衆議院

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第13号 平成24年2月21日(火曜日)

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平成二十四年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      阿久津幸彦君    石関 貴史君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    大西 健介君

      金森  正君    川越 孝洋君

      岸本 周平君    櫛渕 万里君

      小室 寿明君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      玉木雄一郎君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      室井 秀子君    矢崎 公二君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      佐田玄一郎君    柴山 昌彦君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      東  順治君    古屋 範子君

      笠井  亮君    宮本 岳志君

      石田 三示君    内山  晃君

      阿部 知子君    山内 康一君

      中島 正純君   松木けんこう君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地域活性化担当)    川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣         松原  仁君

   国務大臣         自見庄三郎君

   国務大臣

   (防災担当)       中川 正春君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     矢崎 公二君

  櫛渕 万里君     阿久津幸彦君

  湯原 俊二君     小室 寿明君

  小里 泰弘君     柴山 昌彦君

  東  順治君     古屋 範子君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  内山  晃君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     櫛渕 万里君

  小室 寿明君     川越 孝洋君

  矢崎 公二君     岸本 周平君

  柴山 昌彦君     小里 泰弘君

  古屋 範子君     東  順治君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

  石田 三示君     内山  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     湯原 俊二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長板東久美子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿久津幸彦君。

阿久津委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの阿久津幸彦でございます。

 限られた時間でございますので、できるだけ多くの質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず初めに、国土交通大臣にお尋ねをしたいと思うんです。

 野田総理は施政方針演説の中で、三つの優先課題、復興や原発事故の収束という問題とともに、日本経済の再生について述べております。日本経済の再生ということでいえば、経済波及効果の大変高い住宅を抜きにはできないと思うんですけれども、一方で、新築住宅の着工戸数は非常に減っている。GDPに占める住宅投資の割合も減少傾向にある。

 そんな中で、良質な住宅を確保するには政府としての取り組みが必要だと思うんですけれども、その中には中古住宅市場の開拓も含めてお願いをしたいと考えておりますが、良質な住宅の取得を促し、住宅市場を活性化させていくための取り組みについて、大臣よりお願いいたします。

前田国務大臣 お答えいたします。

 阿久津委員のお考え、まことにそのとおり我々も共有しておりまして、今、新築は年間八十万戸ぐらいですが、実際には既設の住宅は五千万戸以上あるというような中で、実は、日本の住宅というのは、平均すると寿命が二十五年なんですね。二十五年たつと産業廃棄物です。それが大きな問題でありまして、リチャード・クーさんなんかの試算によると、せめてアメリカ並みの、要所要所で改修をしていけば七十年ぐらいもつ、そういうような改修をするだけで、今、現状は二十五年で産業廃棄物の日本の住宅ストックの値段が大体二百二、三十兆円と見積もられているんですが、九百兆円ぐらいになるというんですね。

 だから、そういう長寿命化というようなことをやるためにも、中古の、今あるマイホームの長寿命化、性能アップ、流通、そういうことが非常に重要だと思います。

 また、それが集まった集合としてのまちづくりの価値の向上ということが重要で、それを通じて全国あらゆるところに、いろいろな職種、これはもう大工さんから職人さんから設計士から工務店から材木からということになりますから、持続的な雇用、経済というのが生まれてくる、このように思います。

阿久津委員 ありがとうございます。

 私も、中古住宅市場というのはもっともっと掘れば十分に広がっていく市場なのではないかと思っておりますし、また、美的感覚というか、その意味でも、ヨーロッパやアメリカなどを見ると、中古住宅をきれいに修繕しながらその町の味を維持しているということもありますので、ぜひそこのところ、これからもよろしくお願いいたします。

 続いて、低炭素型の都市づくりに向けた取り組みについて伺いたいと思うんですけれども、前田大臣はかねてより、再生可能エネルギー、省エネ技術促進などに向けて、三・一一の以前からも取り組んでこられました。

 持続可能で活力ある国土、地域づくりを進めるためには、特に住宅や人口が集中しております都市部において低炭素・循環型社会を構築することが効果的ではないかと考えますが、国土交通省だけでなく、政府一丸となってこの取り組みをやっていただかなければなりません。大臣の決意のほどをお願いいたします。

前田国務大臣 民主党そのものが、二五%削減であったり低炭素・循環型ということをずっと政策としてマニフェストにも掲げてきたわけですが、なかなか浸透ができなかった。三・一一東日本大震災以来、国民の意識が大きく変わったと思うんですね。国民の意識も変わり、やはり、今までのように電気はふんだんに使って、軽油も安かったしというような時代じゃなくなったというようなことにおいて、低炭素・循環型ということが市民、国民レベルでも実行しなければいけないということになってまいりました。

 そこで、東日本の復興の段階において、公共建物をゼロエネルギー化しようということを、閣僚懇談会等でも議題となって、環境省を中心に声をかけてくれておりまして、環境省、経産省、国土省、文部科学省、学校建物ですね、そういったことを通じてまずはやっていこうということになっております。

 加えて、国土交通省としても、民生部門のほとんどが住宅であり建物であり、まちづくりであるわけですから、ここを行く行くはゼロエネルギー化していこうという方針のもとに、低炭素まちづくり法という法案を用意しておりまして、これは経産省、それから環境省、国交省の共管の法律をもうすぐ出すところでございます。どうか、これの審議を通じて、ぜひまた早くこれを政策として実行できるように御審議をお願いしたいと思います。

阿久津委員 低炭素まちづくり法、大いに期待をしたいと思います。

 続きまして、私が以前からずっと関心を持っておりました交通基本法案についてちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、なかなかこの法案が成就しないんですね。

 ただ、三・一一の前と後では社会的なニーズも大きく変わったというふうに考えております。御存じのとおり、東日本大震災が発災して多くの犠牲者が出ました。もともと東北は高齢者の人口が多いところですけれども、三〇%ぐらいの高齢者人口だったと思うんですけれども、死者・行方不明者は六〇%が高齢者に集中していたということでございます。

 高齢者や障害者の方々を含めて、公共交通の網の目をしっかりと維持、構築していくというのは重要さが増したというふうに私は考えておりますけれども、被災地を初め、公共交通を確保するための取り組みについて、またあわせて、公共交通の確保に取り組んでいく上で軸になるような、骨格となる枠組みづくりが急務であると考えますけれども、この点についてお話をいただければと思います。

前田国務大臣 お答えいたします。

 被災地のお話がございました。仮設住宅等で、それまでのコミュニティーというものがなくなったわけですから、非常に不便をかこっておられます。高齢者の移動手段の確保というのも非常に重要になってまいりました。そんなことで、被災地においてもいろいろな試みを今やっているところでございます。

 そういう中で、地域公共交通確保維持改善事業、生活交通サバイバル戦略というようなことを銘打って、二十四年度予算でも三百三十二億円を用意しておりまして、東日本大震災被災地域における幹線バス交通ネットワーク等の確保、維持の取り組みについて、特例措置によってこれを支援しております。

 中身は、被災地域におけるバス交通等生活交通の確保、維持のために、復旧復興対策にかかわる経費として、復興庁に計上される二十六億円もこの中に含んでおります。ディマンドバスみたいな形で地域のタクシーなんかもうまく利用してというようなことをやっております。

 そして、委員御指摘のように、さらに大きな枠組みについてどう考えているかということでありますが、確かに運輸交通部門というものも、エネルギーあるいは炭酸ガスの排出分野でいうと非常に大きな分野でございます。要するに、国土交通省関係で排出分野の三分野のうちの二分野、運輸交通と、住宅、建物、まちづくり、民生ですね、を占めているわけですから。

 先ほどは住宅のお話をいたしましたが、この運輸交通部門も、なるべく、公共交通あるいは大量輸送、そういった観点で、日本はもともとこの面、発達はしているんですが、今の高齢化、少子化等の中で、コンパクトシティーを目指すというまちづくりとも一体となって公共交通をしっかり確保していかなければいかぬということで、御指摘の法律を、今、交通基本法として出しておりまして、今国会では、国土交通省から出す法案の中では優先順位をトップクラスに高めて提出することになっております。この面についてもぜひよろしくお願いをいたします。

阿久津委員 ぜひ、交通基本法案を、与野党の審議を通じて成立に向けて御努力いただければ、協力させていただければというふうに考えております。

 続きまして、平野復興大臣の方に質問させていただきたいと思います。

 まず、平野復興大臣におかれましては、三・一一の東日本大震災発災以降、ずっと一貫して被災地の復旧復興に取り組んでこられました。この場をおかりいたしまして、心からの感謝を国民の一人として申し上げたいというふうに思っております。

 質問でございます。

 被災地の復興に当たっては、もとに戻すという発想だけではなくて、災害に強く、少子高齢化や地球温暖化対応といった我が国共通の課題への対応を先取りするまちづくりを行っていく必要があるというふうに考えておりますけれども、復興大臣の御認識と具体的な取り組みについて伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 被災直後、阿久津委員とは、内閣府副大臣、政務官というタッグを組んでおりまして、まず被災者の支援、応急対策などに当たらせていただきました。

 現在、被災市町村におきましては、地域の復興の方向性を決定する復興計画策定が進められておりまして、策定済みの自治体においては、計画実現のため、地域の皆様と合意形成を図る段階に移行しております。

 復興計画作成に当たりましては、今委員から御指摘がありましたように、ただもとに戻すという観点ではなくて、災害に強いまちづくり、少子化対策、それから地球温暖化対応等の観点を考慮した、将来を見詰めた計画策定、これを地域において十分に検討されているものというふうに認識をしておりまして、国の職員も国土交通省を中心に出かけていきまして、ともにその策定に向けて共同作業としてやっているところでございます。

阿久津委員 ありがとうございます。引き続き、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、川端内閣官房地域活性化担当大臣の方に、環境未来都市構想について伺いたいと思うんですけれども、御存じのとおり、新成長戦略の二十一の国家戦略プロジェクトの中の一つに掲げられておりまして、政府は、環境未来都市の募集を行って、昨年十二月に十一件の環境未来都市を選定しまして、このうち六件が被災地からということになっております。

 また、折しもきょう、環境未来都市構想推進国際フォーラムが開かれる予定でございまして、アジアを中心に世界じゅうから人々が集まって、日本の復興を応援して、かつ、この野心的な構想について協力しようという動きも出始めております。

 環境未来都市構想推進に向けての大臣の決意を伺いたいと思います。

中井委員長 川端地域活性化担当大臣、時間が来ていますので、短く。

川端国務大臣 はい。

 もう委員御指摘のとおり、新成長戦略の中で十一の環境未来都市選定をさせていただきましたが、その中で六つ被災地を選びました。

 御指摘のとおり、少子高齢化対応と環境対応を先取りするということでやらせていただきました。先端的な技術を複合的に用いる等の先導的な取り組みについてはモデル事業として支援を実施するということで、関係省庁とも緊密に連携をしていきたいし、今お触れいただきました、きょうちょうど国際フォーラムをやらせていただきますが、まさに先ほどの、冒頭にありましたように、もとに戻すじゃなくて、先進的な取り組みをこの事業によってしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

阿久津委員 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて阿久津君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田三示君。

石田(三)委員 おはようございます。新党きづなの石田三示でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。大変時間も短いので、答弁もよろしく、短くお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、玄葉大臣にお伺いをしたいと思うんですが、TPP参加に向けた交渉に当たって、国益を守るということを総理初め皆さんおっしゃっておるんですが、その国益とは一体、玄葉大臣の考えている国益とは一体何でしょうか。

玄葉国務大臣 国益とは何かということでございますけれども、国民の安全、これがまず何よりでございます。

 それと、今私たちが考えなければならないのは、人口が一億二千七百万、二〇四六年、二〇四八年に一億人を切るという状況の中で、豊かさをどうやって次世代に引き継ぐかということだと私は思っています。

 その豊かさとは何かということで、それぞれ見解が分かれるというところはあるのではないかというふうに思っていまして、この豊かさを引き継ぐために、一つは経済成長が必要であるということもあるでしょう、社会保障の持続可能性を高めるということもあるでしょう、また、TPPとの関連でいえば、経済成長を図りながら美しい農村を守る、医療制度を守る、そういったこともあわせて行っていく必要があるのだろう、そう考えております。

石田(三)委員 その中に、食料安全保障というのはどの辺の位置にあるんでしょうか。

玄葉国務大臣 食料安全保障も、私は大切なことだというふうに考えています。

石田(三)委員 私は、今国民の胃袋の六〇%を国外に依存している、こういった危機的なことは、もうできるだけ早く下げていかなきゃいけないだろうというふうに思っています。

 日本は資源のない国だから、工業製品を輸出して安い食料を買ったらいいじゃないかという考え方もあると思うんですが、皆さん御存じのように、今年、世界人口は七十億人を超えました。二〇五〇年には九十億を超えるだろう。それから、気候変動があり、あるいはピークウオーターという考え方もあるんですが、食料の増産に対して非常に危機感が出てきている。

 まして、新興国である中国あるいはインド、ブラジル等々が、食、食べる、その多様化が進んでいる、食肉化が進んでいるという中で、世界の食料危機というのはどなたも承知していることだというふうに思っています。そういった中で、やはり日本の国民の命をつないでいく食料をどうしっかり確保していくかということは、これは一番大切なことだ、主権国家として本来真っ先にやることだというふうに思っています。

 玄葉大臣にもう一度お伺いしたいと思うんですが、食料安全保障を守るための、まあこれは食料自給率をどれだけ保ったら安全保障が保たれるということはありませんけれども、一つの目安として、日本の食料自給率というのは、どのくらいあったら食料安全保障がしっかり堅持できるのかということをお伺いいたしたいと思います。

玄葉国務大臣 私がお答えする立場にあるかどうかという問題もありますが、ただ、私はこう思うんですね。

 先ほど、人口が減る中でどうやって経済成長を実現するかということが大事だと。アジア太平洋が四十億人いる、アジアは三十五億人いる。これから十年後、アジアの中間層は二十億人になるわけですね。この活力を取り込まない手はない。日本の個人消費の四・五倍です。

 さはさりながら、今、石田委員が言われたように、食料の問題というのは大切である。ですから、例えばTPPなども、仮に交渉に入れば、一旦交渉に入れば、センサティブ品目について配慮を行いながら交渉を行っていく。

 と同時に、鹿野大臣が本来はお答えすべき話だと思いますけれども、食料自給率の向上のための新たな仕組みも含めたさまざまな施策について検討していくという必要が私はあるのだろうというふうに考えております。(石田(三)委員「何%」と呼ぶ)パーセンテージを私が申し上げるのが適当かどうかということがありますが、党としてはたしか五〇%という目標を立てているというふうに承知していますし、基本的には、そういったことについて検討していくという必要があるのではないかと思っています。

石田(三)委員 法政大学の島崎治道氏は、食料自給率一〇〇%を目指さない国の未来はない、こう言っておりますけれども、私もまさしくそのとおりだというふうに認識をしております。

 今のお話の中で、食料安全保障を脅かすようなTPP参加はあり得ないという認識でよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 食料安全保障を脅かすようなTPP交渉参加ということが何を意味するのかということがあります。

 先ほど申し上げたように、まずTPP、国益全体に照らして、仮に、TPP交渉に入るという結論を出した。交渉結果を踏まえて最終的には国会の承認が要るわけでありますけれども、食料自給率を上げる、上げないというのは、TPP交渉参加あるいはTPP交渉結果だけではないと思うんです。先ほど申し上げたように、どういう農業政策をとるかといった問題に大いに関連をしてくるということだと思うんですね。いわゆる納税者に負担をしていただくような、そういう農業政策をとるのか。

 例えば、直接支払い制度というのがありますけれども、この間、佐々木委員がこの場で質問に立たれた資料にございましたけれども、EUはマクシャリーさんという人が出てきて改革をして、たしか直接支払いの割合が七十数%、日本は二三%である。そういったことも含めて、さまざまなことを考えていかなければならないんだろうというふうに考えています。

石田(三)委員 民主党は食料自給率五〇%を二〇二〇年までにするという政策を持っているわけでございますので、それを曲げて、落としてということはないというふうに私はしっかり認識をしたいというふうに思います。

 それでは、農林水産大臣にお伺いしたいと思うんですが、平成十一年の食料・農業・農村基本法の中で、食料自給率を向上させるとうたっております。しかしながら、自給率は逆にずっと低迷をしてきまして、二十二年度にとうとう三九%というふうになりました。

 食料自給率の向上というのは、食料・農業・農村基本法の中に定められた国の責務だというふうに私は思っておりますが、鹿野大臣にこれを問うのは大変厳しいのかもしれませんが、前政権からずっと引きずっていることですから、所管する農林省の大臣として、その責任はいかがでしょうか。

鹿野国務大臣 基本的に、この食料自給率という目標というふうなものに向かって、やはり全力を挙げて取り組んでいかなきゃならない、これが基本だと思っております。

 平成二十二年度、今先生が言及されましたけれども、一%下がったというのは、天候の不順等々ということもございまして一%下がってしまったということでありますが、改めて、平成二十四年度の農林水産省関係の予算にも、いわゆる戸別所得補償の適切なる推進なり、あるいは六次産業化を進めていくなり、あるいは新規就農の増大を図っていくなりというようなことによって、複合的な形で目標に向かって進めていくというふうなことが非常に大事なことではないかな、こう思っておるところでございます。

石田(三)委員 大臣に責任を説いても、結果論でございますので、仕方ないと思うんですが、民主党は、一昨年の三月に閣議決定をしたわけですが、食料・農業・農村基本計画の中で、二〇二〇年までにカロリーベースで五〇%にするということをうたっております。これはぜひやっていただきたいと思うんですが、今お話ししましたように、平成十年から、それを下げるような政策はしてこなかったはずなんですね、上げる政策をずっとしてきたにもかかわらず、二十二年度に三九%まで落ちてしまった。あるいは農地の確保にしても、今まで過去、農地がふえた記録はありません。ずっと減少を続けております。四百六十一万ヘクタールを確保するということをうたっておりますけれども。

 今回の二〇二〇年五〇%というのは、私は、また絵に描いた餅になってしまうのではないかなと危惧するわけですね。その実現性について、どんな計画をお持ちで進めておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

鹿野国務大臣 基本的に、食料自給率の目標を掲げて、そしてそれに向かって進んでいくというふうなこと、大変困難なことであるということも私は承知をさせていただいております。実は、私が二十数年前に農林水産大臣を拝命したときに、当時四九%でございました。これを何とか五〇%にしたい、こんな思いを込めて施策を講じたというところも思い起こすわけでありますけれども、現実は今のお話のとおりでございます。

 それだけに、これからの目標を達成していくということにおきましては、先ほど申し上げますとおりに、いわゆる安定的な農業の施策というふうなものをどう定着させていくかというふうなことも大事なことでございまして、同時に、一つの施策だけで自給率向上を目指すということもなかなか難しいということでございますから、複合的な形で、国民の人たちの御理解というふうなものが前提になるわけでございまして、そういうことを啓発、啓蒙させていただきながら、施策というふうなものの推進に取り組んでいきたいと思っているところでございます。

石田(三)委員 今、具体的な中身はなかったわけですけれども、私が農水省に聞いたときには、一年ごとに検証をしていくんだというお話でした。総体の目標をつくって一年ごとに検証していくということをやるそうでございます。どうでしょう、大臣、年度ごとに計画をつくって、工程表をつくって、それを毎年検証していくという方向が私は実現に向けては正しいんだろうというふうに思っているんですが、年度ごとの工程表というのをおつくりになる予定はありませんか。

鹿野国務大臣 自給率向上ということになりますと、基本的に、まず麦と大豆をどう生産してもらうかということでございまして、そこに、やはり需要も伴っていかなきゃならないということもございますから、そういうところの今後の見通し等々というようなものを含めて、きちっとそこに位置づけしていくということも必要なことじゃないかな、こんなふうに思っているところでございます。

石田(三)委員 では、もう一度伺いたいんですが、実現に向けて、年度ごとに数量目標をつくり、それを実現していくということが必要だというふうに私は考えているんですが、それについてはいかがでしょうか。

鹿野国務大臣 今申し上げますとおりに、ある程度、食料自給率に向けて一つの見通しというふうなものが立ってくれば、そういう年度ごとにということもございますけれども、今、まだそういう状況というふうなものはなかなか定めにくいところもございますから、とにかく麦、大豆をどうやって作付けしてもらうか、そして、それをしっかりと需要の先を確認しながらというふうなところ、まずそこのところに力を入れていかなきゃならぬじゃないかな、こんなふうに思っておるところでございます。

中井委員長 石田君、時間が来ていますから。

石田(三)委員 はい。

 確かに、今おっしゃられた麦、大豆をどれだけやっていくかということがあると思うんですが、これから九年間で一一%上げていくということですよね、ことし、三九に落ちましたから。そういった中で、やはり毎年一%ずつ上がっていってもやっとなわけですね。ですから、そういった細かな計画を、工程表をつくらない限りなかなか難しいというふうに私は思っています。ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 時間も参りましたので、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党、シャドーキャビネット法務大臣の柴山昌彦です。

 小川法務大臣にお伺いします。

 きのう、山口県光市の母子殺害事件で加害者の元少年に対する死刑判決が最高裁で確定しました。被害者の夫であり父親である本村洋さんは、十三年の長きにわたり苦しい日々を過ごしてきたわけですけれども、この判決を受けて、大臣、どのようにお感じでしょうか。

小川国務大臣 お答えします。

 最高裁、さまざまな観点から議論した上での結論だと思いますので、当然それは尊重させていただきますが、その判断内容に関しまして法務大臣としての意見を述べるのは好ましくないと思いますので、御容赦ください。

柴山委員 もちろん、法務大臣として、判決の内容、その事実認定の経緯等について言及することができないのは当然でございます。

 私は、やはり大臣から一言、この十三年の長きにわたって遺族として苦しい思いをしてこられた本村さんにねぎらいの言葉が欲しかったなというのが実感でございます。

 その本村さんは、社会正義の実現のためには今回の事件で死刑が求められるとずっとおっしゃってきたわけですけれども、それはその刑の執行が速やかになされて初めて言えることだとお感じになりませんか。

小川国務大臣 死刑の執行につきまして、受刑者といいますか死刑判決の確定者に対して、具体的にどのような方向であるか、どのような状況であるかということも、これも、やはりさまざまな影響がございますので、差し控えさせていただきたいと思っております。

柴山委員 ちょっと待ってください。私の質問は、社会正義の実現のためには確定された死刑というものが速やかに執行されなければならないとお思いになりませんかということをお聞きしているんです。全く今の御答弁は私の質問に答えておりません。もう一度御答弁をお願いいたします。

小川国務大臣 死刑に関しましては、既に死刑判決が確定した者がたしか百三十名おる状況の中で、具体的に誰を執行するのかとかいう、その具体的なことに関しましては、やはりそうした対象者の心情の問題、さまざまな観点から控えさせていただきたいと思っておりまして、今出ましたこの光事件の、確定したわけでございますが、この者についても、いつ執行するのかというような話になりますと、これはやはり、具体的なことになりますので、控えさせていただきたいと思っております。

 ただ、死刑に対する私の考え方といたしましては、これは法務大臣の職責であるということはしっかりと認識しております。

柴山委員 本件についていつ死刑を執行するかなんて私は聞いていませんよ、法務大臣。あるいは、個々の具体的な事件についてどういう優先順位をつけて執行するべきかということをお尋ねしているわけでもありません。

 私はただ、一般論として、確定された死刑は速やかに執行しなければ社会正義の実現というものは図られないんではないですかということをお聞きしているんです。もう一度御答弁をお願いします。

小川国務大臣 裁判の結果、死刑というものが確定したということは、当然のこととして受けとめさせていただきます。それをいつ執行するかどうかということになりますと、やはり、個別のことでございますので、答弁を控えさせていただきます。(「柴山委員「全然答弁になっていないですよ。これ、おかしいでしょう。全くかみ合っていないですよ」と呼ぶ)

中井委員長 いや、かみ合っているよ、結構。結構かみ合っている。

柴山委員 全く私の一般論としての質問にお答えをいただいていない。非常に遺憾でございます。

 今大臣は御自分でお認めになったように、未執行の死刑囚は過去最多の百三十人台に上っているんです。一方で、昨年は一九九二年以来、実に十九年ぶりに死刑執行が一件もない年となってしまいました。こうした状態を大臣は問題だとお感じになっていらっしゃるんですか、いないんですか、お答えください。

小川国務大臣 まず一点、光市の事件、確定したと言いましたが、まだ、厳密に言いますと、記録訂正期間がありますので、確定する直前でありますので、ちょっと、正確に訂正させてください。

 それから、昨年一年間執行がなかったという問題、それから確定者がたくさん、百三十人たまっている状態が異常ではないかということでございますが、昨年執行されないということにつきましては、昨年の法務大臣がそれぞれの状況の中で行ったことでございます。また、百三十人が未執行の状態であるということ、これは長い経過の中でそういう状態にあるということは認識しておりますが、しかし、それが直ちに違法な状態であるというような認識までは持っておりません。

柴山委員 異常かどうかということを私はお聞きしているんです。この状態が望ましくないとはお思いになりませんか。特に民主党政権になってから、死刑執行は、千葉法務大臣が執行した、しかも選挙が終わった後、執行した二件だけなんです。そのことについて異常だとお思いにならないんですか。もう一度お聞きしたいと思います。

小川国務大臣 死刑が執行されないということにつきましては、例えば自民党政権時代にも三年間執行されないという期間もあったわけでございます。さまざまなそうした状況を経て、今現在、死刑の未執行者が百三十名おるという状態は認識しております。

 私は、そのことが違法であるからすぐに解消しろという考えまでは持っておりませんが、ただ、法務大臣の職責として死刑執行があるということは十分認識しておるということでございます。

柴山委員 違法ではない、違法ではないと再三にわたっておっしゃっていました。確かに、厳密な意味においては違法ではないかもしれない。ただ、刑事訴訟法四百七十五条二項でこのように書いてあります。死刑判決確定から六カ月以内に法務大臣は、一定の場合を除き、死刑執行を命じなければならないと。

 しかも、大臣は、ことし一月十七日の閣議後記者会見で、やはり職責は果たさなくてはいけないなと思っていますというように述べておられます。間違いありませんね。

小川国務大臣 ですから、記者会見で、つらい職務であるが職責を果たすという、その考えは述べておりますし、その考えは今も同じでございます。

柴山委員 これまで大臣は議員連盟などで死刑廃止に向けた活動をされたことはありませんか。

小川国務大臣 私自身は、取り組んだことがございません。

柴山委員 私の手元の名簿では、大臣は死刑廃止を主張として訴えているアムネスティ議員連盟のメンバーであるというように承知しておりますが、間違いありませんね。

小川国務大臣 アムネスティ議連に所属していることは事実でございますが、アムネスティ議連は、アムネスティの場合は、ただ単に死刑制度のみについて意見を述べているわけではございません。

柴山委員 大臣は、私が先ほど触れさせていただいた一月の記者会見で、千葉景子元法務大臣の立ち上げた死刑の在り方についての勉強会について、特段これ以上というものがなければ、そのまとめた内容で一つの報告を出して区切りをつけたいと思っていますとおっしゃっています。しかし一方で、具体的な執行方法についての勉強会は行います、そしてこれからの死刑制度に関しての検討についてはこれまでの検討状況のまとめを見て検討したいという考えでおりますというふうにおっしゃっていると手元の資料にあります。

 これはすなわち、執行方法の勉強会を新たに実施し、しかも、これまでの検討をまとめた後もまた大臣は検討を続けて、結果として死刑の執行がさらに先送りになるということではないのですか。

小川国務大臣 勉強会についての発言は委員御指摘のとおりであると私も認識しております。

 なお、勉強会で勉強するから死刑の執行をそれまで見合わせるという、その関連づけた考えは一切持っておりません。勉強会は勉強会、法務大臣の職責は職責と考えております。

柴山委員 今、大変重要な御答弁をされたと思います。勉強会は続けるけれども、そのことが法務大臣の職責に影響を与えることはないというように今ここで大臣は言明されたということを確認させていただきました。

 次の質問に参ります。

 一連のオウム裁判が確定をしております。二十五人を超える犠牲者、そして六千人もの地下鉄サリン事件での負傷者を出した史上空前の凶悪犯罪に、ぜひ大臣、毅然と臨んでほしいと思っておりますけれども、一つ懸念材料があります。

 年初の平田信容疑者の逮捕で、確定していた死刑の執行がさらにおくれるということにはなりませんか。

小川国務大臣 オウム事件にかかわらず、死刑囚というものは、やはり決して許されない凶悪な犯罪を犯したからこそ死刑になっているんだというふうに思っております。

 また、オウム真理教の死刑囚に関しまして、平田容疑者が、今は被告人ですか、出頭したことがということで質問されました。

 私は、個別のことではなくて、一般論として、共犯者が裁判になれば、その共犯者の裁判の場において死刑囚が証人として出頭を要請されることもあるということも、やはりその共犯者の裁判の中で考えなければならないなと。これは一つの、それがあるからする、しないということではなくて、やはりそれも一つの考慮事情だなというような趣旨で述べたわけでございます。

柴山委員 指名手配がまだいるということをぜひつけ加えさせていただき、また、この死刑の問題は、大臣、立法を含め非常に波及効が大きい重要な問題でございます。これからもしっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 既に骨子について民主党の了解が得られているとお聞きしている人権委員会設置法案についてお伺いします。

 これは、大臣、いつ条文が閣議決定されるんですか。

小川国務大臣 まだ骨子の段階でございまして、条文そのものはまだできていない状況でございますので、いつということは申し上げられない状況でありますが、そうした作業に向けて努力はしております。

柴山委員 今国会中に提出する予定なんでしょうか。それだけお伺いしたいと思います。

小川国務大臣 環境が整えば提出をしたいと思っております。

柴山委員 どのような環境でしょうか。

小川国務大臣 これは党内手続もございます。そして、党内手続を経て、法案提出、法案を作成して、そして閣議決定を経るという手順でございますが、法案でございますので、やはりその後の審議のこともございますので、野党の皆様方の御理解もいただきたいというふうに念じております。

柴山委員 御理解というようにおっしゃいましたけれども、既にドメスティック・バイオレンス、児童虐待、高齢者や障害者の人権侵害、労働条件などの男女差別、いじめ等々、さまざまな人権侵害について、個別の機関ですとか、自治体や弁護士会などの相談窓口が整備されているわけです。

 今検討されている委員の身分保障や職権行使の独立性がある統一的な行政委員会、このようなものは必要ないのではありませんか。

小川国務大臣 確かに、個別の態様におきます人権侵害等につきまして個別の対応する機関なり法があるわけでございますが、しかし、それが全ての人権侵害を網羅しているというわけではないと思われますので、やはり人権委員会は必要ではないかと思っております。

柴山委員 既に各都道府県に人権擁護委員の方々がいらっしゃいますね。そして、法務省には人権擁護局があります。さまざまな駆け込み需要というものも処理されていると伺っています。

 しかも、今個別の機関だけでは不十分だというようなお話がありましたけれども、個別の機関、別に弁護士会で相談できない人権侵害案件というものはありません。不十分だというのは、各機関の連携をしっかりとしていけば足りるだけのことではありませんか。

小川国務大臣 まず、人権擁護委員がいる、それから法務省に人権擁護局がございます。ただ、これが政府の、法務省の中にあるものですので、やはり、パリ原則に従いまして、政府から独立した委員会で行っていただきたい、そういうふうにしたいということで取り組んでおるわけでございます。

 したがいまして、独立した委員会ができれば、人権擁護局あるいは人権擁護委員というものはこの独立した人権委員会のもとで仕事をしていただく、こういうことになろうと思います。

柴山委員 今、パリ原則についてお触れになりました。ただ、パリ原則は、そのような独立行政委員会をつくらなければいけないという内容まで持っていないんじゃないんですか。

小川国務大臣 パリ原則の中で、言葉として独立した委員会という言葉はないのでありますが、その具体的な文章としましては、十分な財政基盤を有すること、あるいは、構成員の任命は一定の任期を定めた公的行為によるというふうに文章としてはございます。この趣旨は、要するに、独立した委員会をと言っているものと考えております。

柴山委員 全然違いますよ。十分な財政的基盤を持てとか一定の任期をしっかりと見ろというようなことは、何も国会同意人事で、しかも委員の身分が極めて高度に保障されている、例えば公正取引委員会ですとか、あるいは人事院ですとか、そういった三条委員会とはレベルが違う話だとはお思いになりませんか。

 大臣、もう一つお伺いします。

 今大臣はパリ原則という国際基準を持ち出されましたけれども、世界で、御指摘いただいたような人権委員会を設置していない国はないんですか。

小川国務大臣 設置していない国はございます。

柴山委員 どのような国が設置をしていないのか、具体的にお答えください。

小川国務大臣 主要国としましては、アメリカ、中国などがございます。

柴山委員 あの人権の国アメリカでこのような委員会がないということで、日本が急いでつくらなければいけないという国際的な標準とは言えないのではないかというように私は思っています。

 しかも、大臣、今政府が提出されている原子力規制庁、これをどのようにするかということと、私は議論があべこべになっているんじゃないかと思いますよ。あちらの方は、IAEA等の基準で、きちんと推進側あるいは政府からの独立性が必要だということを明文で書かれているんです。そちらの方は環境省の外局として置きながら、この委員会は三条委員会にする。私は、今の政府のやっていることが支離滅裂のように思えてなりません。

 次の質問に移ります。

 今後、そうした人権委員会による委嘱あるいは指揮監督を受けることになる、先ほど触れた各地の人権擁護委員の方々は、非常勤の国家公務員と位置づけられることになりますけれども、日本国籍を持つ方以外がなれるんでしょうか。

小川国務大臣 これはそのときの法律の規定の仕方だと思っておりますが、今まとめております人権委員会の設置法案の骨子の中では、選挙権を有する者というふうに考えておりますので、選挙権は今国民でありますので、外国人はなれない、このような骨子案をまとめております。

柴山委員 大臣、大臣は外国人の地方参政権を認めないというお立場ですか。

小川国務大臣 外国人といいますか、永住外国人についての地方参政権については付与した方がいいのではないかというのが私の個人的な考え方ではございますが、今申し上げましたように、この人権委員会の骨子の中では、現状、選挙権は国民にしかないという、その状況の中で考えております。

柴山委員 繰り返しになりますけれども、今政府で検討されている今回の法律、人権擁護委員の改正法案では、地方参政権を持つ者が資格を有するというたてつけになっていると思いますが、今大臣がいみじくもおっしゃったように、大臣と同じように外国人の地方参政権を進めるべきだというお考えの方々が将来政権をとり、そのような法律をつくった場合には、自動的に全国一万四千人の人権擁護委員の方々に外国人を選ぶことができるというようになる、そういうことでよろしいわけですね。

小川国務大臣 そこまでの議論はしておりません。すなわち、今我が国の公職選挙法は、選挙権ということで国政選挙権も地方参政権も区別しておりません。ただ、これが将来、公職選挙法で、もし万が一、国政選挙権はないけれども地方参政権、地方選挙権はあるというような状況が出た場合に、では人権擁護委員はどちらの選挙人名簿でやるのかということは、これは議論しなくてはならない問題が生ずるというふうには考えております。

 委員がおっしゃられましたように、人権擁護委員は選挙人名簿の中から選ばなくてはいけないということにした場合に、将来、永住外国人の地方参政権を認めた場合に、自動的にそれが、人権擁護委員も永住外国人の人には開かれるんじゃないかと。自動的になるものではなくて、やはり、公職選挙法が変わったときに、その状況を踏まえて議論する必要があるというふうには思います。

柴山委員 この問題については、極めて関心の高い部分ですので、ぜひしっかりとした議論をしていただきたいというように思います。

 また、今度の制度では、公務に従事する方がその職務を行うについて人権侵害をしたと認め得る場合に、侵害をした者及びその所属する公的機関に対して人権委員会が必要な措置を勧告したり公表したりすることができるという仕組みとなっております。

 そうすると、例えば、自治体の教育委員会が公立学校の教師に対して行う処分はこれに含まれますね。

小川国務大臣 法律の手続を逸脱した処分がなされて何らかの不利益をこうむれば、観念的な意味では人権侵害に当たると思いますが、ただ、具体的に委員の御指摘のような場合には、既に、公務員であれば人事委員会なり、その処分に対して不服の申し立てができる、その行政手続がなお不服であれば司法手続によってその救済を求めることができるという別の手続が用意されておりますので、基本的には、その別に用意されている手続でその受けた処分について争うものと考えております。

柴山委員 大臣、先ほどおっしゃったことと矛盾しているんじゃないですか。先ほどは、私が、個別のそういった人権救済手続というものが充実しているから、少なくとも、その個別救済で図られる部分についてこのような委員会を設けて救済する必要はないのではないかということをお聞きしたわけです。

 大臣、もう一度お伺いします。

 このように個別の救済手続があるとした場合に、この人権委員会はこうした案件を取り扱うことはできない、すなわち補充性の原則というものが明定されるんですか。いかがですか。

小川国務大臣 それは当然のことだというふうに思っております。やはり、個別の手続があれば、その個別の手続、法律の制度に従って救済の手続をとるべきものであると思っております。

 ただ、個別の手続が各分野にありますが、しかし、各分野に個別の手続があっても、そこには当てはまらないものもあるわけでございますので、その当てはまらないものを広く全て包括するという意味で人権委員会が必要だと思っております。

柴山委員 公的な機関のさまざまな人権救済についても、例えばADRですとか、あるいは地方の弁護士会、また労働的な問題であれば労働委員会が既に出てきています。ですので、先ほど申し上げた高齢者虐待の問題も含めて、弁護士会すらカバーしない案件というのは極めて希有であるというように私は思っておりまして、そういった個別の案件がきちんと機能しているのであればこういった委員会の出る余地がないというのであれば、大臣、それは非常に重要な御答弁だと私は思いますよ。それで本当にいいんですか。もう一度確認させてください。

小川国務大臣 私は、ADRとか弁護士会のそうした取り組みによって人権の問題が解消されるのであれば、大変望ましい社会であるな、そういう方向になってほしいなとは思っておりますが、現状では、全ての人権侵害が救済されるという状況になっていない状況の中ですので、やはり必要であると思っております。

柴山委員 大臣、それは仕組みの問題と事実認定の問題を混同しているんです。

 人権侵害とは、大臣がおっしゃったように、違法とされる人権侵害だということで今度の枠組みができています。申立人は、違法な人権侵害がされていると思っているわけですよ。ところが、規制をする側は、いやいや、これは違法ではないというように思っているわけですよ。ですから、当該個別救済手続が本当に機能しているかどうかというのは、結局のところ、その判断が妥当であるかどうかに帰着する部分がかなり大きいのではないかというように私は思っています。

 例えば、今私が例に挙げました自治体の教育委員会と公立学校の教師、この関係でいえば、国旗掲揚の際の起立あるいは君が代の伴奏を拒否した教師に一定の範囲で処分を行うことが許されるというのは、数多くの裁判の集積の結果、ようやく決着しつつあるのが現状なんです。

 一方、例えば、二〇〇五年に第二東京弁護士会が人権救済措置として、こうした君が代ピアノ伴奏を拒否した教師への不利益処分を一切するなというように勧告をしているんです。

 大臣、人権委員会が違法な人権侵害というものを判断するということが本当に担保されるんですか。いかがですか。

小川国務大臣 逆に、個々ばらばらというよりも、やはり人権委員会というものが、全国でばらばらな人権感覚を持ってはいけませんので、統一的に適切な人権侵害に対する対応をしていただけるというふうに思いますので、私は、人権委員会は設置する必要があると思っております。

柴山委員 それが危ないと言っているんですよ。

 だから、今設置を求められているような、委員の身分保障があり、しかも指揮監督権が今度各地の人権擁護委員にまで及んでいくというような形の統一的な機関、しかもデュープロセスが司法手続に比べて保障されているとは私は到底思えない。そういう機関を設置するというのは、これだけ今、人権の解釈が多義的になっている以上、私は、極めて逆の危険性、つまり逆差別の危険性というものが出てくるのではないかということを強く申し上げたいと思っております。

 この委員会は、今申し上げたような勧告や公表だけではなく、果ては被害者の権利行使のために資料提供までするという案まで骨子に含まれているというように認識しておりますので、ぜひ、私は、慎重な取り扱いをしてほしいということを大臣に要請させていただきまして、次の質問に移ります。

 先日、同僚の稲田朋美議員が質問した日中貿易促進に絡む不明朗な集金問題についてお伺いします。

 お手元に資料の3、中国語の書面ですけれども、昨年の七月十五日、中国農発食品有限公司の董事長、サインは熊貞さんが書いた日本農林水産品採用についての特別鑑識管理確認書という書面でございます。この宛名が、ごらんいただいているとおり、一般社団法人農林水産物等中国輸出促進協議会、そしてもう一つが、日本国農林水産省副大臣筒井信隆となっております。

 これは私が独自に入手した資料なんですけれども、筒井副大臣、この書面に見覚えはございますね。

筒井副大臣 見覚えあります。農発食品から日本側の促進協議会に届けられて、促進協議会から私の方に、農水省の方に届けられた、その文書です。

柴山委員 この書面によりますと、済みません、きょうはちょっと訳語を添付していないんですけれども、日付後の、この本文の二行目にありますように、七月二十日に日中農林水産品合作基本協議書という書面を取り交わしたということが書かれているんですけれども、この七月二十日の今申し上げた日中農林水産品合作基本協議書、その現物はございますか。

筒井副大臣 日本語訳ですと基本合意書ですが、それも存在します。あります。(柴山委員「あるわけですね」と呼ぶ)はい。

柴山委員 今後の質疑にとって重要な書類かと思われますので、この書類をぜひ農水省の方から提出してほしいと思っておりますが。

中井委員長 理事会で協議して対応を決めます。

柴山委員 この書面の中にはどういうことが書いてあるかというと、北京で中国が開設している日本産農林水産品・食品常設展示館での展示品、販売品の通関及び検疫は特別鑑識管理方式を採用するですとか、中国農発食品有限公司が常設展示館に展示される物品の通関及び検疫、これは特別管轄手続を行いますというように書かれているんです。これらは一体どういう意味を持っているんでしょうか。

筒井副大臣 通常の通関、検疫ですと、中国に着いた空港あるいは港で行われます。しかし、ここで言う特別管轄は、この設置予定の展示館の中で通関及び検疫手続が行われる、それを特別管轄というふうに言っていると聞いております。

柴山委員 いや、私は極めてイレギュラーな手続だと思いますね。

 ちなみに、なぜこのような書面がつくられたんですか。

筒井副大臣 基本合意書もそうですが、今の書類も、中国の民間会社であります農発食品がつくったものでございまして、それがこういう通関及び検疫手続についての便宜を図ってくれるという努力をしているんだという書類でございまして、そこに書いてあるとおりの目的だと思いますよ。そういう努力をしているんだということを連絡してきてくれたという書類だと思います。

柴山委員 ただ、筒井副大臣、あなたは農林水産副大臣ですよね。そして、役所にこれをきちんと示していると、私はきのう事務方からお話をいただいております。

 もし、農水省が筒井副大臣と一緒になって、こうしたいかがわしい内容の問題について、国内の事業者さんたちと接触をしていたとすれば、私は、かなり倫理的な問題が少なくとも生じてくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

筒井副大臣 日本産農林水産物の輸出拡大を図るというのは重要な、大切な仕事だというふうに考えて推し進めているわけでございまして、それを官民協力で行うのは何の問題もないことでございます。それの一環としてのこの書類でございまして、この事業の当事者、契約当事者は、日本側の一般社団法人の促進協議会であり、相手方中国側は民間企業であります農発食品でありますが、その事業を農水省として支援、協力する、これは何にも問題ない、必要なことだというふうに考えております。

 今、いかがわしいと言われましたが、どこがいかがわしいんですか。そのいかがわしいという言葉は撤回してください。

柴山委員 撤回をするかどうか、なぜこの社団法人に元秘書が関与しているのか、また、さまざまな事実経緯についても稲田議員が質問をしたような点が多々ある。これについては引き続き、我々、取り上げさせていただきます。

 次の質問に移ります。

 松原国家公安委員長に伺います。(発言する者あり)

 必ず次に質問をしますので。きょうは質問枠がございます。きょう質問した内容に基づいて、引き続き質問を行います。

 次の質問に移らせていただきます。

 松原国家公安委員長に伺います。

 いわゆる和牛オーナー商法で急成長しながら先般破綻した安愚楽牧場の問題です。

 負債総額四千三百億円超、被害投資家は七万三千人という、戦後最大規模の消費者事件と言われています。差し支えない範囲で結構ですので、現在、この問題について消費者被害事件としてどのような刑事手続の状況なのか、御説明ください。

松原国務大臣 御答弁を申し上げます。

 安愚楽牧場の経営破綻をめぐる問題については、多数の関係者を巻き込む大きな社会問題となっていることは認識をいたしております。

 お尋ねの事案については、関係する都道府県警察において告発の相談を受けていると承知をいたしております。

 国家公安委員会委員長として個別の事案に対する捜査について言及することは差し控えますが、警察は、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知をしております。また、警察においては、要件の整った告発等はこれを速やかに受理するものと承知しておりますほか、告発等の動きにかかわらず、犯罪があると思料するときは捜査を行うものと承知をいたしております。

 以上です。

柴山委員 松原委員長、ありがとうございました。

 お手元の資料1をごらんください。この図は、今回の契約の仕組みを示したものです。

 右上にあるオーナー、これが投資家です。投資家が繁殖牛の持ち分を購入し、そしてまとまった牛を安愚楽牧場の方に飼養委託する、預託をするという仕組みでございます。そして、購入代金と飼養委託費を安愚楽牧場側に支払います。法律的には、安愚楽牧場に買った牛を預託するという仕組みになっているので、所有権はこの投資家のもとにあります。そして、この繁殖牛が子牛を次々と産んでいきます。産んだ子牛を安愚楽牧場がオーナーから買い取り、その代金を配当、利益金として交付します。一年目に子牛が生まれ、二年目に子牛が生まれ、そして三年目から次々と子牛が生まれ、安定した配当が見込める、そういううたい文句です。そして、一定の期間が経過をしたら、この繁殖牛を買い取る、投下資本を回収させるということで、売買・飼養委託契約が終了する、こういう仕組みになっているわけであります。

 一見、投資家が損をすることなどあり得ないように見えますけれども、実はとんでもないことが起きていました。

 ところで、松原国家公安委員長、あなたは、先ほど理事席からも声があったように、今回、消費者担当大臣ともなられたわけですけれども、民主党政権になってから、松原大臣は何人目の消費者担当大臣か御存じですか。

松原国務大臣 八人前後かな、このように思っています。

柴山委員 正解であります。

 福島大臣、そして平野博文官房長官の兼務、荒井聰大臣、岡崎トミ子大臣、蓮舫大臣、細野大臣、そして前任の山岡大臣、松原大臣。松原大臣が民主党政権になってから八人目の消費者担当大臣であります。

 問題は、この間、消費者庁がこの安愚楽牧場に対してやるべきことをしていたかということなんです。

 松原大臣は、前任の山岡大臣から、この安愚楽牧場問題を引き継ぎましたか。

松原国務大臣 この安愚楽牧場の問題は、まさに先ほど委員から御指摘があったように、大きな問題であるというふうに認識をしておりまして、そうした意味において、消費者庁として、この問題に対しての取り組みを当然するという認識を持っているわけであります。

中井委員長 済みません、大臣、山岡さんから聞いたかという御質問です。

松原国務大臣 当然、この問題に関してはその認識を持っております。聞いております。この問題は引き継いでおります。(発言する者あり)

柴山委員 今、理事の方からもあったように、知りませんとは言えませんよね。

 それでは、民主党政権が発足した後、消費者庁が安愚楽牧場に対して、事業について報告を求めたり、何らかの調査をしたのはいつですか。

松原国務大臣 昨年の十一月三十日に安愚楽牧場に対して、その間、調査を十人ぐらいの規模で一カ月ぐらいした経緯を含めて、景品表示法違反を理由に行政処分の措置命令を行いました。

 以上です。

柴山委員 もう一度、時期をおっしゃってください。

松原国務大臣 消費者庁としては、安愚楽牧場の倒産が報道されてから、消費者が必要とする情報が的確に提供されるよう、事業者の代理人、弁護士などの関係者にヒアリングをして状況を確認しました。報道直後の昨年八月二日以降十二月十二日まで六回にわたって、確認した情報を全国の消費者生活センター等に情報提供してまいりました。

柴山委員 警告を全国に発したかどうかということを質問しているんじゃありません。

 もう一度私の質問を繰り返しますと、消費者庁が安愚楽牧場に対して、事業について報告を求めたり、何らかの調査をしたのはいつですかと聞いているんです。先ほど、内容としては的確な答弁をされたんですけれども、時期だけもう一度お答えください。

中井委員長 松原消費者担当大臣、今の時期を明確に言ってください。

松原国務大臣 申し上げましたように、約十人の職員が一カ月そこで現地調査、なかなか手間が入ります、それは、雄牛、雌牛とか。そういったことを含めて一カ月して、そして十一月三十日に措置命令を行っておりますから、当然、その一カ月半ぐらい前ではなかろうか、このように思っております。

柴山委員 今大臣から御説明があったように、景品表示法違反、すなわち、一般の消費者に対して、実際のサービスより著しく優良であることを示して勧誘を行っていたという判断が十一月三十日に示されたんですけれども、その根拠となったのがお手元の次の資料です。資料2をごらんください。

 ここに書かれているとおり、オーナーから実際に募集した共有持ち分、これが一番上の段にあります。そして、B、これが問題なんですけれども、現実に飼養されている投資対象となった繁殖牛、これがこの赤く塗り潰されたところに書かれている頭数なんです。すなわち、A分のB、これは平成二十二年度でいうと六六・九%。平成二十二年度だけではありません。二十一年、二十年、十九年、十八年、特に十八年度は五五・九%でした。すなわち、持ち分が現実の繁殖牛に比して明らかに過大であります。

 なお、これは、私が仕組みを説明したように、子を産む繁殖牛への投資ですから、この下の繁殖牛の赤い線、その下に黄色いところで塗り潰している例えば子牛の雌ですとか、あるいは食肉用に売却する肥育牛までは、繁殖牛にカウントすることは許されないはずです。

 ただ、ここ三年間、平成二十年度以降を見ると、この子牛の雌や肥育牛の雌を足したものと繁殖牛を足したものが何となくオーナーの共有持ち分の合計に近い数字にはなっていることは見てとれます。しかし、それも、平成十九年や十八年については、かなりオーナーの持ち分から乖離をしてしまっている。

 このような実態よりはるかに多い持ち分の勧誘では、とても配当なり元本返還が回っていかないことは明らかであり、にもかかわらず、安愚楽牧場は勧誘を続けたわけなんです。

 松原大臣、調査は本当に、昨年十一月三十日に措置命令が出された景表法違反についてのものだけでよかったんでしょうか。その前、二〇一〇年春の口蹄疫の発生で、宮崎県内の安愚楽牧場の牛約一万五千頭が殺処分され、実際の牛がオーナーの持ち分を大きく割り込み続けることが確実と見られる状況であったときも、消費者庁は安愚楽牧場に、実態と異なる勧誘や、正確な財産状況を記した書類の不備がある場合にできる預託法上の立入調査をしなかったということでよろしいわけですね。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 この安愚楽牧場に関しては、申し上げましたように景表法違反でしたわけでありますが、委員御指摘のように、口蹄疫発生後の状況の中でという議論は、私個人としては、真摯に受けとめる議論だというふうに思っております。

 この段階で報告を受け調査をしていれば被害拡大が防げたかどうかについては、確たることは申し上げられないというふうにこの場では申し上げますが、いずれにせよ、平成二十一年七月の農林水産省への報告や、平成二十二年夏の消費者庁への報告予定資料には、オーナー所有の牛の頭数について、その総数しか記載されていないわけでありまして、私としては、総数のみならず、その内訳、繁殖牛の頭数、肥育牛の頭数を明らかにするように求めるべきだったという認識を持っております。

 以上です。

柴山委員 おっしゃるとおりだと思います。率直な御答弁、ありがとうございます。

 ただ、問題はそれだけにとどまらないんです、大臣。

 昨年十一月の我が党の上野通子参議院議員の質問に対する当時の山岡消費者担当大臣の答弁によると、この口蹄疫が発生した直後のおととし、二〇一〇年七月に、わざわざ安愚楽牧場の方から消費者庁に対して定期報告をいたしますというように持ちかけた際、消費者庁側はどういう対応をしたんですか。

松原国務大臣 お答えいたします。

 平成二十二年夏、安愚楽牧場より担当課に対し、預託法遵守状況について報告をしたい旨の連絡がございました。担当課は、平成二十一年七月の安愚楽牧場から農林水産省への報告により、農林水産省が平成二十一年一月の立入検査を踏まえ安愚楽牧場に指摘した財産状況にかかわる書類における記載の不備が改善されていたこと、平成二十二年夏の時点でPIO―NET上には安愚楽牧場の預託法違反をうかがわせる苦情、相談はなかったことから、安愚楽牧場に対し、必要と判断した場合には話を聞くと伝え、結果として報告を受けなかった事実がございます。

 消費者庁においては、安愚楽牧場から報告は聞いておくべきであったと、昨年夏に長官が担当審議官及び担当課長に厳重注意したとの報告を受けておりますが、安愚楽牧場から報告を受けることを怠ったことについては、担当大臣として、極めて遺憾であるというふうに認識しております。

柴山委員 そうなんです。これは、また具体的なことを聞く場合にはこちらからお問い合わせをいたしますというように消費者庁が言って、それで放置をしてしまったんですね、せっかく検査結果を報告しようとするのを。そして、そのままになってしまったということなんです。

 しかし、消費者庁の設立前に預託法上の監督をしていた農水省から、安愚楽牧場への立入検査の状況やフォローアップが必要であることを、今ちらっと松原大臣おっしゃいましたけれども、消費者庁は引き継いでいたんじゃないんですか。具体的にどのようなことを引き継いでいたんですか、農水省から。もう一度御答弁ください。

    ―――――――――――――

中井委員長 大事な質疑の最中でありますが、ただいま後ろの座席にソンプー・ドゥアンサワン・ラオス日本友好議員連盟会長御一行が傍聴にお見えになっております。御紹介し、歓迎を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

中井委員長 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

中井委員長 松原担当大臣。

松原国務大臣 引き継ぎの、その段階で消費者庁が農林水産省から引き継いだ内容を、率直に言って、つまびらかに現在私は承知をしておりませんが、流れから考えて、当然、農林水産省の立入検査によって、この段階では、この牛の頭数云々ではなくて、案件としては、いわゆる引当金とかこの手のものの財産状況に関しての預託法の報告だったというふうに認識をしておりますが、そういったことについての報告を恐らく引き継いでいたのだろうというふうに考えます。

柴山委員 ちょっと待ってください。恐らくというふうに言いましたけれども、私は、きのう質問通告で、この間、消費者庁がどのような対応をしてきたのかということを通告しているはずなんです。

 どのような事柄を消費者庁が引き継いでいたのかということを具体的に御答弁していただかないのは、私は遺憾です。もう一度お願いします。

松原国務大臣 指摘事項確認書というものがございまして、その当時の農林水産大臣は石破先生でありますが、石破茂農林水産大臣宛てに、今申し上げましたように、「個別財務諸表であるにも拘わらず、債務超過状態にある子会社等に対する貸付金や売掛金等に係る貸倒引当金を計上していなかった。 給与規程において、賞与の規定があり、かつ、毎年賞与を支給し支給時に費用処理をしている。毎期賞与の支給が見込まれるにも拘わらず、賞与引当金を計上していなかった。 退職金規程が定められており、かつ、退職金を支給している事実があり、また、相当数の従業員を雇用しているにも拘わらず、退職給付引当金を計上していなかった。」等々のことの指摘があって、それが改善されたという報告を受けているわけであります。

柴山委員 ところが、そのときに指摘された、例えば中期計画の策定、あるいは大会社になるときに必要な公認会計士の関与、これについての報告はなかったわけです。

 農水大臣、今、松原大臣から御答弁がありました。確かに、おっしゃるとおり、これは、麻生内閣時代の当時の石破茂農林水産大臣が、預託法に基づき、つぶさにこの安愚楽牧場に対して立ち入りをし、頭数はともかく、今申し上げたような財産上あるいはガバナンス上のさまざまな問題点があり、それをきちんと消費者庁に引き継いだのではないですか。農水大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 安愚楽牧場に対する農林水産省の対応につきましては、平成二十一年の一月に立入検査を実施の上、同年の三月には、検査結果をもとに財務諸表等を適正に作成し、かつ、その結果を定期的に報告するよう指示をし、同年七月に第一回目の現状報告を受けた、このようなことでございますということを承知しております。

柴山委員 今御指摘のように、安愚楽牧場に対して、今後も定期的に所管官庁に対して報告をするようにということを石破大臣のもとの農水省は指示をしていたわけです。にもかかわらず、先ほど松原大臣の方から御指摘があったように、それに基づいて財務報告をしに来た安愚楽牧場を、いわば、必要があったらまた聞きますよという形で門前払いをし、あげくの果てには、その後、一回もこうした報告を受けていない。景表法違反の調査があるまで、このようなことをやっていない。

 引き継ぎ、どうですか、松原大臣、今の鹿野大臣の御答弁に対して反論がありますか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、したがって、私はこれは極めて遺憾であると申し上げたところであります。

柴山委員 極めて遺憾であるということで足りるのかということなんです。

 民主党政権が政権をとった後の消費者庁、必要な調査もしないで、国民生活センターとの統合問題ばかりに力を注ぎ、その結果、安愚楽牧場は業務改善することもなく経営破綻に向かっていったわけなんです。この間の消費者庁長官、あるいはころころかわった大臣の責任は極めて重いと申し上げざるを得ません。

 松原大臣、今の消費者庁のトップとして、被害者に対して謝罪するべきではないですか。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 事柄の経緯は今の質疑を通して明らかになったところでありまして、私、この問題に関して、そのことに関して極めて遺憾であるというふうに思っておりますし、今の立場としては、それは申しわけないなというふうに思っております。

柴山委員 申しわけないという言葉をいただきました。

 ところで、戦後最大の消費者被害事案であるこの安愚楽牧場問題も、第二番目と言われる豊田商事問題、あの永野会長の刺殺事件で御記憶かと思いますが、これはいずれも現物投資を内容とする契約で、これを規制する預託法がもっと適切に機能するよう法改正するべきでないかということが問題となってくると思うんですね。

 松原大臣、例えば、投資家保護のために、金融商品取引法などで定められた規制を預託法に導入できないでしょうか。

松原国務大臣 委員にお答えいたします。

 今回の安愚楽牧場に関しましては、預託契約を締結しているオーナーが所有する牛の頭数及び内訳、申し上げましたように、繁殖牛と肥育牛などが開示されていなかったこと、安愚楽牧場がオーナーと称される契約者に対し預託契約期間終了後に返還することを約していた金額の総額が開示をされていなかったことといった問題点が指摘をされており、今後、法令の見直しも含め、制度面、運用面の見直しも検討していくとともに、私としては、消費者庁に対して、緊張感を持って法令の運用に当たるよう指導してまいりたいと思います。

 意味するところは、やはりここは、率直に言えば、人員の問題もあるので、いろいろとこれは議論していかなきゃいけない部分があると思います。

 ただ、現実には、こういった問題で報告があったときに、そこが本当かどうかの真偽を含めてチェックをする体制、冒頭申し上げましたように、十人入って一カ月かかったというのが、景表法のこともそうでありますが、現状はそこの人員が極めて不足しているのも事実であります。

 こういったことも含め、再発が起こらないように、どのようなことを講ずるべきか検討していきたいと思っております。

柴山委員 人員の問題だけで解消されないんじゃないかと私は思うんですね。例えば、今おっしゃったように、チェックをするために事前登録制度を設けるですとか、あるいは最低資本金をきちんと設定するですとか、あるいは、今回のように、必ずもうかります、損はしませんというような損失補填、これを禁ずるというのは金融商品取引法の中では明定されているわけなんですよ。

 自見大臣、金融庁として、今申し上げたようなさまざまな消費者保護についての規定がある金融商品取引法の方の窓口を広げて、これらの契約を規制できないんでしょうかね。

 消費者は、確かに法律上は牛の持ち分を預けているんですけれども、実際には一切牛を見てはいないんです。実質的に金銭を出資しているのと何ら変わらないんです。しかも、実際の牛の相場よりも高い値段で安愚楽牧場が投資家を集めているということは、商品にやはり投資性があるというように判断できるんじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。

自見国務大臣 柴山議員にお答えをさせていただきます。

 今先生御指摘がございましたが、金商法上の集団的投資スキーム規制では、投資者から拠出を受けた金銭を共同の事業に充てること等の性質に応じたものとなっておりまして、物品の所有権を預託し、その有効活用によって利殖を図るスキームについては、仮に集団的投資スキームに類似する面があったとしても、さきに説明した集団的投資スキームの性質には当てはまるものでないから、金商法上の規制対象とすることはなじみにくい面があるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、これはもう先生御存じのように、金商法上は、金銭を出資、拠出する、あるいは事業から生ずる収益の配当金を受けるということでございまして、このため、物品を購入、例えばこの場合は繁殖牛でございますけれども、これを購入、預託するスキームについては、いわゆる集団投資スキームあるいは金商法になじまないというふうに御理解をいただければと思っております。

 いずれにいたしましても、動物等の預託取引にかかわる顧客保護は、消費者庁が所管する特定商品等の預託等取引契約に関する法律、いわゆる預託法でございますが、において図られるところでございます。

 仮に預託法においてこの顧客保護の観点から不十分な点があるというのであれば、同法上の問題点として検討されるべきものと考えておりまして、仮にこの集団投資スキーム規制のうち預託法においても適用すべきものがある場合には、この預託法において規制の見直し等を検討すべきではないかというふうに考えております。

柴山委員 官僚答弁なんですよ、自見大臣。本当に官僚答弁なんですよ。

 預託法は、今回のような安愚楽牧場、現物まがい商法という金銭出資とほとんど変わらないような契約類型から、例えば先祖代々受け継がれたかぶとを預けるというような契約まで、幅広く対象としている法律なんですね。ですので、どういう法律できちんと規制をするかということは、省庁の垣根を越えて真摯に取り組んでいただかなければいけないんです。

 きょうは、安愚楽牧場の被害対策弁護団の方と被害者御本人がこちらの傍聴席に来られて、我々の質疑をごらんになっているんです。松原大臣、消費者庁は、各省をまたがり、消費者救済のための知恵を出し、取り締まりをするという官庁であります。大臣からはかなり前向きな御答弁をいただきましたけれども、被害者の方々の前でいま一度、松原大臣、決意を述べてください。

松原国務大臣 御答弁を申し上げます。

 この案件に関しては、既にこの質疑で申し上げたとおりの認識を私は持っております。遺憾であり、そして申しわけないという思いも申し上げたところでありますが、また、今後の再発防止に関しても、委員から強い問題意識を提示されましたので、消費者庁担当の大臣として、そういったことを含め取り組んでいきたい、このように思っております。(柴山委員「省庁の垣根を越えてですね」と呼ぶ)取り組んでまいります。

柴山委員 以上で、少し早いですが、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて柴山君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、子供の健康を守る諸課題、そしてICTの利活用、この二つのテーマで質問してまいりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 質問に入ります前に、小宮山大臣、母子手帳に胆道閉鎖症早期発見のためのカラーカードをこの四月から盛り込むことを決定いただきましたこと、感謝を申し上げたいと思っております。一万人に一人という難病でございますけれども、この七色のカードを盛り込むことによって早期発見が可能になるかと思っております。ぜひ、これを全国に、また医師へも周知徹底をしていただきますようお願いをしておきたいと思います。

 まず、第一問目ですけれども、昨日、二月二十日はアレルギーの日でございました。私も、議員になります前からアレルギー対策に取り組んでまいりました。特に、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインの作成を求めまして、昨年三月、これも実現をしていただきました。

 しかし、これができたものの、それぞれ自治体にばらつきがございまして、東京、神奈川など非常に積極的に取り組んでいるところもあれば、市町村に冊子を配付しただけの県もあり、ひどいところは担当者が保育所ガイドラインの存在を知らなかったという自治体もございました。

 保育所ガイドラインにはアレルギーに関する専門用語も多く入っていまして、これを一読しただけで理解するというのは非常に難しい。やはり専門家による研修というものが必要になってくると思っております。ぜひ、保育所の関係者が、アレルギー疾患に対する適切な取り組み、専門医による研修ができるよう、予算の確保、そして体制の強化をお願いしたいと思っております。

 厚労大臣、財務大臣、両大臣にお伺いをいたします。

小宮山国務大臣 アレルギー問題にずっと取り組んでこられました委員を初め皆様の働きかけで、この保育所におけるアレルギー対応ガイドライン、御指摘のように二十三年三月に作成いたしまして、自治体に、また関係団体に配付をしたり、厚生労働省のホームページで周知を図ったりしているんですが、御指摘のように、かなり専門的でわかりにくいということもございまして、周知をさらに図るために、保育団体等が開催する保育士などの研修会にアレルギーに関する研修を組み込むように依頼をしています。

 また、文科省と協力をして、学校や保育所等の担当職員向けのアレルギー疾患に対する普及啓発講習会を開催するといった対応を行っています。ただ、まだまだ不十分でございますので、例えば、DVDとかにわかりやすくして配付したらどうかということも私の方から提案をしているところです。

 そして、費用のことにつきましては、研修費の確保、また、自治体が行う保育士の研修ですとか、それから自治体版のガイドライン作成に要する費用、これは二十三年度の四次補正で安心こども基金を積み増しましたので、これを使っていただけるようにしています。

 ですから、これから自治体に対して、ガイドラインの内容とあわせまして安心こども基金の財政支援についても周知を図って、せっかくできたガイドラインが子供たちのために役立つよう努力をしていきたいと思っています。

安住国務大臣 今、小宮山大臣からもありましたけれども、保育士への研修については、従来から、安心こども基金を活用して財政支援ができるようにということで、基金のメニューに盛り込んでおります。二十三年度の第四次補正においては一千二百七十億円積んでおりますので、二十四年度末までの予算措置ということでしっかりやらせていただきたいと思います。

古屋(範)委員 安心こども基金をガイドラインの研修について充当してよいということでございます。ぜひ、これも自治体にお知らせをいただいて、引っ張っていただけるように徹底をしていただきたいと思っております。私も、しっかり議員のネットワークを通じて、議会からも声を上げるように努力をしていきたいと思っております。

 次に、二十三年度四次補正、先日成立をいたしました。この中に、先ほどおっしゃった安心こども基金、また妊婦健診の基金、あるいは三ワクチンの基金等は継続されることになりまして、ひとまず安心はいたしました。

 しかし、問題なのは、これらの基金が単年度、一年に限られているということであります。特にワクチン接種は、一年限りではなく恒久的な仕組みにすべきであります。これは代表も代表質問等で行ったとおりでございます。

 成人用の肺炎球菌ワクチンも含めまして、WHOで推奨されているワクチンの定期接種化も強く求めてきましたし、不活化ポリオワクチンの導入も何度も求めてきたところでございます。一月二十七日に開かれました予防接種部会において、定期接種化を検討している七ワクチン、予防接種法上の疾病区分が了承されました。これで、七種類のワクチンを新たに定期接種化するための予防接種法改正案の通常国会提出への環境が整ったものと私は理解をいたしております。一類疾病、二類疾病と、疾病区分はそのままでありました。区分は要らないとこれまで主張してまいりました。その方向には決まらず、残念ではございますけれども、まずは予防接種法の改正を急ぐべきだと私は考えております。

 そこで、この定期接種化の効果検証についても早急に行って、早い段階でロタウイルスのワクチンも含めてぜひ定期接種化をお願いしたい、これが一点です。

 それから、不活化ポリオワクチンも幾度となく国会質問してまいりました。報道等では、大臣がさまざまな会見の場あるいは質問主意書に答えて早期導入ということをおっしゃっていると聞いております。この予算委員会の場で、この不活化ポリオワクチンの導入についても、ぜひはっきりとしたお答えをいただければと思っております。

 これまで、昨年、一昨年と子ども手当の議論もしてまいりました。私たち公明党も、児童手当の拡充をしてまいりまして、こうした現金給付の重要性は当然認識をいたしておりますけれども、ワクチン接種というのは、子供に対して直接健康を守ることにつながってまいります。ぜひ子供の命を守るための予算をしっかりと確保すべきだと考えております。安心して厚労省がワクチン政策を進められるよう、この予算についても責任を持って確保していただきたい、このように思っております。

 厚労大臣、そして財務大臣、両大臣にお伺いいたします。

小宮山国務大臣 ワクチンにつきましては、先進国に比べて非常にその数が少ないなど、ワクチンギャップを解消するためにも、今までおっしゃったように基金を積んできましたけれども、毎年毎年ですので、これはなるべく予防接種法にしっかり位置づけたいということで、今、予防接種部会で、ただ、一度に全部というのがなかなか難しいので、優先順位も含めまして検討をしているところです。この七ワクチンにつきましてしっかり検討を進めることと、今御指摘のありましたロタのワクチンにつきましても今検討を開始したところです。

 一類、二類につきましては、御承知のように、インフルエンザによる高齢者の肺炎とか死亡が社会問題化したときに、個人で接種するものということで二類をつくったという経緯がございます。ただ、それが本当に今もそういう分類が必要なのかどうか、そうしたことも含めて今検討をしたいというふうに考えているところです。

 そして、不活化ポリオワクチンにつきましては、いつももっと早くという御指摘をいただいて、私も、ぜひこれは早く導入ができるように最大限努力をしたいと思ってまいりました。これにつきましては、今、二つのメーカーから四種混合ワクチンの薬事申請が既にありました。そして、不活化ポリオ単独ワクチンにつきましても、薬事申請に向けて一つのメーカーで今準備が進められています。

 当初は、来年の三月、今年度末にならないと承認できないということだったんですが、もちろん、安全を確保するようにしっかり審査はいたしますけれども、秋の時期にぜひ間に合わせたいということで、ことし秋のポリオワクチンの接種にその不活化ポリオワクチンが導入できるように今最大限努力をしているところでございます。

安住国務大臣 今、小宮山大臣からもお話ありましたけれども、予防接種制度の見直しについて厚労省の審議会で議論が行われていると聞いております。新たなワクチンの予防接種法の位置づけや財源の問題を含めて精力的に議論を進められておりますので、その間の経過措置として、御指摘がありましたように、三ワクチンに対しては二十三年度四次補正において五百二十六億円を計上いたしまして、これは二十四年度末までということでございますが、今後のあり方についてはその審議会での経過を見守りたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 ぜひとも今国会で、予防接種法、抜本改正をしていくべく提出をしていただきたいというふうに思いますし、不活化ポリオワクチンの導入につきましては、ともかく早期に、どちらも接種をしないという、接種率が下がっておりまして、これは非常に危機的な状況でございますので、一刻も早い導入を求めておきたいと思っております。

 次に、小児の永久歯の先天性欠如についてお伺いしてまいります。これも、昨年から報道等されておりまして、非常に関心の高いテーマだと思っております。

 昨年三月発表された調査によりますと、上下合わせて二十八本ある永久歯が全て生えそろわないいわゆる先天性欠如が、小児歯科を受診する子供の一割に上るということがわかりました。私も、この報道を目にしまして、早速、この研究をされております鹿児島大学の山崎要一教授を国会にお招きしまして、これについてお話を伺いました。

 山崎教授によりますと、日本小児歯科学会が七歳以上の子供一万五千五百四十四人を調べた結果、十人に一人、かなり高い割合だと思いますが、先天性欠如が見つかったということを紹介していただきました。こうなると、非常にかみ合わせが悪くなったり顎が変形するなど、危険性があるということでございます。

 この原因は解明をされていないわけなんですが、やはり、早期発見をして、その中でしっかり専門医に相談をしていくということが大事です。しかし、この治療というのは保険適用外ですから非常に高額な場合も出てくるということで、ここが非常に大きな課題となっております。この先天性欠如の調査研究、治療ガイドラインの作成、専門医の育成が必要だなと感じております。

 そこで、学校の歯科検診で、この先天性欠如のおそれがある児童に対して専門的な診断を受けるよう促せる体制をつくっていくことが必要と考えますが、現在のお取り組みについて文部科学大臣にお伺いします。

平野(博)国務大臣 先生の御指摘でございますが、文科省としましては、特に児童生徒等の健康の保持増進に係るために、学校保健安全法、この法律によって、毎年、生徒の健康診断を行わなければならない、こういうふうになっております。その結果として、疾病の予防処置並びに早期の治療を指示する、こういうことでございます。

 先生今御指摘の永久歯先天性欠如、こういうことでございまして、文科省としては、同法律に基づきまして、歯もしくは口腔の健康診断におきまして、特に学校の歯科医が永久歯先天性欠如の疑いを発見した場合に、診断書に必ず記録をする、こういうことと同時に、診断結果を児童生徒並びに保護者に通知をし、必要な治療をしていただくように促しをいたしておるところであります。

 また、加えて、先ほど先生御指摘ありますように、どういう原因なのか、どういう治療方法がいいのか、こういうこともございますので、日本学校歯科医会におきましても、こういう疑いを発見した場合に、いわゆる学校歯科医の活動指針に明記をし、早期に発見をしてもらいたいということに努めているところでございます。

 今後とも、学会等々と連携をとりながら、円滑な診断が学校で行われるように努力をしてまいりたい、このように考えています。

古屋(範)委員 ありがとうございました。このお取り組み、さらに推進をしていただけますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、訪問看護ステーションの一人開業についてお伺いしてまいりたいと思います。

 被災地において心のケアが非常に大事だということで、私も現地に専門家と参りまして、このようなことも取り組んできました。これから復興を担っていく人々の心のケア、こういうものが非常に大事だと感じております。これも含めて、被災者の安心して暮らせる体制づくりのために、訪問看護師、訪問看護ステーションの存在、役割というのは非常に大きいというふうに思っております。

 そこで、この訪問看護ステーション、現在二・五人という規制がございますけれども、一人開業ができるよう、私も開業看護師を育てる会の菅原理事長と協力をして進めてまいりました。被災地においては、規制緩和をして、看護師一人でも基準該当居宅サービスとして認められるという特例措置が設けられました。

 そこで、私が聞いている範囲なんですが、十三の市町村で実際に申請をしたそうなんですが、なかなか認められずに、福島市一カ所だけ認められたという状況であります。それも受理されたのが本当に最近でして、結局、この期限、二月二十九日までとすると、ここが開業してから活動するのも一カ月ということになってしまいます。ですので、先日も副大臣宛てに要請を行ったんですが、ぜひ、この二十九日までの間と定められている期限の延長をお願いしたいと思っております。

 そして、当初から申しておりますように、モデル的に被災地でやっているこの特例措置だけではなく、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準、ここに規定をされている二・五人というのをぜひ見直して、一人開業ができるよう、もちろん安全を担保した上でのことでありますけれども、これについて御所見を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員から御紹介いただきましたように、訪問看護ステーション、二・五人の開業要件であるところを、昨年四月に、平成二十四年の二月二十九日までの間、被災地での特例的な取り扱いとして、各市町村の判断によって看護師一人での訪問看護ステーションの開業を認める、こういう特例省令を制定しています。

 今御紹介いただいたように、ごく最近ですけれども、ことしの一月二十三日に、この特例省令に基づいて、福島県福島市で一件の申請が受理をされているところです。おっしゃるように、これを二月いっぱいで切るというのはやはり問題があるということもございまして、その期間を延長すべきかどうか、これはもう急いで判断をしなければなりませんので、二月二十八日に介護給付費分科会を開きまして、ここで延長案について諮問をする予定にしています。

 そして、訪問看護ステーションの人員基準の見直しにつきましては、昨年の七月に閣議決定もしているんですけれども、この特例措置の実施状況を踏まえて検討をするということにしたいと思っています。

古屋(範)委員 ぜひとも延長はしていただかねばならないと思っておりますし、ぜひ一人開業に向けて道を開いていただけますよう、再度要望しておきたいと思います。

 次に、ICTの利活用のテーマに移ってまいります。

 まず初めに、災害に強い通信インフラの確保についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今回の震災において、さまざまインターネットが活躍したところでもございます。例えば名取市では、市長の指示で多数の避難所にインターネット環境の整備が実現をされ、避難所には、一般住民に加えて市の担当職員、他県から来た応援、またボランティアの支援者など、一般住民だけではなく救援支援を担う人たちにとって、ネットでの情報発信、共有、検索ができ、非常にこれが有効であったということを伺っております。

 東日本大震災の教訓を踏まえて、総務省におかれましては、災害に強い通信インフラ確保のためにどのような施策を今後展開されようとしているのか、まずこの点、総務大臣にお伺いをいたします。

川端国務大臣 被災地だけではなくて都心部も含めて、この災害で通信が実は大混乱をいたしました。固定電話、携帯電話の方にほとんどつながらなかった。

 この原因は、八割以上は停電、十数%がいわゆる断線ですね。機械が壊れてしまったというのを含めて、経路が絶たれてしまった。それと同時に大量の通信によるふくそうで機能しなくなった。大きく言えばこの三つで機能が麻痺したという深刻な事態が起こりました。

 これを踏まえまして、昨年四月から十二月にかけて、電気通信事業者も含めた関係者で検討会を開催しまして、原因の分析、対策等々を整理いたしました。

 一つは、技術的な問題としての、大量の通信が出たときのふくそうに対してどう対処するかということ。それから、停電が起こったときのバックアップ体制をより強化する。蓄電池をつけるとか回線を複数にするとかいう設備上を含めた基準の見直し。それから、今先生御指摘のように、やはりインターネットが大活躍をしたということでの、いろいろなツールを使う部分を統合したり、より活用したりするということの向上。それから、その大前提ですが、ネットワークインフラを強化する等々の四項目を大きな柱立てとして、それぞれの強化策に取り組むと同時に、電気通信事業者独自においても設備の増強等々を要請し、行っていただいているところであります。

 災害時の通信確保に向けた取り組みを全力で進めてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 大臣おっしゃいますように、今回の震災で、通信インフラの重要性、これは誰もが痛感をしたところであります。災害に強い通信インフラを構築する、今後これを第一に、最優先に考えていただきたいと思っております。

 先日、我が党で、総合経済対策に関する緊急提言というものを発表いたしました。

 この中で、防災・減災ニューディールということを掲げております。「国民と日本の国土を守り、安心・安全な社会基盤を再構築するため、全国的な防災・減災対策を緊急かつ集中的に講じる」ということを掲げました。これは、ハード面、道路、橋梁、上下水道あるいは河川、港湾、こうしたところへの集中投資はもちろんでありますけれども、そこに加えて、次世代通信網の先駆的開発等による災害対策強化、このことも掲げております。

 日本の国土あるいは国民を守る防災・減災対策だけではなく、こうしたものを整備していくことがやはり日本経済を守ることにもなりますし、また、ここに集中投資をしていくということは、日本の将来の成長も期待できる、その基盤づくりにもなってくると思います。もとに戻すだけではなく、さらにその先をつくっていくということが大事かと思います。また、これによって雇用も創出できると考えます。ぜひこの分野を強力に進めていただきたい、このことをお願いしておきたいと思っております。

 次に、医療分野におけるITの利活用についてお伺いをしてまいります。

 今回の震災で、例えば宮城県沿岸部などで、多くの病院で紙のカルテが流失をして、皆さんも家も流され、着のみ着のままで避難所に来たんだけれども、毎日飲む薬が一体何を飲んでいるのかがわからない、このような問題も起きました。このときに、カルテの情報を電子的に保存してバックアップ体制がとれていれば、患者さんにとっても避難者にとってもそうしたサービスが提供可能であったのではないか、このように思います。

 特に、岩手県の周産期電子カルテのネットワーク「いーはとーぶ」ができていたために、これが内陸部の岩手医大にサーバーが置かれていたということで震災の被害を免れたわけです。ですので、大船渡とか陸前高田市など、被害に遭われたところの妊婦さんは、自分の母子手帳を消失しても、この「いーはとーぶ」の健診データをもとに、避難先の病院で引き続き健診を受けたり出産をしたり、母子手帳の再発行も受けられたというようなこともございました。

 また、昨日なんですが、香川県で、ITを活用して、地域の医療機関あるいは薬局が患者の診療情報や飲んでいる薬の情報を安全に共有する医療情報連携基盤の実証実験、遠隔医療の事業を視察してまいりました。K―MIXという事業でございます。

 遠隔医療、今までこれはごく限られた地域のグループ内で行われてきたことが多いんですが、香川県では、共通のセンターサーバー、ネットワークプログラム、運用ルールをつくって、平成十五年からオープンで利用しやすい医療連携システムをつくっております。月々六千五百円の使用料ということですから、比較的安いなと思っております。これは香川県内だけではなく、県外の医療機関も今百以上のところが加入をして活用しているということでございます。

 このたびの震災の体験も踏まえまして、地域医療機関、また薬局、介護施設、こういうところがネットワークを通じて患者の医療情報を共有していく。セキュリティーの問題もこれはしっかりしていかなければいけないんですけれども、こうした情報連携基盤の構築、遠隔医療など医療分野のITの利活用に向けた取り組みを強力に推進する必要があると思っております。

 これについて、総務大臣の御意見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のとおり、先般の災害で医療情報が流失して、大変な困難に陥った。一部、今御紹介がありましたような部分では、やはりその有効性、有用性が極めて大であることが実証されたことにもなります。そういう意味で、医療情報の電子化というのは、平時のみならず、災害時において極めて重要であるということでありますので、これは、薬歴管理、病歴管理、同時に、結果的には二重投薬とかで、そういう効果もあるということであります。

 そういう部分で、今、御視察もいただいたというお話でございましたが、新たな情報通信技術戦略あるいは日本再生の基本戦略でそういう方向性は決めておりますので、厚労省などとの連携のもとに、一つは、医療情報を地域の医療機関、薬局、介護施設等の間で安全に共有するための標準システムのあり方を検証する健康情報活用基盤構築事業、これは香川、広島、島根でやっております。

 と同時に、被災地域においてはより先進的にやるべきであろうということで、医療情報連携の基盤や遠隔医療システムの構築を図る東北メディカル・メガバンク計画というものの支援を積極的に行うこと等でやっているところでありまして、これらの取り組みを通じて、総務大臣として、厚生労働省と緊密に連携をとりながら、ICT活用に向けた取り組みをしっかり進めてまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 ぜひ厚労省も連携して医療分野のITの利活用を推進していただきますよう、お願いをしておきたいと思います。

 時間がないので少し飛ばしまして、教育分野のITの利活用について今度はお伺いをしてまいりたいと思っております。

 これも昨日、フューチャースクールの推進事業、徳島県東みよし町の足代小学校に行ってまいりました。ここは、一年生から六年生まで、七十七インチの電子黒板、これは小さいのはだめだそうです、大きいもので。タブレットPCを見ながら使って、これは一人一人が自分のものを貸与されております。国語、算数とか英語とか、特別支援学級、非常に楽しそうに授業を受けておりました。

 高学年になるとスキルが上達をして、わからないことがあるとすぐに、まず、ではPCで検索をして調べておこう、そのままにしないですぐに調べることもできるようになっている。担当の中川先生は、山間地域こそこうした公立の小学校で一年生のときからICTを導入していくことが重要なんだ、一年生のときに出会って、そして教師から、どのようにPCを使っていくか、それは使い方だけではなく、そのルール、モラル、そういうものを教わって、楽しい、知識を吸収して豊かになっていくのだということをきちんと学べることが大事だとおっしゃっていました。

 電子黒板は教室に一つ必要です。PCもちゃんと一人に一つ必要かと思いました。児童が興味を持って意欲的に学ぶ意識が向上した。そして、専門員、支援員の存在も欠かせないものとなっております。こうしたもの、今モデル事業が行われておりますけれども、ぜひ全国にこれを拡大していけるよう、今後しっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 文科大臣、総務大臣、両大臣にお伺いいたします。

平野(博)国務大臣 先生も、具体的に学校に御視察ありがとうございました。

 特に、ICTの利活用ということは、私は非常に大事なことだと思っております。総務省のフューチャースクールの推進事業ということで、特にハードの面におきましていろいろな整備をいただいておりまして、それにあわせて文科省としては、学びのイノベーション事業、こういうことで非常にそこにリンクをさせながら実際やらせていただいている。今先生御指摘のとおり、一人一台の情報端末、電子黒板等々を整備しておるところでございますし、文科省としては、デジタル教材、コンテンツの開発を、より充実した開発をしていかなきゃならない、こういうことでございます。

 我々としましては、総務省と私ども文科省におきまして両省副大臣が密接に連携をいたしまして、今、約二十カ所、二十校におきまして実証研究をいたしております。

 先生から御質問があるということで、実際の効果はどうだ、こういうふうに聞きましたところ、ちょっと私の認識と違ったんですが、ベテランの先生が、導入するときには少し時間はかかるけれども、実際使い出しますと、今までの経験を生かして効果が非常に出る。こういうふうな教材開発をやられているようでありますし、教えを充実している、こういうふうに聞いておりますので、先生御指摘のように、これからさらに充実強化に努めてまいりたいと考えております。

川端国務大臣 極めて有効な教育のあり方であるというのは我々も思っております。ソフトとハード、そして、特にソフトの中ではコンテンツと人とあると思うんですけれども、総務省としてはハードを基本的に整備するというのがお役目だということで、文科省と今お話ありましたように緊密に連携をとりながら役割分担を果たしている中で、特に二十二年度からは、ハード面の課題の抽出ということで、小学校十校、中学校八校、それから特別支援学校二校のフューチャースクール推進事業の中でこういう課題を抽出する中で、より環境が整うようにということを努力すると同時に、文科省と一緒にこれをぜひとも推進していきたいと思っております。

古屋(範)委員 ぜひ、教育分野でのITの利活用を強力に進めていただくようよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは資料を一枚出しておりますけれども、我が国におけるICT利活用のおくれ、電子政府準備度指数、これは二〇一〇年、十七位にさらに転落をいたしました。校内LANの整備率、これも我が国は八二・三%、韓国においては一〇〇%でございます。診療所における電子カルテ導入率も、日本は一一・二%でございます。また、きょうはちょっと時間の関係で質問できませんですけれども、就業者人口におけるテレワーカー、これは一五・三%と低迷をいたしております。

 自公政権におきましても、この分野は成長分野だ、いわばここで稼ぐんだ、景気回復もさせ雇用も生み出していこう、このような気概で取り組んできたと思います。ある意味、費用対効果だけで一つ一つそれを外していっては、一体日本のIT戦略とは何なのかということになってしまいます。バランスが崩れる、いや、なくなってしまう。これはすぐに結果が出るものではない。教育においては、その結果はもう何十年も後に出てくるものでございます。

 ぜひそうした中長期の視野でIT戦略に強力に取り組んでいただくことを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて古屋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 先日来、当委員会でも、やっと実現した高校授業料無償化問題をめぐって議論が交わされました。高校無償化は、一層の前進が求められこそすれ、これをあたかもばらまきのように言って歳出を削減するような見直しをすることは絶対に許されない。そのことをはっきり申し上げた上で質問に入りたいと思います。

 二月九日の当委員会で、我が国がいまだに留保している国際人権A規約第十三条の二項(b)(c)、つまり中等教育及び高等教育の漸進的無償化条項について、玄葉外務大臣は、その留保を撤回する方向で調整するように事務方に今般指示をしたと答弁されました。これは非常に大事な決断だと思うんですね。指示はいつされたのか、国連にはいつ留保撤回の意思をお伝えになるのか、具体的に御答弁ください。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

玄葉国務大臣 ただいまの御質問ですが、国連の人権宣言に基づいて自由権規約そして社会権規約というものができて、七九年に批准をしているということですが、おっしゃるとおり、日本の場合は、この間、武正委員にも申し上げましたけれども、マダガスカルと日本だけが留保をしていたということでございます。

 いつ指示をしたのかということでありますが、まさに、率直に申し上げれば、最近です。つまり、私も、状況を事務方から聞いて、そういうことであれば留保を撤回したらどうかという判断をして、指示をした。そして、この間、宮本委員も何回かこの問題で留保を撤回すべきだというふうに指摘をしていただいておられたということに対しても、敬意を表したいというふうに思います。

 まさに先般のことでございますので、国連への通告については、具体的な期日について現時点で申し上げるのはまだ困難なんですけれども、所要の準備が整い次第、これは速やかに行いたいというふうに考えているところでございます。

宮本委員 撤回をすべきだ、そういう決断に至った理由というのはどのようなことでございましょうか。

玄葉国務大臣 これは、まず一つは、高校の授業料の無償化というのがやはり大きな弾みになったことは事実でございます。これが一つある。もう一つは、やはり大学生に対する奨学金の予算などが拡充傾向にあるということからして、そろそろこれは撤回の判断をすべきではないか、そう判断をしたところでございます。

宮本委員 留保撤回ということになりましたら、私は、漸進的な無償教育の導入ということが国際公約になると思うんですね。ですから、これは撤回したらの話ですけれども、そうなった場合には、少なくとも無償化教育の漸進的導入はやりませんというようなことを世界に向かって口にはできなくなる、私はそう思いますが、外務大臣、それでよろしいですね。

玄葉国務大臣 はい。これはやはり、留保を撤回するということは、無償教育の漸進的な導入ということに向けて努力をしていくということだと思うんです。一旦撤回したら、取り消すなどということは基本的にはできないというふうに私は考えています。

宮本委員 無償教育の導入をやりませんとは言えない国際的責任が生じる、こういうことだと思うんです。

 では、それをいかに進めていくかということなんですね。高校無償化からの逆行などということはもう論外でありますけれども、特に、私、不十分だと思うのは、高等教育、大学生及び院生の現状だと思います。

 資料をきょうはおつけいたしました。見てください。この資料は、私が国会図書館に依頼して作成してもらったものでありますけれども、OECD加盟三十カ国の大学授業料及び奨学金の調査結果であります。多数の国では授業料は大学に至るまで無償、ほとんどの国で奨学金は返済の必要のない給付制というのが世界の流れになっております。

 文部科学省にお伺いしますけれども、OECD三十カ国の中で、大学授業料の無償化もされておらず、かつ給付制奨学金もない、そういう国は日本以外にあるでしょうか。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 OECDの最新の調査報告書によりますと、データが整備をされている、確認をされている国におきましては、委員の御指摘のように、授業料が無償化されているか、あるいは給付型の奨学金があるということでございます。

 ただ、我が国の場合には授業料の減免制度というのがございますので、一概に国の経済的な支援について比較しにくいというところはあるかと存じます。

 以上でございます。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

宮本委員 授業料の減免制度は昔からあるんですよ。それがもし無償化に当たるんだったら、今までなぜ撤回しなかったんですか。

板東政府参考人 御指摘のように、授業料の減免制度は昔からあるわけでございますけれども、無償化の漸進に向けまして授業料減免自体も拡充してきておりますし、いろいろな経済的支援の充実につきましては拡充をしているという状況でございます。

宮本委員 いろいろ言い逃れしても、それはこの表にはっきり出ているんですよ。日本以外に、授業料が無償化されておらず給付制奨学金もないという国は一つもないです。日本だけがバツ、バツと、皆さんの目の前に資料で出しているとおりであります。

 それで、OECD三十カ国で見るとそういう状況でありますけれども、特に二枚目を見ていただければ歴然とするんですけれども、オランダの七二%を先頭に、給付制奨学金を受給している学生の割合も、それこそ過半数の学生が受けているわけですね。オランダ、アメリカ合衆国、それぞれ、これは授業料無償ではありません、有償でありますが、七割、六割以上の学生が給付制の奨学金を受けている。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドに至っては、授業料が無償であって、なお給付制の奨学金を半数以上が受けているという状況なんです。

 文部科学省は、ついに今年度、二〇一二年度の予算の概算要求では、返済の必要のない給付制奨学金を要求したわけです。これは、今日の経済情勢のもとで、借金となる貸与制の奨学金のみでは、やはり修学が困難な若者が存在する、教育の機会均等をなかなか保障できない、そういう認識を示したものだと受けとめてよろしいですね、大臣。

平野(博)国務大臣 今回の部分につきましては、やはり、意欲と能力のある学生が経済的理由により修学を断念することのないように経済的支援の充実を図る、こういうことが必要であるというのが文科省の認識でございます。

 そのような認識のもとに、大変財政的に厳しい状況でありますけれども、経済的困窮者の修学を支援すべき、こういう考え方のもとに、概算要求時には給付型の奨学金を要求した、こういう事実はございます。

宮本委員 そうなんですよ。しかし、今回の予算案では給付制奨学金は削られました。給付制奨学金でなければ教育の機会均等を保障できない、こういう状況が広がっているときにこれを見送ったということは、こういう学生を見捨てるということになるんじゃありませんか。

 これは財務大臣に聞きますけれども、なぜこの給付制奨学金を見送ったのか。財務大臣、お答えいただけますか。

安住国務大臣 確かに、大臣折衝を行いました。だけれども、結果としては、これは、独法の日本学生支援機構の奨学金について、低所得世帯の学生等を対象に、所得連動返済型の無利子奨学金制度を導入することにした、それは二・五万人ふやして三十八・三万人となっております。

 それで、先生の言っていることについて少し反論をさせていただいてよろしいですか。

 これは、就職をして、その学生さんが多額の収入を得る人になったとした場合、それは返済をしてもらった方がよかろうというふうにも一つ考えたわけであります。それで、それは結果的には、それで返していただいたお金がまたさらに幅広い学生への貸与にも回るというのも一つの考え方ではないかなということで、私どもとしては、現時点での合意は至らなかったということです。

宮本委員 今の学生の厳しい状況を本当にわかっているんですか。大学生が有利子奨学金の最高額である月額十万円を四年間借りれば四百八十万円の借金となり、利子を含めると総額六百五十万円もの返済が必要になるんです。大学を卒業して社会人となったその初日に既に六百五十万円もの借金を背負わせている、そんな国はないですよ。

 大丈夫です、大卒者は一〇〇%正規社員で就職させております、やがて必ず返せます、そう言えるような状況ですか。大学生の就職内定率は七一・九%、七割そこそこ。それも、これ全てが正規ではないですよ。だからこそ、返済のことを考えるととても借りられない、返済が不安で奨学金をやめた、こういう事例が続出しているんです。

 文部科学大臣、あなた方も、そういう現状があるからこそ給付制でということで概算要求したんじゃないですか。

平野(博)国務大臣 基本的にはそういう考え方のもとに要求したわけであります。しかしながら、折衝の中でだめだという結論になって、それで手をこまねいているわけでありません。

 したがいまして、先ほど財務大臣が申し上げましたように、所得連動型の返済方式の無利子の奨学金制度を創設して、一歩前進、二歩前進として対応している、こういうことでございます。

宮本委員 所得連動返済型奨学金、これは、もちろんないよりはましであります。しかし、これは給付型奨学金のかわりにはならないんです。

 イギリスでは、もともと全てが給付制奨学金でありました。それを、実は一九九〇年度に貸与制奨学金を導入し、一九九八年度からは、給付制奨学金を廃止して、今回あなた方が導入しようとしている所得連動返還型貸与制奨学金だけにしてしまったんですね。

 文科省に事実関係を聞きますけれども、今日でもイギリスは、給付制奨学金はなく、所得連動型だけになっておりますか。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇四年度の入学者から、ちょっと違う制度には変わっておりますけれども、低所得者の学生の生活費の支援に重点を置きました給付型の奨学金制度を復活させている。それまでは、先ほど御指摘ございました一九九八年までの間につきましては、授業料と生活費とに対する給付型でございますけれども、二〇〇四年度からは、生活費の方に対してという給付型の奨学金制度が復活しているということでございます。

宮本委員 一旦やめたけれども、所得連動返済型の奨学金では低所得者層、貧困層の進学機会が保障されないということになって、二〇〇四年に改めて給付制奨学金が復活をしたと。私の資料にも出ているように、今、六二%の学生が給付型奨学金を受けているんです。あなた方文科省の方が調べた調査報告でも、はっきりそのことが出ております。

 このイギリスの経験が示しているのは、所得連動返済型奨学金というものは給付型奨学金のかわりにはならないという事実なんですよ。

 被災地宮城の学生からは、知り合いの学生が、津波で実家が全壊し、一年休学して学費と生活費をためている。被災した学生が安心して学業に打ち込めるように、給付制奨学金を実現してほしい、給付型なら返済を気にせず安心して学業に専念できるという痛切な訴えも私のところへ届いております。

 深刻な状況は被災地だけではありません。親と離れて児童養護施設で暮らしている子供は、現在、全国に三万人おります。児童養護施設は十八歳までですから、高校を卒業したら退所しなければなりません。大学に進学すれば、たちまち学費も家賃も生活費も全て自力で何とかしなければなりません。大学進学率は一三%、一般の進学率と比べて四分の一という現状なんですね。

 教育基本法第四条一項は、経済的地位による教育上の差別を禁じ、第三項で、経済的理由による修学困難者に対する国、地方公共団体の奨学義務というものが定められております。このような、子供や若者に奨学金と名づけて金を貸して、多くは利子まで背負わせる。これで本当に救われると、文部科学大臣、お思いになりますか。

平野(博)国務大臣 議員御指摘のとおり、そういう意味では、文部科学省としては、何としても、経済的に困窮することによって学べる機会、こういうことは失わないように努力をしなきゃならない、こういうことでございますし、今回の予算につきましては、まずはそういうところについて一歩二歩前進をさせる、これが一つの一里塚だ、こういうことでありますし、これから、大変厳しい財務大臣でありますが、今後そういう、実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

宮本委員 二言目には財政的な制約というふうにおっしゃるわけですよ。

 では、聞きますけれども、予算概算要求に盛り込んだ給付制奨学金の中身ですけれども、高校生に対する給付型奨学金事業というものと、大学等修学支援奨学金事業のうち給付型奨学金の分、それぞれ概算要求の要望額は幾らでしたか。

板東政府参考人 高校の分につきましては、百二億円ということでございます。大学の関係につきましては、百四十七億円を概算要求案に盛り込んだところでございます。

宮本委員 高校生向けで百二億、大学生、院生向けで百四十七億、合わせてもせいぜい二百五十億円なんですね。米軍思いやり予算千八百六十七億円の七分の一ですよ。新たに買い込むF35戦闘機、三機やめればおつりが来るんです。我が党以外の党が山分けを続ける政党助成金三百二十億円を回せば、すぐにでも実現できる額なんですね。

 そもそも、大学、大学院など高等教育を受けようと志す若者には無償で教育を受ける権利を保障するのが世界の常識です。それを、国立大学で初年度納入金八十二万円、私学なら平均で百三十一万円などという法外な学費を学生と家計に押しつける。

 世界では、奨学金といえば返済の必要のない給付制奨学金が常識なのに、日本では、どんなに経済的に困窮していても一切給付制はなく、全てが借金。しかも、その七割以上は有利子ですよ。利子まで上乗せし、最高なら卒業時に六百五十万円もの借金を背負わせる。こんなことをやっている国が一体どこにあるか。

 直ちに予算を修正して給付制奨学金を実現することを強く求めて、私の質問を終わります。

中井委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。いただきましたお時間、十三分ですので、答弁を簡潔に、よろしくお願いいたします。

 きょう私が取り上げますのは、原子力行政等における利益相反の疑いという問題であります。

 お手元一枚目の資料を見ていただきたいですが、昨年末からことしにかけて、新聞紙上等々を中心に取り上げられた事案、特に、例えば原子力委員会関係の専門委員が二〇一〇年までの五年間にさまざまな企業、原子力関連企業から千八百三十九万円の寄附を授受であるとか、あるいは、原子力安全委員会の委員の委員長を含む三割の方、二十四人が、やはり同様に八千五百万円の寄附を授受、あるいは、原子力安全・保安院、今ストレステストで問題になっておりますが、この中にも、三千五百八十五万円の寄附等々、枚挙にいとまがございません。同様に、原子力損害賠償紛争審査会あるいは原子力安全基盤機構等々、以下続いておるわけであります。

 冒頭、一問目、かつて官房長官であられ、今は経済産業大臣である枝野さんにお伺いいたします。

 国民の側から見て、今の原子力行政が、かかるさまざまな事案も含めて、利益相反なのではないか、すなわち、お金を頂戴した教授や、あるいは企業との関係のある方が原子力行政の中に深くかかわっておって、それが信頼できないという疑念を国民が抱いていると私は思いますが、このことについてまず御所見を伺います。

枝野国務大臣 いろいろな報道を御指摘いただきましたが、例えば原子力安全・保安院に関連して申し上げますと、必ず、過去三年間の企業や団体からの調査研究委託、企業、団体の委員会やシンポジウムへの参加によって報酬を得ているか等については、申告書の提出を就任前に求めておりまして、具体的な事例に即して利益相反に当たらないことを厳格に確認しているところでございます。

 同時に、委員会の運営についての透明性を確保することも重要であると考えており、先般、私の指示のもとで、自己申告書についても申告内容別の内訳件数を公表したところでございます。

阿部委員 今、枝野大臣がおっしゃったように、少しは進歩したのですが、国民の受けとめと現実の間には大きな乖離があると思います。

 今お取り上げになった保安院関係では、特に、ストレステストにかかわる二人の委員がいろいろ寄附を受けていらした。そのことがストレステストの審査の中でも問題になったと思います。

 今、枝野大臣は、委員の側から自己申告を受けて、それについて保安院で点検をしておるとおっしゃいましたが、実は、自己申告、例えば幾らお受けになっているかという額の開示がございませんし、また、審査をされているのも保安院であります。逆に言うと、客観性とか透明性にはまだまだ遠いんだと思います。

 この間よく言われるのは、大学等の寄附は、講座に対しての寄附であって個人に対しての寄附ではないというのも、一つよく使われる言い方であります。しかし、原子力行政というのは学界も巻き込んだものだと言われましたので、私は、この段、逆に、どの方が幾らの御寄附を、それは講座であれ個人であれ、受けておられるか、金額までも含めて公開されてはどうか。李下に冠を正さずという言葉がございますが、公開というのはとても重要であります。

 また、それが利益相反に当たらないかどうかを保安院がみずから点検されたのでは、残念ながら第三者性がございません。この点について、枝野大臣はどうお考えであるか。

 ちなみに、二枚目に資料がつけてございますけれども、これは、保安院ではなくて安全委員会関係の、例えば燃料棒の安全性のチェックや炉の安全性のチェックのときにそこに加わる委員が、例えばプラントメーカーと関係性が、お金をいただいていないかどうかを申告するものでありますが、実は、これは自己申告で公表はされません。公表されないと、何かあるんじゃないかとやはり国民側が思います。公表されない理由は個人情報保護だと言われておりますが、大きな原子力行政という国民から見た信頼性を個人情報保護を持ってきて隠してしまっては、本来の透明性にはならないと思います。

 二点伺います。今申告されているものを公開されてはどうですか。それが利益相反に当たらないかどうかは第三者を入れてお考えになってはどうですか。いかがでしょう。

枝野国務大臣 透明性をより高めるという意味で、御指摘いただいた考え方というのは一考に値するというふうに思っております。

 ただ、現在の委員の皆さんにこれまで提出いただいております資料については、公表をしないということを前提に提出していただき、なおかつ委員等に就任をいただいているということでございますので、今後のあり方の議論の中で、今のような御指摘を踏まえて、対応について検討させていただくというのがお答えできる範囲かなと思っております。

阿部委員 これは塩崎委員もよくお取り上げになりますが、例えばアメリカの原子力規制委員会、NRC等々では、非常に厳しい基準になっております。それは原子力規制が、政治家からの独立、政治からの独立と同時に、利害団体、当事者と一線を画すように、本当にきめ細やかな基準がつくられております。

 細野大臣に伺います。

 今後、原子力規制庁を環境省の外局としておつくりになるということですが、私は、今のままの体制では、とても、ここに多々あるような問題で国民から見ての信頼を得ることができないと思います。アメリカの原子力規制委員会に倣って、研究をされてでも構いません、例えばガイドラインの作成のための委員会をまずつくって、NRCの事象を研究して、新しい安全規制庁ではこうあるべきだというような、きちんとしたガイドラインをつくることなども含めて御検討されてはどうでしょう。

 ちなみに、お手元につけました資料の中で最後のページを見ていただきますと、今度の原子力の規制庁では、どこがそういう役割を担うのかが明確でございません。そこに組織図を挙げましたが、御答弁いただきたいです。

細野国務大臣 御提案は非常に前向きなものだというふうに思いますので、しっかり検討したいと思います。

 一つの考え方は、今御質問もされたように、公開を積極的にしていくということもあるというふうに思うんですね。

 これまで一つありましたのは、原子力安全委員会の場合は国会の同意人事ですので、同意人事でされている委員については、そのときに判断されたものということで、そういうチェックが働いてこなかったというのがございます。これから、原子力規制庁だけではなくて、原子力安全調査委員会、調査委員と委員会というのをつくるわけでありますけれども、その委員も国会同意人事にしたいというふうに思っておりますが、そこも含めて、どういう形で国民の皆さんにそれを判断していただけるのか、客観的に政府の中でそれを検証していけるのかということについて、あり方をちょっと検討してみたいというふうに思います。

 今、専門家をばあっといろいろと見ていますと、原子力の研究をしている方というのは、多くの場合は何らかの形で、最近は科研費をとるというのが一つの学者としての能力ということにもなっているようで、かかわり合いの全くない人だけで原子力規制をするのは難しい面もあるかもしれません。その場合は、やり方としては、公開と、そしてそれが利益相反にならないかどうかという評価の部分にかかってくるというふうに思いますので、やり方を検討させていただきたいと思います。

阿部委員 お二人の大臣の答弁、しっかりと実行していただくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、移植医療、臓器移植について質問をさせていただきます。

 三年ほど前に臓器移植法が改正されました。私も、議員立法の法案提出者として、法改正の超党派の議連の事務局を務めておりました関係で、大変この問題に関心を今でも持ち続けております。

 移植法改正に伴って、その後、移植件数が大分増加をいたしました。また、法改正によって、本人の意思が不明な場合でも、家族の同意で臓器提供が可能になりました。そのため、以前にも増して、ドナーの側の家族のフォローあるいは精神的なケアというものがより必要になってまいります。ドナーの家族というとこれまで余りスポットが当てられていない分野だと思いますけれども、そういった方々に対するケア、フォローの体制について厚労大臣のお考えを伺います。

小宮山国務大臣 委員を初め超党派の皆様の御尽力で、平成二十二年七月に改正臓器移植法が施行されまして、今御指摘のように、ドナーの家族の承認のみで臓器提供ができるようになったことから、家族の方に対する心のケア、これが一層重要になっていると思っています。

 これまでも、日本臓器移植ネットワークで、ドナーの家族の心のケアを担う医療専門職の設置ですとか、家族ケアを担うコーディネーター等に対する研修の充実、こうしたことを行うほか、ことし一月からドナー家族専用のダイヤルの設置を行っています。

 さらに、平成二十四年度の予算案では、ドナー家族に対して、必要に応じて精神科医師ですとか臨床心理士などによるサポートを行う、こういう継続的な支援を行う事業を盛り込んでいるところです。

山内委員 そういったいろいろなフォローの体制、少しずつ充実しているというふうには聞いておりますが、ぜひ今後とも力を入れていただきたいと思います。

 次に、臓器移植に当たっては、移植コーディネーターという人の役割が非常に重要になります。臓器提供の件数がふえていることもありますので、これまで以上に移植のコーディネーターの人数がどうしても必要になってくると思います。

 現在、私が聞いているところでは、三十二名の臓器移植ネットワークのコーディネーターがいらっしゃいます。ただ、全国をカバーするのに三十二名というと、まだまだ不足しているんじゃないかというふうに私は思いますが、厚労省はどのように認識されているんでしょうか。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、コーディネート業務の体制強化、これはぜひ必要だと考えています。

 このため、平成二十四年度予算案で、日本臓器移植ネットワークの移植コーディネーターを、今委員も言われました三十二名から三十五名へ、これは三名ですけれども増員をいたします。

 また、都道府県で移植ネットワークのコーディネーターをサポートする都道府県所属のコーディネーターという方が各県に一人から三人ぐらいいらっしゃるんですが、これも地方交付税措置を講ずるなどの支援を行ってきているところです。

 これからまた改正法の施行状況を踏まえながら、コーディネーターをさらに増員することも検討していきたいと考えています。

山内委員 今お話にあった都道府県のコーディネーターというのが、一部の県、県によって対応が違うようですけれども、雇用形態が不安定な方も多いと聞きます。ぜひ安心して働ける体制をつくっていただきたいと思います。特に、専門性の高い人材を雇っていくためには、一年契約とかパートタイムではなくて待遇を改善していただくようにお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。

 次に、普及啓発活動ということで、移植法の中に、「国及び地方公共団体は、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定されております。現在、国民への普及啓発活動をどのような体制で行っているのか、そして現状の予算で十分ということなのか、お尋ねをいたします。

小宮山国務大臣 国民の皆様に御理解いただくためには、今おっしゃったように、改正臓器移植法で普及啓発の規定が設けられたことも踏まえまして、臓器提供に関する意思表示の記載ができる運転免許証や健康保険証を平成二十二年七月以降発行しています。

 また、臓器提供に関する意思表示を子供のころから考えていただくために、全国の中学三年生にパンフレットを配付しています。また、インターネットとか新聞などを媒体とする政府広報も行っていまして、この普及啓発に対する予算も平成二十四年度も確保をしているところです。

山内委員 今、臓器移植ネットワークの活動というのが非常に重要なんですけれども、財政的に厳しいと聞いています。ネットワークの活動の経費、厚生労働省のお金あるいは寄附なども入っているのかもしれませんけれども、まだまだ財政的に厳しい状況は変わりません。

 ネットワークの活動の経費を少しでもカバーするために、臓器提供と臓器提供のためのコーディネーションに関する費用を一部診療報酬で支払えるような仕組みが必要ではないかと思います。そういった仕組みについて、厚労省のお考えをお聞きします。

小宮山国務大臣 今委員おっしゃいましたように、臓器移植コーディネーターがだんだん普及してきますと、深夜なども活動しなきゃいけない、そうした経費も必要ということで、今おっしゃいました医療機関の側から診療報酬の収入で一定額があっせん機関に支払われる仕組み、これは骨髄移植等で行っているところでございますので、このあっせんがなければ臓器移植というのはできないわけですから、平成二十四年度診療報酬改定で臓器移植が評価されたことも踏まえまして、臓器移植を行う医療機関などからも財政的に御支援をいただく仕組みができないか、関係者と今検討を行っているところです。

山内委員 財務大臣には質問しませんが、一応、意見だけ言わせていただきたいと思います。

 例えば、人工透析にかかる年間医療費が大体一兆三千億とか四千億、腎臓病の人工透析だけで兆単位の医療費がかかっておりますけれども、移植医療が普及するとこの費用というのは下がっていくということが言われています。移植医療にかける経費というのは、必ずしも単なる経費ではなくて、将来の医療費を減らす方向にも十分作用することがありますので、ぜひ来年度以降、そういった点も御配慮をいただきたいと思います。

 続きまして、臓器提供可能な施設、病院における救急医療体制の整備についてお尋ねをします。

 移植医療に対する信頼をまず得るためには、救急医療をしっかりしておかないといけません。万全の救急医療体制をとってベストを尽くして、もうあらゆる手を尽くしたけれども、残念ながら脳死状態になられたという場合であれば、まだ御家族の理解も得られると思います。しかし、救急医療がいいかげんな体制のままで移植医療だけをやるというのは絶対に許されてはならないことだと思います。まだ助かる可能性のある命を粗末に扱って移植医療ということになれば、移植医療も決して広がっていかないと思います。そういった意味では、医療体制、救急医療の体制整備というのが非常に重要です。

 臓器提供を家族が申し出るケースというのを調べてみると、お医者さんが救急医療をしっかりやってくれたと家族が信頼感を持ったケースほど、家族の側から提供を申し出るケースが多いと言われていますので、そういった救急医療体制の整備が重要だと思っておりますが、現在の体制についてお尋ねをします。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、十分な救命救急が行われた上での脳死に至った方から行われる、そのことは脳死判定基準を定める厚生労働省令にも明記をされているところです。

 そういう意味で、救急というのは診療科の偏在の中でも非常に危機的な状況にあるということから、診療報酬を二年続けて、ことしはわずかですけれども、プラス改定をして、そこのところをしっかりと力を入れておりまして、救命救急センター、小児救命救急センターなどの体制の強化を図るための対策を盛り込んでいるところです。

 これからも、臓器提供を行う施設も含めまして、救急医療の充実にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

山内委員 あと二分しか時間がないので、最後の質問になるかと思いますが、小児からの臓器提供の可能な施設の充実ということについてお尋ねします。

 これまで、法改正以前は、小児の臓器提供というのはそもそも不可能だったので、そういう施設はあるはずがありません。ですから、法改正後必要になったということでは、小児からの臓器提供が可能な施設をこれから早急に整備していく必要があろうかと思います。現状はどのようになっているのか、お尋ねします。

小宮山国務大臣 小児からの脳死下での臓器提供を行う施設、これは、一つは高度な救急医療に対応できること、今の前の御質問とも関係します。二つ目は、虐待を受けた児童への院内体制が構築されていること。こうした要件を満たす医療機関とすることを臓器移植のガイドラインで定めていまして、この対象になる高度な救急医療ができる施設が今全国で五百四ございます。こうした施設を増加させるために、説明会を通じたガイドラインの理解の促進ですとか、提供施設や脳死判定のマニュアルの作成、また脳死判定等のシミュレーションの支援などに取り組んでいます。

 こうした要件を満たすと回答した医療機関は、おととしの六十五施設から、昨年六月末には百五十八施設に増加をしていますので、五百四の中の六十五から百五十八になったので、ある程度は整ってきていると思いますが、さらにできるところをふやしていけるように努力をしたいと思います。

山内委員 では、もう時間が来ていますので最後に要望ということで、臓器移植法改正後、脳死の方からの臓器提供は三倍にふえています。予算も人員も三倍にふやせとは申しませんが、ぜひ充実を図っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十二日午前九時から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


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