衆議院

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第5号 平成24年2月3日(金曜日)

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平成二十四年二月三日(金曜日)

    午前九時二十二分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      大西 健介君    大西 孝典君

      金森  正君    岸本 周平君

      工藤 仁美君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    玉木雄一郎君

      中野 寛成君    中屋 大介君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      室井 秀子君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      橘 慶一郎君    中谷  元君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    東  順治君

      赤嶺 政賢君    笠井  亮君

      内山  晃君    阿部 知子君

      照屋 寛徳君    山内 康一君

      下地 幹郎君    中島 正純君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)       平野 達男君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   鎌田 昭良君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   参考人

   (防衛省沖縄防衛局長)  真部  朗君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     湯原 俊二君

  佐々木隆博君     工藤 仁美君

  橋本 博明君     大西 孝典君

  横山 北斗君     玉木雄一郎君

  小里 泰弘君     中谷  元君

  笠井  亮君     赤嶺 政賢君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

  中島 正純君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     橋本 博明君

  工藤 仁美君     中屋 大介君

  中谷  元君     小里 泰弘君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

  下地 幹郎君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  中屋 大介君     佐々木隆博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)

 平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)

 予算の実施状況に関する件(沖縄防衛局講話等の問題について)


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)の両案を一括して議題といたします。

 両案に対する質疑は、昨二日終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。室井秀子君。

室井委員 おはようございます。室井秀子でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十三年度第四次補正予算案に賛成の立場から討論を行います。

 まず冒頭、東日本大震災や昨年の台風、豪雨被害により犠牲になられた皆様、仮設住宅や新しい土地で避難生活を余儀なくされている皆様、福島第一原子力発電所事故によりふるさとを離れざるを得なくなった皆様、そして、ことしの冬の豪雪によって被害を受けられました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 さて、政府においては、東日本大震災や台風や豪雨被害からの着実な復旧復興、不安定な為替相場やタイ洪水被害による我が国経済への影響などに対処するべく、本年度予算案を編成して以降、適宜補正予算を編成しております。

 今回提出された第四次補正予算も、年度末を迎えるに当たり、各種事業が遺漏なく実施できるよう編成されたものです。

 具体的には、東日本大震災被災者の方々のための仮設住宅建設費、昨年の豪雨や台風により被害を受けた各種公共施設を復旧させるための事業費が盛り込まれております。

 また、進行している円高、ユーロ高やタイの洪水被害を受けました日本企業支援のための中小企業金融関係経費や、エコカー補助金、食と農林漁業の再生に必要な経費、妊婦健康診査や子宮頸がん予防ワクチン接種などを平成二十四年度も継続するための経費が盛り込まれております。

 なお、総額二兆五千億円余りの歳入については、税収の上振れ分等を用いることで、新たな国債を発行せず、市場の信認を確保しております。

 東日本大震災から一年がたとうとしております。この一年ほど、国、そして私たち国会議員の役割が期待され、問われた年はないでしょう。るる説明申し上げましたように、本補正予算は、今、日本が抱える課題の解決のために必要不可欠なものであります。国民の皆様の期待に応えるため、一人でも多くの方々に御賛同いただきますようお願い申し上げ、討論といたします。(拍手)

中井委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 私は、政府提出の平成二十三年度第四次補正予算につきまして、さまざまな問題点があると考えますが、昨今の経済状況に鑑み、早期の成立、執行が必要という観点から、やむを得ず賛成の立場から討論を行います。

 その前に、そもそも野田内閣は予算を提出する資格があるのか疑問であります。

 内閣発足後わずか四カ月余で、一川防衛大臣、山岡消費者担当大臣に対する問責決議案の可決、それに伴う内閣改造というこの事態は、任命権者として国民の信頼を大きく損ねる問題でありました。今の内閣の顔ぶれは本当に最善最強の布陣なのか、委員会の質疑を見ても大いに疑問であります。これでは、最後の内閣となることでありましょう。

 また、東日本大震災の災害対策本部の議事録の未作成問題、これは昨年四月に過去の反省の上に立って公文書等の管理に関する法律が施行されて以降の問題であり、さらに年金制度改革の試算を出し渋っている姿は、野田内閣の重要情報の隠蔽体質をあらわしております。

 また、沖縄防衛局長の選挙介入ともとられかねない訓示問題など、昨年の前局長不適切発言に続き不祥事が続いていることは極めて残念であり、政府の監督責任が厳しく問われるところでもあります。

 さて、平成二十四年度当初予算につきまして、安住財務大臣は六年ぶりに前年度を下回ったと自画自賛いたしましたが、中身は、交付国債を使った分所とも言える内容であります。今次の補正は、前年度を見かけ上、下回らせるためにつじつまを合わせて整理整頓した予算案ではないかということであります。二十四年度当初予算の組み替えをしなければ、根拠なき予算となることは目に見えております。

 政府・民主党がみずからの手で廃止、大幅縮減した農業基盤整備事業予算を八百億円程度復活させたことで政策の迷走が浮き彫りになった一方、強い農業づくり交付金は、二十四年度当初予算ではわずか二十四億円程度の計上にもかかわらず、今次の補正では二百四十五億円を復活計上しております。

 高齢者医療、子育て、福祉関係では、平成二十四年度末までの基金の延長とともに、二十三年度当初予算に計上されていた経費の基金回しに約五千億円が盛り込まれております。これらの予算は、当然二十四年度当初予算で計上すべきであります。

 また、中小・小規模事業者への資金繰り対策として七千四百億円が計上されておりますが、我々は、昨年の第三次補正予算において、一兆円規模の資金繰り対策の拡充を提案してまいりました。

 そもそも、今次補正の財源は税収の上振れと国債費の下振れ分によって賄われておりますが、財政が厳しい昨今、こうした剰余金は、補正回しのためにむやみに使うのではなく、震災復興のための財源に優先的に充てるべきであることを指摘しておきます。

 以上の点を申し述べ、第四次補正予算につきまして、問題点はあるものの、早期の成立と執行が求められる観点から、賛成の立場での討論といたします。(拍手)

中井委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 おはようございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十三年度第四次補正予算に対し、賛成の立場から討論いたします。

 以下、賛成する主な理由を申し上げます。

 第一に、公明党が推進してきた健康、医療、介護、子育て支援等に関する各種事業の継続が盛り込まれている点であります。

 安心こども基金、妊婦健康診査支援基金、そして障害者自立支援対策臨時特例基金は、私たちが政権与党にあるときに創設し、関係者からも高い評価を受けております。

 一方、子宮頸がん、Hib、小児用肺炎球菌のワクチン接種を支援する基金については、公明党は、単年度ごとの予算措置ではなく、早急に予防接種法を改正して、法律に基づく安定した制度とすべきと考えます。

 いずれにしても、これら施策は、本来ならば、恒久的な仕組みを検討し、当初予算において対応すべきと考えますが、必要性、緊急性に鑑み、今般の延長措置はやむを得ないものとして評価いたします。

 第二に、デフレ、円高による日本経済の先行きが不透明な中で、追加的な景気・経済対策としてエコカー補助金が盛り込まれました。

 今般のエコカー補助金は予算枠が三千億円でありますが、状況によっては、前回実施したときのように、予定期間の途中で予算枠を使い切り、補助制度を打ち切らざるを得ない事態も想定されます。景気対策として一定の効果が期待されることから、実施する以上は、万全に対応することを強く要請いたします。

 第三に、二重ローン問題に関して、我が党を初め野党が強く主張し実現した、被災中小企業や農業、漁業者の再生支援のための東日本大震災事業者再生支援機構による債権買い取りのための政府保証枠五千億円が盛り込まれている点です。

 ようやく三月から事業が開始される予定ですが、支援に当たっては、被災事業者にとって使い勝手がよく、さらに支援の対象を可能な限り広げるよう最大限の努力を求めます。

 以上、賛成する主な理由を申し述べました。

 この際、何点か申し上げます。

 ことしに入って、日本海側を中心に観測史上最大の豪雪を記録しております。大型の寒波の影響により、既に各地で被害が多発し、除雪作業の人手不足も深刻さを増しています。今後、さらなる被害の発生が懸念されますが、豪雪被害への対応は四次補正では手当てされていないものの、予備費の活用などにより災害対策には万全な措置を講ずるよう強く政府に要請いたします。

 さて、東日本大震災より間もなく一年が経過いたします。

 二月十日には復興庁も設置され、いよいよ復興に向けて加速的な対応が求められます。被災地では例年にない厳しい冬を迎え、今なお避難生活を余儀なくされている住民に対し、きめ細かい支援が必要です。現地では、復旧復興事業に従事する作業員の不足や仮設住宅の設備格差など、課題が山積みしております。

 被災地から寄せられる課題に対し一つ一つ迅速に対応するためにも、これまでの補正予算を含め、復興関係の予算が早急かつ円滑に執行されるよう、政府が万全の体制をとることを重ねて申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一一年度第四次補正予算二案に反対の討論を行います。

 本補正予算に盛り込まれた被災者支援、高齢者医療などへの助成は、当然必要な経費です。

 同時に指摘しておきたいことは、被災者支援の二重ローン対策では、再建を目指す全ての被災業者が救済されるよう、金融機関への徹底が求められることです。

 また、被災地では、除染、医療、食品検査などに思い切った予算を必要としています。こうした予算の不足が、福島県内でも思い切った取り組みの足かせとなっているのであります。

 ワクチン接種への助成の一年延長などは、本来、恒久措置として予算計上すべきです。

 次に、本補正予算は見過ごすことのできない重大な問題があります。三点述べたい。

 第一は、南スーダンPKOへの自衛隊派遣経費です。

 政府は、陸上自衛隊施設部隊三百三十人の派遣を決定し、首都ジュバ周辺の道路や橋梁の整備を担うとしていますが、これは、米国のアフリカ戦略に基づき、米国言いなりに行われるものです。南スーダンは、いまだ南北両国間の紛争や部族衝突などが頻発しています。このような紛争地域への自衛隊派遣は、憲法上、断じて許されません。

 また、海賊対処を口実としたソマリア沖・アデン湾での自衛隊の活動経費を盛り込んでいますが、海賊問題は、軍隊の派遣では解決しません。アフガニスタン国軍への財政支援もやめるべきです。

 憲法九条を持つ日本がやるべきことは、自衛隊の派遣や軍事支援ではなく、和平努力への支援であり、民生支援です。

 第二は、米軍のグアム移転経費です。

 いわゆる真水予算を繰越明許費として来年度も使用可能としていますが、そもそも、米国内の米軍基地建設費用を日本の国費で賄うことは、憲法上も財政法上も重大な問題があります。にもかかわらず、日本政府は、二〇〇九年度、二〇一〇年度と米国に支払ってきました。

 一方、米国議会は国防予算からグアム移転関連経費の全額削除を決定しており、今や、グアム基地増強計画の破綻は明らかです。こうした予算は直ちに中止すべきです。

 このほか、宇宙を軍事利用するスパイ衛星の研究開発経費を計上していることも問題です。

 宇宙の軍事利用の拡大、武器輸出三原則を形骸化する政府決定は、憲法の平和理念に反し、到底許されるものではありません。

 以上指摘し、討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 私は、二〇一一年度一般会計補正予算及び特別会計補正予算につきまして、社会民主党・市民連合を代表して、賛成の立場で討論を行います。

 冒頭、情報管理と公開をめぐるこの間の政府の対応について一言申し上げます。

 原子力災害対策本部などの議事録の不在、沖縄防衛局長の講話問題に関連する個人情報保護のあり方、専ら水面下で進められ国民に十分な説明がなく、自国への影響分析も怠ったままのTPP協定交渉参加問題など、現政権の情報管理、公開体制は極めて問題が多く、とても国民の信頼を得られる状態ではありません。

 民主党は情報公開を標榜してきたはずであり、その原点に立ち返って政府の体制を総点検し、抜本的に改善するよう強く求めます。

 さて、今回の第四次補正予算は、東日本大震災被災者らの二重ローン対策費の設定や生活保護費等の負担金の追加、中小企業金融関係経費の支援などが盛り込まれていることから賛成するものですが、同時に多くの問題点を抱えていると思います。

 まず、歳入面において、税収及び税外収入の増加等によって約二・五兆円の財源が確保されておりますが、国債費の過大見積もりの是正ということも考慮すれば、第三次補正における復興債の発行額の縮小や、復興増税によらないことも可能だったのではないでしょうか。また、年金交付国債という奇策を用いることなく、二〇一二年度の基礎年金の国庫負担分二分の一引き上げの財源とすることも検討すべきであったでしょう。

 次に、二十四年度予算の歳出の大枠や新規国債発行枠を表面上クリアするために、予算の先取り、前倒しや、来年度予算から漏れたものの復活という項目も多く含まれています。高齢者医療の負担軽減や安心こども基金、子宮頸がん等ワクチン接種基金、妊婦健診の支援基金、障害者自立支援対策の基金の延長なども、政策内容としては必要だと考えますが、本来、制度の抜本見直しとあわせて本予算できちんと手当てすべきものです。

 さらに、アフガニスタン支援経費やITERあるいは衛星関係経費など、内容的にも認めがたいものも含まれております。

 また、外為特会の外国為替資金証券の発行限度額について、さらに百九十五兆円まで引き上げられ、為替介入の余地を広げていますが、日本だけでの単独介入では効果が低く、特会のバランスシートが悪化するだけと思います。

 以上指摘したように、必要性、緊急性の高い追加財政需要に適切に対応した安心、安全のための補正ではなく、被災地の復旧復興がいまだ遠い中、極めて問題の多い補正予算となっていることに政府の猛省を促し、私の討論を終わります。(拍手)

中井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより採決に入ります。

 平成二十三年度一般会計補正予算(第4号)、平成二十三年度特別会計補正予算(特第4号)の両案を一括して採決いたします。

 両案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立多数。よって、平成二十三年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十三年度補正予算両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中井委員長 この際、お諮りいたします。

 予算の実施状況に関する件の調査に関し、沖縄防衛局講話等の問題について、本日、参考人として防衛省沖縄防衛局長真部朗君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として防衛省大臣官房長鎌田昭良君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 これより沖縄防衛局講話等の問題についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下地幹郎君。

下地委員 真部局長、きょう来ていただいて参考人で質疑をいたしますけれども、委員長、私の気持ちですけれども、十二日に告示があって十九日に投票日なんですよ。この真部発言、そしてきょうの参考人質疑というのは非常に大きな影響を及ぼすことになるんですね。

 自民党は、公明党と一緒になって候補者を推薦する。そして、民主党は、社民党も共産党も……

中井委員長 下地さん、五日じゃなかったか、告示。

下地委員 五日です。ありがとうございました。に告示があって、投票日があるわけでありますけれども……

中井委員長 十二日だ、投票。

下地委員 十二日が投票日ですけれども、もう一つの候補者は共産党、社民党が推薦して、民主党も三区と四区が支部で推薦するということになりますから、今、物すごくこの問題が影響することは確かなので、私としては、この問題は客観的にいろいろとこれから論議をしていかなければいけない。

 こういうふうな、選挙に影響するようなこの時期にこの参考人質疑をするのは、私個人としては反対です。もう少し冷静なときにおやりになるような雰囲気が私は必要だったんじゃないか。そのことは、これは根が深い、丁寧にやっていかなければいけない問題だと思うからであります。

 それで、一月の四日に真部さんが調査のメールを発信する。十日に八十名のリストアップをする。一月の十八日に講話を聞くようにまた発信をして、そして二十三日、二十四日と講話を行うわけです。

 田中大臣に少しお聞きをさせていただきたいんですけれども、この講話をすることを大臣から御指示をされたことはありますか。

 それと、もう一つには、二十三日に沖縄に行かれましたよね。二十三日に行かれたときに、真部さんは大臣と同行なされているはずでありますから、そのときに、大臣は真部さんから、二十三日、二十四日でこういうふうな講話をやろうと思っています、こういうふうな話があったかどうか。大臣が存じ上げていたかどうかをまずお話ししていただきたいと思います。

田中国務大臣 私は、防衛大臣に就任をいたしました。この講話という言葉が出たのは、私は一切知識のない中での話でございましたので、就任後は、この講話のことにつきましては、一切、報道以外に話は伺っておるところではございません。

 また、真部局長におきましては、私が沖縄に行きましたときに職員の中にいらっしゃったということでございますが、その次の日に普天間飛行場に参りましたときに説明を受けたのが真部局長ということで、大変私はそのときに局長に説明についてはお礼を申し上げた。それ以外に接触の場はございませんでした。

下地委員 大臣は、一切このことについては指示もしていなければ聞いてもいないというようなことだと思うんです。

 そうすると、参考人の真部さん、こういうふうな講話をおやりになる、メールを配信してリストを集めて、そして講話をおやりになる、これはあなたみずからが発意して、考えておやりになったことなんですか。

真部参考人 今回の、今委員御指摘の講話につきましては、私自身が発意、発案いたしまして、関係の職員に準備を指示し、そして私自身が実施したものでございます。

下地委員 真部参考人、講話をおやりになりましたけれども、これは防衛省の中に、大臣からの服務規定や防衛省の人事局長の通達というのがありますよね。統一地方選挙における職員の服務規律の確保、選挙における職員の服務規律の確保、こういうふうな通達がありますけれども、この通達の中には、職員に対して、選挙に対してちゃんと対応しなさい、それで、偏った候補者の推薦をやってはいけないけれども、ちゃんと教育しなさいと書いてありますよね、これには。

 これに基づいてあなたはおやりになったという気持ちなんですね。

真部参考人 今委員御指摘の通達等が出されていることは私も承知しておりまして、直接通達に基づいたものでは必ずしもないかと思っておりますが、その通達に沿って、それを意識して、それを踏まえて行ったというのが私の認識でございます。

下地委員 通達の中身どおりやれば、この話は問題ないんですよ、公務員の地位の利用にならないような対応で。

 それで、この中にも書いてあるんですけれども、各政党の綱領、主張、国防政策に関する過去の動向、成果等の知識を、新聞記事等を利用して、いずれの政党に偏ることなく平等な立場に立った客観的な態度で教育することができると書いてあるわけですね。

 もう一度聞きますけれども、そのとおりおやりになったというお考えなんですね。

真部参考人 私の行った当時の認識としては、今委員がおっしゃったとおりでございます。

下地委員 だけれども、今多くの人たちが、あなたが服務規定どおり、人事局長の通達どおりやったというならば、こういうふうな疑問も起こらないし、こうやって参考人になることもなかったわけですよ。

 なぜこうやって参考人にまで呼ばれるようになったかということを、私ちょっと四点だけお話ししますけれども、正確に、私が言ったことに関して反論があるなら、堂々とお答えいただきたいというふうに思います。

 一つは、宜野湾市在住の有権者リスト、八十人分をつくらせましたよね。こういうふうなことをなぜやらなければいけなかったのか、これはあなたの立場としてやるべきことでもないのではないか、個人情報保護法違反とかさまざまなことを言われるようなことになるのではないかという疑問が一点持たれていますね。

 二点目には、機会があれば親戚の方に投票に行くようにお話をしていただきたい、こう講話の中でおっしゃっています。なぜ親戚まで投票所に行くことをあなたの立場で要請しなければいけないのか。この服務規定によれば、そのままあなたの部下の職員に、選挙は大事だから行きなさい、棄権はしちゃならないというようなことを言えば問題はないはずなんです。しかし、なぜあなたが家族のことまで申し上げて、行かなければいけないということを申し上げたかというようなことを疑問に持たれている方が、二点目にはいますね。

 三点目には、講堂に集める職員を、まあ、百歩譲って、選挙があるからといって宜野湾在住の職員だけをお呼びになるなら、それも私はよしだと思うんです。選挙のないところを呼ぶ必要はないから、選挙がありますね、公平にやりなさいという意味で宜野湾在住の職員だけ呼べばいいんですけれども、宜野湾に親戚を持つ職員まで呼んで話す必要があるんだろうかというのが三点目にありますね。

 そして四点目に、このような講話を業務時間中におやりになるということ、本当にこれが業務として言えるんだろうか、こういうふうな疑問を感じられている人がいるので、この四点についてあなたのお考えがあるならば、先ほどあなたは、私はこの服務規定にのっとってやりましたというようなことを申し上げたことに、私が四点の疑問を持っている。私の疑問は案外多くの人が持っている疑問だと思うんですよ。

 ちゃんとお答えいただけますか。

真部参考人 今委員がおっしゃいました四点の……(下地委員「時間かけていいから、ゆっくりとしゃべってください」と呼ぶ)はい。疑問についてお答えをいたしたいと思います。

 まず、リストをつくったことについてでございます。親戚の件も含めてつくった、なぜ作成したのかということでございますが、そもそも、私がこの講話を行いたいと思いましたのは、今度の、今度のというか来るべき宜野湾市の選挙というのが、大変、私どもの業務、特に普天間飛行場の移設、返還の問題の観点から非常に重要な選挙であろうと。と申しますのは、特に普天間の飛行場の問題の原点ともいうべき、普天間飛行場の所在地が宜野湾市でございますので、そちらの市民のお考えというものが示される場として非常に重要であるというふうに考えた次第でございます。

 それで、そういった重要な選挙になるべく多くの市民の方々のお考えが反映されるようになればいいのではないかというふうに考え、私どもの局の方で何かできることはないのかというふうに考えたのが最初でございます。

 それで、そのために、まず私が最初に考えましたのは、宜野湾市に所在の職員、これを、先ほど委員の御指摘のあった通達等に、考えに沿って、選挙に臨むに当たって公務員あるいは沖縄防衛局職員としてきちんと臨めるようにしたい、そして、できるだけ投票にも棄権することなく行くようにということを言いたいというのが最初の考え方でございました。

 それで、私のそのアイデア、考えをもって関係する総務部の職員等と相談をいたしましたところ、親戚を持っている、親戚が宜野湾市所在である職員というものにも同様にお話をした方がいいのではないか、そうであれば、そういった親戚、そういった有権者と接する機会のある職員に対しても同様のいわば教育を行った方がいいのではないか、さらにそういう考えが加わりました。

 それで、まず、リストづくりに当たって、そういう人も、そういう宜野湾市に有権者であるような親戚を持っている職員というものもそのリストに加えるようにということを決めたわけでございます。

 そういうことで、リストの中には、それはあくまで職員のリストなんでございますけれども、その中には、自身が宜野湾市の有権者ではないけれども、有権者であるところの親戚を持っている人も含まれている、それが八十名のリストでございます。

 それをつくりましたところでございまして、今申し上げた点によって、恐らく、恐縮でございますけれども、先ほど委員御指摘の疑問点の第三点まで、一、二、三の点を御説明できているのではないかというふうに思う次第でございます。

 それから、第四点目につきましては、なぜそれを業務内、業務のときにやったのかということでございますが、先ほど御指摘の通達等にもございますように、これ自体、選挙に関してどうあるべきかということを職員に徹底するということについては、これはある種、服務指導の一環であるということと私は受けとめておりまして、したがいまして、服務指導であれば、業務内、業務時間内において行うことも可であろうというふうに考えた次第でございます。

下地委員 この四点を今聞かせていただいても、なかなか説得力のある答弁とは思いませんけれども、気持ちはわかりますよ。

 何で気持ちがわかるかというと、沖縄というのは復帰してことしで四十周年になりますけれども、自衛隊に対する、防衛施設局に対する感情、そして、ずっと十六年、普天間問題、辺野古移設問題が選挙の争点になってきた。防衛省というのは間違いなく、国の安全保障に対する考え方というか、そして防衛政策というのを県民に浸透させるというのが役割の一つであるから、これはすれすれなんですよ。選挙運動に入るのか、説明するのかというすれすれだから、地元の人間として、あなたの立場はよく理解しますよ。

 しかし、真部さん、これを講堂でこういう形でやると、これは選挙運動と思われるんですよ。そこが僕は問題だと思うんです。広める行為をやる、あなたは特定の候補者の名前を言っているわけじゃないんだから。しかし、このような集会で、親族にまでお願いするようなことをやると、どうしても多くの人が、やはり真部さんはどっちかに偏った候補者のことをやられるのではないかというようなことを思われるんですよ。

 そういうことはないんでしょう。

真部参考人 今委員御指摘のとおり、私も、今御指摘を受けて、正直申し上げて、誤解を招く部分があったということについては反省しなければならないというふうに感じておるところでございますが、私の認識といたしましては、どちらかの候補者に肩入れするとか、そういった先ほどの通達に反するような考え、認識といったものは全く持っていなかったところでございます。

下地委員 何で真部さん、あなたがそういうふうに自分では持っていないと言っても、防衛施設局長という人がこういうふうな活動をすると片方の候補者に偏ってやるかというのは、これは歴史があるんですよ。

 これは、一九九七年に行われたのは、名護の住民投票でやったんですね。そして二〇一〇年までの県知事選挙までに、名護の住民投票、名護の市長選挙、県知事選挙、そして名護市長選挙とずっと続く。基地問題が争点になった選挙というのは十回あるんですよ。この十回ある選挙の中で、防衛施設局がこれまでの歴史の中でずっとかかわっているからそういうふうに言われるんです。

 九七年の名護市民投票においては、現地で事務所を構えて、那覇防衛施設局の職員ら二百人を動員して、勤務時間内に振興策を説明したパンフレットを持ってローラー作戦で戸別訪問を展開した。こういうふうなことが記事になっているわけです。当時は嶋口防衛局長ですよ。そして久間大臣ですよ。そこぐらいまでやっても、当時の政府も防衛施設局長も認めてやってきたんですよ、選挙運動を。そこがまず一点目にスタートしているんです。

 その次に、九八年には、岸本市長の総決起大会、防衛施設局長が総決起大会の集会に参加するように文書を送ってこれを入り口の前でチェックした、そういうふうなことが行われているんです。そのときも、そのときの政府は容認しているんです。そのときの防衛大臣は久間大臣ですよ。

 その後、今度は二〇〇六年の仲井真知事の選挙、糸数さんとの選挙。防衛施設局長が県内の十社の企業を回り、そして名刺を置きながらよろしくと言って歩いていることも、これもまた新聞記事になっているんですね。

 また、これは私が体験しているからわかるんです。たまたま私はあのころ糸数慶子さんの応援だったものだから、行ったら、防衛施設局長の名刺があった。企業名を言ってもいいけれども、言うと問題だから言いません。

 だけれども、そのときには、当時の局長には電話して、やりなさんなよ、おかしくなりますよというように言っても、こういうふうな、これは重立った話ですけれども、政府がずっと容認して、当時の政府から防衛施設局長に選挙をやらす、一方的に偏ってもいい、こういうことをやってずっと来ている背景が、あなたの頭の中が、行動でそうやっても許されるという構造にもうなっているんですよ。

 万が一、こういうことを当時の政府のころからだめだと、こういうことをやったらあなたは左遷されますよといって厳しくやっていれば、あなたのような結果にはならなかったんです。私は、だから、あなただけの責任ではないと思うんだよね。(発言する者あり)いや、かばっているじゃなくて、政治がそうしてきたんですよ。

 私は、そういう意味でも、あなたは率直に言った方がいいと思いますよ。もう隠す必要はない。僕も自民党にいたからよくわかる。言いなさいよ、どういうふうな指示があって選挙運動をやってきたか。

 この前の新聞記事には、こういうふうな記事も書いてありましたよ。記事の中に、防衛施設局長は、やらないと政府から何をやっているんだと怒られる可能性があるという、これは沖縄タイムスの社説に出ていたんですよ。そういうふうな環境になっちゃったんだよね。どう思いますか。

 あなたの先輩、田中さんの前の先輩からずっと続いている防衛施設局長、苦しみの中でそういうことをやらざるを得なくなってきた。役人の責任じゃない、政治家がずっとやらせてきた、そう思っているでしょう。どうぞ。

真部参考人 今委員御指摘の、過去には住民投票等における当時の那覇施設局の活動があった等々については、私も概略承知はいたしております。

 ただ、今回の私の講話の件に関しましては、先ほど申し上げたように、私自身が発案、発意いたしまして実施したものでございまして、防衛本省を初めまして、外部から何か指示とか示唆とか、そういったものがあったということはございません。それが事実でございます。

下地委員 この前も、防衛大臣経験者などが沖縄に行くんですよね、総理。沖縄に行ったときに、防衛大臣経験者が沖縄に行くと、辺野古賛成派の方々と講演する、集まりを持つ、それに防衛省の局長がアテンドする。そういうことがずっと続いて、彼らはもう、沖縄の防衛施設局は政治マターになっちゃったんです、かわいそうだけれども。そういうふうなものがずっと続いているから、結局は、こういうふうなことをやることもみずからの仕事だと、悪いという気持ちでもなければ、そういう思いになってやられていると思うんですよね。

 そういうふうな状況を、ここは私は、この問題を、ずっと歴史からきて、総理、真部さん一人の問題にしてこの人を左遷すればいい、終わらせればいいというんじゃなくて、もう一回、ずっと続いているこの体質論、この防衛施設局の那覇の局長を選挙に巻き込んできた歴史の、自民党時代からずっときた体質論、これをもう一回全部手直ししなければ、この問題の解決はできないと思うんですよね。

 だから、そういう意味でも、総理はそのことをしっかりと認識して、私は、今後の局長に対する、新しい組織の体制というか、そのことをおやりにならなければいけないと思うんです。

 だから、私は、この那覇の防衛施設局長というのは、かわられても、これはもうわかりませんけれども、かわられた場合も、ただ単に新しくもう一回局長クラスを持ってくるんじゃなくて、大胆にやるんなら、政務官を常駐させたらどうですか、局長で、兼任で。役人にそういうふうな過重な負担をかけなくて、政治が責任をとる、そういうふうなやり方をすることも私は一つの考えとして持たなければいけないと思っています。

 総理の考え方を少しお願いします。

野田内閣総理大臣 先ほどの参考人の答弁にもありましたけれども、今般の事案については、服務の規定に基づいてやったという意識があったと。

 ただ、委員の御指摘のとおり、それは国民や沖縄県民からすれば批判をせざるを得ない、そういう部分もあっただろうというふうに思います。それが今は基本的には認識であって、その過去にさかのぼる話はちょっと私も詳しくは承知をしておりませんけれども、あくまで今回の事案については、そうした視点から引き続き調査を行って、適切な対応を防衛省の中で行うべきだというふうに思います。

下地委員 総理、何度も申し上げますけれども、表層だけを見て解決しようとしたってだめです。過去の事案からずっと物事を見て解決をしなければいけないということを私は申し上げておきたい。

 そして、大臣、今後どういう対応をとろうと思われているのか、大臣のお考えをお願いします。

田中国務大臣 今回の事案を受けまして、職員の業務の遂行をより一層適正なものにするために、省内に防衛省業務適正化委員会を設置いたしました。きょうは二回目でございますけれども、先生が御指摘のように、まずは再発防止、そしてまた体質改善という努力をしていこうということでございます。

 まずはこの事案を調査して、そして適正な判断をしていきたいと思いますが、先生御指摘のように、構造的な問題があるということでございましたら、さかのぼってしっかりと調査をし、そしてまた正していくことをお約束申し上げたいと思います。

下地委員 最後になりますけれども、今大臣が言っている構造的な問題がある、体質論がある、これはもうずっとこの十年、特に普天間の辺野古移設の問題があってからずっとこの体質論がある。歴代の防衛庁長官を呼んで、どうしたらいいですかと聞くぐらいのことをやらないと、これは直らない。これはもう、この政権がどうだこうだじゃなくて、この全体の今までの流れがある。そういうことをしっかりとおやりになることが大事だということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。

 今回の防衛局長の講話の問題、これほど大きな問題になっておりますが、先ほど下地委員が言われましたとおり、この際、公務員の政治活動、特に政治、選挙にかかわることにつきましては、しっかりと議論をして、きちっとしたルールをこさえておくべきではないかなというふうに思います。

 まず、総理にお伺いします。

 国家公務員と地方公務員の違いがありますけれども、公務員の政治活動への参加についてどうお考えでありますか。

野田内閣総理大臣 これは、国家公務員であろうと地方公務員であろうと、やはり政治的には中立性をしっかり守るということが前提でなければいけない、中立性や公正性に疑いを持たれないようにしっかり襟を正していくべきだというふうに思います。

中谷委員 どうもありがとうございます。

 それでは、真部局長の問題に入る前に、同じ宜野湾市の地方公務員の政治活動への参加について、一つの事例を紹介させていただきます。お手元に資料を配りましたので、ごらんください。

 これは、同じ宜野湾市長選挙に対して、一月二十五日、宜野湾市職員労働組合川上一徳執行委員長が組合員に通達した伊波洋一氏の選挙運動に協力する呼びかけの文書であります。

 タイトル「政治闘争(宜野湾市長選挙)の取り組みについて」。

 一月十七日の臨時大会で、伊波洋一さんを組織内候補として推薦決定しました。伊波洋一さんは、普天間基地の即時閉鎖、返還に向けて全力で取り組み、支援の輪が広がっています。仲井真知事に県外移設を言わしめたことは、これまでの運動の成果です。ついては臨時大会で決定したとおり、下記の行動に取り組みますので、組合員の皆さんの御理解と御協力を賜りますようお願いします。

 行動提起。伊波洋一さんの勝利を目指し、後援会と連携し次の取り組みを強力に行う。一、伊波洋一氏の勝利を目指し、支持者獲得一人二十名以上を取り組む。組合員一人当たり週二活動に取り組む。他の労働組合に伊波支援の輪を広げる取り組みを展開する。四、労働組合政策推進会議に参画し市長選挙の勝利を目指すとなっております。

 きょうは総務大臣にお越しをいただいておりますが、選挙運動というのに三要件があります。御存じですね。それは特定の選挙、特定の候補者、投票の依頼があるということが条件でありますが、この文書をごらんになって、私は、これは完全に公職選挙法百二十九条、選挙違反の事前運動に抵触する文書であると考えますが、いかがお考えでしょうか。

川端国務大臣 まず、答弁に当たりまして、総務省としては、個別の案件について具体的な事実関係を承知する立場にはございませんので、個々の具体に関してお答えできないことは御理解いただきたいと思いますが、一般論で申し上げまして、先生がおっしゃいましたように、選挙運動というのは、特定の選挙で、特定の候補者の、基本的には当選を得させるために投票を依頼するという三要件が選挙運動であるというふうに、これは昭和五十二年二月二十四日の最高裁判決で一般論として言われているところであります。

 また、選挙運動のために使用する文書図画は、公職選挙法第百四十二条の規定により、選挙運動のために配布することができる文書図画以外の文書図画は配布できないこととされております。

 一方で、団体の推薦活動として、当該団体の候補者決定の事実を下部組織や所属団体員に対して告知することは、その告知方法が当該団体における決定事項等の告知連絡のために用いている通例の方法によって行われる場合には、団体の内部行為と認められる場合もあるところでございまして、これは高裁の判例で言われているところでございます。

 いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かについては、文書の記載内容、頒布の時期、態様等の具体の事実に即して判断されるべきものであり、総務省としてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

中谷委員 それでは、さらに伺います。

 それに関連しますけれども、この文書、チラシの二ページ目をごらんください。チラシ、支持者カードの配布時に伊波氏が普天間の早期閉鎖、県内移設反対の意思を持っていると答えよという想定問答や、相手の候補の中傷記事まで書かれている行動文書でございます。

 まず総務大臣に伺いますが、チラシを配れと書いていますよね。期日を見ると、投票日まで活動しろと書いているんですね。このチラシは法定外文書じゃないですか。つまり、選挙中もこのチラシを配れと指示しておりますが、これは市長や警察が取り締まるべきであります。市職員のこういった行為は、明らかに公務員等の地位利用による選挙運動の禁止を規定した公職選挙法第百三十六条の二に違反することになりませんか。総務大臣、この事実を見て、今の感想、見解をお伺いします。

川端国務大臣 繰り返しになりますが、個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かについて、総務省は具体的な事実関係を調査、判断する立場にないところでありますので、御答弁は差し控えさせていただきます。

中谷委員 今、私は、政治家としての感想、大臣としての感想を伺っております。国会質疑ですから、率直な大臣としての、これは公務員の政治運動にかかわる大事な問題ですから、しっかりとお答えください。

 しかも、地方公務員法三十六条二の一では、職員は、特定の候補者を投票依頼するようにしてはならないという項目があります。これは明らかに特定候補者の支援活動じゃありませんか。これに触れませんか。

川端国務大臣 この場は私の個人的な見解を述べる場ではないと承知しておりますと同時に、個別の事案が公職選挙法の規定に抵触するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものでありますが、総務省としては個別の事案についての実質的な調査権を有しておらず、警察や検察当局といった捜査機関により具体的な事実関係の調査が行われるところであり、最終的には司法の判断に委ねられるものと思っております。

 今、地方公務員法に違反するのではないかということであります。

 一般論で申し上げますと、政治的行為の制限を規定する地方公務員法第三十六条においては、職員は、選挙時の行為に関して、一、選挙において特定の人を支持し、または反対する目的を持って、二、選挙において投票するように、またはしないように勧誘運動すること、署名運動への積極的な関与、金品の募集への関与、文書を庁舎に掲示するなどの地方公共団体の庁舎、施設、資材、資金の利用を禁止しております。

 なお、地方公務員法の定める政治的行為の制限は職員の行為を対象とするものであり、職員団体を対象にはしておりません。職員の服務規律については、任命権者において判断すべきものであり、個別具体の事例については、任命権者においてそれぞれの事案に即して適切に判断するべきものと考えております。

 以上です。

中谷委員 ここは予算委員会の質疑の場でありますから、私は問題があるから質問しているんです。なぜ民主党政権は、このような組合とか地方公務員の政治活動の参加に対して沈黙を守り、わざととぼけた答弁をするんですか。

 皆さん、大阪の市長選挙を見たでしょう。あの当選した橋下知事は、役所丸抱えの選挙に対して、どう言いましたか。そして、市の職員組合も、橋下知事が通った途端に、公務時間中に部屋を使ってやっていたことに対して謝罪して、厳に戒めています。なぜでしょうか。これは、市長に懲戒権限があるからです。罰則は地方公務員法にはないんですね。

 それでは、伺います。

 国家公務員が同じこのような政治活動をして法に触れた場合には、どういう罰則があるでしょうか、総務大臣。

川端国務大臣 公職選挙法の第百三十六条の二については、この規定に違反して選挙運動等をした者については、公職選挙法第二百三十九条の二第二項において、二年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処する旨の定めがあります。

中谷委員 お答えいただいたように、国家公務員だと刑事罰がかかるんですね。ところが、地方公務員の場合は懲戒、すなわち市長がどう判断するかでありまして、公平公正な地方が本当にこれでつくれるのか。

 やはり民主党におきましても、こういった組合関係、官公労関係、それに安閑としていると地方の仕組み自体がおかしくなりますので、ぜひ、この点につきましては、厳に改革すべき事項として、問題点として認識していただきたいと思いますが、総理は、地方の公務員に罰則規定がないということ、また全国各地で起こっているこのような指摘に対して、どのようにお考えでありますでしょうか。

野田内閣総理大臣 今、法律上はそういうことになっているということでございますが、いずれにしても、地方公務員については、その服務規律については任命権者が判断をするということが基本だろうと思いますが、国家公務員、地方公務員、いずれにしても政治的中立性をしっかりと守っていくという、その意味では両方が襟を正していくべきだというふうに思います。

中谷委員 これは非常に問題があることでありますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 その上で、今回の沖縄防衛局長の講話の件についてお伺いをしますが、防衛大臣、防衛大臣は昨日、本人から事情聴取をされて、今回の講話の内容、経過について、防衛省である程度事実関係の把握ができたと思います。きょうは予算委員会でございます。現時点において防衛省また大臣が取りまとめをされました項目、報告事項につきまして、御説明をいただきたいと思います。

田中国務大臣 今回の予算委員会の理事会に、沖縄防衛局長講話要旨につきまして提出をいたしたところでございます。

 現時点では、今回の件について調査を実施してきたところでありますが、真部沖縄防衛局長の一連の行為は、講話の内容に書いてございますけれども、特定の立候補予定者を支持するようなものは確認されなかったわけでございます。

 沖縄県民の皆様方初め国民の皆様方に大変誤解や批判を受けかねない事案でございます。今後はこのようなことがないように、しっかりと指導監督をしていきたいと思っておるところでございますので、御報告を申し上げます。

中谷委員 防衛省内ではこの事実についてお話をされておりますが、ここは予算委員会の開かれた場でありますので、きょうは御本人から、事実はこうだったということをやはりきちんとお話しいただきたいと思います。

 防衛局長に伺います。

 一月二十三日、二十四日の二回、十分ずつのこの講話について、どのような内容の話をされたのか、そして何のためにこの講話を行ったのか、改めてお伺いします。

真部参考人 まず、若干経緯を申しますと、一月四日に、私、講話の考えを持ちまして、一月四日にその準備を指示いたしました。それで、一月十日までに八十名の職員のリストアップができたところでございます。それで、一月十八日にその講話の予定期日に関しまして通知をいたしまして、一月二十三、それから二十四日の二回に分けまして、八十名を対象として講話を行ったところでございます。実際には、二日間を通じて出席した職員の数は六十六名でございました。

 行った講話の内容は、概要で申しますと、二月十二日に宜野湾市長選挙が予定されているということ、それから、これまでのところ二人の候補者が立候補する予定ですということ、そのお名前と基地問題に関する政策について、公表されているビラ等の表現を用いまして双方のお考えを、政策を紹介しております。

 その上で、宜野湾市が普天間飛行場を抱え、長年その危険性の問題に悩んできており、それから、それの危険性の除去のために、十五年以上をかけてこれまで歴代政府が普天間飛行場の移設、返還問題に取り組んできた経緯を説明いたしました。

 その後、その上でまた、宜野湾市の市長選は、そういった背景の中で、普天間飛行場を抱える自治体の直近の民意が示される場として非常に重要である、注目されるということを申し、最後に、公務員である職員に対して、できるだけ積極的に投票に行ってくださいということ、他方におきまして、公務員でありますので、政治的中立性を厳格に守らなければならないという趣旨の話をいたしたところでございます。

 私の目的といたしましては、この講話の中にある意味尽きているわけでございますけれども、重要な選挙であることを知らせるとともに、その選挙に当たって、沖縄防衛局の職員としていかにあるべきかということをきちんと知ってもらいたいということを思った、それが最大の目的、動機でございます。

中谷委員 今、話した内容と動機について伺いましたが、重要な選挙である、国民の権利である選挙権、投票に積極的であるべきだと言われたわけですね。

 では、総務大臣に伺います。

 幹部の公務員が部下に対して、国民の権利である選挙権、投票に積極的であるべきだと言うことは、これは許される範囲ですか。正しいことですか。

川端国務大臣 公職選挙法におきまして、「総務大臣、中央選挙管理会、都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は、」「選挙に際しては投票の方法、選挙違反その他選挙に関し必要と認める事項を選挙人に」、これは国民のことですね、「周知させなければならない。」と第六条第一項で規定されていると同時に、「選挙人に対しては、特別の事情がない限り、選挙の当日、その選挙権を行使するために必要な時間を与えるよう措置されなければならない。」と、これは同条の三項で規定されております。

 総務省におきましてはこれまでも、国政選挙及び統一地方選挙に際し、各府省庁に対し、選挙当日勤務する職員に対する投票のための特別休暇や交代勤務等の便宜供与について、これは文書でございますが、依頼を行うとともに、民間の会社、工場等に対しても関係府省庁から協力を依頼するように要請をしております。

 また、総務省においてはこれまでも、国政選挙に際し、全ての有権者に選挙の意義を理解していただき、積極的に投票されるよう、選挙期日の周知や投票参加を呼びかけるのを初めとして、さまざまな啓発活動を行っていることから、各府省庁に対しても、所属職員に対して同様の呼びかけを行っていただくように要請をいたしております。

 したがいまして、総務省から各府省庁に対しては、ちゃんと選挙に行っていただくようにという要請をしてくださいということはお願いをしております。

中谷委員 確認をさせていただきますが、では、総務省は各省庁に、しっかり投票権を行使すべきである、そしてそれを積極的に、どんな人にも広く呼びかけを行っていただきたいという要請をしたということでよろしいですか。

川端国務大臣 例えば、その日、休日出勤する者に対して便宜供与を図るようにという文書以外に、総務省の自治行政局選挙部長の名前で、各省庁官房長、人事院、内閣官房審議官、法制局等々に、一部だけ言いますと、「省内放送等による投票参加の呼びかけを行っていただきますようよろしくお願い申し上げます。」ということで、総務省でやる省内放送の文面を参考文書として添付をして、選挙は民主主義の根幹をなすべき大事なものであるからやってくださいということはお願いをしております。

中谷委員 それでは、それを受けました防衛省の対応について伺いますが、防衛大臣、防衛省は職員に対して、国民の権利である、積極的に投票に行くべきであるということを、各地方の局とか自衛隊の現場とか、そういうところに、それを受けた通達、指示などをかつて出したことはありますでしょうか。

田中国務大臣 昨日、業務適正化委員会を開催いたしました。その点につきまして確認をいたしましたところでありますが、国政選挙そしてまた統一地方選挙におきまして、服務規律に従いまして、全国の職員のところに、投票をするようにということ、また選挙に対して気をつけなければいけない内容につきまして通達をいたしておるところでございます。

中谷委員 かつて通達を出したということでよろしいですね。(田中国務大臣「はい」と呼ぶ)

 では、それを受けて局長に伺いますが、局長は発言の中で、公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではありません。選挙に関しては政治的中立性の確保が要求されています。自衛隊法などの関係法令に違反したり、違反していると思われないよう留意をお願いしたい。親戚の方々と接する際も気をつけてくださいと、法律違反にならないように留意事項を話していますが、局長、これでよろしいですか。これは事実ですか。

真部参考人 今委員が読み上げられた部分は、私が講話の中で申し上げた事実でございます。

中谷委員 そうなりますと、これは、総務省が奨励をした、投票をしてくださいという要請をいろいろなところにしてくださいという項目に当てはまりますが、これは何が問題なんですか、防衛大臣に伺います。何が問題だと思うんですか。

田中国務大臣 今回の事案につきましては、何といっても、選挙に近い、こういう状況の中での事案でございます。服務規律に従って局がやってきたことであるわけでございますけれども、こういう形の中で、批判なり、そして疑いを持たれるような状況になったということは大変残念なことでございますので、やはり慎重さに欠けたのではないかと思っております。

 この選挙に対して違法があったかどうかということにつきましては、私もさらなる調査をいたしまして判断をしていければと思っておるところでございます。

中谷委員 いろいろ、事件の後、大臣はコメントを出していますが、言ってください、何が残念なんですか。何が慎重に欠けていることなんですか、具体的に申してください。

田中国務大臣 私どもは、候補者になり、そしてまた選挙を戦っているところでございます。そういう中にありまして、やはり選挙というのは公平に、そしてまた確実なる民意の反映をしていかなきゃいけない。そういう意味では、選挙に間近になりましたら、やはりそれなりの、違法を出さないで、そして選挙をやっていかなければいけないのが公正な選挙ではないかと思っております。

 こういう選挙の間近にいろいろとした問題が起こるということになりますと、やはりせっかくの思いが通じない、こういう状況になるわけでありますので、私は、自分で選挙をやっておる身でもございますが、やはりこのような環境をつくり出してしまったということは、沖縄の県民の皆さん方にもそういう面では大変不安をもたらしたのではないかと思います。

 私は、防衛大臣として、沖縄の皆さん方に大変申しわけないという思いでございます。

中谷委員 大臣、選挙が近づいたら、投票に行きましょうとか投票を呼びかけるというのは当たり前のことじゃないですか。選管もやっていますし、どこの公務員もやっていますけれども、それが問題なんですか。

田中国務大臣 それ自体は問題はないと思います。

 しかし、相当選挙がエスカレートしてくる状況になりますと、それぞれの問題といいますか、選挙法ぎりぎりの違反、ぎりぎりのことも行われるということになりますと、やはり選挙の公平さに欠ける、こういうことになるわけでありますので、そんな中でのこの事案ということを認識いたしますと、大変、選挙を迎えるに当たりまして、私は、防衛省としても迷惑をかけてはいけない、そんな思いでいるところでございます。

中谷委員 具体的に、どこが公平さに欠けるんでしょうか。職場の職員を集めて、選挙に行きましょうとしか言っていないんでしょう。

 ですから、もうちょっと政治主導で、これはしっかりしてください。ちゃんと選挙を行うわけですから、どこがどう問題であるのかということをもう一度、大臣、具体的に言ってください。

田中国務大臣 いろいろな問題につきましては、この事案につきまして、関係したわけでありますが、結果的には世間を騒がしたというような状況になりました。

 したがいまして、もうすぐ目の前に選挙の告示日を迎えているわけでありますから、そしてまた、防衛省といたしましては、沖縄の問題として大変かかわり合いがあるわけでございます。局長の思いは間違いなく服務規律に従っておるといいながらも、この状況になったということでございますので、大変そういう印象を持っておるところでございます。

中谷委員 防衛省の問題認識を聞いておりますが、何が騒がせたからけしからぬのですか。具体的に、どういう落ち度があって、どういう法律違反があって、規則違反があって、彼をとがめているんですか、伺います。

田中国務大臣 中立性、公正性、そしてまた服務規律を守ってやってくれていると思いますが、しかし、この調査の中で、報告を見ますと、親族までリストアップして、そしてこの事案を進めてきた、こういうことがございます。

 やはり公職でございますので、そういう意味では中立公正というものを守っていただきたかったというふうに思っております。

中谷委員 本当に理解できません。今までいろいろな事案もありました。そして、これからもいろいろな事案があるでしょう。これは前例になるんですよね。

 総務大臣は、国民に広く選挙を呼びかけるために、国家公務員並びに地方の公務員も含めてですが、選挙に行きましょうと呼びかけてくださいという通達を出しているんでしょう。防衛本庁も各地方に出しているわけでしょう。これには利害関係者も含まれますよね、一般人も含みますよね。その点はいかがなんですか、呼びかけていい、悪いの対象の区分は。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、総務省としては、選挙法に基づいて、あまねく選挙人に対して、選挙があるということを期日も含め周知をするということが法定されておりますので、それは啓蒙活動ということでやっております。

 そして、大きな選挙ということで、国政選挙、統一地方選挙に関しては、さらに、その選挙の重要さに鑑みて、各役所においては当然ながら便宜供与でその当日投票に行けるようにしっかりと配慮するとともに、それぞれがちゃんと投票するようにということを各府省において呼びかけてくださいというお願いをしているところでございます。

中谷委員 そのような指示を出したわけでしょう。

 それでは、現実にこういった事態が起こりました。さて、このことについて、総務大臣、いいんですか、悪いんですか、どっちなんですか。

川端国務大臣 先ほど来繰り返して申し上げておりますとおり、個別の案件に関して事実関係を調査する権限を含めての立場にございませんので、このことに関してはコメントは差し控えさせていただきます。

 なお、若干議論を整理するために申し上げますと、総務省としては、国政選挙と統一地方選挙に関して、先ほどのような啓蒙活動、省内における周知、要請文書を発出しているというところでございます。

中谷委員 こんな根拠が曖昧なことで処分していいんですか。世間を騒がせたから、このことに対して処分をする。余りにもかわいそうだと思いますが。

 それでは、総理に伺います。

 この防衛局長の事例の処分、一体、いつごろ、何を基準に、どう判断しようとしているのか、その判断基準をお聞かせください。

野田内閣総理大臣 まず、公選法に違反したとか等々という価値判断は、まだ今できないと思うんですね。それは、局長の答弁、あるいは予算委員会へ出した資料等々を踏まえながら、これから引き続き調査をしていかなければいけないと思うんです。

 問題なのは、こうして御審議いただいているということは、公務員としての中立性、公正性に疑いがあるのではないかという御意見があることを踏まえての御審議だというふうに思います。

 中立性、公正性に完全に違反しているとか抵触をしている、これも言い切れません。疑いがあるから、今御審議をいただいている、そういう御意見もある。中谷さんはそう思っていないということでありますけれども、思っていらっしゃる方もいらっしゃる。だから、今御審議をいただいているわけです。

 そういう御審議などを踏まえながら、事実関係が明らかになる中で、もし必要なときには、それは処分権者である防衛大臣が御判断をすると思いますが、今、私がそれをどうすべきだと言う段階ではないということは申し上げたいと思います。

中谷委員 それでは、しばらく処分はしてはならない、慎重に対処するというふうに受けとめてよろしいですか。

野田内閣総理大臣 私は、今ここで御審議いただいているプロセスについての御説明をしましたが、処分権者はあくまで防衛大臣でございますので、そこまで私は言及する立場ではございません。

中谷委員 それでは、処分権者である防衛大臣に伺いますけれども、大臣はきのう記者団に、余りこれは迷惑をかけてはいけないから処分をする、処分をするかどうかわかりませんが、迷惑をかけてはいけないという言葉を言われました。そこで記者団はぴんときて、この一両日中、この委員会が終わった後、処分があるんじゃないかというような記事もされていますけれども、この大臣の、余り迷惑をかけてはいけないというのはどういう意味ですか。

田中国務大臣 先ほどから申し上げていますとおり、この事案が発生し、そしてまた、当面、選挙が目前でございます。国会のこの審議も、大変、沖縄県民の皆さん方にも不安な思いもあろうかと思います。しかし、もっと選挙で正しい選挙をしていただければという我々の思いもございます。

 したがいまして、中立性、公正性の疑われるようなことがあってはいけないということで調査をしてまいりましたけれども、一方、選挙というものも目前でございますので、防衛省として、今は白紙でございますけれども、この審議を経て、そしてまた局長も包み隠さず申し上げると思いますので、私もその話をしっかりと受けとめて、そして判断をしていきたいと思っておるところでございます。

中谷委員 今伺いますと、選挙があるからとか、お騒がせをしたから早く処分するようなニュアンスに聞こえますが、これはまるでトカゲの尻尾切りじゃないですか。こんな安易なことで処分を決定してよろしいんですか。

 もう一回伺います。彼に対して、どのような点が問題で、どういう価値判断で処分をしようとされているんでしょうか。

田中国務大臣 新聞等には処分ということが出ておりますけれども、私は、処分をするというところまでは全然考えておりません。今のところは白紙でございます。この委員会の審議、そしてまた、本人がこの委員会に来ておるわけでありますから、本人の思いをしっかりと述べていただきまして、そして誤りなき判断をしたい、こういう今の現状でございます。

中谷委員 くれぐれも誤りない判断をして、みんな防衛省の職員は職務に邁進をしております。法律に違反しない、内規に違反していないことまで、何やら世間の雰囲気に押されて処分をされますと、本当に、自分たちは何のために国家のために仕事をしているのかわからなくなってきますので、こういった処分につきましては、公正公平、そして冷静に誤りないように、ぜひお願いいたします。

 それに関連して伺います。

 総理、就任して五カ月になりますけれども、まだ一度も沖縄に行かれていないようですが、何で、外国に、いろいろな国へ行きますけれども、沖縄には行かないんですか。

野田内閣総理大臣 これまで、総理就任以降、関係閣僚が沖縄に行ったり、あるいは知事が東京においでの際にはお話をさせていただいたりしておりますけれども、しかるべき時期に、特にアメリカに行く前には沖縄に行けるようにしっかりと環境整備をしていきたいというふうに思っております。

中谷委員 それでは、続いてお伺いしますが、橋本龍太郎総理、総理の先輩になりますが、橋本龍太郎総理は何回沖縄に行ったか御存じですか。

野田内閣総理大臣 何回も行かれたと思いますが、正確な数まではわかりません。

中谷委員 答えは二十七回です。

 そして、当時、事件が発生しまして、普天間の移転につきましては、本当に総理は断腸の思いで決断をしなきゃいけません。それは何かというと、アメリカに対して普天間を返還させるという、総理にとっては大変勇気のあるお願いをするわけでありますけれども、橋本総理はこれをやりました。

 そして同時に、沖縄の知事、当時は大田知事でありましたけれども、非常に、この基地については撤去を求める反対派の知事でありましたけれども、この大田知事と橋本龍太郎総理は、十七回会談をしております。そして、モンデール大使とも話をして、キャンプ・シュワブ沖に移設をするという決断をしました。

 当時、名護市は比嘉さんという市長がいまして、この地元の市長も大問題になりまして、結局、住民投票をしたら否決をされたんですね。ところが、この比嘉市長は、この問題は国の安全保障にかかわる大問題であるということで、私が切腹をすると官邸にみずから出てきて、そこで受け入れを表明して、そのかわりに市長を辞職したわけでございます。

 これは十七、八年前の出来事でありますけれども、これだけ政府は、日本の安全保障やアメリカとの約束、そして沖縄県民の苦しみや、思いを達成するために努力をしたんですね。しかし、あなたは一度も沖縄に行っていない。まず足を運ぶべきじゃないですか。いかがですか。

野田内閣総理大臣 国のリーダーが、そして沖縄のまさにリーダー、そういう先人たちの過去のいろいろな取り組み、そして、まさに御奮闘というんでしょうか、そういうものは大いに学んでいかなければいけないというふうに思います。

 我が政権としては、一刻も早く普天間の危険性を除去するために、沖縄の皆様の御理解をいただくために全力を尽くしていきたいというふうに思いますが、そのためにも、私も早期に沖縄に行けるように環境整備をしていきたいというふうに思います。

中谷委員 環境整備といいますけれども、沖縄県民は、沖縄の地元の願いや思い、そういったことを総理に聞いてもらいたいと思っているんですよ。

 今一番苦労しているのは、名護市の市民なんですね。賛成派と反対派に分かれて、賛成派は、以前は政府の要望に応じて、国のために、そして安全のためにということで、一生懸命取り組んだ。片や反対派は反対だということですが、やはり総理は、名護市へ行って胸襟を開いて話をすると同時に、私がお願いするのは、何で沖縄に海兵隊の基地が必要なのか、何で普天間から辺野古に移転をしなければならないのか、これは総理がみずからの口で、態度で示すべきじゃないですか。一体いつ、名護市の人たちにそういった国の思いを御説明されるんですか。

野田内閣総理大臣 知事含めて、あるいは御指摘のあった名護も含めて、さっき申し上げた答弁のとおり、なるべく早い時期に参りたいというふうに思います。

中谷委員 そこで、ちょっと残念なことを指摘させていただきますが、昨年の末、環境評価書を沖縄県に提出いたしました。本来でしたら二年前の十月にスムーズに提出できて、沖縄の意見を聞いて、そして調整して政府が案を出せる状態になりました。

 鳩山総理が県外、国外と言ったことが一因ですが、きょうは外務大臣が来られていますけれども、外務大臣は、かつて委員会に出席をされまして、この鳩山首相が県外移設を発言したことに対して、誤りだった、鳩山政権ができたら恐らくこの問題で終わるんじゃないかと思ったと発言をしました。現に鳩山政権は終わってしまいましたが、外務大臣、現在でもこの言葉は正しいと思っておりますか。

玄葉国務大臣 鳩山総理というよりも、少なくとも民主党全体がやはり反省をしなきゃいけないというふうに思っていまして、選挙のときに、県外あるいは国外、こういったことについて発言があり、その後、結果として、期待感を高めながら、いわばもとに戻ったわけでございますから、そういったことについて、民主党全体として反省をしなければならないし、沖縄の皆様におわびを申し上げなければならない、そういう気持ちでおります。

中谷委員 反省しなければならないというのは、国民の率直な思いに応えた正直な言葉だと思います。

 ところが、野田総理、次の日、鳩山由紀夫氏とお会いになった際に、この玄葉氏の発言は誤りであるということで、陳謝したという報道がございますが、こういうことは事実でしょうか。

野田内閣総理大臣 以前にもこの予算委員会でお話ししたことがありますけれども、玄葉氏の発言が誤りであるとか、あるいは陳謝をしたという事実はありません。そのときの会話で申し上げたのは、意見交換であったのは、鳩山総理の当時の思いつきという指摘がありましたけれども、そうじゃなくて、沖縄政策ビジョンという民主党のつくった政策集を踏まえた発言であったということの確認はお互いにさせていただいたというのが事実でございます。

中谷委員 それでは、鳩山由紀夫氏の発言というのは正しいという認識をしておりますか。それに加えて、沖縄がこのような状態になってしまったということに対して、民主党として責任は感じておりますか。

野田内閣総理大臣 鳩山元総理の責任、鳩山さんだけの責任ということではありません。その政策ビジョン等を踏まえて、当時の代表である鳩山総理がお話をされたわけでございます。

 その結果については、結局、県外移転を模索し、そしてさまざまな検証をしながら日米合意に至ったわけでございますので、その結果については、沖縄の皆様にその間に御迷惑をおかけしたことについてはおわびをしなければいけないというふうに思っております。

中谷委員 それによって、防衛省の職員、特に沖縄防衛局の職員は本当に迷惑なんですね。二転三転して、それにつき合わされて、今まで彼らが血のにじむような努力をしたのが崩れてしまった。

 そして問題は、昨年の年末、お役所が仕事納めをするもうぎりぎりの日になって、沖縄の真部防衛局長、明け方に沖縄県庁の夜間受付に局長みずからが段ボールを運んで、人目を忍んで段ボールを届けたんですよ。それに対して、批判をされます。しかし、彼はじっと耐えています。

 しかし、政治主導じゃないですか。政治主導なら、総理、あなたが沖縄へ行って、知事と会って、それは総理と知事が会うとなったら知事も拒否しませんよ。そして、環境評価書を運べないわけですから、せめて、総理が行って、この環境評価はこういう基準でやったという説明ぐらいはすべきだと思いますが、なぜ行かなかったんですか。

田中国務大臣 環境影響評価書の提出につきましては、いろいろ物理的な状況もございました。そういう中で、前防衛大臣が郵送にするというようなことでありましたけれども、残念ながら、県に届けることができませんでしたので、最終的にそういう状況の中での提出になったことでございます。

中谷委員 では、局長、伺います。

 そういったことで民間の会社に、宅配便に依頼するとか、夜間に行って置いてこいとか、これは本省からの指示だったんですか。

真部参考人 当時、環境影響評価書の運び込みにつきましては、本省と連絡調整をしておりました。その上での行為でございます。

中谷委員 この件について総理に最後に伺いますけれども、確かに、鳩山政権になって二転三転して、沖縄の県民には大変な御迷惑、そして、中でも名護市の住民に大変な痛手を与えております。

 しかし、それと同様に、那覇の防衛局にいる職員、彼らは本当に何のためにこういう仕事をさせられているのか。やはり総理から、そういった人たちに対する思い、これが必要なんですね。(発言する者あり)真面目にしゃべっていますので。選挙運動じゃないんですよ。

 山本五十六、知っていますよね。山本五十六がこういう言葉を残しています。やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ。

 それで、言いたいのは、民主党政権は、政治主導はいいんですけれども、そのために翻弄されて、そして、その指示のままに右へ行ったり左へ行ったり、苦労している職員がいるということ。中でも、沖縄にいる防衛局の職員は、本当に、住民から何かあったら強く言われ、政府の盾となって日本の防衛政策をやっていますけれども、総理として、この沖縄防衛局の職員や、また、それ以外のことで国の安全保障にいろいろ仕事をしていますけれども、そういう方々に対する言葉はないんでしょうか。

 そういう意味で、私は、総理が沖縄へ行って、自分が責任者として、日本の国の安全保障政策のために沖縄の皆さんにぜひお願いしたいということを言ってほしいんですけれども、そういうことも含めて、総理はどうお考えになっているんでしょうか。

野田内閣総理大臣 基本的には、やはり私が行って、きちっとおわびをして、御説明をしてということは必ずやっていかなければいけないと思います。

 その上で、この今回の事案だけではなくて、政治主導を履き違えてはいけないと思っていますのは、当然、方向性は我々が出す、責任も我々がとっていくということなんですが、その際に、何でも役所の皆さんにリスクを負わせながら、そして萎縮させてしまうということはいけないというふうに思います。

 政権与党というのは、やはり、苦しいこと、せつないことを引き受けて決断することだと思います。それを具体的に担っていただける現場の皆さんが萎縮をしてしまったり、リスクをとらなくなるようになること、これは一番戒めなければいけないと思いますので、政治主導でありますけれども、役所の皆さんと、しかも地方の出先で頑張っている皆さんとも心を合わせながら前進をさせていかなければいけないということを、戒めとして持っていきたいというふうに思っております。

中谷委員 それでは、沖縄のこれからのことについて二、三伺います。

 まず、防衛大臣、きのうの国会質疑で、これから普天間基地代替移設に向けて、まずは環境評価書の修正の公告縦覧がありますけれども、その後は着工になりますよね、作業的には。そこで、大臣がNHKで、年内着工ということを言われました。それに対して、民主党の若井康彦議員が、この年内着工の根拠は何なんですかと聞きますと、大臣は、時期、目標などの手順表を持っていると答弁をいたしました。

 これは重要な発言でありまして、年内着工の手順表、工程表が、それでは日米両国政府で合意をされて、それを念頭に年内着工に向けて進めているという答弁ですか。もし、その工程表、手順表があれば、この国会に提出をして御説明していただきたいと思います。

田中国務大臣 御指摘のように、工程表という表現でございますけれども、その存在はございません。私が言及したのは手順書でございます。しかし、これは時期や目標というのは設定をいたしておりません。

 日米合意が大前提でありますが、しかし、沖縄県民の皆さん方の御理解がなければ先に進まないことでございます。まず、沖縄県知事から、この環境影響評価についての御意見を伺って、そしてこれから進めていくという段取りになるわけでございます。

中谷委員 それでは伺いますけれども、工程表というのは別にあるんですか。

田中国務大臣 工程表はございません。私の表現間違いでございます。

中谷委員 いずれにしても、そういう時期とか目標が書かれたものがありましたら、我々、非常に沖縄の問題、心配しております、関心を持っていますので、ぜひ国民に、沖縄の人にもお見せをいただきたい、どういうことを考えておられるのか。

 委員長、要望ですけれども、ぜひこの委員会にその文書を提出していただけるように取り計らいをお願いします。

中井委員長 理事会でお諮りしますが、防衛大臣に申し上げますが、予算委員会で発言したことを勝手に軽々しく訂正をしないように。訂正をするならば、理事会へきちっと出して、質疑者にお断りをして、正式に訂正をする、これが手続ですから、覚えておいてください。

 それから、両者に申し上げますが、環境影響評価書ですから、お互いに言葉を間違えないように使ってください。

 続行します。

中谷委員 それでは、玄葉外務大臣に沖縄の件で伺いますが、沖縄でひき逃げ事件がありまして、これに対しての米軍の対応について、非常に沖縄県民が、沖縄は日本なのに、沖縄で起こった犯罪事件を何で沖縄警察当局、検察当局が取り調べできないのかという強い不満がありました。そして、それを受けて、このたび日米地位協定の運用の見直しが行われたと報道されておりますが、我々、その中身、全く聞いていないんですね。

 ぜひ、今回運用が見直された内容について、どういう点が見直されたのか、御説明いただけませんでしょうか。

玄葉国務大臣 もう中谷先生御存じのとおり、いわば軍人軍属の第一次裁判権は、公務中については米国にある、公務以外は日本側にあるということであったわけであります。

 今回起きたことは、米国のいわば軍属による交通死亡事故ということでございました。このことについて、いわゆる死亡事故のようなケースについて運用の見直しを行う。つまりは、米国に対して同意を要請し、好意的考慮を払ってもらうということで、結果として、日本側がこの軍属について裁判権を行使することができる、こういった内容でございます。

中谷委員 内容的には、これは公務中の犯罪ということで、見直しされたというのも軍属だけなんですね。軍人は相変わらず今までのままということでございます。

 私が申し上げたいのは、これを条文の改正として記述を直すということはできないんでしょうか。民主党はそれをやらないんでしょうか。

玄葉国務大臣 これはもう全て御存じでおっしゃっていると思いますけれども、例えばNATOの地位協定、米韓の地位協定を見ても、結局、公務中の第一次裁判権はいわば米国にあって、それ以外については、日米であれば日本側にあるという取り決めになっているわけでございます。

 そういった中で、今の御質問は、いわゆる運用の改善じゃなくて協定に落とせ、こういうお話だというふうに思います。これは、つまり、昨年一月に起きた死亡事故に対して、もし協定に落とすという作業に仮に入っていたと仮定した場合、恐らく間に合わなかったのではないか、率直に言って私はそう思いました、あのとき。つまり、運用の改善の方が早いと。

 実は、中谷先生も、防衛庁長官のときに運用の改善をずっとおっしゃっておられたというふうに思います。協定改定よりも運用の改善だというふうにおっしゃっていたと私は記憶していますけれども、今回はまず、とにかく運用の改善で、一歩一歩前進をして具体的な成果を出していくことが大切であるということで、私としてはそういう道を選んだ。

 なお、一度、米韓で協定の見直し作業というのを行った経緯を承知しています。六年かかりました、六年。しかも、中身は、どんな中身かといったら、例えば被疑者の拘禁の移転、これは……(中谷委員「まあ、いいです、その内容は」と呼ぶ)いいですか。つまり、六年かかって、内容は、正直言って、私は日本の方が進んでいるというふうに思います。

 ですから、そういった具体的な状況を踏まえながら判断をしているというふうに御理解いただければと思います。

中谷委員 あなたと私は、大臣と私は立場が違います。それは、大臣は民主党でありますが、民主党のマニフェストを読みますと、地位協定につきましては、改定を提起しますと書かれていますが、これはマニフェスト違反にならないんですか。

玄葉国務大臣 今この段階におきましては、私の考えは、一つ一つ、今申し上げたような具体的な成果というものを出していく。そして、地位協定そのものについては、普天間の移設の問題、グアムの移転の問題、そういった喫緊の問題の進展状況というものを見ながら、私としてはこの地位協定の提起については検討していきたい。やはり、物事はタイミングも含めてあるだろうというふうに考えています。

中谷委員 ありがとうございます。大臣、お忙しいですから、これで結構です。

 それでは、防衛大臣に伺いますが、昨日の石破委員の憲法問題に続きまして、大臣に認識を伺います。

 日本国憲法に、「戦力は、これを保持しない。」と書かれております。自衛隊は戦力ですか。

田中国務大臣 自衛隊は、専守防衛のために保持しておるところでございます。防衛力でございます。

中谷委員 それでは、この憲法で定められた戦力というのは、どういう意味を指すんでしょうか。

田中国務大臣 武力をもって相手の侵略を防ぐということの戦力でございます。

中谷委員 それでは、武力をもってという、武力というのはどういう意味ですか。

田中国務大臣 必要最小限の武力でございます。

中谷委員 よくわかりません。

 では、加えて伺いますが、集団的自衛権について伺いますけれども、集団的自衛権は、よく国会答弁で、日本国は集団的自衛権は保有をしている、持っているが、では、集団的自衛権を行使できますかというと、行使できませんと答えますが、これは憲法上、どういうところからこういった答えが導かれるとお考えでしょうか、御説明いただきたいと思います。

田中国務大臣 集団的自衛権は、個別的な自衛権を超えるわけでございますので、我が国は行使をしないということで解釈をいたしております。

中谷委員 それでは、なぜ、個別的自衛権は保有ができるんでしょうか、そして集団的自衛権は個別的自衛権を超えるものであるというふうにお考えなんでしょうか。

田中国務大臣 国連憲章によりまして、主権を持つ国家は個別自衛権あるいは集団的自衛権を保持しておるわけでございます。我が国は、平和憲法を持っておるところでございますし、必要最小限の戦力で専守防衛をしていくところでありますので、個別的な自衛権は当然行使をするわけでございますけれども、集団的自衛権までは発動をしないということが国是になっておるところでございます。

中谷委員 それでは、専守防衛とか個別的自衛権とか、一体どの程度まで許されるんですか。

田中国務大臣 我が国が侵略を受けないように専守防衛をしていくということが、我が国が保持する戦力でございます。

中谷委員 専守防衛という言葉がお好きなようですけれども、これは、大臣として国会で答弁するフレーズは決まっています。

 個別的自衛権というのは、我が国を防衛する必要最小限度の範囲ということなんですね。そこから日本の自衛隊も日本の防衛政策も組み立てられておりますが、自衛隊ができて、昭和三十二年に国防の基本方針というものがようやく定められました。この国防の基本方針には四つの柱がありますけれども、大臣、この四つの柱を言ってください。

田中国務大臣 昭和二十七年という……(中谷委員「三十二年だよ、国防の基本方針」と呼ぶ)昭和三十二年でございますか。

 私は、今日の自衛隊は、警察予備軍からスタートをして今日があるわけでございます。戦後、我が国は平和憲法が成立しましたけれども、しかし、周辺の状況から、あるいは我が国を守るために、警察予備軍からスタートを……(発言する者あり)いや、予備隊からスタートをいたしておるところでございまして、その流れから今のお話があると思います。

 基本方針につきましては、今のところ、手持ちにあるわけではございません。

中谷委員 これは国防の基本方針ですからね、イロハのイで、どのようにして我が国を守りましょうかということです。

 大臣、申し上げます。まず、日本は、国際協調で外交努力を一生懸命頑張って、国際社会から嫌われないように、孤立しないようにするというのが第一です。第二は、民生の安定。国民の一人一人が愛国心を持って、自分たちの国は自分たちで守らなければならないという基盤に立ってやっていくこと。三番目は、日本を防衛できるための実力組織、防衛基盤を育成しましょう。四つ目、何でしょうか。

田中国務大臣 大変しっかりとしたお話をいただきまして、大変ありがたく思っております。

 第四は、外部からの侵略に対して、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処するということでございます。

中谷委員 大臣が持たれるのは防衛白書でありまして、それは部外にPR用に出す資料ですけれども、そういうことはもう頭に入っていないとだめだと思いますが、そのとおりで、第四は、国連活動がうまく機能するまでは、日米安保体制で日本の安全保障をやりましょうということなんですね。

 そこで伺いますが、日米防衛協力、これは有事と平時と、もう一つ、周辺事態というふうに区分されています。大臣に伺いますが、周辺事態というのはどういう事態のことを言われるんでしょうか。

田中国務大臣 周辺事態は、日本の身近な周辺の地域と認識をしております。

中谷委員 これはいろいろな段階を言っていまして、そのまま放置をすれば日本が武力攻撃事態に至る事態になる前の事態のことを周辺事態というんですね。

 もう一点聞きますが、では、日米防衛協力の中で、後方地域支援というのが周辺事態で定められた法律の言葉であります。もう一度言います。後方地域支援、これはどういうことでしょうか。

田中国務大臣 日米協力の内容だと思います。米軍の活動の中で我が国ができ得る後方支援をしていくという範囲だと思います。

中谷委員 この後方地域支援というのは、イラクに行き、インド洋に行き、PKOにも行っていますけれども、自衛隊の海外の活動の基本となる原理なんですよね。

 つまり、戦闘行動が行われていない、また将来も、戦闘が行われていないから、武力行使につながらないから、自衛隊、行ってくださいということなんです。これが基本中の基本なんですけれども、大臣、それは知っていましたか。

田中国務大臣 我が国がPKO活動をしていく中での基本だと思っております。

中谷委員 PKOと言いましたが、これは日米安保協力の法律の中に書かれているんですね。日米がいかに協力をするかというところで後方地域支援という言葉もあり、それから、PKOじゃない国際協力活動に赴くときに、非戦闘地域という概念で、これは戦闘が行われていない場所に限って自衛隊を出す、それに限って自衛隊が活動できるということで、二重にも三重にも制約をつけて自衛隊を出しております。これは基本中の基本なんです。

 そういう中で、南スーダンに自衛隊が派遣をされております。これは総理にお願いですが、前の大臣、一川大臣が、南スーダンに派遣する隊員に隊旗授与式で隊旗を授与しましたね、君たちは日本を代表して頑張ってくれと。しかし、次の日に、大臣辞任ですよ。行かされた隊員はどう思うでしょうか。自分たちがしっかり頑張れと託された大臣が、次の日には、防衛大臣、いません、かわっています。つまり、こんなに頻繁に防衛大臣がかわっちゃいけないんですよ。自衛隊の士気が低下します。

 やはり、自分たちの気持ちや自分たちの行動について的確に判断をしていただきたいと思いますが、大臣、こういったわずか四カ月で前の大臣が交代してしまったことに対して、任命責任というものを感じておられませんか。

野田内閣総理大臣 確かに、隊旗授与式のときの大臣と今の大臣はかわりました。ただし、その隊旗授与式には私も参りまして、そこで派遣をされる隊員の皆様に激励をさせていただきました。野田政権として、隊員諸官がしっかりと職務を果たせる環境整備を果たしていくこと、万全を期すことは私の言葉でもお誓いを申し上げましたので、PKOで派遣をされている施設部隊のそういう隊員の皆さんにはそのことも踏まえて奮闘していただきたいと思いますし、サポートしていきたいというふうに考えております。

中谷委員 沖縄もそうなんですけれども、日本の安全保障の大事なところがどんどん崩れてしまっていると思うんですね。ほかの国はどんどん変わっています、韓国も中国もロシアも力をつけて。

 それなのに日本は、政治が混乱している影響もありますけれども、特に安全保障において国民が今一番心配をしておりまして、やはり次から次へとやらなきゃいけないことがたくさん残っているんですね。法の整備においても、自衛隊の派遣においても、十分に活動するにはどうしたらいいのか。尖閣や竹島を守っていくためには、今の防衛体系、憲法からいろいろな制約を受けたまま、いろいろなことでほかの国でやれることができていない状況になっています。

 これはひとえに、憲法で欠落した部分があるというのは明白でありますけれども、とても民主党では、憲法の見直しをしたり、また安全保障政策の新しい体系を打ち出すということは期待が持てないんですけれども、憲法のあり方について、総理、どうお考えですか。見直しをするべきだとお考えですか。

野田内閣総理大臣 私は、やはり憲法を踏まえて仕事をしていくというのが基本でございます。ということでありますけれども、今、憲法審査会で各党での御議論が始まりました。そういうものを注視していきたいと考えております。

中谷委員 それでは、最後に大臣にお伺いします。

 きょう、ずっと、一時間ちょっと議論させていただきましたが、非常に私は、国会の論戦ができない。やはり基本の、防衛政策のイロハのイぐらいわかっていないと前へ進めないと思うんです。

 改めてお伺いしますが、大臣は今回、田中大臣を御指名されましたけれども、これに対してどのような責任を持って指名をされたのか、この点を伺います。

中井委員長 もう時間が過ぎておりますので、野田総理大臣、簡単に。

野田内閣総理大臣 これまでの政治的な経験とか蓄積を踏まえて、また、政務三役そのほかのメンバーも安全保障の問題に強い関心を持っているメンバーを配置しておりますので、しっかりと防衛省をマネジメントして、緊張感を持って職責を果たしていただきたいと考えております。

中谷委員 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。

 きょうは、にわかに大きな問題となっております沖縄防衛局の講話、それにまつわるあらゆることが、公務員の政治的な中立性をきちんと守られているのか、これが大変大きな問題になっておりまして、そのために開かれている集中審議でございます。したがいまして、私は、その点に集中いたしまして質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、端的に伺います。

 防衛大臣と真部参考人、今回の講話を行ったという行為、これは法令に抵触をしているのかいないのか、どうお考えですか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 現時点で明らかになっている真部局長が行った講話の内容は、特定の立候補予定者を支持するようなものは確認されず、職員に対して市長選挙への投票行動を促すものなどであり、公務員の地位利用による選挙運動を禁止した公職選挙法第百三十六条の二及び政治的行為を制限した自衛隊法第六十一条に抵触するものではないと考えております。

 ただし、現在も事案についての調査が継続しているため、講話が公職選挙法など関係法令に抵触するかどうかについては、現時点では確定的に判断はできないというのが現状でございます。

真部参考人 まず、私、講話の際、講話の準備も含めまして、当時におきまして、法令に違反しているという認識はございませんでした。

 これが正しいかどうかは、今大臣から御答弁いただきましたように、防衛省の調査によって最終的に明らかにされるものというふうに理解しております。

東(順)委員 真部参考人、あなたは、二月の一日ですか、沖縄関係の国会議員の皆さんが抗議においでになったときに、こう述べたというふうに言われていますね、国家公務員法などに抵触する可能性を自覚していますと。載っていますよ、新聞に、あちこちに。これはどうなんですか、事実ですか。

真部参考人 申しわけございません。必ずしも私はその際の、確かにそういう皆様の抗議を受けたことは覚えておりますが、自分の言葉を完全には覚えておるわけではありませんけれども、当時においては、そのように違法性がない、あるとは認識しておりませんでしたが、先ほど申し上げたように、最終的に防衛省の調査によってそこは明らかにされると思っておりますので、その意味におきましては、可能性はあるだろうという趣旨のことを申したのではないかというふうに考えております。

東(順)委員 可能性があるという言葉をやはりお使いになったんですね。

 そこで、自衛隊法施行令第八十七条「政治的行為の定義」というところでどううたわれているか。「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること。」こうなったときには抵触をする、こうなっているわけですね。あるいは、自衛隊法第六十条「職務に専念する義務」というところで、「隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。」そうしなかった場合は職務専念の義務を怠るということになるんだ、こういうふうに述べられております。

 そこで、今回の事案ですけれども、一つは、あなたは沖縄防衛局長という立場、地位で講話というのを行いましたね。それから二番目に、勤務時間中に沖縄防衛局の講堂という場所を使われましたね。三番目に、このタイミングですけれども、宜野湾市長選挙の直前というタイミングにあなたはこれをやりましたね。四番目、この講話の対象者をあなたは、全職員というよりも、宜野湾市につながりのあるそういう人に限定をいたしましたね。五番目、しかも親戚のリストを出せ、こう指示をしましたね。

 つまり、あなたの沖縄防衛局長という地位、講話を行った場所、宜野湾市長選挙直前というタイミング、聞く対象者を宜野湾の関係者に限定、しかも親戚のリストを出せという指示。これは、通常の講話、仮にあるとすればですよ、今までずっとやってきたとおっしゃっているんですから、この講話からすれば、講話の目的というのが教育とか研修とか、そういう業務の一環という、あるいはまた、選挙で公務員たる者は政治的に中立であるべきであるということを教育する、訴える、こういうことをやはり逸脱しているんじゃないですか。もしそうだとしたら、全職員を対象にすべきでしょう。

 この五つの観点から、本当にあなたは、法令に抵触していない、そう言い切れるんですか。どうですか。

真部参考人 まず、今五点、委員から御指摘いただきましたけれども、防衛局長の地位にあって、講堂を使ってということについて、それから、対象者を限定したということについて申し上げたいと思います。

 私の今回の講話の意図、目的といたしましては、宜野湾市の市長選挙が近くあるということで、その宜野湾市の市長選挙というのは、普天間の飛行場の移設、返還問題の観点からも極めて重要な意義を持っている。すなわち、普天間飛行場問題という、その問題の原点であるところの普天間飛行場を抱える宜野湾市民の民意が示される場であるというふうに考えたわけでございまして、それに当たって、その選挙権を持っている職員等につきましては、きちんと公務員として、あるいは、さらに言えば沖縄防衛局の職員として、きちんとこれに対応してもらいたいというふうに思ったわけでございます。そのために、局長の講話という形で講堂を使い、対象者は職員の、ちょっと親戚の関係は次に申しますけれども、選挙権を持つ職員を対象として講話を行いました。

 その講話というのは、あくまで、今委員が疑問じゃないかとおっしゃいました、公務員のあり方としての政治的な中立性、公平性を保つこと、それから、公務員としてできるだけ国民の権利であるところの選挙権をきちんと行使することといったようなことを、いわば服務指導の一環としてこれを行ったというふうに私は頭の整理をしておりまして、そうであれば、私という地位で、役所の講堂を使い、それから、対象者を職員として講話を行うことは、法令上の問題を生ずるものというふうには思っていなかったところでございます。

 ちなみに、次に申しますと、時期につきましては、宜野湾の市長選挙に近かったことはおっしゃるとおりでございますけれども、それはむしろ、近くなって、そういった自覚を持ってもらうのが有効であろうと思ったからでございます。

 それからあと、親戚に、どうしてそこまで広げたのかという点でございます。

 これは、先ほども同様の御説明を申し上げた、それと重なるところがあるかもしれませんけれども、まず、もともとは私は、対象者、職員に限定するつもりでございましたが、先ほど私の、関係職員とも話す中で、そういった、宜野湾市に親戚を有している職員というものも対象としたらどうか、そういった職員は、選挙に当たっては職員ともいろいろと接触するような機会があるだろうということで、あわせて同様の教育を行いたいと思ったところでございます。

東(順)委員 何のために親戚まで広げたんですか。全然わからないですよ、あなたの答弁。答弁になっていない。

 要するに、あなたが声をかけて講話をやる、宜野湾選挙が近い、親戚まで呼ぶ、しかも選挙権のある有権者。来る方は、何のために呼ばれるか、もうみんなわかっていますよ。市長選挙は、候補者は二人、一対一の戦い。どっちを要はあなたが通したいかなんて、呼ばれる人たちはみんなわかっているわけで、そこに皆さんが来る。そして、何か公務員の中立性がどうのこうのなんというような話をしたとしても、何のために呼ばれたかというのはもうみんなわかっているわけで、それでもあなたは、国会のこの場で、参考人として呼ばれて、そんな、特定の候補者を呼びかける意図は全くなかったなんて言い切れるんですか。本当に言い切れるんですか。もう一回聞きましょう。

真部参考人 親戚の件につきましては、私も今、先ほど申し上げましたが、誤解を招く面があったなというふうに反省しているところではございますが、当時におきましては、昨日提出させていただきました講話の要旨でも申しておりますとおり、親戚の方も含めて、もし投票に行っていただければいいな、あるいは、そのときに、親戚の方と接するときに、職員がきちんと対応できるようにしてほしいなという気持ちがございました。そのために、最終的にそれでいいだろうというふうに考えた次第でございます。

東(順)委員 もう一回言いますよ。第八十七条、政治的目的のために官職、職権、その他公私の影響力を利用してはならない。利用しているじゃないですか、影響力、行使しているじゃないですか。

 それから、職務専念の義務、第六十条「その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない。」のに、あなたは選管でも何でもないんでしょう、何で選管でも何でもないあなたが、急に、公務員の中立性なんというために講話を開かなきゃならないんですか。(発言する者あり)利害関係があるからと、まさにそのとおりです。

 だから、どんなに抗弁しても、あなたが新聞記者たちに言ったように、法律に、国家公務員法などに抵触する可能性を自覚している、こうおっしゃった、そのとおりですよ。だから、この国会の場でそういうふうに理屈にならないような抗弁をしてもだめです。認めるべきです。そう思いますよ。

 要するに、集めることによって、既に特定の候補者への投票を迫る無言の圧力をかけているんですよ。僕はそう思いますよ。防衛大臣、どう思いますか。

田中国務大臣 我々も、先生がお話しになっておる内容につきまして、捜査の中で重点的に……(発言する者あり)調査、大変失礼しました、調査の中で重点的に調査をしてきておるところでございます。

 その中で、御指摘のように、親族までリストアップをしたということはやはり少し行き過ぎではないかな、その点はやはり誤解を与えているということは否めないのではないかと思っておりますので、さらなる調査を進めていきたいと思っておるところでございます。

東(順)委員 これは大臣、明らかに法律に触れますね。それから、何らかの処分をしなきゃいけないと思いますよ、明確に。

 これも、いわゆるマスコミ情報等で新聞をにぎわせている話によりますと、恐らくこんな処分をするんじゃないか。政治的中立性は保たれているという苦しい言いわけをしつつ、服務規定違反はない、したがって自衛隊法に基づく懲戒処分ではなく、防衛省の訓令に基づく訓戒か注意処分、そういうことで何となく決着させようか。そして、人事異動による事実上の更迭をするしかないんじゃないかというような決着点を考えているのではないかと言われていますが、いかがですか。

田中国務大臣 先生の御指摘は、一切今ございません。白紙の状態で、きょう局長が国会に呼ばれましたけれども、本人も包み隠さず申し上げて、そして判断を仰ぐという気持ちでこちらに出席をしているわけでありますし、やはりその姿勢を我々はしっかりと見きわめて、そしてまた法令上の問題もあれば引き続き調査をして、誤りなき判断をしていこうというのがこれからの状況でございます。

東(順)委員 あさってから市長選挙ですよ。そんな悠長なことを言っておれるんですか。もうきょう、あすしかないんですよ。きょう、あすじゅうに処分をなさるんでしょう。そんな悠長なことを言っておれないと思いますよ。

 それで、総務大臣がおいでになっていますが、沖縄というのは、今防衛局の話を中心に、こういう講話だ何だかんだと選挙への影響力ということが問題になっていますが、総務大臣は沖縄担当でもありますね。沖縄総合事務局というのが内閣府にあります。関係の役所の役人の皆さんがおられる。これは当然、宜野湾に関係されておる方もおられるでしょう。この沖縄総合事務局なんかも、防衛省と同じように、いわゆる公務員の選挙、中立のための講話とか、こういうことをなさるんですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 内閣府の沖縄総合事務局というのがございます。直近では、平成二十二年以降で参議院選挙、それから統一地方選挙が行われました。こういう国政選挙と統一地方選挙においては、総務省及び人事院から全府省宛ての通知を各職員に対して出しております。選挙にしっかり行くようにということで。この通知を各職員に周知をした以外は、選挙について何らかの行為は行われていなかったという報告を受けております。

東(順)委員 では、防衛局だけなんですね、こういうことは。要するに、基地を抱えているからでしょう。

 この沖縄防衛局長、ついこの間も言語道断の女性蔑視発言というのが明るみになって、あなたの前の局長が処分されましたね。なぜか田中さんという名前ですが。偶然です。この方は停職四十日の懲戒処分でしたよね。そしてその後、防衛大臣もついに辞任に追い込まれましたね。そして、あなたが後を引き継がれた。今度は講話でしょう。ちょっと緊張感がないんじゃないですか。沖縄というのは、沖縄の人たちは今もうびりびりされている、この基地問題がどうなるかと。そんなときにこういうことなんだろうかと僕はもうのけぞりますよ、本当に。

 それで、防衛大臣、あなたに伺いたい。沖縄の言葉を最近私は聞きました。チムグクルという言葉があるそうです、チムグクル。御存じでしょうか。

田中国務大臣 わかりません。

東(順)委員 これは、心という意味だそうなんです。肝の心、チムグクル。僕は沖縄ではありませんから、沖縄の先生たちの方が当然御存じなんでしょう。チムグクル、こういう言葉は、要するに、基地問題というのは、長い間、沖縄の人々の心の一番奥にずうっとある、大変な苦しみなんだ。一年じゅう命の危険と背中合わせで生きている沖縄の人たち。

 以前に沖縄国際大学にヘリが墜落しましたね。そのときに死傷者が出なかった。本土の人、内地の人はそれをテレビでどう見るか。ああ、不幸中の幸いだったね、死傷者が出なくて。ところが、沖縄の人たちは、沖縄の人たちにとっては、あのヘリが墜落して死傷者が出なかった、その場面で、決して不幸中の幸いなんという言葉は出てこない。またあれで、基地問題で苦しみ続けている沖縄の人たちのチムグクル、心に火がついて、基地問題というものがマグマのように爆発していくんですよ。

 そのように、本当に大変な中を危険と背中合わせで生き続けている沖縄の人たち、やはりそこに心を寄せて考えたときに、こんな安易なことをやるということは絶対許されない。

 したがって、大臣、これは処分しなきゃだめですよ、本当に。その覚悟があるや否やということです。前防衛局長は停職四十日の懲戒ですよ。

 さあどうですか、大臣。これから検討しますとか、何とか委員会をつくったからどうするこうするというような人ごとみたいな発言はやめてくださいよ。あなたは今どう思っておられるのか。もうあさって告示ですよ、あなた。さあどうですか。

田中国務大臣 私は、この問題につきましては、大変真剣に判断をしていきたいと思っています。

 当然、選挙目前でございます。この選挙に影響があってはいけないというふうに思っておりますし、また、この問題が沖縄県民の皆さん方に対して大変御迷惑をかけたということは、大変残念な思いでございます。総理から、国会、国民に対して十分説明責任を果たすようにということもございますし、また、公務員として中立性、公正性に疑いが持たれないように指導監督を徹底するようにということでございますので、この事案につきまして的確な判断をしていきたいと思いますし、私自身も重大な責任を感じておるところでございます。

東(順)委員 大臣も重大な責任を感じておられる。ということは、場合によっては引責辞任もするということですか。大臣、重大な責任を感じているということは、防衛局長の何らかの処分をまずやるのかやらないのか。やるとしたら、今、重大な責任とおっしゃったけれども、御自身も引責辞任ということまで考えられるのかどうなのか。いかがですか。

田中国務大臣 責任をまず果たしていくということが重要だと思っておりますので、その気持ちをあらわさせていただきました。

東(順)委員 重大な責任というのは、責任を果たしていくことなんですか。

 もう一つ答えていませんよ。処分なさるのか否かと僕は聞いたんですよ。もう一つ答えていないですよ。

田中国務大臣 何らかの対応は必ずするということでございますが、その内容につきましては白紙でございます。これから、この審議を経、あるいは局長の今のこの気持ちというものをしっかりと表現していただきまして、そして、我々が防衛省として判断をしていければと思います。

中井委員長 防衛大臣、余りやじに応えて答えないように。きちっと質問者に答えるようにしてください。

東(順)委員 田中大臣は就任なさってまだ直後ですよね。先ほどなんかのいわば口頭試問的な質疑に対してお答えになる。大変なこともよくわかります。また、一面、人柄が大変優しい方なんだなということも率直に僕は感じます。誠実な方なんだなという思いも率直にいたします。

 だけれども、防衛大臣という職責は、人柄とか誠実というようなことだけで務まるものでは僕は決してないと思います。やはり大変な重責だし、しかも、沖縄はこれから本当に大変ですよ、この基地移転問題で。沖縄の人たちの心は、先ほど申し上げたように、もうびりびりしていますよ。

 そういう中でお受けになった大臣だけれども、きのうの答弁ぶりだとかきょうの答弁ぶりを僕は伺っていますと、大変にお気の毒な感じがします。立ち往生される場面とかが出てきます。きのうなんかは、伊江島と硫黄島の問題なんかも突きつけられて、イオウトウと呼ぶのかイオウジマと呼ぶのかどっちですかなんて聞かれたりして。

 非常に重大な局面ですから、沖縄は特に。もちろん沖縄のみならずですよ。しかし、その中でも、基地移転問題という大変な大命題がもう目の前に迫っているわけですから。

 総理、あなたが任命なさったんですよ。きょうの例えば一連の議論を聞いていて、もう時間も相当経過している、大臣は白紙白紙とまだ言っている。きょうの議論を踏まえてというのだったら、そろそろ思いの中に、ああこれは大変だな、俺はこうするというぐらいの思いを発露させる何かやはり伝わってくるものが本当に欲しい。ああいう答弁ばかりだったら、質問している方がむなしいと思います。

 そういうことも含めて、総理、どういうふうに考えられますか。防衛局長の処分の問題、そして新任になった大臣、私も責任をという言葉まで言及された、こういうことに対してどのようにお考えですか。

野田内閣総理大臣 局長の御発言は、ずっとこれはやってまいりました。御本人は服務規律に沿ってやってきたと認識をしていましたけれども、だけれども、委員御指摘のとおり、政治的に中立だったかどうか、公正だったかどうかということについて疑いが出ているということであります。

 その疑いがある中で、きちっと説明を果たしていくことが必要だと思います。その説明の果たし方とかあるいは防衛省の調査を踏まえて、防衛大臣が適切な対応をするということが基本的なあり方だと思います。

 白紙というお話を言っていましたけれども、こういう御議論を踏まえながら、あるいはさらなる調査を踏まえながら、きちっと適切に対応するということをおっしゃりたいということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、御自身の責任のお話もされておりましたけれども、私は、非常に安全保障環境が変わってきている中できちっと決断をしていくということ、そして、特に普天間の問題というのは、我が国、我が政権にとって大変重要な課題であります。それが前進するような責任を果たしていくということと、今般の事案についても、私から防衛大臣に指示をしておりますけれども、この国会の中で、あるいは国民の皆様にきちっとした調査を踏まえて説明責任を果たしていくということ、そして、政治的な中立性、公正性について疑いが持たれることのないように指導監督をしていくということ、この二つを指示しています。

 その指示に基づいて、きちっと重たい責任を果たしていただきたいというふうに思います。

東(順)委員 総理、この内閣改造は最強の内閣とおっしゃいましたね。やはり沖縄の問題、普天間移転の問題、この問題というのは大変な問題なんだ。そういう事案を前にして、防衛局長が次々とドミノのごとく倒れていく。防衛大臣の前任者も辞任に追い込まれてしまう。今度任命なされた大臣が、大変申しわけないことながら、しどろもどろという感は否めない。総理、これは大変な問題ですよ。だから、沖縄に対して、そして日本の防衛ということに対して、構えを改め直さないと大変なことになるんじゃないかというふうに私は本当に心配する。

 しかも、総理はまだ沖縄に行っていない。これだけ大変な事案が続いているのに。悠長に、五月の太平洋・島サミットの前ぐらいは訪問しましょうかみたいな発言が出ている。これは、やはりいち早く沖縄に行かれて、謝罪をされて、そして、これまでの防衛局長や防衛大臣の辞任や、そしてまた現防衛局長もこれだけの大問題になっている、こういうことに対して私はこうしますと言って、やはりきちんと構え直して対応しないと、日本が危ないですよ、沖縄は危ないですよ。私は本当にそう思う。総理の体を張った前傾姿勢みたいなものをきちっとここで出していかないと、幾ら議論したって大変むなしいというふうに私は率直に思います。

 ぜひ一刻も早く沖縄に赴いていただきたいというふうに申し上げて、私の質問は終わります。

中井委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 真部局長に聞きますが、講話を行うことはあなたが発意、発案したことだと述べておりますが、仕事始めの一月四日に指示をしたのはなぜですか。

真部参考人 先ほど申し上げたように、そういう講話の発意、発案がありましたのが一月四日、構想が固まったのが一月四日だったからでございます。

赤嶺委員 一月四日付の地元紙を見ましたら、一面で宜野湾市長選挙が取り上げられております。見出しは「伊波氏、出馬受諾へ あす回答」というものです。この報道がきっかけの一つになったのではありませんか。

真部参考人 今御指摘の記事につきましては私も記憶しておりますけれども、同じく私の記憶によれば、それが一月四日の指示のきっかけになったということはございません。

赤嶺委員 あなたは先ほども、講話の目的は宜野湾市長選挙が私どもの業務の観点から重要な選挙であるからだ、こう述べられました。私どもの業務の観点から重要な選挙であるとは、具体的にどういうことですか。

真部参考人 普天間飛行場の移設、返還問題という、十五年以上かかっている、時間が経過している重要な問題の原点たる普天間飛行場を抱えているのが宜野湾市ということでございまして、そちらの市民の御意向、民意、お考えといったものは、その選挙の結果に反映されるものであろうというふうに思っておりまして、そういった民意が示される機会として、来るべき市長選挙が重要だと考えたわけでございます。

 我々の業務という関係におきましては、もちろん、普天間の飛行場移設問題への取り組みというのは、私ども沖縄防衛局の主要な取り組み課題でございます。

赤嶺委員 普天間飛行場の辺野古移設、この業務がきっかけになって、こういう講話が持たれたと。

 普天間基地の所在する宜野湾市の市民の民意が示される重要な場である、それに対して、局としてできることはないかと考えて、宜野湾市に所在する職員が選挙に臨むに当たって、職員としてきちんと臨めるようにしたいと考えた、このように述べました。

 職員としてきちんと臨めるようにしたいというのは、具体的にどういうことですか。

真部参考人 今の御質問に関しましては、これはもう昨日防衛省の方から提出させていただきました防衛局長の講話の要旨にもございますとおり、幾つかの点がございますけれども、私どもの局の業務について、特に普天間の移設、返還問題の経緯等を中心として、そういったものをまずよく勉強しておいてもらうこと、その上で、公務員として政治的な中立性が重要であるということ、それから、同様に、公務員として、できるだけ棄権を避けて投票所に行くようなこと、そういったことを、わかってはいると思いますけれども、改めて想起してもらいたかった、そういったもろもろのこと、そういうことがしたかった、講話を通じて行いたかったということでございます。

赤嶺委員 つまり、沖縄防衛局の職員全体が辺野古移設の重要性についてよく理解していなければならない、こう思ったわけですよね。

 それで、講話要旨によりますと、あなたは、二人の立候補予定者について、双方ともに県外移設を主張しているとしながら、一方の候補者は「県内移設反対、早期閉鎖・返還」、もう一方の候補者は「現状固定化を断固阻止し、一日も早い危険性の除去と返還・跡地利用計画を強力に推進」する、こういう立場であることを紹介して、二人の間に違いがあることを強調しております。

 その上で、辺野古移設、県内移設という局の立場を紹介した、そういうことですよね。

真部参考人 今、今といいましょうか、今御指摘のあった私の講話の要旨の中で、確かに、かぎ括弧つきの表現になっておりますけれども、伊波氏に関しましては「県内移設反対、早期閉鎖・返還」、それから、佐喜真氏は「現状固定化を断固阻止し、一日も早い危険性の除去と返還・跡地利用計画を強力に推進」するとございますが、これは、私、この講話の時点で、私どもが入手できました両候補予定者あるいはそちらの選挙陣営といったところから広報文書として配布されているものの関連部分をそのまま読み上げるような形で紹介したというものでございます。

赤嶺委員 当時、沖縄のメディアは、二人の候補者の間に基地問題で立場の違いはない、このように繰り返していたんですよ。しかし、あなたは目ざとくどこで違っているかということを見つけて、伊波さんは県内移設反対、早期閉鎖・返還、そしてもう一方の候補者は現状固定化断固阻止、一日も早い危険性除去と返還、こういうことをおっしゃった。

 大体、現状固定化はだめだとか危険性の除去というのは、政府の閣僚の皆さんがこれまでもるる繰り返し述べてきたことなんですよ。その上で、あなたは、職員に対して、県内移設という局の立場で選挙に臨むことを業務である服務指導の一環として徹底指導したということですね。

真部参考人 まず、表現の違いにつきましては、私としては、そのときに入手できたものという制約はありますが、できたものについて、むしろ正確を期して、その関係部分を、それぞれ短いものではありますけれども、全部漏らさず紹介したということでございまして、私の意識としては、むしろ公平にしなければならないということで考えていたものでございます。

 したがいまして、その違いから、どちらか一方の候補を推そうとしていたのではないかという御趣旨の御質問かと思いますけれども、そのような考えは私は持っていなかったところでございます。

赤嶺委員 私が聞いたのは、職員に対しては県内移設という局の立場で選挙に臨むことを業務である服務指導の一環として徹底指導した、局の立場で臨むのはこれは業務だよという服務指導をした、そういうことでしょう。

真部参考人 私が講話を行ったのは確かに服務指導という業務の一環でございまして、その中で、そういう局の、普天間飛行場の移設、返還問題に対する経緯を中心とした取り組みについて説明したということでございます。

赤嶺委員 職員というのは選挙でも移設業務というものをやらなきゃいけないのか。

 職員は、選挙に関しては、職員でもある前に一有権者であり、市長選挙に関しては自由な判断が保障されなければならないですよね。その有権者に局の立場で臨むよう徹底し、指導した、そういうことになりますよね。

真部参考人 普天間飛行場の移設、返還問題の経緯等について講話の中で述べましたのは、そういう立場、局の立場で、個人の投票についてその立場で臨めという趣旨ではございませんで、そういう選挙、投票に当たってはそういうことをよく勉強しておいてくれということを、そういう趣旨で申し上げた、説明をしたものであります。特にそういう背景があるので、経緯があるので、今度の選挙が重要であるということを申したかったわけでございます。

赤嶺委員 選挙があるから投票に行きましょうという啓蒙とは明らかに性質を異にしてきているんですよ。防衛局にとってはこの業務は大事な業務だ、これは宜野湾市の民意が左右する、こういうことまでおっしゃって、いわば職員に服務指導としてやったわけですから。

 もう一つ重要なことは、リストを作成していたことです。

 けさの理事懇にもそのひな形が出されておりましたが、先ほど、リストに宜野湾市に選挙権を有する親族を持つ職員を加えた理由として、有権者と接触する機会のある職員にも教育した方がよいと考え、リストに加えることにした、このように述べました。

 有権者と接触する機会のある職員にも教育した方がよいと考えたとは、具体的にどういうことですか。

真部参考人 親戚が有権者におられるということであれば、選挙が迫りますと、私の理解では、やはり宜野湾市の市長選挙であれば、一つは、やはり大きな基地を抱えておられますので、基地問題というのが改めて関心を呼ぶことになるであろうと思っておりまして、そうであれば、ふだんは詳しくは知らない、そういった有権者の方もそういったことを知る機会も必要になろうかというふうに想像したわけでございます。

 そうだとすると、その際に、親戚であれば、ある種接触する機会が多いであろうと思いますので、そういった職員がきちんとそういう問題にも答えられるようにということを考えまして、同じような、普天間飛行場の移設、返還問題に関する経緯等についても同様に説明した方がいいだろうというふうに思った次第でございます。

赤嶺委員 つまり、選挙権を有する親族に接触する際に、局の立場で臨むよう教育した、こういうことになるわけです。

 リストのひな形を見ますと、きょうの理事会に出されたひな形ですが、「本人」「親族等」という項目があり、本人の場合は数字のみが、親族等の場合は、家族二、いとこ四、親戚二などと記載されています。

 このような数字、これを記載させたのはなぜですか。

真部参考人 今、ひな形のことをおっしゃいましたけれども、先ほど御説明いたしました、親族を有する職員のリストをつくったということについての私の目的意識からいたしますと、率直に申し上げて、親族がいるかいないかということがわかればよかったというふうに思っておりまして、率直に申し上げて、そこまでの情報が必要だったのかなというのは今正直思っているところでございます。

赤嶺委員 でも、その情報をとったわけですよね。局長、その情報をとったわけですよね。いかがですか。

真部参考人 そういう情報を整理したことは事実でございます。

赤嶺委員 委員長、このリストはでき上がっていますので、きょう出された黒塗りのは、あれは出欠簿のようなもので意味をなしません。このひな形のリスト、これを予算委員会に提出させるようにお願いしたいと思います。

中井委員長 理事会で協議いたします。

赤嶺委員 私は、このリストを何に使ったかということも伺いたいと思います。

 ちょっと時間が来ておりますので総理に伺いますけれども、今のやりとりを聞いていて、一般的な選挙の啓発活動でないことは明白であります。沖縄防衛局のトップである局長が職権を使って、職務命令で宜野湾市長選挙に選挙権を有する職員、選挙権を有する親族を持つ職員のリストを作成させて、それらの職員に局の立場で選挙に臨むように徹底、指導したのであります。これが、国の出先機関、すなわち国家権力による選挙の自由への介入であることは余りにも明白です。

 総理の見解を求めます。

野田内閣総理大臣 まさに、国民や沖縄の県民から、いわゆる公務員としての政治的な中立性、公正性、こういう点で批判やあるいは懸念が出てこざるを得ないようなそういう状況、事案だというふうに思いますので、しっかり防衛省としては調査をして、適正な判断をした上で対応していただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 私、最後に申し上げたいんですけれども、一日の藤村官房長官の記者会見で、電子メールが流出した経緯を防衛省が調査しているということを明らかにしました。今回の事件で問われているのは、憲法に保障された選挙の自由に対する国家権力の介入、公職選挙法そして自衛隊法などへの法令違反の問題であります。政府がやるべきことは、宜野湾市長選挙をめぐって何が行われたのか、その全てを明らかにすることではありませんか。法令違反の疑いを勇気を持って告発した人を捜し回るようなことは直ちにやめるべきであります。

 このことを申し上げて、質問を終わります。

中井委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 真部参考人、きょうはもう顔面蒼白ですな。人間ね、悪いことをすると顔にあらわれるんですよ。これが四十年間弁護士をした私の犯罪心理学の通説です。

 私の質問に対する答弁は、単刀直入に、イエスかノーかで答えてください。

 きのうの予算委員会で田中防衛大臣も認めましたが、沖縄防衛局による職員とその親族らの有権者リスト作成は防衛局の本来業務、所掌事務ではありませんね。

真部参考人 私どもがつくりました職員のリスト、これは私の講話のためのものでございまして、講話は服務指導の一環として所掌事務上行えるものだというふうに思っております。

照屋委員 私が聞いているのは、本来業務か、所掌事務かと聞いているのよ。イエスかノーかで答えなさい。

真部参考人 講話とその準備のための職員のリストづくりは、私どもの所掌業務の一部ということでございます。

照屋委員 本当かね。所掌事務、本来業務ですか、防衛省設置法による。もう一度はっきり答えなさい。

真部参考人 申しわけございません。あくまで私の理解しているところでは、防衛省設置法の三十三条に地方防衛局の所掌事務が書かれております。その中で、防衛省設置法における防衛省全体の所掌事務の列挙されている中から一部が分掌されている形になっております。その中の、所掌事務に関する教育訓練に関すること、これに当たるものというふうに私は理解した上で、当時の事実関係を申しますと、講話を行ったところでございます。

照屋委員 それは本来業務でも所掌事務でもない。したがって、職員とその家族らの有権者リストの作成は、明確な行政機関等個人情報保護法違反なんだ。どうですか。

真部参考人 講話当時におきましては、私、今委員おっしゃった個人情報の保護法を含めて、違法性のある行為というようなことは認識しておりませんでした。

 ただし、その最終的な結果については、防衛省の調査によって明らかにされるものと思っております。

照屋委員 参考人、あなたは、かつて佐藤勉沖縄防衛施設局長が、公用車を使用して施設庁発注工事の受注企業を回って、県知事選挙の投票依頼をしたという地元紙や週刊誌報道を知っていますか。

真部参考人 今おっしゃった趣旨の報道等があったことについては記憶いたしておりますが、詳細は覚えておりません。

照屋委員 参考人は、二〇一〇年の名護市長選挙と同市会議員選挙でも今回同様の局長講話をやったと先行自白をしていますが、両選挙の投票日前一カ月の局長日程表と運転日報を当委員会に求められたら提出できますね。

真部参考人 私どものところで保管しているものであれば可能であろうとは思っておりますが、ただ、保管されているかどうかについて、しばらく前のことでございますので、確認が必要かと思います。

照屋委員 当委員会に局長の日程表と運転日報の提出を求めます。

中井委員長 いつからいつまでですか。

照屋委員 二〇一〇年の市長選挙と市会議員選挙の投票日から一カ月前のもの。

中井委員長 理事会で協議いたします。

照屋委員 参考人、きのうの予算委員会に提出された参考人の講話要旨を読むと、宜野湾市長選挙への公権力行使による政治性を帯びた働きかけ、このようにしか思えません。参考人は、国家公務員、自衛隊員としてあるまじき政治性を帯びた働きかけを全くしていないと自信を持って断言できますか。

真部参考人 先ほどのちょっと繰り返しになるかと思いますが、私は、講話の当時は、少なくとも、今おっしゃった、先ほどの個人情報保護法以外にも、国家公務員法、私どもであれば自衛隊法かと思いますけれども、自衛隊法や公職選挙法に違反しているという認識はございませんでした。

 ただし、これも繰り返しになりますが、今後、今行われている防衛省の調査によって、最終的に、そういったものの有無、違法性の有無ということについては明らかにされるものと思っております。

照屋委員 参考人、公職選挙法は、特定候補への投票依頼のみを禁じているわけではありません。参考人の講話は、自公推薦の予定候補への投票を強く示唆したものであって、これは公選法、国家公務員法に明確に違反しているものだと思いませんか。

真部参考人 繰り返しになってまことに申しわけございませんが、講話当時におきましては、私は、そういった認識は持っておりませんでした。

照屋委員 参考人、私が聞いているのは講話当時のあなたの認識ではなくて、発覚をした現段階では、そのような法律違反だという認識を持つでしょう。これは誰が見たってそうしか思えぬ。あなたは往生際が悪いよ。国会を侮辱しちゃいかぬ。もっと正直に答えなさい。

真部参考人 私の現在の違法性、適法性に関する認識につきましては、先ほど申し上げたように、防衛省の方でそういうことを含めて今調査を行われているというふうに承知しておりますので、その結果を待つこととしたく、私の現時点での個人的な認識を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

照屋委員 最後に、総理、この問題は単なる局長を更迭して済むような問題ではない。問題の根本は、民主主義の基本である、根本である公正で自由な選挙を公権力の政治的な圧力でもってゆがめてしまう、沖縄の民意を圧殺する、そういうのがずっと続いてきた、これが問題だということを、私は、総理がしかと自覚をして、厳正な処分をやってもらいたい。

 以上で終わります。

中井委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 用意してきた質問は既に大分聞かれておりますので、順序を入れかえて質問させていただきます。

 まず最初に、田中大臣にお尋ねをしたいと思います。

 質問順序を入れかえますけれども、実を言うと、私は、田中大臣にちょっと同情しておりまして、この問題、恐らく、どう考えても大臣がイニシアチブをとって起きた問題でないのは明らかだと思います。明らかに官僚機構の問題だと思っております。それも、今回の問題、きょう、あす始まったというよりも、大分前からやっていたというような報道もあります。恐らく長年にわたる官僚機構のうみというか大きな問題だと思いますので、ぜひ政治主導で取り組むべき問題ではないか。こういうときこそ民主党政権でずっと言ってきた政治主導で取り組まなきゃいけない問題であって、そういった意味では、田中大臣には、怒った方がいいんじゃないかと思います。

 野党に追及されて局長を守るぐらいだったら、むしろ自分が率先して、健全な怒りを持って官僚機構の問題に切り込んでいく、そういう姿勢こそ求められると思うんですけれども、大臣のお考えをお伺いします。

田中国務大臣 大変励ましていただきまして、何か勇気が少し出てきたと思っております。

 省内に防衛省業務適正化委員会を設置いたしました。そしてまた、並行して、この事案につきましていろいろと捜査をしてきたところでございます。(発言する者あり)捜査をしてきた、調査を、ちょっと発音が申しわけない、調査をしてきたところでございます。

 この問題につきまして、私は講話という言葉を残念ながら聞いておらなかった立場でありますが、しかし、防衛省の中にありまして、沖縄県におきましては選挙前にこの問題が発生をしたという状況を見まして、大変早くこの事案を解決しなければいけないという思いが一方でございます。

 しかし、この委員会を設立しましたのは、再発を防止するだけではございません。やはり、いわゆる体質を改善していかなければいけないということも大きな課題ではないかということを私は肌で感じたところでございます。

 この事案につきましては、きょうは局長がみずから来ておりますので、適切な判断をしていかなければいけないと思っておりますし、選挙も間近でございます。公正な選挙をしていただくために判断をしていければと思っておりますが、私も、励ましていただきましたので、この問題を契機に、さらなる体質の改善のために力を尽くせたらという思いで、今、話をさせていただいておるところでございます。

山内委員 大臣、今、業務適正化委員会とおっしゃっていましたけれども、ずっと長年にわたる、恐らく代々の防衛官僚の幹部の問題だと思います。そういうのを省内でつくった身内の調査で調査するというのは、とても体制として不十分じゃないかと思います。今の元気を使って、例えば第三者委員会、元検事さんとかいろいろな外部の有識者あるいは外部の専門家を招いてきちんと追及する仕組みをつくっておかないと、また同じことが起きてしまうと思いますが、その点、どうお考えでしょうか。

田中国務大臣 大変やる気を起こしたような気持ちでございますが、野田総理からは、まず、この事案をしっかりと説明しながら、そして公務員として中立公正というものを監督していくという立場ではないかと思いますが、防衛大臣を務めてこられた方々は与野党を含めて多くの方々がいらっしゃるわけでありますから、まず、そういう皆さん方にもいろいろとお話を伺って、御指導いただきながら、あるいは野田総理の思いも私もしっかり肌で感じながら、将来につながるようなものにしていければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

山内委員 次に、総務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 もしかすると、こういう問題は防衛省だけの問題じゃないんじゃないかなという気もいたします。他の省庁も含めて、こういう事例が起きていないかどうかを組織的に全省庁もう一度調べてみるとか、あるいは、過去にこういう事例が起きたときにどういうふうに対処してきたか、そういったことも含めて、総務省としてどういうふうにお考えか、お尋ねします。

川端国務大臣 まず、現時点で防衛省において事実関係を調査中というふうになっておりますけれども、防衛省以外の省庁における同様の事案について、今の時点で総務省が承知している事案はございません。

 なお、総務省としては、衆議院選挙あるいは参議院選挙、統一地方選挙、この三つが大きな選挙でございますが、このときには各府省に通知を行って、いわゆる国家公務員法または公職選挙法に違反する行為はもとより、国家公務員の政治的中立性に関する国民の疑惑を招くような行為について厳に慎むようにという文書は毎回出しております。

 国家公務員について政治的中立性が確保されることは極めて重要でありますが、この確保に必要な措置は各省の事情において対応されることが基本でありますので、まずは各省において対応していただきたいと思っております。

山内委員 今の大臣のお答えでは、毎回通知を出していて、基本的には各省で解決すべき問題ということでしたけれども、それが余り機能していないということが実際あるんじゃないかと思いますけれども、それはどのようにお考えなんでしょうか。

川端国務大臣 まさに総務省としては、法令遵守ということで通知で要請はいたしますけれども、具体的な事実関係を調査、判断するという立場ではございませんので、そのような仕組みで、それぞれの府省において責任を持って対応して、国民の信頼に応えることが一番肝要であろうというふうに思っております。

山内委員 ちょっと事前に通告していなかったんですけれども、野田総理、お見えですので、可能であればお答えいただきたいと思いますが、藤村官房長官が記者会見の中で、今回の事件のことを指して、逆にいいことだという評価が出るかもしれないというようなことをおっしゃっているそうです。

 これだけこれまでの質疑を通していろいろな問題が上がっていまして、法律に触れる可能性が非常に高い事案だと思います。にもかかわらず、官房長官が記者会見で、逆にいいことだという評価が出るかもしれない、非常にお気楽なコメントに思えますが、こういうことを総理が任命された官房長官がおっしゃっている、このことについてどのようにお感じでしょうか。

野田内閣総理大臣 御指摘の藤村官房長官の発言については、いけないことだったか必要なことだったか、まだわからないという意味でお話をされたのではないかと思いますが、きょうも私も答弁で申し上げたとおり、今般の事案が、中立性あるいは公正性、こういう公務員としてのあるべき姿から逸脱しているかどうかという意味において、やはり誤解や御批判を生みかねないという状況でございますので、そのことをしっかり踏まえた対応をしていかなければいけないというのが私どもの基本的な姿勢でございます。

山内委員 田中大臣にもう一度お尋ねします。

 きのうの夜だそうですが、下条みつ防衛政務官のコメントとして紹介されております。新聞に書いてあったんですけれども、特定の候補者への支援は一切ない、現時点では政治的中立性は保たれていると下条政務官がおっしゃったそうです。これはいかがなものでしょうか。

 おっしゃるように、まだ委員会の調査結果だって出ていない状況だと思います。その中で、記者団に対してここまで踏み込んで、政治的中立性は保たれている、こういうことを言っているのは問題じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 昨日、三役会議を開きました。その中で、いろいろこの調査の内容の報告があったわけでございます。それぞれ、私なりあるいは三役の受けとめ方が違っておったのではないかと思っております。

 引き続き、政務三役で同じ観点からこの問題を判断するということを、これからまた夕方、この審議を踏まえて、我々が防衛省として判断をしていくということで臨んでいきたいと思いますので、彼の意見もよく聞いてみたいと思っております。

山内委員 時間が終わりましたので、以上で終了します。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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