衆議院

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第3号 平成23年11月8日(火曜日)

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平成二十三年十一月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 岡田 克也君 理事 笹木 竜三君

   理事 武正 公一君 理事 西村智奈美君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    石原洋三郎君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      小野塚勝俊君    大西 健介君

      逢坂 誠二君    金森  正君

      川内 博史君    川村秀三郎君

      岸本 周平君    小林 正枝君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    竹田 光明君

      中島 政希君    中野 寛成君

      中屋 大介君    仁木 博文君

      橋本 博明君    橋本  勉君

      花咲 宏基君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      矢崎 公二君    柳田 和己君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    横山 北斗君

      和田 隆志君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    井上 信治君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      橘 慶一郎君    棚橋 泰文君

      野田  毅君    馳   浩君

      平井たくや君    平沢 勝栄君

      村上誠一郎君    茂木 敏充君

      山本 幸三君    吉野 正芳君

      東  順治君    笠井  亮君

      阿部 知子君    山内 康一君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         平岡 秀夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       中川 正春君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         一川 保夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            山岡 賢次君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   法務副大臣        滝   実君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   財務大臣政務官      吉田  泉君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    舟本  馨君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           田口 尚文君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    原   優君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   参考人

   (東京電力株式会社常務取締役)          小森 明生君

   参考人

   (東京電力株式会社取締役社長)          西澤 俊夫君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     川村秀三郎君

  金森  正君     磯谷香代子君

  岸本 周平君     石原洋三郎君

  小山 展弘君     中島 政希君

  佐々木隆博君     中屋 大介君

  馬淵 澄夫君     橋本  勉君

  横山 北斗君     小野塚勝俊君

  小里 泰弘君     村上誠一郎君

  橘 慶一郎君     井上 信治君

  馳   浩君     茂木 敏充君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     岸本 周平君

  磯谷香代子君     金森  正君

  小野塚勝俊君     横山 北斗君

  川村秀三郎君     矢崎 公二君

  中島 政希君     小林 正枝君

  中屋 大介君     柳田 和己君

  橋本  勉君     馬淵 澄夫君

  井上 信治君     橘 慶一郎君

  村上誠一郎君     吉野 正芳君

  茂木 敏充君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     小山 展弘君

  矢崎 公二君     竹田 光明君

  柳田 和己君     佐々木隆博君

  加藤 勝信君     棚橋 泰文君

  吉野 正芳君     平沢 勝栄君

同日

 辞任         補欠選任

  竹田 光明君     逢坂 誠二君

  棚橋 泰文君     平井たくや君

  平沢 勝栄君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  平井たくや君     馳   浩君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計補正予算(第3号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第3号)

 平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第2号)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計補正予算(第3号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第3号)、平成二十三年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君、東京電力株式会社常務取締役小森明生君、東京電力株式会社取締役社長西澤俊夫君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として警察庁生活安全局長岩瀬充明君、警察庁刑事局長舟本馨君、消費者庁次長松田敏明君、総務省自治行政局選挙部長田口尚文君、法務省民事局長原優君、法務省刑事局長稲田伸夫君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官今別府敏雄君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君、環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 もう一人、抜けております。厚生労働省年金局長榮畑潤君含めての出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。茂木敏充君。

茂木委員 おはようございます。自由民主党の茂木敏充です。

 補正予算案に関連して、質問させていただきたいと思います。

 まず、G20です。

 総理は、先週末、フランスのカンヌで開かれましたG20に出席をされてこられました。

 今回のG20、混乱をきわめるギリシャ情勢、これに振り回される形で、二〇〇八年十一月のワシントンで開かれました第一回のG20以来の主要テーマであります国際経済、金融市場のあり方、そして国際通貨問題について、なかなか十分議論をする時間が割けなかった、こういう事情もあったと思います。そして、そのG20の主役、会議に出席していないギリシャのパパンドレウ首相、そしてサルコジ大統領、メルケル首相、こういった動向がクローズアップをされまして、残念ながら、日本の総理の影が薄い、こういう印象でありました。

 そんな中で、野田総理の発言で唯一注目を集めましたのは、総理が消費税の引き上げを、G20、国際会議でいわば国際公約として表明されたということであります。

 そこで、まずお伺いしたいのは、これが国際公約か否か、こういう問題ではありません。総理の決意です。総理の決意をお伺いしたいと思います。消費税の引き上げ時期、そして、税率を盛り込んだ税制抜本改革法案を二十三年度末、つまり来年の三月までに国会に提出し、そして成立を期す、こういう方針でよろしいですか。

野田内閣総理大臣 今回のG20の中で、もともとG20というのは、各国が協調しながら、力強く持続可能なバランスのとれた成長をどうするかということで、今回、カンヌ・アクションプランという形でそれぞれの取り組みを記載することになりまして、私の方から御説明をしたのは、社会保障と税の一体改革の成案を私どもまとめました。これを踏まえまして、税制改正法の附則百四条に基づいて今年度内にその法案の提出をするということをアクションプランの中に入れて、その説明をしたということでございます。

 これは、いわゆる国際社会に初めて発信しただけではなくて、従前から所信表明演説でも国会の答弁でも申し上げてきたことであります。それは、しっかりと所与のスケジュールに沿って対応をしていく決意でございます。

茂木委員 消費税を二〇一〇年代の半ばまでに一〇%に引き上げる、こういった法案ということでありますと、では、いつ消費税の引き上げをスタートするのか、そして、年次ごとに税率が幾らになって、そしていつ一〇%になるのか、これは法案に明記される、こういうことでよろしいですね。

野田内閣総理大臣 一体改革の成案の中に、税制については、消費税を含む税制の抜本改革が盛り込まれています。その記載の仕方は、経済の好転等々、いろいろ踏まえるべき条件はあります。踏まえるべき条件はありますが、そういうことを勘案しながら、二〇一〇年代半ばまでに段階的に国、地方合わせて消費税率を一〇%まで引き上げていくというのが中身でございますので、当然、実施時期も含めて、書きぶりはいろいろありますが、政府税調の中でこれから年末に向けて御議論をいただきます。

 加えて、これは与野党協議で御相談をさせていただきたいというふうに考えております。

茂木委員 もう一度伺います。

 いつスタートするか、そして、年次ごとの税率、いつ一〇%になるのか、これは明記されますね。

野田内閣総理大臣 さっき申し上げたとおり、経済条件の問題とかを含めながら、どういうことを勘案しながらということでありますが、そういうことを議論しながら、段階的に引き上げるという、具体的にはどういう形にするのかということを、当然、法律の中にできるだけ具体的に書き込んでいく努力をするということになると思います。

茂木委員 なかなか、G20で堂々と表明された割には質問に対しては歯切れが悪いな、こんなふうに私は思っているところでありますが、もちろん、税制の抜本改革法案、これが悪いと言うつもりはありません。問題なのは民主党のこれまでの対応だと私は思っています。

 民主党は、政権交代前、四年間は消費税は上げる必要がない、こういうふうに主張されてこられました。税制抜本改革案の内容、そして、スケジュールのあります平成二十一年度の税制改正の附則百四条、これが含まれております税制改革、二十一年度にも民主党は反対をされました。そして、民主党の政策インデックス二〇〇九を拝見しますと、消費税については現行の税率五%を維持する、こういうふうになっております。政策を百八十度転換しているわけであります。

 消費税の成立を期す、そういうことでありましたら、その前に改めて国民の皆さんに信を問うのが筋だと思いますが、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 事実関係で申し上げますけれども、二〇〇九年のマニフェストの中には、消費税については記載はございません。(茂木委員「インデックス」と呼ぶ)インデックスは、その年における政策の集大成をまとめた内容であります。

 その上で申し上げますが……(発言する者あり)いや、別に言いわけではありません、事実関係を申し上げているだけであります。

 その上で、政権担当期間中は、だから消費税は引き上げないというインデックスであります。そのことと、今回、附則の百四条に基づいて法案の提出を準備することとは、私は整合的であると思っていますので、法案は出します、実施時期等もいろいろ検討して、それは法案の中に書き込んでいきますけれども、その前に、実施をする前には、当然国民の信を問うということは基本的な姿勢として変わりません。ということは、整合的であるということであります。

茂木委員 国民の皆さんは、今、総理の答弁を見て、整合的である、こういうふうには決して思っていないと思います。

 おととしの選挙のとき、国民の皆さんは、民主党政権になって四年間は消費税にはさわらない、こういうふうに思ったと思います。そしてまた、マニフェストの財源、これは、子ども手当にしても高速の無料化にしても、すべて無駄の削減と予算の組み替えで出る、こういうふうに考えたと思います。

 問題なのは、消費増税をやる前に選挙をするか、後に選挙をするかということではなくて、民主党が増税しないから増税するに方針を百八十度転換したということなんです。こういう重要な方針転換がある場合は、当然、国民の皆さんに信を問う、これが与党としての矜持であり責任である、こんなふうに私は考えております。

 民主党が政権交代前に言っていたことと、実際に政権についてからやっていること、この消費税の問題もそうでありますが、著しく違ってきている、こんなふうに思います。

 民主党は、一昨年の衆議院のマニフェストで、月額二万六千円の子ども手当を支給する、そして高速料金の無料化、さらには暫定税率を廃止して二兆五千億円の減税を実施すると、数々の約束をしてきたわけでありますが、残念ながら、何一つまともに実施されていません。

 さすがに民主党も、マニフェストが実現されていないことを認めざるを得なくなったようであります。お手元の配付資料の図一、テレビをごらんの皆さんはパネルをごらんいただきたいと思うんですが、これは、民主党が八月の二十六日に公表しましたマニフェストの中間検証において、なぜマニフェストを実現できなかったのか、これを分析した結果であります。

 このマニフェスト中間検証では、作成時に前提としなかった事態として三つ挙げています。一つはリーマン・ショックの影響による税収減、二つ目が参議院選挙の敗北によるねじれ国会、そして三つ目が三月十一日の東日本大震災、この三点であります。次に、マニフェスト作成時に政策の実現可能性の検証が不十分で、財源の捻出も十分できなかった、こういうふうにしております。

 そこで、野田総理、マニフェストの政策が実現できなかった部分に限って、その理由、総理も同じ認識ですか。お答えください。

野田内閣総理大臣 お手元の資料というのは、八月に前執行部のもとで、岡田筆頭理事がおられますが、岡田前幹事長のもとでまとめられた中間検証でございまして、御指摘のとおり、マニフェストが実現できなかった理由については、リーマン・ショックの問題、影響、それからねじれ国会、東日本大震災、そのほかに、作成時における検討、検証が不十分であったと。検討、検証が不十分だったことについては真摯に反省しなければならないということを書いておりますが、認識は私も共有をしています。

茂木委員 税収減、そしてねじれ国会、東日本大震災、一見もっともらしい説明に聞こえるわけでありますけれども、よく内容を吟味してみますと、この三点、マニフェストを実現できなかった理由とするのは、私は明らかに事実に反すると思います。

 一つずつ見ていきたいと思います。

 まず、税収不足。これも全く理由にはなりません。そもそも民主党は、マニフェストは税収増でやるのではなくて、無駄の削減や予算の組み替えで実現すると言っていたはずです。税収とは関係ないはずです。いかがですか。

安住国務大臣 無駄の削減は、茂木先生、我々もかなりやっております。これは大変申しわけないですけれども、自民党政権下に比べて、経年でも二兆六千億等出しておりますので。その無駄の削減以外にも、税収増を図るということも含めて、これを基礎にして子ども手当等はやっているということでございます。

茂木委員 答弁になっていません、安住大臣。

 民主党はマニフェストを税収増でやると言っていたわけじゃないでしょう。無駄の削減、それから予算の組み替えでおやりになると言ったんでしょう。そうすると、税収がどうであるというのは関係ないじゃないですか。もう一回答えてください。

安住国務大臣 茂木先生は当時の野田財務大臣ともそのことについてやっておりますけれども、確かに、子ども手当については二・三兆円等、無駄の削減でさまざま捻出して、そういう中から全体の中で、高校の無償化にしてもそれから農業の戸別所得にしても出していますから……(茂木委員「税収減との関係を答えてください、聞いているんだから」と呼ぶ)税収減については、税収増というのはなかなか、景気の状況を含めてできなかったことは事実でございます。

茂木委員 大臣、答えになっていないんですよ。税収減がマニフェストが実現できなかった理由だと書いてあるんですけれども、それを説明してください。全く説明になっていません。

野田内閣総理大臣 平成二十一年度、あのリーマン・ショックの後に、まさに決算ベースの中で大きく税収減となりました。当初、四十六兆円税収が入ってくるだろうという見込みが、残念ながら、翌年度の予算編成に反映しましたけれども、九兆円も税収が落ち込んだということは、これはマニフェストをつくったときの前提条件が大きく変わったということであります。

 所与の税収が入ってくるならば、無駄のチェックとか組み替えによって振りかえできるものが、九兆円も落ち込むことによって、それはやはりいろいろな政策の優先順位とか激変緩和はありますので、所与の条件が大きく変わったということは、これは事実であるということは御認識をいただきたいと思います。

茂木委員 図の二をごらんください。

 確かに、平成二十一年から二十二年にかけまして、総理おっしゃるように、税収は九兆円落ち込んでいます。しかしその一方で、国債の発行額は十一兆円ふえているんですよ。九兆円以上なんです。そして、二十二年度から二十三年度、これは、国債の発行額は変わっていないんですけれども、税収は四兆円ふえているわけであります。

 税収減以上に赤字国債を増発しておいて、何が税収減でマニフェストができなかったですか。全く理由にならないじゃないですか。

野田内閣総理大臣 十一兆国債を発行した理由というのは、税収減が九兆円、これはもう御理解いただけると思いますが、社会保障の自然増が一兆円以上ありました。決算不足の調整で約一兆円近くありましたので、十一兆円になったと思います。

茂木委員 総理大臣、基本的なことを優先順位を間違えてはいけないと思うんですよ。例えば、社会保障の財源が足りない、それから国債費が払えない、これだから赤字を出しました、その一方で、マニフェストの方は財源ができたからばらまきましたと。逆なんですよ。まずは社会保障の財源を確保する、そして国債費の財源を確保する、それができた上で、さらにマニフェストの財源があればおやりになればいいんです。ところが、マニフェストの方は財源があるからやったけれども、社会保障の方はできないから赤字国債を出した。逆なんですよ。

 図の三をごらんください。これは、平成二十二年度予算と二十三年度の国債の増発額とマニフェストの実施額を比較したものであります。

 左側にありますように、平成二十二年度と二十三年度で、税収の増減を上回って五・八兆円の国債を増発しています。その一方で、右側のように、マニフェスト、ほぼ同額の六・六兆円を実施しているんです。

 民主党は、マニフェスト政策、無駄の削減と予算の組み替えでやると言っていましたけれども、結果的には、ばらまきマニフェストは、大半は赤字公債、赤字国債の増発でやったということじゃないですか。これは数字の上からでも明らかだと思います。今度は財務大臣、いかがですか。

安住国務大臣 でも、これは、政調会長、全体の、例えば地方交付税を増加したり、農業者の戸別所得補償や子ども手当とか、そういうものだけにターゲットを絞ってそこにというのじゃなくて、全体の中で例えば交付税をふやしたりしていますからそういう結果になったということで、何か我々のばらまき政策のため、まあ、そういうふうなお考えかもしれませんけれども、そのための増額であるというのじゃなくて、全体の予算のフレームの中でふえたというふうに御理解いただければと思います。

茂木委員 結果を見てください。五・八兆円増発をしているんです。これは間違いないんですよ。そして、六・六兆円のマニフェストをやっているんですよ。そうすると、結局は、マニフェストの大半は赤字公債の増発でやった、こういうことになるんだと私は思います。

 いずれにしても、税収減がマニフェストが実施できなかった理由、こういうのは全くお聞きできませんでした。

 二つ目、ねじれ国会。これも全く見当外れだ、私はこんなふうに思っております。

 そもそも、民主党政権の一年目、鳩山政権のときはねじれ国会ではありませんでした、参議院の前ですから。しかし、政権交代一年目のマニフェストの実施額、目標が七・一兆に対して、実際に実施したのは三・一兆、半分以下です。二年目の菅政権が提出した予算も、国会では全く修正をされていません。ところが、実施率は二九%に落ち込むわけであります。

 つまり、民主党政権は、三分の一しか埋まっていない答案、予算を出しておきながら、三十点しかとれないのは、このねじれ国会、採点官が二人いて、参議院の方が厳しい点数をつけるから点数が悪いんだと。もともと自分は三割しか埋まっていない答案なんですよ。そういうことなのに、結局、採点官、参議院が悪いからこうなるんだ、こういうふうに言っているようなものなんだと思うんですよ。

 さらに言いますと、先ほどは、マニフェストの財源に赤字公債を充てていない、こう主張する以上、例えば公債特例法とかそういったものの参議院での採決、こういった制約もないはずなんですよ。

 予算議決には、憲法の六十条で衆議院の優越が認められております。民主党政権がねじれ国会を理由にするということは、憲法六十条の予算の衆議院の優越権、これを否定されるということですか。

安住国務大臣 そんなことはございません。優越権は優越権で、私は国対委員長でございましたので、年度内成立に向けて、多少ちょっと無理はさせていただいて、衆議院で成立させていただきました。

 ただ、確かに子ども手当につきましては、満額支給を目指しましたけれども、そこは財政的にも非常に厳しい状況であって、先ほど総理からありましたけれども、リーマン・ショック以降の減収の部分もあったし、全体のバランスの中で、率直に申し上げて、二兆七千億程度の予算を出しましたけれども、これは三党協議の中でさらに圧縮をして、民自公で話をした中で、二兆二千億程度で一、一、一・五という形にしながら修正をして減額をしていくと。

 つまり、ですから、大震災を含めて、いろいろな意味で工夫をさせていただいて、政調会長がおっしゃるようなことも一部それはありますので、そういう中で調和をしながらやっていったということでございます。

茂木委員 全く説明になっていないんですけれども。

 申し上げているのは、出す段階で三割ぐらいしか埋まっていないものなんですよ、実現できていないものなんです。それを国会に出してから修正したわけじゃないんです。もし、例えば一〇〇%の答案を出して参議院で三割に修正されたんだったら、ねじれ国会の影響ということでしょうけれども、出す時点で三割のものを出していて、参議院の影響だ、ねじれ国会の影響だと。これは明らかにおかしい、そんなふうに私は思います。

 今、大臣、東日本大震災、こういう話をされました。これは完全な責任転嫁ですよ。

 図の四をごらんください。

 これはマニフェストの達成状況を時系列でまとめたものですけれども、震災前に生じていたマニフェスト政策の未実施額、図の左側にありますように、平成二十二年度と二十三年度で合計十三兆円です。一方で、東日本大震災の発生、三月十一日以降政府が減額しましたマニフェスト財源は、図の右側のように、一次補正と三次補正を合わせまして〇・四兆円、未実施額のわずか三%なんですよ。この三%をマニフェストが実現できなかった原因にするのは、被災地に対する極めて失礼な責任転嫁じゃないかなと私は思います。いかがですか。

安住国務大臣 基本的な考え方として、政調会長、これは四年間でいかに実施していくかということをスタート台にして考えたときには、やはりこの数字だけ見ますと、確かに〇・四兆だけじゃないかという御指摘、子ども手当の見直し等になるけれども、しかし、これは未実施といっても四年間できちっと達成していく。

 ですから、具体例でいえば、子ども手当等については確かに満額支給等々できないから、それをもっておまえは三十点だ、つまり赤点だという御指摘があるかもしれませんが、我々から見れば、やはり一万三千円をスタートとして実施の緒につけたという認識に立っておりますので、そこは多少、政調会長とお考えがちょっと違うと私は思うんです。

茂木委員 私が申し上げているのは、どこまでの部分ができたという話じゃなくて、今、東日本大震災との関係ということで、図をごらんくださいよ。二十二年で四兆円できなかった分がある、そして、二十三年で九兆円できなかった分がある。その後、東日本大震災が起こったんです。それで、一次補正で〇・三兆減額をしました。そして三次補正で、子ども手当の減額によって千百五十億減額をしました。〇・四兆なんですよ。東日本大震災以降は〇・四兆なんですよ。この未実施額でいいますと三%にしかすぎない。この三%をマニフェストが実施できなかった理由にするのはおかしいでしょうということを申し上げているんです。当たり前じゃないですか。

安住国務大臣 すべてを東日本大震災のせいにしているわけでは全くございません。その中で、どうしてもこれは東日本大震災の中で、例えば公共事業の執行も五%停止したり、さまざまな予算執行の中で工夫をしていることは事実だということを申し上げているのであります。

茂木委員 全く説明になっていないと私は思います。国民の皆さんもそうお感じになったんじゃないかなと私は思います。

 マニフェスト政策が実現できなかった理由、これは明らかに、税収減でもねじれ国会でも、ましてや東日本大震災の影響でもありません。最初に見ていただいた図の、民主党がマニフェストをつくるときにその政策の実現可能性についての検証が不十分だった、そして財源の捻出についても検証が不十分だった。結局は、見通しの甘いマニフェスト、いいかげんなマニフェストをつくったということに尽きるんじゃないかな、このことを私は指摘させていただきたいと思います。

 補正予算の具体的内容について聞いていきたいと思います。

 この三次補正、率直に言って、余りに遅過ぎた、こんなふうに思います。瓦れきの処理、国と自治体の費用負担についてなかなか決まらなかった、こういうこともあって、一時的な仮置き場への搬入率でも六一%、本格的な焼却処分は今もってほとんど進んでいません。そして、野田総理が所信表明演説で、世界に誇るべき気高き精神のあらわれ、そういうふうに表現をされた義援金の配付率も七二%にとどまっています。八カ月たってまだ三割の義援金が被災者の方々に届いていない、こういう状況なんです。

 私は、おくれの一つの大きな原因は、七月の二次補正の編成時における政府の判断ミスにあった、こんなふうに思います。

 図の五をごらんください。

 五月二日の一次補正の成立後も、被災地では、復興はおろか、それ以前の当たり前の復旧が大幅におくれておりました。そこで、自民党は七月の八日に、それまで我が党の三次にわたります五百七十七項目の提言も踏まえまして、本格的な復興を見据えた総額十七兆円の復旧復興対策を提案いたしました。財源については、四月に三党合意して六月に成立した復興基本法にも明記をされました復興債をすぐに活用すべきだ、こういうふうに主張したわけであります。

 ところが、当時の菅政権による二次補正はわずか二兆円でした。財源は、昨年度の決算剰余金一兆九千九百八十八億円、これのみでありました。つまり、七月の二次補正は、被災地のニーズではなくて、財源ありきの極めて限られた対策だった、こういうふうに思います。

 総理、四カ月前に復興債を活用して大胆な復旧復興対策をスタートしていれば被災地の復興はもっともっと早く進んだ、私はそういうふうに考えておりますが、総理の見解はいかがですか。

野田内閣総理大臣 復旧復興については、各党の御協力もいただいて、五月二日に成立した第一次補正予算、七月二十五日に成立した第二次補正予算、これをしっかり執行しながら対応してきたつもりでございます。

 その間、七月に御党から御提起があったことは事実でございますが、このころは、ちょうど私どもは復興構想会議において復興全体の青写真をどうするかという議論をしていただいて、その復興基本方針、いわゆる基本方針をまとめるという段階でございましたので、ちょっと時期的なずれがあったということは、申しわけございませんが、そういう事情があったということは御理解をいただきたいと思います。

 その基本方針、青写真を踏まえて、復興債の位置づけなども決まりましたので、今般お願いをしている第三次補正予算を提出したということでございます。

茂木委員 いずれにしても、党内の事情、いろいろお話しになります。先日、安住大臣は、党内の政局の混乱によって少なくとも一カ月はおくれた、こういう答弁をされております。総理は、九月三十日の記者会見で、最初から乱暴なスピード違反はできない、安全運転でやっていく、こういうふうに語っておられます。

 ところが、政権発足から二カ月の野田政権の運営を拝見しますと、これは安全運転ではなくて、法定スピード以下の迷惑運転、そんなふうに私は思います。やはりもっとスピード感が必要だと思います。

 そこで、我々は、七月の十七兆円の提案をベースにして、今回の三次補正に対して、各事業ごとに改めて細かく分析、吟味をいたしまして、総額七・一兆円の三次補正に対する追加項目、これを三党協議を通じて政府・与党の方に提案させていただいております。この中には、公立学校だけではなくて、私立学校そして専修学校を対象とした学校施設の復旧、これで二百二十億円、そしてまた、いまだ不通となっております被災地のJR線を復旧するための事業費八百億円など、三次補正には残念ながら全く含まれていない項目、こういったものも多数入っています。

 こういった我々自民党の提案、野田総理、今後の復興対策でしっかりと反映していただけますか。

安住国務大臣 今、自民党の提案ということでいただきましたが、今回の三次補正につきましても、例えば災害臨時交付金、これの設置も要望なさっておられる……(茂木委員「入っているのは聞いています」と呼ぶ)はい。

 今後のことについては、いろいろまた三党の中で提案をいただければ議論をいただきますけれども、ただ、先生、やはり三次補正は、そうは言ってもかなり盛り込ませていただきました。額の多寡はいろいろ御意見はあると思いますけれども、中小企業の資金繰り対応それからヘドロの処理等も、自民党の提案をいただいて大きな金をつけております。そうした点では、共同作業でやらせていただいた部分はかなりあるんじゃないかと思いますので、今後もいろいろな提案をいただければと思います。

茂木委員 財務大臣、きちんと聞いてください。私は丁寧に申し上げました。三次補正という言葉は今回使っていません。今後の対策の中にきちんと盛り込んでいただけますね、こういう表現をわざわざ使っているわけですよ。

 総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 まず、七月にいただいた中間提言は、私どもの示した復興の基本方針と柱立てが基本的に同じであるので、なるべく取り入れようと思いました。その上で、三次補正は聞いていないという話でありますが、取り入れられるものは取り入れています。

 今後、抜けている部分についてもよく精査をさせていただき、これは必要だというものについては、二十四年度編成等でも当然のことながら反映できるように努力をしていきたいというふうに思います。

茂木委員 自民党は、震災以来、復旧復興には全面協力する、こういう基本方針のもとで、三次にわたりまして五百七十七項目の提案も政府の方にさせていただいております。それから、瓦れきの処理促進法、そして二重ローンの救済法、こういった十二本の議員立法も提出をしてございます。さらには、復興基本法を初め三十三本の震災関連の法案、それはむしろ我々がリードして成立をさせてきた、こういう思いも持っているところであります。今後も政府の対応は厳しくチェックをさせていただきます。同時に、足らざる部分は我々が補っていく、こういう思いで復旧復興には全面的に協力をしていきたい、こんなふうに思っております。

 予算の具体的な内容を聞いていきたいと思います。各大臣に質問をさせていただきます。

 まず、今や民主党を代表するニューリーダーであります細野大臣。大臣は、震災発生以来、原発事故の対応の実務責任者、そして担当大臣、さらに現在、環境大臣も兼務をされておられます。私、本当に頑張っていらっしゃる、こんなふうに思っています。

 細野大臣の活躍、大臣自身のホームページにも詳しく載せられておりまして、私も拝見をいたしております。IT担当大臣をやった私が申し上げるのはなんなんですが、動画もあって写真もあって、なかなかいいホームページだ、こんなふうに思っておりますけれども、このホームページ立ち上げ、その制作に幾らぐらいかけられましたか、御自身のホームページ。

細野国務大臣 茂木会長の方から随分激励をいただきまして、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。

 ホームページは、当初は友人にやっていただいて、ほとんどお金をかけずにやっておったんですけれども、途中から、ある程度しっかり仕事でやってもらった方がいいだろうということで、外注をしてやっていただいております。ただ、それも友人価格のような形でやっておりますので、月に本当に数万円とか、そういうぐらいのことでやっております。

茂木委員 大臣御自身のホームページは数万円。恐らく立ち上げも、実際の価格でもそれほどかかっていないんじゃないかな、二けたぐらいじゃないかな、数十万じゃないかなと、私は、詳しい額はわかりませんが、そんなふうに思います。

 その一方で、大臣がこれから所管をされます原子力安全庁、三次補正に計上した原子力安全庁の発足準備経費の中にホームページの作成費が入っております。幾らですか。

細野国務大臣 済みません。原子力安全庁の方は、どういう組織にするのか、そこにどういう機能を入れるのかということについては、私も、少なくとも週に一回もしくは二回、かなり集中的に議論をして進めておりますので、状況はほぼ把握しているつもりなんですけれども、ホームページについてどういう予算になっているのかというのは承知をしておりません。

 今、茂木会長の方からいただきましたけれども、一・四億円という予算が計上されているということでございますが、これは多分そうなんだろうと思います。済みません、承知をしておりませんでした。

茂木委員 政府からいただいた数字ですので、間違いないと思います。一・四億円なんです、ホームページ。百四十万じゃないですよ。一億四千万円ですよ。一億四千万円かけて、どんなモンスターなホームページをつくるんですか、教えてください。

細野国務大臣 原子力安全庁のシステム自体は相当しっかりしたものをつくらなければならないと思っておるんです。今回、緊急のシステムというのが、東京電力の例えば本店や発電所の現場となかなか情報の共有ができなくて、私は、これが大変大きなボトルネックになったと思っておりまして、そういう意味ではしっかりお金をかけなければならないと思っております。

 ただ、ホームページというのは、これは多分に広報という、本来の危機管理とか安全業務とは少し離れたところになりますので、それはしっかりと効果を見た上で予算というのを立てていかなければならないというふうに考えます。一・四億円という予算が他省庁と比較をして本当に適正かどうかということはしっかり確認をしたいというふうに思います。

茂木委員 私は、この一・四億円は明らかに代理店の言うなりの水増しの予算だ、こんなふうに思っております。細野大臣、官僚に任せないで、御自身で一度きちんとチェックをしていただきたいと思います。そして、減額をしていただきたいと思います。

 減額分につきまして、執行停止、こういう形をとりたいということでありましたら、予算の採決前に、減額分が幾らになるか、お示しをいただきたい。その方が多分政府としてはやりやすいんだと思います。減額するとなると予算自体を変えなくちゃなりませんから、減額執行にされた方がやりやすいんだと思います。その額をぜひお示しいただきたい、こんなふうに思います。

 もう一点、法務省にお伺いをいたします。

 法務省は、今回の補正で、全国の法務省関係施設の衛星携帯電話の配備経費として四億七千六百万円計上しております。携帯電話の導入台数、そして一台当たりの単価をお答えください。

平岡国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどの四億七千六百万円で調達しようとしている衛星携帯電話については、合計で約千三百台でございます。そして、その内訳といいますか単価としては、電話そのものについては、一台当たり二十八万円、これに消費税を掛けた金額ということになるわけであります。それ以外に、携帯電話の電池パックというようなものが約六万五千円、それから通信運搬費として基本使用料というものが一回線当たり約五千円といったような経費になっているところでございます。

茂木委員 トータルでいいますと千二百七十四台、そして単価、合計しますと、今のお話を伺いますと、三十四万六千円になると思います。

 大臣、この値段をどう思いますか。三十五万近い値段。今、携帯電話、スマートフォンの最新機種でも四万六千円ですよ。そして、アイパッドの最新モデル、四万六千円です。こういった値段です。一台三十四万六千円、私は、余りにも高い見積もりだと思います。

 メーカー名、それから契約形態を教えていただきたいと思います。それと、電子メール初め、ほかの通信手段も使えるはずです。ほかの通信手段とのコスト比較、されたんですか。お答えください。

平岡国務大臣 お答えいたします。

 まず、茂木委員の方からスマートフォンの例示がありました。実は私も、前任が総務副大臣ということでございまして、そのときに衛星携帯電話を使わせていただきましたけれども、全く仕組みが違うので、そういうスマートフォンと比較的に使うことは……(茂木委員「わかっています。だから答えてください、メーカー名と契約形態」と呼ぶ)

中井委員長 質疑者は、座ったまま発言しない。

平岡国務大臣 まだ具体的にどこのものを調達するのかということについては、これから調達が手続の中で決まってくるわけでありますけれども、想定される衛星携帯電話のシステム等について言えば、例えばKDDI株式会社のインマルサットであるとかあるいはNTTドコモのワイドスターとか、そんなものがあるわけでございます。

茂木委員 恐らくインマルサットもよく御存じなしに棒読みされているんじゃないかな、こんなふうに思いますけれども、いずれにしても、これは高過ぎます。三十五万円というのは高過ぎますから、きちんと減額をしていただきたい、こんなふうに思います。

 こういった、国民の皆さんから見ても明らかにおかしいな、こういった予算の過大計上の一方で、予算が圧倒的に足りない分野、これもあります。その典型例として、三次補正に計上されています津波防潮堤の予算についてお尋ねをしたいと思います。

 現時点におきましても大きな余震の危険性が残っている、こういった状況の中で、破壊された津波防潮堤の復旧そして増強は、被災地それから被災住民の安全、安心の基盤で、切なる願いである、こんなふうに私は感じております。

 そこでまず、今回の東日本大震災に伴います巨大津波によって被災地の海岸全体で合計何キロメートルにわたって防潮堤が破壊されたのか、政府として把握している被害状況を教えてください。

前田国務大臣 通告を受けておりませんので……(茂木委員「しましたよ。してあります」と呼ぶ)そうですか。約三百キロだと承知をしておりますが、三百キロのうちの百九キロだったですか、そのように私は記憶をしております。

中井委員長 いいですか。

前田国務大臣 三百キロのうち百九十キロが全半壊しております。

茂木委員 それでは、今回の三次補正に盛り込まれました防潮堤の予算、この百九十キロのうち何キロをカバーするものですか。

前田国務大臣 まずは五十キロは応急復旧をさせておりまして、平成二十四年度……(茂木委員「三次補正です」と呼ぶ)ちょっと、ここで今資料を直接持っておりませんので、後ほど答えさせていただきます。済みません。

中井委員長 役所。きのう答弁しておったように思うんですが。

 それでは、いいですか、次の質問。

茂木委員 それでは、質問の順番をかえて、もう一点、当たり前のことを聞かせてもらいます。これはお答えいただけると思うんですけれども、今回の三次補正で整備をされます防潮堤、当然、今回の東日本大震災クラスの津波に耐えられる構造、高さになっていますね。

前田国務大臣 これは、必ずしも今回の津波の高さに耐えられるということにはなっておりません。

 考え方として多重防御という考え方になっておりまして、これも、有識者委員会等、検討していただいた結果、おおよそ百年に一回程度の津波に耐えられるような防潮堤をつくると同時に、ソフトといいますか、予知、警戒、そういったシステムをしっかりつくり上げて、そして地域の方々にも津波に対する防災意識というものを持っていただいて、そして、その二重防御、多重防御で防いでいくというのが考え方です。要するに、災害に上限はなし、命第一、そういう基本的な考え方に沿って対応をしていくという考え方であります。

茂木委員 まず、先ほどの質問にお答えいただいていませんから、事務方の方で準備をぜひ進めてください。

 その上で、今のお答え、結局、今回の津波に耐えられない、そんな防潮堤をつくる、こんなことでいいんでしょうか。何のためにつくるんだ。それから、多重防御というお話をされました。本当にそれが被災地の御要望なんでしょうか。

 例えば、今回被害の激しかった陸前高田市、防潮堤の整備状況はどのようになっていますか。

中井委員長 前田国交大臣。まず最初に、先ほどの質問に答えてください。まだですか、資料。

前田国務大臣 資料は入っておりません。

 今委員御指摘のことについては、陸前高田市において不安があるということも承知はしております。そして、比較的発生頻度の高い津波に対しては、農水省そして国土交通省で設置した海岸における津波対策検討委員会というところで議論を重ねてきた結果、先ほど御説明したようなことになっておりまして、頻度としては百年に一度前後のそういった津波には耐え得るような高さということになっております。

 したがって、今まであった津波堤よりはかなり高くはなるわけなんですが、ただ、今回生じたようなああいう巨大津波に対してもすべて対応できるという考え方にはなっていないんですね。というのは、それを越えることもあり得るかもわからない。ということで、多重防御という考え方を有識者の方々が提示していただいて、その考え方のもとに今やっているわけでございます。

茂木委員 大臣、別に私、バベルの塔をつくれとか、そんな話をしているんじゃないんですよ。被災地の要望をきちんと聞いた上で対応していますかと。

 陸前高田のお話をしました。私、市役所に問い合わせをさせていただきました。どういうやりとりだったか。陸前高田市の方からは、今回の経験も踏まえて十五メートルの防潮堤が欲しいという話でありましたが、国からは、そこまでできない、十二・五メートル、こういうふうに言われたため、仕方なく十二・五メートルに合わせたまちづくりを考える。それで、多重防御といいますか、幹線道路を高くする、こういった方策もとっていて、国との間で協議を継続中、こういうことでありまして、調査費がつくにしても、いつできるか全くわからない、こういうことであります。もっと被災地の生の声をよく聞いていただきたいと思います。まだまだ不安な毎日が続いているんですよ、国交大臣。

 では、大臣が今答弁をされましたソフト、ハードを組み合わせた多重防御、機能し始めるのは何年目からですか。

前田国務大臣 まずは二年間のうちにおおむね第一次の対応をし、さらにその先五年ぐらいの間には防潮堤の整備というふうに、これは陸前高田のことについては今具体的に承知しているわけではありませんが、そういうような方針を持っております。

茂木委員 今大臣が答弁された二年というのは、調査をして用地買収あたりの話で、実際にでき上がるのは最後に答弁のあった五年。五年かかっちゃう。余りにも遅いと思うんですよ。

 総理、総理は安全運転でも、その間、被災地が危険にさらされているんですよ。もっとスピードを上げたらいかがですか。

平野国務大臣 今、復興計画等々の担当をしておりますので、その観点からお話しさせていただきますけれども、先ほど国交大臣が五年と申し上げたのは、防潮堤全体の整備についての五年ということでありまして、特に整備を急ぐという部分については、私どもは今のところ三年程度の観点で考えているということであります。

 ただ、その計画をつくる段階で、先ほど委員からさまざまな御指摘がございますけれども、国側が考えるもの、県が考えるもの、地元が考えるもの、要するに、さまざまな見解の相違があります。そういったものについては、何回も何回も話をしながら一つの計画をつくっているというのが今の段階であります。

 それから、堤防の高さにつきましては、高ければいいという意見と高くしたからといってそれで安全ではないという意見、それから、堤防を高くしますと海が見えなくなる、もっと低くしろという意見、さまざまな意見があります。そういう意見の中をいろいろ調整しながら今やっているという段階でありまして、この計画が決まりましたら、予算は今回の三次予算でも相当予算をつけております。設計の基本的な考え方も決まっております。あとは、実施体制を強化してやっていくという形になっていくのではないかというふうに思っております。

茂木委員 今回の三次補正、今指摘しましたように、例えば、ホームページの問題もそうです、携帯電話の問題もそうです、予算の過大計上の問題、それから、まだお答えいただいておりませんけれども、津波防潮堤のように予算が全体のあれでも少な過ぎる、こういう過少計上の問題に加えまして、復興対策も含めて、復興事業とその他の事業、これが明確な区分なく混在をしている、こういったもう一つの大きな問題点があると考えております。

 そこで、全国防災に関して、図の六をごらんいただきたいと思います。この図は、国土交通省の関連で、三次補正と来年度の予算概算要求のうち、復旧復興と全国防災関係の予算を抜き出したものであります。右側の来年度の予算に関しては、一般会計予算の震災関連以外のものと、一番右側ですが、東日本大震災からの復興対策に係る経費に分かれております。

 まず、左側の三次補正、この中身を見てみると、ラインが引いてあるところでありますが、全国防災のインフラ整備として、河川管理施設の機能確保それから海岸保全施設の整備というものが入っておりますが、来年度の震災関連以外の予算でも、真ん中の欄でありますけれども、災害に強い社会資本整備として、河川管理施設の更新・補修、海岸保全施設の整備、同じような項目が入っているわけであります。また、補正の津波・地震等の観測・監視体制の整備も、本予算で災害への対応力強化として、下の方でありますが、観測衛星の整備予算が計上されております。さらに、官庁施設の防災対策、これも両方に入っているんですね。

 その上、一番右側の来年度予算の別枠の方、この復旧復興対策にも、全国防災、治水、海岸、官庁営繕、こういう項目が並んでいるわけであります。

 図の両側、左側と右側の震災関連事業は復興債でおやりになるんだと思います。そして、真ん中の一般会計は当然建設公債の対応事業、こういうことになってくると思います。一体、事業の内容にどんな違いがあるんですか、明確にお答えください。

安住国務大臣 三次補正でも、台風被害等々があって、全国防災について必要なものがあれば計上しようということでやりました。ですから、政調会長お話しのように、確かに、建設国債を本来充当することをもってやるというふうないわば区分ができるものとして機械的に分けると、今回の予算の中にも約四兆円程度入っているということは私も答弁しておりますが、やはり緊急を要するものであれば、この津波災害、東日本災害、またそれに付随する復旧事業については三次補正に盛り込ませていただいたということでございます。

 ですから、建設国債で一般会計予算でやるものと似たようなものがあるということは、これは多少否定できないものはあると思います。

茂木委員 正直にお答えになっているんですよ。同じなんです、基本的には。

 ところが、今度は来年度予算の概算要求を見ていただきますと、震災以外の部分と、今度は全国防災、これが一番右側にも入ってくるんですよ。その区分はどうなっているんですか。同じじゃないですか。どう区分しているんですか。お答えください。

安住国務大臣 建設国債でやるものと一般会計の中で事業としてやるということについては、それぞれの各省から上がってきたものについてやるということになっています。ですから、今回やる全国防災というのは、その中でもピックアップをして、非常に緊急性を要するというものを取り上げて、今回この予算に盛り込んだというふうに御理解いただければと思います。

茂木委員 緊急性を要する、こういう言葉だけで、その点はまた改めてお聞きしますが、少なくとも、一般会計の中での区分、これは極めていいかげんなんです、項目が一緒なんですから。このことは国民の皆さんもよくおわかりいただけたんじゃないかなと思います。結局、一般会計の中できちんとした区分管理をするのは無理なんだ、私はこんなふうに思っております。

 こういった復興事業とその他の事業の混在、さらに言いますと復興便乗予算、こういったものを避けるためにも、図七をごらんください、図七にあるように、復興特別会計を創設して、復興関連予算と一般会計を明確に区分管理すべきだ、私はこんなふうに思っております。

 かつて、塩川正十郎財務大臣、母屋、つまり一般会計はおかゆをすすっているのに、離れ、特別会計の方ではすき焼きを食べている、こういう言葉が有名になりました。今回、状況が違うんだと思います。母屋、一般会計の方は、外交、安保から社会保障、公共事業まで、いろいろな同居人がいる。それに対して、離れ、特別会計で復興対策に限って、つまり親族だけにきちんとした対応をしていく、こういう形が私は適切なんだと思っております。

 この特別会計の創設につきましては、自民、公明、そして民主の三党協議でも大枠合意している項目でありますが、総理、改めて伺います。復興特別会計を創設して、この三次補正で発行する復興債分、これは債務行為として残ります、これも国債費として組み入れる、こういう方針でいかがですか。

野田内閣総理大臣 復興基本法そして復興の基本方針において、いわゆる復興債と一般の公債については区分管理をしていく、そしてその資金の透明化を図るということが、これは大事な基本方針として確認をされていると思います。その実現をする方法として、今、茂木さんのおっしゃった特別会計を新たに設置するというのは有力な方法だというふうに思います。

 今与野党で政調会長レベルでの協議もいただいていると思いますけれども、平成二十四年度からこうした形の特別会計を導入し、もちろん、二十三年度分も後から対応するというようなやり方は一つのアイデアだと思いますので、その協議を注視していきたいと思いますし、決まったらそれに対応していきたいというふうに思います。

前田国務大臣 先ほどの防潮堤の予算額についてお答え申し上げます。

 公共土木施設の復旧費の中に、災害復旧の関係ですね、三千五百六十六億円として計上しておりまして、その中の内数になるわけでございまして、いろいろな災害復旧、公共土木の復旧費がこの中に入っておりますので、ちょっと確定はまだこの段階ではできておりませんが、その内数ということでございます。

茂木委員 恐らく、今の段階では何キロというのは明確に御答弁できないということだと思います。

 それとも関連するんですけれども、我々が今総理からも前向きな答弁をいただきました特別会計の創設そして償還期間の延長を求めていますもう一つの理由というのは、今回の復興に係る費用、本当に五年間で十九兆円、十年間で二十三兆円におさまるのか、見通しが非常に難しい、費用が拡大する可能性もある、こういう点から申し上げているわけであります。

 例えば、除染の費用、これは特に見積もりが難しいんだと私は思います。現在、政府が想定しています規模、これは平成二十五年度までで一兆一千四百八十二億円、こういうことでありますけれども、これに本当におさまるのか。政府として、除染費用、これ以上ふえないと明言できますか。

細野国務大臣 御指摘のとおり、平成二十四年度で契約ができるもの全体を含めまして、ですから、これからあと一年半ほどの間に約一兆一千数百億円の予算を組んでおります。それぞれ積算は、苦労しながらでありますけれども、根拠はございます。警戒区域や計画的避難区域の除染、そしてそれ以外の、今生活をされている、そういったところの除染、それぞれ分けて計上しております。

 ただ、果たしてどれぐらいの費用でできるのかということについては、これはまさに今、さまざまな事業者とも話をしながら契約の準備をしているところでございますが、まだ確たることは申し上げられません。さらに言うと、仮置き場、これにも予算を積んでおりますが、そしてその先の中間貯蔵施設はまだ予算がしっかり計上できておりません。

 したがって、除染が進めば進むほど予算が膨らむ可能性はございますので、そこは、大変恐縮でございますけれども、必要なものについてはさらに増額する可能性があるということをぜひ御理解賜りたいと思っております。

茂木委員 はっきりした答弁だったと思います。正直に、これは拡大する、費用がかさむ、さらにふえる可能性がある。例えば、今後五年間の復興集中期間、これに限って見ましても、対策費は十分なのか、私は非常に疑問です。

 簡単な計算なんです。今回の三次補正までで既に十五兆円計上しております。残りは、五年間でいいますと、十九兆から引きますから、四兆円ということになります。そして、来年度の概算要求で復興枠に三・五兆円。ということは、平成二十五年度以降の残りは五千億円、一兆円を切っちゃうということなんです。

 そうなりますと、今の除染費用、それから先ほど申し上げた津波の防潮堤の事業、この中におさまるとは私は思えません。国交大臣、おさまりますか。

前田国務大臣 今明確に申し上げるだけのものはございませんが、なかなか厳しいところがあるか、こう思っております。

茂木委員 おさまらないのに、おさまるかどうかわからない、そして、細野大臣も前田大臣もかなりオーバーする可能性があると言っているのに、結局、幾らお金がかかりますから財源はどうします、その議論ばかり今してもしようがないんじゃないかな。私は、だから特別会計をつくる必要がある、そしてもう一つは、償還期間、できるだけ長目にとって、そういったものにも対応できると。

 御案内のとおり、阪神・淡路のときは六十年の建設公債で対応したわけであります。今回の事業を見ても、先ほどありましたように、公共事業、社会資本の整備、現地において、被災地において長く使っていただく立派なものをつくる、こういった事業がかなり多いわけでありまして、この償還期間、長目にとるべきだ、こんなふうに思っておりますし、同時に、それによって単年度の国民の皆さんの御負担も軽減することができる、そんなふうに思っています。

 図の八をごらんください。

 マスコミ各社の、直近、この週末であります、世論調査を見ましても、償還期間を長くとって単年度の負担を軽減すべき、こういう声が、共同通信、毎日新聞、日経新聞、すべて多数を占めています。

 総理、こういう長引く不況の中で家計への負担も考え、そしてこれからどれだけ財政需要が出てくるかわからない、こういった見通しの難しさも踏まえて、償還期間、思い切って延長すべきだと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 償還期間については、基本的には、政府の方針としては、将来世代に先送りをすることなく、現役世代が連帯して負担を分かち合うという基本方針のもとで与野党協議をやってまいりました。

 ただ、これは、こういう世論調査の結果もございますし、各党からの御意見もあるので、一定程度柔軟に対応するという方針のもとで、今、協議の大詰めだというふうに思います。昨日、我が党の幹事長からの御提案をさせていただき、きょうのお昼にでも自民党、公明党から御回答いただくという今状況だと思いますが、一定程度柔軟に対応させていただきたいと思います。

茂木委員 総理は先週の代表質問で、我が党の谷垣総裁の、今回の復興事業で仮に復興債を発行せず通常の公債の追加発行による対応をとった場合、建設国債に対応する分はどれくらいになるか、こういう質問に対して、先ほど安住大臣もお答えになりましたけれども、総理みずから、おおむね四兆円、そのようにお答えになっています。御記憶にあると思います。

 四兆円、建設公債ですから、六十年の建設公債で対応する。残りの五・一兆円、この中には地方交付金もありますから、実際にはこれでも社会資本の整備をやるんですけれども、仮にこの五・一兆円を全部十年の償還にしても、四兆円が六十年、五・一兆円が十年、加重平均すると三十二年になります。総理は別に計算されずに、非常に正直にお答えになったと思うんですけれども、三十二年というのが総理のお答えなんですよ。このことだけは御指摘をさせていただきたい、こんなふうに思います。

 外交問題に入りたいと思います。

 図の九をごらんください。

 政権交代後、鳩山元総理の最低でも県外発言に端を発します一連の迷走によりまして、沖縄と政府の決定的な対立、そして米国との信頼関係の大幅な低下を招くことになりました。現在では、アメリカが最も重視するアジアの国では、中国に逆転をされております。そして、沖縄県民の八四%が辺野古移設に反対、こういう結果になってしまいました。

 さらに、普天間の移設、危険除去、これが完全に暗礁に乗り上げている。平成十八年のロードマップでは、二〇一四年には普天間は返還をされるということが決まっていたわけでありますけれども、このスケジュールも全く見通せない、こういった状況になっております。

 結局は、鳩山元総理は、何の根拠も根回しも見通しもなしに、思いつきで、国外、最低でも県外と言って、迷走して辺野古に戻ってきた、こういう結果だと私は思います。

 そこで、野田総理、総理も、鳩山元首相の最低でも県外発言、これは間違いで、沖縄の皆さんに多大な御迷惑をかけた、このようにお感じですか。

野田内閣総理大臣 鳩山政権のもとで、県外移設の可能性、それについての検証をさせていただきましたけれども、最終的には、昨年の五月、日米合意に基づいて対応するという結論を出すことになりました。その間の紆余曲折がございまして、沖縄県民の皆様に御迷惑をおかけしたことはおわびをしたいというふうに思います。

茂木委員 鳩山元総理の発言は間違いだったと思われますか。違いますか。

野田内閣総理大臣 鳩山総理の発言が思いつきかどうかというと、これは違うと思うんです。我が党のまとめた沖縄政策ビジョンに基づいてお話をされていたということでございますので、一人の政治家の責任ではないというふうに思っております。

 その上で、結果的には、紆余曲折があって、検証したけれども、日米合意に基づくことに結論を出したわけでございますので、その間に沖縄の皆様に御迷惑をおかけしたということでございます。

茂木委員 朝日新聞の十月二十八日の朝刊によりますと、玄葉大臣がその前の日に、鳩山元総理の発言は間違いだった、こういうふうに外務委員会で答弁をされています。それを踏まえて、その翌日の夜、総理は鳩山元総理とお会いになって、あの玄葉大臣の発言について、玄葉大臣の発言が間違っていた、申しわけないと謝罪した、このように新聞報道にはなっておりますけれども、事実でしょうか。

 総理、私は思うんですけれども、総理そして民主党が謝罪をしなければならないのは、鳩山さんに対してじゃなくて沖縄の皆さんに対してだと思うんですけれども、いかがですか。

中井委員長 玄葉外務大臣。(茂木委員「だって、同席していないんだろう。だって、このやりとりの話だよ」と呼ぶ)

玄葉国務大臣 私の答弁であります。

 私としては、まさにそういった発言、民主党全体として、また私として、あわせて責任を持たなきゃいけない、そういう思いの中で、沖縄の皆さんに、期待値を高めて、結果として回帰したということに対して謝りたい、そういう思いでございます。

野田内閣総理大臣 私から鳩山元総理に陳謝をしたとだけ報道されていますけれども、これは事実と違います。

 玄葉大臣の真意は、今御本人が説明されたとおり、沖縄の皆様におわびしなければいけないというのが真意だったということと、それから、鳩山総理については、沖縄政策ビジョンに基づいて御本人が御発言をされたということ、それに対する理解がその大臣の答弁には足りなかった部分について私から説明をしたということでございます。

茂木委員 よく説明がわからない部分もありますが、米軍再編への内閣としての取り組みの中で聞いていきたい、こんなふうに思います。

 野田総理は、九月の二十二日に行われましたオバマ大統領との日米首脳会談で、米軍再編問題につきまして、引き続き日米合意に従って進めたい、このように述べておられます。私は、この発言が第二のトラスト・ミーにならなければいいがな、こんなふうに若干懸念をいたしております。それは何かといいますと、民主党政権として、外交の継続性というのを正しく理解しておられるかどうかということであります。

 図の十をごらんください。

 若干細かい部分はありますが、革命政権でもない限り、外国との条約それから合意事項というのは、当然次の政権に引き継がれることになります。米軍再編、トランスフォーメーションについて申し上げますと、平成十八年と平成二十二年の日米合意とその閣議決定、そして二十三年の日米合意、正確に言いますと、平成十八年のものにつきましては二十三年に変更された部分を除く内容、こういうことになりますけれども、これは引き継いでいる、こういう理解だと私は思います。

 総理、野田内閣としても、内閣の発足時からこれらの日米合意そして閣議決定を引き継いでいる、こういう認識でよろしいでしょうか。それと、日米合意、今後変更される予定はございますか。

野田内閣総理大臣 昨年の日米合意にのっとって、沖縄の負担軽減を図りながら、沖縄の皆様に御理解をいただきながら、普天間の危険性を一刻も早く除去していくというのが野田内閣の基本姿勢でございます。

茂木委員 総理、正確にお答えください。

 平成十八年の日米合意と閣議決定、平成二十二年の日米合意と閣議決定、そして平成二十三年の日米合意、正確に言うと、平成十八年の分については二十三年で変更した分を除く部分、こういうことになりますけれども、この五つです。これは野田内閣に引き継がれていますか。

玄葉国務大臣 これは、きのうも下地委員からお話があった部分とも関連をするわけでありますけれども、当時、岡田外務大臣でございましたけれども、鳩山内閣のときの五月の合意は十八年と部分的に違いますので、そういう意味で、鳩山内閣の五月の日米合意、そして菅内閣のときの六月の日米合意、これを引き継いでいるということでございます。

茂木委員 十八年の日米合意、それ以降変更された部分を除く部分を引き継がれていますか、引き継がれていませんか、お答えください。

玄葉国務大臣 ですから、この図の鳩山内閣の五月の合意、菅内閣の六月の合意、これを引き継いでいると……(茂木委員「その前、その前」と呼ぶ)

中井委員長 十八年、一番上。

玄葉国務大臣 十八年の合意は、例えば海兵隊とその家族のグアム移転とか嘉手納以南の土地返還と施設の共同利用等々、引き継いでおります。

 ただ、同時に、きのうも出ておりましたけれども、プラスになった部分があるということでございます。

茂木委員 総理、その認識でよろしいですね。

野田内閣総理大臣 引き継いでいると認識をしています。

茂木委員 総理から明確な御答弁をいただきました。

 ところが、平岡法務大臣、平岡法務大臣は衆議院の予算委員会で、閣議で決まったことには従う、こういうふうに言いながら、野田内閣が発足した後であります、九月十七日に岩国市内の記者会見で、岩国への艦載機移駐については政治家個人として反対の気持ちは変わりない、これは西部読売新聞でありますが、と発言したと報じられています。

 平岡法務大臣、野田内閣の一員として、発言を撤回してください。

平岡国務大臣 お答えいたします。

 今、茂木委員がおっしゃられたように、私は、政治家個人の考えとしては反対であるというふうに申し上げました。その考えは今でも変わりません。

茂木委員 個人の考え、例えば演歌が好きだとかジャズが好きとか、和食が好みだとか洋食が好み、これは各大臣あって結構なんだと思います。

 ただ、安全保障の問題ですよ。安全保障の問題についてそれぞれの大臣が個人的な見解を述べていたら、国としての国益なんか守れませんよ。しっかり撤回してください。

平岡国務大臣 この前の予算委員会でも申し上げましたけれども、閣議で決まったことについては私は従っていく所存であるというふうに申し上げました。

 そのときの考え方を、閣僚の発言とそれから閣内統一の問題についてはこれまでも見解が示されておりまして、仮に国務大臣の立場において明らかに内閣の一体性を損なうような言動をとった場合には、憲法第六十六条三項の規定との関係でいわゆる閣内不統一の問題を生ずるものと考える。しかしながら、国務大臣が一政治家あるいは政党の一員としての立場から個人的見解を述べたとしても、国務大臣の立場において内閣の方針に従うということである場合には、憲法第六十六条第三項との関係でいわゆる閣内不統一の問題を生ずることはない。これは、これまでも示されてきた内閣の見解でございます。

茂木委員 本当に私は、そういうことでいいのかな、こんなふうに思います。

 私も、橋本元総理、小渕元総理、そしてまた梶山官房長官、野中官房長官、沖縄の問題に真摯に取り組む姿というのを見てきました。私も、一年間でありますが、沖縄の担当大臣として、沖縄、基地の七四%が集中しております、その負担軽減に一生懸命努力をしてきたつもりでおります。

 本土に返還されてからも、基地があるがゆえにいろいろな事件、事故に巻き込まれる、こういう苦しい思いをされてきた、こんなふうに思っております。そういった沖縄の思いを思いとしてしっかり受けとめないと、私は、総理、沖縄の理解は得られない、こんなふうに思います。閣僚が入れかわり立ちかわり沖縄に行っても何の進展もない、こんなふうに思います。やはり、野田内閣の閣僚が、一人一人が自覚を持って、例えば、抑止力に影響が出ない範囲であったら自分の地元でも米軍基地の一部でも引き受けよう、こういう思いがなかったら、沖縄に理解を得ることなんかできないんだと思います。

 それに対して個人的な見解、こういうことで閣僚がべらべらとしゃべられる。こんなことで普天間の問題を本当に解決できるんでしょうか。私は、平岡大臣は大臣として、野田内閣の一員として、岩国への移駐、これを地元の皆さんに説得するのが御自身の役割だ、これもできなくて沖縄だけに負担を押しつける、こんなことはおかしいと思いますよ。総理、いかがですか。

中井委員長 その前に、先ほど平岡法務大臣が憲法解釈を言いましたが、内閣の憲法解釈は枝野君が担当すると私どもには通知がございます。個人の法務大臣が、自分のことで勝手に憲法解釈して正しいと言うのは少し違うんだろうと思いますので、枝野君から補足をさせます。その上で平岡君の答弁を求めます。

枝野国務大臣 委員長の御指名ですので、御答弁をいたします。

 内閣の一体性と憲法との関係では、閣議で決まった内閣としての方針と閣僚が異なった行動をとる、あるいは発言をするということは、これは憲法上の疑義、問題があるということでございますが、ただ、閣議で決まった方針に従うということであれば、そもそも閣議という制度が、複数の人間で合議をする、つまり、その中にはいろいろなさまざまな意見がある人たちが集まって合議をして意思決定をするというプロセスでありますので、閣議決定に先立つそれぞれの個人の意見、思いがある、そのことが世の中にも表明された中で、最終的に閣議決定された方針に従うということであれば憲法上問題がないということであります。

茂木委員 今、憲法解釈を担当される枝野大臣から明確な答弁がありました。決まる前にはいろいろな意見がある、しかし、決まったら従うということであります。

 そして、先ほど野田大臣が明確に答弁をされたように、この閣議決定は、デーワン、九月の二日、野田内閣が発足した時点において有効になっているわけであります。ですから、閣議決定にも従っていないんですよ。だから、撤回してください、そういうことを申し上げているんです。平岡大臣、いかがですか。

 私は、はっきりさせた方がいいんじゃないかな、こんなふうに思います。閣僚の一人として、平岡大臣、地元の説得にきちんと当たっていただくのか。沖縄も見ていますよ、全国も見ていますよ。それとも政治家としての信念を貫かれて大臣をやめられるか。どちらか政治家として判断してください。

平岡国務大臣 先ほど委員長の方から御指摘がありましたので、その点については、私が先ほど内閣の見解というものを示したのは、あくまでも個人の見解を示したということではなくて、これまで内閣としてそういうことを示したことがあるということについて私は御紹介したということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、先ほど茂木委員の御質問の中に、沖縄の負担を少しでも本土の地域が受け入れるべきではないかという御指摘がありました。実は、岩国については空中給油機KC130について既に受け入れを決定しており、それについては私もこれまでそれに対して反対をしたことはございません。ということで、岩国としてもそれを受け入れてきているということをまず御紹介したいというふうに思います。

 それで、先ほどの御質問でございますけれども、この岩国の空母艦載機の移駐の問題については、夜間離発着訓練をどこで行うのか、あるいは、さらには米軍住宅をどこにどのようにつくっていくのか、この点についてはまだ決まっていない部分がたくさんございます。そういう点を含めて、私としては、地元の住民の皆さんの意見というものをしっかりと今の野田内閣あるいは政府に伝えていくということが私の今の役割であるというふうな思いで、今そういう役割を務めさせていただいているということでございますので、御理解を賜りたいというふうに思います。

茂木委員 はっきりお答えください、政治家として、大臣として。沖縄に対しては理解を求める、誠実に理解を求める、こういうのが野田内閣の方針です。そして、この閣議決定、これは九月二日に始まっています。

 平岡大臣、地元を説得されるのか、細かい問題を除いても、基本的に地元を説得されるのか、それとも、それはできないから自分は野田内閣の閣僚から引こう、どちらの決断をされるのか、はっきり答弁してください。

平岡国務大臣 今私が答弁申し上げたように、まだこの空母艦載機の移駐の問題については解決されていない問題がたくさんございます。そういう問題について、地元の人たちの意見を、考えをしっかりと野田内閣に伝えていくことが、私は、これらの問題についてスムーズに物事が進んでいくというふうに考えて行動してまいりたいというふうに思っております。

茂木委員 沖縄の問題でも、細かい点で決まっていない点はたくさんございます。そうすると、沖縄についても、そういった細かい点を決めるまでは進めない、こういうことでよろしいんですか、総理。

野田内閣総理大臣 平岡大臣は野田内閣の一員でございますので、基本的には内閣の方針に基づいて行動をしていただくものと思いますが、一方で、地元の事情に一番詳しい地元選出の議員でもございます。地元の皆さんの御心配とか御要望を踏まえて、政府との間に立って汗をかくということを彼は今言っているんだというふうに理解をしています。

茂木委員 いずれにしても、こういった内閣がふらふらの状況では、沖縄の皆さんの理解を得ることは極めて難しい。

 自分たちで、最低でも県外、こういうことで沖縄の信頼、アメリカとの信頼関係を壊しておきながら、今答弁を聞いていただいて、全国の皆さんも情けないと思ったと思いますよ、本当に。政治家としての出処進退もきちんと決められない、ただ大臣として残りたい、でも自分の意見を自分の意見として言い続けたい、こんなことではもたない、こんなふうに私は思っております。

 TPPについて伺いたいと思います。

 政府・与党では、昨年の秋に菅総理が唐突に、平成の開国のスローガンのもと、TPP交渉参加を打ち出したわけであります。

 野田政権も、今月十二日からのAPECを目前に、政府・与党が大慌てで意見集約に努めているようですが、明らかに前のめりの感があると私は思います。現時点でも、交渉で協議されている事項が何なのか、そして日本にとってのメリット、デメリット、リスクが何なのか、いかなる国内対策が必要なのか、これを検討しているのか、国民に全く提示をされておりません。

 そこで、まず総理、総理は、TPP交渉参加について、現段階で国会や国民に対する説明が十分なされていて、国民的な議論が熟している、このようにお考えでしょうか。同時に、民主党内の意見集約ではなくて、国民的議論が十分なされないままにAPECで唐突に交渉参加表明をされる、こういうことはないですね。

野田内閣総理大臣 TPPについては、これまで得てきた情報については可能な限り明らかに御説明をしてきたという経緯はあったと思いますし、かつては開国フォーラムという形でさまざまな皆さんの御意見をお伺いする場もつくってまいりました。大震災の後、中断をしてきたことは事実でありますけれども、その後も、今、党内の議論も踏まえて、情報収集、あるいは説明責任、関係団体への説明等々、鋭意努力をしているところでございます。

 なお、今御指摘のとおり、民主党内においてプロジェクトチームを中心にさまざまな観点から御議論を活発に今いただいております。そういう議論が熟した段階で、政府としてもどういう判断をすべきかを決めていきたいというふうに思いますし、APEC前云々とありますが、議論が熟した段階で早期に結論を出していく。しっかり議論をして早期に結論を出すということは国会の答弁でも申し上げてきたとおりであります。

茂木委員 国民的議論が熟した段階での御判断ということで私は理解をさせていただきました。

 TPPの日本にとってのプラスであったりマイナス、政府内の各省の試算もばらばらな状態であります。現段階では、政府の情報収集、そして国民に対する説明、私は決定的に不足していると言わざるを得ないと思います。このような状況下でAPECにおいて日本が交渉参加を表明することには、我が党としては反対をいたします。

 もちろん、我が党は、自由貿易の推進、これを対外通商政策の柱としてきたわけであります。そして、さまざまな、EPA、FTA、地域協定のメリット、デメリット、こういったことを十分に検討した上で、メリットの大きなものについては積極的に推進をしていく。そして、これによって打撃を受ける分野については、必要な国境措置、そして万全な国内経済、地域対策を講じてきた。私は、そういう準備が今回のTPPにもやはり必要なんだと思います。例えばガット・ウルグアイ・ラウンド、このときは、国内における対策事業費、六兆百億円かけたわけであります。

 そこで、お伺いをいたします。

 TPP参加によりまして、お米であったりとか国内の農産物の価格が大幅に下落した場合、民主党の戸別所得補償、この予算はどれくらいまで膨らむと想定されていますか。

鹿野国務大臣 具体的に今、TPPに交渉参加するかというふうなことは、まだ決まっておるわけではございません。そういう中で、この交渉の内容も、どういうふうな形になるかということもはっきりしていないわけでありまして、今委員からの御質問がございましたけれども、具体的な数字というふうなものは、なかなか今の時点で申し上げさせていただく段階にはないと思っております。

茂木委員 国内にどれだけ影響が出るか、この段階ではっきりしないと。

 ところで、鹿野大臣、そうすると、現段階で交渉に参加を表明することは、大臣は賛成ですか、反対ですか。

鹿野国務大臣 基本的に、私ども農林水産省といたしましては、いわゆるTPPに参加をしたということを、何の具体的な手を打たない、こういうふうなことの中で、農業、林業、漁業、これは全体的に四兆五千億の産出減になります、こういうようなこと等々の具体的な数字は出させていただいておるわけでございます。

 そういうふうな意味で、私どもとしては、これからこのTPPというふうなことについてどうするかということは、今党内でも議論をしていただいておるわけでありまして、非常に国民の人たちにおいても関心が高まっている中におきまして、私どもも今懸命に、どうあるべきかというふうなことを、閣僚の一員としても当然のことながら勉強をしながら取り組んでおる、こういうことでございます。

茂木委員 大臣が今勉強されている、これではとても間に合わないんじゃないかなと私は思います。

 与党内でも、相当いろいろな反対の意見もあるようであります。国民新党も反対という意見が強いようでありますけれども、自見大臣は賛成ですか、反対ですか。

自見国務大臣 茂木議員にお答えをいたします。

 きょうの閣議の後の記者会見でもその質問が出たわけでございますが、今、国民新党の中は、亀井代表を中心に反対の意見が多いわけでございます。しかし、私は野田内閣の一員でございますから、内閣ではまだこういったことは議題になっておりませんので、今の時点で私は賛成だ反対だと言うことは、私自身、二十六年政党政治家をやらせていただいておりますけれども、今言うことは、やはり政党政治家の矜持としてふさわしくないというふうに思っております。

茂木委員 それぞれの関係の閣僚、自見大臣も保険の分野とかがかかわってくるんです、これは二十四分野あるわけでありますから。農水大臣もそうでありますけれども、まだ勉強中と。閣僚が勉強中の段階で、国民に対しても情報も十分提示されない、国民的な議論もされていない。この段階で拙速に表明すべきでない、このように改めて申し上げたいと思っております。

 一時間半の質疑を通じまして、民主党のマニフェスト、いかにいいかげんなものであったか。マニフェストが実現できない理由、これも、税収減でもねじれ国会でも、ましてや東日本大震災の影響でもなくて、すべては政策の実現可能性であったりとか財源の確保についての民主党の見通しが甘かった、こういうことが国民の皆さんによく御理解いただいたんだと私は思っております。

 また、四カ月もおくれて出てきました今回の三次補正でありますが、ホームページ初め無駄な予算が計上されている。その一方で、防潮堤の対策、本当に、命の壁である防潮堤の対策等々が決定的に不足をしている。

 そして、先ほどの答弁を聞いていただいて、国民の皆さんも、大臣の答弁が何だか全くわからない、補正予算も本予算も、また来年の復興枠もごっちゃになっている。こういった財源の問題、特会の創設のお話も申し上げましたが、この問題についてはさらに吟味が必要だ、問題点が多い、こんなふうに思ったところであります。

 総理は、安全運転、そういったことを強調されておりますけれども、私は、震災からの復興の問題もそうです、そして円高、空洞化対策、さらには普天間基地の移設問題、そして税と社会保障の一体改革、極めて重要で困難な問題を乗り切るのには今の野田内閣はばらばら過ぎる、こんなふうに思います。平岡大臣の答弁一つ聞けば、国民の皆さんも、いかにいいかげんか、いかにばらばらか、こういったことはおわかりいただけたと思います。やはり、ブレーキをかけている閣僚、違う方向に走ろうとしている部品は、私は取りかえた方がいいと思います。総理、総理がそれができないと言うんでしたら、総理みずからが、日本の運転席、総理の座からおりられることを要求いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

中井委員長 この際、村上誠一郎君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村上誠一郎君。

村上(誠)委員 今回、原発問題を質問させていただくわけですが、実は今回で三回目であります。

 四月二十七日には、もう既にメルトダウンが起こっている、水棺化なんかできるわけがないと言ったにもかかわらず、政府は認めようとしませんでした。八月十日には、循環型冷却装置はうまく働かないだろう、そしてまた、冷温停止というのはまやかしであると申し上げました。御高承のように、ここに東京新聞がありますが、まさに冷温停止はまやかしだとメディアもだんだん書き始めております。

 私は、この原発問題が収束しない限り東日本大震災は終わらない、だからこそ、真剣に勉強し、質問してきたんですが、前回も前々回も、ほとんど誠実な答弁がありませんでした。きょうは、総理、ひとつしっかりとお答えいただきたいと思います。

 まず最初に、この三月十一日の原発事故発生からもう既に八カ月がたとうとするのに、なぜ収束しないのか。御承知のように、あれだけ大変だったチェルノブイリの事故は十日間で収束しました。スリーマイルズ島は十六時間で電源が回復して、おおむね十日間で収束しました。

 野田さんにまずお伺いします。なぜ八カ月もたつのに収束しないんですか。

中井委員長 細野豪志原発事故の収束及び再発防止担当大臣。(村上(誠)委員「委員長、違います。総理に聞いています」と呼ぶ)

細野国務大臣 御指名をいただきましたので、答弁させていただきます。(村上(誠)委員「指名していません。委員長、私は総理と」と呼ぶ)

中井委員長 僕が指名しました。

細野国務大臣 委員長から御指名をいただきましたので、答弁をさせていただきます。

 チェルノブイリと比較をして村上委員の方から御指摘がございましたけれども、チェルノブイリとそして今回の東京電力の福島原発というのは、状況はかなり異なります。チェルノブイリについては、炉自体が爆発をしたという状況でございますので、非常に多くのものが飛び散って、その後の対応ということでございました。一方で、今回の事故の場合には、建屋は確かに水素爆発をいたしましたが、炉の中には大量の燃料が残っております。また、プールの中にも大量の燃料が残っております。それをまずは安定した状態で冷却を続けるというのが非常に重要になってまいりました。

 そして、その冷却機能を回復するのに、先ほど村上委員の方からも御指摘がございましたとおり、幾つかのトラブルが確かにございまして、御心配をおかけいたしました。安定的に冷却をさせて燃料の温度をしっかり下げていく、そして、放射性物質が外に出ないような状況を確保するということに時間を費やしているということでございます。

 第一ステップが終了いたしまして、現在第二ステップに入っておりますので、安全確認をしっかりやった上で、何としても年内には冷温停止状態というところまで持っていきたいというふうに考えております。

村上(誠)委員 全く答えになっていません。

 では、最初にお伺いしますが、メルトダウンが当日に起こっているにもかかわらず、なぜ、二カ月も三カ月もメルトダウンが起こっていることを認めないで、できもしない水棺化を言い続けたんですか。それにお答えください。

細野国務大臣 確かに、当初起こった状況について、最悪を想定して、そういう状態なんだという可能性を指摘することができなかったということについては、政府の分析の甘さはあったと私も思っておりまして、反省をしております。

 正確には、メルトダウンそのものを真っ向から否定していたというよりは、燃料は溶融をしているけれども溶融の程度がわからないというふうな私どもは言い方をしておったんですが、それが分析の甘さということで御指摘をいただいたことは、真摯に反省をしなければならないと思っております。

 一方で、水棺についても御質問をいただきました。

 水棺というのは、さまざまな専門家からの意見の中で、燃料が水につかっているという状態が一番安全だ、そういう分析がございまして、チャレンジをいたしました。ただ、そこも、原子炉圧力容器、格納容器双方に水をためることができないほどの穴があいていて水棺をすることができなかったという意味では、トライはいたしましたけれども実現をできなかったということであります。

 重要なことは、水棺という手段はもちろん一つ挫折をいたしましたけれども、しっかりと冷却を続けることだということの判断をいたしまして、現在、その作業をしているところでございます。

村上(誠)委員 委員長、注意してください。今、細野さんの言うことは細野さんよりわかっているんですし、そんなことを聞いているんじゃないんです。なぜ、もう七カ月、八カ月になるのに収束しないのか。はっきり申し上げると、初期の対応と人事の失敗なんですよ。だからそれを野田さんにお伺いをしたいので、野田さんに答えさせてください。

野田内閣総理大臣 チェルノブイリとの違いはさっき細野大臣が御説明したとおりでありますけれども、事故が発生をして以来、東電と政府でロードマップをつくり、そしてその工程表に基づいて、着実に収束に向けて努力をしていて、今ステップ2、冷温停止状態を目指している。それは、来年の一月までかかるかもしれないというものを前倒ししてことしのうちに実現する、そういう運びで努力をしているということでございます。

村上(誠)委員 いや、私の聞きたいのは、そういうことじゃなくて、我々の予測がほとんど当たっていて、皆さんのやっていることがほとんど外れているじゃないかと。

 そしてまた、はっきり申し上げると、この最初の取り組みについても、今から質問しますけれども、だれが中心で作業しているのか、だれが責任者でやっているのか、全くこっちには見えないんですが、だれがこういうことを企画立案して、ヘッドクオーターとしてやっているんですか。説明できる方、教えてください。

細野国務大臣 まず、東京電力の福島の原発については、これを所有し運営をしているのは東京電力でございますので、東京電力に大きな責任がございます。

 ただ一方で、これだけ本当に厳しい事故が起こっているわけですので、一民間企業にそれを任せるわけにはいきませんので、政府にも東京電力同等もしくはそれ以上の責任があるというふうに考えまして、それで統合対策室をつくって作業を進めてまいりました。

 その責任者は、当初は海江田大臣ということで、私がサポートをしておりました。その体制から、私が閣僚になりまして、枝野大臣ももちろん大きな役割を果たしていただいておりますけれども、実質的には私が、東京電力の役員と、責任を持ってさまざまな重要な決定については携わっているということでございます。

村上(誠)委員 では、ここまで長引いているのは、あなたの責任だということですね。

細野国務大臣 いろいろと皆さんに御心配をおかけしておりまして、世界にも、まだこれで収束という状況に至っていないということに関しては、大変申しわけなく思っております。そのすべての責任は私にございます。

村上(誠)委員 正直申し上げて、このような大変な事故を一企業に任せること自体、私は無理だと思います。

 ここに前の日本部長のケビン・メアさんも書いていましたけれども、東電一社に任せるのはまことに気の毒であると書いてあるんですが、何を言いたいかというと、そもそも最初の瞬間、これはもう細野さんに聞いても仕方ないので、専門家に聞きたいと思います。ここにブルームバーグの記事があります。「福島原発:津波が来る前に放射能漏れの可能性―地震で既に打撃か」とあるんです。

 それで、班目委員長、お伺いしたいんですが、科学者の良心としてお答えいただきたいんですが、最初我々に漏れ伝わってきたのは、地震が来て、その後、津波が来て、バック電源が壊れて、そして電源が復旧できないからメルトダウンが起こったというんですが、本当の真相はどういうことなんですか。

班目参考人 少なくとも原子力安全委員会の方で把握している事実としては、ただいまおっしゃられたように、津波によって全交流電源喪失及び直流電源も喪失されてこのような事態になったというふうに承知してございます。

村上(誠)委員 後でもやりますが、今アメリカが非常に関心を持っているのは、なぜ水素爆発が起こったか、そのプロセスですが、アメリカの方は正直言って今の説明では納得していないようなんですが、委員長は今のままでいいと思っていますか。

班目参考人 水素爆発につきましては、格納容器から漏えいした水素が建屋内に充満し起こったものだというふうに理解してございます。そういう意味においては、まだこれからいろいろと事実の解明が必要だとは思いますが、特に外国からの指摘で問題になっている点はないというふうに理解してございます。

村上(誠)委員 班目さんが最初言っていたのは、まさか水素爆発が起こると思わなかった、水素爆発が起こると思わなかったから、菅さんを、翌日の朝、テレビカメラを連れて、現場に視察へ行かせたとこの間おっしゃっていたんですけれども、そこは間違いないですね。

班目参考人 現地にヘリコプターで出発する時点では、私の理解では、間もなくベントが行われるというふうに考えてございました。もしベントが迅速に行われるならば、この水素爆発もなかったであろうというふうに今もって私としては信じてございます。

村上(誠)委員 ここが重要なことです。

 おわかりのように、ベントは三月十一日、当日中に行う必要があったわけであります。それがおくれたことが水素爆発につながり、水蒸気爆発になって、今日の大きな災害が起こったわけであります。

 それでは、皆さん方のお手元に資料があると思うので、一番最初の、これを見ながら説明したいと思います。

 ここにありますように、福島原発の事故対応の時間的経緯を表にしてみました。三月十一日に、地震または津波直後に冷却電源が喪失しメルトダウンが始まる。これには実はまだ諸説がいろいろありまして、地震直後にもう始まっていたんじゃないかという説もあります。それから、三月十二日に、菅さんが朝六時に福島原発を視察、ベントの開始がおくれ、水素爆発と水蒸気爆発。これは今、班目委員長が認めたとおりであります。

 そして、実は、その三月十二日から十五日の間、一号機、三号機、二号機と次々に爆発して、このように、広島原爆の熱量に換算すると、ウラン235では二十倍、セシウムでは百六十八倍です。はっきり申し上げて大惨事でありました。

 枝野さんにお伺いします。

 あなたは当時官房長官で、連日記者会見で、直ちには影響がないということをずっと発言なされましたが、この現実を見て、どうしてあのような発言をなされたんですか。

枝野国務大臣 お答え申し上げます。

 私は、三月十一日からの最初の二週間で三十九回記者会見を行っておりますが、このうち、直ちに人体あるいは健康に影響がないということを申し上げたのは、全部で七回でございます。

 そのうちの五回は食べ物、飲み物についての話でございまして、現在の事故の状況が一般論として直ちに健康に、ないということを申し上げたのではなくて、放射性物質が検出された、最初はたしか牛乳だったかというふうに思いますが、それが、一年間同じ当該規制値の量を飲み続ければ健康に影響を及ぼす可能性があるということで定められた基準値についてのことでございますので、万が一、一度か二度そういったものを体内に摂取したとしても、それは健康に影響を及ぼすものではないということ、このことを繰り返し申し上げたものです。

 それ以外で、直ちに健康あるいは人体に影響を及ぼすものではないということをお話ししましたのは、一カ所、非常に、結果的に北西部が放射線量が高かったわけでありますが、ここに高い放射線量が出てきたことについて、これが、長時間滞在するということではなくて、短時間で影響を与えるような放射線の量ではないと。したがって、今その周辺地域の放射線の量を、モニタリングを強化して、そしてそういった地域に長い時間住んだりなんかして大丈夫なのかどうかということを確認するということを申し上げたもので、結果的に、それに基づいて、計画的避難区域、準備区域ということで避難をいただいたということであります。

村上(誠)委員 委員長、ちょっと注意してください。私の質問に全然関係ないことを答えていて、こういうような事実があるのにそういうことを国民に知らせなかったのはなぜかと聞いているんです。

 これははっきり申し上げます。日本が核攻撃を受けたら直ちに政府がそれを言うのと同じだと思います。内容もほとんどそれに匹敵するような大事なことなんです。

 もう一つ、枝野さんにお伺いします。アメリカ政府が直ちに、事故の直後に協力の要請を申し入れしてきたんですが、なぜ菅さんとあなたは断ったんですか。

 それから、もう一つ聞きます。アメリカが協力を申し出てきたときに、どういう協力をするということをおっしゃっていたのか、教えていただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、二点目から申し上げますが、少なくとも、アメリカからの協力について私が協力は要らないというような趣旨のことを申し上げたことは、一度もございません。

 それから、具体的なことについては、これは実務ベースで専門家同士で詰めてくださいということで、専門家同士でお話をいただくという場をつくるということにいたしたものでございまして、それ以外のことは私は直接関知をいたしておりません。

 それから、結果的に、何月何日にどの原子炉からどういった放射性物質が出たかということは、事後的には明らかになったわけでありますが、三月十一日、十二日、十三日のころの時点では、こうしたデータは、少なくとも私のところには入っておりませんでした。周辺地域の放射線量をモニタリングしたその数値がまさに健康や人体に影響を与える可能性、そして事態が悪化した場合にどの程度急激に数値が上がる可能性があるのかということに基づいて、避難の指示等をいたしたものでございます。

村上(誠)委員 それでは全く話にならないですね。

 まず最初にお伺いしたいのは、私の友人に、奥さんがフランス系企業に勤めている方がいます。私の友人からは、三月の十三日から十五日、フランス大使館から、全大使館員は関西以西に逃げろ、そしてまたフランス系企業の従業員も関西以西に逃げろと。そしてまた、ここにも書いてありますように、アメリカは、八十キロ圏外に逃げろと。ただ、アメリカ大使館がそういう指令を出したら全国民が東京から名古屋、大阪に出て大混乱になるから、このメアさんが言っているのは、それは日本とアメリカの友好関係を害することになるからできないということで押しとどめたにすぎない。はっきり申し上げますと、アメリカやフランスがこのようなゆゆしき状態を知っていて、日本の官房長官がなぜ知らなかったんですか。

 それからもう一点、なぜ私が、アメリカの協力要請を拒否したことに対して言うのは、アメリカが多分、硼酸水を含むいろいろな手だてを言ってきたんじゃないかと思うんです。

 これははっきり申し上げます。今回の事故を起こしたこの国は、やはりこの経験則を世界共通の経験則とするために、徹底的な原因の究明とその対策とそして安全策をきちっと明示しなきゃならない。残念ながら、七カ月、八カ月たって、一切、原因究明に対する努力もなされなければ、それに対する明確な情報も発信されない。さっきも出たTPPと同じですよ。判断しようとしても、本当に全然出さないで、TPPの参加にしてもこの原発の安全基準にしても、どうやって判断するんですか。

 もう一度お伺いします。

 官房長官たるあなたがアメリカ側の協力要請の中身を知らないとすれば、アメリカの協力をするという中身はだれが知っていたんですか。

枝野国務大臣 繰り返し申し上げますが、私のところにはアメリカからも協力の要請があるし、私や菅総理の方からも、米軍などにも最大限の協力をしてもらえというようなことを、危機管理監であるとか保安院であるとかそういったところに指示はおろしましたが、協力を拒否するような話は一切していないということを先ほど答弁申し上げたことでございます。

 ああした緊急事態でございますので、すべての、例えばアメリカ以外の海外からもさまざまな御協力のお申し出はありました。原発事故だけではなくて、震災、津波と地震そのものに対しても、世界じゅうから御協力の要請をいただいておりました。したがって、基本的な窓口は、外務省においてやっていただいていたというふうに記憶をいたしているところでございます。

 それから、フランスやアメリカなど諸外国が我が国に滞在をされている在留の外国人の方に対するさまざまな指示が、日本政府として発した避難の指示等よりも広い範囲で行われているということは承知をいたしておりましたが、それぞれについてどういった根拠であるのかという、具体的な根拠でこういった避難をする必要があるというようなことについてのお話はございませんでした。

 私どもとしては、その時点で知り得た情報に基づいて、なおかつ、その時点の情報だけではなくて、さらにこれが急激に悪化した場合の可能性も含めて健康に被害を及ぼさないようにということでの避難の指示等を出していたものでございます。

 それから、その後の検証についてでございますが、政府として把握をしている事実等についてはすべて公開をするようにということは一貫して指示を出しておりますし、それについては出してきているものというふうに思っております。

 これに対する分析の、政府としての最終的な見解については、独立性を持った第三者委員会で今検証していただいていると思っておりますので、ここは独立性が重要でございますので、政府として、その進行状況について直接把握をしたり指示をしたりすることはしていないと承知をしております。

村上(誠)委員 その答弁は、民主党内閣が無能であるということをみずから告白しているようなものですよね。ここにも書いていますよね、官邸には情報がなかったと。それからもう一つは、全電源喪失を想定していたアメリカと書いてあるんですが。

 班目委員長にお伺いします。

 班目委員長のところにも、アメリカが協力要請をしてきたということもなければ、どういう協力をしてくれるかという情報もなかったんですか。

班目参考人 私は、最初の四日間ぐらいはずっと官邸の方に詰めてございました。その時点におきましては、アメリカの方から何らかの支援要請があったという話は把握してございません。

村上(誠)委員 これは本当に重要なことでして、アメリカの協力要請を菅さんも拒否したわけじゃないという。だけれども、アメリカのルース大使は激怒していると。

 これは一回どこかで決着をつけなきゃいけないと思いますので、委員会の理事会でこの問題についてはっきりさせていただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。

中井委員長 承りますが、国会では事故調査の委員会がつくられると聞いております。ここへ私の方からも申し入れておきます。

村上(誠)委員 よろしくお願いします。

 次に、これを見ていただきたいんですが、三月十二日から十五日まで放射性物質が飛散して、直ちに影響がないという枝野さんたち政府の発表のために、幼児や妊婦にヨードを飲ませず、稲わらの保管指示も出さなかったんですね。

 小宮山さんにお伺いします。

 あなたは、そのとき副大臣でしたね。前回、細川さんに説明したんですが、あなたは、チェルノブイリのときにおけるポーランド政府の対応は御存じですか。

小宮山国務大臣 私は、そのポーランドの対応は存じておりません。ただ、そのとき私は労働担当の方の副大臣をしておりまして、こちらの厚生関係の担当は、もう一人の副大臣が担当しておりました。(村上(誠)委員「どなたでしたか」と呼ぶ)大塚副大臣です。

村上(誠)委員 これも前回質問したんですが、ここに八月十八日の朝日新聞があります。「甲状腺被曝 子どもの四五%」。私はもう二カ月前に言ったんですが、十月を過ぎてやっとその調査が始まったんです。

 それで、そのときも質問したときに使わせてもらったんですが、松本市長の菅谷昭さんが「チェルノブイリ診療記」という本を書いています。

 秘密主義だった当時のソ連は隠ぺいします。このために住民の避難がおくれました。上空からは放射性物質が降下しているにもかかわらず、子供たちは外で遊んでいました。この子たちが、やがて次々に甲状腺がんを発症することになるのです。甲状腺は、子供の成長に欠かせない甲状腺ホルモンをつくり出す。そのときに沃素が必要となりますが、放射性沃素が体内に入ると、甲状腺は、通常の沃素と区別できないので、そのまま取り込んでしまいます。体内に入った放射性沃素は、放射線を出し続けます。これが内部被曝です。これがやがてがんを引き起こします。事故直後のソ連とは別に、独立国で白ロシアの隣のポーランドは、いち早く子供たちに無機ヨードを服用させたために、甲状腺がんの増加は報告されていません。無機ヨード剤を投与すると、これが甲状腺に入って、後から来る放射性沃素の侵入を防止する効果があります。政府が迅速な対策をとったかどうか非常に明暗を分ける問題ですと書いてあります。

 では、小宮山さん、もう一回お伺いします。

 ポーランドは四日以内に全児童に飲ませたんです。あなたは労働担当の副大臣だったかもしれませんが、前回、細川さんにお聞きしたら、それは私の管轄じゃないと明言したのであります。そしてまた、それは厚生省の管轄でないともおっしゃっていたんですが、その答弁についてどう思われますか。

小宮山国務大臣 恐らく、細川大臣の答弁というのは、安定沃素剤については、原子力災害対策特別措置法に基づいて、原子力災害現地対策本部長より県及び関係市町村に服用指示が行われるということが指定をされているので、直接の担当ではないという意味での答弁かというふうに思います。

村上(誠)委員 妊婦や子供というのは一番遺伝子が傷つきやすいんですよ。そして、それに対しては細心の注意を払わなきゃいけないんですよ。だから、私の同年の児玉龍彦先生が、測定と除染を急げとこの本に書いてあるわけですよね、「内部被曝の真実」ということで。

 それで、ここに、「安定ヨウ素剤はなぜ服用されなかったのか 消えた一枚のファクス」という記事があるんですが、「福島県内の子どもたちの甲状腺被害が浮上している。 甲状腺の被曝を予防する安定ヨウ素剤はなぜ配られなかったのか。」と。

 私は、残念ながら、政府委員制度を廃止して一番いけないと思うんですが、はっきり申し上げて、厚生省の中でこのことを知っていて、そしてまた、だれも対応する者がいなかったということなんですね、小宮山さん。

小宮山国務大臣 原発事故の周辺住民に対しましては、原子力災害現地対策本部長が、三月十六日に、念のため、避難地域二十キロ以内から避難していない住民が残っている場合を想定して、その避難時に安定沃素剤を服用するよう指示したというふうに承知をしております。

村上(誠)委員 それは大臣、そうしたら、全員になぜ沃素を飲ませなかったんですか。

小宮山国務大臣 先ほど、私は直接の担当副大臣ではなかったと申し上げましたが、大塚副大臣とともに協議をしていた点もございますので、その中で私が知っている範囲で申し上げますと、安定沃素剤というのはそう何回も飲むわけにいかない。一回飲むと、その有効時間が二十四時間だというふうに記憶をしておりますので、そこを、配るけれども、どのタイミングで飲ませるかというのは大変難しいという話があったということは認識をしております。

村上(誠)委員 それでは大臣の答弁ではありません。大臣というからには、全省庁の今までの責任を負うのが大臣であります。

 はっきり申し上げます。なぜ四日以内かというと、四日以内のうちに飲まないと、中に入っていなければ、後から悪い、セシウムを含んだものが入って吐き出せないからなんです。だからこそ、そういうものが入る前にヨードを飲ませなければならない。だから、四日以内が原則だと大体言われているわけです。あのとき、アメリカのある空母にはヨードをいっぱい積んでいたんですが、それまで使っていないわけです。

 ですから、何を言いたいかというと、小宮山さん、細川大臣がこの間の答弁で、妊婦や子供の管轄は厚生省じゃないと言い切った上に、いや、言い切っていないとあなたは非難していますけれども、ちゃんとビデオに残っているんですから。それで、その上に、この問題について国民に対して謝罪する気もありませんか。

枝野国務大臣 原子力事故の際の安定沃素剤の服用については、厚生労働省の所管ではなくて原子力災害対策本部の所管でございます。したがいまして、当然のことながら、医学的あるいは医療的な知見、見地に基づいて行うものでありますが、今回も、放医研を初めとするそういった専門家の皆さんの御助言をいただきながら、安定沃素剤の服用を含めた、周辺住民の皆さんの被曝による影響を小さくするということについて対応してきておりますので、厚生労働省が所管ではないということはそのとおりでございます。

 そして、その上で、安定沃素剤については周辺住民の皆さんの自治体には配付がされておりまして、それについて、服用という是非については、最終的にはこの権限を持っておりますのは現地対策本部でございますので、現地対策本部でも、あるいは東京の方でもいろいろと議論がございました。

 ただ、先ほど小宮山大臣がお話しされましたように、安定沃素剤は飲んで約一日程度の間、外から入ってくる沃素が入ってこないということで、それが放射性物質を帯びているものである場合に、甲状腺に堆積するのを防ぐ効果があるということでございまして、どのタイミングで飲めば意味があるのかということ。

 それからもう一つは、安定沃素剤にも、薬でありますので副作用がありますので、つまり、被曝による健康被害の可能性のリスクと副作用のリスクと、それから、ああいった混乱状況でありますので、医師が全部一人一人に対して、こういう飲み方をするんですよと言うことができるような環境ではなかったようなことを総合的に勘案した結果、十六日に現地対策本部からの各市町村への要請ということになりました。

 この間に被曝をして沃素剤を飲んでいなかったということで、より大きな不安を与えたという部分があるとすれば、それは特にお子さんやお子さんをお持ちの親御さんには大変申しわけないというふうに思っておりますが、一方で、原発事故の直後の三月二十四日から三月三十日にかけて、いわき市、川俣町及び飯舘村において小児甲状腺被曝の調査を行いまして、ゼロ歳から十五歳までの一千八十人を対象に実施をしておりますが、安全委員会が示しているスクリーニングのレベル、つまり、詳しい検査をしなきゃならないというレベルである毎時〇・二マイクロシーベルトを超えるものは認められなかったということでございますので、これもその時点では必ずしも明確ではありませんでしたが、今回の事故による放射性物質の飛散の状況等を考えると、特に川俣町、飯舘村においてこういった状況であるということで、結果的に、御不安を与えたことは大変申しわけないと思っていますが、甲状腺被曝による健康被害の影響はないというふうに思っております。

村上(誠)委員 それは医者でもないあなたの判断だと思うんですが、妊婦や子供の健康が、原子力事故のときには厚生省が管轄じゃないなんて国民はだれも知らないですよ。では、なぜそれを言わなかったんですか。

 それから、もう一回聞きます。では、それに対して、ヨードを配らなかった、後でいろいろな結果が出ていて、責任者はだれになるんですか。

枝野国務大臣 原子力災害対策本部の所掌でございますので、原子力災害対策本部長は、当時は菅直人内閣総理大臣でありました。

村上(誠)委員 もうはっきり申し上げます。今回は、本当にいろいろな問題がこれから起こってくると思いますが、私はこれは国家賠償法の対象になり得ると考えております。

 この問題については、さっきから申し上げるように、ポーランドは、二十五年前はソ連の下にあった共産国だったんですよね。そのポーランド政府ですら、この問題についていち早く、ポーランド政府の大臣や厚生大臣が判断してやっておるわけですね。そして、それが日本の内閣でできないというのは、日本がいかに危機管理に対して甘いか、なっていないかということを言っているわけですよね。

 では、そう言うんだったら、その問題について厚生省と、その後直ちに調査をしていろいろなことをやるのかと思ったら、遅いんですよね。まあいいや。これはまだまだ次につなげていくし、またもう一回やりたいと思います。

 次に、事故の原因が究明されていないし、事故の収束のめども立たないのは何が一番大きな問題かというと、溶けた酸化ウランがどこに残っているかということであります。

 お手元に、二枚目にあると思うんですが、このように原子炉というのは一重、二重、三重、五重の壁でありまして、圧力容器、格納容器、そして建屋と、全部で五つの防護壁になっているわけです。一番大きな問題は、この溶けた酸化ウランが格納容器にとまっているのか、それとももう格納容器の外に出ているのか、それともとっくに建屋を突き抜けて、外のコンクリートを突き抜けているのか、実はだれも把握していないんですが、班目委員長、なぜこのデブリの把握がいまだにできないんですか。

班目参考人 御承知のとおり、現場に近づくことが非常に困難ですので、正確な把握は非常に難しいと思います。しかしながら、デブリは、かなりの部分が圧力容器内に、それから、やはりかなりの部分がその外の格納容器内にとどまっているだろうというふうに考えてございます。

村上(誠)委員 ただ、一番大きな問題は、冷温停止も含めてそうですが、その場所が確定できないのにただ水をかけているということは、病気で例えれば、体のどこの部位が本当に病んでいるのかCT検査しないで放射線を当てるようなもので、ますますおかしくなる可能性があると思うんですね。

 特に私が不思議に思うのは、デブリについては、学者においては、ガンマ線を調査してみたらわかるんではないか、それとも建屋の外に穴を掘って計測できるんではないかといろいろ説があるんですが、そういうことは一切、今後ともデブリの位置の確定については努力しないつもりですか、委員長。

班目参考人 これは、できる限りの努力をするべきだというふうに原子力安全委員会としては考えてございます。

 その方法は、計測もあるかもしれませんけれども、シミュレーションといいますか、実際に起こった現象を計算機で再現して、なるべく詳細に調べるという方法もございます。いろいろな努力をすべきであるというふうに、原子力安全委員会としては原子力災害対策本部の方に申し上げているところでございます。

村上(誠)委員 なぜこれをしつこく申し上げますかというと、次の問題に行くんですが、最初のパネルへ戻っていただきたいと思います。

 三月十二日から十五日までは、水素爆発と水蒸気爆発によって、これだけの飛び散ったものは仕方ないんですが、実は、三月二十日から二十一日―二十三日に大量の放射性物質が飛散したんじゃないかと言われています。

 特に鹿野さんにお伺いしたいと思います。この三月二十日に飛び散ったあれが稲わらに付着して牛が汚染されたとされているんですが、農水省はそれを把握していますか。

鹿野国務大臣 農林水産省といたしましては、三月の十九日にいわゆる通達を出しておるところでございます、飼養管理につきまして。(村上(誠)委員「いやいや、飛び散ったのが三月二十日以降の放射性物質によって稲わらが汚染されたんじゃないんですかと聞いている。それを把握していませんかと聞いているわけです」と呼ぶ)はい。これにつきましては、具体的にどういうふうな形で汚染されたかというふうなところは、私どもとしては科学的知見というものは持ち合わせておりませんが、少なくとも、ここに書かれておるような状況の中で汚染された、こういうふうに思っております。

中井委員長 ベテラン同士の質疑ですから言いませんが、勝手に質問、勝手に答弁ということがないようにしてください。

村上(誠)委員 はい、済みません。

 それで、セシウム137の都県別沈着量というあれを見てほしいんですが、実は、ここにありますように、奇異なことに、先ほど申し上げたように、三月十二日から十五日までは当然でありますが、例えば宮城県とか茨城県とか埼玉県とか、三月二十日以降にセシウムの大気濃度がふえているんですね。

 これに関しては、水蒸気爆発や水素爆発がないのに、どうしてこのように大気濃度がふえているんでしょうか、班目委員長。

班目参考人 これについては専門家の間でもいろいろ議論があるところでございます。大気中といいましても、むしろ成層圏に出たものが地球を一周して戻ってきているようなものもございます。それから、当然そのころも原子炉からのセシウムの飛散というのは続いておりますから、それが風に乗って行ったという可能性もございます。今のところ、明確な答えはないというのが実情でございます。

村上(誠)委員 この間、野田さんが冷温停止を国連で非常にPRなさっていたんですが、しかし、先ほども言ったように、冷温停止というのがまやかしである、そして徐々に世論もそのことに気づいておるわけです。

 特に大きな問題は、今申し上げたように、溶け落ちた核燃料がどこにあるか不明のままでやるということと、それから、溶けた核燃料が圧力容器から漏れ、原子炉格納容器にもたまっていると見られ、崩壊熱を出し続けている、そして、厄介なのは汚染水だ、今の冷却系は漏れ続ける汚染水を浄化して再び炉心に戻す窮余の策であるが、継ぎはぎだらけで、全長四キロのシステムに不測の事態が起きれば炉の温度が上がるおそれがあるというふうに、結論を言うと、冷温停止というのは、避難区域の環境の好転に全く無関係であるし、また、安全性の不可逆的な確保を意味していることではない。一言で言えば、閉じて冷やすことになっていないんじゃないか。

 特に大きな問題は、建屋内における地下水があります。東電にお聞きします。一日に何トン、建屋内に地下水が入っていますか。

小森参考人 最初の発話になりますので、このたびの事故にかんがみまして、地元の皆様、国民の皆様、多大な御迷惑をおかけしたことを心よりおわび申し上げます。

 お答え申し上げます。

 地下水は、雨量、あるいは地下水位の変動が伴いますので、日々ある程度変動しますが、日の単位で見ますと、数百トン、四、五百トンのオーダーで建屋内に入ってきているというふうに推定してございます。

村上(誠)委員 ですから、それは雨が降ったりして入ってくる。そして、サリーか何かを使った循環器の水で冷やすけれども、建屋にいっぱい水が入ってきたら量を減らさなきゃいけない。量をそのままにしていたら、じわっと地下の汚染水がどんどん上がってきて、多分、足の踏み場もなくなるということだと思うんです。

 それで、今申し上げたように、このままでいけば本当に収束しません。私は、最初から申し上げているように、津波の来襲前に地震によって安全系が致命的な損傷を受けていた可能性があるんじゃないかと思います。これについては、先ほど班目委員長がおっしゃったんですが、五号機の調査は可能であるんですから、それを綿密に行うことによって、一号機から三号機のインパクトを推定して知見を得ることは可能なはずです。

 それから、敷地内の水理地質学の調査が不十分であって、建屋内への地下水の浸入が深刻化しているし、地下から海洋への放射能流出状態、これが把握できていない。前回も聞きましたけれども、答えがなかったんですが、どれだけほうり込んでどれだけ残っているのか、そのうち、どれだけが地下水や海水に流れているのか。二回やっても、明確な答弁がなかったわけであります。

 それから、先ほど申し上げたように、アメリカが関心を寄せているのは、水素爆発に至ったメカニズムの解明であります。米国の原子力学会の会議では、加圧された格納容器の上ぶたが口を開き、そこから漏れ出たガスが建屋の天井部分に蓄積したと説明しております。ところが、日本は、ベントの逆流によるということで、あいまいさが解消されていません。

 これですと、国内どころか、マーク1型の格納容器の沸騰水型原子炉を運転しているアメリカや台湾、スペイン、スイス、メキシコに対して、何らの改善のための示唆ができません。この事故をきっかけに、少しでも世界の原子力の安全に貢献しようとする意思が見えないということは、本当に情けないと思います。私は、解析や実験を行うことで、この原因解明をより精度よくやって、その結果を世界に共有することこそが事故当事国の当然の責務だと考えています。

 今般の事故の実態や原因解析はまだまだ不十分であって、本来ならば、原子力安全・保安院や他のプラントに対して安全性を宣言する根拠を揺るがす部分でありますが、これらに近々取り組む計画さえ語られていなくて、国民の信頼や国際社会の信頼を得ることは不可能だと思います。

 残念ながら、端的に申し上げますと、今の東京電力にはこれらの問題に取り組む余力がないように見受けられます。専門家にとって極めて初歩的である再臨界の問題でさえ、誤ったメッセージを送っています。やはり至急に、国の主導で専門家を招集して、重要な未解決の問題に取り組むためのタスクフォースを立ち上げて活動を開始すべきだと思いますが、野田さん、どのようにお考えになりますか。

細野国務大臣 冷温停止状態というのは、慎重に確認をしたいと思っております。これは、それこそ世界に対してもしっかり説明をしなければなりませんし、冷却機能の安定化というのも、多重性をしっかり確保して、もうもとには戻らない、つまり、またそれこそ大きな事象に至るということがないような確認はしたいと思っております。その上で、冷温停止状態というのを御説明する形をとりたいと思っております。

 そして、第二ステップが終わりましてから、その後のロードマップというのは、非常に長時間、また困難な作業を伴います。諸外国からのさまざまなアドバイス、支援というのも受けていかなければなりません。したがいまして、そういう段階では、東京電力に任せるということではなくて、国が関与できるような新たな枠組みといいますか仕組みといいますか、そういったものもつくらなければならないと思っておりまして、今、政府内でその検討をしておるところでございます。

村上(誠)委員 細野さん、そんな悠長な問題じゃないんですよ。この間の新聞に、十一月、東電に公的資金一兆円出しているんですよね、損害賠償で。

 私が何を言いたいかというと、取り出せるものと取り出せないものを判別して、どういうふうな最終決着をするかも考えてやらないと、無意味な冷却期間を、私が聞いているところによると、これも答えてくれませんが、アレバ等に五兆円払うという話があるんですね。こんな無駄なことを、まあスリーマイル島は十四年間、冷却機能がありましたからやって意味がありますけれども、何年間もこんな無駄なことをやって、五兆円も取られて、そしてまた、今でさえ財政が破綻状況にあるのに、結局、これは電気代や税金に転嫁されるわけですよね。

 その問題についてもっと真剣に考えないと、細野さんは悠長なことを言っていて、この国はいつまでたっても東日本大震災がおさまらないし、いつまでたっても解決できないし、世界にますます不信を持たれて、日本には後始末ができないんじゃないかと言われている始末なんですよ。もう時間がないのでここでやめますが。

 総理、答える。では、お願いします。

野田内閣総理大臣 村上委員からるる御指摘がございましたけれども、事故の収束なくして本当に日本の再生はないというのは、基本的な考えは御指摘のとおりだと思います。

 それを踏まえて、さっきの冷温停止の解釈の問題はありますが、国の内外にきちっと説明できるように、着実に収束に向かっているということを、情報の公開をしっかりしながら対応していきたいというふうに思います。

中井委員長 東電さん、何か言うことある、もういい。

小森参考人 ただいま総理のお話もございましたけれども、政府と一体となって、我々当事者ですから、現場でとにかく冷温停止状態を目指して頑張っているという状態でございます。先の長いところにつきましても最大限努力していくということは変わりませんし、国内外の最大のいろいろな支援、知見を得て解決に向かって全力で邁進するということについては、いささかも揺るぎない状態でございます。

 引き続き、御指導よろしくお願いいたします。

村上(誠)委員 最後、一言だけ言います。

 冷温停止というのは、あくまで、正常な原子炉が、点検するときに制御棒で温度を下げているのが冷温停止であって、このようにメルトスルーやダウンしてぼろぼろになっている原子炉に冷温停止の意味なんかないんです。それをはっきり申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 委員長として一言だけ申し添えますが、村上さんからは、現場の福島原発の責任者を参考人でというお話がございましたが、どうしても丸一日あけるということはできないということでお断りをした、このことだけ申し添えておきます。

 この際、加藤勝信君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 私は、社会保障について集中的に御質問をさせていただきたいと思います。

 九月に野田政権が発足してから、いろいろな新聞記事の中で、社会保障に係る分野、本当に我々国民から見ると負担増になるものが次から次へと出てきたわけであります。

 ちょっと表にさせていただきました。

 まず最初に、これはサラリーマンの方が本当にびっくりした、いわゆる支給開始年齢の引き上げであります。今、六十五歳に向けてだんだん引き上げられておりますが、それをスピードアップするとか、あるいは六十五歳をさらに六十七、六十八まで引き上げる、こういう話でありました。

 それから二番目の保険料の引き上げ。これは、所得の高い方について、より保険料をちょうだいするべく標準報酬の上限を上げる、こういうことでありますけれども、これは単に所得の高い方の保険料負担がふえるだけではなくて、半分は使用者負担でありますから企業の負担も相当ふえる、こういう中身になります。

 それから医療に関して見ますと、受診時定額負担百円。今でも、私どもが診療所やあるいは病院に行きますと、三割負担あるいは高齢者の方は一割負担等々の負担があるわけですが、それに加えて、受診するごとに百円ずつさらに徴収されるということでありますから、これは、これまでの三割を上限とするという基本的な考え方を覆す、それにつながるものでもあります。

 それからさらに、七十から七十四歳の自己負担。これは今、法律では二割というものを予算措置で一割に凍結している、これを解除して二割に上げる。

 それから介護については、利用者負担の増大ということで、今、負担は一割になっているわけでありますけれども、所得の高い方には二割負担をお願いするなどなど、利用者負担の導入が挙げられております。

 さらには総報酬割の導入。詳しく申し上げませんけれども、これを通じて、結果的に、今、健康保険組合、いわゆる健保に入っている方々の負担が増大するということでありますけれども、マクロで見ると、結果的に、国庫負担が減少して、そして保険料、我々の負担がふえる、こういう中身であります。

 それから最後、共通とありますけれども、これはいわゆるパート等で働く方々を、社会保険、厚生年金や健康保険の適用を拡大するということでありまして、これは確かに、自営業の配偶者の方あるいは単身者等々にとっては負担が減少するという部分はありますけれども、サラリーマンの配偶者である方あるいは使用者方の負担がさらに拡大する。こういうものが次から次へと出てきているわけであります。

 野田大臣の所信表明演説では、希望の種をまきましょう、こういうお話がありましたけれども、これを見ると、種と申し上げたのは、まだ検討中ということですから種でありますが、一生懸命負担の種をおまきになっている、こういうふうにしか思いようがないわけであります。

 私の地元に、よく祭りのときに備中神楽というのがありまして、そこでオオクニヌシノミコトが福の種をまくんですね、大体おもちでありますが。小宮山大臣は就任してから何をまいているか。負担の種を一生懸命まいている、こういうふうにしか思えないんですけれども、厚生労働大臣のまず御見解を聞かせていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 社会保障の一体改革につきましては、これは言うまでもなく、世界一の超少子高齢社会になっている中で、毎年一兆円を超える負担がふえ続けています。それを持続可能な、機能をしっかり強化したものにするために、一体改革をしなければならない。

 これは、政府の方として、社会保障の集中検討会議の方で、六月に政府としてそこで検討したものを一体改革の成案として取りまとめ、八月に工程表、スケジュールが示されましたので、それに基づいて今、厚生労働省の審議会などで一つ一つ議論をしているところです。

 ただ、国民の皆様に、負担の種とおっしゃいましたけれども、そちらの側だけが次々に出てしまっているという、その議論の仕方の順番、それから皆様へのお伝えの仕方は非常にまずいと思っておりまして、それは私の方でも、十月四日に一体改革の推進本部を私が本部長でつくりまして、そこでしっかりと、まず、どのように機能を強化し充実をさせていくかという全体像をお示しをし、その上で、御負担をいただくもののところを個別に検討をし、納得をしていただいて受け入れていただけるような形にしたいと実は思っているんですが、今そのような展開にならずに、一つ一つ、集中検討会議で指摘されたものを順番に検討をしているところが、その検討をするたびに、これがもう厚労省の方針でこうやるのではないかというふうに受けとめられていることについては、運び方がまずかったことはおわびを申し上げ、ただ、私どもの社会保障の一体改革は、高齢者三経費だけではなくて、子供や子育てをしっかり支援する、それから、若者や女性の働き方を含めた就労のところも加えるという形で、しっかりと希望の持てる全体像をお示しをしていきたいというふうに考えております。

加藤(勝)委員 今、大臣のお話を聞きながら、社会保障・税の一体改革成案というのがありますけれども、これ、私どもから見て非常に不思議なのは、政府・与党社会保障改革本部というところでは決定をされているんですが、閣議では報告になっているわけですから、先ほどもいろいろ閣議の議論がございましたけれども、閣議決定ではない。したがって、内閣総員としてそれをするということには必ずしもなっていない。

 そういう中で大臣が進められているということは、大臣の御判断で社会保障審議会のそれぞれの部会に、こういうことについて審議をしてくださいよ、こういうことですよね。したがって、大臣の御判断でお進めになっている、そういうことでよろしいですか。

小宮山国務大臣 その集中検討会議そして政府で決定ではないけれども取りまとめたものについては、厚生労働大臣も参加をして決めておりますので、政府の決めた、こういうものを検討するようにと言われたことの中で厚生労働省が検討するべきところは今部会で検討をしているというのは、私の、責任者のもとでやっていると見ていただいてよろしいというふうに思います。

加藤(勝)委員 したがって、いろいろメニューがある中で、最終的には大臣が、すべきかすべからずか、これは御判断されるわけですから、検討すべきということで今やっているということを答弁をいただいたということでありますが、ただ、問題はこれだけではないわけであります。

 このボードにありますけれども、「保険料と税の負担増」と書いてあります。例えば平成二十四年度を見ても、社会保険料というのは、例えば医療保険料、ここには協会けんぽの事例を書いておりますけれども、協会けんぽの試算によりますと、今、九・五%。これは労使それぞれの合計の負担でありますが、それが一〇・二%、〇・七%上がるということでありますから、一般の皆さんから見ると、〇・三五%分の、いわゆる収入から保険料が上がるということになるわけであります。

 それから、介護保険料。これも今、平成二十四年度から介護報酬の改定になるわけでありますが、それに向けて、全国平均、これは六十五歳以上の方が負担される保険料ということでありますけれども、これが四千百六十円から五千円程度に上がるのではないかということであります。

 さらに、年金については、それぞれ、毎年〇・三五四%、あるいは国民年金については月額二百八十円、このプラス・マイナス・アルファというのは、若干状況によって改定があるということでありますが、上がっていく。

 そして、これに復興増税。その上で、今議論あります消費税が、二〇一〇年代半ばまでに段階的に一〇%まで引き上げられる。こういうことになるわけでありまして、国民から見ると、消費税が上がるんだから、ほかのものは抑制、上がることは抑えられるのではないかというある意味では期待があったと思いますが、こういう話をずっと聞いていると、いろいろなものがどんどん上がって、さらに消費税が上がっていく。まさに、国民から見ると、そういう負担の板挟みに入っている。

 しかも、今、御承知のように、デフレが続いております。皆さん方の平均給与は、いっときに比べてむしろ下がってきている、こういう状況でありますから。これが、かつてのように、高度成長の方にどんどん上がっていくという時代であればまだともかくかもしれませんが、今のデフレが続くような状況の中で、こういうことが次から次へということになりますと、民主党の皆さんがおっしゃっておられる国民の生活が第一ではなくて、国民の生活はむしろ台なしになってしまうんじゃないか、こういう強い危機感を持つわけでありますけれども、野田総理大臣の見解をお示しいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 来年度から保険料の引き上げが見込まれるものとしましては、協会けんぽの保険料、後期高齢者医療の保険料、厚生年金保険料、介護保険の第一号の保険料などがございます。こうした引き上げは、高齢化などによる給付の増加に対応して、制度を持続可能に、維持をするために必要だと考えています。

 ただ、この御負担をいただくだけではなくて、今、それがよくお伝えできていないのは申しわけない、これからしっかりしたいと先ほど申し上げました。

 社会保障の全体像としまして、これは先ほど申し上げたように、未来への投資ということで、子供のところをしっかりやる。それから、医療、介護のサービスの強化ということで、医療提供体制として、在宅医療とか在宅介護、これを地域包括ケアも含めてきちんとやるということ。それから、貧困や格差を是正するためのセーフティーネットをつくる。それから、多様な働き方を、すべての人が参加できるような働き方を支える社会保障制度にするということ。

 そしてまた、それに伴う安定的な財源を確保するということで、当然、無駄は省いていきますが、これだけ世界で一番の超少子高齢社会の中で、これだけの機能を充実するのには、目的税としての消費税もこういう形で必要だというふうに皆様に御納得いただけるように、全体像をなるべく速やかにお示しをしていきたい、そのように考えています。

加藤(勝)委員 消費税の議論というのは必要であることは私も否定はしませんが、ただ、例えば成案の中で見ますと、消費税五%分のうち一%はいわゆる社会保障の充実、機能強化という言葉になっていますけれども、しかし、その機能強化は、実は消費税の一%分だけでは賄えないんですね。年金も医療も、公費の部分以外は保険料やあるいは自己負担によって賄われているわけでありますから、国民負担はそれだけにとどまらない。

 例えば、介護を充実すれば、公費負担とともに、介護保険料と、そして自己負担も当然上がってくるわけであります。そして、被用者の保険料が上がれば、その半分だけ企業の負担も上がる、こういう仕組みになっているわけであります。

 そういう全体を考えると、我々、個々の政策にばらばらに議論をされたのでは、さっきおっしゃった全体像がなかなか見えない。受益と負担の全体の姿が国民に示されて、すなわち、負担は税だけじゃなくて、保険料はどうなるのか、自己負担はどうなるのか、こういったものが見えないと、やはり私は理解を求めること自体が無理なんじゃないか。

 そういう意味で、そもそも社会保障と税の一体改革というこのタイトル、一般的に社会保障といえばむしろ受益の部分を我々はイメージをするわけであります。片や税、これ以外には社会保険料や自己負担もあるわけであります。何でこういうタイトルにされたのか。

 むしろ、社会保障全体の負担はこうなりますよ、そして保険料や自己負担はどうなりますよ、こういうことをきちんと示していく。しかし、残念ながら、この成案の中に書いてあるのは公費負担だけであります。

 それを考えると、社会保障を考えておられるのか、むしろ財政再建の方にかなり傾いているんではないか、こういう思いがするわけでありまして、野田総理は、前財務大臣でいらっしゃいますから、何かその影響を非常に強く引きずっておられるんではないのかな。

 むしろそれ以外の、国民から見たときの負担がどうなるのかということを初めに示して議論をしなきゃいけない、私はそう思いますけれども、総理、どうしてそういう全体像をお示しにならないんですか。

野田内閣総理大臣 基本的には正しい御指摘だと思います。

 今回のこの一体改革成案をつくるときも、社会保障改革、公費の負担もあるけれども、御指摘のように、保険料どうするんだ、自己負担どうするんだ、そういう全体像が見えなければおかしいねという議論は相当ありました。

 そういうことも含めて、今厚生労働省のもとで行われている審議会については、それぞれのテーマについて、やはり全体像がしっかり見えるような、そういう議論をしていただきたいというふうに考えておりますので、私の認識は全くそれは同感でございます。

加藤(勝)委員 いや、私が申し上げているのは、ばらばらで、政策テーマごとではなくて、それをパッケージにした中で、それぞれの国民の皆さんの、消費税もふえます、それはいろいろふえざるを得ない部分もあるかもしれないけれども、トータルとしてどうなんですかというのをやはりきちんと示されないと、この話に乗っていっていいのか、乗るべきじゃないのか、これは判断できないわけですよね。

 そういうものをお示しになるべきだと思いますが、総理、お示しになるお考えはありますか。

安住国務大臣 基礎的なことなので少しお話しさせていただきますが、税金からのお支払いと保険料のことを含めて、今トータルで百八兆かかっているわけですね。医療費、年金、介護、子育て。これが二〇二五年には百四十五兆になるわけです。それはもう大変な負担がふえていく。

 例えば、介護だけ見ても、先生は一番御存じだと思いますが、最初の一期の平成十二年から十四年で二千九百円の一号保険料だったのが、今は四千百六十円、どうしてもこれは制度上負担が上がってきている。

 ですから、トータルとして、国民の皆さんにわかっていただきたいのは、これは大変な保険料、社会保障全体の経費がかかっていくので、その中で税もまた、これは保険料もさまざま工夫をしながら、今の制度を維持するための負担というものは、ある程度、やはり制度設計を含めてやむを得ない部分があるんだということを前提に、税と社会保障という名前で改革案をこれからつくっていくことになるということでございます。

加藤(勝)委員 ですから、一体改革の成案とおっしゃるわけですから、個々の、たまたま今回介護の問題が出てくるというのとは違うわけですね。全体を見てきちっとお示しをされる。

 ですから、それをまずお示しいただかなければ、国民的な議論は私は深まらないと思うんですが、総理、そういうものをお出しになるお考えはありますか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まさに六月にまとめました社会保障・税一体改革案、これが今までの、従来の政権の中ですと、社会保障といいますと基本的には厚労省がやっているような形で、その財源面といたしましては、先ほど委員からも御指摘がありましたように、保険料で負担をするのか、あるいは税で負担をするのか、あるいはその場で自己負担していただくのか。これは国民から見れば、負担の仕方が違うだけで、トータルとして負担をするという意味では同じでありますから、やはりそういう全体を見ていかなきゃいけないということで、この社会保障という、普通、社会保障というと厚労省に限られるところがありますから、税制改革も含めて一体として見ていこうということで、社会保障と税の一体改革というものを我々は枠づけをして、そして成案というものをまとめさせていただいたわけでございます。

 そこには、今御指摘があったようなさまざまな部分の、ではここは負担を保険料でお願いしよう、あるいはここの部分は自己負担でお願いしよう、ここは税で御負担をお願いしよう、そうした部分がトータルとして含まれております。

 確かに、御指摘がありましたように、しっかりそこが伝わっていないという部分については、これは我々まだまだ努力不足だと思っておりますので、きちんとその全体像をお示ししていくようにしていきたいと思っておりますが、まさに今、この成案というのは、そうしたもの全体をテーブルに置いて、ぜひこれは野党の皆様方にも、これは加藤委員を初め野党の皆さんも今までいろいろな状況の中で苦労されてきて考えてこられたことだと思います。今、社会保障が置かれている状況、そして同時に日本の財政が置かれている厳しい状況を考えれば、社会保障をきちんと安定させ、そしてその社会保障を支える財源をきちんと安定させる、これはだれが政権を担うに当たってもやっていかなければいけないことだと思います。そうした案を提案しておりますし、ぜひこれは私どもも皆様方の御意見もしっかり伺ってまとめていきたいと思っておりますので、ぜひ御協議させていただきますようにお願い申し上げたいと思います。

加藤(勝)委員 ですから、そういう議論をする前提として、もっといろいろなものをお出しになっていかなければ国民の方々はおわかりにならない、こういうことでありますから、そういう全体像が見える資料、それは出していただけますね、総理。

 要するに、今の成案だけで判断しろというのは、これはできませんよ。だって、公費の話しか書いていないんですから。だから、保険料はどうなんだ、自己負担は最終的に、例えば二〇一五年あるいは二〇二〇年の段階でどういうところを想定していてこういう話になっているのか、やはりこれが見えなければ先へ進まない、進めない、私はこう思うんですけれども、総理、ひとつ決意を示してくださいよ。

野田内閣総理大臣 社会保障のこれからのあり方というのは、与野党が胸襟を開いて成案を得ていって、政権がかわろうとも基本的な構図というのは変わらないというのが基本だと思いますので、そのための議論をするためには、判断材料となる資料については、共通認識の持てるように、極力というか、基本的にはオープンで対応するべきものと考えております。

加藤(勝)委員 しかし、そこにあっては、大体このぐらいの必要量というのはある程度一緒になるかもしれませんが、それを保険料で賄うのか、税で賄うか、税のうちで何を賄うのか、これはそれぞれ考え方が違う。したがって、私は、税の議論だけじゃなくて、全体を見て、野田政権として、あるいは野田総理としてどういうものを考えておられるのか、これが示されなければ物事はスタートしないんじゃないかということを指摘させていただいたわけであります。

 そして、そういう議論をしていくと、当然、公平というのは非常に大事な議論になってくると思います。

 第三号被保険者問題、これはいろいろ先般の厚生労働委員会でも厚生労働大臣と議論させていただきました。大臣の方からは、これは生き方の選択、ライフスタイルによって不公平でない制度にしたいんだ、こういうお話でありました。しかし、今の現状については不公平だというのが大臣の認識だったんです。

 ちょっとパネルを出していただきたいと思います。ちょっと小さいパネルで、あるいは小さい資料で恐縮なんでありますけれども、ここに、これは一つの議論をする素材でありますからあれですけれども、専業主婦の世帯、これは、専業主婦の婦は、男性の方が専業主夫であってもそれは構わないのでありますが、ここには専業主婦と書かせていただきましたが、専業主婦の世帯、共働き世帯、自営業世帯の保険料、年金額、これは四十年加入の場合どうなっているのかというのをつくらせていただきました。

 ただ、専業主婦の世帯を見ていただいたらわかるように、年収七百二十万、この場合には夫がすべて稼いでいるわけですが、保険料は夫のみが払う。そして共働き世帯は、一つの事例として、夫が四百八十万、妻が二百四十万、一応一つの仮定を置かせていただきました。この二つを比較すると、この世帯の払う保険料は両方とも四万九千二百三十六円、こうなっていますね。そして、この世帯が受ける年金額もトータルで二十六万三千円、こういうことになっているわけでありますから、ここには不公平は私はない、家族単位で見たら、世帯単位で見たら不公平はない、こう思うんですが、大臣は一体何が不公平だとおっしゃるんでしょうか。

小宮山国務大臣 恐らく、加藤委員と私が言っている公平、不公平の立ち位置が違うのだと思います。

 加藤委員がおっしゃいますように、私は、女性の働き方、生き方が、その選択の仕方によって社会保障の制度などで不公平であってはいけないと、民主党の中ではずっとそういう形を男女共同参画の中でも考えてきたので申し上げました。

 結局、三号の被保険者は、直接、高額所得の、ここにあるような御家庭の専業主婦であっても保険料は負担をしていない。だけれども、世帯の収入が低くても母子家庭の女性はその専業主婦の妻のために保険料を払うというのは、女性の生き方から見たら公平ではないでしょうということを申し上げました。

 ただ、その母子家庭の母の支払う保険料が高所得の被保険者の専業主婦の年金の財源に回る仕組みになっているということですけれども、御指摘のとおり、厚生年金の仕組みの中では、母子家庭の母は高所得の被用者が支払う保険料による所得再分配の対象となっていますので、世帯単位で見たらそこは公平だという考え方は成り立ち得ると思っています。

 私が申し上げたのは、やはり、これからの本当に肩車型になっていく日本の社会の中にあって、女性も能力を発揮して働けるような環境を整備したい、そのためには、この三号の問題、配偶者控除の問題、さらに今検討しています非正規で働いているパートの皆さんの保険の範囲を広げることなど、あわせて考えていかなければいけないというふうに思っております。

加藤(勝)委員 今の大臣の御答弁の中で、専業主婦の奥様、妻は保険料負担をしていない、そして母子家庭のお母さんが、正直言ってなかなか高い所得をとることができない、低い所得の中で負担をしている。

 例えば、この事例の中の共働き世帯の妻というところ、御主人を切ると二百四十万の母子家庭、こういうことになるわけであります。そうすると、この場合に、専業主婦の妻は確かに保険料はゼロであります。しかし、共働き世帯のこの妻に該当するいわゆる母子家庭の母親は、二百四十万の年収で一万六千四百十二円の自己負担の保険料を払っている。そして、将来的に基礎年金六万六千円と報酬比例四・四万円をもらうことになるんですが、報酬比例の部分というのは、もちろん言葉どおり報酬比例ですから、これは直接関係なくて、問題は基礎年金部分の所得再配分ということになるんですが、大臣に教えていただきたいのは、この一万六千四百十二円のうち基礎年金のために払っている保険料はどのぐらいなんですか。

小宮山国務大臣 四%から五%だと思います。

加藤(勝)委員 そうすると、四%から五%ということになると、さっきおっしゃった計算をすれば出てくるのでありますけれども、結果的に、二百四十万であれば、例えばその下の自営業者、この場合は定額でありますけれども、一万五千円には到底到達しないんですね。多分九千円ぐらいになると思いますから、その半分ですから四千五百円。だから、大臣はすぐ肩がわりするとおっしゃるんだけれども、必ずしもそうではない。私は、そこはちょっと違うんじゃないかな。

 むしろ問題なのは、大臣も御指摘されているように、一号の場合、自営業者の場合の妻という方、そしてサラリーマンの妻という場合は違う、これは確かにあるかもしれません。しかしこれは、例えば、逆に言えば、自営業者の御主人は、年収が幾らだったとしても、基礎年金しかもらえませんけれども保険料は一万五千円、こういう二本立ての制度になっているというところに問題の本質があるのであって、私は第三号被保険者の問題イコール今言った働いている女性と家におられる女性の不公平ということには直ちにつながらないと思いますし、いわんやアメリカやイギリスにおいてはやはり日本と同様な制度はあるんですね。

 ですから、そういうことを、大臣は全部そこへ引っ張っていこう引っ張っていこうと、私は非常にそういう懸念を強く持っておりますけれども、大臣、何かありますか。

小宮山国務大臣 今、厚生年金の中での不公平ということを私は申し上げているつもりなんですね。ですから、これは今、全体を党の中で、マニフェストでお約束した一元化の方向に向けての議論も進んでいると思いますので、将来的には一元化をしていけばこういう問題は全部解消する。けれども、今のままだと、スライドしていく期間が四十年近くかかりますので、改善できるところは一つ一つ改善していこう、そういう取り組みをしているところです。

加藤(勝)委員 厚生年金の中でという議論はちょっとわからなかったんですが。

 もう一つ、この第三号被保険者の問題で、ことしの二月、三月の予算委員会で大変問題になった不整合記録問題があります。ちょっとパネルを出していただきたいと思います。

 私も、そのとき、この予算委員会で質問させていただきました。当時のことですから、若干簡単に触れさせていただきますと、このパネルで見ていただいてわかりますように、上が御主人、真ん中が妻、三つのこういう横の長方形がありますけれども、御主人がサラリーマン、これはいわゆる二号と言われますが、このときであれば、奥さんは、例えば所得がなければ、サラリーマンの被扶養配偶者として三号、こういう取り扱いになるわけであります。

 そして、御主人が、では自営業に転じようといって会社をおやめになった。そうなると、当然奥様も、例えば自営業者の妻という形になれば、これは一号保険の対象になる。そして、切りかえたときに届け出をしなければならない。これが本来の対応であるわけですけれども、何かの事情、いろいろな事情があるかもしれません、結果的に届け出なしのままいきますと、記録上はサラリーマンの被扶養配偶者、三号のままずっと続くわけであります。そして、それが終わって、いよいよ年金裁定になって、この間違った記録のまま年金が裁定されると、まさにその部分が、いわゆる不整合記録の部分が過払いの保険料、年金の過払い、こういうことになる。

 これが一つの原点であり、そして当時、問題になったのは、当時の長妻厚生労働大臣のもとで、この過払い部分を訂正しなければいけないものを、課長通達一本で、訂正しなくていいですよというようなことをして、国民も、そんな不公平なことがあるかということで大変な議論になったわけであります。

 そして今、当時、長妻大臣のもとで対応された、運用三号という言い方をされていました課長通達によって、本当は修正されなきゃいけないものをそのまま、不整合のまま認めて、結果的に過払いの年金が支給されている。これはまだずっと続いているんですね。

 当時、いろいろ議論がありまして、総務大臣と厚労大臣がいろいろ協議をしていただいたわけでありますけれども、それぞれの有識者やいろいろなところでは、何しろ早く答えを出して早く是正をしろ、こういうことになっていたはずでありますが、大臣、まだ法律が出てきていないんですけれども、いつお出しになるんですか。

小宮山国務大臣 この法案につきましては、今、与党の中ともいろいろ話をしておりまして、調整の最終段階でございますので、間もなく提出をしたいというふうに思っています。

加藤(勝)委員 これは、計算すると、年間六億円ぐらいの過払いが発生する、こういう対象者が五万二千人ぐらいということでありました。

 そして今、法案を議論されているということでありますけれども、新聞報道を見ると、本来、過払い部分について返還を求めるべきものを返還を求めないんだ、こんなようなことが民主党の中で議論され、そういう方向で決まったかのように出ておりました。

 私は、これはとんでもない話だというふうに思いますが、その前に一つお伺いしたいのは、今の時点で、どこの時点で訂正を考えておられるんですか。年金記録の訂正をどこでおやりになることを考えて議論されているんですか、大臣。

小宮山国務大臣 この第三号の記録不整合法案、これでは、保険料の追納が可能になるまでに二年、その追納可能な期間を三年間とすることから、受給者の年金が実際に減額されたりするのは公布から五年後ということになります。

 これは、さまざま、今の扱っているもののほかに、また二重にその記録の管理をしなければいけないことなどから、私ももっと早くできないかというふうには言ったんですけれども、どうしても今の仕組みの中でやるにはこれだけ期間がかかるということです。

加藤(勝)委員 今の大臣の説明をちょっとパネルにさせていただきました。

 要するに、今、二十四年一月の法律公布、まだ法律も出ていないんですから、法律公布というのは非常に早い話でありますが、一応そこを原点といたします。

 一般の皆さんは、法律公布の時点で、これは訂正が行われて、過払いですから、もう既に行われたもの、したがって、さかのぼって五年、この図でいえば青い部分、ここをどうするのか、こういうふうに議論されていると思います。緑の部分は、もう五年たっていますから、これは時効ということでなかなか返還を求められない。

 しかし、今の大臣のお話を聞くと、その時点はさらに特例追納開始の二年以内、これは法律に、多分そんな形になるんでしょう。プラス特例追納終了ですから、五年。これから五年先の時点に立って、五年分の返還を求めるかどうか。しかも、それは求めませんという話になっている。

 皆さん、これを聞いていただいて、これまでの分ならいろいろな議論はあるかもしれない。しかし、これから五年間過払いをして、その分は返還を求めませんよ、そんな議論は、国民の皆さんは到底受け入れられないと私は思いますけれども、大臣、そういう方向になるんですか。

中井委員長 もう時間が超過しています。

小宮山国務大臣 今回の三号不整合の法案の基本的な考え方として、公平の観点ともう一つ生活への配慮という、年金受給者の六割は年金だけで生活していらっしゃる、その両方のことから考えて過払い分の返還は求めないとしたところです。

 そして今、期間の問題につきましては、不整合記録のある方の追納の記録を管理していく仕組み、これを新たに構築する必要があることから、追納が可能となる時期は公布から二年以内に政令で定める日とすることを考えています。

 また、追納可能な期間については、年金確保支援法案の、国民年金保険料の納付可能期間の延長、二年から十年にしたことによる保険料のさかのぼり納付が、国会での御審議、これは御党の御主張も入る形で行った中で、モラルハザードを防止する観点から三年間の時限措置と修正をいただいた、その御趣旨を踏まえて、同様に三年間の時限措置を考えています。

 どのぐらい追納されたかというのは追納期限日が来て初めてわかることから、追納分に見合う年金額を支給するのは公布から五年以内の日ということになっていまして、こうした期間は追納を促す趣旨で設けているもので、一定の期間が必要となる点はぜひ御理解をいただきたいと思っています。

中井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、野田毅君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野田毅君。

野田(毅)委員 G20の会合は御苦労さまでした。これをめぐっていろいろお聞きしたいこともたくさんあるんですけれども、その前に、まずは当面、この復興予算、特に復興財源について多少お伺いをしたい。茂木政調会長からある程度この復興予算についての問題点は指摘をされておりますので、少し焦点を絞っておきたいと思うんです。

 特に、この復興債の償還期間について、三党の幹事長で二十五年というようなことで合意をしたということなんですね。ただ、多くの人から見ると、五年、十年、十五年、二十年、二十五年、六十年、何を基準にしてそうなっているんだということについて、少しわかりにくいという話があるんですね。改めて、この考え方、復興債の期間についてどういう考え方で、総理は十年ということで最初こだわったということですが、背景について一言頼みます。

野田内閣総理大臣 償還期間については、復興の基本方針の中で、将来世代に先送りをすることなく、今を生きる世代が連帯をして負担を分かち合うという考え方をとることにいたしました。

 そうしますと、一番整合的なのは、その償還期間といわゆる復興期間、集中復興期間は五年間でありますけれども、いわゆる復興期間は十年間になっていますので、復興のつち音がトンチンカンと聞こえる、そういうときの方が、御負担をいただく場合には、その実感とが合致できるんではないかと……(発言する者あり)トンテンカンです、失礼いたしました。私がとんちんかんでした、済みません。という、整合的であった方がいいだろうということと、あと、やはり一般の公債と区分して管理をするという復興債の意味づけというのも、そういうところにもともとあったんだろうと。

 そういうことが背景に、基本的には十年を基本とするということとさせていただきましたけれども、その後、政調会長同士の会議、そして今日に至っては幹事長同士の会談でありましたが、基本的にはこの期間については一定程度柔軟に対応するということを申し上げてまいりました。そこで、今御指摘のような数字が出てきているというふうに承知をしています。

野田(毅)委員 トンチンカンではなくてトンテンカン、何かそういう話だったんですが、実は、その説明じゃいかぬのですよ。

 というのは、大変大きな被害があって、その被害で苦しんで、一刻も早く復興しなきゃならぬというのは、規模は違うけれども、毎年のようにたくさんの水害、例えば、ことしも十二号なり十五号なりたくさんあるわけです。被災者から見れば、同じように深刻な打撃を受けているわけですね。

 そういう中で、それ以外の、従来からの大災害を含めて、ほとんどのものは四条国債で処理しているわけですね。建設国債、六十年です。何で今度だけ六十年じゃいけなくて、何で今度だけ短くしなきゃいけないのか、東日本だけ。ということになると、そんなに東日本の災害だけを目のかたきにしなきゃいかぬのでしょうかということになるんですね、そこのところは。では、ほかの十二号、十五号なりは、そんなにみんなで分かち合わなくてもいいという話になるんですかということになると、やはりここは考え方をきちっとしなきゃいかぬねということなんですよね。それはどうですか。

野田内閣総理大臣 今までもそれは、毎年のように台風の災害があったりいたしました。そういうものについては、基本的には予備費で対応したりとか補正予算で対応したりということで賄ってきたというふうに思うんです。

 問題は、やはり一つは規模であって、今回、額はまだ少ないという御指摘もありますけれども、少なくとも五年間では十九兆円かかる、そして十年間では二十三兆円かかるというものでありますので、したがって、まずは無駄をなくしていく、あるいは税外収入を確保するということはやりますが、やはり時限的な税制措置で国民の皆様にひとしく御負担をいただくという考え方をとらざるを得ないという大きな震災であったということです。

 では、阪神・淡路のときはどうしたんだというお話がありますが、当時とはやはり財政状況は著しく変わってきているということもありますので、だからこそ、一般の公債、建設国債や特例公債とは別に、復興債という概念を使って別管理をしていく、そういう考え方のもとで対応させていただいているということであります。

野田(毅)委員 まさにおっしゃるとおり、そこなんですね。今、それでなくても、日本の国債残高が世界で一番大きいんだ、あのギリシャよりかはるかに大きいんですよ。いつ何どきどういうことになるか、大変大きなリスクがありますね。したがって、国債の金利がどういう影響を受けるのか、市場の信認をどうやって確保できるのか、そこがポイントだ。だから、財政規律を大事にしたいというなら、そのようにおっしゃるべきなんですよ。その一世代がどうとかじゃないんですよ、本質は。

 だから、従来からの一般の財政再建問題、それにかかわる国債に対するアプローチの仕方と、今回は一過性のものなんだから、規模からいえば、だって、片っ方は一千兆円だ、今度は幾ら行ったって二十兆円足らずですよ、後で幾ら膨れるにしたって。しかも、一過性の話でしょう。こっちは、毎年毎年四十何兆も出しているんでしょう。

 そういう意味で、これはどんぶり勘定にしたら財政規律がおかしくなるから、あくまで別勘定にしましょう、区分経理をすることによって規律を維持しよう、これが本質であって、償還期間が本質なのではないんですよね。だから、やはりこの問題に対する内閣の、政府のスタンスが国民にはわからないんだ。何が大事なんですかと。だから、我々が特会を主張したのはそういう意味なんですよ、どんぶり勘定じゃいけませんよと。その点についてどうですか。

野田内閣総理大臣 今の野田委員の御指摘のとおりに、だから復興基本法ができたんだと思うんです。したがって、その八条、九条については、一般の公債とは別管理で、そして資金の透明化を図るということだと思います。

 ただ、この与野党合意ができたときに、その別管理の方法を、特別会計にするのか、そうでないやり方があるのかというところは、当時、まだ与野党で詰め切れなかったというふうに記憶をしておりますが、最近のまた三党の政調会長間の協議の中で、特別会計のやり方がいいのではないかという御党の御提起が出ていることは承知をしていますし、せんだっての本会議における谷垣総裁の御質問にもございました。

 別の管理をするやり方の中で特別会計というやり方は一つの有用な方法だというふうに思っておりますので、この与野党協議の状況を見守りながら、平成二十四年度からということならば、それは実施をしていくことは可能であるというふうに思います。

野田(毅)委員 これは、これから政調会長の協議の中で詰めてもらうことになると思います。

 我が党は、二十四年度からということでオーケーしたわけではない。二十三年度からやってくださいということを改めて強く申し上げておきます。これは非常に大事な、この予算の出口にかかわるポイントの一つですから、その点はしっかりとよろしいですね。改めて、今総理が二十四年度からという話があったから、それでいくと、うまくまとまらないんじゃないんでしょうか、危惧をいたします。その辺はどうですか。

野田内閣総理大臣 私が申し上げたのは、実施をするとすると二十四年度からやらざるを得なくて、例えば、今のこの補正の審議をしている際に、三次補正からそれを措置ができるかというと、システムの問題も含めてちょっと時間がかかると思います。

 ただ、二十四年度から特別会計を導入するとしても、例えば二十三年度に復興のために使ったお金、その財源については、二十三年度もさかのぼって入れていくということは可能だと思います。

 加えて、私ども、来年の通常国会までに特別会計法の見直しをもともと提出する予定であります。そういう全体像の中でも、新たなこういう特別会計というのが必要なのかどうかということもあわせて議論をしながら対応していきたいというふうに思います。

野田(毅)委員 これは後の協議にゆだねたいと思うんですが。

 そこで、午前中にも政調会長から指摘があったんですが、これは、今度の政府の出された予算案の中の部分を取り出したんですけれども、復興増税の規模についてなんですね。これは、政府の提案された今度の法案の中でも、復興増税の規模は十一・二兆円だということになっていますね、十九兆円という総額の中から。

 しかし、これをずっと、政府の、忠実にいくと、どうも復興と関係ないのが入っていますね、被災地と。そのうちの一つはB型肝炎、これは違いますね。それから年金財源、これもちょっと違いますね。それから全国枠は、これは、午前中は何か四兆円ぐらいあると大臣はおっしゃった、みずから認めているが、表に出ているだけで一・八兆、約二兆円ほどありますね。

 これを、言うならば、今回の償還財源とセットにして、これだけ増税で手当てをしようということですから、考えてみれば、本来なら建設国債なり赤字国債で裏打ちすべきものを、この際、便乗で、復興債で手当てして、その償還財源を増税で裏打ちしようというんですから、結果としては、増税規模がこの分だけ大きくなっておるということになるわけですよね、増税規模が。違いませんか、大臣。

安住国務大臣 先ほどもお話しさせていただきましたけれども、確かに、先生おっしゃるように、この東日本大震災と全国防災の事業等、いろいろ入っているじゃないかと。それで、幾らなんだということなので、私としては、多分、財務省的にしっかり分けると、建設国債に機械的に当てはめれば、おおむね四兆円ぐらいのものはありますねと。しかし、これはもう緊急、急ぐものということで、今回、輪切りをさせていただいて、これに盛らせていただきました。

 なお、年金の国庫負担分のことについては、まさにこれは震災とは関係ございませんが、先生御存じのように、四月の三党合意に基づいて、これは復興債を充当するということでありますので、今年度分に関してはこれに充てさせていただく、B肝についてもそうさせていただくということになっております。

野田(毅)委員 年金の話は、またいずれ時を改めてやりたいと思います。

 ただ、これは、二十三年度の一次補正で復興のために使っちゃった、穴があいた、だから、その穴埋めで復興債でやるという話であることは知っているんですよ。では、来年度予算、その次の年度の予算、今の政府の案からいえば、この穴はどうやって埋めるんでしょうね。では、また三分の一に戻すんですか、どうでしょうかということについて答えがないですね。

 どっちみち、これは、後で出ますけれども、平成二十一年度の法改正の附則の中で、基礎年金を二分の一に上げるということに伴う財政問題、財源問題としての税制の抜本改革ということは明記してあるわけですね。いずれにせよ、三分の一を二分の一にする財源は、一にかかって消費税にかかっているんだということはみんなわかっている話でしょう。わかっていてあえてここに出すということは、結局、その部分、復興増税の額を、規模を大きくするという結果を招いているので。

 その点について、今回、いろいろ御議論があるけれども、結局は、普通国債の額をできるだけ減らして復興国債の方にやっていこうという、そのための知恵を出したんだね、こういうことなんだけれども、正直にそのことをおっしゃればいいんだ、四の五の言わないでね。どうですか。

安住国務大臣 イタリアでは、我が国よりも対GDP比における債務残高は、先生御存じのように、低いわけであります。しかし、そういう中にあって、長期金利は六・六%近く、はね上がって、今大変な状態になって、IMFの管理下にまで、チェックを受けるということになっております。

 ですから、先生御指摘のように、赤字国債をこれからどんどん使えばいいということは、全く我が国にとってとり得る選択肢ではないわけでございます。一次、二次、三次と、これはいわば、税外収入含めて、知恵を出していただいて、与野党で赤字国債を結果的に発行しないでやってこられた。その延長線で、今先生からお話のあったような視点というか観点でも、やはり償還財源の財源確保というものは必要であろうというふうに私は判断をいたしまして、編成をいたしました。

野田(毅)委員 全く答えになっていないですね。

 釈迦に説法かもしらぬですけれども、イタリアと日本を一緒にされるほど日本はまだ落ちぶれていませんよ。おわかりでしょう。国債を消化するためにどれだけ外国に依存しているか。日本がこれだけ大きな国債を発行しておきながら、なぜ金利がこれだけ安くて済んでいるのか。まさに、やはり客観情勢が違うわけだから。今ここであなたからイタリアの話を聞くとは思わなかった。それは筋が違います。それだけは言っておきます。

 それから、赤字国債を与野党一緒になって協力してできるだけ減らすようにしてきたということはないです。逆です。我々は、赤字国債を極力減らせと言ってきた。だけれども、あなた方は、コンクリートから人へということで、むしろ建設国債を減らして赤字国債をふやす方向を一生懸命やってきたんじゃないですか。全く逆じゃないですか。そうでしょう。鹿野大臣もおられるけれども、農業土木だってみんなそうじゃないの、土地改良予算をばさっと削って。そうでしょう。六割も土地改良予算、ほとんど建設国債だ。それを、そんなものを今度はばらまきでやるわけでしょうが。

 だから私は、やはり今まで、いろいろな必要な公共事業を目のかたきにして減らして、とにかく建設国債を減らすことばかり一生懸命やってきたので、むしろ赤字国債に対しては非常にわきが甘かったということだけは、これはきょうのメーンテーマじゃないからもうそれ以上言いませんけれども、そこだけはちょっと指摘をしておきたいと思うんですね。

 そこで、今イタリアのお話があったので、G20について伺いたいと思うんですけれども、今度の会合は、最大の問題は、ちょっとギリシャの問題が前に出過ぎたので少し目がそっちに向かっておりますけれども、やはり本質は、日本も含めて、アメリカも含めて、世界各国が膨大な財政上の危機、言うなら国家債務が非常に大きくかさんでしまった。これがある意味では欧州の危機の背景にもある。世界全体が、リーマン・ショック以来、大幅な財政出動をする、そういったこともあり、また、金融機関がおかしくなってまたそこに資本注入をする、さまざまなことで、今や債務危機が世界共通になっている。つまり財政再建問題だ。

 ですから、今回、総理の発言、マスコミの扱いでは消費税の引き上げの公約ということだけが表に出ていますが、もう一つ柱があったはずですね、今回のサミットで。それは、むしろプライマリーバランスに関連する話だったと思います。これも改めて重ねて公約したはずです。二カ所ですね。そういう意味で、このプライマリーバランスの改善という問題、これは世界各国共通のテーマとしておやりになっている。

 そういうことで、まず、今回のサミットで日本が国際公約というかコミットをしたということについて、二つあったということは確認できますかね。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、プライマリーバランスに関する記載もカンヌ・アクションプランには入っています。ただ、これは今回突然入れたんじゃなくて、従前のG20でも日本から御説明をしている話で、要は財政運営戦略であります。二〇一五年までにプライマリーバランスの赤字を対GDP比で半減させる、二〇二〇年までに黒字化をしていく、その後、全体的に債務が縮減をしていく、そういう基本的なシナリオを日本は国際社会に御説明をしてまいりました。ということをもう一回確認したということが一つであります。

 その上で、御指摘のあるように、二〇一〇年代半ばまでに消費税を段階的に一〇%まで引き上げていって、それについては今年度内に法案を提出するということをあわせて御説明し、カンヌ・アクションプランに入れたということでございます。

野田(毅)委員 それで、世界全体が共通の財政再建問題で頭を痛めているわけで、これは八月でしたか、財金委員会で、まだ当時、総理は財務大臣であったときに申し上げたんです。

 今、法人税引き下げ問題がありますね。私はそのときに、お互いが法人税引き下げ競争をするということはどういうことなんだと。これは、為替の引き下げ競争と同じ、昔でいうと、保護主義を広げるのと似たようなことだな、結局、近隣窮乏化じゃないか。世界の国が企業を我が国に呼びたいのはみんな当たり前で、お互いが引き下げ競争をやって結果はどうなんだろう。

 ということであれば、本当にそれはプラスになるんだろうか。法人税の引き下げをやるのもいいが、お互いに、逆にそれに歯どめをかけるような、そういったことをIMFなりG20なりで、日本発でやっていいんじゃないですか、むしろ、そっちの方が大事じゃないですかと。お互いが財政をよくしようというときに、お互いが財政を貧乏にしようという話ばかりやっている、それでいいんですか、せめて日本発のメッセージでそのくらいやったらどうですかということを申し上げたんだ。

 今回、そのことはお話しされましたか。

安住国務大臣 私、先生のところにお邪魔させていただいたときもその話を伺って、世界の潮流からいえば、実は、ディスカウント競争は、財政再建を含めて苦しい中で、そろそろやめた方がいいのではないかというのは全くそのとおりだなと思って今回会議に臨みました。

 来年、実は、G20の開催国はメキシコでございます。そこで、主要議題をどうするかということで、最後のセッションで蔵相間で話をさせていただいたときに、各国から今先生の御指摘のような話がありまして、ヨーロッパでは、金融規制に対する法律をつくりたいと。また私も、そういう点では、法人税を含めてルール化をしたらどうだろうかというような話がありまして、トータルでいうと、メキシコでの、今後のG20の中で主要なテーマの一つにこれからなっていくのであろうというふうに思っておりますので、全く、先生の先見の明に私改めて大変尊敬をさせていただきました。

野田(毅)委員 別に尊敬してもらわなくたっていいんですけれども。

 やはり、日本の国益、あるいは世界じゅうが共通の苦しみを持っているときに、世界の方にどうやって合わせるかできょろきょろするんじゃなくて、日本発でしっかりとメッセージを出すという外交交渉というのも大事なことじゃないか。TPPに関することも似たようなことだと思うんですよ。乗りおくれるな、乗りおくれるなばかりやるんじゃなくて、日本としてどうするんだということがないとおかしいね。

 そういう点で、先ほど、G20で二つの約束をされた、特にプライマリーバランスの話がありましたね。そこで、今これはパネルを出しているんですが、財務大臣、財政健全化責任法案、我が党は三度にわたって出しているんですよ。去年の通常国会、そして去年の臨時国会、そしてことしの通常国会、いずれも民主党の皆さんによってつぶされております。我々は、そういう意味で、これだけ、国際公約までプライマリーバランスについてやろうとおっしゃるなら、その内容、今パネルを出しておりますが、どこか違うところがありますか。

安住国務大臣 ちょっと経緯を私もお話をさせていただきたいと思います。

 自民党の出された財政健全化責任法案については、私、国会対策委員長でございましたので経緯はよくわかっているつもりでございますが、最初、参議院に出していただいて、審議をやろうというところで、たしか責任者は林先生だったと思いますけれども、一回出し直させてくれということで、少し内容が変わったものを出していただいて、それで参議院の方で議論をし、八月に入ってから廃案の手続になったということでございますが、内容については、当時の岡田幹事長がおられますけれども、大変我が方と考え方が近いということで、ぜひ特例公債法等とあわせて議論をさせていただければというふうに思っておりましたけれども、結果的に廃案になってしまったのは残念だと思います。

 内容につきましては、三十三年度以降の各年度末における国及び地方の債務残高の対GDP比を安定的に低下と五条一項一号で書いてあります。また、フローの部分でいっても、二十七年度までにプライマリーバランスの対GDP比を二十二年度から半減ということですから、くしくも我が方と考え方は一致しているというふうに思っております。

野田(毅)委員 我が方と考え方が一致しているなどということを言っちゃいけませんね。あなた方が我々の考え方に近づいてきたんじゃないですか。どだい、あなた、それは本末転倒ですよ。

 それでは伺いますが、今回、消費税を一〇%に引き上げるという、これはまさに税法改正の附則百四条に基づいてやるわけですね。では、この附則をつくるときに、あなた方は賛成しましたか、反対しましたか。イエスですか、ノーですか。

安住国務大臣 反対しました。

野田(毅)委員 なぜ反対ですか。それを今や国際公約にしようとしているんじゃないですか。なぜですか。

安住国務大臣 私は、当時はたしか国対委員長代理でございましたけれども、附則全体というよりも所得税法に反対をしましたので、そういう中で、景気の状況等を勘案したときに、この法案には反対ということを党で決めたということでございます。

野田(毅)委員 あのころは減税ばかりなんですよ、リーマン・ショックの後で。では、減税に反対だったかな。いずれにしても、野党だから反対したんでしょう。あっさりした方がいいんですよ。

 総理、そうなんですよ。あなたもそうだ。今私が非常に心配しているのは、いろいろ言葉では上手に何か正心誠意を表現しているようには見えるんだが、本当はそうじゃない。結局、何だかんだ言いながら、つじつま合わせばかりやっているんだ。魂が見えない。

 では伺いますけれども、あなた、本音で、消費税の引き上げが本当に必要だといつから思っていますか、聞きます。どうぞ。

野田内閣総理大臣 何年かは忘れましたけれども、民主党の中で次の内閣の財務大臣をやっておりました。財政健全化の計画を八年計画でつくったときに、前半を歳出中心の計画、後半を歳入の計画といったときに、基本的にやはり消費税を充てていくという考え方を私なりにとっておりました。

野田(毅)委員 この前の総選挙の公約、そして鳩山内閣ができてから今日までの歩み、恥じ入ることはありませんか。

 言葉で、いや、四年間は上げないと言ったんだからいいんだとか、そんな話じゃなくて、堂々と自分の本音を国民に訴えるようなことがなくて、人は動かないですよ。テクニックにばかり走っても、つじつま合わせでもいけませんね。

 その辺について、僕は見ていて、どうも今の内閣は鳩山さんのときとも菅さんのときとも違う。だから、野田さんになれば、国際公約だけではなくて、国内でも所信表明から言っているんだから、つじつまが合っているようなことを言っているけれども、しょせん、一貫して民主党内閣なんですよ。頭がかわったから中身が変わるわけじゃないんですよ。

 それは、総理個人としての総括じゃなくて、民主党全体が総括をして、国民に向かって、今までとは全く違うことをこれからお願いするわけでしょう。そのことに対して、正面から国民にどう説明されるんですか。そこに対する真摯な思いが伝わらない。目先の話ばかりだ。それが実は、今回、世の中が混乱している大きな原因なんだ。

 もう一遍、その点について、総理の本音というか、本当に真意というものを正面から訴えてごらんなさいよ。

野田内閣総理大臣 まず、二年前に政権交代を国民の皆様の後押しでさせていただいたときに、まずやるべきことは、徹底した、無駄を直していく、歳出の改革に取り組むということでありました。したがって、それを一生懸命やりながら、そこで出てきたお金をマニフェストの主要項目に充てていくというやり方をとってまいりました。

 そして、二年がたちまして、もちろん歳出改革もこれからやっていくわけでありますけれども、社会保障の持続可能性を担保するためには、どうしても安定した財源が必要になってまいります。そのためには消費税の引き上げは不可欠であるということを、この間の代表選挙でも私は申し上げました。民主党の代表選挙でこのことを明確に訴えた候補はほかに余りいなかったかもしれませんけれども、その必要性を強く感じているから、あえて大きな争点にさせていただきましたし、それを踏まえて所信表明演説も、国会での審議でも、ずっと一貫してそのことは主張をしているつもりでございますので、これは野田先生が一番おわかりだと思いますが、もう与党と野党の別なく共通認識にしていかなければいけないのではないかと思います。

 平成二十一年当時、いろいろな事情があって、所得税法には反対をし、税制改正をする附則百四条については、結果的には反対をする立場をとりました。でも逆に、今御党が野党の立場に立って、やはり、与党から言ってきたこととの一貫性を含めて、これは与党と野党が今共通認識で、先送りできないということについては同じ認識を持てるのではないでしょうか。

 という意味からも、ぜひ、これからの税と社会保障の一体改革については、私どもの案もまとめてまいりますけれども、与野党で胸襟を開いて協議をし、前進をさせるようにお互いに努めていければというふうに思いますので、どうぞ御理解をいただきたいというふうに思います。

野田(毅)委員 何にもなしで抱きつかれても困るんです。

 いいですか。あなたが国際公約されたのは、消費税引き上げの法案を閣議決定して国会に提出するということを公約されたんですね、今度のG20で。確認しておきますが、そうでしょう。法案成立まで約束したんですか。法案を年度内に提出するということを約束したんじゃないですか。あなた、自分で約束したんだから、それぐらい自分で答えなさいよ。

野田内閣総理大臣 正確には、二〇一一年度内に法案を提出することということになっています。法案を提出するということは、その前に閣議決定をしなければいけないということは、これは言うまでもありません。

 現状は、一体改革の成案は検討本部でまとめた成案であって、閣議で御報告をいたしましたけれども、その報告を受けて、各党と協議することは閣議で了解をしているということであります。政府・与党としての案をまとめ、そして与野党協議が調ったならば、閣議決定をして、その上で法案を提出する、そういうプロセスをこれからたどっていくということであります。

野田(毅)委員 非常に大事なところなんでね、閣議決定するのに、与野党の協議が調わなければ閣議決定しないんですか。どうなんですか。閣議決定するのは政府の責任じゃないですか。改めて、これは大変大事なことをあなた今おっしゃったから、あえて聞きますよ。それじゃ、野党が反対だったら、あなた、閣議決定しないんですか。

野田内閣総理大臣 与野党がお互いに共通認識を持って、そしてこれだというものをつくりたいという意味で今申し上げているわけであります。

 これは、多くの政党が共有してもらえばありがたいんです。だけれども、そうでない場合でも、それはもちろん閣議決定をして法案を提出するということは政府・与党の責任であるというふうに思っています。

野田(毅)委員 当然のことだと思うんですね。我々も、何も足を引っ張るつもりは全くないですよ。当たり前のことですよ。それはむしろあなた方よりも私どもの方が、財政健全化法案を出したり、税法改正で附則をつくったり、やってきたわけだ。

 そして同時に、昨年の参議院選挙で我が党は公約したわけですよ。当面一〇%にするということと、それから、特に昨年の暮れは、我が党はその使い道、私どもは少なくとも、税と社会保障の一体改革という言葉は実は使っておりません。それはなぜか。それは、当面一〇でできる範囲の仕事というのは限られているからです。余り大きな期待を抱いてもらうと、かえってマイナスになる。だから、当面一〇でできる範囲の社会保障改革、それでどの程度の仕事ができますかということを我々は書いた。そして、昨年の党議決定を私どもはいたしております。税制改革の法案、この考え方について党の総務会でも決定をいたしております。

 したがって、あなた方よりも先に、我々は何歩も何歩も前におります。これだけは申し上げておかなきゃいかぬ。

 問題は、今の政府・与党の皆さんが、いつまでたってもずるずるずるずる逃げ回っているじゃないですか。そうでしょう。この前の選挙がまずそうでしょう。無駄遣いさえなくせば何でもできるような顔をして、結局、四年間は上げないと言って先送りしてきている。今、税と社会保障一体改革成案と言うけれども、閣議決定もできていない。総理だけが今一人で頑張っているんだ。党内の状況はどうなっているんですか。

 そういう状況の中で、ことしの二月の予算委員会でも私は言いました。我々は既にルビコンを渡って待っておりますよ、早く政府・民主党の皆さんがせめて我々と同じレベルにまで追いついてくださいと言ってきたんだ。それがまだ今日までできていないわけだ。そうでしょう。

 そういう現実の中で、今こういう段階でやるべきことは、今の政府・与党の責任において、国民の皆様に今までやってきたことに対する反省とおわびを、まずそこからいかなきゃいけませんよ。それがまずあって、そして真摯に、やはり勉強したら必要でした、今まで誤ったメッセージを出して済みませんでしたと言ってやるのが当たり前じゃないんでしょうか。その辺は、総理、どうですか。

安住国務大臣 大変、お言葉でございますが、岡田筆頭が代表でいらっしゃったときに、二〇〇四年の参議院選挙で、既に我が党は消費税の、あのときは三%上げるということでやっております。それを撤回したのではなくて、政権交代をやった選挙では、無駄を削減して、与党としてしっかりやっていって、まず歳出の前に歳入の部分も含めて一体改革をやっていくということで訴えさせていただきました。

 確かに、消費税増税ということは、先生おっしゃるように、衆議院選挙では出なかったかもしれません。しかし、私の記憶では、自民党も衆議院選挙では消費税の一〇パーというようなことは、参議院選挙では党議決定して立派に前回はお訴えになりましたけれども、衆議院のときはたしかお互い言っていなかったというふうに私は思っておりますので。

 もちろん、どっちが先だとか後かではなくて、社会保障全体を考えればもう避けて通れない課題だということは総理もおっしゃっておりますので、ぜひ、そういう点ではお互い認識を共有できるのであれば、社会保障の安定のために、国民の皆さんからお預かりしたものを国民の皆さんに還元する仕組みとしてこの税というものがあるんだという認識の上でこれから法案づくり等をやっていきたいと思っておりますので、御協力をぜひよろしくお願いしたいと思います。

野田(毅)委員 まだまだ突っ込みたいんだけれども、今回の閣議決定、私から見ると大変気楽におっしゃっているんだけれども、これは、TPPはイエスかノーかで決断でいいです。だけれども、税法はそういうわけにはいかぬ、イエスかノーじゃ決まらぬのですよ。内容を一つずつ詰めていかなきゃいけないんだ。この点は附則にもちゃんと明記してありますよ。

 言うのもあれなんですが、例えばこの附則の中に、低所得者対策をどうするか、これを何とかしなさいということを書いてありますね。御存じでしょう。では、これは検討を始めていますか。これは低所得者対策ですね。

 それからその次は、自動車関係諸税。これも、地方税と国税の間のやりとり、国と地方の間の配分をめぐる、あるいは燃料課税と車体課税をどうする、それから目的税が一般課税になった、温暖化対策課税との関係。

 これらが全部、消費税引き上げとは連動するんですよ。こういったものをえいやで決められるわけがないんだ。非常に限られた時間の中で、年内に閣議決定しようというのなら、これは民主党の皆さん、大丈夫かね。決められますか。こういったことも中身を詰めていかなきゃならないんですよ。

 それから、もう一つ大きな問題は、国と地方の財源配分だ。これも明記してあります。地方消費税をどうするかだけじゃなくて、それ以外にも、国に入った消費税の中から地方交付税で配分しています。地方も相当お金がかかっています。そういった中でどう配分するのと。それだけじゃなくて、この中にはもう一つ、地方自治体間の財政力格差が余りにも大きい、東京はどんどん税収は入るけれども、田舎の方は全然入らないじゃないか、地方税体系を根本から見直さなきゃだめじゃないですかということもやりますと書いてあるんだ。

 これだけの大作業を、総理、あなたはこれから一カ月足らずの間に党内をまとめ切れるんですか。まず、その辺、伺いましょう。

安住国務大臣 私が政府の税制調査会長でございますので。党の税調会長は藤井先生。ちなみに先生も自民党の税調会長でいらっしゃいますので。これは大変な作業だと思います。

 今まず、一点ずつありましたように、複数税率なのか、それとも給付なのか。消費税をもし段階的に上げた場合に、どこかの時点からは、いわゆるそういう低所得者対策とか逆進性の問題についてのやはり一つの制度保障として、セーフティーネットといいますか、つくらなければならないということで、これは議論を早急に開始して、年末の税制大綱をまとめるまでに何とかしたいというふうに私は思っております。精力的な議論をしたいと思います。

 それから、自動車に関しては、重量税とそれから地方の取得税について、この取り扱いを確かに書いてあります。これも消費税の見直し段階で議論をしていかなければならないし、また、地方のいわゆる取り分といいますか、その配分をどうするかですが、これについてももちろん議論をしなければなりません。

 ただ、消費税全体は、その前にかかってある文章、附則百四条によると、先生、事実上、社会保障の目的税化をしていこうというようなことを前段にかけて、その上でということになっていますので、それを前提に、やはり国民の皆さんからお預かりしたこの貴重な消費税をまた国民の皆さんに社会保障として還元するということを前提に考えなきゃいけない。

 ほかのことについては、シャウプ勧告以来のさまざまな税制の基礎の上に立ったものを、やはりその時点で改正しながら、高齢化社会に合わせていった税制の中で考えていきたいというふうに思っています。

野田(毅)委員 シャウプ税制以来のことは私の方があなたよりはるかに詳しいと思っていますが、それはいいとして、今ちょうどお話があったんだけれども、社会保障との一体改革という中で、午前中、我が党の加藤議員からも御指摘があったと思うんですね。社会保障の改革案については、これは年内に閣議決定するつもりですか。

古川国務大臣 社会保障と税の一体改革案につきましては、成案に基づいてそれぞれ、厚生労働省が中心になっていますけれども、社会保障部分については関係の協議をしているところでございます。そこの部分の協議がまとまって案ができれば、それぞれ個別にそこは一つ一つまとめて、まとまれば当然それは来年法案としても出していく、法案を出す場合は当然その部分については閣議決定をしていく、そういう形になろうかというふうに思っております。

野田(毅)委員 法案を出す場合には当然法案の閣議決定、それは当たり前の話だ。だけれども、全体としての社会保障改革というパッケージとしての閣議決定はどうなんですか。それは年内にやるんですか、やらないんですか、総理。

中井委員長 古川大臣。(野田(毅)委員「いや、これは総理だろう、一体改革だから」と呼ぶ)先に古川君に答えさせます。

古川国務大臣 そもそも、成案でまとめたまとめ方が、それぞれ、社会保障の部分については個別の、例えば年金なら年金であるとか、医療とか、法律も分かれております。ですから、そこは成案に従って、関係のところで協議をしながら、当然それは与党も含め議論をして、そこが決まったら一つずつまとめていくということでございますので、何か全体で社会保障・税一体改革法案というようなものを、そういうものを出すということは基本的には想定はいたしておりません。

野田(毅)委員 一体改革の法案は別ですよ。要するに、一体改革としての閣議決定をするかしないかというのは、そっちの閣議決定なしに消費税の引き上げだけが閣議決定ということでいくつもりですか、どうですかということなんですよ。

 そもそも、社会保障と税の一体改革成案というので閣議報告になったんでしょう。だったら、いよいよ今度は、消費税の引き上げをやろうというのであれば、一体として閣議決定するというのが当然の順序になるわけですよね。でなければ、社会保障は置いてきぼりにして、消費税の引き上げ法案だけを閣議決定するという、せめてこれだけでも実はやらないと国際公約違反になるわけだ。この点は、総理、どうですか。

野田内閣総理大臣 まず、年内に、社会保障の充実をさせる部分、あるいは効率化、重点化する部分がありますが、そういう改革案をつくっていって、それに基づいて、例えば子ども・子育て新システムの法案が出てきたら、それは閣議決定して、来年の通常国会に法案を提出する等々、個別具体に社会保障改革については進めていきたいと思います。

 それと連動する形で、それを支える消費税を含む税制の抜本改革についても法案をまとめて、そして、当然、閣議決定をして、法案を提出して、来年の通常国会に提出をする、そういう運びになるということであります。

野田(毅)委員 わかりやすく言えば、やはり、社会保障の改革は、それぞれのテーマごとに法律をつくった段階で閣議決定すると。だから、消費税の引き上げ法案は、それは横目でにらみながら、でも独自で閣議決定します、わかりやすく言えばそういうことでしょう。いいですね。イエスかノーかでこれは答えてください。

野田内閣総理大臣 おっしゃるとおり、だから、社会保障改革、パッケージで何かをまとめてというんじゃなくて、そのパッケージは意識しながら個別法を出していく、税制の方は抜本改革という形で出すということであります。

野田(毅)委員 これで本当に民主党内、皆さん、大丈夫、あなた方。我々が見ていると、何か学級崩壊みたいな状況になっているから。だから、本当にこれは大丈夫かいねと。

 本当にこのことで、自見さん、国民新党は消費税引き上げ、大丈夫ですか。亀井さんはどうやら、反対だ、こう言っているようだけれども。あなたはどうされますか。サインできますか。しますか、しませんか。

自見国務大臣 きょう五時半から、私の仄聞するところによりますと、亀井代表と野田総理とお話しするという話でございますから、我々は、我々の党の立場がございますが、私は今、野田内閣の閣僚でもございますし、私も、先生には及びませんけれども、二十六年、国会議員として選んでいただきましたから、やはり、今署名するかしないか、イエスかノーかという話にお答えするよりも、私は、きちっとやはり政党人としての矜持を持って、最終的には国家に対する責任でございますから、そのことだけはしっかり踏まえていきたいというふうに思っています。

野田(毅)委員 何か、するのかしないのかよくわからなかったんだけれども、まあ、いいでしょう、今の段階では。

 だけれども、これは本当に、私はそんな気楽な話じゃないと思いますよ。先ほど来申し上げたように、えいやで決められる話じゃない。中身について一つ一つ相当時間をかけなきゃだめなんだ。かつて、売上税を失敗して消費税で出直したときに、竹下内閣のときに、やはり三カ月ぐらいかけてやってきたんですよ、一つずつ丁寧に丁寧に、党内論議を。

 それに比べて、今の内閣で、まだTPP問題だけじゃないですか。税の問題にさえ入っていないじゃないですか。いわんや社会保障はどうにもならないじゃないですか。これでどうやって年内に閣議決定が本当にいけるんですか。しかも、今これだけ景気が悪くなったという、デフレとの関係をみんな心配しているわけでしょう。そのことについて全然説明もない。

 この次に、ぜひ、消費税とデフレとの関係について集中的に私は話をしてみたいと思うんですよ。これは本当は、具体的な制度論に入る前に、一番大事なことなんですよ。物価との関係、インフレとの関係、デフレとの関係、この本質的な問題が何の議論もまだ民主党内でなされていないということのままで、それができているのかどうか。

 この点について、私はあえて、これがもしできなかった場合は、最後に総理、よろしいですね、もしできなかったら、あなたは最終的に政治家として、総理として責任をとる道を選ばなきゃならぬ、そのときは解散か総辞職かどっちかでやる、そのことについて、明確にあなたの決意を聞かせてもらいたいと思います。

野田内閣総理大臣 まず、誤解を解きたいと思いますけれども、この一体改革をつくるときに、消費税とデフレの問題については闊達な議論がありました。むしろ一番そこは議論が集中したというふうに思います。したがって、経済の好転等々の表現が入ったし、どういう指標を使ってこれから議論を詰めていくかという大切な議論がこれからあるわけでございますので、そこは誤解のないようにお願いをしたいと思います。

 その上で、私の覚悟ということでございますが、私は、これまで申し上げてきたことを実現することに責任をしっかり果たしていくということでございます。

中井委員長 この際、吉野正芳君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 私の出身の福島県、まだ災害が継続中です。そのところに従って質問させていただきます。

 先日、会津若松市に行ってまいりました。大熊町がふるさと祭りをしておりました。ここで、県内各地に分散して避難しておられる、仮設住宅に入っておられる大熊町の町民の方々が、全員ではないですけれども、一堂に会して再会を喜び合っている、そういうお祭りでした。そこに埼玉県の三芳町が、大熊町と交流を持っている、震災そして原発の事故以来、看護師さんを派遣している。そこで、林町長さん初め、サツマイモが名物だということでお店を張っておられました。

 このように、全国各地から私たちの福島県に対していろいろな御支援をいただいております。改めて、この場をおかりしまして感謝を申し上げたいと思います。

 さて、福島県、ふるさとに戻る、これは除染です。この除染がうまくいくかいかないかで、ふるさとに戻れるか戻れないかが決まってまいります。除染の費用として、二十三年予備費で二千百七十九億円、二十三年の三次補正、今審議しているものであります、二千四百五十九億円、二十四年の当初予算で四千五百三十六億円、二十五年の債務負担行為で二千三百八億円。とりあえず、一兆一千四百八十二億という膨大なお金を除染に使う、こういうことで予算計上を予定しております。この予算計上のもとになる数字を、私はきょうちょっと質問してみたいと思います。

 中間貯蔵施設に入れる量、これを計算したものでありますけれども、発生量が少ないケースと多いケースと分けております。そして、高い地域、低い地域。ここで、少ないケースの場合、福島県内で千五百万立米、その他の地域で百四十万立米。発生量が多いケース、この場合、福島県内で約倍の三千百万立方、その他の地域、福島県の外の地域です、少ないケースの場合は百四十万立方だったんですけれども、何と十倍、千三百万立方、これだけのものを試算しております。

 それで、この量の試算のもとになった根拠についてお尋ねしたいと思います。

 これは、一ミリシーベルト以上のものを全部除去していくのか、五ミリシーベルト以上のものなのか、その辺、政府委員にお尋ねしたいと思います。

鷺坂政府参考人 お答えしたいと思います。

 除去土壌の計算に当たって、一定の仮定を置かなければいけませんので、一つ仮定を置かせていただいております。それは、一つは、五ミリシーベルト以上と以下というふうに分けておりますが、少ないケースにおきましては、五ミリシーベルト以下の部分については、道路の側溝の物を取るとかあるいは幹線道路の用地を洗うとか、それからあと、子供生活空間に配慮するという意味で、学校、公園のところについては土をはぐ、こんなような計算をしております。

 一方、多いケースでございますけれども、その点につきましては、同じように、建物用地とか幹線用地につきましては、側溝の除去とかそういったことがあります。学校、公園のみならず、建物用地とかあるいはグラウンドとか広い広場とかそういったところ、五ミリシーベルト未満でございますので、基本的には市町村で除染していただくことになりますが、そういったところは、市町村の要望等もありますので、一定の仮定を置かざるを得ないわけでございますけれども、五割ぐらいを対象にしたい、そのようなことで仮定計算をさせていただいております。

吉野委員 五ミリシーベルト以上のところと一ミリシーベルト以上のところ、多いケースは一ミリシーベルト以上、少ないケースは五ミリシーベルト以上、こう理解してよろしいですか。

鷺坂政府参考人 今政府内で議論しております、特措法に基づく基本方針にも、長期的には一ミリを目指すということになっております。

 したがいまして、少ないケースにおきましても、一ミリから五ミリにつきましても、基本的にはこれは市町村の要望等によりまして対象にしております。ただ、やり方につきまして、どういったやり方があるのかとか、そういったこともございますので、少ないケースにつきましては、一から五ミリの範囲については、建物の側溝とかそういったスポット的な除染と、それから子供生活空間という意味で、学校、公園の土をはぐというようなことで計算させていただいています。

吉野委員 ちょっとわかりづらいんです。ここに千五百万立方という数字が出ているんです。この積算根拠を聞いているんです。

 ですから、今お話しになると、一ミリシーベルト以上は少ないケースでも多いケースでもやっているというお話なんですけれども、実は私、けさ、除染チームの牧谷課長さん、政府連絡室の藤田室長さんを通じて、五ミリシーベルト以上をこの積算の根拠にしていますという回答を得ているんですけれども、今の局長の答弁とちょっと違うんですけれども、いかがなんでしょうか。

鷺坂政府参考人 済みません。五ミリシーベルト以上につきましては、これはかなり線量もありますので、例えば、建物用地も庭の土壌をはぐとか、あるいは森林についてもそれなりの面積を対象にするとか、あるいは農地も一定のもの、要するにかなり線量の高いところは土をはぐとか、そういったような形になっております。

 五ミリ以下のところについては、今申し上げましたように、結局、少ないケース、多いケースと仮定を置かせていただいておりまして、五ミリ以下を対象としていないということは、ちょっと何か行き違いがあったかもしれませんが、この数字につきましては、一ミリから五ミリについて、少ないケースでも、学校、公園を対象に土壌をはぐ、あるいは建物用地については側溝等の汚泥を取る、そのようなイメージでございます。

吉野委員 実は、十月二十五日の環境委員会で、細野環境大臣は私の質問にこう答弁されています。

 なぜ五という数字が出てきたかというと、これは、いろいろな予算を大体これくらいかかるのではないかと計算するのに、一定の何らかの試算をする材料が必要だったわけですね、ですから、そのときの一つの材料として五ミリというのを使って、それがそのまま出てしまったんですと。

 これは大臣答弁なんです。ですから、五ミリでやっているんです。五ミリ以上を、積算の根拠としてこの数字を出しているという大臣答弁なんです。どうなんですか。これ、委員長、事務方と……。

中井委員長 ちょっと大臣に聞きましょうか、大臣に。

吉野委員 大臣にまずお聞きしたいと思います。

中井委員長 細野豪志環境大臣。今の局長の答弁と、きちっとして答えてください。

細野国務大臣 はい。この五ミリの上と下との問題ではいろいろ情報が混乱をいたしまして、大変皆さんに御心配をおかけしました。このことについてはおわびを申し上げます。

 今局長が若干細かい個別のことについても答弁をいたしましたが、五ミリ以上についてはできるだけしっかり、面でやっていくと。五ミリ以下については、子供の居住地であるとかホットスポット対策であるとか、そういったことを中心にやるということで予算はつくったわけです。

 ただ、初めから五ミリ以下についてやらないということを考えていたわけでは全くなくて、そこは、もともと市町村がいろいろな御要望をお持ちでしょうから、それには最大限我々としては応じて、除染についてはむしろ国が積極的にやっていく、そういう姿勢でおりました。したがいまして、そこを確認する意味でも、一ミリシーベルトを目標に、それぞれの市町村について、いろいろな御要望があればそれに応じていくという、その姿勢は一貫して守ってまいりたいというふうに思います。

 吉野委員に、ぜひ御地元ですので御理解をいただきたいんですけれども、率直に言いまして、除染がどれぐらいの費用がかかるのかということについては、正確に今の時点で予測することは難しゅうございます。といいますのも、単価をどれぐらいに設定して確実に除染ができるのかということがありますし、また、中間貯蔵施設にどれぐらい資金がかかってくるのかということも、これも率直に言って、はっきりしたことはまだわかっておりません。

 したがいまして、まずは、一兆一千数百億という金額は、すべてカバーできるかと言われれば、これからいろいろな検討の余地はありますけれども、当面は除染をするのに不足をする予算ではないと思いますので、とにかくこの予算でやらせていただけないかということなんですね。そのときに、五ミリ以下だからどうとかいうことは言いません。それぞれの市町村でやられることに関しては、最大限我々はしっかりと寄り添って一緒にやっていきますので、ぜひ御理解を賜りたいと考えております。

吉野委員 そこの今の答弁、しっかりやってください。一ミリ、五ミリ以下であっても、我が町をきれいにするんだということで市町村が取り組めば、そこにきちんとした支援をお願いしたいと思います。

 次に、環境大臣、十月の二十九日、福島県知事にお会いをしてきました。そこで、中間貯蔵施設等の基本的な考え方、これを示したわけであります。中間貯蔵施設は福島県につくらせてください、仮置き場も福島県の皆様方に見つけてください。

 この仮置き場なんです。なかなか市町村では見つけることできないんです。ある意味で国は丸投げをしているのではないか、こう思うこともあります。ですから、市町村の皆様方と県とそして国、この三つがきちんと地元に入って理解を得るような、やはりそんな行動をしてほしいんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 吉野委員御指摘のとおり、今地元で一番悩みの種になっておりますのが仮置き場でございまして、国にこの仮置き場の設置について非常に大きな責任があるということは、私も自覚をしております。

 ただ、その一方で、この仮置き場をつくる場合にどうしても、顔が見える関係の皆さんが、ここならいいのではないか、そういう御議論があった中で場所を選定しないと見つからない、なかなか仮置き場になっていかないという事情もあるわけです。国が、それこそ乗り込んでいって、ここを仮置き場にするからということで言ったところで御理解をいただけない、そういう事情があるわけです。

 そこで、まずはコミュニティーであるとか市町村に仮置き場についてお考えをいただいて、ここがいいのではないかということになった場合は、我々が現地に行って、地域住民の皆さんに御説明をしたり、しっかりとやり方についてお示しをしたりということでやっております。

 したがって、そこはまさに市町村と、福島県にももちろん御協力をいただきたいと思っておりますが、国の共同作業だということで、そういう思いで今取り組んでいるところでございます。

吉野委員 今、まず市町村に探させて、まあまあめどがついたら国が乗り出すというようなお答えだったんですけれども、それではなかなかうまくいかないと思います。福島県の全市町村に環境省の職員をきちんと張りつけて、市町村の職員と一緒になって地域の皆様方にお願いをしていくという姿勢がなければ、市町村が見つけて、何とかなりそうだから、あと念押しにというような形では絶対うまくいかないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 おっしゃったとおりのやり方が一番いいと思います。つまり、市町村がそれぞれ動いていただけるように、環境省はそこに人を出して、そこで個別に見つけていくというのが最もいい方法だと考えております。

 そこで、環境省としては、福島に事務所をつくりまして、そこでできるだけ人を、今採用もやっておるんですが、しっかりと採用して、そして個別に対応できるようにという準備をしております。

 もちろん、既に責任者がそれぞれの市町村を回って、仮置き場の設置の状況についても確認をしながら、必要に応じて一緒に説明をやっておるんですが、そこから一歩踏み込んで、それぞれの市町村にできるだけ人が直接張りついてやれるような体制をつくりたいというふうに思っておりまして、その途上にあるということでございます。

吉野委員 最終的には市町村に張りつけるということを今おっしゃったと思います。

 今なんです、今。今でなければ仮置き場なんか見つからないんです。一兆数千億の除染の予算をとったんですよ。なぜ各市町村に環境省の職員を張りつけることを今すぐできないんですか。検討するじゃだめでしょうよ。お答え願います。

細野国務大臣 環境省は職員が、地方も含めて全部で千名でございまして、今、各部署から、まだ人が出せるのではないかということで寄せ集めまして、福島にどんどん人を送っておるという状況でございます。

 それを含めて、これは環境省だけの問題ではないと思っております。他省からも人を出していただいて、除染を福島で現実にできるような体制をつくるべく、今まさに調整をしております。総理の強い御指示もございますので、ここは私の責任でしっかりやらなければならないと考えております。

中井委員長 細野大臣、どんどんというのは何人行っているの。どんどん出していると言うけれども、何人行っているの。

細野国務大臣 現在は、間もなく二十名ぐらいになるということでございまして……

中井委員長 それはどんどんじゃないな、全然。

細野国務大臣 それを、来年には採用いたしますので、五十名程度。来年度、四月からは二百名程度にはしたいと思っております。それにしっかりと応援を入れていくという体制です。

吉野委員 来年四月から二百人体制、それから除染が始まるんですか。遅いんです。

 総理、今環境大臣はこう言いました。環境省の職員では足りない、だから人を出せないんだと言いました。政府を挙げて、全省庁を挙げて、福島の再生なくば日本の再生なしと言った総理ですから、総理の判断でどんどん人を出してください。いかがですか。

藤村国務大臣 私もそのように思いまして、各省から人を出すという方向で今にわかにスタートしております。

吉野委員 ですから、きょうは十一月八日です。あと三日、あと三日で各市町村に国の役人が張りつく、ここまで総理、約束してくださいよ。

枝野国務大臣 吉野先生の御指摘のとおり、できるだけ早く国の職員を張りつけてということで、原子力行政を担っている立場の経済産業省も、環境省に対してできるだけ人を出すということでやらせていただいておりますが、ぜひここは御理解をいただきたいのは、これは市町村の皆さんと共同の作業をした上で、最終的には、仮置き場については周辺住民の皆さんに御理解、御納得をいただくという仕事を担うということになります。

 そうした場合には、つまり、例えば中間処分あるいは仮置き場についてのさまざまな情報と知見を十分に持ち、なおかつ住民の皆さんを説得して御理解、納得いただくということについては、頭数だけいればだれでもいいという仕事ではないということは御理解いただけると思います。

 そうしたことの中で、地域住民の皆さんの御心情をしっかりと受けとめた形でそうした仕事をできる人間が簡単に集まるわけではないということは、十分御理解いただきたいと思います。

吉野委員 その地域の実情をよく知らないとできないとおっしゃいました。そのとおりなんです。だから国の役人は、その町に入って寝泊まりするんです、そこで暮らすんです。暮らさないと、その地域の実情なんかわからないんです。ですから、今仮置き場を見つけないと、すべてが始まらないんです。総理、お答えください。

野田内閣総理大臣 まず、その除染しなければいけない地域等々、一番地域の事情がおわかりいただいているのは、やはり市町村の皆さんだと思います。その皆さんと連携をしながら国が責任を持って事業を後押ししていくということでございますので、今環境省で取り組んでいますが、足りない部分については、これは、いつまでに、三日間とかという話ではありませんけれども、政府を挙げて、その人員の増強には努めていきたいというふうに思います。

吉野委員 委員長、立会人になってください。

 今の総理、どんどん人を出すとおっしゃってくれました。これを早急に、ここの予算委員会で検証していただきたいと思います。

中井委員長 はい、承りました。理事会等でも引き続き議論いたします。

吉野委員 お願いいたします。

 細野大臣に聞きます。中間処理施設と最終処分場との関係であります。

 福島県知事に出した基本方針の中で、三十年以内に福島県外に最終処分場をつくる、こう書かれていますね。どこにつくるんですか。政府として、福島県内に最終処分場はつくらないという決定をしたわけなんです。では、どこにつくるんですか。当てはあるんですか。

細野国務大臣 三十年間としたのには、幾つか理由がございます。

 一つは、除染は一年や二年で終わる作業では到底ない。これから長く、それこそ天気によって、水の流れによって放射性物質の場所が変わりますから、そうした状況にも応じて除染をしていかなければなりませんので、福島でしっかりと長い期間除染をやる意味でも一定の期間が必要だと考えた理由が一つであります。

 もう一つは、除染で集めた土をそのまま移動するということは、これは恐らく難しいと思います。それをしっかりと減容化する技術を開発しなければなりません。

 具体的に言うと、それこそ放射性物質をかき集めて、そして固化をする技術などになるわけですが、その技術を確実に開発して安全な状態で運び得る状況をつくらなければ移動させるべきではない、そういう判断がございまして三十年という期間を設定させていただきました。

 その三十年以内にどこに持っていくのかということについては、まだ決まっているわけではありませんが、そうした技術開発を着実に進める中で、福島だけに負担を押しつけるということは、私はやるべきではないというふうに思いますし、総理もそういう御判断をいただきましたので、そういった方針で臨んでまいりたいというふうに考えております。

吉野委員 細野大臣に伺います。

 三十年という長い時間、セシウム134と137、半分半分だと思います。でも、放射線の強さ、セシウム134が八なんです。137は三です。割合でいくと七二%と二七%です。七二%が134、半減期二年です。三十年、十五回半減期を迎えます。ほとんどゼロです。三十年後は、セシウム134はゼロです。七二%の放射線量がゼロなんです。そして、二七%ある137、三十年たつと半分になっちゃうんです。一三・五%なんです。

 今、細野大臣、三十年後、最終処分場を福島県外につくる、約束してくれました。そして、私は四十歳です、三十年後も政治家をやっています、こういうお話も福島県でされたようです。でも、三十年後の放射線量は一三・五%なんです。私は、三十年後、こんなに低くなっちゃったんだから最終処分場なんか要らないよという声が必ず政府内から出てくると思います。ここをどう担保するんですか。法律をつくってください。考え方という環境省の紙っぺら一枚で三十年後を担保できるわけはありません。

 福島県外に最終処分場をつくるんだという法律をつくってくれないと、私たち福島県人としては納得できません。いかがでしょうか。

細野国務大臣 今、吉野委員が具体的に御指摘をされたとおり、確かに、現在の放射線量率を一〇〇とした場合に、セシウム134、セシウム137がそれぞれ減少いたしまして、三十年後には一三になるということであります。ですから、約一割になるわけですね。ですから、そのときに、確かに、薄れたのでもういいのではないかという声が上がってこないとも限りません。

 ただ、その一方で、最終処分をするためには、その薄まったものをもう一度しっかり集めて減容しないといけないという問題がありますので、薄まったからいいという議論にはなりにくい。むしろ、そこをどう、それこそ多くの皆さんに自宅に帰ってきていただけるように努力をするということも含めて、そこをしっかりと取り除くという努力は私は必要だというふうに思っておりまして、そういう意味では、薄まるからもういいということではなくて、薄まるけれども、それをさらに集めて、もう一回しっかりと濃くした後にどこかにしっかりと持っていくということを考えなければならないと思っております。

 三十年後なんですが、私、確かに四十歳なんですけれども、もともと余り、とにかくずっと国会議員をやっておるという人生設計はしておりませんでしたので、三十年後も国会議員をやっているというふうなことは申しておりません。

 ただ、こういう約束をした以上、一回この政治の世界に足を踏み入れ、そういう重い判断をした以上は、政治家としてはしっかりと見届けなければならないという趣旨の発言をしたところでございます。その言葉に二言はございません。

 その上で……(吉野委員「どう担保するかです。ちょっと短くしてください」と呼ぶ)はい、簡潔に答弁いたします。

 中間貯蔵施設をどこがつくるのかというのがもう一つ問題として残っております。もちろん国の関与が不可欠です。ただ、例えばどういった主体に中間貯蔵施設をつくらせるのかというのはこれから考えていかなければなりませんで、私も今幾つかアイデアを持っております。それを実際にやるときに、果たして何らかの法的なものが必要かどうかということについては、これはしっかり検討していかなければならないというふうに考えております。

吉野委員 ちょっと私の質問に答えていません。

 私は、最終処分場を福島県の外に、県外につくるという、ここをどう担保するのかということを聞いているんです。簡単にお願いします。

細野国務大臣 大変失礼いたしました。

 中間貯蔵施設をつくる主体を決めると同時に、そこは最終処分についても責任を持つような主体にしていかなければならないというふうに思っております。その中間貯蔵施設なり最終処分を行う主体を決めるもの、そのもののあり方を法律のもとで規定すべきかどうかという検討をしなければならないと考えております。

吉野委員 今、最終処分場を福島県の外につくるという法律も検討するという答弁をいただきました。

 私、これは普天間の二の舞にならないか、そこを心配しているんです。最後はやはり福島県でお願いね、三十年後は、私はこれを恐れているんです。ですから、そうならないように、きちんと、法律でも何でもいいですから、担保してほしいというのが私の質問の趣旨です。

 次、東電の賠償に移りたいと思います。

 東電の請求書、これが有名な百六十ページのマニュアルです。ここの言葉に、例えば、お問い合わせ、「東京電力株式会社 福島原子力補償相談室」なんです。ここも「補償金ご請求のご案内」なんです。賠償金という言葉は一切出ていないんです、ここに。

 賠償金と補償金の違い、ちょっと調べてみました。有斐閣の法律用語辞典によれば、賠償は、違法な行為による、補償は、適法な行為による場合に用いられる。違法と適法なんです。

 西澤社長、東電は違法行為をしていないという認識で、この請求書は補償という言葉を使ったんですか。

西澤参考人 先生の御質問にお答えいたします。

 当社は当初、補償という言葉を使ってございました。これは、補償と賠償について違いはないという認識で使っておりました。その後、原子力損害賠償法とか、支援機構も原子力損害賠償支援機構という形で賠償が使われておりますので、現時点では、賠償という形で、私は社内の方は統一させてございます。

 先生御指摘の補償センター等はございますけれども、これはどうしようかという形で考えたわけですけれども、皆さんの方には補償センターという形でお知らせをしておりましたので、それを変えると混乱を招くとまずいという形で、その点は御理解いただければと思っています。今のままにしてございますけれども、社内的には全部、賠償という形で、外に対して御説明する際も賠償という形で統一させていただいております。

吉野委員 東京電力の賠償に対する基本的な心構えといいますか姿勢といいますか、そこがこの賠償と補償という言葉に最初にあらわれてきたのかな、こう思います。ですから、一番原点を、東京電力に心を入れかえてほしい、こうお願いをしたいと思います。

 そして、十一月四日に特別事業計画が出されました。これを政府は認めました。これで、特別事業計画、副題は、親身、親切な賠償の実現に向けて、これが副題です、親身、親切です。そして、五つの約束をしています。一つは、迅速な賠償の支払い、請求書を受け取って三週間、合意書を受け取って一週間から二週間以内に払うというのが五つの約束のメーンなんです。

 約束をする前、ここにも書かれています。請求書を受け付けてから三週間で、これは払える、これは払えない、審査する。合意書を受け取ってから二週間以内に払う。これでどこが違うんですか。たった、支払いが一週間から二週間という、ここのところだけなんです、迅速な払い。これ、政府側、こんな五つの約束をどうして認めたんですか。これをきちんと精査したんですか。そして、もっと迅速な払いをすべきだというふうに指導はしなかったんですか。

枝野国務大臣 御指摘の五つの約束は、十一月四日に緊急特別事業計画を認定するに当たって約束をさせたものでございます。

 そして、この緊急特別事業計画に伴いまして、原子力損害賠償支援機構から東京電力にスタッフを常駐させまして、この五つの約束がしっかりと守られるかどうかということを、原子力損害賠償支援機構はいわば事実上の国の機関のようなものですから、国として直接監視をするという体制をつくったものでございまして、十一月四日の時点で、この五つの約束の実行がなされているということで特別事業計画を認定したものではありません。

 今後、この約束を踏まえ、そして原子力損害賠償支援機構のスタッフも、それから、月に一遍はトップ同士でもちゃんと話をしていただくということもシステムとしてつくり上げましたので、さらに迅速な支払いがなされるよう求めてまいります。

吉野委員 賠償機構が弁護士さん等とチームを組んで仮設をめぐってじかに行っている、本当にこれはすばらしいことです。ここまでやらないとやはり被災者はわからないから、本当に機構としてすばらしいことをやっていると思います。

 次に、これは東京電力に伺います。

 東京電力は、この中間指針にすべて従っている、こう言っています。この中間指針をよく読むと、中間指針の二十三ページです、こう書いてあるんです。

 これは精神的損害、慰謝料の話です。「損害額の算定は月単位で行うのが合理的と認められるが、」五万、十万、十二万というくだりです、「金額はあくまでも目安であるから、」目安であるからですよ、「具体的な賠償に当たって柔軟な対応を妨げるものではない。」と書いてあるんです。これが指針なんです。

 指針に沿って賠償をしているという東京電力の姿勢で、なぜこの指針に従わなかったんですか。なぜこの指針に従って、五万、十万は目安である、「具体的な賠償に当たって柔軟な対応を妨げるものではない。」と書いてあるんです、なぜここは無視したんですか。

西澤参考人 お答えいたします。

 中間指針につきましては、不特定多数の災害につきましては中立公正な方が御審議して決めるという形で、それを基本として我々は実行していきたいというふうに思っております。

 一応目安という形で書いてありますけれども、具体的に数字が十二万、十万、それから六カ月過ぎると五万という形で書いてございましたので、それを採用させていただいたという形でございます。

 ただ、この中間指針によらないケースもいろいろあると思います。これにつきましては、いろいろ御相談に乗る。それから、六カ月過ぎましても、家財道具とかいろいろなもので御入り用がある場合は、それも損害の範囲内として合理的な対応としていただこうという形で、柔軟にそこは対応させていただこうというふうに思ってございます。

吉野委員 総理に伺います。精神的損害の算定のくだりです。

 「自動車損害賠償責任保険」、自賠責です、「における慰謝料(日額四千二百円。月額換算十二万六千円)を参考にした上、上記のように大きな精神的苦痛を被ったことや」、これが二つ目です、「生活費の増加分も考慮し、」三つ目です、「一人当たり月額十万円を目安とするのが合理的であると判断した。」こう指針に書かれているんです。

 十二万六千円を参考にし、精神的な苦痛を乗せて、生活費が増加して、よって十万円。どう思いますか、この日本語。

枝野国務大臣 これは委員も御承知のとおり、この原子力損害賠償紛争審査会は、国から、つまり、役所や政務から独立した立場の専門家の皆さんが一つの指針をお示しになる機関でありますので、第三者機関が出したものについて直接行政の立場で何か申し上げるべきではない、あるいはそういう性質のものではないと思っています。

 ただ、実際にここから出される指針の性格、そして、先ほど吉野委員がお読み上げいただきましたように、指針そのものの中にも、あくまでも一つの目安であって、あえて非常にわかりやすく申し上げれば、その指針の対象になっている被害者の皆さんがその請求をすればそこまでは事実上無条件で補償される、しかし、それぞれさまざまな事情に基づいて、東京電力はそれを上回ってそれぞれの被害の実情に応じた賠償をする責任がある、こういう性格のものでございます。

 そういった意味では、ここまでの運用が、どちらかというと、指針に書いてあるからここまでしか払わないという、上限の基準のような使われ方をしていると少なくとも被害者の皆さんに受けとめられている側面がありますので、これは逆だと。最低でもここまではもらえるというふうな基準であって、それぞれの実態に応じて、それよりも、特に慰謝料のような性格のものについては東京電力はしっかりと支払うべきであるし、そのことについて経産大臣としてしっかりと指導してまいります。

野田内閣総理大臣 指針の性格づけについては今担当大臣からの御説明のとおりだと思いますので、御説明のあったとおりに運用されることを強く期待したいというふうに思います。

吉野委員 でも、先ほど私が読み上げたら、総理は、あれっ、変だなと思ったような顔をしていますので。これは日本語になっていません。ですから、今経産大臣、あくまでも最低限の目安だということなんです。

 経産大臣、九月からはこの慰謝料が二分の一、五万円になっちゃうんです。精神的苦痛なんです、時間がたてばたつほど大きくなるんです。ある意味で結構自殺者も多いんです、精神的苦痛が耐えられなくて。ですから、柔軟な対応。今、最低限だと言いました。それを上回ることは本当に大歓迎だと東電にきちんと言う。

 東京電力が、この二分の一を廃止して、十万円もしくはそれ以上、精神的苦痛が時間がたてばたつほど増すんだから十五万円というふうに判断した場合、この緊急特別事業計画で一応決まっていますけれども、そこは政府として、大臣として、了解できるでしょうか。

中川国務大臣 この基本指針の審議会の担当は文科省になりますので、お答えをしていきたいと思います。

 基本的には、この指針にもあるように、本件事故によって生じる損害というのは、事故との相当因果関係が認められるものはすべて、原子力損害賠償法に基づいて適切な賠償が行われるということになっております。したがって、賠償の対象として明記されていない損害についても、個別に相当因果関係が明らかにされることによって賠償の対象となるということであります。そういう意味で、一つ一つ丁寧にやるべきだということ。

 それからもう一つは、審議会で議論をしている過程の中で、精神的な損害というものについて、実は四つほどの項目を対象にしています。一つは、地域コミュニティー等が広範囲にわたって突然喪失をしたということに対する損害の賠償、これまでの平穏な日常生活とその基盤が奪われたということ、それから、自宅から離れ、不便な避難生活を余儀なくされた上、帰宅の見通しもつかない不安を感じる、この四つの項目なんですね。

 今回、時間的経緯の中で額が減少されたということは、この審議会の中での議論は、これはオープンな議論になっておりますが、さっきの、地域コミュニティー等が広範囲において突然喪失したという事故当初の状況というのが解消されたということと、それから、これまでの平穏な日常生活とその基盤が奪われたということに対して、徐々に戻ってきているということ、この二つを対象にしながら、時間的経緯の中で減少させていくという判断をしています。

 しかし、御指摘のとおり、これは本当にそれで正しいのかどうかというのは引き続き審議会の中で議論されるべきだというふうに思っておりますし、また、六カ月それから十二カ月以降の議論については、これからさらに議論を進めていくということにしております。

中井委員長 せっかく発言を許したらかえってわかりにくくなったという答弁であります。

枝野国務大臣 緊急特別事業計画で認定をした、交付したお金については、その時点で東京電力と支援機構が、来年の春先ぐらい、総合特別事業計画までの間に必要な賠償額を見込んで行ったものでありますが、もしその額以上に賠償のためのお金が必要になるという状況になれば、その時点でこれを見直すことも含めて考えておりますので、先ほどの精神的な損害を含めて、指針を超える賠償が適切である方に対してはしっかりと賠償していただきたいと思っています。

吉野委員 西澤社長、今の大臣の答弁を聞きましたね。六カ月過ぎて二分の一になる、ここは政府としてそれ以上のものを払ってもいいよという答弁なんです。血も涙もある東電だということを全国の皆様方の前で、ここで約束してください。御答弁をお願いします。

西澤参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、先生を初めいろいろな方から御意見をいただいております。六カ月過ぎたらの扱いにつきましては、前向きに考えて、検討し、実行させていただきたいと思います。

吉野委員 ありがとうございます。前向きに、前向きに、被災者のために、そして政府も賠償額はふえても大丈夫だ、こう言ってくれていますので、ぜひお願いします。

 時間がありませんので、次、このパネルを見てください。これが文明国家、我が日本国の今の姿なんです。どうして命を大切にしないんですか。これは自民党の畜酪小委員会で二十キロ圏内に入ったときに写した写真です。もうミイラ化しています。なぜ命を救ってくれなかったんでしょうか。山古志村だってヘリコプターで牛を運んでくれたんです。なぜ政府は、ペットはシェルターをつくって保護していますけれども、家畜についてはこうなんでしょうか。本当に、文明国家として私は胸を張って世界に行くことはできません。

 総理、今約千頭なんです。ですから、たった千頭、囲いの中に入れて、寿命を全うするまで、もう放射能で汚染されていますから売り物になりません。でも、せめて寿命を全うするまで生かしてください。そして、政府として研究してください。放射能の影響は二代、三代、四代、五代、ここまで牛の影響がある。ぜひ、総理以外ありません、答弁してください、生かしてください。お願いします。

鹿野国務大臣 今御指摘のこの資料でございますけれども、御党の代表の方々から御指摘をいただきまして、心の痛むことでございました。

 報告でございますけれども、十月十三日に、この牧場につきましては埋却、消毒を完了させていただいております。

 それから、今先生から申された、何かいろいろな研究材料とかにできないか、こういうふうな御指摘、たびたびちょうだいしてまいりました。私どもといたしましては、ある一定の考え方に基づきまして対応いたしたところでございますけれども、近日中に、実用技術開発事業といたしまして、屠畜前の牛の放射線量に関する研究の公募を行う。北里大学及び日本獣医師会等による繁殖育成牛約三十頭を用いた放射線量に関する研究について、十二月ごろを目途に研究を開始できるようにする、こういうようなことの支援を行おうということを考えておるところでございます。

 これからも、研究機関等から要請がありますならば、福島県と協議の上、真摯に検討してまいりたいと思っております。

野田内閣総理大臣 今農水大臣の御説明のとおりであって、研究目的等でぜひ活用したいというところには、しっかりとそういう情報を提供しながら貢献をさせていただきたいというふうに思います。

吉野委員 たった千頭です。全頭生かしてください。研究用で一頭、二頭、十頭くらいではだめです。全頭生かしてくれるようにお願いします。

 最後に、茨城を忘れないでください。私は福島県の南の端です。いわき市生まれです。子供のころは、天気予報は全部茨城県、テレビのアンテナも茨城県、おじさんも、おばちゃんもみんな茨城に嫁いでいます。私の地域は茨城と一体なんです。

 そして、今度の大震災、津波、これも全く同じなんです、北茨城市大津港等々。何で被災三県なんでしょうか。被災四県、ぜひ、茨城も福島も同じなんだということで……(発言する者あり)青森も同じです。被災四県、被災五県、こういう形で取り組んでほしいんです。平野大臣、御答弁お願いします。

平野国務大臣 委員御指摘のように、茨城県も、津波、それから内陸部においては地震、たくさんの被害が出ております。また、青森県においても同じであります。また、千葉県においてもそうでございます。

 今回の制度、三次補正等につきましては、一次補正も二次補正もそうではございますけれども、東日本大震災の財特法によって指定された自治体、これはすべて同じような条件でいろいろな支援が受けられる、こういう形で制度設計されているということでございますので、被災地域によって、あるいは県によって違いがあるということではないということだけは、ぜひとも御理解をいただきたいというふうに思います。

吉野委員 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 この際、棚橋泰文君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。棚橋泰文君。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文です。

 まず、総理に御質問いたします。

 何度聞いてもわからないんですが、なぜカンヌでは消費税を一〇%に引き上げるとおっしゃって、国民にはその話をいまだにきちんと明確に御説明にならないんでしょうか。御答弁をお願いいたします。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革を決めた後から、一〇%に引き上げるという話は随時お話をしてきているつもりでございますし、私のいわゆる代表選挙のときにもそのお話はしました。さきの臨時国会における所信表明演説でも申し上げました。御質問にもお答えしてまいりました。記者会見でもお答えしてまいりました。カンヌで初めて言った話では決してございません。

棚橋委員 さきの臨時国会における所信といいますと、たしか九月の十三日だったと思いますが、総理から先日そのような答弁があったので、私、所信を何度も読み直したんですが、どこにも一〇%という言葉が出てこないんです。総理の御所信の中で、ここが野田総理が言っている消費税一〇%引き上げだというところをちょっとお示しいただけますか。

野田内閣総理大臣 所信表明演説では、本年六月に、政府・与党の社会保障・税一体改革成案が熟議の末にまとめられました。これを土台として、真摯に与野党での協議を積み重ね、次期通常国会への関連法案の提出を目指します。与野党が胸襟を開いて話し合い、法案成立に向け合意形成できるよう、社会保障・税一体改革に関する政策協議に各党会派の皆様に御参加いただきますよう、心よりお願いを申し上げますということで、税一体改革に触れております。

 一〇%について、数字を挙げていないという指摘ならばそうでありますが、中身はそういうことでございます。

棚橋委員 それで普通の国民は理解できますでしょうか。

 ちなみに、総理、先般のカンヌでの日本の関連部分をお読みしますと、中略をいたしますが、「消費税率を一〇%まで引き上げることなどの」「所要の法律案を二〇一一年度内に提出することにコミットする。」これと今おっしゃったことは同じことだと、普通の国民が理解すると総理はお考えですか。

野田内閣総理大臣 所信表明演説では具体的数字は入れていませんが、中身は今申し上げた、一一年度までに法案を提出して、二〇一〇年代半ばまでに一〇%まで段階的に引き上げるということであって……(発言する者あり)それは別にごまかしでも何でもなくて、質疑でも記者会見でもそういうお答えはしています。

棚橋委員 まず、私はまだごまかしという言葉は使っておりません。総理の方からお使いになるのは余りよくないのではないか、御自身の思いにあるのかもしれませんが、そこは御注意をいただければと思います。

 私の質問は、一〇%と引き上げることをいつ国民に説明したんですかと質問したところ、総理は、何度もおっしゃっている、例えば九月の十三日の最初の所信でおっしゃっていると。ところが、今お読みになった部分で一〇%という言葉はありますでしょうか。

 総理が国内向けにおっしゃっていることとカンヌでおっしゃったことが、これは同じように、三月末までに一〇%まで引き上げる法案を出すというふうに理解しろと総理はおっしゃるわけですか。

野田内閣総理大臣 まさに中身は一致しているわけですから、御理解をいただけるように、これからも折につけ御説明してまいりたいというふうに思います。

棚橋委員 まずほとんどの国民は、一〇%に引き上げるなんていう話は、まさにやぶから棒、寝耳に水だと思いますよ。(発言する者あり)静かにしてください。

 そこで、そこまでおっしゃるならば、総理、国民の皆様方にきちんと説明するお気持ちがあるんですね。早々に記者会見を開いて、このような理由で消費税を一〇%に上げさせていただきたい、御理解をという話をされるのが、税を上げる権力者である総理大臣としての最低限のアカウンタビリティーではないでしょうか。いかがでしょう、記者会見をするつもりはございますか。

野田内閣総理大臣 六月に税と社会保障の検討会議で成案をまとめて以来、中身については御説明をしてきたつもりでございますし、財務大臣として記者会見でそういう説明もしてまいりました。改めてこれを記者会見するということではなくて、こういう国会での答弁も含めて、随時御説明をしてまいりたいというふうに思います。

棚橋委員 総理が、総理になられてからぶら下がりにも応じない、記者会見もろくになさらない。何よりも、消費税の引き上げという国民に負担をお願いするものに関して、国民から見れば、一〇%という話は今まで出ていなかったわけですよ。それが急に今出てきたというのが普通の国民の感覚ですから、当然やはりきちんと御説明になるべきではないですか。

 それでは、まず第一に、総理が近々きちんと記者会見を開いて、国民の皆様方に記者さんたちを通じて説明することを、私は一国会議員としても一国民としても強く求めます。

 その上で、この一〇%に引き上げる消費税というのは、何のために引き上げるんでしょうか。一番簡単な質問をすると、今ある赤字、国債の発行、これを返すためなのか、それとも社会保障等のためなのか、そこをお答えください、総理。

野田内閣総理大臣 まず、記者会見云々でありますけれども、頻度は決めていませんが、なるべく記者会見はしっかりやっていくということは申し上げておりますので、必要に応じてやるときには、御質問があればお答えをしていきたいというふうに思いますし、それ以外のこういう国会質疑でお尋ねがあれば、これは積極的に答弁をしてお答えをしていきます。

 その上で、消費税の引き上げの目的でありますけれども、これは、社会保障を充実させ持続可能なものにしていくために、裏づけとなる安定財源としてまさに消費税が必要であるという一つ、それから、財政健全化を同時達成するということ。こういう目的のもとに税と社会保障の一体改革の議論が行われてきて、そういう結果でこの成案がまとまったということであります。

棚橋委員 では、前半の部分だけでもお聞きしますが、消費税を一〇%に上げれば、これまで民主党がマニフェスト等で約束してきたもの、あるいは、総理が税と社会保障の一体改革に書いてあるとおっしゃいますが、そこで書いてあるものは実現できるわけですね。どうぞ、総理。

安住国務大臣 プライマリーバランスの話をなさっているのではないかなと思いますが、二〇一五年で仮に消費税が一〇%になったとすれば、プライマリーバランスの半減という目標についてはおおむね達成できるのではないかというふうに思っております。

 そういう点からいえば、二〇二〇年に向かっての一里塚を築くという認識に立っているということでございます。

棚橋委員 済みません、財務大臣、質問が違います。プライマリーバランスの話を聞いているわけではございません。

 社会保障を維持するためとおっしゃいましたので、一〇%に上げれば、税と社会保障の一体改革あるいは民主党のマニフェストにある社会保障は守れるんですかと総理に伺ったんです。

 総理、もし総理が御答弁できるようでしたらお答えください。古川総理であれば古川総理で結構です。

古川国務大臣 担当大臣でありますので、お答えをさせていただきます。

 一体改革成案では、社会保障の充実と重点化、効率化をあわせて行うことにより、その機能強化を図ることとしておりますが、そこにマニフェストで掲げられている政策のすべてが盛り込まれているわけではございません。しかし、一体改革成案で盛り込まれたことを実現するために、それの裏づけになる財源として消費税の二〇一〇年代半ばまでの一〇%までの引き上げをお願いさせていただきたい、そのように考えているところでございます。

棚橋委員 残念ながら、誠意ある答弁が返ってこないようでして、いわゆる官僚答弁の棒読みが多いんです。これ以上同じ質問をしてもしようがないかもしれませんので。

 では、逆に総理にお伺いしますが、この消費税一〇%引き上げ法案を年度内に国会に提出する。当然、政府・与党ですから、民主党内、与党内の手続はもう終わっているんですね。これは両院議員総会で決まったんですか、常任幹事会で決まったんですか。

安住国務大臣 政府の税調会長ですから申し上げますと、閣議決定をしているわけではございませんが、閣議で報告をして、六月の末に税と社会保障の一体改革ということで案を出しました。これを具体的に肉づけしていく作業というのは今月から始まっております。そして、それをもとに、ことしじゅうに税制大綱という形で税と社会保障の改革案をまとめて、それに基づいて年度内、つまり来年の三月までの間の中で法案を提出するという段取りになるということですから、何か、党内で両院議員総会を開いたとか常任幹事会をやったとか、そういうことではございません。これから党税調、政府税調を挙げてやっていって、決定に向かっていくということでございます。

棚橋委員 総理、別に細かい質問をいたしませんので、聞いていただけますか。

 今、安住財務大臣の話ですと、与党内ではまだ手続が済んでいないと。つまり、閣議報告であって閣議了解でもないし、まして与党内では両院議員総会も常任幹事会でも通していない。

 しかし、与党の中すらまとまっていないものを、国際公約として、法案として出すと言ってよろしいんでしょうか。私どもが非常に心配するのは、総理がおっしゃったお言葉が鳩山さんのトラスト・ミーとダブるんですが、それは、まず国内で、まして国民にきちんと説明した上で、与党も野党もきちんと説明した上で、ある程度めどが立ってから国際的におっしゃるべきではなかったんですか。総理、お願いいたします。

野田内閣総理大臣 与党内で社会保障改革について、そして税の議論についてはたくさんの時間をとって議論をしてまいりました。そして、政府内でも議論をしてまいりました。最終的には、政府・与党の社会保障の改革検討本部というのがあります。これは党の重立った役員の皆さんとそして政府の関係する閣僚によって、そこで最終決定をしているということでございますので、党が全く無関係で決めたというわけではなくて、全議員参加の議論を経ながら、最終的には政府・与党の検討本部で決めて、それをもって閣議に報告をし、それは連立与党でございますので国民新党にも御了解をいただきながら、各党と協議することについては御理解をいただいて、そして今日に至っているということでございます。

棚橋委員 おっしゃることがすごくぶれるんですが。

 要は、民主党としてこの法案を、年度内、来年の三月までに消費税引き上げ法案を出すことをもう了解しているんですか、していないんですか。民主党の党首である総理にお答えをいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 今申し上げたように、六月の成案については党も議論をしながらかかわってきて、そして政府・与党で決めたわけであります。その具体化をすることについて、まさにこれからの作業でございますが、これまた、党を挙げて議論をしながら、意思統一をしていきたいというふうに思います。成案を基礎に具体化をしていくということでございます。

棚橋委員 おっしゃることが、正直言って、私の理解能力が多分低いんでしょう、わかりません。

 総理は結局、民主党内をまとめてこれをカンヌでおっしゃったのか、それとも民主党内をまとめ切れていないのか、そこはごまかす、失礼、先ほど総理がごまかすとおっしゃったので。そこはあいまいにするわけですね。わかりました。

 先ほどの自民党の野田毅委員の質問にもございましたが、また今の総理の御答弁でも、社会保障を安定させるために今回消費税を引き上げるというお話ですが、では、まさに社会保障と税の一体改革にある、例えば民主党のマニフェストにあった、最低年金七万円は税でやる、これは同じ来年の三月に法案が出て、同じようにできるんですね。総理大臣である方にお答えいただければと思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 民主党がマニフェストでお約束をいたしました年金の一元化の改革案につきましては、六月にまとめた成案の議論の中でも、これは党内で相当議論をいたしまして、かなり具体的な形でブレークダウンをした形になっております。今後とも、これは党の方でも、また政府の方でも検討してまいりたいと思っておりますが、これは、マニフェストにお約束をさせていただいておりましたのは、最終の四年目のところで法案が出せるようにするということでございます。

 したがいまして、今成案で決めている中では、民主党の年金改革案については引き続き議論を行っていく。そして、そこの間、年金改革案は、もともと我々、抜本改革を行うに当たっては、これは我々の党だけではなくてほかの党も含めた合意をしていかないと、新しい年金制度というのは成熟までに四十年ぐらいかかるわけでありますから、そういう意味では、時間をかけ、かかるだけやって与野党を超えた合意をつくっていく。そのたたき台としての民主党の案を出すということで、今、こちらの党内でも、そして政府の方でも、民主党案については具体的な精査をしておるところでございます。

 そこに至るまでの間、今の現行制度をそのままにしておくわけにはいきませんので、それについて、ではどういう修正を図っていくか、そのことについては、この成案の中でまとめさせていただきました。そこに従って、今まさに厚生労働大臣のもとで議論をしていただいているところでございまして、そこで決まれば、その部分については、これは来年の通常国会にも提案をさせていただくことになろうかというふうに思っております。

棚橋委員 大変長い答弁でしたが、よくわかりません。

 来年の通常国会、三月までに、消費税引き上げ法案とともに、総理、税と社会保障の一体改革にある、この最低年金七万円を税で賄うという、これは同じタイミングで実現するんですね。野田総理、お答えください。総理大臣、お願いします。

小宮山国務大臣 マニフェストでお約束をしている年金の一元化については、これは二十五年度中に法案を提出するということで、そのように今党の中で議論が進んでいるものと思います。

 今回の消費税引き上げの五%分は、そのうちの一%相当、二・七兆円程度は、成案で示された制度改革に伴う必要な費用、この中には、先ほどから申し上げている子ども・子育ての新システムなどに充てる〇・七兆なども含まれております。それから、高齢化の進行などにより増大する費用、これは自然増のうち経済成長による伸びを超える増加が一%程度、そして、基礎年金国庫負担二分の一の安定財源の確保に一%相当、現在赤字国債などで後代に負担をツケ回している社会保障の機能維持に係る費用に一%相当、消費税率を上げることに伴って必然的に生じる社会保障支出などの増加に要する費用一%相当ということで、成案に盛り込まれた、これから拡充していくところに充てるものも含まれておりますが、年金の一元化についてはこの時点で入るものではございません。

棚橋委員 委員長、まずお願いがございます。できれば、私、細かいことを聞いているつもりはございませんので、総理にお答えいただけませんでしょうか。小宮山大臣にしても古川大臣にしても、官僚答弁を読まれるのは結構ですが、それは、せっかくの時間ですから別の機会にしていただきたい。

 要は、国民からすると、消費税は一〇%に上げる、これは来年の三月までには法案が出るということは、もう半年ないわけですよね。だけれども、今の古川大臣でも小宮山大臣でも、年金制度の問題に関しては、いろいろと検討しなきゃいけない問題があるから時間がかかる、間に合えば通常国会に出すと。これは、例えが悪いかもしれませんが、料金だけはいただくが、料理をどういうものを出すかは後で決めますから先に料金を払いなさいというふうに国民が思っても、しようがないじゃないですか。

 だから、総理にお答えをいただきたいのは、税と社会保障の一体改革の中で、最低年金は税でやると書いてあるんですから、それは、税を上げる、消費税を上げる、この三月末までの法案提出までにそちらの方も同じように出すんですね、法案を。それを、総理、お答えください。

野田内閣総理大臣 ちょっと誤解が生じているんですが、最低保障機能強化のための年金改革、例えば障害者の問題とか低所得者への配慮、それは通常国会に出すべく努力をするんです。最低保障年金と所得比例年金を含めた年金制度の抜本改革は、小宮山大臣がおっしゃったとおり、これは平成二十五年度までに案をつくることになっていますので、抜本改革の話は、この二十三年度末に法案を提出するということではないということをそれぞれの大臣が御答弁をされていたというふうに思います。

棚橋委員 では、こういう理解でよろしいでしょうか。抜本改革の法案は来年の三月までには出さない、しかし、消費税引き上げ法案は来年の三月までに出す。今の総理の御答弁を要約するとこういうことですが、総理、よろしいでしょうか。

野田内閣総理大臣 だから、年金の一元化と消費税がセットではないんです。ただ、そのほかの社会保障の改革の中で、社会保障の機能の充実をさせる分野、重点、効率化する分野があります。これは成案に書いてあるとおりであります。成案に書いてある社会保障改革を実現するために消費税の引き上げをするということであって、年金一元化とストレートのセットではないということであります。

棚橋委員 だから、先に料金だけ取っておいて料理の内容は後で決めると国民が思っているんですよ。きちんと料理と料金は一緒に出してくださいよ。(野田内閣総理大臣「料理は出しているでしょう」と呼ぶ)出していません。まず総理大臣、余り動揺しないように。そこはもっと体格に合った形で、落ちついてやってください。

 では、もう少し伺いますが、財政の再建に関して総理は、所信の中で三つ重要だとおっしゃいました。一つは歳入問題、一つは歳出削減、そしてもう一つは経済の成長。消費税の引き上げというのは、経済成長と当然両立すると総理はお考えなんですね。そしてまた、今、小宮山大臣は一%当たり二・七兆円と言いましたが、これは一〇パーに上げても一%当たり税収増として二・七兆円、これは見込めるんですね。

 まず、消費税の引き上げと経済の成長、これは両立し得るかどうか。総理、非常にシンプルな質問です。それから、一%当たり二・七兆円なのか。この二つ、総理のお言葉をいただけませんでしょうか。

野田内閣総理大臣 今のお答えをする前に、料理と料金の話でありますけれども、年金の一元化という料理のために消費税という料金をいただくのではなくて、社会保障の充実のために、例えば子ども・子育て新システムであるとか、さまざまなお料理があります。そのお料理を皆さんに食べていただくために料金として消費税であるということで、料理と料金が乖離しているということはないということはぜひ誤解のないようにお願いをしたいというふうに思います。

 その上で、成長と財政再建は、これは両立をさせなければいけないというふうに思っています。これから議論しなければいけない消費税の話は、社会保障の安定財源を確保するためであります。当然、消費税を引き上げなければならない実施時期を決めるときには、経済の条件なんかをよく勘案しながら判断をして、成長を阻害することのないような、そういう判断の中で進めていくということでありまして、この両立を図っていきたいというふうに思います。

 税収の話は、二・数兆円というのは、基本的にはそういうことだというふうに理解をしています。

棚橋委員 くどいようですが、料理と料金が違っております。少なくとも、国民からすると、料金の値上げの話は、いきなりカンヌで出てきて、半年以内に決めると。しかし、料理の詳しい中身は少なくとも国民には知らされていません。

 もし総理が胸を張って、ちゃんと社会保障の具体的イメージも自分は用意しているんだとおっしゃるならば、さっき申し上げたように、消費税を一〇%に上げる、そのかわり、これだけの社会保障をするんだということを記者会見で国民にきちんとまず説明すべきだと思っております。

 その上で、では、消費税の引き上げと経済成長が両立すると。一%当たり二・七兆円ということは、これは、消費税を引き上げても経済成長するわけですから、例えば所得税の税率を変えなければ所得税収はふえるわけですが、その税収がふえることを前提に、社会保障全体の維持のために五%と見ているわけですね。

 これも非常に単純な質問ですが、経済が成長する、消費税を上げても経済はマイナスにならない、成長する、だから所得税も上がる、だけれども、それにプラスして消費税を五%上げる、こういう財政の計算で、総理、よろしいんですか。すごくシンプルな、わかりやすい質問です。

安住国務大臣 だって、棚橋さん、社会保障の安定、安心が消費につながる可能性はあるわけですから、そういう点では、消費税を上げれば経済成長率がどうなるかというのは、これは未知の話です。

 ただ、この先を考えれば、私は、老後の安心や社会保障を安定化させることが消費につながるということからいえば、その棚橋議員のおっしゃった仮定も成り立つのではないかと思います。

棚橋委員 そんないいかげんなことを言われても困りますよ。常識的にまず聞いてください。常識的に考えて、消費税を引き上げるといえば、時期はともかく、個人消費が落ち込むのが普通ですよ。

 私の質問は、総理は消費税を引き上げても経済成長と両立し得ると言うんだから、経済が成長して所得税も増収であることを前提にこの五%という数字を組んだのか、そもそもこの五%という数字の根拠は何なのかという趣旨で総理にお聞きしたんです。もう一度、質問に答えていませんので、総理、お答えいただけませんでしょうか。

野田内閣総理大臣 所得税収云々という話と連動する話かどうかというのは、これはちょっとわかりません。いわゆる社会保障の安定財源を確保しながら、それに消費税を充てるということと、その上で、経済状況をよく勘案しながら判断をしていくということが基本的な考え方になっています。あわせて、だから、いわゆるほかの税収云々との勘案という話ではありません。あくまで経済と財政をにらみながらの判断をしていくということであります。

棚橋委員 聞けば聞くほどわからなくなるんですが、では、なぜ五%なんですか。だって、全体に必要な歳出の額があって、それに必要な歳入の額があって、所得税収はどうなるから間接税としてこうだ、まずこういうフレームワークの議論があるわけじゃないですか。ところが、消費税を上げるという話をしても、個人消費にどういう影響があるかというのは私はわからないけれども、とりあえず上げるというふうに言われても困るんです。

 もう一度、総理、わかりやすく、総理の言葉で国民の皆様にわかりやすく御説明いただけませんか。

古川国務大臣 先ほど総理がおっしゃった、財政の健全化と経済成長を両立させなければいけないというお話、多分、今、棚橋委員がおっしゃられるのと少し誤解があるんだと思うんですね。

 この社会保障と税の一体改革成案の中でも、経済状況の好転というものを前提にして消費税の引き上げ時期を考えていくと。ですから、まずはやはり経済をこのデフレ状況から脱却させて、そして成長を回復軌道に乗せていく、そういう状況をつくっていくために全力を挙げていく。そういう状況の中で、消費税引き上げによる、それは景気に関して見れば、いわばマイナスの効果があります。ですから、そういうものをのみ込めるような状況の中で消費税引き上げをお願いしよう、そういうふうに考えているということでございます。

 消費税の引き上げ分については、先ほど小宮山大臣もお話を申し上げましたけれども、今回の社会保障・税一体改革案を実現する、そのために必要な社会保障の機能維持や機能強化、そしてこの消費税引き上げに伴ってふえる歳出増加、その分として五%の引き上げをお願いさせていただきたい、そういうことでございます。

棚橋委員 誤解はないんですよ。あなた方が言っていることはわかっています。総理もちゃんと経済状況が好転してからとおっしゃっているじゃないですか。

 我々がおかしいなと思うのは、まず、民主党さんは、消費税を上げる前には民意を問うといいながら、法案は通しておいて、実施時期が違うからそれまでに解散すればいいと、総理、おっしゃっていますね。これが全く理解できない。法案を上げる前に民意を問うのが普通じゃないでしょうか。

 また、実施時期は経済の状況を見ながら別に考えるということは、古川大臣の答弁にありましたが、逆に言うと、実施時期に関しては別の法律で、消費税引き上げ法案は通しても、その実施の時期については別途定める法律で決める。それで、経済状況を見ながら、もう一度国会で議論して、実施時期を定める法律は別にするんですね、総理。

中井委員長 答弁者に申し上げますが、棚橋さんには棚橋さんの癖があって、かなり難しい質問でありますから、誤解をされているとか単純じゃないとかそういうことでお答えにならずに、棚橋さんの質問の中身をよく考えて答えてください。

古川国務大臣 大変失礼をいたしました。

 この法案の中で、これはまさに、御党が与党時代につくられた法案の附則の中にも、経済状況の好転を前提にとか、そういうお話もあります。ですから、要するに、今度まさにこの附則に基づいて、今、法律のもとで行政を運営させていただいているわけでございますから、皆様方が政権時代につくられた附則に基づいて私どもも今年度中に法案を提案させていただきたいと思っております。

 その法案をつくる中では、それは基本的に、先ほど総理もほかの方の答弁で申しておりましたけれども、どの時期にどれぐらいの形で何%消費税を上げるのかということは決めていくことになろうかと思いますが、しかし、それはやはり画一的なものではなくて、どういう状況が、経済状況が突然悪くなる、あのリーマン・ショックのようなこともあるかもしれません。やはりそうした状況には柔軟に対応できるような、そうした考え方は法案の中に入れていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 そういった意味では、委員が御質問で言われたような、別にそれを実施時期と分けるというようなことは、基本的には考えておりません。

棚橋委員 委員長がおっしゃっていただいたとおり、あなた方は言いわけというか答弁が長いんですよ。

 結論は、別途法律を必要とするかしないかと聞いているんですから、そのつもりはない、だから上げさせてもらう、上げるに当たってもう一度国会の了解を得るつもりはない、そう言っていただければいいんです。

 では、総理、財政の再建にも資するというお話がございましたが、総理が所信でおっしゃったように、歳入の問題と歳出の問題、その歳出の問題の中で、民主党政権は無駄はぎりぎりまで徹底して削ったわけですよね。

 そこで、資料一をごらんいただければと思います。

 率直に、ストレートにお聞きします。そこの黒いところは、二重取りと書いてあったんですが、民主党の、与党の理事さんの強いプレッシャーで、二重取りのところを消されちゃったんです。ですからわかりづらいと思いますが、平岡法務大臣、先日、法務委員会で私が質疑したところ、詐欺、公金詐欺の前科がある方を公設秘書に九月一日に登用し、九月二日に大臣政務秘書官にした。しかし、その方は、九月の公設秘書の給与と九月の大臣政務秘書官の給与と二重取りしているんです。これは、二重取りがだめというなら何と言うんですかね、二重支給ですか、二重受給ですか、民主党の用語だと。

 その二重取りをしているんですが、総理、こんな方を法務大臣にしていてよろしいんでしょうか。総理、どうぞ御答弁をお願いします。

中井委員長 平岡法務大臣。まず経過を説明してください。

平岡国務大臣 総理にお答えいただく前に、ちょっと事実関係を、誤解もあるかと思いますので、説明させていただきたいというふうに思います。

 今、棚橋委員が言われた点は、法務委員会で指摘がありまして、私も調査をさせていただきました。

 ここに書いてありますように、九月分の公設秘書の給与については、九月一日に在籍をしていたということから一カ月分が支給されていたということでございます。これは、仕組みとしては、衆議院の公設秘書については月割りで給与が支給されるという仕組みのためでございます。それから、大臣秘書官給与については、これは九月二日から採用しておりますので、同月の十六日に支給をされているわけでありますけれども、大臣秘書官については日割り計算で支給されるという仕組みになっているということでございます。突き詰めて言えば、大臣秘書官については日割りでの支給、公設秘書については月割りでの支給という制度の違いによってこうしたことが生じたことでございます。

 ちなみに言いますと、公設秘書としての後任者、私の事務所に今いるわけでございますけれども、その者に対しては、この九月分の給与は国からは支払われていないということでございまして、決して税金の二重取りではないというふうに御理解をいただきたいと思います。

 このような状態になっているのは、何も私のところだけが特別にこうなっているということではなくて、制度としてこういうふうになっているということでございますので、似たような状況はいろいろなところで生じているのではないかというふうに推測をさせていただくところでございます。

棚橋委員 いや、ちょっと平岡大臣の感覚を疑うんですが。

 この同じ秘書官が、九月の一日に公設秘書に在籍し、九月の二日から大臣政務秘書官になり、その方に給料が二重に払われているわけでしょう。それが二重取りじゃないんですか。それが平岡さんの常識ですか。

 仕組みさえそうであれば、五十万円を超えるような月給を二重取りしてもいいというのが平岡大臣の御答弁でした。総理は歳出の削減を強くおっしゃっていますが、総理はこのことをどう思いますか。総理の、あなたの常識としてお答えください。

藤村国務大臣 今、平岡大臣御説明のとおりで、これは仕組みのところでこういうことになるというのが現実でございます。つまり、公設秘書の給与というのは月ごとに払われるんだけれども、今、一日に在籍した人には払われてしまうという仕組みであります。一方、今度は、こちら側の公務員になられた、政府に入られた方について、これはいわゆる日割りも可能でありますので、それで両方ともがその方に行ったという現状だと思います。

 これは過去から指摘されていることで、今後のこととしては、やはり日割りできちっと精算できるという方が正しいやり方だと私は思っております。

棚橋委員 総理の御見解を。

野田内閣総理大臣 事実関係として今ようやく、平岡大臣と官房長官の御説明でわかってまいりましたけれども、これは、二重取りというちょっと厳しい言い方で指弾してしまう前に、制度上生じてしまう問題だということでございますので、これを踏まえてどういう対応をするかだと思います。

 今官房長官がお話しになったように、日割りをベースで対応するというのがこれから基本ではないのかなというふうに思いましたし、これは歴代こういうことが起こっていて、別にこれは民主党政権だけではなくて前からあったんだろうと思いますが、今そういう御指摘もあったので、これは超党派で議論するテーマかもしれません。国会議員の公設秘書の給与にかかわることでありますし、政権交代はこれからも起こることでありますので、そういう協議は大事だというふうに思います。

棚橋委員 ちなみに、そこまでおっしゃるならば、自民党政権の時代に、この二重取り問題に気がついて秘書さんに公設秘書の給与、その相当分の日数を国庫に返納するようにというような自民党の大臣がいたときに、あなたはどうするんですか。

 あなた方は何で、藤村官房長官が言うとおり制度の問題点は指摘されていながら、制度で許されるから二重取りするんですか。やはり常識からすると、返させるものじゃないですか、返却を。藤村長官、今うなずいていらっしゃいますが、もう一度総理、総理の常識を問いたい。

 九月の給料を衆議院と大臣秘書官と両方もらっていて、制度がそうだったからいいというのが野田さんの常識でしょうか、それとも、やはり返すべきでしょうか。総理、お願いいたします。

野田内閣総理大臣 自民党のころにどの大臣がどういう形で対応したかはすべてつまびらかにわかりません。棚橋さんがそのときに秘書さんに返納させたのかどうかもわかりませんけれども、それは個人の良識の問題じゃなくて、こういう制度の問題が根底にあるということを踏まえた対応を、それぞれの良識じゃなくて、これからはすべきではないかということを申し上げたいんです。

棚橋委員 まず、個人の良識だと思いますよ。給料を二重取りしちゃいけないというのは個人の良識でしょう。仮にそういう制度があっても、やはり返させるというのが常識じゃありませんか。

 私が議員便覧で調べた限りでも、同じように二重取りされている可能性がある大臣がたくさんいらっしゃるんですよ。大変残念なことに、制度の二重取りは制度としておかしいと言ったときにうなずいてくださった官房長官。安住さん、あなたの大臣秘書官もたしかそうですな、平岡さんだけではなくて。川端さんもそうですね。小宮山さんもそうですね。枝野大臣もそうですか。防衛大臣もそうですか。山岡大臣、やはりそうですね。古川大臣までそうじゃないですか。

 こういった問題を、きちんと総理として指導力を示して、少なくとも、私は、平岡大臣にこの質問をしたときに、二重取りに気がつかれたから、すぐに返却させたと思ったんですよ。

 今申し上げた大臣の中で、九月分の二重取りになる分は国庫に返却されたという大臣がいらっしゃったら、御答弁をいただければと思います。

平岡国務大臣 少しお答えさせていただきたいと思います。

 実は、日割り計算の場合でも、月の給与というのはまとめて払われるものですから、例えば十月の二十日に退職した場合にどうするのかというと、二十一日以降のものについては返納という仕組みがあるんですね、日割り計算の場合は。

 それで、私も、これは返納の仕組みが公設秘書の場合も月割りであってもあるんではないかということで、衆議院の議員課の方に問い合わせをさせていただきました。そうしたら、公設秘書の場合は、返納という仕組みがないので、これはあくまでも国庫に対する寄附ということで、任意にやっていただかなければならないという仕組みになっていると。仕組みというよりは、仕組みがないものですから、やむを得ずそういうことでやった例があるということを聞きました、このケースとはちょっと違うんですけれども。

 そういうことで、私も、国庫に対して寄附をするということをこれからどのように求めていったらいいのかということについては、既にもう退職した人間でもありますし、これは国庫への寄附でありますから任意に対応しなければならないという問題でありますので、そういうことを考えていきたいというふうに思います。

棚橋委員 この感覚がおかしいんですよね。

 法務委員会で質問して、平岡さん、私は、当然二重取りの分は返納させる、元秘書とはいえ指示をする。どうしようもなければ、国会議員としての歳費は確かに公職選挙法等で議論がありますが、大臣給与の分は返納できますよね。当然、それをやっていますという答弁が平岡さんからあるかと私は思ったんですよ。

 不思議なことに、二重取りと言うのもおかしいと言われれば、残念なことに、まず民主党国対が了解をしてくれなかったので、平岡さんのところから法務委員会の理事会に出てきた当該秘書さんの給与明細すら、今回、資料、パネルで使えないんです。それはやはり、あなた方がやましいとわかっているからじゃないですか。

 どうか、消費税を上げる前に、歳入の問題の前にまず歳出、特に総理は所信でみずから襟を正すとおっしゃったんですから、閣内の半分の大臣がこういう状況であるようなことは襟を正していただきますことを強く求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 理事会におきましては、この問題で御議論がありまして、二重取りということについては文書では使わない、法務委員会では法務委員会理事会限りの資料だ、こういうことを前提に御質疑をいただくということになっておりました。これらの点についても御留意を今後いただきますようお願いいたします。

 この際、平沢勝栄君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 聞いたことだけを簡潔にお答えいただきますようお願いしたいと思います。

 最初に、まず総理にお聞きしますけれども、二年ちょっと前の選挙で、民主党は国民の大きな期待の中で誕生しました。そこで鳩山内閣ができました。ところが、鳩山内閣は九カ月足らずで自滅しました。普天間基地の移転で迷走に迷走を重ねて、結局自滅して、そして残ったのは、アメリカとの信頼関係が大きく傷ついたということです。

 そして、その後にできた菅内閣も一年数カ月でまた終わってしまいました。そして菅内閣も、中国船の問題で迷走を重ね、そして三月十一日のあの大震災、その後の原発の対応では後手後手に回ったというのは、先日お亡くなりになられた西岡参議院議長が御指摘になられたとおりでございます。

 総理は、鳩山内閣のときも内閣の副大臣としておられました。そして、菅内閣のときは財務大臣という主要大臣としておられました。

 内閣の責任は一体なんです。鳩山内閣、菅内閣、いろいろな問題を残して終わってしまいました。そのときのいわば内閣の責任、とりわけ総理の責任は、御自分でどう考えておられますか、お答えください。

野田内閣総理大臣 政権交代を国民の皆様の後押しで実現させていただいた後、鳩山内閣、菅内閣、それぞれ国民のために懸命に、歯を食いしばって仕事をしてきたというふうに思います。

 その評価については、これは私は歴史が最終的には判断をするものと思いますが、その中にあって、私は鳩山内閣では財務副大臣、菅内閣で財務大臣でございました。内閣の一員でございますので、その評価の中で厳しい御評価をいただくとするならば、私も共同の責任を負っていることは間違いございません。

 いずれにしても、政権交代をしてよかったと思っていただける、実感をしていただくためには、これからさらなる努力をしていかなければならないと思いますし、この二年間のいろいろな教訓はあると思います。それを踏まえて、国民の皆様が政権交代をしてよかったと思えるために、これから大いに頑張っていきたいというふうに思っています。

平沢委員 総理は、鳩山内閣はいい仕事をしたと思われますか、菅内閣はいい仕事をしたと思われますか、今のお話を聞きますと。失敗したんでしょう。いろいろな問題を残したんでしょう。その反省に立って総理はやってもらわなきゃならないんです。

 ですから、総理はどういう反省をしておられるのか、そこを聞いているんです。もう一度お答えください。

野田内閣総理大臣 厳しい総括を求めるお立場はよくわかります。もちろん、その厳しい総括が党の中でも必要だとは思っています。先ほどのマニフェストの評価も含めて、いろいろ御議論がございました。反省すべき点はたくさんあると思いますが、そういうものを乗り越えて、これからは、政権交代してよかったと思えるための、きちっとした実績をつくっていきたいというふうに思います。

平沢委員 さっぱりわからないんですけれども。

 私は、鳩山内閣、それから菅内閣を見ていまして、とんでもない内閣だったなと思いますよ。国民は不幸だったなと。

 例えば、鳩山内閣は、政権の終わるころになって何と言ったか知っていますか。沖縄の海兵隊の抑止力、学べば学ぶほどやっとわかったと。終わるころになって言ったんですよ。こんなことは政権につく前に知っていなきゃしようがないでしょう。政権につく前にこんなことはとっくに知っていなきゃ、総理になる資格はないんじゃないですか。

 もっと言えば、菅内閣は何と言ったんですか。菅さんは、政権とってから半年もたったころ、今までは仮免許と言ったんですよ。そしてその後、大震災、原発が起こった後は、初めてのことだからということを言ったんです。

 こんなことを一般社会で言ってごらんなさい。大変なことになりますよ。例えばお医者さんが、初めての手術だから、あるいは仮免許だからと言ったらどうなりますか。警察署長が署長に就任して半年もたってから、仮免許だったなんてことを言ってごらんなさい、これはもう警察署長、首ですよ。

 内閣総理大臣は、国民の生命財産を守る最高責任者なんですよ。その責任者が、今までは仮免許だ、初めてのことだから、こんな言い方がありますか。総理、どう思われますか。

野田内閣総理大臣 それぞれの評価は、私は歴史が判断をするものだと思います。

 言葉の中で、例えば今、抑止力のお話であるとか仮免許のお話とかございました。その一つ一つをとれば、その評価が厳しくなるというのはあります。ただ、それは歴代総理にもいろいろな御発言があって、それだけをもって評価するということは、これは私は公平感に欠けるというふうに思います。

平沢委員 危機管理で初めてのことだからとか仮免許なんということは、これは絶対に言っちゃいけないんですよ。危機管理の担当者なんですよ、総理、内閣の関係者は。危機管理でこんなことを言うことが許されるんですか。

 総理、許されると思いますか。どんなコンテクストだろうと、こういうことを言ってもいいと思われますか。危機管理を担当するのは、別に内閣だけじゃありません。それは、消防の方もおられる、警察もおられる、自衛隊もおられる、いろいろな方がおられます。お医者さんだって、みんなおられます。

 総理、そういう危機管理の担当者がそんなことを言ってもいいと思われますか。もう一度答えてください。

野田内閣総理大臣 どんな文脈で言ったかというのが私は大事だと思っています。

 基本的には、やはり国の長たる者、トップに立つ者、危機管理を預かる者は免許皆伝のつもりできちっとした判断をしなければならないと思いますが、何かの表現とやりとりの中で、謙虚に、何かの打ち出しをしたときにそういう表現が出たのかもしれませんし、その言葉だけをもって私は一刀両断でいくのはどうかというふうに思います。

平沢委員 例えば、初めてのことだからと言われたのは、だから、原発あるいは震災、初めてのことだから不完全なところがいろいろあるかもしれないと。これは完全にしてもらわなきゃ困るんですよ、国民からすれば。そんな、初めてのことに決まっているじゃないですか。すべて、起こることは初めてなんですよ。警察でも、毎日、起こっていることは初めてのことなんですよ。だけれども、完全にやってもらわなきゃならないんですよ。それを、今、初めてのことだから、若干問題があっても、不手際があっても許されるような、そんなことを言ってごらんなさい、それは国民はたまったものじゃないですよ。

 もう一回答えてください。

野田内閣総理大臣 そういう自覚を持って私は対応させていただきたいというふうに思います。

平沢委員 総理は、先日の我が党の谷垣総裁の代表質問に対して、解散の問題について、まずは震災復興、原発事故収束、それから現実に危機的な状況にある経済と金融の危機への対応を的確かつ迅速に進めなくてはならないと考えている、こういう答弁をされました。

 ところが、総理は、二十年の十月三十日、夕刊フジ、私も連載を書いていますけれども、総理も連載を書いておられました。その夕刊フジの中で総理は何と言われたかというと、日本という国は、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦及びさきの大戦、いずれも日本にとっては困難という時期に、我が国はきちんと選挙を行ってきたという歴史がある、困難なときこそ民意を問うのが筋なのだ、こういうことを、総理、総理自身が書いておられます。

 今は国難のときじゃないんですか、総理。

野田内閣総理大臣 今、目の前にある大きな国難は、この間の所信表明でも申し上げたとおり、復旧復興、そして事故の収束と経済の再生です。これをしっかりとやはりやり遂げるということが大事であって、民意を問うことは大切であると思いますけれども、困難をどう突破するかということを問う民意は、私は必要なときにやるべきだと思います。

 ただ、復旧復興も事故の収束も経済の再生も、これは今まさに、与野党というか、オール・ジャパンで乗り越えていかなければいけないときという、お互いにこれは自覚を持っていると思うんです。それをまず乗り越えるということに専念をさせてくださいという意味であります。

平沢委員 それはわかります。それならば、この平成二十年の十月三十日のとき、戦争をやっている国難のときでも日本は総選挙をやってきた歴史がある、だから国難のときこそ民意を問え、こういうふうに書いたのは、これは間違いですか。

野田内閣総理大臣 そういう歴史観のもとに書いています。事実、そういうことがありました。だから、民意を問うことは大切だとは思っています。大切だと思っていますが、その時期はお任せをいただきたいというふうに思います。

平沢委員 まあ、総理は要するに変わったということでしょう。都合のいいことをそのときはそのときで言ったということでしょう。

 そこで、では次に、マルチ商法について聞かせていただきます。

 まず、マルチ商法というのは、国民の皆さんおわかりにくいからちょっと簡単に説明しますと、要するに、だれかが物を売る、そして、買った人が今度また販売員になって次の知人とか友人に売る、買った人がまた知人、友人に売っていくという形でどんどん広がっていく。これがマルチ商法なんですけれども、ネズミ講と違うのは、ネズミ講と違ってこれには物とかサービスが介在している、そこだけが違うので、要するに、システムとしては全くこれは同じなんです。

 そこで、まず、これは警視庁が呼びかけているマルチ商法の注意喚起の情報なんですけれども、ホームページで呼びかけている情報なんですけれども、警察庁、マルチ商法についてはなぜ呼びかけをしているんでしょうか。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるマルチ商法に関しましては、不当な勧誘により財産上の被害を生じさせるおそれがあると承知をしております。したがって、警察といたしましては、被害予防の観点から、特定商取引に関する法律に規定されている規制の内容やクーリングオフ制度について周知に努め、注意を喚起しているところでございます。

平沢委員 これは別に、警察だけじゃなくて国民生活センターも、これはパンフレットなんですけれども、「マルチ商法」というパンフレット、こういう形で呼びかけているんです。

 きょう国民生活センターが来ていると思いますけれども、国民生活センターはなぜ注意を呼びかけているんですか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者トラブルにつきましては、従来から、その相談実態を踏まえて注意喚起を実施しているところでございまして、マルチ商法につきましても、その相談実態を踏まえまして、いろいろ問題の起こり得る商法ということから、消費者庁所管の独立行政法人でございます国民生活センターにおきまして、ホームページやパンフレットを通じまして消費者に対する注意喚起を累次実施しているところでございます。

平沢委員 要するに、消費者庁も警察も、マルチ商法はいろいろな問題が起こりかねないということで注意喚起を呼びかけている。

 ちなみに、消費者庁にお聞きしますけれども、マルチ商法に関する苦情、相談、これは例えば過去五年間くらいでどのぐらい来ていますか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるマルチ等の取引に関しまして、全国の消費生活センターからPIO―NET、全国消費生活情報ネットワークというデータベースシステムがございますけれども、これに寄せられた相談件数は、五年前の平成十八年度は約二万一千件であったところ、翌十九年度の二万四千件をピークにその後減少いたしまして、二十年度一万九千件、二十一年度一万六千件となり、直近の二十二年度は約一万二千件、登録総件数九十万件の約一・三%となっております。

平沢委員 要するに、万単位の相談が毎年国民生活センターに寄せられている、こういうことだろうと思います。

 かつて、このマルチの問題については、訪問販売法ができまして、それが特定商取引法という法律に変わるんですけれども、訪問販売法ができたのが昭和五十一年、そのときに国会で参考人を呼んで、マルチ商法というのはどういう問題があるのかというのをいろいろと議論したはずです。そのときに東大の竹内昭夫教授は、マルチというのは大変にいろいろな問題がある、いいマルチも悪いマルチもないと言ったはずですけれども、消費者庁、ちょっと答えてくれますか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和五十二年の五月十九日の物価問題に関する特別委員会で……(平沢委員「ちょっとゆっくり言ってください、わかりやすく」と呼ぶ)はい。

 竹内参考人からの発言でございますが、「いいマルチ、悪いマルチ、灰色のマルチというふうなことが問題になったということでございますが、私は」……(平沢委員「はっきり言って」と呼ぶ)はい。

 途中省略いたしますと、訪問販売等に関する法律の規定によれば、公正な連鎖販売取引というものが成り立ち得るかのように思われるけれども、しかし、公正な訪問販売、公正な通信販売はもちろん成り立ち得るけれども、実際問題として、少なくとも、公正なマルチというものはあり得ないであろう、公正なマルチというのは、あたかも安全なペスト、無害なコレラというように概念矛盾ではないかと考えるというふうに私は考えておりますし、書いております、したがって、灰色のマルチとかいいマルチというものはないのではないか、マルチというものはみんな悪いものだ。

 以上でございます。

平沢委員 そのとおりなんです。竹内参考人は、マルチにはいいマルチも悪いマルチもない、いいマルチとか何かというのは安全なペスト、無害なコレラというのと同じことだ、こういうことも言っているんです。

 そもそも、この委員会の冒頭で委員長が何と言っているかというと、マルチというのは、商売の知識経験の乏しい一般個人を対象に組織の拡大を主眼とするため、その限界から被害者の発生は必然である、こう言っているわけです。

 消費者庁、マルチにそれだけ問題があるのなら、なぜマルチを禁止しなかったのか、当時、竹内教授は何と答えておられますか。

松田政府参考人 当時の議事録から引用いたしますと、

  そこで、マルチというものを実質的に禁止するというのが産業構造審議会の答申であったわけでありまして、その禁止する手段としてどういう方法を用いるかということにわれわれは腐心したわけでございます。刑罰を決めてそれが一番適切だということであれば、もちろんそうしたでありましょう。しかしながら、先ほど申しましたように、マルチをやっているものというのは、大抵本物のボスというのは海外におります。

 刑罰規定でかけたところで、結局つかまるのは日本にいるわら人形にすぎない。そういうことであれば刑罰規定を置いただけでは十分な救済にならないのではないか。私どもはむしろそういう意味で、刑罰規定のほかの方法でもって、より実質的な禁止の効果を上げるような手段はないのかということを考えたわけであります。それは先ほど申しましたような、十二条における重要な事項についての不告知あるいは不実告知はいけないとか、その他もろもろの手段をここで用意したわけでございます。したがいまして、私どもはマルチの中のネズミ的な要素は禁止する、そして物流的要素は残っても構わない、それは普通のセールス販売になるわけでございますから、それは構わないという考え方であの法律をつくった。その人狩りの要素がこれで完全に絶滅できるかどうかということは、これはちょっと待たなければ仕方がない。

以上でございます。

平沢委員 今読んだのを簡単に言いますと、マルチというのはもう禁止した方がいいという声があるけれども、マルチというのはトップは外国にいる、だから、下の方だけ捕まえてもしようがないからマルチを禁止しなかった、こう言っているわけですよ。

 だけれども、マルチはどんどん被害が拡大しているから、警察も消費者庁も取り締まりに力を入れているわけです。そして、各自治体も力を入れているんです。

 これは、三重県の伊賀市というところがあるんですけれども、伊賀市の社会協議会ですね、「社協だより」、ここが平成十八年十月号に……(発言する者あり)委員長の御地元だそうですけれども、伊賀市が「社協だより」というのを出していまして、そこで平成十八年十月に、マルチ商法に気をつけろという呼びかけをしているわけです。先ほどの警視庁が呼びかけているのと中身的にはほとんど同じです。ここで書いてあるのは、「マルチ商法で失う物はお金だけではありません。気が付いたときには友人を失い、借金が残るのみです。」こういうことも書いてあります。

 ところが、この伊賀市の社会協議会がこれを出したら、流通ビジネス推進議員連盟、要するにマルチ商法を応援する民主党の議員連盟、この議員連盟が伊賀市に、そんなマルチ商法を呼びかけるものを出すのはけしからぬという抗議の意見書を業界団体と一緒になって出しているんです。(発言する者あり)ここに名前が出ています。会長は衆議院議員山岡賢次さん、事務局長は衆議院議員前田雄吉さん。前田雄吉さんはこの問題でもうおやめになられました。そして、事務局次長が衆議院議員の牧義夫さん、こう出ています。

 山岡大臣、これはなぜこういうのを出されたんでしょうか。

山岡国務大臣 延々と御説明をいただきまして、ありがとうございます。ようやく発言のチャンスをいただきまして、またありがとうございます。

 そもそもの話から私もさせていただきますと、私がこの問題にかかわることになったのは、同窓のトップがかわる会で、私は余り同窓の会というのは行きたがらなかったんですが、たまたまその会に行ったら、向かい側に座った後輩の議員が、山岡先生、後輩の面倒も見てくださいよと。何かいかにも同窓の後輩の面倒を見ないかのようなイメージを受けたので、私も、いいよ、何だって言ってほしい、こう言ったところ、今、何がしかという議員連盟をつくって、名誉会長とか事務局長とかほかは決まっているけれども、会長だけがまだ決まっていない、しばらくの間でいいから、彼の言葉ですよ、私が言ったわけじゃないですけれども、重みのある実力者がついていただければ、その次の人を探すのに探しやすいからついてくれないかということで、私は軽く、いいよ、こういうふうについたわけでございました。(発言する者あり)今まで延々と先生がしゃべってきたわけですから。

 そういうことで、私は、名前だけでいいんだ、あとの仕事はみんな彼らがやるから、こういうことで引き受けたものであるわけでございます。ですから、例えばそういう文書が出ていたということについては、私は、事前に了解も得られた覚えもありませんし、全く承知しておりません。

平沢委員 大臣、これが出たということは後で当然マスコミ報道等で知ったわけですから、では、三重県の伊賀市の社協とかそういったところに対して、これは私のものじゃないということを言われたんでしょうか。それとも、これをだれかが出したわけでしょう、出したのは前田さんか牧さんでしょう、それに対して厳しく抗議を申し入れたんですか。

山岡国務大臣 それは何年のことですか。(平沢委員「これは平成十九年です」と呼ぶ)平成十九年。(平沢委員「十九年二月二十八日です」と呼ぶ)十九年。

 基本的に、そのことについて当事者から私に御連絡があったわけではありません。(平沢委員「報道があったでしょう」と呼ぶ)また、その報道というのは、先生方が二年前に、私が国対委員長のときに、一生懸命やっておられた週刊誌の記事のようでございますけれども、私は、そういう週刊誌は……(平沢委員「週刊誌じゃありません。朝日新聞に大きく出ています」と呼ぶ)そうですか。しかし、それは……

中井委員長 質疑者同士で問答をしないということは、たびたび注意をいたしております。

山岡国務大臣 報道があったかもしれませんが、私は承知しておりません。

 その報道についても、もし当事者からそういうお話があれば対処いたしますが、報道があったことによって一々やっておりますと、報道はたくさんありますので。

平沢委員 それでは、山岡大臣、そこまで言うんでしたら、山岡大臣とマルチ商法との関係についてこれから説明させていただきます。

 まず、二〇〇六年六月号「ネットワークビジネス」というマルチの業界誌があります。この中で、マルチの業界連盟の理事長がお亡くなりになった中に、メッセージを山岡大臣は送られています。そのメッセージの中で何と言っておられるかというと、その亡くなられたマルチの業界連盟の理事長と私はコンビを組んで数々の講演や啓蒙活動を行ってまいりましたと。これが二〇〇六年の六月号の「ネットワークビジネス」というものに書いてあるんです。大臣は覚えていますか。

山岡国務大臣 先ほど申し上げたとおり、名前だけでいいから貸せと言われてなったので、さはさりながら、時々あいさつしてくれとかいうものは何回かしたかもしれませんが、そういう文章等々については、すべからくあちらサイドで書いて出しているものだと思います。

平沢委員 大臣、そんなことを言っていると、後で大恥かきますよ。

 二〇〇六年の十一月二十三日の業界紙の日本流通産業新聞、これはマルチの業界紙ですけれども、そこでは、大臣がD社というマルチの会社の四周年の式典に行かれた、そこで大臣のあいさつが出ています。きょうここに来られている方は平均年齢二十五歳くらいだと思うけれども、若い力で世間の常識を覆してもらいたい、こういうあいさつをしたということが新聞に出ています。これはうそなんですか。

山岡国務大臣 別に格好つけるわけじゃありませんが、私は無数の会に出ていますから、そのときに直前に、これは何の会かね、これはだれの結婚式かね、こういうレベルであるわけで。ただ、いつも言っていることは、どの会であろうとも、人間というのは一生懸命働いて頑張っていけば活路が開かれるんだと歴史の人たちになぞらえながら言っているのは、どこも同じパターンでございます。

平沢委員 ちなみに、今のD社というのは、その翌年に経済産業省から業務停止命令を受けた会社でございます。

 では、大臣、そこまで言うんでしたら、二〇〇八年の六月十五日、大臣が国対委員長をやっておられたときですよ、忙しいときですよ。忙しいときに、幕張メッセで、NPサミットコンベンション二〇〇八というのが開かれました。この二〇〇八NPサミット全国コンベンション、このコンベンションに大臣は行かれましたね。それで、あいさつされましたね。(山岡国務大臣「ちょっと何のコンベンションか、もう一回言ってください」と呼ぶ)二〇〇八年六月十五日、幕張メッセで開かれた、NPというのはマルチの会社の省略です、NPサミット全国コンベンション二〇〇八。

山岡国務大臣 そのことについては、先般、参議院の森先生から御質問を受けたことだと思うんです。

 しかし、そのときにもお答えを申し上げましたが、その会は、先生は何社、こう言われましたが、何社ではなくて、私は、この私の知り合いから、自分たちの仲間が集まって会をやるから激励をしていただきたい、こういうお話で私はそこに行ったのであって、何社の会に行ったとか、そういう性格のものではありません。

平沢委員 大臣、ちょっといいかげんにしてもらえませんかね。ここに、大臣が当時行かれたときのコンベンションの全部、大臣のスピーチも含めて全部入っているんですよ。

 委員長、これを理事会でぜひ見てください。これに全部入っていますから。

中井委員長 理事会で協議します。

平沢委員 そして、このコンベンションの模様を起こしたペーパーがここにあるんですけれども、これはNPというマルチの会社の大会なんです。その会員がやったような形をとっていますけれども、NP、NPということがずっと出てくるんです。

 そして、大臣がスピーチされる前に映像が流れるんです。その映像は、要するに、ネットワークビジネスと言っていますけれども、マルチのことですね。このビジネスに皆さん方が仲間入りするかどうか、それは、どんな人たちがこのビジネスにかかわっているか、それを目と耳で確かめてください、こう言っているんです。

 そこで、司会者が何と言っているかというと、どういう方が参加されているのかよくごらんになってくださいということがありました。きょうはびっくりする方をお招きしているんです、それは山岡賢次先生です、こう言われて大臣は登場しているんです。

山岡国務大臣 もし委員が、私はそういう映像とかそういうのを先に見てその会に行ったと言うなら、そういう御指摘も当たるのかもしれませんが、仲間内の会に行って、暗いところから明るいところに座らせられて、そこでいろいろ演じられていたというのは事実でございますけれども、私はそのために行ったのではなくて、仲間内の応援で、みんな頑張れ、一生懸命働け、活路は開ける、歴史の人たちに学んだらどうだ、そういうことをいつもと同じように申し上げたわけで、何の会でどういう趣旨であったかということは全く知らずに行きました。

平沢委員 それならば、これはテープを起こしたものを読ませていただきます。これは最初から最後までマルチ商法に対する宣伝なんです。

 この中で大臣は何と言っているかというと、「今みなさんのお仕事をしてるお仕事についてですね、やっぱりちゃんとした国の為になる仕事だと言う事をですね、国の方でもお手伝いをしようと、そういうことで、健全なネットワークビジネスを推進する議員連盟というのがありましてね、そこの私はいま顧問をしている」と。要するに、これは国のためになる仕事ですということを皆さん方に勧めているんです。

 そして、こういうことも言っているんですよ、大臣。「それから勤めていても、勤めていなくても、何も派遣社員をやっていくことないんですよ、自分のビジネスをやって、自分のビジネスをね、それがこの時間帯で自分のビジネスをやる究極のフレックスタイムの正規の職業と言うのがこのネットワークビジネスなんです、」こう言っているんです。

 そして、こうも言っています。「是非ともネットワークビジネスで頑張って頂いて、これはね一人ひとりの仕事ですから口コミなんですよ。信頼関係なんですね。」と。まさにマルチの宣伝をやっているんです。

 そして、これも言っているんです。「新しい時代を築く為に皆様一人ひとりが革命家になっていただいて、常識を破壊して困難を打ち破ってそして皆様自身の素晴らしい時代を築いていただきたいと思います。」

 ということを言っているんですけれども、最初から最後まで、中身を見ると、要するにネットワークビジネス、ネットワークビジネスというのは、これはマルチのことです。マルチを推奨しているんです。皆さん、マルチのビジネスにかかわって頑張りなさい、ほかの仕事なんかやっていてもしようがないです、この仕事をやりなさいと言っているんですよ。

山岡国務大臣 先ほど、図らずも先生が参考人の話を聞かれて、竹内参考人ですか、言っておられましたけれども、私は別に擁護するつもりもないんですが、したがいまして、私どもはマルチの中でネズミ的な要素は禁止すると。あのころは、多分、これは三十三年前の話ですから、先生の記述は。三十三年前はそういうこともあったのかもしれないが、そこを切り離して、そして物流的要素は構わない、それは普通のセールス販売に当たるわけでございますからと。

 こういうことで、ちょっと先生にちゃんと申し上げておきますけれども、その後、ですから国の法律で特定商取引法というのが制定されたわけです。そして、そこにはそのルールとして、不実の告知をしちゃいけないとか、誇大広告はいけないとか、書面の義務づけをしなきゃいけないとか、こういう条件のもとに、これは合法的な正規の職業ですと。ほかに、訪問販売も、これは御指摘のとおり訪問販売法の改正でなったわけですけれども、訪問販売もそうです。それから電話勧誘販売も同じです。通信販売もそうです。そして特定継続的役務の提供、要するにパソコンとかエステとかそういうもの、それから業務提供販売取引、そして連鎖販売取引、こういう五つのものが特定商取引法の中においてできているもので、私も最近わかったんですけれども。

 したがって、私は、合法で一生懸命仕事をしているという前提で臨んでおりましたから、どういう立場にあっても、当時は不況で仕事もない、パートタイマーもない、派遣社員になっている、そういう人たちが非常に困っている、そういう中にあって、頑張って頑張って、合法的な仕事で頑張りなさいと、こう私は、大体どこへ行っても申し上げているものです。

平沢委員 何か今の大臣のを聞いていると、マルチを一生懸命宣伝するのは全く問題ないと聞こえるんですよ。

 ちなみに、大臣が行って大演説をぶたれたNPという会社、この会社は、その大臣が行かれる三年前に社長以下が脱税で起訴されているんです。そして、その翌年は社長が覚せい剤で逮捕されているんです。これは知って行かれたんでしょうか。

山岡国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、私はおっしゃるような会社の会に行ったつもりはありません。私の知り合いの仲間内の会だからということで行ったわけで、結果的にそうであったということは言えるかもしれませんが、私は、その会社がどういう会社であって、その会社に行った、こういうことではありません。

平沢委員 これは、最初から最後まで、ビデオを見れば大臣の今言ったことは明らかな虚偽であるということはわかりますので、このビデオを理事会でぜひ見てください。その上であれしてください。

 では、大臣に、大臣の関係者の中には、マルチを一生懸命やっている、例えば女性でいえばTさんとかHさんとかおられます。そして、私はこれは推測で言っているんじゃないですよ。大臣の事務所の関係者から直接聞いているんですよ。その事務所の関係者の話では、平成十六年、大臣は事務所の関係者に、事務所の経費が厳しいからマルチで稼いでくれということを言ったというんです。大臣、それを言ったんじゃないですか。

山岡国務大臣 そんなことをおっしゃるなら、これはもう名誉毀損ですから、その者がだれであるかということで、きちっと対応をさせていただきたいと思います。

平沢委員 これは、きょう、このテレビをその方も見ていると思います。そして、いずれにしましても、証人喚問ということになればちゃんと出てくるということですので、委員長、証人喚問をぜひあれしていただきたいと思います。大臣と、それから元秘書の高橋昇さん、今、真岡の市議会議員をやっています。それから元政策秘書の山田知彦さん、それから女性の方で元私設秘書のTさん、こういった方々をまずはこの委員会に証人として呼んでください。

中井委員長 理事会で協議いたしますが、Tさんという名前では到底……。

平沢委員 後でそれはちゃんと言います。きょうはテレビが入っていますので、後で連絡します。

中井委員長 理事会で協議いたします。

 大臣に申し上げますが、名誉毀損云々の前に、そういうことを言ったか言わないかということについて明確に答えてください。

山岡国務大臣 私はそんなことは断じて言った覚えがありません。したがって、ここはこういう場でございますから、個人の名前とかあるいはそういうものを出すのは差し控えなければいけませんが、ぜひ後ほど、長いつき合いですから、友情を持って、それがだれであるのか教えていただきたいと思います。私は断じてそんなことを言った覚えはありませんし、そんなつもりもありません。

平沢委員 いずれにしましても、これは山岡大臣もオーケーしてくれると思いますので、証人喚問をぜひお願いしたいと思います。

 大臣は、マルチ商法を応援しているだけじゃなくて、献金ももらっているんですよ。これは私の方で調べた献金の中身ですけれども、業界団体、それからC社とかP社とか、こういったマルチの会社から献金も受けておられるんです。

 大臣は、この献金につきまして、参議院の拉致特ですか、これは全額返還する、そしてもうほとんど返還は済んでいるというように答えられたと思いますけれども、返金の状況はどうなっていますでしょうか。

山岡国務大臣 改めて申し上げますが、私が法的に違法な行為をしているとか、あるいは献金をしてくれているところが違法な献金をしたとか、そういうことは全くありませんということは、先生も御存じのとおりです。

 しかし、私は消費者担当大臣という立場に立ちましたので、誤解を与えたくない、そういう私個人の思いから私が一方的に、事務所には、おわびをしてお返しをしなさい、こういうことで全額お返しをしているはずでございます。ほぼ、九〇%以上はお返ししていると思っております。

平沢委員 この問題はまた別に聞かせていただきます。

 もう一つ、次のパネル。

 大臣の地元の真岡市の前の市長の福田さん、その福田さん御夫妻のところに、大臣は、二〇〇〇年の十二月十六日に政策秘書の山田さんと御一緒に行かれましたね。

山岡国務大臣 十一年前の話ですから記憶は定かではありませんけれども、いろいろなところにいろいろな人と行っていますが、しかし、当時は、その福田さんは私の後援会長さんでございますから、家族と同じようなつき合いで、おうちにも事務所にも病院にも、至るところにたびたび行っていたと思います。いつ何どきどこへ行ったかまでは記憶にありません。

平沢委員 その当時、この福田さんは、その翌年の二〇〇一年に真岡の市長選挙に出て、四月、当選するんですけれども、その前の十二月に、ここに十二月十六日と書いてあります、この日に行かれて、そして、このメモは、書かれたのは政策秘書の山田さんらしいんですけれども、その奥様の御証言では。

 それで、最初、山岡先生から、選挙にあなたが出られるのなら私の方から秘書を派遣する、ついては五十万掛ける十二の六百万出してくれと山岡先生から言われたと。ところが、それは大変だということで、この下の方に訂正が入ったりなんかいろいろして、最終的に、毎月十五万掛ける三年間、計五百四十万ということで契約書を結ばれた、こういうことなんです。契約書が次。

 この契約書も、直接もらうといろいろ法律的に問題になるからというので、ニューワールドという大臣の関係の会社にこれを支払うということで結ばれたということで、福田さん御夫妻が言っておられますけれども、間違いないですか。

山岡国務大臣 先生も御案内のとおり、この選挙、いわんや私の後援会長さんの選挙です。しかも、私のところは、残念ながら、極めて保守的な地域で、自民党さんが圧倒的に強い地域です。その市長選挙、後援会長を立ててまさに不退転の決意で私は臨んだわけでございます。そういう点では、公設秘書のみならず、私設秘書もあるいは後援会も、私自身も含めて、まさに総力を結集して、ほかの選挙もそうですが、自腹を切ったって選挙に臨むんです。その選挙に当たって、私は候補者からお金をもらったということは一回もありません、どこの選挙においても。

平沢委員 お金を全然もらっていないということを言っておられますけれども、片や、契約書で、実際に、ニューワールドというのは大臣の関係会社ですけれども、十五万掛ける二十七カ月払われているんです、これは。振り込み用紙とか何か全部残っているんです。ですから、払われたことは事実なんです。

 ここにコンサルタントと書いてありますけれども、要するに、選挙の関係でもらったというと問題になるから、コンサルタント料にしようということでコンサルタントということにした。ところが、コンサルタントとしても、何にもコンサルタントの実態がないというので、おかしいじゃないかということを言ったら、それはだれに言ったかというと、政策秘書の山田さんという方に言ったら、慌てて何かレポートみたいなのを五冊送ってきた。それが二〇〇二年の暮れ。そのレポートのほとんどがほかの論文の盗作である、こういうことが福田さん御夫妻のお話で明らかになったんですけれども、大臣、それは違いますか。

山岡国務大臣 当時、後援会長さんですから、もちろん選挙のことを一生懸命応援しますし、また、後援会長さん自身から、私はそれまでの間、政治献金等々もいただいておりました。

 しかし、そのほかにも、例えば、病院ですからいろいろな課題もおありだったようで、病院内の土地を買収しなきゃいけないとか、あるいは入院されたところの院長の営業資格停止をどうにかしなきゃいけないとか、そういう等々のいろいろな問題がおありになって、それは奥さんは御存じないんですね。本人だけが知っている話なんですが、しかし、そういうことは私の政治活動ではありませんから。

 私は、政治活動に関しては自分でやり、また政治献金をいただく。その政治献金というのは無税ですから、これは政治活動のみに適用されるものであると思っております。そのほかのことについては、それぞれの立場で、それぞれの商取引でそっちの方は解決をしていただきたい、これが私のずっと変わらぬ基本的スタンスでございます。

平沢委員 全然質問に答えていないんですけれども。

 もしこれを、選挙応援に秘書を派遣するから金をよこせということを言ったら、総務省、これは何になるんですか。

田口政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、個別の事案につきましてはお答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、その上で、一般論として申し上げますと、公職選挙法の第二百二十一条第一号におきましては、当選を得または得しめぬ目的をもって選挙運動者に対して金銭等の供与またはその約束をした者は罰則の定めがあるところでございます。

平沢委員 要するに、公選法に触れるからこういう契約書を結んだんでしょう。

 では、大臣にお聞きしますけれども、この事実を報じた週刊新潮を大臣は損害賠償と謝罪広告を求めて訴えました。しかし、それを途中で請求放棄しました。

 先に法務省に聞きます。請求放棄というのはどういうことですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 民事訴訟における請求の放棄とは、原告がみずからの請求に理由がないと認める陳述をすることで、いわばみずからの負けを認めることでございます。したがいまして、請求の放棄をし、その旨が裁判所の調書に記載されますと、原告の敗訴判決が確定したのと同一の効力が生ずるとされております。

平沢委員 まさに今の答弁どおりじゃないですか。大臣は、訴えておいて請求放棄したということは、全面降伏したということじゃないですか。事実を認めたということじゃないですか。

山岡国務大臣 もう一度はっきり申し上げておきますが、選挙のために金を要求したということは断じてありません。

 そして、週刊新潮を訴えたのは、もう先生が一番よく御存じのとおり、私が野党の国対委員長のときに、先生方は組織的に私のことについていろいろと対策を立てておられたと思います。おられていましたよね。(平沢委員「知らない、そんなの。そんなこと全然知らない」と呼ぶ)知らないですか。

 そして、いろいろと週刊誌で、次から次へとその週刊誌が連続的に私のことを書いておりますが、私にしてみれば、この結果はいずれも事実無根、途中まではまことしやかだが、結果はいずれも事実無根。そういうことで、余りにもひどいことを書き続けるので、週刊誌を訴えたのでございます。週刊誌を訴えたんです。

 しかし、結果的には、弁護士が、私がそういう証言に立ってもらわないと困る、こういうお話でございましたが、私は国対委員長をやっているわけでございますから、そういうところに行く、そういう時間がない、時間がないから私は行けない、こういうふうに申し上げて、弁護士さんでやってくれ、こういったときに、それでは後の処理は弁護士さんに任せるということでそういう処理をしたものであって、私は、その辺の経緯については、弁護士任せで承知をしておりません。

平沢委員 今は、報道が事実無根だということで訴えたけれども、もし裁判を続けていたら自分が出ていかなきゃならない、それができないから請求放棄という形で全面降伏みたいなことをした、時間がないからと。

 しかし、大臣、国対委員長のときに、幕張まで行って、マルチの会社の大会に行ってスピーチする時間はあるんですか。そして、裁判所に行く時間はないんですか。これはなぜなんですか。

山岡国務大臣 それはケース・バイ・ケースで、私は、人に頼まれて会に行くというのは、これは政治家の本分だと思っておりますから、万難を排して、そういう会合、先生もそうだと思うんですね、万難を排してそこには行きますが、私ごとでマスコミを訴えた、こういう話でございますので、そういう時間をとられるわけにはいかないし、いつ何どき来いと言われても困る、こういうことでございます。

平沢委員 大臣の言っていることは支離滅裂だなと思いますけれども、もし裁判に行く時間がなかったら、国会でやればいいんじゃないですか。

 では、委員長、また証人喚問ね。大臣と、それから政策秘書だった山田知彦さん、それから真岡の福田記念病院の理事長さん御夫妻、福田武隼さんと寿子さん、それから、今、真岡の市議会議員で元公設秘書だった高橋昇さん、こういった方々をこの委員会に証人として呼んでいただきたいと思います。

中井委員長 理事会で協議いたします。

平沢委員 いずれにしましても、こういう問題が次から次にあるんですけれども……(発言する者あり)まだあるんですけれども、おととしの総選挙のときに大臣の陣営が運動員買収したということが大きく報じられていますけれども、これについては刑事告発が出ているはずです。法務省、それはどうなっていますか。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件につきましては、宇都宮地方検察庁に対しまして告発状が提出されましたことから、これを受理し、捜査中であると承知しております。

平沢委員 今、選挙違反で告発が出て、まだ時効にかかっていないんですよ、捜査中なんです。これは普通だったら選挙違反というのは警察ですけれども、警察の方はどうなっていますか。

舟本政府参考人 個別具体の事案の捜査状況につきましては、捜査をしているか否かを含め、お答えは差し控えさせていただきます。

 なお、一般論として申し上げれば、警察は、マスコミ報道、風評に対する聞き込み、内部告発等により犯罪の容疑情報を入手した場合において、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているところでございます。

平沢委員 総理、今までの話を聞いていて、どう思われますか。

 まず、マルチ。これからビデオを見ればわかります。まさにマルチの広告塔、セールスマンと言って過言じゃない。先頭に立って売り込みを図っている。事務所を挙げてやっている。これは見てもらった方がいい、これを。そして、今、真岡の問題も出ています。真岡の福田さん御夫妻、いつでも出てきて証言しますということを言っておられます。それで、法務省から今答弁があったように、選挙違反が受理されているんです。

 国家公安委員長、消費者担当大臣で大丈夫ですか。総理は適材適所ということを言われました。本当に適材適所なんですか。総理、今までの話を聞いておられてどう思われますか。

野田内閣総理大臣 閣僚の任命に当たっては、それぞれの政治家の皆さんの経験あるいはこれまでの知識等々を踏まえて、適材適所で選んできたつもりでございます。

 今、ずっと委員から御指摘をいただいた件については、山岡大臣においてはそれぞれ説明をされておりました。これからも引き続き、さまざまな御指摘があればきちっと説明責任を果たしていただきたいというふうに思います。

平沢委員 何を言っているかさっぱりわかりませんけれども、何かドジョウのようにするするっと逃げるんじゃないですよ。これはやはりこれだけいろいろな問題があって、では私、お聞きします。

 大臣、現場でマルチ商法に一生懸命取り組んでいる消費者庁それから警察の捜査員に対しては、何と訓示されるんですか。

山岡国務大臣 日本は民主国家でございます。ですから、合法的に一生懸命仕事をしている人は、それは守らなきゃいけないと思っています。しかし、非合法のものについては、あるいは犯罪のものについては、これは断固取り締まるのは当然のことでございます。

平沢委員 法に触れていないから絶対いいとは言えませんよ。これはマルチとは全然違いますけれども、例えば、十月一日から暴力団の排除条例というのができましたでしょう。暴力団は別に法に触れていないじゃないですか。だけれども、つき合うな、つき合うなと言っているじゃないですか。

 だから、マルチは違いますよ、全然違いますけれども、別に法に触れていなくてもやはり気をつけなきゃならない、いろいろ問題があるから。冒頭、言ったじゃないですか。消費者庁や警察は、いろいろと問題がある、だから注意喚起を呼びかけていると。それを大臣は、法に触れていないから幾らやってもいいんだというような答弁ですけれども、いいんですか、そんなことで。

山岡国務大臣 委員も警察御出身の方でございますから百も承知で言っておられるんだと思いますが、暴力団組織というのは基本的に犯罪組織と同じでございます。したがって、厳正に取り締まって、常日ごろ、常時取り締まっていかなきゃならないものでございます。しかし、一般ビジネスは、好き嫌いとかはありますけれども、法律できちっと定められている仕事をしている、こういうことに対しては、これはまた法でも守らなきゃいけないと思っております。

平沢委員 要するに、大臣の言わんとしていることは、マルチは法で禁止されていないから、先ほど、竹内教授は外国にボスがいるから結局禁止しようと思ったけれども禁止できなかったということを言っていますけれども、禁止されていないから全然構わない、私はこれからも応援団として続ける、こういうことを言っているんだろうと思いますよ。その方がこれから警察、消費者庁のトップでいいんですか、これは。いいですよ、もう大臣に聞いてもあれですから。

中井委員長 今のは山岡さんにする質問ですか、総理ですか。どっちですか。(平沢委員「では、総理」と呼ぶ)

 野田内閣総理大臣。

野田内閣総理大臣 そういう御指摘などがあるということは残念でございますので、むしろ襟を正してしっかり職責を果たしていただきたいというふうに思います。

平沢委員 ちょっと総理、もうちょっとしっかりしてくださいよ。これでは全国の現場で苦労している、悪質商法と闘っている現場の方々が泣きますよ。

 蓮舫さん、先ほどの伊勢の関係は、悪質商法に取り組んでいるということで、たしか蓮舫さんは感謝状を出したんじゃないですか、ことしの五月。ちょっと蓮舫さん。

蓮舫国務大臣 御指摘のように、ことしの五月に、伊賀市の社会福祉協議会ですが、悪徳商法対策を積極的に推進、また、中でもこれは特に高齢者の被害防止及び救済活動に尽力している、そうした功績が評価され、消費者支援功労賞として表彰したところでございます。

平沢委員 片や表彰し、片や一生懸命推進しているんだったら、これはどうなっているんですか、内閣として。いずれにしろ、この問題はまた別途やります。

 最後に、大臣、大臣の改姓改名問題についてちょっとやりたいと思うんです。

 大臣は、もともと本名は金子賢二さんでした。それから藤野賢二さんにお名前が変わられて、今、山岡賢次さんになられました。そして、スピーチでも山岡荘八先生との関係をいろいろなところで言われていますけれども、大臣は山岡荘八さんの養女のところに婿入りされたわけでございます。

 そこでお聞きしたいのは、大臣は、ことし、山岡荘八さんのお墓参りに行かれましたでしょうか。

山岡国務大臣 これは、予算委員会で今、第三次補正を一生懸命審議していただいている、そして、福島や東北では一日も早い予算の成立と、そして救済を求めているさなかに、私はこういう答弁をしなきゃならぬというのは非常に悲しい気持ちでいるわけでございますが、御質問ですからお答えを申し上げます。

 私は、金子賢二という名前から、婿養子になったものですから、本名は藤野ショウゾウになりました。私の義父の山岡荘八も本名は藤野庄蔵でございます。

 そっちの方から先に言いますと、山岡荘八も実は婿さんでございまして、そういう点では、本人自身が藤野庄蔵という言葉、藤野という言葉を使うことは非常に避けていたようで、私にも、なぜそれを使うんだ、おまえは山岡荘八のせがれじゃないのか、こういうこともあり、我が家はもうずっと伝統的にすべて山岡荘八、表札もそう、お墓もそう、手紙もそう、そういうところでございます。

 また、私はたまたま自民党から参議院で当選をいたしました。参議院のときの選挙は山岡賢次という名前で当選をして、そのときには何百万という推薦者、二回目の選挙のときには千二百五十万人の推薦をいただいたんです。そういう皆様が、山岡賢次に投票したと思ったら参議院にいないじゃないかと。衆議院はペンネームでも名乗れるんです。しかし、参議院は本名じゃなきゃだめだということで、支持者にしてみれば、それは国会に行ってもいない。そこで、私は、そういうことを家裁にいろいろと、さっきの件と含めて申請をして、そして認可になって、山岡賢次になったというものです。

中井委員長 山岡大臣、気持ちはわかりますが、お墓参りしたかというのが質問です。

山岡国務大臣 お墓参りはいたしました。(平沢委員「行ったんですか」と呼ぶ)もちろん行きました。

平沢委員 私は、山岡荘八さんの実のお孫さんと長時間ずっと話をしたんです。相当御立腹なんです。お名前を言っていいと言うからあえて言います。山内幹雄さん。私はずっと話をしました。大臣は改名されるときも一言も相談がなかった、こう言っておられて、えらい怒っておられます。

 ですから、私は、改姓改名について法務政務次官のときやられたから、参議院でも出ましたけれども、おかしいんじゃないかということがいろいろ言われているから聞いているんです。

山岡国務大臣 今まで政権を運営されていた自民党さんの質問とはとても思えないんですが、そういう個人の名前まで出されて言われますが、その方は、それは確かに戸籍上は孫ということにはなっておりますが、余り大きな声では言いたくありませんが、実態は別なところにあるわけでございます。しかし、そのことに対しては私は十分ケアをしているわけでございますが、山岡荘八の遺志としては、それはもう別行動をとるように、そういう遺言も残っていて、場合によっては御本人にも見せてさしあげようかなとも思っております。

平沢委員 こういう質問をしなきゃならないのは残念なんですけれども、例えば、お墓があるということを言ってましたけれども、お孫さんも言ってましたけれども、山岡家の墓というのはないんだそうですよ。藤野家はあるけれども、山内家はあるけれども、そのわきの方にはあるけれども、墓としてはないんだそうです。

 それで、今、山岡荘八さんも入っているのは、それから藤野秀子さんも入っているのは、藤野家のお墓に入っているんですよ。それを大臣は何でそういうふうに言われるんですか。

山岡国務大臣 山岡荘八も、婿ですから、それはそれなりの義理は感じていたようでございますから、戸籍上の両家の墓、藤野の墓、それから自分の本名の山内の墓、そういうものを置いてはおりますが、しかし、墓全体のその表示は、山岡家の墓、こういうふうに表示して、ここは山岡の墓だと。そんなことまではお答えしたくないんですけれども、まあ質問ですからお答えしますが。

平沢委員 いずれにしましても、いろいろな問題があり過ぎるんです。今の問題は、なぜ聞いているかというと、改姓改名について参議院でも聞かれましたけれども、何かこれは疑問がある。

 では、法務省、きょう来ているでしょう。改姓とか改名というのはそんな簡単にできるものなんですか。しかも、義理のお父さんの十年前のペンネームで姓を変えるなんということが簡単にできるんですか。ちょっと法務省、答えてください。できないから言っているんですよ。普通、できるはずないじゃないですか。

原政府参考人 戸籍法上、氏を変更する場合には家庭裁判所の許可が必要でございまして、そのときには、やむを得ない事由があることが要件となっております。それから、名の変更の場合にも、やはり家庭裁判所の許可が必要でございますが、その場合には、正当な事由があることが要件とされております。

平沢委員 では、正当な事由というのは何ですか。

原政府参考人 名の変更の要件の正当な事由に当たるかどうかにつきましては、個々の事案ごとに家庭裁判所が判断していることでございます。

平沢委員 だけれども、一般に国民の皆さんが姓を変えたいと思っている人がいるでしょうから、一般的な基準もあるでしょう。

 民事局長、ですから、一般的な基準はどうなんですか。例えば、婿入りしたところの義理のお父さんのペンネームに変えるとかという、こんなことはできるんですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 氏の変更についてのやむを得ない事由、一般的にどうかというのはなかなか難しいわけでございますが、家庭裁判所の審判例等を見ますと、例えば、その戸籍上の氏が難読、非常に読みづらいということで実生活において支障が生じている場合には、やむを得ない事由があると判断されておりますし、また、戸籍上の氏とは違う通称を永年にわたって使用してきたような場合、こういう場合もやむを得ない事由があるという判断がされております。

平沢委員 ですから、今回の場合が本当にそれに当たるかどうかということについて、何で亡くなられて十年たって法務政務次官のときに変えられたかということも参議院でいろいろ出ましたけれども、疑問がありますので、この点はまたいずれ、引き続き質問をしていきたいと思います。

 いずれにしましても、証人喚問の件はぜひよろしくお願いします。

中井委員長 はい、承りました。

 山岡議員に一つだけ申し上げますが、先ほど、推薦者が千二百万おったという話をされましたが、推薦者が千二百万というのはちょっと、票を何票とられたというのは、随分たくさんの票をとられたというのは覚えていますが、ちょっとそれはお言いにならない方がいいんじゃないですか。

山岡国務大臣 二回目の選挙のときに、それは鹿野先生が選対委員長のときで、多分御記憶いただいていると思います。

中井委員長 得票数は言うけれどもね。

山岡国務大臣 いえいえ、ですから、得票数といっても比例には得票数というのはないんです。

中井委員長 ああ、そうか、比例だからね。

山岡国務大臣 そういうことです。

中井委員長 それじゃ余り票のことは言わずにおいてください。

平沢委員 では、終わります。ありがとうございました。

中井委員長 この際、平井たくや君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやです。

 さっき平沢議員の質問のやりとりをじっと聞いておられて、いろいろ心の中ではお考えだと思いますけれども、ラストバッターなので、気持ちを切りかえてやっていただきたいなというふうに思います。

 私、同学年というか、同い年なんですね。親近感を持って今まで総理のいろいろな発言等を聞いていました。その中で、「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」、この相田みつをさん、これで民主党議員の心をぐっとつかんで代表選でお勝ちになったようにも私は思いました。

 相田みつをさんには、もう一つ大変すばらしい名言がありまして、「できない約束はしないことだな」というのがあるんですが、これは御存じでしたか。

野田内閣総理大臣 そういう言葉があったという記憶は残っています。

平井委員 このできない約束をしないことだなというのは、私、同学年の政治家として、総理に本当にアドバイスしたいな、そんな思いです。

 きょうは、公務員給与特例法についての質問なんですけれども、まず、自由民主党のスタンスを明確にさせていただきたいと思います。

 私は、今回、震災復興ということで国民に増税を求めるわけですから、国会議員も含めて、公務員もそうです、地方公務員もそうでしょう、広く公務員の皆様方にも御協力をいただいて、そして財源に協力をしてもらうというスタンスは全く一緒なんですよ。ですから、基本的に、今回の特例法案に関して言えば、本当は我々が、修正とかそういうことを経て、早く決めて進める方が私はいいと思っています。

 しかしながら、いろいろ疑問点もあるので、きょうはお聞きしたいんですが、今、私が思いを述べさせていただきましたが、総理も同じ気持ちでしょうか。

野田内閣総理大臣 復興をなし遂げていくためにはどうしてもコストがかかります。それについては、まずは無駄をなくしたりとか、税外収入を確保していくということになりますけれども、まずは隗より始めよということで、例えば、第一次補正では議員歳費のカット分を財源に充てさせていただきました。

 というように、今回は国家公務員の給与を約七・八%削減、それを財源にして復興の財源に充てたいということでありますが、公的セクター全体でこういう財源捻出で協力をし合えればいいなというふうに思っておりますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

平井委員 その思いの中というのは、十月二十三日のNHKの番組で、前原政調会長が、地方公務員の給与削減についても前向きな言及をされました。そして、総理が財務大臣当時、閣僚発言等々で発言をされ、当然地方でもやはり下げなきゃいけないということをおっしゃって、それが、八月二日の財務金融委員会で、財務大臣として前向きな答弁を今の茂木政調会長の間でやられています。

 つまり、財務大臣当時の、地方の公務員にも応分の負担をしていただくことをやはり要請したいんだ、そういう思い、その思いも全部含めて今、共有をされておりますか。

野田内閣総理大臣 公的セクター全体でこういう財源確保の際にともに汗をかいていきたいですねという思いは、もちろんこれは不変でありますけれども、ただ、これはルールの問題がありますので、地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置が講じられること、それに期待をするということでございます。

平井委員 そうなっちゃうんですね。

 片山前総務大臣は、地方には波及させないというふうに断言されていますし、この間、川端大臣と私、総務委員会でやったときも、引き下げを強行する、要請することは考えていないというふうに答弁をされていました。

 しかし、財務大臣当時の総理は、やはり国家公務員だけ下げるのはおかしいじゃないかと思って当然だと思うんですよ。そういう強い志を持っていて、今回こそリーダーシップを発揮すべきだと思うんですが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 この給与法の改正案をつくるに当たっては、これは閣僚間で議論もあって、もちろん私も入って、いろいろな意見を申し上げましたが、最終的には閣議決定をしたということでございますので、その方針に基づいて今回法律を提出したということであります。

平井委員 これは、もう本当に、九月三十日の連合の、きょうは参考人として、委員長は御苦労いただいたようですけれども、かないませんでした。出張等々のお話を聞きました。南雲さん等々がいろいろな発言をされているんですが、要するに、連合の談話でも、地方公務員へ影響が波及しない、及ばないよう特段の配慮を行うべきであるというようなことを明確にされているんですね。

 つまり、地方公務員に波及しないということ自体で、もう民主党が労働組合の言いなりになっているというイメージを、私は、国民がこのテレビを見ていて思うと思うんです。ですから、今回はチャンスなんですよ、やるならやると明確に言われる。

 財務大臣、どうですか。

安住国務大臣 先生、我々は、決して労働組合の言いなりにはなっておりません。まして、別に、それぞれの組合で支援組織、政党はあるわけですから、必ずしも公的な部門の労働組合の皆さんが民主党の支持であるということでは全くございません。

 総理がおっしゃっているのは、公的セクター全体でいろいろなことは考えましょうと。しかし、先生、制度的にはどうしたって、これは我々、国家公務員法の給与削減という形で今回は提出をさせていただく、これを公的セクター全体で御参考にしていただければということを総理は先ほどおっしゃったというふうに私は考えております。

平井委員 公的セクター全体ということですから、ここは安住さん、腕の見せどころですよ。最後まで頑張って、地方に対して、要するに、いろいろな措置ができるのは御存じでしょう。義務教育国庫負担金の問題もそうです。そういうことをやはりここで頑張らなければ、頑張るときがないと私は思います。

 マニフェストのパネルを見てください。

 衆議院選挙のマニフェストの目玉は、国家公務員の人件費の二割削減ということでしたね。これは、旗はおろさずに、もう一回上げ直したということで、総理、よろしいんですか。

安住国務大臣 とりあえず、今回、七・八削減。全体として、総人件費の削減の中で二割を何とか達成したいというふうに思っておりますので、残りの任期の中で頑張って、何とか近づけたいと思っております。

平井委員 今回の震災復興のために特別に国家公務員の皆さん方にお願いする七・八は、要するに、総人件費の二割削減という中に含まれるはずがないんですよ。でしょう。二年間のみなんだから、もとに戻るんだから。そうでしょう。

 ですから、これは総理に聞いているんです。それとは別に、二割削減という旗は堅持なさるんですねとお聞きしているんです。

野田内閣総理大臣 マニフェストでは、これは、地方分権推進に伴って事務を移管するであるとか定員の削減なども含めて、さまざまな手法を講じて、平成二十五年度までに実現をしていく、二十五年度をめどに実現をしていくということでございますので、その旗はおろしてはいません。頑張っていきたいというふうに思います。

平井委員 ですから、その中に今回の七・八%はどういう位置づけになるか。入らないという理解でよろしいですね。いや、これは総理に。

川端国務大臣 お答えいたします。

 給与の臨時特例法におきましては、七・八%減額するという法律を既に出しておりますが、これは、背景としては、危機的状況の震災が起こったということの背景の中で、懸命に頑張っていただいている国家公務員の皆さんにも、大変申しわけないけれども給料の減額を御協力いただきたいということであります。

 しかし、この部分は、将来にわたっての我々が二割削減をするというマニフェストの目標に向かっての部分に、今、時限ではありますが、含まれているというふうに思っております。(平井委員「含まれている」と呼ぶ)これは含まれているということです。

 時限にしたのは、背景がこれであると同時に、このことを恒久的にやるということは、法制上、今の仕組みでは、あくまで臨時特例的でないとこういうことはできないという制度でありますので、そういう部分でこういう措置にさせていただきました。

 これが期限が切れた時点で、後に関してどうするかに関しては、今提出しております公務員の関連法案の、成立するかあるいは成立しないか、そのときの状況によってしっかりとこの目標の中でどう対応するかは議論をして、しかるべき対応をしたいというふうに思っております。

平井委員 今の説明では全く納得はできません。これはもう皆さんもそうだと思うんです。

 これは特別に、要するに二年間、二十六年の三月までお願いをする話で、それで戻るわけですよ。公務員の総人件費二割削減というのは、これはもう国家百年の大計の中で掲げたマニフェストなんですよね。ですから、そこに何か含まれるような話をされちゃうと、このマニフェストは一体何だったんだということになっちゃうわけです。ですから、そこは明確に違うものとして考えていただかないと、これは公務員の皆さんだって困ると私は思いますよ。

 今回の七・八%というのは、本当にある意味では大きな削減ですよ。これは本当にある意味で、よく決断をなさったというか、大胆にやったと私自身は思います。しかしながら、何でこれだけの決断をするのに、脱法的、暴力的、ルール違反的なことをやってまでやるのか。これは人事院勧告の問題です。

 この人事院勧告の問題を、ちょっと皆さん、多くの国民は御存じないかもわかりませんので、人事院勧告のパネル。

 つまり、人事院勧告というのは、民間との給与の較差を是正するという意味があるんですね。一番重要なポイントです。そして、人事院勧告というものは、内閣と国会に勧告をされて、そして内閣が法律を出して、国会で審議をするということになっていたんです。しかし、この人事院勧告を破るというのは、今、現行法上でいえば、人事院勧告を守らないという決断はできないと思うんです。

 ところが、閣議決定の内容を読んでいますと、何か人事院勧告の内容も内包しているというような、内包という言葉、私、法律用語ではよくわからない言葉が出てきて、それで突っ切ろうというのは、余りにもこれは無謀というか、リスクを抱えてしまうんではないかと思うんですが、総理、いかがですか。これは総理に聞いています。

野田内閣総理大臣 労働基本権が制約をされているという今の現行制度において、人勧制度を尊重するということは基本であるというふうに思います。

 今回の勧告の取り扱いについては、関係閣僚でもよく御議論をいただきましたけれども、言ってみれば、未曾有の国難において復興の財源を確保するという意味で、人事院勧告においても給与水準の引き下げを行おうとしていますが、それに比べて一段と厳しい給与減額措置を講じようとしている。その上で、総体的に見ると、人勧で勧告をしている趣旨も内包している。これは、具体的に言うと、いわゆる給与カーブのフラット化とか、そういうことも含めてでありますけれども、そういうことを内包しているので、憲法上の問題はないという判断をさせていただいたということであります。

平井委員 内包している、していないという話なんですけれども、きょう人事院総裁にも来ていただいておりますのでお聞きしたいんですけれども、これは、私は、基本的には人事院勧告と震災対応は関係ないと思うんです。当然ですよね、これは。要するに、労働基本権の制約の代償措置ですから。

 この関係ないという前提で、民主党さんが今やろうと、政権がやろうとしている今回の決定は、人事院勧告も内包しているというふうに人事院総裁はお思いですか、どうですか。明確に、わかりやすく答弁をお願いします。

江利川政府特別補佐人 十月二十八日の閣議決定で、内包している趣旨のことが書かれているわけでございますが、私は、以下の四つの理由で、この立論には少し難しい点があるというふうに思っております。

 一つは、両制度の目的が違います。人事院勧告は、それを実施して初めて人事院勧告を実施すると。〇・二三は七・八に含まれているから実施するんだということは、成り立ち得ない議論であります。

 それから、二番目でありますが、給与のフラット化という言葉であります。これを含んでいるということでありますが、人事院の考え方は、民間準拠に立ちまして、年齢の高い人は下げる。係長でも課長補佐でも年齢の高い人は下げる。一方、係員から係長へ、課長補佐から課長へと職責が変わった場合には、責任も重たくなりますので、ここはきちんと給与を保障する、そのめり張りをつけるわけでございます。

 一方、特例法案は、課長の給与を非常に多く下げる、補佐はその次、係員はその次ということで、めり張りを減殺するような形になっておりまして、趣旨は含まれておりません。

 三点目でありますが、人事院勧告には給与構造の経過措置の廃止を勧告しております。これは特例法案に入っておりません。五年前に給与構造をやったときに現給保障の経過措置を講じましたが、五年もたちましたので、これを廃止したい。げたを履かせるための財源は昇給の抑制でやりましたので、この経過措置を廃止しまして出てくる財源につきましては、昇給の抑制を回復するということでやりたい。二十代、三十代、四十代初めの人たちの昇給を回復するということであります。

 震災対策のために給与削減ということをするに当たりまして、給与構造にゆがみを残したままで本当にいいのか、若い人の給与を引き上げられるのに引き上げなくていいのかという疑問を持っております。これをそのままやるのは不公正が残るんではないかというふうに思います。

 四点目でありますが、特例法案は二十六年三月までの時限立法でございます。時限立法が過ぎますと、二十六年四月からは、今回の人事院勧告を含んでいない現在の給与法に戻ります。今回の勧告内容はどこにも残ることではありません。

 以上の理由から、内包されていないというふうに思っております。

平井委員 内包されていないんですよ。これはもう、だれがどう考えても内包されていない。

 今、四番目の点について、ちょっと国民の皆さんはわかりづらいかもわかりませんので、パネルを用意しました。

 要するに、今回の人事院勧告というのは、官民の較差をなくして〇・二%下げる。給与構造改革の話は、これはちょっと難しいのでおいておきます。しかし、本俸、年金、退職金に影響してくるんです。それと同時に、二十六年三月以降も続くんですよ。この矢印を見ていただいたらわかるように、内包しようがないんですよ。でしょう。そうなんですよ。

 要するに、二十六年三月になったらもとに戻っちゃう話と、官民の差があるからちゃんと人事院勧告で官民較差をなくすというこの話はずっと続くわけですよ。これを何で文学的な内包という言葉で、これで強引にリスクを冒して、これは恐らく、要するに、組織率二割の組合との一致を合意というふうに私は聞いていますけれども、これで訴訟を抱えて、ILOで提訴されて、そこまで突っ切っていこうというのは、一体何なんだということなんです。

 我々は、人事院勧告を守りましょうと。給与改正法案を参議院で出しますよ、参議院で出す。ですから、人事院勧告をやって、震災復興の財源を一緒にやりましょう、そのためには、国家公務員も地方公務員も広く皆さんに負担を求めましょうと。全く、我々の言っていることは恐らく筋が通っているし、民主党の中にも多くの賛同者がいるんだと思う。だから閣議決定に手間取ったと思うんですよね。

 そこで、きょうは、だんだん時間がなくなってしまいますので、次のパネルを見ていただきます。

 このパネルは、要するに、公務員連絡会との合意パネルです。九月三十日の連合の南雲さんの話ですね。これは談話です。ホームページにも出ておりますから、そのまま転載させていただきました。

 六月十日に連合に対し官房長官と関係大臣、これは当時枝野さんから政府公式見解として表明された、国家公務員制度改革関連四法案と国家公務員の給与を減額する国家公務員給与の臨時特例に関する法律等の扱いについては一体不可分であることが労使合意の前提であることから、政府・与党一体となって全力でその実現を図る、消防職員に団結権を付与する、人件費引き下げについては合意どおり地方には波及させないことを不退転の決意を持って履行すべきであるということですね。

 それと、今度は四番目のパネルを見てください。

 ここも、これはどうかと思うんですが、「政府は、十月二十八日、本年の人事院勧告を実施するための給与法改正法案を提出しないことを閣議決定した。この間の連合の要請に沿うものであり、適切な対応である。」称賛しているわけですね。これはどうなんですかね。そして最後に、「政府・与党がリーダーシップを発揮し、良識ある判断を行った」、こんな脱法行為が良識のある判断だと言うこと自体が、これは国民には理解できないと思います。

 ですから、これ、もう一回思い直してください。人事院勧告、現行法上でちゃんとやりませんか。それを守った上で給与引き下げ法案は我々と前向きに議論をさせていただくというふうに方向転換できませんか、総理。これは総理にお聞きします。

藤村国務大臣 まず、政府と公務員労働組合連絡会との交渉で合意した事項は、給与の減額支給措置の内容についてであり、それ以上のものではありません。

 自律的労使関係制度のもとでは、民間給与や国の財政状況等を考慮しつつ、使用者が職員の給与等の勤務条件のあり方について主体的に検討し、交渉を通じて給与改定の実現を図っていくことにより総人件費改革に資する面もあると考えております。

 また、国家公務員の争議権について云々というのは、今ちょっとお話がございましたが、これは、新制度のもとで、つまり、内閣が提出している法律のもとでの団体交渉の実情や制度の運用に関する国民の理解の状況を勘案して検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずる、こういうこととなっております。

 それから、今パネルでは、まず一つは十月の分ですか。十月十一日の政府・連合会談ということで、これはいわゆる政労トップ会談というものがございまして、その前に事務局長さんとのお話があったわけですが、政府は、給与特例法案の検討に際し、職員団体と交渉を行ったところで、このうち、公務員労働組合連絡会とは、同法案に盛り込まれた給与減額支給措置の内容については合意しております。給与特例法と公務員改革関連四法案については、同時期に提出した大変重要な法案であるので、いずれもできるだけ早く成立させていただきたいと考えている、そういうふうに述べたところであります。十月十一日の連合との会談では、私からそのような発言をしたと記憶しております。

 それからもう一つ、九月三十日、ありました。(平井委員「もういいです、答弁は」と呼ぶ)よろしいですか。

平井委員 結局、何が合意していて、何が合意していないかを聞きたかったので、南雲さんに出てきてもらった方がすっきりすると思ったんですよ。そうじゃないと、結局これはお互いに言いっ放しになっちゃうじゃないですか。

 この間、総務大臣、覚えておられると思います。総務大臣は私と総務委員会等のやりとりで、これは向こうの思いを書いたものだ、要するに思いであって、我々が了承しているものではないと明確に答弁されているわけですよ。

 ところが、これはそんなことを言っては、連合さん、怒るんじゃないですか、怒っちゃうんじゃないですか。

 よく考えてください。これはどう考えても、人事院勧告はマイナス〇・二三なんですよ、七・八%下げるということを労働組合が喜んだというのは、震災復興だということだけで私は理解はできません、理解はできない。

 これはやはり、結局、要するに二十六年の三月まで我慢をすれば、そこで協約締結権等々、労働基本権の制約を解いてやるから、それから労使交渉で賃金を決めよということが絶対に密約としてなければ、そんなことのむはずないんです。この質問を私は連合の事務局長に直接聞いてみたい。聞いてみたい人はたくさんいると思うんです。この点に関して、総理、どのようにお考えですか。

川端国務大臣 連合の皆さんが自律的労使関係の構築ということでいろいろ御意見を言われ、熱望してこられたことは事実でありまして、そういう経過も含めて、いろいろな協議の中で、新たに国家公務員の改正法案を既に国会に出していることは御案内のとおりであります。

 そういう過程の中で、連合の皆さんとしては、給与法の削減と同時に一緒に成立させてほしいという強い要請をしてこられた経過はございます。片山大臣も含めまして、その思いは受けとめて、国会に同時に出した以上、一緒に、通常国会ですので、通常国会に出したから、この国会で成立するように最大の努力をするというのは、労働組合だけではなくて、記者会見でも、あるいは委員会でも言ってこられたところでございます。

 そして、先ほど少し触れましたけれども、二年の時限というのは、これは永久に給与を下げるという法律は、今の仕組みでは憲法上の疑義も生じますので時限にせざるを得ないというときに、この法律が通っていれば、自律的労使の関係の中では、使の方は国であります、その部分、そして、最終的にその給与法案は国会の審議を経なければなりませんので、その部分で、改めてその時点で、こういう財政状況の中で国家公務員の給与がどうあるべきかというのは議論されることになると思いますし、この部分が、ということでは密約には当たらない。

 そして、この法律が通っていなければ、改めて人事院勧告を含めた状況の中で、私たちとしては給与に対応してまいりたいと思っております。

平井委員 これは要するに、公務員制度改革法案なんというものは通っていないわけですよ、全然。これから議論する話でしょう。そんなものを先取りして、要するに人事院を廃止したいわけですよね、組合の皆さんは。そして、直接、労使交渉で賃金を決めたい。そういう思いの中で、今回、これはいろいろなものを決断されているんだと思います。

 これは残念です。総理がこれだけのことをおやりになるんです、財源のために。おやりになるんですから、これは総務大臣にお任せするんじゃなくて、総理みずから、我々は協力すると言っているんですよ。要するに、そのかわり脱法行為はやめなさいと言っているんです。我々はちゃんとこうやって公共の電波の前で約束しています。人事院勧告をちゃんと守った上でやりませんかと言っているんです。そのことについて、最後に答弁してください、総理。

中井委員長 時間が切れておりますので、短く。

野田内閣総理大臣 給与減額法案を、我々は法案を提出しています。その趣旨をぜひお酌み取りいただき、その早期成立に御協力をお願いいたします。

平井委員 ちょっと待ってくださいね。本当に、これは、要するに、脱法的なルール破りを……

中井委員長 もう時間が。

平井委員 もう終わります。

 これはやはりもう一回考え直していただきたい。ねじれ国会の中で、本当に物事を前向きに進めていかれるのなら、ここは考え直していただかなきゃいけない大きなポイントです。

 民主党議員の中だって、人勧をこんな形で無視するのは嫌だと思っている人がたくさんいる。不見識な議員だけが違うことを言っている。これはやはり非常に重要な問題なので、ぜひ集中審議と、さっきのその参考人をぜひ委員長にお願いして、質疑を終わります。

中井委員長 これにて茂木君、村上君、加藤君、野田君、吉野君、棚橋君、平沢君、平井君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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