衆議院

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第15号 平成24年2月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十四年二月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      大西 健介君    金森  正君

      神山 洋介君    川口  博君

      川村秀三郎君    岸本 周平君

      工藤 仁美君    櫛渕 万里君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      瑞慶覧長敏君    杉本かずみ君

      菅川  洋君    空本 誠喜君

      高井 崇志君    高橋 英行君

      高邑  勉君    玉木雄一郎君

      玉城デニー君    津村 啓介君

      中野渡詔子君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      藤田 大助君    馬淵 澄夫君

      三宅 雪子君    向山 好一君

      村上 史好君    村越 祐民君

      室井 秀子君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    吉田 統彦君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      菅原 一秀君    竹本 直一君

      橘 慶一郎君    徳田  毅君

      中川 秀直君    丹羽 秀樹君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    竹内  譲君

      東  順治君    笠井  亮君

      高橋千鶴子君    内山  晃君

      中後  淳君    阿部 知子君

      江田 憲司君    山内 康一君

      中島 正純君    石川 知裕君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   総務大臣         川端 達夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)   古川 元久君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     空本 誠喜君

  大西 健介君     高邑  勉君

  岸本 周平君     川村秀三郎君

  櫛渕 万里君     津村 啓介君

  佐々木隆博君     工藤 仁美君

  杉本かずみ君     玉城デニー君

  橋本 博明君     菅川  洋君

  花咲 宏基君     藤田 大助君

  馬淵 澄夫君     向山 好一君

  湯原 俊二君     吉田 統彦君

  渡部 恒三君     村上 史好君

  伊東 良孝君     中川 秀直君

  小里 泰弘君     菅原 一秀君

  橘 慶一郎君     丹羽 秀樹君

  山本 幸三君     徳田  毅君

  東  順治君     竹内  譲君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  内山  晃君     中後  淳君

  山内 康一君     江田 憲司君

  松木けんこう君    石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     岸本 周平君

  工藤 仁美君     高橋 英行君

  菅川  洋君     橋本 博明君

  空本 誠喜君     高井 崇志君

  高邑  勉君     大西 健介君

  玉城デニー君     瑞慶覧長敏君

  津村 啓介君     櫛渕 万里君

  藤田 大助君     花咲 宏基君

  向山 好一君     三宅 雪子君

  村上 史好君     渡部 恒三君

  吉田 統彦君     稲富 修二君

  菅原 一秀君     小里 泰弘君

  徳田  毅君     小野寺五典君

  中川 秀直君     伊東 良孝君

  丹羽 秀樹君     竹本 直一君

  竹内  譲君     東  順治君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  中後  淳君     内山  晃君

  江田 憲司君     山内 康一君

  石川 知裕君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     神山 洋介君

  瑞慶覧長敏君     川口  博君

  高井 崇志君     打越あかし君

  高橋 英行君     中野渡詔子君

  三宅 雪子君     磯谷香代子君

  小野寺五典君     山本 幸三君

  竹本 直一君     橘 慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     馬淵 澄夫君

  神山 洋介君     湯原 俊二君

  川口  博君     杉本かずみ君

  中野渡詔子君     佐々木隆博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 本日は、経済(円高・デフレ・第一次産業等)についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 冒頭、天皇陛下の一日も早い御回復を心よりお祈りいたします。

 さて、本日は円高、デフレからの脱却がテーマでございます。きょうは、二月十四日に行われました日本銀行の追加金融緩和、昨年夏以降四次にわたって編成されました補正予算、そして円高対策、こういった政府、日銀のマクロ経済政策の政策効果を検証しながら、デフレ脱却への道筋を議論させていただきたいと思います。

 デフレは、OECD等の国際的な定義によれば、一般物価水準の継続的下落と定義をされます。日本では、多年にわたるデフレ環境のもとで、欧州危機が発生し、また、円高、東日本大震災、そしてそれに続く原発問題、エネルギー供給の制約など、企業や家計にとってみれば、五重苦、六重苦、大変な困難な環境が続いております。

 しかし、その一方で、実体経済の制約という面のみならず、いわば心理的な側面と申しますか、将来の日本のビジョンが、あるいは政府、日銀の描く将来の経済の姿、こういったものが、新成長戦略、日本再生戦略などさまざまな形でまとめられているにもかかわらず、必ずしも国民の皆さんに十分に届いていない。あるいは、震災、原発問題などの出来事もあって、必ずしも当初予定していたほどのスピード感が持てていない。

 そうした中で、国民の皆さん、一般企業におかれましては、将来どのような分野に投資をしていけばいいのか、また事情が変わってしまうのではないか、一般家計におきましても将来への不安から消費を少し手控えている。そうしたことがさらに悪循環となって、将来の成長への期待、物価上昇への期待といったものをしぼませている面もあろうかと思います。

 こうした中、本日は、政府、日銀の描く成長戦略あるいはデフレ脱却のシナリオを再確認させていただき、日本経済、後ほど触れてまいりますけれども、いろいろと再生、復活の兆しも芽生え始めております。そうした芽を力強くサポートしていく、そして、国民の皆さんに自信を取り戻していただき、日本経済の力強い復活の年にしていく、そんな思いで御質問をさせていただきたいと思います。

 それでは議論の出発点として、まず総理、日本経済が長期のデフレに陥っている根本的な原因は何であるとお考えか、お聞かせください。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 御質問は、我が国が長期にわたりデフレから脱却できないその原因ということでございますけれども、一つは、あのバブルが崩壊をした後に、資産デフレそしてバランスシートの調整ということが長期化をする中で、需要不足状態が続いてきているということであります。また、こうした中で期待物価上昇率が低下をしてきている、これも指摘をされていることだと承知をしております。

津村委員 今総理がおっしゃられたことは、少し難しい言葉でおっしゃられましたけれども、需要不足ということでありますから、物をつくって供給をする方々の経済規模に比べて、それを消費する、あるいは投資を行う、この物を買う方々の規模が少ない、そのギャップが生じている、そういうことだろうと思います。そして、そのことが企業や家計のマインドを冷やして、このままでいくと将来も余り期待できないんじゃないか、デフレから抜け出せないんじゃないか、これが今総理がおっしゃられた期待物価上昇率の低下ということの少しかみ砕いた意味なのかなというふうに思います。

 そう考えますと、やはり、まずは将来の成長への期待というものを高めていくために安定したマクロ的な経済環境を整えること、そして十年後、二十年後、あるいは五十年後の日本が、高齢化という、あるいは人口減少という大きな制約を抱える中で、あるいは厳しい財政制約の中で、しかし力強い成長を遂げていく姿、まず政府がこれをしっかりと描き、伝えていく努力が必要かと思います。

 この十数年、私は、霞が関の縦割りも一つの大きな制約になっていたのかと思います。成長戦略という言葉、政権交代直後に、当時の菅副総理・国家戦略担当大臣、そして国家戦略室長を務められた古川現大臣、御努力をされた部分でありますけれども、それまでは、毎年のように、しかも各省庁がいわば予算獲得のための一つのプレゼンテーションとしていろいろな成長戦略を出して、それがばらばらだった。そして、毎年のように変わっていた。そうすると、何を信じていいのか、企業は思い切った投資ができない。このことを変えていくというのが、この民主党政権二年半の取り組みだったんだろうと思います。

 二年半の間にもいろいろなことがありました。しかし、野田総理は、財務副大臣、財務大臣、そして内閣総理大臣として常に民主党政権の経済政策の中枢におられ、そして、今国家戦略担当大臣を務めていらっしゃる古川大臣は、まさにこの新成長戦略を取りまとめた責任者をされた方であります。この二年半、まさに一本の筋を通して民主党政権が成長戦略を描いてきた、このことをもっともっと予算あるいはさまざまな政策の中で光を当て、さらに加速をさせていただきたい。そのことが、今おっしゃられた二つのデフレの根本的な原因を、短期的な金融緩和やこういった対症療法的な政策ではなくて、デフレーションの根本原因を治す処方箋なんだろうというふうに思います。

 それでは、少しこの間の経緯を振り返っていきたいと思いますが、二年前、二〇〇九年の十一月にデフレ宣言というものがありました。古川大臣、このデフレ宣言の背景についてお伺いしたいと思います。

古川国務大臣 おはようございます。

 津村委員には、政権交代のときから私と一緒に、まさに経済財政政策や国家戦略を努力いただきました。今お話のあった新成長戦略も一緒になってつくってまいりました。そういった意味では、まさに津村議員も本当に一生懸命汗をかいていただいた。そうしたものを今のこの野田政権でも引き継いでやっていくということでございます。

 そのことを申し上げた上で、デフレ宣言について申し上げたいと思います。

 当時の物価状況を見てみますと、消費者物価の基調が六カ月連続で前月比マイナスというふうになっておりました。また、GDPデフレーターで見ましても、季節調整済み前期比が二四半期連続でマイナスになっておりました。さらに、GDPギャップの大幅なマイナスが続いておりまして、それが物価の下押し圧力となっておりました。

 こうした状況を総合的に勘案して、今御指摘がございましたように、二〇〇九年十一月の月例経済報告におきまして、我が国経済は、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にあるというふうに判断したところであります。

津村委員 私の記憶では、マクロ経済政策、政府の経済政策が必ずしもこの五年、十年、国民の心に響いてこなかった一つの背景には、月例経済報告などの景気判断が、実質GDPそのほか、物価の変化を取り除いた実質ベースで景気判断を行ってきた一方で、国民一般は物価上昇、物価下落を取り除くことはできませんから、まさにデフレで苦労している、そこを除いたベースで景気判断をしていたから、ある意味では国民の実感と離れてしまった、そういう面があろうかと思います。そういった意味で、当時のデフレ宣言には、物価の変化、デフレに政府がしっかりと光を当て、目を背けないぞという力強いメッセージがあったのかな、そう考えております。

 しかしながら、そのことを、短期的には、私の記憶では、内閣府の景気ウオッチャー調査という景況感を示す統計がありますけれども、デフレ宣言の直後には、おっ、これは困ったことになったということで景況感が一時的に大きく悪化をし、そこから改めてスタートを切らなきゃいけない、そういった場面もありました。

 私は、経済的な危機に政府がしっかりと光を当てることは大事だと思いますが、これから景気回復、そしてデフレ脱却のシナリオを描いていくときに、必要以上に危機をあおり続けるのではなくて、先ほど申し上げたように復活の兆し、再生の芽のところにはやはりしっかりと光を当てて、そこを伸ばしていくということにぜひ力を入れていただきたいと思います。

 デフレ宣言の直後には、政府と日銀が協調的な政策をとって、十二月だったと思いますけれども、日銀の金融緩和、そして政府の緊急経済対策が発表されました。その後も、政府と日銀の連携が密にとられる中で、最近ではようやく株価も堅調に推移をし、また、歴史的な円高も、このところ二週間ほどでしょうか、日銀の追加的な金融緩和から、やや修正されつつあるというふうに認識しております。

 今後とも、この難しい局面、政府と日銀がしっかりと連携を密にして、さまざまな認識を共有していっていただきたい。もちろん、月例経済報告、ございます。金融政策決定会合もございます。また、国家戦略会議もあろうかと思いますが、やはり総理と白川日銀総裁が直接、個人的な信頼関係も含めて密に連携をとっていただくそういった姿が国民に見える、あるいは海外にも見える、そういったことが大変重要かと思っております。不定期にお会いになるのではなくて、海外でも例のありますように、定期的に連絡をとる、そういった定期協議を御提案したいと思いますが、総理、お考えはいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 津村委員とは、今御指摘のあった日銀の金融政策決定会合、私は財務副大臣で、津村さんが内閣府の政務官で、ともに一緒に出ていたことを懐かしく思い出します。

 そういう公式的な会合だけではなくて、日銀総裁とは頻繁にお会いをしながら、意思疎通をしながら、円高、デフレ克服に向けての問題意識を共有しながら、それぞれ政策はお互いの持ち場がありますけれども、それを克服していくことの危機感、使命感を持って、そしてお互いに理解し合うということは大変重要なことだと思います。

 その意味からも、一月の十六日に、私を含む関係閣僚と総裁、副総裁と意見交換する場がありました。そのときに、より頻繁に膝突き合わせて会うような機会をつくっていこうということになりまして、その一環としてせんだって、二月の十五日に、私と総裁が直接お会いをしてざっくばらんな意見交換をすることもありました。

 これからも頻度をどんどん高めながら、膝突き合わせてのコミュニケーションを図って、そして日本銀行としっかりと適切に連携をしていく、そういう関係をより強化していきたいというふうに思います。

津村委員 今までも十分なそういう意思疎通があった中で、さらに密度を高めていくということで、大変前向きな御答弁をいただいたと思います。

 ただ、総理、私の本も持ってくださっていますけれども、私、これはぜひ総理に御留意いただきたいところなんですが、会うタイミングというのが非常に思惑を呼ぶといいますか、なぜこのタイミングで会ったんだろう、では次に何があるんだろうか、不定期にお会いになるとどうしても、なぜ今というクエスチョンマークが出てきて、いろいろな思惑を呼ぶということがあります。

 私が定期協議と申し上げたのは、常日ごろからコンスタントに、もうそれはそういうものだということでお会いになる形をつくることがかえって信頼を増すのではないか、そういう趣旨で申し上げました。いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 ある程度定期的というのは、例えば、一月にお会いしたような、総裁、副総裁、そして関係閣僚とのものはそういう考え方もちょっと検討させていただきたいというふうに思いますが、総裁と私は、余り決めずに随時お会いをして、頻繁に会うということの方がいいのではないかと思っております。

津村委員 財務大臣、何かございますか。

安住国務大臣 常にさまざまなレベルで連絡をとりながらやっております。

津村委員 それでは、足元の経済状況に向けて少しずつ時間を前に進めていきたいと思います。

 デフレの状況は今どうなっているかということで、私は先ほど、明るい芽も少しずつ芽生え始めているのではないか、そこをしっかりと育てていくことが大事なんじゃないか、悲観論ばかりではいけないということを申し上げました。

 こちらは今お配りしているものでございますけれども、先ほど申し上げた需給ギャップですね、最初に総理がデフレの原因とおっしゃられた需要不足、どれだけ不足しているのかというグラフでございます。こちらをごらんいただきますと、二年半ほど前、これはリーマン・ショックからの大きな落ち込みでありますが、その後、リバウンド、少し回復をしてきて、震災のときに若干もたついた場面はございますけれども、また矢印が少し上に向かっている。

 そして、政府が発表している、内閣府が発表している政府経済見通しによりますと、二〇一二年、二〇一三年のGDP、二%ないしは一・五%程度の上昇が見込まれるということでございます。

 そういたしますと、これから需給ギャップはだんだんゼロに向かって、つまり需要と供給がほぼ均衡に向かうということを事実上政府がおっしゃっているのかなということかと思いますが、古川大臣、需給ギャップは今後いつごろ解消に向かうのか、教えてください。

古川国務大臣 今委員から御指摘がございましたように、GDPギャップは現在まだ政府の試算で大体三%程度存在をいたしておりますが、政府経済見通し及び経済財政の中長期試算においては、マクロ経済の姿につきまして、実質成長率は、二〇一一年度にマイナス一%程度となった後、二〇一二年度には二・二%、二〇一三年度には、慎重シナリオで一・五%程度、成長戦略シナリオでは二・一%程度になる、そういう見込みを考えております。

 また、消費者物価上昇率は、二〇一一年度にはマイナス〇・二%程度となった後、二〇一二年度に〇・一%程度のプラスに転じて、二〇一三年度には、慎重シナリオで〇・五%程度、成長戦略シナリオでは一・一%程度、一%になるというふうに展望しております。

 こうしたマクロ経済の姿を踏まえて見ますと、二〇一二年度、二〇一三年度と、GDPギャップは徐々に解消していくものというふうに考えております。

津村委員 三%とおっしゃいましたけれども、数字でいいますと約十五兆円程度ということになろうかと思います。そして、その三%がまさに、慎重シナリオにおいても二年合わせれば三%、四%前後になるわけですから、二〇一三年度内には需給が均衡するということでよろしいでしょうか。

古川国務大臣 済みません、一点だけ、私、二〇一一年度の数字をマイナス一%程度と言いましたけれども、マイナス〇・一%程度でございますので、ちょっとそこだけ修正させていただきたいと思います。

 ゼロになるかどうかは、ちょっとなかなか今のところでは、まだ確証は申し上げられませんが、解消に向けて進んでいくということは間違いないというふうに考えております。

津村委員 ありがとうございます。

 そうした中で、私は、この需給ギャップを埋めていくことがこれからの成長戦略のまさに最大の目標というふうに考えております。

 こちらをごらんいただきますと、十年単位で見た日本の実質GDP成長率の要因分解ということでございます。

 実績値と今後の姿がありますが、この赤くなっている部分、濃くなっている部分ですけれども、こちらは労働力人口のことですから、もう既に将来の、二十年、三十年後もほぼ数字がはっきりわかるわけですね。これから日本の就業人口、労働力人口が、もちろん、女性の働く機会、高齢者の働く機会、あるいは場合によって外国人の方々の受け入れ、こういったことで、いろいろな議論は、これはこれでしなきゃいけませんが、一方で、私たちがいわばコントロールし得る、もっと努力できるのは、生産性の向上の部分でございます。

 総理は、以前からフロンティアという言葉をしばしばお使いになり、科学技術、あるいはIT、宇宙、知的財産権の戦略、こういった分野にも大変深い御関心を持っていただいておりますけれども、民主党政権は、この科学技術政策、IT政策等でいろいろな新機軸を打ち出してきた。そのことが、残念ながら、研究者の現場の皆さん、あるいは企業の経営者の方々とお話ししていると、何か聞いたことはあるなというふうにおっしゃるんですけれども、なかなかしっかりとしたメッセージとして伝わっていない一面もございます。

 科学研究費補助金、科研費の基金化、複数年度化など、いろいろと新機軸があるわけですけれども、野田総理、民主党の科学技術政策に込められた思い、ぜひお聞かせください。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、科学技術イノベーションは、我が国が将来にわたって持続的に成長、発展していくための国家戦略におけるいわば主力のエンジンだというふうに位置づけております。

 そこで、昨年の八月に策定をしました、民主党政権にとって初めての科学技術基本計画では、科学技術の成果をイノベーションを通じて新たな価値創造に結びつけるような、科学技術政策とイノベーション政策を一体的に推進していくこととしております。あわせて、従来の発想にとらわれない斬新な手法も取り入れて、震災からの復興、再生を最重点としつつ、グリーンイノベーション、ライフイノベーションなどを実現し、新しい成長に結びつけることとしております。

 基本計画では、官民合わせた研究開発投資の対GDP比四%以上、政府研究開発投資の対GDP比一%が目標に掲げられております。総合科学技術会議の改組により、司令塔機能を強化し、科学技術イノベーション政策を強力かつ戦略的に推進をしていきたいと考えております。

津村委員 ありがとうございます。

 私もこれまで、国会議員になって八年余りですけれども、野田総理が総理になられる以前から、この科学技術の分野、宇宙の分野、リニアコライダーの議連というのも御一緒させていただいておりますが、いろいろな場面で夢を、思いを語られてきたことを思い出しております。

 古川大臣にお尋ねしたいと思います。

 先ほど、私、科研費の基金化の話をしました。そのことはちょっと私から御紹介をしますが、科研費、毎年の科学技術の予算を単年度で区切ってしまうと、三月に必ずしも必要のない大きな機械を買わなければいけない、あるいは実験の海外出張を途中で終わらなければいけない。科学技術の研究というのは時間のかかるものですから、単年度主義でなかなか整理できないところがある。研究者の方々には、いろいろな書類の提出だとか、御負担をかけてきた部分、ここを基金化という形で改善したのが菅総理、そして野田総理のもとでも随分拡充をされました。一つの大きな進歩だと思います。

 そうした中で、科学技術の方は比較的光が当たっているんですけれども、IT政策、これは、民主党政権のもとで、一方ではレガシー刷新という言い方をしますけれども、ちょっと古い形の巨大な情報システムについては、むしろ大胆な事業仕分けといいますか、かなり大幅な見直しを行っています。

 そういった意味で、表面的にはIT投資は減っているように見えるんですけれども、それはあくまでも古いレガシーシステムというものを刷新しているのであって、新機軸、ここは、古川さんはデジタルネーティブというお言葉をよくお使いになりますけれども、非常にこれからの若い世代への期待ということをIT戦略の中にもいろいろと織り込まれたと思います。少し御紹介いただきたいと思います。

古川国務大臣 まさにこの分野も津村議員が私と一緒に、科学技術などと一緒に力を入れて、そして平成二十二年五月にIT戦略本部で新しいIT戦略をまとめて、これを六月に決めて、そして平成二十三年八月に改訂をいたしておりますが、今それを、具体的な取り組みのスケジュールに沿って、その工程表に従って確実な実施を図っているところであります。

 その中で、今お話があったデジタルネーティブと言われるような、そういう若い人たちの能力がどう生かせるか、そのための人的資源の能力の向上であるとか、あと、どこでもMY病院構想、自分の情報を病院でデータを入れてもらって、それをほかの病院に持っていく。そうすると、例えば、ほかの病院であった情報を、検査とか何かのを使えるようにする。そういうことがありますと、そのカードを持っていれば、何かどこかで道で行き倒れとか何かになっちゃった場合に、そのときにそのカードであれば、自分がどういう投薬を受けていたか、そういうこともわかって命が助かることにつながるような、そういうどこでもMY病院構想とか、あと、住民票の写しや印鑑登録証明書等の証明書を、役所の窓口以外の、コンビニなんかでとることができる行政キオスク端末の普及、そうした行政効率化及びサービスの向上、さまざまな施策は、今実行に向けてとにかく進んでおります。

 また近々、IT戦略本部をもう一回開催して、そうした取り組みの確認と新たな取り組みに向けての方向性を示していきたいというふうに考えております。

津村委員 IT戦略本部、知財本部など、重要な会議がたくさんございます。野田総理、古川大臣、ぜひ御出席もいただきながら議論を進めていただきたいと思います。

 白川総裁、お待たせいたしました。

 日本経済再生のために忘れてはならないもう一つの大事な柱が、私は国際協調ということだと思っております。ギリシャ問題後の金融危機の中で、国際金融のシステムのあり方が問われているわけでありますけれども、間もなく総裁がG20の方にも行かれるという中で、私は、各国が現在、自国の通貨安に向けて国際的な金融緩和競争を展開しているという指摘にも耳を傾けなければならない、そのように考えます。

 まず一つお伺いしたいんですが、現在、国内金融機関の国債保有は大変多くなっておりますけれども、長期金利が一%上昇した場合、国内金融機関の損失は、大手、地方、どのくらいになるでしょうか。

白川参考人 お答えいたします。

 仮に金利が全期間にわたりまして一律一%上昇するというケースを想定しまして、金融機関の保有する債券価格の下落幅、損失を計算いたしますと、大手行につきましては三・五兆円、地域の銀行については二・八兆円でございます。

 議員御存じのとおり、これは機械的な前提を置いて計算しておりますので、あわせて、金利が上昇するときには貸出金利も上がるということでございます。

津村委員 ありがとうございます。

 国際的な金融緩和、それぞれ大変な努力をしているわけで、これからも引き続き御努力をお願いしたいところでございますが、こういった非常に国債市場のリスクとも裏表という中で、このリスクについてもしっかり見ていかなければいけないということだと思います。G20、これから行かれるわけですけれども、先ほど私が指摘いたしましたような主要国間での金融緩和競争に陥らないようにすべきという考え方につきまして、総裁の見解を伺いたいと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 各国の中央銀行は、自国の経済、金融の安定ということに全力を尽くしております。しかし、同時に、これだけ金融のグローバル化が進んでおる現状を考えますと、自国の金融政策が他国にどういうふうに影響し、それがまた最終的にはどういうふうに自国にフィードバックしてくるのか、そうしたことも考えていく必要があるというふうに思っております。

 そういう意味で、今議員が御指摘の点も、私、いろいろな国際会議の場で指摘をしておりますけれども、そうしたことも踏まえて、各国がしっかり政策運営をしていく必要があるというふうに考えております。

津村委員 ありがとうございました。

中井委員長 この際、岸本周平君から関連質疑の申し出があります。津村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岸本周平君。

岸本委員 岸本周平でございます。

 本日は、質問の機会をいただきました。中井委員長初め与野党理事の皆様に御礼を申し上げたいと思います。

 野田総理、覚えていらっしゃるかどうか、昨年の八月、財務金融委員会の八月の総括質疑、特例公債法案と税制法案の締めくくり総括がございまして、当時財務大臣の野田総理に御質問をさせていただきました。

 あのときに、オーストラリア、あるいはカナダ、ニュージーランドなどのように財政再建が成功した国に共通のものがありましたよね。それは、財務大臣を経験した人が総理をやったときには、非常にうまく財政再建が進むという実例がありました。そのことを御指摘して、ぜひ野田総理として財政再建をやっていただきたいということをお願いしたことを覚えております。

 それで、一九五五年体制ができて、戦後の政治の中で政権交代はありませんでしたけれども、景気が悪くなりますと、実は自民党の議席数がふえるというルールがありました。景気がよくなりますと、実は社会党初め野党の議席がふえるというルールがありました。これは政治学の基本でありました。

 といいますのは、政権交代があり得ないものですから、景気が悪くなると、有権者は不安になりますから、自民党頑張ってくれということで議席を与える。景気がよくなりますと、少しおきゅうを据えようかということで野党に入れる。これは政治学の基礎であります。一方で、ヨーロッパやアメリカでは、景気が悪くなると、そのときの与党あるいは大統領の政党は選挙で負けるということでありました。

 そして、ついに、私どもが三年前に政権交代をさせていただいた。この要因はたくさんあると思います。いろいろな要因が重なって政権交代をさせていただいたんだろうと思います。

 私は、実は、選挙でいいますと一勝一敗でございまして、七年前は落選をし、四年間、街頭に立ち続け、そしてまた三年間、現職としても週末は街頭に立ち、有権者の皆様の御意見を聞いております。

 その七年間の経験で今気づいたことなのでありますが、やはりこの政権交代は、有権者の皆さんが、二〇〇八年のリーマン・ショックの後、本当に景気が悪くなって、〇九年も続きました。本当に景気が悪い中で、何とか生活をよくしたい、景気をよくしたい、どうか政権交代を、その結果として私たちの暮らしがよくなるという、わらにもすがるような思いで私たちに政権を託してくださったのではないか。

 しかし一方で、政権交代したけれども、景気はよくなるどころか、かえって悪くなっているじゃないか、本当にこの苦しい生活を何とかしてくれという思いを、私どもは街頭で聞き続けております。

 そして、私たちは、ここでいろいろな反省をすべき点があろうかと思いますが、一つに、これは私の私見ですけれども、政権がかわるということは、もし順調に政権運営がなされていれば政権はかわることはありません。つまり、本当に行き詰まってしまって、にっちもさっちもいかないからこそ政権がかわる、そのことに対する私どもの認識が甘かったのではないかということであります。

 つまり、バブルのときは税収は六十兆ぐらいありました。平時になりまして、五十兆。小泉内閣のときは、税収五十兆で借金三十兆がベースで運営をされてきました。しかし、私どもが政権を引き継いだときには、何と、二十二年度の予算は三十七兆円の税収でスタートせざるを得なかった。

 それは、私たちは、私も経済、財政の専門家とはいえ、そこは想定しておりませんでした。恥ずかしいと思います。しかし、政権交代というのは、日本の場合、本当に行き詰まって、最悪の状態でバトンを引き継ぐ、それが政権交代ということではなかったか。それに私たちは備える覚悟がなかったのではないかということを思います。

 この点について、野田総理の御見解をお聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 政権交代と経済、景気の関係について、大変興味深い御指摘があったというふうに思いますが、ちょうどあの一昨年の九月の政権交代のときは、非常に厳しい状況の中でバトンタッチをされたというふうに思います。今も言われましたけれども、税収が三十七兆、当初四十六兆を見込んでいた税収が三十七兆に落ち込んだ上で予算編成をするということも、私も経験をさせていただきました。

 その後でありますけれども、これは、公平に見て、前政権がまいた種も生きてきつつあったと思いますけれども、政権交代直後の九月以降、四つの四半期にわたってプラス成長になりました。残念ながら、そうした景気の回復傾向があった中で、大震災が発災をしたり、あるいは歴史的な円高となったり、あるいは今の欧州の債務危機等のような下振れリスクが続いてきている中で、今も日本経済の再生のために総力を挙げなければいけないという状況に至っているということでございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 それで、今の景気対策等について質問をしていきたいのでありますけれども、実は、一九九一年からの二十年間、日本の実質成長率は約〇・九%、非常に低い成長が続いてまいりましたので、失われた二十年とも言われているわけであります。

 九〇年代と二〇〇〇年代の景気停滞の原因は少し違っていると思うんです。

 先ほど津村委員からも少しコメントがありましたけれども、九〇年代は何といっても不良債権問題、バランスシート問題で、金融機関がなかなか積極的に成長分野に資金が出せない、そうすると成長期待が失われますから、企業も家計もなかなか支出をしない、消費をしないということであります。そこで、九五年からオーバーナイト金利が〇・五以下ということで、いわゆる金利ゼロ、ゼロ金利政策というのがとられたわけであります。

 そして、二〇〇二年、二〇〇〇年代に入りまして何とか、金融機関に対しても非常に厳しい指導が行われて、バランスシート問題が徐々に解決をされていくということであります。

 そして、〇五年から〇七年、これは大変な円安バブルと欧米のまさに経済のバブルで日本の輸出産業が、本来は日本のような高い賃金でつくってはいけない、あるいは、新興国と競争するような低付加価値の製品をつくる企業は、本来、もう既にその段階では海外に出ておくべきであったにもかかわらず、〇五年―〇七年の円安バブルで実は残っておられた。今、海外進出ラッシュと言われますけれども、これは、円高が原因というよりも、実はその当時に出ておくべきだった企業が出ていかなかったということであろうかと思います、もちろん円高は大変なことですからとめるべきでありますけれども。

 しかし、二〇〇〇年代全体では非常に低成長であった理由は、これは、先ほど津村委員のグラフにもありましたが、まさに生産年齢人口が減り始めた。これはすごいインパクトです。マイナス一%の減少で生産年齢人口が減り、またこれからも減り続けるということであります。

 この辺の、二〇〇〇年代の不況について、その原因、古川大臣の御見解をちょっとお聞きしたいと思います。

古川国務大臣 岸本議員は私が社会人になったときの最初の直属の上司で、今のお話を伺っても、大変いろいろなことを教えていただきました。本当に、私が今こうしてあるのも岸本議員に御指導いただいたおかげだというふうに思っております。そういった意味では、今お話があった岸本議員の分析というのは、私はまさにそのとおりだというふうに思います。

 やはり、九〇年代からの失われた二十年と言われているもの、過去のいわばあの成長時代、高度成長時代、そして本当は、石油ショックのころは低成長、ゼロ成長だと言われたのが、その後バブルが起きて、また、このバブルが崩壊した後も、何か、とにかく頑張っていればまたもとに戻れるんじゃないかという、そういう過去の土地神話に象徴されるような、どうしても、問題を先送りしていれば何とか景気がまた戻ってくるんじゃないか、過去に戻るんじゃないか、そういう発想があった。

 しかし、今も御指摘があったように、不良債権処理を初めとして、そうしたことの問題の解決が、私は財政の健全化はまさにそうだと思うんですが、いわばツケを先送り、先送りしてきた結果、どこかで景気がよくなれば税収が上がって返せるんじゃないか、そのことが財政赤字もどんどん拡大させてきたと思うんです。

 そうした問題の先送りに、今御指摘があったような、二〇〇〇年代に入って、前々から指摘をされてきた高齢化の問題、特に団塊の世代が高齢化になったときにはどうするんだという、まさにその問題が今現実として起きているわけですね。団塊の世代がこれからどんどん六十五歳を超えてきて、今まさに労働人口が、団塊の世代のリタイアによって、年間百万人単位でこれから三年ぐらい続けて減っていくという状況になってきます。

 こういう下押し圧力に対して経済をどう持ち上げていくか、そのことが、今低迷をしている最大の要因じゃないかというふうに私は考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 実は、昨日、社会保障と税の一体改革の集中審議、本当に、建設的なよい議論ができたと思っております。

 その中で、小川淳也委員それから野田聖子委員が、くしくも同じ表を出されました。例の、百年間で九千万人ふえた人口が、百年間でまた九千万人減る。ですから、パラダイムを変えなきゃいけない、発想を変えなきゃいけないということをお二人の与野党の委員が御指摘になって、非常に象徴的だったと思います。

 私は、これまでの財政政策あるいは金融緩和の政策が、やむを得ない、ある程度効果も発揮しましたし、手ぬるいという意見もありましたけれども、通常のパラダイムの中では、かなり政府は、これは自民党政権時代も一生懸命、我々の政権になっても教科書どおりにやってきたのではないかと思います。しかし、そろそろパラダイムを変えていかなきゃいけないときに、本当に今のような常識的な考え方を続けることがよいのだろうか、副作用はないのだろうかというふうに考えるわけであります。

 まさに、財政出動をどんどんしました。しかし、これは一時的に、公共事業をした分だけGDPがふえる、乗数効果が減っていますから。それで、巨額の財政の借金が残る。しかも、これは言葉を選ばなきゃなりませんけれども、公共事業の対象とする建設業、土木業は、生産性の高い分野ではありません。生産性の高くない分野に巨額の資源配分をしてしまったことによって、全体に日本の労働者の生産性が低くなっているという可能性もあるわけであります。副作用がありました。

 そして、金融緩和であります。金融緩和も、目先、火事になっていれば消さなければいけません。カンフル剤は打たなければいけません。しかし、ゼロ金利が十年も十五年も続くことによって、金利によっていろいろな競争を促す、あるいは、生産性の高い企業が生き残り、そうでない企業が淘汰され、日本経済全体の生産性が上がっていくというようなメカニズムを失ったということであります。

 そして、この巨額の財政赤字が、ケインジアン的なクラウディングアウトは今起こしておりません、いろいろな状況で。しかし、実は、民間の資本蓄積を相当食ってしまっております、食い潰してしまっております。まさに、〇九年から、一般政府と民間の富の蓄積、純資本の蓄積が、実はゼロ近辺になっています。つまり、戦後営々として先輩方が積み上げてきた富が、〇九年から積み上げられなくなっているということであります。さらには、民間の、簡単に言いましょう、投資と減価償却、ついに〇八年から減価償却が上回る。更新投資すらできていない状況に陥っているわけです。これもまさに、財政の赤字が民間の資金をどんどん食っていく。

 そして、日銀が国債を買う。それはいいことですよ。しばらくは買わなければいかぬ。しかし、日銀が国債を買うという行動が日本の銀行の行動に影響を与えます。安心して買えます。そうすると、本来、シュンペーター的に言えば、成長分野に銀行が資金を提供する、その能力を失って安全な国債を買ってしまう。その結果、アントレプレナーシップあるいはアニマルスピリットがなくなってきて、日本経済全体が何かぬるま湯の中にいるようになっている、そういう副作用もあったんじゃないか。

 つまり、金融緩和で景気がよくなっても、それは長続きしない。その間に生産性を上げることこそが大事なことではないのかと思うわけであります。

 そこで、実は、非ケインズ効果というのがあります。これもこの副作用です。

 つまり、先延ばししてまいりました。まさに、きのうの話の続きではありませんけれども、高齢者三経費十七兆円、これは全部消費税の国分を充てると平成九年に決めたわけでありますけれども、現在、国分の消費税はわずか七兆円、差額十兆円は赤字国債で賄っている。そうすると、現役世代は不安であります、その借金は誰が払うんだ。そうなると、現役世代は消費を引っ込めて貯蓄をふやす、これが非ケインズ効果であります。

 この副作用もこれまでの政策の中で起きてきたのではないか。この点について、古川大臣の御所見と対応策についてお聞きしたいと存じます。

古川国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。

 私は、日本経済は今、言ってみれば、人間に例えると低体温、低血圧の状況になってしまって、やはりもっと血圧が上がってくるような、そして血のめぐりもよくなって体温も上がってくる状況をつくっていかなきゃいけない。しかし、そういう状況を、今おっしゃったような財政支出やあるいはゼロ金利政策というので、言ってみれば、本当の体の体質改善をしなきゃいけないのに、目の前の出血とか何かだけをとりあえずとめる、そういうことをずっと繰り返した結果が今の状況で、また、やはり財政赤字もこれだけ積み上がって、一方で経済もなかなかデフレからも脱却できないという状況だと思っています。

 そういった意味では、本当に、労働生産人口の減少を上回る生産性を上げるという、まさに、だからこそ、シュンペーターの話をされましたけれども、創造的にやはりイノベーションを起こしていかないといけないところで生産性を上げる。

 同時に、今お話があった、将来不安に対してやはりそこをきちんと解消していくという意味では、社会保障制度を持続的に安定的なものにしていくということが極めて重要なことであって、まさにそうした視点から、今回の社会保障と税一体改革というのは取り組ませていただいているわけでございます。

 こうしたことをきちんとやっていくことによって、将来不安が取り除かれる、あるいは社会保障の持続可能性がきちんと維持される。そのことによって国民の皆様方の不安が解消されれば、それは前向きな投資に回っていく。そうした状況をつくっていくためにも、やはり、財政の健全化、社会保障の一体改革、これは何としても実現をしなければならないというふうに考えております。

岸本委員 今の御答弁、ありがとうございます。

 まさに非ケインズ効果、例えば日本の貯蓄率、これは、ずっと高度成長の時代から二〇%を超えていたものが、年々、この二十年激減をして、二年前にはほぼゼロ近辺まで行って、今は二%ぐらいです。しかし、これは高齢化を調整した推計というのがございまして、いわゆる高齢化によりお年寄りの方が貯金を取り崩すというその効果を取り除いて計数を推計いたしますと、やはり二〇%前後なんですね。この二、三年は上がっています。高齢化を排除した貯蓄率は実は上がっている。つまり、現役世代は貯蓄をふやしている。これはまさに将来が不安だからであります。

 それで、これからの経済運営について、ケースを二つに分ける必要があると思います。一つは、これは保守的に考えるということでありますけれども、生産年齢人口が減っていく中でなかなか高い成長は見込めないという前提を置きましたときには、まさにこの非ケインズ効果をなくしてあげる、つまり、安定的な財源を社会保障に充てることを示すことで現役世代に安心を持っていただいて、消費を喚起していくというやり方があると思います。したがって、まさに低成長であるがゆえに、だからこそ社会保障と税の一体改革を早くしなければいけないということではないかと思います。

 もう一つの観点、もちろん、政府が今新成長戦略を必死でやっておられます。これはいろいろな芽があります。これは、うまくいくという前提にしますと、名目三%成長であります。名目三%になるということは大変いいことであります。税収もふえるでしょう。

 ところが、今ある千兆の借金、これは簡単な話ですけれども、もし名目金利が名目GDPの成長率を上回り続けますと、この借金は発散します。破綻するわけです。しかし、うまく経済運営が行われて、名目GDPの成長率が金利よりも高い状況を続ければ、これは借金が上手に返せるということになるわけであります。

 しかし、この順番がどうなるかは、過去の日本の統計、欧米の統計でも半々なんですね。どっちが上かというのは、そのときによって上になったり下になったりしているというのが現実なんです。

 そうすると、実は、私たちの経済、財政は、一九八〇年代、長期金利は七とか八ですよね。皆さん、御記憶でしょう。定額貯金をしたら七とか八で回る。それが、十年たって五、六になり、二〇〇〇年代には二、三%になり、今、国債の、平均にならすと大体一・五%ですよ、新発債。ですから、残高がふえても、日本の国債の金利払いは下がり続けてきたんです。減ってきたんです、利払い費が。借金の残高がふえても利払い費が下がりますから、やはりそれは財政当局ですら神経が麻痺をしたんだと思います。政治家の皆さんもそうだと思います。その結果として、今のような状態になってしまった。

 ところが、ついにここで金利払いは下げどまりであります。二〇一〇年の実績で利払い費八兆円です。二〇一二年、二年たって、当初予算、二兆円も利払い費がふえています、残高がふえていますから。

 そして、仮に名目成長三%を達成して、私たちの国の金利が二・五になった。今一・五、二・五に一%上がるだけで、これを累積していきますから、ある金融機関の調査では、二〇二〇年の利払い費は二十三兆円になるという推計があります。何と十五兆円ふえるんです。これは消費税で六%です。これは利払い費だけですよ。その可能性はあるんです。そのとき、予算は組めません。

 そして、いわゆる中期の、これは内閣府が出しております経済財政の中長期試算、これがまさにそのことを語っています。慎重シナリオであろうと成長シナリオであろうと、金利はこの先、三になり、四になり、五になっていく。そうすると、国債費が大体今の二・五倍から三倍になるんです。

 これは苦言を呈しますが、内閣府は国債費としか出していないんです。利払い費と債務償還費を分けて出していないんです。私はきのう頼みましたけれども、出してくれません。これはぜひ古川大臣、もう質問しませんけれども、この程度の情報公開は国民にしないと。これは明らかなんです。利払い費が膨張するんですよ。そのことをなぜ隠すんですか、内閣府は。おかしい。

 しかも、それでプライマリーバランスが何とかうまくとんとん、マイナス三くらいになるのは、これは税収が物すごくふえているからつじつまを合わせているんですよ。しかし、さっき言いましたように、金利が上がるスピードが速くて税収が上がるスピードがおくれた段階では、これは絵に描いた餅であります。そういう意味では、野田総理、私たちは今本当に薄氷を踏むような思いで、多分、安住大臣は夜も寝ておられないと思いますよ、心配で。

 つまり、ちょっとした、景気がよくなればよくなったで悪い金利上昇が起きる、悪ければ悪いでこれは早く非ケインズ効果をなくさなきゃいけない。そういうところで、ぜひ野田総理のこれからの経済財政運営についての御所見を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 すばらしい御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 仮に、例えば成長戦略をやって成長する、そのことはいいことです。増収になります。だけれども、物価、金利に影響しますので、一%上がったら当該年度で利払いで一兆円、二年後には二兆円台、三年後には四兆円台、一%上がっただけで。ということを考えますと、当然、増収の道もやっていかなければなりませんけれども、それは一方で歳出圧力にもなるんです。ということは、財政再建、そして社会保障の安定財源を考える上では、どうしても今お願いをしている社会保障と税の一体改革が不可欠であります。

 先ほど、非ケインズ効果のお話がございましたけれども、かつて八〇年代にデンマークとかアイルランドは、きちっと財政再建をやって、金利が下がって、そして消費や投資を促したということもありました。そういう社会をつくるべきこの私どもの提案にぜひ皆さんの御理解をいただきたいというふうに思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 その意味で、社会保障と税の一体改革は本当に避けては通れない道であります。そして、私たちも、野田総理のもとで支えて、社会保障と税の一体改革を進めてまいりたいと思います。

 そのときに、先ほど最初に申し上げました政権交代したときの私たちの思い、そして姿勢、やはり読みが甘かったところもたくさんあると思います。そのことは、謝るべきはきちんと謝った上で、そして、やはり議員定数の削減、議員歳費の問題、政党助成金、さらには国家公務員の給料も今回下がります。しかし、これは二年なんです。時限が二年なんです。これは二年たって戻れば、七・八%、戻っちゃうんです。そんなことはあり得ないわけでありますから、そのときにどういうふうに考えていくのかということも含めて、ぜひ、野田総理を含め内閣の担当大臣の皆様には、まず身を切る努力をするということをもう一度改めてお考えいただいて、私たちも誠心誠意ついてまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 この際、近藤和也君から関連質疑の申し出があります。津村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤和也君。

近藤(和)委員 石川三区の近藤和也でございます。

 今回は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど岸本委員のお話でありました、金利が七%、八%あった時代、ちなみに、私は小学生のときに新聞配達をしていたんですけれども、そのたまったお金を郵貯の定額貯金に預けました。大学を卒業したときには倍になった、そういった記憶を持っています。

 質問に入らせていただく前に、ここ数日間で郵政改革について随分と話が進んできているということを伺っています。与野党を超えて今の日本の問題をしっかりと解決していく、そのことに関しまして、野党の皆様からも非常に今協力姿勢を示していただいているということを伺っています。私から改めて御礼を申し上げたいと思いますし、何とか、郵政の民営化法の修正という形であっても、しっかりと傷口を塞いでいく、この審議が進んでいきますことを強く希望をいたします。

 改めて、きょうは円高、デフレについての質問、そして一次産業ということ、何となくこの三つはつながりにくいんじゃないかな、もしくは、円高、デフレと一次産業はつながりにくいとお感じの方も多いかというふうに思います。この点について、私、近藤和也の立ち位置を簡単にお話しさせていただきます。この点で、円高、デフレということと一次産業というものはつながるんだということも少し御理解をいただけるんじゃないかなというふうに思います。

 私が選出されている石川三区、能登半島を中心とした選挙区でございます。非常に一次産業がしっかりした、またこの一次産業を中心とした、観光業も盛んな地域でございます。昨年、世界農業遺産にこの能登半島四市四町が選ばれました。先進国の中で、佐渡島と並んで、まずトップで世界農業遺産に選ばれた地域でございます。私自身、非常に誇らしい思いを持っています。

 そして、私のもう一つの一面は、私は金融ボーイズというふうに言われています。民主党の新人議員の中、後ろに今井議員もいらっしゃいますが、金融機関出身の新人議員が今たくさん控えています。この金融ボーイズという片面と、また一次産業が非常に強い地域からの選出の議員と、私はこの二足の側面を持っている人間でございます。

 その中で、実は私は、この関連性について、強くあるのではないかな、自分の立ち位置だけではなくて、この円高、デフレ、金融の世界と一次産業のつながりはあると思っています。

 これをあえて強調したいのは、私も選挙区へ帰ったときに、また候補者のときにもよく言われました。余り金融の話せぬといてくれまいや、一体自分たちに何の関係があるんだ、そこら辺は余り難しい話をしないで、もうちょっとわかりやすく、自分たちの生活がどうしたらよくなるのか、これをちゃんと説明してくれ、もしくは、難しい話はもうちょっと控えておいてくれ、そういったこともよく言われることでございますが、ここで改めて、つながりがあるということを少しお話をしたいと思います。

 こちらは世界地図でございます。ちょっと謎かけのような形になりますが、きょうの円高、デフレ、金融に関してということと一次産業のつながり、この点について、野田総理に、この図を見てどうお感じになるか、非常に難しい質問かもしれませんが、よろしくお願いいたします。

野田内閣総理大臣 これは、中国の黄河、それからインダス、ナイル等ですから、四大文明発祥の地、川沿いということですよね。恐らく、だからここは、文明、最初は基本は農業から始まると思いますので、そういうことをおっしゃりたいのかなと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。さすが富山県の血が流れている野田総理でございます。石川県と富山県は非常に仲がいいのでございます。

 それで、私の申し上げたかったことは、農業というものはそもそも投資である、投資を行うことによって、農業を行うことによって文明が発展してきたということでございます。特に、目の前にあるものを我慢してでも、将来は必ずよくなるんだと。田んぼの話でいたしますと、害虫がやってくるかもしれません。ほかに鳥などに食べられるかもしれません。大雨が来るかもしれません。日照りが来るかもしれません。ただしかし、将来は必ずよくなるんだと信じることによって文明が発展してきた、私はこれを申し上げたいと思っています。

 今の日本に足りないことは、この将来がよくなるという気持ち、私は農業スピリッツというふうに言葉をあらわしたいと思いますが、農業、農耕の精神というものを、いま一度私たち政治に携わる者もしっかりと持っていく必要があるんではないか。特に、東日本大震災で今大変厳しい状況に置かれていますが、その中でも、助け合い、きずな、あしたがよくなるという気持ち、リスクを恐れずに、あしたが必ずよくなるんだということを政治がしっかりと表に出していくべきだというふうに思います。

 総理には、田んぼの香りがいたします。非常にありがたいなと思っています。図太く、しぶとく、粘り強く、勇気を持って政策を推進されていくことを心より強く期待をいたしますし、しっかりと御支援をしていきたいという思いでございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。円高・デフレについてでございます。

 私、今あえて、円高・デフレということで続けて申し上げさせていただきましたが、そもそも、円高とデフレというものはセットなんでしょうか。この点について、古川大臣からお願いいたします。

古川国務大臣 関連する部分もあれば、別々の部分もあるということではないかと思います。

 一般的に、外国より物価上昇率が相対的に低ければ通貨の購買力は相対的に増加するというふうに考えられますから、これは長い目で見ますと、デフレが円高に影響する、そういう面はあるかと思います。

 一方で、円高がデフレの原因になるかどうか、そう考えてみますと、定義上、円高で輸入物価が下落することは確かでありますけれども、実際の輸入物価は、為替以外の要因でも変動しております。現実に、昨年からことしにかけて急激に円高が進んでいるんですが、輸入物価は、原油などの価格が上がっているものですから、下がっていないんですね。

 ですから、そういった意味では、では円高がデフレに結びつくかといったら、これは必ずしもそういうふうに言えない。つながっている部分も一面ありますけれども、別々の部分もあるというふうに考えるべきじゃないかと思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 私もそのように感じています。セットとして述べられる部分もあると思いますが、分けて考えなければいけない部分も幾分かあるんだというふうに思います。

 その中で、私が危機感を持っているのは、ここ一年間ぐらいでしょうか、円高・デフレとセットにすることによって、きょうも日銀総裁が、先ほどもいらっしゃいましたし、この後からも来られるかと思いますが、ともすれば、与野党の中で、日銀が何とかすれば今の円高、デフレを脱却することができるんだという議論が随分と多いということでございます。

 私は、ここはやはり修正をしていかなくてはいけない。特に、今の政治状況もそうですが、あの人が悪いから、政治が悪いから今だめなんだ、何か一つの悪者を立てて自分たちの状況を逃れようとする、私はそういったことは変えていくべきだというふうに思っています。これは決して非難をしているわけではございません。

 その中で、日銀法を改正さえすればデフレ脱却できるんだという考え方、私は、ここをやはり見直していく必要が、当然、一部分、そういった議論、正しい部分はあると思いますが、余り思考停止にならないようにしていく必要があるんだと思います。

 ここで、円高とデフレを分けて、簡単にお話をさせていただければというふうに思います。この後の議論に使っていただければというふうに思います。

 今、円高対策としては、大きくは三つあるんだというふうに思います。一つは、応急的な処置、もう一つは、それを利用した形、対策、そしてもう一つは、抜本的な措置でございます。この中でも、一つ問題点を投げかけたいのは、為替介入。私は、これはどれだけ意味があるのかという思いです。

 このパネルの下の方の数字を見ていただきたいんですけれども、一九九二年と二〇一〇年、この二十年の間に売買高は約四倍弱になってきています。しかも、金融派生商品が出てきています。これをしっかりと捕捉することは、正直言って、今はできないと思っています。恐らくは、この数倍、取引高があるというふうに思います。この中で、今、為替介入、意味がないとは言いませんけれども、余りここに力を傾注し過ぎること、また、これについてあれやこれやという追及をすること自体、私は余り適切な、建設的な議論ではないというふうに思っています。

 そしてもう一つ、この為替のそもそもの対処法的なものとしては、為替介入以外で為替の影響を受ける方々のことを考えた施策、こちらはしっかりと打たれてきていますし、この効果というものもしっかりと検証していくべきだというふうに思っています。その中で、円高に対してのマイナスの影響を受ける方々への応急措置としては、第三次、第四次の補正予算の間で中小企業に対してのセーフティーネット、六千億と七千億、計一・三兆、対策が打たれてきています。これは今までになかった政策ではないでしょうか。

 そして二番目の利用型といたしましては、これも私は政権交代して初めてなされたものだというふうに思いますが、昨年、外為特会、この為替の介入の部分から生まれてきている余剰、余剰ということも正確には違いますけれども、約一千億、日本円に直して約八兆円程度、さらに今二兆円程度加えようということでございますが、海外の資源を円高を利用してしっかりととっていく、またMアンドA、企業の買収資金に使う。まだ効果のほどははっきりとあらわれていない部分はあると思いますが、私もこれをずっと以前から思っていました、国家ファンドが必要だと。国家ファンドの一里塚が、今ようやく政権交代によってなされてきた、これは非常に意味があることだなというふうに思っています。

 そして三番目の抜本的対策。私は、この抜本的な対策というのは、現状の日本ではもう無理だ、今は無理だということを思っています。

 よく日米の金利差ということが挙げられておりますけれども、日米の金利差、もう日本はいかんともできません。そしてさらには、アメリカの方、アメリカに金利を上げてくれ、これは現実的には無理なことでございます。この金利差を使っての円安誘導というものは、私は現時点においては無理だというふうに思っておりますし、もう一つの経常収支、貿易収支の黒字、赤字の問題でございますが、円安に持っていくために経常収支、貿易収支を赤字に持っていくということ自体、もうナンセンスでございます。

 そういった点では、抜本的な為替対策というものはないという現実を踏まえた上での施策、肉づけをしっかりと行っていただけたらと思います。

 その中で、私も先日、選挙区の繊維業の社長さんとお話をいたしました。その中で言われたことが、繊維は円高の影響というのを非常に強く受けます。その中で、今二月です、二月末がもう少しです、そして三月末ももう少しでございます。小売業はニッパチですよね。二月、八月決算が多い。そして、サンク、三月末の本決算の企業が非常に多いという中で、やはりこの円高、今は若干、八十円ちょっとに、幸いにもちょっとだけ戻ってはきていますけれども、納入する、特に大手の企業からしてみると、もう既に一月末から急に仕入れ、企業側にとってみると納入ということですが、ぐっと絞ってきている。この二月末、三月末をいかに乗り越えていくか。

 先ほど六千億、七千億のセーフティーネットがあると申し上げましたけれども、こちらがしっかりと実効性のあるものに、ぜひとも現場の声に耳を傾けていただけたらと思います。

 そして、続いてデフレのことにお話を続けさせていただければと思います。

 デフレギャップとはそもそも何なのか、このことについて質問いたします。よろしくお願いいたします。

古川国務大臣 供給能力と需要能力の差、この部分が、いわば供給能力が需要を上回っている、その部分がデフレギャップであるというふうに認識をいたしております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 この需要と供給の差、津村委員からも、そして岸本委員からもお話がございましたが、今まで、ともすれば供給側の視点に立って、デフレ、供給と需要の差を埋めていこうという政策がやはり多かった。意味がないとは言いませんけれども、借金を積み重ねていった。そして、何かあるとまた国から何かやっていただけるんじゃないか、そういった依存的な部分ということがこの十数年間で生まれてしまったんだと思います。

 今改めて、私は、供給側の視点だけではなくて、やはり需要側の視点というものも必要だと。需要側、買い手側ということでございますけれども、買い手側の視点としては、買いたいものがない、これが一点あると思いますが、これはイノベーション政策で古川大臣も一生懸命取り組んでいらっしゃいますが、これはまた企業側の問題だというふうに思います。そして、別の点でいきますと、今度は買い手側が買う余裕がなくなってきている。どうしてここ数年間、買う余裕がなくなってきているのか。それは雇用が不安になってきたから。

 だからこそ、二年前でございますが、企業金融円滑化法が成立をいたしました。私が個人的に大好きな亀井静香さんが、今ちょっと微妙なところではございますが、亀井静香さんが企業金融円滑化法を提唱して、成立させていただきました。最初はごうごうたる非難でございましたが、今、これは続けてくれないと困るというような多くの意見が出てきています。恐らく今国会についても、前向きな方針だというふうに思っています。

 この企業金融円滑化によって企業を守るということと、あとは雇用を守っていくという観点の施策の中で、企業の立地補助金、これも政権交代以降生み出された施策、最初は三百億でございましたが、一千百億、そして今回は五千億、積み重ねてこられています。

 円高という部分と相まって、さらにこういった施策も打たれてきている。今改めて、買い手側、需要側に視点が変わった。私は、これは政権交代の一つの大きな意義だと思います。私も、個人的には、相続税を上げて、そして贈与税を下げて、持っている人から使いたい人にお金を回していく、この施策をぜひとも、今検討をされてきていますけれども、早く実現していただくことを期待しています。

 そして、さらには、今お金を使うことが怖いという風潮もあります。やはり社会保障に関しての不安感というものは非常に大きいですが、昨日もすばらしい議論がなされていました。社会保障と税の一体改革、こちらを、協議と議論、両方しっかりといい意味で進めていかれれば、私は、この需要、このデフレギャップというものは埋まっていく、景気を回復させていくことができるんだというふうに思っています。

 そして、もう一つ、私はあえて細かい数字を言っていませんが、国会の議論では、細かい数字ばかり、余り数字ばかりに偏り過ぎると、ぴんとこない、伝わりにくいものがあると思います。やはり生の感覚、これを与野党ともしっかりと、皮膚感覚というものが必要だと思いますし、そこをぜひとも感じ取っていただければと思います。数字の世界で生きてきた人間だからこそ、私はそういうことをあえて申し上げたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 最後の三枚目の紙を見ていただければと思いますが、これは世界の主な取引所の売買金額でございます。

 一九九〇年から二十年かけてどういうふうに動いてきたかということでございますが、こちらについては、この二十年の間に、日本の伸びがそんなに大したことない。アメリカですとか、上海、シンガポール、もう十倍になっています。ロンドンと比べても、この拡大というものはやはり寂しいということがあります。私がこの図から申し上げたいことは、やはりアジアの部分がふえてきているということと、とはいっても、日本、大きいじゃないか、こういったところはしっかりと見ていく必要があるんだというふうに思います。

 その中で、昨年のクリスマスイブに日本再生の基本戦略が立てられました。成長ファイナンス関係閣僚会議、アジア金融市場の成長を取り込むという施策、そして農林漁業成長産業化ファンド、こちらの構想が立てられました。本当にすばらしい施策だというふうに思います。

 その施策に対して、金融市場を成長産業として捉えていくんだというその意気込みを、自見大臣、よろしくお願いいたします。

中井委員長 自見金融大臣。時間がありません、短く。他党に迷惑かけちゃいけません。

自見国務大臣 近藤和也議員にお答えをいたします。

 今先生が言われたとおりでございまして、成長戦略において、企業や産業の成長力を高める取り組みとして、金融面での取り組みはまさに企業、産業の成長と車の両輪でございます。先生は金融界で長く御活躍でございますからよく御存じのように、金融は社会の血液にも例えられるわけでございますので、そういった意味で、金融担当大臣として、まさに成長ファイナンス推進会議をつくらせていただいたわけでございますから、しっかり全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて津村君、岸本君、近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 日本経済回復のためには、円高、デフレからの脱却が急務であるということは言うまでもありません。また、企業にとっても、円高というものは死活問題であります。これらを大前提としながらも、きょうは、円高問題に対してネガティブに考えるのではなく、円高を逆手に捉えて、ポジティブに考えて、円高メリットを我が国経済に積極的に取り込んでいくということについて御質問をさせていただきたいと思います。

 日本銀行は、二月十四日、中長期的な物価安定のめどを示されました。当面、消費者物価の前年比上昇率一%を目指していくと強力に金融緩和を進めていくことを決定されました。

 このような追加金融緩和やアメリカの景気回復などで、昨日、円相場は一時一ドル八十円〇一銭をつけ、六カ月半ぶりに安値を更新いたしました。また、日経平均株価も九千五百円台まで上昇いたしました。

 景気は、円高や東日本大震災の影響により依然として厳しい状況である中で、穏やかに持ち直しているものの、この穏やかに持ち直しているということが国民の間ではまだまだ実感がありません。日本経済回復のためには、円高、デフレからの脱却が急務であるということは言うまでもありませんが、この歴史的円高、デフレがまだ続くことも予想されます。

 そこで、日本経済の構造転換を促す上でも、円高メリットを活用した政策の必要性が高まっているのではないかと考えます。

 総理は、この円高メリットを我が国経済に積極的に生かしていくということについてどのようにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 昨年の十月に円高への対応策をまとめました。

 柱は三つあって、一つは円高の痛みをどうやって緩めていくかということで、これは中小企業への金融支援などをやるということ。

 それからもう一つは、そういうリスクに負けない強靱な経済をつくるという意味で、先ほどもちょっと御議論がありましたが、立地補助金の拡充などをするということ。

 三つ目が、今中島さんから御指摘のあった円高メリットの活用という方針でございまして、それについては、例えば外国為替資金特別会計からJBICへの融資枠を十兆円に拡大して、まさに海外のMアンドAを推進したり、資源を獲得するための促進を行っていくということをやろうということ。また、JOGMECや産業革新機構なども活用していこう、こういうような体制を組んでおりますので、その実行を確実にしていきたいというふうに思っております。

中島(正)委員 輸出企業にとってもこの円高は非常に大きなマイナスであります。しかし、円高を逆手に捉えて、企業の将来を見据えた戦略的行動を起こすことも重要ではないかと考えております。

 例えば、歴史的な円高の結果、割安で海外の企業を買収できるようになり、海外で活路を広げる動きが活発化しております。日本の某製薬メーカーがスイスの製薬会社を買収したとか、飲料メーカーなどが海外企業を買収したなどということも報じられておりました。MアンドAを行う企業も大企業から中堅企業に広がり、買収の規模も大型案件から中型案件へと多様化してきたとも言われております。

 このような円高メリットを生かして企業が海外へ行う投資活動に対して政府としてどのような対策を講じられているのか、また、その効果はどのようなものであったのでしょうか。古川大臣、お願いいたします。

古川国務大臣 先ほど総理からも御答弁させていただきましたけれども、円高メリットを最大限活用して、海外のMアンドAや資源確保、こうしたものを促進していく、そのために外国為替資金特別会計のドル資金の国際協力銀行を通じた活用や産業革新機構への政府保証枠の一・八兆円の拡充等、施策を講じております。これをぜひ使ってもらいたいということで、枠だけ設定しても使われなければ意味がないので、民間の経済界等に対して、ぜひこの枠を使ってもらいたい、そういうことも今広報活動に政府としても努めているところであります。

 実際に、それが幾つか具体的な形になっているものもございますけれども、昨年あたり、海外のMアンドAの件数は、一九九六年以降では最高の四百五十五件というデータも、あるデータによりますとなっております。

 ですから、そうした状況を、もちろん一方で円高対策はしていかなきゃいけないんですけれども、この状況を活用して逆に海外に投資をどんどんふやしていくということは、いわば円を売って海外のドルだとかそうしたものを調達する、そのことは間接的には円高を抑制する方向にもつながってまいりますので、そういった意味でも、こうした施策を通じてぜひこれを利用してもらいたい。徐々にではありますけれども、今件数が出てきておりますので、その件数がふえるように政府としても全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

中島(正)委員 また、レアメタルなど資源、またさまざまな燃料、それから食料、この確保は日本経済にとって最も大切な課題だというふうに思います。特に、福島原発の事故の影響により、ほとんどの原子力発電がストップしておりますので、燃料を備蓄していくということは大変有効なことだと思いますが、円高メリットの活用による海外資源の確保については、政府として何か取り組んでおられるのでしょうか。枝野大臣、お願いいたします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、円高のメリットを生かすということで、一つ大きな柱になるのは、エネルギーを含めた地下の天然資源について、この機会に権益をできるだけ確保するということだと思っております。

 このため、平成二十三年度においても、例えば、カナダのシェールガス田の買収、マレーシアの石油、天然ガスの探鉱、インドネシアの石油、天然ガスの探鉱などについて既に出資済みでございますし、それから、レアアースについて、ベトナムのドンパオ鉱床やインドのインディアン・レアアースプロジェクトなどについての調整を進めているところでございます。

 さらに、この機会にということで、今、資源のある国、そして日本の技術などに期待をしている国に対して積極的な投資を行うことによって、できるだけ将来にわたっての資源権益を確保したいということで努力をしています。

 また、先ほど古川大臣からお答えもありましたが、企業の買収とか海外投資に当たっても、特に中小企業が海外で積極的な投資をしていくことができるように、これはジェトロなどを通じて支援を、サポート体制を強化して、円高メリットを生かせるように努力をしているところでございます。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 円高のマイナス面の裏側に必ずプラス面というものも出てきております。このメリット部分を積極的に我が国経済に取り込んでいけばよいのではないかということを提案させていただいて、御質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、石川知裕君。

石川委員 新党大地・真民主の石川知裕です。わけあり新党なんて呼ばれておりますが、北海道十一区の石川でございます。

 日銀総裁にまずお尋ねをしたいと思います。

 二月十四日、日本銀行が発表したところでは、十兆円の追加量的緩和で、きょうの円を見てみても半年ぶりに八十円台ということで円安、株高が進んでおり、一定の効果が出ておりますが、これは何回も切れるカードではありません。欧米のようにもっと思い切ってやるべきだったのではないかと思います。

 野田政権は消費税増税に向けて進んでおりますけれども、消費税増税を行えば深刻な不況が続くのではないかというふうに大変不安視している国民も多いのが事実です。

 この量的緩和の目的を改めてお伺いしたいのですが、今回の緩和で景気が回復をしていくのではないかという感じをつくり、デフレ脱却というよりも、消費税増税は大丈夫なんだという環境づくりが念頭にあったのではないか、実は増税を国民に納得させることが一つの目的だったのではないかどうか、お尋ねをしたいと思います。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、二月の十四日の決定会合で、今先生御指摘のとおり、金融緩和の強化を決定いたしました。この目的でございますけれども、これは、デフレからの脱却、そのもとで、物価安定のもとでの持続的経済成長を実現していくという日本銀行の政策の目的ということを意識して行ったものであります。

 それから、このタイミングでございますけれども、現在、世界経済を見ていますと、年明け以降特にそうでございますけれども、欧州の債務危機につきまして、もちろん厳しいんですけれども、少しずつ前進の動きが出ている。あるいは、米国についても、雇用、消費を中心に少しずついいデータが出ている。そういう中で、少し出てきています明るいムード、これを後押しするということを通じまして先ほどの政策課題をしっかり達成していこうというのが今回の狙いでございます。

石川委員 もう一問、日銀総裁にお尋ねをしたいと思います。

 総裁は、今回の決定の中で、当面、消費者物価の前年比上昇率一%を目指す、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により強力に金融緩和を推進すると発表しております。

 ただ、現在、イラン情勢が大変危惧されております。中東情勢はどうなるかわかりません。こうした国際情勢が不安定な中で、原油の値上がりなどで、仮に、景気回復していないのにもかかわらず、日本の国内の景気状況にかかわらず物価が上がるようないわゆる悪いインフレ、こうした状況でも金融緩和を終了するのか。

 また、そういった外部要因で消費者物価が上がった場合には、金融緩和まで打ち切られてしまうという危惧で、今回数値を設定したことで金融市場に余計に無用の混乱を与えてしまうのではないかという懸念もあるわけですけれども、日銀総裁はその点についてどうお考えなのか、二点お尋ねをしたいと思います。

中井委員長 白川日銀総裁。時間が参っておりますので、短くお願いいたします。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、機械的に金融政策を運営していくということは行いません。今先生御指摘の、石油価格が上がってインフレ率が上がっていくというのは、これは一時的な要因だということであれば、そういうときにこの物価上昇をもって直ちに金融緩和を終了、そういうことは考えておりません。私どもがターゲティングという言葉を避けていますのも、実は、ターゲティングという言葉が往々にして機械的ということを多少連想させるという面もございます。

 私どもとしましては、そういう意味では、物価の基調的な動き、これを見て判断をしていくということで、今先生が御懸念のようなことを私どもは考えているわけではございません。

石川委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて石川君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川秀直君。

中川(秀)委員 自由民主党の中川秀直でございます。

 きょうは、多くの国民がこの質疑を見ているわけであります。特に、円高、デフレ不況にあえぎ苦しむ、そうした皆さんも見ているわけであります。

 今、生活保護は約二百八万人と、政権交代後のこの二年間で約二割急増しました。また、全雇用者の三五・二%、何と千七百三十三万人が非正規雇用にあえいでいます。非正規雇用の四人に三人が、年収二百万円、つまり月給二十万円もない、こういう所得以下で暮らしているわけであります。さらに、歴史的な超円高で、電機、自動車など製造業が軒並み大幅な赤字決算、国内生産や雇用の大幅な削減を迫られている、そういう中で不安にあえぐ従業員や関連企業もあります。

 きょうは、こうした多くの国民の声を代表して、私は質問させていただこうと考えています。

 まず、もう二十年、三十年前から議論があったのに、アメリカの連邦準備制度理事会、FRB、中央銀行の決定を見て、日銀は、つい先日、ようやく、当面一%の物価、まあゴールといって、私は目標だと思いますが、そういう金融政策を初めて打ち出しましたが、それでも世界の常識の二%物価目標の半分程度にしかすぎない。七カ月ぶりに一ドル八十円にきょうもなっていますけれども、八十円では事態はそう変わりません。まさにいろいろ各方面から、日銀はツーリトル・ツーレートだ、余りにもそうだ、そういう声が出てくるのも、私は、一部当然ではないかと考えます。

 まず、お尋ねですが、昨年十月二十五日の参議院の財政金融委員会で、中小企業者等の業況や資金繰りは、震災や円高の影響もあって、依然として厳しい状況にあると、自見さん、金融大臣、あなたはそう御答弁されましたね。中小企業の資金繰りについては、昨年十二月の日銀短観を見ても、まだまだ厳しいという結果が出ています。

 自見さん、今、昨年十月末と同じ認識でしょうか。

自見国務大臣 中川秀直先輩にお答えをいたしたいと思っております。

 御存じのように、我が国の経済は、東日本大震災の影響により、依然として厳しい状況にあるものでございますが、緩やかであるけれども持ち直しているというふうに承知をいたしております。

 しかし、また先行きについては、各種の政策効果、その中で今、中川先生が言われたように、中小企業金融円滑化法案ということが中小企業の資金繰りについて入っていると思っておりますが、実は、中小企業金融円滑化法案、二年前に作成をさせていただきまして、こういう法律がなければ、もう先生御存じのように、まだもう少し中小企業は倒産しただろうということでございますが、貸し付けの変更条件を、銀行の監査、調査、中まできちっと入れさせていただいて、御存じのように効果がございます。これは、きのう私、財金委員会で申し上げました。一年間最終延長をさせていただくということを言いまして、今の認識からいえば、先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待されています。

 ただし、これは、欧州債務問題が金融システムの懸念につながっていること、この下振れリスクがございますので、そのことをしっかりやはり頭に入れて経済運営を認識していくことが必要だというふうに思っております。

中川(秀)委員 ちょっと質問にだけ答えていただきたいんですが、要は、法律もいろいろ努力しているけれども、先行きもまだまだ厳しいよ、そういうことですね。

 私は、それについてちょっと白川日銀総裁に伺いたいんです。

 私も大臣と同じ認識を持っておるけれども、二月十七日の講演で日銀総裁は、「実際、わが国の企業経営者の皆さんに直面する経営上の問題を聞いてみても、手元流動性が不足しているという声はほとんど聞かれません。」ついこの間の講演ですね。つまり、お金が足りないという声は企業経営者から聞こえてこない。「仕事の量あるいは需要そのものが不足していることを訴える方が多いのが実情です。」こういう講演をなさっておられるんですが、私は、中小企業の資金繰りに苦しむ実態を無視した判断だと思いますよ。貸し剥がされたものを、また貸してもらってなんかいないわけであります。

 白川さん、私がここに持っている昨年十二月の日銀短観というのがあります。細かい業種別計数というのがあります。

 これを見ますと、少なくとも昨年十二月の短観では、中小企業の資金繰りの厳しさは統計にはっきり出ていますね。苦しいという方のマイナスの方が圧倒的に多いじゃないですか。大企業はそうでないというのが少し出ていますが、中小企業はほとんどマイナスじゃありませんか。

 そういうふうに短観で出ているのに、あなたにはこういう中小企業の資金繰りの苦しさの声が届いていないのか、それとも、そういうものを無視して政策運営しているのか。総裁の発言は、みずからの日銀短観にしても、誤解を招くと思いますよ。撤回すべきと思いますが、どうですか。

白川参考人 お答えいたします。

 まず、企業の資金繰りの状況でございますけれども、私ども、短観、それから日本政策公庫、商工中金のさまざまなアンケート調査も使いながら、企業の資金繰りの状況を判断しております。全体として、企業の資金繰りの状況について、企業からの回答、特に中小企業を中心にして厳しいという回答が多いこと、これは十分認識しております。その上で、企業の資金繰りの状況がどういうふうに時期を追って変化しているかということも注意深く見ております。

 これは統計の種類によって若干異なってまいりますけれども、例えば、二〇〇〇年代に入ってからの平均値との関係で、国民公庫あるいは商工中金のデータを見ていますと、平均よりかは少し上回るという感じで、少しずつ改善はしています。しかし、全体として厳しいということについては認識をしております。

 それからあと、資金繰りとは別に、今度は手元の流動性、現預金の量ということでございます。

 現預金の量につきましては、マクロの統計的にも現預金の量がずっとふえてきている、経済活動に比較してもふえてきているということで、そういう意味で、先ほど先生が御指摘の講演の件につきましては、これは特に大企業が確かに中心ではありますけれども、しかし、今、現金は十分にあって、しかし仕事がない、この点について何とかしてほしいというふうによくおっしゃるということを申し上げた次第でございます。

中川(秀)委員 要は大企業のことを言ったんだ、こういうふうに今御答弁があったような気がいたしますが、それだけじゃ困る。前段の答弁のところをもっと十分に配慮する政策運営をしないと、日銀は独立性を与えられていても国全体のことを考えていないということになるではありませんか。

 野田総理、与野党協議の前に、まず、経済の基本認識を私は共有しなきゃいかぬと思うんですね。

 まず、失われた二十年についてです。

 パネルが出ましたが、見てください。皆さんの配付資料にもございます。一枚目です。

 一九九一年の名目GDP、経済規模ですね、これは四百七十四兆円。二〇〇九年、二〇一〇年もほとんど同じですが、これも四百七十四兆円。二〇一一年も同規模でしょう。これが失われた二十年なんです。全く同じなんです。日本国民みんな、二十年間、経済の規模でいうととまっている、そういうことになってしまう。だから、私は、年齢から二十歳引いて、失われた二十年ですから四十八歳と今言っておるんですが、野田総理も三十四歳ということになるので、大いに信念を持って頑張ってもらわにゃいかぬですが。

 何となく、名目GDPというと、形式だけで本当でないみたいなイメージを与えますけれども、違うんですね。まさに、名目とは時価での経済成長の動きです。税収も時価、企業経営も時価、働く人たちの給与も時価です。まさにこれが世界の経済の正しい物差しですよ。

 問題は、この名目成長率と税収が比例した動きをすることです。これは実は、青線のところがGDPです。赤線が税収です、日本の国税収入ですね。ついこの間、民主党政権の最初のときには、三十八兆円まで下がってしまいましたね。この税収の一番低いところです。そして今、四十一兆円。

 しかし、これを見てもおわかりのとおり、消費税を昔、三%から五%に上げたのが九七年。ちょこっとだけ五十三兆九千億と上がりましたが、その前年の五十二兆一千億、一度も、五%消費税のままで来ても上がったことがないんですよ。ちょっと、小泉時代の最後、安倍政権のころに五十一兆という税収がこのときありましたが、ほとんど、消費税三%のとき以上の税収になったことがない。二〇〇九年なんか、三十八兆七千億まで下がった。

 つまり、何を言いたいかというと、このGDP、経済の規模が拡大しない限り税収は上がらぬ、税制ではなくて、税率ではなくて。このことを、野田総理、認めますか。

野田内閣総理大臣 この資料は福田政権まで書いてあるんですけれども、その後どっと、いわゆる名目GDPが落ちて、税収も落ちていますが、麻生政権もあるんですよね。これは、落ちた理由はやはりリーマン・ショックの後の影響ですから、そこはちょっと正確に資料が読み取れるようにしていただければと思います。

 その上でですが、では、消費税を上げて増税をして、その後、税収が落ち込んできているじゃないかというお話です。成長と税収との関連をお話しになりましたが、もちろん、成長すれば税収はふえていきます。でも、消費税を上げた後、こういう形で税収が落ち込んでいったというのは、これは累次の減税もあったからではないでしょうか。これだけで、相関関係を語れるとは思いません。

中川(秀)委員 今この答弁は、国民が聞いておられるし専門家も聞いているわけだが、減税してきたから税収が上がらない。もっと大きく見て、やはりGDPが上がらないと税収というものは下がってしまうんだ、相関関係はあるんだ、それぐらいもう経済のイロハのイみたいなもので、それを認めないようだったら、総理の資格はちょっとないということになりますよ。まあいいです、それは。

 もし逆に、この二十年間に日本がアメリカ並み、多分二十年の平均成長率はアメリカは四・何%だと思いますが、それだけ成長していたら、アメリカは九一年五千九百億ドル、約六千億ドルのGDPでしたが、今一兆五千億ドル、二・五倍、約三倍になっている。日本は、これはドルベースで計算すると三千五百億ドルから五千八百億ドルですが、さっきの表のように、円ベースでいうと四百七十四兆円で同じ。ドルでいえば少しふえたように見えるが、円高でもうどんどんどんどん行くものですから、円ではこれは下がってしまう、そういう状況で来ている。

 そういう中で、アメリカ並みの四%成長したら、今ごろ日本もドルベースで二・五倍ぐらいになる、つまり、一兆ドル、一千兆円ぐらいのGDPにはなっていたはずであります。

 では、なぜ名目成長率が低いのか。

 実は、この二十年間、物価変動の要因を除去した実質成長率、ここに書いてあるとおり、実質成長率というのは物価変動の要因を除去したものですね、それから名目というのは時価による財・サービスの伸び率、潜在成長率というのは潜在的に達成する、まあ経済の実力みたいなものであります、こういうものを調べてみると、実は青線が名目の成長率、赤線が実質成長率ですが、これは二%成長している年があったんですね。これはまさに、ここに書いてあるとおり、二〇〇三年、四年、五年、六年、七年、小泉、安倍政権時ですが、四年続けて二%成長している。

 問題は、物価要因がマイナスだったわけです。すなわち、デフレが問題だった。その結果、この名目成長率はもうほとんど一%、こんな程度になってしまって、その後は下がってしまっている。

 私は、総理、ここについての認識を共有したいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 名実が逆転している傾向があるという数字は、そのとおりだというふうに思います。

中川(秀)委員 野田総理とデフレからの脱却が共有できたところで、デフレについての基本認識を伺っておきたいと思います。

 総理は、昨年九月十三日の所信表明演説では、デフレからの脱却という言葉を使っている。ところが、ことし一月二十四日、半年後の施政方針演説では、歴史的な円高と長引くデフレを克服すると言っている。デフレ脱却からデフレ克服への言いかえの理由は何なのかということですね。

 これは国語の辞書を調べると、脱却というのは、いろいろ書いてありますが、要するに、すっかり抜け出すことだ。よくない状況、あるいはいろいろな考え方、慣行からすっかり抜け出すこと。克服は、そういうものは抜け出せないけれども、努力してこれを切り抜けること。これが、国語の辞書の表現ですよ。

 そうすると、デフレの克服にことし所信表明でお変えになったのは、総理は、もうデフレはしようがないんだから、企業も国民もデフレに耐えて頑張れ、そういう意味で言い方を変えたんですか。ちょっと聞きたいと思います。

野田内閣総理大臣 認識は、やはりデフレから脱却しなければいけないという認識は持っています。というのは、長い間続いてきているわけですから、あえて言うなら、それはやはり脱却だと思うんです。

 ただ、あわせて、今、円高もあります。円高、デフレ、これは合わせると克服的な認識を持っているということで、ちょっと表現はそういう形で差が出ているのかもしれません。

中川(秀)委員 それなら、もう少し正確に、長引くデフレから脱却し、また円高も脱却をし、厳しい状況も克服したいともうちょっと言わないと。脱却から克服というなら、もう認めたというふうにとる人だっていますよ、国語の辞書をちゃんと、日本語に正確な人は。私は、そこはしっかりしなきゃいかぬと思います。

 それじゃ、デフレの原因について野田総理の認識を確認したいんですが、ことし一月の二十五日に、バーナンキ議長が率いるアメリカの中央銀行、FRB、その金融政策の最高意思決定機関である連邦公開市場委員会、FOMCと言っていますが、このFOMCがインフレ目標設定に関する声明を発表しましたね。

 この声明をよく読むと、長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定されるため、FOMCはインフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある。つまり、インフレ率を長期的に決めるのは金融政策で決まるんだ、主にそうだ、だから我々はそれを具体的に定める能力がある、こういうふうに声明しておるわけです。

 野田総理は、一般論として、長期的なインフレ率は主に中央銀行の金融政策によって決定され、中央銀行にはそういう目標を具体的に定める能力があると考えますか。

古川国務大臣 FRBがそういう話をしているというのは私も承知をいたしておりますけれども、日本のこのデフレの状況、原因というお話もございましたけれども、やはりここは、バブル崩壊後に資産デフレやバランスシート調整が長期化している、そういう中で需要不足状態が続いたこと等、そうした中で期待物価上昇率も低下した、そうしたことが指摘されていて、やはりさまざまな要因が重なって今デフレの状況になっているんだと思います。

 そのデフレからの脱却のためには、どうやってこの需給ギャップを埋めていくか。そういった意味では、これは財政政策、金融政策両面から政策を打っていかなければいけないというふうに考えております。

中川(秀)委員 古川さんが総理にかわって、いつも言っている非常にニュートラルな御答弁を今もされたわけだが、ちょっと違うということだけ申し上げておきたいと思いますよ。アメリカは、そういうものもコントロールするのはFRBでできるんだということを言っておる。

 白川総裁が、これは総裁に聞くんですが、十四日の記者会見で、これについて次のように述べていますね。非常にインフレ率が高いときにインフレを抑制していくということ、これは強力に金融引き締めをやればインフレ率が下がっていくということで、その意味では、究極的に、最終的に金融政策が物価を決定していく、それはそのとおりだと思いますと認めたんですね。

 しかし、他方、現在問われている問題は、今の日本経済、物価の上昇率がおおむねゼロ近傍という世界で、中央銀行がお金の量を供給することだけで直ちに物価上昇率がゼロから一%、一%から二%へ上がっていくかという問いであるとするならば、それは必ずしもそうではないと思いますと。

 つまり、どういうことかというと、インフレ率を上から下に下げるときは、物価を金融政策が決められる、金融当局はそういう政策ができる、しかし、下から上に上げることはできない、そういうことを言っているわけですよ。

 しかし、アメリカの場合、リーマン・ショック後の総合的な消費者物価上昇率は、コアコアでも同じですが、二〇〇九年七月には対前年同月比でマイナス二・一%だったんです。今あなたが言ったリーマン・ショックのそういう影響もあって、そんなに低かったんですよ。マイナス二・一だったんです、物価上昇率。しかし、二〇一二年一月、二年半後、プラス二・九になっている。マイナス二・一からプラス二・九、つまり、二年半でプラス五%にしているんですよ。

 米国では、金融政策で物価をマイナスからゼロに、そして一%、さらには二%に上げていくことに成功しておる。コアコアでいったって同じです、これは。そのことを日銀総裁は認めないんでしょうかね。さっきの講演でいうと、後段の部分は、認めないということですよ。

白川参考人 お答えいたします。

 今、日本銀行が行っています金融緩和政策は、デフレからの脱却に向けて全力を挙げております。

 そのことを申し上げた上で、今の先生の御質問にお答えしたいわけですけれども、現在、日本の短期金利はゼロ金利になっております。それから、例えば民間の企業の資金調達の際の金利、社債の金利等もそうでございますけれども、これは非常に下がってきております。そういう状況のもとで、量をふやすことだけで、いわばオートマチックに物価が上がっていくかというと、これは必ずしもそうではないということを申し上げました。

 というのは、これはアメリカのリーマン・ショック後が典型でございますけれども、金融システム不安で量はふえましたけれども、しかし、ふえたお金を保有することに伴うコスト、金利が非常に低くなってまいりますと、これは保有コストが低いということで、実はお金を抱え込むという現象になっております。アメリカの中央銀行も確かにお金を供給しておりますけれども、そのお金をそのまままた金融機関がFRBに預けるという形になっております。

 したがいまして、量だけをふやすわけではなくて、もう少しほかの方法、つまり、少し長目の金利に働きかけていく。あるいは、私ども今、社債とかあるいはETFも買っておりますけれども、いわゆるリスクプレミアムに働きかけていくこと、そういう努力をしていくということが大事。ただ、そういう努力をした上で、しかし、このゼロ金利の環境のもとではこれだけで実現するわけではなくて、あわせて、政府も取り組んでいる、民間も取り組んでいることでございますけれども、成長力をしっかり上げていく、この努力も必要だ。

 この両方の力を合わせて、デフレから早く脱却をしたい、そういう思いで強力な金融緩和政策を行っております。

中川(秀)委員 私は、先ほど、同じ時代を生きる日米の、同じ自由主義経済体制下にある両国の経済状況と金融政策の関連を具体的な数字で、向こうは五%、二年半で金融政策をやりながら上げてきた、こちらは全くそういうことがなかったということまで申し上げましたが、今、日銀総裁の御答弁は、それに対するお答えとしては、すとんと胸に落ちるお答えではない、私はそう思いますね。

 リーマン・ショック前後の中央銀行のバランスシートの拡大について、状況について少し申し上げたいと思います。

 バランスシートというのは、資産と債務のバランス、いわゆる、簡単に言えば、その時点でどれだけ通貨を発行しているかということであります。

 二〇〇八年、リーマン・ショック前後の、その始まる前から二〇一一年十二月まで、日銀のまずバランスシートは、ほとんど、一・二六倍しか変わっていませんね。百十三兆円が百四十三兆円。ほとんど横で、二割六分しかふえていない。一・二六倍。

 一方、アメリカ。同じ時期に、ちょっと小さい表で申しわけないですが、右側がアメリカです。これは同じタイム軸ですが、九千二百五十一億ドル、一兆ドルから二兆九千億ドル、三兆ドル。三・一九倍にふえていますね、ドルの量が。

 これ、さっきの百四十三兆円を三兆ドルで割ると、兆を消すと幾らでしょうね。三で百四十三を割ると五十円切っちゃうんだね。貨幣的な減少の量でいったらそういうことになる。

 さあ、同じように、イギリスのイングランド銀行は一千十億ポンドから二千九百五十六億ポンド、これも二・八三倍になっています。

 要するに、お金をたくさん刷っている。この差が円高になり、日本だけデフレになっている要因じゃないのか。これは、日銀総裁の見解を問いますね。

白川参考人 お答えします。

 数字に即しての御質問ですので、数字に即しての話と、それから、多少考え方について御説明をしたいと思います。

 まず、二〇〇八年を出発点としてグラフを書かれているわけでございますけれども、二〇〇八年というのはアメリカのリーマン・ショックでございますけれども、しかし、日本が金融危機に直面したのは、これは九七年、八年でございます。日本は、実はそれ以前から中央銀行のバランスシートを大変に拡張してまいりました。拡張してきたところにこのリーマン・ショックが起きたわけですけれども、このリーマン・ショックにおいて、日本の金融システムは比較的安定しておりました。

 他方、米国。これは、あのリーマン・ショックの後は、大手の金融機関は軒並み破綻あるいは破綻寸前になって、金融市場がほとんどワークしなくなりました。そういう状況のもとで、FRBが資金を供給するしか実は金融システムの安定を維持することができない、そういう状況に陥りました。他方、日本はそういう状況にならずに済みました。

 したがって、二〇〇八年からの駆け上がり方、それだけを見ますと、確かに日本銀行の伸び方が少ないように見えますけれども、しかし、現在どういう地点に到達しているかということで、経済活動との比較で中央銀行の出しているお金の量を見ますと、日本銀行がこれは断然多いということでございます。

 それから、もう少し長く、例えば十五年というぐらいのタームで見た場合に、対GDP比で出ているお金の量、出方、この変化という意味でも、実は日米に違いはございません。

 ただ、私が申し上げたいことは、量について、日本銀行は多いわけですけれども、しかし、このゼロ金利の環境のもとでは、量だけではかれない。これはバーナンキ議長が繰り返し繰り返し言っている点でございますけれども、量ではなくて、最終的にどの程度の金利になっているか、どの程度の金利で企業あるいは家計が調達できるか、これが問題であるということを言っております。

 したがって、FRBがQE2等を行っていることも、それは金利水準を下げていくための方法としてそれを行っているということでございます。

中川(秀)委員 対GDP比なんというつまらぬ理屈は言わぬでください。さっきパネルで見せたとおり、GDPは、向こうは二・五倍、こっちは全く同じ、二十年間変わらない。そんなものでGDP比といったら、全然数字が違うじゃありませんか。

 それと、いろいろなことを言うけれども、小泉、安倍時代は大体百十五円、福田さんのときが百十円ぐらいかな、鳩山、菅時代が八十五円、野田時代、七十五円から八十円、そういうふうな円高になっておるわけですよ。本当に、米国の金融政策では物価上昇をマイナスをプラスにできるけれども、あるいは円高も直せるけれども、日本じゃできない。

 総理、今の日銀総裁の答弁なんかを聞いて、どう思いますか。

古川国務大臣 委員が御指摘ありましたように、リーマン・ショック後、欧米が急速な金融緩和を進めて、その結果、日銀はその前から金融緩和をやっておりましたので、そういった意味では、ストックベースで見れば日銀は非常に高いんですけれども、フローのところでいいますと、動きが欧米に比べると日本の方は非常に弱い。そのことが市場に対する影響を与えている部分もあると思います。また、欧米で金融緩和が進んだことによって、金利差というものが縮小をしてきました。そうしたことが円高に影響をしている一面もあると思います。

 しかし、では、そういう状況からどう考えていくか。今、小泉、安倍政権のときと、鳩山、菅政権での為替相場のお話がございましたけれども、ある意味で、小泉、安倍政権のときには実力ベースで見るよりもかなり円安が進んでいて、その円安を活用していわば輸出が相当伸びた、言ってみれば世界的なバブルの中で輸出が伸びた、そのことが経済の回復につながったんですけれども、一方で、国内の本当にやらなきゃいけない構造改革は、ある意味で、輸出がそこで伸びた部分で進まなかった部分もあるのではないかと思います。

 そういった意味では、先ほど日銀総裁もお話をされておりましたけれども、金融政策でやるべき部分ももちろんあるんだと思いますが、根本的には、これは成長力をどう高めていくか、やはり国内の構造を変えていく新たなマーケットや需要を生み出していく、経済、財政、あるいは規制改革、そうしたさまざまな政策を総合的に組み合わせてやっていかなければいけない問題だというふうに考えております。

中川(秀)委員 総理にかわって古川大臣の御答弁だが、あなたの部下というか、担当しておられるセクション、まさにマクロ経済をやっているところですが、内閣府が二〇一〇年の十一月二十七日に「世界経済の潮流」という報告書を出しているんですが、米国経済がデフレに陥る可能性を二〇一〇年の秋ごろ、内閣府が出したんですよ。そのときの記者会見のあれを見ると、林さんという女性の参事官だったが、海外担当だけれども、アメリカの消費者物価がマイナスに下がるという可能性について、余り遠くない将来にデフレに陥るリスクがあると考えているという記者会見をしている、二〇一〇年。

 ところが、実際どうだったかというと、結局、二〇一〇年のそのころに、アメリカがFOMCで、さっき言ったバーナンキさんのところで六千億ドルの中長期の国債の買い取り決定をした、ほぼ同じ時期に。結果、バランスシートを三倍にするという政策をさっきのようにずっとやったんですよ。結局、アメリカはデフレに陥らないで済んだんです。

 私は、今の説明で、簡単に言えば、要するに成長率を高めたり需給ギャップを埋めないとだめなんですよという趣旨だと思うんだが、野田総理も財務大臣時代に同じようなことを、需要をいかに掘り起こしていくかということだと思いますと述べているんだけれども、では、どうやって需要を掘り起こすんですか。財政だけで、需給ギャップ、こういうものを埋められるんですか。あなたはそう考えているんですか。

枝野国務大臣 我が国においては、現状の供給に対して需要が不足をしています。しかし、多くの国民の皆さんが少子高齢化の中で本来手に入れたい財は、なかなか供給をされていません。少子高齢社会ですから、当然にふえている、高齢者の皆さんにとって安心できる老後を支えるためのさまざまなサービスや財、あるいは少子化がここまで進んでいることの背景には、安心して子供を産み育てることができるそのためのサービスや財、ここについては、既に潜在的に需要があるにもかかわらず、供給が不足をしています。

 この部分については、一つは、介護保険であるとか公的なサービス部門のところが非常に軸になっている部分があります。ここについては、まさにこの財源を安定させるということによって、しっかりと、公共の部分のところでこうしたサービスを供給していく必要がある。それと同時に、その周辺部分のところ、要するに、公的な資金を通じずに行っていく老後の安心やあるいは子育ての安心の部分のところについて、ここの供給力が不足をしている。このギャップを埋めていくために、経済産業省としても、課題対応型の経済対応の法案を用意しているところであります。

 ほかにも申し上げるべきところはたくさんありますが、一例だけ申し上げます。

中川(秀)委員 私がお尋ねしているのは、日本のこの長い、実質、経済規模が二十年間全く同じ、ゼロ成長、それはデフレが大きな原因になっている、それはもうお互い認めていることですが、その解決策についての今質問をしているので、社会保障の関係で需給ギャップがあるとか、そんなものはよくわかっている。それはまた、政府が公的資金も使ってやっていく部分があるということも、そんなことは、もう長い間政治家をやってきて、そういうことをやってきたからよくわかっている。

 しかし、もっと大きな、この二十年間、何で実質ゼロなのかという、このデフレを直していくための需給ギャップを埋めていくための方策を聞いているので、それが財政だけでできるかといったら、できないでしょう、そんなもの。それを全部財政でやったら、財政再建なんかできないじゃないですか。財務大臣がうなずいているとおりでしょう。その答弁を確認しているのに、何をつまらぬことを枝野さんは言っているの。いいですか。そんなことは答弁を求めていません。

 時間がありません。次のパネル。

 では、需給ギャップについて日銀総裁の見解を伺うが、総裁は、こういうことを二月十七日の記者クラブの講演で言っていますね。「デフレとは一般物価水準の下落ですので、」「つまり供給に対して需要が不足していることが原因となっているはずです。実際、」「需給ギャップを計算すると、二〇〇〇年以降ごく一時的な期間を除き、恒常的に需要不足の状態が続いています。」そういうふうに言っていますね。つまり、二〇〇〇年以降というのは、このGDPが五百十六兆になった、税収が五十一兆になった、この辺のことを言っておられるんだろうと思いますが。

 確かに、最近の日本経済の需給ギャップは、安倍政権発足時の二〇〇六年十月―十二月期には、二〇〇六年度の第三・四半期ですね、対GDP比でプラスになっているんですよ。プラス〇・七になっているんです。需給ギャップが解消しているんですよ、このときは。

 そして、二〇〇七年度は、借金に頼らず国債の元利払い以外の支出に備える、いわゆるプライマリーバランス、基礎的財政収支の均衡までにあと六・四兆円、もう一年あったらプライマリーバランス・ゼロになるというところまでいったんです。もう事実です、これは。

 それが二〇一一年度には、今ですね、また二十八兆円まで拡大している、戻っちゃった。その後、また再び拡大をしてしまった。

 なぜ、安倍政権発足時の需給ギャップはプラス転換し、その後再びマイナス転換したのか。私は、二〇〇二年から続いた景気拡大が、二〇〇六年と二〇〇七年の日銀の誤った金融政策転換で腰骨を折られたせいではないかと思います。

 つまり、日銀は、二〇〇六年三月十日、それから二〇〇六年七月十四日、これは三月の方は量的緩和政策を解除、つまり金融引き締めに転じた。二〇〇六年の七月は、ゼロ金利政策をやめて、短期金利の誘導目標を〇・二五%に利上げした。同じ時期に、二〇〇六年に二回やった。この二〇〇六年のときの物価上昇率、コアコアですが、変動の大きい食料なんかを除いていますけれども、マイナス〇・四ですよ。マイナスなのにそんな金融政策をやったんです。

 そして、二〇〇七年。二〇〇七年二月にまた、短期金利の誘導目標をさらに〇・二五引き上げて〇・五%に利上げした。そのときの消費者物価指数も、コアコアでいうと、マイナス〇・二だった。なぜそんなときに金融政策を解除したんですか。これが、需給ギャップがプラス転換したにもかかわらず、その後再びマイナスに転換した理由じゃないかと思いますよ。

 これは当時の政権、政治がどうのこうのなんていう話じゃないですよ。これは日銀の独立性ですから。政策手段は全部日銀ですから。あれだけ我々はまだ早いよと言ったのに、そうした。そういうことが腰骨を折ってしまって、需給ギャップをむしろゼロにしたのをまた大幅に拡大させちゃったということじゃないんですか。日銀総裁、いかがですか。

白川参考人 お答えいたします。

 二〇〇〇年代半ばの日本経済あるいは世界経済を考えていきますときに、一番大きなファクターは、世界的な信用バブルの拡大、これは、最終的にはサブプライムローン問題という形で二〇〇七年以降、バブルが崩壊する、それがリーマン・ショックにつながっていくという動き。あるいは、この間の新興国経済の急速な拡大でございます。

 この間の世界経済全体の急拡大、これは後から振り返ってみますと、非常に大きな、歴史的な信用バブルでございました。そういう信用バブルの恩恵は、これは日本も含め、各国享受いたしました。しかし、現在、世界の中央銀行の間での反省事項は、あのときの金融緩和政策も含めて、これは日本ということではなくて、世界の先進国の金融緩和政策でございますけれども、物価が安定しているもとで過度の金融緩和が長期間続いたということも、実は一つの反省材料になっております。

 いずれにせよ、この需給ギャップ、あるいは経済の動きということから見た場合に、二〇〇五年、六年、これはまさに、その大きな信用バブルの最後の段階であったという感じがいたしております。

中川(秀)委員 答弁になっていませんね。聞いている国民が今の説明で納得するでしょうか。

 アメリカの中央銀行は、長期的なインフレ率は主に金融政策によって自分たちで決められる、具体的に定める能力があると宣言して、二%という物価安定目標、ターゲットを宣言しましたね。ところが、白川さんは、我々はターゲットではないんだと言う。物価水準は日銀の金融政策では決められないと言う。そして、いろいろな講演を聞いていると、人口減少がデフレの原因のようだと言っておられるんですね。だとすれば、例えばドイツなんかは、八千二百四十六万人の人口から八千二百十三万人に、二〇〇五年から二〇〇八年、三年間で数十万人減っていますよ。ところが、その真ん中の二〇〇七年の実質成長率、プラス三・四ですよ。デフレなんかじゃありませんよ。プラス三・四%も経済成長をしているんですよ、人口が減ったって。

 人口減少がデフレの原因論なんということは、私は正しい議論だとは必ずしも思わないし、また言うべきでもない。そんなことであったって、経済が伸びるようなことをやらなきゃ政治の意味がないし、政策の意味もない、私はそう考えます。

 ともかく、そういう意味で、総裁も、物価をどう高めていくかというのは、もう結局、誰か一人の努力でできることじゃない、民間企業、金融機関、政府、日本銀行、それぞれの役割に即して行動していくことが重要ですと記者会見で言っているが、逆に言えば、当面、めどのこの物価上昇率一%が実現できなくても、それは日銀の責任ではありません、そう言っているのに等しい、記者会見を聞いていると。

 マーケットは、あなたのその決心のなさを見抜いていますよ。五年物の物価連動債の利率。これは、物価がどうなるかというものを見て市場が売り買いするものですが、これはマーケットのインフレ期待をあらわしているものですけれども、五年物の物価連動債の利率、日本は、きのうだな、マイナス、プラスじゃない、マイナス〇・〇一八%。マイナスですよ。アメリカはどうか。きのう、プラス二・〇五%。つまり、これを見ると、アメリカの五年物の物価連動債は、バーナンキさんの言っている二%近傍なんです。しかし、日本の五年物の物価連動債はマイナス〇・〇一八ですよ。マイナスのままです。これはマーケットが、日銀は物価上昇率一%を達成する決心がないと見ている証拠じゃないですか。

 日銀総裁、どうですか。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行としては、再々申し上げていますとおり、デフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するということが、これは極めて重要な課題だというふうに認識しております。そういう強い問題意識のもとに、強力な金融緩和政策を行っております。

 その上で、この席でもたびたび議論がありますとおり、金融緩和の努力、これはもちろん続けてまいりますけれども、しかし、日本の成長力が徐々に低下していっている。その結果、将来に対して所得が増加していくという期待が十分に持てない中で、なかなか本格的には支出、投資がふえていかないというのが現状でございます。

 そういう意味で、これは決して、日本銀行として何か責任を逃れるために言っているということでは全くございません。中央銀行としては、将来の政策運営の前提となる経済情勢について誠実に説明していく、そういう義務があるというふうに感じております。これは決して、日本銀行の責任を転嫁することではございません。

 それから最後に、インフレ予想でございます。先生御指摘の物価連動国債、これは私どもも、もちろんこの数字も見ております。ただ、この物価連動国債の市場は非常に今小さくなってきて、流動性が低くて、日本については、これからなかなかインフレ予想がはじき出せないという現状があります。

 これは別途、先生が御指摘の市場参加者が、先行き、例えば五年後の予想インフレ率、そういう数字も実は出しております。そういう数字を見てみますと、今、大体一%という数字になってございます。もちろん、どれか単独の指標で見れるわけではございません。さまざまな指標を見て、そこはしっかり点検していきたいというふうに思っております。

中川(秀)委員 余り時間がないので、要点だけぱんぱんと伺わなきゃならぬのですが、野田総理も今、以上の議論を聞いておられたと思うんですけれども、結局、総裁が記者会見でいろいろおっしゃっていることを聞いていましても、講演でおっしゃっていることを聞いていましても、金融緩和はするけれども余りきかないよ、だから、いつまでに物価上昇率一%を達成するなんて言えないよということなんです。そういうことを言っているんですよ、そう答えているんですよ、実質的には。こんなことでいいんでしょうか。

 あなたは、膝を突き合わせて総裁とも議論していると言いますが、いつまでに物価上昇率一%を実現してほしいと言っているのか。

 それから、例えば、日銀がこの前決めた「金融緩和の強化について」には、ここにパネルがありますが、「一%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。」と書いてありますね。見通せるということは、物価上昇率一%は実現しないでも、実質的なゼロ金利を解除できるという意味ですね。

 総裁の任期は来年春までですが、来年春に物価上昇率一%を達成できますか。来年春、あなたの任期期間中にデフレ脱却ができますか。もう少し言えば、消費税増税の二〇一四年にはデフレを脱却して物価上昇率一%を少なくとも実現していく、そういう土台をちゃんと自分の任期中につくるとここで宣言していただけますか。

白川参考人 御答弁が重複する形で恐縮でございますけれども、日本銀行は、当面、一%をめどとして強力に金融緩和を続けていくということでございます。そうした日本銀行のかたい決意は、これは私だけじゃなくて、金融政策を決定する九人の委員全体の意思でございます。

中川(秀)委員 それでは、どういうふうにそれについて責任をとるか。

 これは、例えば、イングランド銀行、大英銀行のマービン・キング総裁と会ったときにも聞きましたが、自分たちができなかった場合、議会にちゃんとレターを出さなければいかぬ、説明しなければいかぬ、そういうことで責任を果たしていかなきゃいけない仕組みになっていると言っていましたよ。

 しかし、物価一%めどといったって、どう責任をとるのか。これは、さっきの答弁でもありましたが、国民に十分説明をしていく、政策決定過程を明らかにしていく、そういうことを通じてこれから努力していくことが責任のとり方だ、こういうことを記者会見でも言い、さっきの御答弁でも総裁はおっしゃいました。

 日銀法第四条でも、常に政府と連絡を密にして十分な意思疎通を図らなきゃならないと書いていますから、私は、そういう説明をきちっとしていくことで責任をとるというならば、国民に対してしっかり説明するためにも、野田総理と日銀総裁の意思疎通の議事録を作成して公開していただきたいと思いますよ。総理、どうですか。

 なぜこういうことを言うかというと、我々自公連立政権時代には、日銀総裁も参加する経済財政諮問会議というのがあったんです。そして、その会議の議事録は、会議の数日後には公開されていたんです。ところが、今、財政諮問会議はない。中止、廃止しちゃった。(発言する者あり)開いていないじゃないですか。

 そして、では日銀の政策決定会合の議事録はどうなっているのかと見ると、これがまたすごいことだね。私は驚いた。どういうことかというと、日銀の政策決定会合の議事録公表要領というのがあるんですが、金融政策決定会合の議事録等は、各会合から十年、十年ですよ、十年を経過した後に年二回公表すると規定されておるんです。

 政策の決定過程を明らかにすることを通じて責任を果たしていくというのが今の主流だと言うなら、もっと早く公開すべきじゃないですか。アメリカは五年ですよ。

 誰が何をしゃべっているかわからないこんな議事要旨じゃわからないんですよ。誰が何をしゃべったか、そして、誰が賛成して誰が反対したか、何も書いていない。こんな議事要録だけ出して、そして、いや、説明しているなんて言っているのが今の日銀なんです。アメリカの中央銀行はそうじゃない議事録を公開していますし、日銀は、公開までの期間をもっと短くして、公開説明の努力をすべきです。

 白川総裁に聞きますが、総裁は、今の日銀の政策を実質的なインフレターゲットと呼んだ安住財務大臣の発言を認めています。ということは、実質的なインフレターゲットだということだと思いますが、ところが、先日、これもようやく先日なんですが、発表された十年前の二〇〇一年九月十八日の日銀政策決定会合の場で、これは、八月の方は竹中さんが出ているんですね。

 中原さんも出ているんですが、竹中さんが、要するに、インフレターゲティング、そういうものを含めて、そういうメッセージ性というものをぜひ今後の議論の対象に加えてほしいと書いてあるんだ、議事録には。ところが、すぐ発表される議事要旨にはそういうことは何も、インフレターゲットという言葉もない。それから竹中さんの名前もない。

 一方、その次の九月の分ですね。やはり二〇〇一年、十年前ですが、その九月の十八日、政策決定会合の議事録、これを見ると、中原委員が、インフレターゲットの中の一つとして、プライスレベルターゲットを提案しているんです。これは議事録が十年後に出てきたから初めてわかった。ところが、中原さんを除く全員で否決した。誰が反対して誰が賛成したかまで入っている。中原さん以外の人は全部反対したと議事録で出ていた。

 こんな大事な問題を、私は、国民に説明をすると言ったなら、すぐにでも発表するのが本当じゃないですか。何でこのときに実質的なインフレターゲットを導入しなかったのか。中原さんの否決は過ちだったんじゃないのか。そして、こんな公開の努力は、もっと今までのやり方を改善すべきじゃないのか、そう思いますが、いかがですか。

中井委員長 最初に、二人の会議録の件について、つくる、つくらないの件について、野田総理。

野田内閣総理大臣 まず、経済財政諮問会議はやっていませんが、国家戦略会議には総裁にもおいでいただいておりますし、議事録をとっています。そういう必要な限りの議事録はとってきているということであります。(中川(秀)委員「とってといって、発表していますか」と呼ぶ)しています、ということです。

中井委員長 お二人の会議録は。

野田内閣総理大臣 これは、そういう定例の会議ではなく、いわゆる非公式の食事会みたいなものですから、そこまで議事録を発表することはないと思います。

白川参考人 お答えします。

 まず、なぜ日本銀行はインフレーションターゲティングを採用しないのかということでございますけれども、インフレーションターゲティングという言葉で論者が想定する内容が随分違っております。

 私どもは、インフレーションターゲティングを採用している中央銀行と同じように、中長期の物価安定の目標、めど、定義、国によって違いますけれども、そうした数字を持ち、それから、中長期的な観点で経済の持続性を達成するように、物価安定を目指して運営していく、そのための考え方、これをしっかり説明していくというアプローチをとっておりまして、これは、インフレーションターゲティングの国も含めて、同じようなアプローチでございます。

 それから、議事要旨、議事録のつくり方でございますけれども、日本銀行の場合には、金融政策決定会合終了後、直ちに記者会見を行っております。これは、例えばイギリスは行っておりません。それから議事要旨、これは、日本銀行はかなり詳細な議事要旨を公表しております。そのときには、賛否についても公表をしております。

 それから、議事録でございますけれども、現在、議事録を公表しているのは、確かに、先生御指摘のとおり、FRBは五年後に公表しておりますけれども、しかし、先進国、例えばG7の中央銀行で議事録を公表していますのは、FRBと日本銀行であります。

 いずれにせよ、日本銀行として非常に大事な仕事を我々は負託されておりますから、この政策運営の考え方、これをしっかり国民に説明していく努力を今後ともしっかり続けていきたいというふうに思っております。

中川(秀)委員 最後のところが不明確でよくわかりませんね。FRBは五年、では日銀は十年のままでいいという、そんな御答弁ですかね。

 国民が見ていますから、真剣に検討して、私が今問いかけたことに日銀はメッセージを出して、改善することは改善しなければいけない。でなければ、何が説明して責任を果たすですか。なってないですから。議事要旨なんか、詳細といったって、名前も書いていないじゃないですか。誰が何を言ったかも書いていない。それが何が詳細な議事要旨ですか。ちっとも詳細じゃない。

 いずれにしても、今度の決定、発表だって、国民に対して目標物価の幅も十分に示されていない、実現の期間も不明確、責任の所在も不十分、目標の決定権者は誰なのか、こういう説明責任を十分果たしていない。本当に、そんな意味で、こんなやり方じゃだめだと私は思うんですよ。

 野田総理、こんなことでいきますと、このままでは、あなたが増税を実施しようとしている二〇一四年にはまだデフレかもしれませんよ。あなたがこれから提出する増税法案では、二〇一四年、二〇一五年、デフレが続いても増税をする、そういうことになりかねませんよ。

 もしデフレが続いていても、総合的判断で増税を強行する、そういうことになった場合、いいですか、一九九七年に三%から五%に消費税を増税しました。さっきも言った。しかし、この年だけは増収になったけれども、その後、税収はかえって減ってしまって、いまだに、増税前年の五十二兆、この税収を超える税収が実現したことは一回もない。

 おととしですが、二〇一〇年の消費税の新規発生滞納額は三千三百九十八億円。御案内のとおりです。

 つまり、こんなデフレ下で物価がどんどん下がっているときに、消費税というのは、納税義務者は事業者ですからね。消費者から消費税を預かったって、税務署に二カ月置きに来て消費税を払っているのは事業者です。この事業者が、このデフレ下でどんどんやって、消費税をせっかく消費者から預かりながら払えない。

 あるいは、それよりもう少し、いいことではないんですけれども、零細業者あるいは下請、納入事業者、これは、消費税が上がった分だけ、その分だけ企業努力で値下げしなければうちは買わないよ、そんなことになって、結局、デフレ下で価格転嫁ができない、倒産してしまう。

 そんなことを思わせる数字が、この一年間で発生した消費税の新規滞納額三千三百九十八億円なんですよ。このままこれを一〇%だ八%だとかにしたら、滞納額は一兆円規模になると言う学者が多いですよ。

 そういうようなことで、以上、考えてみると、デフレ下でこういうことをやっていくということには大いに問題がある。私は、国民も、今のままだったら、消費税増税法案が出てきても、デフレ下での増税には大多数が賛成しないと思いますね。自民党も賛成すべきではないと私は思います。我々は、やはり経済の状況の好転を条件に増税を国民にお願いするのが正しいと。

 ともかく、そういうことをきちっとやっていかないと、めどが立たなければ、さっきからの質疑のように、日銀もこういうことであるならば、もう日銀法も改正して、物価変動にかかわる目標について政府と日銀の間で協定を締結すべきだ。また、英国のように、その協定の内容が実現できないときは国会報告義務を課すべきだ。日銀法の第二条は、理念としかなっていなくて、目的と書いていない。FRBの法律と違う。これを目的条項として、アメリカのように雇用の最大化も入れるべきだ。

 また、専門家の中には、岩田一政元副総裁だけれども、五十兆円規模の国際的な金融危機予防基金を提案する人もいるし、あるいは学習院大学の岩田規久男先生らのグループは、あと四十兆、六十兆、今度のあれでも十兆円ぐらいふえたからあっという間に円高が戻ったわけで、八十円に戻ったわけで、それを百円にするのにあと四十兆ぐらいそういうベースマネーをふやせば、目標インフレ率も二%から三%の達成は可能だし、円・ドル相場も九十八円から百九円になるというシミュレーションを出している。

 いいですか。総理、我々政権時代は、小泉時代を初め、経済と財政の一体改革というのを進めてまいりました。医療、介護、年金も、社会保障も、ほとんど財源は国民の保険料ですよ。経済が破綻したら、社会保障も成り立たないんです、財政も成り立たないんです。だから、あえて言えば、税と社会保障の一体改革じゃない、経済と社会保障と財政の一体改革と言うべきです。そういう発想を持たなきゃだめです。

 いずれにしても、円高とデフレからの脱却なくして財政再建なんかあり得ない。円高とデフレからの脱却に与党も野党もないんです。したがって、野田総理には、日銀としっかりアコードを結ぶ、そういう決意を持ち、増税と同じ決意を持ってこの円高とデフレの、克服じゃない、脱却に命をかけていただかなきゃいかぬ、そのことを強く申し上げますよ。

 御答弁があれば、最後にどうぞ。

野田内閣総理大臣 多岐にわたる御指摘がありました。

 まず申し上げたいのは、先般の日銀の二月十四日の金融政策決定会合、その後の総裁の説明、その後のマーケットの反応は、私は好感が生まれているというふうに思っています。これからも、私ども政府と日銀は緊密に連携をしながら、日銀においては適時果断に金融政策を講じていただきたいというふうに思います。

 その上で、今、税と社会保障の一体改革の関係で経済再生こそまずやるべきだ、認識は同じです。円高、デフレ克服に向けて、委員からのお知恵もこれからもおかりしたいと思いますけれども、経済再生は当然やっていかなければなりません。その上で、消費税を引き上げる際には経済の好転、これは一つの条件になっています。さまざまな指標を総合的に勘案しながら判断をさせていただきたいというふうに思っております。

中川(秀)委員 終わります。

中井委員長 この際、菅原一秀君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 あと二週間余で、あの東日本大震災から一年がたとうとしております。極寒の中、東北、この被災地は、復旧復興道半ばであります。私どもは、何をおいても、放射能対策も含め、この点をしっかりやっていかなければいけない、こう思っております。

 今、連日審議をいたしております平成二十四年度予算、復興債、年金交付国債分を含めると実質的に九十六・七兆円、過去最大の予算規模であります。現下の大変厳しい経済財政事情の中で、野田政権はとにもかくにも増税、増税一直線、こうした姿勢であります。

 世の中にはよい増税と悪い増税があって、野田総理の目指すこの増税は、明らかに悪い増税であります。最近の世論調査でも、消費税に関して国民の約六割が是としながらも、民主党のこの増税法案には六割が反対をしております。

 この資料一をごらんください。我が国の経済再生、財政再建への道。やはり、まず経済成長。成長戦略をしっかりやっていく、そして今の超円高、デフレからの脱却、これがまず大前提なのであります。

 三十一年ぶりに我が国の貿易収支は赤字となりました。こうした中で、それでも貿易立国日本の高度化を進める。例えば、やはり日本は物づくり、環境自動車や医療機器、そしてバイオやエレクトロニクス、さらには日本にしかできない高付加価値な製品をしっかりつくって、総合特区をさらに全国にふやして、例えば法人税をゼロにする、あるいは研究開発投資減税も世界最大規模にする、これくらいのことをやらなければならない。

 そうした意味で、この新たなターゲティングポリシーの実現を図って、いわゆる従来のメード・イン・ジャパン、これをやはり世界の標準化にしていく、こういう姿勢こそ、またその基盤をつくることが肝要だと私は思っています。

 私も商社に勤めておりました。総合商社七社の海外子会社、この配当が、実はこの三月期、約一兆円にも及んでおります。これはこの七社の総合商社の経常利益のトータルにも匹敵する、いわば投資大国の道も日本は今歩み始めているんだと思います。

 貿易大国と投資大国、いわば、外で稼いで、それを水漏れ現象がないようにしっかり国内に還元する、このことが今後の日本に極めて重要でありまして、新たなそういう意味でのいわゆる国家経済モデルというものをしっかりつくっていくことが、私は、この円高、デフレから脱却する道筋だと思っております。

 また、今回の予算、御案内のとおり、相当なばらまき施策が散見されます。徹底してこの歳出削減をやらなければなりません。

 また、ここに書いておりますように、国会議員の定数あるいは歳費の削減、公務員の定員あるいは給与カット、そして不要な国有資産の売却、これは、増税をするしないに関係なく、そのいかんに関係なく、今の国情を考えれば、当然国家としてやるべきだと思います。そして、その足らざる部分を増税をお願いする、これがこの順序なんだと私は思います。

 さらに、今後の社会保障を考えますときに、いわゆるこれまでの年金、医療、介護、福祉、こうしたものに加えまして、やはり少子化対策、これは、保育園を大幅に整備することも大事であります。しかし、例えば、働く女性が結婚して子供を産んで職場復帰する率というのは三割、あるいはもっとそれ以下かもしれません。私は、逆に、出産して育児をして、その社会的な経験を積んだ者が会社に戻った場合にこれがキャリアアップにつながるような、こういう制度を創設したり、あるいは不妊治療だって、今、全面保険適用になっていません。こうしたことをきっちり進めていくことが大事であります。

 また、最近、生活保護が非常に急増しております。憲法二十五条、いわゆる生存権、最低限の生活保障は大変重要でありまして、昨今、ひとり暮らしの高齢者がふえている、あるいは、病気、障害のある方々、円高不況で倒産して家を失って全てを失った、こういう方々のセーフティーネットとしては当然重要だと思いますけれども、最近は、不正受給の増大、あるいは一度もらったらずっともらえるような今の仕組み、働けるのに働かない稼働世帯の増加、この民主党政権になった二年半で三十四万人もふえている。急増しているんですよ。今、二百十万人を超えております。

 社会通念としての自助、共助、公助というものがあるとするならば、今この日本で、自分で努力しない、お互い助け合わない、何となく初めから、あるいは最後には行政がカバーしてくれるんじゃないか、もしこういうムードが漂うとするならば、これは戒めていかなければならないと思っております。

 福沢諭吉翁がこう言っております。立国は私なり、公にあらざるなり。有名な言葉でありますが、国家は、政府から与えられた、あるいは依存するものではない、国民が主体となって国をつくり出していく。今こそ、そういう意味で、私は、日本、この立国の原点に立ち返るべきだと思います。

 さて、野田総理、十四日の日銀の金融緩和策、発表しましたが、ちょうどきょうで十日です。今の円高、デフレ、是正されておりますか。

野田内閣総理大臣 まず、円高の件でありますけれども、これは一定の水準について私が評価することは妥当ではないと思います。

 ただ、一方で、慢性的に円高基調の流れがあった中で、先般の日銀における御判断というものは、これはマーケットも含めて評価を得ているというふうに私は理解をしています。

菅原委員 次に、この資料二をごらんください。

 民主党政権になったのが二〇〇九年の、八月終わりが選挙で九月から、そして昨日まで、この数字に見られますように、この二年半で、当時九十三円一銭であった為替レートが七十九円九十五銭、昨日の十六時現在でありますが、いわば十三円、円高が進んでおります。

 そして、この表の下にございますように、日本の主要企業三百八十社、これは、一円高でそれぞれ経常利益がマイナスになって、トータルで千七百二十四億円、この二年半、十三円で、トータルしますと二兆二千四百億円の経常利益を失っているわけであります。

 そう考えると、日本全体では、相当な規模、数兆円のお金が吹っ飛んでいる。いわば、この二年半でGDPが何とマイナス四兆円ですよ。そして、マイナス一%。このことは、やはり民主党政権の円高、デフレに対する無為無策、ここに私は尽きるんだと思います。

 そこで、昨年から、財務大臣、為替介入を何度かやってこられましたね。安住大臣は二月の十日、この予算委員会で、七十五円六十三銭で介入して七十八円二十銭でとめたと、財務大臣としてもびっくりするような発言をされました。大臣は、質問者のボードを読んだだけとおっしゃっていますけれども、まさに覆水盆に返らず、綸言汗のごとしであります。このことで失ったマーケットの日本政府への信頼というものは極めて大きいものがあると思います。しかも、大臣がとめたとされる七十八円二十銭を突破して、今、八十円前後ですね。

 そこで、これは、アメリカの株価も三年九カ月ぶりに一万三千ドルを超えて、あるいは欧州危機もギリシャの支援が決定して、こうしたものが複合的にドル買いにつながって今やや円が安くなっている、こういうことも私は指摘できると思うんですね。

 ところで、安住大臣に伺います。

 二月十四日の日銀の金融緩和策、この後、円安に振れていますよね。覆面介入しましたか。

安住国務大臣 まず……(菅原委員「いやいや、それをしたか、しないかだけ。三十分しかないんですから」と呼ぶ)それは、介入について私が申し上げるものは何物もありません。申し上げることは何もありません。

 それから、数字は、菅原さん、しかし、円高で原材料は非常に安く入ってきているという一方の大きなメリットもあって、そういう点では、マイナス二兆とおっしゃいましたが、最初に、菅原さん自身、商社マンで、投資をして非常に高い利益を上げていると。つまり、プレーヤーが、稼ぎ手が日本の国内でもかわりつつあって、大きなマイナスを上げているのは事実かもしれませんが、そういうことも私は申し上げたいのと、ギリシャや大きな欧州危機があって、相対的に、九十三円だったのが、急激に下がったというのにはさまざまな要因があることは十分御存じだと思いますので、それも申し上げておきます。

菅原委員 白川日銀総裁に伺います。

 先般の十四日のこの金融緩和策、国債の買い入れを決めました。五十五兆円を六十五兆円に十兆円積み増す。そして、先般もお伺いしましたけれども、今既に九兆円あるものに十兆ふやして十九兆、三・八兆円既に買い入れをしているから十五・二兆、そして、通年のいわゆる買いオペ、二十一・六兆、合わせると約四十兆ですね。これは年内とおっしゃいましたけれども、合わせて年末までおやりになるんですか。はっきりお答えください。

白川参考人 前回のこの席でも申し上げましたけれども、この基金の買い入れ、これは、本年末、つまり十二月末までに買うということでございます。この点については、前回申し上げたとおりでございます。

菅原委員 資料の三をごらんください。これは、各中央銀行の資産の推移であります。日本銀行が一番左、そしてアメリカ、FRB、イングランド銀行、そしてECB。

 一番上と一番下だけごらんいただきたいんですが、二〇〇八年、たしか二月に白川総裁が就任されました。この二〇〇八年当初、百十三兆円、日銀の資産があったわけですけれども、この約四年間、昨年末で百四十三兆円、約三十兆円ふえたわけですね。

 FRBをごらんください。四年前、八千六百四十三億ドル、これが、去年の暮れで二兆九千二百億ドル、約三・四倍になっています。イングランド銀行も、九百四十億ポンドが二千九百億ポンド、これも約三・一倍。わずか四年の間に三倍以上になっているわけですね。ところが、日本銀行、計算しますと、約一・二六倍ですよ。これで量的緩和だと、言えないと思います。

 総理にお尋ねします。

 この規模は、やはり小さいと思いますよ。きちっとお札を刷る、例えば、今四十兆という話がありましたけれども、百兆規模のこういう量的緩和をやる、それくらいのインパクトのあるこうした金融政策を日銀が打ち出す、こういう姿勢を、総理、みずから指導すべきじゃないんですか。百兆円、どうですか。

古川国務大臣 委員も、おわかりになっていて御質問していらっしゃると思うんですが、二〇〇八年の段階で、日本は、二〇〇〇年より前から、もう十年以上にわたって、実質的にはゼロ金利政策、そして大幅な金融緩和をやって、日銀の資産が非常に積み上がっている状況なんですね。

 ですから、足元の、リーマン・ショック後の中央銀行の資産の伸びというところを比べれば確かに御指摘のとおりでありますが、もともと日本銀行においては、これはもう十年以上にわたって資産を積み増してきて、ストックベースでは非常に高い水準になっている、そのことはやはり考慮に入れていかなきゃいけないんだというふうに思っています。

菅原委員 総理に、ぜひ、この百兆円規模の量的緩和、こういうメッセージを言っていただきたいな、こう思うんですね。それくらいのことをしないと、FRBやイングランド銀行と比べて、おくれは取り戻せませんよ。もう何周も日本はおくれている。このことをあえて申し上げます。

 そして、日銀の緩和策のもう一つの柱、資料の四をごらんいただきたいんですが、いわゆる物価上昇率、当面一%めどという表現についてであります。

 先日のこの予算委員会で、私の質問で、安住大臣は、今回のめどが実質的なインフレターゲットであるという、以前に発言をされたその発言に関して確認しましたらば、今もってそう思っている、こういうふうに答弁されました。白川総裁にもこのことをお尋ねしましたらば、総裁は、最初に、私は、実質的なインフレターゲット、同じ認識、共有しますと言って、後でちょっと言い直されて、金融政策の運営についての認識が同じである、こういうふうにはっきりおっしゃったわけです。

 安住財務大臣が実質的にインタゲだ、こういうふうにおっしゃって、でも、その額たるや、わずか一パー、しかも、当面だとか、めどだとかという、まさにぼやかした表現。これ、最初から、日銀は責任回避先にありきなんですよ。だから、動かない、マーケット。だから、この投資、呼び込めない。

 私はここでお尋ねしたいんですが、この一%という数字が、いかに規模が小さくて、しかも非常にいいかげんな数字であったか、お示しをしたいと思います。

 順序が逆になりますが、資料の五をごらんください。この資料の五、これは、政府が閣議決定をしております、内閣府の経済財政の中長期試算であります。

 上の方の慎重シナリオ、この物価上昇率、これの消費者物価のところをごらんいただきたいと思うんですが、二〇一三年に〇・五%、同様に、下の方の成長戦略シナリオでは一・一%となっております。にもかかわらず、二〇一四年、慎重で三・一%、そして成長で三・八%になっているんです。

 ここで古川大臣にお尋ねをします。

 これは、いわゆる消費税が上がった分がここに乗っかっていると思うんです。この前お尋ねしたらお答えになりませんでしたけれども、この点、上がった分、何%ですか。

古川国務大臣 これは、消費税を引き上げた場合の影響として、二〇一四年度で二・四%程度、二〇一五年度で〇・八%程度、二〇一六年度で〇・六%におおむね該当するというふうに考えております。

菅原委員 今おっしゃったように、消費税を三%上げたら二・四%、この点、白川総裁、認識を共有しますか。するかしないかだけ。

白川参考人 お答えいたします。

 政府の試算でございますから、政府の試算の根拠それ自体について私がコメントするということは適切でないと思います。

 ただ、いずれにしましても、日本銀行は、消費税率の引き上げということがもしある場合には、そのことをまた想定した物価上昇率の見通しを出す必要がありますけれども、現在日本銀行が出しています物価上昇率の見通しは、これは消費税率の引き上げということをカウントしていない、そういうベースでの数字でございます。

菅原委員 今、総裁は大変なことを言いましたよ、消費税率を上げることを考えていない。政府と日銀一体となって緊密な連携をするというのに、今言ったよね、二・四%の上がった分、いいですか、総裁、これ、上がった分が二・四%と、今、古川さんはおっしゃった。ということは、一%の物価上昇率を目標としている、消費税がもし上がったらば二・四%で相殺されて、一気にできちゃうじゃないですか。何がそれで一%ですか。

 とするならば、本当は最低でも二・四%、もしくはそれ以上の数値を出さなければ金融政策にならないじゃないですか。どうですか。

白川参考人 まず、物価上昇率のめどでございますけれども、これは、中長期的に見て持続可能な物価上昇率、この数字を示しております。

 一方、当面の見通しでございますけれども、この見通しはもちろんさまざまな前提に依存いたします。

 したがいまして、今、これからいろいろな議論がこの国会の場でもなされるときに、ある特定の前提に立って私どもが試算値を出すということは、これはできないということを申し上げているだけであって、物価の基調的な動き、これはもちろん的確に判断していきたいと思っております。

菅原委員 金融政策、政府が、総理が、日銀総裁と膝を突き合わせて緊密にやると言っている。財務大臣が、これは実質的なインタゲだと言っている。そしてまた、消費税が上がった分、二・四%、目標の一%、これは、だって閣議決定する数字ですよ。これだったらば、一%はすぐ解消して、しかもマイナスの一・四%。これは言ってみればデフレ誘導策ですよ、デフレ誘導策。どうですか、この点。おかしいですよ、これ。

白川参考人 予算案も含めて、政府でいろいろな法律案、予算案が議論されているときに、中立的な立場にある中央銀行として特定の前提に立った計算ができないということは、立場の性格上、これは当然だと。ただ、そのことと、それから、仮に将来いろいろなことが起きた場合にどういうふうな経済、物価情勢になるか、これはもちろんちゃんと点検していくということは、これははっきり申し上げたいと思います。

菅原委員 こういう、政府も日銀も都合が悪くなると独立性を担保云々と言って、極めて曖昧で、だから、マーケットはこの日本あるいは政府を信用していないんじゃないかと思います。

 先ほど中川委員もおっしゃっていました、ここは日銀法の改正ですよ。例えば、政府と日銀が物価上昇率の目標を設定して共有化する、このアコードの規定、そして、日銀の金融政策の目的に雇用の確保という規定を入れる、そしてまた、物価上昇率を達成できなかった場合のいわば責任規定、あわせて日銀総裁の解任規定、こういうことも含めて議論をする。

 私ども自民党は、ぜひこの日銀法の改正、理念法じゃ、これはとても我が国のこの円高、デフレを脱却できませんよ、こう思いますが、総理、どうですか。

野田内閣総理大臣 私は賛同できません。

 少なくとも国益を考えるならば、円高、デフレに向けて今般の金融政策決定会合が評価をされているということは客観的にあると思います。その中で、その正当性を疑わせるような議論を今やることは私は間違いではないかと思います。

菅原委員 円高、デフレが是正され脱却しつつあるなということであれば、総理の言葉はそのとおりだと思います。そうじゃないから言っている。よろしいですか。

 再び白川総裁に伺いたいと思います。

 この通貨高で一番苦しんでいる先進国は、我が国、日本であります。そして、先ほど申し上げたように、わずか二年半の間で二兆円、日本全体の規模でいうと数兆円の経常利益が吹っ飛んでしまっております。ターゲットという言葉を明確に使った方が私はメッセージ性の確保、担保ができると思います。

 日本こそが二%。先進国アメリカだって、イングランドだってそうです。二%、そしてそれもターゲットだと、日本こそがはっきりそのメッセージを出すべきだと私は思うんですが、野田総理、どうですか。

古川国務大臣 ターゲットというかゴールというか、言葉の問題はありますが、政府、日銀ともに二%以下の、そして今、日銀においては当面一%をめどとする。そうした緩やかな物価上昇を目指すという認識は共有をいたしております。そして、共有した上で、財政政策、金融政策あるいは規制緩和、さまざまな政策を一体として打っております。

 まさに、政府と日銀がそういうしっかり連携がとれていて、一体として政策運営を行っている、そして、ともに緩やかな物価上昇を目指している、そのことをきちんとマーケットに対しても、そして国民の皆様方に伝えていく。このことがやはり私は一番、デフレから一日も早く脱却することにつながるんじゃないか、そのように考えております。

菅原委員 緩やかな回復だとか当面だとか、これは民主党文化なのか日銀文化なのかわかりませんが、私は、申し上げたように、逆なんですよ。アメリカにしてもイングランドにしても、ターゲットできちっと数字を入れて、そして、いつまでにというその出口を明確にしている。だからこそ、アメリカは、先ほど申し上げたように、名目GDPも上がってきて、成長率も三・一%ふえていますよ。

 私は、そういう意味では、日本こそが、この円高、デフレ脱却、そして経済の成長のために、きちっとした目標を掲げ、そして、あわせて、繰り返しになりますが、もっと大胆な量的緩和をやる、このことが一番大事なことだと思います。

 白川総裁、もう一度お伺いをしたいんですが、一月二十五日、FRBのバーナンキさんが二%の設定をしたときに、これは笑っちゃったんですけれども、だんだんFRBが日銀に近づいてきたとあなたはおっしゃったんですね。よくこんなこと言えるな。しかも、二月十四日に日銀が当面一%と言ったときには、一%、しかも当面だとかめどだとか言っているわけなんですね。一方で、二月の十七日、日本記者クラブで講演をされました。そのときもおっしゃったのは、日銀にFRBが近づいている、FRBが日銀を見習っているかのごとくの講演をされています。これは世界の失笑物ですよ。こんなことを総裁が言うべきではない。

 私は、FRBのバーナンキ議長の爪のあかを煎じてとまでは言いません。しかし、このバーナンキが、自分の議長としての命運をかけてやっている。今こそ日本が、この命運をかけて、政権の命運、総裁の命運をかけて、この円高、デフレを脱却すべきだと思います。

 以上でございます。

中井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、金子一義君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。金子一義君。

金子(一)委員 自由民主党の金子一義でございます。

 冒頭に、きのう、税と社会保障の一体改革について閣議決定されたことがこの予算委員会でも取り上げられました。その中に、議員定数の削減が盛り込まれた、政府方針として盛り込まれたのでありますが、この点について、自見大臣、署名をされたんですか。

自見国務大臣 敬愛する金子一義議員にお答えをさせていただきます。

 今回決定した、議員定数も含んだ社会保障・税一体改革大綱は、御存じのように、本会議でも御質問いただきましたが、国民新党の下地幹事長、亀井亜紀子政調会長がメンバーとして加わっている政府・与党社会保障改革本部で論議が行われ、本年一月六日に同本部で決定された社会保障・税一体改革案とほぼ同じ内容のものであり、私が閣議で署名をさせていただいたものです。

 社会保障・税一体改革に関しましては、党内でもさまざまな議論があったのは事実でございますが、大綱については、こうした手続を経て、党として正式に承諾していただいているものだ、こういうふうに思っております。

 また、議員の定数についてのお話でございましたが、これはもう金子先生御存じのように、議員というのは、基本的に、やはり議会でそれぞれの政党があるわけですから、それぞれの政党でいろいろ話をすることも私は非常に大事だろうというふうに思っております。

金子(一)委員 今の自見大臣の発言、大綱で議員削減を盛り込むのがおかしい、政党でそれは議論すべき話だと。

 大綱で署名されたということは、自見大臣も削減に賛成、国民新党も賛成、こういう話ですよね。

自見国務大臣 もう金子先生御存じのように、議会制民主主義ですから、やはり政府・与党はできるだけ一体の方が好ましいわけでございまして、そのためにいろいろ、金子先生も私も、消費税を初め苦労したことがございますけれども、できるだけそこは一体であるべきだというふうに思っておりまして、大臣であると同時に、やはり政党人でもありまして、それぞれに、たまたま半数は国会議員でございます、憲法上。そういった意味で、そこら辺はきちっと、まさに議員としての良心に従ってやる話だというふうに私は認識をいたしております。

金子(一)委員 よくわからないんですけれども、きのう、この予算委員会で、この大綱から、本来越権行為とも言える、議員定数の削減について削除しろという意見が出されました。これは野田総理なんですけれども、削除する方針は、お考えはありますか。そうじゃないと、自見大臣が浮かばれないですよ。

野田内閣総理大臣 昨日の予算委員会で、私どもが閣議決定した大綱の中で、定数削減についての記述があることについての御指摘と御批判をいただきました。

 私どもとしては、閣議決定の頭紙のところで、政府・与党連携しというところで役割分担はしたつもりで、いわゆる問題意識は持っていたわけでございますが、そういう御批判もあるということは十分わかりますので、今その対応を政府・与党間で検討しているところでございます。

金子(一)委員 大綱について、政府・与党間で検討と。閣議決定も変更することがあるというふうに理解をいたします。

 古川大臣、休眠預金の成長戦略への活用というのは、寝た子を起こしたと思いませんか。

古川国務大臣 世の中的には休眠口座の話が非常に取り上げられておるんですけれども、私どもが、先日、成長ファイナンス推進会議というものを開催いたしまして、成長マネーの円滑な供給のための方策として、一つは資金供給源の拡大、もう一つが仲介・支援機能の強化、そしてもう一つが海外市場との関係の強化、こうした項目について具体的方策の検討並びに実現に向けての取り組みを進めていく、そういうことを始めたところであります。その中で、資金供給源の拡大の方策の一つとして、遊休資産の活用も具体的に検討していくということにしたわけであります。

 その中で、休眠口座というものも、これは銀行の方で、今、御存じのように銀行の方は預かったお金がほとんど国債に回ったりとかいう形になっているわけであります。しかし、議員もおわかりだと思いますけれども、実際に今、日本で大事なことは、どう新しい企業を創業して新たな雇用や産業を生んでいくか、また、NPOなどの活動、新しい社会的企業というものも広がってきます。新しい社会を生んでいくための、そういう今後成長が期待される部分にマネーをどう供給していくのか、その一つとしてこうした休眠口座のようなものも検討の一つとして考えていこうということであります。

金子(一)委員 私が寝た子を起こしたと言う意味は、先週も地元に帰りましたら、後援会の皆さん、この話で持ち切りなんですよ。あれっ、俺、預金していたっけ、あれっ、そういえば、結婚しちゃって今名前が変わっているけれども、実家では私の預金をつくっていたのかしら。みんな、あれ、あれ、あれと言って心配してくれているんですよ。そのこと自身は、ある意味、注意喚起になっているのかもしれません。ただ、今、古川大臣がおっしゃった建前はわかるんですけれども、しかし、普通の国民にとってみると大変な出来事なんです、私の預金は召し上げられちゃうんじゃないかと。

 そして、昔はほかの人の名前でも預金できたんですよ、銀行は。誰の名前でもよかったんです。飼っている犬の名前、ポチの名前でも預かってくれたんですよ。今は、おろすときに全部本人確認でしょう。運転免許証の提示を求められるんですよ。ポチには運転免許証、ないんですよ。自見大臣、これはどうするんですか。

    〔委員長退席、武正委員長代理着席〕

自見国務大臣 金子一義議員にお答えをいたします。

 休眠口座の話でございますが、いわゆる休眠預金とは、長期十年にわたって出し入れ等の移動がなく、本人の所在が確認されない預金というわけでございます。

 いわゆる休眠預金の活用について、この前も古川大臣のお話がございましたが、二月の十五日の成長ファイナンス推進会議で、古川大臣が議長をされまして、私も出していただいたわけでございますが、いろいろなお立場のことがあると思いますが、休眠口座の活用については、やはり預金者等の関係者の理解を前提に、預金者の信頼感、利便性の確保、あるいは休眠預金口座の管理等のコスト管理、これはもう先生御存じのように、日本人は一・二億人いますが、十二億口座ございます。これは、ほかの外国と比べまして、日本は口座管理料をとりませんということもあるらしいのでございますが、十二億口座ある。

 それから、休眠口座、十年たちましてもさらに払い戻してくれという方は大体四割おりまして、これが英国、韓国では大体一割から二割でございまして、この辺が非常に、日本の金融の現状として休眠口座の違いでございますから、そういった休眠口座に係る、これは財産権の問題でございますから、財産権の保護の法的な扱い等の幅広い視点からきちっと論議をしていきたいというふうに思っております。

金子(一)委員 自見大臣に実務的なお願いで、多くの国民が不安に思っているものですから、泣き寝入りするのかよ、政府が召し上げちゃうのかよというような、そういうことがないようにだけはよろしくお願いします。いや、古川大臣はいいです。いや、いいです、時間がないので。

 次に、あした地方公聴会に我々予算委員会で行くんですよね、千葉と滋賀県。千葉と滋賀県に与野党で公聴会に行ってお伺いするんですが、その行き先の一つの滋賀県でちょっと気になる出来事が寄せられてきたんですよ。

 滋賀県で、大雪のちょうど真っただ中、二・七メートルの積雪で、雪崩で孤立しちゃった集落が出ちゃって、命の危険にさらされる状況が出てきた。高島市だそうです。高島市長が嘉田県知事に自衛隊の出動要請をしたんですけれども、知事と連絡がとれたのが二時間半以上かかった。

 このことを川端大臣は御存じですか。

川端国務大臣 済みません、承知をしておりません。

金子(一)委員 嘉田知事は寝ていたわけでもないんですね。県庁におられた。県庁におられて、そして県内自治体のトップを集めて「市町長防災危機管理ラボin滋賀」というところで防災の会議をやっていたというんですよ。だけれども、地元の市長の要請に連絡がつかなかった。三時間後にようやく自衛隊派遣要請の連絡がついて、こぎつけることができた。

 これを伺っていないとしたならば、調べてくれますか。それから、これに対してどう思いますか。

川端国務大臣 自衛隊要請して出動されたことは知っておりますけれども、今の経過は承知をしておりませんので、総務省の大臣の立場でどうかはちょっとよくわからない部分があるんですけれども、地方自治体が災害要請するということの部分が迅速にできないといけないことは、私の所管としても、防災担当の消防も含めたそういう部分でも重大な問題であると思いますので、事実関係はよく調べさせていただきたいというふうに思います。

金子(一)委員 なぜ私が調べていただきたいということをお願いしたかというと、この状況を受けて高島市長は、自衛隊の派遣要請をすることができる権限を県じゃなくて市町村に移してくれという要請をしているんですよ。今、地域分権、地域主権会議の議論を進めているでしょう。あなた、お地元の滋賀県でしょう。あした我々は行くんですよ。これを知らないじゃ済まないですよ。こういう地方主権会議、推進会議を進める、あなたは座長でしょう。ぜひちゃんとこういうのを聞いてやってくださいよ。

 この嘉田知事は結構おしゃべりな知事さんですね。アクション・プランの推進会議、ここに出てこられて、今度の地方の出先機関の廃止、そして広域連合の受け皿について意見を求められて、民主党の言われる出先機関の原則廃止というマニフェストに応じて自分たちで受け皿をつくったのに、自分たちで受け皿をつくったというのは関西広域連合の話ですが、こんなコンニャクのような、ふにゃふにゃな広域連合に何ができるのかと、かなり差別的な発言までいただきましたと。

 川端大臣、これは御出席をされている会なんですよね、去年の十二月十九日。出席者は、あなたを座長として、関係の副大臣の皆さん方。随分厳しいことを言われますね。知事との間がこんな関係で、嘉田知事だけじゃなくて、ほかの知事からも同じような発言が出ているんです。

 地域主権会議で、推進会議で移譲していこうという推進をしているときに、知事との関係がこんなにぎくしゃくされていて、推進会議が本当にできるんですか。

川端国務大臣 地域主権で、身近なことでできることはできるだけ地域でという理念のもとにいろいろな議論をしております。その中で、ちょっと私も、今御指摘いただいたので、何かそのような表現があったような記憶はございますが、信頼関係がぎくしゃくしているということではなくて、さまざま、これはやはり国の形を根本から変えていこうという大きな改革をしようという議論でございますので、それぞれのお立場で、例えば、中央省庁においては、使命感と責任感を持ってしっかりやってきた部分が円滑にちゃんとできるということが一番大事であるということは当然の御主張でありますし、地方の皆さんにとっては、できるだけ自分たちが責任を持ってやりたいという中で、いろいろな議論をかなり本音ベースでお話しいただいているというふうに私としては感じておりますので、ぎくしゃくしているというふうな印象は私自身は持っておりません。

金子(一)委員 野田総理、おととい、本会議で言われたんですよね。このいわば出先機関廃止問題について、まず、受益と負担の関係が一番見える基礎自治体、つまり市町村に権限と財源を集中すべきと考えます。これは総理の発言なんです。

 ところが、今の推進会議をずっと拝見してみますと、市町村長が一番怒っているんですよ。俺たち、蚊帳の外だ、ほとんど相談を受けていないと。現に、地域を守る会という市町村長の会が三百近くでき上がっちゃったんですよね。私の地元もみんな反対になっちゃった。これはもう、市町村との関係なんかまるでないんじゃないですか。だけれども、基礎自治体に一番権限と財源を集中すると。

 この間、初めて内閣府に呼んで、市町村の御意見を伺ったようです、内閣府としてね。だけれども、そこで出てきた御意見、市町村長の意見ですよ、国と県との議論のみで、住民の安全などにかかわる基礎自治体に対する意見聴取や説明が十分に行われていない、こういう意見が噴出しているんですよ。どう思いますか。

 県の知事だけじゃなくて、市町村とも関係が全然できていない、そんな中で、本当に今国会にこの法案を提出されるんですか。

野田内閣総理大臣 先般の本会議のときに申し上げたのは、国と地方との関係、どういう考え方をとるかということで、基本的な考え方として、受益と負担の相関関係が一番わかる基礎自治体に権限、財源をだんだん移していく、そして、それで担えないものについては、これは現行の都道府県を今は基本的に考えておりますが、広域行政を行っていく。その先に、場合によっては、自治体の判断によっては道州制という可能性もあるという趣旨の御説明をさせていただきました。これは基本的な考え方であります。

 一方で、出先機関の廃止については、二重行政をなくしていくという視点の中で、これまで地方との関係でもいろいろ御要請をいただきながら、広域連合にまさに移譲していこうという意味で、今法案を策定し、提出する準備をしているところでございます。

 この間に、市町村の声は全く入っていなかったかというと、これはもう法制化しましたけれども、国と地方の協議の場というのをつくりまして、そこには市町村長あるいは議会の代表の方にも来ていただいて、いろいろな御意見をいただいておりますし、地域主権戦略会議においても、いろいろな立場の方がいらっしゃいますけれども、当然、市町村のいろいろな御意見もお伺いをしながら、それぞれ御意見をいただいていると思います。

金子(一)委員 総理がおっしゃるような、ちゃんと市町村の御意見が聞こえているならば、三百も地域を守る会なんて出てくるわけないでしょうよ。この間の内閣府の会合で、市町村長、代表は一人、委員を送っているかもしれませんけれども、別に、彼が市町村長の代弁を必ずしもしているわけじゃないんです。多くの市町村長が、俺たちの意見を聞いていない、頭越し、蚊帳の外。そんなことが出るわけないじゃないですか。やはり、国と地方のあり方ですから、これを方向をきちっと、関係を築きながらこの件はお進めいただきたいと思います。

 もう一言だけ申し上げますと、片山前大臣、川端大臣の前の大臣がやられていたときのことなんですけれども、こういう地方移譲については、やってみてだめなら手直しすればいいじゃないか、柔軟な姿勢を持てばいろいろなことができますよと言って、担当大臣としての座長取りまとめ、これが出たんですよね。そうかよ、やってみてだめなら、手直しすればいいのか。

 また戻りますけれども、嘉田知事はこのアクション・プランの会で、アクション・プランのときに、東日本大震災のことを鑑みて、広域連合できちんとああいう危機管理に対応できるんですかという内閣府の中のメンバーの問いかけに対して、国交省以上のことを広域連合でできますとおっしゃった。議事録にあるんです。だけれども、国交省以上のことは東日本大震災があったってできますと言いながら、お地元の自衛隊派遣要請に応じていないじゃないですか。やってみれば、手直しすればいいなんて言って、本当に命の危険を守れるんですか。今の内閣府の考え方が、初動が大事なんですよ、危機管理は。初動で間違えたら全然だめなんです。

 そこの初動を大事にしていくという上で、今の地方推進会議の進め方、国民の命と安全を守るという責任と行為を地方自治体に委ねちゃう、あとは地方自治体の判断、それだけでいいのか。そのことについて、野田総理、どういうふうに思いますか。

川端国務大臣 幅広い御質問でございましたので……(金子(一)委員「いや、短く」と呼ぶ)はい。

 地方の皆さん、特に市町村の皆さんからの御不安があるという声があることは私も承知をいたしております。その中で、一つは、広域連合を中心とした皆さんには、府県の首長さんを含めて、皆さんと一体の分権の話ですから、地域移譲の話ですから、できるだけ情報共有というのをよく、その話し合いを持ってくださいとお願いをしております。

 もう一つの安全に関してもいろいろな御議論があり、御心配をいただいていることも事実でありますが、このことに関しては、一つは、出先機関は、一体的にその権限、機能を丸ごと移管するという部分では、その組織がなくなるということではないという部分はしっかりと認識をしていただきたいと同時に、先般のような、千年に一度と言われる大災害、あるいは百年に一度、数十年に一度、毎年起こるような災害というふうにいろいろな場合があります。その部分で、国民の安全、安心が最大確保できる仕組みと、今持っている出先の機能がしっかりと動く体制のあり方について、今幅広く議論をさせていただいているところでございます。

金子(一)委員 次の質問に移ります。

 交付国債の発行の問題についてなんです。

 この問題は、我が党の小池理事、加藤勝信議員、あるいは公明党の石井啓一先生初め、多くの議員からこの問題について質問が出ています。疑念がある、オリンパスではないのかと。出ています。

 まず、安住大臣、この交付国債を発行するという案はあなたが考えたんですか。

安住国務大臣 財務省ですから、私の責任で提案をさせていただいて、厚労省、政府全体として協議をして、決定いたしました。

金子(一)委員 あなたが考えたんですかと伺ったんです。

安住国務大臣 財務省の責任でやりましたから、私が考えたのとイコールでございます。

金子(一)委員 基礎年金の二分の一、三分の一の差額。これは、今回の消費税の大きなテーマでもありますし、予算のテーマでもあるんですよね。

 この財源を、過去三年間は何とか埋蔵金、自公政権も苦労しました、民主党政権も二年間苦労しました、何とか出してこられた。二十四年度、財源がどうもないなと。

 この財源対策、こういう交付国債を発行する以外の選択肢がいろいろあったと思うんですが、安住大臣、選択肢は考えなかったんですか。

安住国務大臣 いろいろなとるべき選択肢はあったと思います。できれば恒久財源をやはり確保してということは、今、金子先生おっしゃったように、これは二分の一に充てるという方針をお決めになって以来、自公政権下でもずっと、方針としては消費税の一%を念頭にというのは、時の厚労大臣は全てそういう御主張をなさってまいりました。しかし、三年間は、麻生政権以降、一般財源の中で何とかやりくりをしてということは事実でございます。

 ですから、そういう点から申し上げれば、恒久財源を何とか確保してということになれば、ことしもやはり消費税に依存をしなければならないと。しかし、それはまだ今の現時点では、その財源の確保というのは、確実にそれが今成立をしてあるわけではないので、そういう意味では、では、やりくりを何とかしなければならないということで財源の確保も検討いたしましたけれども、しかし、東日本大震災で、主な捻出というものはそちらの方に充当をしたということで、それからいえば、やはり確実に将来に対して支払いを約束し、そして交付先をしっかり明確にするこの交付国債がふさわしいというふうに判断をいたしました。

金子(一)委員 自公政権も、恒久財源を念頭に、消費税を念頭に置いて進めてきました。しかし、だからといって、こういう交付国債という手段によるということは毛頭考えてきていないんです。これは全く違います。あなた方もやってきたじゃないかと。全く違います。

 小宮山厚生大臣、十一月の段階で、小宮山厚生大臣はこの所管担当大臣ですから、財源をどういうふうにやろうとお考えになっていたんですか。赤字つなぎ国債という示唆をされていたんじゃないんですか。

小宮山国務大臣 御承知のように、とにかく基礎年金国庫負担二分の一、これを確実にしっかりと保つということは何としても重要なことでございますので、私どもも、おっしゃったように、秋ごろにはぜひそのための国債をということを申し上げてきました。そして、しっかりと二分の一の財源を確保してほしいということを要請してきました。

 こうした中で、今質疑がありましたように、財務当局から交付国債という打診がございまして、厚労省としては、この交付国債による対応によりまして、一つは、二十四年度の基礎年金国庫負担が、これは法律上も予算上も二分の一ときちんとされるということ、それから、交付国債は運用収入相当額も含めて発行されるので、積立金は目減りをしないということから、年金財政の安定性が損なわれることはないということから、財務当局の御主張も踏まえまして、総合的な観点から、今回の対応は受け入れざるを得ないということで受け入れたということでございます。

金子(一)委員 そうですか。

 だけれども、今、小宮山厚生大臣がおっしゃったことは、消費税が通れば年金財政、年金会計は心配ありませんという話じゃないですか。消費税が通っていないのに、安心ですなんて、それは国民に対して欺瞞になっちゃいますよ。

 何で年金会計、年金財政を守ろうといって、赤字国債、つなぎ国債の発行を主張し続けなかったんですか。小宮山大臣、あなたならできたでしょう。

小宮山国務大臣 それは、昨年の予算の獲得の議論の中で相当激しい議論もさせていただきました。でも、これはいろいろな状況から、先ほど申し上げたように、総合的にやむを得ないということで受け入れさせていただきました。

 自公政権の間も、とにかく安定財源を確保して二分の一をということはずっとおっしゃってきているわけですから、その安定財源のための消費税ということはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、そこが通ればちゃんと財源は出てくるということでございますので、ぜひ御協力をいただきたいと思っています。

金子(一)委員 重ねての御意見なので、我々も、年金のこの財源公費負担についての消費税議論は責任を持っているんです。しかし、こういう、法案が成立しない前のイカサマは……(発言する者あり)ちょっと失礼、言い過ぎかもしれません、イカサマになってしまうのではないかということを、懸念を出しているんです。

 これは、予算を削減するという選択肢も、当然、安住大臣は持っていたんだと思います。

 去年の十一月の参議院の予算委員会では、あなたは、切り込みますと明言したじゃないですか。これを見ますと、今度の予算書にしますと、びた一文、予算の歳出削減をしていないんじゃないですか。

安住国務大臣 あのときの議論は、さまざまな選択肢を宮沢先生からぎりぎり攻められまして、私は、別に言質を、何かこれで財政再建でということじゃなくて、基本的には、やはり捻出ができればそれはいいし、違う考え方もありますということは申し上げました。

 それで、先生、細かくなりますけれども、かなり効率的な予算の削減はやっております。特例水準の解消のこともそうですし、生活保護のことや、国立病院の、独法の運営費のカットとか、そういう点では、何兆という積み重なっているものがないというふうな御指摘かもしれませんけれども、細かく言えば相当切り込んでおります。

 しかし、消費税一%分の財源を四十四兆円の枠の中におさめるというのは、なかなかこれはやはり大変なことでございまして、こうした交付国債というものを厚労省に提案をさせていただいて、了承をいただいたということでございます。

金子(一)委員 その後、補正予算で今年度会計の余剰というのが大分出てきたわけですよね。それをにらみながら、一方で、それはそれだと。あなたが削減をしたという、財務大臣として少しでも削減をしていったという努力が見えない。

 国民年金法は、何で予算関連ですか。これは、所管の小宮山大臣にお伺いします。

小宮山国務大臣 国民年金法は、来年度予算に関係するところになるもので、二月十日に閣議決定をいたしました。

 その中には、今御指摘の交付国債の中で、交付国債の国庫負担の割合ですとか国債の発行ですとか、そうしたことはこの中に入れさせていただいているところです。これは来年度と関係するからでございます。

金子(一)委員 国民年金法が通ると、交付国債は発行が可能になるんですか。これは安住大臣に。

安住国務大臣 今提出している、厚生年金法で、それが一回目が通ればそれは認められて、それで、二回目といいますか、消費税でその財源の要するに確保ができるというふうな二段構えでございます。

金子(一)委員 予算が通って、予算関連法案と言われる皆さんが決めた国民年金法が通っても、交付国債は発行できない。厚生年金法が通らないと、一番予算で国民の関心のある公的助成二分の一の件がすぽっと抜けたままいっちゃう。

 そうすると、何で国民年金は予算関連なんですか。交付国債を発行できないじゃないですか。国民の一番肝心な部分というのがすぽっと、予算非関連ということで、四月になるか五月になるか。どうしてその状態が起こるんですか。

安住国務大臣 つまり、財源の確定ができてから、その返済を含めた法律で提起したものが動き出しますから、だから、先生、消費税を成立させていただいて、同時にこれは、成立すれば、制度としてきちっと成り立つということでございます。

金子(一)委員 消費税法案が通るまでは予算が穴があいたままいく、つまり、年度内成立なんというのは意味がないわけです。そういうことですか。

安住国務大臣 そういうことではございません。

金子(一)委員 国民年金法についてはこれから委員会で議論も進んでいくんだと思いますけれども、厚生年金法では、消費税を交付国債の償還財源に充てる、両大臣の覚書でそうなっていますよね。いいですね、それは。十二月二十二日の厚生大臣と財務大臣の覚書。(安住国務大臣「私と厚労大臣のサインですか」と呼ぶ)そう、両大臣の覚書、ありますよね。いいですか。

 厚生年金法ではこれを具体的にどう書くんですか。

小宮山国務大臣 これは、御指摘のように、財源が確定していないので、国民年金法には書けません。

 そういう意味で、消費税法案が出されるときに厚生年金法の中で、これは低所得者の増額とかいろいろなものとあわせまして、この交付国債につきまして、交付国債の償還ということで、償還の財源は消費税の増収分を償還財源に充てるということ、そして償還の開始時期は、GPIFは平成二十六年度以降償還請求ができる、政府は、償還請求があった場合、速やかに応じなければならないということ、また償還期間は、交付国債は二十年間で償還をするということ、国庫負担二分の一の恒久化、こうしたことをこの中で、特定年度としている十六年年金法改正の一部改正という形で、特定年度を二十六年度とすることを書く、これを厚生年金法の改正案に入れたいと思っています。

    〔武正委員長代理退席、委員長着席〕

金子(一)委員 私がいただいた要綱では、厚生年金法に、もし年金会計が緊急の場合には、交付国債の繰り上げ償還ができると書いてありますよね。

 ということは、これは財務大臣に対する質問だな、もし消費税が通らないと、この発行された交付国債は、予算で決めて、それで繰り上げ償還します、つまり、その段階で政府は、政府も金がありませんから、しようがない、消費税が通らないならば、赤字国債を発行して、補正予算を組んで交付国債を発行する、そういう条項になるんですか。

安住国務大臣 そうではありません。消費税法案は多分御協力をいただいて成立すると思っておりますけれども、万一それが本当に成立をしないときはどうするのかということでございますが、これは、国庫負担の二分の一の恒久化はできないことになりますので、国庫負担三六・五にまた戻るということになると思います。

金子(一)委員 消費税が通らないと、国民に約束した国庫負担二分の一が、今は三六・五ですけれども、三分の一に戻るぞ。何ですか、これ、国民の喉元にあいくちを突きつけているつもりなんですか。悪質ですね。

 今回のスキームは、簡単に言うと、市中で赤字国債を出す、歳出を削減して頑張る、そのほかのもう一つの選択として、特別会計、いや、年金会計と言いましょう、あのGPIF、機構でいいんですけれども、要するに、年金の会計の中に交付国債を発行して、そのかわり年金会計に金利を払うわけでしょう、いい金利を払うらしいですけれども。つまり、マーケット、市中に赤字国債を発行するかわりに年金会計に赤字国債、つなぎ国債を発行させている。消費税が通らないとそれはパアになる。したがって、公的助成というのが二分の一から三分の一におっこちちゃう。だから、国民のいわば年金基金、自分たちの年金基金が毀損をしちゃうねと。国民は不安ですよね。

 民主党の財政運営戦略、二十二年六月、財政健全化への取り組みは正直であることを第一として、国の会計間の資金移転、赤字のつけかえに安易に依存しないと。これは赤字のつけかえそのものじゃないですか。あなたは、国債の発行四十四兆ということで片手を縛られ、一方で、財政の赤字は安易につけかえちゃだめよ、もう一方で両手両足を縛られているんですよ。縛られている中でもがかなきゃいけないのが、ちっとももがいていないじゃないですか。全部消費税、まるで消費税を通さない方が悪い、そんな話ですか。

 この財政の運営戦略、閣議決定ですよ。違反していると思いませんか。間違っていると思いませんか。これに照らして正常だと思いますか。

安住国務大臣 はい、正常だと思います。

 六月二十二日の財政運営戦略、今、先生がボードに書いておられることはそのとおりでございます。「財政健全化への取組は正直であることを第一とし、国の会計間の資金移転、赤字の付け替え等に安易に依存した財政運営は厳に慎む。」ということになっております。

 結論から言えば、やはり、交付国債と申しますのは、あらかじめ財源を明確にしておりますし、ある意味では返済の計画もしっかり立てておりますので、そういう意味では極めて透明性が高く、そして、できるだけ、過去からのさまざまな経緯、経過で、一%分を消費税で充当したらどうだという、そうした安定財源を目指すという点からも、私は交付国債は適切なものであるというふうに思っております。

金子(一)委員 一番政治家として大事なところがあなたには欠けているなと思いますよ。法案が成立するというのは国会の仕事なんですよ。まだ成立していないんですよ。あなたがおっしゃったことは、全て法案が国会で成立したという前提でおっしゃっていることなんだ。

 野田首相、去年の月刊誌ボイスというところに総理大臣は寄稿されていましたね。大平正芳元首相から学ぶべきことは多いということをおっしゃられたと思いますけれども、どういうことですか。どういう評価をされるんですか。

野田内閣総理大臣 たしか大平正芳大蔵大臣が昭和四十九年に誕生したと思いますが、その後、残念ながら赤字国債に頼らざるを得ない状況に財政が陥ってきたときに、当時は我が国は物品税というのがありましたけれども、もっと大がかりに間接税、いわゆる一般消費税を導入して対応されようといたしました。

 それは、世論も大変厳しい状況であったと思いますけれども、現状をしっかり説明し、その必要性を一生懸命お訴えされながら、昭和五十四年の選挙では厳しい結果となりましたけれども、たしか、金子先生の御尊父が大蔵大臣だったんじゃないでしょうか、私が語るよりよく御存じだと思いますが、そういう覚悟を持って、世論におもねるのではなくて世論を説得しようとされた、その姿勢は大いに学ぶべきだと思いますし、財政だけではなくて、環太平洋連携構想などはその後のAPECにつながったものであります。あるいは、田園都市構想などは、私はやはり豊かな地方をつくることが日本の魅力につながると思いますが、その後の政策的な基盤をつくられたさまざまな構想も発表されました。

 そういうものを含めて、私が尊敬をしている政治家の一人でございます。

金子(一)委員 私も、大平正芳元首相には非常に親近感をいただき、また、お教えも請うてまいりました。

 しかし、今おっしゃられましたように、気迫を持って、一般消費税(仮称)、昭和五十四年の総選挙でかけたんです。途中で撤回したんですよ。選挙の結果は、自民党は過半数を切ったんですよ。御記憶だと思います。

 なぜ、途中で一般消費税(仮称)を撤回されたのか。身内の反対だったんですよ。当時、自民党の中に大勢反対される方が出ちゃったんです。身内の反乱。過半数を割って、そうして大平内閣ができたんですけれども、その後、不信任案がこれも身内の反乱で通って、お亡くなりになって、残念ながら、本当に残念でありますけれども、志遂げずにお亡くなりになっちゃったんです。一寸先は闇だな。

 民主党も、野田総理もこれから大変な難関が待っているじゃないですか。まずは、民主党、身内の皆さんでしょう。この法案を出すときには党内の事前審査会を経るようですし、そして、国会に提出したときに、国会でいよいよ採決するというそのときに、本当に大丈夫なのかよ、民主党の皆さんをまとめているんですか。

 きょう、昼のニュースでやっていました。民主党の中でいよいよ、あなたが、首相が身内の説得に乗り出す、きょうNHKの昼のニュースで流れましたけれども、あなたはまとめられますか。自信あるんですか。大丈夫なんですか。

野田内閣総理大臣 ニュースは見ていなかったので、御指摘、ちょっとわからない部分がありますけれども、今回の社会保障と税の一体改革は、昨年の六月に成案をつくるまでも政府・与党間で真剣な議論を積み重ねました。その上で、私が代表選挙で明確に公約を掲げ、そして具体化をするために素案をまとめました。ここでもたくさんの議論がありましたけれども、最終的には、手続は瑕疵なく、強行で決めたわけでもございません。民主的なルールに基づいて、熟議を重ねて今日に至っております。

 その内容を大綱として決定させていただきましたけれども、法案提出の際にも、丁寧な議論をしながら、党として、また政府と一体となってこの改革を推し進めていきたいというふうに思っております。

金子(一)委員 政治は一寸先は闇、まさにそうですね。大平元首相のときもそうだったですよ。

 民主党もこれから御努力をされるんでしょうけれども、身内の反乱ほどつらいものはないですよ。一寸先は闇は、政治の社会はいいですよ。しかし、消費税、年金の公費負担二分の一を、国民の問題、国民を一寸先は闇の社会に一緒に道連れにするつもりですか。

安住国務大臣 先生、一寸先は闇に国民をというのは、ちょっと私はそうではないと思っております。

 というのは、これは、二分の一を確保してやっていく、しかし恒久財源を充てようということで、私が野党時代も、自民党の先生方も、ここは勇気を持って選挙でもお訴えになられて、具体的にこれは一%分を恒久財源に充てるということをお訴えになられて、我々としても、非常に賢明な選択を今自民党の皆さんもなさったなと思います。

 交付国債について、いろいろ御批判はあるかもしれません。しかし、それでは毎年毎年、法律の趣旨に逆らってというか、いろいろなものをただやりくりをしてやるというのは本当に正しいことかといえば、私はなかなか難しいと思います、財源的にも。ですから、ここは正直に、むしろ私は、この制度を、今の年金制度を、二分の一の分を確保するためには、この交付国債制度を何とか成立させていただいて賄っていった方が誠実なのではないかなというふうに思っておりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

金子(一)委員 盛んに正直、誠実とおっしゃるんだけれども、だったら、赤字国債、実態を出したらいいじゃないですか。

 市場には、マーケットには、赤字国債四十四兆だけですなんと言っておいて、実は赤字のつけかえを政府関係部内で閉じ込めちゃっているんですよ。誠実、正直と言うのなら、赤字国債を発行すればいいじゃないですか。

 我々は消費税の、繰り返しますけれども、責任持つんですよ、公的年金二分の一達成、それを我々も安定財源である消費税を念頭に置いて議論してきていますから。だからといって、こういういわば赤字のつけかえ、小細工、小池先生によれば、もう一遍繰り返しますけれども、オリンパスを上回る方法というのに我々自民党は手をかすわけにいかないんです。

 最後に、総理、官僚と政治家の一番の違いというのは何だと思いますか。ちょっと一言で、申しわけないんだけれども、教えてください。

野田内閣総理大臣 政治家は選挙で選ばれる、公務員は試験に合格して公務員になるということであります。

金子(一)委員 選挙で選ばれるというところなんですね、僕らは。嫌な政策、国民に言うのは嫌じゃないですか。官僚は、つらいことでも何でも、大義と名分を言ってくれればそれで済んじゃうんだけれども、我々は、その大義と名分を、国民が嫌だなと思っても、やり遂げる、やる、それが我々政治家の役割でしょう。それは私も皆も同じですよね。

 嫌な政策であっても、あの人が言うからしようがないか、嫌な政策だけれども、彼がしょっちゅう来て言うから、まあいいかと。それだけじゃないんです。言って、わかってもらって、その上で投票所に足を運んでもらって、民主党は野田佳彦、自民党は金子一義、これを言っちゃうと選挙運動になっちゃうから、やめますよ、取り消します。

 いずれにしても、名前を書いてもらう、投票所に行って書いてもらうという、これがやはり政治家の役割じゃないですか。そのために信頼というものがどんなに大事かということを改めて感じませんか。

 そして、このアンケート、消費税は仕方がないなと思っていても、でも、どうも政府案による上げはね。これはやはり一つの国民との信頼、この部分が今一番欠けたままこの議論が行われ、そして、先ほど来私が申し上げているように、交付国債という詐欺まがい、政府部門の中での赤字のつけかえそのものでしょう、これは。それに依存した方法で消費税を進めようということに対して、我々は手をかすことができない。この部分を削除してください。野田大臣にお願いします。

安住国務大臣 金子先生の御尊父は大蔵大臣の大先輩で、本当にこの制度のことはもう百も承知だと思いますけれども、しかし、戦後、先般もここで小池先生からも御指摘がありましたように、昭和二十年代から交付国債制度はずっと続いております。

 そして、時々の政策の重要な課題の中でこれを制度として利用させていただいていることもあるわけですから、そういう意味では、オリンパスの粉飾だというような、やはり国家の政策決定の中で認められている制度であるということでありますから、その比喩だけは何とか御勘弁いただきたいと思っております。

金子(一)委員 総理、これから消費税が議論になるたびに、ユーチューブがまた取り上げられるんですよ。マニフェスト、やると言ったことは必ずやる、やらないと言ったことはやらない、これがマニフェストのルールという、あのユーチューブのアクセスが物すごく高いんです。今でも高い。

 やはり、そういう状況なだけに、安住さんもいいことを言ってくれたじゃないですか、誠実に、正直にいきたい。だけれども、交付国債をこういう形で使った例は今までないんです。何か勘違いされているんですよ。交付国債を、こんな魔法のつえ、こんなつなぎ、大事な法案を前提としたつなぎ、赤字国債のつけかえの材料として、我が国財政上、使ったことはありません。もっと勉強してくださいよ、安住大臣。

安住国務大臣 交付国債は、一般会計でやることもありますが、個別立法措置によってやることもあります。ですから、今回は根拠法で発行しておりますので、いまだかつて例がないわけではないと思いますが、確かに、先生のような御批判をこの国会ではずっと、私は一カ月ほどいただいております。

 それは、恒久財源が事前にあれば、この二分の一にする段階で実は恒久財源をつくっていただいていれば、それは何も問題なかったわけですけれども、今ない以上、やはり我々としてはこれがベストだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

金子(一)委員 官僚に全て書かれて、そのレールを走っているだけじゃないですか。私は冒頭にあなたが考えた案ですかとあえてお伺いしたんですけれども、去年の十一月の宮沢さんへの御答弁では、政府として、ある意味枠組みができちゃっていた、そういうものかなと納得したと、これは参議院の答弁なんだ。あなたは言っているんだよね。やはり、あなたは財務大臣なんですから、国の財政にいささかなりとも恥じない財政規律を持っていただきたい。

 そして、最低保障年金七万円とこの交付国債発行の仕組みというのは撤回をしていただきたいことを要求し、それと、最後に委員長、厚生年金法案、これは、私ちょっと途中で質問をやめちゃったんですけれども、どういうふうに消費税との関連で書かれているのか。もし消費税が通らない場合には、厚生年金法上はどういうふうな記載がされているのか。これもぜひ議論をさせていただきたいので、国民年金法が提出されるまでに、厚生年金法の提出を要求いたします。理事会でお諮りください。

中井委員長 予算委員会は法案の議決には能力はありませんが、理事会で協議をいたします。

金子(一)委員 終わります。

中井委員長 この際、竹本直一君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。竹本直一君。

竹本委員 衆議院議員の竹本直一でございます。

 きょうは、私、財務金融委員会が長いので野田さんらとはしょっちゅう会っていましたけれども、予算委員会で討論するのは初めてでございます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 時間はわずか三十分と限られていますので、余り多くのことは言いませんが、こういうテレビも国民の方も見ておられるわけです。やはり、今の日本の政治を見ますと、大きい需給ギャップがあるなと私は思っております。国民が期待するものと政治家が供給するものとが相当離れているんじゃないか。そういう意味で、やはり余り細かい話をしても、国民の方も関心も持たない。百円、二百円の手当が多い少ないというような話よりももっと、これからの日本がどうなるのか、我々の生活はさらに悪くなるのかよくなるのか、こういう話を、短い時間でございますが、ちょっとやってみたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、経済の話ですけれども、日本の一人当たり国民所得は世界で十六位だと聞いております。非常に少なくなっておりまして、四万二、三千ドルぐらいだと思います。そういうふうに一人当たり所得がずっと落ちてきまして、この二十年、バブル崩壊以来、全然経済が伸びておりません。他方、中国とかほかの国はどんどん伸びております。では、日本はこれからどうなるのかということをちょっと考えてみたいと思います。

 よく二十兆円ぐらいの需給ギャップがあると言われますけれども、供給力はいっぱいあるけれども、それを需要というか要求する、使う側が少な過ぎるために、経済がいびつな格好になっているのは事実であります。

 そこで、我々、経済統計ではGDPというのを使ってきましたけれども、GNI、グロス・ナショナル・インカムですね、所得を中心に我々の豊かさをはかってみたらいいのではないか。どこが違うかというと、国内で稼いだ金のみならず、外国で稼いだお金もこの統計の中に入れていく。こういうことで見れば、本当の我が国の豊かさがどの程度かということがわかると思いますし、政治としては、その豊かさを、このGNIをふやす方向に努力するのが一番いいんだろうというふうに思っております。

 そこで、この間、あるところで、アメリカ人のジェラルド・カーティスさんが言っていましたけれども、日本の政治の討論を聞いているとポリシーが感じられない、もっとポリシーを語れということを言っておりました。だから、そういう意味で、国を豊かにするためにはどういうことをやればいいかということを中心に考えていきたいと思っております。

 まず、GNIを増すためには、日本の企業を海外でどんどん稼がさなきゃいけない。この間、野田さんも言っていましたけれども、私は、円高対策のプロジェクトチームを自民党内につくりまして、座長をやっているんですけれども、そのときの政府の対策としては、立地補助金の千五百億円を五千億円にふやす、これを対策の一つとして出されました。それは悪くないんです。悪くないんですけれども、言ってみれば、けがした人に対する止血剤のような程度しかない。つまり、圧倒的に十倍、二十倍と賃金が違うところで物をつくって、それに競争力を持たせようと思うと、補助金を出すぐらいではとても対抗できない。

 だから、申しわけないが、止血剤という表現をしたんですけれども、抜本的に考えるならどうすればいいか。外国で稼げるのなら外国でつくらせた方がいいと思うんですよ。そして、そこで上げた利益を本国に送還させて、そして企業全体としては、トータルとしては日本全体として、先ほど言いましたGNIが豊かになる、そういう構造が一番いいのではないかというふうに思うわけであります。

 したがって、このGNIをふやすために、海外へ出ていって、稼げるところはどんどん稼ぐ、こういうことにしてやるのが一番いい。実際、代表的な日本の企業に聞いてみましても、外国で稼いで、低賃金でやっているんですね。そして、その収益を日本に持ってきて、そしてトータルとしては人件費は、日本の方がもちろん賃金は高いですから、はるかに払っているわけですね。半分以上払っていると言いました。従業員、八割ぐらい海外へ出ている企業、大手企業ですけれども、それでも人件費は国内でたくさん払っている。そういうことができるのは外国で稼いだからだ、こういう構造をきちっとしなきゃいけない。

 ところが、外国で稼いだ金を日本の国内へ持ってくるときが問題でして、実は、外国子会社配当益金不算入制度というのが三年ほど前にできました。つまり、従来は、国内と海外で稼いだ利益を合算して、それに日本の法人税率を掛けて、国内で徴収しておったんですね。ところが、それではなかなかいろいろ不都合がある。第一、外国の方が法人税率が安いですから、外国で先に税金を納めてしまって、一旦法人税を納めたところには日本の政府はそこから税金を取れませんから、どうしてもそういうのが多くなってしまう。

 ですから、私は、外国で得た利益を日本の国内へ返すときに、もう一つの企業の論理は、本国へ送るけれども本国で使い道がない、冒頭言いました需給ギャップが大きいです、国内で使い道がない。だから、海外で置いておいて、海外で再投資した方がいいんじゃないか、こうなるんです。永遠にお金がこちらへ返ってこない、こういう状態になるわけです。企業としてはいいでしょうけれども、日本の政府としては非常に困るわけであります。

 私は、そういう中で考えられるのは、海外で稼いだ金を日本に送った場合に、それを特定の目的、例えば介護、福祉のような医療、福祉に投じた場合は減税するとか、住宅投資減税というのがよく議論になりますけれども、住宅に投資した場合は減税するとか、何かそういうことを考えたら、海外で稼いだ金を日本に送ってくる、こういうことが可能になるんではないかというふうに思いますが、これについて、担当はどなた、では財務大臣ですか、お願いします。

安住国務大臣 竹本先生のおっしゃっている外国子会社配当益金不算入制度というのは、これは麻生内閣だったと思いますが、できました。概要を説明すると、外国に子会社があるところは現地で法人税を納めていて、この制度というのは、言ってみれば、既に課税済みの配当について日本の国内では課税しないという制度。この制度を利用して、過去三年間でおおむね三兆円前後のお金が入ってきている。

 これは、先生がおっしゃるように、私も、いかに、言ってみれば海外で稼いでもらったお金を国内に持ってきて、国内でこれを投資また雇用に使っていただくかということでいえば、こうした制度に着目をして、さらに今先生がおっしゃっているような、国内における別の法的な制度を何か利用して、これをまた企業の側に国内に還流してもらうというのは、極めて私は前向きに考えて、いろいろな工夫をこれからしていけるのではないかなというふうに思っております。

枝野国務大臣 大変貴重な御指摘をいただいたと感謝を申し上げます。

 先生も御承知かもしれませんが、特に中小企業について統計をとりましたら、海外に進出している企業の方が数年たつと国内での雇用をふやしている、こういう統計が、しかも、一回だけ出ているんじゃなくて、間もなく中小企業白書も出ますけれども、こういう状況が定常的に続いてきています。

 つまり、特に中小企業が力のあるうちに海外に出て、海外の安い労働力などをうまく活用して稼いでいただくと、国内においてそれをマネジメントするなどさまざまな雇用が生まれてくるということで、国内の活性化にもつながる。

 ただ、中小企業が海外に進出するに当たっては、ファイナンスの面、それから相手国の制度をしっかりと周知するなどということで、やはり弱点がありますので、経済産業省としては、中小企業庁それからジェトロなどとしっかりと連携させて、海外に出る意欲と力のある中小企業がむしろ積極的に出ていただいて、なおかつ、その結果、国内にお金を戻して、国内の雇用も広げていただく、このことをしっかりと進められるように力を入れてまいりたいと思っております。

竹本委員 おっしゃるそのとおりです。だから、しっかりと応援をして、補佐してあげていただきたい。かつて戦後、通産省は、そういったことに全力を尽くして今日の経済大国の基礎をつくったわけですから、ぜひその点はお願いしたいと思います。

 さて、海外で競争するには、国際競争があります。そこに勝たなきゃいけない、特に大企業を想定していただければいいんですけれども。ところが、外国には、自由競争じゃなくて、ステートキャピタリズムというか、国家資本主義、これが蔓延しているわけです。例えば、ロシアのガスプロムだとか、中国ではペトロチャイナ、CNOOCとか、ブラジルのペトロブラスとか、いっぱいあります。こういった人たちは、あるときは社長で、あるときは政治家である、こういう入れかわりが自由なんですよね。

 だから、大きいプロジェクト、例えば海外のインフラプロジェクトなんかをとりに行っても、日本は残念ながら、民主党も二回ぐらい成長戦略を言われましたけれども、海外部門、いろいろ立派なものですよ、だけれども、実績はなかなか上がらないじゃないですか。

 だから、やはりそこは、国家戦略から見ても、外交上この国とは太いきずなが必要だと思ったら、そこは例えばソブリン・ウエルス・ファンドを使って、どんと圧倒的に有利な条件でそのプロジェクトをとるとか、そういうことが政治の場で必要なんじゃないか。だから、そこは外務大臣が対外的に見てここが重要だと思えば、やはりそういうことも必要だというふうに思います。その辺の協議が十分なされているのかどうか、それはぜひお聞きしたいんです。

玄葉国務大臣 まず、竹本委員とは、財政、金融の問題で、党派を超えて非常に建設的な議論をかつてよくしたこと、そのことに対して感謝を申し上げたいと思います。

 今のお話は、まさに人口が減る中で、海外で稼いで日本に還元する。おっしゃったとおり、海外で稼いで日本に還元しても、なかなかお金が回りにくい制度になっているものですから、若干の改善はありましたけれども、さらにそのことについて推進をするという発想は、私は全く同感でございます。だからこそ、高いレベルの経済連携を行うということが一つ大切である。

 同時に、今、国家資本主義という言葉を使われました。この言葉の定義はなかなか定着はしていないと思いますけれども、今おっしゃったような文脈で考えるとすれば、我々も官民連携して、特に、例えば環境技術であるとか水、上下水道ですね、あるいは鉄道、橋、こういった問題について、やはりパッケージ型で、政府を挙げて官民連携で、自由貿易体制、市場主義だけれども官民連携で、このことについては売り込みを図るということをまさに戦略的に行っていく必要があるというふうに思います。短期的にはまさにそうだろう。

 最近、クリントン国務長官なども、ジョブズディプロマシーといって、今までアメリカはそういった、中国あるいはインドなどと比べると、いわゆる経済に対して国家が関与する、そのことについておくれをとってきたという趣旨の話をしているんですね。ですから、短期的には私はそういうことなんだろうと思っています。

 ただ、こういった国家資本主義的な考え方が長期的に果たしてどうなのかということもどこかで考えながら我々は国家戦略というものをつくっていかないと、私は、必ずしも、長期的に見たときに、国家資本主義という考え方が世界の経済をこれからもずっと半永久的に引っ張っていくかというと、逆の可能性もあるなというふうに思っているものですから、そういったことも勘案しながら、注意深く、しかし今官民連携でしっかり売り込むべきは売り込んで、しかも、おっしゃったとおり、それをきちっと国内に還元できるような仕組みを、これはもう党派を超えてつくり上げていかなきゃいけないというふうに考えております。

竹本委員 要は、自制を前提として、必要な場合には国家資本主義で対応しなきゃならないケースがある、だから、そこは十分自覚してやってもらいたいというのが私の考えであります。

 かつて、福田赳夫内閣のときに、対外経済担当大臣として牛場信彦さんという方が就任されました。それで、各国を歩いて、こういう海外のインフラ整備等々についていろいろ話をされました。あれはすごくよかったなと思うんですよ。今はそれは古川さんがやっているのかもしれませんけれども、総理、ぜひ、そういう役割の大臣を置いていただく、あるいは、今は古川さんなら古川さんにやっていただくというようなことをやはり考えたらいいんじゃないか。これは余り時間を置かないで、ぜひやっていただきたいんですけれども、いかがですか。これは総理に答えていただきたい。

野田内閣総理大臣 大変前向きな御提言をずっといただきまして、ありがとうございます。

 その中で、かつての牛場さんのような役割の人を政府の中に置くべきかというお話でございますが、今、パッケージ型インフラ輸出という形で、例えばインドに行ったりベトナムに行ったり、それぞれの閣僚が役割分担をして情報交換をしています。その束ねる役を古川さんがやっておりますので、そこはきちっと機能させていただいているとぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

竹本委員 さて、今は円高、八十円にはなりましたけれども、なお円高であります。我々も円高問題をずっと勉強してきたんですけれども、結論を言うと、円高のときは円高メリットを、円安のときは円安メリットを使うということに尽きるんじゃないかなというような感じがするわけであります。

 そこで、今は円高ですから、私は、この円高を利用して、外国の資源、石油あるいは権利、そういったものをどんどん買うべきだと思っております。政府としても努力はしておられるんですから、その現状を、経産大臣でしょうか、ちょっとお述べいただきたいと思います。

枝野国務大臣 一つには、やはり資源、天然資源、我が国にとっての弱点、ウイークポイントでもあります。この円高の状況を踏まえて、特に今年度、二十三年度から相当力を入れてやってきております。また、二十四年度の予算においても、JOGMEC等を通じて、もちろん相手のあることでもありますので、こちらが欲しいというだけでは買えませんが、今のうちに買えるものについては最大限手を出すという努力をしておりますし、実際にカナダなどのシェールガスなどの権益も確保を今年度しているところであります。

 それからもう一つは、海外企業の買収。これは民間でもかなり模索をして、努力をしていただいていますが、例えば産業革新機構などでは、こういうところが弱点なので、こういう企業をうまく買って組み合わせれば日本の成長につながるというような分野に目をつけて、そして民間と組んで、ファイナンスもつけて海外企業を買収するというようなことにも積極的に取り組んでいるところでございます。

竹本委員 JOGMEC等あります。これは国策機関としてそういう努力をするわけですけれども、どうも、いろいろ聞きますと、JOGMECは行く、民間企業連合が行く、日本人同士で競争している、結局とれない、こういうのが結構あるらしいんですよ。

 中国の人たちに聞きますと、トップの方に聞きますと、ここの資源は必ずとる、大前提。そのための採算はある意味では度外視してやる。こういうふうに先に決めておってやるんです。そういったところと競争しますから、あなたたちだけやりなさいといって、見ていてあげますよという程度ではなかなかとれないんですよね。

 ですから、先ほどの国家資本主義じゃありませんけれども、とにかく、極めて厳しい状況の中で競争に勝たなきゃいけませんので、おわかりでしょうけれども、それぐらい世界は厳しいですから、日本は資源がないとどうしようもない、そういう意味で、ぜひ頑張っていただきたい。

 東南アジアに行きますと、皆さん方は閣僚だからしょっちゅう行かれます、トップと会われます。そうすると、やはりいかに日本に対する尊敬の念が強いかということをお感じになると思うんですよ。口では悪口を言っても、近隣の諸国でも、日本なんてつまらないんだ、いいかげんな国だと言っていても、内心は非常に尊敬しているんですよ。

 それだけの過去の歴史の実績があるし、何しろ、歴史上、この日本の国土は地球上の陸地の〇・三%しか、一%もないんです。そこに一億二千万の国民を、しかも世界の地震の二割がこの国で起こっている。資源がない、危ない、地震の多発地帯だ、そこで世界第二位、三位と言われるような経済大国になり、あの大国アメリカと対等に試合をやっているわけです。だから、すごいと皆思っているんですよ。その国家経営のノウハウをぜひ我々も身につけたいと思っているのが、東南アジアのみならず、中東、アフリカ、皆そうですよ。

 ですから、この信用を生かして、資源獲得、そういったことにぜひ使っていただきたいなと思います。改めて、日本はそんなつまらない国じゃない、立派な国だ、そう思われているんだということをぜひ再自覚してやっていただければいいのではないかなと思っております。

 さて、海外に対してはそういうことですけれども、冒頭言いましたように、国内には需要がありません。したがって、なかなかいろいろな事業も起こせない、こういう状況ですけれども、金融資産が千四百兆円もあり、そしてそれが、投資先がなくて、行き場がなくて困っている。円キャリートレードでもうけたけれども、今は金利が小さくなってもうからない。こういう状況が今の現状です。

 ですから、私は、国内に需要をつくればいいと思う。誰がつくるか。国家がつくる以外ないじゃないですか。それは公共事業であり、いろいろなことがあると思うんです。

 そこで、そのときに国家が音頭をとるんですが、民間のお金を使ってやる。去年、PFI法を改正しました。そして、いろいろなことができるようにしました。コンセッション方式も、買い取ることができるようになりました。ことしはまた、これは古川さんのところでやっているんですかね、さらにPFI法を改正して、ファンドをつくって応援する、こういう体制をつくるんですね。これはぜひやりましょう。そのようにして、とにかく民間資金を活用して公共事業をやる、こういうことに発想を切りかえたら、どんどん国内で需要が起こってくると思うんですよ。

 例えば、阪神高速淀川左岸線というのがあるんですけれども、これは完成までに三十年かかると言われているんですよね、今の予算の割り振りからいくと。これなんか、PFIでやったら、たちまちのうちにできてしまうんじゃないか。つまり、民間企業にやらせて、民間企業には料金を取らせて、そして全部料金を取り終わったら国に返してもらう。このやり方、いわゆる基本的なPFIなんですが、それをやればいいと私は思うんですが、どうぞお願いします。

古川国務大臣 おっしゃるように、日本の国内にはお金がないわけじゃなくて、個人の金融資産で千五百兆と言われているようなお金があります。

 ただ、問題は、そのお金が本当にうまく活用されているかというと、余り活用されていない。だからこそ、さきに成長ファイナンス推進会議というのをつくって、そして国内の、今おっしゃったような、本当にこれから新しい市場や新しい雇用を生み出していくような産業とか、そういったものにお金が回るような仕組みをつくろうということで今検討をいたしております。

 先ほど委員からお話があった、例えば、海外でもうけたものを日本に戻してきてそれを投資する。そのためのいわばビークルといいますかファンドといいますか、何かそういう形も考えていきたいと思っていますし、今お話があったPFIであるとか、さまざまな形で、ともすると今までは、何か政府がやるというと、税金とかあるいは国債を発行してというところがあったんですが、民間の中にあるお金を最大限活用する、そういう方策を考えていきたいと思っております。

前田国務大臣 PFI、改正PFIのお話がございました。国交省においても、PPPと、もう少し大きい概念でぜひやってまいりたいと思っています。

 さらに言えば、先ほど来議論されておりました海外へのインフラパッケージでございますが、野田総理が昨年末にインドに行かれ、そしてその後、私、正月に一日だけ行ってまいりまして、向こうのトリベディという鉄道大臣にお会いいたしまして、新幹線のインフラパッケージ、これはまさしく、ファイナンスから始まって建設から車両から運用まで、そのフィージビリティー等についても話し合いをして、既に事務次官レベルの定期協議を行うというところまでこぎつけております。

竹本委員 ぜひそれは頑張っていただきたい。

 海外のインフラを見ていますと、アメリカの高速鉄道プロジェクトだって、東海岸、西海岸両方とも、何かもう一つぱっとしない。一時は受注できるような雰囲気になっていたけれども、そうでもない。ブラジルの新幹線も、ほぼだめでしょう。そういうふうに、話はあるんだけれども、なかなか最後まで行かないんですよね。ぜひ、前田大臣、それは頑張ってもらいたいと思いますよ。物にすれば、日本は施工能力が抜群だし、対外的な信用もある。さっき言いましたようないろいろな信頼もあります。ですから、絶対結果はいいはずです。だけれども、チャンスをもらわないとどうしようもない、こういうふうに思います。

 最後に、日銀総裁にお聞きします。

 実は今回、十兆円という資産の買い取りをやりました。結果として、円安に三円ぐらい振れまして、これは国民から見たら、やっと買い付けがつきましたと私にも電話が来ましたよ、中小企業の社長さんで親しい人ですけれども。要するに、三円ぐらいの差で、円高になったらオーダーがないんだ。やっと八十円近くになったから、ぱっときた、喜んだ。これこそやはり政治だと私は思うんですよ。

 実は去年、我々自民党は、三度にわたって円高対策の提言を出しました。そして、政府側が十兆円資産買い取りをやるとおっしゃったときに、我々は、さらに十兆円やれと言ったんですよ。そうしたら、財務大臣はどう思ったか知らないけれども、ちょっとけちられて半分にした。まあ、役人も渋ったんでしょう。それはわかるけれども、だから結果として余り効果がなかった。もう一回やれということで、今回みんなやってきました。すとんと十兆円ふやしたじゃないですか。そうすると、これはがらっと雰囲気が変わって、今のような結果になった。要は、やはり円高、円安といっても、将来どうなるか、期待が持てるか持てないかが一番決め手だと思うんですよ。

 今回、これから質問しますけれども、インフレターゲットと言われるような議論までして、この十兆円を資産買い取りに向けた。そして、ことしじゅうに全部、六十五兆円分買い取る。こういうわけでありますから、これは相当の意味があるんだろうと私は思っております。

 そこで、いろいろさんざん今までここでも議論があったと思うんですけれども、日本はインフレターゲットをとっているのか、とっていないのかということであります。今までは、いわゆるアンダースタンディング、理解だと。審議会の委員の理解がこの程度だということで言いました。それはターゲットではないんだということで、さんざん議論がありました。

 今回、そのアンダースタンディングをゴールにかえました。ところが、アメリカはゴールですけれども、ユーロはデフィニション、定義という言葉を使っていますし、イギリスはターゲットと言います。

 だから、私はインフレターゲット賛美論者では必ずしもないんですけれども、要するに、どこがどう違うのかということをまず聞きたいと思います。日銀総裁、お願いします。

白川参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、主要国の中央銀行が使っている名前は確かに違っておりますけれども、しかし、物価安定のめどとして、今一%を掲げていますけれども、これをめどとして、この達成を目指して金融政策を強力に展開していくということでございます。

 ターゲットという言葉を使っていないことについてのお尋ねだと思います。

 この場でもそうでございますし、それからいろいろなエコノミストの議論を聞いていましても、これは日本も海外もそうでございますけれども、インフレーションターゲティングという言葉で思い描いている内容が随分違っております。そういう意味で、国民にわかりやすく説明するためには、当面一%をめどとして、これを目指してやっていく。目指すというのは非常にわかりやすい表現でございます。そういう形で、国民に対してわかりやすくメッセージを送りたいということでございます。

 行っていることは、ターゲティングを採用しているイギリスも、それから今回のゴールのFRBも、それから欧州も、これは基本的に同じような思想で政策運営をやっているというふうには思っております。

竹本委員 今総裁が言うように、同じようなことなら、どうしてターゲットという表現をしないんですか。

白川参考人 欧州中央銀行もそれからFRBもBOEも、同じような政策を行っているというのがほぼ共通した見解だと思いますけれども、しかし、各国の中央銀行、それぞれ違った言葉を使っております。それで、日本で目標、ターゲティングという言葉がどういうふうに使われてきたかということ、これもそういう現実がございます。

 そういう中で、私どもとしては、この言葉を使うことに伴う、つまり、機械的に物価上昇率だけを目指してやっていくということですと、これは誤解が生じてしまうことでございます。十分な理解があって、インフレーションターゲティングという政策がどういうふうな政策であるかということが、必ずしも行き渡っていないような感じがいたします。

 長くなって恐縮でございますけれども、例えばイングランド銀行、ターゲティングを採用しております。二%でございますけれども、ここから一%を超えて物価上昇率が上がる場合には、この理由をはっきり説明しております。現在三%を超えた期間というのがほぼ二年間続いておりますけれども、その過程でイギリスは金利を上げているわけじゃなくて、金利を下げる、あるいは金融緩和を強化しております。

 これが示すように、ターゲティングという言葉から連想される機械的な運営ではなくて、あくまでも長期的にどういう状況を目指していくか、それをはっきりして日本銀行は政策をやっているということを示すためにどの言葉が一番いいかさんざん考えまして、私どもは、めどとして目指していくという言葉を使いました。

中井委員長 竹本君、時間が来ましたから、まとめてください。

竹本委員 はい、これで最後にします。

 要は、アメリカのFRBは物価の安定と雇用の確保ということを二つ要件にしています。日本の日銀法は物価の安定だけなんですね。ところが、実際、日本の経済を見ますと、雇用調整助成金で失業者が四百六十五万人いるわけです。これを入れると実質失業率一二%。こういう状態なので、物価さえ安定すれば経済がよくなったとは言い切れない。ですから、私は日銀もそういう二つの目的を持った方がいいのではないかと思いますが、総裁、いかがですか。

中井委員長 答えはありません。時間はもう過ぎております。

 これにて中川君、菅原君、金子君、竹本君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 質問に先立ちまして、野田内閣に対して抗議を一言申し上げたいというふうに思っております。

 平成二十四年二月十七日に野田内閣は、社会保障・税一体改革大綱について閣議決定をされました。その「第二章 政治改革・行政改革への取組」の中で、「衆議院議員定数を八十削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る。」とあります。

 しかし、これは根本的な問題をはらんでいます。なぜならば、衆議院議員の定数は、憲法四十一条で定められているように、国権の最高機関である国会が決めるべきものであります。これは、明らかに憲法四十一条に違反する行為であります。これでは、内閣が国権の最高機関になってしまいます。このようなことを認めれば、今後、衆議院の選挙制度でも、あるいは参議院の定数削減でも、内閣が閣議決定して法案提出できることになります。

 したがいまして、私は、内閣に対して、この閣議決定を取り消し、衆議院議員定数削減の部分は削除すべきであるとまず要求するものであります。

 さて、それでは質問に移りたいと思います。

 政府・民主党の皆さんは、この二年半、政権交代をされてから、みずからの政治的主張に合うように経済を見たり、あるいは経済政策を考えておられるような気がします。しかし、経済をありのままに見る、経済をありのままに実態分析することこそ最重要であると私は思っているわけであります。

 本日は、テレビをごらんの国民の皆様にもわかりやすいように、経済分析をしっかり踏まえながら質疑を進めていきたい、そしてまた、私ども公明党の経済政策につきましても、具体的に提案をしてまいりたいというふうに思っております。

 それでは、最初に、デフレ問題につきまして質問させていただきます。

 これまでの質疑でも明らかでありますが、これは総理、簡単にお答えください。デフレ、十五年近く続いていると言われているわけですが、このデフレの原因は、これまでの質疑のとおり、需給のギャップである、こういう認識でよろしいでしょうか。

野田内閣総理大臣 財務金融委員会でも、かつて、財務大臣時代、大変御指導をいただきまして、ありがとうございました。

 長引くデフレ、ここから脱却できない状況というのは、バブル崩壊後の、まさに資産デフレあるいはバランスシートの調整等に時間がかかってきていることによって需給ギャップが生じている、加えて期待物価上昇率が低下をしている等々の要因が指摘をされているというふうに思います。

竹内委員 それでは、資料一を見ていただきたいと思います。ここに、消費者物価の長期動向について調べてみました。

 ここで明らかなことは、九〇年代に入ってからの工業製品の長期的価格の下落傾向であります。これは上から二番目のグラフですね。九〇年から二〇一一年までで、この工業製品につきましては約三六%程度下落しております。最も下落が著しいのは、その中でも耐久消費財でありまして、これは一番上の紫色の折れ線グラフ。特に、娯楽教養消費財とされるテレビ、パソコン、カメラなどが九〇年から二〇一一年までで約一〇四%下落しているわけであります。半分以下であります。

 他方で、サービスの価格、一番下のオレンジ色のグラフでございますが、これは九〇年から二〇一一年までで一三%ほど上昇している。

 結果として、総合的な物価指数、テレビでは太い赤色のグラフですね、これは、九八年をピークに下がり始めまして、二〇一一年までに約四%の下落となっている。こういう状況の中で、デフレというふうに認定をされたわけですね。

 ここから推定をしたいわけですけれども、日本の場合、長期的には、内需が減ったということよりも、むしろ国際的な供給過剰の側面がある。すなわち、中国、韓国などの新興工業国が発展して、そこでつくられた低賃金、低価格の製品が供給過剰されてきたために、これら工業製品の激しい価格低下を招いてきたと考えられるわけであります。

 すなわち、国際的な供給過剰という要素が非常に強い、ですから単純な内需不足ではない、この認識をまず持つことが私どもは大事だというふうに思っているわけでありますが、まず総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 大変的確な分析だというふうに思います。

竹内委員 そこで、ここから一つ考えられることは、やはり、デフレというのは、一つ、日本企業のビジネスモデルと深くかかわっているというふうに思うんですよね。

 これまでのような、従来型の貿易加工立国というだけではなかなか無理があって、やはり思い切ってビジネスモデルも転換をしていただいて、特に大手の企業さんですよね、例えばアメリカのIBMとかアップルのように、新分野の開拓をやるか、あるいは高度規格品に特化していくか、あるいは高度サービス産業というものを包含していくか、そういうビジネスモデルのチェンジというものがどうしても民間セクターでも必要だというふうに思うんですね。

 その意味で、デフレ脱却のためには、民間の皆様のイノベーションがまずベースにならなければならないというふうに思っているんです。

 次にお聞きしたいことは、デフレというのは悪いことばかりと言われるんですが、デフレにも多少いい面があるんじゃないか。デフレのメリットというのがあると思うんですが、これ、古川さん、どうですか。

古川国務大臣 メリットという言葉を使うかどうかはちょっと別にして、要は、価格が上がらない、あるいは下がるということは、そのことによって、いわば、可処分所得の中で、安いものを買えば、その残ったものをほかのものにという消費ができるわけでありますから、そういった意味では、実質的に可処分所得がやはりふえる部分もあると思います。そういった面はあるというふうに考えております。

竹内委員 そのとおりなんですね。

 資料二では、デフレの要因として、私は、今、一つ重要な点は、金利が著しく低い状況になっているということを指摘しておきたいと思うんです。

 日米欧の金利動向を見ていただいてもわかりますように、九九年くらいから日本の金利はゼロ%近くに張りついているわけであります。そして、日本のデフレもほぼ同時期から始まっている。

 それで、今質問しましたことですよね。つまり、デフレに多少いい面があるとしたら、物価が下がる、そうすると、名目の貨幣供給量が一定であれば、物価がダウンした分だけ実質の貨幣残高がふえる。そうすると、実質の貨幣残高がふえるということは、利子率の低下を招いて、そしてそれが消費や投資を促す。これが普通のデフレからの脱却というか、そういう経済の動きがあるんですね。これを実は経済学では、実質残高効果あるいはピグー効果というんですよ。アメリカでは、こういう効果が働いたと推定されています。

 アメリカの場合、結局、アメリカでも中国や韓国からいっぱい物は入ってくるわけですから、なぜ日本だけがデフレになるんだ、そこの違いが大事なんですね。アメリカはピグー効果が働いてデフレからうまく脱却しかけている、しかし日本はどうして長い間脱却できないんだ、ここの問題だと思うんですね。

 それにつきまして、ここに日米欧の金利動向を示したんですが、日本の場合は、金利が長期間にわたってゼロ%近くに張りついているために、物価が下がって、今申し上げた実質の貨幣残高効果、ピグー効果がききにくくなっている。すなわち、利子率がこれ以上、もうゼロ%以下には下がらないものですから、なかなかアメリカのようにはいかなかった、こういうことだと思うんです。

 すなわち、金利が低過ぎることが非常に重要なポイントになってきている。ケインズという大変な大学者は、一九三〇年代に、既にこれを流動性のわなといって指摘しているわけでございます。

 ですから、日本の場合、金融緩和でそれなりにされてきたと思うんですが、なかなか効果が出ていない、流動性のわなにはまっている可能性があるというふうに分析されるわけですね。

 アメリカの場合は、まだ日本よりも金利が高い、水準が少し高いですから、流動性のわなに陥っていない。だから、貨幣供給量をふやしたら利子率が低下して、それで消費や投資がやはり上がったんですよ。そこへまたQE2なんというすごいのを出したから、かなり今回復しかけてきた。実質残高効果ですよね、ピグー効果がきき始めたのではないか、こういうふうに分析をされるわけですね。

 ですから、アメリカが今、日本型デフレに近づいているというふうに言われていますでしょう。それは、アメリカもこれからどんどん金利を下げていけば、流動性のわなにはまって、日本と同じように長期デフレに陥る可能性がある。だからFRBは、非常に慎重な、巧妙な金利運営をやっているわけですね。ここに日本のデフレの本質的な原因があるというふうに思います。

 これは経済学の専門的な話なので、きょうは日銀に来ていただいていますので、教授でもいらっしゃいます白川総裁にお伺いしたいんですが、日本が流動性のわなに陥っているとの、そういう分析に対して、どのように考えておられますか。

白川参考人 お答えいたします。

 流動性のわなにつきましては、今先生から御指摘ございましたとおり、名目金利がゼロまでに低下いたしますと、金利がそれ以上低下し得ない、あるいは、お金を持っていても、いわば機会費用といいますか保有コストがゼロになりますから、お金を供給しても、その供給したお金がそのまま持たれてしまう、したがって金融政策からはなかなか効果が出にくいという状況を指してケインズが使った言葉で、おっしゃるとおりでございます。

 日本が流動性のわなに今到達しているのかということでございます。

 これは、確かに短期金利はゼロでございますけれども、しかし、日本銀行として、そうした中でも、何とかして金融政策の力を使って需要をつくり出す努力、これはやはりやっていく義務がございます。

 そういう意味で、私どもが今注目していますのは、少し長目の金利、あるいは実際の民間の金利はそこにさらにリスクプレミアムがついておりますので、そうしたものに働きかけていくということを通じて、金利を少しでも下げて、それで需要を刺激していくということを狙っております。

 したがいまして、今流動性のわなに直面しているとまで言うのはやや行き過ぎているかなという感じがいたしますけれども、しかし、金融政策の効果がそれだけこの環境のもとでは限られてくるということは事実でございます。

 そういう意味で、日本銀行としては、日本銀行の役割はしっかり果たしてまいりますけれども、あわせて成長力を高めていく努力、この両方が相まってデフレからの脱却ができていくというふうに思っております。

竹内委員 今お答えいただきましたので大体理解できたわけでございますが。

 もう一度確認しておきたいんですが、日銀としてはそれなりに金融緩和されてきた、その効果はあったと考えるか。そして今後、金融政策、金融緩和だけで物価が上昇するか、すなわちデフレから脱却できると考えるか。その点についてもう一度、簡潔で結構ですから、ちょっとお答えいただけますか。

白川参考人 お答えします。

 まず、日銀としては、日本銀行の持てる手段を使ってデフレ脱却に最大限の努力をしていく、これは当然の責務でございます。したがって、そのことはこれからもやっていくということでございます。

 効果がこれまであったのかということでございますけれども、これは、やはり金利水準全般を引き下げていくという努力、それから企業が流動性を調達できる安心感をつくり出すことを通じて下支えをしてきているというふうに思っております。

 ただ、先生最後に御質問の、これだけでデフレから脱却ができるのかというと、これだけではなかなか難しいというふうにやはり言わざるを得ません。そういう意味で、日本銀行の責任も十分自覚した上で、実体経済、成長力を強化する努力と金融面からの下支え、これをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

竹内委員 総理、一言でいいんですが、こういう流動性のわなに近いような状況に陥っているという中で、金融政策にも限界がある、あと、政府として有効な政策手段というのはどういう方向になるとお考えですか。

野田内閣総理大臣 まずは、今御審議いただいている二十四年度予算の中でもさまざまな需要を掘り起こすプロジェクトもたくさん盛り込まれておりますので、その早期成立をお願いしたいのと同時に、新成長戦略、この中には、ライフイノベーションであるとかグリーンイノベーション等々の、そういう需要を喚起していくという政策もございますので、そういうものをしっかりと取り組んでいくということと、先般の日銀の金融政策決定会合、私はこれは評価すべきものだと思っていますが、引き続き日銀と緊密に連携をとりながら、まさに適時果断な金融政策を引き続きお願いしていきたいというふうに思います。

竹内委員 流動性のわなに陥っているような場合には、金融政策だけではなくて、やはり政府の財政政策が必要だというふうに思っています。

 ただし、これは歳出をしても、最終的に財の購入にならないとだめなんですね。すなわち、移転支出じゃだめだ。だから、はっきり申し上げますけれども、子ども手当でどんと物すごいお金を出したとしても、それは移転支出だから、最終支出にならないわけですね。国民がもらうけれども、半分ぐらいは貯蓄に回しちゃう、これでは効果が半減するわけです。

 そういう意味で、こういうときに政府のとるべき手段というのは、実は直接的に国民が消費する、あるいは投資することを後押しするような政策。

 例を挙げます。これは、二〇〇九年の自公政権時代の最後に公明党と自民党が主導してきたエコカー減税とエコポイント制度ですね。二〇〇九年度補正予算でのグリーンニューディール効果ということで、これは、自公政権の最後のときのものを二〇〇九年度に限定して試算したものであります。エコポイントで千七百億円、エコカー補助金で四千百三十億円、エコカー減税で一千二十億円、財政資金は六千八百五十億円使いました。これが、税収効果として、消費税二千五百億円、所得税三千五百億円、法人税二千四百億円、合計八千四百億円の税収効果があったと推定されているわけであります。雇用創出につきましても、約六十万人の雇用創出があったということであります。

 そういう意味で、当時、私どもの環境大臣の斉藤鉄夫大臣が非常に頑張りましてやったわけでございますけれども、その上で、我々としては、今後の財政出動、一番大事なことは何かといいますと、こういう状況では、やはり何といっても東日本大震災からの復興を急ぐことだというふうに思っているわけであります。当面は、流動性のわなの状況にありますので、需要の押し出し、いわゆるクラウディングアウトは生じないだろう、金利もまだ上昇しないだろうというふうに思っております。

 ただ、今後最も懸念されるのは電力の供給の問題でございまして、場合によっては原発が全部停止に追い込まれる可能性もある。私どもは、やはり最悪のケースも想定して今後の経済運営を考えないといけないんじゃないかというふうに思っているんですけれども、この夏に向けての電力需給の見通しについて、経産大臣、どのようになっていますか。

枝野国務大臣 この夏の電力需給につきましては、昨年の十一月の段階で整理をいたしまして、仮に原子力発電所の再起動がなく、二〇一〇年、一昨年、これは猛暑でございました、この猛暑の年並みのピーク需要となり、有効な対策を講じなかった場合には約一割の電力需給ギャップが生じる見通しであるということであります。

 これに対して、供給力の増強と、それから、我慢でない省エネを最大限お願いする、特に産業活動への影響を与えない範囲での節電に最大限御協力をいただくということの中で、ただ、なおそれでも需給についてプラス・マイナス・ゼロにはならないというのが昨年十一月の段階でございます。

 今、これ以降も、供給力の積み増しと、それから、さらなる、特に民生部門などを中心にして、無理のない範囲で、なおかつ効果的な省エネをどうお願いするのかということの検討と努力を進めているところでございまして、夏の需給でございますので、それに対する見通しをある程度の段階でお示しするべく、さらに精査を進めているところでございます。

竹内委員 これは、本当に産業界は困っているんですよ。早く見通しを示してくれないと、工場の生産計画があるわけですよ。大変なんですよ、これを組みかえるのは。ですから、これはいつ示せますか。

枝野国務大臣 これは率直に申し上げますが、例えば原子力発電所の再稼働がどうなるのかということについては、今、一番早いもので、原子力安全委員会でのチェックを受けている状況でございます。そしてその後、もしそこでオーケーということが出た場合でも、地元の御理解がいただけないと再稼働できません。

 時期が後になればなるほど、そういったものがどうなるのかということがはっきりして、より正確な見通しが立てられる。一方で、特に産業活動などに対する関係では、余り遅くなったのでは影響が大きいということの兼ね合いの中で、今のところ、何とか年度末から四月の頭ぐらいには、まず一次的なものを次の段階としてお示しをしないといけないのではないだろうか。その段階で、再稼働の問題であるとか、あるいは他の供給力増強の問題がどれぐらい具体的な確度の高いものとしてお出しをできるのか、最大限の精査をしているところでございます。

竹内委員 電力供給に制約があるというのは大変な問題でして、戦後でも、そういう危機というのは余りないんですよね。供給側のショックですよ、これは。一番我々がよく覚えているのはオイルショックですよね。供給側に限界が出てきた。

 ところが、これからどんどん復興需要が高まってくる。しかし、電力のボトルネックがあるために生産をふやせないということになると、これは本当に、経済全体に大変な問題になるんですね。ですから、もしもこれが制約があるということになってきたら、復興を優先しないといけない。しかし、そのほかの部分については落とさざるを得ないですよね、需要と供給というバランスは絶対に。

 ですから、何が落ちるか、投資が落ちるのか、消費が落ちるのか、あるいは純輸出が落ちるのか、こういうことで、これは大変な問題になってくるわけです。場合によっては、クラウディングアウトという、需要が渋滞してほかの需要を押し出してしまう、こういうことになりかねない。

 資金調達の面からは日銀さんに頑張ってもらうとしても、だんだん資金が締まってきて、金利が上がってくるかもしれない。だから、非常に重要な問題であるわけであります。

 ですから、経産大臣、責任重大ですよ。これは、オイルショックのような事態になったら本当にパニックですから、これはやはり、早く国民に需給をできる限り頑張って示して、本当に皆さんに御協力をいただくしかない、このように申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、公明党の経済政策についてちょっと申し上げておきたいと思います。

 過日、公明党といたしまして、総合経済対策に関する緊急提言を出しました。そして、政府にも提出をいたしております。特にこの中で強調していることがございます。

 では、資料の四をごらんになってください。

 政府の巨大地震想定、政府が出しているものですね、御存じだと思いますが。今後三十年以内の発生確率は、首都直下地震が七〇%、マグニチュード七級、東海地震につきまして、マグニチュード八程度が八七%、東南海地震につきましても六〇%、南海地震については五〇%。経済被害額は、首都直下型の場合は百十二兆円、それ以外の三連動の場合は八十一兆円ということでございます。

 一方、今、日本の、建築後五十年以上経過する社会資本というのはどうなっているかということであります。コンクリートは大体五十年たつと寿命と言われますからね。そうすると、道路や橋は、この真ん中でございますが、二六%、すなわち二〇二〇年度、あと八年ほどで四分の一強が五十年以上になる。それから、河川管理施設につきましては、何と三七%がもう五十年以上になる。下水道管については七%、港湾岸壁につきましても二五%ということで、この十年以内にかなり老朽化が進んでいく、こういう状況でございます。

 そこで、今後日本に必要なことは、はっきり申し上げておきたいと思いますが、これからは、民主党さんのこれまでの政治的プロパガンダであったコンクリートから人へではなくて、人のためのコンクリートであるべきである、人の命を守るためのコンクリートへと変更をしないといけないというふうに私どもは思っておるわけであります。

 では、次の資料をお願いします。

 今回の提言におきましては、一番目は東日本大震災関連の予算の早期執行、二つ目は防災・減災ニューディール政策というふうに打ち出しました。今申し上げたとおりでございます。そのほかにも、公共工事だけやれと言っているわけじゃなくて、データセンターによる都市機能のバックアップ対策強化ということは非常に大事だと思うんですね。

 例えば国会あるいは霞が関、この機能をどう分散しておくんだ。最近、首都機能の分散と余り言われなくなったけれども、しかし、これはリスク管理をしないとだめですよね、リスクヘッジを。さまざまな情報やデータがこの近辺にあるわけで、これを本当にどうするのかということをやはり官民挙げて考えないといけない、このように思っているところでございます。

 総理、私どものこの防災・減災ニューディールについてどのように感じられましたか。

安住国務大臣 多岐にわたる御提言を二月三日にいただきました。今、竹内先生からも御紹介がありましたような、社会資本のきちっとした整備をせよという御提言もいただきましたし、実はこれは日銀でやっていただきましたけれども、この買い入れ枠の拡充というのも、八十五兆円に大幅に拡充せよと、日銀はトータルで六十五兆やっていただきましたけれども、そうしたことがありました。

 そこで、震災からの復興に全力を挙げる、それから全国防災をやっていくということ、あとエネルギーは今御指摘がございましたけれども、それに中小企業対策の充実、これらのことについては、四次補正、そして当初予算においてもできるだけ反映をさせてきたつもりでございます、細かな額のことは申し上げませんが。

 やはり大震災の後に、かなりそういう点では国民の皆さんの意識も変わりましたし、防災という意識が非常に高まる中で、今年度の予算の要求の中で地方自治体からの御要望もそうした点が非常に多うございましたので、できるだけそれを予算に反映するような形で努力はしてまいっておりますので、今後とも御指導を賜れればと思っております。

竹内委員 そこで、今回、私どもの提言では、このほかにエネルギーの多様化と分散化、また中小企業支援の強化などについても言及をしているわけでございます。

 特に、中小企業支援の強化についてちょっときょうは触れておきたいんですが、私どもは、国内立地推進事業費補助金のさらなる強化とかセーフティーネット保証等の拡充強化、国際協力銀行、JBICによる中堅・中小企業の海外展開支援の充実なども盛り込んでいるわけでありますが、本日、特に訴えておきたいのは、小規模零細企業への支援策なんです。

 製造業で二十人以下、サービス業で五人以下の小さな会社、しかし、こういう方々が日本の産業を支えてくれていることも確かであります。東京、大阪、また私の地元の京都にもたくさんあるわけであります。

 確かに、さまざまな意味で弱い立場であるけれども、日本の大企業といえども、こういう小さな会社の技術がなければ成り立たない分野というのは結構たくさんあるわけですよね。中国や韓国はこのような技術力のある小規模零細企業を買収にも来ているわけです、非常に。その意味では、こういう小規模零細企業こそ日本の根幹ではないのか、彼らの現場の意見をもっと吸い上げていく仕組みをつくることがとても大事だというふうに思っております。

 ところが、これらの小規模零細企業は、九九年に四百二十三万社あったものが、今二〇〇九年には三百六十六万社と、十年で五十七万社も減少しております。大変な事態であります。一方で、支援策としては、まことに申しわけありませんが、これまで一律のマル経とか小規模設備資金制度ぐらいでございました。

 この際、特に要望しておきたいことは、小規模企業者の位置づけを法的に明確にすべきではないのか。例えば、中小企業基本法などに明確に位置づけるべきではないか。それから、取引関係の改善なども必要ではないかなというふうに思うわけであります。それからまた、経営や事業などその他の課題にも対応できる体制を検討すべきではないのかというふうに私ども思っておりまして、この点につきまして、経産大臣の御見解をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘、全く同感でございます。

 我が国にとって、中小企業の重要性、そして、中小企業の中でも特に事業規模の小さな企業の重要性、それは雇用を支えていただいているということからも、そして、そうしたところの中に実は技術力があったり、あるいは潜在力があったり、そしてもう一つは、やはり、日本の均衡ある国土とよく言われますけれども、地域社会を支えている。非常に多岐にわたって、小さな企業の持つ意味は大変重要である。

 にもかかわらず、今まで残念ながら、苦しいときの下支えといいますか、止血剤、ばんそうこうというか、そういうところはそれなりにやってきたというふうに思っていますが、しかし、大きな産業構造の転換や競争の激化の中で、御指摘のとおり、小規模企業の減少の率というのは中小企業の中でも際立っておりますし、それから、そうしたところに働いている皆さんの数も、中規模の企業では五%程度の減少ですが、小規模企業では一七%の減少ということで、非常にダメージが大きくなっております。

 今御質問の中にもございましたが、こうした皆さんの声、実態の声をいかに伺っていくのかということがまずは実はスタートラインではないか。非常に多岐にわたった業種でありますし、置かれている状況も、少人数で、若い経営者のもとでこれから頑張っていこうというところもあれば、高齢の皆さんが何とかあと五年もたせたいというところもあったりとか、非常に状況も違っていますので、そうした幅広い小規模企業の皆さんの声をきちっと受けとめて、そして育てるところは育てる、支えるところは支えるというきめの細かい対応を打っていこうと。

 これは、数日中に、かなり踏み込んだ形で、思い切った形で、この小さな企業を支えるための枠組みを発表できるというふうに思っておりますので、またそうした場も通じて、さまざまな御意見、御提言をいただければありがたいというふうに思っております。

竹内委員 総理にもちょっとお伺いしたいんですが、総理の民主党の代表選挙での演説、私も伺いました。初当選は平成五年で一緒ですが、平成八年に落選したところまでは一緒でございまして、そのお話の中で、中小企業を献金をお願いして回った、そういう御苦労もお話しされていました。いやあ、総理も私と同じことをやっていたんだなというふうに本当に思った次第であります。

 その後、私は、この地場の実態といいますか小規模企業の皆さんの実態を見て、やはり政治の原点はここにある、本当にこういう人たちのために何とかしないといけないというふうに思いまして、みずから志願して、地方議員、京都市会議員からやり直すということで、その後、紆余曲折いろいろありましたけれども、今日に至っているわけであります。

 私は思うんですが、やはり日本の国民の九九%が小規模中小企業で、零細企業で働いておられる方々ですよ。そういう意味では、そこで働く方々によって今の日本の社会は成り立っているんだというふうに思うんですね。

 総理もそのことを痛感されていると思うんですよ。そういう意味では、今経産大臣おっしゃったように、この小規模零細企業の方々のために頑張ると、決意をちょっと一言言っていただけますか。

野田内閣総理大臣 竹内さんとは同期生で、一緒に浪人をして、中小企業、零細企業の皆さんにお支えをいただいている。その中で多分同じ経験をしていると思いますけれども、私の場合は、一カ月に一回、一万円を頂戴しに行って、そしてその場で領収書を自分で書くということをずっと三年八カ月やりました。御主人がお金を出してくれるときはいいんですが、奥様と会うと出してくれないとか、いろいろな苦労をしながらやってまいりましたけれども、まさに日本の経済を支えているのはそういう中小零細企業の皆さんであります。その方たちが一生懸命あしたへの希望を持って働ける環境をつくるということが、私は日本の底力になると思います。

 現場の現場力、技術力、あるいは商店における本当にまめな努力、そういうことの積み重ねによって日本経済は支えられてまいりました。そういう皆さんが、きょうよりはあしたがよくなると実感を持ってもらえるように全力を尽くしていきたいというふうに思いますし、今の経産大臣の取り組み等、しっかりと着実に推進をしていくべきだと考えております。

竹内委員 よろしくお願いします。

 次に、我々は、あれやれ、これやれと提言しているだけではなくて、財源についてもしっかり提案をしているというふうに思っております。

 公共事業の財源としては国債や地方債があるわけでありますが、これまでも各委員会で申し上げているように、民間手法を最大限に活用することが大事だということを訴えてまいりました。

 具体的には、やはり何といっても民営化ですよ。国鉄がJRになり、電電公社がNTTになり、近くは高速道路公団が株式会社になりということで、そういう民営化。

 それから、さらにはPFIの活用ですよね。中でもコンセッション方式という方式。これは、関西新空港と伊丹空港を今度新会社に統合して、そして関西新空港の運営権を、大変な何千億というお金で民間に売却しようじゃないか、そして一・三兆円もある債務を減らしていこうじゃないか、こういうこと。我々も、自公政権時代から本当に力を尽くしてきたところであります。

 そして、さらに、きょう特に私が申し上げたいのは、レベニュー債ということでございます。これまで総理にも、財務大臣のときから何回も委員会で御説明しておりますが、きょうはテレビをごらんの方も多いので、ちょっと図表も用意をしているわけですが、そのレベニュー債の前に、さらにもっといいアイデアというか、まず、すぐにできる対策がある。それは、一円の税金も使わずに公共的事業をやり、そして日本経済のためにもなり、防災対策にもなるということを一つ申し上げておきたいと思うんです。

 資料六をごらんになっていただきたいと思います。それは、新名神高速道路の抜本見直し区間の凍結解除ということを申し上げておきたいわけであります。

 これは、御存じのように、新東名高速道路につきましては全線開通が視野に入ってきたわけですよね。新名神だけが今、凍結されている部分がある。これはなぜかというと、これまでの議論では、今までの名神があって、そしてその下に京滋バイパスというのがある、だから三本目の大津―城陽間、そしてまた八幡―高槻間、ここは不要じゃないか、こういう議論があって凍結されているわけであります。

 しかし、最近、周辺の道路が大変交通量がふえてまいりました。第二京阪道路というのが開通をいたしまして、これによって、旧名神、今の名神高速も京滋バイパスも渋滞が非常にふえてきたわけであります。一方で、新名神については、そのほかの部分はもう工事が全部なされる。この八幡―城陽間だけはこの間着工しましたけれども、それ以外の両翼がばさっと抜けているという、大変おかしな状況になっているわけであります。

 私どもは、こういう渋滞の状況、それから三連動地震に対するリダンダンシー、いわゆる冗長性、防災対策ですね、こういう観点、そしてまた経済効果という意味でも、これは一刻も早くこの凍結区間を解除すべきではないのかというふうに思っているわけです。しかも、これは解除するだけで、NEXCO西日本がやってくれるわけですから、国債も要らない、地方債も要らない、全く民間の努力でこれだけの事業ができるわけですから、これはやはり早く見直した方がいいと思う、凍結解除した方がいいと思いますが、国土交通大臣、いかがですか。

前田国務大臣 御指摘の区間については、委員おっしゃったとおり、平成十五年十二月の政府・与党申し合わせにおいて抜本的見直し区間とされたわけです。しかし、その後の状況というのは今御紹介があったとおりでございますし、特に、昨年のあの大震災以来、多重防御と申しますか、そういったものの必要性、そしてまた、高速道路のあり方委員会というところで中間取りまとめを昨年暮れにしていただきましたが、そこでも指摘されていることは、大都市圏における環状道路の早期整備であるとか、あるいはミッシングリンクをつなぐだとか、こういったことの重要性が指摘されております。

 ということで、耐震性、耐災害性の向上といったこと、あるいは渋滞や事故の解消、こういった課題解決の緊急性を今精査しているところでございまして、地元の要望を勘案しながら対処してまいりたい、このように思っております。

竹内委員 とにかく早く動いてくださいね。前向きの結論で、ひとつよろしくお願いします。

 それで、レベニュー債の話に移りたいと思います。

 資料七をお願いいたします。

 レベニュー債とは何のことだ、聞きなれない言葉だなというふうに思われる方が多いと思うんですが、これは公共事業などの事業収益を返済原資として発行される民間債、債券のことでありまして、レベニューというのは事業収入を指しているわけであります。

 政府なり第三セクターなりが収益事業を行う場合に、このレベニュー債を発行して投資家に買ってもらう、そして、それで公共サービスを提供する、利用者は料金を支払う、その利用料から元利返済していく、こういうことなんですが、これの最大の特徴は、一般会計の債務保証を禁止しているということなんですね。ここに大きな特徴があるわけであります。

 アメリカでは非常に多用されていまして、この図の下の方にありますように、これは億ドルの単位ですけれども、大体、毎年二十兆円以上、残高で二百兆円規模になっております。

 資料八をごらんになっていただきたいと思います。

 アメリカでは、空港や高速道路、有料道路ですね、港湾、上下水道、住宅、病院、教育研究施設の運営、NPOへの貸し付けなど、多様な対象事業があります。教育研究施設の運営なんかでは、MIT、そういうところも図書館をつくったりして、それを運営する場合にレベニュー債を使ったりしております。

 メリットといたしましては、政府による債務保証が禁止されている。それだけに、やはり、無駄な事業を抑制する可能性が非常に高い。それから、そういう意味では財政再建にも寄与してくる。そして、アメリカでは免税扱いになっているわけですね。実質的に低金利で起債できる。それから、超長期で二十年から五十年の資金調達が可能だというふうに言われています。さらに、公益事業の透明性の向上ということで、経営実態や財務情報の開示もなされているわけです。

 アメリカのケースですが、具体的事例では、コロラド州のデンバー空港であるとか、テキサス州の高速道路ネットワーク公社であるとか、ニューヨーク市の新ヤンキースタジアムとか、ロサンゼルス市の水道電力局とか、非常に多岐、多数にわたっております。発行規模は毎年約二十兆から三十兆円、発行残高で二百兆円規模。

 日本でも、実は、もう既にこれをやったところがあるんですよ。茨城県の産業廃棄物処理施設、これは三セクで百億円調達を既にしておりまして、そのために茨城県は損失補填を解消できているわけですよ。債務保証が不要になった。しかも、二十五年近くの安定的な資金繰りによって自律的な運営が可能になったということですね。そういう先進的な県もあるわけであります。

 一方で、日本の公営企業の一般的実態でありますが、大体一般的なケースでありますが、経営実態がやや不透明で、財務情報はわかりにくい。人件費はふえて、赤字体質で、資金繰りが厳しい。地方債で調達しているんですが、返済原資として、国の交付金、交付税などで補填もしているケースも多い。しかも、一般会計から補助金も出しているということで、なかなか、非常に厳しいものがある。

 そういう意味では、このレベニュー債というのは、余っている民間資金を活用して国、地方の財政再建にも資するものだと思っておりますし、政府としては、今後、東日本大震災からの復興のための手法としても、大いにこれはもっと見直すべきじゃないか、活用すべきじゃないかというふうに思うんですが、まず財務大臣、御意見をお願いします。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

安住国務大臣 財金の委員会で何度か御指摘をいただきまして、私ども財務省でも理財局を中心に勉強させていただいております。

 それで、今先生から御説明があったとおりでございますが、メリット、デメリットは確かにあると思います。というのは、パブリックなものですから、デフォルトしたときに保証をしなくてもいいんですが、では仮に、それが日本の場合、そのまま本当にやっていいか、デフォルトさせたままで、公共事業体がそれは知らないよということで本当に済むのかどうか、そこがやはりアメリカとはちょっと違うと思うんですね。

 そういう点では、これをやってメリットがある、ないというのは事業によってまた個々に分かれると思いますので、こういう手法を用いてやってうまくいくケースがあれば、それはそれで検討してもらえばと思っております。

 なお、やはり日本の場合、今までの慣例といいますか、地方債を発行して低利の金利で調達をしてきた実績というのはあると思うんです。そういう中で地方自治体は地方債を通して資金調達をしてまいりましたけれども、今後、事業によっては、今、茨城県の例がありましたけれども、メリット、デメリットを十分勘案しながら、それぞれの自治体で、我々も研究しますが、用いられるところはやるというのも一つの案ではないかと思っております。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

竹内委員 これは、レベニュー債の法的位置づけを明確にすべきだと思うんですよ、私は。環境整備すべきだと思います。アメリカはもう免税債ですし、そういうことを考えた方がいいと思います。

 それから、アメリカと違うと言いますが、公共事業性に日本もアメリカもないんですよ。アメリカでも公的事業でやっているわけですから。アメリカの公益性と日本の公益性が違うなんということはないですよ。だから、どういうふうにやっているか、やはりよく研究した方がいいと思う。ところが、財務省は全然やる気がないんですよ。

 はっきり申し上げて、これだけ財政再建で税金を上げないといけないと総理も先頭に立ってやっているのに、こういうことに全然知恵を使わない、知恵がない。やはりもっと革命的なことを考えないといけない。これだけの財政再建はできないですよ、本当に。税金を上げるだけでは無理ですよ、幾ら消費税を上げたって。

 そういう意味で、これ、ぜひ総理、これから動かすというふうに言ってください。

野田内閣総理大臣 かねてから、レベニュー債については竹内さんからいつも御提起をいただきました。

 レベニュー債あるいはPFI法、これは改正しますけれども、あるいはPPP等々、やはり民間資金の活用は大変重要であるという認識を持ってこれから対応したいと思います。今までは勉強しますという言い方でございましたが、ちょっとそれを加速して、猛勉強したいというふうに思います。

竹内委員 猛勉強だけじゃだめなんですよ。猛勉強して、本当に日本の財政再建になることは実行する、一刻も早くやる、これが大事なんですよ、総理。

 だんだん時間も押してまいりましたので、最後に、財政再建の問題に行きたいと思います。

 私どもは、財政再建のためには五つの施策が必要であるというふうに思っております。

 まず第一番目は、歳出構造の改革である。社会保障や地方財政を含む構造改革こそやはり必要ではないのかというふうに思うんですね。

 しかし、この二十四年度予算を見てもなかなか、こういう社会保障や地方財政の抑制、歳出抑制というのはうまくいっていないように思います。また、単なる表面的な抑制ではなくて、やはり構造的なものを変えていかないと、これはとても無理なんじゃないかと思うんですね。

 例えば、社会保障は毎年一兆円、税金、どんどんふえていく。しかし、税率を上げるというのは大変なことですよ、これは。社会保障の増加に税収が追いついていかない。これは、どんどん消費税を幾らでも上げないといけないというような事態さえ考えられるわけです。そういう意味では、こういう歳出構造の改革が求められているというふうに思っております。

 どうですか、財務大臣、この点につきまして。

安住国務大臣 御指摘のとおりだと思います。やはり構造的なところに切り込まないと、これは言いわけになるかもしれませんけれども、社会保障、それから地方自治体へのいわゆる仕送り、それから公務員全体の、公的セクターの人件費等も含めて、非常に財政が硬直化していることはもう先生御存じのとおりではあります。

 その中でも、しかしこの二十年だけ見れば、ほかのところの予算は比較的切り込んで、自公政権下でもかなりスリムになってきていると思います、公共事業を含めて。問題はやはり社会保障の部分で、毎年の自然増を、それから今のサービスの内容というものをしっかりとお互い協議をしながら切り込みをしていき、また必要なところには十分手当てをしていくというめり張りというものをぜひつけていかないと、おっしゃるとおり、雪だるま式にこれは膨らんでいくという事実は、全くそのとおりだと思っております。

竹内委員 そのとおりだと思います。

 それで二つ目には、経済成長による増収を図らないといけない。これは今まで述べてまいりました。

 そして三つ目には、民間手法の活用だ。これも今述べました。恐らく、この社会保障の分野にも、民間手法をどれだけ導入するか、どこまでを官がカバーするのか、どこまでを民がカバーするのか、やはりここの問題に踏み込まないと、絶対に財政再建できませんよ。幾ら消費税を上げたって無理ですよ、これは。こういうことをはっきり言わないとだめですよね。

 それから四番目は、物価安定の目標。これは日本銀行にも頑張ってもらう、こういうことであります。

 最後に、どうしてもできない部分は増税という手段はある、こういうことであります。

 ただ、時間もなくなってまいりましたが、このプライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字を目指すということですが、例えばイタリアは、プライマリーバランスは赤字ですか、財務大臣。

安住国務大臣 つい最近まで、そういう意味では大きな赤字ではありませんでした。

竹内委員 黒字なんですよね。イタリアは、悪い悪いと言われているけれども、プライマリーバランスは何と黒字なんですよ。

 だから、単に財政が表面的によくなったからということじゃなくて、やはり日本の潜在成長力がよくないと、これは国債の格付は下がってしまうんです。

 それから、イタリアと日本の違いは、資金調達の構造が違うんですよ。イタリアは、市場性の資金がかなり高いんです。六割、七割あります。日本は、個人預金、個人の皆さんの預金が七割ぐらいあるわけです。

 ですから、そう簡単に国債の暴落とか金利の急騰とか、そんなことはないです。それははっきり言っておかないと、皆さん、ここで、暴落する、暴落する、金利が上昇するなんて言ったら信用不安になりますよ。そんなことはそう簡単に起こらないんだ。だけれども、しかし長期的には財政再建に向けてしっかり取り組まないといけない、このことは間違いない。このことは我々も認識をしているわけであります。

 そういう意味で、私、きょうは、この五つの財政再建に向けた提案をしております。こういうものがバランスよくやられないと、財政再建に向けては前進しない。

 どうも総理は、最近、増税一本やりというか一直線というか、国民の皆さんから見て、取りつかれたようになっているというふうに皆さん見ています。町の声ですよ、これが。ですから、そういう意味では、そういう視点をぜひ持って進んでいただきたいというふうに思います。

 最後に一言。

野田内閣総理大臣 五つの観点からの御指摘、本当にありがとうございました。

 ただ、私も、上記の四点は非常に大事だと思っていますので、五番目の増税だけに取りつかれているということはございません。社会保障改革は待ったなしという中での安定財源確保という意味での議論を深めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

竹内委員 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日は、社会保障と税の一体改革について一日議論がありました。我が党は、既にお話をしているように、社会保障の改悪とセットの消費税増税には反対であること、増税によらない財源確保について、既に二月七日に提言を発表しているところであります。

 きょう取り上げたいのは、その前提となる考え方であります。

 総理は、社会保障を持続可能で安心できるものにしなければならない、このことを繰り返し述べていると思うんですが、そもそも安心の社会保障を安定的につくる鍵の一つは、やはり雇用ではないでしょうか。社会保障の担い手という意味でも、また経済循環のための消費、購買力をふやすという意味でも、また安心して子供を産み育てられる環境づくりの土台としても、やはり雇用は大きな鍵だと思っておりますが、まずこの前提について、当然総理も共有できるのかと思いますが、認識を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 社会保障は、国民が相互に支え合う、そういう仕組みでありますけれども、これを持続可能なものにしていく上では、委員御指摘のとおり、雇用の確保ということが大変重要な課題だというふうに思っております。

 このため、成長力の強化によって雇用の創出を図り、意欲ある全ての人、男性も女性も老いも若きも希望すれば働ける環境、いわゆる全員参加型社会の実現を図っていくことが大事だということと、加えて、働きがいのある人間らしい仕事の実現、ディーセントワークを図ること、こういうことを念頭に置きながらさまざまな施策を推進していきたいと考えております。

高橋(千)委員 希望すれば誰でも働ける、また働きがいのある人間らしい働き方、これは本当に同じだと思うんですね。ただ、今はそうなっていないというところに大きな問題がある。

 今、震災や円高なども大きな契機となっているわけですけれども、大手企業の工場が地方から撤退し、再編が進み、雇用にも大きな影響を与えています。

 経済産業省の工場立地動向調査によれば、二〇一一年上期の工場立地件数は過去三番目に低い四百三件、面積にして四百十九ヘクタールにとどまっています。その数字が今ちょっとここには入っていないんですけれども、いかに下降しているかというのがグラフで明らかと思います。このスタートになっている九〇年、これが三千七百八十三件、四千六百十二ヘクタールですから、まさに十分の一に縮小しているということであります。

 ただ、このデータは立地動向でありますので、撤退の状況が全くわかりません。撤退に伴う雇用変動というのが当然あるわけですが、それはどうなっているでしょうか。

枝野国務大臣 工場の撤退そのものについての統計は把握をしておりませんが、経済的な事情等で一カ月の間に三十人以上の従業員の方を退職させざるを得なかった場合には、事業主が大量雇用変動届を提出することが義務づけられております。この集計結果によりますと、二〇一一年上期、一月から六月までの届け出事業所数は一千二百四十七事業所、離職者数は六万二千七百四十六人となっております。

高橋(千)委員 私は今の数字はもちろん掌握をしております。もちろん全部ではないですけれども、一定の参考にはなるであろう、厚労省の所管でありますけれども。

 ただ、問題は、工場立地に着目して、またこの間もやはり長く企業誘致型の経済対策というものをやられてきたし、今回も、震災からの復興に当たりまして、立地補助金ですとか、企業立地に重きを置いた対策ということは、復興計画の中で随分あるわけなんですね。だけれども、その影響について掌握している部署がない。そもそもそこに問題がないのかということが言いたいわけなんです。

 二十日付の日経新聞によれば、同じ工場立地動向調査の中で、二〇一〇年に工場を全て移転させた件数、これは撤退ではなく移転ですけれども、百六十九件とあります。件数はさほどではないんですが、面積が二百三十五ヘクタールで、二〇〇〇年以降から見ると、唯一、二百ヘクタールを超えた。

 つまり、工場の移転件数はそんなにふえてはいないけれども、大規模工場がふえたということなんですね。さっき言ったように、四百ヘクタールを超える新しい工場立地が進んだけれども、その半分以上のところが既に跡地になっている、こういう関係が見えてくるのではないか。これはかなり深刻な話ではないかと思うんですね。

 撤退の動向についても、やはり系統的につかむべきではないでしょうか。自治体との事前協議、そういうルールをやはりつくるべきだと思うんですね。

 尼崎市など、自治体で独自に条例を持っているところもありますけれども、独自でやると、そこは難しいからということになりかねないので、やはりオール・ジャパンでやらないといけない。そういうことをぜひ検討すべきではないかと思いますが、枝野大臣、もう一言いかがですか。

枝野国務大臣 特に工場の撤退については、そのことが雇用に与える影響が大きいという観点から、先ほど御報告しました厚生労働省がとっております統計、そして、もちろんそのほかにも、事業団体、経済団体等の統計データやさまざまなヒアリング等を地方の経産局中心に行っておりまして、幅広く情報を収集しながら施策の展開を行っているところでございます。

 今御指摘いただいた、その撤退の件数、面積等も同じように把握をするべきではないかということについては、持ち帰らせていただいて検討させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 ぜひ検討していただきたいと思います、後から取り上げる具体の話の中でもやはり関係があるなと思っていますので。

 こうした中、家電業界が軒並み赤字決算、過去最大規模などと大変ショッキングな報道がされました。二〇一二年三月期決算が、パナソニック七千八百億円、シャープが二千九百億円、ソニー二千二百億円、NEC一千億円、これを足しただけでも一兆三千九百億円の大赤字となって、パナソニックだけでも、グループ全体で年間に二万七千人ものリストラに踏み出すと言っています。

 もちろん、震災、円高、タイの洪水など要因はさまざまありますが、一様に強調されているのは、テレビの不振だということなんですね。もうプラズマテレビも薄型テレビも日本製ではなくなるのか。大変な危機であるわけです。

 そこで、昨年の六月十四日、環境省、経済産業省、総務省が連名で「家電エコポイント制度の政策効果等について」を発表したわけです。これを読みますけれども、家電三品目について約二兆六千億円の販売押し上げだ、それから、予算額の約七倍に及ぶ経済波及効果、五兆円の呼び水だ、延べ三十二万人の雇用を維持、創出したと打ち上げたわけであります。予算は六千九百三十億円。

 ここには書いてありませんけれども、半ば政府によって強制的に買わざるを得なかった地デジのおかげでテレビは目標を大きく上回り、一億一千百三十一万台です。売り尽くしたという感があるわけですね。日経ビジネスでインタビューに応じたシャープの片山幹雄社長は、「国内テレビ需要の激減が(業績悪化の)引き金だ。私は評論家ではないが、エコポイントなどで需要を先食いした結果、市場が予想以上に冷え込んだということだろう」と語っています。

 税金でこんなに応援して、そのしまいには業界から、業績悪化の引き金がエコポイントだ、ここまで言われる。これはどういうことでしょうか。この総括、どうしているんですか。

枝野国務大臣 家電のエコポイント制度については、もちろん景気対策という側面もありますが、一つには環境対策、それから地デジの普及というような目的がありました。これらについては一定の成果は上がっているというふうに私は思っております。

 それから、もちろん、景気対策ということについては、こういったポイントによって需要を前倒しさせるという効果が生じますから、当然、こうした制度が終わったところで反動減が生じるということは、当初から予想されているところでございます。

 ただ、なお、直近一カ月の販売実績では、冷蔵庫とエアコンの売り上げは対前年比で増加をしております。問題はテレビでございます。もちろん、その終わらせ方についても、反動減がスムーズにいくようにという対応をとっておりましたが、大きな反動減が出ております。

 ただ、あえて申し上げれば、国内において相当程度買いかえが一気に進むということで、国内における需要が落ち込むということは、これは電機メーカーは当然織り込んでおいていただかなければいけないわけでありまして、むしろ、電機メーカーのこの間の業績悪化の原因は、国内で売れなかった、これはむしろ予想しておいていただいて当然のことでありまして、国際競争のところで、韓国等との競争の中で売れ行きが落ち込んでいる、このことこそが一番大きな原因だと私は思っております。

高橋(千)委員 率直に言って、約七千億円の税金が無駄だと言われているような状態なわけですよね。それを、いやいや、メーカーが、そんなもの織り込み済みなのに業績悪化したと言うのは何事だみたいなことを言うというのは、それは織り込み済みだったら、政府がなぜこういう政策をするんですか。そして、よかったところだけ総括として発表して、半年後のこの二兆六千億円の半分以上が赤字だと言っていることに対して何の総括もないんですか。

 これは国を挙げての政策ですので、総理に通告しております、どうぞ。

枝野国務大臣 経済政策、経済対策というのは、短期的に激変を緩和させるためにやっていかなきゃならない政策と、中長期的に日本の経済が活力を維持する、あるいは活力を高めるためにやる政策と、両面あります。こうしたエコポイントのような需要の先食い政策というのは、まさに緊急避難的に、急激な悪化というようなものの影響を緩和するための政策であります。

 現に、私のもとでも、自動車についてエコカーの補助金等の施策をスタートさせました。これについて、これで当然のことながら将来の需要を先食いすることになりますが、現下の円高という大変厳しい状況のもとで、ここを乗り切りませんと、例えば円高の状況が緩和をして輸出等についてある程度の採算が見込まれる状況に回復したとしても、それまでの間に空洞化が進んでしまうということで、まさにその間、国内の需要を前倒しすることによって激変緩和をしようという政策であります。当然のことながら、こういった家電エコポイント制度についても、導入時の担当ではございませんが、そうしたものであると思っております。

 そうしたことの中で、なおかつ環境への効果と地デジ普及という一定の効果を上げたことと、それから、一定期間我が国の電機産業の急激な落ち込みということにブレーキをかけたということは、これはどの程度の評価をするのかということは別としても、その効果はあった。

 ただ、問題は、そもそも構造的に、特にテレビなどの分野においては、韓国との競争に完成品部分のところでは勝てなくなっている、この原因と反省をすることこそが一番重要だと思っています。

高橋(千)委員 そうしたことも含めてきちんとした総括をするべきでないか、いいことだけ言うなということを言っているんです。先食いだと認めていながら、エコカーに三千億円、百万台、また新たな予算をつけているわけですね。そうすると、やはり瞬間的に期間従業員をふやして、そしてまた一気にこれを解いていく、その繰り返しでいいのか。やはり持続的な対策をとるべきだ。家計の消費を温めることと、雇用の安定に向かうべきだということを指摘したかったんです。

 具体の話に入りたいと思います。

 秋田県に十五ある電子部品大手、TDK工場が、業績悪化を理由に閉鎖するなどして、県内九工場に再編されると発表されました。秋田県にかほ市が創業者の出身地でもあるわけです。一九四〇年の平沢工場新設以来、地域経済の中心となってきましたが、秋田県内約一千二百名の従業員の配置転換と協力会社の契約解除などが大きな問題となっています。

 二十日、私、TDKの東京本社に地元議員とともに行ってまいりました。山形県のTDK遊佐工場は将来性が見込めないということで閉鎖をして、この業種は完全になくなるわけですけれども、その五十一人の従業員は鶴岡市などへ異動となります。秋田県内のグループ従業員については、基本的には同じ仕事が移転という形で、雇用の維持にはなるという説明だったわけです。ただ、さらなる再編がないとは言えないということ、確定できないということをお認めになりました。

 また、協力企業が二十社あるわけですね。その中には一〇〇%TDKの仕事しかしていない会社も含まれておりますが、三社契約解除が既に取り沙汰されておりまして、全体として、協力企業とそこに張りつく下請、関連企業となると、一千人あるいは数千人の規模ではないのか、全体像は誰もわかっていないわけです。これも見えないリストラと言えないだろうか。

 表面的には、TDKは、グループ社員は一人も切っていませんということになるかもしれません。ただ、関連企業という見えないリストラがやはり地域を冷え込ますことになる、そういう問題意識は総理にあるでしょうか。

枝野国務大臣 まず、先ほどのお話ですが、私も、需要の前倒しになるような政策が非常にすばらしくて、万々歳だなんということは申し上げておりません。潜在的な需要をきちっと長期的に掘り起こしていく、そのために家計所得、可処分所得をふやしていくということが中長期的には本質だと私は思っています。

 ただ、それには、効果が出るには時間がかかります。それまでの間に完全に空洞化をしてしまったり、今御指摘いただいたように、工場閉鎖などをしてしまって、それから例えば需要が沸き上がってきても、それでは日本の国内の空洞化という、つまり雇用が創出されるということに対する対応にならないわけですから、したがって、短期的な、止血的な効果として、需要の前倒しになるような施策についても、必要に応じてやらざるを得ないということを申し上げているわけであります。

 そうした上で、今、個別具体的な事業者の名前もお出しになって御指摘をいただきましたが、一般論として申し上げて、世界的な産業構造の転換、特に新興諸国の成長のもと、なおかつ、円高などの厳しい事業環境があります。我が国の物づくり産業が、企業が、事業の選択と集中が不可避であるということは否定できない状況であろうというふうに思っています。逆に言うと、事業の選択と集中がなされなければ、企業全体が倒れてしまう、あるいは日本の産業そのものが倒れてしまうというような国際環境の中に我が国はあると言わざるを得ないと思っています。

 ただ、そうした際において、そこに働いている皆さん、あるいは立地をしている地域に対する影響をどれぐらい小さくした中で、事業の選択と集中がなされていくのか。そしてもう一つは、それと同時並行して、同じ企業がやるかどうかは別としても、新しい産業分野、競争力のある産業分野をいかに育てていけるのかということが重要でありまして、先ほど、工場立地について、補助金などを出しながら、片方で閉鎖がたくさんあるではないかという御指摘がありました。閉鎖がある分を超えるような新規立地ができる、やはりこのことでないと、国際的な競争の中で成り立っていくことは難しいのではないだろうか。

 御指摘の案件についても、地域の自治体等と連携をして、必要に応じて、雇用あるいは取引先企業への影響軽減に取り組んでまいりたいと思っております。

小宮山国務大臣 今御指摘のありましたTDKの件について、厚生労働省で取り組んでいますので、そのお話をしたいと思います。

 厚生労働省としましては、二月七日に秋田労働局に緊急雇用対策本部を置きまして、TDKなどに対して、雇用の維持ですとか再就職支援、これについて要請を行っています。また、離職を余儀なくされる方の再就職、雇用保険の受給、また賃金の支払いなどに関する相談窓口の設置などを行いまして、一人一人の方へのきめ細かい対応をしていきたいと思っています。

 今後とも、雇用のセーフティーネットの充実整備、また機動的な雇用対策、労働基準法の遵守の徹底などによりまして、対策に万全を期していきたいと考えています。

高橋(千)委員 そこはしっかりやっていただきたいと思うんですね、当たり前のことですので。

 ただ、問題は、見えないということにどう取り組むのかということを言いたかったんです。地域が冷えているでしょうという認識さえも、先ほど大変長い答弁をされましたけれども、一言もございませんでした。

 先ほどの枝野大臣の答弁は、昨年、経済産業委員会でしょうか予算委員会でしょうか、同じ答弁をされているのを見ております。その同じ答弁は、新興国の台頭ですとか円高ですとか、選択と集中、TDKの本社に行って聞いたことと全く同じです、全く同じ説明。でも、ただそれで、そこで、わかりました、やむを得ないですねと言ったら歯どめがきかなくなるよねということを私は本社に直接申し上げてきました。

 そういうところがどこかに出てくるかということが、やはり政府に聞きたいところなんですね。そうでなければ、雇用が幾ら縮んでもやむを得ないということになっちゃうんだということが言いたいわけなんです。

 総務省の人口移動報告によると、秋田県は、昨年の転入者と転出者をプラスマイナスで見ますと、出ていった方が二千六百九十人多いわけなんです。生産年齢人口、働き盛りの人口が全市町村で転出の方が多い、これは実は秋田県だけであります。横手市の経営企画課の職員が、「工場が相次いで閉鎖し、就職先が無いのが一番の理由。企業支援をしても効果が上がらない。もはや行政だけでは転出増は止められない」と述べています。これは二日付の読売新聞が報じています。

 こういう、地域が本当に危機感を持っている。だから、先ほど労働局の話もありましたけれども、にかほ市と由利本荘市、県、商工会が連絡会をつくって、にかほ市だけで製造業百六十社あるわけなんですね、それを一社ずつ歩いて聞き取りをしています。あなたのところはTDKと取引はありますか、それがどのくらいあるのか、つまり、さっき言ったように、一〇〇%のところもあるけれども、五割のところもあるし、数%のところもある。そういうのを全部聞いていって初めて影響がわかる。これは二月の末に発表するということですけれども、そういう努力をしているんですね。

 だけれども、地域の人は、決してTDKを正面からは責めないわけなんです。これは、やはり創業者の地であるという自負があって、三工場も閉鎖するということが大変な衝撃なんだけれども、でも、やむを得ないかな、会社も苦しんでいるんだろうということで、遠慮しているわけなんですね。そうすると、いつまでもお願いベースでしかないし、自分たちの足でつかむしかないんだと。

 ここをもう一歩踏み出して、もっと企業が実態をつかんで、ちゃんと自治体に報告しますよ、努力をしますよというルールづくりに踏み込んでいくと、そこで初めてリストラの実態や地域経済にどれほどの影響があるのかというのが見えてくるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 今のお話を聞いて、今の御趣旨は私は理解いたします。

 個々の企業にとっては、これだけの国際的な厳しい競争の中で、事業の選択と集中はやむを得ないと私は思いますが、同時に、日本の国内でさまざまな公的なインフラ等を利用した中で企業活動をやっているわけですから、社会に与える影響等を最小限にして選択と集中をする責任はあるというふうに思っています。

 そうした上では、例えば、工場が撤退等はやむを得ない、あるいは縮小がやむを得ない場合に、地域経済に与える影響等について事前に関係者で相談をしていただく、そのことのために情報把握をするというような枠組みというのがあれば、それだけあらかじめその個々の企業にとっても対応がしやすくなるのではないかと思いますので、今の点については検討させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 お願いいたします。

 それで、集約した先の工場、マザー工場と呼ぶわけですけれども、県の本荘工場、本荘工業団地に建てた、敷地面積が二十五万平方メートル、建築面積が五万七千五百平方メートル、これはグループ最大規模です。TDK―MCC本荘工場に一千七百人を超える従業員が集められると言われています。

 秋田魁新報の十日付によりますと、ある金融機関の幹部がこんなことを言っている。つまり、このマザー工場ですね、「業績が良ければ自前のラインを増やし、悪くなれば他工場の業務を集めるスペース。伸びしろであり、「避難場所」でもある」こういう表現をしている。「避難場所」という表現になかなか衝撃を受けたわけです。

 TDKでは、円高で一円上がると二十億円の損失になります。これは工場再編で浮くコストをチャラにしてしまう。一円でチャラにしてしまう金額になるわけです。ただ、きょうの報道でもあるように、一ドル八十円台ということで、予測より少し円安傾向に持ち直したわけですよね。楽観はできないけれども変動はするということで、ゆとりある工場をつくっておいて、そのときの状況に応じて伸ばしたり縮めたりということ。

 ただ、そこに人が伴うわけですよ、当然。当然、人が伴うわけですよ。それはもうしようがないという立場なのか、こういう状況なんだから、伸ばしたり縮んだりしたときに、人は雇ったり切ったり、その方がいいんだよ、やむを得ないんだよという立場なのか、厚労大臣。

小宮山国務大臣 雇用を安定させるということは、経済をしっかりと立て直していく、それを保っていくためにもぜひ重要だと思いますので、雇用の安定ということについては、厚生労働省としては、最大限いろいろな努力をしていきたいと思っています。

高橋(千)委員 最大限努力するとお答えになりました。それが具体的にどういう形でできるのかということにもっと知恵を出さないと、やむを得ないという立場ではないということはまず確認をしたわけですけれども、さっきから言っているように、私、三年前にもTDKに電話しているんですよ。そのときは、にかほ工場なんですが、本社の方針なので何とも言えません、自分たちには言えませんと。そして、協力企業が、例えば派遣社員ですとかいろいろな影響はあるだろう、でも実態はわかりませんと述べたわけなんです。そこからやはり入れていって、きちんとルールを守れる立場に立てるのかということを言っていただきたい。ここは指摘にとどめたいと思うんです。

 やはり総理に、先ほどから指名をしているんですが、お答えになっていただけないので、どうしても一言聞きたいんです。

 際限のないリストラと海外移転、これで企業は一定の体力強化を図ってきました。でも、これは雇用も地域経済も大穴があくことになるわけですね。今、海外生産比率がすごく高まっていて、三年後には五割くらいは海外だというところが、三割近い経営者が考えているといいます。でも、これは、先ほど枝野大臣の答弁の中にもありましたけれども、海外シフトが進む中で、日本企業が勝ち負けている企業、サムスンですとかそういう企業の技術も、支えているのはTDKだったり日本の技術だったりということになっている。あるいは、海外に進出した子会社が日本に逆輸入してきてデフレを進める、そういう環境になっているわけですよね。だから、やはり地域の経済を冷やさない、内需を温める方向にしていかなきゃならない。

 総理はいつも、このままでは社会保障がみんなで支える騎馬戦型から肩車型になってしまうということをよくおっしゃいますよね。だけれども、その肩車を担ぐ人さえも、担ぐ力さえもなくなるようではまずい、そういう認識に立って頑張らなきゃいけないと思いますが、いかがですか。これは、総理、答えてください。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、人口構成の激変の中で、二〇五〇年代には肩車の社会になるというお話をよくさせていただきます。そのときに、支える側の方が働く場がない、元気がない状況だったら社会保障は成り立たないという御指摘は、全くそのとおりだと思います。

 今までの御議論があったように、いわゆる円高等の影響によって産業の空洞化が進むことによって地域経済が疲弊をし、そこから雇用が失われる、その懸念は間違いなくあると思います。そうならないようにするために、例えば立地補助金を五千億円に拡充するとか、あるいは中小企業に金融支援をするとか等々の取り組みをやってまいりました。やはり競争力を企業に持ってもらわなければいけないと思います。

 一方で、雇用と両立しなければいけないと思います。企業が国内に残って投資やあるいは雇用にきちっとお金を使うような環境整備に全力を尽くしていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 そこで、一つ提案しますが、地域はもちろんただ黙って手をこまねいているわけではございません。十一日付の魁新報によれば、にかほ工業振興会の渡部幸悦会長がこんなことを言っています。TDKは太陽のような存在で、協力会社はヒマワリだ。どういう意味かなと思ったら、みんな太陽の方を向き、横の連携がなかったという指摘なんですね。製造業集積地といいながら、全国のほかの集積地と違うのがこの点だ、今こそ連携して、みんな同じ方向を向いているんじゃなくて、横の連携で新たな事業を展開していくべきだと語っています。

 これは市に聞いてみたんですけれども、地域資源を生かした新規事業を起こしたいと考えている、近くに県立大学もあるわけですけれども、産学官あるいは地元金融機関共同でぜひ発展をさせたい、ここに応援をしてもらいたいし、いい取り組み方があったら情報もいただきたい、そういうことをおっしゃっていました。私は、すごく前向きな話だと思うんですね。こういう地元企業が本当に横で連携をし合って新たな展開をしようということに対して、大いに支援をしていくべきではないか。被災地向けのグループ補助とか税制優遇とか、いろいろなことをやってきましたが、やはりこういう冷え込んでいる地域経済を立て直す上でもぜひ知恵を出すべきだと思いますが、どうでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、異なった分野の中小企業がお互いの経営資源等を持ち寄って連携する、これは、本当に潜在的な力はまだまだ日本の中小企業にはたくさんある、ただそれが生かされていない、それはこういった連携によって生かされていくことにつながっていくと思います。特に、新商品の開発等に取り組んでいただくことで、地域に新たな事業や雇用を創出していける。

 経済産業省では、中小企業新事業活動促進法という法律を所管しております。異分野の中小企業が連携した新商品開発や販路開拓の取り組みを認定し、予算や融資などによる支援を実施するとともに、独立行政法人中小企業基盤整備機構が専門家によるきめ細かいアドバイス等を実施しているところでございます。また、新商品開発や販路開拓などの経営課題について、豊富な支援実績を有する相談員が中小企業支援機関での直接対応や専門家派遣を行う事業を実施しているところでございまして、今御提起のありましたにかほ市のケースなど、御相談があれば、こうした制度を十分使えるのではないかと思っております。

高橋(千)委員 よろしくお願いします。

 やはり地域の自主性をなるべく引き出しながら、そして使い勝手のよい形で応援をしていただきたい。ここは公的に約束をしていただきましたので、しっかりとお願いしたいと思います。

 先ほど、私、見えないリストラという表現を使いましたけれども、もう一つ、見えない理由が、やはり派遣労働などの雇用契約状態があるわけです。TDKは、先ほど私、三年前に電話しましたという話をしましたけれども、二〇〇八年のリーマン・ショック以降のときに県内の派遣社員三百人の解雇をしております。グループ企業はそれで既に派遣社員が減っているわけですね。だけれども、協力企業や関連企業はまだよく実態が見えていないわけです。これはどこでも同じですけれども、直接雇用ではないわけですから、契約を解除します、下請契約を解除しますというと、下請企業が派遣契約を切るという、間接の上に間接という形になるから、本当に見えてこないわけですよね。

 これがもともとから指摘をされていた労働者派遣法の問題点だと思いますが、これについて、小宮山大臣、いかがですか。

小宮山国務大臣 確かに、おっしゃるように、派遣先と派遣元のそれぞれの責任が分かれていることなど、いろいろと派遣の働き方を安定的にしっかりと守るということには問題があるということはわかっております。

 このため、事業主に対しましては、労働契約法などに基づく解雇に関するルールについて啓発指導をしたり、また、派遣元指針、派遣先指針に基づく派遣契約の中途解除に際してのルールの遵守を求めています。派遣元は、新たな就業機会の確保、休業等により雇用を維持する、それとともに休業手当の支払いなどの責任を果たすということ、また、派遣先は、休業等により生じた派遣元の賠償をする、こうしたことがちゃんと指針で決められていますので、こうしたことを守るようにということを求めています。

 加えまして、今回の労働者派遣法の改正案では、現在指針で定めている派遣契約の中途解除のルールを労働者派遣法の法そのものに明確に位置づけることにしまして、そういう意味では、派遣労働者の保護に役立つというふうに考えています。

高橋(千)委員 今、労働者派遣法の改正が労働者の保護に役立つ、そういう答弁がございました。

 民主党政権が誕生した大きなきっかけの一つが、二〇〇八年のリーマン・ショック以降の派遣切りの嵐、これで、労働者派遣法の抜本改正、大きな期待が民主党に集まったんだと思うわけであります。しかし、現実に、まだ派遣法の改正は実現しておらないわけですね。何の進展もないというのが現実ではないかと思うんです。

 最初の法案が出たとき、その時点で既に、総選挙のときに約束をした三党、いわゆる民主、社民、国民新党ですね、この案はほごにされて、新たな政府案というものが出されました。私たちは、それは非常に骨抜きだ、あるいは施行日が先送りだということで問題だと指摘しました。それでも、大臣がおっしゃったように、ある程度は労働者の保護の方にやはり一歩踏み出したものである、そう思っていたんです。問題は、その後のことであります。

 自民党時代に比べれば派遣労働者の保護に向いていた法案、そのわずかな法案がずっと棚上げされていたのに、昨年の臨時国会最終盤で、猛反対していたはずの自民党や公明党と共同して修正案が出されてきた。まず、そのことが理解できないんですよ。なぜ三党が共同できるのかということが一つありますよね。

 その中で、いわゆる核となる部分、製造業への派遣、登録型派遣の原則禁止という部分を全面削除してしまった。何にもない法案になっちゃった。これが突然不意打ちのように出てきて、厚労委員会でわずか三時間の審議で可決をされてしまったわけです。これは、私はもちろん抜本修正案を出して反対をいたしました。

 ただ、これは、実は、昨年の国会は時間切れで廃案になったわけですね。でも、それは、時間切れというだけではなくて、やはり国民の世論が大きくあったからだと思うんですよ。それを何にも見ないで、今国会また、厚労委員会の冒頭で、来週にも採決を狙っているというんです。

 私はこれまで繰り返し、せめて参考人として派遣切りの当事者を呼んで意見を聞いてほしいと訴えてきました。これは与党の中にも、それは当然だよね、必要だよねという声がありました。でも、全然そういう機会さえもなかったんです。それが今、まさか審議もしないで通してしまう、全く違うものを。こんなことが許されていいんでしょうか。

 総理に聞きたいんです。マニフェストをこれだけ破るということにもう怖いものがないのかもしれませんが、民主党は政権交代のときに、行き過ぎた規制緩和、そう批判をして、労働者派遣法の抜本改正を掲げたんです。その旗はもうおろしたんですか。

小宮山国務大臣 その抜本改正の法案を確かに出しましたけれども、その後、東日本大震災ですとか円高とか欧州危機など、いろいろ状況が変わった中で、民主、自民、公明三党で修正案が提出をされました。この修正案は、政府案に盛り込まれている労働者の保護規定の多く、例えば、日雇い派遣の原則禁止ですとか、労働契約申し込みみなし制度の創設、そのほか、離職した労働者の労働者派遣の受け入れ禁止、欠格事由の追加など、多くのものが維持されていますので、この法案の効果はあると思っております。

 一歩前進ということで、ぜひ早期の成立に御協力をお願いしたいと思っています。

中井委員長 質問はなしで、まとめてください。

高橋(千)委員 もちろん一言で終わります。

 こんな言い分は絶対に認められません。今さらになって、震災が理由だとか、そんなことは絶対に言ってはなりません。抜本改正は絶対許せないと、企業の論理ばかりがまかり通るようなやり方は認められないということを訴えて、終わりたいと思います。

中井委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 昨日の社会保障と税の一体改革の審議に続いて、きょうは経済政策、特に円高、デフレ、あるいは第一次産業等がテーマですが、実はきのう扱われたテーマは、ほとんど消費税、消費税、消費税と言われて、国民にとっても暗くなっていくようなメッセージだったと思います。せめてきょうは、我が国にどんな可能性があって、本当は、誰もが望む経済の再生や活性化をどうやってこの国会がみんなで力を、知恵を合わせて論議しているのかということが有権者、国民の皆さんに伝わるような場であってほしいと思って質問をいたします。

 冒頭、総理、きょう朝日新聞に、御党の川内議員がいろいろ各省に資料請求されて、昨年の第一次、第二次の復興関係の予算の執行状況を聞かれておりました。

 簡単に言うと、一次、二次、六・七兆のうちの三・七兆が昨年末の段階で執行。そして、この予算委員会の審議でも出てまいりましたが、第三次補正までも合わせて、三次補正は昨年末ですから時間が短かったですけれども、それでもやはり五割くらいの執行。五割という数値が出るのは、横にいる安住さんの財務省関係の、これは貸し出しとかですから、ここは執行状況がよく出るんですけれども、その他の分野というのは、それを差し引けば、半分もいかないということでありますね。

 私は、総理に、このテレビを被災地の皆さんも見ておられると思うんですね。寒い、長い冬で、もうすぐ一年になろうとします。現在の復興の取り組み、いかに期待にかなっていないか、沿えていないか。いろいろな制約があると思います。でも、改めて、この一年近くを思って、総理のこの復興の予算の執行状況についてのお考えと被災地の皆さんへのメッセージを冒頭お願いしたいと思います。

中井委員長 御質問の中で恐縮ですが、先日の予算委員会の理事会で、一月三十一日現在の状況についてデータをお配りして、一月三十一日現在では七四%ぐらいだという報告を、一次、二次の補正では、受けている。このことを含んで、野田総理大臣。

野田内閣総理大臣 最新の数字については、今もう委員長から御紹介をいただきました。

 なお、その後の三次、四次と皆様の御協力をいただいて補正予算を成立させていただきましたけれども、残念ながら、執行が十分に進んでいないところもあります。それはいろいろな事情があります。自治体のマンパワーの問題とかを含めていろいろありますけれども、何よりも、中身については、それは各党にも御了解をいただいた大事な内容ばかりだと思います。

 きちっと早期に執行することが復興需要の顕在化につながると思いますので、そのことも含めて、しっかり執行できるように着実に進めていきたいというふうに思います。

阿部委員 確かに、おっしゃったように、一次、二次は一月三十一日現在で七割になった。私が申し上げたのは、三次までも含めて五十数%ということで、違いはないと思いますが、今総理の御答弁にあった、もし人的な、要するに、このことに対応するための人材の不足であれば、そのことも含めて、本当に早く復興復旧できるように対策するのが国なんだと思います。

 どういう問題があって遅くなるのか、これを分析するために、委員長、この復興問題で集中審議を要求し、これまでも各党から出ておりますので、理事会でよろしくお取り計らいを願いたいです。

中井委員長 理事会で協議いたします。

阿部委員 では、引き続いて、本来の質問に入らせていただきます。

 総理は覚えておいでだと思いますが、昨年の暮れに、日本再生の基本戦略、総理の言葉ではフロンティア戦略と申しますけれども、これを決めておられます。私が今復興復旧のことをお伺いしたのは、このフロンティア戦略の一番冒頭に、新成長戦略の施策を先進的に被災地において実施することで、復興を日本再生の先駆例としていくと書いてございます。しかし、おくれて、先駆例と言えるんだろうかということで、私が冒頭、例を引きました。

 そして、内容的に先駆例と言えるかどうかということについて、せんだって私は総理と質疑をいたしました。

 日本は、輸出とそれからいろいろな海外投資ということで、結果的には、ここにございますような、経常収支はいまだ十兆円余りの黒字を維持はしておりますが、円高で輸出が少し落ち込んでいる。このときの論議で、きょうもございましたが、輸出を盛んにすればするほど働く者の賃金が上がってくるということと、そのときは雇用もふえるやにおっしゃいました。

 私は、この御答弁というのは、もう少し深く現状を把握していただきたいとお返しいたしましたが、実は、輸出関連企業で特に伸びが著しいのはいわゆる事業規模の大きい大企業で、そしていろいろな、労働生産性を高められる、一人一人の技術者をより向上させることができるところの正社員の皆さんの給与は上がっていても、雇用全体として見れば、大企業が非正規化を強め、世の中の格差が広がり、平均的な賃金が下がっていっているというのが我が国の現状なんだと思います。

 民主党政権が政権交代したとき、御一緒にしましたから、格差の是正や雇用の問題、本当に、ディーセント、尊厳のある働き方ということは共通認識でありました。

 もちろん、一人一人の労働の力を高める、付加価値を高めることは否定いたしません。でも、全体を分析するときには、果たして、働く者の置かれた状況が、本当にきちんと暮らしていけるのかということも含めての政策でなければ、先ほど来の輸出企業、これは可能性のあるものはやられたらいいです。賃金も、可能性のある人だけがどんどん上がっていくのではなくて、分厚い中間層が総理の眼目とされるところであると思います。

 このことについて、特にTPP問題も控えておりますから、もう少し詳しく分析されてはいかがでしょうか。輸出企業における給与が上がるというお話と、どういう人の給与が上がっているのか、格差はどうか、非正規はふえていないか、中小企業、零細はどうであるか。経済白書にはこのことが多少は書かれておりますが、それ以上の詳しい分析がないように思います。お手が挙がっていますので、どうぞ。

枝野国務大臣 御指摘の部分は、ある部分、しっかりと受けとめなければいけないと思っております。輸出といった場合も、我が国が高い技術力を持って、競争力を持って、オンリーワンあるいはナンバーワンの技術で世界と競争している部分と、それから他の、特に新興国と価格競争しなきゃならない部分と二種類あると思います。

 まさに、我が国のオンリーワンあるいはナンバーワンの技術を持って国際競争している部分については、そこで働いている人たちにも高い給料を払って成長していける。ただ、価格競争の側面に入っていけば、当然人件費の安い国と戦っていくことになりますので、むしろそういったところに我が国の雇用の質が引っ張られるということになります。

 したがって、まさにこれから輸出もしっかりと稼いでいかなきゃいけないわけでありますが、オンリーワンあるいはナンバーワンの高い付加価値を持った部分にできるだけ特化をしていく、そういったところにできるだけ資源を集中していくことによって高い労働の質とそして国際競争力を維持するという方向に向けて、国際競争という観点においてはシフトを徐々に進めている。

 ただ、一気にはこれはできませんので、新興国との価格競争の中で、厳しい雇用環境のところでいろいろな矛盾がまだまだ出てきていることは十分踏まえながら、しかし、そのシフトを急いでいきたいと思っています。

阿部委員 私は、緻密な分析が必要であると。それは、小泉政権下に輸出中心に、トリクルダウンというお話もありました。しかし、結果、格差が広がったということもあるわけです。私たちは今、そのいろいろな経験を踏まえてこれからの日本のモデルを出さなきゃいけないということなので、ぜひ今の枝野さんの詳しい分析、お待ちいたします。

 次に、この貿易収支の問題と、でも一方で、海外投資でお金がもうかっている、だけれども、もうかったお金が国内に十分投資されているだろうか、投資の場あるいは芽はどうだろうかということで、次のパネルをお願いいたします。

 私は、ここで緑の分権改革ということを取り上げたいと思います。

 総務大臣に伺いますが、この緑の分権改革という言葉は、私が調べた限り、二〇〇七年ごろ高知県で文章として出てまいりまして、地域にあるさまざまな可能性、実は高知は大変山間地でありますし、人口構成も高齢化が進んでおりますし、失業率も高いですし、最低賃金も低いですしというところですが、そこが自分たちの価値をもう一度地域で見出して再生していける芽はないかということで始められた。それは一つのモデルであったと思います。

 総務省が昨年から、ことしの予算にもありますが、この緑の分権改革という言葉を使って、地域におけるさまざまな財産、歴史も文化も自然も、自然エネルギー等々は大きな財産です、そういうものを、地域の価値を見出して発掘して、これを人材的にもサポートしていこうというモデル事業を開始されました。私は、これは非常にメッセージがあって、いいものだと思います。同じことを環境省も再生可能エネルギーという分野を中心にやっておられます。

 総務大臣、これをぜひ政府全体の中でもっと宣伝していただいて、国民にわかりやすく具体的に、こうやってもっとすばらしい日本で生きていこうよというメッセージを出していただきたいが、いかがでしょう。

川端国務大臣 緑の分権改革に関して非常に御理解と応援のお話をいただきまして、ありがとうございます。

 もう既に御案内のとおり、新成長戦略と、それから、先ほどもお触れいただきましたが、日本再生の基本戦略の中ではこれをしっかりと位置づけて、これこそ、地域の力を十分に発揮し特徴を生かしながら、まさに自立的な地方が頑張っていける大きな手法であるということで、総務省といたしましても、二十三年度の緑の分権改革調査事業ということでいろいろな応援もしながら、例えば被災地であります岩手県の釜石市、秋田県あるいは滋賀県等々で、非常に先進的に、お手本になるような事業もお手伝いをさせていただいております。

 そういう意味では、これからもあらゆる機会を通じて、正直申し上げてまだまだ緑の分権改革という言葉が今浸透していないので、しっかりとこれを、実証事例を示すことは非常にわかりやすいですから、そういうことを踏まえながら、応援すると同時に、啓蒙、宣伝もしてまいりたいというふうに思います。

阿部委員 ちょっと時間の関係で古川さんにお伺いできないかもしれませんが、総理にお伺いしたいです。

 総理は、一九七〇年代の終わりごろ、大分県に一村一品運動というのがあって、これが実はアジアのタイなどに行きましても、その村の特産品をどうやって付加価値をつけて売っていこうかという非常にいいモデルになっている現実を御存じだと思います。

 今、日本では、例えば若い人も、それからエネルギーもそうですが、全部福島のエネルギーを東京が使って、関東が使ってやってきた。全部吸い上げてきて、もう一度地方に人材も可能性も返していく時代になったんだと思います。それができないと日本の再生はない。

 一番目の雇用の問題、二番目の地方の問題、三番目のエネルギーの問題、この三つを兼ね合わせたのが、私は、取り組み方によっては緑の分権改革がモデルになると思います。環境省もモデル事業をやっている。でも、ぱらぱらで、要するに政治の意思が明確じゃないんです。

 総理みずからの口でこれの宣伝、これはお金を投資せよと言っているのではなくて、人材をどう育て、それをサポートし、金融が回る仕組みをつくるかということでありますから、御理解の上、政府の方針として宣伝にこれ努めていただきたいが、いかがでしょう。

野田内閣総理大臣 地域経済が活性化をし、そしてそれぞれのいわゆる文化が興隆をしていくという意味においては、今委員御指摘の緑の分権改革であるとか、あるいは今回、総合特区制度等々を導入してまいりました。地域のチャレンジが生かされて、そこから百花繚乱の文化、産業が興るような方向性を私も推進をしていきたいというふうに考えております。

阿部委員 もう一つ、エネルギー問題で、これも総理にぜひ御理解いただきたいですが、我が国は、原子力発電所の事故の後、やはりエネルギー不足、電力不足という問題の影におびえております。ここには、二十年間のドイツと我が国のエネルギーとGDP等々の比較がございます、ついでに言えば温暖化対策で二酸化炭素削減の。

 我が国の失われた二十年に比して、ドイツではこの二十年間、いわゆるエネルギー消費は下げながら、二酸化炭素も下げながら、成長を達成したというモデルであります。もちろん、地理的要件、EUの中にあることなどいろいろ違いますが、私は、今政治の中で大胆に提案していただきたいのは、エネルギーのどのような、さっき言った分権モデルもあります、原発に頼らないモデルもあります、こうしたものも大きな日本の経済の可能性だし、実は、世界規模で見れば、再生可能エネルギーは二十兆円の投資の、そこにある分野であります。政府を挙げてこの取り組みをお願いしたいが、いかがでしょう。

古川国務大臣 これは、阿部議員も一緒に与党として成長戦略を議論したときに、二つの大きな柱、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、これを通じて新しい政治を実現していこう、まさにグリーンイノベーションというのは、当時は原発事故がない状況でありましたけれども、世界の中で最もエネルギー効率が高くて環境にも優しい、そういう社会をつくって、それを世界のモデルとして発信していこうとしていました。

 それが今回、原発事故も起きたわけでございます。そういう中でございますので、今委員御指摘があったように、再生可能エネルギーの導入促進やまた省エネルギーの促進、こうしたことは極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。そうしたものを促進して市場を拡大するため、これはもう政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

 ちなみに、エネルギー・環境会議で昨年十二月に取りまとめました基本方針におきましては、創エネ、エネルギーをつくる、また蓄エネ、エネルギーを蓄える、そしてまた省エネ、これを軸にして、需要家や地域が主体的にエネルギー選択に参加できる新たなエネルギーシステムを築くことを基本として、エネルギー・環境戦略を策定することといたしております。

 新成長戦略、また日本再生のための基本戦略でも述べておりますけれども、グリーンイノベーション、特に再生可能エネルギー、省エネ、蓄エネ、こうしたところをフルスロットルでとにかく促進をしていく、その思いは委員と同じでございますので、ぜひ一緒になってその促進に向けてやっていきたいというふうに思っております。

阿部委員 やらなければならない法整備も多々あります。一つは、再生可能エネルギー法が成立しましたのでこれは前向きですが、地球温暖化対策の基本法や、あるいは環境税の問題や、あるいは固定価格買い取りや、具体的に政策を本当に遂行していくエンジンになるのが国家戦略室ですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、福島県の米と魚の問題、魚は福島だけではございませんで、これについてお伺いをしたいと思います。

 私は、ずっとこの予算委員会でも福島の米の問題を取り上げてきました。なぜなら、米は私どもの大事な主食であり、宝であります。それがセシウムに汚染されて、農家の皆さんも極めて厳しい状況に置かれておる。

 この間いろいろな動きがありましたが、最初は五百ベクレル・パー・キログラム以上の米を買い取る、次は百ベクレル・パー・キログラム以上を買い取る、そうやっていて、今度は、その汚染が出た自治体、例えば二本松市の米は全部買い取る。実は、これは政府が買い取るんじゃなくて団体をつくって買い取るんですが、ここまではやられるんですね、今までは個別の五百とか百のを買い取るということでしたが、自治体ごと丸々その地域の米を買い取るというのが一つと、さて来年はどうするか。

 来年の作付について、実は、科学的にも検証されていないし、データ集積もないし、合理的な基準もないんだと思います。初めての出来事です。チェルノブイリでは、地面が、土壌が違います。我が国の肥沃な土をどうやって維持しながらこの未曽有の災害に備えるのか、農水省の知恵が問われると私は思いますが、前段、後段、二つあわせて大臣にお願いします。

鹿野国務大臣 五百以上のところはいわゆる隔離、そして百を超したところについては生産者の人たちのところのお米を隔離する、こういうことでございます。ただ、地域につきましては、いろいろな考え方が農家の方々にもあるものですから、これは県と今話し合いを進めているというふうなことでございます。

 それから、当然、作付の問題になるわけでありますけれども、いろいろと具体的に実証試験等々もやってまいりました。そういう中で、何とか作付に向けて、できるだけ農家の方々にも意欲を持って取り組んでもらうようなということで、具体的な形の実証試験を通して、そして、これからさらに作付に向けて具体的な方策が講じられるように、今取り組みをさせていただいております。

 そういう意味では、非常に重要な問題であるというふうな視点で県とも連携をさせていただいているということを申させていただきたいと思います。

阿部委員 汚染の出た農家だけでは、その地域全体、私は市町村名を挙げましたが、二本松市という市のお米ももう売れなくなっているんですね。ここを、ぜひ大臣、よく御理解いただいて、もう一歩検討していただきたい。

 そして、最後の図ですが、これは日本の輸出の落ち込み、特に、農産物、水産物の落ち込みの中で、魚、水産物の落ち込みが著しいと思います。額は、見ていただければ、大体全部の輸出の半分が水産物で千五百億くらい。まだ年度いっぱいではありませんが、それが千三百億くらいに落ち込んできております。

 これは、日本がやはり海洋汚染の問題で諸外国から極めて厳しい目を向けられておる。これを対策するには、きちんと測定して、大丈夫だということをメッセージしないといけないと私は思いますが、いかがでしょう。

鹿野国務大臣 まさしく阿部先生のおっしゃるとおりでございまして、そういう意味で、具体的には、特に農林水産物の輸出減につきましては、香港、中国というところが非常に数字の上でも落ち込んでおるということでございまして、そういう中で、具体的に私どもも、各省の関係者の方々と連携をとってやってまいりましたが、まさしく今日の状況はそこに出ておるような状況でございます。

 そういう中で、大事なことは、先生がお触れになりましたとおりに、いわゆる検査の体制を強化して、できるだけその情報を正確に提供していく、こういうことによって信頼を回復するというふうなことが最も重要なことではないかと思っておるところでございます。

阿部委員 食料は国民の命に直結しております。よろしくお願い申し上げます。

 終わらせていただきます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 みんなの党の江田憲司でございます。

 まず冒頭に、どうしても総理に確認をいたしたいことがございますので、質問いたします。

 きょうのお昼の衆議院本会議で、国家公務員の人件費七・八%削減法案が通過をいたしました。我々みんなの党は、これは多々問題はあるんですけれども、しかし一歩前進ということで賛成をさせていただきました。

 しかし、民主党さんも我々みんなの党も、この前の選挙のときには、国家公務員の人件費は二割カットをして年間一兆円捻出するんだという約束をいたしましたから、私は、鳩山さん、菅さん、野田さん、それぞれ歴代総理にこの点を問いただしてきたわけですね。それで、野田総理は、昨年の十一月でしたか、私のこの予算委員会の質問でも、衆議院の任期、これは来年夏に来ますけれども、旗をおろしていない、やるんだという御答弁でしたから、私はそれを信じていたんです。

 ただ、今月の十日でしたか、岡田副総理が、記者会見で、あと一年半の任期では二割はできない、なぜなら、公務員を解雇しないと数が合わない、今の公務員制度ではできないというふうにおっしゃって、何かもう断念と表明ということで報道されているんですが、これは野田内閣の方針なんでしょうか。

野田内閣総理大臣 まずは、国家公務員の給与削減マイナス七・八%については、御賛同をいただき、そして成立に御協力をいただいたこと、感謝申し上げたいと思います。

 その上で、マニフェストに書いた国家公務員の人件費二割削減、これは引き続き目標として堅持をしております。

 ちょっと岡田副総理がどういう脈絡でお話をされたか承知をしておりませんけれども、いわゆる人数の問題はまだあると思うんです。こういうことも含めて、定員の問題ですね、等々含めて、これからどういうことができるかという方針を行革担当大臣のもとで検討させていただきたいというふうに思います。

江田(憲)委員 私も、こういう問題、政権の中で取り組んだ経験がございますから、これは、本当にいろいろな困難な問題を克服しなきゃできないんですね。

 だからこそ、私は政権交代直後から、これは時間がかかるんですね、それは御案内のとおり。人件費を七・八%、これは二割にはほど遠いわけですよ。そうすると、それを補おうとすれば人員整理ですね。それは、やりたくないですよ。しかし、身を切る努力をする、人員整理、リストラをする、民間並みのリストラをする。JALが、四万八千人いた人員を、一万六千人削減して三万二千人にしたわけですよね。こういった民間並みの厳しいリストラをしないと達成できないんだ。そのためには公務員制度改革をやらなきゃ、今みたいに、公務員、身分保障を前提としてやったんじゃとてもできないから、ですから私は、ずっと前から、工程表、スケジュール感はどうですかと聞いてきたんですよ。

 それで、私は、任期中といえば、もう来年八月ですから、そうすると、こういう公務員制度改革法案を今国会に出して成立させても、それは、実行されるのは、多分施行は来年度になってくると、もう四、五、六、七、八ぐらいしかないんですよ。それは、目標で掲げている、守るんだとおっしゃるのはいいんですけれども、本当に担保できるんですか、やれるんですか。

野田内閣総理大臣 基本的には、来年の八月までが任期でございますから、そこまで何ができるかということをぎりぎり検討しながら、そして実現方に向けて努力をしていきたいというふうに思います。

江田(憲)委員 わかりました。

 では、野田総理は、もうこれはやり抜くんだということでした。それはまた、こういう機会がありますから、本当に累次御確認をさせていただきたいと思います。

 私は、歴代総理に聞くたびに、オウム返しのように、分権に伴う地方移管をするんだ、手当、退職金を見直すんだ、定員を見直すんだという答弁しかなかったわけですよね。しかし、これはどう考えても、地方移管も進んでいない、定員の見直しというのは、まさにこれはリストラなんですよね、こういったことを実行できる法制度もないという中で、決意表明はいいんですけれども、本当に危なくなっていると思いますから。しかし、やれるとおっしゃるんですから、ぜひやっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、この問題で、二割カット、ぜひやってほしいんですが、プラス、今回の法案というのは二年限りなんですよね。これは私は信じられなくて、やはり、消費税増税を目指そうとおっしゃる政権、これは恒久措置ですから、人件費カット、我が身を切る改革は二年限りというのは全く理解できないわけです。

 そうこうしているうちに、きのうでしたか、前原政調会長がどこかの講演で、報道されているんですけれども、これは二年限りじゃないんだ、二年終わったらまたもとに戻すなんてあり得ないんだみたいな発言をされていますが、それはそれでいいんですか、野田総理。

野田内閣総理大臣 今回の国家公務員の給与削減というのは復興財源のための手当てなんですね。こういう大変厳しい状況の中で、被災地を支援するために、公的セクターにかかわる人たちにも、これはやはり臨時異例ではありますけれども、給与削減に御協力をいただいて、それを財源にしていくということが基本にあります。

 その上で、二年の措置ということでありますけれども、だから必ずしも消費税の話と直結する話ではございません、ございませんけれども、その二年後に向けてやはりそれはいろいろな議論はあると思いますが、現段階で何か方向性を定めているということではありません。

江田(憲)委員 たしか野田総理は、所信表明か施政方針か忘れましたが、要は、増税をするときにはもう我が身を切る改革をしなきゃいかぬのだ、これは国会議員も公務員もそうなんだとおっしゃったはずですね。

 そうすると、これが復興財源用であれば、では、国家公務員が身を切る改革というのは、消費税増税に当たっての身を切る改革というのはどういう内容になるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 明らかに今回の国家公務員の人件費の削減は復興財源であります。そういう形で三党で合意をしてやってまいりました。そこで御理解いただいて、御協力をいただいたと思いますが、社会保障と税の一体改革をやる上で、これはまさに国民の皆様に御理解をいただかなければいけません。

 直結するものではありませんけれども、例えば政治改革も行政改革も、でも自分たちも身を切る努力をやっているんだなということをお示しして御理解いただくという意味では、かかわりが出てくるということでございます。

江田(憲)委員 一方で、来年夏までに二割をやられるわけですね。

 そうすると、こういう理解でいいですか。来年夏までに二割をやられる、今七・八、その差が身を切るということだということですか。

安住国務大臣 多分、七・八プラスどこまで二割を目指していくかということで、全体の、私は岡田副総理の通訳ではありませんけれども、できるだけ人的なことを含めて削減に向かって努力をしていくということを表明したのではないかなと思うんですね。

江田(憲)委員 ちょっとわからない答弁ですが、七・八というのは、これは三党で合意をしまして、合意文書を見ると、七・八を二年限りでやれば、平成二十六年四月一日からもとに戻すと書いてあるんですよ。昇給回復措置は二十六年四月一日から一度に行う。要は、三年後からはもう今の七・八カットというのがなくなるんですね。これ自体が大問題ですけれども。

 今の野田総理の御答弁では、復興増税であれ、消費税増税であれ、国民負担ということでは同じなわけですからね。国民が求めているのは、いずれにせよ、増税をやるときには、まず隗より始めよ、国会議員や公務員が身を切ってくれというのに、こんな七・八ぐらい、二割に大幅に満たないような削減額がたった二年限り。では、それプラス一体何があるのかというのは非常に不明確。そこはどういう整理をしているんですかと野田総理にお聞きしているんです。

安住国務大臣 今の法律は二年であるということを総理はおっしゃっているわけです。ただ、これをこの先どういうふうにするかということについて、今後、それは党の中でも、また与野党の中でも協議になるということになると思いますし、前原政調会長のお話というのは、その見通しを述べたものではないかと思います。

江田(憲)委員 それは、だから三党合意は守らないということですか。

安住国務大臣 今三党で合意をして、江田さんにもきょう賛成していただいた法律は二年であるということを私は申し上げているだけで、それが終わったらばその先をどうするかというのがまだ決まっているわけでは正確にはないということです。

江田(憲)委員 いやいや、あなた、三党合意を読みましたか。明確に書いてあるんですよ。平成二十六年四月一日からもとに戻すと書いてあるんですよ。

安住国務大臣 三党合意では、時限を区切って二年ということになって、今、震災に充てるという話でなっているということです、二年と。

 その先のことについては、では、全く戻してその先は給料をふやしていくとか、そういう印象で持っておられるかもしれませんが、それは、その先のことは、また与野党間でもしっかり協議をし、うちの党内でも話をすることになるのではないかということをお話ししているんです。

江田(憲)委員 わかりました。そういうことですね。自民党さんも公明党さんも、それでいいんですね。

 だから、要はこれは、この法律はこの限りだけれども、これに上乗せでこれからいろいろやる、深掘りすることはこれから検討するんだ、こういうことですね。かつ、来年八月までに、きょう野田総理が明言されましたね、国家公務員人件費二割カットはやるんだ、これはまた確認をしていきたいと思います。

 それでは、本来の議論に入りたいと思います。

 きょうは、財政の基本的な事柄について、総理の御認識を伺いたいと思っております。

 前回の私の質問でも、片山善博前総務大臣の言葉を引用しました。これは、つい半年前まで皆さんの身内の人が言っているわけですから。しかも、皆さん方が登用された方が、多くの与党議員が財務省の増税マインドコントロールにかけられている、メディアも同じだ、こう言っているわけですよ。それから、もっとひどいことをおっしゃっていると思うのが、野田さんとは一年間つき合ったが、財務官僚が設定した枠を超えられなかった、ドジョウでだまされてはいけないとまで、これは朝日新聞紙上でおっしゃっている。

 身内の方で、一緒に仕事をされた方にここまで言われるというのはどういうことかとは思うんですけれども、少し私も、財務省の増税キャンペーンというか財政破綻プロパガンダみたいなのがやり過ぎだという感じは持っておりますので、きょうはその辺を基本的に議論させていただきたいんです。

 まず、昨年の十月の所信表明演説でしたか、野田総理はこうおっしゃっているんですね。きょう生まれた子供一人の背中には、既に七百万円を超える借金があるんだというふうにおっしゃっているんですよね。これはどういう意図でこういうことをおっしゃったんでしょうか。

野田内閣総理大臣 国と地方の債務残高は対GDP比で今先進国で最悪の水準であるという背景の中で、債務残高を割って割り出したという話であります。

江田(憲)委員 一億三千万人ぐらいいて、それで今借金が九百兆円前後、借入金も入れてあって、それを割ればこうなるんですけれども。なぜこういうときに、確かに、生まれてくる子供の背中には七百万円を超える借金はあるんだけれども、例えば、その手には五、六百万円の預金通帳を持って生まれてくるんだ、五、六百万円のお金も一緒に持って生まれてくるんだとなぜおっしゃらないんですか。

安住国務大臣 いや、生まれてくる赤ん坊は現金を持って生まれてくることはないと思います。

江田(憲)委員 まあ、安住さんのお人柄ですから、そういう答弁で、許せません。では、何で背中に七百万円をしょって生まれてくるんですか。だから、そういう問題を言っているんじゃないんですよ。

 要は、背中に七百万円とおっしゃるんなら、フェアに言ってください、フェアに。国民に必要以上に、こんな、一人七百万円の借金、生まれてくるんだよと言ったら、びっくりする国民もいっぱいいるわけですよ。しかし、その手には五百万円何がしの預金通帳も持って生まれてくるんだと言わないと、公平じゃないじゃないですか。こういうところが、野田さん、やはり財務省というのはそういう都合のいい数字をつまみ出すんですよ。そういう言い方はやめてくださいと言っているんです。

 もう一つ、これもよく言われますよ、テレビを見ていると、千兆円になんなんとする借金だと言っている。千兆円になんなんとする借金で、何とGDPの二倍なんだと。また、これも不安をあおるわけです。

 ちょっと聞きたいんですよ、基本的なABCを。

 借金千兆円というのは、累積ですからストックの数字ですよね。GDPというのは一年間五百兆円の数字ですから、これはフローというものですよね。ストックをフローで割って二倍だ、二倍だと騒ぐことにどんな意味があるんですか、総理。

安住国務大臣 江田さん、でも、世界のOECDなんかでは、やはりそういうことで議論しているのではないでしょうか、統一した基準で、対GDP比で。日本だけがもしフローとストックを比較しているからおかしいというんだったらそれはあるんですが、例えばG20へ行ってもG7へ行っても、御存じのとおり、それは比較ということで、マーストリヒト条約に基づいてやっているということだと思います。

江田(憲)委員 そんなことはわかっていますから、それを言っているのじゃなくて、それを説明してください。国民の皆さんもテレビを見ているわけですよ。

 もう、とにかく何か言われるから、千兆円は二倍だからといって大変だと思っている人が多いから、では、何でそれが二倍になると大変なのかという意味を、そういうOECDだ何だが採用しているのは知っていますから、それをどういう意味合いを込めて皆さんがおっしゃっているのか、財務省が言っているのかというのを聞いているんです。

安住国務大臣 最近の例では、やはりギリシャの例がそのとおりでございますが、ギリシャの例をよく例えで出させていただきますけれども、それはやはり累積債務が大きいということは、国債の償還を含めて、そういう意味では、今、金利は一%程度ではありますけれども、ある日突然それは発散をしたり、非常に財政危機に陥る可能性が高いということで私どもは指摘しているわけです。

江田(憲)委員 そこをもっと考えてください。

 要は、さっきの話もそうなんですけれども、七百万円の借金も、世界のトヨタも借金が十九兆円あるんだ、大変だという言い方もできるけれども、誰もトヨタがあした倒産するなどと思っていないんですよ。なぜならば、資産が三十兆円あるからですよ。ソニーもそうですよ、負債が十兆円あるんだと言って騒いでいるようなものなんですよ、今の財務省は。しかし、ソニーというのは一方で資産が十三兆円あるから問題ないんですよ。

 これがバランスシートという当たり前のことなんですよ。企業経営だって国家経営だって、そんな都合のいい数字をつまみ出すんじゃなくて、こういうバランスシートというものをしっかり見ましょうということで、数年前から国のバランスシートというのがやっとつくられ出したんですよね。

 これを見てください。これが国のバランスシートも含む数字なんですね。私がなぜこういう初歩的なことを申し上げたかというと、日本の国の二〇一〇年度の貸借対照表では、資産が七百七十八兆円あって、負債が千百三十五兆円あるわけですね。ですから、一人当たりで言うと、正確に言うと、確かに赤ちゃん方式で言うと、一人の赤ちゃんは八百八十八万円の借金を背負って生まれてくるんだけれども、一方で六百九万円の預金通帳を手に持って生まれてくるわけです。ただ、その差額がまだ三百五十七兆円ありますから、我々みんなの党も、財政規律が重要じゃないとか財政再建が重要じゃないなんて言っているんじゃないんですよ。優先順位が違うだろうと言っているんです。今やることは消費税増税じゃなくて、その前にまずやるべきことがあるだろう。なぜならば、猶予期間がまだあると言っているんですよ。それがこの二以下なんですね。

 二番目は個人金融資産。よく言われるように、千五百兆円の金融資産があるんですね。国全体では五千六百十九兆円。これは、国とか金融機関まで入れると、金融資産は五千六百十九兆円もある。対外純資産に至っては二百五十兆円を超えているわけですね。そして、経常収支は十七兆円。外貨準備はもう積み上がって史上最高の百兆円までいっているわけですよ。これが、「日本の支払い能力」と書きましたけれども、日本のファンダメンタルズ、基礎的な経済や財政の指標。これが国の信用力なんですね。おまけに、よく言われることは、ギリシャと根本的に違うことは、国債の九五%は国民の皆さんに買っていただいているということですよ。

 ですから、我々も財政再建は重要じゃないと言うつもりはありませんが、しかし、これだけのファンダメンタルズを見たら、今、野田総理、私も、年末年始、最近のあなたの発言を聞いていると、相当思い詰めていると思いますよ。多分、天命だと思っておられるんでしょう。そういった決意を固められたということは、全然方向は違いますけれども、私は評価します。

 しかし、もう一回考えてください。こうしたファンダメンタルズがあるうちに、しっかりとデフレ経済から脱却をさせ、経済を成長させていく。そして、額的には些少かもしれないけれども、国会議員や国家公務員が我が身を切る改革をしていく、これが大事でしょう。

 ですから、総理、このファンダメンタルズについてどういう御意見をお持ちか、開陳をしてください。

安住国務大臣 江田さん、でもこれは、例えば七百七十八兆は道路とか土地、財産、そういうことも含めてだし、五千六百十九兆円といったって、これは例えば銀行や会社や国というよりは、全部の日本の企業や何かが持っているものを足してこれだけあるから大丈夫だという論理は、果たして世界に通用するかというと、やはりそこはちょっと私は疑問があるんです、大変尊敬している江田先生ですけれども。

 だから、そういう点では、やはり国債を発行している発行額は現実に国、地方合わせてこれぐらいあるので、そこはぜひわかっていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 今のその数値を全て良好なファンダメンタルズと見るかどうかは、私はちょっと見解の相違があると思いますが、仮にそうだとするとしても、だからこそ社会保障と税の一体改革はやらなければいけない。

 というのは、ギリシャのようにああいう状況になってしまってから急いで財政にいろいろな対策を打とうとしても、もう年金は潰さなければいけない、給与はカットしなければいけない、あの激変に対応するのは大変なんです。

 だとすると、今、私は、単に財政のために申し上げているんじゃありません、社会保障改革が待ったなしだから、そのための安定財源を確保するという意味で申し上げて、増税へまっしぐらという御指摘がありますけれども、安定財源確保のためのお話をしているわけであって、それは逆に、評価は違いますけれども、ファンダメンタルズがあると思われている状況のときに手を打っていかなければいけないということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

江田(憲)委員 認識が違うというのは大間違いで、これに出しているのは財務省のホームページです。全く真逆のことを、私と同じようなことを言っているんです、財務省が二〇〇二年に。

 皆さん、違うと言うんだったら、これは今でもホームページにありますよ。これは、二〇〇二年に国債の格付が下げられたときに財務省が格付会社に出した意見書ですよ。そこにはこう書いてある、日本の強固なファンダメンタルズがあるんだ。今、私が説明したことでしょう。

 それで、こう書いてあるんですよ。日本は世界最大の貯蓄超過国、これが千四百八十八兆円じゃないですか。国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている、今も九五%を国内消化、極めて低金利で一%前後。日本は世界最大の経常黒字国、今十七兆円、債権国、二百五十二兆円、外貨準備も世界最高だ、だから全く問題ないんだと財務省が言っているじゃないですか。

 では、どういうことになるんですか、あれは。

安住国務大臣 十年前ですね、それは。これは江田さんとはこの間もここで議論をしましたけれども、そのときに比べて我が国の財政状況は極めて悪化をしております。ですから、そういう点では、世界的にもソブリン危機等があって、やはり財政状況というものに対する見方というのは大変厳しくなっております。

 そういう文書を我々として出したことは事実でありますけれども、それは、格付会社に対して、格付を下げた理由の提示を求め、なおかつ客観的な説明をしただけであって、決して我が国の財政状況が今良好だということではないと思います。

中井委員長 安住さん、さっきあなたは千百三十五兆円の国債と言ったんだ。ちょっと訂正して、あなたは財務大臣だから。

安住国務大臣 失礼しました。そこは訂正します。

 国、地方を含めて、社会保障等を含めた借金でございます。

江田(憲)委員 十年前だとおっしゃると思うから、数字を挙げましょう。十年前より改善しているんですよ、ファンダメンタルズは。

 例えば外貨準備、わかりやすいでしょう、これは倍以上になっているんですよ。当時は四千億ドルぐらい、今一兆ドルを超えているんですよ、倍以上になっている。それから、対外純資産は、今二百五十二兆円ですけれども、当時はまだ百七十兆円ぐらいですよ。指標は上がっているんですよ。ですから、皆さん、どう強弁しようが、十年前の話じゃないんですよ。ファンダメンタルズはもっと上がっているんですよ。

 要は、これはバランスシートを疑っては何もできませんよ。さっき何かこういうことを言うのが世界的におかしいと、あなた方が世界的におかしいことを言っている。全部こうやってバランスシートを、しっかりストックはストック、フローはフローでやるというのは経済の常識なんですね。そういうことを全部こうやって議論していても、ABCを踏みにじって、おかしいだ何だ言われても本当に困ります。これが現実なんですからね。このファンダメンタルズを見て、国債は順調に消化され、円は高くなっている、こういうことですから。

 この続きはまたやりますから、何か反論があったら、総理、最後。

中井委員長 野田内閣総理大臣。時間が過ぎていますから。

野田内閣総理大臣 数字の見方ですけれども、平成十四年と今日でファンダメンタルズが上がったという見方ですが、例えば国と地方の長期債務残高は一四二から一九六、フローとストックの差と言いましたけれども、これは一つの見方だと思います。それから、家計金融純資産と一般政府総債務の差額は二百五兆から六十七兆と縮まってきている等々、別の違う数字もあるということはぜひ御理解ください。

江田(憲)委員 また続きをやりますので。どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳でございます。

 きょうは三十分の質問時間をいただきました。委員長初め与野党の筆頭理事の皆さんに本当に心から感謝を申し上げます。

 実は、新党きづなは、NHK等の「日曜討論」なんかに出させてもらっておりません。地元の支援者からは、出演拒否しているのかとかいろいろなことを言われます。ちょっと聞いてみたら、出演要件としては、政党要件、五人以上の国会議員がいるということだと思いますが、それと、前回の選挙で二%以上の支持率があることだということで、新党は出られない枠組みになっているということです。この点についてはいろいろと今までの経過があってのことだと思いますが、数少ないテレビでの発言の機会ですので、しっかりと時間を有効に使わせていただきたいと思います。

 まず、質問に入る前に、けさ、民主党内で経済連携PTがあって紛糾したというニュースを聞きました。私も、十一月、十二月には経済連携PT、ずっとほぼ皆勤賞で、民主党に所属していた当時出ていたわけですが、問題は、事前協議で日本政府が米国に対して、日本政府として全品目をテーブルにのせると答えたということについて会合が紛糾したということなんです。

 今、全品目をテーブルにのせるということがどうも既定路線になっているように思うわけですが、政府の方針というのはそういうふうに決まったんでしょうか。

古川国務大臣 委員も我が党にいたときに、これはもう御存じだと思いますけれども、包括的経済連携に関する閣議決定をいたしておりまして、その中で、高いレベルの経済連携を目指して、センシティブ品目に配慮しつつ全ての品目を交渉のテーブルにのせる、そうしたことは決まっておりますので、まさにその包括的経済連携に関する基本方針に基づいた発言を我が国としてアメリカにもしているというところでございます。

中後委員 我が国にとって重要な包括的経済連携とTPPがイコールかどうかということも含めて、その当時、党内で議論をしていたと私思っておりました。

 そういう経緯もあって、APECに行くときの飛行機の中で枝野経産大臣のペーパーが出てきたときに、全ての品目を交渉のテーブルにのせると書いてあったことで、国会でもあれは想定問答だったという発言もしていますし、ホワイトハウスのホームページか何かに、全品目をテーブルにのせるということを総理が発言したということに対して、それの取り消しということも行っております。

 国会の中でそういう議論があった中で、いつの間にかまた、全品目をテーブルにのせるということが、知らないうちに、私、民主党の元同志にも確認してみましたけれども、全く知らないうちにそれが既定路線になっているということで、大変おかしいと憤りを隠さない人が多かった。

 どういう状況なのか教えていただけますか。

枝野国務大臣 かつて、APECのときの私の発言、国会でも取り上げられましたが、あのときは、私が申し上げていないことを言ったのではないかということを言われたので、それは明確に否定をしたものでございます。

 ただ、あの時点から、センシティブ品目に十分配慮しつつ、交渉のテーブルには全ての品目をのせるというのは政府の方針でございまして、ただ、私とカーク代表との会談のときにそういったことは話題にならなかった、話をしなかったということを申し上げたもので、一貫して変わっておりません。

中後委員 私の知っている限り、そういう認識をしていない民主党内の議員さんはたくさんいらっしゃいますよ。そこは意思決定の過程だとかというのをしっかりしないと、私のように党を出る人間がまたふえるんじゃないかなと思っております。

 また、きょうは経済の集中審議ということなのですが、その前に、冒頭質問として、東日本大震災と原発事故が起こって、日本は歴史的な国難に直面しているというのは全ての皆さんが共有した認識だと思っております。この非常に重要な課題を乗り越えるために、党派だとか主義だとか、そういったものの違いを乗り越えて進められる施策というのがたくさんあったはずだと私は考えておるわけですが、そういうところに全力を注ぐべきであったと思っております。

 しかし、社会保障と税の一体改革の消費税だったり、また復興増税、TPPに、去年の五、六、七、八、九、十、十一月と多くの国会議員が大変な労力を割いて対応をしてきたということで、これは優先順位を間違えたのではないかなと私は思っております。この優先順位をどこに置くかというのはリーダーの大変な資質の問題であり、また、ここに多くの労力が使われたことで、復興また原発事故の対応が本当に十分できたのかということに疑問を持っている方もたくさんいらっしゃる。これは重大な責任があると私は思っております。

 日本国民が一致団結すべきときであるという中で、何で民主党の中が内部分裂しているんだとか、また、大変失礼な話になるかもしれませんけれども、自民党さんも本質的な議論から逃げているのではないかということが、私の地元で歩いているとたくさん聞かれてきます。政治の信用が落ちているということだと思います。

 小選挙区制度を導入してから、二大政党、政権交代をするというのが大きなテーマになっておりました。それで、政権交代から二年半経過したわけですが、今、私の地元を歩いていると、ほかの選挙区の方もそうかもしれませんが、民主党も自民党も同じに見えると言っている方がたくさんいらっしゃいます。有権者の皆さんの意見として、そういう声があります。この間の代表質問のときには、民主党はでき損ないの自民党のような党だという表現までされているような、そんなありさまになっている。

 大変残念なことだと思いますが、二大政党である政権与党の民主党と、今、野党第一党の自民党、目指す日本の将来像、国家像の違いはどこにあるのかということについて、総理はどのように認識していますか。よろしくお願いします。

野田内閣総理大臣 まず、先ほど、今の直接の御質問じゃないんですが、前段のところで、いわゆる復興の財源の話とか社会保障と税の一体改革とかTPPの議論が、そちらばかり行って、ほかの大事な復興の話とか原発事故の対応ができなかった、それは私は違うと思います。それは違うと思いますよ。

 復興については、四次にわたる補正予算をつくってまいりました。それは、我が党だけではなく、各党ともよく協力をしながらまとめてまいりました。行き届いていない部分があるとか、その御指摘は甘んじて受けなければいけませんけれども、原発事故の対応を含めて、それはそれで全力でやってきています。

 私どもの政権が発足をしたときの最大のテーマは、震災からの復興と原発事故の対応、そして経済再生、これは言い続けてきております。これをおろそかにしてほかの議論に集中したということはありません。それは皆さん、問題意識としては共有できるというふうに思います。

 その上で、お尋ねの、二つの政党の違いということでありますけれども、民主党というのは、九八年、しがらみとかもたれ合いの古い政治から脱却して、冷戦構造の終えんのもとで、不毛なイデオロギー論争をやめて、国民の立場を代表する政党として設立された。前回の〇九年の「国民の生活が第一」、これは一つの理念だと思います。それに基づいて、これまで政策運営をしてきたと思います。

 評価はいろいろあるかもしれませんが、例えば、その中で、子ども・子育て支援等には力を入れてきました。さらに、地方交付税、これは五年連続ふえていますが、特に政権交代以降は、あの三位一体改革で傷んだ、疲弊した地方の立て直し等についても努力をしてまいりました。そういう取り組みを懸命にやってきている党であるということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、では、自民党はどうなのかということは、自民党の目指す姿を私があれこれ言う立場ではございませんので、それは差し控えたいというふうに思います。

中後委員 何でこんな質問をしたのかというと、マニフェストの問題、今まで、二大政党に向かっていく過程でマニフェストが注目されて、それで、マニフェストを見て政権政党を選びましょうという流れができつつあったんだと思うんです。ただ、前から言われているように、東日本大震災、原発事故等あって、そのマニフェストを実現できない部分というのがあることは理解できるにしても、それにしても方向が変わり過ぎていると私は認識しているんです。民主党の方向が変わり過ぎている。

 今、有権者の皆さんから聞こえてくる声は、もう民主党も自民党も一緒じゃないか、何を基準に選べばいいのかわからないという方がたくさんいらっしゃる。そういう違いを、はっきりとわかるような政策の違いを見せていかなければ、政策の違いをしっかりと、この予算委員会であったり国会の議論の中で国民に示すということが、選挙、民主主義をちゃんと担保していく上で非常に重要なことだと思っているわけですが、今は何か、足の引っ張り合いだとかそういうことばかりが聞こえていて、非常に残念だなというふうに私は思っております。

 国民の代弁者である党所属の国会議員の意見を反映するということが、政治主導を実現するということの大前提条件だったと思います。しかし、多数の意見を抑えて、政府提案がどんどん優先されていく姿を私は中で見てきました。これは私は、官僚主導に乗っ取られたという思いであって、非常に残念な、非民主的な手法であったというふうに考えております。

 総理の考える政治主導、民主主義、党内民主主義も含めて、お答えいただければと思います。

野田内閣総理大臣 TPPの議論、これは、ちょうど座長がお隣ですけれども、何時間も何時間もかんかんがくがくの議論をして、その方向性を出していただきました。

 社会保障と税の一体改革の議論も、成案をつくるまで半年間かかり、その後、素案をつくるまでも相当な時間を要しました。強硬に決めたつもりはありません。党内民主主義に基づいて熟議をやってまいりました。それは私は、御批判は当たらないというふうに思っております。

中後委員 私は、中で議論をしていた一人の人間として、本当にこれは民主党という名前の党なのかなというふうに思っていました。

 例えば、復興増税のときの党の意見の集約の仕方。御一任いただけますかという発言があると、拍手が起こって、ありがとうございましたと言って、怒号の中でそれが決められていくというような、そんなやり方をしていて本当に民主主義なのかなというふうに私は中で感じていたわけです。

 TPPのときにも同じようなことがたくさんありました。私も、暫定税率の議論のときに差しかえをされたり、いろいろな思いをしながら、それでも一致団結しなきゃいけないという思いで頑張ってきたわけですが、さすがに、もう中で言ってもだめだなということで党を出たわけです。

 前回の質問で、前回の予算委員会、十分の質問時間をいただいて質問させていただいたんですが、日本をどういう国にしたいのかという私の問いかけに、総理は、日本に生まれてよかったと思える国で、実感を持ち続けられる国にしたいと答弁されました。

 総理の考える、生まれてよかったと思える日本像。生まれてよかったと思える日本というのはもう当たり前の話であって、どういう日本像が総理の考える生まれてよかった日本なのかということと、それに向かってどういう方向で進んでいくのかということがなかなか見えてこない。いわゆる、よく言われている、ビジョンが見えないというような話だと思うんですが、今の方向で、今の方向というのは、今、現政権の政策を継続していくことで日本に生まれてよかったと思える国になるというふうにお考えなのかということも含めて、お聞かせいただけたらと思います。

野田内閣総理大臣 生まれてよかったというのは、私は一つの理念だと思いますよ。そのための前提はあると思います。少なくとも、まず、希望が持てるということです。希望が持てるということは、あしたはきょうよりよくなる、そういう思いを持てるような国にすることだと思います。

 取り組みはいろいろあります。経済対策、社会政策、いろいろあります。そういうものをトータルに実行しながら、きょうよりあしたはよくなるという希望をみんなが持てる時代を、「三丁目の夕日」の時代のように高度経済成長は無理かもしれないけれども、少なくとも、失われた二十年みたいなのは克服して、それぞれの年代、それぞれの立場の方が、きょうよりあしたはよくなると思っていただけるような環境整備をすることです。

 ただ、その前にやらなければいけないこともあります。日本じゅうではそうですけれども、復興あるいは原発事故の対応、福島やあるいは宮城や岩手、まずは復興を通じてゼロに戻して、その後もっと元気にしていくという順路をたどっていかなければなりません。そのことに全力を尽くしていきたいというふうに思います。

中後委員 こういう話をなぜしたのかというと、私が衆議院議員に立候補する前から、国政というのが何を本当に目指しているのかわからない雰囲気が随分漂ってきた。私はもともと自民党所属の地方議員であったわけですが、何か、どっちが何だかさっぱりわからないという雰囲気の中で争っている。昔は、自民党と社会党のときはいろいろ非常にわかりやすい構図があったんですけれども、国民が選びにくいこの環境を変えていくためには、しっかりと政策の柱、理念の柱みたいなものを立てた上で政策論争していくということが非常に重要なんだろうというふうに私は思っておりまして、そういう思いで新党きづなの綱領や基本理念というのをつくったつもりであります。

 では、質問に入ります。

 円高、デフレのところなんですが、円高、デフレの対策、きのうも、近藤議員だったと思いますが、少し似たような発言があったんですけれども、円高とデフレというのは切り離して考える必要があるのではないかという意見がありました。

 今の政府の借金一千兆円を考えると、デフレというのは何としても回避しなければならない課題だと私は思っております。ただ、一方、円高ということに関しては、メリットもデメリットもあるわけです。デフレに関してもメリット、デメリットあると言われたらそうかもしれませんが、今は、デフレは何としてでも脱却しなければならない。

 ただ、一方、円安リスクというものについては余り語られていないような気がします。円安リスク、どんなものがあるかということについて、これは通告しておりませんけれども、まず、答えられたら答えていただけたらなと思います。

安住国務大臣 わかりやすく言えば、海外旅行なんかは、やはり円が安くなれば、ドルの価値が上がれば、それは自動的に海外で物を買ったりするのは大変になります。

中井委員長 中後君、さっき、近藤君が云々、きのうと言ったけれども、けさね。

中後委員 けさですか。はい、済みません。

 安住大臣、円安リスクは海外旅行というのは、これは大変なお話だと思いますよ。(安住国務大臣「何、リスクのことを言ったの」と呼ぶ)はい、円安リスクです。

安住国務大臣 原料とかそういうのは高くなるということです。

中後委員 今、日本は食料も海外からたくさん輸入していますし、資源も海外からたくさん輸入していて、それの調達コストが高くなる。食料、ガソリン、これは燃料全てかかわってきますから、電気料金も、今値上げの問題は原料が高騰しているからだ。これは円高で大分抑えられているけれども、それでも抑えられないぐらい高騰しているということなんだと思いますけれども、円高によって今の価格を維持できている、逆に言うと。

 これが円安側に単純に振れたときには、無策のまま円安だけが進んだ場合は、これは消費増税どころではないぐらいの、一般の生活者への生活負担というのがかかってくる。直撃するのは一般の生活者、特に地方の低所得者なんじゃないかなと私は思っております。

 円安リスクに対応しながら円高対策を行わなきゃいけない、それは円高メリットを逆に生かしていくということなんだと私は思っているんですが、海外の資源、資産等、日本で調達することが将来的に難しいものを強い円で手に入れていくような、円安リスクを回避するための投資が、国家としての資産をふやして、国家安全保障に資する施策になっていくんだと思います。今、そういう方向でいろいろな政策を打たれていると思うんですけれども、これが同時にデフレ解消と円高対策になっていく、円安リスクを抑えながらということにつながると思うんです。

 現在の海外投資等の規模では、私はまだまだ少ない、今の円高対策という流れの中ではまだまだ少ないものだと思っているんですが、思い切って、もっと思い切って、強い円を生かした政策に踏み出してほしいと思っているわけですけれども、その点について御意見をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 円高のメリットを生かすという意味では、もっと大規模にやれるならばやる。その御提起については、そのとおりだと思います。

 ただ、その一方で、やはり特に資源についてであれば、しっかりと将来にわたって、石油なら石油、あるいはレアメタルならレアメタルが出る可能性のあるところに投資をしないと意味がないわけですし、それから企業投資する場合も、その企業が将来性のあるところを買わないと意味がないわけであります。

 お金があるからとにかく何でも買うという話ではないわけですので、そうしたことの中では、今の局面を最大限利用するために、可能性、将来の展望のあるものについては相当踏み込んで、積極的に対応しているつもりでありますし、また、今ぐらいの水準であるならば、それはさらに進めてまいりたいと思っております。

中後委員 これは、予算の規模等を見ても、まだまだ本気で踏み込んでいるというふうに数字として見えてこない部分があるんだと私は思ったんです。ぜひ、もう一歩踏み出すような方向でかじを切っていただきたいなと思います。

 デフレのことについて、地域経済から見た観点でちょっと質問させていただきたいと思います。

 私の住んでいるところに木更津市というところがあって、ここは百ヘクタール規模の区画整理が数年間で五個、六個、今も継続中のものが三つあって、大規模に土地区画整理が行われております。これは、アクアラインの八百円の効果等もあって、羽田からアクセスすると二十分ぐらいで行けるということもあって、日本最大級のアウトレットモールなんかも進出することが決まってきました。

 山を切って、地ならしをして、地盤改良して、道路をつくって、区画を整理して、上水道、下水道を引いて、ガス、電気を引いて、その上に住宅を建てて、大きなスーパーができてなんという、本当に地域が丸ごとでき上がる、町が丸ごと一個でき上がるものが五個も六個も続いているわけですけれども、残念ながら、地元の業者さんに聞くと、それで地元が潤っているという実感は全くないというわけです。仕事はあるけれども、地元が潤っているという実感がない。

 町を丸ごとつくる以上の活性化というのはなかなか地域ではないわけです。それでも、地域経済が活性化してくるという絵が見えてこない。これは、大変大きな構造的な問題をはらんでいるんだと私は思っております。仕事があっても、生活基盤に合うだけの手間とか賃金が得られないから、地元の業者が受けないという状態になっております。仕事がない方は仕事を受けるんですが、生活するのに精いっぱいの状況で、消費拡大につなげられるような余裕には、とてもじゃないけれども回らないというような状況です。

 これは私の住んでいるところだけではなくて、日本全国で同じような状況が、ゼネコンやハウスメーカー、スーパー、いろいろな業界で起こっているんだと思います。全国から薄く広く、そういった全国展開できる大資本の会社が展開をする中で、東京はそれなりに私は潤っているんだと思いますが、全国均質化されたことで、地方は、今のまちづくりのものもそうですし、農産物、海産物についても、ある意味、おいしいお米だとか野菜をつくれる農家、おいしいお魚をとれる漁師も、腕のある職人も、営業能力の高い販売員も、一次産業から三次産業まで、時給だったり日給月給だったり、ぎりぎりの生活で暮らしている人が非常に多くなってきているということ。これが、年収二百万円のところの方が非常にふえてきているというその正体、地方で特に顕著なところだと思います。

 昔は、地方で大きな家が建つというと、事業で成功した方がほとんどでした。しかし、今、大きな家が建つというところを見ると、退職した公務員の方ですとか、高速道路の用地買収で一時的な所得がふえた方とか、そういう方が多いように思っております。

 内需を拡大して本質的にデフレを脱却するには、この構造から抜け出さないと、地域経済というのは本質的には活性化していくという糸口をつかめないんじゃないのかなというふうに見ています。言いかえると、本当に強い大資本の方々、弱肉強食というと言葉が悪いですけれども、そういう発想に立って偏っていては、全国の地盤沈下という状況から抜け出すことができないのかなと考えているわけですが、地方の現場で食料や物をつくる、またサービスを提供している人への利益配分をふやさない限り、地域経済を活性化したりデフレを脱却するということの本質的なところからなかなか抜け出していけないと思っておるわけです。

 総理はどのようにお考えでしょうか。

古川国務大臣 地域経済の活性化のためには、地方の産業が振興されることによって、その場で働く場が確保されて、そこの事業者や被用者の所得が確保されることが必要であるということは、今委員御指摘のとおりだと思います。

 そのため、国としては、例えば、先般、総合特区制度に基づきまして、地方都市を中心に、地域活性化総合特区二十六区域を指定いたしました。これは、その地域で自主的、先駆的な取り組みをしていただく、それに対して国の方として、規制だけでなくて、税制とか財政、金融など幅広い政策ツールを活用してそれを支援していく、そうした取り組みを考えており、もう既にそれも着手をいたしております。

 また、予算面でも、これは政権交代以来、委員も我が党にいたときに一緒になって、地域活性化に向けて、地域に対して相当配慮してまいりました。

 例えば、二十三年度三次補正におきましては、立地補助金として五千億円を計上いたしておりますが、これは、それぞれの日本全国の産業と雇用の空洞化を防いでいく、そのために使われております。また、二十三年度四次補正におきましては、円高等によります経済環境の悪化リスクに備えて、中小企業の資金繰りの円滑化に万全を期すために七千四百億円程度の予算を計上する。さらに、二十四年度予算におきましても、地域自主戦略交付金の対象事業を拡大したり、政令指定都市なんかにもこの交付金を導入したりしています。まさに、地域に対して相当手厚く私どもやってきております。それは委員も御指摘のとおりだと思います。

 要は、あとは、私どもは地域主権ということを標榜してまいりました。地域の中で地域の自主的な取り組み、そのことによって、今おっしゃったような地域の中でお金が回るような、そうした取り組みを受けて、今後とも、国としてもしっかりそうした地域の取り組みをサポートしてまいりたいというふうに考えております。

中後委員 今お話しされたようなことはもうずっと続けられてきているわけですけれども、地方というのは、やはりなかなか突破口が見出せていない。この突破口は簡単に見つかるわけはないと私も思っておりますけれども、先ほど言った地域主権の話、地産地消の話なんかもそうかもしれませんが、そういうところなんかも、いろいろと取り組みは行われているんですが、先ほど言いましたように、私が最近これをよく考えているのは、本当に町が丸ごと何個もでき上がるような状況の変化があっても、その地元で生活している人たちにその利益が回っていかないというこの環境で、本当に地域活性というのができるのかなということを疑問に思ったからなんです。

 今、枝野大臣が逆だなということをおっしゃいましたので、その見解をちょっと伺いたいと思います。

中井委員長 もう時間がありませんので、千葉同士ですから、最後に総理に答弁して、終わらせます。木更津だと言っているから。

野田内閣総理大臣 枝野大臣の考えはちょっとわかりません。わかりませんけれども、木更津、委員の選挙区はよく私もわかっているつもりでございます。

 今、国がセットしてきたいろいろな制度があります。それが、どれがはまるかというのはまだ来ていないのかもしれません。いわゆる制度との何となくミスマッチ的なものはあるかもしれません。よくその辺を精査しながら、でも、何よりも、やはり地域が独自に物を考えて問題解決しようとするときにツールがあるようにすることが我々の仕事だと思いますので、そういう努力をしていきたいというふうに思います。

中後委員 その点については同感なんですが、それが地元に経済効果としてというかお金の循環として回っていかない、地元で生活している人にお金が回っていかないという環境を打開する手にはなっていないというふうに私は思っているんです。現場で働いている人たちが本当にやりがいとか相応の対価というのを得られるように、ある意味行き過ぎた競争社会にブレーキをかけるのも政治の役割、自由と規律にどうやってバランス、調和を図っていくのかというのが政治の役割だと思っておるわけです。

 今は、いいものをつくっても、なかなかそれが対価として得られない。昔は、大漁祭りだとか、五穀豊穣を祈ったりだとか、商売繁盛ということをお祭りしていましたけれども、今は、豊作になっても大漁になっても商売繁盛しても、なかなかそれが地元の人たちに回ってこないという環境があります。ぜひとも、そういうところについても、ますますこれから意見交換を含めて進んでいけるようにさせていただければなと思います。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて中後君の質疑は終了いたしました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。野田内閣総理大臣。

野田内閣総理大臣 社会保障・税一体改革大綱の閣議決定において、法案提出など立法府のあり方に深く踏み込んだ表現があることで国会の御議論に御迷惑をおかけしたことを遺憾に存じ、深くおわび申し上げます。

 政府としては、選挙制度に係る各党協議会における議論の重要性を十分認識し、今後の閣議決定においては、より慎重な態度で臨んでまいります。

中井委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後五時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時五十一分開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成二十四年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は来る三月二日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 明二十四日は、滋賀県及び千葉県で地方公聴会を行います。御参加される各委員におかれましては、よろしくお願いいたします。

 次回は、来る二十七日午前九時から委員会を開会し、参考人の意見陳述及び参考人に対する質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十二分散会


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