしていきたい、このように申し上げているんです。

小泉(進)委員 総理は、今この約二十分間の間で、子ども手当は要るという説得を国民に対して試みたんですよね。

 きのう、片山総務大臣は、当初民主党がマニフェストで言っていた全額国庫負担は理想論だと言いましたよ。この理想論を民主党はやろうとしたわけですよ。しかも、それはもう約束している。

 だって、マニフェストの中で、この民主党のマニフェスト、この工程表に財源表が示されていますが、ここに示されているということは、これは全部国費ということじゃないんですか。それは全然認識が違うんですか。この五・五兆円も、そのうちの二千億は出産一時金、そして五・三兆円が子ども手当、そしてそれは全額国庫負担。これは鳩山さんもそう言っている、長妻さんも、そして原口さんも言っていた。それは違うんですか、総理。国民の認識が違いますか。官房長官は要りません。きのう十分やりましたから、官房長官の答弁は要りません。

枝野国務大臣 きのうも申し上げましたとおり、マニフェストで何をお約束したかといえば、その給付についてお約束を申し上げて、そして、その財源に幾らかかるかということをちゃんとお示しをして、それに基づいて進めております。(発言する者あり)

中井委員長 御静粛に願います。

 小泉さん、座ってください。

枝野国務大臣 全額国費で行うということは、マニフェストでお約束をした中身ではございません。もちろん、今総理が御答弁申し上げましたとおり……(発言する者あり)

中井委員長 静粛にしてください。

 小泉さん、着席願います。

枝野国務大臣 国の方針の結果として地方の税収がふえる、この結果としての調整をこれからしていくことも含めて、全額国で形式的にも見た形になるという方向が望ましいという努力をしておりますが、そしてそういう方向は前政権以来申し上げておりますが、しかしながら、それはマニフェストでお約束をしたことではないということは、事実関係ですので、ぜひ御理解をいただければと思います。

中井委員長 委員各位に申し上げますが、質問主意書と同時に、要求大臣というのが出ております。自民党の先ほどの方は、八人の大臣を張りつけたまま質問せずに終わっています。今回も五人の方がおられるから、できる限り分担で御答弁をいただきたい、こういうことであります。

小泉(進)委員 質問者が要求大臣を呼ぶのは権利じゃないですか。

中井委員長 だけれども、できる限り質問するのも必要です。

小泉(進)委員 だから、こちらだって要求大臣で呼んだけれども、今は要求していないじゃないですか。今私が要求したのは総理じゃないですか。委員長、それはおかしいよ。

中井委員長 それは、できる限り質問してもらうのが当たり前です。

小泉(進)委員 私は要求していませんよ。

中井委員長 どうぞ、答弁してください。

小泉(進)委員 きょうは、菅総理がしたいと言ったから、私は子ども手当が要るか要らないかの議論をしようと思ったんですよ。でも、結局、後ろから官房長官が出てきて、私は、きのう十分官房長官とやらせていただきました。総理がそれを遮って、これはおれがやると何で言えないんですか。

 このように二十分間やってもわかるとおり、総理もこういった議論をやりたいんですから、まだまだこれは集中審議で、マニフェストの財源の問題も、項目の見直しの問題も、さらにやっていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

菅内閣総理大臣 先ほど、マニフェストに盛り込んでいるいないということで官房長官から説明があったわけでありまして、私は、先ほど来申し上げているように、これは国民の皆さんにできるだけわかりやすくと思って、決して新たな負担を自治体にお願いしているのではなくて、ある意味では、今までの負担をこの一年、二年はお願いして、その後は、税が増収に自治体分なりますから、それをどういう形で扱っていくかということは自治体の皆さんと相談をしっかりしたいということを申し上げているので、決して私が言っていることが何かおかしいとは私は思っておりません。

中井委員長 これにて茂木君、棚橋君、小泉君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、質疑者の御了解を得て、これを許します。菅内閣総理大臣。

菅内閣総理大臣 午前中の質疑で、茂木委員の方から、ある民間企業のリストラ状況について、逆に従業員がふえたという御指摘があったので、調べてまいりました。

 この企業では、九九年十月にリバイバルプランを発表して、九九年から〇一年にかけて、定年退職、村山工場の工場閉鎖に伴う選択的定年・早期希望退職、事業売却・非連結化等で、有価証券報告書上のこの企業の従業員が約一万八千人、まず減少いたしました。そして、その後増大したというのは、〇四年に中国東風汽車と合併、連結決算の対象化、それにより有価証券報告書上のこの企業の従業員が約四万人増加、その他、タイ、台湾、ロシア等の関連企業の連結化等で約一万人増加でありまして、当初一万八千減った後、その数年後に中国や外国の企業の連結化で増大したのであって、国内的に従業員が増加したという数字にはなっておりません。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 質疑を続行いたします。坂口力君。

坂口(力)委員 菅総理になりましてから、私、初めて質問をさせていただきます。

 おくればせでございますけれども、総理に御就任になりまして、おめでとうございます。古い友人の一人として、お祝いを申し上げたいと思います。

 しかし、初め甘いと後がだんだん怖くなるというのが世の習いでございますから、問題はだんだん後ほど厳しくなってまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず最初は、社会保障費、これからだんだんと伸びていくわけでございますが、どれだけ伸びていくかということにつきましては、皆さん方にもお配りをしてありますし、イメージ図もここに。これは十八年度推計でありますから、少し古いように思いますけれども、政府の方ではこれが一番新しいということでございますので、この数字を出していただきました。

 これを見ていただきますと、年金が、現在の二〇一一年を一〇〇といたしますと、二〇二五年が一二〇%、二〇%ふえる、そして医療の方が一五〇、そして福祉その他、介護その他というふうに申し上げていいと思いますけれども、これが一五五ということになりまして、伸び率でいきますと介護が一番大きくて、その次に医療、そして年金、こういう順番になっております。

 しかし、介護の方はもともとの数字がまだ小さいですから、そんなに大きくはありませんが、額でいえば、医療が一番大きくなり、その次に介護、年金、こういう順番になっていくのではないかというふうに思っております。

 さて、これからこうした状況が続いていくわけでありますが、社会保障とその財源を考えますときに、総理は、伸び率の抑制を第一に考えられるのか、それとも、社会保障の増加はやはりやむを得ないというふうに考えて、ここは財源をつくるということの方を優先されるのか。その辺の総理のざくっとした考え方で結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 冒頭、総理就任にお祝いの言葉をありがとうございます。大変長い間、野党同士でも御一緒してきたことを思い出しながら、ありがたくお聞きをいたしました。

 今、坂口先生の方から、社会保障の財源を考えるときに、その伸びについてどういう見通しを持っているか、考えを持っているかという御質問をいただきました。

 若干簡単に申し上げますと、内閣として、昨年の暮れに、若者世代への支援を強化する全世代対応型の社会保障とすること、また、子ども・子育て支援を強化して未来への投資としての社会保障とすること、さらに、サービス給付を重視し雇用創出効果を高めること、あるいは、縦割りを超えた包括的支援を行うこと、さらには、安定財源を確保し次世代に負担を先送りしないというこの五原則を昨年の末に決めました。

 その中で、今の御質問について一般論で言えば、多少の負担があっても、あるいはそれが増大しても安心できる社会をつくっていくことを重視するのか、それとも、負担はできる限り少なくして、個人の自己負担に任せるのか、大きく二つの道があると考えております。私は、前者の道、つまりは、多少の負担を覚悟して、あるいは多少ふえても安心できる社会をつくっていくことが望ましい、このように考えております。

 その上で、現在、そのための社会保障のあり方について議論を改めて始めているところでありまして、坂口先生が言われるお言葉をかりれば、どの程度かは別として、伸びは多少やむを得ないこととして取り組む必要がある、このように考えております。

坂口(力)委員 多少がどの程度かよくわかりませんけれども、ある程度はやむを得ないというお考えだということでございます。

 財務大臣に一つお聞きをしたいと思います。

 消費税の問題が問題になっておりまして、そして財務大臣も、社会保障目的税にしたいということを発言になっております。正式に言われたかどうか、私は、マスコミの新聞紙上で拝見をしましたら、そういう社会保障目的税化ということを言っておみえになる、こういうふうにお聞きをしているところでございます。

 そのときに、消費税で社会保障をすべて賄うのか、それとも、消費税も、社会保障費はだんだんたくさん要るわけですが、その中の一部に消費税を使うという意味なのか。もう社会保障は全部消費税で賄いますということを言う趣旨でおっしゃっているのか、それとも、そうではなくて、たくさんかかるけれども、それを全部消費税で賄うことはできないが、少なくともその一部なのか半分なのか、それはよくわかりませんけれども、消費税そのものは社会保障に使いますということを言っておみえになるのか。そこをひとつお聞きしたい。

野田国務大臣 私自身が社会保障目的税化ということをお話ししたことはないと思います。ただ、党の調査会、去年までは藤井調査会、そしてことしからは仙谷調査会になりました、ここの整理の中で、消費税については、社会保障に使う場合には会計上もあるいは法制上も区分してという、そういう考え方の整理が出ています。このことをベースにしてこれから議論していくことになりますという趣旨の発言はしたことはございますので、実質的には近い考え方だというふうに思います。

 その上で、消費税を社会保障に充てる場合でありますが、これについてはまさにこれからの検討事項でございまして、既に法制上も、二十一年度の税制改正法附則百四条の規定で、「消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられること」ということでございますし、民主党の調査会でも、「まずは高齢者三経費を基本としつつ、現役世代のセーフティネットの安定・強化についてどこまで対象とすることが適当か、検討を行っていく。」

 こういうこれまでの法律であるとか答申等を踏まえながら、四月までに社会保障のあるべき姿、全体像をまとめ、そして六月までに、具体的な制度設計と、それを支える消費税を含む税制の抜本改革の案をまとめていくというのがこれからの流れでございます。

坂口(力)委員 多少私の理解の仕方が違っていたようでございますけれども、今お述べいただきましたことにつきましてはわかりました。しかし、これから先、かなり財政的に社会保障の財源が伸びていくことは事実でございます。

 与謝野大臣、今のお二人のお話をお聞きになって、社会保障は少々伸びるのはやむを得ない、そして、そこのところは、消費税目的税化とまでは言っていないけれども、しかし、それに近い考え方でやっていくという意見もある、こういうことではないかというふうに思いますが、これから取りまとめをしていただきます与謝野大臣はどのようにお考えいただくでしょうか。

与謝野国務大臣 社会保障は、一つは、大変困窮している方が社会から落後しないようにするということも大事ですし、また、現在の年金、医療、介護、これの持続可能性ということも大変大事だと思っております。

 先生のお尋ねは、ふえていくものを全部認めるのかということでございますが、当然、医療等は、そんなに大きな額ではないにしても、やはりどこか倹約したり効率化したりするところが出てくるだろう、そういうふうに思っております。

 消費税をどうするのかというのは、これから国民の皆様方に仮に消費税のお願いをするとしても、自分が払った消費税がそのまま、時間差はあるけれども自分のところに社会保障という形で戻ってくる、そういう確信がないと、なかなか消費税というのはお願いできないんだろう。そういう意味では、社会保障目的税にして、区分経理をして、入りと出をはっきり、これは、国民が出したものは国民に戻る、この確信を国民の皆様方に持っていただくということが、消費税をこれから議論していく上で最も大事な点だと私は思っております。

坂口(力)委員 言い回しもかなり難しいなというふうに思いながら聞かせていただきました。話の内容も難しいけれども、言い回しもかなり難しいなというふうに聞いたところでございます。

 さて、時間がたっていきますので本論に入らせていただきますが、年金の問題を少しやらせていただきたいと思います。これは、民主党さんの年金の問題であります。

 そしてまず最初に、先日、私の方の石井政調会長が質問させていただきましたときに、一元化についてはまだ固まっていない、あるいはまた、最低保障年金のことにつきましても、これも固まっていない、こういう御答弁であった、これは総理の御答弁であったというふうに私は理解をいたしております。

 私は、実は昨年の二月の二十六日にもこの予算委員会で年金の質問をさせていただきまして、その当時は鳩山総理で、菅財務大臣だったというふうに思いますけれども、そのときにお聞きをいたしております。そのときに、菅総理、そのときの財務大臣は次のように発言をされております。「あわせて申し上げますと、早ければ来週にも、今総理と御相談しておりますが、本格的な年金の抜本改正あるいは新年金制度に向けて議論を始めようということで準備をしておりまして、そのときに、民主党としての考え方の原案がこの原案であるということは申し上げることができるか、このように思っております。」こういうふうに発言されております。

 そして、先日の石井議員の質問に対しましては、このマニフェストについては、これを一つのベースにいたしますが、同時に、これは与謝野大臣からも既にお話が出ておりますように、あらゆる、いろいろな政党なり、あらゆる、新聞社とかあるいはいろいろな団体の、年金を含めていろいろな意見を聞いて、それをしっかりとお聞きをして、その中から、四月に向けて一つの考え方をまとめていきたい、こういうふうに述べておみえになります。

 これは、中をよく見ますと、大分考え方が変わってきているなという気がいたします。

 去年のときには、原案をまとめて、そしてそれを皆さん方にお示しをして、そうして議論をいただく、こういうことを言っておみえになるわけですが、今回は、マニフェストをベースとして、こうおっしゃっているわけですね。そのマニフェストの中の、一元化でありますとか最低保障年金でありますとか、そうしたところはまだ固まっていない、こう言っておみえになるわけでありますから、固まっていないものをベースにして皆さん方の御意見を聞くということを今はおっしゃっているというふうに思います。去年は、もう原案をつくって、それを皆さん方にお示しをして、そしていくということをおっしゃっている。大分変わってきていると思いますが、総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 まず、先日の石井政調会長への答弁の中で、後ほどまた少し詳しく申し上げますが、一元化あるいは最低保障年金について、多少のものを言ったことは覚えておりますが、固まっていないという意味で申し上げたつもりはありません。いろいろ難しい問題があるとか、そういうことは申し上げましたが、固まっていないということを申し上げたつもりではありません。

 きょうも御質問いただくということで、昨年の二月二十六日に坂口先生からの質問を受けたときのことを少し改めて調べてみましたけれども、このとき、先生からは、年金の民主党案で最低保障年金として上乗せする部分がどのくらいの人が対象になるのか、この点について詳細は不明であるといったことを御質問がありまして、当時私は財務大臣でありましたので、その翌週から始まる当時の鳩山総理をトップとする会議でそうしたことについて検討することになっているので、そういうことについてもその中で申し上げることができるようになると思うということを確かに申し上げました。

 現時点で申し上げますと、先ほど申し上げたように、石井政調会長の御質問には、私としては、マニフェストで一定の我が党の方向性は出させていただいております。それは、一元化という考え方と同時に、最低保障年金、そしてその最低保障年金の最低額は七万円ということを出させていただいております。それをどのような形で制度設計していくかというのは、マニフェストの中にも来年度から制度設計するというふうに述べてありますけれども、同時に、今回、与謝野担当大臣を中心にして四月までに社会保障全体のあり方についての案をお示ししたいと思っておりますので、また、六月にはそれに加えて税との一体改革の案もお示ししたいと思いますので、そういう中で、各方面のいろいろな意見も参考にさせていただきながら方向性をあるいは案を示させていただく、これが現在の状況にあります。

坂口(力)委員 先日の石井質問のときに一元化につきましてもいろいろとお聞きをしましたけれども、それはまだ決まっていない、私は固まっていないという意味だというふうに思いましたけれども、そこは決まっていない。

 といいますのは、例えば自営業者の皆さん方がどれだけの保険料を出すんですかということを聞いたら、それは決まっていない。一元化ということと保険料というのはコインの裏表の話ですから、だから、保険料が決まっていないということは、一元化が決まっていないということと一緒なんですよ。これは決まっていないんです。そしてもう一つは、最低保障年金につきましても、どこで線を引くのかということについて、これもやはり決まっていないということをおっしゃっております。

 去年、鳩山総理にもお聞きをしておるわけですが、鳩山総理は、「まずベースになるものをつくり上げていく努力が必要ではないか。全く白地の中で各党ぜひ集まっていただきたいというのも、政権与党として無責任のそしりも免れない、」こうおっしゃっている。私は確かにそのとおりだと思うんです。一年かけてやりますとおっしゃったけれども、一元化につきましても、最低保障年金につきましても、今のところ、まとまったところはない。

 こういうことでありますから、余りここで時間をとっておりますと次のことを言えませんので、もうこれぐらいにしておきますが、民主党の年金制度は、昨年から一年をかけてやってきたけれども、しかし、なかなかでき上がらなかった。そして、与謝野大臣にお出ましをいただいて、マニフェストをベースにするとはいいますものの、これだけ多くのところから意見を聞いてということでありますから、多くの皆さん方の御意見を聞いて、マニフェストの痕跡が多少とどまるぐらいなところでも、まあ何とかまとめたい、こういうことを言っておみえになるのではないかというふうに思いますが、いかがでございますか。では、与謝野大臣、簡潔にひとつ。

与謝野国務大臣 今最もきっちり案を出されているのは公明党の案でございます。勉強をいたしますと、参考になる点は非常に多く含まれております。そういう意味では、民主党の案が絶対かといえばそうではないという、一歩下がった態度で物事をやっていくことは、私は正しいのではないかと思っておりまして、そういう意味では、各党の案、各新聞社の案、経済団体あるいは労働団体の案、すべてを本当に白紙の気持ちで、虚心坦懐、きちんと勉強した上で案をつくることが正しいと思っております。

坂口(力)委員 それだけいろいろの意見を聞けば、いろいろの案が出てくることは間違いありません。したがいまして、それらの意見を聞いて決めるということでありましたら、先ほどマニフェストの痕跡は残ると言いましたけれども、痕跡すら残らないことになりかねないと私は心配をしておる一人でございまして、私が別に心配しなくてもいいわけですけれども、余分な心配をいたしております。

 そこで、これをいつまでやっておっても議論がなかなか終わりになりませんから、もうちょっと進めさせていただきますが、この民主党の案であります。この民主党の案、では、この上にあります最低保障年金はどこまで上積みをするんですかということを聞きましたけれども、なかなかお答えが出てこないわけですね。それは今検討中だということになっております。

 そこで、私は、本当はこのボードに年収二百万円未満というところに線を入れたわけです。線を入れて出しましたら、民主党さんから、その線を、余分なものを入れたらいかぬというおしかりを受けて線は取りましたけれども、まあ民主党も細かいことを言うと思いますね。そのぐらいのことは認めても私はいいと思うんですが、余分なことはするなということでございますから、取りました。

 それで、なぜ私が二百万円未満のところにこの線を入れたかということを言いますと、年金とそれから恩給ですね、年金、恩給で一〇〇%生活をしている世帯、その半分が大体二百万円未満でございます。二百万円未満が大体四九%ぐらいでございますから、大体この辺が半分でございます。そうしますと、皆さんに七万円の上乗せをする、これを全員に上乗せしましたら、二十四兆円かかるということでございます。それを半分の人に上乗せするということは、十二兆円かかるということでございます。

 現在の基礎年金でいきますと、二十二兆円かかっております。その半分を国に出してもらっておるんですから、十一兆円出してもらっている。それと大体近いところがこの二百万円未満ではないかというので、私は二百万という線を引いて、そしてどうですかということをお聞きしているわけであります。

 どうですか、総理がお考えになっている最低保障年金、大体どの辺に線を引くのか。それは、上の方まで引く方がいいに決まっていますけれども、莫大な財源が必要になってくるということでありますので、この二百万未満ぐらいなところがまあまあせいぜい一つの到着点ではないかと、私が民主党に成りかわって言っているわけでありますが、総理、それはちょっと低過ぎるとお思いか、それとも、もうちょっと余分にしたいとお思いか、まあ坂口さんの言うとるのはいいところや、こういうふうにお思いか、いやいや、笑っていないで、ひとつお答えをいただきます。

菅内閣総理大臣 このお答えの前にちょっと一つだけ。

 先ほど、一元化についてはもう釈迦に説法ですが、被用者の中でも一元化の問題があり、もちろん、それと自営業者を含めての一元化の問題もありますので、そういう意味を含めて、我が党としては、一元化という方向性とこの最低保障年金という方向性を示しているということで、固まっていない、いるということは表現の問題ですが、そこまでは固まっているという意味で申し上げたところであります。

 今、最低保障年金をどのくらいまでの年収の方を対象とすべきかという、いろいろ御検討をいただいている中での大変参考になる御意見をいただいたことを大変ありがたく思っております。

 私たちとしても、最低保障年金をどの年収世帯までを対象にすべきかということが、必要となる財源と、今も御指摘がありましたように、直接に大きくかかわっているという認識を持っておりまして、今、坂口先生がおっしゃったことも、大変私にとってはありがたい、ある意味での参考になる案だと、それも頭に私自身も入れながら、与謝野担当大臣を中心にした検討の中でぜひ参考にしながら案をまとめてまいりたい、このように考えております。

坂口(力)委員 今の御答弁は、最低保障年金をどこまでするかということはやはり決まっていないということをおっしゃっているわけでありまして、前回も一元化はどうするかは決まっていない、そして今回の最低保障年金もこれは決まっていないということをおっしゃっているわけでありまして、この二つが決まっていなかったら、民主党の案というのは、これはもう絵にかいたもちである、その中身が全然決まっていない、三角形のお絵かきをされたということにすぎない、残っているのはこの三角形だけという、幼稚園のお絵かきに近いというふうに私は思います。

 そこで、与謝野大臣にお聞きをしたいというふうに思いますが、これは公明党案でありまして、二百万円以下のところは上乗せをするということを私どもの方は示しているわけでありまして、これは二五%上乗せをするわけでありますから、最低八万三千円までなる。これだけつけましても一兆円ぐらいしかかからぬのです、下に基礎年金がありますから。

 だけれども、民主党の案は、基礎年金がない。そして、上乗せをするところが二百万未満と今言いましたけれども、せいぜいそこまでできるかどうかと私は疑問に思っておりますが、それでも今よりはたくさんかかるわけです。現在の基礎年金部分の二分の一よりも、この二百万未満のところの最低保障年金、上乗せをする部分をするとしたら、その方がお金はたくさんかかる。

 私が申し上げたいのは、民主党の案というのは、財源がたくさんかかる割に年金の額が減るということを申し上げたいのです。そうすると、中堅サラリーマンの人はどうかといいますと、中堅サラリーマンの人は上乗せのところは来ないんですね。最低保障年金は中堅まで来ないんですよ。そして、下が、基礎年金はなくなるんです。六万六千円なくなるんです。

 ですから、過去に連合のある幹部の方が私に言われました。私たちは民主党を応援しております、しかし、年金制度だけは自公路線のものの方が私たちは賛成ですと。それなら選挙も応援してくださいよということを申し上げたことがございますけれども、そんな話がありました。それは、その人は年金をよくわかっている人でありまして、この民主党の案でいきますと、中堅サラリーマンのところは年金が減る、それはもう間違いのない事実だということがわかっているということでございます。

 そこで、与謝野大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、社会保障の財源をつくっていく。それは別に消費税に決まったわけではありません。ほかの税制あるいはその他のものももろもろ入ってくるというふうに思いますが、今焦点になっておりますのは消費税でございます。

 もし仮に消費税を上げるということになりましたときに、地方に対しましては、現在、消費税の約四割ぐらいは地方に行っていますね。これは、この社会保障のために上げるということであったとしても、四割ぐらいは地方にやはり渡すということなんでしょうか。もしも渡すということでありましたら、先ほどの十二兆円だったら、大体五%ぐらいが消費税になるわけですよ。それが、地方に渡す分も入れましたら八%にまでなるんです。だから、そこはどうなんですかということをお聞きしたい。簡単にお願いします。

与謝野国務大臣 これは、今のところ、地方にという考え方はだれもおっしゃらない。恐らく知事や市町村長は御不満に思うと思うんですけれども、消費税を上げた場合には、国が使うのであろうとも地方が使うのであろうとも、やはり社会保障に使うというそのことがないとなかなか消費税はお願いできないんじゃないかと思っております。財務省に聞けば、地方には余りやりたくないと答えられるだろうと思います。

坂口(力)委員 では、財務大臣に聞く前に、総務大臣にお聞きをしましょうか。

 総務大臣は、社会保障のための消費税とはいえ、地方も社会保障についてはいろいろなことをやっているんだから、それは現在と同じぐらい、あるいは現在よりももっと多くの、五割ぐらいは地方に欲しいと言う人も中にはあるわけでございますが、総務大臣はどうお考えになっておりますか。

片山国務大臣 これは幾つかの仮定を立てての話だと思いますが、とりあえずは今は社会保障のあり方を検討するということになっておりまして、その中で、当然、社会保障の行政のかなりの部分を地方が占めておりますから、恐らく社会保障の制度の検討を行った段階で地方の役割というのがそれなりに整理されるだろうと思います。それに対してどれほどの財源が必要なのかということもおのずから出てくるでありましょうから、その段階で仮に消費税云々という話が出ましたら、そのときに、その財源の配分の問題がその時点での検討課題になってくるだろうと思います。

坂口(力)委員 総務大臣、そんなに控え目にしておりましたら全然地方へは行きませんよ。今の答弁では地方に行かない。野田大臣に聞くまでもなく、もう野田大臣の顔に書いてある、そう私は思っております。

 さて、年金の話は切りがないわけでありますけれども、そういうことで、現在のところ、これは、まだこの年金の制度そのものについて、民主党の中では固まっていない、一年かけたけれども固まらなかった、そして皆さん方も考えて知恵を出してくださいということになってきている。

 もしも、いや、民主党でちゃんとやるんですとおっしゃるんだったら、四月までにきちっと民主党で原案をおつくりになってお出しをいただきたいというふうに思います。それで、その後、各党がいろいろ意見を言うというなら、それはそれで結構です。そのかわりに、何もかも六月に全部済ますというわけにはいきませんよ。これはもっと後にならないと決まらない。

 こういうことになりますが、総理、これは自分たちで全部決めて出すのではない、皆さんにもお任せしますというんだったら、お任せしますと素直に言うてもろうたらいいわけですから、一言だけで答弁してください。

菅内閣総理大臣 各党、いろいろな表現をされておりまして、私たちとしては、できるだけ早い段階から公明党の皆さんを含めて協議をさせていただきたいとは思っております。

 ただ、ちゃんとした案を政府として、与党として出すのが先ではないかという御指摘もいただいておりますので、いずれにしても、四月までには社会保障の全体の姿を提示し、六月には税を含めた一体改革の姿を提示したい。その段階あるいはその前の段階で協議ができることがあれば、その段階でいろいろお話を聞いたものも含めて案づくりに大いに参考にさせていただきたい、このように考えております。

坂口(力)委員 だんだん歯切れが悪くなってくるものですから、真意がなかなかつかみにくいわけでありますけれども、これは今聞きましてもはっきりした御答弁はできないんだろうと思いますからこれだけにしておきまして、もう一つ、子ども手当のことをちょっと聞きたいものですから、そちらの方に入らせてもらいたいというふうに思っております。

 厚生労働大臣、長い間お待たせをいたしまして申しわけありません。年金の話をしながら厚生労働大臣にお聞きをしないというのはいささか失礼でございますけれども、民主党案のことでございましたから、お許しをいただきたいというふうに思います。

 それで、時間がありませんので少し飛ばしまして、今回、三歳未満のお子さんには七千円上積みをされますね。この三歳未満のお子さんだけに上積みをされるという理由、なぜここを上積みされることになったのかという理由をお聞かせいただきたいと思います。

細川国務大臣 三歳未満につきまして、今回、七千円の上積みをいたすことにいたしております。

 その理由でございますけれども、私どもは、控除から手当へ、こういうことで年少扶養控除を廃止したりしておりまして、そして子供の方に手当てをしていく、こういう設計で行ったわけでございます。

 そうしますと、扶養控除の廃止に伴いましてマイナスになる部分が出てまいります。そして、特に三歳未満のお子さんについては、児童手当で一万円というように金額が高かったこともありまして、そこで実質的に手取りが少なくなるというようなこともございます。それで上げるというのが、それが一つ理由があります。

 それからもう一つは、やはり三歳未満のお子さんにつきましては、その母親なども仕事を休んで、そこで子育てをする。三歳未満のお子さんをお持ちで、子育てをするというのは大変御苦労が多い、そういう若い人たちでありますから収入も少ないだろう、そういうことから、七千円をプラスアルファで今回上げるということにしたわけでございます。

坂口(力)委員 確かに、扶養控除がなくなりまして、そして年額でありますけれども、三歳未満のところは七万三千円マイナスになる、そして三歳から十二歳のところは一万三千円マイナスになる、こういうことでございますが、いわゆるこれは第一子の場合でありまして、第三子以降を見ましたときに、そうしますと、三歳未満も三歳から十二歳の間も、両方とも七万三千円マイナスになるんですね。そうでしょう。第三子、第四子の場合には、三歳から十二歳のところ、ここの皆さんも、今まで一万円あったわけですから、児童手当のときに一万円あったわけですから、そうすると、ここも七万三千円マイナスになるんですね。

 マイナスの幅が大きいからこの手当てを今回したというふうにおっしゃるのなら、こちらの方も、三人目、四人目という子供が多いところの三歳から十二歳のところも七万三千円のマイナスになっているんですから、ここも同じようにするのが順当な話ではないかということを私は申し上げているわけであります。

 これは、別に私、厚労大臣をいじめるつもりはありません。いじめると、自分がいじめられたその古傷が痛んでくるものですから、私は厚労大臣をいじめるつもりはありませんけれども、しかし、理由だけははっきりしてもらわないかぬ、理由だけは。

 確かに、三歳未満、第一子のところは七万三千円になりますからいいと思います。しかし、これは、年収は八百万前後です。そして、所得税で二〇%、住民税で一〇%のところを取り出しているわけです。そこで比較をしてみますと、三歳から十二歳の第三子で、三歳から十二歳のところを見ましても七万三千円マイナスになります。これは厚労省からもらったものを整理して私がつくったわけですから間違いないというふうに思っております。御答弁ございますか。

細川国務大臣 坂口先生の御指摘はごもっともなところがございます。

 ただ、少なくとも二十三年度につきましては、これは逆転現象も生じておりませんので、これについては私は問題ないと思いますけれども、坂口先生が御指摘されているのは、二十四年以降、二十五年にかけて、八百万程度の収入の方についてはそういう逆転が出るのではないか、こういう御指摘でございます。

 確かにそういう御指摘はございますけれども、その逆転の年収を見てみますと、中低所得の層については逆転現象は生じないところでございます。また、逆転の幅もそんなに大きくはないというふうに思っておりまして、第三子でございますからたくさん兄弟がおられますけれども、子供が中学生になれば手取りの額も増加する、大きくなるというようなことも考えますと、何とかそこは勘弁してもらえないか、こういうことでございます。

坂口(力)委員 いやいや、この二十五年からというのは、これはもう第一子の場合も第三子以降の場合も同じ二十五年以降の数字を出してあるわけです。そして、みんな同じように計算をしてありますから、これは第一子であっても第三子であっても同じように七万三千円マイナスになりますと。だから、第一子の場合は、それは子供が小さいからとかなんとか、こう言われますけれども、それは三人も四人もあったら、その三人、四人の子供がある家というのもこれも大変なんですから、大変さという意味では同じことではないかということを私は申し上げているわけであります。だから、ここはひとつ御検討をいただきたい。

 残りました時間、もうわずかでございますが、私は、昨年の、子ども手当についての厚労委員会の中でこういう議論をさせていただきました。これは二十二年度に賛成したからといって二十三年度以降のものも全部賛成しますと言っているわけではありません、そこは全くの白紙です、そして二十三年度以降についてどのような手当てをされるかということによってそれは大きく変わってきます、現在言われておりますように、二万六千円にまずするという前提があって、それだけをやったらいいんだというお考えであれば我々は二十三年度以降のものにつきましては反対だというふうに考えております、去年、こういうふうに私は申しております。

 だから、何が何でも二万六千円というふうにお考えになるのであれば、私たちは、そのほかにすることがあるではないですか、お子さんのサービスの分野でもっときちっとしてあげないことにはやっていけないではありませんか、そういうことでしょう。だから、その辺のところが十分にできていない現在のところ、また七千円を上乗せして、こういう話になってくると、ほかの方は一体大丈夫なんですかということを再び今申し上げなければならない。

 こういうことを申し上げさせていただいて、ちょうど時間になっているようで、まだよろしいですか、それでは総理のお考えを聞いて、そして終わりにします。

中井委員長 手短に。

菅内閣総理大臣 一万三千円、ことしの段階で賛成をいただきまして、ありがとうございました。来年以降について大変重要な御指摘をいただきました。

 二〇一〇年の参議院のマニフェストにおいて、私どもは、この問題について、一万三千円を上積みしたいと。ただ、その上積みについては、地域の実情に応じて、現物サービスにもかえられるようにしますということを参議院マニフェストで申し上げたところであります。

 来年度については、御指摘のとおり、三歳未満については一万三千円を二万円に引き上げる案を今提示いたしておりますけれども、これ以降について、一万三千円の上乗せについては、現物でいくべきかあるいは現金でいくべきかについては、今申し上げたように、これからの議論というふうに考えておりまして、ぜひ公明党の皆さんの御意見も大いに参考にさせていただきたい、このように考えております。

 以上です。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

中井委員長 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、民主党の子育て支援策について質問をしたいと思います。

 初めに、深刻な待機児童対策についてです。

 認可保育所の待機児童は二万六千人を超え、過去最悪ベースとなり、潜在的には百万人とも言われております。

 母子家庭で緊急に保育所に入れたかったが、フルタイムで働いている方優先、働いていないお母さんは現状では無理と言われ、入れてもらわなければ働けないという事情を全く聞き入れてもらえなかった。三年間待機したが、入れなかった。無認可に通っているが、三月に閉園、パートで短時間勤務なので入れないと言われた。どうすればいいのか。上の子が公立保育園に入っているが、下の子は早生まれのため公立に入れず、保育ママも順番待ち。育児休業から職場復帰できないと、今入っている上の子さえも退園させられる。子供を二階にほうっておくしかないという自営業者。母子家庭なら入りやすいのかと一たん離婚した友人もいる、そこまでしないと保育所に入れないのなどなど、保育団体や女性団体に対して本当に追い詰められた声が集まっています。

 総理、このような声をどう受けとめておりますか。ビジョンやシステムやチルドレンファースト、いろいろ言われておりますが、まずこれを真っ先に解決しなければならないと思いますが、いかがですか。

菅内閣総理大臣 今おっしゃった考え方は、基本的には私も問題意識を同一にいたしております。チルドレンファーストという考え方をベースにして、子ども・子育て新システムを構築していきたいと考えております。

 それに加えて、待機児童ゼロということをこのシステムが成立するまでの間にも実行したいということで、私のもとに特命チームを立ち上げております。来年度は二百億円の予算で、自治体あるいはいろいろな無認可も含めて、保育所の増設などに充ててまいりたい。そして、最終的には、すべての希望する方について子供が預かれるようにしていく、このことをそう遠い先ではない形で実現するために詰めてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 すべての希望する方に、そう遠くないときに実現したいとおっしゃられました。そこで、今いろいろ考えられているのが本当の対策になるのかということをまず考えてみたいと思うんですね。

 パネルを見ていただきたいと思います。皆さんのお手元には、四枚目に同じものがついてございます。

 小泉内閣が、待機児童ゼロ作戦、これを銘打ったのは二〇〇一年でありました。一時は改善もしたかに見えますが、結局もとに戻った格好であります。

 与謝野少子化担当大臣は、自民党政権のとき、小泉内閣のときの閣僚も経験されて、今、民主党政権の大臣であります。これまで待機児童を減らさなかった、減らせなかった、その理由は何ですか。

与謝野国務大臣 これまでの待機児童対策については、菅総理が設置した待機児童ゼロ特命チームがまとめた待機児童解消「先取り」プロジェクトにおいて検証が行われております。この報告書では、これまで政府は待機児童解消に向けて取り組んできたものの、これを解消するに至らなかった理由の一つとして、待機児童がいるから保育所を整備するという後追い的発想があったことが指摘をされております。

 こうした後追い的な取り組みでは、保育所の定員枠を拡大しても、潜在的な保育ニーズが顕在化し、定員枠の拡大が待機児童数の減少に直結しない状況でございます。待機児童の計画的かつ確実な解消には、こうした潜在的ニーズも考慮して、先取り的に取り組むことが重要であると考えております。

高橋(千)委員 潜在的な需要を見て先取り的にやっていく、そのこと自体が間違いだとは思いません。問題は、これまでやってきたことが、本当に需要に見合った保育所づくりをやってきたかということであります。

 細川大臣に聞きたいと思います。

 ここにあるように、二〇〇一年から保育所は微増であります。この十年間でふえたのは八百五十四カ所にすぎません。九九年、待機児童解消の名目で、定員を超えた子供の受け入れが認められました。二〇〇一年には、年度の途中なら無制限で認められることになりました。この十年間で保育所を利用する子供は二十五万人以上ふえておりますけれども、そのうち、実際は定員を超えて受け入れた子供はどのくらいですか。

細川国務大臣 高橋委員の質問は、定員の弾力化の問題だと思います。

 そこで、調査の結果を申し上げますと、保育所定員の弾力化を実施しております保育所は、これはちょっと古いので申しわけありませんが、平成十七年十月一日現在で調査したところ、保育所全体の五九・二%、一万三千四百五カ所でありまして、これによって、定員を超えた保育所の受け入れている児童数は約十六万人、全体の約一三%でございました。

高橋(千)委員 六割近い保育所で定員を超えて入れ、子供さんを保育している、この事態を本当に深刻だと思わないのか。結局、待機児童が減ったけれども、減ったその部分は定員を超えて受け入れた、そういう意味ではありませんか。

細川国務大臣 それはだから、そういう意味で、弾力化をして、そして定員を超えて受け入れも可能にしたということで、定員よりは人数がふえているということであります。

高橋(千)委員 ですから、それだと抜本的な対策にならないじゃないかということが言いたいわけなんです。

 そもそも、今でさえも、日本の保育所の最低基準は諸外国に比べても大変低いです。ゼロ歳児が保育士一人に対して子供が三人、三歳児だと二十人、四歳児以上だと三十人。これを外国と比べてちょっと絵にしてみたわけですけれども、フランス、アメリカ、ニュージーランド、六、七人に対して一人なのに、日本はこんなにぎゅうぎゅう詰め、大変という声が出ている、これが実態ではないでしょうか。

 〇九年の十月に東京都の社会福祉協議会が調査をして、過去五年以内に定員を超えて受け入れた、これは六八・七%に及んでおります。そして、それにただし書きがあるんですね。「忘れてはならない“子どもが健全な生活を送るための環境づくり”」「現在、多くの保育所で児童福祉施設最低基準を順守した上での定員を超えた受け入れをしているが、厳密に精査していくと廊下や収納場所等、本来、子どもの保育に活用できない面積も最低基準に含めて計算していることもあり、子どもの環境面から見てその方策には限界がある。」そう内実を明らかにして、「待機児解消のため、定員を大幅に超えた受け入れを強要することや子ども一人あたりの面積基準を緩和して受け入れるべきという論調には子どもの育ちを守る立場から賛成できない。」

 細川大臣、重要な指摘だと思いますが、いかがですか。

細川国務大臣 御指摘の点も踏まえて、したがって、保育所をふやしていくということにしっかり取り組んでいかなければというふうに思っております。

 そこで、子育ての保育所の問題については、やはり質を確保して保育のサービスを充実していくということが大事でありまして、まずは、先ほども与謝野大臣の方からお話がありました、保育所に受け入れられる児童数の数をまずふやすということで、五万人の増ということで、保育所運営費の増加、そしてまた、安心こども基金で一千億の積み増しをいたしまして、保育所の増設、これをやっております。

 また、先ほど話の出ました待機児童ゼロ特命チームによりまして取りまとめられました質の確保された認可外保育施設への助成、そして複数の保育ママによる家庭的な、家庭保育事業の実施など、待機児童の解消の先取りプロジェクトを推進いたしているところでございます。

 さらに、要望の多い延長保育につきましては約二万人の増、そしてまた病児・病後児保育、これもまた要望が多いわけでありまして、これも延べ約四万人の増を図るなど、平成二十三年度予算案等におきまして各種保育サービスの充実を図ることにいたしております。

高橋(千)委員 与謝野大臣にもう一度聞きますが、述べてきたように、これまでの待機児対策の一つは詰め込みでありました。さらにもう一つは、自治体の財政難あるいは国の補助金の仕組みが変わったことで、公立保育所が民営化、民間委託などに変わったことではなかったでしょうか。

 資料の二枚目にもあるように、この十年間で私立保育所は二千六百七十七カ所ふえました。ところが、かわりに公立保育所が千八百二十三カ所減ったんですね。同じ器を、経営者がかわっただけでは、待機児解消にはつながらないわけですよね。今も、公立保育所は全廃すると言っている自治体もあります。民営化の流れ、このままではとまりません。

 しかし、それでは本当の解決にならない。規制緩和と民営化、この流れを変えなければ本当の待機児童解消にならない。今必要なのは保育の公的責任の拡充ではないでしょうか。

与謝野国務大臣 市町村の関与の具体的な内容については、必要な子供に幼児教育、保育を保障するため、例えば、優先的に利用を確保すべき子供のあっせんといった利用を支援する責務等を市町村に課すことをワーキングチームでは検討しております。

 現行制度より市町村の公的責任を後退させる考え方はございません。

高橋(千)委員 もう新システムの中身の答弁に入っておりましたけれども、後でちょっとこの問題は指摘をします。ただ、財政の問題も含めて公的責任と私は言っているんです。

 ちなみに日本共産党は、国の責任で年間十万人受け入れる認可保育所をつくっていくべきではないかと。だから、器が変わるだけではなくて、困っている例えば土地の問題ですとか、東京都二十三区だけで東京ドーム約百三十個分の国有地があるということですから、この活用なども含めて便宜を図っていって、手を挙げる人がいるんだったら、公立もあるし民間もあるという形でふやすんだということを指摘をしています。これは要望にとどめます。

 いよいよ新システムの中身に入りたいと思うんですが、資料の一枚目に具体的な案の抜粋を載せておきました。二つ目の丸です。「市町村が客観的基準に基づき、保育の必要性を認定する仕組み」だ。そして一番下、「給付に応じた一定の負担」とあります。必要性を認定して、その量に応じた負担、これはいわゆる応益負担でしょうか。長く利用すればするほど利用料がふえる。私は、これは保育制度が大きく変わるポイントだと思っています。

 ちょっとそのイメージを図にしてみたわけですけれども、皆さんのお手元にも、後ろから二枚目にございます。例えば、フルタイムで働くAさん、一日十一時間まで利用が認められる。パートのBさん、週三回、四時までしか働いていないのでそこまで。こういうイメージでしょうか。

 一見合理的に見えるんですね。でも、Aさんは、フルタイムで働いているけれども、その分かなりきつい保育料を払わざるを得ないのか。Bさんは、週三日しか働いていないけれども、本当はもっと働きたいので職業訓練やハローワークに通いたい、だからもっと長く預けたいと思っている。そうなった場合、はみ出した部分は自己負担になるんでしょうか。

与謝野国務大臣 子ども・子育て新システムにおいては、市町村が利用者の就労時間等に応じて、大ぐくり、すなわち二段階程度で保育の必要量を認定することとしております。また、市町村には、必要な幼児教育、保育の量を確保する責務が課される仕組みを導入することとしております。この仕組みにより、実際に利用者が必要とする幼児教育、保育をカバーすることを基本としております。

 さらに、残業などについて、新システムにおいて、延長保育により公的に支援する仕組みを導入し、就労状況等に応じて必要な幼児教育、保育を受けられるようにすることとしております。

 いずれにいたしましても、今後、関係者の御意見をお伺いしながら、延長保育部分の利用者負担のあり方についても検討することとしております。

 なお、全額自己負担といったことは考えておりません。

高橋(千)委員 今、大くくりにと、二段階とおっしゃいましたね。これまでの説明は、時間に応じて負担、ただ、一時間刻みではないかもしれないよと言っていましたけれども、では、大きく、昼間、夜間程度ということなんですね。昼間しか働いていないけれども夜間に利用した場合、自己負担は出ない。そうすると、応益負担ではない。確認してよろしいですか。

与謝野国務大臣 私は、今検討されている案を御説明したので、極めて、大ぐくりというあいまいな表現を使いましたが、皆様方の御意見も取り入れながら最終的な案をつくりたいと思っております。

高橋(千)委員 限定的にはとても言えないんだと思うんですね、ここは本当に核心部分でありますので。

 それで、もう一つのポイントなんです。認定を受けたら、それで入所ができますか。仮に認定書をもらったとしても、結局、直接契約ですので、保護者は自分で園を見つけなければならない。そうですね。

与謝野国務大臣 先ほどもちょっと触れましたけれども、子ども・子育て新システムにおいては、幼児教育、保育を利用するときは、市町村の関与のもとで、保護者がみずから施設を選択し契約する、公的幼児教育・保育契約を結ぶこととしております。

 先ほど申し上げましたように、市町村の関与の具体的な内容については、必要な子供に幼児教育、保育を保障するため、例えば、優先的に利用を確保すべき子供のあっせんといった利用を支援する責務等を市町村に課すことを検討しております。

高橋(千)委員 市町村の関与については、あっせんというふうに書いているんですね。意味が全然違うと思うんですよ。

 例えば、十一月三十日付の朝日新聞にこんな記事がありました。市役所に保育所の申し込みに来た出産直後の女性です。壁に見なれたホワイトボードだと。市内十五カ所の認可保育所の空き状況が書き出されている。四月に初めて訪れてから四回目。毎月更新される空き状況のゼロ歳児欄は、この日もゼロだと。

 空き状況はよくわかるんですよ。でも、解決にはならないでしょう。不動産業者みたいなものじゃないですか。どうですか。

与謝野国務大臣 今考えております新システムでは、一つは、市町村が潜在的ニーズを含めた保育ニーズを把握し、これに対応するための提供体制を計画的に整備すること、第二に、サービスの質を担保するために必要な客観的な基準を満たす事業者を指定して給付対象とすること、三、特に待機児童の多くは三歳未満の子供であり、主に三歳未満の子供を対象に、こども園(仮称)のみならず、保育ママや小規模なサービスも給付対象として量をふやすことなどの新たな措置を検討しております。

 潜在的なニーズを考慮した上で必要な水準まで保育サービスを供給するには一定の時間を必要としますが、新たな措置を伴う新システムの導入は、待機児童の確実な解消に資するものと考えております。

高橋(千)委員 では、総理にぜひ、通告しておりますので、伺いたいと思います。否定をしてくだされば、それでいいんですよ。

 自由な選択という言葉、これは、介護保険や障害者自立支援法のときによく言われた言葉でありました。今、介護保険、十年が過ぎて、特養老人ホームの待機者が四十二万人。介護難民が生まれ、保険あって介護なしと叫ばれています。障害が重くなるほど負担が重くなると裁判にまでなった障害者自立支援法、今、廃止して新法をつくると制度改革会議が精力的な議論を重ねています。

 私が心配しているのは、保育もまた、福祉も自己責任という同じ道を行くのかということなんです。今言ったように、そっくりなんですね。そうではないと言ってくださればいいんです。

菅内閣総理大臣 社会保障制度では、国から一方的に特定のサービスを押しつけるといったことではなくて、利用者のニーズに応じて多様なサービスをきめ細かく提供するシステムが望ましいと思っております。

 今言われたように、何かそうした選択の幅が広がるのではなくて、逆にサービスを受けられる子供が受けられなくなるような、選別になるのではないかという御指摘でありますが、そのようなことは避けねばならないことだと基本的に考えております。

 現在、利用者が適当な保育サービスの選択ができるよう、市町村の関与や利用者負担の具体的なあり方について、子育ての当事者や関係団体、地方公共団体等で構成されるワーキングチームを中心に検討を重ねており、今後とも、関係者の意見を踏まえながら、先ほど申し上げたような、そうした心配されているようなことにならないような方向を実現するため、しっかりと検討してまいりたい、こう思っております。

高橋(千)委員 さらに、新システムでは「多様な事業者の保育事業への参入を促進し、量的拡大を図る。」とあります。

 与謝野大臣にもう一言伺いたいと思うんですけれども、例えば経団連などは、保育士は資格がなくても経験があればよし、このように言っています。民間の保育産業の代表は、大規模な組織を持つ株式会社などの資源を活用してスピード感のある拡充が可能だということで、もうけを配当に回すことや、ほかの事業に回す、こういうことでもっと制限をなくしてくれと求めています。こういうことになれば、安全や質の確保よりもうけが優先になりませんか。

与謝野国務大臣 まず、現在でも認可保育所を株式会社が運営することは可能でございますけれども、子ども・子育て新システムにおいては、株式会社を含め、どのような主体であれ、サービスの質を担保するために必要な客観的な基準を満たす事業者のみを指定し、公費による給付の対象とすることとしております。こうした仕組みによりまして、幼児教育、保育の質を確保した上で量的な拡大が図られることとなります。

 また、給付については、公定価格を基本とし、質の確保、向上が図られた幼児教育、保育を提供するために必要な水準をすべての子供に保障することとしております。

 さらに、保護者の選択に資する観点から行う情報開示の仕組みや、事業を撤退する際の手続等を含め、今後、さらに検討を進めてまいります。

高橋(千)委員 保育をもうけの道具とすれば何が起きるかということで、一番わかりやすかった問題が、資料の三枚目にあります保育施設における死亡件数であります。

 かつて、ちびっ子園という全国チェーンの無認可園で二十二名もの赤ちゃんが亡くなるという事件がありました。その後、赤ちゃんの急死を考える会の要請などもあり、無認可保育所への監査なども義務づけてきたわけですが、保育所の死亡事故は、この間もふえ続けています。昨年は十二名なんですけれども、実は、十二名プラス、意識不明の子供さんがもう二人もいらっしゃる、この事実をまず知っていただきたいと思うんですね。

 会の皆さんの指摘は、もともと認可外で事故が非常に多い、しかし、定員超過を認めたころから認可保育所でも一定の死亡事故が起きるようになったということなんです。単に事故ではなくて、保育所の人手不足などが大きな要因になっている、防ぐことができた事故も多いのではないかということなんです。

 ちびっ子園は、一つのベビーベッドに二人寝かせておいて、一人の子供がもう一人の子供にかぶさって亡くなってしまうという事件でありました。しかし、こういうことはその後も続いているんです。朝まで元気だった赤ちゃんが急に冷たく変わり果てた姿になって再会する、親の衝撃、悲しみははかり知れません。

 一歳だった女の子、りのちゃん。泣きやまないからとうつ伏せにされて、毛布をかぶせ、まくらをおもしにされておりました。これは裁判所での保育士の証言があるんです。この郡山市の無認可園を相手に裁判をやっている御夫婦は言っています。子供を預けたときにいつまでも手を振らないでください、子供が後追いするから、朝ごみを出すようにぽんと預けてください、そう言ったそうなんです。

 総理、こういう話を一人の悪質な園長さんがいるというだけにおさめるから、事故をなくすことはできないんです。ただ基準をつくるというだけではなくて、しっかりその後も行政が責任を持てますか。そうしたことも含めて再発防止策をとれますか。ここに、最後、時間ですので一言聞いて終わります。

中井委員長 もう時間が終わっていますからね、短く答えてください。

細川国務大臣 はい。

 死亡事故は、やはりあってはならないものだというふうに思います。

 保育所の保育指針におきまして、健康、安全のための体制づくり、充実について盛り込んだほか、各自治体に事故防止のポイントを周知させるなど、保育所の事故防止に努めております。

 また、現在検討いたしております子育て新システムにおきましては、保育士その他の職員の配置基準も含め、安全面を含む保育の質の向上について今検討をいたしているところでございます。

 死亡事故がないようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。

高橋(千)委員 しっかりやってください。

中井委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、きょう、医療保険、とりわけ国民健康保険についてお尋ねをいたしたいと思います。

 実は、二月五日の日に社会保障改革に関する集中検討会議が行われまして、先ほど来、その話題も出ておると思います。この集中検討会議は、もちろん与謝野大臣が主宰というか中心になり、社会保障国民会議、福田内閣当時のメンバーや、あるいは安心社会実現会議、これは麻生内閣当時のメンバーの皆さんですが、プラス柳沢元厚生労働大臣までおられて、オールキャストというか、フルキャストというか、いつか見た顔というか、いろいろ言われておりますが、私は、ある意味では、それ以上に、現実に起きている矛盾に密着して本当の解決策を出すことが求められていると思います。

 それほどに社会保障の問題は深刻であり、これに、単なる増税のためのいわば前置きとして、このためにという前置きとして社会保障制度改革を考えるのではなくて、現実のほつれ、破綻した社会保障制度が再建されるような会議であってほしいと思います。

 ちょうどその前日、我が国は、国民皆保険制度、国民健康保険制度が始まって五十年たつ中、昭和三十六年です、この間の保険料の納付率が最低を記録したという報道がございました。納付率にして八八%という数値は、同時に、世帯でいうと約五世帯に一世帯が滞納、未納状態にあります。みんな健康はいつ害するものかわからないから医療保険証だけは持ちたいと思っておりますが、それを持てない世帯が五世帯に一世帯あるという現実です。

 私は、翌日行われた社会保障制度の改革会議が、こちらの本当に極めて深刻な国保の空洞化問題、果たしてどこまで真剣にこれを受けとめて制度改革会議の意識の中に上らせたものであるのか、大変懸念をいたしております。

 冒頭、総理にお伺いいたします。国民健康保険の空洞化問題について、総理はどのような御認識でしょうか。

菅内閣総理大臣 今、阿部委員の方からもお話がありましたように、一九六一年ですか、国民皆保険制度がスタートして、ある意味我が国は、そのおかげもあって長寿社会が達成できた、大変いい効果を上げてきたと思っております。

 しかし、この国民健康保険、当初は自営業者中心の制度と言われておりましたが、近年は、職のない方、高齢者の方が大変比重が高まる中で、今御指摘のように、未納の問題などがだんだんと深刻になっております。

 そういった意味で、この問題は、やはり、五十年間育ててきた日本の社会保障制度の根幹の大変重要な部分がいろいろな理由で傷んできているということで、深刻な問題だと理解をいたしております。この問題も含めて、社会保障改革の姿を考える中では重視して検討していきたい、このように思っております。

阿部委員 国民皆保険というのは、日本の世界に誇るべき宝と言われてまいりました。しかし、今総理も御答弁にあったように、国民健康保険に加入している方の五五%が無業者、すなわちお仕事を持っておられないという数値、あるいは、もともと自営業の方のためにと言われた方々の比率は一四%になっている、それで高齢化が進んでいる、どう見てもこれは非常に問題が山積している部分であります。

 私はきょう、もう一つ、この国民健康保険に加入しておられる方の所得の推移と、一方の保険料の推移を表にしたものが一枚目でございます。総理のお手元にも行っているでしょうか。ここには、平均の国保の世帯の所得、例えば〇五年が百三十九万八千円、これは総所得と言われるものから基礎控除を引いた部分ですが、ここに保険料がかかっていく、その保険料を算定する根拠です。これが〇九年になりますと、百二十九・三万円、約十万円余りこの五年で低下しているわけです。

 一方、保険料の方は、これも平均値です、年間で十五万何がしから十六万に、逆に一万円近くはね上がっているわけです。当然、負担率なるものを計算すればおわかりのように、このわずか五年を見ても、二・数%上昇をいたしております。

 この上昇というのは、これはあくまで厚労省からいただいたデータでつくったものですが、しかし、実態をさらに詳しく見ると、この程度ではとても済まないという現状が浮かんでまいります。

 これは甲府市のデータを私どもの所属の市会議員が、きちんと市のデータに基づいて累積的に、経年的にとったものでございます。実は、一九九三年から今日まで、長いスパンをとってございます。そして、所得にして百五十万と二百五十万の二つのモデル世帯をとったものがこのグラフでございます。

 これは国民健康保険の保険料プラス、後には介護保険の保険料も加わってまいりますが、その集計。九三年当時は十八万円は国民健康保険料ですが、これが二〇一〇年になりますと、所得百五十万円の世帯で二十八万円に、すなわち、一六二%、一・六二倍にはね上がっております。一方、上段は所得二百五十万の世帯で、これも二十五万円から何と四十五万円にはね上がって、一・八一倍となっております。

 同じようなデータは、先回の基本的質疑の予算委員会で共産党の志位委員長もお出しになりましたが、保険料が四十万、五十万の世界になって、もとの世帯の所得は二百五十万内外であると。極めて厳しい状況にあると思いますが、総理は、あのときは明確にお答えじゃなかったですが、こういう実態については御存じであったか、また、どう考えておられるか、お願いいたします。

菅内閣総理大臣 その先ほどの志位共産党委員長の御指摘のときにもお答えを申し上げましたが、具体的な数字ということで私が詳しく認識していたわけではありませんが、今、全体に医療費が上がり、また、一般的に国保財政、これは自治体によってさまざまではありますけれども、より厳しい財政状況にあるという中で、その負担が増大しているということの認識はあります。

 ただ、きょうお示ししていただいたように、これほど急激な形で平均としても伸びているというのは大変なことだ、改めて、このように受けとめたところであります。

阿部委員 今、社会保障制度の改革で一番大事なことは、空中で論議するんじゃなくて、一つ一つ実態を見て、その実態をよくしていくための論議であってほしいと思うんです。そうでないと、私が冒頭申しました、ここも足りない、あそこも足りない、こっちも足りない、そっちも足りない、だから消費税というふうに集約されるような論議であっては、冒頭、菅総理がおっしゃいました、国民にある程度負担があっても安心していただけるというふうには全くならないわけです。安心は来ないわ増税はされるわで、国民はダブルパンチになりますから、私がきょう、甲府市というたった一つの自治体ですけれども、こんなにも上がっているんだという実態をお示ししたということは、今後も、この改革会議の中で数多く、例えばモデルケースでも実際のケースを調べて、必ず対応していただきたいと思います。

 与謝野大臣に本当は確認をとりたいですが、私が予告しませんでしたので、これは総理に、伝言をよろしくお願い申し上げます。

 次に、同じ甲府市の例ですが、これは国民健康保険の算定のときにモデルになる世帯であります。大体四人世帯、すなわち、お父さん、お母さん、子供たち二人。今はなかなかこのモデル世帯も少のうございますが、とりあえずこうした算定基準のときにモデルとしてとる世帯で、所得で二百五十万円というところの家計を見てみました。逆に収入でいうと大体四百万円をちょっと欠けるくらいの世帯が、この所得で二百五十万円の世帯になります。

 さて、この方たちがお払いの国保並びに介護保険の保険料は何と四十五万五千四百円で、一八・二%。この家計のさまざまな支出のうち最も大きなパーセンテージを占めて、はっきり言って、残る生活費は、例えば四百万の収入であっても百五十二万、これで四人がお暮らしになるわけです。

 国保にはさまざまな矛盾がございます。お子さんの数が多ければ多いほど保険料が上がってまいります。我が国は、少子化に対策するだの何だのかんだの言って、子供がふえればふえるほど、さっき坂口元大臣の御質問でもそうでしたが、子供がふえたら負担できゅうきゅうとしてしまうというふうな現実がございます。

 このことについて、細川厚労大臣、どうお考えでしょうか。私は、これは国保の構造的な問題になっておると思います。いかがでしょう。

細川国務大臣 国民健康保険につきましては、まず、入っておられる方が大変高齢者が多い、そしてまた、職業をお持ちでなく収入も少ない方が多い。国民健康保険では、入っておられる方が他の健康保険と比べてそういう特殊性もあります。

 また、お年寄りが多いから、当然その医療費も多くなってまいりますから、そういう意味で、公費ももちろん入れなければいけませんけれども、しかし、そもそも国民健康保険の中に構造的にそういう大きな問題があるということについては、我々も認識をしているところでございます。

阿部委員 私がここで取り上げたのは、御高齢者の問題でもなく、無業者の問題でもなく、あえて言えば、御家庭を持って、お二人お子さんがいて、一番現政権がサポートしたいとおっしゃっているその世帯すらです。ほかの世帯ももっと問題がありますが、ここに、この高い比率は、実は、お子さんをお二人お持ちであるというところから保険料が高くなっていることをお示ししたいがためのものであります。

 次に、この間、実は、国民健康保険料の保険料がどんどん上がることについて、大変に深刻であるというふうなお答えは聞きましたが、現実はどうかというその立ち入った検討がないままに、今度、ここにお示ししてありますように、保険料の算定を変えていかれます。もちろん、国民健康保険全体ではありませんが、特に東京都を初めとして、約五百五十四万人余りの算定方式が変わります。

 簡単に申しますと、今までは、保険料を算定するその大もとに、全体の収入金額からいろいろ引いて、基礎控除を引いて、そして所得の控除もございました。例えば、扶養控除、配偶者控除、障害者控除、あるいは医療費にかかった分の控除、社会保険料の控除などを差し引いて、すなわち、これらは要るだろうから、そこから保険料の掛けるもとにしないで、取り置いてから保険料を掛けておりました。

 ところが、今回の見直しの中で、このもろもろの控除部分を外して、ここにはある意味で考慮せず、例えば障害者のいる御家庭、あるいはさまざまな理由で医療費のかかっている御家庭などなど、そうしたもので控除を受けている方たちの分については配慮がなくなってしまうと思いますが、この件について、細川大臣と、そして申しわけございませんが、引き続いて野田大臣に。

 私は、こういうことをやるのであれば、もともとこの基礎控除が十分であるか検討してからにしていただきたい。だって、税と社会保障の一体改革は、消費税を上げる話だけじゃないんです。十分にその方の生活が成り立つかどうかであると思いますから、二点、お願いします。

細川国務大臣 この旧ただし書き方式に移行するということになりますと、御指摘のように、低所得者あるいは所得控除の額が大きい、そういう世帯の保険料が増加をする、こういう可能性がございます。

 そこで、各保険者、東京都などにおきましては、低所得者に対して、独自の保険料の軽減、そういうことを行うような、それは十分可能でありますし、東京都二十三区でも検討が行われているということでございます。

野田国務大臣 保険料の算定方式に絡めての御答弁は今の厚労大臣の御答弁だと思いますが、委員御指摘の、基礎控除の水準を引き上げるべきではないかということでございます。

 これについては、いわゆるどの段階から税負担が生じる水準にするかということの観点でいうならば、基礎控除だけではなくて、先ほどの所得控除のところで出てまいりましたけれども、扶養控除とか配偶者控除とか給与所得控除とか、こういう各種控除と水準をあわせて見るということが一つ税の上では大事な観点ということと、ここ最近、私どもの政権になってから、控除から手当へという取り組みをさせていただいております。その手当分も加味して実質的に負担が生ずる水準はどうすべきなのかなというのが、税の部分での議論としては必要だろうと思います。

 いずれにしても、個人の所得課税については、所得再分配機能と財源調達機能が低下をしていますので、そういう回復の観点から、控除の問題と税率の問題を含めてこれから検討していきたいと思います。

阿部委員 地方では、こうした事態に対して、独自に一般会計から繰り入れて、それがもう三千六百億になっているわけです。地方が勝手に補てんしているからじゃなくて、国の制度がまずければ地方が負担を受けます。私は、税と社会保障の一体改革は、まず人間を守る、命を守る、暮らしを守るという観点でやっていただきたいと思います。

 終わります。

中井委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 質問に入る前に、総理、一言ちょっと伺いたいんですが、あす、この熟議の国会の中で初めての党首討論ということでありまして、この党首討論は、衆議院あるいは参議院いずれかの院で十名以上の国会議員を擁する会派の代表が党首討論に臨むというふうになっております。

 当然、熟議ということでありますから、総理としては、その要件を満たす会派については、ぜひ討論に臨みたいというふうに思っておられると思いますが、みんなの党、衆議院ではまだ五人と少ないんですが、参議院は十一人おります。残念ながら、あすの党首討論、NHKが入りますけれども、何かそれに参加するようになっていないようでありますが、総理としては論戦に臨みたいという理解でよろしいですか。

菅内閣総理大臣 クエスチョンタイム、いわゆる党首討論は、私の方からもぜひやるべきだということで申し上げてきました。

 国会の一定のルールは必要かと思いますが、一般的に言えば、私は、ぜひ、どちらからも質問ができるクエスチョンタイムを行うことは、基本的には必要だし、望ましいと思っています。

浅尾委員 ありがとうございます。

 それでは、きょうの税、社会保障、マニフェストについて、質問に移らせていただきたいと思います。

 実は私も、この三つのマニフェスト、四年前の参議院選挙のマニフェスト、おととしの衆議院選挙のマニフェスト、そして去年の参議院選挙のマニフェスト、四年前のマニフェストは、よくそれを使って選挙運動をさせていただきました。おととし、去年、マニフェストを読ませていただきましたけれども、非常にいいことも書いてあるんですね。例えば、この抜粋は中身的には変わっていません、四年前、おととし、去年と。

 年金の一元化。これは、恐らく国民からすると、公平な年金をつくるという意味でいいことが書いてある。特に、すべての人が所得が同じなら同じ保険料を負担し、納めた保険料をもとに受給額を計算する所得比例年金、こういうのはいいな、特に同じ保険料を負担するというのはいいと思っていると思いますが、どうもこの間の予算委員会の答弁を聞いていますと、総理は年金の一元化は難しいと言われたようですけれども、少なくとも三回選挙でそのことを国民に訴えたということについてどういうふうに思っておられるか、まず総理に伺いたいと思うんです。

菅内閣総理大臣 これは他の議員の人にもお答えしましたが、一元化を実現するには越えなければいけない難しい問題があるという趣旨のことは申し上げました。

 ただ、御承知のように、一元化案にも、被用者保険内における一元化と、それから自営業者あるいは無業者の皆さんも含めた全部の一元化とありまして、そういう点で、特に自営業者を含むところについて、その負担のあり方などについて、そういった議論が必要になるということは私も理解をいたしております。

浅尾委員 実は、一元化そのものはそんなに難しくないんです。二つのことをやれば一元化はできます。

 一つは、いわゆる共通番号制度をつくる、所得を把握する。そしてもう一つは、後ほど議論させていただきますけれども、内国歳入庁というようなことで、旧社会保険庁と国税庁の機能を一緒にすればできるわけでありますが、そのことについて順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、所得が同じなら同じ保険料をと言っておられます。現在そうなっているかどうか、もう一つのパネルを、今同じように被用者保険というところで見ると、配付させていただいている資料に書いてあると思いますが、これは、現在の厚生年金の保険料率一六・〇五八%。国家公務員共済あるいは地方公務員共済の保険料率一五・五〇八%。〇・五%公務員の皆さんの方が保険料率が違う。同じ三十万円の月給であっても、引かれる金額は、当然のことながら公務員の皆さんの方が少ない。それだけなら、まあそんなものかなというふうに思われますけれども、これも同じ保険料率にするというのが、多分、年金一元化のメリットの一つでしょう。

 そして、もう一つ注目していただきたいのは、では、もらえる額はどうなのかなと思って、単純に払われている額を割ってみました。厚生年金は総額で十九兆九千三百三十五億円と大きなお金ですけれども、受給者が多いから月平均にすると七万六千二百九十七円、国家公務員共済は月平均にすると十四万一千四百三十四円、地方公務員共済は何と十六万五千百二十七円。これは基礎年金を除いた額ですよ。

 払っている保険料率が低くて、もらえる金額がこんなに違う。こういうのを是正するというのが年金一元化の趣旨だったんじゃないですか。どうですか、総理。

菅内閣総理大臣 これは両方とも被用者年金の中で、先ほど申し上げたように、この中での一元化と、さらに自営業者を含めた一元化がありますけれども、少なくとも、この被用者保険の中でもいわゆる官民格差というものが従来から指摘されておりまして、被用者保険の中でも一元化によってそれを公平にしていく。自営業者は、先ほども申し上げたように、若干また別の要素がありますけれども、基本的には、公平で透明性の高いものにしていくことが望ましい、こう思っています。

浅尾委員 選挙で、政権をとるまで三回少なくとも一元化を掲げた。国民年金については後ほど議論させていただきますが、被用者年金だけとってもこれだけ不公平がある。その不公平を是正するために、政権をとって一年半の間に、具体的にどういうことをされたんですか。

菅内閣総理大臣 この間、先ほど少し議論がありましたが、鳩山政権のもとでも、一つの勉強会といいましょうか、そういうことをやろうということがありましたし、今日においては、現在、社会保障制度のあり方を、四月までにその姿を示すということで、与謝野担当大臣のもとで精力的に、多くのいろいろな団体の提案も受けとめながら検討していきたい、こういう状況にあります。

浅尾委員 少なくとも、ここの一元化については意思さえあればできるんです。その意思を示していない。いろいろなことを話したといっても、マニフェストで、少なくとも三回の国政選挙で一元化すると言っている。国民年金については後ほど議論しますが、被用者年金については意思さえ示せばそれができるということをまず指摘させていただきたいと思います。

 もう一度マニフェストの方に戻させていただきたいと思いますが、この年金についてもう一つ私が伺いたいのは、歳入庁を創設する、これは民主党のマニフェストに書いてあります、歳入庁を創設するとどういうメリットがあるか。

 私は、これは歳入庁をつくった方がいいという立場で申し上げますが、まず、細川厚生労働大臣に今の制度を伺わせていただきますが、私の理解では、法人は、法人と名のつくものは、すべて厚生年金の保険料を納める義務がある、こういう理解でよろしいですね。

細川国務大臣 はい、そのとおりです。

浅尾委員 法人は保険料を納める義務があります。ところが、実は、厚生労働省が所管している昔の社会保険庁は、全国の法人数のデータを持っていません。国税庁は持っていますね。全国に三百万法人があって、申告しているのが大体約二百七十五万という数字ですけれども、そういう数字で間違いありませんか。

野田国務大臣 税務署に提出された設立届等に基づいて国税庁が把握している法人数は、人格のない社団等を除いた法人数として、平成二十年度において二百九十九万社、そして、それに係る申告法人数は二百七十二万社でございます。

浅尾委員 実は、厚生労働省に数字を聞いたら、法人数は持っていないと。持っているのは、法人というのは、本支店、支店がありますけれども、そういうのも合算した事業所の数はある、この事業所の数で厚生労働省が把握している数字は百七十五万と。つまり、大きな会社だといろいろな事業所があるけれども、そういうのも全部足して百七十五万という数字で間違いありませんか。

細川国務大臣 法人につきましても、厚生年金については各事業所単位で適用する、こういうことになっておりまして、今言われました事業所数は百七十五万事業所でございます。

浅尾委員 テレビをごらんになっておられる方は言葉だけですとちょっとわかりづらいかもしれませんが、大きな会社を想像していただきますと、少なくとも、工場とかがあって、十ぐらい事業所がある、そういうものも平均して百七十五万ということは、厚生労働省が把握している法人の数は、恐らく、国税庁が申告法人として把握している二百七十三万に対して半分ぐらいなんじゃないかというふうに思うわけであります。

 先ほど厚生労働大臣お答えいただいたように、すべての法人は年金を払う義務があるわけですね、厚生年金を。しかし、そもそもその数を持っていないということが大きな問題で、だとしたら、数を持っている国税庁、税務署と昔の社会保険庁を一緒にしたらいいんじゃないか、それは歳入庁をつくる大きなメリットなんじゃないかというふうに思いますが、菅総理、そのメリットはそういうふうに理解されますか。

菅内閣総理大臣 現在は、民主党の基本的考え方の一つが歳入庁創設にあることは、浅尾議員もよく御承知だと思っております。私はかなり古くからこの問題に関心を持っておりまして、やはり税の徴収も社会保険の徴収も、基本はほとんど、所得をベースにして、いろいろな条件を含めて算出するわけです。コンピューターでいえば、若干の数式が違うけれども、インプットすべきデータは所得とか家族構成とかですから、わざわざ分けていることは、逆に言えば、行政改革という観点からも私は決して効率的ではないし、また、現実の問題はもっと難しい問題があるかもしれません。

 つまりは、かつての社会保険庁という役所の効率性というか、いろいろな問題がこの間明らかになっておりますので、逆に言えば、それをより規律ある組織にできるかどうかということがありますけれども、国税庁は相当頑張ってこの間やってきているという認識がありますので、そういうことをトータルして、そういう一つの改革はとるべき方向だ、こう認識しております。

浅尾委員 改革はとるべき方向だと認識されていますという御答弁でした。

 一方で、先ほど来申し上げていますように、政権をとられたのは一年半前です。では、この間で、歳入庁をつくるために何がネックになって、選挙で約束したわけですから、選挙の約束を守る、別にマニフェスト違反をするわけじゃないので、むしろマニフェストを守るということですから、何が障害になって全く歳入庁が進んでいないんですか。

野田国務大臣 何が障害というよりも、一つの観点は、年金制度改革をどうするかという観点、それともう一つ、委員も御指摘がありましたけれども、番号制度です。この二つの観点とあわせながら今歳入庁の検討をするという段取りになっていまして、平成二十二年度の税制改正大綱にも平成二十三年度の税制改正大綱にもその趣旨の明文がございます。

浅尾委員 今の答弁ですと、番号制が導入されないと旧社会保険庁と国税庁の統合はできないということなんですが、私は、番号制と今の例えば事業所の数を把握するというのはまた別の話であって、これは全部被用者の中での話ですから、答弁になっていないんじゃないか。

 その被用者の中での話で何か問題があるのかどうか、再度、もしあるのならお答えください。

野田国務大臣 御質問が最初は何がネックになっているかという御趣旨だったので、特に何かがネックではなくて、どういうものを一緒に検討しながらやっているかということの御説明をさせていただいたということでございます。

浅尾委員 それでは、番号制について伺わせていただきたいと思いますが、これは、政権をとられてから具体的にどれぐらいの頻度で進めておられて、そして、どういうことになっているのか。

 この共通番号制というのもマニフェストの中にしっかりとうたっておられるわけですね、それを導入するということを。うたっておられるわけですから、では、税と社会保障共通の番号制度を導入する、何か菅総理になられて急に出てきたような話ですけれども、そもそも一年半前から言っておられることについて、一年半前からどういう頻度で議論をされていて、議論をするまでもなく、それはマニフェストで言っておられるんだから実現すればいいんですけれども、なぜ実現していないんですか。

野田国務大臣 頻度、ちょっと回数までは把握していないんですけれども、検討は、菅総理になってからというよりも、昨年の二月以降、府省横断的な検討が進められておりまして、ことしに入って、去る一月三十一日に、番号制度についての基本方針を策定いたしました。

 これからの工程でありますけれども、この基本方針に基づきまして、本年六月に、社会保障・税番号大綱、これは仮称ですが、大綱を公表した上で、秋以降に、可能な限り早期に関連法案を国会に提出したいという思いのもとで準備を進めているということでございます。

浅尾委員 マニフェストで言われたわけですから、検討する要素というのは、だって、書いてあるのは、導入すると書いてあるわけですよね。その何を検討されるんですかね。

野田国務大臣 中身は、例えば社会保障と税と、最終的にはこれは固まってきましたけれども、その過程においては、どういう位置づけにするかとか、あるいは、そのやり方を含めて、パブリックコメントとかを含めて、いろいろと段取りを追ってきたということが実態でございます。

 番号制度でございますから、広く国民の御理解をいただかなければなりません。特に、いつも問題になるのがプライバシーへの配慮、個人情報をどう保護するか、そういう観点なども含めて、急がなければなりませんけれども、慎重な検討もあわせて必要だということでございます。

浅尾委員 今の大臣の答弁ですけれども、税と社会保障というふうにおっしゃいましたが、マニフェストには「税と社会保障制度共通の番号制度を導入する。」というふうに書かれているわけですから、少なくともそのことについて検討するというのは論理矛盾になると思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 マニフェストではそうでありますが、プラスアルファでほかのサービスもつけ加えるかとか含めて、いろいろと選択肢があったという中での整理をしたということです。

浅尾委員 問題は、私はスピード感だと思うんですよ。

 政権をとられて、年金の一元化ということは、少なくとも三回それを訴えられた。しかし、全然進んでいない。ましてや、この間の菅総理の答弁では、一元化が難しいという話でした。

 ただし、この番号制度を導入し、先ほど話が出ましたように、かなりの法人の事業所でも実質は厚生年金に加入しないで国民年金という方がいられるわけでありまして、そういう方々に入っていただければ、一元化はそんなに、特に最低保障年金の部分に税を投入するのであれば難しくないというふうに思いますが、そういう前提を置いてもまだ難しいというふうに菅総理は思われるかどうか、伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 ほかの議員の方にもお答えしましたけれども、何か私が難しいというのをできないという趣旨で言ったというふうにもし受けとめられているとしたら、それは私の真意ではありません。つまりは、一元化するときに、特に自営業者まで含めたときの負担をどうするかといった大変難しい問題がそこに存在しているという趣旨で申し上げました。

 それから、その上で、この番号の問題は、党としての方向性と同時に、どの範囲まで、どういう形で進めるかというのは、先ほど財務大臣からもありましたように、プライバシーの問題とかいろいろな観点があります。そういった点で、これもできるだけ、超党派の議論といいましょうか、幅広い議論が必要だと思っておりまして、たしか、せんだって前の三重県知事の北川さんが代表になった会に私も出ましたけれども、かなり幅広い合意ができつつあるのではないか、そのように考えておりまして、それを具体化していきたい、こう考えております。

中井委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明九日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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