衆議院

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第9号 平成24年2月15日(水曜日)

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平成二十四年二月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      石関 貴史君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    大西 健介君

      金森  正君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      玉木雄一郎君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      馬淵 澄夫君    向山 好一君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山尾志桜里君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    伊東 良孝君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    河野 太郎君

      塩崎 恭久君    下村 博文君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      高木美智代君    東  順治君

      笠井  亮君    吉井 英勝君

      内山  晃君    渡辺 義彦君

      阿部 知子君    服部 良一君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      中島 正純君    浅野 貴博君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (拉致問題担当)     松原  仁君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中川 正春君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   財務大臣政務官

   兼復興大臣政務官     吉田  泉君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   参考人

   (東京電力株式会社取締役会長)          勝俣 恒久君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     井戸まさえ君

  大西 健介君     磯谷香代子君

  佐々木隆博君     山尾志桜里君

  玉木雄一郎君     向山 好一君

  馬淵 澄夫君     石井登志郎君

  伊東 良孝君     下村 博文君

  小里 泰弘君     河野 太郎君

  東  順治君     高木美智代君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  内山  晃君     渡辺 義彦君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  松木けんこう君    浅野 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     打越あかし君

  石井登志郎君     馬淵 澄夫君

  磯谷香代子君     大西 健介君

  向山 好一君     玉木雄一郎君

  山尾志桜里君     佐々木隆博君

  河野 太郎君     小里 泰弘君

  下村 博文君     塩崎 恭久君

  高木美智代君     東  順治君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  渡辺 義彦君     内山  晃君

  服部 良一君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  浅野 貴博君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 恭久君     伊東 良孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君、東京電力株式会社取締役会長勝俣恒久君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 中井委員長、十分時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速でございますが、きょうの各マスコミ報道によると、岡田副総理、十四日の記者会見、衆議院予算委員会が空転したことについて、私の答弁に野党が反発したわけではないと思う、三党合意で約束したことができていないので国会審議がとまったとありますけれども、私の答弁が原因ではないと思うというのは、私に原因があると思うというふうに変えてもらいたいと思うんですね。

 三党合意が、約束しなかった、不履行だったというのは、岡田さんに問題があるわけです、そもそも。岡田さんが輿石幹事長に引き継ぎをきちっとしていない、党内の中で対応していなかった。そして、これについても、一日半も空転するようなことじゃないと思いますよ、私だって、実際見ていて。もっと早く民主党幹事長が我が党や公明党の幹事長に対して対応すれば、すぐ解決することだったわけですよ。

 一日半というのは岡田さん自身に原因があったと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 私、この一日半の与野党間の協議というのは国対や幹事長レベルで行われてきたというふうに承知しておりますので、詳細を承知しているわけではございません。しかし、私の発言がきっかけになってこういうことになったということは、委員がそういうふうに御指摘されているということであれば、そのとおりだと思います。

下村委員 時間が十分しかありませんから急ぎます。

 確認書、お手元に配付されていると思います。きのう、三党合意、幹事長がサインされました。

  民主党、自由民主党及び公明党は、以下の点について確認する。

 一、民主党は、平成二十三年八月九日付「確認書」において確認した高校無償化に関する政策効果の検証等の対応について不誠実であるとの批判を真摯に受け止め、謝罪する。

 一、その上で、三党は平成二十三年八月九日付「確認書」に基づき、政策効果の検証と必要な見直しの検討につき政党間協議を行う。

 一、平成二十四年度予算について、引き続き予算審議の中で論議を深め、上記の協議を踏まえ、必要に応じ予算に反映させることも含め、誠実に対処する。

こういう確認書でございます。

 これについて、私、心配ですので、野田総理に確認をさせていただきます。

 まず、二番目の「政党間協議を行う。」ということでございます。

 これは、民主党の代表として改めて野田総理にお願いをしたいと思います。これについて関係者に代表として指示をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 今お示しいただきました三党幹事長の確認書にありますように、高校無償化に関する政策効果の検証等の対応について不誠実であるとの批判を真摯に受けとめ、民主党の代表としてもおわびを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今御指摘をいただきました二項目めでございますけれども、確認書は、しっかり党として、これを踏まえて対応したいと思いますので、きちっと政党間協議を行いたいというふうに思います。

下村委員 これはすぐ対応してください。

 そして、三番目のことでありますが、「引き続き予算審議の中で論議を深め、上記の協議を踏まえ、必要に応じ予算に反映させることも含め、誠実に対処する。」とあります。

 前回、時間がございませんでしたので、我が党の対案については詳しく説明ができませんでしたが、自民党は、高校無償化法案は廃止する、しかし所得制限を設けて、低所得者それから公私間格差をさらに是正するために、必要な方々のところにはより厚く授業料等の教育支援を行う、こういう対案をつくりました。こういうことについて、しっかりと今後、政党間協議、それから予算審議、当委員会の中で審議を深める時間をつくっていただきたいと思います。

 その中で、協議を踏まえた中で、「必要に応じ予算に反映させることも含め、」と書いてあります。このことによって、予算の組み替え、修正、これもあり得るということでよろしいわけですね。

安住国務大臣 必要に応じて、この文書に従って対応したいと思います。

下村委員 総理にお聞きしたいんですが、「必要に応じ」とありますから、我が党は既に対案を出しておりますが、今後、予算委員会の中で審議を深めますが、その結果、場合によっては修正、予算の組み替えもあり得るということがこの文書で読めるということでよろしいですね。総理。

安住国務大臣 委員、この三に書いてありますように、「必要に応じ予算に反映させることも含め、誠実に対処する。」と書いてありますので……(下村委員「そんな答弁はだめだ」と呼ぶ)いや、それで、この言葉どおりにということであります。

下村委員 こんな答弁をしていたら、時間の無駄ですよ。端的に言ってよ、端的に。

 総理、もう端的に答えてください。協議を踏まえ、予算の修正、組み替えもあり得るということで読めるということでよろしいですねとお聞きしているんです。端的に答えてください。

野田内閣総理大臣 政府としては、この確認書を踏まえて対応するということが基本です。

 ということは、書いてあるとおり、まず、二点目に、政策効果の検証と必要な見直しの検討について政党間協議を行う。それで、政党間協議であるとか、あるいは予算審議の中での議論を深めて、これはその三点目にあるように、これらの協議を踏まえて、「必要に応じ予算に反映させることも含め、誠実に対処する。」まさにこの文字どおりだと受けとめております。

下村委員 いや、だから、文書を読んでいるだけでしょう。文書の中身について……(発言する者あり)

 委員長、ちょっと静かにさせてください。

 文書の中身について、私が、その中身の内容について、必要に応じ予算に反映させるということについては、当然、修正や組み替えもあり得ると読めるということでよろしいですねとお聞きしているんです。それについて端的にお答えください。

野田内閣総理大臣 政党間協議をやっていただく、これはお約束をしました。それを踏まえて、御議論を通じて、「必要に応じ予算に反映させることも含め、誠実に対処する。」全てそこにかかっているというふうに思います。

中井委員長 下村君。(下村委員「いや、答弁になっていないですよ、これは全然」と呼ぶ)いや、そんなことはない。ちゃんと答弁になっている。(下村委員「いや、答弁になっていないですよ」と呼ぶ)

 きちっと答弁をしています。答弁をしていますから、質疑をやってください。書いてあるとおりだと言っているから、それでいいんです。

下村委員 全然答弁になっていないですね。もうちょっときちっと、文書で「誠実に対処する。」ということですから、答弁についても誠実に対処していただきたいと思います。このような答弁をしていると、本当に国会の論議というのも無駄になってしまいます。

 改めて委員長にお願いをいたします。この高校無償化についての当委員会における集中審議を求めたいと思います。いかがですか。

中井委員長 理事会で協議します。

下村委員 それから、今回の確認書でも改めて確認されていますが、これは高校無償化だけの問題ではありません。前回の八月九日付のこの三党合意、これが履行されていないということでございますので、このほかにも、子ども手当や農家の戸別所得補償制度、これについても、三党合意に基づいた案件の集中審議を求めたいと思います。委員長、いかがですか。

中井委員長 理事会で協議をいたします。

下村委員 以上を含め、これから政策効果の検証、当委員会においても深い審議をすることによって、今の高校無償化法案の問題点を指摘し、そして、最終的に予算の修正、組み替えを求めていくことを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

中井委員長 これにて下村君の質疑は終了いたしました。

 次に、河野太郎君。

河野委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。

 まず総理にお伺いをしたいと思いますが、総理大臣と言ったときと首相と言ったときと、言葉は違いますけれども、同じ人間を指していますよね。総理と言ったときと副総理と言ったとき、言葉はかぶっているけれども、違う人を指していますよね。

 では、内閣官房と言ったときと内閣府と言ったとき、これは同じものを指していますか、それとも違うものを指していますか。

野田内閣総理大臣 違うものを指しております。

河野委員 それでは古川大臣、内閣官房と内閣府、どう違うか、簡単に御説明をいただけますか。

古川国務大臣 担当大臣でもございませんけれども、官房副長官と、あと、前に内閣府の副大臣もやらせていただいたところから申し上げますと、ともに総理大臣を支える部局であります。

 しかし、内閣官房は、いわば総合調整を行って、特に個別のさまざまな課題については、これは内閣府の方に、官房とも連携をとりながらやっていくという形で今運営をされているというふうに承知をいたしております。

河野委員 内閣官房は総合調整で、内閣府は個別の案件、そういう答弁でございました。

 それでは副総理にお伺いをしたいと思いますが、かつて自公政権のときに、当時野党であった民主党と公務員制度改革の与野党合意を行いました。公務員制度改革の基本法が与野党合意に基づいて成立をいたしましたが、そのとき副総理はどんな役職にいらっしゃったのか、教えてください。

岡田国務大臣 委員がおっしゃるのは、平成二十年六月の国家公務員制度改革基本法のときということですね。ちょっと私、すぐには出てまいりません。平成二十年、もちろん政権交代前ですから、副代表ではなかったのかなと思いますが。

河野委員 ありがとうございます。

 この与野党合意は今でも有効ですか。それとも、政権交代が起きたからこの合意はもはや無効ですか。副総理の認識をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 現時点では、これは法律でございます。したがって、当然内閣はそれに拘束される。そういう意味では有効でございます。

河野委員 この与野党合意に基づく公務員制度改革基本法では、スケジュールまで合意をして、内閣官房に内閣人事局をつくり、そこに総務省、人事院あるいは財務省を初めとするその他の省庁の権限を持ってくる、そういう合意を与野党でして、内閣基本法を制定し、内閣人事局をつくりますよというふうに書いてあるんです。

 ところが、今の民主党政権が出された法案は、この基本法から逸脱していますよね。つまり、内閣人事局には極めて限られた権限しか移譲せず、内閣府に何やら新しい組織をつくって、総務省、人事院、財務省の機能はそっちへ移管をするということになっています。

 先ほどから総理や古川大臣が御答弁いただいたように、内閣官房と内閣府というのは明らかに違うものですから、そして、我々が合意をした基本法は、内閣官房に内閣人事局をつくり、そこに権限を移すというふうに書いてございます。それならば、我々野党が今この基本法に基づいて提出している法案に沿って公務員制度改革の与野党協議を進めるべきではないですか。

岡田国務大臣 委員は二つのことを言っておられると思いますので、分けてお話ししたいと思います。

 まず、タイミングの問題。

 確かに、改革基本法では、同法の施行後一年以内をめどに内閣人事局を設置するための法制上の措置を講ずる、そして、その他の改革に必要な法制上の措置については三年以内をめどに講ずるものとされております。これが、今回、それが一緒にということがございます。

 それにつきましては、幹部級、幹部職員人事の一元管理に関する事務を担う内閣人事局を設置する法案を平成二十二年に国会に提出したところでございますが、残念ながらこれは成立に至らなかったということでございます。

 そういう中で、自律的労使関係制度の措置のために必要な法制上の措置について、基本法において、その施行後三年以内をめどに講ずるものとされていることを踏まえ、基本法施行後三年に当たる昨年六月に提出した国家公務員制度改革関連法案では、内閣人事局の設置に加え、自律的労使関係制度についても措置しているというものでございます。

 これがタイミングの問題です。

 中身の問題については、三党で合意をいたしました国家公務員制度改革基本法、現在これが施行されておりますが、その中では、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負うとともに、幹部人事の一元管理に関する事務等を所掌し、これらの事務を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能を移管するというふうにされております。

 我々が昨年六月に国会提出させていただいた国家公務員制度改革関連法案においては、官邸主導で適材適所の幹部人事を行うために、幹部人事の一元管理に関する事務を担う機関として内閣人事局を設置することとしております。そして同時に、この法案では、自律的労使関係制度を措置するに当たって、中央レベルでの団体交渉を通じて、社会経済情勢の変化に対応した人事給与制度の総合的な見直しを行うために……(河野委員「済みません、質問にだけ答えてください。副総理、質問にだけ答えてください」と呼ぶ)質問に答えております。

 必要な人事行政関連機能を集約するとともに……(河野委員「そこは質問していないところなんですよ、まだ。副総理、そこはまだ質問していません」と呼ぶ)いや、全体を説明しないと説明できないということでございます。

 もう一回言いますね。ですから、公務員庁それから内閣人事局ということで、確かに、三党合意では、三党で合意した中身では、全体を内閣人事局という趣旨はあったかと思いますが、それを分けて措置させていただいているということでございます。

河野委員 副総理、まだ後半部分は全然質問してもいませんから、質問したところにきちっと答えてください。

 要するに、我々、与野党、立場は違いましたけれども、与野党で合意をしたときには、内閣官房に総務省、人事院、財務省、その他の機能を持ってきて内閣人事局をつくる、そういう合意だったんです。それが基本法になっております。

 そして、今度の民主党の法案は、それとは全く異なって、内閣府に新しい組織をつくって、そこへ機能を持っていくということになっています。なぜかといえば、それに合わせて基本法の改正も出していらっしゃるわけです。基本法のとおりなら基本法の改正は必要ないわけですから。だから、今民主党が法案でやろうとしていることは、三党合意とは、与野党合意とは全く違ったことなんです。それはおかしいから、基本法に基づいて公務員制度改革をちゃんとやりませんかというのが私の質問の趣旨でございます。

 既に野党は基本法に基づいた法案を出していますから、政府案ではなく、我々の基本法に基づいた法案をベースにして公務員制度改革の議論を新しい公務員制度改革担当の岡田大臣とやらせていただきたいというのが私の質問でございます。

岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、国家公務員制度改革基本法においては、政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について、国民に説明する責任を負う、幹部人事の一元管理に関する事務を所掌し、これらの事務を実効的に発揮する観点から必要な範囲で、総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能を移管するということでございます。ここに書かれたとおりだと思います。

河野委員 総理、三党合意をして、人がかわったから引き継ぎができませんでした、それも困りますけれども、基本法という法律まで与野党合意に基づいてやったんです。今度の法案は、その基本法と違うから、基本法を改正しているんです。与野党合意をして法律までつくったのに、今度の公務員制度改革基本法の改正案は、第五条の四、今申し上げたところを改正しております。

 合意をしても勝手に法律を変えようとしているような政権と与野党協議できないじゃないですか。まず、一緒につくった公務員制度改革基本法を与党だけで一方的に改正しないということをお約束いただけませんか。

岡田国務大臣 国家公務員制度改革基本法と趣旨においてどういう差があるかというのはいろいろ議論があるところだと思います。

 いずれにしても、我々は今回新しい法案を提案しているわけで、その法案について御議論いただく過程で、今委員の御指摘の点も含めて議論をして、提起していただければと思います。

河野委員 基本法をつくって、それを合意して一緒に通して、ところが、政権交代したら、基本法も変えます、内閣府に新しく内閣官房から持っていきます、これでは与野党合意をした意味がないじゃないですか。

 総理、公務員制度改革担当大臣が、蓮舫さんに始まって、中野寛成さん、誰々、誰々といって今度の岡田さん、ころころかわっています。全く議論の継続性がないというのは、これは非常に残念でございます。残念ながら、我々は、一方的に基本法を改正してまで公務員制度改革のやり方を変えようとする政府の提案には賛成をしかねます。

 さて、この問題は少し諦めて、どうも与野党では合意ができない。

 それでは、今度は、一体改革担当大臣としての岡田さんにお伺いをしたいと思います。

 これまで、社会保障の将来推計というのはいろいろなものがありました。社会保障国民会議の数字やら、与謝野さんがおっしゃった数字やら、今度の民主党の意を受けて厚労省がやった数字やら、いろいろな数字がございます。ところが、この将来推計は、政策に対して中立な推計とは言いがたいと思うんですね。本来、社会保障の将来推計というのは政策に対して中立でなければならないのに、どうも厚労省は、これまでの政策を守らんがための前提を置いたいろいろな数字をつくっています。

 これから先、税と社会保障の一体改革をやろうとするならば、少なくとも、中立な独立した機関が、前提条件を統一した上で、それを公開して試算を出して、その試算に対していろいろな批判、議論があるならば、そこは真摯に議論をする、そういうやり方をしないと、なかなか将来の社会保障の議論というのはやりにくいのではないかと思います。

 岡田大臣、これまでのように厚労省が一方的な数字をつくって出すやり方から、きちんと独立した機関に将来推計をさせる、そういうやり方を与野党で議論したいと思いますが、一体改革担当大臣として岡田大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 こういう長期の推計を行うときに、どういう前提で数字を置くかということは当然議論になることでございます。したがって、そういうことも含めて国会の場でもよく議論していただく必要があるというふうに考えております。

 ただ、今回の推計につきましては、これは政府で推計するということになれば、基本的には政府が出している数字というものを置いて計算するというのが最も中立的なやり方で、今回の試算に当たっては、例えば、経済については内閣府の経済財政の中長期試算の中の慎重シナリオ、そして、人口については日本の将来推計人口の出生高位推計を使用しているところで、そこを、そうではなくて慎重シナリオじゃない方を使うべきだとか、いろいろな議論はそれは国会の中であっていいと思いますが、全く自由にいろいろな前提を置いているわけではなくて、政府の数字の中でこれというものを置いているということで、しかも、そのことは公表されておりますので、何か恣意的にやっているということでは必ずしもないと思います。

河野委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、TPPに関して経産省の出した数字と農水省の出した数字は全く違うじゃありませんか。そういうことを認めるんですか。あれも政府がやった数字ですよね。だから、そういうことがおかしいと私は申し上げているんです。いかがですか。

岡田国務大臣 TPPに関する数字は私が申し上げるべきことではないと思います。

 ただ、今回の社会保障・税一体改革に関する推計については、今申し上げましたように、政府の従来からとっている数字、それを採用して計算している。しかも、そのことは明らかにしておりますので、これが絶対だと言うつもりはありません、いろいろな選択肢はあっていいと思いますが、そういうことも国会でぜひ御議論いただければと思っております。

河野委員 それでは、これは岡田大臣でしょうか、それとも総務大臣でしょうか。

 民主党政権になってから、再就職等監視委員会の国会同意人事の提出がございません。これによって、役人の天下りは今やり放題、資源エネルギー庁長官が東京電力に直接天下るということまで起きております。

 これは、この再就職等監視委員会の同意人事は、民主党政権、いつ国会に提出をされるんでしょうか。担当の大臣、お願いしたいと思います。

藤村国務大臣 再就職等規制違反行為の監視は、現行の国家公務員法上、中立公正の第三者機関である再就職等監視委員会が行うこととされております。

 同委員会の委員について、昨年の通常国会及び前臨時国会に同意人事を提出させていただきましたが、採決に至らず会期末となりました。今国会にもこの同意人事については早急に提出をすることとし、同委員会を立ち上げて、各府省から独立した外部監視機関が規制違反行為の厳正な監視を行う体制を速やかに確立する所存であり、そのようにしていきたいと考えております。

河野委員 総理、この再就職等監視委員会は、委員会が立ち上がるまで、その権限を総理が代行することができることになっていると思いますが、総理はその権限を代行するつもりはございますか。

野田内閣総理大臣 河野委員の御指摘のとおり、委員会が立ち上がらない中では、総理自身がみずから権限行使できることになっておりますけれども、まずは同意人事案を早急に提出して、そして御理解をいただいて、まさに機能が果たせるようにすることがまず第一で、その間に仮に規制違反等の疑いがある場合については、それぞれの任命権者である大臣含めて政務三役に対処していただきたいというふうに考えております。

河野委員 総理、なぜ権限を行使しないんですか。委員会が立ち上がるまでは総理にその権限があるんです。これまで、鳩山内閣、菅内閣は総理がその権限を行使しなかったから、資源エネルギー庁長官が東京電力に天下るみたいなことを容認してきたわけで、なぜ総理はその権限を行使しないんですか。

 総理は、自分がみずから天下りをきちんと防止することができる権限を法律によって与えられていながら、それをやるつもりがないというのが今の答弁ですよね。

 なぜ総理は天下りをきちっと防ぐということを、権限行使をされないんですか。

野田内閣総理大臣 規制違反が起こらないように、まずは、一義的には、職員の服務を監督すべき任命権者が責任を持って対処していただくこと、監視の目を光らせていただくことが肝要だと思っております。

河野委員 立入調査権やら何やらの権限はないじゃないですか、そういう大臣には。

 この委員会が持っている権限を行使できるのは総理なんです。だから、総理がきちんとそこまでやるかどうかが問われているんであって、ほかの大臣は、どうですかと聞いて、いやいや、天下りじゃありませんよと言われたらそれで終わりじゃないですか。きちんと権限を行使して調査できるのは、総理にしかこの権限はないんです。

 総理は、それはお忙しいのはわかっていますけれども、その権限を行使するつもりがないということは、民主党政権、野田政権は天下りはやり放題やらせるということですか。

岡田国務大臣 本来は再就職等監視委員会で行うべきことでございます。そういう意味でも、ぜひ、同意人事について提示をいたしますので、御同意いただきたいと思います。

河野委員 総理、その権限を行使するつもりがあるんですか、それとも天下りはやり放題やらせるんですか、どちらですか。あなたにしか権限はないんです。

野田内閣総理大臣 天下りは根絶をするということが私どもの基本的な方針でございます。その方針のもとにしっかり各大臣に監督をしてもらう。その暁に何かあればもちろん私の対応があるかもしれませんが、あくまで任命権者である大臣のもとでしっかりと監督をしていただくことが前提だということでございます。

河野委員 野田政権は、天下りを防止する権限を法律によって与えてもらいながら、その権限を行使するつもりがないというのが今の総理の答弁です。

 驚くべきことですよね。あれだけ天下りを何とかしろ何とかしろと野党時代おっしゃっていたのに、いきなり自分が総理になってその権限を与えられたら、その権限は行使しません、どうぞ大臣聞いてください。だって、当時の経済産業大臣が、資源エネルギー庁長官が東京電力に直接天下るのを防げなかったわけじゃないですか。それを知った上で、あれだけの事例が起きたのもわかった上で、総理は今みずから、自分は天下りを防止するために法律によって与えられた権限を行使しないとはっきりおっしゃいました。

 これから先、野田政権に天下りの問題でとやかく言われたくはないと思います。

 さて、岡田大臣にお伺いをさせていただきます。

 民主党の前原政調会長も年末に、分限処分で公務員を削減する、そういう発言をされました。しかし、国家公務員法第七十八条四号に、組織改廃時に分限処分はできることになっていますが、この分限処分については運用の指針の整備が行われていないんです。人事院は、平成二十一年三月十八日に、「分限処分に当たっての留意点等について」といって、この七十八条の一号から三号までの分限処分については運用の指針を出しました。しかし、この四号の組織改廃に伴う分限処分については運用の指針の整備すらないんです。

 これは、やろうとするんだったら、まずここから始めなきゃいかぬと思いますが、岡田大臣、どう思いますか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、廃職または過員を生じた場合に、職員の意に反して降任または免職することができるということが、現行の国家公務員法において規定されております。

 その判断方法についても人事院規則で定められていて、分限免職の手続については既に明確な規定があるというふうに考えております。

 平成二十一年末に社会保険庁が廃止された際も、これらの規定に基づき、五百二十五人に対して分限免職処分がなされているところでございます。

河野委員 岡田大臣はもう少し公務員制度改革に前向きだと期待をしていたものですから、きょうの質問はほとんど副総理に当てようと思って通告をしたんですが、何か非常に残念な結果になった気がします。

 ちょっと気を取り直して、安住財務大臣、財務事務次官が入っている官舎の面積と家賃はお幾らでしょうか。

安住国務大臣 個々の職員を特定した上で、その職員に関し個別具体的にお答えすることは、個人に関する情報となるため、従前より答弁を差し控えているということは、主意書等でも明らかにしておりますので、御理解いただきたいと思います。

河野委員 総理、財務省の事務次官が御自分で家を買われたり、家を借りられたりしているときに、それが幾らですかなんというのは個人情報ですから、我々がとやかく言う話では全くないと思います。

 しかし、その人間が業務のために官舎に入っているときに、その家賃が幾らと定められているかというのは、これは個人情報というよりは、国の明らかにすべき、公開すべき情報ではないかと思うんですね。いやいや、家賃が幾らか知られたくありませんというなら、それは個人で家を借りられればいいわけで、我々国会議員も議員宿舎をお借りしておりますが、きちんと幾らその対価をお支払いしていますというのを明らかにしております。国がいろいろなものを借りるときには、国が幾ら払っているかということを明らかにしております。

 そうすると、財務省の事務次官、これはお仕事の御都合で官舎に入っていらっしゃるんでしょうから、その人がその対価として幾ら払っていますよというのを情報公開するのは、それは個人情報の保護を超えて、やはり明らかにすべきものだと思いませんか。

 総理、総理が主宰をする閣議で、これは個人情報だから公開しないと質問主意書に返答を出されましたが、総理、おかしいと思いませんか。

安住国務大臣 委員の質問は個人を特定して質問をしているので、私どもとしては、それは難しいですと申し上げたんです。

 一般論としては答えております。事務次官等の幹部職員に貸与される宿舎、通常、八十平米以上のe規格の宿舎となっており、その使用料は、二十三区内の平均で六万九千五百二十二円となっております。このように、事務次官級の幹部職員の宿舎の面積、使用料については公表しております。

 ただ、委員がおっしゃったことになぜそういうふうにしたかというと、これは平成十四年の自民党・公明党政権時に、官僚の退職金及び年収などに関する再質問に対する答弁書というものがあって、個人に関する、つまり特定をした者の情報は、プライバシーの保護の観点から、一般的に明らかにはしないというふうになっているからです。

河野委員 余り公務員制度改革とかそういうことに前向きな大臣がそろっていないなというのは非常に残念でございます。

 それでは、しようがないので、小宮山大臣に行きたいと思います。

 今回政府が提出する税と社会保障の番号制度、マイナンバーですね。このマイナンバーは金融資産の利子所得が捕捉できません。一体改革の素案には、低所得者へのさまざまな給付拡大というのが盛り込まれておりますが、低所得といったときに、給与所得は確かに少ないけれども利子所得がたくさんある人も低所得になってしまいますよね。それは不公平なんじゃないでしょうか。これは、マイナンバーを入れるときに、ちゃんと利子所得まで入れた上で社会保障と税の一体改革をやるべきじゃないかと思いますが、どうですか。

小宮山国務大臣 社会保障制度で低所得の基準、これは事務の簡便さですとか公平性の観点などから税情報に基づいて判断をしています。税情報に利子所得が含まれていないということは、今御指摘のとおりです。

 マイナンバーについては古川大臣のところで担当されていますけれども、今骨格を設計しているかと思いますので、そちらは古川大臣の方にお尋ねいただければと思います。

河野委員 法案の問題ではなくて、社会保障をきちっと拡充するんですとおっしゃっている厚労省の担当の大臣が、このマイナンバー、少なくとも、今の骨格といいますか、これはもう閣議決定されたんじゃないかと思いますが、利子所得が入ってないわけで、利子所得が入っていないで所得を計算して、それをベースに低所得者に給付を拡充するのは不公平が広がることになりかねない、だから利子所得を入れるべきだという主張を厚労省は当然されていると思いますし、それが入っていなければ、このマイナンバーで集める情報では低所得者かどうかが判断できないわけですから、少なくとも今の厚労省のお立場でこの法案が閣議決定されるようなことはないというのが私の認識なんですが、どうもそうではない。一体全体、厚労省は利子所得を把握しないでどうやって低所得者を把握するつもりなんですか。

中井委員長 古川元久担当大臣。(河野委員「いやいや、厚労省に聞いているんです。古川さん、いいよ、聞いてない」と呼ぶ)

古川国務大臣 担当大臣ですので、ちょっとお話をさせてください。(河野委員「いや、聞いてないです。厚労省に聞いているんです。委員長」と呼ぶ)番号制度というのは……

中井委員長 質疑者に申し上げますが、答弁中に御発言はお控えください。

古川国務大臣 まず、ちょっと聞いてください。(河野委員「いや、短く、三秒でお願いします」と呼ぶ)

中井委員長 お控えくださいと申し上げています。(河野委員「答弁、要求していません」と呼ぶ)お控えくださいと言っています。

古川国務大臣 番号で、どういう所得をいわば法定調書でもらうかということは、これはまず番号の仕組みをつくった上で、そしてどこまで法定調書の部類に含めるかということは、これからまさに検討していく話なんですね。ですから、別に法案の中に入ってないからといって、これを排除しているとかあるいは入れているとかいうことではなくて、番号の仕組みをつくった上で、どこまでを法定調書の範囲にしていくかどうかというのは、まさにこれから議論していくことだというふうに考えております。

河野委員 それでは、厚労大臣にお伺いします。

 今の古川大臣の御答弁によれば、これから先いかようにもできるということですから、少なくとも、このマイナンバーを使って、あるいはマイナンバーを使わなければ所得の把握が恐らくできないでしょうから、低所得者に対するいろいろな給付の拡充が一体改革の中でうたわれておりましたが、それがスタートするのは、少なくとも利子所得までこのマイナンバーで把握することができるようになってからスタートする、そういう理解でよろしいですね。

小宮山国務大臣 今マイナンバー担当の古川大臣もお答えしたように、法定調書の拡充などについて、マイナンバー法及び同法の整備法成立後に、納税者、事業者の負担等にも配慮しつつ、引き続き財務省が中心に検討されるということでございますので、そうした税部門が把握をすることになる所得情報の範囲なども踏まえながら、なるべく正確な所得の把握ができるように、実行しながら、いろいろな経過を見ながら配慮をしていくということでございますので、その中で厚生労働省としても発言をしていきたいというふうに思っています。

河野委員 済みません、よくわからなかったんですが、少なくとも、退職されて給与所得のない高齢者の方の主な所得といえば、利子所得か配当所得か不動産所得が大きなものになるんだと思います。その中で、利子所得は全く今把握ができないわけですから、低所得者に対する給付の拡充、今一体改革の素案の中にいろいろなものが盛り込まれていますが、これらは、この利子所得がきちんと把握できるようになってからスタートするということでよろしいんですね。確認してください。

小宮山国務大臣 今申し上げましたように、マイナンバー法をつくりまして、それの実施状況など、事業者の負担、いろいろ考えながら、そこを配慮しながら、また財務省を中心に検討されるということでございますので、そうした検討を見ながら、これはなるべく正確な情報をもとにして低所得者への配慮ということをしていきたいというふうに思っています。

河野委員 厚労大臣、質問をかえます。

 利子所得が把握できないうちは低所得者への給付の拡充はしないということですね、これはマイナンバーであろうがなかろうが。どうですか。

小宮山国務大臣 現在も前の政権のときからも、低所得者への配慮というのはいろいろな形でされてまいりましたけれども、これは税情報をもとにしてやっていますので、その税情報の方をさらに把握をするために今回マイナンバー法を制定すると考えていますから、よりそこが正確につかめるということだと思いますので、その中でやっていきたいというふうに思っています。

河野委員 岡田大臣にお伺いします。

 例えば、今度の一体改革の中では、健保も国保も高額医療費の限度額の見直しみたいなことを言っていますが、そこには所得要件が入っています。このようにさまざまな給付の拡大をやろうとしているわけですね。今まで以上にどんどんどんどん給付を拡大するときに、所得の捕捉がきちんとできなければ、これはある面、不必要なところにばらまいてしまうということになります。

 給付の拡大をする以上、所得の捕捉というのは大事なことですから、きちんと利子所得、なぜ利子所得、利子所得と言うかというと、高齢者にとっては利子と不動産と配当が大きな所得の源泉で、その中の利子が今、源泉分離課税で全く情報がない。その中で拡大をしますと言えば、これは不必要なところに出しかねないわけですから、それができるまでは給付の拡大あるいは給付つき税額控除なんていうのは始まらない、そういう理解でよろしいですね。

岡田国務大臣 所得の捕捉をきちんとして必要な人に給付を行うという、一般論はそのとおりでございます。

 ただ、その所得の捕捉について、どこまでしっかりできるかということは、今でも限界があるわけで、そういう限界の中で一定の給付も行われているところであります。

 したがって、完全にそれができないと新たな給付をすべきでないというところまでいってしまいますと、それは、じゃ、今やっている部分はどうなのかという議論にもなるわけですから、原則は所得の捕捉をしっかりすべきだというふうに私は思いますが、その具体的な対応については、これは状況を見ながら判断していくしかないというふうに考えています。

河野委員 不動産所得もマイナンバーの適用外なんですね。これは理解できるところがあって、事業者以外が借りているときは、つまりアパートに入っている個人が全員、法定調書をつくって出しなさいなんて、これはなかなか難しい。お隣の韓国ではやっているかもしれませんけれども、難しいから、不動産所得については、これはなかなか、仮にマイナンバー制度が入ったとしても捕捉はしにくいです。しかし、利子所得は、金融口座にナンバーを振ればそれで終わりじゃないですか。

 しかも、このマイナンバーを一生懸命宣伝しているときに、災害が起きたときに、通帳がなくてもマイナンバーがあれば預金を引きおろせますという説明をしているんですね。

 だけれども、それはうそですよね、官房長官。今の制度では口座にマイナンバーは振らないわけですから、今仮に何か災害が起きて通帳がなくなったとしても、マイナンバーではお金は引き出せないんですね。だけれども、あたかもそれができるようなことを言っています。

 それはできるんですよ、口座に番号さえ振れば。口座に番号さえ振れば、それは源泉分離を申告分離にする、あるいは極端なことを言えば、源泉分離のままでも、口座に番号が振ってあれば利子所得は把握することができるんです。

 しかし、今度のマイナンバーにはそれをあえて入れていないですよね。しかも、これが出てきたのは、税と社会保障の一体改革という中でこれが出てきているわけであります。

 本来できるのにこれをやらなかったというのは、これは内閣官房の所管だから官房長官のところでいろいろ調整をされたんだと思うんですが、古川大臣ですか、古川大臣、少なくとも一体改革の中でやろうとしているのなら、これはしっかりやるべきじゃないですか。

古川国務大臣 この番号制度の検討は、既に政府内で一体改革の議論をする前から行っています。これは河野議員も、従来、与党のときからもこうした番号が必要じゃないかというふうにおっしゃられていたと思います。

 やはりこれは、まさに議員がおっしゃったように、今までの仕組み、今の仕組みもそうなんですが、多くの社会保障の仕組みが所得をベースにして負担や給付が決まっている。では、その所得の把握がどこまで正確なのかと言われると、非常にそこはやはり今不十分じゃないか。ですから、そこはもう少し所得の把握をきちんとする。

 特に今、課税最低限以下の低所得の人たちの所得状況というのがほとんど把握をされていない状況にあります。したがって、低所得者の人たちに所得に応じてきめ細かい対応ができない状況にある。こうしたことを解消するためにも番号を導入して、所得をできるだけわかりやすい形にしていこう。そうした社会保障の仕組みをより公平にしていく、公正にしていく。

 そして、先ほどからお話があるような給付つき税額控除であるとか、あるいは御党の鴨下議員などからはカフェテリア方式を導入したらどうかとか、与野党の中で新しい社会保障の仕組みあるいは税制についてのいろいろな提案があります。こういう新しい仕組みを入れていくための共通のインフラ、制度的なインフラとしても共通番号というのが必要であるということで検討してきた中で、今回、法案を提案させていただいたというわけでございます。

 それで、じゃ、どこまでその番号を求めていくのか、普通の生活活動の中で番号を使っていただくということを求めていくのかというのは、まさに番号の仕組みをつくった上で一つずつ検討していかなきゃいけないと思っております。

 私も今全国各地でシンポジウムをさせていただいて回っておりますけれども、やはり参加される方から、この番号の導入に対して非常に懸念を示される方もいらっしゃるんですね。例えば医療の自分の情報がそういう番号で集められるんじゃないかとか、そういうことを懸念される方もいらっしゃいます。もちろん使おうと思えばそういうこともできるわけなんですけれども、しかし、そこはやはり国民の皆さん方の懸念にもしっかり配慮していかなきゃいけない。

 そういった意味では、まず仕組みを入れて、その上で、どこまで番号を利用していくかということについては、それこそ皆さんとも議論をさせていただきながら、国民的な合意の中で番号の利用範囲というものを決めていくということで考えております。

河野委員 質問にだけきちっと答えをいただきたいと思います。

 一体改革をやろうと思ったら、やはり所得のきちっとした把握というのが大事で、それをやるためのマイナンバーで、マイナンバーはマイナンバーです、一体改革は一体改革でこれは別物ですと言われたら、これは何もできないわけで、厚労大臣には、低所得者への給付拡大と言うならば、インフラをきちっとそろえてやらないと不公平になりますので、マイナンバーの議論も、閣議決定されたかどうかわかりませんが、審議の中できちんと修正をするならするということでやらせていただきたいと思います。

 もう一回、公務員制度改革で岡田大臣にチャンスを上げようと思うんですが、公務員制度改革のところで、東日本大震災の復興財源として国家公務員の給与カットというのをやりました、これは二年の時限的なものですが。

 これは当然、地方公務員にも七・八%の給与カットを求めるんだろうと思いますし、そのためには交付税の削減というのをやられるんだと思いますが、間違いないですよね。その確認だけさせてください。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、国家公務員については七・八%の給与カットということを御提案させていただいておりまして、今各党間で御協議いただいているところでございます。

 地方の部分についても各党間で御議論が出ているというふうに承知しておりますが、私、従来から申し上げておりますように、地方のことは基本的には地方がお決めいただくことで、条例で最終的に決めるということになっておりますので、それは基本的には地方がお決めいただくことだというふうに考えております。

河野委員 そうすると、交付税削減で六千億円支出を削減しようという話が政府内であったと思いますが、その六千億円の削減はしない、交付税の削減はしない、そういうことですか。

岡田国務大臣 政府内で議論があったということは、私が就任して以来そういう議論は承知しておりませんが、いずれにしても先ほど答弁したとおりでございます。

河野委員 やはり労働組合の支援を受けているとそういうところにメスは入れられないんだな、人件費二割削減とおっしゃったような気がしますが、それは何かもう遠い昔のようになってしまったのかなと。今や公務員天国ではないかと思います。

 そういう中にあって、大阪市は新たに職員基本条例というのを定めようとしております。岡田大臣のもとにそのひな形をお送りいたしましたが、これをどう評価されるでしょうか。

岡田国務大臣 御指摘の大阪市の職員基本条例ですが、まだこれは案の段階で、まさしく議論されているところだと思います。それについて、国で公務員制度改革などを担当している私が具体的にコメントするということは避けるべきだと思います。

河野委員 いや、私は、公務員制度改革担当大臣が、これはいい条例だから頑張ってくださいと言ってエールを送れば改革に弾みがつくと思うんですけれども、エールを送るつもりはありませんか。

岡田国務大臣 この基本条例の中身は私も見させていただきましたが、例えば、民営化による分限処分の手続等が規定されているということはございます。

 国の方も、先ほど御説明いたしましたように、国家公務員法第七十八条第四号の分限処分に関する規定などによって必要な措置を講ずることになっておりまして、現実に、先ほど申し上げましたように、社会保険庁を廃止した際に、この七十八条四号に基づいて五百二十五人を分限免職したところでございます。

河野委員 この大阪市の条例は、ある部門を民営化する、例えば厚労省年金局数理課を民間企業にしてしまいましょう、そこへ数理課の人間が全員移れます、そこは保障していますというときには、その職員は原則として分限処分する。つまり、運輸部門なりなんなりを大阪市から独立させて、全員そこへ移ることは保障しますよというときにはその人たちを分限処分する、そういうことができるという規定になっております。

 これは政府も、これから先いろいろな改革をやるときに、特定の組織を外へ出して民営化して、そこには移れますよ、そういうことがちゃんと保障されたら分限処分をしていいという規定を設けるというのは、やはりこれから先政府の行政改革には非常に大事なことだと私は思っておりますが、岡田大臣のお考えをお聞かせください。

岡田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国家公務員法七十八条に、「その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」という中で、四号で「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」、それに基づいて、人事院規則一一―四で「法第七十八条第四号の規定により職員のうちいずれを降任し、又は免職するかは、任命権者が、勤務成績、勤務年数その他の事実に基づき、公正に判断して定めるものとする。」ここまで書いてありますので、規定的にはそろっているかと思います。

河野委員 なるべく委員会の質問は事前に公開をして、ブログにも出させていただいております。それはなぜかというと、直前に質問通告をすると、それはなかなか大臣も、朝言われて、これですという答弁を見せられて、委員会に来てそれと違う答弁をするのはなかなか難しいだろう、だから事前に見てもらって、少なくともこれは俺の考えでこういう答弁をやりたい、そういうことをやってもらいたいから一生懸命質問を公開しているんですけれども、何か岡田さん、ずっとさっきから下を向いて役所の答弁書を一生懸命読み上げて、てにをはは若干違うのかもしれませんが、何かちょっと期待と違って非常に残念だなと繰り返し申し上げたいと思います。

 昨年、人事院が、国家公務員、六十五歳へ定年延長すべきだという意見書を出されております。

 確かに、年金が六十五になるときに、六十から六十五をどうするんだ、これは民間も公務員も同じだと思いますが、少なくとも民間は、今、定年延長か定年廃止か再雇用かという選択肢の中で、ほとんどの企業が再雇用をしているわけでございます。

 民間がほとんど再雇用というときに、国家公務員だけ定年延長ですというわけにはいかないと思うので、人事院は定年延長だというふうに言っておりますが、私は当然再雇用であるべきで、民間の定年が六十五歳まで確実に引き上げられれば、それは国家公務員も六十五歳ということはあるのかもしれませんが、少なくとも現時点で再雇用でなく定年延長という選択肢はないと思いますが、岡田さん、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、人事院から定年延長という話が来ております。

 この点について、再雇用か定年延長かということについては、今検討を行っているところでございます。民間の現状などもよく踏まえつつ検討を行っていく必要があるというふうに考えております。

河野委員 ですから、その民間は再雇用でほとんど対応しているので、国家公務員も再雇用であるべきだと私は申し上げているんですが、大臣、そうでないとお考えですか。

岡田国務大臣 ですから、そういう民間の状況もよく踏まえつつ検討を行っていく必要があると申し上げたところです。

 結論めいたことを、今政府の中で検討しているときに、私が勝手に言うべきではないと考えております。

河野委員 政治主導というのは、やはり、そういうところで方向はこっちというのを言うのが政治主導ではないかと思うんですね。少なくとも、民間で、定年延長をやっているところもありますよ、定年撤廃をしているところもありますよ、だけれども、それはまだまだ少なくて、ほとんど再雇用ですよね。きちんと歩けばそういうことはわかるわけで、その状況下で、では国家公務員どうすべきなのというのを考えたときに、それは、検討中とはいえ、こういう方向で検討しろというのをやはり大臣がおっしゃってもいいんじゃないかと思うんですが、いや、もう聞いてもどうせ同じ答えでしょうから、結構です。

 ただ、定年延長でも再雇用でも、六十五歳まで働けますということになれば、少なくともそこから先の天下りという必要はなくなるはずなんですね。そこから先、関連の団体に行くことは明確に禁止されてよろしいですか。

岡田国務大臣 まず、先ほどの点に少し加えさせていただきますと、公務員の定年とかあるいは身分とか、そういう問題は、基本的には国の骨格の問題でありまして、やはりいろいろな議論をお聞きしながら慎重に決めなければいけないことだと私は考えております。ですから、こういう国会という公の場で私の個人的見解を述べるということについては慎重でありたいというふうに考えているところでございます。もちろん、決めなければいけないときにはしっかり決めてまいりたいし、その説明責任は果たしていきたいというふうに考えております。

 それから、天下りの話ですが、天下りの根絶というのは、先ほど総理もおっしゃいましたように、民主党政権の大きな課題として、二〇〇九年の政権交代直後から取り組んできたところでございます。

 府省庁による天下りのあっせんは全面的に禁止をし、独立行政法人の役員公募の実施などの取り組みを行ってきた結果、現時点では、公務員OBの独法役員は百八十名から四十五名、そしてあっせんそのものは行われていないというふうに認識をしております。

 今後、さらにその監視機能を強化したいというふうに考えております。

河野委員 ちょっと待ってくださいよ。監視機能を強化したいと。監視の権限を持っているのは野田総理なんですよ、今、委員会がないですから。さっき野田総理は、その機能は使わない、それは一義的に大臣にやらせるんだといって、法律によって与えられた機能を使わないと言っているわけですから、副総理がそこで機能を強化と言ったって、権限を持っている総理がそれを行使しますという答弁をしないでずっと逃げているわけですから、それはやはりおかしな話です。

 総理、もう一回、いやいや、岡田さんは結構です、総理が権限を持っているので、権限を行使するのは総理ですから。今、副総理は、監視機能を強化したいという発言はありました。副総理のその発言を受けて、総理は、法律によって委員会が立ち上がるまでの間、総理に与えられている権限を行使するお考えがおありですか。

野田内閣総理大臣 何よりもやはり、監視機能を強化するという意味では、委員会の同意人事を御提案させていただきますので、御了解いただいて、委員会が機能するようにすることが第一。

 続いて、その委員会が立ち上がっていない間は、私、総理大臣に権限がありますけれども、一義的には監督権を持っている任命権者である大臣がその機能を果たしていただく。最後は、責任はもちろん私にあるということでございます。

河野委員 最後の責任というのは、権限を行使するということでよろしいんですか。

野田内閣総理大臣 私の持っている権限があります。それを踏まえて、まずチェックをしていただく、これが肝要だということを申し上げています。

河野委員 権限が与えられている人が権限を行使すると明言ができないというのは、それは官僚にこれは尻抜けだよというシグナルを送っている以外の何物でもないじゃないですか。この国家公務員の制度改革の問題とか天下りの問題を民主党と一緒に何かできるというのは非常に難しいなという気がしております。

 民主党政権になってもう一つ尻抜けになったのが、官僚の現役出向というものでございます。

 これは、最近、現役出向というのがどんどんふえて、天下りをやると目立つものだから、現役出向で退職間際の人を出向させてみたいなことがどんどんふえています。前の長妻大臣は、厚労大臣だったときに、厚労省の現役出向を一つも認めない。これは非常に見識だったと私は思っております。他方、国土交通大臣だった前原さんは全部サインして、国土交通省の現役出向ポストが幾つになったか数え切れないというぐらいになっています。

 この現役出向のあり方を、岡田公務員制度改革担当大臣としては、今のような尻抜けの制度のままにするのか、あるいはこの現役出向というのを少なくとも本来の姿に直そうとするのか、どちらでいらっしゃいますか。

岡田国務大臣 先ほど言いましたように、天下りのあっせんについては、これを根絶する。そして、定年まで勤務できる環境を整備していく中で、大臣の任命権のもとに、職員が培ってきた専門的な知識経験を同じ公務部門である独法等で活用し、法人の業務の効率化、無駄の排除に取り組むこと、私はそれは排除される必要はない。そういう意味では、現役出向についてこれを否定的に捉える必要はないというふうに従来から考えております。

河野委員 天下りの監視機能は権限を行使せず、定年延長についてはそれを否定せず、何か公務員天国をつくろうというような話にきょうの質問で聞こえております。それで、税と社会保障の一体改革、消費税の増税を含んでというのは本当に受け入れられるんだろうかという気がしてなりません。

 ちょっと公務員制度のほかの質問はもうやめて、厚労大臣に一つお伺いをしたいんです。

 厚生年金の適用拡大を厚労省が検討されていると伺っております。標準報酬月額九万八千円、これを引き下げるということが検討されていると伺いますが、これは何で九万八千円かというと、この九万八千円をベースに計算をすると、ぎりぎり国民年金の保険料よりは高いんですね。これを下げると、国民年金の保険料より低い保険料で国民年金と厚生年金の両方が受け取られることになる。これは幾ら何でも不公平だと思うんですが、引き下げが検討されているという情報が流れていますので、まさかそれはないですよねということを厚労大臣に確認させてください。

小宮山国務大臣 これは、今回、現行の制度を改善して働き方に中立な制度にするために、これだけ非正規短時間労働者が多い中で、格差是正のためにもこれを、社会保険の適用を拡大したいということで、引き下げは検討しております。

 これについてはいろいろな御意見がございまして、審議会の中でも、月額およそ一万五千円を負担して基礎年金だけを受け取る第一号被保険者の方に不公平感を生じさせる可能性があるといった御意見がある一方で、厚生年金制度の中では、比較的所得が高かった方から低かった方への所得再分配が行われる仕組みで、厚生年金に加入した方が低い負担で給付を受けられるということは第一号被保険者の負担とは関係がないから、新たに加入する短時間労働者の負担と給付はどうあるべきかということで考えるべきといったような、審議会の中でもさまざまな御意見があります。

 私どもが今回これを検討しているのは、最初申し上げたとおり、今、非正規で働いている方、こういう方がもう四割近くなっていますので、働き方に中立な制度ということで今検討しているところでございます。

河野委員 国民年金より低い保険料で国民年金と厚生年金の両方を受け取ることができるようになってしまうのは、国民年金と厚生年金の格差をさらに大きくすることになりますので、それが不公平あるいは格差の是正だというような厚労大臣の発言には、大いに疑問がございます。

 もう時間でございますからやめますが、ここに枝野大臣も細野大臣もいらっしゃるのに、関連質問ができないのは非常に後ろ髪を引かれる思いでございますが、どこかでそういうチャンスもあると思いますので、両大臣には、日本の原子力エネルギーの問題、しっかり対処をしていただきたいと一言だけ申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて河野君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩崎恭久君。

塩崎委員 自民党の塩崎恭久でございます。

 今回、予算委員会でも、繰り返しマニフェストの総崩れというのが言われてまいりましたが、これまでの指摘されてきたマニフェスト違反については、大体、財源根拠がなかった、それで倒れちゃったというのがほとんどでありました。

 きょう取り上げる事例は、正しいことをマニフェストで言っていたにもかかわらず、言ってみれば霞が関の組織の防衛のための論理で、その正しい政策を捨てて百八十度中身の違うことを言い出す、そういう意味でのマニフェスト違反の事例を取り上げたいというふうに思っています。

 それは、福島原発の事故で、長い間住みなれたふるさとの自宅の生活を諦めざるを得なくなった十六万人の方々を初め、放射能汚染で子供たちを外で遊ばすこともできないようなお母さん方、そしてまた風評被害で商売に大きなダメージを受けた全国の方々、さらにはこれまで震災以来ずっと支援をしてくださった海外の政府やあるいはNGOやそういった方々、私はそういう人たちに対する裏切りではないかというふうにすら思っていますし、また、国際的な、言ってみれば社会のルールにも背を向ける、そういうことをやろうとしているわけであって、私は許しがたい責任放棄ではないかというふうに思っています。

 これがこれだけ深刻な原発事故を起こした国家がやることだろうかというふうに憤りすら私は実は覚えているところでありまして、それも、よくよく調べれば、霞が関の言うとおりになる野田内閣とよく言われますけれども、結局、霞が関の組織防衛の論理で、そのために、大目的である、二度とこのような事故は起こさないというその政策目的を捨ててしまって、それでこのようなことをやって、今回の原子力規制庁法案というのが出てきた、私はそのように思えてならないし、また、被災者、被曝者、避難者、そういう人たちに対して失礼ではないかというふうにすら私は思っております。

 そこで、まず総理、資料の一ページ目にマニフェストがあります。何度か聞かれていると思いますが、ここではっきり、「国家行政組織法第三条による独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する」というふうにインデックスに書いてあったわけだ。それを今回は否定して、外局というのでいきます、こういう話でありますが、中身についての反論はもう要りません。これはまごう方なきマニフェスト違反だということを、イエスかノーかでお答えください。

野田内閣総理大臣 資料にも書いてありますが、これはインデックスです。マニフェストには書いておりません。

 インデックスというのは、その年までの議論の集大成を書いているということであって、これを外向けに、選挙の公約として言っているわけではないということ、違いがあるということをまず一つ御理解いただきたいと思いますが、その上で、二度とこんなことを起こしてはいけないという思いは、これは間違いなく、我々は塩崎委員と共有をしています。

 共有をしているから申し上げますが、二〇〇九年の段階までは、こういう委員会方式を我々も考えておりました。だけれども、昨年の三月十一日の原発事故の発生と、それに対する対応ということを考えたときに、緊急時に対応を責任を持って行うには、内閣から独立した合議制の委員会形式ではなくて、内閣の責任のもとで迅速な意思決定が行われ、適切に危機管理対応が行われる、そういう形態の方が望ましいという判断をしたということが今回の最大の原因でございます。

塩崎委員 中身は聞いていないと申し上げました。

 インデックスはマニフェストではない、約束ではないと言っているのに等しいことをおっしゃったので、びっくりいたしました。それと、結局、インデックスにしてもマニフェストにしても、やってみたらうまくいかなかったということは、やってみたらうまくいかないことがいっぱいインデックスにも書いてあるね、こういうことをみずからおっしゃったということを私は申し上げたいと思います。

 そこで、その下に、民主党さんは三回、議員立法を出されております。平成十二年、十四年、十五年、ここは、今回の震災で心変わりをしたということでありますけれども、そのときまでに三回出しているのは、全部三条委員会案で議員立法を出されております。

 三回とも賛成されている方が、この中に、岡田さん、藤村さん、安住さん、枝野さん、そして玄葉さん、古川さん、これだけの方々、六名が三回とも賛同者になっています。それから、二回なっている方もこの中におられまして、一人は細野大臣、それから野田総理、あなたも二回賛成をしているんです。ですから、さっき申し上げたように、結局、危機時に機能しないものをやってしまったということをおっしゃっているように聞こえるわけであります。

 平野文科大臣、あなたは、賛成者だけではなくて、提案者に三回ともなっているんですね。ですから、よほど三条委員会でないとだめだと思っていらっしゃったんでしょうね。ですから、閣議決定を今回この法律についてやるときに、どのような心の整理をつけて花押を書かれたのか、一度聞きたいと思います。

平野(博)国務大臣 基本の考え方は先ほど総理が述べられたとおりでございますが、私は、あの当時、科学技術委員会もしくは文部科学の筆頭をやっておりまして、ジェー・シー・オーの事案が起こったときでございます。

 私は、常々、規制と推進とが同じ立場で物を見るということはやはり避けなければならない、特に原子力は、私、推進の立場でしておりましたので……(塩崎委員「短くしてください」と呼ぶ)しっかり説明しないと、また誤解を招くといけませんから……(塩崎委員「いやいや、時間をとられちゃうから」と呼ぶ)はい。

 そういうことで、私としては、今回、先ほど総理が述べられましたように、緊急時の事案が起こったときに、本当に合議体の中で十分に機能できるのか、強い権限を持って初動を含めておさめていく、こういう組織をつくるべきだ、こういうことで、そこについては理解をいたしているところでございます。

塩崎委員 緊急時に本当に合議体がうまくいかないかどうかはまた後ほど申し上げますけれども、ですから、営々とやってこられたことは、実は通用しないものをやってきたということにすぎないんだろうというふうに思います。

 その次の資料を見ていただきたいと思いますが、今回のこの原子力規制庁の法案の扱いは余りにも乱暴で、国会軽視だということを申し上げたいためにつくったものであります。

 消費者庁をつくったときは、法律を出してからできるまでに一年かかっています、途中でとまっていたというのもありますが。

 問題は、法律をまず出した上で予算を出しているというのが常識的な形で、何の予算だかわからないものを先に出すということは、普通あり得ない。しかし、今回は、法律よりも前にまず予算が出てきた。五百四億円であります。そしてその後、法律が出てきて、さらに、衆議院で予算が採決になるときは、法律は一秒たりとも審議をしないままで通せというんですね。賛否を問えというわけです、予算について。

 そして、さらにびっくりすることは、普通、法案審議が衆議院で始まるのは、予算の基本的質疑が参議院で終わった後。ということは、例年でいけば、あと大体三週間あるかないかですよ。その三週間あるかないかで、こんなに大きな法律を衆参通して、四月一日スタートだ、こういうことですよね。これは余りにも国会を軽く見過ぎていませんか。いわば自動販売機みたいな話ですよ、法律が自然に出てくるだろうと。

 それはちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども、総理、いかがですか。

細野国務大臣 規制庁の問題について御審議をいただきまして、ありがとうございます。塩崎委員が自民党の中でもこの問題を非常に集中的に御議論いただいているというのは聞いておりまして、この問題の重要性を御理解いただき、そしてこういうことで御質問いただいたことに関しては、心より感謝を申し上げます。

 一言だけ。私も率直にお答えします。率直に、なぜこういう法案を出したのかということについてお答えをしますので、そこはぜひ建設的な議論をさせていただきたいと思っております。

 御質問にお答えをいたします。

 自民党の委員の方から何度か御質問をいただいておりまして、ある自民党の議員の方は、この四月の発足というのは余りに遅い、そういう御質問をかなり厳しくいただきました。つまり、極めて緊急性が高く、国際的にも国内からも日本の原子力規制のあり方が問われていて、その意味では最速で私どもやったつもりでありますけれども、四月というのは、ぎりぎりのタイミングとして、このタイミングであればということなのではないかと考えております。

 国会の質疑については、私が申し上げることではありませんけれども、できる限り各党各会派の方に御議論いただいて、しっかりと、さまざまな御質問があれば、それにはお答えをしたいというふうに思っております。

 国会事故調の件についてもお答えした方がよろしいですか。(塩崎委員「まだ聞いていない」と呼ぶ)はい、わかりました。では、それは後ほどお答えします。

塩崎委員 私は三週間でこんなに大事な法案を通すことがいいかどうかを聞いているのであって、中身の話じゃないし、急ぐ急がないの話じゃないんです。急ぐとなったら、普通は臨時国会に出してくるものだと我々は思っていましたよ、皆さん。それを出してこないで、ぎりぎりに、今ごろになって通常国会に出してきて、それで三週間の審議で通せというのは、幾ら急ぐといったって、それは無理ですよ。それは乱暴過ぎるし、そもそも国会を軽視し過ぎている。

 国会事故調の話は、もう何度かお話が出ていると思いますので余り多くは言いませんけれども、総理、「政府の決定の見直し」、これはつまり、全会一致で通ったあの黒川委員会、行政組織の見直しを提案してくれ、こう言っているわけですね、法第一条で。それについて、政府がいきなり組織のあり方を出してきたのに、理解できない、こういうふうにあって、「政府の決定の見直し」「国会における責任ある対応を求めます。」ということでありますが、この見直しあるいは対応について、総理としてどうお答えをいただけるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 原子力の安全規制、これをしっかりやらなければいけないことはもう間違いないので、まず当面は、この四月一日に発足をさせていただきたいと考えている原子力規制庁で、その後に、これは去年の八月に閣議決定をしていますが、当面の対応と、それから二十四年末を目途に広範な検討を行うこととしておりますので、その中で、国会の中に設置された事故調の御意見も十分踏まえて対応していきたいというふうに思います。

塩崎委員 見直しが閣議決定の中にあるのはよくわかっています。しかし、法律の中に、見直すという言葉が全然出てこないんですね。炉規法は、五年の見直しというのが入っていますよ。しかし、この規制庁についての見直しというのは、入っていないんです。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 そこで、官房長官、そのうちいなくなられるので、官房長官にちょっとお尋ねしますが、人事検討会議というのがありますね。やっていらっしゃいますか。私のときはやっていましたが、民主党はいろいろ変えられているので、やっているのかやっていないのかよくわからないんですが、やっているとすれば、どのランク以上の方々を対象にしているか。そして、霞が関の幹部職員の場合には閣議決定をする、こういう理解でよろしいですね。

藤村国務大臣 人事検討会議、時々にやっておりまして、私、就任してからも、もう何回か経験をしております。

 これは、霞が関の局長以上だったと思いますが、については、全て官房の中で人事検討会議を経て閣議決定をする、こういうことになっていると思います。

塩崎委員 そうすると、外局の長、つまり今回の原子力規制庁の長官は、人事検討会議と閣議決定の対象でございますか。

藤村国務大臣 同様であると考えております。

塩崎委員 閣議決定にかかるということですね。ありがとうございました。

 そこで、中身に入っていきたいと思っていますが、今回この原子力規制組織を見直す最大の目的というのは何だろうかということを考えるときに、私は、菅直人リスクをなくす、これじゃないかなと思っているんです。

 菅直人リスクというのをわからない人は余りいないんじゃないかと思うんですけれども、原災本部長、つまり総理が原災本部長になるわけですけれども、原災本部長として、事故の翌朝、早朝に現場に行って大混乱をもたらす。SPEEDIを活用せずに、多くの子供たち、福島県民を放射能にさらす。専門的知識もないのに、ベントをしろ、海水注入をとめろ、浜岡原発をとめろ、玄海原発の再起動を撤回しろ、法令に定めのないストレステストを事故後三カ月もたってからやれなど、支持率アップを狙った政治パフォーマンスとしか思えないようなことを次々にやる。そして、さらに問題なのは、例えば、メルトダウンのような重大なことが起きているにもかかわらず、二カ月も隠蔽する。

 危機に当たって、そういう数々の失敗と身勝手なことをいっぱいやってきた。こういうことで国民の不安をあおって、原子力政策に大きな信用失墜をもたらす、これが私は菅直人リスクだと言っているんです。いや、菅直人さんのような方はめったにいないから大丈夫だ、こう言う方もおられるんですけれども、私は、菅直人リスクを抱える政治家はたくさんいると思うんです。

 国家の統治機構というのは、どんなことが起きても、どんな人が総理になっても、基本は崩れない、そういうふうにつくり上げるのが、私はこの立法府としての務めだというふうに思っているんですね。しかしながら、残念ながら今回の原子力規制庁は、引き続きこの菅直人リスクというのが続くようになっているんです、何にも変わらずに。ですから、被災者、被曝者、避難者にどう顔向けできるのか、私はよく理解できないというのが正直で、本当にこれは失礼な話だなというふうに思っています。

 そこで、総理、九月に国連に行かれましたよね。立派なスピーチをされたのは覚えていらっしゃると思います。そこで、四ページ目の資料で、ハイレベル会合におけるスピーチというのをされています。原子力発電の安全性を世界最高水準に高める。何をやって高めるのかというと、一つは規制と利用を切り離す、もう一つは規制の一元化を図る、こういうふうにおっしゃった。私は、そのとおりで、正しいことをおっしゃっているというふうに思っています。

 問題は、本当にそれを正しくやっているかどうかなんですが、総理、世界一にするということは、やはり、IAEAの安全基準というのがありますね、世界最高水準の安全性を保つためには、IAEAの基準は少なくとも守るというふうに理解してよろしいですね。総理に聞いている、総理のスピーチだから。

細野国務大臣 総理のスピーチというのは非常に重いものでございます。それに基づいて規制機関のあり方について議論を深め、そして政府として法律を提出しているということでございます。

塩崎委員 今、IAEA基準を守ると言ったんですか。

細野国務大臣 IAEAとはこれまでさまざまな議論もしてまいりました。すなわち、IAEAのこの安全基準とは整合性のあるものをつくるということであります。

塩崎委員 つまり、IAEA基準は守るということをおっしゃったというふうに理解をしています。それでいいですね。もう、うんと言ってくだされば、こくっとやってくれればいいですよ。

野田内閣総理大臣 ちょっと、こくっだけでは味がないものですから。(塩崎委員「いや、ちょっと時間がないから」と呼ぶ)そうですね。

 でも、ちょっとさっきの、その前の、原発事故の発生のときの菅さんの対応は、立場によっていろいろ御批判はあるかもしれないけれども、少なくとも、支持率を上げるパフォーマンスではなかったし、何かを隠匿しようという意思はなかったということは御理解いただきたいというふうに、立場によって御批判はあることは承知をしていますが、その表現だけはちょっとおやめいただきたいというふうに私は思います。

 その上で、今大臣が答弁したとおりであって、基本的には、IAEAの基準にのっとって、整合的に対応しているつもりでございます。

塩崎委員 IAEA基準というのは実はたくさんあって、これはちょっと、一部だけをきょうは持ってまいりました。憲法みたいなものと、あと政府、行政にかかわる部分、そのほかに専門的なものがあります。

 その中で、今回の対応でIAEAあるいは国際社会が問題にしたのは、独立性という問題なんですね。総理が的確におっしゃったように、規制と利用を切り離す、つまりこれは規制機関の独立性のことなんですね。

 そこで、それに何が書いてあるかというのが五ページであります。

 五ページを見ていただくと、十分な権限、十分な職員、十分な財的資源、これはつまり、権限が独立し、人事も独立し、予算も独立すると言っているに等しいわけです。

 その次が大事であって、「規制機関は、変化する政治環境又は経済条件に関係する圧力、あるいは、政府各部門又は他の組織からの圧力のような、安全を損なう可能性のある如何なる不当な影響にも左右されないで、独立した規制判断と決定がなされなければならない。」これがIAEA基準の中で規制機関の独立性を言ったところなんですね。

 そこで、規制庁の長官は、環境大臣や総理からは独立をしていますか。

細野国務大臣 IAEAの考え方というのは確かにこの安全基準の中に示されておりまして、具体的に、日本に対して二〇〇七年にIRRS、そういう調査が行われ、報告書が出ております。これは、我々は非常に重視をいたしました。

 まず一点、これは塩崎委員にぜひ御理解をいただきたいんですが、二〇〇七年は自民党政権です。塩崎官房長官がおられたときです。そのときに出ていたこの安全基準の中身を読みますと、一番厳しいのは、勧告というのが出ているんです。これは、安全・保安院と安全委員会の役割が不明確であるということを示唆しています。資源エネルギー庁から保安院が独立をしていないことについては、これは助言という形で、明確には言っていませんが、やはり改めるべきであるということを示唆しています。

 それを当時の政府は無視しました。我々も二年間政権を持っていますから、そのことについて責任をなしとはしません。責任なしとはしないけれども、責任は共有しているということはぜひ御理解をいただきたい。

 その上で、ここで言っている勧告である一元化、これをまずやります。その上で、独立性の中で、IAEAが一番指摘をしたのは、推進サイドからしっかり独立せよということなんです。それをここで実現しております。

 その上で、政治からどうかということでありますが、それは、例えば原子炉に対するさまざまな規制やそうしたものについては、当然、原子力安全庁長官は独立をして判断すべきだというふうに私どもは考えておりますので、委任をするという形で法律として明確に独立性を担保しているところでございます。

塩崎委員 IAEAのレビューで独立性がないと言われたことは事実ですけれども、保安院に聞いたら、これは独立性があると言われたんですと、今のあなたの配下である人たちは言っているということを言っておかないといけない。(発言する者あり)あなたの配下か、まあどっちでもいいや、やっているから。

 それで、今はっきりおっしゃったのは、独立性を持っているということをおっしゃったというふうに理解しました。細野さん、いいですね。

細野国務大臣 人事という意味では、安全庁の長官は、これは長官人事でありますので……(塩崎委員「規制庁」と呼ぶ)規制庁の長官は、任命は政府として行うということであります。そして、その権限は委任をされますので、独立をしているということでございます。

塩崎委員 今、細野大臣がいみじくもお認めになって、権限は委譲する、しかし人事は、さっき僕は官房長官にお聞きをしました、人事検討会議で、内閣で決定をするんですね。人事は内閣が決定をするということになれば、環境大臣や総理から完全に独立であるわけがないじゃないですか。これは霞が関の常識です。罷免権はありますから、規制庁長官には身分保障はないはずですよ。したがって、独立性があるとは全く言えないということですよ。

 例えば、環境大臣に原発推進の大臣が来たときや、総理がそもそも原発大好き人間で、やるぞやるぞという人が来たときの規制庁の長官の立場は極めて危ういわけですよね。そのときに独立性があるかというところが問われるのであって、人事はさっき言ったように閣議決定するんですから、閣議は、さっき合議体はうまくいかないと言っているけれども、閣議こそ合議体ですからね、十七人、十八人の大臣が合議をして決めるんだから。五人の合議体がうまくいかないんだったら、十七人、十八人の閣議もうまくいかないということになってしまうので、そんなことあるわけない。

 いずれにしても、人事において身分保障がないままで、人事権を総理、内閣、一義的にはやはり総理ですよ、そして直接的には環境大臣が持っていたら、独立性があるわけがないというのが私が申し上げたいことで、そのために官房長官にはそれをお尋ねしたということであるわけであります。

 ちょっと飛びますけれども、見ていただきたいのが八ページの資料で、これは我々が自民党で現在検討している案です。要は、皆さんの外局と違って、三条委員会でやろうじゃないかと。これをすれば、権限は、さっき委任をしているというお話でありましたけれども、明確に独立をし、人事も国会同意人事で、なおかつ身分保障を付与するというのが普通ですから、独立性は法的に担保されているということなんですね。

 ちなみに、去年の九月の代表質問で公明党も三条委員会の提案を行っていますし、社民党も前回総選挙のマニフェストで同様の提案をされていると聞いています。みんなの党も今、三条委員会でまとめているようでありますし、共産党も少なくとも反対ではなさそうでありますから、前向きではないかなと私は思っております。

 そういうことで、独立性は人事上ないということは、実はこのIAEA基準を満たしていないということだと私は思っています。

 それで、細野大臣、この独立性は、平時と緊急時で違いますか。

細野国務大臣 まず、八ページについて若干私の方から答弁をさせていただきたいんですが、この政府の案の方で若干欠けている部分がございます。それは、原子力安全調査委員会というのを、規制庁の長官や環境大臣が、それこそ、これはおかしいということがある場合にはチェックをできるような委員会として設置をいたします。それは国会の同意人事ということでありますので、そういった意味での国会のチェックはしっかりやることができる体制になっているということを、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 その上で、済みません、御質問いただいたのは……

塩崎委員 緊急時、平時、独立性に差はあるか。

細野国務大臣 失礼しました。大変失礼いたしました。申しわけございませんでした。

 平時と有事でございますけれども、まず、平時においては、これはまさに炉の規制ということが業務になりますので、委任をされます。平時においては、完全に原子力規制庁長官に委任をされます。これが考え方であります。

 一方で、有事でありますが、ここはやはり政治が判断をしなければならないところが出てくると考えております。例えば、緊急事態宣言、これは非常に重い判断ですので、最後は本部長である総理が行いますけれども、そこには大臣も当然関与しなければならないというふうに考えております。

 炉の基本的な、それを制御することについては規制庁長官が主な役割を果たすというふうに考えますが、例えば、今回の事故のように、自衛隊がそこに出動して放水をしなければならないということの判断、そしてそれを自衛隊に要請する、これは規制庁の長官が全て判断をすることは難しいと思います。また、その後も、炉の制圧に当たりまして、例えば、水を出さないようにするために遮水壁をつくるなどの、そういう非常に予算がかかり、そして政治的な判断を求められることについて、原発の中だからといって規制庁の長官が全てやるというのは難しいと思います。

 今回、私は、三月十一日から一年近くにわたって、特に三月、四月、五月、毎日東京電力にいて、あらゆる場面で、菅総理のさまざまな政治判断もしっかりと受けながら、個別に判断をしなければならないことがメジロ押しでありました。そういったことを経験した立場からいうと、やはり有事は、この規制のあり方、役割については政治の役割というのがかなり大きくなる、有事というか緊急時においては大きくなるというふうに考えております。

塩崎委員 つまり、緊急時には長官の独立性はないということをおっしゃったということであります。

 そこで、総理が最終権限を持つかどうかという話でありますけれども、ちょっとそれを整理いたしましたのがありまして、十ページを見ていただきたいと思います。

 今、細野大臣がおっしゃったこと、かなりの部分は合っているんですけれども、一番大事な部分が間違っているんですね。

 何かというと、原災本部の指揮分担のイメージ図でありまして、さっきおっしゃったのは、オフサイト、オンサイト、つまり、オフサイトというのは、要は原発の外で住民避難をする、これが一番ですよね。人間を守る、これが一番でありますけれども、これについては総理が本部長として頑張る、責任を持つ、これは当然です。

 それから、細野大臣が言って正しかったのは、オンサイトでも総理がやらなきゃいけないことがありますよ。自衛隊に来てもらう、遮水壁をつくらなきゃいかぬ。そのとおりであります。

 問題は、原子炉の規制に係る部分について独立性があるかどうかというところが問題なのであって、今の、政治の判断が必要だということは、実はさっきのIAEA基準からいくと全く外れた話であって、ここの判断について、つまり、一番右下の「原子力規制組織による独立指揮」と書いてあるのは、我々は独立指揮があるべきだと思っているからこう書いていますけれども、言ってみれば炉規法の世界ですよね。炉規法の世界については、ここは独立性がなければIAEA基準にならない、こういうことを言っているんです。

 しかし、今の原災法の仕組みでは、原災法第二十条の二項というところで、総理がオーバーライドできるようになっているんですね。ですから、独立性は今ないんです。それで、今度の規制庁法案で一括で出てくるものも、オーバーライドができるようになっています。ですから、御説明があったように、総理が原子炉の鎮圧もやるということになるんですね。そういうことでよろしいですか。

細野国務大臣 確かに、炉規制法を原災法はオーバーライドできる規定になっておりますので、緊急時においては総理にさまざま指示権が与えられます。

 この中で、例えば、今回、オフサイトでさまざまな、汚染の調査であるとか、あと健康の問題、こういった問題も新たに規制庁の業務となります。さらには、オンサイトでも確かにこういう業務があり、若干、オンサイトの中でも、自衛隊や消防の出動だけではなくて、例えば、汚染水を外に出さないために何をしなければならないのか、これはかなり高度な政治判断になります。

 ですから、炉規制法の部分と、そうでないぎりぎりの線に、実は、今回の事故の場合はかなり決定をしなければならないところがありまして、そこの部分は政治が判断せざるを得ない状況というのは、今回もあったし、あり得るというふうに思っております。

 そして、塩崎委員にぜひ御理解をいただきたいんですが、原災法上はこれは確かに総理の指揮権に委ねられますが、今回の事故のように、地震と津波と原発事故になった場合に、原災法は、それこそ原発事故に限定をした規定になっておりますから総理に大権のようなものが与えられているんですが、それがそのまま総理が全て行使をできるような生易しい状況ではありません。

 したがって、原子力規制庁の長官がいて、オーバーライドするから全部総理という、一足飛びに飛ぶのではなくて、そこは担当大臣がいて、基本的にはその担当大臣が判断をし、必要に応じて総理の決裁を仰ぐという、政治家としてしっかりと制御できる人間が一人そこに必要なんです。

 それは、今回の事故を経験して、菅総理が、いろいろと厳しい御批判はありましたが、全力で事に当たられる中で、総理で全てやり切るのは無理だということを私自身見ておりますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

塩崎委員 残念ながら、細野大臣はIAEA基準が全くわかっていないということがよくわかりました。

 それで、私たちはいろいろここのところの議論を深めましたけれども、例えば、午前三時にベントをしないと水素爆発が起きるぞ、これは実は被災地である福島選出の参議院議員である自民党の森まさこさんが説明に使っていた話でありますけれども、午前三時にベントをしないとだめだということを規制機関の長が決めた、規制機関が決めた場合に、いやいや、まだ住民が避難していないので二時間おくらせて午前五時にしてくれと総理が言うかもわからない。私はそれを菅直人リスクと言っているだけであって、そういうことは幾らでもあるわけですよ。いや、避難していないのにそんなことをやったら放射能をかぶっちゃうよ、こうなってしまう可能性があるわけで、だったら、やってみたら午前六時に水素爆発が起きちゃったというのではもっとひどいことになる。

 したがって、総理がそこで二時間延ばすとかなんとかいう話ではなくて、午前三時ということをもし規制機関の長が判断して決めたら、その時点で避難できる人は避難できるようにあらゆる手を尽くすというのが総理の本部長としての仕事であり、どうしても逃げられない人がいた場合には、夜中ですから一軒一軒行かなきゃいけない。これにはやはり相当な人的資源が要るわけですね。

 これを徹底的にやって避難をしてもらうか、あるいは出られない人は家の中にこもっていてくれ、知らせるまでいてくれとか、コンクリートの中に隠れていてくれとか、本部長はそういうことをやるのが仕事であって、三時の判断を変更することじゃないと思うんです。高度な政治判断だとおっしゃった、それがやはりちょっと間違っていると私は思っています。

 次の、IAEAの調査報告書というのがあります。六ページですね。これは、IAEAの調査団が去年五月から六月にかけて参りました。そこで残していった報告書の中に、いっぱい教訓とか結論とかいうのがありますが、その中で教訓十六というのがあります。

 これを見ると、規制機関が実際に事業者及びその他機関から独立し、関係当事者から不当な圧力を受けないことを保証することにある、これが政府の役割だ。政府の役割は、法律とか規定でこの独立性を担保しなきゃいけない。独立をして規制機関が判断しなければいけない。そして、驚くことに、その下に、今、細野大臣が言ったことと全く逆な、これらの役割と責任は緊急時においても混同すべきではないと言っているんです。

 緊急時であっても独立性を持って安全かどうかの判断をしなければいけないということを言っているのでありまして、ここのところを勘違いされていないかということであるわけで、そうすると、さっき緊急時と平時とは違う、緊急時には独立性はないということをおっしゃいました。それは実は世界の常識ではありません。IAEA基準でも常識ではありません。ここでははっきり、IAEAの報告書は、緊急時においても混同すべきではないと言っているんです。

 それで、十一ページをちょっと見てもらいたいんですが、これは内閣官房にある法令準備室がつくった紙をそのまま使っています。原子力安全庁の仕事のイメージということで、その右のアンダーラインを引いてあるところがあります。事故原子炉等の鎮圧の指揮等というのが原子力災害対策本部の事務と括弧の中で書いてありますね。それを、事務局としてサポートと。主従関係からいったら、完全に従の立場になるのが今回の規制庁なんですね。

 これは全く、さっきの報告書と真っ向から対立する考え方であって、これは完全に、言ってみれば下請になるということになるわけです。つまり、政治判断を重んじるという名のもとに、この規制機関は独立性が全くないというのを、今回、規制庁としてつくってきた。だから私は、被災者に失礼だし、国際社会にも裏切りだということを言っているのであって、何でこんなことが出てくるのか、私には理解できないんです。

 多分、細野大臣は思い当たる節があって、アメリカからも言われた、IAEAからも言われた、フランスからも言われた。だから、この間、一月に御説明に行ったと私は聞いていますけれども、こういうように、役割、責任分担が緊急時に混同されているということを、普通、国際機関は主権国家にここまでわざわざはっきりしたことを書きませんよ。だけれども、ここまで書いているということは、裏返せば、混同していましたよねということを言っているんです。ありますか。

細野国務大臣 まず、これは菅前総理の名誉のためにも申し上げますが、ベントについては、あれは即時にすべきだというのは、総理の判断でした。ただ、なかなかできないという状況の中で時間がたってしまったというのが事実であります。

 ですから、そこはぜひ、事実に基づかない御発言は、こういう公の場所ですので、ほかでもない、本当に塩崎先生というのはこういう分野でずっとやってこられたわけでありますし、ぜひそこは強くお願いを申し上げたいと思います。

 その上で、オンサイトとオフサイトのさまざまな取り組みというのは、どうしてもリンクをするところがあるわけです。原災法というのは、オーバーライドしますので、確かに、さまざまな権限を有事においては総理や関係大臣が持ち得ます。ただ、独立性がないのかといえば、それは全く違います。

 ベントが必要かどうか、炉においてどういう対処をしなければならないのかということについては、これは当然、規制庁の長官が独立をして判断をしなければならないところでありますので、そこを私は独立性がないということを申し上げたのではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 そして、ウェートマン氏の報告書でありますが、私もウェートマン団長には直接お会いをしましたし、直接さまざまな議論もいたしました。報告書も全て読んでおります。塩崎委員の引用されたところは、実はかなり、ちょっとはしょって引用しておられて、前後に非常に重要なことが書かれています。

 前段の部分で書かれていることを要約いたしますと、電力会社と規制機関及び政府の三つの異なる役割があるので、それぞれ明確にすべきだという、むしろここでは、電力会社と規制機関の役割分担を明確にせよということが書かれています。そしてその上で、この教訓十六のところに、それらの役割は緊急時においても混同すべきではないと書かれています。したがいまして、炉の中の状況については独立性を担保します。

 そしてもう一つ、あえて省かれたわけではないと信じたいと思いますが、この後にこういうことが書いてあります。

 しかし、そうした状況においては、公衆の最適な防護を保証し、適切な情報が入手できるようにするため、緊密な協力が求められる。このことは特に、広範な区域にわたって原発所外の対策措置が求められ、さまざまな機関または省庁を通じてそれらを実施することが必要であるような過酷事故において重要である。

 これは書かれているんです。

 したがって、独立性は大事だけれども、こういった過酷事故ができたときには、政府として責任を持って緊密にやれと書いてあるんです。これに正確に基づいて私どもは今回の制度設計をさせていただいておりますので、これと反したという御批判は当たらないと考えております。

塩崎委員 細野大臣、もしできたら、英語で読まれた方がいいと思います。

 実は、さっきの緊急時において混同するなと書いてある次は、ハウエバーと書いてあるんです。つまり、混同するな、独立でやれということですよ。ハウエバー、コオペレーションは大事だと書いてあるんです。

 だから、そもそも、特に過酷事故においてはコオペレーションが大事だと言っているんだけれども、独立しているけれどもコオペレーションは必要だと言っているので、政治が手を突っ込んでいいということでは全くないということですよ、あなた。逆に解釈している。英語で読んだ方がいい。僕は日本語と英語と両方持っているけれども、これは英語で読んだ方がずっとわかりやすいから。ハウエバーでひっくり返しているんだから。

 そこで、そもそもクロース・コオペレーションと書いてあるんですよ。コオペレーションというのは、別に英語の授業じゃないけれども、コオペレートなんですね。コオペレートというのは、主従関係のものをコオペレートとは絶対言わないんですよ。対等のものを、両方が一緒にやるのがコオペレートなんです。だから、独立性がなかったらおかしいとウェートマンさんは言っているんですから、あなたはもう一回これを読み直した方がいい。

 そこで、その次の七ページを見ていただきたいんですが、細野大臣が行かれたIAEA閣僚会議が六月にありました。ここの中で、何と、規制システムは、政治的影響及び不当な財政的な制約がない環境において機能する必要があり、独立性は原子力安全の強化にとって主要な柱の一つである。

 つまり、三月に事故が起きて、六月に、ウェートマンさんたちの報告書にも、緊急時と平時と混同するな、同じようにやれと言っているし、ここで出てきている。これはわざわざ英語でも書いてある、ポリティカルインフルエンス、政治的な影響。だから、よほど皆さん、国際社会から見て、日本は政治的に物事を決めていって大混乱になったという認識だということですよ、ここまで言っているんだから。だから菅直人リスクだと僕は言っているのであって、そこのところは丁寧に見てもらいたい。

 そういうふうに議長サマリー、あなたはあの場にいたはずですよ、閣僚会議に行って。スピーチもされてきた。だから、この話は全部あなたが聞いている話ですよ。何でここまで政治的な影響ということを言ったかといったら、それは独立性がないからですよ。だからなんです。そこのところをちゃんとわかっていただかなきゃいけないのであって、ですから、今の原子力規制庁法案はもう一回考え直さなければいけないんじゃないか。

 さっきの十一ページを見ると、この平時、緊急時の話、平たく言えば、平時は玄人に任せます、緊急時は素人に任せますという話ですから、こんなものが通るわけがない。船が沈没しそうなときに、船長、おまえどけ、緊急時なんだから俺がやるぞといって、政治家が出てきて、かじをとったけれども、ところでエンジン、バックにどうやって入れるんだい、そんな話でできるわけがないのであって、そこは役割分担を上手にしなきゃいけませんよということを言っているのであって、コオペレート、だから、さっきの原災本部のやり方というのは、炉規法部分については独立性がなきゃいけないということをIAEAが言っているということだと私は思うんです。

 そこで、九ページをちょっと見てもらいたいんですが、世界はどうなっているか。ここにあるように、英国、フランス、アメリカ、そして今の政府案、それと我々が今考えている三条委員会案。政府の一省庁、さっき言ったように、人事で独立性が怪しいということでもあり、それから、オンサイトの危機についても、総理が出てくるということで一気通貫になっていない。フランスもアメリカも、身分保障がありますから人事的にも守られている、いずれもこういうふうになっているんです。

 そして、十二ページ、総括してみれば、結局、IAEA基準における独立性の要件というのを見ていくと、政府案はいずれも丸がつかない。上の四つぐらいは、やはり人事的につながっているから、幾ら権限はありますといっても無理だろう。そして、他の行政というのがあります。他の行政との独立性、政治との独立性、これは、大体環境省にくっついているわけですから、他の行政はだめなことは明らか、そして政治との独立性も、大臣は多くの場合政治家ですから、これもない。

 そうすると、結局、日本の法制下でもってIAEAの安全基準を守るためには、いわゆる三条委員会しかないと私は思うし、今やろうとしているのは、第二保安院を環境省につくるだけの話であって、そしてまた、環境省の中に経産省の植民地をつくるようなものですよ。

 結局、何をやろうとしているかといったら、やはり人事ローテーションのポスト確保、そして再就職の確保、そういうことで、今、実は環境省と経産省の間で人事のポスト争いと天下りのポスト争いをやっているというふうに言われていますからね、これは。だから、世界の常識からも反しているし、そして、総括してみれば、やはり今の政府案では菅直人リスクは全く排除できないというふうに思うんですが、どうですか、総理。

中井委員長 多岐にわたる質問ですから、きちっと答えてください。

細野国務大臣 まず、前段のところでおっしゃった政府と規制庁の役割ですが、塩崎委員がおっしゃっていて、もしかしたら私の理解不足なのかもしれないんですけれども、私と若干見解が違う部分があるのかなと思うのは、あれだけの事故が起こったわけですね、あれだけの事故が起こって、事故全体の責任を政治が負わなくてどうするのかということです。

 そこは、原災本部において総理がやります。そして、実際に事故を鎮圧する場合には、オフサイトのさまざまな対応もありますが、オンサイトの対応というのが密接にかかわります。

 ですから、そのさまざまな業務において、炉の中の技術的なことは規制庁の長官が独立して判断するということはもちろん維持されるべきだし、我々はそういう制度を考えておりますけれども、一方で、そことの連携において、総理としっかりと連携する、大臣がそこに関与するというのは、私は欠かせないたてつけだというふうに思っております。

 そこで、三条委員会ということでありますけれども、この制度のあり方についてはさまざま議論をいたしました。ただ一方で、合議制の独立性の高い組織というこれまでの三条委員会の議論の中で、この東京電力の福島第一原発の事故というものを想定したときに、やり切れるかということを相当我々は議論して結論を出したということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

塩崎委員 いずれにしても、一番大事なこのIAEAの安全基準の根幹を外しているということだけははっきり申し上げておきたいと思いますし、委員長に、原子力規制組織等に関する集中審議というのを要求したいと思います。

中井委員長 理事会で協議をいたします。

塩崎委員 結局、今申し上げたように、独立性はない、そして世界の常識からも反し、IAEAからのアドバイスも無視しているというのが今の現状です。

 そこで、次の一元化です。

 一元化のことについても、十三ページの資料を見ていただくとわかるように、世界が大体一気通貫でやっていて、総理が高らかに国連で一元化と言いながら、実はそうなっていない。

 放射線防護は文科省、核セキュリティーの中のアイソトープも文科省。そして、下の保障措置、これは細野さんもとってきたかったという話ですけれども、大抵抗に遭って文科省からとってこられなかったというふうに聞いていますよ。それから、もっと大事なのは、SPEEDIは、司令塔部分は来ると言っているけれども、平時の放射能のモニタリングは来ません。したがって、平時と緊急時というのは、何もここで遮断されているわけじゃなくて続いているんですから、そのことを言っておかないといけない。つまり、中途半端な一元化しか霞が関の抵抗でできなかったということです。

 もう一つ大事なこと、ノーリターンルールの話。

 十四ページにありますが、これを見ていただくと、「片道出向七ポストのみ」。これは前から僕は準備室から聞いていましたけれども、やはりなということであります。これの中を見ると、細野大臣は一定クラス以上の幹部職員だけだと言っている。私は、それでは総理がおっしゃっている規制と利用の分離というのはできないと思う。

 問題は人ですから。規制庁にいるときに、出身元の経産省のエネ庁の人たちからいろいろなことを言われたらまずいなということになって、結局、戻ることを考えたらいいかげんなことが起こり得るというのは常識ですよ。したがって、人材確保のためには、報酬で手当てするか、あるいは活躍の場をもっとたくさんつくるとか、そういうことでないといけないというふうに私は思っているんです。

 いずれにしても、一般職に至るまでノーリターンルールにしなければいけないし、再就職についても、エネ庁や経産省が扱っているところに再就職するようなことが起こることは絶対に禁止しなければ、結局、総理のおっしゃっている規制と利用は尻抜けになるということだと私は思っています。

 そこで、もう時間がないのであれですけれども、さっき申し上げたように、どうもこの人事ポストの分捕り合戦、現役とそれから再就職、それでやっているということでありますけれども、私は、規制と利用の分離とかいろいろなことを言いながらやっていながら、実は、その利益相反をのけるというための独立性を確立するということをやらずに、結局、大目的がどこかへ飛んでしまった。

 三条委員会を阻止できたということで、霞が関の影響力が残って、霞が関は一安心しているというふうに思います。それから、経産省は、人事や特会の資金を通じて引き続き安全規制に大きな影響を残せたということで、大喜びをしているというふうに私は思います。さらに文科省も、平野さん、権益維持ができて大満足だというふうに思っているはずですよ。

 結局、トータルで見れば、霞が関が高笑いをして、そして世界は日本を嘲笑する。IAEA基準の基本中の基本、緊急時に混同するなとまで言っていることを、そこまで明確に言っていることをアドバイスを聞かないというのは、私は信じられない思いなんですね。こういうことになるのも、やはり野田内閣が官僚の言いなりになっている、もうしばしば言われてきたことでありますけれども、そういうことなんだろうなというふうに思うんです。

 我々としては、今、自民党内でいろいろ議論しています。野党の中でもいろいろすり合わせをしようと思っていますし、今議論が進みつつあります。結局、考えてみれば、さっき申し上げたとおり、三条委員会じゃないとどうもIAEA基準はやはり満たすことはできない、現行の国家行政組織法を初めとする法制のもとでこの条件を満たすのはやはりそれしかない。ですから、皆さんは正しいことを言っていたんですよ。やってみたらうまくいかないことがわかったというのは、それは結局、ではIAEAの基準を捨てて機能だけをやりますと言っているのに等しいので、それは世界から全く認められないと私は思います。

 それで、私は、細野大臣は安全保障の問題で2プラス2ならぬ4プラス4なんかで一緒に勉強会もやって、あなたの将来性に大いに期待をしています。したがって、つまずいてほしくないんだね。それで、野党のときに、私が官房長官のときにあなたから天下りの問題で鋭い突っ込みの質問を受けて、さすがだなと思いました。しかし、今あなたはこの天下りの問題でつまずきそうになっているということを考えた方がいい、私はそう思うんです。

 だから、あなたがここで失敗をしないでいただきたいし、このつまずきは単なる日本だけでのつまずきじゃないんですよ、あなた。これは世界的なつまずきになってしまうので、将来あるあなたのために、ここはIAEA基準をもう一回読み直して、報告書を読み直して、閣僚理事会のサマリーも読み直して、もう一回この法律をつくり直して出てこないと、私はまずいんじゃないかなというふうに思っているんです。

 被災者の皆さん、そして今でもまだ放射能で心配をされている人たちにどうお応えをするか、それを最優先にしていったら、世界が考えていること、そして野田総理も認めたように、IAEA基準は最低でも守って世界最高水準の安全性を達成するんだ、こうおっしゃったんですから、だったら、やはりそれにふさわしいものをつくっていただきたいと思うんですけれども、最後に細野大臣と総理にお言葉をいただきたいと思います。

中井委員長 細野大臣。時間が来ていますから、簡潔に。

細野国務大臣 いろいろ御指導いただいてきた塩崎委員からのアドバイスでございますので、お言葉は本当に重く受けとめさせていただきます。

 ただ、その上で、若干私なりの考えを申し上げたいんですが、十三ページの表でいうならば……

中井委員長 総理の時間がなくなりますから。

細野国務大臣 はい。

 放射線防護については、これはかなりの部分を規制庁に移します。例えば研究機関であるとかRI、病院のようなものというのは移せないということがありますが、移します。さらには、SPEEDIは完全に移行します。モニタリングも、予算は全て規制庁に計上します。ですから、ここで出していただいているのとはかなり色合いが違うということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、最後は、塩崎委員がおっしゃったとおり、人事だと思います。この二月六日の新聞は事実ではありません。きっちりと規制機関そのもので自分の力を発揮するという職員を集めて出発させなければなりませんので、人事については、非常に貴重な御指摘をいただいたというふうに思いますので、心してさらに当たってまいりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

野田内閣総理大臣 もう細野大臣が答弁したとおりでありますが、規制庁がしっかり機能するように万全を尽くしていきたいと思いますし、一元化の話だけちょっとあえてつけ加えますけれども、かなり規制庁に業務を集約するために、関係大臣を集めて、これは政治主導で進めさせていただきました。そのことは御理解いただきたいというふうに思います。

塩崎委員 いずれにしても、世界は大変心配しています。IAEAの職員からも聞きました。アメリカからも聞いています。フランスからも聞いています。皆さん、この法律では独立性は担保できないと極めて憂慮していることを申し添えて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて塩崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず、私は、総理に伺います。

 高校の無償化につきまして、検証が行われていないということで委員会審議が中断をいたしまして、改めて確認書が合意されたわけですが、この検証が行われていないということに対し、私は怒りを覚えております。

 我が党は、この法案に、修正の上で、条件つきで賛成をいたしました。教育費の負担軽減、そして教育の均等は我が党が取り組んできた政策ですが、課題も多いということから、その解決につきまして、我が党の富田茂之議員が昨年九月二十七日の予算委員会で取り上げております。

 要旨は、特定扶養控除縮減によって、就職も進学もしていないお子さん、また定時制、通信制、特別支援学校に通う生徒二十七万名の世帯はかえって負担増になってしまう、低所得の方々への対応もなされていない、それらを一体どうするのか。高校生修学支援基金、いわゆる奨学金ですが、文科省は進めようとしましたが、実効性が上がっていないということがはっきりしたわけでございます。年末までに手だてをとるべきという内容でございました。いい質問だったと私は思っております。

 この質疑の最後に、総理はこのように答弁されております。「この制度が本当に効果的に機能するのかどうかの議論を十分にさせていただいた上で、二十三年度末までに対応するということは、私、申し上げたことは間違いございませんので、それも含めてきちっとした対応策を決めていきたいというふうに思います。」このように総理はおっしゃいました。覚えていらっしゃいますか。

 総理、あなたは、対応すると言いながら、総理としてどうされたんですか。やっていないじゃありませんか。このとき富田さんは、総理のアサガオの話まで引いて言っているではありませんか。不誠実です。総理、どうですか。

野田内閣総理大臣 まず、高校無償化の件で、政策効果の検証について残念ながら誠実な対応をしてこなかったということは、きのうの幹事長間の覚書でも確認をさせていただきました。私からも改めておわびを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、昨年の富田議員からの御質問を受けて、その後の対応という御趣旨だというふうに思います。

 これは、富田議員からはかねてよりこの御質問をいただいておりまして、私もずっと気にしているところでございました。その上でお答えさせていただきますけれども、特定扶養控除の見直しに伴いまして、高校の授業料実質無償化によってもなお負担増となる世帯、これはもともと授業料負担の軽い定時制や通信制高校や特別支援学校に通う高校生の御家庭でございますけれども、これについては、昨年秋の予算委員会を含めて何度も、富田議員を含めて御党から御指摘をいただいております。

 その上で、二十三年度の三次補正において、都道府県の基金を三年間延長させていただきました。基金がなくなってしまっては意味がないということが御指摘としてあったと思いますので、まず延長させていただきました。

 そして、二十四年度予算案において、大学生等について所得連動返済型の無利子奨学金制度を創設することも勘案いたしまして、二十四年度以降の基金を活用した支援を十分実効性あるものに見直しをいたしました。

 具体的には、特定扶養控除の見直しにより負担増となる世帯の生徒を対象といたしまして、貸与額の増額について、引き続きその原資の全額を基金から取り崩せることとするとともに、返済負担軽減制度の整備を二十四年度以降の基金取り崩しの条件として、基金を利用する全ての都道府県において所得連動返済型の奨学金制度が整備されるように制度改正を行いました。

 富田さんから御指摘いただいたときには基金を活用している実績が余りなかったのでありますけれども、現在、全ての都道府県においてこれらの制度導入に向けた検討を行っていただいていると承知をしておりまして、引き続き、各都道府県に対して十分な働きかけを行ってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 この経緯を一番おわかりなのは予算委員長だと私は思っております。

 先ほども下村委員から要請がございましたが、私から重ねて、果たしてそうした今の総理の御発言一つ一つが実効性があるものかどうなのか。また、我が党が主張いたしました教育の質の向上であるとか公私間の格差是正であるとか、さまざまな課題は積み残されたままでございます。

 こうした点につきまして、集中審議のお取り計らいを委員長に要請させていただきます。いかがでしょうか。

中井委員長 公明党の議員さんからたびたび、この問題について詳しく御注意や御質疑があったことを覚えております。

 その中でも、特に、いろいろとやっているというお話に対して、富田議員から、各県は一つも実行していないという、データを出しての御指摘もございます。これらのデータをまず理事会に取り寄せましてお配りいたしますと同時に、集中審議については十分協議をさせていただきます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 先週十日金曜日、もう五日前になりますが、復興庁が発足をいたしました。

 公明党は、大震災当初から、司令塔になる復興庁の設置を再三主張してまいりましたが、約十一カ月かかりました。これまでおくれたことに甚だ遺憾でございますが、改めて、政府・与党の対応の遅さを厳しく指摘させていただきたいと思います。

 復興庁発足に当たりましての所感を、総理と大臣にお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 二月十日に復興庁をスタートさせていただきました。

 私は、この復興庁の大きな使命というのは、まずは、役所の縦割りを排していくこと、それからもう一つは、被災地の御要望に対してワンストップで迅速に対応すること、この二つをもって、この使命をきちっと果たすことによって復興事業を加速化させていくことだと認識しております。

 新たに、平野大臣初め、副大臣、政務官を配置いたしました。それから、復興局、これを福島と宮城と岩手県に置きました。そして、海沿いの六地区については支所を置きました。さらには、青森と茨城に事務所を置きました。こういう体制ができましたので、フル回転をして復興庁としての役割、使命を果たしていきたいというふうに考えております。

平野(達)国務大臣 これまで、政府一丸となって東日本大震災からの復旧復興に努力してまいりました。津波、地震の地域の復旧復興に関しましては、野党の皆さん方からも大変建設的な御意見をいただきまして、大体の道具立て、復興特区制度等々も含めてでき上がったというふうに思っております。

 今回、復興庁ができまして体制も強化されました。こうした制度を使って、一日も早い復旧復興にこれまで以上に努力しなければならないというふうに思っております。

 一方、福島でございますけれども、福島については、福島再生特別措置法を今国会に出しております。それから、冷温停止という状況を踏まえまして、これから帰還という問題が出てまいります。制度的にまだ詰めなくちゃならない分野もございますけれども、この分野につきましても復興庁がリーダーシップをとってしっかり詰めて、福島の再生も図らなければならないというふうに考えております。

高木(美)委員 改めて申し上げさせていただきますが、復興庁は、復興に向けた司令塔としての役割をしっかり果たし、被災地や被災者の方たちの期待に応えていただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 特に、ワンストップとして現場のニーズを受けとめ応えるために、縦割り行政の壁を取り払った政府全体での取り組みが不可欠でございます。ただいま総理の御決意にもございました。そのため、私たちの主張によりまして、復興庁の勧告権限につきましては、関係行政機関の長は勧告を十分に尊重しなければならないと明記をいたしました。

 まず、現地の復興局、支所、事務所が単なる省庁の窓口にならないよう、ワンストップで現地のニーズに応えるという責任感を持ってやっていただきたいと思います。

 我が党は、復興庁、復興局の今後の取り組みにつきまして、厳しく監視をしながら、役割を果たすよう求めてまいりたいと思います。

 そこで、資料一をごらんいただきたいと思います。

 これは、第一次、第二次補正の十二月末までの執行状況でございます。復興庁に提出を求めましたが、各省庁でなければわからないということでしたので、各省庁に聞きました。この米印、財務、国土交通、また環境、この三つの省庁は第三次まで含んだものとなっております。

 それにしましても、執行率が低いのが、内閣官房、外務省、財務省、厚労省、農水省、国土交通省、環境省。十七省庁のうち、七つの省庁が五〇%以下という状況でございます。

 第一次は五月二日に成立をして既に九カ月、第二次は七月二十五日に成立をいたしまして七カ月弱でございます。ここまでおくれているということをどのようにお思いでしょうか。また、どこに原因があるとお考えでしょうか。

 大臣と総理にお伺いします。

平野(達)国務大臣 予算執行につきましては、一つは、被災自治体の職員が十分でなかったということがございます。御案内のとおり、自治体によっては三分の一ぐらいの職員が被災をしてしまったというところもございます。

 そういう中で、その自治体の職員の手当てということについて、今まだ、鋭意やっておりますが、正直申し上げまして、若干おくれたという面は否めないというふうに思っております。今後、こういった体制の立て直しが急務だというふうに思っております。

 それからあわせて、予算執行につきましては、当初やはり瓦れきの処理、平面的に散らばっている瓦れきを集めるということが優先されました。しかし、そのまた以前に、もう一つは、その中に御遺体があるという中で、まずそこに丁寧に対応したということでありまして、数カ月間程度は現場はそれに集中したという経過もございます。

 いずれにせよ、瓦れきの処理等々についても、少なくとも平面的に散らばっているものについては一次処理ということで終了いたしました。それから、町並みの計画策定も今急ピッチで進んでおります。そういった状況を踏まえまして、体制を強化しながら、しっかりとした復興の推進加速化に努めてまいりたいというふうに思っております。

中井委員長 一番執行率が低い環境省、環境大臣。

細野国務大臣 簡潔にお答えをいたします。

 多分情報の行き違いだと思うんですけれども、環境省の予算は、これは三次補正のみの金額でございます。

 一次補正でいいますと、三千二百二十六億円の執行をしておりまして、執行率八七%というふうになっておりまして、一次補正、二次補正については、まだ十分じゃないながらも、災害廃棄物などの予算で執行を進めております。

 三次補正については、年末でございましたのでまだ一〇%弱ということで低うございますので、さらに加速化をさせて、廃棄物の処理、そして除染ということで努力をしてまいりたいというふうに思います。

中井委員長 環境大臣、それならどうしてこんな数字が出るの。大至急、高木事務所と相談して、きちっとした数字を出してください。

細野国務大臣 はい、失礼しました。すぐにお出しします。

野田内閣総理大臣 これまで、二十三年度四次補正まで、皆様の御協力で通させていただきました。四次は二重ローンの出資のお金でありますが、一次から三次まで復旧復興の予算を入れております。

 これから、ちょっとまだ十分執行できていない部分も、今までの大臣の説明でございましたけれども、しっかりと年度内にできるだけ執行できるように、万全を期して注意をしていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 私が何を言いたいかといいますと、復興庁が掌握していないという事実でございます。

 復興庁設置法では、予算の一括要求、箇所づけ、配分もできる、このように書いているわけですから、予算につきましても執行状況につきましても一元管理をすべきと考えます。

 この執行状況をチェックしまして、各事業について、なぜ進んでいないのか、なぜ対応がおくれているのか、その対応を考えるのが復興庁であると考えます。執行状況を要求すれば、復興庁から提出できるようにしていただきたい。

 そこでまず、一月末までの執行状況の数字の提出を求めます。ただいまのも大臣からそれぞれ御意見があるようでございますので、きちっとしたデータを責任を持って国会に提出していただきたいと思います。いかがでしょうか。これが平野大臣の予算関係の初仕事、私はそのように言わせていただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 予算につきましては、例えば環境省の瓦れきの問題につきましては、現地では発注は終わっております。発注が終わって、それで仕事はしています。仕事はしておりますが、交付決定をするのに、交付の申請が上がってこない。これは前からずっと指摘されていることなんですが、この決定がおくれているということでございまして、現場の進みぐあいと全体の執行率にはかなり差があります。そのことはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 いずれにせよ、ここは絶対的なマンパワー不足ということもございますので、この点については、国としても改善できるように支援をしてまいりたいというふうに思っています。

 それから、この執行状況につきましては、一月末までの段階での執行状況がどのようになっているか、これはちょっと各省とも相談して、復興庁でもきちっとフォローアップするような形をとらなければならないというふうに思っております。

高木(美)委員 重ねて平野大臣にお伺いいたします。

 かつて、市町村を大臣には歩いていただきたい、誰よりも被災地のことを知る大臣になっていただきたい、私は大臣にそのように要請をいたしました。

 新たについた副大臣、政務官につきましても、担当する各市町村を早急に全部回っていただきたいと思います。集めるのではなく、予算が衆議院を通過するまでに、担当自治体を全て回って御用聞きに歩いていただきたい。足を運んでやるべきです。それが寄り添うということと思っております。いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 政務はもとより、この間、いわき市に出た支所にもお邪魔しましたけれども、まず一番最初に大事なことはパイプをつくることだということで、パイプをつくってフェース・ツー・フェースでいつでも話ができるような信頼関係をつくること、そのためには歩くしかないということについてはしっかり申し上げましたし、これからもこのことは大事な点でございますので、政務三役のみならず、復興局それから支所の職員、本庁の職員もそうなんですが、できるだけ現場に行くということについては、徹底して心がけていきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 重ねて平野大臣に確認しておきたいのですが、瓦れきの処理につきまして、広域自治体への協力要請や対応するのは復興庁なのかどうか、また、除染につきましても、これはどこなのか、答弁を求めます。

平野(達)国務大臣 瓦れきの処理、除染、これは担当大臣は細野大臣であります。細野大臣でありますけれども、例えば広域処理につきましては、きのうも、復興推進会議、第一回会議を開催いたしましたけれども、その場で細野大臣から、全閣僚でこれに対して後押しをいただきたい、そういう強い要請がされておりますし、総理もその旨の指示を出しております。

 責任は一義的には環境大臣でございますけれども、復興庁もそれにかかわって、政府全体として後押しするように復興庁も責任を果たさなくちゃならないというふうに思っております。

高木(美)委員 続きまして、被災自治体ニーズとのマッチングのために、自治体を支える人材の派遣につきまして平野大臣に伺います。

 先ほど大臣も、自治体の手当て、そしてまた体制の立て直しが急務だというお話ございましたが、こうした人材を派遣してほしいという要請、いまだにずっと続いております。どこに要請し、どのように対応してくださるんでしょうか。

平野(達)国務大臣 各自治体からの人材派遣要請につきましては、例えば一般的な事務については、総務省を通じて各自治体からの要望を上げていただいております。それから、例えば都市計画といったような専門職については国土交通省が、それを復興庁が全部集めまして、被災自治体の要望を、事務、それからあと専門職というふうに分けまして整理をいたしました。それを市長会、町村会、知事会等々にもお願いすると同時に、各省からも、総務省は総務省、国交省は国交省ということで、二弾、三弾という形での要請をお願いしております。

 今のところ、専門職については、大体の数というか、派遣の数は、自治体の要請に満ちた形での数は集まりまして、今これから個別の自治体との調整を行っているところであります。

 それから、全体の職員についても、大体、全国の各市町村、県の方から出したいという数字が上がってきておりまして、ほぼこれも被災自治体からの要請の数に見合うような人数は出てきているというふうに理解しております。

高木(美)委員 重ねてお伺いします。

 復興交付金事業でございますが、四十事業以外の現地のニーズにどのように対応されるのでしょうか。柔軟な対応を求める声は多いです。

平野(達)国務大臣 四十事業というのは、災害復旧事業以外のハードの面については大体入ったというふうに理解しております。あと、それ以外の中でどういう事業があるかということについては、必ずしもストレートに四十事業で読めない部分もございますけれども、今の事業をいろいろ活用することでできるという面もあります。

 そういったことについては、復興計画の中につくる段階で、我々の職員は現地に行っておりますので、そのニーズを積み上げながら、一つ一つ丁寧に対応して、できるだけその要請に沿うような形で計画をつくっていただくということで今指導しているところでございます。

高木(美)委員 これにつきましては、特区法の第七十七条第二項三号にトといたしまして、「その他内閣府令で定める事業」となっております。それに基づく内閣府令第六十九号、いわゆる施行規則でございますが、その第四十四条第一項十三「その他内閣総理大臣が定める事業」となっております。当然、これは柔軟に対応できる仕組みはできておりますので、ぜひ活用していただきまして、お願いしたいと思います。

 そこで、前田国交大臣にお伺いしたいのですが、防潮堤のかさ上げにつきまして要望は多いのですが、これを県に問い合わせをしますと、これは交付金事業には入らないというふうに言われます。ということは、できないのかというふうに誤解する市町村も多いようです。

 これは本来、パッケージに入れて、四十事業を四十一事業にすべきではなかったのかと思いますが、なぜパッケージに入れなかったのか、国交大臣にお伺いします。

前田国務大臣 海岸堤防のお話でございますが、海岸堤防の復旧は被災地の復興の前提となる事業でありますので、復興交付金という予算とは別に、災害復旧事業として早期の実施が求められ、これについてはもう既に、たしか、ちょっと今手元にデータを持っておりませんが、緊急を要する五十キロぐらいについては先年末までに完了したというふうに聞いております。

 それから、海岸堤防については、前段階で必要な災害復旧事業として実施することとしているために、復興交付金の基幹事業のメニューには入れておりません。

 さらに申し上げれば、河川事業等もそうなんですが、どちらかというと、これは市町村事業というよりも県事業がほとんどなんですね。ただし、もちろん市町村として特別やりたいというようなことについては、何か三六%の間でやれる事業がありましたが、あのメニューなんかも援用していただければ、効果促進事業ですか、ああいったものであったり、それから社会資本整備総合交付金というのがありますから、こういったものも援用していただければいいと思いますが、基本的には県事業が多いということと、災害復旧ということで緊急に既にやっているのが多い、こういうことでございます。

高木(美)委員 今申し上げた防潮堤のかさ上げにつきましては、今後の防災のためのまちづくり、そういう観点かと思います。

 そこで、河川法の取り扱いを聞きましたら、これは国として責任を持ってやるべき事業であるから、そもそもこのパッケージには入れないのだという国交省の説明でございました。しかし、それでは、現地、特に被災した市町村につきましてはわかりにくい内容になっております。

 こうした国交省しか持っていない解釈、スキルを被災自治体とどう共有していくのか、ぜひともそこは平野大臣と国交大臣のところで御協議をいただきまして、早急に防潮堤のかさ上げにつきまして御検討をお願いしたいと思います。私は二つの地域からこの要望を聞いております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、この復興交付金事業の対象となる地域でございますが、著しい被害を受けた地域とされておりまして、私は、基準はあるのかとかつて平野大臣に伺いました。それは自治体がどう考えるかだというような説明もいただきましたが、今、このことで、後回しにされる自治体とか、さまざまな事業の支障が出てきております。この基準につきまして、大臣、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 この復興交付金事業は、いわゆる津波等々で地域が壊滅的な被害を受けたということをまず一義的には想定して制度設計してございます。そのほかの、内陸のさまざまな公共施設が地震等によって被災を受けた場合には、これは災害復旧事業という制度がございまして、これはその制度を活用してやっていただくということを想定しておりました。

 そして、今、質問の趣旨は、著しい被害ということでございましたけれども、こういった復興交付金制度を使うというのは、災害復旧事業としてだけでは不十分で、例えば、新たにまちづくりをするとか、それから新たにソフト事業としてさまざまなものを仕組むことによって町全体を復興させる必要がある、そういう地域かどうかという観点から判断をさせていただいているということでございまして、被害額がどうのこうのとか、ある一定の数値の観点で判断をしているわけではございません。

高木(美)委員 たしか、復興交付金の申請につきまして私が質問しましたときに、大臣は、早い者勝ちにはしない、確保してある、しっかりした計画を立ててもらいたい、また人の手当てもするという趣旨の御答弁でございました。

 しかし、現実は、今、県と市町村がどういう話になっているかというと、緊急性を重視するとか、また津波災害地域を優先するとか、このように言われて、申請額を縮小したり、出し直しをさせられているという状況です。当初の大臣のお考えと違っているのではないでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず、津波地域等々については、繰り返しになって恐縮でございますけれども、家そのものが全部流されて、仮設住宅で暮らされている方がたくさんおられます。私は、まず、自治体ごとに区分をつけて、差をつけてということをはっきり申し上げたことはございませんけれども、津波地域が非常に復旧復興が急がれるということについては、どちらかというと、各職員にそのことはやや明示的に言ったかもしれません。

 結果として、今職員が沿岸部の自治体に集中的に入っている面はございますけれども、同時に内陸の自治体についても職員は行っているということでございまして、今回の被災自治体の数が非常に多うございますので、どうしても、全自治体に一律的に、進捗状況が同じというわけにはいかないという面も、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

高木(美)委員 例えば、復興推進計画等の申請が認定されなかった場合、その理由は説明はされているのでしょうか。また、自治体に対して、実現に向けての知恵を教えるべきと思います。

 私は、被災地に寄り添うというのは、単なる、この事業ができる、できないというイエス、ノーだけではなくて、要望がどうしたら実現できるのか一緒になって考えることであると思います。例えば、国と地方の協議会、まだ設置されていないようですが、新たな提案という形で必要な事業の申請もできますとか、また、復興特別意見書の活用もできますとか、現場でぜひ教えていただきたいと思います。

 先ほどの大臣の、そういうお考えかと思いますけれども、どうも現場に行きますと、このイエス、ノーで終わっているケースが多いかと思います。その点、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 私がもう一つ申し述べたのは、被災自治体、被災地域からの要望はできるだけ酌み上げて、それをするようにしていただきたい。と同時に、今回のさまざまな復旧復興の予算というのは、自治体負担はゼロでございます。そのための財源を捻出するために増税もお願いしているということであります。

 一方で、計画を見ていきますと、緊急性という判断から、どうしても今これをやらなくちゃならないかどうかというふうに判断に迷うものもあります。そういったものにつきましては、きちっと説明して、これはもうちょっと後でもいいじゃないかというものがあるならば、それはしっかり言ってもらいたい、ただし、自治体さんにはその理由とその背景をしっかり説明してもらいたいということは言ってあります。

 その結果として、イエス、ノーという形の中でとらわれている面はあるかと思いますけれども、その点については、職員については、引き続きしっかりと、コミュニケーションが大事だということについてはまた徹底をさせたいというふうに思います。

高木(美)委員 最後の質問でございます。

 被災自治体と、情報それからそうした考え方を共有するために、テレビ会議、それからメールを初めITの活用を図るべきと考えます。大臣、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 いろいろな形でのコミュニケーションは本当に大事だと思います。メールでありますとかあるいはいろいろな手段を使ってコミュニケーションを図る、しかし何よりも現地に行くというのが大事だというふうに思っております。

 ただ、テレビ会談につきましては、これは検討させましたけれども、ちょっとコスト的にかかるかなということで、今まだ判断がつきかねております。これがどうしても必要だということであれば、これは導入したいと思っておりますが、現段階ではそういうことだということでございます。

高木(美)委員 さまざまなツールがありますので、ぜひとも検討をお願いいたします。

 続きまして、子宮頸がん予防ワクチン等につきまして、厚労大臣にお伺いをいたします。

 この子宮頸がん予防ワクチンの接種につきましては、公明党は長年、全額公費助成できる体制のもとで定期接種化ということを求めてまいりました。私は、今こそ国は、予防できる子宮頸がんの制圧に本腰を入れるべきと思います。

 二月七日の参議院予算委員会におきまして、予防接種法の改正について、自民党の三原じゅん子参議院議員との質疑の中で、子宮頸がん予防ワクチンが個人予防に比重を置いた二類に分類されたら、接種費用と副反応救済制度はどうなるのかという問いに対しまして、小宮山大臣はこのように答弁されております。「それは二類に分類しても今と変わらない保障がちゃんと付く形にしてございます。」また、接種費用と副反応救済制度につきましても、「今のままでございます。」と重ねて答弁されております。

 これは明らかに間違いです。テレビを通して国民に間違ったメッセージを送っております。この場で訂正しておわびをされたらいかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今御指摘の参議院の予算委員会での三原委員の御質問に対しまして、ちょっと私の方とすれ違ったところもございまして、誤解を与える答弁があったことは申しわけないというふうに思っております。

 一類、二類、まだその分類は予防接種部会で決めておりませんので、その中で私は、今、基金事業でやってきたものと同等あるいはそれに近い、きちんとした費用負担とそれから健康被害の救済をしたいという思いがございましたので、そういう形の答弁になってしまったことはおわびをしたいと思います。

高木(美)委員 大臣、今のおわびでございますが、本当はどうなるのか、ここできちんとおっしゃっていただけますか。二類に分類されたらどうなるのか。

小宮山国務大臣 一類の場合は集団で蔓延する危険性があるもので、二類の場合は個人予防というふうに今の予防接種法上はなっておりまして、この分け方自体についてもいろいろ御議論があるというふうにも承知をしています。

 そうした中で、事実関係としては、二類になりますと今よりも下がってしまいます。けれども、今まで基金事業で、御党を初めいろいろな女性議員の皆様も働きかけられて、これは予防ができるがんということでずっと力を入れてやってきたことで、基金事業でつないでまいりましたが、今度、安定的にするために予防接種法の中に位置づけるので、そのときに、その健康被害などについて、さらに低くなるということは、私はこれは同じにした方がいいというふうに思っているので、そうした私の思いも含めてお話をしてしまったので、混乱をいたしました。

 これを二類にすれば下がります。

高木(美)委員 資料二をごらんいただきたいと思います。

 この資料の下の段が基金事業です。九割が今、公費負担となっておりまして、実費の分も公費で実施している自治体も多くあります。上の段が現行の予防接種法の負担割合になっております。これでいきますと、この負担割合、低所得者分、十分の三相当を地方交付税で手当て、残りの十分の七につきましては自己負担になるというケースも十分あるわけです。

 このままでいきますと、これを二類に分類するということは自己負担が大半というような形になってしまうわけで、今大臣は、そうしないように、今と同じようにしたいと思っているというお話でございましたけれども、でも、大臣のあのとき三原議員に対する答弁で考えますと、当然、今のままという保証は何もないわけです。そうしたいという御希望であって、しかしこれは、今の状況はこういう話でございますので、そこのところはきちんと踏まえてお話をされるべきではないかと思います。

 これがもしそのような分類になりまして、十分の七が自己負担、このようになりますと、私は、本当に民主党はこれほど冷たい政権なのか、このそしりは免れないと思います。

 総理はどのようにお考えになりますか。

中井委員長 まず最初に、小宮山洋子厚労大臣から。どうするかをきちっと答えてください、端的に。

小宮山国務大臣 これはまだ一類、二類を決めておりませんので、これを二類でなくするという考え方もございますし、二類にした場合には、また地方公共団体といろいろお話し合いも必要ですけれども、そこで自己負担がないような工夫もできるかと思いますので、最大限同じようになるように努力をしたいというふうに思っております。

中井委員長 それはいつまでに決めるんですか。

小宮山国務大臣 今、予防接種部会で御議論をいただいておりますので、その中でさらに御議論をいただき、地方公共団体とも話し合いをしまして、この予防接種法の改正を出すまでにはしっかりとそういう形にしたいというふうに思っています。

中井委員長 期日的にはもう少し確約できませんか。ちょっと無理ですか。

小宮山国務大臣 はい。

野田内閣総理大臣 御承知のとおり、今、四次補正では五百二十六億円計上して対応していますが、基本的には、今厚労大臣がお話しされたとおり、厚労省のもとでの審議会での御審議の中で予防接種法上の位置づけを決めていただく、財源の問題なども御議論いただいた中できちっと対応していかなければいけないテーマだと承知をしています。

高木(美)委員 子宮頸がんの予防ワクチンにつきましては、これは公明党が初めて、子宮頸がんは予防できる唯一のがんということから、予防ワクチンの早期承認と検診率の向上について、平成十九年、五年前の十月です、参議院予算委員会で取り上げまして、以来、推進のために全国から多くの署名をいただきながら、それが追い風となって、平成二十一年、検診のための無料クーポン券も実現をし、またワクチンも正式に承認となりました。

 それが、民主党政権になりまして、クーポン券の予算は三分の一に減額になりましたが、我が党の地方議員が各自治体に働きかけまして、その多くは実は継続をしているという状況なんです。そこで、二十二年五月、私たちは子宮頸がん予防法案を参議院に提出いたしました。今は超党派の動きになっております。

 この予防ワクチンは第二次補正予算でも基金を積み増しして継続が決定いたしましたが、不安定であることから、予防接種法に位置づけるなど、恒久的にすべきと求めてまいりました。費用対効果につきましても、国内の十二歳の女児全員が接種した場合、子宮頸がんの発生を七三・一%減らすことができる、投資額に比べて約二倍の便益が獲得できるとの研究結果もあります。

 後退は許されないと思っております。既に関係団体から懸念する声が届き始めております。これがもし大臣が懸念されるような事態になりましたら、全国の女性が怒るということを私は改めて申し上げたいと思います。

 提出法案につきましても、全く審議に応じようとしないというのが今の状況ではありませんか。今国会でこの法案の審議に応じる準備があるのかどうか、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 御党がこの予防接種のためにいろいろな御尽力をされているということは十分承知しておりますし、その法案も拝見をさせていただいておりますが、現在、予防接種法が自治事務になっているとか、あと、健康被害の救済をどうするかとか、幾つか課題もあるかと思いますので、またしっかりと協議をさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 これは、財源がもし足りないというのなら、子宮頸がんだけで百二十五億円です。今、中一にだんだん特化をされ始めております。児童手当法改正の、所得制限額九百六十万以上の家庭に五千円支給というお話でございますが、これは三百八十二億円。これを回せば十分満額負担できると思います。

 この児童手当法の改正を本気で成立をお考えになるのであれば、我々の主張を受け入れるべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 児童手当法の改正につきましては、この間、子供に対する手当ということで、三党で昨年の夏に御協議をいただいた結果、三党で協議をする項目の中に幾つか入っていまして、二・二から二・三兆円という財源が確保されていて、それを年少扶養控除で減った分のところの税制上、財政上の措置に充てるというようなことも議論をされているところでございますので、ぜひ、子供の手当、児童の手当の改正の方も御協議をいただきたいと思っております。

 ただ、その額をそこへ充てるかどうかということは、またちょっと別の課題かというふうに考えております。

高木(美)委員 財源を考えた上での御提案が必要かと思います。

 私は、国民の命と健康を守ることは、まさに政治の最優先課題と思っております。これを二類に位置づけてしまえば、公費負担の割合は変えないように努力できても、副反応による健康被害の救済は、一類と二類は大きく違ってくるわけです。

 去る一月二十七日、厚労省で開催された予防接種部会で、子宮頸がん予防ワクチンにつきまして、まだ決定事項でない。先ほど大臣も、決めていないというお話でございました。そうであれば、国が責任を持って関与していく一類疾病に位置づけるということも再度検討されてはいかがかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほども答弁をさせていただいたように、分類をどういうふうにするかということ、また、二類に分類をいたしましたとしても、そこの費用負担のところについては、市町村が実費を徴収できることになっているということなので、そこに何らかの手当てをすることによって実費徴収をしないで済むようにするという方法もあるかと思いますので、さまざまな方法を検討して、これは民主党の中でも、私も含めて取り組んできた課題でございますので、しっかりとやらせていただきたいと思います。

高木(美)委員 今私が申し上げたのは、副反応による健康被害の救済は一類でなければできないということを申し上げております。一類と二類では給付額が大きく違ってきます。しかも、今大臣がおっしゃった実費徴収のところですが、一類の定期接種につきましては、各自治体はもうほとんど実費を徴収していないというのが今の実態でございます。そこをしっかりと踏まえていただきまして、ここはぜひ再度検討していただき、今の制度をどのように継続していくのか。一類、二類という分類でいいのかどうかという先ほど大臣の御答弁もありました。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、重ねて厚労大臣にお伺いいたします。

 日本赤十字社の義援金の現状と有効な使途の事例、また、今後の課題につきましてお伺いいたします。

小宮山国務大臣 日本赤十字社等に寄せられた義援金、これは二月十日現在、三千四百八十億円が寄せられています。このうち、九九・六%の三千四百六十六億円が被災都道県に送金をされています。被災都道県では、送付された額の九六・六%に当たる三千三百四十九億円を市町村に送金しまして、このうち、市町村では、被災者のお手元に八五・〇%、二千八百四十六億円を送付済みでございます。

 まだ配付を終えていない義援金は、一つは、今もまだ罹災証明の申請が市町村に寄せられていますので、被害状況が確定をしていないということ、二点目は、お住まいの被害認定に不服があって再調査に時間を要しているということ、三点目が、いわゆる災害関連死の審査に時間を要していることなど、こうした事情によりまして、まだ今後も新たに配付が見込まれるということから、一部留保しているということでございます。このため、今後、被害の状況が確定次第、配付は順次進んでいくというふうに思っています。

 もっと速やかな配付をという御指摘があることも承知をしておりますので、なるべくそれがしっかりと進むようにフォローしていきたいというふうに考えています。

高木(美)委員 あわせて、有効な使途の事例、それから今後の課題につきましても答弁を求めます。

小宮山国務大臣 義援金は、日本赤十字社のほかに、ほかの民間団体や被災都道県や市町村にも多くの方から寄せられているところです。

 各自治体でそれぞれ義援金配分委員会を設置して、それぞれ地域の実情に応じて配分の基準を策定していると承知をしています。具体的には、亡くなられた方、お住まいの被害の程度に応じて配付されていますし、加えまして、いろいろ、よく使われている事例というお話がございましたけれども、震災遺児、孤児、それから施設に入所する高齢者や障害のある方、また重傷の方などに配付するなど、それぞれの地域の実情に合わせて配付をされているというふうに聞いているところです。

 また、日本赤十字社が設置した義援金配分割合決定委員会、ここでは、義援金を震災遺児、孤児などの被災者支援基金に積み立てるなど、そのような取り組みをしております。

 それから、課題と今後の取り組みでございますけれども、今回やはり、配付のおくれですとか配付の基準、また義援金の使途に関する透明性、こうしたところに課題を御指摘いただいていると承知していますので、こうしたことにつきましては、日本赤十字社などとも協力をいたしまして、今後しっかりと検証をして、どのように取り組んでいくとこうした課題が解決をするか、やっていきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 日赤の義援金の実績といたしまして、配付件数約百八万件、これは個人、世帯含めた件数でございますが、平均二十六万円お渡しできたということになるかと思います。

 公明党も窓口を設けまして、寄せられた義援金は四万五千五百四十九件、総額八億五千万円を超えまして、昨日も山口代表が第五次として五千万円、これまでの累計八億五千万円、この浄財を日本赤十字社に寄託いたしました。現在もまだなお寄附が続いております。まことにありがたい状況と思っておりまして、引き続き取り組んでまいる所存でございます。

 総理にお伺いいたしますが、国民のこうした真心に対しましてお礼をおっしゃる立場にあられるのではないかと思います。どのようにお思いでしょうか。

野田内閣総理大臣 まさに一日も早い被災地の復旧復興に向けて、国民の皆様のこういう温かいお気持ちというものをしっかり受けとめて、それを生かしていかなければいけないというふうに思いますし、改めて私からも感謝申し上げたいというふうに思います。

高木(美)委員 続きまして、仮設住宅のアンケート調査の中間報告につきましてお伺いをいたします。

 公明党の宮城県本部では、ことし一月、仮設住宅入居者を対象に二回目のアンケートを実施いたしました。五千枚配付いたしまして、二千枚の回収が終わり、そのうち五百十五枚の集計を既に行いまして、分析をしたものでございます。その結果、仮設住宅の立地場所によって、かなりの住み心地の格差があることもわかりました。

 資料三の上の図をごらんいただきたいと思います。恐れ入りますが、市の名前を書きますと何かと支障があります。先ほど私は、復興大臣への質問につきましても、あえて市の名前を伏せまして質問いたしました。ここで見ますと、この横は市のサンプリングで、中身を見ていただきますと、ピンクというのが下から「大変良い」「良い」という形になっております。ここからは、この市に所在をしている沿岸部の仮設住宅の環境、これが、ブルーのところが多いというのが「かなり悪い」「悪い」という形になるのですが、その地域が悪い傾向にあるということでございます。

 また、この下の図でございますが、住み心地、仮設住宅の環境と健康状態はほぼ同じ傾向がありまして、右から二つ目のY町ですが、やはり住み心地が悪いところは健康状態も悪化しているという状況があります。

 また、一枚あけていただきまして資料四ですが、今必要なものはという問いにつきまして、一番トップは物置の設置、第二番目は追いだき機能の追加、第三は結露防止策とのお声でございます。あとずっと続いております。

 この追いだき機能の追加につきましては、厚労大臣の答弁は極めて冷たいものがかつてございました。市販の保温器などで対応できるはずかと思っておりますし、もしかすると、あと二回以上冬を過ごすことになるかもしれません。また、結露の防止につきましても、結露防止シートなど、安価に対応できるはずでございます。物置の設置は急務であると思っております。入居者の方たちからは、大変シビアな、消費税増税の広報活動に政府は三億円使った、そういうのがあればすぐにこうした対策はできるのではないか、こういうお声も寄せられております。

 このアンケートの全体を通しまして、一つは、四割以上の入居者が仮設住宅の住環境に満足していないにもかかわらず、八割以上の入居者が二年以上の仮設住宅の継続入居を希望されております。今後の希望は防災公営住宅への移転などの結果を得たわけでございます。その背景といたしまして、調査したメンバーからは、住み心地が悪くても、仕事がなく、生活費などの経済的な不安などが重なり、自立再建よりも公営住宅に入居せざるを得ないという苦渋の選択の結果であるというお声が届いております。

 例えば、この移転の開始は、仙台市でも早くて一年後、その他の地区では二年、三年後からという現状が既に明らかになっております。早急に、仮設住宅及び借り上げ賃貸住宅等に避難している住民の方たちの今後の居住につきまして、具体的な展望を示しつつ、仮設住宅の設備改善、住環境の整備を行うべきとの現地からの悲痛なお声でございます。

 こうした状況に対しまして、厚労大臣、復興大臣、そしてまた総理からの答弁を求めます。

小宮山国務大臣 御党でされたアンケートも拝見させていただいておりますし、また、厚生労働省でも、副大臣を座長とするプロジェクトチームでやはりアンケート調査して、同じような答えを得ております。

 これまで、寒さ対策として、断熱材の追加とか窓のサッシ化とか、それから物置のことにつきましては、大人数のところでいらっしゃればもう一つのあいている仮設を使っていただくとか、幾つかの対応はさせていただいてきています。まだ十分でないところは、可能な限りやらせていただきたいと思っています。

 それから、再三出ているお風呂の追いだき機能、これは私も実際に仮設へ行って、一番強く御要望を受けたところでございますので、何とかならないかということでやってまいりましたが、これは風呂釜を全部かえないと追いだき機能はつかないということがございまして、費用だけではなくて、膨大な廃棄物が出てしまうという問題もあります。

 それで、さっき申し上げた、何とか循環をさせることによって保温を保つ、そうしたものもあると聞きましたので、それも調査をいたしました。それが関西の方にある二つのメーカーしかつくっていなくて、二千個ぐらいしかない。五万戸あるうち、それをどういうふうに配分できるのかというような課題ですとか、あと、これはやはり、御高齢な方が多い中で、お湯の中に入れて漏電とかの心配もあるというような話もございましたので、そうしたことをあわせて、御党からの御提案も、それから多くの方からの声も受けながら、可能な限りのことをさせていただきたいというふうに思っております。

平野(達)国務大臣 今、現地のさまざまな計画策定、それから次のステップとして急いでもらいたいということで申し上げているのは、委員からの御指摘があった復興住宅の建設であります。

 これにつきましては、用地の確保の問題、それから合意形成の問題等々がございますけれども、自治体によっては、もう合意形成もできて、用地の確保のめども立っているというところもあります。そういったところについては、できるだけ早く着工できるように、こちらの方の予算もそちらにしっかりつけるというようなことの指示をもう出してございます。早ければ年度内に着工できるところもあるのかなというようなところまで今こぎつけております。

 ただ、全体とすれば、まだまだ計画の策定はおくれておるという感じは私は強く持っておりまして、これは急がないかぬなというふうに思っております。

 この復興住宅の建設に向けては、これは復興の鍵になりますので、引き続き、自治体と連携をとりながら、しっかりとした計画、それからその推進に努めてまいりたいというふうに思っております。

野田内閣総理大臣 基本的には、こういったアンケートであるとか、あるいは、今回は復興庁を中心に被災地に寄り添ってワンストップで対応するということで対応していきたいと思います。

 ただ、さっきの追いだきの話も含めて、よく検討したけれどもなかなかできないというのもあるんですね。そういうことについてはきちっと、なぜできないのか、今こういう検討をしているということもあわせて被災地に御説明をするということも大事だというふうに思っております。

高木(美)委員 先ほど厚労大臣から、追いだき機能につきまして、二千個しかない、それをどのようにお渡しするかという検討のお話もございました。自治体は、とかく、全部一律五万戸行かなければ事業はやらないというケースが多過ぎます。しかし、それぞれの仮設住宅に対して、こういう方を対象にと言えば、仮設住宅内で話し合いをするとか、いろいろなことがまたできるのも今の状況ではないかと思います。

 そうしたことを勘案していただきまして、高齢者の方であるとか障害をお持ちの方とか、また人数の多い仮設の方であるとか、さまざまな本当に細やかな配慮をしていただきながら、一日も早い対応を求めさせていただきます。

 間もなく、大震災から一年を迎えるところでございます。復興につきましても、我が党も全力を挙げさせていただきますが、政府に対しましても、さまざまな課題をいつまでも、このように考えているという話ではなく、ぜひとも実効性あるものにしていただきまして、被災地の方たちに寄り添う支援を今後とも急速に進めていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて高木さんの質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、東京電力の勝俣会長にも参考人としてお越しいただいております。

 そこで、勝俣会長にまず最初に伺っておきたいと思いますが、三・一一の福島原発事故で、今も十六万人を超える人々が避難をし、自主避難をしている人を入れると一桁上回るだろうというふうに言われるぐらい、大勢の人々が避難を余儀なくされる大変な思いをしております。

 東電原発事故から間もなく一年になるわけですが、これまで国会へ来られた清水前社長の答弁をちょっと整理したのが、お手元に配らせていただいております表の一です。この表を見てもわかるように、要するに、想定外の津波が原因だとずっと主張してこられたわけです。

 勝俣会長は今でもこの見解なのかを最初に伺っておきたいと思います。

勝俣参考人 東京電力の勝俣でございます。

 昨年の当社原子力発電所の事故によりまして、発電所周辺地域の皆様を初め、広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配を長期間にわたりおかけいたしておりますこと、改めて深くおわび申し上げます。

 さて、御質問の福島原発の事故原因についてでございますけれども、現時点、これまで調査した結果では、今回の事故は、マグニチュード九の巨大な地震に伴い発生した高さ十三メートルにも及ぶ高い津波に起因した、長時間に及ぶ全交流電源と直流電源の複数号機同時喪失と、長時間に及ぶ非常用海水系の除熱機能の喪失がその要因であると考えております。

 その結果、アクシデントマネジメントの対応時に使用を想定していたほぼ全ての機器が使用できないなど、これまでの事故対応の前提を大きく外れる事態となったため、結果的に事態進展に追いつけず、炉心損傷を招いてしまったものであります。

 大変申しわけなく思っております。

吉井委員 あわせて会長に伺っておきたいんですが、最初に外部電源喪失があったわけですね。これは津波が及んでいないところ、津波によって外部電源喪失が起こったものではないと思いますが、確認しておきます。

勝俣参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおりでございます。

吉井委員 まず地震があって、これで地すべりが起こって受電鉄塔が倒壊した。このほかにも、原発内部の受電設備が地震によって損傷した。これは間違いありませんね。

勝俣参考人 お答え申し上げます。

 物によりまして、外部電源が喪失したための影響、またその他の影響、こういうことに分かれるかと存じます。

吉井委員 物によりましてって、私は非常に端的に伺わせていただいたんです。

 実は、二月に原子力安全・保安院が中間取りまとめというのを出しておりますが、この外部電源のところでちゃんと整理しているんですね。それで、受電鉄塔の倒壊で喪失したものもあれば、実は原子力構内の受電設備そのものが地震によって損傷をした、これで外部電源喪失になった、このことを書いておりますから、そのことを伺ったんです。要するに、地震によって外部電源が喪失したわけですね。

勝俣参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、地震によりまして送電線の倒壊を招き、外部電源が喪失したものでございます。

吉井委員 それで、福島第一にかかわる津波の想定なんですが、これは表の二の方にまとめておりますので、ごらんいただきたいと思います。

 一九九〇年の、阿部さんらの貞観津波についての推定の論文以降、二〇〇〇年代に入ってからでも、こういうふうに並べたように、ずっと問題になってきたわけですが、これは、政府事故調査・検証委員会の資料、それから推本の地震調査委員会などの添付資料などから抜き刷りしたものです。

 これを見て、載っておりますように、東京電力自身が二〇〇二年の原子力土木委員会で発言したことや、二〇〇六年のマイアミでの国際シンポジウム、私、英文の方のを持ってまいりましたけれども、ここでは酒井俊朗さんという東電の品質安全部門担当の方、後に原子力土木委員会の津波評価部会の委員も務められた方ですが、既に二〇〇六年にマイアミの国際シンポジウムで発表しておられますね。

 二〇〇八年の、社内での福島第一原発の問題については、これはいわゆる畑村報告、中間報告に出ておりますが、社内で、福島第一原発の敷地南側で十五・七メートルの津波を想定したということも記載されております。畑村中間報告によりますと、勝俣社長がちょうど会長に就任されたとき、二〇〇八年六月の前後ですね、六月十日に、吉田昌郎原子力設備管理部長、そして当時常務で翌年副社長になった武藤栄原子力・立地副本部長らに対する津波評価に関する説明が行われ、これは畑村報告に載っておりますが、現在、国際原子力開発株式会社社長になっている、当時の副社長だった武黒一郎原子力・立地本部長に報告し、追認されたと報告書に書かれております。

 勝俣会長に伺っておきたいのは、社内のこうした津波想定の検討も、福島第一原発の敷地南部で十五・七メートルの波高の津波が想定されていたことも知っていたんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

勝俣参考人 お答えいたします。

 私どもの会社といたしましては、当然のことながら、種々の学説あるいはいろいろな調査結果、レポート等々には関心を持っておりまして、それなりに調査検討をいたしております。そうした中で、例えば地震本部見解、貞観津波のいずれ、これについての試し計算、こういったこともいたしております。

 しかしながら、津波を起こす地震の大きさや地盤の範囲といった、いわゆる波源モデルを確定していないため、その後の検討の参考に算出した仮想的なものでした。そのため、これらの波源モデルにつきまして、審議を土木学会にお願いしておりまして、その審議結果に応じて適切に対応するという考えでこれまで来ていたところでございます。

 以上でございます。

吉井委員 その原子力土木委員会には、東電の方が津波評価委員に入っているわけですよね。

 私は、この津波問題を知らなかったとすれば、こういう重大な問題が社長、会長に報告されていないような会社だったら、そもそも原発を扱う資格はないと思うんです。知っていたならば、ずっと想定外だと言ってきたんです、対策をとらなかった経営責任は重大だということを言っておかなきゃいかぬと思うんです。

 実は、私も国会で、二〇〇四年のスマトラ沖地震津波の後、これは二〇〇五年、六年、二〇一〇年と、予算委員会や内閣委員会、経産委員会など、いろいろな委員会で何度も、巨大地震が老朽化した原発を襲ったときにどうなるのかということを提起しました、問題にしました。

 地震に耐えられるかどうか実証試験を行う、香川県多度津町にあった世界一の規模の大型振動台を売り飛ばしてしまったんですが、売り飛ばしちゃならぬということも主張しました。

 志賀原発では、送電鉄塔の倒壊で、これは東電も別に倒壊した例がありますが、外部電源が喪失した例があるということも明らかにしてきました。それから、津波が襲ったときにどうなるか。押し波で機器が水没してしまうこと、引き波のときにはそもそも冷却水そのものがとれなくなるということなども問題にしました。

 いずれにしても、外部電源、内部電源が失われたら全電源喪失ですから、そうなれば炉心溶融になるじゃないかということを繰り返し取り上げてきたわけですが、東京電力は、津波による原発の損傷とかディーゼル発電機の破損などを想定できたのに、なぜ津波、地震を想定した対策をきちんととろうとしなかったのか、このことを伺いたいと思います。

勝俣参考人 お答え申し上げます。

 例えば、津波の押し波に対しましては、海水ポンプのかさ上げを図り、また引き波に対しては、海水ポンプを停止する手順書を定めておりました。しかしながら、津波の襲来によりまして、複数号機の全交流電源と直流電源及び除熱機能を長時間喪失した、こういうことになりまして、結果として今回のような事態を引き起こしてしまったこと、大変申しわけなく思っている次第であります。

吉井委員 そもそも、同じ敷地の中に一号機から六号機まであるわけですよ。だから、どれか一つが生き残って、そこから電力を融通してもらうなんというようなことはできるわけないんですよ。全部がやられるというのが、これは当たり前の話なんです。

 畑村報告などを見ておりましても、要するに、佐竹論文などに示された波高の津波も実際には来ないと考えていた。つまり、来ないと考えたと。それから、吉田部長は、費用のかかる話を自分限りにすることはあり得ず、武藤副本部長及び武黒本部長に話をした明確な記憶があるというふうに言っているように、要するに、費用、コストの問題だったんですね。

 実は、島村研究会の報告も読みましたけれども、一九九四年の夏には、東京電力の副社長を務められ、福島原発の所長もされた豊田さんが、コストダウンをやれと、これは一九九四年の段階ですが、相当な圧力がかかっていたと。

 昨年六月十九日にNNNドキュメントというのがテレビで放映されましたが、この中でも、豊田元副社長は、金がかかるのでやらなかったのではないかということを言っておられますが、今、いろいろな対策を考えたとおっしゃるんだけれども、結局やらなかったのは、来ないだろうというふうに思いたかったことと、コストがかかるという費用の問題を理由にしてやらなかったということではありませんか。

勝俣参考人 お答えいたします。

 コストがかかるか否かは別にいたしまして、本当に必要な対策は、私ども経営といたしましても確実に実施する所存であります。

 たまたまそういったお話があるかもしれませんけれども、本当に必要なもの、これはもう当然のことながらやる、そういう心構えで経営に当たってきたつもりでございますが、結果としてこうした事態を招きましたこと、大変申しわけなく思っております。

吉井委員 想定外ではなくて想定内なのに津波対策をとらなかった、これは非常に重大な問題だと思うんです。そのために、ディーゼル発電機や冷却水ポンプの破損で全電源喪失を起こし、炉心溶融を起こして、圧力容器も格納容器もメルトダウン、メルトスルーで損傷して、水素爆発も起こし、放射能汚染を大規模に拡大させたわけですね。

 私は、今経営の考えとしてとおっしゃったんですから伺っておきますが、最高経営責任者としてどのように責任をとっていこうというお考えなのかを伺います。

勝俣参考人 昨年の六月、当時社長でありました清水、そして原子力本部長でございました副社長の武藤が今回の責任をとって辞任いたしておりますが、私自身もその責任が当然のことながらございます。こうしたことにつきましては、三月に提出いたします特別事業計画、この中で明らかにいたしたいと考えている所存であります。

吉井委員 三月まで先送りというお話のようなんですが、要するに全面賠償する、それから全面的に除染に責任をとらなければならないわけです。それが、今の東京電力では、実は機構からの一兆五千八百億円がなければ、つまり国民の税金を使った応援がなければ、既に実質破綻企業なんですよ。

 そうしたら、破綻処理をして全てのステークホルダーが責任を負う、公的管理のもとに電力供給に責任を果たすという、この立場に立つのか、それとも、国民の税金と電気料金値上げで経営陣の生き残りを考えていこうとしていらっしゃるのか。私、この点を伺っておきたいと思うんです。

勝俣参考人 原賠法のもと、大変巨額のお金を国の方から出していただいていまして、大変じくじたる思いでございます。

 こうしたことを含めまして、今回の事故全般における責任ということについては、この三月の特別事業計画の中で明快にしていきたい、こういうことで考えている次第であります。

吉井委員 そこで枝野大臣、出番なんですが、枝野大臣は一昨日、西澤社長とお会いになったわけですが、どのようにおっしゃったのかを伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 これについては、一つは、原賠法に基づいて賠償に充てられる資金の追加が必要であるということで、その認可をいたしました。これに対しては、賠償がまだまだおくれているし、十分ではないということについて、しっかりするようにということを申し伝えました。

 それに加えて、三月の総合特別事業計画に向けて、機構と東電でいろいろと今話をしているという状況だと報告を受けておりますが、もし東京電力が政府に対して資本注入、公的資金を求めるのであれば、国民の税金を使わせていただくわけでありますので、注入する資金に応じた議決権を持たせていただく、そういうことでなければ特別事業計画を認可するつもりはない、こういうことを申し伝えました。

吉井委員 私は、いずれにしても、国民の税金あるいは電気料金値上げで独占企業が、あるいは経営陣が生き残ろうとする考え方というものは許されない、このことをはっきり言っておかなきゃいけないと思うんです。

 次に、再稼働の問題について伺います。

 二月七日に枝野大臣は、福島原発事故に関して、地震による影響では安全機能を保持できる状態であったと答えていますが、実は、圧力容器にしても、格納容器の中にも津波が入ったわけじゃないんですよ。それなのに水素が漏れ出したわけですね。ですから、これは地震によるプラントの損傷という可能性も大きいわけです。

 ですから、私は決めつけているんじゃないですよ、可能性があるということだけなんですが、現在、政府事故調査・検証委員会や国会の調査委員会の専門家の皆さんの手で検証中であって、これは、あなたは地震による影響では安全機能を保持できる状態であったとおっしゃったんだけれども、結論は出ていないというのが現段階の問題ではありませんか。これは枝野大臣です。

枝野国務大臣 まず、今回のストレステスト等に関連をして、原子力安全・保安院において、これまでに判明している事実に基づき、専門家の皆さんにお集まりいただいた複数の意見聴取会を開催してきているところでございます。

 その検討によると、原子炉をとめる、冷やす、閉じ込めるということに関する機能、つまり、制御棒の挿入性や炉心支持構造物、残留熱除去系ポンプ、残留熱除去系配管、原子炉圧力容器、あるいは主蒸気系配管、原子炉格納容器といったところについて、今回の地震により受けた影響について地震応答解析により評価し、評価基準値を満足していることを確認しました。

 また、これら以外の耐震安全上重要な設備について、五号機を代表として、基準地震動、Ssを用いて解析したところ、配管及び配管サポート八カ所において評価基準値を超える評価が得られました。五号機は中に入れますので、実際に中に入りまして、安全機能を損なうような損傷がないところを確認しております。

 また、原子力発電所の地震直後のプラントパラメーターを見ますと、津波襲来までの間、原子炉の圧力や水位について異常を示すような変化は見られておらず、放射性物質の放出を示すようなデータも確認されていないなど、基本的な安全機能が損なわれていた可能性を示す情報は得られておりません。

 さらに、配管破断などにより冷却水が大規模に漏えいしたと仮定し、プラントの挙動解析を行ったところ、プラントの実挙動とは乖離した結果となっております。

 こうしたことから、大規模な漏えいが発生したとは考えがたいというようなことが、こうした専門家の意見聴取会を踏まえて、原子力安全・保安院において判断をしているところでございますが、これについては、政府の事故調の中間報告とも矛盾のないものであるというふうに認識をしております。

吉井委員 あなたのその答弁書のもとになる文献を持ってきてもらって、私も読みました。バックデータがあるわけですね。その意見聴取会の別添資料によりますと、「現時点で確かなことは言えない。」と言っているんですよ。だから、いろいろおっしゃったけれども、現時点では、今検証中なんです、調べているところなんです。確かなことは言えないというのが現時点の問題だということを言っておきたいと思うんです。

 枝野大臣にあわせて伺いますが、福島事故以前から、地震によって変圧器がトリップしたり送電鉄塔が倒壊するという例がありました。内部電源の重要なDGの破損の例もありました。そして、老朽配管の配管減肉による破断事故も、地震が起こらないときでも起こっているんです。

 これらのものが、巨大地震に遭遇したときにどれだけ耐えられるか。これはコンピューター解析だけじゃなしに、本来なら大型振動台を使った実証実験で確認するのが、解析値と実験値を突き合わすのが当然のことだと思うんですが、今回各社が出してきたストレステストの自己評価書で、実証実験を行った例はありますか。

枝野国務大臣 先ほどお話があった、現時点で確かなことは言えないという言葉も入っておるんですが、これについては、微少な漏えいが生じるような、つまり安全機能に影響を与えない程度の微少なものが生じていないということまでは言えないということは、それはまさにそのとおりだというふうに思っておりますが、安全機能に影響を与えたようなことはなかったであろうというのが、現時点の保安院の報告だと認識をしております。

 その上で、今のお尋ねの件でございますが、今回の評価対象となった機器については、過去に独立行政法人原子力安全基盤機構やメーカー等が実施した機器の振動試験などの結果も活用して評価が行われており、保安院の審査においても、そうした事業者の評価の妥当性を確認しているところでございます。

吉井委員 まず、微少なものであれ何であれ、微少か本当はもっと大きいのかも、これもわからないんですよ、現時点では。いいかげんなことを言っちゃだめだと思うんです。

 関電大飯三、四号機のストレステストの審査書が、二月八日に保安院から安全委員会へ出されました。

 かつて関西電力では、巨大地震とは全く関係なく、一九九一年二月九日に、運転開始から十八年六カ月の美浜二号機で蒸気発生器細管のギロチン破断事故をやっているんです。二〇〇四年八月九日には、運転開始から二十七年八カ月の美浜三号機の二次系冷却水の、SGに戻る前の配管に減肉による大規模な破断事故が起こって、十一人の死傷者が出ました。

 大規模地震で、SGとか大規模配管損傷が同時に発生したとき、さらに消火栓配管なども損傷しておれば、そもそも冷却水喪失とか炉心溶融は起こり得るわけなんです。それだけに、大飯原発では実証実験が大事だと思うんですが、大飯でこれはやっているんですか。

枝野国務大臣 まず、繰り返し申し上げさせていただきますが、原子力安全・保安院の、先ほど、現時点で確かなことは言えないという言葉は、その前に、安全上重要な機能を有する主要設備のうち地震後に機能していたものは、今回の地震により機能に影響するような損傷は生じていないと考えられるということがございまして、今回の地震の影響により微少な影響が生じるような損傷が生じたかどうかについてまでは、現時点で確かなことは言えないということでございます。

 そして、先ほど申しましたとおり、今回のストレステストにおいては、直接の実証実験を実施しているものではございませんが、過去に原子力安全基盤機構やメーカー等が実施した振動試験などの結果も活用した評価を行っていて、そのことについて保安院として評価をしているものであります。

吉井委員 微少だ何だって、それ自身もわからないんですけれどもね。

 水素とかヘリウムというのは、私も昔、真空技術をやりましたからわかりますけれども、漏れテストに使うぐらいのものなんですよ。微少なものであっても、漏れているかどうか、最初にタンクの中に水素やヘリウムを、まあ水素は危ないですからヘリウムを使いますが、入れておいて、ヘリウムリークディテクターで調べるんですよ。漏れテスト。それぐらい、微少であっても漏れるものなんです。そういうものを、確認されないまま、大丈夫だなどという発想がおかしいんですよ。それが水素爆発に至っているんじゃないですか。だから、物の考え方がおかしいということを私ははっきり言っておかなきゃいけないと思うんです。

 要するに、実証実験をやっていないわけですよね。経年劣化については、この報告書によると、腐食割れを対象外としてストレステストを行っている。つまり、そもそも腐食割れというのは対象外なんですよ。

 一九九二年に発表された、日本原電、原子力発電機構、三菱重工、三菱原子力工業などの研究者が原発機器について行った小規模な配管の振動実験の報告とか、そういうのは私も論文を読みました。美浜三号や浜岡原発における、長年の稼働によって減肉や腐食が進んで大規模な破断事故を起こすような、その寸前にまで来ておった老朽原発での実証実験はないんですよ。現在、振動実験装置も売却してしまったから、もうないんです、できないんです。老朽化原発の実証試験はない。

 これは、これまでから、松浦原子力安全委員長、二〇〇一年だったかと思いますが、昨年の深野保安院長の答弁に至るまで、老朽化原発の実証実験はやっていません、ぴかぴかの新品しか実験をやっていないと言っているんですよ。そういう中で、現在、国会では、両院合同事故調査委員会が設置されて、専門委員の手で福島原発事故の原因究明などが始まったばかりじゃないですか。そういう中で、福島原発の事故の解明もなしに再稼働などは認められないというのが、新潟県の泉田知事を初めとする首長の声です。

 最後に、野田総理、まだ事故の検証中の段階で、実証実験の裏づけのないストレステストで再稼働は可能だとお考えなのかどうか、これは最高責任者としての考え方を伺っておきます。

中井委員長 もう質疑時間が終了しましたが、特別に、野田佳彦内閣総理大臣。短く。

野田内閣総理大臣 国会の中での事故調はこれから活動が始まるということで、政府の方の第三者委員会による調査は中間報告まで出ましたが、そのほか、保安院においても技術的な知見を深めながらの対応もしております。

 再稼働については、IAEAのレビューも受けたストレステストを踏まえて保安院が評価をし、そして安全委員会がそれを確認する、そういう段取りを経ながら、最終的には、地元の理解などを得ているかどうか、政治が判断をしていきたいというふうに思います。

吉井委員 では、終わります。

中井委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 冒頭、野田総理に、先日の宜野湾の市長選の結果に関する所見をちょっとお聞きしておきたいんですけれども、総理、防衛大臣は新市長と連携を密にというふうに記者会見でおっしゃっています。官房長官も一つの転機だというふうにおっしゃっているんですけれども、佐喜真さんが当選されて、総理としては、よかったな、これで辺野古の新基地建設に弾みがつくなというふうにお考えなんでしょうか。

野田内閣総理大臣 私どもの場合は自主投票でございましたので、よかったとか云々とかという話ではございませんけれども、ただ、直近における宜野湾市における民意が出たということでございますので、そのことを踏まえて、いずれにしても、市長さんとはコミュニケーションをとっていきたいというふうに思います。

服部委員 今度、二月の二十六、七ですか、沖縄に行かれるということが報道で言われているんですけれども、佐喜真さんは、基地の現状の固定化を絶対阻止するとも言われているわけですね。同時に、普天間基地の県外移設を公約として当選されたという御認識は総理にはありますでしょうか。これが一点。

 それから、きょうの毎日新聞に、辺野古移設の環境づくりに沖縄に行かれるという記事が載っているんですけれども、辺野古移設の環境づくりに沖縄に行かれるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 まず、日程は、今、日付をおっしゃいましたけれども、現時点では調整中であるということでございます。

 なお、お訪ねをする際には、前もこの予算委員会でも御答弁申し上げましたけれども、これまでいろいろな曲折がございましたし、去年のあの沖縄防衛局の局長の発言等々も踏まえて、まずは、私は、おわびをするところがスタートだというふうに思います。

 その上で、政府の姿勢、日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減を図りながら、普天間の固定化を絶対避けなければなりませんが、そういう意味での御理解を得るべく、政府の基本的な姿勢も御説明を改めて私から申し上げると同時に、今、日米で協議も行われつつございます。そういうことも含めて、あるいは沖縄振興についても、この間、法案の閣議決定をいたしました。そういうことも含めて、もろもろについて御報告もさせていただきたいというふうに考えております。

服部委員 佐喜真新市長が普天間基地の県外移設を公約として当選されたということに対しては御認識はありますかという質問なんですけれども、先ほどの。

野田内閣総理大臣 報道等を通じて、どういう御主張をされたかということは、委員の御指摘のとおり承知をしているつもりでございます。

服部委員 外務大臣にちょっとお聞きしておきたいんですけれども、きのう外務省からもヒアリングを受けたんですが、グアムに移る沖縄の海兵隊員は、軍人は八千名だ、これはパッケージが壊れても変わらないんだ、ただ、その内訳についてはまだはっきりしないというような説明でした。

 家族が九千名移るということにそもそもなっているんですけれども、これについてはどういう協議になっているでしょうか。

玄葉国務大臣 確かにロードマップには、八千人、そして家族が九千人というふうに書いてございます。以前もこの委員会で申し上げましたけれども、定員あるいは実員、毎月のように変わっていきますよね。あのロードマップがつくられたときに、たしか一万八千人だったという政府答弁がございます。ですから、残留する沖縄の海兵隊員の数が一万人であるということに変わりはないということを、この間繰り返し私は申し上げてきているというふうに御理解いただければと思います。(服部委員「家族、質問は家族なんですから」と呼ぶ)家族については、まだその辺は、あくまで一万人、再編ロードマップどおり、残る海兵隊員が一万人であるということについて変わりはないということで、ちょっと家族を含めたその詳細については、今この場で明確に申し上げることはできません。

 あと、今質問で、グアムに八千人、これは変わらないのかという話がございましたけれども、部隊構成とか人数、これがグアムに何人だとかどこどこに何人だとかというのは、まさにこれから協議だというふうに御理解いただければと思います。

服部委員 そうですね。グアムにということじゃなくて、八千名動きますという説明でした、きのう。ただ、その内訳はわからないと。

 ただ、家族のことについて全然協議されていないんですか。八千名軍人というのと家族九千名というのはセットなんですよ。ちょっと私、今答弁を聞いてびっくりしたんですけれども、どういうことでしょう、全然協議されていないんですか。

玄葉国務大臣 基本的に、八千人の海兵隊が移ればその家族は九千人だというのがこれまでの、いわば軍人の家族構成というか、そういうことだったということだと思うんです。

 ですから、今私が申し上げているのは、間違いなく例えばそれが八千人であるとか九千人であるとか、そういうことを申し上げるのではなくて、間違いなく言えることは、あの当時ロードマップで示された、沖縄に残る海兵隊の数が一万人である、その約一万人であるということに変わりはない。あと、それ以外のところはこれからまさに協議をしていく。もちろん、非公式には静かな議論はしております。

服部委員 隊員八千名、家族九千名というのは、これは一つの大きな柱なんですよ。

 それで、その家族九千名というのは、司令部機能が移るから家族も移るという一つの前提があるわけなんですね。戦闘隊員だけだったら、まだ単身者が多いですから必ずしも家族を伴っているわけでもない。そういう点からすると、ちょうど与党のときに私も検討委員会のメンバーで、グアムの、いわゆる家族住宅がグアムにつくられる現場も見てまいりました。

 このグアム移転協定というのは、もうそもそも破綻というか、全く中身が変わってしまうわけですから、家族がもし移らないということになれば、あるいは人数が変わるということになれば、グアム移転協定に書かれている金額の見直しも当然あるというふうに思いますし、このグアム移転協定をこの通常国会で変更するなりあるいは廃棄するなり、予算の見直しも含めて、されるということでいいですね。

玄葉国務大臣 これまで非公式な協議をしてまいりまして、これから公式な協議を開始するということでございます。したがって、部隊構成、人数、さまざまな議論が出てくると思います。結論が出て初めて協定が見直されるかどうかということが決まってくるということだと思います。その結論の時期次第で、国会にお願いするのかしないのか、お願いをするとすればいつなのか、そういうことが決まってくるだろう。それまでは現在のグアム協定が有効であるということだと思います。

服部委員 この見直しの出発は、一つは、昨年の五月、アメリカのレビン上院軍事委員長らが辺野古を視察されて、辺野古設置を非現実的だというふうに論文を出されました。これが一つの大きな転機になっているというふうに私は思っておりまして、今回のいわゆるパッケージの見直しについても、今回の共同発表を非常に不十分だというふうにレビン上院委員長は言われているんですね。

 それで、今回の見直しは、アメリカ政府が米議会を説得するということが条件になるんでしょうか。

玄葉国務大臣 いずれにしても、アメリカはアメリカとして、辺野古へのコミットメントあるいはグアムへのコミットメント、あそこで日米共同で発表したことに対して、アメリカ政府として責任を持つということだろうというふうに思います。

服部委員 今回の発表は、二月の八日に共同報道発表という形で発表されております、きのう外務省から御説明いただいたんですけれども。

 その中に、「両国は、普天間飛行場の代替施設に関する現在の計画が、唯一の有効な進め方であると信じている。」と書いてあるんですよ。信じているというと何かなと英文を見ますと、やはりビリーブと書いてあるんですけれども、これは、辺野古の新基地建設というのはもう神頼みという意味なんでしょうか。総理、どうでしょう。

玄葉国務大臣 これは、日米両政府とも、この辺野古移設に対しては強くコミットしているということでございまして、決して、今委員がおっしゃったように、神頼みとかそういうことではなくて、今回の趣旨は、まさに膠着状態にあったこの状況を打開する、そのために沖縄の負担軽減を先行させていく、同時にアジア太平洋全体の抑止力というものを維持向上させていく、普天間の移設については丁寧に理解を求めて進めていく。

 服部委員だって、外務委員会で私にさんざん、強行するんですかとか何度もお聞きになられたじゃないですか。私は、丁寧にこの問題を理解を求めながら進めていくというのが本来だろうということで、こういう判断を総理の指示のもとで私たちはさせていただいている、こういうことでございます。

服部委員 野田総理にもお聞きします。

 こういった外交文書ですね、声明文書。辺野古を信じるというような報道というのはあるんですか。この信じるとは何ですか。

野田内閣総理大臣 今回の日米での共同で出したあの文書というのは、今外務大臣がおっしゃった位置づけでございまして、抑止力を維持しながら沖縄の負担軽減を早期に具体的に進めていくことによって、辺野古移転への沖縄の皆様の御理解を得るための環境整備として私は資するものだと思いますし、そうしなければいけないと思っておりますので、ちょっと、ビリーブと書いてあるのかどうかはわかりませんけれども……(服部委員「いや、書いているから聞いている」と呼ぶ)そうなんですか。

 基本的には、そういう日米のコミットメントは従来と変わらないということでございます。

玄葉国務大臣 済みません。少し補足させてください。

 ウイ・ビリーブと確かに書いてございますけれども、基本的には、例えばシンクよりは強いですよね。信じるということは、強く考える、そういうことではないかというふうに思っていますし、日米両政府とも、この辺野古移設に対しては強くコミットしているということを申し上げたいと思います。

服部委員 いや、自信がないからじゃないですか。違いますか。まあ、これはいいですけれども、いずれにしても、私は、辺野古が無理だということをぜひ総理には信じていただきたいと思います。

 次の質問は、朝鮮高校の高校無償化適用について質問をいたします。

 昨年八月二十九日に、菅総理が朝鮮高校への高校無償化適用について審査再開を指示しました。それから半年後、まだ結果が出ておりません。昨年、三年生は適用されないまま卒業で、ことしも三年生の卒業も間近で、手続に必要な時間を考えると、もうぎりぎりのタイミングなわけです。

 私は、政治に子供が振り回されては高校無償化の理念に反する、政治や政局は切り離して、子供を巻き込まないというのが共通理解というふうに思っております。三年生の卒業に間に合うように、総理のリーダーシップで手続を進めていただきたいと思いますけれども、総理、どうですか。

平野(博)国務大臣 先生からのお尋ねでございますが、高校授業料の無償化ということについては、先ほど、三党の政策協議含めて検証するということでございますが、その前提でなく、今文科省が進めている状況について御報告申し上げます。

 朝鮮学校につきましては、確かに、先生おっしゃるとおり、昨年の八月に審査の再開をいたしました。規定に基づいて厳正に今審査を行っているところでございますので、いつごろまでにという結果をここで御報告することはまいらないということで御理解をいただきたいと思います。

服部委員 去年、ここにおられる馳議員が八月に質問されたときに、判断は文科省よりもむしろ官邸だというような趣旨のお話だったと思うんですけれども、総理としてはどうなんですか。文科省は審査とおっしゃっておりますが、総理、これは官邸の決断が要るんじゃないですか。

 私、この間、何回か文科省に行きましたけれども、文科省としては、暗に、もう手を離れているんですよと言わんばかりなんですよ。官邸がどう判断するかですということをおっしゃるんですけれども、どうですか。

野田内閣総理大臣 あくまで、文科省において現段階においては審査基準に基づいて厳正に審査をしているというプロセスの中にあると思いますので、それを踏まえた対応をするということでございます。

服部委員 いずれにしても、私は、せっかくのいい法律だと思っていますので、これが差別の象徴にならないように、ひとつぜひお願いをしたいということを申し上げておきたいと思います。

 時間がありません。TPPについて、ちょっと外務大臣に一点確認をさせていただきたいんです。

 TPPに参加するかしないかについては、二〇一〇年十一月の閣議決定、包括的経済連携に関する基本方針で、TPPが日本に利益をもたらすのか損失をもたらすのか、その影響範囲がどうなるかが議論の前提だというふうに閣議決定でなされていると私は理解をしているわけですが、先日、外務省から、二月九日に片上審議官からヒアリングをさせていただいたら、外務省としては、「政治的・経済的に重要で、我が国に特に大きな利益をもたらすEPAや広域経済連携に」、ここは閣議決定の文章ですけれども、それにTPPが合致しているとはまだ判断をしていないというふうに言われているんですけれども、この前提条件について、まだ判断していないということで、これは外務大臣、そういう理解でよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 その閣議決定をされた包括的経済連携の基本方針、ちょっと今手元にございませんが、私が国家戦略担当大臣のときに閣議決定しておりますので、大体は覚えております。

 包括的経済連携に対しての方針ですから、今おっしゃったことは基本的に全体にはかかるんですけれども、ただし、たしかTPPについては特出ししていたのではないか。つまりは、TPPについては、総理がいつもおっしゃっておられるように、交渉参加に向けての協議というものを行って、しかも情報提供を行って、国民的な議論を経て、国益の視点に立って結論を得ていくというのが現在の姿勢であるというふうに考えております。

服部委員 要するに、日本にとってTPPが利益をもたらすのかどうか、これがまず、いわゆるTPPなんかの広域経済連携協定に入るかどうかの前提の判断になるということなんですよ、閣議決定は。

 外務省の審議官自身が、これはつい数日前ですよ、二月の九日に、外務省としてはまだTPPが国にとってプラスなのかマイナスなのかその判断はしていないというふうにおっしゃっているんですけれども、もう少しはっきりしてください。

古川国務大臣 外務省としてというよりも政府としての判断ということで、ちょっと私からお答えをさせていただきます。

 現在、このTPPにつきましては、関係国との協議を通じて、各国が我が国に求めるものについて情報収集に努めております。そして、先ほど玄葉外務大臣からも申し上げましたように、このTPPについて結論をどう出すかにつきましては、十分な国民的な議論を経た上で、今委員からも御指摘があった、我が国に特に大きな利益をもたらすか否か、そうしたものも含めて、国益の視点に立って結論を出していきたいというふうに考えております。

服部委員 要するに、今の時点では、まだ国にとってプラスマイナスの判断はしていないということの答弁でいいわけですね。今その進行中だと、検討の。

古川国務大臣 まさに、さまざまな情報交換を踏まえた上で、国益に立って、そうしたことも踏まえて、全てを踏まえた上で判断をするということであります。

服部委員 時間が来ましたけれども、最後の一問になりますけれども……

中井委員長 いや、まとめてください。もう質問なし。

服部委員 そうですか。では、結構です。

 再稼働の問題とか、いろいろもうちょっと聞きたかったんですけれども、時間が来ましたので、これで終わります。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 大阪維新の会の船中八策、いわゆる維新八策が、きのうからばあっと報道されております。日本再生のためのグレートリセットと、頭書きはここに書いてあるんですが、統治機構のつくり直し、内政は地方に任せる、国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で、大都市制度、道州制、一院制、首相公選制、公務員を身分から職業へ、脱原発、TPP。掲げられている政策は、みんなの党が前から言っていた政策とことごとく同じで、これは著作権料をもらいたいぐらいだということを江田幹事長も言っているぐらいであります。

 ただ、どうやらこの維新の会の船中八策というのが、各政党の評判はさんざんのようなんですね。自民党の参議院の幹事長さんは、民主党のマニフェストよりひどい、こういう言い方をされている。民主党の城島国対委員長も、理想を掲げるのは当然だが、現実はそのようにはいかない、こういうふうにおっしゃられています。

 きのう、この大阪維新の会の船中八策、維新八策のペーパーを総理にお届けしておきましたけれども、官邸にお送りをしてあるんですが、これは御一読をされて、それに対する評価はいかがか、こういうことをお伺いしたいというふうに思うんです。

野田内閣総理大臣 まさにこの国のあるべき姿をいろいろなお立場から問題提起されるということは、私はいいことだというふうに思いますし、そういう提起に基づいてさまざまなレベルで議論されることも、これはいいことだというふうに思います。

柿澤委員 ちなみに、御一読はされたんですか。

野田内閣総理大臣 精読はしておりませんけれども、通読はさせていただきました。

柿澤委員 積ん読というのは、すなわち読んでいないということになるんですが、積ん読……(発言する者あり)通読はしていない。いずれにしても、目を通したということであるというふうに理解をしたいと思います。

 それで、具体的に一点、首相公選についてお伺いをしたいというふうに思います。

 みんなの党は、衆議院総選挙時の参考投票で首相に誰がふさわしいかという国民投票を行って、国会議員は首班指名選挙においてその結果を尊重する、こういうふうな形で、事実上の首相公選を可能にする議員立法を提出する予定にしております。

 この仕組みで事実上の首相公選を実現するということについて、総理は賛成ですか、反対ですか。

野田内閣総理大臣 ちょっと、どういう形の法案の中身になるかどうかわかりませんけれども、普通は、例えば首相公選とかあるいは一院制というと、憲法改正を伴う考え方だと思うんです。そうじゃないアイデアで出すのかどうかわかりませんけれども、まさにこれは、憲法とも絡めた統治機構にかかわる問題でございましたら、私の立場で今、憲法を前提として、法治国家として行政執行していますので、そういう大がかりな話は、御提起があればそれは意見交換はしたいと思いますが、現時点でちょっとまだ中身がわかりませんので、何とも言えません。

柿澤委員 今御説明を申し上げましたとおり、私たちは、衆議院選挙のときに参考投票という形で国民投票を行って、総理に誰がふさわしいかということを国民に投票していただく。そして、首班指名選挙、国会議員が行う投票の際にその結果を尊重する、こういう書きぶりによって、国会議員の投票によって内閣総理大臣を選出する。こういうことについては、憲法上の抵触をしない形で事実上の首相公選制を実現しよう、こういう立法を準備中なわけですけれども、こういう形で事実上首相公選制を実現しようという考え方について、野田総理の見解をもう一度伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 総理からもお答えがありましたとおり、憲法上、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」となっております。したがいまして、これと抵触をする。あるいは、参考であるとしても、それがどの程度の拘束力を持つのか持たないのか、さまざまな状況によって、例えば連帯して国会に責任を負うという規定もございます。こうしたことを含めて、憲法に適合するのかどうかというのは、具体的な制度の中身をお示しいただかないと判断することは難しいと思いますが、一般的に言うと、抵触する可能性があるというふうに思っております。

柿澤委員 これについては、法制局の長官がお見えをいただいていると思いますが、御答弁をいただければと思います。

山本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 内閣総理大臣につきましては、憲法六十七条一項で、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」とありまして、また、六条の一項で、「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。」と規定しております。

 一般論として申し上げますと、首相公選制というのは、首相を国民の直接の投票によって選ぶという仕組みであると言われておりますが、そうであるならば、その導入というのは、これらの規定との関係でやはり問題であろうと考えます。

 いずれにせよ、お尋ねにつきましては、議員立法に関することでございますので、私の方からはお答えは差し控えたいと思っております。

柿澤委員 残念ながらすれ違いの御答弁をいただくことになってしまいましたが、次の質問に移りたいというふうに思います。

 続いて、増税の問題に関して、増税の前にやるべきことがある、あり過ぎるというふうに思います。

 日本郵政グループの株式売却のお話が出ておりますが、この株式を売却して、五兆とも十兆とも言われる売却益を財源として活用したいので、郵政改革法案なるものを早く通してくれということを言われております。しかし、そもそも、株式売却ができなくなっている根拠法というのは、鳩山内閣による売却凍結法でありまして、それを解除する法案を成立させれば株式売却は可能になるわけではないですか。自分の手で自分を縛って、単なる自縄自縛に陥っているだけではありませんか。

 それに、政府が議決権を保有する形より、当初の民営化法に基づく完全民営化の方が株式売却価格ははるかに高くなるでしょう。しかも、この間、齋藤次郎さんに代表される天下り官僚の官業経営で、財務体質は極めて急速に劣化をしている。これでは、国民の資産である政府保有株の評価額をいたずらに低めているようなものではないですか。

 郵政株式売却凍結法では、かんぽの宿、メルパルクについても、別に法律で定める日まで売却凍結となっております。

 かんぽの宿、売却凍結時点で四十億もの赤字を垂れ流していたと記憶しておりますが、その後、かんぽの宿の赤字は、二〇〇九年度、二〇一〇年度、幾らになっているんですか。

 郵政民営化関連法に規定をされた二〇一二年九月末までに売却または譲渡を行うつもりがあるんですか。

 自見大臣にお伺いします。

自見国務大臣 柿澤議員にお答えをいたします。

 今御指摘のかんぽの宿でございますけれども、収支状況はいかに、こういうことでございますが、経常損益は、二〇〇九年度は御指摘のように四十億二千七百万円の赤字でございまして、また二〇一〇年度には四十一億三千九百万円の赤字であります。

 かんぽの宿につきましては、今先生が申されましたように、現在、郵政株式処分凍結法により、別に法律で定める日まで譲渡または廃止をしてはならないとされておるところでございまして、御存じのように、今後の扱いについては、郵政改革全体の中で、現在与野党間で協議を進めていただいていると聞いておりますところでございまして、早期に結論を得ていただきたいというふうに考えております。

柿澤委員 結局、この間、当初方針をねじ曲げて、かんぽの宿を抱え続けることで赤字の垂れ流しを続けて、二年度にわたって八十億ですか、この資産価値を毀損し続けてきただけではありませんか。こういうことをやっている、このことを指摘しておきたいと思います。

 続いて、労働保険特別会計雇用勘定の積立金、つまりは特会埋蔵金です。

 労政審の雇用保険部会が昨年十二月二十日に報告書をまとめています。どう書かれているか。積立金の状況を勘案し、雇用保険の料率を千分の十四から千分の十に引き下げろというふうに書かれています。つまり、積立金は十分多いから雇用保険料を下げなさい、労政審雇用保険部会がそう言っているわけであります。

 それはそうですよ。二〇一〇年度末の積立金残高は五兆五千七百四十六億円。いわば積立金が積み上がり過ぎている、こういう状態ではないかというふうに思います。過去最悪の収支赤字は一兆円というふうに聞いておりますが、そんな過去最悪の雇用状況が仮に五年連続で続いても、それでも積立金が残る、こういう状態なんです。この状態で、しかも火の車の一般会計から繰り入れまでもらっている。

 一体、積立金をどの程度が適正規模と皆さんは考えているんですか。そして、その適正な積立金の規模をはじき出すための保険数理上の計算をきちんとやっておられるんですか。お伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 適正な積立金の水準というのは、失業等の給付は景気の動向によって大きく変わりますし、なかなかそこのところを予測するのは困難だと思っています。

 ただ、あえて申し上げれば、雇用保険法では、積立金が失業等給付費の二倍を超える場合、厚生労働大臣が裁量で雇用保険料率を引き下げられるため、この二倍が制度上の一つの目安ではないかと考えています。

 そして、おっしゃいました保険数理上の問題ですけれども、民間の保険会社の経営の健全性をはかる指標の一つでありますソルベンシーマージン比率について、平成二十四年度予算案の失業等給付の積立金に当てはめて試算したところ、二〇七%となります。これは、民間の企業についても、金融庁が二〇〇%を下回ると指導をするというところからしても、民間保険会社と比較しても決して過大なものとは言えないと考えています。

柿澤委員 私に言わせれば、皆さんの半分身内の労政審にまで積立金が過大だと言われているんです。それでも虎の子の埋蔵金を守り抜く、それで増税をやるということなんでしょうか。増税の前にやるべきことがあり過ぎるんです。

 松原大臣、民主党のデフレ脱却議連会長として、デフレ継続下における増税にかねてから反対論を唱えておられたというふうに思います。松原大臣は、間もなく行われると言われております税と社会保障の一体改革の大綱の閣議決定に署名をされるおつもりなんですか。お伺いをいたします。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 デフレ脱却議員連盟では、種々な議論がかつて行われてまいりました。例えば、量的緩和を行うのは、需要があるから行うのではなく、国民にインフレ期待を持たせるために行うものである。そして、インフレ期待という国民のマインドを変えることのできる、インパクトのある一定規模の量的緩和を、同じくこのマインドが変わるまでの期間継続して行うことが肝心との議論も行われてまいりました。

 そして、具体的には、リーマン・ショック以来、アメリカのFRBは二・四倍に資産をふやし、ヨーロッパ中央銀行は一・五倍に資産をふやし、イングランド銀行は三倍に資産をふやし、インフレマインドに国民のマインドを変えてきたわけであります。

 デフレ脱却は、経済を好転させるための一つの大きなてこであるというふうに考えております。

 その上で、今回の素案では経済の好転を条件としてということが盛られております。文面を読みますが、「具体的には、消費税率引上げ実施前に「経済状況の好転」について、名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引上げの停止を含め所要の措置を講ずるものとする規定」ということでありまして、この文脈の中に、デフレ脱却議員連盟で議論された趣旨も踏まえられていると認識をいたしております。

柿澤委員 だから、そこに具体的な数値等々の目標、条件が設定をされていない、ここに問題があるんだということを繰り返し議論がなされてきたんだというように思います。

 そうしたことなくしてこの閣議決定に署名をしてしまうというのは、結局、立場が変われば言うことが変わってしまった、こういうことになるのではないかと思います。民主党の良心だと思って大変期待をしてきただけに、残念な御答弁をいただいてしまいましたが、この質問に御答弁いただけるのであれば、御答弁ください。

中井委員長 もう時間が来ていますから、答弁はありません。

柿澤委員 では、委員長の制止を受けましたので……

中井委員長 制止じゃなしに、君に権利がない。

柿澤委員 質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 この際、事務方の着席位置変更等がありますので、五分後直ちに委員会を再開することとし、五分間休憩いたします。

    午後二時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十一分開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより一般的質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)委員 こんにちは。民主党の山崎誠でございます。

 貴重な質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。限られた時間ですので、早速質問に移らせていただきます。

 私は、まず、我が国の国家戦略について、古川大臣と少し議論をさせていただきたいと存じます。

 日本は今、大きな転機にある、転換期にある。右肩上がりの経済成長を前提として、経済の力で国民の皆さんを幸せにしてきた、そういう日本。経済的、物質的には十分に豊かになったかもしれませんが、国民の幸せ感は非常に乏しい。私は、もちろん経済は大切です、経済成長も目指すべきだと思います。ただ、その経済の成長の果実で国民の皆さんを幸せにする、それだけではもう十分ではないのではないか、一定の安定した経済成長の中で、国民の幸せを別な面からも実現できるような、そういう社会をつくるべきではないか、そんな問題意識を持っております。

 資料の一をおめくりいただきたいんですが、これは、千葉大学の広井良典先生の「定常型社会」という本の中から示しました。

 今、日本は二つの制約要因を持っている。一つは、低出生率であり、人口が定常化していく局面に入っているということ。それからもう一つは、資源の有限性、持続可能性という問題を抱えているということ。これを、高齢化社会、そして環境親和型社会とまとめられております。

 私たちは、この二つの制約のもとで、では、こういう定常型の社会の中でどういうふうに幸せを実現していくのか。私は、ぜひ、民主党政権の国家戦略では、こういうレベルの次の日本の社会像、あるいは世界に発信できるような日本型の社会モデル、こういうものを提示していくべきではないか、国家戦略が経済成長戦略で終わってはいけないと思っております。

 右肩上がりの経済成長を前提とする経済的価値偏重の社会から、心の豊かさを本当に求める、価値を置く社会へ転換を図るべきと考えますけれども、野田政権の国家戦略が目指す日本の社会像はどういうものか、古川大臣にお聞きをしたいと思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まさに山崎委員御指摘がございましたように、今、世界が大きな転換点にあると思います。その中で日本は、いわば世界が直面をしている、あるいはこれから直面するようなさまざまな課題を先取りしているのではないか。

 例えば今、人口減少、高齢化の話もございました。先進国を中心に高齢化は物すごく進んでいきますし、また途上国もこれから高齢化が進んでまいります。また、人口減少も、先進国の方はアメリカを除いてはほとんど出生率が二を切っておりますので、長期的に見ると人口もそんなにふえていかない。そういう中で、新しい社会のモデルというものが求められている。

 また、環境エネルギーの問題でも、温暖化の問題やあるいは化石資源の枯渇、いつか枯渇するんじゃないか、またさらには今回原発事故もあって、こうした原子力エネルギーというものも過渡的なエネルギーである、そういう認識も今広がってきております。そういう中で、どう将来に向けて環境エネルギーを維持していくのか。

 そういった意味では、私は、今委員から御指摘があったように、次に今求められているのは、非常に大事なキーワードは持続可能性ではないかと思います。やはり経済成長はしていかなければいけないと思います。しかし、これから問われるのは成長の質。成長を否定することはない。成長はしていかなければいけない。しかし、その成長の質を問うていかなければいけないと思っています。

 ですから、一昨年まとめました新成長戦略の中で、今申し上げた、日本は世界の課題をまさに先取りしている、課題の先進国だということで、その課題を先取りして新しいモデルを世界に対して示していこう、具体的には、グリーンイノベーションを実現して、世界一環境に優しい、そして省エネの高効率の国家をつくっていこう。もう一つは、世界一の健康長寿の国家をつくっていこう、そのためにライフイノベーションを実現しよう。そうしたことを決めさせていただいております。この二つの分野を中心に、日本が世界に対して、これから目指すべき新しい成長の姿、そして社会の姿を示していきたいというふうに考えております。

 同時に、その中で、今申し上げたように、やはり成長の質を考えていかなきゃいけないということで、これからの成長というのは、国家戦略会議の中でもダイナミック・インクルーシブ・グロースという言葉を緒方貞子さんがおっしゃったんですけれども、誰かを置いてきぼりにするような、今の格差が拡大するようなものじゃなくて、成長と同時に社会全体が成長の恩恵を受けられるようなもの、そしてまた環境と調和できるような、そういうサステーナブルな、持続可能なもの、そういう新しい成長の姿を求めていく。それが幸福度にもつながっていくんだろうということで、OECDなどとも共同して、幸福度のあり方という研究を今しております。

 まさにそういった意味では、委員が御指摘になったように、新しい成長の形、持続可能でそれがみんなの幸せにもつながる、そうした成長というものをぜひ実現して、世界に対してそのモデルを発信していきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。心強いお話で、ぜひ私も応援したい。

 その中で、特に私は環境というものをやはり一つ大きな柱にしなきゃいけない。それも、環境というと例えば気候変動、CO2削減、そういう環境ではありません。私が言っているのは、例えば生物多様性あるいは生態系サービス、そういうような大きな、この地球全体、生き物全て、当然人間もその一員であります、そういった価値観で環境を捉えること。これが実は、一昨年、COP10、生物多様性条約締結国会議で日本がリーダーシップをとって議論してきたこと。これをぜひ前向きに、やはり我々の国家戦略の柱にしなければいけないのではないか、そんなふうに考えています。

 ぜひこれを、真の意味で環境と経済の両立、私は環境の方がちょっと上だと思っているんですが、そういう関係づけをつくっていかなければいけないと思うんですが、ちょっと短目に古川大臣、それから枝野大臣にも一言お伺いしたいと思います。

古川国務大臣 御指摘があったように、やはり環境との大きい意味での共生、調和というのは極めて大事だと思います。

 そういった意味で、社会のサステーナビリティーというのは、まさにそれは人間だけじゃなくて、そうした自然の動植物も含めて、そうしたものといわば一体となって共生して初めて、社会全体がサステーナブルである、持続可能であるというふうに考えておりますので、まさにそうした視点のもとでの新しい成長の姿というものを模索していきたいというふうに思っております。

枝野国務大臣 御指摘の生物多様性の保全あるいはその持続可能な利用というのは、経済成長の観点からも大変重要であるというふうに思っております。

 政府の総合政策である生物多様性国家戦略の着実な実施に取り組んでいくことが大事だと思っておりますし、また、持続可能なエネルギー源としての再生可能エネルギーの拡大や、環境と経済の両立につながる温暖化対策やリサイクルの推進に向けたさまざまな取り組みをさらに強化してまいりたいというふうに思っております。

前田国務大臣 コンクリートからコンクリートで評判が悪いものですから、一言。

 まさしく山崎委員のお考えと私も同じ方向でございまして、例えば、利根川、江戸川というのは人工河川でございますが、そこにビオトープが連続して、そしてコウノトリがすめるような、そういう河川整備をしようじゃないかというようなこともプロジェクトが始まっております。

 東北の復興において、イヌワシが、あそこはイヌワシの生息地なんですね、三陸。それが大分このごろ減っているようでございます。そのイヌワシがすめるような、そんなまちづくりにしようじゃないかとか、目指すことだけはしっかりと同じ方向でやらせていただきます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この後、国交大臣にもいろいろお聞きしたいことがあって、先取りできたようで、ありがとうございます。

 それでは、環境大臣に。

 ことしは、今の流れの中でも大事な年でございます。というのは、リオ・プラス20、地球サミットが開催をされます。この中で、生物多様性条約締約国会議の、今、日本は議長でございます。ですので、生物多様性あるいは環境保全の重要性みたいなものを、ぜひリーダーシップをとって、外務省にお任せをするだけではなくて、環境大臣みずから発信していっていただきたいと思っております。

 日本の取り組み状況を教えてください。

細野国務大臣 生物多様性で私に御質問いただけなかったので、ちょっと寂しく思っておりましたけれども、ありがとうございます。

 リオ20というのは非常に大きな国際会議でございまして、大体五万人ぐらい集まるのではないか。我が国からも政府関係者だけでも数百人行く、そういう大きな会議になります。ですから、その場所で、我が国の環境への取り組み、特にCOP10で非常に大きな役割を議長国として我が国は果たしましたし、まだそういう役割もあるということでございますので、生物多様性の問題をしっかりとそこに組み入れていくということについては、前向きに取り組んでいるところでございます。

 既に、昨年の十月末に国連の事務局に日本の政府提案というのをしておりまして、その中で、経済、社会、環境の三要素全てをバランスよく満たす世界構築を目指すということで、九つの具体的な提案を掲げております。その中で、特に、生物多様性につきましては、国連生物多様性の十年であるとか、あとは、我が国がイニシアチブをとりましたSATOYAMAイニシアチブ国際パートナーシップ等の取り組みを推進するなど、愛知目標の実現に資する場として既に提案をしております。

 共同議長からのゼロドラフトというのが来ておりまして、生物多様性は項目として入っておるんです。その中にできればこういうキーワードが入るようにしっかりと交渉して、そしてこのリオ20の会議に臨みたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 福島の原発事故なんかもありました。私は、日本の責務として、やはりここは環境の重要性というのを訴えるべきであると思います。ぜひよろしくお願いします。

 それでは、時間がないので、次のテーマ、東日本大震災の復興計画についてお尋ねをしていきたいと思います。

 今まで国家戦略あるいは環境の問題をお話ししてきたんですが、私は、その延長線でこの復興計画というのはやはり見ていかなければいけないのではないか。新しい日本をつくる、それは、この東日本、東北の地、環境を生かして豊かな町をつくっていかなければいけない、そういうふうに思っております。

 ぜひいろいろとお話をお聞きしたいんですが、まず、今、復興計画がさまざまな被災自治体でつくられようとしています。それが、単なる再生ではなくて、未来につながる新しい創造のまちづくり、そういうふうになっているかどうか、現状を平野復興大臣にお聞きしたいと思います。

平野(達)国務大臣 今、被災市町村において復興計画の策定が進められているところでありまして、特に、津波で大きな被害を受けた市町村、沿岸四十三市町村ございますけれども、そのうち三十六市町村においては基本的な計画は策定されました。

 その中の柱の第一は、何といってもやはり災害に強いまちづくりということで、これはハード、ソフトがセットになると思います。それから、産業再生という観点、漁業あるいは製造業、こういった観点でまちづくりをどうやって進めていくか。

 それからあと、先ほど古川大臣の話にございましたけれども、高齢化社会。三陸沿岸は、もう高齢化率が三五%を超えていた。そして、人口減少も過去十カ年で一〇%ぐらいの人口減少が進んでいた町が被災したということでございまして、将来の高齢化社会を目指した高齢者に優しいまちづくり。あと、スマートグリッドの導入とか省エネ社会。環境という観点でも計画づくりがされているというふうに理解しております。

 今、国交省のチームを中心にそういった計画づくりのサポートをしっかりしておりまして、計画が策定され次第、実行への後押しをしたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今並べていただいたキーワード、私は非常に重要だと思っております。ただ、現場は、実は私は、いろいろと問題があるんではないかなと、ある種危機感を持っています。

 ちょっと資料の二をお見せしたいんですが、私は、コンクリートから人へ、民主党の掲げたこの政策をとにかくここもきちっと守っていかなければいけない。その視点から、堤防の高さ、今どういう堤防を再建しようとしているか、これはずっと追いかけて見ております。今資料にお出しをしているのは、岩手県の海岸堤防高の新たな基準、設定をしました。国が指針を出して、県が決めた。シミュレーションをして、こういう津波ということで決めた。平均が十二・二メートルと高くなっています。

 次の資料を見てください。これは、たまたま追いかけています大槌町というところ、今、十四・五メートルの堤防を計画している。どんなイメージになるかなと、専門家の方に協力していただいて絵を描いていただきました。五階建てのビルです、十四・五メートル。そして、幅が八十メートルとか百メートルとかというものになってまいります。こういう堤防に海を遮られた町をつくること。もちろんこれは、防災という意味で意味がないとは言いません。ただ、安全を確保するためにこれだけの堤防が本当に要るのかどうか、これは議論が要るのではないか。それが私の問題意識です。

 もう一つは、こういう基準に基づいて建設をすると、コストは相当かかるでしょう。時間もかかるでしょう。

 もう一つの問題は、これは今、東日本、東北の復興の話ですが、同じ基準を当然全国で要求されてくる。すると、全国の今ある堤防の高さも高くなっていくのではないか、そのように危惧をしているところです。

 前田国交大臣に見解をお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 御指摘の海岸堤防の高さなんですが、中央防災会議の専門委員会、これは東日本のあの大地震の反省において、要するに地震、津波に対して専門委員会をつくったわけでございます。そこで基準として示しているのは、明治三陸津波、昭和三陸津波、チリ津波、ああいった比較的頻度の高いそういう津波に対しては、ハードで何とか対抗し得るというような高さ。しかし、それを超える、今回のような大きなものになってくれば、これは、とにかく避難をする、人命第一ということで、予知もやり、避難をしっかりと計画的にしていくという多重防御という考え方です。

 したがって、いずれにしろ、ハードの、津波の頻度の高いものについて示したのがこういう形になって、これはもちろん県が決めるといいますか出すわけでございますが、あくまでも、先生御指摘のように、それぞれ地元の自治体が新しいまちづくりを計画される、そのまちづくりと調整の上で、委員がお描きのようなこういうようなまちづくりができるなら、それはそれで調整があり得る。

 考え方は、そこは柔軟に、持続可能な町でなければ、堤防だけが残って町がなくなったというようなことになっちゃいかぬ、こう思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私も同じ危機感を持って、実はこれを追いかけています。

 財務大臣にお伺いしたいんです。

 これは復興するのに、今、被害額の総計ぐらいしか出ていないんですが、六千三百億だとかいう、これは被害額ですので、実際に再建するのとはまたちょっと違うかもしれません、そういう数字。そして、メンテナンスにもお金がかかります。それから、これは耐用年数が六十年ぐらいというふうに言われています。ということは、百年に一度の、今御説明があった規模の地震に対応しようとすると、もう一回つくりかえなきゃいけない。そういう予算をこれからとっていかなければいけない財務大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 今、前田大臣からお話がありましたように、私も、堤防そのものをつくることを目的にしてはならないと思っております。

 私自身も、私のところを個人的に言うのもちょっと恐縮ですけれども、私の集落も、チリ津波というのが昭和三十年代にありまして、それに対応する堤防ということで高いのをつくりましたけれども、今回の津波で残念ながら全く無力で、むしろ、その堤防から波が一気に集落におりてきて、スピードアップをしてしまって、それが家の破壊をまた高めたんじゃないかと言う人もいるぐらいなんですね。

 ですから、堤防で今度の津波の高さをまた同じようにつくるというふうな自治体は、私は逆に少ないんだと思います。むしろ、通常の高潮対策とかそういうことに対する堤防は私は必要だと思いますけれども、減災の思想ということで、委員の提唱なさっておられるように、高台に避難をしたり、いかに早く津波が来る前に避難をしたり、誘導したりということをやはりやっていく。

 それに加えて、日ごろの高潮対策とか集落を守るための一定程度の堤防の整備というのはやはり必要だと思いますので、それぞれの管理者が責任を持って住民と話しながら、比較的お金をかけないできちっとした整備をしていくように考えたらいいと思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 次の図をちょっと見ていただきたいんですが、資料を一ページめくっていただいて五ページです。五枚目です。これは、堤防に頼らない町のイメージを、素人ではありません、専門家の皆さんが議論をしてつくっていただいた図です。

 これは、基本的には、大きな堤防ではなくて小さな堤防でも構いません。あとは、地域を、ゾーニングをうまくして、高さ、これは特に切ったり張ったりはしなくても、自然の傾斜、高さを使ってすみ分ける。低いところは農業であるとか漁業、少し高いところに商業、そして、安全なところに例えば子供たちや高齢者の施設をうまく使う。それで、逃げられるような、つながりのあるまちづくりをしていくことで、十分に安全で、そして、海が見える美しい町をつくることができる。そういう御提案です。

 私は、この方がお金もかからないし、実はスピードアップもできるんだ、何とかこういうアイデアをぜひ皆さんにお伝えしたいと思っているんですが、時間がありません、平野復興大臣、どうでしょうか。

平野(達)国務大臣 逃げることを前提、大堤防に頼らない町、こういう一つの考え方はあると思います。

 ただ、委員とはまた別な機会でいろいろ議論させていただきましたけれども、堤防をめぐっては、今のこの国土交通省の案では低過ぎるという意見と、これでは高過ぎるという意見と、まず地域によってかなり割れています。

 今回の震災の大教訓は、堤防に依存した防災計画はだめだということが大教訓でありまして、堤防はそんなに高くしないということでこれは考えられています。考えられていますけれども、繰り返しになりますけれども、地域の中はなかなか割れているという中で、百年から二百年の確率の洪水に対する備えということでの堤防高が決められているということなんです。

 ただ、地域の中で、こういう考え方でやりたいというところがあれば、これは、地域の合意ができたという前提であれば、例えばこういうまちづくりはあり得ると思いますし、これに近いようなまちづくりを目指してやっている地域もあるということは御紹介をしておきたいと思います。

山崎(誠)委員 次の新聞記事を見ていただきたいんですが、パネルはありません。

 今おっしゃったような議論、例えばこういうアイデアをきちっと皆さんが理解して選んでいただければいいんですが、なかなかそういう流れに今なっていないんじゃないかというのが私は非常に問題だと思っています。

 一昨日、地元の方と電話でお話をした。時間が欲しい、もっと町の未来についてしっかり議論をしたいんだけれども、予算を早くとらなきゃいけないから、もう議論を打ち切られてしまった、そういう声を聞きました。

 もちろんスピードも大事なんです。でも、先ほどの風呂釜の話じゃないですけれども、ここで、町、追いだき機能のない風呂釜をつくっては困るんです。これは、将来にわたって次の世代にも受け継がなきゃいけない大事な東北地方、私たちのふるさとですから。ぜひ、そういう感覚でこれをまとめていっていただきたいと思います。これは私からの強い要望です。

 時間がもう最後なので、経産大臣に最後にお聞きをしたいと思います。

 テーマはかわります。エネルギーシフト、原子力の問題、一つだけお聞きをして終わりたいと思います。

 原子力の問題は、今本当にいろいろな議論が進んでいるのはわかります。エネルギーの問題、議論をしているのはわかります。これを我々としては、最終的には政治の決断として落としどころを決めなければいけない、そういうタイミングがいずれやってきます。

 私は、原発を最終的にゼロにするのか、あるいは引き続き利用していくのか、これをきちっとどこかで結論を出さなきゃいけない、そういうタイミングが来るというふうに考えています。さまざまなロードマップを描きながら、国民的議論を重ね、結論を出す、それはよく理解をしています。

 最後に、その決断について枝野大臣のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。

中井委員長 枝野経産大臣。時間が来ていますから。

枝野国務大臣 今、関係各会議で議論を進めておりまして、この夏をめどに、原子力を最終的にどうするのかということについて、政府としての姿勢を示したいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて山崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井委員 民主党の今井雅人でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 まず冒頭、きのうの日銀の会合についてちょっとお話をしたいと思います。

 昨日の日銀の政策決定会合で新たな金融緩和政策が打たれました。ポイントは二つかと思いますけれども、一つは、国債の買い入れ枠を十兆円増額したということと、それから、これは委員会でも非常に議論になっていましたけれども、物価の目標を明確化したということで、その後、為替市場も円安になっていますし、きょうの株式市場もしっかり上昇しているということで、市場にもあらわれているんですが、きのう、夜、ロンドンとニューヨークのファンドマネジャーとかディーラーの人何人かと話をしましたけれども、非常に好意的に感じておりました。これからしっかりとデフレ対策がいくというような、そういう見方をしている投資家が多かったということを御紹介しておきたいと思います。

 これも、日銀の英断もありますけれども、政府もしっかりと対応していただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。

 今、日銀法の改正等々いろいろ議論がございますけれども、もともと、日銀法の第四条に、政府と日銀、しっかりと共同して連携していくということが書いてありますので、わざわざ改正をしなくてもこういう連携はやっていけると思いますから、これからもぜひ政府と日銀、しっかり連携して、一段と金融緩和にしっかり取り組んでいただきたいということを御要望申し上げておきます。

 それでは、質問に移りたいと思います。

 二月九日の予算委員会で、我が党の鈴木克昌委員の御質疑で、地方交付税の充実ということがテーマになっておりました。

 お手元の資料の一枚目に最近の地方交付税の推移がありますけれども、ビジュアル的に見ても、これがしっかりとふえているということがわかると思うんですね。

 実は、先日、岐阜県の知事と民主党の岐阜県連との意見交換会がありまして、いろいろと御意見を伺ったんですけれども、予算に関しましては、大変地方に配慮した予算であるということで、非常に評価をいただいたということはお伝えをしておきたいと思います。

 その上で、本日は、平成二十四年度の地方財政計画について総務大臣にお伺いしたいと思うんですが、この二枚目の資料にポイントがありますけれども、通常収支分には三つのポイントがあると思うんですね。一つは今の地方交付税の確保ということですが、そのもととなる一般財源総額、あるいは、それに対して、臨時財政対策債をどういう運用をされているか、それから、地方の長期債の債務の残高の抑制と、さまざまな点で、私、工夫がされているというふうに感じておるわけでありますが、この点について、総務大臣の方からもう少し、考え方と内容を御説明いただきたいと思います。

川端国務大臣 御質問ありがとうございます。

 民主党政権というのは、地方が自由に使えるお金をふやして、地方団体がその地域に密着したきめ細かい行政ができるようにということを、大きな国の根幹の政策として取り組んでまいりました。

 グラフでお示しいただいたように、いろいろな形で非常に減ってきた部分をカバーしてきたということで、今回、地方財政計画を立てるに関しては、今も表で御指摘をいただきましたけれども、一般財源の総額を確保すると同時に、とりわけ、今、知事のお話がありましたけれども、いわゆる地方交付税の額は何としても前年、二十三年度に比べて増額させたいということが大きな目標でありまして、この部分で一定の取り組みができたと思っております。

 と同時に、どんどんふやしていって、借金がふえるばかりではないかということがありました。昨年、二十三年度から、いわゆる臨時財政対策債の縮減ということで、来年度においては前年比二百六十億円、同時に、交付税の特会の借入金を償還計画どおり償還が一千億。これは、十九年、二十年、二十一年、二十二年と償還できておりませんでした。これは、二十三年度一千億、来年も一千億ということで、着実に減らしていくという計画に基づいてスタートさせていただきました。

 あわせて、東日本大震災分は、これはしっかりやらなければいけないということで区分をして、一般の地方に及ぶことがないようにということでの震災復興特別交付税が六千八百五十五億円確保と同時に、全国防災に関しても六千三百二十九億円を全国防災の補助事業費、単独事業ということで、防災に関してもしっかり手当てするということで、厳しい財政状況ではありましたけれども、地方にしっかりと自立的にやっていただく予算を財政計画として立てさせていただいたというところでございます。

今井委員 どうもありがとうございました。

 大変財政が厳しい中、地方にしっかり配慮していただいているということがよくわかったと思います。これからもぜひ地方にしっかりと配慮いただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 次に、やはり同じ九日の委員会で、赤澤委員が、連鎖するかもしれない大震災の対応ということの御指摘を挙げられました。大変私も重要な点だと思います。この際、総理から御答弁がありましたけれども、そのとき、前田国交大臣が発言を求めておられたと記憶しております。

 東京圏の中枢機能バックアップ検討会というのが昨年の十二月から始まっているやに聞いておりますけれども、それも含めまして、これまでどういう取り組みをされておられたか、それから、今後どういうスケジュールで取り組んでいかれるか、この点について御答弁をいただきたいと思います。

前田国務大臣 首都機能のバックアップ体制に関する御質問だと思います。

 今委員が御指摘のように、国土交通省において、有識者による検討会を立ち上げております。そして、これはもちろん内閣官房や内閣府とも連携しながら、東京圏の中枢機能のバックアップに関する基礎的な検討を進めているわけですが、一月二十三日の第三回検討会において、バックアップすべき業務の種類、範囲、バックアップの形態等について一次取りまとめ案を提示したところであります。三月中をめどにバックアップ体制を構築するに当たり、検討すべき基礎的な論点、その考え方等を整理して取りまとめる所存でございます。

 ちょっと中身について申しますと、バックアップすべき業務、その業務の実施に必要な指揮命令系統、要員、施設設備、情報、そういったことですね。それからもう一つは、よく言われる言葉としてホットスタンバイだとかウオームスタンバイだとか言われますが、代替要員・設備等を常時東京と同じものをどこかに確保しておくという考え方やら、あるいは、代替要員、代替施設等は確保されていますが、平時は代替要員は別の本来業務を行っている、これがウオームスタンバイ、そういったことについて検討を加えて、もうじきその取りまとめを提示したい、こう思っております。

今井委員 どうもありがとうございます。

 震災対応も四次補正まで成立しましたので、これから次の備えについてもスピードを上げてやっていただきたいと思います。

 それに関連しまして、少し各論を質問させていただきたいんです。

 次の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、実は今、IT社会の中でデータセンターが首都に七割以上集中している、そういう状況がありまして、これは首都圏の震災が起きた際に大変問題になるというふうに危惧をしております。今、民間の企業もデータセンターを分散させるという動きを始めてはおりますけれども、まだ本格的に進んでいないということもありまして、何とか分散をするために、国側の支援策というか、バックアップをちょっとしていただけたら、ますますこの分散が進むんじゃないかなというふうに思っておるんですけれども、この点につきまして、経産大臣の方に御答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、保守管理が便利だということで、どうしてもデータセンターが首都圏に集中をしている、ただ、企業の事業継続性確保という観点からは、大災害に備える対応としてこれではまずいと思っております。

 したがって、既に、これまでもBCP、事業継続計画策定ガイドラインというのを経産省でつくりまして、この中で、企業データの遠隔地へのバックアップなど考慮すべき旨を提示しております。これを、今回御指摘いただきましたので、見直すことがあるかどうか、そして、さらにしっかり徹底させなきゃいけないということを努力したいと思っております。

 また、クラウドコンピューティングで分散化をするということが可能でありまして、ただ、これについては、信頼性を高めるための技術開発や、セキュリティーに対するガイドラインの整備が必要であるということで、これを急いでいるところです。

 また、広い土地に低コストで設置することに適したコンテナ型データセンターについて、立地規制の緩和を、これは国土交通省にも御協力いただいて進めているところでございまして、こうしたことを複合的に進めることで各企業に分散化を促してまいりたいと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 実は、今、データセンターが、日本のデータがシンガポールの方に随分とられておりまして、アジアの成長を取り込むといっているのに、この部分はアジアに成長を取り込まれているという状況になっておりまして、私、これは大変問題だと思っていますし、データが海外にあるということは安全保障上も問題がいろいろあると思いますので、ぜひこの点について取り組んでいただきたいです。

 また、御案内のとおり、サーバーは物すごく電力を使います。民間の試算によりますと、首都圏のデータセンター、使用電力で七十一万キロワットを今使用しているということでありますから、これを分散するということも大事ですし、寒冷地に行って、冷やす電力をまたコスト削減するということで、全体の省エネにもなりますので、そういう取り組みもぜひしていただきたいと思います。

 今ちょうどクラウドの話が出ましたので、少し自治体のクラウドのお話をお伺いしたいと思うんです。

 大震災で陸前高田、大槌、南三陸、女川あたりは戸籍が紛失したということがあったと思います。後ほど復旧しましたが、今、法務省の方で遠隔地にこれのバックアップをとるということをやっていらっしゃると思いますけれども、これとは別に、平成二十二年度から、実は総務省で自治体クラウドの推進というのをやっていらっしゃると思うんですね。今回、せっかくいい機会ですから、自治体がそれぞれクラウドを進めて、いろいろなところにデータを置いて、それでそのセキュリティーを高めるということをすれば、ITの推進にもなりますし、それからセキュリティーの面でも強化されるということで、ぜひこれはやっていただきたいんです。

 各地でもう試験的にやっていらっしゃると思いますが、その状況をちょっと教えていただきたいのと、ぜひ総務省が音頭をとって、みずから率先してやっていただきたいなというふうに考えておりますので、この辺についてのお考え、御答弁をいただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、今回の震災においては相当データが流出したということが起こりました。そして、今、電子化とかバックアップという手法は、これは二十二年度の調査なんですが、総務省で調べたところ、市町村では九八・四%、都道府県では一〇〇%バックアップしているということになっているんですが、実はバックアップしたもの自体がやられてしまったということが起こってしまいました。そういう意味では、これも大事だけれども、クラウド化というのは極めて有効かつ重要な手法であるというふうに我々も認識をしておりまして、今、これは積極的に推進をしていきたい。

 御指摘いただきましたように、全国で自治体クラウドの主な取り組み事例ということでは、岐阜県も二市町、やっていただいています。これを進めると同時に、基本的には、その自治体の皆さんがやりたいという、地方の自律的な意思が大事でありますけれども、こういう効果がある、そしてこういう手法があるというお手伝い、情報共有と情報提供は積極的にやらせていただきたい。

 同時に、被災地における取り組みに関しては、一から出直すということになりましたので、経費の三分の一を補助するということを予定する仕組みをつくりまして、地方公共団体において検討を今していただいております。

 こういうことを含めて、今回の教訓も含めて、自治体クラウドを初めとしたそういう情報化、ICT化含めて、積極的に我々も、誘導することは取り組んでまいりたいというふうに思っております。

今井委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。

 総務大臣、もう一件お伺いしたいんですが、震災のときに有効に働くのは、ラジオが非常に有効に働いたということがあると思いますけれども、もう一つ、私は、携帯電話がすぐつながれば、安否確認もできますし、例えば瓦れきの下にある人も連絡ができるし、相当な方が助かるんじゃないかなと思うんです。今回の震災のときも、携帯がつながらないという状況に皆さん陥ったのは実感されておると思いますけれども、今後、携帯電話の通信網の強化を、ぜひ次の震災に備えてやっていただきたいと思うんです。

 その点について何か総務省は取り組みをなさっているか、御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 おっしゃるように、被災地においては、携帯電話は基本的にほとんど機能しなくなった。これは、基地局が壊れた、それから電源が、要するに停電してしまったということで、ベーシックに壊れてしまったということが起こりました。同時に、首都圏においても、安否確認の電話ということで、通常の大体五十から六十倍の電話が発信されたということで、緊急用の回線を確保するためということで七〇から九五%の規制を実施したため急にかからなくなった。

 こういう事態を踏まえて、震災とかこういう非常時にタフな状況をつくらなければいけないということで、電気通信事業者を初めとする関係者で通信被害の検討会をつくりました。そして、取り組むべきこととして、大きく言えば四つ。

 一つは、いっぱいかけるというとき、ふくそうしたときに、電話で使う回線やいろいろなところで使う回線、柔軟に電話回線をふやすとか、こういうことの対策を技術的なことも含めてどうとるかということ。それから、地震とか津波が起こったときに倒れてしまった、停電が起こったというふうなことを、どういうふうにタフにするのかという技術的な問題。それから、ネットインフラがどうあるべきかということ。もう一つは、今言われましたように、インターネットの活用というのは、実は、フェースブックやツイッターとかいうことを含めて非常に多岐にわたっている部分を有効に活用することが大事だということで、これをまとめました。

 それで、総務省としては、いわゆる設備の信頼性に係る技術基準とか、停電が起こらないようにこういうふうにしなさいとかいう技術基準と研究開発。それから、事業者においては、まずやはり公の役場なんかには、かなり停電しない、二十四時間以上もつ電源の確保、蓄電池とか、いろいろなこと。と同時に、今言われたいろいろな、伝言サービスとかは、固定電話と携帯電話、それもキャリアが違うと全部違うというのを一体化できるように。というのは、知っているようで、誰もほとんどふだん使ったことがないので、啓発運動。地域によっては、実際に皆さん被災者になったと思って伝言してくださいというふうな、実地のそういう訓練を含めていろいろな形で取り組んで、こういう教訓を生かした形として、災害時の通信確保に向けた取り組みを総合的に全力で取り組んでまいりたいと思っています。

今井委員 ぜひこれもよろしくお願いします。

 次に、高速道路の整備についてちょっとお話を国交大臣にお伺いしたいと思います。

 この震災で、高速道路の機能が非常に有効だということが再認識されたわけであります。昨年十二月九日に発表されました、高速道路のあり方検討有識者委員会の「今後の高速道路のあり方 中間とりまとめ」の中でもそのことが記載されております。資料に抜粋がありますけれども、一つは、ミッシングリンクの解消ということがありますし、それから、太平洋と日本海側を結ぶネットワークの強化、こういう点も指摘をされているわけであります。

 私、岐阜県ですけれども、東海地方をずっとつなぐ東海環状自動車道に関しましては、関養老線に関しては、平成二十一年度八十八億、平成二十二年度百二十六億、二十三年度二百十四億と重点的に整備をしていただいておりまして、このミッシングリンクの解消ということは非常にやっていただいているんですが、もう一つ、積み残しの課題がありまして、私の選挙区に東海北陸自動車道の暫定二車線がありますけれども、これはまさに、日本海と太平洋を結ぶ大事なところなんです。

 もう一つ抜粋があるんですが、「高速道路の死傷事故率は一般道路に比べ低いが、暫定二車線区間では、一度事故が発生すれば、重大事故となり、通行止めとなる可能性が高い。」これは、通行どめになってしまいますと、もう全然機能しなくなってしまうので、ひとつ早く方向を出していただきたいと思うんですね。

 それ以外にも、全国に六つほど、もう整備区間が決まっている地区があると思うんですけれども、この辺も含めまして、今後どういう方向で結論を出していかれるか、この辺について答弁いただきたいと思います。

前田国務大臣 委員御指摘のとおり、東北震災においても、日本海側から太平洋岸、三陸側に物資輸送をやったわけですね。そういった意味で、今回の反省は、多重防災であり、またミッシングリンクでありというようなことで、議員御指摘の東海北陸自動車道というのは、まさしく日本海側とこの太平洋岸を結ぶ重要な路線であります。

 有識者会議の中間取りまとめに沿って、債務償還状況なんかを踏まえた上で高速道路の利用者負担で対応するというような原則、基本も出していただいていますから、なるべく四車化ということについて、その方向で取り組んでまいりたい、こう思っております。

今井委員 ぜひ、早急の結論をよろしくお願いしたいと思います。

 時間がありませんので最後の質問になりますけれども、先ほど円高の話をしましたが、それに関連しまして、ちょっと人民元の話をしたいと思うんです。

 実は、昨年の十二月二十五日、日中首脳会談において、日中両国の金融市場の発展に向けた相互協力の強化というのが発表されているんですね。これは余り目立たないんですけれども、実はクリーンヒットだと私は思っておりまして、次のページにもありますけれども、今、一番の貿易国は中国なんです。ですから、今、為替の問題は、ドル・円、ドル・円と皆さん言っていますけれども、今後は人民元ということが非常に重要になってくるわけですね。

 これは、今現在は、人民元は直接取引できませんから、一度ドルにかえて、それからまた中国国内で人民元にかえるという、これは決済リスクもあるし、それからコストも二重になりますから、企業にとっては非常に問題なわけです。しかも、これは、人民元で直接取引をすれば為替リスクの軽減にもなるということなので、これが進みますと、私、この円高対策の一つの大きな鍵になると思っておりまして、ようやく来たかなというふうに感じております。

 今、中国がだんだんと元の国際化を進めている中での合意ということではあろうかと思いますけれども、今後、これの進みぐあいとか、それから政府としての取り組みについて、最後、御答弁をお願いしたいと思います。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、間にドルを挟むということでコストがかかりますし、それから為替の安定という意味でも、直接交換できるということは大きなメリットがあると思います。

 中国ビジネスが膨らんでいるので日本企業にとってもいいということでありますし、中国の元の国際化を支援する意味でやっているわけではありませんけれども、結果としてはなる可能性もあるということで、我が国と双方の利益のために、これからも、スモールスタートでございますけれども、規模が大きくなればメリットも大きくなるので、やらせていただきたい、こう考えております。

今井委員 どうもありがとうございました。

 この中には、実は、債券の発行というのも書いてありますので、今、外貨準備、日本は一兆三千億ドルぐらいあると思いますけれども、財務省は通貨の比率を教えてくれませんが、相当な部分をドルで持っているのは間違いないわけで、これを少し人民元にかえていくということをすれば、これは、ドルを売って人民元を買うだけ、円相場には直接は影響ありませんから、ドル・円には余り影響はありませんので、これをやっていけば、だんだんポートフォリオの改善にもなっていきますし、それから人民元に対して円安をもたらすという好効果も出てくると思いますから、ぜひこういうことも検討していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 本日は、社会保障と税の一体改革について、世代間の格差というテーマで岡田大臣に御質問したいと思うんですけれども、その前に、安住大臣に一問お伺いをしたいというふうに思います。

 私、一月二十四日の召集日、和服で登院をしました。恐らくこの中にも着物を着て登院された方もいらっしゃるんではないかというふうに思います。これは、我々国民の代表である国会議員が、日本の伝統的な衣装である和装のよさを伝えようという運動の一環として毎年行われているものでありますけれども、きょう、私は、日本の伝統的なお酒である清酒、これを国が率先して消費をしましょうというお話をさせていただきたいというふうに思います。

 私の地元に、神杉酒造さんという酒蔵があります。そこにお邪魔したときに、歴代総理が国酒という色紙を揮毫されているのをずっと飾ってあったんですね。社長とお話をしたときに、大西さん、日本酒は国酒なんだ、だから、国の公式行事等で日本酒で乾杯すべきじゃないかということを言われました。私は、これはなかなかおもしろいなというふうに思いまして、調べてみました。そうすると、非常に興味深いことがわかりました。

 資料の一というのをごらんいただきたいというふうに思うんですけれども、昭和五十三年の一月二十日の閣議で、当時の中川農相が、米の消費拡大に範を示す意味から、国の公式行事、式典等では努めて清酒を用いることを提案されました。当時の村山蔵相もこれに同調して、何とこれ、閣議了解事項になっているんです。

 また、昭和五十五年の大平内閣の初閣議でも、武藤農水相から同様の発言があって、そして当時の大平首相も、日本酒は国酒、特に外国の客をもてなすときは日本酒がいいと発言されたと言われております。色紙に国酒と揮毫したのも大平首相が最初と言われております。少し見えにくいんですけれども、お配りをしている資料の写真が大平首相の色紙の写真であります。

 安住大臣のお地元には、多くの酒蔵、酒造があるというふうに思います。被災地の皆さんを応援しようということで、国民の間では、被災地の地酒を飲んで被災地を応援しようという動きもあります。また、野田首相も日本酒が大好きということで、我が党の国内酒造・酒販振興議員連盟の会長を務められておりましたし、野田内閣の外務大臣、玄葉大臣の御実家は「あぶくま」という銘柄で知られる酒蔵というふうにお聞きをしています。

 そこで、酒造業を所管する安住大臣に、野田内閣で公式行事等での日本酒の使用、これを再度確認、徹底をしていただくことはできないでしょうか。

安住国務大臣 御指摘のとおり、昭和五十五年一月五日の閣議におきまして、大平内閣総理大臣から、今委員が言ったような発言があり、それ以来、国酒という揮毫を行っているということは知りました。

 それで、いわゆる国税庁ということで、財務省ということで私に質問だと思いますけれども、さまざまなレセプションでは乾杯のときには全て日本酒をということで外務省も大変配慮をしていただいて、普及には努めております。

 今後も、日本酒に限らず、泡盛初め日本古来のさまざまなお酒について普及に努めてまいりたいと思います。

 ちなみに、私も初めて、昨年、米国ガイトナー長官とフランスで会談をいたしましたけれども、地元の被災をした酒蔵の酒を持っていきましたら、大変喜んでいただいて、飲んでいただいたので、そういうことはこれからも努めてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 私もアメリカ・ワシントンの大使館に二年間勤務をしたことがありますけれども、アメリカでも日本酒は非常に人気があります。ぜひ、閣僚みずから、我々国会議員が率先して、そういう日本酒の文化というのを広めていただければというふうに思います。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 私は四十歳で、二十と還暦のちょうど折り返し地点にあるんですけれども、同世代の国民の一人として、社会保障における世代間の格差に強い関心を持っております。

 そこで、お手元の資料の二というのをごらんいただきたいんです。これは平成十七年のデータですのでちょっと古いんですけれども、生涯を通じた受益と負担の関係です。

 これを見ますと、ちょうど四十歳、四十代で生涯受益がマイナスに転じます。将来世代では、四千五百八十五万円のマイナス。二十歳未満の将来世代と六十歳以上を比べますと、大体約一億円近い格差があります。

 それから次に、資料三というのをごらんいただきたいと思うんですけれども、まず右側のグラフ、これは、金融資産で見ても純資産で見ても、日本の家計資産の六割は六十歳以上の世帯が保有をしている。

 そして、高齢者世代の富の偏在、これは二十年前と比べてもより進んできている。それは、高齢化によって被相続人の年齢が上がっていることが一つの要因というふうに思われます。

 これは左側のグラフですけれども、被相続人の年齢、八十歳以上が六三%にも上るんですね。別の調査結果でも、相続時の親の死亡年齢の最頻値、最も多い値というのは八十五歳から八十九歳、相続を受けるその第一子の年齢は大体五十七歳から六十一歳となっています。

 つまり、これから何がわかるかというと、資産というのは、六十歳以上の高齢者世代の中だけで回っていて、若年世代にうまく移転をしていないということがわかるんだと思います。

 これを見て私が感じるのは、これまで、従来は、高齢者世代というのは社会的弱者として一律に優遇される、言葉はよくないかもしれませんが、優遇される傾向にあったというふうに思います。しかし、これを見て、私は、やはり高齢者の負担のあり方というのを考え直す必要があるんじゃないかというふうに感じております。

 誤解のないように申し上げれば、本当に困っておられるお年寄りから搾り取れということを私は言うつもりは毛頭ありません。だけれども、負担能力がある、余力のある方々には相応の負担を求めるという制度設計が一定の合理性を持つのではないかというふうに考えますけれども、岡田大臣の率直な御感想をお聞かせください。

中井委員長 大西さん、岡田さんの答弁の前に申し上げますが、野田君の次の会長は川端君だったの、日本酒。川端君の次は、今、僕がやっています。君、会員に入っておるか。入っていないだろう。だめだよ、そんなのは。(大西(健)委員「入っています、入っています」と呼ぶ)入っておるか。この間、この野田さんの国酒というサインを酒造組合へ僕が届けておきました。

岡田国務大臣 今、大西委員言われたことで、二つのことが言えると思うんですね。一つは、やはり世代間のその公平性の問題と、それから、高齢者の中で余力のある方により御負担いただけないかということだと思います。

 まず、世代間の問題は、確かに若い世代から見ると、これだけ人口が減少していく中で、賦課方式などはだんだん成り立たなくなってくる。だからこそ、我々の年金の抜本改革の考え方も出てくるわけでありますが。

 そういう観点でいうと、今回の社会保障・税一体改革の中で、我々は、子ども・子育てというところに力を入れる。これは、今まで社会保障三事業というと、やはり高齢者の方を中心にした年金であり介護であり、医療は各世代にわたりますが、しかし、多くはやはり高齢者世代のために社会保障費が使われてきた、それを少し配分を変えよう、こういう考え方がその背景にある。子ども・子育て世代に対してしっかりと国としてやっていこうということでございます。

 それからもう一つは、例えば、これも素案の中に検討課題になっていますが、七十歳から七十五歳未満の方の医療保険の患者負担の、平成二十五年度予算編成過程での見直しの検討ということも入っております。

 あるいは、年金の物価スライド分についての、平成二十四年度から三年間で解消する、これは今国会でも法案を出すことにしておりますが、こういうことは世代間の公平の問題の是正に資するものだと思います。

 もう一つは、委員も御指摘の、高齢者の方の中にも余力のある方がいるのではないか。ここで一つ注意しなければいけないのは、高齢者の方の中で非常に所得の少ない方がたくさんいらっしゃるということは忘れてはならないことだというふうに思います。しかし、他方で余力のある方もいらっしゃる。

 そういう観点から、例えば、介護保険について一定以上の所得者の利用者負担のあり方を検討する、あるいは、年金の最低保障機能の強化とあわせて高所得者の年金給付の見直しを検討するというようなことも、この素案の中に入れているところでございます。

大西(健)委員 私、議連に入っていますので、そのことだけまず申し添えさせていただいて、岡田大臣の答弁、本当にありがとうございます。

 今お話があったように、この委員会でも年金の特例水準の解消は議論になりましたけれども、私は、これはつらいことであっても断固としてやるべきだというふうに思いますし、また提言型政策仕分けでも、七兆円も払い過ぎになっていると。そしてこれは将来世代、現役世代の負担になっているわけですから、しっかり解消していくべきだと思います。

 また、今お話があった七十歳以上七十五歳未満の、本来二割負担になっているところを一割にとどめている。これも、毎年二千億円予算措置しているわけですから、今年度は見送られましたけれども、やはりやっていかなきゃいけないことだと私は個人的には思っております。

 こういう高齢者の世帯への給付の見直しをある意味先送りしたまま現役世代に負担ばかりがふえていくと、これはやはり現役世代の納得というのは私は得ることができないのではないかというふうに思っています。

 その一つというのが、一体改革素案にある高齢者医療の支援金の話であります。今、各被用者保険の総報酬に応じた負担とする措置について検討するというふうに素案の中に書かれているんですけれども、これは現在、支援金の三分の一が総報酬割になっています。これがもし全額総報酬割ということになれば、ほとんどの健保組合が赤字になるのではないかなというふうに私は思います。

 保険料が上がります。健保組合の組合員の手取り額も減りますし、同時に事業主の負担も大幅にふえて、経営にも大きな影響が出てくるんじゃないかということが懸念をされています。

 保険というのはもちろん助け合いの仕組みですから、比較的給与水準が高い被用者保険が他の制度を支援する、これは一定程度私は理解します。

 ただ、多くの健保組合が組合員から集めた保険料の約半分を他の制度のために、言葉は悪いですけれども、召し上げられる。せっかく健保組合で頑張って健康診断をやって、組合員の健康管理をやって、医療費を抑え込めば保険料を安く抑えられると思っているのに、そうやって努力してもそれが全部ほかの制度の支援に持っていかれるというのでは、これは何のために健保組合をつくっているかわからない。保険者機能というものの意味がなくなってしまうというふうに思います。

 既に、西濃運輸のように、会社が倒産していないのに健保組合を解散するというところも出てきています。平成七年から平成二十三年までに三百七十二もの健保組合が財政状況の悪化により解散をしました。解散すれば、組合員は協会けんぽに移るわけです。そうすると、また国費の投入が必要なる。これはやはり私は意味がないんじゃないかというふうに思います。

 また、予算委員会でも、円高によって企業の決算が悪化をしているというような話が取り上げられておりましたけれども、企業の経営に関しても大きな影響が出るこの総報酬割の全額導入、私は慎重であるべきと考えますけれども、厚生労働大臣のお答えをいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 これだけ高齢化が進んでいく中で、高齢者医療の負担をどうするかというのは大きな課題だと思っています。

 現在は、公費がおよそ五割、高齢者の保険料が一割、現役世代からの支援金によって四割、これを賄っているわけなんですね。財政力の弱い保険者の負担が相対的に重くなるということから、今御指摘いただいたように、平成二十二年度から三年間の特例措置として、三分の一を加入者の報酬総額に応じた負担の仕組みである総報酬割として、財政力の強い保険者により多く負担をお願いするような形にしています。

 それで、これも委員が御紹介いただいたとおり、社会保障・税一体改革の素案では、高齢者医療の支援金を各被用者保険の総報酬に応じた負担とする措置について検討するということにしているんですね。全面総報酬割の導入によりまして、これは負担能力に応じた公平な負担という視点からこういうことも考えていますので、十分に関係者の皆様とお話をして、御理解を得ながらやっていきたいというふうに思っています。

 先ほどおっしゃった特例水準を廃止するなど、なるべく世代間の格差をなくすような方向ではいろいろな面で努めていきたいと思っています。

大西(健)委員 今、大臣からも、なるべく関係者の理解を得た上でというふうに言っていただきましたけれども、素案の中にも、具体的な内容について、関係者の理解を得た上で法案化をして提出するというふうになっています。ですから、くれぐれも関係者の理解を得るということをぜひしっかりやっていただきたい。それなくして総報酬割の拡大を強行するようなことがないように、くれぐれもお願いをしておきたいというふうに思います。

 もう一つ、非常に言いにくいことでありますけれども、言わなきゃいけないというふうに私思っていることがあります。それは、消費税率をどんどん上げていっても、給付の改革というのがなされなければ、給付の方がどんどん膨らんでいけば、税率を上げても切りがない。そういう意味でいえば、医療については、もちろんお金がないからできないという医療はあってはならないというふうに思いますけれども、しかし、医療の面でも、まだまだ私は給付の面で見直すことができる部分があるんじゃないかというふうに思っています。

 その一つが終末期の医療の問題です。

 先日、自民党の石原幹事長が、胃瘻措置を、人間に寄生しているエイリアンが人間を食べているみたいだとBSの番組で発言をして、物議を醸しました。私もこの言葉遣いには問題があったというふうに思いますけれども、ただ、そこにある問題意識というのは、ある部分で私は共有できるものがあるというふうに思っています。

 欧米では、口から食べ物が食べられなくなったら、これは天国からある意味お迎えが来たんだということで、胃に管を通して栄養を補給するような胃瘻措置というのは一般的にはやらないというふうに言われています。しかし、日本では逆に、簡単に胃瘻をつくるということが指摘をされています。

 統計によって異なりますけれども、終末期の医療費が全老人医療費の二〇%を占めるとか、あるいは、国民一人が一生に使う医療費の半分が死の直前の二カ月に使われるというようなデータもあります。そういう意味で、私は、やはりこれは避けて通れない問題だと思うんですけれども、医療の現場の方にも変化が出てきています。

 資料の四というのをごらんいただきたいんですけれども、新聞記事でございますけれども、先月の二十八日、日本老年医学会は、終末期の胃瘻の差し控えや撤退を選択肢とする方針を示しました。もちろん、家族の立場に立てば、一分一秒でも長生きしてほしい、最善を尽くしたいというのが願いだというふうに思いますけれども、しかし、有限の国民共有の財産である保険財政を使ってどこまでの終末期医療を面倒見るのかというのは、私は見直す時期が来ているんじゃないかなというふうに思います。

 この点について、社会保障と税一体改革担当大臣の率直な御感想、御意見をお聞かせください。

岡田国務大臣 終末期医療についての考え方というのは、個人によってかなり異なるところもあると思います。したがって、厚労省の方でもガイドラインを策定したりということで御努力いただいておりますが、私は、政治のレベルでもう少し深い議論があっていいのではないか。国によっては、そういったことを国会でまさしく議論しているという例もございますので、国民的な理解を深めるためにも、そういう場があっていいのではないかという気がしております。

 それから、胃瘻に関しては、医療費の節減という観点ではなくて、やはり患者の尊厳という観点から、余り安易にするのはいかがかという議論は当然あるんだろうと思います。

 私ごとになりますが、私の祖母は、百歳近くで老衰で入院しましたときに、医師だった妻から胃瘻はやめた方がいいというアドバイスをもらいまして、胃瘻をしないことにいたしました。本人は亡くなるまで非常に尊厳を持ってあの世に旅立ったというふうに思っております。

 しかし、それは個人の考え方はそれぞれありますから、余り、予算のとか、そういう話ではなくて、しっかりとした議論を行いながら進めていくことかなというふうに思っております。

大西(健)委員 大臣おっしゃるとおりで、これはまさに個人の尊厳、死生観等にかかわる問題でありますし、この話をすると必ず、では、金持ちは最善の医療を受けられるけれども、貧乏人は最低限の医療しか受けられないのか、金で命の差ができるんじゃないかという批判も受けると思いますので、ある種のタブーの部分があると思うんですけれども、おっしゃったとおりで、やはり国会議員が国民的な議論を積み重ねる必要があると私も思っております。

 次に行かせていただきたいと思います。

 釈迦に説法ですけれども、社会保障の財源は、六五%が保険料で、三五%が国と地方の税ということで賄われています。そういう意味では、社会保障と税の一体改革、消費税の税率引き上げとか、その時期ばかりに注目が集まりますけれども、財源でいえば社会保険料の方が大きいんですね。

 その保険料はどこから生まれるかというと、雇用です。雇用はどこから生まれるかというと、産業から生まれるということだと思います。

 その産業、特に製造業ですけれども、昨年、東日本の大震災がありました、タイの洪水がありました、超円高、大変な苦境に立たされています。そこに追い打ちをかけるように、東京電力が企業向けの電気料金を四月から引き上げるということを発表しました。中小企業からは悲鳴が、そして、地方自治体からは根拠が不透明と反対の大合唱が起こっています。

 特に深刻なのが電力多消費産業です。例えば物づくりの川中に位置する鋳造業、そのほとんどは中小零細企業です。電気炉で鉄を溶解するために大きな電力を必要とします。電力の購入額が売り上げの約一割を占めると言われています。今回の東電の値上げだけでなくて、今後は再生エネルギーの全量買い取り制度の導入による負担の上乗せも予想されている中で、鋳造業を初めとした電力多消費産業は壊滅的な打撃を受けるのではないかと言われています。

 ドイツなどでは、国際競争力の維持の観点から、産業用の電力料金を家庭用に比べて大幅に抑えるという政策をとっている国もあります。

 電力料金の値上げについて、電力多消費産業に対して私は何らかの配慮が必要だと考えますが、枝野経済産業大臣のお答えをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、東京電力の自由化部門の電気料金値上げ表明によって、御指摘の電力多消費産業等において大変な悲鳴が上がっております。鋳造業、鋳物屋さん、私も、川口は選挙区じゃありませんが、あの埼玉のキューポラのある町が県内でございますので、そうした声を直接にも伺っているところでございます。

 現行の制度では、自由化部門の料金は電気事業法の規制対象外であって、東京電力は、みずからの責任で、顧客と誠実に交渉し、双方合意の上で決定されるべきものでありますが、これは経産大臣としてはそういうことになるわけですが、原子力損害賠償支援機構担当大臣としては、東京電力において、さらなる経営合理化に努め、徹底的にその説明責任を果たすとともに、個々の需要家の事情や取り組みを踏まえた料金メニューの多様化等を行い、需要家の理解を得ることが必要であると考えておりまして、このことについては、二月十三日、東京電力の社長を呼びまして、申し伝えたところでございます。東京電力西澤社長からは、これに努力をするという答えをいただいておりますが、さらに厳しく監視をしてまいりたいというふうに思っております。

 また、固定価格買い取り制度の賦課金の負担増についても、産業空洞化につながることのないよう、これは法律の中に電力多消費産業への賦課金の減免措置が設けられております。

 現在、法律で定められた枠組みの詳細な運用について検討を行っているところでございますが、御指摘の点も十分に配慮しながら、なおかつ、固定価格買い取り制度で再生可能エネルギーが推進するように努力をしてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 ありがとうございました。

 きょうは主に、社会保障と税の一体改革に関連して、世代間の格差の問題についてお聞きをしましたけれども、少子高齢化の世の中では、政治的には数の多い高齢者の意見というのが反映されやすいという点は否めないというふうに私は思います。

 しかし、私も、毎週地元で座談会をやっているんですけれども、そうすると、多くのお年寄りの方々から、我々のことはもういいんだ、だけれども、将来の世代の人たちのためにちゃんとやってあげてほしいという御意見をよくいただきます。

 私は、我々政治家が高齢者に、先ほどお話があったように、本当に困っている高齢者の方に負担をせよというのではなくて、余力のある高齢者に負担をお願いすることも、これは恐れてはいけないというふうに思います。ちゃんと話せば、それはちゃんと理解をしていただけるというふうに思っております。今後も、そういう観点からまた意見を述べてまいりたいと思います。

 もう少しで時間だと思いますので、終わります。

中井委員長 これにて大西君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 本日は、新しいエネルギーについて御質問をさせていただきたいと思っておりますが、その前に、先日、一月三十一日に、郵政民営化の改正法案のことについて御質問をさせていただきました。その際、この郵政民営化の改正法案が成立すれば、三つの点、一点目が郵便局のネットワーク、二点目が国民負担の軽減、そして三点目が今後の郵政の役割、この三つの点において国民に多大なる恩恵を与えるということで、早期の郵政民営化の改正法案の成立が必要だ、そこで総理のお考えをお聞かせくださいというふうに質問したのですが、残念ながら、時間切れでございまして、答弁をいただくことができませんでした。

 大変申しわけないんですが、官房長官と自見大臣に、総理にかわって、これからの郵政民営化の改正法案の成立に向けての意気込みとお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

藤村国務大臣 中島委員には、先日、質問だけされて答えがなかったということでございましたので、きょうは、かわりまして、総理が答弁をすべきところを私で失礼いたします。

 現在国会で継続審議中となっている郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業の基本的サービスが、御指摘の郵便局のネットワークを活用して、地域の利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたりあまねく公平に利用できることを確保する、ユニバーサルサービスだと思います。

 法案が成立すれば、郵政株式処分凍結法による処分の停止が解除もされます。結果として、政府保有義務がかからない株式は売却が可能となり、貴重な復興財源となるわけであります。

 郵政改革につきましては、現在、法案の取り扱いも含め、全般的に与野党で協議を進めていただいていると承知をしております。政府としては一日も早く協議がまとまることを期待しているというところでございまして、内閣を挙げて郵政改革の今国会での実現に全力を尽くしていく所存でございます。

自見国務大臣 中島議員にお答えをいたします。

 今、藤村官房長官がお答えになられたとおりでございますけれども、郵政改革については、現在与野党間で協議を進めていただいていると聞いておりまして、早期に結論を得ていただくことを強くお願いしますし、また、中島議員も国民新党の国対委員長代理として大変御尽力でございますが、そういったことを通じてしっかりこの国会の場で与野党間で協議を進めていただくということが大変大事だ、こう思っております。

 今、十二回ほど、与野党間の協議が正式に理事間で進んだということは聞いておりますけれども、そういった意味で、やはりネットワークの維持ということは、これはもうどの党も賛成でございますから、そういったところでいろいろ、党派、会派、いろいろな流れ、立場があると思いますけれども、その点に立ってひとつぜひ御努力いただければというふうに思っております。

 ぜひ、私の立場といたしましても、先生あるいは官房長官から今力強い決意の表明もございましたし、また野田総理も、この予算委員会でも数度、今官房長官が答えられた趣旨できちっと答えておられますので、しっかり郵政改革の実現に向けて、本当に、御理解をいただきながら、全力を挙げて成立に力を尽くさせていただきたいというふうに思っております。

中井委員長 中島さんに一言。前回の質疑のときに答弁をさせなかったのは私でございます。御無礼をいたしましたが、時間が切れたということもありますが、あの日は国際問題の集中審議でしたから、国内問題で御質疑というのはちょっと違うだろうということもあったということも御理解ください。

中島(正)委員 失礼いたしました。

 官房長官、自見大臣、ありがとうございました。

 郵政の改正法案成立というのは、本当に、国民新党のみならず、民主党も二〇〇九年のマニフェストで、民営化の抜本的な改正を図るということをマニフェストに掲げて選挙を戦い、国民の信託を得て国会議員にしていただいて、そして政権交代をなし遂げたという経緯がございます。国民の皆様の期待に応えるためにも、早期の成立をお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 官房長官、自見大臣、ありがとうございました。その後につきましては枝野大臣に御質問させていただきます。ありがとうございます。

 それでは、次にエネルギー問題について御質問をさせていただきます。

 鉱物性燃料の輸入金額の増加と我が国経済への影響について御質問させていただきます。

 福島第一原発の事故の影響により、五十四基あった原発が、現在稼働しているのは三基のみとなってしまっております。このまま推移すれば、この三基も四月には全て稼働停止になってしまい、原子力発電の供給がストップしてしまいます。こうした状況において、全国の電力会社においては、原子力のかわりに火力発電をフル稼働させて急場をしのいでいるというのが現状でございます。

 こうした火力発電の増加によって、昨年の我が国の鉱物性燃料の輸入金額を見ますと、お配りの資料を見ていただきたいんですが、まず一枚目の資料一の一、品名の三つ目のところ、赤ペンで印をつけております鉱物性燃料の欄の右側の金額を見ていただければ、十七兆三千九百億円、約十七兆四千億円。これは平成二十二年の分です。いわゆる震災の前の年になります。

 そして、一枚おめくりいただいて、これが平成二十三年の分、いわゆる震災の年になりますけれども、同じく鉱物性燃料のところを見ていただくと二十一兆七千八百億円、約二十一兆八千億円となり、二五%増加しております。この二十一兆八千億円という金額は、同じくこの資料一の二の一番上を見ていただきますと、一年間に日本が輸入する総額の六十八兆円の実に三二%を占めることになっているんです。

 そして、もう一度、資料一の一と一の二を見比べていただいて、同じく鉱物性燃料の三つ下の液化天然ガスという欄を見ていただきたいんですが、ここの金額が、平成二十二年の分は約三兆五千億円、そして震災のあった平成二十三年は約四兆八千億円に輸入金額が増加しており、三七・五%も増加していることがわかっていただけると思います。

 昨年、我が国の輸出総額約六十五兆五千五百五十一億円から総輸入額約六十八兆五百十一億円を差し引いた貿易収支がマイナス約二兆四千九百六十億円となり、三十一年ぶりに赤字を記録しておりました。これは、鉱物性燃料の輸入金額の増加が大きく影響したものだと考えられます。

 政府は、鉱物性燃料の輸入金額増加によって、経済への影響をどのように分析されているのでしょうか。このまま放置しておいてもよいとお考えなのか、もしくは何か対策を考えておられるのか、お考えをお聞かせください。

枝野国務大臣 御指摘の点は二つの側面があると思います。

 一つは、まず、貿易収支が赤字になったこと。これについては、輸入も一二%ふえておるんですが、輸出が二・七%マイナスになっています。その中で、やはり震災そのものの影響であったり、それからタイの洪水の影響による輸出減があります。ただ、一方では、ヨーロッパの経済危機や円高という問題があります。したがって、この内容が今後どう振れていくのかということは、見通しはまだ明確に立てられませんが、少なくとも震災とタイの洪水の影響の分は回復できるだろう。

 それに加えて、円高に対する対応、それからより高付加価値な部分で、今の国際的な経済状況と円高にも戦える部分のところをいかに押し上げて輸出を伸ばすのかということについて、全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 輸入の方について、まさに石油、原料が上がっているということ、全体については、これは一つ大きな問題がありますが、その原因がどこにあるかというと、実は、お配りいただいた資料一の二をごらんいただいてもわかるんですが、液化天然ガスは、量的に圧倒的に、一二・二%ふえております。ただ、原油等については、実は量的にはマイナス二・七%で、したがって、ここの部分がふえているのは、実は値段が上がっているということの問題が大きくきいております。

 まず、できるだけ安く安定的に原油であるとか液化天然ガスを獲得する。これは短期でどれぐらい大きな効果が出るのかという部分はあるんですけれども、最大限短期のところ、そして中長期にわたってできるだけ安い値段で必要な原料を確保する、このことについて全力を挙げていくということを進めていかないと、やはり、幾ら輸出を伸ばすといっても、そこには限界がある。やはり輸入のところの金額をある程度抑える努力はその点で必要だと思っています。

 もう一点、まさに電気料金を初めとする、先ほど御指摘ありました、企業経営に直接影響を与えるコストが上がるということについては、電気料金については、東京電力に対してさらなるコスト削減を求めていくことを含めて、入ってくる値段そのものが、ある程度価格が短期では決定されてしまっているところはやむを得ない中でありますが、いかにその中で産業活動にマイナスの影響を小さくするかということについて最大限の努力をすることによって、少しでも影響を少なくしたいというふうに考えております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 そこでなんですが、新しいエネルギー、メタンハイドレートについてお聞きしたいと思っております。

 東日本大震災や原発事故など、この国難のときに、本当に明るい話題が日本にも出てまいりました。日本は、これまで鉱物性燃料のほとんどを海外から輸入しており、エネルギーの自給率が四%程度という、本当に資源のない国であります。しかし、最近になって、日本近海で相当量のメタンハイドレートという天然ガスが埋蔵していることがわかりました。今は開発途中であるということですが、この生産がうまくいけば、燃料資源がない国ではなく、逆に、天然ガスを輸出する国になれるかもしれないというふうに考えております。

 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、今現在のメタンハイドレートの開発状況をお聞かせ願えますでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、大変期待のできる部分だというふうに思っております。ただ、一方では、従来の天然ガスと異なって、井戸を掘るだけでは、自分で噴き出すわけではないということで、生産技術を開発することが必要であります。

 平成二十一年三月に策定した計画に基づいて研究開発を進めてきておりまして、本年の一月から三月にかけて、いよいよ、東部南海トラフ海域において事前掘削作業を始めて、産出試験を行う予定であります。実は、きのうから始める予定だったんですが、きのうはちょっと海域が荒れておりまして、きょうはまだ確認しておりませんが、まさに数日のうちに実際の事前掘削が始まる。そして、いよいよ本格的な産出試験を実施して、今の計画では、遅くとも平成三十年までには実用化、商業化に向けた技術を整備したいという計画で進めております。

中島(正)委員 それでは、メタンハイドレートがどれぐらい埋蔵されているのかというところで、お配りしました資料二をごらんいただきたいんですけれども、日本近海のBSR分布と資源量という資料をごらんいただけますでしょうか。

 この資料は、メタンハイドレートの埋蔵量を音波調査によって予測された表であります。音波を当てたときに、BSRという特徴的な反射面があるところに、地質学的には、その上部にメタンハイドレートが存在するということであります。

 ここで、東部南海トラフの資源量として示されている一兆一千四百十五億立方メートルというメタンハイドレートの資源量は、我が国の天然ガス使用量の何年分に当たるのでしょうか。また、この東部南海トラフというのは、この地図をごらんになっていただいてわかるように、愛知県とか和歌山県沖だけのことを指しておるのですけれども、我が国の領海全体で考えた場合、およそどのぐらいの埋蔵量があると見られているのでしょうか、お聞かせください。

枝野国務大臣 まず、東部南海トラフ海域における資源量ですが、御指摘の約一・一兆立方メートルというのは、LNG換算で約八億四千万トンに当たります。ただ、これが全部採掘可能であるのかどうかということは、必ずしもイコールではない部分がありますが、仮にイコールだとすると、我が国の天然ガスの消費量の約十一年分に相当いたします。

 また、我が国周辺海域全体については、産業技術総合研究所の研究者が、我が国の天然ガス消費量の約百年分のメタンガスが存在していると推定をしております。

中島(正)委員 先ほども申し上げましたが、我が国のエネルギーの自給率というのは本当にわずか四%で、エネルギーの供給のほとんどを海外からの輸入に頼っているというのが現状であります。

 こうした厳しい情勢の中で、メタンハイドレートという一つの明るい希望の星とも言える開発に、経済産業省は今回の平成二十四年度の予算に、メタンハイドレート開発促進事業委託費として百十億六千万円を計上しておられます。この予算は、どのような使途を予定されているのか、具体的にお聞かせください。

枝野国務大臣 まず、百十一億円のうち九十五億円は、先ほど申し上げた海洋産出試験、海を掘ってみて、そして圧力をかけたりなんとかいろいろなことをして、メタンガスと水を分解して、メタンガスが実際とれるかどうかやってみる、これが一番大きなところで、九十五億円です。それから、既存のデータを用いて、我が国周辺海域のメタンハイドレートがどういうところにどれぐらい分布しているのかという調査を実施するために三億円、メタンガスの生産予測シミュレーターや経済的な生産手法の開発を実施するために八・七億円、それから、海洋産出試験に付随して環境影響評価をしなきゃならないということで、このための予算が三・八億円、合わせて百十・六億円の予算を組んでおります。

中島(正)委員 それでは、メタンハイドレートの商業化された場合の経済効果についてお聞きしたいと思うんです。

 メタンハイドレートの埋蔵量には、本当にさまざまな説がございます、例えば先ほど大臣から御答弁いただいた十年であるとか百年であるとか。シェールガスの例もありまして、シェールガスの場合は、六十年ぐらいと言われていたものが何倍も何倍も延びて、最終的には、枯渇しないかもしれない、当分の間かれないかもしれないというようなことにもなっておりますので、このメタンハイドレートというのも本当に期待が持てる、未知数だと私は思っております。

 そういうとき、先ほど回答をいただいた、仮に現在計算されているとおりの埋蔵量のメタンハイドレートを利用することが可能になった場合、これまで鉱物性燃料の輸入に必要であった年間数兆円の資金の流出を防げるであるとか、また国内雇用の創出につながるであるとか、さまざまなメリットがあると考えられます。それと、天然ガスは、鉱物性燃料の中でも二酸化炭素の排出量が最も少ないことから、温室効果ガスが削減できるという利点もございます。さまざまな分野でガスの利用拡大も可能になるのではないかというふうに考えております。

 政府は、メタンハイドレートが実用化された場合の経済効果についてどのようにお考えなのか、お考えをお聞かせください。

枝野国務大臣 なかなかまだ詳細な分析をできる段階までは来ておりませんが、先ほどのお話のとおり、今ほぼあるだろうと思われている部分が全部掘れるとして十一年分でございます。逆に、今、LNGの輸入金額が四・八兆円ですので、十一年分だと五十三兆になる。それから、日本周辺全体に百年分ぐらいあるということを、百倍すると四百八十兆円になる。

 ダイレクトでそういった経済効果があるということになりますが、それを超えて、やはり、価格を含めて国際情勢に影響されない安定したエネルギー供給源がある、安定できるということは、日本経済全体にさまざまな波及効果が出るだろうと思っておりますし、また、石油開発会社、プラント会社、造船会社など幅広い波及効果、当然、そこに雇用も生まれるということがあると思います。

 それからもう一つ、貿易収支の赤字化というのは、これは短期は何とか、本年度以降一旦回復できるんじゃないかと私は思っていますが、やはり、人口減少社会の中で中期的には大変深刻な課題でありますので、それを抑える大きな効果もあるということですので、何とか早期に実現できるよう最大限努力をしてまいりたいと思っております。

中島(正)委員 大臣おっしゃられたように、本当にこれは成功すれば明るい話題になると考えております。残念ながら閉塞感あふれる今のこの日本の状況ですけれども、これを打開できる大きな突破口になるのではないかというふうに思っておりますので、早期に実用化できるように頑張っていただきたいというふうに考えております。

 メタンハイドレートの商業化の見通しについてお伺いしたいんですが、商業化を実現させるためには、既存の、今現在輸入している天然ガスと同等程度の採掘単価を実現する必要があると思われますが、その点については、何年後ぐらいを目途に実現できるとお考えなのでしょうか。

枝野国務大臣 できるだけその技術の専門家の皆さんには努力をして最大限やっていただきたいと思っていますし、最大限そのために必要な予算をつけていきたいと思っておりますが、それでも現在の計画では、今回から始まる海洋産出試験が平成二十七年度ぐらいまでかかるだろう。そこでうまくいった場合には、平成二十八年度から平成三十年度にかけて技術的課題、経済性評価、周辺環境への影響等の総合的な検証を実施し、商業化の実現に向けた技術を整備する、こういう計画になっております。

 したがいまして、実際に商業化をして掘り出して売れるということについては、今の計画では早くても平成三十年度以降になろう。これは、技術のところは、政治がいかに急げと言ってもできる部分ではありませんが、できるだけ努力をして、頑張って前倒しをできないか、促してまいりたいと思っております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、今いろいろ、このメタンハイドレートが埋蔵されていることがわかったということで、本当に明るい話題を質問させていただきましたけれども、開発作業をやっている中で、当然、懸念部分もあるというふうに私は思っておりまして、また今度、機会があって時間があれば、ぜひその部分についても御議論をさせていただきたいというふうに思います。

 本日はありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 本日最後の質疑者となりました。新党きづな、渡辺義彦でございます。

 御質問の時間をいただきまして、また機会をいただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げます。

 冒頭でございますが、天皇陛下におかれましては、心臓手術ということで、早期の御健康の御回復をお祈り申し上げております。

 本日は、私は、北朝鮮による日本人拉致の問題、このことに関しまして御質問をさせていただきます。昨年の三月に、中井委員長がちょうど国家公安委員長並びに拉致担当大臣ということで、私、この場所で、内閣委員会で御質問をさせていただきました。また続きましてこのテーマで御質問をさせていただきます。

 そのときにも申し上げたのですが、政府の対応の不備、その責任は大変大きいんじゃないか、積極的に何もやってこなかったんじゃないんですかと。それどころか、当時の政府、一部の政党、政治家の責任も大きいです。例えば、大韓航空機の爆破事件後の梶山答弁、これは北朝鮮による拉致の疑いが濃厚だということも御発言があったわけですけれども、マスコミの取り扱いも、ほぼ無視に近かったんじゃないか。そういう意味では、大変大きな大きな問題を抱えたということでございます。主権国家としてあるまじき対応であった、拉致被害を拡大させた原因の一つであったと私はそのときに申し上げました。

 被害者の御家族が結成された家族会や、支援団体として救う会、そして調査会、我々国会議員も拉致議連等々で家族会や救う会の御支援も申し上げましたが、民間団体の活動の方が目立って、政府の本来すべきことを民間がやっているんじゃないか、そういうように感じておられる国民の方も多いと思います。

 もっと政府が中心となって、国内世論をもっともっと沸き立てて、いち早く、北朝鮮に侵害されました我が国の主権というもの、そして被害者やその御家族の人権を回復すべきであると私は確信をいたしております。このところ自信喪失ぎみの日本でございます。勇気と自信、日本人の誇りを取り戻すためにも、この問題がもっと大きく前進することのきっかけとなるようにしたいと思っております。

 そこで、この拉致問題に深く、また長く取り組んでおられます松原担当大臣にお聞きをさせていただきますが、帰国を待つ拉致被害者の御家族がどんどん高齢化し、そしてこの問題が長期化している。問題の解決の糸口や進展がなかなか見られない、感じられない。また、この拉致の問題、しゃれにもなりませんが、拉致の問題がらちが明かないというのは、これは一体、端的に一言で言ったらどういうことなんでしょうか。

松原国務大臣 御答弁を申し上げます。

 拉致問題が、この十年間、目に見える進展がなかったという御指摘であろうかと思います。

 私も、政府に入るまでの間、拉致議連等で活動しておりまして、さまざま思うところはありました。政府もそれなりに努力をしてきたわけだと思いますけれども、なかなかそれが成果に結びつかなかったということであって、その十年間の反省をどこに、そういったものが進まなかったかということも今総括をしているところでありまして、それを踏まえて、とにもかくにも、私も、この立場になった以上は、この問題にスピード感を持って対応し、解決に向かって頑張っていきたいと思っております。

渡辺(義)委員 今、スピード感を持ってということで御答弁をいただきましたが、皆さんのお手元に資料をお配りさせていただいております。

 その資料の前、二月七日に拉致議連で配付されました資料が、二月三日付、拉致問題対策本部長決定というような文書で、分科会の開催についてということで、きょうお配りしているのは決定の書類でございます。そのときお配りされたのはまだ案であったということでございますが、この一番の根幹をなす戦略分科会というところ、この幹事といいますか、この項目の中に防衛省が入っていない。この点についてはなぜでありますか。

松原国務大臣 今委員御指摘のように、拉致問題に関する関係府省連絡会議の中で、これをより機動的に運営するために、関係府省の副大臣等の中からメンバーを絞り、七つの分科会をつくりました。そこで特定の政策課題等を継続して検討する体制を確保しようとしているところであります。

 せっかくの機会ですから、七つの分科会の中身もちょっとだけ触れておきたいと思いますが、一つは戦略分科会、今御指摘があった分科会であります。対北朝鮮措置、例えば経済制裁等の不断の見直しなど、拉致問題の解決に向けた効果的な戦略を検討するということであります。

 支援分科会は、帰国家族などへの支援のあり方、いわゆる特定失踪者家族への情報提供等について検討する。

 認定分科会は、特に、私としては、特定失踪者を含め、認定のあり方などを検討するというふうに考えております。

 広報分科会は、今後の国内外の世論啓発等に努める。

 国際連携は、国際的な連携によって、例えば北朝鮮人権状況決議に向けた各国への働きかけ等をする。こういうふうなことで七つの分科会があるわけであります。

 御指摘の、戦略に入っていないではないかというふうな御指摘でありますが、今申し上げましたように、戦略分科会は基本的な戦略を検討するわけでありますが、他の分科会の座長には少なくとも集まっていただき、また幹事以外のメンバーにも議題に応じて出席をお願いするというふうにしておりまして、そこは柔軟に、今御指摘のそういった方々の参加もいただけるようにというふうに思っております。

 防衛省からは、防衛副大臣を関係府省連絡会議の主要な構成員とさせていただいておりまして、議題に応じて、必要があると認めるときは、適当な方に戦略分科会に御出席をお願いする、こういうことで機動的に対応していきたいと思っております。

渡辺(義)委員 各分科会について御説明はいただきましたが、当初から防衛省を戦略分科会に入れないということは、拉致被害者救出のオプションに軍事的な行動を組み入れて考えていないということではないのですか、大臣。

松原国務大臣 御答弁申し上げますが、当初からというよりは、戦略分科会は全体の戦略を構築していくという中で、必要に応じて、都度、関係の方々を入れて議論するということですから、必要に応じてそういったことは行われるというふうに御認識をいただければと思います。

渡辺(義)委員 昨今の北朝鮮情勢を考えますと、家族会、救う会の資料といいますか、当面の行動ということで書面もいただいておりますけれども、混乱事態が発生し被害者の安全が侵されるような危険も出てきた、救出作戦の準備を早急に完成させなければという部分では、もっと、備えあれば憂いなしで取り組んでいただかなければならないのではないんでしょうか。

 そのことを置きまして、お隣の田中大臣にお尋ねさせていただきますが、自衛隊の最高指揮官である総理及び行政担当官の防衛大臣は、このように、ちょっと拉致の問題の蚊帳の外に置かれているという部分では、どうお感じになっておられますか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 拉致問題に関する関係府省連絡会議の戦略分科会に係る認識についての御質問だと思います。

 御指摘の戦略分科会は、拉致問題の解決に向けた効果的な戦略を検討する会でございます。通常の構成員に加え、議題に応じて構成員以外の出席を求めることができるものと承知をいたしております。防衛省といたしましても、求めがある場合には、しかるべき者を出席させたいと思います。

 いずれにしても、私としては、被害者全員の一刻も早い帰国を実現するため、政府一丸となって取り組むとの政府の方針のもと、拉致問題の解決に努力をしてまいりたいと思いますし、私自身もしっかり努力をしていくことをお約束いたしたいと思います。

渡辺(義)委員 防衛大臣、拉致被害者の救出のために自衛隊を出動させようという意欲であるとか覚悟、意気込みというものは、どうお考えでございますか。

田中国務大臣 分科会の上部組織であります連絡会議に、防衛省は副大臣が参加しておるところでございます。警戒監視あるいは情報収集というものをやっておりますが、報告を受けながら、状況を見つつ、お手伝いする、要請があれば対応していくということでございます。

渡辺(義)委員 ちゃんとした明確な御返答ではなかったように思うんですけれども、いかなる事態にも対応できる準備とシミュレーションというものを怠ることなく、政府にはお願いしておきたい、そう思っております。特に、松原大臣はこの拉致問題に関してはエースでございますので、ぜひとも、もっともっと準備周到にお願いをしたいと思います。

 時間がございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 先ほども申しましたように、救出のチャンスを見きわめるといいますか、そういう意味でも情報収集や広報活動には予算というものが欠かせないわけでありますが、昨年も、松原大臣は予算委員会でも、当時の中井大臣に、予算が四・四三倍になったとか、時間との闘いだから、しっかり頑張りますということで、予算が二億から九億ぐらいにふえたんだというようなことで……

中井委員長 去年、僕は担当大臣じゃありませんでした。さっきも去年三月と言われましたが、僕は、おととしは担当大臣でしたが、去年は予算委員長をしていましたから。

渡辺(義)委員 それでは私の勘違いでございます。申しわけございません。

中井委員長 それから、今の予算は、一億円余りから二億四千万ぐらいになったということで、九億ということは、松原さんが答えるでしょうが、ありません。

渡辺(義)委員 はい。

 質問を続けます。

 新聞紙上でちょっと拝見させていただきましたが、平成二十三年度の予算、七割が未執行であるということの報道がなされておりますが、本当でありましょうか、松原大臣。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 平成二十二年度予算の執行率は、おっしゃるとおり、約三〇%でございました。予算額十二億四千万円に対して、決算額三億六千四百万円。

 予算額の多くは情報関係で、これが九億六千四百万円となっておりますが、そもそもこの情報関係予算は、使い切りを想定しているものではなく、必要なタイミングで必要な情報を得るために執行する予算というふうに思料しております。

 なお、今後とも、この必要性を勘案しつつ、特にことしは、ある種勝負の年になるという強い認識の中で、最大限有効に活用していく決意であります。

渡辺(義)委員 無理や無駄に予算を使ってくれ、そういうことは申しませんけれども、実際、拉致被害者の情報収集には、領収書がもらえないとか要らないというようなお金も必要であるんじゃないかと推察するわけでありますけれども、情報収集等に、裁量によって使えるお金、そういうものは、大臣、ございますか。

松原国務大臣 今申し上げましたように、その有用性、必要性、また喫緊性等を考慮しながら、きちっとそういった効果を確認しながら執行していくということであります。

渡辺(義)委員 七割未執行ということでございますけれども、この未執行分は、現在、政府認定以外の、先ほど大臣もおっしゃいました、特定失踪者等の調査、これも民間団体でございますけれども、ここに例えば一部振り分けたりとか委託をしたりとか、調査費として扱うというようなことは、これはできませんか、松原大臣。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 民間団体への資金提供を行うことについては、一般論として、多数の支援団体等がさまざまな活動を展開している状況の中で、政府が民間の活動に資金を提供する根拠となる公益性、民間団体の自主性を尊重する必要性など、さまざまな観点から総合的に勘案した上で慎重に判断するべきものと考えております。

 その上で、情報関係予算については、その必要性、有用性、緊急性などを勘案して、最大限有効に活用してまいりたい。

渡辺(義)委員 私は、民間団体ではなく、政府、警察が調査というものは率先して行うべきものだと思いますが、今度は国家公安委員長として松原大臣の御所見をお伺いいたします。

松原国務大臣 今のお尋ねは、特定失踪者等、特に民間団体が中心でなさっている調査に関してということで認識してよろしいですか。

 警察においては、これまで拉致被害者と認定している方以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方々がたくさん存在していることは認識しておりまして、そのもとで国内外の調査、捜査を進めております。

 警察に対して北朝鮮に拉致されたのではないかとして今まで九百件以上の相談、届け出がなされているなどのことも含め、警察においては、これらの事案の捜査、調査を強化しております。平成二十一年秋以降、いわゆる特定失踪者十五名を含め、二十六名の方を国内において発見いたしております。

 今後とも、いわゆる特定失踪者を含め、北朝鮮による拉致の可能性が排除できない事案については、関係機関と綿密に連携を図りつつ、事案の真相解明のため捜査、調査を進めてまいりたい、そのように指導してまいりたいと思います。

渡辺(義)委員 質疑時間が終了してしまいました。質問が積み残しになってしまいましたが、両大臣には、御答弁いただきましてありがとうございました。また、委員長、ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

中井委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十六日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


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