衆議院

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第16号 平成24年2月27日(月曜日)

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平成二十四年二月二十七日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    大西 健介君

      金森  正君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    沓掛 哲男君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      玉木雄一郎君    中屋 大介君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      東  順治君    古屋 範子君

      笠井  亮君    吉井 英勝君

      内山  晃君    豊田潤多郎君

      渡辺 義彦君    服部 良一君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      中島 正純君    浅野 貴博君

      松木けんこう君

    …………………………………

   参考人

   (慶應義塾大学経済学部教授)           駒村 康平君

   参考人

   (株式会社日本総合研究所主任研究員)       西沢 和彦君

   参考人

   (中央大学法科大学院教授)            森信 茂樹君

   参考人

   (社会保障の教育推進に関する検討会委員)     細野 真宏君

   参考人

   (早稲田大学法学学術院教授)           犬飼 重仁君

   参考人

   (慶應義塾大学商学部教授)            深尾 光洋君

   参考人

   (東短リサーチ株式会社取締役チーフエコノミスト) 加藤  出君

   参考人

   (全国商工団体連合会会長)            国分  稔君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  東  順治君     竹内  譲君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

  内山  晃君     中後  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  竹内  譲君     東  順治君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

  中後  淳君     内山  晃君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  近藤 和也君     磯谷香代子君

  山田 良司君     中屋 大介君

  小里 泰弘君     小泉進次郎君

  東  順治君     古屋 範子君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

  内山  晃君     豊田潤多郎君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  松木けんこう君    浅野 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     沓掛 哲男君

  中屋 大介君     山田 良司君

  小泉進次郎君     小里 泰弘君

  古屋 範子君     東  順治君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

  豊田潤多郎君     渡辺 義彦君

  服部 良一君     阿部 知子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  浅野 貴博君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  沓掛 哲男君     近藤 和也君

  渡辺 義彦君     内山  晃君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 三案審査のため、本日の午前は、社会保障と税について、参考人として、慶應義塾大学経済学部教授駒村康平君、株式会社日本総合研究所主任研究員西沢和彦君、中央大学法科大学院教授森信茂樹君、社会保障の教育推進に関する検討会委員細野真宏君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。参考人各位には、平成二十四年度総予算について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 それでは、議事の順序について御説明申し上げます。

 まず最初に、参考人各位から一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。

 なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、駒村参考人にお願いいたします。

駒村参考人 おはようございます。慶應義塾大学の駒村でございます。よろしくお願いいたします。

 十五分ほどお時間をおかりしまして、私の意見を申し上げたいと思います。

 お手元に、私、資料を、ちょっと厚目のものと論文を置いております。論文の方は適宜ごらんになっていただきたいと思います。こちらの大きなパワーポイントの資料に従って説明させていただきたいと存じます。

 一ページ目、ページ番号を打っておりますので、ページ数をそれぞれ申し上げながらお話をしたいと思います。

 一体改革全体について、私の評価についてまず簡潔に申し上げますと、一体改革全体については、必ずしも全て完全とも思えない部分も残っているかと思います。これは後ほど少し触れたいと思いますけれども、財政状況が厳しい中を考えれば、第一歩としては当然やるべき最小限の内容ではないかと評価しております。社会保障給付を効率化、重点化しても、高齢化の程度や今後の財政状況を考えれば、あるいは債務の状況を考えれば、この程度の財源の新たな確保は必要ではないか、こういうふうに思っております。

 なぜそう思うのかという点については、資料一、三、五、こちらは論文の方に詳しく、一体改革に関する評価は別途触れております。

 年金改革についても、非常に大きな論点になっております。私、専門を社会保障、特に年金、生活保護、子供の問題を専門にしておりますので、きょうは時間もございませんので、年金について、少し議論を絞ってお話しさせていただきたいと思います。

 今回議論されております当面の年金制度改革は、二段階に分かれております。

 一段階目は、現行制度のリフォームという位置づけかと思いますし、その次に出てくるのが、いわゆる新年金制度を目指すという、二段階の改革になっているかと思います。この一段階目については、年金制度改善という点では、基本方針として、先進国で行った内容に沿っており、極めて妥当な内容ではないか、こういうふうに思っております。

 ただ、二段目、つまり新年金制度をつくるに当たっては、長期的な課題でございますので、与野党間で議論のルールをまずつくっていただくというところから始めていただいたらいいか、こういうふうに思います。これは、資料二の方に、先進国、ほかの国で、どういう議論のルールづくりで進められていったのかということを説明させていただいております。

 公的債務の累積については、フランス大統領顧問のジャック・アタリ氏は、極めて厳しいことを話し、論文でも書いております。公的債務が累積していくというのは、その国が何が優先順位が高いのか、優先順位の高さに関する社会的なコンセンサスが弱いことを示しているとか、十分現実を見ないで虚言なんだというような厳しいことも、これは私が申し上げているんじゃなくてジャック・アタリさんが申し上げているわけでありますけれども、こういう厳しいお話も指摘されております。往々にして、財政破綻に向かう国としては、何かすばらしい突発的な出来事や経済成長が自分たちを助けてくれるのではないかというような幻想を持ちがちであるとも指摘しております。

 こういう財政状況でございますので、一体改革のような形で、あるいは消費税増税というのは仕方がないのか、こういうふうに思っております。

 年金改革については、四ページ目の方で、今回議論されております年金の改善については、働き方、ライフコースの選択に影響を与えない一元的な制度を目指す。これはパートの適用拡大や被用者年金の一元化のことを指しているんだと思いますけれども、そういう点。あるいは、最低保障機能を擁した高齢者の防貧、救貧を強化する制度であるという点。あるいは、財政的にも安定した制度を目指そうという点。こういった三点が今回示されているわけです。

 五ページの方では、世界銀行が調べた、九〇年代後半から二〇〇〇年代にかけて先進各国が行った年金改革について、何を優先順位をとったのかという専門家に対するアンケート調査の答えが出ておりますけれども、高齢化が進んでも財政的に安定する制度であるとか、低所得者の生活を改善する制度であるとか、なるべく多くの労働者を同じ制度に組み込むんだといったような点が上位に来ておりますので、今回の年金改善の方向性としては正しいかと思っております。

 六ページの方を進めさせていただきますけれども、所得保障の課題としては、既に昨年、生活保護受給者は戦後最大水準になっておりまして、高齢者の生活保護の受給率も上昇傾向にあります。今後、現行制度のマクロ経済スライドが続くことによって、基礎年金は満額でも実質水準で四・六万円程度。さらには、基礎年金しかもらっていない方の平均額で見れば、マクロ経済スライドが終了すれば三・八万円程度まで基礎年金が下がってしまうという課題は抱えていると思います。

 このペース、大体今生活保護を受けている高齢者は百万人ぐらいでございます。高齢者の五%ぐらいが今生活保護を受けていますけれども、この割合でいけば、高齢化がピークのときには、生活保護を受ける高齢者は百五十万人。基礎年金が下がることによってもっとふえる可能性もあるということでございますので、やはり所得保障という、年金と生活保護はある種リンケージして考えていかなければいけないんだろう、こういうふうに思っております。そういう意味では、最低保障の強化というのは大事な点ではないかと思っております。

 七ページ目は、最近の生活保護の受給者は何歳のところがふえているのか。

 あるいは、八ページ目は、同じく生活保護を受けている高齢者が、これは点線の目盛りで左目盛りでございますけれども、九〇年代半ばを底にして、高齢者の貧困率の上昇というものも出てきている。高齢者の総数がふえていて、さらに高齢者の貧困率も上がっているというところが課題かと思っております。

 九ページには、どの世代で人口の伸びよりも生活保護の受給者の伸びの方が高いのかというところで、特に高いところが二十代、六十代、七十代、ここの部分が人口の増加率よりも生活保護の受給者の増加率が多い。つまり、相対的に貧困率が高まっているということを、九ページ、この世代が課題になっているということが示されているわけです。

 十ページの方では、現行年金制度への評価と、民主党の考えている、与党が考えられている年金制度の案についての評価を考えております。

 現行制度は百年安心とよく言われておりますけれども、この客観的評価とその限界について認知する必要があるだろう。特に、一号未納者が、将来的には生活保護、あるいは足元で生活保護に流入しているという事実、あるいは、マクロ経済スライドによって、三〇%近く今後年金の実質水準が下がっていくということも直視しなければいけないだろうと思います。

 十一ページの方には、百年安心というものは一体どういうものであるのかということを再整理させていただいております。ここは、特に解説をするつもりはございません。

 一方、十二ページの方で、民主党案の評価についても触れております。

 移行期間と最低保障の給付対象、こういったものをきちんと検討しなければいけない。

 給付水準についても、どの時点の給付水準なのか。自分の現役時代の何%なのか、そのときの労働者の何%なのか、あるいは六十五歳以上は下がるのか下がらないのか、こういったことも明確にしなければいけない。個人単位で考えるか、世帯単位で考えるかということも明確にしなければいけない。

 全般的には、財政見通しはいろいろ議論がございますけれども、国民の負担総額がふえつつ全体の給付が下がるということはあり得ないわけですので、どこに重点化するのかということが最大のポイントかと思います。

 評価が分かれるところは、国庫負担を低所得者のところに重点化するのか、あるいは、二分の一、一律、全ての国民に国庫負担を入れるのかというところで、どこに重点化するかというところが最大の論点なのか、こういうふうに思います。

 十三ページについては、民主党の年金案と現行制度の位置関係というものを整理しました。

 高齢化への対応は、現行制度はいわゆるマクロ経済スライド、民主党の改革案もみなし運用利回りということでございますので、高齢化対応としては両方ともほぼ同じ内容になる、こういうふうに思います。

 雇用への中立性、こういったものについても、民主党も現行制度も、被用者年金一元化や非正規労働者への適用拡大というところを見れば、同じ方向に向かっているということだと思います。自営業者を除けば、あとは低所得者の免除を積極運用すれば、九割ぐらいの国民を所得比例年金の範囲の中に組み込めるのではないかと思います。残りは、最後の一〇%程度の自営業者に対して所得比例年金が必要なのか、可能なのかというところで判断が分かれてくるのではないかと思います。

 さらに言うと、その際に、先ほども申し上げたように、国庫負担二分の一を全国民にひとしく出すのか、低所得者に重点化するのかというところでも分かれてくるというところは残っていると思います。

 十四ページの方は、ざっとグラフを描いてみて、民主党の案と現行制度がどういう位置関係にあるのかというのを整理しました。

 基本的には、現行制度を、先ほども申し上げたパートの適用や被用者年金の一元化、社会保障・税番号、あるいは基礎年金の高所得者の減額、低所得者への加算、こういった仕組みをしていけば、どんどんどんどん民主党の出しているプランに接近していくということでございますので、水と油ほど違うのではなく、必要な制度改善をやっていけば、実は接近していくのではないかと思います。

 最後の課題が、先ほども申し上げた自営業の部分でございます。

 必要なのかどうなのかという点、これは十五ページに、必要なのか、可能なのかということをまとめております。

 必要なのかという点でございますけれども、自営業は、確かに平均的な資産や所得は決して悪くはないわけですけれども、ただ、格差が極めて大きい。あるいは、最近の研究では、自営業の貧困率も極めて高いということが明らかになっています。先進国の中でも、自営業向けのセーフティーネットの強化というのをどんどんやっているという状況でございます。そういうものを見れば、やはり意識しなければいけないんじゃないか。

 可能かという点については、どの国も、完全な所得捕捉については壁がございます。これも論文の方で触れさせていただいて、最後の課題は、自営業の所得捕捉の問題である、各国でどういう工夫をしているかということを触れております。

 あと、自営業の方が労働者と経営者として二倍の負担をしてしまうんじゃないかという問題もありますけれども、これも、将来、現行制度が続けば、夫婦で基礎年金保険料、国民年金保険料三万三千八百円、これを民主党案の一五%掛ける自営業の手取り所得で計算すると、大体二百七十万よりも年収の少ない自営業の方は、むしろ民主党案の方が得をするということになりまして、これは、さまざまなデータを見ると、自営業の所得階層でいうとちょうど真ん中あたりではないか、こういうふうに思いますので、必ずしも新制度によって負担がふえるというわけではないかと思います。

 残りは飛びまして、二十ページのところで終わらせていただきたいと思います。

 このごろ、諸外国で年金の改革を行うという際には、特にスウェーデン型年金の議論の進め方が一番重要なのではないか、これを参考にすべきではないかと思います。

 これも資料二の方で細かく論文に整理しておりますけれども、スウェーデンで行われた年金改革、一番から九番目、二十ページに書いてあるように、与野党での課題の共有、技術的な制約、それぞれの案にはこだわらない、必ず合意し、一方的に合意内容を破棄しない、合意内容について与野党が共同責任を持つ、議論をパフォーマンスには使わない、年金を選挙の争点にはしない、利害関係者の圧力から独立した議論、全ての情報を国民に完全に提供するというような基本的なルールを決めた上で議論を進めていっていただきたいなと思います。

 二十一ページには、今後の課題、一体改革で残された課題をまとめておりますが、これは後で質疑のところで触れさせていただきたいと思います。

 以上でございます。どうもありがとうございます。(拍手)

中井委員長 ありがとうございました。

 次に、西沢参考人にお願いいたします。

西沢参考人 おはようございます。西沢です。

 私の方からは、A4縦の資料で、レポートのコピーですけれども、社会保障・税一体改革を評価するといったものに沿ってお話を申し上げたいと思います。

 まず、総論でありますけれども、今回の社会保障・税一体改革とは申しますが、社会保障改革といいますよりも、消費税率の引き上げであると思います。

 それ自体すばらしいことであると思いますが、思い起こしてみますと、もともと菅政権で始まりました社会保障改革に関する集中検討会議でありまして、税のゼの字もなかったわけであります。社会保障といいますのは、翻って、さまざまな問題を抱えておりまして、今回、社会保障が抱える諸課題に対応するというよりも、財政危機に対応した消費税率の引き上げであると言った方がふさわしいかと思います。

 そういった意味で、社会保障、五%のうち一%は社会保障の充実に使われているといいますけれども、私から見ると、社会保障問題に向き合っているというよりも、消費税を引き上げるためのあめとして社会保障を使っているような印象を受けて、そこはどうも居心地が悪いような気がしております。

 ですので、改革を始めるに当たって、本来二つの手法があったと思います。一つは、今回のように社会保障を呼び水にして消費税率引き上げに持っていく方法、もう一つは、財政健全化の最終ゴールを示し、社会保障改革が抱える課題に向き合いながら、今回を一里塚として進めていく方法があったと思います。

 今回、なぜ五%なのか、はっきりしないわけです。今回五%引き上げましても、二〇二〇年度プライマリーバランスは黒字化すら達成せず、十七兆円近い赤字が残ってしまう。なぜ五なんですかといったことに政府・与党はきちんと答えられないわけです。

 ですので、最終ゴールを示しながら、今回一里塚ですというのが正直な説明であったと思いますし、その上で今回五であるというのであれば、まさに一里塚として意味を持っていたと思います。

 ですので、私、ポスト一体改革が気になるわけです。今回の素案の中にも、次のステップがあるということを法律に書き込むと書いてありますが、そこはかとなく次のステップを打ち出すのではなく、最終ゴールを示しながら改革を進めていくべきであろうというのが私の考えで、仮に、今回、一体改革で消費税が上がったとしても、いや、また次があるんですというふうになったのでは、国民の合意、だまし討ち感が出てしまうのではないかというふうに非常に懸念をしております。

 ですから、五%上がっても次のステップに進めないということが非常に我が国の財政状況にとって怖いことであるというふうに考えております。

 あと、社会保障の方に入ってまいりますと、このレポートでいいますと四枚目以降なんですが、二つ申し上げたいと思います。

 我が国の医療、介護と申しますのは、国が音頭をとりつつ地方がそれに応じて動く、こういった図式になっているかと思います。医療に関して言いますと、国の政策手段としましては、診療報酬を上げる、補助金をつける、医療法に伴って医療計画策定の指針を見直す、この三つがあると思いますが、いずれも間接的な政策手段にとどまっているわけです。それに基づいて動くのは、都道府県であり市町村である。こういった、国が間接的な政策手段しか持ち得ていないといったことが今回の素案に如実にあらわれていると思います。

 政府・与党は、この素案の内容を国民にきちんと説明すると、対話集会などを繰り広げられておられまして、非常にすばらしいことであるかと思います。ただ、では、例えばそれがその素案にきちんと反映されているかといいますと、このレポートの四ページ目の下の方に抜き出してありますが、素案にはこう書いてありまして、医療計画作成指針の改定等、平成二十四年度における都道府県のための新たな医療計画の策定に向け、途中省略しますけれども、二次医療圏の考え方を明示するとともに、PDCAサイクルを効果的に機能させるといった文章を読みましても、国民からしてみると何が書いてあるかわからないわけです。では一体、我が町、我が県でお医者さんが一人ふえるのかふえないのか、救急車が一台ふえるのかふえないのかといったことが関心事項でありまして、このままPDCAサイクルを変えると素案に書かれましても、容易に説明し切れません。

 これは、二つ問題があると思います。一つは、根底的に我が国の医療提供体制が国、都道府県、市町村で責任の所在が曖昧であるということ、もう一つは、今回の素案に関しまして、チェックの問題であると思います。

 一体改革に関しまして、素案を五十ページにわたってホームページに掲載してあるわけですけれども、これをホームページに掲示する前に、一体改革大臣なり政府・与党の幹部が、これを読んで国民がわかるかといったチェックを入れないといけないと思います。これはわからないだろう、医療計画は何だ、PDCAサイクルというのは国民一人一人に関係あるのかといったことを言うべきであり、これがわからないのであれば、今度は都道府県知事や市町村長に、では、あなたの県、町、村で医療がどう変わるかをブレークダウンしてくださいといったことを指示するべきであると思います。これが一点目。

 二点目、医療に関しまして、次のページに書いてありますけれども、後期高齢者医療制度に関しまして、二〇〇九年の現与党のマニフェストでは、差別であるとこれを断じていたわけです。今、政府・与党はしきりに与野党協議を持ちかけようとしていますが、私は、この差別と言ったマニフェストである限り、与野党協議というのはできないと思います。

 実際には差別ではありませんで、後期高齢者医療制度の財源というのは、九割が税と現役健保からの支援金で賄われているわけであります。したがって、本来、高齢者医療制度改革会議の目標というのは、現役世代から高齢者への所得移転をいかに抑制していくかといったことを、高齢者の方に痛みを若干求めながら行っていくことが高齢者医療制度改革会議の本旨であって、それを、高齢者の方の側が差別されているという認識のもとでは、間違った政策しか出てこないと思います。

 これを今通常国会に法案を出すと言われておりますけれども、これはもう一回見直すべきだろうと思います。法案のもととなります高齢者医療制度改革会議、二〇一〇年十二月に出た報告書を見ますと、差別というよりも、これは国保再編を中身とした法案であるようにお見受けします。むしろ厚生労働省の官僚の方が、高齢者差別というマニフェストにつき合う形で、国保再編という厚生労働省の政策目的をその中で実現しようとしているように見えるわけです。

 国保再編という中身自体は非常に重要な事柄ですから、本来、それを前面に出して、地方自治体を巻き込みながら国保の財政的安定を目指していくことをもう一回協議するべきであるというふうに考えております。

 マニフェストに関連しましては、もう二つ、私、問題として持っているのが、子ども手当の問題もあります。これは、もともと子ども手当があったのかといいますと、児童手当法に上乗せするような形で子ども手当の上乗せ給付をしていたわけであって、これが現在も生きているわけであります。同時に、年少扶養控除が廃止されていますので、本来であればこれを復活しなければおかしい話であるかなと思います。

 三つ目は、やはり年金制度でありまして、新年金制度、二〇一五年に法案を出すと言っていますけれども、これは根底から見直すべきであると思います。

 私が見ます限り、民主党の新年金制度といいますのは、カナダ型のユニバーサルペンションとスウェーデン型の保障年金、補完年金がややごっちゃになっている印象があります。スウェーデンの保障年金という税で賄われている部分は、スウェーデンの年金給付全体の八%しかなく、あくまで補完にすぎないわけであります。

 したがいまして、所得比例年金の議論をするときは、あくまで所得比例年金の料率が何%になるか、それが重要になってくるわけです。保障年金の規模が重要ではなくて、所得比例年金の規模が重要である。所得比例年金が大きくなればなるほど、保障年金の規模は小さくて済むはずです。

 ところが、前回見ました新年金制度の試算ですと、一五%と所得比例年金の料率を固定して、保障年金の方にのみ議論が集まっているのは、どうしても私から見ると違和感があるわけです。

 年金に関しましてあともう一点申し上げますと、今、被用者年金一元化といった議論が出ていますけれども、私が報道などを通じて見る限り、本来、被用者年金一元化に真に真剣に取り組んでいるのであれば、現在、OBを含めて官僚の方と与党と、激しいバトルが我々の目に入ってきておかしくないと思います。やはり共済年金は、民間年金に比べると、八五年改正で格差が是正されたとはいえ、優遇されている面は残っています。それを剥ぎ取るのが被用者年金一元化の第一目的ですから、物すごいバトルが繰り広げられているはずであるにもかかわらず、非常に静かな状況にあるわけです。

 けさの報道を見ますと、法案が分厚いからというふうに書いてありますけれども、法案が分厚いからではなくて、本当は、調整が難しいからなかなか法案が出せないという説明にならなければおかしいと思います。

 それで、二〇〇七年の自公政権の被用者年金一元化法案をそのまま今回持ってくるとしましても、私は問題が多いと思います。あれは、厚生年金一号、二号、三号、四号というのがついておりまして、果たして、厚生年金一号、二号、三号、四号という法案に、国民が、いや、これは真に一元化されたなという同意が伴うとは私は到底思えません。

 次に、歳入庁に関して申し上げておきますと、歳入庁自体は非常にすばらしいことであると思います。ただ、素案というのは五十一ページでしたでしょうか、大綱も五十一ページでしたでしょうか、かなりいろいろなことが書き込まれていまして、先ほどのPDCAサイクルもそうですけれども、本当にこれを国民に語ることとして必要なのかなといったものを盛り込んでいるわけです。

 例えば歳入庁に関しましても、今、政府・与党がお考えになっているのは国税と日本年金機構の統合ですけれども、私は、この中に市町村を含めなければおかしいと思います。

 低所得の所得捕捉を行っているというのは市町村であるわけで、この市町村が持っている情報を使って、今、政府・与党がお考えになっている給付つき税額控除ですとか所得比例年金というのは、低所得層に対して給付を行うというものであるわけです。ですので、日本年金機構と国税庁を統合しても余り意味がなくて、市町村の税務情報をいかに中央政府が集中的に管理してそれを活用するかということが重要であるわけで、組織を統合しないまでも、例えば今回のマイナンバーを使って税情報を一元的に管理するといったことが、歳入庁を創設する際の重要課題になるはずであります。

 他方、素案の方を見てみますと、そういった私のような市町村を含めた歳入庁構想に対する予防線が張ってあるように見えるわけです。市町村の、地方自治体の機能を重視するといったようなことが書いてありますし、消費税に関しましても地方自治体の徴税を重視すると書いてありますが、例えば地方消費税に関しまして、今、国税は一緒に集めていますけれども、これを地方自治体が別途集めるといったことが納税者にとっての二重負担にならないかといったことが真剣に検討されて、そういったことが書き込まれるべきであると思います。

 以上、まとめますと、私が今気になりますのはポスト一体改革です。この一体改革が終わっても財政健全化の最終ゴールが全く見えてこない、それを潰すようなことがあってはいけない。消費税率は必ず引き上げをして、ポスト一体改革に向けて我々国民が、そういうことがあるのだなと、その必要性をきちんと実感できるようにするということが重要であるかと思います。

 以上でございます。(拍手)

中井委員長 ありがとうございました。

 次に、森信参考人にお願いいたします。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

森信参考人 おはようございます。中央大学法科大学院の森信です。

 最初に、社会保障・税一体改革、今、大綱で出ておりますが、この評価でございます。

 私としましては、高齢化に伴う社会保障安定財源の確保と、それから先進国最悪の財政状況から抜け出すための財源確保、財政再建という二つの同時解決を目指すということは、我が国の置かれた状況を解決の方向に向かわせる第一歩として評価したいというふうに思います。

 それでは、お手元のレジュメに沿いまして、この機会に、私が日ごろ考えておりますことを三つ提言したいというふうに思っております。

 お手元の資料でございますが、全体の三つの提言と申しますのは、一つは、給付つき税額控除につきまして私なりの考え方を申したいと思います。それから二番目に、番号制度の導入、これを国民の利便にどうやって使っていくかということを申したいと思います。それから三番目に、年金に関しまして、今までの年金の議論が公的年金に集中している、しかも基礎年金に集中している、しかし、年金制度というのはもっと広く、企業年金あるいは私的年金も含めての議論であるべきだというふうに考えておりますので、そういう観点から、私の日ごろ提言しております日本版IRAというものを御紹介したいと思います。

 二ページ目でございますが、まず給付つき税額控除、これは今回の大綱で、ここに書いてございますが、「給付付き税額控除の導入に向け検討を進める。」というふうに書かれたわけでございます。

 この給付つき税額控除というのは、大綱では逆進性対策、消費税の引き上げに伴います低所得者対策として導入するというふうに書いてございますが、もともとこれは、アメリカあるいはイギリスではいわゆるワークフェアというんでしょうか、勤労インセンティブを与えるための制度でございまして、働けばその所得に応じて一定の給付を国が行う、それによって働くインセンティブをつけていくという、いわゆるウエルフェアからワークフェアへ、あるいはセーフティーネットからトランポリンへという大きな政策の流れの中で出てきた政策ツールでございます。

 したがいまして、我が国への導入に当たりましては、単に逆進性対策というだけではなくて、勤労税額控除あるいは子育ての経済支援としての児童税額控除という形でぜひ検討をしていただきたいと思っております。

 次のページに「給付付き税額控除の四類型」というふうに書いてございますが、第一類型が勤労税額控除、これはクリントン、ブレアのワークフェア思想というのが有名でございます。それから第二類型は児童税額控除、これは勤労税額控除に加えてアメリカでもイギリスでも入っております。第三類型は、社会保険料を相殺する、勤労所得の上乗せにより社会保険料の未納を防いでいくというふうなことで、オランダ、実質的には韓国もこの制度だと思います。それから第四類型が逆進性対策というふうになっております。

 次のページにアメリカの制度がちょっとつけてございます。このアメリカの制度、これは勤労税額控除でございますが、富士山の山のようになっております。一定の所得、これは二万数千ドルでございますが、主にその所得以下のところに、上っていって一定の金額になるというふうな勤労税額控除が与えられるわけでございます。減税でございますが、減税できないところはこれを給付していくというふうな形で、しかも、子供の人数に応じて、家計の類型に応じて給付額が変わっているというふうなことでございます。

 それから五ページ目でございますが、これはカナダで入れております逆進性対策としての給付つき税額控除でございまして、これは三万ドルちょっとのところまでの人に、基本的に、そういう家庭の消費する基礎的な支出、食料支出を中心とする基礎的な支出にかかる消費税額を一律還付していくわけでございます。

 これで一つ注目いただきたいのは、単身者のところで右肩上がりになっているんですね。ちょっと単身者のところで右肩上がりになっています、給付額が。これが、勤労税額控除の要素が逆進性対策の給付つき税額控除の中にも入っているということでございます。したがって、こういう見地からも御検討いただきたいというのが第一点でございます。

 二番目は、次のページでございますが、税・社会保障共通番号、これを今回、これは一体改革とはまた別かもしれませんが、導入されるということで今法案が出ておりますが、これにつきまして、私は、番号制度を入れる以上は、国民の利便の向上、受益の向上という観点からいろいろな使い方を考えるべきではないかというふうに考えております。

 ここで、三つの使い方を持ってきております。

 一番最初は、記入済み申告制度と言われるものです。これは北欧とかフランス等々でもう既に導入されている制度ですが、税務当局が番号をつけて、あらかじめ個人の情報を把握しているわけでございますから、それを年一回の申告の前に、いわゆるマイポータルに全部打ち返してくる。申告書の中に、あなたは去年の給与所得がこれだけ、源泉徴収額がこれだけ、それから年金所得がこれだけ、源泉徴収額がこれだけ、あるいは雑所得はこれだけ、源泉徴収がこれだけというふうに打ち返してくる。それを納税者はチェックをするだけで、サインをして申告になる、チェックをして郵送することによって申告になるという制度でございまして、これは非常に納税利便の高い制度でございます。マイポータル等々が入るのであれば、こういうことも可能になると思っております。

 それから二番目に、それをもう少し進めまして、今度はe―Taxと組み合わせますと、いわゆる自主申告制度、アメリカとか諸外国がとっておりますが、こういった制度も可能になるのではないかというふうに考えます。

 今の年末調整というのは非常に便利な制度でございますが、一方で、家族に関する情報のプライバシーの問題、こういった問題が引き起こされていると思いますので、これをうまく記入済み申告制度も活用しながら、e―Taxで個人の税額を自分で確定していく。この場合、もちろん、全員が申告するといっても、アメリカのようにいわゆる概算控除を設けますと、選択的にそれを超える人たちだけが自分の経費を申告していくというふうなことになろうかと思います。

 ちなみに、平成二十四年度税制改正、これはまだこれからだと思いますが、この法案の中に、今回、特定支出控除の拡大ということで、サラリーマンのいろいろな経費がいわゆる所得控除できるという形で予定されておりますので、そういうこともあわせて考えますと、e―Taxと組み合わせますと自主申告制度が可能になるのではないかというふうに考えております。

 それから三番目でございますが、もしそういうふうに自分の経費みたいなものが実額で控除できるというふうな制度が完備しますと、アメリカとかイギリスとかフランスとかで導入されております、例えばベビーシッター代とか高等教育にかかる学費とか、そういったものを子育ての見地から、あるいは人的資本を向上させるといった政策的な見地から控除できるような制度もまた可能になるということが言えるのではないかというふうに思います。

 フランスは、少子化対策で多様な税制を活用しております。子育てにはいろいろな、保育園に預ける人もいれば、保育ママに預ける人もいれば、ベビーシッターに頼む人もいる。そういったときに負担が中立的になるような制度を活用しておりまして、そういったことも今後検討し得るのではないかというふうに思っております。

 以上が、二番目の、番号制度を我が国に導入した場合の国民受益の税制として御提案させていただいたものでございます。

 それから最後の三番目でございますが、これは年金制度でございます。

 八ページの図を見ていただきたいんですが、この八ページは現行制度のイメージ図でございます。一階部分がありまして、二階部分があります。その上に三階部分としていわゆる企業年金が乗っているわけでございますが、これが、こういうふうにわざと書いてあるんですが、縦型の、各省のいろいろな所管に縦割りになっていて、実は、例えばここの税制につきましてはパッチワークで、ばらばらでございます。非常にここが使いにくいところがありますし、日本型の縦型社会の中で統一性がとれていない。

 それで、今まで議論がなされておりましたのは、一階の国民年金、基礎年金部分の議論、ここに最低保障をするか、あるいは税財源をどこまで持ってくるかということが中心なんですが、実はヨーロッパでは、二十一世紀に入りまして、余り公的な年金に財政資金をつぎ込まない。ここにつぎ込みますと、一言で言えば切りがないということになるわけですね。

 そこで、いわゆる私的年金、三階建てあるいはこれから私が申します四階建てというふうな年金に税制優遇をつけまして、そこを統一的に補完するものとして新しくそういった年金を整備していこうじゃないかという動きがあるわけです。

 そうしますと、イメージ図で先に見ていただきますと、九ページのように、三階部分のところ、企業年金が少し縮小されまして、一番上に個人年金非課税制度、日本版IRAというふうに勝手に呼んでおりますが、これはアメリカの個人年金制度、インディビジュアル・リタイアメント・アカウントというものを範にとった制度でございますが、個人が、我々が自助努力で積み立てていく、ここに税制優遇をつけていくというふうな制度が必要ではないかというふうに思っております。

 七ページ目にちょっと返らせていただきます。

 なぜそういうことを提言するのかということでございますが、一番最初は、まず年金のあり方論として、今の企業年金そのものにも、いろいろ、税制優遇がばらばらであったり、あるいは非正規雇用者は必ずしも入れないとか、そういった問題があったり、公平性の問題がある、それから世代間の不公平も生み出す賦課制度に今なっているということがあります。

 それから、二番目の財源論としましては、先ほど申しましたように、ここの公的年金ばかりに財源を集中させますと、ほかの方の子育てとか、そういったところに公費が使えなくなってくるという問題があろうかと思います。

 それから三番目に、このような日本版IRAのような私的年金をつくりますと、豊富な個人金融資産、千五百兆と言われております金融資産を、これは自分で積み立てを行う制度でございますから、自分の出資に応じていろいろな運用もできる、その結果、資本市場も活性化するのではないか。それから、さらに金融所得一体課税とあわせてやりますと、非常にいい制度ができるのではないかというふうに考えております。

 具体的にはどんなものかといいますと、一番最後のページにつけてございます。十三ページでございます。

 これは勝手につくったものでございますので、一つの例でございますが、要するに、一言で申しますと、自分が例えば年間百二十万円の枠の中で、毎月十万ということなのでございますが、そういうものの中で、これは課税後の所得をそこに放り込んで、運用時それから給付時非課税、TEE型というふうに呼んでいますが、そういった形で、そのかわり六十歳まで引き出し制限をつけるというふうにしまして、個人が年金を積み立てていくといったところに優遇税制をつけていく。

 こういったものをすることによりまして、一階、二階の公的年金がいろいろ問題が起きても自助努力でこの部分は補完するというふうなことでございますし、あるいは公的年金の給付の年齢が上がって自分の退職時から少し無年金の状態が続くというふうなときにも、こういう年金でカバーできるのではないかというふうに考えております。

 ただ、この税制優遇については、今私が申しました、最初に課税してあとは全部非課税という方法か、あるいは最初に非課税にしてあとは課税するという方法か、これは経済学的には同値でございますので、どちらでも構わないと思っておりますが、とりあえずはここは最初に課税する方法として出しております。

 以上、三つの提案をさせていただきました。ありがとうございます。(拍手)

笹木委員長代理 ありがとうございました。

 次に、細野参考人にお願いいたします。

細野参考人 おはようございます。細野真宏といいます。

 今回は、なぜここまで年金不安というのが国民で広がり続けているのかということを、ちょっと今までの議論とは全く別の視点で、教育という視点から、改めて僕の方から語らせていただきたいと思います。

 そもそも、私がこうやって年金にかかわることになったのは、二〇〇八年の自公政権下の社会保障国民会議というものがあったときに、そこの委員から始まったんですけれども、正直言って余り、政治とは距離を置くようなスタンスで、できるだけ中立でいたいと思っていたので、そういう政府の委員とかというのは抵抗があったんです。

 ただ、余りにも年金問題というのがひどかったので、ここはやはり、何か自分にできることがあるんだったら、しっかりやらなくちゃいけないということで参加をしたんですけれども、そうしたら、そこでだんだんわかってきたことというのは、何か物すごい勘違いが起こっていたというところから入るんですね。

 その後、私は、昨年でいえば民主党政権下の、総理官邸でやった社会保障改革集中検討会議というものの委員もやったりとかはしているんですけれども、そこの段階でよりはっきりしたのは、とにかくこれらの問題というのは教育問題に行き着くんだというところで、再三その場で民主党の議員、幹部の方たちにも訴えさせていただいて、そこでようやく、私の肩書は今回、社会保障の教育推進に関する検討会委員という形になっているんですけれども、それは今、文部科学省さんも一緒にここに加わってもらって、社会保障の教育をどう進めていくべきかというところで進めているところなんですね。

 今回、僕がお配りしている最初の資料の一枚目が、まさに先週行われた社会保障教育推進に関する検討会で配られたペーパーなんですけれども、そこで、タイトルが「社会保障に係る正確な理解について」というところがあります。そこをまず簡単に読み上げますと、「社会保障教育の実施に当たっては、これまでのご議論の中で、以下のような注意喚起がなされている」。具体的にどういうものなのかといったら、社会保障は世の中の常識と実際の間の乖離が大きい、これは天動説と地動説くらいのレベルであるというふうなところなんです。

 まず、この言葉自体で物すごく距離感をきっとお感じになると思うんですけれども、まさに、この後解説しますけれども、例えば未納がふえると年金が破綻するという話がそうだと思うんですね。さすがに、今ここにいらっしゃる議員の方で、未納がふえると年金が破綻するということを信じられている方はいらっしゃらないとは思うんですけれども、ただ、二〇〇八年の五月の社会保障国民会議のシミュレーションが出るまでというのは、もう大手の新聞から一般の国民から全部それを信じ込んでいたんですね。もっとわかりやすく言うと、僕自身も、未納がふえると年金が破綻すると思い込んでいました。

 これは何を意味しているのかといったら、これほど見事なひっかけ問題というものがそもそもないと思うんですね。逆に皆さんに考えていただきたいのは、すんなり、今の年金制度というのは仕送り方式だ、子供が減って高齢者がふえていけば当然もたない、その中で未納者がふえていくんだから、より破綻に向かっていくのは当然だろう、この論で全ての人がスルーしてしまうわけです。だから、こういうちょっと信じがたいようなひっかけ問題が年金とか社会保障の分野は物すごく多いんだということが、会議を通じてだんだんわかってきたんですね。

 非常に深刻な話としてあるのが、その次のところの真ん中あたりの「特に年金については、」というところで、三つぐらい項目を挙げているんですけれども、具体的な、天動説、地動説ぐらいのレベルのひっかけ問題でいうと、例えば1、年金は四百兆円以上の債務超過を抱えているというような事柄が何かもっともらしく語られていた時期もあったし、ちょっと信じがたいんですけれども、教科書にこの記載があったりするんです、あれだけ検定とかたくさんいろいろ通り抜けているはずの教科書に年金は超過債務を抱えているという。これはちょっと専門的な話になってしまうんですけれども、要は、仕送り方式というものと積立方式という概念を取り間違えている話なんですね。

 こういう話があったり、あとは典型的な話として、今説明したような、未納がふえると年金が破綻するというような、もっともらしい論が当たり前のようにまず入ってしまっているところに大きな問題があるんですね。

 では、年金についてとりあえずどういうふうに理解していけばいいのかというところで、そもそも何でここまで混乱が広がっているのかというところを、残り十分ぐらいの中で簡単に説明していきたいと思うんですけれども、次のページを見ていただいていいですか。

 「そもそも「年金」とは?」ということで、「年金の考え方と論点の整理」ということで書いています。

 まず、テーマの一として、一番わかりやすい話として年金のひっかけ問題ということで、そのひっかけ問題としてあるのが、まず未納がふえると年金が破綻するという話ですね。あとは、今の少子高齢化で年金が破綻する、こういう論があるんですけれども、こういう形で、そもそもスタート地点でかなり誤解が起こっている。

 それの具体的な、新聞だったり、それを受けた社会保障国民会議のシミュレーションとかというのをそこに並べたりしているんですけれども、いずれにしても、細かな説明は現時点では省きますけれども、結果だけを言いますと、実は、未納者が幾らふえても年金の財政というのにはほとんど影響がないというふうな仕組みになっているんですね、そもそも論が。

 もう一つ、ひっかけ問題が本当に厄介だなというところが、このページの一番最後の図を見ていただきたいんですけれども、そこの人口構成の比率なんです。これもすばらしくよくできたひっかけ問題だと思うんです。

 というのは、よくテレビなんかで使われる話なんですけれども、例えば、一九六〇年ぐらいは九・五人で一人を支えていた、一九九〇年になったら、それは五・一人で一人を支えるようになった、これから二〇三〇年になると一・七人で一人を支えるような感じになって、この先どんどんどんどん少子化が進んで大変になっていくよ、こんなんじゃ年金は破綻するよねというふうな、もう一瞬でわかるぐらいの図としてこれが使われるんですけれども、ただ、これもすごく残念なひっかけ問題なんです。

 というのは、そもそも、このデータというのは何なのかといったら、これは、今の年金制度の試算の前提になっている数字なんですね。つまり、今後、出生率が一・二六になるだろう、長期的に。一・二六で推移したときに人口構成はこんなふうになりますよという話なんです。

 だから、そもそも、今の年金制度というのは、二〇三〇年に一・七人で一人を支えるということを想定して組んでいるものなんですけれども、そこはちょっと政治家の方でも、何か、いろいろふだんのテレビとかで見ていると、担当大臣が最近語っていてちょっと目を疑った話としては、今の年金制度は人口増を前提にした制度みたいな話をもっともらしく語っちゃったりしていたんですけれども、ただ、それは本当に年金の初歩的な話で、今の年金制度は一・二六を前提にしているんですね。

 人口増を前提にするというのは、要は出生率を二・〇六以上にしないといけないんです。それは単純な話で、カップルがいて、そこから人口が減らないためには子供が二人必要なわけですよね。ただ、その子供はずっと生き続けるわけじゃなくて、中には途中で死亡しちゃったりする場合もあるので一・二六とかという細かい数字になるんですけれども、それ以上で設定していないと人口増を前提にした制度という話にはならないんです。ところが、今、一・二六という数字を前提にして計算をしているものだ。

 しかも、幸い、前回の推計が出てから、五年に一度の国勢調査に基づいて人口推計というのは五年に一度改定されるんですけれども、この前の一月の段階で最新のものが出たわけです。それだと、一・二六から一・三五で、上方修正された。だから、とりあえずは年金の財政においてはどちらかといったらプラスの方向には進んでいるはずなんですね。

 ところが、そういう話が出ても、いや、これはより深刻なことを意味しているんだみたいな解説がいまだにテレビとかで多いのは、余りにも勉強不足というか、そもそも、ではそういう勉強不足はどこから始まっているのかといったら、こういうひっかけ問題のところから入っているわけです。

 次の、テーマの二に移りたいんですけれども、年金の未納問題、これはかなり重要な話としてあるわけです。ただ、これも実は大きな教育問題なんです。というのは、実は、結論から言いますと、教育が機能していくと、そもそも未納、未加入者が存在するということ自体がおかしいという話に気づくんです。

 それはどういうことかといったら、まず基本的な知識として、今の国民全員に共通する基礎年金というのは、半分が税金から出されているわけです。それで、年金の未納者という場合は、大きく二通りに分かれるはずです。一通り目は、まず所得があるのに未納にしている人、もう一つが、所得がなくて未納にしている人、その二パターンに分かれると思うんです。

 所得があって未納にしている人というのはどういう状態なのかといったら、一言で言うと、単なる税金の払い損になってしまっているわけですね。つまり、年金で必要な税金は出し続けているけれども、あくまで、年金の保険料を払うというのは、将来、年金をもらえる権利なんですね。保険制度とはそういう仕組みで、その権利を放棄しているわけだから、単に税金の払い損になってしまっているだけなんです。だから、そんな損することないよということで、早く加入した方が得だよということをまず説明すれば、所得があって未納にしている人というのはちゃんとその誤解に気づくことができるんですね。

 では、所得がなくて払えない人もいるじゃないかと。そこは本当におっしゃるとおりなんです。そのために、今、日本の年金制度はどうなっているのかといったら、そこの表にあるように、実は、四種類にもわたって細かく保険料の免除制度というものが存在しているんです。だから、所得が少なくて保険料を払えないという人は、まさにこの免除制度を活用することによって、将来、無年金とかということを抜けられて、最低限の、少なくとも税金分の年金はちゃんともらえるようにはなるんですね。だから、どっちにしても、そもそも未納、未加入というものが存在すること自体があり得ないんです。

 未納、未加入者がふえることによって生涯年金がもらえないというような、実はそういう社会問題も大きくなっているわけですよね。

 では、何でここまでこうなったのかといったら、やはり選挙で、とにかく年金が余りにも、天動説、地動説ぐらいみんなが誤解してしまうぐらいの、だから本当に、間違ったこととかうそが通用しやすいような世界ではあるんです。ただ、そこで本当に年金というものを政治の道具にしてしまってはいけなかったんですけれども、結果としてそういうことがあったわけですね。

 ここで改めて整理しておきたい話として、要は、民主党の新年金案になろうとなるまいと、年金の未納者というのは救われないわけですよね。だから、今、とにかく民主党政権下であれば、大臣等々、民主党の方々にお願いしたいのは、とにかくどっちに進むにしても、今の未納にしている人たちというのは損なんだということを、ちゃんと広報をきちっと徹底して、まさに一言で言うと未納者ゼロキャンペーンみたいなものを打ち出すということが、国民の将来にとっても非常に大事なんじゃないかなというふうに思います。

 次ですけれども、そもそも、年金って難しい難しいというところから入っているところに、何かいつまでも教育が進まない大きな原因があると思っているんです。ところが、実は年金というのは非常にシンプルだと思うんです。年金の捉え方としては、例えるのなら、まず、日本の年金というのは老後に国から死ぬまでもらえるお弁当だというふうな捉え方をすると多分一番わかりやすいんだと思うんです。つまり、年金だけで、そもそも負担している保険料とか税金とかは低いわけで、それだけで暮らしていけるというような存在じゃまずないんですね。だから、あくまでお弁当ぐらいな、死ぬまでとにかくちゃんと食べていけるというふうな捉え方で考えるべきなんですね。

 そういったときに、年金というのは大きく二種類に分けることができるわけですね。まず一つは自営業者、あと会社員と公務員の場合。その二つというのは何が違うのかといったら、要は定年があるか定年がないかの違いなんですね。定年がない自営業者については、とりあえず六十歳を超えても働いていけるので、保険料を安くして、だから最低限のお米だけをもらえるようにしようというふうな位置づけになっているわけですね。ただ、会社員とか公務員というのは定年があるから、国民年金よりも多目に保険料を払うことによって、将来ちゃんとおかずつきの弁当を食べられるようにしようというような仕組みになっているわけですね。

 ただ、国民年金の場合の人でも、会社員や公務員と同じような感じで、ちゃんとおかずつきの弁当を食べたいという人も当然いてもいいわけですよね。そういう人たちの仕組みもまさにあるんです。ところが、教育が機能していないからその仕組みすら伝わっていないんですけれども、国民年金基金というものがあるんですね。そこは今いろいろ要望が出されている、まさに積立方式なわけですね。だから、そうやって自分でもっとふやしたいという自営業の方たちは、国民年金基金に入ることで、ちゃんと将来おかずつきの弁当を得ることができるような状況になっているんですね。

 簡単な最後のまとめとして、年金の仕組みはこうなんですけれども、では、これで本当にもう年金というのは問題ないのかといったら、それは違うんです。年金にも問題はあるんです。それはどういう問題なのかといったら、要は派遣の人たちなんですね。

 派遣労働の人たちは正社員と同じような感じで働いているわけなので、本来であればおかずつきの年金がもらえる厚生年金の方に入ることができるはずなんです。ところが、なぜかわからないですけれども、派遣の人たちが国民年金に差別されて追いやられているような面があるわけですね。だから、ちゃんと派遣の人たちも厚生年金に入ることができるようにしないといけないわけです。

 そこで、具体的にそういう……

笹木委員長代理 細野参考人、時間が来ておりますので、まとめに入ってください。

細野参考人 はい、わかりました。

 そこで、今の話も受けて、最後のまとめで次のページに行きたいんですけれども、それを解消するために、実は既に二〇〇七年の四月に被用者年金一元化法案というものが提出されているんですね。これがもし通っていれば、派遣の人たちもちゃんと厚生年金に入れて、そういう差別がなくなって、格差が縮小に向かっていたんです、既に。ところが、これが民主党の反対に遭って廃案になってしまって、とりあえず動かない状態になっているんですね。だから、とにかく早く国会を機能させてここのところを機能させないと、いつまでも弱者が救われないという状況は解消されないんですね。

 だから、そういった意味で、これまで与野党協議の必要性というものはずっと言われ続けているんですけれども、実際、与野党間協議というのは国会で行われているんですね。それは、二〇〇五年の四月から七月の年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議というものがあって、ここでずっと議論はされているんです。ところが、民主党自身がみずからの具体案がないとどんなに議論しても意味がないということで、それ以降、社会保障国民会議ができたり、社会保障国民会議というのは、そもそも与野党間協議をするために、私のようにしがらみのない民間の人間も入って、みんなで議論しようという場だったはずなのに、民主党が入ってこなかったわけですね。

 結局、二〇一三年に民主党は新年金制度法案を出すという話でとりあえず落ちついていると思うんですけれども、ここで、最後に一つだけちょっとお願いがあるんですけれども……

笹木委員長代理 時間が来ております。まとめて終了してください。

細野参考人 はい、わかりました。

 今までの経緯を考えても、どんなに遅くても具体的な民主党法案というものをことしの九月までには、できれば六月ぐらいまでには必要なんですけれども、とにかく期限をちゃんと区切って早目に出してもらわないと、また同じことを繰り返すことになるので、まずちゃんと民主党案というものを出していただいて、そこで国会できちんと議論してもらえれば、とても国民にとっていい状況が生まれると思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

笹木委員長代理 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

笹木委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若井康彦君。

若井委員 民主党・無所属クラブの若井康彦でございます。

 本日は、お忙しい中、四人の参考人の皆様に大変示唆に富んだお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。時間が限られていて、まだまだお聞きをしたいことがたくさんありますけれども、これからの質疑の中でさらに御開陳を賜りたいと思います。

 私は、一番バッターということですので、この社会保障と税の議論をするに当たっての最も基本的な問題あるいは論点というような点に絞ってお話をお聞きしたいと思います。

 今、細野参考人の方からも、出生率が一・二六が一・三五になった、その前提が大きく変わっていくんじゃないか、これらをどういうふうに読み込んでいったらいいのかという投げかけがございましたけれども、この間、この予算委員会の中でも、人口の推移をどういうふうにこれから読んでいったらいいのか、その中で、社会保障、どれぐらい変えていったらいいのかという議論がされております。

 我が国歴史開闢以来、太平洋戦争というような例外はありますけれども、人口が減ったことがない。しかも、この百年間に九千万人も人口爆発、ふやしてきた。今のままの予測でいくと、それがまた百年の間に九千万人減少するんだというようなことになりますと、胴上げ方式から肩車へというような例え話もありますけれども、そもそも、人口がどんどん急増しているときにつくった仕組みがそのまま、ある程度手直しをすればこのトレンドの中で物が考えられるというような状況じゃないんじゃないかというふうに誰もが感じているんだと思うんです。

 私はまちづくり等の仕事をしてまいりましたけれども、この五十年間で五千万人人口がふえた。毎年百万都市を一つずつつくってきたというような計算になります。スラムもつくらないでよくできたものだと思うわけですが、これから五十年で、まさに毎年八十万の都市が一つずつ消えていっちゃう、関東平野から人が一人もいなくなっちゃうというような、そうした変化の中ですので、この社会保障をどういうふうに考えていくかというのは、当面どう手直しをするかということはもちろんあるんですけれども、先の時代をどういうふうに読むかということにひとえにかかっている、そんなふうに思います。

 今、細野さんの方から、たくさんいろいろおもしろいお話をお聞きしましたけれども、例えば五十年たったときに、禅問答のような話ですが、社会保障というのは一体どうなんでしょうか、高齢者とは一体どういう位置づけになるんでしょうか。わかりやすく、一言でお話しいただければと思うんですけれども、いかがでしょう。

細野参考人 一言でわかりやすくですね。

 そうですね、冷静に考えてみていただきたいのが、人間は基本的に今で考えるわけです。ところが、今、定年六十五になりつつありますけれども、かつては定年が六十だったり五十五だったりしていて、例えば今の六十歳定年とかという話でも、六十歳の人を見たって物すごく元気なわけですよね。

 人がどんどん元気になって長生きしているような状況があるので、高齢者がふえるというふうに、先ほどの、六十五歳が何人でという話とかという概念自体がそんなに意味がなくなるようなことになると思うので、シニアの方とかでも、シニアの定義もまたいろいろあると思うんですけれども、働ける人たちもたくさん出てくるわけなので、その意味では、高齢者が幾ら人口構成上ふえようとも、日本の活力というのはまだまだそんなに失われるものではないというふうに考えております。

若井委員 まさに細野参考人が今おっしゃったことを、私も常々そのことを実感させていただいております。

 実は、こうした社会というのが今始まったわけじゃない、例えば過疎、離島地域等をとりますと、もう半世紀前から今のような状況にどんどん近づいていて、既に、私のふるさとなどに行きますと、六十五歳以上が過半になっているというような地域も例外じゃありません。そうした中で、この間、地域づくりというような名前でいろいろな試みが行われてきておりますので、そのことも今後の社会、日本全体がそういう状況になる中で大変に参考になるんじゃないかと私は考えております。

 先般、この委員会の中でも議論がありましたけれども、七十過ぎたおばあちゃんたちが、もともとあれはイチョウの葉っぱをドイツの製薬会社に売るというような珍しいおばあちゃんがいたんですけれども、大阪へもみじを売ったってそれは同じことができるはずだということで、今やその村では基幹労働力がまさに七十代のおばあちゃんになっちゃっている、そういう状況も出てきております。

 そんなことで、先ほど西沢参考人の方からも、この辺の問題についていろいろ御提起があったわけですが、幾つかキーワードを挙げて、これからの社会、超高齢化社会と言ってもいいんですが、その中で、この社会保障をてこにして、何をどういう意味でてこにするかという意味もあると思うんですが、我が国が生きていくというプロセス、民主党では成長戦略などという言葉で言っていますが、私はワープ戦略とか変身戦略、そういうふうに考えなきゃいけないと思うんですが、その辺について御感想があればお聞かせくださいますよう、お願いいたします。

西沢参考人 二つお答えしたいと思います。

 一つは、年齢にかかわらず働きたい人は働く社会であるかと思います。

 今回の年金の支給開始年齢の引き上げがありまして、それと定年延長が絡めて議論されますけれども、そうではなくて、働ければ、定年にかかわらず働けるような風土、そして社会システムが必要であると思います。

 もう一つは、開国であると思います。

 先ほど来、委員がおっしゃったように、出生率の話が議題に上りましたけれども、先進国の中では、出生率とともに海外からの移民ですね、移民が人口増を支えておるわけです。これは、単に人をふやすためだけというのではなくて、海外から日本に魅力を持って来てくれるという日本にしていくことが必要であるかと思います。それなくしてあしたの日本はなかなか語りにくいのかなと考えております。

若井委員 ありがとうございます。

 今移民のお話がありましたけれども、この問題はほかにもいろいろな議論をしなきゃいけない側面があると思いますので、ほかの機会にぜひまたじっくり議論をさせていただきたいと思います。

 駒村参考人、先ほど概括的なお話をいただきまして、本当にありがとうございました。この間、先生の論調をいろいろ見せていただいておりますけれども、今の生産年齢人口がうんと減っていくような社会の中で、これをどういうふうに持続的な制度として維持していくかというお話の中に、年金の支給開始年齢の見直しの議論、御提起をいただいておりますが、きょうはちょっと御意見の中にこれはありませんでしたけれども、少しその点についてお考えを聞かせていただければと思います。

駒村参考人 私の資料の二十一ページ目にも多少触れておりますけれども、先ほどからもほかの方から答弁がありましたように、高齢化社会への対応としては、当然、高齢者の定義を見直す、生涯現役社会を目指すというのが長期的な目的としてあっていいかと思います。

 その上で、支給開始年齢、現在、六十五歳を目指して動いているわけでありますけれども、このペースはこのペースでいいと思います。若干、私の正直なところ、もう少し本来は引き上げペースが速かった方がよかったのではないかと思っておりますけれども、今となっては、これから急に変えるわけにいかないと思います。

 ただ、諸外国の状況を見ますと、日本よりもまだ寿命が短い国であっても、やはり支給開始年齢は六十七、六十八、あるいは寿命の延びに連動して一年当たりの年金を下げていくというような形の対応は見られておりますので、支給開始年齢は、今後の課題としては、なるべく早く、急に変えられては困ると思いますので、なるべく早く議論に入った方がいいかと思います。

 以上です。

若井委員 それでは、ちょっと視点を変えまして、先ほど森信参考人のお話の中に、個人の金融資産を私的年金として活用していくべきだというお話がございました。私、先ほどちょっと過疎地域等のお話を申し上げたんですけれども、そうした地域の、一種の生産とか雇用とか、そういうことを考えてまいりますと、いわゆる定年世代というものがないわけでして、非常にシームレスに、例えば六十五から七十五の間も、五十代から七十五までつないで連続的に働いているというような、そういう方々の比率が大変に高いと思うんです。

 私も、六十過ぎたら年金もらってゴルフをやっているというような、そういう社会はもうこれからはとても想像ができないと思うわけですが、そういう方々にもできれば働いていただきたい。ただ、通勤電車に乗って毎日郊外の住宅地から都心に通う、そういうような時代じゃないと思います。

 そういう意味で、先ほどの支給開始年齢を先へ延ばすとしても、その方々に働いてもらいつつ、先ほどのキーワードでいえば、自営業的な生活、あるいは非正規的な生活者の比率が非常に高まっていくと思いますけれども、これらを年金制度の安定につなげていく最大のキーワードといいますか、その点について何か幾つか教えていただければ幸いです。

森信参考人 今の御質問ですが、私は、やはりどんな職業についていても自分で所得の中の一定割合をきちっと積み立てていく、そこに政府が、国家が税金で優遇をしてインセンティブをつける、そういった制度をつくることが基本的には自分で老後の生活も守っていくというふうな意識も高まると思いますので、そういった制度をつくっていくことが必要ではないか。

 そういう意味では、個人型の積立の、職業にかかわらず、あるいは主婦の方でもそれができる、そういった制度をつくっていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 以上です。

若井委員 ありがとうございます。

 今回のこの大綱の中には、歳入庁の話ですとか最低保障年金の話等についても提起があるわけですけれども、時間が参りましたので、これからの質疑者の方々に委ねたいと思います。

 本日は、大変ありがとうございます。

笹木委員長代理 これにて若井君の質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 駒村さん、西沢さん、森信さん、細野さん、それぞれに本当に貴重な御意見をありがとうございました。

 まず、細野さんにお伺いします。

 私も高校生のときに細野さんのような方に年金問題について教えてもらったら、私は未納が二カ月間ほどあるんですけれども、そんなことをしなくて済んだと思うんですよ。私が未納になったのは二回なんですね、二カ月分です。学校の教員からプロレスラーになったときの切りかえ忘れ、もう一つが、プロレスラーのときに海外に武者修行に行ったときの切りかえ忘れが一回。

 働き方によって加入している制度が変わってしまう、申請主義である、そう考えると、転職しても自動的に切りかえがされるようになっていると若い人たちも安心するんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

細野参考人 未納に関してはちょっといろいろお話ししたいこともあるんですけれども、今の自営業者と会社員という形で年金制度が分かれていることですよね。そもそもその意味合いが違うので、そこは分けていても構わないと思うんですけれども、実際、消えた年金問題みたいな形のことはかつて起こったわけですよね。

 ただ、そういう教訓も踏まえて、今は一応、一人一個の基礎年金番号というものが存在するようになっているんですね。つまり、どこの職業、自営業になろうと会社員になろうと、常に一個の番号の中で管理されている状況になっているので、その意味では、ちゃんと一括でも管理されている状況なので、そんなに心配は要らないんですね。

 ただ、それも、一人一個の基礎年金番号だけだと不安だったのは、あくまでそういうデータを持っているのが国の方だけだったんですけれども、ところが今は、ねんきんネットとかでどんどん世の中の情報化がちゃんと進んで、自分がどれだけ払っていてとかというのをそのねんきんネットで確認できたり、その情報をきちっと共有できるような状況にもなってきたので、だんだん、世の中の変化とともにそういう心配というのは減っていっているんじゃないかなというふうに考えます。

馳委員 マイナンバー制度は私も賛成しています。情報漏れとか、いろいろやはり不安な部分はあるんですけれども、それを説明して解消しながら、やはり先ほど細野さんおっしゃったように、未納、未加入は損だよ、将来もらえる、それも、所得保障というよりも生活保障に近い公的年金制度をみずから放棄するようなものだよということは、非常にわかりやすい論理でありました。

 そうすると、マイナンバー制度を普及し、その上で、どういう働き方であろうとも、最低限は公的年金制度に入っているという安心感を与える必要があるんではないかという趣旨で申し上げたんですね。いかがでしょうか、もう一度。

細野参考人 私もそのとおりだと思います。

馳委員 さて、予算委員会でも、先般の集中審議のときに、一度、民主党の新年金制度は、今回の税と社会保障の一体改革の素案からちょっと切り離して、現行制度の修正案といいましょうか、その手直し案、ここをやはり与野党でやるべきではないか、そのためにも具体的な制度設計をお出しいただきたい、こういうふうに政府に対して申し上げる、こういう論調が目立ちました。

 今の政府の素案も、「検討する。」という箇所が七十六カ所ほどありまして、ここの具体案が見えて初めて、与野党共通し、また衆参共通して、国民会議のような形でやっていくのが私もベストだというふうに思っております。

 この新年金制度、一旦ちょっと切り離すという考え方について、では西沢参考人に御意見をいただきたいと思います。

西沢参考人 今回の素案では、第一段階で現行制度の改善、第二段階の新年金制度が目指すところに従って第一段階をすると言っていますので、新年金制度を切り離すというのは、私はやや矛盾していると思うんですね。第二段階の目指すところに向かって行っているという話ですから、やや矛盾しているというふうに思っております。

馳委員 先ほど西沢参考人も最初におっしゃった、目指すべきゴールをやはり見せる必要があるという議論ですよね。おっしゃるとおりだと私も思いました。

 そこで、財政健全化のゴールを目指すということと社会保障の姿のゴールを目指すということ、どちらについて西沢さんは強調されたいんでしょうか、それとも、両方ということで私は受け取っていいんでしょうか。

西沢参考人 両方でございます。

 ただ、時限的に、今、市場の環境を見ますと、財政健全化を目に見える形で諸外国に示すといったことは喫緊の課題であると思いますが、他方で、年金に関しましても、マクロ経済スライドが機能していないといったことにより、年金の過剰な給付が発生して、積立金が減っております。これは、特例水準が解消してから見直すという形になっておるかと思いますが、これは今すぐにでも、デフレ下でも機能するように見直すべきであると考えております。

馳委員 そうすると、マクロ経済スライドはやはり復活をさせる。すぐに復活させるとあれですから、激変緩和で三年間ぐらいかけて復活させるとか、あるいは共済と厚生年金の一元化、被用者年金の一元化、これはやはりやるべきだし、現行制度の手直しで一番のポイントだったのは、低所得者の加入という問題がありました。ここをやはりターゲットにすべきだと私も思うんですが、そういう認識でよろしいでしょうか。

 これは西沢さんと駒村さん、両方にお伺いしたいと思います。では、まず西沢さんから。

西沢参考人 大変いい質問を頂戴しまして、マクロ経済スライドについては即座に見直すべきですが、ただ、このマクロ経済スライドは、基礎年金と二階である厚生年金の報酬比例、両方にかかっています。基礎年金がマクロ経済スライドによってどんどん低下していくことが年金制度に対する国民の期待にとっていいことかといった議論がありますので、ここは、基礎年金にかける、かけないかといった議論を与野党両党でぜひ即座に始めていただきたいということと、あと、低所得者加算、今回も一体改革で低所得者加算が出ていますけれども、では、基礎年金に対するマクロ経済スライドの適用は何だったのかといった議論もしなければいけません。

 また、低所得者加算、今回、免除者にも給付すると言っていますが、では、免除を受けるほど低所得でありながら、頑張って満額、年金を払って、もらっている人との公平性をどう担保するかといったことが確実に問題になると思うんですよ。

 ですから、法案を出す前に制度設計の詳細をきちんと出して、国民の反応をきちんとごらんになった方がいいと思っております。

駒村参考人 マクロ経済スライドと低所得者への対応、二点だったと思います。

 マクロ経済スライドについては、まず、特例水準の解消、デフレ下で下げなかった分の解消をまずやる、その次にマクロ経済スライドに入っていく。これは、デフレ下でもやらないわけにはいかなくなると思います。

 ただ、先ほども西沢さんがおっしゃったように、基礎年金についてマクロ経済スライドをずっとかけると、これは実質三割カットになってしまいますので、大変低い年金になると思います。そうなってくると、基礎年金の扱いをどうするのかという議論になってくると、そこに国庫をどういうふうに投入するかという話になってくる。ここで初めて、やはり現行制度と民主党案の接続関係が見えてくるのではないかと思います。これが一つ目。

 適用拡大についてですけれども、被用者年金の一元化とパートの適用拡大は、パート適用拡大、非正規労働者の適用拡大、必ずやらなければいけません。これこそが、諸外国でも行われた、年金の未納者を一番食いとめる方法です。今一番年金が未納になっている方は非正規労働者の方ですので、その部分を押さえるというのは大事だと思います。これは諸外国でやられたことです。

 同時に、公務員でもアルバイト、パートがいますので、その部分もかける以上、当然、被用者年金の一元化も同時にやらなければいけないと思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。

 以上です。

馳委員 最後の質問にします。

 消費税増税、まずその前にという議論が、どうしても我々国会議員は実態よりも大きくなってきてしまうんですね。税と社会保障の一体改革が必要だと我々自由民主党も思っています。けれども、どうしても政局に揺られてしまって、まずその前にすべきことがあるだろうという議論になってしまって、ここが恐らく自公政権のときでも、選挙を意識していろいろな改革がおくれてきてしまったという反省につながっていると私は思います。

 そこで、その政局にちょっと左右されたかなと思うのが、後期高齢者医療制度の問題なんですね。私は、わかりやすく言えば、やはり分担論というふうに議論を進めていくべきだと思っています。老いも若きも、大都会も地方も分担しながら支え合っていくという後期医療保険制度にしていくべきだと思います。

 もう時間がございませんので、では西沢さんに、この後期高齢者医療制度の進め方についての基本的な考え方を御示唆いただければ幸いに存じます。

西沢参考人 後期高齢者医療制度が若い方と一番違うのは保険料の負担水準でありまして、これは根本には、公的年金等控除という税制が若い人に比べて優遇されている問題があります。ですので、税制と絡めて、高齢者の方にも負担を負っていただくという議論が必要ですし、かといって、高齢化率が四〇%に向かっていく中で、高齢者の方にも負担の限度があります。ですので、介護保険料、後期高齢者医療制度保険料、消費税とばらばらにするのでなくて、せめて、二十年後、三十年後、トータルでどういった負担になるのかといった限度を示しませんと、高齢者の方の不安というのは底なしになっていくと思いますので、まさにトータルで限度を示していくことが重要であるかと思います。

馳委員 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて馳君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 参考人の皆様、きょうは、国会において貴重な御意見をいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 時間が短いですので、早速質問に入らせていただきます。

 前回の総選挙のとき、年金記録問題がございました。また、未納問題もあり、マスコミ等さまざまなところで、年金が破綻したとか平気でそういう言葉が毎日のように聞かれる、そういう中で、私たち、総選挙で政権が交代したとも言えるのではないかと感じております。

 そこで、そのようなマスコミも含めて、制度批判、そういうことは非常に簡単ではありますけれども、では、まず、先ほど細野さんおっしゃったんですけれども、現行制度をどう理解し、そしてその上で、どこが問題なのか、具体的にどう見直していくべきなのか、そこには冷静な議論が必要だろうと思っております。

 私たちは、この年金の持続可能性というものを考え、二〇〇四年改革を行ったわけでございます。先ほども御指摘ありましたように、基礎年金国庫負担の引き上げ、また、マクロ経済スライドの導入、上限を決めて保険料を一定程度引き上げ、年金の積立金を活用するという制度改革を行いました。

 将来世代にもある程度配慮をした制度改革を行ったと思っておりますけれども、細野参考人、現行制度の評価についてお伺いをしたいと思います。

細野参考人 基本的に言えば、いろいろな批判はあったんですけれども、結局、現時点で、当初は、その二〇〇四年の改正で、絶対五年後には潰れているよという論が当時の野党から物すごくあったと思うんですけれども、ただ、実際問題、当時本当によく考えてつくられただけあって、やはり本当に考えられた制度というのは強いんだなというところを改めて感じます。

 ただ、問題は、先ほどのように派遣労働の問題があるので、とにかくまずちゃんと厚生年金の適用拡大をきちっと通してもらうというところをやっていただかなくちゃいけないことと、あと、マクロ経済スライドと名目、実質の話のところがやはり大きくひっかかっているところとして問題点としてはあると思います。

 マクロ経済スライドについては、ここまでデフレの状況が続くというところは想定していなかったので、ただ、そこに、想定したように、やはり世代間の調整を考えていったときに、きちっと機能させる必要はあるんだろう。それは西沢先生が先ほどおっしゃっていたのと同じ話です。

 もう一つが、あくまで年金というのは、これは教育の話なんですけれども、名目と実質というものをもうちょっときちんと国会の先生方が説明をされた方が私はいいと思っています。あくまで公的年金というのは実質的なお金、生活を保障するものなんだというところですね。だから、物価が下がれば、見た目の年金額が下がっていたとしても、それは生活には実質的には何の変化もないんだからということで、ちゃんとそういう説明をすればわかってくださると思うんですね。

 ところが、単純に年金が減る、だからちょっと冗談じゃないみたいな話というのは、まさに教育が機能していないところなので、そこら辺をちゃんと、名目と実質の違いというものをもうちょっとわかりやすく国民に説明して説得するという努力は、与野党ともに必要なのではないかなと思います。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 そこのところ、国民への丁寧なわかりやすい説明がもっと必要であるという御指摘だったかと思います。

 今、現行制度の補うべき点として、派遣労働者への厚生年金の拡大について言及されました。

 駒村参考人にお伺いしたいと思います。

 先生も、第一段階の改革としては当面の改革である、そしてその先に、長期的な課題については議論のルールづくりをし、新年金制度を議論すべきと先ほどおっしゃられました。

 実は、被用者年金の一元化にいたしましても、それから短時間労働者、パート労働者への厚生年金の拡大、これは自公政権当時に既に法律にして提出をいたしておりました。そこは、共済との話し合いが、最後なかなか合意ができずに、確かに未熟という面もあったかと思います。しかし、一歩前進ということで、そのとき法律をつくり、提出をいたしました。

 そういたしますと、二年半たち、さまざまな議論の末に、自公政権のときのこの被用者年金、厚生年金、共済年金の一元化と短時間労働への厚生年金の拡大、ここにある意味戻ってきたということが言えようかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

駒村参考人 御指摘のとおりでございます。

 先ほども資料の十四ページの図で説明しましたけれども、世界の大きな年金改革をやった国でも、全く新しい年金を短期間でつくる、あるいは移行できませんので、やはり、ある種の目標を立てて、そこに向かっての改革であり、当然、被用者年金の一元化とパートの適用拡大等はその一里塚というか通り道であるというわけでございますので、そういう認識で、私も同じだと思います。

古屋(範)委員 結局、先ほど細野参考人からも御指摘がございました、二〇〇七年、私たちも被用者年金一元化、こういうことも考え、このときも、中小企業ですとか外食産業、スーパー等々、そこともさまざまなやりとりがあり、非常に難しいと感じながらも、一歩踏み出したわけでございます。二年半たって、結局、自公の二〇〇七年に提出をしたここに戻ってきた、こういうお答えだったかと存じます。

 そこで、細野参考人にお伺いいたします。民主党案を含めた抜本改革についてのお考えをお伺いしたいと思っております。

 民主党の年金案、政府の一体改革大綱では、抜本改革案の具体像というものは示されておりません。しかし、今回の国会でのさまざまな審議の過程で、民主党の年金案の問題点というものは明らかになってまいりました。多額の消費税が必要である、あるいは多くの世帯の給付が減ってしまう、あるいは自営業者の保険料負担がふえる、移行には非常に長期の年数がかかってしまう。岡田副総理も、バラ色の制度はないのだ、このようにおっしゃっていらっしゃいます。

 しかし、依然として、これはTBSの世論調査なんですが、年金、今の制度でよい、一五%、マニフェストどおり新しい年金制度に移行すべき、一二%、マニフェストとは別の新たな年金制度を検討すべきだ、七〇%。こういう、積立方式というような言葉もまた出てきたり、抜本改革、何しろ今のはだめで、新しいもの、このような空気というものはどうしてもあるんですけれども、こうした傾向をどうお考えになりますか。

細野参考人 そうですね、本当に根深いなというのは、民主党案もそうだったんですけれども、何か本当に夢のようなものが、最低保障年金七万円というあのキャッチコピーは、多分、本当に、政権交代が行われたら、すぐにみんな七万円、まずもらえるように思い込んでいたりしていたんです。

 ただ、実際、組んでみれば、全くそんなことはないし、だから、本当に抜本改革なんというものがそもそも存在しないんだということをちゃんとわかってもらうためにも、とにかく民主党案というものを世の中に具体的にわかりやすく出していただきたい。それは本当に六月ぐらいというめどを切りながらやってほしいというのが大きく一点目。

 あと、もう一つ、積立方式というのが新たな論点として出てきたんですけれども、何か賦課方式だと無理だけれども積み立てだったらいいんじゃないかという、これもある種の幻想だというふうに私は考えます。

 象徴的な話でいえば、まさに積立方式の企業年金でいうと、AIJ投資顧問という問題が最近出てきているように、まさにああいう問題が起こるわけですし、もっと身近な個人の企業年金で、自分で積み立てでやっている四〇一kがあるわけですね。では、その四〇一kというのは、積立方式ですけれども、それの運用というのは実際どうなっているのかといったら、二〇一一年の九月末時点での話なんですけれども、実は、もう既に約六割の人が元本割れをしている状況なんですね。

 だから、積立方式に移れば何かもう全てがバラ色になるような幻想がいまだにあると思うんですけれども、そういう企業年金とかのいろいろな実態とかを見てみれば、本当に、今後のインフレのリスクとかいろいろなものを考えていったときに、相当危ない空気感にはあるなと、教育の重要性をすごく感じます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 私たち公明党は、二〇一〇年の十二月に、新しい福祉社会ビジョン、社会保障全体のビジョンを発表いたしました。その中では、当然でありますけれども、年金制度だけで全て解決するわけではない、住宅政策の充実でありますとかあるいは所得再配分機能強化、総合的な取り組みが必要だということをそのとき掲げました。

 森信先生にお伺いいたします。

 年金制度のほかにも、安定運用していくために、経済対策、子育て支援、こうした総合的なものが必要だと思うんですが、それについての御意見をお伺いしたいと思います。

森信参考人 今、年金以外の経済政策ということで御質問いただきました。

 私は、いろいろ合わせて経済成長を促進していく政策が必要だというふうに思っておりますが、それが果たしてどういうものか、非常に悩ましいところだと思います。

 ただ、私が考えますのは、例えば、民間の資本とかノウハウとか知恵とか、そういったものが、社会保障の医療とか介護とか、それからほかにも農業とか、そういった分野に入っていけるように、規制が緩和されると同時に、その辺の民間資本の移動の自由性ができるような施策が必要ではないかというふうに考えております。

古屋(範)委員 先生のおっしゃった給付つき税額控除、私も、子育て支援とかあるいはワークフェアを進める意味でも、ぜひこれは取り入れたいと考えている一人でございます。

 最後の質問になろうかと思います。また細野参考人にお伺いしたいと思います。

 意見陳述の中でもおっしゃっていました、国民への理解、また、社会保障の教育が大事だということで、今回の政府の大綱は国民の理解を得られているかというと、私は、それは言いがたいと思っております。

 一方で、北欧諸国のように高負担・高福祉、これは、理解が得られている国もあるけれども、我が国においてここがなかなか進んでいかない。若い世代からも、給付と負担の明確化が必要だと、私も多く意見を伺っております。

 最後、ここについて、教育、若い世代に特にどのようなことを国として進めていくべきなのか、御意見を伺いたいと思います。

細野参考人 非常に重たい質問だと思いますが、とにかく一言で言うなら、この国がなぜここまで年金不安が大きくなっているのかというと、やはり、政治の道具に使われてしまったという一言に多分尽きると思うんですね。

 今回政権交代が起こったことでそういうあおるものがなくなったので、あとは、幻想がある限り教育が機能しない面もあるので、できるだけ早く、とにかく民主党の方に、具体的な案を出して、皆さんで議論していって白黒きちっとつけていただきたいことが一つあります。

 ただ、教育の方の現場としても、社会保障の教育推進に関する検討会において、来年度中に、とりあえずモデル校で、実際に高校の現場とかで社会保障教育を具体的に行って、できるだけわかりやすく、安心してできるような仕組み等々を説明していきたいと思っていますので、本当に政治も民間もあわせて頑張っていくべき課題なんだと思います。

古屋(範)委員 大変にありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

中井委員長 これにて古屋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 駒村参考人、西沢参考人、森信参考人、そして細野参考人、きょうは、お忙しい中、貴重な御意見、ありがとうございました。

 幾つか伺いたいんですが、一つは、概括的なことなんですけれども、野田内閣が社会保障と税の一体改革ということで、消費税一〇%、そして社会保障については、年金、医療、保育などいろいろな分野で、高齢者にも現役世代にも、あるいは子供にも、負担増や給付削減を連続的に進めるという点で、国民の中で見ますと、不安と批判の声がかなりあると思うんです。

 そういう中で、それぞれ伺うと時間があれですから、森信参考人と細野参考人に伺いたいんですが、この一体改革についての評価、それぞれ参考人御自身の御意見も、先ほど、一歩ということも含めてあったと思うんですけれども、国民から見てこれが今どう受けとめられているというふうに見ていらっしゃるか。つまり、全体的に支持されているのか、あるいはそうでないのかという点で、どう見ておられるか。そして、どういう点でそう思っていらっしゃるか、お二人に端的に伺えればと思います。

森信参考人 大変視点を変えた御質問なのでちょっと戸惑いますが、確かに国民から見れば、消費税の税率が引き上がる、それから社会保険料も今回総体としては引き上がると思います、それから所得税も相続税も今後引き上げが予定されているということで、非常に負担増がばらばらと来るなというふうな感じが一方であるんだと思います。

 他方で、これで社会保障の財源が曲がりなりにも少しぐらいは安定財源によって裏打ちされることによって、それほど大きな社会保障の崩壊が起きるわけではないなという安心効果というんでしょうか、そういったものも一方で生じているんではないかというふうに思います。

 その二つが、どちらがどういうふうになっていくかというのは、これから制度の詳細が詰められていくに従ってだんだんわかってくるんだと思いますが、いずれにしても、私は、今の財政状況を考えますと、どうしても、余り年金制度にお金を使うというよりは、やはり若者の、雇用している現役世代の方に、負担を少し軽くしながら、給付もいろいろ、勤労すれば給付をしていくとか、そういった形で経済支援をしていく方がいいんじゃないかというふうに考えておりまして、そういう流れの中に今後持っていっていただきたいなというふうに思っております。

細野参考人 社会保障と税の一体改革における私の評価という話ですね……(笠井委員「国民がどう受けとめているか」と呼ぶ)国民がどのように思っているか、これもやはり、まだその教育が行き届いていない部分が率直にあると思っています。

 まず、その一つの大きな誤解として、消費税は国民の社会保障のために使われるというふうに決まっているわけなんですけれども、実際に、今の消費税五%というのは十二・八兆円ぐらいあるわけですけれども、それが全て社会保障に使われているという事実もありますし、今後、今回一体改革で上げるということになった五%についても、社会保障に全て充てられるということはもう法律で決まっているわけなんですね。そこら辺の話がまず余り国民に伝わっていない分、何か非常に誤解を招く要素になっているなと思っています。

 そこで、お願いしたいのが、内閣官房できちっと出している、二〇一一年度版の消費税が、今、五%で国と地方を合わせて十二・八兆円あり、高齢者三経費、あと、子育て支援とかの保育に係るお金ですよね、それも合わせて社会保障四経費、それと比べたときの差額というものをちゃんと見てもらいたいと思っているんですね。それで見たときに、今自分たちが受けている社会保障を維持するためにはやはりこれぐらい必要なんだなというところが見えるようによりなれば、理解は進んでいくんじゃないかなと思っています。

笠井委員 今の点については私ども意見がありますが、参考人の御意見として承っておきたいと思います。

 駒村参考人に伺いたいんですが、参考人は、国民年金の空洞化と国民健康保険の未納率の上昇というのは共通の要因があるということを指摘されて、非正規労働者の増加を挙げておられます。そして、社会保険料の企業負担について心配する声もあるけれども、日本は先進国の中で社会保険の企業負担は最も低い水準にあるということも指摘をされていると思います。私、その点では同感であります。

 そこで伺うんですけれども、とりわけ負担能力のある大企業の負担及びいわゆる富裕層などの高額所得者の負担をふやすということも一つのポイントになってくるのかなというふうに思うんですけれども、もちろん、それを社会保険料でやるのか税でやるかという問題もありますが、そういう点での具体的な政策ないし制度設計については、考えておられることがあるでしょうか。

駒村参考人 国民健康保険、国民年金、加入者の六、七割が同じ方たちであるという状況であります。国民年金の空洞化ばかり目につきますけれども、国民健康保険の空洞化もかなり進んでいる。

 都道府県別データなどを見ますと、国民健康保険の空洞化と国民年金の空洞化が進んでいるところはほぼ同じ地域になっている。これは当然、その背景には非正規労働者の問題があるんだろう。まさに九〇年半ばからの非正規労働者の増加がこの背景にあるんだと思います。そういう意味では、健康保険も年金も、ともに非正規労働者への適用拡大によってこれを解消するのが、先進国どこでも行われた対策だと思います。

 私の資料の十九ページの方にも、各国の被用者と自営業者の社会保険料の状況をお見せしております。自営業者についても、ほとんどの国が、日本のいわゆる年金の常識と異なりまして、所得比例年金になっているというのは世界の標準でございます。日本が例外的な国でございます。被用者についても、半分以上を事業主が負担しているという国が多くございまして、また、平均的にも日本の事業主負担は低い方になっているということは事実としてあります。

 そういう意味では、事業主への社会保険料の引き下げというような形あるいは適用を外すなんという形は、実質的には社会保険のダンピングに近い状態でございますので、ここのところは事業主としてきちんと世界標準に従って負担していただくというのが道筋ではないかと思います。

 高所得者については、所得税の方できちんと負担していただくべきではないかと思います。

 以上です。

笠井委員 西沢参考人に伺いたいと思うんですが、参考人は、私も書かれたものを拝見したんですが、益税の発生原因として、九五%ルールと。要するに、売り上げに占める課税売り上げの割合が九五%以上であれば、仕入れにかかる消費税を全て仕入れ税額控除でできるという制度が九五%ルールだと思うんですが、その方が看過できないということで、その経済的メリットを受けているのはむしろ大企業であるとの見方も出ているという御指摘をされていると思います。

 私も、そういう見方はそのとおりだと思うんですけれども、この指摘に対する大企業への効果的な税制対策というのは、いかに阻止したらいいかということで考えていらっしゃるか。あるいは、こういうことがあるよということで、紹介でも結構なんですが、いかがでしょうか。

西沢参考人 今御指摘いただいたのは、例えば、会社が社宅などを建てたときに、その社宅は消費税の仕入れ税額控除の対象から外せるということが、大企業にむしろ税が残ってしまうという九五%ルール、益税のことです。

 今回、包括的に思いますのは、消費税という税目に対する議論が少なかったことであるかと思います。消費税はとかく、益税といいますと、中小企業が税を持ってしまっているという、中小企業に対する批判として益税が出てくるんですけれども、そうではないというのが、例えば民主党の宮崎先生などが御提起された問題であって、こういったものは、現実をしっかり示して、大企業にもきちんと課税していくことが必要であるかと思います。

笠井委員 駒村参考人に伺いますけれども、参考人が「ワーキングプア・ボーダーライン層と生活保護制度改革の動向」というのを書かれたのを拝見しました。

 そこで、伺うんですけれども、いわゆるワーキングプア・ボーダーライン層の現状から出発して、そういう層に対する緊急、中長期の対策の優先項目というのはどのように考えていらっしゃるでしょうか。端的に伺えればと思います。

駒村参考人 生活保護を利用する資格のある方はまず一時的に利用していただくというのが大事かと思います、これは今、現行制度の問題でございますけれども。それに加えて、やはり制度的には、生活保護制度の改革も必要。

 特にこのワーキングプア・ボーダーラインというのは、まさに働いている世代でございますので、私の方の資料でも、五の残された問題の方で触れておりますけれども、やはり、求職者支援制度との連携を強めていく、一体化を強めていくという形で、いわゆるトランポリン機能、職業訓練、あるいはまた職場に帰っていくという次のチャンスを保障する仕組みが必要だと思います。

 それからもう一つは、一緒に寄り添ってサポートしてくれるようなスタッフ、あるいは施設、非営利法人、こういったものも一方で用意しなければいけないと思います。

 以上です。

笠井委員 最後に、西沢参考人に伺いたいと思うんです。

 消費税増税の問題をめぐっては、いろいろな影響の問題も指摘もされておりますが、これは言い出すといろいろなことがあると思うんですが、一点だけ、端的になんですけれども、東日本大震災から間もなく一年ということになります。被災地でいいますと、復旧復興に向けた懸命の努力が続けられているわけでありますが、特に、生活となりわいの再建ということが一番の課題になって、立ち上がろうとしている被災者の方々にもこの消費税増税というのは例外なくかかってくるということでありますけれども、その影響についてどのようにごらんになっているか、あるいは、その問題についてどう考えていったらいいというふうにお考えでしょうか。

西沢参考人 震災で御苦労されている方々が多数おられるということでありますけれども、それと消費税の関連におきましては、私は、この消費税額の一般消費税であるという性格上、一旦負担していただく、その上で、例えば、復興に関する予算措置でありますとか各家計の補助などで対応していくといったことが筋であると思います。一般消費税である限り、極力広くの方に一旦負担していただくといったことであろうかと思います。

笠井委員 この問題はなかなか大きな問題で、例えば住宅をこれから再建、建てるというときになっても、相当な負担額になってくるという問題が出てくるので、その住宅再建支援の問題も含めてどうするかというのはありますが、消費税そのものがどうなのかということも大きく問題になってくるというふうには思っております。

 きょうは、参考人の皆さんに貴重な御意見とそしてお答えをいただきまして、ありがとうございました。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私は、同じ質問を四人の参考人の方にそれぞれお答えいただきたいと思いまして、私の方でしばらくお話をさせていただいて、二分か三分程度になるかもしれませんが、各参考人の方からお考えをお聞かせ願いたいということです。

 私の質問というのは、端的に、消費税の増税の前にやるべきことがあるのではないか、これは私の持論でありますが、そのことについて、各参考人、どのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。

 そもそも、この前の委員会でも私申し上げましたが、平成二十三年、昨年の六月に、菅前総理のもとで、社会保障と税の一体化ということを検討していく、これが民主党それから内閣ということで決められたわけですけれども、このアプローチの仕方は私はおかしい、間違っているということを最初から申し上げてきました。

 なぜなら、社会保障と税というそのアプローチの仕方というのは、まさに、社会保障を受けたい、あるいは維持したいということならば、もう消費税の増税しかないでしょうという、社会保障と消費税の増税ということを二者択一のできない、二者で一つしか結論のないような、そのような、まさに社会保障は聖域だ、だから社会保障を維持するため、あるいは、国民の皆さんが社会保障を受けたいんだったら消費税の増税しかないんですよ、こういう切り口というかアプローチの仕方は絶対におかしい、これを私は昨年の六月からずっと申し上げてきたわけです。

 なぜおかしいかというと、私は昨年の暮れにどうしてもこれが耐えられなくなって民主党を離党したわけですけれども、二年半前の民主党が国民の皆さんに公約したこと、私は、全てそれを全部実行できる、あるいはしなきゃならないというか、それは難しいこともあることは承知していますが、国民の皆さんにお約束したその基本になることをまずやってから、しかも、消費税というのは、そのときに四年間は上げませんよということまで言ったことを、実際にちゃんとお約束したことを守らずに、逆に、約束していないこと、あるいはしないと言ったことをやるということはおかしい、しかも、その切り口が、社会保障と税の一体改革という切り口で国民の皆さんに迫っていくということは絶対におかしいということを私は申し上げたわけです。

 社会保障といえども聖域ではありません。皆さんは社会保障というと何か全てが聖域のように思われますけれども、社会保障の中に相当の無駄があります。きょう、私は、そこを具体的に議論する時間もありませんし、十五分しか持ち時間がありませんから、その議論はもし機会があればまたいたしたいと思いますが、社会保障こそ、逆に言うと、歳出削減の大きなメスを入れるべき部分であると私は考えています。

 社会保障を含めた歳出全般、その歳出全体の見直し、これをまずやらなきゃならない。それは、単に今までの自民党や、あるいは、その皆さんには申しわけないですが、これまでやってきたようなそういう延長線上での歳出カットあるいは削減というのでは絶対にこれはできないのであって、もう思い切った統治機構の改編、組織の見直し、それを徹底的に行うことによって行政の中にある無駄を排除していく。これは、もう従来言われていることですけれども、行財政改革の徹底ということになるわけですが、思い切った統治機構の改編と組織の見直し、これが必要になります。これをまず徹底的に行うことによって歳出の削減を行っていく。

 その次に歳入の見直しを行うということですが、参考人の皆さんはよく御存じのように、歳入というのは三つの要素から成っています。税と税外収入、そして公債金、借金です。公債金は財政規律の観点から、できるだけこれをふやさない、あるいは減らしていくというのが、私はこれはもう当然あるべき姿だと思っていますが、その公債金を減らしていくということの前提に立てば、残りの税か税外収入、これを上げるしかありません。

 まず、税外収入を上げる。例えば、政府が最近躍起になってやっていますけれども、政府の保有株、郵政でありますとかたばこだとか、そういうところの保有株の売却だって、もっと早く検討すべきだったと私は思っています。そのような税外収入を極力上げた後に、どうしても足らず前、これが歳出を穴埋めできないということであれば、そのときに初めて増税、税の議論になる。

 しかも、税は、御案内のように、森信君もよく御存じだと思いますが、君というのは大変失礼で、私の役所の後輩なものですから、つい君と言ってしまいましたが、森信教授もよく御存じのように、税というのは、所得それから資産そして消費という、三つの税源に対して、所得税、いわゆる個人所得税や法人税、資産は相続税や固定資産税、それから消費というのは消費税そのほかの間接税、こういう形で、所得、資産、消費というこの三つにバランスよく課税をしていくというのが税の本来のあり方であります。

 だから、一挙になぜ消費税に増税……

中井委員長 豊田質疑者に申し上げますが、もうあと七分しかなくなりましたから。十三分までですから、あなたの持ち時間は。そこにお届けしてあります。一人二分って到底ありませんよ。

豊田委員 八分残します。

中井委員長 八分って、八分も残っていないと言うとるの。自分で勝手に時間決めるなや。七分しかないと言っているんだから。

豊田委員 わかりました。

 では、端的に申し上げます。

 ということで、今申し上げたように、まず歳出の徹底的な見直しを行い、それからそれに見合う歳入、その中でも税外収入等を検討し、最後に増税ということになる、こういうアプローチの仕方が私は正しいと思っていますので、この考え方について、私は決して消費税を否定するものではありません。将来の税源として大変大事な税でありますから、消費税の増税というのは、私は早かれ遅かれやらなきゃならない、むしろ早くやるべきだと思っていますけれども、その前にやるべきことがあるのではないか。

 この点について、四人の参考人の方の御意見を順次お伺いしたいと思います。

 以上です。

駒村参考人 国民の多くの方が負担がふえながら給付もカットというようなことに対して大変不愉快な思いをされるかと思います。一方で、先生おっしゃるように、行財政改革あるいは議員定数の見直し等々、いろいろ大きな課題もあるかと思います。

 ただ、私の資料の方でも少し数字を出しながらお話をしておりますけれども、社会保障給付費百兆円でございます。百兆円の中には、先生おっしゃるように、無駄な部分もそれはあるだろうと思いますけれども、高齢化率二三から二四%になっている国で、GDP五百兆円に対して百兆円、つまり二〇%で抑えているということは、よく抑えている方でもあるということを、先進国との比較です、国民にも理解していただく必要があると思います。

 また、足りないお金は毎年四十兆から四十五兆でございますので、当然行財政改革が必要だと思いますけれども、やはりそれでは足りないということ。あとは、やはり金融市場との、時間との争い。膨大な国債がたまっておりますので、日本の国債の価格が安定しているうちに何とか財政再建の道筋をつけた方がよろしいかと、私はそういうふうに思います。

 以上です。

西沢参考人 まず、消費税増税の前にやるべきことがあるという御質問でありまして、私もそのとおりであると思います。それは社会保障に関しては、先ほど申し上げましたマクロ経済スライドがきちんと機能していないことでありますとか、例えば七十歳から七十四歳の前期高齢者の方の保険料負担、これが今、毎年補正予算で二千億円ぐらい軽減されていますけれども、こういったものはどうしてもやった方がいいと思います。

 他方で、今回の素案、大綱の中に公務員の給与削減ですとか議員定数削減がありますけれども、私はこれはやや疑問でありまして、例えば議員定数を削減すると、我々の国会に送り出す代表が減ってしまう、民意がどうやって反映されるかといった観点から議論されるべきですし、国家公務員の給与削減に関しましても、我々が受ける行政サービスの質、量との関連の中で議論されるべきであって、今回の消費税引き上げのための国民へのなだめといいますか、として議論されるべきではないと思っております。

 根底には、政府自身が社会保障の中身を語り切れていないことがあると思うんですね。なぜ消費税五%が必要なのかといった語れない構造問題があるので、また、勉強が足りていないところがあるので、こういった公務員の給与削減ですとか議員定数削減という話で持っていってしまいますけれども、それは真実の説明ではないというふうに考えております。

森信参考人 今の先生の御提言というんでしょうか問題提起、私も基本的にはそのとおりだと思います。消費税率引き上げの前にいろいろなやるべきことがたくさんある、そのとおりだと思います。

 ただ、問題は、そのやるべきことが引き延ばしの理由になってはいけないというふうにも考えております。したがって、やはり基本的には、同時並行的にこの問題を進めていくしかないのではないかというふうに思います。

 私の考え方を一つ述べさせていただければ、その行政改革の起爆となるのは、先ほどから言っております番号制度、これをうまく活用しまして、例えば国税と地方税の徴税の一元化とか税と社会保険料の徴税の一元化とか、いろいろなことが可能になるのではないか、しかも、行政機構を横串に通すことも可能になるのではないかというふうに思っておりますので、そういったことも考えていただければと思います。

細野参考人 まず、一言で言えば、歳出の削減の見直しを進めていくという考え方は正しいと思います。それは当然やるべきことなんですけれども、ただ、それだけだともうとてもじゃないですけれども足りないのも現実としてあるので、だから、両輪で一気にやっていかないといけないぐらいの危機にはあるんだと思います。

 その意味では、本当に歳出の削減の手も緩めずに、同時に自分たちの社会保障の負担分ぐらいは自分たちでちゃんと見ていこうというようなところをきちんと出しながらやっていくことが重要だと思います。

 そこで、一番の重要な指標になるのは、やはりプライマリーバランスの国際公約だと思うんですね。二〇二〇年度までにプライマリーバランスを黒字化するということはもう国際公約しているわけなので、そこの整合性とどれだけ合うのかというところ。そこで足りなければ、ではこれだけ削減しなくちゃいけないよねというふうな具体的な数字が出てくると思うので、ただ、民主党の年金案も、そことも全部兼ね合わせて徹底的に議論を本当に早く始めるべきだと思っています。

豊田委員 まだ十三分まで二分ほどありますので、一言締めを申し上げたいと思います。

 私は、消費税の引き上げ、あるいは、もともと、導入され、一回引き上げがあったわけですが、これはもう大変なエネルギーが、もちろん今まさに野田総理がそこへ全力を挙げてやっておられる、それは私はわかるんですが、それだけのエネルギーを、もう一つ、返す刀でというような表現は不適当かもしれませんけれども、なぜ歳出の方の切り込みにそれだけのエネルギーを費やさないのか。

 私が長年おりました財務省、大蔵省でも、この増税、所得税や法人税の増税ではなくて、消費税の増税のときのそのエネルギーというのは本当に大変なものがあるわけです。だから、それを歳出のカットに向けるというのはまさに絶好の歳出カットの機会であり、国民の皆さんの八割ぐらいの方は、消費税の増税をやる前にやるべきことがある、そういうアンケート調査が出ているわけですから、消費税への関心がこれだけ高まりつつあり、そして、消費税増税の前にやるべきことがある、そういう国民の皆さんの世論をバックに、まさに消費税を上げると同時に歳出のカットを行っていく、そこに野田総理が全力を尽くされるというのが私は本来の筋ではないかということを最後申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて豊田君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 私も、きょうお見えになった四人の参考人の方に御質問をさせていただきたいと思います。

 私の質問は、今回のこの大綱が貧困・格差問題への回答になるのかという観点で質問をさせていただきます。

 駒村先生の五ページの諸外国の年金改革への視点、その中に、低所得者の生活改善あるいは労働者保護の改善という観点を各国とも非常に重視されているということは、よく参考になりました。それから、西沢先生の文章には、今回の改革案の最大の柱は消費税率一〇%への引き上げであり、社会保障改革は専らそのためのあめであるというふうに書かれてあります。それから、細野参考人の年金の未納問題、これも払えるのに払っていない、これは税金で負担するから本人は損なんだよ、あるいは、減免措置があるから、こういう制度があるんですよ、だから、未納のゼロキャンペーンをやって、とにかく入らぬと損ですよということを言った方がいいんじゃないかというふうに受けとめたわけです。

 きょうの飯代、今月の家賃とかそういったことに追われて、それは本当に払いたいけれども払えないという人が大勢おられるということも実態だと思うんですね。私も、三十三年間機械メーカーにおりまして、退職して国民保険に切りかえるときに減免措置を出しましたけれども、三年が一年分になるんですよね。ですから、そういった制度も含めていろいろあります。

 それで、質問は、生活保障あるいはセーフティーネットの姿をしっかり提示して、貧困・格差問題への取り組みを最優先すべきではないのか。大綱には、全世代型とかあるいは低所得者対策とか、言葉はいろいろ並んでいるんですけれども、貧困、格差をどうやってなくしていくのか、セーフティーネットのほころびが埋まり、この制度が今の制度からこぼれ落ちている人にちゃんと手が届くのか、この大綱が本当に貧困・格差問題の回答になるのか、それをぜひお聞かせいただきたいと思います。

駒村参考人 一体改革に関する評価でございますけれども、御議論もありましたように、社会保障の拡充とともに財政健全化というのを同時に担っている。財政健全化は国民生活にとって意味のないものではなくて、将来の財政破綻のリスクを下げるという意味では、リスクを下げているというメリットがあるということはきちんと御理解されなければいけないと思います。

 ただ、その上で、今回の一体改革で社会保障給付の内容をよくよく見ますと、先ほどの免除については、先生おっしゃるように、免除をもっと適用すべき制度にすべきだとは思いますけれども、そのほかの部分につきまして少しコメントいたしますと、低所得者に対する年金加算が一つある。それから、高齢者医療への拠出金あるいは介護保険への拠出金、これも、所得比例、応能負担のウエートを高めているという部分もあります。

 そういう意味では、国庫の重点化という意味あるいは応能負担への切りかえというところが節々に見えますので、そういう低所得者に対する、あるいは貧困、格差に対する対応というのは、十分ではございませんけれども、かなり意識されているのではないか、こういうふうに評価しております。

 以上です。

西沢参考人 私は、二つほど申し上げますと、一つは非正規の問題。非正規の方は今、厚生年金、協会けんぽから、国民年金、国民健康保険になだれ込んでしまっている。今回の一体改革素案を見ますと、私も十分ではないと思いますね。

 例えば、非正規の方を厚生年金に拡大するといったことも、当初、自公政権のときは二十万人程度の格差拡大で、それが限界だったわけです。というのも、厚生年金に適用拡大しますと、低い標準報酬で入れざるを得ないというか、入れてしまうと、国民年金との公平性が損なわれるというジレンマがありまして、そのジレンマが解消できないがゆえに、どうしても低水準にとどまらざるを得なかったという悩みを、今、与党の方も抱えていらっしゃるわけですね。

 ですから、私は、年金はもう一回つくり直して、根本的に、働き方にかかわらず、被用者であれば同じ年金に入れる制度に進むべきであると思います。そういった意味で十分ではないというのが一つ。

 もう一つ、一体改革の大綱を見ますと、国民健康保険料について減免措置を拡大すると書いてあります。これにかなりの程度の予算を使うんですね。ただ、確かに国民健康保険料は非常に重いです。皆様も地元で若い方と話されると、重いという声を聞かれると思いますけれども。これは非常にいいことだと思います、一定程度の予算を使って減免するというのは。

 ただ、どの程度、貧困、格差が改善されるかという御質問だったと思いますけれども、素案を見てもわからないんですね。というのも、予算措置をとって、後で国民健康保険で各市町村がどのような保険料水準の設定、減免を設定するかというのは、市町村に聞いてみないとわからない。

 ですから、せっかく一定程度の予算を使って国民健康保険料の減免措置を設けるわけですから、これはある程度市町村レベルにブレークダウンして、住民に説明できるようにした方がいいと思うんですね。思い起こしますと、二〇〇八年四月の後期高齢者医療制度発足時に、全国の後期高齢者が、負担が上がるのか下がるのかよくわからなかった。制度を始めて、初めて全国調査をしたという経緯もありますので、これは早目に調査してブレークダウンしていくべきであろうかと思います。

森信参考人 私も、この貧困問題というのは、我が国にとっては新しいここ十年ぐらいの問題で、これにきちっと対応していかなければいけないという認識は同じでございます。

 ただ、そこからは若干私の意見なんですが、私は、単にそれでセーフティーネットを張りめぐらせて大きくすればいいという考え方には必ずしも賛同をしておりませんで、むしろ、例えば、イギリスで新しく労働党が政権をとったときに、セーフティーネットよりはトランポリンへというふうに言ったわけですが、第三の道ということでやったわけですが、社会保障の中にインセンティブをやはり入れて、まずきちっと働ける人は働くようにすべきだというふうな制度を導入したわけですね、これが給付つき税額控除の一つでございますが。それで、オランダなども、そうやって働いた人に少し給付を与えて、それで社会保険料のところを事実上相殺していくという形で未納を防いでいるわけですね。何かやはり、勤労という大きな自分の自己実現の場をきちっと構築していくことが重要ではないかというふうに思います。

 その関連で一つ思いますのは、日本の今の社会保障は余りにも出口の方に金を使い過ぎている。例えば生活保護とか、そういった出口の方に金を使っているというような感じがしまして、むしろ、その入り口の、いかに若者が生活保護に陥らないように、未然に防ぐというところにもっとお金を使うべきじゃないか。

 そういう意味でも、勤労税額控除という制度は有効活用できるのではないかというふうに考えております。

細野参考人 一体改革への、弱者に対する評価という話ですよね。それがどこまで実現できるかわからないですけれども、今の日本は、税負担、保険料負担の水準に比べれば、駒村先生からもお話があったように、今、日本人が受けている社会保障制度というのはかなりしっかりしている方だと思っています。

 ただ、より弱者に対して優しい制度ということも私も重要だと思いますので、その意味で今、日本で高額療養費制度があって、一般の所得の人間だとどんなにかかっても一カ月四万円ぐらいで済むようになっているんですけれども、低所得者の場合だったらそれが低く設定されているわけですよね。それをさらにもうちょっと引き下げようというアイデアも今回の一体改革案の中にきちっと出ているので、そういうものがより実現されていくような方向に行けば非常にいい方向に行くのではないかなというふうに私は考えております。

服部委員 どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 きょうは貴重な御意見をありがとうございました。

 最初に、歳入庁についてお尋ねをします。

 最初に、駒村参考人と森信参考人のお二人に質問をさせていただきます。

 西沢先生が配られた資料の中に、歳入庁は国税庁と年金だけじゃなくて市町村の徴税事務も統合すべきという御意見がありました。実は、私も以前から、地方分権の時代ですけれども、一部の機能はかえって中央集権にした方が国民の利便性が高まる機能もあるんじゃないかと思っておりました。そういった意味では、この西沢先生の御提言で、市町村の徴税事務まで歳入庁に入れるべきだというのは大変興味深く感じました。

 この点について、駒村参考人、森信参考人、どのようにお考えでしょうか。

駒村参考人 歳入庁につきましては、国の歳入を全てここで行うという発想でございますので、私は進めるべきだと思います。

 社会保険庁のうちの、今、年金機構ですけれども、徴収部分、それから国税庁の機能がまず中心だろうと思います。

 地方税部分については、確かに、メリットがある一方で、今先生が御指摘された分権化との整合性というのもあるかと思いますので、ちょっとそこについては深く検討をしたことがまだございません。ちょっとそこは分権とのバランスということが残っているのではないかと思います。

 以上です。

森信参考人 私はまず、歳入庁につきまして、基本的にその方向で議論が進んでいくことは十分承知しております。

 ただ、順番がありまして、まず必要なことは私は徴収の一元化ではないかというふうに思っております。

 社会保険料と税、それから今お話がありました地方税も、地方分権だから執行が全部別でなければいけないという理屈は全くないと私は思います。ドイツのように共同税というところもありますし、いろいろ工夫はあろうかと思いますので、まずそのあたりから議論を始めていって、それから将来的には歳入庁をどうするんだという問題に進めていくべきだと思います。

 ただ、その場合、では税の企画立案をするところはどうするんだという問題があろうかと思いますので、この問題は少し時間をかけて議論していかざるを得ないのではないか。

 とにかく、まず徴収の一元化ということを早々に進めるのがいいのではないかというふうに考えております。

山内委員 もう一度、歳入庁に関する質問をさせていただきます。駒村参考人、西沢参考人、森信参考人のお三方にお尋ねします。

 歳入庁導入のメリットというのはいろいろ考えられるんですけれども、導入することでどれぐらい例えば予算が浮くとか、あるいは企業の側の負担が減って、それによってどれぐらいプラスになるか、そういう金額とか削減できる公務員の数とか、そういったものを具体的に計算している機関とか人というのがいらっしゃるんでしょうか。あるいは皆さんの相場観でどれぐらいの効果が、例えば税収の徴収漏れが減るというものも含めて、どれぐらい数量的にプラスがあるとお考えでしょうか。教えていただければと思います。

駒村参考人 歳入庁は、国税庁に、今の年金機構の徴収部分あるいは社会保険の徴収部分、労働保険の徴収部分ももしかしたらこれに加わるのではないかと思いますけれども、ただ、今の年金制度を考えますと、低所得者からも取らなければいけない設計になっているので、非常にコストがかかっている。したがって、どのくらいのコスト的なメリットがあるかというのは、まさに年金制度がどうなっていくのかによって変わってくると思います。

 あと、試算については、私は、そういうデータを見たことがございません。

 以上です。

西沢参考人 山内委員のお尋ねになったこの試算、日本ではありませんが、イギリスやアメリカでは行われているわけであります。

 その際、注目に値しますのが、行政側のコストの削減だけではなくて、納税者側のコストの削減、タックス・コンプライアンス・コストと言います。例えば、納税のための会計ソフト導入、納税のための人員手当て、納税のために役所に出向く時間などなどのもろもろを計算しますと、例えばアメリカですと、徴税事務、行政側にかかっているコストの何倍も納税者側は負っている、こういう計算なんですね。あるいは、近年イギリスは年金徴収機構と税の徴収機構の一元化を実現しましたけれども、中小零細企業ほど納税事務負担が多い、こういう調査結果を政府当局みずからが出しているわけであります。

 行政側に関しましては、例えば国税庁は五万数千人の職員だったと思いますが、市町村の徴税職員は七万人ぐらい、それより多い数がおられたと思います。ですから、行政側に関してもメリットがあると思いますし、また、年末調整や住民税の時期になってまいりましたけれども、企業は、住民税に関しては、各従業員が住んでいる市町村それぞれに情報を出さないといけない。こういったものも、徴収一元化すれば、一つの役所に出して済むようになる。非常に大きなメリットがあると思われます。

森信参考人 歳入庁に関しましてのそういった試算があるというふうには承知しておりません。ただ、徴収一元化につきましては、やはりこれは相当の効果を上げる、上げるべきではないかというふうにも考えていますし、番号を活用すれば相当の行政削減効果が出てくるのではないかというふうに思っております。

 それから、先ほど地方税の話を申し上げましたが、全ての地方税が全部徴収一元化するというのではなくて、やはり、地方分権の一つの中には、地方がみずから汗をかいて税金を徴収するところに地方分権の一つの意義があるというふうに思いますから、全ての地方税を一元化しろというのではなくて、ただ、一元化できるようなものは、法人事業税などについても、うまく一元化を進めていけば行政効率は上がるのではないかというふうに考えております。一部の自治体は、たしかそうやって、自治体の中で集まってやっているように伺っております。

 以上です。

山内委員 それでは、歳入庁を実際に実現するに当たっては、財務省も厚労省も嫌がっているという話を聞きます。

 そこで、元大蔵省の森信先生お一人に聞きたいと思うんですけれども、どういったプロセスで進めていけばうまくいくかということと、先ほど来、試算というのはまだ存在していないということですけれども、具体的に、歳入庁を導入したらこれぐらいメリットがありますよという数字を示せれば議論もしやすいし、説得力も増すと思うんですけれども、どういう形で試算をしていけばいいんでしょうか。その制度設計にもよると思うんですけれども、お考えをお聞かせください。

森信参考人 私は、先ほどから申し上げておりますが、歳入庁を即つくるということではなくて、まず徴収の一元化から始めてみて、そこで様子を見るべきだというふうに思っております。

 歳入庁の問題については、これは全く個人的な見解ですが、先ほどからちょっと申しましたが、では、税の企画立案機能をどうするんだ、執行の方に移すのか、あるいはそれは今の組織のままにするのか、そういった問題とか、大きな問題があると思います。税の企画立案も歳入庁の方に移しますと、歳入予算と歳出予算がばらばらになるとか、その結果、かえって国の財政の赤字がふえてしまうというようなことも起きかねないと思いますので、そこは、十分メリット、デメリットをこれから議論して進めるべきだというふうに考えております。

山内委員 最後に、細野参考人にお尋ねします。社会保障教育に関して質問させていただきます。

 社会保障教育は大変重要だと思うんですけれども、最近、いろいろな何とか教育がふえております。環境教育、防災教育、消費者教育、金融教育、いろいろな教育がどんどんふえていって、子供の負担というか授業数の負担とかも、ほっておくとふえてしまいますから、どこかで工夫が要ると思うんですね。

 ですから、どうすれば社会保障教育をうまく、子供や学校の先生の負担をふやさずにはめ込んでいけるのか。例えば、算数の応用問題の中にそういうのを入れるとか、今の教科書の書きかえをやってわかりやすくするとか、いろいろな手があると思うんですけれども、どうすれば子供や学校の負担をふやさずに社会保障教育をきちんと実施していくことができるでしょうか。

細野参考人 まず、社会保障教育は絶対に必要だというふうには思っているんですね。というのは、冒頭に説明しましたように、天動説と地動説ぐらいの話で、まず、僕も含めて、普通の人はみんな勘違いしてしまうものなので。天動説についても、習うまで誰も信じられなかったわけですね。僕も、小学校のときに教わって初めて、えっ、本当にそんなことなのとちょっと驚いた記憶があるぐらい、普通に生活しているとみんなが勘違いしてしまうことについてはやはり教育が必要だという話がまず大きくあるんですね。

 ただ、それも余り専門的なところまで行き過ぎると大変なところはあるので、だから、まず、一足す一は二ぐらいの話で、未納がふえても、別に年金というのは破綻するような、こんなふうな仕組みじゃないんだよというところだったりとかというのをできるだけわかりやすく示したり、そういう基礎的な知識をきちんとまず教えること。

 その後に、でも、国のあるべき論というのがあると思うんですね。それは、一足す一イコール二という基礎がわかった段階で、では、大きな政府を目指すのか、小さな政府を目指すのかというのは各いろいろ考え方があるので、そこはディベートが必要だと私は思っているんですけれども。

 その二段構えでどこまで効率化してできるのかというところを、まさに今、検討会の方で教材づくりをやっている最中ですので、頑張ってやってみたいと思います。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 本日は、参考人の皆様、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。社会保障と税の一体改革は二十四年度の予算審議において最も重要な一つだというふうに思っておりますので、私の視点から順次お伺いさせていただきたいというふうに思います。

 まず、駒村参考人にお伺いしたいんですけれども、この社会保障と税の一体改革の議論の前提として、現行の社会保障制度のどこに問題点があったのか、伺いたいと思います。

 例えば、社会保障給付の半分以上を占めると言われております年金制度の最大の課題は、世代間の不公平という指摘もあります。四十歳代以下の世代は給付よりも負担の方が大きくなるというふうに試算されておりますが、年金制度における世代間格差を初めとする現行の社会保障制度の問題点について、駒村参考人のお考えをお聞かせください。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

駒村参考人 現行制度の課題としましては、やはり圧倒的な財源不足が今起きていて、それを全部国債等、次の世代にツケを回しているということがあると思います。

 もう一つは、高齢者の給付に偏っておりまして、子供向けの給付が不十分である。恐らく、一九九〇年の早い時期に両立支援、子育て支援をやっておけば、これほど深刻な少子化にはならなかったのではないかと思います。二十年ぐらい先進国に比べておくれた、こういうふうに評価しております。

 その上で、問題としては、持続可能性を高める。現行制度をそのまま持続するかどうかというのとは別です。直さなければいけないところは直さなければいけないと思いますけれども、少なくとも現行程度のお金は、やはり日本の高齢化の状況を見ればかかるんだろうと思います。

 一方で、世代間の不平等についてでございますけれども、もちろんこれは、これ以上の不平等が拡大するのは回避すべきだと思いますけれども、逆に、不平等の解消を第一目標にすると、今度は議論がかなり混乱してくると思います。ほかの国で見ましても、やはり財政の持続可能性が第一優先順位でありまして、不平等の解消そのものを高い優先順位に挙げた改革というのは余りございません。やはりこれ以上の拡大は防ぐというのが視点ではないかと思います。

 以上です。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 続きまして、西沢参考人と森信参考人にお伺いしたいんですけれども、現在の日本の財政状況を鑑みれば、経済の健全化は急務の課題であるということは言うまでもありません。

 二月十七日に政府が社会保障・税の一体改革大綱を閣議決定したことは一定の意義があると思いますけれども、社会保障と税制、つまり歳出と歳入を一体改革するということについてお伺いいたします。

西沢参考人 お尋ねは、社会保障と税を一体改革するということで、御存じのとおり、現在の社会保障、一般会計で三十兆円近く、今度の予算では、特例国債ですか、交付国債が出たことで数字は減りましたけれども、やっていることは正しい、一緒にやることは正しいと思います。

 ただ、もう少し欲を言いますと、一般会計から三十兆円もの国費を出すという社会保障の財政構造自体を見直すべきであると考えています。というのも、今の社会保険の各法律は、支出の一定割合を国庫が負担するという構造になっております。これは、社会保障費が伸びて税収が伸びない中では、サステーナブルであるとは考えにくいものがあります。

 ですから、社会保障と税の一体改革と真に銘打つのであれば、各社会保険法の国庫負担の項目自体を見直すべきであるというふうに考えております。

森信参考人 今、歳出歳入改革とおっしゃいましたが、実は、自民党時代は歳出歳入一体改革という言葉でずっと議論してきたんですね。ところがそれが、そうすると、歳入と歳出、一体的じゃないじゃないかということもありまして、今は税・社会保障一体改革という名前に変わったわけなんですが、私流に変わった意味を問いますと、税も社会保障も同じ、国民の所得を再分配する手段なんですね。税制でやるか社会保障でやるか、それはいろいろあるわけで、そこをうまくつなげるのが税と社会保障一体改革だというふうに思います。

 ただ、今の大綱にあります与党の案は、必ずしもそこが一体的になっていないというところがあると思います。それは、実は、例えば給付つき税額控除というように、あるところまでは減税で対応し、あるところから社会保障給付で、そのかわりシームレスな、切れ目のない所得再分配政策を遂行することができる、そういうものをインセンティブにして失業も貧困も克服していく、そういった制度、こういうものを入れること自体が、私は、税・社会保障一体改革の本当のあるべき姿ではないかというふうに思っております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 続きまして、細野参考人にお伺いしたいと思います。

 社会保障と税の一体改革の理解が進んでいない、そういう声も耳にいたしております。民主党の新年金制度が素案に盛り込まれてしまったことで、逆に議論が拡散してしまっている、国民の皆様に説明しにくくなったという面があるのではないかと危惧をしております。本来、この新年金制度にかかわる部分は別に掲げるなどして、議論の対象が現行制度の改善であるということを明確にした方がもっとわかりやすかったのではないかなというふうに思っております。

 細野参考人に、政府の社会保障制度そのものに関する説明のあり方も含めまして、御所見をお伺いいたします。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

細野参考人 おっしゃるとおりだと思います。

 与謝野さんが、今回、社会保障と税の一体改革をまとめた責任者として言っていたんですけれども、与謝野さんがその後に週刊社会保障という社会保障の専門誌で、民主党のそこの案に盛り込んだのはもう記念碑ぐらいのもので、実質的には今の現行制度の補修、だから、本当に普天間と同じような感じでもとどおりみたいな状況になっているというふうなことはおっしゃっているんですね。私も、委員として参加していた印象でも、そのような形で思っています。

 ただ、やはり与野党できちんと議論するためにも、これまでの経緯とかを考えていったときに、結局、常に民主党の側は、自分たちの具体案がない、それについて具体的に議論しない限り一歩も前に進まないというふうに、その論理でずっとこれまで来ていた経緯があるので、だからこそ、まずは本当に民主党案というものを、六月ぐらいに期限をきちっと区切ってしまって、その期限を担保してくださるのはまさに国会議員の皆さんだと思うんですけれども、ちゃんとその期限を決めて、そこまでにちゃんと出してもらう。

 そこで、議論していったときに、私の予想では、恐らくそこの現行制度のものに行き着いて、ようやく国民の理解もはっきりしてくると思うんですね。そこで、民主党がまだよくわからない状態のものを抱えているからいろいろ焦点がぼやけているところはあると思いますので、そういった意味でも、国民の理解を進めるためにも、とにかく早く具体的な案というものを出してもらいたいなというふうに考えております。

中島(正)委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木けんこう君。

松木委員 新党大地・真民主の松木けんこうと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 年に一兆円近くの社会保障費がふえていく、消費税を上げなくてはいけない、待ったなしであるという言葉があります。これは、少なくとも五年以上前から私は聞いていたんですよ、実は。昔は自民党の方々が言っていました。今は民主党の方が言っています。

 民主党は、鳩山さんが、四年間は消費税を増税しない、そう言いました。しかし、それは消費税をずっと上げないと言ったわけではありません。その四年間でやることを一生懸命やろうよ、その後考えようよ、こういうふうに実は私は理解しています。国会議員の定数の削減、公務員の総人件費の二割カット、あるいは特別会計の見直し、そして埋蔵金というのはもうないのか、これも利用できるんじゃないか、こういう話もありました。あるなら利用しよう。天下りもやはり禁止していかなきゃいけないんじゃないか、こういう話もしました。そして、二重行政、三重行政はないのか、これをちゃんとやらなきゃだめじゃないか、こういう話もしました。

 そして、民主党の中から新たなものも出ています。村井宗明君という衆議院議員が、競り下げ方式というのを考えました。イギリスの方では、これで十数%の公共調達のお金を削減したそうです。日本でも少しやっている。それで、一七%でしたか、下げることができたそうです。しかし、これをやっているのもほんの一部なんですね、実は。

 ですから、これは、言ったことをやっているのかなと思ったら、残念ながらまだやっていないことがほとんどであるというふうに思っております。それでもやはり消費税を上げるのが先の方がいいんでしょうか。

 というのは、切り込む、カットする、これはやはり結構大変だと思うんですよ。我々も、例えば陳情を受けて、これを減らしてくれという陳情は余りありません、何とか予算をとってくれ、何とかしてくれ、こういう話がほとんどなんです。ということは、一体でと言いますけれども、私は、やはり先にやることをやって、それから消費税という方に入っていかないと、結局、改革という方がなかなかできないで終わってしまうんじゃないかな、こういう危惧を持っているんですね。

 デフレ下で消費税を上げるのはやめた方がいいという話もありますし、あるいは、ギリシャのようになってはいけないと言ったどこかの前首相ですね、こんなのは軽い言葉です。こんなこととか、今上げないと日本はすぐにでも破綻するんだみたいな話がどうもあるような気がするんですけれども、本当にそうなんでしょうか。私は、それをどうしても理解ができないんですね。

 まずやはりやることをやってから、それからやった方が実効力が出てくるんじゃないか、こういうふうに私は考えておりますけれども、それぞれの参考人の皆さん、いかがでしょうか。これは、民主党も頑張っているんですよ、新しい切り口も出てきているんですから。でも、やはりやることを先にやった方が実効力がある、そして未来もいい国がつくれる、私はこういうふうに思っているんです。ぜひ御意見をお聞かせください、お一人お一人から。

駒村参考人 先生のおっしゃるとおり、まだ特会改革も含めてやることはたくさんあるか、こういうふうに思います。

 ただ、一方では、社会保障給付、あるいは公務員の人員についても、既に公務員の人員は恐らく先進国でも最も少ない部類に入ってきているのではないかと思います。あるいは、障害者福祉あるいは子供向けの給付も、これは現物給付の部分でございますけれども、先進国でもかなり低いレベルであるということもありまして、本当はもっとかかる部分もまだまだあるかと思います。

 やるべきことを先にやっていただきたいというのは、私もそう思います。ただ、これも先ほど先生から御指摘ありましたけれども、国債残高がやはり一千兆円まで来てしまうと、これを何とか国内の家計資産で購入している状態でございますけれども、あと二百兆とか三百兆しか余裕はなく、かなりの部分外資も買い始めてきていて、外資もかなりさまざまなポジションをとり始めているというふうにも聞いておりますので、一方で時間的制約もあるかと思いますので、同時にやっていただくということしかないのかと思っております。

 以上です。

西沢参考人 私も、委員御指摘のとおり、行政や政治家の先生に対する国民の視線というのは非常に厳しいものがあると思います。

 ただ、一方で、私は、すぐに消費税を、今回の一体改革はきちんと結論を出して上げる。それはたかだか一〇%ですので、その次でぜひ先生のおっしゃったプランとともに行政と政治家の先生の改革をしませんと、例えば、今回、年金の国庫負担の三分の一から二分の一への引き上げ財源を交付国債という極めてイレギュラーな形で決着して、これは将来の世代が使うべき積立金を取り崩して年金給付しているわけですから、もうこんな予算は御免だという感じでありますし、七十から七十四歳の方の自己負担が二千億、七十五歳以上の方の保険料負担に千億近くですか使って、これもきちんと財源の裏づけがあるとも限らない中で、これはどうしてもやめたいという強い気持ちがあります。

 ですから、例えば、政治家の先生が、基礎年金を六分の一カットします、そのかわり消費税は上げませんというなら、私、まだ話はわかるんですけれども、多分そこまで政治も国民も成熟していないような気がいたしますし、市場の状況もいつどうなるかわからない中で、ここはきちんと結論を出した方がいいかなと思っております。

森信参考人 私も、今先生がおっしゃいましたように、歳出削減が必要だということにつきましては全く同感でございます。ただ、やはり同時にやるべきじゃないかというふうに考えております。

 私の専門の分野で、税制で申しますと、例えば、俗に医師優遇税制と申しますが、社会保険診療報酬の優遇措置がございます。それから、赤字法人も、日本の法人のうちの七割が赤字で、さらに五年以上赤字が続いている法人が過半に上っている。こういう問題も、何か根っこにいろいろな不公平な問題があると思います。それから、租税特別措置も極めてまた、例えば肉用牛だけ免税とか、そういった問題もあろうかと思います。

 そういう問題が、必ずしも金目の問題だけではなくて、国民から見て、どうもこれは不公平ではないかというふうな問題もあろうかと思いますので、その辺もあわせてこの機会にぜひ議論いただければというふうに思っております。

細野参考人 まず、御認識はそのとおりだとは思います。無駄の削減は当然進めるべきだと思います。

 ただ、一方で、気をつけなくちゃいけない議論としては、無駄取りというのは永久に終わらないという話が重要だと思うんですね。例えば、民間で一番無駄についてすぐれていると言われているトヨタですら、無駄というのは永遠に常に出てきて、やっているわけですよね。だから、無駄がなくなってから増税という話だと、一生増税しないで終わってしまうということになってしまうので、その辺は、そういう現実をわかりながら両輪で進めていくことが大事だと思っています。

 ただ、そこでもう一つ大きな基準をやはり持たなくちゃいけないと思うんですけれども、それは、先ほどもお話ししたように、二〇二〇年までに日本はプライマリーバランスを黒字化するということを国際公約しているので、そこで具体的な目標の数字が出ているわけですね。

 例えば、消費税換算でいったときに、今、成長が大事だ、成長があれば消費税の増税が要らないという論もあるとは思うんですけれども、それは僕は違っていると思って、例えば、既に内閣府が実際に試算していますけれども、三%台で成長を仮に続けていたとしても、二〇一五年度までに消費税というのは一五%ぐらいにしなくちゃいけないということはわかっているわけですよね。ただ、一%台後半ぐらいの現実的な路線でいったときには、二〇二〇年までに消費税は一七、八%ぐらいにはしなくちゃいけないというところまできちっとまずわかっているわけです。

 その消費税を、とりあえず一〇%に上げるのは置いておいて、それを、一五なのか、あるいは成長が足りなくて一七、八パーになるのかというところは、実際その経済政策次第だとは思うんです。ただ、そこに至るところで、では、本当に全部消費税でやるのかというところは大いに議論があって、それは、無駄の削減でここの部分は済ませて、何とか一五で落ちつけるんじゃないかという話が具体的にできると思うんですね。

 だから、そういうふうな形で、ちゃんと明確なもの、ルール、国際公約があるわけなので、そこにのっとった形で、個別具体的に議論していって、その数字を詰めていくということが重要なんだと思っています。

中井委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位には、御多用中のところ、まことにありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 三案審査のため、本日の午後は、経済(円高・デフレ)について、参考人として、早稲田大学法学学術院教授犬飼重仁君、慶應義塾大学商学部教授深尾光洋君、東短リサーチ株式会社取締役チーフエコノミスト加藤出君、全国商工団体連合会会長国分稔君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。参考人各位には、平成二十四年度総予算について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 それでは、議事の順序について御説明申し上げます。

 まず最初に、参考人各位から一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。

 なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、犬飼参考人にお願いいたします。

犬飼参考人 早稲田大学法学学術院の犬飼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。このたびは、貴重な機会をお与えいただきまして、光栄に存じます。

 本日は、平成二十四年度予算案に関連する我が国の経済、この問題に関して、日ごろ感じておりますことを率直にお話し申し上げたいと思います。

 ただ、私は円高、デフレを専門に研究する研究者ではございません。したがいまして、それに特化したお話はできません。総合商社に勤務した経験や、アジア各国、ヨーロッパに頻繁に出張して見聞し、実感していること、そして、これまでの私自身の研究成果なども踏まえまして、極力簡潔にお話をしたいと思いますが、昨今の日本ではいつも暗い話ばかりが多いので、できれば元気の出る話をさせていただければと思っております。

 本日の私の結論を最初に申し上げたいと思います。それは、日本の経済社会と日本企業の未来は明るいと私自身確信をしているということでございます。

 また、日本のさまざまな社会経済システム、そのインフラについても、相対的な比較において、他国に決して引けをとらない、それだけのすぐれた内実を持っているということでございます。もし、後段、御質問がありましたら、それらについての具体的な御説明を申し上げます。

 先日、二月十五日の、日銀の御英断でさらなる金融緩和とインフレターゲットの導入が発表されましたが、それに先立つ米国の動きとともに、これらは非常に前向きの重要な政策アナウンスでありますし、二月二十一日のEUのギリシャ支援策合意の動きも、欧州債務危機の行方に希望を与えるものでございます。

 これらを踏まえますと、我が国の円高、デフレ基調の潮目がまさによい方向に変わり始める、そういう期待ができる局面に今入ってきているというふうに感じております。日本経済は、欧州の債務危機が落ちついてきて、世界的な景気の回復が始まれば、案外早く離陸できるということかもしれません。

 そういうことを申し上げますと、二十年来の長期低落で風前のともしび、そういうような日本経済を前にして何を言っているんだというふうにお叱りを受けるかもしれませんけれども、人も国も同じだと思いますが、前向きに考えることもしないのでは、将来に希望を見出すことはできません。

 実際に、これまで私は、一昨年秋以降ことしの二月まで、アジア開発銀行を事務局といたしますASEANプラス3債券市場フォーラム、ABMFのプロジェクトの関係で、アジアを中心に十数カ国をたびたび訪問してまいりました。行く先々の政府関係者や法律家や市場関係者の方々の多くが同じプロジェクトのメンバーであるということで、お互いに打ち解け合って、さまざまなことを本音で語り合える間柄になりました。彼らと、日本の経済社会や日本の企業や日本の法制度、日本の暮らし、昨年の大震災における日本人の対応などについていろいろと議論する機会に恵まれました。また、年一回定期的に訪問しているロンドンでも同様の議論をする機会がありました。

 彼らが口をそろえて言ったことの第一は、日本はすばらしい、日本が大好きであるということであります。そして、日本企業等にかかわる幾つかの不祥事のニュースが伝わっているにもかかわらず、彼らの目から見た日本と日本経済に対する信用、信頼の高さは相当なものであります。また、彼らのそういう思いは、昨年三月の震災の後で、むしろさらに高まっております。もしかすると、日本の外から日本を見た方が、よりバイアスのない日本が見えてくるということがあるのかもしれません。

 それでは、以下にその理由を申し上げます。

 日本経済と日本企業をどう見るかでありますが、まず、円高ですが、二〇〇七年夏にアメリカから英国、欧州に伝播した欧米金融危機と、二〇〇八年五月から本格化をしました欧州債務危機の影響が本当に大きかったということです。

 この危機が直接の危機の当事者ではないアジアと日本に及んで、特に日本では、四年半前の二〇〇七年夏の百二十円台から始まってことしの二月の七十六円に至るまで、対ドルで一貫して円高基調が続きました。

 その間の為替レートは非常に大きな変化を示しましたが、それでも日本企業は、全体として見ればよく踏ん張っております。日本経済と日本企業は、このような困難にこれまでよく耐え、また、苦心と工夫を重ねて対応しつつあるというふうに感じております。

 ここで一つ指摘をしておきたいのですが、日本は、アジア諸国の中で、完全に外為管理を撤廃し、為替を完全自由化している唯一の国であります。他のアジア諸国の多くは、いまだに通貨の規制を残しております。形式的に通貨規制をなくしている場合であっても、実質的に通貨をコントロールしている国もございます。外為管理を撤廃して大きな為替の変動を経験しても経済の根幹が崩れない強い国であるとみなされていること自体が、他のアジア諸国から日本が本音ベースで信頼されている理由の一つと言えると思います。

 実際、電力等の規制業種の企業を別にしますと、日本の企業は、バブルの崩壊以降、長期にわたってさまざまな危機や困難に直面しましたが、困難を乗り越えるべく行ってきた継続的な努力の結果、全体として極めて筋肉質となっております。危機対応力を高めつつ、将来の成長に備えた基礎的な体力強化を行ってきたと言えるでしょう。それは、リジリエンスがさらに高まっているということであります。

 ここで、リジリエンスとは、危機管理、危機対応の重要なキーワードですが、竹林に雪が積もりまして、一本一本の竹が雪の重さによってかなりしなってきます。それでも決して途中で折れることがなく、少し雪が解け出すと、決して諦めたりへこたれたりすることなく、いわば平然と、しなやかなばねの力で勢いよくもとに戻る、その力、つまり、耐える力ともとに戻る力としなやかさ、そして冷静さの合わさった力のことをリジリエンスというふうに言うのだと理解をしております。

 借金の返済でスリム化を進めながら、万一の場合の流動性危機に向けて手元流動性を確保し、さらに、自己資本の増強によって、将来の事業投資や研究投資、そして新市場創出ないし獲得のための自由度とリスク許容度を高めているわけでございます。そして、その上で、市場の陳腐化に対応するための業態変革を行っている会社もあります。具体例としては、日米で明暗が分かれた二つのフィルムメーカーのケースなどがそのことを象徴的に物語っていると思います。

 もちろん、個別企業を例にとりますと、いろいろネガティブな側面も見えてくるわけでございます。また、長期景気低迷を反映いたしまして、我が国企業の収益力はまだまだ低いとか、これまで日本経済と日本企業について悲観的な報道が多かったためか、あるいは、一生懸命リジリエンスを高める努力をしている企業はいずれも控え目であるためか、日本企業のよい面については余り語られません。しかし、日本企業全体として捉えますと、決して風前のともしびではありません。基礎的な体力を強化し、危機対応力を充実させ、来るべき新たな成長の時代のために必要な基礎的条件をかなりの程度整備してきていると感じられるわけでございます。

 次に、消費税と日本の債務問題について一言申し上げます。

 最近、日本の公的債務残高の高さから、財政リスクの問題が国内の報道等で頻繁に取り上げられているようでございますが、今必要なことは、我々日本国民一人一人が、財政リスクを決して顕在化させずに収束させるという決意を新たにすることではないでしょうか。

 日本の財政リスクが顕在化していない、そして我が国の円高、デフレ基調の潮目がまさによい方向に変わり始める、そういうふうに期待される今の段階がチャンスであります。政官学民の各層が前向きに協力し、その財政リスクの芽を摘み取ることにもなる政策、すなわち、ただいま国会で御審議中の消費税対応等を速やかに合意していただくことだと思います。

 なお、我が国の政府債務残高の増加は、そのかなりの部分が、一九九七年から九八年度にかけての景気低迷、つまり、バブル崩壊後長引いていた不況に加えて、アジア通貨危機に起因する景気低迷に対処するためのものでありました。また、二〇〇八年から一〇年度にかけての欧米金融危機に端を発する景気低迷に対処するために行われたものであります。

 それらの景気刺激策が、我が国のためだけではなく、アジアや欧米、全世界にとっても非常に重要な役割を果たしたということを外国の方々は十分理解をしておられます。間違いなく、日本なら政府債務残高の削減もしっかりとした計画を立てて少しずつでも上手になし遂げるに違いないと、アジアや世界じゅうの方々も感じておられるのではないでしょうか。

 外国人の方々の日本への信頼、信用、期待の大きさというものに思いをいたすべきときであると感じます。そして、この貴重な信頼を失うようなことがあれば、日本と日本経済と日本企業にとって大きな痛手となるということを銘記すべきと思います。

 今後の我が国経済と企業の課題について一言述べます。

 我が国では、経常収支の構成要素である貿易収支と所得収支に関して、二〇〇五年から所得収支が貿易収支を上回っております。我が国にとってこれからますます重要になるのは、所得収支、すなわち日本全体として海外への投資からの収益をふやすことであります。

 投資というと証券投資を連想しがちです。もちろんそれも非常に重要ですが、日本企業の観点からより重要なのは事業投資であります。これまでも我が国の企業は、製造業のみならず各種サービス業についても、事業投資からの収益を増加させ、国際的に連結ベースの企業グループ活動を活発化させておりますが、さらにそれに磨きをかけることは可能だと思います。

 日本企業は、事業、市場、顧客、競争相手、技術等に関する価値、情報、ノウハウ、人材を社内に蓄えておりますが、それらをベースとして社内で迅速な連携が図れるなら、事業投資に際して他と差別化し得る手ざわり感とか目きき能力といった情報優位性を発揮することができるはずであります。

 資源エネルギー分野等における総合商社の事業投資の成功を持ち出すまでもなく、我が国企業が、円高のメリットを生かしつつ、情報優位性を持ってアジアや世界で事業投資をさらに有利に行うことができれば、事業リスクのミニマイズと企業グループの事業全体のリターンのさらなる増加を可能とすることができるでしょう。また、事業投資先との連係プレーにより、新たな市場や収益機会の創出も可能となると思います。

 なお、その際、日本企業に必要とされるのは、意思決定に際しての社内の内部のコミュニケーションの迅速化、円滑化と決断のスピードアップであります。また、アジア域内等の発展途上国に対する各種のインフラ建設プロジェクト等に際しても、プロジェクトファイナンス、公的支援等の面で官と民の有機的連携もより強化をしていく必要があると思います。

 なお、アジア諸国と日本との距離は物理的にも精神的にも非常に近くなっておりますので、成長地域としてのアジアにさらに注力し、効果的な事業投資を拡大し、さらに有機的なバリューチェーンを構築することができれば、日本の企業グループの株を買うことはアジアの成長を買う最も有効な手段であるとの投資家認識を定着させることもまた近い将来可能となるのではないでしょうか。

 最後に、アジア域内の横断的なプロ向け新債券市場創設のプロジェクトについて申し上げます。

 まだ余り知られておりませんが、我が国の金融機関等の金融イノベーション発揮の場として、アジア域内の横断的プロ向け債券市場創設が、事実上、我が国の官民のイニシアチブで具体的に進みつつあるというお話をさせていただきます。それは、アジア版のユーロ債市場の創設と呼んでもよいものであります。

 早稲田大学では二〇一〇年四月に提言を行いましたが、同年六月、官邸御発表の新成長戦略の工程表の金融部分には、アジア債券市場の構築に関して、アジア域内の豊富な貯蓄をアジアの成長に向けた投資に活用するために、二〇一〇年にASEANプラス3債券市場フォーラムの設立、二〇二〇年までにアジア債券市場を育成し、日系企業の現地通貨建ての資金調達を円滑化することがうたわれております。

 また、この新成長戦略に、ユーロ市場と比肩する市場を我が国に実現するために、プロ向けの社債市場の整備、アジア域内の豊富な貯蓄をアジアの成長に向けた投資に活用すること等がうたわれ、金融自身も成長産業として発展できるよう、市場や取引所の整備、金融法制の改革等を進め、ユーザーにとって信頼できる利便性の高い金融産業を構築することで、金融市場と金融産業の国際競争力を高めることが国家戦略として明確に打ち出されました。また、この一環として、二〇一一年に創設された東京プロボンド市場もあるわけでございます。

 それを受けまして、ASEANプラス3の共通の枠組みとして二〇一〇年九月に設立されたABMFでは、サポートメンバーに私自身も加えさせていただきましたが、アジア開発銀行を事務局として、我が国財務省、金融庁、日銀等の御尽力と御協力のもとで、我が国の市場関係者を初めとして、域内の官民が一体となって協力、一年半にわたってフェーズワンの活動を行いまして、域内十一カ国の債券市場ガイドと比較分析レポートの策定を終了いたしました。これは四月の初めに公開されます。

 その成果を基礎として、この一二年二月から二年間の予定で始まったABMF第二フェーズでは、域内共通の横断的プロ債券市場構想を実現すべく、域内各国の規制当局や市場関係者との具体的な対話で、各国のプロ市場を結びつけるための各国プロ向け開示基準の共通化や証券発行のドキュメンテーションの標準化を行う予定でございます。

 一国の枠を超えたアジア域内の共通の新たな債券市場を、ASEANプラス3の共通の財産として創設しようとする壮大なビジョンの計画実現に向けて、具体的な作業が実質的に我が国の官民共同のイニシアチブで動き出し、域内各国の官民の協力のもとでプロジェクトが前進していることは、極めて画期的なことであるというふうに思います。これは、ASEANプラス2の各国からの日本への信頼がいかに厚いものか、そして日本から参加している市場関係者の専門性がいかに高いかを示すものであると思います。

 我が国の金融機関各位には、ぜひともこの動きを、欧米の金融機関との競争に負けない金融イノベーション創造のために、いい機会として活用してもらいたいと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

中井委員長 ありがとうございました。

 次に、深尾参考人にお願いいたします。

深尾参考人 慶應大学商学部教授の深尾でございます。

 本日は、予算委員会にお招きいただきまして、大変ありがとうございます。

 きょうは、経済の円高・デフレ問題についてお話しさせていただきたいと思います。

 お手元に資料を用意しておりますので、ごらんください。

 左上の数字で一に、日本経済の鉱工業生産の動きを過去三十年ほどグラフにしてあるわけですが、現在の水準というのは、金融危機のあった一九九七、八年、あるいはその後、二〇〇二、三年のITバブルの崩壊で落ち込んだ水準と変わらないぐらいの非常に低水準にとどまっております。生産の水準が非常に低いために、デフレ傾向が続いているわけです。

 一枚めくっていただきますと、いろいろな物価の指数がグラフに描いてあります。いろいろ物価指数はありますが、一番大事なのがGDPデフレーター、日本経済全体の物価に当たるのがGDPデフレーターでございます。このGDPデフレーターは一九九四、五年がピークでございまして、もうピークから一六、七%下落したところにあります。現在でも二%弱のペースでデフレが続いております。このように物価がどんどん下がっておりますから、生産はふやしていても、物量はふえていても、売り上げがふえない、むしろ減るという状況が続いております。

 一枚おめくりいただきますと、三ページに、名目GDPと実質GDPのグラフがございます。実質GDPはそれなりに伸びてきているわけですが、名目GDPの現在の水準は一九九一年並み、二十年前と同じ数字でありまして、売り上げが全然伸びないわけでございます。このために、売り上げがむしろ減りぎみのところで金利を低くしても、なかなか景気がよくならないわけです。

 金融市場、日銀は金利をほぼ〇・一%ぐらいのところに維持して、非常に金利水準は低いわけですが、売り上げが減っていくと、企業はお金を借りても返しにくい、個人でも、住宅ローンを借りても、所得が将来減っていくという懸念があるので、思い切ってお金を借りて住宅を買えない、こういう制約のもとにあるわけであります。

 また、潜在成長率も徐々に低下してきております。一枚飛ばしていただきまして、五ページのグラフを見ていただきますと、太い実線がありますが、これが日本経済の潜在成長率でございまして、〇・五%ぐらいでございます。つまり、日本にある資本と労働力をうまく使って成長できる成長率は〇・五%ぐらいに落ち込んでしまったということです。

 この低い理由といいますのは、労働力人口の低下が最大の要因でございます。現在、労働力人口は毎年一%ずつ減っております。あと十数年しますと、さらに低下率が加速しまして、一・五%ぐらい労働力人口が減ってまいります。

 アメリカと日本の成長率をよく比べられるわけでありますが、アメリカの労働力人口は一%ずつふえております。これに対して、日本の労働力人口は一%ずつ減っておりますので、ここで二%の差があります。この中で日本が成長率〇・五%を維持するというのは、決して悪いわけではありません。アメリカの潜在成長率も二・五%ぐらいと言われておりまして、それは、人口のトレンド、増加率、日本はマイナス一、アメリカはプラス一、それを考慮すると決して悪いパフォーマンスではない。しかし、いかんせん労働力が減ってきておりますので、なかなか成長できない、このために物価も低下するし、実質成長も低い、このために財政の維持が困難になりつつあるというのが現状でございます。

 また、円高についても、現在の為替相場の水準、六ページにありますが、これは物価を調整した上で見た為替相場でありまして、上へ行くほど円高に描いてあります。円と米ドル、ユーロの三つの通貨について、物価を調整して、かつ、為替相場についてはそれぞれの貿易相手国を全部考慮して計算したBISの数字を使っておりますが、かなり円高になってきておりまして、二〇〇六、七年に比べると大分円が上がってきておりますが、例えば九四、五年のいわゆる超円高期に比べると、そんな円高でもない。

 この違いというのは物価の違いでございます。日本の場合は物価がずっと低下してきておりますが、アメリカは物価が上昇してきております。年間大体二、三%、インフレ率が違いますので、これが十五年、十七年続きますと、数十%の大きな差になります。このために現在の為替相場は、何十円という名目値で見ると、ドルに対しては記録的な円高水準でございますが、物価も調整しますと、さほどの円高ではない。ただ、円安期に比べると大分円高になっているので、苦しくなっているというのが現状でございます。

 では、将来の物価を見通すにはどうしたらよいかでございますが、七ページにあるのが、物価を見通すのによく使われるGDPギャップの数字でございます。

 GDPギャップというのは何かといいますと、太い実線が実際のGDPでございます。これに対して、一番上にある点線が、日本経済をフル稼働させた場合の生産可能なGDPでございます。ですから、資本と労働を目いっぱい使う、残業も失業者も全部動員して、どこまで生産できるかというのが一番上の線でございます。

 ただ、そこまで生産しますと、当然インフレ的になりますから、インフレ中立的な水準というのを推計しています。日銀の目標である一%のインフレ率と整合的なGDPの水準というのを見ますと、これが上から二本目の点線でございます。これに達したのは九七、八年でありまして、リーマン・ショックの前の景気回復期には、大体インフレ率一%と整合的なGDPの水準まで回復して、その水準が維持できれば、多分デフレから出られたんだというふうに見ております。しかしその後、リーマン・ショックで落ち込み、その後、回復期にもう一回、東日本大震災で落ち込んだ。このために、現在のGDPの水準は、インフレ率一%を達成できる水準から大分低いところにあります。

 人、物の稼働率が高ければ物価は上がっていって、人、物の稼働率、人も余るし資本も余っている、例えばホテルであれば空き室がいっぱいある、航空機であれば空き席がいっぱいある、こんな状況であれば、当然、物価が下がっていくわけであります。この関係から見ますと、現在の生産水準というのはデフレを維持させるような水準であって、当面二年ぐらいを見通しても、IMFの比較的楽観的な見通しを勘定に入れても、デフレが続きそうだということが言えるわけであります。

 この中で、財政の方は非常に危機的な状況で、もう御案内のとおりでございます。

 一枚飛ばしていただきまして、現在の日本の政府グロス債務GDP比率が一番上にある二重線でございます。これは、そのすぐ下にあるギリシャのグロス債務GDP比率をはるかに上回っておりまして、現在の負債GDP比率は主要国で最悪でございます。

 過去、日本がGDP比二〇〇%の負債を背負った時期というのは一回ありまして、一九四四年、戦争中の末期でございますが、このときに、中央政府の負債GDP比率は約二〇〇%でございました。ただし、これは戦後、物価を七十倍上げることによってなくしてしまったわけであります。一九四五年から四九年、五〇年にかけて物価が七十倍に上がって、これによって負債GDP比率は二〇%まで落ち込んだわけです。

 もちろん、インフレというのは非常に不公平な税金でありますので、これは絶対避けるべきだ。そうしますと、どうするか。単純に増税したのでは、デフレが悪化してしまって、ギリシャは今、財政引き締めを必死にやっているわけですが、景気が悪化してしまって税収は全然ふえない。このために、もがき苦しんでいるけれども、デフレから出られないといいますか、不況から出られないという状況にあります。

 日本の場合、では、どうしたらよいのか。なかなか、増税をしながら同時に景気をよくしていくというのは難しいわけですが、幾つかの考えをまとめてまいりました。

 一枚飛ばして十一ページでございますが、日本経済の悪化を食いとめるための政策手段として幾つかのことを書いてあります。

 金融政策による景気刺激。量的緩和は私は大賛成ですし、金利も、現在、日銀は日銀への預金に対して〇・一%金利をつけておりますが、これは私はやめるべきだと思います。金融市場の金利をさらに押し下げるには、日銀の当座預金への付利を停止する。これで〇・一%金利を下げられるということはありますけれども、しかし、その効果については限定的であります。

 量的緩和はすごくきくんだと言う方もいろいろおられますが、経済の仕組みを個別によく見て、日銀が量的緩和をやった場合に、誰のインセンティブがどう動いて、どういうふうに景気をよくしていくのかという観点からいいますと、量的緩和の効果というのは、いわば偽薬効果、にせ薬の効果でございます。

 偽薬効果は非常に大事でありまして、名医と呼ばれる人が、お砂糖の塊でも、これは効きますよと言って処方すると効くわけであります。そのためにはもちろんお芝居も要りますし、相当の評判というのも要るわけですが、それをうまく使えばきくことはあります。マーケットがきくんだと信ずれば円安になるし、株価も上がる。これによってよくなるわけです。

 ただし、いわば偽薬効果でありますので、きかない場合もあります。また、マーケットが何回もこれをやりますと、やはりきかないんだというふうに認識してしまうと、効果はなくなるわけであります。ですから、これについては相当の役者がやらないとうまくいかないわけでありまして、アメリカのベルナンケさんは相当な役者だったので、ある程度効果があったかと思います。

 もう一つは、円安との組み合わせであります。

 これは、二〇〇二、三年のころに日本が円安誘導をやりました。当時の溝口善兵衛財務官のころに、三十兆円以上の金額を使ってドル買い・円売りを行う、これと量的緩和を同時にやることによって、円安誘導で景気を回復させようとしたわけです。

 あのころは欧米の景気が非常によくて、まあバブル景気だったわけでありますが、その中では円安誘導しても許されたわけであります。ところが、現状は、アメリカもヨーロッパも景気が悪いわけですから、ここで日本が円安誘導するというのは非常に難しい。諸外国から相当な批判を浴びるという可能性がございます。

 そうしますと、どうするかというわけですが、一つは、消費税の段階増税を思い切って行う。現在、一〇%まで上げるということですが、全然足りないというのが私の実感でありまして、少なくとも一五%ぐらいまで上げていく。毎年二%ずつ、五年くらいかけて引き上げていく。

 もちろん、これをやりますと消費の前倒し効果がずっと出てまいりますので、マイナス効果をある程度抑えられるわけです。ただ、これだけでは増税だけになりますので、終わったところで景気が悪くなってしまう。あるいは、後半になると景気が失速してくる可能性があります。

 私は、その歳入増の半分ぐらいを使って、社会保険料のカットをしてはどうかと。一つは、定額の国民年金の負担、これはなかなか取れないわけでありますが、一万五千円、定額を取っているわけですけれども、これをやめる。また、厚生年金の中でも基礎年金負担部分をカットする。この二つをやめることによって、人を雇うことに伴う社会保険料の負担を減らす。これで大体、一〇%引き上げのうちの半分ぐらいを使うことになるかと思いますが、これによって、雇用するときのペナルティーを押し下げるといいますか、社会保険料の負担を下げる。

 もう一つのやり方は、炭素税の導入でございます。この炭素税も、段階的に導入するのがポイントであって、じわじわ炭素税を引き上げていく。その引き上げた歳入を使って法人税の減税を行う、あるいは投資の補助金を行う。特に、住宅それからビルの断熱の補助金が有効だと思います。これは、全国に工務店がいっぱいありますので、仕事が相当ふやせるわけであります。これと同時に炭素税を引き上げる。

 もちろん、炭素税を引き上げますとエネルギー価格が上昇しますので、エネルギー多消費の、例えば製鉄会社あるいは銅製錬あたりが困ることになります。私は、これについては、一つは、輸入で安いものが入ってくることについては国内同様に炭素税を課す、もう一つは、輸出においてはそれを全部還付する、この二つによって副作用をカットするということがあるのではないかというふうに考えております。

 大体時間になりましたので、ここで終えたいと思います。(拍手)

中井委員長 ありがとうございます。

 次に、加藤参考人にお願いいたします。

加藤参考人 東短リサーチの加藤でございます。

 本日は、お招きいただきましてありがとうございます。

 私、震災の後、この一年ほど、日ごろの仕事の延長上でもありますけれども、海外によく行くものですから、及び、昨年は中国にも数カ月駐在していたこともあったものですから、海外から見た日本経済のよい点と悪い点、及び、震災後に改めて意識されるもとからの問題点というようなことも含めて、御説明させていただきたいと思います。

 お手元の資料の最初のページの下の部分ですけれども、日本経済、悲観し過ぎることは禁物だと思うんですけれども、ただ、金融政策あるいは外為政策、それらは大事、非常に重要ではあるんですけれども、それだけで日本経済の復活というのは難しいという面が、海外から見ていると痛感されます。

 なぜなら、八〇年代までの日本の成功モデルというのは、今そのままでは通用しない。当時はアジアに日本企業のライバルとなるような企業が余りなかったですけれども、今は御存じのようにたくさんある。また、彼らの追い上げが年々厳しい。ほんのこの数年で見ても、その追い上げは厳しくなっています。

 それゆえ、日本企業の競争力を高めていって、それで企業にもうけてもらって、国内労働者の賃金、ボーナスをふやしていくという流れをつくっていかないと、真のデフレ克服、あるいは、誰が税金を納めるんだということにもなりますので、財政再建も実現しづらいということになると思います。単に物価を押し上げるというだけではだめで、実質賃金が上がっていくという工夫が必要になってくると思います。

 そのためには、アジア企業との価格競争に巻き込まれないジャンルで日本企業が勝負していく戦略、これが非常に重要。一つには、欧米の成功している企業の戦略というのは、アジア企業と違う道を行くという点では参考になるかと思います。

 また、急成長している新興国で、日本企業がもともと得意としている高品質な製品、サービスを新興国の人たちに喜んで高く買ってもらうためのストーリーづくり、これが欧米企業はうまいですけれども、そういったことが必要になってくると思います。日本企業の場合、高品質なのに低収益というわなに陥ってしまっていますので、そこを乗り越えていく必要があると思います。

 また、そういった流れの中で、少子高齢化ですといろいろ新しいアイデアも出づらいという問題もありますし、あるいは、教育水準も今アジア諸国に追いつかれている、あるいは追い抜かれているという状況もありますので、教育水準の問題、あるいは優秀な移民をいかに取り入れていくかという長期的な課題も必要になるかと思います。

 ページをめくっていただいて、まず為替なんですけれども、三ページ目というところですが、実質の為替レート、先ほども深尾先生の御説明にもありましたが、実質レートで見ると、必ずしも超円高ではない。円高ではあるんですけれども、超というほどではないという面は確かにあります。

 例えば、日本人が十年ぶりにニューヨークに旅行に行くとします。この十年でおよそドル・円レートは四割上昇していますが、ニューヨークにおけるいろいろなサービス価格、タクシーとか地下鉄、それから市内観光、こういったものは軒並み、三割から四割、あるいは五割、七割と値上がりしています。また、ニューヨークで人気のステーキの老舗のお店、こちらもステーキの価格が十年で四割上がっていたりとか、あるいは、博物館、美術館などは九割あるいは一〇〇%値上がりしていたりということも珍しくないです。

 日本企業が海外に輸出しているものがもし現地のインフレに伴って値上げできていれば、それは円に転換した場合、円高になっても、もとで向こうが値上げできていれば手取りの額は減らないはずなんですけれども、現実にはなかなかそうならない。

 それが、この四ページ目のグラフを見ていただきますと、これはアメリカのインフレの状況です。CPIという消費者物価指数、総合の数字はこの十五年ほどで四割から五割上がっている。しかし、日本企業が得意としている、主力の自動車あるいは電気製品、テレビなどは値上がりしていない。特にテレビなどは非常に下がっているわけです。これは品質向上というちょっとテクニカルなところもありますが、日本企業が輸出するものは現地でもなかなか上がらないという難しさがあります。

 次の五ページ目ですけれども、今や家電においても非常に大きな市場になっている中国の状況ですが、中国の消費者、ビジネスマン、ビジネスウーマンに、ブランドイメージ調査というのを中国の大手雑誌が去年秋に行っていました。このブランドイメージを見ますと、テレビの場合、一位、四位、八位は日本ですけれども、二位、三位、それから五、六、七位は中国メーカー、九、十位が韓国となっています。これはブランドイメージですので、ブランドイメージでも相当追いつかれている、あるいは場合によっては逆転されているということがあります。

 中国における大型テレビ、例えば五十五インチ、3Dテレビとなりますと、日本よりはるかに低い値段で売られています。およそ日本の半額ぐらいの水準かと思いますが、本来、円高であれば値上げしなきゃならないはずなんですが、むしろ日本よりも大幅に安い値段で売っている。これは、中国勢のテレビがそこそこの品質で、しかも値段が圧倒的に安いというのに巻き込まれているわけです。もう韓国勢ですら、その戦いにはちょっとついていけないぐらいの勢いです。

 こういうように、中国のような高インフレの国でも、インフレ率が高くて問題になっている国でも家電製品は猛烈なデフレになっているということで、日本でインフレを起こしたら、じゃ、日本でテレビの価格が上がるのかというと、こういう中国などのテレビが入ってきたら上がらないということになり得ると思います。

 この下、六ページ目ですけれども、白物家電などでも中国ブランドの勢いが高まっていますけれども、あるいは携帯電話、ここは日本勢はなかなか、中国にまだ進出していないところもあるので、苦戦が続いています。

 こういった状況ですので、七ページ目のグラフを見ていただきますと、これは家電メーカーの株価比較です。二〇〇八年九月一日、リーマン破綻前の直前の株価を一〇〇として、その後の推移を比較しております。これを見ますと、アメリカのアップルは二〇〇八年九月よりも、今、既に株価が三倍を超えている。サムスンが二・数倍。一方、日本勢、ここに日本のメーカーを三つ載せていますが、二〇〇八年九月の一〇〇の三割から四割程度。今、円安になってきてほっとしているはずなんですが、ここ数カ月の株価の上昇の動きも全然弱いということで、やはりこれは戦略の転換が必要になるというのがあらわれています。

 八ページ目は、アップルですけれども、今の一つ前のアイフォンは五百ドルでアメリカで売っていたようですが、これの部品、組み立て代、国別で幾らかということをアメリカのタイムという雑誌が去年五月に掲載していました。これを見ますと、日本のパーツが一番使われている。日本企業にアップル社が支払っているお金が六十一ドルで、一位なわけです。このタイムという雑誌は、日本はアメリカほど革新的ではないが、その技術力はハイエンドの価値をたくさん持っているということで、日本を褒めているんですが、しかし、問題がありまして、アップルの組み立てコスト、部品、全部合わせると百七十九ドル、残りの三百二十一ドルがアップルの粗利ということで、がっぽりもうけているわけです。

 このタイム誌は、部品、組み立てよりも革新的である方がいつもよい結果を得るという、日本から見ると悔しい書き方をしていますけれども、ここで一つ得られるインプリケーション、示唆としては、よいものを真面目につくっていくということは非常に大事で、それがないとそこから先展開できませんけれども、それだけでは収益につながりにくい、高品質のものを、より消費者を魅了して高く売っていくストーリーが必要になっていくと思います。

 また、九ページ目ですけれども、車に関しても似たことが言えまして、日本製品、日本の車は非常に品質がいいという点を誇っていいんだと思いますが、九ページ目は中国のビジネスマンを対象にしたブランドイメージ調査ですが、二十万元未満、二百五、六十万円という中型車以下、これですとベストテンに日本メーカーは四社入ってきます。ところが、二十万元以上になると日本メーカーは七位と十位になりまして、それから、憧れの車というジャンルになると九位に辛うじて一社、一位から五位はドイツ勢が占めるということで、つまり、所得水準が上がってくると日本車を卒業してどんどんドイツ車に行ってしまうという非常にもったいない構図になっています。

 今、憧れの車とここで書いているジャンルの売り上げ、伸びが非常に顕著で、十ページ目、九ページ目の下のところですが、ドイツの高級車メーカーにとって中国市場は今や最大の市場であったり、あるいは二位か三位であったりという状況です。中国での自動車販売、一月は大幅なマイナスでしたが、日本勢もそれに沿ってマイナスでしたけれども、BMWやアウディなどは大幅増。一方、日本の場合、韓国ヒュンダイの追い上げが激しいですので、結構値下げ競争に巻き込まれているという図になります。

 十一ページ目ですけれども、先ほどと同じように、二〇〇八年九月、リーマン・ショック前の株価を一〇〇としてドイツのBMWと日本勢の株価を比べますと、BMWは中国を初めとする新興国需要にうまく乗っていますので二・五倍ぐらいに上がっていますが、日本勢はいまだに二〇〇八年九月をなかなか超せない。これが単にユーロ安の恩恵なのかというとそうではなくて、むしろ彼らは、別にユーロ安だからといってそれほど値下げしていないようです。ブランド力を積極的にアピールして利幅を厚くするという作戦を成功させています。

 その結果、十二ページ目ですけれども、これはドイツの企業と日本企業の景況感を比較しています。それぞれ違う指標ですので本来並べるのも問題あるんですが、例えばリーマン・ショック前の状況の山をそろえて、リーマン・ショック後の谷をそろえますと、その後の回復力はやはりドイツの方がはるかに上に行っていますが、これは、ドイツは九〇年代から二〇〇〇年代半ばにかけてかなり改革をやりました。かつては硬直的な企業の代名詞だったドイツですが、今、相当柔軟なことをやって、グローバリゼーションをすごく利用しながら収益を上げている。これは、参考、まねられる部分も多々あるかとは思います。その結果、今、自動車メーカーなど電機メーカーの多い南ドイツは空前の人手不足で、猫の手もかりたい状況というわけで、もし日本企業がそういうふうにやれていたら、日本の景色も随分変わってきているところだろうと思います。

 それと、もう一つの実例ですが、通貨高でもうまくやっているというケースもある。十三ページ目ですけれども、スイス・フランというのは円以上に急騰してきたと言えると思います。ところが、スイスの時計産業というのはそれでも輸出を伸ばしている。十四ページ目ですけれども、腕時計全体の輸出額、一〇年に比べて一一年は一九%の伸び、とりわけ中国の伸びが非常に大きいというのが言えます。

 次の十五ページ目ですけれども、先ほど来お見せしています中国でのブランドイメージ調査、今、中国人の高級機械式時計の購入額というのが物すごいものがあります。中国人のブランドイメージ調査というのを見ますと、一位から十位まで、九社がスイス勢で占められていて、一社だけフランスですが、親会社はスイスです。スウォッチという割と安い時計のメーカーがありますが、高級ブランドの老舗のブランドを買い取ってきて、それを再興して世界じゅうの時計好きの人に高級時計を売っています。スウォッチの決算発表、業績発表がありましたけれども、破滅的な通貨高によるマージンへの巨大な圧力があったんだけれども、営業利益と純利益は良好な結果になるということで、こういうのはやはり売り方というので随分違ってくるということが言えると思います。

 十六ページ目は、時計メーカーでも、スイス勢と日本勢の株価の推移に差が出ているというのが言えます。

 結局、こういったやり方をそのまままねする必要はないんですが、要は、日本企業は、アジアの低価格の攻勢を仕掛けてくる企業とは違う路線が必要であるということだろうと思います。

 十七ページ目に、中国で異常な超高級携帯電話が売れているという、竜の彫り物があると四百五十万円で売れていたりとか、これはちょっと極端なんですが、低価格競争に巻き込まれない知恵をいかに絞るか、高品質なのに低収益といかにならないようにするかということが非常に重要だと思います。

 また、十八ページ目、これはメディアン年齢、全人口の中で中間の年齢が何歳か。今二〇一一年ですので、日本はおよそ四十五歳が中間ですけれども、ソニーがウォークマンを開発した一九七七年、七八年ぐらいですと三十一歳ぐらいだったと思います。三十一歳の社会と四十五歳の社会では、そこはちょっと柔軟性、独創性にやはり差が出てしまいますので、悲観し過ぎる必要はないんですが、そこはいろいろ工夫が要るだろうと思います。

 そういう点で一つ、刺激になるようにという意味合いもあって、十九ページ目ですけれども、優秀な才能を日本にいかに入れてくるか、あるいは日本企業がいかに雇うかということはやはり重要だと思います。若い才能、柔軟な才能が必要だと思います。

 オバマ大統領が去年スピーチしていましたが、移民が新しい企業をつくってアメリカ経済に貢献しているとか、あるいは、ドイツの議会で、移民、優秀な才能をとり合うというのが今の大国間の競争なのだとか、あるいは、ダラス連銀の報告書でも、優秀な移民を連れてくれば財政赤字が減るのではないかという試算とかもあります。

 もう一つ……

中井委員長 加藤先生、大変失礼ですが、時間が大分過ぎてまいりましたので、ちょっと、おまとめをいただくなり、どこかで区切りをつけていただくなり。

加藤参考人 わかりました。失礼しました。もう最後のところで。

 最後の二十ページ目ですけれども、もう一つ、長期的な競争力という点で、やはり学力ということもあると思います。今、アジアの学力の上昇、急激な向上というのが、これはやはり産業の底上げになっていると思います。

 ここで見ますと、このOECDの調査、上海が突出していますけれども、これはほかの大都市部分でも大差はないようです。一方、左隅の方を見ますと、読解力と数学力の下の方を見ますと、ポルトガル、イタリア、スペイン、ギリシャなどが並んでいまして、ちょうどいろいろヨーロッパで問題があるところの、国債の金利が高いところの学力が低いという構図がありまして、長い目で見ると、こういうのは国債の金利にも財政にも影響を与えるのかなという感じですので、ここも力を入れていく必要があるというようにも思います。

 また御質問のときに答えたいと思いますので、時間を超過して、失礼しました。(拍手)

中井委員長 ありがとうございました。

 次に、国分参考人にお願いいたします。

国分参考人 どうもこんにちは。

 ここに立って、私、福島の生まれで、渡部恒三先生がいるのでほっとしているところなんですけれども。私、前の三人とは違って、学者先生とちょっと違いますので、町工場のおやじですから、言葉も荒いかもしれませんけれども、ぜひ聞いていただきたいというふうに思っております。

 私は、創立六十一周年を迎えた全国商工団体連合会の会長をしております。全国に五百八十二の民商、民主商工会で組織されて、全国で二十万人を超える中小業者が加盟しております。そこの会長をしております。

 私自身は、東京で五十年余にわたって金属加工業を営んでおります。

 今、日本の物づくりを担う中小企業の仕事が激減しているというのが一つの問題であります。

 後継者難が広がり、せっかく身につけてきた高度な技術を継承できない状況で、私の周りでも、物づくりが大変な状況になってネットワークが崩壊するというような状況も生まれております。

 私たちの組織には、毎年三万件を超える相談が寄せられております。ここでは、歴史的な円高とデフレ不況によって厳しさを増す中小業者の実態と切実な要求が要望として出されております。

 工業集積地の東大阪では、資金繰りの苦労が広がっています。製造業者が既に一万台から半減しているのに、異常な円高で仕事は激減しています。にもかかわらず、前年同期比で赤字という理由だけで融資が断られ、借りかえできないという相談が後を絶たない。せめて金融機関に融資実行義務を課している金融円滑化法が恒久的に利用できるというような状況が出ればという声がたくさん寄せられております。

 また、横浜の精密機械加工業者の例ですが、社会保険料の延滞税に苦しんでおります。この方は十七人の従業員を雇って、大学のインターンシップなども受け入れるような企業でありますが、中国と取引していますが、単価が厳しく、毎月の売り上げが三百万円も足りないというような状況です。しかし、従業員を路頭に迷わせられないということで、社会保険料も分割で支払いをしている。雇用を維持するため、せめて一四・六%の延滞税は何とかならないか、こういう切実な声が寄せられております。

 東京・大田区の製造業者では、経営の見通しが立たないことに苦難が広がっています。円高の影響で取引先が海外に出ていってしまった、発注が減少するというような状況、そういう話ばかりです。為替を実体経済に見合って安定させ、長期の生産見通しが持てるようにしていただきたい、こう思っております。

 こうしたさまざまな要求があるわけですが、どの業者も口をそろえて言っているのは、今の消費税増税をやめてほしいということであります。

 そこで、私は、消費税増税に反対する理由を述べたいと思っております。

 一つは、消費税が景気を底から冷やすからです。

 私どもの組織の一つ、福岡県商工団体連合会の調査でも、商売だけでは生活できないという中小業者が六五%を超えている。本業以外にアルバイトをして生活をしているというような状況が報告されております。

 この中で消費税率を引き上げられれば、買い控えが起こります。物は売れず、うちは建たない。また、生き残りをかけた乱売合戦となり、中小業者の大量倒産を招くことは間違いありません。それは、一九九七年の消費税率引き上げと医療改悪による九兆円もの負担増の結果で実証済みであります。

 反対理由の二つは、取引の力関係で、多くの中小業者が価格に転嫁できない、まさに営業を破壊するというような状況が出ております。

 お手元に、消費税がどれほど中小業者を苦しめているのかというヒアリングの資料を用意いたしました。資料の一から四をごらんになっていただければというふうに思います。

 時間の関係で一つだけ紹介しますが、従業員十二人、年間一億円以上を売り上げる都内の弁当屋さんの例です。

 今、五百円弁当どころか三百円の弁当が出回っております。このデフレ時代に売り上げは減るばかりだ、買ってもらうために中身を充実させればますます利益が出なくなる、厳しい価格競争で値上げなんてできない、消費税は今でも払えない、そういう状況なのに、倍になったら本当に大変だというような状況であります。赤字分について、財産を処分してやりくりしているというような声も聞かれます。

 消費税分を上回る価格引き下げを迫られる下請製造業者や建設業者の苦労はなおさらです。私どもの、全国商工団体連合会の附属である中小商工業研究所が行った昨年の九月の営業動向調査でも、値引き強要があると答えたのが七九%にも上っている。

 消費税は事業者が納める税金です。これは、消費税法第五条に明記されています。消費者に納税義務は課せられていません。政府は転嫁対策と言いますが、そもそも価格競争や経費削減を企業にやめろと言えるはずはありません。消費者に値切ってはいけませんと言うことなど、絶対にできないことであります。

 また、事業者の納税義務には膨大な納税協力の実務が伴います。それには何の見返りもなく、税務当局が一方的に記帳や請求書保存に不備があると判断した場合は、売り上げの五%を丸々課税する仕組みが設けられております。仕入れ税額控除の否認であります。

 結局、弱い者に犠牲を強いる消費税の本質は、導入から二十三年全く変わっていないのであります。

 反対理由の三つは、消費税が輸出大企業には徹底して有利な税制だからです。輸出大企業は、輸出戻し税という巨額の還付金をもらっております。資料の五番をごらんください。

 税理士の湖東京至さんの試算によれば、年間の還付額は上位十社だけで八千六百九十八億円に上ります。二〇一〇年度の還付金の合計は三兆三千七百六十二億円で、消費税全体のおよそ二八%に当たっております。例えばトヨタ自動車では、その還付は、最近五年間で一兆三千億円にも上ると指摘されております。

 こうした中で、政府が言うように、消費税が社会保障のために使われるというなら、輸出大企業は社会保障の財源から還付金を受け取ることになるのであります。消費税が一〇%になれば、中小業者の納税が倍になる一方で、輸出大企業の懐には二倍の還付金が入ることになります。この仕組み自体を是正しなければなりません。

 反対理由の四番目は、リストラを促進し、とりわけ若者の将来に悪影響を与えるということであります。

 消費税は、売り上げにかかった消費税から仕入れや経費にかかった消費税を引いて納税します。ところが、人件費は仕入れに算入されません。

 資料六として、正社員を派遣社員に置きかえた場合の消費税負担の変化、そのモデルケースを用意しました。これは、売上高五千億円の企業が正社員を派遣社員に置きかえた場合、どう変わるかを示したものであります。人件費二千億円を派遣会社に外注すれば、納税額を百億円も少なくできるわけです。

 この間、派遣労働が野放しにされる労働法制の改悪が繰り返される中で、非正規労働者が既に全労働者の三分の一に達している。この中で消費税増税が強行されれば、さらに多くの労働者が非正規労働に追い込まれます。このリストラ促進税とも言える消費税の増税によって、労働者、とりわけ未来ある若者たちに劣悪な労働条件を押しつけるべきではありません。

 以上、消費税に反対する主な理由を四点に絞ってお話しさせていただきました。

 最後に、私ども中小業者がどういう税制や経済政策を望んでいるかを述べさせていただきたい。

 一つは、消費税に頼らない税制ということであります。すなわち、生活費非課税や応能負担という民主的な税制に切りかえていただきたい。

 この間、法人税率の引き下げや研究開発減税などのさまざまな租税特別措置が大企業の内部留保を膨らませてきました。この担税力のある大企業や大資産家に応分の負担を求めるべきではないでしょうか。

 もう一つは、政府が閣議決定している中小企業憲章に基づく政策の発展を図る必要があるということであります。政府の中小企業憲章では、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役」と位置づけております。この憲章を政策体系の礎とし、その基本理念を通じて、具体化した施策を絶えず検証、発展させるべきではないでしょうか。

 どうぞ、委員会審議に十分に反映していただくことを期待して、私の発言を終わります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

中井委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉本かずみ君。

杉本委員 衆議院議員の杉本かずみであります。

 議員にさせていただいて二年半が過ぎましたけれども、きょうは、参考人の先生方、お運びありがとうございます。また、委員長初め各理事の皆様、委員の皆様、質問の機会をありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 犬飼参考人、深尾参考人を中心にまず伺いますけれども、まず、犬飼さんは、元気印、前向きな話、ありがとうございました。また、深尾先生は、非常にデータを使って、また政策提言もいただいて、ありがとうございます。

 私も、実は政策提言をしたくて、そして、それに対する御評価をまたいただきたいと思っています。そもそも、デフレという問題を考えますと、消費の刺激と設備投資というところを考えるべきだと私は思っています。

 それで、かつ、ここにいらっしゃる国会議員の皆様にお願いでございますけれども、そろそろ足を引っ張り合う政治を卒業して、褒めたたえ合う政治にぜひとも転換させていただきたいとお願いしたいと思います。

 政権与党の責任というのを、改めて、政府・与党の与党側にさせていただいて私は感じておりますが、消費の刺激策、これをさかのぼりますと、小渕さん、そして森総理がされました二千円券、あるいは公明党さんが提案されました地域振興券、あるいは麻生総理がリーマン・ショック等に対して打たれた定額給付金、私は、政権与党だからこそ、重責の中で経済対策、景気対策を実施されたということで理解をさせていただいております。その中で、さらに改善すべき点を考えるとすると、消費に実際に結びつかずに預貯金に流れてしまうといった傾向がそちらの政策にはあった部分、考える必要があるかなというふうに感じております。

 今回の予算審議でも、二十四年度予算を審議しておりますけれども、また、今回の参考人質疑はそのとおりなんですけれども、今議論されるのが中期財政フレームであり、また、消費税導入の検討は平成二十六年度とされております。それを考えますと、来年度の二十五年度についても政策を考える必要が十二分にあると私は感じております。

 消費税については、段階的に上げるという深尾先生のお話もありました。駆け込み需要の可能性、そして震災への補正の十九兆近い投資という形で、非常に経済が浮上するチャンスはあると思います。

 また、民主党、我が党が中心に言っています控除から給付へという流れはあるとは思うんですけれども、このデフレを何とか脱却するというためには、消費に結びつくものが必要であって、それはむしろ、私の考えとしては、給付も大事なんですけれども、控除を使う必要があるというふうに感じています。

 また、加藤先生は、日本の教育問題に触れていただきました。その点で、日本の底力は、まさしく原点は人であり、人材であると思っております。若者の教育、あるいは生涯教育、こういった点を鑑みますと、ぜひとも私は、日本の江戸時代、日本の明治維新をつくっていった読み書きそろばんというものの復活をしっかり考える必要があると思っています。

 そんな意味から、控除と結びつけて考えますと、例えば本を買えば所得控除、書道、そろばんを習えば所得控除、手紙、はがきを出せば、恋文も大事ですけれども、控除を受けられる。こんな形で、今、医療費控除は十万円ですけれども、十万円程度のこういった控除をつくることによって、新たな消費を生み出すことはできないだろうか。

 そして、もう一つは納税意識の問題で、今、確定申告の時期でありますけれども、本当に生活に苦労されている方も含めて、やはり確定申告に触れる方が非常に少ないと感じております。そんな意味で、納税意識を高める意味からも、この際、短期的に、アクセルを踏む、さらに踏み込んで何とかデフレを脱却するという意味から、消費刺激策の読み書きそろばん控除といったものをちょっと考えてみたんですけれども、この点一点の御評価をいただきたいと思います。

 それともう一つ、設備投資。福島の原発事故がございました。理想は、再生可能なエネルギーで代替であります。しかし、現実はそうはいきません。脱原発依存と言っております。

 私は、この際、思い切って、少しターゲットを長期に置いて、脱原発とまで言って、一気にかじを切ってみて、そして現実的には、高効率のコンバインドの火力、これは熱効率が六〇%、七〇%あり、しかもCO2の排出が実質少ないというもので、LNGと石炭火力をまぜた形です。将来は、このLNGがメタンハイドレートであったりシェールガスにかわる可能性があると思いますが、私は、この機会に、原発立地のあたりを含めて、いろいろな議論はあると思いますけれども、爆発的にこのコンバインド火力の設備投資を行うことによって、デフレ脱却のための景気刺激ができると思っております。

 以上二点、ちょっと長くなって恐縮なんですが、消費刺激のための読み書きそろばん控除、あるいは、設備投資としての高効率の火力、コンバインド火力、こういったものを先生方は、犬飼先生、深尾先生、どう御評価いただけるか、お願いします。

犬飼参考人 御質問ありがとうございます。

 なかなか私が答えることのできる能力を超えたお話でございますので、まず、最初の御質問について、どんなお答えができるかをちょっと考えたいと思います。

 一つは、給付と控除、どちらがいいのかという御指摘であったのかなと思っておりますけれども、それぞれに使いやすさも違うでしょうし、それぞれに目的も異なっておると思いますけれども、一般論として申し上げますと、わかりやすさという意味では、給付は非常にわかりやすいということが言えるかと思います。

 ただ、控除といいますと、例えば、今御検討だと思いますけれども、いろいろな寄附金控除を充実させるということについてはもうされていると思いますけれども、さらに御検討の余地があるのではないかというふうに感じております。

 そして、給付と控除ということ以外に、消費を刺激する、あるいは、消費税と絡めて、消費者にとってなるだけ問題の起きないような、消費者に優しい消費税の上げ方ということを考えた場合には、いろいろな御議論もあると思うんですけれども、私自身、英国のロンドンに六年数カ月住まいまして、そこで英国の消費税のあり方というものを実感として見てまいりましたが、そこにおける例えば食品であるとか書籍であるとか、そういうものが非常にうまいぐあいに取り扱われているということも見ております。

 恐縮ですが、後半についてはお答えできないこと、申しわけありません。

 以上です。

深尾参考人 まず、第一点目の控除でございますが、控除は何を認めて何を認めないか、かなり難しいものがありまして、私は、控除にするよりは、バウチャー制度の方が運用しやすいのではないか。ですから、教育について個別に税の細目で対応するよりは、教育にいつもコストがかかる世帯に対するバウチャーを考えた方がいいのではないか。

 むしろ消費税については、課税のベースも広げることも含めて増税を考えていかないと、とても間に合わないといいますか、財政の現状から見ると、税の減少を避けるということは必要かというふうに思っております。

 次にコンバインドサイクルですが、原子力発電所のうちの幾つかは動かなくなるのはもう明らかでございますので、そのために、最も効率のいい発電設備に投資していくというのは当然必要だろうと思います。

 ただ、当然それにはコストが伴ってくるわけでして、償却負担とそれから燃料費の形で、エネルギー価格、電力料金を相当押し上げる可能性があります。

 そういう意味では、もちろん厳格な審査は要りますけれども、現在ある原発の中で使えるものについては、安全性を確保しながら再稼働を早く進めていく。これによってエネルギーの供給を十分ふやしながら、最低限の範囲で投資をしていく。これによるバランスといいますか、両サイドをにらんだ対応が必要なのだろうというふうに考えております。

杉本委員 どうもありがとうございました。

 次に、財政危機の認識ということで、JGBの国債マーケットをどう見るかということなんです。深尾先生の資料等を事前に読ませていただいたんですが、いつ財政危機が起きるかどうかは、私の理解ですと雪崩がいつ起きるかみたいな話で、警笛が鳴っちゃったら起きちゃうし、鳴らなきゃ起きないということだと思うんですが、そのトリガー、要因あるいは原因、あるいは惹起するきっかけは何か、あるいは対策はあり得るのかということを伺いたいと思います。消費税の上げということを国際的にやはりメッセージとして世界に発信し続けないと、むしろ売り仕掛けに遭ってしまうというような感じがしてなりません。

 ちょっと私の拙い経験でいきますと、一九九二年の八月三十日に、宮沢政権、三重野日銀総裁のときに、五・二五から六に公定歩合を上げられました。私は、そのときまさしく長期国債の売買をしておりまして、四%割れの三・九国債というのは非常に不人気で、全く値がつかずに、数時間値段がつかないという状況が続いて、最後、私、はめさせて、はめさせてという言葉はマーケット用語なので、売らせていただいて、そしてようやっとマーケットが成り立ったという経験を持っています。

 いかに売り仕掛けであれ、マーケットが動き出してしまうと、一気に金利が一パー、二パーとはねるというのが一瞬の出来事であるという認識をしておりますけれども、この要因とマーケットの怖さみたいなところを、済みません、加藤先生そして深尾先生、改めてお願いを申し上げます。

加藤参考人 私、先々週ロンドンで金融市場の人たちと話してきましたけれども、確かに、大手投資家、いわゆる投機家の人たちで、日本国債をいつ売り仕掛けようかというやはり関心は高いなという感じはあると思います。

 ただ、彼らは、今まで何度も売り仕掛けたものの、国内投資家の買いに負けて結果的に損失を出すという、今まで敗退していくという繰り返しでしたので、非常に売り仕掛けるタイミングに関しては慎重だと思います。

 そういう点では、今、野田政権が消費税引き上げ方向という議論をしている間はそういう具体化しづらいところはあるだろうと思います。そのスタンスだけでも維持しておくということが非常に大事なことではないかと思います。

 また、震災の後の、日本人の一致団結して復興に当たっているというその生真面目さが、きちんと日本国民はいずれ税金を払うんだろうという印象で、そこは今、ヨーロッパの南欧の問題と明らかに印象が違っていますので、そういう印象が続いている間は大丈夫なんだろうとは思いますけれども、ただ、財政再建に向けたスタンスがポーズですら見せないということになってくると、どこかで仕掛けられるリスクというのはあると思います。

 やはり日本の場合、デフレ脱却も大事なんですけれども、これだけの政府債務をどういうふうに扱っていくかという問題も非常に大事なわけですので、その両方を図っていかなくちゃいけないという難しさがあるんだと思います。

 また、私の資料の二十二ページ目のところに、歴史を振り返ると、過去、イギリスで政府債務が、独立戦争とか対仏戦争を経て一八一九年にGDP比で三三七%に達した、その後はしかし減少して、百年後にはおよそ二九%、三割近くまでに減少したということがありました。

 現状、IMFは、二〇一六年、日本の政府債務対GDP比二五〇%前後と予想していますから、こういう過去の経緯を見るとまだ余裕があるかのように見えなくもないですが、ただ、イギリスの場合、その後産業革命と人口増加が起きてきてという経緯があったので、そういう意味で、生産性の向上など、競争力の向上なども必要になってくるというように思います。

深尾参考人 私も外国の投資家とちょくちょく会うことがありまして、そのときに最初に出る質問は、日本の国債はいつまでもつかということです。何年ぐらいもつんだろうかということであります。私の答えは、誰もわからない、ただ、日本の金融資産を持っている人たちが円預金を持っている限りは比較的安全であるということです。

 現在、日本の金融資産の所有者を年齢別に見ますと、七十歳以上が約四割、六十歳以上が三割、五十歳以上が三割、国立国会図書館の人が推計していますが、合計で一〇〇パーになってしまうわけです。ですから、五十以下の人は純資産はゼロです。借り入れと資産がネットになっておりまして、持っていないわけです。

 そういう高齢の人たちは、一部の人は、これまで、早くにドルにかえたりユーロにかえたりして、円高のために損をしてきております。あるいは、株にかえた人も損をしているわけです。ですから、これまで株式、不動産、外貨にシフトした人は損してきているので、比較的みんなコンサーバティブに円で運用している。ゼロ金利でも円預金を持っている。これによってもっているという状況かと思います。

 では、何がきっかけになるかですけれども、現在、一番シフトしやすいのは通貨でありますが、外貨については、ユーロ圏もアメリカも財政赤字で非常に苦しんでおりまして、三極、円、ドル、ユーロは全て非常に厳しい状態にある。よく株価や為替相場は美人コンテストと言われておりますが、不美人コンテストのような格好になっておりまして、その中で相対的に円にお金が集まっていて、比較的円高になっているという理解をしております。

 そういう意味で、では、いつこれが崩れるかですけれども、一つは、高齢の人も愛想を尽かすような財政の状態になることであります。つまり、日本政府の対応が余りにも放置されたままで対応されない、また、財政赤字についてもやや粉飾的な形で赤字を二兆円以上小さく見せている。こういったことをやってまいりますと徐々に信用がなくなってきていて、ここまで追い込まれたかということになって、みんなが円から外貨にシフトしますと、これは円安になります。

 もう一つは、財政赤字に加えて企業収益が悪化しますと、これは企業の貯蓄が今国内にありますので国債価格を支えておりますが、企業も外国に逃げ出しますと危ない状況になります。

 企業収益に対しては、現在、電力料金の値上げを認めていないために、電力会社が相当赤字を出しています。このために、燃料費の輸入が相当上がって国際収支が赤字になっても、国内で価格転嫁できないので消費が比較的強い。このために国際収支が赤字になっているわけであります。これを早急に価格転嫁を認めないと、経常赤字が定着するリスクが徐々に高まっていくというふうに思います。

 こういう意味では、電力会社による電力料金の引き上げはやむを得ない、コストの上昇分はやむを得ないわけでして、これを認めないと企業部門の純資産が低下していって、これが経常収支の赤字を生み出してしまうという問題が出てまいります。

 三つ目のきっかけは、デフレからの脱却でございます。

 現在、超低金利の国債が発行できておりますのは、ほとんどゼロ金利の預金が集まっていますので、銀行が安心して国債を入札しているわけであります。これが、物価上昇率、今、GDPデフレーターで見てマイナス二%弱でございますが、これを消費者物価でプラス一、デフレーターで〇・五ぐらいまで押し上げますと、それだけで長期金利が二%ぐらい上昇する可能性があります。長期金利が二%近く上昇しますと、それだけで利払い費はGDPの三%ぐらいにはいくわけでありまして、消費税の増税分五%分が全部吹き飛ぶぐらいの利払い負担に、これは六、七年かけて出てまいります。

 その場合でも、日銀がゼロ金利を続けてくれれば、短期国債を出せば回るわけであります。ゼロ金利の短期国債をマーケットで出していけば回っていくわけですが、短期国債が中心になって長期国債がなくなってまいりますと、非常に危険になります。短期金利が上がった途端に利払いが一気に噴き上がるということが起きます。そうなりますと、仮にデフレから出られて物価が徐々に上がり出す、何らかのきっかけで上がり出したときに、日銀が短期金利を引き上げられないという状況になりますと、物価は急速に、多分、数年間のうちに数十%上がる可能性があります。

 これをどう見るかですが、ここまで財政赤字がひどいので、インフレにして帳消しにしようという判断は、実はないわけではないと思います。これは私は絶対避けるべきだと思いますが、できればそれ以外の手をとるのがいいと思いますが、どうしようもなくなった場合には、インフレによる負債の削減を考えに入れる必要があるかもしれません。

 これは、私ももとは日銀におりましたので、こういうことを言いたくないわけですが、負債GDP比率がもう二百数十%になってしまって、近い将来二五〇、場合によっては三〇〇までいってしまう。では、そのときに増税で対応できるかといった場合に、通常の尋常の増税ではできないという可能性がありまして、その場合にはインフレにせざるを得ない可能性も私は徐々に高まってきている。

 逆に、そういうことを……

中井委員長 深尾先生、まことに申しわけありません。我が母校の先生に申し上げて悪いが、もう五分以上超過しておりますので、その辺でまとめてください。

深尾参考人 失礼しました。

 ですから、そうなった場合に、そういう予想がマーケットで出てきますと、円が売り込まれるわけであります。つまり、財政がにっちもさっちもいかないから、円を売り込む。

 それがいつの時点で来るのか。多分、今であれば、ぎりぎり増税をしつつ財政再建が可能だと思いますが、多分ラストチャンスでありまして、これより先に延ばしますと、売り込まれるリスクが高まってきて、円を無理やり押し込めれば、仮に言えば百七、八円にして物価を上げ始めれば、日本財政が破綻する形で必ず物価が上昇して、売りは成功するということになります。

杉本委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 きょうは、参考人の皆様方、本当にありがとうございます。

 万葉集を詠んで質問するということにしているものですから、おつき合いをいただきたいというわけであります。

 犬飼教授から、竹林に雪の例えということでお話がございました。メモは結構かと思いますけれども。それで、きょうは、そろそろふるさとの方も梅が咲いたということで、残雪の中の梅の歌を詠んで始めさせていただきます。

 万葉集巻五、八百四十九番。

  残りたる雪に交れる梅の花早くな散りそ雪は消(け)ぬとも

 雪は消えても梅はすぐに散らないでほしい、こういう歌でございました。では、よろしくお願いいたします。(拍手)

 それで、早速、犬飼教授、お願いいたします。

 先ほどお話を聞いておりまして、日本企業は非常に元気である、底がたい、そして、海外への事業投資をやってもっと伸びていかなきゃいけないんだ、こういうお話をいただきました。

 今、国内総生産、GDPから、そういう経常収支の所得収支なども考えて、国民総所得、GNI、そういった形でやはり日本の国富というものも見ていかなきゃいけない、こういう議論もあるわけであります。

 ただ、海外にいろいろなグローバル化する企業が出ていきまして、いろいろな事業をし、収益を上げてきた場合に、それをどう国内の国民の皆さんの豊かさに還元していけるかという問題があるように思うわけであります。ここがなかなか、企業の中だけでおさまるんじゃなくて、それが何か国全体に、言ってみれば豊かさを潤していけるような、そんな形になれば幸いかと思うわけであります。先生にお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

犬飼参考人 御質問、まことにありがとうございます。

 国民の豊かさをどういうふうに日本の中に還元をしていくのかという御質問と思いますが、基本的に、これから日本の企業が海外でオペレーションを強化、さらに活発化させるということになりますと、現地で利益が上がってくる、その上がってきた利益を、子会社であれば、通常は、そこでお金を置いておくのが一番いいのか、あるいは本社に送るのが一番いいのかということを考えながら、やはり税金の安い方にお金が動くということがあるわけですね。そういう意味では、将来的な課題として、日本の企業の法人税を下げる方向というのが一つ重要な政策課題になるのではないかというふうに思っております。

 それと、全般論的に申し上げますと、やはりそういう果実を日本の国民が享受するための一番いいやり方は、日本の企業の株の価格が上がることではないかというふうに思います。株の値段の上昇をもってリターンを得るということではないかと思います。

 以上です。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 まずは、順次お一人ずつお伺いをしていくんですけれども、深尾教授は、今ほどお話の中で、国民の家計資産一千四百兆円、一千五百兆円ぐらいありますかね、その年齢別の構成のお話もあったわけですが、私は、これは前から自分なりに思うんですけれども、国民がこれだけの家計資産がありながら、それで、言ってみれば、国債をファイナンスするわけですけれども、ある意味で一千兆円近い国、地方のそういう債務をファイナンスしているとすれば、逆に言えば、そこへ投資をしていると思ったら、その利回りというのは、当然、長期国債とかあるいは地方債の利回りということになれば、どうしても限定されてしまう。もしそういうお金が、普通の経済学の教科書みたいに、銀行へ行って、銀行からいわゆる事業をされるいろいろな企業の方へ回っていって、そこで大いにいろいろな企業活動をしていただければ、多分もっと利回りは上がるはずであろう。

 そうすると、せっかくお金があるにもかかわらず、そこからいわゆる成長率ということでは上がっていかない形になっているんじゃないか、こういういわゆるお金がある意味で使い方として寝ているような形になっているんじゃないかという心配をするわけです。そしてまた、金融機関も同じように、お金を預金で預かるんですけれども、貸出先がなかなかないということで債券の方へシフトしてくる、これもまた金融機関の本来の目ききとか産業を育てるという姿からは違うような気がするわけであります。

 先生のこの辺のお考え、また、これをどうすれば、言ってみれば普通の国になっていけるのかということについてのお考えをお聞かせください。

深尾参考人 今、金利そのものは低いわけですけれども、それでも、先ほど申し上げたように、物価が下がっているために売り上げが減っていってしまう、このために、お金を借りようと思っても返済負担が、売り上げが減っていく中での返済計画が厳しい、これが最大の要因だというふうに思います。

 そのためには、一つはデフレからの脱却ということが要るわけですが、今、デフレから単純に脱却した場合に財政がもつのか、金利が上昇してしまうという問題がありまして、財政再建をしながらデフレからの脱却をしていかないといけないというところに追い込まれているというふうに思っております。

 以上です。

橘(慶)委員 それでは、次に加藤取締役さんですけれども、二つになりますけれども、一つは、きょうお配りいただいた資料の一番最後に「中央銀行前の放射線量」というのがついていまして、先輩の議員さん方からもちょっと御趣旨を聞いてみてくれ、こういうお話がございました。

 そしてもう一つは、先ほどお話がありました、日本の物づくりのよさを生かしてもっともうけようじゃないか、こういうお話でありました。いろいろな、スイスのお話あるいは家電製品、自動車の高級車の話もありましたが、先生、こういうことについて、今、日本のいろいろな物づくりがありますが、どちらかというと素材に強いとか部品が強いとか、こういうことも言われちゃうわけですけれども、ストーリー性を持って、実際、そういう付加価値を高めて売っていく、どういうもの、どういう品物ということ、あるいはどんな技術ということでお考えになっているのか、そこをもう少し敷衍いただければと思います。

加藤参考人 資料の一番最後のところに、ちょっと奇妙なものを載せていて恐縮ですけれども、これは、去年の六月ぐらいから十一月にかけて、出張のたびに、中央銀行というと多くは金融市場があるところにありますので、海外に出張へ行きますと、日本の状況が、放射線が心配で東京への出張が怖いなんという人がやはり依然として残念ながらいるということで、こうやってはかってみると大差はないんですよ、どうぞ日本に来てビジネスをしてくださいというつもりで、意識的にアピールするつもりで載せて、海外でもこういうふうに言っております。

 それから、先ほどの、いかに売っていくかといったことですけれども、確かに、素材とかいろいろ、まだまだ技術もいっぱいあるわけですし、ただ、一方で、アジアという世界的に見ても高成長の国が飛行機で数時間のところにあるということで、中国は、バブル的な面もあるものの、そこに大きな市場がありますので、そこの消費者にも、いかに彼らを魅了していくかという点では、欧米企業と同じようにはできないかもしれないけれども、日本なりの技術力、エコの技術力とか、例えば、今、日本のエコカーも、好きな人は中国で評価されるんですが、ただ、いま一つ人気が出ないのが、エコカーに乗ることがおしゃれだ、格好いいという認識がまだ向こうには余りないわけですね。そういうのをもっとアピールしていくということも必要だろうと思います。マーケティングも必要だろうと思います。

 また、数週間前、ロンドンのあるエコノミスト、非常に日本びいきな人でしたが、日本の中小企業レベルでももっと海外でマーケティングすれば販路が開けるのではないか。いい技術があるのに、しかも、今インターネットの時代なので、何かきっかけがあれば海外から幾らでも注文がとれそうな、いい商品がいっぱいあるのに、それがうまくできていないようだということでは、いろいろ何かそこをアドバイスしていくような人たちがいて、うまく連携がとれていけば、まだまだチャンスは広がっていくのではないかな。決して悲観はする必要はないと思うんですが、やはり何かきっかけが要るなと。あと、同じようなことを繰り返しているとアジアの企業との価格競争になってしまうので、そういう意味では、中小企業もいろいろチャンスはあるのではないか。ドイツあたりは、かなり中小企業レベルでもそういったマーケティングをやっているというように聞きましたけれども。

橘(慶)委員 続きまして、国分参考人にお伺いいたします。

 先ほどお話を聞きますと、金属加工業をずっと営んでおられたということで、お見受けしても、かなり長い間、お仕事に多分携わられてきたと思うんですね。

 きょうのテーマは円高、デフレという経済関係の最近の流れということでありますが、ずっと実際こういう業態を営まれてこられて、今のこの現状における御商売といいますか、お仕事をしていく上でのしやすさといいますか、しにくさといいますか、まずちょっと歴史的に見ていただいて、今どういうことが特に業態の環境として厳しいのか、この辺をお話しいただければと思います。

国分参考人 加工業ですから、材料の不安定さ、これは私のところもそうなんですけれども、しんちゅうだとか銅関係の材料を使っていますけれども、平均して六百円前後で推移していたのが千二百円に上がって、そして今、ちょっと下がって九百五十円くらいになっていますけれども、そのくらい。ですから、材料の高低で不安点がある。お客さんとの関係で、材料が上がったからとは言えないのね。そんな高い材料を使うからだ、こういう話になりますから。

 だから、そういう問題で、やはり仕入れを安定化していくというのが、今、私どもでは非常に大事な部分だというふうに思います。

橘(慶)委員 そんな意味では、これは、為替の安定であり、世界の商品市況ということももちろんあるわけで、付加価値というか、そこに加工業で乗っけられるお金というのは当然限られるわけですから、やはり、物事、経済が安定していることは大事なことなのかなと思います。

 そこで、もう一度戻ってまいりまして、深尾教授にお伺いいたしますが、日本銀行が、せんだって、例のアンダースタンディングからターゲットということに言葉をかえまして十兆円ばかり緩和、要は、一%をめどということにされて、十兆円緩和ということで、物価の上昇率のめど、そしてまた一段の金融緩和ということをいたしまして、円がするするっと少し戻しまして、きょう、お昼、見てまいりましたら、八十一円台、株価の方も九千七百円台ということで、一息ついたような形になっているわけです。

 なかなか先行きというのは見通せないわけですが、今回非常にインパクトがあった理由ということと、これからの必要ないわゆる金融財政政策をどのようにお考えになっているか、先生の御見解をお願いいたします。

深尾参考人 今回、円安方向へのインパクトがあった理由としては、一つは、量的緩和を打ち出したといいますか、物価の見通しを打ち出したということもありますが、それ以上に大きかったのは、やはり国際収支の悪化だろうと思います。経常収支が赤字になるかもしれないという、貿易収支は赤字になったわけですが、これが一つ大きな理由だろうというふうに思っております。

 ゴールの方は、いつ達成できるか全くめどがついていないゴールでございますので、そんなに大きな効果はなかったのではないか。量の方は、金額が大きかったので、それなりにマーケットに、特に外国の投資家は量的緩和が好きな人が多いので、ギア効果のきく投資家が多いということで、これできいたんだというふうに思っておりますが、長期的にそれが効果があるかどうかについては疑問に思っております。

 金融財政政策全般ということからいいますと、私は、日銀が、今、当座預金に利息をつけていますが、これは要らない、ゼロにしていいのではないか。そうすると、多少金利は下がるということです。

 もう一つは、財政の再建をしながら経済を悪化させないでやっていく。そのためには、増税をしながら、しかし、増税を段階的に、間接税の段階的な増税を行って、そのうちの半分ぐらいは使って刺激に回す。

 もう一つは、無駄な部分をどんどんカットしていくのはもうやむを得ないだろうと思います。私は、所得の高い人の年金については、もう年齢制限を設けずカットしていいのではないか。そのかわり、退職したり、所得がなくなった場合は少し上積みしてあげるぐらいの、ネットで見ればそうなんだけれども、そんなに損した感じはしないような形でのカットというか、こういった所得制限を入れていってはどうか。

 年金全般について、年齢制限を設けず、基礎年金も報酬比例部分もいずれも、所得の高い人には払わない。所得がなくなった場合には払ってあげるけれども、そのときには、後ろ倒しで払っている分は少しだけ色をつけてあげるといったやり方によるカットというのがあり得るかなというふうに思っております。

橘(慶)委員 済みませんでした。ターゲットではなくてゴールでした。失礼いたしました。

 そして、国際収支ということも影響しての大きなダイナミックな相場の動きであったということを今教えていただいて、やはり、そういう円高、デフレというものが悪さをしないようにまた私どもも政策的には努力していかなきゃいけないと、つくづく感じさせていただきました。

 ちょうど時間となりましたので、これで終わらせていただきます。

中井委員長 これにて橘君の質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東(順)委員 私は、公明党の東順治と申します。

 各参考人の皆様、本日は、さまざまに御見識をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、早速、私の方から質問をさせていただきます。最初に、加藤参考人。

 先ほどお話を伺っていますと、海外を魅了するブランド力、ストーリー性、大変魅力的なお話でございました。私は、このお話を伺いながら、海外を魅了するブランド力というのは、日本の豊かな地域資源そのものがブランド力として、あるいはまたストーリー性を持たせる、そういう力になるのではなかろうかということを思いました。

 例えば九州に、福岡県、北九州市、福岡市というところがございます。これは、今回、国際戦略総合特別区域という形で、全国七地域のうちの一つに指定されたんですね。ここは、アジアのゲートウエーとよく言われます福岡県北九州市、玄関口として、アジアからの観光客、あるいはさまざまな人々を呼び込む大変潜在的な地域力を持っているのではないか。例えば、公害を克服した力だとか、あるいは北九州工業地帯の夜景のすばらしさとか、いろいろなことが言われています。

 あるいはまた、長崎が今般、ハウステンボスというのがございますね、このハウステンボスが、上海と長崎を結ぶ大型の観光船を就航させることに成功した。これでもって、上海から中国の観光客が長崎に上陸をしてくる。同時に、今、新幹線が九州、博多から鹿児島までだあっとつながっているんですが、今度は、これが長崎まで西九州ルートという形でつながろうとし始めている。

 そうすると、大型の観光船で上海から長崎を結び、そして、やがては新幹線でもって九州の博多だとか、あるいは南は鹿児島だとか、あるいは、博多でおりて、そして今度は九州横断道という自動車道を通って大分の別府という湯の町に行くとかいうようなことで、そういう非常に豊かな地域資源あるいは交通機関等々を総合的に利用しながら、地域のブランド力というのはぐっと高まってくるんではなかろうかと思います。

 私は、きのうでしたか、テレビを見ていますと、新幹線が大阪から乗り継ぐことなく鹿児島中央駅まで今度つながっちゃったんですね。つながったということで、鹿児島の指宿温泉の砂湯を目がけて、大阪の人たちが新幹線に乗る乗客率が非常に高くなったというニュースをきのうテレビか何かで見ておりまして、そういう視点というか、ブランド力として見るということは非常に大事なんだろうと思います。

 同時に、先生、日本はやがて、やはり道州制に早く移行しないといけないと僕は思っているんです。道州制という視点を持って日本の各地域がそういうブランド力というものを競い合っていく。そして、海外から観光客みたいなものをどんどん呼び込んでくるというようなことを競い合う、そういう力というものが道州制によって日本列島にみなぎってきますと、大変大きな力になってくるんではなかろうかと思うんです。

 したがって、海外を魅了するブランド力、ストーリー性というところに道州制という視点を、一日も早くこの道州制というものを日本は導入すべきであるという視点を持つべきではないのかと先ほどお話を伺いながら思ったものですから、この点をお伺いさせていただきます。

加藤参考人 私は、観光の専門家ではないものですから、あくまで素人という立場からですが、アジアを回っていますと、日本への観光にぜひ行きたいという声はよく聞こえます。ただ、原発の問題もあってちょっとそれで控えている人たちもいるものの、そろそろ考えているという人も多いわけです。

 あるいは、食の安全性という点で、例えば北海道という言葉をパッケージに何か入れると急に売りやすくなる、例えば中国でありますが。多少そこには偽装表示もあったりして、北海道と関係もないのに北海道と印字していたりもありますが、そのぐらい北海道という印象が中国の人たちに印象がよかったりとか、あるいは九州の温泉に行きたいとかいう話もよく聞こえます。

 そういう意味で、一方で、韓国が御承知のように激しく観光誘致をやっているわけですので、ビザの発行が韓国の方が日本よりもより緩めていますので、観光客が今韓国に中国から流れていますから、そこはやはり競争がありますので、そういったものに負けないようにしていくという必要はあると思います。

 道州制ということとつながるのかどうか、ちょっとそこは今後また考えていきたいと思いますが、しかし、地域ごとの競争、アピールという点で、地域ごとにいかにアイデアを出しながら、アジアの日本に旅行に来たがっている人たちを魅了していくかというのは、日本にお金を落としてもらうということで物すごく大事なことだろうと思います。

 ただ、その上で、やはり相当な投資も必要だろうと思います。ブランド力といったときに、欧米の企業の場合、例えば中国の消費者が勝手に憧れてくれているというわけではなくて、相当な投資をしていまして、ちょっと御参考までに、これは中国の経済新聞ですが、一面が全てこれはドイツの自動車メーカーの広告になっていたりとか、それからこれも経済新聞ですが、一面全てスイスの時計の広告になっていたりとか、大変な投資をしてブランド力を高めて、その分リターンを得るという循環をつくっています。

 そういう点では、日本のよさをアピールしていくときにも、それなりにやはり投資も必要であろうとは思いますけれども、しかし、日本のよさというのはまだまだアピールできると思いますので、先生がおっしゃるように、日本のよさをいかにブランドとして使っていくかということは十分可能な戦略だろうと思います。

東(順)委員 ありがとうございました。

 続きまして、犬飼参考人、よろしくお願いします。

 先ほどのお話の中で、東南アジアをめぐっていると日本に対する大変な信頼性がある、竹林のごときしなやかさ、耐久力、そして冷静さ、日本なら大丈夫だろうという大変な信頼感を持っておられるという大変心強いお話がございました。

 私も、東南アジア諸国を私なりに回ってみますと、日本に対する大変な親日感、おっしゃるような信頼感が非常に高いなというふうに思います。

 そこで、確かに、ベトナムというような国なんかに行ってみますと、日本のODAによる協力というのは、その足跡というのは随所にございます。日本に対する大変な親近感もございます。そういう中で、一方、こういう話が進んでいるというふうに僕は伺った。

 それは、これまでのODAという単発的な世界を超えて、例えば日本のコンパクトシティー、人口十万とか二十万ぐらいのコンパクトシティーを、都市機能をそのままベトナムに輸出する。総合的ですから、例えば、その中には病院もあるでしょう、会社もあるでしょう、住宅もあるでしょう、あるいは学校もあるでしょう。さまざまなもの、つまり、一つのシティーが持っている都市機能というものをそのまま商業ベースに乗せて、それをまた政府がしっかりバックアップをして輸出しちゃう、都市そのものを。こういうことが進み始めているというふうに伺ったんですね。これは、ベトナムのグエン・タン・ズン首相みずから大変な意欲を持って、ぜひ実現させてほしいというような思いもあるというふうに伺いました。

 私は、そろそろ日本もこういう大胆な発想で打って出るというぐらいのことをやっていかなければいけない時代にもう来ているのではなかろうか、こう思います。先ほどの先生の、大変未来性のあるといいますか明るいといいますか、本当に前向きなお話を伺いながら、このことも感じました。

 こういうふうに発想を転換させて日本が打って出るということに対して、どのようにお考えでしょうか。

犬飼参考人 御質問、大変にありがとうございます。

 ただいまの御質問の趣旨に私も大変賛成でございます。

 私も、昨年二回、ホーチミンそしてハノイ、ベトナムを訪ねまして、確かに大変に親日的であるというのはそのとおりでございますけれども、どちらの都市につきましても、都市の発達のぐあいというものはまだ混然一体としている。例えば、政府の非常に重要なお役所の建物が繁華街の横のところにあるとかですね。日本ですと、丸の内でありますとか大手町とか霞が関とか、そういうことで、東京の町が非常にしっかりした、それこそ後藤新平さんの都市計画に基づいてということなんでしょうけれども、こういう状況ができているということに比べますと、ベトナムの場合にはなかなかそこまでいっていないということも、特にベトナムの場合にはそういう感じがいたします。

 そういう意味からいうと、日本がいろいろとお手伝いをする、ベトナムのために、ベトナムの必要なことをよくお聞きしてアドバイスを差し上げ、そして新たなコンパクトシティーの建設に協力するというのは非常に重要な視点ではないかというふうに思います。

 以上です。

東(順)委員 ありがとうございました。

 最後に、深尾参考人。

 先生は、先ほど消費税増税に触れられました。日本の財政の信用を維持する非常に大事なチャンスである、そして社会保険料負担軽減による財政再建ということも主張なさいましたけれども、他方、先ほど国分参考人からもございました、消費税を増税するということは、中小企業に対する販売価格の転嫁、これが大変難渋するんじゃなかろうかというふうにも私は思います。

 したがいまして、消費増税の非常に大事な重要性ということも思いながら、同時に、この価格転嫁という部分で中小企業が大変なつらい思いをされるんじゃなかろうか、この辺のところ、どのような影響が出るのか、そしてそれに対する対策はどういうふうに先生は思っておられるのか、そこをお伺いさせていただきます。

深尾参考人 確かに、景気が悪いもとで価格転嫁というのはなかなか難しいものがあると思います。現在は基本的に内税にするということになっておりますけれども、もう税金を表示するのをやめてしまってはどうか、つまり、全部税込み価格一本にしてしまって、それで税金については一切表示しない。これで、税金は当然売り上げから仕入れ控除を除いて取っているわけですが、こういう形を入れてみてはどうかというふうに思います。

 つまり、私もフランスに住んでおりまして、当時消費税率一八・六%、現在二〇%ぐらいですが、一切どこにも出てこないわけです、消費税が。逆に、そういう意味では、目に見えなくしている。そういうのは汚いやり方かもしれませんけれども、見えなくしている。これによって、増税をじわじわやっていっても見えない形で増税していくという形にせざるを得ないのではないかなというふうに思っております。

 日本の場合、社会保険料がどんどん上がってきたんですが、これが上げられてきた理由は、基本的に、ペイロールタックスといいますか、賃金に対して源泉で取っておりますので見えないわけです。もちろん給与明細をよくよく見ればわかるわけですが、手取りでみんな考えておりますので余り見えてこない。これで取れてきたという面があるんだろうというふうに思います。

 ですから、こういう意味で、消費税については全部内税一本にして一切表示しない、そのかわり税金はしっかりいただくということをやっていってはどうかなというふうに思っております。

東(順)委員 ありがとうございました。これで終わります。

中井委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 本日は、お忙しいところ、四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。

 最初に、犬飼参考人から伺っていきたいというふうに思います。

 日銀券をどんどん市場に出して、今日事実上のゼロ金利の状態ですから、そうすると、超低金利で調達して金融投機に走る、それで利益を上げるという一つの道があるわけですね。現実にそういうふうなファンドなんかの動きがあるわけですが、それとは別に、製造業の方は、今日グローバルに展開していますから、最適地調達、最適地生産、これで多国籍企業化して大きな利益を上げているわけですね。

 先ほど加藤参考人のお話を伺っておりまして、私、ぱっと感じたことがあったんですが、例えばサムスンがどんどん輸出を伸ばすと、台湾のTDKのように、実は、日本の多国籍企業化した企業からの輸出がどんどんふえるわけですね。ですから、必ずしも韓国の輸出が伸びたら日本は減っているんじゃなくて、日本の輸出もどんどんふえている。いずれにしても、製造業の多国籍企業化した企業というのは大きな利益を海外で上げているわけです。

 問題は、では具体的にその利益をどのように国内に還元して日本国内の経済の発展に貢献させていくか、ここのところが非常に大事なところではないかというふうに思うわけです。

 ちょっとついでにと言ったら変ですが、あわせて申し上げますと、今、グローバリゼーションと言われますけれども、一億三千万人ぐらいに近い人口の中の、仮に世界展開して一千万人ぐらいの人が海外で暮らしたり働いたりするようになったとしても、一億二千万人の人は日本国内のさまざまな地方、地域で住むわけですね。その人たちに仕事があり、雇用があり、所得が生まれ、消費が生まれ、そして、地域経済が回っていく、地方税収も上がっていく。そういう地域づくりというものをどうやるかということが今経済の世界では非常に大事な課題になっていると思うんですが、この点についての犬飼参考人のお考えを伺っておきたいと思います。

犬飼参考人 御質問ありがとうございます。

 御質問は、非常に幅広い趣旨をお含みいただいていると思います。多国籍化する企業グループがいろいろな国においてオペレーションをしていく場合に、まず、キャッシュマネジメントといいますか、お金の流れをどういうふうに一元化していくのか。それで、御質問の趣旨は恐らく、そういうものを日本に還元させるようなうまいぐあいの仕組みをどうつくるかという御趣旨ではないかというふうに理解をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

 そういう観点で申し上げますと、EU、ヨーロッパは非常に進んでございます。いわばグローバルキャッシュマネジメントという観点が進んでおりまして、これはEUの中でお金の動きについて税金をかけないということが進んでおります。そして、EUの中でいろいろな国にオペレーションをしておりますけれども、例えばオランダならオランダ、イギリスならイギリスに本社機能がある場合に、フランスのパリでもいいんですけれども、その本社機能のところに財務機能と金融機能を集中させるというやり方が実は可能になっているわけですね。

 そういうやり方が、EUということができたがゆえに可能となっているということなんですが、日本の企業も、EUに進出している企業は、ヨーロピアンハブということでそういうオペレーションをやって、ヨーロッパの中で、例えばイギリスならイギリス、フランスならフランスに資金を集中する、あるいは収益を集中するというやり方をとっているところもございます。

 ただ、日本が直接それができるかというと、なかなか難しゅうございます。ただ、これは将来的には、例えばASEAN諸国との条約の締結等、いろいろな流れを踏めば、十年、二十年後にはそれに近いことができる可能性があるかと思います。

 残念ながら、ただいま現在は、アジアでそれをやっているのは、部分的にシンガポールでやっているということが普通でございまして、日本がそういうオペレーションの中心になるということは、非常に重要な流れ、重要な政策課題でございますので、そういう方向性を目指すべきであるということを考えながら、これからアジアとの条約交渉等に当たっていくということが重要ではないかと思います。

 以上です。

吉井委員 EUの中でのお話は、それはわかるんですけれども、問題は、日本の製造業が多国籍展開して、アジアを中心にして、海外で大きな利益を上げて、そこに幾ら法人税減税をやっても、実際にそこで稼いだ金が日本国内に還元されてきて、先ほども後段で申し上げましたような、これからも多くの国民は、一億二千万近い人は、恐らく日本国内のいろいろな地域で暮らして、そこで仕事があり、雇用があり、所得が生まれ、消費が生まれるという経済の内発的な発展へと結びついていかないことには、これは日本全体で考えたときには、一企業で見れば大成功であったとしても、日本経済全体としてはかなり深刻な問題につながってくると思うんです。

 そのことを含めて、何かさらにお考えがあれば伺っておきたいということで質問したんです。

犬飼参考人 ありがとうございます。

 その点については、やはり税金の問題が非常に大きいのではないかと思います。

 これはアメリカについても同じような問題が生じておりまして、そして、アメリカのグループ企業が海外で上げた利益をどのようにアメリカの国内に還流させるかということが非常に重要な課題になって、あるとき、これはブッシュ政権のときに、還流させるためにアメリカ国内のそれに関する税金を下げるとか、そういう取り扱いをしたことがございます。

 日本も、クレジットとか控除のやり方とかをとってみると、ある一定部分の控除が可能ということもあるんですけれども、今おっしゃった点については、今後のために非常に重要な検討課題になるのではないかというふうに認識をしております。特に税金の問題が重要と思います。

 以上です。

吉井委員 日本のこの二十年余りを見ましても、法人税率を下げれば下げるほど、では、製造業が海外へ出るのを食いとめられたかといったら、逆にどんどん出ているんですね。海外での経常利益も全てどんどん上がっているわけですから、法人税を下げれば何かうまくいくような話じゃないということだけははっきりしているんじゃないかと思うんです。

 次に、深尾参考人にお伺いしておきたいんですが、きょう、経済学部で今やっていらっしゃるから、本当は経済の話を伺った方がいいのかもしれませんが、もともと技術の分野でやってこられたので、事前にいただいた資料で「原発被害者の補償と東京電力」というので、やはり技術の面でも、エネルギーの面でも、経済の面でも、大きな問題になっているのが東電の福島事故ですね。

 これにかかわって、やはり経営陣、株主が責任をとる、これで三兆円を生み出すという表も載せていただいておりますが、それから再処理を停止すれば再処理引当金の一兆二千億円、とりあえずは四兆二千億の全面賠償その他に投ずることのできる費用が出るという趣旨で読ませていただいたんですが、この点についてのお考えを伺っておきたいと思います。

深尾参考人 今御引用いただいたのは、日本経済研究センターのホームページに書いた私の小論文でございます。

 東京電力にどうやって負担をさせるのかというわけですけれども、そこで書いたのは、基本は一〇〇%減資をすべきだ。つまり、現在の株式については無価値に一回する。あと、引当金の中でも崩せるものはできる限り崩して、それで出せる金額、大体四兆円ぐらいかと思いますが、これについては東電がまず一回持ってもらう。

 ただ、そこで、それ以上の負担は免責するということです。そうしますと、負担の金額に上限が設定されますので、将来生まれた利益は新株主に払えることになります。つまり、そこで一旦数兆円使ってしまえば、残りの、将来の利益は全部新株主に行きますので、そこで新株を発行して資本を調達して再増資をする。これでやり直す。一回リセットをかけるといいますか、従来の株主の権限を全部なくして、経営者も入れかえて、その上でやる。

 ですから、こちらの方が、現在行われているスキームは非常にわかりにくいスキームで、私も国会の資料を全部読んだんですが、誰がどういうふうに負担するか、数字が全然わからないような仕組みになっております。これよりは、しっかり、どこまでが何兆円の負担にするか、それを超える部分はどこが負担するかというのをはっきりさせるべきだという趣旨で書いております。

吉井委員 きょう、本当は深尾参考人と原発問題でもう少しやりたかったんですが、時間が参りましたので、次に、国分参考人の方に伺っておきたいと思うんです。

 消費税のお話を聞かせていただきました。消費税増税で私が心配しておりますのは、先ほど来出ておりました日本の物づくりの問題ですね。これが持続可能なものになっていかないと、これは非常に、日本経済全体にとっても産業全体にとっても大変な問題です。消費税増税で、今でも大変な中で若者を雇用するということをしないと、後継者は仕事しながら学んでいくわけですし、そういう若者を雇用して技術の継承ができるのであろうかとか、今の集積による技術のどこかが崩れると、集積の技術全体としてのものが崩れてくるわけですね。

 一体、今の時点で、消費税増税によってそういうことが果たして守れるのだろうかということを非常に危惧しているんですが、国分参考人のお考えを伺っておきたいと思います。

国分参考人 先ほど話をしたように、雇用をしっかり守っていくということが非常に大事であります。

 今、私どもがヒアリングしている中で、そして、日本の今の消費税法を見たときに、消費税法そのものは人件費、課税ですよね。人件費というのは、企業の中で大多数、半分以上を占めるわけですよ。それに課税をするというのが法律の内容だというふうに私は認識している。

 ところが、その課税を合法的に、逃れると言っては悪いのかな、排除できるという制度が、派遣労働者を使って、そして下請の代金として決算上支払っていく、それで所得を減らしていく。だから、減った所得に課税ですから、税金そのものが少なくなる。そういうことが本当にされているわけです。

 私たち中小零細業者にとっては、雇用者というのは本当に大事に、もう一生涯自分と一緒に仕事をしていくという仲間ですから、だからそういうつもりで技術の継承もしていくということをやっているんですけれども、今の大企業のやり方というのはそういうことで、税軽減のために派遣の労働者を使っていくというのが、これはやはり派遣法の改悪だというふうに思っているんです。

 だから、そこが強くされていますから、派遣労働法の改正をぜひ考えてほしいなというふうに思います。そのことが、若い人たちを育成していく雇用の場をふやしていく、安定した雇用をふやしていくということになるのだろうというふうに思っております。

 よろしいですか。

吉井委員 時間が参りましたので、これで終わります。

中井委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 新党きづなの渡辺義彦でございます。

 本日はいろいろお聞かせをいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。まず、国分参考人にお尋ねをさせていただきます。

 私も、中小零細企業の元経営者でございました。霞が関や永田町で言っている中小企業という、大手企業の、中堅企業さんのような、そういうイメージではなしに、まさに社長はお父さんで専務はお母さんやというような、また従業員が数名おるというような、そういう中小零細企業というイメージの中で、今回のというか、もう長く続いておりますけれども、デフレ、円高によって、直接また間接的にどのような影響を大きく受けておられるかということと、今まで政府が対応してくれた中小企業対策という中で、今私が申し上げました、私が位置づけた中小零細企業に対する支援策というものは余りなかったような気がするんです。

 この支援策に対して、今のお立場の中で、どんな育成策や支援策があれば、生き延びていけるという言葉は大変よくない言葉かもしれませんけれども、事業を継続していくことができるのかという点について、お考えをお聞かせいただいたらと思います。

国分参考人 お答えになるかどうかですけれども、私ども、今言われたように、零細な業者で、本当に家族ぐるみの事業をしているという部分であります。ですから、言われたように、私が社長で、女房が専務でと。私の子供も今一緒にやっていますから、子供が専務でやっていますけれども、そういう状況の中で、本当に今の大変さというのは、公正取引がやはりしっかりしないと、そういう相談窓口というのは今のところないんですね。ないんです。

 ですから、私どものつくり上げた、大企業に公正取引を義務づけ、被害救済の違反金を課したらどうかという提案が一つあります。これは、課徴金ということで法律はあるんですけれども、そうじゃなくて、課徴金というのは政府へ入るお金ですけれども、やはり違反金で、違反した企業がその損害を受けた企業に支払いをするというようなことがしっかりとされて、制度としてつくられて、そしてそれを監督管理する機関があったらいいんじゃないかというふうに今思っております。ぜひ御検討いただければというふうに思います。

渡辺(義)委員 ありがとうございました。私も、今の話、ああなるほどというか、同感するところがございます。

 次に、深尾参考人と加藤参考人にお聞かせをいただきます。

 前日より資料をお配りしていただいて、いろいろ読ませていただきました。その中で、経済成長と国際的な競争力の源泉は人の育成と有効活用である、ハイレベルな知的移民の受け入れであるとか、失業者に対する職業訓練とか、新卒者の転換、女性労働力の引き上げ、また加藤参考人は、教育水準をもっと上げていけとか、同じ御意見ですけれども、優秀な移民を招致しなさいというようなことを訴えておられます。

 そういう中で、企業だけでなく役所という部分も含めて、経済対策としての人事政策といいますか、こんなふうな活用、今挙げたようなこともそうなんでしょうけれども、経済活性化にプラスになるような人事のあり方、雇用のあり方というもので、何かよいアイデアとかお考えがありましたらお聞かせいただけたらと思います。

深尾参考人 私、もう前からの持論ですけれども、移民の受け入れ、特に日本語のレベルの非常に高い移民の受け入れをどんどんやっていってはどうかというふうに思っております。

 例えば、日本語能力試験というのが世界五十カ国以上で行われておりまして、数十万人が毎年受けています。うち三万人ぐらいが一級レベル、ですから、日本の大学で勉強できるレベルの日本語能力を持っているという認定を受けておりますので、バイリンガルのそういう日本語の能力の高い人について、五年ぐらいのワーキングビザをどんどん出していってはどうか。五年ぐらいたったところで、平穏に住んで、暮らしていれば永住権を認める、帰化するかあるいはグリーンカードを出すかという形でやってはどうか。

 こういう人は、もちろん日本人とも競争しますが、日本企業が外国市場を開拓するのに欠くことのできない人材になるわけでありまして、こういう人をどんどん日本が受け入れて、アジアでのマーケットセンター、金融センターであり商業センターになる、これによって日本での雇用を生み出していく。

 また、平均的なバイリンガルの外国人の能力は平均的な日本人を上回りますので、所得も彼らの方が高くなりますし、そうなりますと、税金も払ってくれる。そうすると、だめな日本人は彼らにおんぶできる。要は、言ってみれば日本相撲協会と同じような対策をとってはどうかということでございます。

 もう一つは、日本の大企業の人事政策でございまして、今、女性の管理職比率がまだ一割ぐらいしかないとか、あるいは出産退職者が六割ぐらい正規社員でもあるとかいうこともありまして、こういうことを何とかする必要がある。その理由の一つは長時間労働でありまして、正社員に対する長時間労働をやめる。私は、時間外の割り増しが低過ぎることがポイントだと思いますし、また、年次有給休暇の未消化分については、私は、残業のレベルで買い取らせるべきだ。これをやれば、残業をしていたり、あるいは休暇をとらない人はコストが非常に高くなりますので、管理職も早く帰れと言うようになるわけであります。これでみんなが早く帰るようになると、女性の労働力率を上げることができます。また、女性の管理職もつくることができるようになります。

 欧米を考えますと、女性の労働力率を一〇%ぐらい上げて出生率も維持することは十分可能なわけでして、それは男が働き過ぎているからだというふうに考えております。特に、正社員が長時間過ぎるということです。

 もう一つは、採用のときに、大学でやってきたことをちゃんと聞けということですね。成績もちゃんと見ろと。特に、就職してから必要な科目についての成績をちゃんと見ますよというふうに人事が言えば、学生はちゃんと勉強しますし、そうしますと、できる学生がもっとできるようになるというふうに思います。

 最近、みずほ銀行の役員の方とお話ししたんですが、上海支店と日本の東京で採用試験をやりますと、上海と同じ水準で採れる日本の人材はほとんどいない。つまり、レベルが非常に高いわけです。語学もできるし、意欲もあるし、能力も高い。その理由は、やはり日本での採用において成績をちゃんと見てこなかった、これが非常に大きな問題だと思っておりまして、これについては個別の企業ができる構造改革だというふうに思っております。

加藤参考人 御質問ありがとうございます。

 今、深尾先生がおっしゃっていたように、やはり女性の活用というのが、これだけ労働力人口が減ってくるわけですから、まず一つ非常に重要。

 それから、教育という点で、新卒採用、企業も大分硬直性を和らげて柔軟になってきているとは思うんですが、新卒直後に一斉に採用するというやり方のままですと、大学時代の勉強にも食い込んで弊害が出ていますし、また、多様なルート、人生経験を将来に生かすということがなかなかしづらい。

 私の資料の、先ほどお見せしました二十ページ目のところのOECDの学力で、中国が突出して高いというのは、今、深尾先生がおっしゃったように確かに私も感じまして、やはり受験競争に勝った場合と負けた場合の、その後の一生の生涯年収に物すごい開きが出る過酷な社会ですので、物すごく勉強する人たちなわけです。

 ただ、問題なのは、彼らの問題意識として、詰め込み教育だけでは創造性のある企業、なかなか発展ができないという問題意識も彼らはあるわけですね。しかし、それは我々も同じ部分がありまして、私の資料の三十四ページ目のところに、スティーブ・ジョブズが去年亡くなった直後の、翌日の中国の新聞でしたけれども、各紙一斉に一面、大きく、スティーブ・ジョブズが亡くなった記事なんですけれども、これは日本のメディア以上に取り上げていたと思います。ここでの問題意識というのは、彼のような独創性をいかに中国でも生み出していくかということが必要だという問題意識が、これは底辺にいずれも共通してあります。

 これは我々にとってもそうだなということになりますと、ジョブズみたいな人が普通に日本にいたら必ずしも才能を開花できなかったかもしれませんので、やはりそこは、採用及び人事の柔軟性というものが非常に必要になってくる。特に、やはり大企業になってくると独創的な発想というものが利用しづらくなってくるという傾向がありますから、そういった人材の活用という点では、まだまだ工夫する余地はあるんだろうと思います。

渡辺(義)委員 ありがとうございました。ちょうど私の娘も就活中でございますので、ちょっとアドバイスとしていただいておきます。ありがとうございます。資源のない我が国でございますので、人材の有効な活用、これは一番大きなものだと私も思っております。

 時間がもう余りございませんので、犬飼参考人に最後にお尋ねをさせていただきますが、時間がないので短くで結構です。

 日本経済のために今すべきは、円高対策なのか、デフレ克服なのか、増税なのか。全てのことなんでしょうけれども、最優先、一番最初に取り組まなければならぬというか、しなければならないのは、順位でいえばどれなんでしょうか、先生のお考えで。

犬飼参考人 御質問ありがとうございます。

 いずれも重要と思いますけれども、先ほどお話し申し上げたとおり、順序として、きちっと海外に理解をしていただくという意味からいうと、消費税の問題についてのきちっとした方向を固めるということだろうと思っております。

 以上です。

渡辺(義)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、以上でございます。ありがとうございました。

中井委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 きょうは、加藤参考人のお話、大変興味深く聞かせていただいて、ちょっと講演でも聞きたいなという気分になったんですけれども、主な論点の二番目に、「国内労働者の賃金・ボーナスを増加させなければ、真のデフレ克服、財政再建は実現できない。」と書かれております。私も若いころ、まあ今も若いんですけれども、もっと若いころに、三十代ぐらいに民間労組の組合の委員長をやって、国民の購買力を上げないと不況になるよというようなことをいろいろ、賃上げのときに社長とやり合ったことを思い出すんです。

 公務員の給与が今度カットされるということが決まりました。私、公務員をやったことがないので、皆さん、余裕しゃくしゃくの生活をされているのかどうか知りませんけれども、やはりカットということになると、まず小遣いは減らす、外食も減らそう、旅行も減らそうということになってまいります。

 それから、ではこの際、民間で賃上げして、公務員との格差を縮めようじゃないかとなるかというと、多分そうならないだろう。私も社長の顔を思い浮かべますと、おまえ、公務員でも賃金下げておるのに、何で民間が上げられるんだと言うに決まっているんですね。上げないと言うどころか、ちょっと見習って、うちも下げようかというふうに言う可能性もあるわけです。

 今回の公務員給与カットの問題というのは、日本のデフレ政策に対する対策という意味においてどういう問題点があるかということについて、ちょっとお聞きをしたいと思います。

加藤参考人 中長期的には、財政再建ということでの支出カットという観点からは正しい面があるんだと思いますが、同時に何か成長戦略のようなものもつくっていかないと、短期的には、やはり消費には悪影響が及ぶ面はあると思います。

 やはり、九〇年代以降の日本企業の賃金に対する対応というのは、個々の企業としては経費削減という、あるいはその個々の企業の生き残りとしては正しい判断だったとしても、全体として、賃下げあるいは賃上げしないということを続けていくと、結局、合成の誤謬で消費が停滞してしまうということが九〇年代以降続いてきたということにはなると思います。

 ですので、公務員給与の下げも、全体への影響という点になると、消費へのマイナスに注意しながら、一方で、成長戦略もいかに練っていくかということが必要になると思います。

服部委員 給料も下げる、民間も上がらない。それから、非正規が四割ぐらいになりますと、買いたくても買えない、金がないということで、本当に、こういう消費あるいは購買力をふやすことによって活性化させるということは非常に厳しい。

 下げる話ばかりがあるわけですが、先ほど犬飼参考人の方から、企業は資金もたまって、資金の自由度も高くなってきている、投資チャンスもあるし、事業投資が大切だということもおっしゃいました。企業は、特にこの間、この十年間、内部留保を物すごくふやしているわけですね。二百八十兆ぐらい内部留保がふえたんじゃないかとも言われていますけれども、しかし、内部留保したからといって、必ずしもその金が回っているとは思えないわけですよね。内部留保しているけれども、結局寝ているんじゃないかということを指摘されている人もいるんですけれども、それは結局、何に投資するかという、投資分野とか方向性が、必ずしも今、日本は非常に、まだ定まっていないとかいうふうにも思うわけです。

 加藤参考人の話の中では、高級ブランドとか、消費マインドをもっと考えてやるべきじゃないのかというようなお話もあったんですけれども、犬飼参考人と加藤参考人にお聞きしたいんですけれども、今後、日本の経済の投資分野という意味において、どういったことが考えられるのかということをちょっとお聞きしたいと思うんです。

 私の考えをちょっと一言申し上げておきますと、エネルギーの国産化というのが非常に大きなポイントになるんじゃないかなと私は思っているんですね。これは、電力用だけじゃなくて、いわゆる一次エネルギーとしての石油が、二十三兆円とか海外に日本の富が流出している。流出という言い方はいけませんけれども、石油代として流れているわけですけれども、これを国産化するということが極めて大きな経済的なインパクトを今後持つんじゃないかなということを思っているんですけれども、その辺のことも含めて、ちょっと御両人にお聞きをしたいと思います。

犬飼参考人 御質問ありがとうございます。

 私がどの分野がいいと言うのは非常におこがましいことでもありますので、私が研究している分野について若干申し上げたいと思います。

 先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、いわゆる金融の分野で、これも今までは、預貯金をローンにしてどうお金を貸すか、商業銀行分野というものが一般的な金融ということだったんですけれども、最近は、債券だとか株だとか、非常に高度な技術、テクニックが必要になってくる分野も出てきております。

 それで、インベストメントバンキング業務であるとかあるいはトランザクションバンキング業務であるとか、そういう投資と直結する分野が非常にあります。これは、中長期的に見ますと、海外も含めて新たなインベストメントバンキング、あるいは新たなトランザクションバンキングをいかにつくっていくかというところで投資が必要になってくるということも一つ言えるかと思います。

 それと、先ほど、自己資本をたくさん積み増しして何に使っているのかということなんですが、それは、一つは、過去、例えば十年なら十年、百兆円規模の銀行ローンの返済を民間企業はしております。銀行ローンの返済をすると同時に、百億円弱の預金を積み増している。預金を積み増すということは、効率からいうとよくないかもしれませんけれども、これは非常に重要なことです。何かあったときに、もし外的な要因があったときにすぐお金が使えるための準備として、預金を持つというのは非常に重要なことです。そういう意味でいうと、今の日本の企業は非常に賢い選択をしているというふうに思います。

 以上です。

加藤参考人 高齢化社会は日本が真っ先に進んでいるということもありまして、それはネガティブな面もあるんですが、逆に、商品開発において、高齢者向けの介護、医療などにおいて、日本企業が真っ先に進んでいる部分というのはあるんだろうなと思います。アジアにいる人で、たまたまそういう日本の介護用品などを見たことがある人からすると、すごく称賛の声が聞こえたりもしますので、そういったものをより付加価値を高めながらやっていくというところは、相当な市場が、これからヨーロッパ、アメリカも高齢化、日本ほどではないものの、そういう社会になっていきますから、そういう部分は一つあるかと思います。

 また、先生がおっしゃるように、あるいは再生可能エネルギーなど、新エネルギー分野などでは日本の技術で貢献できる分野も多数あろうとも思いますので、そういったエコなイメージというのは日本の工業製品全体のブランドイメージを高めることにもつながるでしょうから、そういった点では、再生可能エネルギーなどにもより積極的にいくべきだろうとは思います。

 また、地域ということでいうと、やはりまだまだ、我々東アジアにいるということで、中国など、今後一本調子でそのまま成長していけるかというといろいろな議論はあるかとは思いますけれども、ただ内陸部などを見渡しますと、まだまだ高成長な地域はありますし、私の資料の三十三ページ目ですが、去年秋に行った重慶と成都の様子の写真を載せていますが、あれほどの内陸の方でも、重慶と四川省を合わせると人口が一・一億人もいて、日本並みの人口がいて、昨年はそこが一五%を超える成長をしている。

 ことし、成長率は若干落ちるとは思うんですが、それでも高成長でしょうから、こういったところに欧米企業はどんどんそのパイをとりに進出していますので、そういった場所も狙いながらというのをあわせてやっていけば、いろいろとビジネスチャンスは、まだまだ日本に利益を持ってくる手はあるのではないかなと思います。

服部委員 質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。十分間しか時間がありませんので、コンパクトにやりとりを進めてまいりたいというふうに思います。

 十年以上前から、日本はもうすぐ財政破綻するんだ、こういうことが言われてきました。そう言われ続けながら、国債の暴落、すなわち長期金利の急上昇は、きょうに至るまで起きていないわけであります。それどころか、対ドルで円の価値、さっき実質レートの話もありましたけれども、少なくとも名目ベースでは上昇をしている。世界の投資家は、命の次に大切なお金を投じて、もうすぐ紙くずになると言われるような通貨を大量に買っている、こういう状況だというふうにも言えるかもしれません。

 この十年間、そうしたことが続いていれば、それは誰も信じなくなるというふうに思うんですね。どうしてこの十年以上、国債が暴落をし、日本は財政破綻を間もなくするんだと言われながら、してこなかったのか。このことについて、まず犬飼参考人に、どういうお考えをお持ちか、お尋ねをしたいというふうに思います。

犬飼参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほどの話の中でも申し上げたことではあるんですけれども、そういう問題が顕在化しなかった一番大きい理由は、やはり日本と日本人に対する信頼が極めて高かったということだと思います。そして、その背景にあるのは、やはり日本の預貯金が非常にふえ続けていた、そして、国債の発行を上回る預貯金というものが日本において創造され続けていたということが非常に重要かと思います。

 確かに、十年前にも、アメリカの非常に著名な学者の方なんかが、日本の財政は大変なことになるということをおっしゃって、私も確かにそうだなと思った記憶がございますけれども、やはり日本の潜在的な能力の高さというものを世界の人が信じているということが一番大きい理由なのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

柿澤委員 日本は立派な国だから大丈夫だろうということを信じていた、これが最大の理由だというふうに犬飼参考人はおっしゃられるわけですけれども、そのことはおきましょう。

 そのことはおいて、もう一つ、貯蓄の超過、そうした状況にあった、こうしたことが今言われました。私も、基本的なポイントは、こうした日本の貯蓄率の高さ、こうしたことにあったのかなというふうには感じております。日本はいわば貯蓄超過で、むしろ消費が不足している、こういう状態だというふうに思います。

 一方、財政破綻を本当にしてしまったギリシャはどういう状況かといえば、むしろ経常収支は赤字で、また貯蓄が足りない、こういう状況である。ある意味では、財政経済構造が日本とギリシャは、累積債務が多いということを除けば、真逆のような印象を私は受けるんです。

 つまり、消費が過剰で、そして貯蓄が足りない、こういう国においては、例えば消費課税を行って、そして財政収支を均衡化させていく、こういうアプローチが重要なんでしょうけれども、日本のような、むしろ貯蓄過剰で消費が足りない、こういう経済において、同じ処方箋をアプライすべきものなのかどうか。こういう点については、犬飼参考人はどうお考えですか。

犬飼参考人 貯蓄超過で、その貯蓄を使うべきであったのに使っていないことが問題なのではないかという御指摘ではあるんですけれども、例えば、それでは十年前あるいは十五年前に消費税の上げが行われていたらどうだっただろうということをひとつ考えてみていただきたいと思います。そうすると、両建てで、今膨らんでいる部分の両建て分が減って、例えばGDP比二〇〇%が一〇〇%でおさまっているかもしれません。

 そういう意味でいうと、過去、十年ないし十五年、非常に高い利回りを得られる投資先がなかなか見つけにくいという状況下においては、やはり民間としても、非常に賢い選択として、国債への投資を選好した。その結果、国の大きい問題が起こるのを同時にそれによって防いだということも言えるのではないかと思います。

 ただ、これからは、もし、日本だけではなくてアジア全体、そして世界にとって、景気がよくなって、経済成長が本格的な軌道に乗るというときには、また違ったことが起きてくると思います。そのためにも、今、手を打つことが重要ではないかというふうに考えております。

柿澤委員 次に、深尾参考人にお伺いをいたしたいというふうに思います。

 「金融政策による景気刺激は困難」という見出しの部分があって、量的緩和は偽薬効果がある、このことはお認めになられていて、バーナンキ議長は名役者だったからこそ成功したんだ、こういうお話をされておりました。アナウンスメント効果が大事だ、こういう話で、今回の日銀の物価安定の目途、この一%ということについても同じような評価をされて、今の円高が一服し、株価が一万円に手をかけようかというところまで回復した、こういう現象を解説されるんだろうというふうに思います。

 その後段で、消費税の増税と社会保険料の削減はある程度の景気刺激効果を持つということをおっしゃられていて、お聞きをしている感じでいうと、消費税の増税を段階的に行うことによって駆け込み需要も発生をするので、そうした景気に対するプラスの影響、消費の拡大の影響というのが出てくるんだ、こういうことだったのではないかというふうに思うんです。しかし、私から言わせると、消費税を増税しますよということをアナウンスすることによる駆け込み需要こそが偽薬効果そのものなのではないか、こういうふうに思えてなりません。

 平成九年に三%から五%に上げました。確かに駆け込み需要はありました。平成八年十月―十二月がプラス一・四、そして一月―三月、プラス〇・九。しかし、その後どうなったかといえば、平成九年の四月に五%に上がったわけですけれども、四―六はマイナス〇・八、七―九はマイナス〇・五、第四・四半期はちょっとプラスになりましたけれども、その次年度、平成十年の一―三月はマイナス一・九ですね。

 これは、駆け込み需要で需要の先食いをして、その後は、坂道を転がり落ちるようにデフレ不況に陥ってしまった、こういうことではないかというふうに思うんですけれども、これについて深尾参考人は、平成九年の消費増税がマクロの経済にどういう影響を与えたか、どういうふうに考えておられるんでしょうか。お伺いしたいと思います。

深尾参考人 平成九年、一九九七年のときは、消費税の増税だけではなくて、所得減税、一時的な減税がなくなるということと、それから社会保険料の引き上げ、この三つが重なったということがありますが、これがある程度景気を冷え込ませたということはあると思います。ただ、翌年に大きなマイナスになった理由は消費税ではないと思っております。

 九七年から九八年にかけての一番大きな落ち込みは金融危機でありまして、当時の三洋証券、山一証券、拓銀の連鎖破綻、その後、長銀、日債銀も破綻に瀕する、こういったことが景気を大きく冷え込ませた。この結果、二〇〇八年の初めには、銀行が貸出金を強烈に回収し始めます。表面上は回収していないと言い続けているんですが、私は現場で話を聞いていましたが、物すごい貸し出し回収をかけております。これで中小企業の設備投資が前年比三〇%落ちるというか、年率三〇%落ちていくということで、投資が大きく落ち込む。消費ではなくて投資が落ち込むという形で、雇用も悪化して、景気が悪化したということになっております。

 ですから、あのときの景気の急速な悪化というのは、消費税の引き上げではないというふうに思っております。

 以上です。

柿澤委員 この十年間、このような議論を延々繰り返してきて今に至る、こんなふうにも何となく感じられるようなやりとりでありました。

 時間も超過をいたしておりますので、これにて質問を終わらせていただきます。参考人の皆さん、ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 参考人の皆様、きょうは貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。

 早速質問に入らせていただきます。

 まずは、深尾参考人と加藤参考人にお伺いしたいんですが、突拍子もないことを、ちょっと素朴な疑問をお伺いしたいんです。現在の経済状況の根幹部分でありますので、教えていただきたく思うんですけれども、そもそも円高によいとか悪いとかいうのはあるのでしょうか。

 かつての日銀総裁の速水総裁が提唱したように、強い円ともてはやされていましたが、今や全ての元凶、デフレの原因とまで言われております。その時々において評価が分かれるのは当然かもしれません、円高にも限度があると思いますけれども、現在の円高はよい円高なのか悪い円高なのか、それともこのように評価をつけること自体がおかしいのか、お考えをお聞かせ願えますでしょうか。

深尾参考人 まず、円高は、都合のいい人にとってはよい円高で、都合の悪い人にとっては悪い円高になるんだろうと思います。

 ですから、輸入業者にとってみれば非常によい円高で、利益を得ている人は何も言いませんので、静かに利益を持っている。輸出企業なんかは、困ったことになったということで、悪い円高というふうに言っているんだろうと思います。

加藤参考人 まさに立場によって変わってくるということがありますので、現在の円高の場合は、むしろ輸出企業も、今は大変なわけですけれども、チャンスを生かす、海外の将来の収益の種となるような企業を買収していくとか、そういったことに積極的に利用していくという局面であれば、振り返ってみればいい円高だったなということに転換するような経営戦略というのが必要だと思います。

 ヨーロッパにいると、特にロンドンの人たちは、ポンド安だったらポンド安なりに、観光客がふえて、あるいは輸出がふえていいし、ポンド高になったら逆に、観光旅行、外に行ったりしてエンジョイしたりとか、そのときそのときの、両方、両面をうまく利用しているようにも思いますので、またこれから急激な円安にもし行くと、逆に海外企業から日本のメーカーなどの買収攻勢というのが今度来るリスクもすごくありますし、そこは、局面によっていいか悪いかというのは変わってくるということかと思います。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次は、犬飼参考人、深尾参考人、加藤参考人にお伺いしたいと思います。

 TPPについてお聞きしたいんですけれども、昨年来議論が激しくなっておりますTPPでありますが、TPPはデフレを加速させるのか、これがまず一点。

 それと、TPPは日本の金融制度に影響を及ぼすと思いますが、特に米国は、日本郵政グループの金融サービスについて、国の信用を背景にして民間と公平な競争をしていないとしており、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険を持つ郵政事業が問題視されていることを懸念しております。

 現在、郵貯と簡保で国債の三割強を保有しており、他の一般銀行と保険会社を全て合わせた保有額とほぼ同水準であります。国債の安定消化のために欠かせない存在と思いますが、お三方の御所見をお伺いできますでしょうか。

犬飼参考人 TPPがデフレと関係があるかという御質問でございますけれども、それはやり方によるんだろうというふうに思います。それ自体は直接の関係はないというふうに私は認識をしております。

 それと、日本の金融制度の中の郵貯、簡保の問題についての御質問でございますけれども、これまでの改革を経て、ゆうちょ銀行、かんぽの部分については金融庁の検査監督の対象になる、要するに、通常の銀行ないし金融機関の形にだんだん移っていきつつあるという認識をしております。

 そういう意味でいうと、これもマーケットベースの認識に今後は委ねられていくものでなかろうかと思います。逆に、今幾ら国債を保有しているから、その国債の保有が重要なんだとか、そういうふうに余り思わない方がいいのかもしれません。

 また、郵政グループの株式をどうするかという問題もいろいろと御議論があるようでございますけれども、やはり、これは市場の認識というものに任せるというのが非常に重要ではないか、むしろ、市場で評価されるように郵貯のグループ全般が頑張られることが重要なのではないかというふうに思います。

 以上です。

深尾参考人 今、犬飼参考人も言われたとおり、TPPはやり方次第であって、インフレ、デフレとは余り直接的な関係がないというふうに考えております。

 次に、郵政グループについてですが、昔、アメリカはそういう批判をしていたかもしれませんが、今はアメリカはファニーメイもフレディーマックも実質国有になっておりまして、アメリカの政府が既にアメリカの金融市場において非常に大きな株主になってしまっているわけであります。

 そういうことも考えに入れれば、そこまで批判をされるほどのことはないかと思っておりますが、従来の方向性で、民営化していくということにかんぽ生命とゆうちょ銀行はなっていますから、その方向をしっかり維持していけば、そんなに問題にはならないだろうし、また、その二つに対して国債の保有を義務づけるようなことはしない方がいい、これも全く同感でございます。

加藤参考人 TPPとデフレ、短期的には、もし安いものがそれによって入ってくるということになれば、一部の品目の値が下がるということはあるかと思いますが、相対価格の変化といいましょうか、全体への影響ということになると、それはTPPによって日本経済全体が活性化できるのかということに長い目ではかかってくるということかとは思いますので、まさに、お二方おっしゃったように、やり方ということかと思います。

 それから、郵貯グループに関しては、今、深尾先生もおっしゃったように、今現在やっている方向性であれば、金融市場にとって、何かすごく大きなゆがみを与えているという状況ではないのかなと思いますし、また、欧米においても、この金融危機以降、一時的に国有化状態になっている金融機関も多くあったりもしますので、何か日本の状況が突出してゆがんでいるということでもないのかなと思います。ただ、金融市場をゆがめないような大手金融機関のあり方という議論でやっていくべきということかとは思います。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問を深尾参考人にさせていただきたいと思います。

 年明けから、最大の経済問題は欧州の債務危機と言われてきました。二十日のユーロ圏の財務大臣会合でギリシャの二次支援が合意されましたが、緊縮財政を余儀なくされているヨーロッパの各国の影響が中国などに及んだ場合、我が国の輸出にも大きな影響を及ぼすことになると思います。

 この欧州の債務危機の今後の動向について何か注意すべき点があれば、御所見をお伺いしたいと思います。

深尾参考人 ギリシャ問題はまだ解決したわけではありませんで、まだまだ実際に百三十ビリオンユーロの貸し出しが実行されるまでにはいろいろな落とし穴がありまして、これについて確実に遂行できるかどうか、疑問な部分があります。

 また、いろいろな改革を約束して借り入れを約束していますが、百三十ビリオンというのは、順番にお金が出てきまして、ある程度の改革を進めれば一部お金が出てくるという形で、何回かに分けての貸し出し実行、最初にどんとやるのは大きいんですが、それ以降は順番に出てきます。

 その中で、ギリシャにおける改革疲れといいますか、非常に景気が悪い状態で、今回の基金の前に比べてGDPが一五%ぐらいあるいは一五%以上落ち込んだところにあります。リーマン・ショックのときの日本の落ち込みの三倍以上の落ち込みをしているわけでありまして、その中で、国民の治安の問題あるいは反ドイツ的な国民の意識、こういったところが大きくなる。

 それから、ドイツの側も、もういいかげんにああいう国に金を出すのは嫌だという形で世論の六割ぐらいはギリシャへの支援に反対しています。国会議員の中ではギリシャ支援に賛成な人が多いわけですけれども、世論は逆になっているわけで、これがどれだけ維持できるかというのは疑問な部分があります。

 この二つが来ますと、ギリシャの現在のプログラムがうまくいかなくなる可能性が十分にあります。

 私は、ギリシャについては、本来、もう少し前にデフォルトした方がよかったというふうに思っています。もちろん周りの国に影響しないように、十分な支援を準備した上でデフォルトさせて、ギリシャ通貨を切り下げさせた方がよかったんじゃないかというふうに思っておりますが、それをやっておりませんので、競争力の回復がないままに引き締めを続ける。これがしばらく続いていくから、いつまでこれに国民が耐えられるのか、国内の治安が維持できるのか。また、観光業はGDPの一八%ぐらいを占めて非常に重要な産業ですが、あんな状況の国ですと遊びに来る人もいなくなります。こういった点で、非常に大きな問題点がある。

 そういう意味では、私は全く予断を許さないと思いますし、多分、ユーロの中にとどまったままであれば、十年単位であるいは二十年単位で資金をずっと流し続けることが必要で、これに対する維持可能性というのは余りないと思った方がいいというふうに思っております。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 国分参考人、質問ができなくて大変申しわけございませんでした。

 終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野貴博君。

浅野委員 新党大地・真民主の浅野貴博でございます。

 委員長初め委員の皆様、きょうも長時間の審議、御苦労さまでございました。また、参考人の四名の先生の方々、私が最後の質問者でございますので、ひとつ元気を出していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょう、四人の先生方のお話を聞きまして、各それぞれの分野で専門家として活動されてきた非常に含蓄に富んだお話を伺えました。ありがとうございました。

 その中でも、深尾参考人と国分参考人のお話、非常に対照的でして、印象に強く残っております。消費税増税がデフレ脱却にどのような効果を有するか、マクロ経済、ミクロ経済、それぞれの視点からのお話がありました。

 私がざっくりあえてまとめさせていただきますと、深尾参考人は、消費税増税により前倒し効果、同時に社会保険料カット等によって雇用も拡大ができると。一方で、国分参考人は、消費税増税になれば、中小企業は価格転嫁できない、経営がさらに大変だ、雇用も不安定化する、ふえたとしても派遣社員等不安定なものになるだろうと。

 私が成人したころはもうデフレが始まっておりまして、派遣社員というものが大きくふえた時期でございました。お二人の意見の違い、非常に興味がございます。それぞれがそれぞれの御意見に対してどのような反論なり意見があるのか、そういったことを、理解を深めるために教えていただければと思います。

 深尾参考人からお願いできればと思います。

深尾参考人 私が申し上げていますのは、消費税の増税だけではまずいのではないか、つまり、何らかの景気刺激策を同時にとらないと苦しいのではないか。そのためには、現在の予定されている消費税の増税の五%は小さ過ぎるのであって、むしろもう少し大きくした上で、そのうちの一部を景気を刺激できるようなことに使った方がいいのではないかということです。

 もちろん、消費税を上げますと、それは付加価値に対する課税ですので、企業の人件費、中小企業の場合ですと人件費が大きいわけですが、これにかかってくるわけであります。しかし、同時に社会保険料をある程度カットしてやれば、雇用主負担と、手取りがふえてくるということになります。

 もう一つは、低所得の方については、現在の定額の国民年金、これは人頭税に当たるわけでして、一万五千円、毎月人頭税を払うというのは非常に無理があって、所得の低い人は払えないわけで、部分免除や全額免除をしているわけであります。

 こういう人に対して、もう定額の国民年金の負担をやめる。日本に住んで消費税を負担していることを証明すれば、それで払ったこととみなすことによって、無年金者を将来にわたって減らしていく。これから、消費税を例えば一〇%まで上げた段階以降に消費税を払った人については国民年金の負担をやめる、こういうことであります。

 これによって、消費税を払っていた期間を加入期間に算入していく。こういうことによって、低所得者層に対する対応もしながら、消費税を増税して財政の赤字を減らしていく。大変欲張りな政策のミックスを提案しているわけですが、要は、消費税をじわじわ上げて、これによって前倒しの効果を何年かにわたってずっと発生させる。

 もう一つは、このうちの一部を、雇用コストを下げるといいますか、社会保険料のカットとそれから国民年金の定額負担の廃止に使って、これで消費税を一〇%に上げた場合の逆進性の対応策にする、こういうことのミックスで提案しております。

国分参考人 先ほどからデフレの問題という話が出ていますけれども、デフレ経済がどんどん進んでいったらどうなるんですか、日本の経済は。もうこんな、だんだんだんだん小さくなるだけですよね。そういう中での消費税の導入で、内税化するということはどうなのかというふうに疑問を持っています。

 日本国憲法は国民主権だ、国民に税金の問題を知らせないで税をかける、このことは一体どうなのかというふうに思いますよね。租税法律主義、だからこそ、いろいろ論議をして、法律をつくって、それでやっていくというところはわかるんですけれども、そういう点で、国民の認識無視、知る権利を閉ざしていくのではないのかというふうにも思っております。

 以上です。

浅野委員 ありがとうございました。

 限られた時間で、最後の一問を四人の参考人の方々それぞれにしたいと思うのです。

 先ほど、新党きづなの渡辺議員から、デフレ脱却、円高是正、消費税増税、どれを優先順位をつけてやるべきかという質問が犬飼参考人にございましたけれども、この三つ、円高、デフレ、どちらも対応が喫緊の課題だと思っておりますと同時に、消費税増税も、いつかの時点では実際に検討して実現をしていかなくてはいけないのかと思っておりますが、その前にやるべきことがあるのではないのかというのが国民の皆様の偽らざる感覚だと思います。

 例えば、我が新党大地代表の鈴木宗男が、一人会派のころから、国家公務員、国会議員の特権をなくすのが先だ、国会議員は定数を減らす、歳費も減らす、国家公務員の給料も、申しわけないけれども減らしていただくと。そして、我々が実際に痛いほど身を切ってから初めて消費税を増税するんだ、それこそが国会議員、政府、政治に対する信頼の回復だという主張を以前からさせていただいておりました。新党大地・真民主も、メンバー全員が一致してその思いを持っております。

 ちょっと趣旨を変えた質問をさせていただきたいんですが、もし我々国会議員が、政治がそのようにみずからの身を切ることを実際に実現できたとき、それがマーケット、市場にどのように映るのかな。特に、マーケット、市場を構成している各中小零細企業の方々の目にはどのように映るのか。

 同時に、それができずに、今後もまた、実際に定数削減、この間の与野党協議会、衆議院でも成案を得ることはできませんでしたけれども、今のまま何も決められない国会のままで、円高、デフレ是正、そして消費税増税の話をしていったときに、それがまたマーケット、市場に、各企業の皆さんにどのように映るのか、それぞれの御見解を教えていただければと思います。

中井委員長 浅野君、大変幅広い御質問で、あと二分しかありませんから、済みませんが、犬飼さんと加藤さんだけにしていただけませんか。

浅野委員 はい。

犬飼参考人 今の御趣旨でございますけれども、そういう覚悟を持ってやるんだということを、国会議員の方々あるいはお役人の方々がそういう気持ちを持って覚悟されるということは非常にとうといことだと思いますが、それによってマーケットがどうなるのかというのは、申しわけないんですが、全く別の話ではないかというふうに私は理解をしております。

 以上です。

加藤参考人 定数削減という決意で国民に消費税増税への理解を得て将来的な増税を担保するというパッケージを示すということ自体は、海外投資家に日本国債を売るチャンスを踏みとどまらせるということはあるだろうと思いますけれども、ただ、基本的には、中長期的にはしっかりと財政再建をしていくというスタンスを海外に示していくということが必要で、そのための一つの手段としてあり得るのかなというところでしょうか。

 及び、イギリスの政治というのはヨーロッパにおいて比較的機能していると思うんですが、その場合、定数配分の、政治からの中立的な機関が選挙区を割り振っているという制度がイギリスにありますけれども、ああいったようなものも一つ参考にしながら、国民の声が議会に適切に反映されるというようなことで、政治への信任を高めながら財政再建をしていくというスタンスも大事だろうと思います。

浅野委員 ありがとうございました。

 きょうお伺いしたお話を我々国会議員ひとしく共有して国政の運営に努めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位には、御多用のところまことにありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。(拍手)

 参考人の方々はどうぞ御退席ください。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、三案審査のため、去る二十四日、第一班滋賀県、第二班千葉県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班笹木竜三君。

笹木委員 滋賀県に派遣された委員を代表いたしまして、団長にかわり私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、中井洽委員長を団長として、理事若泉征三君、小池百合子君、委員近藤和也君、室井秀子君、山田良司君、湯原俊二君、小里泰弘君、金田勝年君、橘慶一郎君、竹内譲君、山内康一君、中島正純君、松木けんこう君、私、笹木竜三の十五名であります。

 去る二十四日、大津市内の大津プリンスホテルにおいて会議を開催し、大津市長越直美君、甲賀市長中嶋武嗣君、滋賀建機株式会社取締役会長蔭山孝夫君及び滋賀県行政書士会会長盛武隆君の四名から意見を聴取いたしました。

 まず、越君からは、子ども・子育て支援策の充実強化、外国語教育充実の必要性などの意見が、

 次に、中嶋君からは、鳥獣被害防止対策の推進、防災対策としての道路関連予算の増額確保などの意見が、

 次に、蔭山君からは、中小企業対策費拡充の必要性、地域社会を支える中小企業の役割の重要性などの意見が、

 最後に、盛武君からは、知的資産に対する公的格付制度の創設、納税に係る延滞税の軽減措置の必要性

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、地方財政の充実強化、消費税率の引き上げに関する評価、新名神高速道路未着工区間の凍結解除、TPP、環太平洋パートナーシップ協定に対する評価及び地元農業、経済への影響、マイナンバー制度導入の課題、鳥獣被害防止総合対策交付金の確保などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御確認願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 次に、第二班鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 千葉県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、理事武正公一君、若井康彦君、石破茂君、高木陽介君、委員金森正君、櫛渕万里さん、村越祐民君、山岡達丸君、赤澤亮正君、佐田玄一郎君、山本幸三君、塩川鉄也君、中後淳君、阿部知子さん、そして団長の私、鉢呂吉雄の十五名であります。

 会議は、去る二十四日、千葉市内のアパホテル&リゾート東京ベイ幕張において開催されました。

 会議におきましては、千葉県浦安市長松崎秀樹さん、千葉県香取市長宇井成一さん、中央大学研究開発機構教授石原研而さん及び東日本大震災被災者支援千葉西部ネットワーク代表永田研二さんの四名から意見を聴取いたしました。

 まず、松崎浦安市長からは、公共土木施設に対する液状化対策を東日本大震災復興交付金の対象として認める必要性、地方の実情に合わせた復興交付金制度の運用のあり方などの意見が、

 次に、宇井香取市長さんからは、東北三県に限定されない、被害の実態に応じた支援の要望、家屋の解体、修繕に伴い発生する災害廃棄物の取り扱いの明確化などの意見が、

 次に、石原中央大学教授からは、液状化に関する調査研究、技術開発に取り組むための体制整備、戸建て住宅等の液状化対策への公的支援の必要性などの意見が、

 最後に、永田代表からは、放射線量に関する国による適切な情報収集、提供のあり方、市民による自主的な放射線量測定や除染活動に対する自治体の積極的な協力の必要性

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から意見陳述人に対し、液状化被害の経験に基づく今後の液状化対策のあり方、液状化被害に対処するための復興交付金制度の改善の必要性、地域防災計画に女性、子供、障害者等の視点を取り入れる必要性、農地の液状化被害に対する国の支援策、液状化被害に差が生じた要因、放射線からの学校給食の安全確保策などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただき、極めて円滑に行うことができました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

中井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の滋賀県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十四年二月二十四日(金)

二、場所

   大津プリンスホテル

三、意見を聴取した問題

   平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 中井  洽君

       近藤 和也君   笹木 竜三君

       室井 秀子君   山田 良司君

       湯原 俊二君   若泉 征三君

       小里 泰弘君   金田 勝年君

       小池百合子君   橘 慶一郎君

       竹内  譲君   山内 康一君

       中島 正純君  松木けんこう君

 (2) 意見陳述者

    大津市長        越  直美君

    甲賀市長        中嶋 武嗣君

    滋賀建機株式会社取締役会長          蔭山 孝夫君

    滋賀県行政書士会会長  盛武  隆君

 (3) その他の出席者

    予算委員会専門員    春日  昇君

    財務省主計局主計官   鑓水  洋君

     ――――◇―――――

    午後零時五十七分開議

中井座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団団長の中井洽でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算の審査を行っているところでございます。

 本日は、三案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当大津市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、民主党・無所属クラブの笹木竜三君、若泉征三君、近藤和也君、室井秀子君、山田良司君、湯原俊二君、自由民主党・無所属の会の小池百合子さん、小里泰弘君、橘慶一郎君、金田勝年君、公明党の竹内譲君、みんなの党の山内康一君、国民新党・新党日本の中島正純君、新党大地・真民主の松木けんこう君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 大津市長越直美さん、甲賀市長中嶋武嗣君、滋賀建機株式会社取締役会長蔭山孝夫君、滋賀県行政書士会会長盛武隆君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず越直美さんに御意見をお述べいただきたいと存じます。

越直美君 それでは、着席して意見を述べさせていただきます。

 まず、本日は、このような場で意見を述べる機会を頂戴して、本当にありがとうございます。

 私は、本日、大津市長として、大きく三点について意見を申し上げられればと思っております。まず一点目が人口減少、少子化の問題、そして二点目が財政の問題、さらに三点目は教育の問題、大きく三点述べさせていただきます。そして最後に、少し交通の問題について述べさせていただければと思っております。

 まず一点目の人口減少、少子化の問題ですけれども、日本全体では、二〇〇五年から人口が減少しているという状況ですけれども、大津市では、今現在、人口は増加しております。大津市の現在の人口は三十四万人です。これはまだふえています。しかし、五年後には大津市でも人口が減少するというふうに言われております。こういった状況の中で、今、どうしたら大津市の人口を減らさないか、ずっと日本では人口が減っている中、大津市は人口を減らさずにこのまま成長していきたい、そのように思っております。

 なぜ、日本全体では人口が減っているか、大津市でも今後五年たつと人口が減っていくか、その原因について少し述べたいというふうに思っております。

 まず、私自身の経験、そして大津市の状況からしても、やはり女性が今の世の中で二者択一を迫られている、そのことが女性が子供を持ちにくい、そういった状況をつくっているものと思っております。

 大津市の状況を申し上げますと、滋賀県全体ではありますけれども、女性が結婚して出産して仕事をやめるということで、女性の労働者人口、M字カーブが、二十代のときは働いているけれども、三十代になると仕事をやめてしまう、その割合が、滋賀県では三十歳から三十四歳の女性の労働率というのが一番低くなっていまして、それが六〇%を切っております。これは全国的に見ても低い割合です。全国平均よりも低い割合です。

 そういった中で、やはり私自身、今子供がおりませんけれども、東京とアメリカで弁護士として働いてまいりまして、今の状況の中では子供を持って子育てをするのがなかなか難しい、そのように考えてまいりました。

 一方で、大津市では、多くの女性は、今申し上げたとおり、三十歳から三十四歳の間で六〇%、二十代の間は働いているけれども、仕事をやめてしまうという方が多いです。そして、私自身もそういった女性に話を聞きますと、やはり一度仕事をやめてしまうと、次に働くことは大変難しいです。今の就職が困難な時期で、一度仕事をやめてしまうと同じ職場には戻れない。また、仮に違う条件で仕事が見つかったとしても、条件の悪い仕事になる。そして、そもそも子育てをする場所がない。これが今の現状だと認識しております。

 これに対して、今、大津市ではどういうことをやっているか。子育て支援策としてやっている状況を申し上げます。

 大津市では、まだ待機児童も大変多いです。本年度末で、待機児童の数として三百人から四百人程度の待機児童が見込まれております。そして、過去十年間で、大津市の保育園の申し込みというのが、人口比にして二〇%から三〇%にふえております。過去十年で一〇%ふえている。

 その間、大津市としては、決して手をこまねいていたわけではなく、さまざまな対策をとっております。大津市としては、民間保育園、十四園ほどふえていますけれども、そういったものについて補助金を出す、また、保育園の定数をふやす、定数を上回る受け入れも現在行っております。そして、幼稚園でも預かり保育というものを行っております。

 しかし、幼稚園、保育園をどんどんふやしたとしても、毎年毎年待機児童の数はふえています、やはり保育園がふえるともっと預けて働きたいというお母さんは大変多いです。こういった状況の中で、大津市としては、今後、保育園もふやしていくし、幼稚園での預かりもふやしていくと思っております。

 そこで、こういった大津市の状況を踏まえて、国に対する要望、これについては、まず一つ、今提案されております子ども・子育て新システムについては、施行されることによって待機児童が解消されるということで、肯定的に捉えております。

 しかし一方で、大津市から見ると、地方から見ると、問題点というか課題が幾つかあるのかなというふうに思っております。

 大きく三点ぐらいございますけれども、まず一つは、やはり財源がよくわからないということがございます。これは、子ども・子育て新システム自体、消費税の増額というのとセットになっていると理解しておりますけれども、消費税が上がった分、八%になる、一〇%になる、そのときに、どのように保育内容の充実が図られるのかというところがまだよくわからないかなというふうに思っております。

 また、二点目として、制度として、もともとは保育園も幼稚園も総合こども園に移行するということが、今は、保育園の方は移行するけれども、幼稚園はよくわからない部分もあります。そういったところで、現場でも、大津市としても、今後どのようにしていけばよいかというところで少し混乱が生じております。

 また、三点目としても、国の方でも、新システムの所管自体、内閣府、文科省、厚労省にまたがって、一元化されていない。そのことによって、大津市の中でもまた少し混乱があるのかなというふうに思っております。

 まず、今のが最初の人口減少、少子化についての大津市の課題であり、要望であります。

 次に、二点目で財源のお話をさせていただきます。

 大津市は、今後の課題として、私自身の施策としても、今申し上げた子育ての問題、そして高齢者の福祉というものに力を入れていきたいと思っております。今現在の大津市の高齢化率というのは二〇%です。しかし、今後どんどん大津市でも高齢化することが予測されております。

 そういった中で、大津市の財政というものについて少し触れさせていただきますと、今、一般会計が約一千億強です。そういった中で、扶助費というものがやはり非常に大津市でもふえております。十年前は扶助費一〇%でしたけれども、現在二五%、二百五十億ぐらいが扶助費となっております。そして、扶助費がふえる一方で、大津市としては、この十年間で投資的経費というものを削減してまいりました。十年前は二〇%、今は一〇%以下です。このように、大津市としては、やれることはやってきている。もちろん、私自身もこれから行財政改革をやりたいと思っていますけれども、なかなか地方としては厳しいところもございます。

 次に、国に対する要望ということですけれども、これについては、現在、税と社会保障の一体改革というのが議論されています。そういった中で、改革の方向性としては、消費税を上げて、その分を社会保険であったり、未来への投資であったり、貧困、格差の問題に使われるということで、大津市としては、仮に消費税が一〇%まで増額されると、地方消費税の分として三十二億税収がふえるというふうに予測しております。消費税を上げる前に国でも改革をしていかなければいけないというのは当然の前提として、やはり消費税を上げることは、大津市としても、地方としても必要なものだというふうに認識しております。

 そして次に、三点目として教育の問題、これについては、大津市の課題と私自身の経験を含めて少しお話しさせていただければと思っております。

 教育の問題として、やはり外国語教育というのが一つの課題に挙がってくると思っております。

 私は、二〇〇八年から二〇一一年まで、アメリカでロースクールに行ったり、アメリカの法律事務所で働いたりということをしていて、自分自身の英語力不足というのを改めて感じました。そして、日本と海外の合併の交渉をする弁護士として働いてまいりました。そういった経験で、やはり日本人の基礎的な英語力が足りないというふうに認識しております。

 それは、例えば、私自身ハーバードに留学していましたけれども、年々日本人留学生の数が減っている。また、客観的な状況としても、英語のテスト、TOEFLのテストでも、日本のランキングというのは百六十三カ国中百三十五位というふうになっていて、中国や韓国よりも低いという状況になっております。

 また、私はニューヨークの国連の本部で研修をしておりましたけれども、その際も、日本人の職員が少ないということが非常に問題になっておりました。国連における日本の分担金というのは一二%ですけれども、通常、分担金に応じて職員をとるというふうになっていますけれども、日本人職員の数は四%ということで、分担金に応じる職員の数が確保できていない。そして、そもそも英語ができないので試験に受からないというところに原因がございます。

 そういった中で、まずどうしていくかということで、大津市としては、今後、英語教育というものに力を入れていく、外国語教育に力を入れたいというふうに思っております。しかし、文科省の指導要領というものがある中で、市でできることも大変限られております。

 そこで、国に対する要望ということですけれども、現在、平成二十四年度の予算において、世界に雄飛する人材の育成というキーワードのもとで、人材育成に関する予算が重点的に措置されたことは非常に喜ばしいことだというふうに思っております。しかし、さらなる外国語教育に対して、国も検討するし、大津市の方でも進めていければと思っております。

 そして最後に、交通に関して、今、新名神高速道路について、大津市から城陽の間というのは当分着工しない区間というふうにされていますけれども、今、大津市では、名神高速道路が非常に渋滞しております。そういった意味でも、新名神の着工されていない区間の早急な着工をお願いできればと思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

中井座長 ありがとうございました。

 次に、中嶋武嗣君にお願いいたします。

中嶋武嗣君 甲賀市長の中嶋武嗣でございます。

 本日は、中井座長さん初め各委員の皆さん方にこのようなお席を与えていただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。

 失礼して座らせていただきます。

 私どもの町は、忍術の甲賀で全国的な知名度をいただいております。本日の座長をお務めいただいております中井先生におきましては、伊賀流の忍術の発祥地、伊賀市の御出身でもございます。ゆえに、甲賀流と伊賀流は敵対関係、これが通説になっておりますが、全く根拠のない説でもございまして、甲賀市と伊賀市は県境を越えた広域行政の連携の中で行政同士がおつき合いをさせていただいておりますが、お互いに特色のあるまちづくりに懸命に努めさせていただいているところでございます。

 さて、我が甲賀市には、大小百九十九の自治区や自治会がございます。過疎傾向にあり限界集落に近いところ、あるいはまた高齢者の多いところなど、抱える問題はさまざまでございますが、私どもの町はこれら一つ一つから成り立ち、小宇宙のように、どれ一つもなくしてはならないという、その思いのもとに独自の制度をつくりまして、地域コミュニティーの確立を目指しております。住民の日常から人の和が生まれ、さらには、今見直されておりますきずなの基本にあるものと確信をいたしております。

 同時に、滋賀県は現在十三市六町の自治体で構成され、かつての幕藩体制から今日の分権国家姿をイメージとして捉えられる国は、今四十七都道府県によって成り立っております。

 さまざまな要因によって、内政、外圧ともに課題のある国難の時代と言われる昨今ではありますが、予算編成に当たり、いわゆる三党協議において、地方交付税等につきましては、地方税収等合わせました中で実質的に前年度水準とし、地域活性化を予算の重点配分の一つの柱として位置づけられましたことは評価できるものであり、ぜひとも国の隅々まで国策が行き渡るようにお願いをいたしまして、平成二十四年度の国家予算案に対する意見を述べさせていただきます。

 限られた時間でありますので、大きく三点申し上げさせていただきます。

 まず一点目は、農林業に係る野生獣の駆除の対策についてであります。

 野田総理は、昨年十一月、ハワイで行われたAPECにおいてTPP交渉への参加を表明され、国民的議論が沸いております。農林業団体や医療、製薬関係からは、死活問題として反対運動が起こっております。

 この二月七日の初めての日米事前交渉において、米を含む全品目が対象とのことで、農業関係の各方面への反対の波紋が広がっております。もはや、私たちは農政を当てにする余裕はなく、天と地を相手に生きる農業は時代におくれた存在と見下され、自主自立を歩む以外にはすべはないものでしょうか。

 そもそも日本の農業は、身土不二の言葉がありますように、食料自給率の向上をもっての地産地消が基本であります。二宮尊徳翁の報徳の心、経済と道徳がまさに問われるゆえんがあります。

 滋賀県の場合は、盆地の中央に県土の六分の一を占める琵琶湖があり、残りのうち約半分が山林、農地は一四%ほどであります。米や野菜は京、大阪の台所としての役目を果たしております。地形的には、平野部が少なく、多くは山間での営農形態で、最近、野生獣によります被害が顕著になってきております。

 平成二十二年度の実績でありますが、県下の捕獲数は、ニホンジカが九千六百十三頭、イノシシが三千八百二十五頭、カワウが二万六千三百四十三羽となっております。その被害面積は約一万一千平方キロメートルに及び、その規模は東京ドームの約二百三十六個分に相当し、被害総額も本県全体で四億六千万円余りに上っております。

 ニホンジカは県下に推定で六万七千頭から七万七千頭いるものと推定されております。ちなみに、奈良公園の鹿全体で一千二百頭であると言われております。

 このほか、ニホンザルに至りましては、当市だけでも六十から七十頭を一団とした十三の群れで約千頭を確認し、当市では、県下でいち早く、四年前に庁内に専門の鳥獣害対策室を設置するなどの策を講じておりますものの、一定の距離を保ちながらの共生は理想でしかないと言わざるを得ない実態でございます。

 野生獣は、農地のみならず、市場用出荷野菜や家庭菜園食害、さらには、市街地まで出没し、猿に至っては、宅内の侵入を含め、高齢者の生きがいを奪い去るばかりか、住民への危害を加える事例も出ている深刻な状況であります。

 さらに、夜間ともなりますとサファリパークの様相を呈し、道路への飛び出しによる自動車の損害や、動物を避けるための自損事故など、警察が把握する事故だけでも県内で年間百件を上回る状況であり、これ以上に相当発生しているものと思われます。

 国におかれましては、平成二十三年度において鳥獣被害防止総合対策交付金を創設いただいたところでありますが、平成二十四年度予算案では、二十三年度、前年度対比一六%減の国全体で九十五億円にとどまっております。

 この際、荒廃化が進む山林への手当てや里山の保全など、総合的な政策は無論でありますが、緊急的な措置として、中山間地域への防護柵助成の延長を初め、駆除に係る経費の助成、生け捕り捕獲後の処理対策の明確化、猟従事者の後継者の確保、夜間でも銃により捕獲できる特別地域の創設などにつきまして、TPPに係る農業問題と同様に、重要な国策として積極的な推進を図っていただき、農家の意欲、ひいては自給率の向上を目指されることをお願いするものでございます。

 二点目に、国の公共事業のあり方について申し述べさせていただきます。

 公共事業は年々縮減傾向にあり、平成二十四年度は前年度対比八・一%、予算ベースで四千九億円の減額となっております。

 特に、昨年は、東日本大震災、その翌日の長野県北部地震、台風十二号による紀伊半島豪雨災害など、自然界が猛威を振るい、各自治体では防災や減災への取り組みに力を入れております。一方で、当市を含めた地方自治体が、道路の確保について、改めてその重要性の認識を深めたのが共通の話題であると思っております。

 万が一、大規模災害に見舞われた際には、集落を孤立させてはなりませんし、また、各地から救援に向かう主要幹線の寸断を防ぐためにも、複数の道路が整っていることが大切でもあり、橋梁の長寿命化、耐震補強等の早期の実施も、昨年の相次ぐ天災が残した大きな教訓であると言えます。

 とりわけ、かつては、近江を制する者は天下を制すと信長公にして言わしめた、国土のど真ん中に位置するこの滋賀県におきまして、道路の要所と今も言われておりますが、東西軸と南北軸の重なる滋賀県におきましては、国の道路関連予算の配分が、約三十年間に連続して何ゆえか四十六位という下位の状態が続いております。

 国から頂戴いたします道路予算は九十一億円という状況であります。これが、百四十万人の人口を抱える滋賀県の、道路事情は申し上げるまでもございませんが、国土の要所としての道路幹線は、治山治水、河川を一体として考慮されるべきであり、これらの分を含めた増額の強化をぜひお願いいたしますよう御期待を申し上げる次第であります。

 さらには、震災対策と密接に関係いたしますが、住宅耐震化の支援制度についてであります。

 地方には、都市に比べて街道文化に基づく町家の古い住居が多く、耐震化が重要な住宅が多くあります。平成十六年以降、国の制度をもとに、民間住宅の耐震化に取り組んでおりますが、耐震改修には多額の自己負担が伴いますことから、現在の状況から見て、これを加速させることは大変難しく、現行の所得税控除などの一部優遇制度に加え、例えば耐震診断により補強をいたしましても、一定の耐震強度が得られず、改築を希望されるような場合におきましては、補助制度やローン金利の優遇など有利な融資制度の創設に改められないか、地方の実態として申し上げさせていただきます。

 最後に、三点目となりますが、国の危機管理について申し上げます。

 平成二十四年度予算案では、東日本大震災の復興に係る特別会計として措置された、国民にわかりやすい事業推進に向けられることは評価すべきであると考えております。

 一方では、一昨日の新聞で報じられておりましたが、東京湾北部地震について、文科省プロジェクトチームの調査で、震度七になる可能性があると指摘されました。また、先月には、東京大学地震研究所から、首都直下型によるマグニチュード七級の地震が南関東で四年以内に発生する確率は七〇%に高まった可能性があるという発表がございました。

 いずれにいたしましても、大地震のリスクの高い首都東京が一極集中のままでいいのかという疑問と不安が募ります。

 このことを解消すべく、首都機能移転の議論が再燃しつつございますが、平成四年に成立を見た国会等の移転に関する法律に基づき、当市を含めた滋賀、三重は、移転先候補となる可能性のある三重・畿央地域としての指定を受けた経緯がございます。当然、過去数百年の事例により、候補地指定では、一定の安全性が確保できるということが担保されての指定であると思います。

 そして、何よりも安全、安心な水がなくしては、人は生きていけません。この三重・畿央地域は、約三百万年前には古琵琶湖でございました。古琵琶湖層という強固な頁岩がたたえる清水は、やがては琵琶湖の源流となり、首都機能を支える命の水としてしっかりとバックアップできるわけでございます。今、ホットな話題のリニア中央新幹線構想も、名古屋以西のルート上に当地域がございます。

 よって、大都市のような声の大きなところばかりに日が当たることのなきよう、地域間格差の是正も踏まえまして、未来の国土づくりにふさわしい大きな視点で、国家、国益の議論を高めていただくことを御期待申し上げまして、私の陳述とさせていただきます。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

中井座長 ありがとうございました。

 次に、蔭山孝夫君にお願いいたします。

蔭山孝夫君 蔭山でございます。

 まず、冒頭にお礼を申し上げます。

 一昨年の六月に、我々、待望の中小企業憲章を閣議決定していただきまして、まことにありがとうございました。座らせていただきます。

 本日は、滋賀県中小企業家同友会の代表として、また一企業人として陳述をさせていただきます。三点ございまして、質問と要望の順番でやらせていただきます。

 その前に、まず中小企業の現状を概略御説明申し上げます。

 まず、中小企業家同友会という組織は、現在、全国に四万二千七百社の会員がおります。滋賀県は現在六百十社でございまして、私はちょうど丸十年間代表理事を務めてまいりまして、中小企業の現状をつぶさに見てまいりました。

 そしてまた、私は、今から四十二年前に三十歳で会社を創業いたしまして、この四十年にわたりまして、経済の流れを一生懸命追ってきた時代でございますが、その中で、ここの十年、間近にいえば五年間、五年前から本当に不透明な時代に入りまして、本当に中小企業の危惧される時代でございます。その辺を御説明申し上げます。

 現在、滋賀県には約三万九千社、平成二十一年の数字でございますが、会社、事業所がございます。割合で申しますと、そのうちの九九・八%が中小零細企業でございます。そしてまた、滋賀県は、特に二十人以下の小さな会社が、率で申し上げますと、八二%が二十人以下のところでございます。これが、現在、リーマン・ショック以降、デフレの問題、いろいろな問題で、後継者がいない、廃業をする、そんな状況でございます。我々は、地元の中小企業として、やはり地元の雇用を創出もしております。それが現在、疲弊しているわけでございます。

 また、データをちょっと調べてみたのですが、中小企業の赤字が毎年ふえ続けているんですね。データによりますと、一九五一年と申しますから昭和二十六年でございますが、これは黒字の中小企業が八三・五%もあったんです。それがずっと減り続けまして、二〇一〇年のデータでは、中小企業の黒字はわずか二五%まで減っております。逆に言うと、七五%弱が赤字だということでございます。

 こういうことで見ると、日本の経済自体が、仕組みがもう大きく変わってきた、そういう中で中小企業も大変苦慮している、そんな状況を御説明いたしまして、ことしの予算を、三日前にこんな分厚いのを送っていただきまして、私も初めて見まして、えらい賢い人がつくるんやなということで一応見させていただいて、もう全部見られませんから、私に関係のある中小企業のところだけを見させていただきました。

 そうしますと、ことしの中小企業対策費として三千三百五十六億円が計上されております。そのうち震災復興資金を除きますと、約千八百億円の予算になっています。日本の総予算から見ると約〇・二%、余りにも低いじゃないかということで、これから中小企業を育ててもらわないかぬのになぜこんなに低いんだろうという疑問を持っております。その辺はまたぜひお願いをしたいと思います。

 それから、中小企業庁というのがございますね。これも私たちは企業省に昇格してほしいなということで、当然先ほどの予算にも入れまして、中小企業対策にぜひ力をおかしいただきたいなというふうに思います。

 その中で、中小企業委員会というのがあって、いろいろな委員会があるんですけれども、どうも内容に、あったらごめんなさいですけれども、多分ないと思うので、こういう中小企業委員会も設置をしていただいて、大いに先生方で中小企業の問題を議論していただきたいなというふうに思います。

 それから、憲章の中にこういう文句をうたっているわけですね。中小企業は経済や暮らしを牽引するというような文章で始まっております。だから、こういった文章を国会でいただきましたので我々も誇りに思っているんですが、現実としてはなかなかそうはいかない。

 そして、私も住んでいるところで見ますと、公共の行事とかいろいろなことに中小企業の経営者がたくさん、PTAの会長とかいうのは中小企業の経営者が多いんですよね、お祭りとかイベントなんかに。最近見ますと、もうそういうことをやっていられない。というのは、自分の足元が火の車だからそんなことをやっていられないと言う経営者もたくさんおります。そうしますと、今度、中小企業がだめになると町まで疲弊するんじゃないかな、そんな危惧をしております。

 自治消防団というのがございますが、これも先日の話なんですが、大体地元に住んでいる、火事だったらすぐに駆けつける自治消防団という組織があります。そういうのは最近余りなり手がないというのと、それになる人は地元、そこに住んでいる商店であり中小企業の経営者あるいは社員であり、そういう人になってもらわないと、遠いところに行っている人になってもらうわけにいかない、そういう問題も中小企業からまた派生して起こってくる。そういうことで、いかに中小企業が大事かということをひとつお願いしたいと思います。

 それから、現在、中小企業振興基本条例というのがございまして、これを各県で制定していただく活動を我々やっております。もう七年ぐらい前からやっておるんですが、日本では十六都道府県それから六十九の市町で制定ができました。今滋賀県でもお願いをして、策定中でございますが、どうか年末ぐらいには制定できるだろうと思っておりますが、こういう条例をつくって、それをほんまもんに生かして、中小企業の活性化をやっていく、その意味でもぜひ予算を獲得していただきたい。

 最後に申し上げますが、予算書の中に日本再生の基本戦略ということで四分野がございました。これを見させていただきますと、どうも新規事業に対してはかなり力を入れる予算になっているんですが、既存の方にもう少し目も向けていただきたいなと。大企業とか中堅企業になりますとそういった余裕もございますので、大企業向けじゃなくて、中小企業向けの、既存のところに力も入れていただきたいというふうに思いました。

 まだまだお願いしたいことはあるのですが、お手元に「中小企業家しんぶん」の国の政策に対する中小企業の要望、提言というのがございます。これを帰りの新幹線でも見ていただいて検討いただきたい。それから、「同友しが」というのも入れさせていただきました。これをめくっていただくと、真ん中に「中小企業振興基本条例とは?」と書いております。これもまたアドバイスをいただければと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)

中井座長 ありがとうございました。

 次に、盛武隆君にお願いいたします。

盛武隆君 行政書士会の盛武と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 平素は行政書士制度、なかんずく法改正等に日ごろからいろいろな御支援、御協力を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

 それでは、座らせていただきます。

 お手元に資料が二つ行っているかと思います。委員長宛ての平成二十四年度一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算に関する意見につきまして、要望、意見あるいは希望をまぜまして、述べさせていただきたいと思います。

 私が申し上げたいのは三点ございまして、新たな中小企業、これは小さな町のパパママ店と言われるものも含めての支援策について創設をお願いしたい。それから二つ目に、電子申請というものが、今、電子政府構築が進められておりますが、これについてさまざまな規制緩和が唱えられておりますので、その点についてお話をさせていただきたい。それから三番目として、私どもは今、日本行政書士会連合会それから被災地の行政書士会等を含めまして、二百名以上の行政書士を現場に派遣し、かつ現場事務所を設けまして、被災者の皆様方に寄り添いながら、さまざまな御相談、あるいは東電に対する請求書の作成、そして被災した自動車の抹消登録等についてお手伝いをしているところでございます。その立場からお願いをしたいというふうに思います。

 お手元に説明用の補足資料がございますので、そちらを見ていただきたいと思います。

 資料は二段になっていまして、右端に数字が打ってありますので、これで御説明をさせていただきます。

 今、経済同友会の方からもお話がございましたが、中小企業といいましても、私どもはもっと小さな個人企業、パパママ店を含めまして、事業を起こす起業の段階、あるいは新しくつくる創業、そして事業を展開していく中で、行政に対して許認可手続あるいは資金繰り、その他いろいろな経営問題について御支援をしているところでございまして、その立場から、最近の法的環境について申し上げたいと思います。

 お手元の説明図、1と右に打ってございますが、今、小さな会社等におきましては、経済がこういうふうに不況化してきますと、不動産等の担保がないために銀行等からの融資は受けられないという状況が続いています。

 まして、ものづくりの我が国において、そういった技術あるいは知識が動産、不動産並みに扱えないかというところから、ここ数年、二、三年になりますが、知的資産というものが取り上げられておりまして、これは行政書士が主として取り扱っておりますが、その会社が持っているさまざまな特色、特許にしてしまいますと一般的になってしまいますので、特許化できないもの、例えば秘伝のたれなんというのもあるわけですけれども、そういったものを知的資産経営報告書という形でまとめて冊子にいたします。これを、現在徐々に進みつつありますが、銀行等の融資に、担保としてといいますか、評価して融資をするという動きが出ております。

 お手元の、そこにありますように、知的資産をもっと活用しませんかということなんですが、これを誰が公的な位置づけとして格付するかという問題が生じておりまして、例えば京都府では、京都府中小企業応援条例というのがつくられておりまして、知的資産に一定の評価を与えて、銀行融資あるいは国の制度融資等をあっせんするというような状況が出ております。

 したがいまして、これはまだ民間レベルでございますから、国としてこういった知的資産のランクづけ、格付をしていただきまして、その中小企業が持っている知的資産の程度に応じて融資枠あるいは政府の制度融資等を活用できるようにしていただければ、今、ものづくりが海外流出、あるいは海外がそれを模倣して結局潰れていくというような状況の中で、国内でこういう新たな制度を設けて、国内にとどまらせるということが一番大事ではないかというふうに私ども考えております。ぜひ、そういったものの創設をお願いしたいと思います。

 それから次に、お手元の資料で3、滋賀県警本部がつくっております絵なんですけれども、今、犯罪等収益移転防止法、いわゆるマネーロンダリング法、それから各自治体がつくっております暴力団排除条例というものがございます。これで、私ども資格者も含めまして、取引や契約を行う場合、その相手に対して、あなたは暴力団ですか、こういうふうに問わなければならない。そして、暴力団であるかないかを確認した上で契約をしなければいけない、こういうような状況に置かれています。

 一般的に、あなたは暴力団ですかと聞く勇気があるかということですよね。またそこで、何だ、このやろうという話になるわけでございます。さらに、そこの下に四番で、確約書というものをとれということになっていまして、そこに書いてありますように、暴力団あるいはその関係企業、あるいは総会屋ですとか、いわゆる反社会的団体、行動をとる者等についてしっかりと確認した上で契約しなさい、相手に対して、いや、私はそうではないんですという自認書になっておりまして、一切私はそういうものに関係ありませんというのを書かせる。

 そして、次のページで、5なんですけれども、では、仕事のやりとり、物品の売買等を行う場合に、要するに、私が暴力団であることが将来ばれた場合にはこの契約を取り消しても構いません、あるいは物品等を納入してしまったときに発生した損害等について賠償の責任を負いますという誓約書、契約書をつくる。

 これは、その趣旨は暴力団排除ということで全く賛成でございますけれども、本来、国家権力が暴力団と対峙していたものを、市民世界といいますか、市民対暴力団という構図に置きかえているわけでございまして、ここで被害が生じても本人の責任、しかも暴力団を確認できなかったことが後でばれますと、警察から何らかの処分を受ける。あるいは私ども資格者ですと、印鑑証明とか住民票とかいろいろな、免許証とかで本人確認をいたしますが、暴力団であることを見抜けなくて土地の売買とか登記とかした場合に、その責任を問われるという状況が生じています。

 そういったことで、そこの中でやりとりしているうちに暴力を振るわれる、あるいは恐喝されるというような事態もあるわけでございますので、後で申し上げますが、こういった書類の保存義務というのがあって、マネーロンダリング法では七年間保存しろと。これは、全中小企業者あるいは町の事業主、個人を含めまして、これらを保存するということは大変な量になります。

 こういった保存機関といいますか、これは、事例としては、電子記録債権法というのがありまして、小切手とか手形を振り出しますと、それを紙ベースから電磁的記録にかえて保管する、こういう機関が既に法的に認められておりまして、そういったような暴力団との契約書等、本人確認等の書類を保存する機関、こういったものをつくっていただかないと、個人で七年間ですから、それがどこかになくなっちゃった場合に、責任を問われても立証のしようがないということになるわけでございます。

 それから、その次のところにありますが、今は非常に不況、あるいは災害地における中小企業等において、消費税あるいは社会保険料を企業主、事業主が負担するということが大変なことになっておりまして、給与すら払えない状況の中で、当然、消費税、社会保険料等を従業員やお客様からお預かりしているわけですが、これをどうしても資金繰りが苦しいと資金に流用してしまう。滞納しますと、一五%ですから、すごい税金が加算されていく、延滞税が加算されていく。

 これを支払っていくには、役所と相談しながらですけれども、分割払いする場合に、何とか払っていくには、そういった延滞税等の軽減措置というものを講じてほしいというのが中小企業主等の悲鳴でございまして、払いますよ、しかし、ここだけは堪忍してくださいよと。回数が長くなればなるほど延滞税というのは大きくなるわけでございまして、数百万になる場合もございますから、ぜひ考慮を願いたいと思います。

 それから二つ目ですけれども、オンライン申請というものがございます。電子申請ですけれども、現在、ネットワークを使いまして申請をする場合に、個人の確認と法人の確認というのがありますが、そういったものについて電子的に証明する証明書があります。

 しかし、被災地に行きましては、すごくその証明書等がないわけでございますので、それを今、行政書士等資格者が本人を確認したら、そういった証明書はなくてできるようにという特例はありますけれども、個々の手続ごとの特例なので、それぞれ証明書が要るということになっていますから、そういったものも省略し、かつ、我々が保存したものについて行政が利用できる仕組みをつくっていただきたいと思います。

 言いたいことはたくさんありますが、時間ということでございますので、最後でございますが、今、被災地におきましては、現在の政治状況というものが、この寒さの中で耐えているわけですけれども、待ち切れないという状況になっております。

 いろいろな思いがあるんでしょうけれども、いつも天皇陛下を引き合いに出して恐縮なんですけれども、天皇陛下のお言葉の最後というのは希望しますというお言葉でありまして、期待しますということはおっしゃいません。期待というのは、自分ができないことを相手にできるように期待して、相手にやれと言っていることであります。

 そういった意味でいいますと、今、被災地の人あるいは国民というものは、政治家に対してそういう意味での期待というのはしていない、むしろ希望を持って見ていると思います。希望というのはみずからがなし遂げるという希望でありますので、ぜひ国民の希望、みずから国民も耐え忍び、かつ、政治に新しい未来を見出そうとして頑張っているわけでございまして、そのために投票もしているわけでございますから、政治家そのものも希望を実現していただきたい、これが現地の人たちの、しかも一刻も早くお願いしたいということでございます。

 大企業は不況とかいろいろなことがあれば外国に逃げ出しますけれども、地域住民、特に被災地の皆様は逃げるところもありません。そういった方々の思いを代弁させていただきまして、一日も早く政治が動きますように、そしてまた一方で、地域維新といいますか、地域戦略に国家の戦略が振り回されている状況というのはもう我慢がならない状況でありまして、ぜひ政治家の皆様にお願いしたいのは、国家を担う政治家として、この国をどう持っていくのか、国レベルで考えていただき、地域レベルにかき回されないようにお願いをしたいと思います。

 大変恐縮でございますが、以上で発言を終わります。ありがとうございました。(拍手)

中井座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中井座長 これより委員からの質疑を行います。

 大変恐縮でございますが、委員一人二十分ということになっております。現在のところ、大幅に時間を超過いたしておりますので、意見陳述者の皆さん方もぜひ御協力をいただきますようお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田良司君。

山田(良)委員 民主党の山田良司でございます。

 きょうは、民主党を代表いたしまして御質問を申し上げたいと思います。着座で失礼をさせていただきます。

 まず、大自然の琵琶湖の懐に抱かれた、この大変すばらしい大津市に同行できましたことを心より光栄に思っております。若干自己紹介をさせていただきますが、私も、平成十六年から二十年にかけまして、平成の大合併で初代の下呂市長になりました。当時四十三歳で、東海四県で最年少ということでございました。今回の越市長さんはまさに史上最年少の女性市長ということで、大変親近感を持っております。心からエールを送りたいと思っております。

 三点ほど御質問をさせていただきたいと思います。

 民主党政権に政権交代いたしまして、二年半が経過をいたしました。マニフェストの実行等で大変苦戦もしておりますけれども、我々の一丁目一番地であります地域主権につきましては、その施策において高い評価も受けておるところであります。この民主党の地方重視の政策をどのように評価されておられるか、率直に御意見を承りたいと思います。

 まず、地方交付税であります。

 平成十五年から十八年にかけまして、いわゆる三位一体改革の中で二・二兆円が削減されまして、当時市長でありましたが、大変厳しい状況でありました。政権交代後、二十一年から二十四年にかけまして一・六兆円、我々は地方交付税をふやした。地方重視という形でかじを切ったわけでありますが、この地方交付税の増額についてどのようなお考えをお持ちかということ。

 二点目が、一括交付金の実施であります。

 従来のひもつき補助金から地域の自由裁量に合わせた一括交付金に変えまして、平成二十三年度には九事業の補助金を一括化いたしまして、都道府県を中心に五千億円で実施をいたしました。二十四年においてはさらに十六事業に拡大いたしまして、政令指定都市にその範囲を拡大するという状況の中で予算も八千三百億円にふやす、これまでの地方自治の自由裁量をふやしながら、予算もふやすという形で我々はこの地方重視の政策をとっておる。現場はどのように評価されておるかということをまずお聞きしたいと思います。

越直美君 それでは、今の御質問にお答えさせていただきます。

 地方重視の政策というものについては、よいものだと思っております。

 まず一点目の地方交付税の増額、これについては本当によいものだというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、大津市としても、扶助費が大変ふえている、そういった中で政策的経費が減っていてなかなか新しい政策が打てないという状況になっております。そういった中で地方交付税が増額されていることについてはよいことだと思っており、これからも特段の配慮をお願いできればと思っております。

 次に、二点目の一括交付金化ですけれども、これについても地方の自由裁量が高まるという点でよいものだというふうに評価しております。

 今おっしゃっていただいたとおり、平成二十四年度から政令指定都市ということですけれども、現在のところ、大津市は中核市で政令指定都市ではありませんので、なるべく早く中核市についても対象を拡大していただきたいというふうに考えております。

 以上です。

山田(良)委員 ただいまの御答弁で、さらにこういったことを充実し、拡充を図れというふうに我々受けとめさせていただきます。

 二点目でございますが、市長さんのマニフェストの最初の項目にも触れられておりますが、先ほどの三番目のお話でもございましたが、子育て、教育、こういったものでございますが、その中で消費税についても一定の御理解をいただいたと受けとめております。

 まさに、まちづくりは人づくりで、町を支えているのは人である。そして、将来の町を支えるのは今の子供たちである。子供たちがいかに健全であるかということが、将来の町をはかるバロメーターであると言えるかと思います。そういった意味で、この子育て支援というものには一層の充実を図る必要があると思います。

 そんな中で、大変批判も多いわけですが、我々がとってきております高校授業料無償化、そして子ども手当というこの象徴的な二つの施策でありますが、これをどのように捉えておられるかということをお聞きしたいと思います。

 まず、高校授業料無償化ですが、ばらまきという批判もございますけれども、平成二十一年、二十二年の間におきまして、経済的理由による中退者が大きく減少いたしました。三六・七%。経済的理由で高校へ行けないという人が減ったという実績がございます。また、高校中退者の再入学、いわゆる学び直しというのも一五%増加しております。これは、数字の上からも明らかにこの施策は実効性があるということが言えるかと思います。

 先ほどおっしゃられました英語力の強化ということも、そういった学力のある人も、家庭の事情で、経済的理由で学校に行けないということがあってはかわいそうなわけでありまして、こういった施策の充実を我々はさらに図っていこうと考えておるわけでありますが、どのようにお考えか。

 また、子ども手当におきましても、社会全体で子供を育てる、控除から手当へというような方針の中で行っておるわけでありますが、この二つの施策について御意見をお聞きしたいと思います。

越直美君 それではお答えいたします。

 まず、高校の無償化ですけれども、高校は県立高校で大津市の管轄ではないんですけれども、高校が無償化されたということについては、ありがたいことだというふうに個人的に思っております。高校教育というのは義務教育ではありませんけれども、現実を見ればほとんどの方は高校に進学するという中で、無償化がされたのはよいことだというふうに思っております。

 二点目の子ども手当ですけれども、これについても、人口減少に対応していって子供をふやすということで、今の経済状況の中で、特に私たちの世代、三十代、そして二十代は、経済的に非常に厳しい状況に置かれています。そういった中で、やはり子育てのためにお金がかかるということを市民の皆様からもお伺いしております。そういった意味で、子ども手当というのも、今後の子育て、そして人口増という意味でもよいものだというふうに考えております。

 以上です。

山田(良)委員 ありがとうございます。大変意を強くしたところでございます。

 越市長さんに、最後、三点目、コメントだけで結構であります。

 人口増の話が冒頭にありました。とにかく人口を減らさないんだ、ふやすんだということで、まさにそのとおりかと思います。そこで、最年少の女性市長さんといたしまして、このことにつきましてちょっと御意見を伺いたいんです。

 観光ということが、この大津市においても一つ大きなポイントになってくるかと思います。これから日本全体の人口が減る中で、人口が減っても元気な町をつくる、国をつくると考えたときに、定住人口のみならず交流人口に着目しなければいけないと私は思っております。よそから来た人の活力を地元の活力に取り込んでしまう、交流人口の活用こそがまさに観光であるというふうに思います。

 そういう中で、この大津市は地理的にもいろいろな状況にも大変恵まれておるところだと思います。ぜひとも市長みずからが、トップセールスマンとしてこの大津市を全国に発信していただきたいというふうに思います。特にコメントがありましたら。

越直美君 ありがとうございます。

 私自身、大津市としても観光に力を入れて、交流人口もふやしていく、そのことによって大津市の税収をふやしていければと思っております。大津市のセールスポイントとしては、やはり京都に近い、京都から十分であるということ、そしてこの日本一大きい琵琶湖があるということを生かして観光行政に力を入れていければと思っております。

 以上です。

山田(良)委員 ありがとうございました。

 続きまして、蔭山陳述者にお願いしたいと思います。

 中小企業でございますが、日本の場合は九九%が中小企業ということでありまして、我が国の経済と雇用を支えておるわけであります。まさにその中小企業の技術力こそが、日本の誇りであると言っても過言ではないかと思います。

 そんな中で、昨年の三・一一の東日本大震災が日本全体に与えた影響というのははかり知れないものがあるわけでありますが、被災地からは離れておりますけれども、地元企業に与えておる影響、風評被害も含めまして、今どういった影響があるのかということをお聞きしたいと思います。

蔭山孝夫君 震災直後はかなり精神的ショックもありまして、また取引先もありまして、すぐ、一カ月以内に同友会のメンバーに調査をいたしました。そのときは、かなり製造関係が打撃をこうむっておりまして、売り上げも減っておりました。しかし、現在はほとんど影響はございません。

 それから、会員の中に観光関係もおりまして、その観光の方の御意見もお聞きしますと、当初、震災直後はかなりショックがありまして、地元密着型のホテルとかそういうところは少し影響はあったんですけれども早く回復した。ただ、中国の方とかそういう大きなエリアを相手にされているところは大きな売り上げ減少につながった。しかし、それも今徐々に回復はしているけれども、まだ完全にもとに戻っていない、そういうふうに聞いております。

山田(良)委員 ありがとうございました。

 そういった大変厳しい状況の中ですが、これから社会保障と税の一体改革で消費税ということが今大変議論されておるわけであります。年金とか社会保障、恒久政策には恒久財源という鉄則がありまして、一年や二年でやめるような政策ではない、ずっと続ける政策には恒久財源が要るんだという鉄則の中で、消費税というのはもう避けて通れない。埋蔵金にしても、いろいろな形でつくり上げた、行革からつくり上げたお金にしても、ワンショットでありまして、なくなってしまえば終わりである。これを続けていくにはこういった恒久財源が必要なんですが、この消費税というものに対して、中小企業のお立場でこの局面をどういうふうに捉えておられるかということが一点目。

 そしてもう一つが、法人税を減税いたしましたが、七五%が税金を払えていないんだ、そんなときに法人税を減税してもらったって大企業が喜ぶだけだというような声も聞かないわけではありませんが、この点につきましてどのような感想をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

蔭山孝夫君 一点目の消費税なんですけれども、これも会員に調査しましたところ、少し反対の意見が多いんですね。パーセンテージでいうと六〇%ぐらいが反対で、二八%ぐらいが賛成で、あとはちょっとわからない、こういうふうに統計からは申し上げられます。

 ところが、我々は消費税の転嫁ができないんですね。百貨店とかコンビニとか大きなところはきちっと転嫁して、お客さんも百貨店だから払うんだと言うて払われるんだけれども、中小零細の商店になると、内税化しましたが、私はあれは失敗だと思うんです。内税にしていますから、千円が、千五十円取れないんですね、千円でいってしまおうと。

 そうすると、これがどうしても取れない。これを取る方法はないかなということで、きのう国会の答弁を聞いていますと、野田総理が、それは努力してください、こういう答弁でしたが、当然、一円でもたくさんもらいたいのは当たり前なんですけれども、今までその努力をなかなかしてくれない。相手が大きいと、消費税分をまけてくれということで、例えば端数を切ってしまう、それが我々中小零細の商慣習になっている。だから、これさえきちっと取れば私は消費税はいいと思うんです。これを何かできる法律でもつくってほしいなと我々は言っているんです。だから、消費税が転嫁できるシステムができれば我々は賛成で、いいわけです。これが一点。

 それから、法人税の件です。

 今先生おっしゃったように、先ほど私もデータを発表しましたように七二%以上が赤字の企業なんですね。だから、赤字のときに法人税を減税してもらっても何の恩典もない。それより、中小企業政策の減税分の何か恩典があればいいかな。当然、黒字になればいいんですけれども、二十何%は黒字ですから、減税して喜んでいる企業ももちろんあるんですけれども、お聞きしますと、大半の人が減税してもらっても何の恩恵もない、それより早く黒字にせないかぬなというのが、我々の会員の現状です。

 以上です。

山田(良)委員 まさに切実な思いとして受けとめさせていただきたいと思います。今、円高・デフレ、そしてリーマン・ショック、さらには震災と、三重苦、四重苦の中での御努力かと思います。

 最後に、自分の意見でございますが、人類の歴史、特に日本の歴史というのは、ある意味、破壊と復興の繰り返しでこれまで来たのではないかということが言えなくもないと思います。破壊というのは、自然災害による破壊もあれば戦争による破壊もありますが、その破壊の中から教訓を酌み取って、さらに前よりもよくなって現在まで来ておるというのが、我々日本人の歴史ではないかと思います。

 今回、大変な試練でありますけれども、このピンチの中からチャンスをつかみ取って、まさに日本の原動力であります中小企業の皆様にはぜひとも頑張っていただき、そして、それを応援するのが我々の仕事というふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

中井座長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 自由民主党の橘でございます。きょうはどうかよろしくお願いいたします。

 最初、ちょっと驚かれるかもしれないんですが、私、万葉の故地、富山県高岡市の市長をしておりましたものですから、質問の際には万葉集を一首詠んでから質問する。こちら琵琶湖の方も、大津京、都から始まりまして万葉集ゆかりの土地でございます。きょうは、そういうことで万葉集巻一、二十番、額田王の皆様御存じの歌を詠んで質問に入らせていただきたいと思います。

  あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る

 では、よろしくお願いいたします。(拍手)

 それでは、お一人に一問ずつはお伺いしたいという思いがありまして、まず、まだお答えいただいていません甲賀市長さんから始めさせていただきたいと思います。

 甲賀市長の中嶋市長さんの方から、野生動物の駆除の問題といいますか、この被害の問題が最初にお話ございました。この問題につきましては、捕獲体制の問題、それから防護体制の問題、またその捕獲した動物、例えばそれをどう処理していくか、いろいろな問題があるわけですけれども、市長さんの御地元、甲賀市において、その辺で一番悩み深いところ、もしもう少し具体的にございましたら教えていただければ大変幸いです。

中嶋武嗣君 今、先生のまさに万葉集をお聞きいたしましたが、私どもは、千二百年前、聖武天皇が、当市、甲賀市に都をつくっていただいたところであります。万葉集が始まる前には、恋に狩りに大宮人が、数多くの方が、あまた甲賀市にはせ参じていただいたという思いをいたしております。それが、万葉人よりも野生獣害がひどいということは大変なことだという、そんな思いをいたしております。

 しかるに、地球温暖化の影響、あるいは幾多の開発の影響等ございました中で、従前は山野におりました野生獣が、住宅、居住地にまで出てくるということが大きな現象でございます。大都会、東京、大阪等におきましては、一匹の猿でも大騒ぎ、マスコミ騒ぎになるところでございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、まさに夜になりますとサファリパークで、目をぎらぎらとしたニホンジカがいるというような状況でございます。しかるに、私どもは、逆に野生獣から人命を守らなければならないというその思いの中で、いわゆる民家を柵で囲んでしまおうというような現況でございます。

 滋賀県全体がこの世の中でいかに農作物被害が大きいかということはわかっていただけると思いますが、せっかく高齢者に支えられた農業の中で生産物をつくられましても、商品価値のないものにしてしまうというのが野生獣でございますので、これらの駆除対策には全力を挙げて取り組ませていただいております。

 先ほど申し上げましたように、先生御指摘のように、昨年度よりも、九十億円ほど、鳥獣害対策予算が減っているのは何でやなというような思いがいたします。このままでいきますと、日本じゅうが鳥獣害被害で荒らされてしまい、あるいはアライグマやイノシシが町の中を走ってしまうのではないかというようなことを大変危惧いたしております。

 人間の特殊出生率は下がっておりますが、動物の出生率はだんだん上がっておりますので、ここらの点につきましても国会において御議論をしていただきますようお願いを申し上げる次第でございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 市長さん、どうもありがとうございました。国会の方でも、予算の問題もありますし、鳥獣のこの対策の法案の問題も今いろいろと案をつくって私どもも協議をしているところであります。また努力していきたいと思っております。

 続きまして、盛武会長さんの方にお伺いしたいと思います。

 先ほどいろいろお話しいただいた中で、多分、もう少しお時間があったら、自動車の保有関係手続の方のお話もされたかったのかなと思っております。実は、今回、総務省さんの二十四年度予算ではeLTAXをさらに拡充して、こういった保有手続のオンラインシステムをさらにいいものにしていくということで一歩踏み出すようでありますけれども、ここで盛武会長さんのお話しになりたかった思いを聞かせていただければと思います。

盛武隆君 お手元の資料を御参考にしていただきたいと思うんですけれども、10のところでございます。

 現在、自動車保有関係手続、これは全体としてMOTASというんですけれども、OSSという部分的な電子申請というものが行われておりまして、これはエンタープライズ・アーキテクチャーという技法で書き上げるものでございます。

 真ん中のところに自動車登録というのがありまして、個々の手続が九つの升に書いてあるわけですが、現在の自動車登録関係のOSSにつきましては、この九つのうちの新規登録というものがございまして、いわゆる自動車の新車ですね、これは中身が全くの新車、それから外国から入ってくる新車、あるいは中古の新規というのがあります、そのうちの新車の中の型式指定車と言われるもので、全体としては非常に少ない部分なんですけれども、ここに特化して手続を行わせる仕組みになっていまして、ほかのページにもずっと書いておりますが、現在、十の都道府県で行われております。

 しかし、予算は十三ページにその金額は書いてございますけれども、実は、四十七都道府県が全てその費用を負担し、かつ、県警本部も同じように負担をしているという中で、この仕組みが使えない地方自治体においても負担がある。これは、今、十の都道府県ができるんですけれども、四十七都道府県に広げていくにはいつになるかわからない。しかも、電子化というのは、県議会で予算づけして承認を得なきゃいけないわけでございますから、国が幾らやると言ってもできない。

 しかし、それは進めていくということですが、実際には矛盾がありまして、ユーザーのためと称していますけれども、ナンバープレートとか封印とか物をいっぱいつけて運輸支局に行かないとユーザーは手続ができない。オンラインと言っていますけれども、データだけオンラインで送って、必要なものはとりに行ったりするものでありまして、オンライン以外のところで手続をしている。

 こういったことに、国民自体が利用できない仕組みを業界団体のためだけにやるのはどうかというのが我々の意見ですけれども、制度的には全部広げたいということですから、それは賛成するところです。

 しかし、矛盾がいっぱいありまして、例えば、新車の車検は三年と皆さんはお思いでしょうけれども、これは日本国内の電子情報処理組織に初めて情報を入れた段階で三年という仕組みになっていますので、外国から中古車を仕入れますと、それは三年なんですね。日本の中古車は二年なんです。こういう制度上のいろいろな仕組みをもっと改善した上で、資格者の規制緩和を求められて業界がやれるようにという要望が出ていますけれども、これも安全とか財産保全という意味から各種の資格者が携わっておりますので、そういった規制緩和要求というのはぜひ一度お考えいただきたいという立場でございます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 それでは、蔭山会長さんの方に参ります。

 先ほど中小企業予算は国家予算全体の〇・二%で、もっとというお話もございました。会長さん、いろいろと資料もお目通しいただいたということであれば、こういうことをもう少しやってほしいんだという何か具体的な御提案がありましたら、お願いをしたいと思います。

 あるいは、それがかなわないとすれば、会長さんは建設機械のリース関係のお仕事ということでありますので、建設産業というのが今非常に厳しい状況にあるということは間違いないんだと思っております。先ほど会長さんからも、地域のお祭りとかイベントとか、あるいは先日のような雪がたくさん降れば、豪雪の除雪問題とかいろいろな場面で地域力ということが求められると。そういう中で、ずっと四十年間ごらんになって、建設産業の現状なり、展望と言ったらちょっと言い過ぎですけれども、この辺をどういうふうにごらんになっているかということを教えていただければ幸いです。

蔭山孝夫君 予算のことに関しましては、私は素人でございまして、そんなに詳しくわかりません。ただ、あの数字からはじき出したので、内容にどうしてくれ、こうしてくれという要望は、まだ持っておりません。

 建設機械あるいは建設業者の地元の現状を少し報告いたしまして、要望みたいなことになりますけれども、お聞きいただきたいと思います。

 ことしは、滋賀県も湖北を中心に大変雪が積もりました。最近、氷河期とか言われまして、本当に毎年雪が多いような状況でございます。

 その中で、雪かき、雪どけですね、これは従来は建設業者がブルドーザーとかタイヤショベル、特にグレーダーという雪をのける道路機械を保有しておりましたので、市町村と契約いたしまして、我が社もやっていますけれども、かなり小さい道まで道路の雪をのけたということが今までありましたが、ここ数年、業者が減ってまいりました。それと、そういう機械を持っても仕事がないので、ほとんど売ってしまいました。それと、あれはかなり熟練工が運転しないと、いろいろマンホールにひっかけたりします、かなり道路すれすれにやりますから。そういう熟練工が、年が寄って引退しました。

 そういう中で、今、そういう機械と人員確保が大変なんですね。それと予算の削除、この三つが重なりまして、従来の大きな国道関係はできますけれども、少し入った県道、まして町道には、そういった住民を雪から守ることができなくなった。そういう現状がございまして、地元の建設業者はどんどん減ってしまっています。

 だから、このままだと本当に建設をやっていたらもうだめかな、こんなことがございまして、我々もレンタル機械をかなり持っているんですが、それだけたくさん持つことはできませんので、やはり業者に頼まないかぬ。そういうものは、地元の建設業者に限らず、先ほど申しました中小企業の力、こういうものを一度見直していただきたいなというふうに思います。

 以上です。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 豪雪対策の方は、ことしまた法律の延長ということもありますし、今お話にあるような機械をどうしていくかとか、国で持つかとか、いろいろなことを今検討されている、このように聞いております。

 それで、大津市長さん、越市長さんに、先ほどのお話の中で教育のお話がちょっとございました。私がもし聞き漏らしていたら申しわけないんですが、今度の四月から指導要領も改訂されて、教える内容としては少しふえていくというとき、外国語教育で、大津市として、小中学校を所管されるわけでありますけれども、何か独自の取り組みのお考えがあるのか、また、そういうことに関連してもし国への要望がありましたら、よろしくお願いいたします。

越直美君 大津市として、まず、指導要領の範囲内でできることが大変少ないということで、国へ、指導要領自体も今よりももっともっと英語教育をふやしていただきたいというふうに思っています。

 そういった中でも、指導要領の範囲内でできることとして、例えばクラブ活動のような形で語学教室をやる。そして、姉妹都市制度などを活用して子供同士の外国との交流を深めるといったことは独自でやりたいと思っております。また、文科省に申請することによって外国語教育のモデル都市化をすることも検討しております。

 以上です。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 それでは、もう少しお時間がございますので、もう一度甲賀市長さんの方にお願いを申し上げたいと思います。

 先ほど来、幾つか、農林業の鳥獣の問題、公共事業の問題、あるいは危機管理で首都機能移転、こういう大きな問題のお話がございました。

 しかし、また一面、市長さんとして、日常住民の方々といろいろな形で接触があるものと思っております。国の仕事が、今、国も改革をしようとかいろいろなことを言っているわけですが、どうでしょうか、実際、日常いろいろなお仕事をされている中で、国の事業としてここはもうちょっとやってほしいとか、ここはこうじゃないかとか、そういう何か住民の方々との意見交換の中で強い思いというのをもしお感じになっていたら、その辺を教えていただければ大変幸いです。

中嶋武嗣君 それでは、先生にお答えをいたしたいと思います。

 まず、私たちは、基礎的自治体として住民の最先端に立たせていただいておりますし、どんな苦情であれ喜び事であれ、地域住民とじかに接していかなければなりません。県知事さん、あるいはまた、国の関係とは違うわけでございます。そうしたことから、絶えず現場へ足を運びながら、地域のコミュニティーを、しっかりとした基礎づくりを今からしていかなければならないという思いであります。これも東日本からいただきましたとうとい教訓であろうと思っております。

 私どもは、消防団組織も含めまして、あるいは原子力対応を含めました中で、あらゆる手段を通じながら、末端自治組織まで手を伸ばしながら、緊急情報の情報収集、発信を含めて対応をしていかなければ、地方自治の体力はだんだん疲弊し、消耗していくという感じでございますので、国におかれましても、先ほど申し上げました道路行政あるいは河川行政等につきまして、また、子育て支援、特にまた国がお進めになっておられますところの認定こども園につきましても、ぜひとも末端まで行き届くように施策の充実をお願い申し上げたいと思います。

 私からは以上であります。

橘(慶)委員 ありがとうございました。安全、安心の国土づくりということと、地域の実情に合わせてきめ細かい施策ということで、またお気持ちを受けとめて頑張りたいと思います。

 そして、盛武会長さんに参ります。

 それこそ日本全体のことについても、行政書士の世界でいろいろとお取り組みなさったこともあると承っております。

 今話題になっております税と社会保障の一体改革、消費税の問題がございます。このために、当然、国が国民の皆さんに負担をさらにお願いしていくことになってくる、そういうことを今検討している局面であります。

 そういう場合に、これとこれはやはり国がやらなかったら、こういう姿勢を示してもらわないとそれはどうなんだろうというところで、どういうことが条件になるとお感じになっているか、お考えになっているか、お聞かせいただければ幸いです。

盛武隆君 消費税が社会保障財源に充てられるということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、私は、年金確認委員も務めさせていただいていますし、公益認定委員等も務めさせていただいていますが、結局、消費税を上げて、本当に全部それが使われるのかというのが一つあります。

 事業主にとって、あるいは国民にとって、社会保障といっても、それが本当に自分に返ってくるのかという現状を見ていますと、年金確認委員の立場から申し上げますと、戦時中に動員された方、学徒動員であるとか勤労学生だとかあるんですけれども、今出てきているのは、その人たちの年金が削られているというよりも、もともと国は払わないよというような法律が後からできてくるわけです。

 今も見ておりますと、年齢の引き上げ、それから支給額の削減といった、将来もらえるのかという不安が国民の間にある。一方で、社会保険、労働保険等はどんどん率が上がっていって、事業主の負担がふえているわけです、半分ずつ持ちますから。こういう状況なわけで、先ほどもちょっと申し上げましたが、資金繰りのために従業員から預かったものが払えない。

 年金記録の中では、そのうち企業が倒産して、給料から引かれているけれども企業が払っていない。もうないんですよね。法律上は請求できることになっているんですけれども、企業があればできるでしょうし、個人も死んじゃったらとれない。そうすると、泣き寝入りですね。

 さらに、年金の標準報酬月額が決まっているわけですが、不況でその年金額に見合う、三十万給料を払っているのに九万円で申告をして、そして、職員からは三十万の保険料をとっておいて九万円の保険料を払っている、こういうようなものもあります。そういったものが、結局、企業側がそれをやっているわけで、払った側は年金が九万円しか支給されないという状況になりますから、そういった構造的なものの措置を講じる必要があるんだろうと思います。

 さらに、そういったものを支払われない場合に、役所とある種談合的にこういった方法がありますよみたいなところで下げるということもあります。それから、最近あったのでは、支払う月数が一カ月、二カ月足りなくても現在の法律では払えないということで、泣く泣く申し立てをされるんですけれども、我々としても引き下がっていただくしかない。そういった、何らかの救済措置を将来にわたって歯どめをしておかないと、払う気持ちにならないというのが皆さんの御意見です。

 ぜひ健全な制度をつくっていただければと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

中井座長 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 私は、実は公明党の京都府本部の代表もしておりまして、本日は、隣の滋賀県の皆様の御意見を伺うことができて、大変うれしく思っております。また、衆議院の方では、財務金融委員会の理事も務めさせていただいておりますので、きょうは、貴重な御意見を、まず先ほどお伺いできましたことに大変感謝を申し上げる次第でございます。

 それでは、座らせていただきます。

 まず、私どもの方から御報告をしておきたいことがございまして、それは、昨日も予算委員会の経済の集中審議で私も質問のバッターに立ったんですが、消費税の引き上げの前には、まずデフレを脱却することが大事だ。経済成長を図るために何をしなければならないかということをやはり明確にする必要がある。

 もちろん、デフレは国だけで脱却はできませんので、民間の大手の企業を中心とした皆さんにも頑張ってもらわないといけないし、それから金融面での日本銀行の役割というのもある。三つ目には、財政として、政府が財政を出動してデフレ脱却の先導役を果たさなければいけないんではないか。こういうふうに三点申し上げた次第でございます。

 そういう意味では、特に、三連動地震、首都直下型地震、先ほどもございましたけれども、首都直下型でも百十二兆円の被害想定が出ていますし、三連動でも八十二兆円ですか、この近畿にも大変な影響が及ぶ可能性がある。今、政府としてやるべきことは、東日本大震災からの復興投資と並んで、そのほかの地域にあっても、防災や減災の対策を長期的に打っていくということは大事なんじゃないか。

 いろいろ調べてみると、コンクリートが五十年の寿命ですから、この十年以内に老朽化する全国の道路や橋というのは、もう二五%を超えるんですね。河川管理とか港湾関係になるともっと多いというふうなことで、やはり長期的に防災、減災のための国づくり、我々は防災・減災ニューディール政策を打つべきだというふうに申し上げておるんですけれども、そういうことをきっかけとして、日本のさまざまな官民のインフラ整備、それから、先ほどお話もあった首都機能の移転とか分散とか、そういうことは大事だというふうに申し上げておるわけでございます。

 もう一つは、私がその中で申し上げたことは、小規模零細企業対策というものをしっかりやるべきだ。これは、質問を受けて、政府も近々に方針を出すらしいですけれども、小規模零細企業の皆さんの法的な位置づけをしっかりすべきだ、中小企業基本法において位置づけをしっかりすべきだ。それから、今後、取引関係も非常に圧迫されている部分がありますから、そういうものの改善にきちんと国としても手を打っていくべきではないかということを申し上げました。それから、融資につきましても、今のところ、いわゆるマル経融資とか、そういう程度のものしかなくて非常に厳しいところが多いということで、融資、ローンにつきましても、新たな仕組みが大事だということを申し上げた次第であります。

 そこで、防災、減災の話に戻りますけれども、大津市長さんからは新名神の話が出て驚いたんですけれども、私どももこれは賛成だということを申し上げました。抜本的見直し区間をまず解除すべきだ。大津―城陽間、それから八幡―高槻間、これが無駄だとかと言われて完全にミッシングリンクになっている。これを凍結解除するというのは、一つは、先ほどの防災対策として、やはり新名神が開通するということは非常に重要である。リダンダンシーとかと言いますよね。

 一方で、新東名の方は、これはもうめどが立っていますので、新東名と新名神が全線開通するということは、日本にとっていいことだ。しかも、新名神の場合は一円の税金も使わずにこれができる。これは、NEXCO西日本が自分の自己努力で資金調達して、しかも料金の中から返済していきますので、全く財政再建に反することがない、むしろ寄与するというふうなことで、地域経済に及ぼす影響は大変大きいというふうに思っております。

 それで、第一問目は、長くなって恐縮ですけれども、大津市長さんの御意見は聞きましたので、新名神をつくることに御賛同いただけるかどうか、あとの三名の方にそれぞれ簡単にお聞きしたいんですが、中嶋さんの方からひとつよろしくお願いします。

中嶋武嗣君 私どもは、新名神高速道路が開通して、二月ではや五年目を迎えさせていただきました。経済的波及効果は言うに及ばず、市内に三つのインターチェンジを頂戴いたしております。平日を含めまして、通過台数は車両四万二千台。したがいまして、当市におきます経済的効果は大変大きなものがございまして、滋賀県下におきますところの工業品出荷高におきましては、五年連続トップの位置を示させてもらっております。

 したがいまして、私どもは、新名神効果は言うに及ばず、名神高速道路におきますところのインター周辺の土地の開発規制等につきましても御考慮をいただければ大変幸いかと思うわけでございます。

 先ほど大津市長さんが申されましたように、大津以西の問題、さらには亀山西のフルジャンクションを含めた中で、菰野、四日市、名古屋、新東名へ結びつくことが国家戦略としての大きな基本となることでございますので、ぜひともその点につきましては、早期に道を開通していただくことが先決ではなかろうかという思いでございます。

 私ども当市におきましては、三つのインターチェンジ、さらには工業、サプライチェーンを含めまして、震災の影響を受けないまちづくりにも、このリダンダンシーということから考えましても、早期に開通していただくことが国家戦略のためにも大変必要であるということでお願いを申し上げたいと思います。

 私からは以上でございます。

蔭山孝夫君 私は、仕事上から賛成でございます。やはり大いにそういう設備はお願いしたいなと思います。

 ただ、スマートインターという簡単なインター、これを経済発展のために従来よりもっと間隔を短く、それだけお願いして、賛成でございます。

 ありがとうございました。

盛武隆君 基本的に賛成でございます。

 ただ、賛成というのは、例えば、甲賀市長さんの範囲でございますけれども、信楽であるとかゴルフ場であるとかといったところに他府県ナンバー、また北陸の方からもたくさんいらっしゃるということから、従来、近畿圏だけでなくて、他の経済圏からもたくさんお越しになっているというのをまざまざと見ておりまして、大津市長さんは、観光立県といいますか、観光にも力を入れたいというふうにおっしゃっていますが、琵琶湖の利用者というのもふえていまして、その沿線にある喫茶店なんかにはそういう車がいっぱいとまっているという状況を見ますと、大変効果があるんだろうと思います。

 ただ、一つ心配なのは、サービスエリア等に行きますと、私もしょっちゅう利用しているんですが、大型トラック等がエンジンをかけたまま仮眠しているんですね。僕はフルオープンのジープで走ったりするんですけれども、排ガスでそばにいられないんですよ。ということは、その周辺住民に対する排ガス対策といいますか、あるいはそういう仮眠している運転手さんの、今寒い状況で切れというのも非情な話でございますから、そういったような排ガス対策。

 これは、僕は近辺の山によく花を摘みに行ったりするんですが、木の幹をぱっと握りますと、ガスで手が真っ黒になります。ある種、これは高速道路の被害ですよね。ということは、やはり緑も侵されてくるんだろうと思いますので、そういった配慮は十分にしていただければと思います。

竹内委員 ありがとうございます。

 そこで、先ほど盛武さんの方から、新たな中小企業支援策ということで、特に知的資産経営報告書の御報告がございました。これは本当にすばらしいなというふうに思っておりまして、知的資産に対する公的な格付制度があれば、いろいろな低利融資等にも役に立つということで、これはぜひ我々も参考にさせていただきたいというふうに思いました。特に、京都府の中小企業応援条例を見ていただいたことも、本当にありがたく思っております。ぜひ、今後の小規模零細企業への支援に役立たせていきたいというふうに思っている次第でございます。

 そこで、三つ目に、消費税の引き上げの問題でございますが、私も中小零細企業の皆さんの声を聞いていると、五%でも、途中、流用してしまいますからね。一〇%に上がると、実際、経営問題としては相当きついんじゃないか。いろいろ仕組みはもう少し考えるとしても、正直な感想、廃業に追い込まれるところもかなり出てくるんじゃないかと思うんですが、この点につきまして、蔭山さんと盛武さんにそれぞれお聞きしたいんです。

蔭山孝夫君 先ほど申しましたように、我々中小零細におきましては、大変厳しいものがございます。

 例えば、私どもはゲームセンターというのをやっているわけなんですけれども、あれはコイン二百円とかなんですよね。一〇%に上がったら二百二十円もらえるかな、恐らくもらえないでしょうね。そうすると、全て持ち出しなんですね。一割持ち出しますと、利益は飛んでしまいますよね。これは一つの例なんですけれども、こういうことが中小零細では起こり得るということなんです。そういう面からやはり反対意見は出るでしょうね。

 そうかといって、反面、おっしゃるように、社会保障の件はやはり何とかしてほしいという気はありますし、そういうことで国民の気持ちが、特にビジネス関係では大変揺れ動いているんですよね。

 だから、先ほどアンケートで言いましたように、こっちでは賛成だけれども、こっちではちょっと反対だ、そういう厳しい状況でございます。

盛武隆君 蔭山陳述人と同じ考えではありますけれども、社会保障に本当に全部使われてもなお税率のアップが必要だという発言等がございまして、やはりそういうことを言われると、どんどん際限なく上がっていくんじゃないか。一方で、さっきも申し上げましたが、給付制限、年齢の引き上げとか、どんどんつくられていけば、どうなるのというのは本当に地域住民にとって不安なんですよね。そこら辺をちゃんと筋道を立てて御説明いただかないと、その不安は解消しないんだろうし、払う気になれないというところで払わない方法を考える中小企業も出てくるというのもあると思います。

 その辺をきちっとしていただけたらなと思います。

竹内委員 ありがとうございます。

 消費税でございますが、転嫁が難しい、ある人は外税化を義務づけてくれという声もあります。

 それからまた、日本ではまだ導入されていないけれども、いわゆるインボイス、消費税を上げる前にしっかりとこれを整えないと、今の五%のままでもちゃんとやれば、やった方がいいという声もあるんですが、この点につきましては、お二人にもう一回、どのような御見解か、お聞きしたいと思います。

蔭山孝夫君 今、盛武さんがおっしゃったように、払いたくない人はいっぱいいるんですよね。どうかして払わぬとこ、こういう感じの方はいらっしゃる、特に中小零細になるとそういう資金繰りを圧迫しますから。

 先ほど申しましたように、我々思っているのは、いかにインボイスで転嫁できるか、これを何か法律でできないだろうか。それが今、法律ではございませんから、やはり我々が徴収したものは納めないかぬのですから、何かこの辺の法規制ができて、本当に税の平等化で広く徴収ができれば私も賛成はしたいんですけれども、先ほどと重複しますけれども、どうして言葉のとおりに消費税を消費者からもらえるか。

 特にまた、下請とか、そういう上下関係ですと取りにくいわけですね。当社もそういう例はあるんですけれども、まけておいてくれ、こういうことになって、よそはまけてくれよるよということになると、二、三千円かというときもあると、簡単に営業がまけて帰ってくる。そういう事例はたくさんございまして、今度それが一割になったらそうもいかないなということで、野田総理のおっしゃるように、気張って努力して取ったらいいんでしょうけれども、それがいかないから困っていますので、ぜひよろしくお願いしたいなと思っております。

盛武隆君 いろいろな声を聞きますと、三つぐらいあると思うんです。

 一つは、消費税申告の対象事業者の金額が、たしか三千万から一千万円に引き下げられたと思うんですけれども、今、転嫁というふうにおっしゃっていますが、まさに一千万ぐらいの売り上げで預かる。しかし、利益はすごく少ないわけですから、そういった意味で、次々と値上げされていくと、税率が上がりますと支払えないところが出てくるというのは、そこら辺を特例でもつくって、こういう業種は幾らというふうな段階的消費税課税率といいますか、そういったものが特に不況産業に必要なんじゃないかなという気はいたします。

 それからもう一つは、それゆえに、年一回申告して、一回で払うというのじゃなくて、何回かに分けて、事前に分割で払えるということも考えていただければ、徴収した消費税、預かった消費税を、あるときに事前に払っていく。一年間まとめて申告しますと何百万とか何千万になるわけでして、これは、預かり金とはいえ、企業主としてはどうしても利益の中に考えて入れているわけですので、ごそっと出ていくというのは次の事業活動に大きな影響が出るわけでして、そういう分割払い方式というのも必要なんじゃないかなという気がいたします。

 それから、下請企業なんかがいろいろなものを親元に払うわけですけれども、ある自動車会社なんかは、乾いた雑巾を絞ってでもコストダウンを要求してくるという中で、消費税を転嫁していきたいとしても今転嫁できないというふうにおっしゃっていて、結局、下請が持たざるを得ないというのがいろいろなところで言われておりまして、逆に言えば、これは下請いじめなのかという声は聞こえてくるんですね。やはりその辺の対策もお考えいただければいいのではないかと思います。

 以上です。

竹内委員 ありがとうございました。これで終わります。

中井座長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 きょうは、貴重な御意見とお時間をありがとうございます。座って質問させていただきます。

 最初に、行政書士会の盛武会長に二つ質問させていただきたいと思います。

 一つは、今政府が進めようとしておりますマイナンバー制度というのがありますけれども、こういった制度についてどのようにお考えかというのが一つ。

 二つ目が、我が党は歳入庁というのをつくろうということを言っております。税務と社会保険を一緒にしてしまった方が、恐らく納める方の企業からしても手間が減るでしょうし、徴収漏れもなくなるんじゃないか、そんなふうに考えておりますが、こういった歳入庁構想についてどのようにお考えか、お尋ねします。

盛武隆君 マイナンバー制度というのが、二つあると思うんですけれども、リアリティー社会といいますか紙ベースの社会と電子社会というネット上の世界、両方でどう使うかという議論がまだ深まっていないような気がしているわけです。

 特にネット上のことでいえば、現在使われない個人認証制度というのがありまして、それにかわるといいますか、新たなカードとか番号を付与したカードとかがつくられれば、あるいはネット上で発行されれば、それはかなり有効なんだろうと思います。

 問題は、一方的につけられて、一方的に付与される、ネット上でそれを利用できるというのであればいいんですけれども、現在の公的認証カードあるいは法人認証カード等は申請をしてとらなきゃいけないですよね。これに費用がかかるし出向かなきゃいけないというのがあって、しかも、個人でいえば、住所を変わればその都度手続が必要ということでありますから、法人ないし個人に番号を付与する、これが不変であることというのは、もちろんそう考えていらっしゃるんでしょうけれども、基本的に必要であって、そこにさまざまな情報があれば、今、医療カードとか、幾つもいろいろなものがありますけれども、データベースが一つになっていけば、全員の徴収その他を含めて利活用が非常に促進されるだろうし、また、それができれば、新たな利用方法についてさまざまな業界が考えていくということは推測できるところであります。

 それから、歳入庁につきましては、そのナンバーをベースにいろいろやるということですが、税と社会保険を見てみますと、今、社会保険でいいますと、国民保険もそうなんですが、取り扱う役所が違いますよね。市町村でその番号を利用して徴収する、あるいは社会保険でそれを利用して徴収するということですけれども、幾つもの役所にまたがってそれぞれの歳入を現在進められているということから歳入庁というのが出てきているんでしょうけれども、そこら辺の整理というのは多分必要なんだろうと思います。

 そういったところがうまく機能すれば、歳入庁という形でいけばいいんだろうと思いますが、一方で、国民にとって、収入を監視されるといいますか、何だか課税するために使われるんじゃないかという不安、そこら辺を持つとすれば、その辺の説明はちゃんとしていただく必要があるんだろうと思います。

山内委員 ありがとうございました。

 続きまして、蔭山会長に質問させていただきます。

 今TPPというのが議論になっておりますけれども、TPPが、業種によっても影響はいろいろあるとは思うんですけれども、おおむね中小企業の方々から見てどういうふうに評価をされているのか。ポジティブな人もいればいろいろな人がいると思うんですけれども、業界としてどのように受けとめられていらっしゃるのか。プラス面、マイナス面両方あるかと思いますが、その影響についてお尋ねします。

蔭山孝夫君 今、我々の会でも、農業分野の進出がかなり我々企業人から見て興味が沸いてきたというのがありますね。今チャンスだから農業関係に転じていこうかという企業が何社かあらわれました。そういう面で見ると、このチャンスを企業人が利用したいという気持ちがあるように思われます。

 この二十七日に、我々の会員で農業サミットというものをやるんですが、きょう現在で二十社ほど申し込みがありまして、そういうチャンスを虎視たんたんと物にしたいということで、やはり何か事業を転換したいという方は、我々企業人から見たら賛成のようです。

 ただ、会員がいらっしゃらない一般農家の方は、全国的にもそうなんですけれども、滋賀県の場合は、半分働いて半分農業をやっているという兼業農家が多うございまして、うちの社員もかなりですが、そういう方々はやはり守るということで、自由化になると大変だという意見を持っていらっしゃるが、企業の立場から見ればこのチャンスは利用したいということで、もう既に何社かは農業分野に参入しています。

 滋賀県の野菜の生産なんかを見ていまして、本当は地産地消で、県内で全部やればいいんですが、そこまでまだいっていませんし、まして県外までそういうものを販売していく、そういう増産体制にはなっていませんけれども、もしそれが成れば、やはりそういう市場はこれからはあると我々は思っています。

 以上です。

山内委員 今の蔭山会長のお話、大変興味深く思いまして、やはり農業を強くしようと思ったら、どうしてもそういった企業が農業に出ていけるというか入っていけるようにする必要があると私も個人的には思っておるんですけれども、今、農業サミットというお話がありましたけれども、農業に参入しようかどうかを考えている企業の人たちにとって、どういう制約というかどういう問題があって、そこを、国の政策をどう変えれば企業が農業に入っていきやすくなりますでしょうか。

蔭山孝夫君 私もいろいろなことを調べてみますと、やはり農業という分野では、農地法にかなりいろいろな制約がございまして、今から何年前ですか、農地法が改正されまして、一般法人も持てる、借地できるよというように農地法が改正されて少しはやりやすくなっているんですが、しかし、まだいろいろな法律規制がございまして、そう簡単には農業に参入できないのが現状です。

 それと、農業の方は、今現在やっている人はお米をつくっている人が多いんですけれども、まだ採算が合わない状況で、大体多いところで十ヘクタールから十五ヘクタールぐらい、そこまでいかぬ農業法人があるんですけれども、まだ採算が合わないですねという話を聞きます。

 法改正、私も詳しいことはわかりませんけれども、そういう規制をどんどん外していただかないと、我々は幾らそういうビジネスチャンスを狙っても法規制でやられてしまう。県の方やら行きましたら、政策課なんかはそういう奨励をしてくれるんですけれども、違う部門では、これはだめだ、あれはだめだということで、特に、今私も少し手がけている養豚の関係とかは、におい等のことで地域住民が物すごく反対されます。だから、ああいうことをやるのにはすごく地域が限られてきます。これは近所に迷惑をかけたらいかぬのですから、そういった遠隔地でやらないかぬと思いますけれども、そういう難しい点は多々ございます。

 以上です。

山内委員 続きまして、中嶋市長に質問させていただきます。

 甲賀市の資料を読ませていただいて大変興味深く思ったのは、大変外国の方が多い。特にブラジル、平成十七年の、ちょっと前のデータですけれども、ブラジル人が千六百三十八名、ペルー人が三百名と非常に外国の方が多い。人口に占めるこういった外国の人が非常に多い。かつ、ブラジルというとポルトガル語だったり、ペルーというとスペイン語だったり、そういう外国の人がたくさんいる地域の、例えば学校の教育、子供さんの日本語のレベルもまちまちかもしれませんが、そういった教育とか福祉とか、場合によっては市役所の書類も翻訳しなきゃいけないのかもしれませんが、どういった問題があって、どういった対策をとられて問題を解決されているのか、お聞かせいただければと思います。

中嶋武嗣君 お答えをいたします。

 私どもの町におきましては、滋賀県下でも外国の方がお住みになっている地域として多い方だと認識をいたしております。

 先生御案内のように、ポルトガル語、スペイン語、中国語、韓国語、あらゆる分野の外国の方がおいでになりますし、やはり立地企業の栄枯盛衰の中での動きが顕著にあらわれておりますが、基礎的自治体、市役所といたしましては、それらに精通する、言葉をしゃべれる方を全て配置いたしておりますし、それぞれの皆さん方のいわゆる要望、苦情等に応える窓口を設置させていただいております。したがいまして、私ども、全国的な位置づけであります外国人集住都市というところにも加盟をさせていただいております。

 特に、子供たちの教育につきましては、保育園から中学校、義務教育終了までにつきましてはマンツーマンに近い形で、居住していただきやすいように体制を整えさせていただいております。

 費用のことを申し上げて甚だ恐縮でございますが、やはり何の苦労なくお住みになっていただきますように、市民と同様の扱いをさせていただいております。

 以上であります。

山内委員 ありがとうございました。

 最後に、大津市長の越市長にお尋ねします。

 先ほど来、英語力の強化ということを強調されておりましたけれども、例えば先ほど御要望の、学習指導要領で英語の時間をふやした方がいいという御意見でしたけれども、限られた授業時間数、あるいは学校の先生の時間、予算、いろいろなことを考えると、英語を強化するというのは、裏を返すと何かほかの科目をどうしても削らないといけなくなってしまうんじゃないかと思うんですね。

 そういった意味では、英語を強化するのと、その逆の、裏側でどういった分野を削ることをお考えなんでしょうか。

越直美君 私自身は、ほかの教科を削るということは余り考えておりませんで、やはり英語をふやすということで、全体の授業数はふえるかもしれませんけれども、全体をふやしていくということを考えております。

 そのように考えている背景としては、やはり今の時代に日本人が国際競争力をつけなくてはいけない、それに向けて子供のころからしっかり勉強するということで、授業数をむしろふやす方向で考えております。

山内委員 以上で質問を終わります。

中井座長 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党・新党日本の中島正純でございます。

 きょうは、貴重ないろいろな御意見を聞かせていただきましてありがとうございました。時間の許す限り御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。着席させていただきます。

 まず一問目に、越市長にお伺いしたいと思うんですが、県と市の連携についてお伺いしたいと思います。

 越市長は、滋賀県の嘉田由紀子知事と連携強化する方針であるということを打ち立てておられます。恐らく、都道府県知事と県庁所在地の市長がともに女性だというのは初めてのことじゃないかなというふうに思うんですけれども、私の選挙区は大阪市でございまして、大阪市の橋下市長は大阪都構想を議論されております。そこで、滋賀県と大津市がどのような役割分担と協力体制を進めていかれるおつもりなのか、また、それによって得られる効果があればお聞かせをいただけますでしょうか。

越直美君 まず、滋賀県と大津市の役割分担、法的な役割分担という意味では変えるつもりはありません。ですので、今の県と市という関係はそのまま維持したいと思っております。

 ただ、そういった中でも、今まで大津市と滋賀県というのはそれほど連携してやってこなかった。そこで、今の体制のままでももっと連携できることがあると思っております。

 具体的には、まず防災の面、防災基本計画を見直していく場合に県の基本計画をもとに大津市でも見直していく。そして、次に観光の面です。観光についても、私自身も力を入れたいと思っていますけれども、琵琶湖というのは滋賀県全体にわたっている、大津市はその一部である、そういった意味で滋賀県と連帯する意味があるのかなと思っております。あと、まちづくりという点でも、ちょっと個別具体的ですけれども、大津駅前というのが今非常に寂しい状況にもなっていますけれども、そういった点も、滋賀県とともに、県庁もあり、大津駅前も一緒に考えていければと思っています。あともう一点は、子育ての面でも県と連携できる点があると思っています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 続きまして、先ほど山内委員からもマイナンバー制度について御質問がありました。先ほどは盛武会長からの回答だったと思うんですけれども、同じマイナンバー制度で越市長と中嶋市長にちょっとお伺いしたいんです。

 今現在、政府では、社会保障と税の一体改革に係る番号制度導入に向けて法案を国会に提出しております。これで地方公共団体もマイナンバー制度導入により行政事務が変わることが想定されますけれども、現時点でマイナンバー制度導入に当たって御意見があればお伺いしたいんです。

越直美君 基本的には、マイナンバー制度導入には賛成しております。導入した時点ではいろいろ最初の費用というのはかかると思っておりますけれども、その後の行政手続というのがスムーズになるかなというふうに思っております。

中嶋武嗣君 私も基本的に賛成をいたしますが、人口構造で見る限りは、かなり高齢化している実態を十分つかんでいただいた中で制度の利用をしていかなくてはならないと思っておりますし、今、越市長が申されましたように、政府の制度の改正によりましては、電算機能の改善ということでシステムの改善に非常に多額の費用がかかっておりまして、ほとんどが基礎的自治体の持ち出しでやりくりをしながらしていただいているということを十分に御認識していただきながら、先生の方におきましても、強力に応援をしていただければありがたいという思いでございます。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 続きまして、蔭山会長にお伺いいたします。消費税率の引き上げの話でございます。

 ちょっと先ほどとダブるかもしれませんが、社会保障と税の一体改革で議論されている消費税の引き上げで、この円高、デフレの景気の悪い中、中小企業は価格転嫁できないのではないか、これが一番大きな問題だと思うんですけれども、こういう危惧があります。その点も含めまして、蔭山会長の御所見をお伺いできますでしょうか。

蔭山孝夫君 先日、日銀が国債の買いオペをやられまして、四十兆円ほど出たということで、景気は少し持ち直したような感でございます。しかし、私の考えでは、これでデフレから脱却するとは思わない、まだこのような景気がある。

 ただ、我々企業人から見て、震災復興が少しことしは広範に我々にもいい影響が出るんじゃないだろうかという期待感はあります。しかし、今、デフレが進行いたしまして、原油等が上がっております。

 滋賀県には大手の工場が全国で類を見ないぐらいたくさんございます。その中で、当然、下請企業がかなりあります。そういうところが価格単価の引き下げの要求なんかあります。そういう中でも、もうそれに頼れないということで新しい事業に挑戦している若き経営者もたくさんいることは事実です。

 そういう厳しい中で、この先ほど申した社会保障と税の一体化ということはわかるんですけれども、これ以上景気が消費税値上げによって悪くなる、中小企業がいじめられるという感覚は持っております。だから、今、この景気のときに消費税を値上げすべきでないという意見もかなりあることは事実です。この辺も御認識いただきたいなと思っております。

 以上です。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 続きまして、中嶋甲賀市長にお伺いいたします。先ほどTPPの話で、市長は農協出身だということで、その視点からちょっとお伺いしたいんです。

 滋賀県といいますと、甲賀市を初めといたしまして、滋賀県のお米と薬というのは古い伝統と歴史を持っております。そして、TPPの影響というのは、農業と医療の問題が取り沙汰されておりますが、市長が農協出身でおられますので、市長にはその困難を御理解されていると思うんですが、仮にTPPに参加した場合の影響について御所見をお伺いできますでしょうか。

中嶋武嗣君 お答えを申し上げます。

 滋賀県の県民所得は、全国でも四、五位ということになっております。また反面、農業の機械化率は断トツでトップでございます。しかし、その底辺を支えておりますのは、兼業農家と申しますか、弱小の農家が支えております。

 その主な産物といたしましては、米に特化された、今は近江米と呼んでおりますが、江州米という名前のもとに京阪神の食の台所を支えておりました。また、野菜におきましても、大津、草津、あるいは甲賀周辺、東近江につきましては、今なお京都の市場におきましては、どんな野菜につきましても近郷品扱い、いわゆる京都の品物と同じような扱いをしてあげましょうということで認識をいただいております。それだけ環境にこだわり、さらには安全、安心な食を台所までお届けするんだという、滋賀県民、農家の誇りでございます。

 したがいまして、今回のTPPにつきましては、私は速やかによい気持ちで賛成するにはまいらぬわけでございます。

 滋賀県は、特に米、さらには茶、そして近江牛に代表されますように、三大品目とともに、蔬菜生産地の大きな産地であります。また、農業そのものにつきましても、先ほど鳥獣害対策のお話をさせていただきましたが、荒廃地もふえております、また採算性の問題も出ております、日本の農業を、その値段を外国で決めてしまうのが問題である。さらには、林業一つにいたしましても、シカゴの市場で材木の値段を決めてしまう、五十年、六十年かかった材木が、畑で三カ月つくった大根一本の値段と同じ百円単位で扱われていることに非常に疑問を持たせていただいております。

 したがいまして、今回政府がお進めになっておりますTPPにつきましては、農業関係、医療関係を含めた中で、十分に慎重な御審議の上、御決定なさるように私から特にお願いを申し上げたいと思います。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後に越市長と中嶋市長にお伺いしたいと思います。地方財政の充実についてお伺いさせていただきます。

 財政が厳しい中、政府は、地方交付税を三年連続で増額確保をしております。しかしながら、まだ地方にとっては財政的に厳しいという状況があるかと思います。一昨年、都道府県に対しまして導入された一括交付金も、今後は市町村へ拡大していくということが検討されております。現在の市の財政運営に鑑みて、地方財政の充実に向けた御要望等があれば御意見をお伺いしたいんですが。

越直美君 まず、大津市の状況としても大変厳しいです。大津市は、今後五年で百五十億の収支不足が見込まれております。ですので、こういった状況下で、先ほど申し上げたとおりなんですけれども、やはり交付税について御配慮を今後もいただきたいということが一点です。

 また、自由裁量のある一括交付金というのも、今の時点では中核市である大津市にはありませんので、それについてもこれからお願いできればというふうに思っております。

 以上です。

中嶋武嗣君 私どもは合併いたしました地方の田舎の町でございますし、合併したらもっともっとよくなるというようなことで合併をさせていただきました。合併特例債の延長等が議論されておりますが、このことについてこのごろ余り触れられぬようになったということをお聞きいたしております。

 しかるに、私どもの原資、依存財源が、五二%から年によりましては五五%を依存財源に頼っており、みずからの財政調整基金というものを十分にためるには至っていない状況の中におきましては、地方税の確保ということが大変必要となってまいります。それゆえに、私どもが自由裁量権で使わせていただけるような一括交付金制度の確立、特交と呼んでおります特別交付金、これにも増して地方が潤うような税制改革を目指していただければ大変ありがたいという思いであります。

 私からは以上であります。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 盛武会長、御質問できなくて大変申しわけありません。マイナンバーの、行政手続のオンライン化に大変御尽力されているということをお聞きしております。先に山内委員からの質問に出てしまいましたので、省略させていただきます。

 皆さん、ありがとうございました。

中井座長 次に、松木けんこう君。

松木委員 新党大地・真民主の松木けんこうと申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、意見陳述人の方々、本当に御苦労さまでございます。座らせていただきますので、よろしくお願いします。

 それでは、まず、越市長さん、どうも御苦労さまでございます。大変な重責ですね。本当に頑張ってください。

 先ほど消費税のお話があったところで、非常にいいんじゃないのかというようなお話もありました。政府にとっては、うれしいお言葉だったんじゃないかなというふうには思います。

 しかし一方、鳩山元総理が二年半前の選挙のときに言った言葉というのは、四年間は消費税は上げない、この四年間で無駄を削減するんだ、いろいろなことをやるんだ、それで次の選挙のときにお願いをする、そういう話を実はしていたわけですね。

 ところが、途中で白旗が上がっちゃいました。ただ、消費税が上がるのは二〇一四年からですから、そういう意味ではマニフェスト違反じゃないというふうに強弁をしている方もいるんですけれども。

 大津市も大変苦労して行財政改革をしてきたというお話を聞きました。それであれば、これは消費税を上げる前にやることがあるだろうというふうに言われていますよね。例えば、天下り問題、特別会計、これは一体どうなったんだ、二重、三重行政はもうなくなったのか、公務員の総人件費は二割カットするんだ、あるいは国会議員の削減、そして給与のカットはどうなったんだ、たくさんあるわけですね。震災復興の方も進んでいないじゃないか、こういうお話もあります。

 私は、こういうことをしっかりやった後に消費税は上げていかないと、結局は、余りやらないで、おためごかしにやっちゃって、消費税だけ上がるんじゃないかなという危惧を実はしているんですね。

 市長さん、どういうふうにお考えですか。

越直美君 御指摘の点、特にやることはやった上でというところは、まさに私もそのとおりだというふうに思っております。定数削減だったり国家公務員の給与の削減、そういったことはやるべきだと思っております。

 一方で、消費税をいつ上げるかということについては、地方としては今大変厳しい状況にあります。先ほど申し上げたとおり、今後五年で百五十億お金が足りない、子育てだったり高齢者に対する新しい施策を打とうと思っても金がないという状況ですので、やはり消費税を早期に上げることも必要ではないかというふうに考えております。

松木委員 ありがとうございます。ただ、やることはやれ、こういうことですね。やることをやらなかったら、だめですね。わかりました。

 それでは、中嶋市長さん、どうも御苦労さまでございます。大変御重責でございます。

 先ほど鳥獣被害防止総合対策の交付金のことで、何か九十億減らしたというお話をされたと思うんですけれども、九十五億に減らされたということですね。

中嶋武嗣君 先ほど私は橘委員に申し上げましたときに、九十五億にとどまったという意味でございます。

松木委員 オーケーです。わかりました。

 それでは、それに対してちょっと。

 実は、私、去年の二月二十三日まで農水の政務官をやっていまして、そのときに、これは平成二十二年は二十三億円しかなかったんです。それで、私の選挙区もそうなんですけれども、エゾシカが人間より多いぐらいになっているような雰囲気なんです。それこそ瀬戸内海をイノシシが渡って畑を壊しているだとかいろいろなことがあって、二十三年度は二十三億を百十三億に上げたんです。そして、ことしが九十五億ということで若干は減ったんですけれども、これはフェンス単価の見直しだとかそういうことをさせていただいた中で少し減らさせていただいたみたいなんですね。

 基本的には、もう数年しっかり頑張っていきたいというふうに政府は考えていると思いますので、御期待いただきたい。

中井座長 松木さん、口を挟んで悪いけれども、それは業者に丸投げでやると一カ所八百万ぐらいなんですよ、地区の方が出ていただくと五百五十万ぐらい。それで、ちょっと地区の方にも出ていただいてということで九十五億円になるということだと思います。箇所数は減らしていないと思いますので、市長さん、どうぞよろしく。

松木委員 座長の言うとおりでございます。これは、私はもう民主党じゃないので、民主党を褒めてもしようがないんですけれども、民主党さんはしっかりやっていると思いますので、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 TPPのことをどうお考えなのかなということを聞こうと思ったんですけれども、決して賛成はできないという御意見をいただきましたので、それを承っておきます。

 次は、蔭山会長さん、どうも御苦労さまでございます。本当に、わざわざおいでいただきまして、感謝しております。

 中小企業対策が総予算の〇・二%というのは、これは余りにも少ないじゃないかというお話がありました。どうでしょう、会長、大体このぐらいだったら納得できるという数字を、若干で結構です、こんなものだったらいいんじゃないかなという御意見がありましたら、ぜひお願いします。

蔭山孝夫君 大変難しい質問で、多ければ多い方がいいわけなんですけれどもね。金額は言えませんけれども、余りにも少ない。

 〇・二%ですよね。この憲章には、中小企業は日本経済を牽引すると書いているんですよ。こんなのを決議していただいてあの予算はないだろう、こういうふうに思いまして、閣議決定されたこの憲章を、先ほど言いましたけれども、これは国会決議をぜひしてほしいんですよ。まだこれは閣議決定なんです、平成二十二年の六月十八日。だから、こういうものがうたっている以上は、これに沿った、なんとなという予算を組んでいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

松木委員 わかりました。会長さん、よくお気持ちはわかりました。

 それでは、会長さん、先ほど法人税の減税をしても七〇%ぐらいの企業が赤字なんだというお話をされておられました。私も、まさにそうだと思います。

 そして、中小企業を経営するに当たって一番大切なところは、経常経費ですよね。これも大変なんですよね。であれば、実は労災保険と雇用保険というのがあるんですね、ここに何と、労災保険の方、労災勘定の積立金が七兆七千億あるんです、そして、雇用勘定の積立金と雇用安定資金が四兆円、両方で十一兆七千億のたまり金があるんです。もちろん、使う部分もあるし、入ってくるところもあるということなんですね。

 しかし、私は、これは何年か前に法人税減税よりこっちを、例えば、三年間凍結してもいいですよというような政策を打ったとしたならば、法人税減税と今私が言ったこの政策では、どちらが会長さんだったら中小企業にやっているなという気になれますでしょうか。

蔭山孝夫君 労災の件とか社会保険は、かなり圧迫しているんですよね。あれは一遍にどんと納めないかぬから、中小企業は資金面で大変つらいと思うんですね。

 この間、スウェーデンとドイツの労災関係をちょっと調べてみたんですけれども、あそこは労災でも九〇%の補償が出るんですね。一割を保険の方から出していまして、日本のように余り労災の訴訟が起こっていないということを私の友人から聞きました。

 そういう意味でも、労災の確立は、当然労働者にせないかぬわけですけれども、今おっしゃったように減税は余り恩恵がない。たとえ二年でも三年でも、そんなにたくさんあるんだったら、初めてきょう聞いたんですけれども、少し払うのを軽減していただいたらいいかなと。中小企業のためにいろいろそういう策をめぐらせていただきたいなと思います。

 よろしくお願いします。

松木委員 ありがとうございました。

 会長、あるんですよ、こういうお金が。消費税を上げる前に、実はやることがいっぱいあるんです。ということで、次に行かせていただきます。

 盛武会長さん、どうも御苦労さまでございます。先ほど会長は税の延滞の話をされていませんでしたか、税金の延滞税の話。これはすごいんですよね、ちょっと質の余りよろしくない、変なところでお金を借りたときに、怖い人たちが金を取りに来るぐらいの金利をお国は取るんですね。一四・六%、これはこのままでいいのかと。もちろん、全然なくしてしまったら、これはこれで問題があると思うんですね。私は、物事というのは相場観というのがあると思うんですね。この一四・六%というのは、高利貸しと言ったら言葉が悪いですからあれですけれども、これはそろそろ変えていくべきではないかというふうに実は私も思っております。

 会長の方から、もし御意見があって、相場観として、これはこのぐらいだろうというようなお話がございましたら、ぜひお聞かせください。

盛武隆君 二つありまして、消費税問題と社会保険料等の問題ですね。先ほどマイナンバーというのもありましたが、企業にとって社員というのは地方とか支社とかにいっぱいあるわけでして、源泉徴収税もそうですし、住民税もそうなんですけれども、全ての市町村の申請書等をかき集めて本社が全部処理しないといけない、そうでないと全体がわからないというのがあって、そういう意味では、ある意味でコスト削減にはなると思うんですね。

 今おっしゃったことにつきましては、二つありまして、一つは、いつも事業主から相談を受けますのは、払えと言われている、でも、払えないんだと。では、誓約書を書けということで、払いますという誓約書を書いて、いつまでに払いますと。でも、それは何も担保なしで約束しているわけですから、結局払えなくて、その時期になるとまた同じように書かされる。

 それというのは、結局先延ばしなんですけれども、その間ずっと延滞金、延滞税がふえていく。そういうときに、何とか分割払いでというのは、先ほどちょっと申し上げました先付小切手であるとか手形とかで、これは国の財政がそうだからでしょうけれども、これも年度ごとで切っちゃうんですよね。年度を越えて例えば十二回とか二十回とかというふうに払おうとすると、いや、この年度から先は困るんだと。そうすると、例えば百万を十二回で割ればという話で、金額が大きくなってくるんですね。

 企業というのは回転しているうちは払えるわけですから、たとえ長期になっても払える金額で約束する。ただし、そうなると長くなるので、延滞税が物すごい負担になってくる。ここら辺がやはり一つの解決策なんじゃないか。

 社会保険料も同じなんですね。ただ、税の方はごまかしがききませんから、きちっと取られる。先ほど申し上げました社会保険料については、減らす方法が考え出されていますから、結果としてある種不正行為になりかねないわけでして、やはり延滞税のあり方をもう少し融通性を持たせて、しかも低くしてやっていただければ、企業はもち続けると思うんですけれども、差し押さえとかいきなり来ますから、そうなると銀行融資で登記謄本を出しても、差し押さえ条項がありますから、これはどうなんですかということになりまして融資も受けられないというようなスパイラルに入っていくんですね。

 だから、そこを国として、あるいは何らかの支援策というものができ上がれば、企業が存続する限り払えていけるので、いきなりというのをなくしていただきたいのと、累積加算ですね、ここが一つの救済策ではないかというふうにいろいろと悩みを訴えられております。

松木委員 会長さん、相場観として一四・六であれば半分ぐらいがいいかなとか、そういうような御意見というのは、もうちょっと具体的にございませんですか。

盛武隆君 融資を受ける際の銀行金利だって安いわけですね。どうしても差し押さえ等を受けて払えと言われますと、何らかの形で銀行から借りて払うんですけれども、この金利差が大き過ぎる、そこを圧縮していただければという感じです。金額は申せませんけれども。

松木委員 会長さん、ありがとうございました。

 大分時間もおくれているんですね。では、早目に終わらせていただきます。

 意見陳述の方々、本当にありがとうございました。

中井座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 蔭山さんには本当に膨大な予算書を、中小企業の千八百億というのをきちっと数字を捉えてきていただきましてありがとうございます。

 国会の論議でいいますと、中小企業対策は融資に重きが置かれておりまして、今、公庫等では大体四兆三千億ぐらいの融資枠をつくって、災害復興以外にいろいろな条件変更をしたりして応援をしています。予算委員会での質疑は、この期限を延ばせとか金利がどうだとか、こういうことが一番主な中小企業対策になっている、このことを付言して申し上げておきます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして、貴重な、また率直な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。

 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。委員一同を代表して、厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました大津市初め関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後三時三十四分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の千葉県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十四年二月二十四日(金)

二、場所

   アパホテル&リゾート東京ベイ幕張

三、意見を聴取した問題

   平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 鉢呂 吉雄君

       金森  正君   櫛渕 万里君

       武正 公一君   村越 祐民君

       山岡 達丸君   若井 康彦君

       赤澤 亮正君   石破  茂君

       佐田玄一郎君   山本 幸三君

       高木 陽介君   塩川 鉄也君

       中後  淳君   阿部 知子君

 (2) 意見陳述者

    千葉県浦安市長     松崎 秀樹君

    千葉県香取市長     宇井 成一君

    中央大学研究開発機構教授           石原 研而君

    東日本大震災被災者支援千葉西部ネットワーク代表           永田 研二君

 (3) その他の出席者

    財務省主計局主計官   山名 規雄君

     ――――◇―――――

    午後二時開議

鉢呂座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院予算委員会派遣委員団の団長の鉢呂吉雄でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当予算委員会では、現在、平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算の審査を行っているところでございます。

 本日は、三案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を求めるため、当千葉市におきまして地方公聴会を開催するところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようにお願い申し上げます。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序につきまして申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十分で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えを願います。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日の御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員を御紹介申し上げます。それぞれお立ちになって会釈をしていただきたいと思います。

 民主党・無所属クラブの武正公一君であります。同じく、若井康彦さんでございます。同じく、金森正君です。同じく、櫛渕万里さんであります。同じく、村越祐民君でございます。同じく、山岡達丸君でございます。次に、自由民主党・無所属の会の石破茂君です。同じく、赤澤亮正君です。同じく、佐田玄一郎君です。同じく、山本幸三君です。次に、公明党の高木陽介君です。次に、日本共産党の塩川鉄也君です。続きまして、新党きづなの中後淳君です。次に、社会民主党・市民連合の阿部知子君です。以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 千葉県浦安市長松崎秀樹様です。千葉県香取市長宇井成一様です。中央大学研究開発機構教授石原研而様です。東日本大震災被災者支援千葉西部ネットワーク代表永田研二さんです。以上の四名の方々でございます。

 それでは、まず松崎秀樹様に御意見をお述べいただきたいと存じます。

松崎秀樹君 本日は、こうした貴重な機会をいただきまして、御礼を申し上げたいと思います。また、災害復旧事業に関しましては、国庫負担金のかさ上げ、また特別交付税の措置など、手厚い財政措置にしていただきましたことにも、この場をおかりして御礼を申し上げたいと思います。また、特に液状化に関する住家の被災基準の見直しをしていただきまして、本市はとりわけ多くの市民が救われたということに関しましても、御礼を申し上げたいと思います。

 本日は、東日本大震災に伴います液状化現象と地盤沈下によります被害からの復旧復興に向けた本市の今の課題と、また国に対する意見、要望を述べさせていただきたいと思います。

 まず、被害の状況と現況でございますけれども、今回の震災によりまして、本市は、宅地では、日本で最大規模と言われておりますけれども、千四百五十五ヘクタール、市域の八六%が液状化の被害を受けまして、大量な土砂が噴出をいたしまして、電気、ガスはもとより、道路あるいは上下水道などのライフラインに甚大な被害が生じたところでございます。

 また、市内の主要な公共施設四十七施設のうち二十六施設が、さらに、幼稚園、小中学校四十施設のうちの二十九施設が被災をいたしました。また、施設の傾斜や抜け上がりなどによります給排水設備等の切断、さらには校庭の液状化などの被害が生じたところでございます。

 住宅などの建物被害におきましては、約八千七百棟の建物に被害が生じ、建物傾斜あるいは地盤沈下によります給排水の設備の切断だけではなく、これが今後の大変大きな課題でございますけれども、居住者には健康被害が生じて、今なお苦しんでいる方もおります。

 この健康被害でございますけれども、先ほど八千七百棟の建物の被害と言いましたけれども、半壊以上、こちらの被害が約三千六百棟ございまして、半壊の基準が、傾斜が百分の一、角度にしますとわずか〇・五七度なんですけれども、これ以上の傾斜によりまして、もう既に苦痛を感じる。これが大規模半壊の方に至りますと健康障害が間違いなく出るというふうに言われている状況でございますけれども、大変多くの市民が今なお苦しんでいるという状況でございます。

 市では、震災直後、直ちに災害対策本部を設置しまして、被害状況の把握と応急復旧に向けて取り組みました。東京都を初め近隣自治体、これらから多大な支援をいただきながら、三十六日後でございますけれども、四月の十五日に応急復旧がほぼ完了したことになります。

 その後、本市では六十二年ぶりの激甚災害の指定ということで、国の災害査定が六月の下旬から始まりまして、十一月の上旬まで行われました。ようやく災害査定額が確定いたしまして、現在、本復旧に向けた工事発注の作業を進めているところでもございます。

 それでは、復興交付金制度について若干触れさせていただきたいと思います。

 本市では、昨年十一月に浦安市の復興計画検討委員会を設置いたしまして、液状化対策を中心に、安全、安心なまちづくりを基調とした新たな都市の魅力や価値の創造を目指す復興計画の策定に取り組んでいるところでもございます。

 先般、十二月の二十六日に、国会の方では、東日本大震災復興特別区域法が施行されまして、地方がみずから策定する復興プランのもとで、復興のための地域づくりについて必要な各種施策を展開できる復興交付金制度が創設されております。

 地方自治体にとって、まさに地方の自主性や実情に合わせた復興事業を国が後押ししていただける制度が創設されたと私も大変期待をしているところでございますが、残念ながら、本年一月六日に東日本大震災復興本部より示されました災害復興交付金の事業要件、いわゆる五省四十事業の概要を見ますと、本市の最大の懸案でございます液状化対策を正面から受けとめている基幹事業が極めて少ないという印象を強く持っております。

 次に、公共土木施設に対する液状化対策についてお話をさせていただければと思います。

 今回の震災によります液状化被害の惨状を目の当たりにしまして、市民の不安を払拭し、復興の礎となる、まさに安全、安心なまちづくりを実現するためには、液状化対策なくしては本市の復興はあり得ないというふうに強く私は思っております。

 市では、被災以降、液状化のメカニズムが解明されていないということで、土木学会、地盤工学会、建築学会のそうそうたる先生方を市でお招きをいたしまして、液状化対策技術検討調査委員会の取りまとめを行いましたけれども、その中で、心配されております、また切迫性が叫ばれております首都直下地震、こちらがもし起こった場合には再液状化の心配があるということまで出されております。

 そうした中で、この震災の経験を踏まえながら、行政と市民、あるいは市民と市民による協働、こういったことが間違いなくこれからの難局を乗り越える大きな力になると私は信じております。

 ただ、その一方で、災害をハード面の施設整備で制御する防災対策には限界があることも痛感をいたしましたけれども、行政の責務として、道路や上下水道などの公共公益施設につきましては、必要最低限の機能が保持できるよう、多重の対策を講じていくことの必要性も改めて認識をいたしました。そのために、液状化対策につきましても、技術的あるいは財政的な視点から有効な技術手法を検討し、対策を講じていくことが重要であるというふうに考えております。

 具体的には、必要最低限の備えとして、緊急輸送道路や主要下水道、避難所などにつきましても、大規模災害におきましてもその機能が確保できるよう、復興交付金事業を活用し液状化対策を実施したいと考え、今般、事業計画を提出させていただいております。

 しかしながら、これまでの復興庁を初め関係省庁との協議では、液状化対策は基幹事業の対象には含まれていない、それと、液状化対策そのものが予防的な措置であると、内容を再検討するよう御指摘を受けているところでございます。

 例えば学校施設は、災害時の児童生徒の安全確保だけでなく、万が一のときの地域住民の避難拠点として重要な機能を担っておりますけれども、学校施設環境改善事業では基幹事業の対象に液状化対策は認められておりません。

 また、緊急輸送道路や主要下水道の液状化対策は、本市にとりましてまさに復興事業そのものでございます。なおかつ、災害復旧事業にあわせて液状化対策を行うことは、工事の効率性、経済性を考えた上で全く無駄のない施工計画である、決して漫然とした予防措置ではないというふうに考えておりまして、この辺を強く委員の先生方にお訴えを申し上げたいと思います。

 災害対策基本法、まさに国の災害対策の基本になりますが、この第三条で、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」としております。近い将来発生すると言われております首都直下地震に対しまして、これらの施設に対する液状化対策を復興交付金事業の対象に認めていないということに関しましては、到底納得できるものではございません。

 一方、民間建築物につきましてでございますけれども、今回の液状化によります全国での被害状況の三分の一が本市から出ておりますけれども、国土交通省から出されました公共土木施設あるいは隣接宅地との一体的な液状化対策を行います市街地液状化対策事業、これが基幹事業として示されたことは評価できると考えておりますが、しかしながら、事業化に向けては、宅地所有者の費用負担、これがかなり多額になるというふうに考えられておりまして、合意形成の面で大きな問題があるというふうに考えております。

 こういったことからも、住宅市街地での液状化対策につきましては、合意形成には時間もかかることから、長期にわたる国の支援を要望するとともに、国を挙げて小規模宅地におきます液状化対策技術の開発にぜひ取り組んでいただくことを要望申し上げます。

 昨今、首都直下地震を初め将来起こり得る地震について、さまざまな情報がマスコミで報道されておりますけれども、こうした報道があるたびに、私どもの市民は大変な不安を感じております。今回の震災を踏まえて、市としましても、地域防災計画の見直し作業を早急に進める必要があることから、中央防災会議での議論を進めていただき、早急に国としての見解を公表していただきたい、これもお願いを申し上げたいと思います。

 また、今般制定されました復興交付金事業につきましては、国の財政的な支援が手厚く、大変私も評価しているところでございますが、先ほど申し上げましたけれども、制度の運用面で、国、地方の責務や国の支援のあり方と大きく乖離していると思わざるを得ません。ぜひ、国及び関係機関では、被災自治体の自主性を尊重していただきまして、復興まちづくりを支援していただくことが国と地方との関係や自治の適正なあり方だと私は考えております。

 こういった点から鑑みましても、復興交付金事業の五省四十事業の柔軟な運用と基幹事業の拡大をぜひともお願いを申し上げまして、私の時間を終えたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

鉢呂座長 ありがとうございました。

 次に、宇井成一様、お願い申し上げます。

宇井成一君 香取市長の宇井成一でございます。

 本日は、国の平成二十四年度予算に関しまして市としての考えを述べさせていただく、こういった機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。また、東日本大震災の復興につきましては、国の絶大なる御支援を頂戴いたしたところでございまして、改めて、重ねて深く感謝申し上げる次第でございます。

 それでは、お配りをいたしました資料の一ページ目をちょっとごらんいただきながら御説明申し上げたいというふうに思います。

 香取市は、千葉県と茨城県の県境にございます。利根川の流域というところでございます。昨年の震災では、市内で三千五百ヘクタール、これは東京ドーム七百五十個分の広さになりますけれども、この地域で液状化の被害を受けました。もちろん、市全域で震災の被害を受けたのでありますけれども、液状化の被害が大変大きかったということでございます。

 利根川沿いの地域を中心に起きましたこの液状化は、広い範囲で最大五十センチ、すり鉢状に三千五百ヘクタールが沈み込んでいるというような形になっております。道路は大きく波打ちまして、家屋によっては数十センチそのまま土の中にめり込むといったような形、上下水道は全て外れまして、雨が降ると雨水が周辺の道路から下がってしまった家の方へ流れ込んでいくというような状況に現在もなっているところであります。

 また、家全体の傾きがわずかでありましても、中にいると平衡感覚がおかしくなり、吐き気や目まいがするといった形で、家に住めなくなったという方が大勢いらっしゃいます。修繕には建てかえに近いぐらいの額がかかるということ、それと、道路や上下水道の復旧がまだまだ時間がかかるといったことから、多くの家屋が去年の三月十一日のそのままの形で残っているというのが現状でございます。

 そこで、本日は、震災関係に絞って四点お話をさせていただきたいというふうに思います。お配りした資料の二枚目の下段に四点を掲げさせていただいております。

 まず一点目は、二十四年度予算の執行や今後の拡充、制度見直しに当たりまして、東北三県に限定せずに、被害の実態に応じた支援をお願いしたいということでございます。

 例えば、二月に発足をいたしました復興庁、こちらでは、東北三県に復興局を、そして青森、茨城県には事務所が設置されておりますけれども、千葉県につきましてはこれらはございません。したがって、本庁対応ということになっております。国の震災対応全般について、今後、東北三県に目が行きがちになるのではないだろうかというふうに危惧をしているところでございます。何も東北三県のその目を全部こっちへ持ってこい、そういうお話ではございませんので、御承知おきいただきたいというふうに思います。

 例えば、松崎市長からもお話のありました復興交付金の一次申請、これにおきまして、東日本大震災財特法、こちらの特定被災地方公共団体であっても、復興庁の本庁からは、著しい被害があった場合でないため復興交付金の対象にならないという御指摘を大変受けております。実際、千葉県内では、現状で第一次申請を出しているのが三市のみでございます。そして、香取市につきましては、一番最初に申請したのは三十項目でありましたけれども、全てだめと言われましたが、現状、二項目のみだけをもう一度申請し直している、こういうような状況でございます。

 千葉県内でも大きな被害を受けた市町村がございます。東北以上の対応をと言うつもりは、先ほど申し上げたとおり、毛頭ございませんけれども、国において被災状況を十分確認の上、東北であれ千葉であれ、被害程度が同様のものがあれば同様の、被災実態に応じた御支援をしていただければというふうにお願いをするところであります。

 二点目は、液状化対策に関して、技術面、財政面でのさらなる積極的な取り組みをお願いしたいということでございます。

 国の方では、復興交付金制度に市街地液状化対策事業を盛り込んでいただいたことによって、いわば市町村が自分たちで地域の被害状況に応じた独自の対策工法を考え、また地元地権者とも調整ができれば、公共施設部分の対策費用は国が支援できるという制度が整ったわけであります。

 しかし、液状化対策につきましては、これまでのところ、既存市街地の復旧や予防について、技術面や経済面から現実的に実施可能であるといった工法が見当たりません。仮に、幾つかの可能な工法の中から、地域の実情や条件に応じて自治体が工法を選択すればいいというのであればともかく、専門家をもっても現実的に実施可能な工法がなかなか見当たらないといった状況下で、個別の市町村がそれぞれの独自の対策工法を考えるということは事実上不可能というふうに考えざるを得ないんです。

 液状化被害対策は、土木技術面で高度な検討が必要でありますし、また、今後、全国どこでも必要になり得るといったものでございます。国の方では予算制度を整備したので、あとは自治体でやれよといった形にならないように、国において、液状化対策工法について研究また検討を早急に進めていただくとともに、各自治体に対して、これまで以上に、そういった成果をお示し、また御支援していただきたいということでございます。

 三点目は、災害査定や復興交付金運用に関する柔軟な対応についてであります。

 震災によりまして被害を受けた公共土木施設や下水道の施設、また文教施設などは、国の災害査定を経て事業決定、そして復旧作業が進むということになってございます。

 しかし、先ほどもありましたけれども、昨年三月以降も余震が続いておりまして、余震等によって新たに被害が発生する例が起きています。ちょっと大きい余震がありますとまた家が傾くといったことが、現状、起きているわけであります。

 したがって、最初に査定を行っていただいた内容に変更がどんどん生じています。これに関して柔軟な対応をお願いしたいということであります。

 また、復興交付金制度、これにつきましては、当初は、地方公共団体が復旧復興に関して自由に使えるんだということで制度設計がスタートされたところでございます。

 しかしながら、必要なハード事業を幅広く実施できるといったこの復興交付金制度でありますけれども、基幹事業、そして効果促進事業、こういったフローになっているわけでありますけれども、御存じのとおり、基幹事業は実は五省四十事業に限定されています。また、使途の自由度が高いという効果促進事業、これにつきましては、各効果促進事業ごとに基幹事業を執行する省庁が執行するということになっておりまして、いわゆる基幹事業との関連性が厳しく要求されます。基幹事業を行わなければこの事業はできませんよというふうに言われてしまうんですね。

 例えば水道事業。これは、香取市では二万世帯が水道が使えなくなりました。今でも三分の一以上が道路の上を応急管が通っています。まだまだ、これは三年も四年もかかるだろうと言われております。この水道事業については、復興交付金の基幹事業に上がっていない。一カ月以上断水が続いた地区について、近隣市町からの水道管を、緊急の連絡管を補修していこうじゃないか、香取市がだめだったら、隣の市町がまだ水があるのであれば、そことつなげていこうじゃないかということを周りの市町と今話をしています。しかし、これさえできないというようなことになっている。周りの市町ももちろん同様に苦しんでいるということでございます。

 したがって、今後、基幹事業の見直しや効果促進事業の認定の方法の見直しなど、こういった柔軟な対応をお願いしたいということでございます。

 そして、四点目であります。家屋の解体、修繕に伴い発生します災害廃棄物の取り扱いの明確化ということであります。

 震災によりまして自宅の屋根が落下したり壁が崩れたりしました。また、震災後に被害家屋を解体したりして瓦れきが発生した場合、他市と同様、香取市でも災害廃棄物として受け入れまして、処理に要した費用については国庫補助の対象としていただいております。

 通常の災害であれば、震災直後から瓦れき処理が進むもの、こんなふうに思われるんですが、今回、液状化被害が大きかったために、道路や上下水道の復旧にまだまだ時間がかかります。このため、今修繕を行っても、上下水道の復旧工事に合わせてもう一度工事をしなくちゃならないということになります。

 どういうことかというと、下水、上水、道路が決まらないと、曲がったり沈み込んだ家は、その水準が決まらないと家を直すことができないんですね。道路よりわざわざ低いところに家を建てる人はいませんよね、水が入ってきてしまいますから。ですから、道路の水準が決まって初めて家を建てていくことができる。そうすると、その間、修繕ができませんので、例えば、屋根に三分の一、四分の一、瓦が残っていても、それは落とさずに、その上からブルーシートを張っています。したがって、この間は瓦れきは残ったままということになります。

 しかしながら、現在、国の方では、これが今後国庫の対象になるかならないかというものがはっきり伝えられておりません。したがって、一部が対象になるのか、全部対象になるのか、どうなるのかというのが全く決まっていない。

 これは、例えば震災直後に屋根瓦が落ちました、一部残っていたかもしれない、しかしながら、それをすぐ直せた人もいます。これは、瓦屋さんがすぐに来てくれたから。この瓦屋さんが来てくれたところの瓦れきは全て無料で市の方で処理ができた。しかし、一年たって、二年たって、やっと瓦屋さんが来て、同じようにしたんだけれども、これはお金がかかる。これは全く理不尽だろうというふうに思います。

 被災を受けた全ての国民が、市民が同じように復旧復興の恩恵を受けるというか、ひとしく救済していくということが現状であれば、こういったところをお考えいただいて、その指針といったものを示していただければなというふうに思うところでございます。

 以上、四点についてお話を申し上げたわけでありますけれども、ただいま申し上げたように、復興復旧につきましてはまさにこれからといったところでございます。どうか、引き続きお力添えをよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

鉢呂座長 ありがとうございました。

 次に、石原研而様、お願い申し上げます。

石原研而君 中央大学研究開発機構に所属しております石原と申します。

 本日は、このような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございました。

 私は、三十代の前半、今から四十年前になりますが、新潟地震が起こりまして、三日か四日かけて現地を見て回りました。当時は新潟市では、その五年ぐらい前に大火がありまして、復旧工事として新しい近代的な施設を整備して、それを記念すべく国民体育大会を開いた後、一週間後の地震でございました。したがいまして、新しい近代施設に非常に被害が及んだという意味で、我々は大きなショックを受けたわけでございます。

 その後、液状化の調査研究にずっと従事してまいりましたが、振り返ってみますと、液状化という言葉自身が当初は技術用語であり専門用語であったわけです。しかし、今回の事件を通じまして、これが全くの普通名詞になってきたということをつくづく感じまして、感慨深いものがございます。多分最後になると思いますが、このような席で皆様方にお話しできるという機会を持つことができて、大変喜んでおります。

 それからもう一つ、液状化に関する中身について少し御理解を深めるという意味で、国生剛治という先生が書かれた「液状化現象」という本がございます。これは二冊ばかりコピーを持ってまいりまして、議員の先生方に回覧して読んでいただきたいと思っております。特に御所望の方はお持ち帰りいただいて結構でございますが、もし足らなければ、申しわけありませんが、どうぞ御購入いただいてお読みいただきたいと存じます。それから、私、地盤工学会というのに属しておりまして、そこでも提言等を出しておりますので、そのコピーも二つ持ってまいりましたので、御回覧いただきたいと思います。

 今回の地震の被害は、主に津波による浸水被害と地盤の液状化による被害が目立ったわけでございます。

 御承知のように、昨年の三月十一日午後二時四十六分に発生した三陸沖を震源とするマグニチュード九・〇の本震と、その約三十分後に発生したマグニチュード七・七の茨城県沖を震源とする余震で、東北から関東地方にかけての広い範囲にわたって液状化現象が発生し、戸建て住宅が沈下、傾斜するなどの大きな被害を受けたわけでございます。

 特に、東京湾の千葉方面の沿岸地域の埋め立て、そして、千葉県、茨城県も含む利根川の中下流地域の軟弱、平たんな地域で大きな液状化の被害が発生いたしました。特に浦安市でその被害が目立ったこともありまして、市長の御発案で委員会ができまして、私がその取りまとめをやるように仰せつかって今回に至っておる関係上、本日お呼びいただいたものと理解しております。

 この委員会は、地盤工学会、土木学会、日本建築学会の三学会の代表から成っておりまして、そこへ委託をしていただきました。中身は、浦安市の地盤特性と液状化の要因分析、公共土木施設の被害状況と対策、そして三番目に建築物、宅地などの被害状況と対策について調査検討を実施いたしまして、最終的な報告書の原案はもう既に提出してございます。

 香取市、稲敷、あるいは千葉の他の市も同様でございますが、特に浦安市においては、本震及び余震で、一九六〇年代から二期にわたり造成した埋立地のほぼ全域で液状化現象が発生いたしました。震災前後に実施された地盤調査の結果を集めまして分析をいたしました。そして、観測された地震波形と地盤の土の強さに基づく解析などを実施いたしまして、埋立土層を中心に液状化が発生したものと考えたわけでございます。

 特に目立ちましたのは、まず第一に、道路についてなんですが、舗装部や歩道の境界部から大量の土砂が噴出しまして、交通の障害が発生しましたほか、舗装のひび割れ、それから大きなせり上がり、陥没など、路面に大きな変状が発生いたしました。

 それから、下水道に関しましては、二ないし三メーターの深さにあります下水道管の破損、マンホールの浮き上がり、躯体のずれなどの被害が発生しましたが、そのほかに、液状化した砂が下水管やマンホールに大量に流入いたしまして、管路閉塞、つまり目詰まりを起こしまして、長いところでは一カ月にわたって施設の使用が制限されるなど、市民生活に大きな不便と支障が発生いたしました。

 次に、マンション、病院、学校の校舎などの大・中規模建築物は、くいで支持されておりましたけれども、建物本体には大きな被害は発生しなかったものの、周辺の地盤沈下が著しく、これによる出入り口の段差発生や立体駐車場の破損、ライフラインの寸断などの被害が発生いたしました。

 また、戸建て住宅の小規模建築物については、液状化によって建物が沈下したり傾いたりして、浦安市だけで八千七百棟の家屋が被災したということは先ほど述べられたとおりでございます。

 今回の地震の特徴でございますが、新潟地震以来、平均して五年か六年に一度は大きな地震がありまして、そのたびに液状化の被害が発生してまいりました。

 いろいろ調査をしてまいりましたが、今回の地震による液状化の大きな特徴は、そこに述べてありますように、まず、東京湾岸などでは震度五強で、それほど強い加速度が発生したわけではございませんが、継続時間が三分にも及ぶ、従来の十ないし二十秒ぐらいの揺れの時間に比べて著しく長かった、そしてまた三十分後に余震が発生した、これが一つの大きな特徴でございます。

 二番目に、被害は、海岸の埋立地、旧河道やくぼ地の埋め戻し土など、地盤の構造が極めて複雑な人工改変地で発生したということでございます。従来の液状化は自然に堆積した地盤で起こっているのが多かったわけですが、今回はその人工改変地で起こったということが非常に大きな特徴であろうと思います。そのために、発生は平面的に見ましても一様ではなくて不規則でありまして、数メートル離れたところで被害があったりなかったりしたというふうな特徴がございます。

 次に、液状化に対するこれまでの対応と現状でございますが、この現象自身は昔からあったものですが、先ほど申しましたように、新潟地震で初めてその重要性が専門分野では認められたわけでございます。特に、橋梁が落下いたしまして交通が遮断されたことが大きな理由だと思うんですが、当時の建設省が対策に乗り出しまして、調査研究を大々的に開始いたしまして、道路橋基礎の設計基準にそれを盛り込んで世に出したのが一九七二年でございました。それと前後して、港湾施設、鉄道、大型建築物等のインフラ施設、そして病院、学校等の公共施設を対象とした液状化基準や指針が整備されていったわけでございます。その結果、大型の建造物の対液状化設計と対策はかなり進んできたというふうに解釈しております。

 しかし、古い家屋でありますとか、全国にネットワークの広がっている上下水道のシステム、そして中小の道路や橋梁、そして特に個人住宅等はこのような対策や措置から見放されたというか、取り残された部分でございまして、その部分、その弱点が今回の地震で大きく露呈したというふうに見ております。

 要するに、液状化というのは耐震工学の一つでありますけれども、被害の様相が地震ごとに異なるために、そのたびに新しいメカニズムを調べて対策を講じるということがなされておりまして、言ってみれば一つの経験工学でありまして、これは社会の発展とともに被害の様子も変わってくるということを反映しておるわけでございます。

 そういう認識の上に立ちまして、技術開発も随分行われました。サンドコンパクションと称する、締まった砂の柱を多数地中に打設する工法などが開発されて、大々的に用いられてまいりました。しかし、戸建て住宅に対する対策は、需要が少なかった。市場が小さいために、小型機械や、安価な、狭い部分でも施工が可能な工法の開発が非常におくれてきた。現在でも十分なものはございませんで、これからの大きな課題となっておるわけでございます。

 最後に、国会議員の皆様方に対する要望でございますが、このような複雑な新規課題を中心とした液状化に関する調査研究、技術開発を官民共同の国家プロジェクトとして立ち上げていただきまして、長期的かつ精力的に研究、調査、対策に取り組んでいただきたいというふうに思っております。それに対しての体制づくり、それから予算措置を切にお願いする次第でございます。

 実は、浦安市の松崎市長から御指摘ありましたように、首都圏の直下型地震というものが近い将来に来襲するということが危惧されております。これに対応したハード面の対策には結構費用がかかるわけでございますが、被害の拡大を最小限にとどめる減災の視点で、重要な公共施設を対象に優先的に液状化対策を実施すべきであると思っております。

 浦安市におきましては、今回の被災を踏まえ、緊急物資輸送路となる重要な幹線道路や幹線下水道の液状化対策、市民の避難拠点となる学校施設の段差防止策や校庭の液状化対策を優先して実施するように、先ほど申しました委員会の報告書の中で提言いたしました。これもかなりの費用を要するものでございますので、国の方から予算措置などを講じていただくことを切に希望しておる次第でございます。

 液状化による被害が生じた戸建て住宅や既存宅地の液状化対策に関しましては、道路と宅地を一体的に考えて液状化対策を行う、いわゆる市街地液状化対策推進事業というものが立ち上がりましたが、それを活用することを考えておられます。現在の技術力で可能な対策について検討したつもりでございます。その結果、工法にもよりますが、非常にお金がかかる。家屋所有者の負担が一世帯当たり数百万円程度必要となるということが出ております。技術開発を進めてコストダウンを図るよう努力いたしましても、世帯によっては費用を負担することが難しい。国の新規制度では一世帯が欠けると事業効果が発揮されない可能性があるということがございますので、その辺も十分御認識いただきたいと思います。

 コストダウンのための取り組みと公的な支援を考える必要があると思いますが、事業実施までに二、三年調査が必要であり、その後の事業実施を考えますと、十年程度の長期間の対応が必要であろうかと思います。

 最後に、今まで東京湾沿岸地域で発生した被害について申し上げましたけれども、よく考えてみますと、我が国の戦後の経済発展がなし遂げられたのも、物資の輸送の便利な海岸沿いの埋立地域に立地した産業基地、輸送基地において達成されたことに注目する必要があると思います。関東地震地域に限らず、東海、東南海、南海地域におきましても同様な問題があるわけでございまして、全国的に見て多くの人命と財産が集積する大都市はほとんど埋立地の上に立地しておりますので、その土台となる地盤の液状化への取り組みを強化することが、我が国全体の防災対策上、必要であろうというふうに思っております。

 以上が私の意見でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

鉢呂座長 ありがとうございました。

 次に、永田研二様にお願い申し上げます。

永田研二君 被災者支援千葉西部ネット代表の永田といいます。流山市から来ました。

 私たちは、震災直後に、いわゆる東葛地域と言っているんですけれども、千葉県の北西部に住む十二市の市民が、私たちにできる被災者支援は何かないか、何かしたいということで立ち上がった市民グループです。

 五月に南相馬市の桜井市長のところに義援金を届けたのを皮切りに、現在は、南相馬市の学校給食センターに野菜を届ける活動を続けています。これは、ニーズ調査の結果、やはり食の安全ということに不安を持たれている方が非常に多いので、私たちが放射能測定した野菜、安心できる野菜を毎週学校給食センターに直接届ける、こういう活動をしています。

 ただ、六月に入ると、いわゆる東葛地区がホットスポットであるということがわかりまして、私たち自身の暮らしも非常に危険を伴うことがわかりました。そこで、行政と一緒になって、市民の要望をどうやって実現していくか、例えば、放射能測定だけじゃなく、除染とか、あるいは焼却灰の問題をどうするんだ、こういったことを行政に対してさまざまな要請活動を通して伝える活動もしています。それで、十二市から今、回答が戻ってきていまして、これをペーパー、そしてもう一つはCDにして、今後の自分たちの少しでも安心な暮らしを取り戻すためのステップにつなげたい、そういう活動もしています。

 それと、もう一つは、やはり原発とは共存できないんじゃないかという声が非常に多くあります。

 そこで、例えば、先月、一月の二十一日なんですけれども、松戸市の市民会館で、田中優さんを呼んで、私たち市民が今からできること、そして、脱原発、自然エネルギー、循環型社会へ至る道筋をどうやってつかんでいくのか、それをテーマにした講演会を行いましたところ、八百人以上の市民にお集まりいただきました。このこと自体、やはり市民の不安の大きさというのを物語っているんじゃないか、そんなふうにも考えました。

 この一年間余りの活動を通じて一番強く感じたのは、やはり小さなお子さんを抱えているお母さん、お父さん方の不安の大きさと、もう一つは悩みの深刻さなんですね。

 例えば、子供を学校に行かせるときにマスクをさせるかどうか、夏でも長袖の方がいいんじゃないか、学校給食は大丈夫なんだろうか、お弁当を持たせた方がいいんじゃないかとか、あるいは、体育の授業は参加していいものかどうか、もし休ませるとしたら、どういった理由で授業を休ませるのか、子供にうそをつかせていいのだろうか。夏のプール、ヤゴとり、そして秋には運動会の練習があります。家に帰れば帰ったで、公園で遊ばせていいのかとか、砂場は大丈夫だろうかとか、野球のときにスライディングして大丈夫なのか、サッカーは大丈夫なのか。

 お母さん、お父さんは、こうしたこと一つ一つに厳しい判断というか決断を下さざるを得ない。その状況は今も続いているわけですよね。子供の将来の健康被害とか、あるいは命にかかわる問題だけに、お母さん、お父さんたちは本当に悩んで、一つ一つの決断に苦しんでいます。

 こうした不安とか悩みを、校長であるとか、あるいは教育委員会、行政に訴えました。お母さんたちは自分たちで測定器まで買い込んで、通学路を被曝しながら除染しながら、そういう活動もあわせてやっているんですね。残念ながら、行政の対応は冷たいというか遅いというか、本当に残念なことばかりでした。

 当初は、そういう要請活動を私たちもお母さんたちと一緒にしていたわけなんですけれども、市に行くと、県は何も言っていない、指示を出していないと。県は県で、国は大丈夫だと言っていると。こういうことで全く身動きがとれないんですね。

 特に、文科省の決めた年間二十ミリシーベルト、これが大きな縛りとなって、自治体が全く動けない。現場レベルでは何とかしたいと思っている方はたくさんいらっしゃったんですね。だけれども、行政としては動けないという状態がずっと続きました。秋口になって、年間一ミリシーベルトということになって、やっと少しずつ行政も動き始めました。

 ですけれども、こういうことを言っていくと、例えばモンスターペアレント扱いされてしまう、あるいは地域のお母さんたちの間でも孤立してしまう、さらには、PTAなんかでこういうことを口に出そうものなら、たちまち排除されてしまう、こういうことにすごく嫌気が差したり、あるいは放射能自体に対する不安もありますけれども、越していく人が本当に多かったです。私の身の回りでも何人もいます。沖縄であるとか九州であるとかに避難されていく、引っ越しされていく方がいます。引っ越しできないまでも、例えば別居するという形の本当に苦渋の選択をされている方もいます。仕事とか親の介護で避難できない方、こういった方たちは離婚覚悟で別居生活を送っています。そういう方も随分見てきました。

 きょうの新聞を読んでいたら、千葉県の東葛地方を中心に、西部の人口がこの一年間で八千五百人減ったという報道がありました。これは多分、住民票を移された方だけの数字だと思います。住民票を移さないまでも、避難せざるを得なかった方が相当多くいらっしゃると思います。多分、万単位でいらっしゃるんじゃないかと思います。

 こういうことが今現実に、ホットスポットと言われるいわゆる東葛地域、私が住んでいる流山だけじゃないんですけれども、松戸であるとか柏であるとか我孫子とか、あるいは鎌ケ谷、野田、船橋、こういった地域で起こっている日常の一端なんですね。ぜひこのことを御理解いただいた上で、若干私の意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず最初に、市民の間に一番強いのは政府に対する不信なんですね。それはなぜかというと、情報が全然伝わってこない、あるいは伝わってきても全然市民目線じゃない。

 SPEEDIの例は一つのいい例かもしれませんけれども、それだけでなく、例えば空間放射線量、毎日、新聞に載っています、私も毎日見ています。ですけれども、例えば千葉県の市原市では地上七メートル、東京は新宿が十八メートルのところの測定値というふうに言われています。

 ですけれども、私たちが生活しているのはせいぜい地上二メートル。子供のことを考えたら地上五センチとか五十センチとか、そういうところの放射線量が本当は知りたいわけです。ですけれども、そういう情報というのはちっとも伝わってこない。これは市民みずからが自分たちではかって知るしかない。こういう情報の提供のあり方、情報収集そのもののあり方、こういうのをまず見直していただきたい。

 それと、今、市が独自に除染、例えば除染の目安、国が決めた〇・二三マイクロシーベルト・パー・アワーというのがありますけれども、それぞれ自治体の独自の基準でやっています。これを、積極的に行うように、ぜひ守るように国が指導してほしい。と同時に、これは内部被曝のことを全く考慮していないので、内部被曝のこともぜひ考慮していただきたい。

 それと、除染方法なんですけれども、この除染方法が確立していないことは明らかなわけです。こういう中で、お母さんやお父さんたちが、あるいは自治会員の方たちと一緒になって、休み、土曜、日曜を使って今自主的に、通学路とか公園とか、子供が出入りするところを一生懸命除染活動しています。でも、そのことによってぐあいの悪くなったお父さん、お母さんがかなりいるんですね。でもやっているんです。

 ですから、国が、こういう民間の、市民の自主的な除染活動に対して、もう少しきちんとした啓蒙活動というんですか、例えば、除染するときには最低限こういうことはしてはいけない、あるいは最低限こういうことをしてほしいということをもっと積極的に、啓発というんですか、啓発活動を行っていただきたいと思います。

 それと一方で、業者による除染というのも行われ始めているんですけれども、これも国の指導がないと、民間は勝手に除染ということで高い料金を請求する可能性というのが非常に大きいと思います。しかも、その除染を、ちゃんと除染されたんだろうかということを検証する仕組みがないので、この辺もぜひ国で責任を持って、民間業者に対する除染の指導と、その仕組みづくりということを指導していただきたい。

 それと、あと、国の指導では、今、国の基準づくりの中では空間放射線量だけで、例えば、さっき申し上げました内部被曝のこととか低線量被曝についてはまだまだ周知がされていない。このことの危険性もぜひ周知していただくようにお願いしたいと思っています。

 それと、食品ですね。ここは内部被曝に関係するんですけれども、食品による汚染。私の住んでいる流山市でも、例えばシイタケの原木からセシウムが検出されたということがあります。食品から放射能を摂取してしまう危険性というのは非常に大きいと思います。

 それで、今、子供にお弁当を持たせたいという母親がふえているのもそのことなんですけれども、今、市民が持ち込んだ食品をNPOなりが放射能測定するということが行われ始めています。それぞれ持ち込んだ市民が自己負担でやっているわけですけれども、こういうことを自治体が積極的に受けとめて、国はそれに対して補助を出す、こういう官民一体となった、汚染食品を口に入れることをどうやって防ぐか、こういうことにもぜひ留意していただきたいなというふうに思っています。

 それと、今ストレステストが行われていますけれども、どう見てもこれは形だけなんじゃないかという気がしてなりせん。

 それで、最終的には地元合意ということがあるわけなんですけれども、福島から二百キロ離れた私たちの住んでいる東葛地区がホットスポットなんですね。この狭い国土に五十四基も原発がある現状。原発のつくられている自治体だけが地元かといえば、そんなことはないと思うんです。日本じゅうが地元だと思うんですよね。ですから、原発を再稼働する議論のときには、この国民の合意というのを絶対前提として外さないでいただきたいと思います。

 それと、先ほどからいろいろな方が指摘されていますけれども、四年以内に七〇%の確率で首都圏大地震が起きるという東大地震研の研究調査があったり、あるいは三連動型地震、こういう地震の危険性が専門家から数多く指摘されている中でまた原発を動かすということは、私たちには到底信じられないことなんです。次の地震が来る前に、一日でも早く全ての原発をとめていただきたい。地震はとめられませんけれども、原発は人間の力でとめられます。ぜひとも、一日も早く全ての原発をとめていただきたいと思います。

 それと、最後に一つお願いなんですが、私たち市民の感覚でいうと、とても不思議なのは、東京電力が謝罪していないことなんですね。それと、何でこれだけの事件を起こしながら刑事責任を追及されないのだろう、これも本当に不思議でなりません。その一方で、電気料金値上げを言っています。事業者の権利ということも言っています。でも、その前に東京電力が果たすべき責任というのがあるのではないか、私はそんなふうに思えてなりません。

 ですから、安易に電気料金の値上げを認可する、こうしたことがないように、その前にやるべきことをきちんと、東電に責任を果たさせる、そのことを前提に、初めて電気料金の値上げの問題の議論に入っていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

鉢呂座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

鉢呂座長 これより委員の方々からの質疑を行います。

 予定時間をかなり超過しておりますので、大変申しわけございませんが、双方でコンパクトな質疑を、また陳述人の皆さんにも、大変申しわけございませんが、簡潔なお答えをいただければありがたい、このように思います。

 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金森正君。

金森委員 金森正でございます。民主党でございます。

 きょうは、お四方に大変意義のあるお話を頂戴いたしまして、感謝を申し上げたいと思っております。また同時に、御当地は昨年の大震災で大変大きな被害を受けられました。それぞれ被害を受けられて、本当に精神的にも重圧を受けられた皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいな、こんな気持ちでいっぱいでございます。野田総理のお膝元でもございます。一層その感を強くいたしておるところでございます。

 きょうは、御当地の村越先生がお越しをいただいておりますけれども、職命で私にやれということでございますので、地元の先生を差しおいて質問させていただくことをお許しいただきたいと思っております。

 先ほどいろいろお話をいただきました。浦安さんの方では大変な被害が出たというお話もいただきました。六割というお話もいただきまして、市長さんの話を聞けば聞くほど、大変胸が熱くなるような感じでお聞きをしたところでございます。

 いろいろおっしゃいましたけれども、一つは、御当地の被害を受けられた皆さん方の思いと、それから行政がやっている今の思いといいますか姿が少し乖離しているというお話が松崎市長さんからもございました。五省四十事業というお話もございました。その枠に入っていないじゃないか、どこかずれていないかというお話もありました。共鳴できる部分もありますし、私どもがなかなか理解していない部分もあるかもわかりません。そのところはひとつ後で少し聞かせていただいて、さらに我々も気持ちを新たにしていきたいし、このことは、同時に宇井市長さんにもお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 何人も、安心なまちづくりを実現する、そのことに尽きるわけでございますので、思いを共有していきたいな、こんな気持ちでいっぱいでございますし、今度のこの液状化による被害が大変大きかった、あわせてそのことは、全国的にもこれから、役にと言うと失礼でございますけれども、皆さん方のいろいろな経験を糧にして、日本のこの国土を液状化からどう守っていくのか、そういうところにも問題は広がっていくんだろうというふうに思いますので、その辺も含めてお二人からまずお聞きをしたいな、こんなふうに思います。

 あと幾つかお願いをしたいと思いますので、ぜひひとつ簡略にお願い申し上げたいと思います。

松崎秀樹君 私、先ほど十分間の時間の中で言わせていただきましたのが、五省四十事業のうちの基幹事業の市街地液状化対策事業がかなり実現可能性の低い事業だと申し上げました。これは、公共施設、例えば道路に囲まれた宅地、私どもの浦安市にはかなりありますけれども、そのうちの宅地については国の支援が得られない。当然、住んでいる方たちの新たな負担になるわけです。

 石原先生もきょうお見えですけれども、本市で三学会がやっていただきました液状化対策技術検討調査委員会、こちらの中で、どういった工法がこれからの更地ではなく今住んでいる住宅地の液状化対策で可能かということで、約五つの工法を挙げていただいたんですけれども、一戸当たりかなり高額な負担を強いられざるを得ない。

 その中で一番安いのが水位の低下工法ということなんですけれども、これも場合によっては土地が下がってしまう、沈下してしまうということもありますので、精査しなければいけませんけれども、個人負担を強いるというのが、数百万から五百万、六百万と超えていく額になってしまうんです。これを新たに強いるということは、とても私どもからは言えないというところをぜひ御勘案いただければと思いますので、よろしくお願いします。

宇井成一君 今現在、やはり市民の皆さんは大変不安があるというふうに思います。特に液状化の起こったところは大変な不安感がある。

 その中でも、幾つか申し上げますと、まず一つは、先ほど申し上げたように、その地域がすり鉢状にどんと四十センチ落ちているということでありまして、この三千五百ヘクタール、東京ドーム七百五十個分を四十センチ土を盛るわけにはいきませんので、この地域が落ちるということは、水はけが悪いということです。雨が降ると周りからそこの地域に水が入っていく。そして、下水の位置も同様に落ちていますので、この勾配をとるのが難しくなる。勾配をとれたとしても、もとの勾配より勾配率が低いので水はけの率が悪くなるということで、去年と同じような雨が降っても冠水してしまうおそれがあるということが未来永劫続くということです。

 それともう一つ、先ほど縦に四十センチぐらい落ちていると言っておりますけれども、横の軸で最大三メートル動いています。これは、公共工事を行うについても、民地を確定するについても、何をするについても必ずこの境界の査定で問題が出てくる。常にこの問題が出てくるということで、自分の自宅の範囲は本当はどこであるのか、こういったものをこれから確定をしていかなくてはならないということでありまして、これは私たちに確定することは無理であろうというふうに思います。国の皆様方の御支援を頂戴したいなというふうに思っております。

 現状で、目の前にすぐに立ちはだかっている新しい問題というのはそういったところであろうというふうに考えております。

金森委員 ありがとうございました。

 石原先生、随分と経験を積んでいただいて、全国でこの問題で御活躍をいただいているようでございますし、このたびのこの液状化現象に対する思いも今聞かせていただきました。

 先ほども私、一言申し上げましたけれども、この島国、地震が多発しておりますし、これからもこういう液状化現象は起こるだろう。そのためにも、先生が築き上げていただいた豊かな経験というのは、これから全国に発信をしていただいたら大変助かるな、そんな思いで先ほど聞かせていただきました。それぞれの場所によって違うというお話もありました。なかなか予測しがたいものでございましょうけれども、やはり、備えあれば憂いなしということで、先生がこれから発信をいただくことは必ず役に立つだろうな、そんな思いで聞かせていただきました。

 この二つの市の対策にも御奔走いただいたというふうに思いますので、そのお礼も申し上げたいんですが、とにかく、今度の経験を、あるいはこういう事態を全国に発信いただくということに、私はぜひお願いを申し上げたいなと思いながら、あえて先生の所感をお尋ねしたいと思っております。簡単にひとつお願い申し上げます。

石原研而君 どうもありがとうございました。

 先ほど申し上げましたように、多くの液状化被害がございましたが、今回のように個別住宅の被害が著しく目立ったということは初めてでございました。

 これはやはり、浦安はしゅんせつ、埋め立てである。それから、茨城へ行きまして、潮来は干拓、埋め立て。それから、神栖は、あそこの港をつくったために、住民が移転するための土地を盛り土をしてつくり直したとか、あるいは、砂利を採取したところを埋め戻したとかいうところで液状化が起こっております。

 それから、さらに上流へ行きまして、布佐でありますとか栗橋へ行きますと、これは昔、利根川が破堤した後、堤防を修復して、その堤防の外側の破堤して沼沢地あるいは池になった部分については、簡単に盛り土をして宅地として売り出したというふうなこと、あるいは、砂鉄をとった後、簡単な埋め戻しをして液状化の被害に遭った。そういう人工改変を施したがゆえに起こった液状化被害ということが今回の大きな特徴の一つであろうかと思っております。

 それからもう一つは、先ほど申し上げました、地震動の継続時間が非常に長かった。これも、今までは十秒、二十秒、神戸の地震でもその程度でございましたので、これは非常な驚きでございまして、さて、どういうふうに対処したらいいのかというのが、我々地盤工学に携わる専門家の大きな課題でございます。これは、日本だけではなくて、米国からもたくさんの調査団が参りました。世界的に非常に注目を浴びておる大きな課題でございます。

 そういうことがありまして、先ほど宇井市長からも御指摘ございました、特に地盤の沈下であるとか横方向の変位、それが著しく起こった。そのために、道路を掘り起こして、下水管、上水管、全てやり直さなきゃいかぬというふうな事態になっておるという事情をいろいろな方々からお伺いしております。

 何とか、そういう経験を積み重ねていく一つの過程でもありますので、そういう調査とか研究とかのメカニズムというか仕組みをこの際整備しまして、中心になっていただくセンターのようなものがあって、そこの方々が一生懸命勉強していただくのがよろしいのではないかなというふうに思っておる次第でございます。

 以上でございます。

金森委員 ありがとうございました。

 時間も限られていますので、余り多くお尋ねすることはできないんですが、当初御指摘いただいた、我々の思いと現場の思いというのはできるだけ埋まるように我々も努力していかなきゃいかぬと思いますし、きょうは予算委員会の公聴会ということでお邪魔していますので、そのことはやはりしっかり受けとめさせていただこうかな、こういう思いでいっぱいでございます。

 個々に触れることはできませんけれども、随分多くの御要請もいただいたというふうに思っておりますので、少しでも御期待に沿えるように、私もしっかり持って帰らせていただきたいな、こんなふうに思います。

 総じて、まだ道半ばの対応というお話もございました。むしろ、これからが御苦労が多いのではないかなという思いをいたします。ぜひひとつ、ベテランの市長さん、お二人さん、力を注いでいただきまして、両市の皆さん方が御安心をいただけるようにお努めいただきたいし、私どもも努力をさせていただこう、こう思ったところでございます。石原先生含めて、どうぞひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。それから、永田先生にはいろいろな経験をお話しいただきまして、ありがとうございました。

 それぞれの思いがたくさんこもった東日本大震災だと思います。一つ一つを大事にしていかなければならないと思っています。そんな思いで聞かせていただいたということで、日ごろの御苦労を多としたいと思っております。

 それから、少し内容を変えたいと思うんですが、私ども民主党、政権を頂戴してから、地域主権、地域の皆さんの知恵を十分出していただいてまちづくりをしていただきたいということで、二十四年度になりますと三年目に入ってまいりますけれども、初年度そして二年度、それぞれ地域主権に御活用いただくための交付金もふやしてまいりました。二十四年度もさらにふやしていきたいという思いで今審議していただいているところでございます。

 地方がそれぞれ個性を持って対応いただく、そのことがいかに重要かということは、さまざまな場で共有できると思います。いろいろ率先してやっていただく松崎さんあるいは宇井市長さん、お二人がこの交付金についてどのような思いで今いらっしゃるか、感想を簡単に聞かせていただきたいと思います。時間がありませんので、意を尽くせないことをお許しください。

松崎秀樹君 今、一括交付金のお話でございます。平成二十四年度におきましては、都道府県と政令指定都市まで来ているんですけれども、私たち一般市にはまだ来ておりませんので、ちょっとどのようにお答えしていいのかわかりませんけれども、いずれにしても、国の権限を少しでも地方へという流れは私も大変歓迎をしております。できれば財源もセットで、より一層拍車をかけていただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

宇井成一君 同じく、今、都道府県、それと政令指定都市どまりですから、我々のところには全く来ていませんので、お答えできませんけれども、ただ、都道府県と私のところのような小さな田舎の町の違いというのがありまして、例えば何かを取りつけるだとかつくり上げるだとか、こういったものがこの年度にあると、その年度だけどんと上がるんですね、市の予算というのは。それは上下します。都道府県というのはある程度一定のことを毎年やりますけれども。

 ですから、一括で配られても、毎年のように同じ額を配られても、例えば、全然やらない、何もしない年もあれば、物すごくお金がかかる年もある。逆に言うと、たくさん物をつくろうとしている市があって、ここにはこの額、同じ額を何もしない市のところに、何もしない市というのは申しわけないですけれども、こういう差が出てきますので、ぜひとも地域、市町村と協議の場を持っていただきながら進めていただけるとなお一層よくなるのではないかな、こんなふうに思っております。

金森委員 ありがとうございました。そういう時代観というものをぜひひとつ共有しながら頑張りたいなと思っております。

 最後になりますが、もう時間があと二、三分だそうですので、ちょっと私の思いも申し上げさせていただきたいと思っています。

 私どもは、政権をいただきましてからさまざまなことに取り組んでまいりました。無駄の削除が行き届いていないというお叱りもいただきますし、一方ではばらまきというお話もいただいています。しかし、新しい時代を地域の皆さん、地方の皆さんと一緒につくろうという思いで精いっぱいやらせていただいています。

 そんな中に、今、高齢化社会が参りました。人口が減少してまいります。先を案じ、さまざまな意見で今議論が進んでおります。私ども、予算委員会でございますので、当然そのことに目を向けていく必要があろうし、それは国だけじゃなくて地方もそうだろうと思うんです。そんなところに焦点を当てていかなければならないと思いますし、今やっております高校無償化もその一つであろうと思います。あわせて、子ども手当もそうだと思うんですが、改善すべきはし、そして、この社会情勢の変化の中で、何かを変えていく、こんな取り組みをしていこうと思って毎日取り組んでおります。

 どうぞ、地方にあっても、そういった意味で、思いを共有いただいてこれからの取り組みができれば大変ありがたいと思っております。

 ちょうど時間が来ましたので、改めてお礼を申し上げて、私の方からは終わらせていただきます。ありがとうございました。

鉢呂座長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 こんにちは。自由民主党の衆議院議員で、鳥取二区選出の赤澤亮正でございます。まだ当選二期の若輩でございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、いろいろと教えていただきましたきょうの先生方、意見陳述者の皆様に心から感謝を申し上げる次第でございます。両市長は、日ごろから市民の先頭に立って全力で対策を講じてきておられますし、また、石原先生には、原因究明、そして再発防止のためにさまざまな提言をいただき、さらには、永田様にも、安心な野菜を学校給食センターに届けるというような非常に実践的な御苦労もいただいているということで、国民全てが一丸となって、本当に全力でこの大震災から復旧復興しよう、そういう息吹をきょうも感じさせていただいたところでございます。

 それでは、以後、座ってお進めをさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

 まず、松崎市長にお伺いをいたします。

 先ほど、まず、五省四十事業の中にほとんど液状化の対策が入っておらないという嘆きの声を聞かせていただいたわけであります。私もやはり大変いいお話を聞かせていただいたなと思うのは、役所から説明を聞くと、四十事業のリストを持ってきて、都市再生区画整理事業(市街地液状化対策事業)とそれから都市防災推進事業(市街地液状化対策事業)で万全のいい対策をやっているかのような説明を一生懸命するわけであります。現地で聞いてみると、全然足りないよとかいう話を聞かせていただくのは毎度のことなので、大変勉強になったところであります。

 実現可能性が低いとおっしゃったわけですが、幾つか確認をさせていただきたいのは、まず、要件の問題なのか。というのは、要件は、御案内のとおり、面積の要件があります。一定の面積以上の、しかも十戸以上参加をしている、三千平米以上の区域で十戸以上の家屋がある場合に適用を受けられるといったような要件とかいろいろあるんですが、そういう要件がまず厳しいということなのか、それとも、その要件を満たした場合であっても、やはり金目的にはこれでは到底無理だということなのか、その点をまず確認させていただきたいのが市長に対する一点目の質問であります。

 それから、財源の確保をお願いしたいということをおっしゃったので、その点にちょっとコメントをさせていただくと、いつも私ども、国会の質疑などを見ていただくと、与野党に分かれて、かなりやじなども飛んで、仲が悪いように見えるかもしれませんが、復旧復興を全力でやりたいという思いは全く一緒でございまして、そういう意味で、どうもなかなか行き届いていないと言われるのは、多分予算の確保がまだまだできていない、財源制約が厳しい中でそこの努力が十分でないことによるんだなと。

 私も過去質問をしたところですが、五年間で、集中復興期間で使うとされた十九兆円、このうちの一兆円が全国防災ですけれども、もう既に使い切ってしまっているという状態にあります、もう一兆円ないぐらいで。国会としても、予算委員が一丸となって、政府に、予算枠をきちっと確保してくれ、今のまま、五年間でやると言ったものを最初の二年で使い尽くして、残りの三年は予算がないんじゃどうにもならぬじゃないか、この話を今真摯にしているところであります。

 ちょっと御説明をしておくと、これまで被災地の復旧復興と全国防災とあわせて担当していた平野大臣から、全国防災の方は、今、専任の中川大臣に移ったということで、今後の中川大臣の頑張りに期待するところが大だという状況にあることはコメントをさせていただきたいと思います。

 それでは、冒頭、先ほど実現可能性が低いとおっしゃったことの説明をもう少しお願いしたいと思います。

松崎秀樹君 まず、市街地液状化対策事業、四十事業のうちの一つでございますけれども、私どもは、決してこの要件、十戸以上、三千平米以上、このどちらも異論を唱えているわけではなくて、ただ、十戸以上、これはいいんですけれども、例えば十戸が合意をとれれば、それは全く効果が出ると思うんですが、中の一戸でも二戸でも、もしこれに賛成できないと言ったときには、間違いなくこの計画、事業そのものが流れてしまうでしょう。

 要は、四年以内に七〇%だとか五〇%の確率で首都直下地震が起きると言われていますけれども、例えば十戸のうちの八戸が合意した、あるいは九戸が合意した、一戸がそれに外れたときにどういうふうになるかというのはもう御想像いただけるんだろうと思いますけれども、そのあたりでまず難しい。

 それから、先ほどから言っている一番の問題は、やはり自己負担です。数百万。その中に、液状化で傾いた家、建て直しする家、新築しようとする家、修復する家があるでしょうけれども、それにプラス新たな何百万という、工法によっては五百万を超えるような額まで出ていますので、そうすると、これだけでもまず無理だろう。具体的に言いますと、高く見積もっても、せめて百万ぐらいなんじゃないでしょうか。その部分の負担を何とか……。

 特に、石原先生が取りまとめていただいた報告書の中でも、首都直下地震で再液状化が起きると。私どもは、この震災が起きるまで、実は再液状化という言葉すら聞こえてきませんでした。液状化というのはある程度地盤が固まるんだというふうに思っていたんですけれども、再液状化という言葉が震災の直後からマスコミ等で急浮上してきたというのが私の印象なんですけれども、そういったことがまずございます。

 あと、予算措置の問題なんですけれども、実は、液状化という対策は、私ども、今回六十二年ぶりの激甚災害、三十年ぶりの災害救助法の適用というふうに言いましたけれども、当初、激甚災害は、本激を政府の方が、かなり広域だということで、私どもの申請なく指定していただいたんですけれども、今度、災害救助法の適用に当たっては、何と県の健康福祉部からの問い合わせは、床上浸水、うちは十六万四千人の人口でしたので、百軒以上ありますかという問い合わせなんです。そこで初めてわかったのは、災害救助法は液状化を想定していない。

 それで、私どもは計画停電を三回、ライフラインがかなり壊滅的にやられているにもかかわらず、官邸にも連絡して、何とかとめてほしい、被災地なんだということをお願いしても、結果として三回、計画停電に遭ってしまったということで、液状化が、石原先生はやっとここで認知された言葉のように言われましたけれども、実は、こういった法整備の上ではまだまだ液状化対策がされていない。

 それも、先ほど私も、漫然と予防的な措置を言っているのではないです。もとへ戻しても、結局次の地震で来るというメカニズムが解明された以上、これは予防的措置を液状化に対しては認めていただくしかないんじゃないかということをお願いしていますので。

    〔座長退席、武正座長代理着席〕

赤澤委員 ありがとうございます。

 それで、きょうは、大変勉強になるといいますか、持って帰ってこれからの国政に反映する情報の宝庫でありまして、本当に感謝をしておりますが、もう一度繰り返しコメントをしておきますと、全国防災が十九兆円のうち一兆円しか割り振られず、それがもう今使い切ってしまっているという状態にあるので、今後かなり大規模な予算を確保して、きちっと手を打たなきゃいけません。

 その際、もしコメントがあればいただければと思いますが、私がずっと言っているのは、十年以内に首都直下地震あるいは三連動の東海・東南海・南海地震が来ることを前提にしなければなりませんので、そういう意味からいうと、地震が起きた後で耐震化しても意味がないので、この十年間だけは、通常国がやらないようなところまで踏み込んで手厚い対策を講じるべきだということを考えております。

 いろいろな機会にそうやった方がいいなと思っておりまして、百万円の自己負担が限度であるという話もありましたけれども、その辺の数字も念頭に置きながら、できる限り対策を講じていきたいなというふうに強く感じるものでございます。

 次に、宇井市長にお伺いをしたいと思います。

 地域との協議をお願いしたいということも言っておられましたし、それから、なかなか千葉県に光が当たっておらないということで、復興庁本庁に実は百六十人、人が配属されるんですが、被災三県の被災地に九十人しか行かないという実態で、そこ自体おかしいんですが、きょう大変参考になりましたのは、本庁の百六十人を、少なくとも半分ぐらいは被災地に置くこととして、そのうちの何人かは、これは東京からでも十分通えるということであるかと思いますけれども、常駐とは言えないまでも、かなり千葉に目を配った方がいいかなということを私自身も強く感じた次第でございます。

 それで、液状化対策については現実的に実施可能な工法が見当たらないということは、松崎市長と全く同じ見解を言っておられましたので、その点についても重く受けとめさせていただきたいと思います。

 そして、廃棄物の取り扱いについても、おっしゃることは本当によくわかって、私の地元は、二〇〇〇年に鳥取西部地震で見渡す限りブルーシートのもとに家があるという状態になったことがございますので、本当にその点については、私もその光景が目に浮かぶような感じが非常にするところでございます。

 具体的な御質問としては、先ほどから、四十事業の中にいいものがないというようなことは松崎市長もおっしゃっていたところでありますけれども、宇井市長、そして松崎市長も何かコメントがあればですけれども、ないということの意味は、金目的に現実的でないということだけなのか、ほかに何か具体的に、この四十事業の中にこういうことを手当てする事業を入れてくれたらいいのになということがもしあれば、宇井市長、松崎市長、それぞれからお考えを聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

宇井成一君 先ほど申し上げましたように、使い勝手が悪いというのがまずあります。

 基幹事業と効果促進事業がありますけれども、これはリンクしていなくちゃいけないんですね。ですから、促進事業の中に使い勝手のいいものがあったとしても、使えるものがあったとしても、基幹事業にリンクしていなければ、要するに、基幹事業を何か使っていなければ促進事業は使うことができないということでありますので、実際、基幹事業に何かかかっていなければ全て使えないということで、使い勝手が悪いというふうなお話をさせていただいたわけです。

 特に、私たちの地域というのは、水道がなくなってしまうと大変な形になる。一度水道がとまりますと、ほとんど二日、三日、水をつくることができない。独自でつくっているところが多くありますので、利根川から独自に取水して水をつくっているという市町村が多いものですから、県水であるとか、そういった広域的なものではない地域が多いんですね。したがって、水道事業というのは物すごいお金もかかりますし、一度とまると、次にでき上がるまで何日もかかる。

 実際、香取市では最終的に三十七日間かかりました。しかしながら、三十七日かかっていますけれども、これも応急復旧で、今、道路の上を応急管が通って、そこから各家に一本ずつ水を入れているというような状況です。

 いずれにしましても、具体的に申し上げるとたくさんありますので、またお話しさせていただくとして、使い勝手のいい、そういった形を構築していただきたいなというのがまずあります。

松崎秀樹君 先ほどもちょっと言ったんですけれども、四十事業のうちの文科省の学校施設環境改善事業というのがございます。先ほどパネル等でも、これが私どもの校庭の現状でもございますし、液状化で校庭が全て土砂で埋まっている、こういった状況なんですけれども、実は液状化対策が入っていない。

 学校というのは、先ほども言いましたけれども、次代を担う大事な児童生徒の安全を確保しなければならない、また、どの地区もそうでしょうけれども、近隣住民の避難場所となっているはずなのに、こういった現実とちょっと乖離しているのではないかということで御理解いただきたいと思います。

赤澤委員 ありがとうございます。

 きょう、本当に全体として大きく感じたのは、もちろん、予算規模が足らぬとか使い勝手もあるんですけれども、総じて法律が液状化を想定しておらなかったということと、あとは、どうもやはり被災三県にばかり目がいって、確かにあちらはとうとい生命の犠牲を多く払っておられるので、やむを得ない面がないとは言い切れないかと思うんですが、そういう意味で、これから大いに光を当てていかないときちっとした復旧復興にはつながっていかないなということを強く感じた次第でございます。

 それでは次に、石原先生にお伺いをさせていただきたいと思います。

 コストダウンのための取り組みと公的な支援を考える必要があるということで、その辺についてのお話をかなり聞かせていただきました。

 私も、この十年に限って国が通常しないような支援まで踏み込むべきではないかと。よくある議論は、私有財産にお金を入れることというのはなかなか難しいといって、県レベルでもなかなかないんですが、次の首都直下地震が来たときには、二百キロ離れていても大変な液状化の被害が今回あったわけで、すぐ近くでもっと大きな規模のものが起きたときというのを想像すると、本当に十年以内に来ることを、最悪を想定して準備をしなきゃいけないということを強く感じる次第であります。

 コストダウンの取り組みというお話だったんですが、専門家の目から見て、十年以内に首都直下地震が来る、何か基本的にはもうコストダウンの取り組み、技術開発といっても間に合わずに来ちゃうことを前提にしないといけないかなと、素人としては大変不安に思うようなところなんですが、その点について、先生からもしコメントがあればいただきたいと思います。

石原研而君 どうもありがとうございます。

 実は、対策工法というのは二つございます。

 一つは、現在傾いたり沈下しておる建物をいかに修復するかという意味での修復工法でございまして、これは、家の畳を剥がして家の中から固化材を注入したりなどしなければいけないということで、非常にその家の方々にも御迷惑がかかるわけなんですが、しかし、現在幾つかの提案がありまして、技術開発中ではございますが、近い将来、それは多分実現するのではないかと思います。

 もう一つは、多くの建物が三十年以上たっている場合がありますので、次回の建てかえのときにきちっとした地盤改良を実施して将来の大地震に備えていただくというふうな方式が考えられるわけでございます。

 これは、先ほど松崎市長から御発言ございましたように、十軒以上をブロックにして公的なお金を使うというふうな案もあるわけでございますけれども、それよりも、例えば一軒一軒やる、地盤改良をするということももちろん可能でございます。これは復興の一つになると思うんですけれども、そういうことが実施できる技術的な開発も現在進行しておりますし、将来は達成されるものだというふうに思っております。

 要するに、今までは非常に狭隘な場所に入り込んでいって、地表面から五メーターとか十メーターの深さまで地盤改良をするという需要が余りなかったということが、そういう業界が育たなかった、そういう技術が開発されなかった一つの大きな理由でございますので、今後はある程度の改善が望めるものではないかというふうに理解しております。

赤澤委員 ありがとうございます。

 国が力を入れれば産業分野として急速に育つんじゃないかという大きな期待感を今持ちましたので、今おっしゃった、なかなか、五メートルから十メートルの地盤改良みたいなものにニーズが今までは認められなかったので進んできていないという話だったので、そこは本当に力を入れて、技術開発を大車輪で進めたいなと思うところであります。

 それからもう一つコメントをさせていただくと、大変ありがたいことだと思うのは、実は我が党で今、国土強靱化ということを大変大きな政策の柱で打ち出しておりまして、被災地の復旧復興がまず一番であるけれども、国土全体をこれから来る首都直下地震、三連動地震に備えさせなきゃいかぬということを考えておりますので、その点でも、液状化は全国で起こり得るというのは大変ありがたい指摘でございまして、これからの国政に生かさせていただきたいと思います。

 最後に、永田先生に一問だけお伺いをいたしますが、低線量被曝や内部被曝のこともぜひ考慮してほしいということで、私は、この点は、自公政権当時に原爆被爆者対策プロジェクトチームの事務局長をしておりまして、その点をお伝えしてコメントをいただきたいのは、実は、低線量被曝や内部被曝は、行政がいかにわかっているふりをしても、いまだにわかっていないことがほとんどなんですね。

 原爆投下後六十年たって、スーパーコンピューターが使えるようになって、肌に放射線を発するほこりがついていたら、どれだけそれが悪い影響があるかが解明されてきている事態なので、そこはもう、疑わしきは国民の利益にという考え方で、安全サイドで判断するしかないということをぜひ共通認識にして、これからも強く国に働きかけていきたいと思いますが、その点についてコメントがあれば伺って、私の質問を終わりたいと思います。

武正座長代理 それでは、永田陳述人、ちょっと手短にお願いを申し上げます。

永田研二君 はい。

 住民の不安を取り除くということで、いろいろな行政主催の講演会が行われるわけなんですけれども、そのとき講師として派遣される方が、みんな放射線医学総合研究所の方である。この方たちは、低線量被曝であるとか内部被曝というのをなかなか認めたがらない方が非常に多い。

 今先生がおっしゃったように、わからないということは安全であることの担保には全然ならないということ、わからないんだったら最大限そのリスクを考えるのがやはり政治の責任だと思うので、そのことをこれからも国にぜひお願いしていきたいと思っています。

赤澤委員 ありがとうございます。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。

 頑張りましょう。

武正座長代理 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、四人の意見陳述人の皆様方に貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。

 公明党としても、先ほど宇井市長もお話がありましたけれども、どうしても被災三県に光が当たっていて、千葉というところが本当は被災県なのになかなかクローズアップされないという中で、実は、震災直後に、液状化の対策のプロジェクトチームをすぐつくらせていただきまして、比例選出でございますが、千葉県代表を務めている富田衆議院議員が座長になって、ずっとこの問題に取り組ませていただきました。

 政府等にも要望してまいりましたけれども、一年近くたっても、現状としてまだまだ大きな課題があるなということを改めて感じさせていただいております。きょうこれから質問させていただく中で、またいろいろと教えていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、座らせていただいて。

 まず、先ほどお話がありました、健康被害があるというお話。これはお二人の市長にお伺いをしたいと思うんですが、小規模宅地、傾いたり、そういった形のままで、今の現状、復旧が多分されていないと思うんですね。自腹で何とか頑張った人もいると思うんですけれども、大半がそのままの現状なのかなと思うんですが、その現状と、そこで起きる健康被害で何か公的な支援がなされているのかどうか、この点について、お二方に一緒にお伺いをできればと思います。

松崎秀樹君 先ほど、半壊以上が三千六百棟というふうなお話をさせていただきました。実は、どれぐらい修復されているか完璧に把握し切れておりませんけれども、そのうちの多分一割程度ではないかなというふうに思っております。

 傾いた家のお宅で、外から見て修復したのがわからないお宅もあるんです。実は、床だけを平らにするお宅も正直言ってあります。余りお金をかけられないというお宅は、最低限床だけを、あるいは寝室だけを平らにするとか、それで何とかクリアしている。

 それで、健康被害なんですけれども、私どもが一番先に聞きましたのは、まだ応急復旧の真っ最中、保育園から上がってきましたのが、とても元気な子供が、かなり傾いているお宅の中で、家の中では結構なれてしまったんですけれども、平均台を今まで真っすぐにたあっと駆け抜けたのが、平均台に乗っかると、すぐほいっと落っこちる、今度反対に落っこちる、そんな心配が災害対策本部にまず寄せられました。

 今度、ここ半年以上たってからの話なんですけれども、専業主婦の方なんですけれども、やはり家にいる時間が長い。そうすると、三半神経の関係で、これは多分阿部先生の方が詳しいんだろうと思いますけれども、なれてしまう、順応してしまう。ところが、さっきの保育園児の子供と同じように、家の中の傾斜になれてしまいますと、外へ出たときに、今度外が傾斜して見える。それで、その主婦の方が言っていましたのは、買い物は三十分がぎりぎり限度ですと。自転車に乗って急いで行くんですけれども、道路が傾いて見えますので、自分で体を傾けてしまう。できるだけ右に傾くと言ったのかな、その方は。要は、車道側に出ないように、絶えず反対側の道を回っている。こういったことも言われています。

 あとは、女性の方が三半神経の関係が敏感らしくて、夫婦関係が、会話が共通の話題になっていかないということもちょっと聞いておりますので、そういった意味では、精神的な被害も含めて、健康被害はかなり大きな、深刻な問題だと受けとめております。

 ただ、それに対する行政側の手当ては今のところできません、しておりません。

宇井成一君 全く同じような状況です。

 香取市の場合は、液状化で傾いたり沈み込んだりした家屋を直したというお宅は、現状で見当たりません。ただ、その契約をした方というのはいらっしゃるとは思いますけれども、実際に直した方というのは、現状では見当たりません。

 それと、同じように、そこには住んでいられませんので、住まなくなってしまって、ゴーストタウンとは言いませんけれども、現状、人がほとんどいなくなった地区もございます。ですから、先ほど申し上げたように、道路だとかそういった水準が決まった後に直して、そこにまたお帰りになるというようなことになるんだろうとは思いますけれども、現状、そこに住んでいない。

 住まれる方も、曲がった家の床だけを張りかえるんですね。曲がった床に真っすぐな床を張る。そういった形で、床だけを真っすぐにしてお住まいになっている。ですから、窓も傾いたままですから、あかなかったり、ドアもあきにくかったりするんですけれども、いかんせん、金銭的な面も含めて、そういった措置しかできないということです。

 健康被害については、やはり同じような被害でありまして、症状が出るということでありますけれども、実際、公的な措置は何もとっていないというのが現状であります。

高木(陽)委員 ありがとうございます。

 健康に関しては、多分、PTSDみたいな震災後の調査もいろいろな形で国としてもしていると思うんですけれども、やはりこういったところもしっかり国もバックアップをしながら、調べるだけではなくて、治療も含めて、対応策も含めてできるように、またちょっと動いていきたい、このようにも思います。

 その上で、地域の防災計画、これは中央防災会議の議論も進めて国としても検討してもらいたいというように松崎市長もお話しでありましたけれども、実は公明党で、女性の防災会議という形でつくりまして、公明党の場合、ネットワークの各地方議員が全国三千人おりまして、全国で地域の防災会議等々を調査いたしまして、やはり女性の視点が少ないんじゃないかなと。

 例えば、いろいろと計画を立てていて、では、避難所に備蓄するものは何なのかといった場合に、どうしても、食料だとかそういうのはあるんですけれども、例えば女性またはお子さん、そしてまた障害、いわゆる立場の弱い人たちの視点というのが必要なんじゃないかということで、女性の防災会議、公明党として、そういう防災のいろいろな会議の中に女性をどんどん入れていくべきじゃないか、こういうような提言を政府の方にさせていただいたんですけれども、この考え方というのは両市長はどういうように思われるか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

松崎秀樹君 私どもも、先ほど、三十六日間、応急復旧に時間がかかったと言いましたけれども、一番女性の視点が欠けていたという反省を持っていたのは、実は、災害用トイレ。これは、うちは災害にもともと弱い町でしたので、かなり備蓄していたんですけれども、数日たって、要は、できるだけ女性の安全性のために、道路に近いところに、人通りがたくさんあるようなところに設置したんですけれども、夜、ライトをつけると中が影絵のように映ってしまう。それがまず大きな反省点。

 それからもう一つは、やはり女性ですから、人通りの多いところに入り口をつけること自体が、男性の感覚からすると、ちょっとずれていた。こんな反省も物すごくしています。

 今度、同じトイレなんですけれども、トイレについてはこれから私どももいろいろ真剣な議論をしていかなきゃいけないと思っていますのが、災害用トイレは、多分もって一週間、かなり簡易なものですから。それで、うちは、長期化するだろうということで、九州地方、中国地方の方からかなり、全てで八百基ほどですか、工事用のトイレを取り寄せました。そうしましたら、今度、全てが和式で、障害者、高齢者が非常に使いづらい。これは一つの大きな反省点の中で、女性の視点というのはすごく大事なことなんだろうと思っています。

宇井成一君 全くおっしゃるとおりだと私も思います。

 今、松崎市長の方からお話があったとおり、トイレは大変に苦労をした覚えがあります。我々のところは基幹産業が農業ですから、田んぼや畑はたくさんありますので、ちょっと変な話で申しわけないけれども、男性は家の庭に穴を掘って用を足すということはできるんですけれども、女性はちょっと無理ですよね。男性も、しゃがんでいると、人と目が合ったというやつもいますけれども。いずれにしても、女性はそういうわけにいかない。

 それと、トイレと同様に、もう一つ気がつかなかったのがお風呂です。三十七日間お風呂に入らないというわけにはいかないわけですね。したがって、近隣の市の大きなホテルだとかそういったところにお願いをして、そこまで運ばせていただいてお風呂を使ったとか、そういったこともありました。これもやはり、男性、女性の区別はきちんと見ていかなくてはならない。特に女性は大変お困りだったろうというふうに考えますし、高木先生おっしゃるとおりだと私は思います。

高木(陽)委員 やはり現場の声が一番大切なので、私たちも被災地と言われる東北の三県に何度も足を運んだときに、避難所でよく言われたのは、例えば下着の問題ですとか、または、女性の場合にはいろいろなお肌のお手入れだとか、そういうのも全く私たち男性は気にしない、お風呂も全く気にしない、こういうようなこともありましたので、またここはしっかり連携をとって考えてまいりたいと思います。

 あと、先ほどから何度か出ておりました液状化の対策、復旧の中で、その工法の問題。これは石原先生にもちょっとお伺いしなきゃいけないと思うんですが、実は、阪神大震災のときに、かなり倒壊する、また、家が全壊、半壊、これをどうしていくかといったときに、被災者生活再建支援法というのが議員立法でできて、それでバックアップしましょうと。ところが、財政当局、財務省の方は、個人資産にお金を投入することはできないということで、ずっと綱引きをやって、ようやくこれが出始めた。また、そういった中で、まだこれも完璧ではない。

 そんな中で、今回、液状化ということで、また、全然想定されていないような災害でございましたので、法的に全くこれは確固たるものになっていないということで、これはしっかりやっていかなきゃいけないと思うんです。

 その上で、やはりお金のかかる話になってきますから、工法の問題、先ほど赤澤委員の方からも出ましたけれども、実は、公明党は、今回ちょっと角度が変わって、経済対策として、防災・減災ニューディール、こういう言い方をして、ここに力を入れるべきじゃないかと。まさに復旧復興というのは全力を挙げていくんだけれども、東京の直下の不安、そして三連動の不安、もっと言えば、この地震列島日本では何が起きてもおかしくありませんから、そういった中で、防災、減災、そして、それを一つの固まりとして、ニューディールとして手を打っていく。

 そうなりますと、いろいろな工法の中で、例えば、どんどんそれをやっていくと、金額的に、素人考えなんですけれども、物がどんどんふえればその物はどんどん安くなるというのと同じように、技術的にも、この工法でどんどん手を打てばそのコストは安くなるのかどうか。こういう素朴な疑問なんですけれども、石原先生。

石原研而君 それは原則的にはそういうふうになるんじゃないかと思いますけれども、やはり件数が多くなればそれだけ割安になるというルールは適用できると思いますけれども、ある程度限度はある。

 それから、それよりほかに、自治体というのは最終的な単位として、自治会であるとか班とかがございますね。その中で話し合っていただいて、グループでその敷地を液状化対策をするということも考えられるわけでございまして、それが非常に重要であって、五、六軒とか十軒ぐらいの方々が話し合っていただいて、お金を出し合っていただいて、それに公的な資金もいただいて液状化対策をするということになれば、割安になるということは言えると思います。

高木(陽)委員 ありがとうございます。

 ある意味でいうと、今、東京直下というのがかなりクローズアップされてきて、実際問題、一番被害想定が厳しい東京湾岸北部で起きますと、また浦安も直撃をするような、また千葉も大変、香取市もそうなんですけれども、とにかく関東はやられてしまう、こういう状況になると思うんです。

 今、内閣府等々、政府の方でこれの対策も考え始めているんですが、どうしてもこれは、私、東京出身なので、耐震、耐火というのはかなり力を入れようとしているんですね。ただし、この液状化というのがなかなかクローズアップされていない。どうしても、まず第一撃の耐震、ここで一撃で潰れて圧死というのを防ぎましょう、次は火が出たときに延焼を防いで命を守りましょうというような形で、液状化の場合は命に直撃するかどうかとなると、これは後回しになるというのが今の考え方なんじゃないかなと思うんです。

 ただ、被害額を想定してみますと、これは赤澤委員が予算委員会でも質問しまして、この東京直下、百兆円を超える被害額です。もしそれが起きてから、その百兆円かけて復旧復興をしていくことを考えた場合に、お金がかかるかもしれないけれども、今からやった方がいいわけですね。

 ここら辺のところは、とはいえ財政的に厳しい現状の中でどこまでそれをやるかという、ここら辺のところの今綱引きになっていると思うんですが、お二方の市長は、率直な感想、いわゆる防災、減災、そこにぐっと力を入れていくということ、これについてはどうでしょうか。

松崎秀樹君 石原先生も言われましたけれども、多分、スケールメリットは絶対働くと思っています。

 それで、先ほど、冒頭いただきました時間の中で、小規模宅地における液状化対策技術の開発をぜひ国を挙げてやっていただきたいと。これは、きょうはたまたま、宅地では今回、日本最大規模、また田畑では香取市が最大規模で、浦安の倍以上の液状化が起きていますけれども、関東地区で液状化が起きた首長たち、一堂に集まろうよと言いましたら、何と八十六市町村が集まった。これぐらい、ある意味では一般的な液状化なんだろうと思いました。

 それで、一つだけお話ししたいのは、実は私も何軒も、戸建てで液状化で傾いた家、お邪魔しますけれども、べた基礎に限ってなんですが、べた基礎のお宅は、中はほとんどやられていません。写真立てが一枚倒れたとかそんな程度であって、ほとんど無傷なんです。ですから、液状化がひょっとして免震構造になっている。あとは、できるだけ安い修復工法で、液状化とうまくつき合う方法というのがあるんじゃないかなと、ちょっと今、個人的に思っているところなんです。

 それと、先ほどちょっと、冒頭で現金給付の話がされました、本来はやるべきではないと。私たちも、本来やるべきではない、現金給付は国の問題であって、現物給付が我々自治体の役割だと思っているんですが、今回、被災者に向けて、建て直しをするのであれば、私どもは百万ずつ現金給付をいたしました。

 この原理なんですけれども、スウェーデンに私は二年間、いろいろ視察をしてきました。そんな中で、あの高福祉・高負担をなぜスウェーデンの国民が認めているんだろうと。そうしましたら、まず日本と税金の概念が違うのにびっくりしたんです。オムソーリという言葉で象徴されるんですけれども、悲しみの分かち合い。これを今回利用させていただいて、痛みの分かち合いをしようよと。天災、自然災害が運、不運で左右されてしまうのではちょっと違う、やはり今回苦しんでいる人たちに、百万ですけれども、市から、議会の了承を得て百万出すことに決めましたけれども、やはりそれはあってしかるべきじゃないかなと思っています。

宇井成一君 防災という観点から行っていくということは、これは完全に有効であろうというふうに思います。もちろん、傾いた家を直さずに済むわけですから、費用面でも十分理にかなうんだろうというふうに思います。

 ただ、問題が幾つかあるのは、先ほど松崎市長の方から申し上げましたように、液状化被害を受けた関東圏の八十幾つかの市町村長さんにお集まりいただいて、会議をつくりました。松崎市長が副会長であります。これの中でも話し合いましたけれども、液状化といっても千差万別なんですね。香取市のように、どんと四十センチも落ちた上で、その上で曲がっていたり、さらに潜り込んだりしているところもあれば、土地自体は潜り込んでいないところ、ただ曲がっているところがある。いろいろなところがあります。川岸であったり、湾岸地域であったり、高地でもあります。いろいろなところがあるので、それに対する技術的な構築をしていただきたいというのが一つあります。

 それと、そういうことでありますので、都会と田舎と全然違うんですね。ですから、先ほどの市街地液状化対策事業、これについては、十戸、二十戸、これがあって、このワンブロックをどうにかしようよ、固めていくんだよとおっしゃるけれども、香取市は、田舎の方へ行くと、田んぼの方へ行くと、一軒と一軒の間が五百メートル、一キロ離れているんですね。これを十軒、二十軒やるとなると、その間の道路を全部こうやってやるのかというような話になってくるわけです。ですから、全てこれで画一化をして、これでやってくれよという話にはならないんだよということをお考えいただけるといいなというふうに思います。

 それと、被災者生活再建支援法のお話が出ましたけれども、我々が国の方へ行って、当時の防災担当大臣の方へ何度も足を運んで、その運用指針を変えていただきました。これは本当に助かりました。

 しかしながら、まだまだ不明確なところがあります。これはどういうことかというと、傾きは大分見ていただきました。一メーター二十で六センチのものを今度は二センチまで、二センチになれば認定するというところまでいきました。ただ、縦に沈んだものは、これは床上一メートルなんですね。床上一メートルということは、床上一メートルまで地面に潜り込まなければ認定されないんです。

 何でこれは一メートルなのか御存じですか。実は、我々が行った直前に津波の認定が変わりました。運用指針が変わった。津波は、家を持っていってしまうものももちろんありますけれども、奥まったところには水がゆっくり入ってしまって、ですから家の中が泥になってしまう、ただ、家はそのまま残っているというところがありまして、これは床上一メーターになると、要するに床上一メーターまで潮が来ると認定になるんです。この一メーターをそのまま持ってきているんですよ。

 こういうように、液状化に対する認識度というか、腰の入れ方が全くなっていないんじゃないかなと私は思います。

高木(陽)委員 時間が参りました。

 永田陳述人、大変申しわけございません、質問できなかったんですけれども、安心と安全に関しては、しっかりとその御意見を拝聴した分、受けとめてやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

武正座長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 予算審議に当たりまして、四人の皆さんから貴重な意見陳述をいただき、本当にありがとうございます。

 私も、東日本大震災の被災直後から被災地へ足を運び、特に液状化被害の問題でずっと歩いてまいりました。北から言うと、いわきから始まりまして、ひたちなかや大洗、鉾田、鹿嶋、神栖、潮来、稲敷、千葉の香取に加えて浦安、習志野、それに、久喜市の方にも足を運んでまいりました。

 本当に被害がひどい中で、皆様方現場からの提案によって、被害認定の制度の見直しを行わせ、また、新たな制度を創設させるという取り組みに、心からお礼を申し上げるものであります。こういう取り組みをさらに前進させて、被災者の方の生活再建を実現していく、こういう取り組みに生かしていければと思っております。

 また、首都圏というのは、ホットスポットということで多くの市民の方が悩んでおられます。こういった地域に対して、線引きすることなく、しっかりとした支援策を行っていくことが必要だ、この立場で、後で質問をさせていただきたいと思っています。

 では、座って御質問させていただきます。

 最初に、石原先生にお尋ねいたします。

 石原先生のお話にありましたように、この液状化被害というのは、人工改変地で生じた、つまり、人間の手が加わった、そういう場所において発生をしたということであります。ですから、本来であれば、人間が手を加えた場所ということであれば、技術基準がつくれたはずだと思うんですね。

 その点でも、石原先生のお話にありましたように、新潟地震を踏まえて、大型建築物でありますとか公共インフラについては対策が進んだわけであります。しかしながら、個人住宅は取り残されたというお話でありました。

 つまり、大型建築物や公共インフラに対しては液状化の対策がとられてきたにもかかわらず、なぜ個人住宅は取り残されてしまったのか。これはどうなっているのかについて、最初に教えていただきたいと思います。

    〔武正座長代理退席、座長着席〕

石原研而君 お答えは非常に簡単でございまして、実は、大型の構造物というのは公共構造物が多いものですから、事業者は、国であるとか大きな都市であるとかで、個人ではない。事業者が団体なんですね。したがって、予算措置をとって、液状化を考慮した耐震設計を実施するということが可能であったわけでございます。それを今まで営々とやってこられた成果があらわれておりまして、現に、例えば京葉線なんかにつきましては、あるいは関東自動車道については、被害は全然ございませんでした。

 そういう歴史があるわけですが、これが個人の問題になりますと、なかなかその普及が難しいというところがどうしても出てまいります。まず、法的に規制するというのが個人の権利を侵すというふうなことに抵触いたしますので、その点を十分配慮しなきゃいかぬということがございます。

 そういうわけで、個人住宅に対する対策は、私どもがやってまいりましたのは、各地域で液状化しやすい場所を地図の上にプロットいたしまして、それを自治体が保有して、人々が集まるところに掲示しておくとか、あるいは自治会でその説明会を開くとか、そういう努力はしてまいりました。

 私も、最初は、江東区と墨田区の液状化マップをつくったこともございます。それから、多摩地区のマップをつくったこともございますけれども、基本的に、情報不足なのは、やはりボーリングのデータなんですね。地下の構造が一体どうなっているのかというのがよくわからないということなんです。

 多摩ニュータウンの場合には、建築確認申請の事務所へ行きまして、そこでボーリングデータを見せていただいて、一つ一つ地図の上にプロットして液状化の危険度マップをつくったような経験がございます。

 そんなことで、ボーリングのデータというのは、ある意味では個人の私有財産でございますので、それを公表していただくというのは、結構難しい作業でございます。

 現在あるボーリングデータを使ってマップをつくるという作業は随分普及してまいりまして、現在では、ほとんど全国でそういうマップがございます。

塩川委員 事業者、国の責務の部分があるんですが、個人の戸建て住宅を分譲したディベロッパーの責任もあるんではないのかという声は当然上がることだと思いまして、そういう点についてやはり何らかの検討を進めていく必要があるんじゃないかという問題意識であります。

 次に、松崎市長にお尋ねいたします。

 液状化対策については、被災者の方の生活再建をどう図っていくのか、そのための住宅の再建、それに全力で取り組んでおられるというお話をお聞きいたしました。そういったときに、国の市街地液状化対策推進事業というのが、実現可能性の低い事業というふうにおっしゃっておられました。

 これは、市議会におきましても、我が党の元木美奈子市会議員の質問に対して、市長からも、このままでいくとこの事業は成立しない可能性が高いと述べておられたように、やはり、個人負担を強いることはとても頼めないということだろうと思います。そこで、その負担額については、高く見積もっても百万円じゃないかというお話がございました。もちろん、三分の二以上の同意ということが要件。それは個人の所有者に対しての経済的な負担を伴うということも一定要件として考え得るわけで、そういったときに、どう百万に、少なくとも百万円に軽減をしていくのか。

 この点で、現行の制度を使えるだけ使うということもありますし、それに加えて何が必要か、お考えのところがあれば教えていただけないでしょうか。

松崎秀樹君 今、三分の二の同意というのは、区分所有法ではわかるんですけれども、これが今回そのまま適用されるのかというのは、ちょっと私は不勉強で、全員の合意ではないのかなと思っていましたので、それについては別の問題かなと思います。

 いかに負担を少なくするかだけであって、今度、市側として何ができるか。例えば利子負担とかそういうことは別途考えられるんでしょうけれども、今のままいくと本当に絵に描いた餅でしかないのかなという率直な思いです。

塩川委員 復興交付金で基幹事業としてこの市街地液状化対策推進事業が個人所有者の負担を前提に行われているということがやはり大きな制約になっているわけで、この点が、制度としての、そもそもの難しさをつくっているんじゃないかと思っております。

 そういう点でも、あわせて、効果促進事業などが負担軽減に使えないかとか、総務省の方が特別交付税でつくった取り崩し型復興基金などを用意するとか、あるいは災害救助法でも、住宅応急修理、これなどは、発災後一カ月とか言われていますけれども、実際に今まで、引き延ばして使っている事例もありますし、健康被害が現に生まれているわけですから、そういった居住部分について必要なお金を入れるということは、災害救助法の立場からもあり得る話だと思っております。

 そういったことを含めて、合わせわざで、いずれにしても負担軽減を図るというところで、ぜひ、取り組み、御努力をいただければなと思うのです。もしその点で、一言ございましたら。

松崎秀樹君 済みません、ちょっとそこまで把握していなかったのですけれども、補助要件では、三分の二以上の同意というのがちゃんと明記されているんですね。失礼いたしました。

 あと、最初の私の陳述の中でも言わせていただいたんですけれども、必ずどこかで建てかえていくんでしょうから、期間をかなり長くしていただければ、その間の中でもっと可能性は生まれてくるんではないのかな。必ず二十年、三十年の中で建てかえをする時期が来るでしょうから、そういったことも視野に、非常に短期での、三年、五年ではなくて、液状化というのは絶えず心配される災害ですので、その辺もちょっと考慮していただければなと思っています。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、宇井市長にお尋ねいたします。

 香取市で私が足を運んだのは、利根川の左岸が稲敷に接した農地の方ですから、宅地の方では、直接現場に行く機会がございませんでした。お話を聞く限り、本当に大きな被害が出ておられるということです。

 今、松崎市長にもお尋ねした復興交付金における市街地の液状化対策推進事業の関係なんですが、先ほどのお話の中でも、実施可能な工法が見当たらないというお話もされておられました。その前提には、お話しになったような、農村集落への対応なども不備があるんじゃないかという、要件の問題ももちろんあると思います。

 あわせて、工法として、これまで石原先生なども検討委員会などで五つとかという形での提案もされておられるわけですけれども、例えば地下水位低下工法とか言われるような工法などもその一つとして出されているわけですけれども、そういう今考えられている工法がうまく当てはまらないのか。いや、それよりも、ほかに何らかの障害があるのか。

 その辺での、現場に即した実態という点では、いかがでしょうか。

宇井成一君 これをしておけば間違いないよと言われるものがないということです。これに尽きます。ですから、障害があるのであれば、障害を回避できるような工法ということになるでしょうが、そういった、これぞといったものがない。そして、現状あるものは、コストが高い、手が出ない。こういった問題ですね。

 何度も言いますけれども、この市街地液状化対策事業についても、当てはまるところと当てはまらないところが出てきていますし、松崎市長が申されたように、三分の二以上の同意がとれるかどうか。とれたとしても、そのお金を捻出できるかどうか。これがもう、ほとんど。

 ですから、香取市でも、地元説明会、これは何度もしています。しかしながら、声は全く上がってきていないというのが事実なんですね。

塩川委員 ありがとうございます。

 もう一点お尋ねしたいのが、農地の液状化の被害の問題です。

 農家の方のお話をお聞きしますと、去年に続いてことしも作付できないんじゃないかという声もあると聞きました。死活問題だと。大体、三月に入らなければ、種まき作業を始めなければいけませんし、これが一月おくれれば一俵減収になるし、二月おくれれば一俵半減収になるといったときに、加えて、表土を剥いで、砂を埋め戻すというかまぜるといいますか、こうすることで、実際には水田が今までと違う状況で減収にもなるという話などもお聞きをしました。

 こういった農地の液状化被害に対して、現行の国の支援制度というのはかみ合っているのかどうなのか、復興交付金なども使えるのかどうなのか。その辺で、農家の方や市の担当者の方が今お考えになっていることについて、被災農家の方の負担軽減につながるような仕組みとしてどうあるべきなのかということについて、お考えのことがあれば教えていただけないでしょうか。

宇井成一君 これは大変悩ましい問題になっております。

 早場米地域でございます。現状で、通常の一週間から早いときでは二十日ほど早くに稲刈りができる、日本で一番早いという米、早場米地域でありますので、四月には種まきをします。そして、五月の連休、もしくは連休明けぐらいには、作付、田んぼに稲を植えていくということになるんです。したがって、あと二カ月で、農家では、種を水に冷やして、種まきをしていくということになるわけです。

 今、香取市の田の復旧率というのは、ほとんど上がっていないのが実情で、去年とそう変わらない形、要するに、被害のままというのが現状でございます。

 ただいまお話をいただいたように、表土を削りまして、新しい土とまぜて、そして埋め戻すというようなことをするんですけれども、やはり、これを嫌う方もいらっしゃいます。苗つけというのは土が命だというふうによく言われますけれども、その土が全部まぜられてしまう、自分のところで何十年とつくってきたこの土が、全て平準化されてしまうというか均一化されてしまうということで。

 いろいろなお話もあるし、いろいろなそういった意味での工法もあるとは思うんですけれども、今、実は、大変悩ましい、難しい話になっています。市民からも、要望、またお叱りの言葉もお伺いしているところでございます。

塩川委員 ありがとうございました。

 最後に、永田代表にお尋ねいたします。

 こういうホットスポットの地域の皆さんにしますと、やはり、高い放射線量がある、そういった中での健康被害の懸念の声というのは、小さなお子さんを持つ方であればなおさらのこと、多くの方が感じておられることと思います。そういう点でも、しっかりとした測定調査はまず前提として、それをきちんと公表、公開するということであり、それを踏まえた適切な除染作業を行うことであり、健康被害の懸念に対しての健康管理を行うこととあわせて、被害が出た方々に対しての全面賠償、こういうことをきちんきちんと行っていくことだと考えています。

 お話にありましたように、自治体独自の除染基準を設けておられるところが少なくない。この点では、東葛地域の九つの市長さんが国に対して除染に関する要望書を出されたということもお聞きをしております。また、市民の皆さんが独自に食品の測定などをされておられるという話もございました。

 そういう点でも、住民や自治体の負担ではなく、そもそも原因者の東京電力が負担せよ、立てかえ払いでまずはきちっと国が払えということだと思うんですけれども、除染の基準などが、どうしても線引きがあるわけですよね。それを超えて行ったときには全部負担がかぶってくるということを改める必要があるんじゃないのか。

 そういう点でも、自治体の取り組みや住民の取り組みを、本当に背中を押して、安心、安全な地域づくりという点でいいますと、こういう線引きそのものがおかしいんじゃないのかという声というのはあると思うんですが、この点についての地域での皆さんの声やお考えのところがあったら教えていただけないでしょうか。

永田研二君 まず、測定の問題なんですけれども、当初、国の方は、地上五十センチ、それともう一つ、一メートルということを言っていたんですけれども、私たちの、ふだんホットスポットで暮らしている感覚でいうと、地上五センチ、これがわからないと本当の意味でのホットスポットの現状を捉えたことにはならない。このことを強く自治体に言った結果、今では、地上五センチを測定する、そういうふうになってきています。私の住んでいる流山では、地上五センチの測定値も全て公表しています。

 それと、あと、基準。今、除染の場合は、国の基準というのは〇・二三なんですけれども、数字をどう読むかというときに非常におかしなことが行われているんですね。

 例えば、市の広報なんかを読んでいるとわかるんですけれども、生活習慣によるリスクということがよく言われます。喫煙とか飲酒による発がんリスクを考えると、それと放射性被害のリスクを比べ合わせて、この程度であれば大丈夫だよ、こういうことが市の広報なんかを読むと堂々と載っているんですね。でも、これは、根本において考え方が間違っていると思うんです。

 つまり、生活習慣による喫煙であるとか飲酒というのは、それぞれの個人が自分の意思でリスクとリターンをはかりにかけて選択しているわけです。ある意味、これは自己責任であるわけなんですけれども、今の、現状に起きている放射能による被害というのは、私たちの意思とは関係なく、強制的に被曝させられているのであって、この両者を比較して、だから大丈夫なんだよという言い方というのは、全然、論理としておかしい。でも、こういうことが平然と言われている。その意味でも、国の言っている基準自体も、その根本における考え方において、ちょっとおかしいんじゃないか。

 それと、もう一つ、健康被害のことなんですけれども、私たちが今考えているのは、将来の子供たちの健康被害を考えると、どうしても今から健康手帳づくりをしてほしいということなんですね。先ほど来、香取市とか浦安市の方で実際に健康被害に遭われている方という話をしましたけれども、当然、私の身の回りでもそういう方がいらっしゃいます。

鉢呂座長 永田さん、時間が超過しておりますので、まとめていただければと思います。

永田研二君 はい。

 ぜひ、国の責任においてこの健康手帳というものをつくっていただきたい、そのように思っています。

塩川委員 ありがとうございました。

鉢呂座長 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳と申します。

 本日は、意見陳述人の皆さん、本当に貴重な御意見、現場の御意見を聞かせていただき、私も大変勉強になりました。大変若輩で、質問するという機会を与えていただいただけでも非常にうれしい限りですので、質問させていただきたいと思います。

 先ほど来、千葉は被災地として少し忘れ去られているようなことがあるということがありました。私も、観光の風評被害、放射線の関係で、東京電力からの放射能の風評被害が千葉県は認定されないというような流れがあったということを受けて、当時、まだ民主党に所属をしておりましたので、仲間の議員と、おかしいということで、働きかけをしたりとか、いろいろな活動をしてきたわけです。

 浦安でいうと、私の事務所に勤めている女性が浦安に住んでおりまして、学童保育に子供を預けて国会の議員会館に来ておりましたけれども、学童保育の施設がすっかり使い物にならなくなってしまったということで、三時で帰るという生活を今でも続けております。

 また、香取に関しては、私は、毎年、香取神宮にお参りに行って、水郷佐原へ行くのを毎回毎回楽しみにしておりますが、あの古い町並みが液状化被害に遭ったというのは非常に個人的にもショックでありました。

 それでは、座らせて質問させていただきます。

 まず、松崎市長、宇井市長と、石原先生にお伺いしたいんです。

 石原先生の方から、今回は地盤構造の複雑な人工改変地で液状化が起きたというお話だったんですが、例えば浦安の場合は、埋立地の中でも液状化が起きた場所と起きなかった場所があると現場でも聞いております。

 先ほど、石原先生の方から、七二年に設計基準が出て、それから少し対策が進んできたというお話がありましたけれども、今回の浦安の液状化に関しては、七二年のその基準ということと関連して液状化が起きた場所と起きなかった場所があるのか、それとも、全然別の要件で液状化が起きた場所と起きなかった場所があるのか。

 それと、宇井市長には、佐原は非常に古い町並みのイメージがあります。建物としては、江戸、明治のものが残っているような古い地盤だと私は認識しておったわけですが、そこが液状化が起きたというのは非常にショックでありました。関東大震災もあったわけですし、今までいろいろな地震がある中で、過去に香取のあの地盤の周辺で液状化が起こったという事例は歴史的に残っているのかということについてお聞かせいただきたいなと思います。

 まとめてお聞きしますけれども、石原先生には、新しい工法でつくられている埋立地のような場所、京浜、京葉工業地域なんかはそういうところが大変多いんだと思います、首都圏の中でも。そういう埋立地において、地盤のつくり方、地盤改良の仕方等で液状化の起こる確率というのは随分変わってくるんだと思います。大分抑えられるものもあれば、古く埋め立てをしたところについてはリスクが高いところもあると思うわけですけれども、そういった、揺れ方ですとか工法によってその地域地域の液状化の起こる確率のマッピングみたいなものをすることが可能なのかということについてお尋ねいたします。

 以上、三名によろしくお願いいたします。

松崎秀樹君 七二年問題は、基本的に関係ないというふうに聞いております。

 それと、あと、URなど、サンド・コンパクション・パイル工法をやったところについては、ほとんどと言っていいくらい液状化は起きておりません。

宇井成一君 まず、重伝建、重要伝統的建造物群の保存地区、古い町並みがあるところは、液状化の起こった地域ではありません。したがって、液状化で被害は受けていないということであります。揺れによって家屋の屋根瓦が落ちたり壁にひびが入ったりというような地域でありますので、液状化の現象が起こってもいないし、液状化で被害を受けているところとは大分離れているところということでございます。

 そして、以前に液状化の現象が起こったのかという御質問でありますけれども、過去にも、軽微ながら、そうではないだろうかと言われるようなものがありました。これは本当に軽微なもので、例えば、ちょっと塀が傾いたりだとか田んぼの中に噴砂が若干認められたかなというものは過去にもありましたけれども、これが液状化であるというような認識を私は持ってはいなかったのが現状でございます。

石原研而君 まず、七二年につくられた基準に準じて今回の液状化の発生の有無が判定できたのかどうかということなんですが、基本的にはできたというふうに考えてよろしいと思います。ただ、新しいボーリングのデータで試験を随分いたしまして、その結果を報告書にまとめて、提出いたしました。

 それから、次に、新しい工法で液状化が防止できるかどうかという御質問なんですが、お答えはイエスでありまして、先ほど松崎市長が申されたように、何らかの対策をしていれば大丈夫であった。しかし、どこをどういうふうに対策していいのかということを見つけるのがまず第一でありまして、そのためには、やはり地盤の状態を詳しく知るということが非常に重要であるというふうに申し上げたいと思います。

中後委員 ありがとうございます。

 次に、宇井市長にお尋ねしたいんですけれども、先ほど、復興交付金事業の中で、一次申請ですか、三十項目を挙げた中で、初めは全て却下されて、今二項目が残っているということなんですが、その二項目について、どういうものが残っているのかということについて簡単に御説明していただければと思います。わからなければ、後ほど資料ということでも構わないとは思うんですが。

宇井成一君 二つ残っているのは、一つは、液状化地域の調査でございます。地質調査も含めて、今後どういった工法等々が有効であるかという調査が一つ。

 それと、もう一つは、先ほども農地の関係でお話ししたとおり、農地に対する復旧復興の一つの方法論というものをお願いしている。これはどういうことかというと、昔のままなものですから、田んぼの中に用水路がある。その用水路ががたがたに壊れていて砂没しています。

 復旧事業というと、あるがままに直すということが原則だそうでして、また田んぼの中に埋め込まなくちゃならない。今度何かあったらまた田んぼをひっくり返さなくちゃしようがないということなので、農道の方へその管渠を移動したいんだけれども、この移動をするのには交付金は出ない。

 これをやっちゃったらお金は出さないよ、もとのままにしなきゃだめだ、いや、もとのまま、もしくはもとのままのものをとってはだめだとか、なかなか悩ましいお話をされているわけですけれども、この二点だけについてはどうしても引けないということで残して、今でもお願いをしているというところでございます。

中後委員 ありがとうございます。

 そういった、本当に現場の実態というものと制度がミスマッチを起こしているという事例はほかにもたくさんあるように思いますし、今回の震災の後世に残す知見として、そういったものを制度として埋め込んでいく必要が本当に多くあるだろうと思いますので、ぜひともまた少し聞かせていただきたいんです。

 先ほど、基幹事業の中で五省四十項目の骨格があって、また、効果促進事業も基幹事業との関連性が求められるようなことが非常に多いという中で、使い勝手が悪いとかいう今のお話などもあるわけですが、松崎市長にまずお伺いします。

 今回の震災、液状化の関連で、補正予算なり二十四年度予算ということになると思うんですが、市単独で対応している事業、先ほど百万円の交付のお話もありましたけれども、そういうものも恐らくたくさんあるんだと思うんです。また、県との連携の中でやっている事業というのもあると思うんですが、これは国がやるべきなんじゃないのかなと、正直、本音で思っているようなものがありましたら、お聞かせいただければなと思います。

松崎秀樹君 復興交付金、私どもの方は、十九項目、国とやりとりしながらも、かなり強引に上げているところがありまして、個々を言ってしまえばあれなんですけれども、もうこれだけは四十項目のうちでも国がやるべきだと思って、筋を今押している。額は、公表しないでくれという復興庁の方からの申し入れですので、言えませんけれども、十九項目、十九事業、うちの方は無理やりでも出しています。

中後委員 単独事業でやっているような事業というのは、どのぐらいあるんですか。

松崎秀樹君 十一月の上旬まで、国土交通省の災害査定が終わりましたけれども、災害査定で一番つらかったのは、道路というのは、当然、線と面で判断すべきだろうと思うんですけれども、それが、ポイント、ポイントでモザイク状にしか認められない。その残りについては、今度、市がやらざるを得ない。こういったところを、今の災害査定のあり方にかなり疑問を持って、市が独自で今やろうとしています。

中後委員 私は、千葉県で地方議員をしているときに、浦安市さんというのは財政状況的には非常に恵まれているなということで、うらやましく思って見ておったわけで、他の自治体よりも、そういう単独事業なんかをやる力そのもの、潜在能力というのが非常に高い中で、先行的に何か取り組まれていることがあるのかなという思いで今お伺いをいたしました。ありがとうございました。

 それと同じ質問を、香取市長、宇井市長の方にもお伺いしたいと思います。

宇井成一君 私の市も、うらやましいなと思っている方の市でございまして、単独の事業というのは、これぞというものはございません。

中後委員 災害復旧事業というのは本当にお金がたくさんかかることが多いので、市町村単位で対応するというと非常に難しいことが多くて、これは今回の震災だけに限らず、雨で土砂崩れが起きたなどというときにも、例えば、雨が降っているときに崩れたものに関しては災害対策で対応できても、一週間ぐらいたってから崩れたものについてはそれが認定されなかったりということで、市町村財政、非常に苦しくなる。でも、地元で、現場で見ていると、あの雨のせいで崩れたんだなとみんなが認識しているようなことは、たくさんあると思うんです。

 そういう点に関して、両市長さんから、今回の震災に関する災害復旧以外にもそういった事例がたくさんあるということについて御意見いただけたらなと思います。

松崎秀樹君 災害査定を見ていまして、アスファルトが焼けつくような猛暑のとき、災害査定官が一人、財務省からの立会官が一人、この二人のために、かなり技術職の職員、うちだけで賄い切れずに他の自治体からも応援いただきましたけれども、ゆがみ、沈下が震災によったものなのかどうか、それを証明しろというわけですよ、道路上で。私が見たときは、正直言って、やけどするんじゃないかというようなアスファルトの上に顔をくっつけて、一生懸命調べているわけですね、職員が。

 一つの事例ですけれども、そういう不合理性というのは、かなり散見しました。

宇井成一君 先ほども申し上げましたけれども、災害ごみの処理などというのは、時間のずれで必ず出てくることであります。

 それと、土の中にあるものを直し始めているわけです、例えば下水道、上水道等々でありますけれども。ですから、掘り起こさないとどういうふうになっているかわからない。大丈夫だろうと査定していたところが、どんどんどんどん、新しく、壊れているところを発見していくというのが今現在です。ですから、これから復興に向かって工事を進めるに当たって、進めれば進めるほど新しい問題がどんどんどんどん出てくるというのが現状なんですね。

 一度ばっとなくなってしまったから、ではそこに建てようというのではなくて、掘り起こすと初めてわかる、そういったものを今、予算では補正、補正とずっとやっているのが現状で、そこに、人もそして労力も全てかかっている。実際、ほかの、通常行わなければならない、やるべきであるまちづくりの市の工事というのは全く手がつけられていなくて、工事ばかりをやっているというような状況になっております。

中後委員 大変参考になる御意見で、ぜひ政府としてもそういうものに対応できるように、私たちも働きかけをしっかりとしていかなければならないなと。現場の声というのが、多分一番こういう災害のときには反映されなければならないということだと思います。

 時間もありませんので、ちょっと最後に、全然別の質問をさせていただきたいと思うんです。

 永田先生に質問することができなくて大変申しわけありませんが、御意見は、貴重な御意見として受けとめさせていただきたいと思います。

 昨年四月に統一地方選がありまして、松崎浦安市長さんと浦安市選管、森田千葉県知事と千葉県選管、また総務省を交えて、選挙をやるのかやらないのかということで非常に大きな問題になっておりました。その点について、それからしばらく時間が経過いたしましたけれども、あのとき選挙をやるということになったことについて、今、市長、その当時の御感想を含めて、御意見いただければと思います。

松崎秀樹君 あの当時の私どものボイコットした思いは、今でも変わっておりません。正しかったと思っています。

 あの中で一番の問題点は、国会の方で特例法を決めていただきましたよね、地元の被災市町村選管の意見を聞きなさいと。私どもに選挙をやるべしという要請があったのは三月の二十日ごろだったと思うんですけれども、その時点は、ちょうど春休みにも入る時期で、特に被災地、被災地というか液状化でかなりダメージを受けているエリアにつきましては、ほとんど人がいないような状態でした。それで、深夜のパトロールとかで、あえてこういった都市部でも自警団をつくらざるを得ない。それで、浦安警察署がついに第二機動隊と第三機動隊を要請するということで、五月の十五日まで、二十四時間、機動隊によるパトロールが行われるくらい住民が流出していました。避難をしていたということになります。

 そういった中で、余震がかなり続いていく。投票所の小学校あるいは幼稚園、中学校、体育館、こういったことも安全確認ができないと言っていたんですけれども、県の選管の委員長は、選挙事務はできるというふうに総務大臣に回答したんです。

 私どもは、選挙事務のことを言っているんじゃない、あくまでも、選挙というのは、有権者が適正な判断を下せる状況にあるんだろうか、それから立候補者が自分の思いを、政策を伝えられる状況にあるんでしょうかと。それを判断したとき、できないということでした。

 この特例法の不備だと思っているのは、千葉県全部の県議選をとめてほしいと言ったんじゃないんです。せめて被災地の、うちだけは外してください、補選なり再選挙があるでしょうと言ったんですけれども、選挙事務は可能だと言って何度も総務大臣に回答してしまったということで、総務大臣にも、ぜひ地元を見てほしいと。

 それから、選挙管理委員長も、実は災害対策本部にも来ていないくらい、視察したかどうかもわからない、本人は行ったと言うんですけれども、くまなく見たと言うんですけれども、三月の二十日前後、私たちの行政の車ですらくまなく見ることができないような状況にあったにもかかわらず、見たということで、かなり食い違いましたけれども、あのときの私の判断は間違っていないと今でも思っています。

中後委員 ありがとうございました。

鉢呂座長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 きょうは、それぞれに本当に貴重な御意見をありがとうございます。私ごとになりますが、私は、議員になりまして十二年になりますが、直前は、この千葉で、松戸や船橋で小児科医をしておりましたので、きょうは懐かしく、この千葉に来させていただきました。

 そして、お二人の首長さん、市長さんたちは、今回の三・一一で私はいろいろなところの首長にお出会いすることになりましたが、その多くの皆さんと本当に御一緒で、責任感と、市民の命や財産を守ろうという気概に満ち満ちていて、気迫が伝わってくるようで、私ども国会議員もおちおちしていてはだめだといつも思うものであります。

 また、長い御経験で液状化のことをお話しいただいている石原先生にも、本当に、こういうことをきっかけに改めて国土、安全ということを考えさせていただき、また、永田さんには、市民の側の声ということをお伝えいただいて、貴重だと思っております。

 以下、私の雑駁なところを申し述べた上で、質問をさせていただきます。座らせていただきます。

 まず、冒頭、石原先生にお伺いをしたいと思います。

 先ほど来お尋ねになっております、七二年の、国がいろいろ道路や大型公共施設に対して設けました液状化のための指針といいますか基準というものが、実はそうしたものがありながら、今回、しかし、いろいろなことが起きてきたんだと思います。

 先生の御見識にのっとって今後も絶えざる見直しが必要と思いますが、一つ私が私の常識の中で考えますと、例えば、道路なども老朽化してくる、日本の社会インフラが、つくられた時代から三十年、四十年たち、それが老朽化というもう一つのファクターを持っておるということと、地球自身が温暖化し、環境要因も変わってきているのではないかという中で、果たして国は、先生のさまざまな御提言を前向きに受けとめてやっているのかどうかということでもございます。

 そして、その中で、ここには述べられておりませんが、鉄道などはここの七二年のときはどのように考えられておったのかという点で、一点、お願いいたします。

石原研而君 まず、最後の方の御質問ですが、鉄道の基準の中に液状化の対策が盛られたのは、恐らく一九七三年か四年、二、三年後でありました。インハウスエンジニアといいますか、専門の技術者がたくさんいらっしゃいまして、その方々が議論をしてつくられて、それを鉄道に関係した構造物の設計には適用したということでございます。

 それから、七二年につくられましたのは国交省のものでございまして、以前の建設省でございますが、建設省が管轄をしておる国道あるいは高速道路については十分な配慮がされて設計が行われていきまして、そのためにつくったということでございまして、余り外に向かってそれを宣伝するというか推奨するとか、そういうことは恐らくなさらなかったというふうに思っております。

 しかし、それに呼応しまして、いろいろな公共施設を管理している事業体が液状化の重要性を認識して基準の中に取り入れて、それが実施されてきたということがございますが、建築につきましては、個人の判断によるところが非常に大きいものですから、なかなか実施に移せなかったということがございます。現在でも恐らく難しい問題であろうと思っております。

阿部委員 次に、松崎市長にお伺いしたいのです。

 私が今の質問をいたしましたのは、とりわけ学校等が避難の拠点になるということでお力を入れて、また、先ほど見せていただいたような、こうした基準がありながら非常に液状化が強くあらわれてしまっているところで、私は、もう一つ、病院ということが災害時の緊急の避難場所になるので気になるところなのです。

 実は、学校も病院も耐震化という問題がすごくおくれておりまして、これは、この間、公明党の皆さんもお力を注いでいただいて、耐震化に向けていろいろな御助言をいただいていますが、まだまだこれもおくれておる。ここに、かてて加えて液状化という問題が加われば、災害には、もちろん個人の生命財産もございますけれども、緊急時に避難できる場所というのをまず確保するのが第一であろうと思います。

 その市民の命を預かっておられる首長として、今後、国の液状化対策の中で、さっき学校の問題もおっしゃっていただきましたけれども、病院はどうでありましょうか。

 私は、実は病院に勤めておりましたので、特に病院が災害のときには、水と電気がないと続けられませんし、水については、井戸を掘るように勧めてまいりました。本当に、水道インフラが途絶えたときでも、水があるかないかで救命できるかどうかも違ってまいりますので、そのあたりで何か今回御経験のことがあれば教えていただきたいと思います。

松崎秀樹君 私どもに大きな基幹病院というのは、順天堂の浦安病院、六百床近い病院があるんですけれども、こちらについて、構造的な被害はありませんでした。

 ただ、ライフラインがやられたということで、水を入院患者のために必要とするということで、かなりのトン数、毎日のように数十トン、私ども全体がライフラインをやられていましたけれども、陸上自衛隊の支援も入っていただきましたし、結果的には、横須賀の基地から、水運搬船というのを私は初めて知ったんですけれども、水運搬船で六百三十トンの船が二そう来ていただいて、こちらからも最優先に病院の水の確保をさせていただきました。かなり水が要るんだというのは、そのとき私も再認識をいたしました。

阿部委員 市長は、ことし、年頭の所信表明でも、今後浦安市が環境未来都市としてやっていきたいというお取り組みの決意のほどを述べていただいていて、私は、大変心強くも思いますし、起きた災害というものに学んで、もう一歩よりよい条件に、暮らしやすいところにしていこうという、そういう思いが伝わってきて、読ませていただいて感激しました。

 これは質問ではないので、お伝えして、ぜひ頑張っていただきたい。そのときには、おっしゃっていただいた学校とか病院とか、本当に拠点になるところですので、ぜひまたお取り組みもよろしくお願いいたします。

 香取市の宇井市長にお尋ねいたします。

 農業で大変にお取り組みの盛んなところで、今回は、液状化と、そして、千葉ですから放射能の汚染問題とかあって、これから農業をしっかりと続けていただき、なおかつ盛んにしていただくためのお取り組みの中で、今、国に、これを要望しておこうとか、なっていないじゃないかとか、先ほどの、復旧というのが、今あるように農業用の用水を戻したってやはり違うんじゃないかということも御指摘でありましたが、ぜひ今、我が国の一次産業というのは命の産業ですので、お取り組みをいただきたいと思いますが、こういう点というところがあればお願いをいたします。

宇井成一君 災害とは直接関係ありませんけれども、農業を基幹とする市町村では、やはりTPPの問題を皆さんが口にされます。実際、私も内容がわかりませんのでお答えのしようがないというのが現状でありまして、災害の次はTPPかというようなお話をあちこちでお伺いしているところです。

阿部委員 今の御意見は、町村会の皆さんも市長会の皆さんも何度も決議を上げていただいていて、国には当然、説明責任があるし、それ以上に今、自治体の皆さんが、御自身の町を、あるいは暮らしを、あるいは国民の食をどう守っていただけるかというところで、これからますます相互交通というか意見交換が必要な分野と思います。今の御指摘を強く受けとめて、やっていきたいと思います。

 永田さんにお伺いをいたします。

 先ほど来ホットスポットという言葉が使われてございまして、恐らく永田さんの中では、相場観というか、このくらいのをホットスポットと言っているんですよというのがおありかと思うのですが、例えば、お住まいの流山とか、松戸も柏も三郷もそうでございますが、五センチのところではかる、五十センチのところではかる、一メートルのところではかるなどで、お気づきのデータとかあれば少しお話をいただきたいのが一点。

 あと、ちょうど、きょう国会で、超党派の議員で、学校給食の食材の放射能の測定をして子供たちを、食の安全を守っていこうという法案を参議院の方で提案されておると思います。もともと自民党の森まさこさんがお考えいただいて、私どもの党も、みんなの党さんも自民党さんもいろいろ御協力いただいて、提案したところであります。子供たちの学校給食ということにおきまして、十二市町村の市民の声をいろいろおまとめでありますので、御意見を賜れればと。

 この二点、お願いいたします。

永田研二君 まず、ホットスポット、国は国で一応概念というのを決めているようなんですけれども、実感からいうと、大体〇・四ぐらい、だから、通常値の十倍ぐらいで、高いかなと。これはあくまで感覚的なもので、正しいとも何とも言えないんですけれども。

 例えば、流山市の場合、昨年十一月に全部で五千カ所ぐらいの地点で調査を行いました。その結果、百三十八カ所で一マイクロシーベルト・パー・アワーを超えています。それで、つい最近ですけれども、私の家から歩いて二十分ぐらいのところが千葉県立の柏の葉公園なんですけれども、先週だったと思いますが、ここで発表された数字が、東大の施設がいろいろあるんですけれども、一・四三マイクロシーベルトです。

 私たち市民も自分で測定器を買って測定しているんですけれども、一マイクロシーベルトを超えるところは今でもたくさんあります。行政が見つけているのはその範囲内ですけれども、それと違ったところで市民が見つけている場所がたくさんある。

 そのことが一つと、数字だけでなく、最もわかりやすい話を一つだけさせていただきますと、私のうちには柿の木があって、あとユスラウメとかキンカンとか、木の実のなる木がたくさんあるんです。ですから、例年、冬から春にかけて、メジロとかウグイス、たくさんの鳥が来るんです。

 ところが、震災を境にして、全く鳥が来なくなったんです。ウグイスなんかですと六月ごろまで鳴いていますけれども、初めて姿をあらわしたのが十月になってからです。そのときに最初に姿をあらわしたのがスズメなんですけれども、たったの二羽です。スズメはふだん二十羽、三十羽と集団で来るのが当たり前なのに、二羽しか来ないんです。いまだに、毎日毎日数えていますけれども、一番多いときで六羽です。

 私は今の流山に四十年以上住んでいますけれども、こんなことは生まれて初めてです。

 何が原因かというのは、もちろん私は素人なので断言はできませんが、やはり放射能汚染しか考えられない。それがホットスポットの現状というか、一つの側面だと思います。

 それと、もう一つは、学校給食なんですけれども、先ほど申し上げましたように、私たちは、統括エリアで、十二自治体について、除染活動とか学校給食の問題、いろいろな要請活動をしています。

 お母さんが子供にお弁当を持たせることに対して、今自治体はみんな、それをオーケーとする、よしとするという方向に変わってきています。

 でも、当初は大変でした。実際にお弁当を持っていっているお子さんがどれくらいいるかというと、まだ本当に少人数です。なぜかというと、聞きますと、自分だけ変わっていることをしているので、そのことがいじめの対象になってしまうんですね。例えばマスク一つでも、していると、なぜおまえはマスクをしているんだと。みんなと違ったことをすると、そのこと自体がいじめの理由にされてしまう。だから、お弁当を持っていきたくても、持っていくことがとても難しい現実があります。

 ですから、こういうことが、みんなが当たり前のようにして、学校給食はよしとする、お弁当もよしとするということを、行政の方でもそのことに対して一言言ってくれれば、もっとそういうお弁当を持っていきやすいような環境とか雰囲気ができるんじゃないかと思っています。

阿部委員 今の給食問題は、松崎さんあるいは宇井さん、お二人の首長としてもきっとお母さんたちからも要請のあるところと思いますが、そのことでもし御意見があれば。

 もう一つ、この間、各自治体、大変に被災されて、ただでも大変な職員の業務が、もうオーバーワークになるほど、あっちもこっちも、それもこれもやらなきゃいけないという中で、さっき松崎市長は、他の自治体からの応援も得てやっていると。これは日本全体でそうしなきゃいけないと思いますが、宇井市長のところも、自治体の規模が大きくはない分、いろいろな兼業をしながらみんなやっていると思います。こういう自治体間の支援のあり方についても御意見があれば。

 おのおの、少ない時間で済みませんが、お願いいたします。

松崎秀樹君 私ども、幸いなことに、同じ東葛地区でもありながら一番南の端にありますので、今、市民には二十台の測定器を貸し出ししておりますけれども、一日、ほとんどゼロに近い、たまにぽつんと何か来ている程度なもので、比較的冷静に判断していただいております。

 また、自治体間の広域な連携なんですけれども、これは本当に、近場よりも、特に私どもは全国の中でも農地のない唯一の自治体なもので、そういった意味で農村部との交流を進めていたときに、また、中越大震災のときに小千谷に特段に粉ミルクや乳児用のものを持っていったりしたことが契機で今回は魚沼産のコシヒカリを大量にいただいたりとか、そういったことで、かなり個人的な首長同士の人間関係で動きましたけれども、今度は、組織対組織、自治体同士できっちりと手を組んでいこうと思っています。

宇井成一君 給食の放射能の件でありますけれども、香取市は、先ほどから申し上げておりますとおり農村地域でございますので、多くの農作物がとれるところでございまして、これは全て計測を行っております。現状で何ら問題はないというようなところでございますし、給食についても同等ということであります。

 それと、他の市町村間の支援でありますけれども、たくさんの支援を頂戴いたしております。これは大変助かります。

 例えば技術者、我々のような小さいところだと技術者がすごく足らないんですね。少ないんです。ですから、これだけの大きな範囲で壊れてしまうと、その技術者が全く足らない。

 例えば、農業を行う圃場、田んぼなどを建設し直すための絵を描くにも、農業関係の技術者というのがいるんですね。土木関係と違って、農業の土木関係をする専門の技術者というのがいます。これはどこにもいませんですよ、県に一人、二人いらっしゃるようなもので。したがって、こういった方々を国からもそして県からも大変な御支援をいただいているということで、これなくしてはきょうまで進んでくることはできなかったと思います。

阿部委員 短いお時間で的確に教えていただいて、ありがとうございます。

 終わらせていただきます。

鉢呂座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日拝聴させていただきました御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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