衆議院

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第8号 平成24年2月13日(月曜日)

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平成二十四年二月十三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      大西 健介君    逢坂 誠二君

      金森  正君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      玉木雄一郎君    中屋 大介君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      谷田川 元君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      下村 博文君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    吉野 正芳君

      東  順治君    笠井  亮君

      内山  晃君    服部 良一君

      山内 康一君    中島 正純君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中川 正春君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  占部浩一郎君

   政府参考人

   (消防庁長官)      久保 信保君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十三日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     逢坂 誠二君

  橋本 博明君     谷田川 元君

  山岡 達丸君     中屋 大介君

  伊東 良孝君     下村 博文君

  小里 泰弘君     吉野 正芳君

  阿部 知子君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     櫛渕 万里君

  中屋 大介君     山岡 達丸君

  谷田川 元君     橋本 博明君

  下村 博文君     伊東 良孝君

  吉野 正芳君     小里 泰弘君

  服部 良一君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君、東京電力株式会社取締役会長勝俣恒久君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官占部浩一郎君、消防庁長官久保信保君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若泉征三君。

若泉委員 世界一と言うと聞こえがいいんですが、私どもの福井県は、原発銀座、十四基、世界一でございます。その中で、当然、野田政権の課題ともいうべき原子力行政につきましての御質問をしたいと思いますが、語り尽くせないぐらいの時間がかかりますが、三十分いただきましたので、その中での御質問をさせていただきたい、このように思っています。

 三月十一日に東日本大震災発生、福島第一原発に海抜十五メーターの津波が襲来しまして、一―四号機の全電源が喪失しました。十二日から十五日にかけ一、三、四号機で水素爆発、放射能汚染が広がる。四月二十二日には警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域が設定されまして、約十五万人が避難をしております。

 我が福井県におきましては、いまだに原発安全神話というものを信じております。十四基ございます。その中で、この事故が起きたときに、もちろん、津波にのまれる家、人の姿は、私がその日、福井に八時間かけて帰ったときに、初めて私はそれを知りました。その後に水素爆発。

 実は、後ほどもまた御質問の中にもありますが、私の義理の母がいわき市出身でございまして、すぐに電話しまして、とりあえず私の福井県へ避難しなさいと、帰ってまいりました。そして、ひとりぼそっとしてうちにおりましたが、一週間もしないうちに、いわきに帰りました。私は八十七歳だ、いつ亡くなってもいい、死んでもいいんだ、だから自分がリーダーになっているお年寄りの友達に何しろ会いたい、帰りたいと。そして、すぐにいわきに帰りまして、ただいまいわきに住んでおります。人ごとじゃないと強く私は感じました。

 また、ここに副総理でおられます岡田団長を筆頭にいたしまして、南相馬、飯舘村のあの状況を見ました。今でも、南相馬の住民の皆さんの要望や、また、せつないいろいろな不安やそういったものを訴えられることを黙ってうなずいて聞かざるを得ないというような状況を覚えております。牛の目が、大きな目をしてじいっと見ている、今でもその牛の瞳は忘れられない。非常に驚きました。

 飯舘村という村は、御案内のように、非常に美しい村で、この村だったら住みたいなと思われるのは、どなたでも一緒だと思います。そういう中で、本当に、いろいろな言葉がありますが、またいろいろな言葉で批判をされる方もいますが、やはり、今、生き返らせなきゃいかぬ、命を呼び起こさなければいけない、それが、この原発の被害を受けた被災地の、また被災者の皆さんに対する私たちの切なる思いである、このように思っております。

 そこで、私は、現状の福島県の被災者の避難状況、また生活実態につきまして、それからもう一つ、ちょっと申し上げるのを忘れました。私は、大熊町の町長とも最近お会いしました。大熊町の町長が、そのときうれしかったのは、細野大臣のことを褒めていまして、時折来ていただいて、もう本当に気持ちが癒やされ、そして励まされます、感謝していますと言われて、私は自分のことのように、ありがとうございますとお礼を申し上げてきました。

 同時に、平野復興大臣もいろいろな被災地の皆さんとお会いになっていらっしゃると思いますが、今までの御苦労に対しまして敬意を表しながら、私は、その避難状況、生活実態がどういうふうになっているかお聞かせいただきたい。よろしくお願いいたします。

平野(達)国務大臣 東日本大震災で、現時点で避難されている方々は約三十三万人、そのうちの約半分の十五万八千人が福島県の避難者ということであります。

 そして、福島県の避難者の中で特徴的なことは、約四割の六万人の方々が県外に避難をされているということでございます。その大半は原発の事故に関連しての避難だというふうに私どもは理解をしています。そのうち、六万人の中の、山形県に県外避難者の約二割に当たる一万三千人が避難されておりますし、東京都には約七千四百人、新潟県には六千七百人が避難をされているということでございます。

 避難先におきましては、まず、県内については仮設住宅それから借り上げ住宅等々に今避難されておりますが、県外においては公設住宅それから借り上げ住宅、こういったところに避難されて生活を送っておられます。特に、県外につきましては自治体が大変丁寧な支援をやっていただいておりまして、被災者の方々は早く帰りたいという思いを胸に秘めながらも、受け入れている自治体に対しての感謝は相当強く持っているという印象を受けております。

 以上でございます。

若泉委員 ありがとうございます。

 私どもの越前市にも、一人、大熊町から来ていらっしゃって、非常にいい待遇を受けているということで喜んでおります。ありがとうございます。

 それでは、被災者の心のケアについて御質問申し上げたいと思います。

 今、うつ病の患者といいますのは、二〇〇九年の十二月四日で百四万一千人、この十年以内で二・四倍にも膨れ上がっている。SSRIという抗うつ剤を飲んで、その販売額が何と九百億円にもなっている。今はもっとそれ以上になっているかと思います。

 そういう中で、薬よりも大事なのがやはり心のケアだと思いますね。薬で心のケアをするんじゃなくて、人と人の間で心のケアをする。

 私は、実は町長のころにカウンセリングの勉強をしまして、役場の職員に数人、そういった精神的な病を持った人がいましたので、私は町長室で面接しては、いつもそのお相手をしまして、私は対人恐怖症なので職場はここがいいと言うと、私は、ではそうしようというふうに、できる限りその人の力が発揮できるような形をカウンセリングとしてやりました。必要であれば、私は現地へカウンセラーとして幾らでも赴きますので、御承知いただきたいと思います。

 私が思いますのは、いわゆるハードで、大変困難ないろいろなことをおやりになっていらっしゃると思います。社会資本の整備とか、今、あらゆる除染、いろいろな問題で、たくさんハード面でおやりになっていらっしゃると思いますが、ソフト面ではどうだろう。私は、行政というのは、ソフトとハードが絶えず一体化して進行していくということが最も大事かと思います。

 そういう中におきまして、確かに、三次補正予算におきましては、心のケア関連予算で全部で六十数億の予算がつけられまして、それぞれのケア事業が行われていることは承知いたしておりますが、被災者の心を癒やすためにこうやってさまざまな事業が行われておりますが、臨床心理士や保健師などの有資格者だけでは人数に限りがあり、手が回らないのが現状でございます。

 つい最近、大阪の親戚に電話しましたら、阪神大震災の後遺症が、心の悩みです、今でもずっと続いているというのを聞きまして、このショックというのはいつまでも続くものなんだなと本当に心配をいたしております。

 そういう中で、私、お聞きしたいと思いますのは、確かに、国で決められています臨床心理士とか、そういった人たちは全て七、八万人だと思いますが、それではとても足りない。私もカウンセラー協会の会長を地元でやっていたことがありますが、そういう心理カウンセラーとして、ボランティアで、いわゆる独学で勉強してやっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんです。

 これは、この前、九州へちょっと電話して聞きましたら、私の仲間のそういうメンバーがいるんです、聞きましたら、男性三人と女性一人の派遣でないと許さないと。これは、私、意味がわからないんです。その意味をもっとよく聞いておけばよかったんですが。そうすると、女性が行きにくくなるんですね。

 だから、そういういろいろな規制の中でボランティアの支援は私はできないと思いますので、こういったカウンセラーというのは、受け入れることを一〇〇%やれば、ちょっと訓練すればどなたでもできるんです。聞いてあげること、悩みやそういったことをよく聞いてあげること、これだけでカウンセラーの役目は十分に果たされます。

 できるだけ、日本全国の、各都道府県で聞けば、大体どこでどういうボランティアがやられているかというのはわかると思いますので、ぜひともそういった調査をしていただきながら、たくさんの方をつくっていただいて、今、中小企業、子供を持つ母親、本当に悩んでいると思います。私がその現場にいたら、これから一生どうして暮らすんだろう、そういう悩みの中で、その悩みの話を聞くだけでも私はすばらしいと思います。

 そういう中で、心理カウンセラーには、こういったさまざまな公的資格や、学会、民間団体による資格がありまして、それらを取得し、知識を持ち、職場やボランティア活動などで実績を積んでいる方々が大勢います。そのような方たちを活用し、被災者全員をケアできる体制を構築すべきではないか。

 先日、野党の質問に平野大臣から御答弁がありました、精神的なケアをしっかりやっていると。平野復興大臣と小宮山厚生労働大臣に私のこの願いを、また一般の国民の願いをぜひとも聞いていただきたい。よろしくお願いいたします。

 復興大臣から先におっしゃって。

平野(達)国務大臣 総論的に私からお答えさせていただきまして、補足は小宮山厚労大臣からさせていただきたいというふうに思います。

 委員おっしゃるように、心のケアの問題、震災発災してそろそろ一年になりまして、これから今まで以上に大きな問題になるというふうに考えております。大人の心のケアの問題、それから子供の心のケアの問題。子供に関しては、特に福島の原発関連でさまざまな問題があるということについては、もう福島県からたびたびいろいろな情報提供をいただいております。こうしたことに関しまして、まず状況の把握をしっかりすること、それから、カウンセラーの体制強化を初めとして、しっかりとした体制を持って臨まなければならないというふうに思います。

 今回の被災の直接の被災者だけではなくて、岩手県では、昭和の大津波だったと思いますけれども、それを経験した方が高台に避難しているんですが、今回の津波の状況を見て、御自身は被災していないんですが、そのときの状況を思い出して眠れなくなってしまったといった症状を訴えている方も何人か出てきている、こういった報告も受けておりまして、この心のケアの問題は、ちょっと裾野を広くしてしっかり見ていく必要があるなというふうに考えております。

小宮山国務大臣 心のケアは、委員御指摘のように、長期的にこれからずっと取り組まなきゃいけない重要な課題だと思っています。

 三次補正で心のケアセンターをつくりまして、そこにどういう専門職種を集めるかということは、各県の基金でできるようになっています。それからまた、巡回訪問をして仮設などで話を聞く、傾聴ですね、そういうことですとか、あとは、いつでも電話で相談ができる、そういうところは民間の方にも入っていただいていますし、仮設にサポート拠点を既に八十七カ所つくっていまして、そこでも民間の方もやっていただけるようにしています。

 私も、民間の方が海外に行ってそういう研修を受けてこられたケースも伺っていますので、事務方の方にも、なるべく民間の方の御協力も得ながらしっかりとサポートができるようにと指示をしているところです。

中井委員長 男三人、女一人じゃないとだめだという若泉さんの話は、聞いたことありますか。

小宮山国務大臣 私は聞いておりませんけれども、事実関係を調べて、そういう硬直的な形でなくできるようにしたい、そのようなアドバイスをしていきたいというふうに思っています。

若泉委員 ありがとうございます。

 それでは、次に入りますが、実は私は、また町長と言いますけれども、町長を経験しているので町長と申しますが、安定沃素剤の備蓄を日本で初めて私が町長のときにやりました。

 それはちょうど阪神大震災の後でございまして、私もトラック一台と義援金を持って、走るところは若狭湾しかないので、敦賀を通って若狭湾をずっと、この敦賀からおおい町まで十四基原子力発電所があるんです。ここがもしこの災害でだめになったら私は通るところがないわけですね。

 そのときに、ああ、これは大変だ。私は、敦賀の原発からちょうど半径二十キロ以内にありまして、今ちょうど話題になっておりますその圏域に入っております。そうしますと、町民をどうしようかというような気持ちになりまして、安定沃素剤を二万人分買いまして、これは来客も含めて二万人分買いまして、それを条例化し、三十分以内に全部それを配付するように、そういうふうにいたしました。

 これは、甲状腺、御存じのように、安定沃素剤を飲むことによって放射能を避けるということでございますけれども、医師にも相談しまして、今いろいろと問題になっていますが、医師会から、副作用はない、そういった許可ももらって私は安定沃素剤を、二万人分で幾らだと思いますか、二十八万円なんです。国にこれは補助金を出してくれと言ったら怒られました。それはわざと言ったんです。予防政策のためにわざと言いました。これはだめだ、そんなものは出せないと。

 しかも、もう一つは、原発が危険だと思われるので配備をやめるよう、民間からもいろいろなところから圧力をかけられました。あんたは日本全国の原発反対の二番目だと言われて、一番は誰だったのか知らないんですけれども、そういうふうにある理事長から言われました。

 それぐらい、あのころというのは、原発に対して不安を少しでも示すと、そういう態度で出られたということでございますが、これからはそうであってはいけない、やはり情報を広く開示し、国民みんなで考えるべきだ、こういうふうに思っています。

 基本的な考え方といたしましては、福島原発事故を出発点としたエネルギー政策は、一つは必要な情報と知見を国民に提示し、二つ目は意見の違う人々の間で十分な議論をする。また、原発立地地域のことも考慮し、決めるべきである。

 私は、福井県に、つい最近でございますが、中央大学の久野理事長を会長といたしまして、いわゆる商工会議所の会頭、漁連、JAの会長、NPO、また連合、そして福井大学の学長、また各自治体の首長に呼びかけ人になってもらいまして、約百五十人の勉強会を立ち上げまして、もう五回ほどやっております。これは、なかなかないんです。テーブルに推進派と反対派が並んで勉強するんです。いろいろな異論が出てくるのは当然でございますが、最終的には、こういったことを研究した後に、大臣の皆様方にもそれを御提示したいと思いますので、前もって関係大臣の方に私はお断りをしましてこの活動をやっております。

 国においてはどうかと思いますが、ただここで、原子炉の寿命について、原子炉の寿命を四十年、例外的に六十年にしたということに関しましては、その根拠や理由についていろいろな問題があると思いますが、ここでは問いません。問題は、原子力の発電を拡大、発展させていく状況であれば、一般的な基準としてこのような基準を定める意味はあります。しかし、現在はほとんど原子炉が停止している状況にあり、既に、今後将来的に原子力発電所を逓減していくという方針が出ております。

 つまり、今焦点となっておりますのは、個々の原子炉が再稼働できるかどうか、再稼働してもいつまで何年間運転できるかどうか、計画中の原子炉が建設、運転できるのかという点にあると思います。全体像を示さずに、もし唐突に政策を打ち出したことになれば、原発立地地域におかれては、政府に翻弄されているというふうに感じられます。

 そこで、細野原発大臣に御質問申し上げますが、今後のエネルギー政策全体を定める中で、電力供給のうち、原子力の比率をどの時期にどのぐらいにするのかといった計画を定められまして、それに従い、私が思いますのは、個々の原子炉をどのようにしていくか決めていくという方法が適切ではないか、このように感じておりますので、細野原発大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 福井県の皆さんには本当に長きにわたりまして日本のエネルギー政策を支えていただいておりますし、若泉委員も町長として長年この問題に向き合ってこられたということで、そうした皆さんには本当に心より敬意を表したいと思います。今回の原発事故を受けて、福井の皆さんの中にもさまざまな、それこそ動揺があったりであるとか、今後どうなるんだろうと不安を持たれている方もおられると思いますので、そのことについてもやはりおわびを申し上げなければならないというふうに思います。

 その上でなんですけれども、エネルギー政策全般についてきちっと国として考え方を提示すべきだというのは、それはもう本当に御指摘のとおりだと思います。

 したがいまして、今、資源エネルギー庁のところでも総合エネルギー計画の策定作業が進んでおりますし、また、原子力委員会でも原子力政策大綱の策定が行われております。その中で、将来に向けて原子力というものをどう考えていくのか、そういうことについての政策をつくることは大事だと思っております。

 ただ一方で、原子力の規制というものは、そういうエネルギーの需給をどう満たすかとか原子力を将来どうしていくかということとはむしろ明確に離して、規制そのもの、安全そのものを見ていくということにしなければならないというのが今回の事故の最大の教訓なんですね。それが、今回、資源エネルギー庁や経済産業省から規制庁を全く離した形で新しくつくるということにした、その心でもあるわけです。

 したがいまして、四十年というのは、きょう、もうそこは問わないとおっしゃいましたので詳しく説明はいたしませんけれども、高経年劣化をどう見るかという議論の中で、一つの線としてこれまでも議論をされてきました。それをある種、これまでは無期限、期限がなかったわけですから、ずっとできるということになっていたんですが、それはやはり認められないだろう、四十年のところでまずしっかりとこれは一度けじめをつけるということが重要ではないか、またそこは別な判断をすべきだというところで出てきたところでございます。

 ですので、そこは、エネルギー政策全体が重要であるという御指摘はごもっともですけれども、また別の観点からそういう規制が必要になっているということをぜひ御理解賜りたいと思います。

若泉委員 それでは、原子力エネルギー政策の議論の進め方に対する問題点として、皆さんにいろいろと御質問いたします。

 これは、枝野経産大臣に後ほど御質問申し上げたいと思います。

 また町長のことを言いますが、経験しているので申し上げます。国の審議委員に私は二つくらいなりました。審議委員会制度というのがありまして、私ども、何でも意見を言えるのか、また自分たちの意見が国に反映されるのかと思って行きました、意気揚々として行きました。ところが、全て書類はできておりまして、意見は修正も何も入らないで、当初からでき上がっていたその書類で全てその会議は終わりました。これでこの審議会は終わりました、ありがとうございました、御苦労さまでした、その程度で終わるわけですね。本当にそこで議論されたいろいろな意見がその中に入れられない、そういう状況があります。

 私は、そういったことを考えますと、これからのエネルギー政策策定においては、そうであってはならない。

 先ほどもちょっと細野大臣もおっしゃいましたが、新たなエネルギーの基本計画を決める総合資源エネルギー調査会基本問題委員会では委員が二十五名、新たな原子力政策大綱を決める原子力委員会の新大綱策定会議は委員が二十六名、私が出しました資料の二枚目には出ておりますが、二十六名おります。それで、実際、こういった方々のいろいろな意見を聞きました。

 基本問題委員会では、当初、それぞれ順番に自分の意見を自由に述べるという形で会議が進行しました。委員から実質的な議論ができないと指摘を受け、一月から論点ごとの議論を行う形に変更されました。また、基本問題委員会と原子力政策大綱策定会議の有志委員が、論点ごとに十分な議論を行うために、二月から、もう五回か六回開かれていますので御存じだと思います、自主的な分科会が開催されている、こういった状況があります。

 質問申し上げます。

 審議を託して選んだ委員が責任を持って議論を尽くし結論を出せるような、公正で民主的な議事運営が図られるよう大臣にお願いしたいと思います。それが真の政治主導ではないか。枝野大臣だったらそれがおできになると思いますので、御質問申し上げます。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、特にこの局面においてのエネルギー基本政策の策定については、オープンな議論が重要であるというふうに思っております。

 まずはそのメンバーの構成自体が、従前とは全く変わった構成といいますか、新たな方が相当入ってやっていただいている上に、ここは初めから結論ありきではなくて、まさに自由に議論をいただき、議論の進め方自体も、今の御指摘のとおり、その議論の中でこの進め方ではだめだというような御指摘を受けて、その都度それに対応して進めていく。また、一般の方々の傍聴に加え、インターネット中継を実施したり、それから、国民の皆様からの意見もホームページ等に随時受け付けながら、それも委員の皆さんに全部公表しています。

 したがって、実は、夏をめどにつくらなきゃいけないんですが、今後の進行についても、具体的にいつ何をするかということを決めていません。委員の皆さんの議論の中から必然的に結論が見出されてくる、こういう形を、しかもオープンの場で進めていただこう、こういうことでやってまいります。

若泉委員 ありがとうございます。

 いろいろな委員から私はいろいろなお話を直接耳にしておりますのでちょっと申し上げましたが、枝野大臣のそのお考えで私は結構だと思います。よろしくお願い申し上げます。

 それで、時間がもう五分しかありませんので、お二人に聞きたいことがあるんだけれども、総理大臣にはどんなことがあっても聞かなきゃいかぬと思っていましたので。

 実は、原子炉を廃炉にした場合に、私は、廃炉になるであろう立地町村ともお会いしています、自治体の長とも会っています。いわゆる全然立地していない町長、市長とも会っています。お互いが、何しろ廃炉になっても助け合おうよ、若泉さん、これが廃炉になっても、そこの経済の活性化や雇用問題や、何とかそういったものが衰退しないように頼むよ、そのようなことを強く私は要望をいつも受けております。

 そういう中におきまして、原子炉を廃炉にした場合に、立地地域の雇用創出、経済活性化をどのように行うかという点はエネルギー政策を決める上で非常に重要である、このように思っております。そういう中で、原発立地地域の雇用創出、経済活性化という点をエネルギー政策全体と一体で議論するように望みたいと思います。

 そこで、生きている人の生活を考慮しない政策は机上の空論と言えますので、総理におかれましては、この野田政権の解決すべき一つの課題として原発だ、いろいろな大臣方の御意見やら、また地元の御意見をお聞きになっていらっしゃると思いますが、これは本当に、今やる、我々が政権与党として与えられた、宿命ではありませんが、すばらしい国の国家的な大計を立てる時期である、我々はこういうふうに思っております。

 いろいろな状況の中で、どちらの形の中ででもこの推進がうまくいくように、いわゆる再生可能エネルギーの導入、またはそういった廃炉したところの原発、また進行する原発、あらゆる全体を見てぜひともお考えをいただきたい。

 古川大臣にはまた今度御質問します。もう時間がありませんので、総理大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

野田内閣総理大臣 エネルギー政策の再構築をしていく際に大事な観点というのは、一つには、やはり経済、それから環境保護、あるいは安全保障等々、複眼的に見ていかなければいけないというふうに思いますが、その際には、若泉委員御指摘のとおり、地域経済への影響、雇用、暮らし、そういうものにも向き合いながら判断をしていかなければいけないというふうに思います。

 なお、現在、国民が安心できるエネルギーのベストミックス、構成についての議論をしておりますけれども、ことしの夏までにその新しい戦略と計画を取りまとめていく方向でございますが、その際には、今御指摘いただいた点なども含めながら、しっかりと検討させていただきたいというふうに思います。

若泉委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて若泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 冒頭に、実は通告はしていなかったんですが、豪雪について、ちょっと前田大臣とそれから総理のお考えをお伺いしたいと思います。

 この週末、私も地元を歩いておりました。函館も二十七年ぶりの大雪ということで、大変な状況でございました。きのうも函館空港で私が搭乗予定の飛行機が東京から空港におりられずに、二時間以上も足どめを食いまして、きょうの予算委員会に間に合わないんじゃないかなと思ったんですが、何とか間に合って、来ることができたわけであります。

 そこで、前田大臣、三点について簡単に考え方を聞きたいんです。

 まず一点は、先週の金曜日ですが、社会資本整備総合交付金、このうち留保分の百億を都道府県に対して除雪経費として交付を決定したということですが、まだ二十億以上留保しているというふうに思うんですが、この考え方はいかがか、これをどうするのかということ。

 それから、市町村道の除雪ですけれども、これは特例措置等を例年とっている部分があるわけですが、これはどう思っているかということ。

 それから三点目が、実はきのう、空港で待っていたら市民の方から声をかけられまして、逢坂さん、本当に雪が大変なんだけれども、特にひどいのは国道だ、直轄国道がひどい、何か開発に聞いたら国の予算がないと言っているんだけれども、こんなことでいいのかということを直接言われました。

 豪雪対策について、前田大臣はどのようにお考えか、簡単にお聞かせ願えればと思います。

前田国務大臣 引き続き、雪害に対しては大変な状況であります。私もこの週末、島根、鳥取の方に行ってまいりました。当日は多少緩んでおりましたけれども、随分と大変な状況であったということをお聞きしております。

 そこで、第一点のことでございますが、社会資本整備総合交付金については百一億円、まずお渡しをいたしました。御指摘のように、まだ多少とめ置いているのがありますので、さらに今後の状況を見て、適切にこれも交付していくつもりでございます。これは御承知のように、市町村道とかそういうところまでどういうふうに配賦されていくというのは、これからの問題でございます。

 二番目の御指摘の市町村道の除雪費に対する臨時の特例措置、これは国土交通省にある道路関係の予算をかき集めて、これも先週金曜日に調査するように指示を出したところでございまして、これもなるべくたくさんかき集めて、前回のケース、おととしだったでしょうか、たしか六十億円ぐらい出したと思いますが、そのぐらいのめどはつけたいと思っております。

 三番目の直轄国道については、これは国交省そのものの責任でございますから、最大限の今努力をしているところでございます。もちろん、直轄が持っている機材だとかそういったものもどんどん貸し出しもしておりますし、あるいは、リエゾンと称して専門家を自治体に派遣するということもしております。

逢坂委員 豪雪対策に対する総理の決意をお聞かせください。

野田内閣総理大臣 去る二日に大雪対策に関する関係閣僚会議を開催いたしまして、その際に、生活支援、復旧対策等に万全を期すように各閣僚に指示をさせていただきました。

 万全を期すということは、先ほどのやりとりにもありましたとおり、財政が支障になって除排雪等が進まないということがあってはならないということで、財政についても、特交を使うとか、さっき議論になっておりましたけれども、市町村道の除雪費補助等々、さまざまな措置をとりながら万全を期すということで御理解をいただきたいというふうに思います。

逢坂委員 ぜひ、予算がなくて除雪ができないということのないように、総理もよろしくお願いしたいと思います。

 加えて、川端大臣、特別交付税の配慮もぜひよろしくお願いしたいと思います。答弁はよろしいです。

 それから次に、田中防衛大臣にお伺いします。

 歯切れよく、簡潔に御答弁をいただきたいと思うのですが、まず最初に、在日米軍基地に対する田中大臣の考え方、基本的姿勢、今後どうするおつもりでいるのか、この一点、まずお聞かせください。

田中国務大臣 在日米軍基地についての御質問をいただきました。

 我が国に駐留する米軍のプレゼンスは、我が国を防衛するという米国の明確な意思を示しており、仮に他国が我が国に対する武力攻撃を企てた場合、相手国は自衛隊に加えて米軍と直接対決する事態を覚悟する必要が生じることになり、在日米軍基地の存在は我が国への侵略に対する抑止力になっております。

 また、不透明、不確実な要素が残るアジア太平洋地域において、在日米軍のプレゼンスは、不測の事態の発生に対する抑止力及び対処力としても機能をいたしており、地域の諸国に大きな安心をもたらし、この地域における公共財としての役割を果たしております。

 このように、在日米軍基地は日米安保体制の中核的な要素であるが、その一方で地域住民の生活環境に影響を与えることから、沖縄を初めとする各地域の実情に合った負担軽減努力を行っていくということでございますし、防衛大臣といたしまして、必要と考えまして、全力を挙げて努力をしてまいるところでございます。

逢坂委員 田中大臣、もう一点お伺いしたいんですけれども、田中大臣はお忘れかもしれませんが、実は、党の地域主権調査会で田中大臣に、当時まだ大臣ではございませんでしたけれども、そのとき非常に歯切れよく、その発言撤回しろと私に対して言ったのを御記憶かどうかわかりませんが、ぜひ、あの勢いで答弁をお願いしたいと思います。

 自衛隊と憲法の関係、これについてどのような御認識をお持ちか、お考えを述べていただければと思います。

田中国務大臣 自衛隊と憲法の関係について御質問をいただきました。

 憲法第九条は、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨のものではなく、自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められていると解しております。

 憲法第九条第二項は戦力の保持を禁止しているが、このことは、自衛のための必要最小限度の実力を保持することまで禁止する趣旨のものではなく、これを超える実力を保持することを禁止する趣旨のものであると解しております。

 我が国が自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第九条の禁止するところではなく、自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反するものではないということでございます。

 防衛大臣として、しっかりとやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

逢坂委員 田中大臣、いろいろと厳しいこともあろうかと思いますけれども、ぜひ、存分に力を発揮して頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、次に、国家財政について安住大臣にお伺いしたいんですが、今、国の一般会計、単年度収支、大体四十兆ぐらいそろばんが合っていないわけでありますけれども、もしこれを改善させるということのために国民の皆さんに御負担をお願いするとなれば、国民負担率は一体どの程度になるのか。そしてそれは、一気に国民の皆さんに御負担をお願いするということは現実的なことなのかどうか。このあたりについて御所見をお伺いします。

安住国務大臣 おはようございます。

 今御指摘のあった国民負担率ということですけれども、財政負担を含めて考える、いわゆる潜在的国民負担率で申し上げると、五一・二なんですね、我が国は。内容としては、租税負担率が二二・七、それから社会保障負担率が一七・一、財政赤字が一一・四、トータル五一・二。

 実は、先進国の中ではこれでも低い方でございまして、アメリカだけは日本よりは低いんですが、これは個人負担の制度が逆に行き渡っている国であるということからそういうことになっております。

 ですから、そういう点からいえば、これを改善するにはもう少し御負担というものはお願いをさせていただくということで、今回、消費税の問題、提案はさせていただきますけれども、しかし、御指摘のとおり、ではそれだけでいいのかといえば、総理が常々申し上げておりますように、歳出カット、行政改革をしっかりやる、これは立法府の皆さんにもお願いして議員歳費の問題もやっていく。もう一つがやはり経済成長をいかに図っていくか。この三つの道をやはりしっかりと目標を決めてやっていくことによって財政健全化というものを図っていかなければならないというふうに思っております。

逢坂委員 今大臣おっしゃられたとおり、今の単年度収支を黒字に持っていくために、その差額を全部国民の皆様に一気にお願いするというのは現実的だとは思われません。といいますのは、今四十兆そろばんが合っていないわけですが、今の国民の税負担全体が四十兆でありますから、その国民の税負担を倍にしなければ単年度で一気に黒字にならないわけですから、それは非現実的だというふうに思います。

 その上で、大臣がおっしゃったように、歳入をいかに確保するか、歳出をいかに適切なものにするか、それを支える経済のベースをいかに上げていくかということは非常に大事だと思うんですけれども、私はもう一点大事なことがあると思っています。

 それは、一千兆になろうとする、国、地方を合わせての借財、この信用度合いをどう確保するか。これがなければとんでもないことになるわけですね、金利が一%変わるだけで、あるいは金利が二%変わるだけで、税収の半分ぐらいが一気に吹っ飛ぶような格好になるわけですから。

 今後の日本の財政運営に当たって、特に財務大臣として心がけていかなきゃならないこと、この点、どうお考えになるか、御所見をお述べください。

安住国務大臣 我が国の財政は、平成二十四年度末で、国、地方の長期債務残高対GDP比は一九六%でございます。ですから、非常に厳しい状況ですね。毎年、ことしも百七十五兆円ほどの、借換債を含む国債発行をして、主に市中に消化をさせていただく。つまり、今御指摘があったように、金利が上昇すれば利払い費はそのままふえますので、いわば非常に大きな負担を生じることになるわけであります。

 国債の国内消化を支えてきたのは、言うまでもなく国民の貯蓄だと思いますが、これもやはり高齢化の中で、この貯蓄を取り崩しておられる国民の皆さん大変多うございますので、そういう意味では貯蓄残高も伸び悩んでおりますので、そこにもってきて、債務残高、つまり財政構造が、今御指摘がありましたように、四十兆を超える国債費で賄っている状況であるということをまずしっかり認識しなければならない。

 同時にそれは、市場の信認を失ったらば、極めて厳しい財政再建を逆に世界から求められると私は思うんですね。ですから、みずからの手で財政再建への道筋をしっかりつけていく。

 そのことは、ひいては、いわば基軸通貨の一つとも言える円の信頼を世界の中で保っていくということが世界経済にとって大きな要因になるのではないかと思いますので、市場の信頼を損なうことがないように、今回の社会保障と税の一体改革等も、これは財政再建にも非常に大きな第一歩になりますので、ぜひこれを実現して、確実に再建への道を進めていきたいというふうに思っております。

逢坂委員 安住大臣にはもう一点質問したいんですが、時間があれば後でまたしたいと思います。

 そこで、総理、ちょっとお手元に資料の三というのを用意させていただきました。これはフィシュキンという先生が書いた本でありますけれども、「人々の声が響き合うとき 熟議空間と民主主義」という本であります。この本の中で紹介されているおもしろい事例があるんですね。

 それは、アメリカにある一九七五年公共法、二十周年において廃止をするんだ、それで、世論調査をやって、アメリカ国民の皆さんにこの一九七五年公共法の廃止についてどう思うかと問うたんですね。そうしたら、アメリカの皆さん、これは残念だとかそれは仕方がないとかいろいろな答えが出たそうなんですが、実は、この一九七五年公共法というのはアメリカに存在しないんです。存在しない法律を世論調査で国民の皆さんに問うたのに、国民の皆さんは、あたかもその法律が存在するかのような答えを出している。世論調査にはこういう危うい側面があるということをこの本では指摘をしているわけです。

 私は、世論調査は大事なものだと思うんですけれども、総理、世論調査というのはどう位置づけるべきというふうにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 おもしろそうな本を御提起いただきまして、ありがとうございました。

 世論調査は、一つの国民世論のあらわれだと思いますので、基本的には真摯に受けとめるべきだろう、これは逢坂さんの御指摘のとおりだというふうに思います。

 一方で、そのことによって右往左往することもいけないだろうと思います。むしろ、世論をリードしていく、これは本当に国家国民のためだということならば、現状では厳しい世論であってもそれを説得していくということを覚悟しなければいけない場面も私はあるんだろうと思います。

 そういう世論の受けとめ方については、よく、それこそ今、表題に出ていましたが、熟議をしながら、受けとめながらも熟議をしながらどう向き合っていくかということが私たちの役割ではないのかというふうに思います。

逢坂委員 まさに総理のおっしゃるとおりでありまして、総理は説得という言葉を使われましたが、私は、政治において大事なのは、政治家が一方的に物を押しつけるということでもだめ、あるいは国民の声をただ聞いただけでそれをうのみにして全部やっていくというのもだめだと思っていまして、その間にあるもの、それは多分、お互いが学び合って高まっていく。政治において、政治家も国民も、知的レベルを上げるんだという目標を失ってしまったら、これは実はもう政治ではないというふうに思っていますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 与党になって、トップリーダーになって、実はつらいことは多いと思います。正しいことを言っているのに正しいとは世の中は言ってくれない、事実を言っているのに事実だと言ってくれない、あるいは、これはまだ計算途中でしっかり議論されているものではないから世に出す必要はないんだと言って、出せ出せと言われて出した途端に、議論が甘いではないかと言われて、一体何を考えているんだということで、私はなかなかトップリーダーというのはつらいというふうに思います。

 しかしながら、トップリーダーであればこそ、逆に、よかった、褒められるということもたくさんあると思うんですね。

 私も地元を歩いていて、今非常に厳しいです。しかしながら、その中でも、逢坂さん、診療報酬、随分配慮してくれてよかったなとか、高校の授業料の無償化、これは本当に退学する子もいなくなったぞ、よかったなとか、あるいは農業の戸別所得補償、最初いろいろ言っていたけれども、これをベースにしてちゃんとやってくれよとか、あるいは地方財政においても、三位一体改革ではあれほど痛めつけられたのに、民主党政権になって本当に風向きが変わった、地方の財政、一息ついたじゃないかというようなことで、与党は苦しい、厳しいけれども、褒められて喜ばれるということもあると思うんですけれども、総理、このあたりはどうお考えですか。

野田内閣総理大臣 マニフェストの中間検証を去年、当時の岡田幹事長のもとでやっていただきました。できていないこともあります。それは率直に認めなければなりません。

 でも、みんなで力を合わせて一生懸命取り組んで、成果を上げてきたものもあります。それはしっかりとお伝えしていかなければいけないだろうと思いますが、その中で、今、逢坂さん御指摘の例えば社会保障は、今までは毎年二千二百億削ってきた。その結果、医療崩壊とか介護難民とか生まれたわけです。その流れを変えようと、自然増一兆円を含めて認めるようにしました。そして、その結果、また一〇年度の診療報酬改定、これはネットプラス、実現をいたしました。そしてまた、一二年度も、診療・介護報酬同時改定で、在宅の医療と介護を充実させる方向性を出しました。

 というような取り組みをやってきた結果、医療分野では、救急、産科、小児科、外科等の医療の再建、病院勤務医の負担軽減が重点課題でございましたけれども、平成二十年から二十二年にかけて、産婦人科医も小児科医も増加をいたしました。救急医療で働く医師、看護職員の数も増加をいたしました。医師不足、偏在の解消に向けて着実に前進をしているというふうに思います。

 それから、もう一つ御指摘いただいた高校無償化でございますけれども、制度を導入した平成二十二年度の経済的理由による高校中退者数は前年度に比べて減ってきております。また、同様に、高校中退者の再入学は前年度に比べて増加をしてきております。また、低所得世帯の私立高校生等に対する経済的支援については、二百五十万未満程度の世帯について全額免除相当の支援を行う県が十三県から四十三県となるなど、多くの都道府県において高校無償化開始前より手厚くなってきている等々の一定の効果があると思います。

 農家の戸別所得補償制度の意義はもうここであえて申し上げませんけれども、二十三年度の実施状況を見ますと、加入者は約百二十二万件と、従来対策の、従来対策は経営所得安定対策でございますが、約八万件より大幅に増加をしており、昨年二月に実施したアンケート調査では、モデル対策に加入した農業者の四人に三人は制度を継続すべきとの回答がございました。

 地方財政、これについては、逢坂さんにもこれまで相当御尽力をいただいてまいりましたが、一括交付金の規模は、今年度の五千億円から八千億円に大幅に拡充するなどの取り組みを行い、そして、通常収支分の地方交付税総額については、政権交代前に編成された平成二十一年度当初予算の十五・八兆円と比べて、平成二十二年度について十六・九兆、平成二十三年度については十七・四兆、平成二十四年度については十七・五兆と、各年度の増加額の累計は四・三兆円となっているので、御指摘あったとおり、いわゆる三位一体改革で傷ついた地方の疲弊の立て直しは行いつつあるということは、これは間違いないというふうに思います。

 さらには、公務員制度抜本改革や出先機関廃止などを、今国会でぜひその法案を成立させていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 総理、ありがとうございます。

 与党としてあるいはトップリーダーとして厳しい声があるのは当然なんですよ。しかし、その中から、国民の皆さんはここは評価している、ここは喜んでいる、ここはまだまだだということを的確に捉えて、負けないで力強くやるというのは、これはトップリーダー、与党の役目だと私は思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 その上で、公務員制度改革担当大臣にお伺いしたいんですが、先般の一月二十六日の衆議院本会議の各党の代表質問を聞いていて、私は非常に違和感を受けました。それは、自民党の谷垣総裁が、公務員制度改革関連四法案に関連して、狂気の沙汰だという発言をしたんですね、狂気の沙汰だ。

 私はこれは理解できないんですよ。なぜか、今回の公務員制度改革関連四法案の出発点はどこにあるんだということですね。実は行政改革法にルーツがあるんじゃなかったかなというふうに思っていますし、二十年の六月に可決された公務員制度改革基本法の第四条の中に、二十三年の六月までに関連法も出すということが書かれていたわけではないか。

 このあたり、公務員制度改革担当大臣、この法律のルーツといいましょうか、根源をちょっと説明していただけますか。

岡田国務大臣 まさしく委員御指摘のように、国家公務員制度改革関連法案は、自公政権下において成立した国家公務員制度改革基本法において、政府は自律的労使関係制度を措置するために必要な法制上の措置を同法の施行後三年以内をめどとして講ずるものとされていることから、これを踏まえて、昨年六月に国会に提出したものでございます。

 今回の法案で措置する自律的労使関係制度のもとで、経済社会情勢の変化に対応し、民間の給与や国の財政状況も勘案しつつ、労使交渉を通じて人事給与制度の改革を進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 できるだけ早く法案を成立させていただきたいと考えています。

逢坂委員 したがいまして、自公政権時代、自分が政権を担っていたときに決めた法案のことを狂気の沙汰だと言うのは、自分が自分に対して狂気の沙汰だと言っているようなものでありますので、ぜひこの法案はしっかりと議論をして、成立に向かっていただきたいというふうに思います。

 次に、資料二を用意いたしました。これは、昨年の九月十五日の毎日新聞の朝刊に載った記事であります。東大の名誉教授の西尾勝先生が「政権交代で分権改革に成果 正当に評価すべきだ」という記事を書いてございます。義務づけ、枠づけの見直し、自公政権下で全くできなかったものを我々の政権になってやった。あるいは国、地方協議の場、これもしっかり成立をさせていただいて、今、有効に機能するような状況になっているわけですが、川端大臣、これはなぜこういうことになったのか。こういうことがうまくやれた根源といいましょうか、そこのあたりについてまた説明いただけますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 自治体の裁量権をできるだけ拡大して、地域住民にきめ細かく、ニーズに合った行政を行えるようにというのが、私たちの地域主権改革の一番の肝であります。地方にできるだけ分権を進めようという考え方自体は、ずっと自公政権のときからありました。ところがなかなか進まなかった。

 そういう中で、やはり、これはどういう仕組みで物事を決めていくのかということが一番大事だろうということで、総理をトップにして、関係閣僚の構成による地域主権戦略会議を司令塔とした仕組みをつくった。ここで大きな方向を決める。そして、そこの改革の推進に向けて具体的な指示を出しました。

 これを受けて、地域主権担当大臣の指示のもとに、逢坂委員もそのメンバーでございます、副大臣、政務官で、政務レベルで実は交渉をやった。事務方ではなくて政務でやったということで、それぞれの大臣がまた最終的にはそこの折衝の政治判断をするということで、総じて、個々の交渉、政策決定の場面での政治の指導力が、まさに政治主導で発揮されたことが大きく進んだ最大の要因だというふうに思っております。

逢坂委員 そうなんですね。国、地方協議の場法も、実は、かつてであれば各省協議を必ずやらなきゃだめだったんですが、それは各省協議をやらなかったんです。しかも、事務次官会議が廃止されていたものですから、各省が納得しなくても、これは閣法として提出できた。それがなければ、私、国、地方協議の場法なんというのは成立しなかったというふうに思っていますので、まさにこれは政治の力で実現したというふうに思っています。

 一方、この西尾先生の記事の中で、「「一括交付金」は分権改革派からみれば中途半端な改革手法であり、もろ手を挙げて賛成はできない。」というふうに書いているんですね。これは昨年の九月の時点ですから、まだこの一括交付金というものが世に出されて時間が余りたっていない。

 そこで、川端大臣にお伺いしたいんですけれども、現在の都道府県の評価はいかがですか。

川端国務大臣 これは、二十三年の十一月十一日から十八日、実際に使っていただいている途中まで来たときにアンケートいたしました。

 これは都道府県でございますが、約七割の団体から、この交付金は大いに評価する、あるいはある程度評価するというふうに回答をいただきました。中身的には、さらにもっと自由度をふやしてほしい、メニューもふやしてほしい、額もふやしてほしい、こういう御要望でありました。前向きに評価いただき、御要望があるということを踏まえて、来年度予算は、額をふやし、メニューをふやし、そして政令市にも拡大するということに取り組んでいるところでございます。

逢坂委員 そうなんですね。実際使ってみると、最初はいろいろ心配がありましたけれども、随分評価する、だから予算をふやしてほしい、自由度を高めてほしい、拡充してほしいというのが地方の声なんですね。

 この一括交付金の導入に当たっては、中井委員長にも昨年の委員会で随分お世話になりました。それから、当時の中川筆頭にも随分御心配いただいて、逢坂さん、本当に大丈夫かと言われたんですけれども、実際やってみれば評価が高まっているということでありますから、自信を持ってこれは拡充していくべきだと私は思います。ただ、各省の抵抗は厳しいと思います。だけれども、これは自信を持ってやれば評価は上がるというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、総理、現在いろいろな地域から、地域の自治の形をこうしたいというような思いが随分たくさん寄せられるようになりました。例えば新潟から、新潟州のようなものをやりたいとか、あるいは政令指定都市からは、特別自治市のようなものをやりたい、私たちの自治の形はこうであるというような主張が、地域から随分出てくるようになったんですね。あるいは、大阪都構想なんかもそのとおりであります。

 しかし、今、これらのことについて、何となく政治の方がちょっと右往左往しているというか、何かそういうものに寄り添って、迎合するような姿勢が見えるんですが、私は民主党政権はこのことについて非常に明確な腹を持っているというふうに思っています。

 お手元の資料一をごらんください。これは、二年前の六月二十二日に閣議決定をした地域主権戦略大綱であります。この二ページ目の上の方を見ていただきたいんですが、(2)のところです。「国のかたちについては、国と地方が対等なパートナーシップの関係にあることを踏まえ、国が一方的に決めて地方に押し付けるのではなく、地域の自主的判断を尊重しながら、国と地方が協働してつくっていく。」ということを閣議決定しているんですよ。

 ということは、地域からいろいろな声が出てきて、それに慌てて迎合するとかしないとかということではなくて、この方針に基づいて政府は毅然とした対応をしていくべきだと私は思うんですが、総理の考えをお聞かせください。

野田内閣総理大臣 地域主権を進めていくこと、これはこの国の形を変えていくということでありますが、それは私どもは、逢坂さんもずっとこの大綱づくりにかかわって、腹を据えてやってきたつもりです。その一環で、一括交付金、さっき議論がございました、それから出先機関の廃止に向けての取り組み、それから既にやっている義務づけ、枠づけ、実績は十分にあると思うんです。

 それを踏まえて、ここに書いてあるとおり、いろいろな構想が地域から出てきていますが、さっき御議論があった、法定化した国と地方の協議の場、あるいは地域主権戦略会議にも、地方の代表者の方、有識者も集まっていただいています。そういう場を通じてしっかり受けとめて、そして我々も、どんどんそこに意見交換をさせていきながら、地域主権を前進させていくということを覚悟を持ってやっていくということを改めてお誓い申し上げたいと思います。

逢坂委員 最後に一言だけ、枝野大臣。

 大間にありますJパワーの大間原発、あれは世界初のフルMOXの発電所なんですが、これについて、私の地元函館、ここではもう相当な反対、凍結の声があるということだけを申し伝えて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

中井委員長 これにて逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 まず、安住財務大臣に確認をさせていただきます。

 先週の予算委員会、西村康稔議員の予算委員会で、安住大臣は軽々に為替市場への介入レベルについて答弁をしております。七十五・六三円の時点で、私としては、これは介入をしないと日本経済にとって大きな危機的な状況が及ぶということで介入を指示しました、七十八円二十銭のところでやめました。

 この事実確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

安住国務大臣 吉野先生、その当時ここにおられたかどうかわかりませんけれども、あのときは、為替の話は質問の中で、介入直前のレート、それから為替介入の終了時点のレートを西村議員みずからお示しになりまして、私にその資料をお示しになりました。それで、その数字を紹介したので、私はオウム返しでそれを示しただけでございます。決して介入水準を申し上げたわけではございません。

 私は常々申し上げておりますけれども、過度な変動や投機的な行き過ぎた行動に対しては断固たる措置をとると言っておりますので、それは委員、西村先生のお示しになったボードを確認していただければ私の数字と符合すると思いますので、ぜひそう思っていただければと思います。

吉野委員 質問に乗せられた、余りにも素人です。今までの財務大臣、大蔵大臣が為替介入のレベルについて言及したことはありません。防衛大臣も素人です。金融大臣も素人です。

 野田総理、どこが最善最強の内閣なんですか。

野田内閣総理大臣 今の財務大臣の答弁は、一定の相場観、水準を述べたものではなくて、パネルを見ながら、それを見ながら言ったということであって、私はそのまま額面どおり受けていただきたいと思います。決して一定の相場観で介入をしているわけではありませんし、無秩序な動きとか過度な変動に対する対応だというふうに理解をいただきたいと思います。

 そのほかの大臣についても言及がございましたけれども、それぞれ、私はこれまでの政治的な経験、蓄積を踏まえて人材を選びました。しっかりと緊張感を持って、使命感を持って職責を果たしていただきたいと考えております。

吉野委員 質問に移ります。

 平野大臣、きのうは福島県いわき市にお越しいただきました。そして楢葉の町長とじっくりと懇談をしていただきました。本当にありがとうございます。

 細野大臣、本当に時間を見つけては福島県に来ていただいております。みんな、大臣の誠意を感じております。特に、中間貯蔵施設を双葉郡内に置かせてくれと言ったあのときに、これだけ苦しみを双葉郡民の皆様方に与えていて、そして、さらに中間貯蔵施設をお願いする、おわびの言葉が見つからない。

 私は、本当に平野大臣の誠意を感じました。これからも、その誠意を持って、被災者に寄り添って、被災者の目線でこの原発事故に対応してほしいと思います。

 もう一つ、前の予算委員会で、私、常磐高速道路の開通をお願いしました。早速取り組んでいただきました。放射線に汚染されていないところは、すぐに着工していただきました。また、放射線に汚染されているところは、きちんと除染のモデル事業も入れていただきました。何としてもこの常磐道を開通させて、そして、復興の基幹道になるわけでありますから、ぜひともお願いをしたいと思います。御礼を申し上げます。

 さて、保安院長、きのう、二号機の温度が八十二度になったと報道されました。温度計は、二十度プラスマイナスがあります。ですから、冷温停止状態がもう崩壊した、そういうことになろうかと思うんですけれども、保安院長の考え方はいかがなんでしょうか。

深野政府参考人 お答えいたします。

 温度上昇の件については、大変御心配をおかけしております。申しわけございません。

 これにつきまして、私どもとしては、今の原子炉の状況を総合的に判断することが必要だというふうに考えております。

 そして、今回、八十度を超える記録が出ました温度計というのは、比較的下部にある、一つの温度計でございます。それ以外の温度計につきましては、注水量をふやす等の対応によりまして、現在、温度も下がってきているところでございます。

 また、これに伴って、例えば臨界のようなことが発生していないかということにつきましても、ガスのサンプルをとりまして分析をしているところでございまして、そういった兆候もないということでございます。

 したがいまして、全体としては、依然として原子炉につきましては安定的に管理されている、そういうふうに私どもとしては考えております。

細野国務大臣 御心配をおかけしていますことについては、私からもおわびを申し上げたいというふうに思います。

 今、全体の評価を保安院長の方から答弁がありました。私の判断ということで申し上げると、楽観論に立つのは、これはやめたいと思っています。というのは、事故直後に、必ずしもシビアな状況を想定せずに楽観論に立った時期がありましたので、やはりそれは戒めるべきだろうと思っております。

 計器の動きが若干理解しにくい動きにはなっておりますが、温度が上がっているということを真摯にしっかりと分析した上で、水をふやすなどの措置をしておりますけれども、他にどういう方法があり得るのかということについて、今、専門家を集めて、衆知を集めて対応しているところでございます。

 保安院長が言いましたとおり、現段階で冷温停止状態ということについて判断を変える必要はないというふうに考えておりますが、現在、あらゆる可能性を含めて、対応について検討しているということでございます。

吉野委員 冷やす水を今ふやしているということです。

 この間、原発サイトに行ってお話を聞いてきたときには、冷やす水の量を調整している、それは、地下水位と今たまっている水の水位と、地下水位を超えて上がると地下水の方に汚染水が行ってしまうから、調整をして今入れているんだ、こういうことを聞いてまいりました。

 今、どんどん水を入れていることで地下水位をオーバーしているのかどうか、保安院長、いかがでしょうか。

深野政府参考人 今御指摘をいただきましたように、地下水に汚染水が流れ出さないように、これは非常に重要なことでございまして、地下に滞留をしております汚染水と地下水のレベルを比べて地下水のレベルが汚染水のレベルよりも高い状態になる、地下水が中に流れ込むような状況に管理する、そういうことでこれまで管理をしているところでございます。

 今回、水をふやしたというのは、これはまだふやしてからそれほど間もたっておりませんし、一方で、地下に貯留しております汚染水のレベルというのが、これはレベルが上がっていかないように監視をしてございますので、今現在では、それが地下水のレベルを超えてしまったということは承知をしておりませんが、いずれにしても、これは十分注意をして見ていく必要があるというふうに考えております。

吉野委員 ぜひ注意をして見てほしいと思います。

 私は、昨年の暮れ、双葉地方広域消防本部を訪れました。今、広域消防は川内村に本部を置いております。そして、分遣所、これは楢葉町に置いております。

 こういう資料が消防本部から出されています。これは私が読むとSOSなんです。こう書かれています。「現在、二十キロメートル圏内の警戒区域では、田畑等の草が伸び放題で荒野と化し、冬場を迎え乾燥した季節風ともに、通常より可燃性の高い可燃物としての危険性が危惧されている。荒野は徐々に密集市街地へと連続し一旦火災が発生すれば、気象状況によっては消防本部の消防力を遥かに超えた大規模災害へと発展することが予想される。」ここまで言っております。まさにSOSです。

 私も、もう二年くらい前です、常磐高速道路で浪江町の出初め式に参りました。ものすごい風です。高速道路を怖くておりてしまいました。もう私の運転では走ることのできないくらいの強風です。その風でトラックが横転しました。トラックが横転するくらい強い風が山から海に吹くんです。そして、この消防本部のSOSです。

 田んぼに行けば普通は防火帯になるんです。今の田んぼは、背丈ほどもある枯れ草です。三・一一の、その時点です。水道は全く使えません。よって、消火栓はゼロです。防火用水も、そこに行く道路が壊れていますので、なかなか、今消防本部は使える防火用水をチェックしていますが、道路の補修もままならない、こういう状況の中であります。

 そして、広域消防は、今百二十五人の定員なんです。ことしの三月末で、定年退職三名、そして若い方四名、七名やめます。もう既に三名やめています。発災以来、一年間で十人やめているんです。では、やめた十名の補充を消防本部でしているか。しておりません。採用ゼロです。百十五名しかいないんです。常備消防が少ない形で、このSOS、これを賄っていかなきゃならないんです。

 資料の一と二を見てください。これは二月十日のグーグルマップです。消防本部の方々の話を聞くと、先ほど私が読み上げましたように、自分たちの守るべき町、ある意味でここまでなんです。そして、保安院の火災対策室、ここに聞きますと、自分たちの守るべきサイトの中だけなんです。鳥の目がなかったんです。鳥の目がなくて、このグーグルマップのように鳥の目で見れば、町が燃えれば、ここは大火事になるんです。

 私は、炎の津波、炎の竜巻、こう呼びたいと思います。炎の津波が第一原発、第二原発に押し寄せたならば、私が怖くて怖くて高速道路をおりざるを得ないようなあの大風が吹いたときに火が出て第一原発を襲ったときどうなるのか、この視点がございません。

 消防庁長官、専門家として、火が出て大火になるまでの時間、いわゆる初期消火をするための時間はどのくらいなんでしょうか。

久保政府参考人 恐縮でございますけれども、一般論として申し上げさせていただきますと、私ども、消防力の整備指針というのを消防組織法に基づいてつくっておりまして、その中で消防署の配置基準、設置基準がございます。この中に使っております基礎的なデータとして、消防隊の放水は出動から六・五分以内に行う、これが望ましいんだという前提でできております。ただ、これは出動ですから、出火してからはもっと時間はかかると思いますけれども、いずれにしても、この基準のもとになる今のお話は、市街地において隣の建物に延焼するまでの時間、このことを想定して言っております。

 したがって、さらに延焼して大火となっていくという場合には、いろいろな条件があろうと思います。延焼していく場所が市街地なのか、あるいは森林なのか、あるいは草原なのか、あるいはまた火勢の強さ、特にこれは今委員が御指摘されました風速の強さとかあるいは湿度といった気象条件、さらには消防力がどの程度のものかといったことによって、大火になる規模といいますか時間といいますか、そういったものが決まってきますので、一概にこうだと言うのはなかなか難しいと思います。

吉野委員 長官、双葉広域消防本部は十二月の時点で要望を出しています。線量が高いから、被曝を防ぐ意味でも、二十四時間の監視カメラをつけてほしい。そして、消火栓がだめだから川からとるしかない、消防車を中継してつないでいくしかない、そのためには川からとる大型の水中ポンプが必要だ。一台千四百万もするそうです。これも要求している。水中ポンプが、中継がつくまでは時間がかかります。だから、水タンクをしょって、水タンク車と一緒になって初期消火する。十トンの水タンク五台が必要だ。そして、防火用水では足りないので、地上設置型の防火水槽、十トンから二十トンクラスの防火水槽も必要だ、こう要望しています。もう一つは、ほかの町の広域消防本部といわゆる連携、応援隊もつくりたい、こう言っています。

 この要望に対して、消防庁としてはどういう対応をしているんですか。

久保政府参考人 委員御指摘のような事項、これは私ども、双葉広域消防とは緊密な連携をとって、何回も打ち合わせをしたり、また私自身も吉田消防長からお話をお伺いしております。

 そこで、これまで私ども決定をしていることを申し上げますと、監視カメラは五カ所に設置をする、そして、今お話がございました高性能の水中ポンプを導入する、こういったことにつきましては、一次補正で私ども交付金というのを、十分の十ですけれども、措置しておりますので、これを使うということで措置をすることにしております。

 それからまた、遠距離大量送水システムというのがございますし、あるいはまたお話にございました大型水槽車、これにつきましては、ほかの消防本部に私どもあっせんをしまして、遠距離大量送水システム、これは大阪市消防局が譲渡をするということで話を進めております。また、大型水槽車、これは二台でございますけれども、一台は静岡県の富士市消防、そしてもう一台は愛知県の新城市消防から譲渡をするといった方向で調整をしております。

 また、そのほかにつきましても、できるだけのことをしようというふうに今考えております。

吉野委員 今は二月ですよ、十二月からもう二カ月。一次補正ですよ。ついているんですか、まだついていないんですか。対応します、対応します、でも、現実にきょう火事になったらどうするんですか。ついているんですか、ついていないんですか。

久保政府参考人 監視カメラと高性能の水中ポンプにつきましては、入札をしまして仮契約が済んでいるというふうにお聞きをしております。そしてまた、他の消防本部から応援をしてもらう、あっせんをして譲渡してもらうということにつきましては、これはもう早急にできるように今話をしております。

吉野委員 私は、正直、毎日お祈りをしているんです、火事が起こらないように。なのに、今大阪にあるんだったら、トラックを走らせればいいでしょう。なぜそれができないのか。何でなんだか本当にわからないです、私は。

 そして、今の双葉広域消防の要望だけで、炎の津波を防ぐことができますか、専門家として。

久保政府参考人 福島県の全消防本部から成ります広域応援隊というのがございまして、この活動方針に、昨年の十一月十五日に、警戒区域内において大規模火災が発生した場合も協力をするんだということを含めた改定を行っております。

 私どもは、こうした応援体制の強化ということにつきましては、引き続きそういったことを積極的に構築していくということをしたいと思っております。

中井委員長 吉野先生、済みません、質問の最中。広域消防本部というのはどこにありますか。

吉野委員 そこはございません。そこは原発から二十キロ離れた、一番近いところで楢葉分遣隊というところ。

中井委員長 消防本部は写っていないの、ここに。

吉野委員 消防本部は、今、川内村という、山に移っています。

中井委員長 ああ、そう。

吉野委員 総理、今お話を聞いたように、専門家として、火災が発生して、隣の家に移るまでに五、六分です。今一番近い楢葉分遣隊、二十キロ離れているんです。そういう中で、もし万が一火が出たらどうするんですか。総理、御意見を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、特に警戒区域、人が出ていってしまっている状況でございますので、火が出た場合の対応というのは、昨年の、特に乾燥が強くなる秋以降、大変心配をしている状況でございまして、これは現地対策本部、柳澤本部長を中心にして、今の消防庁、現地の消防本部、それから万が一の事態に備えて自衛隊の皆さん、そしていろいろな警戒をしている警察の皆さんとの連絡調整と対応は、この間、進めてきているところでございまして、昨年の十二月二十七日には、警戒区域での大規模火災を想定した防災訓練を実施したところでございます。

 さらに、サイト内から出火することのないようにということの対応についても、改めて、過日、東京電力に対する火災対策の強化を指示したところでございます。

 今のやりとりを伺いますと、せっかく監視カメラ等の予算がついているのに、入札等の手続の結果としてまだついていないということがわかりましたので、こうしたことはやはり緊急性が重要ですので、法律上どこまでそういったものを飛ばせるのかは別としても、最大限、いろいろな手続よりも緊急性を優先するべく、現地災害対策本部の方から関係部局に要望したり、あるいは調整をしたり、急いで進めさせたいと思っております。

吉野委員 総理は、施政方針演説でこういう言葉を使っています、「もう、想定外という言葉を言いわけにすることは許されません。」

 これは想定しておりましたか、枝野大臣。

枝野国務大臣 まさに警戒区域、人がいなくなって、消防の皆さんも近くにはいらっしゃらないという状況の中で、特に乾燥した秋から冬にかけて大規模火災ということについて心配をしておりまして、それについては、昨年の秋以来、順次対応してきております。

 ただ、今のやりとり、繰り返しますが、例えば、せっかく監視カメラの予算はついているのに、まだついていないというようなことについては、さらに督促をしたいと思っております。

吉野委員 総理、私が言ってからいろいろ対応しているんです。想定していないんです。その責任をどうとるおつもりですか。想定外という言葉を言いわけに使うことは許さない、許さないんですよ。保安院長、首にする、どういう処分をするんですか。消防庁長官、これは、消防本部と保安院のいわゆるオフサイトセンターにいる火災対策官が密接にお話し合いをしていないんです。(枝野国務大臣「やっています」と呼ぶ)やっていません。

 私は、二月の六日に、楢葉の所長に聞いてきました。オフサイトセンターにいる火災対策専門官とお話がしたい、こう言われたんです、楢葉の分遣所の所長に。何をやっているんですか。総理、お答えください。

野田内閣総理大臣 想定外という言いわけはしてはいけないということは申し上げました。基本的にはそのとおりであります。

 なお、今御指摘いただいている件について、想定していなかったということはございません。基本的には、警戒区域における林野等の火災については十分注意しなければいけないという問題意識は、政府として持ってまいりました。当然、委員からの御指摘なども含めて、具体的な対応でおくれているところはあるかもしれませんが、問題意識がなかったということはございません。

 その上で、必要なことというのは、まず、しっかり警戒して予防することであります。高いところからカメラで監視するとか、ヘリコプターで注意をするとかという警戒体制、予防体制をしっかり構築するということと、加えて何かあったときの対応であって、それは先ほど消防庁の長官からも答弁があったとおり、広域で対応する体制をつくるということ、それから、やはり大型水槽車、これはまだ届いていないということでありましたが、問題意識はあります。そういう具体的なことをきちっとやっていく。

 スピード感を持ってやらなければいけないということは御指摘のとおりでございますので、それを踏まえて対応していきたいというふうに思います。

吉野委員 総理、わかっていない。火が出てからでは遅過ぎるんです。火が出て、二十キロも離れたところ、またそれ以上も遠くから応援団が幾ら来たって間に合わないんです。私はそこを言っているんです。炎の竜巻、炎の津波。

 ですから、例えば自衛隊を二十キロの中に水槽車と一緒に配置するとか、防火帯を、二百メーター四方、二百メーターの幅でつくるとか、こういうことが必要なんです。遅過ぎるんです。やってください、総理。

枝野国務大臣 現地で、周辺部で火災が出た場合ということについては本当に早い段階から我々は心配をしておりまして、ですから、今、具体的なことはともかくとして、自衛隊の皆さんとも、現地の対策本部長のもとで現地の消防本部や自衛隊の皆さん、警察の皆さん含めて、この間、そうした場合の対応をどうするかということの御相談をさせていただいています。消防本部の皆さんとしていますから、個別の分署長の皆さんとはしていないかもしれませんが、そうした現場の、現地からのニーズと状況と、そして、例えば自衛隊の皆さんにどういった場合何が頼めるのかということを含めて、調整はしております。

 さらに、御指摘もいただいていますので、それについて、改めて私からも具体的な中身も含めて確認をいたします。

吉野委員 もう今起こっちゃうかもしれないんです。強風が吹くんです。山から海なんです。このことをぜひ頭に入れて、総理、絶対に冷温停止状態、ステップ2だけは守ってください。これを守れないと、除染、帰還、帰村、全てがストップしてしまうんです。約束してください。

野田内閣総理大臣 昨年の十二月十六日に冷温停止状態に到達したことは、まさに私の口から言明させていただきました。基本的にはその状況に変化はないというふうに思っていますし、今御指摘いただいた留意しなければならない点については、しっかり留意していきたいというふうに思います。

吉野委員 次に、きのう双葉町の仮設に入っている方々たちとじっくりお話をしてきました。双葉郡は、帰れるところと帰れないところ、二分されてしまいます。双葉は一つなりというのが合い言葉であります。でも、中身は、帰れるところと帰れないところ。

 帰宅困難な方々、地域への支援策について質問をしたいと思います。

 政府は、五十ミリシーベルト以上はなかなか難しい、ある意味でこの地域は帰れないよともう宣言しているようなものです。でも、正式にはまだしておりません。早く示してほしい。三月末なんというふうに私は聞いていますけれども、それでは遅過ぎる。早く言ってほしい。そして、厳しいことでも本当のことを言ってくれ、こういう声です。いつそういう指示を出すんでしょうか。

平野(達)国務大臣 警戒区域の見直し、四月上旬を目標に、今、政府内でさまざまな観点から議論しております。

 委員御承知のように、警戒区域の見直しは、基本的に放射線量でこれをやろうということで今考えております。今のところ、五十ミリシーベルト以上については、長期帰宅困難区域というような考え方でこれは線を引かざるを得ないのかなということになっておりますが、その後、大事なことは、線引き、そういった区分けをした場合に、例えば長期に帰宅困難になった場合に、どういう支援をしなくちゃならないのか。これはもう賠償ということが基本になります。賠償といったときに、ただ単に補償すればいいということではなくて、例えば住宅をどうするか、こういったこともきっちり提示していかなければならないというふうに思っています。

 そのものにつきましては、例えば賠償については、今、賠償の審査機構の方でさまざまな議論をしていただいておりますし、私どもも、被災者の立場に立って、どういう観点で賠償ということを考えるかという視座を考えながら、文部科学省の担当者の方には、こういう観点で議論をしてもらいたい、そういう要望もしております。時期的には、できるだけ早くということを思っております。

 そして、まず大事なことは、避難者の方々に直接お話をする前に、関係自治体の首長さんともしっかりこれはすり合わせをしなくちゃならないというふうに思っております。その上で、それをやった上で、避難者の方々に、賠償をどうするか、その後の住宅の対策をどうするか、こういったことはセットで提示していくことが大事だというふうに思っています。

 あわせて、今の火災の問題でありますけれども、そうやって帰宅困難区域と指定した後のその地域はどのように管理していくかということも大きな問題だというふうに思っておりまして、火災ということもその中では私の想定の中にも入っておりました。たまたま私も、去年の秋に警戒区域に入ったときに、田んぼにセイタカアワダチソウが物すごい密度で生えていました。これに火がついたらということは、私でも想像がつきました。そういった観点で、その地域の管理をどうするかということもあわせて考えていかなくちゃならないと思います。

 委員の先ほどの趣旨は、長期の話じゃなくて足元の問題だというふうに質問でございましたけれども、こういった管理ということもセットで考えていかなくちゃならないということも申し添えさせていただきたいと思います。

吉野委員 四月に、帰れる地域、帰れない地域を言う、そして支援策も言う。ちょっと遅いです。帰れない区域の指定と同時に、やはり支援策、こういう形にしますよという、そこも一緒に示さないと、避難している方々は物すごく不安なんです。

 今大臣、賠償が大事だと言いました。賠償というのは、ゼロからマイナスに落ち込んじゃった分をゼロに戻すだけなんです。一〇〇%賠償を受けたって、ゼロなんです。一〇〇%の賠償なんてあり得ません。ゼロからどう双葉町の方、大熊町の方々を支援していくか、この方策は示すんですか。

平野(達)国務大臣 例えば二十ミリシーベルト以下の区域に指定されたところでも、これから細野大臣が先頭に立って、除染計画をつくりながら、しっかり除染をしてまいります。

 除染をするということが基本なんですが、いつ帰れるかということについては、例えば帰宅準備区域というふうに指定されたとしても、すぐ帰れるわけではございません。ですから、私どもは、除染のスケジュールを明らかにする、そして、その間の帰宅できるまでの期間どのように支援するか、こういったこともセットで出さなくちゃならないというふうに思っています。

 それから、町全体としてどのような復興をしていくかということ、これも非常に大事な点でございます。今のままでいきますと、町が分断されるというところも残念ながら出てきかねない状況であります。こういう中で、その町全体としてどのような復興をしていくか。その前段としては、まず、どの地域にどれだけの方が戻っていただけるか、これを決めていくことが大事だと思います。あわせて、要するにインフラの復旧計画もつくっていかなければなりません。

 こういったことの積み重ねの上で、地域全体としての、双葉町なら双葉町、大熊町なら大熊町、あるいは楢葉町なら楢葉町の復興計画を、国と県とその自治体と三者一体になりまして共同でつくっていこう、そういうことを今考えております。

吉野委員 大臣、今私は、双葉町、ある意味で帰れない地域の話をしているんです。帰れる地域はこれからお話しします。帰れない地域の方々がどう自分の町のアイデンティティーを保つか、我々政治の世界に生きる者としては、ここが一番大事なんです。

 きのうの双葉町の方々とのお話の中で、いろいろな意見が出ました。私よりもまだ若いお母さんですけれども、年ごろの娘がいる、もう娘は結婚しない、嫁にも行けない、私はおばあちゃんになれない、こんな話も出ました。これが現実なんです。この現実をきちんと示して、双葉町は当分帰れませんよ、賠償でもゼロですよ、ゼロからゼロの上の世界の支援策をどうしていくか、ここまで政府で示してもらわないとだめなんです。

 賠償します。賠償は個人なんです。個人に十分なる賠償をしてもゼロですよ。だから、個人で新天地を見つけなさい、個人の責任で見つけなさい、こう言われたってだめなんです。ゼロからどう上の世界を支援していくか。例えば、新しい双葉町をどこかにつくるのか。具体的にちょっと示してください。

平野(達)国務大臣 大変大事な指摘をいただいていると思います。

 私は、まず、避難者の方々がこれからどのように考えておられるのか、どういう不安を持っているのか、こういったことをきっちり捉えることが大事だというふうに思っておりますが、まずは私どもは、賠償というものをどういう考え方で補償することができるのか、これを示すことが大事だと思っています。もちろん、ゼロから、今まであったものを補償するというだけではなくて、これからの生活再建をしていただかなくちゃなりませんので、そのことも考えた上での賠償の指針を示すということが大事だというふうに思っています。

 その上で、今度は、地域としてどうしていくかということについては、各避難者によってさまざまな考え方が今あるだろうと思っています。ある避難者の方々は、今避難先で職を見つけて、戻りたいけれども、もうあそこには戻れない、だからこの場所で暮らしたいという方もおられます。それから、何としても、どんな状況になってでも、国に何としても除染をやってもらって、絶対帰りたいという方もおられます。そういった方々の一人一人の考え方をまずきっちり酌み取ることが大事だと思います。

 その酌み取るためには何が大事かといいますと、国として、東電として、どういう責任、賠償というのを果たすことができるのか、それから、その後も、もし戻らないというふうな場合にどういう支援ができるのか、支援しなければならないのか、こういったものをパッケージとしてきっちり打ち立てて説明することが大事だと思います。ただ単に、帰りますか、帰りませんかというアンケートなら今でもできますけれども、その賠償の考え方をどうするか。そして、繰り返しになりますけれども、避難先で、別なところで、移転した場合にはどういう生活をやるのか、こういったことも意向を把握することが大事だと思っております。

 残念ながら、こういったことについては、冷温停止ということがきっかけとなりまして、そこからの議論となってしまいました。正直申し上げまして、議論が多少おくれているという点は否めないと思います。

 しかし、今、体制もつくりまして、こういった各論につきまして、きっちりとした内部での議論をして、そしてまた東電さんともしっかりすり合わせをして、先ほど申しましたように、まず、関係自治体の首長さんとの考え方をしっかり調整したいと思います。そしてその上で、県と関係自治体と国、国が前面に出ながら、避難者の方々に対してきっちりとした説明をして、それで意向を伺う。

 結果として、地域としてコミュニティーをつくりたいという方が結構いると思います。では、その方々をどこの住宅で、集合住宅にするのか、個人住宅にするのか、そういったことについては、そこから、避難者の方々とコミュニケーションを図りながら計画をつくっていく、こういうことになると思います。

 時間は、そんなに長い時間許されないと思っています。急がないかぬと思っています。今私は、各省の関係者に、尻をたたきながら、これはもう残された時間の猶予は少ないということで一生懸命詰めさせているということだけは、ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

吉野委員 今、賠償についてお話がありました。抽象的でわかりません。

 私たちが望んでいるのは、賠償といっても、二十年もたった家、この価値のない家の値段で賠償にするのか、でなきゃ、新しく家を建てる金額、これを賠償にするのか。やはり、新天地に移るわけですから、新しく家が建つ、家は土地が求められる、この金額が賠償価格でなければならないと私は思うんですけれども、その辺のところをはっきりと言ってください。

枝野国務大臣 これはちょっと言葉の問題かなというふうに思うんですが、いわゆる損害賠償として補償の対象になるのは、まさに相当因果関係のある範囲で、その失われた財産がどれぐらいであったのか、受けた損害がどれぐらいあったのか、吉野先生の御指摘の言い方ですと、まさにゼロに戻すのが、これがいわゆる賠償であります。

 ただ、今回の、特に、帰れないと思われる地域の皆さんに対しては、ではそれだけで済むのかというお話があるのは、これは当然のことでありますので、これは、まさに東電がやるのか国が直接やるのか、そこはいろいろと平野大臣のところで御調整いただいていますが、まさに国も積極的に後押しをした原子力政策の結果として、長期に帰れないという地域の皆さんに対しては、ゼロに戻す賠償ということがまずどれぐらいになるのかということを踏まえた上で、しっかりとした支援をするということについて具体的に検討しているということでございますので、そこは御理解をいただければというふうに思います。

吉野委員 検討の時期じゃないでしょう。新しく土地と家が求められる金額を払うのは、これは当たり前の話だと思うんです、平野大臣。

平野(達)国務大臣 賠償という問題と生活再建という問題は、これは本来セットになるべきですけれども、大事なことは、まず賠償の考え方は賠償の考え方で提示をさせていただく、その上で、先ほど申し上げましたけれども、新しい場所で生活するためにはどれだけの費用がかかるか、その費用負担をどうするか、これはこれでまた議論させていただくということになると思います。

 いずれにせよ、大事なことは、これだけの大きな事故、国の責任もございます。新しい場所で生活をしていただくならいただくなりの、きっちりとした対応をしなくちゃならない。その考え方だけはしっかり持ちながら、被災者の方々の立場に立ちながらこの対策を考えていくということだというふうに思っております。

吉野委員 次に、帰宅できる地域について質問したいと思います。

 広野、川内、これは去年の九月に解除をされました。もうかなりの日数がたっています。でも、今帰っている方々は数百人です。川内村は、三月に帰村する宣言を出しました。でも、帰る方、帰らない方、さまざまです。どうして帰れないのか。いろいろ平野大臣も先ほど答弁がありましたように、インフラ整備がだめだ、学校がだめだ、病院もない。その中で、一番大事なのはやはり仕事の場なんです、稼ぐ場。飯を食う場所がなければ、幾らきれいに環境が戻っても、やはり戻れないんです。

 この仕事の場をどう確保するかなんですけれども、ここは農村地帯なんです。農村地帯であって、では食料生産の農業というと、今現在なかなか厳しいです。二十三年度産米、新米です、JA福島の倉庫に八七%残っているんです。まだ売れないんです。一ベクレルでも入っていなくても、売れないんです。これが現実です。

 双葉郡内で、農業をやらないでほかの仕事についてくださいと言っても、これは無理なんです。じいちゃん、ばあちゃんはやはり農業なんです。ですから、食料生産の農業からエネルギー生産の農業へどう変えていくか。米から米焼酎をつくります。エタノールをつくるんです。エタノールをつくって、エタノール発電、電気に切りかえます。放射能があっても、電気は売れます。

 だから、米を食料と同じ値段で国が買う、心配するな、買う、こういうことを言ってくれれば、あしたにでも、帰った農家の方々は、同じ仕事をして、農地も守れる、そして生物多様性も守れる。同じ普通の仕事をして、帰ることができるんです。

 この考え方、いかがでしょうか。

鹿野国務大臣 今先生から御指摘のとおりに、とにかく今日の状況を考えたときに、具体的な提案があったわけでありますけれども、この点につきましては、飯舘村の村長さんも、一つの考え方としてというふうなことも申されたことがございました。

 そういう中で、今、来年度の作付をどうするかというふうなことも話し合いをいたしているところでございますので、米以外の農作物についてどういうふうな方向を持って今後やっていくかということも含めて、県なりあるいは関係市町村と相談をしながら検討してまいりたいと思っております。

平野(達)国務大臣 川内村、帰村宣言しまして、まだなかなか帰ってこられない。いろいろな理由がありますけれども、委員の御指摘のとおり、やはり雇用というのは非常に大きいと思います。特に、川内村の二割ぐらいの方々が富岡町、大熊町に職を持っていまして、御案内のとおり、そこは今住めない状態になっているということであります。

 この雇用の問題をどうするかということについては、大変難しい問題がございますけれども、きのう、たまたま、いわき市にお邪魔しまして、工業団地を見てきましたら、中小企業庁が中心になって、大熊町にあった企業が仮設の工場等々を建てていました。まずはこういったものから、なりわいというか、もとのあった産業をまず復活させるということが基本だというふうに思います。

 そしてまた大事なことは、戻って農業をやるということも大事でありまして、この場合には、先ほど鹿野大臣がおっしゃったとおりでありますけれども、農業をやるためにどういうことが必要なのか、水の確保、それからあと除染、こういったことについてもあわせてしっかり検討していきたいというふうに思っています。

吉野委員 賠償するから何にもしないで黙って暮らしていろというのは、拷問に等しいんです。人間はやはり汗を流して働いて、そして飯を稼ぐ、これが人間の基本的な姿なんです。飯は食わせるから仕事するな、作付するな、こんなことはずっと続く政策ではないんです。

 ですから、先ほど私が申しましたように、食料生産の農業はなかなか難しいんです。一ベクレルでも入っていなくても、なかなか売るのに困難なんです。だったら、電気にかえたらいいんじゃないですか。その分、米を高く買えばいいでしょうよ。FIT、固定価格買い取り制度ができたでしょう。福島県でエタノール発電だけはきちんと高く買うよ、この制度を一項目入れればいいわけでしょう。

 枝野大臣、どうですか。

枝野国務大臣 御指摘の、お金だけもらってもだめなんだ、働いてということが本当に大事なんだということ、まさに御指摘のとおりだと思います。そして、まさに、農業をされていた方がやはり農業で働きたいという気持ち、これをしっかりと受けとめなければならないというふうに思っています。その場合のやり方の一つのアイデアとして、今御指摘の発電にかえるということは、大変貴重な御提言だというふうに思っています。

 きょういただいた御提言でございますので、これは制度的にどういう困難があるのか等、農林水産省ともきちっと御相談しなきゃいけませんし、また、買い取る枠組み、仕組みのつくり方というのも要るかと思いますので、きょうのところは、しっかりと受けとめさせていただいて、検討させていただくというお答えでお許しいただければと思います。

吉野委員 しっかりと実現できるように、大臣、お願いしたいと思います。

 そして、働く場の確保なんですけれども、やはり双葉郡内では、放射能があっても売れるもの、こういう視点から産業を、仕事場を見つけることが私は必要だと思います。例えばコールセンター、今、一〇四も全部沖縄県に行っているようですけれども、たくさんの雇用を生みます。これも、双葉郡内、帰れる地域にコールセンターを持ってくれば、幾ら放射能があっても仕事になるわけです。

 そのほかに、私はもう一つあるんですけれども、ちょっと平野大臣、放射能があっても売れるものは何なのか、何か気がついたところがあったら教えてください。

平野(達)国務大臣 例えば、コールセンターの一環でもありますけれども、在宅就労、こういったことも一つの大きな手段だというふうに思っています。

吉野委員 もう一つは、コンピューターソフトなんです。いわゆる知的財産、これは放射能があっても売れるはずです。

 私の友達がコンピューターでコンピューターソフトをつくってしまうという自動化システムを開発したんですけれども、これだと、今海外に行っているコンピューターソフトをまた双葉郡内に持ってくることができるんじゃないか、こんな思いを持っていますので、ぜひこの辺のところも検討をしてほしいと思います。

 次に、子供の医療費無料化であります。

 総理、総理は、三回福島県に来ていただきました。そして福島県の実情をきちんと肌で理解していただいたと思います。

 最後に来たのが、一月八日です。福島県知事からいろいろな要請を受けたと思います。その中の一つが、十八歳以下の子供たちの医療費無料化でございます。この提案、提言を受けたときに、総理は知事に返答しています。このときの総理の気持ちはどうだったんでしょうか。どういうふうに知事の真剣な要望、要請を受けとめたんでしょうか。

野田内閣総理大臣 一月に福島をお訪ねした際に、佐藤雄平知事からさまざまな御要望がありました中で、特にこの十八歳以下の医療費の無料化については強い要請という受けとめ方をさせていただきました。それを踏まえて、持ち帰って政府内で検討をさせていただいたということでございます。

 結果的には御案内のとおりでございますが、そのときの知事の御要望は、優先順位の中では大変高いレベルにあった御要望だったと受けとめております。

吉野委員 総理が帰られて、次の日の新聞、福島民報、民友、地元紙ですけれども、そのことが載っていました。総理の知事に対する返事が出ていたんですけれども、私は、ああ、これはできるなと思ったんです。このくらい野田総理は知事の要望を真剣に受けとめてくれた、これは国がきちんと医療費無料化をやるということで、私は新聞を読んだときにそう受けとめたんです。でも、結果は違ったんですね。

 そして、赤澤議員も予算委員会で質問をしていただきました。平野大臣の答弁を読ませていただきました。ダイレクトな放射線の影響だけじゃないんです。それよりももっともっと大きないろいろなストレス、不安、これがあるんです。だから、六万人も県外に今避難しているんです。この不安をどう取り除くか。

 低線量、長期被曝、ここが大丈夫だと言う学者と、いや、ここも心配しなくてはならないと言う学者と、二つに分かれているんです。わからない、ブラックボックスなんです。ここのところに安心を与えるためにも、いろいろなストレスから子供たちを守るためにも、毎日お医者さんにかかる。ハクションといったらお医者さんにかかる、歯が痛いと言ったらお医者さんにかかって、お医者さんに健康管理をしてもらう、これが大事なんです。ここが一番大事なんです。

 なぜ国はこの福島県の要望を認めなかったんでしょうか。簡潔にお願いします。

中井委員長 小宮山洋子厚労大臣。(吉野委員「もう答弁、わかっていますので」と呼ぶ)いや、もう指名しました。

小宮山国務大臣 短くお答えいたしますが、今おっしゃいましたように、私の方にも御要望いただいて、これは本当に関係大臣、関係閣僚、真剣に検討いたしました。

 ただ、今の医療費の制度というのは、病気になったときの負担を公平に分かち合うということで、今県外に出ていらっしゃるお子さんにも安心して育つ環境をつくるとか、そういうこととはちょっと趣旨が違いますので、今回は福島県が基金でされるということなので、その基金が枯渇することがないように、福島県としっかり連携をとりながらやっていきたいと思っております。

 また、安心こども基金で、子供の遊び場とか相談とか、できる事業はしてまいりますので、そういうことで御理解いただければと思います。

吉野委員 総理、今厚労大臣が、福島県に基金をつくってそこからやるからいいんだ、こういう答弁があったんです。これは赤澤先生にもそういう答弁をしたんです。とんでもないことなんです。

 福島県が原発に協力してきて、そしてこれだけの被災を浴びて、その福島県が第一番目に要望している子供たちの医療費無料化を、知恵も出さないで、こうこうこういうわけでだめです。役人の、断る理由を見つけるだけです。逆なんです。こうこうこういう知恵を出せば医療費無料化ができますよと何で言えないんですか。情けないですよ。総理、答えてください。

野田内閣総理大臣 十八歳以下の医療費無料化をストレートに実現することはできませんでした。これは国の医療制度の根幹にかかわるということで、御要望は真剣に受けとめましたけれども、ストレートにはできませんでした。

 ただし、県として基金を使って活用したいという御要請があった中では、これはお互いに知恵を出した結果だということで、これは御理解をいただきたいというふうに思います。

吉野委員 知恵を出しました。福島県独自で出発します。でも、基金は限りあるものなんです。安く見積もっても四、五年でなくなっちゃうんです。

 ですから、予算措置ではなくて、法律をつくって、恒久的に福島県に健康基金、これを入れるんだということをつくってください。そこまで約束しないと知恵を出したことにならないと思います。総理、お願いします。

野田内閣総理大臣 まず基金の中で対応されるというその状況をフォローアップしながら、引き続き全力で支えていきたいというふうに思います。

吉野委員 それではお金が続かないんです。そのときの内閣の予算措置でころころ変わっちゃうんです。こんな制度に私たちは納得できません。

 だから、福島県がやる子供たちの医療費無料化に対しては、法律をもってきちんと財源は入れるんだというところを約束してください。

枝野国務大臣 実態として、福島の、特にお子さんやお子さんをお持ちの親御さんたちが大変な御心配をされている、これに政府として何とか対応したいし、また、福島から若い皆さんを中心として人口流出がとまらない、これに対して何とか対応したいということについては、総理も福島でおっしゃられたとおり、我々としても共有しているところでございます。

 ただ、医療費を国が直接制度として福島県に限って無料化するということについて、しかも中長期にわたってするということを国が直接コミットする場合には、今後、例えば除染などが進んでいけば他県からどんどん福島県に移住をしてきていただくことを促していかなきゃなりません。そのための企業立地もやっていきます。逆に、福島の皆さんで、いろいろな事情で福島から離れていく方もこれからもいらっしゃるわけです。そのときに、では、なぜ福島県だけが国から直接医療費無料化なのかということの理屈は、正直言ってなかなか難しい。

 そうしたことの中で、まさに知恵を絞って、東京電力が出捐した金などもあって、今回は基金をうまく使っていただくことによって実態としての無料化を進めることができるということで、今回の制度は関係大臣が相談をいたしましてつくりました。

 そして、今後についても、まさに今申し上げた、なかなか理屈で説明しにくい範囲の中でぎりぎり政府としての姿勢を示させていただいているというところでございまして、福島の皆さんの御要望には実態的にお応えできるように、今後も責任を持って進めてまいりたいと思います。

吉野委員 小宮山大臣は、基金が足りなかったら基金を入れる、こうおっしゃいました。この問題については、また後日、私も国が責任を持ってできるまで質問をしていきたいと思いますので、きょうはここで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて吉野君の質疑は終了いたしました。

 次に、下村博文君。

下村委員 自民党の下村博文です。

 まず、野田総理にお伺いいたします。

 きのう、宜野湾市長選挙の結果が出ました。我が党自民党、そして公明党、新党改革推薦候補者が当選をしました。今まで、二〇一〇年の参議院選挙、一〇年の知事選挙、そして今回、民主党は、候補者を推薦、誰も擁立できないということで、今回も不戦敗。自主投票ということで、民主党の一部の議員が落選した候補陣営の出陣式に出たという話は聞きましたが、これは、野田総理の言われる決断する政治といいながら、この沖縄問題について全く民主党が対応していない、逃げている、こういうことだというふうに思うんですね。

 特に、国家の安全保障にも直結する重要な選挙で、そして民主党が政党として決断できない、これはまさに政党としての、民主党としての責任を放棄している、無責任な、そういう対応としか思えないわけでございますが、この市長選挙について、野田総理としてはどうお考えになっていますか。

野田内閣総理大臣 今回の宜野湾市長選挙の結果は、一番直近の宜野湾市における民意のあらわれとして厳粛に受けとめたいというふうに思っておりますが、いずれにしても、政府の立場は、普天間の固定化を避けるために、日米合意を踏まえて、沖縄の負担軽減を図りながら、沖縄の皆様の御理解を得るように努力をしていきたいというふうに思います。

下村委員 政府、そして民主党として、この沖縄問題については、鳩山元総理、大変な汚点を残したわけでありまして、一つ一つのこのような選挙を通じて、民主党が沖縄の方々に対して誠心誠意その時々きちっと説明をしながらお願いしていくということが選挙でもありまして、これを放棄するということは、まさに国政を託せる政党でない、こういうことを冒頭申し上げたいと思います。

 それから、二月の九日に予算委員会、これは、我が党の稲田委員の皇室のあり方に対する質問について、野田総理がお答えになりました。このことについて、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 神武天皇から今上陛下に至るまで百二十五代、その間一つの例外もなく男系男子で継承されているわけであります。このことが、万世一系、天皇をいただく意味の最も根本的なところでありまして、九日の答弁で野田総理は、「憲法二条、それから皇室典範の一条でこれは男系というふうに明記をしています。 古来、ずっと長くそういう形で続いてきたことの歴史的な重みというものをしっかり受けとめながら、」こういうふうに答弁をされているわけでありますが、その答弁、再確認をさせていただきます。それでよろしいわけですね。

野田内閣総理大臣 委員の御指摘のとおりでございまして、憲法では二条で、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とあります。皇室典範の第一条では、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と規定をされています。長い伝統的なその重みも受けとめなければいけないということも申し添えさせていただきました。

 それを踏まえながらも、そういう前提がありながらも、まさに天皇、皇后両陛下の公務の御負担をできるだけ減らすという意味においても、女性宮家の問題については御議論いただきたい、そういう思いの中で答弁をさせていただきました。

下村委員 今、野田総理にお答えいただきましたが、確かに皇室典範第一条で、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」こういうふうに規定されているわけです。そして、憲法第二条において、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」というふうにあるわけです。この皇位の継承の解釈は男系による世襲を意味する、そういうふうに説明をされたというふうに思います。

 ところが、平成十七年、小泉内閣の皇室典範に関する有識者会議では、世襲は、憲法で言っている世襲ですね、これは男系及び女系の両方を含むとの新しい解釈が示されたんですね。これは従来の政府見解とも、そして野田総理の言われた歴史的事実とも異なるものであるわけでございます。

 野田総理の九日の発言というのは、この有識者会議の新しい解釈ではなく、本来の男系による世襲を意味するということでよろしいわけですね。

野田内閣総理大臣 私の考え方は、さっき申し上げたとおり、この長い伝統を重く受けとめなければいけないという立場でございまして、今回の議論は皇位継承のあり方そのものを議論するのではないということを明確に申し上げたという意味で、先ほど、女性宮家の問題に絞って御議論いただきたいということで答弁をさせていただきました。

下村委員 総理、ごまかさないでください。私は総理の考え方とこのことについては共通をしております。ですから、事実確認をきちっと示していただきたいんですね。

 男系男子ということについてが継承であるということを、私も今まで、あるいは大方の学者は、そういうふうに捉えているというふうに思います。ところが、繰り返すようですけれども、平成十七年の皇室典範に関する有識者会議、そこで、新しい解釈として、憲法で言っている世襲は男系及び女系の両方を含むという新しい解釈が示されたんですよ。これは訂正される、つまり本来の男系男子ということでよろしいわけですね。

野田内閣総理大臣 平成十七年の有識者会議のその解釈が内閣法制局の解釈を踏まえてやったのかどうかはちょっとわかりませんが、それは法制局で確認をいただきたいと思います。

下村委員 では、法制局、答えてください。

山本政府特別補佐人 お答えいたします。

 憲法二条は皇位が世襲であることのみを定めておりまして、それ以外の皇位継承にかかわることについては、全て法律たる皇室典範の定めるところによるということでございます。

 したがいまして、これをどう考えるかですけれども、憲法だけを見ますと、皇位は、男系、女系にかかわらず、あるいは男性、女性の別にかかわらずこれを継承するというふうに見えるのですけれども、それを皇室典範においては男系だけに限っているという結論でございます。

下村委員 いや、全然説明になっていないですよ。もう明確に、平成十七年の有識者会議、この解釈が私は間違いだと思うんですよ。

 野田総理がもともと九日の日に答弁で答えられたように、これは男系男子、世襲というのは男系男子と皇室典範の中でも明確に書かれているわけですね。憲法においても、これは繰り返すようですけれども、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とあって、そして皇室典範の第一条で、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」そういうふうに述べて規定しているわけですから。これは、平成十七年の有識者会議で、男系も女系も両方を含むという解釈がそこで急に出てきたんですね。その解釈そのものが間違いだ。本来の、それまでは男系が継承するということでずっと解釈されてきたんですよ。

 九日の総理の答弁はそういうふうに私はとりましたが、そういうことでよろしいんですね。

野田内閣総理大臣 解釈論は今の法制局での説明なんだろうと思います。平成十七年はまさに政府・与党はそちらのお立場だったので、そちらでどういう形で御議論されたかというのはよく詳細は承知していませんが、私は、長い間まさに男系で皇位が継承されてきた、その伝統を重く受けとめるということを明確に申し上げさせていただいております。

下村委員 ですから、そういうことでいいんですよ。一々法制局云々と言うよりは、総理がそういうふうにお答えになったことが私もそのとおりだというふうに思います。

 ですから、繰り返すようですけれども、憲法二条の世襲というのも、本来、総理が解釈されたとおり、男系男子という意味での世襲ということで、そのとおりに解釈されるのがそれまでの解釈の仕方ですから、それが適切だと思いますが、よろしいですね。

野田内閣総理大臣 憲法解釈を私がこう思うから云々と断定はできませんけれども、解釈論は法制局でやっていただくとして……(下村委員「いや、総理の考えを聞いている」と呼ぶ)私の考えはさっき申し上げたとおりであります。何回も言っているとおりであります。

下村委員 私もその解釈、総理の解釈、説明、答弁、共感いたします。

 その上で、質問いたします。

 女性宮家の問題というのは皇位継承の問題ではない、そういうふうに答えられていますし、そのとおりだというふうに思います。

 確かに、皇室典範第十二条に、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。」とあります。現在八方おられる未婚の女性皇族が、もし将来、全員御結婚され皇族の身分を離れられた場合、次世代の皇族が秋篠宮家の悠仁親王殿下お一人になってしまいかねない、こういうことから女性宮家創設問題が出てきたということだというふうに思います。

 しかし、女性宮家の問題というのは、今回、皇位継承と切り離して議論をするということでありますけれども、それを先送りしても、将来必ず皇位継承の問題に結びつくことであるというふうに思うんですね。つまり、仮に女性の皇族が一般の民間人男性と御結婚され宮家を創設した場合、将来的にその子供の皇位継承権を与えるか否かの問題が必ず出てきます。その場合、今までの男系男子が終わることを意味するということでもあるわけです。

 ですから、この女性宮家の問題というのは極めてデリケートな問題であって、将来そういう問題が出てくる可能性の中で、野田総理としてはどうお考えになりますか。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、デリケートなんです。デリケートな問題であって、本当は、皇位継承を議論、これまでも過去に小泉内閣にありましたけれども、そういうことを含めた議論が必要なんでしょうけれども、ただ、やはり皇室活動の安定性を確保するというのは私は緊急を要する状況になってきていると思います。

 したがって、女性宮家の問題をそこから切り離しながら早急に結論を出していただければ、早急にといってもこれは拙速な議論じゃなくて国民各層の御意見もお伺いしながらでございますが、そういう形で切り離して結論を出していきたいというのが私の思いでございます。

下村委員 幾つかの民間団体から既に提案がされております。

 その中の一つとして、女性皇族が御結婚され皇族の身分を離れられても、かつてのように女王としての尊称をお持ちになって、そして経済的にも支援をして皇室活動を引き続きしていただいたらどうかという考え方が一つあります。

 それからもう一つは、皇位継承を安定的に維持するために、GHQの占領下で強制的に皇籍離脱を余儀なくされた旧十一宮家、これは男系男子なわけですけれども、この旧十一宮家、何人かの独身の方々に養子という形で宮家に入っていただいて皇族の身分を取得する方法もある、こういう考え方も提案されているというところもあります。

 いずれにしても、将来に重大な禍根を残す女性宮家創設、それをしなくてもいろいろな形で対応できる方法もあるということについて、野田総理としてよくこれについては理解をしていただきながら進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 委員御指摘のようないろいろな御提案がだんだん出てきつつあることもよく承知をしております。

 今月から有識者中心にヒアリングを行っていきますが、国民各層の、そういう今議員の御指摘の点なども含めて御提起をいただきながら、結論を出していきたいというふうに思います。

下村委員 特に今、天皇陛下は非常に御健康を危惧する部分がありまして、それに対しての一日も早い、御回復が速やかであることをお祈りしながら、これについて、皇室の安定的な位置づけについてぜひ考えていただきたい、拙速をしないようにしていただきたいということをあわせてお願いしたいと思います。

 さて、サイバーテロ対策についてお聞きをしたいと思います。

 先日、私の知人から、私のホームページを開いているときに、突然勝手に無料のウイルスバスターのお試し告知というようなものが出てきまして、イエス・オア・ノーの画面が出てきた、そして、そのイエスを押した途端に感染してしまって、パソコンが機能しなくなってしまった、こういう連絡があったんですね。

 私のホームページの管理人に調べてもらったり、あるいは衆議院のシステム管理室に調べてもらっても、わからない。これはもう、日々、イタチごっこのような状況で変わってしまっているということで、全くどんなウイルスかもよくわからない、こういう状況でした。

 同じようなことが安倍晋三元総理の事務所でも起きたそうでありまして、専門家に調べてもらったら、新型のウイルスで、十二月末ごろにできたものらしいということがわかった。形跡が全て消されていて、しかも、日本からトンガ経由で来たというかなり悪質なウイルスだったということがわかりました。

 参議院において、西田昌司事務所では、ホームページ内にあるユーチューブの画像がロシアのアダルトビデオにすりかえられたということも起きたんですね。

 特定の対象として攻撃されており、しかも、ブログの一部が書きかえられている、こういう可能性もありまして、今回のウイルスは時限的なもので、現在のところは私の事務所も安倍事務所も特に問題がありませんが、しかし、十二分な対応をしていく必要があるというふうに思います。

 これは、衆参、我々の事務所だけでなく、政府もサイバー攻撃を受けているというふうに聞いておりますが、政府のその実態について簡単に、これは参考人で結構ですから、説明していただけますか。

占部政府参考人 今、政府機関に対するサイバー攻撃の状況についてお尋ねでございますけれども、我が国の政府機関に対するサイバー攻撃というのは例えば三つぐらいございまして、不審なメールを送ってきて、その中にウイルスが仕掛けられている、これは標的型攻撃というふうに申し上げますけれども、それから、不正アクセスということで、ウエブページが改ざんされてしまうというのがございます。それから、DDoS攻撃といって、いろいろなところから一斉にウエブサイトにアクセスをしてとめてしまうというような攻撃がございます。

 こういうものに対しまして、私どもで大きく言って二本立ての対策をしてございまして、一つは、とにかく攻撃に対して強いシステムをつくるというのが一つでございます。もう一個は、それでも何か事が起こったときには迅速に対応するということで、対策を講じているというところでございます。

松原国務大臣 今、下村委員から御指摘がありました国会議員のウエブサイトの改ざんは、被害を受けた国会議員の政治活動の妨害であり、重大な問題であるというふうに認識をいたしております。私も国会議員の一人として、こういったことに関しては厳しく対処をするべきだというふうに考えております。

 一般に、ウエブサイトが不正に改ざんされた旨の被害申し出があった場合は、警察として捜査を行うとともに、被害者に対して復旧方法等の助言をいたしております。また、解明した犯罪手口を踏まえ、関係機関と連携し、未然防止の対策に努めてまいります。

 以上です。

下村委員 アメリカでも、このサイバーテロ、サイバー攻撃に対して、今、新たな軍事的なテロでもあるということで対応をするということであります。

 日本政府においても、情報セキュリティー政策を含め、しっかりとしたサイバーテロ対策が必要だというふうに思いますし、ある意味ではコンピューターにミサイルを撃ち込まれているような、それと同じようなことが、いろいろな省庁、我々の事務所も含めてですけれども、同じようなことなわけです。

 これについては、国家的な犯罪として、今国会で立法措置でもきちっと早目に対応していくという確たる政府の対応を国内外に表明する、早目に対応するということが求められるというふうに思いますが、野田総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 下村委員御指摘のとおり、いわゆるサイバー攻撃というものは、国の安全保障、危機管理にかかわる根幹の問題だというふうに思います。

 今御指摘があったとおり、ちょっと今不在でありますけれども、官房長官を議長としまして、情報セキュリティ政策会議を開催して、有識者の御意見などを取り入れるなどの取り組みを今しておりますが、法的整備に関しては、昨年、刑法にいわゆるウイルス作成、供用罪を新設いたしまして、さらに、政府では、今国会で不正アクセス禁止法の改正案の提出を予定しているところでございます。

下村委員 このことについては、あす、我が党の平井議員が引き続きお聞きすることになっております。

 次に、高校授業料無償化についてお聞きしたいというふうに思います。

 お手元に昨年八月九日の三党合意、これを改めてちょっと確認させていただきたいと思いますが、この高校授業料無償化については、「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」こととなっている。「平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」こういうふうに書かれているわけですね。

 しかし、高校授業料無償化の見直し作業は実際は行われておりません。平成二十四年度予算編成にも全く反映されておりません。我が党に対しても公明党に対しても、この三党合意を受けて、民主党から何ら誠意ある行動がありません。

 我が党としては、再三再四これについては要請をしたにもかかわらずナシのつぶてで、平成二十四年度の予算案が出てきて、きょうに至っている、こういう状況であります。

 一方で、税と社会保障の問題等、与野党協議を働きかけているにもかかわらず、自分たちに不都合なことは、約束をしているにもかかわらず、何の誠意の一かけらも見せない。これはとんでもないことであるというふうに思います。

 これについて、この確認書、当時の幹事長、岡田副総理、署名しているわけですね。これは岡田当時幹事長がみずから署名しているわけです。今政府に入っているわけです。どう考えられますか。

岡田国務大臣 この三党合意、確かに私が、石原幹事長、井上幹事長と協議をしてまとめたものでございます。

 この三党協議の中で言っておりますのは、高校無償化について、「平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」というものでございます。したがって、見直しをするかどうかは、それは検証次第ということではございます。

 しかし、検証するということは三党間で合意している。その検証がどのようになされたのか、私、役職を離れておりましたので十分承知する立場にはございませんが、三党間でしっかりと検証をしていただくというふうに期待をしているところでございます。

下村委員 与党の幹部として、そして政府の副総理として、そんな答弁で許されますか。

 一のところの「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」ということと、さらにその下に、「平成二十三年度第三次補正予算ならびに平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」これは、三次補正でも、あるいは今回の二十四年度予算編成プロセスに当たっても全く対処していないんですね。これはどう責任をとりますか。

岡田国務大臣 このことについて各党間でどういう状況だったのかというのは、私、把握しておりませんので、これ以上ちょっと申し上げることは控えたいと思います。

下村委員 しかし、当時の岡田幹事長が責任を持ってサインしたわけですから、サインをしたということは、その後についても今も責任あるお立場なわけですから、幹事長ではありませんけれども、政府の副総理なわけですから、ほかの自民党、公明党に対して誠意を持って対応するということについては、責任ある立場として、やろうと思ったらやれることなわけですよ。それが、もう幹事長でなくなったからそんなことは私の関知することではありませんみたいな答弁では、答弁になりませんよ。

岡田国務大臣 この年末は、私、副総理でもなかったわけですが、それは三党間でよく話し合っていただくことだと私は思います。各幹事長間なり政調会長間の中で誠実に話し合っていただくことだと思います。

下村委員 そういう言い方が無責任でしょう、話し合っていただくと。先ほども申し上げましたように、我が党も民主党の方に、この三党合意については、これに合わせて、平成二十四年度の予算プロセスに当たって見直し協議ということをぜひ行いたいと要請しているにもかかわらずナシのつぶてだということを冒頭申し上げましたね。

 我々、要請しているんですよ。応えていないのは民主党だけなんですよ。三党の話じゃないんですよ。民主党の話なんですよ。

岡田国務大臣 ですから、自民党と民主党の間でどういうやりとりがあったのかということは、私、承知しておりませんので、委員は申し入れをしたというふうに言われましたが、私、その事実を承知しておりませんので、これ以上コメントはしかねます。

下村委員 いや、それはないでしょう。三党合意というのは、自民党から申し入れをしたから、じゃ応えるという話じゃなくて、民主党自身も、岡田当時幹事長も、この二十四年度予算の編成プロセスなどに当たって誠実に対処することを確認すると。

 誠実に対処するのはあなた方でしょう。あなた方が誠実に対処するということが求められているんじゃないですか。それを対処していないでしょうということを言っているんですよ。どうですか。

岡田国務大臣 三党合意に書かれたことは、それは当然どちらも誠実に対処されるべきことでございます。実際にそれがなされたかどうかは、私は把握をしておりません。

下村委員 あなた、この確認書に自分でサインしているんでしょう。この確認書にサインしていることについては、誠実に履行する義務があるんじゃないですか。次の幹事長に申し送りするなり、あるいは、今政府にいるわけですから、二十四年度の予算プロセスについては責任あるお立場のお一人でしょう。責任あるお立場なんだから、それについて全くしていないと今答弁しているようなものじゃないですか。

 この三党合意そのものは、その場限りのことだったんですか。そんな無責任なことが許されるんですか。

岡田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私は、各党間で合意したものは誠実に守られるべきだというふうに思っております。

 ただ、それが、どちらに問題があったのかとかどういう状況だったのかということを私把握しておりませんので、それは各党間でよく話し合っていただくことだと思います。

中井委員長 下村君、質問してください。下村君、質問を続けてください。

 次の質問に移ってください、確認に行かせますから。党へ確認に行かせますから、次の質問に移ってください。

 それは、きちっと御通告いただいているというのだったら、誰か答えるんでしょうが。

下村委員 いや、通告していますよ。

中井委員長 そこまでは通告していないですから。

下村委員 していますよ、通告。

中井委員長 いやいや、中身は、これはここに書いてあるだけで、通告はきちっと、そこまでの通告はなされていません。

下村委員 通告しています。

中井委員長 今の話はわかりましたし、幾つもまだ質問事項がありますから、どうぞ質問をお続けください。

下村委員 これは、委員長、通告していますから。

中井委員長 いや、それは、この文書で通告をいただいているんですよ。

下村委員 いやいや、この内容について質問することを通告していますから。

 そして、今の話は、私は……

中井委員長 それは、答弁は誰がすることになっているの。

下村委員 岡田副総理ですよ。

中井委員長 岡田君、そこまで聞いているの。(岡田国務大臣「聞いていますよ」と呼ぶ)

 岡田君。

岡田国務大臣 これは各党間で御議論いただくことであって、私がこの場で申し上げることではないと思います。

下村委員 各党間ではなくて、自民党は何回も申し入れをしているけれども、民主党が応えていない。応えていないという中で、これは民主党だけの問題でなく、平成二十四年度予算の編成プロセスなどに当たって誠実に対処する、これは政府の立場でも同じなわけでしょう、政府・民主党として。これについてやっていますかと聞いているわけですよ。

岡田国務大臣 ですから、予算の編成過程は、私は政府に入っておりませんので、これ以上のことを私申し上げる立場にはございません。幹事長でもございません。

中井委員長 下村君、どうぞ続けてください。

下村委員 幹事長として当時確認書にサインをしていて、そして今政府の副総理に入っている人が、そんな無責任な答弁でいいんですか。

 確認書について、だって、誠実に対処するのは、それはあなたの役目でしょう。今のような答弁というのは、全く自分はもう関知していないから、そんなの関係ないと。そんなことが許されるんですか。

岡田国務大臣 三党合意の中身は誠実に、それは双方履行されるべきであるということは申し上げました。そして、その三党合意の中身は、当然引き継がれているものだというふうに考えております。

下村委員 いや、民主党がやっていないから、そして政府がそれに対して対応していないから、きょうの質問をしているんですよ。双方とかいう問題じゃないんですよ。

 では、野田総理にお聞きしますけれども、二十四年度予算編成プロセスなどに当たり誠実に対処すること、これは確認していると。これは公党間の約束事ですよね。これを、我々は、守っていない、今回の政府の予算編成の中にはこれが取り入れられていないと思っていますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 三党合意では、高校の授業料の無償化とそして農家の戸別所得補償、これについては、「平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」となっておりました。

 残念ながら、三党間の協議が予算編成の段階までに進んでこなかったということによって、結果的には、この高校授業料無償化については、受験や新学期に間に合うように政府の責任において予算対応しなければいけないし、受験生や保護者の方にとっても御期待をいただいている、そういう思いから予算措置をさせていただいたというふうに承知をしております。

中井委員長 ちょっと待ってください。

 岡田さんに、委員長が尋ねることではないですが、二十四年以降というのは、二十四年の予算を実施して検証するという意味ですか。どういう意味ですか。

岡田国務大臣 三党合意の中身は、「平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」それからもう一つ、なお書きのところで、「これらを含めた歳出の見直しについて、平成二十三年度における歳出の削減を前提に、平成二十三年度第三次補正予算ならびに平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」ということでございます。

 もちろん、ここに書かれたことは、見直しを必ずするということは書いてないんですね。つまり、検証をするということを書いてあるわけです。「検証をもとに、必要な見直しを検討する。」ということであります。

 ですから、私は検証は当然なされるべきだというふうに考えておりますが、それは各党間でどういう議論があったのか、私は承知しておりませんので、これ以上のことは申し上げられません。

下村委員 今の岡田副総理の答弁と先ほどの野田総理の答弁は、全く無責任ですよ。

 「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」それから「平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」これは三党間協議でしょう。ですから、二十四年度の予算編成に当たって、政策効果の検証に基づきながら、二十四年度の予算で高校無償化についてどうするかということについては、当然、三党協議があってしかるべきなわけですよ。それが確認書なんですよ。

 それについて何回も我々は、この確認書にのっとってぜひ協議をしたいと申し上げたにもかかわらず、一度も民主党がそれに応じず、協議をしないで今日に至っているんですよ。だから、先ほどの答弁はおかしいでしょう。どうですか、総理。

野田内閣総理大臣 三党間で検証はされていないんだと思うんです。ただ、政策効果は、これについてはあったというふうに思います。それを踏まえた三党間の協議が行われていなかったと思います。それがなぜだったのかはちょっとよく子細には知りませんけれども、把握をさせていただきたいというふうに思います。

下村委員 いや、私も実務者の一人ですけれども、政策効果の検証を政府がしたということは一度も聞いていません。一歩引き下がって質問したとしても、その政策効果の検証を今まで一度もそもそも出してもいないですよ。検討もしていないですけれども、出してもいない。

 そして、それを受けて、「平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」と明言しているわけですから。ここについて全然対処していないでしょう。どうですか、これは。

中井委員長 予算編成をやっていた中川元文部大臣もおりますし、今の文部大臣もおられる。どっちに答えさせますか。(下村委員「いやいや、総理ですよ、これは」と呼ぶ)いやいや、それでは、平野文科大臣。

平野(博)国務大臣 下村先生にお答えをいたします。

 検証も何もしていないじゃないか、こういうことですが、三党間の協議の舞台は私、今お答えする立場にありませんが、文科省の立場として、私どもとしては、この検証についてはやってまいりました。

 特に、効果検証ということで、各種の統計調査を用いて実態的には指標の分析をしてまいりましたし、各都道府県におきましても、アンケートを実施してきて、その掌握をしてきたところでございます。これは毎年やっているところでございます。

 また、加えて、アンケートにつきましては、統計の調査事例でいきますと、これはきょうの委員会でもございましたが、統計調査で高校の中退者数の変更とか、いろいろな意味での検証をしてまいりました。

 アンケートの部分につきましては、私立高校生の授業料減免の補助制度の内容を各都道府県にも調査しておりますし、中学生の進路選択への影響、特に一部の市町村へのアンケート調査等々は一応調査としてはやっておりまして、それなりの一定の効果を上げているということについての結論もいただいております。

中井委員長 ちょっと待って。時計をとめて。

    〔速記中止〕

中井委員長 それでは、速記を起こしてください。

 下村君。

下村委員 これは衆議院に……(発言する者あり)

中井委員長 少し言葉は慎んでください。乱暴な言葉は慎んでください。

下村委員 これは衆議院の文部科学委員会の理事が、この「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」それから「平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」という確認書があるわけだから、これについては、自民党として、この三党合意にのっとって協議をお願いしたいということを今までも再三申し入れをしております。それに対して民主党側が、誠意を持った回答どころか、全くの反応も対応もしていなくて今日に至って、そして二十四年度予算を決めて、今、予算審議がされている、こういう状況なわけです。

 これは、事実は事実として認めていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

中井委員長 今申し上げましたように、民主党さんも、政調レベルへ確かめに行って、一応報告がありました。自民党さん側もひとつ、どこへ申し入れたか、具体的なことを出そうということで、昼の理事会でそれを突き合わせて、午後から質疑をしていただこう、こういうことになりますので、ここでこの問題については一応とめて、次の問題について質問をしてください。

下村委員 では、平野文科大臣にお聞きしますけれども、少なくとも、「二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」、誠実に対処して予算編成を決めましたか。

平野(博)国務大臣 二十四年度の予算案についての部分でありますが、検証と効果、こういうことでもって予算編成をするということですが、その前に、先ほど、今先生がおっしゃいましたように、三党間の協議ということですが、残念ながら、政府の立場でいえば、間に合わなかったために、そういう趣旨でもって調査をし、効果を含めてやった、こういうことですから、誠実かどうかは別にして、そういう検証効果を含めて予算編成をしたということであります。

下村委員 間に合わなかったのではなくて、そもそも自公の三党合意に応じた確認書に対応を政府・民主党がしていないんですよ。間に合うとか間に合わないじゃなくて、していないんですよ。

 これからしていただけますか。

平野(博)国務大臣 少なくとも、予算編成過程の中では、我が党の、民主党の党の方には、そういうことを含めて対応しながら予算編成をしたということでございます。

 したがって、政府が勝手に予算編成をしているということではありません。党と相談をしながらやったということであります。

下村委員 いや、さっきの答弁と違うじゃないですか。間に合わなかったとさっき自分で言ったじゃないですか。

平野(博)国務大臣 お答えいたします。

 三党合意を経て、その三党合意の中の検証を経てという、こういうことを誠実に対応するということでありましたが、その三党合意の中での協議が時間軸で間に合わない、こういうところから、党との間で協議をしてやらせていただいた、こういうことであります。

下村委員 答弁が全くの後づけなんですよ。間に合わないといったって、最初から誠実に対応していないんですよ、そもそも。間に合う、間に合わないの問題じゃないんですよ。民主党が対応していないんですよ、そもそも。

 これは野田総理、改めて、我々は、後で説明するつもりだったんですが、高校授業料の無償化については対案をつくっています、きちっと。そして、高校授業料無償化の見直しについても七項目提示したいと思っております。これについては、野田総理の民主党が全く対応をされなかったがために今日に至っているんですね。

 今からでも間に合いますから、これは、改めて三党合意にのっとって、この「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」ということと、そして「二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」ということについて、今からしていただけませんか。党の代表として、あわせてお聞きします。

野田内閣総理大臣 高校授業料無償化についての御意見をまとめていただいているということでございましたら、真摯に耳を傾けたいというふうに思います。

下村委員 その真摯に応えるというのは、もう一度繰り返しますけれども、三党合意にのっとって、確認書にのっとってやっていただけますか。

岡田国務大臣 先ほども申し上げましたように、三党合意は、まず検証するということであります。その検証の結果、見直しをする必要があるかどうかということが決まってくるわけでありますので、私は検証はきちんと各党間でなされる必要があるというふうに思います。

下村委員 では、岡田副総理に確認しますけれども、政策効果の検証は各党でする必要がある、これは三党で一緒にぜひしていただきたいというふうに思うんですね。それというのも、政府側からも文科省からも細かなデータ、情報が出てこなければ、この政策効果の検証を我々も十分に数字的にできません。ですから、これは三党で一緒にやっていただきたいと思うんですね。

 その結果、「二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」、二十四年度予算の編成プロセスの中で、我が党や公明党の考えも、三党で話し合いながら、必要な部分についてはぜひ入れていただきたいと思います。いかがですか。

岡田国務大臣 これは党の問題ですから、なかなか私が今の立場で言うのも難しいんですが、検証はきちんとなされる必要がある、その当時の三党合意を結んだ前幹事長としてはそういうふうに受けとめております。

下村委員 民主党の代表である野田総理に確認をしますが、今、前幹事長そして副総理が、政策効果の検証はすべきだと明言されたわけですね、三党で。それにのっとって必要な見直しをし、そして「二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」というのを三党公党間で、それぞれの幹事長の署名で昨年の八月の九日にサインしているわけです。今日までそれを履行していなかったということを受けて、これからこれをきちっとやっていただきたいということについては、これは公党間の約束ですから、ぜひ改めてここで約束してください。いかがですか。

岡田国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、三党間で検証をするというのが三党合意の趣旨でございます。検証の結果、変える必要があるかないか、それは検証の結果によるわけで、そのことまでを何かコミットしたものではない。しかし、検証するということはその中で約束されているということでございます。

 それがなされたのかなされていないのかというのは、私、詳細は承知しておりませんが、先ほどの委員長の御裁定もありますから、両党間でよく突き合わせて確認していただく必要があると思います。

下村委員 そもそも申し入れに対して応えていないわけですから、政策効果の検証なんかされていないですよ、もちろん。

 そして、繰り返すようですけれども、この必要な見直しをした中で、「平成二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処する」と。実際は政策効果の検証を三党でしていない中で二十四年度の予算編成をされているわけですから、これは改めて誠実に対処してほしいということについて野田総理にお願いしているんですよ。いかがですか。

野田内閣総理大臣 三党合意は、これは基本的には誠実に遵守していくべきものだというふうに思います。その上で、三党間による検証を行うということでございますので、検証はやらせていただければというふうに思います。

下村委員 検証をし、「検証をもとに、必要な見直しを検討する。」三党合意をちょっと確認してくださいよ、配付しているんですから。その中で、「二十四年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。」ここまでは三党合意のとおりにしていただけますねということをお聞きしているんですよ。

 私が聞いたことに対して、今までの答弁というのは、政策効果の検証をしますということは答えられました。私がさらに聞いているのは、三党合意はそれだけではないでしょう、政策効果の検証をもとに必要な見直しを検討して、二十四年度予算の編成プロセスなどに当たって誠実に対処していただけるんですね、それをお聞きしているんですよ。それについて全く答弁がないじゃないですか。

岡田国務大臣 これは三党合意を結んだ当事者として申し上げますが、そして文言上も明らかでありますが、政策効果の検証を行う、検証を行った結果、今を変える必要があるということになれば、それは見直しが必要になってまいりますが、そのことまでをコミットしたものではございません。

 検証をする、その上で必要な見直しを検討するということですから、検証の結果、そういった見直しが必要ないということになる可能性も、もちろんあるわけでございます。

下村委員 そもそも政策効果の検証をしていないわけです。した結果、そういうこともあり得るかもしれません。しかし、していないわけですから。

 まずは、三党で政策効果の検証をする。その後の結果次第によって、二十四年度予算の編成プロセスにおいて政府・民主党が誠実に対応するということについては、文言どおりでなぜ問題なんですか。そのとおりにやっていただきたいと聞いているだけですよ。そういうことでよろしいですね。

岡田国務大臣 私は今、党の立場ではないのでなかなか言いにくいんですが、検証はなされる必要があるというふうに考えております。その検証がなされたかどうかというのは、ちょっと今確認中でありますから、私、わかりません。

 いずれにしても、その検証というのは、これは政党間の問題ですから、その上で、その後のことについては、その検証結果いかんによってこの文言に従って進められていく、こういうことだと思います。

下村委員 では、改めて、民主党の代表である野田総理に確認いたします。

 我々は、改めて、この確認書にのっとって三党で高校無償化について政策効果の検証をしていただきたい、そして必要があれば見直しを検討していただきたい。その結果を受けて、二十四年度予算の編成プロセス、もう既にプロセスを超えちゃっていますけれども、改めて、今の時点からも、この平成二十四年度予算、こう変える必要があると民主党の方でも判断した場合に、そのことも含めて誠実に対処するということについて、つまり、この確認書どおりにやっていただきたい。これは今後のことですけれども、そういうことでよろしいですね。

野田内閣総理大臣 私自身は、この高校授業料無償化というのは十分政策効果があったと思うし、多くの御家庭で受け入れていただいていると思いますが、この三党合意に基づいて政策効果の検証をまずするということは大事だというふうに思います。

 それを踏まえた検証の後は、それはどういう結果が出るかわかりませんけれども、私どもは、そういう期待に応えた万全の予算を組んだつもりでございますが、政策効果の検証をまずしていただくということだと思います。

下村委員 それは、民主党代表として民主党の幹事長に、この三党合意について改めて誠実に対応するようにということを指示していただきたいと思います。

 ただ、野田総理も私は問題だと思っているのは、平野文科大臣が就任した際に野田総理から下された八項目の指示書、見ると、そもそも、この中に高校授業料無償化の見直しについては一言も言及されていないでしょう。これは、三党合意を軽視しているといいますか無視している、こういう状況だと思うんですね。

 本来、この三党合意というのがわかっていれば、実質的な三党合意がされていなくても、しかし公党と公党の約束ですから、八項目も具体的に文科大臣に対して総理が指示しているわけですから、その中の一つとして入れておくのは当然のことだと思いますよ。

 なぜ入れなかったんですか、野田総理。

野田内閣総理大臣 では、ほかに三党合意を踏まえて云々という指示書を出しているかというと、決してそうではないんです。

 政府としてやらなければいけないことについて、まず確定的になっていることについては指示をしています。だからといって、政党間の協議事項を軽視しているということではございません。それはそれとして政党間の協議はしっかりやっていこうということでございますが、指示書に書いているかどうかというのは、これは別の問題であります。

下村委員 我々は、この高校無償化法案について、今後、三党の中での政策効果の検証の中で、ちょっと事前に申し上げたいと思いますが、七つにおいて問題があると思っています。

 一つは、高校無償化の教育上の効果。毎年四千億円の税金を投入して、これがどの程度教育上の効果、学力の問題だったり、高校教育の教育内容の問題ですけれども、どの程度の効果、成果が上がっているのかということについて、ばらまき的で全く出ていないんですね、今までも審議の中で。

 二つ目、高等学校教育のあり方。そもそも高校教育をどうするのか、あり方、これについても最初から政府の方から出てきていません。このことについても改めて検討する、議論をする必要がある。

 そして三つ目には、公私間格差が拡大している、こういう実態があります。これをどう縮小するかということについては、まだ工夫ができるだろう。

 それから四つ目に、所得制限を設け、公私間格差の解消や低所得者への支援を行うべき。これは、野田総理も財務副大臣のとき、高校授業料無償化については所得制限を設けるべきだということを発言されているんですよ。発言されていますよ、後で出しますけれども。

 それから五番目に、海外の日本人が支給対象となっていない、こういう問題があります。

 それから六番目に、朝鮮高校を支給対象とすることについて、いまだに政府ははっきりしていないという問題があります。

 七番目に、特定扶養控除の見直しに伴い、実際、負担増となる家庭、つまり定時制とか通信制に通っている子供の家庭にとっては結果的に今回の高校無償化法案によって負担増になっているんですね。

 こういう問題がある。このことについて、これは政策効果の検証に伴って議論をしていく必要があるというふうに思いますが、いかがですか。

平野(博)国務大臣 今、下村さんからいただいた点は一つの御意見、アイデアとして受けとめたいと思いますし、その論点は、特に、授業料の負担を軽減するという考え方と、奨学金、こういうことについての充実を強化しろ、こういう二つに分かれるというふうに思っております。

 したがいまして、今いただいた点につきましては十分に私どもとして受けとめながら、これからどういうものができていくかということについては検証したい、こういうふうに思っております。

中井委員長 先ほどから提起されております問題につきましては、この後、昼の理事会で協議をいたします。

 先ほど、時間をとめて一分が経過をしたのでありますが、その前からいろいろと繰り返しがございますので、十分間余分に、もしきょうおやりになるとするなら十分間、その後やっていただく、自民党の時間の範囲内でふやしてやっていただくということを含めまして、理事会で協議をすることにいたします。

 午前中、これにて休憩とし、午後一時から委員会を再開することといたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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