衆議院

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第22号 平成23年4月30日(土曜日)

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平成二十三年四月三十日(土曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君

   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君

   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君

   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君

   理事 富田 茂之君

      石毛えい子君    稲見 哲男君

      打越あかし君    生方 幸夫君

      小川 淳也君    大串 博志君

      金森  正君    川村秀三郎君

      吉良 州司君    工藤 仁美君

      郡  和子君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    城島 光力君

      高井 美穂君    高邑  勉君

      竹田 光明君    津村 啓介君

      中根 康浩君    仲野 博子君

      畑  浩治君    本多 平直君

      三谷 光男君    宮島 大典君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山口  壯君    渡部 恒三君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      北村 茂男君    小泉進次郎君

      佐田玄一郎君    齋藤  健君

      菅原 一秀君    長島 忠美君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    遠山 清彦君

      笠井  亮君    阿部 知子君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  直人君

   総務大臣

   国務大臣

   (地域主権推進担当)   片山 善博君

   法務大臣         江田 五月君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄及び北方対策担当) 枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中野 寛成君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (科学技術政策担当)   玄葉光一郎君

   外務副大臣        伴野  豊君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三十日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     工藤 仁美君

  大串 博志君     近藤 和也君

  中根 康浩君     室井 秀子君

  金田 勝年君     北村 茂男君

  馳   浩君     長島 忠美君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     稲見 哲男君

  近藤 和也君     大串 博志君

  室井 秀子君     中根 康浩君

  北村 茂男君     金田 勝年君

  長島 忠美君     馳   浩君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 きょうは時間に限りがあります。すべて総理にお伺いをしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、本題に入ります前に、事前通告はしておりませんが、どうしても触れておかないといけない事態が発生をいたしました。昨日、内閣官房参与の小佐古敏荘氏、東大大学院教授が突然の辞意表明でございます。彼が言うには、原発対応は法律、指針、マニュアルにのっとっておらず、場当たり的で事態収束をおくらせた、政策決定のプロセスが明らかでなく納得できない、放射能影響を予測するSPEEDIの結果を公表していない、小学校の校庭利用の線量基準、年間二十ミリシーベルトに強く抗議をするといったようなことであります。

 菅総理が、役人は当てにならないというようなことで、いわば鳴り物入りで招いた参与からまさに三くだり半を突きつけられた格好であります。この事態をどのように受けとめておられましょうか。

菅内閣総理大臣 小佐古参与については、放射能被害の専門家ということでお話がありまして、参与にお願いをいたしてまいりました。そして、原子力安全委員会などの議論にも、参与という立場で参加をしてアドバイスをいただいてきたところであります。

 専門家の皆さんの間でいろいろな意見が出るということは、逆に大変結構なことだと思っておりますが、同時に、その意見のいろいろな差が、最終的には原子力安全委員会という場で一つの見解をおまとめいただいて政府に助言をいただくというのが現在の仕組みになっております。

 政府としては、多くのことをこの原子力安全委員会の助言を得ながら最終的な判断をして対応してまいってきているところであります。

 今回、そういう専門家の中での議論のいろいろな見解の相違等から辞任をされたということでありますが、大変残念ではありますけれども、そのことと、政府としては、原子力安全委員会のそういう参与の意見も含めた議論の結果に基づく助言で対応しているところでありまして、決して場当たり的な対応とは考えておりません。

小里委員 校庭の利用基準につきましては、彼は、国際常識とヒューマニズムにのっとっていない、放射線業務従事者でもこんな被曝をする人は少ないと述べて、強く抗議をしております。

 安全委員会でも異論があったと聞きます。通常時の一般人の基準が年間一ミリシーベルトなのに対して、影響を受けやすい、そして大事な子供たちがなぜこんな基準なのかと、疑問は前から上がっております。そして、野党一致して、一ミリシーベルトという基準を求めてきたはずであります。

 本当にこれでいいんでしょうか。どうやってこの基準が決まったのか、お伺いをいたします。

高木国務大臣 小里委員にお答えをいたします。

 放射線について、このリスクについて決して甘く見てはならないと考えております。その上で、私どもとしましては、福島県の子供の皆さん方が、家庭とともにあるいは地域社会とともに暮らしていき、学びを続けていく、そういう環境の中で一体どうしていくのか、一つの目安を示してほしいという地元の声もございましたので、私たちとしては、四月十九日にその暫定的な考え方を示したわけであります。

 この考え方については、国際放射線防護委員会の勧告を踏まえておりまして、まずは、事故継続時の参考レベル、年間二十から百ミリシーベルトのうち、最も厳しい値である二十ミリシーベルトを出発点として、非常事態収束後の年間一から二十ミリシーベルトを暫定的な目安として、今後できるだけこの線量を低く減らしていくことが適当である、こういう方針がとられております。

 したがいまして、私たちは、この考え方については、福島県の置かれている状況、子供たちの心理的なことも十分に踏まえ、原子力安全委員会の助言を踏まえ、そして国の原子力安全対策本部の見解を取りまとめたものでございます。これについて、私たちとしては、この方針で今心配はない、こういうことを皆さん方にお訴えしておるところでございます。

小里委員 決して納得のいく説明ではございません。これは、ぜひしっかりと検証をされまして、本当にこの基準でいいのか、また明確な姿勢を示していただきたい。そして、それがすべての被災者の皆様、国民の皆様にわかるように、徹底した説明を要望するものであります。

 次から次といろいろな人を招いて、自分の周りを固めたつもりであったんでしょうけれども、こんなありさまであります。全く機能していない証左ではないんでしょうか。極めて見苦しい、何たる失態でありましょうか。前も、原発から二十キロ、三十キロ圏内、人が住めなくなると総理が言ったようにある参与が伝えておられた。何という危機管理能力の欠落でありましょうか。政府の原発対応のつたなさというものを如実に物語るものであります。国民のさらなる不信を招いたその責任は極めて大きいということを指摘申し上げておきます。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 自由民主党は、これまでの多くの災害体験のノウハウを生かして、そして党を挙げての議論、被災者の皆様の声を聞きながら、緊急対策案として、一次、二次合わせまして四百三十九項目を取りまとめいたしまして、緊急提言をいたしました。これをどう受けとめて実施をされつつあるのか、総理にお伺いをいたします。

菅内閣総理大臣 自由民主党の方から、震災対策全般にわたって、二度にわたる詳細な緊急提言をいただきました。それぞれについて政府からも回答を申し上げているところであります。

 政府としては、この間、いただいた御提言の趣旨も十分に踏まえて、震災の損失の繰り戻しによる法人税額の還付、固定資産税や都市計画税の軽減などを盛り込んだ税制改正案を国会に提出し、成立をさせていただきました。

 また、ただいま御審議をいただいている補正予算や関連法案にも、応急仮設住宅の建設促進や中小企業を対象とした新たな保証制度、融資制度を盛り込み、御提案の趣旨を十分に生かしているつもりであります。

 今後の復旧復興に向けた検討の中でも、自由民主党にも御協力、御助言をいただきながら、政府を挙げて被災地支援、復旧に向けて取り組んでいく所存であります。

小里委員 本来でありましたら、第一次の緊急提言分、二百項目分ぐらいは、提言がある前に政府みずからがとっくにやっていないといけない課題ばかりであります。

 さらに、自由民主党は、第三次提言も見据えながら、党の持てるノウハウ、党の持てる情報をすべて提供してまいります。どうか、しっかりとのみ込んで、実施をしていただきたいと思います。

 総理、お伺いします。

 きょうは、震災発生から五十一日目であります。被災地支援のための特別立法は、きょうの時点で何本成立しておりましょうか。総理、お伺いします。

菅内閣総理大臣 選挙期日等の特例法、この法律一本だと思います。

小里委員 何という認識でありましょうか。本部長として、政府の最高指揮官として、当然関心を持っていないといけない、そして主導すべきあなたの立場であります。

 正確に申し上げます。おととい成立をしました災害復旧関係の二本を含めまして、五本成立をしております。これでもまだまだであります。

 要するに、阪神・淡路大震災のときは、発災後三十一日目にして税制特例法ほか三本が成立をいたしました。三十六日目では復興基本法が成立をいたしました。そして、五十日目までに十一本の特別法が成立をしております。そして、その後、合わせて十六本が迅速に成立をしております。

 今回、自民党の緊急提言では、二十九本の特別立法を、これが必要であるとして、これに骨子案までつけて提言を申し上げているのであります。相当ピッチを上げていかないといけない、このことを総理、しっかりと認識をしていただきたいと思います。

 震災が発生して一週間が経過をしたころ、避難民を受け入れたいけれども国から何の指示もないという疑問が幾つかの県から寄せられました。そこで、厚労省に聞いてみましたら、実施をしていない、ひょっとしたら官邸の危機管理センターがやっているかもしれない、聞いてくれと。危機管理センターに聞いたところ、厚労省に聞いてくれと。そんな実態でありました。

 あるいは、第一義的に震災対応、被災地対応に当たるべき自治体が被災をして、その機能が大きく損なわれました。そこをしっかりと全国の自治体が応援をしないといけない。そのために総務省から全国都道府県に応援の要請がなされたのが三月二十二日、発災から十二日目のことでありました。

 四月二十五日に宮城県が出したレポートによりますと、避難所での食事におけるエネルギー提供量、これが一日平均千五百四十六キロカロリー、目標の二千キロカロリーに遠く及びません。大規模避難所の約半分が一日二食というありさまであります。避難所の電気の復旧率は五六%、水道の復旧率は四五%、医療、入浴、洗濯など、日常生活対策については推して知るべしであります。避難所の悲惨な実態がまた浮き彫りになったわけであります。

 義援金や支援金の支給のおくれ、仮設住宅あるいは瓦れき処理のおくれについては、既に何度も議論のあったところであります。

 かかる実態についてどのように認識をし、責任を感じておられるか、総理大臣にお伺いします。

菅内閣総理大臣 御承知のように、大震災が発生したその日に緊急災害対策本部を設け、その後、その本部のもとに生活支援等の体制を組んだところであります。そして、発災当日には、私の方から自衛隊に対しても、全力を尽くしていただくよう指示をいたしたところであります。また、御承知のように、幾つかの予備費等を使っての早急な対応も次々と打ち出していきました。

 御指摘のように、いろいろな法律という点で、かつての阪神・淡路のときとの比較をお話しされましたけれども、十分とは言えませんが、必要なことに対しては、全力を挙げてそれぞれの部署で取り組んでおります。

 もちろん私も、避難所などに足を運ぶ中で、初めのうちはガソリンなどが非常に不足している、あるいは、一カ月を超える長い避難生活の中でいろいろな問題が生じている、そういうこともお聞きをいたしております。そういう意味で、仮設住宅を急ぐ、そういったことも含めて、これらの対応はこれまで以上に迅速にあるいは的確に対応していく、その責任が、最終的には私自身に最も重くその責任がある、そのことを自覚して取り組んでまいりたいと思っております。

小里委員 直ちに自衛隊に出動を命じた、そういう言葉が総理から繰り返されてまいりました。初日に被災地に派遣された自衛隊、八千四百人態勢でありました。その後、これじゃ足りないということで、二万人、三万人、五万人と追加をされまして、十万人態勢になったのは七日目のことでありました。

 逆に、総理、あなたの洞察力のなさというものがそこに露呈をしているわけであります。

 今回、企業倒産が阪神・淡路の三倍のペースで進んでいると言われます。農林水産対策も待ったなしであります。最初申し上げましたように、そもそも、我々からの一次提言分くらいはとっくの昔に措置されていないといけない話であります。

 要するに、各省庁がばらばらに動いております。官僚は、ある程度はやるでしょう。しかし、のりを越えた対応はできないんです。そこは政治決断でやらないといけない。特に震災対策というものは、特例措置の連続であります。そこはしっかりと政治決断をもって進める、その司令塔がいないんですよ、司令塔が。

 阪神・淡路のことを申し上げて恐縮でございますが、すべてが二十四時間態勢でありました。日中は国会にくぎづけになり、そして夜、特命室と協議をやって、その日上がったニーズを酌み取って、一つ一つに大臣が方針を示し、それを特命室員が各省庁に持ち帰って、翌日の夜の対策会議にまた具体策を上げてきた。それを大臣が裁可をして進んでいったわけであります。

 すなわち、二十四時間態勢で原則やっていった、その司令塔がいない。どうして特命大臣、専任大臣をつくらないんだ。きのうの議論でもあったところであります。総理はあたかも、法改正をして、内閣法を改正して閣僚の定員をふやさないと専任大臣を置けないなどという、そんな答弁でありました。

 本当に法改正をしないと専任大臣を置けないんですか。総理、お伺いします。

菅内閣総理大臣 私も、阪神・淡路の震災の折には、自社さ政権のさきがけの政調会長という立場で与党の一角で、私どもなりの対応をさせていただきまして、そのときのことは、お父上の小里担当大臣のもとでいろいろなことが進んだこともよく覚えております。

 今、専任の大臣ということでありますけれども、この大震災が始まる前から、防災担当大臣としては松本龍大臣にお願いをいたしております。もちろん、環境大臣という重要な職責と兼務ということでありまして、この震災が発生した中で大変過重な仕事だということはよくわかっておりました。そういう意味で、この間はどちらかといえば、環境大臣の仕事は副大臣などに主にお願いをするということで対応をしていただいております。

 もちろんこの問題でも、あるいはもう一つ、今回は原子力事故が並行しておりますので、原子力事故に対する問題でも、本来専任できる体制をつくりたいという思いはかなり早い段階からあります。

 しかし、御承知のように、現在の内閣法では、閣僚は総理以外で十七名と上限が決まっておりまして、もし専任の方を置くとすれば、他の部署をさらに兼任を重ねなければならないということになり、そういった意味で、何とか内閣法改正をお願いできないかということで、各党間で御協議を現在もいただいていると認識しております。

 いずれにいたしましても、できる限りそうした迅速な対応、集中的な対応ができる体制をつくるために今後も努力をしてまいりたい、こう考えております。

小里委員 相変わらずの御答弁であります。

 内閣法を改正しなくても、大臣の所管の兼任でやりくりすれば専任大臣は設置できるはずであります。これは衆議院の法制局にも確認をいたしました。そうでしょう、総理。うなずいておられますが。

 なぜやらないんですか。全くやる気がないんですよ。専任大臣を設置する気がない。要するに、内閣法を改正して、閣僚の枠をふやして、そこに野党を取り込もう、そういう腹が見えてきております。

 要するに、総理は、震災対応よりも、専任大臣の設置よりも、政局に目が行っているんじゃないですか。震災対応すらも政局でしか見ておられない、そんな総理の姿勢がそこにうかがわれるわけであります。

 時間がありません。

 仮設住宅建設について、供給の定義をめぐって混乱をいたしました。普通は、供給とは資材の確保から建設、そして完成に至る、そこをいうはずでありますが、今回、政府は、資材の確保、要員の確保をもって供給とみなした節があります。そのために混乱をいたしました。

 あるいは、ガソリンスタンドの稼働率、七〇%、八〇%と発表になりましたが、実際に行ってみると、午後はあいていない。一日二、三時間でも店をあければそれで稼働とみなした、そんな節があります。あるいは、原発対応をめぐるいろいろな情報の不明確性、これもいろいろ議論にあったところでございます。

 要するに、情報を隠したり、ごまかしたり、そんな事例が相次ぎました。これでは政府の信頼は失われ、新たな不安や風評被害を生んでいくと思います。総理、いかがでありましょうか。

菅内閣総理大臣 ガソリン等については、先ほども申し上げましたように、当初、本当に供給がおくれて御迷惑をおかけいたしました。

 ただ、仮設住宅の表現については、政府としては、仮設住宅の供給ということの意味は、完成という意味で一貫して用いているところでありまして、もちろん完成から入居いただくのに若干の時間はかかるかもしれませんが、例えば五月末までに三万戸が供給される、つまり完成するという意味で用いております。

 これまで、いろいろな表現でそういう混乱を招いている部分があるとすれば、それはしっかりと、わかりやすい形に是正していきたい。決して情報を隠したり、ごまかすということでやっているという、少なくともそういうことでやっているわけではないということだけは御理解いただきたいと思います。

小里委員 この前、国土交通委員会でも、大臣が、その供給の定義をめぐって混乱をしたと、あれは副大臣でしたか、認めておられました。

 国交省の役人の中から、途中で供給の定義が変わったという声が聞こえてきたんですよ。供給の定義が変わったのに目標が変わらない、だから大変だ、そんな声が国交省の官僚から聞こえてくるんです。しっかりとそんな実態を認識して、今後、国民の目に見える形でしっかりと対策を進めていただきたいと思います。

 終わります。

中井委員長 これにて小里君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 おはようございます。自由民主党の長島忠美でございます。

 震災から七週間が過ぎました。きょうは予算委員会の締めくくり総括で、特に総理に御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

 三月十一日、我々は未曾有の災害を経験することになりました。私も中越地震で被災をした体験から、自然災害の猛威の前に人間の力の無力さを一回は実感するものだと思います。だからこそ、人の自然に対する力、そのことに謙虚であるべきで、そのことは私は総理にぜひお伝えをしたいと思います。そして、犠牲者にどういうメッセージを伝えていくのか、リーダーとしての覚悟を問われる七週間でもあったろう、私はそんなふうに思います。

 しかるに、この七週間、私なりに、みずからのことも踏まえて冷静に振り返らせていただきました。

 総理が最初、命をかけてこの災害復旧に当たられるというメッセージは国民に伝わりました。ただ、その中で、今回の補正予算を見てみると、本当に犠牲者の思いをかなえることになっているのか、そして、避難をしている人たちにメッセージとして伝えることになるのか、できるだけ早く皆さんの生活を再建したいというところがこの補正予算に込められているのかという思いを少し抱いております。

 まして、財源論の中で、本来は政府が覚悟を決めて、国債を発行してでも皆さんの生活は取り戻す意思を明確にすべき補正予算だったと私は思います。ただ、手をつけてはいけない年金財源まで手をつけなければいけないということを露呈したことは、私は少し疑問に感ずるところであります。

 総理が肝いりで始めた復興構想会議、初回の議論が増税論から始まったことに、私は違和感を感じる一人であります。そもそも、この復興構想会議、総理が求めている目的というものはどんなものなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 御承知のとおり、現在御審議をいただいている第一次補正は、まさに、いかにして救命から被災者支援、そして復旧に至るかという、その段階での必要なものを予算としてお願いをいたしております。特に、瓦れきの処理、そして仮設住宅の建設、そういった形で生活再建に全力を挙げる、そういう予算内容になっていることは御承知のとおりであります。

 今御指摘の復興構想会議は、復旧を進めながら次に向かう復興の姿について御議論をいただきたい、私からは、単にもとに戻すという形ではなくて、創造的な未来に向かって、東日本として、あるいは東北として、より望ましい、夢のある復興計画、そういうビジョンをお示しいただきたい、こういうことを諮問でお願いをいたしております。

 メンバーも、学識経験者の皆さん、特に東北にいろいろ縁のある方にかなり入っていただきました。また、地元の意向、これは何よりも重要でありますから、被災された三県の知事にも入っていただきました。

 六月末をめどに復興に対する一つの基本的な考え方、方向性を示していただきたい、そういったことを期待いたしております。

長島(忠)委員 昨日の議論の中でも、実は、この復興構想会議を受けないとなかなか次の予算も組めないというような御答弁があったように記憶をしております。

 総理が今日まで七週間やってきた中で、会議、本部、幾つあるのか私は正確に把握していないので、たしか二十八までは数えさせていただいたんですが、また対策本部、会議を設置する。本当に復興構想会議が描く姿を予算に落としてこられるのか、とても疑問なところが実はあります。災害のときには組織はシンプルな方がいいと私は思っている。余りに多くすると、お互いが牽制をし合って、お互いが調整するだけで時間がかかってしまう。

 一つだけ例を挙げさせていただきます。

 今回の災害の中で、なかなか象徴的なことが出てこない。応急復旧だと総理はおっしゃるけれども、私のところで災害が起きたとき、国道二百九十一号線、延長十・五キロ、すべて道路が跡形もなく被災をして、災害復旧をするには原形でないところに道路を切らざるを得なかった。新しいトンネルが一本、新しい橋が二本、だれが来ても五年から七年かかると言われた。私は、五年から七年では住民の希望がなくなってしまう、二年でやり上げてくれとお願いをして、特例を用いていただいて国直轄にしていただいた。一年十カ月と十一日で開通をしてもらった。

 これは希望ですよ。地域に帰れる希望ですよ。この乱立した本部の中で、こういった希望を特例として政治決断できるところはどこにあるのか、総理からちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 本部、会議が乱立という御指摘を受けておりまして、それについては、名称のつけ方とか、それぞれの会の立ち上げのところでの説明が必ずしも十分でなかったのかもしれませんけれども、決して、会議をするためにいろいろな組織というかチームを組んだわけではありません。いずれも、省庁横断的な課題がたくさんある、そのときに、省庁横断で、特に事務方の皆さんのチームをしっかりと組んでいただき、また、事務方の皆さんも、こういう役割でこのチームで仕事をしていくんですよということをしっかりと酌んでいただく。

 例えば、生活支援特別対策本部、ここは、内閣府の地下講堂のところに各省よりすぐりの皆さんに集まっていただいて、まさに省庁横断の事務的な連絡調整等にしっかりと問題がないように、そしてそれに対して政治的な判断が必要な場合に対応するために、それぞれの政務の責任者あるいは担当者というものを明確に置いたということでございまして、決して会議等が乱立をしているわけではない。そして、そうしたことの中で、政治決断においては、震災対策ということでは、菅本部長のもとで、しっかりとした指揮系統のもとで進めております。

長島(忠)委員 答弁をいただきました。ただ、私が言っているのは、スピード感あふれる対策をとるときにどこの部分がこのことの決断をするんですか、この補正予算でそういったことの対応ができるんですかということを聞いたんです。

 もう一つ例を挙げます。

 今回、福島の原子力発電所の災害によって、二十キロ圏内、三十キロ圏内、三十キロ圏外でも計画的避難区域が設定されたことによって、人だけではなくて、多くの動物、牛や馬、ペットが取り残されています。そのことを取り出すすべが、今のところなかなか方向性が見えてきません。

 私のところは予算がなかったんですよ。予算はありませんでしたよ。政府は決断をしてくれて、千二百頭の牛をヘリコプターで運んだんですよ。牛という命、それは飼う人にとっては家族の命なんですよ。それを助けることによって、今も牛を飼うことを継続しているんですよ。被災地というのはそういうものですよ。希望を失わせたらその地域は二度と立ち上がれないかもわからないという目線で絶えず見ることが私は大切だと思うんです。

 だから、そういった決断を、今二十八ある対策本部、対策会議、その中のどこで決断をするのかということを聞いているんです。

枝野国務大臣 ただいまの牛の件について、具体的にお尋ねでございますので、それについて言えば、原子力災害対策本部がこの原子力災害事故についての対応をいたしております。実務的な調整は、そのもとに原子力災害の生活支援のチームがございますが、その上で政治決断が必要であれば、そしてそれが重要であれば、そのチームにおいても政務の担当者、海江田担当大臣がいらっしゃいますが、さらに重要な決断が必要であれば、最終的には原子力災害対策本部長である総理が行います。

長島(忠)委員 原子力災害のことについては後で聞こうと思ったんです。今、原子力のことに触れられましたので、少しお聞かせをいただきたいと思うんです。

 今、十キロ、二十キロ、三十キロ、そして圏外でもということで、政府は線を引き始めている。今被災者が一番心配をしているのは、仮払金を払うということではなくて、補償がどうなるのか、どういった業種、あるいはどういった作物に対してどういう補償ができるのか、そしてそれはどれぐらいの期間に及ぶのか。九カ月の工程表は何となく東京電力から出たけれども、政府は、九カ月を受けて、これから先その人たちに対する工程表をどうやっていくのかということを明確に示さない限り、やはり落ちつくことはあり得ないと思うし、そして、避難生活を何とか支え合って暮らすことはできないと思うんです。

 そこのところの指示は、きのうの答弁を聞いていると、東京電力、確かに一義的には東京電力に責任がある。だから、逆に言ったら、政府が仮に支出をして東京電力に請求をするという方法をとってスピード感を増すわけにはいかないかな、私はそう思っている。東京電力が補償するわけですからね。東京電力に任せたらスピード感が鈍るんだったら、一時的に政府が立てかえて、請求をして東京電力からもらう、そういう政治決断をどこの場所でするんですかということを聞きたいと思うんです。

海江田国務大臣 この補償につきましては、二十八日に審査会の方からまず第一次の基準が出たところでございます。そして、それを受けまして、私どもの方から、やはりこれは早く、避難された方々に対する仮払いと同じような現金の仮払いが必要だということでございますので、連日のように、まず東京電力にどういう準備があるのかということを聞いておりますが、それが余り長引くようであれば、今先生がおっしゃったようなことも考えなければいけないと思っております。

長島(忠)委員 大臣から聞きました。

 それでは、総理にお聞きをします。

 総理として、東京電力さんなのか災害対策本部なのかわからないけれども、被災者に向かってどういう補償、どういう作物についてどういう範囲という目標をいつ示せというふうに指示をしていただけるか、御答弁いただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、原子力事故に関して言えば、御承知のように、原子力災害対策本部、これは全閣僚を含む、これが法律で規定されていて、私が本部長にあります。これに関することの最終決定はこの本部で行い、必要なことは閣議でそれを確認する、そういう形になります。

 今お話のありました補償については、二十八日に、原子力損害賠償紛争審査会、これも法律で決まっておりまして、文科大臣がいわばそれの事務方のフォローをしていただいておりますが、その一次指針が出されて、まだ一次指針の段階ですから風評被害等は入っておりませんが、政府が出荷をとめたとか、少なくともそういったものについては必ず補償するようにということが指針として出されたわけであります。

 そういった意味で、それに基づいて具体的な補償が進まなければならない。その折に、仮払いということも当然必要になりますので、仮払いについても、補償の第一義責任者である東京電力に、できるだけ迅速に仮払いをするようにということを指示いたしております。また、場合によってはそのつなぎの資金を公的金融機関から出せるように、そういった手当てもいたしているところです。

長島(忠)委員 総理にあえて申し上げます。

 もう、検討しているとか、これから用意をしますということでは被災地は救われませんよ。いつ、どういった形で示してくれるかということを求めているんですよ。

 牛は、馬は、ペットはいつ運んでくれるんですか、補償の額はいつ示してくれるんですか、それを政治決断。我々は、この時期に、あえて法律の外へ総理が政治決断することを責めるつもりはありませんよ、それが被災者のためであれば。憶することは責めますよ。被災者の方を向いて、被災者のために憶することがあったら、そのことを私は責めたいと思います。

 平和なときに法律は国民を守ってくれるという話をしました。でも、今は超法規的措置が被災者にとって必要なんじゃないですか。だれがその政治決断ができるか。だから、乱立した会議や本部と言ったんですよ。シンプルにして総理が全責任をとるということを一日も早く確立するべきだと思うし、確立できないんだったら、ほかの人に譲ったらいいじゃないですか、私はそう思うんですよ。

 一点、心配なことがありますから、聞かせていただきます。

 総理は、仮設住宅を八月のお盆までにとおっしゃいました。多分、早くと思った発言だったのかもわかりません。私は、お盆まで避難所にこのままどうやって置いておくのかと思ったんですよ。避難所はお盆までそのままですか、そのことをお答えください。

大畠国務大臣 長島議員にお答えを申し上げたいと思います。

 確かに御指摘のように、では仮設住宅が完成するまで避難所にそのままにしておくのかという御指摘でございますが、私としては、長島議員の御意見に従って、五月三十日までに市町村別の完成する仮設住宅の戸数というものを各自治体に御提示を申し上げました。

 同時に、私としては、これからできるだけ早くいついつ仮設住宅に入れるという状況を提示して、その間は、実は各県、宮城県、福島県ではホテル、旅館等で受け入れる、こういうことでありますから、宮城県では八千人分、福島県でも七千人分、そういうところもございますので、そこに仮設住宅が建設されるまでは滞在していただきたい、そういうことを今お願いをしているところであります。

 なお、岩手県では七月末までに希望する一万八千戸は完成いたします。ということで、その間はぜひホテルや旅館等でお過ごしいただきたいと考えております。

長島(忠)委員 完成戸数とその目標については、国交省からもお聞きをしております。

 私が言っているのは、完成戸数にどこのだれが入居するかという目標を示して、避難所の生活をこれ以上続けさせるべきでないと私は思っているんですよ。もう既に五十日ですよ。これから暑くなってきたら、暑さ対策をどうするんですか。熱中症で亡くなる人が出てきたら、皆さんはどうやって責任をとれるんですか。このまま劣悪な環境の中に置いておいて、これ以上犠牲者がふえてきたら、私も責任をとらなきゃいけない立場ですよ、国会議員ですから。全員がそうですよ。だから言っているんですよ。

 だから、目標を示すことが大事。いつ仮設住宅に、あなたはここに入れるから、その間家族で温泉地にちょっと行ってくださいと、そういう目標の示し方を一日も早くしてほしいということ。

 総理に聞きたいんですよ、仮設住宅の生活をどう支えますか。仮設住宅に移すだけじゃないんですよ。仕事がないんですよ。生業ができないんですよ。この人たちの生活をどう支える覚悟があるか、総理から聞きたいんです。どうしますか。

中井委員長 菅直人内閣総理大臣。時間がありませんので、端的に答えてください。

菅内閣総理大臣 避難所のままでお盆までということにならないように、今も国交大臣から説明しましたように、県内を希望される方が多いですが、県外まで含めれば、受け入れてもいいといういろいろな施設の申し出も来ております。そういった意味では、仮設住宅のスケジュールが決まって、入るのにはこのくらいかかるという段階で、その間の期間を、二次避難とでもいうんでしょうか、そういう形で受け入れていただけるところにぜひお移りいただきたい、そのような形で対応してまいりたいと思っております。

 加えて、今、雇用の問題、仕事の問題を御指摘されました。私たちも、仕事を失われた方、いろいろな方がおられますので、雇用のことは最も重要な次の課題だと考えております。その中では、場合によっては、自治体に瓦れき処理等のいろいろな仕事が発生しますので、そういう仕事をお手伝いいただく形で雇用につなげていく、あるいは、従来ある会社がまだ仕事が再スタートできない場合にいろいろと雇用調整助成金等を使って雇用を維持していく、できる限りの手当てを雇用についても図っていきたいと考えております。

長島(忠)委員 私は、向き合う覚悟だと思います。だれが向き合うか。最後まで向き合うのは市町村ですよ、市町村長ですよ、そして現場にいる職員ですよ、ボランティアですよ。皆さんは、大きな枠で予算をつけてくれたり法律をつくってくれるかわからないけれども、夜中まで避難所にいることはできないじゃないですか。三百六十五日、仮設住宅でともに暮らすことはできないじゃないですか。だれが向き合うか。その向き合う人が、仕事がしやすく、そして決断したことをすぐ認めてやるような制度が必要なんじゃないですか。

 私は、仮設住宅に三年二カ月おりました。日々問題が起きてきますよ。夜中にぽつんと一人で起きている人はいないか、そして仕事をなくして悲嘆に暮れている人はいないか、向き合うのは市町村長です。まして今、自衛隊、警察、消防、そして地元の消防団員は、みずからの地域をみずからの手で守るという崇高な精神の中で、多分、出動手当は幾らでもないのに出動して守っている。そのことにこたえてあげる必要がやはりあるんじゃないですか。その覚悟を決めてくれということですよ。

 会議や本部を乱立することではなくて、すぐこたえてくれる体制にしてくれということです。その覚悟をこの補正予算で感じ取りたかった。残念ながら少し感じ取ることができませんでしたが、ぜひこれが早く執行されることだけを望んでいます。もしその覚悟がないんだったら我々に任せていただきたいということを申し添えて、質問を終わります。

中井委員長 これにて長島君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 私も、質問通告しておりませんが、先ほどの小里委員と一緒に、小佐古内閣官房参与の辞任に伴う件について質問したいと思います。

 昨夜、家に帰りましてニュースを見て、小佐古参与の本当に絞り出すような思いを言われていたのを見て、やはり大変なことだなというふうに思いました。

 実は文科省の方に、四月十九日以前に、私の友人から二十ミリシーベルトというのはとんでもない数字だというような問い合わせが来たということで、お問い合わせをしました。私の友人がこういうふうに書いてきました。放射線の量と健康障害についてはさまざまな学説がありますが、五十年にわたる研究の結果がICRP及び放射線障害防止の法律の規制で決まっていて、年間一ミリシーベルトです、その二十倍、とんでもない数字、間違いなく子供の場合健康障害が心配される数字ですということで、るるいろいろ書いてきて、その点どうなっているんだということで文科省に問い合わせをしましたら、検討中ですと。新聞報道がされているけれども、それは新聞報道であって、まだ検討中ですと。回答があったのが十八日でした。ところが、十九日に、二十ミリシーベルトでいいという通知を出しているんですよね。

 まじめに子供の健康障害を考えているのか。こういう声がありますよというふうに伝えていながら、全然そういうのに耳をかさないで通知を出して、なおかつ、一番の専門家、小佐古さんはそれに憤慨して辞任をしてしまう。

 実際には、委員会の中で、もう十ミリシーベルトにすべきだという意見があったじゃないですか。外部被曝の件ばかり考えて、内部被曝も加えると倍になるというふうな考え方もあるんですから、やはり一番安全な基準で考えるのが本来文部科学省の子供たちに対するあり方だと思うんですが、高木大臣、そこはどうですか。ちょっとやり方を間違えていませんか。

高木国務大臣 お答えをいたします。

 この放射線の問題は極めて重要な話でありまして、私どもは、放射線のリスク、これを決して甘く見てはならない、そのように考えております。同時に、子供たちの学校の安全、健康というものを最も優先して考えなきゃならぬ、そういう立場でございます。

 したがって、地元から、そのような一定の目安、考え方を示してくれという要望がございましたから、私たちは慎重に検討いたしました。つまり、国際基準として国際放射線防護委員会が示した、いわゆる年間二十ミリシーベルトから百ミリシーベルトは事故継続時の参考レベル、それから、年間一から二十ミリシーベルトを非常事態収束後の年間の暫定的な目安、しかし同時に、できるだけ線量を減らしていくことが必要であろう、こういうことを受けて、私たちといたしましても、学校教育、家庭とともに、そしてまた地域社会とともに暮らしを立てる、こういうことも十分考慮しましてこの数字を決めさせていただきました。

 なお、当然ながら、しっかりモニタリングをして、そして学校の先生方にも線量計を保持していただいて、そしてできるだけ、校庭において泥がついたら落とすとか、あるいはほこりがある日は窓を閉めるとか、あるいは手やうがいをする、こういうことの留意事項をやっておれば、この中では安全だ、そういう原子力安全委員会の助言を受けて、原子力対策本部の見解として私たちはこのことを決めさせていただきました。

 なお、これはあくまでも暫定的な目安でございまして、当面、その推移を見守っていきたいと思っておりますし、今、毎週、計測をいたしておりますが、傾向値としては低下の傾向はございます。しかし、事態がどうあれ、我々としては、今後とも重要な関心を持って子供たちの安全のために取り組みを進めてまいりたい、このように思っております。

富田委員 大臣の取り組みは評価したいと思うんですが、四月十九日付で原子力災害対策本部が出した文書の中にこんなふうに書いてあるんですね。「また、ICRPは、二〇〇七年勧告を踏まえ、本年三月二十一日に改めて「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、一ないし二十マイクロシーベルト・パー・年の範囲で考えることも可能」とする内容の声明を出している。」これは、いいと言っているわけじゃないんです。その参考レベルというのは、どういう説明があるか。「これを上回る線量を受けることは不適切と判断されるが、合理的に達成できる範囲で、線量の低減を図ることとされているレベル。」

 許容されているということじゃないんですよね。いろいろなことを全部配慮した上で、何とかこの範囲なら可能ですよと言っているんですよ、この報告書自体も。(発言する者あり)今やじがありましたけれども、なぜこの上限で設定するのかが本当に理解できない。

 それで、衆議院の青少年問題特別委員会でも、安全委員会の久住さんという方がこんなことを答弁されているんですね。「私どもは、一から二十ミリシーベルトの最大限を今回の学校のスタートの基準ということでは容認いたしておりますが、それはあくまで社会的あるいは学校教育等いろいろなものの総合判断の上で、やはりリスクとベネフィットの関係で、今回はそこからスタートすることは可能であろうというようには考えております。」と。

 何ですか、このリスクとベネフィットというのは。子供の安全を考えたら、リスク管理するのが大事なんじゃないですか。ベネフィットというのは何ですか、ベネフィットというのは。こういう判断で考える今の政権の姿勢が一番問題なんじゃないんですか。久住さんは、「ただ、決して一年間二十ミリシーベルトを子どもたちが受けることを容認しているわけではございません」と、その後わざわざ言っているんですよね。

 だったら、二十ミリにしなきゃいいじゃないですか。委員会の中でもあった十ミリとか、限りなく一ミリに近づける、その上で通知をすべきだったんじゃないですか。大臣、そこはどうですか。

高木国務大臣 今御指摘の点も含めて、原子力安全委員会の評価をいただいて、これを原子力災害対策本部として見解をまとめ、それを私の判断で決めさせていただいたものでございます。

 もちろん、年間二十ミリシーベルトというのは出発点でございまして、一番重要なのは、原子力発電所のサイト、一日も早い収束が何よりも優先されるわけであります。しかし、その間、私たちとしては、正確なデータの測定をし、そしてそれを正確に公表していく。そして、原子力、放射線のお話は大変難しい話でございます。このことについて、わかりやすくそれぞれのチラシをつくったり資料をつくったりして、地元の皆さん方に御理解をいただく、こういうことであります。

 なお、国連の放射線安全委員会の報告におきましても、チェルノブイリのあの事故もございました。その中で、やはり放射線による疾病よりも、むしろ被曝というそのこと自体のストレス、これが大きな問題である、こういう評価もいただいておりますので、我々は、過度な心配をすることの方がむしろよくない、だからこそ、私たちは一定のレベルをもってそれを出発点としてそれからどんどん下げていく努力をしていく、こういうことでございます。

富田委員 やはり、原子力安全委員会等の意見等はあったと思いますが、私は、子供の安全を守る最終責任者は文部科学大臣、高木大臣だと思っていますので、もう少し子供たちの立場に立った、またそれを心配する親御さんたちの立場に立った基準づくりをやっていただきたかったなと。ただ、一度発出していますので、今後、しっかり調べていただいて、できるだけレベルを下げていただくように努力していただきたいと思います。

 次に、被災者生活再建支援法の適用範囲の拡大について質問したいと思います。

 昨日も、自民党の江渡議員、そして我が党の石井政調会長から、液状化の被害について、今の法律あるいは適用指針では対象にならないということで、どうにかならないのかと。総理からも、しっかり対応したい、また松本防災大臣からも、五月の上旬をめどに取り組んでいるというお話をいただきまして、本当に感謝申し上げます。

 三月十一日の大震災で、私、千葉県ですので、特に浦安、香取、我孫子、本当に信じられないような状況でした。

 三月十四日の月曜日に浦安に参りましたけれども、交番が半分沈んでいる、泥の中にある。コンビニエンスストアも半分以上泥の中にあって、毎日沈下している。付近の方が毎日写真を撮りに来ているんですね、きょうもまた下がっていると。物すごい状況でした。液状化で泥が噴き出したというより、泥の中にもう建物が埋まってしまっているというような状況で、また、高層マンションなんかは基盤がしっかりしているんですが、その周りの道路は基盤整備がそこまでやっておりませんので、何十センチも段差ができてしまって、上下水道が切断している。大変な状況で、市長からも説明を聞きましたけれども、ハザードマップをつくっていたけれども、そんなどころじゃないというところで、大変な状況を見てまいりました。

 そういう中で、建物被害を受けて、昨日も石井政調会長の方から、床の傾きについて適用指針の中には入っていないんだという御指摘をさせていただきましたけれども、今回は、被災者生活再建支援法の適用で液状化による被害をカバーしようとする際に、被災者生活再建支援法自体を変える必要があるんでしょうか。ここをちょっとお尋ねしたいんです。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 液状化のことにつきましては、先々週、担当官を派遣し、先週、東副大臣が行きました。東副大臣も、すぐ私のところに電話をして、かなり深刻だという状況の報告をいただきました。

 住宅被害についても、全壊した場合、大規模半壊した場合、半壊または住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した場合、被災者生活再建支援法による支援が受けられることとなっています。したがって、液状化による住宅被害の救済に関しましては、今のところ、改正の必要はないというふうに考えております。

富田委員 お手元に被災者生活再建支援法の抜粋の条文を配らせていただきましたが、第一条の「目的」を見ますと、「この法律は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金を支給するための措置を定めることにより、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資することを目的とする。」というふうになっておりますので、この目的、趣旨からすれば、当然液状化に対する被害も含まれる。

 また、自然災害の中にもきちんと、第二条の「定義」のところで、一として「自然災害」に、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。」というふうになっていますので、ここにそのまま読み込めると私も思います。

 ただ、その適用指針の方が、こういうふうに大きな形で今、災害に係る住家の被害認定基準運用指針ということでまとめていただいていますが、ここの中にすんなり入ってきません。そうすると、この改定が必要になると思うんですが、これまでは、被害の実態に即した適切な住家被害認定の運用確保方策に関する検討会というのを内閣府の方で平成二十年十月三日に設置されて、何回か検討して前回の改正をやられた。事務方に聞きましたら、この検討会、実はもう解散しちゃっている。

 では、どこで一体、今回この運用指針の改正をやるんだ。そこがはっきりしないと思うんですが、大臣、そこはどうですか。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 御承知のとおり、住家の被害認定基準とは罹災証明書の発行の前提となるものであって、これまでのその作成や見直しに当たっては、今御指摘のとおり、学識経験者等に意見を伺うために、検討会などの場で検討してまいりました。平成二十年十月三日でございます。

 一方で、今回の被害認定の手続が進んでいる現状において、本震災による被害認定の見直しの結果を反映させるために早急に結論を出すことも、ある一方で求められております。

 このため、きちっとした形での検討会は開催をしておりませんけれども、過去の基準等の見直し、そして、今週月曜日、座長を含めて検討会のようなものをしました。そういう意味では、検討会に参加していただいた被害認定に精通をされている学識経験者数人、さらには、新たに医療関係の方々にも意見を聞きながら、今最終的な詰めを行っているところであります。

富田委員 最終的な詰めをやっていただいているのはいいんですが、今週、千葉県下十六市長の要望を聞きました。大臣のところにも伺ったということですが、まだ罹災証明は出していないんですね。新しい基準が出てくるだろうということで、罹災証明を出すのを控えている市町村があるんです。だから、できるだけ早く基準を示していただいて、罹災証明を出しやすいようにしていただきたいと思うんですが、そこはどうですか。

松本(龍)国務大臣 御指摘のとおり、五月の初めに出したいと思います。

富田委員 よろしくお願いします。

 浦安の皆さんにいろいろお話を聞きましたら、液状化で家が傾いているものをどう直すか。下にジャッキを入れて、平衡にどんどん上げていって、地盤も固めていく。当初は、三百万円ぐらいでやってもらえるというふうに業者さんから話を聞いたと。ところが、被害戸数が八千戸ぐらいありますから、業者さんの方が最初三百万円と言っていたのが、今はもう一千万を超えるような数字を出してきているようです。そうすると、基本的にローンを抱えているのに、プラスして一千万以上のものをまた支出するというのは、ダブルローンと同じようになってしまうので、なかなか業者さんに頼みにくい。また、それをやれる業者さんも本当に数が少ない。

 だから、こういうことをきちんと政府の方でも面倒見ていただいて、一戸がつぶれているだけじゃなくて、基盤としてだめになっていますから、そういったところをきちんと政府側としてもバックアップをしてもらいたいんだというのが市長さんたちの要望だったんですが、そこはどうでしょうか。

大畠国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 私も、過日、香取市に参りまして、頭では液状化の状況というのを理解していたつもりでありますが、全く異なっておりました。地域全体が沈むといいますか、傾くといいますか、そういう状況の中で、個人の住宅で一メーターほど沈んだところも見ました。庭石等もほとんど庭に隠れるような状況でありまして、どこから手をつけていいかわからない、そういう悲嘆に暮れた御婦人のお話も聞いてまいりました。

 そういう意味から、先ほど松本龍大臣からお話ありましたように、関係省庁がこの液状化というのを多分これまで余り念頭に置かなかった形で法律ができていたと思います。新たな視点で、この液状化にどうするかというのは、新たな基準を設けなければと思います。

 同時に、国土交通省といたしましても、平成二十三年度補正予算において、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資の金利引き下げ等を盛り込むとともに、液状化による場合を含めて、宅地のみに被害が生じた場合の融資制度を新たに新設することにさせていただきました。また、公共インフラ等についてもかなりのダメージを受けておりますので、市町村とも連携をとりながら、そして関係省庁と連携をとりながら、この対策に当たってまいりたいと思います。

富田委員 国土交通大臣の方から御答弁いただきましたので、ぜひそのようにしていただきたいんですが、千葉県下の市長さんたちの要望で、プラスしてこういうのがありました。

 復旧に当たっては、高さの水準について、液状化により沈下した周辺家屋等との高低差や下水道の勾配の確保等をどのように踏まえるべきか、土地の境界のずれにどのように対応すべきか、大きな問題となる、そこで、災害復旧事業に関して、補助の充実、補助要件の緩和や十分な予算の確保を行うとともに、液状化に関連した災害復旧に関するガイドライン等の作成を早急に行ってほしいと。

 今大臣言われたように今まで想定していなかった災害ですので、ぜひ、国交大臣また防災大臣と連携していただいて、こういうガイドラインを市町村に示していただきたいというふうに思います。

 もう一つ私のところに相談がありましたのは、液状化で噴き出した泥や砂、これを最終的にどこに持って行くんだ。

 震災二週間後に、私、習志野に住んでおりますので、地元の香澄小学校のグラウンドが液状化で全部だめになっていました。家内と一緒にボランティアで復旧に行きまして泥を全部かき出したんですが、校庭の隅にとりあえず置くしかない。この泥や砂はどういう扱いになるのか。残土でしたら、残土捨て場に捨てられる。ゼネコンの方で、残土捨て場で引き取ってくれないかというような話が業者さんにあったというふうにも聞いています。ただ、産業廃棄物扱いだと、廃棄物処理の手続にのっとって最終的な処分場まで持っていかなきゃならない。そうすると、かなりの費用がかかってくる。

 国交省の扱いなのか、環境省の扱いなのか、まだはっきりしていない部分があると思いますので、きょうは実は事前に通告して質問しようと思ったんですが、時間がありませんでした。ぜひこれは両省で検討していただいて、現場の都道府県も多分困っていると思いますので、早急に指針を出してもらいたいと思います。その点はお願いだけしておきますので、両大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回の補正予算の中で、被災児童生徒就学支援という項目を設けていただいて、被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金というのをつくっていただきました。この制度を創設した趣旨はどういうことでしょうか、大臣。

高木国務大臣 今、この震災で就学困難な児童が多数に上っております。したがいまして、被災地の自治体の財政負担というのが懸念をされておりますので、今回は、そのことのないように、自治体の財政状況にかかわらず、この補正予算の中に、全額国費で小中学生に対する学用品とか通学費あるいは給食費などを支援する。また、高校生に対する奨学金、これについても自治体において支援が可能になるような、そういう措置をするためにこの制度を創設したのでございます。

富田委員 大変いい制度だと思うんですが、実は、この予算委員会で、二月三日に給付型奨学金の議論をさせてもらいました。高校無償化に伴って負担増になる世帯へ給付型奨学金を文科省の方で考えたけれども、最終的に本予算に入らなかった。財務大臣の方からも、年度末に向けて、税でやるか、いろいろな制度でやるか、いろいろ調整したいというお話をいただきました。

 これは去年からの我が党に対する約束だったのでちゃんとやってくれるんだと思っていたんですが、今回、せっかく全額国費で臨時特例交付金の制度をつくって、高校生への奨学金もできるというふうになったけれども、これはやはり貸与型なんですね。今、家もなくなり、お父さん、お母さんの仕事もなくなり、どうしていいかわからない、でも高校で勉強したいというお子さんたちに、奨学金は貸しますよというのはちょっと冷たくないですか。せっかく国費で出せるんなら、今回はこの部分は給付型で、返済の心配は要りませんよ、しっかり勉強してくださいというのが、本当に最小不幸社会を目指す総理のとるべき道だったんじゃないんですか。

 財務省からしてみたら、ここで給付型を認めてしまうと今後どんどん貸与じゃなくて給付型のをふやされるというふうに思われるかもしれないけれども、こういう事態だからこそ、やはり給付型の奨学金として、額は幾らでもいいですが、まず導入してみる。それを受け取ってもらってしっかり勉強してもらう、子供たちに未来の希望を与える、そういう制度をとるべきだったと思うんですが、高木大臣、どうですか。

高木国務大臣 今回の一次補正予算においても、全額国費による交付金を創設いたしまして、これまであった高校生の修学支援基金に積み増すことにしております。これは、被災地の学校はもとより、受け入れた都道府県の基金についてもそのことが可能になるようにしております。

 委員はこれまで給付型奨学金を強く今国会でも提起をされておりまして、私たちとしては今回、各都道府県において奨学金の貸与の要件の緩和、そして返還時の柔軟な対応、この中で十分な対応をしていただけないか、このように思っております。

 なお、給付型奨学金の導入につきましては、全体的な財政の状況もございまして、これは慎重に検討していくべきものだろう、このように思っております。

富田委員 大臣、最後の答弁は余分ですよ。これは財務大臣が言われるならまだわかるけれども、文科大臣はそんなに財務省に配慮しないでやはり頑張っていただきたい、これは申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、学校の耐震化の予算が今回の補正予算でも計上されました。施設費災害復旧費等で四千百六十億円が計上され、うち学校施設等として二千百七十一億円が充てられています。この中身として、学校施設等災害復旧費一千八百三十一億円、学校施設耐震化三百四十億円となっています。当初、内閣の方で予定していた予算の中には、耐震化予算三百四十億円というのは計上されていなかったと思うんですが、これが計上された経緯はどういうことなんでしょうか。大臣、教えていただければと思います。

高木国務大臣 学校施設は、今回の震災によりましても避難場所等重要な役割を果たしてまいっております。このため、当初予算の編成後に追加要望がございました。耐震化の事業として約三百四十億円、これについては、御党を初め野党各党の皆さん方の御意見も踏まえて、今回一次補正予算の中に計上をしたところでございまして、これで約千二百棟の耐震化が完了し、しかし、今後とも私たちは、このような必要な予算については確保に努めてまいりたいと思っております。

富田委員 学校耐震化の予算が大事だということで補正予算に入れていただいたのはいいんですが、実は去年もこの予算委員会でいろいろ議論がありまして、通常六月に、来年度地方自治体がどういうふうに工事を予定しているかというのを聞いて、概算要求にのせて予算組みをしますよね。二月の時点でまた文科省の方で、実際にどうなんだというのを調査して、そうすると、どうしても夏までに工事したいという自治体がふえてきて予算が足りなくなる。そういうのをこれまでの政権は補正予算でずっとやってきたんですが、去年は、財務大臣が副大臣からちょうど大臣になられて、予備費を国会閉会後すぐ八百十八億つけていただいて、夏の工事に間に合いました。

 今回、補正予算で当初にこの三百四十億が入っていなかったら、ことしの夏の工事に間に合わなかったはずなんですね。二次補正じゃ間に合わない。間に合わないのがわかっているのに、なぜ、民主党政権、菅政権はそういう予算組みをしないんですか。去年あれだけ鳩山政権のときに、我々は、足りませんよと、いろいろな手だてを講じて、各党が文科委員会等でも附帯決議したりして予算を出していただいた。ことしもまた同じような状況なのに、何かそこはもういいよと。やはり内閣と一体として、こういう予算が大事だというのなら、あらかじめきちんと予算組みをして出てくるというような体制をとるべきだと思うんですね。

 菅総理、どうですか。去年も副総理でずっといろいろ聞かれていたと思うんですが、やはり今後、二次補正とか組んでいく際に、きちんと現場の要望を聞いて予算組みをしていただきたいと思うんですが、その点ちょっと、通告していませんでしたが。

菅内閣総理大臣 今おっしゃるように、学校の耐震化工事は、やはり夏休みという一つの時間を活用することが重要だと思いますので、それに間に合う形で対応するよう、これからいろいろ検討し、努力したいと思います。

富田委員 時間がありませんので、最後に一点だけ。

 義援金とか東京電力の補償金がこれからどんどん支払われてくる。現場の市町村の方で、この義援金や補償金の所得税法上の扱い、一時所得になるのかどうかということがきちんとまだわからないのでという相談が幾つかありました。

 一時所得になるということであれば、地方自治体にしてみたら、国民健康保険料や介護保険料にはね返ってきますし、特に、今避難されている方たちは仕事も家もないということで、生活保護を受給される、申請される方がふえています。この生活保護の受給権の判定あるいは受給額についても、所得になるということですと影響してきますので、義援金や今後東京電力から払われる補償金がどういう扱いになるのか、大臣、最後にちょっと一つ。

野田国務大臣 まず、東京電力の損害賠償金の課税上の取り扱いについては、原賠法に基づいて、今その指針、そしてその損害の範囲の議論をされています。それを踏まえて適切に対応することになりますけれども、現段階でも言えることは、現行の所得税法上、心身に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金、あるいは、不法行為その他の突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払いを受ける損害賠償金は、これは非課税となっております。加えて、日本赤十字社等が募集する東日本大震災義援金の配分を受けた場合にも、これは所得税法上、非課税となるということでございます。

富田委員 ぜひ地方自治体にもその旨徹底していただいて、安心して行政ができるようにしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて富田君の質疑は終了しました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 東日本大震災が起こってから五十日以上がたちました。今回の一次補正について言いますと、さまざまな不十分な問題点、さらには財源のこともございますが、少なくとも、予算に盛り込まれた被災者救援、生活再建のための支援について言えば、これが一刻も早く被災者一人一人に届いてこそ意味がある。制度、枠組み、金をつけたら、速やかに被災者に届けてこそ国の責任が果たせるということだと思います。私は、このことを、この間の政府と各党実務者会合に出席しながら、非常に痛感いたしております。

 幾つかただしたいと思います。

 まず、被災者の生活再建を進める上でどうしても必要な被災者生活再建支援制度、個人補償の抜本的拡充の問題であります。

 被災者にとっては、まず何よりも、今手元で動かせる現金がすぐに必要であります。政府は、被災者生活再建支援金の支払いを始めたということでありますけれども、まだ圧倒的にこれからということであります。

 総理は、一昨日の本会議で、我が党の穀田議員の質問に、百万円の基礎支援金を速やかに支給すると答弁されましたが、まさに一刻も早くスピード感を持って届けないといけない、そのために可能なあらゆる手だてを尽くさないといけない、こういうことだと思います。

 問題は、どうやって速やかに支給するかであります。

 そこで、松本防災担当大臣は昨日、迅速に、審査方法の改善、マンパワーも動員してというふうに答弁されましたが、幾つか具体的にやはりやっていく必要があると思うんです。

 例えば、せっかく今回、罹災証明書等を不要とする措置というのをとって、津波による住宅浸水率が一〇〇%であることを航空写真または衛星写真から確認できる、そういう長期避難エリアを設定して、その居住地域に住む者について罹災証明書取得を不要にするというふうにしたわけでありますが、ならば、だれが対象になるかは見れば一目瞭然ですから、そういうところは本人の申請待ちにならずに、あなたは対象で基礎支援金が受けられるからすぐ申請してくださいという形で、通知を能動的に被災者の側に渡すという努力も行政として必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 被災者生活再建支援金のことにつきましては、かねてから、発災の一週間後ぐらいから、使い勝手が悪い、なかなか申請してから手続が煩雑だという指摘を受けまして、早速迅速化、簡素化を指示いたしました。

 この支給のための住家の被害認定等につきましては、津波により流失した住宅については、航空写真や衛星写真を活用し全壊と判定ができること、また、津波浸水区域について、一定の調査により、おおむね一階天井まで浸水したことが一見して明らかな区域については、当該区域内の住宅すべてを全壊と判定できること、また、外形を目視してイメージ図などを活用した判定方法をとることができること、また、津波により地域全体が壊滅的な被害を受けたような場合で長期避難世帯にも該当する場合には、罹災証明書がなくても支援金を支給できることなど、簡便な方法について被災自治体に示しているところであります。

 地方公共団体への積極的な支援としましては、沿岸部の衛星写真に住宅地図を重ね合わせた画像データ等を三県の沿岸市町村に配付しております。長期避難世帯に関連して、そのエリアとして取り扱うことが適当な区域一覧を参考としても配付するなどの取り組みを行っております。

 今後とも、今笠井先生御指摘のとおり、事務処理方法の改善や事務処理体制の強化に最大限努力をしてまいりたいと思います。

笠井委員 今のことを含めて、通知、申請、認定、支給に必要なマンパワーをどう確保するか。それに当たる都道府県会館の体制はもちろんですけれども、それぞれの自治体における体制が決定的に不足していて間尺に合わないわけですから、一刻も早く届くように、スピードにふさわしい体制の確立ということで、国からの支援、それから自治体からの支援体制もしっかりやる必要があると思うんですが、それはどうなっていますか。端的に。

松本(龍)国務大臣 今回の東日本大震災、規模が大きいことから、四月の初めからその指示はずっといたしているところであります。

 被災地方公共団体のマンパワーの不足を補うため、過去に被災した経験のある市町村からの応援についての国のコーディネートをしておりますし、必要があれば、国からの人的派遣、これは恐らく、これから多くなってくると当然あると思いますので、このこともやっていきます。今まで別々に行っていた県と市町村の審査事務を合同で実施することなどを働きかけております。

 今御指摘のありました財団法人都道府県会館においては、担当職員の増員を図ることとしておりますけれども、私どもとしても、加えてピーク時をにらんださらなる人員の増強を要請しているところであります。

笠井委員 その基礎支援金を一刻も早く届ける。ただ、それが支給されても、世帯当たり百万円、単身は七十五万円ということで、さらに再建を行う場合は最高で全壊で二百万円の加算支援金が支給されるわけですが、それでも、これだけの大震災ですから、まだ住宅再建にはほど遠い。人間らしい暮らしへとつなげるには、どうしても引き上げが必要だと思います。

 そこで、総理、去る三月三十一日、我が党の志位委員長の提言に対して、被災者生活再建支援法を協力してつくった経過にも触れながら、上限三百万円の支給額について、総理は、私も引き上げが必要だと思う、こう述べられたと思うんですけれども、間違いありませんね。

菅内閣総理大臣 志位委員長が大震災に伴ういろいろな要請に来られたときに、この制度を発足させた経緯について意見交換をいたしました。

 そういう中で、いまだ被害の全容が明らかになっていないところでありますが、まずは基礎支援金百万円を速やかに支給できるようにすべきということで、それは今般の補正予算で五百二十億円を盛り込んでおります。

 今後のことについては、今般の被害の甚大さを踏まえ、震災により住居を失った方に対して十分な支援が行われるよう努めてまいりたい、このように考えております。

 志位委員長とのお話は、そういう一つの考え方についての意見交換であったと思っております。

笠井委員 考え方の意見交換の中で、やはり、今の震災の甚大な被害に対応して引き上げが必要だという認識はお持ちだったというふうなことでよろしいですか。

 そういう認識をお持ちだったら、なぜ今回、この一次補正の中できちっとすることで反映するような努力をされなかったのか。いかがですか。

菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、今般の被害の甚大さを考えた中で、この仕組みはもうよく御承知だと思いますが、それぞれ自治体が拠出し合うという形も含めて、国も負担をするという形もありますので、そういうものを含めて、どのような形が最も被災者にとってあるいは新たなまちづくりにとって重要であるか、こういうことも視野に置いて検討する、そのことは必要だと考えております。

笠井委員 甚大さに照らしてということですが、やはり、どれだけ被災者の切迫感がわかっているか、本気度が問われると思います。

 せっかく阪神・淡路大震災を契機に、ともに力を合わせてと、あのときもあったわけですけれども、住宅は私有財産だから個人責任という従来の国の姿勢を乗り越えて支援法をつくった、それに即して、再建を可能にするような支援金制度とするために正面から取り組むべきだ、それでこそ国の責任が果たせるということを強く言いたいと思います。

 今回の大震災の被災地ということでは、先ほども富田委員との質疑がありましたけれども、首都圏においても液状化による深刻な被害が、住宅やマンション、公共施設、工場、水田などを初めとして広範に存在をしております。

 松本防災大臣に伺いますが、今回の大震災に伴う液状化の被害というのは、どんな規模で起こり、何件、幾つの市町村からその被害が報告されているでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今回の大震災における地盤の液状化による被害についてでありますけれども、現在、各地方公共団体において調査中でありますけれども、千葉県及び茨城県合わせて一万六千戸の住宅に液状化による被害が出ていると報告を受けております。そのほか、埼玉県や神奈川県からも、地盤の液状化により住宅が沈下する、傾斜する等の被害が発生していると報告を受けているところであります。

笠井委員 地盤工学会の調査によると、この東日本大震災に伴って東京湾沿岸で液状化が確認された面積というのは、少なくとも約四十二平方キロという世界最大のものだったということであります。阪神・淡路大震災の四倍以上の規模。東京も江東や江戸川などが被害を受けている。沿岸の埋立地のほかに、千葉、それから埼玉、茨城など、内陸部でも河川や湖沼沿いに液状化が確認されていて、今後の調査では被害範囲がさらに拡大する見通しということであります。その中で住宅被害は、本当に、一番大きかった浦安市など、千葉県内だけでも一万数千戸ということであります。

 そこで、液状化で被害を受けた住宅も被災者生活再建支援法に基づく救済対象に含めるための認定基準については質疑がありました。五月の早い時期に見直しの結論を出すということでありますけれども、液状化による被害は家屋だけではありません。液状化による被害から道路、電柱、上下水道管、ガス管など復旧しても公共部分だけであって、個人の敷地内に埋設した上下水道やガスの配管が破断して使えなくなっております。破損箇所を探す費用も含めて、数十万から百万かかるということであります。

 そこで伺いますが、個人の敷地内の上下水道、ガス管を補修するための支援制度というのは現在あるんでしょうか。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 個人の敷地内の上下水道あるいはガス等の配管等の被害に対しては、これらを直接の対象とする国の支援制度は特段はございません。

 ただし、住宅に被害のある場合につきましては、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資が活用ができますし、上下水道、ガス等の配管もこれの対象になります。

 また、住宅に被害がない場合につきましても、宅地の被害に対して融資が可能となりますよう、きょう御審議をいただきます東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案によりまして、災害復興宅地融資を新設することとしているところであります。

 こうした制度の活用により、被災者を支援してまいりたいと思います。

笠井委員 いまだに下水道が使えなくて、市の方からゲル状になるものを配って固めて捨てるとか、コンビニや集会所や公園のトイレを使って生活している被災者も少なくありません。特に障害者や高齢者など移動困難な人たちから、早く何とかしてほしいという切実な声が上がっております。

 やはり人間らしい生活を取り戻す、生活再建のために、今、融資制度その他あるという話もありましたが、上下水道やガス管の補修に対しても国の支援のことについても検討する、これが必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。

松本(龍)国務大臣 御指摘のとおり、これから検討してまいりたいというふうに思いますし、今回の被害、茨城県、さらに千葉県、さまざまなところで液状化の問題がございますので、これからさらに検討を深めてまいりたいというふうに思っております。

笠井委員 検討して支援すると。

 そして、ジャッキで家屋を持ち上げたり建てかえたり、それから上下水道などインフラをつないだとしても、地盤が弱くてまた傾くんじゃないかという不安の声が上がっております。

 そもそも液状化は一度起きるとまた起きやすいということでありますので、幾ら金をかけてやったとしても、結局、また起これば、もとのもくあみになりかねない。だから地盤改良などの対策が必要ですけれども、それには一般家庭でも、先ほどもありました、一千万円近くかかる。そして、住宅ローンの問題もある。まさにそれを含めた対策、支援策が必要になっている。

 被災関係自治体からは新たな支援金制度の創設などを国に求める要望書も出されておりますけれども、部分部分はあるんですけれども、もっと抜本的な支援策の拡充というのがぜひともこれは必要じゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 先ほど申し上げました、これから財政援助法の議論があります。それも含めて被災者の支援は行ってまいりますし、液状化の問題、きのうもきょうもさまざまな皆様から御指摘をいただいておりますので、さらに深掘りをしながら検討してまいりたいというふうに思っております。

笠井委員 検討する上で、やはり実態と、それから、これから液状化が起こり得る地域がどれぐらいあるかということの調査も本当に不可欠だと思うんです。今回だけじゃありません。これまでも、新潟地震、あるいは阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、中越沖地震ということで液状化が発生しておりますし、今後も十分全国で起こり得ることであります。

 大畠大臣は現地も視察されたというお話もありましたが、やはり国としても、今回の実態をトータルとしてつかむ。そして、つかんだ上で、今後どういうところで液状化が全国各地で起こるかということでいうと、かつて国土庁が液状化地域ゾーニングマニュアルを作成して各地でいろいろ調べた、マップをつくったことがあるわけですけれども、国としても、全体像をつかむところから対策についても考えていくということになっていくんだと思うんですが、被害や今後の可能性についてきちっとやはり調べる必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。

大畠国務大臣 笠井議員の御質問にお答えを申し上げます。

 私も、先ほど答弁させていただきましたけれども、現地に入りまして、液状化というのが本当に私たちの想像を超えるものであるということがよくわかりました。

 同時に、二つのところがありまして、片っ方の方は、同じ埋立地なんですが、液状化対策をやった土地に建つ住宅とやっていない住宅がありまして、液状化対策をやったところの埋立地の住宅は全く被害を受けていないという現象もよくわかりました。

 したがいまして、ただいまお話がありましたように、調査を行いまして、液状化地域ゾーニングマニュアル、こういうものをつくり、そして、それに対する対応というものを国土交通省としても行ってまいりたいと考えております。

笠井委員 このゾーニングマニュアルというのは、前回は平成十一年一月だと思うんですね。しばらくやっていないんだと思うんです。だから、そこをきちっとやってもらいたいと思います。

 最後に、総理に伺っておきます。

 今回の液状化の被害というのは住宅などの問題にとどまりません。特に、大都市圏の場合に、超高層ビル群がありますし、今回も、千葉県市原市のコスモ石油で炎上したような、住宅近隣の、コンビナートなどが林立しているところで起こっている。放置すれば、住宅だけでなくて都市機能に重大な影響を及ぼすという問題です。そういう問題についての対策を放置して、何が災害対策かということになる、災害予防かということになる。

 大都市圏の埋立地などの液状化の根本には、やはり海へ海へと国土を広げてきた国策がございます。ここにも国策という問題がある。したがって、このような被害を繰り返さない、そういう立場に立って、国が責任を持って、実態もつかむ、そして可能性があるところについても把握する、その上で、液状化被害の支援も行い、万全の対策をとる。これは当然国の責任だと思うんですが、総理に最後、伺っておきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、阪神・淡路の視察に行ったときにも、埋立地がかなり液状化の状況を見ることができました。

 今の御指摘のように、今回、かなり広範に起きておりますし、また、それによる被害が、宅地ばかりではなく工業施設についても起きている。こういうことを考えますと、そうしたことも含めて、液状化についての本格的な調査と、それに対する対策をしっかりと取り組んでいかなければならないと改めて感じたところでありまして、関係部署にそのことを強く指示してまいりたいと思っております。

笠井委員 終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。私にいただきましたお時間は十分ですので、駆け足で申し上げます。

 この連休中にぜひ総理にやっていただきたいことがあります。先ほど来の御審議を承っておりまして、子供たちの学校における被曝の問題でございます。

 私は、総理は今、人間としても問われているし、子供たちへの責任も問われております。一つは、総理みずからが任命された参与が辞意、辞任の意を表明されたとき、総理はどんなふうに、みずから会ってその御意見やお話を聞いたのかどうかであります。

 もう一点は、先ほどの高木文部科学大臣の御答弁を聞いて、国民の、とりわけお子さんをお持ちのお母さん方はだれも納得いたしません。なぜなら、事故直後、もちろん上限の、直後ではなくて、安定ある収束期に向かって二十ミリシーベルトを設けたとしても、それは下げていかねばならない基準で、下げるためのことを何をやっているかが何もないからです。

 校庭の土をかえる、コンクリートで覆う、一つでも子供たちの被曝を軽減することをやったのであればまだしもです。福島県には、小学校、五十五校、今回、計測対象がありますが、そのうち二つは年間二十ミリシーベルト以上、そして、あと五十一は十から二十、すなわち、文科省は、十にしたら全部基準をオーバーしてしまうという極めてプラグマティックな対応をしたと思います。

 子供たちがそこで生活するため、やむを得ないとすれば、軽減措置、除染措置を早急にとらねばなりません。郡山市がそれをやっても、文科省は必要ないと言います。これでは、この政権は信任を得ることができません。今政治に混乱をもたらすことは、復興にとって大きなマイナスです。総理の決断にかかっています。

 一つ、参与とは何を話されたか。一つ、やれる限りのあらゆる措置をやること。みんな自治体が持ち出しでやっております。その土はどこに置いていいかわかりません。

 でも、やれることはあります。今の政権の中では、農水副大臣のみが除染に一生懸命であります。挙げてみんな、放射線がかかっていれば、瓦れきも放りっぱなし、子供の学校の土も放りっぱなしです。これでは、本当に国民から捨てられる日が来ると私は思います。

 本当に総理、決断してください。いかがですか。

菅内閣総理大臣 私も、この間の経緯の中で、何をおいてもやはり子供たちの健康、安全ということが最優先されなければならない、このように考えております。

 そういった中で、いろいろと、今回辞任された参与も含めて、原子力安全委員会の中で相当程度の議論をしていただいたと思います。その助言を得て一定の方向性を決めたわけでありますが、今御指摘のように、これでいわば十分とか、これで大丈夫というよりは、ここをある意味でスタートにして、いかにして線量を下げていくのか、その努力を早急に行わなければならないと思っております。

 私も、郡山のある学校で校庭の土の一部をはぎ取る作業をニュースで拝見いたしまして、そうしたことが迅速にやれないのか、もちろん、それの持っていく場所等々いろいろな課題がありますけれども、そういうことについてしっかり取り組むように、私の方からもこの間も関係者に指示を出しているところであります。

阿部委員 政治はやれることをやれば、そのことを国民は信頼してくれます。やれるのにやらなければ、本当に絶望いたします。ぜひ、総理、子供たちのためにもよろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、私のあらかじめ予告してある質問に入らせていただきますが、きょうは医療問題を取り上げたいと思います。

 この東北地方での震災、津波、福島原発等は、ただでも医療資源の、あるいは医療人材の乏しい東北地方に大きな傷跡を残しました。今もって医療支援のために、お手元に示しましたように、百三十三チーム、五百九十二人の方が支援に入っております。もう五十一日たって、これだけの人が入らねばならない状況であります。

 しかし、今後、本格的に医療がその地で根をおろして回復していくための移行期をどうするかということで、私からは本来二つ御質問がありますが、時間の関係でカットさせていただき、一つにさせていただきます。

 お手元には、現状、ここにあるチーム派遣のチームが出ております。上からずっと、これは厚労省調べでございますので、これまで累計七千三百六十七人の医療関係者が救援に入り、なお、私自身は徳洲会という病院ですが、四千九百三十四人、これに加えて入っております。民間も含めれば、およそ一万人以上が入っておる。この厚労省把握のものは公的なものが多いと思います。

 この下、二つ書かれております中で、厚生年金あるいは社会保険関係の病院が、おのおのそのグループごとでいろいろな支援が入り、今も入っております。今回、被災を受けております。ところが、今回の被災にあっては、公立病院は、建て直すときに三分の二の補助、しかし、これらの病院は二分の一。それも、いわゆる三次救急の、災害のときの拠点病院であるとか、あるいは、社会保険病院は透析あるいは腎移植を行っておりますので、政策医療を行っておれば、非公立病院でも補助は二分の一、公立病院は三分の二、私は、医療というのは、民であれ官であれ、公共資本です、命のとりでです。災害時も一日五百人の透析をやっていただいたのが社会保険病院です。千三百人が避難したのが厚生年金病院であります。これらは失われては困る拠点であります。補助率をぜひ三分の二に引き上げていただきたい。いかがですか、厚生労働大臣。

細川国務大臣 委員からの御指摘は、政策医療を担当していない病院でも今回のあれに指定すべきではないか、こういうことだと思います。

 今回は、災害拠点病院は対象になります。それから、小児救急拠点病院もなります。

 それから、先生指摘の民間でございますけれども、民間につきましては、今、地域医療再生基金、これを各県、最大の百二十億円手当てするということになっておりまして、そこで検討をしていただきたいということ。

 それからもう一つは、福祉医療機構というのがございまして、これについては、融資は一〇〇%する、そして無利子貸し付けを五年にする、あるいは据置期間を五年にするとか、こういうことで最大こういう支援をしていく、こういうことで対応させていただきたいというふうに思います。

阿部委員 ちょっと御理解にそごがございますので、少しだけお時間、一分で終わりますから。

 実は、社会保険病院は移植、透析をやっておりますので、これは政策医療であります。私のお願いは、政策医療、災害拠点病院は三分の二、私は、民間病院もこの地域においてはとても大事です。今、二分の一ということで検討されていると伺います。本当は、すべての拠点を守ってほしいです。ただ、でも、これから命のとりでは必要です。

 その御指摘をさせていただいて、時間がないので終わらせていただきます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 平成十一年の東海村ジェー・シー・オー臨界事故をきっかけにして、国の防災基本計画に基づき、コンピューターで原発事故の状況把握や進展予測を行う装置としてERSSというのが整備をされました。エマージェンシー・レスポンス・サポート・システム。例の放射能拡散予測のシミュレーションのSPEEDIのシステムも同時につくられております。ERSSは百五十億、SPEEDIは累計で百二十億もかかっている最新鋭のシステムだと思います。

 四月の二十二日の経産委員会で、このERSSの予測データについて、今回、政府が全く入手できていないという答弁がありました。答弁によると、ERSSのあるオフサイトセンターは事故後に丸ごと退避してしまったので現在システムが運用できていない、したがって原子力安全委員長もこの予測データが入手できていない、こういう御答弁をされたと思います。そのとおりでよろしいですか。簡潔にお願いします。

班目参考人 原子力安全委員会としては、ERSSのデータは、事故以降、得られてございません。

柿澤委員 それは違うんじゃないでしょうか。

 資料をお配りしましたのでごらんをいただきたいんですが、これは、保安院からERSSの運用を委託されている独立行政法人原子力安全基盤機構が示しているフローチャートなんですけれども、その上で、説明を読みますと、原子力緊急事態やそれに至るおそれのある事故が発生した場合、経産省に発電所の運転情報や放射線モニター値等の事故情報が伝送されてきます、こういうふうに書いてあります。

 この流れはオンライン処理で行われているはずなんです。このフローチャートを見ていただければわかりますけれども、オフサイトセンターとは全く別に、経産省にデータが直接オンラインで入ってくる、こういう図になっているんですよ。上の図を見ても下の図を見ても、オフサイトセンターは無関係のはずではありませんか。データは直接に経産省に入っているはずですよ。御答弁お願いします。

班目参考人 経済産業本省の方を通じても、相変わらずデータは得られておりません。

柿澤委員 これはどういうことですか、経産省本省を経ても相変わらずデータは得られておりませんというのは。

 これを見てください。もう一回この図を見てください。原発からデータがオンラインで直に経産省に入ってくるということになっているんですよ。それなのに、なぜ、経産省はそのデータを明らかにしない、そして原子力安全委員会にも示していないということになるんですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ERSSの機能は委員御指摘のとおりでございますけれども、今回は、地震発生直後に福島第一原子力発電所から発電所外へのデータの伝送システムが故障したために、事故発生の当初から一次データが把握できていないということでございまして、三月二十五日にごく一部が、六号機部分は復旧をしておりますけれども、いずれにいたしましても、伝送システムの故障によりましてデータが把握できていないということでございます。

柿澤委員 原子力安全基盤機構は、データベースを使って放射性物質の放出量や事故の進展を予測している、ERSSは正常に動いている、こういうふうにコメントされておりますよ。なぜ、今のように、ERSSが全く稼働していないので予測データが得られていないという答弁をされるのか。この原子力安全基盤機構と答弁の整合性がないというふうに思います。

 御存じのとおり、きのう、放射線防護の専門家として選任された小佐古内閣官房参与が辞任の会見を開きました。そこで配られた文書、原子力災害の対策は法と正義にのっとってやっていただきたい、法令に基づいて設置されたシステムがことごとくそのとおりに運用されていない、こういうふうに告発しているではありませんか。ERSSがまさにその端的な例ではないかというふうに思います。

 次に、内部被曝についてお伺いします。

 放射性物質の体内摂取量を外部から測定する装置としてホール・ボディー・カウンターというのがあって、国内の原子力施設に四十五台が設置されています。そこで、三月十一日の事故発生以降、何人を測定して、高い値では何cpmが出たかを何度も何度も私は問うてきたんですけれども、何度言っても一向に数値を出してこないんです。

 そんな中で、精密検査の対象となる千五百cpmのスクリーニングレベルを大幅に上回る数値が福島第一原発の作業員から測定されたということも一部に報道されています。

 私の聞いたところによれば、よその原発の作業員、福島県出身で、地震と事故があったので家族を迎えに行った、福島県内の滞在は一日足らずだった。あの大量の放射性物質を放出した三月十四日の水素爆発、この水素爆発の前には福島県内を離れていたのに、それでも、現場復帰のために、入域登録のためにホールボディーの測定を受けたらスクリーニングレベルを上回ってしまった、こういう人もいるというふうに私は仄聞をしております。さらに、福島県周辺に立ち寄った別の原発の作業員も、入域登録の際に大変高い数値が出ている、こういうこともいろいろと聞こえてきています。

 私が言いたいのは、福島県内に立ち寄っただけのこうした方々に高い数値が出ているということは、周辺住民も同じように、いや、そこにいる時間の長さを考えたらもっとかもしれない、知らず知らずのうちに相当な量の内部被曝をしてしまったんではないかということなんです。

 だからこそ、そうしたことをある意味示唆するデータとしてこうした数値を出してくれと言っているのに、言を左右にして一向に出してこない。しかも、測定データの評価と分析に時間がかかって、公表するのは四月末になるというようなことを言ってきた。ホール・ボディー・カウンターというのは、測定すれば数値がすぐに出てくるもので、データがまとまるまで一カ月かかるなんということはあり得ないんですよ。どうしてこんな説明をするんですか、お尋ねをさせていただきます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ホール・ボディー・カウンターでの測定結果に関しましては、その数字の分析、評価に一定の時間がかかることは確かでございます。そういう意味で、通常の線量計の関係に比べますと多少時間がかかるのは確かでございますけれども、今お尋ねがございました関係で申し上げますと、福島の第一原子力発電所での作業に従事した方のホール・ボディー・カウンターの測定実績は、三月十一日から四月二十九日までで合計約五百名、延べ六百回分の測定を行ってございます。

 データにつきましては今最終確認中でございますけれども、三月三十一日現在で外部被曝線量が百ミリシーベルトを超える方二十一名につきまして、内部被曝を含めまして調査をしたところ、二百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトの方が二名、百五十ミリシーベルトから二百ミリシーベルトの方が八名、百ミリシーベルトから百五十ミリシーベルトの方が十一名、合計二十一名というふうに承知をしてございます。

 なお、東京電力に対しましては、先般、女性社員が線量限度を超える被曝を受けていた、そういったことも踏まえまして、去る二十七日、改めて、福島第一原子力発電所におきます放射線管理体制の検証、それから、これを踏まえました対策の策定を指示したところでございまして、今後とも放射線管理を厳しく指導してまいりたいと考えてございます。

柿澤委員 御答弁が私の尋ねた趣旨と若干ずれているように思いますけれども、さきの小佐古参与の辞任文書でも、放射性物質を含む気団、プリュームがどれだけの甲状腺被曝の等価線量を小児を含めもたらしたと考えられるか、そして原子力研究開発機構のWSPEEDIシステムのデータを隠さず開示すべきだ、こういうことを言っている。

 まさに、福島第一原発周辺の住民の皆さんの間にどのぐらいの内部被曝が生じてしまっているのかということを私は広範にサンプリング調査を、例えばホール・ボディー・カウンター、移動式のもあるわけですから、こういうものを使って調査をすべきだと何度も何度も言ってきているんですけれども、その都度、小児以外は必要ないというような答弁をいただいています。

 総理、これについて、今のやりとりを聞いていて、本当にこのままでいいのかというふうに思われますか。私は、ERSSの問題も、そしてホール・ボディー・カウンターの数値の問題も、やはり国民に対して説明すべきことを説明しないでそしてその場を取り繕っている、そういうふうに印象としては受けざるを得ないと思っております。こうした姿勢が内外のさまざまな疑問や批判を生んでいるもとにもなっているというふうに思います。そのことについて、ぜひ真摯にお答えをいただきたいというふうに思います。

中井委員長 最後ですから、菅直人内閣総理大臣。

 もう終わりです。

菅内閣総理大臣 この間、特にこの事故発生直後は、私自身も東電関係者、あるいは保安院、あるいは安全委員会の皆さんと相当の時間、連日同席をして、情報を直接シェアしておりました。その後、一定の安定が成っておりますので、今はそこまではやっておりません。

 しかし今、柿澤さんの方から幾つかの視点で問題点を御指摘いただきましたので、私も、きょう指摘された問題については改めてみずから把握をするようにして、国民の皆さんに対して実際にわかっていることが伝わっていないといったことのないようにしっかりと把握をしてまいりたい、こう考えております。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 平成二十三年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 ただいままでに、みんなの党柿澤未途君から、平成二十三年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、本動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 平成二十三年度補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 私は、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の平成二十三年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、その趣旨を説明いたします。

 今回の東日本大震災は、多数の人命が失われ、極めて広い範囲で深刻な被害が生じた未曾有の大災害であります。地震と津波、福島第一原発の事故によって多くの人が生活の基盤を失っており、まず急がねばならないのは、生活の基盤を失った被災者に対する迅速かつ効果的な生活支援策であります。

 しかし、震災後一カ月以上経過した後に政府が提出した平成二十三年度の補正予算は、四兆円の小規模なもので、被災者支援には全くの力不足の予算であります。菅総理があれほど被災地を視察しているのに、被災地の実情とはかけ離れています。金を惜しんではいけない時期なのに、被災者支援策が小さいと言うほかありません。政府がこうした大胆な提案をできないのは、いまだに、埋蔵金を使わない、国債発行は増税とセットという財源論にとらわれ、単なる経理屋の発想で予算案を作成するからです。

 みんなの党は、さきに発表した大復興アジェンダと東日本緊急応援アジェンダで、あるべき復興の進め方と被災した個人、農家、漁業者、企業、金融機関に対する救済策を提示しています。政府は、直ちに、大復興アジェンダ及び東日本緊急応援アジェンダに基づき、補正予算案を改めるべきであります。

 予算を組み替えるべき理由の第一は、政府案が規模、内容ともに被災者支援に不十分なことです。

 大震災によって、多くの個人、農家、漁業者、企業が苦しんでいます。この被災者たちに対し、幅広く債務の免除などを行い、生活再建を支援すべきであります。

 理由の第二は、政府案の財源捻出が不十分なことです。

 子ども手当などのばらまき政策は、一部の見直しではなく全面中止すべきです。人件費の削減も甘く、特別会計の埋蔵金の捻出も不十分です。

 理由の第三は、財政至上主義、霞が関主導の予算編成であることです。

 政府の補正予算編成に当たっては、国債の追加発行をしないという財政当局の意向が大前提とされました。被災者支援、東日本復興のために何を行うべきかという観点から補正予算の内容を考えるべきであるのに、財源面での制約によって政府案の規模が四兆円規模に制約をされ、被災者支援策としては小規模なものになっています。

 政府の復興構想会議においても、財源論そして増税論が先行しています。経済を無視し、財政のことを第一に考える財政至上主義は復興の妨げとなるものです。被災者支援、東日本復興を実現するためには、財政当局の論理を排除した、真の政治主導による予算編成が必要です。

 以上の理由により、みんなの党は、平成二十三年度補正予算三案を撤回し編成替えを行うことを求めるものです。

 次に、編成替えの概要について申し上げます。

 財政措置については、生活救済や被災企業、農水業者への支援、仮設住宅建設など二十兆円超の緊急生活支援を行います。廃棄物処理には〇・三兆円を計上します。インフラ整備については、学校や福祉施設の応急対処は別として、やみくもに復旧に手をつけるのではなく、復興計画を立てた上で行うこととして、五兆円程度の公共事業、施設復旧を行います。原発被災者のために五兆円以上を計上し、エコシティーを建設します。そのほかに、地方交付税交付金、自衛隊活動費等で一兆円を計上します。これらの措置で、歳出の規模は三十兆円超となります。

 また、税制面での措置として、地方主導の復興を実現するため、消費税二%分を地方に移換し、地方の基幹財源といたします。また、義援金税額控除の拡大も行います。

 財源については、国会議員歳費カット、国家公務員人件費二割カットで一兆円を削減します。労働保険特別会計や国債整理基金特別会計から十五兆円以上の埋蔵金を捻出します。子ども手当などのばらまきストップで三兆円程度の財源を確保します。以上の財源捻出で、三十兆円超の財政需要分に不足する分は、日銀引き受けを含めた国債発行で対応することとします。

 以上が、みんなの党の組み替え案の概要であります。

 なお、仮に組み替え動議が否決された場合でも、極めて不十分ながらも、早急な震災対応の予算的手当てが必要な状況にかんがみ、政府提出の原案にも賛成させていただくことを申し添えます。

 以上でございます。(拍手)

中井委員長 これにて本動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより討論に入ります。

 平成二十三年度補正予算及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。仲野博子君。

仲野委員 おはようございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました平成二十三年度補正予算三案に賛成の立場から討論を行いたいと思います。

 まず、今回の東日本大震災において被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。また、自衛隊、消防、警察、海上保安庁、自治体、企業、NPOなどの方々の御活動、さらには世界じゅうの方々からの心温まる御支援に心より感謝を申し上げたいと思います。

 我が国は、史上最大の大地震と大津波、そしてそれに伴う原発事故により、国難というべき状況に直面しております。この間、多くの議員も被災地に行かれ、ふるさとを失った被災者の声をお聞きになられたと思います。そしてまた、このような困難にあっても、再び立ち上がるために懸命に頑張ろうとする強い意思も感じられたことと思います。こうした被災地の切実な声にこたえるためには、早期復旧に向けた本補正予算を速やかに成立させなければなりません。

 本補正予算には、何よりも急がれる応急仮設住宅などの災害救助関係経費を初めとして、瓦れき処理、災害復旧公共事業、学校施設や介護、医療、障害者などの社会福祉施設の復旧、中小企業に対する災害関連融資、そして自衛隊、消防、警察、海上保安庁の活動経費など、当面必要と見込まれる経費が盛り込まれております。

 そして、財源については、国債市場の信認を維持するため、追加の国債を発行せず、年金臨時財源の活用など、歳出の見直しなどによって確保いたしております。

 なお、先ほどのみんなの党提出の組み替え動議については、見解を異にするものであり、賛成できないことも申し上げたいと思います。

 今後とも、さらなる復旧、そして本格的な復興に向けた追加の補正予算や特別立法が必要になると見込まれますが、この国難を乗り越えるため、国会全体が党派を超えて取り組んでいくべきであることを強くお訴え申し上げて、私の賛成討論とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

中井委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、政府提出の平成二十三年度第一次補正予算案について、賛成の立場で討論をいたします。

 大震災から一カ月半余りが過ぎました。いまだ厳しい避難生活を強いられている被災者の皆様、さらに福島原発の事故によって悲惨な環境に置かれている方々に対して心からお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々に対し、衷心より哀悼の意を表するものであります。

 さて、これまでの政府の災害対応を総括いたしますと、落第の一言であります。特に、初動における救援物資の配付、応援体制の構築、インフラの復旧、生活資金の手当て、原発事故への対応等々、ことごとく遅滞をいたしました。

 自主避難措置は地方自治体に判断を任せっ放しであり、御遺体をひつぎにも入れずにビニールに包んで土をかぶせるという心のこもらない対応が相次ぎました。

 原発事故に対する賠償についても、まず東京電力が徹底して対応し、それで足らざるところを国が補うべきでありますが、基本方針が明らかにされないまま、いたずらに時が経過をいたしました。

 国民は、こうした状況を踏まえてか、統一地方選挙において民主党大敗の結果を菅内閣に突きつけたものであります。

 さて、我々は、当初予算の段階から、子ども手当等のマニフェスト四K項目の撤回を求めてまいりましたが、平成二十三年度第一次補正予算案の財源に関しましても、政府の対応は不十分であり、さらに、基礎年金の財源二兆五千億円を流用し、社会保障の将来に大きな不安を招くものとなりました。

 昨日、自公民の三党の政策責任者によりまして、マニフェストの見直しを初めとして、財源問題等に関する三党合意がなされました。いずれも我が党が政府・与党に対し再三指摘してきた点が合意に組み込まれておりまして、政府に対しましては、合意にとどまることなく、早急に実行の段階に進めるように強く要求をするものであります。

 一方、政策項目につきましても、我々は、被災児童生徒に対する就学支援の支給、災害復旧等公共事業の国庫負担十分の十負担、早急な電力不足対策、被災中小・小規模企業対策の充実、地方財政への配慮など、さらなる追加の必要性を再三訴えてまいりましたが、対応がなされておりません。

 かかる予算案に賛成することはじくじたるものがありますが、被災地の現状にかんがみ、今後、第二次補正予算等が政府内で早急に検討が行われる中に指摘した事項が生かされることを期待しながら、やむを得ず賛成する次第であります。

 今後、我々は、責任野党として、協力するべきを協力し、正すべきを正しながら、被災者の生活の安定と被災地の再生に努めてまいる所存であります。

 なお、みんなの党提出の編成替え動議につきましては、見解を異とするため反対することを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十三年度補正予算三案について、賛成の立場から討論を行います。

 以下、賛成する理由を申し述べます。

 東北地方、東日本を襲った大地震と大津波、東京電力福島第一原発事故、そしていまだ余震が続く状況下にあって、被災者の方々は、なお多くの困難と不安の中、日々の生活に立ち向かっておられます。国会に籍を置く政治家として、被災者の方々の御心情、御苦労に深く思いをいたし、与野党の枠を超えて一致努力していくべきは当然であります。

 本補正予算案には、瓦れきなどの災害廃棄物の処理、仮設住宅の建設など住まいの確保、雇用調整助成金を初めとする雇用対策、道路、港湾、学校などの災害復旧、中小企業や農林漁業者等への災害関連融資の拡充など、いずれもが緊急性を要するものが盛り込まれており、公明党は、一刻も早い補正予算の成立と早期の執行を望むものであります。

 ただ、補正予算が成立しても、政府の対応、反応が鈍い余り、被災者の方々などへの支援策が届かない、おくれてしまうというようなことでは全く意味がありません。政府においては、速やかな執行が図られるよう万全な準備とその体制を構築し、さらには、具体的な支援の仕組みの設計に当たっては現地の方々のニーズを十分に踏まえたものとされるよう強く要望いたします。

 他方、歳入面では、率直に申し上げて、問題ありと指摘せざるを得ません。

 財源確保に向けては、子ども手当や高速道路無料化など民主党が掲げているマニフェストを抜本的に転換すれば、一層の財源の確保が可能です。しかし、政府・民主党の対応は極めて中途半端であり、不要不急の歳出見直しへの努力が決定的に不足しております。

 その一方で、当初予算において基礎年金国庫負担二分の一のための臨時財源として確保していた二兆四千八百九十七億円を、今般の補正予算において、震災対応のための財源として転用しております。この結果、二十三年度における二分の一への差額を埋める財源がなくなるだけでなく、その穴埋め財源も、二十八日提出された国民年金法改正案の修正案では、税制の抜本改革により確保される財源を活用するとしており、年金制度の安定化はおろか、国民の年金制度に対する信頼を大きく損ねてしまいかねません。

 これは、今般の補正予算では新規の国債発行を抑えたいという菅総理の強い希望によるものであるようですが、今後、近い時期に編成される第二次以降の補正予算を考えれば、国債の発行はやむを得ないことは明白であります。

 震災に対する菅内閣の対応はスピード感に欠け、あらゆる対策が万事遅過ぎます。誤った政治主導による、まさに政治災害、政災であるとの批判は免れません。責任は極めて重大です。この点、公明党は、今後徹底的に追及していく所存であります。

 また、被災地、被災者の方々の復興に向けた本格的な取り組みはまさにこれからであり、今後、第二次以降の補正予算の編成は必至であり、法整備等を含め、国としての支援を加速、強化していかなければなりません。

 公明党は、被災地の方々はもちろん、国や全国の自治体、全国民、そして世界各国とも力を合わせ復旧復興に全力を尽くしてまいることをお誓い申し上げます。

 なお、みんなの党提出の編成替え動議については、賛同できる部分はあるものの、全体としては意見を異にするため、賛成しかねます。(拍手)

中井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一一年度補正予算三案に賛成、みんなの党提出の組み替え動議に反対の立場から討論を行います。

 地震、津波発生から五十日以上が過ぎましたが、今なお十三万人を超える被災者が厳しい避難生活を強いられています。重要なことは、救援の手を被災者の隅々にまで届け切ることです。

 温かい食事やふろもなく、医師や保健師の巡回もないなど劣悪な状態に置かれている避難所は、早急な改善が求められています。被災者に人間らしい生活を保障するために、希望者全員が入れる仮設住宅を一刻も早く建設しなければなりません。

 被災者の生活再建を支援するために、義援金や災害弔慰金、被災者生活再建支援法に基づく基礎支援金を早急に被災者に届け切ること。被災者生活再建支援金は住宅再建に見合う金額へと抜本的に引き上げる必要があり、菅総理は、引き上げが必要と述べたみずからの発言に責任を持つべきであります。

 被災者が、マイナスではなく、せめてゼロからのスタートをできるように、借金返済の心配と負担をなくし、再建へ集中できる条件をつくることが国の責任です。住宅二重ローンの解消、農業、漁業、中小企業の再建のための直接支援も不可欠です。

 提案されている補正予算の内容は必要最低限のものであり、さらなる改善、拡充が必要であります。

 次に、財源の問題です。

 我が党は、補正予算の財源は、法人税減税や証券優遇税制の延長の中止、原発の建設推進予算、不要不急の大型公共事業の中止、米軍への思いやり予算の中止、政党助成金の廃止などで確保すべきだと主張してきました。

 ところが、政府は、こうした方向ではなく、政府自身が基礎年金の国庫負担割合を二分の一とするための財源に充てるとしていた埋蔵金約二兆五千億円を転用するとしました。目のつけ方にそもそも問題があります。しかも、転用した年金財源の穴埋めは、税制抜本改革、消費税増税によって賄おうとしているのであります。こうしたやり方は断じて容認できません。

 また、昨日、民主、自民、公明三党が交わした補正予算に関する合意文書で、年金財源に関して、「社会保障改革と税制改革の一体的検討は必須の課題」としていることは看過できません。

 我が党は、年金財源のあり方、今後の震災財源のあり方については大いに異議があり、消費税増税路線にくみするものではないことをはっきり言っておきます。

 その上で、急を要する今回の大震災の救援、復旧のための予算に賛成するものです。

 以上、討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇一一年度補正予算三案に賛成し、みんなの党提出の編成組み替え動議には、意見を異にするため、反対の立場から討論を行います。

 三月十一日から五十一日が過ぎました。死者は一万四千六百十六人、行方不明者はいまだ一万一千百十一人、ふるさとを離れての疎開や不自由な避難所での生活を余儀なくされている方が多数おられます。

 今回の補正予算は、そうした皆さんの思いにこたえるには、規模も不十分であり、時期も遅いものと言わざるを得ません。また、仮設住宅の増設、社会インフラ復旧のための財政支援の強化、被災者生活再建支援金のための基金の追加、特別交付税の増額、インフラ復旧費や瓦れき処理費、中小零細企業対策の拡充等、早急に対応すべきものが織り込まれておりますが、他方、原発事故に伴う生活の混乱や汚染瓦れきの処理を初め、被曝の軽減を図るものは一切含まれておらず、このままでは福島は置き去りにされかねません。

 加えて、復興国債などに大胆に財源を求めることもせず、年金臨時財源や子ども手当上乗せ分など、まず社会保障関係から復興財源を捻出するやり方は、景気の悪化を招くばかりか生活不安を広げるものであり、今後の年金制度そのものの改革、安定運営に大きく影を落とします。とりわけ、税と社会保障一体改革の名のもとで給付カットと負担増が打ち出されておりますが、被災地の現実に目をつむり、命の切り捨てとなりかねないばかりか、被災地以外の国民生活や経済にも大きな打撃を与えることが危惧されます。

 また、今回の災害に対して多くの国々から国際的な支援をいただき、他方で放射能汚染水の排出等で御迷惑をおかけしている中で、ODA予算の安易な削減は国際協調の重要性を忘れた愚策と思われます。

 今後、地域の実情や被災者のニーズに応じた生活再建、コミュニティー再生、人間の復興に向け、自治体にとって使い勝手のよい災害一括交付金や震災復興基金の創設を行う必要があると思います。また、今回の災害により、解雇や雇いどめが急増しています。真の力強い復興に向かうためにも、そこに暮らす人々の雇用の確保と創出が不可欠であり、雇用対策の一層の強化が望まれます。

 最後に、原発事故はいまだ収束せず、安全対策や補償のおくれ、国と東電の財源負担のあり方も未解決です。今回の補正では、すべて手つかずのままの二重ローン問題や放射性瓦れきの早急な処理も含めて、本格的復興に向けての第二次補正予算の早急な編成が不可欠であることを指摘して、私の討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 私は、国民新党・新党日本を代表し、平成二十三年度補正予算三案に賛成の立場で討論を行います。

 地震、津波に加えて放射能。開闢以来の危機的事態に直面する日本は、被災者支援、エネルギーシフト、財源創出を初め、あらゆる点で新しい方程式を編み出さねばなりません。

 今回の補正予算案は、こうした哲学と覚悟のもと、新しい社会的共通資本のあり方を日本国家が構築する上で必要な法律や予算を今後可及的速やかに制定、執行していく間のつなぎ融資的性格の代物です。

 今回の大震災では、家族や住居を失っただけでなく、多くの方々が職場や職業を失いました。阪神・淡路大震災との大きな違いです。

 衣ならぬ意欲の意職住、すなわち、職業を得て住居を得るべく、避難所生活から自立的に一日でも早く脱却するための環境設定として、世帯単位でなく一人一人の個人に半年間、支度金、ベーシックインカムを毎月手渡すべきです。赤ちゃんからお年寄りに至るまで分け隔てなく、毎月一定額の基本所得を支給するベーシックインカムの発想を被災地で実行に移すのです。

 そのための今後の財源として、休眠口座の活用、百兆円規模の日銀直接引受国債、復興無利子国債の発行を、国民新党・新党日本は昨日の質疑でも提言しています。

 真のクリーンエネルギーへのシフトも、すべての建造物への太陽光パネル設置義務づけに加え、火山大国にふさわしき地熱、用水路でのマイクロ水力、海の潮流の波力、そして風力。さらに、昨日提案の日本で発見された藻、オーランチオキトリウム、石油や天然ガスの主成分である炭化水素をつくり出すオーランチオキトリウムの実用化、導入を目指すべきです。

 こうした中、筋のよくない芽出し予算は、今後、芽の段階で絶つべきです。津波に見舞われた水田の塩分を取り除く除塩という名の土地改良は、新しい方程式の対極に位置する事業です。

 年間二十ミリシーベルト近い被曝をする人は、約八万四千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ないのに、この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいと、昨日、東京大学の小佐古敏荘さんが、法と正義にのっとっての原子力災害対策を訴え、内閣参与を辞任しました。

 世界に先駆け、科学を信じて技術を疑わずから、科学を用いて技術を超える、夢と希望の日本社会を構築する上で看過し得ぬ事実です。

 見解の相違で片づけることなく、立法権、行政権、二つの強大な権限を有する内閣総理大臣の菅直人さんは、未来を担う子供たちへの甚大、深刻な影響を回避すべく、文部科学省、経済産業省、原子力安全・保安院、そして東京電力に対し、法令遵守の判断と行動、国民に対する正しい情報公開の徹底を首相命令として発すべきと強く申し上げ、討論を終わります。(拍手)

中井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより採決に入ります。

 まず、柿澤未途君提出の平成二十三年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、柿澤未途君提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十三年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立総員。よって、平成二十三年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十三年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中井委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する件の調査のため、来る五月十八日水曜日、福島県、岩手県及び宮城県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時散会


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