衆議院

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第4号 平成24年2月2日(木曜日)

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平成二十四年二月二日(木曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      井戸まさえ君    石関 貴史君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    大西 健介君

      大山 昌宏君    逢坂 誠二君

      岡田 康裕君    加藤  学君

      金森  正君    川口  博君

      川村秀三郎君   菊池長右ェ門君

      岸本 周平君    熊谷 貞俊君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      瑞慶覧長敏君    高井 崇志君

      玉城デニー君    中野 寛成君

      中屋 大介君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      古本伸一郎君    馬淵 澄夫君

      三村 和也君    村越 祐民君

      室井 秀子君    森山 浩行君

      山尾志桜里君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      山本 剛正君    吉川 政重君

      吉田 統彦君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      金子 一義君    金田 勝年君

      佐田玄一郎君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    遠山 清彦君

      東  順治君    赤嶺 政賢君

      笠井  亮君    宮本 岳志君

      内山  晃君    中後  淳君

      阿部 知子君    照屋 寛徳君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      山内 康一君    中島 正純君

      浅野 貴博君   松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   文部科学副大臣      森 ゆうこ君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     磯谷香代子君

  大西 健介君     大山 昌宏君

  逢坂 誠二君     森山 浩行君

  金森  正君     稲富 修二君

  岸本 周平君     高井 崇志君

  古本伸一郎君     山尾志桜里君

  馬淵 澄夫君     山本 剛正君

  横山 北斗君     菊池長右ェ門君

  小里 泰弘君     小野寺五典君

  東  順治君     遠山 清彦君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  内山  晃君     中後  淳君

  阿部 知子君     中島 隆利君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  松木けんこう君    浅野 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     打越あかし君

  稲富 修二君     金森  正君

  大山 昌宏君     大西 健介君

  菊池長右ェ門君    川口  博君

  高井 崇志君     岸本 周平君

  森山 浩行君     吉川 政重君

  山尾志桜里君     玉城デニー君

  山本 剛正君     馬淵 澄夫君

  小野寺五典君     小里 泰弘君

  遠山 清彦君     東  順治君

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

  中後  淳君     内山  晃君

  中島 隆利君     照屋 寛徳君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  浅野 貴博君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     川村秀三郎君

  玉城デニー君     古本伸一郎君

  吉川 政重君     熊谷 貞俊君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     加藤  学君

  熊谷 貞俊君     三村 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     瑞慶覧長敏君

  三村 和也君     中屋 大介君

同日

 辞任         補欠選任

  瑞慶覧長敏君     井戸まさえ君

  中屋 大介君     岡田 康裕君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     吉田 統彦君

  岡田 康裕君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 統彦君     横山 北斗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)の両案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長布村幸彦君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、気象庁長官羽鳥光彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江端貴子君。

江端委員 おはようございます。民主党の江端貴子でございます。

 本日は、予算委員会の一般質疑にて貴重な質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 さて、きょうも東京は大変冷え込んでおりますけれども、今、多くの県が豪雪に見舞われ、亡くなられた方も出ていると聞いております。こういった中で、今、政府としてどういった対策を行われるのか、このことについて、ちょっと通告にはございませんでしたが、財務大臣にお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 ことしの雪は、過去の三八豪雪と言われた昭和三十八年の豪雪、さらに一八豪雪と言われた平成十八年の豪雪に匹敵するような、現在進行形で雪が降っております。特に、豪雪地域は過疎地でございますので、本当に御自宅に積もった雪の雪かきをなさっているような映像を毎日のように私も拝見をしております。

 ちなみに、私の妻の実家も秋田でございまして、毎日、父親が一人で除雪をしておるんでございますが、本当に朝から、四時ぐらいから起きてやっていると聞いておりますので、そうした点では、国としても地方としても、例えば国道等の国の直轄地においては責任を持ってやりますし、また、地方自治体の中では、青森市なんかがそうだったと聞いておりますけれども、それぞれの自宅にある、ひとり暮らしの方々に対する除雪等を地方自治体で単独でやっておられるということですから、積雪に関する財政出動というのは、以前よりはふえていると思いますので、必要であれば、予備費等を使いながら積極的にこの豪雪対策をやっていきたいというふうに思っております。

江端委員 御答弁どうもありがとうございます。

 党の方にも対策本部を立てられると聞いております。そういった中で、豪雪地帯の方々が本当にこの厳しい冬をしっかりと何とか過ごせることができるように、政府としてしっかりと後押しをしていただきたいと思います。

 それでは、予算の方の質問に入らせていただきます。

 きょうは、せっかくの機会ですので、予算の中身の話の前に、予算の仕組み全体についても話をさせていただきたいと思います。

 私は、二〇〇九年の前回の総選挙で、数多くの一期生、同志とともに、政権交代を担って当選をさせていただきました。

 この政権交代の原動力は何だったんでしょうか。もちろん、マニフェストの中の子ども手当あるいは高等学校の授業料の無償化、こういった一つ一つの政策に共感を覚えて御支援をしてくださった方も数多くいらっしゃるかと思います。

 しかし、やはり一番大きかった期待は、税金の無駄遣いをなくし、国民の生活が第一の視点から、政治主導で予算の優先順位を決めてほしい、そういったことだったんではないでしょうか。汗をかいた人が報われず、既得権益に結びついた一部の人が報われることをなくす。一部の人が見えないところで予算や税金の使い方を決めるのではなくて、予算の組み立てを透明化する。これが、政権交代に国民の皆さんが託した改革の姿だったと思います。

 私たち、コンクリートから人へというこのスローガンのもと、平成二十二年度の予算では、前年度に比べて公共事業費を一八・三%減らし、そして社会保障費を九・八%増加させました。さらには、それまで少子化だからということでずっと削り取られていた教育費、これに対しても八・一%の増加をさせていったわけでございます。

 予算の組み立てを透明化にしていく、このことは私たちは必ずやり遂げなくてはなりませんし、また、そのことを今実行しつつあることをしっかりと国民の皆さんに伝えていかなくてはいけないと思います。

 この予算の組み替えを行うためには、税金の無駄遣いを徹底的になくしていかなくてはなりません。

 今、例えとして、国を体とし、税金の無駄を肉の中の脂としますと、ロースの脂のように、ここにこれだけ塊が残っているという、そういった無駄は余りありません。これは、政権交代前からも無駄の削減ということに関しては取り組まれてきておられたからだと思います。

 しかし、まだ体のあちこちに霜降り状になって脂肪があります。まずはこの霜降り状になった脂を丁寧に剥がしていく、このことが必要だと思います。そして、私はこれこそが事業仕分けだと思っております。一遍に多くの脂は取れませんが、こつこつと継続して脂身を剥がしていく、このことが大事なんだと思います。

 事業仕分けは一昨年までに三回行われ、そして昨年は、提言型政策仕分けとして、無駄や非効率の根絶にとどまらず、政策的、制度的な問題にまで掘り下げて議論を行い、国民の皆さんにわかりやすい形で提言をすると整理をしております。

 この事業仕分けについては、本年に入って新しい方向性が示されています。これからの事業仕分けについてどのように行っていくのか、行政刷新担当大臣にお伺いいたします。

岡田国務大臣 お答えします。

 まず、今委員御指摘のように、基本的な民主党政権の考え方、例えば、公共事業費を大幅に削った、そして三十五人学級とかあるいは高校授業料無償化という形で教育費をふやした、ここは、従来の政権と違う基本的な考え方に基づく予算の再配分、組み替えということでございます。

 そのことに加えて、さまざまな無駄を排除していかなければいけない。しかし、委員も御指摘のように、誰が見ても無駄だというものももちろんありますが、同時に、今の委員の御指摘を引用させていただけば霜降り状態というか、多くの人にとっては無駄かもしれないが一部の人にとっては必要だとか、そういうきちんと議論を要するようなものもたくさんあることも事実。そのためには丁寧にやっていく必要があるということだと思います。

 政権交代以来、事業仕分けは三回実施をいたしまして、予算、特別会計、独立行政法人、公益法人などについての見直しを推進してきたところでございます。昨年十一月には、政策、制度的な問題にまで掘り下げた大きな議論を行う提言型の政策仕分けを実施いたしました。提言型政策仕分けの提言におきましては、既存の制度の見直しや新しい制度の提言など中長期的に対応する課題があり、各府省による取り組み状況を適切にフォローアップして、改革を強力に推進していきたいと考えております。

 この仕分けで重要なことは、もちろん新しくどんどん仕分けを進めていくということも大事ですが、仕分けをしただけではなくて、粘り強くその後フォローアップして、そして確実に実現していくということが重要ではないかというふうに思います。

 仕分けの結果、もちろん、予算措置などで仕分け結果が必ずしも生かされない場合も出てまいります。そのときには、政府としての説明責任というのがあるというふうに考えます。なぜ仕分けの結果と違う予算配分になったかということについてきちんと説明していくということも重要だし、あるいは、引き続きしっかりと仕分けの結果を実現させるためにフォローアップしていくということも重要だと思います。

 加えて、各府省がみずから無駄削減や効率化に取り組むという行政事業レビューも引き続きしっかりと実施していきたいというふうに考えています。つまり、外から言われてやるのではなくて、みずからの問題としてしっかりと見直しをしていただく、それを各省庁、府省にお願いするということでございます。

 そういったやり方を通じて、あらゆる行政分野での無駄排除に取り組んでいきたいというふうに考えています。

江端委員 御答弁ありがとうございました。

 事業仕分けについては、その手法、あるいは国民の皆さんの前で行ったという情報公開性において、非常に大きな評価を得ました。ただ、残念ながら、その結果が覆されるというようなことも起き、先ほど岡田大臣の方からは、政府の説明責任をしっかりと果たしたいということがございました。

 やはり私も、事業仕分けを行った後のフォローアップということが大変大事だと思いますし、今お話にありましたように、行政事業レビューを確実に実施していただくことによってこの事業仕分けをより実り多き制度に深化させていただきたい、そのように思います。

 そしてまた次に、税金の無駄というふうになるのが、肉で言うところの内臓脂肪です。これは、外からはそこに脂肪があるというふうには見えないんですけれども、見えないところにたまってしまっているという脂肪。これは、特別会計などに隠れているものと思われます。例えば、天下りを受け入れて、その人たちのためにわざわざ仕事をつくり、また予算をつけていく、こういったことを取り除いていかなければ、体がいずれは倒れてしまいます。

 先日、一月二十日の閣議決定で、独立行政法人を百二から六十五と約四割削減、また一月二十四日の閣議決定で、特別会計の費目を十七から十一に削減するということが決まりましたが、これは具体的に何をしていくのか、またこれ以降も改革を続けていくのかということに対しまして、行政改革担当大臣にその決意も含めてお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 まず、独法につきましては、先般閣議決定をしたところですけれども、その中身は、一つは、独立行政法人の政策実施機能を強化する、独立行政法人の役割をしっかり果たすべきことは果たしてもらうということが重要になります。同時に、ガバナンスを強化するということであります。そういったことを行った上で、大胆な統廃合、機能の最適化を行う、そういう趣旨で今回の改革を実施いたしました。

 数は四割弱減ったわけでありますが、もちろん数も大事なんですが、中身がより重要で、制度、組織の抜本的な見直しを行ったところであります。この改革によって、特にガバナンスを強化したことなどによりまして、一層効率的な運営を期待しているものであります。

 いろいろな無駄が発生していた従来のやり方を改めることで、今後の無駄の発生を未然に防止する、あるいは、統合したことによって間接経費を節減する。そういった効果を出していけるかどうかはまさしくこれからでありまして、閣議決定してこれから法律を出すわけですが、それで物事は終わりではなくて、そこから実際の改革が始まる、そういうふうに考えております。

江端委員 御答弁どうもありがとうございました。

 今、この行政改革を実行する仕組みをさらにつくるために、一昨日ですか、行政改革実行本部の設置も閣議決定されたとお聞きしております。これは今後どのように進めていくのか、引き続き行政改革担当大臣にお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 御指摘のように、一月三十一日の閣議決定で、総理を本部長、私が本部長代行、全閣僚から成る行政改革実行本部を閣議決定によって設置し、第一回の本部会合を開催したところでございます。

 その趣旨は、行政改革を実際実行していく上で、各府省それぞれいろいろな御意見があるわけですが、閣僚がそれぞれ真剣になって、各省庁をリードして行革を実行していただく、その行革の実効性をより高めるための組織でございます。

 第一回の本部会合で私から申し上げたことが幾つかございます。まず、総人件費改革の推進、効率的で無駄のない政府の実現といった観点から、公務員の計画的な削減、人事給与制度改革の推進、政府系情報システムの刷新、集約を初めとする諸改革について、総合的に議論し、速やかに実行していく。これら以外についても、速やかに実行できる事柄については早急に検討を進めていくこと。各閣僚において、政府全体として取り組むべき行政改革課題の検討をお願いしたところでもございます。

 行政改革は、社会保障と税一体改革とあわせて、車の両輪として強力に進めていかなければならない重要課題でございます。この本部を中心に、省庁の垣根を越えた総合的な見地から議論を行って、政府一体となって強力に行政改革を進めていきたいというふうに考えております。

 なお、党の方でも立法をいろいろお考えいただいているというふうに承知をしております。この立法についても、ぜひ、そういった行革を後押しするためのいい法律ができることを期待するとともに、党、政府、一丸となって行革に取り組んでいきたいというふうに考えております。

江端委員 大変力強い御答弁ありがとうございます。

 党の方でも、行政改革調査会の方で、行政構造改革法案なるものの議論を始めるということで、今そういったことの準備も進められているというふうに聞いております。

 この本部をつくることによって、屋上屋を重ねるということではなくて、真の意味のリーダーシップを発揮していただきまして、総人件費の削減というのはやはり大きな一つのテーマであるというふうに思いますので、ぜひともやっていただきたいと思います。

 これまで閣議決定された一連の行政改革の話は、お手元の資料一にまとめさせていただきました。これらの体制を整えることによって、独立行政法人や特別会計への切り込み、さらには総人件費の削減、こういったことにさらに加速をしていただきたいというふうに考えます。

 岡田大臣、ここで、もしあれでしたら御退席していただいて結構でございます。

 さて、ここまで霜降りの脂と内臓脂肪というふうに言ってまいりましたけれども、こうした脂や無駄をなくしていく、それをやりながらも、やはり一番大事なことは、脂をため込む体をつくらないということです。まず、血液がさらさらと流れれば、脳卒中で突然倒れてしまうということもない。これを行うためには、やはり予算、決算そして歳入歳出の透明化を図っていかなくてはいけないと思います。

 この点についても、民主党として幾つか仕掛けていることがございます。平成二十二年三月に租税特別措置の透明化法案が可決されまして、これは全会一致で可決をされておりますけれども、一昨年の四月より施行をされております。この法律はどういった法律なのか、財務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

安住国務大臣 御存じのように、法人について、法人税関係について、それぞれの事情に応じて、戦後長く、それぞれ租税特別措置ということで減免措置等を行ってきたわけでございますが、それが具体的にどの業界に対してどういうふうに行われているのかというのが見えにくいということで、二十二年にこの特別法を、今、江端さんからあったものをつくったわけでございます。

 これにつきましては、法人に法人税関係の租税特別措置の適用額明細書の提出を求めるということになっておりますので、これから、財務省におきましてその集計を行っておりますので、その結果について、適用実態の調査を行って、二十五年一月以降の通常国会に提出をさせていただくように、今現在準備を進めております。

 なお、これは党税調の指摘などを受けて、租税特別措置については二十二年から四年間で抜本的に見直しを行うということでやっておりまして、私も税調会長としてやってきたんですが、例えば二十二年度には、見直し対象は八十二で、そのうち廃止が十二、縮減が二十九、二十三年度の改正では、見直し対象百九に対して廃止が八、縮減が四十二、二十四年度改正では、八十九の見直し対象について廃止が八、縮減が十五ということで、成果は十分上がっていると思いますので、今後も透明化というものをしっかりやって、租税特別措置が適正に行われるような努力というものをしていかなければならないというふうに思っております。

江端委員 ありがとうございました。

 この法律の施行によって、今大臣から御答弁がありましたように、どのような企業あるいは団体が、どの租税特別措置を使って、どのくらいの額の適用を行っているのか、このことがわかるようになるわけでございます。

 そして、こうした適用が定量的にわかるようになれば、この次にどういう政策をとればいいのかということが具体的に立案ができるということで、お手元の資料の二にお示ししますように、また今、安住大臣から御答弁がありましたように、昨年の四月一日以降に終了する事業年度あるいは連結の事業年度から、法人税の関係特別措置を適用する場合に適用額明細書を添付することが義務づけられております。

 そして、ことしの七月にデータベースができ上がってくるという流れになっておりまして、来年の通常国会から国会にその報告がされるということで、その利活用によって租税の特別措置をさらに適正、中立あるいは簡素化できるというようなことに私も期待をしたい、そのように思います。

 さて、予算を執行していきますと、当初の予定より税収が多く見込まれる、あるいは、企業であれば、いろいろな四半期ごとに予算と中間決算を突合しながら、差異が出てくれば次に調整を行う、また、より優先順位の高いものに投資を行っていくということでございますけれども、今回の平成二十三年度の第四次補正予算、さきの東日本大震災のみならず、円高、タイの洪水など、非常に傷んでしまっている日本の経済の立て直しに資するものでなければならないと思います。

 特に、日本の雇用、経済を九〇%以上支えている中小企業には引き続きの支援を行っていく必要があります。

 この中小企業支援策として第四次補正予算にどのような予算をつけているのか、お伺いをしたいと思います。また、この予算が今までの補正予算と比べてどういったところが異なるのかについても教えていただければ幸いです。経済産業大臣、お願いいたします。

枝野国務大臣 お答えさせていただきます。

 第一次補正予算、そして第三次補正予算では、東日本大震災による影響、直接、間接に被害を受けた中小企業の皆さんを対象にして、事業規模で約二十兆を超える資金繰り対策を行ってまいりました。

 ただ、三次補正の編成以降に、タイの大洪水がございました。それからヨーロッパの財政危機などが深刻化、長期化という様相を見せてまいりました。さらには、円高によるダメージが本当にずっしりとかかってくるという状況になってまいりまして、特に年度末を見据えて、直接、間接に東日本大震災の影響を受けている中小企業以外の皆さんの資金繰りについても万全を期す必要があるという判断をいたしまして、こうした円高等の影響で一時的に業績が悪化している中小企業を対象にしまして、今回、予算額で七千四百億円余り、追加事業規模で九兆円余りのセーフティーネット保証、そしてセーフティーネット貸し付けを予算案として提起しております。ぜひ早期に、御理解をいただきまして、年度末に向けて万全を期させていただきたいというふうに思っております。

江端委員 御答弁ありがとうございます。

 今大臣からもお話がございましたように、これまで中小企業対策として、第一次補正ではいわゆる震災対応の金融制度の創設、こういった予算、そして二次補正では二重債務問題、さらには三次補正で、必ずしも中小企業だけに限定はしておりませんけれども、雇用対策、こういったことを順次打ってきたわけでございます。そしてこの第四次補正では、今御答弁にもありましたように、円高、さらにはヨーロッパの財政危機、あるいはタイの洪水、こういったことを、年度末を見据えてセーフティーネットの保証をしていく、そういったことで中小企業支援策が盛り込まれているわけでございます。

 この切れ目のない対策は、被災地の中小企業の救済と支援だけではなく、日本全体の中小企業を元気にするためにも必要不可欠だと思います。また、今回の社会保障制度と税の一体改革における消費税の問題につきましても、やはり地元で中小企業、商店の方々にお聞きをすると、消費税のアップ分、自分たちの価格や売り上げに転嫁できるのか、そういったことを非常に御懸念されている、あるいはこのままでは倒産しかねないという、そういった悲痛な叫びをお聞きしております。

 こうした個別具体的な課題をどう解決していくのかということと同時に、やはり中小企業の方々に私たちが最大限の支援を行っているのだということを、政府からしっかりとこの方針を入れ続けていただきたいと思います。

 さて、こうした震災や円高、デフレ、あるいは電力不足、タイの洪水、多くの困難に見舞われた産業の一つに自動車業界があります。日本の空洞化を防ぐためにも、自動車業界を取り巻く環境整備には多くの御要望がございました。平成二十四年度の税制改正においても、自動車関連の取得税や重量税の撤廃や軽減の議論もあり、私も党の税制調査会の事務局次長として、こうした議論も重ねてまいりました。

 重量税については、普通自動車において〇・五トン当たり二千五百円の軽減にとどまりましたが、今回、第四次補正においてエコカー補助金が採択をされました。このエコカー補助金の趣旨と、今までの補助金と比べて何を期待されているのか、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 円高でありますとか、それから震災の影響、あるいはタイの洪水の影響、これはさまざまな産業分野に影響を与えているわけでありますが、特に日本の自動車産業は大変幅広い裾野を持っておりまして、日本経済全体に、つまり、自動車産業以外のところに対する影響、あるいは雇用に与える影響は大変大きなものがございます。そうした中で、先ほど来申し上げている影響を大変深刻に受けているというのが今の自動車産業の状況でございまして、これが空洞化が進みますと日本経済あるいは日本社会に深刻な影響を与えるという状況であると考えております。

 そうした中で、即効性のある対策が必要であるという判断のもと、四次補正においてエコカー補助金の措置を予算としてお願いをしているところでございます。国内の自動車市場の活性化を図ることによって、今の大変厳しい局面を何とか空洞化を進めることなく乗り切っていただくことで、裾野の広い自動車産業の次の段階へのステップにつなげていく、そのためにどうしても即効性のある事業が必要であるということで、エコカー補助金を実施することをお願いしております。

 ぜひ早期にお決めをいただいた上で、多くの消費者の皆さんにも、これを活用して、間接的には国内の空洞化を阻止するためにも御協力いただければありがたいというふうに思っております。

江端委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 さきのエコカー補助金では、スクラップをしないとというような条件があって、なかなか、中古市場の方が逆に少し冷え込んだというようなこともお聞きしております。今回、新車市場だけでなく中古マーケットも含めて自動車業界の活性化につながればということを思いますし、この即効性のある対策を打つことによって、裾野の広い業界、ひいては日本経済の強化につながるということになればというふうに思います。

 以上、予算を取り巻く状況や第四次補正予算について質問をさせていただきました。今後とも、予算、決算を透明化していくことが、民主党政権がもたらす生活者主権国家への最大のステップであると私は考えます。透明化を進めることによって国民に見える状態にすることによって、政府の行っていることが正しいか否かがわかり、結果的に、民主党政権が目指してきた国民目線の政治主導が可能になると考えております。

 今回、逢坂議員を座長に、予算・決算透明化ワーキングチームも党内に立ち上がりました。今回の新しい内閣編成のもと、より透明性が高い状態で予算編成が行われるような仕組みにしていただけることを期待いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて江端さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうはテレビ中継は入っておりませんが、ネットで見ている方もいらっしゃるので、パネルを使わせていただきたいと思っております。きょうは復興について中心に聞かせていただきたいと思います。

 まず、防災集団移転事業について、実はこれは、防災移転が、今、住宅の確保ということで最優先課題になっていますが、どうしても、津波の被災地におりますと、少しでも高台、安全な場所、そういうところに住みたいという気持ちがあります。ですから、多くの被災民は実はこの防災移転事業に大変期待をしている。例えば、新しい土地にはかなり安い土地の使用代で移ることができる。そこに建てる家については利子補給も受けることができる。あるいは低い土地で、どうしてもこれは市として今後も使えないという場合には、その個人の土地を買い上げることもできる。防災移転事業に指定をされると大変プラスになります。そして、これを多くの方が期待している。

 ところが、実は、つい先日行われました防災移転事業の自治体への説明会の中で、ここにありますように、同じような土地であっても低地のゾーンとかさ上げをしたゾーンでは差が出てきまして、かさ上げをしたところでは基本的に防災移転の対象にしない、こういう報告がございました。これを聞いて各自治体、これは恐らく被災自治体はみんなそうだと思います、大変驚きました。というのは、もう既に、このゾーンを決める前に住民は、私たちでこのエリアはみんなでまとまってここの地域に防災移転をしよう、そういう思いで、皆さん結束して話し合いをしている。

 そういう中で、例えばここにありますように、気仙沼市の松岩地区、これは住宅が密集したところです。三日前の撮影です。津波で全てなくなりました。ここの人たちは、では全員でもう少し高いところに、あるいはこの地域の中でかなりの方は高いところに移りたいと思っているんですが、ここに線引きがされまして、低地ゾーンと盛り土ゾーンというふうに分けられてしまいました。そして、この盛り土ゾーンの方々は移転対象にならない。そうなったら、今までみんなで結束して、地域でコミュニティーを生かして頑張っていこう、そういう方々が気持ちがなえてしまう。

 さらに言うと、この盛り土ゾーンでも、では盛り土して実際にいつできるかというと、市の説明では、四、五年はかかると言うんです。そうすると、四、五年盛り土にかかるのであれば、四、五年たって家を建てるということは、一体、何年間この土地の人たちは仮設住宅に住めばいいのか。二年なんてものじゃない。

 私が今回お願いしたいのは、かさ上げも大事です、いろいろな防災体制も大事ですが、せっかく地域の皆さんがこうして集団防災移転をやるんだ、そういう思いがあるのであれば、既にまとまっている計画の場所については、低地だろうがかさ上げだろうが、ともに採択の対象にしていただきたい、これがやはり被災地の今の生の声だと思いますが、きょうは担当されております国交大臣にお伺いしたいと思っております。

前田国務大臣 小野寺委員にお答えいたします。

 今のお話を聞いていて、全くそのとおりだと思います。被災を受けた、本当に、御家族を亡くし、悲劇の町を皆さんが一緒になって復興しようとしているわけですから、コミュニティーがしっかり形成されて、それを持続することが一番重要なまちづくりの観点だと思います。そのためのいろいろな施策をこうやって講じているわけでございますから、その実現に供するような運用の仕方を知恵を出してやるべきだ、こう思っております。

 今この写真を見ながら御説明を聞いていたんですけれども、五メートルとかいう高さに盛り土をしてということになって、五年とかそのぐらいかかるということになると、盛り土なんというのは、また落ちつくのに随分といろいろ問題がありますよね。

 お聞きしていると、具体的な事業手法の選択や事業の計画というのはまだこれからだというふうに聞いておりますので、例えば津波地域復興拠点市街地整備事業というような、こういったことになったところを復興させるときに、そういう拠点的な中枢機能のあるものをちょっと集めて、そこは特別に何か手当てをするというような制度もあります。そのときには、区画整理によらない、直接買収というんですか、そういう方式もあるようです。専門家も多分まちづくりの専門家がそこに派遣されていると思いますので、ぜひお地元で、先生がおっしゃるように、持続するコミュニティーができていく、しかも、安全なように前には防潮堤がちゃんとできるわけでございましょうから、津波の避難ビル的なものも中枢施設としてつくっていけば、直ちに取りかかれるような考え方だって出てくるんじゃないのかな、こういうふうに思いました。

小野寺委員 ちょっと大臣に、改めて御指摘をして、再度認識をいただきたいと思います。

 今、市街地の整備事業については、実はこれは、国交省の指示として、一つの市の中で二カ所しかだめだ、しかも面積も一定面積しかだめだという指摘が出ているんですよ。ですから、気仙沼市でいえば、松岩地区はその地域に当たらない、もっとほかにもこういう地域がたくさんありますから。ですから、そういうのが実はできないから、ここは集団防災移転事業でやるということ。

 そして、一言だけ再度お願いしたいのは、ここで、例えばもう既に集団防災移転事業で地域がまとまって計画を立てているところについては、今回このようなかさ上げをするゾーンと仮になったとしても、防災移転事業の対象として基本的に認める、その一言だけを期待したいと思うんですが、いかがでしょうか。

前田国務大臣 私もこの運用の基本線みたいなものがどうなっているかということをしっかり認識しているわけではないので、そこまではちょっと言えませんが、趣旨として、そこにコミュニティーをちゃんとみんなで寄ってつくろうよと言っているのができないようなことになれば、この趣旨じゃありませんので、そういうようになるように指導をいたします。

小野寺委員 ぜひその指導に期待をしておりますし、うまくいかない場合には、累次の委員会もございますので、その中でまた繰り返し御指摘をさせていただきたいと思っています。

 さて、もう一つ。実は今回、これは大変私どもも期待をしているんですが、復興交付金の制度がございます。

 きょうは、平野担当大臣、日ごろ大変いろいろな形で直接お願いをしておりますが、少し指摘で確認をしたいのは、今回のこの事業の中で、例えば備蓄物資あるいは防災の通信機器、これについて整備をする事業があるんですが、これは、被災した場所、ここでしか実は整備ができないということになっています。

 私は、本来、今回被災したところにまた備蓄倉庫をつくるとか防災無線の拠点を置くというのはナンセンスな話で、普通であれば、それこそこういうものを少し高台の、津波が来なかった場所に備蓄倉庫をつくったり防災無線をつくるのが普通だと思うんです。

 恐らくもともとそういうことを想定していないと思うので確認したいと思うんですが、当然、この備蓄倉庫や防災通信機器は、津波が起きていない、そういう地域につくっても今回はこの事業で認めると確認してよろしいでしょうか。

平野(達)国務大臣 担当大臣でお恥ずかしい話ですが、そういう要綱になっているということは私、承知しておりませんし、もしそういう要綱になっているとすれば、その考え方はちょっとおかしいというふうに思います。

 いずれ、津波で襲われた地域にしかできないという発想は、もしそういった状況になっているとすれば変えなければならないというふうに思います。地域の合意で、もうちょっと安全な場所につくりたい、当然のことながらそういう発想は出てくると思いますので、その地域の意向を尊重することが基本だというふうに思います。

小野寺委員 それから、基幹事業の中で土地区画整理事業があるんですが、これは実はつくるのに、一年以上設計にかかります。そうすると、もう既に被災地では、工場等が自分で再開したいということで、事業者が自分で盛り土をしている、そういうところもございます。

 本来、こういう効果促進に係る事業というのは効果促進事業で見られるんですが、効果促進事業のネガティブリストの中には人件費とかあるいは直接個人の資産になるものはだめだということになっているんですが、例えばこうやって、いち早く再開したい工場が自分たちの力でかさ上げをした、これについては効果促進事業の対象という形で見ることはできないんでしょうか。

平野(達)国務大臣 補助金の適用として遡及できるかどうかという御質問かと思いますけれども、これについては若干難しい問題がありまして、一般論としてこうだという断定をすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、ケース・バイ・ケースにおいて、地域の総意でやったというところと、補助金が来るまで待っていてそれでやったというところの中に差をつけるのがいいのかどうかということについての御指摘は、真摯に受けとめなくちゃならないというふうに思います。

 いずれ、ケース・バイ・ケースで考えさせていただきたいというお答えで、きょうはちょっと答弁をさせていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 これは決して事業者の指摘ではなくて、自治体からの指摘ということですので、当然自治体から、ここのかさ上げについては、例えば去年の夏に、カツオの水揚げをするために氷をつくるから、緊急にやらなきゃこれは市場として機能ができないじゃないかとか、冷蔵庫が必要だとか、そういうことでやむなくやった場合もございますので、そういう全体像をこれから市の方として御提案させていただきますので、効果促進事業の中で見ていただければ、既に頑張っている事業者に応援できるような形をお願いしたいと思っております。

 それから、同じく効果促進事業、これは私どもも幾つか問題があると思っているのは、例えば水産物の物産館、これが今回津波の被災を受けました。そして、これは基幹事業で今回直すことができます、おかげさまで。ところが、効果促進事業ということで、別な附帯事業については、物産館ができ上がるまでは実はこの事業はできないとされています。もうこの二月、三月にはワカメの収穫ができます。せっかく、復興のワカメをPRしたい、効果促進事業でPRをしたいと思っていても、肝心のその物産館を直すには二、三年かかります。それができるまでは、実はこのPR等は効果促進事業でできないと言われている。多分大臣は知らないと思います。

 こういうことを運用の中でしっかり対応する、効果促進事業は基幹事業ができなくてもやれるんだというふうにぜひ変えていただきたいと思うんですが。

平野(達)国務大臣 そういう趣旨に効果促進事業を使いたいということであれば、使わせないという理由は私はないのではないかというふうに思いますが、すぐ担当の方ときっちり詰めたいと思います。

小野寺委員 もう一点だけ、またちょっと細かいお話ですが、被災地は本当に瓦れきの山です。ですが、その中に学校がようやく開校しました。そして、夕方になるとどうしても、下校が暗くなります。街灯の整備、これを今回の基幹事業で認めてもらうことになりました。

 ところが、街灯の整備は市道の区間しか認められない。子供たちが歩くエリアというのは、県道もあれば国道もあれば、あるいは民間の土地のところもある。私は、街灯の整備についても、市道のところだけというちまちました話じゃなくて、基本的に、市がこのエリアの街灯整備は基幹事業でやりたいと言えば、対象にしていただくようなことはできないんでしょうか。

平野(達)国務大臣 私も、被災地を訪問したときに、特に冬なんかは日暮れが早いですから、真っ暗なところを子供たちが帰ってこなくちゃならない、街灯を何とかしてもらいたいという要望は再三受けております。

 その意味で、そのことについても、検討はもう指示したところでありますけれども、まだその点不十分なところがあるということであれば、必要なところはできるだけ地元の意向に沿った形でつけるような方向で運用を図るように指示したいというふうに思います。

 ただ、何でもかんでもというふうなわけにはいかないという点もちょっと御了解いただきたいというふうに思います。

小野寺委員 通学路をせめて明るくしてあげたいという親御さんや住民の気持ち、それをぜひ酌み取っていただいて、そこが何道であるからということで事業の対象になる、対象にならないということはぜひないようにお願いをしたいと思います。

 さて、瓦れきのお話を少しさせていただきたいと思います。

 お手元にも資料があると思いますが、白黒で済みません、予算の関係で。上の写真は昨年の七月四日、下の写真は、三日前でしょうか、ことしの一月三十日に撮った同じ場所です。気仙沼の中央公民館の付近、恐らく石巻も同じような状況になっていると思うんですが、瓦れきは何も変わっておりません。

 今、瓦れきの処理、撤去のことで一生懸命みんな頑張っているんですが、ようやく、これから恐らくいろいろなプラントが建って、区分をして焼却等をしていくと思うんですが、今最大の問題は、実はこの焼却の問題です。

 瓦れきを燃やすと、これは実は、放射能のレベルというのは当然燃やして大丈夫なレベルということになりますが、燃やして、灰ですね、例えば体積が百分の一になったり体積が千分の一になったりすると、逆にその灰に含まれる放射能というのは、百倍とか千倍とか、濃縮されると聞いています。そうすると、今は基準値を超えていない十分問題のない瓦れきでも、これを焼却していくと最終的には基準値を超えてしまう。では、この残った灰はどうしたらいいんだ、これが実は方針が決まっていないんですよ。

 ですから、今、プラントも建って、さあ、ようやく整備できると住民は思っています。でも、実際焼却が始まると、例えば石巻だって、たしか、稼働しても二年間で全体の三割しか処理できないと新聞に出ておりました。でも、もっと大きな問題は、燃やしたときに残った灰、これをどうするかを決めないと、燃やすに燃やせない。恐らく、その方針が決まらないとこの山というのは、この脇に焼却炉のプラントができたとしても、延々とずっとこのまま残っていくんだと思うんですよ。

 きょう、細野大臣に来ていただいていますが、ぜひ、焼却した後の灰の問題、これをやはり国が方針を示していただかないと、瓦れき撤去は前に進まない、そのことを改めて御指摘させていただきたいんですが、国の方針についてお伺いいたします。

細野国務大臣 週末、私も石巻へ行ってまいりまして、改めて廃棄物の問題の現状を見てまいりました。とにかくこれをやり切らないと復旧は前に進みませんので、三つの方法で今やっております。

 一つは、仮設の焼却施設をつくる。例えば石巻であれば五基、春にはこれをスタートさせられるようにということでやっております。

 もう一つは、やはりできる限り災害復旧事業にそれを使っていく。つまり、単に焼却をしたり、さらには最終処分するということではなくて、リサイクルをしていくという方法を模索しておりまして、その二つの方法で、できる限り現地でしっかりと処分できるようにするということ。

 さらにもう一つは、広域処理です。全国で既に山形県、東京都が受け入れていただいていますが、意欲を持って手を挙げていただいている自治体はかなりの数出てきておりますので、後は丁寧に説明をして、そこで処理ができるようにということでやっております。

 今、小野寺委員から御質問がありました灰の処分の問題ですが、結論から申し上げると、宮城県の廃棄物については、灰についても基本的には問題のないレベルだというふうに考えています。大体、灰にしますと、十倍からせいぜい数十倍への濃縮なんです。例えば宮城県内の石巻のような地域の廃棄物であれば、極めて低いレベルですので、濃縮しても、それこそ八千というところよりははるかに低い水準にとどまります。ですから、そういう水準ですので、処分についても確実にできるというふうに考えております。もちろん安全性については完全な確保が必要ですが、そのやり方で、県内で処分できるものはしっかりと最後までやっていくという方法で問題ないというふうに考えております。

小野寺委員 同じように、例えば汚染稲わら、これも、まだ全く処分できずにみんな山積みになっているんですが、もし燃やした場合、それが灰になっても基準値以下というふうに考えていいんでしょうか。

細野国務大臣 実は、稲わらは、廃棄物の灰と比較をしても、また違うレベルで高いんです。

 これは、原因が若干解明し切れていない部分があるんですが、どうも、巻き取る形になるものですから、土の中の一番濃いところを集めて、それが入り込んだような形で稲わらというのは大きい丸になっているようでして、それがあるものですから、廃棄物のレベルとも全く違うし、灰よりもはるかに高いレベルなんです。

 ですから、稲わらの処理はまた別次元で非常に難しくなっておりまして、今幾つかの検証、実験はやっておるんですけれども、まずはしっかり隔離をして、そして確実に処理をするという方法をこちらは別途考えなければならない、そういう認識でございます。

小野寺委員 稲わらもそうですし、それから瓦れきもそうなんですが、国の方は、これは基準値以下だから畑にすき込んでも大丈夫、そういう話をしますし、あるいは、今お話しされた灰については、これは燃やして濃縮されても基準値以下だから大丈夫、そういうお話をされるんですが、それを実際やらなきゃいけないのは自治体なんですよ。

 自治体の首長は、常に住民から相当の意見と相当の圧力にさらされています。申しわけないんですが、ここで細野大臣がさらっと爽やかな言葉でお話をされますが、これを実際やる羽目になっている自治体の人たちは、大変な、血のにじむ、それこそ額にしわを寄せているわけですよ。ですから、国会でお話をされるのではなくて、私は、ぜひ被災地に行って、大臣みずから、これは大丈夫なんだ、そう言って住民の前に説明に立つような、そういうことをやっていただきたい。そうじゃないと、何か全て自治体の首長任せということになっている。こういう今の前に進まない状況があります。

 ぜひ先頭に立って、逆に言えば、灰についても、大丈夫なんだということを現地で御説明いただき、あるいはそれを埋設することについても、これは大丈夫だから埋めてくれということを国としてしっかり指示していただく、そういうおつもりはあるでしょうか。

細野国務大臣 いつでも参りたいと思います。

 もちろんこれまでも、例えば広域処理をする場合に、被災地の外側で不安を持たれている方については直接説明をさせていただいた機会というのがございます。また、地元の首長の方や関係の行政の方々には私も直接何度か説明やお願いをさせていただいております。さらに、住民の皆さんの中で、私が伺うことで話を聞こうというふうに思っていただける方がいらっしゃるようであれば、被災地にはいつでも参りたいというふうに思います。

小野寺委員 それから、もう一つ心配なのは、実はアスベストの問題です。

 従前から、アスベストが中皮腫の大きな原因になると言われています。これは長い時間かかって出てきます。

 今、瓦れき、これは実はまだ解体されていないものがたくさんあります。そして、昔アスベストを使った建材もたくさん残っています。私の気仙沼もそうですし、石巻も恐らくそうだと思います。これをこれから解体していくことになります。実は、まだ全部壊していない。これから一番大きな問題のものをどんどん壊していく。

 そうすると、アスベストに直接被災することも当然あります。誰が一番危険かというと、作業員です。あるいは、瓦れきを積んでおく、これから瓦れきの処理をする近隣の住民です。これが一番危険な状況に今後なります。ところが、ほとんどアスベストについての知識がない。

 そして、アスベストの所管は、実は多省庁にまたがります。例えば、空気中の問題とか基準については環境省、ですが、実際に建物の中で作業する方の問題に関しては厚生労働省、あるいはアスベスト自体の産業的な規制については経済産業省。山ほどの役所がかかわっていて、実は、それでなかなか規制の法律もできなければ、規制対象のさまざまな啓蒙普及もできない。

 私は、これからいよいよアスベストの解体に入るときに、ぜひ、作業員とか地方自治体の職員とか、こういう方に適正な知識を与えて、簡単なマスクでは防げないらしいです。そして、これが出てくるのは数十年先。ぜひ、これからのことを考えて、しっかりした対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 このアスベストの被害というのは、放射性物質、場合によってはそれ以上にはっきりとした健康被害がありますので、非常に重要だと思っております。

 私も若干体験がありまして、阪神・淡路大震災のとき、二カ月現地にいて、もうもうとした中で、当初みんなマスクをつけずに作業をしていて、ある時期からアスベストということが話題になったんですね。あのときのことを考えると、今回は同じ轍を踏んじゃいかぬというふうに思っておりまして、環境大臣になりましてからすぐ、そのことについては関係の担当者に指示をいたしました。縦割りは許されませんので、国土交通省、さらには経済産業省、厚生労働省、そこも含めて、しっかり現場でアスベストの飛散がないようにチェックをできるような体制をつくっているつもりであります。

 ただ、万が一にもそういうことが現実に対応ができていないということがあってはいけませんので、とにかくできる限り巡回をふやして、そういうことがないようにということでやっております。もちろん自治体や我々国もやるんですが、これだけあるとやり切れない部分がどうしても出てきますので、先日、日本アスベスト調査診断協会の方に来ていただいて、全国にそういう事業者の方がおられますので、申しわけないけれども、できればボランティアで巡回をしていただけないだろうかというお願いを既にしております。それで、既にやっていただいています。

 一番危ないのは解体現場です。仮設の置き場は安全性は我々が確認しております。一番危ないのは解体の現場ですので、ですから、そこでしっかりと安全に配慮した作業が行われて、作業員の皆さんはもちろん、地域の皆さんにも御心配をいただかないように、そこは全力でやります。

小野寺委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今まで、こういう復興の問題、これを最前線でお話をさせていただきました。そろそろ震災から一年近くになります。そろそろここで当時のことを改めて検証する時期だと思います。

 最近、地震が多発しています。今回私どもが被災したこの津波、もしかしたら日本全国どの地域でも今後危険があるかもしれない。そういう中で、あの津波発生直後、何が行われたかということを、改めてきょうちょっと検証したいと思っています。

 きょうは気象庁長官に来ていただいています。確認をしたいと思います。

 実は、きょう、パネル、資料がございますが、発生当時、三月十一日、その日十四時四十六分に地震が発生しました。そして、その三分後に気象庁は津波警報を出しました。宮城は最大六メートル、岩手、福島は最大三メートル。そして、三時十四分ごろ津波が来襲しました。幾つかの波に分かれましたが、最大浸水深、ずぼっとつかったところは十六メートル、最大遡上、波が上がったところは四十メートル、が最終的に来ました。そして、ほぼ同時期に気象庁は津波警報の修正をしました。宮城は十メートル以上、岩手、福島は六メートル。そして、それからまた十五分後に津波警報を十メートル以上ということで修正をしましたが、もう既に津波は来て、多くの方が津波の中にのまれている状況でした。

 この一連の流れについて、間違いないかどうか、気象庁に確認をしたいと思います。

羽鳥政府参考人 お答えします。

 津波警報の発表の経緯は、先生の御指摘のとおりでございます。

小野寺委員 きょうは官房長官に来ていただいています。何が起きたかをお話しします。

 気象庁が一番初めに発表したこの津波警報、宮城最大六メートル、岩手、福島三メートル、この高さを見て、高さを聞いて、各自治体は何を判断したか。消防団は何を判断したか。海岸に行って門を閉めれば、防潮堤を閉めればこれは防げる高さだ、みんなそう考えたんですよ。あるいは、家だって、三階にいればこれは大丈夫だ。南三陸は、防災庁舎三階の上まで行きましたが、この一報を聞けば、防災庁舎の三階にいればこれは問題ないと。石巻の大川小学校だって、この第一報であれば、ほかに逃げなくったって大丈夫と判断したかもしれない。これだったんですよ。

 今回、消防団の方が二百四十二名、消防職員が二十三名亡くなっています。行方不明者も今でもおります。気象庁の予報の第一報、この低い予測が多くの住民の命を奪ってしまった、あるいは防災に駆けつけた消防団員の命を奪ってしまった。このことについて、改めて気象庁長官にこの反省について伺いたいと思っています。

羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 今回の巨大地震につきましては、その当時における最善の技術力を行使して発表したと考えてございますが、実際には、先生御指摘のとおり、大きな乖離があったということで、我々の技術力が十分及ばなかったということを痛感し、大変申しわけなく思っているところでございます。

 我々の責任としましては、今回の大きな被害の教訓をしっかり受けとめて、津波警報の改善に生かし、津波防災対策の強化につなげていくことと考えてございます。

小野寺委員 長官、今回の津波はどれだけのものが来るかわかっていたんです。わかっていたんですよ。ちょっとお話しします。

 ここに二枚の資料があります。実は、三陸地方、津波の心配があるから沖合にGPSの沖合波浪計というのを浮かべていて、そして、そこに来た波の高さで、津波が何メートル来るか、コンピューターソフトでその予測のシミュレーションをやっていたんですよ。そして、そのやった数字、これは実は後でデータがちゃんと入ってわかったんですが、左が今回の津波が来て沖合で観測したデータが入って出た浸水域、右は、気仙沼ですが、実際に来た浸水域、同じなんですよ、予測できたんですよ。

 今回、沖合の波浪が約六メーターでした、GPS波浪計。通常、そこから想定される沿岸に来る津波の高さというのは、経験則で四倍から五倍と言われています。二十数メートルから三十メートルが来ると。もしこのデータを生かしていたら、わかっていたら、これはできたんですよ。

 気仙沼市役所はこのソフトもデータも持っていました。残念ながら、震災でラインが切られて、このデータを入れることができませんでした。これを活用してくれ、このオンラインソフトを活用してくれと何度も何度も私はこの国会の場で言っておりました。

 二〇一〇年三月十一日、ちょうど大震災の丸々一年前ですよ。このときに国会の災害対策特別委員会で、このGPS波浪計を使い、これをオンラインでコンピューターに結び、そしてそれを気象庁、使ってくれと言ったんですよ。そうしたら、何で断られたか。波浪計の予算は国土交通省の港湾局だ、気象庁は気象業務法があるからこんなの使えない、参考だ、これで断られた。だけれども、こんなことが起きたら大変だから何とかしてくれと、ちょうど一年前の三月十一日、衆議院の災害対策特別委員会、ここで私は質問しています。

 そのときの担当大臣、申しわけないですが、中井委員長です。覚えていらっしゃいますか、私の質問。お伺いします。

中井委員長 いや、記憶にありません。まことに申しわけないことです、記憶にありません。

小野寺委員 もう起きてしまったことを、今さらのことはありませんが、後で議事録を見ていただければ、そのときに指摘した、そして、このときにちゃんとオンラインでつながっていれば、市役所にも、そして気象庁にも、実はこの沖合波浪計のデータというのは気象庁には行っておりました。このときも実は行っていたんです。だけれども、気象庁は、私たちが予報を出すときには今までずっとやってきた仕組みがあると。

 この一番最先端、沖合にどのぐらいの波が来たら海岸にどのぐらいの波が来るか、一番わかりますよ、これは。実はそのデータは第一報では無視をした。そして、その後、津波が来た後に、これは大変だ、こんなのが来ちゃったということで、急にその沖合波浪計のデータを少しずつ計算して、だんだんだんだん、津波が来ちゃった後に修正、修正している。それでも低い。こんな、津波が来た後に出されても困るんですよ。もうみんなのみ込まれているんですよ、この中に。

 では、復興大臣に質問を。

平野(達)国務大臣 気象庁の第一報、岩手県は三メートル、宮城県は六メートルでした。そして、岩手県の場合は、地震発災直後から津波の最大波が到達するまで大体三十何分です。そして、その後、気象庁の修正がなされたのが十五時三十分ですね、十メートル以上。そのときにはもう岩手県は壊滅しております。

 この問題につきましては、実は津波専門会議等々で、昨年の五月に立ち上げた検討会議で私がいち早く問題提起をしまして、気象庁にこの原因を究明させています。気象庁は、実はこの問題については発災直後から問題を意識していまして、独自で検討委員会を立ち上げておりました。今、一連の経緯がございまして、今回津波の防災警報の出し方について大きく変えたというのは、その検討の流れであります。

 ただ、その中でさまざまな問題が出てまいりました。例えば、地震計はマグニチュード八を超えますと正確な予測をするのに時間がかかるということがわかっていながら、何もしてこなかった。それからあと、GPSについても、これは実は気象庁にもデータは流れていましたし、気象庁からも公表しています。公表していますが、これをどのように解釈するかということについての、要するに具体的な手法がきっちり周知徹底されていなかった。これについては、どうするかということについて今検討しております。

 いずれ、先ほどいろいろな、さまざまな問題がありました、御提案いただきましたけれども、私どもは、この第一報がどういうふうな影響があったということについても、ある程度のアンケート調査を実施していますし、これからも詳細なデータは集めなくちゃならないというふうに思っています。

 ただ、全ての方々がこの情報を入手していたかといいますと、御案内のとおり、十四時四十六分、即ブラックアウトです。大部分の方は実は気象庁の情報を知らなくて、ただし、消防団は無線で知っています。無線で知りながら、その情報を、やったというのは事実でございます。

 こういったことについても詳細な記録の調査をしながら、今回の反省すべき点、多々あります。多々ありまして、これはまだまだ今検証途中でありますけれども、こういった問題も含めて、特にこの問題は大きな問題でありますので、私は、ある意味においてはこれは気象庁の存在意義にかかわるぞということまで申し上げました。申し上げましたけれども、気象庁としても、繰り返しになりますけれども、かなりこの問題については御自身の問題として意識して、今検討作業を進めている、検証作業それから対策を進めているということは申し上げさせていただきたいと思います。

 それから、あわせて、GPSということもありますけれども、もう一つ申し上げたいのは、やはり今回の被害は、GPSでも何でもいいんですが、地震が起きて津波が来るまでにどういうことができるか。物すごく限られています。正確な情報が来たとしても、どうやれば情報を伝達できるかという問題があります。これはこれで重要な問題がございますけれども、ただ、私は、今回の最大の津波の教訓というのは、大きな地震が来たらとにかく逃げる、情報が来ても来なくても逃げる。それから、市町村はできるだけ、大きな地震が来たときには逃げろという警報を出すということが最大の教訓ではないかということも、ちょっとあわせて申し上げさせていただきたいと思います。ここは多分共感できると思います。

小野寺委員 陸前高田市、ここは三メートルという予報、そして多くの消防団の方が、あそこの大きな、陸前高田の高田松原のところの防潮堤の作業に行きました。そして、津波にのみ込まれて亡くなった方が大変多い。これは、申しわけないんですが、気象庁のこの発表、これが大きな問題だったと思います。そして、何度も津波警報は聞くんですが、今まで余り当たったことがない。だから、今回来て、三十分たっても何も来ないから、みんなそろそろそろそろ戻っていっているんですよ、自分のうちに。そうしたら、どっと来ました。

 本当に、今さらのことを言っても仕方がないので、今回、こういう沖合の波浪計が一番正確、あるいは海底の津波計もあります。いろいろな、予知もそうですが、来たときのシミュレーション、これをぜひ日本全国に張りめぐらせてください。もう東北のこのつらい思いは私たちだけで十分です。これから恐らく、日本はこういう地域ですから、日本全国沿岸部、同じような心配があると思います。そこについて、ぜひこの教訓を生かして気象庁にはしっかり頑張っていただきたい、そう思っております。

 では、大臣、お願いいたします。

前田国務大臣 気象庁を監督しております国土交通大臣として、今の議論をお聞きいたしまして、気象庁は確かに非常にすぐれた専門家が集まっておりまして、日常しっかりやってはくれているんですが、先ほどのようなことがありました。今後、御指摘のことを踏まえて、気象庁がその持てる力、責任をしっかり果たせるようにしてまいります。

 特に、津波のみならず、豪雨のことであったり、とにかく、これだけ大きな災害があるときには、いかに予知して、いかに避難をして、人の命を、人命被害を少なくするかということで、気象庁の持っている責任というのはますます大きいと思うんですね。火山もあります。九州地方ではかなり危ない情報も出ているわけです。さらに申せば、国際的にも、例えばあのタイのようなケースにおいても、衛星等を通じて、気象庁の持っている能力というのは世界的にも評価されているんですね。

 そんなことも含めまして、防災における非常に大きな責任というものを果たせるようにしっかりやってまいります。

小野寺委員 今、豪雪で大変です。さまざま、気象庁の予報や今回の警報、地震、そういうことで多くの方が頼りにしています。ですから、しっかり、少しでも予知の精度が上がるように努力をしていただきたいと思います。

 ここまでで防災関係は終わりですので、どうぞ、長官はお戻りになって結構です。ぜひ、今、豪雪で大変ですから、その方の対応もよろしくお願いいたします。

 さて、残りの時間、大変言いにくい質問なんですが、外務大臣に質問をしたいと思っております。

 内容につきましては、北京にあります日本大使館、この移転をめぐる中国との密約という問題についてお伺いをしたいと思います。

 実は、北京の日本大使館、これは約七十億で今回新築工事ができました。そして、昨年七月に建物が完成をいたしました。そして八月、実はこの建物、中国側に建築確認の申請をしたら、中国側からだめと言われました。なぜかというと、申請にない一部の増築があったということで、中国側からだめということを言われました。

 だめと言われたので、実は、古い今の大使館は毎月家賃が二千万円以上かかっています。ですから、移れば移るほど、税金がどんどん失われていく。一生懸命移りたいと思ったんでしょう。外務省は、どうやったらこの建築確認がおりますか、これを中国側に聞いたら、中国側は何と言ったかというと、普通だったら、建物の中のここを直す、この申請を直せば建築確認をおろします、これが常識じゃないですか。中国から来た内容というのは、きのう外交部会で確認をしましたが、今、日本にある、東京の大使館の公邸をつくりたい、広い土地、あるいは、さまざま問題になっている新潟の領事の土地、名古屋の領事の土地、ここについての便宜を図ってくれれば日本の大使館の建築確認について配慮する、これを、きのうの話では口頭と文書で言われたと。

 そして、これに対して日本政府はどうしたかというと、これは大臣の許可も得て、先月、一月十九日、日本大使館の口上書という形で、国際関係の法規、そして国内法にのっとり対応する、逆に言えば、配慮するということを日本政府が出した。そして、その二日後に建築確認がおりてめでたく引っ越しできました。

 私のところには、めでたく引っ越しできましたという話は来なかったんです。この口上書の話は知らなかった。報道で聞いたので、まさかと思って聞いたら、いや、出しましたと。

 これというのは、構図からいうと、外務省が建築確認でミスを犯したこと、これを中国側に尻尾をつかまれて、そして、日本にある住民が反対しているさまざまな土地、こんなに領事館をつくるのに土地が要るのかというその指摘に関して、外務省として配慮するということを文書で出したということになりませんか。私、言ってみれば、これは日本政府が政府ぐるみで中国側のハニートラップにかかったんじゃないかと。

 この口上書の有無と中国側の要求について、外務大臣にお伺いします。

玄葉国務大臣 これは、在中国大使館事務所の移転手続に係る調整の過程で、中国側から在日公館建設、施設の建設について、日本側の協力を得たいというふうに要請があったということです。

 我が方は、一貫して、我が方在中国大使館事務所の移転と中国側の在日公館施設の建設とは別問題であるとの立場を維持した上で、中国側の要請に関しては、我が国として、関連の国際法に従い、中国、国内法令の範囲内で協力するという、いわば他国に対するものと同じ立場を表明したということであります。その際、中国側から、日本側の立場を文書にしてもらえないかとの依頼があったため、口上書にして中国側に伝えたということであります。

 なお、御存じのように、ウィーン条約等で、中国に限らず、在日外国公館の整備の問題については、我が方としては、関連の国際法に従って、接受国として公館の取得等を支援すべき立場にあり、国内法令の範囲で対応してきているということなんですけれども、もっとざっくばらんに申し上げますけれども、これはもともと二〇〇八年の六月なんですね。二〇〇八年の六月に、実は増床工事をする。確かに日本側のミスはあったんです。中国側にそのとき通報しなきゃいけなかったわけです、二〇〇八年の六月に。本来通報すべきだったのにしなかったというのは、二〇〇八年のときのミスなんだろうというふうに思います。

 そのミスにつけ込もうとしたのかどうかは、これはわかりません。わかりませんが、その後なかなか大使館の移転が進まなかったということで、私も大臣になって相談を受けました。節目節目で報告があったので、私からは、中国に対して国内の法令を超える対応はすべきではないということと、我が方大使館の移転の問題とこの中国の在日公館の建設問題は別の問題である、バーターはだめだよ、こういう話を指示していたということなんです。

 もっと具体的に言うと、土地の話をされましたけれども、土地の話とかはありません。要請はありましたけれども、こっちで、それはもう別だという話で断っていますので。

 結局、他国から求められたらこれも行う内容ですけれども、さっき申し上げたようなことと、在日中国公館の建設工事の請負に関する中国側の希望に関して、日本の国内法令に基づき、可能な範囲で互恵の精神に立脚して協力していくんだ、そういう内容と、もう一つは……(発言する者あり)いやいや、そんなことないですよ。あとは、要員の査証ですね、それだけであって、土地の問題では全くありませんので、そこはちょっと誤解のないように。

 つまり、ミスにつけ込もうとしたのかもしれないけれども、そうはさせなかったというふうに申し上げた方が正しいと思います。

小野寺委員 済みません、実は、こういう口上書を中国以外の国に今まで出したことがないと聞いておりますし、今回、中国に対してこういう口上書を出したことは初めてだと聞いています。ということは、なぜこんな異例なことをわざわざ口上書で出すのか。

 委員長にお願いしたいのは、ぜひ、この日本政府が出した口上書と、それから、中国側から要請は、これは文書で来たと言っていますので、その両方を提出いただけるよう、理事会の方で協議していただくようお願いしたいと思います。

中井委員長 理事会で協議いたします。

小野寺委員 以上で質問を終わります。

玄葉国務大臣 何か、私、ちょっと言い間違えた部分があったみたいで、先ほど、中国側の要請に関して、我が国として、関連の国際法に従い、国内法令の範囲内で協力するという、他国に対するものと同じ立場を表明したというふうに、もう一回申し上げたいと思います。

中井委員長 これにて小野寺君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 きょうは、日銀総裁にも来ていただいて、円高、デフレ対策、私はこれが日本経済の最大の問題だと思っているので、この点についてお伺いしたいと思います。

 時間が短いので、端的に進めます。

 まず、今の超円高の原因は何ですか、日銀総裁。

白川参考人 お答えいたします。

 為替相場は日々さまざまな経済のデータに反応して動いておりますけれども、過去数年間、特にリーマン・ショック以降の円相場、為替相場の動きを見てみますと、やはり一番大きな要因は、世界全体の金融システムあるいは金融市場に対する安定性、これに対する見方と非常に密接に連関しているというふうに思います。

 これは、よく、世界経済の不確実性が増すときに、投資家のリスクに対する許容度、リスクをとる態度、これがどうしても後退します。そういう中で、相対的に安全だというふうに見られる資産に選好が集まるという現象のもとで円高が生じているというふうに思います。

山本(幸)委員 リーマン・ショック以降に世界経済が不確実になった、それは日本だって一緒じゃないですか。どこの国の通貨だって弱くなるのに、何で円だけ強くなるんですか。そんなのは説明にならない。

白川参考人 お答えいたします。

 もう少し詳しく申し上げますと、世界経済全体の不確実性の増大、これはもちろん、各国に共通している原因でございます。現在は、為替の取引の金額が非常に、実物取引以上に大変大きな経済でございます。そういう中で、グローバルな投資家がどの通貨に投資をするかという判断をする際に、相対的に、金融システム、金融市場が強い、頑健性が強いというふうに見られている通貨に移すという傾向が見られます。

 そういう中で、例えばリーマン・ショック以降の動きを見てみますと、スイス・フランもそうですし、日本の円もそうでございます、そうした通貨が相対的に買われるということで、これは、このこと自体のよしあしを議論しているということではなくて、グローバルな投資家がどういうふうに見ているかということでの解説を申し上げました。

山本(幸)委員 財務大臣、その説明で納得しますか。

安住国務大臣 先生からも私、何度か御指導いただいていますけれども、短期、中期、長期、為替の変動についてはそういう見通しがある。その中で短期的な見通しだけ申し上げれば、やはり、FOMCがこの間二十五日に行った結果を受けて、米国金利が当面、一四年まで低下をする、そういうことが背景にあって、短期筋による思惑的な円買いというのが強まった、私としてはそう分析しております、短期のことについては。

山本(幸)委員 短期的にはそういうことがあるかもしれませんが、問題は中期的な動きなんですね。

 お配りした図を見ていただきたいんですけれども、これを見れば一目瞭然なんですよ。

 リスクの話とか債務危機の話とかいうのは超短期の動きであって、そんなものはちょっとした時間が過ぎれば消えていくんだ。だけれども、中長期的に基本を決めているのはお金の動きなんですよ。お金の動きというのは中央銀行がコントロールするところで決まるので、それをマネタリーベースと言いますけれども、現金と中央銀行預け金、それは中央銀行がコントロールできるものですよ。それ以上のものは中央銀行はコントロールできない。

 それで見ると、二〇〇〇年を一〇〇として、日本銀行だけですよ、ほとんど何もやっていないのは。特にリーマン・ショック以降、日本の円が高くなったのはリーマン・ショック以降ですが、何もしていないのは日本銀行だけですよ。

 リーマン・ショック以降、中国が猛烈に伸ばした、アメリカも伸ばした、イギリスも韓国も、そしてECBも。ECBはちょっとよそより少ないんだけれども。

 これが今の日本の円高を説明しているんですよ。だって、通貨の価値というのは、それぞれの通貨の相対価格なんだから、たくさん出した方の通貨が安くなるに決まっているじゃないですか。これが基本ですよ。財務大臣、そのことを理解されますか。

安住国務大臣 先生からいただいた資料で、マネタリーベースの残高というのがあります。

 一つだけ私の方から申し上げたいのは、これは先生、中国のような経済規模が大きくて成長が一〇%前後のときには、やはり供給量というのは物すごくふえていくのであろうと思います。ですから、総体の量としてのことはあると思います。

 他方で、日銀の総裁から後で答弁があるかもしれませんが、対GDP比で見たときの比率ということでいえば、三〇%弱の供給比にある。それに対して、FRBは一八・八、ECBは二四・二というふうな統計もありますので、一概に、この統計で、数字だけ見て、中国が非常にジャンプをするほど大きくなっているのに比べて日本は極端に低いという、総量的な考え方は十分私もわかりますけれども、対GDP比で見たときのそういう指標もあるということは事実ではないかというふうには思っております。

山本(幸)委員 何をばかなことを言っているんですか。中国との経済規模は中国が大きいと。中国が日本を抜いたのはつい最近ですよ。日本の方が大きかったんだよ、今までは。それなのに、中国の方がどんどん伸ばしたんですよ。何の説明にもならない。日本の方が大きかったんだよ、経済の規模は。去年ですよ、抜かれたのは。

 それから、対GDP比。あなた、今の日本のGDPは何年前と同じか知っていますか。(安住国務大臣「もう一回」と呼ぶ)今の日本の名目GDP、これは何年前のGDPと同じぐらいかわかっていますか。

安住国務大臣 五百兆円弱でございますから、大体十五年ほど前だというふうに認識しています。

山本(幸)委員 大体四百七十兆円ちょっとだよ。それは一九九一年のレベルだ。(安住国務大臣「十七年」と呼ぶ)二十年だ。そんなことは財務大臣の基本、常識ですよ。名目GDPが税収を決めるんだよ。その名目GDPを知らないで、あなた、税収を担当する大臣が務まりますか。

 この名目GDPが二十年前から全然変わっていないんだよ。その間に金を出していったら、少し出したって比率は上がるに決まっているじゃない。そんな議論を日銀がやっていて、あなたはそれにだまされているだけだよ。GDPが二十年変わらなきゃ、比率は上がるに決まっているじゃないの。

 この間、中国のGDPは何倍になったか知っていますか。

安住国務大臣 この二十年でということであれば、正確な数字はわかりません。大体で三十倍ぐらいだと思います。

山本(幸)委員 三十倍はちょっと大き過ぎるね。十二倍、二十年で。

 アメリカは二・四、五倍になったんだ、二・四倍か二・五倍。だから、アメリカが二・五倍になって、今の比率は日本とほとんど同じなんだから。GDP比率だよ。圧倒的に日本が何もしていないということなんですよ。それを、いかにも、GDP比率でマネタリーベースの量が高いから十分やっていますねと、それでだまされているんですか、あなたは。

安住国務大臣 十分やっていますということではなくて、日銀の総裁がよくお使いになる数字を私は申し上げたので。

 日銀に対しては、適時果断な対応をぜひお願いしたいということは申し上げております。

山本(幸)委員 十分やっていないということを認識して、何でやらないのかと言うのがあなたの仕事ですよ。

 まあ、日銀の連中も、言いわけするのは、それなりに頭がいいからいろいろ考えるんだよ。後からいろいろ、これから、時間があったら幾らでもやるけれども、でたらめばかり言っているんだよ。それをいずれ指摘しますが。

 問題は、政府が、今の、財務大臣、古川さんが後から答えるかもしれぬけれども、そういう認識がないからデフレと円高がどんどん進むんですよ、定着するんですよ。

 では、どうするんだ。どうするんですか、これから。

古川国務大臣 山本議員おっしゃったように、日銀は、日本は二十年、いわば低迷が続いておりますので、かなり九〇年代に金融緩和した。

 ですから、ストック的にいうと大きいんですが、御指摘があったように、二〇〇〇年代に入ってからは、その水準は保っていますけれども、特にリーマン・ショック以降、他の国が金融緩和を思い切ってやりますから、そういう意味でいうと、ストックベースで見ると確かに大きいんですけれども、いわばフローのところで見ると、緩和で例えて言うと、ずっと日銀が先に走っていましたけれども、ほかの国がばあっと追いついてきて、その金利差が縮小したとか、やはりそういった面もこれはあるということだと思います。

 そういう認識を私どもも持って、とにかく、デフレ脱却、これはどうしても実現をしなきゃいけないわけでありますから、我々も、財政政策の面で、大変厳しい財政事情の状況のもとでありますけれども、今、緊縮財政をやっていないわけですよ。ある意味でいえば、かなり積極財政をやっているわけですね。それで、需給ギャップを少しでも減らそうという努力もしています。そしてまた、新成長戦略などを通じて、とにかくやはり企業の成長力を高めて期待成長率を高めていく、そうした努力もしています。

 先ほど財務大臣申し上げたように、こういうことを政府はやっておりますから、やはり日銀に対しても、日銀は金融政策を担当しているところとしてしっかりその面での全力を尽くしてもらいたい、あらゆる政策をとってもらいたい、そのことは折に触れて私も申し上げております。

山本(幸)委員 ストックだけで、九〇年代、日本はやっていて、ほかの国はやっていなかった。だって、ほかの国はデフレなんかに陥っていないんだもの、する必要なんかありませんよ。

 日本は、いろいろな指標があるけれども、GDPデフレーターでは九四年から、CPIでは九八年からデフレですよ。ところが、九八年、二〇〇〇年のちょっと前だけれども、二〇〇〇年から全然やっていないんだよ。だからデフレが直らないんだ。

 それから、古川大臣に聞きますが、財政支出を拡大したら、景気対策、デフレ解消になりますか。あなた、マンデル・フレミング理論というのを知っていますか。

古川国務大臣 マンデル・フレミング理論は、財政支出をすれば金利が上がって、それがまさに為替を上げることになるというお話だと思います。

 もちろん、そういう状況は我々も考えていかなければいけないと思っています。ですから、財政支出が拡大をしていますけれども、日銀の方でも、そこは金融緩和政策をとって、金利が上がらないように努力をしていると思います。

 しかし、そういう努力は今後とも続けてもらわなきゃいけないと思っていますし、山本議員がおっしゃったように、それは単に名目金利じゃなくて実質金利をどう下げていくか、そういうところはあるだろうという話はあります。そこについても、私どもとしては、日本銀行の方で実質金利を下げるようにぜひ努力をしてもらいたい、そういうふうに思っております。

山本(幸)委員 おっしゃるとおり、マンデル・フレミング理論はそのとおりで、だから、財政支出を拡大したってだめなんですよ、変動相場制のもとでは。デフレ対策にならない。

 だから、デフレをなくして円高をなくすことができるのは日銀しかいないんですよ。その日銀にどうさせるか。ほっておいたって何もしないんだから。これは、政府がさせるように指導するか、そういうシステムをつくるしかないんですよ。

 そのシステムは、私は、インフレ目標政策、インフレというと日本人はアレルギーを起こすので物価安定目標政策と言っていますが、つまり、二、三%の、今は非常時だからちょっとぐらい高い方がいいかもしれない、二から四ぐらいの目標値の中におさめるように金融政策を運営してもらう。そういうことを法律で決めれば、そうしたら日銀はやらざるを得ませんよ。そうしないと日銀は動かない。これまでの二十年間の経験で私は痛切に自覚している。

 一月の二十五日にアメリカは、連邦準備銀行は、緩やかなインフレ目標政策、厳密な意味ではありませんが、しかし、目標をきちっと設定して、それに対してコミットするということについては約束した、それは緩やかなインフレ目標政策ですよ。

 これを日本でも導入しない限り、一向に変わらない。あなた方が何をやったって、デフレ脱却、円高是正はできませんよ、それは日銀しかできないんだから。それをやるつもりはありますか、財務大臣。

安住国務大臣 インフレーションゴールということでターゲットではないということは、バーナンキ議長も会見ではおっしゃっていると聞いております。

 しかし、そうはいっても、やはりこの金利水準を一四年度まで続けていくという持続的緩和政策を続けるということは明確に打ち出しておりますので、そういう点では、アメリカ側もさらなる景気刺激策として金融緩和政策を続けていくという強い姿勢をあらわしたものであるというふうな認識はしておりますので、我々の方としても、適時適切に日銀に対応していただくよう、そういうことをお願いしていこうというふうに思っております。

山本(幸)委員 あなたは、バーナンキがインフレターゲットじゃないと言ったと言いますが、バーナンキはどういう発言をしているんですか。

安住国務大臣 「メーンテーン ア ハイリー アコモデーティブ スタンス フォー マネタリー ポリシー」と書いてありますよね。

 つまり、これはゴールであってターゲットではないというふうなことを、そしてさらに記者会見で申し上げているというふうに思っております。(山本(幸)委員「記者会見でどういうふうに言っているんだ」と呼ぶ)ちょっと記者会見の文書はないです。

山本(幸)委員 日銀は一生懸命根回しをしているんだ。バーナンキはインフレターゲットではないと言っていますよ、記者会見でと。持ってこいと言って、それを見たら、びっくり仰天したよ。誤訳だよ。

 バーナンキはこう言っているんだ。

 インフレターゲターということによって、もしあなた方が、これは新聞記者から聞かれてですよ、あなた方が、それはインフレに最優先度を与えて、そして、ほかの目的、例えば雇用とかいうものをそうじゃない次元の低いゴールという形で運営するようなことをインフレターゲットというんだったら、そうではありません、自分たちは、物価と雇用を両方追い求める形でやるんですと言っているんですよ。

 それを日本銀行の訳は、インフレターゲットは物価の安定を最大の政策目標としており、雇用など副次的な目標であることを指すのだとすれば、FEDは二つの目標を有しているので、インフレターゲティングではないと。完全な誤訳ですよ、これは。

 日銀総裁、こんな誤訳をあなたはつくらせて、それを配って回らせているけれども、あなたが指示したんですか。

白川参考人 お答えいたします。

 バーナンキ議長の先日の記者会見での応答については私も拝見しております。

 バーナンキ議長が繰り返し言っていることは、ただいま議員からの御指摘にあるように、物価の安定とそれから雇用の最大化、これがFRBのマンデート、目標でございます。議会から与えられたその二つの目的を達成していくということで、インフレーションターゲティングという言葉が、これは人によって定義は違いますけれども、往々にして、物価の安定のその数字だけを見ていく政策だというふうな誤解もありますので、もしそうであるとすれば、それはインフレーションターゲティングではありませんというふうに言っています。

 それからまた、別の文脈のところでバーナンキ議長が言っていることは、いわゆるインフレーションターゲティングを採用している国においても、物価だけに焦点を当てて運営している、そういう中央銀行は存在しないということを言っております。言っていますことは日本銀行法の規定と同じで、これは、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということが日銀法に定められております。

 そういう意味で、日本銀行もFRBも同じような目的のもとに金融政策を行っているというふうに理解をしております。

山本(幸)委員 いや、全然違いますよ。あなたが最初説明したように、最初の文章は、要するに、物価だけを目標としてやるようなことがインフレターゲットというんだったらそうじゃない、自分たちは二つの目標をやるんだから、別の形のインフレターゲットですよとある意味で言っているんだよ。それをインフレターゲットではないと言ったといって宣伝して回っているんだ、あなた方は。とんでもない話だよ。もう一回訳をし直して、チェックしてやるから持っていらっしゃい。

 それから、何が日銀法と一緒だ。FEDは、ちゃんと目標を決めて、透明性を確保して、そしてそのことが経済や金融に対する不確実性をちゃんとなくして安定的な経済運営に資すると言っているんだ。

 日銀は、字面で書いていて、数字も目標もはっきりしない、期限もない。それにコミットしているのかどうかも明らかじゃない。コミットしているかどうかが明らかじゃないから、責任が不明確。みんな、何をもって行動していいかわからないんですよ。

 結局、白川総裁の発言とかあるいはやっていること、マネタリーベースのこの数字とかを見ていると、市場参加者は、我が日本銀行にはデフレを脱却する気持ちなんか毛頭ないと考えているんだよ。だから、デフレが続いて円高が進むんですよ。

 いいですか。これから、欧州債務危機、まだひどくなるかもしれない。イランの核問題がある。あるいは、アメリカが今度、金融緩和をもっとしそうな感じになってきた。そして、さっき言った復興支出で財政は拡大する。全部円高になる要因ですよ。それを今のような日銀に任せていたら、とんでもないことになりますよ。

 もう、インフレ目標政策は法律で、日銀法を改正してやるしかないんですよ。財務大臣、やる気はありませんか。

安住国務大臣 山本先生から御質問をいただくたびに、日銀法を改正せよという御意見もありますが、現時点では、私どもとしては、日銀に対しては、適時適切な金融政策をぜひやっていただきたいというふうなことで、緊密な連絡をとりながら対応していきたいと思っております。

山本(幸)委員 何でそれをやらないんですか。緊密な連携をとりながらって、何もしていないじゃない。(安住国務大臣「やるようにしています」と呼ぶ)何もしていないよ。

 どうしてやらせるんですか。では、何をやるんだよ。何をやらせるんだよ。

安住国務大臣 各国それぞれの制度に応じて、金融政策はやはり中央銀行の政策として独立性を持ってやっている国が非常に多うございます。これを政府が主導的にやるというふうな立場に立ってやっている国はむしろ少ないというふうに思っておりますので、ここは日銀に、経済状況やいろいろなことを勘案しながら量的緩和を含めて対応していただくということで、この間もずっと続けてまいりましたので、引き続きやっていただくということで今は考えております。

山本(幸)委員 中央銀行の独立性というのは、考え方を整理しなきゃならない。

 目標の設定の独立性と政策手段選択の独立性と二つあるんです。主要国は、目標設定の独立性は政府ですよ。政府、あるいは政府と中央銀行が合意してやる。そして、完全に独立性を認めるのは政策手段の選択の独立性ですよ。だから、あなたが、目的はこうだ、インフレは何%にしろと政府が言うことは、主要国の常識なんですよ。それをあなたは知らないの。

安住国務大臣 知っております。政府が方向を決めて、その方法論について中央銀行というものがその権限を与えられているということを先生は以前から御主張なさっておられます。

 だから、私どもとしても、総括的に、この国の財政政策やデフレ脱却に向けて、先ほど古川大臣からも説明したような財政出動も含めてやる。しかし、フレミングの法則でいえば、財政出動だけでは全く効果というものがあらわれないので、金融政策においてこれをやはり調整するんだというのが先生の御主張であり、フレミングの理論であります。

 そういう意味では、私も先生から何度か質問をいただいておりますけれども、しかし、今の日銀法を改正して、これは、あえて言えば自民党政権下でずっとやってきたわけですけれども、そういう意味での政策選択をしっかり日銀にやっていただくということについて、緩和の方法論ですね、これはやはり基本的には日銀にやっていただく。

 ただ、方向として、やはり我々としては、デフレを脱却して、それで、その手段としての緩和というものはぜひやっていただくということで、日銀もそれに対してはしっかり応えてやってきていただいていると思いますけれども、なお引き続き、その必要性というものを私としても日銀の総裁にはお話をしていきたいというふうに思っています。

山本(幸)委員 何を言っているかよくわからないじゃない。だって、あなたは、政府が目的を示すのはよくわかっています、主要国はそうやっているんだ、普通のことですと言ったんだから、それを早く実現しなさいよ。これは法律で書きゃいいんだよ。何でそれができないんだ。

 それをやらないから、自民党が失敗したのはそれなんだ、おっしゃるように。自民党は、そうやってデフレを続けちゃったから政権を失ったんですよ。私はそう思っているんだ。それをあなたがやる覚悟があるかどうかが、財務大臣として仕事をしたかどうか問われるんですよ。その覚悟、ないんですか。

安住国務大臣 先生からもいろいろ御指導いただいて、叱咤激励もいただいておりますけれども、現時点では、やはり、日銀法を改正して、政府がある意味では日銀の選択的政策についてまでいろいろなことを指図するということではなくて、日銀の独立性というものを尊重しながら、デフレ脱却に向けて総合的な政策を国は決めますけれども、それに合わせた緩和策というものを随時やっていただくということが重要だろうというふうに思っております。

山本(幸)委員 手段について言うとは言っていないんだ。目標だけを決めろと言っているんですよ。それだけやればいいんですよ。

 またいずれ、本予算のときなり、しっかり時間をとっていただいてやりたいと思いますので、きょうはこれで終わります。

中井委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 まず、一般質疑ということでございますので、議事録問題について最初にお話をお伺いしたいと思います。

 今回の震災関連の政府が設置した十五会議のうち、十の会議で議事録を作成していなかったということが明らかになりまして、そのうち、原子力災害対策本部と緊急災害対策本部、被災者生活支援チームの三会議、これは、議事録だけではなくて議事概要もつくっていなかったということが明らかになって、特に、原子力災害対策本部が昨年末まで二十三回開かれてきた、それの内容が今わからないわけですね。

 岡田副総理が二月中をめどに事後的な記録をつくるように関係閣僚にお話をした、指示をしたということも報道でありましたけれども、まず最初に、なぜ議事録をつくらなかったのか、また、つくれなかったのか、この点をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 まず、ちょっと議論を整理したいんですけれども、公文書管理法で求められているのは、必ずしも議事録そのものではございません。この四条で書いておりますのは、文書を作成するということでございます。

 公文書管理法四条は、関係行政機関の長で構成される会議等の決定または了解及びその経緯などについて、文書を作成しなければならないというふうに書いているところでございます。したがって、議事録などが作成されていないことをもって、直ちにこの公文書管理法違反ということまでは言えないということでございます。

 ただ、事後的に検証するためにという法の趣旨、目的からいうと何らかの記録は必要で、そういう意味で、議事録も、そして議事概要すらないということは、やはり問題であるというふうに認識をしております。

 事後的につくることも認められておりますが、もう時間も大分たっておりますから、そういう意味で、事後の対応も含めて問題があったというふうに考えているところでございます。

高木(陽)委員 過去も議事録がなかったということが指摘されておりまして、例えば阪神大震災のとき、また中越、これは自公政権、そしてその前の自社さ政権ですね。

 ただ、ちょっと違うのは、昨年の四月に、公文書等の管理に関する法律、公文書管理法ですね、これが施行された。今、岡田副総理もお話しになられまして、それは法律違反ではないと。

 もう一つ問題は、今回は千年に一度の大震災だ、こういうふうに言われている。さらには、未曽有の原発事故がありまして、世界各国が注視している。この政府の対応がどうであったのか検証して、何ができて何ができなかったのか、これを明らかにすることで、未来に対する責任、さらには国際社会としての責任だと思うんですね。

 そういった中で、公文書管理法が平成二十一年の六月に審議をして成立をしたとき、これは民主党の皆さん方もかなり修正をやりまして、最終的には全会一致で成立をするんですが、そのときに、条文として、まず第一条の目的のところで、「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、」を加えたわけです。まさに民主主義の根幹であると。

 もう一つは、先ほど副総理も指摘された第四条、ここで加えられたのが、「第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう」ということを入れるとともに、政令に定めるところだったのを「次に掲げる事項その他の事項について」というふうに改めて、各号を加えた。その各号の中には、「閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議」、こういうふうに書いてある。

 そうなりますと、今回の十五の会議、なかった十の会議、さらには議事概要もなかった三つの会議というのはこれに当てはまると思うんです。

 そうなってきますと、つくれというふうに言っているんじゃないんだというふうに今言われましたけれども、この文章、この法律文、条文を読む限りにおいては、「文書を作成しなければならない。」と四条にもありますから、しかも、その内容等々も含めた場合には、これは法律違反に当てはまるのではないかなと考えるんですが、その点、どうでしょう。

岡田国務大臣 まず、法の趣旨からいうと、今委員も言われましたように、「事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、」と書いてありますので、軽微なものを除いて、後からきちんと検証できるようなものは必要であるということは言えます。

 ただ、ここではあえて議事録という言葉を使わずに文書ということで書かれているわけで、そこは若干の幅は認められている。もし議事録が求められるということなら、法律で議事録というふうに明記されているはずで、そこのところについては必ずしも議事録でなければならないということではないと思います。

高木(陽)委員 この法律には罰則規定がないので、違反したからどうのこうの、この法律に基づいて何か処分をするかという形にはならないと思うんです。

 ただ、民主党も主張して第一条の目的にも入れたその概要を考えると、まさに今回の千年に一度の震災対応または原発事故の対応というのは、記録として残さなければいけない。

 副総理は、事後に、これからやるんだというふうに言われていますし、これはこれで、何とかそれを復元してやらなければいけないと思うんですが、やはり、民主党の今までの、特に野党時代は、政府の記録を執拗に求めていた、こういう委員会等々で。例えばインド洋の給油問題なんかは、航海日誌まで出せ、こういうような話もございましたし、年金記録問題等もありました。また、それ以外の委員会でも、例えば皆さん方は今、政府側に入って、資料請求、また、質問通告における事前のレクからの資料をこうやってつくれ、これを提出しろ、こういうのはすごくあったと思うんです。また、今も逆に野党側からあると思います。

 大切なことは、政局にすることだとか、または政府・与党を執拗に批判するためということではなくて、まさに今回の問題は、民主党も主張していた情報公開、また検証できるという、そういうことが一番重要だと思うんですね。

 先ほど罰則規定はないと言いましたが、これは国は当然やるものだという前提だと思うんです。こういう法律をつくりました、まさに公文書管理法というのは、管理の方の法律になってきますから。

 そういった中で、昨年四月の一日にこれは施行されて、このときに実は閣議がございました、四月一日の閣議。公文書管理委員会というのが開かれておりまして、第十回の議事録がまさに公開されまして、この資料に基づきますと、その担当の課長が、

  それでは、資料一―一から説明してまいりたいと思います。

  資料一―一でございますけれども、公文書管理法の施行状況ということで、私ども制度官庁の内閣府の取組を御紹介したいと思っております。

ということで、当時蓮舫大臣、担当でしたから、蓮舫大臣のお言葉、閣議での発言を引用されているんですね。

  まず施行日に当たります四月一日に、閣議におきまして先ほど御紹介のありました蓮舫大臣の方から閣議発言ということで御発言いただいております。

その内容が、

  内容としては、本日より、一昨年に国会において全会一致で成立した「公文書等の管理に関する法律」が施行となり、新たな公文書管理制度が開始。本制度は、公文書が民主主義の根幹を支える基本的なインフラであり、国民の貴重な知的資源であるとの認識の下、その適切な管理に向けて、各行政機関の文書管理について統一的なルールを定めるものであり、円滑な施行に向けて職員一人一人の意識改革と地道な実務上の努力が必要不可欠。先般、

ここからなんですね。

 発生した平成二十三年東北地方太平洋沖地震、現在は、東日本大震災と呼んでおりますけれども、それへの対応をいただいている中での施行となるが、政府一体となって適切な文書管理の徹底を図るため、各閣僚におかれても、今後とも所属の職員の御指導をお願いいたしたいという発言をしていただいております。

蓮舫大臣が、四月の一日、震災からまだ一カ月たっていませんね、こういうことを言っている。

 当時副総理は幹事長でしたから、閣議には出ておりません。そこで、当時官房長官だった枝野経産大臣、この発言、御認識はありますか。覚えておいでですか。

枝野国務大臣 よく覚えておりますし、官房長官として、今の蓮舫大臣からの指示、よろしくお願いしますという趣旨のことを申し上げております。にもかかわらず、結果的に議事概要等が残っていない部分があったことは、大変申しわけなく思っております。

高木(陽)委員 先におわびされましたけれども。

 そのときに、官房長官はそれぞれいろいろな会議に官房長官として出られていたと思うんです。そういう議事録があった、またはつくっている、そういう認識があったのかどうか。

枝野国務大臣 議事録をとるには、録音のための機器等を配置しているのが普通だろう、これは事実関係はわかりません、と思っていましたので、そういったものがない会議が、むしろ、特に最初のうち普通でありましたので、議事録そのものまで全部、速記のように起こしてというものがないものがあるであろうということは認識をしておりました。

 その一方で、私自身も、今御指摘いただいた公文書管理法の制定プロセスで、民主党の与野党交渉の担当者の一人でもございました。それだけに、公文書管理法も施行されるので、公文書管理法に予定されている、法の趣旨を踏まえた議事概要とか議事メモというものはつくられているものという思い込みをしておりまして、念のためにしっかりと本当にあるのかどうか確認をすべきだったという御批判は甘んじて受けなければいけないというふうに思っております。

高木(陽)委員 その後、今度は五月に、官房長官は記者会見でこういうことも言っておられるんですね。

 記者からのいろいろな質問を受けて、検証についての話で、官房長官は、総理だけではなくて、私や細野補佐官も含めて、それは政府や東京電力、全体の事故に至るまでのプロセス、それから事故発生直後のプロセスというのは、全て検証しなきゃいけないというふうに思っております、そういう認識だったと思うんですね。さらに、そうしたことを第三者性をしっかりと確保した中で検証していただける委員会を今立ち上げるべく、準備を進めていますと。これは、まさに政府の中で、第三者委員会ができました。

 さらに記者の質問があった後、関連する件で、今、総理の行動それから長官、官房長官ですね、長官の行動等がその検証の対象になるということだったんですが、その場合、官邸内で行われた会議の議事録等も検証委員会に提出するとかそういったこともあり得るんでしょうかという質問があって、官房長官は、例えば原子力災害対策本部等については一定の議事メモは残っているかというふうに思いますが、まさに危機管理、危機対応ですので、議事録をとるような場がほとんどなかったというのが実態でありますので、多分この間の記憶に基づく証言等を求められることにもなるものと思っておりますと。ここでは官房長官は、最初はがたがたしていたから、議事録等はほとんどなかったという実態でありますがというふうに言っているんですね。

 問題は、そこからなんです。そこで、では、それをつくりなさい、そういうふうに言ったかどうか。

 きのうも本委員会で出ていたこの議事録問題で、報道機関からの情報公開請求でいろいろ調べてみたら、できていなかったなということで、岡田副総理がことしに入ってそれを公表される。この五月の段階で、こういう質疑を受けているわけです。しかも、議事録はちゃんとしたものができていないという認識も言われている。その段階はしようがないと思うんです、ある意味で言うと。問題は、その後に手を打ったのか、指示をしたのかどうか。どうですか。

枝野国務大臣 そのときの会見でも申し上げておりますとおり、議事録はないものが多いだろうと。ただ、議事メモという表現をしておりますが、まさに公文書管理法が施行されていることを承知もしておりましたので、公文書管理法に基づく、公式の会議等についての議事メモ、いずれも事務方もたくさん入っていた会議ですので、つくられているものという思い込みをしておりまして、確かに、御指摘いただければ、その時点で、念のために本当に議事概要という形できちっと整理されているのかという確認をすべきであった、こういう御指摘は甘んじて受けたい。大変申しわけなく思っております。

高木(陽)委員 これは、あれだけの大震災で、政府の対応、特に被災地での対応そして原発の対応、さまざまなことがあって、混乱状態だったと思うんです。最初はできなかったのはいたし方がない。ただ、やはり千年に一度という言い方はもう三月の段階では言われていて、まさに原発事故対応においては今までにないメルトスルーの問題にまでいっている、それはもう官房長官は当事者として御存じだったと思うんです。

 やっているときの対応は仕方がないんですけれども、その後、もう一年近くたっていますから、それをもう一度起こしていくとなると、これはなかなか大変なんじゃないかな、こういうふうに思うんです。

 さあ問題は、今後の議事概要、議事録とまではいかないかもしれませんけれども、議事概要の作成、これをどうやってやっていくのか。まずは岡田副総理にお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 それぞれの委員会の所管省にある程度お任せしているわけですが、それぞれの会議は、そう小さな会議、限られた会議ではなくて、役所からも当然、政務だけではなくて、人が出ているということが一般的で、そういう意味では、メモをとっているケースが多いのではないか。そういうものを集めながら、ここは事後的で大変残念ではありますが、状況を再現していくということが必要かというふうに思っております。

高木(陽)委員 今、メモ等を集めてやっていくというお話がありました。これはそれぞれの担当の、所管の役所または大臣の指示のもとでやっていくと思うんです。

 十五のうち十が議事録がない。ただし、その中で議事概要はあるということで、全くない三つ、及び議事概要が一部しかないということで、それが五つ、これについてやっていくということだと思うんですけれども、そこら辺の当時のメモまたは録音、こういうのがあるのかどうか。そうやって指示が出てもう一週間以上たっていますね。そういうことも確認されているかどうか。

 まず原子力災害対策本部、これは経産省が担当になる、これはどうでしょう。

枝野国務大臣 これは経産省あるいは原子力安全・保安院が事務局ということになっておりますが、そこだけではなくて、全省庁、事務方を含めて多数の方が会議に出席をしておりましたので、事務的には一月二十五日付で、そして、さらに一月二十七日は私から政務を通じて各府省に対して関係資料の提供をお願いしているところでございまして、幾つかの出席者のメモが存在しているところまでは確認をしております。

 それが全ての回について全部あるかというところまではまだ確認ができておりませんが、できるだけ各省庁に御協力いただいて出席者のメモを集めていきたい。その上で、さらに、出席した方に御発言の内容等について確認をする等の努力もしたいと思っております。

高木(陽)委員 同じように、緊急災害対策本部、事務方は防災担当の方になると思うので、さらには被災者生活支援チーム、これらの当時のメモ、録音等、これはどうなっていますでしょうか。

平野(達)国務大臣 今、両会議とも、当時のメモ等々を集めまして議事録に再現するという努力をやっているところでございます。

高木(陽)委員 問題は、それぞれメモが集まってきます、または録音等がもしあったら、それはそれでかなり正確なものになると思うんですけれども、最終的にこれはそれぞれ誰が取りまとめるのか。まとめて、誰が最終的に、オーケーサインというんですか、最終チェックというか、総括文書の管理者になっていくのか。

 何でこんな質問をするかというと、これは、こういうふうに言ったら失礼になるかもしれませんけれども、民主党も、政権に入って二年半、いろいろと戸惑うこともいっぱいあったと思うんです。野党のときは、そうやっていろいろと追及をされながら、資料を出せ、どういう経過だったんだ、こういうことを言っていましたけれども、いざ自分たちがなってみると、なかなかそこまでいかなかった。

 そんな中で、こういう震災等々があって、いろいろな問題になる。政策決定の透明性というのは、野党時代、かなり求められていたと思うんです。どういう経緯で、なぜその判断がなされたのか。しかも、今回の震災、そして原発の事故というのは、そういう対応だと思うんですね。

 ただ、私たちは野党ですから、政府部内でどういう議論が行われて、どういう決断が行われたとか、私たち公明党もいろいろな提案、提言もしてきました。それが取り入れられたものもありますけれども、取り入れられないものもある。それはなぜなのか。もちろん、予算が足りないとか、いろいろなこともあると思います。でも、やはりそういうところの過程を明らかにすることが、今なお震災で御苦労されている被災者の皆さん方、原発で避難されている方々、そういう方々が、なるほど、こういうことだからなかなか手が回らないのかと。納得はしませんよ。納得はしないけれども、そういうことを明らかにしていくことが必要だと思うんです。

 そうなってきますと、都合のいいものだけが残るんじゃないかな。よく頑張ったんだ、これは、菅前総理が退任するときに、私はやったというような発言をされた、やることはやってきたみたいな、ある意味でいうと開き直った言い方をされた。そうすると、そういう情報を持っている人が、自分に都合のいい情報だけを出していく可能性があるんじゃないか。だから、議事録だとかそういう公的なものが必要なわけですね。

 ところが、後からつくるとなると、これはまずいんじゃないかな、この発言はちょっと批判を受けるなだとか、そういう恣意的なものが出てくるんじゃないかな。もちろん、メモを全部集めてそのままやればいいでしょうけれども、議事概要だとか議事録という形でやる場合には、それは整合性を持つ、時間差の中で。

 最終的にそういう判断を誰がするのかということ、そこら辺の過程のところも明らかにしていかないと、政府の言葉というのは、特に今回の震災、原発対応等はなかなか信用されていないわけです。科学的見地に基づいて言っていたとしても、それは本当なのか、一方ではこんな意見もあるんじゃないかということで、いまだにいろいろな問題に対して不信感があるということが大きな問題だなと思うんですね。

 そうなってきますと、誰が取りまとめ、最終チェックするのか、それぞれの対策本部等ではどうなっているのか。まずは経産大臣。

枝野国務大臣 先ほど、議事概要はつくっているものだと思い込んでいたということで申し上げましたが、逆に、震災発生後から、さまざまな非常に膨大な量の書類が、少なくとも私の前を通ったものだけでもございまして、まさに公文書管理の観点から、こういうのは捨てちゃいけないのはわかっているだろうなということを実は再三言ってまいりました。

 そして今回、議事概要、原子力災害対策本部、取りまとめるのは災害対策本部の副本部長としての私の役割だというふうに思っておりますが、その議事概要を整理するためのメモ等も公文書でございますし、これだけ重要な案件についてのメモであれば、これは廃棄の対象になるようなことであってはいけないというふうに思っております。

 もちろん、内容的にいって直ちに公開ができるものであるかどうかは別問題だと思っておりますが、議事概要をつくるためのメモも含めて公文書としてしっかりと保管をするよう原子力災害対策本部については徹底をいたさせまして、後世にしっかりと、議事概要をつくるための資料まで含めて検証していただくように残したいと思っております。

高木(陽)委員 では、防災担当の平野大臣。

平野(達)国務大臣 今、事務局で整理をして、さらに各省に投げておりまして、各省からいろいろな返事が返ったものを踏まえて、今、最後の精査をしております。

 最終的にこれをまとめる責任者というのは私だと思っておりますが、今回の場合は、その段階その段階でまとめたものではなくて、こういったメモ等々をやって再現したものですという注釈つきの公表をするということが基本だと思います。

 それからあと、メモ等々について扱いをどうするかということについては、これは岡田副総理を先頭にいろいろ検討しておりますので、その検討の結果を踏まえて対応したいというふうに思います。

高木(陽)委員 枝野大臣も平野大臣も、そういった部分ではしっかり歴史の検証にたえ得るものにしなきゃいけないという認識があると思うんです。

 そういった部分からいうと、今、平野大臣からもお話がちょっとありました、また枝野大臣もあったのは、議事概要だけ見れば、または議事録を見れば全部わかるということが理想だと思うんですけれども、やはりこれは、後からつくるということで、メモその他そういった参考資料、これは公文書としてきっちりと残す。公開の時期だとか、それはまたいろいろと検討しなきゃいけないと思うんですが、そういったものも残すということでやっていっていただきたいと思うんですけれども、岡田副総理、どうですか。

岡田国務大臣 今回のことは、私も本当に残念なことだと思うんですね。大震災あるいは原発事故、それについてきちんと記録を残す、そして後世に伝えるということは我々の責任ですから、現時点でそのことが十分にできていなかったということは非常に残念なことで、事後的にできる限りのことをしなければいけないというふうに思います。

 私の方としては、公文書管理委員会というのがございます。その管理委員会を近々招集して、二つのことをお願いしようと思っています。一つは、なぜこういう事態になったのかということについて、きちんと関係各府省からも聞いて、一定の結論を得るということが一つ。それからもう一つは、今後こういうことが行われないために何をすればいいのか。

 先ほどの議事録の扱いなども、法律上は文書とあえて書いてあるわけですが、議事録というものをどのぐらいの範囲でとるべきなのかどうなのかとかいうことも含めて、しっかりとこの第三者に御議論をいただいて、その結果を踏まえて対応を考えていきたいというふうに考えています。

高木(陽)委員 先ほどから申し上げているように、民主党の情報公開を求める姿勢、これは僕はすごく評価していたんです。私たちも与党のときに、それは公開しなきゃいかぬよね、そういう思いもいっぱいありました。それがようやく、法律までつくってそういう形になってきた。

 問題は、先ほどちらっと申し上げた、政権に入ってなかなか戸惑っている民主党の皆さん方が、やはり政策決定過程に対しての責任感。権限を持っているわけです、皆さん方は。僕らは野党ですから、やりたくても予算の編成権もないし、そうなると提案をする、提言をする、そういう形で今まで、特に震災の復旧復興に関してはやってきました。

 そういうところで、政権交代からの二年半、例えば政務三役会議というのができた。そこで決めるんだ、政治主導なんだ、これはこれで一つのあり方でしょう。しかし、そこの決定過程、最終権限を持っているその会議で、事務次官以下は入れない、入るところもあるんでしょうけれども、入らないところもある、そこで決められる。でも、なぜ決まったのか、どういう議論があったのかということがわからない部分というのは今までもたくさんあったと思うんですね。

 これは、政官業の癒着ということで、リクルート事件、その前のロッキードからずっと始まりまして、いろいろな問題が起きて、政治改革法案というのが九三年、そして九四年に成立をしました。枝野さんも僕も同期で、そのときに賛成した側でしたね。

 そのときにいろいろ議論になったのは、政治改革、政治と金の問題でいろいろ出てきたときに、政官業の癒着という言い方があった。これは自民党さんには大変失礼なんですけれども、当時、自民党の党内での決定が意思決定になっている。そこには、ある意味でいうと、政府とまた違うところで決められる、それがいけないとずっと民主党は言ってきましたね。逆に言えば、見えないからだ。

 ところが今回は、政権交代をして、僕らにとってみれば、国民にとってみれば見えないんですよ。だから、そこを明らかにしていかなきゃいけない。または民主党の党の決定のシステム、または政務三役会議のシステム、そういうものも、別に、議事録をつくれ、つくらないじゃない、やはり見えていくことが政治にとって必要なのではないかな、こんなことを考えているんですが、岡田副総理、どうですか。

岡田国務大臣 これは各省で違うかもしれませんが、政務三役会議で最終決定をする、政務三役だけでするということは今は余りないんじゃないかと思うんですね。やはり役所の側も入れて決定しているというのが普通ではないかというふうに思います。

 いずれにしても、どういう形であっても、意思決定プロセスというものが少なくとも説明されなければならないわけで、後世きちんとわかるための必要な資料というものは、これは残さなければならないというふうに思っています。

高木(陽)委員 前の菅前総理もそうですし、今の野田総理も、歴史という言葉を結構よく使いますね。歴史にたえ得るかどうか。歴史にたえ得るためには検証しなきゃいけない。検証するデータがなきゃいけない。ところが、なかなかそのデータがないと、結局検証しようがない。

 ですから、国会の中にできた調査委員会の委員長も驚いているわけですね。本当は、その議事録等があった上で、それで今度はそれをベースにしながらいろいろとヒアリングをして調査を深めていくのに、大もとがないと調査のしようがない、こういう現実があると思うんですね。これはまさに原発の問題、そして震災の対応の問題だけではなくて、これからさまざまな課題があると思います。

 僕は、民主党の隠蔽体質という言い方はしません。そうじゃないと思う、本当は。ところが、やはりそれだけの余力がない。これは余力がないということは、逆に言ったら政権担当能力にちょっと疑問符がつくのかな、こういうふうに思うんですね。

 だから、ここのところをどうしていくか。これは、例えば今後政権がどういうふうに、かわるかもわからない、選挙があって。また私たちの方が政権を担うかもしれない。これは、私たち政治に携わる人間にずっと問われ続けている問題なんだ。これをやはり民主党の皆さん方は自覚しなきゃいけない。

 僕は、菅さんは、もうやめられたから余り言ってもいけないと思うんですけれども、結構開き直る。今までの、この一年数カ月の、特にこの震災発生以降のお話、またいろいろな会見等々を見られると。やはりそういう態度はよくないと思うんです。国民に対して、主権者に対して、あくまでも丁寧に説明していく。

 だから、今回の社会保障と税の一体改革、きのうは我が党の石井政調会長が質問しました。数字の問題、出してくださいと。僕は、出して堂々と議論した方がいいと思うんです。いいか悪いか、それは最終的に国民が判断しますよ。でも、ここのところを曖昧にしてしまう。その曖昧にする姿勢がこの議事録問題の根本にもつながっているんじゃないかな、こういうことを指摘させていただいて、もういいです、答弁は。

 きょうは、総務大臣もお招きして、ちょっと震災のお話だったんですが、締めくくり総括質疑でも質疑をしますので、そのときにやらせていただくということで、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 震災から間もなく十一カ月が過ぎようとしております。また、東京電力福島原発事故は、国民と子供たちに大変な被害を与え続けております。

 福島第一原発から放出されたセシウム137の総量は、広島型原爆百六十八個分にも相当すると言われております。福島県では、小学生の子供が母親に、お母さん、僕は長く生きられるのと聞いたとか、中学生の女の子が、お嫁に行けるかどうかと真剣に聞いてきたといった話が伝わっております。親たちはその言葉に絶句をして、どう答えていいのかわからなかった、こういう話ですね。何とも胸の張り裂けるような話であります。

 放射能の被害から子供の健康を守るということは、全ての親の願いであり、日本社会の未来にかかわる大問題です。きょうは、学校給食食材検査の問題について取り上げたいと思います。

 まず、文部科学省は、給食の食材の放射能検査を求める国民の声に応えて、昨年十一月の第三次補正予算で、給食の食材の事前検査を行う安全・安心のための学校給食環境整備事業というものを実施しております。

 まずお伺いしますけれども、この事業の進捗状況はどうなっておりますか。

久保政府参考人 お尋ねの、第三次補正予算により実施しております安全・安心のための学校給食環境整備事業につきましては、予算成立後の十一月三十日に対象となる十七都県に要綱を配付して申請を受け付け、一月二十日に交付決定を行ったところでございます。

 これを受けて、現在、各都県におきましては、機器購入に向けた手続を行っておられるところでございます。

宮本委員 まだこれから器械を買うんですね。機種はNaIシンチレーションスペクトロメーターというものらしいですけれども、これは今品薄で、最低でも二カ月は待たなければならないと聞いております。昨年末に内示して、これから各県で入札して、業者を決めて発注し、さらに二カ月たつということになれば、これが動くのは新学期からということになりますね。今年度中の給食には全く間に合いません。

 確認しますけれども、国の予算において学校給食食材に限って放射線検査を行っている検査機器というものは、福島県を中心とする対象地域を含めて、現瞬間ではただの一台も稼働していない、これは事実ですね、大臣。

平野(博)国務大臣 宮本議員の御質問でございますが、そういう御質問については、今現在、学校給食のみ云々ということについてはこれから整備をしていくということでございますが、今回の議員の御指摘にもありましたように、やはり、放射能から命を守る、子供を守る、こういう考え方でいきますと、特に食品の安全という観点から見ますと、まず一番大事なことは、食するわけでありますから、出荷段階からまずチェックをかけていきましょう、こういうことで、三月十七日、暫定の数値を決めて出荷レベルでまず規制をしてきた、こういう経過がございます。

 また一方、消費者庁におきましても、十月に受け付けをいたしておりまして、各自治体向けに検査機器を貸し出ししている、こういうことでございまして、これらの機器を活用して学校給食の食材をチェックする、こういうことも可能でございます。具体的には、十一月の一日には第一次配分として二十四台、十一月の三十日には第二次配分五十台、こういうことでございます。

 先ほど申し上げましたように、三次補正予算によりまして、学校給食の検査機器にも補助事業として各都県の機器購入に向けた手続を今行っている、こういう御報告をいたしましたので、ダブルチェックをかけてでもやっていこう、こういう考え方に立っております。

宮本委員 食品安全のチェックがどうかというのは後でやります。それから、消費者庁の施策という話がありましたが、私は文科省の施策がどうなっているかと。現時点では一台も動いていない、これからだという話は事実だと思うんですね。

 それで、被災地中心の十七都県という極めて限定された地域で、一台二百五十万円程度の器械を一都県当たり最大で五台程度の補助をするという事業なんです、三次補正の事業は。いまだに動いていない。実際に検査が始まるのは来年度の新学期を迎えてからという悠長な話です。自治体はそんなものを待っていられないんですよ。既に始めているわけですね。

 福島市では、ベラルーシ製の放射能測定器を四台購入して、小中学校と特別支援学校計七十三校の食材三から六点を測定、給食センターは週一回、単独給食実施校は月二回程度やっている。郡山市では測定器二台を使って提供された食材の検査を行っていましたが、二月下旬からは新たに測定機器を購入して事前検査も行うと言っております。須賀川市も、一月下旬から測定器を購入し、給食食材の検査を開始すると言っております。

 そこで、文部科学省に改めて確認しますが、福島県内で食材の事前検査を独自に実施している市町村はどれぐらいありますか。

久保政府参考人 これまでに、福島県内で独自に機器を購入するなどして学校給食の食材の事前検査を行っておりますところは、五十九市町村中十九市町村となってございます。

 以上でございます。

宮本委員 まだ十九市町村なんですね。

 平野大臣が福島市の給食センターを視察された際に、福島県知事から、希望する全ての自治体に給食の放射線測定器の配備をと改めて要望されたと報じられております。子供たちを内部被曝から守ろうというのであれば、一都県最大五台などと言わず、全ての学校の全ての給食をきちんとチェックできるだけの予算措置を講ずるべきだったと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

平野(博)国務大臣 今、宮本議員がおっしゃいましたが、私は、各学校に全て配置をすることが目的ではなくて、子供さんが食することについてのところにどう対応するかということが基本だと思っております。

 したがいまして、つい先日、私も福島県の知事さんにもお出会いをいたしまして、御要望を頂戴しました。したがいまして、そこでお約束申し上げたことは、給食センターでいいのか、各学校でいいのか、このことを含めて、私は、必ず早急にそういうことの体制を整えさせていただきます、こういうことを申し上げたところでございます。

宮本委員 やはり全ての給食を、口に入るものをきちっとチェックしてほしいというのが被災地の切なる願いでありますし、もちろん全国の願いなんですね。

 あなた方は新年度の予算案にはモニタリング事業というのも入れているんですけれども、これは事後の検査なんですね。事前にきちっとチェックされる必要があると思うんですよ。

 しかも、これは十七都県ということになっております。なぜこの十七都県に限定したのか、お答えいただけますか。

久保政府参考人 この事業の地域限定等の理由でございますが、まず食品の安全につきましては、規制値を超えるものが出回らないように、出荷段階で検査が行われて、出荷制限等の措置がとられることになっている。このことを前提としながら、より一層の安全、安心の観点から、これら検査体制に加えまして、さらに学校給食の食材を検査する事業を実施しているところでございます。

 このことを踏まえました上で、事業の対象につきましては、地域の実情等に応じながら、地元や周辺の地域の食材が給食に多く使用されていること、それから出荷段階での検査による放射性物質の検出状況などを考慮いたしまして、東北及び関東甲信越と静岡県の十七都県としているところでございます。

宮本委員 出荷段階でチェックしているからというのは、果たして言えるかどうかですよね。そういうことを前提にできるかどうかです。

 あなた方は、四月の十九日、最初に定めた、福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方、これは随分昨年議論をやりましたけれども、このときも、食物や水については、暫定規制値が定められており、それを上回る食品等に対しては出荷制限等の措置が講じられているため、流通している食品等については、内部被曝に有意な影響を与えることはない、こう言っておりました。しかし、昨年八月、稲わらから放射性セシウムに汚染された疑いのある牛肉が学校給食食材として使用されていたことが明らかになり、大問題になりました。

 文部科学省はその後、学校給食における放射性物質に汚染された稲わらを給与された可能性のある牛の肉の使用報告というものをとっておりますけれども、十二月一日現在で、どれだけの都道府県、どれだけの市町村、どれだけの学校、園にこの牛肉が使われたということになっておりますか。

久保政府参考人 学校給食におきまして放射性物質を含む稲わらを餌として与えた可能性のある牛の肉を使用していたとの報告を受けておりますのは、昨年の十二月一日現在で、十八都府県四十六市区町村、四百三十三校、二十六園となっております。

宮本委員 すごいですよ、これは。十八都府県四十六市区町村、四百三十三校、二十六園。これは、食べた可能性のある子供の数は、驚くべきことに十八万人ということになります。うち暫定基準値を超えた学校が二校。宮城県では、一キログラム当たり千二百九十三ベクレルという恐るべき数値が出ました。

 出荷制限等の措置があるから大丈夫、こんなのは何の根拠もないことですね。これで、どうして流通している食品等については大丈夫だと言えるんですか。大臣、いかがですか。

平野(博)国務大臣 大丈夫とか云々ということではなくて、より安全に、より安心して食していただく、こういうことでやっておるわけであります。安全というのは、規制値を設けてやっているわけであります。そういう意味では、先ほども申し述べましたが、やはり大きな網かけをまず出口のところからしていきましょう、こういうことが一つの、出荷制限、そういうところでありました。

 しかし、一方、食する手前で、こういう食材についてはどうなんだということについても、特に子供さんについてはやはりしていかなきゃならない、学校給食においてはしていかなきゃならない、こういう考え方のもとに今やっておるところでございまして、そういう意味では、先生の御指摘も含めながら、三次補正並びに二十四年度の予算にも計上させていただいておりますけれども、学校給食のモニタリング事業、これは関係省庁としっかり連携しながら、要は、より安心していただく、安全な食材を食してもらう、こういう考え方で取り組みをしていきたいと考えております。

宮本委員 大丈夫とかではなくてと。大丈夫では全然ないんですね。

 あなた方が言う学校給食モニタリング事業、これは東大の早野龍五教授等が提案されている内部被曝の累積線量を見ると、これはこれで意義のあることなんですよ。しかし、これは口に入った後わかるんですよ。事前検査じゃないんです。ああ、これだけ入っていましたねとわかったときには、もう食べた後なんです。

 私がここにこだわるのは、流通しているから大丈夫というふうには言えないんだ、しかし、入り口で、口に入る前にとめる体制はどうかというと、十七都県でしかやらない。しかも、一都県五台程度で終わっている、それ以外のところは全く手つかず。こんなことでどうするのかということを言っているわけですよ。

 そもそも、食材のチェック体制というのは大甘なんです。昨日も、福島県産の米が安全宣言後にチェックをすり抜けたことが議論になっておりました。別に、食材を全部チェックしているわけではないんですね。サンプル調査にすぎないわけです。

 きょうは鹿野農水大臣にも来ていただいておりますが、これは事実だけですが、昨日、暫定基準値を超える米の問題を問われて、調査、検査体制が十分だと思っていたところがそうではなかったことについては反省しているというふうに答弁されました。これは事実ですね。

鹿野国務大臣 そのとおりでございます。

 基本的に、農林水産省が設計した調査を行った後に暫定値を超えるものが検出されたというふうなことは真摯に受けとめなきゃならない、そういうことで、これから、農家の心情というものをしっかりと受けとめて、県なり市町村と連携して、来年度に向けて対処してまいりたいと思っております。

宮本委員 文科大臣も昨日、同じ質疑の中で、全国にくまなく綿密にやられているかは今後の課題だ、こういうふうに全体の流通についてもおっしゃったわけですね。

 だから、自分たちが別に、水も漏らさず全部チェックされているとはなかなか言い切れない現状があった、またこれからもある可能性がある、そうわかっているのであれば、それこそ、子供たちの口に入る手前で、わかったときには食べた後というのではなくて、食べる前にチェックする体制をとり切るというのは当たり前じゃないですか、大臣。

平野(博)国務大臣 今の委員の御指摘、ある意味では正しい御指摘だと思います。

 ただ、きのうも御答弁の中で申し上げましたが、非破壊でスピードを持って検査をする、この機器の開発というのがなかなかまだ難しい、こういうところもありまして、したがって、次善の策としていろいろな方策をしながら、結果として子供さんにはより安心して食していただく体制を整備しよう、一方では、科学技術の進展によって、瞬時にその線量が測定できる、こういう機器もやはり開発をしていかなきゃならない、こういうふうに考えているところでございます。

宮本委員 ダブルチェックと言うんですけれども、出回っているもののチェックも水も漏らさずとはなっていなかった。それから、口に入るところでのチェックも全部漏らさずやることに現時点ではなっていない。こういうことは大問題だと思うんですね。

 それで、先ほどの使用報告のあった県を見ると、東日本にとどまりません。大阪府、三重県、島根県、山口県、香川県、福岡県、佐賀県と、西日本を含む日本全国で使われておりました。

 私の住む大阪府岸和田市では、二つの小学校で使用されました。父母からは、子供の口に入るものは家庭の食材も産地を気にしている、給食は食材を選べない、必ずチェックしてほしいという声が出され、現場の給食調理員さんからは、岸和田では自校調理で特に給食の安全には気を使ってきただけにショックだ、放射線などは現場の努力ではどうにもならない、食材の事前チェックはぜひとも必要だと語ってくれました。

 一月三十一日の沖縄タイムスによりますと、沖縄本島の小学校給食で使われた長野産のキノコからさえ放射性セシウムが検出されたと報じられております。

 ですから、私は、このチェックは十七都県だけで事足れりということにならない、十七都県以外の府県も、少なくとも子供たちの口に入る前に給食の食材を検査する必要がある、このことは文科大臣もお認めになりますね。

平野(博)国務大臣 したがって、まずは一番現場に近いところ、地産地消、そういうところから見て一番影響のあるところについての十七都県でございました。しかし、今先生おっしゃるように、例えば岸和田であったということも含めて、これからは全国のそういうところについても配置できるようにより頑張っていきたい。

 ただ、全てにと。これは、費用対効果を含めて、しかし、安全ということを考えますとそういう努力はしていかなきゃならないし、そういう予算措置も二十四年度にさせていただいている、こういうことでございます。

宮本委員 子供の口にこういうものを入れてはならないというのは、もう政治的立場を超えて誰もがそう思うことですから、きちっと体制をとっていただきたい。

 放射性セシウム137の半減期は三十年なんです。時間がたてばそのうち鎮静化するというような性格のものではありません。今後長期にわたって食品の放射性物質汚染は続いて、子供たちの口に入れないための戦いが続くことになります。

 そもそも、食品の暫定基準値が見直され五分の一になったり、飲料水が十ベクレル以下に引き下げられれば、今のNaIシンチレーションでは検出下限値に問題があるという指摘もされているわけですね。これからはゲルマニウム半導体検出器の配備も必要になってきます。こういう問題を自治体任せにしておくことは絶対に許されません。

 放射性物質に汚染されたものが決して子供たちの口に入ることがないように、十七都県にとどまらず全国で、国の責任で、民間の能力も活用し最新鋭の検査機器を最大限に確保して、全ての学校給食の検査体制をとり切ることを強く求めて、私の質問を終わります。

中井委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 私は、質問に入る前に一言、沖縄防衛局長の講話問題について触れておきたいと思います。

 五日告示の宜野湾市長選挙を前に沖縄防衛局長が職員に対し選挙絡みの講話を行ったことは、これ自体が、公職選挙法あるいは国家公務員法に違反する権力の横暴だと考えます。

 防衛省の調査では、公職選挙法に違反するものではない、特定候補者への呼びかけはなかったとしていますが、職員の宜野湾市内の選挙権を有する親族、しかも、家族、いとこ、親戚がいるかどうかを調査したということは、明らかに選挙に関与する目的であったのではないか、こういうふうに思われます。

 そこで、補正予算案の採決前に、防衛省としては、真相を明確に明らかにしながら公表していただきますように、心からお願いをしておきたいと思います。

 それでは最初に、水俣病特別措置法の被害救済について質問させていただきます。細野環境大臣に質問いたします。

 特措法に基づく被害者救済の申請が、早ければ三月末にも締め切られるのではないかという報道がされました。このことにつきまして、患者会の多くの方々から不安の声が起こっております。

 細野大臣は二十九日、水俣市、新潟市を訪問されました。被害者団体の皆さんとも意見交換をされまして、そこでは、三月末締め切りは適切ではないとしながらも、熟慮して判断したい、こういうふうに述べておられます。

 改めてお聞きいたしますが、熟慮された結果、申請期限は設けることにされたのかどうか、それはいつであるのか、お答え願いたいと思います。

細野国務大臣 日曜日に水俣市そして新潟市を訪問させていただいて、それぞれの地域の被害者の団体の皆さんとお話をさせていただきました。

 水俣病というのは、半世紀以上にわたりまして、本当に多くの被害者を出し、今もそういった本当に苦しい状態から抜けることができないという方がたくさんいらっしゃるという意味で、非常に大きな、最大の公害問題だと考えております。環境省ができたのは昭和四十六年なんですが、環境省ができた一つのきっかけも、この水俣病の問題であったわけです。

 ですから、この問題というのは軽々しく判断できるものではないというふうに思いましたので、現地を訪問させていただいて直接お話を伺った、そういう経緯でございます。

 そこで、今後の対応なんですが、平成二十一年に超党派で、選挙の直前に、やはりこの問題はしっかりと考えなければならないだろうということで特措法をつくっていただきました。その趣旨というのは、あたう限りの救済をせよ、ただ、三年をめどに申請を確定するということも書かれております。その法律の趣旨に合った対応は何かということをまさに今熟慮しております。

 ただ、いつまでも先延ばしをすることは許されないと思っております。といいますのは、やはり、できる限り多くの皆さんをしっかりと救済していくということも含めて、この期間で皆さんに申請をしていただきたい、そういうことは早目に言わないと、皆さんに手を挙げていただくことができないですから、そういったことを考えると、先延ばしはもう余りできないだろうと思っておりまして、近々、熟慮した結果というのを皆様にお知らせしたいというふうに思っております。

 その際は、もちろん期間はしっかりと設けなければならないわけでありますけれども、その期間の中で、あたう限りの救済に向けて政府として何ができるのかということについても、できるだけしっかりとした考え方を提示して、皆さんにそれこそ納得をしていただきたいし、多くの皆さんにしっかりと手を挙げていただく環境を整えたいと考えております。

中島(隆)委員 これまで約一年半にわたりまして、五万人近くの方が救済申請をされています。最近でも、昨年十一月に五百七十一名、十二月に七百九十八名、毎月五百人を超える方が申請をされています。早期締め切りには極めて慎重であるべきだというふうに思います。蒲島知事も早期打ち切りに反対をしています。それから、新潟の泉田知事も、申請の締め切りを設けるべきではない、こういうふうに言っておられます。

 救済の解決の原則は、今申されたように、あたう限り全て救済をする、こういう明記になっているんですね。しかし先日、私、漁業組合の組合長さんにお会いしました。私は手がしびれる、しかし申請できなかった、それはなぜか、やはり魚を売る組合長としてできなかった、こういう悩みを言って、今申請されているんです。こういう方がたくさんあるんですね。ですから、やはりこれを三年という期限を切って締め切るということは、全ての救済をすることに大きな問題が残ると思うんです。

 そこで、この三年以内をめどとした対象の確定、この時期、熟慮して考えるということですけれども、全てを救済するということであれば、この申請の窓口は継続をして救済する態度が必要ではないかというふうに私は思うんです。特措法では、あたう限りの救済、これは全ての救済を意味するんですが、その点も含めてどうお考えなのか。

細野国務大臣 平成二十一年の法律の制定というのは非常に重いと思っております。平成七年にも一つの政治的な判断が、当時は自社さ政権で行われたわけでありますが、そこでは十分な救済ができなかった、申請期間がわずか半年という期間でしたから、数からいっても全く不十分であったということだったわけです。その反省も含めて、平成二十一年はまさに超党派で議論をして、三年というこの期間の中であたう限りの救済をせよ、そういう立法の趣旨であったと私は考えております。

 ですので、我々がやるべきは、この法律にのっとって、やはり期間はしっかりと設けさせていただきたい。ただし、それこそ唯々諾々とこの期間を過ごすということではなくて、しっかりと周知徹底をして、新潟や熊本や鹿児島におられる方だけではなくて、お引っ越しをされた方もいらっしゃいますので、そういった方も含めて、心当たりのある方には申請をしていただくどういう環境を整えるか、そのことに最大限の力を尽くすことではないかと思っております。

 それは、ぜひ各党各会派の皆さんにもお力をかしていただきたいし、また、メディアの皆さんにも力をかしていただきたいというふうに思っておりまして、ぜひ多くの皆さんが、被害者の皆さんには全員手を挙げていただけるような環境を整えることに、私どもとしては最大限の力を尽くしていきたいと考えております。

中島(隆)委員 それでは、三月をめどで締め切るということではなくて、全ての方の申請を受け付けるために努力をするということであれば、その期間はどういうふうにお考えですか。

細野国務大臣 そこは、やはり一つのめどというのは、三年をめどに確定をするという、ここをどう読むかです。私としては、それこそ、多くの皆さんに申請をしていただくという意味では一定の期間が必要だと考えておりますので、既に三月末は適当でないという判断をいたしました。ですから、その期間がどこかということをまさに熟慮しているということであります。

中島(隆)委員 患者団体の一つで、一月二十二日に五百人規模の検診をされました。そういう中でも、対象地域以外でも九八%から九一%の感覚障害が判定されております。ですから、潜在的な患者が非常に多いということでございますし、それから、今大臣も言われたように、これはもう五十六年たっているんです。ぜひ、全ての救済に向けて、慎重に地域の声を聞きながら対処していただきたいと思います。

 時間が参りましたので、三点目は次に譲りたいというふうに思います。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 イラン情勢について、外務大臣の御認識を伺いたいと思います。

 イランの情勢が大変緊迫しております。イランの核開発の問題というのは、日本にとっても決して対岸の火事ではありません。石油の価格が上がるといったような問題もありますが、それ以上に、核の拡散という観点からも、日本にとって非常に重大な問題だと思います。また、イランの核開発やミサイル開発に関しては北朝鮮も協力しているといったようなことも言われておりますので、もっと日本としてこのイランの核開発の問題、積極的に関与していくべきだと思います。

 しかし、玄葉大臣の先日一月二十四日の外交演説、この中でイラン問題が出てきたのは、全部で十五ページある中で九ページ目の最後の方にさらっと出てきたという印象を受けました。

 よりイランの核問題に関して日本として積極的な立場をとるべきだと思います。その点、今の外務省の対応というのはまだまだ不十分なように感じますが、外務省の御見解をお尋ねします。

玄葉国務大臣 イランの核開発、これは大変懸念をしています。

 この問題は、御存じのように、二〇〇二年にイランのいわゆる十八年にもわたる未申告の核開発が発覚をしたところから始まっているということです。

 どうするのかということに当たっては、一番大切なことは、国際協調、効果的な制裁、圧力と対話だというふうに思っています。この圧力というときに、国際協調していくんですけれども、その国際協調がまさに効果的な制裁になっていかないといけないということだと思うんです。当然、我々も国際社会と懸念を共有していますから、連携をしていくわけでありますけれども、では、効果的な制裁たり得るためにはどうすればいいのかということだと思います。

 アメリカは今、国防授権法について、まさに日本とも協議をしている、各国とも協議をしているということでありますけれども、その効果的な制裁のためには原油の価格の安定というのがないと、逆に、例えば、イランは原油の高騰などがあると外貨準備が上がっていく、ふえていくわけですね。ですから、効果的な制裁たり得るためにも、私は、去年のクリントン国務長官との会談でも、かなり率直な意見交換を行いました。その上で、そういった意味でも能動的な働きかけをしていく。

 同時に、これまでの歴史的な友好関係がイランと日本はございますので、イランに対するさまざまな働きかけ、やはりある段階で対話を通じてでないと、なかなか解決し得ません。これは、軍事オプションに入ったときに、対岸の火事という言葉を使われましたけれども、日本の原油の八五%はホルムズ海峡を通っているわけです。

 とにかく、世界経済にも影響を与えないように、日本経済への影響も最小化するように、そういうさまざまな複雑な要因が絡んでいるわけですね。そういったことを総合的に判断しながら、適切に対応しているというふうに考えています。

山内委員 石油の禁輸に関しては、安住財務大臣がアメリカのガイトナー財務長官と会談されたときに、アメリカに対して協力する意向を話されたところ、野田総理は安住さんの個人的な見通しだといったようなコメントをされていまして、どうも外務省と財務省の温度差があったように感じます。

 私は、安住大臣のスタンスというのが基本的に正しかったと思っておりますが、どうやら閣内で余り整合性がとれていないように思います。この点は、官房長官、政府としてどういう御見解をお持ちなんでしょうか。

藤村国務大臣 安住発言は全く方向として間違っていないということは、先日もちょっとお答えしたところであります。

 ガイトナー長官との会談時に、米国の制裁措置の詳細等、必ずしも具体的にまだ明らかではなく、そして実務的な点はまださらに詰めていこう、そういう段階で、今もまだ、現時点でも、そういうところを最後、詰めているところでありますので、そういうことで、方向は間違っていないということですが、まだきちっと詰まって、政府として統一して、どういうふうに削減していくかなど具体的ではないということから、私はそういう発言をしたところでありまして、現時点で、もうきちっと一致した発言で統一していると思います。

山内委員 これまで、玄葉大臣の今までの発言を聞いていると、どうも石油の値段とか経済的な側面ばかりお話しになっているような印象を受けまして、日本にとって、石油価格というのも大事な問題ですけれども、経済的な利益だけが国益ではないと思います。核の拡散を防ぐためには何をやらなきゃいけないかという観点が余りにも日本の外交は弱いんじゃないかと思います。

 そして、多分、今質問すると時間が切れてしまいそうなので、一方的にこちらの、では短くお願いします。

玄葉国務大臣 誤解のないように、もちろん経済は大事です、日本経済への影響、世界経済への影響。同時に、効果的な制裁にならないといけないわけですよね。

 さっき申し上げたように、原油の価格が上がるということはどういうことかというと、イランが得をするということなんです。残念ながら、現時点では、インドは取引を継続しています。中国もその可能性があります。ですから、そういうことを総合的に見て、どうやったら核開発を断念させることができるのか、さらには、喫緊の課題として、日本経済、世界経済の影響を最小化できるのか、そういったことを総合的に考えて適切に対応しているということでありまして、私は、全く今の指摘は当たらないというふうに思います。

山内委員 本当にイランが制裁の結果得をするかどうかは、ちょっと私もよくわかりませんが、イランの問題、これまで日本の対応は余りにも後ろ向きであったと思います。前のイラク戦争のときは、フランスとかドイツというのはアメリカに対して全く協力をしなかったわけですけれども、今回は、ヨーロッパ諸国も一丸となって一緒に圧力をかけている。日本も、その点、アメリカや欧州諸国に対してより前向きな協力姿勢を示すべきだと思います。

 最後ですから、防衛大臣、せっかくお呼びしたのに、ちょっと時間がなさそうなので、私の方から意見だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 日本がイラン、ペルシャ湾に自衛隊の船を送る、こういうことはまず不可能だと思いますが、例えば、ソマリア沖の海賊対策では、日本ももう既に護衛艦も出しているということがあります。ソマリア沖の海賊対策ではアメリカ、ヨーロッパ諸国の海軍が船を出して協力してやっているわけですけれども、ペルシャ湾の方にアメリカやヨーロッパの海軍の船が向かってしまって海賊対策に穴があく、そういった懸念もあるかもしれません。

 ですから、海賊対策の方に今以上に、例えば護衛艦をふやすといった形で力を入れて、そして、ペルシャ湾にほかの、アメリカやヨーロッパの海軍の船が向かった穴埋めができるような態勢をとって、国際社会、古い言葉で言うと西側諸国の協調に日本としても貢献していくというようなことも考えられるんじゃないかと思いますが、ぜひ御検討をお願いします。

 もし時間があれば、一言コメントをお願いします。

田中国務大臣 イラン情勢への対応につきましては、平和的、外交的解決に向けて、外交努力を初めとして政府全体で対処していくところでございます。

 先生が御指摘であります海賊対策の派遣でございますが、第十一次の派遣隊が先般出たところでございますし、欧米諸国との協調姿勢というものを先生御指摘でございますので、私も、しっかり連携をとって、そしてまた、将来連携がとれたら我が国の役割も果たせるかということもございますので、御指摘をしっかりと受けとめてまいりたいと思います。

山内委員 以上で質問を終わります。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより特に新任五大臣に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若井康彦君。

若井委員 民主党・無所属クラブの若井康彦でございます。

 本日は、新任五大臣に対する質疑ということでありますが、これまでの豊富な政治の経験を生かされて存分に御活躍をしていただきますよう、心からお願いを申し上げます。

 本論に入ります前に、いわゆる沖縄防衛局のメールと講話の問題でございますが、現在の段階までにわかっている事実関係について、防衛省の方から御説明を賜りたいと思います。

田中国務大臣 お答えいたします。

 一月の三十一日に、当予算委員会で二通のメールの提示がございました。このメールにつきまして、関係者の人たちに確認をいたしまして、メールが実在するということを確認いたしたところでございます。

 一月の四日に、真部沖縄防衛局長が発意し、そして講話を行うということを部下に指示をいたしたところでございます。

 講話におきましては、八十名のリストアップをいたしましたけれども、大体九割の方々が参加をいたしまして、一月の二十三日と二十四日に、二回行われたところでございます。

 本人にその内容について確認するとともに、出席者の人たちのヒアリングを、本省から三名、四名参りまして確認をし、本日は、その内容につきまして当予算委員会の理事会に提出をさせていただいたところでございます。

 大変大事な時期にこの問題で皆さん方に大変御迷惑をおかけいたしておりますことを防衛大臣といたしましても心からおわび申し上げたいと思いますし、また、国民の皆さん方にもこの状況というものはしっかりと報告をして、そしてさらなる御理解をいただくということになると思いますし、また、何といっても、職員は公務員でございます。中立性、そしてまた公正性をしっかりと自覚をしてもらう、そして疑いが持たれないようにということで指導監督をするということで、省内に適正化委員会を設立いたしまして努力をしていくということを御報告申し上げたいと思います。

若井委員 早急に事実関係を明らかにして、政府としての適切な対処をよろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして田中大臣にお聞きをいたしますが、さきの十五日のテレビ番組で、普天間飛行場の代替基地の整備について具体的スケジュールまで言及したと報じられておりますけれども、発言の御真意はどんなところにあったのか、御説明を賜りたいと思います。

田中国務大臣 環境影響評価書を沖縄県にお届け申し上げたところでございます。

 その後、この評価書につきましては知事から御返事があるわけでありますが、それを受けてこれから段取りをしていくということになっておるわけでございまして、具体的な時期、目標を設定するとか期限を設けるということではございませんけれども、私はその手順書を持っておりました。

 何とか沖縄県の皆さん方に御理解をいただき、また、仲井真知事にも何回もお目にかかって、そして、この日米合意が大前提でございます、何とか移転がスムーズにいって、そして沖縄の基地負担が軽減できるようにという思いがあったものですから、大変誤解を招いて申しわけなく思っておるところでございます。

若井委員 着任をされてから一月足らずという今の段階で、いかに熱意を持たれておられても、それなりの十分な相互理解には時間が必要だと思うんです。

 先般、知事とも意見を交わされたとお聞きをしておりますけれども、肝心の当事者である沖縄県民の皆さんの理解を深めるためには、それなりにこれからも努力をしていただくことが必要だと思います。

 そのためには、直接沖縄を訪れて、じかに話をなさる機会をつくられ、基地負担軽減について、さまざまな意見交換の中で理解を大いに深めていただきたいと思いますけれども、そこら辺についての御抱負といいますか、お考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。

田中国務大臣 就任をしてすぐ、仲井真知事方、上京していただきました。お目にかかって、今後の問題につきましてお話をしたところでございますが、まずは顔合わせという段階でございましたので、私が沖縄県に参りまして仲井真知事に直接お目にかかったところでございます。

 知事も、そしてまた県民の皆さん方も、この辺野古移設というのはまだまだ理解をしておらないということでございますし、また、知事みずから、県内よりは県外の方が早いのではないか、こういうお話もございましたけれども、私は日米合意が大前提だと思っております。これを実行することが、やはり世界の皆さん方にも我が国の方針というものが理解していただけるのではないかと思います。

 しかし、何といっても、沖縄県の基地の負担は大変大きい問題であります。そしてまた、十五年この問題を熱心にやってこられた方々に思いをいたしますと、何とか解決の糸口でも私はつけていきたい、こんな熱意で知事にお話をいたしましたけれども、報道のように、この移設問題は平行線に終わった、こういう状況でございます。

 また沖縄県に参りまして、お互いに支え合えるような、そういう局面をできればと思っておるところでございます。

若井委員 次の質問ですが、きのうの審議の中にもございましたけれども、いわゆるエアシーバトルの話です。

 オバマ大統領もことしの年頭の演説の中で、今後十年間で最低四千五百億ドル、約三十四兆円国防費を削減する、これを前提とした国防戦略としてこの言葉を使っているわけですが、一言で言えば、空軍と海軍、空と海、これを組み合わせて、空海統合戦略といいますか、そうした構想を推進するということを言っているんだと思うんですが、これから、このことは東アジアの安全保障のあり方等についてもそれなりに影響をしてくると考えられるわけです。

 大統領に限らず、これに関しては、アメリカで関係者の方々の発言も相次いでいる、こうした状況の中で、先般二十七日には、田中防衛大臣は、パネッタ米国防長官と初めて電話で会談をしたということも報じられておりますが、こうしたアメリカの変化、動きについて、我が国の安全保障の環境変化というような観点から、大臣はどのような評価をしておられるか、どんな影響が及んでくるとお考えになっておられるか、その一端についてお聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 先般、パネッタ国防長官と電話会談をいたしました。新国防戦略につきましてお話がございましたので、我が国といたしましては、歓迎をするということでお答えを申し上げたところでございます。

 米国は、アクセス拒否、エリア拒否能力の打破を念頭に統合エアシーバトル構想を打ち出されておるということでございますし、先般、御質問がございました。私もQDRの中にその文言はあったと思っておりましたけれども、この新国防政策の中にどういうふうに織り込んでおられるか、こういうことも少し勉強をさせていただいたわけであります。

 本構想は特定の国家に対抗するためのものではないということでございますけれども、これからの新国防政策の中で、また両国が話をしていく中で、この構想が我が国にとっても、どう対応していったらいいか、こういう具体的な問題にもなってきたときには、私もしっかりと対応をし、また、皆様方にも御報告ができればと思っておるところでございます。またよろしくお願い申し上げます。

若井委員 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 先般の東日本大震災にかかわる危機管理といいますか、危機対応の中での情報開示の問題でございますが、この間、この情報開示、そしてその記録の問題がいろいろ議論をされているわけですけれども、この東日本大震災とその後の経緯といいますのは、今まだ被災地では本当に住民の方々を中心に苦闘が続いている中でこういう議論をするのはやや問題があるかもしれませんけれども、いつまた次に同じような災害が起きるかわからない、そういう状況の中にあって、この大震災、そしてその後の復旧復興、今後の我が国にとって大きな教訓になるものだ、そのように私は考えておりますし、諸大臣におかれましても、そうした立場からこの情報開示の問題に取り組んでおられるかと思うんです。今後も間違いなくこうした大震災は起きてまいります。

 ただ、今回の東日本大震災においては、これまで経験をしたことがない、そうした要因がある。特に原発の事故、これについては初めての経験だったということもあり、これに関しての情報開示あるいは危機管理、いろいろ次の時代へ向けて残していかなければいけない、そうした内容が多く含まれている、そういうふうに思うんです。

 そこで、平野文科大臣にお聞きをいたします。

 一月十七日に、大臣、記者会見の中でSPEEDIの予測情報についてコメントをされています。この情報については、実は一月十四日には既に米軍に通知がされ、米軍は空母を福島の沖合から北方の海域にいち早く移動するというようなことも行っておりますが、国民の皆さん、県民の皆さんへのこの情報の公表というのが九日後の二十三日になっている。そのために、福島では住民の方々が避難をする場合にこの情報を適切に役立てることができなかったんじゃないか、このようなコメントだったと思うんですけれども、情報開示がおくれたのはどうしてなのか、そこら辺についてどのように御認識されているんでしょうか。

平野(博)国務大臣 若井先生のお尋ねでございますが、特に、私どもの所管をしていますSPEEDIのシステムについての情報、こういうことが国民の方に開示がおくれているじゃないか、こういうことでございますが、私は、情報開示という観点では、関係者に、文科省の役割としては情報提供をしていたことは事実でございます。

 ただ、原発の事故に対する放射線の予測につきましては、こういうものはそれぞればらばらと勝手に出すべきものではない、したがって、これは政府として一元化して出していくべきだということで、政府の関係機関にはSPEEDIのデータについては情報提供してきたところであります。判断は政府として一元化して対応すべきことだと思っております。

 ただ、そういう中にありまして、もっと前向きに文科省としても、SPEEDI担当者がこれは出すべきであるということを強く進言したかどうか、この点については私は反省すべき余地があるのではないか、このように考えているところでございます。

 この問題につきましては、もっとSPEEDIのシステムとしての精度も、危機管理の対応として、さらに精度を上げるべき今後の重要な検討課題だ、こういうふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 以上でございます。

若井委員 今、後半のところで大臣がコメントされましたSPEEDIを活用した避難のシステムとか、私もSPEEDIの内容というのを見せていただきましたけれども、ある意味でいうと、大変にすぐれた予知システムになっているんじゃないかと思うんですけれども、これをさらに精度を高めて、あるいは有効活用するためにどのような工夫をしていったらいいのかという点、これから御検討いただきたいと思うんですけれども、その点について、今大臣がお考えのところがあれば、ぜひ御開陳を賜りたいと思います。

平野(博)国務大臣 今の先生の指摘で、これは距離と範囲とによって、かなり綿密に出る部分と出ない部分があります。今、現実的には、今度の予算の中にもお願いをしていると思いますが、百キロエリアまでかなりの精度で正しく出せるような仕組み、ソフトを早く開発して対応しよう、こういうことが一つ。技術的なところはそれが一つ。

 もう一つは、SPEEDIの運用につきまして、その設置のあり方について、今法案を出させていただこうとしておりますが、原子力の規制庁にモニタリングの司令塔としての一元化を図るべき、体制整備についてもそういう考え方、機能の強化というバージョンアップをする、こういうことについてもあわせて対応していきたい、かように考えているところであります。

若井委員 今、平野大臣からのお話にもありましたけれども、一元的な、さまざまなシステムを組み合わせた上で国民の安心、安全を保障していくという、私はこれは一種の危機管理のシステムだと思うんですけれども、これをどのように構築していくかあるいは構築しておくか、このことが今後にとって本当に決定的と言えるような材料になるんじゃないかと思います。

 枝野経産大臣、経産省で原発を管轄しておられるということを超えて、当時、事故への対処、その渦中におありになられたという立場も含めて、一元的な指揮命令系統あるいは情報管理、これをどういうふうにつくっていったらいいかという点についての御所見を賜れればと思うんです。

 先ほど、午前中の審議の中で、小野寺委員の方からもGPS波浪計による津波防災支援システムのお話もございました。こうしたさまざまなすぐれた個別的なシステムを持っているにもかかわらず、これをどういうふうに総合的に管理していくのか、そのことについていろいろお考えをお持ちかと思うんですが、ぜひその点について国民の皆さんに御説明を賜れればと思います。

枝野国務大臣 まず、特にSPEEDIにつきましては、その後、最近の報道で、米軍等に早い段階で情報が提供されていたというような報道にも接しまして、そういったところにまで情報が提供されておりながら、当時、官房長官として私がどうなっているんだということまで問いただしたにもかかわらず、使えていませんという報告で、どこかで情報の流通というものが不十分であった、そのことについて結果的にいろいろ皆さんに御心配をおかけしたこと、その結果については大変申しわけなく思っております。

 どうしてそういった情報の流通が阻害をされたのかということ等については、これは第三者的に政府の検証委員会あるいは国会の検証委員会で十分検証をしていただくことが重要であろう、必要であろうというふうに思っております。

 そもそも、仕組みとして、どういった場合であっても、こういう使い方で、こういうマニュアルで、こういうふうに発表されるというようなことが、特に危機管理対応においてはあらかじめ決まっていることが重要であろうというふうに私自身は思っております。

 今後、原子力規制庁の法案をこの後国会で御審議いただくわけでありますが、原子力規制庁において一元的に、こうしたSPEEDI等の情報や分析、それに基づく避難の対応等をしていただくという仕組みになっていくわけでありますが、発足までの間も、経済産業省として、原子力安全・保安院としても、できるだけ今回のことを踏まえた改善点等について整理をし、また、規制庁発足後も、電力事業を所管する官庁として、規制庁に対して最大限の協力をしてまいりたいというふうに思っております。

若井委員 この間、十五の検討委員会の中で、さまざまな対応策、あるいはその検討がなされた、その議事録の整備が十分になされていないという議論が先般からなされているわけです。ですから、私は、その意味で、今般の災害、今般の被災、その対応、それがどういう状況であったのかということを記録していくということももちろん重要な意義を持っているわけですけれども、そうした中から、新しい危機管理の一体的なシステムというものをどう構築していくかということが問われているんだと思います。

 これについては、最近の地震予測等の情報もございますとおり、本当に待ったなしの課題でもございますし、五大臣がかわられたというこうした機を捉えて、一刻も早く、待ったなしでそうしたシステムを構築するための努力をしていただけるように、私の方からも心からお願いを申し上げる次第でございます。

 そこで、野田総理、総理が敬愛をしておられると聞いております坂本竜馬というのは、安政元年、南海・東南海大地震、安政二年、江戸の大地震、二つの大きな大震災を体験して違う人間に生まれ変わった、そういう説もあるくらいです。それ以来百五十年余りになりますけれども、今回の大震災は、もう既に、数万人の方が命を落とすというような意味でいっても、それから五度目ぐらいの大災害の繰り返しだと思うんです。我が国は、そうした大震災を契機にして、その都度、坂本竜馬だけじゃありませんけれども、新しい人間に、そして新しい国に生まれ変わってきたという歴史なんじゃないか。

 総理も、震災からの復興復旧を一番の使命とされているとかねてから御表明しておられるわけですけれども、今回この内閣に新しい大臣を擁されて、そうした意味で、この機会を我が国が新しい国に生まれ変わるための契機である、その総理の改めての決意というものをぜひ聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。

野田内閣総理大臣 坂本竜馬が大きな災害を目の当たりにして人生観が変わったということはあったと思いますが、今回の東日本大震災を通じて、多くの人たちが改めていわゆる人生観まで深く考える契機になったことは間違いないというふうに思います。

 私としては、これは何回か国会でも御答弁申し上げましたけれども、想定外という言葉、もうこれを言いわけにはしていけないというふうに思っています。これからも大きな地震が起こる可能性があります。今は雪による大きな被害が出ていますが、あらゆる災害について想定外という言いわけを聞かないように万全を期して考え抜くのが危機管理だというふうに思います。そういう体制をしっかり構築して、多くの人の命と暮らしを守れるように万全を期していくのが政権を担当する者の重たい役割だというふうに思いますし、その体制の一環としての内閣の改造をさせていただいたということでございます。

若井委員 先ほど、一月十四日と発言いたしましたが、三月十四日の誤りでありました。

 新任五大臣、新たな内閣として、ぜひ、この大震災、この機会に、地元で被災された方々を先頭にして、新しい時代を、新しい国をつくるために御尽力を賜りますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございます。

中井委員長 これにて若井君の質疑は終了いたしました。

 次に、石破茂君。

石破委員 五大臣に対する質疑ということであります。主に防衛大臣、そして総理大臣に質問をいたしたいと存じます。

 いろいろな理由があって内閣改造が行われました。五大臣が新任をされました。これは、人事は総理の専権事項であります。総理がおっしゃったのは、最強の布陣であるということをおっしゃいました。全ての大臣がその分野で、民主党に大勢人材がおられる、国民新党にもおられるのでしょう、最もその分野に通暁し、最もふさわしい人ということで任命をされたというふうに承知をいたしております。

 私も長く議員をやってきて、安全保障の仕事も随分とやってまいりました。外交とか安全保障に余り与党と野党で差があっていいとは思いません。どちらがなっても、外交や安全保障の基本的方針が物すごくぶれるということがあってはならないことであります。

 そういう観点から、ここ十数年でしょうか、党は違っても、安全保障でいろいろな議論をやってきました。新世紀の安全保障を考える議員の会なぞというものもつくり、民主党のいろいろな方とも議論をしてきました。あるいは、私も防衛庁副長官、防衛庁長官、防衛大臣とやってきて、御党のいろいろな方と有益な議論もさせていただきましたし、有事法制なぞというのは共同で、最後は民主党の皆様方も賛成してできた。そのときにも随分といろいろな議論をしたことをよく覚えております。民主党の中に安全保障について知識を持ち、見識を持った方々がおられることをよく承知いたしております。

 私は、たまたまそういう機会に恵まれなかったからなのかもしれませんが、田中新大臣とそういう議論をした覚えがございません。少なくとも私は、田中大臣とそういう議論をした覚えがない。

 私は、森内閣で農林水産総括政務次官というのをいたしておりました。今でいう副大臣であります。内閣改造があって、田中直紀議員が参議院枠として農林水産総括政務次官にお入りになりました。農林水産等々について御造詣があるということはよく承知をいたしておりますが、人間何でもできるわけではございませんので、安全保障について御造詣が深いということを私は余り、寡聞にして存じないのであります。

 私は、民主党の中でいろいろな方がおられることをよく承知しておりますが、総理が今回、田中大臣を任命なさったのは、よく意地悪に言われますように、参議院枠であるとか何年国会議員をやったとか、そういうことではなくて、そのほかの方よりも最もふさわしいということでお選びになったという認識で間違いございませんか。

野田内閣総理大臣 委員の御指摘のとおり、外交、安全保障においては、基本的には、二大政党の時代といいながらも、問題意識を共有して軸がぶれないようにしていくということは大事であるということ、これは全く御意見に同感でございます。そういう考え方も背景に置きながら、現実的にしっかりと防衛政策、安全保障政策を遂行できる人が望ましいというのが第一の観点であります。

 その上で、防衛大臣も務められ、ある意味、この日本においては安全保障政策における第一人者の石破委員に比べれば、それは専門性は足りないかもしれませんけれども、大局観に立って、きちっとこの国を守るために、安全保障をしっかりと推進するために、軸のぶれない、判断のできる人、そういう考え方も持ちました。

 田中大臣におかれましては、私が財務大臣のときにも財務金融委員会で御質問いただいたりしたんですけれども、そのとき、大変グローバルな問題、国際情勢を踏まえた御質問もいただきました。あるいは、参議院の本会議においても、そうした視点から御質問いただいたこともございます。過去をたどってみると、かつて外務の政務次官であるとか参議院の外交防衛委員長なども務められていらっしゃる、そういうキャリアと、その分野だけではなく、今農水のお話もありましたけれども、いわゆる総合的な経験、知見というものを評価して判断をさせていただいた。

 そして、その際には、政務三役がチームとして機能しなければなりませんが、渡辺副大臣、それから下条、神風政務官、それぞれ中堅、若手の議員でありますが、しっかり安全保障については考え方を持った人たちが周りにいる。そのチームをまとめながら、あるいは防衛省をしっかり、あるいは現場をしっかりまとめていくマネジメントの力、そういうものを期待しながら、期待を込めて選んだということでございます。

石破委員 任命権者としての総理にお尋ねをしますが、防衛省がほかの役所と違うところはどこですか。

野田内閣総理大臣 特に、何が起こるかわからない、不測の事態というのが常にある。緊張感を持って、特に危機管理の意識というものを持つということは、ほかの役所にも不測の事態は起こりますが、とりわけ国民の生命と財産を守らなければいけない防衛省の立場としては、その危機感というものを常に持っていることが大事だというふうに思います。

石破委員 一つはそうです。何があるかわからないという危機管理官庁であるということですね。だから、常に、あれが起こったらどうする、これが起こったらどうするということのシミュレーションを頭の中でしておかねばならない。

 危機管理官庁というのは、言葉の遊びで言っているわけじゃなくて、さっきからその辺でマニアだどうだこうだと言っている人がいますが、そんなことを言っておる限り、日本の防衛政策はだめですよ。いかなる場合にどう対応するかということを常に考えておかなければならない。そして、瞬時の判断のおくれが多くの人たちの人命を失わせる、ひいては国家の存立をも左右するということである。危機管理官庁であるということが一つです。

 もう一つは、これは総理はよく御存じだと思いますが、実力組織を持っているということですね。企画官庁であり調整官庁でもあるけれども、調整という面はほとんどない。要するに、自衛隊という、そういう実力組織を持っているのであって、これをどう使うかということを承知していなければなりません。

 それを使うに当たっては、精神論で動かせるわけではありません。実力組織たる自衛隊の使い方というのは、防衛二法と言われる防衛省設置法、そして自衛隊法、あるいは有事法制、周辺事態法、あるいは警察官職務執行法、そういう法律を常に頭に入れて、どの条文を使ってどう動かすかということは、内閣総理大臣と幕僚たる防衛大臣は常に知っていなければならないことです。

 法律を知らないで動かすことは絶対にできません。何かあったときに、さあ、この条文は何の条文を適用しようかなぞといって考えているようではだめで、こういう場合には、では、治安出動なのか海上警備行動なのか、どれをどのように使うかということが頭に入っていなければいけないということです。そして、陸海空の自衛隊に何ができて何ができないかということを知らねばならないということだと私は思っております。

 それでは、防衛大臣にお尋ねをしたいと思いますが、参議院の本会議における質問で、岳父であらせられる田中角栄先生と何が違うかというふうに聞かれて、論戦力が違うというふうにおっしゃいました。それはどういう意味ですか。

田中国務大臣 田中の父は、常日ごろから勉強家でございました。

 私は、結婚してから身近な存在になったわけでありますが、サラリーマンをしておりました。政治の世界というのは大変な積み重ね、経験がなければいけないな、そういう印象でございましたけれども、私は、この経歴からいって、サラリーマンから政治になりましたけれども、家族のこともしっかりとやっていきたい、こういうこともございましたので、そういう面では、マイホームでは政治家ができるのか、こんなこともじかに田中の父から話がございましたので、そういう面では足元にも及びませんが、私も政治家になりました。

 努力をして今日があるわけでありますが、振り返ってみますと、説明なりあるいは経験なりということからいって、やはり違いがあるなということで思い出したところでございます。

石破委員 私も、御縁あって、昭和五十五年以来、田中角栄先生にいろいろなことを教えていただきました。私が政治に入る機会をつくってくださったのも田中角栄先生であります。

 よく先生がおっしゃっておられたのは、国会議員は何が一番おもしろいかということをおっしゃっておられました。それは、法律をつくることが一番おもしろいのだということを私は角栄先生から何度か教えていただきました。この世の中で起こる全てのこと、森羅万象という言葉をお使いになりました。川には河川法あり、海岸には海岸法あり、森には森林法あり、道路には道路法あり、田畑には農地法あり、この世の中における森羅万象全てのことを法律が律しておる、国会議員にとって一番の仕事は法律をつくることだ、そういうふうに私は教えをいただきました。

 田中角栄先生は、年若くして大蔵大臣に就任をされました。多くの大蔵官僚たちが、どんな人だろうかということで待ち受けておりました。多くの大蔵官僚たちが角栄先生に心服するに至ったのは、所得税法であり、法人税法であり、関税法であり、大蔵省が所管しておるほとんどの法律をきちんと理解をしておられたこと、そして官僚の顔と名前をきちんと覚え、そしてまた、褒めるときはみんなの前、叱るときは一対一、そういうことをきちんと徹底されて、政治主導で動かすというのはそういうことだと私は思います。

 大臣になるときにこれから勉強しますなんというのはもってのほかで、大臣になったときには、何の問題があるのか、どの法律をどのように改正しなければいけないのか、そして成果を上げる。私は、自分はとてもその域に達しませんが、大臣というのはそういうものだというふうに認識をいたしておるところでございます。

 その話はまた承りますが、大臣、ちょっと承りますけれども、伊江島というのは、硫黄島ではありませんよ、伊江島、いついらっしゃいましたか。

田中国務大臣 美ら海の水族館ができまして、たしかその一年後だと思いますが、水族館を見まして、そしてまた、たしかどなたかが御案内をいただいたと思うんですが、我々夫婦二人で伊江島に参った経験があるわけでございます。

石破委員 それはいつですか。何の目的でいらっしゃいましたか。

田中国務大臣 目的は、水族館に行きまして一日見学をしてきたわけでありますが、身近にある伊江島に、時間があって、行ってみないか、こういう御案内をいただいたんだと思います。それで、そこにちょっと行ったということでございまして、それ以上のことはございません。

石破委員 結構です。

 それでは、伊江島が持つ防衛上の意味、そしてまた伊江島で米軍がやっていることについてお答えください。

田中国務大臣 伊江島は、当時の説明で、若干言葉が足りないかもしれませんが、沖縄戦のときにそこに米軍が来まして、そして伊江島の皆さん方が大変苦難の道があったということは聞きました。

 その中で、記憶しておりますのは、滑走路がございましたけれども、今は直接使っておるわけではないようでありますけれども、その活用の状況については、私は今のところ存じ上げているわけではございません。

石破委員 沖縄の方々の理解を求めるために、これは私もよく心しなければいけないことだと思っていますが、どこでどのようなことがあったのか、そして、どこで何が行われているのかということはよく認識をしておかなければなりません。

 戦後最大の事故が伊江島で起こったことは御存じですか。

田中国務大臣 いや、その後の利用の状況は若干わかっておりますが、その戦後のことについては存じていません。

石破委員 これは、戦争が終わって三年後のことですよ。一九四八年八月六日。不発弾の処理をしておったのが伊江島ですよ。それを輸送する船が大爆発して、百数十人の人が死んだという、戦後沖縄で米軍関係の最大の事故が起こったのが伊江島ですよ。伊江島の人たちがどんな思いを持っているか。夏休みに入ったばかりで子供たちも大勢死んだ。そういう事故が伊江島でありました。

 沖縄の人たちの気持ちを理解するというのは、理解という言い方も私は不遜なのかもしれないと思っています。日本の中でたった一つ、地上戦が行われて大勢の人が死んでいった。それだけではなくて、戦後も、不発弾を積んだ船が爆発をして日本人がたくさん死んだ。そして今、補助飛行場があって、何が行われていますか。

田中国務大臣 一つは、伊江島の補助飛行場につきましては、一九五三年、建設地の収用をするに当たり、米軍がブルドーザーの使用で農民の土地の家屋を接収したということがございます。

 現在は、米軍のパラシュート訓練を行っております。一九九六年、平成八年のSACOの合意によりまして、米軍のパラシュート降下訓練が伊江島の補助飛行場に移転されたということでございますし、二〇〇〇年から同訓練が実施されておるという状況でございます。

石破委員 現在、訓練が行われているわけですよ。そして、パラシュートで投下したものが訓練場ではなくて農地に落ちて多くの被害が生じてということが起こったのが伊江島ですよ。そういうような状況があるということをよく御認識いただきたいと思います。言葉だけで、沖縄の理解を求める、そう言っても何にもならないということは、私もよく自戒をしなければいけないことだというふうに思っております。

 総理、沖縄においでになるのはどういう状況が整ったときですか。私は、菅総理のときからずっとお願いをしてきたはずだ。何でこんな状況が引き起こされたか。それは、学ばぬままに、国外、最低でも県外、そう言ったことが全ての始まりですよ。

 そして、鳩山さんは何と言ったか。あなた方は十三年くい一本打てなかったじゃないかというふうに、いろいろな人たちが営々として積み重ねてきた苦労を愚弄された。十三年間くい一本打ってこなかった、打っていいわけないですよね。環境を調べているときに、環境影響評価をやっている最中に、建設用のくいなんか打っていいわけないでしょうが。

 十三年間、どれだけの人たちが、例えば、梶山先生は沖縄が俺の死に場所だとまでおっしゃった。小渕さんは沖縄に命をかけた。橋本さんだって、それは佐藤総理があれだけ苦労された沖縄返還、でも、その沖縄が本土並みになるようにということで、そして普天間基地の返還という話をクリントン大統領との間でまとめた。

 大勢の人たちの血と汗と涙で、本当に実現一歩手前まで来ていた。そのことの認識は間違いありませんか。

野田内閣総理大臣 歴代の先人たち、先輩政治家たちが御苦労をされてきた経緯は、委員の御指摘のとおりだというふうに思います。必死の思いで、本当に御努力をされてきたというふうに思います。

 その上で、政権交代以降の中で県外移転を模索し、その検証の結果、おととしの日米合意に改めて至るということになりました。現段階では、その日米合意に基づいて今は対応をする。

 当然のことながら、沖縄の負担軽減を図りながら、沖縄の皆様に御理解をいただきながらという努力をしている最中でございますけれども、もちろん、先人たちのその御苦労があった中で、この間に、検証の過程において沖縄の皆様に大変御迷惑をおかけしたことは、この国会の場でも何回か謝罪をさせていただきました。そういう思いを踏まえながらこれからも対応していきたいというふうに考えております。

石破委員 大勢の人が努力をしてきた、それを、十三年間くい一本打てなかったじゃないかというふうに、はっきり言えば嘲笑されたわけですよ、愚弄されたわけですよ。そして、学ばぬままに、腹案があるとかおっしゃって、国外、県外とおっしゃった。それは野田さんが言ったわけじゃありませんよ、鳩山さんが言ったことです。でも、民主党政権が引き起こしたことには違いがない。

 今、民主党の代表はあなたなのです。そして、この国の安全保障の最大責任者はあなたなのです。だとすれば、本当に済まなかったということは誰が言ってもだめなのであって、内閣総理大臣が沖縄に出向いて、今総理がおっしゃったように、本当に済まなかったということをおっしゃらなければ、何にも進まないのではありませんか。菅さんに何度言っても、それを受け入れることはなかった。私は、野田さんならやってくれると思っているんですよ、今でも。

 おいでにならない理由は何ですか。どうなればおいでになりますか。条件が整ったらというのは、どういう場合ですか。

野田内閣総理大臣 政権交代以降の中での反省をさっき申し上げましたけれども、それは先輩の総理だけの問題じゃなくて、我々の政権が引き継いでいるということは、これは間違いございません。それは御指摘のとおりであって、そのことを踏まえてきちっと対応しなければいけないと思いますが、もちろん、現場に行って、沖縄の皆様に謝罪をしながら物事を進めるということは一つだと思います。それとあわせて、具体的な進展が図れるようなためのいろいろな環境整備も必要だと思っています。

 ことしは、島サミットがあったりとか、いろいろ周年事業があったりとか、必ず行かなければいけない場面がありますが、ぜひその前に行けるような努力をしていきたいというふうに考えております。

石破委員 私は、環境整備の第一が総理が出向くことだと思っているんですよ。まずそれをやらなければ何にも始まりません。人々の気持ちを踏みにじって、努力を嘲笑して、それはみんな民主党政権がやったことですよ、間違いなく。そのおわびから始まらないで、一体何が環境整備だ、私はそう思いますね。

 総理がおっしゃることにどこかひっかかりがありますのは、誤りを誤りとしてきちんと認める。人間は無謬ではありませんから、誤りがなかったということはないんです。

 例えば、消費税のお話でもそうでしょうよ。ベニスの商人や、あるいは一休さんのとんち問答ではあるまいし、任期中に上げるとは言わなかった、しかし上げる法案を出さないとは言わなかったぞと。それを人々はどう受け取りますか。無駄を省けばお金は出てくる、幾らでもお金は出てくる、消費税は上げなくても大丈夫だ。民主党政権は、消費税を上げないのみならず、上げる法案を出すとも思わなかったはずですよ。少なくとも、人々はそう受け取っていない。そのように思わせたことは済まなかったとなぜ言えませんか。それは、やはり政治の一番の根本だと思いますよ。それを、上げるとは言わなかった、しかし上げる法案を出さないとは言わなかったぞ。それをもって詭弁というのですよ。

 そして、沖縄に条件が整ったら行く。そうじゃないでしょう。まず行くところから始めなければ、何にも始まらないでしょう。どうですか。

野田内閣総理大臣 消費税の問題も、これは基本的に、別に、詭弁という御指摘でございますけれども、総選挙のときにはマニフェストでは触れていなかった。そして、消費税については、議論することは封印をされていない中で、待ったなしの状況の中で法案を出して、そしてそれを御審議いただきたいというのが今の思いであります。それで、その思いについての経緯についての説明はしてきたつもりでございます。これは、任期中に上げない分、実際に法案を審議していただき、成立した暁には、当然のことながら実施時期の前には国民の信を問うということを、いわゆる時系列できちっと論理的に説明をしてきているというふうに思います。

 その上での今の沖縄の問題でございますけれども、おわびについては、記者会見であるとか国会の場においても何回もしてまいりました。もちろん、現場に行って、そしてお話をするということが一番だという御指摘はわかりますけれども、決しておわびをしないで物事を進めようとしてきているわけではないということは、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

石破委員 申し上げておきます。行かなければ何も始まらないということだけは、この場で強く申し上げておきます。一日も早く行ってください。

 防衛大臣、憲法についてまず伺いましょう。

 自衛隊は憲法に全く書いてありませんね。どこを見ても、自衛隊のジの字もありませんね。しかし、ずっと、私どもも含めて、自衛隊は合憲であるというのが政府の立場であります。

 なぜ合憲というふうに言えますか。

田中国務大臣 我が国は戦争の放棄を憲法でうたっております。第九条とその補則があるわけでございまして、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」わけでありますが、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」という中にありまして、不保持の文章になっているわけでありますが、自衛権の中でも個別自衛権の国家でありますから保持をしておるわけであります。

 当時、警察予備隊から始まりまして、我が国を守るために今日の自衛隊があるわけでありますし、憲法の範囲内で専守防衛の二十七万人の自衛隊を保持する状況になってきておるところでございます。日々、我が国を守るために頑張ってくれておるというふうに認識をいたしております。

石破委員 だから、今お読みになった第九条のどこから合憲と読むのですかと聞いているんですよ。

田中国務大臣 憲法九条は、我が国が主権国として持つ固有の自衛権を否定するものではありません。自衛権発動の三要件に該当する場合には自衛のための必要最小限の実力を行使することが認められておるところでございまして、そのために自衛隊があるわけでございます。

石破委員 問われたことに答えてください。秘書官はメモを出さないように。私は秘書官と議論しているわけじゃないからね。

 いいですか。第九条のどこから読むのですかと聞いているのです。

田中国務大臣 第九条の二項でございます。

石破委員 「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と書いてありますね、第二項は。

 では、自衛隊は何ですか。

田中国務大臣 我が国が保有する、必要最小限の、国を守る、専守防衛の部隊でございます。

石破委員 「前項の目的を達するため、」という芦田修正で合憲としているのですよ。何のために芦田修正というのがあったんですか。日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。「前項の目的を達するため、」という条文をわざわざ入れ、そしてまた文民条項を入れたというのが、そこを合憲とする根拠だったのではありませんか。

田中国務大臣 その点につきましては、私自身は理解をいたしておりませんし、先生の御知見を拝聴しながら、よく理解をしたいと思います。

石破委員 それでは、承ります。

 自衛隊というものは、憲法に規定がございません。これはよくある論争なのですけれども、今大臣がおっしゃいましたね、警察予備隊として発足した。自衛隊はもともと警察予備隊として発足したものです。その後、保安隊になり、自衛隊になっていきました。

 世に言う軍隊と警察、何が違いますか。

田中国務大臣 警察は、国民の財産生命を日ごろから保全をしておるというものでございます。身近な存在でございます。自衛隊は、当然、我が国においては軍隊ではありませんけれども、憲法の範囲内で、我が国を守るために専守防衛で対処をしてきているというのが現状だと思います。

石破委員 国の独立を守るのが軍隊ですよね。国家の主権を守るのが軍隊ですよね。国民の生命財産、公の秩序を守るのは警察ですよね。そこが違うのではありませんか。

田中国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

石破委員 それでは、法制面で。

 私はずっと、政府にいるときから、法律の改正ができないか、できないかというのを一つ一つチャレンジをしてきて、力足らずにできなかったことがたくさんあります。

 例えば、いろいろな法律の論争がありますが、邦人輸送という条文がありますね。邦人救出と邦人輸送は何が違いますか。これはずっと委員会で議論をされていることなので、ぜひお答えをいただきたい。

田中国務大臣 邦人救助は、私のことから考えますと、海外におりまして、そして、そこで紛争が起こる、あるいは危険な状態になる状況の中で邦人を救助するということになるのではないかと思いますし、邦人輸送というのは、通常の民間の輸送等のことではないかと思います。

石破委員 それでは、自衛隊は邦人救助ができますか。

田中国務大臣 外務大臣の要請があれば、防衛省は考えまして、邦人救助をすることができると思います。

石破委員 どういう場合にできますか。制約はありますでしょう。

 つまり、何でこんなことを聞いているかというと、朝鮮半島情勢がどうなるかというのが今の時代背景ですよ。何が起こっても不思議ではないという状況です。朝鮮半島に限りません。世界じゅうあちらこちらで災害があり、あるいはテロがあり、紛争があり、そういうときに日本人を助け出すというのは、それは国家としての責務ですよね。主権というのは領土と国民と統治機構ですからね、国民を救い出すのは国家の責務でしょう。

 大臣がおっしゃった意味での邦人救出、つまり、単なる輸送ではなくて、危難に遭遇している邦人を助け出すということは、どういう条件のもとに自衛隊はできるのですか。

田中国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、外務大臣からの要請で防衛省は検討をし、そしてまた実行するわけでありますが、防衛省といたしましては、これは我が国の自衛隊が相手国に行くということが多くなるわけでございますから、やはり相手国の了解があって邦人救助ができるというのが条件ではないかと思っております。

 したがいまして、一番大きいのは、やはり相手国の了解を得る、日ごろからそういう問題を、この法整備をする場合には、相手国を想定しながら話を詰められれば前進するのではないか、私はそんな理解でございます。

石破委員 相手国の了解というのは別に条文に書いてありませんよ。輸送の安全ということでしょう。輸送の安全が確保された場合に行くんでしょう。だから救助ではなくて輸送なんでしょう。

 つまり、何でそういうような条文になっているか。私が一生懸命改正しようとしてもできなかった。今度、自民党として議員立法として出していますが、そこに行ったときに、憲法九条が禁ずるがところの国際紛争を解決する手段としての武力の行使ということになるおそれなしとしないから、輸送の安全が確保されなきゃ行っちゃいかぬということになっているんでしょう。そうじゃないんですか。それで、それを改正しなければいけないということを我々は提起していますね。このことに対して、大臣の見解はどうですか。

 では、武力の行使と武器の使用という概念がありますね。これは物すごく大きな違いですよ。何が武器の使用で何が武力の行使なのか、そこのところについての見解も交えて、法改正についての見解を述べてください。

田中国務大臣 武力の行使は憲法で禁じておるところでございます。その中で、武器の使用の問題が国際協力の中で、PKOで出てきておるところでございます。

 PKOの中で、武器の使用というのは、条項を立てまして、そして使用をしておるところでございますけれども、やはりPKOも、相手国が停戦合意をした、こういうような条件下の中で行われますが、大変、武力の行使を伴うようなところはPKOとしてはなかなか参加できない、こういう状況ではないかと思います。

石破委員 よく整理をしてくださいな。

 つまり、戦車が走ろうが戦闘機が飛ぼうが、それが警察権の行使である場合には、武器の使用という判断をするのですよ。警察権の行使ということの範疇であれば、警察比例の原則が働きますから、向こうが戦車であればこっちも戦車、向こうが戦闘機であれば戦闘機、これが警察比例の原則というものであって、それが武器の使用という概念なんですよ。

 武力の行使というのは、大臣が何だか触れられたような触れられないような話だけれども、自衛権の行使、それを集団的というか個別的というかは別にして、それが武力の行使という概念になるのでしょう。そこはよく整理をしていただかないと、PKOの五原則の話もごちゃごちゃになりますよ。どういう場合に何をしていいかということですね。

 ここのところは、PKO五原則と武器輸出三原則のところの違いはもう整理して御理解になったと思いますが、今の政調会長の前原さんが、今度、この武器使用の要件を緩和してはどうかというお話をなさいました。それは我々のかねてからの主張でもあるのですけれども、例えば、日本のNGOが行きました、それが撃たれておりますという状況があったとしましょう。それを自衛隊は助けに行くことができますか。

田中国務大臣 現在の武器使用の条件では助けに行かれません。

石破委員 それでは、警護という任務を与えて、そのNGOを自衛隊が警護している。その警護という任務が妨害されたというような構成をした場合、その場合に武器の使用ができるという構成について、私はこれは可能だと思うのです。

 前から、警護任務を付与すべきだ、そうでなければ、正当防衛でなければ、自分が撃たれなければ撃てない、そんなばかなことがあっていいのかということをずっと主張してまいりました。その点についての御見解、どうぞ。

田中国務大臣 先ほど先生からお話のありました警察比例の原則という中にありましては、当然、向こうで攻撃をしている、また、こちらの防御ということから考えまして、同じような比重であればできないことはないというふうに思っております。

中井委員長 防衛大臣、さっきの訂正はいいが、今の質問に答弁していない。

田中国務大臣 警護する方でも、これは一つの部隊の中で活動しておるという状況であればできると思います。

石破委員 もういいです。民間人が部隊の中で活動するわけないでしょう、民間人なんだから。自己の管理のもとに入った者ということをおっしゃっておられるのですか。いいです、もういいです。わかりました、もう結構です。もういいです。

 それでは、この法律に関係して聞きましょう。

 海外で自衛隊が活動する場合に、PKO法を除けば、インド洋に出したときもイラクに出したときも特別措置法で出しましたね。これを一般法にすべきだということを私どもは申し上げております。

 なぜならば、特別措置法で常に常に出しておりますと、そのたびに法律をつくらなければなりません。そのときの状況にしか対応ができません。時間もおくれる、対応の態様も限定される、だから一般法をつくるべきだということをずっと私ども野党になってから申し上げてきた。法律も出している。しかし、検討中検討中ばかりで、世の中の状況がどんなに変わっても答えが出てこない。

 一般法に踏み切れない一番の理由は何ですか。

田中国務大臣 私は民主党に入って二年になりますが、やはり、民主党の中でその問題について、検討はしていると思いますが、石破先生初め多くの皆さん方の、この必要性といいますか、そういう問題についての連携を持ちながら、この法案の価値というもの、一般法にしていく価値というものをさらなる議論をして理解をし、そして進めることが必要ではないかと思います。

 我が国は多くの国際貢献をしてきているわけでありますので、一般法のものについても大いに議論をし、そして前進させることが大事ではないかということを私は思っておるところでございます。

石破委員 総理、どうです、一般法。これぐらいはやってくださいよ。私どもも議員立法として出しているんです。

 自衛隊が海外でどう活動するか。先ほどの海峡のお話もありましたよね。そのときそのときに応じて法律をつくっていかねばならないということであれば、適宜適切に対応できないでしょう。きちんとした議会の関与というものを含めて文民統制をきちんときかせた上で、事前の承認も入れた上で、刻々と変化する情勢に自衛隊が的確に対応するような一般法を早急に制定すべきだと思いますが、総理、どうですか。

野田内閣総理大臣 何かの事態が発生するたびにいわゆる特別措置法で対応するというやり方をこれまでやってまいりました。その上で、きちっと自衛隊の出し方をしっかり議論した上で一般法にしろという議論があるということは承知をしています。御党の中にも強いと思いますし、我が党の中でもそういう意見を言う人がおります。

 こうした党内のそれぞれの議論もよく踏まえて、まずは、仮に御党から御提出があればそれは議論したいと思いますが、我々としても、そういう議論があることを踏まえて対応して、研究していきたいというふうに考えております。

石破委員 議論とか検討とかいう言葉がものすごく飛び交うんですけれども、私は、防衛省にいたときも農水省にいたときも、「検討する。」という文章はつくらないでくれということを言ってきました。検討し、いついつまでに成案を得る、そういうふうにしないと、検討しますというのは、やらないとほとんどニアリーイコールなんですよ。検討する、議論する、そうじゃないだろう。どの方向を目指して議論するんだ、何が問題点なんだということを共有しながらやっていかないと、議論する、検討するで時間が過ぎていくということはいかぬことだと私は思います。

 では次に、防衛力について承りましょう。

 動的防衛力という概念ですね。今までは基盤的防衛力という概念でしたね。基盤的防衛力整備構想というのは、それがずっと続いていて、その間、日本は独立と平和を保ってきましたね。この基盤的防衛力整備構想をどういう理由で転換するに至ったのか、そしてそれが今回の大綱にどう反映されているか、大臣の見解を述べてください。

田中国務大臣 基盤的防衛力から動的防衛力に変わりましたのは、二十二年の防衛大綱でございます。

 そしてまた、この動的防衛力というのは、今保持しているものの運用力を高めるということが一つございます。そのために、新たなものを購入して、そして老朽化した戦闘機等は新しいものにしていこうということもありますし、今問題になっております南西地域の防衛というものについても、これから具体的に進めていこうということになってきておるところでございます。

石破委員 特定の脅威を想定するのではなくて、我が国が力の空白となることによってかえって周辺地域の不安定を招くことがないように、独立国として必要最小限の防衛力を整備する、これが基盤的防衛力整備構想でしょう。それでずっと平和だったわけでしょうが。何でこれを変えなきゃいけなくなったんですか。

田中国務大臣 さらに運用で工夫をいたしまして、いわゆるシームレスという形の防衛体制にしていくということがあると思いますし、また、日米のさらなる深化、発展のために努力をしていくという中で具体化していくんだと思います。

 もう一つは、御存じのとおり財政難で、防衛予算もふやすわけにはいきません。そういう中で、効率化そしてまた合理化を図っていく、こういうことでありますが、ますます私は、防衛大臣に就任いたしまして議論をしている中では、やはり定員をふやしていくことによって、これは何といっても人が国を守っていくわけでありますし、この大震災のときにこれだけの大きな力を発揮していただいた自衛隊でございますので、動的防衛力を運用しながらも、その基礎になる自衛隊の定員は、逆にぜひ皆さんに御理解をいただいてふやしていきたい、そんな思いでございます。

石破委員 基盤的防衛力整備構想をなぜ転換しなければならなくなったのですかと聞いているんですよ。正面から問いに答えてください。

田中国務大臣 民主党で防衛大綱をつくってきておるところでありますが、その中で、御提案があった、有識者の皆さん方から出てきましたのは、新たな安全保障環境に対して、基盤的防衛力構想にとらわれず、運用を重視して、多機能で弾力的な、実効性のある防衛力を発展させたものが動的防衛力という説明がございまして、これを採用しようということで大綱に入れたところであります。

 当然、基盤的防衛力に基づいて今日があるわけでありますから、それが決して大事ではないということではないと私は理解をいたしておりますし、今までの蓄積したものを、やはりよく理解して、そして今後に生かしていくということが大事だと思っております。

石破委員 冷戦時代はそれでよかったのですよ。我が国周辺の力の不安定を招くことがないようということで、力の空白をつくらないこと自体が自己目的でしたからね。

 脅威を想定しない安全保障構想、防衛構想なんてありません。今現実に脅威があるとは言いませんが、脅威というのは意図と能力の掛け算なのであって、能力がどんなにあっても意図がゼロなら、掛け算はゼロなんですよ。どんなに意図があっても能力がゼロなら、掛け算の積はゼロなのですよ。

 中国のこれから先の防衛力の動向、国防力の動向、それがどうなるのか、それに対して日米できちんとバランス・オブ・パワーを維持して、ここにおいてそれが確保できるように、どこに、何を、どれだけ、いつまでに置くのかということについてきちんと明確に納税者に説明する、それが動的防衛力でしょう。どこに、どのようなものを、何のために、どれだけ、いつまでにということを陸海空きちんと説明ができるように持っておく、それが動的防衛力なんじゃないんですか、違いますか。

田中国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思います。

 南西地域の防衛力を整備していこう、こういうのも一つございますけれども、我が国の周辺の地域におきましては、当然、核保有国もございます。また、不安定の中での安定という、これからの近隣の諸国の状況もございますので、やはり、おっしゃられるように、これからの防衛に対しましては、どこに、いつ、どういう形でという運用面を含めて、さらなる研究そしてまた実施をしていかなければいけないということだと思っております。

石破委員 よほど運用という言葉がたたき込まれているようですね。運用、運用、運用とおっしゃいますが、防衛力整備構想というのは、運用の前に、どのような潜水艦を持ち、どのような戦闘機を持ち、どのような陸上車両を持つかということですよ。そして、人員をどうするかということですよ。

 さっき大臣は、定数をふやすために協力せよ、理解をせよと言いましたね。私たちはそれをずっとやってきていますよ。だけども、問題は、幹部があって、そして下士官と言われる曹、士長がいて、一士、二士と言われるのがいて、ここ十数年の間にどこの人数が減りましたか、どこの人数がふえましたか。単に自衛官の人数だけ言ってもだめでしょうが。幹部の人数あるいは曹士の人数、その部分を見たときに、どの部分がふえて、どの部分が減りましたか。

田中国務大臣 私は、陸上自衛隊の郡山駐屯地に参りまして、それから横須賀の海上自衛隊、那覇基地の航空自衛隊と三カ所回りました。

 その中で、やはり陸上自衛隊の数が減らされておるのではないかという認識を持ちましたが、そのほかの海と空につきましては、これからこの防衛力はアメリカも強化をしていこう、こういうことでありますから、我が国も空とそして海の関係というものもしっかり把握をし、しかし今減ってきているのは陸上自衛隊だと認識をしております。

石破委員 私がお尋ねをしたのは、幹部と曹士と、どこが減りましたかと聞いているのですよ。よく、今回の震災もありました、数をふやすべきだと。みんな、自衛官の献身的な働きについては、感動もしています、共感もしています。

 自衛隊員の服務の宣誓を御存じでしょう。事に臨んでは危険を顧みず、身をもって職務の完遂に務め、もって国民の負託に応える。

 我々の自衛隊が何で軍法もないのにこんなに精強なのか、規律正しいかといえば、その服務の宣誓をみんながきちんと守っているからですよ。だから、自衛隊をふやせということについては、みんな、そうだそうだと思うんですよ。

 この数年、ずっと人件費は変わりませんね。数は減ったけれども人件費が変わらないというのはどういうことですか。つまり、二士、一士、そういうようないわゆる兵隊さんの数がどんどん減っていった。だけれども、幹部や陸曹、そういう人たちは減らなかった。お給料の多い人たちは減らなかった、お給料の少ない人がどんどん減っていった、これが現状でしょうよ。ふやすとしたらば、一士、二士という人たちをふやしていかなければ、これから先の対応なんかできやしません。

 そのときに問題となるのは、何でそういうことになるかというと、一士、二士の人たちはいわゆる任期制の隊員ですから、やめた後、どこに就職するんだということが一番の問題なんですよ。やめた後、就職するところがないから、やめないでずっといるわけですよ。そういう人たちに対する就職のあっせんというものをきちんとやっていかなければ、今でも自衛隊というのは世界で最も高齢化が進んだ組織なんですね。若い人たちをふやしていくためにはどうすればいいんだ。単に定数をふやせふやせだけ言ってもだめであって、どうやって一士、二士の定数をふやすか、そのための施策は何なのかということを考えなければどうにもならないでしょう。

 私、人員面で自衛隊の持っている課題は何ですかと通告をしましたね。通告しているはずですよ。人員面で自衛隊の抱えている課題は何ですかと通告を間違いなくきのうのうちにしていますからね。

 もう一つは、予備自衛官がこんなに少なくていいですかということでしょうよ。どの国でも常備軍と同じぐらいの数の予備役は持っていますよ。多い国は二倍、三倍持っていますよ。お金がない、お金がないとおっしゃいましたけれども、大事なのは、どれだけ予備役を確保するかということなんでしょう。その人たちが有給休暇をとらなければ訓練に行けないなんて、そんなばかなことがあっていいはずがないでしょう。どうやって予備自衛官の処遇を改善するか、そしてまた、それを雇用する企業にどういうような待遇をしていくかということを考えなきゃいかぬでしょう。

 戦はあるんですよ。戦があれば人は傷つくんですよ。そうしたらば、予備を出していかなければ続けることはできないに決まっているじゃないですか。継戦能力とはそういうことじゃないですか。政治主導というのはそういうことじゃないですか。

 人員面について、先ほどの一士、二士をふやすということ、予備役を拡充するということ、そのことについて、自衛官の御子息でもある総理大臣、どのように考えますか。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、人員の面で最大の問題は、自衛隊の組織の高年齢化だということであります。

 先ほど来出ている動的防衛力の話も運用のダイナミズムなんですが、いわゆる組織自体のダイナミズムが今なくなっているということが最大の問題であります。もし不測の事態があったときに、まさに生きのいい一士、二士がどれだけいるかということが、私は精強性の一つのポイントだというふうに思います。その意味では、精強性という点からもこの問題は解決しなければならないと思います。

 私も財務大臣としてこの防衛計画の大綱にかかわりました。財務省としては削れという立場なんですが、しかし、議論としては、今の人員の問題で最大の問題は、組織の新陳代謝を図るためには、では、若い人たちが途中やめた後、どこが引き受けるか。公的セクターでもっと引き受けようであるとかということを具体的にやっていかないと、その問題は解決できないということを、自衛官のせがれの一人として、私は下士官の息子でありますけれども、特にそのことを喚起させていただきましたし、そのことは防衛省もよく御理解をいただいているというふうに思います。

 それと、あわせて予備自衛官、それから即応予備自衛官、この体制がしっかりあって初めて機能するというふうに思います。

石破委員 これはもう総理にお話しした方が早いでしょう、最高指揮官ですからね。

 最高指揮官たる総理大臣、本当に一士、二士をふやしていかなければなりませんよ。それは、その人たちがやめた後にきちんとした就職のお世話というものができなければ、服務の宣誓どおりにやる彼らは一体どうなるんだ。今回の震災でも、本当にしんどい目をしている人たち、もしここは若い人たちがたくさんいれば、もっと大勢の人が助かったんじゃありませんか。

 財務大臣、これは財務省の立場もあるでしょう。ですけれども、単に定数を減らせ減らせという話じゃなくて、どこをふやしてどこを減らすのかということについて、財務大臣、どうですか。

安住国務大臣 全く私は先生と同じ認識を持っておりまして、昨年、防衛大綱をつくったときの副大臣の責任者でございました。

 つまり、精強性とは何かといったときに、世界の軍を見ますと、典型的なのはアメリカ軍でございますが、やはり将を中心とした、いわばいい意味でのピラミッド体制になっている。しかし、先生がおっしゃるように、我が国の自衛隊は、どうしても曹の部分が今厚くなってきて、ひし形になっている。

 ですから、このひし形の部分を、再就職というお話もありましたけれども、人的改革をやることによって、後方任用をしたり、そういうことによって、手当も非常に高いですから、現役の部分から少し後ろに下がって仕事をしていただく、そこで浮いた人件費等を使って、いわば士のところを、若い人を、総理がおっしゃったようにふやしていこうと。

 つまり、ピラミッドをいかにこれから構成して精強性を保つかということが最大の課題でありますので、やみくもに、今の曹が上に乗っかった士をただふやせばピラミッドではなくて、先生がおっしゃったように、組織のいわば新陳代謝といいますか、きちっとした精強性を持ち得る体制をつくるための改革というものは、今、防衛省で若い方々を中心にやっておられて、制度設計があって、近く私は法律改正を含めて出してくれるものだと確信しております。

石破委員 それでは、せっかく安住さんがいるから、このことを申し上げておきましょう。

 法律の話ですが、例の事務次官通達の問題は、私どもまだ認めておりませんからね。あれは間違いなく憲法が禁じた事前抑制の法理、これに抵触をするものですからね。今回の真部さんの話もそうですけれども、自衛隊がそういうようなことをしてはいかぬ、当たり前の話ですよ。ですけれども、外部の人が自衛隊の中に来て話をするときに、あなた、何の話をしますかと聞いて、政府批判の話をするとするならば御遠慮ください、これが事前抑制の法理に抵触しなくて何ですか。何で抵触しないと言えるんですか、こんなことが。大臣、どうですか。

田中国務大臣 自衛隊は特段の政治的中立性の確保が必要であるということは間違いないところでございます。

 御指摘の通達は、隊員が政治的中立性を害するような行為を行ったのではないかと疑われることのないようにする趣旨で発出されたものであると私は伺っておりますが、私自身もその状況を全て知っておるわけではございません。さらにいろいろ認識を深めて、見解を出したいと思います。

石破委員 これはやってはならないことです。外の人が来るのに、あなた、何を話すのですか、そんなことならばやめてください、これが公権力の行使たる事前抑制でなくて何ですか。こんなことを平然として認めて、自衛隊は本当に国民の信頼が得られると思いますか。この通達の撤回は断固私どもは求めるものであります。

 中国の軍事動向について伺います。

 中国はなぜ航空母艦を保有するに至ったか。我が国は、それに対して、まさしく大臣がおっしゃる動的防衛力として、どのように装備を変えていくべきだと思われますか。

 つまり、質問に対して、中国と海洋面における協力を深めたいということをおっしゃいました。ですけれども、沖縄の問題を考えるときもそうですけれども、この地域においてどのようにして抑止力が維持できるかということは、負担の軽減と並んで、常に考えておかなければならないことです。

 中国海軍の動向、中国人民解放軍の特性、そして、我が国はそれに対してどのような防衛力を整備すべきか、お答えください。

田中国務大臣 中国の海上における動向でありますが、第一列島線という我が国に近い線がございまして、監視をする、あるいはその地域を中国の領海と、防衛に求めていく、こういう第一防衛線がございますが、それをまた第二防衛線として相当この幅を広げていこうという、実際の意図があるかどうかはわかりませんが、そういう動きがあるというふうに感じておるところでございます。

 そういう中で、中国側が空母の建設をするということは、大変、脅威というか不透明であるというふうに思っておりますから、私はまだ中国にも行っておりませんけれども、不透明感のあるこの軍事力については、私は自分のできる範囲の中で、我が国の脅威になるものがあるのか、あるいは協調していけるものがあるのかということは、この際、しっかりと話し合いを私の責任でやっていこうというふうに思っておるところであります。

 私が申し上げておりますのは、しかし、いろいろと海上で中国と我が国が不測の事態がございます。漁船なんかのそういう事案があるわけでありますので、海上の連絡体制というものをしっかりと密にいたしまして、そして中国との不測の小競り合いがないようにしていきたい、そういう法整備をしていければ、こういうふうに思っております。

石破委員 連携を密にし連絡を密にすればそのようなことが防げるほど、世の中は甘くない。

 では、何でアメリカの海兵隊がいるんですか。最後にこの問題に戻りましょうよ。では、何でアメリカの海兵隊は、本土じゃなくて、沖縄でなければいかぬのですか。地政学的とはどういう意味ですか。

田中国務大臣 海兵隊が沖縄にあることが、このアジア太平洋の周辺国において、地政学的といいますか距離的にといいますか、非常に防衛をする拠点になり得るということが大きな要因だと思いますし、日米同盟の中で抑止力があるわけでありますけれども、海兵隊もその抑止力の一つであります。そのためには、沖縄にあるということが大変抑止力にも貢献をしていただいておるということでございますので、そのように理解をいたしております。

石破委員 距離と時間の壁というお話を私は何度かこの委員会でいたしました。

 仮に高速の輸送手段ができたとして、その距離と時間というものを乗り越えることができたとしたら、距離は変わらないが時間が短くなるということがあったとすれば、沖縄でなくてもいいということは理論的にあり得ると思いますか。

田中国務大臣 距離と時間との関係でございますけれども、当然距離は誰でもわかるわけでありますが、時間は、これはやはり我が国の自衛隊の能力、そしてまた、日米の共同訓練もやっておりますけれども、しかし、いろいろな条件下で、時間というものを短縮するということは大変な軍事的な努力が必要でございます。

 日々刻々、この世界の防衛というものが大事な状況でありますから、そういう面では、すぐにその場所を変えるということは、これはなかなか、軍事力の低下を招くわけでありますから、私はできるだけ沖縄で推進をするということが必要ではないかと思っております。

石破委員 沖縄の負担をどれだけ減らすかということをもう少し真面目に考えたらどうですか。どうやって抑止力を維持し、どうやって負担を軽減するかということですよ。

 沖縄でなければいけないというのは、距離と時間の壁があるからでしょう。それを乗り越えることができるとするならば、全て沖縄でなければいけないのかという話をきちんとしないままに、日米合意のままに、日米合意のままにといって、本当に事が進展すると思いますか。

 そして、日本に海兵隊がないのはなぜですか。憲法上の問題ですか。違うでしょう。沖縄海兵隊の米軍海兵隊があるからでしょう。日本にできることをアメリカに全てやらせていないか、本土でできることを沖縄に押しつけていないかという考え方には、もっと謙虚であるべきですよ。

 徳之島という話がありましたね。何で徳之島がだめなのか。それは、ヘリの基地だけ移転しても仕方がないからですよ。有事には何倍ものヘリがやってくる、固定翼機がやってくる。そして、弾薬が積まれる。そして、十分な訓練するスペースがなければ、ヘリ基地だけ移したって仕方がないだろうということで徳之島はだめなわけですよ。

 だとするならば、日本でできることはほかにないのかということ、沖縄でなくてもできることはほかにないのかということ、そういう検証をしないで、どうして沖縄の負担が軽減できる、そして、日本にできることは何なのかということを法的に能力的に検証しないで、何で抑止力が維持できるかという認識を防衛大臣は持つべきです。

 以上で終わります。

中井委員長 これにて石破君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 本日は、新任閣僚の五名の皆さんへの質疑ということでございますが、私は、まず田中防衛大臣、そして時間の許す限り岡田副総理と質疑をさせていただきたいと思います。

 早速でございますが、当委員会でも朝から話題になっております沖縄防衛局長の講話の問題について、何点か伺いたいと思います。

 総理、通告はしておりませんが、この話題の前提で一点だけ基本的なことを確認いたします。

 総理の内閣は、今でも政治主導の原則で動いておられるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 基本的には政治主導で動いている。それはもちろん、役所の皆さんの力も合わせて、しっかりとチームをつくりながらでありますが、基本的な意思決定を含めて政治主導で行っていくということでございます。

遠山委員 それでは、田中防衛大臣、大臣にとりまして、今総理がおっしゃった政治主導の意味をお答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 世間では政治主導、官僚主導と対比してやってきておりますけれども、私は、政治主導というのは、やはり多くの方々の意見を聞く、当然、我々は国会議員でありますから、国民といいますか、身近な皆さん方の意見を聞く、そしてその要望を、官僚の皆さん方が選択肢ができる案を出していく、それによって我々は、その中から最適なもの、そしてまた国民の皆さん方に理解していただけるものを選択する、これが政治主導だと思っております。

遠山委員 大臣、今おっしゃった答えでいいんですが、政治主導の中には、それに加えて、省内で幹部職員が勤務時間中に行う重要な行為については、当然、これは報告を受けて、それについて大臣が判断をするということは含まれると思いますが、間違いないでしょうか。

田中国務大臣 今回の問題が念頭にあってお話しされておるのではないかと思いますが、私は、防衛大臣として就任をいたしました、そして、多くの現場の方々との接触もやっておりますが、私の着任以後の問題については全て必ず報告を受けるということで話をしておりますし、漏れがないと思っております。

遠山委員 では、漏れがないと今大臣おっしゃいましたけれども、きょう、衆議院の予算委員会、当委員会の理事会に出された資料を私先ほどいただきまして拝見しましたが、真部局長の講話については、真部さんが発意をして、つまり自分で思いついて、そして本省から指示があったわけではないけれども講話を行ったということになっております。これは果たして本当なのかどうか。

 資料には、一月四日に真部局長が指示をしたということでございますから、その時点では田中大臣ではないわけですけれども、渡辺副大臣も含めて、当時から副大臣でございますから、私も沖縄に事務所がある政治家で、真部局長は少しばかり知っております。私が知る真部局長の人柄とか仕事ぶりから考えまして、勤務時間中に職員を集めて宜野湾市の選挙について講話をするということについて、本当に全く本省に、政務三役に判断を仰いでいなかったのか、ここが非常に大事なポイントだと思うんですね。

 では、副大臣、副大臣は当時も副大臣ですから、本当に大臣も副大臣も、真部局長がそういうことをするということについて知らなかった、また、相談されて了承したり判断を下していないとここで再度確認させていただけますか。

渡辺副大臣 真部局長は、前局長の不適切発言によりまして、十二月の十九日に新たに再登板という形で局長になりました。そのときは一川大臣でございます。そして、一月四日の指示をした日というときも一川大臣ですけれども、この点については一切我々三役あるいは本省は、このことは確認しました、本省に相談をしたのか、あるいは本省から何らかの指示があったのかと。もしそんなことがあったら大変なことだぞということも局長に直接先ほども言いました。そして、局長とともに、今回この指示を受けてメールを出した沖縄防衛局の幹部職員とも話をしました。これはないと。もちろん、我々、当時の一川大臣も含めて政治側三役が、こういうことを行う、だから、いいだろうか悪いだろうか、あるいは許可をしてくれとか、そういう話は一切ありませんでした。

 ですから、正直、この問題が先般の委員会で赤嶺委員から取り上げられたときには、これは本当か、そんなメールが本当にあるのか、直ちにそれを調べろというのは、全くこれは初めて聞く話でございました。そのことは、本当に天地神明にかけてお誓いを申し上げます。

遠山委員 わかりました。

 そうすると、今回の局長の行為が実際に公職選挙法とか自衛隊法とか法律に抵触するかどうかということは、恐らく今も調査中だと思いますけれども、事実関係を確立して、その確定された事実関係に基づいて適切に判断をしなければならないと思います。

 私がこの話題で最後に指摘しておきたいことは、少なくとも局長の行為というのは、野田内閣の政治主導原則に明らかに反しているということは明確だというふうに理解しておりますが、その認識でよろしいですか、防衛大臣。

田中国務大臣 こちらの予算委員会でメールが開示されました。これについては、実在するということはすぐ判明をいたしましたので、真部局長については、その事情を徹底的に報告させているところでございます。きょう予算委員会にその講話の内容については御説明を申し上げたと思います。

 私も、この職についてこの問題が起こるまで、講話ということはどうもなじみがない言葉であったという認識でございますが、このようなことが防衛省そしてまた自衛隊の中で古くからあるのかどうか、いつから始まったのか、こういうことも、特に沖縄で起きた事案でございますから、しっかりと体質を改善するということが一つだと思います。

 そして再発防止だということで、私は、委員会を防衛省の中につくりまして、そしてこういう問題、中立性、公正性が疑われるような行為がないように監督していく、指導していくということで御理解をいただきたいと思います。

遠山委員 いずれにいたしましても、今私が申し上げましたように、法律に抵触しているかどうかということは証拠と事実関係と法に照らして冷静に判断せざるを得ないと思いますが、政治主導でやっている内閣で、このような重大なことを勤務時間中に一局長の判断でやっていたということを、野田内閣として、民主党政府としてどう捉えるのかというところもきちんと整理をして、最終的な対応をしていただきたいということを強く要望させていただきます。

 特に、宜野湾市長選挙は、普天間基地がある市ですから、全国が注目している選挙でございますので、今回の件で、全く無実の、特定の政治団体や政治勢力や政党が何か疑いの目を持たれて、それが選挙に影響するようなことがないように、ぜひとも厳格な対応をお願いしたいと思います。

 次に、田中大臣、続けて伺いますが、大臣は就任の記者会見で、普天間移設の問題について問われまして、こうおっしゃっております。そのまま引用しますが、日米合意の堅持が大前提だが、沖縄県民の信頼を回復することが第一だ、こうおっしゃっているわけでございます。

 ということは、大臣の認識としては、現在、沖縄県民は政府を、防衛大臣も含めて信頼していない、こういう認識を大臣御自身が持っているということでよろしいですね。

田中国務大臣 沖縄県民の民意は、何といっても現在の知事が当選をされているわけでありますから、その民意を受けて、今、知事の行政を行っておるということで理解をいたしております。したがいまして、仲井真知事が県内という問題につきまして理解を示しておらないという状況でありますから、これは沖縄県民の皆さん方が反対をされておるという認識に立つのは当然なことだと思います。

 しかし一方で、この問題に十五年間の歳月をかけているわけであります。民主党の混迷もあったわけでありますけれども、全体的に言えば、アメリカもそして我が国も、そしてまた沖縄県民の皆さん方も大変苦労をして今日を迎えているわけでありますから、何とかこの問題は解決の糸口を少しでも持ちたい、こんな思いで私はいるところでありますが、何とか沖縄県民の皆さん方にも理解をしていただければ、そんな思いで臨んでおるところでございます。

遠山委員 大臣、沖縄県民が理解していない、知事が理解していないという、理解しているかどうかの話を私は聞いているんじゃないんです。信頼がないと言っているんですよ。信頼されていないという、いや、だから、大臣の就任の記者会見の発言は正しいと思いますよ。信頼されていないから、信頼を回復しようとおっしゃったわけでしょう。それをこの場で、そんなごまかしの答弁をしちゃだめですよ。

 それで、では伺いますが、先ほど、多くの人たちが十五年間苦労してきた、我々も、公明党も与党にいるときにいろいろ苦労しました。だけれども、その苦労をひっくり返したのが民主党政府じゃないですか。

 だから私は、昨年、当委員会でも、他の委員会でも、本会議でも、普天間問題というのは、ことわざを使えば覆水盆に返らずの状態だと。沖縄県民から見れば、皆さん方がおっしゃっている合意という水が盆の上から落ちちゃった。盆の上に載っていない水を飲みなさい飲みなさいと言っても、ないものは飲めない、こういう状況になっているということを大臣は理解していただかないと、これからもっと大変だと思いますよ。

 それで、次の質問はもうこの話題で入っちゃったので飛ばしまして、鳩山元総理が、総理として、辞任する少し前まで、普天間につきましては毎日のように県外移設を主張されておりました。当時、民主党代表であり、総理でもあった鳩山さんが毎日のようにぶら下がりで主張したわけでありますから、ほとんどの国民はこれを政権の公約と捉えたわけでございます。

 私は、当時、その鳩山総理のほとんどの期間は浪人中で、今よりも沖縄の地元でよく活動しておったわけですけれども、私の周りの沖縄県民の皆様も、野党の党首が県外移設を毎日言うのと時の総理が言うのとは意味が違うよね、時の総理がここまで言っているんだから、その方向でずっといくんだろうという捉え方が大宗を占めておりました。

 当時、田中大臣は、この鳩山元総理の県外移設の主張をどう捉えておりましたか。民主党政府の公約と捉えていましたか。それとも、そうじゃないんですか。

田中国務大臣 当時、私は参議院の外交防衛委員長でございました。大変激論があったわけでございます。鳩山総理はこの委員会には出てこられる立場ではありませんでしたけれども、外務大臣、防衛大臣の御発言もありました。なかなか私は、この両大臣と鳩山総理が言っておられる内容は違うんじゃないか、こういう危惧を持っておりまして、何とか官房長官に、これは身内の話で大変恐縮でありますが、それをまとめるのが官房長官でありますから、ぜひ官房長官に何とかまとめてもらいたいと。

 そして一方では、マニフェストには県外ということは書いていないというようなことも話があったわけでありますが、沖縄の皆さん方には地方のマニフェスト等がありまして、県外と載っている。こういうなかなかちぐはぐな状況下であったのは確かでございます。

 しかし、私は、何とか民主党として、この問題をしっかりと話し合いをして解決して、そして信頼を得られるようにというふうに努力をしてきたわけでありますが、このような形になって、私も大変ざんきな思いです。

遠山委員 今、たまたま、当時の外務大臣である岡田さんと官房長官の平野さんがおられますが、通告もしていませんし、お二人には伺いません。

 大臣、私の質問に答えていないんですよ。当時、田中大臣はこの県外移設という主張を、客観的に外務大臣と防衛大臣と総理がちぐはぐだったということを聞いているんじゃなくて、それが民主党政府の公約と思われていたかどうかというのを伺っているんです。

田中国務大臣 鳩山政権でございます。公約だと思っております。

遠山委員 今のは、多分、岡田副総理から見たら、また問題発言ですね。岡田さんはたしか、私が当時すぐ衆議院に戻ってきてやりとりしたら、民主党の公約ではないとおっしゃっておりましたから、大臣、今のは後でどこかで訂正した方がいいですよ。もう既にここで閣内不一致ですよ。ちょっと、この問題ばかり突っ込んでいるとあれなので。

 それで、大臣、大変失礼ながら、沖縄県民が今の政府に信頼を失ったのは、一つは、その県外移設を大臣も公約と思っていたわけでしょう、それを百八十度ひっくり返したことに対して何だと、人間として当たり前の感情が沖縄県民を覆って、そして信頼を失ったんです。プラス沖縄担当の閣僚の皆さんの、一々個別に申し上げませんけれども、一連の失言等があったということでございますが、田中大臣も、失礼ながら、就任直後から失言連発なわけですね。

 一月十五日のNHKの番組で、辺野古への着工が年内にできるかどうかが当面の手順と発言して、直後に撤回。それから、防衛大臣としては初めて宜野湾市を視察した際に、小学校で頭上にヘリがおりてくるというんだが、そんなに多いわけじゃないんでしょう、どうなんでしょうねと発言をして、翌日に釈明をしております。

 ただ、私が理解しがたいのは、報道ベースですが、釈明の発言がこういう内容なんですね。小学校の教育環境を改善しなければいけないとの使命感を持っている、こういう釈明なんですよ。

 みんな怒っているのは、大臣が、あの普天間第二小学校、私も三回ほど行きましたけれども、あそこで、土日は来ませんよ、土日は。しかし、月曜日から金曜日の平日は、もう轟音でヘリコプター、たまには固定翼機も来ているわけですね。それは私は、大臣もキャリアが長いわけですから当然御存じかと思ったら、その聞き方が、多いわけじゃないんでしょうと。そういうことをおっしゃっていることに対して怒っているのに、何で釈明発言が、小学校の教育改善に使命感を持っていると、全然釈明になっていないですよ。

 大臣、特に二番目の発言については、きちんと反省して謝罪する気はあるんですか。

田中国務大臣 普天間第二小学校の屋上の状況につきましては、私は、外交防衛委員長のときに、二年前に視察をいたしました。

 こういう立場になりましたから、何とかこの騒音というものを減少させたいというのが、普天間飛行場に行ったときの第一の目標でありましたから、今、その二年後にどうなっているんでしょうかというのが私の質問であります。

 どういうふうに受け取って、どういうふうに報道されたかわかりませんが、私は、この視察の内容について、新聞記者の皆さん方から質問を受けておりません。

 私は最優先に、この普天間の飛行場では、第二小学校の知念校長さんから直接私に陳情が、委員長でしたからありました。これを何とか私は解消したいということが第一の目標でありましたので、そういう報道があったことは大変心外に思っておりますし、防衛省の者を派遣いたしまして、その学校に行ってもらいました。

 二十九日は学芸会で、何とか飛ばさないでくれ、こういうお話がありましたから、私は現地に申し上げて、米軍に、この日は騒音がないように飛行してもらいたいということを要望したわけであります。最近、報告がありましたけれども、おかげさまで二十九日は飛んでおらなかった、こういうことでありますが、しかし、特定の日のみならず、飛行も含めて、あるいは、この普天間の問題が長引くわけでありますから、ますます小学校の皆さん方が大変なわけですから、私は、最優先でこの騒音問題をやるということの決意で臨んでいることを理解していただきたいと思います。

遠山委員 大臣、では、あれですか、私は報道を読んで、大臣は釈明したと理解していましたが、今の御答弁だと、釈明も謝罪もする気ない、こういうことでよろしいんですか。

田中国務大臣 私は、その視察した次の日だったと思いますが、地元の新聞の方々も入りまして、そして質問がございました。

 私は二社あると伺っておりましたから、一社の方は質問しましたけれども、二社目が質問されなかったので、そのほかの人が質問をしたいということを制止して、わざわざ地元の新聞の記者に質問をしていただいたわけであります。

 そのときに言われたのが、そういう発言があったんじゃないですかと言うから、私は、その発言は、教育環境の問題について最優先に取り組みたいということで発言をしているんですよということを申し上げたわけでありますが、残念ながら、その質問された記者の方は、自分の言ったことを書かれたんだと思います。

 そういうことで、大変、問題がこういう形で報道されたことについては、私もじくじたる思いであります。

遠山委員 大臣、今また何か問題発言をしましたね。その記者が自分が思ったことを書いたと今おっしゃったんですか。では、この発言自体は存在しなかった、自分はこういうことを言っていないと。しかし、そういう抗議はされていないんじゃないですか。

 だって、ヘリがおりてくるというんだがそんなに多いわけじゃないんでしょうというのは、辛うじて疑問形にはなっていますけれども、多くないんでしょうということを前提で、確認で聞いているんでしょう。二年前に視察に来たときと今と状況は変わりましたかとか、ヘリの数は変わりませんかとか、そういう聞き方じゃないじゃないですか。

 頭上からおりてくるというけれどもそんなに多くないんでしょうという発言はしたんですか、していないんですか。何でそうやって簡単にくるくるするんですか。

田中国務大臣 その発言はいたしました。

 ただ、視察をしながらの状況の中ですから、私の表現が大変誤解を招いたのかもしれません。しかし、真意は、それを理解していただけなかっただけでありまして、その発言は私はしたことは間違いございません。

遠山委員 でしたら、真意はわかりましたよ、先ほどの説明で。しかし、こういう発言をして、それは曲解ではなくて、一般の人が聞いても、あれと。特に沖縄の人はそう思う発言ですよ。それに対しては率直に謝らなきゃだめでしょう。それを、最初の答弁は、釈明もしない、謝罪もしない、マスコミが悪い、そういう要旨の答弁じゃ、それは大臣、理解は得られないですよ。

 次に参ります。

 米軍基地が沖縄の経済、雇用にもたらす効果について、大臣はどういう見識を持っておられますか。

田中国務大臣 沖縄には、米軍基地が七四%というようなことで、全体で、面積で一〇%の基地があるわけでございますし、正確な数字はわかりませんが、雇用という面からいいますと、非常に大きなものがあるんではないかと思っております。

 そういうことからすれば、やはり沖縄の産業というのは、一次産業もそんなに多いわけではございません。サトウキビを初め、その地域の農産物ということからすれば、やはり現状からいえば、基地があることによって一つの大きな経済規模が生まれておるだろうということでありますけれども、やはり将来のことを考えれば、それにかわる雇用というものも創出させていく、あるいは基地は何とか軽減をしていくということが方向としては求められる状況ではないかと認識をいたしております。

遠山委員 野田総理、防衛大臣はかえた方がいいですよ。今の答弁はひどい。

 私は、昨年、NHKのテレビ中継つきのこの予算委員会で、二月に、米軍基地が返還される前の経済効果、雇用効果と、返還された後の経済効果と雇用効果について、沖縄県が厳密に試算した数字をパネルにして、ここで質疑しましたよ。

 大臣、今、沖縄の米軍基地が雇用効果は大きいとおっしゃった。逆です。全く逆。

 具体的に、雇用のところだけ言いますよ。那覇の新都心地区、これは以前米軍用地でした。返還前、昭和六十二年の前、この米軍基地、広大な米軍基地で雇われていた沖縄の方々は三百九十人にすぎません。今、同じエリアで雇用されている人の数は、沖縄県のホームページに載っています、五千七百二人。十四・六倍の雇用効果でございます。

 もっと衝撃的なのは、北谷桑江地区、沖縄の北部の方ですね、沖縄市の上の方ですけれども、ここは返還前は広大な米軍の飛行場がありまして、余り雇用されていなかった。たった二十人しか雇用されていなかった。ところが、今、大臣も北谷のあたりを通られたらわかりますけれども、いろいろな施設ができまして、雇用されている人は五千人を超えております。倍率は二百五十一倍です。

 ですから、沖縄県では、昔はいざ知らず、今は、米軍基地を返還してもらって民間が再開発して使った方が雇用効果は、大きいところでは二百倍を超える。そして、生産とか所得の誘発効果も三桁の倍率で上がるということが、既に返還された土地で起こっているんです。

 ということは、米軍基地のままで持ち続けるということは、そうでなかったときに生まれるはずの雇用や経済を潜在的に犠牲にして米軍基地を維持しているわけですから、この点の理解を、政府の中枢、特に防衛大臣でしょう、持っていなかったらだめなんですよ。

 こういうところがないまま、沖縄の県知事や県民の皆様方と話しますと、それは一部マスコミの報道で誤解が生じるような報道もあるかもしれません。しかし、大臣、今の答弁は全く逆なんです。ましてや、私がきょう質問に立つんですから、せめて、私が去年予算委員会で沖縄の基地問題のどういう質問をしたかぐらい、報告を受けておくべきですよ。それは苦言を呈します。

 それで、大臣、もう時間がなくなってきましたから、最後に、この沖縄の米軍基地の、駐留軍用地の跡地利用に関する特別措置法、これはことしの三月三十一日で切れます。今までは、議員立法である軍転法と閣法で出してきた沖縄振興法の一部で、駐留軍用地、米軍用地が地権者に返された後の手当て、給付金とか補償金の手当てについて定めてきたわけですが、今回それを一本化して、政府が閣議決定して法律を出そうと。

 今、自民党さんも議員立法を考えています。公明党も共同でやろうということにしておりますが、私たちが一番求めているのは、現行法のもとでは、土地が米軍から地権者に、日本に返還をされた日から最大で三年間だけこの支給金を出すという仕組みになっております。ところが、あの米軍の土地というのは、返されてすぐ、翌日から使えるわけではありません。原状回復措置をしなければいけない、不発弾を探さなければいけない、あるいは文化財調査、環境調査、そういうことをしなければいけませんから、地権者はすぐ使えないんですね。ですから、返還日と地権者への引き渡し日の間にはタイムラグがあるわけです。

 ところが、今の現行法制では、タイムラグも含めて三年間しか手当てしないということになっておりますので、自民党さんもそうですし、我々公明党も、その起算点を返還日から引き渡し日に移してもらいたい、こういう要望を出しておりますが、大臣、これから出す法律でどうされますか。

田中国務大臣 軍転法につきましては、私は、国会議員になりました後すぐにかかわった経過がございます。当時、整理統合というところまでしかありませんでしたけれども、何とかそのときに、縮小という文言を入れてもらわなきゃ困る、こういうことで、久しぶりに軍転法の中身を見ましたけれども、当時の縮小という文字がその法律に入っていることに私も非常に心強く思いましたし、その後返還されて、そして沖縄の皆さん方が新たな振興法で先ほどの雇用を創出させておるということは、大変地元の皆さん方の御努力だと思っています。

 何しろ、返還と引き渡し、当時、二年か三年にしましたけれども、それはなかなか詰まりませんでした。今回、私が就任いたしましたので、当時のことを思い出して、防衛省の最優先は交付金の始点を返還から引き渡しに変えるという、これは私は体を張って今法案の変更のためにやっておりますから、必ずそれは実現をしたい。

 今総理もおられますから、総理にも改めてお願いをするわけでありますが、私自身は、これは最優先に防衛省として取り組んで実現をするということの熱意を考えていただきたいと思いますし、必ず実現をいたしたいと思います。

遠山委員 大臣、我々の要望を入れていただいたということでございますし、最後に一つだけいいお話を伺ったと思いますけれども、私たちはずっと前から言っているんですよ。

 それで、いずれにしても、先ほどのやりとりで相当厳しい状況だというふうに思いますから、大臣、それは相当な努力をしていただかなければ長くは続けられない、このように申し上げておきたいと思います。

 最後に、もう時間がありませんので、岡田副総理、一点だけ。本当は何問も用意しておりましたが、一点だけ伺いたいんですが、民主党代表もされておられた岡田副総理は、我々自公の政権のときに、今の現行の年金制度については、百年安心ではない、破綻している、破綻するというようなトーンで大変厳しい批判をされておりました。

 ところが、今回出された素案を拝見いたしますと、破綻するような制度という前提ではなくて、御説明ぶりは、民主党が掲げている新しい年金制度は導入するけれども、その移行期間には、ここには書いていませんけれども、四、五十年はかかる。その間、新制度の年金から給付される人と、旧制度、つまり今の現行制度から給付される人が生じるので、現行制度を改善する意味はあるという、二〇〇九年のマニフェストでは全く記載がなかった新しい論理を持ち出して今の御自分たちの立場を整合性とられて、そして、ほとんどこの素案の年金のところの大半は現行制度の改善案になっているわけでございます。

 そこでお伺いしたいのは、二〇〇九年前に、今の年金制度はだめだとおっしゃっていた。今、立場を変えられたんですか。今の現行制度は平成二十一年の財政検証でも百年大丈夫だという結果が出ていますが、要するに、態度を変えられた、こういうふうな認識でよろしいですか。

岡田国務大臣 まず、私、委員御指摘のように、二〇〇五年、民主党代表だったわけですね。そのときに政府にお願いをして、年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議というものを設けていただきました。そこでいろいろな議論が始まったわけです。

 私、代表でしたので、第一回に出席をして、そこで民主党の考え方を述べております。三つの問題が現行案にはあるというふうに言っているんです。その認識は今も、そこの部分については変わりません。

 三つの問題点の一つは、やはり現行の年金制度に対する国民の信頼感が揺らいでいるということであります。それは、やはり賦課方式ということでやってまいりましたので、人口構成が変化していく中で、毎回毎回、五年ごとに見直しをするたびに、給付を抑制する、保険料を上げるということが繰り返されてきた。そういう中で信頼感が揺らいでいるということを第一点として申し上げました。

 第二点は、やはり今のライフスタイルに合っていないんじゃないか。つまり、厚生年金にしても共済年金にしても、夫婦のうちの一人が働き、そして、一つの働き先でずっと継続して雇用されるというそういうモデルでつくられている。しかし、今はそういう時代ではない。同じところに四十年間勤め上げるということはむしろ例外的であって、しかも夫婦共働き、しかも非正規で働くという方が三割ぐらいいる、そういう新しいライフスタイルに合った制度にしなきゃいけないんじゃないかというのが第二点であります。

 第三点が、ちょっと言葉が過ぎて申しわけなかったんですが、国民年金について、この制度については壊れてしまっているというのが現実ではないか。つまり、未加入者がたくさんいる、将来の無年金者を大量に生む可能性がある。

 こういう三点を指摘して、新しい制度が必要ではないかというふうに申し上げたところでございます。

 我々が今回御提案しているのは、そういう観点に立った年金制度の改革ですが、もちろんバラ色の制度ではないんですね。いろいろな問題点もあります。ですから、今の制度を充実させるというその延長線上と、新しい制度を入れるということで、私は、冷静に議論をして、どちらがいいのか、まず国民の前で議論すべきではないか、私はそういうふうに思っております。

 最後に一つだけ、済みません。マクロ経済スライドというのがありますね。今の改革の根幹であります。私は、ここについてもっと高く評価をすべきであったというふうに今思っております。

 これはなかなかきつい制度であります。きつい制度ですけれども、賦課方式の限界というものを是正するための一つの手段としては非常に意味のあるもので、ここについてもう少し高く評価すべきであったというふうに今思っているところでございます。

遠山委員 質疑の時間が来ておりますので、委員長、十秒だけ。

中井委員長 はい、わかりました。

遠山委員 マクロ経済スライドについて、私、当時、参議院の厚生労働委員会の理事をやっておりまして、こっぴどく民主党さんに批判されましたが、今、副総理は全くそれは立場を変えたということは認識いたしました。

 それから、他方で、岡田副総理がおっしゃった三つの問題点、私も全く異論がないんです。だからこそ、公明党も現行制度の改善というのを提案いたしました。

 ただ、次の機会にやりますが、民主党さんが提案されている新しい年金制度が、その問題を抱えている現行制度を改善するケースよりもいいという確信が全く今持てておりません。そこを、副総理おっしゃるとおり冷静に、政策論として具体的に議論をさせていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて遠山君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 冒頭、沖縄防衛局による選挙介入について、総理に質問をします。

 前回、私は、沖縄防衛局長が職権を使って職員、親族の有権者リストをつくらせ、選挙に関し講話を行っていたことを取り上げました。政府の調査によって、リストの作成と講話の事実が確認をされました。

 前回、このような国家権力による選挙への介入はあってはならない、このような認識があるかと総理に質問をしました。総理は、まずは事実を確認させてほしい、こういう答弁でありました。現時点で、総理はどういう認識で調査を行わせているのですか。

野田内閣総理大臣 赤嶺委員御指摘の事案については、現在までの調査で判明した内容は、きょう防衛省からこの衆議院の予算委員会の理事会にも報告をされていると承知をしています。

 今回の事案が国民や沖縄県民の誤解や批判を受けかねないという面がありますので、まずは引き続き防衛省において事実関係を十分調査した上で、適切な対応をとるべきと考えております。

赤嶺委員 繰り返しますけれども、国家機関の選挙に対する中立公正、選挙における地位利用の禁止に抵触する疑いがある、あってはならないことだという立場で調査を進めている、こういう認識をお持ちだということでよろしいですね。

野田内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、国民や沖縄県民から批判を受けかねない面があるというふうに思っておりますので、そのことを踏まえて、しっかりとした調査を行うべきだと思っております。

赤嶺委員 誰が批判しようとしまいと、国家の機関としてはあってはならない選挙の介入なんですよ。そこが総理の答弁ではいつでもはっきりいたしません。

 今回出された局長講話の要旨、けさ出されているわけですが、この内容を見て、本当に大変な中身だな、極めて重大だと思いました。真部局長は、宜野湾市長選挙に関して、二人の立候補予定者の政見を紹介し、普天間基地の県内移設に反対する声が一般的になっているのに対して、辺野古移設に理解を得ようと努力しているとの政府の立場を説明したとしております。そして、職員が局の立場を説明できるようにと講話したのであります。

 特定候補者への支持は呼びかけていないとしておりますが、局長がその職権を利用し、職務命令で職員を集めて、選挙に関して局の立場で対応することを隠然と求めていたものであり、国家権力による選挙介入は明白であります。

 ただ、あした、その局長本人も出席して聴取の機会がありますので、その集中審議で徹底して事実を究明していくつもりでありますが、このことは総理に申し上げておきたいと思います。

 きょうは五大臣への集中ということで、せっかくの機会でありますから、文科大臣に八重山の教科書問題について伺ってまいります。

 大臣も着任した早々でありますし、この間の問題点を私の方で整理してみました。八重山地区における教科書採択の問題とはどういうことであったか。若干経過を述べさせていただきますが、なぜここで取り上げるかといいますと、この問題が地方教育行政の根幹にかかわる極めて重大な問題であるからです。

 八重山地区は、石垣市、竹富町、与那国町で構成される採択地区です。教科書無償措置法によって、地区内においては同一の教科書を採択することとされていることから、三つの市町教育委員会は諮問機関として八重山採択地区協議会を設置しております。

 その協議会で既に選定作業が開始されていた昨年六月、突如規約が抜本改定をされました。協議会の委員から学校関係者が外されました。協議会には教科書の調査研究を行う調査員を置いていますが、従来行われてきた調査員による順位づけが廃止をされました。

 こうした大幅なルールの変更が、会長の玉津石垣市教育長の請求で、独断的なやり方で決められました。調査員による順位づけを廃止する一方で、協議会委員が教科書を全部見るというのは建前で、全部は見れないでしょう、このように発言していたことまで報じられました。

 住民からは疑念の声が上がり、沖縄県教育委員会も、協議会委員に学校関係者を追加してほしい、住民の理解を得るようなそういう努力を指導助言いたしました。しかし、これを受け入れませんでした。こうした経過を経て、協議会は八月二十三日、公民教科書については育鵬社を選定し、答申いたしました。

 まず、平野大臣に伺いますが、八月二十三日の協議会は、玉津会長の差配のもとで、協議会委員は投票に当たっての一般的な観点を述べるだけで、個別具体的な教科書の内容についての検討なしに協議が進められました。この点の事実関係、大臣はどのように把握しておられますか。

平野(博)国務大臣 先生にお答えをいたします。

 個別の協議会の規約というものも民主的につくられているというふうに私は思っておりますから、規約に基づいて進められていたものと私どもは承知をいたしております。

赤嶺委員 採択協議会の当日の、教科書採択を審議した八月二十三日の議事録は全て公開をされ、事実関係も明らかであります。

 布村局長、いらっしゃいますかね。布村局長、この点、どんなやり方をしたのか、きちんと答弁していただけますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、各都道府県の教育委員会教育長に対しまして、「平成二十四年度使用教科書の採択について」という通知を平成二十三年四月七日付で発出し、教科書採択につきましては、採択権者の権限と責任のもとに、教科書の内容についての十分な調査研究を行って、適切な手続により行われるべきであるという旨指導させていただいております。

 今回の八重山採択地区協議会におきましても、その協議会の中の定めた規約にのっとって手続を進め、採択の結論を出されたというふうに承知いたしております。

赤嶺委員 質問に全く答えていないんですよ。これでは誰も、採択協議会、八月二十三日当日の議事録を読んでいないんじゃないですか。

 責任と権限に基づいて、よく調査研究してと言いますが、公民教科書の採択は、意見を出したのはたった二人ですよ。わずか数分です。しかも、どの会社のどの教科書がどういう観点でいいのかというのを、協議会の委員は発言することさえ許されていなかったんです。こういう中で、育鵬社の教科書が選ばれました。二人の委員が選定に当たって一般的な観点を述べただけで、投票に付されました。それ以前の調査員の報告書では推薦図書にも挙げられていない、最も多い問題点が指摘されていた育鵬社、これが議論もなしに選定されたのであります。

 投票後、委員からは、マイナス面がたくさん書いてあるものがなぜ選ばれたのかと、採択協議会の委員会の中でその選定のやり方について疑問が出されますが、玉津会長は投票は終わったと受け付けませんでした。

 中川前文科大臣はこの一連の経過をデュープロセスだと言いましたが、極めて不正常な、結論ありきで選定されたのは明らかであります。この点を、文科大臣も、そして局長の方もきちんと把握していただきたい。議事録を読めばすぐわかることです。そんなことも、規約に基づいて適正に選定されたという答弁を繰り返すのは、これは許される話ではありませんから。

 結局、こういう手続であったために、その後、問題は拡大していきます。その後の三市町教育委員会による採択結果が分かれることになりました。石垣市、与那国町は育鵬社を、竹富町は東京書籍を採択しましたが、役員会による再協議によっても結果は変わらなかったことから、規約に定められた手続によって一本化することはできなくなりました。

 このため、三市町教育委員会は、県教委の指導助言のもと、知恵を絞って、本当に知恵を絞ってです、九月八日、教育委員会全員による協議を行うことを決め、育鵬社を不採択にし、東京書籍を採択したのであります。これは、文科省とも相談をしながら進められたものでした。各教育委員会に分かれた協議も行われました。この立場で進めていれば、何の問題もなかったのであります。

 ところが、文部科学省は突如態度を変えて、中川前大臣が九月十三日、協議は調っていないと発言して、十五日には、規約に従ってまとめられた結果、すなわち育鵬社、に基づいて一本化するよう求める通知を出しました。それでも一本化できなかったことから、十月には、答申どおりに採択した石垣、与那国は無償、竹富は有償とする見解を示したのであります。同一の教科書は今も採択されていません。

 大臣にもう一度聞きますが、文科省はこれまで、公立小中学校において使用する教科書の採択権限は地方公共団体の教育委員会にあると説明をしてきました。その上で、協議会における協議の具体的な内容、方法については各市町村教育委員会の合意により決定される、このように説明してきました。

 八重山採択地区協議会の規約では、協議会はどのように位置づけられているのですか。諮問機関と位置づけられているのではありませんか。

平野(博)国務大臣 私どもは、どの教科書がどうだとか云々ではなくて、あくまでも地方公共団体の教育委員会、この教育委員会でお決めをいただく、こういうことでございます。

 そういう中にありまして、その手続、どういう決め方があるかというのは、この規約の中でも、民主主義的に御議論されていることを踏まえての結論だ、こういうふうに認識をいたしておりますから、気に入らないからどうだ、こういうことで文科省としてそれをどうのこうのということではありません。あくまでもそこでお決めをいただきたい。決められたものに対して無償化法という法律に従って無償にしていく、こういうルールでございます。

赤嶺委員 文科省は、決められたものは、採択協議会の役員会で決まったものが決められたものだ、竹富町はこれに従え、与那国や石垣市はこれに従っていると言っているわけですよ。

 採択協議会の役員会というのは教科書の一本化を決める、このように規約に書いてあるんですか。

森副大臣 お答えいたします。

 教科書の採択権限はそれぞれの教育委員会にございます。しかし一方、国としての無償措置を受けるためには、我々文部科学省として無償給与を行うためには、無償措置法第十三条の第四項に従って、同一採択地区においては一つの教科書にまとめていただく必要がございます。

 そういう意味で、今ほどいろいろ御指摘がございましたけれども、八月二十三日の八重山採択地区協議会において教科書の選定がなされ、そして答申がされた。そして、与那国、石垣市に関しては、その答申に基づいて教科書が採択をされました。

 ただ一方、竹富町におきましては、その答申とは違う教科書を採択したということで、我々としては無償措置の対象とすることはできないという判断をさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 副大臣、僕の質問を繰り返すようなことで答弁になったと思ったら間違いですよ。私の質問は、一本化するに当たって、採択協議会や役員会はそういう権限を規約上定めてあるのか、そういうことを聞いているんですよ。

 文科省は、八月二十三日の採択協議会で定められたと言っている、その後の役員会で決めたと言っている。これは、無償措置法の、一本化ということを決める場所だとこの規約に書いてあるんですか。書いてないのに、何で文科省がそれを勝手に解釈するんですか。いかがですか。

森副大臣 お答えいたします。

 この八重山採択地区協議会は、教科書無償措置法に基づいて設置をされたというふうに考えております。

 そして、その協議会の規約でございますけれども、第九条第四項において、「採択地区教育委員会は、協議会の答申に基づき、採択すべき教科用図書を決定する。」このように規約で書いてございます。またさらに、「採択地区教育委員会の決定が協議会の答申内容と異なる場合は、沖縄県教育委員会の指導・助言を受け、役員会で再協議することができる。」と書かれてございます。

 しかし、再協議をした結果、やはり中学校公民の教科書につきましては一本化するに至らなかった。しかし、我々としては、無償措置法に基づきまして、教科書の協議会の協議の結果というものは八月二十三日の結果であるというふうに判断をし、そのように指導してまいったところでございます。

赤嶺委員 矛盾したことをおっしゃっているんですよ。採択協議会で八月二十三日に決めた、しかしその後、各教育委員会で別々のものになった。別々のものになったときは役員会を開いて再協議する、このようにしか規約には書いてないんですよ。再協議してまとまらなかったら、別の新たな協議が無償措置法に基づいて必要なんですよ。この別の新たな協議を県の教育委員会が持ったにもかかわらず、文科省は、それを無効だと言って勝手に、八重山地区の採択協議会の中には決める権限もないのに、ここで決まったことが決定ですと。

 こんなの越権行為じゃないですか。地方の教育行政に対する文科省の介入じゃないですか。大臣、どうですか。大臣が答えてください。

中井委員長 赤嶺君、時間が来ています。(赤嶺委員「大臣が最後に答えてください」と呼ぶ)

 平野大臣、短くやってください。もうその後はだめですよ、時間が終わっていますから。

平野(博)国務大臣 今、議員のおっしゃったことで、少し違うところがございます。

 ここの協議会の規約の中に、採択をすべき教科用図書を決定する、こういうことが九条にございます。その上において……(赤嶺委員「答申なんです。だからこれは諮問なんです。その上において教育委員会が開かれます」と呼ぶ)

中井委員長 立たないでしゃべらない。

平野(博)国務大臣 委員会で再協議ができるということで、わざわざ八月の三十一日に再協議までしているんですよ。したがって、その上で決められたことでありますから、我々としてはそれに従っている、こういうことでございます。

中井委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 私は、冒頭、野田総理大臣と田中防衛大臣に、真部沖縄防衛局長は速やかに更迭をした方がいい、明らかに、今回の真部局長のメールによるリスト作成と講話は、国家権力による選挙の自由妨害と沖縄の民意を圧殺する行為であって、もう沖縄じゅうが怒りまくっている、そのことを申し添えておきます。

 田中大臣にお伺いいたします。

 大臣は、一月二十三日、嘉数高台から普天間基地を視察しております。その際に、同基地のクリアゾーンについてはどういう説明を受け、大臣はクリアゾーンをどう認識しておりますか。

田中国務大臣 先般、普天間基地を視察いたしましたときには、クリアゾーンについてはどのような地域があるかという程度の話でございますが、二年前に私は委員会で視察をいたしました。そのときには、普天間の基地と、それから米軍にも参りました。そのときに、米軍がクリアゾーンということで指定をしておるというところの場所も聞きました。

 そういう面では、アメリカも危険な地域である、そして我が国もやはりそれを解消していかなきゃいかぬ、こういう地域が普天間の地域であるということで、世界一危険な基地だ、飛行場だということの認識を私は深めたところでございます。

照屋委員 田中大臣は、アメリカの基準で建築物が制限されているクリアゾーンの中に、学校や保育所や病院が、そして市民の住宅がどれぐらいあり、何人ぐらいの市民が住んでいるか認識しておりますか。

田中国務大臣 二年前に説明を受けたわけでありますが、飛行場がございます、その中に当然、第二小学校もある。何カ所も、十カ所ほどのエリアがあった。そこに実際に何人住んでおられるかというところまでは、私は当時聞いておりませんが、やはり、病院だ、学校だ、そのほか教育機関というものがあるということでございますので、相当の方々の地域ではないかというふうに認識をいたしております。

照屋委員 そんないいかげんな認識で、私はとても防衛大臣の資格があるとは思えませんよ。

 ところで、大臣に聞きますが、大臣は一月二十三日、仲井真知事と面談をした際に、石垣島には家族で毎年行っている、水族館や硫黄島には行ったことがあるが町中は見ていないという趣旨を言っておりますが、それは沖縄の伊江島と東京にある硫黄島を間違えたんですか。

田中国務大臣 大変申しわけなく思っております。間違えました。伊江島でございます。

照屋委員 それでは田中大臣、防衛省はイオウジマと呼ぶんですか、イオウトウと呼ぶんですか。防衛省の正式な呼び方を答えてください。

田中国務大臣 イオウトウではないかと思います。

照屋委員 誰かが教えたんでしょう。イオウトウではないかと思います、そんないいかげんな答弁で。正式に、防衛省の戦略上も、正式な表記はイオウトウなんです。海上自衛隊の硫黄島航空基地があるじゃないですか。

 これは野田総理、もう一刻も早く田中大臣を交代した方がいい。

 だから、配った資料で、「沖縄旅行で硫黄島 誰と行ったのよッ! 田中眞紀子」というのが出るんです。これは単にやゆしているんじゃなくして、寸鉄人を刺す、沖縄県民の庶民の知恵なんです。

 さて、次に、川端総務大臣がお見えですから、今回、真部沖縄防衛局長がメールの指示でリストアップした宜野湾市内に住む選挙権を有する職員とその家族の情報収集、これは明らかに行政機関等個人情報保護法に違反する情報取得ではありませんか。

川端国務大臣 今回の事案で、防衛省において調査をされて、国会にも報告されていることは承知しておりますが、その中でも、本件の個人情報の利用目的等についてはまだ調査中と聞いておりますので、行政機関個人情報保護法に抵触するか否かについては答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として、法の解釈を申し上げますと、行政機関個人情報保護法第三条第一項においては、行政機関が個人情報を保有するに当たっては、所掌事務遂行に必要な範囲で、利用目的をできる限り特定しなければならないと定められております。また、同条二項において、「行政機関は、」「特定された利用の目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。」と定められているところであります。

 以上です。

照屋委員 そうすると、田中大臣、今の総務大臣の答弁と関連して、防衛省設置法に基づく本来業務ですか、沖縄防衛局が宜野湾市に選挙権を有する職員や親族のリストをつくるのが、今言っている本来業務ですか。答えてください。

田中国務大臣 本来業務ではありません。しかし、真部局長が長年防衛省におられまして問題意識を持ったということだと思いますが、これは、そういう面では誤解や批判を受けかねない行為であるというふうに私は認識をいたしておりますので、この問題のみならず、今回、省内に適正化委員会を設けまして、調査を初め、体質の改善そして再発防止という観点から指導監督をしていければと思っています。

照屋委員 今はっきり大臣が、本来業務ではないと。本来業務じゃありませんよ。本来業務でない、リストをつくる、これは明らかに行政機関等個人情報保護法違反である。

 だから、真部局長は単なる注意処分とか更迭とか行政処分では済まない。明らかに、公職選挙法第百三十六条の二、自衛隊法六十一条、そして今言った行政機関等個人情報保護法違反の疑いが強いが、小川法務大臣、そして松原大臣は、これを刑事事件として適正に捜査をして立件するお考えはありますか。

小川国務大臣 お答えいたします。

 それぞれの法律に定めた構成要件に該当するかどうかという前提としましては、やはり事実関係がどうであるかということの確定が必要でございます。まだその事実関係について調査中でございます。

 また、一般論といたしまして、個別の事件について、これは捜査するぞ、しないぞということを早計に申し上げることも差し控えさせていただきたいということで、きょうのところは御容赦いただきたいと思っております。

松原国務大臣 特定の行為が特定の犯罪に該当するか否かについては、具体的な事実関係に即して法と証拠に基づき判断されるべきものと考えておりますが、この案件に関しまして、個別の案件に対する捜査のあり方についての言及は差し控えさせていただきたいと思います。

照屋委員 松原大臣、法と証拠に照らしてなんていう手あかのついた言葉で答弁したら、またどこかの大臣みたいに吹っ飛んでしまうよ、身分が。

 私は最後に、総理に通告をしてありましたが、普天間飛行場の辺野古移設に伴う公有水面埋め立てに関し、特措法は制定しないとの総理の考えはわかりました。

 総理は、現行法上、知事が辺野古埋め立てを不承認にした場合、地方自治法などに基づいて、仲井真知事を被告として訴えて、国が埋立承認を得ることはしない、こういうことも明言していただけるでしょうか。

野田内閣総理大臣 普天間飛行場の移設に関しましては、御案内のとおり、環境影響評価書を沖縄県に提出したところでございまして、この後のプロセスというのは、それに対する沖縄県からの御意見を頂戴するということになります。

 それを踏まえての適切な対応をしていきたいと思いますが、環境影響評価後の埋立申請及びその後の対応について、現段階で今何かを申し上げる段階ではないと思いますが、特別措置法をつくらないということは申し上げました。同じように、沖縄の皆様の御理解を得ないで、事を荒立てて物事を強引に進める、そういう姿勢ではないということは改めて申し上げたいと思います。

照屋委員 総理、明確におっしゃった方がいいですよ。誠心誠意沖縄県民に向き合うのであれば、特措法もつくらない、そして、現行法を利用して、知事を被告にして、それで承認を得るなどというこそくなことはやらないように、私から強く申し添えておきたいと思います。

 終わります。

中井委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 先ほど来、田中防衛大臣に対する厳しい質疑が行われているわけですけれども、私は、別の案件についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 きょうは、震災と原発事故等に関する議事録の問題についてお尋ねをします。

 そもそも、NHKが原子力災害対策本部の議事録について情報公開請求したところ、議事録は不存在という回答が政府から返ってきて、一月二十二日にNHKがこの事実を大きく報道したところから騒ぎが広がったわけです。原子力災害対策本部で何がどう議論され、誰がどう指示を出し、何が決められたか、その議事録が残っていない。およそ信じられない話だと思います。

 大阪市の橋下市長、やはりお話が上手ですね、この件についてコメントを求められ、ずばり言っています。どうしようもない組織だ、この政府の下に原発を置いていいのか。この疑問に政府は答えられるんでしょうか。

 問題は、原子力災害対策本部が議事録を残していないというのは、何もNHKの報道でわかったことじゃないんです。既に、昨年五月十一日の記者会見で、当時の枝野官房長官が認めておられることなんです。そして、その直後、この予算委員会で私が海江田経産大臣、つまり原子力災害対策副本部長に聞いたときも、会議録はないというふうにはっきり答弁しているんです。

 要するに、昨年五月の段階でこのことはわかっていたことなんですよ。にもかかわらず、それ以降も、原子力災害対策本部も、政府と東電の統合本部も一切議事録を残していない。統合本部はその後も毎日会議を開いているのにですよ。これは要するに、枝野大臣も海江田大臣も、わかっているのにその後も議事録をつくれという指示を全くしてこなかったということではありませんか。

 当時の官房長官であり、一時は公文書管理担当もやっておられた枝野大臣、そして今も経産大臣としてこの問題に深くかかわっている枝野大臣、なぜこの間に議事録を残せという指示を一度もしてこなかったんですか、お伺いします。

枝野国務大臣 五月に記者会見で議事録等について聞かれておりまして、そのときにも、本部等の会議については議事メモ等は残っていると思うがというお答えをした上で、議事録についてはないのではないかということを申し上げました。

 公文書管理法に照らしても、また議事の状況に照らしても、議事要旨をしっかりと残しておくということは必要であったと思いますけれども、私自身、議事要旨、議事メモはしっかりと残してあるものという思い込みをしておりまして、御指摘のとおり、特に五月の十一日だったと思いますが、記者会見でそのことを指摘されたときに、念のために、ちゃんと議事要旨を残しているだろうなと確認をすべきだったのではないかという御指摘、御批判は甘んじて受けなければいけないというふうに思っております。

 ただ、正規のメモ、要旨という形には残っておりませんが、今、たくさんの事務方が入っている会議でございましたので、事務方を含めて、それぞれがとっていたメモを、各所に御協力いただいて、しっかりと議事の内容が確認できるよう、議事要旨をまとめるべく最大限の努力をしているところでございます。

柿澤委員 その後の八カ月の知らんぷりを今の御答弁で正当化できるんでしょうか。公明党の山口代表もおっしゃっていますが、これは公文書管理法という法律に違反する疑いが濃厚なものであり、いわば不作為による法律違反ですよ。しかも、指摘をされてもやらない。だから隠蔽だと言われてしまうんです。

 先ほど引用した昨年五月十六日の予算委員会で、海江田経産大臣はこう答弁しています。いわゆる会議録はないが、いろいろなやりとりは私もメモにしておりますし、多くの方のメモがございます。枝野大臣も今そのような御答弁をされました。

 一年も後から議事経過をつくって出されるより、リアルタイムの経過を記録した、こうしたメモを公にしていくことが私は大事だというふうに思います。

 情報公開法上、これらのメモは行政文書として情報公開の対象になり得ると思いますが、担当大臣の見解はいかがでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 情報公開法の開示請求の対象となる行政文書の定義については、公文書管理法の行政文書の定義と同じでありまして、具体的には、情報公開法二条二項において、「「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」とされております。これに該当するか否かは、当該行政機関の長において適切に判断されるものと承知しております。

 以上です。

柿澤委員 私がなぜこの質問をしたかというと、一昨年、これも私の予算委員会の質問で出てきた、尖閣衝突事件のビデオ公開に関する仙谷メモの問題があったからなんです。これを情報公開請求したところ、部下に命じてつくらせた個人的な手控えだ、だから行政文書に当たらないという、こんな珍妙な理屈でこの仙谷メモは非公開とされてしまったんです。こんな形で政府内のメモを非公開にできるのであれば、これは検証も何もあったものではありませんよ。

 しかも、あのときは、仙谷さんの言葉で言えば新聞記者にあそこから盗撮されて、メモの存在が明らかになっていたので、名指しで情報公開請求できましたけれども、今回は、誰がどのような形でメモを残しているかは私たちにはわからないんです。だから言っているんです。

 政府内のメモが情報公開の対象になるかということについては、先ほどおっしゃられたように海江田さんのメモもある、そして、NHKの報道によれば福山官房副長官が福山ノートというのをとっておられた、こういうものがあるそうであります。こうした一次資料を加工を経ずになるべくそのまま公開すべきだというふうに考えますが、総理の見解はいかがでしょうか。総理の見解をお伺いしております。

野田内閣総理大臣 後世の検証にたえ得る記録の形式として、メモ等の一次資料が必ずしも適切とは限らないものと思います。特に緊急事態の最中に開催された会議などにおきまして、客観的な検証を得ていない一次資料よりも、それらをもとに作成された文書の方が意思決定の過程やあるいは実績を把握できる資料としては適切な場合も多いのではないかと思います。

 このため、東日本大震災の緊急災害対策本部や原子力災害対策本部等の記録を整理、公表するに当たりましては、一次資料や当時の関係者からの聴取内容などをもとに議事内容等を記載した文書を整備する方針でございます。

柿澤委員 つまり、今の野田総理の御答弁は、政府がいわば後からつくった歴史を正しい歴史として提示する、これがリアルタイムで議論された経過だということを後からつくって示す、これが政府の方針だということがわかりました。私は、極めて残念な答弁だというふうに思います。

 岡田副総理は閣僚懇談会で再発防止を徹底するよう指示しました、そう報道されています。当時、岡田副総理は、民主党幹事長として、各党・政府震災対策合同会議座長でありました。その下に実務者会合が置かれ、私もそれに連日参加をしておりました。

 さて、その各党・政府震災対策合同会議及び実務者会合の議事録は残っているんでしょうか。そして、当時の座長として、議事録を残せという指示を岡田座長はされたんでしょうか。この点、お伺いをしたいと思います。

岡田国務大臣 今御指摘の各党・政府震災対策合同会議、これは三回開かれました。それから、その下の実務者会議は二十回。私は全て参加をいたしました。柿澤委員にもよく参加をして御議論いただきました。

 あの会議の性格がどういうものかということですが、各党からの御要請もあって、迅速正確な情報開示に努める、そういう趣旨で設けられたものであって、あそこで何かを最終的に政府が決定するというものではございません。したがって、公文書管理法上、そういった文書を残すことを求められているものではないというふうに私は考えております。

 そもそも私は、座長でありましたが、行政府の人間ではありませんので、行政府に対して何かそういった指示を出す立場にもございません。

 以上のことを申し上げた上で、確認をいたしますと、政府側事務局として、この会議におけるやりとりを記録した文書は作成していたということでございます。

中井委員長 柿澤君、時間が来ていますから、まとめてください。

柿澤委員 はい。

 以上のやりとりをさせていただきましたが、私は、冒頭御紹介を申し上げた橋下大阪市長の、この政府のもとに原発を置いていいのかという言葉、本当に同感するものがあります。そのことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長関克己君、国土交通省住宅局長川本正一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。

佐田委員 自由民主党の佐田玄一郎でございます。

 締めくくりでありますので、三十分しかありませんから、端的にお願いしたいと思います。

 まず、TPPについてちょっとお伺いしたいのであります。

 総理、たしか二、三カ月前、川場村に行かれたと思うんですけれども。群馬県川場村であります。総理がなぜ日本広しという中で群馬県川場村を選ばれたのか、まずそれをちょっとお聞きしたいんです。

野田内閣総理大臣 一生懸命、米をつくられたり、ほかのもの、野菜をつくられたりされておりますが、特に、道の駅だったでしょうか、流通の問題とかを含めて、農業者だけではなく他の分野の皆さんと連携をしながら、非常にうまいぐあいの試みをされているというお話でございました。そういうものをぜひ見てみたいというふうに思ったものですから。

 実際に現場に行くと、大変多くのお客様が来られていて、駐車場にも入れないという状況で、盛況であったということでございました。

佐田委員 実は、川場村というのは、宮内庁の献上米もつくっているという山紫水明の地であります、行っていただいてわかったと思いますけれども。

 ただ、その中で、名産でつくっているものというのは、もちろん米、それともう一つ、コンニャクがあるんですよ。こういうコンニャク農家、そしてまた米農家、米麦も含めまして、あと畜産もあります。そういうことを考えますと、総理が急に来られて大変困惑したと住民の方が言っておるわけであります。

 あそこの村というのは、今回の災害における風評被害もかなり受けている、特殊な地域なんですよ。そこに総理が来られて、TPPの関係で、その日の朝刊にTPPを進めるというふうな記事が載っておって、大変困惑した、こういうことでありますので、その辺のこともぜひ御理解をいただきたいし、住民感情もしっかりと考えていただきたいと思います。

 また、私は非常に思うんですけれども、このTPPにつきましては、なかなか理解できない部分もありまして、情報公開もなされていないんじゃないか。これは新聞等でいろいろな報道はされておるわけでありますけれども、我が党においては、APECで交渉に事前参加すること自体は反対だ、こういうふうに明確に言っております。私は、このTPP自体には反対であります。

 そういう中におきまして、きょうの新聞にも、各国、九カ国あるわけでありますけれども、全ての交渉というか、九カ国に対して交渉に入るという話なんですけれども、特に「米国との協議は七、八日にワシントンで開く方向で調整中。」こういうふうに書かれておるので、これは事実でありますか。

玄葉国務大臣 今の御質問でございますけれども、交渉参加に向けた協議、交渉ではありませんが、協議ということで、今、米国との事前協議を始めるべく最終調整中でございまして、今おっしゃったような日程も含めて検討しているという状況でございます。

佐田委員 これは前提として総理がよく言われておるんですけれども、事前の協議であって、参加するしないは、要するに向こうの了承が得られることが前提であるということを聞いております。

 しかしながら、これをよく聞いてみると、九カ国全部がウエルカムだ、日本が参加することにウエルカムだという話は聞いておるんですけれども、状況的にはそういう方向に進んでおるんでしょうか。

古川国務大臣 既に随時協議を行って、日本の参加を歓迎するというお話も伺ったところ、それはきちんと公表いたしております。今後、随時協議をして、相手方の意向、そういうものもわかり次第きちんとお伝えをしていきたいというふうに思っております。

佐田委員 その辺なんですけれども、我々、報道等でしかこれは聞くことができないんです。非常に日本じゅうが混乱をしているというか情報が不足しているというか、中には、十年以内に関税が全部撤廃されるんじゃないかとか、サービスであるとか人であるとか物であるとか、こういうことについても、二十一項目全てテーブルにのせて協議していくと。非常に不安な状況が続いておるわけですよね。こういうところについてどんどん協議に入っていく。これは途中でやめるわけにはいかないわけでしょう。

 では、途中で、協議が調わなければ参加はできませんね、そういう場合はあり得るんですか。

古川国務大臣 我が国として、各国が我が国に求めるもの、それを情報収集して、ちゃんと対応できるもの、そして対応困難なもの、しっかりこちらでも見分けていきたいと思っています。その上で、参加に向けてしっかり協議をし、そしてまた、こちらも情報をきちんと国民の皆様方に開示をしてまいりたいというふうに思っております。

佐田委員 漠とした形で自由貿易体制をつくっていくということでは日本の国益は守れないんじゃないか、こういうふうに私は思っております。

 ですから、それは、もう総理が参加を前提として事前協議に入るというふうな言い方をされたわけですから、やはり、日本の国益というものを中心に考えるのであるならば、国民に、これでいいのか、これでいいのかというふうに情報公開をしていく。これはぜひやっていかないと、大変なことになって後戻りできなくなる、こういう危惧を持っているんですよ。

 総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 交渉参加に向けて関係国との協議に入るという方針のもとに、今鋭意それぞれの国との協議に入り始めました。そこで得られる情報については極力国民の皆様に提供し、そして判断材料にしていただきたいというふうに思いますし、そうした国民的な議論を踏まえまして、最終的には国益を踏まえて結論を出していきたいと思います。そのために、地方においてもさまざまな説明会等は、これから随時、積極的に開いていきたいと思います。

佐田委員 中身的に、関税の撤廃だけではなくて、非関税障壁の問題も、今も議論になっているようなISD条項の問題も、これは国民によく理解してもらう。そういう中でしっかりと国益を守っていくということが大事なんですよ。

 特に、わかりやすい中においては、農業分野においてはかなりわかりやすい部分もあるんです。この間、これはTPPじゃなくてFTAでありますけれども、韓国においては、FTAの批准の問題で大騒ぎになったということがテレビ等で報道されております。こういうことを考えますと、本当に真剣に国のことを考えて、国民のことを考えてしっかりと進めていただきたいと思うんですね。

 韓国の場合は、FTAの農業対策の関係で十年間に百十九兆ウォン、八兆三千三百億円の農業対策予算を計上しているんですよ。十年間で八兆三千三百億円。農産物の出荷量が日本は大体三・一倍ですから、そういうことを考えると、これは単純に三倍にすることはできませんけれども、三、八、二十四でしょう、二十五兆円ぐらいになるわけですね。そうすると、ほとんどの農業予算がこれにつぎ込まれる、こういうことになってくるわけですよね、漠とした計算ですけれども。

 これは農林大臣、どう思いますか。

鹿野国務大臣 今、先生からの御議論は、これまでも、そういうようなことで三倍というようなお話もございました。

 しかし、今総理からお話しのとおりに、今後、例えばアメリカにおきましても、パブコメを受けてどういうものを要求してくるかということはこれからでございまして、そういうものを受けて、いろいろと情報公開をしながら判断をしていくということでございますから、今の時点で、どの程度この対策費がかかるかというようなこと等々はなかなか設定しにくいものと思っておるところでございます。

佐田委員 もっと具体的に申し上げますと、自給率の問題なんです。カロリーベースで今四〇%ですけれども、これによって、農林省の試算ですとTPPを完全に行った場合に自給率が一四%とか一三%と言われているのは、これは本当の話なんですか。

鹿野国務大臣 世界各国、全ての国が関税撤廃をした場合にということを想定して試算をしたところ、それが一三%になるという試算を提示させていただいたところでございます。

佐田委員 そこで、二〇〇九年の民主党のマニフェスト、自給率の問題なんですけれども、「「戸別所得補償制度」の創設により、農業を再生し、食料自給率を向上させます。」と書いてあるんですね。だから、これは戸別所得補償の関係というふうに書いてある。

 インデックスの方には、「食料自給率は、米、麦、大豆等の農産物に加え、牛肉、乳製品等の主要農畜産物の生産数量目標を設定し、十年後に五〇%、二十年後に六〇%を達成することを目標とします。」こういうふうに書いてあるんですけれども、これはTPPと相入れないものがあるんじゃないですか、農林大臣。

鹿野国務大臣 今お話ありましたとおりに、TPPに対しては、交渉参加に向けて協議を行うということでございますから、まだ具体的に交渉参加をするかどうかということは決まったわけでもございません。

 そういう中で、私どもといたしましては、基本的に、自給率をまず五〇%という目標を掲げながら、経済連携というふうなものと両立をさせていきたい、こういうふうな考え方を示させていただいているところでございます。

佐田委員 農林大臣、相矛盾することをやって、整合性がないわけですよ。

 だから、これでやって、例えばTPPを進めることによって、では、農水大臣は自給率が上がると思いますか。上がる要素がありますか。

鹿野国務大臣 それはあくまでも仮定の話でございますけれども、いろいろなる施策というものを複合的に推進することによって自給率五〇%を目指していくというふうなことは、私どもの基本的な考え方でございます。

佐田委員 農水大臣、これはもうとてもじゃないけれども、一つの要素が全くないわけです。やっていることと言っていることが全く逆なんですよ、はっきり言って。

 先ほどうちの川場村の話を出しましたけれども、米麦じゃありませんけれども、非常に特殊な農産物でありますけれども、コンニャクなんか多分全滅に近い状況になるんじゃないかと思いますよ。きょうの新聞にも載っていましたけれども、米は関税をゼロにしろ、そういうふうに言っているという話は、これは記事だから本当かどうかわかりませんけれども、こういう要素が、自給率が伸びるということと整合性が全然持てない、私はそういうふうに思います。

 もしも、あらゆるいろいろな方法をとって、そして自給率が上がるというのならば、農林大臣、しっかりとそういうことを国民に訴えてくださいよ。農家の人たちにも言ってくださいよ。生産者にも言ってくださいよ。これからも、例えば非関税障壁で、例えば遺伝子組み換えであるとか農薬であるとか、そういう表示がきちっとしてやれますよとはっきり言ってくださいよ。国民の安全、安心を守ると言ってくださいよ。ぜひそういうふうにお願いをしたい、こういうふうに思います。農水大臣、頼みますよ、それは。

 もう時間がありませんので、次の件に移らせていただきます。

 次は、今回の第四次補正につきまして、総理が、円高、タイの水害、ヨーロッパ債務危機、そして国民の安全、安心、こういうことの目的で今回の補正予算を組んだ、こういうふうに言われているんですけれども、災害というものを抜かすわけにはいかないわけであります。

 日本というのは非常に災害の多い国です、はっきり言って。しかも川は、ほかの川に比べて日本の川の性質というのは全然違うんですね。普通、ミシシッピ川なんて、多いときと少ないときは三分の一ぐらいの差しかないんですよ。日本の、例えばうちの利根水系なんかは百分の一ですよね、百か一。つまり、滝のような川が流れている。そういうふうなところにおいて水害はかなり起きやすい、こういうことであります。

 実は、今度は八ツ場のお話なんですけれども、去る十二月二十二日に、まあいろいろなことがありました。二〇〇九年に中止が宣言をされて、中止を前提として予断なき検討を行っていくと。その後の大臣、馬淵大臣が中止を前提じゃないというふうに言っていただいたので、我々も非常にほっとした。その後また大畠大臣になって、そういう形で進めていく。その中で、有識者会議というのを前原大臣がつくっていただいて、前原大臣のもとで有識者会議が議論をし、そしてその中で、幹事会、要するに利根水系の方々を全部集めて議論をずっとやってきたんです。その最終的な結論として、いろいろなコスト、環境、そしていろいろな要素を含めたときに、これは進めるべきだな、こういうことになったわけであります。

 十二月二十二日に、前田大臣にはわざわざ私どもの方の長野原そして東吾妻、いわゆる吾妻地域に来ていただきました。そのときの感想をひとつよろしく、前田大臣。

前田国務大臣 お答えいたします。

 今、佐田先生の御指摘のように、四代にわたる大臣のもとで予断なき検証を進め、そして、御指摘の有識者会議、前原大臣のときにつくっていただいた国土交通省に設けた有識者会議において、継続妥当という結果が出ました。それは前提条件として確認しておりますが、私としては、種々の観点から熟考を重ねた上で、最終的に八ツ場を継続すべしという決断をいたしました。

 この間、二年近くにわたって、地元の方々に大変な御迷惑をかけた。さらに言えば、八ツ場の計画が出たのはもう六十年近く前になるんでしょうか、もう随分前の話でございます。当然、自分たちのふるさとが沈むわけですから、当時から大反対でございました。いろいろな経緯があった中を、首都圏の、御指摘のように非常に洪水に弱い、そういう利根川の流域の特性から見て、上流県の皆さん方が犠牲になって、利根川の安全度を高めるのに協力しようというふうにまとまってくださった。しかし、その経緯の中でまた中断ということで二年間たったわけでございますから、地元の方々に対しては本当に申しわけないという気持ちで、直ちに報告とおわびを兼ねて参上したという次第であります。

 もちろん、この事業については、官房長官の裁定のもとに、今から、今もう既にやっておるわけでございますが、しっかりと詰めてまいりたい、このように思っております。

佐田委員 それで、今もお話にありました官房長官という話なんですけれども、ここに地元の一月の七日の新聞があるんですけれども、野田総理が「ダム工事費の予算執行には利根川水系の河川整備計画策定などが前提条件になるとの認識を示した」ということなんですけれども、一つに河川整備計画の策定、もう一つはダム事業が中止された地域に対する生活再建支援法案の国会提出、この二条件を踏まえるよう裁定した、こういうことなんです。

 この法律については、これは進めていただくということだから、中止になった場合の生活再建というのはもう余り関係ない。ただ、これはもう出されるわけです。法律として出るわけですけれども、もう一つの方が問題なんですよ、河川整備計画の策定。

 この二つについて、大臣、ちょっとお伺いします。

前田国務大臣 有識者委員会においては、八十三の事業について、それこそ予断なき検証を続けておりまして、そういう中で、もう既に中止と決定した事業もあるんですね。今まで、二十事業から検証したうち、六事業が中止ということにしてあります。当然、そういったところにおけるきちっとした対応をしなければいけませんので、その法案は出させていただきます。

 それから、前提の利根川の河川整備計画、これはもう当然、もともとつくらなければいけないことになっておりまして、ただ、多少時間がかかっておったというところでございますから、これに今拍車をかけているところでございます。

佐田委員 つまり、たくさん、八ツ場だけではなくて、中止になったダムもいろいろある、そのための生活再建のための法律を出す。

 また、河川整備計画というのはもう明治時代からやってきて、そしてまた利根水系においては、五十五年にも工事の基本計画がありますし、十七年に決定されました河川整備方針、これもあるわけですよね、はっきり言って。これにのっとって整備計画をやるわけですけれども、これをやっておるわけですけれども、では、これが前提、要するに、これができなければ予算執行しないということなんですか、大臣。

前田国務大臣 もちろん、八ツ場ダムというのは利根川全体の計画の中に位置づけをしてあるわけでございますから、当然、その全体の計画というものはちゃんとつくらなければなりません。ただし、それは、八ツ場ダムの位置づけ等も含めて全体計画ということでありますから、同時並行で今進めてきておりますので、当然、私としては間に合うようにさせたい、このように思っております。

佐田委員 それでは、大臣、今回当初予算に、本体工事で十八億、そして生活再建に地方負担分も含めて百十七億計上されておりますけれども、これについては、要するにもう続ける。大臣も常に言われていますけれども、河川整備計画というのは常にやっているんですよね。こういうことですから、要するに、特にこれをやるということではなくて、この法律と河川整備計画を続ける、これを前提とせずともその十八億は執行する、こういうことでよろしいんですか。

前田国務大臣 官房長官の裁定の二つ示されたことについては、これはもう誠実にやっていかなければなりませんし、そして一方、担務の責任としては、事業を円滑に実施するには、本体工事についてもいろいろまた準備をしなければならないことがあります。そういったことについて今取りかかりをしているところでありまして、最終的には、責任を持つ立場として、遺漏なきようにしっかりやらせていただきます。

佐田委員 大臣、くどくて申しわけないんだけれども、つまり、河川整備計画というのは常にやっているものだから、これが完全に完成しなくても本体工事には着工するということでよろしいんですね。

前田国務大臣 完成という意味がどういうことであるかということは、先生が意味しているところは存じませんが、あくまでも官房長官裁定というものはしっかり受けとめて、そして、整備計画というのは、これは本来もうつくっていなければいけないことではあるんですけれども、ただ、いろいろな前提条件の違い等があって多少おくれていたわけでございますが、拍車をかけておりますので、申し上げたように、ちゃんと遺漏なきように計画もつくり、その中の位置づけとして本体に着工できるように間に合わせてやりたい、こう思っております。

佐田委員 大臣、それでは、その河川整備計画はいつできるんですか。

前田国務大臣 まだスケジュール的なことまでは申し上げる段階ではありませんが、とにかく今スピードアップしておりますので、まずは最初に、全体像をお示しできるような時期というのは、なるべく早くそのようにしたい、こう思っております。

佐田委員 大臣、本体工事に対する予算計上をしたわけですけれども、大臣は専門家ですから余り細かく申し上げませんけれども、この間、大臣の細田さんへの答弁に対して、七年ぐらいで大きな洪水調整効果を発揮するというふうなことを書いてあるんですけれども、これは基本計画を変えていませんからね。八ツ場ダムは基本計画を変えていませんから、そういう中において、二〇一五年にできなければこれは特ダム法違反になりますから、もしもそういうふうなことが予想されるのであるならば、特ダム法にのっとって地方自治体や議会に対して了承を得なくちゃいけないんじゃないんですか。それは御存じですよね。

 ですから、大臣、大臣が一生懸命やっていただいているのは大変感謝しております。感謝しておりますので、この条件がクリアできるように大臣にはぜひお願いしたい。早く、一日でも早く、そして二〇一五年に完成するように、ぜひ大臣、くどいようですけれども、お願いしたいと思います。どうですか。

前田国務大臣 首都圏を流域とするこの利根川がタイのようなことになれば、もうそれだけで日本の評価というのは大変なことになると思っておりまして、とにかく早く少しでも安全度を上げる。七年と今おっしゃいましたが、本体に着工して七年で八ツ場ダムは完成すると大体想定されておりますので、そうすると、非常に治水効果のある施設が七年でできるという意味において申し上げたわけですが、なるべく早くそれが実現するように今の状況の中で責務を果たしてまいります。

佐田委員 大臣、とにかく一日でも早く、二〇一五年はもう基本的に変わらないわけですから、今の現状は基本計画も変わっていないわけですから、これでできないで災害が起きたときには大変な状況になる。国家賠償も起こる可能性が出てくるわけですから、そういうことも踏まえてしっかりと進めていただきたい、一日でも早くやっていただきたい、こういうふうに思っております。

 もう三十分が来るんですけれども、いろいろ質問したかったんですけれども、いずれにいたしましても、災害等の話もありますし、補正の問題もあります。これも含めて、とにかく、今の災害、千年に一度の災害であります。

 我々、きょうは八ツ場ダムの話をしましたけれども、我が県でも、六十年前にキャサリン台風が来て、千数百人の方が亡くなり、東京の下町まで水没した、こういうことがあるわけでありますから、それがいつ来るかわからない。二百年確率といったって、あした来るかもわからないんですよね。そういうことも踏まえてしっかりと河川整備をしていく。

 これは国民の生命財産にかかわることでありまして、実はこの間、台風十二号で同じ八斗島、要するに群馬県というのは、大体、群馬県のどこに雨が降っても伊勢崎市の八斗島に集まるようにできているんですよ。この間の十二号も大変な水害になりました、要するにキャサリン台風のときとほぼ同じ、規模が違うだけですから。そういうことを考えますと、住民も大変不安な気持ちになってまいりました。

 前田大臣、ぜひ、二〇一五年、これをお忘れなく、しっかりとこの河川整備を早く、一日でも早くやっていただきたい。

 ほかの方々をお呼びしたんですけれども、時間がなくなって大変恐縮なんでありますけれども、次回にまた質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて佐田君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 締めくくり総括質疑でございますが、午前中の一般質疑でできなかった部分も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 午前中は、議事録の問題、特に検証が必要だ、こういうお話をさせていただきましたが、震災から間もなく十一カ月、被災地の復旧復興を加速させて、原発事故の対応、さらに避難されている被災者の方々への支援、さらに力を入れていかなければいけないと思います。

 一方で、地震列島の日本でございますから、東海、東南海、南海の三連動というのはいつ起こるかわからない。また、先日も、東大の地震研が首都直下は四年以内に確率七〇%という衝撃的な数字も出して、これはこれで、これもいつあってもおかしくない。そういうような中で、今回の東日本大震災の教訓というものをすぐさま生かしていかなければいけないと思います。

 発災直後、そしてその後に行われた人命救助の問題、または復旧、そして復興、各段階さまざまございますけれども、やはり発災当初、一番大きかったのはマンパワーの問題ではないかなと思うんです。

 国、そして各都道府県、各市町村、全国からさまざまな支援がありました。それ以外にも、多くの団体、個人、またはボランティア等々が被災地に入っていく、こういうことになりましたけれども、直接的に被災者の方々に手を差し伸べていく、第一義的に、その第一線の接点というのはやはり市町村だと思うんですね。

 ここに対するバックアップをどうするかというのは大きな課題だと思うんですが、今回の震災、特に被害の激しかった岩手、宮城、福島、この三県における、県及び市町村、その自治体の職員の数は一体幾らぐらいあって、そのうち、この三県、各県で犠牲になられた職員というのは一体何人ぐらいいるのか、まずそれをお伺いします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 二十二年の四月一日現在というデータが正確な部分で申し上げるデータでございまして、岩手県、宮城県、福島県の県及び市町村の定員の合計は、岩手県が三万七千七百四十人、宮城県が五万三千五百五十九人、福島県が四万六千七百九十七人となっております。

 また、各県及び市町村のうち、大変残念でございますが、東日本大震災により死亡または行方不明になられた方、常勤職員の人数でございますが、総務省の調査によりますと、岩手県が百二十七人、宮城県が百四十八人、福島県が十六人、合計で二百九十一人となっております。

 以上です。

高木(陽)委員 今、三県でお伺いしましたけれども、やはり自治体によっては、被害が大変なところがございました。

 例えば、岩手の陸前高田市においては、百八十五人の職員のうち六十七人が亡くなられる。さらに、大槌では、八十五人の職員のうち三十二人が犠牲になられた。また、宮城の南三陸も、百七十七人のうち三十九人。この自治体の職員の方々は、みずからも被災しながら、そういう第一線での救援または救助、さらには復旧、いろいろなことをやっておられました。

 特に、自治体でやっていることというのは幅広で、さまざまな専門的なものもございます。ですから、人数として、ボランティア等を含めて、または国や県がどっと応援に行ったとしても、専門的なことはやはりその地元の自治体の職員がやらなければいけない。

 例えば、一つの例を挙げますと、実は発災直後に、東京都が、かなり力がございますので、被災三県にそれぞれ東京事務所を設けました。そのときに、この各県、市町村から東京事務所に直接、さまざまな要望、要請、人的な応援依頼がありました。

 その中で、これは特に大槌だったと思うんですけれども、教育委員会の職員の方々がかなり犠牲になられる。もちろん、亡くなられなくても、けがをされるだとか、そういうこともございまして、三月から四月、いよいよ新学期も始まる、さらに、学校も被災をして、新たなところに学校を再建しなきゃいけない。こういうような実務的な問題ですが、これは普通の事務職員では、なかなか学校教育の問題でできないということで、東京都の事務所にすぐ要請がありまして、それで、東京都の教育庁の方から、大槌には延べ五十一人ですか、一遍にじゃありませんけれども、人を派遣してそういう学校の再建の手助けをした、こういうのがございました。

 そういうことを考えますと、被災三県各自治体へ全国の自治体からさまざまな応援が来たと思うんですけれども、応援派遣された職員数、これは一体どれぐらいありましたでしょうか。

川端国務大臣 全国の地方自治体から岩手県、宮城県、福島県、県及び市町村に派遣された職員は、昨年十月一日までの間で累計で七万一千九百五十二名になっております。なお、その他の被災自治体、青森、茨城、千葉にも派遣されておりまして、合計でいいますと、七万三千八百二人でございます。

高木(陽)委員 全国で七万三千八百人の自治体の職員の方々が被災地に入っていった。まさにいろいろなお手伝いをした、いろいろな応援をしたんですけれども、先ほどの東京都の例で言ったように、必要なところに本当に行ったのか。これがちょっと、どうだったのかなと思うんですね。

 必要な部署に、もちろん、瓦れきの撤去だとか、ある意味でいうと、マンパワーで、人が大勢行った方がいいという部分もありましたけれども、それぞれの、例えば教育の分野ですとか、または医療関係ですとか、そういう必要なところに必要な人数が本当に入ったんだろうか。ここのところ、業務ごとの応援体制に対する総括、検証作業は一体どうなっているのか、これについて伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 東日本大震災の検証というのは非常に大事な仕事でありまして、いろいろな角度からこれを検証しなくちゃならないというふうに思っております。

 その一つのテーマとして、まず、被災直後、各自治体にどういう応援が入ったのか、また入らなかったのか、それが十分であったのか、こういったことについてはしっかりとした検証が必要だというふうに思います。

 特に、私自身、非常に反省点だと思っておりますのは、自治体が被災をしている、自治体そのものが被災しているということは、発災直後、ちょっと頭の中になかったのではないかというふうに思っています。

 今の災害基本法あるいは国民保護法も何でもそうなんですが、何か起こった場合には、まず現地の自治体が動くということが前提に立っております。ところが、今回の場合は、その自治体自体が被災してしまって、動こうにも動けなかった。

 例えば、物資の配給にしましても、国において物資班というのをつくりました。物資班はつくったんですが、これはオンディマンドで最初はやろうとして考えていました。これは従来の発想だったんです。しかし、そのオンディマンドで情報を発信すべき自治体が情報も発信できなかった。こういった点は十分反省しなくちゃならないというふうに思います。

 その一方で、例えば、何日かした後には、水道関係の自治体の職員はどんどん自治体に入りました。消防団の方も入っています。警察も入っています。それからあと、自治体間で連携をとっているところは自治体の職員も入っています。こういったところについても、従来の枠組みの中でしっかりとして動いたという点もございます。

 こういった点につきましては、時系列を追って、どういう状況になったかということについてしっかり検証したいと思っていますし、その準備は進めております。

 ただ、検証にはそのほかにさまざまなテーマがございまして、今、そのテーマを選びながら検証をやっておりまして、このことについてもいずれしっかりとした検証をやって、次の災害にしっかり役立てていきたいというふうに思います。特に、これは全体の災害法制の根幹にかかわる問題でもありますので、丁寧な対応をしていきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 そういった中で、やはり各自治体ごとで、自治体自体が被災をしてしまってなかなか機能しないという今の大臣のお話もありましたけれども、あとは、応援に入る自治体の中で、姉妹都市協定ですとか災害時における応援協定等を結んでいる、それによって応援に来た、こういうところがあるんですね。

 例えば、東京の二十三区でもそれぞれやって、目黒のサンマ祭りで気仙沼と連携をとっていて、すぐにそういう形で行ったとかありましたね。

 そういうような中で、各自治体の連携の中で、被災自治体と相互の応援協定を結んでいた状況というのは一体どうなっているのか、これをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、東日本大震災で相互協定で大変活躍をしていただいたことは事実でございます。

 特に被害の大きかった三県で申し上げますと、他の都道府県の市町村との間の災害時相互応援協定を結んでいるのは、岩手県は、三十四団体中二十三団体、六七・六%、宮城県は、三十五団体中二十二団体、六二・九%、福島県は、五十九団体中三十八団体、六四・四%であります。全国で他の都道府県と結んでいる市町村というのは、全国千七百五十団体中八百二十団体、四六・九%ですので、この部分では、この三つは非常に高い状況でありました。

 以上です。

高木(陽)委員 今の報告だと、しっかり結んでいるなと思うんです。ところが、一つの自治体、例えばA市とB市が連携をしている、だからといって、A市がだめになったからB市が全て丸々行けるかというと、それぞれの自治体も、規模にもよりますから、人数として見れば、例えば二人、三人で応援に行く場合もある、または十人ぐらい出せるところもある。そうなると、一つの自治体と幾つもの自治体がしっかりと応援協定を結んでいた方が効率的だなと思うんですね。

 しかも、冒頭に申し上げました、三連動または首都直下、例えば首都直下になりますと、この首都圏は大変やられます。やられたときに、それぞれの市、私の今住んでいるのは東京の日野市なんですけれども、では、日野市と一つの市が応援の協定を結んでいたらそれで大丈夫かというと、そうじゃないわけですね。例えばその協定を結んでいたのが首都圏同士だったら、これはまた大変なことになる、お互いがやられているわけですから。そうなりますと、各地方ごと、方面ごと、ブロックごとというんですか、それでしっかり結ばせていく。

 例えば、衆議院の十一ブロックがありますね。北海道から始まりまして、東北、北関東、南関東、東京、また北信越、東海、近畿、中国、四国、九州、こうありますね。そうなりますと、東京のブロックまたは首都圏のブロックが、九州と結んでいる、近畿とも結んでいる、北海道と結んでいる。そうなると、東京がやられた場合にはそこから一斉に来る。または、いわゆる南海等で近畿地方がやられた場合には、では九州から、東京から、または北信越から来る。こういうように、複数にネットワークで結ぶ協定をつくらせた方がいいんじゃないかな。

 ただ、今、地方分権ですから、国がやれと言ったってなかなかやらない。では、法律事項でそういうのをつくった方がいいのかというと、そうでもない。ただ、今、意識はみんなあると思うんです、各自治体の首長さんを初め。ところが、これが五年、十年たちますと、首長も選挙で入れかわる。そうなってくると、この防災の協定の感覚も薄れてくるんじゃないかなと思うんですね。

 だからこそ、今、知事会、そして市町村会等々、または議長会等々もあると思いますけれども、そことしっかり連携をとって、やはりここは応援協定を結ばせた方がいいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

川端国務大臣 今の御指摘は大変大事な視点だと、我々も共通の認識を持っております。

 今回、いろいろな形で応援していただいたときに、全国知事会が調整していただいたという応援もあります。それから、市町村から県に上げていただいて、総務省が窓口になって、全国の市長会、町村会にマッチング、調整をさせていただいた部分もあります。それ以外に、関西広域連合によるカウンターパート方式ということで、例えば私の滋賀県と京都府は福島県ということで、全部で行くというふうなことで、いろいろなスキームの中で広域的な例も見られました。

 そういう意味で、やはり都道府県の区域を越えたブロックみたいなものが大変大事であるということは、我々も考えております。

 それと、地域主権という考え方もありますが、既に、これを機にということで、関西広域連合と九州知事会との間で相互に応援し合うという協定が十一月二十一日に締結されたと伺っております。全国知事会においても、カウンターパート方式による広域応援体制について今検討されているというふうに聞いております。

 そういう意味で、地域の自主的な動きは最大限尊重しなければなりませんが、総務省としても、昨年の末、十二月二十七日に取りまとめた検討会の報告書で、地域防災計画は今、全部見直していただきたいということをお願いしております。この地域防災計画を見直す際の留意点の一つとして、こういう事例も挙げながら、都道府県の区域を越えた災害時の応援協定の締結を促しているということであります。

 応援協定は当然ながら自主的に結ぶものでありますが、総務省としては、知事会あるいは市長会、全国町村会と連携しながら、実効性のある、そういう応援体制の構築に向けて取り組んでまいりたいと思いますので、またいろいろと御助言もいただければありがたいと思っております。

高木(陽)委員 先ほどから申し上げているように、時期によって必要なものが違ってくる。まさに自治体同士というのは、今何が必要なのか、また、それに対応する人たちが要るということで、これは広域な連携をしっかりと促していただきながらやっていただきたいと思います。

 一方で、発災直後、私も現場に何度か足を運ばせていただきました。そのときに、これは昨年の国土交通委員会でも紹介をさせていただいた東北地方整備局の例をちょっと紹介したいと思うんですね。これは月刊の文芸春秋でもその模様が書かれました。また、麻生幾さんというライターが「前へ!」という本で、原発の第一線で放水活動をした話とともに、それを紹介した本が昨年出版をされました。これを読んだんですが、読む前に、その当事者に話を聞きました。

 どういうことかというと、東北地方整備局で、仙台にありますから、発災直後、被災をして、当時は大畠国交大臣、そのときに、全て現場の整備局長に任せると。この東北の整備局長は、まずは啓開活動をやろう。これは今までやったことがありません。まずは応急復旧なんですが、応急復旧の前に道路だけを通せるようにしよう、こういうことで整備局がすぐに動きました。

 御存じの方も多いように、東北を縦断している、縦にある四号線、これをまず開通させるとともに、それにくしの歯のようにして、沿岸部、ここに道を開いていく。沿岸部の道はほとんどやられている、こういう想定ですから。十六本あった国道のうち、一日で十一本あけました。そして、四日後には十五本あける。一本は原発のところでしたので、これはずっとできませんでした。

 そのときに何をやったのかというと、整備局の職員が、随契でできる、被災のときの建設会社、その人をすぐ動かすんですが、電話も全て通信機能が途絶えている。どうしたか。整備局の職員が全部建設会社へ走ったんです。中には、向こうの方から、こういう状況だからすぐに機材を持って来てくれた会社もあったそうです。

 その後、今度は、啓開の後に、国交省はすごいなと思ったのは、TEC―FORCEというのを持っていました。これは、各地方整備局にそれぞれの専門、例えば道路の専門、それぞれいます。河川の専門、または下水の専門、そういうような方々が、それぞれ、いざというときは出ていくというTEC―FORCEというのがあって、すぐに全国の各整備局が行きました。

 国交省は結構機材も持っていますので、衛星電話を持っていた。それを持ってきて何をしたかというと、その衛星電話を使って整備局の職員をまず各自治体に派遣しました、その日のうちに。整備局長が指示したのは、リエゾンと言われる連絡役、これに首長の横を離れるなと言ったんです。当時は県と市町村の連携が途絶えていました。そして、整備局長の指示のもとで行った職員が衛星電話で初めて首長と連携をとる。それで、今こうなっていると。

 そして、その後、どんどん復旧をするときに、足りないものは何でも言ってくださいと整備局長は言うんですね。ところが、国交省にこんなことを言っていいんだろうかとみんなが思っていたときに、整備局長はペーパーをつくって各自治体に送りました。私は戦後の闇屋のおやじです、何でも言ってください。そこで出てきたのが、例えば棺おけまであったそうです、棺おけが足りない。そういうようなことをやった。まさに連絡が一番重要なわけですね。

 そういう整備局というのがあるということをちょっと紹介だけしたかったのは、きょうは質問はしませんが、地方分支局を統合、廃止、いろいろと検討されていると思います。そういった中で、もし広域連合でやった場合にそういう指示をする人は一体誰なんだろう、こういうことをどうか知っていただいて、地方の無駄なものは削らなきゃいけないんですけれども、そういったところもあるという視点を持っていただいて、今後、政府部内でも御検討いただければということを申し上げまして、質問を終わります。

中井委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 沖縄防衛局長のリスト作成、そして講話問題について質問いたします。

 この間の防衛省の調査の中で、二通のメールの存在については確認をされております。

 一通目の一月四日というのは、宜野湾市長選挙に、二人の予定候補のうちの一人、伊波氏が出馬するという意向を固めたということが報道された日でございます。

 二通目のメールは、一月十八日に出されましたが、その前日の十七日に田中防衛大臣が記者会見で、一月の二十二日、二十三日に沖縄に行くことで日程調整していると発表した、その直後であります。

 田中大臣は実際にその日程で沖縄を訪問されて、講話は、その二十三日、いらっしゃる間のその日と、それから翌日二十四日に設定をされております。私、なかなかのタイミングだなと思いました。

 そこで、田中大臣に伺いますが、二十二日に大臣は沖縄入りをされて、普天間基地をめぐる情勢について、二十三日にかけて、いろいろと活動されました。そして、真部沖縄防衛局長から状況説明を受けている。その際に、よく思い出していただきたいんですけれども、実はこの普天間基地の問題をめぐっては、講話にも言われているように、注目される重要な選挙があるんです、そして、リストをつくって、講話をやることになっています、あるいはやりましたというようなことを、全く防衛局長から報告を受けなかったんでしょうか。そのことを、思い出して、言っていただきたいと思います。

田中国務大臣 議員が御指摘のことについては、一切私は聞いておりません。

 二十二日、そして二十三日のことでございますけれども、防衛局長は私は面識がございませんでしたけれども、その中でいらっしゃったわけでありますが、その次の日の普天間の視察のときに説明されておるということで本人を知ったわけでございまして、一切それ以外には何も報告を受けておりません。

笠井委員 大臣が訪問されたときの沖縄防衛局の説明資料があるはずだと思うんですが、その資料というのは提出していただけますか。

田中国務大臣 私はちょっと記憶がございませんけれども、そういうものがあるのであれば、関係者に聞いておきます。

中井委員長 防衛大臣、そういうときは、理事会にお任せしますと言えばいい。

田中国務大臣 はい。では、どうぞよろしくお願いします。

中井委員長 理事会で協議します。

笠井委員 理事会で協議してください。

 防衛省の調査によれば、この講話の記録の存在については再度調査したが、講話後これまでに記録は作成されていなかったということでありますけれども、これはどういう意味でしょうか。本来作成されなければならない記録が作成されていなかったということなんでしょうか。その点はいかがですか。

渡辺副大臣 この点につきましては、公務時間中の時間帯に講話を行っているわけでありますから、当然誰かがメモをとるなり発言なりをまとめているはずではないかということは、何度もただしました。そして、その結果、そのようなものはないということでございましたので、それならば、記憶を呼び起こして、とにかく当日言ったと思われることを筆記してくれ、そして文書にしてくれということで、現地へ行きました防衛省職員を通して指示をしまして、そして出たものを、けさ、概要でございますが、予算委員会の理事会に配付をさせていただきました。

 そしてまた、さらにこれを、その日の講話に参加をした職員に、こういう内容で間違いはないかということも含めて確認をしました。ですので、その旨を書いたものをけさ提出させていただいた次第でございます。

笠井委員 公務中でそういう講話がやられて何もないというのはおかしい、私もおかしいと思うんですね。

 それで、伺いたいんですけれども、報告では、これまでに記録は作成されていなかった、このため、真部局長の記憶や、今ありました講話参加者からの確認内容を踏まえて要旨を作成したということでありますけれども、実際、きょう添付されて理事会に出されました。現地に職員が行って調べたわけです。

 聞きたいんですが、そもそも局長本人の講話の原稿というものはなかったんですか。それから、講話というのは、官庁や防衛省でやる講話というのは、ただのお話じゃないんですね。それから、訴えの類いじゃなくて、教育、そして服務指導の一環という特別の意味を持つ重要なものであります。

 今回の講話も、公務中の局長の指示で、それに基づいて、必ず聴講せよとまで言って公式にやられた行事でありますから、そこで局長の記憶をたどってとか、周りに聞いてまとめたとかというんじゃなくて、事務方が当然、局長の講話について、きちっと音声を録音するなり、文字でメモをとっているのが当たり前だと思うんですよ。だから、本人の原稿があったのかなかったのか、音声メモ、それから筆記メモがなかったのかどうか、それだけ端的に答えてください。

渡辺副大臣 当日の講話には、四名の職員が局長以外に居合わせたそうでございます。その上で、本来なら原稿があるはずだ、それを読んだのではないかという、先生と同じ疑問を持って私どもも質問をいたしました。しかし、ないという答えでございましたので、ないということだと、我々も今の時点ではそのように受けとめております。

笠井委員 先ほど副大臣も、何かおかしいと思って疑問を持ったとありましたが、大体、記録が作成されていなかったこと自体がおかしな話だと思うんですよ。

 防衛省では、講話の記録というのは行政文書として一定期間保存しなければならない定めになっているんじゃないですか。

渡辺副大臣 通常の勤務時間内で局長が行うことでございますから、常識的に考えれば、我々もそうですけれども、誰か職員が随行していれば、必ずお互いのやりとりをメモにとるなりしていますね。ですから、当然そういうことはあるだろうということは我々も素朴な疑問として思いますので、その旨を伝えました。

笠井委員 メモをとる、とらないじゃないんですよ。これは行政文書ですから。

 例えば、ここに文書がありますけれども、防衛研究所でありますけれども、ここで定める文書管理規則を見ますと、講話というのは、講義と同じように、教育事項の一般課程や1種研修の業務に区分される行政文書ということで定められて、内容の重要度に基づいて、長いもので三十年、短いものでも三年の間、保存しなければならないというふうになっているわけですよ。

 だから、誰かメモをとって当然という類いじゃなくて、保存しなきゃいけないものになっている。それほど重いものでありまして、同様に、沖縄防衛局でもそういう定めがあるんじゃないですか。ないとしたら、これは大変ですよ、自衛隊でそういうことがないというのは。

田中国務大臣 講話につきましては、私もこれから、どういう規定になっておるかということはしっかりと分析をして、確認をしていきたいと思います。

 それで、今回、防衛省業務適正化委員会というのを、私が長になりまして、そして、きょうは第一回目の設置をした会合を持つわけでありますので、それで、どういう規定になっておるか確認をするということで、お約束を申し上げたいと思います。

笠井委員 防衛大臣が規定を知らないという話になって、分析してとかいう世界じゃないんですよ。

 ここにありますけれども、防衛省全体の文書管理規則があります。瓦長官のときにつくったものが改定されてずっとありますけれども、これを見たって、防衛研究所の規則というのは、防衛省全体の訓令七十四号、第三十六条に基づいてつくられているものでありまして、その三十六条を見ますと、防衛研究所と同様の事項を地方防衛局でも定めるとなっているわけであります。

 つまり、この訓令からも、講話の記録が作成されていなかったというのは、おかしいねとか、副大臣がこんなことはあり得ないねというんじゃなくて、規則上あってはならないということじゃないんですか。そこをちゃんとはっきり言ってください。

渡辺副大臣 この規則にのっとって、本来ならば、記録をされたものは当然残してあるはずだ、そういうふうに認識するのは当然でございまして、もう一遍、これはきょうもまだ、委員長を務めます大臣がこの第一回目の委員会をやりますので、その中でもう一回確認をします。

中井委員長 渡辺副大臣、その規則がちゃんと沖縄防衛局にあるのかないのか、あるのなら出してください。

渡辺副大臣 はい。

中井委員長 それでいいですね、笠井さん。(笠井委員「いいです」と呼ぶ)

渡辺副大臣 委員長からの御指示でございますので、確認をして、後日提出いたします。

笠井委員 今委員長言っていただきましたが、防衛省は、もう一つ訓令第十五号というのがありまして、これは北澤大臣のときでありますけれども、ここにも、地方防衛局においては地方防衛局長が主任文書管理者を、総務部長が副主任文書管理者を務めるということとともに、行政文書の管理に関する事務を総括するという定めになっているわけですよ。

 だから、これは、ないということは、大体、確認できないとか、この講話の記録があるかないかが問題になっているというのは、きのうきょうの事態の中で報告があったわけですから、そもそも、どういう規定になっていてということ自体に照らしてどうなのかと調べてこなかったことは、重大ですよ。

 野田総理、最後に伺いたいと思うんですが、今回のメールを送った沖縄防衛局の部署というのは、まさに総務部であります。この規定によっても、もしも講話の記録がないというなら、それこそ規定に反したことをやっているという問題になりますし、それから防衛局長、総務部長が、残したら問題になるかもしれないということで、意図的につくらせなかったのかということも、疑いも出てくる。あるいは、つくったけれども破棄しちゃったということだって疑問が出てくるわけであります。

 防衛省は、きょうの報告で、講話について要旨を明らかにしましたが、これは皆さんもごらんになったと思うんですけれども、分量はたかだか千二百字程度です。昨日の防衛省報告でも、講話は十分程度やったわけですよ。千二百字ですから、実際の講話の半分という分量しか明らかになっていない。つまり、一体何を言ったかわからないんですよ。こんな要旨でごまかせると思ったらだめだと思います。

 総理は、赤嶺議員の質問に対して、とにかく事実を確認をということで御答弁なさいました。私、今のやりとりを聞いていても、防衛省自身が規則に照らしてどうだったかときちっとやっていないということがあるので、防衛省任せでは疑惑は深まっちゃう、これはかえってよくない。

 国家機関による選挙介入にかかわる重大問題でありますから、やはり総理御自身がきちっと責任を持って、この徹底調査についてもきちっと見る、調査もきちっと指示されてやるということでやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 きょうの予算委員会の理事会に、きょうまでの調査概要については資料提出があったと思いますけれども、先ほど来の議論もありまして、引き続ききちんとした調査をした上で、防衛大臣には要請をしているというか指示をしているんですが、国民、国会にしっかりと説明責任を果たすこと、そして、厳正中立に指導監督することを申し上げています。

 きちっと説明するという意味においては、前提はきちっとした調査と思いますので、先ほど副大臣もそう申しておりましたが、そういう調査を引き続きしっかりやってもらいたいというふうに思います。

中井委員長 笠井君、時間です。

笠井委員 総理自身もしっかり調査をやってもらいたいということでありました。

 新基地建設のためには何をやってもいいということは、やはり許されてはいけないと思います。国会の責務も重大であります。局長の証人喚問がどうしても必要だと私は改めて感じていますが、委員長、あした集中審議です。そして、それを踏まえて、やはり理事会においても改めて証人喚問という問題も協議をお願いしたいと最後にお願いしたいと思います。

中井委員長 あした、委員会での審査状況を見て、理事会で協議します。

笠井委員 終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。私の質疑時間は九分ですので、御答弁はなるべく簡略にお願いいたします。

 まず、二月の十日に発足することになる復興庁についてですが、阪神・淡路の大震災でもそうでしたが、震災に伴って、高齢者や女性、子供、あるいは障害者など、いわゆる弱者の皆さんの、被災も大きければ復興からも困難を抱えるという状況が指摘されているのは、もう御承知のとおりであります。

 平野復興担当大臣には、いわゆる男女共同参画という視点について、昨日、石井議員の御質疑でも、今後、復興防災会議等に女性の登用を前向きに行うことの御答弁はありましたが、今回発足します復興庁の中で、この男女共同参画並びに弱者への目配りという視点では、どんな組織体制で臨まれるのか。

 実は、既に災害対策本部、この復興庁の前にできておりますが、そこでは住民支援の中で、二つの部署、住民に対するボランティア活動と、そしてこういう男女共同参画や弱者対応という部署は、同一の人間が兼ねてやっておられます。

 その結果、ボランティアの組織も大変だ。そして、大事な、声を出せない人たちの声を酌み上げての復興になかなかなっていかないという現状が指摘されておりますが、やはり男女共同参画という視点からも、弱者を沈殿という形に持っていかないで本当に共生できるという観点からも、組織の体制について明確な御答弁をお願いいたします。専属部署を設けるかどうかです。

平野(達)国務大臣 今委員から御指摘のあった男女共同参画、あるいは災害弱者と言われる方々、こういった方は、今回の災害においても大きな被災をしております。この経験を踏まえて、かつまた災害に強いまちづくりをするという意味において、この男女共同参画、あるいは災害弱者と言われる方々の視点というのは大事な視点だというふうに思っております。

 この体制につきましては、今御指摘があったように、現段階では、震災ボランティア班、男女共同参画班というのがございまして、そこで両者を兼ねた形でやっております。

 今後、これをどのように体制強化するかということにつきましては、今、各府省との横断的な連携にも配慮しながら、しっかり検討していくということになっておりますが、とりあえずは、二月十日の時点においては、現体制をそのまま移す方向になるかと思います。

 ただ、ここの体制の強化等々につきましては、これまでも何人かから御指摘もいただいておりますし、きょうも委員から強い御指摘を受けました。その御指摘を踏まえまして、しっかりと検討してまいりたいというふうに思いますし、検討するだけではなくて、ちゃんと結果を出せるような形にしたいというふうに思います。

阿部委員 復興基本計画の中にも、共生社会の実現ということが主なメーンテーマでありますから、今の復興担当大臣の御答弁どおり、組織においても、実際に担えるような体制をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、細野原子力災害担当大臣にお伺いいたしますが、昨日、私がずっと求めてまいりました、いわゆる環境ホルモン等の化学物質についての子供たちへの影響というエコチル調査というものが二十三年一月から始まりましたが、この対象十万人を、臍帯血、お母さんの血液を、臍帯をとってきて、あるいは御両親の血液をとってきてフォローし、どんな有害物質が子供たちに影響を与えるかを見る調査に、福島県全体に調査を拡大し、なおかつ、現在ですと七千人対象を二万五千人までふやしていくという発表がなされました。

 それ自身は前向きに捉えますが、しかし、昨日の会議で出された文書では、この調査は、放射能による影響が子供たちにないことが証明されることを大きな獲得目標とするとなっていて、これでは予断と偏見が生じると思います。

 有害物質による子供たちへの影響をあらゆる角度から見る、その一つに放射性物質の可能性もきちんと踏まえていくという基本観点がなければいけないと思いますが、いかがでしょう。

細野国務大臣 エコチル調査は、今、阿部委員が御指摘をされた趣旨、すなわち、化学物質がお子さんにどういう影響を及ぼすのかということについて調査をすべくスタートしたものです。

 これは、去年の三・一一よりも前から実施をしてきた調査でございますので、直接この問題とかかわりはなかったわけでありますが、こういう非常に大きな心配が、事態が生じているわけですから、福島でしっかり調査をしなければ意味がないだろうということで、福島県に重点をしっかりと移していくという形での調査体制にしているところでございます。

 その中で、ないことを証明するということではなくて、それがあるかないかをしっかり調査をできるような体制をつくらなければならないというふうに考えます。

阿部委員 明確な御答弁、ありがとうございます。

 それでは、田中防衛大臣にお伺いいたしますが、先ほど笠井委員がお取り上げになりました、いわゆる局長の講話については、公務の中で行われ、そのメモの所在も含めて、今後調査がされていくということでありましたが、総務部から出されたメールもいわゆる公文書に当たると思います。これは、平成十三年の六月、法務委員会でのやりとりの中で、メモもメールも公文書であるという一文がございました。

 田中防衛担当大臣においては、このメールも含めて、そこには家族、親族の状況を書くようなひな形もあるということですから、これも含めて公文書としてあすの集中審議までにお出しいただきたいが、これはないはずはないので、メールですから、インターネット上にありますから、消してもいけませんし、どんな形式で書くことを要求されたメールであるのか、これについてお出しいただきたいが、いかがでしょう。

渡辺副大臣 当然、これは局内で総務部から発せられたメールでございますので公文書でございますので、これは委員会の御指示がありましたら提出するようにさせていただきます。

阿部委員 では、委員長にお願いがございます。

 明日、集中審議であります。どんな形式のものが要求され、そこに御親戚、どこまで書けという例示もあるようです。このメールの原文をぜひ集中審議というか参考人のときにお出しいただきたいことを理事会でお諮りいただきたいですが、よろしくお願いします。

中井委員長 理事会で後刻協議をして、個人情報保護法に触れない範囲でできる限り提出をお願いしたいと思います。

阿部委員 ひな形ですから触れないと思います。お願いします。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 四次補正の中に、国際分担金及び拠出金という項目があります。経産大臣にお尋ねをいたしますが、この中に、外国人看護師、介護福祉士候補者に対する日本語教育実施経費というのがあります。もう既にフィリピンやインドネシアから介護士や看護師の受け入れを行っておりますけれども、特にベトナムの関連で日本語教育の経費が五億円ついております。

 この日本語教育五億円の経費を、一人頭で割ると三百万円です。三百万円、この値段についてどうお考えでしょうか。

玄葉国務大臣 私の方から説明いたしますけれども、今のベトナム人看護師、介護福祉士候補者のための日本語研修事業の五億円の計上ということでありますが、確かに、一人当たりの経費になると三百万ということになります。これは、研修生のための経費、例えば宿泊費及び食費といった滞在費用、あるいは渡航の交通費なども含まれるということでございます。

 なお、インドネシアとかフィリピンからの看護師、介護福祉士候補者に対する六カ月間の日本語研修については、受け入れ施設に候補者一人当たり三十六万円を御負担いただいているということになっております。

山内委員 研修費三百万円、食費なども含まれるということですけれども、一人当たりGDPが恐らく二千ドルいくかいかないかみたいな国の方の日本語研修に、年に三百万、これはコスト意識としてあんまりじゃないかという気がいたします。

 ですから、こういったお金の使い方をもう少し考えて、安く上げるというか、そもそも日本語教育というのは、本来、当事者の努力でやるものじゃないかなと思います。あるいは、受け入れ施設の経済的な負担でやってもらうべきではないかと思います。こういうやり方を改めていく必要があるのではないかと思います。

 例えば、外国の方を介護施設で働いてもらうということに関して言うと、今、東北の被災三県だけでフィリピン人の被災された方が二百人ぐらいいらっしゃるそうなんですね、被災地域だけで。大体、日本人の男性と結婚したフィリピン人女性が多いんですけれども、こういう方もやはり被災して仕事がなくなっておりまして、今、あるNPOが、こういうフィリピン人の女性を集めて、ホームヘルパーのトレーニングをやって、働いてもらうといったような事業をやっているんですね。

 大体、みんな評判がいいそうです、受け入れ先の介護の施設の方では。もともと日本に住んでいるフィリピン人ですから、土地カンはあるし、日本語もある程度できる。そういう人たちのトレーニングは、大したお金はかけていないのに非常に喜ばれているというような事例もあります。ですから、この制度自体、もう少し抜本的に考え方を改めていく必要があるのではないかと思います。

 あわせて、関連して厚生労働大臣に御質問します。

 この国家試験が余りに難し過ぎるということは、ずっとこの委員会でも前から指摘されておりました、看護師、介護福祉士、全然合格できない、一桁、二桁しか通らないと。特にフィリピン人の看護婦さんなんか、アメリカとか世界じゅうで活躍しているのに、なぜか日本だけ通らない。これでは日本との関係はよくなるどころか、むしろ悪くなってしまう。非常に問題だと思います。

 厚労省でも検討を始めているということですけれども、技術的なレベルを落とさなくても、もう少しハードルを下げるというのは十分可能だと思うんですね。恐ろしく難しい漢字を書かせるような国家試験、これは日本人の受験者にとっても害があると思う試験ですけれども、こういったものの見直しについて大臣の御見解をお尋ねします。

小宮山国務大臣 今、山内委員が御指摘になった同じ問題意識は、私も昨年、労働担当の副大臣のときから持っておりまして、もっとそこは何とかするようにということを言ってまいりました。そうした中で、先ほど外務大臣にお尋ねのあった、母国で日本語を学んでくるということも大変重要だと思います。

 一方で、試験につきましては、昨年度の試験から看護師、それから今回初めて行いました介護福祉士も、なるべく易しい言葉に言いかえるということ、難しい漢字に平仮名を振る、それから疾病名に英語の併記をする、そうした改善はしているんですが、まだまだ足りないということで、看護師国家試験につきましては、母国語、英語で試験ができないかどうか、今検討を進めています。介護福祉士についても、やはり同じ視点で、来年の試験には間に合うようにしっかりと検討するように指示をしております。

 昨年も、残念ながら、インドネシア人の看護師の方も、合格なさらなかった方もなるべく足切りしないようにということで、九十一人のうち八十一人が残れるようにしたんですが、御帰国になった方がいらして、半分ぐらいの方が帰られてしまった。そうしたことがないように、しっかりやっていきたいと思います。

 それから、先ほどおっしゃった外国人の連れ合いの問題につきましては、全国の百二十カ所のハローワークで通訳を配置いたしまして、相談などに乗り、日本にいらっしゃる方についてもこうした職業についていただけるように努めているところでございます。

山内委員 もう時間がないので、質問はせずに最後に意見だけ表明させていただきますが、先ほど来やったように、母国語にするかどうかは別として、せめて英語化するといったことはすぐにでもできると思いますし、そんなに日本語教育に三百万かけるぐらいだったら日本語のハードルを下げた方がいいんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳でございます。質問の時間を与えていただいたことに感謝申し上げます。

 いろいろなところで、私たち、与党なのか野党なのかということで、与と野の間のユ党とかということを言われておりますが、なかなか御理解がいただけないのかなと思っておるんです。きょうの予算委員会での質問時間を見ましても、共産党さんが五十四分、社民党さん三十四分、みんなの党さん二十八分に対して、私たちは、いろいろな経緯があって、私たちもまだできたての党ですので余り生意気なこととか欲張りは言えませんけれども、十分の質問時間ということですので、これからまた国会活動の中で私たちの立場を鮮明にしていきたいと思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 まず、野田総理、私はちょうど四年前の二月に民主党の公認内定をいただいて、そのときの千葉県連の選対委員長が野田総理でした。そういう経緯もあって大変お世話になりましたし、総選挙の前にも随分と応援にも来ていただきました。

 しかし、政権交代後、財務副大臣に就任されてから財務大臣を務めているうちに、その当時おっしゃっていたことと随分変わってしまったと私は率直に感じております。代表質問や予算委員会でもマニフェストについてのことを随分言われていました、書いてあることは命がけでやるとか、書いてないことはやらないの議論。また、選挙区に応援に来ていただいたときにも、予算全体を組み替えてお金の使い方を変えるんだということをずっと力説されておりました。

 私は、野田総理のことは尊敬もしておりますし、人間的にも大好きなんですが、進む方向感が変わってしまった中で、その方向に進む船に一緒に乗っていることはできないという判断の中で、党を出て活動しようということになったわけです。

 私たちは、日本は本来、和をもってたっとしとなすという言葉のとおり、日本の成り立ちだとか、歴史、文化、伝統を考えて政治を組み立てていく、そういう政治信条の中で進んでいきたいと思っております。そういう団体戦の中でこそ個性が輝いて競争力を発揮する国が日本だと私は思っております。温故知新の立場で、国際競争力を保つためにも、この時代に合った日本らしい日本を築きたいという思いです。

 これは日本をどういう国にするのかという国家論になるんだと思いますが、きょうは質問時間も非常に短いですので、通告はしてありますが、この議論についてはもう少し時間配分のあるときにしっかりと議論をさせていただきたいと思うんですが、一言だけ、日本をどういう国にしたいのかということについて、野田総理に伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 限られている時間でしょうから余り長くはしゃべりませんけれども、今の御質問の前に、私が変わったというお話がございましたが、予算の組み替えは今もやってきております。日本再生重点化枠、今回、約一兆円規模です。というように、常に予算の組み替え努力はこれからもしていくということ、これは姿勢は変わりません。

 加えて、どういう国にしていきたいのかということでありますけれども、私は、この国に生まれてよかった、そしてプライドを持っていける国をつくっていきたいと思います。

 私には、両親二人、おじいさん、おばあさん、両家合わせると四人、十代さかのぼると千二十四人の先祖がいます。今、子供が二人います。その子供二人が結婚して、二人ずつ子供をつくっていけば、十代先には千二十四人の子孫ができます。その一連とした流れの中でバトンタッチを受けていますけれども、この国に生まれてよかった、そういう実感の持てる国をつくり続けることだと思います。

 私は、幸いにして、今回の東日本大震災でその萌芽があったと思っています。戦前に、あるフランスの外交官が言っています、日本は貧乏だけれども気高いと。語学が得意でないからよくわかりませんが、ポーブルだけれどもノーブルと言ったと思います。戦後の日本はポーブルではなくなった、貧乏ではなくなったけれども、気高さを忘れたんじゃないかと思われていましたが、今回の、人の和の力を含めて、連綿として続いていると思います。そういうものをしっかり大事にする国をつくっていきたいと思います。

中後委員 日本に生まれてよかったとか、誇りが持てる国にしたい、そういうベースのところは、恐らくここにいる皆さん全員一緒だと思うんです。そこにどういう方法で導いていくのかということについてなんですが、次回にそれはまた質問させていただきたいと思います。

 次に、郵政改革法案の取り扱いなんですけれども、昨年十一月の民主党の両院議員懇談会で、野田総理と輿石幹事長が、郵政改革法案を臨時国会で成立させるとみんなの前で約束しました。その後、国対の皆さんですとか幹事長、また総理も含めて大変な努力をされたことは私は認めておりますけれども、結果としては、審議をされることもないまま、会期延長もせずに閉会して、今回の通常国会で審議をするということだったと記憶しております。

 ただ、その臨時国会で成立をさせると言った約束についてはほごにされたと私は思っておりますし、守れなかったら、何かしらの形で責任をとるなり、けじめをつけるなり、説明をするなり、そういう何かしらの対処をするのが当たり前だと思うんですが、民主党はずっと、参議院選挙のときも言われていますけれども、なかなかそういうけじめがつけられていないのかなというふうに思っております。政治不信の大きな原因になっていると私は思っております。

 今国会で、郵政改革法案に向けて、これは総理というよりも民主党代表の野田代表という立場での答弁になるかもしれませんけれども、覚悟を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 昨年の臨時国会ででき得れば成立をさせたいという思いで、みんなで全力で尽くしてまいりました。特に武正上席理事は、郵政改革の実務者協議で真剣に政党間協議をやっています。今もやっています。あと一歩のところまで来ているかと思います。

 今回はまさに、臨時国会のときも本当に懸命の努力をしましたが、内閣としてこれも全力を尽くして、そして郵政改革法案の審議に入って成立をさせていきたいと思いますし、そのための野党の御協力もぜひ改めてお願いをしたいというふうに考えております。

中後委員 郵政改革法案の両院議員懇談会の話は、私はその当時はまだ民主党に所属しておりましたので、そういうお話ですけれども、マニフェストのことだとかいろいろなことについて、それが守れなかったり、方向を変えるときの説明だとか、納得感だとかというところについては、しっかりとしないと本当に不信感を広げることになる。これは、党内での、言えば亀裂だったと思いますし、国民に関しては政治不信ということにつながると思いますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 最後の質問にしたいと思いますけれども、通告してありますが、国の借金と政府の借金の違いについてということで、現在、日本として、国の抱える借金ということについてはどういう見解なのか、安住大臣に伺いたいと思います。

安住国務大臣 国際比較で用いられております我が国の一般政府のいわゆる総債務残高、これは平成二十二年度末で一千三十六兆円となっております。また、将来の国民負担となる長期債務を集計した国及び地方の長期債務残高については、平成二十四年度の見込みで九百四十兆円ということになると思います。

中後委員 私はいつも、国の借金というときに、一千兆円とかという話が出てくるたびに違和感を感じております。これは、政府の国民に対しての借金という意味合いの方がずっと強くて、海外から見たら、日本が借金国かどうかというところはまた全然別の視点になる。だからこそ、今の国債の金利を見ても、日本国債は主要G20の中で一番金利が低いわけです。これは日本国債の信用ということだと思うんですが、海外に対する日本が貸しているお金と、海外から日本が借りているお金、差し引きでどのぐらいあるかわかりますか。

安住国務大臣 平成二十二年末における本邦対外資産債務残高ということで計算しますと、日本国全体で対外資産額及び対外負債額というのは、対外資産額が約五百六十三兆、それに対して負債額は三百十二兆ですから、いわゆる対外純資産、計算上でいえば二百五十一兆ということになると思います。

 それから、お話ではございますが、例えば、日本国債を日本の国内で買っている人が多いので、これを借金と呼べるのかというふうな御説かもしれませんが、満期が来たら返さなければならないということであれば、これは何人に対してでも借金であるということだけは言えると思います。

中後委員 質問時間が来ておりますので、国の借金一千兆円というところをもって消費税がどうこうとかというと、これは私はやはりちょっと議論が違うのかなというふうに思っておりますので、この点についてもまた議論させていただきたいと思います。

 質問を終わります。

中井委員長 これにて中後君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十三年度補正予算両案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明三日午前九時十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


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