衆議院

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第6号 平成23年11月11日(金曜日)

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平成二十三年十一月十一日(金曜日)

    午前八時二十七分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 岡田 克也君 理事 笹木 竜三君

   理事 武正 公一君 理事 西村智奈美君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      大西 健介君    金森  正君

      川内 博史君   菊池長右ェ門君

      岸本 周平君    小山 展弘君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      中野 寛成君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      藤田 憲彦君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      森山 浩行君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      横山 北斗君    和田 隆志君

      渡辺 義彦君    渡部 恒三君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      佐田玄一郎君    橘 慶一郎君

      徳田  毅君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      西  博義君    東  順治君

      笠井  亮君    高橋千鶴子君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

      山内 康一君    田中 康夫君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     古川 元久君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)           平野 達男君

   外務副大臣        山口  壯君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     森山 浩行君

  岸本 周平君     渡辺 義彦君

  佐々木隆博君     菊池長右ェ門君

  馬淵 澄夫君     田名部匡代君

  小里 泰弘君     徳田  毅君

  金子 一義君     あべ 俊子君

  東  順治君     西  博義君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  下地 幹郎君     田中 康夫君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    佐々木隆博君

  田名部匡代君     馬淵 澄夫君

  森山 浩行君     玉置 公良君

  渡辺 義彦君     岸本 周平君

  あべ 俊子君     金子 一義君

  徳田  毅君     小里 泰弘君

  西  博義君     東  順治君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  田中 康夫君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  玉置 公良君     藤田 憲彦君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 憲彦君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 予算の実施状況に関する件(経済連携等)

 第三次補正予算の執行に関する件


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、第三次補正予算の執行に関する件について決議をいたしたいと存じます。

 本件につきましては、理事会等におきまして、各党間において御協議をいただいたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの案文がまとまりました。

 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。

    第三次補正予算の執行に関する件(案)

  政府は、第三次補正予算の執行に当っては、被災者、納税者の立場に立ち、公正かつ透明性の確保された入札の徹底など、更なる合理化、効率化に努め、真に被災地の復興に資するものとすべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

 お諮りいたします。

 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、ただいまの決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。野田内閣総理大臣。

野田内閣総理大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨に沿って対応してまいりたいと存じます。

中井委員長 お諮りいたします。

 本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

中井委員長 引き続き、予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、経済連携等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。経済連携等について質疑をさせていただきます。

 きょうは東日本大震災の発災以来ちょうど八カ月目ということで、衆議院で第三次補正予算案も可決をしたわけでございます。速やかなこの成立と、また、関連法案を成立させ、復旧復興、原発事故収束を進めていかなければならないということを期す次第でございます。

 また、トルコでは地震が再度起きまして、その支援に当たっていた宮崎淳さんがお亡くなりになるということで、心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、けがをされた近内さんの御回復を心からお祈り申し上げたいというふうに思っております。

 世界で、日本人あるいは日本企業、日本のいろいろな団体が活躍あるいは活動をしております。世界の中の日本ということをしっかりと踏まえながら、そしてまた、この国の守るべきものあるいは国のもとというものをしっかりと踏まえた質疑を行ってまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、民主党では、経済連携にかかわるプロジェクトチームを二十三回、延べ五十時間の質疑を行ってまいりました。五百人の民主党の議員が、それぞれ国を思い、国を憂え、そしてまた真摯に前向きに、闊達な議論を重ねてまいりました。そこで、党のPTとして提言をまとめております。もう既にいろいろと公表もされておりますし、総理もそれは見ておられるというふうに思います。

 その一部でありますが御紹介をいたしますと、日本は貿易立国として、自由貿易を推進、高いレベルの経済連携を推進、日本が主導してアジア太平洋地域の需要を取り込むため、同地域の貿易・投資の自由化を進め、FTAAPを構築しなければならないと確認、また、地域での日米関係の重要性を認識。

 TPPに関しては、他の経済連携と同時並行で進めるべきだとの意見の一方、メリットが見えにくい、市場アクセスでは、除外が困難、市場アクセス以外では、見直し可能性ということの懸念から地域社会への大きな影響があるなどの論点が出た。特に、なぜAPECでTPP交渉の参加表明なのかは大きな議論となったということでございます。

 特に、ハワイ・APECに向けての提言については、「東日本大震災からの復旧・復興及び福島原発事故への対応に、」万全を尽くすことに「最優先で取り組むことを確認する。」

 FTAAPについては、これはアジア太平洋自由貿易圏のことでありますが、「「アジア太平洋地域の経済的繁栄を目指すFTAAPの実現に向け、我が国が先頭に立って推進する」ことを高らかに表明するべき」。

 TPP、環太平洋パートナーシップについては、

  TPPへの交渉参加の是非の判断に際しては、政府は、懸念事項に対する事実確認と国民への十分な情報提供を行い、同時に幅広い国民的議論を行うことが必要である。

  APEC時の交渉参加表明については、党PTの議論では、「時期尚早・表明すべきではない」と「表明すべき」の両論があったが、前者の立場に立つ発言が多かった。

  したがって、政府には、以上のことを十分に踏まえた上で、慎重に判断することを提言するものである。

ということで、その提言をまとめたところでございます。

 総理はこれまでも所信表明演説などで経済連携が必要であることを述べておられますが、改めてそのことをお聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 まずは、武正委員の御質問にお答えをする前に、委員も御指摘でございましたけれども、きょうは東日本大震災の発災からちょうど八カ月ということでございます。野田内閣としては、この震災からの復興を最優先そして最大の課題という位置づけのもとに全力で、きのう第三次補正予算を衆議院通過させていただきましたけれども、しっかりと復興に向けての万全の対策を行っていく決意であることをまず冒頭申し上げたいというふうに思います。

 その上で、経済連携の意義という意味のお尋ねだというふうに思います。世界経済の成長を取り込んで、そして産業空洞化を防止していくために、経済連携、国と国との結びつきをやはり実現していくということが極めて重要であるというふうに認識をしています。特に御指摘をいただいたアジア太平洋地域というのは、これからの世界の中の成長のエンジンになり得るところでございますので、この成長力を取り込むという視点が極めて重要であるというふうに認識をしています。

 昨年の十一月に閣議決定をした包括的経済連携に関する基本方針に基づきまして、より幅広い国々と高いレベルでの経済連携を戦略的かつ多角的に進めていく決意でございます。

武正委員 お手元に資料を配付しておりますが、これはパネルもございますので、国民の皆様もごらんをいただきたいと思います。

 APEC参加メンバー及びTPP協定交渉参加国の地図でございます。APECは、二十一の国と地域が参加をしている国際会議体でありまして、先ほどからFTAAP、FTAAPと言っておりますアジア太平洋自由貿易圏は、この二十一の緑色の国と地域が、そうした地域における経済連携を進めていこうということを目標に掲げているものでございます。その目標年を二〇二〇年というふうに置いております。

 そして、その中のいろいろな方策があるであろうということは、昨年のAPECの首脳声明で述べております。APECは、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPは、ASEANプラス3、ASEANプラス6、そしてこの赤の丸で囲いましたTPP協定といった現在進行している地域的な取り組みを基礎としてさらに発展させることにより、包括的な自由貿易協定として追求されるべきことが確認されたということであります。

 先ほどの総理の経済連携の必要性についてのお話でありますが、これについても、昨年十一月九日、内閣では閣議決定をし、国を開き、未来を開くということで、「FTAAPに向けた道筋の中で唯一交渉が開始している環太平洋パートナーシップ協定については、その情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する。」こういった閣議決定、あるいはAPECの、あしたからは今度はハワイで開催ということでありますが、前回の首脳声明、こういったものでこの一年間が経過をしてきたわけでございます。

 このAPECと、そしてまたTPPということでの位置づけ、特にAPECについては、時の大平内閣で環太平洋連帯構想というものが一九七九年にまとまりまして、そして八〇年に、ジョン・クロフォード・オーストラリア国立大学長、そして元外務大臣である大来佐武郎先生との間でスタートした太平洋共同体セミナー、これは最初はキャンベラ、そして八二年のバンコクのときにPECC、太平洋経済協力会議、これがもとになって非政府間組織、八六年には中国と台湾が同時加盟、八八年の大阪会議でさらにハイレベルな会議開催検討ということで、時のホーク・オーストラリア首相あるいはアメリカのベーカー国務長官も賛同して、八九年にアジア太平洋経済協力会議ということでスタートしたときはキャンベラで十二カ国が参加をいたしました。

 つまり、何を言いたいかというと、このAPECの言い出しっぺは日本とそしてオーストラリアであるということで、三十年を経て今こういったさまざまな経済連携が、このアジア太平洋、まさか太平洋を挟んでこれだけ広大な地域で経済連携が進むとは、しかしそれが必要なんだという、そういった思いからスタートをしたAPEC、そしてまた、今幾つか経済連携の話をしましたが、その中のTPPということで、これについての総理の御所見を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 APECの歴史的な沿革については、武正委員の御指摘のとおりであって、具体的にはオーストラリアが提案をした形ですが、日本はずっと一貫してイニシアチブをとってきて、つくられたというものでございます。

 現在、開かれた地域協力として、貿易・投資の自由化であるとか円滑化などさまざまな課題に、参加国の、これは国というよりもエコノミーと言っていますけれども、自発的な行動によって取り組みを行っているということでございます。

 その中で、昨年の横浜APECにおきまして、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現に向けて、TPP、ASEANプラス3、ASEANプラス6といった地域的な取り組みを通じて、アジア太平洋の地域経済連携を推進するということが合意をされております。

 ちなみに、このTPP協定は、APEC地域に拡大することを目指しており、いわゆるAPECの加盟エコノミーに開かれた取り組みであるということでございます。したがって、アジア太平洋地域における、まさに成長エンジンとしてその需要を取り込んでいける可能性を秘めているというふうに思います。

 これは、高い水準の自由化を求めるとともに、多国間のルールづくりでございますので、日本が実現したいルールについて、共通利害を有する国とともに交渉をし、それを多国間で適用することが可能になるという意味で、二国間のEPAとはまた別のメリットもあるだろうというふうに思います。

武正委員 二枚目の資料をごらんいただきたいと思います。

 先ほども、APEC横浜首脳声明で、FTAAP、アジア太平洋地域での自由貿易圏への道は、TPP、環太平洋パートナーシップ協定、あるいはASEANプラス3、ASEANプラス6といろいろな道があるんだという話でございます。ただ、資料にありますように、日本がこれまで結んできた自由化率というものが大体九〇%弱にとどまっているのに対して、最近大変高い自由化率というものが結ばれるようになっております。

 これについては、先ほど御紹介したような閣議決定でも、高い経済連携を目指していくんだということは確認をされているわけでございますが、やはり高い自由化率となりますと、次の次の資料をごらんいただくとおわかりのように、我が国の多くの農産品は関税率一〇%以下とはいえ、二〇〇%を超える高い関税率、米、小麦、牛乳・乳製品、粗糖、米については七七八%、小麦は二五二%、バター三六〇%、粗糖三二八%、こういった大変高い関税で守られている農産品が当然強い影響を受けることになります。

 とりわけ、TPPについては原則関税撤廃ということでありますので、この点については、特にプロジェクトチームでも、多面的機能である米、文化とも言える米作、またサトウキビなど代替が大変ききにくい地域性などが意見として強く出されたわけでございます。

 私の立場を申せば、何とか国を開くことと国のもとである農業の両立を図れないかという立場でこのPTでも発言をしてまいりましたが、こうした高い関税率、これからバイの、国対国の経済連携でも一〇〇%近い、九〇%から九五%あるいはそれ以上といった自由化を求められる、そういった昨今の動き、ましてこのTPPは原則関税撤廃ということの中で、農業への対応についての総理の御所見を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 ただいまTPPとの関連で、いわゆる高いレベルの経済連携との関連で農業のお話が出ましたけれども、TPPに交渉参加するとかしないとかというその以前に、やはり日本の農業の再生というのは待ったなしの状況であるというふうに思っています。所得の減少、担い手不足の深刻化、あるいは高齢化、こういう厳しい状況に直面をしている農業の再生に全力を尽くしていかなければならないと思います。

 そのために、先月でありますけれども、食と農林漁業の再生のための基本方針と行動計画をまとめさせていただきました。中身はいろいろありますけれども、戦略一から七あって、新規就農の増加と規模拡大の加速であるとか六次産業化であるとか、こういうテーマのもとに政府を挙げて着実に取り組みを行っていき、農業の再生を実現していきたいというふうに思います。

武正委員 今、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に総理が触れられました。

 農水大臣には、ぜひその具体的な内容、特に、二十ヘクタールから三十ヘクタールへの集約化の話と、あわせて農業者戸別所得補償制度、これは昨年度五千六百十八億、今年度八千二億ということで、水田から畑作あるいは二毛作などの水田活用、米、麦、大豆、飼料作物など拡大をしているわけでありますが、この中で、そうした大規模化というんですか、農地の集約などに向けて何かその予算措置がとられているとすれば、御紹介もいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 食と農林水産業の再生実現会議における中間答申を受けまして、中間答申というか中間提言と言った方がよろしいと思いますけれども、過般、基本計画を打ち立てたところでございまして、何とか五年間で土地利用型の、平場におきましては二十から三十ヘクタールくらいの経営体を大宗にしていきたい、こういうふうなことでございます。

 そういう中で、今、二十ヘクタール以上という経営体は、農地面積でいきますと百二十万ヘクタールでございまして、これを基本にして、これからも農地集積を進めていきたいと思っております。

 まず、そのためには、今までは受け手の人たち、その土地を引き受けましょうといういわば受け手の対策と意欲ある農業者の経営安定を図るためにという施策を行ってきたところでございますけれども、これからはそれと同時に、地域の人たちの話し合いによって経営形態というものの拡大を図るために農地集積が円滑に進むような形をとるということから、協力するところの農地の所有者に対しても支援を行うというふうなことも概算要求をいたしているところでございます。

武正委員 具体的に、二十三年度予算でそうした農地の集約についての加算というものがあれば、御紹介をいただけますでしょうか。加算の予算があれば、二十三年度予算で。規模拡大について、農地を借り受けることへの加算など、そうした予算があればということでありますが。(鹿野国務大臣「補正予算ですか」と呼ぶ)いや、この二十三年度予算で。

鹿野国務大臣 新規就農に関しましては百五十八億円、農業者戸別所得補償制度の規模拡大加算等も含めて八千三億円、それから農地集積協力金の交付には六十六億円、こういうことでございます。

武正委員 特に、二十三年度から、農地を借り受けることへの加算ということで、規模拡大用で百億円が予算化されている。十アール当たり二万円ということで、戸別所得補償はそれぞれの農家の皆さんへ、そしてまたそうした農地の集約にも二十三年度から予算化されたということでありますので、二十四年度概算要求額も同額ということも聞いておりますが、引き続き、やはり日本の農業を力強いものにしていく意味でのそうした農地の集約化と、それからそれぞれの農家に対する直接支払い、戸別所得補償の拡大というものが必要であるというふうに認識をしております。

 そこで、きょうは山口外務副大臣、お見えでございますが、ニュージーランドのグローサー貿易担当大臣がこのTPP交渉に関連して、ニュージーランドの医療保険は交渉に該当しないというような発言があったやの報道、あるいは米国からは、高官の発言という報道でありますが、豪州とは乳製品や砂糖については再交渉しないというような報道に接しております。

 この環太平洋パートナーシップの、一年間情報収集を進めてくる中で、例外というんでしょうか、原則関税撤廃なんだという話なんですが、そういった例外の可能性というものがあるのかどうか、お聞きをしたいと思います。

山口副大臣 今、例外品目についての武正議員からのお尋ねについて、TPP交渉への参加に当たっては、まず、すべての品目を交渉の対象とする、テーブルにのせるということが求められるわけですけれども、実際の関税の扱いについては交渉の中で決まっていくということのようです。

 センシティブ品目については、除外やあるいは再協議は原則認めないんだという国がある一方で、個別の対応を考える必要性を認めるという国もあるようで、まだコンセンサスには至っていない模様だということが我々の認識です。

武正委員 そのことは、おとといでしたでしょうか、玄葉外務大臣からもこの委員会で触れられたとおりだというふうに思っております。

 そこで、資料をごらんいただきたいと思います。

 五枚目の資料でありますが、パネルの方を見ていただきますと、環太平洋パートナーシップ協定の交渉は二十一の分野にわたり、今言いました、特に農作物の関税の撤廃については、一番目の物品市場アクセス、これが一番最大の関心事ということで今まで話をしてまいりましたが、この二十一の分野にわたってそれぞれ交渉があるというふうにお聞きをしております。

 そこで、経済産業大臣、経済産業大臣の立場から、この環太平洋パートナーシップ協定の日本にとってのメリットというんでしょうか、貿易円滑化とか技術とか投資とかいろいろと言われておりますが、御紹介をいただけますでしょうか。

枝野国務大臣 お答え申し上げます。

 少子化、人口減少等を初めとして、国内市場が縮小していく中で、国境を越えた日本企業の事業活動を円滑にしていくということは、日本企業の海外戦略の上でも、そして日本の経済の成長にとっても欠かせないものだと思っています。

 そうしたことの中で、特に、この表にもありますような内容でいきますと、一つには、輸出規制に係る手続でございますね。これが国によって相当ばらつきがあって、事前予測可能性が低い国が少なからずある。こういったところについての透明性や手続の簡素化が図られれば、我が国の、特に中小企業にとって大きな意味があると思っております。

 それから、知的財産権などに関連して、模倣品や海賊版対策、これも国によって大分違いがあります。やはり日本の技術力あるいは日本のデザイン力などについてしっかりと守っていくということから、こうしたことについての強化、改善が図られれば、日本にとって大変大きな意味があると思っております。

 それから、技術開示。民間同士の技術協力等について、国が介入して無理やり公開させるような話がないわけではない。こうしたことについて適切な手続あるいはルールをしっかりと決めていくということで、日本のいろいろな技術や知財を持った企業が安心して海外展開できる。

 こうしたことでアジアの活力を取り込んでいくことができれば、これは、日本の空洞化が今言われている中において、日本の力を高めていって、空洞化等を阻止するためにも大変重要な意味を持っていると思っております。

武正委員 ありがとうございます。そのほかにもいろいろな分野があって、この間、総理からは、国民皆保険制度などについても堅持というような御発言もあったわけであります。

 最後、これは指摘にとどめますが、体制について。

 この後、さまざま、委員からの質疑、そして午後、政府としての対応、総理の記者会見ということを聞いておりますが、交渉に仮に参加していくとすれば、私は、やはり体制というものはかなり強固なものにして、交渉の体制を組んでいく必要があろうかというふうに思っております。先ほど民主党のPTの提言でも述べたように、国民への情報提供あるいは国民的議論、こういったことを進めるためにも、しっかりとした体制で臨むべきということを申し述べ、私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 TPPは羊の皮をかぶったオオカミ。亀井静香率いる与党統一会派、国民新党・新党日本、田中康夫です。

 TPP交渉協議への参加表明をあす十一月十二日からのAPECの場で日本政府は行うべきでないとする国会決議の実現に関する呼びかけを行いました。いずれも敬称略で五十音順に、社民党の阿部知子、公明党の石田祝稔、自民党の稲田朋美、小野寺五典、国益と国民の生活を守る会の城内実、民主党の斎藤やすのり、国民新党の下地幹郎、日本共産党の高橋千鶴子、無所属の松木けんこう、そして新党日本の私、田中康夫、以上十名が呼びかけ人で、七日月曜日午後四時に会見をし、国会決議に向けての賛同署名を開始しました。署名第一号は我が亀井静香、第二号はたちあがれ日本の平沼赳夫さんであります。

 つまり、みんなの党を除く衆議院を構成するすべての政党、すべての会派の議員が賛同し、その総数は、昨日朝までの実質二日間で二百三十二名に達しました。こちらにパネルがございます。民主党九十六名、自民党九十八名、公明党十一名、共産党九名、社民党六名、国民新党・新党日本四名、たちあがれ日本一名、国守の会二名、無所属五名、計二百三十二人でございます。

 一晩考えさせてほしいと昨日おっしゃった野田佳彦さんの感想をまず求めます。

野田内閣総理大臣 そういう署名があったということ、また、民主党からも御提言をいただきました。それらを重く受けとめていきたいというふうに思いますし、亀井国民新党代表からも大変親身になった御助言もいただいております。そういうことも含めながら決断をしていきたいというふうに思います。

田中(康)委員 あなたは、もう一日考える理由を、民主党内の慎重にという提言を重く受けとめてとおっしゃったと伺っております。

 内閣総理大臣であられるあなたは一体どこを向かれるのかということです。すべての政党、すべての会派の衆議院議員が二百三十二人、TPP交渉協議参加表明に反対する国会決議を求めて署名をしたというのは、これは私はよい意味で憲政史上前代未聞であろうと思います。なのに、一党内の、それも慎重にという単なる願望の声を重く受けとめるのではなく、この署名は明確な意思でございます。まさに政治が機能していない今、国会を機能させるための明確な意思表示であります。このことを御認識ください。

 そしてまた、この署名が触媒となって、昨日、自民、公明、社民の三党と国民新党と新党日本の統一会派、そして無所属議員の会派の計五会派が参加表明に反対する決議案を提出しましたが、残念ながら、計二十五名の議院運営委員会は否決しました。民主党と、なぜか共産党の反対であります。

 しかし、この決議案提出賛同署名には、民主党の政務三役も、そして議運の民主党理事二名も、委員五名、計七名も名前を連ねているわけでございます。委員長含めて十五名の民主党は、署名していた議運の委員を差しかえて、決議案の本会議上程を否決しました。共産党のお考えは、署名が過半数に達していないからということです。これはなるほどでございまして、ならば、過半数に九人足りない二百三十二人ですから、信念を持たれて、民主党の方々は正々堂々、正心誠意採決に臨んで、本会議での答えを得た上でハワイに向かわれるべきであったわけであります。

 すなわち、他の会派、各党は態度を決めていたから差しかえ不要なんです。他方で、民主党は、他党と異なり、TPPに関して、党として機関決定をいたしておりません。だから造反、いえ、署名をした委員に正論を貫かれるのが怖くて差しかえたのではありませんか。これはまさに、自由貿易や自由主義のためにTPPに参加すると野田さんはおっしゃいながら、それと真逆の排除貿易、排除主義、ヨシフ・スターリンもびっくりの弾圧のような形と受け取られかねません。

 私は、枯れ葉剤でベトナム戦争に貢献し、遺伝子組み換え作物市場で占有率九割に達する米国モンサント社と昨年長期協力関係を結んだ住友化学で会長を務める日本経団連の米倉弘昌さんとあなたが手を握り合って進めようとするTPPに、多くの国民は疑問や不安を抱いていると思います。電波放送権も、自由化されれば年間数兆円で取引され、番組の質の低下になります。新聞も、再販制度は非関税障壁と認められて、崩壊状態になります。NHKの税金投入も非関税障壁と言われる可能性を秘めております。

 まさに私が本会議で今こそ国会が機能せねばと申し上げた瞬間、与野党を超えて、そしてあなたの前の一年生議員も拍手をされた。それは、まさに、しっかりと議論すると言いながら、国民、議員にも向かおうとしない、そのような政治を機能させねばということだと思います。

 六〇年安保はイデオロギーでありました。今回、私たちの仕事と生活を奪うのか、日本という国家をつぶすのかという日本で初めてのイデオロギーを超えた大きなうねりであると私は思っております。

中井委員長 田中君、時間が過ぎておりますので、その辺でおやめください。

田中(康)委員 かしこまりました。

 民主党の新しいポスターには「ひとつひとつ、乗り越えていく。」と書いてあります。間違っても、一つ一つ崩れ落ちるとならぬよう、私は、ぜひ野田総理に、国会議員、そして国民の意思をきちんと受けとめ判断いただきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 自由民主党の赤澤亮正です。

 TPPについて質問をいたします。質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 野田総理、TPPについて、政府・与党から満足な説明を受けていない、またはほとんど説明を受けていない国民の皆様は、間違いなく、最高責任者である総理の生の声をきょうぜひ聞きたいと思っておられるはずです。そこで、特にきょうは、閣僚に任せることなく、基本的には総理御自身の言葉で語っていただきたい、強くお願いをしておきます。

 我が自由民主党は、既に、APECにおいてTPPへの交渉参加を表明すること、これは反対であるというTPPについての考え方を決定しております。党として機関決定をしている。表明はしないでいただきたい、反対である、こういうことであります。私の考えも党のそれと全く同じでありまして、それを踏まえて質問をしてまいります。

 ということでありまして、先ほど田中委員がおっしゃった、差しかえをしてまで国会で決議をさせないというような動きにも、どうも民主主義的でないような感じがするということをあわせて申し上げておきます。

 まず、昨日予定をされました総理の記者会見が一日延期されたことについて、野田総理に伺いたいと思います。昨日予定されていた総理の記者会見、一日延期した理由を、もう一度、総理のお言葉で御説明ください。

野田内閣総理大臣 民主党の経済連携のPTで、おととい、闊達な議論をいただいた上で御提言をまとめていただきました。その御提言を、きのうの民主党と政府の三役会議において、政調会長から御報告がございました。それについての議論をした中で、慎重な判断を求めるという御提起もございましたので、そういうことも含めてしっかりとさらに議論を詰めていこうということで、一日延ばしたということであります。

赤澤委員 総理が予定どおり昨日決めて表明をしておられれば、本日の衆参両院の予算委集中審議で、間違いなくもっと実のある議論ができたはず。総理が決断をした、もう判断が下ったわけですから、その判断の根拠等を丁寧に聞けたはずなんです。その点では大変残念に思います。

 もっとも、総理が今週末のAPEC首脳会議においてTPP交渉参加の表明をこのままやめてしまうというのであれば、我が党としては大歓迎であります。ただ、慎重判断と言われたから一日だけ判断を延期したというのでは、これは茶番ですよね。全く笑止千万な話だろうと思っています。

 そこで改めて伺いますが、総理、現時点において、今週末のAPEC首脳会議でTPP交渉参加を表明するかどうかはまだ決めておられないんですね。イエス、ノーでお答えください。

野田内閣総理大臣 きょうの集中審議における各党の御意見などもしっかりお伺いし、議論をさせていただき、その上で、引き続き、政府と与党の三役会議であるとか閣僚間での議論とかなどを経た上で判断をしていきたいというふうに思います。

赤澤委員 今の御答弁もちょっと変なところがあるように思うんですよ。だって、当初、きのうはもう表明しちゃう予定をしていたんでしょう。それはもう間違いのないことなんであって、突然、きょう、慎重判断と党から言われたから、一日延ばして、集中審議も踏まえてやることにしましたと言われても、我々は全然誠意は感じないですね。

 そこで、まだ決めていないということでありますから、決めていないということは、何らかの迷いや懸念があるはずです。なければ、もう決まるはず。ということで、何の迷い、何の懸念があるのか、そこを説明していただけませんか。今この場で国民に説明できない理由はないだろうと思います。

野田内閣総理大臣 迷いや懸念というよりも、多くの皆さんが懸念を持っていらっしゃるということをよく私も承知しているので、その上でどういう判断をするかということの最終段階であるということであります。

赤澤委員 どうも伺っていると、もう迷っているわけではない、腹は決まっているけれども少しでも多くの話を聞いてみようかというぐらいにしかちょっと感じられないところがあります。

 それで、本日、衆参の予算委集中審議の終了後に、総理としては、TPP交渉参加を決めて、今週末のAPEC首脳会議で表明する可能性はないとは言い切れないわけですね。

野田内閣総理大臣 従来から申し上げてきたとおり、しっかりと議論して早急に結論を出すという姿勢の中で判断をしていきたいというふうに思います。

赤澤委員 やはり、これは本当に実のある議論になかなかならないんですね。

 もし、本日、衆参の予算委集中審議の終了後に、TPP交渉参加を決めて、今週末のAPEC首脳会議で表明されるようなことがあれば、総理は、まだ決めておられないんですから、意思決定後、国会で説明する前に、すなわち国民に説明する前に対外的に発信することになります。

 消費税の税率引き上げについても似たようなことがあった。国民の信を問うと言いながら、信を問うはるか以前に国際公約をしてしまった。完全にダブるんですよ。要するに、野田総理の政治手法は、国会軽視、国民無視、党内では熱心に議論するかもしれないけれども、非常に非民主主義的なものを感じます。

 今週末のAPEC首脳会議、この表明はぜひ取りやめていただきたい。国会で議論をして、そして国民的な議論がきちっと深まってから表明してくださいよ。よろしくお願いします。

野田内閣総理大臣 まず、さっき消費税の増税を国際社会に向けて公約したというお話がありましたけれども、これは、ずっと予算委員会でも申し上げてきたとおり、所信表明演説でも触れた内容ですし、国会の御質疑でもお答えをしてきていることをあのカンヌのアクションプログラムの中に記載した、説明をしたということでございますので、その表現、国際公約という表現は、私は妥当ではないというふうに思います。

 その上で、一般論で言いますと、これはTPPだけではありませんが、外交交渉に入るか入らないかであるとか、それは全部国会できちっと決まってからということではなくて、常に情報の収集とその公開と、説明責任は随時果たしていかなければいけないと思います。

 これまでも、昨年の十一月からこういう取り組みを始めて、情報を得たものについては説明をしながらという努力をしてきたつもりでございましたが、三月のあの大震災の発災後、中断をしてきました。その後も、懸念を持たれている、関心を持たれている団体についても御説明に上がるようにしたり等々、あるいはホームページで公開をする等々、さまざま努力をしてまいりました。

 そうはいいながらも、民主党からの御提起の中で、しっかりと情報のいわゆる公開、提供をするように、国民的な議論をしっかりしていくようにという御提起もいただいておりますので、その辺は十分留意をしていきたいというふうに思います。

赤澤委員 幾ら政府が交渉をまとめても、国会が批准しなければ我が国がTPPに参加することはできないとわかっていながら、わざわざ野党の反発を招くやり方をするのはなぜかなというのを本当に不思議に思うんですよ。

 「正心誠意」のパネルを出していただきたいんですけれども。

 今月の五日、六日に共同通信が実施した全国世論調査によれば、TPPに参加した場合の影響を政府が十分説明していないが七八・二%、説明しているが一七・一%ですよ。さっきから何かやじで、この場で議論をしているとか説明してきたとか、そういうのもある。総理も、説明に努めてきたと。八割の国民が十分説明を受けていませんと言っているんですよ。

 この正心誠意、総理は、九月十三日の所信表明演説で、「政治に求められるのは、いつの世も、正心誠意の四文字があるのみ」、これだけだとおっしゃっているんです。「意を誠にして心を正す。私は、国民の皆様の声に耳を傾けながら、みずからの心を正し、」とおっしゃったんですよ。国民の声に耳を傾けながら、みずからの心を正しと。

 国民の八割が説明を受けていない、不十分だと言っている状態で、外国に行って、交渉に参加しますと。国民の声を聞いて、心を正していないじゃないですか。いかがですか。

野田内閣総理大臣 世論調査でそういう数字が出ていることは、真摯に受けとめなければいけないというふうに思います。

 我々なりに、得た情報については、それを御説明する、そのための機会をつくってきたと思いますし、お尋ねについてはお答えをしてきたと思いますし、関係する団体への説明もやってきたというふうに思っておりますが、数字は数字として受けとめますので、それはまさに、意を誠にして心を正していくという姿勢のもとで、これからも、得た情報についてはきちっと御説明をして、広く国民的な議論の材料を提供していきたいというふうに思います。

赤澤委員 TPPに関する国会の集中審議は、経済連携という名前ですけれども、本日が初めてですよね。もし本日、総理がTPP交渉参加を決めるのであれば、交渉参加について、総理が八日、本委員会でおっしゃった、議論が熟した段階で決めていきたい、自分がそうおっしゃったんですが、その議論とは党内議論にすぎないということになるんですよ。きょう、本委員会、三時間半ですよ。

 ところが、先ほど武正委員がおっしゃった、民主党内の議論は既に二十三回、五十時間、これは確かに議論をしたんでしょう。国会の委員会では三時間半ですよ。それで決めてしまう。それは、議論が熟したらと言うけれども、党内の議論さえ決まったら、国会の議論や国民の議論は熟しなくていいんですか。それは総理の決断には必要ないという意味ですか。お答えください。

野田内閣総理大臣 党内では本当に闊達な議論を時間をかけてやっていただきましたけれども、国会の中でも、集中審議は、きょう衆参それぞれ三時間半ずつ、御指摘のとおりでありますけれども、いわゆる基本的な質疑等々でも議論をする機会がありましたし、お答えもしたというふうに思っておりますし、そういう御指摘があれば、積極的に応じていきたいというふうに思います。

赤澤委員 今までも議論してきたということがやじとかでも出ていますけれども、私は、それは全く十分ではないと思いますよ。今の状況で、マニフェストができなかった理由にも、これは事実に反しますけれども震災を挙げておられる、総理。普通の予算委員会だったら、やはりみんな優先順位を考えて、復旧復興の話とかしなきゃいけないんですよ。TPPのことをきちっと本格的に議論できる場というのは本当にきょうが初めてなんで、この状態で何か決めてしまわれることには強く反対をいたします。

 極めて乱暴な進め方であって、改めて申し上げますけれども、国会軽視ですよ。八割の国民が、まだよくわからない、説明をちゃんと受けていないと言っているけれども、総理はもう交渉参加を表明されようとしている。議論とか誠意とか口にしながら、極めて非民主主義的な野田総理の政治手法、これが国民の前に非常に明らかになってきている。正心誠意とはかけ離れている。熟議の国会と言いつつ強行採決を繰り返した菅前総理の政治手法と結局似たり寄ったりなんですよ。私は、そこは強く抗議をしておきたいと思います。

 あわせて、ぶら下がり取材もやっておられない。定期的な会見もされない。端的に言えば、タイミングがいいときに御自身の発意で記者会見をする、これが野田総理のやり方です。私、これも正心誠意とは思えないんです。どうも総理は、御自身の決意や判断を、国民の前に出て、少しでも多くの機会に自分の言葉で語りかけようという感じが感じられないんですよ。説明責任を果たしていると言えません。だから、TPPでも八割の国民が、説明をちゃんと受けていませんよ、こう言うんです。

 繰り返しになりますが、私も我が党も、APECにおいてTPP交渉参加の表明をされることには断固反対をいたします。

 国会の議論は始まったばかりですから、総理がAPEC首脳会議から戻られたら、直ちに本会議において報告と質疑を行うのはもちろんのことでありますけれども、中井委員長、本委員会におけるTPPの集中審議を再度開催されることを強く申し入れます。いかがですか。

中井委員長 本会議のことは当委員会のことではありません。(赤澤委員「もちろんです、よくわかっています」と呼ぶ)

 委員会につきましては、先ほどの理事会において、自民党側の理事さんからも強く御要求があり、今後協議をするということになっていますが、さらに協議をいたしてまいります。

赤澤委員 よろしくお願いします。

 今またやじの中にも、中身の話をしろという議論もあります。手続がひどいということは、これは民主主義じゃないんですよ。本当にわかっていない人たちがやじを飛ばしているなと思います。手続が悪いから、説明が不十分だから八割の国民が不満なんでしょう。そこをきちっと総理には踏まえていただかないといけません。

 多くの国民が、今の政府がTPP交渉に参加して、一体何を失うのか、大変心配しているんですよ。当初は、わあわあと、国を開く、アジアの成長を取り込む、もう聞いただけで賛成したくなるからほとんど賛成だったものが、徐々に徐々に、心配だ心配だ、よくわからない、こういう話になってきています。

 国民の皆様が特に大きな不安を感じておられる分野といえば、農業以外にも、例えば、医師、看護師、弁護士、自動車整備工などなど越境サービスや資格の相互承認の分野、あるいは、医療保険、介護保険など国民皆保険にかかわる保険や金融の分野、食品、医薬品の安全基準や表示の分野、労働力の移動の分野、政府調達の分野などなど。

 では、総理、説明不足と考える約八割の国民の皆様のために、不安を解消しよう、少なくとも交渉開始前に、今申し上げた国民が不安を感じている分野について、できるだけ網羅的に、絶対にこれは譲りませんというものを列挙して、本委員会に提出していただけませんか。その結果、国民がTPP賛成がふえるか、それともむしろ減るか、それは定かではありませんけれども、少なくとも、民主主義です、手続を尽くして、説明をして、国民の不安、説明不足なんてことは解消しなきゃいけませんよ。いかがですか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 確かに、TPPを含む経済連携協定は、御指摘のように、関税などの物品の市場アクセスだけではなくて、投資やサービスなど広範な内容を持つものでございます。

 これまでも、できる限り情報がわかる範囲内ではきちんと御説明に努めてまいったわけでございます。ですから、これは交渉に参加するかどうかというところをまだ決めているわけではございませんが、仮に参加するに当たっては、今後とも、しっかりそうした面については随時情報を提供してまいりたいというふうに考えております。

赤澤委員 古川大臣、野田政権が外交交渉をわかっていないことの証明みたいな答えですよ、それは。

 どういうことかといったら、私も日米航空交渉に携わった人間です。交渉をやる前に、どんな交渉のテキストにも書いてありますよ、基本中の基本は、絶対に譲れないもの、これ以上譲らない場所、フォールバックポジションといいます、それを決めてかからないと、ずるずると譲ることになる。交渉の実務ではもう当然の常識です。交渉に参加すると表明する段階で決めていないんですか。決めていたら、情報提供できるはずなんですよ。今そんなことで古川さんに答えてもらってもしようがないです。総理が総理の言葉で語ってくださいよ。

 前原大臣が前のめりで、いかにも吹っかけられそうな感じで、うちの国は入る入ると言った。あれも外交のためになりません。総理は、国益のためになるものだったら入る、そうでなきゃ席をけって帰ってくる、そう言っていなきゃだめですよ。そこはきちっと軌道修正をしていただかなきゃいけないし、今また古川大臣から適宜情報提供と。適宜じゃないですよ、今決まっていなきゃおかしいんですよ。交渉に入る前に譲れないものを決めていなかったら、絶対ずるずる譲るんだ。そんなものは交渉の常識ですよ。ちょっと恥ずかしい議論になっているので、古川大臣、もういいですから。本当にイロハですよ。

 そして、次のテーマに移らせていただきます。

 テーマに移る前に要求しておきますよ。今決まっていないことは明らかなんだから。絶対譲れないものを網羅的に国民に示してください。不安を、本当に交渉に……(発言する者あり)いや、今言えって言うけれども、ほとんど中身のないことをだらだら長く言われるだけなので、これは時間稼ぎに使われますから。出してくださいよ、この委員会に紙で。こういったものは譲らないということをきちっと出してもらわないと。それでやりましょうよ。特に答弁は求めません。

 それで、被災農業者の皆様に対する不意打ち、こういう話もさせていただきたいんです。

 総理は、九月十三日の所信表明演説で、「言うまでもなく、東日本大震災からの復旧復興は、この内閣が取り組むべき最大かつ最優先の課題」、こうおっしゃいました。

 大震災の被災地で農業生産を再開できるかどうかの瀬戸際で踏ん張っている被災農業者の皆様から、何の説明もなくTPP交渉参加を進める政府に対して、これは当然ですけれども、怨嗟の声が上がっていますよ。被災地の農業者のことを考えているのか、希望を奪うのか、あるいは、復旧復興はなかなか進まないのにTPP交渉参加や増税ばかり早いのはおかしい、まことにごもっともだと思います。

 総理は、この国民の皆様の声にも耳を傾けながら、みずからの心を正してもらわぬといかぬですよ。なぜ、復旧復興が最優先と言いながら、被災農業者の方たちの心を折るような進め方をされるんですか。

野田内閣総理大臣 被災地の復興はこの内閣の最大かつ最優先の課題であるというこの位置づけは変わりません。それを本格化するための三次補正を御審議いただいて、きのう衆議院、通過をさせていただきました。

 その上で申し上げますけれども、あわせて、日本の経済がより元気になっていく、世界の成長を取り込んで、特にアジア太平洋地域の成長力を取り込んでいって、そして経済が元気になって産業空洞化を防止していくという、その経済がよくなるということは被災地の復興にも資することであるので、それは総合的に考えていただきたいというふうに思います。

赤澤委員 今のも冷たい答弁ですね。一人一人が苦しんでいるんですよ。経済が全体的によくなればいいじゃないかなんて話でごまかされたら、私はかなわぬと思います。

 鹿野大臣から、十月二十六日に衆議院農水委員会でこういう答弁をいただきました。TPPに関する被災農業者の皆様との対話について私は尋ねたんです。「この段階で、現地に赴いて、TPPについてはこうです、ああですというようなところの段階には至っていない、こういうふうな私自身の考え方から、TPPについては議論はいたしておりません。」と。被災農業者の方たちは何も聞いていないんですよ。本当にひどい話です。

 次に、漁業、水産業についても伺います。

 被災地域は、漁業地域であり水産基地です。復旧復興をする、最優先だとおっしゃった。復旧復興をやるには、漁業、水産業の再生が大事なんです。皆さん、もう本当に心血を注いでいますよ。遅きに失したとはいえ、昨日、第三次補正に盛り込まれた魚市場や水産加工場の復旧復興予算が衆議院で可決しました。朗報ですね、これは。

 ところが、喜んだのもつかの間、昨日総理が交渉参加を表明する予定だったTPP、非関税障壁分野の環境状況の中に、サメ漁などの規制が盛り込まれているんです。また、米国の関心事項には、漁業補助金の削除が入っています。特に、サメ漁が規制されれば気仙沼の漁業は成り立たないんですよ。

 せっかく復旧復興がなし遂げられたとしても、肝心の漁業が成り立たなくなったらどうなるんだ。何の意味もない。被災地域の漁業者の嘆きの声、せっかくの新しい魚市場がただのモニュメントに堕してしまう、こういう声が被災地選出の小野寺五典衆議院議員経由で私のところに届いていますよ。

 総理でも鹿野大臣でも結構です。ただの一度でも、被災漁業者の皆様にお集まりいただいて、TPP交渉参加についてお話しされたことがありますか。イエス、ノーで結構です。

鹿野国務大臣 直接、TPPに関して、被災の方々の間での話し合いはなされませんが、いろいろと、復旧復興についての懇談会においては、TPPに関しての御関心というものをお示しいただいておるということはございました。

赤澤委員 要は、それとして話はしていないということです。

 総理は、ここ数日、衆議院の議員会館の前で、夜を徹して若い農業者の方たちがTPP交渉参加反対の座り込みを続けておられることに気づいておられますか。真摯な国民の叫びですよ。しっかり受けとめてください。正心誠意でしょう。国民の声を聞いて心を正すんでしょう。そのとおり、言ったとおりやってください。政治はそれのみだとおっしゃっているんですから。

 国民は、政府・与党の説明不足で不安になっています。国民の一部の声しか総理に届いていない、こう思っているんですよ。開国、開国と唱えながら、総理、実は、国民に外向きになることを求めながら、そのポーズの裏側で一番内向きになっているのは総理御自身だと私は思います。国民にちゃんと自分の決意を説明してくださいよ。その機会なしで外国で表明するなんかとんでもないですよ。とにかくひどい話だと思います。

 被災地の食料生産者の皆様は今、政府から後ろから撃たれたように感じていると思います。手続論として、APECで、首脳会議で交渉参加を表明されること、これはもう、被災農業者、被災漁業者の皆様も含む国民的な議論が熟していないということでも、その点だけでも絶対によろしくないというふうに私は思います。

 次に、TPP交渉参加の準備について伺っていきたいと思います。

 高いレベルの経済連携と農業再生の両立ということをおっしゃっていますが、私は事実上実現困難じゃないかなと思っているんです。それがTPP参加になかなか賛成できない大きな理由の一つです。

 今から御説明をする民主党のばらまき農政のもとでは、財源はなかなか出てきませんよ。それでもTPPに参加すれば、無駄を省けば財源は幾らでもあるといいながら結局実現できなかった子ども手当とか、ばらまき四Kの二の舞になることが明らかであります。国内対策を講じないでTPPに参加すれば我が国の農業が取り返しのつかないダメージを受けることは、TPP賛成であろうが反対であろうが共通認識。

 総理が、十分な農業の国内対策が実施できるというのであれば、早急にその内容と必要な予算額、財源を示していただいて、検証しなきゃいけないんです。農業の国内対策と必要な予算の額、特に財源を今示せますか。

安住国務大臣 まず、その前にちょっと、反論するわけではないですけれども、私も漁業地帯ですけれども、先生、水産業はもう既に、ほとんどと言っていいほど自由化の中で日本の水産物は海外に売れております。イカにしても、私の地元のことでいえば、大津波を受けた女川、牡鹿地域では、ホヤは韓国や中国に対して五倍、六倍の値段で売れるようになって大変な収益が上がっています。

 ですから、何か、守れ守れということも大事ですけれども、事実として、先生は境港の御出身だからそういうことも御存じの上で多分おっしゃっておられると思いますので、ただそれだけを取り上げてというのは私はいかがかと思います。

 それから、これはガット・ウルグアイ・ラウンドのときのことを考えて少しお話をさせていただきますが、平成六年の十月に決定をしてウルグアイ・ラウンド交渉に入った。それから一年かけて大綱をつくりました。一年かけて自民党政権下で農業政策をつくって、六兆百億円でございました。そのときのこと等も参考にしながらこれからやっていきますが、しかし、あのときの執行予算がその後の農業についてどういうふうな傾向を示して、体質の強化になったのかも十分検討しながらやはりやっていきたいと思っております。

赤澤委員 二点申し上げます。

 まず、細川内閣で入ったその六兆円というのは、実はそのときには我々が政権に戻っていて、本当に苦労して我々がやったんですよ。そういうことです。そして、今何か本当に、ちょっと、偉そうにという言葉は財務大臣に失礼です、おっしゃったけれども、体質強化を民主党がやってきたかということを議論させてください。

 米政策の作付規模別支払い割合の変化ですよ。これを見てください。手短に説明します。時間がないです。

 平成二十一年度、自公政権当時の米政策、経営所得安定対策のナラシ対策です。規模別にどれぐらい予算が行っているか見てください。二ヘクタール未満、今平均経営面積は二・二ですから、平均経営面積に満たない農家には三%の予算、これが自民党のやってきた政策です。担い手四ヘクタール以上に予算集中したんです。その結果、七六・五%が五ヘクタール以上に行っています。

 これに対して、民主党はどうやって選挙を戦ったんですか。記憶に新しいですよね。自民党の農政は小規模切り捨てだ、小規模農家切り捨てだ、こういうことをおっしゃって戦った。小規模農家切り捨てということで戦ったわけです。農業を続けたければ民主党、こう言って戦われたんですね。

 まさにそのとおりで、当初、言行一致だったんですよ。これは右側を見てもらえば、政権交代後の米所得補償であります。二ヘクタール未満は、ここに九十・七万件います。本当に多くの農家の方が小規模でやっておられる。そこに予算四二%、千三百億円、これを配分された。そして、五ヘクタール以上には、割合でいえば自公政権当時の半分以下、こういうことをやったんですよ。端的に言って、本当にこれは規模拡大に向けた動きをしていないですよ。むしろ逆行しています、明らかに。明らかに、小規模切り捨てと言い、小規模農家に予算をつけて選挙を戦われたんです。その結果勝って、言ったとおりにした。

 ところが、日本農業の発展のために望ましいとは言えない規模拡大に逆行する政策とはいえ、途中まで言行一致だったんですが、TPP交渉参加を検討し始めた夏ごろから、民主党の農政の資料では、にわかに、戸別所得補償制度は規模拡大のツールだと。我々が面的集積といって規模拡大をやっていた三千億の予算を切って、さっきも、鹿野大臣がもたもたしながら話をされた、規模拡大百億とか六十何億とか、要するにそれぐらいの規模でしかまだやっておられないんですよ。小規模農家にこれだけの予算をばらまいておいて、なおかつ我々がつけた三千億の予算は切って。

 ところで、ここから先が本当におかしいんですけれども、TPPに入るためには、国際競争力強化、生産性向上と言わなきゃいけなくなった。突然政策を百八十度転換して規模拡大を言い始めているんですけれども、これはもう民主党農政、一貫性がなく支離滅裂で、余りに無責任ではないですか。総理、いかがですか。

鹿野国務大臣 今、赤澤委員の御指摘については、農林水産委員会でもいろいろと議論がございましたけれども、私どもが戸別所得補償制度というふうなものを導入するということを政権交代によってなすことができたわけでありますけれども、この根幹は、約八年前に議論をしたんです。

 すなわち、これからの高齢化の時代を迎えて、そして担い手が本当にどうなるかなかなかわからない中で、農業者の人の再生産というものにしっかりと施策を打っていく、そのためにはやはり、規模の非常に小さな人でも自分たちは担い手だと思っている人もいる、そういう人たちにもこれから意欲を持って取り組んでもらおうと。

 そういうことから、販売農家というところ、全体が二百三十万戸くらいある中で販売農家は百七十万くらいです。そういうところに一つの対象という線引きをして、しかし、そのままにしておけない、少なくとも生産性向上というのは常に追い求めていかなきゃならない、こういうふうなことでやってきたということでございまして、決して、政策が、TPPが話題になってきたから規模拡大を目指すということになったということではございません。もともと私どもは規模拡大を目指しておったんですということを申し上げたいと思います。

赤澤委員 答弁者がいかに言い繕おうと、数字は正直なんですよ。明らかに規模拡大に逆行するような予算配分をしたんです。しかも、その財源は土地改良とか機械の補助とかを削って、端的に言えば、国際競争力向上や生産性を上げるような話に必要なものを全部切って、小規模農家にばらまいたということなんですよ。

 それで選挙には勝たれたけれども、今度はTPPをやるとなると、逆の方向を向こうとしている。その結果起きることだけ手短に国民の皆さんに申し上げておけば、今から、TPPに入らなくても規模拡大をやるのに、この政策のやり方のままやれば数千億円要りますよ。加えて、TPPに入るときには上乗せで、戸別所得補償を下手すると兆円単位でふやさなきゃいけません。

 財源なんかない上に、この間の推進本部決定に書いてあったことは、利益分配システムか納税者負担でこの政策はやらなきゃいかぬと。利益分配システムなんて働きませんよ。端的に言えば、納税者負担、増税でやるということを言い切っておられるということは私は指摘をしておきたいと思います。

 その上で、日本とTPP交渉参加国のGDPです。アジアの成長を取り込むという声だけ響いて、話を聞いていくとわからなくなるという点を一点指摘しておきます。

 端的に言えば、このTPP交渉参加国、日本が入れば、日本とアメリカでGDP九割ということはよく言われています。アジアの成長というけれども、そこにいるのはブルネイ、ベトナム、シンガポール、そしてマレーシア、全く市場規模の小さい国々です。

 中国や韓国がいないのにTPP参加をもってアジアの成長を取り込むというのは、FTAAPだの何だの言っておられるけれども、何か悪い冗談じゃないですか。総理、お答えください。

枝野国務大臣 一つは、先ほどの御答弁でもございましたが、FTAAP全体についての考え方の中で、ASEANプラス3とかASEANプラス6と同様に、TPPについてもAPECなどで位置づけられているわけでありまして、そうしたことでは、単独でこれを評価するというよりも、全体としてのFTAAPに向けたプロセスという御認識をいただく必要があろうかと思っています。

 それからもう一つは、ここではまさに現時点におけるGDPの額が出ていて、これはこのとおりの数字だというふうに思います。GDPが我が国にとってのマーケットとしての魅力をはかる一つの要因ではあるかと思いますが、現状での貿易取引がどうであるのか、それから今後の成長期待をどういうふうに考えていくのかということを考えると、今申しましたとおり、全体としてのFTAAPを見ていかなきゃならないということに加えて、現在の九カ国の中にも、ベトナムやマレーシアを初めとして、今後の成長、マーケットとしての拡大が期待される国が少なからず入っている、こういったことをしっかりと判断していく必要があると思っております。

赤澤委員 本当に、知れば知るほど、アジアの成長を取り込むというけれども、一体いつの話やらということですよ。

 中国、韓国が入らない限り、現実的に、成長を取り込むといったって、市場は小さいかもしれないけれどもとおっしゃるけれども、市場が小さかったらどうやって成長を取り込むんですか。本当に厳しい話だし、関税撤廃も、経産省がライバル視しておられる韓国も、韓米FTA、韓・EU・EPA、これはそれぞれ十年以上先のことになります。

 要は、私が言いたいのは、アジアの成長を取り込むといって、さんざん国民に希望の種だと言ってまきましたけれども、結論、中国と韓国が入った上で、加えて関税撤廃が起きてからじゃなきゃ成長なんか取り込めないじゃないですか。いつの話なんですか。

枝野国務大臣 例えば、実際に、TPPにしてもFTAAPにしても、そのことによって関税がいつどう下がっていくのかということについては、まさにこれからの交渉であります。

 しかしながら、例えば日本の企業にとって、あるいは日本でさまざまな経済活動を行っている皆さんにとって、今後アジアが発展していくことは皆さん異論がないわけだと思いますので、そうしたことの中で、我が国に工場等を立地しながらそうした成長を取り込む可能性があるのか、それともそうしたアジア太平洋の経済連携の外に日本が置かれるのか、そうした見通しによって、それぞれの企業行動、投資行動については大きく変わってまいります。

 そうした意味では、まさに今APECなどを舞台にして、ASEANプラス6などを含めて、アジア太平洋の連携に向けた大きなうねりがあるということの中において、我が国がしっかりとその方向に向かっていくということが示されていくということは、我が国の経済、そして経済についていろいろ判断される方の今後の投資動向について大きな影響を与えていくということですので、実際に関税がいつどうなるかということだけで判断できるものではないと思っております。

赤澤委員 もう全く意味のない、時間稼ぎの答弁をされて本当に迷惑なんです。いつからアジアの成長を取り込めるんですかと聞いたんですよ。答えがないじゃないですか。もう明らかに、中国や韓国が入り、そして関税が撤廃されてからでなきゃ、果実なんか国民は享受できないんですよ。

 国民の皆様に思い出していただきたいのは、昨年十月一日、菅総理が突然TPP交渉参加の検討を打ち出されるまでの最大の、そして今もそうですよ、日本の経済の目下最大の問題はデフレと円高ですよ。デフレと円高。総理、総理答えてくださいよ、先ほどから閣僚に答えさせていますけれども。TPPへの参加は、目下の我が国経済の最大の問題であるデフレ、円高を悪化させませんか。

中井委員長 古川元久担当大臣。(発言する者あり)静粛に。(赤澤委員「何で総理が答えないんですか」と呼ぶ)あなたもちゃんと出していらっしゃいますから、要求大臣で。

古川国務大臣 デフレ、円高対策は、もちろん喫緊の課題としてやっていかなきゃいけないし、やっております。しかし同時に、新成長戦略、昨年定めました。その中で、日本の中長期の成長力を高めていくためには、国を開いていく、そして高いレベルの経済連携を進めていかなきゃいけない。新成長戦略の中では、まさにAPECでも目標としております二〇二〇年のFTAAPの構築に向けて日本はリーダーシップをとっていくということを書いてあります。

 まさにそういう中で、あれかこれかという話じゃなくて、円高やデフレ対策、これは当然喫緊の課題としてやっていかなきゃいけないわけでありますが、同時に、日本の成長力を将来高めるためには、アジアの成長力を中長期に取り込んでいく、やはりそうしたことを考えていかなければいけないんだと思っています。

赤澤委員 中長期に取り込んでいく間に短期で経済が悪くなったら、何の意味もないんですよ。

 デフレを解決しなければ、円の購買力を増してしまって、これはますます円高になりますね。もうこれはどんどん悪い循環に入っていますよ。TPPは、これについては私はもう明らかに悪化させる効果があると思います。

 関税撤廃により我が国が享受するとされるメリットより、為替の影響の方がはるかに大きいと思いますね。円高が進めば、TPP参加の経済的効果は大幅に毀損します。私の後に伊東委員が質問しますけれども、非関税障壁の撤廃が我が国に及ぼすデメリットも極めて大きい、国の形が変わるみたいなことを言われています。十年間で二・七兆円のプラス経済効果という政府の試算も、決して大きいとは言えません。為替変動の影響をどこまで勘案しているかも、どうも疑問であります。

 私は、リーマン・ショック後の経済を再生させて、きちっと世界的にも貢献をする、最終的には輸出もふえるというやり方は、例えば首都直下地震、東海、東南海地震、そういった地震に備える国土強靱化のための公共投資とか、本当に必要な公共投資を通じて内需を拡大してデフレを克服する、そのことで投資が復活し、日本の輸入もふえてくる、アメリカにもアジアの諸国にも貢献できる、そういった方向を追求すべきだと思いますよ。このTPPに飛びつけばよくなるなんて、一体いつの話なんだと。今聞いたって、明らかに十年後以降でなきゃ効果が出てこない。

 そこで、総理に改めてお伺いをします。

 TPPのように、いつ成果が上がるかわからない上、我が国の経済社会を不可逆的に改悪してしまう、そのおそれが説明不足で全く解消されていませんよ。そして、我が国経済の最大の問題であるデフレ、円高を悪化させる選択肢、慎重に対応するよう求めます。

 総理、TPPの代案として、真に必要な公共投資を大胆に行うなど、内需拡大による我が国経済のデフレ、円高対策、持続的成長を目指してください。そして、今週末、APECでTPP参加表明をされることは改めて反対をいたします。総理の御所見をお願いします。

野田内閣総理大臣 内需の拡大をしていくということは、これは必要だと思います。ただ一方で、人口減少がある中で、そのことに努めますけれども、それだけでは足りない部分は、やはり世界の成長、ここにかかわっていきながら、世界の需要を取り込んでいくということもあわせてやっていかなければいけないと思います。

 従来型の、まさに現状に今甘んじていいのかどうか、それとも未来を切り開いていこうとするのかという大局的な見地から私は判断をすべきではないかというふうに思います。

赤澤委員 国民は、今の答弁で、全く希望の種を実感できていないと思います。改めて、APECでの表明には反対をいたします。

 質問を終わります。

中井委員長 この際、伊東良孝君から関連質疑の申し出があります。赤澤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊東良孝君。

伊東委員 おはようございます。

 それでは、引き続き、TPP関連の質問をさせていただきます。

 野田総理は、九月十三日の所信表明、また十月二十八日の所信表明、さらに各党の代表質問その他におきましても、このTPP交渉への参加の有無について、明確な意思表示及びその言及はなかったわけであります。

 その結果、昨日、本当は、交渉参加を表明する、このような予定でありましたけれども、急遽きょうに延期されたところであります。もう野田総理がAPECに出発するのは数時間先のことでありまして、そのきょうの時点でまだ意思が決定されていない、あるいは衆参でこれから集中審議を行うというのも、国会における議論不足の象徴のような話であるというふうに私は思います。

 国内には賛否両論が渦巻き、それぞれの陣営が大集会やデモあるいは行進を繰り返しているわけであります。また、若い農業青年たちが、この一週間前から座り込みもしているところでもあります。

 現時点で、TPPの本質や内容、あるいはメリット、デメリットについて、国民がなかなかこれを理解していないというのは御案内のとおりであります。世論調査の数字も出ておりますが、賛否拮抗する、それよりも多い人たちが、よくわからないと答える。さらに、八割近い人たちが、全く政府の説明不足だというお話をされるわけであります。

 これは、当初から、余りにも農業と工業にいわゆる特化した対立、問題提起、あるいはマスコミの偏った報道、さらにまた二十四分野、これは最近では、農業、繊維製品あるいは工業製品を一つにして物品市場アクセスということでまとめておりますから、二十一分野になっているところでありますけれども、この影響度や内容について、あるいは将来あるべき影響について、情報提供が国民にも国会議員にも十分なされてこなかった、このようなせいであります。

 民主党内部で経済連携プロジェクトチームによる議論を二十三回重ねている、そして総理から、自由闊達な論議をいただいているというお話でありましたけれども、これは国会や政府の公式機関でもありませんし、民主党という一政党の中のお話でありまして、そこで論議されたことがすべて国民の意思あるいはまた国会の意思というとらえ方は間違いだ、私はこのように思う次第であります。

 少なくても、国のあり方を変えてしまいかねない極めて大きな政治判断でありまして、国論を現実に二分している大問題でもあります。これを所信表明にも盛り込まず、先週来の代表質問や予算委員会での国会論戦も、総理はひたすら、しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出す、きょうまで、さっきまで、この答弁の一辺倒じゃないですか。そのくせ、国会の議論では、世界の成長エンジンであるアジアの成長を取り込む、経済連携の一般論に終始して今までやり過ごしてきたじゃないですか。

 どうして、細かいこと、あるいは国民が不安に思っていること、そうしたことを国会の場で堂々と述べないんですか。きょうまだ記者会見しないから自分の意思は表明できないということであったら、この集中審議の中身は一体どうなるんですか。私は、こんな議論不足の状態の中で、APECでの交渉参加というのはまさに正気のさたではない、このように思う次第であります。乱暴な進め方であり、先ほどから赤澤委員も言っておりますように、国会軽視、国民無視、そして民主主義のこれは崩壊だ、このように思うところであります。

 最後は私の政治判断だ、このようにおっしゃるのであれば、いつ、だれと、どこでしっかり議論し、何をもって参加の判断としたのか、お聞かせをいただきたいと思います。参加すると決めていないなどと言って国会論戦を逃げるようなことでこの委員会を終了させるようなことがあっては許されない、このように思います。いかがですか。

野田内閣総理大臣 この間に、今御指摘の民主党の経済連携PTの中で長い時間をかけて御議論をいただきました。多くの方、御参加をいただきました。そこで出てきたさまざまな意見についても私も承知をしていますし、党内の意見以外にも、有識者の皆様からのいろいろな御意見もお伺いをしてまいりました。あるいは、さまざまな団体からのさまざまな御要請や、あるいは懸念の表明等にも接してきたというふうに思っております。

 そういうことも含めて、きょうの集中審議の御議論なども踏まえて、最終的には、この後は、もう一回、政府と与党の三役の会議をやっていくということとか、関係閣僚の会議を行っていくとか、そういうプロセスを経ながら判断をしていきたいというふうに思います。

伊東委員 総理が政権についてから二カ月ちょっと、七十日でありますけれども、この間、これは前原政調会長が就任されたのが大きいのかなとも思いますが、この二カ月間中断していた、いわゆる震災でストップしていたTPPの議論がいきなり再燃をいたしまして、まさに前のめりに進めている、このように見えるものであります。

 口では、総理は、東日本大震災の復旧復興支援が最優先だ、こうおっしゃられておりますけれども、しかしながら、今、赤澤委員からの質問にもありましたように、その被災地の東北の皆さんに、あるいは農業者、漁業者の皆さんに何一つ説明していないじゃないですか。現に、あの地域の、福島の、宮城の、そして岩手の青年たちが連日徹夜で座り込みしているじゃないですか、反対反対と言って。被災地に何一つの説明も、どんな大きな影響があることかも理解させていないし、また、農水大臣も説明に行っていないというふうに私は思います。

 いつ、だれに、どんな説明をしたのかお聞かせをいただきたいと思いますし、私は、TPP交渉参加こそが、復興の意欲を喪失させる、あるいは被災地の農村、漁村の地域経済を崩壊させることになる、このような心配をするわけでありますけれども、それでもその引き金を引くおつもりなのか、野田総理にお伺いします。

中井委員長 鹿野道彦農水大臣。いつ、どんな団体、人と交渉したのか、説明したのかということについて説明をしてください。

鹿野国務大臣 今、伊東委員から言われたとおりに、被災地におきまして、TPPについての説明会というものを具体的に行ったことはございません。しかし、復旧復興についてのいろいろな意見交換の中で、TPPについての意見をいろいろとお出しいただいたというふうな経緯はございます。

野田内閣総理大臣 被災地に対しての対応というのは今農水大臣のお話でございましたけれども、私の掌握している限りでは、このTPPの問題についての関心や懸念を有している団体、たしか十九団体、医師会等々ですね、さまざまな団体に御説明に、事務レベルで、あるいは政務レベルで、手分けをしながら御説明に行っているということを承知しております。

伊東委員 私たち国会議員でも、例えば二十四分野の市場アクセスを初めとするさまざまな分野についての情報提供を求めても、なかなかこれは出てこない。まだ交渉に参加していないから説明できない、教えてもらえない、こんな話がずっと続いてきて今日に至っているわけであります。

 ましてや、被災地において、この震災復興復旧の中で本当に大変な思いをしている人たちが、どうして、このTPPの中身をそんな詳しく説明していただいて、集まって、自分たちの将来はどうなるんだなんという話になっているんでしょうか。今農水大臣おっしゃられたように、つい最近も、この交渉にまだ参加すると決めていないから説明していない、話し合いをしていないとおっしゃっているじゃないですか。

 復興復旧の話とTPPの話は全然違う話です。復興復旧すら吹っ飛ばしかねないようなTPPの問題だというふうに私は思いますし、だからこそ、彼らが命がけで反対し、そして、徹夜かけて座り込みをしているんじゃないでしょうか。どうしてこの被災地の皆さんの心情がわからないのか。そして、ここが理解されないでどうして震災の復旧復興があるんでしょうか。もう一度お伺いいたします。

枝野国務大臣 まず、この交渉の現状については、政府として把握していることは正直にきちっと皆さんにお伝えをしてきております。

 ただ、これは今まさに、九カ国においても外交交渉の途中にあるものであります。ですから、九カ国の間でも何か確定的にこうなりますと決まっているわけではないわけですから。ただ、そうしたことの中で、できるだけ正確に、つまり、ほとんどそんなことにならない、なる可能性はないと思っていても、可能性はゼロではないということも含めて、正直に全部お伝えをしてきている。まさに、そうした中でこれから交渉していくわけであります。

 そして、その場合に、政府としては被災地の復旧復興が最優先でありますので、復旧復興のために結果的にマイナスになるようなことはやりません。先ほど、通商交渉においては、ちゃんと守るべき線をしっかりと決めて交渉に臨むべきだと御指摘ありましたが、その線は決めています。ただ、そのことと、手持ちのカードを相手方に見せながら交渉するというのは別問題でありまして、復旧復興にマイナスになるようなことをするつもりは全くありません。

 その上で、復旧復興に向けても、直接的な農業、水産業等についてしっかりと再生を図っていくと同時に、例えば、被災地において、工場立地等の復興のための雇用の場の創設などに向けて、国内的にそうした被災地にできるだけ工場立地等していただけるような政策はしておりますが、まさに、さまざまな投資を行う皆さんがまず日本に工場立地をする等の判断をしていただかなければ、国内において幾ら被災地優遇をしても工場立地ができません。工場立地がないということの中で被災地の復興ができないというのは、農業が復興できないと被災地が復興しないのと同じように重要でありまして、私どもはその両立を図っていこうと思っているわけであります。

伊東委員 枝野大臣から、わかったようなわからないような話をされましたけれども、私が言いたいのは、今、復旧復興が最優先とおっしゃるのであれば、それを妨げるような、農業に最大の、あるいは水産業に大きな影響を与えるTPPについてはもっと慎重であるべきだ、そして、少なくても、その被災地の理解をしっかり得るような、あるいは納得していただけるような方策を示すべきである、このような話をしているのでありまして、農業の再興あるいは成り立つ成り立たないことと震災被災地の心情というのは全く別なものだというふうに私はお話をしたいのであります。

 鹿野農水大臣にお伺いいたします。

 鹿野大臣は当初、閣僚の中ではTPPに大変慎重な姿勢でありまして、恐らく農水大臣のその心情が、農業者にとっても、あるいは水産業者にとっても、最後、自分たちを守るとりでになってくれる、盾になってくれるとみんなが頼りにし、期待をしていたはずであります。

 ところが、最近、一部新聞で、総理と内密で会談して理解したとか、あるいはまた、本気で反対しないことにしたらしいとのうわさも聞こえてくる話でありまして、残念な思いをしているところでありますけれども、きょう、この委員会が終わってから恐らく経済連携閣僚会議等々がおありになるでありましょう。このTPP交渉参加にどのような態度で臨まれるのか、お伺いします。

鹿野国務大臣 私自身、今報道のことを言われましたけれども、私が申し上げてきたのは、冷静にいろいろ議論をすることが大事だというふうなことを申し上げてきたということであります。

 また、本日、関係閣僚委員会が予定されておるわけでありますから、そのときにおきましては、私の考え方も申し上げたいと思っているところでございます。

 今ここで、どういう具体的なことを言及するかということは控えさせていただきたいと思います。

伊東委員 鹿野大臣、私は、鹿野大臣を大変尊敬しておりますし、本当に、農水委員会を通じていつも質疑させていただいて、立派な大臣だ、こう思っております。

 しかし、先ほどの答弁でもそうでありましたように、東北地方の皆さんと、交渉に参加するかどうかはまだ決まっていないから話を一つもしていないとか、今のように、あと数時間後にこれを決めなければならないのに、農民を守る、あるいは漁民を守る一番の立場の、一番その事情をよく知っている大臣が、まだ私の意見は言えないなどと。

 この場で言えなかったら、どこで言うんですか。

本当に、ぜひこの場でその考え方を述べていただきたいと思います。

鹿野国務大臣 私自身、いろいろな関係者の方々から御意見をいただき、また御要請もいただいてまいりました。各都道府県の関係者、各団体の方々、それからいわゆる第一次産業にかかわっている人たちを中心として、いろいろと御要請なりお話をお聞きいたしました。そして、今日、党の方でも、大変な時間を要して御議論をいただいたわけであります。そういう経緯というふうなものを踏まえて私の考え方を申し上げたいと思っておるところでございます。

伊東委員 どうしても言えないというのであれば、後ほど、結果が出たときにしっかりお答えいただけるか、このように思う次第であります。ぜひ、農業者、漁業者の立場で、農水大臣としての意見を、あるいは考えを述べていただきたいというふうに思う次第であります。

 それでは、パネル、二枚目を出してください。

 大変重要な選択であるにもかかわらず、情報といえば、我々は、つい先ごろまで、この農水省の発表した影響と経産省の発表した影響、この二つを見てまいりました。そして、野田総理から、内閣府として最近まとめた二・七兆円の話が出てきたのであります。一年以上もこのデータをずっと使って、このデータ一枚で、みんながメリット、デメリットだと言って論議してきたのであります。

 経産大臣と農水大臣に再度お伺いしますけれども、あの一年前の十月に発表したこのデータが、今でもこれは正しいというふうになっているのかどうか、加筆修正が加えられた跡というのは私は見ておらないわけでありますけれども、お聞かせをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 経済産業省が昨年お出ししましたここに出ております試算は、一つの仮定条件のもとで出した試算であります。ただ、まさにその前提条件が、TPP交渉の中においても現状において確定をしているものではありませんし、少なくとも、TPPだけでも判断できない幾つかの仮定条件のもとに置いたものでございまして、必ずこうなるということを申し上げているつもりはありません。

 いずれにしても、何らかの仮定条件を置いた上で経済全体についての影響を判断しなければなりませんので、それについては、内閣府が一番最新で、一番広範に、なおかつ現時点で考えられる想定の中での試算を出しておりますので、内閣府における、一番左側に表で出ております試算が、経済産業省も合意をしている政府としての見解でございます。

鹿野国務大臣 ここに掲げてあります影響試算は、TPP参加を対象ということではなしに、全世界を対象として完全自由化した場合に、何も施策を講じない、国内対策を講じないということを前提としての数字でございます。

伊東委員 ここら辺を一年間、こんな前提条件の全然違うものを対象にして、プラスだ、マイナスだ、メリットだ、デメリットだという話をしてきた。極めて情けない話であります。

 枝野大臣が言われましたように、この経産省が当初出したのは、日本がTPPあるいは日・EU・EPA、日中のEPAいずれも締結せず、韓国が米韓FTA、中韓FTA、EU・FTAを締結した場合どうなるかという、とんでもないような話を前提としているわけでありまして、私は、よくこれでこの一年間こんなものを資料として使って論議してきたな、こう思うところでもあります。

 農業への影響試算額については、全世界を対象にして何の対策も講じない場合ということでありますけれども、農業自体が、強い農業づくりで一生懸命やってきている話でありますから、これに若干の減ずることはあっても、大きな影響があるということは間違いないと思います。

 そこで、総理にお伺いしますが、二兆七千億円、これが十年間でGDPを押し上げる、プラスになる、こういうお話でありました。一日の日でありましたでしょうか、田中康夫議員の質問の中で、GDPが十年で二・七兆円増加する、では一年間で二千七百億円の経済効果ではないか、このような質問に対し、単純に一年間で二千七百億円の経済効果と解釈すべきでない、こういう話がありました。

 このほかにも、サービス、投資、非関税分野、貿易の円滑化などの追加的効果があると答えていたところでありますけれども、パネルデータの信憑性にもかかわりますので、もう一度お伺いしますが、十年間で二兆七千億円のGDP増加としたこの数字のどこが年に二千七百億円の増加ではないのかとする指摘と違うのか、説明をいただきたいと思います。

古川国務大臣 今、田中委員の御指摘についての総理の御見解についてのお話がございました。

 この試算というのは、内閣官房が広く国際機関によって活用されているモデルを使用して行った試算でございます。TPP協定に参加して、物品貿易について一〇〇%自由化した場合に、日本の実質GDPが二・七兆円増加するという結果が得られているわけでございますが、これは、将来にわたってその状態が継続すると解釈すべき数値でございます。したがって、一年当たり二千七百億円の経済効果と解釈すべきではない、そのように考えているというところでございます。

伊東委員 そうしたら、これは累積額ではないということですね。

古川国務大臣 そういう毎年毎年二千七百億ずつふえていってということではないということでございます。

伊東委員 説明の仕方をきちっとしないと、国会の中でやりとりをしていたってみんなよくわからないような話を、どうして国民にきちっと説明できるんですか。やはり政府の説明責任というのは大きい、このように思います。

 ここ二カ月、野田総理になってから急速にこの動きが出てまいりました。ようやく、九月の米国あるいは十月のペルーにおけるTPP交渉会合における、この二十一分野の分野別状況の途中経過が発表されるようになりました。これも、我々が、国会議員が説明を求めて、あるいは要求して初めてその資料が出てくる、説明を受けられるというような、そんな話であります。

 国民に対する情報提供のあり方、これはまだまだ問題がありますし、国会やあるいは地方議会の議論を通じて意見集約、さらにはまた国民合意の取りつけ方、こういうものが非常に不十分であるというふうに指摘をさせていただきます。都道府県議会あるいは市町村議会の約八割がこの反対を決議しているわけであります。恐らく、議会の中で、あるいはそれぞれの役場の中で議論したことでありましょう。

 例えば食の安全、安心の観点でいえば、SPS、衛生植物検疫の分野、先ほどから話も何回か出ておりますけれども、この食の安全についてのお尋ねをしますけれども、残留農薬の濃度、あるいは食品添加物の種類とか使用量の規制、さらには遺伝子組み換え農作物の表示ルール、さらにBSE対策で講じた輸入牛肉の月齢規制など、これらにTPP参加国の基準が適用されることになるのではないかと懸念をされているのであります。

 特に、BSE対策としてのアメリカ牛肉の輸入制限では、これまで長いこと二十カ月月齢を標準にしてまいりました。しかし、三十カ月月齢にこれを緩和するよう、これまでもアメリカから強く求められていたわけでありますけれども、交渉参加表明直前になって、これを慌てて緩和する方針を打ち出したようであります。アメリカ議会からTPP交渉参加の条件にされたくなかった、恐らくこういうことなんでありましょう。

 これ一つとっても、食の安全性の確保の面から、あるいは科学的根拠と議論が足りない、こう思うわけでありますし、外国からの圧力でこれに屈するようなことがあるとしたらこれは問題である、このように思う次第でありますけれども、この点についてお聞きします。

古川国務大臣 食品の安全につきましては、食品の輸入につきまして食品安全に関する措置を実施する権利は、今委員からも御指摘のありましたWTOのSPS協定で我が国を含む各国に認められておりまして、我が国の措置を適切に実施することによって、輸入食品を的確に監視してまいっております。

 TPP協定交渉での主な議論の内容につきましては、検疫措置を実施する際の手続の迅速化や透明性の向上、さらには規制当局間の委員会の設立、リスク評価における科学的根拠の開示等で、そういうことが議論になっている模様でございまして、現在のところ、食品添加物、残留農薬基準や遺伝子組み換え食品の表示ルール等、個別の食品安全基準の緩和は議論されておりません。

 今後こうした食品安全基準の緩和等が協定交渉の中で提起される可能性は排除はされませんが、仮に我が国が交渉に参加する場合に、TPP協定のような複数国間の交渉では、ある国の食品安全に関する措置の変更が他国から一方的に求められることは想定しがたいというふうに考えておりますし、SPS協定で認められた食品安全に関する措置を実施する権利の行使を妨げる提案を我が国が受け入れることは考えておりません。

 ちなみに、先ほどBSEのお話もされましたが、このBSE問題につきましては、これはTPP協定とは別に、科学的知見に基づき個別に対応する考えでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。

伊東委員 九カ国プラス一で十カ国になったとします。日本一カ国が残留農薬の規制あるいは食品添加物の規制、これが基準が違うということが果たして本当に許されるんでしょうか。それで、輸入の制限ができる、あるいはまた他国からの農産品を基準が違うとして排除できる、こんなことになるんですか。ならないからTPPなんでしょう、これは。もう一度お答えください。

古川国務大臣 先ほども申し上げましたが、SPS協定で認められた食品安全に関する措置を実施する権利の行使を妨げる、そのような提案を我が国が受け入れることは考えておりません。

伊東委員 今のところ議論になっていないとか、そういう考え方はないとかという話でありますけれども、これはもう多国間協議でありますから、この先たくさんの国々がもし入ってくるとしたら、共通ルールでこれは律しなければ、それぞれ各国がばらばらにそんな基準を設けていたら、こんなものはTPPにならない話でありますので、それはおかしい、安易な解釈だ、このように思います。

 もう一つ聞かせてください。二十四分野、二十一分野の件については、まとめてまたお伺いします。

 政府調達、これは商社、建設業界には脅威になるのではないかという思いであります。現在は、WTO政府調達協定、GPAがあり、メキシコ、チリ、ペルーとのEPAでもGPAと同様の内容を規定しているところでありますが、これは、物品、サービス、建設サービスの三分野となっているわけです。TPPも同様であります。

 現在は、建設サービスで、例えば中央政府、日本政府は六億九千万円以上の物件、地方政府であれば二十三億円以上の発注物件が対象となっているところでありますが、将来的には、為替の変動、あるいは中央政府や地方政府の物件も対象金額が下げられてくることが想定をされるわけであります。

 海外企業の入札参加の英文によるプラットホーム対応を求められている話もありますし、また、政府機関や地方自治体にとってはこの対応と事務量が相当ふえるという懸念もあるわけであります。

 また、地方においては、地元企業育成などの観点からも問題がある、このように危惧されているところでありますけれども、この点、どうとらえておられるのか、お聞きします。

枝野国務大臣 いわゆる政府調達分野については、現在TPP交渉に参加している九カ国よりも、日本の方が既に開放的になっております。日本はすべての都道府県と政令指定都市を開放しておりますが、例えば米国は、州というレベルで見て、五十州中三十七州しか開放しておりません。

 また、P4協定、つまり最初の四カ国の間でされた協定でも、中央政府と関係機関のみの開放を決めているだけでございまして、したがいまして、まずそもそもとして、日本が今公開をしている以上のレベルでTPPの交渉が政府調達に進んでいく可能性はほとんどないというふうに判断しております。

伊東委員 それは甘い見方じゃないんでしょうか。みんなが心配するのは実はそこなんですよ。

 今、政府が、多分議論になっていないとか、これはまだTPPが各国全部合意して発効していないからそういうような話になる話でありまして、これは将来、必ずそういうことにつながっていく、広がっていく、その可能性があるのではないかという指摘なのであります。

 医療の分野についても同様のことが言われておりますね。大手医療機関やあるいは企業が進出し、保険外の高度治療を行うなど、我が国の世界に誇る国民皆保険制度の根幹を揺るがす事態が想定される。あるいは、日本医師会を初め、医療や保険業界がこういった危惧を抱いて、今反対をしておる。

 総理は、そこまでして、この公的保険制度を破壊してまで、なくしてまでこれを進める気はない、こういうお話をされましたけれども、例えば新薬の特許期間や申請機関また薬価基準など、新たなルールづくりが求められる可能性もあるわけであります。医師、看護師、薬剤師等々の資格も、外国の国家資格を認めるかどうか、これは相互承認の話もないわけではないわけでありまして、その話と相まってトータルで、日本の医療やあるいは福祉に対する不安を持つ人が多いわけであります。

 関心のある業界や団体の人でも情報は十分に伝わっていないわけであります。今議論になっていないとか、それで済まされる話ではないというふうに思うわけであります。緩和や譲歩を求められる可能性の高い案件もたくさんあるわけでありまして、これについての御見解をぜひお聞きします。

枝野国務大臣 恐縮なんですが、私どもは非常に正確に状況を御報告しようと思って、発言を申し上げています。

 今、交渉をこれからするかどうかという話であるし、九カ国においても交渉の途中です。ですから、その交渉のプロセスの中で、九カ国の中のどこかの国が、全く合意の可能性のないことについても何か物を言う可能性というのが絶対にゼロだとはだれも言えません。そこで絶対ゼロですと言えたら、それはうそだということになります。

 そのことを前提にすれば、可能性がゼロではないと申し上げたら、それではだめだということでは交渉ができません。私どもはまさに正直に申し上げているから、可能性は排除しないと申し上げています。

 ただ、例えば先ほどの政府調達にしても、日本が最も開放的であって、日本がこれを開放しようという意見がないところで他の国が日本にもっと開放を迫るということは、自分の国をもっと開放するという提案でありますから、それは論理的に考えて普通考えられませんということを申し上げているわけであります。

 それから、今の医薬品とか健康保険についても、まず事実として、これまでのFTAやEPA等において健康保険制度は交渉の対象外でありますし、現時点においてもTPPで議論されておりません。そして、現に九カ国それぞれ自国の健康保険制度を持っておりまして、これについて、九カ国の間だけでもそれを全部変えて、例えばアメリカのやり方に統一しようなどということが合意できる可能性というものは、常識的に到底考えられません。

 ただ、先ほど申しましたとおり、交渉ですから、実現可能性がないことでも一応言ってみるという国が一カ国、二カ国ある可能性については正直に否定していないだけでありまして、ただ、それについて我が国としても健康保険制度について妥協をするようなことは、これは条約の批准だけではなくて法改正なども要りますので、そんなものを合意したって国内的に通るわけないし、そんなことは私自身も賛成できませんので、そんなことになる可能性はありません。

伊東委員 医療の分野だけではなくて、さまざまな外国企業の進出によりまして、問題になりそうな、そしてまた非常に不安になるような話というのはたくさんあるわけであります。

 今、この時点で交渉に参加していない、あるいはTPPが完成していないわけでありますから、これで日本がもし入って十カ国になったとき、話として出てくる可能性というのは否定できないというお話でありますけれども、大いに可能性はあるわけであります。現に、アメリカの大きな病院が韓国に進出した話だってあるじゃないですか。あるいは、今までの日米交渉の中だって、そういった開放を求められている部分もたくさんあるわけであります。

 ISD条項というものがあります。TPP加盟国が、他国の企業にとって不利益となる規制や法律、商慣習があったとすると、その外国企業が加盟国を訴え、損害賠償を求めたり参入を求めたりして、その国の政策や法律、規制なども、場合によっては変更を迫られる可能性が指摘されております。私どもは、メキシコ及びカナダで、アメリカとの訴訟のお話も聞かせていただきました。多額の賠償請求をされた事例も見せていただきました。これは、日本の主権すら脅かされかねない。

 まだまだ指摘されていること、問題視されていることがたくさんあるわけであります。こんな状態での早急なる交渉参加というのは大きな禍根を残す、このように思うところでありまして、これらの不安にどう答えるのか、総理にお伺いします。

中井委員長 枝野経産大臣。(発言する者あり)訴訟のことがあって、弁護士さんですから。

枝野国務大臣 ISDSを含む投資関係協定は、自民党政権の一九七八年以降、既に二十六件締結をされております。そうしたことの中で、まず客観的事実として、今までに提訴をされたことはありません。ちなみに、アメリカとの間ではありませんが、アメリカの多国籍企業等は第三国を通じてこれを訴えようと思えばできるプロセスがあります。にもかかわらず、ありません。というのは、ここで訴えることについては、まさにこの投資の扱いについての、不公正、不適正な国による扱いがあった場合でありまして、日本が客観的にもこれまで透明性を持って公正な投資の環境を進めてきている中において、こうしたことを現に受けてきていない。

 そして、むしろ多国間との関係で申し上げれば、やはり、日本の企業から見れば、他国の投資環境についての各国の制度や取り扱い、特にルールに基づく取り扱いが必ずしも行われない、人治主義的な行いがなされているというような不満の声等が幾つかの国についてあります。こうした場合に、日本企業がそうした扱いを受けないようにすることにとって、これはむしろ積極的に我が国にとってプラスになる協定であるというふうに考えております。

伊東委員 まだ交渉に参加しておりませんから、そういうお話ができるんだろうというふうに思います。さまざまな問題がこのISD条項の中にはある、このように私は思うところであります。

 一つお伺いします。前原政調会長や閣僚の皆さんの中に、まずは交渉に参加して、どうしても我が国にとって受け入れられない事案が発生したらTPPから抜ければいい、こういう発言がありました。それに付和雷同するマスコミやテレビのコメンテーター、経済学者などもいるわけでありますけれども、あたかも可能性がある選択肢の一つであるかのごとくの発言でありまして、極めて無責任だ、このように指摘をいたします。

 国会や国民にろくな説明も情報提供もしないままで、まずは交渉に参加しよう、都合が悪ければやめればいい、こんな話は、事の重大さを矮小化させ、交渉への参加を軽く見せ、抵抗感を減らそうとするごまかし以外の何物でもない、このように思うものであります。

 TPPは、御案内のとおり、何度も言われておりますけれども、十年以内の関税の撤廃、そしてレベルの高い自由貿易、非関税障壁の撤廃をうたっておりまして、最初から途中でおりるかもしれないなどという国は認められないはずではないでしょうか。外交交渉をなめている発言であり、日本の信用をおとしめる、こういう発言だと思います。

 アメリカ政府高官も途中脱退は難しいという認識を示しているところでありますけれども、途中脱退可能論について、政府の現実に即した公式見解を改めて野田総理に求めます。

古川国務大臣 前原政調会長のお言葉を取り上げてのお話でございますが、交渉の結果、仮に協定が我が国の国益に全くそぐわないようなものとなる場合に協定に加わらないという判断をすることは、これは論理的にはあり得ないことではないわけでありますけれども、しかし、政府といたしましては、仮に交渉に参加した場合には、交渉の中で国益を最大限追求することは当然のことであって、国益に合致した協定となるように全力を尽くして交渉に臨んでまいります、その場合には。

野田内閣総理大臣 例えば、仮にTPPに交渉参加しようとしたときには、まさに新規に入ろうとする国のいわゆる真剣味というものが問われると思います、各国の同意が必要でありますから。したがって、交渉参加をするとするならば、それは当然、基本的には国益を最大限に守るために交渉に入っていくという決意を持っていくということだと思います。

 ただ、その上で、さっき古川大臣がおっしゃったとおり、守るべきものがあって、それが損なわれるようなことがある場合には、それはいろいろな可能性が出てくるということは、一般論ではもちろんあるというふうに思います。

伊東委員 事実上不可能な一般論そして建前論でごまかすべきではない、私はこのように指摘をさせていただきます。

 それでは、パネル三を出してください。

 これは農家一戸当たりの各国の面積の違いであります。日本の平均耕地面積、約二ヘクタールと言われておりますけれども、この十倍が北海道、この百倍がアメリカ、千五百倍、三千ヘクタールがオーストラリアであります。これは、農地を五個、十個集めて耕地面積を拡大したらカバーできるという性格のものではありません。

 野田総理は、埋めがたいこのコストの差を、これがわかっていて補てんしてやれば済むと考えておるのかどうか、そして、米の価格差を税金で埋めるとしたら、その予算はいかほどかかるのか、お伺いします。

 さらにまた、小麦、砂糖、酪農、畜産製品の価格差を補てんした場合、補償した場合の予算は幾らになって、事実上これは農水省の予算を上回るような金額になるのではないか、こう言われているわけでありますけれども、日本の財政からいってそんなことは可能かどうか、これについて、財源措置も含めて総理にお伺いします。

鹿野国務大臣 具体的な数字につきましては、今ここでお示しをする段階には至っておりません。勉強中でございます。

伊東委員 これはもう、前々、一年も前から言われている話で、当然こういうのは想定して、それに対する対策としての、今回の平地における二、三十ヘクタール、あるいは中山間地における十、二十ヘクタールの規模拡大を目指すという話ではないんでしょうか。それでさえ全く太刀打ちのできる話ではないということが、おわかりになるはずではないでしょうか。

 では、それが太刀打ちできないなら、その差額をだれが、どこで、どんな責任を持って埋めるのか、それについてお答えください。

鹿野国務大臣 これから、昨年の十一月の包括的経済連携というふうなものを進めていく上におきまして、当然のことながら、具体的な形で経済連携の個別ごとに対策を講じていく、こういうふうなことでございまして、この点は、今私から申しましたとおりに、経済連携を高いレベルで進めていく場合には、当然、施策というふうなものが必要になってくるわけであります。

伊東委員 それでは、もう一つ聞かせていただきます。

 工業製品が貿易上不利益あるいは輸出競争力を失っているというのは、私はやはり円高のせいだろうと思うわけであります。

 日立、松下が液晶テレビから撤退するということが決まりましたが、これは関税のせいでありましょうか。そうじゃないんではないでしょうか。これは四年も前から赤字がずっと続いている、テレビ部門は赤字だった、こういうふうに聞くわけであります。ここ五年間でウォンは四〇%も安くなっているわけでありまして、そのせいで価格競争力が落ちているんだ、こういう思いがします。アメリカの液晶テレビの関税は五%であり、また、米韓も、EU・韓のFTAもまだ発効していない、この中であります。

 総理に、このドル安、ウォン安、人民元安、ユーロ安、ひとり円高、これについて最後にお伺いします。

中井委員長 最後ですから、野田総理大臣。手短に、時間はもう来ていますから。

野田内閣総理大臣 日本の経済のファンダメンタルズとかけ離れたレベルで円高が進行してきているということは御指摘のとおりでございますので、今般も円高の総合的な対応策をまとめさせていただきましたし、第三次補正予算の中でも、円高の痛みを和らげるための中小企業の金融支援であるとか、日本の経済をより強靱にしていくための立地補助金の拡充とか、こういう総合的な対策をやってまいりました。

 その上で、マーケットにおいて無秩序な動きがあった場合、過度な変動があった場合には、これまでどおり、介入等を通じて毅然とした対応をしてきておりますが、これからも同じように注視をしながら対応していきたいというふうに思います。

伊東委員 終わります。

中井委員長 これにて赤澤君、伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私は、公明党のTPPに関するプロジェクトチームの座長として、今回のこの時期における政府のTPPへの参加についてさまざまな議論を党内でしてまいりました。その中で、私どもの考え方をまず初めに述べさせていただきたいと思います。

 まず、公明党は、日本がアジア太平洋地域内の二国間EPA、FTAを初めアジア太平洋地域における二十一世紀型の貿易・投資の自由化、円滑化に向けて主導的に取り組むべきである、こういう立場でございます。最終的には、APEC二十一カ国が参加するアジア太平洋自由貿易圏、いわゆるFTAAPの構築を目指して引き続き努力をすべきである、これが基本的な考え方です。

 しかし、今回のTPP交渉参加に関する進め方には大きな問題がある、私どもはこう考えております。

 政府部内で十分な検討もなされないまま、菅前総理の突然の思いつきから始まったということがまず一つ。それから、総理自身も、しっかり議論すると言いながら、必要な情報を提供することもなく、十分な私どもの議論もできる環境にはない、そのまま今日を迎えてしまったということを私どもは心から残念に思っております。

 御存じのように、TPPは、農業を初め健康、文化、環境政策など、さまざまな分野にわたって多大な影響を及ぼすということが想定されております。政府は、TPP参加により国民生活がどう変わっていくのか、そのメリット、デメリットは何かなどを国民に明確に説明責任を果たすべきであるが、全く果たされていない状況である、こう申し上げざるを得ません。議論も未成熟なままで、民主党の提言ですら慎重な判断を求めており、連立政権内でも意見が一致していない、これが実情ではないかと思っております。

 こうした状況でありながら、本日見切り発車で、これはきのうの時点の話でしたが、一日おくれました、しかし報道によりますと、まさしく本日、参加を表明するということになっているようですが、拙速と言う以外にない、こう申し上げたいと思います。

 その上で、きょう、何点かについて御質問申し上げたいと思います。

 初めに、日本の目指す方向について総理にお伺いしたいと思います。

 政府は、TPPは先ほど申し上げましたFTAAPへの一里塚、こういうふうに位置づけられておりますが、どうしてこれがFTAAPへの一里塚となるのか、これをまずわかりやすく説明していただきたい。

 私は、TPPは一里塚になるかどうかは疑わしいと思っております。高いレベルでの協議を目指すということは、それだけそこに入る障壁が高くなるわけで、入れない国が出てくる危険性も高い。そうしますと、APEC参加の各国の中で、TPPに参加できる国と参加できない国が二極分化するのではないか。そして、FTAAPに全体として参加していこう、二十一カ国が参加していこうという観点から見れば、TPPというのは、一里塚どころか、支障にもなりかねないのではないか、こういう気持ちを持っておりますが、総理のお考えをお聞かせください。

中井委員長 総理に答えてもらいますが、一番最初に、菅総理の思いつきだと言われたのだけ、だれか、事実、訂正できますか。

 古川君。それだけ。(西委員「それは結構です」と呼ぶ)ちょっとこれだけね、思いつきだと言われたから。ほかもいっぱい言われたけれども、経緯を。

古川国務大臣 菅内閣で副長官を務めておりましたので。

 もともと、TPPを初めとする高いレベルの経済連携を進めていこうということは鳩山内閣以来ずっと議論をしてきたわけでございます。そして、今委員からもお話がありましたように、APECにおいても、我が国はとにかく、二〇二〇年のFTAAPの構築に向けて、このアジア太平洋地域で主導的な役割を果たしていこうと。

 そういう中で、それこそASEANとのEPAであるとか、あるいは今、日韓、そして日中韓のFTA、さらにはASEANプラス3、プラス6でありますが、そうしたものを目指していく。言ってみれば、TPPというのはいわばFTAAPの中の部分集合として存在をしているということは、これは鳩山政権以来の、経済連携を進める関係閣僚会合の中でも議論はしてきたわけであります。

 そういう中で、菅政権になりましたときに、TPPにつきましては、実際にFTAAPの中の、ASEANプラス3とかASEANプラス6、そうした多国間の取り決めの中、協議の中で動いているものであるので、日本としては、このFTAAPという大きな集合をつくっていく、そのいわば部分集合であるものについては、これは二国間、多国間にかかわらずやはり積極的にコミットしていこう、そうした姿勢のもとから、菅内閣において所信表明で述べたものでございまして、決して突然出てきたわけではなくて、鳩山政権以来、高いレベルの経済連携を進めていく、その一環で検討していたものでございます。

中井委員長 それでは、一里塚云々につきまして、野田内閣総理大臣。

野田内閣総理大臣 アジア自由貿易圏、FTAAP構築に向けては、ゴールとしては共通認識を持っているということで、大変意を強くした次第でありますけれども、その中で、昨年の横浜APECで、これは首脳が集まって合意した中で、ASEANプラス3、ASEANプラス6、そしてこのTPPについては、これはまさに、いわゆるFTAAPへの道筋として位置づけられております。

 加えて、この横浜ビジョンの中で、APECはFTAAPの追求に貢献すべきであるとした上で、今後の地域内の貿易ルールづくりはFTAAPの発展のプロセスに含まれるべきという形でTPPを位置づけているわけで、加えて、今交渉に参加しているのは九カ国でありますけれども、すべての参加をするAPEC二十一のエコノミーに開かれているということも考えますと、まさにFTAAPへの一里塚であると私は理解をしております。

西委員 そうしますと、今おっしゃられたように、確かに横浜APECではそういう議論になりました。FTAAPに対するさまざまな道筋があるんですが、その中の一つ、ASEANプラス3、6、こういうものも含めて、すべてにコミットしていくという中での一つの方向としてのTPPというとらえ方なのか、それとも、TPPはTPPで、とことん交渉を完結するまでやっていく、こういう意味なのか、そこのところについての質問。短くお願いします。

古川国務大臣 まさに、二国間、多国間、あらゆる部分の、FTAAPの構築に向けて進めていく、その一環としてTPPも考えているということでございます。

西委員 そもそもAPECというのは、一つは法的拘束力がないということ、それから自発的であるということ、さらに開かれた貿易・投資の自由化協力の枠組み、これが基本的な立場でございます。これは、APEC参加国それぞれの規模が異なる、これは今ちょっと私も参考で図をお出ししておりますが、見ていただいたらわかるとおりでございます。そして、発展の段階も多様でございます。そういうことを踏まえて、今の三つの方向性を見出しているわけですが、そうした観点から見ると、拘束性、閉鎖性の強い今回のTPPというのは、私は、APECと相入れない面がある、こう思っております。

 TPPが将来FTAAPに発展する場合には、APECが本来法的拘束力のない開かれた枠組みであったものが、今回のTPPにより法的拘束力のある枠組みに移行できるのか、こういう問題が避けて通れない問題ではないか、こう思っておりまして、政府は、APECが法的拘束力のある枠組みに移行していくんだ、こういうふうに見ているのかどうか、確認をしたいと思います。

山口副大臣 先ほどAPECについて進化しているというお話もありました。これからTPPがどういうふうになるかということも含めて、必ずしも我々はまだ予断できないわけですけれども、APECについてどういうふうになるかということも今の段階では予断できないですけれども、必ず進化していくと思います。

 それから、TPPについて、必ずしも閉鎖的ではなくて、例えば私も中国大使ともよく意見交換をしているわけですけれども、極めて強い関心、興味を示しています。したがって、開かれた形でのAPECあるいはTPPというものをこれから我々は見ることになるんじゃないかと思っています。

西委員 今現在EUが直面している危機、これは皆さん御存じのように、今ギリシャ、イタリアなどさまざまな報道がなされておりますが、これは、経済規模や発展の度合いが異なるEU諸国が市場、さらには通貨までも統合する、こういうことの難しさを示しているのではないかと私は見ております。アジア地域では、経済規模や発展の度合いなど各国の多様性を認めつつ、貿易・投資の自由化を進めているというのが実態でして、私はそれがアジア経済の強みであるというふうに信じております。

 こうした観点から、アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄を可能にするためには、FTAAPに向けて、例えばASEANプラス3、日中韓に、インド、オーストラリア、ニュージーランド、これがいいのか、さもなくばTPPがいいのか、こういうことを考える、また、どのようなアプローチをもってFTAAPという頂点に至るのか、これをしっかりと検証すべきだ、こう思いますが、総理の御意見を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 先ほども御答弁を申し上げたとおり、FTAAPの構築に向けての道筋は、TPPとASEANプラス3、ASEANプラス6とあると思うんです。この中で、唯一、今実質的に交渉が始まっているのがこのTPPでございまして、そのほかについてはそれぞれが政府間で検討をしているという段階でございますので、今動いているものをどう対応するかということをまず考えることが必要だと思います。

 さっき申し上げたとおり、これは最終的には、すべてのAPECエコノミーに開かれておりますので、そのルールづくりにどうかかわるかということは、私は大事な要素ではないかというふうに思います。

西委員 私は、そこにこそ今我が国が判断すべきポイントがあるのではないか。TPPでいくのか、ASEANプラス3、6でいくのか、この選択を、どれもこれもいって、どこかがうまくいけばいいというようなそういう立場ではない、もっとやはり戦略的に考えるべきではないか、私はこういうことを申し上げたいと思います。

 今回交渉に参加しないと、今後は決まったルールを受け入れるか受け入れないかの二者択一しかなくなる、こういうふうに政府はよくおっしゃいます。今から交渉に入らないとだめだ、いわゆるバスに乗りおくれるな、こういう論を展開しているわけでございますが、その根拠は一体何なのかということを私は申し上げたいと思います。

 もしそうならば、今回、アメリカ初め五カ国が、四カ国のルールを受け入れるか受け入れないかの判断では、新たなルールづくりということを交渉しているわけで、P4ではもう決まっているわけです。新たな五カ国が入ればさらに新たな交渉が始まる、こういうことを彼らは言っているわけですが、この新たなルールづくりは今回だけで終わるんでしょうか。APECすべてが一つの舞台になるとするならば、次の参加国が入ってきたときに、また新たなルールづくりがあり得るのではないか、私はこう思っておりますが、今回で入らないと固まってしまうという、この根拠は一体何なんでしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 ハワイにおいて開催されるAPEC首脳会議までにTPP協定の大まかな輪郭を固めるとの目標に向けた議論が行われておりまして、同首脳会談の機会にその時点での交渉の進捗を確認し、今後のステップについて議論することになったというふうに承知をいたしております。このような状況の中で、一定の時期に結論を出していかなければ、これは完全にルールが決まってから入るか入らないかという二者択一の選択肢しかなくなってしまって、むしろハードルが高くなる可能性があるのではないか、そのように認識をしているわけでございます。

 また、TPP協定交渉につきましては、現行のP4協定がベースの一つになっておりますが、WTOの協定や各国の既存の二国間の協定などが参考とされて交渉が行われているものと承知をいたしております。また、貿易・投資等のルールづくりは、これは一般に、ある時点で固定されるものではなくて、貿易・投資等の案件の実態の変化を踏まえ、必要に応じ随時進められるものであるというふうに認識をいたしております。

西委員 今回、仮に日本が交渉に参加しなくても、今後、APEC諸国がすべてこの一つのルールづくりの中に入るとするならば、当然、カナダ、韓国を初めタイ、インドネシア、ASEAN諸国などとともに、我々も次の段階で入るという可能性がもしあるならば、さまざまな可能性は考えられるのではないか。

 ハワイで全部決まっちゃう、こういうことが本当に、APEC諸国のその後これに加入する人たちにとって、これで、十カ国で終わればいいですよ。それはもう十カ国で合意すればそれでいいんですけれども、次に二十一カ国まで、次の段階に至るときに、もうこれで固まっちゃったから後は入るか入らないかだよということでこの交渉が進んでいくものかどうか。これは私は非常に疑問でございます。そうしますと、今度は、残りの国々が入ってくる、そして新しい交渉が始まる、こういうのが当然のプロセスではないか、こう思っております。

 そういう意味では、残りの国々とともに新たな環境を整えて交渉に臨むということも重要な選択肢に入ってくるのではないか、私はこう思いますが、この点についてのお答えをいただきたい。

古川国務大臣 委員のようなお考えをされる方もいらっしゃるかと思うんですけれども、先ほども御答弁申し上げましたが、日本はとにかく、アジア太平洋自由貿易圏、貿易立国として生きていくんだ、アジア太平洋の成長を取り込んでいく、そういう大きなビジョンを主体的に日本がリードしていこう、そうした立場に立ってこのAPECでも交渉に臨んでいるわけでございます。そういう中では、やはりそういうルールづくりに早い段階からコミットした方が、当然それは、自分たちの意見を中心に、その中で実現する可能性も高くなるわけでございます。

 ここは、日本がリーダーシップをとっていくのか、あるいは後からついていくのか、まさにそのことの決意が問われるところではないか。やはり我が国としては、二十一世紀のアジア太平洋地域の自由貿易圏、その策定、構築に向けてリーダーシップをとっていく、そうした視点から、できるだけ早くこうしたさまざまな取り組みのルールメーキングには参加していくということが基本的な考え方であるということで御理解いただきたいと思います。

西委員 いきなり自由度の高い今回のTPPに日本が飛び込んでいってリーダーシップをとる、こういう先ほどのお話でしたけれども、アジア太平洋地域の本来の日本のリーダーシップをとるという考え方からするならば、さまざまな残った国々の意見を聞き、そして将来、本当にAPECとしてきちっとした交渉が、すべての合意が得られる方向性を見出しつつ、日本独自の戦略を講じるべきではないか。P4協定を基盤とした既に大変自由度の高いTPPにいきなり飛び込んでいって、そして残りの人たちがこの高みに来るのを待つという方向が、本当にアジア諸国の皆さんにとって日本の信頼していただける方向性なのかというのを真剣に問うべきではないか、我々が議論していくべきではないか、私はこう思っております。

 次の質問に行きます。

 交渉に参加しなかった場合は、一つは、いい面として、九カ国がどのような方向性で合意に至るのかということを見ることができる。新しい国が入って、本当にP4のままでいくのか、さまざまな余裕がまだ生まれてくるのか、これは見ることができると私は思うんですね。その段階で新たな材料を我々が手に入れて、これは明らかになるわけですから、これをもとに国内で議論を深め、そして周辺諸国とも十分協議をしながら、このときに、例えばTPPに入るなら入る、参加するかどうかを判断する、こういう選択肢もあり得るのではないか、私はこう思いますが、この点についていかがですか。

中井委員長 古川君、間違いなく答弁していますが、君の答弁を聞いていると、もう参加することを表明する、決定しているように聞こえますから、十分お気をつけて。

古川国務大臣 済みません。失礼いたしました、仮にということですので。

 選択肢として、そういう考え方もあるかもしれません。しかし、一般論として申し上げれば、やはり交渉に参加してこそ初めて得られる情報というものも、これは相当程度あるというふうに思いますし、また、先ほど申し上げましたが、ルールメーキングにはできるだけ早い段階から参加をした方が、それは自分たちにとって好ましい状況がつくれる。逆に、決まってしまってからですと、これはもうイエスかノーかという二者択一しかなくなるのではないか。そのような認識を持っているというところでございます。

西委員 次に、経済政策とTPPの関係について若干お伺いをしたいと思います。

 今、日本経済が直面している大きな課題というのは、これはもう御存じのように円高とデフレだと思います。TPPというのは円高とデフレにそれぞれどのような影響を及ぼすというふうに考えているのかということでございます。

 安い輸入品が入ってくれば、さらにデフレを悪化させる可能性がある、こういうふうに言われておりまして、私もそのことについては、これはそのとおりその側面があるな、こういうふうに考えているんですが、経済産業大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 実際にもし我が国が交渉に参加をして、最終的にどういう協定になるのかということで確定的なことを申し上げられませんが、例えば工業製品等の関税が引き下がるということについては、必ずしもデフレの要因になるとは言えないというふうに見ております。

 つまり、値段が下がるとすれば、それは税金が下がるという意味で下がるわけでありまして、価格そのもの、物品の価格そのものが下がるわけではありません。これは、むしろ可処分所得をふやすことになって、他の産品に対する消費がふえるという可能性もあります。

 それから、例えば輸入が顕著にふえれば、これは円安の要因になります。そして、円安になれば輸入品の円建て価格が上昇して、デフレ圧力は減殺をされるということになります。

 したがいまして、見かけ上、海外からたくさん物が入ってきてデフレになるのではないかというのは、値段が低いのは今も低いわけですから、もし関税が引き下がったら変わるのは税金部分ですから、むしろ、デフレや円高に対しては悪くない方向に向かうと思っています。

西委員 お互い仮定の話ですから、それは言いっ放しになると思うんですが、私は、必ずしもそういうふうには一概にはいかない、こう思っております。

 次に、先日の本会議での総理の答弁の中に、TPPに参加するメリットとして何回か御答弁されているんですが、一つは、産業空洞化の防止、これをおっしゃっておられます。それから二つ目に、アジア市場の自由化と日本企業の活動を拡大するであろう、こういうふうにおっしゃっておられます。三つ目は、アジアの成長を取り込む。こういうふうに大体三つぐらいの観点から、それぞれの答えは若干違うんですが、おっしゃられているように思います。

 投資の自由化が進めば、海外での投資環境が整備される、また、急激な円高に苦しむ日本企業から海外への投資が促進する、こういうことも考えられます。したがって、むしろ、投資を自由化することによって日本の産業が逆に外国に行きやすい環境ができる、つまり空洞化が進む、そういう懸念も一方ではあるのではないかというふうに私は思っておりまして、この点についての確認をしたいと思います。

枝野国務大臣 実は、私もかつては、投資をしやすくなれば空洞化が進むのではないかと心配をしておりました。

 しかし、実際に統計上も、中小企業の統計なんですけれども、日本から海外に投資をした企業の方が、投資から五年ぐらいたつと日本の国内における雇用も実はふえている、投資をしない企業の方はなだらかに落ち続けている、こういうデータも出ておりますし、実際に海外に投資をしている中小企業等のお話を伺っても、国内でしっかりとした技術基盤などを持ち、国内でしっかりとしたマネジメントをしながら、海外のそれぞれ有利な側面を使って、両方をうまく生かすことでないと、海外投資をしてもなかなかうまくいかないというのがやはり実態。

 そうした意味では、海外への投資の環境をよくしてしっかりと投資をすることで稼げる、企業の皆さんに稼いでいただき、そのことによって得たお金を国内で投資して、国内でないとできない技術開発であるとかマネジメントの部分をしっかりと雇用などをふやしていく、こういう循環をしていかないと、いずれにしても日本の企業の空洞化はとまっていかないというふうに思っておりまして、そうした意味では、投資環境を整えられることは、例えば空洞化対策という意味でも、むしろプラスに働くというふうに思っております。

西委員 今のこの超円高の状況なんかを考えると、将来さまざまな状況が生まれると思いますけれども、そういう可能性も、当然、投資しやすい環境で外に出ていく圧力も高まる、こういうことは言えると思います。

 日本の主要な輸出相手国十カ国、これを考えてみますと、今TPP交渉に参加しているのは、アメリカ、これは第二位、それから七位のシンガポール、九位のマレーシア、こういう諸国があります。これらの国々が輸出に占める割合というのは二〇%強です。

 一方、交渉に参加していないのは、一位の中国、それから三位の韓国、四位台湾、五位香港、六位タイ、これらがまだ交渉に参加しておりません。これらのシェアは、合計いたしますと四四%強という数字になります。

 TPP交渉に参加しているシンガポール、マレーシアとは既に経済連携協定を結んでおります。私のこの資料を見ていただいてもそうなっておりますが、さらにベトナム、ブルネイ、ペルー、チリ、これは全部経済連携協定を結んでおります。

 TPPによる市場の広がりや、アジアの成長を取り込む、こういうキャッチフレーズでございますが、新たに広がる可能性があるのはアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの三カ国であります。これはアジアの成長を取り込むということには全くならない、全くと言ったら失礼ですが、ならないのではないか。TPPでアジアの成長を取り込むというこのキャッチフレーズは、むしろアメリカの言い分ではないかというふうにまで思うんですが、この点についての分析はいかがですか。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、今の九カ国の中ではぬきんでて大きな存在はアメリカであって、その後にオーストラリア、ニュージーランドとあるわけでありますけれども、その中でも、マレーシアあるいはベトナム等々、これから成長が大いに期待をされているような国があります。そのこれからの伸びも考えていかなきゃいけないと思いますし、APECのエコノミーで、まだTPPに入ってはいないけれども、ただ、それぞれの立場で関心をそれぞれ持っていると思いまして……(発言する者あり)いや、入らないと明言をしている国はありません。

 ということも考えると、アジア全体の成長につながるということはやはりあるというふうに私は理解をしています。

西委員 いずれにしても、これはアジアというよりもアメリカの関心事が非常に大きい、こう言わざるを得ません。

 時間の関係で、あと十分ちょっとですので、農業のことについて二、三お伺いしたいと思います。

 TPP交渉では、例外なき関税撤廃、これが基本ルールであるということは当然のことでございます。これまで、経済連携協定では、国内産業保護のために一部の農産物や鉱工業品を例外品目としております。そこで、農産物にかかわる関税について完全撤廃をするのかどうかということをお伺いしたいと思います。

 また、政府は、いつ、どこでこの完全撤廃の原則を決め、そして今後TPPに参加しようとしているのか。まだ決定はしておりませんが、その可能性からすると高いということで、このことについてお伺いをしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、西先生おっしゃるとおりに、まだ具体的な考え方は示しておらない段階でございますので、いつの時点でというふうなことは申し上げることはできませんが、基本的には、TPP協定というものは、十年以内に完全撤廃をする、こういうようなことと承知をいたしておるわけでありますので、いわゆる除外品目等々のことも含めて、かなり限定されたものになるのではないかな、こういうふうに私は考えておるところでございます。

西委員 今農水大臣が、限定されたものになるのではないか、こういうお話をされましたが、私は、入り口としては、完全撤廃から入るという覚悟がなければ、これは対米関係の中でも、そういう例外を持ち込んで入りたいというのはなかなか難しいのではないか、こう思っております。

 もし政府が、先ほど話があったように、農産物の関税の完全撤廃はしないという立場を堅持するならば、交渉の結果完全撤廃という結論になった場合は、それが交渉から撤退するという判断基準になるのか、それとも、どこまでなら許容するのか、この辺のことについて明確な政府の方針はおありなんですか、お伺いしたいと思います。

古川国務大臣 先ほど鹿野大臣からもお答えがございましたように、TPP協定につきましては、十年以内に関税を撤廃することが原則となるというふうに考えておりますが、最終的に、即時撤廃がどの程度となるか、長期間の段階的な関税撤廃がどの程度になるか、関税撤廃の例外がどの程度認められるかについては、これは交渉国間でコンセンサスを得るには至っていないものでございまして、現在では明らかになっておりません。

 そうした段階では、今のお答えについて、これは今お答えする状況にはないということでございます。

西委員 私は、アメリカ並びに諸外国がどういうふうに言っているのかということを聞いているんじゃなくて、参加するに当たり日本政府の覚悟はいかがかと聞いているんです。このことをぜひともお答えいただきたい。(発言する者あり)

中井委員長 他党の方は静かに。

古川国務大臣 交渉に参加する場合には日本の国益を最大限追求していく、その立場で交渉する、そのことは一切変わりません。

西委員 それ以上は言えないんだと思うんですが、こういう状況で交渉に参加するということが明らかになったというふうに理解をしておきたいと思います。

 政府の説明や新聞報道では、原則、例外なき関税撤廃、こういうふうにしながらも、交渉では例外扱いをめぐって水面下では攻防戦が繰り返されているという報道もございます。

 既存のFTA締結を維持するというアメリカの主張、これもありますね。今までの二国間の締結の条件を維持する、もし仮にこういうことになったならば、日本は、アメリカとFTA協定は結んでいないために、農産物の関税についてはTPPのルールに従う以外に二国間ではありません。

 アメリカの主張ではなくて、一定程度の例外が認められた場合でも、著しい関税率の引き下げや品目の制限などが考えられますが、このことについて、どこが許容範囲なのか、農水大臣にお伺いをしたいと思います。

鹿野国務大臣 今、政府といたしまして、具体的な形でTPP交渉参加に対する考え方というものは示しておらない段階でありまして、そういう中できょう御議論をいただいておるわけでありますけれども、こういう状況の中におきましては、いわば除外の許容範囲というふうなものをここで論じるということには限界を感じるところでございます。

西委員 そういう答えしかないと思っております。仮定のことには答えられないと思いますが、事実、このことについて十分な政府内での議論もまだ成熟していないのではないかと私は思っておりまして、危惧を抱いているところです。

 次に、少し飛びますが、アメリカ議会の承認手続について、一言だけお伺いしておきます。

 このことについては、アメリカ行政府は交渉を開始する九十日前にアメリカ議会に通知する、こういうふうになっております。通知の前に事前協議を行うことから、実際には、APECで参加を表明して交渉に参加するまで、九十日以上かかるというふうに見られております。

 この国内手続は、外国政府の交渉権に実質的な制限を加えるものとなりますが、現実の政治の中では、協定を議会でスムーズに承認してもらうためにはこれが必要であるというアメリカ行政府の主張も、これはあながち否定するわけにはいきません。

 一方、国内においても、TPPに関して十分な議論も行われていないし、国民の理解も十分ではありません。最終的には批准の段階で国会の承認というプロセスを考えて、そうなりますと、今後しっかりした議論をしていくということが必要ではないかと私は思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、アメリカの方は九十日ルールというのがあります。日本の場合は、これは仮に交渉参加をすることになって交渉を妥結するならば、政府が署名をして、そして最終的には国会の承認を得るというのが全体のプロセスになります。

 そうなるかどうかは別として、いずれにしても、先ほど来、情報が十分提供されていないとか、まだ国民的な議論が熟していないといった御指摘もございました。そういうことも踏まえて、これから随時、情報提供、そして説明、あるいは議論ということは大いにやっていかなければいけないというふうに思います。

西委員 最近の新聞では、TPP議論に刺激されて、中国やアジア各国で停滞していたアジア地域の経済連携交渉が動き出す、そういう雰囲気も出てまいりました。そんな報道があります。

 最終目標であるFTAAPの実現に向けたさまざまな戦略が、先ほどから議論をさせていただきましたように考えられますが、このタイミングをいい機会ととらえて、国会でも、今までは外務委員会で条約批准とかいうことで来ましたけれども、さまざまな分野にわたるということがこの議論でもよくわかったと思うんです。外務、経産、農水、厚労、文科、環境、さまざまな分野で議論になっておりますが、こういう横断的な場で経済連携協定について議論をする場所を私は国会でつくったらどうか。例えば、特別委員会また調査会、さまざまな形が考えられると思うんですが、もう外務委員会だけで、たくさんの条約の中へ一括してぽんという時代は過ぎたのではないか、こう思っておりまして、このことについて提言をしたいと思います。

 本来、これはお立場じゃないかもしれませんが、せっかくですから、民主党の代表の総理の感想をできればお聞かせいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 国会審議のあり方を私が余り僣越に語るのもちょっとどうかと思いますけれども、議論を大いにしていくということは大事だと思います。そのやり方については、これはよく国会内で御議論いただければと思います。

中井委員長 西さん、前の国会対策委員長がおりますので、今のあれを現国対委員長に伝えさせますので。

安住国務大臣 お伝えしておきます。

西委員 短いながらも力強いお言葉でしたので、期待をしておきたいと思います。

 これこそやはり国会の大きな役割ではないか。私は今、TPPに関してというふうに限定して申し上げたつもりはありませんが、今後、いずれにしても大きな日本の将来を議論する場になっていくのではないか、このように思います。

 本日は、TPPの基本的な問題についてだけ質問をさせていただきました。二十一分野の中身についてはほとんど触れる時間がございませんでした。どうか十分な議論を尽くした上で結論を出すべきだ、こういうふうに思いますが、このことを総理に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて西君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 総理は、あすからのAPECで、TPP、環太平洋パートナーシップ協定参加の意思表明を、昨夜にも行うとされていましたけれども、それを延期されました。一日延ばしただけという話もありますが、民主党内にある多くの慎重意見、また、私たち国会や世論の声を考慮されてのことだと思います。ただ、それが、一日繰り延べしただけで結果が同じなら、やはり絶対賛成はできません。

 十月二十六日付の農業新聞で、南相馬市の桜井市長が次のように述べております。「震災前に約七万一千人いた市民のうち、一時は六万人近くが避難した。」「今は四万一千人を超えるまで戻っている。しかし依然として子どもとその親の世代が帰っていない。」と。きょうが三月十一日から八カ月目でありますので、改めてこの言葉の重みを考えなければなりません。

 その上で、TPPについて桜井市長は、「反対、賛成の議論の前に、TPPがどういうものなのか、関税がなくなるだけなのか、他にどんな影響があるのか分からない。農業以外の産業分野も含めた議論が必要だ。 市内の製造業は金属加工など下請けがほとんどで、TPPがプラスかマイナスか分からない。地方自治体としても影響について調査したいが、こうした情報がなく進められないのが現状だ。」と述べています。

 情報がない、わからない、それが国民の率直な声ではないでしょうか。総理は、日本の国会と国民に対する説明責任を果たしたと言えますか。一日延ばしただけで参加表明をするおつもりですか。

野田内閣総理大臣 基本的には、これまで党内の活発な御議論を踏まえたその御提言、そして国会でもこういう形できょう集中審議していただいていますし、そのほかの予算委員会の質疑でも御質問いただきました。そのほか各種団体からもいろいろ御意見をちょうだいしたり、私なりに、さまざまな有識者の声を聞いたり等々の努力をしてまいりました。

 それを踏まえて、きょうこの後でありますけれども、政府・与党の三役会議とか関係閣僚委員会等の議論を踏まえて結論を出していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 既に総理の胸の中には結論があるということですか。

野田内閣総理大臣 今言ったようなプロセスを経た中で判断をしていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 どうしても時間稼ぎだけのように受けとめられる。本当に国民の声に誠意を持って答えているとはとても思えない。改めて指摘をしなければならないと思います。

 TPP協定参加国は現在アメリカを含む九カ国ですけれども、既に本委員会でも繰り返し指摘をされてきたように、原則、すべての関税を撤廃し、非関税障壁、関税以外のさまざまな貿易のルールを統一するということで、農業だけではなく、医療、金融、食の安全、入札制度、労働、あらゆる分野に影響があるのではと指摘をされております。

 そのルールづくりについては、今月にも大まかな輪郭を固めることを目標としていたと聞いています。来年まで交渉が続くとはいえ、日本はまだ、米国議会の承認を得るまで、その交渉のテーブルに着くこともできません。そういう中で、どんな議論がされていくのか。

 通商問題を扱うアメリカ上院財政委員会のボーカス委員長ら与野党の有力議員団が八日にカーク米通商代表部代表に書簡を送付して、日本が市場開放に向けた強い意思があるか、厳格に検証するよう要請したといいます。同議員らは、自動車や牛肉を含む農産品、保険、医療など多くの分野で深刻な障害がある、つまりはこれらを開放せよと迫ったわけです。日本が交渉に参加したいなら、本気で全面的に市場開放せよと米国から迫られるのは明白です。

 総理に聞きたいのは、そこまでして得るものがあるのか、そもそも何のために参加をしたいのですか。

古川国務大臣 我が国は、アジア太平洋自由貿易圏、先ほど来から何度も出ておりますFTAAPの実現を目指しておりますが、このTPPというのは、その実現に向けた地域的取り組みの一つとして重要だというふうに認識をいたしております。

 TPPは、アジア太平洋地域における貿易・投資ルールを定めていく一つの取り組みというふうに考えております。そうしたルールづくりに日本が主体的に参加していくことの意義は大きいのであるというふうに考えております。

 また、具体的なメリットといたしまして、輸出規制に係る手続の透明性、明確性の確保や、模倣品、海賊版対策の強化、改善、技術開示に関するルールの整備等、また、投資、サービスに関するさまざまな規制の制限、禁止等が挙げられております。

 さらに、先ほど西委員の最後のところでもちょっと述べられておりましたが、こうしたTPPという高いレベルの経済連携に日本が主体的に取り組んでいくということを通じて、日本・EU、日中韓を初めとして、その他の経済連携を相乗的に促進することが期待されるという点も重要ではないかというふうに考えております。

 なお、内閣官房が広く国際機関によって活用されておりますモデルを使用して行った試算では、TPP協定に参加し、物品貿易について一〇〇%自由化した場合、日本の実質GDPが二・七兆円増加するとの結果が得られております。

 これは一つの試算でありますが、そのほかにもさまざまなメリットはあるというふうに考えております。

中井委員長 アメリカ議会のことについてだれか答弁する人はいますか。(高橋(千)委員「委員長、いいです」と呼ぶ)いいですか、随分長く言われたから。(高橋(千)委員「大丈夫です」と呼ぶ)はい。

高橋(千)委員 そうなんです。長く言われたんですけれども、具体的ではないんですね。

中井委員長 いやいや、あなたが長く言われたからと言ったんです。

高橋(千)委員 今言われた幾つかのメリット、例えば手続の透明性ですとか、メリットが全然ないとは言っていないんです。だけれども、この間議論してきたさまざまな問題を乗り越えるだけの、それでも乗り越えて参加したいだけのいいものがあるのかということ言ったわけなんです。

 例えば、今、二兆七千億円、十年間でGDPが上がるであろうというお話をされました。しかし、その二兆七千億円、これは、十年間で働く人の賃金が失われた額が二十七兆円ですよ。その十分の一を仮に取り戻したとして、それがどんな効果になるのか、もっと失うものが大きいじゃないかということを言いたいわけです。

 今度は総理に答えていただきたいですけれども、オバマ大統領は、TPP参加の意義を雇用対策だと明確に述べております。昨年一月の一般教書演説で、五年間に輸出を二倍にして、雇用を二百万人ふやすと約束をしております。

 パネルを見ていただきたいんですが、昨年の九月、TPPのための米国ビジネス連合は、TPPが成功するための必要な十五原則、これを提言しまして、その中で「TPPの「成功」とは」ということを言っているんですね。それを書いてみましたけれども、「米国の農業従事者、製造業者、サービス事業者のために市場を開放し、新たな顧客を獲得すること」「米国民のために米国の輸出と経済的機会を増大させ、米国民の雇用を支え、創出し、また貿易ルール執行手段を強化すること」。大変あからさまといいますか、わかりやすいといいますか、米国民のためにということがはっきりしているわけです。

 ですから、米国民のために雇用はふえる、では、日本にとっても同じくらい雇用はふえるよと言ってみなさいよということが言いたいわけです。国益などという抽象的な表現ではなく、TPP交渉によって日本の雇用はふえますか。総理に聞いています。

野田内閣総理大臣 この資料でいえば、例えば二つ目の白丸、これを日本に置きかえてもいいんですね、日本国民のために日本の輸出と経済的機会を増大させ、日本国民の雇用を支え、創出し、また貿易ルール執行手段を強化すること。

 それぞれの国が、そういう思いの中で、お互い納得できるルールをどうつくろうかというのが、このまさにTPPではないのかというふうに思います。

 その面で、雇用でのお尋ねでございましたけれども、先ほど古川大臣がお話しになったとおり、物品貿易について一〇〇%関税撤廃をした場合、結果として十年間でGDPが二・七兆増加ということです。

 雇用の増減については、分析、試算はできていません。ただ、一般論で言えば、これはまさに経済が成長すれば雇用はふえていくということは言えるというふうに思います。

高橋(千)委員 アメリカ国民のためにを日本国民のためにと置きかえればそうなるんだという今の議論はちょっと余りにも乱暴で、何の試算も、今、二兆七千億円の試算以外は、それも十年間でですから、それを示さずに乗り越えていくだけのものがあるんだとは、それは今の時点でとても言える話ではないと思うんです。

 さらに聞きますけれども、被災地からは、復旧復興が最優先なのになぜ今TPPかと怒りの声が上がっています。総理も、震災からの復興と原発事故からの再生が最優先の課題だと言ってきました。では、TPPは復興の後押しになりますか。

枝野国務大臣 復旧復興に向けては、まさに今、きのう御承認をいただきましたが、この補正予算を初めとして、全力を挙げて最大限のことをやっているところであります。

 この包括的経済連携については、もしTPPに交渉参加をして、日本にとっていい形で合意ができたとした場合には、中長期的にはやはり復興の後押しになると思っておりますし、そのことに対する期待値が復興の後押しになると思っています。

 つまり、もちろん農林水産業もしっかりと復興させなければいけませんし、それから被災地域の、例えば工業などを考えたときには、やはり今回のことで失われた工場等、あるいはそれによる雇用の場というのをしっかりと被災地につくっていかなければなりません。

 先ほども御答弁申し上げましたが、国内的に被災地を優遇することによって被災地に工場立地をしていただくという、この施策はできますが、そもそもが、日本企業を含めて、日本の国内に工場立地をしようというインセンティブがなければ、被災地の例えば雇用の場は中長期的に得られない、失われていくということになっていくわけであります。

 広い意味でのFTAAPに向けてアジアの成長を取り込むために、貿易や投資についてのルールをしっかりと整備していくという方向性の中に日本がリーダーシップを発揮していくということは、これは間違いなく中長期的な我が国に対する投資のインセンティブを高め、それは被災地に対する投資のインセンティブを高め、復興を後押しするものだと確信をしております。

高橋(千)委員 今、確信をしているとおっしゃいました。国内的に優遇することでとおっしゃいましたけれども、外国企業の進出の機会は、先ほどアメリカが、ビジネス連合が言っているように、ふえるかもしれません。しかし、本当にそれで、国内企業を育てる、そういうものになるのかということが今TPPでは問われているのではないか、このように思うんですね。

 例えば、世界百五十カ国以上が加盟している世界貿易機関、WTO協定では、政府調達協定によって、物品を購入したり公共事業の入札において外国企業の参入機会を開くように定めております。先ほどの議論でも、枝野大臣は日本は十分開いているという御答弁でありました。

 現在、公共事業でありますと二十三億円以上、これが、外国企業にも参入機会を持たせるために英訳をつけて入札公告してください、こういうふうになっているわけです。これがさらにTPPでは三分の一、七億円以上の事業というように引き下げられ、より多くの事業が対象となると言われています。また、測量や設計などの公共サービスの分野は現在二億三千万以上ですけれども、これが七百五十万以上、実に三十分の一にも緩和されるというのが、現在のP4、つまりTPPに先行した四カ国の協定によって予想されるわけであります。

 日本で事業を展開している米国の有力企業で構成される経済団体、米日経済協議会、USJBCは十月七日、「環太平洋経済連携協定(TPP)への日本参加の実現に向けて 「WTOプラス」の二十一世紀型自由貿易協定が求める条件」となる白書を発表していました。

 その中で、日本はWTOの「締約国であるにもかかわらず、日本の巨大な政府調達市場に外国企業が占める割合は非常に小さい。この傾向は、特に市場規模が千九百五十億ドルに上るにもかかわらず、米国の建設会社や建築会社および技術会社などが占める割合が一%に満たない」、こう指摘をして、さらに要件緩和をするように求めているではありませんか。

 五年、十年とかかるであろう復興の事業で地元業者が仕事を奪われる、逆に、地元企業優先で契約をしたいという条例を設けること自体が、自国と他国と平等にという国際貿易ルールからしては、下手すれば協定違反と言われかねない、そういうルールだと思うんですね。

 大手のゼネコンであれば、アジアにさらに建設の場を広げるチャンスかもしれませんが、中小企業が復興の主役にはなれない、雇用にも結びつかない、こういうことにならないでしょうか。

枝野国務大臣 直接的には国土交通大臣が主担当だと思いますが、通商全体について目配りをしなければならない立場であると思いますので、私からお答えをさせていただきます。

 先ほどお答え申しましたとおり、日米で、確かに、米国の立場からは、日本の公共事業等に参入できないということについて、さまざまな思いがおありなんだろうというふうに思いますが、日本は、例えば地方公共団体で、最低基準を設けながらも、開放している範囲がアメリカよりも広いわけですね。政令指定都市まで含まれているわけでありまして、アメリカは州ですらすべてをあけていないという状況の中にあります。もし例えば基準額を下げろというような交渉になれば、当然、ではアメリカはすべての州をあけていないじゃないか、政令指定都市などのような大都市をあけていないじゃないか、こういう交渉になっていきます。

 それから、例えば、そこに出ています、二十三億円が七億円に仮に下がるということが将来何かのことであった場合でありますが、平成二十二年度の調達実績について、都道府県の約半分について公開情報で入手可能な範囲で調べましたが、それは全体の工事件数の〇・一%程度であります。つまり、そこの〇・一%が新たに開いたとしても、そのことが、アメリカ企業がたくさん入ってくるという根拠になるような数字ではとてもありません。むしろ、そもそもが、こうしたいわゆる関税障壁等あるいは非関税障壁等の理由でアメリカ企業が入れていないということではない。それ以外の要因で入れてきていないということが今の実態としてあるということでございます。

 そうしたことの中で、交渉においては、先ほど申しましたとおり、日本の方がより公開度が高いということを前提に交渉がなされるものと思っております。

高橋(千)委員 公開度は高いけれども、要件が厳しいということが指摘をされているということです。

 そこで、通告をしてありますけれども、WTO政府調達協定が発効した九六年以降で、WTO協定違反の疑いがあるとして苦情の申し立てや是正のあった案件はどのくらいあるでしょうか。これは外務省だと思います。

山口副大臣 WTOの政府調達協定、GPAに関しては、一九九七年に、欧州委員会、ECですけれども、人工衛星の政府調達についてWTOの紛争処理手続に申し立てをされたケースが一件、この一件だけ存在します。

 実際、このケースは、ECが我が国に対してWTO紛争処理手続における協議要請を行ったけれども……

中井委員長 もうそれだけでいいじゃないですか、時間がないから。

山口副大臣 結局は、これはパネルの設置に至ることなく解決に至りました。

高橋(千)委員 今、一件ということでありますけれども、これは係争まで行ったところがそうだという数字なんですね。私が聞いたのは、その疑いですとか申し出ですとか、さまざまあるだろうということを聞きました。

 実は、私自身が九九年に青森で県会議員を始めたその最初の議会が、工事請負契約を、議案を県が出したのに撤回するという事件があったんです。二十四億円の総合防災情報システムでありました。これは、NECに設計も施工も全部発注をしたということで、WTO協定に触れるのではないかということで、要するに触れる前に議案を撤回して差し戻しをした、こういうことがあったわけです。

 私は、このときに、WTOというのはこうやって地方の公共事業にも外国企業に機会を与えよと口を出すんだなということを非常に痛切に思ったわけです。

 都道府県は、WTO協定に基づいて、苦情検討委員会の設置が義務づけられているわけです。今のように、事前に撤回したものはカウントされておりませんが、古いデータですけれども、財団法人地方自治研究機構の二〇〇一年の調査研究によりますと、九七年、九八年、各一件、九九年は八件、二〇〇〇年も三件以上あった、こういうデータがあるわけですね。こういう問題がふえないと言えるかということなんです。

 それから、地元企業優先については、二〇〇九年の二月に、景気が悪化したということで、各県が、例えば公用車を、マツダですとかトヨタですとか、自分の県に本社がある、そういうところから集中して買う、そういうことを、買い支えしようと県がやったわけですね。そういうことに対して、政府は、WTOに触れることを恐れて、遵守をしましょうということで通知を出している、そういう経過がございます。

 ですから、これから物品もこうして小さい枠になっていきますと、あらかじめ触れるおそれがあるということで萎縮をさせるということにもなりかねないわけですね。そういうことは当然考えていると思いますけれども、いかがですか。

枝野国務大臣 委員の御指摘でございますが、WTOという、国際的にもうほとんどの自由貿易の国が入っているところでのルールは、我が国としても、そこで合意していることについては従わなければならないということは当然であるというふうに思います。

 その上で、繰り返し申し上げますが、交渉に仮に参加をした場合、例えば公共事業についての公開の金額が下がるのはあたかも当然であるかのように、アメリカの主張を代弁されておられますが、私どもは、日本の国益に基づいて、そして実際に、例えば公開をしている範囲、地方自治体の範囲などは日本の方が大幅に広いわけでありますので、アメリカの一方的な主張に従うということにはならない。それから、アメリカ以外の交渉参加国との関係でも、一方的にアメリカの要求に我が国が応じなきゃならないような状況ではないということが大前提でございます。

高橋(千)委員 WTOのルールをさらに自由度が高いものにしようというのがTPPの原則ですから、今の御答弁は、今までの議論からしてもそぐわないのではないかと思っております。

 同じ白書で、こんなふうに言っているんです。「東日本大震災は大惨事をもたらした悲劇であると同時に、日本の国民そして国家に今後恩恵をもたらす経済変革を実行する機会をも創出しました。」つまりは、震災の惨事こそチャンスという考え方をうたっているわけですね。

 政府が七月に決定した復興の基本方針には、民間資金の活用という言葉がございます。これを全部否定しているわけではありませんよ。だけれども、この際だからということで、全部流されてしまった土地の活用、思い切って民間資金を導入しよう、そこに開発や規制緩和が一気にやってきて、気がついたら外国企業もどんどん入って、地元の業者が干されていく、これでは本当の意味では復興にならないと何回も言いたいわけです。

 改めて聞きます。何のためのTPP参加でしょうか。総理の言う国益は、国民の利益になるのでしょうか。

平野国務大臣 委員の御質問は、公共事業関係、政府調達関係ということで受け取らせて答弁させていただきますが……

中井委員長 いや、震災関係全部を聞いております。

平野国務大臣 はい、震災です。

 それで、TPP協定の内容、これが今協議中でありますから、これに対する具体的なコメントをすることはできませんが、一般論で申し上げますと、公共事業の実施に際しましては、質の高い事業の実施及び事業の速やかな実施の観点から、現地の状況を十分に把握していることが重要であるというふうに考えております。

 特に、これから復旧復興をやるに当たりましては、地域とのコミュニケーション、これは受注する業者すべてに共通することでございますけれども、そういったコミュニケーションも大事だというふうに考えております。

高橋(千)委員 総理にもう一言聞きたかったんですが、時間になりましたので。

 これまでも指摘をされてきたように、日本とアメリカがGDPの九割になるということは随分言われてきました。ただ、それ以外の国を見ますと、やはり輸出依存度が非常に高い。そういう中で、やはり貿易で国を伸ばしていこうとする国と内需が決め手である日本とは違うんだということで、さらに議論していきたかったということで、次にしたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず、総理はきょうの朝日新聞をごらんになったでしょうか。被災地での漁業の水揚げが六割減という報道でございました。石巻は九割減り、気仙沼はカツオなどで第一位であったものが六割、女川もサンマが三分の一に減り、大船渡、釜石、宮古、どこをとっても大変減少しておると。

 私は、せんだっての予算委員会で、東北地方の特に牛肉の問題、あるいは新米の季節なのに米の先行きが不透明である問題などを取り上げましたが、やはり被災地にとっても、もっと言えば我が国の経済全体にとっても、今、先行き不透明感というか、なかなか足元がしっかりしないという状態が広がっていると思います。

 そして、そんな中で、なぜTPPなんだ、そもそもなぜ今なんだということが一貫して説明されていないと思います。

 私は、先回、総理に、これからの日本の国の形を考えたときに、一つ一つの基礎自治体、先ほど高橋委員は南相馬の市長のお話を取り上げてくださいましたけれども、この震災を通じて私もいろいろなところの自治体の首長に会い、その首長、村長、町長はみんな、その地域を丸ごと抱えて、非常に御尽力のさなかであります。

 そして、せんだっても伺いましたが、その町村会が九百三十四集まって、きちんと説明してくれ、なぜ今なんだ、本当にそうなるのかという決議を上げた。これも総理に御紹介申し上げました。きょう総理のお手元にもあると思いますが、このTPP(環太平洋経済連携協定)に関する緊急決議というものでございます。そうしましたら、総理はこれに対して私もびっくりするような答弁をなさったんですけれども、これを見て、特にこの団体と私が接触したことはございませんとか、こういう各種団体、地方団体も含めて、御説明はしてきているということでございますと。きのうの答弁でありました。

 町村会は、総理の言葉で言うと、この団体あるいはこういう各種団体、地方団体と、ひっくるめて言われるべきものなのかどうか。地方自治法においては、各自治体は、政府や内閣に意見具申権を持っております。また、我が党と連立のころ、地方との協議の場をつくろうというので、地方と国との協議の場というものも設定いたしました。総理の地方自治体に対する認識、また、この協議の場で、公式な協議の場ですよ、この問題はお取り上げになったことはあるんでしょうか。

 きょう、ずっと総理の説明を聞いていたら、ホームページとか、あるいは意見は述べたということですが、大事なのは協議です。協議の場の設定を、御党も法律でつくり、その場を設定して、これからはやるとおっしゃっているさなか、地方自治体のこうした町村会、あるいは知事会もそうです、そもそもなぜその協議の場を設けないんでしょうか。総理にお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 国と地方の協議の場は、私の政権になってから一度行いまして、さまざまな御提起を地方のお立場からいただきました。そのときにTPPの話は、残念ながらそこでは話題にはなっていません。

 その中で、地方団体への説明の状況なんですけれども、例えば全国町村議会議長会へは十月二十八日、全国知事会十一月二日、全国都道府県議会議長会十一月二日、お尋ねの全国町村会は十一月四日、全国市議会議長会は十一月四日、全国市長会十一月四日と、それぞれ御説明はさせていただいております。

阿部委員 総理は正直ですから、説明しかしていないんですね。それも、審議官が行って説明ですよ。地方自治体をそこまで軽く見てはいけないですよ。もし総理が、今度こういうことなんだがと言ったら、自治体の首長が抱えている不安をもろに受けとめて、地方六団体と協議の場をわざわざ法律でつくっているのに、あなたがやったことは、審議官を出向かせて、説明四点セットというのを持っていっただけなんです。それもたった一回。これで本当にあなたは、この国のこれからの、自治体との協議や連携がいかほど必要かはおわかりだと思いますよ。

 もう一度聞きます。なぜ、きちんと協議の場をしないのですか。説明と協議は違います。総理に伺います。

中井委員長 古川君。(阿部委員「委員長、時間が少ないのですから、総理にしてください」と呼ぶ)古川君です。

古川国務大臣 従来から、今総理も御答弁しているように、確かに、そういう協議の場は設けてはいないかもしれませんが、しかし、いろいろな機会を通じて、地方の関係者からも御意見は伺って、こちらの側からも御説明はいたしております。

阿部委員 国と地方の場は、上意下達じゃないんです。説明じゃないんです。協議なんです。子ども手当にしろ、復興にしろ、このTPP問題にしろ、矢面に立って、住民の前で、住民の生活と自治体の運営をやっていくのは首長たちの役割であり、あるいは議会、自治体の大きな仕事になるわけです。

 きのうもNHKで、芽室町という北海道の小さな町の町長がお話をしておられました。TPPによって、例えば関連の企業の、農業関連がほとんどですから、あるいは漁業、林野などの関連業種がもし減った場合は、収入も四分の一、雇用も四分の一減るのではないかと懸念しておられるわけです。そのことにまともに向き合わないで、説明で済むと思うこの政権の形を私は問題にしています。

 そして、時間がないので次に行きます。次のパネルをお願いいたします。

 これは、今挙げたように、各自治体、村長さんも町長さんも、この前も申しました、あるいは離島も、第一次産業に頼る比率が高いわけです。これは農業の問題を取り上げておりますが、政府のお出しになる試算は、例えば内閣府の最後の試算でも、関税を全部撤廃していったら二・七兆円プラスが出るでしょう。あるいは、経産省はもっと、十兆円とかいう試算をしておられましたが、これは、どこの国とも、例えば日中韓もやらず、何もやらずやって、でも、そうしたら十兆円損失が出るよというような試算でありました。

 鹿野農水大臣に伺います。

 農水省の試算だけは、実は、関税にこだわらず、関税も重要です、米があります、しかし、農業の持つ多面的価値を試算に組み入れてあります。

 私は、このたびの国民に開かれていないのは、こうした、例えば、農村が農村として維持されるところには、地すべりが防がれたり地下水が涵養されたり、さまざまな機能を持っております。単に目先の関税の損得勘定だけじゃない、本当の社会への影響を知りたいと思います。

 農水大臣は、きょう関係閣僚会議があると言われますが、この場ではそうしたことも組み込んで御発言され、なお、さらに、今の政府の試算では単に関税の問題のみ、これも大事ですよ、でも、そこにしか目が向かなければ、関税以外の規制緩和の影響が見えないと思いますが、いかがですか。

鹿野国務大臣 世界のすべての国との関税撤廃というふうな場合には、農業の分野におきましては、農産品の生産額が四兆一千億減少、そういう中で、今、阿部先生が触れられました多面的機能、すなわち洪水防止をする機能とか、あるいは地下水の涵養の機能とかというふうなものは、三兆七千億ほどこれを喪失するというふうな試算があるわけでございます。そういうことは非常に大事なことだと思っております。

阿部委員 今お示ししていただいたように、事関税だけで話していくと、やはり私は、この国の将来を過つ。例えば、農村が農村としてそこにあること、これは規模拡大だけでは語れない問題です。

 そして、私ども、例えば、菜の花畑に入り日薄れという歌がありますよね。あの歌が私たちに与えてくれる農村風景とかそういうものは、私たちの体の中に組み込まれた一つの大きな心の安心とも結びついています。各分野、そういうことがあるはずです。雇用についてもそうです。

 私は、最後、医療を取り上げさせていただきます。最後のパネル、お願いいたします。

 医療問題は、実は、政府の答弁は徐々に徐々に変わってまいりました。

 一番よく皆さんが聞かれる、医療保険で混合診療、民間の医療保険会社が来てサービスをやるのではないか、これはアメリカのようにという懸念で聞かれますが、そのほかにも、医薬品や医療系のITなどなど、あるいは、これは郵政民営化とも関係しますが、今の簡易保険をどう扱うかなど、いろいろなことが指摘されました。でも、これは一般論で指摘したのではなくて、ここにお示ししたように、アメリカにある外国貿易障壁報告書という中で、日本の障壁として指摘されている部分であります。

 実は、きのうきょうの話じゃなくて、一九八五年、日米のMOSS協議というのが始まったときから、医療分野、サービス分野、あるいは関税分野、常に常に議題でありました。

 私は、こういう論議のときに、いや、それは取り扱われないとか、やはりこれから少し出てくるかもしれないみたいな、とてもあいまいな形で日本が構えたら、今総理が述べようとしているTPPへの交渉参加は、とてつもない、国を滅ぼす開国になると思っております。

 総理、伺いますが、実は、内閣で出された資料の中に、もともとこのTPPは、日米が主導する政治的意義が大きい、アジア太平洋の地域経済統合の枠組みを、こういう一文がありました。果たして、日米がアジア太平洋を主導することがアジアの諸国にとっていいかどうか。また、日米が主導するとは、すなわちこういうことの、これはずっともう三十年近くの要求でありますから、帰結するところとなると思いますが、ここで総理に最後の質問、伺います。

 自治体にも説明がない、御党内でのPTでも、慎重に考えよ、国民と論議せよ、情報公開せよとある中で、なぜ総理は、日米が主導する政治的意義が大と政権がまとめた、この日米が主導することの意味が大であるTPPに、あえてこの段階でハワイで参加表明しようとなさるのでしょうか。民主党の代表なら、民主党の意見を聞かれ、慎重に国民的論議を待たれたらいかがでしょうか。お願いします。

野田内閣総理大臣 TPPですと、GDPでいえば今一番大きい参加国はアメリカで、これは交渉参加するかどうかは別として、入れば日本は二番目になるわけですから、当然のことながら、その大きさも含めて、多分議論のイニシアチブをとっていくことにはなっていくだろうというふうに思います。

 そういう意味で日米主導と書いているのと同時に、そのことが、アジア太平洋地域の政治や経済、いろいろな面を考えたときに、当然、日米だけではなくて、中国や、あるいは韓国や、その他の国としっかりと議論をしながら、アジア太平洋の、少なくとも二〇二〇年のFTAAPの道筋をつくっていくという上では、これはそれぞれのエコノミーが合意をしながら進めることでございますので、いろいろな問題があるかもしれませんけれども、そういう大局に基づいて対応していくことが肝要ではないかと。

 このことによって、ここに出てくる混合診療とか公的保険がどうなるかという話は、この間も申し上げたとおり、公的保険を壊すようなことはあってはならないということは、当然そういう姿勢で臨んでいくということでありますが、そういういろいろな御懸念も、さまざまな分野から示されております。そういうことも踏まえて対応をしていきたいというふうに思います。

阿部委員 総理は、なぜ懸念が生まれるかの国民の現状を見ていないから、そういうことを言うんです。医療保険だって、今、国民健康保険も揺らいでいますよ、協会けんぽも、組合健保も。そうした国情があるから、こういうことに私どもは不安を持つわけです。農業の問題もそうです。これとこれは守るんだと言うんだったら、そのことをどう手当てしていくかを示してこそ、初めて政治の意味があるんです。

 国民の不安にこたえない政治は、思い込みと独断と、そしてこの国を過つ、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 日本に必要なのは、攻めの開国だと思います。したがって、みんなの党はTPP交渉参加に賛成であります。しかし、現政権は、ここまで意思決定をぐずぐずおくらせることによって、みずからに不利益な状況をつくり出しているではありませんか。

 TPP、何のために交渉に参加をし、何のためにパートナーシップを結ぶんですか。日本は再び成長国家となる、稼げる国にする、これが目的だろうと思います。しかし、現政権には、成長国家を目指した改革の絵姿がまるでないではありませんか。

 農業について伺います。

 自給率アップといいながら、減反でどんどん農地をつぶしている。減反政策というのは何ですか。要するに、農地をつぶせば補助金がもらえる、そういう政策でしょう。一方、目を外に向ければ、米を主食にしている人たちがアジアで三十億人もいる。なのに何で田んぼをつぶすんですかという話です。

 その上で、日本は七七八%という異常な高関税をかけて国内米価を維持している。国際市場よりはるかに高い米を消費者に買わせることによって米農家の収入を保障していると言ってもいいです。結果、日本の米は価格競争力が全くない状況であります。

 関税を撤廃して国内米価を下げる、そうすれば、日本の米は国際競争力を持ち、輸出できるようになる。そのかわり、減反による生産調整もやめて、どんどん米をつくって輸出してもらう。仮に生産費割れするような場合には、主業農家に限って所得補償を行う。これが正しい農業政策だと思います。要するに、TPPに参加をするということは減反を廃止するということなんですよ。

 そこで、お伺いします。

 野田総理、減反政策は廃止をする、こういうことでよろしいか、お伺いします。

鹿野国務大臣 この生産調整の政策というのは、まさしく需要に見合った生産を図るというふうな観点から転作を推進してきたわけでございます。

 それで今、戸別所得補償の制度を導入しているわけでありますけれども、これは農家の人たちの主体的な経営判断によって需給調整というふうなことに参加を誘導する、こういうふうなことでございます。強制感を伴わないということでありまして、そういう中で水田というふうなものを、きちっと生産をしていただく。それにかわって今度は、転作の場合は麦とか大豆とかというふうな生産にもきちっと取り組んでいただく。

 すなわち、このような取り組みによって米の需給の安定を図り、そして麦なり大豆などの生産を振興していくというふうなことでございます。

柿澤委員 これは総理に御質問をさせていただいている、通告をさせていただいたものですので、御答弁をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 もう農水大臣の御答弁以上のつけ加えることはありませんけれども、今は以前の強制感を伴う進め方から転換をしたやり方をしているというふうに承知をしています。

柿澤委員 次に伺います。

 農業を成長産業にしていくには、新規参入や競争を阻む既得権益と闘う覚悟を持たなければならないと思います。その最たるものが、私は農協だと思います。

 農協は、カルテル禁止の独占禁止法の適用除外を受けていて、金融事業を含め、農業、農村における広範な事業を事実上独占的に行っている存在だというふうに私は思います。

 この農協の独禁法除外の規定、これを見直す予定はあるか。民主党内でも検討が行われていたと思いますので、このことについてお伺いをいたしたいと思います。

鹿野国務大臣 独禁法なりの適用除外というふうなものについては、日米の経済調和対話におきましても具体的な見直しというふうなものは求められたことがない、こういうふうなことを承知しておるところでございます。

柿澤委員 アメリカから求められていない、TPPの交渉の中に入っていないということで、それをやらない、本当にそれでいいんですか。

 TPPの問題があろうとなかろうと、農政の中で、農業を本当に競争と新規参入を促して稼げる成長産業にしていく、これがなければ、結局日本の農業はだめになっていってしまうということではないんでしょうか。このまま非効率の補助金漬けの農業をやっていても、担い手がいなくなり、どっちみち日本の農業は壊滅をしてしまいます。どうやったら若い人が農業に新規参入をするか、考えなければならないと思います。

 仮に新しい意欲的な農業の担い手がいたとして、新たに例えば農協をつくろうということをすると、既存の農協に、業務に影響を与えてはいけない、こういう決まりがある。そして、県の農協中央会の承認を得ないといけない。競合ライバルがオーケーを出さない限り農協をつくれない。信じがたい参入障壁がある。

 新規農協設立に当たっての中央会協議を義務づける農協法の条項の削除、これは平成二十二年度中に実施をするという行政刷新会議の報告を閣議決定しているはずであります。この農協法の改正案は二十二年度中に提出されませんでした。閣議決定を農水省は無視する、こういうことでいいんでしょうか。中央会協議の農協法の改正をやるのかやらないのか、お答えください。

鹿野国務大臣 先に、先ほどのいわゆる農協の独禁法除外の件でありますけれども、昨年度、公正取引委員会が農協の適用除外制度に係る取引実態の把握と検証を行った結果、適用除外制度を直ちに廃止する必要はないという結論に至ったということも申し上げさせていただきたいと思います。

 今議員が触れた問題でございますけれども、これは確かに廃止する方針を二十二年度中に決定した、このとおりでございます。法律改正の時期については、適切なタイミングを見ながら提出をしていきたい、こう考えているところでございます。

 なお、農協の新規設立について、中央会から意見が提出された場合であっても、あくまでも最終的な判断は都道府県が下すことに留意するというふうな旨を監督指針に規定いたしまして、都道府県に周知いたしているところでございます。

柿澤委員 現実に新規農協の設立は一件もないわけです。法案を提出するのかと申し上げたところ、適切なタイミングを見てやりますと。今すぐにはやらないということですか。これでは農業改革への覚悟がまるで感じられないではありませんか。

 TPPの日本農業への影響について、農水省は、四・一兆円の農業生産の減少、自給率は一四%に下落、GDPは七・九兆円減少、こういう試算を発表しております。しかし、試算の前提を見ると、輸入品と競合する農産品については、関税撤廃によってすべて輸入品と入れかわり、国産品の生産はゼロになるとか、米については、一部のブランド米を除く国内生産の九〇%が外国産米に置きかわる、しかも、TPPとは関係ない中国の、今より安かった時代の米価、五十七円・パー・キログラム、これを外国産価格の前提にしている。およそ常識外れの試算になってしまっているのではないでしょうか。

 総理はこの常識では考えられない農水省の試算を信じておられますか、お伺いしたいと思います。総理に伺っております。

野田内閣総理大臣 およそこの影響試算、これは農水省も、また経産省もやりましたけれども、これは一定の仮定や前提のもとで行われるものであって、またその数字が、ある程度の幅を持って考える必要があるというふうに思っております。前提が、いろいろ考え方が違うということです。そのことによってどういう影響があるかを一つの判断材料にしていただこうという各省の取り組みだったというふうに思います。

柿澤委員 結局、各省がばらばらな試算をして、それぞれ参考にすればいいということであるとすると、どういう影響があらわれるのかということに関する政府の試算というのは、いわばあやふやなものだということになってしまうのでしょうか。こういうことで判断を迫られる国民の方も、判断できないということになってしまうのは当然だというふうに思います。

 次に、医療についてお伺いをいたしたいと思います。

 国内未承認の抗がん剤を使用すると、混合診療、保険適用外になり、全額自己負担になってしまう、だから、顕著な効果の見込める抗がん剤を泣く泣くあきらめて、そのまま亡くなっていく患者が多くいらっしゃいます。その一方で、産科や歯科では今でも普通に混合診療が認められております。私は、その差は何かというと、それを医師会が認めているかいないかの違いでしかないのではないかというふうに思います。

 こういう点についてTPP交渉で指摘があるかどうかはわかりませんが、しかし私は、医療に関しても成長戦略に位置づけて成長を牽引する産業だということであるとするならば、こうした点についてやはり一定の見直しが行われていくべきだと思っております。

 このことと国民皆保険を守るということについて何かイコールのことだというふうに思われている面がありますけれども、国民皆保険を守るということと混合診療の解禁に反対をするというのは、これは同じことなんでしょうか、お伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 国民皆保険制度は、御承知のように、すべての国民が平等に一定の負担割合で有効な治療を安全に受けられる、これは守らなければいけない制度だと思っています。

 混合診療をもし全面的に解禁するとすると、これは国民が安心して今申し上げたような医療を受けられない可能性がある。TPPで混合診療が今具体的な検討課題にはなっていないと承知していますが、そうしたことから、現状では、やはり国民皆保険制度は必ず守らなきゃいけないというふうに考えています。

柿澤委員 そもそも日本の医療が経済成長を牽引できるものなのか、お伺いをしたいと思います。

 医療機器、医薬品は、二兆円の輸入超過だと言われている。鎖国政策で、三十年、世界からおくれていると言われていますよ。先ほどのようなドラッグラグの問題、最近でも、海外では普通に使われて副作用の少ない不活化ポリオワクチンを神奈川県知事が扱おうとしたら、小宮山厚労大臣から待ったがかかる。国内承認がない、だからだめと。それで、健康被害も報告をされている生ワクチンを使っている。要するに、これは国内メーカーがワクチンをつくれるようになるまで待ってくれということなんじゃないですか。それで困るのは子供たちではありませんか。

 こんな医療鎖国ともいうような実態を放置して、何がTPPだというふうに言いたいと思うんですけれども、これについて御答弁いただけますでしょうか。

小宮山国務大臣 二つのことがあるので、ドラッグラグ、デバイスラグを解消することと不活化ポリオワクチンのこととちょっと分けてお答えをしたいと思います。

 不活化ポリオワクチンは、とにかく早期に導入すべく、政府としてもやっています。そして、来年の春には開発をしているところから申請書が出てくるので、これは一刻も早くきちんと承認をして使えるようにしたい。ただ、今緊急輸入などでやると、これは賠償の制度もないものですから、これも全く危険性がないわけではないので、政府としては、それを待っていただいて、その間は生ワクチンをと申し上げています。

 ただ、ドラッグラグ、デバイスラグをなくしていくということは、これは成長戦略の中に医療イノベーションも入れていますので、しっかり取り組まなければいけない。そういう意味では、わかりやすい審査のガイドラインを出したり、PMDAの審査をする人を増員したり、今、そこはなくすべく極力取り組んでいるところです。

柿澤委員 最後に、郵政について伺います。

 私は、TPPをめぐる交渉で、ほぼ間違いなく郵政三事業の逆戻しが問題とされると思います、何しろ預金量百七十五兆円の日本最大の官業金融グループですから。現政権の郵政三法案は、ゆうちょ銀行が郵便事業会社の基幹銀行になる、預入限度額も引き上げられる。政府が株を保有する状態での競争は、民間金融機関とのイコールフッティングに反する、世界の資本主義の金融ルールにもとると言われてきました。現に、USTRの貿易障壁報告書二〇一一年の重点指摘事項になっているわけです。

 この点からいうと、郵政逆戻し三法案の早期成立を望む野田総理のスタンスは、TPP交渉参加が国益とするスタンスと全く矛盾していると思いますが、御答弁をお願いいたします。

中井委員長 野田佳彦内閣総理大臣。質問時間が経過しかかっておりますので、短くお答えください。

野田内閣総理大臣 現時点で、郵政事業を含めた個別の二国間懸案事項をあらかじめ解決しておくことを交渉参加の前提条件と示している国はございません。

 今後、我が国の交渉参加の可能性について協議を進める場合、仮に、例えばアメリカが郵政改革法案について問題提起をした場合には、我が国としては、これは従来からの我が国の考えを引き続き表明し、その国の理解を求めていくということに尽きると思います。

中井委員長 柿澤君、最後に。

柿澤委員 まるで覚悟も定見も見られないというふうに思います。既得権益に踏み込む覚悟もない、試算もあやふや、でもTPPには早く参加をしなきゃということでは、これは国民の理解も深まらないと思います。そして、いたずらに時間だけが経過をして、自由貿易のルールメーキングに日本がかかわれる余地はどんどん狭くなっていく。現政権の覚悟のなさが国益を損なっている、このことを指摘して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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