衆議院

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第21号 平成23年4月29日(金曜日)

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平成二十三年四月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      石毛えい子君    稲見 哲男君

      打越あかし君    生方 幸夫君

      小川 淳也君    小野塚勝俊君

      大串 博志君    加藤  学君

      金森  正君    川村秀三郎君

      木村たけつか君    吉良 州司君

      桑原  功君    後藤 祐一君

      郡  和子君    佐々木隆博君

      城島 光力君    高井 美穂君

      高邑  勉君    竹田 光明君

      津村 啓介君    中根 康浩君

      仲野 博子君    橋本 清仁君

      畑  浩治君    初鹿 明博君

      本多 平直君    三谷 光男君

      宮島 大典君    村越 祐民君

      室井 秀子君    山口  壯君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    石破  茂君

      江渡 聡徳君    小里 泰弘君

      金子 一義君    小泉進次郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      菅原 一秀君    橘 慶一郎君

      谷  公一君    永岡 桂子君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    吉野 正芳君

      石井 啓一君    遠山 清彦君

      笠井  亮君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    山内 康一君

      渡辺 喜美君    下地 幹郎君

      田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   法務大臣         江田 五月君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄及び北方対策担当) 枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中野 寛成君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (科学技術政策担当)   玄葉光一郎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   参考人

   (東京電力株式会社取締役社長)          清水 正孝君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十九日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     小野塚勝俊君

  大串 博志君     木村たけつか君

  城島 光力君     後藤 祐一君

  竹田 光明君     橋本 清仁君

  水野 智彦君     畑  浩治君

  金田 勝年君     石破  茂君

  小泉進次郎君     赤澤 亮正君

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

  馳   浩君     吉野 正芳君

  遠山 清彦君     石井 啓一君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  山内 康一君     渡辺 喜美君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     打越あかし君

  木村たけつか君    大串 博志君

  後藤 祐一君     初鹿 明博君

  橋本 清仁君     桑原  功君

  赤澤 亮正君     小泉進次郎君

  石破  茂君     谷  公一君

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  吉野 正芳君     秋葉 賢也君

  石井 啓一君     遠山 清彦君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  渡辺 喜美君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     竹田 光明君

  初鹿 明博君     室井 秀子君

  秋葉 賢也君     永岡 桂子君

  谷  公一君     江渡 聡徳君

同日

 辞任         補欠選任

  室井 秀子君     加藤  学君

  江渡 聡徳君     金田 勝年君

  永岡 桂子君     馳   浩君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     城島 光力君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社取締役社長清水正孝君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として環境省大臣官房審議官関荘一郎君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。

渡部委員 渡部恒三であります。

 最初にお許しを得て、この千年に一度と言われる災害でとうとい命を失った皆さんの霊に手を合わせて、お祈り、おわび申し上げたいと思います。

 菅総理、これから質問させていただきます。

 今、ちょっと昔のことを思い出したんですが、私が中曽根内閣で厚生大臣で年金法と健康保険法をやっておったとき、社会労働委員にあなたがなられ、随分厳しい質問をされたことを今思い出しますけれども、きのう本会議の答弁を聞いていると、何か元気がなさそうで、やはりあなたは答弁より質問の方がお向きだったのかなという感じもしますけれども、しかし、国難と言われるこのとき、あなたはこの国で一番大事な総理大臣という立場にあるんです。

 今、災害地の皆さん、家族を失い、家を失い、ふるさとを失い、あすの生活がどうなるかわからない、この災害地の皆さんのために、あなたが働かなきゃならないんです。命をかけてやらなきゃならないんです。

 まず、総理の決意をお伺いしたい。

菅内閣総理大臣 被災地でもある福島から選出をされている渡部恒三先生からお話をいただきました。私も今、渡部恒三先生が厚生大臣時代、被爆者援護法など、そういった課題でも何度も議論をさせていただいたことを思い出しながら、お話を聞いておりました。

 私も、この大震災発生以来、何度か現地を訪れ、特に、避難されている皆さんと直接ひざを交えて話をし、また、石巻を初め被災された地域を実際に歩いた中で、本当にすべてを失った皆さん、家族を失われた皆さんが、しかしその中で、何とか立ち直ろうと必死になって頑張っておられる姿をたくさん見てまいりました。

 こういうときに本当に私自身が総理というこの立場にあることは、これまでのとき以上、こういうことに対して何ができるか、一秒たりともそのことを頭から離れない形で考え、行動してきたつもりであります。

 とにかく、そうした被災を受けた皆さんが、一日も早くもとの生活にまずは戻り、そしてもう一度元気な地域社会を再建させていく、そのために政府としてできることは何でもやるんだ、金のことは心配するな、そういうつもりで取り組まなければいけない、そういう思いを強くいたしております。

 私にもまだまだ未熟なところがあり、また、必ずしも何か私の気持ちが十分に伝え切れないところもありますけれども、渡部恒三先生がおっしゃるように、このことに命をかけるというその覚悟で臨んでまいりたい、このように考えております。よろしく御指導をお願いします。(発言する者あり)

渡部委員 これから見えるように行動してほしいと思います。

 その中でも、津波、地震、これで大変みんな今苦しんでいる。さらに、我が福島県民は原発事故による苦しみをしております。ぜひこれは、内閣の皆さん、与野党の皆さんはもとより、国民の皆さんにも知ってほしいんですけれども、我が福島県の皆さんは、あの原子力発電所の建設に協力して、いろいろなことがありましたけれども、じっと耐えてきょうまでやってまいりました。

 あの福島県の原子力発電所の電気は、福島県民は一キロも使っていないんですよ。全部東京に送っているんです。京浜葉工業地帯、首都圏に送っているんです。我が福島県の原子力発電所周辺地域の皆さんがしっかりとじっと我慢して、この四十年間、東京の皆さんが節電なんということは全く考えないで電気を使って豊かな生活をしてきたんです。

 もちろん、責任は東電です。この四十年間、あの原子力発電にあぐらをかいてきた東電です。徹底的に東電の責任は追及しなければなりません。しかし、地域の人たちは、東電に協力したんじゃありません。国策だから、国民のために大事だからといって協力してきたんです。そして、その原発地域の皆さんが今どんな生活をしているか。

 私は、休みのとき、あの関係の地域の人にお目にかかると涙がとまらない。しかし、四十五年間、国のために頑張ってこられた人が、今、妻を失い、かわいい子供を失い、きょうの生活、きょうの生活どうしようかと、本当に苦しい立場にあるんです。この人たちが安心して暮らしていけるようにするのは、総理、あなたの責任です。総理のお考えをお聞きしたい。

菅内閣総理大臣 地震と津波という自然災害に加えて、この原発の重大な事故が起きました。

 今おっしゃるように、東電福島原発から発電された電気はすべて、東京を中心とする関東に送られてきている、そして、私たち東京を中心とする地域のエネルギー源として大変豊かな生活を支えていただいている。まずしっかりとそのことを認識しなければならないと思います。

 そして、こういう原子力政策全体は、政府が国の政策として取り組み、推進してきた、まさに国策そのものだ、このように私も理解をいたしております。もちろん、東京電力という一つの民間事業体が運営はしていて、今回の事故も一義的にはそうした東京電力に責任があることは言うまでもありませんけれども、しかし、原子力発電所を推進するという立場で取り組んできた国の責任も免れるものではない、このように考えております。

 そういった意味で、この事故によって、特に従来住んでおられたところから避難を余儀なくされている皆さん、また自分たちがつくった野菜が出荷されない皆さん、さらには漁業の関係で被害を受けておられる皆さん、さらにいろいろな形の被害が出ておりますけれども、その被害に対してしっかりと補償することを国としても責任を持たなければならないし、何をおいても一日も早い収束のために、国内ばかりではなく世界の英知を集めて、全力を挙げて、現在も取り組んでおりますけれども、何としても一日も早い収束に向けて取り組みを国を挙げて進めていかなければならないと思っております。

 そうした姿勢で、この原子力事故については最後の最後まで国が面倒を見るんだ、そういう姿勢で臨んでまいりたい、このように考えております。

渡部委員 今の言葉、あの災害が起こったときに言ってくだされば、福島県民の皆さん方、どんなにか安心したでしょう。ところが、そう言ってくれなかった。そのために今、二百万福島県民の怒りは頂点に達しています。あなたが福島に行って、知事や県にいろいろ失礼なことがあったかもしれませんけれども、きょうの言葉で、福島県は立ち上がるぞ、県民が元気を出してくれると思います。

 国は大事なんだけれども、やはり大事なのはふるさとなんだ、そのふるさとをあの地域の人たちは奪われようとしているんだ。生活を奪われ、職場を失われ、ふるさとを奪う。必ずもとに戻してやるよ、いや、前よりもっとよくしてやるぞという決意で、政府の皆さん、頑張ってください。

 苦しいこと、悲しいことの中で、うれしいこともあります。

 私がこの前、南相馬に行ったら、あの地域の人たちが、恒三先生、あっちは危ないから行かない方がいいと。そんなこと言っていられるかということで、あの南相馬の一番危険な区域に行ったら、鹿児島県のバスがありました。そして、行ったら、遠い鹿児島県から御婦人の皆さんがいっぱいおいでになって、一番危険だと言われる地域で一生懸命復旧に頑張ってくれている。私は涙が出ました。

 今、日本じゅうの人が、福島県の役に立てないか、福島県の野菜を買ってあげよう、福島県のお米を買わせてくれ、こういう国民の声に、私は、やはり日本は大丈夫だ、あすがあるという気持ちで、今この席をかりて、福島県の原発事故に心配し、そして何か福島県の役に立ってあげたいと言っている国民の皆さんに、心から感謝します。

 しかし、国民がこれほど一つになって、災害の地域の皆さんのために役に立って、やろうというときに、政治が党内で何か署名運動をやって、今度、連休明けは政局だなどと新聞に出ると、政治家の一人として私は恥ずかしい。

 もう党利党略なんか考える時代ではありません。私は、火曜日のこの国会の審議に参加して、恐らく野党の皆さんは菅総理を随分批判するんだろうと思って聞いておったら、自民党から共産党の皆さんの質問を聞いて、共産党が一番よかったかな、みんなが、あすの日本をどうするか、災害地の皆さんのために今何をなさなければ、何をしてあげるかという建設的な質問で、感動しました。

 もちろん、この災害は、与党であり菅内閣の責任ですが、今度の補正予算は第一歩です。さらに第二歩、第三歩、第四歩、もう党利党略でけんかをしているようなときではありません。党利党略なんか考えるときではありません。野党の皆さんも……(発言する者あり)今変なやじをしているなんというのは例外で、本当に私は自民党から共産党の皆さんは立派だと思っているんです。民主党よりも立派だ。

 ですから、私は、連休が終わったら、菅総理、オール・ジャパン・キャビネット、自民党から共産党まで、災害対策のためには心を一つにして頑張る。やはり国民の皆さんが、政治はやってくれるという思いにするのがあなたの仕事だと思う。(発言する者あり)そのとおり。

 だから、私は、自民党の谷垣総裁にあなたが連立を求めたのは間違いでなかったと思う。しかし、やり方が間違っている。電話で入閣してくれなんて、あんなことは、やはりまだ政治の経験が浅い。私だったら、黙って自民党本部に行って、総裁室に行って谷垣総裁に手をついて、国のためです、あなた総理になってください、私は副総理でお仕えしますと言ったでしょう。そうしたら、恐らく谷垣総裁だって断れなかったと思う。連休後は、あなたの仕事はこれだ。(発言する者あり)ああ、もちろん連休中もやらなきゃならない。

 やはり民主党を中心にして、自民党から共産党まで、この国の政治家はこの災害復旧のために命をかけたという姿をつくるのがあなたの仕事です。

 今、国民の皆さんは、この日本が滅びるんじゃないか、国難だと心配しています。が、国民の皆さんに申し上げたい。

 菅総理、あなたはあの戦争が終わったとき、おったのかな。(菅内閣総理大臣「戦後生まれです、二十一年生まれです」と呼ぶ)ああ、生まれていなかったのか。やはりちょっと違うんだな。

 あの戦争が終わったとき、私は中学一年でした。八月十五日、戦争に負けた。あのときも、私ら中学生は、日本が負けるなんて考えたこともない。必ず勝つと思っておった。それが、無条件降伏。東京、大阪、名古屋は焼け野が原。長崎に広島に原爆が落ちて、もう日本はつぶれてしまうんじゃないか、長崎にも広島にも人が住めなくなるだろうと言われておった。しかし、その後、国民が頑張って、勝った国アメリカを追い越す、競い合うまでの国になったんです。

 今、国民の皆さんは本当につらい。しかし、立ち上がれます。心を一つにして立ち上がらなければなりません。日本は立ち上がる、東日本も立ち上がる、東北も立ち上がる、一番苦しい福島県も立ち上がる、この気持ちで国民は頑張っています。どうぞ、この国民の期待にこたえて、さすがはあのとき菅内閣はよくやったと後世の歴史に残るような、命がけで、心のこもった、そして謙虚な姿勢で、重ねて申し上げる、心のこもった政策をやってくれることを願って、私の質問を終わらせていただきます。

菅内閣総理大臣 私自身、今の渡部恒三先生のお話を聞きながら、自分自身を無にして頑張らなければならない。私の姿勢が謙虚さに欠けるというふうに見られがちで、大変そういう意味では、皆さんに、いろいろな面で私の態度が不十分であったことをおわび申し上げたいと思います。

 これからそういったことも十分気をつけながら、本当に政治は国民のためにあるという原点に立って頑張り抜きたいと、改めて決意を新たにさせていただきました。どうもありがとうございました。

中井委員長 この際、橋本清仁君から関連質疑の申し出があります。渡部君の持ち時間の範囲内でこれを許します。橋本清仁君。

橋本(清)委員 宮城の橋本清仁でございます。

 今回の災害に当たりまして、お亡くなりになられた多くの皆様方に哀悼の誠をささげますとともに、また、残された御遺族、そして今なお苦しい生活を余儀なくされている被災者の皆様方に、心からのお見舞いとお悔やみを申し上げさせていただきます。

 また、政府はもとより世界じゅうから、企業、団体、個人の皆様方から、多大なる応援を賜っておりますことに心からの感謝を申し上げます。そして、今回、この予算委員会という場での質問を賜りましたこと、委員長を初めとする皆様方に心からの感謝を申し上げさせていただきます。

 我々被災地一丸となって復旧復興に取り組み、この日本の再活性化に向けて頑張ってまいる所存でございます。政府におかれましては、地震、津波、原発事故というこの複合災害、世界じゅうの、もちろん党内の英知もしっかりと結集しながら、一刻も早く国民に安心と安全を取り戻していただきますことを心からお願い申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 私は、災害以来、地元を回っておりまして、さまざまな御意見を伺います。そういった中で、津波の被害に遭ったり地震の被害で工場が被災して、その再建を考えるときに、ほかの場所での再建を考えていらっしゃる経営者がいらっしゃいます。ほかの場所で再建されたならば、失業者がさらに増加してしまいます。

 また、私の地元には蔵王などの観光資源がございまして、そういったところでの観光客の減少が見受けられます。また、今回の津波で広範囲に及ぶ堤防の決壊、その結果として沿岸部が非常に危険な状態であります。そして、すべてを失った被災者の将来に対する不安。

 こういった中でぜひお願い申し上げたいのが、東北地方の高速道路の無料化です。東北地方の高速道路を無料化することによって、物流コストは圧縮されます。当然、製造コストが圧縮されることになります。被災した場所の近くでの再建のメリットがあるんです。また、温泉などの観光産業の復興にもつながります。

 そしてまた、今回の津波で非常に興味深かったのが、高速道路が堤防の役目を果たしたということです。高速道路の海側と陸側で被害が明確に分かれている。

 思い出してください。我々はマニフェストで、高速道路が無料になれば、乗りおり口が多くできて、そこに町ができると言ってまいりました。今、こういった状況の中、集団移転を考えていらっしゃる地元の方々もいます。そういったこれからのまちづくりに対しても、この高速道路の無料化というものは役に立つと考えております。何よりも、被災した方々にわかりやすい、将来をイメージできる、そういった政策であると思います。

 そこで、国土交通大臣、大畠大臣にお伺いいたします。高速道路無料化に対しての御所見をお伺いします。

中井委員長 大畠国交大臣。端的に短くお願いします。

大畠国務大臣 橋本議員の御質問にお答えを申し上げます。

 先ほど渡部恒三先生からも、今回の震災に当たっての政治家としての心構え、そして歩むべき道を教えていただきました。私も、全力でこの大震災に対して取り組んでまいりたいと思います。

 その中で、橋本議員から御質問をいただきました東北地方を中心とする高速道路の無料化の話でありますが、現在、非常に産業も地域も壊滅状態になっておりまして、これからどう立ち上がるかということでございますが、その一つの考えとして高速道路の無料化があろうと思います。これを起こすことによって、地域の産業あるいは地域の経済も大きく立ち直る、このようなきっかけになればと考えております。

 そういう意味で、ただいま各党間でいろいろな御意見を賜っておりますが、真剣に、橋本議員の御提案を受けて、各党の意見を拝聴しながら、国土交通省としても検討してまいりたいと思うところでございます。

橋本(清)委員 ありがとうございます。

 やじ馬がふえるとか言われておりますけれども、やじ馬でも何でもいいから被災地の惨状を見ていただきたい。人が来れば、観光は潤い、物も売れます。そして、やじ馬で来た方も、被災地の惨状を見たら、お帰りになられた際、東北地方は大変だな、宮城県は大変だな、東北の米を買おう、野菜を買おう、お酒を買おう、そう言っていただければ本当にありがたく思います。

 少なくとも、未曾有の大災害だからこそ、東北の高速道路については無料化の社会実験をやるべきであり、新しい東北再興の創造的社会実験とも言える無料化実験であるこの高速の無料化、国民の理解は得られると思います。

 菅総理にお尋ねします。

 震災復興の起爆剤として、東北地方の高速道路の無料化について政治的決断をお願い申し上げます。

菅内閣総理大臣 地元宮城の中でのいろいろな状況をこれまでもお伝えいただいて、ありがとうございます。

 その中で、これからいよいよ復旧復興に向けて歩み出すときに、いろいろな工場の立地、さらには観光のさらなる復活から発展へと、そのためには、高速道路、東北自動車道について料金を無料化していく、このことが大変効果的であるという御指摘は、私もそのように感じております。

 もちろん、相当程度の財政措置が必要でありますけれども、東北全体を復旧復興、さらには元気な東日本をつくっていく上で極めて有力な選択肢、そのようにとらえて検討してまいりたい、このように考えております。

橋本(清)委員 総理、ありがとうございます。総理からのそのメッセージ、希望に向けて我々頑張ってまいりたいと思います。ありがとうございます。

 そして、鹿野道彦農林水産大臣におかれましては、私の地元名取市閖上地区で、津波で大きな被害を受けた排水機場を御視察いただきました。この排水機場は、国営かんがい排水事業南貞山堀沿岸地区の排水機場の一つです。今回の予算で事業に着手していただける、そういっためども立っておりました。しかしながら、今回の津波により深刻な被害が生じました。

 大臣は、御視察後、その場で直ちに農業排水路の復旧を命じられ、関係者に、今まで皆さん頑張ってもらった、これからは我々政治家が頑張る番だ、安心してくださいとおっしゃられました。この言葉とその後の瓦れき除去の開始のスピードに、私を含め関係者がどれだけ勇気づけられたかわかりません。本当にありがとうございました。

 さて、今回、除塩を含めた災害復旧事業を補正予算で計上なされたと伺っておりますが、今後の農地などの復旧方針について、大臣の御所見をお伺いいたします。

鹿野国務大臣 大変な被害を受けているこの農地、本当に恵まれて、今日まで長い間、連綿とすばらしい作物を供給してくれたこの農地を何とか復旧させなければならない、こんな思いの中で、今回、もう既にその復旧に向けて作業も始まっているわけでありますけれども、このたびの国会におきましても、まず除塩、そしてさらに区画整理をやっていく、こういうふうなことの新たな法律も提出をいたしているところでございます。

 そういう中で、とにかく一刻も早く作付をしたいという農業者の方々のお気持ちに何としてもこたえてまいりたい、このような考え方に立っているところでございます。

橋本(清)委員 そういった中で、農地の復旧に一丸となってお取り組みになられていることは私も十分承知いたしておりますが、しかしながら、作付ができない方々がおります。そういった農家に対しましての支援についてお答えいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 これから復旧に向けていろいろな作業が行われるわけでありますけれども、農業者の方々に直接その作業に当たっていただく、そしてまた復旧に向けて農業者の方々が共同でいろいろなことに当たっていくというふうなことにおいて組合を組織していただく、そしてそういう中で、被災農業経営再開支援事業というふうなもの、今回措置をしたわけでありますけれども、その事業に取り組んでいただくというふうなことで生活の今後の糧にしていただく。そして、農業者と一体的に農地の復旧に向けて取り組んでいきたい、こんな思いをいたしながら具体的な施策を講じさせていただいているところでございます。

橋本(清)委員 農業者の保護、しっかりとやっていただきたいと思います。

 そしてまた、今回、大津波でございます。漁港は甚大な被害を受けました。私の地元においても、閖上、荒浜、磯浜の漁港がその被害に遭っております。

 今後の漁港の復興に当たり、どのように復興にお取り組みになられるのか、大臣の御所見を伺います。

鹿野国務大臣 今回、漁港も大変な被害を受けられました。太平洋沿岸部だけでも三百十九漁港に及んでおるところでございます。そういう中で、とにかく一刻も早く海に出たいという漁業者の方々のそういう思いにこたえるためにも、部分的にでも施設の使用が可能になるように、こういうふうなことで応急措置を進めておるところでございます。今委員が言われた閖上港はもう既に着手に入っております。

 そういう中で、今後、応急措置と同時に、どういう形で漁港を復旧復興させていくかということは、構想会議においてもいろいろ検討されるわけでありますけれども、地元の方々の考え方というものをお聞きしながら、県そして私どもが一体的にこれからも取り組んでいかなきゃならないと思っております。

橋本(清)委員 先ほど大臣の御答弁にありましたけれども、ぜひとも地元の意見を聞きながら復旧復興に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、自衛隊に関する質問です。

 今回、自衛隊の皆さんに非常に頑張っていただいておりますし、また、我々も、自衛隊の方々の姿を見ますと、本当に安心して被災地におることができる。

 そういった中で、陸上自衛隊の以前ございました行事で東北方面隊にお邪魔したことがございました。そのときに、今回の統合任務部隊を指揮する陸上自衛隊の君塚栄治方面総監とのお話の中で、何とかしなければならないと思ったことがございます。

 君塚方面総監のお話では、災害が起こった緊急時、自衛官同士で結婚している場合、エリアで招集がかかった場合、幼い子供を預ける人を探す暇がない、そういった悩みをおっしゃられていました。

 私は当時、近い将来、宮城県で必ず地震が起きると考えておりましたから、そういった災害のときに、自衛官の方々が後顧の憂いなく、家族を心配することなく災害復旧任務に当たっていただけるように、この問題を解決しなければならないと考え、本日、予算の理事として座っている城井崇君とともに、当時の楠田政務官、長島政務官、そしてその後、安住副大臣に対応をお願い申し上げた経緯がございます。

 北澤防衛大臣にお尋ねいたします。

 今回の震災に当たり、この問題点は解決されていたのかいなかったのかについての御答弁、よろしくお願い申し上げます。

北澤国務大臣 大変細かなところに気のつく御質問をいただきました。

 我々とすれば、災害時の緊急招集について、常日ごろこのことについては意を用いておるわけでありまして、ちなみに申し上げますと、今回の震災についても、陸上自衛隊の十九個駐屯地において、震災発生当日、三月十一日に駐屯地施設内に児童一時預かり所を開設して、託児支援を実施いたしました。また、全国四カ所、陸でいいますと三宿、熊本、真駒内等、自衛隊駐屯地に設置しておりますところの庁内託児施設のうち、海上自衛隊横須賀基地については、隊員のニーズにより、緊急一時保育を実施いたしました。

 今回は、今までの自衛隊の歴史においてもない十万人態勢でありますから、十分に機能したとは言いませんが、常日ごろ心がけておりましたことが機能したというふうには思っております。

 そこで、さらに、二十三年度の予算については、各駐屯地に必要物品を整備するための予算も計上いたしておりますので、さらに一層この面についての充実を図ってまいりたい、このように思っています。

橋本(清)委員 時間が来てしまいました。海江田大臣、質問、原子力災害の補償の問題があったんですけれども、またよろしくお願いします。

 政府一丸となってこの国難に立ち向かっていただきますようお願い申し上げるとともに、我々被災地一同、一丸となって復旧復興を通じてこの国の再活性化に貢献いたしますことをお約束申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、畑浩治君から関連質疑の申し出があります。渡部君の持ち時間の範囲内でこれを許します。畑浩治君。

畑委員 岩手県選出の畑浩治でございます。本日は、被災地の皆様の思いを込めて質問に立たせていただきます。

 大臣各位におかれましては、震災以降、岩手においでいただき、被災状況を見ていただきまして、本当にありがとうございました。その際に、でき得ることは何でもやる、そして、とり得るあらゆる手段をとって進めていくという力強いお言葉をいただきました。また、震災以降、被災地復興復旧、そして支援活動、こういうものに取り組んでおられる関係機関の皆様にも深く敬意と感謝を申し上げます。そして、ボランティアあるいは物資支援でたくさんの方に支援をいただきましたことも、改めてこの場をおかりいたしまして御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 春の遅い岩手でもやっと桜が咲いております。津波で折れた枝からも桜が咲いております。私たちは、この逆境の中で咲く桜のように、一歩一歩着実に復興に向けて前進していきたいと思っております。

 さて、復旧復興のためには、まず今回の一次補正、これは迅速に通さなければならない。これはもう必須のことであります。ただ、これはあくまで第一歩だと思います。つまり、今回の災害は、二十五兆を超えると言われる非常に大きい被害額がございます。これ以降も万全な補正予算が必要になる、そういうわけでございますが、この中で若干、財源に関して気にかかるところがあります。というのは、財政規律にちょっと偏った議論が行われているんじゃないか。これは、いろいろな議論、報道等で聞きますと、若干私はそういう気持ちを受けるわけでございます。

 私は、現時点で、増税というものは財源確保策として厳に慎むべきだと思っております。被災地の議員として被災地にいますと、肌感覚として当然そういう気持ちにはなりませんが、これは被災地だけではありません。被災地を支える日本の経済を沈ませてはならない、そういう観点からも、増税、あるいはもう一つは、増税をして直ちに償還財源とセットにするという考え方も報道等でありますが、私は、これはいかがかなと思っております。

 なぜ増税がいけないのかということを、資料、パネルも含めて用意させていただきました。これは皆さんには恐らく釈迦に説法のところもございますが、乗数の比較でございます。

 この乗数は、この表でいきますと、下の方の紫といいますかピンクといいますか、VATアップ三%、下にマイナスでおりる部分の棒グラフがございます。これは、三%仮に消費税をアップさせた場合、どれぐらいGDPにマイナスの影響があるかということを示したデータでございます。数年にわたって五%のマイナスが続く。そして一方、この上の方、例えばIG、オレンジでありますけれども、これは公共投資であります。この公共投資は、五兆公共投資をしたときに数年にわたって二%ちょっとの乗数効果がある。

 ということを考えると、いろいろな政策をやっても、あわせて増税をするということは、恐らくそのマイナスの方が大きいんじゃないかなと思っておる次第でございます。

 そして、財源をどうやって確保するか、これは今後いろいろ政府でも考えられて議論をされるんでしょうが、私は、もちろん、一つは埋蔵金、いわゆる剰余金ですね、この活用はあってしかるべきと。二〇一〇年ベースでいきますと、予算ベースで十四・三兆、決算ベースで二十五兆ぐらいになるとも言われておりますが、これは、それぞれの制度に理由がある、だから、完全に使うことは無理なことは私も知っておりますが、こういう未曾有のときには、これを幾分使うということはあってもいい。つまり、これぐらいの額が必要なのかという観点からも、再検討が必要だと思っております。

 それから、もちろん、これだけで賄うのが大変であれば、国債という方法もあります。復興国債、建設国債であります。こういうことを含めて財源を万全に構えるべきだ。

 国債の信頼性云々と言われますが、これは、例えば政府と日銀の一体的運営で相当程度その問題を回避できる。つまり、国債を発行した場合に、それを市中で買ってもらう、その同額を日銀が同時のタイミングで市中から買う。そうすることによって市中の国債の需給は均衡している、変わらない、そして市中に資金が供給される。ということで、日銀の引き受けをしなくても、日銀引き受けと同じような効果が出るような運用ができると思います。これは一つの私案であります。

 財政健全化の方法はあるわけです。財政健全化というのは、財政規律というものは、純債務が分子、そして名目GDPが分母になりますが、この純債務の分子だけを減らすことを考えるのではなくて、分母のGDPもふやすことを考える。この両方のバランスをとって中長期で考えていけばいい話であって、何も私は、償還の財源を考えるなとか、増税はいかぬと言っているわけではない。ただ、今、少なくとも五年ぐらいの間で増税というのは、私はいかがかなと思っております。こういう問題意識を持っております。

 こういうことを踏まえまして、まず基本的な考えを総理にお伺いしたいわけでございます。

 総理、現在の経済に悪影響を及ぼさないような形での財源確保が必要だと考えておりますが、そこに対する御認識と、そして、復旧復興の財源確保と財政再建の議論がちょっと混同してリンクされ過ぎること、これは弊害だと思いますが、ここに対する御認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 さまざまな観点から経済や財政への影響についての御指摘をいただきましたが、一部報道等で、財源ありき、あるいは増税ありき的な報道がありますけれども、政府として確定的にどの税目を上げて対応しようということではございません。

 今、復興構想会議において復興に向けての青写真づくりが行われております。青写真がつくられて、対策の規模が明らかになったときに、では、それを実現するための財源はどうするかというのがこれからの議論のプロセスであって、それは、当然のことながら、歳出歳入両面の観点からの議論を丁寧にやっていく必要があろうというふうに思いますし、今さまざま委員の御指摘いただいた点も含めて、経済への影響あるいは財政に対する内外の信認、いろいろな観点から議論をしていくべきだろうというふうに思います。

畑委員 今、財務大臣から御専門的なことを最初伺いましたが、総理も現地に入っていただいて、現地の厳しい状況を見ていただいておるわけですが、その肌感覚として、総理の今に対する総括的なお考え、個人的なお考えで結構で、ざくっとしたことでも結構ですので、ちょっとお答えいただければと思います。

菅内閣総理大臣 私は、この復興を進める上で相当程度の財源が必要になる、それは、使い道をしっかりと、復興につながる、あるいは経済の活性化につながる、そういうものに振り向ければ経済的にも効果が高いわけでありますので、そこは思い切って財政出動が必要だと基本的には考えております。ですから、今の議論がやや財源論ありきではないかという御指摘には私も少し注意をしなければいけない。まずは、どういう青写真をつくり上げて、どういう新しい社会に向けての復興を進めていくかという、その中身が最も重要だと考えております。

 その上で、財政再建ということとこの問題を余り直接に結びつけるべきでないという御指摘もよくわかります。逆に言えば、同時に、日本の今の状況が、国際的にもあるいはマーケットからも信認を得続けている形の中でこの復興を進める、そういうためにどういう形で進めていくべきか、これはこれとして考えていかなければならないことであるということも触れておかなければいけないと思っております。

畑委員 今お答えいただきました。復興財源というのは、額と期間が限定されたワンタイムのものであります。つまり、これはまさに建設国債の典型的な例、つまり、こういう国債を出して、復興が軌道に乗ったときに税収の増加で返せるもの。そして一方、財政再建というのは、社会保障等の恒常的な財政支出に足りない部分を恒常的にどうするかという議論、つまり、今まで社会保障も含めて積み上がった何百兆の借金をどう返すかという議論であります。つまり、違うタームなんですよね、段階が。そして今、これまで積み上がった借金返済の議論を復興にかぶせるような議論、それだけはあってはならない、私はそのことをお願い申し上げておきたいと思います。

 そして、次の質問をさせていただきます。

 地元で復興市街地のあり方について、私も歩いていろいろお聞きします。それで、聞くと、今のところにそのまま帰るということはあり得ないというコンセンサスはあるだろうと思います。ただ、要は、しかし遠くは嫌だ、つまり、近くがいい、近くの安全なところがいい、だから近くの高台へという議論につながります。ただ一方、これは土地の関係もあって難しいところもある。あるいは、今の被災した土地を国が全部買ってくれるのか、それぐらい財源措置ができるかという危惧もございます。こういう、ちょっと支援策も含めて心配があるので、なかなか絵を描けないところがある。地域によっては、もちろん高台もあるでしょう、あるいは一部高台で一部下で、折衷案的なことになるところもあるだろうと思います。

 資料二でお配りしておりますが、これは被災しました私の地元の岩手県野田村でございます。この海側の線、これは海から五百メーター、そして、中側の線は海から一キロ、千メーターでございます。今回、津波の直接的な力で五百メーターの中は壊滅しました。この写真を見てわかるように、一面野原であります。そして、五百メーターから千メーターもほぼ壊滅しましたが、これは、防潮林とか、あるいはコンクリートブロックとか、家が壊れたものが流れてきて、二次的に壊滅した地域であります。

 こういうことを見ると、野田村は、考えるに、十分な奥の土地がない。村有林が一部ありますが、そこに移ることを考えても、全部、千メーターまでの部分を賄い切れない。だから、最悪の五百メーターの部分は、これは移ってもらおう。そして、五百から千は、防潮堤のかさ上げ等も含めながら再建をしようという考え方もしているようであります。

 要は、申し上げたいのは、地方の実情を踏まえて、そして丁寧なパターン化のもとで、条件づけのもとで、国の方針をしっかり示していただきたい、そういう議論をしていただきたいというのが一つ。

 そして、その場合に、いろいろな課題がございます。集団移転、細々挙げるといろいろ考えられます。つまり、例えば、ライフラインについては、個別ではなくて一括してやるような体制が必要である。あるいは、集団移転についての現行制度の支援はこれでいいのか。つまり、現行は、移った場合に四分の三の補助を土地造成について市町村に与える、あるいは、住宅は借金をして建てなさい、利子補給がありますよというぐらいであります。恐らくこれでは足りないんだと思います。土地の買い取り、あるいは買い取るのが無理であれば換地の制度を新しくつくるのか、そういう権利調整、権利保全の手続も必要になります。

 また、高台に家をつくる場合に、家を一からつくってくださいというのはできないんですね。お金がないです。だから、公共住宅をつくって、そこに賃貸で入ってもらうということも考えなければいけない。その場合、公共住宅の支援が今のレベルでいいのか。あるいは、家賃低減のための家賃補助が必要になるかもしれない。そういうこともあるわけです。

 こういうことを含めまして、まず基本方針、あるいは支援の拡充、そして移転のルールの明確化を含めて、これは新規立法が必要かもしれませんが、こういうことも含めて、どのように進めていこうというお考えなのか。そして、いつぐらいまでにビジョン、基本方針がしっかり示されるのか。この辺のところをお伺いしたいと思います。

 国土交通大臣にお願いします。

大畠国務大臣 畑議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 畑議員は元建設省で仕事をされた経験をお持ちでございますけれども、そういうものを踏まえた御質問だと受けとめました。

 この復旧復興については、政府として、現在、復興会議というものを設けておりまして、その中で取りまとめをされていると承知しておりますが、私ども国土交通省としては、三井副大臣を中心に関係者が集まって、この復興会議に向けての提言を私たちとしてもしようということで、先日まで五回の会議を行いました。

 そのときのおおよその話を申し上げますと、まず、御指摘のように、災害に強いふるさとをつくらなければならない、渡部恒三先生からは、よりよいふるさとをつくれ、こういうお話もございましたが、私たちもそのような構想といいますか、基本的な考え方に立って進めてまいりたいと思います。

 ただし、それも、御指摘のように、地域の、地元の皆様方がおられるわけですから、その皆様方がどのような町をつくるかということを希望されているか、それを大変大事にしなければならないと思います。したがいまして、私ども国土交通省としては、幾つかのメニューをお示しし、その中から地域の方々が選択をしていただく、こういうことが必要だろうと思います。

 被災者の皆様方の生活の再建、あるいはインフラの整備、そして被災した市街地の、先ほども写真を見せていただきましたが、復興に向けて、地元の自治体の皆さんあるいは住民の方々の御意見、そして復興構想会議の中で取りまとめられると思いますが、いずれにしても、災害に強いふるさと、そして従前よりもよりよいふるさとをつくるために、そのようなメニューが提示できるように全力で頑張ってまいりたいと思います。

畑委員 答弁ありがとうございました。

 いつまでに、時期というのはお示ししにくいんでしょうからそのお答えがなかったんですが、当然、二次補正の前、あるいは、しかるべきそんな遠くないまでにあると理解しております。

 地方は国よりも早く実は復興について絵を考えておりますが、しかし、国の支援がどの程度あるかはわからない、そこで現実性のある絵をかけない、そういう考えがありますので、早くその方針を示していただいて、支援のメニューもよろしくお願いいたします。

 そして、最後の質問をさせていただきます。農林水産大臣にお伺いしたいと思います。

 当地、主要産業は漁業でございまして、漁業の対策について、一次補正でかなり応急的な支援をしていただいたものと感謝しております。

 その中で、三点お聞きしたいわけでございますが、生活等の支援でございます。これは、まず、漁業が軌道に乗るようになるまでの生活支援……

中井委員長 畑君、時間ですので短く。

畑委員 はい、わかりました。端的に申し上げます。

 漁業、養殖漁業も含めて、軌道に乗るまでの支援をどうしてくれるのか。

 そして二点目は、既往債務の問題です。つまり、二重債務があるわけですが、そこの既存債務の負担の軽減、新規債務の負担の軽減をどうするのか。

中井委員長 答弁時間がなくなりますよ。

畑委員 この二点をお伺いします。

中井委員長 鹿野農水大臣。短くやってください。

鹿野国務大臣 平成二十三年度の補正予算といたしまして、漁場復旧対策支援事業ということで百二十三億計上いたしているところでございます。これからも取り組んでまいります。

 また、養殖につきましては、御承知のとおりに、今回激甚指定をさせていただきまして、魚類の養殖あるいは貝類、海藻類の養殖、大くくりに分類いたしまして、そして被害のあった養殖施設を幅広く対象にしております。これからも関係者の方々の意見を聞きながら積極的に取り組んでまいります。

畑委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて渡部君、橋本君、畑君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 与党統一会派、国民新党・新党日本の田中康夫です。

 開闢以来の国難を迎えて、今、この国の形の前に、この国のあり方が問われていると考えます。いわば政治が、行政が信じて疑わなかった天動説から地動説へと哲学を大転換する、それほどの覚悟が求められている。二十四分の質疑を通じて、議員、閣僚の方のみならず、テレビやインターネット、そして被災地でラジオをお聞きの皆様とともにこのことを考え、行動したく思います。

 今度は三十メートルの津波に耐えられる巨大な堤防を沿岸部にと述べる学者がいます。しかし、今回私たちが痛感したのは、どんなに科学技術を駆使しても自然には打ちかてないことがあるという冷厳な事実であります。

 もちろん漁港は再整備するとして、住まいに関しては、三陸のリアス式海岸にも似た険しい地形が続くイタリアはジェノバ周辺のリグリア地方のように、数十メートルの高い台地の上に住まいを移し、ケーブルカーで行き来する新しい職住近接の集落を再生し、豊富な海産物資源を消費者に届ける日本の漁業を営むことが、無念の最期を遂げられたはらからへの鎮魂と私は思います。

 同時に、津波で塩田となった計二万ヘクタールもの水田から塩分を除く土地改良を三年で行う法律案を、三日前の二十六日に政府は閣議決定しました。いまだ仮設住宅に移り住むめども立たず、いまだ放射能という見えざる敵に打ちかてるめども立たぬ中、その土地改良費用は、今回の補正予算だけでも六百八十九億円もの計上です。

 私は、あえて申し上げれば、優先順位を間違えていると思います。自給率の向上は喫緊の課題ですが、日本の水田の面積は昭和三十年代の半分に満たず、しかも、減反政策で、休耕田も荒廃農地も全国に点在しています。今までの土地で稲作を再開したいというその思いは理解できます。しかし、その場所は、貞観地震が示すように、数十年、数百年後には再び津波に見舞われる、そうした土地だということです。大切なのは、私は、もっと内陸の休耕田を整備し、換地をその同じ自治体の中でも行い、意欲を有する農業者に稲穂を実らせていただく、それこそが私は政治主導であろうと思います。

 後ほど述べますが、塩田となった一帯は、ラムサール条約に認められるような湿地帯として再生をする、そして、実は日本の研究者が新たに発見をいたしました藻であります、一ヘクタール当たり年間一万トンの炭化水素をつくり出せるオーランチオキトリウム、これは藻から石油を生み出す新しいエネルギーシフトでございまして、これこそ私は国策として展開すべきだと。このことが、オンリーワン、ファーストワンの物づくり産業で世界から評価、信頼されてきた日本が今回の悲劇を乗り越えることではなかろうかと思います。

 いわゆる科学を信じて技術を疑わずの二十世紀の方程式から、科学を用いて技術を超える二十一世紀の新しい方程式を生み出す。それはまさに地震、津波の被害国日本が他方で今や世界に対して放射能での加害国となっている、この事実を踏まえてきょうは議論させていただきたく思います。

 今申し上げました新しい方程式は、私は、いわゆる財源においても新しい方程式を生み出さねばならないと思っております。増税で景気浮揚した国家は古今東西どこにも存在せずということを、代表質問や予算委員会で国民新党・新党日本は繰り返し述べてまいりました。

 残念ながら、震災後に説教強盗のごとく増税を唱える方々がいらっしゃいます。与謝野馨さんもこのお一人かと思います。私どもの亀井静香は、与謝野さんを大変評価いたしておりますが、この点は、旧大蔵省や財務省がつくり出した方程式に忠実に演算をするということにおいて与謝野さんは大変たけていらっしゃるということだと思います。しかし、その演算の方程式によって一千兆円もの巨額の借金ができてしまったわけであります。そして、私たちは、新しい社会的共通資本というものを整備せねばならないわけでございます。

 といたしますと、新しい方程式をつくる、そのことが、私たちは、昨年来、休眠口座、これはいわゆる過去十年間預貯金者と連絡がとれず、法律が根拠ではなく、全国銀行協会の内規に基づいて預貯金者の権利が失効し、金融機関の不労所得と化している年間一千億円近いこの金額を、イギリスのデビッド・キャメロン政権のビッグ・ソサエティー・バンク構想に基づき、私たちも、これを新しい社会的共通資本の整備に向けるべきではないかというのを述べております。

 閣僚の中でも、幾人かの皆様には御賛同いただいておりますが、残念ながら、全体として政府の動きになっているとは言えません。この点は、私どもの会派で近く議員立法という形で御提案したいと思いますので、与野党を超えて、委員の方々にもぜひ御賛同いただければと思っております。

 もう一点は、私は、日銀の直接引受国債というものを百兆円規模で発行すべきだということを震災直後から申しております。これは電波媒体や活字媒体で述べてきたんですが、この日銀直接引き受けというものは、確かに、国は日銀に利息を払いますが、国庫納付金として利息は国に戻ってくるわけでございます。すなわち、国民負担というものがない中で新しい方程式をつくれるというふうに私は思っております。

 もう一点は、これは読売新聞の渡辺恒雄主筆も以前からおっしゃっている無利子非課税国債あるいは無利子国債と呼ばれております、こうしたものを発行して眠っているたんす預金というものを有効活用すべきではないか、こういう考えがあります。

 この点に関して、菅さんの御所見を改めてお伺いしたく思います。

野田国務大臣 いろいろ御提起、ありがとうございました。

 御指摘で具体的にあったものについて確認をさせていただきたいと思いますが、一つは、相続税を免除する無利子非課税国債でございますけれども、これについては、無利子ゆえに失われる利子収入よりも軽減される相続税額の方が大きい方が主として購入をされるというふうに思いますので、国の財政収支はその分悪化することになるかと思いますし、加えて、これはちょっと過去の事例で、フランスで、戦費調達で、一九五〇年代、ピネー国債というものを発行したことがあると思いますが、これも余りうまくいってなかったというふうに思います。ただ、今いろいろな計算式で資料を見せていただきましたので、よく勉強はさせていただきたいというふうに思います。

 それから、日銀の直接引き受けについては、戦前戦中、多額の公債を日銀が引き受けたことによって急激なインフレが生じたことを踏まえまして、現在、財政法においては、第五条で、公債の日銀引き受けを原則として禁止し、公債の市中消化が原則となっております。現在、国債の発行、消化が総じて震災後も円滑に行われておりますので、こういう特別な国債が、あるいは引き受け方が必要かどうかは、これはよく、慎重に検討しなければいけないと思います。

田中(康)委員 国債を多くするとまさに評価が下がるので長期金利が上がるというような意見があります。しかし、増税をすれば、これは被災地だけでなくて、日本全体の景気がさらに失速をしていくわけです。ましてや、少子社会でございますから、二十年後には日本の人口は九千万です。労働人口も激減していく中で、新しい方程式ということが必要だと私は思っております。

 これは、例えば米国債を初めとする外国債を日本は八十兆円持っているわけです。これは決して、別に米国債を日本が売却するわけではありません。中国のような国を初めとする幾つかの国は、こうしたことを逆によいカードとして、担保として使っているわけです。ですから、日本がこの八十兆もの外国債というものを売ることなく、担保として日銀直接引き受けを行うということは、逆に、日本が自虐史観になっているから、何か国債をふやせば国債市場が悲観的になるんじゃないかというこの発想を逆転しなくちゃいけないと私は思っています。

 もう一点の、ちょっと今、パネルをごらんください。復興無利子国債に関しましては、今回、同じ会派の下地幹郎と一緒に経済効果を試算しました。総務省の会計調査、国税庁の統計年報書、日銀の賃金循環統計をもとにしています。

 家計の金融資産は合計千四百兆でございますが、そこからローン等を引いて千百兆、そこからさらに保険や年金の準備金というものの四百二十兆を引いて、これが六百九十六兆でございます。七十歳以上の方の保有割合がこの中の五三%ですので、ここに記しました三百六十九兆となります。

 誤解なきように申し上げますが、これは、お年寄りの財産を奪い去ろうということなのではございません。お年寄りの財産は、いつか、生前贈与であったりあるいは相続という形になり、そのときには税金がかかるわけでございます。

 今回は、三年の時限で生前贈与を非課税とする。そしてそのうち、三百六十九兆の半分の百八十四兆は非課税の贈与財産として、ほぼ三、四十代から五十代の方々に渡るわけです。これは、これらの方々の消費性向は約七割でございますので、十年間で消費に回る額が百二十九兆、消費に回ることによってGDPが増加をしますから、税収弾性値一・一を掛けますと、十一・六兆という形になります。

 他方で、上に書いてございます生前贈与の残り半分、百八十四兆は、今回発行する復興無利子国債というものの購入を義務づけるという形でございます。これはすべて国庫に入ります。公共投資に回せます。政府支出が増加しますから、GDPが増加します。同じく弾性値を用いますと、十年間で十六・五兆、合わせて二十八・一兆の増収でございます。

 現行の相続、贈与税収は、土地、不動産も含めた数値で年間約一・二兆円でございます。一番下に記しましたように、全世代で十年間で四・五兆でございます。仮に今回三年の時限を行いますと、百八十四兆ですから、年間に六十一兆の国債発行が可能となります。この試算に関しましては、皆様のお手元の二枚目の説明のところにも記しました。

 これを、将来返すのはどうするのだというようなことをおっしゃる方がいます。しかし、開闢以来の状況の中で、私が申し上げている新しい方程式をつくらなければいけないということであります。ですから、形を先につくってしまうようなシーリングではなく、脱ちまちま、脱シーリングという発想で、私は、日本の国のあり方というものを示す必要があろうかと思います。

 ところで、日本は、太平洋戦争、第二次世界大戦では、死亡された戦地の方々の七割というものは、戦闘ではなく栄養失調によってでありました。すなわち、日本は、兵たん、ロジスティクスというものの悲劇がある。

 私は、今回の震災においても、例えば南相馬市、桜井勝延市長は、私が知事になるころからの知り合いであります。今回、四回ほど、小さな力ではありますが、炊き出しであったりあるいは避難所の支援をさせていただき、お話を伺ってきています。

 御存じのように、あのときに屋内退避と言いました。屋内退避だが、自分たちの食べ物は自分たちで自給せよと。しかし、いわゆる風評被害という形の中で物流のトラックも来ない。まさに、これは硫黄島の棄民状態であったわけでございます。

 やはり私は、これは御提言も申し上げましたが、震災から三日間、二十四時間、例えばNHKのラジオ第二放送というものは、法律に基づいて、公共放送ですから指示できるわけですから、二十四時間、三日間、医療機関やライフラインの放送を、それも、福島県、宮城県、岩手県、県域別に放送ができます。茨城に関しましては、単営局の民間の茨城放送がありますから、ここに人員と資金を投入することでそうしたことができる。それがやはり人心を安定させることだと思いました。

 あるいは、自衛隊のヘリは着陸しなければという法律があるというお話でしたが、やはり、手巻き式で電池をつくるラジオであったり、あるいは毛布それから水と食べ物をパックにして、二軒、三軒でも、人の影が見えなくてもその集落に低空で落としていくということは、これは初動の三日間でございます。

 残念ながら、これは、私も自戒の念を込めて、私たちは兵たんということを早急に考えねばならないと思っております。

 この中で自主避難要請という形が出たのも、要請であると、命令ではないから国が費用を持たなくていいのだというような、仮に命令だと国が費用を持つことになるのでコストダウンができなくなるというようなことが共同通信に政府関係者の発言でございましたが、やはり私たちはそこも改めねばならないと思います。

 実は、衣食住というものは、私も阪神・淡路大震災のときに一市民としてボランティアを経験する中で、最初は、まさに着るものと食べ物、つまり、寒さをしのぐ、飢えをしのぐ、そして夜露をしのぐことです。しかし、「意職住」というのは、私は、職業と住まいがあってこそ意欲が持てるということだと思います。

 阪神・淡路のときは、長田区のケミカルゴム工場の方は職も失いました。しかし、多くの方は姫路や大阪に職がございました。今回は、家族や家屋を失うだけでなく、職業や会社をも失ってしまったということであります。

 私は、仮設住宅、この問題は、例えば現時点では各自治体の中でございます、きのう、改めて確認をいたしました。しかし、気仙沼は、県は岩手県になりますが、トンネルを越えてわずか十分の、合併をした一関の場所は当日から電気がついていて、そして、そこには休耕田等がございます。百世帯という単位でなく、例えば集落の中の十世帯、十五世帯という単位で、きめ細かくつくる。南三陸町も、同じ宮城県の、トンネルを越えた登米市は、同様に電気がついていた状況であります。ここにも休耕田や土地はございます。

 ぜひ、自治体単位でなく、これもやはり国が、押しつけなのではなく、兵たんというものは国家がきちんと指針を示して、そして、そのもとで地域の実情がわかっている方々に一緒にお願いをするということが必要だと思います。ぜひとも、この点は関係の省庁の大臣の方にお願いしたく思います。

 もう一点は……

中井委員長 一度答弁を。いいですか。

田中(康)委員 いえ、いいです。

 もう一点は……

中井委員長 言いっ放しだと、答弁できる時間がなくなっちゃいますよ。大丈夫ですか。

田中(康)委員 はい、わかりました。

 もう一点は、私は昔からベーシックインカムを述べてまいりました。今回も、原発の方々には一世帯当たり百万という形です。しかし、多くの被災地の方は、まだそうした支援金が渡っておりません。ベーシックインカムというのは一人ずつに渡す。やはり今からでも一人ずつに十万円ずつ渡すことで、例えば気仙沼の方も網を買って漁業ができます。あるいは、それによってほかに移ることもできます。ぜひとも私は、これは支度支援金と私は呼んでいます。

 誤解を招かず申し上げれば、例えば山谷やあいりん地区の方も、一日二千円の宿に泊まっていれば月六万円です。三万円の部屋が借りられるはずなのに、保証人がいなかったり敷金が払えないという形で、なかなかそこから抜け出せない。

 私は、もちろん仮設をつくるだけでなく、私たちの、国民一人一人が、避難所から自立的に、切り捨てではなく自立的にいくためにも、ぜひベーシックインカムを導入いただきたいと思っております。

 続いて、菅さんにお尋ねをしたいんですが、クリーンエネルギーということに関して、菅さんは、先日の、三月二十九日の予算委員会で、太陽エネルギー、バイオなどのクリーンエネルギーを世界の先頭に立って開発し、大きな柱とするというふうに御発言されました。この菅さんがお考えになるクリーンエネルギーの中には原子力発電というものは含まれるのかどうか、この点に関してお聞きしたいと思います。

中井委員長 それでは、一番最初の兵たんの問題、仮設住宅の問題。松本防災担当大臣。

松本(龍)国務大臣 兵たんの問題についてお答えをいたします。

 発災以来、危機管理センターに参りまして、津波ということになりまして、先ほど来お話がありましたように、一番大事なことは情報でありますから、一番に指示をしましたのは、携帯ラジオを被災地に送るように指示をいたしました。電気もついておりません、ガスもありません、水道もありませんから、とにかく津波情報、余震情報が大事だということで、その指示をいたしたところであります。

 物資の問題につきましては、先ほど言われましたように、自衛隊のヘリ、残念ながら、陸路がずたずたでありましたし、海岸線も、燃料の基地あるいは港、ほとんどがやられ、そして燃料を蓄えるサービスステーションもやられておりましたので、本当に燃料の点では、これから検討課題だというふうに思いますし、私どもも反省をしながら、このことについては努力をまたしていきたいというふうに思っているところであります。

中井委員長 大畠国交大臣。仮設住宅の場所について。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 ただいまの御質問でございますが、私たちも今、場所について非常に苦慮しておりますけれども、いろいろな御提言をいただきながら、同じような地震あるいは津波が起こったとしても災害を受けないような場所というのを中心に考えておりますが、御提言をいただきながら、全力で場所の確保についても取り組んでまいりたいと思います。

中井委員長 原発の一時金の御提議については。

田中(康)委員 それはいいです。ベーシックインカムは提言ですから。クリーンエネルギーに関して。

中井委員長 そうですか。

 それでは、内閣総理大臣菅直人君。

菅内閣総理大臣 クリーンエネルギーというときに、いろいろな考え方がありますが、私は、いわゆる化石燃料によるエネルギーと、それから原子力によるエネルギーを入れないで、例えば太陽、風力、バイオ、水力、そういうものをクリーンエネルギーと、多分、その議論のときもそういうイメージで申し上げたと思います。

田中(康)委員 今のは大変心強いお話だと私は思います。やはり、世界に対する加害国になってしまった国は、今ある原発に関しても、何年でどのように廃炉にしていくのか、それも立派な公共事業でございます。

 そして、今お話があった風力。日本は、太陽電池、太陽光というものは、一九七〇年代は世界で最も技術も市場もすぐれておりました。しかし、残念ながら、国策とならない中で、ドイツや中国の後塵を拝しております。私は、今後、新築、改築の建物すべてに太陽パネルを設けることを法制化するということも世界への発信かと思っております。

 そして、先ほど申し上げましたオーランチオキトリウムというものは、藻でございます。これは筑波大学の渡邉信教授が昨年発見をした藻でございます。

 この藻は、大変に高能率で炭化水素を生成するわけでございます。一ヘクタール当たり年間一万トンの炭化水素でございます。ですから、二万ヘクタールで日本の年間石油消費量を賄える。くしくも、先ほど申し上げた塩田の土地改良事業というものの二万ヘクタールと同じでございます。

 私は先ほどそうしたところをラムサール条約にと申し上げたのは、そうした場所を湿地帯にしてこの藻を設けていく。既にアメリカでは、このことを聞きつけて、あるメジャーの石油メーカーが研究費を投じております。私は、オンリーワン、ファーストワンの日本がこうしたことを行うということも大事であろうと思います。

 先ほどのベーシックインカムを、私は、今後毎月払っていくべきである、自立するまで。それは、現在の発想は、世帯単位で、全壊か半壊かです。半壊の方も同じです。そして、死亡された方には五百万、二百五十万を払うと言っています。大事なことですが、これから生きていく人たちを支援する。皆さんは、子ども手当でいろいろな批判もございました。しかし、世帯単位でなく、家庭や労働が変化する中で、個人に渡す、私はこれはベーシックインカムの先駆けであったというふうに思っております。

 そして、今のクリーンエネルギーというお話がございましたが、私は、同時に、この日本というものは、今回、御存じのように、二時四十六分でした。阪神・淡路大震災は、夜勤の方以外は家族で迎えた五時四十六分でした。ですから、全員助かった、息子は下敷きだ、しかし、向かいの足の悪いひとり暮らしのおばあちゃんを救おうと、地域のきずなや家族のきずながありました。

 しかし、今回の被災地は、二時四十六分であっても、職住近接の場所によって、やはり地域のきずな、家族のきずながあった。日本は、貞観地震の古文書が残っている、平安前期の古文書が残っている国でございます。これは、残念ながらアメリカの歴史の中ではたどることができない、私たちの地域のきずなでございます。

 今回も、駐在所あるいは消防団、郵便局、これは決してピラミッド社会の命令系統なのではなく、横一線で地域のきずなであった。こうした方々が奮闘したことで、被災地の方々が手を助け合ったわけでございます。

 私は、ぜひともこの日本というものが、そうした英知を使うことによって、そして、とりわけ指導者であられる菅さんが、直観力と洞察力、構想力と構築力、そして決断力と行動力というものを皆さんとともに発揮して、この日本というものを信じられる日本にしていくための行動をともにする、そのための法案であったり予算であったり活動でありたい、このように思っております。

 以上で質問を終わります。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、石破茂君。

石破委員 昨日は、発災以来四十九日でございました。この震災、津波によって亡くなられた方々のみたま安かれと心から祈り、そして、今なお現地で苦難の中におられる方々の御労苦に思いをはせ、そして、対応に当たっておられるすべての方々に心から感謝をいたさなければなりません。

 あわせて、きょうは昭和の日であります。あの敗戦、焦土と化した国土から立ち上がった、その昭和を思う日であります。そして、焦土と化した国土をすべてお回りになり、国民を温かく励まされ奮い立たせた先帝陛下、昭和天皇のお働きにもう一度我々は思いをはせ、そして、今被災地をお回りになっておられる今上陛下、本当にありがたいことだと思わねばなりません。

 まず、総理に承りたいと存じます。

 今、渡部恒三元副議長から、いわゆる救国内閣についてのお話がございました。感銘深く承ったことでございました。

 三月十九日土曜日でありました。私も党本部におりました。谷垣総裁から、総理から今電話があったというお話を承りました。副総理、震災担当大臣で入閣をしてほしいという話があったということを承りました。

 私は、自由民主党も、あらゆる野党も、この未曾有の災害に対して、この復興に全力を尽くさねばならない、その思いは全く一緒であります。しかしながら、概念として、震災に限った連立というものはあり得るのだろうか。憲法の規定によって、内閣は、行政権の行使につき、連帯して国会に対し責任を負う、このような規定がございます。総理、当然御案内のとおりであります。

 もちろん、我が国にとって一番重要なのは、この災害から立ち直り、復興し、新しい日本の姿を示すことであります。しかし、そのほかにも我が国は多くの課題を抱えている。先ほど来議論があるように、財政再建をどのように行うのか、税と社会保障の一体改革をどのように行うのか、あるいは、今も極めて予断を許さない安全保障環境に対してどう対応するのか、普天間基地の移設先、これを中心とする日米同盟、これの深化にどのように対応するのか。最低限でも幾つかの基本的な政策に合意がない限り、連帯して責任を負うことはできないはずであります。

 私たちは何も政策協議、政策協議ということを声高に言うつもりもないが、内閣は連帯して国会に対し責任を負わねばならない。震災対策に限った連立などというものは概念としてあり得ない。だとするならば、総理はどのようなお考えでこの連立というものを御提案になったのか。

 一部に言われているように、もし自民党が乗ってくればもうけものである、仮に拒否をすれば、自民党が一緒にやらない、そういうことが国民に印象づけられる、どっちにしても損はない、よもやそのようなことをお考えであったとは思いません。

 しかしながら、この連立についてどのようなお考えであったか。その後、政策協議というものは行われていない。その後、総理からあるいは与党の側からそのような呼びかけも一度もない。では、今後どのようにお考えか、まず承ります。

菅内閣総理大臣 まず、三月十九日に私が電話で谷垣総裁に申し上げたということについて、そうした電話によるそういう話をしたことについて、必ずしも適切ではなかった、つまりは、先ほど渡部恒三先生からも言われましたが、そういう形そのものが、やや私の思慮に欠けるところであったと反省をいたしております。

 私としては、実はそれよりも前からいろいろな形で、二人でお会いしていろいろ意見交換ができないかということもお願いをしており、一度は一人で来ていただけるという場面もあったんですけれども、結果としては、幹事長を同行されておりましたので、私の方も幹事長に同席をしてもらって、余り個人的に深く突っ込んだ話という形はとれないでおりました。

 この電話のときも、私が最初申し上げたのは、一対一でお会いできないかということを申し上げたわけでありますが、いやいや、用件があれば電話でということを言われたものですから、若干、私の思慮の浅さから、少し、そういう形で言うべきでないところまで申し上げたのかなと反省をいたしております。

 今、石破さんの方から、この大震災に関してだけの連立というのがあり得るのかという、かなり本質的な指摘をいただきました。

 私も幾つかの場面を経験している中で言いますと、例えば一九九四年の自社さ政権、最初は村山さんでした。その後、橋本政権にかわる九六年、この折に、私はさきがけの政調会長をしておりまして、政策協議を、九三年の場合は実は、社会党とさきがけが政策協議をし、まとまったものを自民党にお見せし、それを了解という形で三党の合意にその後なったわけでありますが、九六年の場合は、相当、三日ぐらいかけて夜を徹して議論をし、一定の合意を得て新たな政権へとかわっていったわけであります。

 私の頭の中には、谷垣総裁が大きい方向としてそういう連立を含めてお考えをいただけるなら、ある意味当然のこととして、ちゃんとした政策協議を行って、その中で、現在我が党は国民新党とも連立をいたしておりますけれども、そういうことも含めて、あるいは、さらにほかの党との関係もできるとすればそれも含めて、やはりきちんとした一定の連立合意は必要になるだろうと。そのときに、事前に下から積み上げていくのか、ある段階で総裁が、では踏み出そうということでそういう指示を、例えば石破政調会長、我が党でいえば玄葉政調会長などにそういう政策調整を命ずる、そういう形もあるいはあり得るのかなと、そういうことを頭には描いておりました。

石破委員 自社さ政権のお話をなさいましたが、総理も覚えておられると思います。あのときに村山総理が、自衛隊は合憲であるというふうに本会議で発言をなさいました。議場がどよめきました。それまで日本社会党は、自衛隊は違憲である、そう言って支持をとり、議席を得てこられた。その根幹を変えられたのです。それは大変な決断であったと思っております。

 もし連立を組むのであれば、一体どのような政策で民主党は議席を得てこられたのか。マニフェストは国民との契約である、これは絶対に守らねばならないものである、そして、子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、さらには農家戸別所得補償、無駄を省けば金は幾らでも出てくる、消費税を上げなくても大丈夫だ、そう言って議席を得てこられた。そして今の政権がある。そのことについて総理がどのようにお考えなのかということが、政策を合意する最も根幹であると思っております。村山総理の例を出されました。そのような勇気、決断、それを私は総理に求めたいと思っております。

 今回、被災地の方からいろいろな声が寄せられます。連日、我が党本部にも、青森、岩手、福島、宮城、多くのところから、市町村長さん、あるいはいろいろな団体の代表者の方、多くおいでになります。異口同音におっしゃるのは、いろいろ訴えるのだけれどもなかなかそれが届かない、あるいは対応に心が感じられない。

 総理は一生懸命やっておられる。そうでしょう。そんなことを言われるのは心外だというふうにお思いでありましょう。ですけれども、そういう声が聞こえてくるのはなぜなのだろうかということであります。総理の心が、きずなという言葉を使うべきなのかもしれない、被災者の一人一人に、そうだな、総理は我々とともに泣いてくれるんだな、そういうような思いが伝わらなければならないと私は思っています。

 私、農水大臣をやりましたときに、事故米対応、あるいは鳥インフルエンザ対応、多くの声が寄せられました。メール、手紙、ファクス、山ほど来ました。担当の職員は本当に大変だったと思うけれども、一つ一つ返事をするべきだということを申しました。

 膨大ですから、そのようなことはできないということなのかもしれない。だけれども、その多くの寄せられた声にどう対応するようになっているのか。本当に自分たちと政府はつながっている、今すぐにはできないかもしれないけれども、自分たちの声を政府は聞いてくれている、そういうような工夫が必要なのではないですか。

 総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 私も、特に被災地の皆さんとできるだけお会いをする、あるいは、東京に上がってこられたときにはお会いをするように努力をしております。ただ、御指摘のように、なかなかいろいろ、意見が届かないとか、あるいは私自身に対しても、十分にその心が見えないとか、そういう指摘はいただいておりまして、その点は私に反省するところが多々あろうかと思っております。

 私もいろいろな場面を過去にも経験しておりますが、ちょうど薬害エイズのときなどは、別に私自身、今と変わっているつもりはありませんけれども、被害者の皆さんの立場で一つの判断をいたしまして、そういうことの経験もいたしております。

 決して私自身が何かそういうことで変わったわけではありませんけれども、やはり、総理という立場の大きさに対して十分な形での気持ちを伝えることができていないことには反省をしなければならない、このように思っております。

石破委員 私のところも、多い日には七百、八百、いろいろなメールが参ります。それに全部目を通すのは大変です。ですけれども、可能な限り全部目を通し、その中の意見というものは政府にも全部その日その日上げております。そして自民党も、それぞれの議員から寄せられたいろいろな意見を集約して、私どもは単に政府を批判していればいいとは全く思っていません。発災その日から対策本部を立ち上げ、当たり前の話ですが、土曜も日曜も休むことなく、早朝から会議をやって、今まで二回、政府に提言をいたしました。そのような地道な努力が必要なのだと思っている。

 政府の中にも、いろいろな意見を吸い上げる、そういう仕組みをどうかぜひおつくりをいただきたい。このことはお願いをいたしておきます。

 今回、補正予算というのはどこまでを射程に置いたものですか、今回の一次補正。一部報道には、二次補正は今国会には提出をしない、次の国会に提出をする、そういう方針を政府が定めたという報道があります。今回の一次補正というのはいつまでを射程に置いたものなのか。

 議論がありますとおり、お金を逐次投入しておってはだめなのです。多くの資金を投入して、本当に復興に向けての一番最初の足がかりを築き、次につなげていかねばなりません。こういう問いをすると、財政需要が発生したとき、補正予算というのはそのようなものだ、そういうお答えになるでしょう。しかしながら、二次補正というのは、できる限り速やかに組むべきものではないか。戦力の逐次投入をするのではなく、そういうものを集中的に投入することが必要ではないかと考えております。

 この補正予算をお組みになるに当たって、どこまでを射程に置いたものであり、二次補正についてどのようなお考えを総理はお持ちですか。

野田国務大臣 石破政調会長にお答えしたいと思います。

 今回のいわゆる第一次補正予算は、早期復旧、いわゆる復旧をメーンにしたものであって、したがって中身も、御案内のとおり、瓦れきの撤去であるとか仮設住宅の建設などが中心の、約四兆円規模でございます。これは、年度内に支出を見込まれるという事業を中心に選んでいます。

 問題は、その後、恐らくこれは複数回にわたる補正予算を組まなければいけないと思いますが、二回目以降というのは、やはり復興という色が出てくると思います。

 復興については、今、復興構想会議で御議論もいただいていますけれども、しっかりとした青写真が出てきて、そして、そのために必要な対策の規模が出てきて、財源を考えてという段取りの中で組んでいくものであって、現時点で、いつまでに第二次補正予算が出てくるかどうかという確定的なことは申し上げられませんが、もちろんこれも、復旧が終わった後、直ちに復興に移行するために、早ければ早いほどいいことは間違いございませんが、現段階で確定的なことが言える段階ではございません。

石破委員 それは、今回の予算というもの、積み上げたものでしょう。これがいつまでに使えるものだ、年度内、それはそうですよ。ですけれども、復旧を念頭に置いたものであるならば、復興も一日も早く行ってしかるべきものである。それが、答申が出てから、対策が決まってから、それがいつになるかわからない、私は、そういうようなのは余り正しいメッセージだとは思っておりません。

 それでは承りましょう。

 いろいろな本部が乱立をしています、乱立という言葉は失礼かもしれないが。今回やらねばならないことは何ですか。今回の第一次補正でまずやらなきゃいけないこと、それは第一に瓦れきの撤去ですよ。遅々として進まない。第二に仮設住宅の建設です。阪神大震災のときと比べて非常に遅い。そして、商工業者の皆さん、平日はきのうで終わりですよ、四月は。どのようにしてお金を返すのか。それが返ってこないとしたら、それを当てにした人々はどうなるのか。二カ月までは何とかなるでしょう。三カ月目、四カ月目、こういうような資金繰りにどのように対応していくのか。農業は、漁業はどうなるのか。そして、今なお避難所において困窮した生活が続いている、これをどう改善するのか。

 私は、いろいろな本部をずらっと並べ、内閣参与をたくさん任命するのではなくて、瓦れき対策本部、あるいは仮設所建設対策本部、あるいは農地復興対策本部、資金繰り対策本部、そういうふうに、きちんと何をやるところなのかということを明確にした本部を立ち上げるべきだ、そのように思っています。総理は、整理をしたいとおっしゃった。そのときには、何のための本部なのか、だれが責任者なのかということを明確にしていただきたいと思います。

 総理にお尋ねします。

 瓦れき対策が進まない理由は何ですか。仮設住宅建設が進まない理由は何ですか。そのことに対して、今回の補正予算はどのようなメッセージを発していますか。

松本(龍)国務大臣 瓦れき対策につきましては、三千五百十九億、今度計上しております。

 おくれている理由といいますと、本当に、阪神・淡路、私も十六年前経験をいたしましたけれども、このたびは、青森から千葉まで広範囲にわたっておりますし、この間の自衛隊、米軍による御遺体の集中捜索でも、今度は百二十一体出たという状況の中で、遅々としてやはり沿岸線の部分が進まない状況の中で、自治体も大変厳しい状況にある。私どもも、指針を示しながら、自治体あるいは県に対して、今努力を促しているところであります。

 それにつきましても、先ほどの本部の話でありますけれども、今先生が御指摘になられました、まさにそのとおりのチームを今つくっております。被災者支援対策本部、そして、瓦れきの処理のチーム、緊急雇用・就労のチーム、あるいは応急復旧、仮設住宅のチーム、それぞれチームをつくりながら今やっているところであります。

石破委員 私は、そのお答えを総理から聞きたいのですよ。何が被災者の人たちが一番困っているか、市町村が一番困っているか。それは瓦れきの処理であり、そしてまた仮設住宅の建設なのです。お盆までにという話が秋までになり、これについて、やはりみんなが物すごい不安を持っています。

 瓦れき対策がなぜ進まないか。それは、まず第一に御遺体、これがまだ瓦れきの中に存在をしている。では、これをどのようにして、市町村の判断に任せるのではなくて、国が一つの指針を示すということも必要なことなんでしょう。あるいは瓦れきの仮置き場、これをどこに置いたらいいかわからないというところが多くあるのです。その場合に、どうやって民有地を活用するか。あるいはそのお金についても、交付税で対応するのではなくて、十分の十、国が持つというようなことがなければ、市町村はどのようにしていいかわからない。

 多くの地域が瓦れきの処理に本当に悩んでいます。その一つ一つに対して、何でここは進まないのかということを把握しているか。それぞれの理由を把握し、ここにはこのような対策だということがあわせて論じられなければならない。単に、お金を積んだ、そしてこれで進むはずだ、それではどうにもならないと私は思っています。

 これはぜひ総理にお尋ねしたい。仮設住宅の建設が進まない最も大きな理由は何だとお考えですか。

菅内閣総理大臣 まず、本部については、大きな本部が二つあることは御承知のとおりであります。一つは、緊急災害対策本部、これも法律に基づいて私が本部長です。そして、原子力事故に対しては原子力災害対策本部、これも法律に基づいて私が本部長です。その二つのもとに関連したものがいろいろついているわけですが、それにも名前を本部とつけたものがあったものですから、若干、本部が乱立しているのではないかというふうに指摘をいただいておりますけれども、必ずしも並列的にたくさんの本部があるのではありません。

 特に、今おっしゃった瓦れきあるいは仮設住宅については、先ほど答弁をしていただいた松本防災担当大臣に、被災者生活支援特別対策本部、これは先ほどの緊急災害対策本部のもとに置かれたものでありますけれども、松本大臣にその責任者、下の方の本部長になっていただき、そのもとにまた、副大臣を座長とする、瓦れきの問題あるいは仮設住宅の問題等々を取り扱う検討会議が五つほどぶら下がっているといいましょうか、そういう形になっております。

 仮設住宅のおくれということでありますけれども、御承知のように、仮設住宅については、資材をまず手当てすることと同時に、どこに建てるかという、用地の選定といいましょうか確保が必要であります。そういった意味で、現在、用地については、県を含む自治体に中心になってその確保をお願いしており、資材については、本部として、政府として全力を挙げて用意をいたしているところであります。

 そういった意味で、五月中には三万戸の仮設住宅が完成し、お盆ごろまでには希望される方が全員入れるような形で進めていきたい。被災者の皆さんからすれば遅いという御指摘もいただいておりますけれども、精いっぱいの力で迅速に、できるだけ急いで進めてまいりたい。自治体にもそのことを並行してお願いいたしているところです。

石破委員 おくれていることは歴然たる事実です。

 総理がおっしゃいますように、あるところは土地がないのです。あるところは資材がないのです。あるところは人がいないのです。どの地域がどんな問題でおくれているのかということを正確に把握してください。

 そして、補正予算成立後速やかに、その地域に対してどのような対策を打てば、本当に仮設住宅に入るのが早くなるのか。先ほど来、県とか市町村とかいうお言葉が出ました。ですけれども、県も市町村も本当に手いっぱいなんです。では、その自治体をどのように支援していくのか。そして、県の担当者に、市の担当者に、このような方針でいくんだということを示してください。単に文書をつくって金をつくったというだけではだめなのです。その県や市町村が何に困っているかという実態を必ず把握してください。

 そして、対策本部をつくった、チームをつくったというふうにおっしゃいました。本当に一生懸命やっておられるのでしょう。では、どこが何でおくれているのかということを正確に把握してください。そこの人たちにそれが伝わっているかということも把握をしてください。どんなに立派な文書をつくっても、どんなにお金を積んでも、そこへ届かなければ、それはないのと一緒であります。

 御労苦に本当に敬意は表しますが、その点についての御努力をさらにお願いをいたしたいと思っております。

中井委員長 答弁は要りませんか。

石破委員 答弁は結構です。

 今回の補正予算、私ども、緊急に必要なものであるということもよく承知をいたしております。しかしながら、幾つか問題点があると言わざるを得ません。

 今からパネルをお示しいたしますが、この予算を見てまずわかるのは、一つは、借金を出さない、国債を発行しない、これが一つ。二番目、いわゆるマニフェストの撤回、削減、これはごく一部にとどまっている、これが二点目。第三点目、二兆五千億円というお金を、年金基礎部分の国庫負担三分の一から二分の一への引き上げ、このお金を、言い方は悪いかもしれないが、公債特例法案がいまだ成立していないことを奇貨としてこれを震災対策に回す、では、その部分のお金をどうするのかということについて答えはない。これが今回の一次補正予算の特徴だというふうに私は思っております。長いという字を書くのではありません、特徴だと思っています。

 総理にお尋ねします。

 今回、国債を発行しない、その理由は何ですか。先ほど来、二次補正についてもお尋ねをしていますが、二次補正については復興債を出すというふうにおっしゃっておられる。一次においてこのような小細工を弄するよりも、最初からきちんと復興債を出すということの方が、よほど明確なメッセージになったのではありませんか。

 そして、三分の一から二分の一への引き上げは、そこの部分を流用して用いていますが、そこの部分の対策は、穴、ここのすき間の埋め方、これはいつ、どのような形でお示しになるのですか。総理に聞いてます。

野田国務大臣 まず、私の方から。恐縮です。

 まず、委員御指摘のとおり、今回の第一次補正予算は、新たに国債を発行しないで約四兆円規模の財源をつくらせていただきました。委員が冒頭に昭和の日のお話をされましたけれども、昭和二十一年、まさに日本の財政は公債発行の方が税収より多かったと同じような状況が平成二十一年から起こっています。

 その中で、当初予算、本予算を国債発行しないでつくるということはできませんが、なるべく新たな国債を発行しないで、極力歳出等の見直しをしながら財源を確保していこうというのは、去年の暮れにおける補正予算においても同じようなチャレンジをさせていただきましたということを、まさにこれは厳しい震災、こういう状況の中で立ち上がっていかなければなりませんが、一方で、財政に対する信認も得ながら進めていかなければいけない、そういう観点からこういうつくり方をさせていただいたということでございます。

 その後、今御指摘いただいた財源については、いろいろ御批判もあることは承知しています。ただ、すべて万人が納得していただける財源づくりは、そう簡単ではございません。その上で、マニフェストについても、この見直しを今回少しさせていただいておりますし、十分ではないという御指摘があるかもしれませんが、引き続き歳出の見直しもやっていきたいというふうに思います。

 臨時財源二・五兆については、これは何を充てるかというと、税制の抜本改革によって安定財源を確保しながら、それを二分の一に充てるという、いわゆる年金法の趣旨に照らしながらこれから対応していきたいと思いますし、その段取りがどういうふうになるかというと、社会保障と税の一体改革、六月に成案を得ることになっています。その中でその方向性が出てくるというふうに思います。

石破委員 二次では出すとおっしゃっておられるのですよ。格付会社が下げたのは、それは陰謀でも何でもない。本当にこのままいって日本の財政は大丈夫なのかということに対する警告であって、このことを軽々に受け流すべきではないと私は思っています。

 今財務大臣から、税と社会保障の一体改革、ここで三分の一から二分の一へというところを手当てするというお話がありました。マニフェストの見直しも十分ではないとおっしゃいました。我々は当初から、我々に言わせれば四K、ばらまきという言葉を使っていいかどうか。この四K、つまり、すべての人に同じようにということは、本当に困っている人に十分な手当てが行き渡らないということなのです。そして、困ってもいない人にお金を出すということは、どう考えても私どもは意味のあることだと思わない。だからばらまきと申し上げている。困っている人に厚い手当て、困っていない人に回す必要はない、当たり前のことであります。

 だとするならば、このマニフェストについて、見直しも含めてどのような考え方をお持ちですか。そしてまた、税と社会保障の一体改革の本質は、どこにその財源を求めるかなんです。このことは、ひっきょう消費税というものに行き当たらざるを得ない。そこに充てることに決まっているのです。

 そのことは、民主党の皆様方は、無駄を省けば消費税なんか上げなくても大丈夫だというふうにおっしゃってきた。我々は、昨年の参議院選挙において、何もおもしろおかしくて五%から一〇%と言ったわけではない。それは、社会保障の充実であり、三分の一から二分の一へというそこの財源であり、本来消費税で見るべきものを所得税、法人税、そのほかの税収から充てていることは誤りであって、その部分はきちんと明確にしながら、財政の健全化と社会保障の持続性の確保、そのことをやらねばならないと考えてきた。

 消費税をもしここに充てるということであれば、総理が今までおっしゃってきたこと、民主党の皆様方が選挙のときにおっしゃったこと、そのことを根底から見直すことになるのですよ。そのことの認識はおありですか。

菅内閣総理大臣 まず、マニフェストに関して申し上げれば、この大震災発生の前にもちろん提示をし、ある部分実行してきたものであります。しかし、この大震災の発生によって、最も優先すべきことは復旧復興でありますから、そういう優先度も考えて、マニフェストに含まれていたものも、ある意味、見直しも含め、今回の一次補正にも一部充てさせていただきました。二次補正の中でも同様な姿勢で臨んでまいりたいと思っております。

 今、社会保障と税の関係について御指摘をいただきました。この問題も、震災発生前から議論を進めておりましたが、もう一度再開をさせておりまして、六月末には一定の方向性を政府として打ち出してまいりたい、このように考えております。

 その場合に、この復興という問題について、まず復興の構想を立て、そして、どのくらいの規模の事業になるのかということの見通しなども立てなければなりません。そのことと社会保障と税との関係は、もちろん全く関係ないとは申し上げません、関連した流れではありますけれども、考え方としては私は区別して考えるべきだと思っております。

 つまり、社会保障というのは、もう言うまでもありませんが、ここの間の持続可能な形で再構成しなければならないということでありますから、そのことにとっての恒久財源をどのような形で手当てするのか。この復旧復興に関しては、基本的には何年間かの間で復興をなし遂げる、そういうためにどれだけの財源が必要になるか。関連はしますけれども、一つの区分をして考えていきたい、このように思っております。

石破委員 そのとおりです。区分して考えなければなりません。

 私たちが申し上げているのは、復興債というものをきちんと発行すべきであるということ、そのことは一般の会計とは切り離して別管理にしていかなければならないということ、その復興債の償還財源はきちんと明確にしなければならないということ。だれがいつ負担をするのか。ただのランチなんてないのであって、だれかがいつかは負担をしなければならないに決まっているのです。景気がよくなれば、お金が入ってきて、そこから返せる、それは耳には心地よい言葉なのかもしれません。ですけれども、まず基幹三税、所得税そして法人税、消費税、いつの時期にどのような負担を求めるべきなのか、そして冗費の削減、冗費とは言いませんが、国民に御負担をお願いするからには、国会議員の数の削減は当然なのです。そうしなくて国民に負担なぞお願いできるはずはありません。

 そういうことも含めて、いつ、だれが、どのように返していくのかということは明確にしていただきたい。そして、ほかの人に任せないでください。復興構想会議から提言があった、それを受けてというふうによくお話があります。ですけれども、日本国内閣総理大臣として、こうあるべきだというメッセージはぜひ発していただきたいと私は思っているのです。

 そして、消費税のお話、注意深く消費税の言葉を避けておられますけれども、税と社会保障の一体改革において消費税が果たす役割というのは当然あるはずだ、消費税がなぜ安定的な財源であるのかということは、財務大臣をお務めになった総理はよく御存じのはずであります。

 そのときに、消費税に負担を求めるということであるならば、総選挙のときにおっしゃったこととそれがどのように違うのか、あるいはその考え方が一致しているのかということについてお示しをいただかなければならないと思っています。お考えを承ります。

菅内閣総理大臣 まず、復興国債あるいは復興債という御党の考え方については、私たちも、一つの有力な考え方である、このように認識をいたしております。一次補正においては国債を出さないという形で捻出をいたしましたが、二次補正は相当の大きさになるという中では、そういった考え方も十分検討をしていかなければならないと思っております。

 実は、マニフェストでは、二〇〇九年のマニフェストの中では、いわゆる任期の間、消費税は上げないということを申し上げております。そして、二〇一〇年の参議院のマニフェスト、私が代表のときのマニフェストでは、それとは矛盾しない形ではありますけれども、与野党で、社会保障の問題を含めてこの消費税の問題も議論をするということについては、二〇一〇年の我が党のマニフェストに盛り込ませていただいておりまして、そのこと自体は現在も変更はいたしておりません。

 先ほども申し上げましたように、この復興の問題と社会保障の問題は、もちろん全く関連がないとは申し上げませんけれども、やはりしっかりと考え方を区分して、それぞれをしっかり進めていく必要がある、このように思っております。

石破委員 与野党でとおっしゃいました。まず政府の考え方を示してください、私たちの考え方は明確に示してございます。法律にも、まず政府がその案を示すということになっているはずです。政府としてどのようにお考えになるのかということを示さないで、与野党が、与野党がとおっしゃらないでください。政府としてどのように考えるのかということを明確にお示しいただきたい。私どもとしてきちんとした考え方は既にお示しをしている、そのことを忘れないでいただきたいということを申し上げておきます。

 では、復興の体制について承ります。

 きのうの本会議における答弁で、総理は、二重行政を避けなければいけないというお話をなさいました。まだこれは閣議決定をなさっておらないことはよく承知をいたしております。

 私どもの言葉では復興再生院、復興庁とおっしゃる方もありますが、今回の震災、津波は、阪神大震災のときと同じスキームでやっていいはずがない。なぜならば、これだけ範囲が広い、財政力が脆弱な市町村がほとんどである、少子高齢化がこれだけ進行している、疲弊した農山漁村がたくさんある。加えて、現在も進行中の原発の問題。阪神大震災、これも本当に悲惨な災害でした。しかしながら、様相を全く異にしています。阪神大震災のときと同じスキームでできると私は思っていない。ある意味、強力な権限を持った復興再生院的な官庁がどうしても必要であると思っている。

 そして、そこには民間の知恵、市町村の知恵、それを入れていかなければならないと思っている。そして、これは時限的な官庁であって、国土交通省でありあるいは農林水産省であり厚生労働省であり、そういうような権限を切り分けて集約をした形で、この話は農林省に行ってくれ、この話は環境省に行ってくれ、この話は国土交通省に行ってくれ、そのようなたらい回しではなくて、ここに行けばすべてが終わる、すべてが答えが出るというような官庁をつくっていかねばならないと思っています。それは二重行政にも何にもならない。それはつくり方の問題であります。

 加えて、例えて言えば、仙台、福島、そこに地方建設局あるいは農政局、その機能を統合した形で本部をつくっていくという体制をつくっていかねばならないでしょう。そこに、市町村長や知事やそういう人たちを集めた諮問会議みたいなものも必要なんでしょう。これは、それこそ政治主導でなければ絶対にできないものです。時限的な官庁です。屋上屋を重ねることにも二重行政にもなりません。民間の人たち、地域の人たちにも入っていただいて、この東北に二十一世紀半ばの日本の姿というものを示していく必要があると思っております。私たちは、そのような考え方から基本法を策定し、議員立法の準備をいたしております。

 総理、それは二重行政になるというふうにお考えですか。仮にそういうふうにお考えであるとすれば、それをどのように乗り越えていくやり方がありますか。民主党の中にも真摯な議論が今続いているということは、よく承知をいたしております。そのことを、どのようにして一緒にやっていくかということ。私どもは何も、絶対議員立法でなければ、これが通らなければいけないなんということは言っていません。しかし、その本質は、一つは先ほど申し上げた復興の財源、もう一つはその体制のあり方であります。

 今、巷間、対策本部というものに野党の代表も入るべきだという何かよくわからない議論がございますね。それは行政なのですか。行政だとすれば、そこに入るということは、実は、形を変えた連立にほかならない。私は、そういう議論ではなくて、まず、どういうような組織をつくるべきか、どういう対策をつくるべきかということを立案し、二段階論的に、復興庁あるいは復興院をつくる考え方が当然あってしかるべきだと思いますが、総理の御見解を承ります。

菅内閣総理大臣 私は、今、石破議員のお話を聞いていて、目標というか、目的は私どもも同じような目標を持って今検討をいたしております。つまりは、強力な権限を持って迅速に復興への作業を進められる体制をつくりたいということであります。

 その場合に、御党が復興再生院という形で表現され、今も一部説明をいただきました。ポイントは、これもおっしゃったとおりでありますけれども、まさにつくり方が、あるいはつくるときの形が最も重要だと思っております。

 私も、阪神・淡路をどの程度参考にするかは別として、その折に中心的な役割の一人であった石原信雄さんからもお話を聞いたりいろいろいたしました。切り分けという言葉がありましたけれども、つまりは、既存の国交省あるいは農水省等のある権限を地域的な限定で復興院に集めていく、そういった場合に、その切り分けということがしっかりしていないと、まさに、もとの役所といわばもう一つの役所が二つになってしまう。予算の問題でもそうなります。

 そういうことを考えますと、この切り分けという作業が、霞が関のこれは性格でありますけれども、権限をどちらが持つかということに対して非常に敏感なところでありますので、相当程度の力が必要になると思っております。それをやり切るには、まさに大きな政治力が必要になると思っております。

 そういうことも含めて、私どもは、決して今、石破さんが言われたことを否定しているわけではなくて、目標は同じだけれども、その強力な組織を、実行できる組織をつくるのが、いわゆる本部という形で現在の内閣制度そのものをいわばそっくり復興本部にすることがいいのか、それとも、新たな組織をつくることがいいのか、今そうした議論を、御党の議論を含めて、最終的に検討を行っているところであります。

石破委員 まさしく、霞が関の文化というものをだれかが乗り越えなければならないのです。政治主導を唱えてきた政権です。それをぜひやるべきだ。最大の力をお願いしたい。

 と同時に、既存の枠組みというものをどう使うべきだったのかということについても、私は議論が必要だと思っている。

 中央防災会議、おととい開かれましたが、これは、これからの震災対策、災害対策をどうするかということが議題であって、今回、中央防災会議は、この震災に対しては一回も開かれなかった。本当にこれでいいんですか。法律の立て方はどうなっていますか。

 ここにおいて総理が立ち上げられた緊急対策本部は、計画を立案するという権能を持っていないのですよ。法律をよくお読みください。これは、対策を立案するという権能を持っていません。対策を立案する権能を持っている、大綱を総理が示し、それを諮問する、これが中央防災会議のあり方です。なぜこれが使われなかったのかということについては、この法改正は、阪神大震災後、行われています。なぜ今回これが一番正しかったのか、私には理解ができない。今からでも中央防災会議は開くべきです。

 もう一つは、安全保障会議というものは一回も開催をされていない。

 総理がおっしゃいますように、空前の態勢をしきました。常備自衛官二十四万人、十万人の動員をした。だとするならば、先ほど申し上げたように、我が国周辺の安全保障環境というのは、今も緊張が続いている。その中で十万人を動員するとなれば、自衛隊の主たる任務である防衛というものに本当にすき間がないかどうか、この検証は絶対に必要なはずでしょう。

 あるいは、松島基地のF2、あれだけ被災をしている。では、どうやって我が国の防空体制というものが完璧たり得るのか。あるいは、トモダチ作戦、米軍が多大の支援をして、そして空前のオペレーションが行われた。このことについても、安保会議で当然に検証が必要であったと思います。

 新しい組織をつくることと既存の組織をきちんと活用すること、これは両立をするはずなのであって、ぜひ総理にはその点を御認識いただきたいと思います。

 最後に、このことだけは申し上げておきたい。

 私は、何度もこの予算委員会で総理に対して質問をさせていただきました。常に、この国は既に危機管理のモードに入っているということを申し上げました。安全保障もそうです。財政もそうです。危機管理のモードに入っているのです。私たちは、自分に対する反省も含めて、先送りというものは、もう今回、あってはならないと思っています。

 御記憶にあるかどうかは知りませんが、緊急事態基本法をつくろうということで、自民党も民主党も公明党も合意をした歴史がある。その後、一切これは議論が行われていない。今回、改めて読み返してみた。緊急事態に対する法制だけでこれだけあるのですよ。どのように使い勝手のいい法制にするかということは、どうしても必要なことでしょう。

 首都機能の移転、この話も先送りになっている。想定外、想定外という言いわけは、私たちも含めて、もう許されないものだというふうに思っています。憲法改正だってそうでしょう。我々は、平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの生存を保持しようと決意した。ここで想定外のことが起こったらどうするのかということもあわせて、我々は考える責任があるんじゃないでしょうか。

 そして、今回の原発事故に対しても、徹底した検証体制をしいていかねばなりません。それは、政府の中につくるのではなく、第三者機関として、強力な立ち入り権限、あるいは偽証も含めた、そういうような強制的な体制というものもつくっていかねばならない。これは、我々に対する反省も含めてのことであります。

 私たちは、次の時代に責任を持たねばなりません。先送りはやめましょう。そしてまた、ポピュリズムとは決別をしていかねばなりません。次の時代に責任を持つために、私どもも全力を尽くすことを申し上げて、質問を終わります。

 以上であります。

中井委員長 この際、吉野正芳君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 双葉郡、いわき市、これが私の選挙区です。まさに第一原子力発電所。八カ町村、七万二千名の方が自分のふるさとを離れて、遠くは埼玉、そして県内各地に今避難をしている。地震、津波、そして原子力なんです。津波で遺体を捜索する、遺体を捜索している途中に避難命令が出たから、着のみ着のまま避難をしております。これが実態です。

 そして、多くの皆様方が私たち福島県に対して温かい援助、心温かいおもてなし、全国に今避難をしている方々がお世話になっております。この場をおかりして感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 その心に報いるためにも、地元を歩いて多くの要望がございます。きょうは、その要望に沿って質問をさせていただきます。

 総理、東電代行という言葉を聞いたことがありますか。東京電力、代行運転の代行です。略して、東電代行と言います。聞いたことはありますか。

菅内閣総理大臣 いや、これまでそういう言葉は聞いたことはありません。

吉野委員 私も、これを聞くまではわからなかったんですけれども、原子力のある双葉町、ここの元町長さん、今はもう八十数歳の御高齢です。保安院がチェックをします。でも、初めの保安院はその能力がなかった。だから、東京電力がチェックを代行していた。これが保安院の始まりなんです。能力がなかったからいいんですけれども、チェックされる者とチェックする者が同じだ。

 日本の原子力政策は国策です。国が前面に出る、だから地元の皆さん、心配するな、こうやって日本の原子力政策は進めてきましたけれども、現実には事業者頼り、そして県なり市町村なり地方頼り、これが今までの日本の原子力政策の歩んだ道だと私は振り返っております。

 原子力発電所を新たに設置するとき、こういう形で設置します、保安院のチェックが入ります。保安院はいいよ、これでもつくられません。原子力安全委員会の二重のチェックが入ります。これで初めてつくっていいよ、こういう形です。できました、運転します、日々の運転に保安院がきちんとチェックをして、間違った運転はしていないな、これが今の原子力発電所の姿です。

 総理は先ほど、渡部恒三先生の質問の中で、原発事故についても責任は免れないとおっしゃいました。もう既に、私のこのメールにも、速報ニュースとして入っています。福島原発事故について総理は責任を認めたと。原発をつくるときにも、運転中にも、きちんと政府が関与しているんです。責任があるではだめなんです、我々は。連帯責任がある、ここまで言ってほしいんです。そして、福島以外の多くの原発立地地域、今見ているんです。国はどういうことをしてくれるのかな。本当に連帯責任で、第一義的には東電だと、もう口が酸っぱくなるほど聞きます。違うんです。連帯責任なんです。そこのところを総理はどう考えているか、お尋ねをしたいと思います。

菅内閣総理大臣 原子力を推進してきた基本的な力は、国が、エネルギーとして原子力を重視していこう、そういう方針のもとに進めてきた、私はこのように考えております。

 もちろん、実際の発電所は、東電初めそれぞれの民間企業としての電力会社が運転をしておりますけれども、今委員からもお話がありましたように、それの設置には二重のチェックというお話もありましたが、そういう国も関与し、さらには、日々の運転に対しても、原子力安全・保安院という形でチェックをしている。これは、他の業種においては時折チェックに入ることはあるかもしれません、例えば安全性とか衛生の問題で入ることはあるかもしれませんが、こういう常設の形でやっているのは、私はやはり原子力を持つ国としての責任を果たすための形だと思っております。

 私が一義的に東京電力という言い方をいたしておりますのは、決して国の責任を免れようということではなくて、例えば補償の問題などで、まずは事業者である東電が一義的な責任を持つという意味で申し上げているのであって、原子力政策全体、そして今回の事故がなぜ防ぎ得なかったかということについては、やはり国が責任を持って徹底的に解明をし、日本においても、場合によっては世界においても同じような事故が二度と発生しない、そういうことのために全力で国として取り組まなければならない、このように思っておりまして、まさに連帯しての責任ということだと考えております。

吉野委員 今、最後に、連帯としての責任、連帯責任をお認めになりましたね。連帯責任であれば、例えば保証人と連帯保証人の違いです。債権、連帯保証人にも請求できる。東電にも請求できるし、国にも請求できるんです、連帯責任であれば。だから、連帯責任を認めるのであれば、国もきちんとした対応、一義的にという言葉はこれから使わないでください。連帯責任があると今認めたんですから、国も一義的な責任がある、こういう形でこれから取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 吉野委員にお答えをいたしますが、これは、原子力損害賠償法に基づくお話と、それからこの間の国策としての原子力政策についての話と、やはりそこはしっかり区別をして考えなければいけないと思います。

 原子力損害賠償法に基づく責任というのは、これはやはり第一義的には事業主であります東京電力が負うべきであります。ところが、今度は大変多くの方々が大きな損害を受けましたから、その際、やはりそうした方々の損害をしっかりと補償していくためには国も当然責任を負わなければいけないという意味でございますから、ここはひとつ、そちらと区分けをして考えていきますようお願いを申し上げます。

吉野委員 原賠法をよく読んでください。原賠法の一番最後、天変地異、こういう莫大な災害が起きた場合に、もう東電の責任云々かんぬんを無視して全部国が見る、こういう規定になっているんです。連帯責任を認めたならば、一義的に東電、何でもかんでも東電、窓口にしろ、そうじゃなくて、国が窓口になってください。これが我々が一番望んでいるところなんです。お願いします。

海江田国務大臣 これは原賠法の三条の第一項のただし書きということでございまして、これは東京電力の免責について記されたところでございますが、その中で、想像を絶すると申しますか、異常に巨大な天変地異による場合は免責になるということでございます。

 これは昭和三十六年につくられた法律でございますが、そのときの国会での審議の過程などを見ますと、今回の事象は、ここで規定をします異常に巨大な天変地異に当たらないものという考え方が一般的でございます。(発言する者あり)

吉野委員 今度の東日本大震災は、千年に一度の大災害です。これを過小な災害、そういう認定をするんでしょうか。

 時間がありません。次に行きます。

 きのう、原子力損害賠償紛争審査会から一次指針が出されました。

 時間がありませんので、次に進みます。(発言する者あり)

 それでは、総理から、今の東日本大震災についての見解を求めます。いや、総理から求めます。

中井委員長 海江田経産大臣。それでは、昭和三十六年当時に議論となった天変地異は何だということを説明してください。

海江田国務大臣 よろしゅうございますか。

 この異常に巨大な天災地変です。まず、そこで、超不可抗力、全く想像を絶するような事態、あるいは人類の予想していないようなもの、こういう説明がございます。

菅内閣総理大臣 この責任の問題、私は、政府として原子力政策全体に責任を持ってきたわけですから、そういう意味で申し上げたわけです。

 この原子力の法律の場合は、今先生が言われたこの規定ということをもしそのまま認めるということは、いわば東電に対して免責するということを意味しております。つまりは、政府といっても、基本的には財源は国民の皆さんからの税金でありますので、免責ということになると、東電には賠償責任はない、そして国がすべての賠償責任を負う、それはやはり少し違うのではないか。

 つまり、そういう意味で、東電にはそういう賠償の面では第一義的な責任はある、その上で、それを適切に賠償がなされるように、国も、連帯という言葉を先生御自身が使われたので、私もあえて連帯と申し上げましたが、そういう政治的な意味あるいは行政的な意味を含めて、それが適切に支払われるように政府としても責任を持ちたい、こういう意味で申し上げました。

吉野委員 まさに私が冒頭申し上げました東電代行なんです。国は一切関係ないよ、全部事業者だよ、全部地方だよ、こういう体質がありありと見えます。

 時間がありませんので、次に行きます。

 きのう、紛争委員会から一次試案が出されました。これは、政府が、被害者の迅速、公平、適正な救済の必要性を踏まえ、迅速な救済を踏まえ、これがここの試案の一番最初に書いてあります。そして、政府の指示した範囲、三十キロの中、また、計画的避難区域、ここのところはとりあえずです、ここのところで、指針が示されましたから、これから賠償の事務をしていかなければなりません。

 東電も限られています。政府もきちんと責任の負担をしなければなりません。一次補正に原発の補償についての予算はのっていますか。

海江田国務大臣 一次補正にはのせてございません。

吉野委員 きのう指針が示されました。ですから、迅速に、損害額の確定を待っているんじゃなくて、迅速ですから、きょうの金が欲しいんです。仮払いです。この仮払いをこの指針にのっとって次の二次補正に出すんですね。

海江田国務大臣 せんだって、避難をしました方々に当座の生活資金の仮払いを行いました。これは東電が行ったということでございますが、今、多くの漁業の方々でありますとか、あるいは農業の方々でありますとか、こういう方々が大変経済的な被害を受けているということでございますので、まずそういう方々に次の仮払いということも考えておりますが、これもやはりまず東電が払っていただく。

 そして、実は、これから全体的な、スキームと申しますけれども、仕組みをつくります。これは、先ほどもお話をしましたけれども、東京電力がどういう形で支払いをして、それを政府がどういう形でバックアップするかということを、そういう仕組みをつくりますので、そのときには新たな法律も必要になろうかと思いますから、また国会で、もちろん迅速にということでございますが、十分御審議いただきたいと思います。

中井委員長 経産大臣、その請求の窓口等の手伝いも全部東電ですか。先生のおっしゃるように国や市町村が受け付けをちゃんとやって、東電へきちっとするという仕組みがあるのかないのか、答えてください。

海江田国務大臣 それは、今の仮払いについてでございますか。

中井委員長 仮払いじゃない、請求。請求のとき。

海江田国務大臣 仮払いについてでございますか。(吉野委員「二次補正にのせるのか、のせないかです」と呼ぶ)

 ですから、二次補正については今の段階ではこれからの話で、まず、その仕組みについて法律的に御審議をいただきたいということでございます。

吉野委員 きのう示されたこの範囲の中だけでも、大臣、読んでいるでしょう、営業損害は、農林水産業、製造業等、事業一般なんです。たばこ屋さんも、すべての事業が入っているんです、この営業損害に。就労不能に伴う損害には、そこで働いている人たちの給料も入っているんです。

 これは東電のお金だけでできるはずないんです。迅速になんです。だから、二次補正にきちんとこの仮払いのお金ものせてもらわないと、我々はどうするんですか。

海江田国務大臣 今回は予備費の扱いにしておりますけれども、その予備費を財源にして、そのほか財源を幾つか調達しておりますけれども、今回の中でも、例えば中小企業などに対して無利子で貸し出しをするとか、そういう手当てはしてございます。

 ただ、昨日、二十八日にお申し越しのような審査会などの答申が出ましたから、それを受けて、必要なものがあれば、もちろん仕組みもつくってでございますけれども、二次補正の中でしっかり入れるということでございます。

吉野委員 今、二次補正にしっかり入れる、これに基づく予算を組むということ、いわゆる賠償の仮払い、一部払い、これを組む、こういうことでいいんですね。これに基づくと今おっしゃいましたから。

枝野国務大臣 ここは十分御理解をいただきたいんですが、きのう審査会で出ましたその指針に基づいて東京電力が賠償をします。ただし、先生がおっしゃられるとおり、全体の賠償額が幾らになるかというのはいつ収束するかによっても変わってきますので、まずは、特に当座のお金が必要な皆さん、たくさんいらっしゃいます。これについては直ちに仮払いに入るようにということは、きのう指針が出ると同時に東京電力に指示いたしております。

 東京電力の方が、お金がなくて払えないなどということにならないように、それから、当然、首都圏に対する電力供給などがしっかりと賄われないといけませんので、東京電力が仮払い等をするためのしっかりとした資金についてのスキームを今組み立てておりまして、そこに必要な予算については二次補正でしっかりと御議論をお願いしていく、こういうことでございます。

吉野委員 時間がありません。次に行きます。中小企業対策です。

 きのうこれが出るまでは、東電に対し、また国みずからも仮払い、中小事業者がいかに困っているか。きのう、二回目の月末を迎えました。普通なら二回不渡りを出せば倒産ですけれども、倒産はさせない。避難地で事業を再開したい、お金がない、今までの借金もある、こういう形で、原賠法に基づく仮払いを、生活者以外にも、事業者にも仮払いしなさいという指示を東京電力に出したんですか。

海江田国務大臣 それは出しております。それは、何もきのうのを待たずに、もう既に何度となく、幾度となく、まず最初に避難民の方に出したとき、次はそういう御商売をやっていて被害をこうむった方たちですよということで、本当に、私は毎日東京電力に行っておりますから、いつもそういう意味ではしっかりと出しております。

吉野委員 言っただけではだめでしょう。やっているかやっていないか確認しましたか。我々はだれもわかりませんよ。事業者について仮払い制度がある、事業者について仮払い制度があるから、幾ら仮払いをするのか申し込みなさい、言ったって、やっていなきゃだめでしょう。

海江田国務大臣 いいですか、まず、避難民に対する仮払いは、もう、ちょうどきのう、おとといぐらいから始まりました。そして、今度は経済に対する、経済的な被害に対してのことでありますから、これはまだ始まっておりません。しかし、これをいつ幾日やるということをこれからしっかりと詰めて、そしてそれで実行をさせようと思っております。

吉野委員 先ほどは、何回も言っている、だけれども、我々は初めて聞いたんです、事業者に対する仮払い制度が始まったなんて。ただ、言っているんでしょう。言っていても動かなきゃ我々に伝わらないでしょう。どういう形で動くんですか。あしたから申し込みが始まるんですか。答弁を訂正してください。

海江田国務大臣 いいですか、落ちついて。委員、落ちついて聞いていただきたいと思いますが、まず……(発言する者あり)いいですか、これまでずっと仮払いをということを言ってきまして、やっと避難民に対する仮払いが実現をしたところでありまして、そして昨日、その前から実は、今度は避難された方々だけじゃなくて、今言っている商業でありますとか農業でありますとかそういう方たちの仮払いもお願いをしますねということを言ってございますが、昨日、審査会からの、第一次でございますけれども答申が出まして、そこで、その意味では、ある意味の基準ができましたので、これから商業でありますとか農業でありますとかそういう方々の仮払いが始まりますので、なるべくこれを早く確実にやらなければいけないということを、これからしっかりとまた指示をいたします。

吉野委員 指針に示された迅速に、いつからですか。

海江田国務大臣 私も、昨日の答申の中に、なるべく早く、できるだけ早くということがございましたので、またこれから東京電力に参りまして、そして、一日も早くということを伝えるつもりでございます。

吉野委員 これは一民間企業でできる話じゃないんです。一民間企業です、東電といえども。国がきちんとやらなきゃならないんです。私は、そこを言っているんです。

 ここまで原子力に協力してきた双葉郡の皆様方、今、板の間で寝ているんです、毛布一枚で。こういう生活をしているにもかかわらず、全部東京電力、東京電力、東京電力。なぜ国が、東電も窓口をつくるよ、国もつくるよ、なぜこれが言えないんですか、総理。東電も窓口をつくる、国もつくる。国がやらなきゃならないんですよ。総理、お願いします。

中井委員長 その前に、海江田経産大臣、あなたは東電へ行く、東電へ行くと言うけれども、東電に用があるのなら呼びつければいいんだから。東電に本部があるんだろう、本部へ行くとちゃんと言わなきゃだめだよ。

海江田国務大臣 今、私は東電に行くと言いましたが、東京電力に統合本部がございまして、私はそこの副本部長で詰めておりますので、そして、そこでほぼ毎日のように、東京電力の幹部の方々と、私どもの方からの指示をやったり、それから具体的な工事の進捗がどうなっているかということをやっているわけでございますから、それは詳しく、そういうことでございますので、御理解いただきたいということでございます。

 それから、今、特に被災をしました福島県を中心としまして、これは福島県だけではございません、東北の各県でございますけれども、経済産業省から百名を超える職員が行っておりまして、そこで具体的に、企業のうち特に中小企業の方々から、今どういう手だてが必要かということについて、本当に連日、聞き取りをやっております。

菅内閣総理大臣 委員からも御指摘がありましたように、昨日この第一次の指針が出されまして、その中には御指摘のように「営業損害」という項目がありまして、営業がいろいろな、この原子力事故によって減収があった場合の減収分を、損害として判定をいたしているところであります。そして、迅速な賠償のための支払い方法等についても言及があるわけであります。

 私の方からも、経産大臣に対して、できるだけ早い時期にこのことが実行されるよう、それがいつごろになるのかということは、きのうの指針の決定でありますので、個々のいろいろな案件の判断があるようでありますが、できるだけ早く対応できるよう、経産大臣に対してもそのことを努力するよう指示をいたしたいと思います。

吉野委員 先ほど連帯責任を認めたんですから、東電も窓口をつくる、政府もつくる、そうすると倍のルートになるでしょう。細いルートだけでは何日かかるかわかりません。迅速なんです。今の金が欲しいんです。ぜひお願いします。

 次、雇用調整助成金です。

 厚生労働省、この震災で、本当にいろいろ特例をつくってもらいました。私は感謝しています。でも、雇用調整助成金だけは納得できないんです。津波で、地震で休業を余儀なくされた方はこれを使えます。なぜ、原発事故で、二十キロ圏内、警戒区域、そしてこれから避難をする計画的避難区域、この地域の方々は使えないんですか。同じでしょう。

細川国務大臣 委員御指摘の雇用調整助成金の問題、これにつきましては、こういう大変な事態で事業主の方が大変困っておられると思います。そういう意味では、雇調金について、できるだけ適用して事業主の方を助けてあげる、支援していくという、これは本当に大事なことだというふうに思っております。

 ただ、法律には「経済上の理由」ということになっておりますから、しかし私は、この経済上の理由というのを、これは形式的にはそうなっておりますけれども、これをできるだけ柔軟に解釈して、そしてできるだけ雇調金が適用されるようにしっかりやっていきたいというふうに思っております。

 そのためには、だから、避難先に行って事業をされようとしていろいろ準備をされると思います。そのときに、いろいろ準備ができなくて困っている、そういうときには経済的理由になりますから、適用されるということに柔軟に解釈してやっていくつもりですから、そういうことをぜひ利用していただきたいと思います。

 雇調金を利用していただくということは、従業員の雇用も確保していただくということであります。そういう意味では、厚生労働省としては、この雇調金をできるだけ幅広く融通しながら解釈して適用してみたいというふうに考えております。

吉野委員 避難先で事業を再開した場合は柔軟に対応する。事業を再開できない方について私は聞いているんです。

 この「経済上の理由」、実は、景気の変動、きのう新聞に出ました。「鉱工業生産一五%低下」、統計始まって以来の大暴落です。「消費支出八・五%減少」、これも最大の下げ幅。これは経済変動にならないんですか、与謝野先生。

与謝野国務大臣 過去最大に落ちたのはリーマン・ショックのときでございました。このときが約八%ですから、一五%というのは非常に大きな下げ幅でございます。

中井委員長 吉野さん、今、細川大臣は、珍しく味のある答弁で、再開しようとしたら雇調金を使えると言ったと思うんですよ。ちょっと、もう一度答弁させます、大事なことですから。

細川国務大臣 先生御指摘のように、警戒区域とか計画的避難区域、そこで今もう操業はできないわけですね。そうすると、しようとすると、どこかでいろいろな営業なり準備をしながら事業を継続していかなければいけないわけですよね。そういうときに、準備のためにとかいろいろあれば、それは経済的理由になるということです。

 だから、今回、原子力の事故で禁止区域になったから、それで事業はもう終わりにする、そのために従業員をやめさす、こういうことになれば、これは雇用保険法の方で失業給付をもらう。これも緩和をいたしまして適用できるようにいたしましたので、そのときは雇用保険の方で従業員も収入を確保できる、こういうことにいたしております。

吉野委員 雇用保険をもらう、いわゆる失業保険なんです。失業保険をもらうと、もう自分は首だと。休業しているという意識はありません。戻って仕事をする、それが夢なんです。今は避難しているから休業しているんだ、こうやって待っている従業員、そして経営者も、その間は給料を払うよ。なかなか払えないです、厳しいですから。でも、そういう経営者もいるんです。戻るまで我慢していてください。これを失業保険で対応する。首と同じなんです。

 大臣、ここのところもきちんと考えてください。

細川国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の災害では、私どもとしては、雇調金の方も雇用保険の方も要件を緩和いたしました。だから、現在、休業のような形で雇用保険を適用しても、将来、会社に帰ってきて働いていただく場合も、これもちゃんと雇用保険を適用して、そこで何ら問題はないというような形にしておりますから、その点では、従業員も困らなくて、事業主の方も帰ってきていただいてすぐ働ける、こういう形にいたしております。

 だから、雇調金で適用する場合、そして雇用保険でやる場合、いずれかで事業主と従業員の方を支援していく、こういう仕組みをつくっておりますので、どうぞそれを利用していただきたい、このように考えております。

吉野委員 今までよりは前向きな答弁があったと思います。避難先で事業はまだできない、準備をする、そのために休業する、こういう意味で適用になるという、これはかなり前向きな答弁でありますので、本当に感謝申し上げます。

 最後に、一時帰宅について申し上げます。

 我々、一時帰宅、本当に要望してまいりました。避難所をめぐってみると、まず戻りたい、そして、一回、我が家はどうなっているのか、ここを知りたい。こういうことで、一時帰宅制度を連休中にもという形でございます。

 でも、どういう形でやるのか、役場から、私、ある意味の実施手続を見させていただきました。全部市町村に丸投げだな、こう思います。

 今、市町村は全部避難先に移っているんです。そして、遺体の捜索もやっているんです。避難している方々のお世話もしている。東電の仮払いについての住民票発行もやらなくちゃならない。

 こういう中で、市町村に、まず広報しなさい、希望者を集めなさい、その中から首長は選びなさい。国がお手伝いできないんですか。規定はこれでいいと思いますけれども、ここのところを国が全部やる。いわゆるマンパワーをどっと入れて、ここは国がやる。形は、権限は首長、町村長が、警戒区域の中は入っていい、入って悪い。村長、町長の権限ですけれども、そういう事務的なところは全部国がやる。

 ある町長さんは、今ので手いっぱいだ、ここまで手が回らない、でもこれは住民が一番望んでいることだからやらなきゃならないんだけれども、もう首も回らない、手も回らないという声が聞こえております。どうですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、避難エリアの市町村の役所も、大変な御苦労をおかけしている状況でございまして、この一時立ち入りについてなかなか手が回らないという事情は当然だというふうに思っておりますし、十分認識をさせていただいているつもりでございます。

 ただ、どうしても、それぞれの土地カンといいますか地理等を十分御認識いただいていたり、それぞれの集落単位のまとまりとか、そういったことでチーム、班を組んで入っていただいたりということ、それから、いろいろな仕組み、手続上、どこにどういった方が避難されているかということ等についても、一義的には市町村が集約をされているということでございますので、市町村の御協力をいただかないとなかなか進まないということの中で、このお示しのパネルの中でも、きちっとここに現地と書いてありますのは国の方の現地対策本部ということでございまして、市町村のそれぞれの事情を踏まえながら、御協力をいただきつつ、できるだけ迅速に、そして、国の方としてできることは最大限やらせていただくということの中で進めてまいりたいというふうに思っております。

吉野委員 時間も参りました。この一時帰宅は本当に皆さん望んでいることです。市町村の負担にならないようにぜひお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

中井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、谷公一君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きのうは震災から四十九日でありました。きょうは五十日目であります。

 十六年前、私は神戸で阪神・淡路大震災を経験しました。当時、私は兵庫県庁に勤めておりましたが、突然の、未曾有の、そして予想だにしなかった大都市直下型の大災害に遭遇し、とにかくしゃにむに働き続けました。今踏ん張らなくてどうする。我々の神戸が、我々の兵庫は必ず復興するのだ。我々はフェニックスのように必ずよみがえるのだ。みずからをむち打ちながら働き続けました。全国の多くの人々から、海外からも、本当に、涙が出るような御支援をいただき、励まされ、支えられました。

 このたびの東日本巨大地震・津波災害からの復旧復興のために、たとえ野党の立場にあるとはいえ、被災者のために、また被災地のために、一身をなげうって頑張るんだ、そういう思いで、それが自分の定めなんだ、そういう気概で、選挙区の方々に失礼をしながら、現地にも何度か足を運び、懸命に取り組んでまいりました。

 政府と各政党の、いわば唯一の継続した話し合い機関である各党・政府実務者会合に、自民党を代表して、同じ兵庫の西村康稔議員ともども、三月十九日以来、まだ続いておりますけれども、今まで十八回、毎回出席し、被災者支援、原発事故にかかわるさまざまなことを政府に要求し、提案し、主張し、提言してまいりました。

 しかし、大震災から五十日を迎えた今日、被災者を取り巻く状況は相変わらず厳しく、復旧復興への道はまだまだ遠い。被災者の人々の心を思うと、私はじくじたる思いがいたします。国全体として、政府全体として、もっと、危機感を持って、必死に、そして温かく、あらゆる組織、あらゆるパワーを使い、支援すべきではないか。未曾有の災害には未曾有の支援が必要ではないか。そういう思いを抱きながら、以下、質問をしたいと思います。

 最初に、防災担当大臣の件です。

 昨年秋、内閣改造からずっと、五十日を経た今日まで松本防災担当大臣は、いや、大臣を、あなたを非難しているわけではないんです、ずっと環境大臣の兼務のままです。

 三・一一というのは未曾有の災害ではなかったんですか。それは言葉だけですか、未曾有というのは。本当にそうであるならば、なぜ専任の大臣を置かないのですか。

 私は神戸でも地震を経験しましたけれども、神戸よりもはるかに広い範囲で、また、はるかに大きな地震で、すべてをなぎ倒すかのような津波があり、原発事故もあり、いわば戦後、我が国の歴史になかったような大変な災害ではないですか。それを兼務の大臣でこれからもやり続けるんですか、総理。

 十六年前、一月十七日でした。四日目の一月二十日に、きょうおられますけれども、小里議員のお父様の小里貞利特命大臣は、阪神・淡路大震災の復興だけに専念しろということで、専任大臣として発令されたのです。なぜ、いまだもって専任大臣を発令されないのですか、総理。どういう認識なんですか。お尋ねします。いや、総理に。これは総理が任命するんじゃないですか。松本大臣はだめですよ、これ。

菅内閣総理大臣 本当に重要な指摘をいただいたと思っております。

 私も、この大震災に当たって、松本大臣はもともと防災にも大変見識が深い大臣でありますので、ぜひ専任の大臣という形にならないかということはまず考えました。

 そのときに、現在の内閣法では、閣僚の数が総理以外で十七名と決められております。これはかつて、たしか橋本内閣のころに、例えば厚生省と労働省を合併する、あるいは当時の建設省と運輸省が一緒になる等々によって省庁が再編され、閣僚の数が非常に限定をされております。内閣府においては、現在、いろいろな担当大臣、六名おりますけれども、多くが兼任という形になっております。そういった意味で、私は、専任の大臣にするためにも、ぜひ閣僚の数をふやすことができないかということで、党を通して各党の皆さんにお話をさせていただいております。

 そういった意味で、専任の大臣を置くという事柄の重要性は十分わかっておりますが、現在は兼任の形で、環境省の仕事については環境省の副大臣に相当部分を担当していただき、松本大臣には防災担当の仕事をほぼ専任的にお願いをいたしているところであります。

谷委員 いや、総理、内閣法の改正が必要だと思われるなら、出せばいいんじゃないですか。出せますよ、それ。

 それでは、今まで五十日間、松本防災担当大臣は環境大臣と兼務でした。そうしたら、こういう体制で十分、被災者支援のために何ら差し支えなかったんですか。全く問題なかったんですか、兼務で。問題ないなら、ずっとこのままでいってくださいよ。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 御指摘は昨年からずっといただいております。私も大変悩んでおりますけれども、この三月十一日の発災以来、午後三時前に危機管理センターに入り、ずっと十日間、警察、消防、自衛隊等々と一緒になって、捜索、救援、救助活動あるいは物資の運搬等々で努力をしてまいりました。そういう意味では、ずっと防災担当大臣ということで専念をしておりましたけれども、瓦れきの処理等々、近藤副大臣あるいは樋高政務官等々も一生懸命頑張っていただいて今日まで来ております。

 私自身としては、目の前の困難に立ち向かうということに今は尽きるというふうに思っております。

谷委員 松本大臣の方から答弁をいただきましたけれども、これはやはり総理の、結局、この事態をどうとらえているか、どういう認識なのか、本当に大変なのか、そういう認識が欠如している、そうとしか思えないと私は思います。これは私だけの意見ではありません。

 先日、衆議院の災害対策委員会でこの問題を提起して、委員会で決議しようということを提案いたしました。最終的に、決議の前に、吉田委員長が官邸に申し入れるということでその場は終わったわけでありますけれども、それは与野党を超えている、そういうことだけをしっかりまず指摘させていただきたいと思います。

 次の問題に移ります。仮設住宅です。

 当面急ぐべき大きな問題は仮設住宅ということは言うまでもありません。

 今週火曜日、集中審議で、我が党の小野寺議員の質問に対して、総理は次のように答弁をされました。遅くともお盆のころまでには希望者全員に入っていただけるよう、できるだけ前倒ししていきたいと。

 ポイントは三つあります。遅くともです。遅くともということが一つ。お盆のころまでには、時期を初めて政府は明示されました。希望者全員に、これが三つ目のポイントです。

 総理、初歩的なことを確認させていただきます。お盆というのは新盆ですか、旧盆ですか。

菅内閣総理大臣 その折にも申し上げましたが、八月の中旬ごろと認識をしております。

谷委員 私もちょうど後ろの方でその質疑を傍聴していました。えっ、お盆のころ、遅い遅いというやじもたくさんありました。

 それから、火曜日の質疑の後、翌日水曜日に大畠大臣に、あなたはこのことを御存じですか、総理が、お盆のころまでに希望者全員に入居していただくということを事前に聞いておられましたかとお尋ねいたしました。お答えがありました、私も初耳でした、何も聞いていなかったと。

 先ほど来、いろいろ会議のことが出ています。総理大臣は、たくさん会議があるんじゃないか、役に立っていないんじゃないかという問いに対して、いえいえ、それぞれの本分、名称はともかく、必要なところはそれぞれのセクションでやっていますという答弁がありました。仮設住宅は、被災者向けの住宅供給PTが担当していると思います。大臣だけではなくて、PTも何も知らされておりません。

 では、地元の計画はどうなっているのか。岩手県だけは七月末までに一万八千戸建設を終えるという目標がありますが、大畠大臣はうなずいておられますが、宮城県はないですね。三万戸いつ完成するかというのを一番地元の事情に詳しい宮城県はいまだ示せていない。示したいけれども示していないんです。ましてや、原発を抱える福島県、二万四千戸、示していないです。

 大畠大臣、この総理の、お盆までには、八月十五日までには希望者全員が入居できる、そういう新たな方針で、また工程表をいつつくるんですか。

大畠国務大臣 ただいまの質問にお答えを申し上げたいと思います。

 仮設住宅は、現在避難されている方々にとっても、自分のこれからの人生を考える上で大変大事な場所であります。したがいまして、私といたしましても、全力を挙げてこの仮設住宅の建設に今取り組んでいるところであります。

 現状について御報告を申し上げたいと思います。

 まず、現状については、一番大事なのは土地の確保でありまして、今御指摘を賜りましたように、岩手県では土地の確保が一万二千五百戸、宮城県が約二万八千戸、福島県が一万一千戸分、合計五万一千五百戸分の土地の確保にめどが立ったところであります。

 同時に、この場所に仮設住宅を建設するということで全力で頑張っているところでありますが、先ほど御指摘のように、五月三十一日までに三万戸というのが非常に大変なことも事実であります。今、私ども国土交通省として、五十七名の係官を県あるいは自治体に派遣しまして、自治体のメンバーと一緒に仮設住宅の建設のための土地の確認に走り回っているところであります。何とか五月三十一日までには三万戸建設しよう、そういう心で、一つにしてやってまいりました。

 では、次をどうするんだ、こういうときに、総理から、お盆までに希望者全員を仮設住宅に入居させたい、こういうお話がございました。私どももその総理のお気持ちというものと全く同じでありまして、いかにしたらお盆までに仮設住宅を建てることができるか、こういうことで、今、関係の県、自治体とも連携をとって、その目標に向けて、その実現のために全力を尽くしているところでございます。

谷委員 大畠大臣、後の瓦れきもそうですけれども、こういう問題で大事なのは、まず目標を明確に示すことです。その次に、その目標に向かった工程表をきちんと被災三県を中心にして立てることです。何か一部に、先ほどから総理は目標を言っただけだというやじがありますけれども、とんでもない話です。被災者の方の苦しみがわかるんですか。あの大きな体育館の中に、満足にプライバシーもないところに、そういう暮らしを一日でも早く解消しなければならない。それで、総理がお盆までと明示したわけですから、具体的な工程表を出さないとみんな安心しないんです。

 再度お尋ねします。工程表はいつ出るんですか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 過日、自由民主党の長島議員からも、山古志村の御自分の経験から、目標をきちっと示してほしい、それが一つの大変大事なことなんだ、こういう御指摘をいただきました。私は、そのときその委員会には出席しておりませんでしたが、そのとおりだと思いました。したがいまして、五月三十一日までに、まず各市町村別に、十日間間隔で何軒できるのかという工程表をつくらせまして、それも長島議員のところにお届けをしたところであります。したがいまして、五月三十一日までの三万戸分の工程については明示をさせていただきました。

 その後のことについては、今全力で頑張っているところでありますが、少なくとも、早く全体的なものが明示できるように、私としては、できれば、この一週間、二週間の間にでもそういう工程が明示できるように努力をしてまいりたいと考えているところであります。

谷委員 わかりました。一、二週間のうちに七万二千五百戸の工程表を明示するというふうに受けとめました。しっかり明示していただきたいと思います。

 菅総理、このお盆までに希望者全員を仮設住宅に入居させるということは、避難所がなくなるということと同じことだという意味合いはおわかりになっているかと思いますが、仮設住宅を完成さすということは、県内の避難所だけじゃなくて県外も含めて避難所をみんななくするということですけれども、そのことは十分認識した上での目標ですね。お尋ねします。

菅内閣総理大臣 今避難されている皆さんの中で、いわゆる仮設住宅に希望も含めて入っていただく方、あるいは既存のいろいろな、例えば国家公務員の宿舎など利用されていないものを利用できるようにして入っていただく方、あるいは御本人が探したアパートを県が借り上げて入っていただける方、いろいろな形態があろうかと思いますけれども、基本的に七万二千戸の仮設とそういうものを合わせて希望する方がすべて入っていただけるようにしたいと思っておりまして、そのときには、特に、今の避難所にいなければならない、あるいは、いることが特に何か必要になる方以外について、基本的には、おっしゃるように、新たな住居に移っていただく、避難所がそれによって解消といいましょうか、なくなる、そういう認識でおります。

谷委員 わかりました。認識に間違いないということ、つまり、仮設住宅を建設する、完了さす、希望者全員入居させるということは、すなわち、県外も含めた避難所をすべて全廃することだ、そういう認識で総理がおられるということを確認させていただきました。

 次の問題に移ります。

 瓦れき処理です。これも大変です。今までに経験したことがないようなたくさんの瓦れき、ましてや、今度は津波です。陸だけではありません。海に、港湾の中に、漁港の中に、そして海岸べりの漁場に、たくさん瓦れきといいますか、船も自動車もあると思われています。

 政府は、四月十七日に東京電力に、午前中に質疑がございました終結までの工程表を、政府も関与してつくりました。さて、瓦れきの工程表はどうなっているんですか。いつ瓦れきは処理できるんですか。お尋ねします。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 先生も現地を訪ねていただいておわかりのように、市町村あるいはさまざまな地域で、被害のありようがさまざま違います。先ほどの仮設住宅のお話にもありましたように、建設用地がないということはかなり阪神・淡路と違う様相だなというふうに私も思っております。そういう意味では、それぞれの地域で仮置き場に集めていただきたい、そして、市町村でできないなら県に委託をし、県に委託をされたら、我々、協議会をつくりながら、一刻も早く仮置き場から、そして先には中間処理あるいは最終処理というところまでは行きたいと思っております。

 私自身は八月末ぐらいまでに仮置き場まで行ってほしいというふうに思っておりますけれども、なかなか地域によって難しい状況もございます。というのは、四月の一日から自衛隊、米兵が三回集中して捜索を行いました。最初の捜索では六十数体御遺体が出、そして四月の十日ごろの捜索では九十数体出て、二十六日の捜索では百二十数体出たということであります。それほどまだ阪神と様子が違うという状況の中で、各市町村もかなり苦慮しておりますけれども、私たちもしっかりフォローしていきながら損壊家屋等の撤去について努力をしていきたいというふうに思っております。

谷委員 松本大臣、阪神・淡路のときも苦労したんですよ、瓦れきも。そんなに簡単に仮置き場は見つかるはずがないです。これは、いろいろな方からたくさんの批判を浴びながら、どこでも苦労するんです、物すごい量ですから。

 ただ、今八月末と言われましたけれども、全然地元と違いますよ。宮城県の知事は、仮置き場まで一年、それから最終処分場まで一、二年、一年ではとても無理だと。あるいは、岩手県などはもっと長い期間を言っているでしょう。ですから、八月末なんというのは、本当にそれが政府の目標だということであればしっかり目標として受けとめますけれども、そんなことは全然考えられないですよ。

 それに、もっと問題なのは福島なんです。

 福島の三十キロ圏内、そして計画的避難区域、放射能がございますね。放射能は、大臣よく御存じのように、廃棄物ではありません。放射能は皆、法律で除外しているんです。地元はどうしていいかわからない。どうしていいかわからないけれども、ほっておくわけにいかないから、いわば地元の判断で、放射能で汚染されているかもわからない瓦れきも動かしているんです、仮置き場に。

 なぜか。地元は、早く国に何らかの指針を示してほしい。ちょうど三月二十五日に倒壊家屋の指針を出しましたよね。我々、各党からとにかく早く出してくれということで、たしか三月二十五日でした、出しました。放射能の方はいつできるんですか。もう五十日たちましたよ。地元は処理できないんです。

松本(龍)国務大臣 原子力発電所由来の放射性物質で汚染をされたおそれのある災害廃棄物の取り扱いにつきましては、現在、放射性物質を所管する関係省庁、原子力安全・保安院など、あるいは福島県と相談をしているところであり、早急に取りまとめていきたいというふうに思っております。

谷委員 この問題は、私も各党・政府協議会の場でも何度か発言したように記憶していますし、いろいろな場で言うたびに今の答弁です、各省と協議中だと。だって、協議しているって、現場のことを考えてくださいよ。では、どないしろというんですか、現場は。

 協議はいつ調うんですか。めどはいつなんですか。めどを示してくださいよ。指針だけでもいいんです。放射能で汚染された瓦れきはこういうふうに取り扱ってくれという指針を示さないと、現場は泣きますよ。もう一度、めどをお願いします。

松本(龍)国務大臣 樋高政務官を中心に今早急に取りまとめているところでありますけれども、谷委員の御指摘を受けて、スピードアップで取り組んでまいりたいと思います。

谷委員 大変残念です。

 菅総理、いろいろたくさんの会議が設けられていますね。災害廃棄物処理法的問題のPTというのは、三月十一日の発災後、十日後の三月二十一日に発足しているんです。まさにこういう問題を速やかにやってもらわなきゃ困るんじゃないですか。何のためにいろいろ会議があるんですか。だって、放射能の問題があるなんということは、ずっと前からわかっているんじゃないですか。今度の災害は、地震、津波、原発ですよ。

 早く指針を示していただくよう、総理大臣のリーダーシップをお願いしたいと思いますけれども。

菅内閣総理大臣 もうよく谷委員も御承知のように、今回の場合は、地震、津波そのものによる被害と、それに原子力事故が重なった部分の被害とあります。今御指摘の部分は、まさに、放射能を浴びている可能性のある瓦れきということで、それの重なった部分に当たるわけであります。

 そういった意味で、いろいろ本部を設けたというふうにおっしゃっていろいろ御指摘いただいていますが、基本的には、いわゆる緊急災害対策本部とそれから原子力災害対策本部という、法律で定められた初めての本部を二つつくりまして、法律どおり私が本部長になり、それぞれのもとに、生活支援やそういういろいろな課題を担当する、閣僚あるいは副大臣を座長とするチームをつくっております。

 そういった意味で、今の瓦れきの問題は、放射能の問題を考えないでいい部分と考えなければいけない部分がありまして、そういう点で、今環境大臣からもお話がありましたように、ある意味初めての経験でありますので、関係閣僚とあるいは関係省庁と調整の上、安心できる形での処理のために今検討を行っている、そういう状況にあります。

谷委員 大変残念な答弁です。もう少し総理として前向きの、スピードアップをさす、私がさらに加速させるように指示する、そういう答弁でもいただきたかったわけでありますけれども。

 初めてといえば、それは何でも初めてなんです。先ほど指摘しました、三月二十五日に倒壊家屋の処理。自分の敷地の中にほかの方の車がずっと流れてきている、こんなことは十六年前、なかったんです、津波がなかったから。だから、指針をつくったわけです。それは、三月二十五日、あのスピードアップは、私は買います、素直に買います。そういうスピードアップで、この問題をなぜ今までほったらかしにしていたのかということを今指摘したかったわけであります。

 ぜひとも、松本大臣、本当に加速してください。瓦れき処理できないと、復興できないんですよ。そのままほったらかしにしてあるんですから。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次の問題に移ります。

 今、被災者の生活再建で重要なことは、仮設住宅、瓦れき処理、そしてお金であります。お金の状況は、今、パネルにございますように、なかなかおくれています。

 阪神・淡路大震災のときは、震災から十五日目の二月一日、一月十七日に災害でございましたが、義援金十万円。亡くなられた方、行方不明の方、また、家屋が全壊された方、半壊された方、一律十万円ということで支給をいたしましたが、この義援金、これは、日赤なりNHKなり、あるいは地元の知事さんの配分委員会で決めるわけでございますけれども、まだ手元にはほとんどと言っていいほど渡っておりません。弔慰金もそうであります。それから、十六年前に制度がなかった被災者生活再建支援金、これもほとんどまだ手元には行っておりません。(発言する者あり)昨日から始まった。始まったといっても、ごく一部にすぎないわけです。

 さて、一次補正はどうなっているのか。私はびっくりしました。

 この被災者生活支援金は、基礎支援金、一世帯当たり百万、単身の方はその四分の三で七十五万円。そして、住宅を再建しようという方は、百万に加えてプラス二百万、最高三百万が出る制度です。委員長もよく御存じの制度です。

 少なくても、そういう三百万を五百万にというのは、我々自民党は、かねてから主張し、提言もさせていただいています。ただ……(発言する者あり)提言をしているんです。よく読んでください。

 そして、今の制度だけでも一次補正で計上しているのかなと思ったら、計上していない。基礎支援金の百万の分だけしか計上していない。少なくても、今の仕組みである住宅再建の三百万円、なぜ計上しないんですか。なぜ、被災者に義援金、自力で住宅を再建しようという方に、きちんとした予算措置を早くして、急ぐべきことを一次補正に計上しているんでしょう。野田大臣、急ぐべきことを一次補正に計上しているでしょう。自力で住宅を何とかしたい。今の制度では三百万出るんですよ。三百万の担保をしていないんじゃないですか。なぜですか。

松本(龍)国務大臣 被災者生活再建支援制度につきましては、もう委員御承知のとおり、都道府県の相互扶助ということで基金とそれに伴う国庫ということで、二分の一ずつ使う仕組みになっております。今、基金の方では五百三十八億円あります。今度の補正では五百二十億要求をしております。合わせて一千億用意をしております。

 今、基礎支援金の方で十万戸ということを考えておりますし、その中で、単身は四分の三でありますから七十五万、そして、満額の三百万ということであればそこに上乗せがあるだろうということで、今、一千億用意をいたしておるところであります。これで足るとは私も思っておりませんけれども、まず、第一次補正では一千億の基金で足りるだろうというふうに思っておるところであります。

谷委員 当面、そんなに申請が出ないから、都道府県が拠出した五百三十八億と合わせて一千億でいいだろうと。冷たい対応ですね。

 災害弔慰金はどうなっているんですか。厚生労働省は二万八千人分全部計上していますよ。災害弔慰金はきちんと計上して、なぜ住宅についてはこんなに冷たいんですか。要は、お金が要るというだけの話でしょう。一説には、三十万世帯であれば九千億とも言われています。被災者支援と言いながら、何でこういう冷たい、中身の伴わない予算の計上をするのか。財務大臣、なぜそうするんですか。

野田国務大臣 当面の御要請をいただいた部分には満額措置をさせていただいたということでございます。

谷委員 何かもう、やや嫌になりますけれども、とにかく、自力で住宅を建てたい、あるいはマンションを購入したいという人は、今の制度に三百万あるんですから、今までの災害はみんなもらっているんですよ。今、もらうという手当てがないでしょう。そのことを指摘して、次の問題に移らせていただきます。

 津波法案です。

 実は、我が党と公明党が、昨年六月に、二階俊博先生、和歌山の津波の多い地域でありますが、中心になって、私も提出者になっているんですけれども、津波法案を提出させていただきました。何もきょうの事態を予測していたわけではないんですけれども、いつ起こるかわからない津波という災害に特化した法律をつくろうじゃないかと。

 御存じのように、今、ツナミというのは国際用語です。津波という日本語で国際的にも通用します。それで、津波災害に備えるためのソフト、ハード両面にわたる、総合的で、体系的に、我が国で初めて津波という名を冠した法案であります。国会には提出しましたけれども、残念ながら、継続審議ということでそのままにされております。

 防災担当大臣、三月十一日のあの悲劇を経験されて、この法案の持つ意義をどういうふうに考えておられますか。

松本(龍)国務大臣 昨年の六月に、自民党の皆さん、公明党の皆さん、そして谷先生のお骨折りで法案が出たことは承知をしております。大変重要な御指摘だというふうに思っております。

 私どもも、おととい中央防災会議を開きまして、このことも含めて議論しなければならないということで、これからの津波あるいは大きな災害に対するハザードマップ、あるいは避難計画等も含めた、専門の調査会を立ち上げたところであります。

 いずれにしましても、これから国会の中でさまざま御審議をいただく中で、私たちも津波対策のより一層の充実に努めていかなければならないと思っております。

谷委員 大臣、再度お尋ねします。

 この法案は評価しますか。(松本(龍)国務大臣「はい」と呼ぶ)答弁をお願いいたします。

中井委員長 松本君、答弁は指名されてから立って言ってください。

 松本防災担当大臣。

松本(龍)国務大臣 私も、ことしの一月の十七日、阪神・淡路の十六年のときに、神戸で河田恵昭先生から「津波災害」という本をいただきました。そういう意味では、津波に対する備えというのは非常に重要なことだと思いますので、この法案は評価をいたしております。

谷委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますけれども、どうか菅総理を初め閣僚の皆さん、危機感を持って、常に被災者の支援、そういう視点で頑張っていただきたいと思います。

 以上です。

中井委員長 この際、秋葉賢也君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、貴重な機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私も被災県選出の議員として、この五十日の間、本当に地元の皆さんは大変な思いの中で今日まで過ごされてまいりました。全国からは、警察、自衛隊、消防、本当にさまざまな皆さんに大変なお力添えをいただきました。また、世界じゅうの国々から大変温かい善意の手を差し伸べていただきましたことに、改めて深甚なる感謝と敬意を表したいと思います。

 さて、三月十一日を振り返ってみますと、私自身は議員会館におりました。その後、我が党は十五時に対策本部を立ち上げまして、自民党本部でテレビをつけながらの会議をいたしておりました。そんな中で、真っ先にNHKが現場の映像で報道をいたしましたのが私の選挙区でございます。仙台市の宮城野区と若林区の映像が出てきて、あの津波が物すごい轟音とともにまるで映画のように押し寄せてきた光景を、本当に終生忘れることはできません。

 すぐに地元に戻りたいと思っておりましたけれども、すべての交通機関が麻痺をし、私が着いたのは翌日の午後三時ぐらいでございました。仙台は石油コンビナートがやられましたから、黒煙が上がって空は真っ暗な状況、そして鼻をつくにおい。そして、現場に行こうにも、あの水害でございますから、なかなか入っていけない。そういう中で、初動態勢が大変な状況でございました。

 しかも、今回は、地震が原因でありますけれども、あくまでも、被害が甚大だったのは津波による被害なんだということをしっかり認識して対応していくことが大事だと思います。しかも、本来は、津波というのは、押し寄せれば、それがさあっと水が引いていかなければならないわけですけれども、今回は、広範囲にわたって地盤沈下が伴いましたために、どうしても水が引かなかった。この引かなかったことが、やはり行方不明者の捜索にも足かせになり、被害を拡大してしまったという傾向がございます。残念ながら、今でも宮城県では、毎日のようにたくさんの遺体が発見されているような状況でございます。

 こうした中で、避難所の皆さんは、日常生活にいつ戻れるんだろう、そういう思いでつらい日々を過ごしているわけでございます。私は、これからの復旧復興の中で最も被災者の皆さんに強いメッセージとなるものが、やはり基本方針、基本計画だと思っております。

 きょうの新聞報道によりますと、政府は五月二日をめどに復興基本法を閣議決定するという報道がございました。官房長官初め、幾つか漏れ伝わっていた情報によりますと、何とかこのゴールデンウイーク前にはこれを成立させたいということを伺っておりました。なぜ、この着手が今日までおくれてきたのか。

 そして、我が党は、きのうの本会議でも、石原幹事長が、やはりこれをやるに当たっては、各省がばらばらに対応してはだめだ、一元的な権限を復興院のようなものに集中をして、各省から精鋭を集めて対応していくことが大事だということで、復興再生院の提言を申し上げてまいりました。

 総理は、とりあえず一年後の検討を記載するということが報道されておりますが、まずは復興対策本部をベースとした基本計画の中身になるという報道が出ておりますが、この復興院の設置について、総理の御所見を冒頭伺っておきたいと存じます。

菅内閣総理大臣 現在審議をいただいている第一次補正が復旧というものに焦点を当てた中身であり、いよいよこれから復興に向かって進まなければならない。既に、四月十一日に復興構想会議を設け、有識者、さらには地元知事等を含めた皆さんに復興の基本的な考え方を協議いただいております。

 その中で、実際に、復興のいろいろな作業を推し進めていく体制を、いかに、どういう形でつくっていくのか。御党から、今もお話がありました復興院という案が出されていることも承知をいたしております。また、このあり方については、時間的に、まず本部といったようなものをつくり、物事が進行するに合わせて、復興院あるいは復興庁といったようなものにさらに内容を加えていくという考え方も出てきております。

 現在、そうした各党の御意見も含めて、いろいろと検討をいたしておりまして、時期を確定はいたしておりませんが、この一次補正が成立をさせていただく、それを一つのめどに、そう遠くない時期にはきちっとした案を御提示していきたい、こう思っております。

秋葉委員 自由民主党では、既に復興再生法案を取りまとめまして、現地にも対策本部を置いて、現地、現場の生の声をワンストップで集約して強力に対応していくべきだということを提案させていただいております。ぜひ政府におきましても、私どものそうした考えをしっかりと盛り込んでいただいて、このゴールデンウイーク中も含めて、早急に国会に法案を提案していただきたいということを強く申し上げておきたいと存じます。

 さて、全国的には、きょうからゴールデンウイークということでございます。私の地元、仙台市でも、ようやく仙台市の地下鉄がきょうから全面復旧、開通になりました。また、東北新幹線も、東京駅から新青森まで、きょうから全線開通になります。本当に地元ではまだまだしんどい思いをいたしておりますけれども、宮城県では、いつまでも下を向いていてもなかなかこれはつらいものがある、しっかり顔を高く上げて、これからこの自粛ムードを脱却して力強くやっていこう、そういう意味で、きょうを災害復興キックオフデーというふうに位置づけております。折しも、きょうは、地元で東北楽天イーグルスや、あるいはJ1のベガルタ仙台の、今季、地元本拠地での初めてのゲームも今行われようとしております。

 こうした機運の中で、ぜひ、きょうテレビをごらんの皆様にもお願いをしたいわけでございますけれども、このゴールデンウイーク中に大勢の国民の皆さんに、宮城県はもとよりでございますけれども、東北地方に足を運んでいただきたいと思います。東北地方には、本当においしいお米や、そしてまたお酒、そして、疲れをいやすすばらしい温泉がたくさんございます。ぜひ東北を訪れていただいて、皆様から生の声をいただき、現場を見ていただき、さらにさらに皆さんのお力をおかしいただきたいと思うわけでございます。

 今回、この被害の範囲というものをちょっとボードで再確認させていただきたいと存じます。これは宮城県の地図でございますけれども、今回水が入ったエリアというのは、北は青森県の八戸から南は千葉県の九十九里浜まで、直線距離でいったら七百から八百キロぐらいしかないはずですけれども、国土地理院が公表したこの地図で驚きました。二千二十三キロの海岸線に及んで水が入ったということになっております。(発言する者あり)北海道も入っております。

 この浸水した面積でいいますと五百六十一キロ平方メートルだと言われております。山手線の内側の面積が六十二、三キロ平方メートルでございますから、この東京の山手線の面積の実に九倍以上の土地に水が浸水をした。そして、先ほど言いましたように、石巻では一メートル、仙台市でも三十センチから五十センチぐらい平均して地盤沈下をいたしましたから、ちょっと雨が降っただけで今なかなか水が引かないという地元の状態にございます。

 そして、あわせて、全壊、半壊合わせれば十万戸がやられているという状況でございますから、沿岸部、これを見ていただいてのとおり、大体二キロから四キロ、五キロにわたって宮城県内で浸水がございます。沿岸から一キロ、二キロの圏域は、ほぼ住宅は全壊でございます。やはりこうしたエリアにお住まいの皆さんは、あす、将来どうなるんだろう、もとに戻れるんだろうか、また戻りたくない、いろいろな思いが避難所の中では交錯しております。

 そういう中で、できれば県や国にこの土地を買い取ってもらって、そして近くに代替地を早く用意していただきたい。結局、避難所の充実でありますとか仮設住宅、これも大変おくれているわけですけれども、そのプロセスの中で、最終的にはもとの生活に戻りたいと皆さん熱望しているわけであります。

 私は、こうした被災者の皆さんの要望にこたえていく切り札というのは、今回のこの震災でのエリアの特に損害のひどかったところ、ここを最終的には国がしっかりと買い上げて、皆さんの負担をなしに、あるいは負担軽減の中で、代替地を政府としてもしっかりと用意しますということをメッセージとして強く打ち出すことが必要だと思っておりますが、この被災地の国有化あるいは買い取りということについて、総理の御認識をお伺いさせていただきたいと存じます。

菅内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、現在、どういう形での復興を目指していくのか、私からは、単にもとに戻すのではなくて、創造的な復興を考えてほしいということを復興構想会議の皆さんに諮問のときに申し上げました。

 そういう中で、今、秋葉議員からもお話のありました、水につかった部分あるいは地盤沈下をしたところをどのようなものとして活用していくのか、従来の形なのか、それとも全く新しい形で活用するのか、いろいろな意見が出てくると思っております。その中の一つに、今御指摘がありましたように、国がある部分買い上げて、それを従来とは違う目的に使う、そして、そこに住んでいた人たちにはもっと高いところに移ってもらう、こういう考え方も一つの有力な案としてあろうかと思います。

 いずれにしても、私個人のアイデアをいろいろ申し上げるというのは必ずしも適切ではないと思いますが、一つの考え方として、今、秋葉議員が言われたような考え方も検討に値するものと考えております。

秋葉委員 ありがとうございます。

 ぜひ総理、今回は、原状復旧というよりも、本当に新しい町を創造していくという発想でやっていかなければなりません。現場に戻りたくても、地盤沈下をし、また塩水をかぶっております。これには大変な時間がかかります。その間、農家の皆さんは全く収入のめどが立たなくなってしまうわけでございますから、買い取りの方針を早く打ち出すことによって、今、被災地、避難所の中で御苦労されている皆さんに政府としての強力なメッセージをしっかりと発信していただきたい、こう思うわけでございます。

 買い取りといっても、なかなかそこが難しい面がある、あるいは、総理の今の踏み込みが若干足りないような気もいたしますから、私はアイデアを一つ申し上げておきたいと存じます。

 理想的には、しっかりと被災の激しかったところは買い取っていただきたいと思いますけれども、例えば、水没したところや危険な地域に定期賃借権などのようなものを設定して、まずは買い取りというよりも借り上げて、そこに政府が、国が地代を払って、そして、被災された皆さんの生活の糧に充ててもらう、こういうアイデアも、私はぜひ柔軟に取り入れていっていただきたいなと思います。

 仙台平野は大変豊かな圃場でございました。その仙台平野も三百四十キロにわたって用水路がめためたになりました。塩害の問題と相まって、これを除去していくというのは相当の費用と歳月がかかると思っておりますので、ぜひその間、二年、三年を待たずに、そうした、政府が買い上げないまでも、一たん借り上げてそこの地代を、少し所得の面でのお手伝いをします、そういう発想を持っていただきたいということを強く申し上げておきたいと存じます。

 そして、もう一つのアイデアでございます。これは、私どもの村井知事もこの間の復興会議でも提言をさせていただきました。ぜひ、この被災を受けたエリアの危険区域等を、これからの復興に向けて、特区としてさまざまな優遇策を講じてみてはどうか。総理もおっしゃったように、やはり新しい町をつくっていくわけですから、これまでにない、まさに前例のない今回の災害の中で、前例のない対応を思い切ってしていく必要があろうかと思います。

 例えば、さまざまな規制緩和や、あるいは税制の見直し、優遇、こういったことを進める中で、新しい町をそのことによってスピーディーに創造していくということにも結びつくんじゃないかと思いますし、また、私が今大変心配をしておりますのは、原発の問題もあって、この東北地方、被災を受けたところからどんどん企業が流出していくような事態を大変心配しております。そうした企業の流出というものを食いとめるために、例えば法人税を減免するとか、また、そこの従業員に対して、今回も雇用調整基金でいろいろなメニューをつくっていただいておりますけれども、やはり特段の配慮をしていただきたいと思うわけでございますけれども、被災地における新しい特区の創設、指定ということについて、今政府は、総理はどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 被災地の復興に当たって、地域が自主的に再建について考えていく、その際に、国のさまざまな規制について広範に特例を設ける、その中で自主性を発揮できるような環境を整えるというのは、私は、復興の過程においては非常に有効な手法になり得ると思っております。

 既にもう復興構想会議でもこの特区の構想も出されておりますので、これから政府において、この問題を復興の大きな手段として検討の対象とすべきものだと考えております。

秋葉委員 ありがとうございます。

 ぜひ総理、この特区の創設は、企業の流出防止という観点、そして被災地の経済活動の活性化につながるような特区でなければ私は意味がないと思っております。そこで初めて企業が元気になって雇用が生まれるわけですから、そうした面に配慮した特区の創設を早急に打ち出してほしい。先ほどの土地の買い取りや、借地権をして国がそこを担保しますよというようなことも含めて、できればその基本計画の中にそういった具体的な施策についても盛り込んでいただきたいということを心から申し上げておきたいと存じます。

中井委員長 答弁、要りますか。

秋葉委員 要りません。

 そのほかに、今回、先ほど見ていただいたように広範な範囲で被災をしております。そういう中で、例えば常磐線や仙石線といったJRが、線路が流されたり駅舎が流されたりしております。地元の自治体からは、これを機会に、千年に一度とはいえ、また津波で線路が流される、あるいは駅舎が流される、危険だということで、新しいまちづくりにあわせて路線の変更を求めております。

 しかし、これはJR一社だけの費用負担ではとてもとても賄い切れないと思うわけでありますけれども、そういう意味で、政府として、そうした交通インフラに関する整備についても全面的なバックアップをしていただきたい。これまでのように、例えば交付税で措置をする、特交で措置をするということでなくて、できれば国の直轄事業で事業採択していく、あるいはまた、今回もいろいろ既にやっていただいておりますけれども、さまざまな補助メニューのかさ上げということで対応していただきたいと思いますが、そうした交通インフラの再整備に当たって国のかかわりをどの程度していただけるのか、総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

大畠国務大臣 鉄道の件でありますので、私の方からまず御答弁を申し上げたいと思います。

 議員から御指摘のように、確かに三陸鉄道等も大変な被害に遭いまして、また同じところにつくるのか、こういう御質問もいただいております。

 このことにつきましては、鉄道事業者等々と連携をとりながら、同じような被害ができないような対策というものを、今検討を進めているところでございます。

秋葉委員 資金的な面倒をしっかり見ていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。膨大な費用がかかると思います。

中井委員長 野田財務大臣。(秋葉委員「いや、総理、どうですか。総理の考えをしっかり示していただきたい」と呼ぶ)

 まず、野田君、先に行ってください。

野田国務大臣 どれぐらいの財政需要になるかなども含めながら、しっかり検討させていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 基本的には、復旧という考えではなくて、新たな町、新たな地域づくりという考えに立って、青写真をまず議論していただきたい。その中には、今の路線変更、あるいは逆に、太平洋側に、今もいろいろ一部進んでおりますが、高規格の道路といったものも含めて考えられることも必要かとも思っております。

 そういったことも含めて、相当規模の財源を投入して、新たな地域をつくるんだ、そういう積極的な姿勢で計画づくりに取り組んでまいりたい、こう考えております。

秋葉委員 ぜひ期待をいたしております。

 本当に、一九二三年の関東大震災と今回の被災がよく比較されて論じられることがございます。あのときには、九月一日に被災をして、九月二十七日にはもう帝都復興院という実施本部が設置されております。

 そしてその中で、私ども東北出身の偉大な政治家の一人でございますが、後藤新平さんは当時内務大臣で、この帝都復興院の総裁も兼ねて、陣頭指揮に当たられました。そこで彼が最初に打ち出した復興に当たっての予算規模は、当時の国家予算の一年分だったと伺っております。最終的に議会で通ったのはその約半分だったという結論でございましたけれども、示したのは、そういうレベルでの復興の事業量というものを示されたわけであります。

 今回も、二十兆円以上かかるだろう、いろいろな数字が出ておりますけれども、やはり大事なことは、今避難所で本当に御苦労されて、あすに夢が持てない、心が折れそうな状況にある人たちに対して、国が最後の最後までしっかりと面倒を見て対応していくんだというメッセージを発していただくことだと思っております。

 次に、先ほど谷議員の質問にもございましたけれども、今回これだけの被災で、もう五十日がたっているにもかかわらず、義援金や弔慰金といったようないわゆる現金が一切地元の被災民の皆さんには届いておりません。

 少なくても、宮城県もあれだけの被災の規模でございましたから、配分委員会なんかを十分開いているような、通常のプロセスでやっていくようないとまがございませんでした。早い段階で国の方に、被災地の十六道県集まって配分割合云々を決めてほしいということをお願いしていたわけでございますが、最終的に決まったのは四月八日でございます。阪神大震災のときには、大体二週間ぐらいのペースの中で義援金が配付された。今回は、全国からの皆さんの思いが一千八百億円以上集まっていると伺っております。しかも、阪神大震災のときなどと比べますと、街頭では、百円、千円という金額ではなくて、本当に、一万円単位での募金を箱に入れていく方が大変多いという話も伺っております。

 そうした全国の皆さんの心温まる善意の気持ちというものを早く被災者の皆さんに届けていくということが基本でなければならないと思うわけですが、なぜこんなにおくれているんでしょうか。

細川国務大臣 秋葉委員の気持ちと、まさに私も同じでございます。被災された皆さんのところに一刻も早く義援金が届くこと、そしてまた、義援金をお差し出ししていただいた皆さん方もそのように思っていると思います。

 そこで、赤十字等に寄せられました義援金ですが、四月八日に配分委員会で決定をいたしまして、既に、岩手県、宮城県では県の方で決定して、各市町村の方にすべておろしております。そしてまた、福島の方でも請求次第おろす、こういうことになっておりまして、岩手そして宮城では、市町村によっては既に個々人の方に配られたというところもありますので、私どもの方も督励をして、できるだけ早く行き着くようにやりたいと思います。頑張ります。

秋葉委員 今回は、こうした義援金の配付にしても仮設住宅にしても瓦れきの除去にしても、やはり政府の対応というのは後手後手だったと言わざるを得ないわけでありまして、現場では、もう本当に皆さん大変な思いをしているわけでありますから、スピード感というものを持ってしっかり今後対応していただきたいと思います。

 さて、今回の一次補正には、中小企業へのさまざまな融資制度の充実も盛り込んでいただいておりますが、今地元の皆さんから伺う話というのは、もう融資枠を拡大していただいても無担保枠を拡大していただいても、既に二重債務の状況にあるわけですから、何とか、運転資金でも設備資金でも何でも使えるような、補助金や助成金のような支援策が創設できないのかという声が圧倒的でございます。

 やはりこれから、すべてを失って、マイナスからの出発という事業者がほとんどなわけであります。こうした人たちに背中を押してあげるような具体的な政策として必要なのは、やはり返済義務のない、ある意味でのつかみ金のようなものを一定の基準をつくって提供していくということだと思いますが、これについては、総理、どのような認識で考えていらっしゃるでしょうか。

海江田国務大臣 おっしゃるように、補助金というのは、まさに融資と違いまして、後々の返済について負担を負わないということで大変有意義だろうと思います。

 ただ、委員おっしゃるように、使い道自由というわけには、今私どもが考えておりますのは、いっておりませんで、例えば企業が、これは一つだけの企業ではいけません、幾つかグループをつくっていただければ結構でございますが、グループをつくって申し込みをしていただきますと、倉庫でありますとか、生産施設でありますとか、加工施設でありますとか、店舗でありますとか、そういうところに使える中小企業組合等共同施設等災害復旧事業というのを百五十四億八千万円準備してございます。それから、貸し店舗、貸し工場、こういうものをまた別途手当ていたしまして、これは一定期間自由に使っていただけるということになります。

秋葉委員 今回必要なのは、融資や貸し付けといったような中小企業支援策じゃなくて、やはり自由度の高い、補助金や助成金のようなものを今後検討していただきたいと思います。

 災害の歴史というのは、被災者住宅支援法でもそうですけれども、いわゆる私的所有権にどこまでかかわるのかというのがいつも大きな議論になってまいりました。歴史を見れば、徐々に対象を拡大してきたというのがこれまでの歴史であります。これを、今回の震災をきっかけに、そうした融資の面についても広げていくということを、ぜひ取り組んでいただきたいと思うんです。

 私は、例えば今回、子ども手当の上乗せ分は減額になりましたけれども、やはりそれでも二兆二千億が削られております。私どもが与党時代に取り組んできた児童手当に戻せば、一兆円の財源が浮くことになります。所得制限をして一兆円の財源を生み出して、それを例えば一社五百万円配ったって、二十万社に配れるんです。日本の中小企業は四百万社ぐらいございますから、五%の企業に配れる。今回被災した自治体の事業所数を調べてみましたら、全部に配っても五万社ぐらいなんです。何とかこうしたことに知恵を絞って、一定の基準を設けて運用を真剣に考えていっていただきたいと思います。

 また、この予算委員会でも議論がしばしば出てまいります、リースの棒引きの問題というのも大変大きな問題でございます。特に建設機器は五千万、一億円という大変高額のものがございます。また、医療機材も流された診療所も多くございます。こういったところは、もう黙って毎月天引きになるわけでございまして、これについては、政府の方の回答というのは、支払い猶予やあるいは支払い期限の延長や、そういった条件の面での緩和で応じているということでしか答弁がございませんけれども、例えば、政府系金融機関で一たんこの債権を買い上げて対応していくというような、これまでにないスキームでの制度設計が必要だということを御提言申し上げておきたいと思います。

 時間でございますけれども、最後に、今回の被災病院の現状について伺っておきたいと存じます。

 本当に今地元では、医師会の先生方、歯科医師会、薬剤師会、あるいは看護婦、保健師の皆さんに大変な御努力をいただいております。全国からは百を超える医療のチームの皆様が献身的な御努力をいただいて大変助かっておりますけれども、宮城県では、百三十六の医療機関が全壊をして、六百九十の医療機関が一部損壊をいたしております。全体の三割がこれでやられておりますけれども、今回の一次補正には、こうした仮設診療所の今後の新設に当たっての資金が十四億円しか盛り込まれておりません。とてもとても足りない数でございます。宮城県だけでの被害額が百五十億を超えているわけでありますから、今回も、救える命が、助かった後にお亡くなりになったという方がたくさんおります。

 こうした現場での医療体制というものを充実させていくために、もっとこうした部分での予算を強化していただきたいと思うわけでございますけれども、最後に、政府の、この被災した医療施設の拡充についての御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

細川国務大臣 被災病院等への国としての支援については、今回の補正予算でもしっかり組み込んでおります。

 そしてもう一つ、都道府県ごとに設置をいたしております地域医療再生基金、これについては、被災三県それぞれに百二十億円を確保いたしました。それをもって、補正予算とこの基金の使用で、とりあえず病院等の再建に頑張っていただきたいというふうに思います。

 その後もしっかり支援をしてまいりたい、このように考えております。

秋葉委員 今回は本当に公的病院が中心のメニューになっておりますので、民間企業にも枠を広げて充実していただきますことを最後にお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、江渡聡徳君から関連質疑の申し出があります。石破君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江渡聡徳君。

江渡委員 自由民主党の江渡聡徳でございます。

 あの未曾有の大震災の後、きのうで四十九日がたったわけであります。改めまして、犠牲になられました皆様方に心から哀悼の誠をささげさせていただきたいと思いますし、また、犠牲になられました、そして大変な被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいなというふうに思っているところでございます。

 改めて、私ども、復旧復興に向けて全力で取り組まなければ、そして最大限に努力しなければいけないなというふうに思っているところでございます。幸いに日本全体が、今回の震災の後、心を一つにし、力を合わせて頑張り抜かなければ、そしてよりよい国をつくらなければということで努力しているということは大変ありがたいことだと思っておりますし、また、日本人というのは本当にすばらしい国民だなというふうに今思っております。

 しかし、そういう状況の中において、一月半たったわけでありますけれども、ある意味、いまだ復旧復興、この歩みというのは軌道に乗ったというふうには私は到底言いがたいのではないのかなというふうに思っています。私の青森県も被災しました。そして、被災された多くの方々からは、もう限界だ、我慢できない、一体政府は何をやってくれているんだろう、政治家は何をやっているんだ、そういう声ばかりであるわけであります。

 総理初め政府も、各種対策本部や会議というものを立ち上げて、必死になって取り組んでいると思うんですけれども、けさからのこの委員会における答弁を聞かせていただいて、ある意味問題なのは、これらの本部や会議がいっぱいあるわけでありますけれども、権限と責任というものが明確ではないんじゃないかということ。と同時に、政府の方針とか政策をしっかりととり行わなければいけない役人の方々をしっかりと使いこなしているのかどうなのか、あるいは、使いこなせていないがゆえに、現場の声というものがしっかりと政策あるいは今回の補正予算等に反映されていないのではないのか、こういう状況ではないのかなと私は思うんです。

 だからこそ、最初に総理に、しっかりとこの辺のところの認識をお聞かせいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私も、現地のいろいろな方にお会いをした中で、もっと急いで仮設住宅やいろいろなことをやってほしいとか、多くの要望をいただきます。そういう点で、政府として相当に頑張っているつもりでありますけれども、被災されている皆さんから見ると、もっとやってくれという要望が多いことを痛感いたしております。

 同時に、よく本部がたくさんあって責任が明確ではないのではないかという御指摘を受けますが、まず基本的に、今回の大震災は、大震災と同時に起きた原子力発電所事故と二正面作戦を余儀なくされているということは、これは御理解いただけると思うんです。それぞれの本部のもとに、それぞれの本部に伴ういろいろな作業をやるチームをつくりまして、それに本部という名前をつけたものですから、何か横並びの本部が多いように受けとめられたかもしれませんが、縦系列は二系列でありまして、そういう意味では命令系統はしっかりいたしております。

 政務三役あるいは党はもちろんのことですが、官僚の皆さんも、まさに寝食を忘れて頑張っていただいている。まだまだだという御指摘は真摯に受けとめますけれども、そういう全体の力で、野党の皆さんの御支援もいただきながら乗り越えてまいりたい、このように思っております。

江渡委員 今、総理が一生懸命やっていると。一生懸命やっている、頑張っている、いろいろやっている、それはもうずっと聞こえてきているんです。でも、現場の声がしっかりと反映されているのかどうなのか、ここが問題なんですよ。そこをきっちり取り上げているかどうか。どうも、いろいろな会議をやっていて、ある意味会議は踊るような状況ばかりになっているんじゃないのか、そういうような状況であるということなんですよ。

 現場の人たちは、被災されている人たちは本当に大変な思いで今一生懸命やっている。そこをきちんと考えていただきながら、できるだけスピーディーに、そして、よりよい、きめの細かい対応というものをやっていただければありがたいなというふうに思っております。

 さて、今回の震災で私の地元も被災しました。特に青森県、八戸市、三沢市、そして階上町、おいらせ町、これら太平洋沿岸、本当に大きな被害があったわけであります。しかし、ある意味不幸中の幸いといいましょうか、津波の押し寄せた時間が宮城県や岩手県から比べたら遅かった。それゆえに、犠牲になられた方々が少なかったというような状況がありました。それでも、犠牲になられた方は三名、行方不明者一名。そして、漁港を初め多くの施設が大被害を受けたわけであります。

 そういう状況の中で、震災後、私のもとに、被災された漁業者からの多くの手紙から、本当に悲痛な訴えというのは届いております。

 特に、その中の一つをまずは紹介させていただきたいと思います。

 今回の震災により、私たち漁業者は船舶、機械、漁具類等、さらには漁業に関連した諸施設の市場、製氷、冷蔵庫、給油、巻き上げ、漁具倉庫等すべてを一瞬にしてなくしてしまった。生活の糧が跡形もない今、復旧復興が進まない中、希望を見出せないでいる。福島原発の放射能漏れによる風評被害は今後、何年も続くだろう。前進はおくれてしまう。補正予算がたとえ決定されても、あれこれ条件がついて緊急的な対応にならないだろう。私たちは一刻も早く出漁し、漁獲し、水揚げして、通常の生活に戻りたい。早急に国の対応を求めたいと。まさに漁業者の悲痛な声であります。

 そのような状況の中においても、この津波によって、生活の糧である船を初め網を初め、すべて流されてしまったわけでありますけれども、それでも、海があり、そして魚がいる限りやり直せるんだと頑張っているんです。復興に向けて歩みを始めているんです。特に被害のひどかった岩手、宮城等々から比べますと、青森県、被害が少なかったでした。それゆえに、いち早く復興に向けて今頑張って歩んでおります。特に、一日でも早く漁をしたいと頑張っております。

 そういう中で、漁業者の声をもとにしながら、農水大臣を中心として質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、港内の瓦れきの除去について、今回の補正ではどのような対応をするんでしょうか。あるいは、港内の瓦れきは除去したとしても、漁場の方は漂流している瓦れきがいっぱいであります。ですからこそ、漁場の安全とか安心というのはどのように確保しようとしているんでしょうか、そのための調査等はきちんと行う予定になっているんでしょうか、まずお答えいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今委員がおっしゃるとおりに、一刻も早く船を出して操業したい、そういう漁業者のことを踏まえて、まず航路の確保というふうなことが一番先だ、このようなことから、水産庁といたしましても、査定前着工ということで瓦れきの処理にもう着工しているところでございます。

 今回、御承知の、いわゆる漁場復旧対策支援事業というふうなもので百二十三億、補正の中に計上しておるところでございますけれども、これは直接漁業者の方にもかかわっていただいて、そして、いろいろな今回の被災によって機能を失っているそういうようなことに対して、例えば、沿岸漁業の場合は、養殖も含めて、瓦れきがあるがためになかなか定置網も出せないというようなことに対して、やはり一刻も早くそういう沿岸地におけるところの瓦れきも撤去するというような仕事にもかかわっていただくということであります。

 ただ、海の中のものですから、なかなか見えないところもありまして、また大きな船が沈んでおるというようなところ等もございまして、サルベージ業者に依頼もしなきゃならぬというようなこともございまして、国交大臣の方にも、ぜひ何とか、我が国においてもそういう仕事にかかわっていただくことができるような人も照会をしていただいておる、こういうことで、一刻も早く応急措置として船を出せるというふうな状況を、機能回復をするというところに努めているところでございます。

江渡委員 今、農水省でもしっかりと予算をつけて、できるだけ早く漁業の再開に向けてという大臣のお話があったわけでありますけれども、では、私の地元の、例えば三沢市の三沢漁港、一生懸命漁業者が頑張って、港内の瓦れきの整理を終わったわけであります。これから、今度は航路の部分を何とかしなきゃいけない。

 先ほど、調査のことについてもしっかり答えてくださいよと言ったわけでしょう。でも、まずは、例えば港内でもう瓦れきが終わったところ、既に終わった部分に対しても予算はつくんですか、今回の補正で。

鹿野国務大臣 もちろん、その後におけるところのいろいろな瓦れきの処理については、今回計上した予算を生かして、そして対応してまいりたいと思っております。

江渡委員 今、遡及してくれるということですね、今回の補正予算で。

鹿野国務大臣 遡及の問題につきましては、重ねて申し上げますけれども、なかなか問題が困難なところもございますけれども、工夫をしてまいりたいと思っております。

江渡委員 今非常に前向きな答弁をいただきました。これをきちんとやってくれなければ困るんですよ。ここが大事なポイントなんですよ、大臣。

 財務大臣も今お聞きになったと思いますけれども、ここで後で予算がつきませんよ、遡及も何もできませんよということになったら大変なことになるわけです。

 なぜ私が私の三沢のことを挙げたかといいますと、実は、三沢市、ここの三沢の漁協、大変な被害です。船も何も全部なくなっちゃった。漁港も漁協も被害を受けた。でも幸いなことに、多くの漁業者の方々は、うちは何とかなった、家族もみんな生きていた。でも、生活の糧で、必要な部分の船から網から何から一切合財なくなったということなんです。

 となれば、今回のこの補正予算の部分においての海岸・海底清掃等漁場回復活動への支援という部分、要は、生活支援の部分のお金になる、出れば一万二千百円もらえる、これがさかのぼってくれるということであれば、漁業者にとっては大変ありがたいんです。

 つまり、生活の糧である船から何からなくて、でも、うちとか家族は助かったとなると、先ほど来いろいろ、義援金から何からの配分の話が出ていましたけれども、でもそういう人たちは、ある意味、今回、せっかく多くの国民の方々が善意で出してくれている義援金等の配分の対象にはなかなかなり切れないんです。日々の生活のお金が今必要なんですよ。

 そういう部分において、今、大臣が前向きな答弁をしていただいたというのは、これはやはり、さすが東北出身の大臣だな、同じ東北の人間としてありがたいなと思っています。でも、これができなかったというときには大変な問題になるわけです。もう一度答弁ください。

鹿野国務大臣 さかのぼっての支援のことでございますけれども、私申し上げましたけれども、今の仕組みからするとなかなか困難なことがございます、こう申し上げました。しかし、私が申し上げましたとおりに、いろいろと工夫をしてまいりたいと思っております。

江渡委員 工夫、工夫で逃げないでくださいよ、ここが大事だと先ほど私言ったわけでありますから。

 つまり、それだけ漁業者の方々、これは三沢のことだけじゃないんです、今回の大震災で被災されている多くの漁業者の人たちも、要は、休業支援、そういうものも必要だと言っている。何とか生活支援対策をきちんとやってほしいという訴えがいっぱい出てきていますでしょう。あの震災後から各委員会でずっとこの議論をされてきているじゃないですか。だからこそ、ここがポイントだというところなんです。

 特に、三月二十三日の農水委員会において、我が党の小野寺議員の質問に対して篠原農水副大臣が、今まではこのようなことに休業補償をしたことはなかったが、今回の災害、大災害ですから、政府部内で大至急何ができるか検討を進める、こう言い切ったわけであります。そして、今の大臣も前向きな話をしていただいたわけでありますから、しっかりと対応していただきたいと思うんです。

 特に、零細の漁業者、共済制度の漁業補償の枠にはほとんど入っていません。だから、日々の生活で必要なお金がないんです。そこにどう考えてあげるか、どう政治の光を与えてあげるか、ここがやはり私は一番のポイントだと思っています。だからこそ、よろしくお願いしたいと思います。答弁は結構です。

 そしてまた、もし万が一、今前向きな答弁をしていただきましたけれども、なかなかそれでも難しい、厳しいというのであれば、例えば私はこういう提案をしたいと思うんです。

 今回のこの大震災、未曾有の災害であります。千年に一遍、二千年に一遍のそういう状況であるわけで、だからこそ大変厳しいというのであれば、例えば、被害に遭った漁業者に、生活支援等、これらに向けての復興援助金とかそういうような制度というものをどこかで工夫して考えられないのかなというのが私の提案でありますけれども、この辺のことについて、農水大臣、どうお思いですか。

鹿野国務大臣 今、委員から復興援助金という考え方はどうか、こういう御指摘でございますけれども、今回の第一次補正におきましては、とにかく応急措置、緊急な形で、一刻も早く船を出したいというふうな方々に対して、魚をとって荷揚げすることができるような、そういうところに重点を置かせていただきました。

 これからどういう形で復旧復興をしていくかということの中で、もちろん、漁業者に対する救済というものをどうとらまえていくかというふうなことは、これからいろいろな方々の御意見を聞きながら、また現場の声というものを大切にしながら、県当局、市町村当局の考え方も含めて、いろいろと勉強をしていかなきゃならないことではないかなと思っております。

江渡委員 次に、漁船の購入等についてお伺いさせていただきたいと思います。

 このたびの補正予算におきまして、漁船建造、共同定置網再建に対する支援ということで二百七十四億円の予算がついておりますけれども、果たしてこれだけのお金で、今回の災害、多くの船を失った方々、こういう人たちに対応できるとお思いですか。私は全然足りないんじゃないかなと思っております。

 ただ、今回、この分だけでもまずつくってくれたというのはありがたい話なんです。でも、まるっきり足りないわけであります。だから、この辺のところをしっかりと二次補正や三次補正で対応していただきたいと思うわけであります。

 ただ、ここで、共同漁業でなければ補助が受けられないということ。せっかく今回これだけの予算をつけていただいてありがたいなと思うんですけれども、使い勝手が悪い。せっかくつけるのであれば、多くの漁業者、特に沿岸漁業者、小さい船の人たちなんか、できれば自分の船が欲しい、個人のものを持ちたい、これが希望なんです。

 やはりこういうところ、先ほどからすばらしい前向きな答弁をしていただいているわけでありますから、何とかここも、個人でも国の補助が受けられるように、そういうことを考えられませんでしょうか。大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 今回の第一次補正におけるところの漁船の支援策というものは、今までは五トン以下にだけということでございましたけれども、それ以上の船も対象にするというようなことで対処させていただいておるわけであります。

 今委員からの、個人でもということでございますけれども、今回は応急措置ということでございまして、とにかく緊急的に、船を出すというようなことについてどういう支援の仕方があるか、このようなことから、まず、漁協が船を所有するというふうなこと、そして共同でやっていくということに対して支援する、こういうふうな施策をとったわけでありますけれども、当然、個人の漁業者からするならば、それをリース、借りて、そして自分でやっていくというふうなこともできますので、今日の状況では、そういう形で漁業者の人に取り組んでいただければなと思っております。

江渡委員 まずはという話でありますけれども、できればもう少し柔軟な対応をしていただければありがたいと思っております。

 さらにお聞きしたいと思うんですけれども、漁業者からこういう声もあります。国の支援金、あるいは県の支援、市から見舞金等の話が出てきても、船をつくるところもない、網をつくるところもない、金の用意は大事だけれども、船、漁具、漁網が手に入らないと。国として率先して、造船所や網の製作所、漁具の製作というものを責任を持ってやってほしいというような意見が多く寄せられています。

 我々自由民主党は、提言書を政府の方に出させていただいたわけでありますけれども、その中において、我々、党としては、日本の漁業全体を俯瞰した漁船、漁具等の国によるあっせんの実施と取得費用の助成をするという、漁船、漁具のマッチング事業、これを行うべきだということで提案させていただいておりますけれども、その辺のところでの大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 まさしく漁業者の方々との雇用のマッチングというのは非常に重要なことでございまして、全漁連を通じまして、被災した漁業者が利用できる中古の漁船とかあるいは漁具とか、そういうところに対して照会中でございます。

 そして、この地域の漁業が復興するまでの間、他の地域において漁業に従事したらいかがでございましょうかというようなこともございますので、その辺のところも、希望があるというふうなことでありますならばということで、都道府県等を通じまして、現在まで三百五名の求人情報も寄せられておるわけでございますけれども、これからも、こういう情報を被災地の方々に提供しながら、県あるいは漁業者の方々と綿密なる連携の中でマッチングの問題についても取り組んでいきたいと思っております。

江渡委員 今大臣の方からも前向きな答弁をいただいたわけでありますけれども、ただ、漁業者は、自分の目の前の海、ここで何とかしたいということなんです。だからこそ、漁具にしても漁船にしても何にしても、一日でも早く何とかなるような対応、もっともっと知恵を絞っていただきたいなと思っています。

 最後に、違った観点から総理に御質問したいと思うわけであります。

 今回の大震災、東北地方の被害に目が向けられているわけでありますけれども、液状化現象による被害というのも大きな特徴であるわけであります。千葉県の浦安市等の湾岸地域での家屋の沈下や傾斜、香取市の二千二百町歩の水田に及ぶ配水管等の寸断の被害も出ています。

 液状化現象の被害に対し、内閣府策定の被害認定基準の指針が液状化現象被害を想定しておりません。地震や津波被害と同等の住宅の解体あるいは修繕費用の支援金給付、補助等の支援ができない問題とか、水田においては津波による塩害と同等の対応の必要性、または液状化の災害復旧に関するガイドライン等の作成の必要性というものも指摘されているのも事実であります。

 このことに対して、こういう問題に対してもしっかりと取り組むという決意も示していただきたいし、いち早く対応するということも述べていただきたいと思うんですけれども、総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 液状化によって家が傾くということは従来からあるわけですが、全体が沈んでしまっているというような場合に、傾きはないけれどもそのままでは使えないといったような問題等々、いろいろなことが起きているということも私も承知をいたしております。

 これらについても、しっかり現状を把握して、急いで対応策を固めてまいりたい、このように考えております。

江渡委員 今、しっかりと言われました。であれば、いち早く、ガイドラインにしても指針にしても、きちんと出していただきたいということなんです。

 けさからの議論でも、いろいろな質問がなされていましたけれども、政府としての明確な対応、いついつまでにどうする、いついつまでこのようにやりますよということが明確に出されていないわけであります。となると、被災者の方々は、一体我々はいつまで待てばいいのか、いつまで我慢すればいいのか、こういう思いにしかならないわけであります。

 だからこそ、私は、一番初めに総理に、現場の声というものをいかにつかみ取るか、ここが大事だよ、そのことを質問させていただいたわけであります。どんなにここ永田町でいろいろな議論をしていろいろな知恵を絞ったとしても、被災地の現場の声というものが反映されなければ、どんなに予算を盛ろうが、どんないいことを言ったとしても、これはよりよい形にならないわけであります。

 一番大事なことは、まず現場の声をいかにつかみ取るか、そのための対応、対策をどうするかということなんです。各種会議、いろいろな部分で現場の出身の方々も入れていますよと言っていても、本当に今体育館や公民館でつらい思いをしている人たちの代表者は何人いるんですか。その人たちの思いがきちんと反映されるような仕組みになっているんですか。

 しかも、これから復旧復興しようと思った場合、一番大事なのは、そういう地域の方々が、みずからの力と英知と、そして互助の精神と自治の精神を出し合いながら、その地域の文化と伝統をきちんと生かしてよりよいまちづくりというものを進めていく、復旧復興に向けて努力していく、このことこそが私は一番大切なことではないのかなと思っているんです。

 その点を忘れてしまって、こうやりますよ、ああやりますよと言ったとしても、被災者の心には全然届かないんです。だからこそ、現場の意見、現場の思い、それをきちんと取り上げる場というものをきちんと総理につくっていただきたいんです。総理、いかがですか。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。十秒ぐらいでお願いします。

菅内閣総理大臣 これからいよいよ復興の本格段階に入る中で、今御指摘がありましたように、現場の声が必ずしっかり届くような、そういう仕組みも取り入れていきたいとお約束をいたしたいと思います。

江渡委員 質問を終わります。

中井委員長 これにて石破君、吉野君、谷君、秋葉君、江渡君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。

 本日で、三月十一日に発生いたしました東日本大震災から五十日が経過をいたしました。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。また、亡くなられた多くの方々の御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。また、御遺族の皆様方に心から哀悼の意を表したいと存じます。

 私ども公明党は、この震災の復旧復興、また原子力事故の対策については、これは与野党が協力して迅速に実行すべきである、こういうふうに考えております。ただ、これまでの政府の対応には、ただすべき点がたくさんございます。本日は、ただすべきはただし、指摘すべきは指摘しということで質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、災害対策に当たっての政府の姿勢について伺いますけれども、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、当初、二十キロメーター圏内の避難指示、それから二十キロから三十キロ圏内の屋内退避指示を発表されましたが、その際に、地元の市町村と事前に連絡をとらなかったというふうに聞いております。どうしてこういう対応をしたのか。まず、その理由を確認させていただきます。

海江田国務大臣 石井委員にお答えをいたします。

 まず、十一日の夜更けから十二日にかけまして、私ども、ベントを行うべしと、炉の状況が大変危険でありましたからそういう指示をいたしましたが、これが、なかなかベントの実行が行われなかったということは、もう既に御案内のとおりでございます。

 そして、私どもはベントの指示を行いますと同時に、もう既にその日の正午前に、現地に対策本部ができ上がっております。私どもの副大臣がそこに行っておりますが。従来でしたら、ここで地元の市町村などに十全な連携体制がとれるわけでございますが、残念ながら、その日は各市町村も避難対策に追われまして、一つの町を除いて現地対策本部に委員が出ていなかったということもございまして、大変申しわけないことでございますが、各関係市町村にベントに際して事前に連絡ができなかったということでございます。

 なお、私と官房長官は三時ごろに記者会見をやって、これからベントをやる旨、発表したところでございます。

 それから、海洋水……(石井(啓)委員「それは後」と呼ぶ)それは後ですか、はい。

石井(啓)委員 それでは、避難指示を出した際に、避難の手段とか避難先の確保は、これはどういうふうにしたらいいかというふうに考えていたんですか。地元の市町村と連絡をとらないでおいて、どうやって避難をさせるか、避難先を確保するか、それはどういうふうに考えていたの。

海江田国務大臣 これは、危機管理センターから地元の市町村あてに連絡が行きまして、そして警察官などの立ち会いによって避難が行われたと承知しております。

石井(啓)委員 住民の方の避難をどのようにするのか、あるいは避難先をどう確保するのか、これは住民と最前線で向き合っている市町村がやらなければいけないことですよね。その市町村と事前に連携をとらないでおいて避難指示を出す、地元の市町村は、官房長官の記者会見を聞いて、見て初めて指示が出たというふうに知っていると。

 こういう、地元の市町村に連絡をしないでおいて一方的に指示を出す、この政府のやり方は極めて無責任じゃありませんか。総理、どうですか。

枝野国務大臣 特に事故発生当初の段階においては、御指摘いただきましたとおり、地元の自治体の皆さんに対する特に事前の御連絡というものが十分にできなかったことは、自治体の皆さんに対して大変申しわけなかったというふうに思っております。

 先ほど経産大臣の方から御報告がございましたとおり、現地対策本部が原子力災害においては大きな役割を果たすということで仕組みが組まれていたわけでありますけれども、今回の大きな地震と津波、そして原子力発電所事故の態様が大きく、なおかつ急激に状況が変化していくということの中で、現地対策本部がなかなか十分に機能できる状況ではなかったということの中で、一方で、逆に言うと、避難そのものについて、地元の皆さんとの調整を待って避難いただくということをできるような状況ではなかったということの中で、しっかりと決定をして発表することと、それから、危機管理センターを中心にして、警察、自治体、消防、自衛隊、あるいは病院、医療関係については厚生労働省を含めた関係機関を通じて、実際、具体的にどういった形で対処いただくかということについてのオペレーションを同時並行で進めるということの中で、できるだけ早く原子力発電所から離れていただくということをいたしました。

 結果的に、特に住民の皆さんと直接接しておられる自治体の皆さんには、大変な御苦労をおかけして申しわけなかったというふうに思っております。

 今後、こうした事故はあってはいけないというふうに思いますが、今回のことについてはさまざまな、事前の想定も含めて、反省点は大変多いというふうに思っております。

石井(啓)委員 次の点を指摘いたします。

 原子力発電所の放射性物質を含む蒸気を排出するいわゆるベントという行為、これを実施する際、関係する自治体には全く連絡がありませんでした。また、放射能に汚染された水を海域に排出する際、これも影響が予想される自治体やあるいは周辺国に対して事前に連絡が全くありませんでした。どうしてこういう対応だったのか、この点についても確認します。

海江田国務大臣 ベントにつきましては先ほど事情をお話しいたしましたが、汚染されました水を海洋に放出した件につきましては、その放出を実行します四時間半前に私どもが連絡をいたしましたのは、南相馬、浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉、広野、いわきでございますので、立地の地域、それから一番中心の地域については連絡をいたしましたけれども、委員御指摘のように、周辺自治体あるいは周辺国、ここに対して連絡が行われていなかったということでございまして、こうしたことのないよう、今後は、私どももしっかりと事前の連絡をするように努めてまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 今後はと言っても、もう遅いんですよ、やってからでは。

 例えば、ベントの実施を事前に知っていれば、農作物への放射能の影響をなるべく軽減するために、露地野菜はなかなか難しいけれども、ビニールハウスで栽培している野菜についてはビニールハウスを閉じていたというんですよ。そうすれば放射能の影響は最小限に軽減できていたと。事前にきちんと連絡を受けていればですよ。そういうことがあるんですよ。そういう想像力が全く働いていないんですよ。

 また、周辺国に汚染水の放出を事前連絡していなかった。韓国の首相は、自分のところの国会で追及されているんですよ。放射能汚染水の海域排出の事前通知がなかったということについて、韓国外交の無能ぶりをさらけ出したというふうに韓国の国会で追及されて、韓国の首相は何と言ったかというと、むしろ日本が無能と言いたい、事前に知らせてくれれば、こういうふうに反論しているんです。

 総理、隣国の首相に無能と言われるような、これは歴史的な大失態なんです。そういう認識と反省がございますか。総理に伺います。

菅内閣総理大臣 汚染水を、高濃度のものを収容するためとはいえ、低濃度の汚染水の海への放出について事前の連絡は、事前といいましょうか、そういう可能性の連絡はあったと聞いておりますが、直接、いついつこの程度のものを放出するということの連絡が十分できていなかったことは大変遺憾なことだと思っておりまして、そういった意味では、今後そういうことがないようにしっかり対応していきたいと思っております。

石井(啓)委員 いや、十分に連絡じゃないんですよ。その当日、定例のレクチャーで在京の大使館にその可能性があるということは言っていたようですけれども、そこには韓国の方なんか来ていなかったんだ。具体的にメールとファクスで通知したのは、排出してから二分後でしょう。そういうのは事実上明らかになっているんですよ。十分じゃなくて、全く連絡していなかったんです。その事実もしっかりと認識していただきたい。

 避難の指示にしろ、ベントや放射能汚染水の排出にしろ、この行為がどのような影響を及ぼすか、そのことの想像力が全く欠けているんです。ほかにも同様の事例が今回の災害対応ではたくさんございます。結局、政権の中枢に現場感覚がないことが、さまざまな混乱を招き、迷惑をかけているんです。このことは深刻に反省をしていただきたいと思います。

 ちょっとパネルを。これは、私どもの公明新聞に四月二十二日付で載りました福島県南相馬市の方の声でございます。先日、参議院の予算委員会で私どもの浜田議員から御紹介がありましたけれども、本当に現場の声ということでございます。改めて御紹介を申し上げたいと思います。

 「この一カ月有余、被災地では国の存在を感じません。被災者は、自らの判断で動かざるを得ないのが実態でした。政府のやることは指示や規制ばかり。避難するにもガソリンはなく、退避するにも食料品や生活必需品が届かない。避難や退避の指示を出す以上は、そのための手段を手当てするのが国民の生命を守る政府の役割でしょう。」「国に何がないのか。「心」がありません。打つ手打つ手に被災者への想いや心配りがない。」こういう現場の被災者の声が寄せられております。

 総理、この声をどう受けとめていらっしゃいますか。総理に聞いています。総理、答えてください。

枝野国務大臣 当該パネルに載っている声の方は南相馬市の方のようでございますが、そうした皆さんには、こうしたお気持ちになられたということ、そうした対応であったことは大変申しわけなく思っております。

 一方で、今回の原子力発電所事故、今、一定の安定した状況になっておりますが、指示をした時点においては、放射能による健康被害ということをまずは避けていただくということを優先せざるを得ないということの中で、無理な御指示を、お願いをしました。

 結果的に、放射線等による健康被害ということについては防ぐことがここまでできていると思っておりますが、そうしたことの中で、御指摘いただいているような点について、十分な対応が間に合わない状況の中で大変御苦労をおかけしたことは、大変申しわけなく思っております。

石井(啓)委員 これは政権の対応なんですから、総理が答えてくださいよ。菅政権には、被災者の身に寄り添った親身な思いやりや心配りがないんですよ。それが決定的に欠けていることが最大の問題なんです。このことを、総理、省みるところはありませんか。総理に聞いています。

菅内閣総理大臣 今、官房長官からも答弁がありましたが、特に南相馬市の皆さんにはいろいろな面で御無理なお願いをした中で、そういう御指摘があることは本当に申しわけないと思っておりますが、十分ではなかったという反省もあります。

 もう一つ申し上げますと、最初にベントのこともお話がありました。

 実は、この事故が、いわゆる十五条事故のあれがありましてから、特に最初の三日間ぐらいは、本当に一秒一秒、何が起きるかという状況でありまして、この日も、結果的には翌日の十五時には一号機で水素爆発が生じております。

 そういった意味では、私たちは、まずは住民の皆さんの安全ということを考えて、確かに連絡が不十分な面があったことは反省しなければなりませんが、少なくとも、ぎりぎりの時間的な制約の中で、ここはベントをせざるを得ないという、つまりは、格納容器の圧力が上がっておりましたので、そういう判断の中で、必ずしも連絡の方が十分ではなかった部分があったことは反省をしなければなりませんが、私たちがそういう皆さんの安全性を考えながら関係者と協議をして物事を進めていたということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

石井(啓)委員 いや、私は、ベントをやったことを批判しているわけじゃないですよ。だって、総理は、経産大臣が東京電力にベントをやれと言ってから時間がかかったわけでしょう、時間があったわけじゃないですか。総理がベントを指示してから、実際にやるまで時間があったわけでしょう。その間、何で地元の市町村に連絡をしなかったんですか。あるのにやれないことが問題だと言っているんです。ベントをやったこと自体が問題だと言っているわけじゃない。そのことをしっかりと認識していただきたい。

 では、続いて、復旧対策について聞きます。

 避難所の問題でございますけれども、避難所での生活は、もう心身ともに限界に達している。一方で、先ほどの質疑にもございましたけれども、今後数カ月にわたって仮設住宅に入居できない方がいらっしゃるわけです。総理が御答弁されたように、希望者全員がお盆までの間に仮設住宅に入居されたとしても、お盆までということでは、これから三カ月半もまだ時間があるわけですから、こういった方々はどうしたらいいのか。被災地以外の旅館やホテルに二次避難ということは可能なんですけれども、やはり被災者の方々は地元から離れるのが嫌だという方が大半で、これがなかなか進んでいないという状況がございます。

 ただ、今現在の避難所の悲惨な状況をこれから数カ月も続けさせてしまうというのはやはり避けなければいけない、こういうふうに私は思うんですね。したがって、いつ仮設住宅に入居できるのか、そういったしっかりした時期のめどを示した上で、被災地以外の旅館やホテルへの二次避難も進めてはどうかと提案を申し上げたいと思います。いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 石井委員と同じ問題意識を持っておりました。

 発災から一週間ぐらいで、この災害の規模の大きさを見たときに、全国で公営住宅あるいは国の住宅等々を見つけて、避難ができるところを探しました。また、旅館、ホテルも含めて、今十数万戸の用意はしております。今、実績でいえば、公営住宅あるいは県営住宅等々を含めて二万人の方がおられるというふうに思います。また、旅館、ホテルでも両方で二万人ぐらいの方がおられるというふうに思っております。

 私も二次避難があるのかなとは思いましたけれども、南三陸でも、三月から募集をしても、千人弱の方しか、近隣のところにしか行かれていない。私も二次避難を促したいと思うんですけれども、行方不明者の方がおられてなかなか動かれない方も多い。それも含めて、今劣悪な状況に避難所がなっておりますので、そこの手当てを今しっかりしながらも、これから二次避難ということも私の腹の中ではありますけれども、アナウンスの仕方も含めて努力をしてまいりたいというふうに思います。

石井(啓)委員 観光庁の調べでは、三十日間受け入れ可能な人数が四十二の都道府県で十四万六千人に上りますね。被災者の方の中には、子供さんの学校の関係やあるいは仕事の関係、あるいは今大臣がおっしゃったような、行方不明者をまだ捜さなきゃいけない、そういった関係で移りたくないという方もいらっしゃる。そういう方に無理強いする必要はないと思いますけれども、これから仮設住宅がどういうふうに建設をされてくるのか、その具体的な計画を示してさしあげて、これだけ時間がかかる、あるいはこの時期になったら戻れますよということを丁寧に説明してさしあげて、この二次避難もぜひ進めていただきたいと思います。

 それから、これまでの質疑の中でも、生活資金がなかなか届かないということが問題になっておりました。実は、私どもの井上幹事長も、被災十日後に地元の被災者の方から、五万円でも十万円でもいい、とにかく着のみ着のままで逃げてきたので、少額でもいいから何とか資金が手に入らないか、こういう声を受けとめて政府に伝えたんですけれども、いまだほとんど現地の被災者の方には届いていない。このスピード感のなさには、本当に私どもは怒りを覚えています。

 例えば、被災者生活再建支援金支給、この流れを見ますと、まず、市町村から罹災証明の発行、これは、従来一カ月ぐらいかかっていたようです。今回、これは私どもの指摘によりまして、例えば津波なんかで家が流されちゃった場合は、一々罹災証明をとらずに写真だけでいい、こういうふうになりましたから、これを簡素化したことは、私どもは評価をいたしたいと思います。

 しかし、被災世帯が実際に市町村に支援金を支給申請してから、市町村や都道府県で二週間ぐらい手続がかかる。さらに、都道府県から財団法人都道府県会館に送って、そこでまた二週間審査がかかって、申請から一カ月もかかるんですよ。何でこんな事務手続に一カ月もかけているんだ、もっと迅速にこれはやるべきじゃないかと思います。どうでしょう。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 被災者生活再建支援金の基礎支援金等々の問題につきましては、三つに分けて御説明をしたいと思います。

 まず、前提となる住宅被害の認定手続につきましては、国が基準を定めている今回の災害については、特例的に大幅に簡略化した手続を採用し、既に地方公共団体に通知をしているところであります。罹災証明につきましても、一カ月かかるところを、写真を送付するだけですぐに終わるでありますとか、あるいは、長期避難エリアを設定し、その居住地域に住む者について罹災証明書取得を不要化している等々、簡素化をしているところであります。

 また、次の手続としては県あるいは市町村の申請手続がありますが、これについては、県と市町村で重複したチェックをすることのないよう、県と市町村の合同調査方式を導入することなどについて既に要請をしているところであります。

 それと、最後に、支払い原資となる基金を管理している財団法人都道府県会館による支払い手続がありますけれども、この手続につきまして、ピーク時をにらんださらなる人員の増強や審査方法の改善、マンパワーの増強も含めて要請をしているところでありますし、私たちも、このことについても、これからも課題として取り組んでいきたいというふうに思っています。

石井(啓)委員 こういう災害のときこそ、お役所仕事を排して、被災者の立場に立った迅速な対応をやっていただきたいと思います。

 続いて、液状化の問題。先ほどの質問者の方もおっしゃっていましたが、今の内閣府の災害の被害の認定基準、これは、液状化の被害の実態に適切に対応しておりません。

 例えば、現状の基準ですと、二十分の一以上傾いたら全壊となると。二十分の一というのは、例えば一メーター二十センチだとすると、六センチ傾くということですね。そうすると全壊だとみなされる。そして、六十分の一だと一部損壊とみなされる。六十分の一というのは、一メーター二十センチだとすると、二センチ傾くということですね。ところが、実際は、六十分の一以下でも床が傾斜していると住めないんです。わずかな傾斜をしていても、中に住むと目が回ってしまう、とても長くいられない。

 今の基準というのは、実は床の傾斜の基準というのはないんですね。壁や柱の基準なんです。壁や柱が倒れていても、昔の災害は床が水平だったということはあったと思う。ところが、液状化というのは家が丸ごと沈み込みますから、床も一緒に傾く。今の災害基準では、床の傾きということは全く念頭に入っていない。ですから、これはもう全面的に見直さなきゃいけないんですよ。

 松本大臣も、これは認定基準を見直すと言っていますけれども、どういう見直しをされるのか、そしていつこの結論を出すのか、伺います。

松本(龍)国務大臣 先ほど総理も積極的な御発言をされました。お話しのとおり、液状化の問題は深刻な問題であり、先々週の土曜日に担当官を派遣し、先週の金、土で、私どもの東副大臣が現地を視察してまいりました。そして、今週に入りまして、私は、土木とか建築とか、そういう学会の人たち、業界の人たちを含めて、今お話があった三半規管とか、要するに、医学の関係者も入れてこの問題に当たるよう指示をしまして、検討会をしたところであります。

 そういう意味では、五月の早い時期に見直しに向けて検討してまいりたいと思います。

石井(啓)委員 液状化の被害の大きい市町村では、新しい被害認定が出るまでは罹災証明を出していないところもあるんですよ。だから、新しい認定を待っているわけですね。罹災証明が出ませんとさまざまな被災者支援策ができませんから、早急にこれは結論を出していただきたいと思います。

 それから、続いて、介護施設の復旧で申し上げますけれども、株式会社等の民間の高齢者のグループホームの施設、この復旧について、交付金を受けた施設は災害復旧の対象になっている。ところが、交付金を受けていない施設はどうも対象にならないんじゃないかということが言われているんです。

 これは、たまたま交付金を受けなかったとしても、同じように高齢者介護施設として認知高齢者の方々をお世話しているわけです。だから、当初交付金を受けたかどうかということで区別をせずに、私は、交付金を受けなかったとしても、高齢者のグループホームについては災害復旧をやるべきだ、こういうふうに思いますけれども、これは、厚労大臣、いかがですか。

細川国務大臣 委員が御指摘のように、介護施設が被災をした場合、それをどのように復旧していくか、これについて国が支援できるかどうか、こういうことでございます。これまでは、国の方が施設整備に交付金などを出している場合でなければ災害復旧の対象にならない、こういうことでございました。今委員が御指摘のように、こういう高齢者施設、民間だろうと公的な施設であろうと同じじゃないか、こういう御意見でございます。

 そこで、今回は、まず、応急的な復旧、建物が毀損しているような場合に仮の施設をつくる場合、あるいは賃貸住宅を借り上げる場合、こういう場合は適用をいたしまして、そして介護保険が適用になって介護サービスを受けられる、こういうことにしたいというふうに思います。

 それから、今度は本格的な復旧でございます。そのときに、では、災害復旧の費用を充てるかどうかということでございますけれども、これにつきましては今検討させていただいております。災害復旧費で充てるのか、それとも、都道府県に介護基盤緊急整備等臨時特別基金というのを設置しております。災害復旧費でやるかこの基金でやるか、今検討いたしておりまして、株式会社の場合でも、今回は本格的な復旧についてもそういうことで支援をしていきたい、このように考えております。

石井(啓)委員 これは大変な朗報だと思います、関係者にとっては。本当に大きな朗報だと思いますので、ぜひ早く結論を出していただいて、心配ないように、皆さんにお知らせをいただきたいと思います。

 それから、いわゆる住宅ローンの二重ローンの問題、これを確認いたします。

 住宅ローンを抱えたままで住宅が被災された方について、当面は既存のローンについては返済猶予等の措置を受けられていらっしゃいますけれども、新たに住宅を建築、購入しようとすると、既存のローンとの二重ローンの問題に直面をいたします。私は、借金だけ抱えたマイナスからのスタート、これをせめてゼロからのスタートにしてさしあげよう、そのために、全壊あるいは大規模半壊した住宅の既存のローンについては、免除あるいは大幅な削減をしてはどうか、こういうふうに考えました。

 そこで、これはなかなか政府が強制的にやるというわけにいきませんけれども、金融機関が住宅ローンの債権放棄をしやすくするためにいろいろな措置があるわけです。

 一つは、債権放棄をたくさんやると金融機関の財務の能力が毀損してまいりますから、被災地金融機関向けの資本注入の仕組みをつくること、これはどうも金融庁の方で今検討されているようです。

 もう一つは、無税償却の仕組みを導入することですね。今、債権放棄をしようとすると、自己破産等をしていないと経費として認められないんですね、非常に税務上厳格な基準でやっていますから。でも、債権放棄したけれども経費で認められなくなると、これは税金を払って償却しなきゃいけない。ということになると、これは金融機関はやりにくいわけですから、私は、無税償却の基準を大幅に緩和することも考えるべきだというふうに思っています。総理、いかがですか。

自見国務大臣 石井議員に、金融庁という話が出ましたので、答弁をさせていただきます。

 御存じのように、大震災発生の日、その日でございますけれども、今お話がございました中小企業金融円滑化法案、これは大変、石井議員も強く、延長せいということで、この前、予算委員会でも御激励いただいて、おかげさまでこれは延長になりました。

 これはもう御存じのように、住宅ローンの借入者の貸し付け条件の変更ということ、これの申し込みも積極的にしてほしいということを、私と日本銀行総裁の名前で三月十一日に出させていただいたわけでございます。

 特に金融機能強化法、これも今お話がございましたように、経営者の判断できちっと公的資金を金融機関の資本に増強する。そういったことで金融仲介機能を積極的に向上していくことによって、この大震災に対して、こういった住宅ローンの借入者の貸し付け条件の変更等に応じやすく金融機関にさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 それから、今、もう一回、二重ローンの話が出ましたけれども、先生から既に何度も御指摘をいただいておりますように、これは今、金融機関、中小企業金融円滑化法案、また金融機能強化法、こういったことと組み合わせた、また今、住宅金融支援機構、昔の住宅公団でございますけれども、これがまた、御存じのように、無利子の、今度の補正予算にも入っております。

 そういったこと等を同時に活用しながら、また、今先生が議題とされました被災者生活再建支援法といったこととあわせて、被災者の方の住宅ローンをできるだけ軽減するように、あるいは場合によっては、これはケース・バイ・ケースでございますけれども、金融機関の経営者の判断として債権放棄ということもあり得るわけでございますから、そういったことを含めて、しっかり全力を挙げて支援をさせていただきたいと思っております。

石井(啓)委員 長い答弁をいただいたんだけれども、肝心の無税償却の仕組みを導入するかどうかの答弁がないんです。これは本当は財務大臣だね。財務大臣、どうですか。

野田国務大臣 金融庁は、個別のこういう金融機関の住宅ローンの問題等現況を把握されておりますので、よく金融庁と相談をしながら、しっかり協議をしていきたいというふうに思います。

石井(啓)委員 被災者の中には、報道されておりますけれども、新居に引っ越した翌日に津波に遭って家を持っていかれる。そうしたら、要するに借金だけしか残っていないわけですよ、引っ越したと思ったら。そういう悲惨な事例もあるわけですから、何とかこれを救済してあげよう、あすへの生活再建の希望を持たせてあげよう、これは私たち政治家の役目だと思うんです。

 野田大臣、野田大臣も心の温かい方だと思っていますから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。

 それから、今度は中小企業の二重ローンといいますか、既存の債務の問題でございますけれども、今回の大震災で被災した中小企業を再建させるためには、相当思い切った金融支援をしなければいけないと思っています。今回の補正で、東日本大震災復興緊急保証あるいは東日本大震災復興特別貸し付け、これを創設したことは、私はこれは評価をいたしたいと思います。その上で、さらに金融支援を充実させる必要がある。

 二つ申し上げます。

 一つは、既存の借り入れについて、新規の借り入れと一本化する、借りかえができるようにする。やはり既存のローンの返済が企業にとっても重たいわけですよ。施設だとか設備だとか全部流されて、ローンがある。当面は返済されているけれども、これはどうしたらいいんだと。ですから、これは借りかえをすることによって、新規の貸し付けと一体化することによって返済期間を長くして、当面の返済の負担を少なくする、こういうことができます。これはぜひやっていただきたい。

 もう一つは、新たな借り入れをする場合、据置期間を大幅に伸ばして一括償還できるようにする。十年一括償還、借りたけれども十年後に返せばいい、こういうことをやっていただければ、何とかこれは再建しようという希望が持てるんです。

 ぜひ、この二つ、検討していただきたい。経産大臣、いかがですか。

海江田国務大臣 石井委員御指摘の東日本大震災復興特別貸し付けでございますが、まさに今補正で手当てをするものでございますが、委員御指摘のような、これまでの既往の貸し付けも一本化できないかということにつきましては、この東日本大震災復興特別貸し付けの制度そのものが、従来の災害復旧貸し付けとそれからセーフティーネット貸し付けを一本化したものでございます。その関係で、セーフティーネット貸し付けを引き継ぐ部分では既往の貸し付けの借りかえが可能になりますが、大変残念なことでございますが、従来の災害復旧貸し付けを引き継ぐ部分では借りかえができない仕組みになっております。

 それから、貸し付けの限度額でありますとか、それから据置期間、金利引き下げ措置は大幅に緩和をするところでございます。

 それから、今議員のもう一点御指摘のありました超長期の据置期間として十年で一括ということでございますが、この特別貸し付けでは、貸付期間が最長二十年、据置期間も、従来でしたら二年でしたけれども、それを、今の段階では五年で精いっぱいでございますが、五年に拡大をしたものでございます。金利も最大で無利子まで引き継げるなど、そういう形で、過去に例のない形で実施をするものであります。

石井(啓)委員 いや、今回新しく創設した制度はわかっているんです。だから、その説明を求めたんじゃないんです。その上で、さらなる支援を今後やってほしいということですので、もう一言、大臣。

海江田国務大臣 委員の御指摘、それから党内でも同じような意見もございますので、今後の勉強の課題とさせていただきたいと思います。

石井(啓)委員 これは単に勉強するだけじゃなくて、しっかりやっていただきたいと思います。

 それでは、続いて、原子力損害賠償について伺います。

 きょうは東京電力の社長さんにもお越しいただいているので、確認をいたします。

 昨日、原子力損害賠償紛争審査会が一次指針を出しました。この中では、政府による避難等の指示に係る損害、政府による航行危険区域設定に係る損害、それから政府等による出荷制限指示に係る損害、この中には自治体による出荷自粛要請も含んでおります、この損害についての基本的な考え方が明らかにされました。

 これに基づいて、従来は避難者のみ仮払いをしておりましたけれども、避難者のみならず、少なくともこの一次指針に該当する商工業者、農家、漁業者に対しては速やかに仮払い補償がなされるものだ、こういうふうに理解をしていますが、そういうことでよろしいんですね。東京電力社長に確認します。

清水参考人 東京電力の清水でございます。

 冒頭に当たりまして、まず私から、このたびの福島第一原子力発電所における重大な事故によりまして、広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしていることに対しまして、改めて深くおわびを申し上げたいと思います。

 それで、今の先生のお話は、仮払いというお話でございます。

 昨日公表されました紛争審査会の第一次指針を踏まえまして、弊社としましては、損害額の算定や賠償金の支払い方法などについて、御指摘の方法も踏まえまして、今後、検討を行い、対処してまいりたい、このように考えております。

 なお、これから大変広範囲にわたる多くの被害者に対する補償を実施していくということに相なると思いますが、原子力損害賠償制度のもとで、資金面も含めまして、国の御支援もいただきながら、指針を踏まえて公正迅速に対応してまいりたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。

石井(啓)委員 ぜひ迅速に事業者に対する仮払いも実施をしていただきたいと思います。

 今後、事業者への仮払いを実施しようとする場合、事業者によって損害額が大きく異なりますから、避難者の場合のように一定額とはいきません。例えば東海村ジェー・シー・オー事故の場合は、請求額の半分を仮払いしました。半分ということになるかどうかわかりませんけれども、やはり、私は、請求額の一定割合を支払う、こういうことにすべきだと思っております。

 また、今回の事故の収束までには相当の期間がかかりますので、避難者に対しても事業者に対しても、一回限りではなくて一定期間ごとに仮払いをするべきだ、こういうふうに思います。

 この二点について社長から伺います。

清水参考人 今お話がございましたジェー・シー・オーの事故では一定割合を支払ったということは、私どもも重々承知いたしております。

 今回の補償につきましては、今申し上げましたとおり、公正迅速に対応させていただくということで、そのためにも資金面も含めて御支援をいただきたいというふうに申し上げましたが、御指摘のお話も含めまして、今後、検討して、対処してまいりたい、このように考えております。

石井(啓)委員 では、一定額の支払い、あるいは複数回、一定期間ごとの仮払い補償、これもあわせて検討していただくということでありますから、これは早く結論を出していただきたいと思います。

 ところで、文科大臣に確認しますけれども、今回の一次指針から外れた方がたくさんいらっしゃる。例えば農家の方も、必ずしも自治体から出荷の自粛要請はなかったとしても、市場に出しても価格が大幅に下落して、出荷すれば逆に赤字になっちゃうから、自主的に出荷しなかった方もたくさんいらっしゃるわけです。そういう風評被害に苦しんでいる方もたくさんいらっしゃる。

 あるいは、漁業者でいえば、この航行区域の設定どころか、茨城県の漁業者の方は船があっても出漁できない状況ですよ。あるいは、商工業者であっても、風評被害のために取引が停止されるだとか大幅に縮小するだとか、本当に今、現金収入が入らなくなってお困りになっている方がたくさんいらっしゃる。

 この方々を一日も早く救済するために、なるべく早期に、今回の指針から外れた方も原子力損害賠償の指針を作成していただきたいと思います。この点について確認します。

高木国務大臣 紛争審査会は、一週間に一回のペースで開催をされております。今指摘がありましたように、今回は、政府の指示によって避難をした、あるいは出荷停止をされたところ、そういうところについては速やかに指針を出そう、こういうことで第一次指針が出されました。

 なお、今後さらなる検討が必要な項目、例えば、いわゆる精神的苦痛の判定基準とか、あるいはまた算定の要素、こういったもの、あるいはまた迅速な賠償のための支払い方法、例えば交通費を標準単価で計算するかどうか、こういうことについてもなお検討しなきゃなりません。また、言われましたように、今回、指示、制限等対象外の地域、農林水産業でありましょうとか、あるいはまた商工業でありましょうとか、観光業もそうです、そういったことについては今後なお検討することにいたしております。

 いずれにいたしましても、速やかな賠償が適切に行われることが重要でございますから、私たちとしては、ぜひ精力的な審査をお願いしていきたいと思います。

石井(啓)委員 ぜひお願いいたしたいと思います。

 私は、本来、東京電力は、この紛争審査会の指針がなかったとしても、先ほど私が申し上げたような方々はやはり明らかにこの原子力事故と相当の因果関係があるわけですから、これは仮払いを実施すべきだということを指摘しておきたいと思います。

 それから、続いて、補正予算について質問いたします。

 パネルを用意いたしました。補正予算の概要ということで、財政需要と財源ということでなっていますが、四兆円の歳出の方は、当面の瓦れきの撤去ですとか、仮設住宅の設置ですとか、あるいは災害復旧事業ですとか、積み上げてきたものでございますから、私どもから見るともう少しやってほしいということはありますけれども、歳出の面については大きな問題はないと思っております。

 問題は歳入の方、財源の方でございますけれども、今回も、子ども手当上積みの見直し、三歳未満の二万円に上積みする分の見直しで二千億、あるいは高速道路無料化社会実験で一千億、高速道路料金割引、利便増進事業、これは平日二千円上限、あるいは休日千円上限ですね、この分で二千五百億、こういうふうに削ってきてはおりますけれども、あるいはODAだとか、国会議員歳費だとか、予備費の取り崩しだとかありますけれども、まだまだ二十三年度の予算の切り込みが不足をしている。不要不急の予算は大胆に切り込んで復旧復興の財源に回すべきだ、こういうふうに思っています。

 特に、子ども手当については、私ども公明党は児童手当の拡充案を提案しておりますけれども、これに変えれば、年間ベースで一兆円の財源を復旧復興財源に生み出すことができます。

 また、当初この補正の議論が出たときに、一部報道もありますけれども、国家公務員の給与も、この際、時限的に削減させていただいて、この復旧復興に御協力いただく、こういうことも考えてはどうかと思っています。

 今後の復旧復興に必要な財源確保のためにさらなる歳出の切り込みをする必要がある、この点についての取り組みを、これは総理にお伺いします。

菅内閣総理大臣 今回の第一次補正については、歳出面については理解をいただいた中で、歳入面についてのいろいろな問題点を指摘をいただきました。

 御承知のように、今回の第一次補正は何とかこれで御了解をいただきたいと思いますが、いずれにしても、復興に向けての第二次補正予算をかなり大規模なものに想定しております。その中においては、今御指摘のあった幾つかのことも念頭に置かなければならないと思っております。

 もちろん、子ども手当は、私たちとしては、社会全体で子供の育ちを支えるための政策といたしているわけでありますが、同時に、この大震災による優先度の高い施策に振り向ける財源をどうするかという中では、一次補正でも一部その中から繰り入れたわけでありますが、二次補正の段階でも御党の議論も含めて考えていかなければならないと思っております。

 また、国家公務員の給与を時限的に削減という問題についても、現在の人事院勧告制度のもとでは極めて異例な措置となりますけれども、職員団体との話し合いを行いつつ、給与の引き下げを内容とする法案の検討を現在進めているところであります。通常国会に提出すべく所要の作業を進めてまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 国家公務員の給与の点については、実はもう昨年の臨時国会のときに総務大臣がおっしゃっているんですよね、この国会に出すと。それがまだ出ていないので、早くやってください。ぜひ、この財源の切り込みについては真剣に取り組んでいただきたいと思っています。

 私どもは、歳入面で一番問題だと思っていますのが、年金臨時財源の活用、約二・五兆円分ですね。これは当初予算では、基礎年金の国庫負担、現在三六・五%を五〇%に引き上げるための臨時財源を用意していたわけです。財投特会の積立金、外為特会の前倒しの繰り入れ、それから鉄道・運輸機構の利益剰余金、この三つで合計二兆五千億円近い、この財源を補正に回すということになっているんですが、では、その回された基礎年金の方はどうなるのかということです。

 政府は、当面は年金積立金から流用してこれを穴埋めする、将来、税制抜本改革が実施された際に、増税分から繰り入れてその流用した分を返済する、こういうふうにしようとしているんですけれども、ただ、その税制抜本改革の時期は明確になっていません。

 だから、年金積立金からの流用、年間約二・五兆円、これがどんどん膨らんでいく可能性があるわけですよ。二十三年度だけで二・五兆円、来年度までいきますと五兆円。二年で済めばいいですけれども、三年、四年、四年たつと十兆円ですよ。十兆円も年金積立金から流用することになる。これが本当に将来返済されるのかどうか。かつても、年金積立金から一般会計に流用して、元本で三兆円余りまだ返していないという、そういう実績があるわけですよ、悪い実績が。今までのものも返していないのに、これからのも返せるかどうかわからない。年金財政の安定に重大な懸念が生じます。

 この基礎年金国庫負担二分の一の財源を税制の抜本改革で安定財源で確保しなきゃいけない、これは私どもも同じ認識でありますけれども、それまでの間を、将来にツケ回すんではなくて、これはきちんとやはり財源を確保すべきだ。総理、いかがですか。

中井委員長 細川厚労大臣。(発言する者あり)静粛に。

細川国務大臣 この基礎年金二分の一の財源、これについては今回の復旧予算の方に回しました。そこで、それを穴埋めするというか返してもらう、そのためには税制の抜本改革をして、それによって確保される財源、これを活用して年金会計の方に繰り入れていく、こういうふうに考えております。

 その税制の抜本的な改革については、与謝野大臣を先頭にして、税と社会保障の抜本改革、この集中検討を今いたしているところでございます。それが六月の末には一応結論を得るということで進めておりまして、それによって財政の確立をきちっとやっていく、こういうことで進めているところでございます。

石井(啓)委員 流用される方の厚労大臣が安易に応じられてもらっては困るんですよ。我々は、今年度中にもきちんと財源を確保する、そのことを指摘しておきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 このたびの東日本大震災において犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆さん、大切な人を亡くされた皆さんに心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 私は、東北から国会に送り出していただいた議員として、地震直後から、宮城、岩手、福島、青森の被災地を歩き、現地の声を聞いてきました。また、福島原発事故による避難者を受け入れている首都圏、秋田、山形の避難所なども回って、声を聞いてまいりました。

 被災地は、家の土台だけを残してすべてを流し去り、電柱も、家も、車も、船も、店の看板も、一緒くたに瓦れきの山となってしまいました。しかし、単なる瓦れきではありません。足元には笑顔のアルバムがあり、子供服や扇風機のような生活家電があり、ついこの間まで普通の暮らしがあったということを思い知らされます。

 そして今も、瓦れきの中から来る日も来る日も家族を捜す被災者の姿があります。せめて行方不明者が一日も早く家族のもとに戻されて、次の一歩を踏み出し、普通の暮らしを取り戻すことができるように、全力で頑張りたいし、政府にもその決意を求めたいと思います。

 最初の質問は総理に伺います。

 津波の対策は今後検証が必要でありますが、まず大事なことは、せっかく助かった命、あの大地震や大津波から助かった命をまた犠牲にするようなことはあってはならない、このことをまず確認したいと思います。

細川国務大臣 高橋委員がお話しになりました、せっかく助かった命、それが二次災害のような形で亡くなるということ、これだけは避けなければいけない、これは私どもも同じ思いでございます。

 言われたことは多分、災害関連死ということだというふうに思いますが、私どもとしてはもちろん、そういうせっかく助かった命でございます、したがって、避難所あるいは避難先でどのような生活、大変だと思いますけれども、それをしっかりと支えて、安心して暮らせるような、そういうところをきちっと確保していく、それに一生懸命努めるのが私どもの責任だと思っております。

高橋(千)委員 細川大臣、後で質問しますから、どうぞ先にやらないでください。

 ここで総理が一言ないというのは、それはちょっと国民に対しても、幾ら何でも、ないですよ。お願いいたします。

菅内閣総理大臣 おっしゃるように、大震災、津波によって亡くなられた方が多い中で、本当に、幸いにして助かった方が、病院であるいは避難所で体調を壊されて亡くなる。中には、将来を悲観して亡くなるといった方もお聞きをいたしております。

 そういうことがないようにということで、まずは、多くのお医者さんや保健婦さんが、現在、日々千人を超える人たちが被災地を巡回し、慢性疾患を抱える高齢者や障害者などの支援を要する方々を対象に、栄養指導や体操の呼びかけなど保健指導を行っていただいております。

 今後とも、そういう活動も含め、政府としても、まさにせっかく助かった皆さんに、健康を取り戻し、元気な生活に戻っていただけるよう、しっかりとフォローしてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 そこで、細川大臣に伺いますけれども、四月十一日の読売新聞の夕刊に、「震災関連死の疑い二百八十二人」という報道がありました。宮城、福島、岩手の三県の災害拠点病院計百十三病院で、三月末までに被災した後亡くなった方の数を調べたといいます。それ以上のデータが今ないわけですね。

 ただ、そのほかにも、津波から逃れたために、水につかってそのまま寒いところで救助を待つなど避難所で亡くなった方、あるいは被災した介護施設から搬送中に亡くなった方、さまざまな関係した方の死亡が実はあるということがわかっております。

 阪神大震災のときは、九百十九人が関連死とされました。このままでは阪神を確実に超えるのではないか、そんなことがあってはならないと先ほど来言っているわけですけれども、まず、政府は、被災した後に亡くなった方がどの程度いるのか、把握をされていますか。

細川国務大臣 今の御指摘のお話は、いわゆる災害関連死のことだというふうに思います。

 この点につきましては、震災発生によります直接的な要因ではなくて、震災発生後に避難所や病院などで亡くなられる方がおられること、また、一般に言われております災害関連死がどういうものかということについての正確な定義というようなものも今のところないところでございまして、行政としては今のところ正確な数は把握はいたしてないところでございます。

高橋(千)委員 通告したときには、被災した後にというふうなことで伺いました。というのは、阪神のときも争ったわけです。関連死というとどこまでかということで、もめるわけです。だけれども、それをまず言う前に、丸ごと、厚労省として、どのように、どこでそういう死亡があったのかというのを把握してほしい、そういう思いを込めて質問をいたしました。

 そして、今心配されているのは、結局、亡くなった方を持つ家族に対して支払われる災害弔慰金、これが関連死なのかどうかで非常に問題になっているという背景があるからだと思います。自治体の方も、非常に遺族との間に入って苦しんでいるという声もあるわけです。

 でも、やはりこれを厳格にすべきではないと思うんですよ。津波でぬれたままに寒い岩山や屋上で救助のヘリを待っていた被災者が持病を悪化させて死亡したことを単純に病死と言われる、やはりこれは違うんですね。家族の無念さを酌み取って、お金で命が戻ってくるわけではないけれども、せめて残された家族が再出発する手助けとして、災害弔慰金を確実に差し上げることは重要だと思います。

 国は、自治体負担を求めずに今回災害弔慰金を支給することを決めたはずです。どうか、家族の側に立って、積極的に認定するべきだと言っていただきたい。いかがですか。

細川国務大臣 この弔慰金というのは、これは災害によって亡くなられた方の遺族の皆さんにお渡しをするものでございます。したがって、弔慰金によって亡くなられた遺族に弔意を国あるいは市町村が示すという意味で、心のこもったものでなければならないというふうに思っております。

 ただ、この認定をする前に、どのようにしてやるかということにつきましては、これは市町村におきます条例で決めるということになっておりまして、その条例には、災害による死亡、こういうことになっているわけでございます。

 そういったことで、市町村が判断をされるということになりますけれども、しかし、どういう場合に判断がなされるのか、そういう事例などについてもいろいろと市町村も考えなければならないというふうに思っておりますので、国としては、これまで災害によって亡くなられた方、その方に弔慰金が支払われた、そういういろいろな事例を今回の被災地の市町村に示しまして、亡くなられた方の遺族に弔慰金が渡るように、できるだけのそういう指導をしてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 最後の、できるだけというところを非常に大事にしまして、やはり家族の側に立って、心を込めて、市町村でやっていいよと言っていただきたいなと思います。

 心配されるのは、命を縮めかねない避難所の環境であります。感染症の心配、長引く避難生活のストレス、これが指摘をされています。私も、あちこちを歩いて、例えばトイレを借りたけれども手が洗えない、ウエットティッシュなどを持参しているわけです。あるいは用を足しても流せない、トイレットペーパーをごみ袋にまとめてそれを運ばなければならない、そういう実態がございました。夜はせきの大合唱、ささいなけんかもふえてきた、そういう心配な声も聞きました。

 地震直後は、やむを得ない、そういうことがあったかもしれません。しかし、一月半たっても改善されていないところがある。体育館の間仕切りさえない避難所が残っていることに大変な衝撃を受けました。これらは既に絞られてきておる。だから、場所を特定してすぐに手だてを打つべきだと思いますが、いかがですか。

松本(龍)国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。私も、発災からそのことだけ言い続けております。避難所の方々の医療や介護や福祉、あるいは自宅におられる方々の見回り等々を、とにかく、五十日たった今でもそれを続けることが私の使命だということで、言い続けています。

 四月に入りましてから、ほとんど、悉皆調査をしたりしながら、各避難所の状況を把握しておりまして、劣悪な状況、改善すべき状況があればすぐさま改善するよう指示をしたり、あるいは手助けをしたりしているところであります。

 いずれにしましても、先ほど言われましたように、これから六月、雨の時期、そして七月、八月、暑い時期になります。感染症、伝染病等々も、今回は、十日ほど前に、医師会やあるいは歯科医師会、薬剤師会、看護師会、大学病院の先生たちあるいは町場の先生たち、それぞれが手を組んで被災者の健康支援の協議会をつくっていただいて、今度は横横で頑張るという決意もしていただきました。そういう方々のお力もいただきながら、これから頑張っていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 今、大臣はそのことだけとおっしゃいましたし、すぐさまとおっしゃいましたので、ここは要望にとどめますので、必ず解決するようにしていただきたいと思います。

 実は、政府の被災者生活支援特別対策本部、三県の全避難所に調査票を送り、五割の五百十カ所から回答を得たわけです。前回は、一度もふろに入っていないというところがあった、それが十六カ所がゼロになった。あるいは、温かい食事がとれていない、しかしまだ八カ所ある。こういう実態がわかったわけですね。

 だけれども、その調査の実態が、市町村に紙を送って、市町村からまたもらって、ちゃんとやれよとまた指示を出しているんですよ。そうすると、市町村に忙しい思いをさせているだけなんです。

 でも、今ははっきりわかっちゃった。本当に厳しいのは一カ所だ、あるいは厳しい状況にある箇所は五十八カ所だ、そこまで絞り込まれてきているんですから、あれこれではなく、電気がないんだったら電気、水がないんだったら水という形で、直接応援をそこに集中してやればいいんです。それはすぐに結果が出るように、後でまた検証したいと思います。重ねて要望いたします。

 一方、自宅避難者への対策はどうなっているでしょうか。避難所で物資が充足しているところもある一方で、自宅避難者には情報も物資もない状態がまだ残されております。避難所が満杯だからとライフラインが復旧しないまま自宅に帰った方もたくさんいらっしゃいます。

 また、先ほど少しお話があったんですけれども、石巻赤十字病院を拠点に、全国の医療スタッフが大規模な訪問調査を行っております。何度かに分かれてやっておりますけれども、参加したスタッフ自身が医療ガバナンス学会のメールニュースで詳細な報告をしています。

 四月十五日から三日間。全壊などのある大変被害のひどかった地区、一万一千二百七十一世帯のうち、千四百九世帯が自宅にまだ住んでいる。避難所に行って期限切れの菓子パン、おにぎりをもらってぼそぼそ食べている。栄養状態が心配です。一階部分が柱二本と壁しかない、その一軒家の二階に住んでいる。もしかして、余震が来れば崩れるおそれがある。そういう実態が報告をされているんです。

 こうした自宅にいる避難者も含めて、災害救助法による救助の対象であり、実態把握や支援が必要だと思いますが、いかがですか。

細川国務大臣 高橋委員がおっしゃるように、自宅で生活をしている人、あるいは、いわば自宅で避難しているような方、この方も、当然、災害救助法の対象になります。

 そこで、自宅にお一人で住んでいる方、そういう方に本当に支援の手が差し伸べられているかどうか、これが、委員が言われるように、本当に大事なことだというふうに思っております。

 そういう意味で、保健医療の面で、先ほど出ました石巻あるいは気仙沼なんかもそうでありますけれども、巡回の支援をいたしております。医療チームが常駐しているところでは、避難先の拠点から周辺の避難者の在宅者も巡回して診療をしているとか、あるいは、巡回の診療支援チームというのをつくって、そのチームで個々に、個別に巡回の診療支援も行っている。また、派遣の保健チームのような方は、特別に、独居とか寝たきりの人、あるいは母子、そしてまた精神障害の、そういう方を中心にローラー作戦を行って、そういう方がいるかどうかも調べている。

 こういうのは、地域によってそういうことがしっかりされているところもあれば、まだ不十分なところもあるかと思いますけれども、私どもとしましても、そういう自宅で避難生活をしている方には十分支援が行き届くようにしっかりやっていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 片山総務大臣に一言伺います。

 今までの質疑を聞いていただいたと思うんですけれども、本当に、自治体の機能がなくなり、多くの職員が犠牲になっているもとで、自治体に課せられる仕事、先ほど来、自治体の判断だということが多かったわけですね。大変なんだよと言いたいけれども、しかし、被災者の立場に立てば、やはりそれはこたえていかなければならない。そのことを思えば、この最前線を厚くして事務量をカバーする以外にありません。

 総務省によると、被災した自治体から、全国市長会や町村会を通して、行政支援の派遣要請、六百七十三人来てほしいというのに対して、六百団体、二千五百六十二人から申し出があったといいます。つまり、要請を上回る申し出がある。本当に全国から応援したいと言っているわけですね。だから、それにこたえて、システム的に人的、財政的手当てができるようにすればいいと思います。いかがですか。

片山国務大臣 被災直後から、もう既に全国の多くの自治体の職員が被災地に入り込んでおります。

 だんだんステージが変わってまいりまして、最初はいろいろな単純な作業のお手伝いでありましたが、復興の過程に入ってきますと、例えば専門的な事務、保険でありますとか課税でありますとか情報システムでありますとか、いろいろな事務についてきめ細かい要請があります。

 実は、先ほどおっしゃった六百数十人という人数以外に、もう既に、姉妹都市の交流を通じてとか、それから県内で他の市町村からとか、かなりの職員が入り込んでおりますが、それでも足らない、そういう職員をカバーするために、総務省と全国知事会、町村会のネットワークで募集をしましたところ、六百七十人ほどの要請がありました。それに対して、二千六百人ほど出していいよというのがあります。

 今、実はマッチングをやっておりまして、個別にどういう職種の人が欲しいか、それから、いつからいつまでというような個別の問題になりますので、大体五百数十人がもう既にマッチングを終わりまして、順次これから、多分連休明けぐらいから多くなると思いますけれども、派遣されることになっております。

 これからもだんだんと、いろいろな職種で必要なものがふえていきます。ぜひ柔軟に対応したいと思いますし、ありがたいことに、全国の自治体の皆さんは本当に積極的に、自分のところの仕事を少し削ってでも出すということを言っていただいておりますので、ぜひ要請にこたえるようにしたいと考えております。

高橋(千)委員 応援に行って帰ってきた職員の方が、人生観が変わった、そう言って、またもとの職場で頑張っている姿も見てまいりましたので、本当にこれから長期的な支援も必要だと思いますので、大いに考えていただきたいと思います。ありがとうございました。

 ちょっと時間の関係で少し飛ばしたいと思うんですけれども、今回、被災した住宅に三百万円という被災者生活再建支援法の支援金、これが先ほども議論になっていたわけですけれども、拡充するという話だったはずなのに、今のところその予定がないようだと。これは、今の補正では五百二十億円、合わせて一千億足らずの予定をしていると。

 そうすると、最初に払われた基礎支援金百万円、これを十万人に配ると、それでなくなってしまうことになるわけですね。そうすると三百万円も払えなくなってしまう、おかしいじゃないかと。全国知事会の試算では、阪神・淡路の一・五倍程度、八千五百億円が見込まれるのではないかという指摘がされております。

 二〇〇七年の法改正をしたときに、これは超党派でやりました。あのときにも、首都直下のような大規模な地震があれば基金がもたないという議論はあったんです。消極的な議論。でも、それを乗り越えて、そのときは、やはり特別立法なり別枠で考えるしかないのだということで消極論を乗り越えてきたと思うんですね。

 それを今回やらないのか、伺いたい。

松本(龍)国務大臣 まず一点目の被災者再建支援法に基づく支援金は、全壊とか一定の規模によって最大三百万円支払われるものであります。平成十年にできました。後にプラス二百万ということで三百万になりました。

 これまで、中越沖地震、そして去年の十月二十日、奄美大島で三人の御高齢者が亡くなられました。そういう意味では、今度の災害、確かに物すごい規模で、物すごい犠牲者がおられました。しかし、個々の方々、被災者ということに着目をすれば、さまざまな意味でバランスを考えていかなければならないなという思いでありますので、慎重にその件については検討をしていきたいというふうに思います。

 そして、この基金そのもののでき方でありますけれども、全国の都道府県が相互扶助の観点から基金を拠出しております。現在、この基金の中には五百三十八億、そして私ども、今度の補正予算で五百二十億を積みながら、一千億強で対応してまいりたいと思います。そういう意味では、これでは足りないという話でありますし、こういった形の中で、私たちは一日でも早く被災者の皆さんに届けなければならない。

 いずれにしましても、被害の状況がまだ全体として、家の戸数とかがわかりませんので、本制度の趣旨を踏まえながら、また支援金が早急に、かつ円滑に被災者に支給されるように最大限努力をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 今の答弁は、バランスを欠くとおっしゃいましたけれども、そうじゃないですよね。三百万円と法律で決めたのに、このままでは基金が枯渇して払えなくなるじゃないかと言っているんです。だから、当然補正するでしょう。今やれないんだったら二次補正するでしょう。そうじゃなかったら、バランス以前の話じゃないですか。

松本(龍)国務大臣 それは当然お支払いをいたします。

高橋(千)委員 まず最低限のスタートラインにようやっと立ったと思います。今ある三百万円をやるというための二次補正を当然準備するということです。その上で、この法律がまだまだ不十分であるということを議論していきたいわけですよ。だけれども、今ではまだスタートラインにさえ立てていないということを指摘いたしました。

 私はきょう、実は、個人の住宅だけではなくて、中小の事業所、商店は、一体となって町を復興しなければならないので、対象にするべきだという質問を用意していました。多分、そのこともいろいろ頭にあってそういう答弁になったのかなと思いますが、今ちょっと時間の関係で、要望にとどめます。スタートラインに立ちましたので、続きをまたやらせていただきたいと思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 復興構想会議が盛んに青写真を描いている、でも被災者が置き去りにされているのではないか、このことが何よりも心配なんです。町が全部なくなったという議論をよくされる人がいます。でも、決してそんなことはありません。二万六千人近い方が亡くなったり行方不明ですけれども、二万六千人以上があの大津波から救助されているんです。そして、家族や大切な人を失いながらも、地域力を発揮して、自主的な避難所の運営や、港や商店の復興へ歩み出しています。ですから、本当に復興のためには個人補償の積み重ねが必要なんだ、そこでこそ町がよみがえるんだということを指摘しておきたいと思います。きょうは福島の原発の問題をどうしても言いたいので、要望でこの問題はとどめます。

 福島県民にとっては、復興という言葉そのものに傷つけられているわけです。収束の見えない原発事故、新たな避難区域の設定など、先の見えない不安に苦しんでおります。事故が人災であったということは、既にこれまでも我が党の吉井議員の追及などで明らかになってまいりました。繰り返し最悪の事態を警告し、対策を求めてきた福島県の共産党や団体の皆さんが、どれほど怒り、悔しい思いをしているでしょうか。

 私も、二〇〇七年、柏崎刈羽原発の事故があった後に、福島の仲間と一緒に福島第一原発の視察をしました。そのときに吉井議員が指摘をした取水口、海水を取り込む取水口がどうなっているのかとか、活断層の調査はなどと指摘をしたのに対して、よほど大きな地震に備えている、そういう開き直った答弁だったわけです。

 また、東電の繰り返されたデータ改ざん事件、福島原発のシュラウド、これは原子炉圧力容器内部で燃料集合体を収納している隔壁をいうわけですけれども、これがひび割れしていたことがありましたよね。このひび割れを報告すると原発をとめなきゃいけない、そういって黙っていた、定期点検が来るまで黙っていた、そういうことを、私は青森にいましたので、報告書を読んで、本当に怒りに震えて質問したことがございます。原発をとめない、コスト最優先、安全が後回しにされてきた、これは今回の事件も根っこは同じだと思うんです。

 二十キロ圏内で、餓死しそうになっている家畜の殺処分が二十四日に決まったと聞きました。避難先からえさやりに通っていたという養豚業の前田さんが、せめて最後に腹いっぱい食わせてからにしてほしいと声を振り絞ったと二十五日の河北新報が報じていました。

 なぜこんな思いをさせられるのか。原発によって人生を大きく変えられた皆さんに対する心からの謝罪をお願いしたい。既に補償の申し立ては来ている。どのくらいでしょうか。全面的にこたえていくと言っていただきたい。お願いします。

清水参考人 ただいまの福島県民の方々へのおわびというお話でございますが、今回の事故に関しまして大変大きな御迷惑もおかけしたことを、改めて私からも深くおわびを申し上げたいと思います。

 それから、損害賠償の件でお話がございました。現在、さまざまなお手紙やらお電話で、たくさんのお話をいただいております。内容もさまざまでございます。したがって、正確に何件というのは、ちょっとお許し願いたいと思います。

 ちなみに、先般手続を開始いたしました避難費用の仮払い費用、仮払い補償金というのがございました。この件について申し上げますと、約一万二千件の方々からの請求書をお受けいたしております。

 それから、同じ補償金の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、今後、やはり原子力損害賠償制度のもとで、その指針に沿いまして、公正、迅速に対応してまいりたい、このように考えております。よろしく御理解をお願いいたします。

高橋(千)委員 その指針が昨日発表されたわけですけれども、第一次ということなんですけれども、結局、これは三十キロ圏内、計画的避難区域、一つの目安になっていて、線引きになっちゃうんですね。あるいは産業被害、あるいは風評被害、精神的苦痛、さまざま言われていますけれども、全部、相当程度因果関係があると言われて、大変立証は難しく、長い裁判になりかねません。

 例えば、いわき市は、この間までは、ほんの一部が三十キロ圏内に入っていたために、いわきナンバーお断りと差別をされました。それが、今回解除されたけれども、燃料も食料も途中まで来て届かない。そういう苦しい思いをさせられたいわき市民に、何の償いもないのでしょうか。

 あるいは、一つの市でありながら、避難指示、屋内退避、それ以外と分断された南相馬市の市民は、全国の避難所にばらばらになっています。

 例えば、川崎市にたどり着くまで、最初は親戚等、避難所、四カ所くらい転々と動いて、最後のガソリンを使い果たして、戻りたくても戻れない、今すぐここにガソリンを持ってきてと叫んだ男性がいました。小学校の卒業式ができないまま、友達が新潟などばらばらになって、いつか一緒に卒業式をしようと励まし合っている友達もいました。

 あるいは浪江町、津波で家が流されたために戻ることもできず、親戚の安否も確認できない、毎日、新聞の死亡欄で確かめている、そういう人もいました。

 どの人も必死で避難をして、この先どうしていいか、答えを探しているのです。この人たちに線引きをするのですか。そんなことは絶対にしないと言ってほしい。正確な情報が出ないまま、県民を混乱させた、風評被害を広げた、それは政府に責任があります。このことをしっかりと認めて、線引きをしないで、しっかりと直接、間接の被害にこたえていく、このことを総理にお答えいただきたい。

菅内閣総理大臣 今、高橋委員の方から、そういう線引きをしないようにという御指摘、気持ちはよくわかります。同じ町の人たちが、全くみずからの責任ではないことでいろいろに分けられて対応を迫られるというのは、大変申しわけなく思っております。

 同時に、この指針というものが、昨日、第一次の指針が出された中で、一定の客観的な基準というものが示されているわけでありまして、やはりそれに沿った対応というものも必要であろう、こう思っております。

 国の立場としては、今後、風評被害なども含めて、いつもの言葉で恐縮ですが、一義的には東電の責任でありますけれども、的確な補償がきちんと実行されるように、政府としても、最終的な責任は自分たちにもある、そういう観点でフォローしてまいりたい、このように思っております。

高橋(千)委員 今の最初のお言葉、同じ気持ちであると。そこからスタートをして、本当に皆さんの声にこたえる取り組みをしていただきたいと思います。

 ふるさとに戻りたいという気持ちにこたえ、ふるさとの再生と、そして、長期になるかもしれない、そこに対するしっかりとした財政支援、雇用も含めた支援、それは政府が責任を持っていただきたいと要望して、終わります。

中井委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 三月十一日に我が国を襲いました地震、津波、そして原子力発電所の事故によって、きょう現在、お亡くなりになった方が一万四千五百七十五人、また、まだ行方の知れない方が一万千三百二十四人と大変に深刻な状況が続いております。そして、きょうの御質疑でも各委員お取り上げでありますが、復旧がおくれており、いろいろな意味で厳しい状況に立たされた方がおられます。

 そんな中でも、とりわけ、この事件というか事実を通じて世界が我が国を見たときに、我が国の国民の一人一人の我慢強さ、そして思いやりの深さ、あるいはあきらめない強さなどを改めて世界が評価しておられるということをよく聞きます。

 一昨日でしたか、ドナルド・キーンさんがこの秋、帰化をされると。こよなく日本を愛し、日本の文化を愛し、人々を愛してこられた方が、この今の日本の未曾有の危機に、ともにここから生きていきたいと思ってくださったことに、私ども政治の場にいる者も改めて責任を強く思うものであります。

 私は、きょういろいろな御質疑の中で、私も使いましたけれども、未曾有の災害というふうに言われておりますが、実は、三陸海岸にとっては、震災、津波というのは約四百年間で四十数回ここを地震や津波が襲っております。その規模においてはさまざまなものがございますが、こうした三陸海岸沖の実態に対して、各自治体はいろいろな備えをしてこられました。今回、地震の強さ、津波の高さ、あるいは、福島では原発事故などが加わったために被害は格段に大きくはなってございますが、逆に、人々が準備してきたもの、各自治体が準備してきたものは、この困難な中でもいろいろなところでサポートとして生きていると私は思います。

 お手元には、まず一枚目、せんだって私が岩手県に参りましたので、過去の岩手県の津波被害状況というものを載せさせていただきました。実は、これは遠野市からいただいてきたものでございます。

 この地域で近年のものを申しませば、明治の三陸地震、明治二十九年、このときはマグニチュードが八・五、そして津波は三十八メートル。昭和八年三月三日、このときは同じ場所で二十九メートル。そしてチリの津波は、震源地が遠かったために比較的波高は低うございましたが、この地域にとって、二十メートル、三十メートル、あるいは貞観まで戻れば五十メートルの津波があったと言われている部分でございます。

 こうした置かれた自然条件の中で、三町村そして五市が、この図の一番下にございます三陸地域地震災害後方支援拠点施設整備推進協議会というものを、実は、こんな地震の前、十九年につくって、県に提案書を上げておられました。

 私は、きょうはこの取り組みを御紹介して、私どもがこれから立ち上がっていくときに何が必要なのかを御一緒に考えさせていただきたいと思います。

 実は、遠野市と申しますのは、柳田国男さんなどのいろいろな書かれたものでも有名ですし、民話の里とも言われておりますし、岩手県においては、三陸海岸部と内陸部をちょうど結ぶ、クロスする物流の中心でございました。

 そして、この市では、一たん事あれば、いろいろな各自治体にどのくらいの時間で行けるのか、あるいは、どんなものをどういうふうに運ぶのか、ちょうど自衛隊の基地があり、また、消防車の集積地も広いグラウンドをつくって、訓練を日ごろしておられました。津波の大きさは非常に厳しいものでありましたが、しかし、自分の市が被災しながらも、この遠野市では、早急に、この訓練どおりというか、こうした地図に基づいて後方支援を早速に開始いたしました。

 その開始された後方支援に対して、実は、三十二の県や市町村がこれまた早速に駆けつけて、この遠野市の後方支援を後方支援するという展開をいたしました。三枚目の皆様のお手元の資料には、静岡県を筆頭に、いろいろな市町村あるいは県の名前が「全三十二自治体」となっております。今ではここにはボランティアセンターも置かれ、ボランティアを現地、特に町がなくなってしまった大槌町などにも派遣しながら、いろいろな人のサポートになっております。

 菅総理に冒頭お願い申し上げます。

 こうした自治体間の、自治体の首長は皆、住民の命を預かるその重みにおいて、それぞれ真剣に御努力であると私は思います。命が近いからです。この取り組みについて、まず御感想をお願いします。

菅内閣総理大臣 私もちょうど、テレビ放送でこの遠野市のことを少し見ておりました。また、大震災発生から直後に、例えば九州地域の各県、さらには関西の地域、幾つかの県や自治体がグループになって、役割分担を決めて各被災地に人を送る、物を送る、また、都内でも杉並区などが南相馬の方との連携の中で、これも幾つかのチームで、連絡があった翌日にはバスを仕立てて避難を希望される方を受け取りに行く、そういう活動も直接にもお聞きをいたしました。まだまだ、私も知らないといいましょうか、こういう動きが非常にたくさんあっていると思っております。このことは本当にすばらしいことだと。

 もちろん、企業やNPOやいろいろなものがありますが、自治体同士というのは、まさにプロ集団がボランティアの気持ちで連携をするということで、逆に、国が間に入っていない分だけ本当にスピーディーで、物事が実態的に進んでいるということも、これは率直に認めなければならないと思っております。そういう意味で、大変すばらしい活動であり、今後の日本の一つのあり方として、一つのいろいろな意味での参考になるのではないかと感じております。

阿部委員 先ほどの片山総務大臣の御答弁でも、各自治体の本当に相手を思いやる心、支え合いたい心が今形になりつつあるということは、総理もおわかりの上で今のように御答弁いただいたんだと思うんです。

 では、国のやらねばならないことは何かということを今度は私から提案をしたいと思うのですが、これは、こうした災害がある都度、災害復興一括交付金のような、いわば省庁縦割りでなく、農水省、環境省、厚労省、そのおのおのの省庁の予算ではなく、自治体が必要なものを一括交付金として被災自治体に渡していくような仕組み、これが非常に人の復興を支えるもとになると思います。

 実は、今委員長席にお座りの中井委員長も、かつて防災担当大臣であったとき、二〇一〇年の五月十五日でした、この震災一括交付金。

 市町村にはさまざまな要求があります。そして、一つ一つの事業を、これやっていい、あれやっていいと各省庁に聞いている間に、目の前で失われていく命があったり、困窮する市民、住民がいるということです。私は、今回の補正予算で最も不満な点は、こうした市町村が、自治体が中心になった一括交付金化がなされていないということであります。

 例えば遠野市では、住宅を建てるのに、なくなってしまった大槌町の集落を、なるべく同じように、住民を集めながらできまいかというので、いろいろな場所にいろいろな工夫を提案しておられます。それは必ずしもプレハブでもなく、そして、集落に近いものをつくるためにはさまざまな要素が必要であります。人をばらばらにしない、その支えられる仕組みは何かということをつくるためにも、実は、震災の一括交付金というのは、民主党の皆さんがずっと言ってこられながら、しかし今現在、形になっていないという点で、私は大変残念ですし、各市町村も要求しておられます。知事会も要求しておられます。総理、いかがでしょう。

菅内閣総理大臣 一括交付金という制度そのもの、さきの予算で、これは災害ではありませんが、提案をいたして実現をさせました。

 今、阿部議員の方から、災害において特にこういう形が効果的だという御指摘をいただきまして、ぜひ、このことについて私自身もよく検討して、総務大臣初め関係者と検討をしてみたい、こう考えております。

阿部委員 これは、こうした人を支える仕組みのための交付金だと思っていただければいいんだと思います。今いろいろある交付金、例えば災害救助法でも、だれそれをどこに派遣するというのはあるんですけれども、それは限られたテーマで、限られた方法しかとれません。柔軟に、自治体がニーズに応じてやるということの必要性で、今、総理、前向きに御答弁いただきましたので、ぜひ御検討いただきたい。

 そしてもう一つ、先ほど高橋委員との御質疑の中で、県が持っております被災者生活再建支援法、これもお金をプールしておりますが、これも、住宅について、最初百万、次二百万、このメニューしかありません。これから県が復興を担うときに、基金として置いて、そこから自由に使えるようなものもぜひ必要だと思います。

 例えば、雲仙のときは一千九十億、阪神・淡路九千億、中越三千五十億、能登の震災五百億、中越沖、近々のもので千二百億となっていますが、これらはいずれも利子しか使えないものでありました。もっと大胆に、これから復興院もできるのかもしれません。これからは、中央直轄というよりも、中央はやらねばならないことがある、だけれども、地域から見て何が必要かを下から上げていけるような復興でなければ幸せになれないと思います。

 この県に置かれる復興基金の構想については、総理はいかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 県ができるだけ自主的な判断で復興に当たられるという意味で、基金ということを提案いただいていると理解しております。

 いろいろな仕組みの中で、今、金利ということも言われましたが、多くの基金が、今は低金利で、相当の金額を積まないと金利部分では余り事業ができないという、ある意味では取り崩しの基金というものもありますけれども、こういうものも、単年度では進まない問題について、さらには自主的な判断で行えるという意味で、検討に値する提案だと考えております。

阿部委員 ぜひ実現していただきたいです。

 引き続いて、ゴールデンウイークを控えまして、読売新聞によれば、約十三万人のボランティアが現地入りすると言われております。

 私が二十六日の日にお尋ねいたしましたが、私は、日本の復興のためにみんなが力を寄せるというのはすばらしいと思いますが、もし、その行ったボランティアの方が、私が懸念しておりますアスベストの問題などに暴露され、後々、中皮腫などになられたのでは、大変にこれは償うことができないことになると思います。

 環境大臣と厚労大臣に一つ一つお願いいたします。

 まず、環境大臣については、せんだってもお伺いいたしましたので、これがアスベストが含まれているよと、例えば、瓦れきの中にも明らかにそれらしいものはあります。それがボランティアで行った人にもわかるようなことをしていただきたい。やっているときは一生懸命ですから、あれもこれも拾ってあげようと思います。

 あと、マスクも、このわきが甘いと全部入ってきます。ぴったりとした防じんマスク、これも必要であればさらにきちんと備えて、若い人たちが行くわけですから、体を守れるようにしてあげていただきたいが、いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 この間から、アスベストの御指摘を受けて、環境省でもまた厳しく、阿部委員の御指摘を受けて、指導してまいりました。

 被災地におけるアスベストがどのような場所に飛散するかは、被災地における復旧作業の進捗状況、あるいは天候や風向きそして風速の気候条件によっても大きく変化をいたします。マスクのかけ方、あるいは防じんマスクの配付等々も含めてこれから対処してまいりたいと思いますし、ホームページや自治体を通じて、一般住民等への、あるいはボランティアに向けてのアスベストに関する基礎知識の情報提供をしてきたところであります。

 また、四月二十七日に公表いたしましたアスベスト大気濃度に係る予備調査の結果では、アスベスト濃度は通常の一般大気環境とほぼ変わりませんでしたけれども、一部の現場では一般粉じんが通常より多く飛来をしている場所もあることから、今後とも、被災地で実施する調査の結果を周知するとともに、引き続き防じんマスクの着用を呼びかけてまいりたいと思います。

阿部委員 環境省でおはかりいただいたのが十数カ所ですから、あの膨大な瓦れきの山を思いますと、私は本当に、せっかく若い人が行って、そこで健康を害しては、その未来ということを案じてしまいます。だけれども、行ってほしいし、みんな頑張って支えてほしいと思います。

 次に、細川大臣にお伺いいたします。

 アスベストを含んだ建物の解体等をこれからはお願いせねばならないと思いますが、菅政権では、例えば避難所などに避難されている方も、どの程度そうした作業にかかわられるのかわかりませんが、自治体の臨時職員として雇って、そこで働いていただくことも考えておられるやに伺います。

 私は、そうした場合、どんな雇用関係であれ、雇用関係があれば必ず労災保険はつくものですが、その点について、皆さんきちんと労災保険を持ってやっていただくことが大事であると思います。一日だけで、そのときだけで、お金もそのときだけでというようなことではなくて、実は阪神・淡路のときの大震災でアスベストが労災として認められたのはたった一件で、それ以前のその人の暴露歴がわからないからということにされてしまっています。

 瓦れきの膨大さを思うと、またいろいろなものが、ほかにも有害物質がありますから、きちんとそこで働く人が、労災保険は持って当然なんですけれども、そうした労働行政、監督をしていただきたいが、いかがでしょう。

細川国務大臣 阿部委員がおっしゃるように、災害復旧での作業について、アスベストなどの被害をこうむらないように、これについては徹底的に気をつけてやらなければいけない、こういうふうに思っております。

 普通の建設業で仕事をしている方などについては、阿部委員が言われるような心配はなく、きちっと労災などにも入っているというふうに思います。

 厚生労働省で進めております重点分野雇用創造事業がございます。これについては、震災対策ということでもその基金を利用してもいいということを今回やりました。そこで、市町村などでは、被災された方も採用して仕事をしていただく、その際にこの問題が起こるんだろうというふうに思います。しかし、その基金事業で採用する場合はきちっとした雇用となりますので、これについては労災などもすべて適用になるということでございます。

阿部委員 ありがとうございます。

 続いて、まだ瓦れきの問題でもう一問。

 実は、午前中のやりとりを聞きながら思いましたが、今回の補正予算には、いわゆる放射性物質に汚染された瓦れきの除去については、どこからも予算づけが組まれておらないのではないでしょうか。

 全体、瓦れきの量は、環境省が上から航空写真で撮って、そしてその一部を今回補正予算で積んでおられますが、放射線汚染のものは、原発の施設、それから二十キロ圏内、あるいは二十から三十、一々チェックして、大丈夫ということでないとどかせないと思います。そのチェックにかかわる費用は一体どこから出るのでしょうか。費用がない限り、放置されるのでしょうか。原子力賠償法の第一次案を見ても、これはどこにもないのです。

 私は、では経産省が出すのかな、原子力賠償法で東電が出すのかな、では環境省かな。どこにも予算計上がないように思いますが、海江田産業大臣、どうでしょう。

海江田国務大臣 阿部委員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、今度の第一次補正では、放射性物質に汚染をされた瓦れきの処理というのは計上されておりません。

 これは、委員つとに御案内のとおり、敷地の中、サイトの中であれば、これは当然のことながら東京電力が責任を負うべきでございますが、サイトの外の瓦れきについては、実は法律もない状況でございます。ですから、現在、環境省と私ども、それから関係省庁が集まりまして、そして法律的にやはり手当てをしなければいけないということが一つ。

 それから、放射線に汚染をされました瓦れきが一般瓦れきとまじってしまって、そして例えば燃やしたりしますと、放射性物質がまたそこから出るということがありますから、これは厳密に区別をしてください、区別をして、残念ながら今の時点ではこれをまず一時保管をしてくださいということをお願いしてございます。

阿部委員 一時保管に分けるにも、私は予算と人手が要ると思うんです。何だか、これだけ聞くと、福島置き去りと本当に私は懸念をいたします。おまけに、放射性物質はまた空中に出て人の健康を損ねていく。私は、本来はこの補正予算で入れていただきたかった。海江田大臣はおわかりでしょうから、迅速にやっていただきたい。

 最後に、お伺いいたします。

 今回、この震災を通じて最も厳しい状況に置かれたのは、私は、親御さんを失った子供たちだと思います。震災孤児、御両親を失った子供たちが、今現在、わかるだけでも百三十人おられます。血縁や御親類の縁が強い東北地方ですから、どなたか御親族が預かってお育てをくださっているケースがほとんどであります。

 この方々にも親族里親などの仕組みがあるということをきちんとお伝えいただいて、子供たちの安住の場をおつくりいただきたいが、いかがでしょうか。これが最後の質問です。

細川国務大臣 この大震災で両親を亡くされた子供さんがたくさんおられます。そういう子供に対しては、しっかりと社会で支援をしていかなければいけない。

 そのときに、親族里親制度というものがございます。今委員が言われましたように、百三十人わかっておりますけれども、普通の里親制度と親族里親制度では違いがございまして、親族の中でもその子供さんを健やかに育てていただく、それにはやはり支援をしていかなければいけないということで、非常にいい制度だというふうに思いますので、ぜひ我々も推奨をしていきたいというふうに思いますし、里親の認定の審査会についても、頻繁に開いて早く決定をするように督励をしていきたいというふうに考えています。

阿部委員 パール・バックが一九四七年に書いた「つなみ」という本は、親御さんを失った子供の話でございます。ぜひみんなで支えてやっていきたいと思います。

 ありがとうございます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺喜美君。

渡辺(喜)委員 みんなの党、渡辺喜美であります。

 改めて、東日本大震災によりお亡くなりになられた方々、そして今もって避難をされておられる十万人を超える皆様、被災されたすべての皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

 このような非常事態にあっては、非常事態対応は、次の未来を先取りする、そういう精神が大事なことであります。みんなの党は、この間、さまざまの何をなすべきかというアジェンダを提案してまいりました。政府・与党の実務者会議においても何度となく提案をしてきております。

 例えば東日本復興院構想。これは、復興対策の担当大臣のもと、内閣府の外局として東日本復興院を早急に設置いたします。東日本復興院の本拠は仙台市であります。横断的で縦割り行政を排し、諸制度の企画立案から発注、実行までを行う事業体、サンセット機関、時限機関として設置をいたします。東日本復興院議員は、与野党党首、自治体代表、有識者が参画をする。現場における即断即決の強力な推進体制をつくる。こういうことをやっておけば、別に大連立なんてことは全く必要ない話なんですね。こういう体制こそが真の政治主導につながっていくわけであります。

 そして、生活救済のための債務削減スキーム。今までやってきた平時モードの体制では今回は立ち行かないということがあちこちから聞こえてくるんです。

 したがって、みんなの党は、個人向けでは、被災者の希望に応じて、東日本復興院が指定する地域での全半壊家屋、土地、もうこれは使い物にならなくなっちゃった土地がたくさんあるわけですよ。そういうものの買い上げ、被害状況によっては強制的に買い上げをさせていただくということも必要であります。また、住宅を失った被災者の住宅ローンを全額免除する。

 また、農業者、漁業者向けでは、東日本農業会社、東日本漁業会社を設置する。そして、甚大な被害で農業を継続できない状況になっている農家や漁業家を全員雇用する。その農地は買い取って、一括再整備をし、給料支払いをする。あるいは、養殖場の再生業務、大型漁船での漁業等を行い、給料を払う。これも、次の未来を考えた大規模農業、大規模漁業として、一たん国が資本を提供するということであります。資本財とお金がないんです。だったら、こういうてこの原理で何倍にも膨れ上がる資本を提供するというのが、こういう非常事態においては合理性のある政策になるわけであります。

 中小企業向けでも同様な措置が必要になります。被害状況に応じて、三カ月から一年分の支払い免除、債務削減であります。

 こういう制度が平時モードの日本には全くなかったわけであります。今こそこうした非常時対応の制度を創設すべきであります。ぜひこのことを総理にお願いしておきます。

 次に、復興の財源であります。

 今、生産、消費が過去最大の落ち込みを見せている。恐らくこれは雇用に波及をしていくでありましょう。リーマン・ショック以上の鉱工業生産指数の落ち込み、そして消費の落ち込みでありますから、当然のことながら、これは雇用が大変な勢いで減ってくるということを意味しております。

 このままいきますと、日本はとてつもなく貧しい国になってまいります。そういう景気後退期に、なぜ増税の話が出てくるんでしょうか。こういう発想自体が私には信じられません。総理、いかがですか。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。初めの二つの要望に対しても答えてください。

菅内閣総理大臣 幾つかの提案が冒頭なされました。

 実は、各県の知事にも参加をいただいている構想会議の中でも、宮城の知事の方から、町ごとに一つの復興のための株式会社をつくって、そこでいろいろな事業を展開する。つまりは、自治体という形では受け入れられないような仕事も、国から例えばこういうことをやってくださいというのを受注して、そして地元の人を雇い入れていろいろなことをやっていく、あるいは自分たちで考えている仕事もやっていく。そういう考え方も出されて、大変今後の参考にしていきたいという議論が出ておりました。

 そういった意味で、今、国単位で、東日本農業会社とか水産会社という形でありますけれども、自治体のそうした活力や意見を受け入れられるような形というものも、渡辺代表の提案も含めて、検討の一つの材料とさせていただきたいと思っております。

 また、今回の大震災が日本経済に与える影響は極めて大きいということは、全くそのとおりだと思っております。と同時に、これからの復興過程の中で、一時の落ち込みを逆のばねとして生産を引き上げ、そして、ある意味での成長へとつなげていく、そのことができるかどうかが大きな、まさに重要な課題だと思っております。

 その財源について、私は、まずは何を行うか、どういうビジョンで復興を行うか、そのことの議論を進め、それに必要な財源がどの程度になるのか、まずはそのことの議論から始めるべきで、それをどういう形で手当てするかというのは、こういうことをやるんだったらこの程度のお金を出し合おうじゃないかとか、つくり合おうじゃないかとか、いろいろな形があると思います。

 そういった意味では、まずは復興の青写真をつくる、そしてそれに必要な財源をどういう形で手当てしていくか、一つそこに句読点を置いて議論をしていくことが必要だ、こう思っております。

渡辺(喜)委員 みんなの党は、この補正予算についても対案、修正案を用意いたしております。

 財源については、約三十兆円程度でございますが、まず人件費カット。これは、国会議員の歳費カット。みんなの党は、半年だけではなくて、国会議員歳費三割、ボーナス五割カットの法案を提出いたしております。国家公務員総人件費は二割カット。これで一兆円財源が生まれます。また、埋蔵金、これは先日来何度も言っておりますが、労働保険特別会計五兆円、国債整理基金特別会計十兆円、これで十五兆円捻出をすることが可能です。そして、民主党のばらまき予算、子ども手当、高速無料化、高校無償化、農家戸別所得補償、これをストップすることによって三兆円。

 そして、消費税を二%地方にお配りをしてしまうということも提案をいたしております。東京の分はそっくりそのまま被災地に振り向ける、これで五兆円であります。そして、こうしたことの足らず前については、国債の日銀引き受けで賄おうということであります。こういうことがまさに真っ当な話なんですよ。

 ところが、先日来聞こえてくる話は、やれ消費税を上げる、所得税を上げる、法人税を上げる、電気料金を上げる、そういう話ばかりじゃありませんか。

 こんなに消費の落ち込んでいるときに、消費税や所得税を上げたらどうなるんですか。お買い物をする人がいなくなってしまいますよ。お買い物の点数を減らしますよ。また、法人税、世界一高いと言われている法人税率を上げたら、海外に逃げちゃう優良企業が続出しますよ。雇用そのものがなくなっていくんです。

 ところが、菅総理肝いりでスタートをした復興会議、いきなり五百旗頭議長が増税の話をした。唖然としましたよ。増税、やるんですか。

野田国務大臣 政府内で、現在、増税ありきで検討しているということは全くございません。今御指摘のあった復興構想会議を含めて、青写真が出てきたときに必要な対策の規模が出てきます。それに見合った財源をどうするかということは、歳出歳入、それぞれの見直しをしながらやろうということでございまして、今具体的ないろいろな税目が出ましたけれども、現段階でどの税目をどう上げるという議論をしているわけではございません。

 今いろいろ大胆な御指摘をいただきました。ただ、一つ一つ意見を申し上げる時間は余りないと思いますけれども、例えば、労働保険の特会から五兆円というのはどういうふうに出すんでしょうか。基本的にはこれは労使折半で、失業給付等に使うお金であります。過去、四兆円あったものが五年間で四千億に下がったこともあるんです。失業給付がかさむとこの積み立てがすぐ減ります。平成二十三年度は二兆数千億に減っていく見込みでございますので、五兆円は根拠がないと思います。

渡辺(喜)委員 野田大臣も、財務大臣になったら、もう完璧に役人路線に乗っかっちゃいましたね。もう本当にあきれ果てますよ。(発言する者あり)もう本当に、昔の自民党の大蔵大臣が言っていた話と全く同じじゃありませんか。結局、役人の言っていることをあなたはオウム返しに言っているだけなんですよ。本当にあきれ果てる。

 結局、こういう民主党政権のでたらめさが国民の不信感を生んできているんです。民主党の失敗の一番のポイントは、公務員制度改革をやってこなかったということに尽きるんですね。とにかく、こういうでたらめな民主党では、国民の不信感は晴れません。

 そこで、三月十二日、総理官邸に呼ばれました。二回目の党首会談のときであります。覚えておられますか。午後二時ごろ、当時の保安院の中村審議官が、炉心溶融が進んでいる可能性があると言及をされました。私は、党首会談で、総理に対して、メルトダウンを起こしているんじゃありませんかということをお聞きしました。そのとき、総理は何とおっしゃったか。メルトダウンは起こしていません、班目委員長からも話を聞いたが、放射能漏れが発生する状態ではありません、圧力を抜く作業を開始し、今では冷却水の水位が回復し、管理された状態にあり大丈夫とお答えになったんですよ。その最中じゃありませんか、水素爆発が起きたのは。

 水素爆発が起きたのは十二日の三時三十六分。私は見ましたよ、総理の手元にオレンジ色のメモが入るのを見ましたよ。そのメモに何て書いてあったんですか。

菅内閣総理大臣 震災が発生した日に、第一回目の党首会談を開かせていただきました。そのときは、渡辺代表は、かわりの方が出ておられたと思います。二度目の会合が二日目に行われました。

 今、私のところに出たメモについて、これまでも何度か、そのメモに水素爆発の報告があったのではないか、それをその場で私が野党の党首の皆さんに伝えなかったのではないか、そういう指摘を受けたこともありますけれども、これは全く違っております。つまり、このメモにはそういったことは全く入っておりません。

 というよりも、もっと言えば、その報告が来たのが、つまり水素爆発の報告が来たのが、テレビで放送されたかなり後、実際に起きてから約一時間後に東電から来まして、その間、一体どうなっているんだと何度となく問うたわけでありまして、そのことは私もこれまでも何度か申し上げております。つまりは、そうした情報の正確な伝達がなかったこともあり、その後、統合本部をつくらなければならないということにもつながったということであります。

渡辺(喜)委員 それは東電からの情報がおくれたということでしょう。しかし、政府内で、例えば福島県警からの情報とか、そういうことだったんじゃないんですか。現地で何かが起こっている、そういうメモだったんじゃないんですか。

菅内閣総理大臣 そういうメモではありません。

 水素爆発というものが起きた起きないというのは、やはりそれなりのきちっとした情報でなければ、外から見ただけではどういう種類の爆発かはわかりませんので、当然ながら、私も、前の日から、つまり地震発生のときから、その後、原子力緊急事態宣言も出しておりましたし、本部もつくっておりましたし、私自身も、その日、いろいろと指摘はありますが、十二日の朝早く福島にも一度出かけて、現地の責任者とも話をしておりましたので、幾つかのことを心配しておりましたが、結果として、今の時点で、私には事故の報告が、そうした水素爆発の報告は迅速には届かなかった、そのこと自体が私は大変問題だと思って、その後、統合本部をつくって、直接に情報が届くようになったわけであります。

渡辺(喜)委員 とにかく、専門家であれば、五時間以上も空だきが起きた、そうすると燃料棒が溶ける、被覆管のジルコニウムが溶けて、これが水と反応して水素を発生させる、水素が五%以上になると爆発を起こす、そんなことは専門家だったらだれでもわかっていることですよ。爆発が起きたというのは、素人目にも何かすごいことが起きたということがわかるじゃありませんか。水素爆発でなくたって、爆発が起きたんだったら、現地のサイドから情報が上がってきているでしょう。

枝野国務大臣 十二日の、結果的には十五時三十六分に爆発が生じたということでございますが、現地においても、つまり原子力発電所においても、直接何が生じていたのかということをその時点では把握をしていなかったようでございまして、東京電力から官邸の方に報告が上がりましたのは、十六時二十六分に、敷地境界放射線量の異常情報、つまり、結果的に見ると、爆発が起きたことによって放射線が高まって敷地の境界線のところの放射線量が上がった、異常に上がった、それの状況欄に、一号機付近で十五時四十分ごろ発煙が上がっていることを確認した、これが官邸に来た東京電力からの最初の報告です。

 同時に、警察から、未確認の情報として、爆発的なことがあったというような情報があって、そしてテレビの報道もされていましたので、この間、何が起きているんだか早く正確に伝えろということを私も危機管理センターの方から繰り返しやっておりましたので、これが事実関係でございます。

渡辺(喜)委員 とにかく、危機を過小評価する、そして情報を隠匿する、これが国際的な風評被害につながっているんですよ。いいですか、あなたが危機管理の司令塔として危機の管理に大失敗をしてしまっている、これが問題なんですよ。今、日本の製品が、農産物だけではなくて、西日本でつくられた工業製品まで風評被害を受けている。これはもうまさしく危機管理の失敗そのものなんです。結局、今は大丈夫と言うけれども、後になってから、ああ、こんなことが起こっていましたと言うから、まさに日本は本当に大丈夫なのかと世界じゅうから見られてしまっているんじゃないですか。

 例えばレベル7に上げた、レベル7というのは三月十五日の時点でもうわかっていたというじゃありませんか。総理はわかっていたんですか。

枝野国務大臣 今回のレベル7への認定は、原子力発電所から放出された放射性物質の量、これが一定の数値を超えるとレベル7とほぼ自動的に認定をされるということだというふうに報告を受けております。

 そして、今回の事象については、残念ながら、原子力発電所から放出された放射線量が直接把握をすることができませんでした。そのため、周辺部における放射性物質の量や放射線量に基づいて、例えばSPEEDIという、これはもう皆さん御承知だと思いますが、あれは、放射線量、放射性物質の量がわかれば、放射線がどの程度のところにどの程度の量になるのかということがシミュレーションできる機械でありますから、それは逆算できるはずだから、そうした周辺のモニタリングの結果に基づいて放射性物質の量をしっかりと逆算しろという指示を出しまして、その逆算の結果が確からしい結果として出てきたものですから、その後、直ちにレベル7に上げるということについて了承したものでありまして、その途中に隠ぺいその他は全くありません。

渡辺(喜)委員 とにかくもう本当にひどいですよ、この内閣の危機管理は。

 みんなの党は、東京電力に天下った資源エネルギー庁長官の問題を、ただ一つ我が党だけが追及をしてまいりました。結局、こういう問題があるにもかかわらず、いまだに再就職等監視委員会をつくっていない。つくると言いながら、いまだに何の提案もないじゃありませんか。こういうでたらめがまさに菅内閣の真骨頂なんですよ。

 そして、海江田大臣が何日か前に、東電の役員報酬五〇%カットするなんておっしゃったようですけれども、一体、総理の給料はどれくらいカットされているんですか、総理の給料。二百六万円を一〇%カットしただけですよ。そして、期末手当、ボーナスは全くカットなし。私が大臣をやっていたころ、自民党政権下ですが、例えば安倍総理は三割カットしていますよ、三〇%。給料、地域手当、期末手当、全部三〇%カットですよ。総理は二百六万円を一〇%カットしただけ。そして、国会議員は半年だけ五十万円カット。カット率は何%だと思いますか。一三・九%ですよ。よくもこれで東電の役員五〇%カットしろなんて言えたものだな。本当にふざけていますよ。覚悟がないんですよ、覚悟が。

 みんなの党は、次の未来を見据えた電力再生アジェンダというのを提案しております。結局、こういうでたらめな菅政権のもとでは、次の未来は開けないんですよ。みんなの党は、国民負担を最小限にするということを損害賠償の基本に置いています。東電に任せておくと、これは相当いいかげんになります。ですから、これは東電を一時国有化する。そして、その後は電力自由化ですよ。送電業者と発電業者は分離をする、どんどん新規参入を認める、地域の中でスマートコミュニティー、送電線網を自由に使える、管理をできる、そういう次の未来をつくるべきなのであります。どうお考えになりますか。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。時間が来ていますから、簡単にお願いします。

菅内閣総理大臣 いろいろなことを言われましたので、どの部分をお答えしていいかわかりませんけれども、まず事実関係は、やはり事実としてきちんと把握してください。

 水素爆発が、当初、格納炉内は窒素が入っているのでそこでは起きないということを原子力委員会は言っていたわけですが、結果的には、格納庫よりも外に出ていたために、建屋の上部にたまって起きたわけでありまして、そういったいろいろな事実の検証は、もちろんこれから事故調査委員会をつくらなければなりませんので、そこできちんとやりますけれども、余り部分部分を一方的におっしゃるのは少し違っているんではないかと思います。

 また、東電の今後のあり方については、当然、これも事故調査委員会、さらには今後の日本の原子力政策、エネルギー政策を考える際に、どういう形であり得るか、補償の問題もありますので、それは、今言われたように、発電と送電をどうするのか、そういったことも当然検討課題になろうとは思います。

 まさに国民にとって安全で、そして確かな電力供給をするための体制、それについては大いに私も検討してまいりたい、こう考えております。

中井委員長 渡辺君、もう時間がありませんから。

渡辺(喜)委員 とにかく言いわけだらけ、これはもう本当に、危機管理ではなくて、管理の危機ですよ、マネジメントクライシスです。菅総理にはぜひ退陣をお勧めいたします。

 終わります。

中井委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明三十日午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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