衆議院

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第16号 平成23年2月23日(水曜日)

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平成二十三年二月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    石毛えい子君

      石森 久嗣君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    稲見 哲男君

      打越あかし君    生方 幸夫君

      小川 淳也君    大泉ひろこ君

      大串 博志君    大谷  啓君

      勝又恒一郎君    金森  正君

      川村秀三郎君    吉良 州司君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      郡  和子君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    斉藤  進君

      杉本かずみ君    空本 誠喜君

      高井 美穂君    高邑  勉君

      竹田 光明君    津村 啓介君

      中根 康浩君    仲野 博子君

      橋本 博明君    橋本  勉君

      本多 平直君    水野 智彦君

      宮島 大典君    村越 祐民君

      山尾志桜里君    山口  壯君

      渡部 恒三君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    小泉進次郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      菅原 一秀君    平  将明君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    高木美智代君

      遠山 清彦君    西  博義君

      笠井  亮君    佐々木憲昭君

      中島 隆利君    江田 憲司君

      山内 康一君    下地 幹郎君

      田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣         片山 善博君

   外務大臣         前原 誠司君

   財務大臣         野田 佳彦君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  中野 寛成君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣         与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   内閣官房副長官      藤井 裕久君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     橋本 博明君

  川村秀三郎君     杉本かずみ君

  吉良 州司君     大谷  啓君

  郡  和子君     山尾志桜里君

  城島 光力君     稲富 修二君

  津村 啓介君     櫛渕 万里君

  中根 康浩君     大泉ひろこ君

  三谷 光男君     空本 誠喜君

  齋藤  健君     伊東 良孝君

  馳   浩君     平  将明君

  遠山 清彦君     西  博義君

  笠井  亮君     佐々木憲昭君

  阿部 知子君     中島 隆利君

  山内 康一君     江田 憲司君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     阿知波吉信君

  大泉ひろこ君     中根 康浩君

  大谷  啓君     吉良 州司君

  櫛渕 万里君     熊田 篤嗣君

  杉本かずみ君     川村秀三郎君

  空本 誠喜君     橋本  勉君

  橋本 博明君     勝又恒一郎君

  山尾志桜里君     斉藤  進君

  伊東 良孝君     齋藤  健君

  平  将明君     馳   浩君

  西  博義君     高木美智代君

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

  中島 隆利君     阿部 知子君

  江田 憲司君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     近藤 和也君

  勝又恒一郎君     石森 久嗣君

  熊田 篤嗣君     津村 啓介君

  斉藤  進君     郡  和子君

  橋本  勉君     磯谷香代子君

  高木美智代君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  石森 久嗣君     大串 博志君

  磯谷香代子君     三谷 光男君

  近藤 和也君     城島 光力君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 分科会設置に関する件

 分科会における会計検査院当局者出頭要求に関する件

 分科会における政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 本日は、菅内閣の政治姿勢についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城井崇君。

城井委員 おはようございます。民主党の城井崇でございます。

 本日は、諸先輩方がおられる中で質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 早速質問を始めていきたいと思いますが、まずは、この情勢であります。正式な通告はしておりませんけれども、一刻を争います。昨日のニュージーランド地震への対応、刻一刻と状況は変わってきておりますので、この点について、まず総理にお伺いしたいというふうに思います。

 既に対策本部を設置し、邦人救出を含めた対応をいただいているというふうに聞いておりますが、現状認識と対応についてお聞かせください。

菅内閣総理大臣 まず、ニュージーランドのこの被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今、十五分ほど前、八時四十分から第二回のニュージーランド地震対策関係閣僚会議を開きました。その中で、まず、昨日、ニュージーランドから正式な国際緊急援助隊の支援要請を受け、先遣隊三名、既に現地に、この時間、到着をいたしております。

 そして、警察、消防、海上保安庁等、この緊急援助隊のメンバーを現在成田に結集をお願いし、政府専用機で、きょうの午後二時ごろには、約七十名の体制で、現地のクライストチャーチそのものの空港にあす未明、零時四十分ごろ到着の予定になっております。

 いずれにいたしましても、邦人の人たちもかなりおられる町でありまして、もちろん緊急援助隊、邦人に限らず、被災を受けた方をまずは救出していく、そのために全力を図っていただきたい、このように思っているところであります。

 いずれにいたしましても、全力を挙げ、省庁連携して取り組んでいて、迅速な形でこの緊急援助隊の派遣が進んでいる、このことを御報告申し上げたいと思います。

城井委員 今回の件に限らず、この二十四時間の対応が大変重要だと思っています。迅速かつ的確な対応を引き続きよろしくお願いいたします。

 続きまして、国際競争力の向上につながる新技術を持っている中小企業の支援について、総理並びに経済産業大臣にお伺いをしてまいります。

 中小企業への支援が我が国の発展にとって大変重要だというのは、皆の意見の一致をするところであります。来年度予算案には、中小企業減税の実施も盛り込まれております。また、これまでも、中小企業金融円滑化法の適用によりまして、苦しい中ではありますが、光を見出した企業も多くございます。税金を納めることができていない赤字の中小企業からは、そういう中小企業こそ支えてほしいという声も大変切実であります。

 中小企業支援を多く盛り込みましたこのたびの来年度予算の成立を、中小企業の皆さんは待っております。我々は、手だてを尽くして、我が国の礎たる中小企業の皆さんを、与党も野党もなく、しっかり支えていかねばならないということをまず申し上げたいというふうに思います。

 そのようなさまざまな取り組みがある中、新技術があるけれども資金が苦しい、あるいは赤字だ、そうした中小企業への支援が足りないのではないか、そのように現場を歩いて感じております。

 資料とパネルをごらんください。

 まず、上の、会社名を伏せておりますが、企業Aをごらんください。

 塗装会社の例でありますが、傷がついても自己修復をする、そしてさびないという最新の塗装技術を産学協同で開発した企業がございます。この企業Aでありますが、平成二十二年度の経済産業省の事業であります戦略的基盤技術高度化支援事業、これに申し込んだんですが、新し過ぎたがために、既存の一般的な技術分野とは異なるということで支援分野の対象外となりまして、不認可ということになりました。その後、そのほかの仕組みで支えられることになったわけでありますが、肝心のそういう新しい技術のところに手が届かなかったというのが実態でありました。

 そして、資料の下、パネルの下の企業Bをごらんください。

 この会社は、介護ロボットやあるいは見守りのロボットなどを開発いたしております。今月十八日には参議院の予算委員会も視察に訪れたということであります。最近では、海洋調査、資源探査、警察、軍事などにも応用可能な、このイラストにあるような海中生物型のロボットを産学協同で開発中だとも聞いております。経済産業省や産業革新機構にも支援を求めているということでありますけれども、経営上の重荷があるなどの理由で折り合わなくて、企業Bは支援の申し出がある外国への移転を検討せざるを得ないような状況にあるというふうに聞いております。

 お手元の資料五、昨日の朝日新聞の記事にありますように、そのほかにも、例えば中小企業の海外進出支援も急ぐべき課題であります。

 本来、ベンチャー的な投資や融資を担う既存の機関は、現在のところ、いわゆるもうかるところへの投資や融資を優先し過ぎて、国益を守るという観点が薄くなってしまっているのではないかというふうに感じています。支援対象が国内の従来型の産業に限られて、新し過ぎるものがはじかれて、こういった新しい技術の種を持った企業をとらえ切れていないんじゃないか。世界にまれな技術の芽をしっかりと育てるとともに、軍事転用が可能な最先端技術の海外流出を食いとめて、我が国の発展や安全保障に資する取り組みがもっと必要だというふうに思っています。

 そこで、お伺いします。

 こういった新技術を持つ中小企業支援の充実について、海外進出支援も含めて、経済産業大臣の見解をお伺いいたします。

海江田国務大臣 城井委員にお答えをいたします。

 質問が若干多岐にわたっておりましたけれども、一つは、先ほど御指摘いただきました戦略的基盤技術高度化支援事業ということで、二十二年度で百億円積んでおりましたものを今回百五十億円にいたしました。

 しかし、先生御指摘のような、実際の申請に行くと、なかなかそれが、融資が、この制度の後押しが受けられないということがありますので、これは現場によくしっかりと、そういう例があるということを伝えておきます。

 このほかに、地域イノベーション創出研究開発事業というのもございますから、これは地域でそうした新しい技術開発が地域の経済の活性化に役立つ事業について後押しをするものですから、こういうものも御利用を検討いただきたい。

 それからあと、これとはまた角度が別でございますけれども、日本公庫による低利融資制度、それから産業革新機構による出資の対象、それから、まさに今度の国会で提出をいたしますいわゆる産活法ですね、産業活動再生法という法律、この改正案でも、ベンチャー企業等が研究開発した新商品を大規模に生産する際の設備投資に対して債務保証制度を措置する、こういう制度がございます。

 多角的にいろいろな制度がございますから、どれを使えばおっしゃるような企業がまさに政府の後押しが受けられるかということについては、ぜひ地元の商工会議所などに御相談をいただきたいというふうに思っております。

 それから、今もう一つ御指摘のありました、やはりそうした先端技術は、結局、日本の国内で販路も見出せない、あるいはその前の製造の段階で壁に行き当たるというようなとき、どうしても海外に流れていってしまうのではないだろうか。ただ、これは安全保障上、大変大きな問題がございますから、私ども経産省では、これは外為法によって規制をされるわけでございますけれども、外為法に基づきまして、国際的な枠組みにおける規制リストがございます。

 私も、せんだってこの現場を見てまいりましたけれども、それこそ本当にきめ細かく、規制リストに漏れがないかどうかということを厳しくチェックしているところでございますから、そういう意味では、この外為法による規制リストを厳しく実施することによって、海外にそういう軍事技術などに転用可能な汎用技術が流出しないようにというふうなチェックをしております。

 そして、繰り返しになりますが、日本の国内でしっかり産業化できるような後押しを頑張っていきたい、そのように思っております。

城井委員 ありがとうございます。

 運用面で肝心の中小企業にしっかり手が届くように、今後さらなる取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 総理、今さまざまな形で経済産業省でも取り組みがありますが、こういった趣旨の話は省庁間の横の連携が足りないという現場の声があります。例えば、科学技術の観点から申しますと文部科学省、あるいは防衛産業の基盤の維持あるいは装備品の開発等というところで申しますと防衛省など、ある意味で我が国が総がかりで取り組みを進めていくべきというふうに思います。

 この点、ぜひ、さらに取り組めということを総理から御指示をいただきたいというふうに思いますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 中小企業については、私も昨年、大田区の物づくり中小企業、また、城井さんの地元でもあります北九州にも出かけて、いろいろと省エネあるいは電池などの企業の実態を見てまいりました。

 今御指摘のように、いろいろな制度や仕組みがあるわけですけれども、中小企業の皆さんからいえば必ずしも使い便利がよくない。やはりワンストップサービスのように、ここに相談に行けばいろいろな制度がわかっていて、それを組み合わせた形でどのように中小企業の皆さんが利用できるか、そういうことのアドバイスをきちんとできるような体制が必要ではないか。私も中小企業の皆さんと話をしながら特に強くそのことを感じました。

 そういった意味で、経済産業省が中心になるわけではありますけれども、今御指摘があったように、海外に出る場合にはもちろん外務省などとの連携、さらには産学協同の場合は文科省との連携等々、しっかりと、経産省を軸にして連携して中小企業のそうした支援に当たれるよう、私からも強く指示をしてまいりたい、このように考えます。

城井委員 そうした形で、ぜひ総理のリーダーシップでもって総がかりで進めていただきたいというふうに思います。

 続いてお伺いいたします。税金の無駄遣いの見直しの大きな舞台でございます政府調達改革について、総理並びに行政刷新大臣にお伺いをいたします。

 今回お伺いしたいのは、特にいわゆる一者応札、入札におきまして一者が応募、そして一者が落札をするというケース。いわばなんちゃって入札と言ってもいいような状況ではないかというふうに思うわけでありますが、この改善がさらに必要だというふうに思っております。

 お手元の資料とパネルをごらんください。

 これまでに地方支局を含めて全省庁に御協力をいただき、平成十九年度、二十年度、二十一年度の三年分を調べてまいりました。行政事業レビュー、いわゆる国丸ごと仕分けでも、約五千五百に及ぶ国の全事業を政府としても見直しをしておりますけれども、契約ベースで見ると全体像はこんなふうになります。

 資料三の表の右下、平成二十一年度分の合計だけを見ましても、不落随契を含め一者応札の全体で、何と四万八百六十一契約もあったということが明らかになっています。金額でいうと約一兆九千億円であります。

 理由を調べました。このうち、理由が不明、そもそも理由を政府が把握していない一者応札がこの中で三二・九%にも及んでいます。また、一者しか応募がなかったというのを理由にしているもの、これは正直、理由の分析になっていないわけでありますが、二七・一%もありました。つまり、見直し検討すべき余地のある契約は、合わせて六〇%にも及ぶというのが実態であります。一方、一者応札でも仕方がないかなと思う特殊なもの、専門性が高いものだけを見た場合には二七・九%しかありませんでした。

 平成二十年度の後半にも政府として一者応札の見直しが図られておりますが、この表にあります二十年度と二十一年度の数字を比較すると、約三千五百契約しか減っておりません。見直しが徹底されていないというふうに感じております。

 予算の姿を国民の皆さんに見せた事業仕分け、特に行政事業レビューを通じての改善も、その意味では道半ばだというふうに思っています。なぜか。今から申し上げる三つの問題がいまだに存在するからであります。

 一つは、入札、特に一般競争入札が自己目的化している、つまり、募集しても一者しか応募がないのがわかっていて、アリバイづくりのためにやっているケース。これでは契約金額の低減にはつながらない。

 二つ目。特殊性や専門性が高くない一般的な仕事、つまり多くの企業が本来参加をしやすいのに、一者応札が定番となっているケース。例えば、印刷の発注やイベントの開催支援、清掃、警備、ここではこうした七つの類型を挙げておりますが、努力をすれば多くの企業に参加してもらえるんじゃないか、こういったものは全体の二六%を占めておりました。

 三つ目。実績要件や資格要件、発注ロット、公告期間など、募集方法の改善によって競争性や透明性を確保するというふうに各省庁はこれまで説明をしてまいりましたが、これらだけに仮に光を当てても、この一覧表で見ていただくとわかりますように、こうしたものが理由となっているのは全体のわずか、足し合わせて三・四%しかありませんでした。

 以上のように、一者応札の改善の余地は極めて大きいというふうに思っています。本当の意味で競争性と透明性を高めるということに加えて、国に契約内容の質と価格を精査できる能力を持たせるということ、共同調達を拡大することなど、今後の改善策について行政刷新担当大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 まず、政府の公共調達に関する城井委員の問題意識の高さ、そして今回のこの調査分析、私個人としても大臣としても敬意を表しますし、政府としては重く受けとめます。

 その上で、一者応札のうち各府省の回答の六割が、理由について不明とか一者しか応募がなかったという答えは、発注者の要因分析としては極めて不十分だと思って、問題は高いと思います。つまり、政府、各府省が発注して買っているサービスあるいは物品の財源は税金ですから、そのサービスの質を下げない、あるいは上げる努力をしつつ、コストを下げる不断の努力をするのは当然のことだと思っています。

 行政刷新会議においては公共サービス改革分科会を今立てておりますので、そこの第一回目のときに、応札条件に過度の制約がある、あるいは仕様が不明確、限定的である、業務範囲、規模が不適切であるといった入札に係る問題があるというのはもう既に認識をしておりまして、三月末までに一者入札の改善策について取りまとめをしまして、公共サービス改革プログラムに盛り込むことにして、各府省がもっと積極的にこの問題を改善していただけるように提言をしていきたいと考えています。

城井委員 ありがとうございます。

 ぜひ、三月末の取りまとめということでしたら、今回のこの調査結果も十分に踏まえていただければというふうに思います。

 総理、こうした一者応札の改善一つとりましても、無駄遣い見直しのブームは去ったと言われる中でありますが、これだけの問題がある。ぜひ、深掘りしていく覚悟をお示しいただければと思います。

中井委員長 菅総理大臣。時間が来ていますから、短く。

菅内閣総理大臣 大変いい御指摘をいただきましたので、行政刷新担当大臣とともにしっかり取り組んでまいります。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 歴史に類を見ない超少子超高齢社会日本は、過去の成功体験を乗り越え、その根底から発想を変え、選択を変え、仕組みを変えねばなりません。そのためには、奥深い哲学と冷徹な覚悟が国家の指導者に求められています。

 菅直人さんは、一昨日の予算委員会でのたまいました。やるべきことをやるのが強いリーダーだ。これは、首相のいすにしがみついているだけではないかとただした自由民主党の武部勤さんへの答弁です。格好をつければ強いリーダーだとは思わないとも菅さんはつけ加えました。お説ごもっともでございます。が、格好をつけずに、いすにしがみつかずにやるべきこととは一体何でありましょう。

 私は、本会議の代表質問、予算委員会の質疑でも、繰り返し以下の三点を述べてまいりました。

 一つ目は、増税で景気浮揚した国家は古今東西どこにも存在せず、増税よりも増収をもたらすのが政治家の使命と。が、菅さんは、政権交代時の国民への約束を踏みにじり、増税ありきで猪突猛進されています。

 二つ目は、関税自主権を放棄するTPPは、羊の皮をかぶったオオカミ、トロイの木馬。その前に、きめ細かいFTA、EPAの締結を各国と。が、昨日の中央公聴会では、内閣支持率同様に組合加入率がわずか一八%の労働組合、連合の公述人が、私の質問に対し、増税とTPPはぜひとも実施すべきと、民主党との一蓮託生発言をされております。

 三つ目は、菅さんが豪語する、二十年後も大丈夫な社会保障改革。が、日本の人口は、二十年後には千七百万人減の一億一千万人でございます。年金制度の微調整では太刀打ち不可能で、基本所得保障、ベーシックインカムの導入こそ抜本的解決です。

 ところで、格好をつけずにやるべきことをやるという当たり前の話を、国土交通大臣、沖縄担当大臣、外務大臣を御歴任の前原誠司さんにもお伺いいたしたく思います。

 日本航空、八ツ場ダム、尖閣沖逮捕、北方領土、残念ながら、あなたの判断ミスで、製造物責任法、PL法であなたが指弾されるべき、国益を損ねる事態が政権交代後の一年半続出しております。口先だけで成果が伴わねば、現場は混乱し、職員が疲弊し、国民も被害をこうむります。

 他の航空会社も、新幹線も、高速道路も、フェリーも存在するのに、JALの飛ばない日はつくらないと情緒的な発言で、自浄作用なき一民間企業に巨額の税金投入をした迷走。

 また、八ツ場ダムの本体工事は未着工でありますから、ならば、周辺道路整備は、河川局でなく本来の道路局予算へと大臣就任直後に組み替え、その上で、自民党の河野太郎さんも指摘する、基本高水流量という虚構の算定式を見直し、新しい治水のあり方を提示すべきでした。

 尖閣沖逮捕と北方領土の居丈高な物言いと腰砕けな迷走は、残念ながら、既にこの予算委員会の場でもただしてきたところです。

 さらに、昨日発生のニュージーランドでの地震の被害者の御家族を政府専用機でともにお届けするときのう豪語されましたが、残念ながら、先ほど外務省幹部は、邦人の家族搭乗は過積載になる可能性があり難しいと言明をする始末であります。

 日本の政治の閉塞状況を憂う全国津々浦々の真っ当な国民は、今、世代交代だのさわやかだの、上っ面の指導者でなく、奥深い哲学と冷徹な覚悟をあわせ持った、成熟した、マチュアードな政治家、ステーツマンを求めていると私は考えておりますが、前原さんに御所見を伺います。

中井委員長 前原外務大臣。一分弱しか時間がありません。

前原国務大臣 JALの再建については、私は、いろいろと田中委員はおっしゃっていますけれども、判断は間違っていなかった、そして、今はうまくいっている、そしてうまくいかせなければいけない、そう思っております。

 八ツ場ダムにつきましては、私は一年国交大臣をやらせていただきましたけれども、引き続きやらせていただければ、必ずこれについては結論を得て、私は、これは田中さんと同じだと思いますけれども、今の、すべての洪水をコンクリートの構造物に押し込めて海まで流すという発想を根本的に変える、哲学を変える公共事業の考え方については、これも間違っていないし、やり遂げなくてはいけないというふうに思っております。

 北方領土の問題につきましては、私は、政治家になったきっかけがこの問題であるということで、自分のライフワークとして取り組んでいきたいという決意は全く変わっておりません。

 いずれにいたしましても、田中委員がおっしゃる、政治家の言葉というのは重いということについては私も同じ認識でございますので、そういった思いを共有しながら努力をしていきたいと考えております。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子一義君。

金子(一)委員 自由民主党の金子一義でございます。

 冒頭に、ニュージーランドで昨日起きました大規模な地震について、ニュージーランド国民に対してお悔やみを申し上げますと同時に、我が国も一刻も早く救助、支援を送るという、もう既にけさ会議もやっていただいたようでありますので、全力を挙げて同国の復旧、そして被害に遭われました日本人の救出に御努力をいただきたいと、冒頭にお願いを申し上げます。

 きょうの新聞で、総理、政府・民主党は特例公債の成立を四月以降に、年度内成立をあきらめたと表題が出されちゃっているんです。この間の日曜日のNHK討論会で、玄葉国家戦略担当大臣が、特例公債法案の年度内成立にこだわらない意向を示されたと。この報道があった後、昨日二十二日、政府・与党は年度内成立にこだわらないという調整に入った。まさか、耳を疑っているんですけれども、どんな感じなんでしょうか。

野田国務大臣 特例公債法及び予算関連法案については、これから御審議いただくわけでございますけれども、あくまで予算と一体となって年度内の成立を目指していくというのが政府の方針でございます。

金子(一)委員 総理、それでいいですね。総理も覚悟として、衆議院を出ていく段階で、当然ですけれども、予算と税制は一体で出されるという、最大限の努力をされるとおっしゃってください。

菅内閣総理大臣 一点、ニュージーランドのことをお触れいただきましたけれども、きょう午後二時ごろには緊急援助隊を政府専用機で成田から出発させるということで、しっかりと救援に当たりたい、こう考えております。

 今御指摘の特例公債法案については、財務大臣からも答弁をいたしましたように、年度内成立を目指して全力を挙げたい、こう考えております。

金子(一)委員 きょうは、マニフェストに関しまして、四Kの一つ、高速道路料金の問題について御質問をさせていただきたいと思います。

 大畠大臣、料金割引で平日二千円というものを政府・与党で決められた、近々パブリックコメントに出されるのかとも思いますが、なぜ平日二千円なんですか。

大畠国務大臣 金子議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 民主党は、高速道路の原則無料化、こういう目標に向けて努力を続けているところでありますが、さまざまな、財源問題からなかなか苦慮しているところでありますけれども、まずは高速道路の料金の上限というのを二千円にしてどのような社会的あるいは経済的な効果が出るのか、そういうところをまさに社会実験としてやるために二千円という上限を設定したところであります。

金子(一)委員 大畠大臣、去年、前原大臣が料金平日二千円を提案されたんですよ。廃案になりました。しかし、そのときは、資料二にお配りしてあります、休日千円を含めた、これがメーンですけれども、今やっている現行案、自公案といいましょう。現在やっている自民党、公明党がやった案、これは持続可能性がない、複雑だ、交通渋滞が起こるということで白紙に戻されたんですよ。白紙に戻した上で、平日二千円を彼は提言したんです。

 白紙に戻しちゃったのを、今回の平日二千円は、丸々自公案、現行案に上乗せしているじゃないですか。これはどういうことですか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 これまで一年間、土日の休日のみ千円、こういうことで、前政権下におきましてもそのような実験をされていたわけでありますけれども、土日に非常に集中する、こういうことから、それを、平日にも高速道路という社会資本をより効果的に利用していただくために、二千円という上限を設けて、分散化をして土日の混雑というものをできるだけ平準化しよう、こういう考えも持ちながら適用しようと考えているところであります。

金子(一)委員 複雑、渋滞、持続可能性、民主党政権ではこれだけ批判したんです。今おっしゃったのは何なんですか。持続性、全く考えていないじゃないですか。

 今、ちょっとパネルで、お配りしました皆様の資料にもお渡ししております。

 自公政権でやりましたのは青い部分、深夜割引、休日割引五割。そして休日上限千円。これが、あなた方の今回の案は、ページ、パネルをめくってみてください、前倒ししちゃうんですよ。前食い。三年で財源はなくなる。

 この財源は今、大畠大臣、どこにどういう勘定であるんですか。

大畠国務大臣 私も国土交通大臣を拝命いたしまして、金子先生もかつて国土交通大臣をされておりましたが、道路行政というのはさまざまな重要なものがあります。

 今御指摘の点につきましては、私も大臣を拝命して、この財源というものをどう考えるか、ここのところに、先生からの御指摘もありますが、私としても、不十分な点があるだろうということで、これを財源も含めて将来的に日本の高速道路というものはどうあるべきなのか、そういうことで、それを検討する場をつくろうということで、私の指示で……(金子(一)委員「勘定はどこにあるか」と呼ぶ)その財源も含めて、検討する場で詰めていきたいと考えております。

金子(一)委員 大畠大臣、勘定は今どこにあるんですかということをお伺いしたんです。

大畠国務大臣 先ほどの御質問でございますが、前政権の時代に国費約二千五百億円を投入して、平成二十九年までをセットしておりますが、確かに、それを前倒しして使う、こういうことでございます。

金子(一)委員 財務大臣、勘定はどこにあるかちょっと答えてあげてくれますか。

野田国務大臣 債務削減で対応していると承知しています。

金子(一)委員 全然違うんですよ。歳出削減じゃないんです。自公政権のときに、何とか、道路会社の料金の引き下げ、あるいはサービスエリアの拡幅、サービスの向上のために、財務省と交渉して三兆円をとってきて、今あなたのところの国債整理基金のポケットにあるんですよ。

 だけれども、井戸の水と違いまして、くめども尽きぬ井戸の水じゃないんですよ。あなたのポケットに入っているんです。使っちゃったらなくなるんですよ。十六・八兆円の予算がマニフェスト実現のために大事だと言いながら、一方で、ああ、野田大臣の中に、国債整理基金の中にちょうどいい勘定があった、そんな話じゃないんです。貴重な国民の税金の新たな支出と同じなんですよ。

 自公政権の使い回しだと思っているんですか、大畠さん。

大畠国務大臣 御指摘のように、この財源というのは国債整理基金というところに入れてありまして、その資金を活用しようということで計画をしているところであります。

金子(一)委員 貴重な財源を何で、前原大臣のときにあれだけ白紙に戻して整理した、にもかかわらず、今回、ゾンビのように浮かび上がって、その土台の上に平日二千円を乗っける。だから、ここのマニフェストにあるように、三年後の財源がなくなっちゃったじゃないですか。使い切っちゃうんですよ。使い切り。

 この三年後の財源、どうするんですか。

大畠国務大臣 御指摘でございますが、私も、今後の将来の高速道路の利用の形態についての財源をどうするかということが一番大事なポイントだと思いまして、それを含めて、来月には立ち上げたいと思いますが、検討する場の中で、将来の財源も含めて、高速道路のあり方について、その将来像というものを描くために検討してまいりたいと思っています。

金子(一)委員 あれだけ批判した自公案、その上に上乗せする。自公が休日千円だから、おまけで平日二千円を乗っけて、安いよ安いよとやる。バナナのたたき売りというんですよ、それを。バナナのたたき売り。国民の税金ですよ、これを、大事な財源を使い切るという。

 今、冒頭に申し上げましたけれども、特例公債を野党がみんな反対しているんですよ。貴重な財源をばらまいちゃう。あなた今、六月以降、民主党は見直しをやると言っていますね。だったら、今度の二千円、先送りしたらどうですか。

大畠国務大臣 重ねての御質問でございますが、私ども民主党として、欧米並みに高速道路を原則無料化したいという目標がございます。しかし、先ほど御指摘のように、財源というものがめどがなかなか立っておりません。そして、社会実験の中で、この高速道路料金というものを平日も含めて二千円という形にした場合にはどのような経済効果が出るか、そういうことを検証するために、先生の御指摘のように、前政権時代に財源を確保されたわけでありますが、それを使って実験をさせていただき、その実験の成果というものを踏まえて今後の方針というものを決めていきたいと考えているところであります。

金子(一)委員 菅総理、御記憶ないかもしれません。私が国土交通大臣のときに、菅総理が当時予算委員会の筆頭でした。それで、この道路問題を議論させていただいたんです。そのときに、御記憶がないと思いますのでポイントだけ申し上げますけれども、五千億を自民党が補正予算で入れたよなと。休日千円もこの中に入っていたんです。これに対しまして、政府が出した五千円というのは、民営化したはずの会社の料金体系に何で政府が勝手に五千円を出すんですか、民営化は……

中井委員長 五千億。

金子(一)委員 五千億。民営化はうそだったんですかとおっしゃっている。極めて筋の悪い政策ですと。だけれども、まさに菅政権のもとで大畠さんがそれをやろうとしているんじゃないですか。どうです。

菅内閣総理大臣 まず、この高速道路の無料化という考え、金子議員は専門家に近い立場ですのでよくよく御承知だと思いますが、もともとの法律は、それぞれの区間で償還が終わったら無料にする、そういう形にもとはなっていたわけであります。それをプール方式という形で、例えば東名などは、償還が十分その単位だけでいえば終わっているものを、逆にそこで上がった利益を他に回そうということで、結果として、今日に至るまでその法律の趣旨に沿った無料化が実現をしていないわけであります。

 そういった意味で、いろいろ制度は複雑ですが、例えば本四架橋のように、大変高額の料金のために、せっかく三本もつくった橋が余り車が走っていない。また、アクアラインも、当初はたしか片道四千円でしたか、ほとんど車が走っていない。そういう中で、結果的に、ある意味、せっかくつくったけれども利用されないというのは、私は、日本の経済にとっても決してプラスにはなっていない、建設という意味ではそれは多少の波及効果はあったかもしれないけれども、できた高速道路や橋がちゃんと使われてこそ日本経済の成長につながってくるし、地域の発達にもつながってくる、そういう考え方に基づいて、この高速道路無料化という基本的な考え方を打ち出してきたわけであります。

 そういう中で、今おっしゃったことを申し上げますと、私がどういう質問をしたか、事前の通告がなかったので確かめてはきておりませんが、そうした大きな構えの問題と、もう一つは、民営化をされました。しかし、民営化をするというときの趣旨は、その企業に建設のコストについて効果があるかどうかという判断をある意味任せるということの趣旨が民営化の趣旨であったと私は思っておりましたので、これは自民党がやられたことですよ、自民党がやられた趣旨が、そういう説明を私たちは受けていましたので、その趣旨からすれば、少し筋の悪い形になったのではないかということを申し上げたかもしれません。

金子(一)委員 同じ、私と菅さんの予算委員会の趣旨で、菅さんは無料化を当時主張されたんです。我々自公は、あくまでも料金を走っている方々に負担をしてもらう、これを有料として主張させていただいたんですが、そのときに菅さんは、四十兆に対して、ちゃんと償還財源も含めて民主党としての政策を提案していると。つまり、民主党のマニフェスト、当時の旧道路公団の債務、今三十五兆、当時は四十兆、それについて、償還財源も含めてちゃんと検討していますとおっしゃっていたんですね、そのことはまた後で触れますけれども。

 でも、菅さんは筋金だなと私は思っていたんですよ。一貫して無料化を主張されている。菅さんの奥様、伸子さん、この人は首相になっても何をやりたいかって余りないのよねと言われたようですけれども、見損なってもらっちゃ困るんですよ。菅総理には、あるんですよ。

 衆議院の選挙の直前、朝日新聞の「オピニオン」というインタビューなんですけれども、ここで、政権をとったら早い時期にどんなことをやりますか、わかりやすいのは、高速道路の無料化をぽんとやればいい、高速道路をつくるのは十年かかるが、無料化は、準備すれば三カ月でできると。

 今でも変わらないんですか。

菅内閣総理大臣 高速道路無料化というのは、たしか二〇〇三年の、私が当時民主党の代表であったときのマニフェストに盛り込んだものであります。そういう意味で、私としては、無料化することによって地域が活性化する、あるいは物流コストが下がる、そういうトータルの経済効果はあると考えておりました。

 また、よく受益者負担と言われますけれども、高速道路を走っている車のガソリン税は高速道路には使われていないんですね。一般道路に使われているんです。つまり、高速道路を走っている車の受益者は二つのお金を払わされているんです、ガソリン税と同時に交通料と。

 そういうことを考えますと、私は、無料化することの方が日本経済にとって、地域の発展にとってプラスだと思って、二〇〇三年のマニフェストに盛り込んで、私の代表のときに一定の支持をいただいたと思っております。

 そういった意味で、今御指摘があったように、私がそういう取材に対して、私としては、そういう考え方をその取材の時点で持っていたことは、そのとおりだと思っております。その後、私の思いのとおりには残念ながら進んではいないことは認めざるを得ません。

金子(一)委員 今私が申し上げたのは、政権とる直前、政権とったら。ところが、菅首相が総理に就任した後の当予算委員会でも、公明党の石井議員に対して、四年間で無料化をやることを最大限努力します、四年間で最大限無料化を、原則無料化、努力しますと。

 それは変わらないんですか。

菅内閣総理大臣 現在の二〇〇九年マニフェストの考え方そのものが、四年間というものの中で実現を目指すという、必ずしもこの高速道路無料化に限らないので、マニフェストそのものがそういう仕組みになっておりますので、その一環としてそれを目指していくという姿勢に変わりはないということをその時点でも申し上げました。

 現在、私も、その基本は変わっておりませんけれども、マニフェストの検証を行うということも既に申し上げているところであります。そういった意味では、四年間で実現を目指すけれども、それが実際に可能であるかどうかについては、衆議院の任期の半ばをめどにして検証も行ってまいりたいと思っております。

金子(一)委員 民主党のマニフェスト、今度、財務大臣にちょっとお伺いさせていただきます。

 無料化を目指すために、毎年一・三兆円の予算投入ですよね。十年間で十三兆円、消費税五%相当を無料化。それを民主党のマニフェストでは六十年間続けますから、七十八兆円。年間予算に匹敵するような莫大な予算を無料化のために投入する。これは、財務大臣として受けられるんですか。

野田国務大臣 現時点では、その効果の検証を社会実験という形でやらせていただいていますし、平成二十三年度は千二百億円、社会実験としての予算措置をとらせていただきました。

 そこまでやるかどうかも含めて実験中ということでございます。

金子(一)委員 この一・三兆円がなぜ出てくるか。これは民主党のマニフェストにまさに書いてあるんですけれども、民主党が提言する無料化の肝というのは、旧道路公団が持っていた建設のための借金、当時四十兆、今三十五兆としましょう、三十五兆円を国が一括買い上げる、つけかえでしょう。そして消費者には無料化する。無料化したかわりに国が三十五兆円借金をつけかえますから、それを六十年かけて返済するために一・三兆円という数字が出ているわけでしょう。そういうことですね。

 そうすると、野田大臣、三十五兆円を国につけかえるということは、我が国の財政バランスにどういう影響を与えるんですか。

野田国務大臣 三十五兆をそのままつけかえれば、それは大変日本の財政に大きな影響があるというふうに思います。

金子(一)委員 三十五兆円をそのままつけかえないで無料化はできるんですか。

野田国務大臣 民主党の高速道路の政策大綱としてはそういう形でかつてまとめさせていただきましたけれども、先ほど申し上げたとおり、社会実験をしながら、影響を見ながら、どういう好影響があるのかも、あるいはマイナスの影響もあるかもしれません、それを今検証しているというところでございます。

金子(一)委員 仮に三十五兆円を民主党の当時のマニフェストどおりつけかえるとなると、国の財政にどういう影響があるんですか。もう一度お伺いさせてください。

野田国務大臣 三十五兆は大変巨額なお金で、大きな影響があると思います。

金子(一)委員 明らかに、三十五兆円を国につけかえたら、国債の発行残高がぽんと三十五兆上がりますね。そうですね。国債発行残高六百七十が七百になるんですよ。あげくの果てに、歳出圧力一・三兆円。収入がありませんから、無料化のための歳出圧力だけがふえるじゃないですか。国債信用力にどう影響を与えると思いますか。そんなことは考えられるんですか。野田大臣、格付との関係で言ってください。

野田国務大臣 いわゆる財政論としてはおっしゃるとおりなんですが、無料化による経済波及効果を含めて、プラスの効果も総合的に考えていくということでございます。

金子(一)委員 経済効果について話してください。どういう経済効果があるんですか。

野田国務大臣 物流コストが下がったり等々、いろいろな影響が出てくるというふうに思いますが、その辺を検証することが今社会実験という意味であります。

金子(一)委員 三十五兆円やったときの経済効果の施策、今社会実験をやっているのはちょっとまた後で話しますけれども、民主党のマニフェストのときの経済効果をちょっと説明してください。

大畠国務大臣 私の方から、その見通しというものをお答えさせていただきたいと思います。

 先ほど野田大臣からもお話がありましたけれども、高速道路が原則無料化をされますと、いわゆる生活コスト、企業活動コストの引き下げ等々で最大二・五兆円の国民負担の軽減が可能。それから、家計消費増や企業の設備投資、賃金引き上げ等の内需拡大も見込める。さらに、地域活性化、これは地域の生活道路、地域道路としての利用や、サービスエリア、パーキングエリアの活用を含む観光産業活性化というのも見込めることであります。さらには、渋滞の解消とか緩和、あるいはそういうことによってCO2の発生抑制というものにもつながるのではないか、そのように考えているところであります。

金子(一)委員 大畠大臣、答弁いただいたので、今あなたがおっしゃったことは国総研のレポートに出ていたと言われているんですよね。検証しましたか。この国総研のレポートを検証された上で今おっしゃっているんですか。

大畠国務大臣 これらについては、想定をされていますので、社会実験とあわせて、検討の場の中で検証してまいりたいと思います。

金子(一)委員 今、大畠大臣が言われた数字は、マニフェストで出ていますよね。この検証、国総研が計量計画研究所に委託したんです。確かに、一〇%料金を下げた、二〇%料金を下げた、そのときに車がどういうふうにふえていくか、経済効果があるかという、その範囲では該当してくるんです。ところが、一〇〇%、料金をゼロにしちゃうなんという、需要係数といいますけれども、これになると、さあ、本当にこれが現実に起こるかどうかというのが学者の中でも問題なんですよ。だから、この数字は、私が国土交通大臣のときには報告書に載せさせなかったんです。あるあるあると言うけれども、そのあるやつを、危ないやつを、怪しいやつを、あなたは今平気で答弁しているんですよ。検証しなきゃだめ。(発言する者あり)見解の相違じゃないんだ、これは。

大畠国務大臣 御指摘の点につきましては、私も、自分の理解する中で、検証の場の中でよく自主的に検証したいと思います。

金子(一)委員 社会実験、社会実験と総理も野田大臣もおっしゃるんですけれども、今やっている社会実験、千億、一千二百億、本来、民主党が想定していた社会実験と、思想も手法も全く違うと思いませんか。

大畠国務大臣 この点につきましては、先ほどから財源の話が出ておりましたが、先生御指摘のように、一・三兆円という予算というものが確保できれば、さまざまな形でできたわけでありますが、財源という制約上から、このような形の社会実験になっているところであります。

 なお、千円、二千円という社会実験をする中で、これがどのような効果を与えるのかということについては、しっかりと私の目で確認をさせていただきたいと考えております。

金子(一)委員 本来、民主党が想定していた社会実験、これは皆さんのマニフェストですから、そのとおりなんですよ。社会実験をやるのは、渋滞が予測される首都高、阪高でやるんですよ。あなたが今やっているような地方圏とは違うんです。手法が全然違うんです。いいですか。(発言する者あり)あなた方は自分たちのマニフェストをちゃんと読めよ。首都圏、阪高でやると言っている。(発言する者あり)違うんですよ。マニフェストをこの人たちは読んでいないんだね。あきれちゃうよね。民主党は自分たちのつくったマニフェストを読まないで、首都高、阪高は想定外なんて言っているので、では、あえて読みましょう。時間が無駄だけれども読みましょう。いいですか。

 実際の無料化に当たっては、首都高、阪高など渋滞が予測される路線、区間について社会実験を実施し影響を確認しつつ、実施すると。(発言する者あり)何それって、民主党のマニフェストだよ。

 さてそこで、今やっている社会実験というのは、大畠さん、七大都市圏を除いているんですよね。札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、七大都市圏を全部除く、あるいは七大都市圏を結ぶ道路についても社会実験から除いているんですよ。地方部への限定をしているんですよ。だから、社会実験、社会実験とおっしゃるけれども、それなりのものなんですよ。全体の高速無料化にどう反映するかというのは、違うでしょうよ。

大畠国務大臣 御指摘のように、この社会実験というものが地域経済に混乱を与えてはいけないということから、渋滞が予測されるところというのは除いております。また、沖縄でも、状況を考えて料金を取るというところに変更したこともございまして、これまでの経験から、無料化に伴って渋滞が発生するというところについては除いているというのは、先生の御指摘のとおりであります。

金子(一)委員 無料化というのは、私から言わせれば仮装だと思っているんですよ。仮装。国民は、無料化、無料化という民主党のマニフェストに、仮装だけれども引きずられちゃっているんですよ。民主党自身が引きずられているじゃないですか、民主党自身が。

 平日二千円を、自公案を前原さんが白紙に戻した、だけれども、無料化、無料化と言っているのに何だよといって民主党内から反対が出て、自公案に上乗せしちゃったんでしょう。国民は引きずり回す、民主党自身も引きずり回しちゃっている。無料化って仮装じゃないですか。それを違うなんて言うのは、認識がひど過ぎるね。そう思いませんか。

大畠国務大臣 これは私自身の受けとめ方でありますが、先生も体験されたと思いますが、フランスに行って、高速道路をまさに自由に飛ばせる、あるいはアメリカでもそのようなことが行われている。そういうことが日本でもできないものか、こういうことを私も考えたことがございます。

 ただ、日本は、先生からも御指摘のように、かなりの物量が道路に集中しておりまして、その無料化することによって混乱が起こったり、あるいは事故等が多発するということがあってはならないと思ってもおります。

 そういうことから、大都市圏等については無料化の実験の対象外としておりますが、いずれにしても、今回の社会実験というものを通して、日本における高速道路のあり方についてしっかりと検証させていただきたいと考えております。

金子(一)委員 資料三を見てください。

 新しい高速道路をどうやってつくるかという整備の手法。この資料三は、去年、前原大臣が提出した方法です。

 これは国民の皆さんにはわかりにくいんですが、東京外環、名古屋二環というような我が国の大事な大事な幹線道路、これに、道路会社に国のお金を入れてつくるという手法を国会に出されたんですよ。ここからが民主党の道路政策の迷走の始まり。大畠さん、わかりますか。

 自公政権のときに、合併施行ということで、東京外郭環状も名古屋二環も、道路会社と国とがお金を出し合ってつくっていきましょうという方法、それで一度決まったんです。国土幹線審議会でも決まった。ところが、民主党政権になって白紙、合併施行は薄皮まんじゅう方式、これはちょっときょうは言いませんけれども、白紙。

 ところが、一たん白紙に戻したやつを、今この表三に出ているような道路会社に国の金を入れてつくるという方法が憶面もなく出されちゃったんですよ。民主党のマニフェストのイロハのイでしょう。無料化するんですから、国の直轄事業で道路はつくって無料にすると。全然違う案じゃないですか。道路公団民営化の大原則も、道路会社には国の金を入れませんと。小泉改革のときに、自民党も入れていた、あの民営化に当たってやめたんです。道路会社には国の金を入れない。これが廃案になっちゃった。二転三転しちゃったんです。つくります、白紙です、やります、やりません。迷走に迷走を重ねて、後始末がないんですよ。

 去年の十一月に正式に廃案になりました。廃案になって、馬淵さんにどうするのと聞こうと思ったら、大臣をやめちゃった。気の毒だけれども、あなた、後始末はどうするんですか。

大畠国務大臣 先生からの御質問でありますが、確かにそのような経緯がございました。

 ただ、私は、前原大臣が、いわゆる国が土台の部分をつくって、上の方を民間会社がつくるということでは混在しているということで、国が一〇〇%つくるものについては無料化して開放し、企業が、会社がつくる道路については、すべて会社のお金でつくって、そして有料にして料金回収する、言ってみますと、そういう整理をされたと思っておりますが、これも一つの考えだとは思いますけれども、改めて、私自身、今後の高速道路のあり方についてどうすべきかについては、先生の御提言等も踏まえながら、この検証の場の中で検討してまいりたいと思います。

金子(一)委員 今あなたがおっしゃったことは、前原さんが言っていたことをそのとおりやりますということですか。前原さんのやつは国の金を投入しているんですよ。それを引き続きやるというんですか。よくわからなかった。

大畠国務大臣 私が申し上げましたのは、前原大臣は前原大臣として、真剣にこの問題を考えて整理をして一つ出したものであると考えておりますが、ただ、これも一つの提言かなとは思いますが、改めて、先生の御指摘等も踏まえて、これからの日本における高速道路の建設あるいは道路のあり方については、予断を持たずに検証してまいりたいと考えております。

金子(一)委員 大臣はかわられたのでお気の毒だけれども、民主党政権になってから、新しい道路をどういうふうに整備していくかという手法が、この一年六カ月、まるで進んでいない。迷走しっ放し。どっちに行くのかもよくわからない。国民は振り回されているんですよ。これから検討する、これから検討すると。あなたは就任してもう数カ月たっている。検討だけじゃ済まない。どういう方向で検討しますと言われたらどうですか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 先生が御指摘のように、高速道路というものをどのような形でつくっていくのか、それについては私自身も大変重要な課題だと思っております。

 先生が中心となって道路の建設の一つのあり方について方向性を示しておられますし、また、前原さんは前原さんとして、国のつくる高速道路については、国が一〇〇%投入して、それは無料で開放する、いわゆる現在の国道と同じような形で使うということ。それから、民間会社がお金を投入する場合には、それは民間会社としてお金を投入して、その資金については有料料金で回収する。これも一つの考え方だと思いますが、先生が大臣をされておられるころの一つの考え方も参考にしながら、その中で、アメリカやヨーロッパとは違う、日本における高速道路の建設、そして運用のあり方についてしっかりと検討させていただきたいと思います。

金子(一)委員 菅さん、私は、二〇〇三年当時から、この高速道路無料化については菅総理がずっと言い出されているのは、私ももとより勉強させていただいています。一番の菅総理の原点というのは、道路公団民営化の白紙なんですよね。道路公団、今持っている借金を全部国が買い上げる、道路公団民営化を白紙にして、そして料金を無料化にする、これが肝なんですよ。今でもその考え方は引き続きお持ちなんですか。無料化問題は、ここが解決しないとなかなか進まないんです。

菅内閣総理大臣 制度的な問題で今おっしゃいましたけれども、高速道路の無料化の最大の肝は、つくったものの中で使われていない多くの、これは全部が高速道路会社ではありませんが、本州四国とかアクアラインとか、そういうものがある。しかも、インターチェンジの間が大体十三キロです。アメリカのインターチェンジの間は大体三キロです。当然、一般道からちょっと入って、また出て、フリーウエーですから。そういう意味では、せっかくの高速道路が十分に活用されていない。

 そのことが、結果的に、例えばアクアラインでいえば、千葉の木更津は一時非常に地価が上がりましたけれども、結局、高速道路料金が高い間は、ほとんどあそこから、例えば羽田に十五分で行けても、だれも通勤する人はいないわけですから。そうすると、つくるのには一兆三千億もの金をかけながら結局使われていない、そうすると千葉の開発にもならない。あるいは、本州四国でいえば、例えば阪神のところから淡路を通って徳島まで一時間で行くわけですけれども、しかし、だれもそういうところは通勤道としては使われていない。

 つまり、国全体の経済的な効果や地域開発、あるいはそうした既成の国道との併用を考えたときには、日本経済トータルにとってプラスになるというのがこの無料化の肝なんです。それをどうやって実現するかというのが次の制度の問題なんです。

金子(一)委員 総理には御質問しなかったんですが、大畠さんに私は申し上げたじゃないですか。経済効果があるあるとおっしゃるけれども、この経済効果は数値的に極めて怪しいと計量学者の間で言われているんです。ですから、国土交通省としてこの正式な報告には採用していないんです。大畠さん、それ、必ず確認しなさい。ほかのシンクタンクにも検証を依頼しなさい。

 結局、僕が総理にちょっとお伺いしたのは、道路公団民営化を白紙に戻す覚悟があるのかどうかとお伺いしているんです。

菅内閣総理大臣 今、金子議員は、国土交通省国土技術政策総合研究所の報告の中に、費用便益分析で、たしか料金をゼロとしたときに、どの数字でしょうか、この二兆七千億でしょうか、あるいは七兆八千億でしょうか、こういう結果が出たわけですよね、国総研の中で。しかし、それを、自分のところの研究所が出してきたことをわざわざ、大臣であられたかどうかは知りませんが、これはどうもおかしそうだからまずは消してしまえと、情報まで消したんですよ。

 私は、情報は公開した上で、いや、これにはこういう意見があるとつけるならいいですよ。それを馬淵議員が自分で調べて、こういうのを何で、あるんじゃないですかと、最初はなかなか認められなかったけれども、最終的には現物を見せられて認めざるを得なくなったんじゃないですか。私は、そのときに理事をやっていたかどうか正確には忘れましたが、その質疑はよく頭に入っております。

 ですから、経済効果があるなしの議論は大いに結構ですよ。しかし、それを、わざわざ国総研が出したそういう報告書を国民の目から隠すというやり方は、たとえ大臣といえどもそれはおかしいやり方だった、私はこのように思っています。

中井委員長 菅総理、反論は結構ですが、金子さんの質問は、道路会社、これをどうするということが菅さんの根幹にあるんだと、これに答えてください。

菅内閣総理大臣 民営化という概念は、私は無料化の概念とは違っていると思います。つまり、今一般国道ありますよね。これは無料ですよね。無料なんですよ。基本的には道路というのは無料なんです。それは税金でつくるからです。ですから、民営化ということの方が、私は、道路に関して言えば異例なんですよ。なぜ民営化というか、逆に言うと公団でやったかといえば、御承知のように、公団でやることによって建設を進めようとしたわけです。

 ですから、ある意味では、これは私の個人の意見で余り申し上げていいかどうかわかりませんが、一般国道と同じように道路専用の国道になるわけですから、もちろん、道路専用国道について管理はしなきゃいけません、しかし、管理はしなきゃいけませんが、民営化とか民営化をやめるじゃなくて、一般国道と道路専用道路になる、私はそう認識しています。

金子(一)委員 菅総理、何をそんなにかっかしているんです。かっかし過ぎですよ。国交省のデータについては大畠さんに調べさせてください。あれは計量学者が、隠ぺいじゃないんです、計量学者の間で疑義があるから採用しなかったんです。その事実は事実。いいですか。

 その次に、民営化、関係ないとおっしゃったけれども、民主党のマニフェストは、まさに民営化を全部もとに戻すと具体的に書いてあるじゃないですか。民営化と道路公団国有化とが一致しているのが今の民主党の案なんです。いいですか。

 さて、それで、今度の道路の無料化の問題は、今の一千億、千二百億をどんどんどんどんやったって無料化に近づかない、しょせんは地方圏。結局は、国民が幻想を与えられちゃった。

 しかも、今度の平日二千円、もう一遍言いますけれども、野党の皆さんが特例公債法に反対すると言っているんですよ。そういうさなかに、赤字国債をみんななくせよというときに、自民党の、あるいは自公の枠だから使い切ってしまえ。さっき申し上げたように、国民の貴重な税金じゃないですか。何であえて、この平日二千円を乗せなきゃいけないのか。乗せる必要ないじゃないですか。維持したらいいじゃないですか。大畠さん、見直しませんか。

大畠国務大臣 国土交通省として、非常に財源等が乏しい中で、できるだけ無料化を目指しているわけでありますが、しかし、現在ある社会資本、高速道路というものをできるだけ国民の皆さんに活用していただく、こういうことで、土日千円に加えて平日二千円の頭打ちにしているわけでありますが、これをすることによってどのように高速道路が有効に活用できるのか、そういうところを実験するために今回御提言をさせていただいているところであります。

金子(一)委員 政策コンテストというのをやりましたよね、年末に。政策コンテストでは、国民の八〇%が無料化は必要ない、そういう国民の声、政策コンテストをなぜ民主党は生かさないのか。八〇%が反対をされているのに、政策コンテストは国民に開かれた、見える化の仕組みだと言いながら、B判定で、最終的には総理の判定でやられたわけです。

 私は、余り新聞記事を引用するのは好きじゃないんですけれども、今度の一連の無料化の話について、朝日新聞二月十六日、これでは使い逃げ、毎日新聞十七日、問題だらけの値下げ、読売新聞十七日、統一地方選控えばらまき、十七日朝日新聞、予算先食い後は白紙。これですよ。先食いしちゃって後のことは無責任、後のことの財源に対しては責任を持たない、そんな政策。いずれ検証して見直すというなら、今の平日二千円は見直しと一緒にやられたらいいじゃないですか。

 つまり、無料化区間、有料化区間、そして新しい高速道路はどうつくるかという全体が一つになって解決しなきゃだめなんですよ、この問題は。それを、先食いでしょう。平日二千円で年間二千億使い切っちゃうんですよ。ばらまいちゃうんですよ。バナナのたたき売りをやっちゃうんです。

 六月に見直す、検討の場をつくるというのであれば、あるいは九月にマニフェストを見直すというのであれば、この平日二千円というのを、菅総理、国交大臣に、よく考えろ、検討し直せと指示されたらどうですか。

菅内閣総理大臣 これは、現在、予算の審議をまさにこの委員会でお願いしているわけですが、そういう予算として私たちとしては最もベストなものだということでお願いをしておりますので、今御指摘のようなことを私から国交大臣に申し上げるつもりはありません。

金子(一)委員 最後に、総理、勘違いされています。この平日二千億の予算は予算案と関係ないんです。整理基金にあるんです。ですから、もう一遍、その部分だけ。予算案と関係ないんです。ですから、いつ実行したっていいんです、これは。

 もう一遍、ちょっとそれを踏まえて御答弁ください。

中井委員長 金子さん、いつ審議会をやるか、審議会の結論を大体いつぐらいにするかということを大臣に言えますか。検討会。

大畠国務大臣 これは、委員からも御指摘のように、利便増進の予算を使わせていただきますが、いずれにしても、先生から御指摘の、高速道路の無料、そして有料、そしてこれからどういう形でつくるかという三点の視点については、私も、三月の上旬ぐらいにはスタートさせまして、早急にその方向性が決まるように努力をしてまいりたいと考えております。

中井委員長 早急じゃなしに、いつぐらいに結論が出るかわかりますか。

大畠国務大臣 私としては、党の方もマニフェストの検証というものを九月に行うということでありますから、その前までには中間的な、基本的な考え方がまとまるように努力したいと思います。

金子(一)委員 では最後に、総理、今のを踏まえて。

中井委員長 これを受けて、菅内閣総理大臣。

菅内閣総理大臣 多少、私の思い違いがあったようであります。

 しかし、この問題については、今、大畠大臣からありましたように、提示している方針でいかせていただきたい、こう思っております。

金子(一)委員 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 この際、平将明君から関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 まず、玄葉大臣はいらっしゃっていますでしょうか。質問通告をしておりませんが、ちょっと今の流れで、特例公債の話がありました、玄葉大臣がNHKの番組で特例公債法案の年度内成立にこだわらないという発言をされたと。今、金子さんから野田大臣に確認をいたしました。それは年度内に当然やるんだということでありますが、そういうことでよろしいですか。

玄葉国務大臣 たしか日曜日のテレビでの私の発言だと思いますけれども、年度内成立にこだわらないということを申し上げたわけではございません。四月になったら長期金利あるいは株価などのマーケットが心配であるということを申し上げたわけでございまして、きのう、財務金融委員会でその真意を申し上げ、予断を与えたということで、おわびを申し上げた次第でございます。一刻も早い年度内成立を特例公債法案についてお願いをしたいというふうに思います。

平(将)委員 少なくとも予断を与えているんですよ。今、大変緊張感を持って取り組まなければいけない状況であると思いますから、大臣、しっかりと緊張感を持って発言をしてもらわないと困ると思います。よろしいですか。

中井委員長 もう一度答えますか。(平(将)委員「では、もう一回」と呼ぶ)

玄葉国務大臣 自民党の石破政調会長から、テレビの討論において、いわゆるつなぎなどでしばらくもちますよねというお話を受けて申し上げたわけでございまして、誤解を与えたとすれば、そのことはおわびを申し上げたいというふうに思います。

平(将)委員 それでは、予算案と一緒に採決をするということでよろしいでしょうか、玄葉大臣。

玄葉国務大臣 それは私がお答えをする立場にはございません。

平(将)委員 総理、お願いします。同じ質問。

菅内閣総理大臣 私は、手続的なことでいえば、当然、予算は予算で採決があり、関連法案は関連法案で採決があるわけですから、それをどう扱うかは国会のルールで行われるべきだと。

 ただ、成立をするということが重要なのであって、ですから、成立をするということを、何とか実現のために努力をしたい、このように思っておりますが……(発言する者あり)先ほどもそういうふうに申し上げました。

平(将)委員 それでは、きょうは天下り規制についてお話をさせていただきたいと思います。

 パネル一、手元の資料一番を見ていただきたいと思います。

 天下り規制、民主党は非常に熱心に取り組んでいる、国民の皆さんにそういう印象が一時的にはあったんだと思いますが、天下り規制に最初に手をつけたのは二〇〇七年の安倍内閣。国家公務員法改正で各省のあっせんを禁止し、再就職等監視委員会でこれを監視することにしました。このときは、いわば激変緩和措置として官民人材交流センターでのあっせんも行うことにしました。

 かつての民主党は、官民人材交流センターは天下りセンターであり、役人もハローワークに行けと批判をしておりました。しかしながら、政権になった途端、社会保険庁解体の際には、ハローワークに行かせることなく、センターであっせんをしたわけであります。

 その後、安倍政権から福田政権になりまして、自公政権、福田内閣では基本法を制定し、内閣人事局を一年以内につくる予定でございました。こうした中で自公政権が積み上げてきた。たしか、この福田内閣の基本法は、与野党話し合いの上成立したと私は理解をしております。その後、今日に至って、それがどうなったのかということをお伺いしたいと思います。

 まずは、我々が戦った二〇〇九年の衆議院選挙のマニフェスト。皆さん、この有名なマニフェスト、もう随分昔のような気がしますが、まだ一年半前であります。このマニフェストの中に、多分これは民主党の主要政策、看板政策だと思います、鳩山政権の政権構想五原則、五策というのがあり、その中に、「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。」とございます。これは、国民の期待がかなり大きかった、民主党政権誕生の原動力になった中核的な公約だと思いますが、総理、このマニフェスト、まだ生きていますよね。確認です。

菅内閣総理大臣 二〇〇九年のマニフェストは、もちろん国民の皆さんに対する約束ですから、今、鋭意全力を挙げて実現のために努力をいたしております。と同時に、衆議院の任期の半ばを前にして検証を行うということも既に申し上げているとおりであります。

平(将)委員 ちょっと今、答弁驚きましたけれども、私、見直すというのは、財源にかかわる部分とその政策だと思っていたんですね。天下りをやめる、根絶するというのはまさに民主党の一丁目一番地だと僕は思うし、新たな財源を見つける必要もないところなのにもかかわらず、見直すことに含みを持たすような発言でしたけれども、どうですか、総理。

菅内閣総理大臣 マニフェストについての御質問でありましたので、マニフェスト全体についてお答えをいたしました。

平(将)委員 総理、質問をちゃんと聞いていてくださいよ、このマニフェストの中に「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する。」と。これは生きているんですねということです。もういいです、答弁は。

 それでは、次の質問に移ります。

 確かに、天下りの根絶というのは大事だと思うし、国民の期待も大きかったと思います。みんな民主党さんに期待したんです。それで、なぜ天下りを根絶しなければいけないのか、その辺の基本的な認識を総理にお伺いいたします。

菅内閣総理大臣 天下りのあっせんということを、先ほど、いわゆるマニフェストに関しておっしゃったということだと思いますので、天下りのあっせんについては禁止する、その考え方で現在も変わっておりません。

 天下りについて何が問題か、その認識をお尋ねです。

 私は、政権交代の少し前にはなりますが、イギリスに少し調査に行きました。イギリスでは、いわゆる日本でいう天下りがありません。なぜないのかなということを確かめてみましたら、あらゆるポストがまず現役の時代から公募によって決まって、かつ、民間との交流が非常に盛んであります。また、縦割り構造も、日本のような形の縦割りにはなっておりません。そういう中で、いわば、それこそAという会社からBという会社に移ると同じように、企業と役所の間も出たり入ったりするということが自由になっておりまして、そういう中では天下りという形はとられておりませんでした。

 私は、日本もそういうあり方の方が望ましいと。二十代で一つの役所に入って、場合によったら、リタイアした後もそれに関連したいろいろなところに行って、一生をその役所のいわば関係団体で終わるとすれば、どうしても縦割り構造も直らないし、あるいは、その役所の利益にはなるけれども国民の利益にはならないことも平気でやってしまう。そういう弊害を考えた中で、イギリス的なやり方に変えて天下りをなくしていきたいと私自身そう思っておりましたし、今も思っております。

平(将)委員 総理の後半部分が大事なんだと思うんですね。天下りをしてそこにポストが生まれる。そこに、その行った先の法人もしくは業界と癒着なりしがらみができていく。そこで要らない規制がなかなか撤廃されなかったり、新しい規制ができたり、余計なことをやって予算がついたり、一度ついた予算を削ること、もしくはなくすことができなくなったり、そして、どんどんどんどん肥大化するスパイラルに入っていくというところが、まさにこの天下りの問題の本質なんだと思います。

 そこで、天下りについては民主党という政党は厳しく取り組んできたんだと思うんですが、民主党政権が誕生してから今日まで、天下りとわたりの実態に関する予備的調査の第二次報告というものが出てまいりました。この分厚い資料、中川秀直さんほか百十五名提出の、平成二十二年度に出しまして、二月に二次報告書が出てまいりました。これの存在は御存じですよね。これは担当大臣でよろしいんですか。中野さんでよろしいんですか。では、中野大臣、お願いします。

中野国務大臣 官房長官からお答えする部分もあろうかと思いますが、私の方で少しまとめてお答えをいたします。

 御指摘の調査は、衆議院調査室において、一昨年九月十九日から昨年十月一日までの間に、公益法人、独立行政法人、認可法人、指定法人等について、法人を所管する中央省庁ごとに、現役出向者を含め新たに役職員となった公務員出身者を調査したものと承知をいたしております。まずそこでいいでしょうか。

平(将)委員 それではお伺いしますが、民主党の天下りの定義というのがあるんだと思います。この調査によると、民主党政権が誕生してから、いわゆる国家公務員の再就職、現役出向が、その間に四千二百四十名いたということですね。いろいろな天下りに対する定義はあるんだと思います。きょうの新聞報道を見ていても、民主党政権の天下りの定義よりもマスコミはもっと広く天下りというものをとらえておりますが、この中に民主党政権の言われる天下りというのは入っているんですか、いないんですか。

中野国務大臣 解釈の違いによって、今おっしゃられたように幾つかの方路があるかと思いますが、その中には現役出向の部分も含まれておりますので、ある意味、トータルした最大の幅の人数が掌握されているというふうに考えていただいたらと思います。

平(将)委員 解釈によるではなくて、民主党政権、政府が、要は、あっせんによる天下りは禁じられているわけですから、そのあっせんをどこまでとらえるかは、また我が党とは多少考え方は違いますが、政府の定義する天下りは、この中にいるんですか、いないんですか。

中野国務大臣 天下りの定義についてまず申し上げたいと思いますが、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいっていることは、もちろん御存じのとおりでございます。したがって、公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容等に照らして適材適所の再就職をすることは、天下りの概念に入っておりません。

 政務三役や職員のOBのあっせんによる職員の再就職は、形式的には天下りに該当をしないものと考えております。しかしながら、政務三役が行う再就職のあっせんも、当然認められるものではないという解釈をいたしております。

平(将)委員 質問に答えていただいていないんですが、結局は、これは調査局が調べたんだけれども、各役所がそれに答えてきているわけですよ。ですから、少なくとも政府の定義する天下りが入っていちゃいけないんですよ。当たり前の話ですよね。

 そこで、総理にお伺いしますけれども、ちょっと今の答弁を聞いて不安になりましたので、天下りに関する担当大臣は、総務大臣ですか公務員改革担当大臣ですか。

菅内閣総理大臣 公務員制度担当大臣です。

平(将)委員 それでは、中野大臣に引き続きお伺いをします。

 今あっせんの定義をされていましたね。あっせんがあるかないかといったところを、要は現職の国家公務員がやるのか、OBがやるのか、政治家、大臣、もしくは政務三役がやるのか。それによって、民主党政権下ではこれはアウト、黒のあっせんである、これはセーフである、その辺の仕分けはどうなっているか、もう一度答弁してください。

中野国務大臣 鳩山内閣当時でありましたが、天下りあっせんは既に禁止をし、なくなっているというふうに私どもは認識をいたしております。

 ただ、いろいろな疑いを持たれることがありますので、それらについては監視機構が必要でありますが、新しい法案を今用意いたしておりますが、その中には、より一層機能を強化した監視委員会を想定いたしております。この法案を提出いたします際に、ただ、法案が成立いたしましても、その機構が機能をし始めるまで若干時間がかかりますので、その間に、既に存在をいたしておりました監視委員会、同意人事等を含めてそのときに改めて提案をさせていただき、その間をつなぎたい。

 しかし、現在は、その機能が有効に活用されているわけではありません。そのための法案は幾つか提案をいたしましたが、紆余曲折、いわゆる廃案になった法案もございますので、現在のところは、任命権者である各大臣において責任を持ってその監視をしていただくという形で処理をいたしております。

平(将)委員 どうも質疑がかみ合わないんですが、あっせんをする主体が現職の国家公務員、政務三役、OB、どのあっせんがセーフでどのあっせんがアウトなのかをお伺いしていますので、端的にお答えください、中野大臣。

中野国務大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたが、その中で、一昨年の九月十九日から、これはいわゆる政権交代からということでありますが、昨年十月一日までの間のことにつきましては、先ほど来、いろいろ調べて御報告をいたしておりますが、それ以前のことなどにつきましては、必ずしも十分調査が行き届いておりませんので、現在わかりません。

平(将)委員 いや、基準を、法律はあっせんを禁じているわけですから、その禁じている範囲はどこかと。現職の霞が関の官僚がやったらアウトなのかセーフなのか、OBがやったらアウトなのかセーフなのか、政務三役がやったらアウトなのかセーフなのか。政府ですからね、皆さん、政府。アウトかセーフかだけ教えてください、その三類型。

中野国務大臣 お答えをいたします。

 あっせんでありますから、現役の公務員、これはいわゆる政府ということですから、現役の公務員が行ったものはあっせんだというふうに考えております。

平(将)委員 さっき何か答弁で、政務三役もオーケーかのような話をしていましたけれども、政務三役はアウトですね、確認です。

中野国務大臣 そのように考えております。

平(将)委員 それでは、総務大臣にお伺いしますが、先ほどのこの調査報告書では、民主党政権が誕生してから四千二百四十人の国家公務員が再就職をしています。中には現役出向というのもあるんですが、現役出向を除いても二千百人、民主党政権が誕生してから就職しているんですね。

 現職官僚の関与があったらアウトだけれども、OBならセーフ、政務三役もセーフだという話でしたけれども、これだけ大量の人間が……(発言する者あり)政務三役はアウトですね、政務三役は。それで、これだけ大量の人たちが、実際、霞が関の人事の情報を入手することなく、協力することなく、二千人の人間がきれいにこういうふうに就職がはまる、これは合理的に考えてあり得るんですか、どうですか。

片山国務大臣 それは、あるかどうかわかりません。少なくとも、先ほど来法律の解釈で出ておりました、禁止されているあっせんというのはないということであります。

 別途、俗に言う裏下りというのは、それは法律上は多分、容認されていると言うと変でしょうけれども、法律上規制されていないんでしょうけれども、それすらもやめようということでこの政権は来ているはずで、それがあってはならないということ。したがって、先ほど中野大臣が答弁しましたように、各省の大臣がそれぞれきちっとそれを把握しましょうということになっていると思います。

平(将)委員 この間、予算委員会で、片山大臣は問わず語りという答弁をされました。暗黙の了解があるのではないかと言って、そこで委員長が途中で言葉を挟んで終わっちゃいましたけれども。

 今の話は、まさにそうだと思うんですね。裏下り、これは今、法律上規制されていない。でもそれは、政治のガバナンスというか、政務三役なり政権がしっかり見て防いでいかなければいけない。その問わず語りは、法律のフィロソフィーからいって、それは容認するんですか、大臣。

片山国務大臣 先ほど議員と中野大臣との間でやりとりがありまして、法律の解釈では、府省によるあっせんが禁止されているわけでありますから、現役の公務員はもとより、政務三役があっせんすることもアウトだろうと思います。

 それ以外については規制の対象外になっていますけれども、それを自主的といいますか、自粛ということで、この政権はないようにしようということですから、それがないように監視をしなければいけないということだと思います。

平(将)委員 国民の皆さんが民主党に期待したのは、まさにそこだと思うんですよ。今、細野さんもいるけれども、細野さんも野党時代さんざんに、例えば、あからさまなあっせんがなくても、実質同じポストに同じ省庁から同じくらいの人が四つも五つも、もしくはもっとそれ以上連続をして再就職しているじゃないか、これは天下りじゃないのかと。こんなのを許したら、ざるじゃないか、やりたい放題じゃないか。そういう話があって、民主党さんに対しての期待が僕は高まったと思うんですね。

 そこで、パネル五を出していただきたいと思います。お手元にも資料があると思います。

 この中に、調べて出していただきました。さんざん民主党の方が言っていた五代連続の天下り。定義といえば、天下りとは言わないかもしれないですね、再就職。こういうことを認めているから麻生総理は信頼できないんだと言っていたんですね、民主党政権は。

 この中のもので、全部ピックアップし切れていませんが、この資料の五、パネルの五を見ていただきたいんですが、例えば、警察庁の社団法人全国二輪車安全普及協会、農水省の財団法人日本農業研究所、経産省の社団法人日本冷凍空調設備工業連合会。この図の見方は、一、二、三、四、五と番号が振ってあるのは、政権交代前のポストです。一が直近、二が二代後、三が三代後ですね。

 しかしながら、この資料を見て、さらに落とし込んだのがこの赤い部分です。赤い部分は、民主党政権が生まれてから再就職をしたんですね。赤くないですね、済みません。一、二、三、四、五の上、現、現、現と書いてあるところが、民主党政権が誕生してから再就職をしたんですよ。

 ということは、民主党がさんざん、こんなものを認めているから自民党は信頼できぬと言っておきながら、同じことをやっているじゃないですか。これはいいんですか。総理、これはどうですか。さんざん民主党が言っていたことじゃないですか。

菅内閣総理大臣 これらの御指摘、私は直接には確認はできませんが、この場で出されていることですから、それを前提としてお話をいたします。

 いろいろな公益法人改革をやっておりますけれども、必ずしもすべてをチェックし切れていないところがあって、それは、これからもっとしっかりチェックをしてやっていくような、そういう仕組みをつくっていかなければならない、こう考えております。

平(将)委員 私は、これは民主党の原動力だと思いますよ、こういうのをしっかりチェックしてやらせないというのが。片山大臣が、法律的にはセーフだけれども、そういうところはしっかり見ていかなきゃいけない、政治家が見ていかないとと。まさにおっしゃるとおりだと思いますよ。

 それでは、お伺いしますよ。この五番の資料、農水省、財団法人日本農業研究所、こういう人事が行われるというのは、事前にこういうのは報告があるんですか、大臣。あるんですか、ないんですか。

鹿野国務大臣 今御指摘の農業研究所専務理事が五代以上にわたって就任している、こういうことで、そのとおりでございまして、御指摘の件につきましては、団体がそれぞれの者について専務理事として求められるところの能力というものを評価しながら、そういう手続をもって選任された、こういうふうな認識を持っているところでございます。

中井委員長 質問は、行く前に大臣が知っているんですかという質問でしたから、知っていたか、知らなかったかを答えてください。

鹿野国務大臣 承知しておりません。

平(将)委員 結局、やはりこれは自民党のときから続いているんですよ、役所との闘いが。それで、役所は自分たちのやりたいようにやるんですよ。だから、これは法律的にはセーフなんですよ、片山大臣が言ったように。あっせんは問わず語りだからオーケーなんですよ。でも、それを認めちゃいけないという政権の姿勢があったら、政治家はちゃんとやらなきゃいけないですよ。

 政治家がちゃんとやらなければいけないのに霞が関が報告に来ていないなんというのは、それはとんでもない話で、これはもっと緊張感を持って真剣にやってもらわないと、霞が関はこの天下りの問題については一枚岩ですから、民主党は今一枚岩になっていないけれども、この問題に関しては一枚岩でやってもらわないと困るんですよ。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、確かに公益法人について十分なチェックはできていない、また、今関係大臣からのお話のように、個別のことについて必ずしも報告を受けない中でこれが行われている。このことは、御指摘をされたとおり、やはり政務三役としてしっかり把握をして、基本的な方針と矛盾する、あるいは反する、そうしたことについてはそれを正していかなければならない。どういう形でそれができるか、私も至急検討してみたい、こう考えております。

蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。

 今、私のもとで公益法人改革は進めさせていただいております。

 今、平委員が御指摘いただいた三つの法人、これは特例民法法人で、民間法人でございます。この民間法人の人事に関して政府が強制的に意見を言うことは、これはなかなか難しい。

 ただ、私どもが公益法人改革で最も重視しているのは、こういうところに、天下り、わたりと見受けられる方が再就職、再々就職をしているところに、さらに国から、この方たちの人件費を確保するためと思われるような事業を独占的に発注をしている、代々発注している、あるいは、そこにおいて権限付与を特別に与えている場合には、これはなかなか国民に納得をいただけませんので、現段階、私のもとで、各府省に要請を強力にお願いして、三月末までにまとめて公表させていただきたいと思っています。

平(将)委員 委員長、聞いていないことを長々答弁されるのはちょっと勘弁していただきたいなと思います。

 関連して、この五代続けていた件について、これは警察庁ですから、中野大臣は、事前にこういうことは報告があるんでしょうか、大臣に。

中野国務大臣 予備的調査についてのお尋ね、調査の段階で、こういうことがあり報告をしますという段階で私は初めて承知をいたしました。ただ、このようなケースがあることは、十分、公務員制度改革の中でしっかりと参考にしながら、それらのことを監視できる、または助言できる、そういうシステムはつくっていきたいと思います。

平(将)委員 当時の野党民主党の主張は、いろいろ今るる答弁がありましたけれども、いろいろな理屈を霞が関がつけてきて、それに政治が巻き込まれるんだと。だから、形式要件で五代続いているじゃないか、おかしいじゃないか、これは国民の感性に近いと思いますよ。多分、枝野さんや細野さんだってそういう主張をしていたと思いますよ。どうも、もとに戻っているような気がします。五代以上、こういうのは現実にはある。要は、政治がガバナンスできていないということがはっきりいたしました。

 ちょっと続けていきたいと思います。その次に、資料の六番を見ていただきたいんですが、今度は、またこの中に、調べましたら、典型的な事務次官級の再就職例というのが出てきました。これも、民主党政権は激しく批判をしていたと思います。

 最近の天下り・渡りの実態に関する予備的調査で、事務次官級の例ということで、財団法人国際金融情報センター理事長なんというのは、典型的ですね。これは財務省と日銀で回しているところでしょう。そのほかも、日本エネルギー経済研究所、その他農水、建設、経産関係。

 これは、民主党政権でいえば、厳密には天下りにならないかもしれないんだけれども、一般国民から見れば、新聞から見れば、民主党に期待をした人たちから見れば、典型的な天下りじゃないですか。さんざん批判していたじゃないですか。これはオーケーなんですか。

 ちなみに、財務大臣がいらっしゃるけれども、財団法人国際金融情報センター理事長、これは事前に聞いていましたか、この人事を。

野田国務大臣 事前には聞いていません。

平(将)委員 それでは、農水大臣、この財団法人、二つありますけれども、こういうのは事前に報告がありますか、こういう人事をやると。

鹿野国務大臣 報告はございません。

平(将)委員 結局、さんざん野党のとき批判していたことと全く同じことが起きているじゃないですか。総理、これでいいんですね。同じことが起きているじゃないですか、五代続けて。さんざん批判していたけれども、同じことが起きているんです。民主党政権下ですよ。総理。

菅内閣総理大臣 御指摘の点については、決してこれでいいというふうには思っておりません。

 監視機能の強化について、昨年、新たな監視機関の設置を盛り込んだ国家公務員法改正案を出しましたが、残念ながら、審議未了で廃案になっております。

 いずれにしても、こういったことがきちんとチェックできるような、監視機能を制度として、あるいは、それまでの間も、政務三役がきちんとこういうものを把握できるように取り組んでいきたい、こう考えております。

平(将)委員 総理の言っていることも一理あって、それは政治家が全部見切れないんですよ。さっきも言ったように、霞が関は一枚岩ですから、それに対抗していくためには、かなり戦略的にやらなきゃいけないでしょう。そのために、公務員基本法をつくって、再就職監視委員会を立ち上げて、第三者委員会であっせんを、このあっせんは白なのか黒なのかというのを調査するために立ち上げるということになったんですね。

 でも、それが今できていない。しかも、基本法では日程まで入っているはずですね。法律の中に日程が入っていて、政府の不作為で今やっていないということです。これは、前蓮舫大臣は、やらない、新しい法律を出すんだと言っていましたが、新大臣、どうですか。こういうのがないから、結局、政治家が見なきゃいけない。でも、政治家は忙しいから見切れない。そこで、霞が関は不都合なことは報告しない。やりたい放題じゃないですか。今すぐ監視委員会を立ち上げてくださいよ。

中野国務大臣 再就職等規制違反の監視機関につきましては、民主党政権発足後の一昨年十二月に、再就職等監視委員会を廃止して、新たに監視機能を強化した再就職等監視・適正化委員会を設置することを決定いたしまして、昨年二月には、こうした内容を盛り込んだ国家公務員法改正法案を国会に提出したことは御存じのとおりでございます。この法案は、残念ながら審議未了で廃案となりましたが、現在、私どもの方で、今国会に改めて、監視機能を強化した新たな監視機関を設置することを含む公務員制度改革法案を提出するものといたしております。

 鋭意作業は進めておりますが、その間、この再就職監視委員会を早急に立ち上げるべきだという御意見があることは承知をいたしておりますが、その法案を今用意いたしておりますし、以前に出したものは一たん廃案になっておりますので、その過程の中に今あるということ、でき得る限りその作業を急いでまいりたいと思います。

平(将)委員 この答弁で拍手が出るのは理解できませんが、今指摘したように、今こういう報告書が出てきたんです。民主党がさんざん、こういうのはけしからぬ、こういうのは国民の理解が得られないといってやってきたことが現実に起きているんです。では、政治のガバナンスがあるのかといえば、聞いていないじゃないですか、官僚から。何もしていないじゃないですか。だから、監視委員会をつくって、あるんですよ、人事が決まっていないだけですよ。これは単なる不作為なんですよ。

 そういうことをしっかり今機能させていないから、この民主党政権が誕生して一年半の間に、皆さんの知らないところでこういうことが起きているんじゃないですか。管理できないでしょう、全部は。だったら、今、法律をつくるつくると言ったって、現実はできていない空白期間がこれだけあるんですよ。今の枠組みで、人事を決めればすぐに機能するんですよ。何でやらないんですか、中野大臣。

中野国務大臣 政府は、新法案を、強化をした法案を提出し、先ほど申し上げたように、一たん廃案になった経緯もあり、かつ、なお一層それを充実させる法案を今用意しているわけであります。

 このプロセスの過程の中にあって、我々は、先の方向性が法案提出とともに見えるということを前提にして、今あわせて同意人事の提案の用意もしているところでございまして、その間、時間がありますので、各省庁で任命権者の大臣にしっかり監視していただこうということの申し合わせがなされているという前提でございまして、なお一層努力を重ねてまいりたいと思います。

平(将)委員 繰り返しますけれども、その任命大臣が監視できていないじゃないですか。できていないでしょう。だから、新しい法律をつくると言ったけれども、この空白期間はどうするんですか。この空白期間は、政権をとっているあなたたちの責任ですよ。

 では、お伺いしますが、監視機能を強化する新しい監視委員会を立ち上げる、それは、今、現状、人さえ決めれば機能する監視委員会と何が違うんですか。

中野国務大臣 今回、その所属につきまして、機能につきまして、人事公正委員会をつくり、そしてその監視機能、また、より一層充実をさせていく、その制度の仕分けをいたしているところでありまして、この機能については、助言、そして指導などの機能をより一層強化をさせて……(平(将)委員「何の機能」と呼ぶ)助言、指導であります。

平(将)委員 今大臣の御答弁だと、助言機能とかそういうのを言っていますけれども、今の、現行の、菅総理が決断をして、人さえ決めればすぐに動き出す再就職等監視委員会にはどういう機能があるかというと、調査、証人喚問、書類提出要求、出頭を求めての質問、立入検査の権限があるんですね。中野大臣に聞くと、プラス助言だというんですね。ほとんど変わらないじゃないですか。もうよほど権限が強化されるのかと思った。そうしたら、それは総理に対して勧告をする権限もある。でも、総理のコントロール下にあるんだから、この委員会は。委員長を指名するんだから。だから、変わらないじゃないですか。

 なのに、なぜ今霞が関のやりたい放題にやっていて、皆さんも忙しくて、全部ガバナンスや目も届かなくて、現状、回そうと思えばすぐにでもできる。これは多分、自民党はすぐ賛成しますよ、この人事が出てくれば。あしたにでもできるものをやらないでおいて、新しい法律ができるからそれまで待ってくださいと。

 きょうは法務大臣いらっしゃっていますか。これは今法律違反の状態ですよ。法律違反の状態。

 中野大臣、もう一回答えてください。今すぐに動かせるものを動かさないで、新しい法律まで待つ合理的な理由を述べてください。

中野国務大臣 先ほど申し上げましたが、再就職等監視委員会から、我々は、監視・適正化委員会、仮称でありますが、中立公正な第三者機関として、人事公正委員会、仮称のもとに設置をしようと。

 ただ、そのときに、従来の機能に加えまして、従来の機能というのは、再就職等規制違反行為の調査、勧告、それから再就職等規制等の適切な運用確保に必要な措置の勧告等がありますが、これに加えて、任命権者に対して、再就職等規制の遵守に必要な指導助言、例えば、規制違反行為が発生しかねない場合の周知徹底や、脱法的な行為の再発防止のための指導助言等を行う権限を付与しようというものであります。

 ただ……(平(将)委員「いいです、わかりました」と呼ぶ)そういうことでよろしいでしょうか。

平(将)委員 今の役人のやりたい放題を放置するほどの理由にはならないというふうに思います。

 では、監視委員会がないから任命権者がやるんだといったって、それはなかなかできないですよ。一つ例を……(発言する者あり)頑張るとか、何かのうてんきなことを言っていますけれども、武正元副大臣は何かそう言っていますけれども。

 例えばこの調査で、これはちょっと、済みません、皆さんの手元にないですよね。

中井委員長 いや、あります。回しています。

平(将)委員 ありますか。ちょっと六十三ページをごらんいただきたいと思います。六十三ページは金融庁なんですが、上から十行目、社団法人日本損保協会の副会長、牧野さんというのがいますね、わかりますね。それで、そのままずっと右に行くと、七番のところが「斡旋の有無」なんです。この「斡旋の有無」の意味は、現職の役人、OBもしくは政務三役、この三つのあっせんがあるかどうかを書くところなんですね。牧野さんは一応なしになっている。これは、こんなのがぼんと出てきて、これがなかったかどうか、皆さん確認できますか。できないですよね。

 パネルをごらんいただきたいんですが、これは三番ですね。この牧野さんの前任は有名な坂さんですね。衆議院内閣委員会、平成二十二年四月二十八日の中で、これはもう議事録に載っているものをちょっと抜粋させていただきました。何か平事務所作成だから信用できないと思うんだったら、議事録を確認してください。

 平井たくや委員が、金融庁が確認したところ、坂さんが牧野さんを推薦したということになっていますが、それは間違いないですかという質問に対して、坂篤郎参考人は、推薦と申しますか、専務理事とか、当時の会長にごあいさつに行って、ところで坂さんやめちゃうけれども後はどうするのみたいな話に当然なりまして、手近に牧野さんがおられますよねなんという話で、ああ、そうですねというふうになった、そういう経緯でございます。

 中野大臣にお伺いします。これはOBによるあっせんになりますか、なりませんか。

中野国務大臣 これを今とっさにお尋ねいただきましても、その真意や内容について本人に対して確認のしようがございませんので、今唐突にお答えすることはできません。

平(将)委員 そういう答えが来ると思っていましたけれども、もう一枚めくっていただいて四番、「「再就職のあっせん」とは(国家公務員法第百六条の二)」。あっせんとはどういうことをいうか。実は、法律は物すごく幅広にとっているんですよ。一番、情報の提供。これは間違いなく情報の提供ですよ、坂さんのやったのは。ですから、これはOBによるあっせんなんです。しかしながら、調査局がやって、各省庁が答えてきたこれにはあっせんはなかったと書いてあるんですよ。

 これ、皆さん、政治主導と言うなら、政治主導で確認してくださいよ。再提出してください。どうですか。

中井委員長 だれに。

平(将)委員 これはだれだろう、総理かな。中野大臣でもそれは答えられないですね。

中井委員長 それは僕じゃないかな。

平(将)委員 これは総理の決断でやっていただき……

中井委員長 これは委員会に出したの。

平(将)委員 それでは委員長にお願いをしたいと思いますが、これはもともと内閣委員会なんです。極めて重要な資料だと思います。しかし、今指摘をしたように、どうも内容に不備があると思われます。精査をして再提出をしていただきたいと思います。

中井委員長 どういう項目を精査しますか。

平(将)委員 今言ったとおりですよ、書いてあることは信用できない、政務三役、政治主導で再確認をしてくれと。

中井委員長 御要求に従って理事会で協議いたします。

 私もぱらぱらっと見させていただきましたが、平さん、非常に熱心にお調べいただいて、的確な質問をされております。同時に、ぱらぱらっと見た中で、無給の方もたくさんいらっしゃる。そういう方も含めて、給与があるかないかとか、そういうことを含めても資料として提出をさせます。

平(将)委員 委員長、大変僣越ですけれども、ちょっと余りしゃべらないでいただきたいと思います。

中井委員長 はい。

平(将)委員 それでは、次にお伺いしたいのは、こういった、いわゆる五代続けて天下りをしました、もしくは事務次官クラスが典型的な天下りポストに行っていますというのが、この民主党政権下で起きているということは認識をしていただいたと思います。さらには、その周辺にはもっとあるわけですよ。各省庁が規制だとか権限を持っている業界というのがあるんですね。先ほど言ったこれは、基本的には独立行政法人や公益法人や出資法人です。

 これに対して、さらに中川秀直さんほかが調査をお願いして質問主意書になっていると思いますが、きょうの新聞報道等にもたくさん出ておりますけれども、衆議院中川秀直君提出、菅内閣への営利企業への天下り、わたり根絶についての基本姿勢に対する質問、この答弁書がきのう出てまいりました。

 この内容も結構驚くべき内容でありまして、今ずっと議論していたのは独法、特殊法人、公益法人でしたが、その外側にある民間企業に対して民主党政権が発足してから百一名の人が再就職をしています。

 パネルの七を出していただきたいと思います。これを見ると、前エネ庁長官の東電への再就職が問題になりましたけれども、それは氷山の一角だ。こういうことはたくさんある。ちなみに、これは民主党政権下では天下りになりますか、なりませんか、中野大臣。

中野国務大臣 私どもが禁止をいたしておりますあっせんによる天下り禁止、これに抵触するというケースではないと考えております。(平(将)委員「ケースではない」と呼ぶ)はい。

平(将)委員 それでは、次の八番のパネルを出していただきたいと思います。

 あわせて、民主党政権下において官民人事交流制度の拡大というのがありました。官民交流をどんどんやりましょうと。これ自体は私はいいことだと思います。若いうちに民間のところでいろいろな勉強をする、感性を学ぶ、それを役所の仕事に反映をさせるというのは大事だと思います。でも、本来そういう趣旨であれば、私は、若いうちに民間企業に行って役所に帰ってくるべきだと思います。

 八番の資料を見ていただくと、それぞれの省庁がそれぞれの企業に行っています。肩たたき適齢期の人たちがこのような形で行っているわけです。こういう人たちが役所へ戻ってから民間企業での経験を活用するというには無理があると思いますが、これは、趣旨としては、こういう天下りはいいのか悪いのか、中野大臣、お答えください。

中野国務大臣 現在、公務員制度改革の法案の検討の過程の中で、幹部人事といいますか、幹部候補養成の機能もつくろうといたしております。そのときの一つの話題として、でき得る限り若い間に就職されて、三年とか五年とかいう二十代後半、三十代などの皆さんにそういう機会を多くつくりたいねという相談、話をいたしておりますが、その過程の中で、ある意味熟年といいますか、これらのケースについてはできるだけ避けたいといいますか、必要性があることは例外的にあるかもしれません、それは慎重にその段階で個別の審査をしなければいけないと思いますが、総じて言えば、できるだけ若いうちにそういう経験をさせたいというふうに思っております。

平(将)委員 話はかわりますけれども、蓮舫大臣が公務員制度改革担当の前任者であると思います。我々もシャドーキャビネットでカウンターパートがいますので、議論を楽しみにしておりましたが、今回、担当がかわりました。これは何でかわったかというのは総理に後で聞きますけれども、何かみずから外してくれと言ったというような話もありますが、それはいかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 そのような事実はございません。

平(将)委員 それでは総理にお伺いしますが、蓮舫大臣のパフォーマンスに不満があってかえたということなんでしょうか、総理。

菅内閣総理大臣 この第二次改造内閣を編成するに当たりまして、もちろんいろいろなことを考えました。私は、蓮舫大臣、事業仕分けを含めて大変活発な活動をしていただいていると思います。同時に、この公務員制度というのも、かなりといいましょうか、大きな仕事であります。それぞれの仕事量とかいろいろなことを、これまでの経験とかを考えた中で、一番適切な形で皆さんに力を振るってもらえる形がどうあるべきかと私なりに考えた結果であって、決して今御指摘のようなことではありません。

平(将)委員 自民党時代の反省もあるんですが、大臣が短い期間でかわられると、やはりなかなか建設的な議論ができないので、一言言わせていただきます。

 それでは、もう時間もそろそろだと思います。

 今の議論で明らかになったことは、民主党政権は、マニフェストの選挙を行って、特にその中でも、先ほど申し上げたとおり、天下りに対して、これは国民の関心は大変高いです、そこに対して我が党以上に厳しく切り込んでいく政党だということで期待をされたんだと思います。ですから、それはそれでしっかりやっていただきたいと思います。

 しかしながら、今一年半たって、さんざん皆さんが批判をしてきた、これがパネル五の五代にわたるというものですね。これも、今まさに同じことが行われている。そして、事務次官の特定ポストにも行っている。そして、さらには所管官庁にも行っている。さらには、人事交流で定年間近の人が民間に行っている。これが実態なんですよ。しっかり対応をしていただきたいと思います。

 終わります。

中井委員長 これにて金子君、平君の質疑は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私は、きょうは主に環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPの問題について御質問を申し上げたいと思います。

 質問に入る前に、昨日、ニュージーランド南部で発生した地震、富山外国語専門学校の学生さん初め、現地の多数の方々が被災をされました。まず、被災された方々やニュージーランド政府に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 特に若い学生さんが多いということですが、国際的な人の交流の中で、今、日本の若者の海外への留学が少なくなっているということが言われておりますが、そんな中で志を抱いて語学研修に参加された方がこのような形で被災される、何とも申し上げようのない、そういう思いで私もきのう以来、テレビ、新聞等で注視をしております。その方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 日本人では少なくとも行方不明の方が十数名、またほかにも連絡がとれない方も十数名いらっしゃるというふうな報道もございます。ぜひとも一刻も早い救出と安否の確認を政府並びに関係者にお願いしたいと思いますが、通告はしておりませんが、何か答弁がございましたらお願いいたします。

菅内閣総理大臣 この委員会が始まる直前に、二度目のニュージーランド地震対策関係閣僚会議を開きました。その中で、緊急援助隊についてニュージーランド政府から正式な要請がありました。そこで、昨日の段階で先遣隊三名を派遣し、それはきょうの朝のうちに現地に着いております。それに加えて、予定どおりであれば、きょうの午後二時前後に成田から約七十名程度の緊急援助隊を装備を含めて現地に派遣する、政府専用機で派遣するということになっております。

 そういった形で、私からも被災を受けた方にお見舞いを申し上げたいと思いますと同時に、邦人、さらには現地の人々を含めて、私たちの派遣した緊急援助隊が多くの人を救出、救済できるように全力を挙げてフォローしていきたい、さらには、いろいろな情報についてもこれからしっかりと把握していきたい、このように考えております。

西委員 私どもも、きょう党の中に対策本部を立ち上げまして、全面的な協力をさせていただきたいと思っております。

 では、早速始めさせていただきます。

 まず、TPPの交渉に参加するかどうか、総理は何度も六月に結論を出す、こういうふうにおっしゃられてまいりました。もし交渉に参加するというふうに決断された場合には、閣議決定を行われますか。一言でお答えいただきたい。

玄葉国務大臣 現在、TPP交渉参加の是非を含めて、包括的経済連携に関する閣僚委員会というのが総理が議長でございます。そのもとで、FTAAP・EPAのための閣僚会合というのが、官房長官と私が議長ということで、この交渉参加の是非を含めて今検討していますが、どういう手続にするか、これは、EPAなどの交渉参加については閣議決定は従来行っておりません。今回、TPPについてどうするかということについてはまだ決まっていないというのが現状です。

西委員 これだけこの予算委員会でもたびたび議論になりました本当に重要な案件について、それぞれの省庁の関係も大いにあります。閣議決定を行わずに交渉の参加を決めるということについては、私は非常に、今までの二国間のFTAとか、そういうこととはまた違った大きな意味があると思いますので、ぜひともこのことについてはきちっとした意思統一を政府としてやるべきだ、こう思いますが、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 今、玄葉担当大臣からもお話がありましたが、FTA、EPAあるいはWHO、いろいろな場で、経済の連携についての議論を各国あるいはマルチでやっております。そういう中にあって、このTPPについては、御承知のように、現在は情報収集を含めて関係国との協議をしているところであります。

 仮定の問題として、決める場合にはということでありますが、交渉ということにもし入るときも、それで中身が決まるわけではありません。場合によっては、入ってみても、内容によっては成立をしないこともあります。そういったことを含めて、今からどういう手続で行うかということについては、従来のいろいろな例も含めて考えていかなければと思っておりますが、現時点では、具体的な手続、進め方についてまでは決めておりません。

西委員 ぜひとも政府の中の意思統一をきちっとやっていただきたい、少なくともそこが出発点であると私は思っております。

 ところで、自見郵政担当大臣にお聞きしますが、自見大臣はTPPの参加に御賛成でしょうか。

自見国務大臣 西議員からの御質問でございますが、今、菅総理からもお話がございましたように、環太平洋パートナーシップについては、菅内閣として関係国と協議を続け、ことしの六月を目途に交渉参加について結論を出すということでございまして、先生からいただいた質問では、閣議決定するから署名するのかどうかという話でございましたが、今お聞きするところによると、閣議という手続を経るかどうかもまだ決めていないということでございます。

 私は、国民新党、実は三年半前から、当時の小沢一郎代表と綿貫代表との間で、参議院では統一会派、民主党・新緑風会・国民新・日本という統一会派を、当時は野党でございましたが、組ませていただいて、私は参議院でございますから、統一会派の国民新党の代表をさせていただきました。

 そして、選挙の前に、きのうから申し上げておりますように、三党共通の六項目を鳩山当時の代表と亀井代表と結ばせていただき、また、今度は菅代表と亀井代表と、この三党合意をきちっと尊重する、そして郵政法案をきちっと、できるだけ可及的速やかに成立するということで、何を申し上げたいかといいますと、民主党と国民新党は、そのことについてはきちっと、合意については信頼関係があるんです。そういうことをきちっと今、急に数合わせで連立を組んだわけではございませんで、そういった野党の時代から、小泉さんの進めた行き過ぎた市場原理主義、これはやはり世の中をよくせねばならない、そういう信念でもってやったわけでございます。

 そういったことを踏まえて、私は、国民新党という代表ではありますが、実は菅党首と亀井党首も原則として月に一回話し合いをすることになっておりまして、また政調会長、幹事長レベルでもきちっと交流がございますから、そういったことを踏まえて、結論といたしましては、今、私は国民新党の副代表という立場でございますが、そういったまだ将来予想されることについていろいろ申し上げることは、政党人として予断を持って言うべきでない、それが私の考えでございます。

西委員 長々と郵政初め関係のないことを御答弁いただきましたが、一言、賛成か反対か言っていただければよかったわけでございます。

 実は、一月二十六日、報道によると、亀井代表はTPPに関して反対であるということを明確に海江田経産大臣に伝えた、こういう記事がございます。先ほどからも、副代表、副代表とおっしゃいますが、副代表としてこのことに異議を唱えるということでしょうか。簡単にお答えください。

自見国務大臣 内輪のことで恐縮でございますが、国民新党の議員総会では、そういう決定はまだいたしておりません。

西委員 代表の個人的な見解ということかもしれませんが、代表の発言は重いと私は思います。

 そんなわけで、政府内でも、また民主党内でも、このことについてはさまざまな意見があるように聞いております。きちっとした対応を示されたいと思います。

 次に、内容をかえます。

 いわゆるP4、四カ国が提携して二〇〇六年に発効しましたTPPの協定、P4協定ですが、総理は全部お読みになられましたか。

菅内閣総理大臣 このP4、つまりは、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイ、四カ国によって二〇〇六年に締結された環太平洋戦略的経済連携協定というものは、二十章百九十六条から成る、かなり厚いものであります。私も手にとって幾つかのページをめくってはみました。同時に、それの概略についての説明を担当部署から受けました。そういう形で認識をいたしております。

西委員 実は、このTPP協定、百六十ページの文章があるんですが、全文がまだ日本語に訳されていないということなんです。各省に、内閣官房、外務省、経済産業省に確認いたしましたが、そこまででき上がっておりません。一方で、TPPそのものは、二十四の作業部会に分かれていまして、やはり詳細な議論が繰り返されているんです。それぞれに重要な内容が含まれております。

 しかし、今総理から話がありましたように、骨子は理解した、こういうことですが、そういうことで本当に突き進んでいいんだろうか。もちろん、最終的には私たちももっと詳しい情報を得る必要があると思いますし、やはり国民もこのことについて十分な理解をしていただく、こういうことが最低限必要だろうと思います。

 ベースになるこのP4協定そのものも、まだ政府としてきちっとした日本語訳ができていない。もちろん英語で読んだ方はたくさんいらっしゃるのかもしれませんが、こんな状況の中でこの議論を進めていくというのは非常に問題が多い、私はこう思います。

 そんな意味で、まず、日本語訳、これをきちっとして国民に提示すべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか、総理。

前原国務大臣 西委員御指摘のP4協定というのは、先ほど総理からお答えをいたしましたように、二十章百九十六条から成りまして、すべての項目については先生も御存じだと思います。私も英語の文章を事務方からもらいましたけれども、これを全部訳すというよりは、今の御趣旨を踏まえて、一章から二十章までの各項目についてのポイントについて、国会での議論に資するようなものについては検討させていただきたい、このように思っております。

西委員 それはぜひともお願いをしたいと思います。

 同時にやはり、いろいろな研究者もいるわけです。詳細の、細かい、本当は実はどうなっているんだというところまで、私は、政府としてきちっとした対応、訳を出すべきだ、こう思いますが、委員長、いかがでしょうか。

中井委員長 理事会で協議して対処します。

西委員 ありがとうございます。

 次に移らせていただきます。

 総理は、TPPのことに関しては、これは菅政権の二本柱の一つだ、こういうふうに位置づけられております。そういう意味では、TPPへ参加するということは大きな政策の選択であるというふうに思いますが、残念ながら十分な議論がまだ重ねられていない、こう思います。そのためには、先ほどの日本語訳もそうですが、最低限度必要だと思われる情報、資料、これをぜひとも提供していただきたい、こう思います。

 政府資料において、例えば各省から出てくる資料がありますが、全く不十分です。一方的な結果のみを提出したり、例えば農水省は農水省で一方的な議論になっているし、経産省は経産省で一方的な議論で、交渉というのはそういう極端から極端に走るものが前提ではないはずですから、やはりもう少しこなれた内容の政府の資料をぜひとも出していただきたい、こう思います。

 例えば経産省で、韓国がアメリカ、中国、EUとFTAを締結する、こんな場合に自動車産業がそれぞれどういうふうな状況になるか、こういうことは書かれておりますが、我々が必要なのは、日本が締結したときにそれぞれどういうふうなことになるのか、こういう詳細な影響が必要なわけでございまして、特に究極はやはりアメリカでしょう。アメリカとの関係で、輸出の現状、それからもう既に現地に生産拠点を持っている会社もございます。それから、今後の海外移転はどうなるか、雇用がどうなるのか、そのときに人はどういうふうになるのか、こんなこと。最終的には国際収支がどういうふうに動いていくのか。こういう具体的なことの影響をきちっと出すべきではないかと思いますが、この点については経済産業大臣にお願いします。

海江田国務大臣 西委員にお答えを申し上げます。

 せんだって経産省が出しましたデータというのは、もう御案内だろうと思いますけれども、自動車とそれから電気・電子、機械産業の三業種について、これは日本がそうしたTPP協定、あるいはEUと中国とのEPAのいずれも締結をしなかったとき、どのくらい失われるかということでございます。

 今、西委員から御指摘がありましたように、これから前向きに、どういう形で参加をしたときにどのくらい日本の経済が利益を得るかという計算でございますが、今わかっております、この場ですぐにお答えできますのは、例えば日本とアメリカとの間におきまして、自動車の輸出に関しまして、例えば毎年毎年およそ八百億円関税を払っているわけでございますから、当然、関税が撤廃になればこの八百億円というお金は浮くわけでございます。

 しかし、今御指摘のように、関税が浮くということだけじゃありませんで、では、自動車がそうやってアメリカならアメリカ市場に対してさらに輸出が伸びるだろう、伸びることによって、今、日本の自動車産業が海外に移転をしております工場が日本に戻ってくるんじゃないだろうか、それによって各種の設備投資もふえるだろう、雇用もふえるだろうということについては、これはかなりいろいろな前提を置いた数字をはじき出さなければいけないということでございます。今私どもが進めておりますのは、交渉に参加をするかどうかという段階でございますので、この段階でそうした数字がはじき出せるものかどうかということは慎重に検討しなければいけないということ。

 それから、あともう一点だけ、ぜひ御理解をいただきたいのは、TPPにつきましては、貿易のルールを決めるということで、知財なども守られます。しかし、この守られる知財というのは、あるいは貿易ルールが新たに決まってくるということ、これについては、なかなか金額的に置きかえるというのは難しいということもございます。

 以上でございます。

西委員 これから六月に向けてさまざまな議論がなされると思いますので、今のままの議論では私はお互いの理解はなかなか得られにくいと思っておりますので、ぜひともこなれたそういう資料を出していただきたい、このことをお願い申し上げます。

 次に、農水省です。

 米でございます。九〇%が競合して、外国産に置きかわる、こういう試算が農水省から出されております。アメリカでは輸出量が四百万トンというふうになっていますが、そうなりますと、これは四百万トンが日本にすべて来る、そういうことを予想されているのか。アメリカにはさらに余剰米があって、そしてさらに生産力が上がって、ある程度といいますか、日本の輸出に置きかわっていくのか。そういうことを考えますと、私は、非常に具体性に乏しい、単なる数字合わせという形に今はなっているのではないかと思います。

 もし、現在、他国に輸出されているすべての米が日本に来て、そしてアメリカに余剰生産能力がないということならば、これは世界の米市場にとっては大きな動きになることは間違いありません。もちろん、アメリカはそういうふうな形で食料の高騰の引き金を引くということにも必ずしも思えませんし、米市場そのものの輸出入というのは非常に狭い範囲での動きです。しかもそれは、ジャポニカ米に限って言えばさらに狭い動きの中で、どういうことが考えられるのかということをもう少し具体的に出していただかないと、このことについても議論ができない、こういうふうに思います。

 時間がございません。次の質問も一緒に行きますが、これにアジア等の輸出量を含めると我が国の生産量を上回る水準だという農水省の表現がありますけれども、これはアジアから残りの分が輸入されてすべて日本と置きかわるということを意味しているのか、本当にジャポニカ米がそういうところで十分な、質のいい生産ができるのか、さまざまな要素が考えられると思います。そのことについての御見解をお願いしたい。

鹿野国務大臣 今、先生御指摘の、昨年の十月でございますけれども、農林水産省として試算を出したわけでありますが、これは、全世界を対象にして直ちに関税を撤廃した場合に何の対策も講じないというようなことを前提として出した試算でございます。

 この中で、米につきまして、アメリカでは輸出量が現在約四百万トンだ、これにアジア諸国の輸出量を含めると我が国の生産量を上回る水準だ、こういうふうに試算として出しておるところでありますけれども、関税撤廃を行った場合には、現在の国内生産量の九〇%が外国産に置きかわる可能性があるという試算をしているところであります。

 これは、アメリカだけではなしに、先生今御指摘のタイとかベトナム、中国などにおける諸国のそういう全体を含めますと二千万トンくらい国内の生産量よりも大きい、こういうことで、二千万トンの輸出があるということを意味しておるわけであります。

 そして、特に中国では、現在一億五千万トンの生産がある、このように推測されているところでありますけれども、全世界で直ちに関税を撤廃した場合には、アメリカを含めこれらの国からの輸入米が我が国の米と置きかわる可能性がありますよということを示しているわけであります。

 そういう意味で、アメリカの輸出量四百万トンすべてが我が国に輸出されるというふうなことを想定しているわけではございません。

 それから、後段の件でございますけれども、長粒種とジャポニカ米の生産というふうなものについては、今先生いろいろお話しされたところでありますけれども、例えばベトナムにおきまして、日本企業が日本の品種であるはなの舞いの栽培を指導しておるとか、あるいは中国では、中国国内産の米の生産量の三分の一程度、四千万トンがジャポニカ米だ、こんなふうにも言われておるわけであります。

 したがって、このことを考えますと、さらにアジア諸国におけるところの生産量が極めて大きいわけでございますので、実際に、現在でも日本に輸出を行っている中国だけではなしに、場合によってはタイ、ベトナムなどからも日本への輸出というものが考えられるのではないか、こんなふうに考えておるところでございます。

西委員 次に、その他の項目について、例えば金融サービスなんかの問題があります。

 既に、二〇〇七年にアメリカは、外国貿易障壁評価報告書というものを出しておりまして、日本はそのコメントを出しておりますが、これは何を意味しているかというと、要するに、郵政の貯金、保険その他の金融サービスが、他の例えば生命保険会社とか銀行とのイコールフッティングになるのかどうかということを突きつけられているわけでございます。

 二〇〇七年といいますと、いわゆる民営化会社における状態についてアメリカからクレームが来ているわけでございます。そういう観点からすると、現在進めようとしている郵政改革法案、これは、一層国の関与が強くなり、そして民営化委員会の存在というのはなくなる、そんな条件の中でアメリカに対する反論はさらにきつくなる、私はこういうふうに思うわけでございます。

 TPPへの対応から考えると、政府は、このTPPの方針から逆の方向に今回の郵政改革法案は進んでいるのではないか。そういう意味では、これは修正して出し直すか、よしんば法案が成立しても再び見直しということになるのではないか、こう考えますが、簡潔に答弁をお願いいたします。時間がありませんから、一言で簡単に。

自見国務大臣 西先生、大変御心配しておられますけれども、事実、今の交渉の過程においては逆でございます。私はそう思っております。

 TPPは、御存じのように、アメリカは、バイといたしましては、日本とアメリカ、あるいはEUの関係では、日本の郵政を民営化するべきかどうか、これは日本が、主権国家でございますから、日本が行うべき決定であって、我々は、アメリカもヨーロッパの国も中立であると。しかし、その結果として、今言いましたように、競争条件の公平をきちっと確保してくれというのが当然この二つの国の主張でございまして、そういった意味で、今、バイ、アメリカ、ヨーロッパからそういう公式の要望は来ておりますが、まだ、TPPの交渉への参加の条件として郵政改革に関する言及は、今の時点ではTPPに関してはないという状況でございます。

 もう一点申し上げれば……(西委員「もういいです」と呼ぶ)もういいですか。

 経営の自由度と競争条件を公平にきちっと法律で確保しておきますので、よろしくお願いします。

西委員 わかりました。

 私とは見解が違いますが、必ずこういうことがさらなる摩擦を生む、私はこういうふうに確信をしております。

 もう一つ、別の観点からいきたいと思います。

 一昨年の衆議院の総選挙において、民主党は、マニフェスト、インデックス二〇〇九を出しました。その中に、アメリカとの間で自由貿易協定、いわゆるFTAを締結するという記述をめぐって大揺れに揺れたということが選挙前に新聞報道でもたびたび出てまいりました。結局その後、締結ということを推進に改めて、つけ加えて、「その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。」こういう一文を加えて、一層自由化を否定することに躍起になって決着をした、こういう経過がございますが、これが今回、TPPという形をとって再び浮上をしてきた、私はこう見ております。

 民主党の基本路線はやはり米の自由化にある、こう考えざるを得ないですが、このことについて総理はいかがお考えでしょうか。

玄葉国務大臣 西先生がお話しのように、二〇〇九年のマニフェスト、日米FTAの推進と同時に、農業、農村の振興ということを書いてあるわけでありますけれども、昨年十一月の包括的経済連携の基本方針も、センサティブ品目、センシティブ品目ともいいますが、センシティブ品目に配慮を行いつつ、高いレベルの経済連携を目指す、こういうふうに申し上げておりまして、私は、一般論で申し上げれば、日本にとっての最もセンサティブな品目は何かと言われれば、米ではないかというふうに考えております。

西委員 このことにつきましても、そういう表現をしておりますけれども、一方では、TPPは関税の完全撤廃という原則に、まあ必ずしも一〇〇%そういうことではないということは私も存じておりますが、これも一%以内です、今までの実績からすると。そういう非常に厳しいハードルの中でそういう言葉だけで済ませていくというのは、非常に議論がまだ不十分だ、こういうふうに私は思っております。

 いずれにいたしましても、主な相手国というのはアメリカであり、若干のヨーロッパ、これが実質的なTPPの構図ですから、民主党は、そういう意味では、米の自由化を通じて大きく、特に輸出産業というものの流れをつくっていこうという本来のマニフェストの趣旨をもう一度形を変えて浮上させてきたのではないか、こういうふうに私は見ております。

 TPP交渉に参加するというふうになりますと、判断はどういう判断をなされるのか。これもさまざまなお考えがあろうと思いますけれども、一言で言うとどういうことになるか、お聞きをしたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、農業のことをかなり西先生は言われましたが、農業をいかにして改革するか、私のもとに今実現検討会議を開いておりまして、これも御承知のように、経済連携と関連する部分もありますが、例えば就業者の平均年齢が六十六歳といったようなことは、必ずしも経済連携ということだけではなくて、若い人がもっと農業に参加をしていく、そういう改革が必要だ、このように思っております。

 そういうことを含めて、TPPについては、もう御承知のように、現在、いろいろな情報を集めるという中での関係国との協議であります。今、オーストラリアとの間での二国間、これはFTAでありますが、その議論もしていただいているわけでありますけれども、ある意味ではそういう、TPPに参加する、あるいは参加している国との二国間の交渉も並行的に行っているわけで、そういう中でいろいろなことがある程度可能性として見えてくる。

 ですから、私たちは、今指摘をされた日本の食の安全、安定供給、食料自給率の向上、国内の農業、農村振興を損なわないようにというその考え方は、一方でしっかりと実現を図りながら情報収集を行っていく、こういう状況にあることを御理解いただきたいと思います。

西委員 今の総理の答弁は、私がまさしく危惧したとおり、二十四の作業部会に分かれているさまざまな重要な視点、一言で言うたらそうだと農業でお答えいただいたんだろうと思うんですが、このさまざまな視点を十分比較考量して、そして最適解を見出すという非常に難しい交渉になってくると思います。

 そういう感覚を持っていただかないと、こういう二律背反のような形で交渉を進めていくと必ず失敗する。ある意味では、平成の開国、こう総理はおっしゃいましたけれども、その開国の衝撃度は大きいか小さいかは別にして、さまざまな制度が日本の社会の中に入り込んでくることは間違いないわけですから、そこのところはきっちりとやっていきたい、こう思います。

 最後に、六月には、TPP交渉参加への態度、それから社会保障と税の一体改革、この二つをやり切るというのが総理がもう連日のようにおっしゃっている言葉ですけれども、先日、この予算委員会で参考人質疑がありました。私も質問に立たせていただきましたが、TPPの参加に当たって何が一番大事ですか、こういうふうにお聞きすると、異口同音に、国民の理解と納得が必要だ、こういう参考人の皆さんのお言葉でした。私は、全くそのとおりだ、こう思います。

 そういう意味では、ここまで議論が進んできたとはいえ、本当に国民の皆さんがこのTPPそのものをどういうふうに理解しているのかということはまだまだ不十分、それよりも政府の対応がまだまだ不十分、国民に対して明らかにするべきことをもっと明らかにしないと判断の基準がない、私はこういうふうに申し上げたいと思います。

 予算関連のこの法案についても、さまざま今言われておりますが、成立は無理だとかいう話もあるぐらいでございまして、その場合の責任というのも総理にとっては大きなことだと思います。

 さらに、国民の、総理自身に対する、また内閣に対する信頼も著しく低下をしているというふうに私は思っておりまして、遅くともこれは、TPP交渉を始める、また社会保障と税の一体改革に着手するその前に国民に信を問うべきだ、こう思いますが、総理から御答弁をお願いいたします。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。時間が過ぎておりますので、簡潔に。

菅内閣総理大臣 私は、今国民の皆さんにとって最も重要なことは、やはり雇用、景気。そういう意味では、この間、かなり景気の回復傾向に来ている中で、それを本物の成長につなげるには、まず来年度の予算を成立させて、そしてそれを実行することにある、これが今のまず第一の課題だと考えております。

 同時に、中長期的に、いろいろな問題がこの間先送りされてきた中で、やはり社会保障と税の一体改革、このことも中長期的な課題の中では最も重要な課題だと考えております。

 そういった意味で、これらをやり遂げていく、その中で、例えば税の抜本的改革などをいよいよ実行という段階では、もちろん国民の皆さんに信を問わなければならない場面が来るとは思いますけれども、今のこのときにやるべきことは、まず予算の成立と、そして関連法案の成立を図っていくことだということをぜひ皆さんにも御理解いただきたい。よろしくお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。

 平成二十三年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は

 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、防衛省所管及び他の分科会の所管以外の事項

 第二分科会は、総務省所管

 第三分科会は、法務省、外務省、財務省所管

 第四分科会は、文部科学省所管

 第五分科会は、厚生労働省所管

 第六分科会は、農林水産省、環境省所管

 第七分科会は、経済産業省所管

 第八分科会は、国土交通省所管

以上のとおりとし、来る二月二十五日分科会審査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次いで、お諮りいたします。

 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、分科会審査の際、政府参考人及び会計検査院当局の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、高木美智代君から関連質疑の申し出があります。西君の持ち時間の範囲内でこれを許します。高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、子ども手当につきまして質問をさせていただきます。

 まず、片山大臣に伺います。

 昨日の総務委員会で、我が党の稲津議員の質問に対しまして、大臣は、全額国庫負担の定義について、決してマニフェストには書いていない、当時の政権の幹部の方が全額国庫ということを言われた経緯がある、地方負担分を全部取っ払って全額国庫にする、地方で自由にしてくださいという意味では決してなかったと思う、全額国庫というのは、子ども手当として新たにふえた分について地方負担を求めないということ、二十二年、二十三年度分においてはこのシステム設計が守られているという趣旨の答弁をされております。

 二十三年度も地方負担が残ったままということに地方は怒っているんです。負担拒否の声明や訴訟も辞さないという声もあります。

 確かに、マニフェストにはありません。しかし、この民主党の工程表にはあるんです。この工程表の中には、国の財政二百七兆円を見直して十六・八兆円つくる、そのうち、二十二年度は半額の二・七兆円、二十三年度からは五・五兆円。この数字は、全額国庫としてしか読めないではありませんか。そして、二十二年度は、半額とし、二・七兆円が捻出できずに、児童手当の仕組みを残したのではありませんか。

 工程表にあるんです。御存じないのは大臣お一人ではありませんか。昨日の答弁をここで撤回されたらどうですか。

片山国務大臣 昨日の総務委員会で議論がありまして、それで、子ども手当をめぐる自治体の混乱というものについてどう考えるかということがありまして、そのとき私が申し上げましたのは、一つは、確かに、二十二年度分の設計を考えるときに自治体と十分話し合ったかどうかということになりますと、やはり批判を受けるということはあり得るんだろうと私は思います。であればこそ、二十三年度は、細川厚労相を中心にして、かなり自治体の代表の皆さん方と意見交換をしたということがあります。あわせて、二十四年度以降の設計については、もっと早いうちから相談をしたいということを一つ申し上げました。

 もう一つは、混乱の一つの要因としては、全額国庫というもの、その用語をめぐってやはり議論があるということ、これも確かであります。その際に、きのう申し上げましたのは、新しく子ども手当で負担となる財源については地方に求めない、こういう考え方が私としてはリーズナブルではないかということを申し上げました。

 確かに、全額国庫というだけで政策論議をされていた向きもあるんですけれども、国と地方の財政の構造を考えてみますと、実は、まるっきり全額国庫とした場合どうなるかといいますと、例えば児童手当の地方負担分、仮に四千億円としますと、それは余剰になるわけです。そうしますと、ほっておいても、実はその分だけ地方財政対策の中では交付税が減るということになりまして、結局は同じことになるわけです。

 ですから、自治体が児童手当の財源として出さなくても、実は今、国は交付税を財源不足分を補てんしていますから、その補てんが国としては要らなくなるということで、回り回って国庫の財源になるということを、そういう趣旨のことをきのう申し上げたわけです。

高木(美)委員 今の大臣の御答弁は全くごまかしであると思っております。

 私たちは、マニフェストの工程表にあるこの考えをどうするのか、地方との協議が調っていない、誤解が生じている、このことについて申し上げているのです。大臣と地方に関するその信頼関係にも関する話です。大臣の今回のこの大事な御発言、私ども、これからも追及をさせていただきたいと思います。

 さて、報道によりますと、二月二十日、岡田幹事長は、できないことをいつまでもできると言い張るのは有権者に正直ではないとした上で、衆院選マニフェストで掲げた高速料金無料化や子ども手当の満額支給を断念する方向で調整する意向を表明した、子ども手当は必要だが、月二万六千円と言われると、もう少し保育所をつくったり、学童保育の現物支給を厚目にすべきだ、このように述べたと報道されております。

 党としては満額支給を断念するとおっしゃっていますが、菅総理はどうされるんですか。この予算委員会、あしたから始まる厚労委員会の審議は、今は三歳未満に七千円の上乗せ、しかし将来は二万六千円を目指す、このような方針で行われているのではありませんか。その整合性がないではありませんか。満額を目指すという方針は変えるのか変えないのか、総理、どうされるんですか。

菅内閣総理大臣 もともとのマニフェストが、最終的に月二万六千円ということをマニフェストに盛り込んでいることは、おっしゃるとおりであります。そういう中で、昨年といいましょうか、今年度は月一万三千円からスタートいたしました。

 大分議論いたしました。これの上乗せをする、一万三千円からの上乗せをするということをまず決め、その上乗せについては、それを現金で上乗せをするのか、場合によっては現物給付で上乗せをするのか、そのことはそのこととしてさらに検討しようということを、ある段階でそういう方向性を出しました。

 来年度については、まず三歳児までの上乗せとして七千円を上乗せして二万円といたして、来年度の予算として提案をさせていただいたところであります。

高木(美)委員 今の総理の御答弁は、二万六千円を目指したけれどもとても足りない、したがって、現物支給の分を回さなければいけないから方針も考える。要するに、方針を変えるという御発言ではありませんか。

 まず、この二万六千円の数字につきましても根拠がないということは、二月十日の我が党の富田議員の質問で明白になっております。積算根拠がはっきりしているのは一万六千円、あとの一万円は、財源があるだろうという予測のもとで加算された数字でございます。その一万三千円すら恒久財源がないということがはっきりした中で、二万六千円は到底無理と素直にお認めになったらいかがですか。

玄葉国務大臣 高木先生、現時点では、先ほど御指摘のあったような方針は民主党としては変えていないんです。同時に、参議院選挙のマニフェストで、我々は、そこの部分は一定の信任を得たと思っているんです。

 つまりは、一万三千円に上積みをする、そのときには、公明党さんの提案もこれありで、現物、現金のベストミックスをできる限り満たしていくようにするということで今制度設計をしておりますので、その点は御理解をいただきたいのと、もう一つは、恒久財源という意味では、恒久法には確かになっていません、これはもうおっしゃるとおりなんですが、我々は恒久財源にはなっているという認識なんですね。つまりは、公明党さんの提案もあって、いわゆる税制改正と歳出削減で恒久財源は確保して我々は今回の制度設計をしているということは申し上げたいというふうに思います。

高木(美)委員 足りないじゃないですか。しかも、公明党がこれありでと先ほど賛同したような話をされましたけれども、去年は、国民生活を守るために三つの条件をつけて我が党は譲ったんですよ。国民本位に考えたんですよ。それで、ことしはどうなのか、二万六千円を目指すのか、それを私は総理に伺っているんです。二万六千円は到底無理、ここからすべてが始まります。

 総理、お認めになったらいかがですか。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたけれども、このマニフェストは、〇九年総選挙における国民の皆さんとの約束であります。その上で、できるもの、さらに、着手しているもの、しかし、なかなか難しいものも確かにあります。そこで、九月ごろをめどにして全体の検証を行おうということにいたしております。

 そういう中で、御指摘のあります子ども手当についても、そういう現物あるいは現金ということもありますし、全体としてどこまで当初の目標どおりやれるかどうかについては、そういう検証の中で改めて検討をしてまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 私は、二万六千円をどうするんですかと聞いているんですよ。それにプラスして現物支給するんですか、どうなんですか。イエス、ノーではっきりおっしゃってください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、一万三千円の上乗せの中に、現金でいくのか現物でいくのか、現物ということになれば、二万六千円という現金ではなくて、ある割合を現金で、ある割合は現物でということになることも十分あり得るということであります。

高木(美)委員 総理の詭弁がよくわかりました。

 続きまして、今、控除から手当へとおっしゃっていますが、そうなっていません。高所得の子育て家庭はプラスマイナス変わらない、中低所得者にむしろ負担増となっているというのが今の状況です。

 マニフェスト二〇〇五以降、配偶者控除と配偶者特別控除、老人控除以外の扶養控除を廃止するとおっしゃってきました。マニフェスト二〇〇九では、配偶者控除、扶養控除の住民税はやらない、所得税だけ廃止するとおっしゃっています。

 その中にありまして、ここまで細かく言いながら、配偶者控除の廃止を去年もことしもなぜやらないのか。いつやるのか、来年なのか、財務大臣、明快にお答えください。

野田国務大臣 高木委員にお答えをいたします。

 控除から手当へというのが私どもの税制改正の一つの理念で、その中で着々と進めてきているというふうに思いますが、配偶者控除については、働き方の選択に対してできる限り中立的で公正なものとなるように制度を見直すべきだというそういう積極推進論と、一方で、夫婦が生活の基本単位である点を重視する考え方から、その見直しに慎重な意見がございます。

 そういう議論を今している最中でございまして、ただし、この配偶者控除の見直しの結論も、四年間の間で結論を出すことになっていますので、平成二十三年度の税制改正大綱の中でも、配偶者控除をめぐるさまざまな議論、課税単位の議論、社会経済状況の変化等を踏まえながら、引き続き検討することとしています。

高木(美)委員 結局、国民の声を恐れているのでしょう。

 そのかわり、成年扶養控除を廃止、さらに年少扶養控除の住民税分まで廃止をしました。流れが変質しているではありませんか。その結果、受給世帯の課税所得が上がり、二〇一二年度から四十一の負担軽減制度に大きな影響が出ます。保育所利用料、公営住宅費を初め、未熟児、障害児の医療費の自己負担まで、こうした四十一にわたる対応を今検討しているという話もありますが、そういう対応は不可能です。実際できません。その矛盾を国民に押しつけるもの以外の何物でもありません。

 税のあり方、構造的なものが路線として破綻をしています。財源なし、穴だらけの稚拙な制度設計、昨年の増税は見込み違いだったのではありませんか。路線として破綻していることを認めるべきと思いますが、総理、いかがですか。

野田国務大臣 控除から手当へという考え方は、基本的には、所得課税が、これまで累次の税率の緩和であるとか、さまざまな控除拡大によって所得再分配機能が低下をしてきている、あわせて財源調達機能も低下をしている、その手直しをしていくという、いわゆる格差是正の観点から取り組んでいるということで、そこは御承知をいただきたいと思います。

高木(美)委員 しかし、そうした理念が、制度設計が甘かったために、結局、一番守られなければならないところにしわ寄せが来るというのが今の状況ではありませんか。

 そして、総理にお伺いしますが、子ども手当の予算の方は今、予算委員会で審議しています。法案はこれから厚労委員会で扱うわけですが、成立のめどはありません。現場の受け取る方々は不安になり、地方自治体では、もし児童手当に戻ったらシステム改修、周知徹底をどうするのか、今から準備をするのか、混乱が始まっているというのが今の状況です。

 予算案が成立しても子ども手当は受け取れない、野党の賛成が得られないんですから、この法案は永遠に通らないわけです。通らなかったら、その責任を野党に転嫁するおつもりですか。総理、どういう方針でこれから臨むのですか。

菅内閣総理大臣 現実に衆参でねじれという状況にあるということは、私たちも十分に認識をいたしております。しかし同時に、内閣としては、予算を提案し、あるいは必要と考える法案を提案するというのも内閣としてのやはり責任であろうと思っております。

 その上で、それらの予算さらには関連する法案、今御指摘の子ども手当についても、まさにこの国会の場で与野党大いに議論をしていただいて、私たちとしては原案どおり成立をさせたいと願っておりますけれども、国会の中で、議論の中で何らかの合意が得られるならば、当然ですが、法律は国会で決めるわけでありますから、その決まった法律に従わなければならない、このように思っております。

高木(美)委員 私は、一から制度設計を見直すべきと提案をいたします。

 総理は、一月の民主党大会で、子ども手当について、従来の政権が何もしてこなかったのに対し、新たに子ども手当という制度を導入したのは、私は歴史的に画期的な制度と胸を張って構わないと考えているところであります、このように発言をされたそうですね。

 一方で、総理はマニフェストを見直すとおっしゃっていますが、どこを見直すんでしょうか。財源だけなのでしょうか、政策の問題なのでしょうか。民主党の十六人の方は見直してはいけないとおっしゃっています。総理は見直しをやるとおっしゃっています。十六人の主張のどこに問題があるとごらんになっているのか、具体的に説明を求めます。

菅内閣総理大臣 まず、子ども手当、確かに御党が児童手当で大変努力をされてきたことは、それはそれとして敬意をあらわしたいと思います。

 それを含めて、一般的に言えば、高齢者に対するいろいろな社会保障制度はだんだんと充実してきた中で、子供あるいは若者に対するいろいろな社会保障的な手当てがやや相対的に少なかったという中で、この子ども手当を少子化対策の意味も含めて前面に出したという意味で、私はそれは大きな意味があったと思っております。

 また、このマニフェスト、小沢代表の時代、そして鳩山代表がそれを受けて、私たちももちろん一体となって二〇〇九年の選挙戦を戦いました。それからことしの九月で二年が経過するわけでありますが、このマニフェストは、こういうものを実行したいということと、それに対して今の無駄を中心として削減をしてその財源を充てるという、こういう二つの、コインの裏表の構造になっております。そういう両面を見ながら、やはりできるだけ優先度の高いものを実現し、どうしても難しいものについては、その理由を国民の皆さんに申し上げて御理解をいただきたい、こう思っております。

高木(美)委員 十六人の主張につきましてはどのようにお考えですか。

菅内閣総理大臣 これは、こういう場で申し上げるのが適切かどうかわかりませんけれども、マニフェストをぜひ実行したいという思いは、私自身を含めて民主党の全議員が考えている、思っていることだと思います。それを実現したいという最大限の努力の中で、それが実際に、例えば財源の問題等で実現が難しいもの、既に初年度の段階でも、ガソリン税については、当時の小沢幹事長が中心になって、その軽減措置することを、そのまま税率としては維持したという経緯もありますので、できること、できないことについては、やはり検証の中でしっかりとまさに検証していきたいと思っております。

高木(美)委員 鳩山元総理は、辺野古に落ちつかせるために、抑止力を方便とおっしゃいました。そして、マスコミから批判を受けて、方便とは真理に導くための手段のことだとおっしゃっています。仏教では、正直に方便を捨てなさいと言っております。

 二年前の衆院選のマニフェストは、実現不可能なばらまきマニフェストで、いわば政権をとるための方便ではありませんか。マニフェストを見直しする以上、まず国民におわびをすべきです。その上で、もう一度国民に信を問うのが正しい道筋ではありませんか。間違ったマニフェストで民主党に票を入れてしまったのですから、もう一度戻ることが必要と申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて西君、高木君の質疑は終わりました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず初めに、菅総理に確認をしたいと思います。民主党は一年半前の総選挙のとき、消費税については四年間は上げない、もし上げる場合は、マニフェストに書いて、国政選挙で国民の審判を受ける、こう言っていたと思います。これは間違いありませんね。

菅内閣総理大臣 さきの総選挙で民主党が国民の皆さんにお約束をしたことは、今回の総選挙の任期中に消費税の引き上げは行わないということを申し上げ、その方針は今でも変わってはおりません。

佐々木(憲)委員 問題となるのは、二年前に成立した所得税法の附則百四条であります。そこには、二〇一一年度までに消費税増税法案を国会で通すという趣旨のことが書かれている。

 藤井官房副長官にお聞きします。あなたが財務大臣のときに、私は、この条文は四年間は上げないという民主党の立場と矛盾しているので修正するつもりがあるか、こう聞きました。藤井さんはそのとき、「修正をするのが筋だと思っております。」と答弁をされました。これは事実ですね。

藤井内閣官房副長官 そのとおりです。

佐々木(憲)委員 藤井さんの次に財務大臣になったのは菅総理でございます。

 一年前の衆議院本会議で、私の質問に菅総理はこう答えました。「この附則百四条は前の政権のもとでの条文であり、今の鳩山政権の方針とは明らかに矛盾をいたしております。確かに、撤回、削除ということも考える可能性も私はあり得るかと思います」、このように答弁されていると思いますが、確認をしておきたいと思います。

菅内閣総理大臣 そういう答弁をしたということは、そのとおりであります。

佐々木(憲)委員 つまり、今確認をしたとおりでありまして、四年間は上げない、こういう国民に対する公約があった。だから、藤井さんも菅さんも、この百四条については、民主党の方針とは明らかに矛盾している、削除することも考えられる、あるいは修正するのが筋だ、このように国会で答弁をしていたわけでございます。

 ところが、今は、この条項に従わなければならない、こういう立場に変わっているわけですね。これは国会に対する答弁を変更した、そういうことになりますね。

菅内閣総理大臣 先ほど佐々木議員から読み上げていただきましたけれども、「撤回、削除ということも考える可能性も私はあり得るかと思いますが、そのことをどの段階でどのようにやるかについては、しかるべき時期が来たところで判断をしていきたい、」こう答えております。

 率直に申し上げて、社会保障の抜本改革について、どういうタイミングで議論を進めるかというところまでは、この段階ではまだ決まった段階にはなっておりませんでした。私が総理大臣に就任した後、御承知のように、社会保障と税の一体改革について、ことしの四月までにその姿を示し、六月までには税も含めた一体改革の案を皆さんに提示する、そういう段取りを皆さんに示して、こうして今議論が始まっているわけであります。

 そういう中では、この百四条という規定の中で要求されている時期的な問題を、ある意味ではそれに合わせることも可能になったのではないか、こういうことでありまして、私は、本質的に何かを変えたというよりも、時間的な長さの中で、可能であるならばそうした日程もまさに一つの視野に入れてもいいのではないか、このように思っております。

佐々木(憲)委員 今の答弁を聞いていますと、変えたということを事実上お認めになったわけでございます。つまり、四年間は上げない、だから百四条も修正しなければならない、ところが二年たったら、消費税を上げる法案を提出してそれを国会で通すんだと。そうなりますと、これはもうどこから見ても明白な公約違反ですよ。やはり国民に対して約束したことを完全にひっくり返したということになるんじゃありませんか。

 自見大臣、国民新党はどうか。国民新党は、一昨年の総選挙で消費税は上げない、こういう公約をなさっております。私は、一昨年の十一月、金融担当大臣でありました亀井さんにこの点についてお聞きをしました。そのとき亀井さんは、四年間に限らず、消費税は上げる必要は一切ない、消費税を上げるべきではない、こういうふうにお答えになったわけでございます。自見大臣も同じ考えか、確認をしておきたい。

自見国務大臣 今いろいろ議題になっておりましたが、一昨年の連立政権樹立に当たっての政策合意、いわゆる三党合意においては、現行の消費税五%を据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わないとされており、さらに、菅総理と国民新党の今お話に出ました亀井静香代表との昨年九月十七日の合意書でも、その三党合意を尊重し引き継ぐことと合意をしておりまして、私はこのことは尊重されるというふうに信じております。

 ただし、社会保障と税の一体的改革について論議する中で、消費税を含めた税制のあり方を論議することまで否定するものではないというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 論議するのはいいと。しかし、あなた方が言っていたのは、四年間は上げない、上げる必要はない、こういう姿勢を国民に約束していたわけでありますから、しっかりとそういう立場を貫くなら、今の菅内閣の方針と矛盾してくるわけですから、この点は明確にしておきたいと思います。

 さて、それでは次に、基本的なことを確認していきたい。

 まず、法人税、所得税、消費税、税金はこの三つが大きいわけであります。それぞれの税の性格を確認しておきたい。

 法人税と所得税については、基本的に、企業や個人の所得に課税をされる税金でございます。法人税の場合は事業の利益に課税されますから、赤字ならこれは払わなくてもいいわけであります。所得税は個人の所得に対して課税されるわけですね。ただし、課税最低限以下の低所得者は払わなくてもよろしい。これに対して、消費税はどうか。買い物をするたびに課税されるわけですね。したがって、所得がなくても払わなければならない。これは消費税の特徴であります。

 まず、この基本点を野田大臣に確認しておきたいと思います。

野田国務大臣 基本的には委員の御説明のとおりでございまして、消費税は、消費者から受け取る対価に含まれる消費税額を事業者が納税するものであって、事業者の所得とは直接関係ございません。法人税、所得税は、それぞれの所得から納税するものであり、消費税とは仕組みが違います。

佐々木(憲)委員 私は、税というのは、そもそも、本来、所得や利益があって、そこに税を負担する力、担税力を認める、それで課税をする、これが基本だと思うんですよ。ところが、所得がないところから税金をいただく、こうなりますと、その方の生活を犠牲にせざるを得なくなる。これは、所得税、法人税と消費税の根本的な違いであります。

 そこで、このグラフを見ていただきたいんですけれども、この間、法人税はどんどん下がってきております。法人税の税収は、国税の中で以前は三七%を占めていたことがあります。しかし、今一九%にすぎません。法人税の税率が、四三・三から、今二五・五が提案されておりますが、どんどん下がってきているわけであります。さらに菅内閣は五%下げるとなりますと、結局、大手の黒字の上がっている大企業に対して減税を行う、こういうことになります。

 その反面、庶民が負担をしている消費税というのは大きくこの間ふえておりまして、税収に占める比率は八九年に六%でございました。ところが、どんどんふえて今二五%、こうなっているわけです。

 これは財務省の数字ですけれども、間違いありませんね、野田大臣。

野田国務大臣 資料のとおりでございます。

佐々木(憲)委員 低所得者や高齢者の中では、もうこれ以上負担できない、こういう声が上がっております。

 もう一枚のパネルを出していただきたいと思いますけれども、この間、高齢者は大変な負担を押しつけられてまいりました。二〇〇〇年以降、主なものだけとっても、自民党・公明党政権のもとで、所得税、住民税、医療、介護、年金など、増税、負担増、給付減、こういうものが行われてまいりました。多くの高齢者が、経済的にも精神的にも追い詰められてまいりました。

 民主党政権になって一年半たちましたけれども、ここに書いてあるような項目、どれか一つでも改善されたものというのはありますか。

野田国務大臣 例えば、公的年金等控除あるいは老年者控除の項目については、引き続き税制改正の中で議論をしていくということで、宿題としては残っています。

佐々木(憲)委員 一つもないわけなんですよ。議論はしているというのは、それは議論ですからね。

 政権交代のときに、こういう状況を何とかしてほしいという国民が民主党に対して期待をした。ところが、一年半たったけれども、何一つ改善したものはありません。高齢者以外の分も含めますと、このほかにもたくさんあるんですけれども、十年間で合わせて十六兆円の負担増であります。赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり十五万円の負担がふえたわけです。だから、多くの国民はもう耐えられないという状況なんです。

 民主党はマニフェストで、公的年金控除の最低補償額を百四十万円に戻す、あるいは老年者控除五十万を復活する、それから、後期高齢者医療制度を廃止する、廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する、こういうふうに書いていたにもかかわらず、一体その政策はどこに行ったんだ、こういうことになるわけです。

 高齢者の家計は、実際、今本当に大変なんですよ。このパネルを見ていただければわかりますが、政府の家計調査によりますと、この十年間、平均夫婦高齢者世帯の年金給付は大幅に減っております。そのために、ここにありますように、収入が二十三万円もダウンしている、減っている。その反面、保険料、保健医療、介護保険、住民税の負担というのは大きくふえております。十年間で年間十万円も負担がふえました。だから、実際に貯蓄を取り崩してようやく生活をしているというのが実態でありまして、その貯蓄も底をつくという状況です。

 もしこれに消費税増税が加わったら、一体どうなるのか。一〇%になるあるいは一五%になる、こうなるだけで二十八万円、大変な負担がさらにふえていくわけであります。

 総理に伺いますけれども、これ以上消費税増税されたらもう生活ができないという声は、総理の耳には入っておりませんか。

菅内閣総理大臣 これは、所得税や法人税、消費税、それぞれ負担をしていただいている立場からすれば、できるだけその負担が軽い方がいいというのは、それぞれの方のあるいはそれぞれの立場の思いであろう、私はこのように思います。

 と同時に、一番大きなもう一つの背景は、この二十年間、日本の経済成長がとまっている。ですから、先ほどいろいろな比率を示されましたけれども、税収そのものが、特に二年前のリーマン・ショックでは大きく下がりました。まさに、法人税の税率がある程度高くても利益がなければ税収は下がるわけでありますので、そういう意味で、成長さらには雇用、こういうもので国民の皆さんが豊かになっていくということがないと、いろいろな負担は、どういう形の負担かは別として、現実に、社会保障とかそういうものの水準を維持しようとしたときには負担という形になってきます。その負担をいわば借金という形で先に送っている状況が今日の全体の状況だろうと思っています。

 そういう意味で、私は、まずは成長と雇用、ここから日本の現状の打開をやらなければならない、こう考えております。

佐々木(憲)委員 国民が豊かにならなければならない、これはそのとおりですよ。実際に今やっているのは、国民の方に負担を負わせて国民生活を破壊するということをやっていいのかというのが問われているわけです。一方では、法人税の方はどんどん減税で、今回も五%減税だと。おかしいんじゃないですか。結局、負担が軽い方がいいと言いながら、大企業の負担は軽くして国民の側にどんどん負担を負わせてくる。これが今のやり方だ。これはもう絶対に私は認めるわけにはいかない。

 それから、中小企業の問題について言いますけれども、中小企業の場合は、野田大臣、もともと、この消費税というのはだれが負担するんですか。

野田国務大臣 最終的には消費者です。

佐々木(憲)委員 納税はだれですか。

野田国務大臣 それは事業者です。

佐々木(憲)委員 事業者の場合は、仕入れにかかった消費税分も含めて販売するときに価格に上乗せする、こういうことになっておりますが、今のような経済状況では簡単に上乗せはできません。

 海江田大臣にちょっと確認しますけれども、以前、経産省の調査で、消費税を価格に上乗せできずに自己負担している、こういう業者がどの程度いるか、示していただきたい。

海江田国務大臣 佐々木委員にお答えをいたします。

 以前とお話ありましたけれども、二〇〇二年でございます。このときは、免税点三千万円を下げようという議論がありましたので、中小企業庁が一万一千七百十七の事業者にアンケート調査をいたしました。その結果、九千六十一の事業者から回答が寄せられました。

 そのうち、まず、売り上げ階級が一千五百万円を超えて二千万円以下の事業者では、三四・七%がすべて転嫁をしている、三六・二%が一部転嫁をしている、二九・三%はほとんど転嫁できていないということでございますから、完全に転嫁できていないのが六割強でございます。そして、売上高が二千五百万円を超えて三千万円以下の事業者では、五一・五%がすべて転嫁している、二八・七%は一部転嫁している、一九・九%はほとんど転嫁できていないということですから、五割強が完全には転嫁できていないということでございます。

佐々木(憲)委員 今確認したように、中小企業の場合、仕入れをしてそれを販売する、その場合の仕入れに上乗せされている消費税を転嫁するということがなかなかできないわけでございます。ほぼ上乗せされているのは、これは同じ調査をこういうグラフにしてみたんですけれども、大企業だけなんですよ。規模が小さくなればなるほど消費税を価格に上乗せできない、こういう状況になっております。消費税を受け取っていない中小業者は五割から七割。

 財務大臣にお聞きしますけれども、このように消費税を受け取っていない業者は、どこからお金を出すんでしょうか、どこからお金を出して納税するんでしょうか。

野田国務大臣 消費税を受け取っていない業者が、ちょっともう一度お願いします。

佐々木(憲)委員 要するに、価格に上乗せができていない、つまり消費税を受け取っていない、その業者が納税義務はある。納税するにしても、受け取っていないんですから、どこからお金を出すんですかと聞いているわけです。

野田国務大臣 だから、きちっと転嫁をしていないということですので、それは自己負担になるということです。

佐々木(憲)委員 結局、事業主が生活を切り詰める、あるいは従業員の給料を下げる、貯蓄を取り崩す、こういう方法しかなくなるわけですよ。

 これは商店だけではありません。下請業者も大変な状況でございまして、親会社から、例えばファクス一枚で、単価を下げなさい、こういう単価でやりなさいと来るわけです。それでも、なかなか文句は言えないわけです。二次、三次の下請の場合は、消費税込みでこの価格でやってくれ、こう来ますから、原価を割っても引き受けざるを得ない。

 こういう証言もあります。自動車関連の下請企業の部品単価ですけれども、以前七百三十八円だった、それが七百六円、六百二十八円、こういうふうに下げられてしまう。材料費が変わらないのに単価だけどんどん下がる、原価を割り込む。しかし、それを断るともう次から仕事がない、こういうことで引き受けざるを得ない。ですから、こういうのが現実だと思うんです。

 総理、こういう現実を御存じですか。総理に聞いているんです。

海江田国務大臣 私からお答えを申し上げますが、事業間取引におきまして、優越的地位の濫用行為などによって中小企業が消費税を転嫁することが困難となることがないように、これは公正取引委員会と連携して、下請代金支払遅延等防止法を厳正に執行してまいるということでございます。御指摘のような点はしっかりとチェックをしております。

佐々木(憲)委員 それは、建前上、幾ら通達を出しても、現実の現場の力関係はそうなっていないんですよ。親会社が、消費税込みでね、こう言うと、わかりましたと。しかし、消費税を納税するだけの利益も全く出てこない、原価割れだ。こういう状況を一体どう考えるのかということですよ。消費税をさらに増税したら、そういう状況がもっと激しくなるということですよ。

 今、納税できないということで、結局身銭を切って納税しても資金がなくなる。そうすると、消費者金融から借りる、あるいはやみ金から借りる、こうして多重債務者になるという例も出ております。納税できないと、これは滞納者がふえるわけであります。今、納税ができない、滞納の多くは消費税ということで、今度は、税務署の側は、払えということで無理やり取り立てることになる。そうすると、人権無視の強権的な徴収が行われる。そういう強権的なやり方で自殺に追い込まれた例もあります。私は、きのう財務金融委員会でこの問題を取り上げました。消費税の増税というのは中小企業の営業も破壊するものであります。

 その一方で、では大企業はどうでしょうか。自動車、電機など輸出大企業には、消費税の莫大な還付金があります。今、年間の還付金総額というのは幾らになっているでしょうか。財務大臣。

野田国務大臣 輸出取引にかかわる消費税の還付税額は把握できていませんけれども、平成二十年度分の消費税の還付税額全体でありますが、これは約二兆五千億円でございます。

佐々木(憲)委員 二兆五千億円というのは莫大な金額ですよ。消費税で国民から徴税をして、それで還付をしているのが二兆五千億円。大部分が輸出大企業の手元に入っております。二〇〇九年度分で、例えば、トヨタ、二千百六億円、ソニー、千六十億円、日産自動車、七百五十八億円、キヤノン、七百二十二億円。上位十社を取り上げるだけでも、実に八千億円の還付金がその巨大企業に支払われているわけであります。

 庶民から取り上げて、そして大企業や大資産家にばらまく、こういう結果になっているのが今の実態であります。私は、これはやってはならない、消費税増税は国民の暮らしも中小企業の営業も破壊する、このことをはっきりと訴えたいと思うんです。一体消費税をどのぐらいまで上げようというんですか。

 与謝野大臣にお聞きしますけれども、以前、自民党の中で、与謝野さんが会長をしていた財政改革研究会というのがあります。この財革研は二〇〇七年に提言を発表していますが、消費税率を何%にすべきだとしていましたか。

与謝野国務大臣 平成十九年十一月二十一日にまとめられました自由民主党財政改革研究会中間とりまとめにおいては、「団塊世代が年金受給者となる二〇一〇年代半ばを目途に、国民への給付である年金・医療・介護及び少子化対策に要する安定財源を確保することとした場合、二〇一〇年代半ばにおけるこれらの給付に必要な公費負担の規模は、少なくともGDP比五%程度(現行の消費税一〇%程度に相当)と見込まれる。」とされております。

佐々木(憲)委員 一〇%に上げる、こういう提案をしていたことがある。

 この財革研に一緒に参加していた柳沢伯夫元厚労大臣は、今、菅内閣の社会保障、税一体改革集中検討会議のメンバーになっておりますが、自民党の研究会で、少なくとも一〇%への引き上げが必要という報告書をまとめた、しかし、この試算はリーマン・ショック前の経済状態が前提だった、仮に今の経済状況で試算し直せば、消費税率を一五%近くに上げなければつじつまが合わない、こういうふうに言っているわけです。

 与謝野大臣、一五%近くに上げなければつじつまが合わない、この考え方に賛成ですか、反対ですか。

与謝野国務大臣 まだ税率のところまで議論は行っておりませんけれども、先ほどから先生が指摘されるように、国民に対する影響、経済に対する影響等々もろもろのことを考えなければならないわけですし、また、給付と負担という両方の関係も考えなければならないということで、にわかに柳沢さんの意見に賛成か反対かということをまだ申し上げる段階ではございません。

中井委員長 佐々木君、まとめてください。

佐々木(憲)委員 はい。

 結局、今、菅内閣がやろうとしているのは、大企業、大資産家には減税、庶民には増税。しかも、社会保障を充実すると言いましたけれども、社会保障のカットをやってきた、それを何一つ直そうとしていないし直っていない。そういう状況の中で負担ばかりふえる、こういう消費税増税には絶対反対だということを述べて、質問を終わります。

中井委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 冒頭に、先日起きましたニュージーランドの地震の被災に遭われましたニュージーランド国民の皆さん、また、日本の国民の皆さんも被災をされています。心からお見舞いを申し上げたいと思います。日本留学生の方々等の早急なる救出に政府は全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 本日は、せっかく総理が出席されておりますので、まず、私は地元の熊本県の川辺川ダム、荒瀬ダムの問題について、最初に何点か質問させていただきたいと思います。

 政府が八ツ場ダム、川辺川ダムの建設中止を打ち出して一年半が経過いたします。これまで大規模公共事業を中止するルールが存在しなかったことから、事業中止に当たりまして、周辺住民の生活再建支援制度の整備を政府は明言してまいりました。

 前原元国交大臣が、政権交代時の二〇〇九年の九月二十六日、川辺川ダムの視察をされました。私も、地元の国会議員でありましたから一緒に同行いたしまして、五木村村民の皆さんとの意見交換に参加をいたしました。その折に、生活再建補償法案をその次の、昨年ですね、昨年の通常国会に提出するというお約束をされました。

 ところが、昨年の通常国会はおろか、ことしの通常国会でも法案が提出をされておりません。生活再建制度を整備することは、民主党の政権政策の目玉の一つでありますダムによらない治水、利水、この政策への転換を進める車の両輪であろうと思います。地元は、五木村を初め流域市町村住民等も、補償法案提出見送りに大変な怒りを示しておられます。五木村長あるいは議会はたびたび政府に対して要望をされておると思います。

 そこで、なぜこの補償法案を早急に国会提出、審議しようとしないのか、生活補償制度の検証がどこまで進んでいるのかをまずお答えいただきたいと思います。

大畠国務大臣 中島議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 ただいまの御質問は、公共事業中止に伴う生活再建補償法案というものが国会に提出されると聞いているが、なぜなかなか提出されないのか、こういう御質問だと受けとめております。

 ただいまの御質問の川辺川ダムを一つのモデル型として法案化というものを含めて検討しているところでありますが、その川辺川ダムの関係の熊本県、五木村との間で生活再建協議を行っているところでありますが、その中身がいろいろとございまして、その実施に当たって必要となる措置はどうあるべきなのか、ここのところがいろいろとまだまとまっていないところでございます。

 いずれにしても、議員から御指摘のように、五木村の生活再建というのは大変大事でありまして、地元熊本県とともに対応しているところであります。

 また、法案の検討はどこまで進んでいるのか、こういう御質問でございます。

 これまで、昨年の七月に、生活再建を協議する場、いわゆる「五木村の今後の生活再建を協議する場」というものを設置しまして、熊本県、五木村との三者協議を行っておりまして、これまで四回の会合を持ち、内容について論議をしてきたところであります。この協議する場を通して、村議会や村内の各種団体、各地区の住民の方々からの意見聴取、現地調査を行いながら、熊本県と協力をして生活再建対策の具体的な内容についても検討を進めているところであります。

 したがいまして、その進捗状況、いわゆる検討をした結果何をすべきかということが具体的にどうなるか、こういうことを踏まえて、必要となる措置について引き続き取り組んでまいりたいと思います。

中島(隆)委員 前原大臣が出席をされました五木村の住民との意見交換です。議事録がここにあるんですが、これをちょっと紹介したいと思います。

 これは前原大臣の答弁でありますが、我々は、この川辺川ダム、そして財政措置というものをしっかり設けた上で、皆さん方が安心してこの地域で暮らしていただけるような補償措置というものを新たにつくらせていただきたいと。これは村民の皆さんとの懇談です。

 その日に行われました流域市町村との答弁でありますが、我々民主党は野党のときに法案はつくっております、しっかり肉づけをして、できれば通常国会に提案をさせていただきます、しっかり住民の皆さんとお約束をしてきた残事業の継続と同時に、今までの、ダムをつくるという大変な苦労をおかけしてきた、補償措置というものをしっかりとつくり上げていきたいと改めて約束をする、こう強く約束をされているんですね。

 今、御回答されました、措置がどうあるべきか中身がわからないと。そして、法案の検討が四回もなされているわけですね。今なお提案されていないというところ、これは怠慢じゃないかというふうに思うんですが、その点をちょっと。

大畠国務大臣 ただいまの重ねての御質問でございますが、私が聞いておりますのは、「五木村の今後の生活再建を協議する場」において、ダム事業で実施を約束していたすべての残事業の実施というもの、あるいは基金の創設、あるいは人口増加対策といった要望が今出されておりまして、協議がまとまっていないということを伺っております。

 いずれにしても、この協議の内容というものに合致した形の法案を提出したいと考えておりますので、現在のところ協議がまとまっていないということなので、法案の登録がまだできていないということであります。したがって、この協議する場の中において、一つのどうすべきかという対策というものが具体的にまとまりましたら、私どもとしても一生懸命取り組んでまいりたいと思うところであります。

中島(隆)委員 今の点は、三点目でまた再度総理と大臣にお聞きしますので、後に譲りたいと思います。

 二点目は、荒瀬ダム撤去についてであります。

 県営ダムということでありまして、ダムの撤去費用に関して、今後最小限にとどめるために、技術的な支援等については国が今御支援をいただいております。

 熊本県としては、試算として撤去費用が三十億不足をする。国はこれまで一貫して、県営ダムで補助はできない、こういうことで答弁をいただいているわけでありますが、現在では、ダム撤去に対する河川整備や道路のかさ上げ、護岸補強、これらについては社会資本整備総合交付金で行っておるわけですが、これについては、今後、引き続き万全な措置をとっていただきたいと思います。

 それから、荒瀬ダムの前段の撤去の問題でありますが、これは、民主党が野党時代、二〇〇八年の七月、総理が民主党の代表代行だったというふうに記憶いたしておりますが、荒瀬ダムを視察されたときに、このように述べておられます。県営ダムであっても、自然を回復する事業なら国として費用の一部を負担することも検討すべきである、こういうふうに述べられております。その後の記者会見でも、可能性を具体化していきたい、こんなに強い決意を述べられたわけでありまして、昨年の七月、これは総理に就任されてからでありますが、再度熊本に訪問されました。そこでも、県の方針を進めるために協力をしていきたい、こういう強い支援の発言もされております。

 県営ダムほか、いろいろな補助ダムを含めてありますが、老朽化などによるダムが非常にふえているんですね。もう四十年、五十年過ぎているのが半数以上という状況にございます。民主党も、コンクリートから人へ、総理も、自然回復のために国が支援をすべきだ、こういうふうに再三述べられているわけでありますが、総理に、ぜひこの荒瀬ダム本体の撤去費用について、国としての財政支援の検討をどうお考えか、お尋ねをいたします。

大畠国務大臣 荒瀬ダム撤去に関しての御質問を賜りました。

 私も、これを調べさせていただきましたが、昭和三十年の三月に竣工しておりまして、さまざまな経緯から撤去をするという表明がなされております。

 そこで、荒瀬ダムは熊本県の企業局所有の発電専用ダムでありまして、河川管理者である国土交通大臣の許可を受けて熊本県が設置、運用してきた許可工作物でございます。このように、河川区域内に許可を受けて設置された工作物につきましては、その用途が廃止された場合には、許可を受けた者、すなわち熊本県が撤去のための許可申請を行った上で、みずからの負担で撤去等を行う、これが基本的な考え方でございます。

 こういうことを踏まえながらも、御指摘のように、国はどうするんだ、こういうことでありますから、国と熊本県が協力して検討会議を設置して、このダムの撤去実施に当たっての具体的施工計画あるいはコスト縮減方策あるいは社会資本整備総合交付金制度の活用等を含めて検討をしております。

 したがいまして、国としては、これらの御指摘を踏まえて、適切に熊本県を指導してまいりたいと思います。

菅内閣総理大臣 中島先生とは、まだ市長をやっておられたころを含めて、この荒瀬ダムあるいは今の川辺川ダム、いろいろ御一緒したことを思い出しながら聞いておりました。

 この荒瀬ダム撤去ということになりますと、ある意味では、日本のダム行政にとって画期的なことになると考えております。

 つまりは、これまでは、川の流れをとめることによって発電とか利水とか治水とか言われたわけですが、これからは、そういうものではない形で、逆に川の自然を取り戻して、例えば球磨川、川辺川ダムであれば、それこそアユの遡上を自然に回復させる、そういったことが、また観光の面でも、いろいろな面で自然にとってプラスになる。

 そういうことを考えますと、今、国交大臣からのお話のように、仕組みとしては、これは県の所有物でありますので、県の責任でやっていただくというのが原則であると思いますが、その中で、そうした自然の回復といったような観点も含めて、何らかの国としての応援ができないか、そういう気持ちを持って現地で発言をいたしました。国交大臣とも、ぜひそういう可能性について検討をしてもらいたい、指示をしてみたい、こう思っております。

中島(隆)委員 今おっしゃったように、私も平成十四年に市長をやっておりまして、そのときに、菅総理も、球磨、川辺川、荒瀬も視察をしていただきました。地元は、今話が大臣からありましたように、三十三年ですから、もう五十二年たつんですね。もう老朽化に匹敵するんです。しかも、私の市長のときに、一度は撤去というふうになりまして、蒲島知事、非常に自然エネルギーだということで存続されました。しかし、それについては、英断をされまして、撤去となりました。

 そこで、大臣からは社会資本整備等々についてひとつ検討もしたいというふうなことでございましたが、今総理も答弁ありましたが、私は、この社会資本整備交付金の適用範囲を拡大して、本体も含めて交付の対象に入れていただきたいと、これは将来こういうことが出てくるわけですから。

 総理にもう一つ、大臣が述べられましたので、その点の決意をもう一回述べていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 しっかりと受けとめて、検討を国交大臣とともにしてみたいと思います。

中島(隆)委員 それでは、時間がありませんので先に参ります。

 第三点目ですが、これは先ほど前段の質問と同じですが、昨年六月から八回開かれています。それで、開かれていない理由はわかっているんですが、八ツ場ダムにはこれまで、前原大臣それから馬淵大臣、それぞれ現地に行かれています。大畠大臣も行かれました。川辺川ダムは、前原大臣があれだけ、五木村は苦渋の選択で、もう大変な怒りを持って、納得はされていませんが、これは一応ある程度撤去に向かっているんです。

 ぜひこの川辺川ダムにやはり大臣か総理が行って、ひざを突き合わせて、前原大臣は、何回も聞きます、呼んでいただければと、こういう回答があっているわけです。ぜひ、総理と大臣の方からはその決意をお願いいたします。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 川辺川ダムの中心に……

中井委員長 大畠さん、もう時間がないから、行くか行かぬかだけ。

大畠国務大臣 はい。

 現在いろいろと多忙をきわめておりますが、先生の御指摘を踏まえて、この協議をする場の検討状況などを踏まえて、さらに鋭意努力をしてみたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、野党時代に何度となくお邪魔をいたしました。鹿児島知事の大変な英断で中止が決まったと理解をいたしております。

 今の私の立場で行くことがちょっと過大な期待につながることもありますので、国交大臣と役割をしっかりしながら、個人的にはまた何度も行きたいところなんですが、機会を見つけて検討させていただきたいと思います。

中島(隆)委員 それでは、もう時間がありませんので、次に参りたいと思います。

 労働行政の問題ですが、第一点目は、労働行政の体制の整備であります。

 これは、社民党に労働対策本部をつくりまして、全国のハローワークを含めて、大学、高校、今非常に問題になっております新規卒業者の就労支援について調査をしてまいりました。

 私は、一昨日、熊本ハローワークへ行きました。そこで今、いろいろな、ジョブサポーターとか新卒の支援事業も二つほどされていますが、たくさんの事業をやっておられます。そこで成果は上がっているんですが、特に私が感じましたのは、そのハローワークの職員、これは現在、ハローワークへ行って私驚いたんですが、職員が全部で百九十八人おられるんです。正式の職員が五十五人です。嘱託職員が百二十五人、賃金職員が十八人、合わせますと百四十三人、約七二%は非正規ですよ。

 このような雇用状況の中で、これまでたくさんの事業を、今度の緊急経済対策には十四種あるんですね、こんな多大な仕事で、ジョブサポーターを今度二千三名にされました。しかし、私、現場を見てみますと、こういう一年雇用の非正規の方、専門家を雇用されているんですけれども、私は、やはり、労働行政を本気で国が責任を持ってやれば、正規の職員を雇用してやるべきだというふうに思っているんです。

 今、非常に公務員削減で、来年度三千人の採用を減らす、そのうちハローワークの行政では前年度よりも八割減らす、こういう計画をちょっとお聞きしたんですが、本当に、べらぼうに職員を減らす。特に、多いところは減らす必要があるんですけれども、やはりこういう重要なところはふやしていく必要があるというふうに思いますので、その点、お伺いします。

中井委員長 細川律夫厚労大臣。時間が過ぎていますので、簡潔にお願いします。

細川国務大臣 中島委員にお答えをしたいと思います。

 雇用情勢が大変厳しい、そういう中では、やはり、その状況に応じてハローワークの体制をしっかりやっていかなきゃというのは、私どもとしてもそう考えて対応しております。

 そこで、常勤の職員については、専門的な支援を行う、そういうところへ常勤の職員、そして、今急激に悪化しておりますから、悪い状況では臨時的に採用して、そして人数をふやしてそれに対応するということで今やっているところでございまして、我々が今対応しておりまして、非常に、ハローワークで就職ができた人はこれまで過去最高の人数にもなっておりますし、それから、大学の就職の方にも相当数をふやして、その成果も上がってきておりますので、御理解いただきたい。さらに頑張ってまいります。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。(中島(隆)委員「派遣労働法、肝心なところが質問できませんで、次に譲ります」と呼ぶ)中島君、やめてください。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 みんなの党、江田憲司でございます。

 きょうは、TPPと農業再生について総理と議論をしたいと思います。

 我々みんなの党は、TPPには早急に参加すべきだ、そして、中に入った上で、今行われているルールづくりに我が国が主体的な役割を果たすべきだということを表明している唯一の政党でございます。

 これは、言うまでもなく、日本というのは、資源もありません、人材と技術を活用して、付加価値の高いものをつくってそれを輸出していく、開国して、貿易立国で生きていくしかない国でございます。

 そういう意味で、まずこのパネルをごらんいただきたいんですけれども、これは、各国、各地域の、それぞれの国、地域の総貿易量に占めるFTA、自由貿易協定の対象の品目の取扱量、これを示した比率でございますけれども、ごらんのように、アメリカ三八%、EUは三〇%、今海外で日本としのぎを削っている韓国三八%、いろいろ国内に問題を抱える中国ですら二一%、そして我々日本一六%ということで、後塵を拝しているわけでございます。ですから、とにかく、このTPPを絶好の機会とむしろとらえて、しっかりと対応していかないかぬ。

 その点、菅総理大臣は、施政方針演説でも平成の開国であるとか、尊王開国であるとか、そういうふうにおっしゃっているんですから、このTPPは、総理御自身の決意としては参加されるということでよろしゅうございますか。

菅内閣総理大臣 昨年の十一月に、経済の連携についての基本方針を閣議で決定いたしました。FTA、EPA、いろいろとこの間おくれてきているものを推し進めなければならないということを言うと同時に、このTPPについては、情報収集のためを含めて関係国との協議を行うということにいたしました。一方で、農業に対しての改革がやはり同時並行的、あるいは、農業に対する対策がきちっと固まらなければならないと思っております。

 そういう意味で、この六月をめどに、TPPについて、いわゆる参加のための交渉に入るかどうかについての決定をこの六月にいたしたい、このように思っております。

江田(憲)委員 それが今は模範答弁なんでしょうが、ただ、TPPに参加せずして平成の開国と言っていただきたくありませんし、尊王開国とも言っていただきたくないと私どもは思っております。

 そこで、やはり我々も農業が焦点だと思っております。いろいろな分野がTPPにはありますけれども、きょうは時間もありませんので、農業をいかに足腰を強くして、そしてTPP、十年から十五年かけて関税ゼロになりますけれども、そういった中でしっかりと輸出成長産業にしていく。我々みんなの党は、このパネルをごらんいただきたいんですけれども、平成の農地改革というプランを出しております。

 そこで、こうした議論をする大前提として、この農業、実は今、OECDの見通しでは、全世界の人口六十八億人、これが二〇五〇年には九十億人になると言われていますね。そのためには、今の食料生産を七〇%増産しなければ食料危機が来てしまう、食料不足になってしまう。逆に言うと、それだけ世界の食料需要というのが飛躍的に伸びていくわけですね。ですから、農業、米を含めて、これからこういった世界の食料需要にこたえていく、輸出をしていくという活路を見出せるわけです。

 中国一つとっても、今、年間の米の消費量、これは一億三千万トン消費していますね。そのうち、日本米ですからジャポニカ種ですか、これは四千万トンもあるんですよ。日本の今の米の生産量が八百万トンですから、四千万トンというのは非常に魅力的な市場です。そして、菅総理も御承知のように、北京へ行っても、上海へ行っても、シンガポールへ行っても、もう今、二、三倍する日本の米が安全でおいしいということで、どんどん飛ぶように売れているわけですよ。

 ですから、こうした状況を考えたときに、今、減反をしている、矛盾しませんか。これだけどんどん輸出需要がある、これからどんどん米も輸出していこう、それにもかかわらず、減反をしている。そして一方で、四〇%の自給率を上げていかなきゃいかぬ。そのために、それに矛盾するような減反政策をまず我々みんなの党はやめるべきだと思っておりますけれども、それに対する菅総理の見解をお聞かせください。

菅内閣総理大臣 私も、十二月ですか、米どころ山形の庄内に視察に行ってまいりました。幅が六十メートル、長さが三百メートルの一枚の田んぼがあるところを視察いたしてまいりました。そういう大規模化がきちんとできているところの生産性は大変高くなっていることも改めて知りました。

 そういった意味で、今の減反の問題は、生産ということと同時に、できたお米を幾らでどういう形で買い取っていくか、そういう問題から、長い間、自民党政権のもとで減反政策が進められてきたわけでありまして、減反だけを取り上げて、それはなくすべきだというふうに言われるのは、それはそれで一つの意見としてはわかりますが、それとあわせて、全体の絵が提示されないといけない。

 そういうことも含めて、今、農業の再生本部の方で農業のあらゆる分野についての議論を推し進めているところであります。

江田(憲)委員 それでは、全体の絵図面をお示しいたします。それを説明すれば、減反がスタートラインだということがおわかりいただけると思うんですね。

 減反というのは、これは需給調整、生産調整ですから、これは価格支持なんですよ。それをやってきたことも事実ですね。しかし、にもかかわらず、それを維持しながら、民主党政権は戸別所得補償という財政支持、直接支払い制度を入れました。こういったことをやっている国はありません。要は、EU、これが一番象徴的なあれですけれども、アメリカもそうですけれども、こういった需給調整の価格支持をやめて、やめると価格が下がります、その分を税金で所得補償していこう、直接支払いしていこうというふうに変わってきているわけですよ。

 それを民主党政権は、これも本当にばらまきというか、あれもこれも税金で面倒を見るという体質なんですけれども、一方で減反政策を維持、需給調整、価格支持を維持しながら、これは高い価格を維持するということですから、消費者負担で維持されているわけですね。一方で戸別所得補償を税金で、納税者負担も入れながら今の農業政策を推進しているというのが民主党の姿なんですよ。

 ですから、今までは消費者負担だけだった、それをそのままにしておいて、納税者負担まで二重の負担をさせて、そして農業を維持しているという、極めてこれも税金の無駄遣いというか、使いたい放題ということになっているわけですよ。

 ですから、アメリカやEUに倣っていく、直接支払いをするというのは我々も賛成ですよ、潮流としては。そのためには、減反、需給調整、価格支持を廃止するというのが哲学、理念なんですよ、政策の根本の。

 これについての総理の見解を求めます。

菅内閣総理大臣 きょう、どういうわけか農水大臣をお呼びでないようでありますから、どこまで踏み込んだお話をしていいかわかりませんが、まさに我が党が、農業の戸別所得補償を昨年導入しようということでスタートを切ったわけであります。

 もちろん、その中に、今、江田議員が言われるように、基本的には価格支持政策から所得政策という方向に踏み出したということは評価をいただけるのではないか。その上で、どこまでそれをどのようにしていくのかというのは、まさに先ほど来申し上げておりますように、食と農林漁業の再生実現会議を行って、六月にはそうしたものを含めた基本的な方向を決定し、十月をめどに行動計画を決定する予定にいたしておりますので、いろいろな意見はぜひ提案していただければ拝聴をさせてもらいたいと思っております。

江田(憲)委員 農家の戸別所得補償というのは民主党政権の根幹の政策であって、私は哲学、基本論を言っているので、それで総理と論争しているわけです。

 では、我々の考えを申し上げます。

 減反をなぜ廃止するか。これは、価格支持をやめるという、ヨーロッパ、欧米並みのことをやるということです。

 このパネルを見ていただけばわかるんですが、減反廃止をすれば、当然、需給調整がなくなりますから、米価は下がります。おととしぐらいまでは一俵一万五千円だったんですけれども、皆さん方が戸別所得補償を入れて補助金を入れたものだから、足元を見られて今一万三千円ぐらいに下がっていますね。しかし、減反を廃止すれば、確かに一俵一万円になるかもしれない、八千円になるかもしれませんね。

 しかし、皆さん、中国米は今一俵幾らか御存じですか。十年前は確かに一俵三千円でした。これが今現在、中国米ですら一俵一万円になっているんですよ。そうすると、減反を廃止して、米価が、日本の米が下がれば、そうでなくても高い米が飛ぶように売れているんですよ、おいしい、安全だといって。これは価格競争力も出てきますから、ここでどんどんどんどん中国市場にも東南アジア市場にも売り込める。さっき言ったように、今現在でも中国には四千万トンのジャポニカ需要というのがあるんですからね。

 ただ、数量がどんどん出ても、単価、価格が下がりますから、そういった農家にはやはり所得面では打撃になるでしょう。だけれども、そこの部分を税金で所得補償する、直接支払いするというならみんなの党はわかるんです。まさにみんなの党はそれを言っているんです。まさにこれから、こういった形で、減反を廃止した後のこういった価格競争力を利用してどんどん輸出していこう、これからも農家をどんどん将来に向かって頑張っていこうという、主業農家といいますか専業農家といいますか、頑張る農家にはしっかりと直接支払いをしていくというのがみんなの党の考え方でもありますし、EUやアメリカの考え方でもあるわけです。こういうことで農業を輸出産業、成長産業にしていくということが可能になるわけでございます。

 そして、それに相まって、この二番目に書きました、農地の集約化、大規模化、生産性の向上ということも考えていかなければいけません。しかし、これがまた、減反があるおかげで、中小零細兼業農家を、コストの高い効率の悪い農家を温存する結果になっているんですよ。ですから、減反で高い価格を維持していますから、高い米を買うよりも自分でつくった方が得だよといって、細々とした農地を持ってまだ稲作をしている零細農家の皆さんもいらっしゃる。

 そういうことで、減反があるおかげで、そういった非効率なところも温存されているということがありますから、そういう意味でも、集約化の観点からでも、減反というのは廃止すべきだと思っております。

 そして、もう一つだけこの点で言いますと、今、農地の貸しはがし現象が起こっているということは総理も御認識だと思います。民主党政権が戸別所得補償を入れた。やあ、補助金がもらえるのなら、今まで貸していた土地を返してくれよ、おれがちゃんとそこでつくって、例えば飼料米なんかをつくって、そこで補助金をもらえるのならつくるから、あなた方返してくれよといって、せっかく集約されていた農地から貸しはがしという現象も起きていると思うんです。

 この観点からも、今の戸別所得補償というのはデメリットの方が大きいと思いますけれども、総理の御見解をお伺いいたします。

菅内閣総理大臣 私も、農業についていろいろな機会にいろいろな役割をしておりまして、専門家とまでは申し上げませんが、いろいろお聞きをいたしております。

 今指摘をされたことは、個々のことだけでいえば、それはそのとおりという部分もありますが、全体としてそれで成り立った一つの絵になっているかということは、ちょっと私にもまだ判断ができません。

 例えば、中山間地の問題などもあります。先日、ダボスに行ってまいりましたら、山の上まで酪農をやっておりますが、七割ぐらい所得補償が入っていると聞きました。それから、野菜農家、いわゆる土地をたくさん必要とする米、穀物の農家と、野菜や花などの農家はやや性格が違うのではないかと思っております。それから、兼業農家の多くは、私の理解が間違ってなければ、米が比較的短い労働時間でつくれるという関係で、野菜は専業的農家が多いというふうに思っております。その中で、よく言いますように、就業人員の平均の年齢が非常に高くなっております。

 そういうことを含めて、今おっしゃった農地の集約化は私も賛成です。そして、コストを下げることも賛成です。そういう中で、全体として整合性のとれるものを考えたいということで、先ほど申し上げたような本部で今鋭意検討しておりますので、拝聴をさせていただいて、参考にさせていただきます。

江田(憲)委員 中山間地の問題は我々も認識をしております。ただ、余りにも有名になりましたけれども、徳島県の上勝町で葉っぱビジネス。これは九十のおばあちゃんが何千万円の収入も得ている、こういう例もございます。宇和島の段々畑には、ミカン農家は自由化で壊滅すると言われますけれども、今イタリア産のブラッドオレンジというのを植えて、この前、シチリアの原産地の人が売り込んでこようと思ったら、宇和島のブラッドオレンジを食べたら、いや、こっちの方がおいしいやといって、しっぽを巻いて逃げ帰ったという話もあります。

 いずれにせよ、中山間地も、高低の差が大きいですから、例えば色鮮やかな花が栽培できるとか、工夫がいろいろできます。だから、中山間地の問題も我々は捨てているわけではありません。

 それから、零細農家のことを言いましたけれども、こうやって農地を集約化して、しかも生産性を上げて、とにかく出した先が収益を上げていくと、それは当然、貸した貸し料とか地代ということで零細農家にも戻ってくるわけですね、リターンが。例えば、EUでいえば、EUの所得補償の九割はそういう土地の出し手に利益が還元されているという統計もございますから、こういう意味ではウイン・ウインになるわけでございます。

 最後に、ちょっともう時間がありませんから、我々はそういう担い手の問題、ほとんどもう今、平均年齢六十六歳。六十五歳以上の高齢農家だけでも六割を占める。一方で、六十五歳未満の男子がいる専業農家というのは全体の七%しかいない。ですから、十年たったら、これは今の保護政策だ何だかんだ幾ら言ったって、もう農業は壊滅するわけです、担い手の面からも。

 ですから、我々は、こういった新規参入、株式会社、農業生産法人、これはまだまだ規制がいっぱいあるんですね。株式会社は、農地は借りてもいいけれども取得しちゃだめだ、取得するためには農業生産法人になる必要があるんだけれども、じゃ、農家以外の人が出資する出資制限は五〇%未満じゃなきゃだめだ、役員は農家出身が何人いなきゃだめだとか、もうさんざんぱらこういう規制をかけている。そんな余裕ないんですよ。十年後に七十六歳にもなってしまうんです、平均年齢が。

 ですから、昔、石油危機のときに、白い猫も黒い猫でも油をとってくる猫はいい猫だと言いましたね、オイルショック、石油危機のときに。そこまでこの分野でも危機意識を持ってどんどん参入させる、だれでも。とにかく、ベンチャー企業で若者が農家をやりたいという人もいるんだから、参入させる。ただし、この最後が大事なんですけれども、投機目的で土地を所有したり、むらっけがあって、参入してみたけれども飽きたからすぐやめる、そんなことをやめさせるために、こういう転用、転売規制、ゾーニングというのを厳しく取り締まるというか規制する。入る方は自由に入らすけれども、入った後しっかりと農業をやらせる、しっかりと規制は強化する。これが我々みんなの党のプランで、これが全体のトータルプランとして、平成の農地改革ということで提案をしているところでございまして、この新規参入、転売規制について、最後、総理に答弁を求めて、私の質問は終わります。

菅内閣総理大臣 私が社会に出て最初に取り組んだ問題が土地問題でありまして、最初に竹下総理とお話をしたのが農地法あるいは農地委員会の問題でありました。

 また、ドイツに土地利用計画の視察にも行ってまいりました。日本とヨーロッパで一番違うのが、今言われた土地の利用と所有の問題です。

 私は、基本的には、そこで言われているように、ゾーニングというよりも、本来は自治体ごとに、この土地はこういう目的には使っていいけれども、こういう目的には使っていけないというのを条例手続でやるべきだという、これはドイツの案でありますけれども、それを国会にかつて社民連時代に提案したこともあります。

 そういった意味で、方向性は共通でありますけれども、手法についてはいろいろとまた機会があれば議論をさせていただきたいと思います。

江田(憲)委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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